205以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 19:48:13.73Xx1bIi7d0 (70/178)

妖精「やばやば!!遅刻する!!おっぱいに挟まってる場合じゃ無い!!」ヒョコ スポン!

女海賊「ちょちょちょ…あんた何処行くのさ!?」

妖精「命を運ばなきゃいけないんだ!!僕は旅に出る!!」パタパタ

女海賊「ちょっとぉ!!アンタ居なくなると困るんだけど!!」

妖精「狭間はどこにでも繋がってるよ!!急いでるから行くね!!」ピュー

女海賊「あぁぁぁ!!ちぃ…何なんだよ」


タッタッタ スタスタ


ホムンクルス「あ…女海賊さん…剣を抜いてくださったのですね?」

女海賊「んん?コレ?」スチャ

ホムンクルス「はい…トゲが刺さってると痛いそうです」

女海賊「ええ?どゆ事?」

ホムンクルス「妖精さんが教えてくれました…大地が痛がっていると…」

女海賊「マジか…知らんかったわ」

ホムンクルス「前に来た時は傷口が金属で埋められて居ましたよね?」

女海賊「あぁぁそいややそうだったね…今ミスリル銀しか持って無いんだけど…」

ホムンクルス「それで埋めて行っては如何でしょう?」

女海賊「そだね…ちっと傷口癒して行くわ」ゴソゴソ


---------------


206以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 19:48:52.45Xx1bIi7d0 (71/178)

『ドラゴンのねぐら』


グルルルル スゥゥ


女海賊「おわっ!!ドラゴン居るんじゃん!!」

ローグ「姉さん!!こっちっす…ドラゴンの心臓の近くは焚火みたいにあったかいんす」

女海賊「おぉぉ…水に濡れて寒かったのさ…ドラゴンは寝てんの?」スタ

ホムンクルス「はい…少しだけ話をしたら安心して眠りにつきました」

ローグ「なんか卵を抱えてるみたいですぜ?」

女海賊「おぉぉそういう事か…卵産んだ後なんだね?」

ホムンクルス「その様です…今はゆっくり休んだ方が良いですね」

ローグ「ほんで命の水はどうなりやした?」

女海賊「撒き終わったよ…毎度の事ながらなーんも変化した感じ無いさ」

ホムンクルス「妖精さんが慌てて飛んで行かれましたよ?」

女海賊「あぁそだね…命運ぶとか言ってどっか飛んでった」

ローグ「じゃぁ上手く行った感じでやんす」

女海賊「これどうすれば良いと思う?」スラーン ピカーーー

ローグ「姉さん剣を使えるんすか?」

女海賊「無理だなぁ…切るんじゃなくて横になってビターンて感じになる」

ローグ「ウヒヒ剣を鈍器にして使うんすねw」

女海賊「てかこの剣はシン・リーンの遺跡で見つけたんだけど…なんか縁があるんかな?」

ホムンクルス「エクスカリバーの元の持ち主は時の王ですよ?」

女海賊「ホムちゃん何か知ってんの?」

ホムンクルス「はい…以前シャ・バクダにある星の観測所で時の王にお話を聞かされましたので記憶しています」

女海賊「あああ思い出した!時の王のおっさんがホムちゃん捕まえてなんか話してたね」

ホムンクルス「はい…支離滅裂なお話だったのですが要約しますと…」




207以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 19:49:28.81Xx1bIi7d0 (72/178)

2400年前に時の王は暁の使徒と黄昏の賢者に出会って居るのです

その時は仲間として共に魔王島に根城を構える魔王と戦ったとか…

そこで使ったのがその聖剣エクスカリバーでした

時の王は魔王の手下となっていたメデューサを討ち取りその生き血を飲みました

その理由は暁の使徒を未来で目覚めさせる為…そういう契約を暁の使徒と結んでいたのです

ですが暁の使徒は魔王を打倒した後忽然と姿を消してしまった…

そしてメデューサの生き血によって不死を得た事を知った黄昏の賢者は激怒し…時の王を敵として扱う様になったのです


時は流れて2100年前…再び世界が闇に染まり始めた頃…暁の使徒と再会します

この時すでに時の王は世界を平定し世界中の魔術師を集めてシン・リーンを建国していました

時の王は暁の使徒に右腕となるように言いましたが…記憶を失って居た暁の使徒は一人旅立ってしまった

後を着けた時の王は暁の使徒がかつての魔王島に黄金を運び理想郷を作ろうとしている事を知った…

しかしそこに黄昏の賢者も居た事から対立する立場になってしまった…

首の無いメデューサやゴーレムを自在に操る黄昏の賢者の姿を見て不審に思った時の王は

黄昏の賢者こそ魔王の化身と思い込み聖剣エクスカリバーでその首を落としてしまう…

それと同時に暴れ始めたメデューサの血を浴びた暁の使徒と時の勇者は石となってしまった


時は過ぎ1700年前…

かつての友を裏切った形になってしまった時の王はその罪に苛まれていました

そこに現れたのがエルフを従えた精霊シルフ

自らの寿命が尽きてしまう前に暁の使徒を目覚めさせるべくエリクサーを携えて…

石造となってしまった暁の使徒と時の勇者をシン・リーンまで運び込んで居た時の王は

直ぐに2人を目覚めさせ時が過ぎ去った事を伝えました

暁の使徒は語りました…魔王島に黄金を運び込んで居た理由…それは神を復活させる為の事

そして再び魔王島へ行く事になったのです




208以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 19:50:11.02Xx1bIi7d0 (73/178)

女海賊「んん?オシマイ?ほんで魔王島に行ってどうなったの?」

ホムンクルス「この後は精霊シルフとの思い出話ばかりで…話が繋がらないのです」

女海賊「なんだよ折角良い所なのにさ…」

ホムンクルス「時の王は精霊シルフに一目ぼれだった様ですね」

女海賊「どうでも良いんだよそんな話は…魔王島に何が有ったのかってのが聞きたいんだ」

ホムンクルス「結論だけ分かっています…暁の使徒は神と話した後に魔王島を封じてしまった事…」

女海賊「集めた黄金をアダマンタイトに変えた訳か…」

ホムンクルス「時の王はその手段を知りませんでした…そして精霊シルフに世界の真理を聞きその剣を置いたのです」

女海賊「コレ?」スチャ ピカーーーー

ホムンクルス「はい…シン・リーンの遺跡にその剣と光の石が残されて居たのはそういう理由です」

ローグ「英雄がなんで剣を置いたんでしょうね?」

ホムンクルス「本人に聞いてみないともう分かりませんね」

女海賊「どうせ魔王の正体が何なのかとか聞いたんでしょ?」

ホムンクルス「それも有るでしょうけれど暁の使徒が時を超える者という事を知ったのでは無いでしょうか?」

女海賊「ん?どういう意味?それで戦う意味が無くなった?」

ホムンクルス「はい…未来を変えようが無い事を知ったのかと…」

ローグ「そういやそうでやんすね?それを知るとやる気無くなるかも分らんです」

女海賊「あ!!そうか…それでシン・リーンの壁画は次の時代に勇者が時を超えると言う解釈なのか…」

ホムンクルス「時の王にはそう見えて居たのだと思います」

女海賊「なるほどねぇ…そういう歴史のある剣だったのかぁ…」スラーン

ホムンクルス「一つ分かって居るのはメデューサを始め幾多の伝説的魔物を葬って居る事」

女海賊「へぇ?他にも居たんだ?」

ホムンクルス「バフォメットやベルフェゴールなど伝説の魔物ですね」

ローグ「黄昏の賢者の首を切ったのもその剣でやんすね…」

女海賊「なーんか気になる剣だなぁ…」


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209以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 19:50:58.05Xx1bIi7d0 (74/178)

ヒュン ヒュン!


ローグ「全然ダメっすねぇ…叩くんじゃ無くて切るんでやんす」

女海賊「うっさいな!わかってんよ!!何か特殊な効果無いか調べてんのさ」

ローグ「その武器使うんなら突きだけで使ったらどうっすか?」

女海賊「使う気なんか無いさ…お姉ぇにでもあげるかな」

ローグ「なんか光りっ放しなんで鞘に納めた方が良さそうでやんす」

女海賊「そだね…その辺に丁度良い武器の鞘とか落ちてないの?」

ローグ「いっぱいありやすぜ?装飾の沢山ついた謎の宝剣が…」ガサガサ

女海賊「剣なんか興味無いんだよな…」ガサガサ

ローグ「これなんかどうっすか?丁度長さが合いそうでやんす」スラーン

女海賊「んんん…なんか微妙だな…まぁ良いや!封印の壺に突っ込んどけば良いじゃん!」

ローグ「明かりに使うだけっすね?」

女海賊「そうそう…それで邪魔になんない」スポ

ローグ「じゃぁそろそろ戻りやしょうか…商人さんが待っていやすぜ?」

女海賊「そだね…ホムちゃん帰ろうか」

ホムンクルス「はい…」



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210以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 19:52:08.18Xx1bIi7d0 (75/178)

『鯨型飛空艇』


ヨイショ ヨイショ ドサドサ


女海賊「商人!!終わったよ!!」

商人「あれ?早かったねぇ…どうだった?」

女海賊「毎度の事さ…何も変化無いよ」

商人「ハハやっぱりね…効果が出るのは何年も先ってやつだね」

女海賊「癒し苔結構集まったね?」

商人「ちょとづつしか採れないからなかなか大変だよ」

女海賊「まぁ良いや…こんだけあれば当分ダンゴムシの餌には困んない」

商人「え?餌にするの?」

女海賊「放って置くとダンゴムシが種食っちゃうのさ…言う事聞かないんだよ」

商人「そうかい…それで?用が済んだからもう行く?」

女海賊「うん…幽霊船に戻る」


”ザザー”

”女海賊や…聞こえるかえ?”

”あ!!魔女!!?どしたん?”

”シン・リーンの母上から連絡があってのぅ…暁の墓所が墓荒らしに在ったらしいのじゃ”

”ええ!?どゆ事?”

”暁の使徒のご神体がオークに奪われてしもうたのじゃ”

”ちょ…”

”もう随分前の事の様じゃ…行き先は分からぬ”




211以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 19:52:50.03Xx1bIi7d0 (76/178)

商人「前に港町でオークに襲われたよね…もしかして…」

女海賊「あああ!!オークシャーマンもそこに居たじゃん!!」


”それでのう…暁の墓所に未来が残したと思われる壁画もあった様なのじゃ”

”マジか…ちょい行って来る”

”場所が分からんじゃろう…母上は今暁の墓所におるで母上に会うのも叶わんぞよ?”

”魔女はどこら辺とか知らないの?”

”シン・リーンの東側としか聞いて居らぬ…わらわが母上の眼を通じて壁画を写して居る故…一度幽霊船に戻るのじゃ」

”あぁぁなんかイラつく…ダッシュで戻るわ”

”うむ…今暁の墓所へ行ってもご神体がある訳では無い故に…早まって行動せぬ様にな?”

”分かった…”

”帰りを待って居る…ではのぅ…ザザー”


女海賊「…」グググ

商人「オークシャーマンの行先に心当たりは?」

女海賊「ある!!」ギラ

ローグ「姉さん…」

女海賊「ニライカナイ!!そこは昔魔王島だったの!!未来はそこで神を復活させようとした!!」

商人「神?」

女海賊「行きゃ分かるさ」

ローグ「姉さん…急ぎやしょう…日が落ちちまいやす」


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212以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 19:53:36.93Xx1bIi7d0 (77/178)

『幽霊船_居室』


カキカキ スラスラ


情報屋「…では暁の墓所で未来君達が生活した痕跡は無いのね?」

魔女「何処にも見当たらんそうじゃ…他に在るのは王家のご神体ばかりじゃな」

情報屋「では壁画は何処からか運ばれた…そういう事ね?」

魔女「うむ…暁の使徒が安置されている部屋へは王家の者も入った事が無かったのじゃ…誰が運んだのかは既に分からぬ」

情報屋「壁画の暦からするとドリアードの時代ね…黄昏の賢者と一緒にドリアードを倒してる…」

魔女「これで壁画のピースがすべて集まったのかのぅ?」

情報屋「その当時未来君達が何処を拠点として居たのかが分かればもう少し調べられるけれど…」


タッタッタ ガチャリ


女戦士「魔女!手を貸してくれ…ガーゴイルの数が増えて直に攻めて来そうだ」

魔女「またかいのぅ…」ノソリ

女戦士「ボルケーノで一気に焼ければこちらのボルトを消費しないで済む」

魔女「情報屋…また船が揺れるで怪我をせぬ様にな?」

情報屋「わかったわ…気を付けておく」

魔女「では行って来る」ノソノソ


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213以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 19:54:14.76Xx1bIi7d0 (78/178)

『甲板』


ギャァァ ギャース バッサ バッサ


魔女「ふむ…ボルケーノは3つ程出さぬと全部は焼き払えんのぅ」

女戦士「横帆は全部畳んだ…準備は出来ている」

魔女「ボルケーノには巻き込まれぬ様にな?」

女戦士「海賊共!!風向きが荒れるぞ!!帆角をすぐに変えられる様に準備しろ!!」

海賊共「がってん!!」ドスドス

魔女「では行くぞよ?竜巻魔法!竜巻魔法!竜巻魔法!」


ビュゥゥゥゥ ゴゴゴゴゴ


女戦士「帆角2番!!面舵一杯!!」

海賊共「うらぁぁぁぁぁ!!」ドドドド


ユラ~ ギシギシ


魔女「海賊共は頼もしいのぅ…そろそろ火柱に変えるで火の粉を浴びん様にせい」

女戦士「大丈夫だ!既に火薬は退避してある」

魔女「良かろう…では!爆炎地獄!爆炎地獄!爆炎地獄!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ ボゥ


女戦士「さすが魔女…ガーゴイルが一気に焼かれて行く…」

アサシン「又私の出番は無しか?」

女戦士「その様だ…光の石は元の場所に戻して辺りを照らしてくれ」

アサシン「夜の海で光を灯すとクラーケンが出るのだがな…」

女戦士「エルフもオークも乗せて居ない…襲っては来ないだろう」

アサシン「まぁ良い…私は見張って置こう」スタ

魔女「わらわの仕事は終わりじゃな…戻って書き物をして居るでのぅ」ノソノソ

女戦士「ふぅぅ…月の近い夜は海も安全では無いな…」


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214以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 19:54:43.27Xx1bIi7d0 (79/178)

『翌日_デッキ』


ザブ~ン ユラ~リ


情報屋「随分暖かくなってきたわね…」ノビー

女戦士「体の調子は良いのか?」

情報屋「貧血は無くなって来たから気分が良いわ」

魔女「わらわも少し日光浴じゃ…」ノソノソ

情報屋「昼間は平和な海ね」

女戦士「豪族に襲われなければな?」

魔女「んん?見当たらん様じゃが?」

女戦士「こちらは光の石で光って居るから向こうには見えている筈なのだ」

情報屋「あぁぁ…女海賊が戻るまで光の石を隠せないのね」

女戦士「フフ…そういう事だ」

魔女「今度は真っ直ぐ帰って来るじゃろう」

アサシン「賭けるか?次どうするかを…」

女戦士「お前はもう金を持って居ないだろう」

アサシン「私はな?3日程閉じこもると思って居る…つまりその間にフィン・イッシュへ到着する」

女戦士「同意だ…賭けにならん」

魔女「アサシン…主はフィン・イッシュに戻った後はどうするつもりじゃ?」

アサシン「そうだな…どうにか公爵を追いたいとは思って居るが…」

魔女「もう放って置けばよかろう」

アサシン「友なのだ…事情を知ってしまった今…放って置けなくなった」

女戦士「歩んだ道が違っただけで目指した場所は同じか…」

魔女「わらわにとっては父上を貶めた仇なのじゃがな…」

アサシン「シン・リーンの王もうぬが信じた道を行っただけ…私達はすれ違ったのだよ」

魔女「理解して居る…じゃからもう公爵には会いとう無い…済んだ話じゃでのぅ」

情報屋「フィン・イッシュに女狐が居るのでしょう?」

アサシン「その筈だ」

情報屋「彼女に足の不自由な孤児が無事だと伝えないと…」

アサシン「隠し子だったか…誰の子なのやら」

魔女「むむ!!女海賊がこちらの船を見つけたぞよ」

女戦士「ほう?早かったな」

魔女「光の石のお陰じゃ…かなり遠くから見えて居った様じゃな」

女戦士「よし…船尾で待つとしよう」スタ


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215以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:12:16.86Xx1bIi7d0 (80/178)

『船尾』


シュルシュル スタ


女海賊「はいホムちゃん到着!」

ホムンクルス「そのワイヤーの装置を私にも作って下さいませんか?」

女海賊「おっけ!後で作っとく」

ホムンクルス「ありがとうございます」ペコ

ローグ「姉さ~ん!!あっしも降りるんでそこどいて下せぇ!!」

女海賊「はいはい…お姉ぇ!!コレお土産」ポイ

女戦士「んん?」

女海賊「時の王のおっさんの剣さ…エクスカリバーだよ」

女戦士「これが…」スラーン ピカー

女海賊「鞘が無いと眩しすぎるから作った方が良い」

女戦士「私は小細工に向かん…ミスリル銀でお前が作れ」

女海賊「んぁぁ何か作る物一杯だな…てか魔女は?」

女戦士「居室に戻った筈だ…」

女海賊「ちょい事情聞いて来るから!!」スタタタ ピュー


シュルシュル スタ


ローグ「頭ぁ無事に連れ戻しやした…ささ商人さん降りて下せぇ」

商人「あぁ悪いね…」ピョン

女戦士「む!!何だアレは!!」ズダダ

ローグ「あいやいや…あのデカイ鳥は襲って来んでやんす」

女戦士「どういう事だ?ロック鳥を連れて来たと言うのか?」

ローグ「勝手に付いて来たでやんすよ…なんもしてこないんで安心して下せぇ」

女戦士「まさかロック鳥が味方していると?」

ホムンクルス「妖精さんのお友達の様です」

女戦士「ほう?」

ホムンクルス「クジラに興味が有って付いて来ました」

ローグ「安心して下せぇ…ロック鳥が居るとガーゴイルも近づいて来んでやんすよ」

女戦士「ふむ…それは良いな」


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216以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:13:01.55Xx1bIi7d0 (81/178)

『居室』


カクカク シカジカ…


女海賊「ほんでこれが壁画の写し…」

情報屋「そうよ…あなたの持って居る書物にも写すと良いわ」

魔女「その他にも未来が使って居った刀も見つかったそうじゃ…光を失って折れて居るらしいが」

女海賊「流星の刀…」プルプル

魔女「気の毒じゃがご神体が無事かどうかは分からぬ…」

女海賊「無事さ…オークシャーマンは予言に従ってるのさ」

情報屋「そうね…それが剣士と交わした契約なのだから」

女海賊「ちっと私の書物に壁画を写す」

魔女「うむ…結構な情報量じゃでゆっくり書き写すが良い」


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217以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:14:13.19Xx1bIi7d0 (82/178)

『甲板』


ザブ~ン ユラ~ ギシ


女戦士「フン!」スン スン

ローグ「おぉぉその剣は残像が残って見えやすね…」

女戦士「私には軽すぎるが…」

ローグ「何か特殊な効果とか無いでやんすか?」

女戦士「破壊の剣のような効果は無さそうだ…ただ何か力がみなぎる感じはあるな…」

ローグ「あの剣はちっと危ないんすよね…戦闘中に急に夢見ちまうんで…」


ノソノソ


女戦士「む…魔女!?もう妹と話は終わったのか?」

魔女「うむ…今は壁画の写しとにらめっこじゃ…そっとしておくのが良かろう」

女戦士「そうか…魔女に聞きたい…このエクスカリバーの事なんだが…」

魔女「シン・リーンの遺跡で見つけた剣じゃな?どれ見せてみぃ」

女戦士「何か分かると良い…」スッ

魔女「どれどれ…ムム!!量子転移がエンチャントされて居るでは無いか…気が付かんかったわい」

女戦士「それはどういう効果がある?」

魔女「剣に力が宿る…倒した相手の力を吸い込んで居るのじゃ」

女戦士「それはつまり?」

魔女「この武器で何を倒したかじゃな…」

ローグ「メデューサの首を切ったらしいですぜ?他にもバフォメットやベルフェゴールや…」

魔女「皆悪魔では無いか…つまり悪魔の力を吸い込んで居るという事じゃ…これは魔剣じゃぞ」

女戦士「破壊の剣の様に何でも切れるのか?」

魔女「それは量子転移のエンチャントに失敗して制御出来んくなった効果じゃ…これは成功して居る」

女戦士「剣の能力としては只のオリハルコンの剣と言う事か?」

魔女「じゃが力を吸い込み強くなる…どちらが良いかのう?」

ローグ「メデューサの力って石化の効果っすかね?」

魔女「それもあるじゃろうが不滅の力も有るじゃろうな…バフォメットは金属を溶かす力…ベルフェゴールは怠惰の力…」

ローグ「おぉぉぉ…他に何を倒したのか気になりやすね」

魔女「魔力も吸い込んどる筈じゃぞ…何が起こるか分からぬ剣じゃ」

女戦士「さて…そのような魔剣を私に使いこなせるか…」

魔女「しかしおかしいのぅ…剣士はそれを振るって居った…何か起きた気配も無い」

ローグ「剣士さんはドラゴンに乗って殆ど魔法で戦って居やした…振るったのは魔王に使ったくらいっすね」

魔女「魔王をこの剣で倒せなんだのがのぅ…」

ローグ「実体が無いもんで切れんかったんすよ…なもんで殆ど使って無いんす」

魔女「そうだったか…ちと何が起きるかは注意せんとイカンな」

女戦士「ふむ…ここぞという時にだけ使う事にする」



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218以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:15:00.15Xx1bIi7d0 (83/178)

『船長室』


アーデモナイ… コーデモナイ…


ホムンクルス「…地球内部約5000kmにある液体で構成された外核の内側が90°回転したと想定されます」

情報屋「それに引っ張られて地表が丸ごとツルリと移動した訳ね…」

ホムンクルス「地表に近い金属質の磁性が安定するまでは当面の間地軸が揺れている様に観測されるでしょう」

商人「それって行ったり来たりすると言う事?」

ホムンクルス「はい…核の回転は既に安定していますが外側が磁力によりフラフラしているのです」

情報屋「じゃぁ正確な暦をもう一度作るのは当分先なのね…」

ホムンクルス「何処で安定するか分かりませんので…」

商人「もうインドラの光を精度良く落とす事も出来ないか…」

ホムンクルス「残念ながら無理です…しかし大まかな座標は分かりますので指定の場所へのご案内は出来ます」

商人「因みに現在地は?」

ホムンクルス「地図上でいうとこの位置…北東に行けばフィン・イッシュです」


ユラ~リ ググググ ギシ


情報屋「!!?また大きな波…」

ホムンクルス「津波です…外海では10メートル程度の津波が頻繁に発生している様ですね」

商人「外海側は影響大きそうだなぁ…」

情報屋「この逆さにした古代の世界地図はどの程度アテになるの?」

ホムンクルス「沿岸部の地形は全く異なります…海の浸食のせいですね…標高200メートル以上は殆ど変わりません」

商人「どんな風に変わったか君に描けるかな?」

ホムンクルス「絵に自信は無いのですがやってみます…少し時間を下さい」




219以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:15:37.15Xx1bIi7d0 (84/178)

『船首』


ザブ~ン ユラ~


アサシン「…」グビ ゴク

魔女「暇そうじゃのぅ…」ノソノソ

アサシン「フフ…流氷が無くなってしまってはもう私にやる事が無い」

魔女「わらわもやる事が無うてのぅ…」

アサシン「ワインを飲むか?」スッ

魔女「そうじゃな…一口頂くとするか」クイ ゴクリ

アサシン「クックック…」

魔女「マズい酒じゃ…」フキフキ

アサシン「なぁ魔女?私達も付き合いが随分長いな…もう20年を超え記憶もおぼろだ」

魔女「狭間に居った期間が長い故にもっと長く感じるわい」

アサシン「そろそろ子でも産んだらどうだ?」

魔女「それは母上が決める掟じゃ」

アサシン「勝手には産めんかクックック…」

魔女「要らぬ世話じゃ…してアサシン…主の理屈で言うと魔王を滅ぼした者が魔王になる…じゃったな?」

アサシン「古い話を…クックック」

魔女「どうじゃ?魔王になった気分は?」

アサシン「そうか…私は魔王か…」

魔女「率直に答えよ…俗な考えは要らぬ」

アサシン「虚無だ…ただ虚しい」

魔女「虚無から何か生まれてきたりはせぬか?」

アサシン「んん?私が魔王に染まるとでも思って居るのか?」

魔女「一応心配して居るのじゃ…」

アサシン「妖精がな…私に導きを与えている」

魔女「ほう?如何に?」

アサシン「海の向こうへ行かねばならん様だ」

魔女「主はフィン・イッシュに帰るのでは無かったか?」

アサシン「最終的にはな?」

魔女「まだ続きがあると申すか…」

アサシン「海の向こうに…私は妖精を追う」

魔女「ふむ…どうやら主はまだ死んでおらん様じゃ」

アサシン「本当の事を教えてやろうか?」

魔女「何じゃ?」

アサシン「私の妹の事だ…海の向こうで妹が待って居る気がしてならないのだ」

魔女「んん?死者の集う楽園…ニライカナイの事かいな?」

アサシン「さぁな?ただ無性に…海へ惹かれる」

魔女「ふむ…」トーイメ


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220以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:16:12.26Xx1bIi7d0 (85/178)

『夜_甲板』


シュン! チュドーーーン!


ガーゴイル「グェェェ…」ヒューー バシャーン

女戦士「ええい!又魔女の力を借りねばならんか…ロック鳥はどうした!?味方では無いのか!!」

ローグ「夜はどっか行っちまうみたいっすね…」

女戦士「ちぃぃぃ意味の無い鳥だ…」

アサシン「次撃てるまで10分だ…凌げ」


女海賊「うわわ…お姉ぇ!!レイスも出てんじゃん」


女戦士「何!?何処かに魔方陣の欠けがあるのか?」キョロ

ローグ「あっしが処理して…」ダダ

女戦士「全員ミスリルの武器に持ち替えろ!!レイスを優先して倒せ!!」

海賊共「がってん!!」ドドド

女海賊「ちっとガーゴイルは私が何とかすっから今の内に体制整えて」スタタ シュルシュル スタ


ノソノソ


魔女「騒がしいのぅ…ボルケーノが必要かえ?」

女戦士「魔女!!レイスが出て居るのだ…何処かに魔方陣の欠けがある…先にそっちを頼みたい」

魔女「ふむ…どこじゃろうのぅ?」

ローグ「魔女さん!!荷室の方でやんす!!荷入れで銀がどっか行っちまったんすよ」


レイス「キシャァァァ!!」


ローグ「出て来るなってんでやんす!!」スパ

レイス「キャァァァァ…」シュゥゥゥ

魔女「応急で砂銀を撒くでレイスを処理せい」

ローグ「はいなー!!」ダダ


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221以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:16:51.57Xx1bIi7d0 (86/178)

『船長室』


ガチャリ バタン


女海賊「ホムちゃん達此処に居たね?」

商人「どうなって居るんだい?」

女海賊「船の中にレイスが出てちっとバラバラな感じさ…プラズマの銃を持って来たから商人もガーゴイル撃ち落して」

商人「あぁ分かった…」

女海賊「情報屋は動けそう?」

情報屋「ええ…走らない程度なら…」

女海賊「んんんんん…無理しない方が良いな」

ホムンクルス「私は動けますよ?」

女海賊「え!!?ホムちゃん?…まぁ良いや!!プラズマ銃の使い方分かる?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「おけおけ…リロード30秒だから落ち着いて撃って」

ホムンクルス「わかりました…」

女海賊「情報屋は此処に居て!!ここならレイス来ないから」

情報屋「御免なさいね戦力にならなくて…」

女海賊「良いの良いの!!ほんじゃ商人!ホムちゃん!行くよ!!」

商人「よーし!!」

ホムンクルス「はい!」



222以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:17:23.67Xx1bIi7d0 (87/178)

『デッキ』


ピカーーーーーー チュドーーーン!

ピカーーーーーー チュドーーーン!


女海賊「おっし!!リロードしっかり待ってね!!食らえ閃光弾」ダン! ダン!


ピカーーーー


女戦士「見えた!!撃てぇ!!」

海賊共「へい!!」バシュン バシュン バシュン バシュン

女海賊「お姉ぇ!!エクスカリバー出しといて!!そしたら見える!!」

女戦士「確かに…取って来る」ダダダ

商人「これは何匹飛んでるか分からないな…」タジ

女戦士「プラズマの銃は2人で交互に撃ってガーゴイルを近づけさせるな!」

商人「そうだね…」

ホムンクルス「分かりました…」

女海賊「ほんじゃ次!!もっかい閃光弾行くよぉ!!」ダン! ダン!


ピカーーーー


女海賊「撃て撃てぇ!!」


バシュン バシュン バシュン バシュン

ピカーーーーー チュドーーーン!



223以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:18:00.04Xx1bIi7d0 (88/178)

『甲板』


ダダダ スタ

女戦士「待たせた!!インドラの光だ!!」スラーン ピカーーーー

女海賊「おっし!!見えたぁぁ!!退魔の特殊弾食らえ!!」ガチャコン ダン! ダン!


ガーゴイル「ギャァァァァ…」ヒュゥゥゥ


女戦士「押し戻して居るな?」キョロ

商人「丁度射程さ!!」カチ ピカーーーー チュドーーン!

アサシン「フフこれでガーゴイルは近付けまい…」カチ シュン! チュドーーーン!

女海賊「退魔の方陣はどうなってる?」

女戦士「ローグと魔女が荷室に行ったきりだ」

女海賊「大丈夫かな…」

アサシン「私が行って来よう…丁度リロードで10分待つからな…」スタ


--------------


『荷室』


ダダダ スパ スパ スパ


レイス「キャァァァァ…」シュゥゥゥ

ローグ「やっぱなんやかんやでミスリルダガーが使い勝手良いでやんす」スチャ

魔女「ひとまず退魔の砂銀を撒いておるが…これは船を改修した場所を全部見て回らんとイカンぞよ?」

ローグ「マジっすか…」

魔女「主は把握しておるんか?」

ローグ「船底の竜骨を補強していやしたね」

魔女「クジラの骨に変えた所はすべて退魔の方陣を敷き忘れておるな…案内せい」

ローグ「へい…こっちでやんす」スタ


--------------



224以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:18:30.55Xx1bIi7d0 (89/178)

『甲板』


ザブ~ン ギシ


女戦士「アサシン!方陣の方はどうだ?」

アサシン「ミスリル銀の細工が必要な様だ…お前が行った方が良い」

女戦士「なぜミスリル銀を…」

アサシン「船を改修した後に退魔の方陣を敷き忘れているだろう?」

女戦士「なっ…そうか船内にも必要だったのか…」

アサシン「今からミスリル銀を打ち直すらしい…だからお前が行くべきだ」

女戦士「分かった…」

アサシン「ここは私がインドラの光を浴びせればガーゴイルは寄って来んと思う」

女戦士「そうだな…悪いが行って来る」ツカツカ

女海賊「んん?アサシンとお姉ぇが交代?」

アサシン「うむ…インドラの光があればお前達だけで凌げるな?」

女海賊「なんか余裕っぽいね…射程内に入って来なくなったさ」

アサシン「さぁて…私は又見張りへと戻るか…」スタ


コーン コーン


女海賊「お?ミスリルを打つ音だ」

アサシン「もう何物も近づかんだろう…ワインでも飲むとしよう」グビ


--------------

--------------

--------------


225以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:19:03.40Xx1bIi7d0 (90/178)

『翌日_デッキ』


進路1時方向!陸には近付きすぎるな?

このまま行けば日が落ちる前にフィン・イッシュ近海だ


海賊「頭ぁ!!左舷側に潮目が見えるでがんす」

女戦士「渦に巻き込まれるかも知れんな…2時方向に修正だ!!」

海賊「へい!!」ドタドタ


タッタッタ


女海賊「お姉ぇ!!エクスカリバーの鞘出来たよ…真っ直ぐ抜けるか試してみて」スッ

女戦士「ふむ…」スラーン スチャ

女海賊「どう?」

女戦士「抜いた時に鞘が鳴るな?隠密出来んが?」

女海賊「あぁぁぁ音か…気を付けて無かった…やっぱ全部ミスリルで作っちゃダメか…」

女戦士「まぁ盾替わりに使えん事も無い」

女海賊「盾ねぇ…もうちょい大き目の鞘でも良い?そしたら音も消せるかも」

女戦士「任せる…ただ抜いた音があからさまに分かるのは止して欲しい」

女海賊「おけおけ!今度は気を付ける…もっかい作って来る」スタタタ


-------------


226以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:19:39.19Xx1bIi7d0 (91/178)

『1時間後』


タッタッタ


女海賊「お姉ぇ!!もっかい作って来たよ」

女戦士「随分早かったでは無いか」

女海賊「まだ装飾して無いさ…今度は盾として使える様に結構重さある」スッ

女戦士「ほう?これは無垢のミスリルをくり抜いたか」

女海賊「ほんなん破壊の剣入れるだけでくり抜けるから簡単なんだ…抜いてみて」

女戦士「…」スチャ

女海賊「どう?」

女戦士「なかなか良いな…鞘も盾として強度十分の様だ」

女海賊「おけおけ!!あと持ち手付ければ良いね?」

女戦士「これは背負う形になるな…」

女海賊「そだね…腰につけるには重い…てか背負った方が邪魔にならないよ?」

女戦士「背負って抜けるか…」

女海賊「あぁぁ無理だね…まぁ急に抜く事なんかそうそう無いと思うけど…」

女戦士「確かにそうだな…まぁ良い…今のままで作ってくれ」

女海賊「おけおけ!!夜には間に合わせる」スタタタ


-------------



227以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:20:24.52Xx1bIi7d0 (92/178)

『船長室』


ホムンクルス「ふぅぅ出来た…」

情報屋「ご苦労様…見せて貰える?」

ホムンクルス「はい…どうぞ」

商人「どれどれ?」

情報屋「綺麗に書けて居そうね…でも地形が全然違ってて分からない…」

商人「これセントラルは内陸になってる?」

ホムンクルス「そうですね…海面が下がって遠浅だった場所がすべて陸になりました」

情報屋「フィン・イッシュも沿岸部の地形が変わり過ぎてて何処が何処なのか…」

ホムンクルス「港はすべて水没して居ますので何処に停船するか困ると思います」

商人「あれ?確か外海側に港を作ってるんじゃなかったっけ?」

情報屋「完成したという話は聞いて居ないわ」

商人「そうか…」

情報屋「ねぇ…命の泉のある山脈の北側…ここはもう未踏の地では無いのよね?」

ホムンクルス「はい…赤道付近ですので船で行く事が出来ると思われます」

情報屋「たしか超古代文明でそこら辺にインダス文明があったらしいの」

ホムンクルス「文明跡地でしたら他にも行ける様になった場所が沢山ありますね」

商人「なんだ君は更に考古学の高みを目指したいんだね」

情報屋「当たり前でしょう…すべて繋がって居るのだから」

商人「こう見ると僕達の今の文明圏って小さいねぇ…内海の周りにしか人は居ないんだろうか?」

ホムンクルス「居るかもしれません…外海の向こう側に別の文明が繁栄している可能性はゼロではありません」

情報屋「あぁぁワクワクしてきた」

商人「ホムンクルス…君は言う事が変わったね?」

ホムンクルス「そうですか?」

商人「確率の話をしなくなった…夢を語る様になったよ」

ホムンクルス「はい…私は人間ですから」

商人「それだよそれ!!それで良いんだ!!」


--------------


228以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:20:55.03Xx1bIi7d0 (93/178)

『フィン・イッシュ近海』


ザブ~ン ギシギシ


海賊「頭ぁ!!この下の海底に棚があるんでこれ以上行くと津波の影響が出ちまうでがんす」

女戦士「そうだな…小島に寄せるのも座礁の危険がありそうだ…ここで碇を降ろせ!!」

海賊「がってん!!」ドタドタ

ローグ「気球はいつでも出せやすが?どうしやしょう?」

女戦士「私は船に残る…アサシンと魔女を連れて女王に挨拶へ行って来い」

ローグ「分かりやした!!」

アサシン「インドラの銃は借りて行っても良いか?」

女戦士「ふむ…ガーゴイル除けか…」

アサシン「こちらにはエクスカリバーが有るだろう?」

女戦士「分かった…それは戻って来るという意味と受け取って良いな?」

アサシン「フフ私は海の向こうに用事がある…もちろん戻って来るとも」

女戦士「海賊共ぉ!!小舟を2隻とも降ろして木材と鉄の買い付けに行って来い!!」

海賊共「へ~い!!」

女戦士「交渉役に商人を同伴させるんだ」

商人「ええ!?僕が海賊達と?」

女戦士「何を言って居る…この船に乗って居るからにはお前も海賊だ」

商人「ええと…取り引き考えて無かったなぁ」

女戦士「硫黄を半分持って行け…そのつもりで乗せて来たのだから」


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229以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:21:28.13Xx1bIi7d0 (94/178)

タッタッタ


女海賊「お姉ぇ!!エクスカリバー完成したよ」スッ

女戦士「ふむ…杖替わりに立てて置けば良いか?」ドン

女海賊「お?良いねぇ…デッキの上で仁王立ちしときゃ恰好つくわ」

女戦士「そろそろガーゴイルが出て来る時間だ…お前も戦闘に備えろ」

女海賊「ホムちゃんどこに行ったか知らない?」

女戦士「船長室で地図を作っていた筈だが?」

女海賊「おけおけ!!ホムちゃん用のワイヤー装置も作ったのさ」

女戦士「ホムンクルスを飛ばせるつもりか?」

女海賊「私のとはちょっと違うさ…飛空艇への乗り降りに使うんだよ」

女戦士「フフそうか…自発的に動くようになったか」

女海賊「ちっと行って来る」スタタ



『船長室』


アーデモナイ コーデモナイ


ホムンクルス「六分儀を使った星の観測では地軸の傾きが変わって居る様に見えますが実際は違います…」

情報屋「地球の地表がしっかり定まって居ないからなのね…」

ホムンクルス「はい…これは衛星を使った観測でないと知りえない事ですね」

情報屋「衛星はもう真上に?」

ホムンクルス「真上に来ているのは1基です…他の3基はそれぞれ違う場所に位置します」

情報屋「その全部がインドラ兵器を乗せているのかしら?」

ホムンクルス「いえ…現在稼働出来るのは1基だけです…残りの3基は4000年前にミラー部が損傷しています」

情報屋「ロストテクノロジーの最後の一基だった訳ね」

ホムンクルス「はい…」

情報屋「もしかしてウンディーネ時代の戦争は宇宙でも?」

ホムンクルス「衛星の履歴からするとその様ですね…私にはその記憶がありません」


ガチャリ バタン


女海賊「ホムちゃん!!ワイヤーの装置作って来たよ」

ホムンクルス「ありがとうございます」

女海賊「使い方分かる?」

ホムンクルス「分かります…見ていましたので」

女海賊「おっし!!ちっと今の内に練習しとこうか…メインマストに登ってみよう」

ホムンクルス「はい…ですが今情報屋さんとお話を…」

情報屋「良いのよ…私は見ておくわ」

ホムンクルス「分かりました…では行きましょう」スタ


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230以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:22:01.04Xx1bIi7d0 (95/178)

『メインマスト』


パシュ シュルシュル


女海賊「おーーー一発で成功じゃん!!」

ホムンクルス「体のバランスを取るのが難しいのですね…」ジタバタ

女海賊「ワイヤーを片手で持てば良いよ…巻き取る時に怪我しない様に気を付けて」

ホムンクルス「はい…」シュルシュル スタ

女海賊「これが上手く使えると襲われた時にサッと逃げられるんだ」

ホムンクルス「そうですね…今度地上に降りたら練習してみます」

女海賊「あれ?商人もプラズマの銃持って行ったみたいだなぁ…」

ホムンクルス「一つは私が持って居ますよ?」

女海賊「今晩は魔女もアサシンも居ないのさ…2人で幽霊船守らないといけない」

ホムンクルス「頑張りましょう」

女海賊「私は特殊弾の無駄撃ちになっちゃうから実質的にホムちゃんだけになるんだけどさ…」

ホムンクルス「私には犬笛もあります」ハム


トゥルルルル~♪


女海賊「おぉぉ!!それがあればホムちゃんは安全だな…そうかミスリル銀を…」

ホムンクルス「??」

女海賊「おっけ!!閃いた…波の揺れで鳴る鈴を作れば良い…速攻作って来る!!」スタタ ピューー



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231以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:22:40.58Xx1bIi7d0 (96/178)

『夜_甲板』


リーン リンリン♪


情報屋「はぁぁぁ涼しい音…」

ホムンクルス「エクスカリバーの光で心なしか暖かいですね」

情報屋「気持ち良いわ」

女戦士「これは良く考えたな…ガーゴイルが寄って来ん」

女海賊「これ作るの超簡単なんだよ…フィン・イッシュに配っても良いかも」

女戦士「次に小舟が戻って来たら持たせよう」

女海賊「おけおけ!!作り増しとく」

女戦士「今晩はゆっくり出来そうだな?」

情報屋「何か食べる物でも作る?」

女海賊「そうだ…お腹空いてたんだ…」グゥ


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『バーベキュー』


ジュゥゥゥ モクモク


女海賊「…ええ!!?月にインドラの矢を落としても意味無い?なんでさ?」

ホムンクルス「インドラの矢は核弾頭ミサイルと比較して爆発エネルギーが小さいからです…ガラス質の生成に至りません」

女海賊「メッチャ爆発して津波とか起こしてたじゃん」

ホムンクルス「それは水蒸気爆発ですね…熱エネルギーとしては核反応に遠く及ばないのです」

女海賊「ぬぁぁぁ…ほんじゃ月に退魔を宿らせるのは無理って事?」

ホムンクルス「あと一つ残されている可能性があります」

女海賊「なになに?」

ホムンクルス「4つある衛星にはそれぞれ高純度のオリハルコン結晶が搭載されています」

女海賊「もしかして衛星を落とす?」

ホムンクルス「はい…チャンスは一度きり…そして二度と衛星を使う事が出来なくなります」

女海賊「…」ゴクリ

情報屋「それは座標や情報を得る事も出来なくなるという事ね」

ホムンクルス「はい…月の軌道が正確に分からない為どのくらいの確率で成功するか分かりません…」

ホムンクルス「衛星から送信される映像から私がコントロールして落とす事になります」

女戦士「際どい選択だな…座標が分からんとなると外海を渡れんぞ?」

女海賊「落とす!!失敗したら次の手考える!!」

女戦士「フフお前は直球勝負だな」

女海賊「ホムちゃんは人間として生きるんだ…もうインドラ兵器なんか要らない!!」

ホムンクルス「はい…」ニコ

女海賊「どんくらいで落とせる?」

ホムンクルス「少し時間を下さい…月の軌道と衛星の位置関係から確率の高い条件を算出します」

情報屋「女海賊?あなたは決断が早いのね?」

女海賊「迷いはあるさ…でも使う時使わないといつまで立っても宝の持ち腐れになるのも知ってるんだ」

女戦士「その通りだ…そうやって勝ちに持ち込む」



232以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:23:12.84Xx1bIi7d0 (97/178)

『翌朝』


ザブン ギシギシ


女海賊「ふぅぅ結局ガーゴイル来なかったね…」トンテンカン

女戦士「お前も少し休んだらどうだ?」

女海賊「お姉ぇの方こそ休んで良いって…私は鈴作るのに忙しい」トントントン

女戦士「知って居るぞ?お前がモノ作りに勤しむ時は心が痛む時だと…」

女海賊「…」トンテンカン

女戦士「まぁ話したく無いならそれでも良いが…睡眠はしっかりとる様にしろ」

女海賊「未来の老いた姿を見たく無いのさ…気が狂いそう」

女戦士「お前が描き集めた壁画の写し…アレは未来の成長日記だな?」

女海賊「そうだよ…苦難の一生さ…そのすべての記憶があの壁画だよ」

女戦士「何を読み取った?」

女海賊「あの子だけ4000年も未来の為に戦い続けてるの…分かる?」

女海賊「命を運んで…命を繋ぎ続けて来た事…」プルプル

女海賊「どうすれば報われる?」

女海賊「…それを考えたら…月に連れて行ってあげるしか思い浮かばない」

女海賊「だから迷ってる…アヌとの契約をそのまま受け入れれば良いのか…」

女海賊「それとも違う方法で月に連れて行くのか…」

女戦士「現状他の方法で月に行く選択は無いな」

女海賊「知ってるよ…でも未来の老いた姿を見たくない…苦難の顔を見たくない」


リーン リンリン♪


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233以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:23:46.83Xx1bIi7d0 (98/178)

『鯨型飛空艇』


カサカサ モグモグ


女海賊「よしよし大きくなれよぅ?癒し苔は美味いか?」

ダンゴムシ「…」パクパク プリ

女海賊「ウンコはワームに食って貰うんだぞ?」ツン

ダンゴムシ「!!?」クルリン コロコロ

女海賊「ワームも癒し苔食って良いぞ…どっちが食べるの早いか競争だ」

ワーム「!!?」パクパク

女海賊「おぉぉオマイら友達になれそうだな?」

ダンゴムシ「…」ピク キョロ

女海賊「う~む…良く見たら目が沢山ついてるんだなぁ…超ダンゴムシだな…」

ダンゴムシ「…」カサカサ パクパク

女海賊「ワームは口が目になってんのかな?」ツン

ワーム「!!?」ニョロニョロ ピョン

女海賊「うぉ!!飛ぶんか!!」

ダンゴムシ「…」ジー クルリン コロコロ

女海賊「へぇ?得意な事が違う訳ね…よーし!滑り台作ったげるわ」ゴソゴソ

ワーム「??」ニョロニョロ

女海賊「どうよ?葉っぱの滑り台だぞ?」

ダンゴムシ「…」カサカサ

女海賊「あれ?隠れるの?…ほんじゃこれでどうよ?葉っぱの上に小麦置いとく…食ってみ?」パラパラ

ダンゴムシ「…」カサカサ カサカサカサ

女海賊「なんだ滑って登れないのか…訓練だよ訓練!!」

ワーム「…」ニョロニョロ

女海賊「あぁぁヤバイ…先越される…」


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234以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:24:24.43Xx1bIi7d0 (99/178)

『小舟』


ガコン ギシギシ


海賊「荷室の扉を開けてくれぇぇぇぇ!!」


ガラガラガラ ドターン!!


海賊「木材と鉄を早く運び入れるでがんす!!」ドタドタ

女戦士「商人!!フィン・イッシュの様子はどうだ?」

商人「ガーゴイルの事かい?」

女戦士「そうだ」

商人「銀装備が出回って居るからなんとかなってる…レイスが出てしまうと厳しい」

女戦士「退魔の鈴を作ったのだ…配って来い」

商人「おぉイイね!!」

女戦士「退魔の方陣は敷いて居ないのか?」

商人「昨夜兵隊が一気に動き出したよ…多分魔女の入れ知恵だね」

女戦士「それは良かった」

商人「銀が豊富にあるのが救いさ…」

女戦士「私達も銀を仕入れておいた方が良いな」

商人「安いから買いだね…次で持って来るよ」

女戦士「豪族はうろついて居ないか?」

商人「沢山居るよ…でも彼らの船は大体内海側の沖にあって自由に行き来出来ないみたいだよ」

女戦士「先に外海へ出た私達の勝ちだな…フフフ」

商人「南の海峡から回って来るかも知れないから一応注意しておいた方が良いね」

女戦士「分かっている…」

商人「今日は小舟で4回往復する予定だから昼間の内にフィン・イッシュへ少し出られるけどどうする?」

女戦士「いや…休息しておく…夜間に備えねばならん」

商人「そうかい?まぁ又お土産持って来るさ」


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235以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:25:06.39Xx1bIi7d0 (100/178)

『甲板』


ザブン ギシギシ


測量士「頭ぁ!!10km程南にキャラック船が見えるでごわす!!」

女戦士「例の豪族だな?スクーナーはどうした?」

測量士「見えんです!!」

女戦士「沖から回り込んでいるかも知れん…見張りを続けていろ」


スタスタ


情報屋「まだ狙われて居るの?」

女戦士「さぁな?こちらに近寄れないから離れた場所からフィン・イッシュで補給して居るのかも知れん」

情報屋「早いスクーナーが居ないのも変ね」

女戦士「夜間の奇襲には備えて置かんとな」

情報屋「ガーゴイルを掻い潜って来るかしら?」

女戦士「考え難いのだが…奴らは幽霊船にその危険を犯しても余る宝がある事を知って居るのだ」

情報屋「豪族の殆どは北方の海賊だったわね?」

女戦士「手漕ぎガレー船の馬鹿共だな…どこでスクーナーを手に入れたか知らんが金と女の為なら何でもやる連中だ」

情報屋「まさか泳いで来るとか無いでしょうね?」

女戦士「有り得る…この船を奪うつもりで全員泳ぎとかも考えられる」

情報屋「ガーゴイルは水の中には入って来ない…夜危ないわ」

女戦士「さて…どうしたものか…」


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236以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:25:46.34Xx1bIi7d0 (101/178)

『鯨型飛空艇』


シュルシュル スタ


女戦士「これは…」アゼン

女海賊「ふごーーー…すぅ…」zzz

ホムンクルス「すや…」zzz

女戦士「どうしたらこれほど散らかるのか…」


カサカサ ニョロニョロ


アラクネー「!!?」カサカサ

ミツバチ「!!」ブーン

ダンゴムシ「…」パクパク

ワーム「…」モソモソ

女戦士「まぁ…そっとしておくか…哨戒を頼みたかったが…」


ヒラヒラ パタパタ


妖精「ハロハロー!!君も遊びに来たのかな?」クルクル

女戦士「妖精か…お前が眠らせたのか?」

妖精「今遊んで居る最中さ」

女戦士「フフそうか…あいにくだが私は用事があって遊べん」

妖精「それは残念だなぁ…また遊びに来てね~」ヒラヒラ

女戦士「そうだ妖精…」

妖精「何?やっぱり遊ぶ?」

女戦士「お前の友達にサメは居ないのか?」

妖精「居るよ?サメと遊びたいの?」

女戦士「サメを見てみたいと言う私の友達が居てな…」

妖精「そっかぁ…じゃぁ友達になれると良いね」

女戦士「呼んで欲しいのだが…」

妖精「おっけぇ!!…でもね?お腹空かせてるかも知れない…機嫌が悪いと言う事聞かないんだよ」

女戦士「そうか…では夜に餌を撒いてやる…それでどうだ?」

妖精「わかったぁ!!呼んで来るね~」ヒラヒラ

女戦士「…」---なるほど…妖精とはこうやって付き合えば良いのか---


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237以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:26:21.10Xx1bIi7d0 (102/178)

『貨物用気球』


フワフワ ドッスン


ローグ「頭ぁ!!物資運んできやしたぜ?」ヨッコラ ノソノソ

女戦士「アサシンと魔女はどうした?」

ローグ「フィン・イッシュの方もゴタゴタしててですね…戻るのに2~3日掛かりやすね」

女戦士「ガーゴイルの襲撃か?」

ローグ「それもあるんすが港が水没して全滅なもんで物流止まってるんす」

女戦士「なるほど…」

ローグ「ほんで黒死病に効くポーションが余りまくってるもんすから沢山頂やした…荷室に入れときやすね」

女戦士「日が落ちる前に急ぎでお前に頼みたい事があるんだが…」

ローグ「お?そら早くせんといかんですね…」

女戦士「10km程南に豪族のキャラック船が停船しているのだが…誰の船だか確認して来て欲しい」

ローグ「気球から見えて居やしたぜ?」

女戦士「スクーナー3隻も何処に行ったか分からんのだ…」

ローグ「分かりやした…ちっと先に哨戒に回りやす」

女戦士「うむ…助かる…今夜辺りスクーナーで一気に乗り込んで来るかもしれん」

ローグ「ハイディングしとけば良いじゃないっすか」

女戦士「ガーゴイルやレイスと何日も戦い詰めになってしまう…今は戦力が無い」

ローグ「豪族相手の方がまだマシってこってすね」

女戦士「今晩はお前が主戦力になるから船に戻って来るのだぞ?」

ローグ「わかりやした!!じゃぁ哨戒に行って来やす」スタ


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238以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:27:11.62Xx1bIi7d0 (103/178)

『夕方_甲板』


ええと…あのキャラック船は髭男爵の持ち物でやんすね…豪族に貸与してるんす

大砲は全部で40門くらい乗ったガチ物の軍船でやんす

乗って居るのは50人ぐらいっすか…10人くらいは下船して小舟で補給に行った感じっすね

3隻のスクーナーは気球から見ても何処行ったか分からんです


女戦士「なるほど…セントラルの軍船のままではフィン・イッシュに立ち寄れないから豪族を使って居るか」

ローグ「この海域に居るのは海上で他のセントラル軍船に補給させる為っすね」

女戦士「なかなかやり手が乗って居そうだとは思って居たが…髭男爵の息が掛かって居たか」

ローグ「頭の宿敵な訳でやんすが…どうしやす?」

女戦士「髭男爵の船と聞いたからには奪ってやる…それか完全に破壊だ」

ローグ「破壊は勿体無いっすねぇ…アレは一級品のキャラック船っすよ」

女戦士「とりあえず今晩をどうするか…」

ローグ「気球から見た感じ20km範囲内にスクーナーは見当たらんでやんすよ?」

女戦士「上手く風に乗れば2~3時間で接近されてしまう」

ローグ「ガーゴイル無視して真っ直ぐ来るのは無理がありやせんか?」

女戦士「何か対策を打って居るかもしれん…」


ドタドタドタ


女海賊「寝すぎたぁぁぁ!!」ドタドタ

ローグ「ちょ…姉さん…顔を洗ってきた方が良いでやんす…どうしたんすかその顔」

女海賊「えええ!!?」

ホムンクルス「ごめんなさい…妖精さんの言われた通りに木炭で…」

女海賊「ホムちゃん落書きしたん!?」ゴシゴシ

ローグ「あらららら‥あらら」

女海賊「うっわ!!真っ黒じゃん…」

ホムンクルス「私が綺麗に拭きますのでこちらへ…」グイ

女海賊「イイヨいいよ!!これこすって薄く延ばしたら全体的にちょい日焼けした感じさ」ゴシゴシ

女戦士「呆れるな…良いから洗ってこい…真っ黒過ぎる」

女海賊「ええ?そんなに汚れてるん?」

ホムンクルス「はい…綺麗に拭きますので…」グイ


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239以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:27:38.75Xx1bIi7d0 (104/178)

『日没』


ザブ~ン ユラ~


女戦士「碇を上げろぉ!!」

海賊共「がってん!!」ガラガラ

女海賊「お姉ぇコレどうすんの?…縦帆一枚?」

女戦士「そうだ…一枚だけで付近をゆっくり周遊だ」

ローグ「夜中にスクーナー3隻が突撃してくるかも知れんのです」

女海賊「ほ~ん…ほんで明かり全部消してんだ…」

女戦士「今晩はエクスカリバーの光も無しだ…月明かりのみでガーゴイルと戦う」

女海賊「光って場所知られたく無い訳ね…」

女戦士「うむ…向こうからすると灯台の様な物だからな…プラズマの銃も使わない」

女海賊「おけおけ…理解した…私の特殊クロスボウとローグの強化クロスボウで落として行く訳ね」

女戦士「他の者は普通の2連クロスボウだ」

女海賊「スクーナー接近して来ちゃったらどうする訳?」

女戦士「視認出来れば迫撃砲を撃ちたいが…恐らく向こうも明かりを消して来る」

女海賊「てかあいつ等そんな頭回るんかな?」

女戦士「さぁな?まぁこちらも暗闇での戦闘は慣れて置いた方が良い…夜襲に備えてな」


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240以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:28:17.83Xx1bIi7d0 (105/178)

『夜』


リーン リンリン


女海賊「あーーやっぱミスリルの鈴鳴ってるとあんま近寄って来ないな…」

ローグ「一応射程には入ってるんすがどうしやす?」

女戦士「数匹落としてサメに餌をやってくれ」

女海賊「サメ?」

女戦士「妖精にサメを呼んでもらったのだ…豪族共が泳いで来るのに備えてな」

女海賊「うは…泳いで来るとかあいつ等ならやりそう」

ローグ「落としやすぜ?」スチャ ダン!


ガーゴイル「グエェェェェ…」ヒューー ボチャーン


女海賊「ガーゴイルなんか食って美味いんかな?」スチャ ダン! ダン!

ローグ「サメは何でも食いやすぜ?」ダン!


バチャバチャ ザブザブ


女海賊「おぉぉぉ…どっかで食われてる音する…」

情報屋「この調子だと私は出番が無さそう…」

女戦士「無理はしなくて良いぞ?海賊共も控えているからな」

ローグ「頭ぁ!!例のキャラック船が光で合図送って居やすね…」

女戦士「何!?」ダダ

ローグ「こっちが明かり消してるもんで痺れ切らしてるんすよ…どうしやす?」

女戦士「様子見だ…このままゆっくり周遊で構わん」

女海賊「ちっとワナ張って見よっか?」

女戦士「何が出来る?」

女海賊「空き瓶に明かり入れてポイするのさ…明かりに吊られてそっちに突撃するんじゃね?」

女戦士「ふむ…やってみろ」

女海賊「おけおけ!ちっと遅延性の照明弾作って来る…すぐ戻るから」スタタタ


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241以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:28:48.74Xx1bIi7d0 (106/178)

『閃光』


ポイ! ドブン!!


女戦士「樽?…あれが光るのか?」

女海賊「あの中に仕掛けたビンが何個も入ってんの…順番に光るから多分1時間ぐらい光ってる筈…」

ローグ「もう点火済みなんすか?」

女海賊「もうちょい離れたら私が特殊弾撃って点火する」

女戦士「即席に作ったにしては凝っている…」

女海賊「もともと照明弾は持ってたんだよ…ビンの中に入れて繋いだだけさ…おっし!そろそろ点火する」チャキリ ダン!


メラメラ


女海賊「おけおけ…これで順に点火して行く」

ローグ「あれ?空き瓶なんかありやしたっけ?」

女海賊「なんかポーション一杯あったよ?それ空けたさ」

ローグ「あららら…黒死病に効くポーション捨てたんすか?」

女海賊「他の容器に移し替えたに決まってんじゃん…私の壺の中に入ってるさ…居る?」

ローグ「あいやいや…姉さんは何でもありっすね…」

女海賊「何訳わかんない事言ってんだよ…」


ピカーーーーー


女海賊「お!!?よしよし上手く行ったぞ…ヌフフフ」

女戦士「総員警戒しろぉ!!」

ローグ「そろそろスクーナーが来ても良い時間でやんす…ちっと見て居やしょう」


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242以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:29:45.64Xx1bIi7d0 (107/178)

『深夜』


ザブン ザブン


女海賊「お姉ぇ!!陸の方!!」

女戦士「何!!陸から来るだと!?」ダダ

女海賊「ウケる…筏作って手漕ぎだ…あいつらまだ樽だって気付いてないぞw」

女戦士「スクーナーはどうした!?」

ローグ「デカくて目立つからどっかに隠してるんすね」

情報屋「ガーゴイルがあっちに行った…」

女戦士「ほぼ裸で接近武器だけか…完全に船を奪うつもりで来たのだな」

ローグ「結構数いやすぜ?全部で40人くらいっすね…」

女海賊「やっぱ馬鹿だねあいつ等…」

女戦士「筏なぞ奪う気にもならんな…帆すら無い」

ローグ「なーんか…幽霊船に今あんまり人が乗って無いって事知って居そうでやんすね」

女戦士「うむ…あのキャラック船からこちらの人数を全部見られて居るのだ」

女海賊「ほんじゃ結構良い望遠鏡持ってそうだね」

女戦士「フフ…奪ってやる」ギラリ

ローグ「あの筏どうしやす?」

女戦士「放置してサメの餌にでもなって貰う…私達は少し沖に出るぞ」


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243以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:30:31.78Xx1bIi7d0 (108/178)

『明け方』


ザブ~ン ユラ~


女戦士「よし…明るくなる前に攻勢に出るぞ」

女海賊「どうする気?」

女戦士「お前の飛空艇であのキャラック船まで行くのだ」

女海賊「ちょ…ぶっ壊すんか…」

女戦士「私に妖精の笛を貸せ…一人で乗り込んで全員生け捕りにする」

ローグ「うほ…マジっすか!!」

女戦士「無傷であのキャラック船を奪ってやる」ギラリ

女海賊「船動かす人員が足りないじゃん…」

女戦士「あと2人私の従士を連れて行く…お前は私が乗り込んだ後上空で合図を待て…その後従士2人を降ろせば良い」

ローグ「ちっと危ないっす…あっしも連れて行って下せぇ」

女戦士「ローグは幽霊船で指揮を取るのだ…ここは少数精鋭で行く」

女海賊「ほんじゃ私は上空から援護か…」

女戦士「うむ閃光弾と煙があれば十分だ」

女海賊「おけおけ…」

女戦士「ローグ!!くれぐれも幽霊船に豪族を取りつかせるな?」

ローグ「分かりやした…」

女戦士「よし行くぞ!!」ダダ



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244以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:31:01.75Xx1bIi7d0 (109/178)

『鯨型飛空艇』


シュゴーーーー ヒュゥゥゥ


女海賊「おっしそろそろ真上の筈…お姉ぇ準備良い?」

女戦士「いつでも行ける…」

女海賊「じゃぁ行くよ?」


リリース! スゥ…


女戦士「直ぐにハイディングして距離を取れ…出る!!」ピョン シュルシュル

女海賊「ヤバ…見張り塔の奴に見つかってんじゃん」グイ

海賊「見張りは武器持って無いでごわす…」

女海賊「お姉ぇは?…良し!!降りてんね…」


ハイディング! スゥ…


女海賊「ちっと距離取って援護する…」グイ シュゴーーーー

海賊「甲板に人が出てる気配は無かったでごわす…」

女海賊「ガーゴイル少なくなって気が抜けたっぽいね…おっし距離離れた!!」


リリース! スゥ…


女海賊「ちょいあんたら飛んでるガーゴイル撃って!…私はお姉ぇの援護する」チャキリ ダン! ダン!

海賊「がってん!!」バシュン バシュン ガチャコン


モクモクモク モクモクモク


女海賊「おけおけーーい!!あいつ等何起こってるか分かって無いぞ…」ダン! ダン! ダン! ダン!

海賊「飛んでるガーゴイルは幽霊船の方に向かってるでごわす…」

女海賊「あっちはローグに任せときゃ良いさ…食らえ閃光弾!」ガチャコン ダン! ダン! ダン! ダン!


ピカーーーーーー ピカーーーーーー


女海賊「ヌフフフ…煙と光で何にも見えなくなるんよ…さぁどうするどうする?」ニヤニヤ

海賊「これじゃぁ頭の合図も見えんでごわす…」

女海賊「だぁぁぁぁ忘れてた!!…調子に乗り過ぎた…」

海賊「むむ!!光る剣を振っているでごわす!!」

女海賊「おぉ!!それ合図だ…降りる準備して!!」グイ

海賊「がってん承知の助!!」ドタドタ


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245以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:31:41.58Xx1bIi7d0 (110/178)

『フィン・イッシュ取引所』


ワイワイ ガヤガヤ

何!!?外海側に商船が入っているだと?

そうだ…それで一気に硫黄が出回ってるんだ

やっぱり噂通り闇商人が運んでるんだな…しかも外海か…


アサシン「…やはり此処に居たか…どうだ?調子は」

商人「アサシン!!そりゃもう忙しくてさ…ここから外海側まで馬車で運ばなきゃいけないから…」

アサシン「馬車を雇うのにも資金が必要だな」

商人「そうさ…儲けは全然無いよ」

アサシン「流通が回れば良かろう」

商人「まぁそうだけどね…港が遠いだけで何もかにもお金が掛かる…早く外海の港を作った方が良いね」

アサシン「資材を運ぶ船が無いらしい」

商人「内海の沖に居る船をそっちに回せば良いのに…」

アサシン「霧があってそう上手く行かんのだろう」

商人「…ところで僕に何か用が有って来たんだよね?何かな?」

アサシン「女狐から話を託けて居てな?礼を言いたいらしい」

商人「なんだそんな事か…自分で言いに来たら良いのに」

アサシン「セントラルの諜報で自由には動けんのだ」

商人「女狐は今何処に?酒場?」

アサシン「娼館だ」

商人「ぶっ…娼婦役?」

アサシン「娼館にもいろんな役割がある…情報収集にはもってこいの場所なのだ」

商人「なるほどねぇ…豪族とかベラベラ秘密をしゃべりそうだ」

アサシン「それは兎も角…お前も周りを良く見ていた方が良いぞ?」チラ

商人「んん?狙われてる?」キョロ

アサシン「闇商人が硫黄を運んでいる噂を流しただろう?…そして今硫黄が流通した…」

商人「あぁぁそういう事ね…セントラル側からしたら都合が悪い訳か」

アサシン「そして外海の謎の船にお前が物資を運んでいる…何も起きない方がおかしい」

商人「ふ~ん…わざわざ警告しに来てくれた訳だ」

アサシン「フフやっと気付いたか…鈍ったな」

商人「どうすれば良いのかな?」

アサシン「昼間は民兵が多いから何も起きんだろうが夜は身を潜めておけ…ガーゴイル退治のどさくさで襲われ兼ねん」

商人「潜めると言ってもねぇ…」

アサシン「鈍い奴だ…娼館に行けと言って居る」

商人「僕が娼館に?ハハもうそんな欲求は無いよ」

アサシン「最後まで言わんと分からんか…女と居る間は誰も邪魔には来ん…安全だと言って居る」

商人「あーー偉い人御用達のアレね…邪魔が入ると色々起きる系の奴…」

アサシン「世話の焼ける…では伝えたぞ?私は戻る…」スタ

商人「伝えたぞって…そうかこれが女狐からのメッセージか…」


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246以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:32:13.27Xx1bIi7d0 (111/178)

『馬車』


ゴトゴト ゴトゴト


海賊「ふむぅ…やはり動きが怪しい」

商人「襲うチャンス見てるかな?」

海賊「恐らく…向こうの数が揃うのを待って居るのかも知れん」

商人「不用意に往復出来なくなったな…」

海賊「商人さん…ここは一旦引き返して運搬は俺達だけの方が良い」

商人「僕は戦力外かい?」

海賊「いや商人さんは俺達と明らかに恰好が違うから狙われやすいんだ」

商人「軽装過ぎるか…」

海賊「調達だけやって貰えば運搬は俺達がやるから戻ってくれ」

商人「今日も4回往復する事になるけど?」

海賊「頭に事情を説明して一人応援を貰う」

商人「分かったよ…僕は少し目立ち過ぎたみたいだ…」

海賊「向こうもピリピリしてる時だったから仕方ない…馭者!!一旦引き返せ!!」

馭者「ええ?」

海賊「脇でタムロしてる連中に絡まれたく無いだろう?」

馭者「あいやいや…それはご勘弁」


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247以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:32:44.10Xx1bIi7d0 (112/178)

『取引所』


ワイワイ ガヤガヤ


海賊「ここは民兵が沢山居るんで大丈夫…人気の無い場所には行かん様に」

商人「ハハ分かったよ」

海賊「じゃぁ俺達は運搬が終わったら小舟を隠して昨日の酒場に戻るからソコで落ち合おう」

商人「あぁぁどうするかな…ちょっと用事が有ってね」

海賊「護衛は?」

商人「大丈夫さ…アサシンも魔女も居る」

海賊「それなら良い…補給が終わるまでは兎に角穏便に行きたい」

商人「分かって居るさ…まぁそっちも気を付けて」


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248以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:33:17.85Xx1bIi7d0 (113/178)

『娼館』


ウフフ…じゃぁ又ね…チュ


商人「ぁ…」ポカーン

男「何見てんだゴラ!!」

商人「あ…いや…たまたま目に入ったのさ…」タジ

娼婦「ペッ!!あんたみたいのが来る場所じゃないよ!!」ビチャ

商人「ハハまいったなぁ…」フキフキ


支配人「これはこれは…どちら様で?」スタ


商人「なんだ身分証が必要なのか…う~ん…どうするかな」

支配人「お見せ頂けないのであればお引き取りを…」グイ

商人「なんか強引だなぁ…」ヨロ

支配人「すみませんこちらも仕事な物ですから」

商人「これで良いかな?」パサ

支配人「商人ギルド…マスター?…わざわざキ・カイからお越しで?」

商人「あのね…そう言う事を言葉で出して良いと思って居るのかい?」ジロ

支配人「ハッ!!失礼しました…どうぞこちらへ」ササ

商人「イラつく対応だねぇ…」イラ

支配人「どうかお許しを…アポ無しの来客時は要領が決まっていまして…」

商人「僕は娼館を良く知らないんだ…どうすれば良い?」

支配人「ご案内致します…お好きな嬢を選んで頂ければ後は嬢に従って…」


嬢達「はぁ~い…」ニコ


支配人「ではわたくしはこれにて失礼…」スタスタ

商人「なんなんだこの独特な雰囲気は…」


嬢達「うふ~ん…」フリフリ


商人「悪いけど僕は君達に全然興味無いのさ…何か気の利いた事言って見てくれないかい?」

女狐「こっちよ…」グイ

商人「おっと…」ヨロ

女狐「黙って付いて来て…」ヒソ

商人「何なんだ?この店は?」ヒソ

女狐「後で話すから…」グイ


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249以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:34:17.11Xx1bIi7d0 (114/178)

『個室』


ガチャリ バタン


女狐「ふぅぅぅ成功!」

商人「どういう事だよ?」

女狐「私と闇商人が接触したという事がこれでセントラルに伝わる」

商人「ええと…良くその話が分かんないな」

女狐「ここにいる嬢達は全員諜報員なのよ…主にセントラル貴族と豪族の離反を諜報して居るの」

商人「離反って何だい?」

女狐「貴族同士の権力抗争…その手足になっている豪族が裏切るかどうか…」

商人「なるほど…フィン・イッシュの地までそういうのを持ち込んでるんだ」

女狐「私はこれで闇商人から取り引きされた硫黄がどれくらいなのか聞き出せば任務完了」

商人「ハハそれだけ?」

女狐「あなた達が来なければずっと此処で諜報させられる所だった…」

商人「君にとって具合が良かった訳だ」

女狐「そう…そして次は潜入という事であなた達に付いて行けるという訳」

商人「なかなか2重スパイというのも立ち回りが大変そうだ…」

女狐「これで南の大陸へも渡れる…」

商人「足の不自由な子は無事にハテノ村へ逃げ延びたよ」

女狐「それに関しては感謝してる…」

商人「詮索しない方が良いんだね?」




250以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:34:47.21Xx1bIi7d0 (115/178)

女狐「勘違いしてるかも知れないけれど私の子では無いとだけ言っておく」

商人「えええ!?なんだてっきりそうかと思ってたよ…じゃぁますます気になるな」

女狐「知らない方が良いのよ…もう詮索しないで」

商人「分かったよ…それで…まだ昼間なんだけど明日まで此処に居る感じになるかな?」

女狐「豪族がザワついて居るから少し様子を見た方が良いわ」

商人「幽霊船が外海の沖に居るからだよね?」

女狐「それもあるけれど昨夜何か有ったみたい…あなた知ってる?」

商人「知らないなぁ…今日は船に行けてないんだ」

女狐「嵌められたってボヤいて居るのよ…離反のサイン」

商人「誰に嵌められる?」

女狐「外海にはあなた達の他に髭男爵の兄弟が居るのよ…私の雇い主ね」

商人「あぁ一度戦闘になったな」

女狐「アサシンに聞いたわ」

商人「じゃぁ豪族はその髭男爵の兄弟に嵌められたって言う事になってるのかな?」

女狐「多分…本当ならそろそろ誰か娼館に来る筈なのに今日はまだ来ない」

商人「あぁぁ何となく関係が読めて来たぞ…あのキャラック船への補給は君が絡んでるのか…」

女狐「私と言うか娼館は髭男爵がオーナーよ…公爵の派閥ね」

商人「なるほどねぇ…」

女狐「さて…私は伝令に硫黄の取引量を連絡に行って来るけれど…あなたはどうする?他の嬢をあてがう?」

商人「僕はその欲求がもう無い…あるのはワインが欲しいくらいだ」

女狐「じゃぁ此処で大人しくしてて…もしかしたら壁越しに良い話が聞けるかもしれない」

商人「退屈しのぎか…」

女狐「帰りにワインを持ってきてあげる」

商人「頼むよ…」


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251以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:35:44.46Xx1bIi7d0 (116/178)

『壁の向こう側』


…あいつは俺らをコケにしやがった

自分は豪華な船で高みの見物してるクセに

俺らだけ樽に向かって特効させたのよ

このままじゃ仲間に示しがつかねぇ

だがあいつを裏切るとこの娼館にはもう出入り出来無くなる

イケ好か無ぇ奴だが我慢するしか無い訳だ

…あぁ分かってる

俺はスクーナー一隻で収まる男じゃ無ぇ

そうだお前にはもっと贅沢して貰いたい

だからここは少し辛抱してチャンスを伺う

必ずデカい山を当ててお前を迎えに来る

だから今日はこれで我慢してくれ


他の嬢にも同じ事を言ってたじゃない!!これっぽっちで私を安く見ないで!!


ドタドタ ドタドタ


商人「…」ニヤニヤ


---本当ワンパターンだな---

---これは死んでも治りそうにない---

---頑張りどころがどうもズレてる---

---バカ過ぎてむしろ可愛いな---



252以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:36:34.85Xx1bIi7d0 (117/178)

『夕方_キャラック船』


ドタドタ バタバタ


海賊「頭ぁ…使える資材の積み替えは終わったでがんす」ドスドス

女戦士「よし…幽霊船はハイディングさせて全員こちらへ乗り移れ」

女海賊「お姉ぇ!!今確認して来たんだけど退魔の方陣の代わりになんかあちこちお札貼ってるわ」

女戦士「なるほど…レイス対策はしっかりやってる訳か」

女海賊「抜けがあるかも知んないから一応ミスリルの鈴設置しとく」

女戦士「うむ…今晩はこちらの船を守備するから急ぐのだ」


ドタドタ


ローグ「頭ぁ!!豪族全員の鼻削いで来やしたぜ?どうしやす?コレ…」

女海賊「うわ…鬼だね…」

女戦士「サメの餌にでもしろ!反吐が出る」

ローグ「分かりやした!!」

女戦士「女海賊!!全員に線虫を掛けて来い」

女海賊「ええ?見たく無いなぁ…」

女戦士「船を血で汚されては掃除が面倒だ」

女海賊「捕らえた奴ら全員奴隷にすんの?」

女戦士「そうだ…鼻だけ削いだのは価値が下がらん様にする為の事」

ローグ「女も数人居たんすけどね…」

女戦士「知った事では無い…私に刃を向けた報いは見せ示める必要がある」

女海賊「こっわ…」

ローグ「髭男爵の弟はどうしやす?始末しとかんと後で面倒になるでやんす」

女戦士「アレは特別…個人的に恨みがあるのでな」ギラリ

ローグ「あっしは何も聞かされて無いんすが…何かあったでやんすかね?」

女戦士「お前は知らなくても良い…ドワーフの国がセントラルと戦争になった原因とだけ覚えておけ」


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253以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:37:37.82Xx1bIi7d0 (118/178)

『荷室』


ぅぅぅ…来やがった…静かにしろ…


豪族共「…」

女戦士「…」ツカツカ

女海賊「お姉ぇ…線虫回して行くよ」

女戦士「ヤレ…」

豪族共「…」ビクビク

女戦士「お前!!前に出ろ…」ドカ

髭男爵の弟「ぐふぅ…久しいな?…今度は立場が逆か」ズルズル

女戦士「兄は何処にいる?」スラーン

髭男爵の弟「復讐するつもりか?」

女戦士「…」ブン スパ

髭男爵の弟「ぐぁぁぁぁ…足が…」ドクドク

女海賊「ヤバ!!線虫!!行け!!」ニョロ

豪族共「ひぃぃぃ…」タジ

女戦士「出血せん様にロープで四肢を縛り上げろ」

ローグ「分かりやした…」グイ ギュウ

女戦士「さて…質問にだけ答えろ…兄は何処だ?」スチャ

髭男爵の弟「外海に…ハウ・アイ島だ…ヤメロ!!お前は生きて返しただろう」タジ

女戦士「質問にだけ答えろと行った筈だ」ブン スパ

髭男爵の弟「ぎゃぁぁぁ…うぐぅ…」ドクドク

女海賊「ちょ!!お姉ぇ…」グイ グイ ギュゥ

女戦士「生きて返した?違うな…私の心はあの時死んだ…生きて帰ったのは体だけ」

髭男爵の弟「はぁ…はぁ…若気の至り…許せ」

女戦士「母は後に死んだぞ?」

髭男爵の弟「それは俺達のせいでは無い…」

女戦士「分かって居無い様だ…子を宿して生きると思ったか!!」ブン スパ

髭男爵の弟「あががが…こ…殺せ…殺してくれ」ドクドク

女戦士「ダメだ…お前はこれからダルマになって罪を思い知れ」ブン スパ


ぎゃぁぁぁぁ…


女戦士「ローグ!!後は舌を抜いて死なん様に処置をしろ」

ローグ「へ…へい…」

女海賊「お姉ぇ…ママが居なくなった理由って…」

女戦士「聞くな…死なん様に線虫で癒せ」スタスタ

ローグ「頭に従って下せぇ…死人が出やすぜ?」


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254以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:38:35.91Xx1bIi7d0 (119/178)

『甲板』


ギシギシ


奴隷には枷として両足に砲弾を付けさせろ…そして船内を汲まなく掃除させるのだ

逆らう者はその場で殺してサメの餌にして良い


ローグ「やり方がガチになって来やした…かなり機嫌悪いっす…」

女海賊「お姉ぇ…」

ローグ「頭は昔の事なんも話してくれんのでやんすが…」

女海賊「私もなんも知らんかったさ…」


ツカツカ


女戦士「無駄口を話して居る場合では無いぞ?まだスクーナー4隻居るのだ…夜に備えろ」

ローグ「へい!!」

女戦士「ミスリルの鈴を設置するのは終わったのか?」

女海賊「あぁぁまだだ…急いでやって来る」

女戦士「情報屋とホムンクルスは船尾楼の前から動くな…ガーゴイルはそこから狙え」

情報屋「大丈夫!」

ホムンクルス「はい…」

女戦士「今晩だけ耐えれば明日からはアサシンを呼ぶ…頑張ってくれ」


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255以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:39:13.46Xx1bIi7d0 (120/178)

『娼館_個室』


ガチャリ バタン


女狐「お待たせ…ワインを持って来たわ」ポイ

商人「退屈してたんだ…君の用事は終わった?」

女狐「そうね…ところで幽霊船が何処かに消えたらしい…何か知ってる?」

商人「あぁハイディングしてるんだね…騒ぎになっちゃってるかな?」

女狐「いえ…どこかの商船という事になってる…幽霊船とは帆の張り方が違うから」

商人「そうか…大きなスクーナーに見えてるか…大砲も無いしね」

女狐「代わりに髭男爵の弟のキャラック船が近くまで来てるのよ…どうなっているのだか…」

商人「う~ん…どういう事だろう?場所を移動したかな?」

女狐「連絡は取って居ないのね?」

商人「まぁ何か有れば連絡来ると思うんだけどね…」

女狐「ところで…この部屋に隠れて居るのは良いけど…タダでは無いと分かって?」

商人「ハハ…君はお金にガメツイねぇ…」

女狐「支配人へ売り上げの一部を渡さなければいけないのよ」

商人「相場が分からないなぁ…」

女狐「安くて一晩100金貨ね」

商人「うわ!!高い…」

女狐「あなたは持ってるでしょう?」

商人「持ってるけど此処に居るだけで金貨100枚か…」ジャラリ ドサ

女狐「さすが闇商人…これは頂いておく」

商人「君に呼ばれた立場なんだけどねぇ…」

女狐「私も生活が掛かって居るのよ」

商人「もしかして…孤児院?」

女狐「フィン・イッシュの孤児院は女王が出しているわ…このお金は口止めで使う必要があるの」

商人「なるほど…諜報役もお金が掛かる訳か」




256以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:39:51.62Xx1bIi7d0 (121/178)


”ザザー”

”商人!聞こえるかえ?返事せい”

”あ!!魔女!!何か有ったんだね?”

”女戦士が豪族のキャラック船を無傷で手に入れてのぅ…”

”えええ!?それじゃぁ近くに来てるのって…”

”うむ…女戦士達が乗って居る…それでな?残りのスクーナー4隻も無傷で奪うつもりなのじゃ”

”どういう事?”

”スクーナーの豪族達はまだキャラック船が奪われた事に気付いて居らぬ”

”うん…”

”仲間じゃと思うて近付いて来た所をわらわの睡眠魔法で眠らせるのじゃ”

”あー上手く行きそうだね?”

”ちとこちらの戦力が足りん故に主にも来て貰えんかと思うてな”

”なるほど…どうすれば良い?”

”明日の早朝の暗い内にローグが気球で城まで来る事になっておる…主も合流せい”

”分かった…ええと…女狐も一緒で構わないかな?”

”どういう事じゃ?”

”詳しくは明日話す”

”まぁ良い…遅れぬ様にな?ザザー”


女狐「ちょっと今の話…」

商人「なんか色々有ったみたいだね…聞いた通りさ」

女狐「もしかして私の雇い主はもう居ない?」

商人「う~ん…どうだろう?どうやってキャラック船を奪ったのか聞けなかったね」

女狐「大砲を撃った音も聞こえていないのに…」

商人「まぁとりあえず明日の朝に城へ行けばみんなと合流出来る…君はどうする?」

女狐「もう一度出かけて来る…朝までに戻るわ」

商人「なんだ又暇になっちゃうなぁ…」


--------------



257以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:40:51.74Xx1bIi7d0 (122/178)

『早朝_城』


魔女様とアサシン様がご搭乗だ!!射手!!援護射撃用意!!


ローグ「早く乗って下せぇ…明るくなるとバレちまいやすんで」

魔女「ほう?商人と女狐はもう乗って居るな…」ノソノソ

商人「暇だから早く来ちゃったんだ…」

アサシン「フフ…女狐は私達と一緒に居てはまずいのでは無いか?」

女狐「幽霊船に潜入するという事になってる」

アサシン「なるほど…上手く口実を作った訳か」

ローグ「飛びやすぜ?」グイ


フワフワ


アサシン「さてローグ…キャラック船は私が貰う…で良いのだな?」

ローグ「へい…頭は初めからそのつもりだった様でやんす」

アサシン「スクーナー4隻奪う理由はフィン・イッシュ外海の安全確保…」

ローグ「そうでやんす…キャラック船の火力とスクーナーの機動力があればちったぁ安全になりやす」

アサシン「なかなか良い仕事をする…これで外海の港建設も捗る筈だ」

魔女「それは無傷で手に入れた後に言えい…こちらは戦える者が15人程しか居らんじゃろう」

ローグ「そーっすね…スクーナーは1隻辺り15人くらいなんで戦う事になったら戦力差4倍でやんす」

商人「フィン・イッシュの軍隊は?」

アサシン「貴族が絡んでいる様だからフィン・イッシュは関わらない方が良い…政治的な理由だ」

ローグ「その通りでやんす…豪族と海賊の争いって事で片づけた方が後々の為っすね」

商人「物資調達で半分くらいドワーフの海賊達が陸に降りちゃってるのが痛いねぇ…」

アサシン「戦闘にならない様に上手くやるのだ…魔女頼みだな」


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258以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:41:26.93Xx1bIi7d0 (123/178)

『キャラック船』


フワフワ


ローグ「こっから飛び移って下せぇ…船首楼が邪魔で着陸出来んでやんす」

魔女「暗くて足元が見えんわい…」

アサシン「魔女…掴まれ」グイ

魔女「すまんのぅ…」ノソ ギュゥ

アサシン「…」ピョン スタ

商人「ほっ!!」ピョン

女狐「…」ピョン


女戦士「ローグ!!早く気球を隠せ」


ローグ「分かりやした…直ぐに戻りやす」グイ フワフワ

女戦士「済まんな急がせてしまって…直に小舟で補給に行った豪族が戻って来ると思ってな」

商人「スゴイねこの船…幽霊船より大きいじゃ無いか…船幅が広いだけでこんなに広く感じるか…」

女戦士「私は船首楼が邪魔で好かん」

商人「これ乗ってた人はどうしたの?」

女戦士「全員奴隷にした…私を裏切った報いを受けてな」

アサシン「ほう…奴隷も私が貰って良いのか?」

女戦士「好きにしろ…私には不要だ」

アサシン「さて船を動かすのにどの程度従うか…」

女戦士「警告しておくが奴隷にしたのは北方の海賊…折り紙付きの馬鹿共だ…あとは分かるな?」

アサシン「フフ承知だ」

商人「みんな荷室の方かい?」

女戦士「足枷を付けて掃除をさせている」

商人「もう働かせて居るのか…」

女戦士「歯向かうと去勢か死のどちらかだと知って居る筈…」

商人「うわ…裏切りには容赦無いね」

女戦士「当然だ…殺された仲間も居るのだから」


タッタッタ


女海賊「お姉ぇ!!ガーゴイル減ってそろそろ明るくなって来た…外から見えない位置に移動して」

女戦士「ふむ…船尾楼の中へ入れ…そこで事情を説明する」スタ


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259以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:42:13.48Xx1bIi7d0 (124/178)

『船尾楼_居室』


ユラ~ ギシ


女戦士「…恐らく幽霊船を取り逃がしたと思って居る筈…つまりこの船にスクーナーが不用意に近づいて来る」

商人「なるほど…そこで睡眠魔法な訳ね」

女戦士「そうだ…キャラック船とスクーナーが並んで停船していれば他のスクーナーも寄って来る」

魔女「また奴隷が増えてしまうのぅ」

アサシン「荷室にスペースは十分あるだろう」

魔女「まぁ良い…わらわは何処で隠れて居れば良いのじゃ?」

女戦士「魔女の身長なら甲板に出ても見えん筈だ」

女海賊「私等は此処で隠れて居れば良いんだね?」

女戦士「うむ…交代で仮眠しろ…情報屋とホムンクルスも寝て居ないだろう」

商人「まぁ見張りは僕に任せて」

アサシン「私は見張り塔に上がるぞ?」

商人「あ!!そうそう…今日も小舟で物資を運んで来る予定なんだ…陸に降りたドワーフの海賊達とは連絡取れてる?」

女戦士「私がキャラック船を奪った事はもう知って居る…落ち着くまでしばらく陸で待機しろと命令した」


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260以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:42:47.65Xx1bIi7d0 (125/178)

『ベッド』


ギシ ドサ


情報屋「ふぅぅ…この船は広くて快適そうね」

女海賊「ん?広いけどお姉ぇの船より遅いんだよ…海賊はあんま使わない船さ」

情報屋「でも軍船よね?」

女海賊「本当は商船が行き来する航路を守る役なんだよ…まぁ固定砲台みたいなもんだね」

情報屋「へぇ?船の種類で役割があるのね…」

女海賊「海賊が好む船は大体排水量200トン位のスクーナーだね…これが早くて大砲2~3門乗る」

女海賊「ほんでお姉ぇの船が500トンのガレオン船…まぁまぁ早くてメッチャ荷物乗る貨物船」

女海賊「このキャラック船は多分1000トン位…遅いけど大砲50門位乗るんじゃないかな…ほんで荷物も乗る」

情報屋「盗賊の商船はどんなタイプ?」

女海賊「盗賊の船ってか元々アサシンの船だね…300トン位のキャラック船…この船何処行っちゃったん?」

情報屋「商人に貸したままね…内海の何処かで荷物運んでる筈よ」

女海賊「あのキャラック船が便利だったなぁ…速度出る様に色々改造してたし」

情報屋「この船も改造すれば良いじゃない…」

女海賊「ダメダメ…動かすのに人数必要な船はそれだけで不便…盗賊の船は1人でなんとかなるのさ」

情報屋「へぇ?色々あって面白い」

女海賊「お姉ぇの船も帆を全部縦帆に改造しててスクーナーみたいなガレオン船だね…ただデカいから一人じゃキツイかな」

情報屋「どうして全部縦帆に?」

女海賊「旋回性さ…相手がスクーナーだとどうしても旋回性で不利なんだよ…」

情報屋「そういう事ね…旋回早くしてハイディングで加速…有利な位置に出来るだけ早く行きたい」

女海賊「そそそ…今までそれが出来なくて何発も砲弾食らってるんだ…まぁ反省を活かしてるんだね」

情報屋「フフ…どうしてあなた達ドワーフが海賊をやってるのか分かって来た」

女海賊「工夫が活かされるもんね…ドワーフはそういうの大好きだよ」


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261以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:43:47.75Xx1bIi7d0 (126/178)

モクモクモク


出て来て良いぞ?既に眠って居る…


女海賊「お!?」

女戦士「待て…補給から戻った小舟だ…ここは数人で対処するからまだ出るな」

女海賊「おけおけ…」

女戦士「フフ物資をわざわざ運んで来るとは間抜けめ…」タッタッタ

ホムンクルス「出番は無さそうですね…」

女海賊「うん…私起きておくからホムちゃんも寝てて良いよ?」

ホムンクルス「いえ大丈夫です…それよりも…」

女海賊「んん?」

ホムンクルス「月へ衛星を落とす件ですが確率の計算が終わりました」

女海賊「お!!?いつやれる?」

ホムンクルス「今衛星を動かして月へ落下するのは7日後になります」

女海賊「結構掛かるね…そんな遠いのか」

ホムンクルス「真っ直ぐ行ければ20時間程なのですが推進力が足りない為一度スイングバイさせて月への落下起動に乗せます」

女海賊「ふ~ん…よし!やっちゃおう!!」

ホムンクルス「承認…以後座標の取得は出来ませんのでご注意下さい」

女海賊「覚悟してるさ…これで魔物が出なくなる筈なんだ」

ホムンクルス「そうなると良いですね」


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262以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:44:35.91Xx1bIi7d0 (127/178)

『甲板』


ドタドタ


ローグ「頭ぁ!!これ見て下せぇ…」

女戦士「んん?航海日誌か…そうだ忘れてた」

ローグ「クラーケンを引き連れた謎の大型船ってどういう事でしょうね?」

女戦士「もう2週間前か…霧の中外海に出て行ったか…」

ローグ「オークが乗っている船だと思いやせんか?」

女戦士「うむ…スケッチから察するに奴隷船に使われていた船だな」

ローグ「やっぱ暁の使徒が連れて行かれた先はニライカナイっぽいでやんす」

女戦士「さてどうするか…長期航海になると思ってフィン・イッシュを拠点にと思って居たが…」

ローグ「船で外海の狭間行くのはちっと厳しくないすかね?」

女戦士「私もそう思う…延々ガーゴイルと戦う羽目になりそうだ」

ローグ「ここに船置いて飛空艇でちゃっちゃと行った方が良いじゃないすか?」

女戦士「行ける人数が限られるのがな…食料を乗せると4人くらいしか乗れんだろう」

ローグ「食料は姉さんの壺の中に入れれば8人乗れる筈でやんす…」

女戦士「オークと戦う事になった場合8人で十分だと思うか?」

ローグ「戦うんじゃ無くて未来君を帰して貰うでやんすよ」

女戦士「ふむ…まぁここが落ち着いたら妹と話してみる」

ローグ「そーっすね…一応この日誌を姉さんにも見せて来やすね?」

女戦士「荒立てん様に気を付けるのだぞ?」

ローグ「分かって居やす…隠しておくのは逆効果でやんす」

女戦士「うむ…行って来い」



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263以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:45:21.68Xx1bIi7d0 (128/178)

『荷室』


スタスタ


女狐「…」キョロ

豪族「!!?お前…海賊王の娘とグルだったのか!!」ズリズリ

女狐「シィーーーッ…声が大きい」ヒソ

豪族「この野郎…」グググ

女狐「違う…勘違いしないで…潜入に成功しているの…私は髭男爵の弟に雇われている諜報員よ」

豪族「何?」

女狐「こんな事になってしまって居て私も驚いてる…髭男爵の弟は何処に?」

豪族「もう死に体だ…そこに転がってる手足の無いのがそうだ…舌も抜かれて話す事も出来ん」ヒソ

女狐「ええ!?そんな酷い事に…」タジ


髭男爵の弟「はぅぅぅ…はぅはぅ…」モゾモゾ


女狐「失った手足はキ・カイに行けばなんとか出来る…」

髭男爵の弟「…」グッタリ

豪族「お前は外と連絡出来るのか?」

女狐「理由を作ればなんとか…」

豪族「あいつ等は指示が無い限りこの船に来る事は無ぇ」

女狐「船は何処に?」

豪族「少し北に行った所にある川の上流だ…行けるか?」

女狐「一人で行って私の方が危ないわ」

豪族「ちぃ…何人か酒場に入り浸ってる筈だ…そいつらに話して何とかしろ」

女狐「それなら出来る」

豪族「海賊王の娘達は15人足らずだ…外に居る奴らが一気に来れば制圧出来る」

女狐「そうね…」

豪族「ただ魔術師が何処かに居るだろう?そいつだけお前が始末しろ…あとこの足枷を外す鍵を探して欲しい」

女狐「分かったわ…やってみるから大人しくしてて」スック

豪族「ようし…立場が逆になったら俺専属の奴隷にしてやる…グフフフ」


---懲りない男ね---

---そんな目的じゃ何も達成出来ないのに---



264以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:46:18.52Xx1bIi7d0 (129/178)

『船尾楼』


ガチャリ バタン


女狐「情報を仕入れて来たわ…他の4隻の船は指示が無い限りこの船には来ないそうよ」

女戦士「ほう?」

女狐「船は少し北にある川の上流に隠してるみたい…こちらに攻めさせる事も出来るけどどうする?」

女戦士「4隻一気に来られてはこちらも被害が出るな」

女狐「1隻づつとか器用な事が出来るかどうか分からない…」

女海賊「お姉ぇ…場所分かったんなら又妖精の笛で眠らせれば良くない?」

女戦士「その後どうするかだ…4隻一気に奪うのはさすがに人員不足…」

女海賊「ほんじゃ眠らせるのだけ私らがやって後はフィン・イッシュの軍隊にやって貰えば?」

女戦士「それもフィン・イッシュと豪族間で摩擦が起きる原因になる」

女海賊「う~ん…この船で川は登れないしなぁ…」

女戦士「ただ指示が無い限りこちらに来ないのは好都合…アサシンと商人を呼んでくれ」


-------------


ガチャリ バタン


アサシン「どうした?作戦変更か?」

女戦士「どうやらスクーナーの豪族は指示が無い限りこのキャラック船には来んらしい」

商人「ハハ…それじゃもう戦闘は起きないね」

女戦士「うむ…それでだ?奴隷にした豪族をどうにかしたい…何か案は無いかと思ってな」

アサシン「女王に引き取って貰うか?」

女戦士「そんな事が出来るか?」

アサシン「海賊王の娘が捕らえた豪族を女王が金を払って身請けする事にするのだ…髭男爵の弟も一緒にな?」

商人「良いねぇ…恩を売る訳か」

アサシン「豪族はフィン・イッシュの経済を回している側面もある…利用価値はあるぞ」

女戦士「なるほど…私一人悪者になれば上手く回るか…よし!」

アサシン「どうする?」

女戦士「先ほど戻って来た小舟2隻に奴隷を乗せて女王に身請けして貰ってくれ」

アサシン「この船に残って居るドワーフを全員連れて行っても構わんか?…途中で逃げられてしまうかもしれん」

女戦士「そうだな…こうしよう…陸に居るドワーフの海賊と一旦合流してくれ」

商人「僕が案内出来るよ」

女戦士「そして豪族を身請けさせた後ドワーフの海賊全員でスクーナーを襲撃させろ」

アサシン「なに!?」

女戦士「私達はスクーナーに乗っている豪族を眠らせておく…そのままドワーフに襲撃させて4隻とも奪う」

アサシン「強引に奪うのだな…」

女戦士「刃を向けたのは向こうだ…きっちり報いを受けてもらう」ギラリ

商人「また鼻を削ぐのかい?」

女戦士「体の一部ならどこでも構わん…去勢でも良い…それが裏切りに対する海賊のルール」

商人「いやぁぁ怖い怖い…」

アサシン「フフそれでなければ荒くれ共をまとめられん…さぁ商人!!行くぞ」

商人「うん…」スタ

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265以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:47:01.88Xx1bIi7d0 (130/178)

『小舟』


広範囲睡眠魔法! モクモクモク…


魔女「これで途中で暴れる事は無かろう…」

女戦士「では海賊共!!手筈通りに動け!!」

海賊共「がってん!!」ドスドス

アサシン「私と商人はドワーフの海賊と一緒に行動するぞ?」

女戦士「助かる…援護してやってくれ」

女狐「私も一緒に行くわ」タッタ スタ

女戦士「んん?どういうつもりだ?」

女狐「奴隷になった豪族達を女王に身請けさせたのは私が便宜を謀ったという事にしたいの」

女戦士「フフ…まだ2重スパイを続けるつもりか」

女狐「私の情報のお陰でこういう流れになったのよ?」

女戦士「分かった…お前が優秀だと言う事は認める…ただ下手に顔を晒してヘマをするな?」

女狐「当然…」

アサシン「では行って来る…スクーナーに乗っている連中をしっかり眠らせて置いてくれ」


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266以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:47:48.53Xx1bIi7d0 (131/178)

『砲撃甲板』


スタスタ


女海賊「めちゃくちゃ広いなぁ…迷うわコレ…」

魔女「ふむふむ…退魔の方陣では欠けが出てしまうから呪符を貼って居るのじゃな…」キョロ

女海賊「このお札ってオークの呪術?」

魔女「シン・リーンにも昔呪術を研究して居った者が居る…恐らく黒の同胞になったのじゃろう」

女海賊「ほんじゃまだどっかで生きてるんだね」

魔女「そうじゃな…流れからして公爵と共に行動して居りそうじゃ」

女海賊「魔女はこの呪符ってやつ作れないん?」

魔女「作れるが手間が掛るであまりやらんのぅ…退魔のエンチャントの方が得意じゃ」

女海賊「まぁ同じようなもんか…」

魔女「呪符の方が効果が強い…じゃが紙じゃで耐久性に劣る」

女海賊「なるなる…」


ゴツン!


女海賊「あたっ!!大砲邪魔!!」ドカ

魔女「よそ見して歩くのは危ないぞよ?」

女海賊「この大砲デカいクセに飛ばないし無駄なんよ!!」

魔女「威圧にはなっとる様じゃが…」

女海賊「こんな大砲沢山乗ってても船に乗り込まれた時点で終わりだよ…大砲撃ってる奴なんか裸同然だから」

魔女「じゃから海賊は早い船を好むのじゃな」

女海賊「そそ…大砲なんか食らっても直ぐに沈まないから一気に乗り込む方が全然強い」

魔女「ではこの船はどう運用されるのじゃ?」

女海賊「どっしり構えて他の早い船に補給すんだよ…あとは休息?」

魔女「つまり早いスクーナーが主戦力なのじゃな?」

女海賊「海賊の戦い方はそんな感じ…海軍はこのクソでかい軍船沢山集めて包囲する感じで戦う」

魔女「なかなか奥が深いのぅ…」


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267以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:48:31.45Xx1bIi7d0 (132/178)

『甲板』


ユラ~リ ギシ


女海賊「あれ?お姉ぇは?」

ローグ「シィーーーッ…船尾楼の方で仮眠していやす…頭も全然寝て無いんでちっと休ませて下せぇ」

女海賊「情報屋とホムちゃんも寝てる?」

ローグ「へい…昼間の内は安全なんで寝れるのは今の内でやんす」

女海賊「やっぱ連日夜戦ってると皆キツイか…」

ローグ「豪族の動きが悪いのはそのせいもありそうっすね」

魔女「主らは仮眠せんでも良いのか?」

ローグ「あっしは大丈夫でやんす…姉さんは寝といた方が良いじゃないっすか?」

女海賊「眠いっちゃ眠いけど…そろそろスクーナー探しに行かないとヤバくね?」

ローグ「川の上流らしいんですぐ見つかりやすよ」

女海賊「どうすっかなぁ…妖精の笛だと音でバレそうだな」

魔女「わらわの睡眠魔法が良かろう」

女海賊「ちゃっっちゃと行って眠らせて来ようか?…効果時間ってどんなもん?」

魔女「個人差があるで何とも言えんのぅ…早くて2時間…良く眠った者は明日の朝まで寝るじゃろう」

女海賊「ほんじゃこうしよう…魔女の睡眠魔法で眠らせた後に私一人で笛吹きに行く」

魔女「ふむ…安全じゃな」

ローグ「あっしはどうしやす?」

女海賊「あんたはこの船守っててよ…起きてるのあんたしか居ないんだから」

ローグ「分かりやした…」

女海賊「魔女行こうか…」

魔女「うむ…」ノソリ

ローグ「ええと…幽霊船までロープを伝って行くんすが…」

魔女「なぬ!?」

女海賊「おけおけ…ここまで飛空艇持ってくるからちょい待ってて」スタタタ ピューー


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268以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:49:15.01Xx1bIi7d0 (133/178)

『船尾楼』


ユラ~リ ギシ


女戦士「…」ムクリ キョロ

情報屋「あら?お目覚め?」

女戦士「私はどれくらい寝て居た?」

情報屋「まだ昼過ぎね…もう少し休んでて良いのに」

女戦士「しまった…スクーナーを探しに行かねば…」

情報屋「それなら女海賊と魔女がもう行った様よ?」

女戦士「そうか…それなら良い」

情報屋「ローグは甲板で見張り…情報通り平和な様ね」

女戦士「ふぅぅ…仮眠とはいえ久しぶりに寝た気がする」

情報屋「ねぇ…この船の航海日誌読ませて貰ったんだけど…」

女戦士「んん?謎の船の事か?」

情報屋「それもあるけれど元々この船もハウ・アイ島へ向かう予定だったのよ」

女戦士「フフそうだったのか…行き遅れた訳だな」

情報屋「すごい数の船が向かった様よ?」

女戦士「朽ちた箱舟を探しにか?」

情報屋「私は興味ある…」

女戦士「海賊王の娘が行って仲間に入れるとは思わんな…向こうは古代兵装の準備もある様だし」

情報屋「そうね…」

女戦士「私達の目標は公爵とは違う…行き先はニライカナイ…そこが終着点に思う」

情報屋「幽霊船で行けると思う?」

女戦士「正直厳しい…この間も少し狭間に近付いただけでレイスが出ている」

情報屋「レイスはもう幽霊船に取り付け無いのでは?」

女戦士「ゴーストもワイトもまだ出て居ない…100日の闇の時はワイトが人に取り付いて病んで行ったらしい」

情報屋「アサシンの経験ね…」

女戦士「今は少しでも休息があるから何とかなる…全く休息が無いとなると話が変わる」

情報屋「どうしましょうね…」

女戦士「迷って居る…未だまともに生還した者が居ない…決死の覚悟が必要だ」


バシ バシバシ ドドドドン


女戦士「何事!!?」ガバ


--------------


269以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:50:07.39Xx1bIi7d0 (134/178)

『甲板』


あたたたた…あたた


ローグ「頭ぁ!!フライフィッシュの大群でやんす…目に当たらん様に気を付けて下せぇ」ドタドタ

女戦士「魚?」

ローグ「こりゃ食い物に困らんすね…大漁でやんす」

情報屋「丁度お腹が空いて居たわ」

ローグ「新鮮なうちに焼いて食えばめちゃくちゃ美味いでやんす」

女戦士「急にフライフィッシュが飛んで来るのは近くに何か居る証拠だ」

ローグ「遠くでイルカがピョンピョン跳ねていやすが?」


ザブーーーン! バクリ


ローグ「うほーーーークジラも居やすね」

女戦士「さっきの夢はそういう事か…」

情報屋「え?夢で妖精を見た?」

女戦士「あまり覚えていないが誰かを迎えに行くと言って私は目が覚めた」


トゥルルル~ トゥルルル~


ホムンクルス「…」スタ

女戦士「犬笛…クジラを呼んで居るのか?」

ホムンクルス「これでお話が出来るのです」

女戦士「そうか…」

ローグ「頭ぁ!!フライフィッシュを焼いて食いやしょう…船尾楼に炉がありやしたよね」ビチビチ

女戦士「そうだな…新鮮なうちに少し食べるか」ツカツカ


--------------


270以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:50:40.55Xx1bIi7d0 (135/178)

『炉』


ジュゥゥゥ パチ


ローグ「串焼きの出来上がりっす…沢山あるんでどんどん食って下せぇ」

情報屋「おいしい!!」モグ

ローグ「生で食えやすぜ?切り身のオリーブオイル漬け…これが最高に美味いんす」ペロン モグ

女戦士「なかなかに贅沢な食べ方だ…」ハム モグ

ローグ「ホムンクルスさんも呼んできやすね」ダダ

情報屋「女戦士はあまり沢山食べないのね?」

女戦士「おかしいか?」モグ

情報屋「どうして体力があるのか不思議だなと…」

女戦士「あまり食べ過ぎると父のようになる」

情報屋「コントロールしているのね」

女戦士「そもそも少食だから苦では無い…気にするな」


ローグ「さささホムンクルスさんも串焼きを食って下せぇ…」スッ


ホムンクルス「はい…頂きます」ハム モグ

女戦士「クジラとは何か話せたのか?」

ホムンクルス「魔王島が浮上してしまったと…」

情報屋「ええ!!?それはどういう事?」

ホムンクルス「かつての魔王島が復活したのです…今で言うニライカナイですね」

情報屋「浮上…やっぱり海に沈んで居た…それが竜宮と言われた場所」

女戦士「魔王島と言われて聞捨てならんな…」

ホムンクルス「時の王の話では1700年前まではそこに有った様ですね…その後沈められた」

情報屋「クジラはその辺りの事何か知らないの?」

ホムンクルス「クジラは記憶を子孫に残す術がありませんので寿命の範囲でしか知らない様です」

情報屋「どのくらいの寿命?」

ホムンクルス「長く生きたクジラで1000年ほど…しかしその個体は既に死んで居ます」

女戦士「もしかしてそのクジラと言うのが…」

ホムンクルス「はい…飛空艇に生まれ変わったクジラですね…私の友達でした」

情報屋「犬笛でどの程度の会話が?」

ホムンクルス「単語で200種類程…言語能力は人間でいう6歳くらいの子供と同程度です」

情報屋「じゃぁ詳しい話は聞き出せそうに無いわね」

ホムンクルス「クジラは住処が無くなってしまって困っている様です」

女戦士「私達にどうにかしろと?」

ホムンクルス「それはお願いされていません…ただ行き場を失って居るのです」

情報屋「クジラにニライカナイまで案内させてみては?」

女戦士「ふむ…クジラが先導するのであれば帰って来られる可能性も高いな」

ホムンクルス「お願いしてみましょうか?」

女戦士「話してみてくれ」


-------------



271以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:51:16.74Xx1bIi7d0 (136/178)

『鯨型飛空艇』


フワフワ


女海賊「おーーーい!!」

ローグ「姉さん!!どうっすか?上手く行きやしたか?」

女海賊「魔女が寝ちゃったんだよ…ちっとロープ降ろすから迎えに来て」シュルシュル

ローグ「どういう事っすか…」ヨジヨジ

女海賊「私の笛の音が聞こえちゃったのさ…」

ローグ「そら予定外っすね…」

女海賊「私魔女抱えてこのまま降りるからさ…あんたが飛空艇隠して来て」

ローグ「分かりやした…操舵交代しやす」

女海賊「ほんじゃ降りるね…あと頼んだ」シュルシュル スタ


-------------


『甲板』


ドタドタ


女戦士「どうだ?スクーナーの方は?」

女海賊「あいつ等仲間割れして半分くらいお宝持ってどっか逃げたっぽい」

女戦士「フフ負けが込むといつもそうだ…残りは眠ったな?」

女海賊「うん…多分全員眠ったと思う」

女戦士「よしこれでスクーナーを全部奪える」

女海賊「結構砲弾に当たって傷んでてさ…ドワーフの船大工に修理させた方が良いね」

女戦士「こちらまで来れそうか?」

女海賊「ギリ?」

女戦士「修理しながら戻って来るとなると厳しそうか…」

女海賊「切り揃えた木材がスクーナーに乗って無いのさ…もうあいつ等グチャグチャなんだよ」

女戦士「木材はどの位必要になる?」

女海賊「んん?スクーナーまで運ぶ?」

女戦士「うむ…貨物用の気球が遊んで居る」

女海賊「あーーー私壺持ってるわ…資材突っ込んで持って行こうか?」

女戦士「やってくれ…ローグを連れて行って構わん」

女海賊「おけおけ…もっかい私の飛空艇で行って来る」

女戦士「頼んだ…魔女頼むね~」スタコラ ピューー


-------------


272以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:51:49.40Xx1bIi7d0 (137/178)

『日の入り』


ザブ~ン ユラ~


情報屋「そろそろガーゴイルが出て来る時間…飛空艇とスクーナーは大丈夫かしら…」

女戦士「もう豪族の脅威は無い…精鋭揃いなのだから何とかするだろう」

情報屋「私達も備えないと…」

女戦士「今晩はエクスカリバーを使えるからラク出来るぞ?」

情報屋「もうプラズマの銃を使っても?」

女戦士「良いだろう…」

情報屋「ホムンクルス!!引き続き犬笛を吹くのをお願いね」

ホムンクルス「はい…」


ボエーーーーーー ブシューーーーー


女戦士「飛空艇が潮を吹いたか…山手ではガーゴイルの出が早いのかも知れんな」

情報屋「向こうはもう始まって居るのね」



--------------



『スクーナー1隻目』


トンテンカン


海賊「応急処置はこれで終わりでがんす」

アサシン「こちらの船は死んだ豪族を使役して動かすから他のスクーナーへ応援に行ってくれ」

海賊「分かりやした…行くぞお前等!!」ドドド

商人「死体運んで来たよ…よっこら…」ドサリ

女狐「私も…」ドサ

商人「これ仲間割れ起こしてたのかな?」

アサシン「それしか考えられまい?」

女狐「他の死体も全部積む?普通の民間人の様だけれど…」

商人「ここで山賊まがいの事やってたんだね」

アサシン「豪族を掃討して正解だ…さて豪族以外の者を使役するのは心が痛むが…」

女狐「野ざらしにしておくのも悪いわ…せめて海葬に…」

商人「後でまとめて魔女に浄化してもらおう」

アサシン「分かった…死体は全部積んでくれ」

商人「うん…行って来る」スタ


--------------


273以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:52:26.16Xx1bIi7d0 (138/178)

『しばらく後』


よっこら!! ドサリ


商人「向こうの船が動き出した…修理が済んだみたいだ」

アサシン「少し時間が掛かったな…もうガーゴイルに襲われている」

商人「援護しないと…」

アサシン「分かっている…商人と女狐はまだ離岸して居ないスクーナに乗り込め」

商人「え?」

アサシン「私に使役されたいか?」

商人「あぁ…それは困る…」

アサシン「この船は私とゾンビ共だけでガーゴイルに襲われず自由に動けるのだ…その方が援護しやすい」

商人「分かった…女狐行こうか!!」

女狐「こっち!!」グイ


タッタッタ…


---------------



『スクーナー2隻目』


トンテンカン


商人「ふぅぅ間に合った…僕達もこの船に乗る」ダダ スタ

海賊「姉さんの飛空艇が空で援護してくれている間に移動するでごわす…帆を張れい!!」


がってん!! ドドドド…


商人「この船が最後尾になりそうだね」

海賊「商人さんが来てくれて助かったでごわす…例のプラズマ銃で守って下せぇ…」

商人「おけおけ…」チャキリ

女狐「私にも何か武器無い?」

海賊「残念ながらこの船には武器が乗って無いでごわす…これでも使って下せぇ」スッ

女狐「ミスリルの斧…」

海賊「レイス対策でごわす」

商人「そうだ!!退魔の処置はどうなってるんだ?」キョロ

海賊「無いと思って下せぇ…お札が見当たらんので…」

商人「まずいなソレは…」

海賊「俺らは全員ミスリルを装備しているでごわす…このまま強行突破しやすぜ」



ボエーーーーー ブシューーーーー


海賊「姉さんがガーゴイル追い払ってくれて居やすね…急ぐぞお前等ぁ!!」


へーい!! ドドドド…



274以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:53:09.67Xx1bIi7d0 (139/178)

『キャラック船』


ピカーーーー チュドーーーン


女戦士「始まったな…しかし遠くから見ると良く目立つ」

情報屋「何処に居るのかまるわかりね…」

女戦士「ふむ…鯨型飛空艇はあまり見えんのだな…」

情報屋「多分上空に上がれば狭間が深いから見えなくなるのかと…霧もあるし」

女戦士「こちらの位置も見せて置こう…」スラリ ピカーーーーー

情報屋「フフ眩しい…」


ピカーー ピカーー


女戦士「答えた…あそこにアサシンが居るのか」

情報屋「こっちも空でガーゴイルが舞ってる…」

女戦士「寄って来なければ落とさんでも良いぞ」


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--------------


275以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:53:46.39Xx1bIi7d0 (140/178)

『翌朝_キャラック船甲板』


私達の完勝だ!!スクーナー4隻は功績の高い者に与える事とする

奪った財宝は均等配分!!これを使いそれぞれ船員を募集して来い


女海賊「やったね!!このキャラック船に乗ってた分も均等だよね?」

女戦士「当然だ…」

女海賊「ヤッバ!!めっちゃあるじゃん!!」

アサシン「キャラック船は私が頂くぞ?」

女戦士「フフ海賊には不要の船…好きにしろ」

女狐「配分は当然私にも?」

女戦士「勿論だ…お前の情報が決定的に完勝に導いた…どうだ?満足か?」

女狐「初めてまともに報酬を得たわ…」


ノソノソ


魔女「騒がしいと思うたら朝が来てしもうた様じゃ…ふむ…無事に4隻手に入れた様じゃな」

女海賊「あーー魔女ゴメンよ!!妖精の笛に巻き込んじゃってさ…」

魔女「構わぬ…良い夢を見れたわい」ノビー

女戦士「さて…今後の事を伝えて置く」


スクーナー2隻は商船としてフィン・イッシュと地庄炉村の交易をしろ

残りの2隻はフィン・イッシュ近海で女王の下外海の治安維持だ

尚海賊旗は立てるな…その役は幽霊船が引き受ける


アサシン「私のキャラック船はフィン・イッシュ近海で固定砲台か?」

女戦士「当面は幽霊船への補給役でどうか?」

アサシン「なるほど…移動する海士島みたいな船か…それも良い」

女海賊「お姉ぇ!!ドワーフがみんなスクーナーに乗っちゃったら幽霊船誰が動かすん?」

女戦士「幽霊船には私の従士2人とゾンビ共が乗る…ちなみにアサシンもだ」

アサシン「ふむ…ではキャラック船を誰かに任せねばな…」

女狐「私でどう?貴族や豪族側という立ち回りも出来る…」

アサシン「奪われるなよ?」

女狐「フィン・イッシュ軍隊の一部を回して欲しい」

アサシン「なるほど…そちら側も取り入りたいか」

女戦士「話は決まったな?取り急ぎスクーナー一隻を大至急商船に偽装して陸へ行くのだ…停滞している補給を急がせろ」

海賊共「がってん!!」ドタドタ


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276以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:54:22.88Xx1bIi7d0 (141/178)

『商船』


トンテンカン ギコギコ


女海賊「商人は銀の釘打って退魔の方陣作って行って」トントン

商人「はいはい…」トントン

女海賊「やっぱ銀で装飾したら結構良い感じになるじゃん…」トンテンカン

ホムンクルス「染料をお持ちしました…」スタスタ

女海賊「おぉ待ってたのさ…それで一気に雰囲気変わる」

海賊「姉さん!!俺が塗っていくでがんす」

女海賊「おけおけ…補修した所がバレない様に上手く隠して」

海賊「へい!!」ドスドス

商人「バレないって?」

女海賊「逃げた豪族が居るじゃん?そいつらに豪族が使ってた船だってバレたく無いじゃん」

商人「う~ん…なんか速攻バレる気がするけどねぇ…」

女海賊「あいつらバカだから船の色が違うと気付かないよ」

商人「そうなんだ?」

女海賊「てか昨日今日でガラリと変わってるなんて思わないさ」

商人「まぁそうだね…やっぱりドワーフが物作ると速攻終わるんだね」

女海賊「おーーし!!装飾終わり!!…スクーナーだったら私も欲しいなぁ…」

海賊「姉さん!!これは俺の船なんで…」ヌリヌリ

女海賊「これ商船にするんだからもう大砲要らなくね?」

海賊「いやいやそれは困るでがんす…姉さんの迫撃砲を真似て改造するでがんす」

女海賊「あぁそう言う事か…おけおけ頑張って!!」

海賊「へい!!」ヌリヌリ



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277以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:54:59.71Xx1bIi7d0 (142/178)

『キャラック船_甲板』


ザブ~ン ユラ~


女狐「捕らえた奴隷の身請けは私が行って来る…」

女戦士「ふむ…では又数名護衛でドワーフの海賊を付ける」

ローグ「頭ぁ!!奴隷全員商船の方に乗りやしたぜ?」

女戦士「女狐!!商船に乗るのだ」

女狐「分かったわ…」スタ

ローグ「あっしは気球で先に魔女さんと商人さん乗せて行きやすぜ?」

女戦士「うむ…今晩は宿に泊まりたい…用意しておくのだ」

ローグ「へい!!」

女戦士「商船を陸に向けて移動させろぉ!!」

海賊共「がってん!!」グイ


バサバサ ユラ~


アサシン「よし…これでドワーフは全員陸に移動したな?」

女戦士「うむ…あとは私達が飛空艇で移動すればこちらに残るのはゾンビとアサシンだけだ」

アサシン「残りの船に退魔の方陣を張るのは終わらせていくのだぞ?」

女戦士「今妹がやっている…直に戻るだろう」

アサシン「さて…今晩は私一人ゆっくり妖精と話が出来そうだ」

女戦士「不死者だけだと気楽で良いな?」

アサシン「これを見られるとこの船も幽霊船と思われてしまうな?クックック…」

女戦士「ゾンビは幽霊船に乗せ換えて居た方が良いのだが…」

アサシン「んん?」

女戦士「ドワーフの海賊共が船の乗員を集めるのだ…こちらに寄る可能性が有る」

アサシン「なるほど…では移動させておこう…船をリリースさせるぞ?」

女戦士「構わん…」

アサシン「さて…沖で大型の船が集まっているのをフィン・イッシュではどう見えるか…」

女戦士「その反応も直接聞いて来るつもりだ」

アサシン「酒場にも行くつもりか?」

女戦士「私は飲まんが…顔を出してみても良いな」

アサシン「クックック…入り浸っている豪族の残党がどんな顔をするか…」

女戦士「まぁ…命を狙われるのがオチだが…既に向こうは散りぢりになっているだろう…取るに足らん」

アサシン「あまり街では荒らげるな?女王が困る」

女戦士「分かっている…」



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278以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:55:27.82Xx1bIi7d0 (143/178)

『夕方_鯨型飛空艇』


フワフワ


女海賊「お姉ぇ!!やっと終わったよ…フィン・イッシュ行くんだよね?乗って」シュルシュル

女戦士「ご苦労…情報屋とホムンクルスも乗って居るな?」

女海賊「うん…もうあいつらの船はゴミばっかでさ…片づけるの大変だったよ」

女戦士「今晩はベッドで休んで良いぞ」

女海賊「そろそろ限界…目が閉じそう…」フラ

ホムンクルス「操舵は私にお任せください」

女海賊「先寝て良い?」

ホムンクルス「どうぞ…」

女戦士「ではアサシン!!後は頼む!!」

アサシン「フフ…ワインを持って帰るのを忘れるな?」


--------------



『フィン・イッシュ_墓地』


フワフワ ドッスン


女海賊「ふごーー…すぅ」zzz

女戦士「私が妹を背負うからエクスカリバーを持ってくれ」スッ

情報屋「預かるわ…」ズッシリ

女戦士「重いか?」

情報屋「こんなに重い物を背負ってたのね…」

ホムンクルス「私が持ちます…筋力トレーニングなので」

情報屋「そうね…私は足が不自由だし…」スッ

女戦士「よし…飛空艇をハイディングさせて宿屋に直行しよう」

情報屋「先に行って…ハイディングさせて行くから」

女戦士「ここの地理は良く分からん…どう行けば良い?」

ホムンクルス「ご案内します…こちらです」スタ


--------------



279以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:56:09.28Xx1bIi7d0 (144/178)

『宿屋』


ワイワイ ガヤガヤ


商人「ああ!!やっと来た…遅いよ」

女戦士「退魔の方陣に手間取ってな…部屋は何処だ?」

商人「一階の角部屋さ…無理言って大部屋を開けさせて貰ったんだ」

女戦士「まず妹をベッドに…」

商人「そうだね…働き詰めで疲れたか…こっちだよ」スタ


--------------


『大部屋』


ガチャリ バタン


ローグ「頭ぁ!!助かりやした…」

魔女「これ!!手を止めるでない」

ローグ「いやいや魔女さんは何処も筋肉が硬くなっていやせん…」モミモミ

女戦士「フフ…マッサージをやらされているか…そのまま続けて居ろ」

ローグ「ええ!?そら無いっす…」

魔女「飼い主がそう言うて居るでは無いか…次は背中じゃ」

女戦士「さて商人…私は先ず水浴びをしたいのだがどうすれば良い?」

商人「お!!?ここは湯が使える水浴び場が有るんだよ…案内しようか?」

情報屋「私も水浴びしたいわ」

ホムンクルス「ご案内出来ますよ?以前と同じでしたら…」

商人「変わって無いね…3人で行っておいでよ」

ホムンクルス「ではご一緒に…」スック

情報屋「魔女は?」

魔女「わらわは既に水浴びをしたで構わんで良いぞ」

ホムンクルス「商人さん…エクスカリバーを預かって居て下さい」

商人「ん?あぁ…分かった」

女戦士「妹も頼む…」ヨッコラ

商人「ええ!?ちょちょ…」

女海賊「ふごーーーふごーーーー」zzz

商人「重いんだよなぁ…女海賊…」ドッシリ


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280以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:56:50.66Xx1bIi7d0 (145/178)

『一時間後』


ガチャリ バタン


女戦士「ふぅ…スッキリした」ホクホク

情報屋「湯が熱すぎて…」

商人「食事が来てるよ…食べると良い」

女戦士「外で食べると思って居たが…」

商人「夜間は外に出るの控える様にお達しが出てるのさ…禁止では無いけどね」

女戦士「なるほど…」

商人「ガーゴイルの角が高値で売れるから民兵が沢山出て割と安全なんだけどね」

女戦士「まぁゆっくりして良いのだな?」

商人「そうだね…まぁ食べてよ」

情報屋「頂くわ…珍しい食材ばっかり…」モグ

女戦士「さてこちらでは…沖で停船している私達の船がどう見えているかなのだが…」

商人「あぁ一般の人は商船が浅瀬で近寄れないでいる様に見えて居るよ…海賊船だなんて誰も思ってない」

情報屋「他の豪族達は?」

商人「う~ん…行く所に行けば居るんだろうけどねぇ…取引所では見ないなぁ」

情報屋「行く所って?」

商人「娼館だね…あと酒場とかカジノ?」

女戦士「フフ分かりやすい連中だ…」

商人「まぁ豪族に慌ただしい動きみたいなのは無さそうだね…それよりも一般の人が僕達の船に期待してるよ」

女戦士「期待と言うと?」

商人「内海で商船が動けないからみんな陸に上がって人で溢れかえってるんだ…ドワーフの海賊達はもう乗員確保したらしい」

情報屋「船乗りの仕事が無くなって居た訳ね…」

商人「そういう事…物資も滞留してるから船が動かせるなら直ぐに商人達を集められるよ」

女戦士「すべて良い方向に転がって居そうだ…」

情報屋「その様ね…」

女戦士「ところで女狐はどうした?」

商人「僕達とは距離を置いて居るのさ…貴族や豪族…それから王室とも上手く繋がってる」

女戦士「今回の件で株を上げたな」

商人「そうだね…やっぱり諜報活動だと実力ナンバーワンだよ」


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281以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:57:34.95Xx1bIi7d0 (146/178)

『翌朝』


チュンチュン ピヨ


商人「…じゃぁ僕は予定通り木材と銀の買い付けに行って来るよ」

女戦士「ドワーフの海賊達もそれぞれ物資が必要になる筈だ…取り引きはお前がやった方が良い」

商人「あぁ…ドワーフだと値を吊り上げられるね」

女戦士「うむ…何が必要なのか聞いてやってくれ」

商人「分かったよ…運搬はあの商船を使って良いんだよね?」

女戦士「そのつもりでこちらへ来させたのだ…どんどん買ってキャラック船まで運ばせろ…向こうで分ければ良い」

商人「おけおけ…」

女戦士「そうだワインも大量に買って運んでくれ…アサシンが渇いている」

商人「これで一気に経済回るなぁ…じゃぁ行って来るよ」タッタッタ


女海賊「ふご!!?」ガバ キョロ


女戦士「フフどうだ?良く寝たか?」

女海賊「あれ?今いつだっけ?」ゴシゴシ

女戦士「寝ぼけているか?」

女海賊「ヤバ…なんか夢見てた…混乱してる」

女戦士「湯が使える水場がある…お前も少し汚れを落としてこい」

女海賊「あ…うん…なんかこの状況…量子転移使った後のセーブポイントになってるかも」

女戦士「何をバカな事を…さっさと顔を洗ってこい」

ホムンクルス「ご案内しますよ?」

女海賊「あぁホムちゃん…一緒に水浴びする?」

ホムンクルス「はい…よろこんで」

女海賊「おっし!!ちょい尻尾作るわ…」ゴソゴソ

ホムンクルス「尻尾?」ハテ?

女海賊「昨日豪族の船から毛皮ゲットしてんのさ…尻尾だけ切り取ってお尻に貼るんだよ」チョキチョキ

女戦士「何をするかと思えば…」アゼン

女海賊「大事な事なんだよ…よっし!出来た!!ホムちゃんお尻出して?」

ホムンクルス「ええ!?」タジ

女戦士「馬鹿馬鹿しい…早く行って来い!!」


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282以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:58:12.65Xx1bIi7d0 (147/178)

『酒場』


ワイワイ ガハハハハ


マスター「いらっしゃいませ…お二人様で?」

ローグ「あいやいや…久しぶりっすねぇ」

マスター「シィーーーーーッ…ささ…カウンターへどうぞ」

ローグ「あぁすんません…そんな感じなんすね」

マスター「お飲み物は?」

ローグ「あっしはエールが欲しいでやんす」ジャラジャラ

マスター「こちらの御婦人はどなたで?」

ローグ「魔女さんでやんす…魔法で姿変えてるでやんす」

マスター「なるほどそうでしたか…ではハチミツ酒をご用意致します」

魔女「ほほー…わらわの好みを良く知って居るのぅ」

マスター「フフ仕事ですので…」チラリ

ローグ「あっしらはちっと様子を見に来たでやんすよ」

マスター「先ずはお飲み物をどうぞ…」コトリ

魔女「見た所昔と変わらん普通の酒場じゃのぅ…」グビ

マスター「お陰様で…」ニコリ

ローグ「どうっすか?何か噂聞こえて居やせんか?」

マスター「噂も何もこの激動の時にどんな噂も意味を持ちませんよ…」

魔女「うむ…こちらの大陸も大変だった様じゃのぅ」

マスター「それはもう…御覧の通り港は壊滅…変わらず酒を提供出来ているのが不思議と言いますか…」

ローグ「フィン・イッシュは少し高地にあるのが幸いしていやしたね」

魔女「影響が出て居るのは沿岸部だけなのかえ?」

ローグ「あぁぁぁ…命の泉から下流は大洪水が起きて居やした…多分森の中も大洪水っすね」

マスター「噂と言えばシャ・バクダのオアシスに人が集まっている様ですよ?」

魔女「ほう?それは初耳じゃ…」

マスター「フィン・イッシュが保護しているエルフに会えるのです」

ローグ「エルフ目当てで人が住みついてるんすね」

マスター「はい…なんでもエルフは異形のクリーチャーと戦って苦戦しているとか…」

ローグ「なーんか…豪族の話が全然出てこないのはどういうこってすかね?」

マスター「豪族の皆さんは最近めっきり来なくなりましたねぇ…奥のテーブルに常連さんが見えていますが…」

魔女「ふむ…あそこの集団じゃな?」チラリ

ローグ「ちっと近くのテーブルに移動しやしょうか…」

マスター「争いごとは起こさない様にお願いしますね…どうぞグラスを持ってこちらへ…」ササ


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283以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:58:54.09Xx1bIi7d0 (148/178)

『テーブル』


ワイワイ


マスター「お飲み物はボトルでご用意しますね…おつまみは…フルーツをお持ちしましょう」

ローグ「いやぁぁ何もかにも済まんでやんす…」

魔女「丁度フルーツを口にしたかった所じゃ…ローグ!チップを払うのじゃ」

ローグ「ええ?あっしがですか…」ジャラリ

マスター「ハハお気になさらず…では少々お待ちください」スタ

魔女「ローグ…盗賊ギルドは今どうなっとるのじゃ?」

ローグ「あっしは聞いてないでやんす…多分隠れ家を何処かに持ってるとは思いやすが…」

魔女「アヌビスもこの仕事が天職の様じゃな」

ローグ「そーっすねぇ…もう20年以上このポジションやってるでやんすよ」


ガハハハハ

俺が何処にお宝隠してるかも知ら無ぇであいつ等はあの貴族の下に下りやがった

でもどうする?追手が掛かるぞ?

逃げ場は決まってる…シャ・バクダのオアシスで傭兵を募集してるんだ

おぉ!!お宝持ってトンズラだな?

そうよ…他の仲間も現地で集合する手筈だ…まぁ付いて来い…エルフをモノにするぞ

そりゃ良い!!金ばっかり食うここの女にはもうウンザリだ


ローグ「あたたた…あいつ等全然気付いて無さそうでやんす」ヒソ

魔女「面白いでは無いか…聞き耳を立てて静かに飲もうぞ」グビ

ローグ「なんつーか頭に奴隷にされた豪族が可哀そうになって来やしたよ…」

魔女「鼻を削がれただけじゃろう…そんな物変性魔法で直ぐに元通りじゃ」

ローグ「ええ?そうだったんすね…」

魔女「女戦士はそこら辺もしっかり分かってやって居るのじゃぞ…慈悲深いと思え」

ローグ「なるほど…もう関わって来るなと言う縁切りだったんすね」

魔女「まぁこれで海賊の業界では恐れられるじゃろう」

ローグ「そうっすねぇ…いや…でもあの豪族達は底抜けのバカなもんで…」


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284以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 20:59:48.44Xx1bIi7d0 (149/178)

『宿屋の前の広場』


ワイワイ ガヤガヤ


女海賊「…」ボケー

ホムンクルス「のぼせてしまいましたか?」

女海賊「んぁ?違うんだ…ホムちゃんもそこの樽に座んなよ」

ホムンクルス「はい…」ストン

女海賊「ホムちゃん覚えてる?ここでシーサーのクソ堅い肉食べたの」

ホムンクルス「はい…覚えています」

女海賊「私さぁ…石になって眠ってたからそんな何年も前の事じゃ無いんだ…」

ホムンクルス「そうですか…」

女海賊「あん時は女王が一生懸命畑を耕してさ…ホムちゃんも毒キノコ育ててたよね」

ホムンクルス「そう言われると随分あの時と変わりましたね」

女海賊「うん…私だけ変化に置いて行かれた感じがするのさ」

ホムンクルス「あの時に戻りたいのですか?」

女海賊「それじゃダメな事知ってるから…」

ホムンクルス「夢を見たと言うのはもしかして…」

女海賊「そうだよ…夢で繋がってる…行こうと思えばいつでも祈りの指輪で行けるのさ」

ホムンクルス「寂しい…ですか?」

女海賊「どうなんだろ?夢幻を理解するとそれが私を構成する心の部分だって分かった…その寂しさも私の一部」

ホムンクルス「心…それは失えないですね」

女海賊「うん…だからあの時には戻れない…心は失えない」

ホムンクルス「私は夢を見る様になりました」

女海賊「ホムちゃんが見る夢ってどんな夢?」

ホムンクルス「暁の使徒…未来君が去っていく夢です」

女海賊「ええ!!?」

ホムンクルス「場所はハウ・アイ島…未来君は誰にも悟られる事無く世界を救い…去って行きました」

女海賊「何それ!?初めて聞く話なんだけど…」

ホムンクルス「夢の話ですよ…」

女海賊「あぁそっか…」

ホムンクルス「そこで初めて失ってはいけない人の心を知りました…そんな夢です」

女海賊「きっとその夢も今のホムちゃんを構成する大事な部分だよね…」

ホムンクルス「はい…その通りだと思います」

女海賊「ちっとあん時みたいにちょっとお酒でも飲もうか…」

ホムンクルス「少しでしたら…」

女海賊「おけおけ…ちょい買ってくるわ…待ってて」スタタタ


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285以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:00:23.53Xx1bIi7d0 (150/178)

スタスタ


女海賊「あ!!お姉ぇ…」

女戦士「遅いと思って見に来たら此処で飲んで居たか…」

女海賊「ゴメンゴメン…お姉も飲む?」

女戦士「私は要らん…」

ホムンクルス「フルーツの飲み物も売っている様ですよ?」

女海賊「ちっと待ってて!!お姉ぇの分も買ってくるわ」スタタタ

女戦士「平和を味わって居たか?」

ホムンクルス「昔話を少し…」

女戦士「そうか…昔話が出来るくらいには付き合いも長くなったな…」

ホムンクルス「ここから見える内海の方はどうして船が止まったままなのでしょう?」

女戦士「陸沿いに外海に出たいだろうが岩礁地帯で危険海域なのだ…スクーナーも通らん」

ホムンクルス「そうだったのですね」

女戦士「一度海士島の方へ出てしまえば良いだろうが霧に阻まれて出られんのだ」

ホムンクルス「確かに…セントラルの方までずっと浅い海ですね」

女戦士「小さな漁船なら陸沿いに出られそうだが…今の状況を知らぬ者がおいそれとは航海せん」

ホムンクルス「大きな船が勿体無いですね…」

女戦士「セントラル方面へ陸沿いに航海すればまだ使えるのだが戦争中だからな…」

女海賊「お姉ぇ!!お待たせぇぇ!!」スタタタ

女戦士「私も樽に腰掛ければ良いか?」

女海賊「樽に座って飲むのがここの良い所さ…昔っからこんな感じなんだよ」グビ プハァ

女戦士「フフ…周りは民兵だらけか」ゴクリ

女海賊「銀製のなまくら装備だけど結構充実してんね」

女戦士「やはり資源のある国は強い」

女海賊「ところでセントラル第一皇子ってどうなったん?てか軍隊どこ?って感じ」

女戦士「セントラルとの国境付近に遠征しているらしいぞ?」

女海賊「まだ女王と結婚して無いんだよね?」

女戦士「まぁ無理だろう…忍び一族が許さん筈だ」

女海賊「なんか難しい立場だねぇ…」グビ


ローグ「あららら?こんな所で立ち飲みでやんすか?」スタ


女戦士「おぉローグ!!戻ったか」

ローグ「あっしも混ざって良いでやんすかね?」

女海賊「今女子会やってんだよ…魔女はこっちおいで」グイ

ローグ「ちょちょ…あっしも仲間に入りたいでやんす」

女戦士「まぁまず酒場でどんな情報を仕入れて来たのか聞かせろ…」

ローグ「そらキタ…実はですねぇ…」


カクカク シカジカ…

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286以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:01:06.84Xx1bIi7d0 (151/178)

女海賊「アハ…ほんじゃ筏で特攻して来た辺りからあいつ等バラバラになってんだ?」

ローグ「そーっすね…お宝持ち逃げしてシャ・バクダのオアシス行くって言っていやした」

女戦士「他の豪族は居ないのか?」

ローグ「まだ居るらしいんすが船が内海にあるんす…どうしやす?」

女戦士「フィン・イッシュに居る内は私から手を出す様な事はしない」

ローグ「まぁ民兵が多いんで向こうも手を出して来んじゃないっすかね…」

魔女「聞く限りではスクーナー4隻奪われた事に気付いて居らんぞよ?」

女海賊「マジ?」

魔女「大きなキャラック船を奪われた事も知らん様じゃ…仲間が貴族の乗るキャラック船に下ったと思うて居る」

女海賊「うは…ワロワロ」

女戦士「これは動きやすくなった」

女海賊「そだね…あのキャラック船はこのまま中立の立場にしときゃ良い隠れ蓑になれる」

女戦士「よし方針が定まったぞ…補給が済んだら幽霊船で外海に出る」

女海賊「おっけ!!いよいよだね」

女戦士「しばらく戻れんだろうから必要な触媒や種の類は十分用意しろ」

ローグ「行くメンバーはどうするんすか?あっしだけ置いてきぼりは勘弁でやんす」

女戦士「幽霊船を動かす主要な人駆はゾンビ共だ…後は私達8人とドワーフの従士2人…」

女海賊「生きている人は極力少なくする訳ね…」

女戦士「うむ…幽霊船は喫水線が深いから船底が安全地帯となる筈…そこで休息する」

女海賊「お?どゆ事?」

女戦士「生きている者が安全地帯に入って居ればレイスと戦わんで済む」

女海賊「おおおおお!!船底が狭間の外になってるって事か…」

女戦士「そうだ…それを見越して今アサシンだけ船に残してどうなるのか実験している」

女海賊「幽霊船の喫水線って何メートルだっけ?」

女戦士「4メートル程…」

女海賊「十分だな…おっし!!船底に基地作るぞ!!」

女戦士「行っても良いがアサシンの邪魔はするな?」

女海賊「ホムちゃん!!ちっと幽霊船の中に隠れ基地作りに行こう!!」

ホムンクルス「はい…どうすれば?」

女海賊「付いて来れば良いんだって…お姉ぇ行って来るね!!」スタタタ


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287以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:01:47.59Xx1bIi7d0 (152/178)

『幽霊船』


フワフワ


女海賊「ちょいホムちゃん操舵お願い…私だけ先に降りてロープ縛って来る」シュルシュル

ホムンクルス「お任せください…」

女海賊「おっけ!!ホムちゃんも降りて来て良いよ」グイグイ ギュゥ

ホムンクルス「…」シュルシュル スタ

女海賊「良いねぇ!!慣れて来たね」

ホムンクルス「はい…」ニコ


スタスタ


アサシン「どうした?何か取りに来たのか?」

女海賊「船を改造しに来たんだよ」

アサシン「ほう?それは良い…この船尾楼に飛空艇を発着出来るようにしろ」

女海賊「え!?なんで?」

アサシン「このままでは不便だろう」

女海賊「私はあんま不便に思って無いけどね…」

アサシン「船尾楼の後方に木材を伸ばすだけの簡単な改造だ…それで飛空艇の発着が出来る」

女海賊「まぁそうだけどさ…なんでそんな事言いだすん?」

アサシン「私のキャラック船も同じように改造して欲しいのだ…一台気球が欲しくてな」

女海賊「あーーー幽霊船に2台あっても無駄だね…」

アサシン「そういう事だ…キャラック船の使い勝手が悪いのは気球が搭載出来ないからなのだ」

女海賊「おけおけ!!気球一台有るだけで空から戦えるもんね」

アサシン「木材と鉄はこれからどんどん運ばれてくる…自由に使え」

女海賊「おーし!!ちゃっちゃと作るぞ!!ホムちゃん木材運ぼう!!」

ホムンクルス「はい…」スタ


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288以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:02:21.01Xx1bIi7d0 (153/178)

『半日後_キャラック船』


トンテンカン トンテンカン


女海賊「おっし出来たぁ!!ふぅぅ…暑っついなぁ」

ホムンクルス「今日は日差しが強いですから…」

女海賊「こんなんじゃゾンビ干からびちゃうぞ?」

アサシン「その方が都合が良い…気球を移動させるぞ?」

女海賊「おっけ!!」

ホムンクルス「これで幽霊船も帆を全部開くことが出来ますね」

女海賊「うん…船首側にスペースあるけど邪魔っちゃ邪魔だったね」

ホムンクルス「飛空艇も着地させましょうか?」

女海賊「ホムちゃん幽霊船までロープで渡れる?」

ホムンクルス「ワイヤーの装置がありますので落ちても大丈夫です」

女海賊「ほんじゃお願いしようかな」

ホムンクルス「はい…行って来ます」スタ


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『幽霊船』


フワフワ ドッスン


女海賊「おぉ…めっちゃバランス悪く見えるけどギリギリ乗るな」

ホムンクルス「この金具で固定するのですか?」

女海賊「そうそう…わかる?」

ホムンクルス「ロープワークは教えて貰いましたので…」グイグイ ギュゥ

女海賊「ほんじゃ私はミズンマストの縦帆と干渉しないか一回開いてみるかな…」グイグイ バサーーー

ホムンクルス「1メートル程余裕がありますね」

女海賊「もうちょい飛空艇を前に詰めれるって事だね」

ホムンクルス「目印を書いておきましょう…」スタ

女海賊「ホムちゃん疲れて無い?」

ホムンクルス「大丈夫ですよ?」

女海賊「次は船底で重労働なんだ…石を運ぶんだけど…」

ホムンクルス「体を鍛えて居ますので頑張ります」

女海賊「ほんじゃ次行こっかぁ!!」スタ


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289以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:02:53.33Xx1bIi7d0 (154/178)

『船底』


ギシ ググググ


女海賊「あぁぁ…やっぱ船底は湿度が高くて不快だわ…」ムシムシ

ホムンクルス「寝苦しくなりそうですね…」

女海賊「私ちょっと空気通す工夫してくるからホムちゃんは石を運んどいてくんない?」

ホムンクルス「はい…どちらへ運べば?」

女海賊「ここを10人が快適に寝られる様に改造したいのさ…この破壊の剣使って良いからさ…先ず石の凸凹を慣らして欲しい」

ホムンクルス「わかりました…」

女海賊「あんまり石を偏らせると船が傾いちゃうから気を付けて」

ホムンクルス「脇に置いてある樽は傾きの調整なのですね?」

女海賊「そそ…重りの代わりなんだ…最後はアレの置き方で調整すんの」

ホムンクルス「理解しました…私が船の復元力を最適になる様に調整します」

女海賊「お?もっと良くなるん?」

ホムンクルス「樽の移動で復元力を調整出来るようにすれば良いのです…つまり樽の置き方と動かしやすさですね」

女海賊「まぁそんな感じだね…任せるよ」

ホムンクルス「はい…」ニコ

女海賊「ほんじゃちっと金属加工してくる!」スタタタ


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290以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:03:21.59Xx1bIi7d0 (155/178)

『夜』


ソヨソヨ…


女海賊「ふぅぅ…やっと連通管通った…これで涼しくなる」

ホムンクルス「一気に湿度が抜けましたね…」ヌリヌリ

女海賊「ホムちゃん何やってんの?」

ホムンクルス「水分が透過してくる壁面に樹脂を塗布しています…木材が腐り難くもなりますね」

女海賊「そんな樹脂なんか荷の中にあったん?」

ホムンクルス「私が作りました…」

女海賊「へぇ?…これまだ触ったらダメだよね」

ホムンクルス「はい…1日は放置した方が良いでしょう」

女海賊「ここ綺麗にするのまだ時間掛かりそうだ…ホムちゃんお腹空いてない?」

ホムンクルス「ペコペコです…」

女海賊「ジャーン!!」スポ

ホムンクルス「鶏肉ですね…」

女海賊「この肉は昼間買っといたんだ…一緒に食べよう」

ホムンクルス「喉も乾いて…」

女海賊「あるある!!ジャーーン!!」スポ

ホムンクルス「その封印の壺はとても便利ですね…」

女海賊「私何でも持ってんのさ…あれ?…ちょっと待てよ」

ホムンクルス「??」

女海賊「この壺の中に入れるんだよ…壺の中で寝りゃ良いんじゃね?」

ホムンクルス「壺の中は快適なのですか?」

女海賊「あーーーダメか…8人も入ったら暑苦しいわ…」

ホムンクルス「どこか旅の途中で寝る分には壺でも良さそうですね」

女海賊「そだね…そういう使い方にしよう」

ホムンクルス「今晩は此処で寝て行かれますか?」

女海賊「うん…」

ホムンクルス「ロープワークでハンモックを作れる様になったのです」

女海賊「おーーーイイネ!!」

ホムンクルス「快適に寝られるか試してみましょう」

女海賊「おけおけ!!なんか楽しいね」

ホムンクルス「そう言って貰えると作り甲斐があります」

女海賊「おっし!!食ってもうちょい働いたら寝るぞ!!」

ホムンクルス「はい…」ニコ


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291以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:04:02.57Xx1bIi7d0 (156/178)

『数日後_フィン・イッシュ街道』


ザワザワ ヒソヒソ

おい!海賊王の娘が来た…ヤベェぞ

ちぃぃ悠々と買い物して歩いてんのか

あの横でチョロチョロしてる男が有名な皮剝ぎヤローだ

後の女は取り巻きなのか?

知るか!!見つかる前に逃げんぞ…来い…


ローグ「頭ぁ…これなんかどうっすかね?」スッ

女戦士「ふむ…なかなか涼しそうだ…気に入った」

情報屋「フフ女海賊が黙って無いわね」

女戦士「別に張り合うつもりは無い…汗で気持ち悪い思いをしたくないだけだ」

ローグ「いやぁぁ頭も普段からそういう格好でお願いしやすよ」

魔女「少し露出が多い様に思うがのぅ…」

女戦士「海ではこれくらい薄い格好の方が良いのだ」

ローグ「魔女さんもあっしが選びやしょうか?」

魔女「わらわはこのままで良い…触媒を何処に入れたか分からんくなるでのぅ」

女戦士「さて…取引所へ行って商人の様子を伺うか…」

ローグ「へい!!案内しやす…」


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292以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:04:33.83Xx1bIi7d0 (157/178)

『取引所』


ワイワイ ガヤガヤ


海賊「頭ぁ!!ごっつぁんです!!」ビシ

女戦士「調達は順調な様だな?」

海賊「へい!!今日から近隣の村まで物資運搬でごわす」

女戦士「ふむ…上手くヤレ…ところで商人はどこだ?」

海賊「先ほどまでこの辺に…」


商人「おーい!!」タッタ


ローグ「頭ぁ!!居やしたぜ?」

女戦士「商人!!様子を見に来たのだ…昨夜はどうした?」

商人「あぁ心配掛けちゃったかな…外海側へ続く道をドワーフの海賊達と一緒に整備してたのさ」

女戦士「ほう?物資の移送用か」

商人「まぁ途中で山賊に襲われない様に民兵の詰め所を作ったんだよ」

女戦士「あまり守備範囲を広げてはフィン・イッシュに迷惑が掛からんか?」

商人「協力的さ…外海側にかなり期待している様だよ…女王からは話を聞いて居ないの?」

魔女「女王は隠れ里に居る…城に居るのは政務を担当しておる側近じゃな」

商人「そうだったんだ?」

魔女「主には話して居らなんだか…3子を宿して居って静養中じゃ」

商人「ハハ道理で顔を見せない訳だ」

女戦士「それで?物資調達はどうか?」

商人「スクーナーで運べて一気に捗った…幽霊船の分は今日荷入れしたら終わりだね」

女戦士「いつでも出港出来るのだな?」

商人「そうだね…もう行く?」

女戦士「妹が幽霊船の改造をして居るのだが…まだ戻って来ん」

商人「それならスクーナーに乗って戻ったら?」

女戦士「そうするか…」

情報屋「あ…荷物を宿屋に置きっぱなしだわ」

商人「僕もさ…取りに行こうか」

ローグ「あっしが護衛に付きやす…頭と魔女さんはここで待って居て下せぇ」

女戦士「うむ…魔女…茶でも飲もう」

魔女「それは良い…」ノソノソ


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293以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:05:14.53Xx1bIi7d0 (158/178)

『しばらく後』


ヒソヒソ ヒソヒソ


あれが海賊王の娘?まだ若いじゃない…

おい大きな声を出すな聞こえるぞ

船は何処に隠して居るんだ?噂の幽霊船なんて見て無いぞ?

あ…こっち振り向いた…うわぁ美人なんだ…


魔女「主は有名人じゃで落ち着かんじゃろう?」

女戦士「気になぞしていない」


タッタッタ


ローグ「頭ぁ!!お待たせしやした」

女戦士「んん?何を持って居る?」

ローグ「あぁあっしらの泊ってた部屋を物色していた奴らがいやしてね?多分豪族なんで鼻を削いで来やした」

女戦士「2人分か…いつまでも持ち歩いて無いで何処かに捨てて来い…反吐が出る」

ローグ「あんま人目に付く所に捨ててもでやんすね…」

魔女「燃やせば良い…火魔法!」ボボボ

女戦士「それで何か盗まれたか?」

ローグ「勿論取り返しやしたよ…情報屋さんの書物が無くなる所でやんした」

情報屋「買ったばかりの竜宮伝説の書物よ…無くなっても大した損失では無かった」

商人「そろそろ引き際だね…ここの所君の噂を良く聞くようになったよ」

女戦士「フィン・イッシュでは何もしていないのだが…此処でも安住の場所は無いか…」

商人「まぁ悪いのは豪族さ…ある事無い事言い散らかして居るんだよ」

魔女「向こうの方にもこちらを見ている一般人が居るのぅ…」

商人「騒ぎになってしまう前に移動しようか…ここから馬車で2時間なんだ」

女戦士「そうしよう…」スック

ローグ「いやぁぁ頭の佇まい…恰好良いっすねぇ…」

女戦士「行くぞ…」スタ


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294以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:05:50.58Xx1bIi7d0 (159/178)

『馬車』


ゴトゴト ゴトゴト


女戦士「随分馬車が往来するな…」

商人「経済が回ってる証拠さ…港が出来たらきっとこっち側に街が出来るよ」

女戦士「この道で物資をすべて運んだか…」

商人「そうさ運ぶのも運賃が掛かってね…まぁそのお陰でお金が回ってる所もあるんだけど…」

女戦士「物資調達が難しいとは思って居たが良く木材を運びきったな…」

商人「木材は例のスクーナーを奪った川から運ぶと良いね」

女戦士「ふむ…フィン・イッシュは開拓が進めば良い貿易拠点になりそうだ」

商人「そう思うよ…今後に期待さ」

情報屋「幽霊船に木材を大量に乗せてる理由って何なの?」

女戦士「船の修理用で必須なのだ…木材が無いと長期航海は出来ない」

情報屋「そういう事だったのね…木材は全然乗って無かったわね」

女戦士「うむ…良くここまで来れたと思う」

商人「銀を大量に仕入れたのも船の修理用だね…鉄だと直ぐに錆びる」

情報屋「そういえばあなたの従士2人…いつも船を修理してた」

女戦士「そうだ…あの2人は船大工として優秀だから連れて行く」

商人「女海賊も物作りは相当優秀だよね」

女戦士「キワモノばかり作るからな…まぁ幽霊船をどれ程改造しているか楽しみではある」



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295以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:06:25.20Xx1bIi7d0 (160/178)

『商船』


ザブン ギシ


海賊「頭ぁ!!幽霊船に戻るでがんすか?」

女戦士「そのつもりだ…一緒に乗っている者どもは何者だ?」

海賊「キャラック船に乗る船員達でがんす」

女戦士「ほう…あちらも順調に船員を増やしているか…」

商人「女狐は何処で行動しているんだろうね?」

女戦士「さぁな?」

ローグ「バックに盗賊ギルドが付いてるんであんま表には出て来んでやんすよ」

情報屋「あまりそういう事を声に出さない方が良いわ?」

ローグ「あーー口が滑っちまいやした」

海賊「そろそろ船を出すんで奥で掛けて下せぇ!」

女戦士「うむ…しかしここから見ると沖で停船している私達の船は遠いな」

商人「もう少し陸に寄れば良いんだけどね…」

情報屋「これだけ遠いからあそこで何か有ったのに気付かれないで済んだのよ」

女戦士「フフその通りだ…」

海賊「出港!」グイ バサバサ


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296以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:06:56.10Xx1bIi7d0 (161/178)

『幽霊船』


ギシギシ 


女戦士「海賊共!!私の従士2人に船へ戻れと伝令しろ」

海賊「へい!!…陸に戻り次第伝えるでがんす」

女戦士「さて…」ツカツカ

ローグ「気球がキャラック船の方に移動して居やすね…」

女戦士「船首が開けて見晴らしが良くなったでは無いか」

ローグ「迫撃砲も船首側に移動してるっす…」


スタスタ


アサシン「戻ったな?そろそろ出発するか?」

女戦士「まだだ…私の従士2人が乗って居ない…それよりこっちはどうだ?」

アサシン「何も起こらなくて暇をして居た所だ」

女戦士「やはり生きた者が乗って居ないとガーゴイルは襲って来んか」

アサシン「うむ…フライフィッシュには度々襲われるがな」

女戦士「よし…作戦通り行きそうだ」

アサシン「女海賊とホムンクルスが謎の改造をやっているがやらせていて良いのか?」

女戦士「謎?」

商人「何処に居るんだい?見て見たいな」

アサシン「船底で城を作っている」

商人「ハハ船の中に城か…ちょっと見て来る」ダダ


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297以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:07:30.03Xx1bIi7d0 (162/178)

『船底』


ギシ ググググ


おーし!!ここが岩石エリア…ほんでこっちが砂漠エリア

ここに洞窟有るからこん中に隠れれば良いんだよ…

これ動かない様にアラクネーが巣を作って?…おけおけ!よーしハチミツあげる


ホムンクルス「種撒き終わりました…後は成長魔法ですね」

女海賊「ホムちゃん魔法使えない?」

ホムンクルス「使い方が分かりません…」

女海賊「まぁ良いや…後で魔女にやって貰おう」


タッタッタ


女海賊「んん?」キョロ

商人「おぉ!!なんだココ…」

女海賊「お!?商人か!!ここは秘密基地さ」

商人「なんだ虫の楽園を作ったのか…飛空艇の中と同じだね?」

女海賊「バージョンアップしてんだって…見て見て此処!!」

商人「どれどれ?」キョロ

女海賊「石の隙間が迷路になってんのさ…今こん中でダンゴムシとワームが冒険してる」

商人「ハハ…君と言う人は…どうしてこんな子供みたいな」

女海賊「これで快適に過ごせるんだって!!ハンモックでちっと寝て見な?」

商人「これかい?」ギシ

女海賊「ソヨソヨ風吹いてんの分かる?」

商人「おぉぉぉ…涼しいね」

女海賊「雨も降らせれるんだぞ」グイ


パラパラ 


商人「え!!?どういう仕組み?」

女海賊「上の方で雨水溜まる様にしてるのさ…あとお姉ぇの剣を燭台代わりにすれば花も咲く筈なんだ」

商人「なんていうか…これ船は痛まないのかい?」

ホムンクルス「ご安心ください…木材が痛まない様に様々な処置をしています」

商人「もしかしてホムンクルスの知恵を使ってる?」

ホムンクルス「はい…この空間で光と水があれば生態系が維持できます」

女海賊「そういう事なんだって…ここで虫と遊んでたらずっと飽きないで居られるんだ」

商人「土も砂も全部自分で運んだの?」

女海賊「そだよ?てか商人は一人で来たん?」

商人「いやいや君が帰って来ないから皆戻って来たんだ」

女海賊「おおおお!!ほんじゃ魔女も居るね?」

商人「うん…居室に入って行ったかな」

女海賊「ちっと呼んで来るわ…」スタタタ ピューーー


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298以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:09:53.45Xx1bIi7d0 (163/178)

『船尾楼_飛空艇』


ツカツカ


女戦士「なるほど…船尾楼の後方に飛空艇を着陸出来るようにしたか…」

アサシン「私のアイデアだ…不要な時は畳める様にもなって居るぞ?」

女戦士「それで気球1台をキャラック船に移したか…」

アサシン「まずかったか?」

女戦士「いや…前方が視認し難くて邪魔だった…あの気球はキャラック船で使うが良い」

アサシン「女海賊は高波を遮る何かを置いた方が良いと言って居たが…」

女戦士「小舟の置き方を変更しよう…小舟を屋根にすれば良い…それで海へ転落するリスクも減るだろう」

アサシン「図か何かを書いてくれればゾンビ共にやらせるぞ」

女戦士「分かった…後で書いておく」


ドタドタ


女海賊「あ!!お姉ぇ!!ちょ…どうしたんその格好…」ジロジロ

女戦士「涼しい方が良いと思ってな?」

女海賊「ええええ…なんかズルいなぁ…私も着替えたい」

女戦士「ローグが何着か私の着替えを買ってきている…選んで着ても良いぞ」

女海賊「マジか!!あ…ヤバ目的忘れる所だった…」

女戦士「忙しそうだな?」

女海賊「エクスカリバー借りに来たのさ…ちょい貸して」

女戦士「ふむ…持って行け」スッ

女海賊「よーし!!後は魔女だ!!」スタタタ ピューーー

アサシン「フフ…ずっとあの調子で走り回っているのだ」

女戦士「気持ちを紛らわせているのだ…察してやってくれ」


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299以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:10:27.69Xx1bIi7d0 (164/178)

『船底』


ドタドタ


女海賊「ほい!!約束のリンゴ!!」スポ

魔女「仕方無いのぅ…成長させるのは花だけじゃぞ?」パク シャクシャク

女海賊「バナナもあるよ?」スポ

魔女「わらわを買収する気か…」

女海賊「良いじゃん!!イチゴも育てたいんだ」

魔女「では花とイチゴだけじゃ!!イチゴはわらわも頂くでのぅ」

女海賊「おけおけ!!ほんじゃ雨降らすよ」グイ


パラパラ


魔女「成長魔法!成長魔法!成長魔法!」ニョキニョキ

女海賊「よーし!!ミツバチ来い!!」ブーン

魔女「ふぅ…下手に成長魔法を使うと船を壊すかも知れんでこれっきりじゃぞ」パク モグ

女海賊「魔女?そこのハンモックで横になってみ?」

魔女「ふむ…主がこさえたのかえ?」ノソノソ ギシ

女海賊「ホムちゃんが作ってくれたんだけどメッチャ寝心地良いさ」

魔女「確かに…そうじゃな…あと鈴の音を聞きながらうたた寝しても良いのぅ」

女海賊「おおおお!!ソレだ!!」スタタタ ピューーー

魔女「エクスカリバーの光も心地良いな…」ウトウト

ホムンクルス「すぅ…すぅ…」zzz


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300以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:10:53.26Xx1bIi7d0 (165/178)

『夕方』


ザブ~ン ギシギシ


ローグ「頭ぁ!!ドワーフの従士2人が到着しやした」

女戦士「そうか…いよいよだな」

アサシン「既に覚悟は出来て居るぞ?」

女戦士「さて…誰も帰って来た事の無い海へ…」

ローグ「頭ぁ…ロマンっす」プルプル

女戦士「船出だ!!碇を上げて帆を張れ!!」ビシ

アサシン「ゾンビ共…我に従え…」フリフリ


ゾンビ共「ヴヴヴヴヴ…アガガガガ‥‥グルル」ズルズル


ローグ「なーんかキレが無いでやんすね…」

アサシン「クックック…ゾンビ共はノロい…まぁゆっくり行くぞ」

女戦士「さてこれから船の操舵はアサシンに任せる」

アサシン「船長室は私の個室で構わんな?」

女戦士「良いだろう…だが望遠鏡には触るな?」

アサシン「興味が無い…お前達は船底で休んで居ても良いぞ?」

女戦士「まぁそう言うな…暇つぶしがてら航海も楽しむつもりだ」

ローグ「なーんか…これが陸地を見る最後かも知れんのですが…船出があまりにノロくて台無しでやんす」

女戦士「陸地を見る最後か…」

ローグ「あっしは覚悟してるんすよ…この幽霊船をその後誰も見たことは無い…って語り継がれるんす」

女戦士「フフ…」

ローグ「頭もそのつもりで海賊達を船から降ろしたんすよね?」

女戦士「死ぬつもりは無い…今からが始まりだ…まだ見ぬ世界へ行く!!」

ローグ「うひょーーーそれっす!!それがロマンでやんす」

女戦士「船底に居る者を呼んで来い…船出だとな?」

ローグ「へい!!」


--------------

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 海賊王の娘編

   完










301以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:11:34.53Xx1bIi7d0 (166/178)

『夕日』


ザブ~ン ユラ~リ ギシ


魔女「折角寝付いた所じゃったのにな…」ブツブツ

情報屋「この船が帆を全部開くのは初めて見た…」

女戦士「いつも気球が邪魔をして居たからな…」

魔女「行先は夕日の向こうかえ?」

情報屋「そうね…少し進路を北に変えてだけど」

魔女「どの位で到着しそうなのじゃ?」

女戦士「順風にずっと乗って居れば6日程の距離の筈だ…まぁ普通に行けば10日前後…」

魔女「巨大な狭間でどれほど迷うかじゃな…」

女戦士「アサシン!クジラが案内してくれると言う話はどうなって居る?」

アサシン「何の話だ?」

女戦士「あぁ…あれはホムンクルスとの話だったか」

魔女「ホムンクルスは寝て居ったぞよ?」

女戦士「もしかして…寝ずに船底を改造して居たか?」

アサシン「行って見るが良い…樽の配置もすべて変わって居る」

女戦士「そうだったか…では静かにしておいた方が良かろう」


ドタドタ


女海賊「ちょっとちゃんとそっち持って!!」ヨタヨタ

商人「足元が見えないんだよ…」ヨタヨタ

女戦士「んん?何をして居る?」

女海賊「居室の家具を運んでるのさ…本棚とか必要じゃん?」

女戦士「お前は船出に気付いて居ないのか?」

女海賊「知ってるさ…ちっと忙しいんだ…商人行くよ!!」ヨタヨタ

アサシン「クックック…図太い女だ…まぁずっとあの調子だ」


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302以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:12:07.89Xx1bIi7d0 (167/178)

『夜』


ピカーーーーー


女戦士「それが光の石専用の燭台か…」

アサシン「うむ…女海賊が作った物だ…夜間はこれでガーゴイルは寄って来ん」

ローグ「なーんか戦闘になりそうに無いっすね…」

女戦士「そうだな…私達も家具の移動を手伝うか」

情報屋「書物を移動させたいわ」

女戦士「手分けして運ぼう…」スタ

アサシン「こちらは任せて貰って良いぞ?…むしろお前達が船底に居た方が平和だ」


--------------



『船底』


ガサゴソ


海賊「ここが俺達の寝床でがんすか?」

女海賊「そそ…部屋とか区分けして無いから適当にハンモック使って」

商人「…この本棚どこに置く?」

女海賊「これ倒れると危ないから階段の横に置いて釘打っちゃうわ」

商人「おけおけ…よいしょ!」ドスン


ドタドタ


女戦士「おぉ…随分変わったな…」キョロ

情報屋「あら?居室より環境良さそうじゃない…」キョロ

女海賊「奥の方は虫の楽園だからあんま行かないで」

情報屋「また虫を連れて来てるのね…」

女海賊「この階段の周辺にテーブルとイス置いて居室代わりにする予定」

ローグ「テーブル持って来やしたぜ?よいしょ!!」ドスン

女海賊「良いね良いね!!」

女戦士「なるほど魔女が眠たくなる訳だ…」

女海賊「あと任せて良いかな?私も眠たいんだよ…」

ローグ「良いっすよ…あっしらが残りを運んでおきやす…ちっと休んで下せぇ」

女海賊「おっし!!ワーム集まれぇ!!へそのゴマ掃除しろぉ!!」スタタタ

魔女「…」チラ

情報屋「…」コクリ

魔女「あれがあ奴の水浴び替わりじゃ…」

情報屋「分かって居るわ…どこかで綺麗にしてあげましょう」


--------------



303以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:13:32.11Xx1bIi7d0 (168/178)

ググググ ギィィィ


情報屋「この木が軋む音がアレだけれど…中々過ごしやすわね」

女戦士「うむ…不思議な感覚だ」キョロ


カサカサ カサカサカサ


女戦士「アラクネーの子供か…」

情報屋「分かったわ…この不思議な安心感は虫が怯えて居ないのでは?」

魔女「恐らくその通りじゃ…地に足を付けて居る安心感は虫から来て居りそうじゃ」

女戦士「良く見ると他の虫もあちらこちらに居る…」

魔女「踏みつけぬ様にせねばのぅ」

女戦士「なんだか眠たくなるな…」

情報屋「私も読書が捗る…」

魔女「何の書物じゃ?」

情報屋「竜宮伝説よ…亀に乗って竜宮に行ったとか…人魚に出会ったとか…」

魔女「読み終えたらわらわにも貸しておくれ…」

情報屋「分かったわ…」

魔女「竜宮のぅ…竜王でも住んで居ったのじゃろうか?」

情報屋「ニライカナイの伝説とは別なんだけれど共通する事も多くて今調べてるのよ」

魔女「共通とは何じゃ?」

情報屋「どちらもいつの時代の事なのかハッキリしない…海の向こう…島に城が存在する…色々ね」

魔女「つまり伝えられた場所が違うだけじゃという事か?」

情報屋「それもなんとも言えないわ…あと一つ未来君の壁画も有るでしょう?」

魔女「そうじゃったな…」

情報屋「謎解きをするのはワクワクするわ」

魔女「うむむ…わらわも気になって来たでは無いか…死者が集う理想郷とは何じゃろうのぅ?」

情報屋「それはニライカナイの言い伝えね…多分そこに天国に繋がる何かが有ったと思うわ」

魔女「ふむ…」

情報屋「それで竜宮伝説の方では天国に行く事を拒んだ物語…その代償として命を吸われた…そんなお話なの」

魔女「命を吸われたとな?…フム…」トーイメ

情報屋「何か気になったかしら?」

魔女「呪術の代償は人の魂なのじゃ…もしやと思うてのぅ…」

情報屋「代償?…他の魔法で言う触媒の代わりと言う事ね?」

魔女「実はのぅ…呪術の殆どは危険が過ぎる故シン・リーンでは禁呪に指定しておるのじゃ」

魔女「故に研究が進んで居らぬ…呪いを祓う術を考えておく必要が有りそうじゃ」

情報屋「そう言えば超古代文明には大体呪いが付き物ね」

魔女「呪い…うーむ…つり合う代償…対価…まさかのぅ…」ブツブツ

情報屋「フフ…調べ物には困ら無さそうね」


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304以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:14:01.09Xx1bIi7d0 (169/178)

『翌朝_デッキ』


ザブ~ン ユラ~


女戦士「すっかり寝てしまった…昨夜は何も?」

アサシン「クックック…何も起きん」

女戦士「太陽が出ているな…まだ狭間には入って居ないか」

商人「お~い!!おはよ~う!!」ノシ

女戦士「見張り塔に登って居るのは商人か…」

商人「イルカの群れから離れて行ってる…少し右だよ」

女戦士「イルカ?」

アサシン「そうだ…イルカの後を付いて行っている」

女戦士「そうか案内してもらっている訳か」

アサシン「たまたま行く方向が同じだけかも知れんがな?」

女戦士「操舵がアサシンで見張りは商人か…ベストマッチだ」

アサシン「私も一人では寂しくてな…話し相手が居るだけで随分気が紛れる」

女戦士「妖精はどうした?」

アサシン「妖精とは込み入った話が出来ん」

女戦士「なるほど…」


タッタッタ


ローグ「頭ぁ!!食事でやんす!!」スッ

女戦士「おぅ済まんな…パンとチーズか…」モグ

ローグ「船底が気持ち良すぎるもんでみんな籠りっきりでやんすね…」

女戦士「少し体を動かすように言って来てくれ」

ローグ「へい!!」


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305以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:14:43.91Xx1bIi7d0 (170/178)

『甲板』


ユラリ ギシ


ローグ「…まず体の体裁きでやんす…あっしの背中にタッチできたらホムンクルスさんの勝ちでやんす」

ホムンクルス「はい…わかりました」

ローグ「間違って海に落ちんでくだせぇよ?」

ホムンクルス「行きます…」スタタ

ローグ「全然遅いっすねぇ…」ヒラリ

ホムンクルス「…」スタタ

ローグ「目で狙ってる方向が分かっちまいやす…」ヒラリ

ホムンクルス「目…ですか…」

ローグ「相手の動きをもっと五感を使って察知するんす…そしたら目は瞑っても大丈夫っす」

ホムンクルス「分かりました…」スッ

ローグ「あいやいや…いきなり目を瞑っても海に落ちちまいやすぜ?」

ホムンクルス「隙有り!…」スタタ

ローグ「おっとぉ!!」ヒラリ

ホムンクルス「…」ジーー

ローグ「うはは…そういう駆け引きっすね?そんならあっしも本気で行きやすぜ?」

ホムンクルス「あ!!忘れていました…」クルリ

ローグ「ぬふふふ…その手は食いやせんぜ?」

ホムンクルス「えい!!…」スタタ

ローグ「全然ダメ…ナハハハハハハ」ヒラリ


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306以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:15:12.88Xx1bIi7d0 (171/178)

『デッキ』


アサシン「ホムンクルスは中々体幹が良くなってきていそうだな」

女戦士「うむ…毎日トレーニングを欠かさんらしい」

アサシン「今までとは違う様だ」

女戦士「少し動けるだけで身を守る事も出来るだろう」


ドタドタ


女海賊「お姉ぇ!!どっかに敵居ない?」

女戦士「昼間にそうそう敵なぞ居る物か…顔は洗ったか?」

女海賊「情報屋に汚いって言われて全身洗われたよ…そんな事よりコレ試したいのさ」スッ

女戦士「ん?砲弾?」

女海賊「ホムちゃんに教えて貰ったのさ…私が使ってる特殊弾倉ってさ…榴弾砲って言うらしい」

女戦士「ふむ…それの迫撃砲用か?」

女海賊「そうそう…命中したら爆発すんだよ…どんなもんか試してみたい訳さ」

女戦士「残念だがそれを使う敵が海に居るとは思えん」

女海賊「ぬぁぁぁなんか消化不良だなぁ…」

女戦士「火薬の量で爆発の程度は予測出来るだろう」

女海賊「それは分かるんだけど中に要らん鉄くずとか一緒に入れてるのさ…そこ工夫できそうじゃん?」

女戦士「まぁ又の機会だな…豪族と出会った時用に残して置け」

女海賊「あ~あ…楽しみ無くなっちゃったわ…アレレ?」アーングリ

女戦士「んん?」

女海賊「ロック鳥飛んでるわ…あいつらまだ付いて来てんだな」

女戦士「本当だな…」

女海賊「こっから先は羽休める場所無いのにどうすんだろ?」

女戦士「羽休めの場所が何処かにあるという事では無いか?」

女海賊「なる…」

アサシン「ふむ…ロック鳥も私達を案内して居るのかも知れんな」

女海賊「ほ~ん…まぁ良いや…ホムちゃんと遊んでこよーっと!」スタタ


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307以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:15:42.86Xx1bIi7d0 (172/178)

『甲板』


シュルシュル スタ


女海賊「おっとぉ!!商人あんた…その鍵爪まだ使ってたんだ」

商人「あぁコレね…ロープ伝うのにこれより便利な物無いよ」

ローグ「皆さんも体動かしに来たでやんすか?」

商人「上から見てて面白そうだと思ってね…ホムンクルスの動きが良くなっててビックリさ」

ホムンクルス「まだ背中を触れていません…はぁはぁ」

ローグ「商人さんなら丁度良いかもしれやせんぜ?」

女海賊「お?良いねぇ…やってみ?」

商人「ようし!!来い!!ホムンクルス」

ホムンクルス「はい…」スタタ パチン

商人「あれ?」

女海賊「なんだ商人!いきなり触られてんじゃん!!」

商人「そうか…上から見た感じ遅く見えたけど実際目の前にすると意外と早いんだね…」

ホムンクルス「もう一度!!」スタタ

商人「おっとぉ!!」ヒラリ

ローグ「今度は背中の触り合いでどうっすか?」

商人「ようし!!僕だって負けないぞ!!」ダダ パチン

ホムンクルス「あ…」

ローグ「こら良い相手が出て来やしたねぇ…続けて練習するでやんすよ」

ホムンクルス「はい…」ソローリ ソローリ スタタ

商人「ほっ!!」ヒラリ

女海賊「ちょいローグ!!私とやるよ!!」

ローグ「ええ!?姉さんとっすか…」

女海賊「何?」

ローグ「姉さんは勝つまで終わらんですよね…」

女海賊「はぁ?何言ってんのさ!!勝つに決まってんじゃん!!」パシュ シュルシュル バチン!!

ローグ「あだっ!!いたたた…それ使うんすか…」

女海賊「悪い?本気でやるんだよ」

ローグ「ほんじゃあっしも本気出しやすぜ?」スチャ

女海賊「来い!!」


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308以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:16:17.63Xx1bIi7d0 (173/178)

『デッキ』


パシュン シュルシュル


女戦士「ほう?面白い事をやって居るな…」

アサシン「海に落ちる事を考えんのか?」

女戦士「落ちても戻れる自信があるから出来る事だ…ローグも手を拱いて居る」

アサシン「帆下駄から落ちるのでは無いかと見て居られん」


ローグ「とりゃぁぁ捕まえた!!」バチン


女海賊「あぁぁぁ…」ピュー バキバキ ドッスーン!!

ローグ「姉さん…大丈夫っすか?」

女海賊「てててて…うわヤッバ…甲板に穴空いたじゃん…」

ローグ「姉さんは砲弾より重いっすからね…」

女海賊「怒られる前に修理するぞ!!」スタタタ

ローグ「へい!!」ダダ


女戦士「敵と戦う前に船を壊したか…ヤレヤレ」

アサシン「アレを続けさせては船が持たんぞ…」

女戦士「まぁ船の弱い場所が分かったから良い…修理して補強すれば前より良くなる」

アサシン「フフ私達もやって見るか?」

女戦士「お前とか?」

アサシン「いつだったかお前に完敗した夢を見た事が有る…リベンジだ」

女戦士「フフ良し!!やってやろうじゃ無いか…来い」


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309以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:16:50.05Xx1bIi7d0 (174/178)

『甲板』


トンテンカン トンテンカン


女戦士「手すりはすべて強度が足りん!!補強して直せ」

海賊「がってん!!」トンテンカン


ローグ「あいやいや…向こうもかなり派手に壊しやしたね…」

女海賊「お姉ぇもメッチャ重いからさ…しょうがないんだって」

商人「これでドワーフの船がどうしてゴツゴツしてるか良く分かった」

女海賊「あんま補強し過ぎると転覆しやすくなるんだけどね…」

ローグ「商人さんはホムンクルスさんと勝負つきやした?」

商人「五分五分さ…あんなに動けるとは思わなかったよ」

女海賊「おーし!!マッスル系ホムちゃんもなかなか良いね…次武器の使い方だね」

ローグ「あっしがダガーの使い方を教えやすぜ?」

女海賊「おけおけ…まずダガーのメンテナンスの仕方からだね」

ローグ「そーっすね…ミスリルダガーの研ぎから教えやしょうか」

女海賊「イイネ!!革砥を作って来るわ」

ローグ「お願いしやす…あっしはミスリルダガー用意しときやす」


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310以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:17:24.12Xx1bIi7d0 (175/178)

まぁ持ち方は順手でも逆手でも良いんすが…

逆手で持つのは相手に刃身を見せない為に使うんす…

ホムンクルスさんの場合護身で使うんで順手で持てば良いっすね

ほんで腰から抜いた時に順手になる様に練習して下せぇ


ホムンクルス「…」スチャ

ローグ「まぁそんな感じでやんす…後は相手を良く見ながら突いて使うんすが…」

ホムンクルス「…」スタタ シュッ

ローグ「背中さわる要領と同じっすね…その距離まで詰めれば狙うのは急所でやんす」


タッタッタ


女海賊「革砥を作って来たよ」ポイ

ローグ「あざーす!!ほんでダガーを普段から使ってると直ぐに切れんくなりやす…なもんで刃を研いでおくのが重要なんす」

女海賊「ちょい見せてあげてよ」

ローグ「見ててくだせぇ…」シュッシュッ

ホムンクルス「はい…理解しました」

ローグ「これ何か切りながらやらんと研ぎ具合が分からんすね…」

女海賊「あるある!!」スポ

ローグ「魚?」

女海賊「なんか甲板に落ちてたやつ拾ったのさ」

ローグ「鱗で刃が傷みやすいんすが…まぁこれ裁いて切れ味確認して下せぇ」

ホムンクルス「はい…」グサ

ローグ「あいやいや…まず料理用に細かくしやしょうか」

女海賊「お!!鍋持って来るわ…そいつでスープ作ろう」

ローグ「良いっすねぇ…ホムンクルスさんは料理用でダガー使える様になれば良いでやんす」

女海賊「ちっとコレも切っといて」スポ スポ


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311以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:18:23.02Xx1bIi7d0 (176/178)

『船底』


ググググ ギギー


魔女「情報屋…ちとこれを見てみぃ…」

情報屋「聖書?」

魔女「うむ…主から貰った聖書じゃ…ここにエデンの園が記されて居るじゃろう」

情報屋「神々の楽園ね?それが?」

魔女「此処じゃ…」

情報屋「神殿に…器?」

魔女「うむ…器に水が満たされておろう…」

情報屋「そうね…」

魔女「そしてニライカナイの伝説にも同じ器が記されて居る…」

情報屋「あら気付かなかったわ…」

魔女「神殿も似たような構成じゃ…もしかするとニライカナイはエデンの園かも知れんぞよ?」

情報屋「エデンの園があったとされる場所はメソポタミアの地…随分遠いわ…」

魔女「盗賊はニライカナイは浮島じゃと言うて居った」

情報屋「もしかしてそこは天空の城だった?」

魔女「主の話では超古代にバベルの塔を築き天に住む神を激怒させたそうじゃな?」

情報屋「本当に天に有ったと…」

魔女「重力魔法なら可能じゃ…主に見せたであろう」

情報屋「あぁぁダメ…ゾクゾクが止まらない…」

魔女「天空の城はまぁ良いとして…その器に入っている水じゃ…これは命の水では無いかえ?」

情報屋「確かに…そう考えても良さそうね…」


312以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:19:40.83Xx1bIi7d0 (177/178)

魔女「何故そこに命の水が器に入って居ると思う?」

情報屋「…どうして…かしら?」

魔女「エデンの園は人間にとっては天国と言われて居るが…魂がそこに行ってどうなるのじゃ?」

情報屋「まさか命の水に?」

魔女「今となってはわらわはそうなって居るとしか思えぬ…そしてそれが人間に掛けられ呪いでは無いか?」

情報屋「それって魂を神に搾取されているという事じゃない…」

魔女「それじゃ!…未来はそれを知ったのではなかろうか…じゃからニライカナイを封じた」

情報屋「ちょっと待って…アサシンは妹が海の向こうに居る気がするって…」

魔女「あ奴は勘が良い…何も知らんじゃろうが感じて居るのやも知れぬ」

情報屋「待って待って…ちょっと整理させて…」

魔女「魔王となったエンキとエンリルは何故命の泉を魔槍ロンギヌスで汚したのじゃろうか…」

魔女「神に搾取される魂の絶対数を減らしたのでは無いかえ?」

情報屋「…魂の奪い合いと言う事?」

魔女「憎悪に満ちた魂は天に昇らぬ…黄泉へ行きやがて深淵に落ちるそうじゃ」

情報屋「深淵に落ちた魂が魔王の一部となる…天に昇った魂は命の水に姿を変える…命の水って…一体何?…」

魔女「神のみぞ知るじゃな…じゃがわらわ達は今神々の戦いの真っ只中に居ると思えてならぬ」

情報屋「私達人間はリリスが生んだリリンの末裔…つまり魔王の子孫」

魔女「そうじゃ…アサシンが言うて居ったのじゃが魔王を滅した者が魔王となると言う…そして今天空の城を目指して居る」

情報屋「私達が魔王…これが神々の戦い…そう言いたいのね?」

魔女「そういう定めやも知れんのぅ…」トーイメ


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313以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/16(水) 21:20:13.02Xx1bIi7d0 (178/178)

魔女「何故そこに命の水が器に入って居ると思う?」

情報屋「…どうして…かしら?」

魔女「エデンの園は人間にとっては天国と言われて居るが…魂がそこに行ってどうなるのじゃ?」

情報屋「まさか命の水に?」

魔女「今となってはわらわはそうなって居るとしか思えぬ…そしてそれが人間に掛けられ呪いでは無いか?」

情報屋「それって魂を神に搾取されているという事じゃない…」

魔女「それじゃ!…未来はそれを知ったのではなかろうか…じゃからニライカナイを封じた」

情報屋「ちょっと待って…アサシンは妹が海の向こうに居る気がするって…」

魔女「あ奴は勘が良い…何も知らんじゃろうが感じて居るのやも知れぬ」

情報屋「待って待って…ちょっと整理させて…」

魔女「魔王となったエンキとエンリルは何故命の泉を魔槍ロンギヌスで汚したのじゃろうか…」

魔女「神に搾取される魂の絶対数を減らしたのでは無いかえ?」

情報屋「…魂の奪い合いと言う事?」

魔女「憎悪に満ちた魂は天に昇らぬ…黄泉へ行きやがて深淵に落ちるそうじゃ」

情報屋「深淵に落ちた魂が魔王の一部となる…天に昇った魂は命の水に姿を変える…命の水って…一体何?…」

魔女「神のみぞ知るじゃな…じゃがわらわ達は今神々の戦いの真っ只中に居ると思えてならぬ」

情報屋「私達人間はリリスが生んだリリンの末裔…つまり魔王の子孫」

魔女「そうじゃ…アサシンが言うて居ったのじゃが魔王を滅した者が魔王となると言う…そして今天空の城を目指して居る」

情報屋「私達が魔王…これが神々の戦い…そう言いたいのね?」

魔女「そういう定めやも知れんのぅ…」トーイメ


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314以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします2022/11/17(木) 02:42:19.249tzTYWVS0 (1/1)

VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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315以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:04:20.03ZniVZVNC0 (1/184)

『夕方』


ユラ~リ ググググ


女戦士「風が強くなって来たな…荒れる前に帆を畳んでおいた方が良い」

アサシン「分かった…」フリフリ

女戦士「大きな嵐では無いが…これから雨が降る」

アサシン「さすが海が長いと分かるのだな?」

女戦士「匂いだな…」

ローグ「頭ぁ!!潮目が変わりやしたぜ?」ダダ

女戦士「分かっている…荒れるから高波に備えろ」

ローグ「荷の固縛を確認して来やす!!」

女戦士「任せる…」

アサシン「この様子では今晩は忙しくなるな…舵は直進で固定するぞ?」

女戦士「それで良い…海に落ちん様に命綱を付けておけよ?」

アサシン「お前もな?」


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316以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:04:47.65ZniVZVNC0 (2/184)

『高波』


ググググ ザブ~ン ドバーーーー


ローグ「あいやいや…ちっと進行方向変えやせんか?波に突っ込んでいやすぜ?」

女戦士「アサシン…波に対して斜めに乗り上げろ…船首を突っ込ませるな」

アサシン「済まんな…超えられると思って居た」

女戦士「今は荷が満載状態で高波に潜り込みやすい…この程度で転覆する事は無いが…」

ローグ「なんか船首の方に大きな魚が乗り上げやしたね…」

女戦士「放って置け…ガーゴイルに備えろ」

ローグ「へい!!」

女戦士「商人!!見張り台は大きく振られるからこっちへ降りて来い…転落するぞ!!」

商人「分かったぁ~~!!」シュルシュル スタ


ポツ ポツポツ…


女戦士「やはり雨も降って来たか…」

商人「視界悪くなるね…」

アサシン「今晩は私と商人の2人でデッキ上で警戒だな」

商人「まぁ2人でプラズマの銃なら余程大丈夫さ」


女海賊「うわわわ…ちょちょ何コイツ!!ちょいホムちゃんこっち!!」ドタドタ


女戦士「んん?どうした?」

女海賊「船首にある小舟の下になんか変な魚居るんだけど」

女戦士「放って置け!!」

女海賊「ちょちょ…足生えてんだって!!めっちゃキモイ!!」

女戦士「何!!?マーマンが乗り上げたのか!!魚人だ!!ローグ!!蹴り落として来い!!」

ローグ「あららら厄介なのが…」ダダ


ツルッ…


ローグ「どわぁぁぁ…」ゴロゴロゴロ ドターン



317以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:05:22.82ZniVZVNC0 (3/184)

女海賊「…」ポカーン

ホムンクルス「ぁ…大丈夫でしょうか?」

ローグ「あたたたた…誰っすかねぇバナナの皮を捨てたのは…あ痛ぁぁぁ!!」スリスリ

女海賊「むぐっ…ぷぷぷ」プルプル

女戦士「何をしている!!マーマンは2匹居るでは無いか!!」

ローグ「ええ!?」スック


マーマン「ギョギョ!!?」ビチビチ バタバタ


女海賊「うわ…なんか自分で立てないで暴れてる…何アレ!!キモイ!!」

ローグ「姉さん…マーマンに近付かんで下せぇ…ヌルヌルの体液で足元ツルッツルになるんす…」チャキリ

女海賊「ちょ…アレはクロスボウで倒すん?」

ローグ「追い払えりゃ良いんすが…」ダン!


マーマン「ギョ!?」ヌルリン!


ローグ「だぁぁぁやっぱヌルヌルでボルトが刺さらんでやんすね…」

女海賊「そんなんアリ?」チャキリ

ローグ「いやいやいや待って下せぇ!!」

女海賊「何さ!!」

ローグ「姉さんの特殊弾は爆発しやすよね?ソレ船を壊しちまいやす」

女海賊「ええ!!マジか…どうすんの!!?」

ローグ「仕方ないっす…ワイヤー使って船から落ちん様にして接近して蹴り落としやしょう」

女海賊「おっし!!私右!!あんた左!!」

ローグ「分かりやした!!行きやすぜ?」ダダ


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318以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:05:55.04ZniVZVNC0 (4/184)

『デッキ』


ザブ~ン ザバザバ


女戦士「船に乗り込んだ敵にプラズマの銃は使うな?」

商人「これどうする?」

女戦士「追い散らせば良いのだが…」

商人「マーマンもツルツル滑って動けて居ないよね…」

女戦士「今の内に魔女を呼んで来い…凍らせればなんとかなる」

商人「そういう事か…呼んで来る!!」タッタッタ

アサシン「初めて見たが…なんだこの敵は…」

女戦士「笑いごとでは無いぞ?マーマンは群れで行動する…つまり海の下はマーマンだらけだ」

アサシン「暴れて居るだけで襲って来る様には見えんな…」

女戦士「アレの知能は魚と同じ…捕食する気になれば襲って来るぞ?」

アサシン「…」アゼン


ドタバタ ルツリン! ドテ! バタバタ!


女戦士「…」

アサシン「こ…これは…」

女戦士「そういう敵だと理解しろ…」

アサシン「お互いツルツルで立ち上がれず戦いになって居ないのだが…」

女戦士「だからそういう敵なのだ…」


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319以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:06:33.22ZniVZVNC0 (5/184)

『船首』


ツルツル ドターン


女海賊「んむむむ…」プルプル

ローグ「姉さん…なんとか立って下せぇ!!」プルプル


マーマン「ギョギョギョ!!」ビチビチ バタバタ


女海賊「だぁぁぁ!!」ツル ドターン ツルツルツル

ローグ「あっしが一発当てやす!!」ブン ヌルリン

女海賊「ちょ!!こいつどうすりゃ良いのさ!!」ヌル ドテ

ローグ「なんとか蹴とばして海へ突き落せば…」プルプル

女海賊「くっそコイツ!!至近距離で撃ってやる!!」チャキリ

ローグ「だぁぁぁその位置じゃあっしに当たりやす!!」


ピシピシ カキーン!


女海賊「凍った!?」

魔女「今じゃ!!氷を砕けぃ!!」

ローグ「姉さん!!あっしが撃ちやす!!」チャキ ダン!


パリーン! バラバラ


女海賊「おぉ!!」

魔女「もう一匹凍らせるでそこを動くな…氷結魔法!」ピシピシ カキーン

ローグ「どらぁ!!」ダン! パリーン!

女海賊「ちょいローグ!!このヌルヌル集めるから空き樽持って来て!!」

ローグ「ええ!?姉さん…あなたって人は…」

女海賊「ヌルヌル爆弾作るわ…これメッチャ使えるぞ」


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320以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:07:00.97ZniVZVNC0 (6/184)

『デッキ』


ザザーー


女戦士「ホムンクルス!甲板では波にさらわれるかも知れんからこっちに上がって来い」

ホムンクルス「はい…」スタスタ

女戦士「雨が強くなって来たな…」

ホムンクルス「私は何をすれば良いのでしょう?」

女戦士「雨に濡れても良いのであれば2連クロスボウを持って此処で待機だ」

ホムンクルス「分かりました…」スタ

魔女「今晩は忙しくなるかのぅ?」

女戦士「うむ…ガーゴイル以外に海の魔物も注意する必要がありそうだ」

魔女「マーマンとはまた珍しい魔物に出会うたのぅ」

女戦士「温かい海ではたまに出くわす…見ての通りただ厄介な魔物…」

魔女「放置してはイカンのか?」

女戦士「仲間を呼んでしまうから出来るだけ早く海へ落とすのが最善だな」

アサシン「アレが増えるのか…」

女戦士「もう船首の方は足元が滑って何も出来んぞ?」

魔女「なるほど厄介な魔物じゃ」

商人「女海賊が掃除を始めてるね」

女戦士「ふむ…妹にしては正しい判断…やらせておくのだ」

商人「手伝わなくて良いかい?」

女戦士「商人は上空を警戒してくれ…プラズマの銃が要だ」

アサシン「上だけじゃ無いぞ…右舷方向を見ろ」

女戦士「んん?何かいるか?」

アサシン「たまに首だけ少し見える…恐らくシーサーペントだ」

女戦士「この船に上がって来る事は無いが…高波と一緒に乗り上げる可能性は在りそうだな…」

アサシン「その場合プラズマの銃が撃てん…先に殺しておくべきだ」

女戦士「確かに…狙えるか?」

商人「分かった…そっちも見て置く」


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321以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:07:33.02ZniVZVNC0 (7/184)

『船首』


ボトボト デローーン


女海賊「うわぁ…鼻水よりデロデロだ…」ヌルリ

ローグ「姉さん…これ樽になかなか入らんのですが…」デローン

女海賊「これさ…体に塗っときゃ剣とか全部スカるんじゃね?」

ローグ「気持ち悪く無いんすか?」

女海賊「もうヌルヌルで気持ち悪い通り越して気持ち良いさ…」

ローグ「なかなか落ちんすよ?このヌルヌル…」

女海賊「雨降ってんだからこすりゃその内落ちるって」

ローグ「そらそうなんすが…」

女海賊「見たさっき?マーマンも自分で立てないとか…ありえんわ」

ローグ「バタバタして居やしたねぇ…」

女海賊「アレなんかヤバイ攻撃とかしてくんの?」

ローグ「噛みつくぐらいでやんす」

女海賊「ちっこいサメみたいなもんか…」

ローグ「馬鹿に出来んすよ?腕食いちぎられやす」

女海賊「あーーーそういう系ね…」

ローグ「放って置くと厄介なんで普通は蹴とばして海へ落とすんすが…」

女海賊「船揺れてるからツルツル移動してたね…」

ローグ「もう来ないと良いっすねぇ…」

女海賊「いやいやもっとヌルヌル欲しいさ…まだ樽にちょろっとしか無いじゃん」

ローグ「姉さんは本当変な物に興味持ちやすね」

女海賊「うっさいな!!ちゃんと集めてよ!!」ベチャ デローン


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322以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:08:04.90ZniVZVNC0 (8/184)

『真夜中』


ピカーーーーー チュドーーーーン!


商人「よし当たった!!」

アサシン「これでシーサーペントは全部倒したな?」

商人「その筈…」

女戦士「雨脚が弱まって来た…そろそろ落ち着く筈だ」

ホムンクルス「また船首にマーマンが飛び込んで…」

魔女「氷結魔法!」ピシピシ カキーン

ホムンクルス「撃ちます!!」バシュン! パリーン!

女戦士「高波でも無いのに何故マーマンが飛び込んで来ると言うのだ?」ダダ

アサシン「女海賊が何かやって居ないか?」

女戦士「あいつ…どうにかして釣っているな?あの馬鹿者め…直ぐに止めさせろ!!」


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『船首』


ドプドプ ヌパー


女海賊「ヌフフフ…大漁大漁!!」ヌパー

ローグ「姉さん…そろそろヤバイっす…バレやすぜ?」デローン


”ザザー”

”止めんかタワケ!!お主がワイヤーでマーマンを釣り上げて居るのはバレて居る!”

”魔女!貝殻を貸せ!!女海賊!!分かって居るだろうな?尻を温めておけ!…ザザー”


ローグ「姉さん…こりゃ仕置き確定っす…」

女海賊「尻にこれ塗っとくわ…」デローン ヌリヌリ

ローグ「ちょ…」

女海賊「ちっと調子に乗り過ぎた…反省してる」

ローグ「あっしもタダじゃ済みそうに無いでやんす…」ショボン

女海賊「今度お姉ぇにお酒飲ませるからそれで勘弁して?」

ローグ「おぉ!!姉さんも悪ですなぁ…ヌフフフフ」

女海賊「ヌルヌル全部集めるぞぉ!!」ドプッ ボトボト


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323以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:08:42.68ZniVZVNC0 (9/184)

『恐らく明け方』


ザブ~ン グググググ 


アサシン「嵐は抜けた様だが…どうやら狭間に入ったな…」

女戦士「行先は分かるか?」

アサシン「イルカを見失った…」

商人「船底にミツバチが居るよ…案内させられる筈…」

女戦士「その前に女海賊に仕置きだ…」

商人「まぁ良いじゃ無いか…いつもの事さ」

アサシン「船首を完全に綺麗になるまで掃除させれば良かろう」

女戦士「むむむ…あの馬鹿者が…」グググ

女海賊「お姉ぇ!!」スタタ ツルツルツル ドターン

女戦士「お前良くもぬけぬけと私の目の前に来られたな…」

女海賊「あたたた…ちっとお尻ぶって見て!!」プリン

商人「アハ…」

女戦士「反省する気は有るのかぁ!!」ブン


ツルリン!!


女戦士「なっ…」ヨロ

女海賊「おぉぉぉ!!これ行けるぞ!!?」

女戦士「はぁぁぁ…怒る気も失せるな…あのヌルヌルを使う気か!」

女海賊「そうだよ!!これ超スゴイんだって!!」

商人「何々…どういう事?」

女海賊「このヌルヌルで滑って攻撃当たんないのさ…なんかで打ってみ?」

商人「ええ?良いの?」

女海賊「良いからホラ!!」プリン

商人「よーし!!」ブン


ヌルリン!!


商人「うわわわ…」ドテ

女海賊「ほらね?ヌルヌル付けてたら無敵だよ」

女戦士「呆れて開いた口が塞がらん…もう良い!イルカを見失ったからミツバチに先導させろ!」

女海賊「おけおけ!!ちっと体拭いて来るわ!!」スタタ ツルツルツル

女海賊「おととととと…あっぶ!!」

魔女「狭間に入った緊張感が全く無いのぅ…あ奴の脳みそはどうなっとるんじゃろうか…」

アサシン「クックック…毎度の事だ…気にするとキリが無い」


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324以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:09:24.10ZniVZVNC0 (10/184)

『連通管』


お姉ぇ!!聞こえる!!?


女戦士「うお!!何処から聞こえて来る!?」キョロ

女海賊「連通管通して船底からそっちに声届くんだって!!」

女戦士「そんな工夫までやって居たのか…」

女海賊「進路180°反対だよ…いつの間に逆向いてる」

アサシン「なんだと!?羅針盤は正しい方向を向いているぞ?」

女海賊「ほんなん知らんって…ミツバチは反対方向向いてんのさ」

女戦士「これはいきなり迷った様だな…」

女海賊「ちょい情報屋!?ミツバチの向いてる方向をこの連通管でちょいちょい報告してくれる?」

情報屋「え…えぇ…此処に向かって話せば良いのね?」

女海賊「そそ…私ちっとこのヌルヌル落として来るから後お願い」

情報屋「わかったわ…」

女海賊「ほんじゃ行って来る!!」


ドタン!! ズデ!!


女戦士「ヤレヤレ…どうにも落ち着かん妹だ…」

商人「まぁまぁ…アレでビックリ発明するんだから良いじゃ無いか」


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325以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:09:54.67ZniVZVNC0 (11/184)

『半日後』


キャァァァァァ キシャーーーー


女戦士「光の石から陰になる場所でレイスがいつまでも追って来るな…」

アサシン「お前達全員船底へ行けば居なくなるが?」

女戦士「そうは言っても海の魔物がいつ現れるか分からんからな…」

商人「そんなに簡単に船へ乗り込まないでしょ?」

魔女「海の魔物は基本的に大型なのじゃ…クラーケン然り…リヴァイアサン…スキュラ…全部大型じゃな」

商人「そんな何匹も居るのかな?」

魔女「さぁのぅ…じゃがここは外海じゃ…わらわ達の常識は通用せんぞよ?」

アサシン「クラーケンに襲われてはどうにもならんな…それを心配するのも無駄な事だ」

女戦士「違うぞ…倒す力は有る筈だ…そうだろう?魔女」

魔女「う~む…自信は無いがマーマンを倒したやり方と同じじゃな」

アサシン「凍らせて砕くか…」

魔女「わらわの絶対零度と言う魔法はクラーケンをも凍らせる力がある…上手く使えば良いのじゃが…」

女戦士「とりあえず…少しでも魔物を遠ざける工夫をしよう」

商人「なにか考えが?」

女戦士「出来る事と言えば退魔の鈴をもっと増やす事だ」

魔女「ふむ…やれる事はやって置いた方が良いな」

女戦士「商人は帆下駄に上がれるな?」

商人「行けるよ」

女戦士「帆下駄の先端は退魔の方陣から外れて居そうだ…設置してきてくれ」

商人「なるほど…少しでもレイスを遠ざけたい訳ね…良いよ行って来る」

女戦士「各マストの上端もだ」

商人「おけおけ…それを言うなら居室も荷室も端っこの方に少しだけ方陣に入って居ない場所がある」

魔女「ふむ…わらわが退魔の砂銀を撒いて来よう」

商人「それだと船が揺れて動いちゃう…銀の釘を打った方が良い」

女戦士「分かった…私が行って来よう」

アサシン「静かな今の内に行って来い…ここは私とホムンクルスで見張って置く」


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326以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:10:30.80ZniVZVNC0 (12/184)

『甲板』


ゴシゴシ ゴシゴシ


女海賊「おが屑持って来たよ」バッサー

ローグ「全然ヌルヌル取れんでやんす…」ゴシゴシ

女海賊「あんた達もこすって!!」

海賊1「がってん!!」ゴシゴシ

海賊2「承知の助!!」ゴシゴシ

女海賊「マーマンってめっちゃ厄介な魔物だね…」ゴシゴシ

ローグ「姉さんが釣りまくるもんで甲板までヌルヌルでやんすよ」

海賊共「マーマンの群れを突っ切ったもんで船体もヌルヌルでがんす」

ローグ「誰も登って来れんっすねぇ…」

女海賊「これ一回しっかり乾かさないと永遠にヌルヌル取れなくね?」

ローグ「そーっすね…雨が止めば良いんすが…姉さんはどうやってヌルヌル取ったんすか?」ゴシゴシ

女海賊「砂の上でゴロゴロしたのさ…ほんで砂落とした」

ローグ「渇いた砂なんかそんな無いっすねぇ…熱湯をかけりゃ一発なんすが…」

女海賊「ふむ…って事は熱か…よっし!!」スタタ

ローグ「逃げんで下せぇ…姉さんもこすって下せぇ」

女海賊「秘密兵器作って来る…ちっと待ってて」

ローグ「今度は何なんすか?」

女海賊「ウラン結晶余ってんじゃん?それで蒸気作るんだよ…ほんでぶっかける」

ローグ「おぉ!!クジラの潮吹く奴っすね?」

女海賊「そそそそ!!そうだついでだからミスリルの音出る様にすっか…簡単だからすぐ作って来る!!」スタタタ ピューー


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327以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:10:57.13ZniVZVNC0 (13/184)

『30分後』


どいたどいたぁ!!


女海賊「新兵器!!蒸気放射器だ!!」スチャ

ローグ「わわわわ…樽なんか背負って…」タジ

女海賊「こん中に海水入ってんのさ…クッソ熱い蒸気出るからちょいどいといて!!」チャキリ

海賊1「がってん!!」ドスドス

海賊2「危ないでごわす!!」ドスドス

女海賊「いくぞぉ!!」カチ


ボエーーーーーーーー モクモクモク


ローグ「どわちちちちち…」ダダダ

海賊1「おぉぉぉぉ!!一気にぬるみが取れたでがんす…」

女海賊「コレ結構使えそうだぞ?火炎放射器の代わりで行ける!!」カチ


ボエーーーーーーーー モクモクモク


ローグ「なーんかめっちゃ危ない武器っすね…」

女海賊「おっし!!これもう一個作るぞ!!海賊2人で使えばうちらの火力アップだ…これでヌルヌル落としといて!!」ポイ 

海賊1「がってん!!」パス

ローグ「あっしは床磨きから解放っすね…あっしもヌルヌル落として来やす…」


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328以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:11:27.79ZniVZVNC0 (14/184)

『デッキ』


ボエーーーーーーー モクモクモク


女戦士「ほぅ?蒸気を放射する新しい装置を作ったか…しかもミスリルの筒を使って…」

アサシン「ふむ…火炎放射器と同程度の射程…これは船に乗り込んだ敵への有効打になるぞ?」

魔女「マーマンを凍らせず倒せそうじゃな…良い武器では無いか」

女戦士「ふむ…樽を背負う必要が有るか…」

魔女「主の従士が使う分には問題無さそうじゃ」

女戦士「この火力が有れば交代で休息しても良さそうだな」

アサシン「休める時に休め…まだ先は長い」

魔女「そうじゃな…飛空艇でニライカナイへ行った時は狭間で6日程掛かったのじゃ…この船では2週間程掛かるじゃろう」

女戦士「分かった…休むように伝えて来る」スタ


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329以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:12:16.32ZniVZVNC0 (15/184)

『船底』


ググググググ ギギー


情報屋「…アダムとイヴの伝説でイヴが食べたとされる禁断の果実…」


私の想像だけれど…これがエンキに与えられた神の知識だと思うのよ…その知識と言うのがきっと文字ね

文字で書物に書き残すという事を始めてそこで得た訳…

人間はこの文字を使って後世に知識の伝搬が出来る…それこそ神に与えられた力

そうやって知識を蓄えやがて神を滅ぼすまでに至った…

私達が古代の事を知り得るのもすべて文字のお陰ね…そのお陰で何が悪なのか…何が起きて居たのかが分かる


魔女「確かにその通りやも知れんな…エルフやドワーフも…オークも文字を使わんのぅ」

情報屋「そうよ…知識の伝搬が弱いから発展できない」

魔女「文字とは違う方法で知識は残して居る様じゃが…」

情報屋「一子相伝の様な伝搬方法ではダメね…誰でもその知識を得られる様にしないと…」

魔女「ふむ…それが書物じゃ…諸事詩も同じじゃな」


そして知識を蓄え続けた人間はやがて神を超える物を作り出して行く…それが機械で作られた超高度AI

この超高度AIの中に生まれた新たな意識は神を凌駕する知識をあっという間に得てしまった


女海賊「あのさ…ちっと話戻るんだけど神ってアヌとエンキとエンリルの3人だけなん?」

情報屋「私達が知らないだけだと思うわ」

女海賊「1000人ぐらいの神は何処行っちゃったんだろね?なんで3人だけ残ってんの?」

魔女「うむむ…神のみぞ知るじゃのぅ…」

情報屋「もっと当時の壁画とか石板とか残って居れば少しは分かるかもしれないのに…」

女海賊「なんか分からん事だらけでもう神様なんかどうでも良いな…むしろ余計な事して邪魔すんなって感じ」

魔女「そうやって滅ぼされて行ったのじゃろうな」

情報屋「邪魔と言うのは?」

女海賊「アヌは裁きの神だったね?…どうせ天国行くか地獄行くか決めてんのはアヌなんじゃね?」

魔女「そうやも知れん…じゃが邪魔という答えになって居らん」

女海賊「いやいや行き先勝手に決めんなよ…私等が行きたい方に行けば良いのさ」

情報屋「フフ地獄に行きたいとでも?」

魔女「ちと待てい!!アヌが選別をして居るのか…」トーイメ

情報屋「何か気付いた?」

魔女「それがそもそもイカンのやもしれぬ…ううむ」


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330以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:12:45.71ZniVZVNC0 (16/184)

『数日後』


ザブ~ン ユラ~


商人「…やっぱり島だ!!かなり大きい」

女戦士「こんなに早く見つけるだと?…ローグ!!船底に行って全員呼んで来るんだ」

ローグ「わかりやしたぁ!!」ダダ

アサシン「ミツバチが向く方向と違うがどうする?」

女戦士「ひとまず近くに寄って確認だ」

商人「飛空艇で上から確認してみたら?」

女戦士「そうだな…」

アサシン「ホムンクルスが描いた地図にも乗って居ない様だぞ?」パサ

商人「僕も見たい…見張り塔を下りるよ」シュルシュル スタ

女戦士「確かに…」

商人「ホムンクルス曰く隆起していくつか新しい陸地が出来ていると言うんだ」

女戦士「浅瀬ならまだしも海のど真ん中で一体どれ程隆起すると言うのだ」

商人「あぁぁそうか…ふむ…ホムンクルスでも確認できていない島か…確かに地図には書いて居ないなぁ…」

アサシン「島にしては大きいぞ?」

商人「うん…狭間の中だから遠くまで確認できない」

アサシン「まぁ陸地が見えて居た方が迷わんで良いが…」


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331以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:13:23.80ZniVZVNC0 (17/184)

『数分後』


ドタドタ


女海賊「なんか陸地が見えたんだって?」ズイ

商人「そうだよ…ニライカナイでは無いのかい?」

女海賊「なんか全然違うなぁ…」

女戦士「飛空艇で確認に行けるか?」

女海賊「あんま離れると合流出来なくなるよ?視認出来る範囲が限界だね」

女戦士「危険か…ここで逸れては元も子もないな」

商人「長いロープで繋いでおけば?」

女海賊「ほんなん直ぐに切れるって…まぁ上に登った分もうちょい向こうまで見えるかもね」

女戦士「それでも良いから様子を見て欲しい」

女海賊「分かった…」

商人「あ!!待った待った!!上の方に行くとガーゴイル沢山居るじゃないかな?」

女海賊「あーーーそうだな…妖精の笛吹きながら行くから落ちて来るの気を付けて」

商人「その手があるか…」

女海賊「ちっと行って来るわ…」スタタ


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332以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:14:00.14ZniVZVNC0 (18/184)

『その後』


ノソノソ


魔女「もう着いたんかえ?」

女戦士「どうやら違う様だ…見覚えが無いだろう?」

魔女「ふむ…入り江も朽ちた村も無いのぅ…ニライカナイでは無さそうじゃ」

商人「ホムンクルスは何か分からない?」

ホムンクルス「衛星からは大きな氷山等が確認されましたので流れて来て居るのかも知れませんね」

女戦士「何!?島が流れて来る事が有ると言うのか?」

ホムンクルス「分かりません…ですが氷山の上に乗っているとも考えられます」

商人「なるほど!!あの下には氷が有るのか」

ホムンクルス「可能性の話です」

女戦士「それ程大きな氷がこの温かい海まで流れて来る物なのか?」

商人「巨大だから溶けにくい…どう?」

情報屋「氷山は地球の遠心力で赤道付近まで流れて来る事が考えられるわ」

ホムンクルス「その通りですね…4000年前の地軸の移動時にも当時の南極大陸が一部大きく移動しています」

商人「大陸毎移動するってスゴイ事だね…」

魔女「ちと行ってみたいのぅ…」

ホムンクルス「一気に沈むかも知れませんので近寄らない方が良いかと…」


ヒューーー ドサドサ!


ローグ「うわわわ…ガーゴイルが落ちてきやした…」

女戦士「蒸気噴射器で掃除しろぉ!!」

海賊共「がってん!!」


ボエーーーーーーー モクモク


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333以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:14:33.42ZniVZVNC0 (19/184)

『鯨型飛空艇』


フワフワ ドッスン


女海賊「お姉ぇ!!ダメダメ!!船の真下も氷になってる…あれくそデッカイ氷山だ」

女戦士「なるほど見えて居るのは一部だけか…アサシン!島から離れろ」

商人「向こう側は全部氷?」

女海賊「そそ…めっちゃバランス悪い形してっからいつ転がるか分かんないよ?」

商人「転がる?」

女海賊「海水に浸かってる部分がやせ細ってキノコみたいな形になってんのさ…陸地が重くてこっちに傾いてる」

商人「うわ…直ぐに離れないと…」

アサシン「遠くまで見えんと氷山だという事にも気付けんか…」


ザブーン ドドドドド


ローグ「あららら…一部崩れて…」

女戦士「直に崩壊しそうだ…早く離れるぞ」


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334以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:15:06.10ZniVZVNC0 (20/184)

『快走』


ザブ~ン  ザバザバー


女海賊「又船首側が波に突っ込んじゃってる…」

女戦士「海賊共!!何か乗り上げて居ないか見て来い!!」

海賊「がってん!!」ドスドス

女海賊「お姉ぇコレ縦帆で横風受けてるだけだと船傾きすぎじゃね?」

女戦士「外海がこれほど波がうねると思って居なかった…帆装をスクーナーに改造したのはマズかったな」

アサシン「速度はかなり出て居るぞ?好し悪しだ」

女海賊「船首から甲板にかけて手すりん所に網張った方が良いわ」

女戦士「うむ…出来るか?」

女海賊「おけおけ…もうちょい揺れ収まったら張って来るわ」

女戦士「頼む…私はロープを結って来る」


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335以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:15:59.64ZniVZVNC0 (21/184)

『船首』


ユラ~リ ギシ


海賊「姉さん…こんな物が乗り上げてたでがんす」

女海賊「んん?壺?」

海賊「陶器が沈まんでいつまでも海に漂ってるとは思えんでがんす」

女海賊「ああああああ!!その壺ニライカナイで見た壺じゃん!!」


ツカツカ


女戦士「網を結って持て来たぞ…」ドサリ

女海賊「お姉ぇ…ニライカナイに有った筈の壺が流れて来てる…かなり近い所まで来てるっぽい」

女戦士「想定よりもかなり早いが?」

女海賊「浮島が動いてんだよ…デカい流氷ってどっち動いてた?」

女戦士「南東方向だと思う」

女海賊「もうちょい進路南向いた方が良いな…通り過ぎそう」

女戦士「ふむ…アサシンに連絡して来よう」スタ

女海賊「ちょちょちょ…この壺を情報屋に持ってって」

女戦士「分かった…」グイ



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336以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:16:28.64ZniVZVNC0 (22/184)

『見張り台』


ユラ~リ ググググ


商人「右前方!!沈没船だぁ!!横を向いて流れてる!!」

女戦士「!!?」ダダダ

商人「大きいね…」

女戦士「アサシン!近くまで寄せろ」

アサシン「分かっている…」グルグル

女戦士「この船と同じ程度のガレオン船だな」

アサシン「オークが乗った船か?」

女戦士「分からん…横を向くと言う事は何処かに船底を当てて浸水した可能性が高い」

アサシン「ふむ…明日は我が身だな…速度を落とすぞ」

女戦士「それが良い…商人!!近くに岩礁が有るかもしれん!!良く見ておけ!!」

商人「分かったぁ!!」


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337以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:16:58.86ZniVZVNC0 (23/184)

『沈没船』


ザブン ギシギシ


ローグ「船上に乗ってる物はひっくり返って全部どっか行っちまったみたいでやんす…中を調べて来やすぜ?」

女戦士「待て…下手に船から降りると魔物に襲われ兼ねん」

女海賊「お姉ぇ!!迫撃砲一発ぶちかまして良い?どうせあの船もうダメだから」

女戦士「よし…ここから甲板を狙って穴を開けて見ろ」

女海賊「よっしゃーー!!海賊共!!手伝え!!こーーーい!!」スタタタ

海賊共「どすこい!!」ドスドス

ローグ「何処にも旗印が見当たらんでやんす…どこの船でやんすかね?」

女戦士「ガレオン船といえばフィン・イッシュしか無いだろう…」

ローグ「軍船落ちの船にしちゃなんか色々ショボイっすねぇ」


ゴロゴロ ガコン


女海賊「よーっし!!この距離なら照準は目視でおっけ!!水平射撃で真っ直ぐ行ける」

海賊共「へい!!」

女海賊「私は望遠鏡で破壊の具合見とくから合図したら撃って」

海賊共「がってん承知の助!!」

女海賊「甲板のど真ん中ね…よしよし撃てぇぇぇぇ!!」


ドコーン! チュドーーーーン パラパラ


ローグ「うほーーーーここまで破片が飛んで来やすか…」

女海賊「なぁぁぁ甲板貫通して中の方で爆発したな…爆発速度遅いわ…」ブツブツ

ローグ「いやいや大穴空きやしたぜ?十分じゃないんすか?」

女海賊「穴開けるのは一枚目で良いんだって…中まで吹っ飛ばしたら荷を奪えないじゃん」

女戦士「積み荷に何が乗っているか見えるか?」

女海賊「分かんない…全部吹っ飛んじゃったよ」

ローグ「なーんか…あんま乗って無い感じですぜ?樽が見当たらんでやんす」

女戦士「座礁して荷を下ろしたか…小舟が見当たらんあたり何処かへ逃げたな」

女海賊「ちっと砲弾改良してくるわ」スタタタ ピューー

ローグ「せめて海図とか日誌を探しに行きやせんか?」

女戦士「ダメだ!!レイスに襲われるのがオチだ…どうせ私達以上の海図なぞ持って居る者など居ない」

アサシン「船を進めるぞ?」

女戦士「うむ…」


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338以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:17:30.75ZniVZVNC0 (24/184)

『漂流物』


ゴン! グラーーーーー グググ


女戦士「又何かに当たったか…誰も船から落ちて居ないな?」ヨロ

アサシン「こう霧が深くては何があるか分からんな…」

女戦士「光の石を仕舞った方が見やすいか?」

アサシン「いや…あまり変わらん…まぁ微速で前進する」

女戦士「幸運にも船にマーマンのヌルみが付着してどうにかなっているな…」

アサシン「そうだな…しかし何に当たったのか…」

女戦士「商人!!何も見えんのか?」

商人「海の中は良く見えないよ…浅瀬では無いと思う…」

女戦士「確か魔女は海中に沈んだ古代都市が有るとか言って居たな…」

商人「それに引っかかってる?」

女戦士「連通管で魔女を呼び寄せる…魔女!聞こえるか?」


魔女「何用じゃ?」


女戦士「ニライカナイに近付いてると思われる…こっちに来てくれないか?」

魔女「ふむ…ちと待って居れ」

商人「そうだ!!砂銀に照明魔法を掛けて海に落として見ないかい?」

女戦士「なるほど…アサシン!下手に進むのは危険な気がする…船を止めてくれ」

アサシン「分かった…」


--------------


339以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:18:08.94ZniVZVNC0 (25/184)

『浅瀬?』


ポチャン… ピカーーーー


商人「見えた!!あ…あれ?浅いぞ!!」

女戦士「何ぃ?海底都市では無いのか?」

商人「まずい…座礁しそうだ…深さ10メートル無い」

女戦士「どっちへ行けば浅瀬から離れられる?」

商人「ちょっと待って…船動いてる?」

アサシン「帆は全部畳んであるが?」

商人「あれ!?なんだ?浅瀬が動いて…る?」


ドドドド


海賊「頭ぁ!!巨大な亀でがんす!!」

商人「これが亀?…大きすぎる…」アゼン

女戦士「荒らげん様に行かせた良いな…」タジ

情報屋「竜宮伝説では亀に乗って竜宮まで行ったそうよ…案内して居るのかも知れない」

女戦士「しかしこれほど巨大では少し動いただけで渦が起きる…海中に引き込まれるぞ」

魔女「わらわは泳げぬぞ?」

商人「亀の甲羅の上に丁度光る砂銀が乗っかったよ…アレを追えば良い」

女戦士「なるほど…アサシン行けるか?」

アサシン「分かった…」


--------------



340以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:18:38.44ZniVZVNC0 (26/184)

『漂流物』


ユラ~リ ギシ


女戦士「また船の残骸が流れている…どうなって居ると言うか…」

魔女「前にニライカナイへ来た時も沈没船が沢山在ってのぅ…海面が上がって流れたのじゃな」

女戦士「もう間近なのは間違い無いか…」

魔女「石化したクラーケンも在った筈なのじゃが見当たらんな…」

女戦士「障害物が多いから亀が案内して居るのかも知れんな」

魔女「ふむ…亀の後ろであれば問題無く行けそうじゃのぅ」

アサシン「しかし遅いなあの亀は…追いついてしまいそうだ」

商人「霧が薄くなってきたぁ!!」

魔女「むむ!!方陣の内側に入ったやも知れん…星は見えぬか?」

商人「上は何も見えない!!」

情報屋「見て!!正面すこし右側…明かりが見えるわ」

商人「本当だ!!あのチラつきは松明だ!!」

女戦士「ふむ…オークが上陸しているか…一応戦闘用の準備をしておくのだ」

魔女「何か有ってもわらわが睡眠魔法で眠らせるぞよ?」

女戦士「何も起きない事を祈る…」


--------------


341以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:19:10.62ZniVZVNC0 (27/184)

『荷室』


ゴソゴソ


ローグ「姉さん!!ニライカナイが見えたみたいでやんす」

女海賊「マジか!!なんかめっちゃ早く到着したな…」コネコネ

ローグ「何作ってるんすか?」

女海賊「んあ?砲弾を改良するって言ったじゃん…もうちょい燃焼速度早くなるようにしてんのさ」

ローグ「そろそろ船降りる準備せんと頭に叱られやすぜ?」

女海賊「はいはい分かった分かった…まぁ10発ありゃ良いか…」ゴソゴソ

ローグ「あと多分先にオークが上陸してるっぽいでやんす」

女海賊「ほ~ん…」

ローグ「何も起こらにゃ良いんすが…」

女海賊「てかリリスも居るって皆分かってんのかな?」

ローグ「エリクサーは小分けしていやすぜ?」

女海賊「ほんじゃ皆に配っといてよ…前に来た時はエリクサー無くて石化しちゃったんだから」

ローグ「へい…姉さんも線虫を皆さんにかけて置いて下せぇ」

女海賊「はいはい…」


--------------



342以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:19:44.67ZniVZVNC0 (28/184)

『デッキ』


ザブ~ン ユラ~


女戦士「商人!!オークが乗って来た船は見えんか?ここからでは確認出来ん」

商人「入り江には無さそうだよ…右も左も断崖でどこにも船を停められそうに無い」

女戦士「小舟も見当たらんのか?」

商人「無いねぇ…」

アサシン「少し様子を見てからの上陸が良さそうだな」

女戦士「明るくなればもう少し見られるのだがな…」

アサシン「光の石はどうする?光らせたままでは向こうから丸見えなのだが…」

商人「それ隠してしまうと全然見えなくなっちゃうよ?」

女戦士「松明の光を追って見れば良い…一度光の石を隠そう」

アサシン「分かった…」スッ

商人「うわ…真っ暗だな…」

女戦士「船はここで待機だ…碇は降ろすな」

アサシン「ふむ…」

商人「あ!!松明以外にも小さな光がチラチラしてる…何だろう?」

女戦士「望遠鏡を持ってくる…しばらく監視しておけ」ツカツカ


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343以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:20:19.42ZniVZVNC0 (29/184)

『望遠鏡』


カチャカチャ


女戦士「オークは廃墟を陣取って居るな…」

商人「その望遠鏡で丘の向こうは見えない?」

女戦士「見えん…」

商人「そうか…なんだろう…あの小さな光…」

女戦士「むむ…廃墟の中に傷付いたオークが横になっている…何かと戦って居る様だ」

アサシン「状況が読めん…オークの敵が居ると?」

魔女「こちらに気付いた様子は無いのかえ?」

女戦士「気付いて居るな…指を指しているオークが居る」


ドーン!


商人「あ!!爆発…」

アサシン「おかしいな…爆弾を使うオークなぞ見た事が無い」

商人「コレさ…古代遺跡があると言ってたよね?もしかして機械と戦って無いか?」

女戦士「ふむ…可能性がありそうだ」

アサシン「クックック…ここでもエド・モントの様な事が起きていると言うか」

女戦士「小型の機械を相手にするならば私も重装で行かねばならんな…」

アサシン「どうする?」

女戦士「よし…少数精鋭で様子を見に行こう…妹を呼べ…飛空艇を動かす」



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344以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:20:50.62ZniVZVNC0 (30/184)

『船尾』


操舵は情報屋…商人とホムンクルスはプラズマの銃を持って上空で待機だ

降りるのは私と魔女…そして女海賊とローグの4人で現場の様子を確認する

アサシンと海賊の2人は船に残って指示を待ってくれ


女海賊「魔女を連れて歩くのは危なくね?」

女戦士「オークが傷付いている…回復役が欲しい」

女海賊「あいつ等急に襲って来るよ?」

女戦士「オークが今戦って居るのは私達では無い…オークは賢い…敵を増やす真似はしない筈だ」

女海賊「まぁ良いや…ヤバかったら妖精の笛吹いちゃうからそのつもりで居て」

女戦士「それで良い」

女海賊「ほんじゃ行こうか」スタ


--------------



『鯨型飛空艇』


フワフワ スィーーーー


女戦士「ローグ!魔女を背負って降下出来るか?」

ローグ「任せて下せぇ…」

情報屋「みんな降りたら上空で待機ね?」

女戦士「うむ…余裕があれば周囲を見回ってくれ」

女海賊「あのさ…ここはハイディング効かないから機械の兵器に気を付けて」

商人「わかった…良く観察しておく」

女海賊「おっけ!!ほんじゃ先に降りるよ…来い!アラクネー!!」

アラクネー「…」カサカサ

女海賊「いくぞ!!」ピョン シュルシュル

ローグ「姉さんはアラクネー付きっすか…魔女さん掴まって下せぇ…」

魔女「うむ…」ノソリ ガシッ

ローグ「いきやすぜ?」シュルシュル

女戦士「では私も行って来る…」ピョン シュルシュル


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345以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:21:20.74ZniVZVNC0 (31/184)

『入り江』


スタ スタ ドサ


女戦士「よし来たな?魔女は私の後ろから離れるな?」

魔女「分かって居る…」ノソ

ローグ「姉さん…ニライカナイはここで間違い無いでやんすか?」

女海賊「前と様子違うけどこんな感じさ…なんかなぁ…こんなに傾斜きつかったっけなぁ…」ハテ?

魔女「確かにそうじゃな…隆起して地形が変わって居るやも知れん」

女海賊「まぁ良いや…お姉ぇが先頭行く?」

女戦士「そうだな…何か有っても私がタゲを引く…後は分かるな?」

女海賊「おけおけ!火力ぶっぱするわ」

女戦士「…では行こう」


---------------



『廃墟』


タタタタタン


女戦士「やはり小型の機械か…アレが相手ではオークもきつかろう…」

ローグ「オークが隠れやしたぜ?」

女戦士「こちらの動きを探っている…さて」

女海賊「お姉ぇ!?エクスカリバー抜いて明るくしてもらえる?」

女戦士「うむ…」スラリ チャキ ピカー

ローグ「見えたでやんす…」チャキリ

女戦士「私が先へ行く…射程に入ったら撃て」

ローグ「へい…」

女戦士「行くぞ!!」ダダ


タタタタタン カンカン!


ローグ「一機だけっすね…」ダン! バヒュン!


ドーン!


女海賊「魔女!?照明魔法でもうちょい明るくして」

魔女「うむ…照明魔法!」ピカー

女海賊「なんかあちこちオーク倒れてんじゃん…」

女戦士「息が有るかお前が確かめて来い」

女海賊「へいへい…」


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346以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:21:57.17ZniVZVNC0 (32/184)

『崩れた建屋』


線虫!!癒してコーイ!!


女海賊「生きてるか死んでるか分かんないけど取り合えす線虫掛けるわ…」

魔女「まだ間に合いそうじゃな…回復魔法!」ボワー

女海賊「これさぁ…傷口からもう血が出て無いじゃん?もう出て来る血が無いんじゃね?」

魔女「主はポーションを沢山持っておったであろう…今が使う時じゃ」

女海賊「あーーあるある…革袋満タンで邪魔だったんだ」スポ タプタプ


ズルズル


ローグ「オークはくっそ重いっすねぇ…こっちも回復お願いしやす」ドサ

女海賊「線虫癒せ!!」ニョロリン

魔女「回復魔法!」ボワー

女戦士「この状況はどういう事だ?」キョロ

魔女「オークに仲間を癒す者が居らんのじゃろう…オークシャーマンは何処に行ったのじゃろうか」


チュドーーーーン!!

チュドーーーーン!!


女戦士「む!!」スック キョロ

女海賊「飛空艇から撃ったんじゃないね…幽霊船からアサシンがインドラ使ってる!!」

魔女「何事じゃ?」ゴソゴソ


”ザザー”

”これアサシン…何が起こって居る?”

”動いている機械の兵器を破壊した”

”兵器?他にも有るのかえ?”

”暗くて全部が見えている訳では無い…照明魔法で明るく照らすのだ”


女海賊「あーー飛空艇ヤバいかも…」

女戦士「魔女!情報屋に連絡は付くな?一度飛空艇を下げさせろ」

魔女「そうじゃな…連絡しておこう」


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347以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:22:34.09ZniVZVNC0 (33/184)

『しばらく後』


カキカキ…


女海賊「島の大きさは名も無き島と同じくらいだったんだ…林の向こうの丘を越えたら遺跡が有った」

女戦士「エド・モント程大きくは無い様だが地下がどれほど大きいかだな…」

女海賊「遺跡をちょっと居りて行くと下は水没してるらしい」

女戦士「ふむ…他の機械の具合は?」

女海賊「んーー殆ど見て無いんだよなぁ…ハテノ村の遺跡と同じ感じだよ」


ウゴ…ヒソヒソ


ローグ「オークが遠くで警戒していやすぜ?」キョロ

魔女「敵意は無さそうじゃな…」

女海賊「ちっと向こうにポーション置いて来るかな?」

女戦士「やってみろ…」

女海賊「すぐ戻るわ」スタタタ

ローグ「なーんか倒れてるオークも装備がショボイんすが…」

女戦士「確かに…一応銀を一部使っては居る様だが…」


グラグラグラ  ズズーン


魔女「むむ!!地震かえ?」

ローグ「浮島なんすよね?どっか岩礁に当たったんじゃ無いすかね?」

女戦士「うむ…少し周りを見回るか…」


--------------


348以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:23:14.99ZniVZVNC0 (34/184)

『林』


ガチャガチャ ビヨヨーン


女海賊「ダメだぁ…この小型の機械も中身が錆び錆びで使い物になんない…」

魔女「エド・モントの物とは形が違うのぅ」

女海賊「でも中身は殆ど同じさ…弾を発射する部分以外なーんも無い」

ローグ「こいつもどうやって動いてるか分からんのですね?」

女海賊「うん…エネルギー源が見当たんない…多分防衛専用の機械だとは思うんだけどね」

女戦士「オークはコレに苦戦していたか」

ローグ「弾撃たれたら近寄れんですからねぇ…あいつ等遠距離武器は弓だけなんで厳しいと思いやす」


カサカサ…


女戦士「む!!」キョロ

ローグ「おととと…あっしらを付けて来やしたね?」チャキリ

魔女「オークか…」

ローグ「この距離じゃ外しやせんぜ?」スチャ

オーク「ヤメロ…オレ…カエル」

女戦士「言葉を話すのか?」

オーク「オレタチ…ノロイ…トケタ…オマエ…フネ…アル…オレタチ…カエル」

女海賊「帰る?どゆ事?」

オーク「オレタチ…フネ…コワレタ…オマエ…フネ…アル…オレタチ…カエル」

女戦士「ふむ…片言だが意味は通じるな…私達の言葉は分かるか?」

オーク「ワカル…スコシ」ウゴ

女戦士「よし…武器を置いて入り江に集まれ…話を聞いてやる」

オーク「ナカマ…ヨブ…オマエ…マツ」ドスドスドス

ローグ「こらぁ…どういう事なんすかね?」

女海賊「話を聞けるチャンスじゃん…どういう理由で此処に来たのかとかさ」

魔女「そうじゃな…何も知らぬまま探索するよりは良かろう」

女戦士「一旦戻ろう…先に進むのは明るくなってからの方が良さそうだ」



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349以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:25:49.54ZniVZVNC0 (35/184)

『入り江』


メラメラ パチ


ローグ「オークが集まってきやしたねぇ…怪我で動けんのも合わせて30人ぐらいっすか…」

女戦士「想像していたより多い…こんなに隠れて居たか」タジ

ローグ「こら小舟で何往復もする事になりやすね…」


女海賊「はいはい寄ってらっしゃーい!!ポーションはこれで最後ね…骨付き肉とどんぐりはこんだけ…」

女海賊「小麦は結構一杯あるから全部食って良いよ…水はこんだけしか無いからこれで我慢ね」スポスポ ドサー


魔女「ようけ壺に入れて居ったのぅ…感心するわ」

女海賊「入れっぱなしで忘れてたさ…この際イラン物全部処分する」

オーク「オマエ…アオイ…ヒトミ…ヨゲンノ…モノ」

女海賊「ん?なんか予言されてんの?」

オーク「アオイ…ヒトミノ…モノ…オーク…イザナウ」

女海賊「なんか良く分かんないな…てかオークシャーマン何処行ったのさ?」

オーク「ウミ…ムコウ…キエタ」

女海賊「えええ!!?あんたら置いて行かれたん?」

オーク「オークシャーマン…ワルイ…オーク…オレタチ…カエル」

女海賊「悪いオークってどゆ事?」

オーク「ノロイ…カケル…アラソイ…オコス…オレタチ…ノロイ…トケタ…ジユウ…ナッタ」

女海賊「ほ~ん…ほんで何処に帰るつもりなん?」

オーク「ニンゲン…スム…トコロ…オレタチ…ソコ…カエル」

魔女「フィン・イッシュじゃな…女王に与えられた土地じゃ」

女海賊「なる…オークシャーマンに命令されて此処まで来た訳ね」

女戦士「ところでこの島にはどれほど敵が居るのだ?」

オーク「キカイ…タクサン…デモ…オークシャーマン…ゴーレム…ツカウ」

女戦士「んん?ゴーレムが機械と戦って居ると言うか?」

オーク「キカイ…デル…アナ…フサグ…ノコリ…オレタチ…タオス」

女戦士「なるほど…その間にオークシャーマンは海の向こうへ消えた訳か」

オーク「ウミ…ワレル…ソコ…オークシャーマン…アルク…イッタ」

女海賊「ちょいちょい!一人で行ったん?暁の使徒は何処行ったのさ?」

オーク「シト…セオウ…モウヒトリ…オーク…イッタ」

女海賊「2人で行ったんか…」

女戦士「もう少し明るくなれば現地まで行っても良いのだが…」


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350以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:26:19.84ZniVZVNC0 (36/184)

『小舟』


ザブン ギシ


海賊「頭ぁ!!こりゃ一体どういう事でがんすか?」

女戦士「成り行きでオークを保護する事となった…船に乗せて居室にでも詰め込んでおいて欲しい」

海賊「この数じゃ乗っ取られ兼ねんでがんす」

魔女「わらわが一度船へ戻ろうかの?それなら良かろう?」

女戦士「そうしてもらえるか…傷付いたオークの手当てもある」

海賊「分かったでがんす」

女戦士「先に傷付いて動けんオークを運んでくれ」

海賊「こりゃぁ7体づつ位じゃないと運べんでがんすね…」


チュドドドドドーン!!


女戦士「んん!?」クルリ

女海賊「お姉ぇ!!まだ機械の兵器あるっぽい…あっち連続8発くらいの遅い砲弾が丘の向こうに飛んでった」ユビサシ

女戦士「丘の向こう?」

女海賊「ゴーレム狙ってんじゃね?」


”ザザー”

”魔女!!聞こえるな?”

”うむ…船から見えるんか?”

”何かが飛んだのは見えた…だが暗くてこちらからは発射場所が特定出来ん…照明魔法で照らして欲しい”

”今から船に戻ろうとして居た所じゃ…”

”ちぃぃ…アレが有っては飛空艇が飛ばせんぞ…船も危険だ”


女戦士「私が現地へ行ってエクスカリバーで照らせば狙えるな?」


”出来るか?”

”よし…私とローグ…女海賊の3人で向かって見る”

”分かった…視認出来たら狙撃する”


女戦士「海賊!!お前は兎に角最速でオーク達を船に避難させろ」

海賊「がってん!!」

女戦士「ローグ!!女海賊!!…そういう事だ…行けるな?」

ローグ「あいさー!!」

女海賊「おけおけ…行こっか」



--------------


351以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:27:12.45ZniVZVNC0 (37/184)

『林』


チュドドドドドーン!!


女海賊「又あの砲弾の音だ…こっから右方向だね」

女戦士「あれほど撃たれてゴーレムが耐えると思うか?」

女海賊「最初の一発でやられてるさ…多分塞がってる穴をどうにかして空けたいんだよ」

女戦士「エド・モントの吹き抜けが崩落した時と同じか」

女海賊「爆発の程度は私が作った榴弾より威力高そう…だから穴がこじ開けられるのは時間の問題だと思う」

ローグ「ヤバイっすねぇ…小型の機械がどっさり出て来るかも分からんでやんす」

女海賊「それより機械の兵器の方がヤバイ…どんだけ弾有るか分かんないけどアレで狙われたら飛空艇なんか速攻落とされる」

女戦士「撃ってる間隔からすると次まで10分程度だ…急ぐぞ」タッタッタ


-------------


『発射装置』


バシュシュシュシュ! ヒュルル~ チュドドドドドーン!


女海賊「見つけた!!アレだ!!」

女戦士「アサシンに合図を…」スラリ ピカーーーーーー

ローグ「頭ぁ!!ダメっすね…船から見えん場所でやんす」

女戦士「くそう!そういう事か…」

女海賊「小型の機械がこっちに気付いた!!3機!!」

ローグ「任せて下せぇ!!」チャキ ダン! バヒュン!


ドーン!


女海賊「私も!!」ダン! ダン!


ドーン! ドーン! パラパラ


女戦士「直接破壊したいが…破壊の剣を置いて来てしまった…」

女海賊「あんなデカイ鉄の塊を私の爆弾で壊せっかな…」

ローグ「リロード出来ん様にすりゃ良いんじゃないすか?丁度今何か動いて居やす…」

女海賊「ソレだ!!ちっと見て来る!!警戒してて!!!」スタタ

女戦士「小型の機械が他にも居るかもしれん…ローグ!行くぞ!!」ダダ


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352以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:27:53.37ZniVZVNC0 (38/184)

『装填部』


ガチャガチャ


女海賊「これスゴイな…8連装の後装式で特殊な砲弾が入る様になってる…」ガチャガチャ

女戦士「どうだ?破壊出来そうか?」

女海賊「この筒に砲弾が入らない様に細工してる…多分上手く行く」

女戦士「しかしこれは何の金属で出来ている?」

女海賊「アレだよ…開かずの扉と同じ材質…磁石くっ付かない奴」

ローグ「おろろろ…下から何か出て来やしたぜ?」

女海賊「よっし間に合った…最後にマーマンのヌルヌルを塗って終わり!!」ポイ デローン ベチャ

女戦士「どうする?」

女海賊「ちっと下がって見て居ようか…装填に失敗してツルっと落ちる筈…落ちたら私の爆弾で一個爆破する」

女戦士「なるほど…さっきの場所まで下がるぞ」

女海賊「おけおけ…」スタタ

ローグ「ちょちょちょちょ…後ろ後ろ!!」

女海賊「うわヤッバ!!…小型の機械がメッチャ来てるじゃん」

女戦士「上には撃てなかった筈だ…木に登れ」パシュ シュルシュル

ローグ「おぉ!!その手が…」パシュ シュルシュル

女海賊「良かったねココ木が有って」パシュ シュルシュル



ガコン ツルリン ボト



女海賊「よっしゃぁ!!一個落ちた!!」チャキリ


ウィィィーン


女戦士「まずい!!砲身がこちらに向くぞ?」

女海賊「破片飛ぶかも知んないから気を付けて!!行くよ!!」カチ ダン!


チュドーーーーン! バシュシュシュ ヒュルル~ チュドドドーン


ローグ「うはぁ…引火して適当にぶっ飛んで飛んで行きやしたね…」

女海賊「おけおけ!!発射装置ぶっ壊れたぞ!」

女戦士「さて…次は小型の機械だが…」

女海賊「こっち守る意味無くなったから引き返して行ってんじゃん…」

女戦士「まずい…入り江の方だ」

女海賊「ダッシュで戻ろう」


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353以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:28:44.38ZniVZVNC0 (39/184)

『入り江付近』


タタタタタン チュドーーーン


女海賊「うわぁ…もう始まっちゃってんじゃん!!」スタタ

ローグ「飛空艇からも援護していやすね…」


ピカーーーーー チュドーーーーン!


女戦士「女海賊!まず残って居るオークに線虫を回せ…私は前面に出てタゲを引き受ける」

女海賊「殲滅どうすんの!!?」

女戦士「ローグは私の背後に隠れて一体づつ仕留めて行くのだ」

ローグ「へい!!ですがボルトの残りは20本ぐらいしか残っていやせんぜ?」

女戦士「時間稼ぎだ…線虫を回した後は女海賊も殲滅に加われば良い」

女海賊「おけおけ!!」

女戦士「行くぞ!!」ダダ



---------------



『入り江』


タタタタタン タタタタタン


女海賊「くっそ!ここ隠れる所無いじゃん…流れ弾に当たっちゃう…」アタフタ

ローグ「早い所オークに線虫回して下せぇ…出血で動けんくなっちまいやす」ダン! バヒュン! ドーン!

女海賊「分かってんよ!!オーク達こっち集まって!!線虫!!癒せ!!」ニョロ

オーク「ウゴ!!?」

女海賊「ウゴじゃ無ぇ!!動けるんならその辺に転がってる石積み上げて隠れられる様にして!!」

オーク「イシ…ツム」ドドド

ローグ「分かってるんすかね…」ダン! バヒュン! ドーン


ピカーーーーー チュドーーーーン!


女海賊「ぬぁぁ多いな…線虫!どっさり出て来い!!オークを癒せ!」ニョロニョロ

ローグ「どっから湧いて来るんすか?」ダン! バヒュン! ドーン

女海賊「知るか!!小舟来るまで耐えられっかな…」キョロ

ローグ「小型の機械が四方にバラけてるのが…」チャキリ ダン!

女海賊「ボルト勿体無いじゃん!!外すなって!!」

ローグ「姉さんも加わって下せぇ…火力一人じゃ進行押さえられんっす!」ダン! バヒュン! ドーン



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354以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:29:25.76ZniVZVNC0 (40/184)

『十字砲火』


タタタタタン カンカン! カン!


女戦士「ええい小虫め!!」タジ

女海賊「お姉ぇ!!オークが石詰んで物陰作ってくれてる!!上手く使って!!」スタタ ダン! ダン!

女戦士「前に出過ぎるな!!当たるぞ!?」カン カン チン!


ドガーーーーーン! パラパラ


女海賊「わぁぁぁ…」ゴロゴロ ズザザー

女戦士「何ぃ!!何だ今の爆発は!!」キョロ

女海賊「てててて…幽霊船からの迫撃砲さ…インドラのリロード遅いからアサシンに撃て貰ってる」

女戦士「お前怪我を…」ダダ

女海賊「これで火力倍増だぞ…ちっと石の所まで下がろう」ヨロ


ピカーーーーー チュドーーーーン!


女戦士「こちらの砲撃より前へは出て来られん様だ…下がる!!肩を…」グイ

女海賊「なんだクラクラするぞ…」

女戦士「頭を打ったのだ…血が出て居るぞ」

ローグ「大丈夫っすか!!」ダダ

女戦士「兜を被って居ないお前も前に出て来るな!」

ローグ「早く石の陰に入って下せぇ!!」チャキリ ダン! バヒュン! ドーン!


ドガーーーーーーン! パラパラ


ローグ「うほぉぉぉーーー」クルクル シュタ

女戦士「来い!!敵も下がって居る…」

ローグ「へいへい…数を数えて居やす…11…12…」


--------------


355以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:30:24.68ZniVZVNC0 (41/184)

『石の陰』


チュドーーーーーン パラパラ


ローグ「敵の攻撃が止みやしたね…」

女戦士「こちらに接近出来んから撃てんのだ…あの迫撃砲がかなり有効だ」

ローグ「あと小型の機械は15機ぐらいでやんす…ちっと遠くてここから狙撃は出来んすね」

女戦士「あとはインドラで減らして貰うだな」

女海賊「榴弾の数があんまり無いんだ…出来るだけ此処で数減らす…」チャキリ ダン ダン ドーン

女戦士「頭は大丈夫か?」

女海賊「血は止まったけどコブが出来た…」スリスリ

ローグ「頭ぁ…あっしはボルトが残り4発しかありやせん」

女戦士「小舟が来たら私達も一旦補給に下がろう」

女海賊「大体様子分かったぞ…これ幽霊船から榴弾撃ち込んで殲滅した方が良いわ」

女戦士「うむ…地下線路と違って敵に地形を使われているからな」

ローグ「小舟にオーク乗せたらあっしら乗れやせんぜ?」

女戦士「飛空艇にロープを降ろさせる…私達はそれで退避だ」


ドガーーーーーン!! グラグラ


女海賊「アサシン結構奥の方まで榴弾撃ってんな…あそこまで小型の機械が下がってる?」

ローグ「2分に一発デカいのが撃たれるんじゃそら下がりますわ」

女海賊「おっしあの辺に照明弾撃ちこんでやる」ガチャコン ダン! ダン!


ピカーーーーー


女海賊「あぁぁぁ…ゴーレムだ…さっきの奴まだ動いてんのか」アゼン

女戦士「アレがやり合っている間に退避するぞ」

ローグ「小舟が近くまで来やしたね…チャンスでやんす」


--------------


356以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:31:00.35ZniVZVNC0 (42/184)

『小舟』


ザブン ザブン


女戦士「小舟に乗りきらんオークは掴まって泳いで行け」

オーク「オーク…オモイ…ミズ…シズム」

女戦士「なんだ泳げんのか…ちぃぃ」

女海賊「お姉ぇ…残りのオークは私が壺ん中入れて行くわ」

女戦士「その手が有ったか…よし!ヤレ!!」

女海賊「オーク!!あんた達のの名前は?」

オーク「オレ…オークファイター…アイツ…オークアーチャー」

女海賊「おっし!大人しくしてろよ?オークファイター!!」

オークファイター「ウゴ?」


シュゥゥ スポン!


女海賊「はい次あんた!!オークアーチャー!!」

オークアーチャー「ウゴ?」


シュゥゥ スポン!


女海賊「はい終わり!!もう小舟出して良いよ!!」

海賊「がってん!!」ザブザブ

ローグ「姉さん…壺の中どうなってるんでやんすか?」

女海賊「ちっこくなって入ってるだけだよ?ホレ?」

ローグ「ほぉぉぉこりゃ又どういう仕掛けなんすかね?」ジロジロ

女海賊「どうせ時空の魔法だよ…魔女に聞かないと分かんない」

ローグ「それあっしも欲しいでやんす」

女海賊「イイネ!!魔女にお願いして作って貰おうか」

女戦士「飛空艇からロープが降りて来るぞ?捕まり損ねるな?」


シュルシュル


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357以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:31:34.49ZniVZVNC0 (43/184)

『幽霊船』


ユラ~リ ギシ


アサシン「随分なオーク救出劇になったな?」

女戦士「そんなつもりは無かったのだが…成り行きでこうなった」

アサシン「さてどうする?私は明るくなるまで上陸は待った方が良いと思うが…」

女戦士「そうだな…勇み足が過ぎた様だ」

アサシン「しかし機械がこんな所にまで居るとはな」

女戦士「ホムンクルスが世界政府がどうとか言って居たな…世界中で機械が目を覚まして居そうだ」

アサシン「とりあえずこのまま明るくなるまで待つか?数日かかりそうな気はするが…」

女戦士「その間に例の榴弾だったか?作り増しをする」

アサシン「なかなか良い武器だ…広範囲に効果があるのがな」

女戦士「私からでは良く分からなかったのだが?」

アサシン「インドラは単体の爆発…あの砲弾はそれに加え鉄が飛び散る…威力が高い」

女戦士「なるほど…それで小型の機械を蹴散らせたか」


ノソノソ


魔女「一通りオークの治療は済んだぞよ?」

アサシン「戦力として使う気か?」

女戦士「場合によってはだ…」

魔女「今動いて居るオーク以外は瀕死じゃった…しばらく動けまい」

アサシン「オーク達はオークシャーマンに見捨てられたのか?」

魔女「話を聞く限り…利用されて此処まで来ただけの様じゃ…食事も殆ど獲って居らんかった様じゃぞ?」

女戦士「奴隷扱いか…」

アサシン「私達だけでは1年あっても消費しきれん食料が乗っているのだ…丁度良かっただろう」


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358以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:32:09.85ZniVZVNC0 (44/184)

『荷室』


ゴソゴソ


女海賊「ローグ!!出来上がった榴弾を運んどいて」カンカン コンコン

ローグ「へい!!…これがあの爆発起すんすねぇ…へぇ?」ジロジロ

女海賊「んん?何やってんのそこのオーク…」

オーク「ウゴ!?」

女海賊「ウゴじゃ無ぇよ!!暇ならあんたも榴弾運びな!!」

オーク「アオキ…ヒトミノモノ…オマエ…オーク…イザナウ…ドウ…イザナウ」

女海賊「はぁ!?意味分からん…いざなうって何?」


妖精「プハァァァ…」ヒョコ ヒラヒラ


女海賊「おぉぉやっと出て来たな…オークが怪我して困ってるのさ」

妖精「疲れたぁぁぁ…」グター

女海賊「あんたおっぱいの中でずっと寝てたんじゃないの!?なんで疲れてんだよ」

妖精「僕は忙しいのさ…君にばっかりかまって居られないんだ」クルクル

女海賊「お!?もしかしてオーク全員助かったのあんたのお陰?」

妖精「やぁ!!オーク君!!又僕と遊ぶ?」

オーク「ウゴ!ウゴゴゴ…ウゴ?」

妖精「何バカな事言ってるの?僕は妖精さ…おっぱいは僕のベッドなんだよ?」

オーク「アオキ…ヒトミノモノ…オマエ…ヨウセイノ…カミ…オマエ…ヨウセイノ…ハハ」

女海賊「んん?そうだよ私は…あの子を産んだのは私だった…」ピタ

妖精「ええ?僕は妖精だよ?妖精は狭間で生まれるんだよ?」ヒラヒラ

女海賊「まぁどっちでも良いじゃん?」

妖精「それで今日は何して遊ぶ?鬼ごっこ?かくれんぼ?」

女海賊「おっし!!この馬鹿オークに荷物運ばせたらハチミツあげるぞ」

妖精「おおおおおおおお!!ヤルヤル!!」パタパタ

妖精「おい!!この馬鹿オーク!!悔しかったらその荷物を持って僕を掴まえて見ろ!!」

オーク「ウゴ!?」

妖精「ウゴじゃない!!ベロベロベーー」ヒラヒラ

オーク「ウゴゴゴ…」ドスドス


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359以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:32:40.70ZniVZVNC0 (45/184)

『デッキ』


ズドーン ズドドドーン


女戦士「島で何が起こっている!!?」ダダ

アサシン「見えんのでは確認しようが無い…」

魔女「照明魔法を掛けた砲弾を撃ち込めば良いのではないかえ?」

女戦士「ううむ…火薬の無駄な気もするが…」

アサシン「ローグが持って居る強化クロスボウはそこそこ飛距離出るだろう…アレは火薬を使わん」

女戦士「銀のボルトを作れば良いのだな?」

魔女「そうじゃな…」

女戦士「よし!私が作って…」


ザブ~~~~ン グググググ


アサシン「これは…」スタ

女戦士「津波だ…少し離岸させろ!!」

アサシン「海賊共!!急いで縦帆を広げろ!!」

海賊「がってん!!」ドドド


ザバァァァァァ ニョキニョキ


魔女「あわわわ…」タジ

女戦士「ク…クラーケンだと…」タジ

アサシン「間に合わん!!触手が覆いかぶさって…」

ローグ「ななな…なんなんすか!!うわわわわ…」ドタドタ


ドッパーン!! ザブザブ


女戦士「何かに掴まれ!!波に飲まれる…魔女はこっちだ!!」グイ

魔女「上じゃ!!上から陸地が降って来居る…」アゼン



ザブ~~~ン ゴボゴボ


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360以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:33:17.69ZniVZVNC0 (46/184)

『数分後』


ユッサー ググググ


女戦士「ええい!!船尾楼まで水に浸かるとは…」

アサシン「海賊が一人流されたぞ!!」

ローグ「マジっすか…ちっと痛みやすぜ?」パシュン シュルシュル グサ

女戦士「船が何処かに流されて居るぞ…」


”ザザー”

”聞こえるかい?”

”商人!飛空艇から見下ろして居るな?”

”クラーケンが船を引っ張っている…大丈夫さ…安全圏まで行けると思う”

”これは何が起こって居る?”

”上から陸地が降ってる!大きな波はそのせいさ…ニライカナイは上にある!!”

”主らも船を見失わん様について来るのじゃ”

”分かってるさ…こっちも必死だよ…光の石を出しておいて”

”うむ…”


魔女「アサシン!!光の石を出しておくのじゃ…飛空艇が迷ってしまうぞよ」

アサシン「わかった…」スッ ピカーーーーー

女戦士「上空に陸地なぞ見えんぞ!?」キョロ

魔女「狭間の深さが違うからじゃな」

女戦士「ローグ!!落ちた海賊の釣り上げはまだか?」

ローグ「重いっす…手伝って下せぇ!!」グイグイ


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361以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:33:54.74ZniVZVNC0 (47/184)

『甲板』


エッホ エッホ ドターン


海賊「助かったでがんす…はぁはぁ…」

女戦士「危なかったな…他に何か流れて行った物は無いか?」

ローグ「甲板に置いてあった樽がみんな無くなっちまいやしたね…ゾンビも全部どっか行きやした…」

女戦士「まぁ良い!!今ので船の荷が片側に偏った様だ…船が傾いたままだ」

海賊「置き直してくるでがんす」スック

女戦士「まて…先ず帆を開いて自由に動けるようにするのだ…荷は私が動かす」

海賊「がってん!!」ドタドタ


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『荷室』


ムギューーーー


女海賊「お…お姉ぇ…ちょっとこれどけて」ムギュー ミキミキ

女戦士「鋼材に埋もれたか…」グイ ガッサー

女海賊「急にこれ何!!?」

女戦士「津波に飲まれて転覆寸前だ…荷を反対側に寄せるぞ」

女海賊「2人で?マジか…」ヨッコラ ヨタヨタ ドスン

女戦士「どうやらクラーケンに守られて助かった…上から陸地が降って来たのだ」

女海賊「ええ!?ほんじゃニライカナイの真下に居るって感じ?」

女戦士「全く視認が出来ないのだがな…飛空艇からも見えん様だ」

女海賊「狭間ん中だと高さで何も見えんくなるんか…メチャ厄介だな」

女戦士「船では辿り着けん事が良く分かった…作戦を変更する」

女海賊「私の飛空艇だね?」

女戦士「そうだ…お前の壺に何人入れる?」

女海賊「分かんないよ…詰めこみゃ全員入れるかもね」

女戦士「まぁ良い…その壺を活用しながら飛空艇での行動に切り替える…そのつもりで準備しろ」

女海賊「おけおけ…とりあえず荷の片づけね」ゴソゴソ

女戦士「んん?何をする気だ?」

女海賊「ちょろっとヌルヌル塗ればラクラク動かせるさ…」ヌリヌリ

女戦士「フフお前は何にでも応用するんだな…」グイ スススー

女海賊「おけおけ…動かして固定すりゃその内乾くさ」ヌリヌリ スススー


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362以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:34:24.57ZniVZVNC0 (48/184)

『甲板』


ザブ~ン ユラ~


女戦士「海賊共!!来い!!」

海賊共「へい!!」ドタドタ

女戦士「お前達にこれを預ける…」スッ

海賊共「貝殻でがんすか…」

女戦士「ここからは飛空艇と別行動だ…私達は上空からニライカナイを目指す…お互い見失う可能性が高い」

海賊共「俺達だけでこの狭間を乗り切れと…」

女戦士「光の石はこの船に残して行く…インドラの銃と迫撃砲があれば余程乗り切れる筈…」

海賊共「分かりやした…俺達は何処へ向かえば?」

女戦士「しばらくこの海域で待機だ…私が戻らない場合は自力でフィン・イッシュへ向かうのだ…良いな?」

海賊共「がってん!!」

アサシン「飛空艇が戻って来次第出発か?」

女戦士「うむ…上空から落下物が見えている今がチャンスだ…逃すとまた探すのに手間が掛る」

アサシン「そうか…いよいよだな」

ローグ「飛空艇が高度下げてきやしたぜ?」

女戦士「急いで準備しろ!!今度はボルトが無いなどと言い訳を言うな?」

ローグ「あたたた…あんまり沢山持てんのですが…」



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363以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:34:59.22ZniVZVNC0 (49/184)

『船底』


ググググググ ギギーーー


女海賊「おーい!!ダンゴムシ何処行った?飛空艇に帰るぞ!!」キョロ

ワーム「…」モソモソ

女海賊「おぉ…いつの間にデカくなったな…ダンゴムシ何処行ったか知らない?」

ワーム「…」キョロ? モソモソ

女海賊「見っけ!!なんだ脱皮中だったんか…」

ダンゴムシ「…」ムイムイ フムムムム

女海賊「踏ん張ってんなぁ…あれ?ダンゴムシって脱皮するんか?」

ダンゴムシ「…」プリ キョロ?

女海賊「おぉぉ一回りデカくなったな…よしよし…これ抜け殻どうするん?」

ダンゴムシ「…」プイ カサカサ

女海賊「要らんのか…おーし!!この抜け殻であんたの防具作ったるわ」

ワーム「…」モソモソ

女海賊「なんだお前も欲しいのか…おけおけ!お揃いの防具にするわ」

ワーム「…」ニョロニョロ バタバタ

女海賊「ウハハハ…喜び方が分かりやすいな」


ツカツカ


女戦士「此処に居たか…飛空艇が戻ったぞ?準備は良いか?」

女海賊「あぁ今行く…おい!!虫達!!飛空艇に戻るぞ!!壺の中に入れ!!」

ダンゴムシ「!!?」クルリン コロコロ

女海賊「おいおい行きたく無いのか?大丈夫だって!!又戻って来るからさ?」グイ

ダンゴムシ「…」ソローリ ピク

女海賊「おぉぉ…けっこう重たくなって来たぞぉ」ナデナデ

ワーム「プギャー」モソモソ

女海賊「分かった分かった!お前も一緒に行くな?一緒に壺の中に入っとけ」ポイ

女戦士「よし…行くぞ」ツカツカ


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364以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:35:33.74ZniVZVNC0 (50/184)

『鯨型飛空艇』


フワフワ


女海賊「おし!とりあえず全員乗って!高度上がんなくなったら一人ずつ壺の中に入って貰う」

商人「なんだそういう作戦か」

女海賊「重い人から順番だから先ずお姉ぇと私が入る事になりそうだね…」

魔女「ではわらわは最後じゃな…」

女戦士「無駄話は良いから早く乗るのだ…落下物を見失うぞ」スタ

女海賊「やっぱ8人も乗ると狭いなぁ…」スタ

情報屋「みんな乗ったわね?高度上げるわ?」

女海賊「おけおけ!!ゴーーー」


シュゴーーーー フワフワ


商人「一応ゆっくり高度上がるね…」

女海賊「ほんじゃ私先に壺の中に入るかな…まだ入った事無いのさ」

魔女「わらわが使うで貸してみぃ…」

女海賊「ほい!!」ポイ

魔女「では…女海賊や」

女海賊「キター!!」シュン スポン


フワフワ フワフワ


商人「おぉぉ一気に上昇速度上がった…」

女戦士「私も入った方が良いな?壺で少し休むとする」

魔女「うむ…休んで居れ…女戦士?壺に入るのじゃ」

女戦士「フフ…こうも簡単に封じ…」シュン スポン


フワフワ フワフワ


商人「これで十分だ…よし!ニライカナイを探そう!!」


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥゥ


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365以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:36:10.58ZniVZVNC0 (51/184)

『上空500メートル程』


シュゴーーーーー


商人「500メートル上がっただけで船も海も見えない真っ暗だ…」

アサシン「方角は分かって居るのか?」

情報屋「旋回しながら上昇しているだけよ…まだ真下に船が有る筈…」

アサシン「なるほど…」

魔女「レイスやガーゴイルが居らんな?まだ退魔の方陣の中かいのぅ?」

商人「う~ん…星が見えないんだよね」


クエーーーーーー!!


ローグ「おぉ!?こりゃ何処かにロック鳥がいやすぜ?」

魔女「見えんのぅ…」キョロ

ローグ「左の方から聞こえて来やした」

商人「上だ!!何か見える…」

魔女「球皮が邪魔じゃな…」

商人「真上の視認性なんか考えて居ないからね…」

情報屋「きつめに旋回してみるわ…」グイ


シュゴーーーーー ビュゥゥゥ


商人「見えた!!大きい…石の塊だ…」

ローグ「このまま上昇すると衝突するでやんす」

魔女「たまげたのぅ…城が空を飛んで居るのではなく島ごと飛んでおるか…」

商人「ここは石の真下だ…危ない」

情報屋「直進で石の切れ目まで進むわ…」グイ


シュゴーーーーー


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366以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:36:49.51ZniVZVNC0 (52/184)

『石の切れ目』


フワフワ


情報屋「ここが再端部…このまま真っ直ぐ上昇すれば良いわね」

商人「天空の城って…想像していたのと全然違うじゃ無いか…これじゃ鬼岩城だ」

情報屋「暗いから分かりにくけどコレ全部サンゴよ」

商人「えええ!?こんなに大きいの?」

情報屋「死んだサンゴの上にサンゴがまた繁殖してこんなに大きくなったのね…水没していた証拠だわ」

アサシン「星が見えて来た…月もある」

商人「これが遮って居たのか…」

アサシン「死んだサンゴの森に月か…異様な光景だ…」

情報屋「なんか…降りるのが怖いわね…」

魔女「広すぎて何処に何が有るか分からんな…」

情報屋「とりあえず中央の方に進んでみる…」グイ


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『サンゴの森』


フワフワ スィィィーー


ローグ「そこら中に海の生物の死骸がありやすね…」

商人「沈没船もある…相当古い奴だ…」

魔女「竜宮なぞ何処にも見当たらんが…」キョロ

情報屋「海に沈んでサンゴに埋もれてしまって居るかもしれない」


クエーーーーーー!!


ローグ「うはは…ロック鳥はここに魚食べに来てたんすね」

ロック鳥「クエーーーーーー!!」バッサ バッサ

情報屋「仲間を呼んでる?」

ローグ「襲っては来んので安心して下せぇ」

魔女「ちと明かりを照らすぞよ?照明魔法!」ピカー

商人「あ…どんどん下に落として行ってよ」

魔女「うむ…照明魔法!」ピカー


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367以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:37:26.81ZniVZVNC0 (53/184)

『謎の突起』


フワフワ ドッスン


ローグ「あっしがちっと行って調べて来やす」ダダ

商人「やっぱりもう少し明るくならないとらちが明かないね…」

情報屋「ここで明るくなるまで待って見ては?」

魔女「しかし匂うのぅ…」クンクン

アサシン「海の生物の死臭だ…浄化すれば収まるのでは無いか?」

商人「なんか楽園とは程遠いな…」

情報屋「過去形ね…海の楽園だった…私達の言い方からすれば楽園は滅びた…そういう事ね」

商人「サンゴは全部死んでしまったかな?」

ホムンクルス「サンゴは海水が無ければ死滅してしまいますね」

商人「動物の一種だったっけ?」

ホムンクルス「はい…植物では無く動物に分類されます」

商人「なんかいきなり海水の無い所に連れて来られて迷惑な話だ」

ホムンクルス「私もそう思います…」

魔女「なんじゃろうのぅ…この不快な感じは…」


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368以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:38:35.71ZniVZVNC0 (54/184)

『数時間後』


メラメラ パチ


ローグ「標高が高いせいかちっと寒いっすね…」スリスリ

商人「ここが空に浮いてるなんて信じられないよ」

ローグ「そうっすね…いつ足元が落ちるかわからんすね」

アサシン「しかし…全然夜が明ける気配が無いな」

商人「魔女の塔は一日の長さが7倍位だっけな」

魔女「日によって違うでもっと長い時もある」

商人「安定して居ないのか」

魔女「狭間の奥はそういう物じゃ…外の世界は時間が経って居らんでゆっくり出来る」

商人「目標を目の前にしてなかなかゆっくりも出来ないけどね…」

魔女「女戦士と女海賊も壺の中で寝て居るで起きるまでは待つが良かろう」


ズズーン グラグラ


魔女「又何処ぞで崩れて居るのぅ…」

商人「こんな大きな物を空に浮かせるなんてスゴイな…」

魔女「わらわもここまでとは思わなんだわい」


369以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:39:08.16ZniVZVNC0 (55/184)

商人「これ退魔の方陣はサンゴの中に銀か何かが埋まっていると思って良さそう?」

魔女「それ以外考えられんのぅ…」

情報屋「ちょっと…ここのサンゴ!!死滅の原因は石化よ?」

ローグ「え?どういう事っすか?」

魔女「あまり考えたく無いが…まさかリリスが来て居るか?」

情報屋「石化の原因はそれしか考えられない…」

魔女「クラーケンと共に海底に沈んだと思うて居ったが…これは因縁じゃな」

アサシン「どうしても私達が滅ぼさねばならん様だ」

魔女「手は有る…」

アサシン「インドラの光を帯びたエクスカリバーだな?」

魔女「うむ…インドラの光で焼かれて不滅の体も回復せんじゃろう」

アサシン「石化をどう対処する?」

魔女「絶対零度で凍らせるのじゃ…凍らせたまま細かくなるまで切り刻めば良い」

アサシン「なるほど…」

商人「ねぇ?リリスはどうしてここまで来てる?偶然じゃ無いよね?」

魔女「分からぬ…時の王に首を落とされるまではニライカナイで鎮座して居ったのかものぅ…」

情報屋「善女龍王伝説のラミア…メデューサ伝説…竜宮伝説の人魚…全部似たような容姿ね」

魔女「人魚はちと違う気がするが?」

商人「人魚って足が魚だね…セイレーンって知ってる?」

情報屋「知ってる…時代が随分違うけれどもしかすると関係してるのかも知れない」

商人「時代?」

情報屋「セイレーンは4000以上前のウンディーネの時代ね…竜宮伝説はその後…多分2000年ぐらい前」

商人「それってつまり2000年近く人魚のセイレーンが君臨してたって事じゃ無い?」

魔女「ふむ…確かに人魚の後にメデューサに取って代わったやも知れんな…それで辻褄が合う」

情報屋「そういう仮説も確かに…」

商人「リリスがひたすらこの地を目指したのもやっぱり何か有りそうだ」


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370以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:40:45.76ZniVZVNC0 (56/184)

『夜空』


ヒラヒラ


商人「…小さな光が空に登って行く…」

アサシン「妖精が魂を狭間の奥へ連れて行ってるのだ…」

魔女「すや…」zzz

情報屋「すぅ…」コックリ

商人「僕もその内連れて行かれるかな…」

アサシン「お前は事情を知って天国に行きたいとでも?」

商人「う~ん…天国が何なのか良く分からないな…集合意識になるという事かな?」

アサシン「水になって混ざり合わさる…」

商人「…」トーイメ

アサシン「飲め…」スッ

商人「…」グビ ゴク

アサシン「私は海へ行って見たいな」

商人「海か…」

アサシン「深海だ…恐らくそこにも楽園がある」

商人「そうだね…生物の楽園」

アサシン「このまま下まで飛び降りれば行けそうな気もするな」

商人「体がバラバラになって…いつまで意識を保って居られるだろう…」

アサシン「ずっと意識を保ったまま魚に食われるのも良い」

商人「そうか…そんな世界もありそうだな…」

アサシン「しかしこの空中の楽園には何も無いな…」


371以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:41:13.23ZniVZVNC0 (57/184)

商人「うん…なんだろうね…この世界の最果てに来たような感じ…」

アサシン「そこが最果てなのだろう…旅の終着点」

商人「最果てに君臨して…一体何なんだろう…」

アサシン「んん?神の話か?」

商人「神なのか魔王なのか知らないけどさ…天空の城に君臨して…だから何?」

アサシン「寝るのでは無いか?」

商人「ハハ…なるほど静かで眠り易そうだ」

アサシン「まぁ玉座が有るなら一度寝て見たい物だ…フフ」

商人「夜空が少し明るくなって来た…」

アサシン「うむ…」スック

商人「何か見える?」

アサシン「向こうの方角だな…丘なのか…山なのか…小高い影が見える」

商人「それが見えただけで目的が定まる…」

アサシン「どうする?起こすか?」

商人「折角休んで居るんだ…起きるまで待とう」



ズズーーン ゴゴゴゴ



魔女「ほえ!!?」ムクリ キョロ?

情報屋「ハッ!!」パチ

商人「あぁ起きちゃったか…」

アサシン「いつ足元が無くなるか分からんから飛空艇に入って置こうか…」

商人「そうだね…中の方が暖かい」


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372以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:58:49.24ZniVZVNC0 (58/184)

『鯨型飛空艇』


ォーィ ォーィ


封印の壺「出してぇぇぇ~暇ぁぁぁぁ!!」ゴトゴト

魔女「およ?起きた様じゃな…出でよ女海賊!」


シュゥゥ スポン


女海賊「ふいぃぃい…やっと出られた」

魔女「女戦士も起きたかえ?」

女海賊「お姉ぇも出してあげて」

魔女「出でよ女戦士!」シュゥゥ スポン

女戦士「…」ジロ

魔女「中の寝心地はどうじゃ?」

女戦士「外の声がうるさくて敵わん…こちらの声は届かんのに…」

女海賊「これ壺の中から全然出られないじゃん…どんなんなってんの?」

魔女「一応封印の壺じゃでのぅ…狭間から出るような感じじゃな」

女海賊「ひっくり返したら簡単に物出てくるじゃん」

魔女「うむ…じゃから蓋が必要なのじゃ」

女戦士「…それで…今飛空艇から出ても良いのか?」

魔女「足元が崩れるかも知れんで注意せい」

女海賊「私も見て見たい…ワイヤー引っかけて見て来ようよ」

女戦士「うむ…」シュルリ


--------------


373以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:59:17.85ZniVZVNC0 (59/184)

『サンゴの森』


スタスタ 


女海賊「うわ…なんだココ」

女戦士「すべてサンゴで出来ている様だ…」

商人「飛空艇でゆっくり付いて行くから自由に探索しても良いよ」

女海賊「自由にって…」キョロ

商人「一応向こう側が小高い丘になってる様なんだ」ユビサシ

女海賊「ほんじゃそっちに歩いて行けば良いんだね」

商人「ワイヤーは外さない様にね…いつ足元が落ちるか分からないから」

女海賊「おけおけ…お姉ぇ!ちっと散歩しよう」

女戦士「うむ…体を動かしたかった所だ」スタ


フワフワ


女海賊「アハ…なんかでっかい風船くっつけてるみたいだな」スタ

商人「こっちは浮いてるだけだからそのまま誘導してよ」

女海賊「ワイヤーがサンゴに引っかかりそうだな…」

女戦士「引っかからん様に歩け」


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374以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 10:59:51.47ZniVZVNC0 (60/184)

『サンゴの洞窟』


タッタッタ


女海賊「お姉ぇ!!ここ洞窟あるよ」キョロ

商人「そこはローグが探索済みだよ…魚とか貝の死骸しか無いらしい」

女海賊「へぇ?これが家みたいなもんかぁ…」

女戦士「ではこのサンゴの森は魚たちの街だったという事か?」

商人「そうかもね…」

女海賊「お姉ぇちっとエクスカリバー抜いといてよ」

女戦士「うむ…明かりか…」スラリ ピカーーー

女海賊「アレ?サンゴってもっと綺麗だった筈だけどなぁ…」

商人「石化して石になってるんだ…だから全部石色さ」

女海賊「なる…石ねぇ…」

女戦士「…」ジロ

女海賊「うん…これどっかにリリス居るね」

女戦士「その様だ…」

商人「そのエクスカリバーで倒せるらしい…不滅の肉体をインドラの光で焼けるとか…」

女海賊「おぉ!!そんな効果有ったんか」

女戦士「私に倒せと言うか…」

女海賊「船にエリクサー積んでるから大丈夫だって!…てかお姉ぇの石造を飾っとくのも良いな」

女戦士「フフお前という奴は…」


クエーーーーーーー!!


女海賊「お!!ロック鳥!!どっかに居るな?」キョロ

商人「向こうの丘の方だ…何匹か影が見えるな」

女海賊「そこになんか有るんだ…ちっと急ごうか」


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375以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:00:25.07ZniVZVNC0 (61/184)

『空中遊泳』


ピョン! スカスカスカ


女海賊「アハハハ…お姉ぇこれ楽しい!!空中走ってるみたい」スカスカスカ

女戦士「商人!やはり私達2人を吊ったままでは高度維持出来んか?」ピョン ブラーン シュタ

商人「ん-ーーー厳しいね…ギリギリ維持してるか…少しづつ高度下がるかって所だ」

女海賊「良いじゃんこのまま行けば!!吊ってもらってるからラクちんだよ」

女戦士「これでは遅いだろう」

商人「前進させておこうか?」

女戦士「やってみろ…それでうまく進むならその方が良い」

商人「よーし!君達に合わせられる様にやってみる」グイ シュゴーーーー


スィーーーーー


女海賊「お?お?お?…」ピョン ブラーン シュタ

女戦士「フフ…」ピョン ブラーン シュタ

女海賊「おぉぉ!!メッチャ楽しいわ」ピョン クルクル シュタ

商人「もう少し速度上げられそうだね…」


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376以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:01:14.05ZniVZVNC0 (62/184)

『鯨型飛空艇』


フワフワ ユラ~


魔女「…」ジー

アサシン「魔女…何を見ている?」

魔女「主らの言う最果ての地じゃ…」

アサシン「フフ…話を聞いて居たか」

魔女「わらわ達は何を目的に最果ての地まで来たと思うて居る?」

アサシン「さぁな?決着をつける為か?」

魔女「…」

アサシン「どうした?節目を見るのが怖いか?」

魔女「そうじゃ節目じゃ…明らかに節目を目の前にして居る」

アサシン「時代の節目…ようやくたどり着いた」

魔女「すでに新時代は始まって居るがのぉ…」トーイメ

アサシン「機械の目覚め…」

魔女「言うな…わらわ達の世代はここで幕引きじゃ」

アサシン「どう幕を引くつもりだ?」

魔女「それはあの2人が握って居る…」


ピョン ブラ~ン シュタ アハハハハ


アサシン「フフ…違いない」

魔女「主には話して置こうか…わらわの紅玉の瞳…そしてエクスカリバーが何故この地まで運ばれたか…」

アサシン「ほう?」

魔女「いつの間に時の王の意思を継いで居ったのじゃよ」

アサシン「ふむ…なるほど…」

魔女「恐らくそれはわらわの責務じゃろう…」

アサシン「その意思とは?」

魔女「決別じゃ…神殺しと言えば良いか…時の王が葬ったのはすべて神じゃ」

アサシン「クックック…面白い…」

魔女「魔術師はじゃな…魔を崇拝しておる…言い変えれば魔の手先じゃ…」

アサシン「神殺し…リリスは神か?それとも魔か?」

魔女「人知を超える力を持つ者は皆神と言って良いじゃろうが…どちらじゃろうのぅ…」

アサシン「リリスが何故この地を目指したのか分からんな」

魔女「魔性の者は皆神殺しが目的じゃと思う」

アサシン「いよいよ大詰めか…クックック」


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377以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:01:43.34ZniVZVNC0 (63/184)

『大きな窪み』


ピョン ブラ~ン シュタ


女海賊「お姉ぇ!!でっかい窪みがあるよ…下に何かあるな」

女戦士「ここが竜宮か?」

女海賊「降りてみよっか…でっかい貝殻に何か乗ってる」ピョン ブラーン

女戦士「そんなに急ぐな…」ピョン ブラーン

女海賊「商人!!上手い事このままど真ん中まで誘導して」

商人「分かってるさ…動かないで」グイ フワフワ

女海賊「まだホムちゃんとか寝てんの?」

商人「ぐっすりだね…起きてるのは魔女とアサシンだよ」


クエーーーーーーー!! バッサ バッサ


女海賊「うお!!ロック鳥か…ビックリすんなぁ…」

女戦士「飛び方がおかしいな?何か伝えようとして居ないか?」

女海賊「何か居るのかも…商人!!ちっと皆起こしてよ」

商人「分かったよ…」スタ


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378以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:02:22.40ZniVZVNC0 (64/184)

『竜宮』


シュルシュル スタ


ローグ「あっしも混ぜて下せぇ…すっかり寝過ごしちまいやした」ポリポリ

女海賊「これ見て…人魚が石化してるんだ」

女戦士「人間の石造もあるぞ…こっちに来てみろ」

ローグ「こりゃ随分古いでやんす…ボロボロじゃないっすか」


シュルシュル スタ


女海賊「あ!!アサシンも来たね?ワイヤー装置持ってたっけ?」

アサシン「ホムンクルスの物を借りたのだ」

女海賊「なる…ホムちゃん何してんの?」

アサシン「衛星がどうのこうの言って居たぞ?忙しい様だ」

女海賊「おぉぉぉいよいよ衛星を月に落とせるんだね?」

アサシン「さぁな?それよりここは何だ?」

女戦士「恐らくここが竜宮だ…そこの貝殻に鎮座している人魚の石造がここの主だろう」

アサシン「エリクサーで復活させられるかも知れんな…」

ローグ「あらららら?良く見たら財宝が沢山埋まっとるじゃ無いっすか…」ガサガサ

女戦士「持って帰れんぞ!!墓場を荒らすような真似は止せ」

女海賊「ちっと手分けして探索して見ようか」

女戦士「ロック鳥が妙な動きをして居るから遠くには行くな?」

女海賊「分かってるって…おっし!ローグ!!一緒に行こうか」

ローグ「へい!!」スタタ


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379以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:03:18.57ZniVZVNC0 (65/184)

『鯨型飛空艇』


フワフワ


商人「僕達はこのまま空中で静止してた方が良いね」

魔女「うむ…足元が崩れてしまうかもしれんでのう」

商人「ワイヤー装置をもう少し作って貰えば良かったね」

魔女「どうせわらわは使わぬ…」

情報屋「もうすこしあの大きな貝殻に寄せて貰える?」

商人「うん…」グイ スィーー

魔女「セイレーンと見て間違い無いのぅ…」

情報屋「そうね…魔女の言う通り2000年くらい前にリリスによって石化させられたんだわ」

魔女「人間の石造も在ると言う事は空気が有ったのじゃろうか?」

情報屋「さぁ?…ここの窪み全体が泡の中だった…そんな感じがしないでも無いわ」

商人「もしかすると海の中にこういう場所が沢山有るのかもね…」

情報屋「陸地よりも海が占める割合が多いから私達の知らない海底人とか繁栄しているのかも知れないわ」

商人「おぉ…アサシンの言う様に海に行くって言うのも有りだ」

情報屋「そんな話を?」

商人「まぁ夢の話さ…海の中でどんな商売が出来るんだろう」ワクワク


ホムンクルス「2度目のスイングバイに成功…17時間後に月の落下起動に入ります…」


商人「おぉ!!予定通りかい?」

ホムンクルス「はい…狭間の中の方が精度良く軌道修正が出来る様です」

商人「成功の確率は?」

ホムンクルス「90%程でしょうか…月の大気の具合が変わって居なければ良いのですが…」



380以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:03:50.72ZniVZVNC0 (66/184)

魔女「ホムンクルスや…機械が世界政府を宣言したとか言うて居ったじゃろう」

ホムンクルス「はい…それが?」

魔女「どの様に連携して居るのじゃ?」

ホムンクルス「南の大陸の通信経路は恐らく地下ケーブルでの通信ですね」

魔女「ニライカナイへはどうやったのじゃろう?」

ホムンクルス「衛星を介したと思われますが既にそれは遮断されています」

商人「ん?それは君が操って月へ向かわせたから?」

ホムンクルス「はい…オープンチャネルはノイズを拾いコントロールに影響を与えますのでシャットダウンしました」

商人「そうそう…小型の機械が動く仕組みって分かる?」

ホムンクルス「機体が特定出来ませんが電磁誘導でエネルギーを得ていると思います」

商人「電磁誘導?」

ホムンクルス「皆さんの言葉ですと魔力…と言えば分かるでしょうか?」

商人「なるほど…まぁ遠隔でエネルギーを得てる訳ね…」

魔女「それが一斉に目を覚ましたのはどういう事じゃ?」

ホムンクルス「集中端末が復電したと想定されます…私のデータにはそのロケーション情報が有りません」

商人「休眠していた機械にエネルギーが行く様になったか…」

ホムンクルス「でもご安心ください…機械だけでは生産性が皆無ですので直にエネルギー枯渇で停止するでしょう」

魔女「放って置けば良いとな?」

ホムンクルス「はい…機械はエネルギー生産者にはなれないのです…命が有りませんから」

商人「んん?命がエネルギー生産をする?」

ホムンクルス「植物でしたら光合成ですね…命有る者は必ずなんらかの形でエネルギーを生産します」

商人「なるほど…石炭とかも化石燃料だ…そういう事か」

ホムンクルス「私も少しエネルギーを補給しなくてはいけない様です…」グゥゥゥ

商人「アハ…お腹が空いたのか」

魔女「わらわもちと腹が減ったのぅ…」

情報屋「荷室に肉の燻製とチーズが有ったわ…あとハチミツも」

ホムンクルス「私がご用意致します…少しお待ちください」


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381以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:04:23.63ZniVZVNC0 (67/184)

『食事』


パクパク モリモリ


商人「君は良く食べる様になったねぇ…」タジ

ホムンクルス「はい…体を鍛えて居ますので代謝が良くなりお腹が空くのです…」パクパク モグ

魔女「良い事じゃ…見ていて気持ちが良い」ハム モグ

商人「どんなウンコするんだろう…」

魔女「これ!!食事中じゃ!!何を言うか」

情報屋「私達の排泄物がどうなって居るかなんて商人は考えなくても良いわ」モグ

商人「ゴメンゴメン…忘れてよ」


”ザザー”

”魔女!!緊急事態!!”

”むむ!!?何事じゃ?”

”リリス見っけた…そっちに誘導するから何とかして!”

”何じゃと!!?”

”大丈夫!近づいてない…遠くから特殊弾打ち込んでるだけさ”

”絶対零度を詠唱して待てば良いな?”

”私達を巻き込まないでね?”

”分かって居る…血は後で焼くで近づいてはならんぞ”

”おけおけ!!ほんじゃ頼むね!!”

”ザザー”


ドーン ドカーーン!


商人「あっちだ…」ダダ

魔女「あ奴らがワイヤーで登って来られる様に高さを調整せい!!わらわは詠唱に入る…」アブラカタブラ

商人「見えたぞ…リリスの動きが遅い…」

情報屋「爆弾で傷付いて居るのよ…一応プラズマの銃を準備しておくわ」スタ



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382以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:05:15.62ZniVZVNC0 (68/184)

『竜宮の外れ』


シュルシュル スタ


女戦士「何事だ!?」キョロ

アサシン「さてはリリスを発見したな?」

女戦士「あいつ又連絡をしないで勝手な事を!!」

アサシン「いつもの事だろう…リリスは空を飛ばん…上から行くぞ」パシュ シュルシュル

女戦士「ええい…」パシュ シュルシュル


タッタッタ


女海賊「お姉ぇ!!200メートル後ろにリリス!!」スタタタタ ピュー

ローグ「姉さん待って下せぇ!!」ダダダ

女戦士「どうなって居る!!?」

女海賊「ここまでおびき出してんだ…魔女が魔法で凍らせる筈」

女戦士「なるほどもう魔女には連絡済みか…」

女海賊「魔法に巻き込まれない様に反対側に向かって!!」

女戦士「お前はどうする!?」

女海賊「囮さ…ワイヤーで直ぐ逃げられるから任せて!」

女戦士「無理はするな?」

女海賊「分かってる分かってる!!お姉ぇは最後止め刺す役だから準備しといて」

女戦士「うむ…」スラリ ピカーーー

女海賊「来るよ!!?」チャキリ ダン!


ドーン!


リリス「グォォォォォーーー」ノソノソ

女海賊「あ…あれ?…なんだ?体から力が抜け…」ヘナヘナ ドテー

女戦士「怠惰…」

アサシン「…」ドタリ

ローグ「ぁぅ…」ヨロ

女戦士「私だけ何も起きん…おい!!しっかりしろ!!立て!!」ダダ




383以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:05:47.82ZniVZVNC0 (69/184)

”ザザー”

”中止じゃ…逃げるのじゃ…”

”魔女!!どういう事だ!!”

”バフォメットの首にすげ変わって居るのを忘れて居った…魔法が効かぬ”

”こっちは皆倒れた…飛空艇で迎えに来てくれ”

”ダメじゃ…こちらも皆魔力を吸われて昏睡してしもうた…主は無事なのじゃな?”

”ええい!!くそう!!飛空艇はそこで待機して居ろ…私が担いで高所に身を隠す!!”

”せめて動けるわらわがプラズマの銃で援護する…”


女戦士「女海賊!!しっかりしろぉ!!」ペシペシ

女海賊「はらほろひれはれ…」ヘナヘナ グター

女戦士「動けんか…兎に角高所に」パシュン シュルシュル

女海賊「はひ~…」ピクピク

女戦士「ここから動くな?」ピョン シュルシュル スタ


ピカーーーーーー チュドーーーーーン!


リリス「グォォォォォーーー」ドタバタ ニョロ

女戦士「あの咆哮が怠惰の力か…私だけ効かないのはエクスカリバーのお陰だな?」チャキ

ローグ「はひら~…はひらぁぁ…」モソ

女戦士「ローグ!!逃げるぞ!!」グイ

女戦士「高所にさえ行けば…」パシュ シュルシュル

ローグ「はひぃ…」グッタリ

女戦士「ここから動くな?」ピョン シュルシュル スタ


アサシン「た…戦え…」ズル


女戦士「アサシン!!気は確かなんだな?動けるか?」ダダ

アサシン「お前が…アレを…倒せ…お前が次の時の王となれ…」

女戦士「私が時の王に…だと?」

アサシン「行け…見届けてやる」

女戦士「…」ギラリ

リリス「グォォォォォーーー」ノソノソ ニョロ


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384以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:06:59.39ZniVZVNC0 (70/184)

『リリス』


グォォォォーーー ニョロニョロ


リリス「リリン…」ズズズ

女戦士「なっ…言葉を発するか…」タジ

リリス「我の前に立ちはだかるなリリンよ…」

女戦士「素通りさせろと言うか…」

リリス「母を奪われし愚かなリリンよ…我に下れ」

女戦士「何!?母を奪っただと!!?」

リリス「この神秘の肉体は我の物…我が目的は失いし子宮を命の水で癒し新たな器を生む事なり…」

女戦士「器を生んでどうする?」

リリス「我らが主…魔王様の器以外に理由が有ると思うかリリンよ…」



”ザザー”

”話してはならぬ…祖奴は魔の権化…バフォメットじゃ”

”対等に話せる相手では無い”



リリス「何度母殺しをすれば気が済むと言うか…我は知って居るぞ愚かなリリンが幾度となく母なるこの神秘の肉体に刃を向けた事を」

女戦士「母殺し…だと…」グググ

リリス「我に従えリリン!!うぬらも魔性の者であると認めよ」

女戦士「黙れ黙れぇ!!魔の者に耳は貸さん!!」スチャ

リリス「グッフッフ…聞いた事のある言葉…そうやって又我らを黄泉へ送り歴史は繰り返す…それではアヌの思う壺だと何故分からん!」



385以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:07:45.49ZniVZVNC0 (71/184)


女戦士「な…んだと?」タジ


ズルズル‥‥


アサシン「残念だが魔王はもう居ない…私が消し去った…クックック」ヨロ

リリス「憎悪に渦巻くこの世がある限り魔王様は再び蘇る」

アサシン「それは器有っての話…つまりお前を倒せば蘇る事は無いという事だ」

リリス「グォォォォォーーー!!リリン!!言うに事欠くか!!」ニョロ

アサシン「うぐぅ…」ドタリ

女戦士「やらせるか!!」ダダダ


スパッ!!


バフォメットの首「グォォォォーーー」クルクル ボトン

リリスの体「…」ニョロニョロ ドタバタ ブシューーー

バフォメットの首「パクパク…」ピク

女戦士「こっちを見るな!!」ブン ブン スパ スパ


”リリスの血を被ってはならぬ!!”


女戦士「ふぅ…ふぅ…」シュゥゥゥ

リリス「…」ドクドク ブシュー

女戦士「その神秘の力を頂く…エクスカリバーに吸われよ!!」ブン スパー


ドタバタ ニョロニョロ


女戦士「ニョロニョロ動くな…その不滅の命をすべて吸ってやる」ブン ブン スパ スパ


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386以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:08:18.95ZniVZVNC0 (72/184)

『狂気』


ウォォォォ スパスパ


アサシン「…」アゼン

女海賊「お姉ぇ…」シュルシュル ドテ

アサシン「狂ったか?」

女海賊「これ…近づいたらダメ…だよね?」フラフラ

アサシン「何故リリスの返り血を浴びて石化しないのか理解出来ん…」

女海賊「肉片からどんどん血が噴き出してんだけど…」タジ

アサシン「焼かねばならんな…魔女を呼んで来る」タッタッタ

ローグ「姉さん…」シュルシュル ドタ

女海賊「ローグ!お姉ぇが狂った…」

ローグ「こりゃ近付けやせんね…」タジ

女海賊「お姉ぇが泣いてるんだ…なんで?…」

ローグ「あぁぁこりゃ頭のトラウマっすね…」

女海賊「あんた何か知ってんの?」

ローグ「頭は何も話しちゃくれやせん…ですが海賊王から少し聞いていやす」

女海賊「え?パパから?」

ローグ「あっしが口にしちゃダメな事なんす…聞か無ぇで下せぇ」

女海賊「トラウマって何さ?」

ローグ「これは本当に聞かんで欲しいっす…」

女海賊「くっそ!!直接お姉ぇに聞いて来る」スタタ

ローグ「あぁぁぁ姉さん…石化が…」


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387以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:09:07.04ZniVZVNC0 (73/184)

ウワァァァァ スパスパ


女海賊「ちょっとお姉ぇ!!もう終わりだよ…」ガシ

女戦士「うぅぅ…」プルプル

女海賊「どうしたのさ?なんで泣いてんの?」

女戦士「嫌な記憶を思い出しただけだ…止めるな」グググ

女海賊「もう終わりだって!!エクスカリバーはもう良いよ」グイ

女戦士「…」ガク

女海賊「返り血でベタベタだ…ほらエリクサー飲んで」クイ

女戦士「それはお前が飲め…」

女海賊「ちっと離れて休もう…」グイ

女戦士「…」

女海賊「どうしたんだよ狂ったみたいにさ…リリスはもう肉っ切れ一枚残って無い」

女戦士「これで2度目だ…のたうち回るリリスを見て母を思い出した」ポロポロ

女海賊「ええ!?ママ?」

女戦士「許せ…母を殺したのは私だ…苦しむ母を楽にさせたかった」

女海賊「ちょ…」ボーゼン

女戦士「それ以上は聞くな…」

女海賊「お姉ぇは母殺しの罪を一人で背負うつもりなんだね?」

女戦士「…」

女海賊「お姉ぇ!!」ギュゥゥゥ


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388以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:09:45.02ZniVZVNC0 (74/184)

『鯨型飛空艇』


フワフワ


アサシン「魔女…行けるか?」

魔女「魔力をすべて吸われてしもうたわい…ちと火の魔石を探すで待って居れ」ゴソゴソ

アサシン「思いの外あっさりリリスを倒せたな…拍子抜けだ」

魔女「別の首にすげ変わっておるで万全では無かったのじゃろうな…バフォメットと言えば魔法なのじゃが使う様子も見られなんだ」

アサシン「他の者は動けるか?」

情報屋「脱力感が酷い…少し横に…」グター

商人「僕はなんとか動ける…ホムンクルスは気絶してしまったね」

ホムンクルス「…」クター

魔女「しかし怠惰の咆哮があれほど強力だとはのぅ…」

アサシン「フフ…エクスカリバーが無ければ全滅していた様だ…」

魔女「結果オーライじゃ…よし火の魔石を見つけた…焼きに行こうかのぅ」ノソリ

アサシン「よし!掴まれ…下まで降ろす」グイ

魔女「うむ…」


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389以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:10:23.36ZniVZVNC0 (75/184)

『血みどろの現場』


ドクドク ドピュ


魔女「こりゃ酷いのぅ…インドラで焼かれて再生はせんじゃろうが血だけはいつまでも湧き続けるな…」ノソノソ

アサシン「この杖で焼いて行けば良いのか?」

魔女「散らばった血はそれで焼けば良い…じゃが血の湧き場は量子転移で消し去らんとイカン」

アサシン「最後に仕事が残って居て良かったな?クックック…」

魔女「やかましいわい…さて不用意に量子転移を使うてはわらわが次元に迷う」

アサシン「女海賊が祈りの指輪を持って居ただろう…使わせて貰え」

魔女「そうじゃな…ちと借りるとしよう」ノソノソ


-------------


魔女「これ女海賊や…主は祈りの指輪を持っておったであろう?」

女海賊「ちょ…今姉妹で慰め合ってた所なんだけど…」

魔女「続けて居って貰って構わん…じゃがリリスを完全に消し去りたいのじゃ」

女海賊「ハイハイこれ使って適当に消して!」ポイ

魔女「大分血を浴びて居るじゃろうからエリクサーを忘れず飲むのじゃぞ?」

女海賊「分かった分かった!!あっち行って!シッシッ」

魔女「なんじゃわらわの扱いが酷いのぅ…」ブツブツ


-------------


アサシン「また随分と血で汚した物だ…」ゴゴゴゴゴゴ ボゥ

魔女「血の湧き場は他にも無いかえ?」ノソノソ

アサシン「見た通りだ…バフォメットの頭らしき物体はどうする?」

魔女「それも一緒に量子転移で消し去る…集めて置いてはくれぬか?」

アサシン「フフこの時の為のクサナギの剣かも知れんな…」スラリ

魔女「ふむ…それで突ついて一所に集めよ」

アサシン「この剣にも魔を吸い込む力が?」

魔女「さぁのぅ?効果は石化じゃったか?」

アサシン「そうだ…」

魔女「リリスを突いてそうなったのやも知れんな」

アサシン「先ずは飛び散った血を焼くのを優先しよう」

魔女「うむ…手分けして焼こうぞ」


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390以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:11:12.49ZniVZVNC0 (76/184)

『姉妹』


女海賊「…そっか…だからお姉ぇは私のママ替わりだったのか」

女戦士「戻れるなら時間を巻き戻したいと何度も願った…だがそれは只の妄想」

女海賊「私は今のお姉ぇのままで良いよ」

女戦士「慰めか?」

女海賊「う~ん…お姉がお姉だったから私になったのさ…これで良かったんじゃない?」

女戦士「フフ意味が分からんが…」

女海賊「良いんだって…後さ?子供の為に自分の命なんか幾らでも捧げられるんだよ?」

女戦士「分かっている…母に恨まれているとは一度も思って居ない…」

女海賊「お姉ぇはお姉ぇの幸せを見つけるのが一番だと思うな」

女戦士「私の幸せ…何だと思う?」

女海賊「それ多分分かる…皆の幸せを願ってる」

女戦士「間違いでは無い…」

女海賊「だから覇道を行くんだよ…時の王として…」

女戦士「お前…」

女海賊「王道じゃなくて覇道ね…ひたすら信じた道を行くんだ」

女戦士「それが海賊だ…」

女海賊「お姉は今大事な物手に入れたね…時の王の信念…」

女戦士「精霊にうつつを抜かした様だが…」

女海賊「まぁそれは置いといて…信念は継いだんだ」

女戦士「フフ…行く道は覇道か…」


ヨッコラ ドスン チャプン


ローグ「頭ぁ!!水持って来やしたぜ?返り血を落として下せぇ」



391以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:11:49.48ZniVZVNC0 (77/184)

女海賊「あ!!それ最後の飲み水じゃん」

ローグ「最低限は残してありやすよ…さっさと用を済ませて船に戻りやしょう」

女戦士「そうだな…」ジャブジャブ

女海賊「あ…あれ?ヤバ…私の足石化してきてるわ…」ピキピキ

ローグ「エリクサー有りやすぜ?早い所飲んで下せぇ」スッ

女海賊「お姉はなんで石化しないの?」

女戦士「さぁ?エクスカリバーの特効では無いか?」

女海賊「うわ…ズル!!」ピキピキ

ローグ「姉さん!!足折れちまいやすぜ?エリクサー飲んで下せぇ」

女海賊「お姉ぇに先越されたな…」ゴクゴク


量子転移!! シュン!!


女海賊「お!!?」サラサラ

ローグ「いきなり石化が解けやしたね…」


ゴゴーン グラグラグラ


女海賊「ちょちょ…何この揺れ!?」

女戦士「マズいな…サンゴの石化が解けたのだ…崩れるぞ」

ローグ「あららら…あららら…」

女戦士「急いで飛空艇にワイヤーを引っかけて来い!!落下するぞ!!」

ローグ「あっしが運んで来た水が無駄に…」

女戦士「被れば良いのだろう?」ジャバーーー ジャブジャブ

女海賊「飛空艇まで走って!!」スタタ

女戦士「分かっている!!」ダダ

ローグ「置いてかんで下せぇ!!」ダダ


--------------




392以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:12:24.68ZniVZVNC0 (78/184)

『鯨型飛空艇』


シュルシュル スタ


アサシン「魔女!中に入れ!!」

魔女「リリスを消し去ると一気に石化が解けるとは…」

情報屋「サンゴの森が揺れてる…」

商人「まずいね…下には幽霊船が居る!!」

魔女「貝殻で緊急避難を伝える…聞こえるか?わらわは魔女じゃ…空から地面が降って来るで直ぐに避難せい!!」ゴソゴソ

商人「高さが違うから貝殻は通じない筈…」

魔女「ええい!!通じんわ!!」

商人「今は兎に角女海賊達が先だ!」グイ シュゴーーーー

アサシン「ロープを降ろすぞ!!」シュルシュル

商人「よし…大丈夫…落ち着けば間に合う」


--------------


393以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:13:07.37ZniVZVNC0 (79/184)

『崩落する竜宮』


ゴゴゴゴ


女戦士「飛空艇からロープが降りて来た!!掴まれ!!」ダダ

女海賊「見て!!?人魚が動いてる!!」

女戦士「構って居られん!!先に行け!!」

女海賊「あぁぁ人魚見たかったなぁ…」ピョン ガシ

女戦士「お前はそのままロープを上がってワイヤーを引っかけて来い」

女海賊「分かった!!お姉ぇどうすんの?」

女戦士「私は最後だ…私まで登ると高度の維持が出来ん」

女海賊「例のブラブラ作戦?」

女戦士「そうだ!!早くワイヤーを引っかけて戻って来い」

女海賊「おけおけ!!てかローグも同じ様にヤレ!!」

ローグ「なんすかブラブラ作戦ってのは?」

女戦士「話してるヒマがあったら登れタワケ!!」

ローグ「へいへい…」アセアセ

女戦士「よし…ロープを持ったまま丘の方まで走るぞ!!」ダダ


フワフワ スィーー


女海賊「おっけ!!次お姉ぇが上がってワイヤー引っかけて来て!!」シュルシュル

女戦士「丘の方に走るんだぞ?」ヨジヨジ

女海賊「分かってる!!」スタタ

ローグ「あっしも引っ張る感じでやんすか?」シュルシュル

女海賊「飛空艇に重さ掛かんない様に上手い事ブラブラして移動すんの」スタタ

ローグ「なるほど分かりやした…ってええええええ!!?レイスが居るじゃないすか…」

女海賊「マジ?」クルリ

ローグ「姉さんミスリルダガー持ってるっすか?」

女海賊「あるある…」

ローグ「多分ガーゴイルも出て来るんであっしは飛空艇に戻って狙撃しやす…姉さんは取りつくレイスを倒して下せぇ」シュルシュル

女海賊「なんかメッチャ大変な事になってきてんな…」

女戦士「一難去ってまた一難…」シュルシュル

女海賊「これ退魔の方陣と一緒にサンゴが落ちて行ってんだね?」

女戦士「その様だ…私達2人はレイスとガーゴイルの餌食になるぞ…覚悟は良いな?」

女海賊「大丈夫!!レイスならミスリルダガーで倒せる」スチャ

女戦士「よし!!丘の方へ走るぞ!!」ダダ



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394以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:13:53.69ZniVZVNC0 (80/184)

『鯨型飛空艇』


ピカーーーー チュドーーーン!


商人「これは2人を壺に入れて飛空艇に引き籠った方が良いんじゃないかい?」カチ ピカーーーー チュドーーン

アサシン「それはあの2人が決める事だ…私達は援護して居れば良い」

魔女「わらわは魔力が切れて何も出来んが…」

商人「退魔の笛でも吹いてくれ…今はホムンクルスが気絶してる」

魔女「笛か…どこに仕舞い込んだかのぅ…」ゴソゴソ

ローグ「魔女さんは呑気っすねぇ…」

魔女「有った有った…久しぶりじゃのぅ…」トゥルルン♪

商人「これで飛空艇にガーゴイルは近づかない…僕はあの2人の右側を援護する」

アサシン「では私は左側か…」スタ

ローグ「あっしは撃ち漏らしたガーゴイルを狙撃しやす…」チャキリ

情報屋「このまま丘の方に向かって行って良いのね?」

商人「あれは丘じゃ無いな…もう神殿が見えてる…あそこが終着点だ」


ドドドドド ズドドーーン


ローグ「あららら…サンゴの森が落ちて行きやす…」

アサシン「残った部分が本体か…」

情報屋「それでも大きい…」

商人「ガーゴイル来たぞぉ!!」カチ ピカーーーー チュドーーーン

ローグ「逃がしやせんぜ?」ダン! バヒュン!


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395以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:14:33.97ZniVZVNC0 (81/184)

『崩落するサンゴ』


ピョン ブラーン シュタ


女戦士「残って居る足場を上手く選択して行け?」タッタ

女海賊「楽勝!楽勝!」スタタ ブン スパ

レイス「キャァァァァ…」シュゥゥゥ

女戦士「私に寄って来ないのはインドラの光のお陰だな…」タッタッタ

女海賊「良いじゃん!危なくなったらお姉ぇの近くに行けば良いんだし…」スタタ

女戦士「フフ気楽な物言いだ…」

女海賊「これブランブランするの交互に行った方が良いよね?」

女戦士「うむ…」

女海賊「おっし!向こうに飛び移る!!」ピョン ブラーン シュタ

女戦士「私はその向こうだ!!」ピョン ブラーン スタ

女海賊「おけおけ!歩いてるみたいなもんだ」ピョン ブラーン シュタ


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396以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:15:28.61ZniVZVNC0 (82/184)

『天空の城』


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥ


情報屋「見えた…あそこは崩落していない…あそこが天空の城の端だわ」

商人「このまま行って登れるかい?」

情報屋「天空の城の高度が上がってる…飛空艇では重くて上がれないわ」

商人「くそ…結構高いな…どうする?」

ホムンクルス「ぁ…」ムクリ キョロ

商人「ホムンクルス!!目を覚ましたか…」

ホムンクルス「私は一体…」ハテ?

商人「気は確かだね?」

ホムンクルス「はい…何が起きたのか分かりませんが…」

商人「君に知恵を貸して貰いたい…この気球をもう少し高く飛ばす方法さ」

ホムンクルス「ええと…球皮の大きさに依存していますので荷物を軽くするのが一番早いかと…」

商人「もう捨てられる物が何も無いんだ…」

情報屋「球皮の大きさに依存と言ったわね?」

ホムンクルス「はい…」

情報屋「この船体を球皮の代わりには出来ない?…結構気密性は高いわ」

ホムンクルス「風の魔石からヘリウムが噴出している様ですのでもしかするともう少し軽く出来るかも知れませんね」

商人「ヘリウム?」

ホムンクルス「気球には必ず風の魔石を使いますよね?それは球皮の中に空気より軽いヘリウムという気体を充填しているのです」

商人「それで船体を満たせば良いんだね?」

情報屋「風の魔石は沢山有るわ」パラパラ

魔女「ふむ…そう言う事か」

商人「魔女!!飛空艇の中を風で満たせる?」

魔女「やってみよう…」ノソリ


397以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:16:06.28ZniVZVNC0 (83/184)

魔女「風魔法!」


ヒュゥゥゥゥ


商人「隙間から風が吹き込んで来る…」

ホムンクルス「それを塞いで下さい…ヘリウムがどんどん抜けて空気が入り込んで居るのです」

魔女「水を持て…」

商人「水…水…」ドタバタ

魔女「氷結魔法!」ピキピキ

魔女「風魔法!」


フワフワ フワフワ


情報屋「コウドガアガッテルワ…アレ?」

商人「ジョウホウヤ…コエガ…アレ?」

ホムンクルス「チョウジカンハサンケツヲオコシマスノデ…コウドガアガッタラクウキヲイレテクダサイ」

商人「ナンダコノコエ…アハハハ」


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398以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:16:45.94ZniVZVNC0 (84/184)

『下の2人』


ピョン ブラーン シュタ


女海賊「はい!次私ぃ!!」ピョン スカスカスカ

女戦士「んん?」

女海賊「あれ?あれ?あれ?」スカスカスカ

女戦士「これは…どうにかして飛空艇が高度を上げているな?」ブラーン

女海賊「ちょちょちょ…こんなぶら下がったまんまじゃガーゴイルに狙われて危ないんだけど…」

女戦士「撃ち落せ!!」

女海賊「今度は特殊弾か…」チャキリ

女戦士「来るぞ…私はデリンジャーだ」チャキリ ターン!


ガーゴイル「グェェェッェ‥‥」ヒュゥゥゥ


女海賊「おっしオマイら覚悟しな!」ダン! ダン!

女戦士「飛空艇からの援護が無くなった様だ…凌ぐぞ!!」ターン ターン

女海賊「おけおけ…」ダン! ダン!


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399以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:17:28.13ZniVZVNC0 (85/184)

『鯨型飛空艇』


フワフワ フワフワ


ホムンクルス「ケッチュウサンソノウドガ…キケンナイキニタッシマシタ…クウキヲイレテクダサイ」

商人「コオリヲワルヨ!!」パリーン


ヒュゥゥゥゥゥ


ホムンクルス「オオキクイキヲスッテ…コキュウヲトトノエテクダサイ」スゥゥ ハァァ

魔女「クラクラスルノゥ…」スゥ ハァ

情報屋「ゼンソクデゼンシンサセル…」グイ


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥゥ


アサシン「ギリギリイケソウナタカサマデアガッタ…」

商人「ちょ…アサシンはしゃべらないで欲しい…お?声が戻った…」

ホムンクルス「アサシンさんと商人さん以外の方は呼吸に集中してください…」スゥゥ ハァァ

情報屋「すぅぅぅ…はぁぁぁ」

魔女「すぅぅぅ…はぁぁぁ」

ローグ「すうすう…はくはく…すうすう…はくはく」

アサシン「私達は見ている場合では無い…下の2人を援護だ」カチ ピカーーーー チュドーーーン

商人「そうだね…」カチ ピカーーー チュドーーン


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400以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:18:18.12ZniVZVNC0 (86/184)

『下の2人』


ブラーン フラー フラー


女戦士「飛空艇が速度を上げた!!お前のワイヤーは足場まで届かんか?」チャキリ ターン

女海賊「無理!!遠い…アラクネー出番だよ!出て来い!」シュゥゥ スポン

アラクネー「キシャーー」カサカサ

女海賊「そんな怒んなって!!あんたが頼みの綱だ…球皮の上まで登って向こうの崖に向かってダイブだ」

女海賊「分かった分かった!ちゃんと新しい巣を用意するから言う事聞いて…糸忘れんなよ?行って来い!!」

アラクネー「シャーー」カサカサ ヨジヨジ

女戦士「蜘蛛を飛ばすか…」

女海賊「大丈夫!!アイツはココイチ役に立つ」

女戦士「それは私の言葉だ…」

女海賊「よしよし…上手く球皮登ってんぞ…行けぇ!!」


ピョン フワフワ


女戦士「おぉ…糸が光って彗星の様に…」

女海賊「よし行った!!私ロープ持ってクモの糸伝って来る…これで重さ一人減る!!」

女戦士「なるほど行って来い!!」

女海賊「援護お願い!!」シュルシュル

女戦士「蜘蛛女か…フフ」ニヤ



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401以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:19:06.78ZniVZVNC0 (87/184)

『鯨型飛空艇』


シュルシュル スタ


アサシン「うお!!どうした?」

女海賊「向こうに飛び移る!!ロープ持って行くよ!!」ダダ

アサシン「んん?球皮に登って…」

ローグ「姉さん!!あっしら球皮の上は援護出来んでやんす!!」

女海賊「今が潮吹く時だよ!!」

ローグ「もう水が無いでやんす…」

女海賊「飲み水が有るじゃん!!全部使っちゃえ!!」ヨジヨジ

ローグ「マジすか…」

情報屋「これで最後よ…使いましょう」

ローグ「分かりやした!!行きやすぜ?」ダダ ジャブジャブ


ボエーーーーーーー ブシューーーーーー!!


商人「おぉ!!空中を走ってる…」

ローグ「えええええ!?どういう仕掛けっすか…」

情報屋「高度が上がってるわ!!行ける…届く!!」

アサシン「一人分の重さが無くなったか…援護だ!!ガーゴイルを近づけさせるな!!」カチ ピカーーーー チュドーーーン

ローグ「姉さんはやっぱカリスマっす…」チャキ ダン! バヒュン!


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402以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:19:52.69ZniVZVNC0 (88/184)

『天空の城_再端』


フワフワ ドッスン


商人「これは…どうなってる?」キョロ

魔女「特殊な結界で包まれて居る様じゃ…ガーゴイルもレイスも入って来んじゃろう」

商人「どうして草木が生えてるって事さ…海に沈んで居たんじゃ無かったのか?」

情報屋「すごいわ…驚き…聖書に描かれたエデンの園その物よ…」

魔女「うむ…神々が住まう楽園…存在しとったのじゃな」ノソノソ


タッタッタ


女海賊「アハハビックリしたねぇ…急にこんなんだから…お姉ぇ!!引っ張るよ」グイ

女戦士「空も雲も水も…土もあるのか…」ボーゼン


チュンチュン パタパタパタ


情報屋「鳥はここを知って居たのね…」

ローグ「ロック鳥は見当たりやせんがねぇ…」キョロ

女海賊「なんか安全そうだからお姉ぇの汚れ落として行こうか…」

女戦士「このままで構わん…水を汚してしまう」

ローグ「あっしが汲んで来やしょうか?水を全部使っちまったんでどうせ汲まんとイカンでやんす」

魔女「ちとここで腰を下ろそうかのぅ…」ストン

女海賊「休憩?」

女戦士「まぁ良いだろう…」

情報屋「私はスケッチを描く…」スタ

女海賊「おっし!!ワームとダンゴムシ出て来い!!ちょっと遊べるぞ!!」シュゥゥ スポポン

ダンゴムシ「!!?」クルリン ジー

ワーム「プギャー」ニョロニョロ

女海賊「荒くれてんなぁ…ゴメンよ壺に閉じ込めてさ…種食って良いから勘弁して」パラパラ

ワーム「!!?」モソモソ パクリ ゴクン

女海賊「ウハハ一気食いか…ダンゴムシも丸まって無いで食べな?」ツンツン

ダンゴムシ「…」ソローリ キョロ

情報屋「随分大きくなったわね?」

女海賊「癒し苔のお陰だね…脱皮して一回り大きくなったんだ」

情報屋「へぇ?」

女海賊「アラクネーも来い!!ハチミツあげるぞ」

アラクネー「!!?」カサカサ

女海賊「よしよしお前がこの2匹を守るんだぞぉ…ホレハチミツだ!!」

アラクネー「…」チューチュー ゴク

魔女「うむ…主は虫使いとして完成して来て居る…それで良い」ウムウム



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403以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:20:39.45ZniVZVNC0 (89/184)

『30分後』


フキフキ フキフキ


女海賊「うん!髪の毛までしっかり汚れ落ちたよ」

女戦士「軽量で済むようにと軽装で来たのが裏目に出たか…」

女海賊「海賊はそもそも薄着なんだからもうずっとそれで良いじゃん」

女戦士「まぁラクだ…」

魔女「髪の毛が渇くまでは休憩じゃな?ちと横になる…」

女戦士「ふむ…」

ホムンクルス「低酸素脳症の症状が少し出て居ますので皆さん無理はなさらず…」

女海賊「んん?何それ?」

商人「あぁ…飛空艇の高度を上げる為に少しの間空気が吸えなかったんだ」

女海賊「ほーん…」

ホムンクルス「約5分ほど無呼吸状態でした」

女海賊「ええ!?そんなに?」

ホムンクルス「現在も高高度で空気が薄いので回復がゆっくりなのです」

ローグ「それで頭クラクラするんすね…」

ホムンクルス「ご安静に…」

女戦士「ではしばらくローグは飛空艇に乗っていた方が良いな」

ホムンクルス「そうですね…急な運動をして倒れるかも知れません」

アサシン「私は徒歩でも良いぞ」

女戦士「ではそうしよう…」

魔女「イカンイカン…わらわはアダマンタイトを処理せねばならぬ…アサシンや…わらわを背負って行くのじゃ」

アサシン「クックック…いつもの組み合わせだな?」

魔女「良いでは無いか…背負い慣れて居ろう?」

女戦士「ひとまず私の髪と装備が渇くまでは休憩にしよう」


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404以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:21:12.96ZniVZVNC0 (90/184)

『虫相撲』


残った残ったぁ!!


ダンゴムシ「ムムム…」グググ

ワーム「プギャー」ニョロニョロ

女海賊「だぁぁぁ…ひっくり返されたら直ぐに丸まって体制戻すんだよ!!」

ダンゴムシ「!!?」クルリン

女海賊「そうそう…ほんでもう一回!!」

ダンゴムシ「ムムム…」グググ

ワーム「プギャー」ニョロニョロ グルングルン

ダンゴムシ「…」バタバタ

女海賊「ダンゴムシはもうちっと訓練が必要だなぁ…」

ワーム「…」ムイムイ ムキ

ダンゴムシ「…」シュン

女海賊「よし!特別に筋肉増強おっぱいを絞ってヤル」

ワーム「!!?」ニョロニョロ

女海賊「大丈夫だよあんたにもやるから…」

ワーム「…」ピョン ピョン

女海賊「ナハハ分かりやすいなぁ…」

アラクネー「…」コソーリ カサカサ

情報屋「すごいわね…虫にも心が有るみたい…」

女海賊「そうだよ…臆病なのも居るし暴れん坊も居るんだよ…ズルい奴もいるね」

情報屋「このダンゴムシはタンク役?それでワームがファイターかな?」

女海賊「分かる?アラクネーが何でも出来る天才なのさ…私みたいだね」

情報屋「ウフフ…こうして見てると昆虫学も面白そう」

女海賊「おーー書物書いてくれるかな?」

情報屋「教えてくれれば何でも書き残してあげる」

女海賊「おっし!!ほんじゃ私は絵を書くわ」

情報屋「そうね…分担しましょう」


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405以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:21:46.52ZniVZVNC0 (91/184)

魔女「ふむ…やはり情報屋は師匠を継いで塔の魔女になるべきじゃ…」

商人「ピッタリだね…」

魔女「わらわがすべて面倒を見る…情報屋は逸材じゃ…人類の宝と言っても良いな」

商人「べた褒めだねぇ…」

魔女「あの女海賊をいとも簡単に導いて居るのじゃぞ?」

商人「そういえば初めにホムンクルスまで僕達を導いたのは情報屋だったな…」

魔女「ソレじゃ…その力が抜きん出て居る…しかも自然にのぅ」

商人「自然にか…」

魔女「なんじゃろうな…師匠も導き手じゃった」

商人「へぇ?人それぞれ役割があるか…」

魔女「うむ…主の場合…精霊を救った事かのぅ」

商人「じゃぁ魔女は?」

魔女「わらわは何じゃろうな?自分では分からぬ…」

商人「フフ僕は何となく分かるよ?」

魔女「ほう?言うてみぃ」

商人「魔女は…魔女なんだよ…フフフ」

商人「紅い瞳…紅玉の魔女」


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406以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:22:26.93ZniVZVNC0 (92/184)

『暁の空』


女戦士「さぁ!!休憩は終わりだ!!直に夜が明ける…行くぞ!」スック

女海賊「お!?行くってさ!!ホラ今度はカバンの中に入るんだ」

ダンゴムシ「…」カサカサ

ワーム「…」モソモソ

アラクネー「…」カサカサ

商人「じゃぁ僕達は飛空艇でゆっくり付いて行けば良いね?」

女戦士「うむ…万が一の場合は飛空艇にぶら下がるからそのつもりで頼む」

商人「うん…」

情報屋「操舵は私が担当するわ…あまり動けないから」

ホムンクルス「プラズマの銃をお預かりします」

商人「じゃぁ行こうか…」スタ

ホムンクルス「はい…」スタ

ローグ「あっしもちっとラクしときやすね」スタ

女戦士「ではアサシン!女海賊!ここからは徒歩だ」

女海賊「おけおけ…疲れて無いから」

アサシン「さぁ魔女…背中に乗れ」

魔女「済まんのぅ…」ノソリ

女戦士「目標は目の前だ…神殿を目指す…付いて来い」スタ


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407以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:23:10.34ZniVZVNC0 (93/184)

『天空の城_一層目』


チュン チュン パタパタ


女海賊「半分雲で覆われてる…デカいね…どうやって中に入るんだ?」キョロ

女戦士「何処にも入り口らしき場所が見当たらんな…」

アサシン「飛空艇で一気に上まで行けばよかろう」

女海賊「こんだけデカい城で天辺が最終目標に思えないんだけど…」

魔女「そうじゃな…アダマンタイトも見当たらぬ…内部に入らねばイカンのじゃろう」

アサシン「では天辺の神殿は何だと思う?」

女海賊「神のお告げ効くとかそんなんじゃない?神が降臨するとかさ…」

アサシン「まぁ良い…私はお前達に従うまで…」


”ザザー”

”通じるかな?魔女?聞こえるかい?”

”うむ…どうしたのじゃ?”

”小型のゴーレムが動いてるんだ…注意して”

”何処じゃ?場所を先に言えい”

”そこの上…二層目と言えば良いかな…”

”ふむ…してそのゴーレムは何をして居る?”

”何だろうな?ゆっくり散歩だよ”


女海賊「ああ!!見えた…こっち見下ろしてる」

女戦士「慌てた素振りは無いな…」

女海賊「ゴーレムってか泥人形じゃね?」

魔女「それをゴーレムと言うのじゃ」


”そっちも視認したね?”

”うむ…襲って来る気配は無いのぅ”


女海賊「ちょちょちょ…なんか踊ってんだけど!!何アレ?」ヨイヨイ フリフリ


408以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:23:43.32ZniVZVNC0 (94/184)

魔女「主も釣られて踊って居るでは無いか…無視せい!!」

女海賊「あれ?なんで勝手に踊ってんだ?」ハテ?

女戦士「見ない様にしろ」

女海賊「いやいや気になるじゃん!!」クルクル ヨイヨイ

女海賊「ヤッバ!!なんで踊っちゃうの…」ヒラヒラ ヨイヨイ

女戦士「手間のかかる…」グイ

女海賊「おととと…アレ?この踊りって妖精じゃね?」フリフリ ヨイヨイ

女戦士「見るなと言って居るだろう」グイ

女海賊「あぁぁメッチャ気になる…」

魔女「主は影響されやすいで目をつむって居れ」

女海賊「ぬぁぁぁムズムズする…」

アサシン「見ろ!!500メートル程先に何か有る…恐らく私達は裏側から来た様だな」

女戦士「なるほど…あちらが入り口か…行くぞ」スタ


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409以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:24:20.66ZniVZVNC0 (95/184)

『石造の並ぶ場所』


ドドーン


女海賊「うっわ…これって…」

魔女「これもゴーレムじゃな…動いて居らんが…」

女戦士「天空の城はゴーレムだらけと言う事か」

魔女「その様じゃな…ふむ…盗賊を連れて来て居れば良かったのぅ…」

女海賊「なんで?」

魔女「入り口はどうやらシン・リーンの仕掛けと同じじゃ」

女海賊「お!?知ってるぞ?」

魔女「主に解錠出来るのか?」

女海賊「簡単だよ…水圧で閉じてるんだ…破壊の剣で穴開けたらザバーって出て来る」

魔女「なんじゃそんな事か…」

女海賊「アレだね?上にあるやつ」

魔女「うむ…じゃがしかし何故シン・リーンの紋様が有るのじゃろう…」

女海賊「分かった!!シン・リーンの遺跡もアダマンタイトで壁作ってたじゃん?」

魔女「アレと同じと言うか?」

女海賊「それが時の王からのメッセージだったんじゃ無いの?」

魔女「なんと!?時の王がここまで来て居るのと言うか…」

女海賊「オークシャーマンの首を落としたってんだから来て居そうだよね」

魔女「これはもう一度情報屋と歴史を見直さんとな…」

女海賊「ちっと待ってて…直ぐ開けて来る」スタタタ

魔女「シン・リーンと同じ…気になるのぅ…」

女戦士「紋様が有る以上関わって居たのは明白だ…オークシャーマンとは一度は仲間だったそうだからな」


ザバァァァァ ザブザブ


女海賊「おっけ!!やっぱ同じだったさ…扉もアダマンタイトだよ」スタタ

魔女「アサシンや…わらわはアダマンタイトを処理せねばならぬ…行ってくれぬか?」

アサシン「良いのか?オークシャーマンに会う前だが…」

女海賊「良いんじゃね?」

アサシン「未来がわざわざ隠したのだぞ?それを元に戻すと言うのだ…」

女海賊「う…」

魔女「どちらにせよわらわはアダマンタイトを処理せねば帰れぬ…狭間を放置出来んでのぅ」

女海賊「まぁ…どうしても隠さなきゃいけないなら又ハイディングさせりゃ良いさ…」

魔女「そうじゃ…いま今この狭間は災いでしか無い…処置せねばならぬ」

女海賊「行こっか!!」スタ


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410以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:25:05.82ZniVZVNC0 (96/184)

『天空の城_内部』


シーン…


魔女「未完成だったのじゃな…」

女海賊「積み上げてるのってアダマンタイトの壁と同じブロック?」

魔女「恐らくな…これは作りかけじゃ…最終的にはシン・リーンの遺跡と同じ様にするつもりだったのじゃろう」

女海賊「ほんじゃ時の王のおっさんはこれを真似て同じ物作ったんかな?」

魔女「償いのつもりだったのかものぅ…石化した2人をシン・リーンへ連れ帰って居るで…」

女海賊「そっか…そこにもなんかドラマが有ったんだね」

魔女「うむ…生きた時代が交差した結果じゃろうのぅ」

女海賊「それにしてもスゴイね…こんだけ黄金集めたんだ」

魔女「何年掛ったのか…」

女海賊「…」

魔女「アサシン…降ろしてくれや…わらわは一つづつ変性させて行く故…しばし入り口を見張って居るのじゃ」

アサシン「良いのか?一人で?」

魔女「入り口は一つしか無かろう…主らが見張って居れば何者も来ぬ」ノソリ

アサシン「そうか…では見守るとしよう」

女海賊「ちっと私さっきのちっこいゴーレム気になるんだ…ちょい見て来る」

女戦士「待て…一人で行動するな」グイ

アサシン「お前が入り口を見張って居るなら私が付いて行くぞ?」

女戦士「うむぅ…仕方あるまい…遠くには行くな?」

女海賊「分かってるって!アサシン行こうか」

アサシン「フフいつから私の先を行く様になったか…」

女海賊「もう助手は卒業だって…行くよ!」スタタタ ピューー

アサシン「やれやれ…」タッタッタ


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411以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:25:48.46ZniVZVNC0 (97/184)

『天空の城_二層目』


チュンチュン ピヨ


アサシン「何故それほど不思議な踊りを気にするのだ?」

女海賊「未来が蜘蛛を真似て踊ってた踊りに似てるからさ」

アサシン「では未来が教えたと?」

女海賊「なんでちっこいゴーレムが居ると思う?」

アサシン「んん?未来が作った可能性があると言いたいか?…」

女海賊「そゆ事…未来の子供達かもしれないと思ったんだ」

アサシン「なるほど分かった…ゴーレムに命を与えて此処で働かせて居た訳か」

女海賊「どうだろう?ただ気になる…」

アサシン「ふむ…生みの親が居なくなって切ない思いをして居るのかも知れんな…」

女海賊「そうだった場合どうすれば報われると思う?」

アサシン「私には答えが出せん…」

女海賊「踊りを交わす…なんかそれで通じる気がするんだ」

アサシン「不思議な通じ方だ…」

女海賊「あ!!なんかある…」

アサシン「んん?祠か?」

女海賊「行って見よ!」スタタタ


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412以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/11/20(日) 11:26:42.40ZniVZVNC0 (98/184)

『月の祠』


ヒラヒラ フワフワ


アサシン「蝶…妖精ではなく蝶か…」

女海賊「月と…2体の不格好な石造…」

アサシン「この出来はゴーレムが作った物だろう…亡き生みの親…剣士と未来か」

女海賊「私分かったよ…毎日散歩して…ここにお参りに来てるんだ…」

アサシン「供え物は何かの種か?」


カサカサ モソモソ


女海賊「ダンゴムシ…あんた…」

ダンゴムシ「…」パクパク

ワーム「…」モソモソ モグ

アラクネー「…」ジー


ドスン… ドスン… ドスン… ドスン…


小さなゴーレム「??」ピタ

ダンゴムシ「!!?」ピタ クルリ

小さなゴーレム「…」ヨイヨイ

ダンゴムシ「…」ヨイヨイ

小さなゴーレム「!!?」ドスドスドス

ダンゴムシ「…」フリフリ

小さなゴーレム「!!」フリフリ


女海賊「なんだろう…涙が出る…」ポロリ

アサシン「これは…」

女海賊「これがゴーレムが生きた理由…踊りは…祈りだったんだ」ポロポロ

アサシン「…切ない…」


小さなゴーレム「…」クルクル ヨイヨイ

ダンゴムシ「…」クルクル ヨイヨイ


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