1 ◆PrgMJS.bHrJ02022/06/30(木) 18:18:41.47ONKsim0sO (1/1)



※注意

・当作品は『ドラゴンクエスト』『剣神ドラゴンクエスト』等の二次創作です。

・原作に無い展開、キャラ設定が過多なので注意して下さい。

・SSでやろうと思いましたが小説にします。ラノベくらいでやりたいなー、程度の要領で行きます。

・セルフリメイクになるので旧作は下記URLでどうぞ。
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1337509920/



●開始時刻

 本日24時以降、現在の仕事が落ち着いたら即興で書いて行きます。

 某所での勘を取り戻す一環としてのスレ立てなので、覚えていて下さっている方がいらっしゃれば生温かい眼で御赦しを。


 以上、宜しくお願いします。





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1656580721



2 ◆3Jh764FmrU2022/07/02(土) 04:08:23.98mpRLXpQX0 (1/1)


●嵐の海の向こう側


 ──それは、僅かに形を変えた歯車が噛み合ってしまった物語。

 それは、『アレフガルド歴1537年の竜の月』まで人々が平和に暮らしていた世界。

 世界は穏やかな時の流れを享受していた筈だった。

 時をかけ、『精霊ルビス』の加護が続く世界──『アレフガルド』の地では豊かな未来への展望と新たな大地への期待が高まりつつあった。

 けれど。

 形を大きく変えてしまった物語は、歪んだ歯車が元よりどのような未来のために組まれていたのかを思い出させる日が来てしまう。




 アレフガルド歴1537年、竜の月の14日。

 この日、アレフガルド唯一の王国である『ラダトーム王国』全体を嵐の様な天候が覆っていた。

 大粒の雫が屋根や石畳を打ち、人の身を仰け反らせる様な暴風が横殴りに雨粒を叩きつけに来ていたのだ。

 潮風に慣れ親しんだ沿岸部に住む猟師たちでさえ前兆を捉えることが出来なかったほどの、突然の悪天候だった。





3 ◆3Jh764FmrU2022/07/04(月) 14:49:51.94o3VB3Yg00 (1/1)




「……それは、確かなのか?」


「間違いなく。精霊ルビス様の加護が途絶えたのを妻だけでなく、三賢者の老師たちも確かめております」


「そんな馬鹿な」


 それは夜の帳が未だ降りたままなのかと見紛うほどに暗く、嵐の音が城内にまで響き渡る最中に開かれた会合にて告げられた。

 ラダトーム現王ラルス16世と対面する赤いローブを纏った男女の内、ドレスアーマーを下に着込んだ女性は古くからラダトーム王家に身を置いている勇者の末裔だ。

 彼女達はこの嵐の最中、不穏な気配がラダトーム城から南下した海から感じると訴えて来ていた。

 そして同時に南の孤島──アレフガルドにおいて信仰されている『精霊ルビス』が祀られた神殿が、嵐が発生して間もなく聖なる加護を感じさせなくなったという。

 現王ラルスは真剣な表情で『アレフ』とその妻、勇者の子孫である『レシュ』の二人を見遣る。


「至急、事の真相をあらためねばなるまい。だがこの嵐だ。かの島に辿り着く術はあるのか?」


 ローブの下に細かな表情を隠したまま、頭を振るようにレシュが王の問いに応えた。


「夫の魔法ならば船を進ませる事は可能です……けれど王の懸念通り、嵐に影響されて荒れ狂う波ばかりはどうにもならないでしょう」


「ムゥ……ではやはり……」


「ではこうしよう、三賢者の御三方に協力を願うんだ。彼等は精霊に働きかける力に長けている、この嵐の中でも船を沈ませない方法があるかもしれない」


 雨が打ちつける窓の外へ視線を移しながらアレフが言った。

 精霊ルビスの神殿があるのは海上に浮かぶ小さな孤島、嵐の中を往く方法が無ければこの異常事態の最中に立ち往生する羽目になってしまう。

 他に方法が無い。

 現王ラルスは深い溜め息と共に逸る気持ちを落ち着かせ、アレフとレシュ両名に強く頷いて見せた。


「移動の足はあるか? 無ければ緊急として我が兵団の中から三賢者の祠へと向かわせよう。

 お前達にはこの未曽有の事態に対処すべく気力を温存して貰いたい、もし万が一の事があれば……」


「…… " 陛下 " 」


「その心配には及びません。それに──私達夫婦が倒れようとも、あの子がいますもの」


「止さないかお前達、縁起でもない……!

 二人とは私がまだ乳母の乳を吸っていた頃からの付き合いだ、今さら天災や魔物に後れを取るなど微塵も思っておらん。

 だが……そなた達に大事があれば姫が悲しむ。忘れてくれるなよ?」


 現王ラルスの言葉を杞憂だと裏付けるように不敵に笑って見せた夫婦はそれ以上何も言わず、玉座の間を後にした。