1 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:34:56.46uUkbKYqQ0 (1/68)

-------------------------------------------------
※注意

・本作は「ダンガンロンパ」シリーズのコロシアイをシャニマスのアイドルで行うSSです。
その特性上アイドルがアイドルを殺害する描写などが登場します。苦手な方はブラウザバックを推奨します。
・キャラ崩壊・自己解釈要素が含まれます。
・ダンガンロンパシリーズのネタバレを一部含みます。
・舞台はスーパーダンガンロンパ2のジャバウォック島となっております。マップ・校則も原則共有しております。
・越境会話の呼称などにミスが含まれる場合は指摘いただけると助かります。修正いたします。

※前作シリーズ
【シャニマス】灯織「それは違います!」【ダンガンロンパ】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1613563407/#footer
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「その矛盾、撃ち抜きます!」【安価進行】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1616846296/
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「私はこの絆を諦めません」【安価進行】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1622871300/
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「これが私たちの答えです」【安価進行】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1633427478/

以上のほどよろしくお願いいたします。

-----------------------------------------------

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1637235296



2 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:35:55.37uUkbKYqQ0 (2/68)







「……ねえ、大丈夫?」









3 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:36:53.90uUkbKYqQ0 (3/68)


「……大変だよね、こんなに一気に訳のわからないことが起きて」

(……ここは?)


仰臥する私の耳には、どこか遠くで波が打ち寄せるような音が響く。そして視界には、照りつける太陽。肌もその熱でひりついている。


(……なんで、こんなところにいるんだっけ)


熱で茹で上がっているのか、思考がまるでまとまらない。
昨日の晩御飯は何食べたっけ、今日のレッスンいつからだったっけ。
そんな取り留めもないことばかりが浮き上がってきて、この“現実”を説明してくれる言葉が見当たらない。


「……ゆっくりでいいから、落ち着いて」


でも、それは私が悪いわけじゃない。なんてったって、今の状況が状況。
私の思考が、理性が、本能が理解しようとすることを拒むんだ。




4 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:37:43.51uUkbKYqQ0 (4/68)






_____だって、突然南国にいることの説明なんて、つけようがないじゃん。








5 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:39:17.58uUkbKYqQ0 (5/68)


Code:reproduce…………set.
Acceration………………complete.
0102030405060809000218493157849
1541057312031948756468721094712
0414932587257849236432789532065
8372951610563021487320573280568
3209856320914321095673102568702
1515380901553021857325873205732
8416137856419247632189431249671
シャイニーダンガンロンパ2 ゼツボウノアイドルトキボウノシマ…………start



6 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:41:05.42uUkbKYqQ0 (6/68)

____________________________



SHINY DANGAN RONPA 2

絶望のアイドルと希望の島


__________________________


7 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:42:29.77uUkbKYqQ0 (7/68)






_____現実ってホント、ヤバい。








8 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:44:14.12uUkbKYqQ0 (8/68)


生まれた時に全て決まるっていうのは割と真理。
父親もいない、母親も入院中。家計は常に火の車でお姉ちゃんはバイトの掛け持ち。
言ってしまえば同世代の子供の中でも割と不幸な部類だと思う。
私だってもっと人並みにショッピングに行きたいし、自分の部屋だって欲しい。なんなら家だって安アパートより一軒家が良かった。

……でも、そんな無いものねだりした所で無駄だって気づいたのは割とすぐ。
現実はヤバいし、周りの大人たちだってもっとヤバい。『可哀想』の一言で全てを片付けられると思ってるとかパンチすぎでしょ。


そんなヤバすぎる現実を見てきた私だからこそ、レコードの中の夢と理想とが魅力的に思えた。

……きっかけはなんだったか。
ほとんど記憶もない父親の遺したレコードだったんだと思う。

何気なく手に取った一枚を、これまた何気なく機械にかけて、またまた何気なく耳を傾けた。




9 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:45:25.43uUkbKYqQ0 (9/68)



『そうだよ 赤いじゅうたん駆けて
そうだよ 月までだって行けるわ』
『ti ta ta tik tik shake! Pa dun du da_______,ah』


世界が一瞬で翻った。
こういうものだと受け入れるしかないと思い込んでいた世界が音を立てて崩れ落ちて、その割れ目から顔を出した光がやけに暖かくて。
夏場のコンビニ、その電灯に集まる羽虫って多分そういうことなんだ。暗い闇にいればいるほど、そこに刺す光に心を奪われてしまう。


だからアルバイト先もその光にできる限り近いところを選んだ。
別に何か算段があったわけでもなかった、ただずっと、その光に包まれていたい。近くで見つめていたい。

でも、ただの普通の女子高生にできるのって、せいぜいレコードショップぐらいのもので。
それでもそれなりには満足はしていた、バイト仲間は優しいし、ポップ作ったり新盤開けたりは楽しかったし。

とはいえこれらは全部目眩し、自分自身の強欲に対する目眩しでしかないんだ。
本当に私がやりたいのはこれじゃない、どこかでずっとそう思っていた。




10 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:46:34.39uUkbKYqQ0 (10/68)




「すみません、283プロダクションの人間なのですが……」



だから、その時が来た際に必要以上にがっついてしまったのは、今更否定もしない。

目の前に舞い込んで来たチャンスを私は鷲掴みにした。
いや、本当はそれはチャンスですらなかったんだけど……でも無理矢理チャンスってことにした。
本心からの「なんでもします」でゴリ押し、なんとかアイドルデビューを漕ぎつけた。


ヤバすぎる現実、不幸すぎる身の上、最悪すぎる凡庸さからの脱却のチャンスを、やっと掴めたんだ。



11 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:47:38.04uUkbKYqQ0 (11/68)


……と、アイドルになるまでを雑なモノローグで語ってきたわけだけど。

そろそろ自己紹介ぐらいしておこうかな。

私は【七草にちか】、283プロダクションのアイドル!
今はSHHisというユニットで活動中、一応これでもそれなりに売れたり売れなかったりしてる。
元貧乏な一般人の私がここまでやってこれたのは、私の努力もそれなりにはあるんだけど……

それでも、やっぱり美琴さんの存在が大きいと思う。

【緋田美琴】さん、私のめっっちゃ最高でめっっちゃ尊敬しているパートナー!
私と組む前は別の事務所で別の方と活動をしていて、色々あって解散移籍になったらしい(詳しい事情はまだ聞けてないけど)。
正直私なんかが烏滸がましいとは思うけど、それでもコンビを組んでいるからには、失礼の無い様に、足を引っ張らない様に精一杯やっている。




12 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:48:59.43uUkbKYqQ0 (12/68)


で、今日はそんな美琴さんとのレッスンの日。
バイトが終わるなり直で事務所、既に自主練を行なっている美琴さんに合流する形だ。

……その筈だったんだけど。


「あー、もう! なんで今日みたいな日に限って!」


店長め、どうでもいい身の上話で時間を取って……息子さんが受験でどうとか正直どうでもいいんですけど?!
とはいえ無視して帰るわけにもいかず相手をしてあげているうちに、気づけば美琴さんとの約束の時間ギリギリになってしまった。
すっかり日も沈んで、事務所の明かりもレッスン室以外は消灯されている。
すぐさま着替えて、乾いた喉に水を流し込んで。
やり場のない苛立ちと焦り、そしてその百倍の申し訳なさを抱えてレッスン室の扉を開けた。


「すみません美琴さん! ちょっと遅くなっちゃいましたーーーー!!」


レッスン室には私たちの曲が流れていて、美琴さんはAメロのステップを練習していた




……はずだった。



13 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:50:40.19uUkbKYqQ0 (13/68)


「……え?」

そこには誰の姿もなく、美琴さんが練習で使う様なラジカセすら置いていなかった。
日にちを間違えた? いやいや、昨日から楽しみにしてたレッスンなんだし、美琴さんは私との約束なんかなくたって一人で練習する様な人なんだし……

理解不能な現実が突然目の前に現れたことでパニック状態。
やたらと体温が上がって汗をかく。私が知らず知らずのうちに何かやらかしたのかと体が震える。

どれだけ私がヒートアップしようとも、この謎に答えを与えてくれる人はいないし、私以外はただ静寂が広がるだけ。
そんな理解不能に怯えているうちに、もう一つあることに気がついた。


「……あ、あれ……?」


鏡に映る自分の姿が、歪んでいる。まるで水面に石を投げ込んだ様に波紋状に歪んでいる。
その歪みはどんどんと細かくなって、急になって、気がつけば螺旋になっていて。
鏡の中に自分自身が吸い込まれる様な錯覚すら覚えるほどのぐるぐる。


ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる




14 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:51:39.26uUkbKYqQ0 (14/68)






_____そして世界は、溶けて無くなってしまった。









15 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:52:58.32uUkbKYqQ0 (15/68)

___
_____
_______


【?????】


(……あれ?)


ところ変わって……何処?
0と1でできたデータ世界の様な空間に扉が一つ浮かんでいる。悪い夢か何かだろうか。
それならもう少しだけ寝させて欲しい。さっきの今で、頭はまだこんがらがっているんだから。

そう思う私自身だったが、体の私自身はそうではないらしい。
目の前の悪い夢、その正体を明かさないと満足がいかないらしく、私の理性が遮る間すらなくドアノブを掌に掴んでいた。


(……あはは、こんな扉、今時の学校にあり得ないでしょ)


木造の横開き戸なんて今時ドラマでも見ないっていうのに。
夢ってのは随分と時代錯誤なものなんだなとその滑稽さを笑いながら、その戸を引いた。




16 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:54:20.72uUkbKYqQ0 (16/68)

-------------------------------------------------
【??????】

ところ変わって、教室。

____いや、それも意味がわからないんだけど。

さっきまでの記憶では私はレッスン室にいたはずなんだけど……どうして学校に?
しかも私の通っている学校とは別物。全くもって違う机に、全くもって違う黒板、そして全くもって違う……【クラスメイト】。

というかこれって……クラスメイトっていうよりも……


「にちかちゃん……大丈夫?」
「み、美琴さん?! どうしたんですか?! こんなところで!」


そこにいたのは、美琴さんをはじめとした【283プロダクションのアイドルたち】だった。




17 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:55:35.60uUkbKYqQ0 (17/68)

-------------------------------------------------



PROLOGUE

VOY@GER
~超高校級の希望たちの希望に満ちた船出~



-------------------------------------------------



18 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:56:45.15uUkbKYqQ0 (18/68)


不可解の連続で不安に押しつぶされかけていた私はすぐさま美琴さんの元へ駆け寄った。


にちか「美琴さん! こ、これってどうなってるんですか……?!」

美琴「えっと……なんていえばいいのかな」

美琴「……ごめんね」

にちか「い、いえ! こちらこそすみません! 美琴さんも混乱してますよね!」

美琴「……うん、でも他のみんなも同じみたいだから」


他のみんなという言葉を聞いて辺りを見渡した。
うわうわ……イルミネーションスターズからノクチルまで……283プロの錚々たるメンツが集まってるよ……。

でも、みんなあたりをキョロキョロと見回したり忙しない。誰一人として今の状況を理解している人間はいないみたいだ。


にちか「何かの撮影、でしょうか……」

美琴「ドッキリにしては大規模すぎるし……他の事務所の人間もいるのが気にかかるね」

にちか「ほ、他の事務所……?」


美琴さんは指さしたりはしようとはしなかった。
ただ視線をチラリと寄せただけ、それ以上は関わりたくないという意思表示なんだろう。


(……うっ)


あの人は、よく知っている。
私よりも前に美琴さんとタッグを組んでいたアイドル。
今現在では同世代の悩める女子のカリスマ的なシンボルマークである“カミサマ”、【斑鳩ルカ】さんだ。



19 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:57:59.69uUkbKYqQ0 (19/68)


ルカ「……あ?」

(……ひぃっ?!)


美琴さんの視線を追っただけの私は偶然にも彼女と目があった。
ルカさんはそれだけでもよほど不快だったらしく、顔をぐにゃっと歪ませると。


ルカ「……ちぃっ!」


……これ見よがしの舌打ち。


美琴「……どういうキャスティングなんだろうね、これは」

にちか「そ、そうですね……」


うぅ……なんだか居た堪れない。

未知の状況に放り込まれた不安と露骨な敵意を一人の人間に向けられている肌のひりつきとに戸惑っていた。
誰でもいいから、この際プロデューサーさんがドッキリの札を持って現れてくれても許すから、説明をして欲しかった。

でも、私たちが貰えたのは説明ではなく……




更なる【不可解】だった。






20 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:58:44.76uUkbKYqQ0 (20/68)






「ミナサン、どうやら揃ったみたいでちゅね!」








21 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 20:59:54.24uUkbKYqQ0 (21/68)


突如聞こえてきたのは素っ頓狂な語尾による呼びかけ。
全員の視線が一気にその声の発生元である教卓へと注がれる。
私たちが“非現実”を目撃するまで、そう時間はかからなかった。

バビューン!!

教卓の天板が跳ね上がったかと思うと、白い影が一気に飛び上がり……
不気味なまでにふんわりとした着地をしてみせた。



「あちしはウサミ、魔法少女ミラクル★ウサミでちゅ! よろしくね!」




薄桃色のフリルのついたドレスを身に纏って、ハートのステッキを携えた白い寸胴のウサギ。
ぬいぐるみ大の大きさのそれが、表情豊かに動いて、喋った。




22 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:01:03.60uUkbKYqQ0 (22/68)


にちか「う、うわわぁ?! な、なんなんですか、あれ?!」

美琴「……びっくりした」

???「ロボット!? ロボットっすかね、アレ?!」

???「すごいですーーーー!! あんな風にうごくロボット、はじめて見ましたーーーー!!」

???「ぬいぐるみ……なのかな?」

???「そのようだけど……あんなに自由自在に動いたり喋ったりするものは見たことも聞いたこともないわ」

ウサミ「そうでちゅ、あちしはヌイグルミなんでちゅ。フェルト地なんでちゅ」

???「素材より気になるところがあるといいますか……」

???「でも、なんだかちょっとかわいくない? うち、ケッコー好きかも!」

???「そ、そうかなぁ……」

ウサミ「えへへ……そう言ってもらえるとあちしもうれしいでちゅ。フェルト地の心臓が、じんわりと暖かくなっていきまちゅ」




23 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:02:24.21uUkbKYqQ0 (23/68)


???「そんなことより、今の状況を説明して欲しいんですケドー?」

ウサミ「ああ、そうでちゅね。ミナサンも今どういう状況かわからなくて、とても不安だと思いまちゅ」

???「あー、そういえば……わかんないや、全然。どうしてここに来たかとか」

???「あれ〜? そういえば、どうやってここに来たんだっけ〜」

(……!!)


言われてみれば私もそうだ。
あの時レッスン室でよくわからない幻覚を見てから、ここに来るまでの記憶がまるですっぽりと抜け落ちている。
気がつけばここにいたし、気がつけばよくわからないうさぎのヌイグルミが目の前で動いている。
その間の記憶を呼び起こそうとしても、まるで靄がかかってしまっているようで何も見えてこない。

……これは。


???「集団記憶喪失……そういうことなのかしら」

???「きおくそうしつ……ですか?」

???「ここにいる全員がここに来るまでのことを忘れている……明らかに不自然だよね!」


どうやらそれは私だけでないらしく、みんな顎に手を当てたり腕を組んだりして考え込んでいる。
でも、その誰もがいくら記憶をのぞき込んでも解答が見えてこない。まるで事実そのものを脳が放り出してしまったような、そんな不自然さを覚える。



24 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:04:05.56uUkbKYqQ0 (24/68)


中でも動揺が激しかったのは、この場で唯一の283プロ【以外】の所属の人間、ルカさんだった。


ルカ「おい、説明しやがれ! なんで私までこんなところにいるんだよ! 私は283プロの人間じゃない!」

ウサミ「お、落ち着いてくだちゃい! それを含めて諸々込み込み、説明いたしまちゅから!」

ルカ「283プロのことは勝手にすればいいけど、私まで巻き込まれた理由を教えろよ!」

ウサミ「わー! 乱暴はいけまちぇん、フェルト地の耳は繊細なんでちゅ!」


ルカさんはウサミと名乗る怪しいぬいぐるみに掴みかかり恫喝じみた質問を繰り返す。
私たちはというとその剣幕にたじろぐばかりで、しばらくその怒声にびくついていた。


ルカ「このヤロー……!」


ルカさん自身も昂ぶりが収まらず、とうとう振り上げた右手。それがぬいぐるみのフェルト地の顔面に炸裂するかと思ったその直後。




____拳はそのまま宙で静止した。






25 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:05:40.65uUkbKYqQ0 (25/68)


美琴「……必要以上にうるさくしないで。みんな混乱してるんだから」

(み、美琴さん……!)

ルカ「……チッ!」

(き、気まずい……)


ルカさんは虫の居所がよほど悪いのか、捨て台詞でも吐きそうな具合の勢いでその場を離れると、どかんと音を立てて近くの椅子に腰かけた。
美琴さんに向ける視線が妙にとげとげしい。


ウサミ「あ、ありがとうございまちゅ……あちしはゆるふわ系ウサギなので、正直助かりまちた……」

美琴「ううん……それより、説明をお願いできる?」


一方の美琴さんはというと、正体不明なぬいぐるみをいたわる様に頭をなでると、優しく問い直した。
やっぱり美琴さんはすごい、オーラというか魅力というか、人間性の深みを感じられる。


ウサミ「はい!でもそれより先に……まずは!」



26 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:06:52.67uUkbKYqQ0 (26/68)


シャラララ……

???「ふぇ?! つ、杖が光っとうばい?!」

???「へ、変身……ですかーーーー!?」

ウサミ「これは変身ではなく、あちしの魔法でちゅ。いざ、とくとご覧あれー!」


ウサミと名乗るそのヌイグルミが高々とそのステッキを掲げたかと思うと、俄にあたりは桃色の光に包まれ……



____バタン!




教室の壁は、ハリボテのようにその場で倒れてしまった。
そしてそれと同時に姿を表したのは……




青い海、眩しい太陽。


打ち寄せる白波、きめ細かな砂浜。


そして、心地よい潮風________。




27 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:08:38.89uUkbKYqQ0 (27/68)




にちか「……え?」

にちか「え、ええええええええええ?!」



ウサミ「てんてれてーん! ミナサンを、南の島にご招待ー!」


一瞬にして私たちのいた教室は、南の島の砂浜に変わってしまった。
それも、漫画みたいに素っ頓狂な方法で。


???「あは〜〜〜! すっごく気持ちいい天気〜〜〜!」

???「すごいっすー! どうやってやったんっすか?! 魔法って本当にあったんっすか?!」

ウサミ「はい! あちしの魔法は世界一でちゅから! 不可能はありまちぇん!」

???「三峰的にはもう色々とキャパオーバーなんだけど……」

にちか「み、美琴さん……!」

美琴「……びっくりした」

にちか「だめだ! 美琴さんがすっかり『びっくりしたbot』みたいになっちゃってる!」

ウサミ「どうでちゅか、この綺麗なビーチ。波の音を聞きながら日差しを浴びているだけでなんだか心が安らいでいきまちゅね……」



28 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:10:29.00uUkbKYqQ0 (28/68)


ルカ「おいコラ!」

ウサミ「はぅ?!」

ルカ「てめェ……どういうつもりだ、私たちを拉致監禁した挙句海外に連れまわしやがって……」

(……! 拉致監禁、海外……?)

ウサミ「ち、違いまちゅ! あちしはそんな物騒なことはしてまちぇん!」

ウサミ「あちしは犯罪とか悲しいことは大嫌いなんでちゅ、そんな言葉聞きたくもないくらい!」

ルカ「そんな理屈が通ると思うか? どう見ても今の私たちの状況は普通じゃない、しかもてめェはその全てを知っているような口ぶり……」

ルカ「これが拉致じゃないってんなら説明してみろよ!」


ウサミ「えっと……その……これはロケ、でちて……」


???「ふぇ? ロケばい?」

ウサミ「そうなんでちゅ、283プロのみんなと、斑鳩さんを特別ゲストにして親睦を深めるための【旅ロケ】なんでちゅ」

ルカ「はぁ?! そんなの聞いてない!」

???「私たちも聞いてないなぁ……そんなこと」

???「あのプロデューサーが連絡ミスをするとも思い難いし……どういうことなのかしら」

ウサミ「こう見えてもあちしはそのロケを率いるディレクターなんでちゅ。フェルト地なんでちゅ」

美琴「ディレクター……? あなたが……?」

ウサミ「はい! あちしは出演者も視聴者も、みんなが幸せでハッピーになれる番組を作りたいんでちゅ、だからこの島でミナサンに危害をくわえるようなことはしまちぇんよ!」

???「えっと……ディレクターさんがウサギさん越しに指示を出してるってことでいいのかな……」

ウサミ「違いまちゅ! あちしこそがディレクターなんでちゅから、エッヘン!」

???「よろしくおねがいします、ディレクターさん!」

???「適応が早すぎるよ?!」



29 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:12:05.39uUkbKYqQ0 (29/68)


???「それで、その……あなたはそのロケと題して、この島で何をさせたいんですか? ディレクターと称すのであれば、何かしら考えあってのことだと思いますが……」

ウサミ「いい質問でちゅね! あちしがミナサンにして欲しいことはただ一つ、仲良くして欲しいんでちゅ」

ウサミ「先ほども言った通り、このロケは親睦を深めるのを目的にした旅番組でちゅ。ヤラセなんかは一切なし、障害なんかも特に存在しまちぇん」

ウサミ「ミナサン自由に自分たちのやりたいように、仲良くらーぶらーぶする……それがこの『どきどきIsl@nd☆tour』なんでちゅ!」

にちか「うーわ、ダッサ……なにそのタイトル……」

ウサミ「こらー! 番組のタイトルなんでちゅからケチをつけたらいけまちぇん!」


……狂ってる。
正直そう思った。さっきのルカさんじゃないけど今の私たちは完全に拉致された身のはず。
それなのに私たちに仲良くしろだのなんだの宣うこのヌイグルミは何者なんだ。






……でも、殊の外周りの方々は警戒心を緩めていく。








30 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:13:16.51uUkbKYqQ0 (30/68)


???「じゃあ、自由に過ごしてもいいってことっすか?」

ウサミ「はい、ミナサンがやりたいようにやってくれて構いまちぇんからね」

???「果穂ちゃん! 一緒に南国の珍しい虫を探しに行こうよ!」

???「あさひさん……!! はい!! おともします!!」

???「もう……あさひちゃん? 一人で遠くに行っちゃダメでしょ?」


次から次へと砂浜からは人の姿がなくなっていき、


???「ふふ……ヤバい、めっちゃ」

???「だね〜? 円香先輩がここにいたら顔すごい引き攣ってそ〜〜〜♡」

???「あー……泳ごっか、せっかくだし」

???「さんせ〜い!」


意味不明なぐらいの順応を見せて、


???「こがん立派なヤシの木があれば、美味しいココナッツジュースが作れるばい!」

???「へぇ〜、こがたん、そういうのもできるんだ」

???「経験はなか! でも、やってみんことには何も始まらんばい!」

???「何その熱血ー……」


現状を受け入れられない人間の方が少なくなりつつすらあった。

……で、肝心の私はというと。



31 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:14:37.60uUkbKYqQ0 (31/68)



「あーーーー!!」

ドシン!


思いっきり勢いよく後ろから倒れてやった。
思考するのがもう面倒で、いっそ昏倒してくれてもよかった。
でも、南国の砂浜というのは思っていた以上に優しいらしく、大した衝撃も感じることなく私はその場に仰臥していた。


「もうわっけわかんない……」


……私は現状を受け入れられない側の人間。
それも割と最初の段階で。

美琴さんの手前、パニックになったり叫んだりはしなかったけど本音を言えばそれらで収まるほどの動揺じゃなかった。

完全に日常と隔絶された異常な陽気に、見たこともないヌイグルミしかもそれが喋って動くと来た。かと思えば南国に連れてこられて仲良くしろって?



____どう考えても夢でしょ、こんなの。






32 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:15:33.58uUkbKYqQ0 (32/68)

。o○o。.★.。o○o。.☆.。o○o。.★.o○o。.☆.。o○o。



しゃいにー☆あいらんど
どきどき南国ロケで大パニック⁉️



。o○o。.★.。o○o。.☆.。o○o。.★.o○o。.☆.。o○o。



33 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:16:20.28uUkbKYqQ0 (33/68)






「……ねえ、大丈夫?」








34 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:17:48.67uUkbKYqQ0 (34/68)


「……大変だよね、こんなに一気に訳のわからないことが起きて」


私のことを怪訝そうにのぞき込む美琴さん。
そりゃそうだよね、隣に立ってた人間が混乱の一時の勢いとはいえ急に倒れこんだらびっくりしちゃうよね。


「……ねえ、聞いてる?」

「き、聞いてます……聞いてますけど……こんな状況……受け入れられないし、信じられなくないです?」


思わず駄々こねる子供みたいな口ぶりになる私。美琴さんは私の言葉を少し宙でなぞるも、それに同調はしなかった。
むしろお母さんのように、私を諭す。


「色々と手いっぱいだと思うけど……動かないことには始まらないから」

「そ、そうですけど……」


ただ、美琴さんにこれ以上迷惑をかけるのは自分的にもナシ。
とりあえずは立ち上がって、現実というものを見定めることにした。


「……手、使う?」

「い、いえいえ! そんな申し訳ないです! 今立ちますから!」



35 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:19:17.41uUkbKYqQ0 (35/68)


立ち上がると改めて視界に入る、綺麗すぎる海と空。
昔お姉ちゃんと一緒に行ったような、東京湾のきっったない海とは大違い。
混じりっ気のない純粋な青色は胸がすくようで、思わず走り出したくなるような……テレビで見る海外のビーチとかそういうレベルだ。
でも、それがゆえにかえって不気味に見えてしまうというのも実情。


美琴「……大丈夫? 落ち着いた?」

にちか「落ち着いては……ないかもです。すみません……やっぱり、全く意味が分かんない状況ですから……」

にちか「……ってあれ? ほかの皆さんは?」

美琴「もう行っちゃったよ。島の様子を見てみないことには何もできないからって」

にちか「……!! わわっ、すみません! 私が倒れちゃってたから美琴さんのお手を煩わせちゃってましたかね!?」

美琴「ううん、そういうんじゃないから大丈夫。それより、とりあえず私たちも行動を開始したほうがいいかな」

にちか「そ、そうですね! とりあえずは島の調査に……」


自分たちだけ行動が遅れてしまった、美琴さんの足を引っ張ってしまった。
なんとかそのビハインドを取り返さないといけないと思って、すぐに動こうとした……



____けど、美琴さんがそれを制止した。






36 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:20:41.52uUkbKYqQ0 (36/68)


美琴「待って、その前に……やらなきゃいけないことがあるから」

にちか「え? な、なんですか?」

美琴「……緋田美琴、【超社会人級のダンサー】。よろしくね」

にちか「……み、美琴さん?」


ピロリン

にちか「……わぁっ?!」


突然の美琴さんの自己紹介、それと同時に袂のほうから聞いたことのない電子音。
思わず何事かとポケットを漁ると……その音の発生元はすぐに見つかった。
スマートフォンのような、PDAのような、液晶と捜査のタッチパネルが一体化した装置のようなもの。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

緋田美琴【超社会人級のダンサー】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

その液晶には美琴さんの情報が浮かび上がっていて、その脇には【希望のカケラ】という文字も見える。



37 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:22:02.13uUkbKYqQ0 (37/68)


にちか「こ、これは……?!」

美琴「……覚えてないの? さっき、ウサミに渡されたと思うんだけど……にちかちゃん、茫然自失って感じだったから」


言われてみればそんなの受け取ったような気もする。
すっかり目の前の異常事態に気を取られていて思考が停止していたのでまるで記憶がないんだけど。


ウサミ「おめでとうございまちゅ! 【希望のカケラ】を手に入れまちたね!」

にちか「わぁっ?! また出た!?」

ウサミ「七草さん、もう大丈夫でちゅか? 突然倒れこんだのでみんな心配してまちたよ?」

にちか「そ、それより……これ、なんなの?! このよくわからない機械も、希望のカケラっていうのも!」

ウサミ「ああ、その機械は【電子生徒手帳】でちゅ! ミナサンのこの島での暮らしをサポートしてくれる便利な機械でちゅよ! まあ、クリアしたらマイルがたまるようなミッションがあるわけではないんでちゅが……」

ウサミ「その代わり、仲良くなればなるほど【希望のカケラ】がたまっていくんでちゅ! 【希望のカケラ】はその数に応じて便利なアイテムと交換できまちゅから、大切に集めてくだちゃいね!」

美琴「ひとまずこの電子生徒手帳に全員分の情報を登録する必要があるみたい。自己紹介をすることで相手の情報が記録されるみたいだから、それで」


ああ、突然美琴さんが自己紹介をしたことにも納得ができた。
別に私の存在が矮小すぎて忘れちゃったとか、そういう余計な心配はしなくていいみたい。
ほっと胸をなでおろす。



38 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:23:30.44uUkbKYqQ0 (38/68)


画面を指でつつけば、私の情報も浮かび上がってきた。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

七草にちか【超高校級の幸運】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


にちか「わ、私……幸運? 確か始まりのモノローグでその真逆みたいなこと言っちゃってたと思うんだけど……」

ウサミ「あー、その……希望ヶ峰学園の言うところの【超高校級の幸運】って、そういう単純なラッキーってだけの意味じゃないんでちゅ」

美琴「確か……毎年全国の【超高校級でない平均的な高校生】から一人抽選で選んで入学する権利を与える制度のこと、だよね」

ウサミ「その通りでちゅ。で、でもそれって……七草さんが凡人だからこそつかみ取れた幸運ってことでちゅから! 全然、気に病む必要はないんでちゅ!」

にちか「……いや、そんな言われ方したら余計に気になるんですけど」





にちか「……ん? ていうか、今、【希望ヶ峰学園】って言った……?」








39 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:24:42.39uUkbKYqQ0 (39/68)


ウサミ「そうでちゅけど……どうかしまちたか?」

にちか「どうしたもこうしたもないよ……だって、希望ヶ峰学園ってあの【希望ヶ峰学園】のこと、なんでしょ……?! そんなの、そんなのって……!!」




ウサミ「そうなんでちゅ! ビッグさぷらーいず! ミナサンは希望ヶ峰学園が主催する、【希望ヶ峰学園歌姫計画】の参加者に選ばれたんでちゅ!」




【希望ヶ峰学園歌姫計画】……?
その名前自体は聞いたこともない、でも希望ヶ峰学園の名を冠するというだけでその持つ意味は大きく変わってくる。


だって、希望ヶ峰学園はこの国の、この世界の【希望】の象徴なんだから。



40 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:26:58.44uUkbKYqQ0 (40/68)


美琴「これもさっき話してたと思うんだけど……」

にちか「す、すみません……完全に聞いてませんでした」

ウサミ「ミナサンもよく知る通り、希望ヶ峰学園は世界中から超一流の才能を持つ高校生を集めて才能の研究を行う研究学術機関なんでちゅ。歌姫計画はその延長線上にある、大規模プロジェクトなんでちゅよ!」

にちか「な、なんだかすごく大きな話になってきた……」

ウサミ「希望ヶ峰学園の才能研究のノウハウを生かして、ミナサンの持つ才能の種、それをアイドルとしての個性・才能まで育むことを目的とした計画なんでちゅ! 新時代のエンタメ産業をけん引するような超一流のアイドルになれるように、頑張りまちょうね!」

にちか「……!!」

(そ、そんな計画に……私が……?!)

美琴「この計画の舞台に選ばれたのがこの島ってことみたい」

ウサミ「はい! でも安心してくだちゃいね、人体実験とか人格移植だとかそんな物騒なことは行いまちぇん。ちゃんとミナサンが自分自身の力で未来を切り開けるような教育プログラムをご用意してまちゅから!」

ウサミ「あちしがディレクターを務めるこの番組は、そんなミナサンのセッサタクマをお茶の間に届けるための番組なんでちゅ!」



41 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:27:43.16uUkbKYqQ0 (41/68)


なんだかまるで現実味がない話、それは変わらない。
けど……希望ヶ峰学園の名前を聞いた瞬間、その現実味のなさは色を変えた。
むしろ現実味のなさが心地よくすらあった。全身がふわふわして、どこまでも飛んでいけそうな、光が差し込んできたような……


にちか「やったーーーーーっっっ!!」

美琴「……にちかちゃん?」

にちか「す、すみません美琴さん……でも、うれしくて……! だって、私……希望ヶ峰学園の教育プログラムを受けられるんですよ……?! もう人生勝ち組ルートみたいなものじゃないですか……?!」

美琴「……」

(……あれ?)

ウサミ「うふふ、七草さんが喜んでくれてあちしも嬉しいでちゅ。ぜひこの島での暮らしを楽しんで、めいっぱい自分自身の才能を伸ばしてくだちゃいね!」


ウサミはすぐにまた姿を消した。
砂浜に残ったのは私と美琴さんのみ。希望ヶ峰学園歌姫計画とやら聞いて高揚する私とは対照的に美琴さんは冷静だった。



42 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:29:13.23uUkbKYqQ0 (42/68)


美琴「……ひとまず、みんなと合流しようか。にちかちゃんは、自己紹介もできていないし希望のカケラを集めなきゃだから」

にちか「あ、そ、そうですね……! 私、まだこの島のことも知らないですから……!」

美琴「行先は電子生徒手帳のマップでも確認できるから……私はにちかちゃんについていくよ」

にちか「あ、はい! すみません!」

少しだけ、美琴さんの反応は気になるけど……
今は美琴さんの言う通り自己紹介を進めるほうが優先かな。
この島を一通り見て回って、島での暮らし方も頭に入れておいたほうがいいかも。

よし、それじゃあ探索にいくぞー!


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

☆探索パートについて
さて、イントロダクションの時間です。
本スレッドは安価とコンマで進行していくわけですが、ここからの探索パートでさっそくその出番でございます。
行先をご指定の上、同時にコンマ判定を行い、その末尾と同じ枚数だけ【???メダル】が獲得できます。

……え? メダルの前の???、ですか? 
現段階でメダルの名称を申し上げることはできませんが、今お考えのメダルと同一のものだと思われますよ。
あくまで展開上仕方なく伏せているだけ、この島での平和な暮らしがどうなるかなんてことは、皆様が一番お判りでしょう……?

メダルは前スレ同様ガチャを回したり自動販売機で購入したり、スキルの効果に使用したりと多様な使い方が可能になります。
今のうちに多く獲得することが吉でございましょう。

それではこれからのスローライフに幸多からんことを……!

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


1.【1番目の島】空港
2.【1番目の島】ロケットパンチマーケット
3.【1番目の島】コテージ
4.【1番目の島】牧場
5.【中央の島】ジャバウォック公園

↓1



43以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/18(木) 21:51:05.23KI6yjtMS0 (1/2)

5


44 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:53:54.49uUkbKYqQ0 (43/68)

5 選択

【コンマ23:???メダルを3枚獲得しました!】

-------------------------------------------------
【中央の島】ジャバウォック公園

私たちが最初に召喚された島には橋が建てられていて、そこから別の島に行くことができた。

どうやら私たちの今いるこの場所は、この【中央の島】を取り囲むようにしていくつかの島があるらしい。
その中で現在行くことができるのが、元々私たちのいた島……というわけ。

そして、その中央の島には大きな公園が一つあるだけ。
公園といっても巨大な銅像があるだけで、どちらかといえば何か催しを開いたりするような広場に近いかな?
虎に蛇、巨大な鳥を従えて馬にまたがるこの人物はこの島の伝説の英雄とかなんだろうか。
よく観光地にこの手の銅像ってあるけど、その人物のことを知らないままに帰っちゃったりするもんなんだよね。
多分、今回もきっとそうなる……

だって、私にはそれどころじゃない【不安の種】があるから。


ルカ「……ちっ、せっかく島を移動したってのに来やがった」

美琴「にちかちゃん、行こう。ここにいても仕方ないから」

にちか「ま、待ってください! わ、私まだ……希望のカケラもらえてないです!」

ルカ「……なんで私がてめェなんかと」

(私だって別にやりたくはないんだけど……)

ルカ「……斑鳩ルカ、【超社会人級のシンガー】だってよ」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

斑鳩ルカ【超社会人級のシンガー】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


45 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:55:30.80uUkbKYqQ0 (44/68)


……ついさっきも気まずい思いをしたように、この人はもともと美琴さんのパートナーだった人だ。
同じユニットを組んで、つい最近まで一緒に活動していた。
諸事情によりユニットは解散し、ルカさんはそのままソロで活動、美琴さんは事務所を移籍して私とくっついた。
傍目に見てもその解散は単純な事情ではないらしく、今も二人の間には走る火花が見えそうなくらいにバチバチだ。

そしてその敵意は私にも向けられている。
その敵意も美琴さんの肩を持つ存在、というだけでないように感じられるんだけど……


ルカ「……はっ! 事務所移籍して新しいユニットを組んだとは聞いたけど、まさかこんなチンチクリンが相棒だなんてな」

にちか「ちんちく……?! そ、それもしかしなくても私のことです?!」

ルカ「他に誰がいるんだよ、緑チビ。あんたも大変だな、美琴と同じユニットを組むことになってよ」

美琴「……ルカには関係ないでしょ?」

にちか「ちょ、ちょっと待ってください! それってどういう意味ですか?!」

ルカ「どういう意味も何も……美琴と組んだところでろくなことにはならないって意味だよ」

にちか「……今ちょっと私もカチンときましたよ」

ルカ「は?」

にちか「美琴さんのことをなんでそんなに悪く言うんですか?! 私よりも長い間美琴さんと一緒にいたのに、なんで?!」

ルカ「……」

にちか「なんで美琴さんの魅力をわかってあげないんですか?!」

ルカ「わかってねえな……」

にちか「!?」



46 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 21:56:54.26uUkbKYqQ0 (45/68)


ルカ「おいおい……美琴、今度のパートナーはお前の信者ってことかよ! はは!笑える、ケッサクだな!」

にちか「はぁーーー?! なんですかその言い方! 私は純粋に美琴さんを尊敬してですねー!?」

ルカ「ああ、もういい……黙ってな」

にちか「嫌です! 美琴さんほど魅力的な人もいないですよね!? それを認めるまで_____」

ルカ「やめろ、それ以上詰め寄ってきたら出るとこ出る」

にちか「……っ!」

美琴「にちかちゃん、いいから。時間の無駄」

ルカ「……けっ」

美琴「じゃあね……信者がたくさんの『カミサマ』」

ルカ「じゃあな、シーズの『七草にちかじゃない方』」

(……最悪だ)

(私のせいで二人をかき乱しちゃった……ってこと……だよね)


美琴「にちかちゃん、ルカのことは放っておいていいから」

にちか「で、でも……」

美琴「……ルカとのことに踏み込まないで」

にちか「……!」

美琴「にちかちゃんは何も関係ない、私とルカ二人の問題だから」

(ちがう……とは言えなかった)

(美琴さんの口調はこれまでに触れてきたどの美琴さんよりも冷淡で、壁を貼るような……拒絶の色を濃く感じてしまったから)

(私の唇はくっついて引き剝がすことができなかった)

-------------------------------------------------

1.【1番目の島】空港
2.【1番目の島】ロケットパンチマーケット
3.【1番目の島】コテージ
4.【1番目の島】牧場

↓1


47以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/18(木) 22:57:07.43cAbE+2DcO (1/1)

3


48 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:05:08.68uUkbKYqQ0 (46/68)

3 選択

【コンマ43:モノクマメダル3枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…6枚】

-------------------------------------------------
【コテージ】

一階建てのワンルームハウスがいくつも木製の桟橋で繋がれたエリアが入り口入ってすぐ。
そこを抜ければ巨大なプールとそれを囲むようにレストランと旧館とが姿を現す……普通に立派なホテルだ。
実際ここに泊まるとなるとそれなりの金額は張りそうな豪華な設備。
しかもこれ、マップを見てみるとひとり一部屋しっかり用意されている。


美琴「どうやらここに宿泊するみたいだね、食事もレストランで揃って食べる感じかな」

にちか「す、すごすぎますって……流石は希望ヶ峰学園、ただの合宿とかじゃこうはいかないですよ……!」

美琴「……そうかもね」

(それでも涼しい顔をしてる辺り美琴さんはやっぱりすごいや……こういうホテルに泊まった経験も一度や二度じゃないんだろう)

(それなのに私ってば真横で舞い上がって……うぅ……)

美琴「にちかちゃん、ここにも何人かいるはずだから……自己紹介しに行こう?」

にちか「あ、はい……! そ、そうですね!」



49 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:06:33.99uUkbKYqQ0 (47/68)

-------------------------------------------------
【プールサイド】

昔っから謎だったんだけど、こういうビーチの近いリゾート地にも必ずと言っていいほどプールがあるのってなんでなんだろう。
海に行かずにプールにだけ行く人とか、そんなのっているのかな……

でも、プールでもしっかり寛げる様にビーチベッドにパラソルもしっかりおいてあるし……ここを利用するだけの需要はあるってコトだろう。
美琴さんとか、結構似合うかもしれない。このベッドで横になってジュースを飲みながら……
なんて、美琴さんはそんな時間があったら振付の一つや二つ練習してそうなんだけど。


???「にちかちゃん……!! さっきは大丈夫だった……?!」

にちか「え……? ああ、黛さん! だ、大丈夫です! 心配してくれてありがとうございます!」

冬優子「よかった……ふゆ、ずっと心配だったの……ほら、こんな状況だから何が起こるかわからないでしょ……? にちかちゃんに何かがあったらと思うと、ふゆ……心配で、心配で!」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

黛冬優子【超専門学校級の広報委員】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

ストレイライトの後の二人は割とステージ上とギャップがあるけれど、黛さんはそうでもないんだよね。
変わらず完璧にキュートな振る舞いで徹底されていて、自分自身の売り込み方も上手。
そういう意味合いでの【広報委員】ってことなのかな?
前にもインタビューでツイスタの使い方は丁寧にしているって話してたし、事務所の他のアイドルに比べてもそのあたりの意識は高いんだろうな。



50 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:07:22.78uUkbKYqQ0 (48/68)


冬優子「ホテルを一通り見て回ったんだけどすごく立派なホテルだね、旧館以外は手入れもちゃんとされてるみたい!」

にちか「旧館は、違うんですか?」

冬優子「うん、蜘蛛の巣も貼ってたし、中も真っ暗で……長いこと誰も足を踏み入れてないって感じかなぁ……」

美琴「そうなんだ……ウサミの管理も、行き届いてない感じなんだね」

冬優子「そうですね……肺に障ってもよくないから、あんまり近寄らない方がいいかもしれません……」

(やっぱり黛さんはしっかりしてるな……)

にちか「なんだか事務所の寮みたいですね、それって」

美琴「寮……?」

にちか「ああ、美琴さんはあんまり知らないと思うんですけど……283プロダクションの寮の一室がつい最近まで長いこと荷物置き場になってて……だいぶ埃とかたまってたらしいんですよねー」

冬優子「そういえばそんな話をふゆも聞いたかも。あれ……? その部屋って確か……」

にちか「はい、私の父の部屋です。もう死んじゃって結構経つんですけどね」

冬優子「そっか……」

にちか「あ、いやなんかすみません! 急に湿っぽい話になっちゃって!」

冬優子「ううん、大丈夫。にちかちゃんがそれだけ家族のことを思ってるっていうのが伝わってきたから……ふゆ、なんだか逆にほっこりしたよ?」

(嫌な顔一つせず……黛さん、優しいなぁ)



51 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:08:30.03uUkbKYqQ0 (49/68)

-------------------------------------------------
【ホテルロビー】


こういう旅館とかホテルってなぜか高頻度でゲームが置いてあるけど、なにかそういう決まりとかってあるのかな……
なんか流行とかと無関係にカビの生えた化石みたいなゲームなんだよね。
それが案外面白かったりするもんだけど。


美琴「……やりたいの?」

にちか「あ、いや、ぜんぜん! もうぜんっぜんやりたくないですから!」

美琴「そう? ……遠慮しなくていいよ」

(……正直なところ、ちょっと憧れはある)

(ああいうアーケードゲームってプレイのたびにお金がかかるから、なかなか手が出なかったんだよね……)

にちか「だ、大丈夫です! それより今はやるべきことがあると思うので!」

???「透先輩あんまりうまくないね~~~?」

???「ふふ、なんでだろ」

美琴「……やってるみたいだよ?」

???「あ、なんかシーズ来た~!」

???「あー、やる? 難しいよ、これ」

にちか「……まあ、どのみち自己紹介はしなきゃなので、ちょっとだけなら……?」

美琴「じゃあ、私もちょっとだけやってみようかな」

にちか「み、美琴さんも……?」

(う、うわうわ……! こんなの……畏れ多いし、負けらんないじゃん……!)

???「おー、じゃあマルチだ。ぶちかますよ、うちら」

???「あは~? 雛菜も手加減しませんよ~」



52 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:09:43.97uUkbKYqQ0 (50/68)

__________
________
______


にちか「……なんか、驚くほどあっさり勝ちましたね」

美琴「にちかちゃんがうまかったから」

???「透先輩がへたっぴすぎるんだよ~」

???「ふふ、ごめん」

透「負けたわ、あるんだね。ビギナーズラック」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

浅倉透【超高校級の???】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


浅倉さんってば本当につかみどころがないんだよね。
たまにお仕事ご一緒することがあるけど、なんか会話の運び方というか間合いというか独特で……
でも、別に居心地が悪いわけじゃなくて、むしろその逆。
言葉を使わなくとも、誰かを引き寄せてしまう不思議な魅力がある。
持ってるなー!って感じで、正直ずるい。ずるすぎるんだよねー……



53 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:10:45.59uUkbKYqQ0 (51/68)


にちか「ビギナーズラックってそれ使い方あってます?」

透「えー、どうだろ」

にちか「ぜったい違うと思います……」

美琴「あんまり普段ゲームとかしないの?」

(美琴さんにこれ言われるって相当だよ……)

???「ん~、透先輩の部屋でたまにやったりしますけどね~。透先輩ってば波が激しいから~」

美琴「……そういえば、雛菜ちゃんと透ちゃんは幼馴染なんだよね」

雛菜「そうですよ~、あとは小糸ちゃんと円香先輩がいるんですけど、なぜか今ここにはいないみたいですね~」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

市川雛菜【超高校級の帰宅部】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


市川さんは私と同級生なのに、なんていうか……とにかくすごく強い。
自分の中の芯があってそこから揺るがないというか、ゴーイングマイウェイな感じって言えばいいのかな?
他の人の顔色を窺ったりとかしないし、自分にとにかく自信があるみたい。
彼女の『しあわせ』の指針はすごく興味深い。


にちか「そういえばほかのユニットでも結構いない人がいるんですよね……」

透「あー……確かに。いないかも、真乃ちゃんとか」

雛菜「円香先輩はここにいてもつまんなそうにするだろうけど、小糸ちゃんは来てくれてもよかったな~」

透「あー、樋口はそうかも」

美琴「……ルカより、そっちの子を入れてくれたほうがよかったな」

(……あれ、もしかして地雷踏んだ……?)



54 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:12:24.42uUkbKYqQ0 (52/68)

-------------------------------------------------
【レストラン】


ホテル本館の二階はオープンビューのレストラン。
島の美しい自然を見ながらご飯を食べられるというのはいいなぁ、夜なんかは雰囲気も出てまた別の趣がありそう……
なんて、そんな経験自分は全くないから、想像の話でしかないんだけど。


美琴「……でも、料理ってだれが作るのかな」

にちか「え……? そういえば、誰なんでしょう……ホテルの従業員みたいな人も見かけてないですよね」

美琴「ウサミがさっきの魔法を使って作ってくれるのかな」

にちか「えー? そ、それもどうなんですか? あんまり食べたくなくないです?」

美琴「私は気にしないかな、油ものばっかりとかじゃなければ」

???「その心配はなさそうですよ、備え付けられてる食材は健康志向のものが多いみたいです」

???「うん、あんまり見たことない野菜も果物もそろってるし、食事は楽しく体にいいものが摂れそうかな」

美琴「……そうなの?」

???「は、はい……場合によっては私たちで作ることもできそうですし、食事の心配はないと思います」

灯織「あ、そ、その前に……七草さんとは希望のカケラの交換がまだでしたよね。風野灯織です、【超高校級の占い師】……だそうです。私は趣味程度で、占うこともできませんけどね」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

風野灯織【超高校級の占い師】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■




55 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:13:25.38uUkbKYqQ0 (53/68)


風野さんとは初対面でなかなか距離が縮まらず苦労したっけ。
結構人見知りをする子だし、私もつい余計なことを口走っちゃうタイプだしでなかなかかみ合わず。
最近では共通の話題である家事で少し話せるようになった。風野さんは料理が上手らしくて、私も勉強することが多い。
顔もいいんだし、アイドルとしての実力もあるんだし、もっと自信を持てばいいのになぁ…


灯織「どうやら食料も備品も随時補充されるようですよ、先ほどウサミが現れて説明を加えていきました」

にちか「でも、こんな島でどうやって補充するんだろう……どこかに船が停泊するところでもあるのかな……」

灯織「まだ未開放の島もいくつかありましたし、食料供給のための設備がそこで整えられている可能性はありますね……なにせ希望ヶ峰学園です、規模感が常識と違いますから」

美琴「……未開放の島?」

灯織「ええ、先ほど中央の島にも立ち寄ったんですが、私たちのいる島は【第一の島】と呼ばれていて、ほかにもいくつか島があるようですよ。現在はゲートが閉じていて通うことはできない様子でしたが……」

にちか「なんで行動の幅を狭めてるんでしょう? 最初っから開けとけばよくないです?」

灯織「……何か危険がある、とか……?」

にちか「風野さんは心配しすぎな気もするけどなー」



56 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:15:38.00uUkbKYqQ0 (54/68)


???「フルーツは新鮮なものみたいだし、スーパーの材料を合わせるとスイーツを作ったりもできそう……あさひちゃんとか果穂ちゃん、喜んでくれるかな」

にちか「フルーツです? いやー……なんだか緊張感なさすぎな感じもしますけど……」

???「せっかく南の島に連れられてきたんだし、今のところは安全みたいだから……気を紛らわせる過ごし方を考えるのもいいと思うの」

にちか「そ、それはそうかもですけどー!」

千雪「大丈夫、お姉さんたちがついてますから! いざとなったら私たちを頼ってくれていいのよ、にちかちゃん」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

桑山千雪【超社会人級の手芸部】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


千雪さんはもともと雑貨屋さんで働いていて、最近アイドルに転身したらしい変わった経歴の持ち主。
美琴さんとは年齢が近いけど、キャリアの面ではそこが違うかな。
性格も結構違ってて、美琴さんに比べると少しのんびり……いや、これはアルストロメリアの空気感のバイアスだったりするのかな?
少し幼い無邪気さも持っていて、年相応かそれ以上の色気もあって……悔しいけど、人気があるのもわかる。


千雪「ウサミちゃんも話した感じだと、悪い子ではなさそうだから……ひとまずは信じてみない?」

にちか「いやいや! さすがにそれは人が良すぎですって! 素直を通り越して妄信ですよ、そんなの!」

千雪「そう? なんだか抜けたところもあって、愛嬌も感じちゃうから……どことなく甜花ちゃんに似てるからかな」

にちか「そ、そうですか……?」



5712時まではいます ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:17:03.00uUkbKYqQ0 (55/68)


美琴「……でも、実際やたら暴力に対しては否定的みたいだから。危害を加えてくる可能性は低いと思うよ」

千雪「だって……ほら、しおりにも書いてあるよね?」

にちか「しおり……?」


千雪さんが見せてきたのは私も持っている電子生徒手帳。
そこに移っているのは、私たちのプロフィールとはまた別の画面だった。


『ルール その1
この島では過度の暴力は禁止です。みんなで【平和にほのぼの】と暮らしてくださいね』

『ルール その2
お互いを思いやって仲良く生活し、【希望のカケラ】を集めていきましょう』

『ルール その3
ポイ捨てや自然破壊はいけませんよ。この島の豊かな自然と共存共栄しましょう』

『ルール その4
引率の先生が生徒たちに直接干渉することはありません。ただし規則違反があった場合は別です』


にちか「うーわ、胡散臭……」

千雪「でも、ここに書いてあることを信じればウサミちゃんは私たちに敵意を抱いていないことになるじゃない?」

にちか「それはそうですけど……逆に信じられませんよ。ほら、暴力をふるうタイプの男の人ってはじめは甘い言葉で近寄って来るって言うじゃないですか」

美琴「……そうなの?」

にちか「いや知りませんけど!」

千雪「うーん……ウサミちゃん、危険そうには見えないけどなぁ……」

にちか「その4とか『規則違反があった場合は別』とか、怪しすぎますよ!何かと託けて襲ってくるにきまってますから!」

(だめだ、この年上たち危機感がまるでない……っ!)

-------------------------------------------------

1.【1番目の島】空港
2.【1番目の島】ロケットパンチマーケット
3.【1番目の島】牧場

↓1


58以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/18(木) 23:27:17.72RfvpMWhN0 (1/1)

3
浅倉生きてるってことは1とは別の世界線なのけ?


5912時まではいます ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:30:07.72uUkbKYqQ0 (56/68)

3 選択

【コンマ判定72:モノクマメダル2枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…8枚】

-------------------------------------------------
【牧場】

異国情緒あふれる掘っ立て小屋に、洋風の風車……
なかなか見かけぬ空気感はどこか和んでしまう空気感のようだけど……


にちか「なんで飼ってるの、ニワトリだけなんですかね……?」


大規模な敷地はスカスカのニワトリ放牧場。
いや、そもそもニワトリの放牧なんてあるのかも知らないけど、せっかく手入れされた草原もなんだかもったいなく感じられる。
こういう場所って普通、牛とか馬とか羊とか、もっと大きな家畜用の敷地じゃないだろうか。


???「あはは、ニワトリ捕まえたー!」

???「すごいですあさひさん! 目にもとまらぬはやさでした……!」

???「ちょいちょい、優しくしてあげて! ニワトリも首掴まれたら苦しいじゃん?」

にちか「うっ……あのやたら騒がしい集団は……」

美琴「……行かないの?」

にちか「い、いや……行くんですけど……」

???「あっ、にちかちゃんっす! おーい!」

にちか「あ、相変わらず元気だね……芹沢さん」

あさひ「これ見てほしいっす、ニワトリ! わたしが捕まえたんっすよ!」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

芹沢あさひ【超中学生級の総合の時間】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■



60 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:31:55.07uUkbKYqQ0 (57/68)


芹沢あさひ……この子の相手は、ちょっと疲れるんだよね……
グイグイなんて言葉じゃ収まらない圧、隙を見せれば質問攻めにしてくる……
かと思えば、目を離したすきにどこかで何かやらかしている。
それでいていわゆる天才肌っていうのが厄介だ。
前になみちゃんのステップを見せた時もすぐにコピーしちゃって、ちょっとショックだったっけな……


美琴「すごいね……ニワトリ、早いでしょ」

あさひ「はいっす、素早くて背丈も小さいからこっちも屈みながら走る必要があって……それで先回りして捕まえたっす」

にちか「な、なんで捕まえようと思ったの……?」

あさひ「ニワトリといえば卵じゃないっすか、わたしの住んでる場所と違うところでニワトリが産んだ卵がどんなものになるのか気になったんっすよ。味とか、違うんすかね?」

にちか「だとしても捕まえる必要はなくない……?」

あさひ「え?……あはは、そっすね」

(この子は、相変わらず反射と直感で生きてるな……)




61 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:33:38.85uUkbKYqQ0 (58/68)


???「あさひさんの動き、すっごくかっこよかったです……! ジャスティスVが怪人・タンドリーマンを倒すときの空中さっぽうみたいでした……!」

にちか「そんなにすごかったの……? なんだかすごい鼻息が荒くなってるけど……」

???「はい! すっごい動きだったので、あたしも真似してみたいと思いました!」

(あの子の動きはそうそう真似できるものじゃないと思うけどな……)

果穂「……あっ! そういえばにちかさんとまだ自己しょうかいしてませんでした! あたし、小宮果穂って言います! 超小学生級の道徳の時間だそうです、よろしくお願いします!」

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

小宮果穂【超小学生級の道徳の時間】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

この子は事務所の最年少、小宮果穂ちゃん。
とにかくヒーローものが好きで、よく放クラの人を集めてヒーローごっこをやっているのを見かける。
正直はじめはあんな慣れあいするぐらいならレッスンをすればいいのに、とも思っていたけど、
一度無理やり私も参加させられてから、なんだか憎めなくなってしまった。
年相応の子供らしさっていうのはそれだけで無敵。

……なんだけど、私に言わせればあさひちゃんより大人な面すらあると思う。
それぐらいしっかりした子だ。年の割にできすぎていると思う。
プロデューサーさんなんかより、よっぽどしっかりしてるんじゃないかな。

果穂「にちかさんは超高校級の幸運さんなんですね!」

(そ、そんな目を輝かされても……実質なにも無い、なんて言えないな……)

にちか「そ、それより果穂ちゃん、放クラの二人と一緒じゃないんだね。よく芹沢さんとは一緒に遊ぶの?」

果穂「はい! あさひさんはあたしを未知のせかいによくつれていってくれます! 今ももともとは大きなカブトムシを探してたところだったんですけど……とちゅうでこの牧場を見つけたので!」

あさひ「そうなんすよ、さっきこれぐらいの大きさのカブトムシがいて追いかけてたんすけど、見失っちゃったっす」

果穂「あたし、前に図かんでみたことがあるんですけど、きっとあれはコーカサスオオカブトっていうカブトムシだと思います!」

あさひ「へー、詳しいね果穂ちゃん! 今度その図鑑、見せてよ!」

果穂「はい!」

(まあ仲睦まじいことはいいことなんだけど、どことなく興味の趣旨が男の子ベクトルなんだよね……)



62 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:34:43.12uUkbKYqQ0 (59/68)


???「さっきのカブトムシマジでデカかったかんね~! 後でスーパーから虫かご取ってきてもっかい探しにいこっか!」

あさひ「あ! それなら罠仕掛けたい! 冬優子ちゃんの使ってるタイツを借りて、その中にバナナを仕込むっす!」

???「アハハ、冬優子ちゃんそれ許してくれるかな~?」

美琴「慣れてるんだね、この頃の年の子の扱い」

???「え? あー、うち、弟と妹がいるから自然と慣れちゃったカンジ? まあ別に何か特別なことしてるわけでもないんだけどね」

愛依「……てゆーか、うちも自己紹介しとかなきゃじゃん! うち、和泉愛依! 【超高校級のギャル】らしいんで、とりまよろしく~!」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

和泉愛依【超高校級のギャル】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


正直事務所に入って一番驚いたのは、愛依さんのギャップだったかもしれない。
ネットで流れてた噂、和泉愛依は本当はギャルだってやつ……あれがまさか本当だったなんてね。
ステージの上とはまるで別人、ノリも軽めでしゃべり方もアゲアゲ。
ちょっとだけショックだったけど、愛依さんの人当たりの良さがそれを上回って今に至る。
この人は純粋な、優しい人だ。それでいて、自分自身の弱さに向き合える強い人でもある。



63 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:36:10.39uUkbKYqQ0 (60/68)


愛依「超高校級……びっくりしたよね、うちってば毎年発表をテレビの前で家族全員で見てたりしてたからさ~」

にちか「あ、私もです……! 今年はどんな才能が選ばれるのかなー、どんな人になるのかなーって!」

美琴「……そうなんだ」

(美琴さんはアイドル一本だからあんまり興味とかなさそうだな……)

愛依「でも、希望ヶ峰学園が主催でこの南国ロケやってるんだったらとりあえずは安心じゃん? だってあの希望ヶ峰学園なんでしょ?」

にちか「まあ、国とか政府とか、そのレベルで信頼出来ちゃいますよね……」

美琴「……」

愛依「せっかくなら、あさひちゃんとか果穂ちゃんにも思いっきり満喫させてあげたいんだよね……! 海もめっちゃキレーだったし!」

にちか「本当に愛依さんって、面倒見がいいですよねー。うちのお姉ちゃんも見習ってほしいですよ」

愛依「あはは、はづきさんも優しいと思うけどなー」

にちか「それは! 事務所だからです! 家のお姉ちゃんとか見たら、愛依さんもひっくり返りますよー!」

愛依「まあうちも家ではそんなもんだと思うよ? ほら、あさひちゃんとか果穂ちゃんには弟たちみたいに叱ったりとかできないしさ」

にちか「そうですかねー……」



64 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:38:05.87uUkbKYqQ0 (61/68)


愛依さんと兄弟家族トークに花を咲かせているときだった。


突如その場を劈く断末魔。
それを発していたのは……ニワトリだった。


コケーーーーーーー!!!


愛依「ちょ、ちょいあさひちゃん?! な、なにやってんの!?」

あさひ「あ、愛依ちゃん。そういえばさっき摩美々ちゃんに聞いたんっすけど、ニワトリって頭を切り落とされてもしばらく動けるらしいんすよ。それ、本当なのか気になるんすよね」

愛依「だ、だめだよ?! そんなことしちゃ……!」

あさひ「やらないっすよ、でもそれってきっと首に秘密があると思うっす。だから首元を観察したいんすよね……」


おおよそ動物にするような掴み方でない持ち方をして、ニワトリを入念に観察している芹沢さん。
その後ろでは果穂ちゃんがどうしたものかと狼狽えて、愛依さんも突拍子のない行動を前に右往左往の地獄絵図。

(これ、私がどうにかしたほうがいいのかな……でも、美琴さんも見てるし……)

と、茫然と立ち尽くす形で私も地獄絵図の仲間入りを果たしたちょうどその時だった。


ウサミ「せ、芹沢さん!? 何やってるんでちゅか?!」

あさひ「あ、ウサミだ! ウサミってどうやって動いてるっすか?! 研究させてほしいっす!」

ウサミ「はわわ!? 興味の対象があちしに移ってしまいまちた?!」

愛依「に、にちかちゃん! 今のうちにニワトリを、キューシュツ!」

にちか「は、はい!」


ウサミに気を取られた一瞬のうちに、首筋を掴まれていたニワトリを自由にしてやった。
コッコと声をあげながらよろめきながら、ニワトリは逃げていく。



65 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:38:59.17uUkbKYqQ0 (62/68)


あさひ「あ、行っちゃった……」

ウサミ「も、もう! 芹沢さん、乱暴なことしちゃだめでちゅよ! 人間も動物も一緒、みんなこの島で暮らす仲間なんでちゅから、らーぶらーぶしまちょうね!」

あさひ「はいっす」

ウサミ「ふー、危ないところでちた……ニワトリさんたちが苦しむところは見たくないでちゅからね!」

(本当にそのためだけにやってきたんだ……)

美琴「……ねえ、ウサミ。それより聞きたいんだけど、どうしてこの牧場にはニワトリしかいないのかな?」

ウサミ「……え? あっ、そうでちた! もう一つの用事を忘れてまちた!」


美琴さんの問いかけにも随分とあわただしく答えると、またどこからともなくウサミは例のステッキを取り出した。
先端のハートの宝石がピンクに俄かに輝きだす。


シャラララ…


ウサミ「ちんぷい、ちんぷい! ちちんぷいぷい、ちんちんぷいぷーい!」

ウサミ「えいやー、牛さんになーれ!!」





ピロリロリーン!

そのとぼけた掛け声とともに、目の前でニワトリは……牛になった。



66 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:40:27.67uUkbKYqQ0 (63/68)


にちか「え、ええええええ?! な、なにが起きたんですか、今の?!」

ウサミ「あちしのマジカルステッキにかかれば不可能はないんでちゅ! 確定申告だって二秒で終わっちゃいまちゅ!」

美琴「……それはすごいね」

あさひ「す、すごいっす!何が起きたんすか?! そのステッキ、貸してほしいっす!」

ウサミ「申し訳ないでちゅが、これはあちしの命の次に大切なステッキでちゅから誰にも貸すことはできないんでちゅ!」

あさひ「えー、ちょっと見るだけっすからー!」

ウサミ「わ、わー! ついてこないでくだちゃい! どれだけ言われても無理なものは無理なんでちゅ!」


そのまま芹沢さんはウサミを追いかけて牧場を出て行ってしまった……


にちか「あは、あはは……今の、なんだったんですかね……」

美琴「手品かマジックの類……なのかな。裏で牛を仕込んでいたのかも」

にちか「で、ですよねー……」

(そう思うしかない、そうじゃないと……あまりにも……)

-------------------------------------------------

1.【1番目の島】空港
2.【1番目の島】ロケットパンチマーケット

↓1


67以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/18(木) 23:44:02.86KI6yjtMS0 (2/2)

2


68 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:46:37.10uUkbKYqQ0 (64/68)

2 選択

【コンマ判定86:モノクマメダル6枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…14枚】

-------------------------------------------------

【ロケットパンチマーケット】


東京の町に住んでいると、すっかり規模感が狂ってしまう。
いわゆるスーパーマーケットなんて言ってもウナギの寝床みたいに細長い感じだったり、コンビニと大差ない大きさだったり。
アニメとかで見るみたいな大きなスーパーマーケットに行ったのはいつ以来だっけ。
まあその、『いつ以来』よりも……比にならないくらいここは大きい。


にちか「うっわ……なにこれすっごい……! 見たこともないような野菜もあるし……うわうわ……お惣菜なんかもめちゃくちゃな種類あるじゃないですか……?」

美琴「……」

にちか「美琴さん……?」

美琴「……ああ、うん……あんまり、家事とかしないから」

(そっか……美琴さんは日々練習でそれどころじゃないもんね。私みたいにそんなやたらめったら日ごろから通い詰めるような人間でもない限り、こんなに興奮はしないか)

美琴「……でも、なんだかすごいね。こんな大きなコーラなんて、見たことない」

にちか「これアメリカのサイズじゃないですか……海外ドラマで太った人がラッパ飲みしてるやつ……」

美琴「……ふふ、ああいうの見るとなんだかあこがれちゃうよね」

(美琴さんがコーラをラッパ飲みなんて……まるでイメージできないな)




69 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:47:39.17uUkbKYqQ0 (65/68)


???「ここならその夢叶うみたいだしー、挑戦してみたらどうですかぁ? 幸いここには弾けるタイプのソフトキャンディもありますしー」

???「ちょ、ちょっとまみみん?! それって悪魔の提案なのでは?!」

???「結華―、ちょっとこっち手伝ってほしか~! ここの棚の料理道具、一式持って帰りたかやけん!」

にちか「あ、アンティーカ……相変わらずユニットイメージとは裏腹に騒がしい……」

美琴「どうやら咲耶ちゃんや霧子ちゃんがいないみたいだから余計にね」

???「ホントですよ……三峰への負担が今回デカすぎやしませんかね……」

結華「あ、そういえばにっちゃんとはまだ希望のカケラの交換してなかったよね? 三峰結華、【超高校級の写真部】ってことらしいんだけど……まあ、色々とよろしく!」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

三峰結華【超高校級の写真部】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

アンティーカの中では常識人……というか場を回すような役割を担っているような印象。
結華さんはノリこそ軽妙に見えるけど、何かと周りの様子を見たうえで動く思慮深い人でもあるから……この場においては結構頼りがいがありそうかな?


にちか「結華さんってば283随一にツッコミ属性ですもんねー!」

結華「やめてやめて! べつに三峰はそんなポジションに就きたくてやってるわけでもないんだからー!」

にちか「あはは、すみません! なんだか結華さんは色々とボケやすいというかやりやすくて、つい……」

結華「まあ年上のお姉さんとして、ある程度面倒は見ますけどね、そりゃあ……ったく、『みんなの妹』なんて言うだけありますな、こりゃ!」

美琴「……ふふ」



70 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:48:44.20uUkbKYqQ0 (66/68)


???「まぁ三峰のホスピタリティっていうより、にちかが扱いやすいだけみたいなところもありますけどねー」

にちか「え゛」

???「プロデューサーとトントンぐらいには反応が分かりやすいんで、仕掛ける側としても何かとやりやすい相手だよ、にちかはー」

(こ、この人はまた……)

摩美々「ふふー、【超高校級の服飾委員】田中摩美々だよー。これで自己紹介のフラグは立ったよねー?」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

田中摩美々【超高校級の服飾委員】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

田中さんは最近ではファッションブランドとの個人コラボも行われたらと283の中でも注目度の高い人だ。
それでいて特有の人懐っこさというか……包み隠さず言えば悪戯癖があるわけで。
私も前に被害にあったことがある、その時には「チョコと同じくらい反応が面白い」とか言われたっけ。
でも、たまにはプロデューサーさんに一緒にいたずらを仕掛けたりする仲でもある。
……まぁ、多分面倒見は悪くない人。


にちか「プロデューサーさんと一緒にされるなんて心外です! 私、あそこまでじゃないですから!」

摩美々「言うねー、でも結構にちかは隙多いと思うケド」

にちか「どこかですかー?! 私、アンテナ常に張ってるんで、そう簡単にはやらせませんよ!?」

摩美々「……いや、そんな思いっきり頭にバナナの皮のっけたまま言われてもー」

にちか「……!? い、いつの間に?!」

摩美々「ふふー、引っ掛かったー」

(こ、この人は……! まあ、いいや……また食事に七味を混入させてやる……)



71 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:50:32.71uUkbKYqQ0 (67/68)


???「もう、なんでどっちも手伝いに来んと?! うちだけじゃこげん嵩張るもん持ちだせんとよ!」

にちか「な、なにしてるんですか月岡さん?! あ、圧力鍋?! フードプロセッサ?!」

???「ふふーん、ここのスーパーのもんはなんでも持ち出してよかってウサミが言うとったばい! やけん、みんなにうちが手料理を振る舞おう思って必死に準備しとったのに、結華も摩美々も手伝わんから困っとるばい!」

結華「い、いやいや……こがたん、気が早すぎるって、まずはこの島の事情を調べてからでも……」

???「この島の事情を調べるのにも、おなかが空いとったら動けんよ?!」

摩美々「はぁ……変な才能を与えられたから、みょーに張り切っちゃってるんだよねー、恋鐘……」

美琴「……そうなの?」

恋鐘「変な才能とはご挨拶ばい! うちは【超高校級の料理人】っていうピッタリの才能を手に入れとるけんね、練習せんばいかんとよ!」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

月岡恋鐘【超高校級の料理人】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


月岡さんは確か長崎から来た人で、アンティーカのセンター。
アイドルとしてデビューするまでにはちょっと苦労したらしくて、それを通じて美琴さんと話をしているのを前に見たことがある。
その時に意気投合したのか、それとも月岡さんが一方的に距離を詰めているのかはわからないけど、時々手料理を美琴さんにふるまっているのも見かける。
美琴さんは食事をおろそかにしがちだし、その分では私も助かってる……かも。




72 ◆zbOQ645F4s2021/11/18(木) 23:52:30.06uUkbKYqQ0 (68/68)


恋鐘「せっかく認めてもらったけん、もっとこの腕に磨きをかけたくて仕方なか!」

美琴「そうだね……練習は常に、いつだって、どこだって……欠かしちゃいけないから」

結華「ちょ、ちょっと美琴姉さん?! そのストイックさ、今は抑えてもらっても!?」

摩美々「大体まだ摩美々もお腹すいてないし、みんな食べるどころじゃないでしょー」

恋鐘「うーん、せっかくいい食材もこげん沢山あるのに……」

にちか「そうですね……こんな豪勢なお肉とか、使って料理してみたいです」

恋鐘「……!! そういえばにちかは料理とかやらんね?」

にちか「あー、それなり……ですかね。お姉ちゃんの帰りが遅いときとかは」

恋鐘「にちかなら気持ちわかってくれるばい?! この……よか食材を前にして、料理したか衝動ば抑えん辛さ……!」

にちか「えぇ……? ど、どうでしょう……」

美琴「にちかちゃんの料理、おいしいよね」

にちか「!??!???!」

にちか「月岡さん、今すぐ料理しましょう」

結華「ちょ、ちょっとにっちゃん?!」

-------------------------------------------------

【選択肢が残り一つになったので自動進行します】

【メダルの獲得枚数判定のためにコンマの判定を行います】

↓1


73以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/19(金) 00:00:33.19kR1uoyxCO (1/1)

うぃ


74 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 00:02:04.972iGNOf2W0 (1/6)

【コンマ判定19:モノクマメダル9枚を獲得しました!】

【現在のモノクマメダル枚数…23枚】

-------------------------------------------------
【空港】

うわー、すっごい……
家が貧乏な私からすれば、飛行機での旅行なんて本当に縁遠いものだ。
こんな空港にすら踏み入れたことはほとんどない。

一面ガラス張りの壁からみえる巨大な飛行機とジェット機に思わずかじりついてしまう。


美琴「……ふふ、そんなに珍しい?」

にちか「あっ、そ、その……すみません! 全然、そういうんじゃないですから! 空、青いなーって!」

(子供っぽいって思われたかな……変な誤魔化し方しちゃった……)

にちか「……あれ? っていうか、あの飛行機で私たちここに来たんですかね? まるで乗った記憶とかないですけど」

???「いえ、その可能性は低いと思うわ」

???「さっきみんなで確認したけど、エンジンがまるまる抜き取られてた……っていうか、元々入ってなかった、みたいな感じだったよ!」

???「ええ……あれはどちらかというとハリボテのようなもの、飛行機のレプリカといったところかしら」

にちか「そ、そうなんですか……」

???「あら、そういえばにちかとは自己紹介をしていなかったわね? 改めてここで自己紹介をしておきましょうか」

夏葉「私の名前は有栖川夏葉。どうやら【超大学生級の令嬢】としてこの歌姫計画に参加しているらしいわ。一緒に日々研鑽を積みましょうね」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

有栖川夏葉【超大学生級の令嬢】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■



75 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 00:03:32.392iGNOf2W0 (2/6)


夏葉さんの称号はすごくシックリくるな……
実際おうちは超が付くほどのお金持ちだし、すごい名家の育ちだって聞いた。
私なんかとは、多分育ちも全然違う……
でも、だからといってそれに胡坐をかかないストイックさが有栖川夏葉という女性の魅力なんだよね。


夏葉「何やら奇妙な状況のようだけど、ひとまず身の安全自体は確保されているようだし、ひとまずは冷静に事態を見極めましょう」

美琴「うん……そうだね、あんまりウサミの言うことも鵜吞みにしすぎない方がいいかも」

にちか「あれ、そういえば美琴さんと夏葉さんって仲が良かったんです?」

夏葉「そうね……何かと美琴とは馬が合うことが多いから、よくレッスンのアドバイスを私が仰ぐことがあるわ」

(二人ともトレーニングとレッスンとに全力投球って感じだもんなー……)

???「はいはい! にちかちゃん、わたしも自己紹介、いいかな?!」

智代子「わたしは園田智代子、【超高校級のインフルエンサー】……なんだって!」


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

園田智代子【超高校級のインフルエンサー】

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


園田さんは私とも同い年のチョコアイドル。
正直なところ、事務所に入った当初はかなりびっくりしたな。
こんなにセルフプロモーションが上手で、個性だってあるのに『クラスに一人はいるような女の子』なんて言うんだから……私の立つ瀬がないって!
よっぽど私のほうが凡人だし、そりゃ超高校級のインフルエンサーなんてのも納得。
武士っぽい口調のツイスタの投稿は毎回異様な盛り上がりを見せるんだよね。



76 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 00:04:15.522iGNOf2W0 (3/6)


智代子「にちかちゃん、さっきは大丈夫だった? 突然のことで頭パニックだったよね……」

にちか「あ、ありがとうございます……正直まだ整理がつかないところはあるけど……」

智代子「頭を回転させるには……ほら、糖分補給糖分補給!」

夏葉「……あら? 智代子、そのチョコレート、どこから取り出したのかしら?」

智代子「ひぃ?! ち、違うんだよ夏葉ちゃん?! こ、これは……チョコに見えるけど、本当はタンパク質の塊みたいなものでして……」

(さ、さすがに苦しい言い訳だな……)

夏葉「いい? プロデューサーがいないからといって自己管理を怠るようなことがあってはならないわ! この島での暮らしがどうなるにせよ、常に気を引き締めておかなくちゃだめよ!」

美琴「そうだね……レッスンもいつまで空くかもわからない、自主練はしっかりとやっておかないと」

智代子「そ、そうだね……夏葉ちゃん……」

智代子「うぅ……一緒に頑張ろうね、にちかちゃん……」

(な、なんとも悲壮感ある圧力だな……)




77 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 00:05:52.592iGNOf2W0 (4/6)


____
______
________


キーンコーンカーンコーン・・・・・・

にちか「……え? こ、これって学校のチャイム?!」

美琴「にちかちゃん、アレ……」


『どうやらミナサン、最初の希望のカケラを全員分集め終わったようでちゅね! おめでとうございまちゅー!』

『うるうるうる……あちし嬉しいなぁ……という訳で、そんなミナサンをさらにハッピーにするプレゼントを用意しまちた!』

『お手数でちゅけど、最初の砂浜に集まってくだちゃい』

『ぷすー、くすくす! 輝かしい希望はミナサンとともにね!』


美琴「……だって」

にちか「えー……どうしますー? なんか招集かかってますけど……」

美琴「……行かないことにはウサミの考えもわからないよね」

にちか「ですよねー……」

(うーん、ひとまず危険はなさそうだけど……大丈夫、かな……?)

(とりあえずは砂浜に行ってみようか……)



78 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 00:09:50.592iGNOf2W0 (5/6)


というわけで初回更新はこれくらいで終了。
シャニマス×ダンガンロンパ、七草にちかを新たな主人公にまた暫くの間お付き合いください。
前作で培ったノウハウを生かしていきたいですね。

メダルに関して途中から伏字してませんでしたね。
まあ自明のことなので伏せる必要もなかったんですが……

前もってアナウンスしておきますと、今回は書き溜めは1章分までしかございません。
前作では2,3章も書き溜めしてから始めていましたが…今回はその分1章1章にしっかり力を込めて制作して参ります。

11/19、22時か23時ごろからプロローグ終わりまで投稿しにまいります。
安価はありません。

それではお疲れさまでした。


79 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 00:14:46.502iGNOf2W0 (6/6)

【希望ヶ峰学園歌姫計画:参加者名簿】

【超高校級の占い師】風野灯織
【超社会人級の料理人】 月岡恋鐘
【超大学生級の写真部】 三峰結華
【超高校級の服飾委員】 田中摩美々
【超小学生級の道徳の時間】 小宮果穂
【超高校級のインフルエンサー】 園田智代子
【超大学生級の令嬢】 有栖川夏葉
【超社会人級の手芸部】 桑山千雪
【超中学生級の総合の時間】 芹沢あさひ
【超専門学校生級の広報委員】 黛冬優子
【超高校級のギャル】 和泉愛依
【超高校級の???】 浅倉透
【超高校級の帰宅部】 市川雛菜
【超高校級の幸運】 七草にちか
【超社会人級のダンサー】 緋田美琴
【超社会人級のシンガー】 斑鳩ルカ


80 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:41:58.186J07c1J10 (1/41)

-------------------------------------------------
【砂浜】


ルカ「……ちっ、集まるのが遅いんだよ」

灯織「お二人で全員ですね、別段遅刻などではないのでお気になさらないでください」

夏葉「ちょうど今全員で調査結果の報告会をしているところだったの、二人も協力してもらえるかしら?」

にちか「あ、はい! わかりました!」

美琴「うん、いいよ」

結華「じゃあ続きを始めていきますか! えっと……この島の施設についての話をしてたんでしたっけ」

智代子「大きな空港があったよねー、飛行機が飛べばあそこから脱出できると思うんだけど……」

夏葉「飛行機にはエンジンが入っていなかったの、あれではただのハリボテね」

恋鐘「ばり大きかスーパーがあったばい! 食料も日用品も揃っとったし、生活に不自由はなさそうやね~」

冬優子「ホテルには全員にそれぞれお部屋が用意されてました! 中も見てみましたけど、清潔で新しい部屋で……セキュリティもしっかりしていると思います!」

透「あー、それとは別になんか使ってない建物あったよね」

雛菜「うん~、そっちはまるで掃除もされてなかったし、雛菜は入る気も起きませんでしたけどね~」

千雪「食事はレストランで毎食用意されるみたい、自分たちで料理するための材料も設備もあるって!」

あさひ「大きな牧場があったっす! そこではニワトリを飼育してたんすけど、ウサミが魔法で牛に変えちゃったんっすよ!」

果穂「はい! すごかったです……! あたしたちの目の前で姿が変わって……!」

摩美々「えー、なにそれー……マジックかなんかでしょー?」




81 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:43:11.116J07c1J10 (2/41)


灯織「……」

愛依「灯織ちゃん、どしたん?」

灯織「……ああ、いえ……一つ気になったことがあるんですよね」

結華「なになに? どうしたの?」

灯織「皆さんは中央の島の公園には行かれましたか?」

夏葉「ええ、確か巨大な銅像が置いてあったわね。動物を模したものだったはずよ」

愛依「あー! あのあさひちゃんが登ってたやつ!」

にちか「えぇ……?」

灯織「あの銅像を見た時に、以前聞いた話を思い出したんです。太平洋に浮かぶ小さな島で、風光明媚な常夏の楽園という呼び方をされるにふさわしい島の存在を……」

灯織「中央の小さな島を中心にして、“5つの島”から構成されるその島々は同じく“神聖な5体の生物”を島の象徴にしているらしいんです」

にちか「えっ……?! そ、それって……」




灯織「確か、その名前は【ジャバウォック島】」







82 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:43:54.446J07c1J10 (3/41)


雛菜「ふ~ん? 雛菜はあんまり聞き覚えない感じですね~」

夏葉「……以前父の海外赴任の際に一度耳にした名前だわ。でも灯織、それっておかしくないかしら」

果穂「おかしい……ですか?」

灯織「はい……ジャバウォック島は確か……もう人が住んでいないはずなんです」

恋鐘「ふぇ? でも実際島には誰もおらんよ?」

摩美々「そうじゃなくて、管理する人間もいないぐらいの廃島ってことでしょー?」

灯織「はい……こんなに環境が整備されているというのがなんだか気になって」

千雪「でも、ウサミちゃんが言ってたようにこれが希望ヶ峰学園の主催のものなら島を丸ごと改造して……なんてこともありえないかな?」

冬優子「確かに希望ヶ峰学園ならそれぐらいのことはできそうですね!」

透「まあ、でもさ。いいじゃん、なんでも。島の名前は」

にちか「え……?」

雛菜「どうせこの島で暮らさなきゃいけないのは変わらないですよね~? 雛菜たちの現状が島の名前で変わるわけでもないですし~」

ルカ「……けっ」

灯織「それはそうかもしれませんが……」



83 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:44:45.606J07c1J10 (4/41)


智代子「とりあえず島を見た感じだと目立った危険はなかったし、最初ほど絶望的な状況には感じないといいますか……」

あさひ「それより、この島でしかできないことをいろいろ試してみたいっす!」

愛依「アハハ、海もすごくきれいだもんね! せっかくなら泳いだりもしたいしー!」

(うーん……こんな感じで大丈夫なのかな……)

(実際、本当に希望ヶ峰学園の計画でここにいるんだったら余計な心配なんだろうし……)

(ウサミ自体も危害を加えてくるような様子もないわけで……)

にちか「美琴さんは、どう思います?」

美琴「……ウサミの言うことが全部が全部、信用できるわけではないのは変わらない。だけど、今私たちにできることもない……とも思うかな」

にちか「……それは確かに、そうですね」

美琴「脱出しようにもする術もないよね」

にちか「あっ! でもそこらに生えてるヤシの木を切り出してイカダにするとかなら……」




ウサミ「いけまちぇーーーーーーーん!」






84 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:45:54.976J07c1J10 (5/41)


(うわっ!?)

ウサミ「七草さん! ロケのしおりをみまちたよね?! この島の生活で環境破壊はだめでちゅよ!」


『ルール その3
ポイ捨てや自然破壊はいけませんよ。この島の豊かな自然と共存共栄しましょう』


ウサミ「草や木にも一つ一つに慈しみの心をもって接してあげてほしいんでちゅ。博愛の心がミナサンの交流にも助けになるはずでちゅよ!」

にちか「げー、木の一本や二本よくないですかー? けち臭いなー」

摩美々「ちょっとー、気持ちはわかるケドさぁ……不用意に刺激しないでよ、摩美々たちにも危険が及ぶかもしれないしー」

ウサミ「はわわ! き、危険なんてそんな! あくまでもあちしが行うのは教育的措置、せいぜいデコピンぐらいのものでちゅよ!」

透「おー、強いよ。私の薬指」

雛菜「円香先輩のデコピンこの前すごかった~!」

結華「はいはい、脱線しない脱線しない……」

美琴「……まあ、あんまりウサミを刺激しないほうがいいのは確かだと思うから」

にちか「そ、そうですね……すみません!」



85 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:47:17.266J07c1J10 (6/41)


ルカ「それより何の用事なんだよ、プレゼントとか言ってたけど」

ウサミ「よくぞ聞いてくれまちた! 希望のカケラを全員分最初の一つ集めたミナサンにご褒美を用意したんでちゅ!」

ウサミ「ぷすー、くすくすっ! ウサミストラップでーちゅ! あのね、お腹押すとしゃべるんでちゅ」


『あちしはウサミ……魔法少女ミラクル★ウサミ。ちょっぴちスイートなミルキーっ娘でちゅ!』


ウサミ「かわいいでしょ! らーぶ、らーぶでしょ!」

あさひ「いらない!」

ルカ「……やっぱ来る意味はなかったな」

摩美々「期待して損したぁ」

千雪「そうかなぁ……すごく細かいところまで手が込んでると思うけど」

夏葉「……ただ、この状況でストラップだけ渡されても少し困るわね」


ウサミに渡されたストラップの数々。
その悉くが……次の瞬間、ウサミの手にもう一度戻っていた。


ウサミ「受け取り拒否でちゅか!? あちしの手は募金箱じゃないんでちゅ、ここに返したところで世界中の不幸な子供たちのもとに届くわけでもないんでちゅよ!」

結華「あ、あはは……せっかく用意してもらって悪いんだけどさ、三峰たちはもっとここでの生活に役立つプレゼントとかを期待しちゃってたところもありまして……」

ウサミ「うぅ……くすん、あちしのストラップもQOLをあげるのに大いに役立つのに……」



86 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:48:24.216J07c1J10 (7/41)


ウサミ「わかりまちた、ミナサンにはもう一つのプレゼントを渡すことにしまちゅ」

にちか「もう一つの……?」

美琴「プレゼント……?」

ウサミ「じゃじゃーん! 【動機】を用意させてもらいまちた! ミナサンがこの島で暮らす上で仲良くなる動機だよ!」

果穂「なかよくなる、どうき……すっごく気になります!」

あさひ「何かのおもちゃっすか?! みんなで遊べたりするっすか!?」

ウサミ「いいでちゅねぇ、無邪気な反応はそれだけで癒されまちゅねぇ」

灯織「じ、実際なんなんですか?! その動機というのは……」

ウサミ「はい、これでちゅ!」

夏葉「あら……? これって……」

智代子「み、水着……水着だよ、これ!」

ウサミ「うーみーはひろいーなー、おおーきーいーなー! というわけで、やっぱりまずは海水浴でちゅよね! ミナサン一人一人のスタイルに合わせた水着を用意させていただきまちた!」

ルカ「……はぁ? なんだよそれ、ここで泳げってか?」

ウサミ「はい! そういうことでちゅ! もちろん強制するわけではないんでちゅよ! ミナサンがここの生活でより仲良くなって希望のカケラを集めるその助けになればいいと思って……」

にちか「いやいや……流石にこの状況でそんな、海水浴だなんて……」




あさひ「やったー! 泳いでいいんだー!」

にちか「……え」






87 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:49:27.576J07c1J10 (8/41)


あさひ「果穂ちゃん、早く着替えて泳ごうよ!」

果穂「はい! あたしもずっとおよぎたいと思ってましたーーー!」

愛依「ちょいちょい、危ないから走らないで! ほら、手ぇつなぎながら行こ?」

にちか「ちょ、ちょっと……?!」

雛菜「あは~! 雛菜こういうイベント待ってた~!」

透「泳ごっか。うちらも」


気が付けば次から次へとみんながみんなスイミングバッグを受け取って更衣のためにコテージへと走り出していた。
数人はそのままその場に待機していたけど、別にウサミを警戒してといった様子でもなく別の事情があってといったところ。


美琴「……にちかちゃんは行かないの?」


美琴さんは不思議そうに私のことを見ている。美琴さんからすれば私のほうが変わって見えるんだろう。
この島では何も起きない、事件なんか起こりっこない。
何も起きずにただ平和な時間だけが過ぎていく。

かくいう私も、本当のところは……その不気味な平和に浸りたいと思っている。
ウサミの口からきいた『希望ヶ峰学園歌姫計画』とやら、それが本当ならこれ以上ない僥倖。
今は美琴さんの手前抑え込んでいるけど、本当はそこかしこに言いふらして回りたいぐらいの代物。


……私も、その一線を越えていいのかな。
考えるのをやめて、つかの間の平和に走る、その一歩を。



88 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:50:13.046J07c1J10 (9/41)


私が砂浜を右往左往して考えているうちに、着替えの終わったみんなが次々に戻ってきた。
流石は283プロダクションのアイドル、写真集にでもしようものならかなりの売り上げがありそうな光景が目の前に広がった。


千雪「海で泳ぐなんて久しぶりなんだろう……日の光が気持ちいいなぁ」

灯織「はい……! 天気もいいので、絶好の海水浴日和ですね……!」

摩美々「ふふー、こうやって水に浮いてるといつかのプールのことを思い出しますねー」

結華「ちょっとまみみん……約束したよね、ほかの人を心配させるようなイタズラはしないって。こがたんなんか絶対焦って助けに来るんだから、やっちゃダメだよ!」

恋鐘「ふぇ~~~~!? 足が攣ってしもうたばい~~~~~!」

果穂「すごい……夏葉さん、すっごくかっこいいバタフライですー!」

夏葉「果穂にもやり方を教えてあげるわ、綺麗なフォームを作るにはコツがいるの。……もちろんそのあとで智代子にもみっちりコーチしてあげる」

智代子「うぅ……ゆっくりと浮き輪で浮いていたかった……」

あさひ「あはは! 水、すっごく冷たいっすー!」

愛依「うりうり~! あさひちゃん、水鉄砲も持ってきたよ~!」

雛菜「透先輩埋めちゃった~~~!」

透「あー、重いかも。手、出ないわ」



89 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:51:12.916J07c1J10 (10/41)


……ずるい。
ずるい、ずるすぎるよ。こっちは現実と自分の都合と、美琴さんとの建前と色々の兼ね合いで手いっぱいなのに手放しで楽しんじゃってさ。
あんなに笑顔で気持ちよさそうに海を満喫なんかしちゃって……

私はいつの間にか食い入るように彼女たちの海水浴を見つめていた。
その一線を中々超えれずにいる自分への歯がゆさと彼女たちに対する嫉妬とをごちゃまぜにしてこぶしを握る。力が入って体が震えてしまっていた。
人生この先長くとも羨ましくて体が震えるなんてこと、そうそうないだろう。
それぐらい人の体が震えるなんて、珍しいことだし、何より目に付く。


美琴「……ねぇ」


実際、美琴さんの目に留まってしまった。
しまった、浅ましいと思われちゃったかな。こんな状況下で遊びたがってるなんて、緊張感が足りてないって失望させてしまったかな。
慌てて言い訳の言葉を口の中で装填する。




____けどその弾を使うことはなかった。







90 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:53:11.736J07c1J10 (11/41)





美琴「……泳ごっか、私たちも」




にちか「み、美琴さん?! そ、そんな私に合わせて無理しなくても?!」

美琴「ううん、違うから。私もせっかくだし、ちょっとだけ……ワクワクしてるところもあるかな」

にちか「え、ええ……!?」

美琴「ほら、私の生まれって北海道で……上京してからはそれどころじゃなかったし」

美琴「興味があるんだ、こういうの」


そう言ってはにかむ美琴さんがすごく可愛らしくて、優しくて、もう飛びつきたいぐらいの衝動を抱いて。


にちか「はい!!!!!!」


……全身全霊で返事をした。



91 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:54:06.296J07c1J10 (12/41)


「おーい! ウサミー! 私と美琴さんの分の水着くださーい!」

「七草さんもわかってくれまちたか! みんなとらーぶらーぶしてくれるんでちゅね!」


もう知ったこっちゃない。
こうなったからには私だって満喫してやる。めいっぱいこの島での暮らしを遊びつくしてやる。
美琴さんと一緒に過ごせるなら、どこだってそこが最高の場所で最高の時間だ。
今自分たちの置かれている状況も今は忘れよう、それより美琴さんの海水浴がしたいという希望を最高の形でかなえてあげないと。
だから私がまず一番に楽しまないと、嘘!

すっかり頭がすっからかんになって私は走り出していた。
美琴さんと一緒に海で遊べるなんて夢にも思わなかった、最高の展開。
もうそれが待ちきれない、膨らみ切った思いからの第一歩だった。


その一歩は砂浜の柔らかい地表にすっぽりと埋まって____



92 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:54:36.316J07c1J10 (13/41)






____そのまま勢いが止まった。








93 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:55:35.016J07c1J10 (14/41)


キーンコーンカーンコーン・・・・・・


『えーえー、マイクテス、マイクテス! 大丈夫? 聞こえてるよね?』


それはウサミとは全く異なる声の持ち主。恐ろしいまでの濁声は、一度聞いただけで内臓まで揺さぶられるような不快感を与え、その語り口の軽妙さがかえって拒絶反応を引き起こす。頭の中の多幸感を一瞬で吹き飛ばすには十分なほどの何かがそこに在った。


『オマエラお待ちかねの時間、【集いの時間】だよー! 南国での仲良しスローライフ、なんてくっだらない茶番劇に幕を下ろして、真の南国ロケが幕を開けますよー!』

『オマエラ、今すぐ中央の島のジャバウォック公園にお集まりください! 来なかったらウサミの家の住所をネットに公開してやるからなー!』


一方的なアナウンスはそのまま途絶えてしまった。
一瞬にしてさっきまでの活気が嘘のように消えてしまった。気が付けば空も曇っているし、飛んでいた海の鳥も姿を隠してしまっている。
残された私たちは理解不能の連鎖を前に狼狽えるのみ。
顔を見合わせ、事態の異常さを確かめ合う。

____そして誰よりも狼狽えているのは【彼女】だった。



94 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:56:48.216J07c1J10 (15/41)


ウサミ「ど、どうしてアイツが……この島にいるんでちゅか!」

にちか「ウサミ、今のって?!」

ウサミ「……許しまちぇん! あちしが絶対に、ミナサンを守って見せまちゅ!」


ウサミは私たちの呼びかけに反応する余裕もないといった様子で、一目散に駆けて行ってしまった。
その口ぶりからして、今のアナウンスの主はウサミにとっては知り合いであるらしい。それが良い関係にしろ、悪い関係にしろ。


愛依「ど、どうする……?」

あさひ「とりあえず行ってみるしかないっすよ! 今のアナウンス、ウサミとはまた別人っすよね?」

夏葉「……なんだか胸騒ぎがするわ、何も起きなければいいのだけど」

果穂「あたしも、なんだか体がふるえます……」

智代子「果穂、大丈夫。わたしと夏葉ちゃんがついてるからね!」

にちか「美琴さん……」

美琴「……行くしかないんじゃないかな。今は」


私自身、これまでにない嫌な感覚を覚えていた。
指先が妙に敏感で、風の流れの一つ一つさえ感じとれてしまう。それでいて喉元を伝う汗が妙に脂っぽくて不快だ。
瞳孔もどこをとらえるべきなのか、それとも視界そのものを閉ざすべきなのか、そんなことを制御とは離れたところで思考しているような。
まるで私の体が私の手から離れてしまったような、そんなフワフワとした緊張。


その足取りは、重たかった。




95 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:57:51.366J07c1J10 (16/41)

-------------------------------------------------
【中央の島】ジャバウォック公園


ウサミ「どこに隠れてるんでちゅか! でてきなちゃい!」


公園に着くとすでにウサミがすごい剣幕(に見えなくもない)であたりを怒鳴り散らしていた。
私たちの抱いている不安の感情とはウサミのそれは完全に別物、完全な敵意とそれ以上の何かをはらんだ語気だ。


ウサミ「あちしは……あちしは……絶対に負けまちぇんからね!」

摩美々「ねえ、ウサミー。摩美々たちってば完全に置いてけぼりなんだケドー?」

ウサミ「ミナサン……あちしが絶対に守ってあげまちゅからね!」

冬優子「守る……? それ、どういう意味なのかな……?」

ウサミ「やい! いつまで姿を隠してるつもりなんでちゅか! 姿を見せない卑怯者め!」

???「うぷぷぷ……」

結華「……まみみん、今そういうイタズラはいいから」

摩美々「私じゃないケドー? 恋鐘のお腹の音じゃないー?」

恋鐘「ふぇ?! うちじゃなかよ、ついさっきフルーツ食べたばっかりでお腹も空いとらんばい!」

???「うぷぷぷぷぅ!」

千雪「これ……さっきのアナウンスで聞こえた声と同じよね……?」

灯織「は、はい……この声は、一体……?」



96 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 22:59:40.826J07c1J10 (17/41)


そして、それは突然だった。
突然に姿を現して、突然に私たちのそれまでの考えを吹き飛ばして、突然にこの島の色を変えて、突然に……

____【理解不能】を持ち出した。


果穂「あっ! あそこをみてください……銅像の、足元が!」


全員一気に果穂ちゃんの指さす先に目を向ける。
巨大な銅像の足元の台座部分が動いたかと思うと、そのまま珍妙な駆動音とともに、何か黒い影が射出される。


バビューン!!


それはさっき教室のような場所で見た、ウサミの登場とそっくりだった。
もっちゃりとしたシルエットが飛び上がったかと思うと、ふんわりとした着地……ではなく不格好なまでにどっしりと着地。

しかもそのぬいぐるみはウサギじゃなくて……【クマ】だった。



97 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:00:09.506J07c1J10 (18/41)







「全地球70億超えのファンの皆々様お待たせいたしました! ついにボクの登場だよ!」








98 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:00:54.646J07c1J10 (19/41)


愛依「え、ええええええ?! ま、また?!」

透「おー、なんか出た」

ルカ「……はぁ? これ以上ぬいぐるみが増えんのかよ」

摩美々「もう渋滞気味なんですケドー?」

(そのクマは右と左とで彩色が白黒に二分されていて瞳が不気味なほどに赤黒い)

(吊り上がった口元はまるで口裂け女のようで、醜悪な笑みを浮かべていた)

???「コラー! ボクはぬいぐるみなんかじゃないんだぞ! 少なくともそこの薄汚いウサギ風情と一緒にするんじゃなーい!」

ウサミ「なんてことを言うんでちゅか! あちしのフェルト地は高級品でちゅよ!」




モノクマ「ボクの名前は【モノクマ】! オマエラの参加している希望ヶ峰学園歌姫計画の主催元……希望ヶ峰学園の【学園長】なのだー!」

(……は?)






99 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:01:51.776J07c1J10 (20/41)


にちか「いやいや、何言ってんの?! 冗談にしてもセンスなさすぎ……」

モノクマ「冗談? 何言ってんのさ、ボクは本気だよ?」

千雪「希望ヶ峰学園の学園長……あなたが?」

モノクマ「学園長なんですけど! きょーいん……の免許?も持ってるんですけど!」

智代子「大変だ! 絶対嘘だよ!」

夏葉「あなたを操作している人間が希望ヶ峰学園の学園長という意味合いなのかしら? だとしたらこれはどういう状況なのか説明してもらえる?」

モノクマ「はぁ……すぐそうやって中の人間がどうとか言い出すやつって本当に萎えるよね。映画とかアニメとか見てるときは世界に没入させてほしいっての」

灯織「返事になってませんね……」

モノクマ「まあいいや、それよりさっさとお仕事をやっちゃいましょうかね! えっと、ボクがここにやってきたのはほかでもありません! オマエラで____

ウサミ「そうはさせまちぇんよ!」


呆気にとられるばかりで動けずにいた私たち、モノクマと名乗るぬいぐるみとの問答しかできなかったその間隙に。
ウサミは私たちの横を抜けて、そのステッキをモノクマめがけて振り下ろした!



100 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:03:05.156J07c1J10 (21/41)


モノクマ「痛ぁ!? な、なにするのさ! まだ人が話してる途中でしょうが!」

ウサミ「うるちゃいうるちゃい! オマエなんか、オマエなんか……消えてなくなっちゃえばいいんでちゅ!」

雛菜「なにこれ~、仲間割れ~?」

結華「もうお姉さんはなにがなんだかだよ……」

あさひ「……!? あ、あれ! さっきの魔法が出るっすよ!」

冬優子「あ、あさひちゃん引っ張らないで……! ま、魔法!?」


芹沢さんの指摘通り、モノクマに何度もぶつけているそのステッキの先は牧場で見た時のように不思議な光に包まれていた。ピンク色のどぎつい発光に、怪しげなエフェクト……LED電飾か何かなんだろうか。


シャラララ…

ウサミ「行きまちゅよー! ちんぷいちんぷい、ちんちんぷいぷーい! モノクマ、チョコになっちゃえーーーー!」

ピロリロリーン!


瞬間、辺りがすさまじい光に満ちた。
目を覆わねば立っていられないほどの眩しさと轟音。
目を覆う直前、最後にはあのステッキから発せられたものがモノクマを取り囲む様子が見えていた。



101 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:03:54.646J07c1J10 (22/41)


光が収まるには数秒がかかった。
ゆっくりと手を除けて、その目を開ける。
その先には……


ウサミ「な、なんで……なんで効いてないんでちゅか?!」

モノクマ「“ムリョー・クーショ”……」

モノクマ「クックックッ……ボクの領域内でオマエの魔法が利くとでも思ったのかい? そんなわけあるかい! ボクの領域内では魔法の一切が無効化されるんだよ!」

愛依「ん……? これ、何がどうなってんの?」

摩美々「よくわかんないケド、ヒーローショーみたいなもんじゃないのー?」

果穂「じゃあウサミさんがヒーローで、モノクマさんが怪人なんですね!」

雛菜「どっちもどっちな見た目ですけどね~?」

モノクマ「しかし生意気なやつめ、ボクに反抗するなんて、いい度胸だよね!」

ウサミ「は、はわわ……」

モノクマ「ボクに反抗できないように、その体に教え込んでやるー! 教育的指導の時間だぜ、ヒャッハー!」



102 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:04:46.236J07c1J10 (23/41)


ポカポカポカポカポカポカポカポカ

ウサミ「いやー! やめてくだちゃい! お嫁に行けなくなっちゃいまちゅー!」

ポカポカポカポカポカポカポカポカ

モノクマ「うるさい! 抵抗するな! 形変えてまうぞコラー!」

ポカポカポカポカポカポカポカポカ

ウサミ「いやー! 往年のプロレスラーみたいな脅し文句のパワハラでちゅー!」

ポカポカポカポカポカポカポカポカ

モノクマ「オラ! どうだ! その痛みがボクの心の痛みなんだぞ!」

ポカポカポカポカポカポカポカポカ

ウサミ「いやー! いつ心が傷ついたっていうんでちゅかー!」

ポカポカポカポカポカポカポカポカ

モノクマ「うるさいうるさい! プロメッサを何度も食らう身にもなってみろー!」

ポカポカポカポカポカポカポカポカ

ウサミ「いやー! メランコリーやめてくだちゃいー!」

ポカポカポカポカポカポカポカポカ



103 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:05:32.426J07c1J10 (24/41)


私たちを置いてけぼりにしてもみくちゃになるウサミとモノクマ。
やたら激しい喧嘩っぷりで砂煙が舞い上がり、その姿はだんだんと見えなくなっていく。

そして、その煙が晴れるころには……


「な、なんなんでちゅかこれ……!」


ウサミの持っていたステッキはぽっきりと折られ、その姿は白とピンクのツートンカラーに変えられてしまっていた。


モノクマ「今日からオマエの名前は【モノミ】! ボクのかわいい妹になるんだよ!」

モノミ「うぅ……しくしく……あちしの体、弄ばれちゃったでちゅ……」




104 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:06:17.776J07c1J10 (25/41)


ルカ「おい、いつまでそんなくだらねぇ茶番やってんだよ! 私たちに用事がないんならもう行くぞ!」

モノクマ「おっと! 妹を愛でるあまりうっかり本題を忘れてしまっていた! ボクからオマエラにお話がございます!」

冬優子「お話、ですか?」

モノクマ「うぷぷぷ……もうこの出来損ないの妹から聞いたとは思うけど、オマエラは希望ヶ峰学園歌姫計画の参加者としてこの島に集められたんですね!」

モノミ「誰が妹でちゅか! あちしは認めた覚えなんかないでちゅよ!」

モノクマ「で、オマエラは実際その歌姫計画でどんなレッスンを受けられるのか疑問を抱いておられるかと思います!」

灯織「それは確かにそうですね……ウサミ、いやモノミからも事の仔細は聞けてないですし……」

モノミ「風野さん……わざわざ訂正しなくていいんでちゅよ……」

モノクマ「今回、その歌姫計画の中身をオマエラに教えてあげようと思いまして! ……まぁ、なんとなく察してるとは思うけどさ」

にちか「……あ! それってもしかして希望のカケラ?!」

モノクマ「ん?」

にちか「私たちで交流していると手に入るアイテムで、さっきも自己紹介で手に入ったやつ! これじゃないです?」

モノクマ「……うぷ、うぷぷぷぷ……」

にちか「な、なに……?」

モノクマ「違うよ、オマエラにやってもらうのはそんなしょーもないギャルゲ兼宝探しじゃなくて……」




105 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:07:08.646J07c1J10 (26/41)





モノクマ「コロシアイだよ」







106 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:08:45.226J07c1J10 (27/41)


(……は?)

モノクマ「仲間と交流を深めるなんて真逆真逆! 今オマエラの隣にいる、信頼関係ある大切な仲間をその手でぶっ殺してもらいまーす!」

にちか「な、何言って……?」

結華「こ、殺す……って言った? 三峰の聞き間違いじゃなくて?」

雛菜「へ~~~?」

モノクマ「ボクぁね、成長というのは常に犠牲の上にあると思うんですよ。学力だって若い時の貴重な時間と青春とを犠牲にすることで手に入るわけですし、野球だって肩の寿命を犠牲にすることで初めて活躍できるんですよね!」

モノクマ「だからさ、仲間を犠牲にしてステージに立つとき……最高に輝くパフォーマンスができるんじゃないかなって!」


途中から耳が聞こえなくなった。いや、正確にはその音は届いている。
届いていても、それを咀嚼して脳が情報として処理するのを拒んでいる。
生きるだの死ぬだの、まして殺すだのなんて人生において自分から能動的にかかわってきた場面なんてまるでない。
それにこれからだってそんな場面が人生に現れることなんてないと、今この瞬間まで思っていた。


……それなのに、




107 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:10:21.746J07c1J10 (28/41)


モノクマ「だから、仲間の誰かを殺してくれればその人は歌姫計画の成功例としてこの島からの脱出を許可しまーす!」

果穂「い、いっている意味がわからないのに……体がふるえて、とまりません……」

夏葉「果穂、私の後ろに隠れておいて」

果穂「は、はい……」

にちか「じょ、冗談……嘘に決まってますよね?」

モノクマ「冗談? 冗談って何さ、ボクがそんないい加減なことを言うと思うかい? ボクはクマ一倍責任には厳しいからね」

モノクマ「いいかい、この世界は殺すか殺されるかなんだよ。それはオマエラのいた芸能界だってそうでしょ? たった一つの椅子のために何十人何百人という人間が蹴落としあう。オマエラは無自覚のうちにコロシアイの輪廻にすでに組み込まれていたんだよ」


殺す殺されるなんて、フィクションの中の話だと思っていた。
そりゃ報道でたまに人の生き死にのニュースは見ることだってある。
でも、それはあくまでテレビの中の出来事で、私が直接関知することなんかじゃない。

なかったはずだ。


108 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:11:26.196J07c1J10 (29/41)


モノクマ「殺し方の内容は問いません! 床下からめった刺し? シンプルに正面から金属バット? 見立て殺人なんかも乙だよね! 宙づりにしちゃえば相手が勝手に落下しするかもよ? 運任せの殺人なんかもエンタメ性抜群だよね!」


その口ぶりは異様なほどにコミカルで、本当に私の考える『殺害』の概念と同じなのか疑ってしまう。ただ、その中身を確かめると異常なまでの残虐さも兼ね備えていて、子供が包丁を振り回しているのを見た時のように背筋が凍り付く。

それはこの場に居合わせた全員がそうで、言葉を瞬間的に失ってしまっていた。額には妙に粘度のある汗が伝い、口元は固く結ばれる。焦点も定まらないままに、モノクマの言葉が嘘だと、悪質なドッキリだという証拠を求めていた。


ルカ「おい、ウサギ……どういうことなんだよ、これ」

モノミ「あ、あちしでちゅか……?」

雛菜「もともとこの島に連れてきたのってモノミちゃんでしたよね~? 希望ヶ峰学園歌姫計画もモノミちゃんから聞いた話だったし~」

モノミ「ち、違うんでちゅ……あちしは、ただミナサンを……」

あさひ「元からモノミはわたしたちにコロシアイをさせる気だったっすか?」

モノミ「そうじゃないんでちゅ! あちしは、あちしは……」

モノクマ「そうなんだよ、ボクのかわいい妹はボクのために手となり足となりオマエラを誑かせてここまで連れてきてくれたんだ! 上出来だよモノミ!」

モノミ「何言ってるんでちゅか! あちしとあんたに関係なんかないでちゅよ!」


目の前で交わされる会話の数々。
もう私は限界だった。完全に処理落ち。
情報を追うこともできず、口の中にたまる唾を飲み込むことしかできず立ち尽くす。

張り詰めた緊張感と息苦しさに膠着する場の中で、【彼女】だけが動き出した。



109 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:12:37.226J07c1J10 (30/41)


ルカ「……ちっ、くだらねぇ。そんなに私たちが従う義理なんかないだろ」

にちか「……え?」

ルカ「トロいんだよ、283プロ。言いなりになってんじゃねえよ、それとも殺人欲求でも普段から持ってたのか?」

美琴「……」


それは唯一私たちの空気感と違う人。
足がコンクリートで固められたみたいに動けなくなってしまっていた私たちとは別に、彼女はモノクマに背を向け歩き出した。
不和を生み出すばかりだった彼女が今度は潮目になったのである。
彼女の挙げた声によって俄かに私の中にも変化が起きた。
単純な話だ、コロシアイに律儀に従う必要なんてない。
だって目の前にいるのはただのぬいぐるみ。こんな奴の命令なんて、従う理由のほうが見つからない。

……そう、思ったのもつかの間。


モノクマ「ん? あー、やっぱり跳ねっ返りはいつの時代もいるものですね。いいよいいよ、それも織り込み済み! コロシアイをしないって言うんなら……」



110 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:13:54.186J07c1J10 (31/41)






モノクマ「無理やりにでも従わせてあげましょー!」








111 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:14:53.346J07c1J10 (32/41)


そう言ってモノクマが右手を振り上げると、【絶望】が姿を現した。
私たちの目の前にあった巨大な石像は音を立てて崩れ落ち、それを外殻としていた巨大なロボット……というよりも殺戮兵器とも言うべき代物が姿を現した。


ルカ「な、なんだよ……これ……!」

モノクマ「こいつらはモノケモノ! このジャバウォック島の秩序に基づき、オマエラに断罪を下す最終審判だよ!」

モノクマ「コロシアイに従わないって言うんならこいつらと鬼ごっこをしてもらうことになるよ! まあ力加減がちょっと難しいからうっかり踏みつぶしちゃうかもしれないけどね!」

愛依「あ、あんなんにやられたら……うち大ケガしちゃうって……!」

冬優子「お、大ケガどころじゃないんじゃないかな……?」

透「……死ぬね、多分」

夏葉「果穂……大丈夫、私がついてるわ」

智代子「な、夏葉ちゃん……」

夏葉「……智代子も私の後ろに隠れていなさい」

モノクマ「で? コロシアイがなんだって?」

ルカ「……くそっ!」


ルカさんもモノケモノたちを前にしては、悔しそうに握りこんだその拳を宙で振ることしかできない。
八方ふさがり。文字通りの状況下に押し込まれた私たちはこみあげてくる唾を嚥下することしかできないでいた。



112 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:16:17.906J07c1J10 (33/41)


モノクマ「ま、ボクも鬼じゃないんでね。今この場で誰かを殺せなんてことは言いませんわな、ここで生活をしていて、出たくなったらチョイとばかし殺してちょ!」

夏葉「……悪趣味が過ぎるわ」

千雪「どうしてこんなことになってしまったのかしら……」

モノクマ「どうして? その答えは何よりもオマエラが一番詳しく知ってるんじゃないの?」

(……え?)

モノクマ「ま、いいや! とりあえずはオマエラに言っておくべきことは大体全部伝えたので……【最後の催し】に移ろうか!」

冬優子「最後の催し……?」

あさひ「何するっすか?」

モノクマ「オマエラの、コロシアイ南国生活の希望に満ちた門出、いや船出を祝しまして……どでかい【花火】を打ち上げさせていただきます!」

雛菜「やは~! 雛菜花火好き~!」

智代子「ぜ、絶対雛菜ちゃんが思ってるような花火じゃないよ?!」

雛菜「え~? そうなんですか~?」

モノクマ「一度といわず何度でも! たまや~! かぎや~! 絶望や~~~~~~~~!」



113 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:17:32.256J07c1J10 (34/41)

-------------------------------------------------
モノクマが右手を掲げたかと思うと、すぐにその惨劇は始まった。
モノケモノのうちの一体、足にマシンガンを携えた鳥は即座にワイヤーを射出!
私のすぐ隣、奥にいたモノミをとらえた。


ダダダダダダ
ダダダダダダ
ダダダダダダ
ダダダダダダ


そして、そこから数秒。いや数分? 数時間だったかもしれない。
すぐ真横を掠め通っていく弾丸の雨に生命の危機を本能で感じ取った私は、時間感覚というものを壊してしまったのだ。
永遠にも感じる刹那、その果てには……



モノミの姿はかけらほども残らず、穴だらけのぼろきれのようなリボンだけが宙を舞っていた。



-------------------------------------------------


114 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:18:52.046J07c1J10 (35/41)


にちか「……え?」


千雪「な、何してるの……? も、モノミちゃんは……妹さんなんじゃ……」

モノクマ「ん? あー、そういえばそんなこと言ったばっかだったか! まあいいよ、そんなの一時的な設定に過ぎないんだし!」

にちか「た、確かについさっき思いついたようなものだったけど……でも、なんでこんな一方的に、突然に……!?」


ものの数秒前まで横に立っていたものが、消え失せている。
これまで感じたことのない脅威が、私たちに身のひりつきを与えた。
感覚が嫌に研ぎ澄まされて、肌を伝う汗が痛い。


モノクマ「はぁ……これってさ、ボクの優しさなんだよね」

灯織「ど、どこが優しさなんですか……今のがもし人だったら……一方的な虐殺ですよ!」

モノクマ「それの何が悪いの?」

灯織「!?」

モノクマ「生きていくってのはそういうことじゃん。一方的に自分より弱い存在を虐げて、殺して、自分の血肉に変えていく。ただオマエラはそれから目を背けて自分たちは平和主義者だって謳ってるだけ。言葉では何とでもいえるけどね、オマエラの血がまっさらなわけないんだよ」

摩美々「はぁ? コロシアイとか処刑とか、生きるために別に必要じゃないし論点ずれてないー?」

モノクマ「ズレてないよ! だってこの島で生きていくにはまず、『殺す』ことが大事なんだからさ! 殺される前に殺す、それってサバイバルの基本でしょ!?」

愛依「う、うち……そんなサバイバルなんか、する気……」

美琴「……生きるために、殺す」

モノクマ「オマエラみたいな現代の気にほだされた腑抜けの令和世代がコロシアイに挑むにあたって、死とはどういうものなのかを改めて実感してもらわないとじゃん? モノミには身を挺してそれを実演してもらったわけ! ああ、なんと心優しきクマとウサギなのでしょう!」

結華「いやいや、そんな倒錯した優しさ……流石に受け入れられないっていうか!」

恋鐘「少なくともモノミはそんなつもりはなかったはずたい! モノクマの言うことなんか信用ならんよ!」

モノクマ「まあオマエラが信用しようがしまいが関係ないんだけどね、すぐにその身をもって理解することになるさ。この島で生きていくことの難しさをね!」

にちか「……そ、それって、どういう意味……?」


聞いたことをすぐに後悔した。だって、こんなのモノクマに言われなくたって分かり切ってる結論。きっと全員が思いついている結論。
ただそれを口にされて、目の前に提示されてしまうと、正気ではいられなくなる、あの結論。

それを、私はみんなの前で尋ねてしまったんだ。



115 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:19:42.136J07c1J10 (36/41)






「オマエラの周りの誰かが、オマエを殺すんだよ」








116 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:21:29.676J07c1J10 (37/41)


にちか「……っ!」


それしか解答がないことは、分かり切っていた。
みんながみんな、わかっていた。
ただ、それを言葉にされると、これまでにない衝撃がずしんとその身にのしかかり、視界は帳が降りたかのように暗くなってしまうのだ。
私たちは【疑心暗鬼の暗礁】に乗り上げたのである。


モノクマ「隣で涼しい顔してるあの子も、動揺しているように見えるその子も、腹の内はわかんないよね! もしかしたらオマエをどう殺すか考えている真っ最中なのかも?」

灯織「そ、そんなこと……あるわけありません!」

モノクマ「どうしてそう言い切れるの? オマエってばサイコメトラーだったりするわけ?」

モノクマ「いいかい? どれだけオマエが相手のことを好きだとしても、相手のことを真に理解することはできないんだ。反対に相手だってそう、オマエがいくら信じても相手も信じてくれるかどうかはわからない!」


私たちは顔を見合わせていた。
これまで事務所で毎日のように見てきた顔、顔、顔。
テレビの中で追っていた憧れにも近しい顔、顔、顔。
そのどれもが表情を取ってつけたようにのっぺりとしたものに見えた。
この人は今何を考えているんだろう。これから何をしようとしているんだろう。

……そんな猜疑心の芽が顔を出すには、そう時間はかからなかった。



117 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:22:36.236J07c1J10 (38/41)


モノクマ「それでも仲良しこよしを貫くって言うんならお好きにどうぞ! ま、ボクとこのモノケモノ達が何をするのかは保証できないけどね!」

ルカ「……ちっ、ご丁寧に恐喝までしやがって」

果穂「あ、あたし……どうなっちゃうんですか……?」

夏葉「果穂、大丈夫……大丈夫よ……」

あさひ「……」

透「……これ、もしかしなくても……やばいやつ」

雛菜「あは~……」

モノクマ「さあさ今から始まるのは希望ヶ峰学園の秘蔵も秘蔵の極秘プロジェクト・歌姫計画~~~~! 仲間を手にかけ、踏み台にして! 新時代の希望となる歌姫は誰になるのか、乞うご期待!」

モノクマ「アーッハッハッハッハ!」


モノクマの笑い声に、遠くに打ち寄せる波音だけが響いた。
頭がやけに重たくなっていた。そこに詰め込まれていたのは、これまでの人生を、現実を生きてきた脳漿。
ただ、ものの数時間と経たないうちにその中には南国という非現実、拉致監禁という非現実、コロシアイという非現実、モノクマという非現実、命の危機という非現実……
根限り挙げてもきりのないほどの非現実が図々しくも堂々と詰め込まれてしまった。

揺らぎ、揺れる、世界。
その世界から振り落とされないように、輪からはみ出さないように、誰にも殺されないように。
この島では私たちは、縋ることしかできないんだ。



118 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:23:24.466J07c1J10 (39/41)






____自分の【命】そのものに。








119 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:24:32.176J07c1J10 (40/41)

-------------------------------------------------

PROLOGUE

VOY@GER
~超高校級の希望たちの希望に満ちた船出~

~そして絶望的な座礁~

END

残り生存者数
16人

To be continued…

-------------------------------------------------



120 ◆zbOQ645F4s2021/11/19(金) 23:25:39.496J07c1J10 (41/41)


というわけでプロローグ終わりまで投稿し終わりました。
次回更新から安価を使用する自由行動を含む1章(非)日常編パートが始まります。
どうかお付き合いください。

次回更新は11/21の夜を予定しています。
よろしくお願いします。


121 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:44:59.53Ojbp8S+g0 (1/35)

-------------------------------------------------


CHAPTER 01

MIDNIGHTのせいにして

(非)日常編


-------------------------------------------------



122 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:46:02.09Ojbp8S+g0 (2/35)


煌々と輝く満月の月光の元、沈黙だけが流れた。
伏目がちに猜疑の視線を送る人、仲間をかばうようにして背を向ける人、狼狽えた様子で口をパカパカさせる人……
その反応はまちまちだが、恐怖と不安というマイナス感情の鎖には全員が全員縛り上げられている。

気づけば全員顔を見合わせていた。
このコロシアイという言葉を前にして考えなかったわけではない。
殺し『あう』ということは、この場にいる全員が狙うだけでなく、狙われる側にもなるということ。
今私がこうしている間にも、誰かが私の命を狙っているかもしれない。


「……死にたくない」


誰かがそう言葉を零すまでにそう時間はかからなかったし、誰もそれを咎めようとはしなかった。
ここにいる全員が同じことを思い、その感情を発露しかけていたから。

重く、苦しい空気。
薄靄がかったような空気感の中で、手足を動かすのが辛い。
ずっと胸のあたりが痛くて、息も浅くて。


「……」


居心地の悪い沈黙だけが、続いていた。




___その膠着を破ったのは、ナイフのように鋭い言葉だった。



123 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:46:55.53Ojbp8S+g0 (3/35)






ルカ「言っておくけど……私は殺れるからな」








124 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:48:52.97Ojbp8S+g0 (4/35)


押し黙る私たちを前に、伸びでもするように何気ない様子で宣言するルカさん。その口元には笑みすら滲んでいた。
これを好機とでも捉えているかのように。


にちか「……!?」

美琴「ルカ……?」

ルカ「私はほかの連中と違って283プロの仲良しのグループでもない。ここから出ていくために他の誰かを手にかけるなんてハードルが一番低いのは私だ」


ルカさんが言っていることは真理だ。
もし万が一にでも私たちが他の誰かを殺して出ていこうと決意したとしても、私たちには同じ事務所の仲間、長い時間を共に過ごした仲間という温情があって、それが最期の防波堤の役割を果たすことだろう。ルカさんには、【それ】がない。
むしろ彼女には美琴さんとの間の諍いという動機すら存在している。
ルカさんの言葉は、異様な質量をもっていた。




125 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:49:37.36Ojbp8S+g0 (5/35)


美琴「……ルカにはできないよ」

ルカ「ハッ! 美琴に私の何が分かるんだよ!」

美琴「……」

ルカ「むしろ美琴は自分自身の心配をした方がいいんじゃねえのか? 私からは勿論、事務所での新参なんて殺す上でほかの連中からしても格好の的だろ」

夏葉「そ、そんなわけないじゃない……! 誰かを殺して脱出なんて方法、私たちが選ぶはずがないわ!」

ルカ「……何を知った気になってるのか知らねえけどよ、モノクマも言ってたように他人の気持ちなんか完全に推し量ることは無理だろ」

ルカさんは含みを持たせた言葉を放ちながら、美琴さんの方を見やった。それに美琴さんは視線をそらして答える。

ルカ「さっきの『死にたくない』って言葉……それって要は誰かはコロシアイに参加してしまうかもしれないっていう疑いだろ? よくもそんなにお互い信頼してますって面出来るもんだな」

ルカ「もういいな? 私はこんなところで立ち止まってる時間なんかないんだよ、じゃあな283プロ」


ルカさんは捨て台詞のような言葉を吐いて、一人公園から出て行ってしまった。

ルカさんの発言を否定することは誰もできず。
だってそれは本当のことだから。

……美琴さんが誰かを殺すなんてことは天地がひっくり返ってもあり得ないと思う。
ただそれをほかのユニットの全員にも言えるかというと、私には自信がない。



私だって____死にたくはない。






126 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:51:05.97Ojbp8S+g0 (6/35)


そして、公園に残された私たちは。


灯織「……そうはさせません」

千雪「灯織ちゃん……?」

にちか「うそ……風野さん……?」


あの、気弱な女の子のはずの風野さん……
その右手は、爪が食い込むまでに固く強く握りこまれていた。
まるで何かの怒りに打ち震えるかのように、彼女からはこれまでに感じたことのないような熱を感じる。


灯織「斑鳩さんのご指摘は間違いではないと思います。今この状況で、お互いを完全に信用することは難しい……それを否定することは欺瞞だと思います」

愛依「ぎ、ギマン……?」

冬優子「……本当の気持ちで向き合ってないって意味なんじゃないかな」

灯織「でも、だからといって信じることをやめてしまってはいけない……疑いながらも信じる、信じながらも疑う……私たちに今求められているのは、そういう付き合い方なんじゃないかと……そう思う次第です」

摩美々「信頼と疑念は両立できる……疑念にいつまでも囚われているようじゃダメ……そういうコトー?」

結華「ひおりん……すごいね、そんなこと思ってても、なかなか言えない……言う勇気なんか持てないよ」

灯織「以前、私も……誰も信用できないような【疑心暗鬼の状態】に陥ったことがありました。その時、私は大切なものをいくつも失って……そんな悲しみを、ここでも背負う訳にはいかないんです」

雛菜「ん~? それってなんのこと~?」

灯織「……それは、言えませんが……」

灯織「それでも、今こうして疑念だけをぶつけあってにらみ合っている状況のままではいけないのは確かだと思うんです」


風野さんは、市川さんの質問には口を噤んだ。
でも、風野さんの発した言葉は深く深くに突き刺さり、完全に凍り付いていた私たちの心臓を再びよみがえらせるには十分たるものだった。



127 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:52:48.84Ojbp8S+g0 (7/35)


千雪「私……灯織ちゃんの言うとおりだと思うな。私だって、もしかしたらって気持ちを持ってしまう……この状況だからこそ、みんなをもっと信じてみようと思う」

あさひ「よくわかんないっすけど……このままじっとしてても何も変わらないっすよね?」

恋鐘「そうばい! こげん顔していつまでも睨めっこしとったら疲れてしまうたい!」

透「考えるな、感じろ。……ってやつ?」

愛依「さっすが透ちゃん! うちもそれにサンセー!」

冬優子「あはは……透ちゃんの言葉があってるかはちょっとわからないけど、ふゆも皆を今一度信じなおすってことには賛成です」

灯織「皆さん……」


再び全身に血が通う。
膠着した疑心暗鬼の中で活動を停止していた心臓は痛いくらいに鼓動を速めていき、視界も徐々に元の明るさを取り戻してきた。


夏葉「何もモノクマの言うことに従うしか道がないわけではないわ、モノケモノは脅威だけれど、あのロボットを相手どらないで済む方法もあるかもしれない」

智代子「うん! この島の外の人たちだって動いてくれるかもしれないよね!」

果穂「はい! 困ったときには、ヒーローがたすけにきてくれます!」



128 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:53:45.72Ojbp8S+g0 (8/35)


結華「というか普通に考えて……こんなに一気に事務所のアイドルが消えたら、大騒ぎだよね?」

摩美々「プロデューサーなら今頃各所に通報してそうなもんだよねー」

結華「あはは、Pたん今頃血相変えて電話しまくってるんじゃない?」

灯織「並大抵の事件ではないはずです。きっと……助けはきますよ」

にちか「じゃあ今はとにかく生き残らなくちゃって感じです?」

愛依「かなー、まあさっきルカちゃんがかなり危なげなことは言ってたけど……」

美琴「……ルカのことは、私がどうにかしてみる」

にちか「美琴さん!」

美琴「大丈夫、今日明日にすぐ動きはしない……はずだから」

(ほ、ほんとかな……?)

あさひ「じゃ、とりあえずここを出るっすよ!」

千雪「もともとモノミちゃんが用意していたように、この島には生活が行えるだけの設備はあるから……いったんはコテージに戻って体制を整えるのがいいかな」

冬優子「一人ひとりに専用の個室がありましたよね……ふゆもそれがいいと思います」

結華「まあそうしましょうかー、今の状況が悪い夢っていう可能性もないわけじゃないわけじゃないだろうし!」

摩美々「ふぁぁぁ……まあ、普通に結構遅い時間で眠たい感じだしぃ……」

恋鐘「うちもなんだかクタクタばい! 一気にいろんなことが起きすぎたとね~……」

にちか「私もです……キャパオーバーって感じで!」


ひとまず私たちは公園を後にして、それぞれのコテージへと戻った。
何も今の状況を受け入れたわけじゃない、今は自分たちの身を安全に保つことが大切。モノクマに逆らうことも、事を荒立てることも得策じゃない。
それよりも、これから先起こるかもしれない何かのために体力と精神力とを取り戻す必要がある。



129 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:55:36.68Ojbp8S+g0 (9/35)

-------------------------------------------------
【にちかのコテージ】

キーン、コーン…カーンコーン…

『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』

『ただいま、午後十時になりました』

『波の音を聞きながら、ゆったりと穏やかにおやすみくださいね』

『ではでは、いい夢を。グッナイ…』


「うーわ……なにこれ、ヤバ! ……めっっちゃくちゃ豪華なんだけど?!」


待ち構えていたのは高級ホテルも裸足で逃げ出すような最新設備に広々空間を兼ね備えた、『快適』の二文字そのもの。
クイーンサイズのベッドは手が沈むようにふかふかで、風呂とトイレはしっかり別々。手足を伸ばせるだけのバスタブまである。


「……ちょっとだけ、帰りたくないかも」


隙間風吹き込むごく狭コンクリアパート。
寝っ転がっているだけで小言を言われる我が家に比べると数倍、数十倍は居心地がいいだろう。




……ただ一つのものを除いてだけど。






130 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:56:46.56Ojbp8S+g0 (10/35)


「なーんでここにもあるかなぁ……カメラ」


普通ホテルの部屋ってもっとプライバシーとか厳しいものでしょ?
部屋には堂々と我が物顔した監視カメラ。寝ようにもこいつが寝顔を撮ろうとしているからなかなか気が休まらない。

……やっぱりここは、異常だ。


「……うん、やっぱり出なくちゃだよ。こんなところにいていいわけない……絶対、脱出しないと!」


俄かに心を持っていかれかけた快適にいったんは蓋をして、ベッドの上に倒れこんだ。
音もたてずに体はマットの中に沈んでいき、肌触りのやけにいいシーツは太陽の優しい香りを鼻孔に届けた。


ただ、今の私の状況にそんな優しさなんて一抹も残っちゃいない。
私の眼前にあるのは底知れない恐怖。黒々としてぶくぶくと太った醜悪な何かが聳え立って、どいてくれない。
感情をせき止めるようなそれが、やりようのないモヤモヤとした不安ばかりを募らせる。
これから先、どうなってしまうんだろう。もし今目を閉じてしまったら、次に目を開けた時が私の最後になってしまうんだろうか。
考えていたらきりがない、だけど思考はめぐる。


ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる。


思考は二転三転四転…………無限那由他。
無限にも思える一瞬の時間に、思考はメビウスの輪を描いて転がっていき……




私は意識を手放した。



131 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:58:16.55Ojbp8S+g0 (11/35)

-------------------------------------------------
【ビーチ】


「……来たかよ」

「……本気じゃないでしょ? 殺せる、なんて」

「ハッ! 言ったろ、人の気持ちなんか他人にわかるわけない」

「……わかるよ」

「……はぁ?」

「……ルカの気持ちなら、わかる」

「……」

「……同じユニットだったから。ルカと過ごした時間ならだれにも負けない、ルカの親にだって負けない。だから、ルカが今……すごく怯えていることだって」

「…………くくっ」

「……ルカ?」

「何勘違いしてるんだよ……美琴! お前が私の気持ちをわかってる? そんなわけないだろ……お前は誰よりも私に近くて、誰よりも私と一緒の時間を長く過ごして……」



132 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:59:02.85Ojbp8S+g0 (12/35)






「それでも私のことを知ろうともしなかったクソッタレだよ」









133 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 20:59:49.88Ojbp8S+g0 (13/35)


「……!」

「……ほかの連中に何を言われたのかは知らねえ。けど、私が美琴のことを信用して動くと思うなよ」

「……やっぱり、そうなんだ」

「お互い様だろ、美琴だって私のことを信用なんかしていない。丸わかりなんだよ、そういうの」

「……時間の無駄だったみたい」

「だな、さっさと消えろ」

「……それじゃ、行くから」

ザッザッ




「……」




「……くそっ!」

「違うだろ……違うだろ……! 私は……私は……美琴を信用しないんじゃなくて……」

「美琴に……美琴に……ただ……ただ……!」



134 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 21:01:15.84Ojbp8S+g0 (14/35)

____

_______

__________

=========
≪island life:day 2≫
=========

【にちかのコテージ】

キーン、コーン…カーンコーン…

『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』

『オマエラ、グッモーニンッ! 本日も絶好の南国日和ですよーっ!』

『さぁて、今日も前回気分で張り切っていきましょう~!』


……夢では、なかった。
目を開けると部屋中に差し込むまばゆいばかりの陽光。部屋に取り付けられた両腕を開いても足らないほどの大きな窓、その廂の隙間かららしい。
それにしても無駄にセンスがいい、都会にいれば三歩歩けばデザイナーズ物件なんかにかち当たるものだけど、そういうところにあっても見劣りしない立派な窓。
これがこんな状況下じゃなければ最高の目覚めだったんだけど。


「……さいっっあく」




135誤字×前回気分 〇全開気分 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 21:02:22.53Ojbp8S+g0 (15/35)


頭をもたげながら起き上がった。
濁声のアナウンスで目を覚ました今朝の目覚めは最悪。
瞼が漬物石のように重たく、なんだか手足もけだるさを感じるけどこれはきっと気のせい。というか精神由来。

あんなことがあった後でぐーすかできるはずなんかない。
数時間おきに悪夢で目を覚ました長い長い夜の果て、出来上がったのがこのボロボロボディ。


「……はぁ」


したくもないのにインド象が吐くみたいなバカでかい溜息を吐いた。
『憂鬱』なんて漢字書けやしないけど、頭の中はその二文字でいっぱい。
動くのもけだるさを感じるけど、そうこうしてもいられない。
昨日の今日で美琴さんがルカさんを説得に行ったはず、その成果を確認しなきゃだし、今の状況は部屋に閉じこもったとてどうにかなるものでもない。

イヤイヤ体を引き起こして顔を洗い、歯を磨いて。
そこでようやく部屋を出た。



136 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 21:03:43.87Ojbp8S+g0 (16/35)

-------------------------------------------------
【ホテル レストラン】


ひとまずは朝ご飯を口に入れたい。
寝ている間の数時間のうちに胃袋の中はすっかり空っぽになっており、気が付けば私の足はレストランに踏み入っていた。

そしてそれは私以外の人たちも一緒だったらしく、そこにはルカさん以外の全員が待ち構えているではないか。
特に芹沢さんなんかはすでに食器の上に食パンを何枚も載せていて、脇にはフルーツも山積み。
それを愛依さんが宥めてペースを調整しながら餌付けしている、といった様子。


にちか「これって……?」

あさひ「朝起きたらもうあったんっすよ! にちかちゃんも食べるっす! 美味しいっすよ!」

愛依「アハハ、あさひちゃん落ち着いて食べないとのどに詰まるよ~?」

冬優子「それもそうだけど……みんなで一緒にいただきますしてからにしよっか?」

あさひ「え~? もうお腹ペコペコっすよ」

灯織「一番最初に来たのは私なんですが……その時にはすでにこちらの朝食は人数分用意されていました。ホテルに他の人間はいないはずなんですが……」

千雪「昨日も確認したもんね……どういうことなのかな」

にちか「えぇ……そんなもの食べて大丈夫です?」

摩美々「まぁ……毒見は済んでるしいいんじゃないー?」

あさひ「美味しいっす!」

冬優子「……はぁ」



137 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 21:04:50.84Ojbp8S+g0 (17/35)


ガツガツという擬音を恣にする芹沢さんを他所に私は美琴さんの隣に腰かけた。
美琴さんはここにきても必要最低限以上のものは取るつもりはないみたい。栄養価の高いバナナだけで済ませる様子。


にちか「美琴さん……その、どうでした……?」

美琴「……ルカのこと?」

にちか「は、はい……公園では、結構なこと言ってましたけど……」

美琴「……説得はしようとしたんだけどね」

にちか「……そ、そうですか」


美琴さんは気を落とすというよりは、前にルカさんのことを訪ねた時よりも苛立った様子だった。
昨夜二人の間に何があったのかは想像するに足る。

……これ以上触れないほうがよさそう。



138 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 21:06:38.47Ojbp8S+g0 (18/35)


結華「はいはい! とりあえずはせっかくみんな集まってるんだし、今後のことを話し合いませんか?!」

摩美々「約一名足りてないケドねー」

美琴「……ごめんね」

恋鐘「しょうがなかよ、気落とさんといて! こんな状況やけん、ルカだって混乱してしもうとるだけばい!」

千雪「朝ご飯はちゃんと食べてるのかなぁ……」

雛菜「で、今後のことってなんなんですか~?」

冬優子「ふゆたちがコロシアイをせずにこの島からどうやって脱出するか……だよね、結華ちゃん」

夏葉「空港の航空機が使えればよかったのだけれど……あいにくあれはハリボテよ」

智代子「イカダで脱出ってわけにもいかないよね……にちかちゃんも前モノミに叱られちゃってたし」

摩美々「というかそんな目立つ方法じゃモノケモノが飛んでくるでしょー」

美琴「自分から能動的には出られそうにないみたい」

結華「そうなのですよ! ……となると外の助けを待つしかないわけで」

果穂「けいさつの人は、来てくれないんですか?」

夏葉「来るかもしれないけど、ここは海の上。いつに助けが来るのかは正直見当もつかないわね……」

結華「そう、ここからは何日かかるかわからない耐久戦!」




結華「……なので、どうでしょう! 毎朝レストランで揃って朝ご飯を食べるのを習慣にしてみては!」




139 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 21:07:32.41Ojbp8S+g0 (19/35)


透「あー、いいんじゃない。それ」

千雪「毎朝の習慣にしておけば生活リズムを作ることにもつながるし、私も賛成に一票!」

果穂「はい! みなさんでそろって朝ご飯を食べたほうがきっとおいしいですし、あたしも賛成です!」

結華「それもあるし、情報共有の場にもなりそうじゃない? ほら、脱出のためには協力が大事だよね!」

灯織「なるほど、定例報告会を兼ねているんですね」

愛依「ちゃ、ちゃんと起きれるかな~……うち」

冬優子「愛依ちゃんはふゆが起こしに行くから大丈夫だよ♡」

雛菜「あは~、それって自由参加ですか~?」

結華「まあ強制はしないけど、できる限りはひななんにも参加してほしいかも!」

雛菜「はい~、それじゃほどほどに参加します~」


結華さんからの提案で毎朝朝ご飯を全員で食べることが決定。
正直なところ、まだ事務所には完全に馴染めてるわけじゃないし、ちょっとだけ気後れするところもあるんだけど……この状況下じゃ言ってても仕方ないか。
私も毎朝ちゃんと集まるようにはしよう。


美琴「……どうしたの?」

にちか「い、いえ……!」


それに、毎朝美琴さんと朝ご飯が食べられるなんてちょっとラッキーじゃない……?!



140 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 21:12:24.77Ojbp8S+g0 (20/35)

-------------------------------------------------
【にちかのコテージ】


朝ご飯を食べ終えた私は一旦自分の部屋に戻ってきた。

(……ふぅ、やけにおいしかったからついつい食べすぎちゃったかも)

(これ、消化しとかなきゃだなー……)


時計に目をやった。
まだ日も登ったばかりで一日も始まったばかり。
脱出を待つにしても時間は有り余って仕方ない。

「ここにいても仕方ないって感じだよね……よし!」

ここにいる限りはレッスンもお仕事もできないし、今やるべきことはヒントを探すこと!
じっとしてるだけじゃ退屈だしぶくぶく太っちゃうって!

とりあえずは行動あるのみ、それに尽きる!


【自由行動開始】

□■□■□■□■□■□■□■□■
☆自由行動について

お久しぶりです、イントロダクションの時間でございます。
さて、いよいよ(非)日常編の花形・自由行動でございますね。
自由行動とはコロシアイだとか物騒なことは俄かに忘れ、つかの間の平和的な交友を堪能することができる、いわばオアシス!
存分に親交を深めてくださいませ。
今回もアイドルの皆さまとの間には【親愛度レベル】が存在しております。
こちらはアイドルの方とお会いするたびに+1、プレゼントをお渡しすれば+0.5、プレゼントをお渡しして喜んでいただけたらさらに+0.5される仲良しのパラメータでございます。
親愛度レベルを上げて見事MAXである12に到達させると、その仲の深さを象徴するアイテムとともにスキルを獲得することができるのです。

ちなみにプレゼントはコンマの数値に応じてアイテムを排出するモノモノヤシーン、そしてほしいものを選んで購入できる自動販売機の二つで獲得可能です。
自動販売機には他にも便利な商品がいくつかございますので、ぜひご確認ください。

更に今回は親愛度レベルの一定の数値ごとに【希望のカケラ】を獲得することができます。
こちらは一定個数に応じて別種のスキルと交換できるアイテムになります。
自動販売機で交換できるほか、????開始前にも交換可能です。

え? この伏字、でございますか……?
はて……?

□■□■□■□■□■□■□■□■

【現在のモノクマメダル枚数…23枚】
【現在の希望のカケラ…15個】

1.交流する【人物指定安価】※ルカを除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1



141以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 21:29:11.42gsRmRnpl0 (1/10)

2


142以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 21:29:12.70lk6lUyP+0 (1/6)

2


143 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 21:38:27.24Ojbp8S+g0 (21/35)

2 選択

【第1の島:ビーチ】


手持ち無沙汰になってしまった空き時間をつぶすために、島を散歩していた。
何かに誘われるように、と言ったら大げさだけど……私の足は自然とこの島にやってきたときに初めに立っていたあのビーチに引き寄せられていた。

ザザーン……


「はぁ……なんか癒されるなぁ……」


生まれも育ちも町中で、波音なんかまともに聞いて育ってきちゃいないけど、これは本能的なものなんだろう。
波風と波音に身をゆだねて、ぼぅ……っとあたりを見渡すと。


「うげっ……なにこれ……趣味悪ッ……!」


ビーチに立つヤシの木の一つ、その幹には妙にゴテゴテした機械。
これは……どうやらガチャガチャみたい。

□■□■□■□■□■□■□■□■
☆モノモノヤシーンについて

交友でほかのアイドルの皆様にお渡しするアイテムにお困りのそこのあなた!
是非ともモノモノヤシーンに挑戦ください!
こちらの中身は本家『スーパーダンガンロンパ2』のプレゼントと中身を共有しております。
プレゼント番号(01~100)のアイテムがコンマの値に応じて排出される仕組みとなっております。

※プレゼント番号は101以降も本家では存在しておりますが、省略しております。予めご了承ください。
□■□■□■□■□■□■□■□■

ふーん、ここで手に入ったやつは自由に使っていい感じなんだ……
もしかして、脱出に何か使えたりするのかな?


「……やるだけ、やってみる……?」

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…23枚】
【現在の希望のカケラ…15個】

1.モノモノヤシーンを回してみる【枚数指定安価】
2.やっぱりやめる

↓1


144以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 21:46:53.53lk6lUyP+0 (2/6)

1で13枚


145 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 21:49:38.65Ojbp8S+g0 (22/35)

1 選択

ま、物は試しってことで。
それにいいアイテムが出て、脱出の役に立ったら美琴さんに褒めてもらっちゃったりして……!?


「よーし、いっちょ回しちゃうぞ~!」


【コンマ判定を行います】
【このレスより直下13回連続でコンマ判定を行い数値に応じたアイテムを獲得します】

↓1~13


146以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 21:50:05.94gsRmRnpl0 (2/10)




147以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 21:51:50.61gykdOuzQ0 (1/1)




148以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 21:53:38.28gsRmRnpl0 (3/10)




149以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 21:54:46.01k033wRB1O (1/3)




150以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 21:56:12.44gsRmRnpl0 (4/10)




151以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 21:58:59.33lk6lUyP+0 (3/6)




152以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 21:59:28.54k033wRB1O (2/3)




153以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 22:05:47.83lk6lUyP+0 (4/6)




154以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 22:09:57.59k033wRB1O (3/3)




155以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 22:10:20.19lk6lUyP+0 (5/6)




156以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 22:11:08.37ysgKiWmV0 (1/2)




157以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 22:12:58.54lk6lUyP+0 (6/6)




158以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 22:17:44.58gsRmRnpl0 (5/10)




159 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 22:23:31.23Ojbp8S+g0 (23/35)


【ミネラルウォーター】
【ヤシの実】
【半分安全靴】
【希望ヶ峰の指輪】
【ジャバイアンジュエリー】
【キルリアンカメラ】×2
【家庭用ゲーム機】
【携帯ゲーム機】
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】
を手に入れました!

「うわっ……なんか色々出てきた……けど」

「……どれも使えなさそーだな……」


ひとまず、捨てるわけにもいかないし持ち帰ろうか……
誰かありがたがってくれる人とかいたり……いないか……


「まあ、まだ時間はあるし……これの使い道でも探そうか……」

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…10枚】
【現在の希望のカケラ…15個】

1.交流する【人物指定安価】※ルカを除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1


160以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 22:24:49.71ysgKiWmV0 (2/2)

1 美琴


161 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 22:30:28.73Ojbp8S+g0 (24/35)

1 美琴選択

【第1の島:空港】


脱出への糸口を探すための時間。とはいえもうほとんど調べは尽くしたわけで。
結局のところこの時間は誰と過ごすか、の大切な時間になっている。

……それなら。


にちか「美琴さーーーん!」

美琴「……にちかちゃん?」

にちか「あ、あの……! い、一緒に調査、しちゃってもいいですか……?」

美琴「……いいけど、どうしたの? やけに疲れてるみたいだけど」

にちか「そ、そりゃもう美琴さんをさが___

(い、いやいや! 言えない言えない……美琴さんを探して島を三週半したなんて……重すぎでしょ!)

美琴「……? まあ、とりあえず……一緒に島を見て回ろうか」

にちか「は、はい!」


美琴さんと一緒に島を探索した……

-------------------------------------------------
‣現在の所持品

【ミネラルウォーター】
【ヤシの実】
【半分安全靴】
【希望ヶ峰の指輪】
【ジャバイアンジュエリー】
【キルリアンカメラ】×2
【家庭用ゲーム機】
【携帯ゲーム機】
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1


162以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 22:31:32.96gsRmRnpl0 (6/10)

1 ミネラルウォーター


163 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 22:39:52.18Ojbp8S+g0 (25/35)


【ミネラルウォーター】を渡した……


にちか「み、美琴さん……これ、どうぞ!」

美琴「水……? どうして?」

にちか「美琴さん、つい自分の体をおろそかにしてしまいがちなので……えっと、水分補給とか、忘れないようにしてくださいね!」

美琴「気が利くね、ありがとう」

キュッ ゴク……ゴク……

にちか「もしかして……今もずっと飲むの忘れてた感じですか?」

美琴「朝ご飯以来だから……3時間くらいかな」

にちか「あんまり飲まなさすぎだとラクダになっちゃいますよ……」

美琴「ふふ……面白いね、にちかちゃん」

(やった……! 美琴さんに喜んでもらえたーーーーーーー!!)

【PERFECT COMMUNICATION】

【親愛度レベルがいつもより多めに上昇します】

-------------------------------------------------

……しかし、こんな状況になっても美琴さんは冷静だな。
いつも通りクールで端正で整った横顔……思わず見惚れてしまいそう……


美琴「……どうかした?」

にちか「あ、いえ! なんでもです! えっと、その……美琴さん、この島に来てから何か困ってることとかないです?」

美琴「困ってること……? そうだね……」

美琴「でも、この島は衣食住はどれも揃っていて……暮らす上で不便は感じないかも」

にちか「で、ですよねー! 私も、元々の暮らしなんかよりよっぽどランクが高い感じで……いっそここに永住しちゃおうかなみたいな!」

美琴「永住は……流石に困るかな。私は早く戻って、レッスンの後れも取り返したいし」

にちか「そ、そうですよねー! ここじゃトレーナーさんもいませんし、新しい振り付けも教えてもらえませんもんね!」

美琴「うん……練習も、できなくはないけどね」

にちか「そっか……そうですよね……」

(やっぱり美琴さんは違うな……)

(私みたいに生活がどうこうじゃなくて、アイドルとしての活動とかを懸念してるんだもん)

(……何か私が美琴さんのためにしてあげられることはないかな?)


1.き、基礎の練習ならお付き合いできますよ!
2.う、歌の練習とかどうですかね……!
3.自由安価

↓1


164以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 22:55:24.95gsRmRnpl0 (7/10)

2


165 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 23:02:24.90Ojbp8S+g0 (26/35)

2 選択

にちか「う、歌の練習とかどうですかね……! それなら、私もお付き合いできますよ……!」

美琴「……? うん、今度にちかちゃんとも一緒に合わせようか」

にちか「は、はい……こ、今度っていうのは……?」

美琴「ううん、ごめん……昨日もみんなと別れてから自分のコテージで自主練はしてたから」

にちか「え」

美琴「コテージは窓を閉めれば防音性も高そうだったし、特に夜はやることもなかったから」

(う、噓でしょ……? 昨日のあの後に自主練……?)

(さ、流石すぎる……)

にちか「み、美琴さん……プロ意識の高さ、流石です……!」

美琴「別にそんなことじゃ……一日でも練習を欠くと、失ってしまうから」

(う……私、そんなこと考えもしなかった……)

美琴「私はいつでも大丈夫だから、歌のあわせも都合がいいタイミングを教えてくれるかな」

にちか「い、今からでも大丈夫です! わ、私……!」

(や、休んでなんかいられないよ……!)


【親愛度レベルが上昇しました!】

【緋田美琴の親愛度レベル…2.0】

【希望のカケラを入手しました!】

【現在の希望のカケラ…16個】


166 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 23:04:42.35Ojbp8S+g0 (27/35)

【にちかのコテージ】


美琴さんと歌の練習をご一緒させていただいた……
うう……精神的な問題なのかな、私は思った通りに歌えなかった。

「美琴さんの足引っ張っちゃったかな……」

こんなんじゃだめだ……!
喉を枯らしてでも歌の練習をしないと……!

「今日の晩からでも自主練やった方がいいやつだこれ……」


【自由行動開始】

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…10枚】
【現在の希望のカケラ…16個】

1.交流する【人物指定安価】※ルカを除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1


167以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 23:10:40.29gsRmRnpl0 (8/10)

1 透


168 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 23:14:59.59Ojbp8S+g0 (28/35)

1 透選択

【第1の島:ロケットパンチマーケット】


にちか「あの……なにやってるんです……?」

透「え……なんだろ」

にちか「そもそも、なにもってるんです……?」

透「え……わからん」

にちか「……」


この人に答えを求めちゃいけない、それはこの短い付き合いでも嫌というほど理解してるんだけど……
流石に、スーパーマーケットの真ん中でナンを焼く鍋を眺めてるのは謎が過ぎる……


透「これ、タンドールって言うんだって」

にちか「は、はぁ……」


浅倉さんと見慣れない調理器具をいじって過ごした……

-------------------------------------------------
‣現在の所持品

【ヤシの実】
【半分安全靴】
【希望ヶ峰の指輪】
【ジャバイアンジュエリー】
【キルリアンカメラ】×2
【家庭用ゲーム機】
【携帯ゲーム機】
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1


169以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 23:26:53.95gsRmRnpl0 (9/10)

1 ヤシの実


170 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 23:36:21.85Ojbp8S+g0 (29/35)

【ヤシの実】を渡した……

透「お、本物」

にちか「はい……! 私もこんなの初めて見ました……!」

透「おっしゃ、作るかー」

にちか「え、ちょ、浅倉さん……? な、何を……?」

透「ココナッツミルク、飲みたくない?」

にちか「え、そうやって作るんですか? 包丁? そ、それ、ちゃんと切れます……?」

透「わからん」

にちか「ちょ、浅倉さんストップ! ストーーーーーップ!」

(うっ……別のものを渡せばよかったかな)

-------------------------------------------------

浅倉さんは美琴さんとはまた別の意味で冷静というか……
この人が取り乱すとかあるんだろうか……


透「……」

にちか「あ、浅倉さん……すごいですね、全然、普段と変わんなくて……」

透「そうかな。……あー、雛菜いるし」

にちか「そっか……そうですよねー、この状況で幼馴染がいるのってすごく心強そうです」

透「……」

にちか「ん……?」

透「あー、うん。そう。樋口と小糸ちゃんはいないけどさ」

(い、今の間は……?)

透「友情パワー、イエーイ」

(うーん、なんだか気が抜けるなぁ……)

にちか「あ、じゃあせっかくだし浅倉さんたちについて聞いてみたいことあるんですけど、いいです?」

透「え? うん」

(幼馴染でアイドルユニットなんて特殊な状況、色々聞き甲斐はありそうなんだよな……)

(せっかくだし、今ここにいない人について聞いてみようかな)


1.樋口さんについて教えてください
2.福丸さんについて教えてください
3.自由安価

↓1


171以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 23:46:16.31gsRmRnpl0 (10/10)

2


172 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 23:52:49.92Ojbp8S+g0 (30/35)

2 選択

にちか「あ、それじゃあ福丸さんについて教えてもらってもいいですか?」

透「小糸ちゃん? あー、えーっと」

透「中学。別だったんだよね」

にちか「え……そ、そうなんですか?」

透「うん、小学は一緒だったけど、小糸ちゃんは別のガッコ受けて。でも、高校でまた一緒」

(そ、それって……進路をほかの三人に合わせた、とか……?)

にちか「それって福丸さんが、自分で選んだんですよね?」

透「うん、たまたま一緒になった」

(絶対たまたまとかじゃないって……)

透「小糸ちゃん、めっちゃ頭いいからさ。うちからでも、多分いいとこ行くよ」

にちか「……そ、そうなんですね……今度勉強教えてもらっちゃおっかなー……なーんて」

(福丸さん……中学でどんな学生生活送ってたんだろ……)

(な、なんだか心配になってきたな……)


【親愛度レベルが上昇しました!】

【浅倉透の親愛度レベル…1.5】



173 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 23:54:34.35Ojbp8S+g0 (31/35)


浅倉さんと別れてからもぼんやりとノクチルの四人の関係性のことを考えながら、自分のコテージへと戻った。
幼馴染という関係性にはちょびっとだけ憧れもするけど、単純な仲良しに終始する話でもなさそうだよね。

-------------------------------------------------
【にちかのコテージ】

……今日も一日島をウロチョロしたけど新しい発見は特になし。
開放的な風景なのに、閉塞的な状況が広がっていることを再認して肩をがっくりと落とす。

それなのに今日がまた終わろうとしている。


「……なんかもったいないなー」


別に何をするでもない、ただぼーっと時間を浪費するのは流石に落ち着かない。
その居心地の悪さに突き動かされて、私は部屋を出てふらつくことにした。



174 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 23:56:20.88Ojbp8S+g0 (32/35)

-------------------------------------------------
【第1の島:ビーチ】


海に沈んでいく太陽を追うように島の外周を歩いていくと、開けた場所に出た。
私たちがこの島に来た時に最初に足を踏み入れた場所、そしてこのコロシアイ南国生活が始まった場所。
そんなやたらと縁の深い場所にたどり着くのはもはや当然のことだったのかもしれない。
いや、きっと多分そういう……最悪の縁じゃなくて、ここに私を引き合わせたのは別。最悪じゃなくて、むしろ【最高】の縁だった。


美琴「……はぁっ……はぁっ」


(……美琴さん?!)


そこにいることを知っていたわけじゃない。
私は本当に何気ない気持ちで、何の考えなしにやってきたというのに。
そこには私のたった一人で最高のパートナーである美琴さんの姿があった。
これが運命でないならなんというのだろう。



175 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 23:57:46.95Ojbp8S+g0 (33/35)


美琴さんはステップを練習している様子だった。
私との練習の中でも何度か見たことのある少し応用を聞かせた難しいステップ。

前に見た時、美琴さんのステップはもっと上手だったと思う。
それもそのはず、今美琴さんがステップを刻もうとしているのは砂浜の上。
どんどんと足を取られ、もつれていく劣悪な環境で、あえての練習をしているのだから。


(……す、すごい気迫……!)


それでも美琴さんは表情を変えない。思うようにいかなくても、転んでしまっても。
ただ立ち上がってまた初めから。全身には汗の痕が浮かび上がり、キレのある動きをするたびにその飛沫が飛ぶ。
私には、その光景が水彩画のように見えた。


(こ、こんなの……ブロマイドものでしょ!)


まるでイルカが海面から飛び上がったような、そんな刹那的な美しさを夕日をバックにした美琴さんの姿に見た。


にちか「うわ……すごい……」

美琴「……! にちかちゃん、いたんだ……」




176 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 23:58:22.85Ojbp8S+g0 (34/35)


にちか「あ、はい……すみません、お邪魔しちゃって」

美琴「大丈夫、ちょうど一セットのところだから」

にちか「……自主練、続けてるんですね」

美琴「……うん、そうだけど……どうして?」

にちか「い、いや……えっと……わ、私も練習、やっちゃおうかなー! な、なーんて」

美琴「うん、いいと思う。……砂浜だと、いつもと環境が違って刺激になるから」

(本当にどこまでいってもストイック……美琴さんって、すごい……!)


明日もわからないこの状況下でも美琴さんは元の生活に戻ってアイドルとして活動することを見据えている。
それなら、その隣に立つために私がすることは一つだった。

____なんて、別に元々そんなつもりはなかったけど、覗いていたことを悟られないようにの照れ隠しで練習を一緒にすることに。


美琴「にちかちゃん、ちょっと遅れてる」

にちか「は、はい……!」


事務所のレッスン場でいつもやっているのと変わりないメニュー。
いやむしろそれよりもハードさすらあるメニュー。

失われた日常をせがむように、焦燥の色をにじませながら美琴さんはただひたすらにその汗を散らした。



177 ◆zbOQ645F4s2021/11/21(日) 23:59:31.09Ojbp8S+g0 (35/35)

____
______
________

そうしてしばらくの時間が過ぎて。


美琴「ちょっと休憩入れようか」

にちか「は、はい……」


それは美琴さんよりも私の疲労を理由にしたものだった。
手足は痺れて震えだし、肩は呼吸に合わせて荒馬のように上下している。体力の限界だ。


にちか「つ、疲れたー……!」


どさっと腰から砂浜に腰かけた。
いつものフローチングのかたい床とは異なり、砂浜は乳酸の溜まったその体を優しく抱き留め、潮風がその熱を冷まそうと吹き付けてくれる。
まるで直属のレッスントレーナーのピットインのような待遇が、どことなくくすぐったい。


美琴「……」


美琴さんはそんな私を他所に、海の向こうを見つめてじっと動かなかった。
きっと美琴さんは、今この瞬間だってあのステージのことを思っている。
あのライトの下でパフォーマンスを披露する、その瞬間を今か今かと待ちわびている。
日も沈み、登ってきたその月はステージライトの輝きには遠く及ばない。




ザッ

その時だった。ふと背後で草木が揺れるような音がした。




178 ◆zbOQ645F4s2021/11/22(月) 00:00:46.86tZlr+b7d0 (1/6)


美琴「……誰?」

にちか「え、えっ?! 誰かいるんですか?!」


しばらくの沈黙。
一時はそのまま身を隠してことを終えようとしたのだろうか、だがすぐに観念した様子で物音の主はその姿を現す。



ルカ「……なにやってんだよ、お前ら」



美琴「……練習再開しようか、にちかちゃん」

にちか「み、美琴さん……その、すみません、体がまだ」


これは本当のことだ。さっきの今で疲労困憊のこの体がもとには戻らない。
立ち上がってあのステップをまた刻むためには少しだけ時間が必要だった。




179 ◆zbOQ645F4s2021/11/22(月) 00:02:29.72tZlr+b7d0 (2/6)


ルカ「……相変わらず無茶してんだな、美琴」

美琴「別に無茶なんかしてない、私はこれが必要なだけ」

ルカ「お前だけじゃねーよ、その緑髪だってお前につき合わされて無茶させられてんじゃねーか」

にちか「わ、私だって無茶なんかしてないですよ!」

ルカ「よく言うもんだな、そんな風に座り込んでおいて」

にちか「こ、これは……!」


ルカ「美琴は自分のことも、他人のことも顧みなさすぎなんだよ。……コンビ解消したのに、また同じことをやってるようじゃ救えないな」


美琴「ルカに何が分かるの?」

ルカ「ハッ! そこまでしてアイドルに縋りたいのかよ!」

美琴「……当然でしょ、私はそのためだけにここにいる。そのためだけに生きてきた。今更それ以外の生き方なんて、ないから」

ルカ「……くだらない拘りだな、ほとほと愛想がつきたよ」

美琴「……言いに来たのはそれだけ?」

ルカ「ああ、満足した。それじゃあな」




180 ◆zbOQ645F4s2021/11/22(月) 00:03:16.79tZlr+b7d0 (3/6)


途中から私はルカさんに向ける視線を迷っていた。

彼女はまず間違いなく私たちに敵意を持っている。それは変わらない。
ただその敵意の中にある揺らぎもまた、私の目に焼き付いている。
練習をやめる素振りのない美琴さんのその反発を目にした時のルカさんの口元のゆがみ。
ただ恨んでいるだけで、あんな表情ができるんだろうか。


でもそんな疑念を帯びた視線を悟ったのか、ルカさんは最後に私に向かって。


ルカ「見てんじゃねーよ」


その言葉を吐き捨てて去っていった。


美琴「……ごめんね、邪魔が入っちゃった」

にちか「い、いえ……お構いなく」

美琴「立てる?……そろそろ練習再開したいな」

にちか「だ、大丈夫です! もういけます!」


そこからまたしばらく練習を再開した。
相変わらず手足は疲れ切っていたけど必死に我慢して、一生懸命美琴さんの背中を追うためだけにその体を動かした。


≪ルカ「美琴は自分のことも、他人のことも顧みなさすぎなんだよ。……コンビ解消したのに、また同じことをやってるようじゃ救えないな」≫


練習中、ルカさんの言葉がずっと脳裏にちらついていた。




181 ◆zbOQ645F4s2021/11/22(月) 00:04:27.17tZlr+b7d0 (4/6)

-------------------------------------------------
【にちかのコテージ】

キーン、コーン…カーンコーン…

『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』

『ただいま、午後十時になりました』

『波の音を聞きながら、ゆったりと穏やかにおやすみくださいね』

『ではでは、いい夢を。グッナイ…』


シャワーを浴びた私は真正面からベッドに倒れこんだ。
もう無理、手も足も動かない。
美琴さん、私が来る前から練習をやってたけど……本当に大丈夫かな。
ルカさんじゃないけど、流石に少しだけ心配。
時間が少しでもあれば練習に生かそうとするストイックさは見習うべきものだけど、限界を超えて肉体と精神をすり減らしてまで挑み続けることが本当のストイックさなのかな。

……いや、美琴さんがやってるのはそんな無謀なことじゃない。
美琴さんの一挙手一投足だって、無駄にならない。
だって美琴さんなんだもん、私じゃない。


≪ルカ「美琴は自分のことも、他人のことも顧みなさすぎなんだよ。……コンビ解消したのに、また同じことをやってるようじゃ救えないな」≫


それなのに、ルカさんの言葉がやけに胸に突き刺さって、寝る前は少しだけ苦しかった。



182 ◆zbOQ645F4s2021/11/22(月) 00:05:24.37tZlr+b7d0 (5/6)


島の暮らしの二日目が終わったところで本日分の更新はここまで。
自由行動も始まって本格的に物語が始まりましたね。

次回更新は11/23の夜を予定しています。
またよろしくお願いします、それでは。


183以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/22(月) 00:50:28.35Uxm55+1O0 (1/1)

乙さま
ところで自由行動の会話にある選択肢(特に自由安価)って、その直後の会話以外の話の展開に影響与えたりする?
例えば>>170で「あ、やっぱいいです」みたいな話その場で打ち切るようなこと言うと好感度上がらないとかそういう


184 ◆zbOQ645F4s2021/11/22(月) 06:26:38.04tZlr+b7d0 (6/6)

>>183
形式上入れてはいますが、会話の流れを強引に断ち切るなどのつながりに乏しかったり流れ上不適だったりするものは安価として採用しない場合があります
好感度変動にも特に影響はない方向で現状考えていますし、こういう流れにしても面白いかもなぁみたいな選択肢を思いつけばどうぞ、ぐらいのスタンスです


185三日目朝時間より再開します ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 21:04:07.45NE14fKE10 (1/15)

=========
≪island life:day 3≫
=========

【にちかのコテージ】


キーン、コーン…カーンコーン…

『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』

『オマエラ、グッモーニンッ! 本日も絶好の南国日和ですよーっ!』

『さぁて、今日も前回気分で張り切っていきましょう~!』


……熟睡。

こんな状況下なら悪夢の一つでも見そうなものだけど、幸か不幸か肉体は疲労に浸されて夢を見る余裕すらなかったらしい。
むしろ体のあちらこちらでずきっと刺すような筋肉痛を生み出すことで手いっぱいといった様子だ。

「いたた……」

おばあさんみたいな弱弱しい声を挙げながらその体を起こし、立ち上がる。
昨日から毎日レストランでの朝食会が義務付けられてるし、行かなくちゃ。
うぅ……こんなんじゃ賛成するんじゃなかったな……




186 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 21:05:23.39NE14fKE10 (2/15)

-------------------------------------------------
【レストラン】

果穂「おはようございますーーーー!!」

にちか「お、おはよう……げ、元気だね……」


寝ぼけ眼を擦りながら入れば脳をがんがんと揺らすような大声。
身を乗り出してまで朝の挨拶をしてくれて、ありがた迷惑って感じ……
いや、本人には絶対言わないけど。


夏葉「今朝は果穂も一緒にランニングをしたの、朝から汗をかくと気持ちいいのよ!」

果穂「はい! 島の周りを3周です!」

にちか「あ、あはは……いいですねー、そういうの」

(こっちは美琴さんとの夜の練習で十分足りてるんですけどねー……)

夏葉「美琴も今頃シャワーを浴びて、すぐに戻ってくると思うわ」

にちか「えっ!? み、美琴さんも一緒にやってたんですか?!」

智代子「うん……ほら、夏葉ちゃんと美琴さんはよく練習も一緒にやってるから! この島でもストイックさに拍車がかかっちゃってるみたいなんだよね……」

にちか「み、美琴さん……本当に大丈夫かな……」

智代子「付き合うわたしは大丈夫ではございません……」

にちか「あ、あはは……」



187 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 21:06:41.74NE14fKE10 (3/15)


夏葉さんの言葉通り、じきに美琴さんもその姿を現し……


美琴「間に合った?」

にちか「あ、美琴さん! おはようございます! ここ、座ってください!」

美琴「うん、ありがとう」


他のメンバーもちらほらとその姿を現し、


摩美々「ふぁぁ……まだ眠いですよー」

恋鐘「摩美々、目ぇ覚ますばい! 朝ご飯はしっかり食べないといかんよ!」

結華「ほらほら、まみみん! みんな集まってるしさ……ごめんね、みんな。うちのやんちゃ娘がなかなか起きなくてさー」

摩美々「えぇー……これぐらいセーフでしょー」


それぞれの朝の風景を描き出しながら、


冬優子「おはようございます♡ 今日も一日頑張ろうね!」

あさひ「あ、冬優子ちゃん! 今日の朝ごはん、冬優子ちゃんの分も取っておいたっすよ!」

冬優子「わぁ……あさひちゃん、ありがとう! でも、みんなの分が少なくなっちゃうと悪いから、みんなでいただきますをしてからにしようか!」

あさひ「でも、これぐらい冬優子ちゃんなら食べられるっすよね」

冬優子「戻そっか♡」


お寝坊組も徐々にやってきて、


透「……ねむ」

雛菜「あは~、みんな早起きですね~」

灯織「お、お二人とも……朝食会、お忘れだったんですか……?」

透「おー……ナイス、灯織ちゃん」

灯織「できれば私が起こさずに行かずとも集まっていただきたいのですが……」


レストランにはルカさん以外の全員が集まった。



188 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 21:08:13.80NE14fKE10 (4/15)


結華「今日も出席率は良好! いや~、お集まりいただき感謝感謝ですよ!」

千雪「こういう状況だから、毎朝みんなの顔が見れるだけでも嬉しいなあ」

灯織「はい……なんだか安心できますから」

愛依「うちも昨日の夜とかなんだか心細くてさ~、ついあさひちゃんと冬優子ちゃんのとこ行っちゃった!」

智代子「わかるよ! 一人でいると、なんだかよくないことばっかり考えちゃう気がして……」

夏葉「ええ、何も孤独におびえる気持ちを恥じる必要はないわ。むしろそれに慣れてしまう方が恐ろしい……疑心暗鬼の種となりうるもの」

モノミ「うるうる……あちしもミナサンの元気な顔が見られて嬉しいなあ……」

愛依「アハハ、泣くほど~?」

愛依「……あれ?」



モノミ「どうかちましたか? 和泉さん」



にちか「え、え、ええええええええ??!?!?! ど、どうかしたどころじゃないですよーーーー?!」

(ど、どうなってるの?!)

(モノミっておとといの晩に……モノケモノにガトリングで跡形もなく消し飛ばされたはずじゃ……?)


突然現れた【モノミ】。
その姿は数日前に見たあの寸胴体系のぬいぐるみ素材の姿そのものだった。
呆気にとられる私たちを逆にキョトンとした様子で見つめるその姿が、混乱を唐突にもたらした。



189 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 21:09:48.31NE14fKE10 (5/15)


美琴「びっくりした……モノミ、無事だったんだね」

結華「いやいや! あれで無事とかあり得るの?! これ以上はないってぐらいのハチの巣だったよね?!」

モノミ「ぷすーくすくす! 確かにあちしはあの時モノクマによってハチの巣でボロ雑巾以下のけちゃむくれにされてしまいまちたけど……あんなのヘッチャラなんでちゅ! あちしは死にまちぇん!」

千雪「……もしかして、スペアだったりするのかな?」

モノミ「はえ?!」

千雪「モノミちゃんはいくつも替えがあって、一時的に破壊されたとしても別のモノミちゃんを起動すればいい……そういうことなんじゃないかな?」

摩美々「ま、操作する人が無事なら乗り換えればいいだけだもんねー」

モノミ「こら~~~~~! あちしに中の人なんていまちぇ~~~~~~ん!」

モノミ「まあでもミナサンが言う通りで間違いないでちゅ、あちしの肉体は替えとなるスペアが一個や二個どころじゃなく存在しているんでちゅ。あちしのマジカルパワーで輪廻転ちぇいしたんでちゅ」

モノミ「お待たせしまちたね! あちしがいない寂しさともこれでサヨナラ! どうぞ好きなだけあちしの体をモフモフしてくだちゃい!」

あさひ「モノミはいくらでも替えがいるんすよね?」

モノミ「せ、芹沢さん……一応聞きまちゅけどそのプラスドライバーは……」

あさひ「スペアがあるなら、最悪壊しちゃってもいいってコトっすよね! どんな構造してるのか、見せてほしいっす!」

モノミ「いや~~~~~! 中綿はやめて~~~~~!」

ビューン


まるで嵐のような一幕で、モノミは芹沢さんに追われるままに姿を消した。
取り残された私たちはまだ事態をそのまま飲み込むことはできず、ポカンとした様子で彼女たちを見送った。



190 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 21:10:57.96NE14fKE10 (6/15)


結華「め、めいめい……一応あさたんのこと追いかけて止めてあげて……モノミはよくわかんないけど、なんとなく止めたほうがいいかな……かわいそうだし」

愛依「りょ、りょーかい! 待って~! あさひちゃ~~~ん!」

冬優子「ま、待って、愛依ちゃん……」

タッタッタッタッ

透「元気だね。ヤングフル」

結華「とおるんもまだまだ若いでしょ?!」

雛菜「ストレイライトの人たちはいつも賑やかですね~」

千雪「ふふっ……本当に、羨ましいぐらい」

摩美々「もう三人抜けちゃったし、朝食会はこんなもんでいいー? 情報共有しとくような発見もどうせ特にないんでしょー?」

智代子「あはは……そ、それはそうかも……」

夏葉「だからといって諦めてはいけないわ。人事を尽くして天命を待つ、私たちは私たちのやれるだけのことをやりましょう」

果穂「はい! ぜったいにみんなで協力して脱出する方法があるはずです!」

透「っしゃ、やるかー」

にちか「お、おー……!」




191 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 21:12:23.76NE14fKE10 (7/15)

-------------------------------------------------
【にちかのコテージ】

朝食会を終えた私たちはそれぞれの部屋へといったん戻っていった。
諦めちゃいけない。それはまあ間違いないんだけど……

……いやいや、こんなこと言っちゃダメだよね。
せっかくみんなが前向いて動いてるんだし、後ろ向きな発言なんかしたらパンチ。

今は私にできることをやるだけ。そうだよね!


【自由行動開始!】


-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…10枚】
【現在の希望のカケラ…16個】

1.交流する【人物指定安価】※ルカを除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1


192以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/23(火) 21:44:08.45jUiNkCSr0 (1/1)

1 灯織


193 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 21:53:02.51NE14fKE10 (8/15)

1 灯織選択

【中央の島:ジャバウォック公園】

にちか「あ……風野さん……どうしたんですか、こんなところで」

灯織「い、いえ……少し気になることがありまして……」

にちか「気になること?」

灯織「朝のモノミですよ……この前確かにモノケモノに射撃されて散り散りになっていたはずなのに……あんな完全体で復活するなんて」

灯織「ほら……見てください、この弾痕……あの時のものです」

にちか「スペアを使ったって言ってましたけど?」

灯織「ということはこの島には量産体制を可能にする設備があるということです……今はまだ私たちの踏み込むことのできないところにも、もしかしたら」


風野さん、深く集中して考え込んでる……
慎重な人だとは思ってたけど、こんな探偵みたいな人だったっけ……?


風野さんと一緒にこの島のことを考えて過ごした……

-------------------------------------------------
‣現在の所持品

【半分安全靴】
【希望ヶ峰の指輪】
【ジャバイアンジュエリー】
【キルリアンカメラ】×2
【家庭用ゲーム機】
【携帯ゲーム機】
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1


194以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/23(火) 22:03:27.74oKE09R4k0 (1/6)

1


195 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 22:06:10.98NE14fKE10 (9/15)


渡すプレゼントの指定も併せてお願いします
再安価

-------------------------------------------------
‣現在の所持品

【半分安全靴】
【希望ヶ峰の指輪】
【ジャバイアンジュエリー】
【キルリアンカメラ】×2
【家庭用ゲーム機】
【携帯ゲーム機】
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1


196以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/23(火) 22:23:20.772U5tEOMe0 (1/2)

指輪


197以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/23(火) 22:23:52.462U5tEOMe0 (2/2)

あ、ごめん、1―指輪


198 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 22:26:36.54NE14fKE10 (10/15)


【希望ヶ峰の指輪を渡した……】

にちか「風野さん、これ……どうぞです!」

灯織「え……そ、そんな申し訳ないです……! こんな意匠品……い、いいんですか……?」

にちか「風野さんにはずっと助けられてますし、ほら……友情の印、みたいなことです!」

灯織「……!」

にちか「なーんて、クサすぎますかね?!」

灯織「……友情の、印……」

(なんか、妙に気に入ったみたいだ……)

【PERFECT COMMUNICATION】

【親愛度レベルがいつもより多めに上昇します】

-------------------------------------------------

にちか「風野さん、すごいです!」

灯織「えっ……?! と、突然どうしたんですか……?!」

にちか「いやだって、今私たちがこうやって協力してるのだって、風野さんのおかげじゃないです?! なんかすっごく意外でした!」

にちか「事務所にいた時ってもっとこう……奥手なイメージだったというか」

灯織「そ、そうですね……確かに、以前までなら私もこんな風に皆さんの前に立って言葉を投げかけるなんてことしなかったかもしれません」

灯織「……でも、想いは口にしないと伝わりませんから」

にちか「……!」

(う、うわぁ……すっご、今日日ドラマでもそんなセリフ聞かないよ……!)

(ダメダメ、多分本気なんだから! 風野さんってそういうとこある人だから! 茶化さず相手してあげないと!)

にちか「で、ですよねー! 私もお姉ちゃんと喧嘩するときとか大体そんな感じです!」

灯織「喧嘩……ですか?」

にちか「私の言いたいこと、お姉ちゃん一個もわかってないから! すぐに喧嘩しちゃうんですよねー!」

灯織「ふふ……はづきさんが怒ってるところなんか想像できないな」

にちか「えー? そうですかー? めちゃくちゃキレますよ、あの人! 不動明王かってぐらいで!」

灯織「それは……すさまじいですね」

にちか「そうそうこの前も……」


1.夕食の時に……
2.洗濯の時に……
3.自由安価

↓1


199以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/23(火) 22:37:51.63oKE09R4k0 (2/6)

1


200 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 22:45:34.53NE14fKE10 (11/15)

1 選択

にちか「この前の晩御飯の時なんかひどかったんですよ! せっかく私がお姉ちゃんをねぎらって夕食当番代わってあげたのに」

にちか「それを伝えたら『パートで忙しいから先食べててー』ってチェインで一言! こっちがどんな気持ちで用意したのかわかってるのって感じですよ!」

灯織「それは……ちょっと、寂しいですね……」

にちか「ですよね?! 別にこっちもお姉ちゃんめちゃくちゃ嫌いってわけじゃないので……たまには一緒に食べたい日ぐらいありますよ」

灯織「……ふふ、七草さんははづきさんのこと大切に思ってるんですね」

にちか「別にー? そんな風に達観ぶったこと言うのおじさんく____

灯織「七草さん?」

にちか「……いや、なんでもないです。なんか……なんでだが、風野さんの発言で思い出しちゃう人がいて」

灯織「は、はぁ……」

にちか「でも、実際風野さんの言う通りですね……こんなことになるんだったらもっとお姉ちゃんと色々話しとけばよかったなぁ……」

灯織「そう、ですね……」

灯織「離れ離れになってからでは、遅いですから……」

にちか「……風野さん?」

灯織「い、いえ……七草さん、これからも一緒に頑張りましょうね!」

にちか「は、はぁ……」


【親愛度レベルが上昇しました!】

【風野灯織の親愛度レベル…2.0】

【希望のカケラを入手しました!】

【現在の希望のカケラ…17個】


201 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 22:48:04.59NE14fKE10 (12/15)

【にちかのコテージ】


お姉ちゃんのことも思い出すし……
プロデューサーさんのこともなんとなく思い出しちゃったし……

はぁ、なんだかんだ言ってやっぱり寂しいよ……

それにしても、風野さんやっぱりなんだか変わったよね。
事務所にいた時に比べると、どこか達観してるっていうか、大人になったっていうか……

うわうわ、これなんかめちゃくちゃおじさんっぽい!?

【自由行動開始】

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…10枚】
【現在の希望のカケラ…17個】

1.交流する【人物指定安価】※ルカを除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1


202以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/23(火) 22:54:08.98oKE09R4k0 (3/6)

1 ふゆこ


203 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 22:59:46.38NE14fKE10 (13/15)

1 冬優子選択

【第1の島:ビーチ】


……あれ?
誰もいないと思ったら、黛さん?
こんなところで一人だなんて珍しいな、ちょっと声かけてみようかな……

にちか「こんにちは、なにやってるんです?」

冬優子「ひゃわぁ?! に、にちかちゃん……? ど、どうしたのかな? ふゆに何か用かな?」

にちか「用ってほどでもないですけど……ていうか、お邪魔でした? いま、なんかめっっちゃ飛び上がりませんでした?」

冬優子「え、えー……? 何のことだか……」

冬優子「ねえ、にちかちゃん、ふゆに話しかける前に何か聞こえた?」

にちか「え? なんのことです?」

冬優子「何も聞いてない?」

にちか「は、はい……見かけてすぐ声かけたので」

冬優子「そ、そっか! それなら大丈夫♡」


なんだかよそよそしい黛さんと一緒に過ごした……

-------------------------------------------------
‣現在の所持品

【半分安全靴】
【ジャバイアンジュエリー】
【キルリアンカメラ】×2
【家庭用ゲーム機】
【携帯ゲーム機】
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1


204以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/23(火) 23:02:08.24oKE09R4k0 (4/6)

1 ジュエリー


205 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 23:14:07.80NE14fKE10 (14/15)


【ジャバイアンジュエリー】を渡した……

にちか「これ、どうぞです!」

冬優子「わぁ……ペンダントだね、ありがとう……! ヤシの木をモチーフにしたアクセサリーなんだね!」

にちか「私じゃちょっと合わせるの難しそうなので……黛さんみたく、おしゃれに着こなせる人が持っておくのがいいかな、なんて!」

冬優子「……」

にちか「どうかしました?」

冬優子「う、ううん! なんでもないの! ありがとうね、にちかちゃん!」

(うーん……? 喜んでくれたんだよね……?)

【NOMAL COMMUNICATION】

-------------------------------------------------

黛さん、すごいなぁ……
こんな状況でも毎日キュートな振る舞いが途絶えないし、ずっとかわいいイメージのまんま!
これが素からにじみ出る可愛さってやつ……生まれたってのアイドル性ってやつなのかな……うぅ、ちょっと嫉妬。


冬優子「にちかちゃん、不安に感じてることとかない?」

にちか「え……? そりゃまあ、ありますけど……」

冬優子「だよね、こんな状況だもん……ふゆだって、怖くて怖くて……毎日寝るのがちょっぴり不安なんだ」

にちか「事務所の仲間はそばにいるとはいえ、こんな状況下だとどうしてもそうですよね。……寝れないとかですか?」

冬優子「ううん、眠れてないわけじゃないから心配しなくて大丈夫!」

冬優子「あさひちゃんと愛依ちゃんがいなかったらって思うと……心細くて仕方ないなぁ」

にちか「ですよねー、ストレイライトってすごく仲がいいですもんね!」

冬優子「うん♡ 二人とはユニット結成して以来のお友達だから!」

にちか「黛さんは面倒見がいいのもありますし、よくなつかれてる感じがします!」

冬優子「面倒見がよくて、なつかれてる……う、うん……そうだね!」

(……今、表情がちょっと引きつった?)

(き、気のせいだよね……よーし!)


1.なんだか家族みたいな空気感ですよね
2.二人のどんなところが好きですか?
3.自由安価

↓1


206以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/23(火) 23:25:16.84oKE09R4k0 (5/6)

1


207 ◆zbOQ645F4s2021/11/23(火) 23:35:13.67NE14fKE10 (15/15)


急ぎ離れる用事ができたのでここで突然ですが終わりにします
1選択で書いておくので、次回はここから再開します

11/24の夜も更新できそうなら行います。
唐突で申し訳ないです……失礼します。


208以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/23(火) 23:42:16.25oKE09R4k0 (6/6)

楽しみに待ってます


209少し遅くなりましたが再開します ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 21:34:10.605s5mVYwB0 (1/16)

1 選択


にちか「黛さんがお母さんで、愛依さんがお姉さん、芹沢さんが末っ子さんって感じで……家族みたいな空気感に感じます!」

冬優子「か、家族……? そっか、そんな風に見えるんだね……」

(なーんか反応が微妙に悪いんだよな……)

にちか「ストレイライトっていつも仲が良く見えるから、喧嘩とかもしなさそーですもんね!」

冬優子「そうだね、愛依ちゃんはいい子だから喧嘩することもないかな!」

にちか「ん? 愛依さんは……?」

冬優子「え? あ、ちがうよ? あさひちゃんはホラ……年下で可愛らしいから、喧嘩なんてそんな」

にちか「そうですよね! 年だって5つも違うんだし、そんな喧嘩なんかしないですよね!」

冬優子「う、うん……」

にちか「普通はそうですよね!? それなのにうちのお姉ちゃんときたら……」

冬優子「……にちかちゃん?」

にちか「あれ……? お姉ちゃんってそういえば今、いくつだっけ……」

冬優子「もう、にちかちゃん……お姉さんの誕生日はちゃんと覚えておかないと! はづきさんは今……」

冬優子「……あれ?」

にちか「……なんか、この話はやめときましょうか」

冬優子「そ、そうだね……!」


【親愛度レベルが上昇しました!】

【黛冬優子の親愛度レベル…1.5】


210 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 21:36:27.345s5mVYwB0 (2/16)


この世の深淵に触れてしまったようで、妙に冷えてしまった背筋を感じながら自分のコテージへと戻った……
それにしても、黛さんのあのユニットのトークの時のぎこちなさはなんなんだろう……?

-------------------------------------------------
【にちかのコテージ】

さて、そろそろ夕方だけど……

今日も美琴さんは練習するのかな……?
それならぜひともご一緒しないと……!

この前の疲れはまだ抜けきってはいないけど、今は自分の体よりも優先すべきことがある。
扉を乱暴に開けると急ぎ足で昨日の練習場所である海岸へと向かった。




211 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 21:37:27.335s5mVYwB0 (3/16)

-------------------------------------------------
【第1の島 外周】


ただ、海岸までには島の外周を通るわけで、当然誰かに鉢合わせるリスクがある。
そしてその『誰か』は……私には選べない。


ルカ「……ちっ」


……最悪だ。なんでよりにもよって、この人と鉢合わせちゃうんだろう。
ルカさんも美琴さんとはまた別のばつの悪さを感じている様子で私から視線を逸らす、どうやら何事もなかった様子で通すらしい。


ルカ「……なんだよ、なんか文句でもあるのか」

にちか「あ、ありますよ、文句! めっちゃくちゃ!」

ルカ「……だろうな」

(でもそれを聞く気は無しってところかな……?)


このまま、私も黙っていたって良かった。
実際この人と私はほとんど無関係だ。つないでいるのは美琴さんだけで、しかも美琴さんはすでに私との方がつながりが濃い。
美琴さんの取り合いってだけなら私にとっくに軍配が上がっている。



_____でも、そんな単純な話じゃない。



212 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 21:38:30.145s5mVYwB0 (4/16)


にちか「ルカさんは……美琴さんと今のままでいいんですか?」

ルカ「……はぁ?」

にちか「ルカさんって美琴さんのこと悪く言うし、ぜんっっぜん褒めない分からず屋ですけど……」

ルカ「喧嘩売ってんのか?」

にちか「でも、それって言葉の上だけで……本当に美琴さんのことを恨んでたり、怒ってたりするわけじゃないんですよね?」

ルカ「……どういう意味だよ」

にちか「……っ!」

(……目の色が変わった)

(諦観的な投げやりな敵意じゃない……これは、よく研がれた包丁のように、鋭くとがった……深く突き刺さる敵意)

ルカ「何をわかった気になってるのか知らねえけど、お前に推し量れるようなものじゃねえんだよ。私と美琴の解散はな」

(……怖い)

(今にも私ののどを掻っ切って来そうなまでの気迫と息遣い。完全に私が彼女の逆鱗に触れてしまっているのは明らかだ)




(それでも……それでも!)






213 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 21:40:18.465s5mVYwB0 (5/16)


にちか「本当に美琴さんのことが嫌いなら、どうして練習をやめるように言ったんですか?! ほっといて、体が壊れるのを待てばよかったじゃないですか!」


≪ルカ「美琴は自分のことも、他人のことも顧みなさすぎなんだよ。……コンビ解消したのに、また同じことをやってるようじゃ救えないな」≫


にちか「いや、私がそうはさせませんけど!」

ルカ「……言っただろ、嫌いな相手でも一度は組んだ過去がある。そんなやつが怪我でもしたら夢見が悪いってだけ」

にちか「ちがう……嘘ばっか、嘘ばっっか! 自分にまで嘘ついて楽しいですか?!」

ルカ「は、はぁっ?! ガキの喧嘩じゃあるまいし……何言いだしてんだよお前……」

にちか「ガキ?! ガキってどっちがですか?! 本音を言う勇気も持てないで、仲直りすらできずにいる意気地なしとどっちがガキなんです?!」

ルカ「てめェ……黙って言わせてれば好き勝手いいやがって……!」

にちか「じゃあ言い返してみてくださいよ! 違うんですよね!? 美琴さんのこと、だいっっ嫌いなんですよね?!」

ルカ「お前なぁ……!!」

ルカ「……ちっ、付き合いきれねえ。どけ、お前と話してる時間なんかない」

にちか「わぁっ?!」


強く押されて尻もちをついた。走るまではいかない速足でその背中はどんどんと小さくなっていき、やがてルカさんは私の目の前から姿を消した。
結局、ルカさんには何も伝えられなかった……ただ私の感情をぶつけただけ。
でも、それでもきっと、何かルカさんとしても思うことがあった、そう信じたい。


≪ルカ「お前なぁ……!!」≫


最後に何かぶつけようとしたあの声は、震えていた。
私に対する怒りとはまた少しだけ違った色合いの震え。
私の見ているルカさんが、どこまで嘘なのかはわからないけど……きっとあの震えこそが、真実なんだと思う。



214 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 21:40:54.495s5mVYwB0 (6/16)

-------------------------------------------------
【ビーチ】


それからすぐに美琴さんと合流して練習に取り組んだ。


美琴「……次、ターン」

にちか「は、はい!」


直前でルカさんに会ったことは隠しておいた。
この件に関しては美琴さんには踏み入らないでほしいと言われているのに、私はその約束を破ったからだ。


美琴「ちょっと遅れてるよ。もう少し早くできるかな」

にちか「や、やってみます!」


慣れない秘密を抱え込んだ私の体は、いつもよりきっと数ミリグラムぐらい重たくて。
なんだか練習の時もぎこちなかったと思う。



215 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 21:42:39.105s5mVYwB0 (7/16)

-------------------------------------------------
【にちかのコテージ】

キーン、コーン…カーンコーン…

『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』

『ただいま、午後十時になりました』

『波の音を聞きながら、ゆったりと穏やかにおやすみくださいね』

『ではでは、いい夢を。グッナイ…』


私が踏み込むべきじゃないし、美琴さんにも止められている。
それでも、我慢ができなかった。

ごめんなさい、美琴さん。でも、しょうがないんです。
今、誰よりも近くにいる私だからこそ……今、このコロシアイ南国生活にいるからこそ……黙って指をくわえてみているなんて出来ないんです。


≪ルカ「言っておくけど……私は殺れるからな」≫


ルカさんのあの言葉だけは、真実にしちゃいけない。
あの言葉を生むきっかけになった軋轢を、少しでも解消しないと。
それは私たちのためでもあり、なによりルカさんのために大切なことなんだ。


「……よし!」


どこまで私たちに時間の余裕があるのかはわからない。
でも、その時間がある限りは、絶対に……やめてやらないんだから。



美琴さんが嫌がっても……やめられない。



216 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 21:44:13.535s5mVYwB0 (8/16)

____

_______

__________

=========
≪island life:day 4≫
=========

【にちかのコテージ】


もうここで目を覚ますのも三回目。
慣れというのは恐ろしいもので、目を開いたときにこんなリゾート感ある内装が待ち受けていることにもはや違和感をほとんど抱かなくなってしまっていた。

それよりも、起きた瞬間に胸に湧き上がるのはルカさんと美琴さんのこと。
頭の中がなんだかそのことでいっぱいでやたら目が冴えて、いつものアナウンスよりも先に起きてしまった。

まだ集まるには早いけど……このままじゃ寝付けそうにもない。
なんとなく気が立ってしまった自分を抑えるために、これまたなんとなく部屋を出て、散歩をすることにした。



217 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 21:45:37.585s5mVYwB0 (9/16)

____
______
________

【レストラン】

なんだかすっかり汗をかいてしまった。
朝の爽やかな散歩で済ませるつもりだったのに、息も上がり気味で傍目に不自然じゃないかな……?
平静を装って涼しい顔して席につく。


美琴「にちかちゃん……どうしたの? 朝、ジョギングでもしてきたの?」

にちか「あ、あはは……そんなところです」

透「おー、健康的」

にちか「そ、そうなんですよ! 昨日は夏葉さん達が美琴さんも交えてやったって聞いたので、私もやりたいなーと思って!」

夏葉「あら、そうだったの……水臭いわ、言ってくれれば今日もやったのに。にちかを交えたジョギングの回もやらなくてはならないわね」

果穂「はい! にちかさんもいっしょに走りましょう!」


美琴さんには少し気づかれたようだけど、それ以上は追及はしてこなかった。
むしろ取り繕うための言葉を並べているうちに、なぜだかジョギングの回が開かれることになっちゃったけど……まあ、いいか。



218 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 21:47:56.605s5mVYwB0 (10/16)


摩美々「何か新しい発見はー?」

「……」

智代子「なかなかないみたいだね……」

美琴「もうこの島に来て4日目になるけど……なにも進展はないね」

冬優子「救助隊の船を見かけたりもしてないですよね……」

千雪「大丈夫かなぁ……助けは本当に来るんだよね……?」

透「おーい、助けろー。国―」

雛菜「もしかして雛菜たちのこと、みんな忘れちゃったのかな~?」

恋鐘「そんなわけなか! 少なくともプロデューサーは絶対にうちらのことは忘れんたい!」

結華「やっぱりなんだか妙なことに巻き込まれちゃってるよねー、これ」


朝食会の情報共有でも目立った進展は無し。
新しい情報を持ち出す者は誰もおらず、結局そのままただ食事だけをつついた。

そして、そのまま全員で朝食を終えると、またいつものように自分たちの部屋に戻る。
……この繰り返しに終わりは来るんだよね?



219 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 21:49:24.275s5mVYwB0 (11/16)

-------------------------------------------------
【にちかのコテージ】

部屋に戻ってシャワーを浴びて、服も着替えた。
一度汗をかいてしまったら乾いても気分が良くない。
サッパリ丸々入れ替わちゃわないと、汚いままの私が継続されたままだから。

さて、心機一転じゃないけど、ここからまた頑張んなきゃだ。
私にできることをやって、脱出の方法を探さないと!

【自由行動開始!】

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…10枚】
【現在の希望のカケラ…17個】

【事件発生前最終日の自由行動です】

1.交流する【人物指定安価】※ルカを除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1


220以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/24(水) 21:57:50.23oJ0Q/9Gv0 (1/1)

新人投稿者「あっさり解説」です!よろしくお願いします!
>>sm39663816
>>sm39655470
>>sm39655441
マイリス登録おねがいします
https://www.nicovideo.jp/user/121826461


221 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 22:11:29.875s5mVYwB0 (12/16)


一応再安価しときます
基本変な書き込みは無視して下参照です

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…10枚】
【現在の希望のカケラ…17個】

【事件発生前最終日の自由行動です】

1.交流する【人物指定安価】※ルカを除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1


222以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/24(水) 22:20:56.91892YAtJu0 (1/4)

1 みつみね


223 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 22:25:43.605s5mVYwB0 (13/16)

1 三峰選択

【第1の島:結華の部屋】

ピンポーン

結華「はいはーい……あれ、にっちゃん? どうしたの、何か用事?」

にちか「いや、用事って言うほどでもないんですけど……せっかくならちょっと一緒に過ごせたらなーって」

結華「……ふふ、流石はみんなの妹、年上の心をわしづかみにするための手練手管は心得てるってワケだ」

にちか「え、ちょ、そんな下心なんかないですよー!」

結華「あはは、ごめんごめん。にっちゃんは弄りがいがあるからつい……」

結華「でもちょうどよかった、この前スーパーで見つけたお菓子があるんだよね。上がって!」

にちか「あ、はい……お邪魔します!」


結華さんの部屋でお菓子を食べて過ごした……

-------------------------------------------------
‣現在の所持品

【半分安全靴】
【キルリアンカメラ】×2
【家庭用ゲーム機】
【携帯ゲーム機】
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1


224以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/24(水) 22:29:43.97892YAtJu0 (2/4)

1 キルリアンカメラ


225 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 22:40:23.475s5mVYwB0 (14/16)

【キルリアンカメラ】を渡した……

結華「あれ、なんか変わったタイプ……あんまり見たことないかも」

にちか「キルリアン写真って知ってます?」

結華「キルリアン……? なんかで聞いた気が……あ、あれか! オーラを写真に収めるってやつ!」

にちか「そう、そうなんですよ! 結華さん、【超大学生級の写真部】でしたよね。もしかしたら興味ないかなーって」

結華「オーラとかは流石に俄かに信じがたいけど……純粋に興味はある! でかした、七草にちか隊員!」

(やった! 喜んでもらえた!)

【PERFECT COMMUNICATION】

【親愛度レベルがいつもより多めに上昇します】

-------------------------------------------------

結華「にっちゃんってさ、元々アルバイトやってたんだよね?」

にちか「え、はい……どうしたんですか?」

結華「いやただの世間話! あんまりこうやってにっちゃんと二人で話すこともなかったから」

(何かと場を引っ張ってくれるし、やっぱりこうやって接してても年上のお姉さんって感じでリードしてくれるし、やっぱ気楽に話せていいな……)

にちか「別に面白いこともないですけど、CDショップで働いてました。そこにプロデューサーさんが来て……まあなんやかんやって感じです」

結華「へぇ~、CDショップの店員さん! いいじゃんいいじゃん、おしゃれな感じでてるよ!」

結華「でも、どうしてまたCDショップで? ……あ、嫌だったら答えなくても全然大丈夫」

にちか「大丈夫です! えっと、元々レコードとかそういうのが好きで、音楽に近いところで働きたいってのがあったんですよね」

結華「にっちゃんなかなか渋いんだ、やるね」

にちか「えへへ、家に昔のレコードとかが残ってて、よく聞いてたんですよね。だから同級生とかにもついうっかり自分の趣味のレコードの話をしすぎちゃってポカンとされるとかも結構あって」

結華「あはは、わかるわかる。三峰も好きなものの話になるとつい調子に乗って話過ぎちゃったりするからさ」

にちか「そうなんですか? 結華さんが好きなものって……」

結華「まあアイド……げふんげふん、いや、何……風景写真とか撮るの好きなんだよね。写真部、なんて称号いただいちゃってますけど拘りは結構本気であって……被写体によってカメラ使い分けたりしちゃってますから!」

にちか「え、すごいじゃないですかー! カメラも色々ありますもんね、デジカメとか一眼レフとか、全然違うんですよね」

結華「まあね、一眼レフだと暗くても撮影がしやすかったりとかいろいろあって……最近のスマホも結構高性能ではあるけど、まだ追いつかないところも多いんだよ」

にちか「すごー! カメラ博士じゃないですかー!」

結華「よせやいよせやい! おだてても何も出やしないぞー!」


1.じゃあ今度は代わりに私が結華さんにレコードおすすめしますよ!
2.実際に撮ってるとこ見てもよかったりします?
3.自由安価

↓1



226以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/24(水) 22:59:20.51892YAtJu0 (3/4)

2


227 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 23:06:56.515s5mVYwB0 (15/16)

2 選択

にちか「じゃあ今度実際に撮ってるとこみてもよかったりします?」

にちか「ほら、結華さんのこだわりをせっかくなら生で見てみたいって!」

結華「え、いいの……? むしろこっちからお願いしたいぐらい!」

結華「せっかくなら二人で写真撮りに行こうよ、前に一度ふゆゆともカメラを持って出かけたことがあったんだけど……すごくいいフォトスポット知ってるから!」

にちか「うわうわ……それめっちゃいいじゃないですか!」

にちか「……あ、でも待ってください。その……うち、あんまりお金に余裕がある家庭じゃなくて、その……」

結華「大丈夫、三峰のお古でよければ用意いたしますから!」

にちか「結華さん……!」

結華「なにせ可愛い可愛い三峰の妹分なんだからねー、それぐらいは面倒見てやりますよ!」

にちか「ありがとうございますー! まともなカメラなんか触るの、初めてですよ!」

にちか「うわ、島から出るのめっっちゃ楽しみになりました! 結華さん、絶対一緒に生きて脱出しましょう!」

結華「に、にっちゃん……それ死亡フラグ……」

にちか「え? なんです?」

結華「……ううん、なんでもない」


【親愛度レベルが上昇しました!】

【三峰結華の親愛度レベル…2.0】

【希望のカケラを入手しました!】

【現在の希望のカケラ…18個】


228 ◆zbOQ645F4s2021/11/24(水) 23:08:54.185s5mVYwB0 (16/16)

-------------------------------------------------
【にちかのコテージ】

結華さんのカメラへのこだわり、気持ちはわかるなぁ……

愛ってホント突き詰めても突き詰めてもキリがないし、お金もまるで足りない。
そういえばこっちにいる間のバイト代って……

……うぅ、脱出したらシフト増やしてもらおう……

【自由行動開始!】

-------------------------------------------------
【現在のモノクマメダル枚数…10枚】
【現在の希望のカケラ…18個】

【事件発生前最終日の自由行動です】

1.交流する【人物指定安価】※ルカを除く
2.モノモノヤシーンに挑戦する
3.自動販売機を使う
4.休む(自由時間スキップ)

↓1


229以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/24(水) 23:49:48.82892YAtJu0 (4/4)

1 まみみ


230以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/25(木) 00:38:56.36yfpu9+XA0 (1/3)

次はいつになりますか?
楽しみにしてます!


231 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 01:18:50.64R8XLdqbj0 (1/55)

申し訳ない、離脱してしまってました……
摩美々選択からまた再開します。
次回更新で事件発生パートまではいかないかもです(少々長めなので)

一応11/25も夜行けそうだったらやります


232少し早めですが再開します ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 20:45:21.17R8XLdqbj0 (2/55)

1 摩美々選択

【第1の島:牧場】

摩美々「……」

にちか「あれ、田中さん……どうしたんですか? こんなところにいるの、珍しいですよね?」

摩美々「え? あー……仕込みってとこかなー」

にちか「仕込み? 牛の肉で何か料理でも作るんです?」

摩美々「何そのバイオレンス発想ー……牛、めちゃくちゃ生きてるんだケド……」

摩美々「せっかくイタズラの仕込みで牛のそれを使うっていうボケ仕掛けてたのに、にちかのとんでも発言で滅茶苦茶だよー」

にちか「知らないですよー……なんかすみません」


なぜか機嫌を悪くした摩美々さんを宥めながら過ごした……


-------------------------------------------------
‣現在の所持品

【半分安全靴】
【キルリアンカメラ】
【家庭用ゲーム機】
【携帯ゲーム機】
【トイカメラ】
【表裏ウクレレ】
【バール】

プレゼントを渡しますか?
1.渡す【所持品指定安価】
2.渡さない

↓1


233以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/25(木) 21:35:25.07yfpu9+XA0 (2/3)

1 安全靴


234 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 21:40:11.08R8XLdqbj0 (3/55)


【半分安全靴】を渡した……


にちか「これ、どうです?」

摩美々「や、どうですって言われてもー……つま先に鉄板が入った靴なんて履きようがなくないー?」

にちか「でも、外でロケとかする時に使えるかもしれませんよ!」

摩美々「芋ほりとかの農業ならまだしも、工業ロケなんか聞いたことないしー……」

摩美々「これは流石に、貰ってもどうしようもないかなー……」

(うっ……しまった、別のものを渡せばよかったな……)

-------------------------------------------------


にちか「田中さんってよくプロデューサーさんにちょっかいだしてますよね!」

摩美々「……ちょっかいっていうか、からかってるっていうかぁ」

にちか「いや、別にいいんです! それがダメ!とかいう気もないですし、むしろもっとやってくれって感じなんです!」

摩美々「……はぁ?」

にちか「プロデューサーさんがイタズラやられた時の間抜け顔、めちゃくちゃ面白いんですよねー! いい大人が女子高生に振り回されるのって超ダサいしー!」

摩美々「ダサいかどうかはまあ別として……にちかも結構いいシュミしてますねー」

にちか「あはは、田中さんほどじゃないですってー! あー、この前車のカギを隠した時の慌てっぷりはケッサクだったなー!」

摩美々「……え」

にちか「それとかスマホのパスワードめちゃくちゃに入力しまくって制限かけた時、体震えてましたよー!」

摩美々「ちょ、ちょっとやりすぎじゃ……」

にちか「え? そうです? じゃあ普段……田中さんはどんなことしてるんですか?」

摩美々「え、落書きとか……突然写真撮ったりとか……」

にちか「……ぬるくないです?」

摩美々「こんなもんで十分でしょー……」


1.もっといいイタズラを考えましょう!
2.案外かわいいんですね
3.自由安価

↓1


235以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/25(木) 22:18:07.99yfpu9+XA0 (3/3)

2


236 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:31:03.42R8XLdqbj0 (4/55)

2 選択

にちか「案外田中さん、可愛らしいんですね」

摩美々「はぁー? な、なに急に……」

にちか「イタズラの内容も控えめですし、プロデューサーさんへのからかい方もじゃれてるみたいで……」

摩美々「……タバスコ」

にちか「へ?」

摩美々「これから毎日にちかの食事にいずれかのタイミングでタバスコを仕掛けることが今決定しましたー」

にちか「は、はあああああああ!?」

摩美々「年上に生意気な口を利く後輩にはきょーいく的指導が必要なのですー、ふははー」

にちか「り、理不尽過ぎません!?」

摩美々「それに……イタズラなら負けるつもりはないのでー、にちか、しばらく勝負だよー」

にちか「……! そういうことですか……! それなら私だって負けません!」

にちか「田中さんを驚かせて頭からひっくり返しちゃいますよ!」

摩美々「ふふー、やれるもんならやってみなよー」


【親愛度レベルが上昇しました!】

【田中摩美々の親愛度レベル…1.5】

-------------------------------------------------

【今章におけるすべての自由行動パートが終了しました】



237 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:33:21.39R8XLdqbj0 (5/55)


田中さんに正面から果たし状を叩きつけられてしまった。
イタズラならプロデューサーさん相手に磨き上げてきた……私だって負けていられないよ!

コテージに帰ったら作戦準備!
まずは泥水と墨汁を混ぜるところから始めようかな……

-------------------------------------------------

【にちかのコテージ】

島の探索をあらかたし終えて、一日の疲れとともにコテージの扉を開けた。
シャワーの一つでも浴びて、早いところ寝てしまおうか。
そんなのんきなことを考えながら、ゆっくりと支度を始めたその直後。

キーンコンカーンコーン…


にちか「え……? こ、こんな時間に……?」


夜時間の始まりと終わりを告げるチャイムとはまた別。
これまで過ごしてきた中で一度も聞いてこなかった時間でのチャイムに心臓が飛び上がる。
そしてその視線をモニターに向けると、砂嵐はうねり、モノクマがまたその姿を現した。


『島内放送、島内放送~! オマエラの楽しい楽しい南国生活の幕開けを祝して、楽しい催しをご用意しました~!』

『丹精込めて用意しましたので、ぜひジャバウォック公園の銅像前にお集まりくださ~い!』


うーわ、楽しい催しって絶対ろくなことじゃない。
『ろくなことじゃない』くらいで済めばむしろいいけど、最悪の場合何か命に係わる話の可能性だってある。
だって、あのモノクマなんだもの。

南国の陽気に中てられた間の抜けたムードから、急速にピりついた空気の張り詰めたムードが漂い始める。
生唾一つ飲み込んだ。


にちか「……とりあえず、行ってみよう」




238 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:34:24.55R8XLdqbj0 (6/55)

-------------------------------------------------
【中央の島 ジャバウォック公園】


透「ふぁぁ……眠た……」

千雪「急にこんなところに呼び出すだなんて、どういうことなのかな……」

夏葉「用心はしておいた方がいいわ、常に細心の注意を払いつつ、周りを見るようにしておきましょう」

果穂「でも、なんだか楽しそうです!」

あさひ「あのステージ、なんだろうね!」


慌てて駆け付けた私たちを待ち構えていたのは……妙にゴテゴテに飾りつけの為されたお立ち台とスタンドマイク付きのステージだった。
オレンジの配色のそれは、どこか既視感がある。


愛依「……あれ、漫才コンテストの奴じゃね?」

にちか「あー! それだ! それですよ! 年末の大会の、予選の奴~~~~!」

美琴「……そうか、お笑いのセットだったんだ」

雛菜「今からお笑いが見れるんですか~? 雛菜ちょっとワクワク~」

透「ショートコント、コンビニ」

摩美々「ちょっと、勝手にステージに上がったら何されるか分かったもんじゃないでしょー、降りてきなよー」

バビューン!!

モノクマ「こら~! 素人が勝手にステージに上がったらあきまへーん!」


ようやっと姿を現したモノクマ。
その寸胴体系を無理やりスーツに押し込んだような姿は不格好。その不格好な体でぷりぷりと怒っている様子。



239 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:35:35.45R8XLdqbj0 (7/55)


千雪「あら? モノミちゃんも一緒なの?」

モノミ「あわわ……あ、あちしはやりたくないって言ったんでちゅけどね……?」

モノクマ「馬鹿言うたらあかん! ボクの相方はオマエしかおらへんねん!」

にちか「うーわ、コッテコテの似非関西弁……だっさ……」

モノクマ「モノミとボクで兄妹漫才で天下を取ったるで~~~~!」

摩美々「なんでもいいケド、やるなら早くやってくれるー? もう眠たいんでー」

モノクマ「ほら、観客の皆さんもボクたちの漫才を待ち焦がれてるじゃない! ほら、さっさと準備するんやで!」

モノミ「あぁ~~~~~! 毛細血管がいっぱい集まってるところ・脇を攻撃するのはやめて~~~~~~!」


モノクマはそのままモノミをずるずると引きずって舞台裏へ。
既に今のこの状況が漫才のようなものだが、これからこれ以上にくだらないやり取りを見せつけられることになる。
想像しただけでため息が出た。


にちか「これ、本当に見なくちゃいけないんですかね……」

美琴「見ないと殺されるかもしれないから、ちょっとの辛抱だよ」

にちか「はぁ……そうですよね……すみません」


そして私たちはステージの前に置かれたパイプ椅子にとぼとぼと腰かけて、そこから数分。
聞きなじみある囃子とともに二人が姿を現した。




240 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:37:21.76R8XLdqbj0 (8/55)

**********************************************

モノクマ「どうぞよろしくお願いしますー!」

モノミ「よ、よろしくお願いしまちゅ……」

モノクマ「あ~~~~! 今、極太のスティックのりをいただきました~~~~! こんなんなんぼあっても困りませんからね!」

モノミ「いや困りまちゅ! そのままじゃ切手にも使えないし、スティックのりは女性にももちやすいサイズで再登場してもらわないと困りまちゅ!」

モノクマ「あんな、うちのおかんがどうしても思い出せないマスコットがおるねんな」

モノミ「はぅ……どこか聞いたことのある導入でちゅ」

モノクマ「フェルト地で愛されボディのかわいらしいウサギさんらしいねんな」

モノミ「それは……あちしでちゅ! 手触り抜群、容姿端麗、若年層から壮年層まで取り込める唯一無二の愛されマスコットでちゅからね!」

モノクマ「ボクもモノミのことだと思ったけどね。でもな、おかんが言うには毎晩の晩酌を欠かさないらしいねんな」

モノミ「それはあちしじゃないでちゅ! あちしは夜は毎日カモミールティー片手にビスケットのオシャンティーな夜にするって決めてるんでちゅ! 鮭とばなんかのイメージをつけないでくだちゃい!」



241 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:38:43.83R8XLdqbj0 (9/55)


モノクマ「でもな、でもな、おかんが言うには魔法が使えるマスコットらしいねんな!」

モノミ「それは……あちしでちゅ! マジカルステッキさえあればあんな夢こんな夢叶え放題なんでちゅ! マイナンバーカードだって2秒で作れちゃうんでちゅ!」

モノクマ「ボクもそう思ったんだけどね、どうやらおかんが言うには反社会勢力とつながりがあるマスコットらしいねん」

モノミ「それはあちしじゃないでちゅ! 反社会勢力とずぶずぶなマスコットなんて存在しまちぇん! 一切の犯罪歴のない人間だけが夢の世界の住人を演じることが許されるんでちゅよ? いや、あちしには中の人なんていまちぇんけど!」



モノクマ「でもな、おかんはそのマスコットは【みんなの記憶を奪っとる】って言うんよな」




モノミ「それは……!」

モノミ「あ、あれ……?」




242 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:39:47.35R8XLdqbj0 (10/55)


モノクマ「コロシアイ南国生活に参加している【みんなの記憶を奪っちゃってる】あくどいマスコットがいるんだってさ。全く、ひどいマスコットもいたものだよね!」

モノミ「あ、あはは……ほ、本当でちゅね……いったい誰のことやら……」

モノクマ「ほんでおかんが言うにはな、そのマスコットってピンク色のウサギみたいな見た目らしいんや!」

モノミ「……い、今のあちしはツートンカラーの愛らしいウサギでちゅ……人畜無害なウサギさんでちゅ……」

モノクマ「でもな、おかんが言うには最近そのウサギは色を変えられた挙句、お兄さんができたらしいねんな!」

モノミ「いやあああああああ! それ以上はやめてくだちゃい!」

モノクマ「で、オトンが言うにはな、それってモノミちゃうか?って!」

モノミ「……」

モノクマ「もうええわ! どうも、ありがとうございました~~~!」

*********************************************



243 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:41:02.98R8XLdqbj0 (11/55)


面白くもない間の抜けた漫才芸が幕を下ろした。
でも私たちは腹を抱えて笑うでもなく、不満に座布団を投げつけるでもなく、今自分の目の前に投げ込まれたその言葉を確かめて、震えることしかできずにいた。


(記憶が、奪われた……?)

モノクマ「ふぅ……久しぶりに漫才なんかしたから、なかなか舌が回らなくて困ったよ!」

モノミ「……あ、あちしは失礼しまちゅ」

ルカ「待てよ」

モノミ「ひぃ! い、斑鳩さん……!?」

ルカ「説明せずに逃げ帰るとか、許されると思ってんのか? さっきの言葉の意味、聞かせてもらえるんだろうな」

果穂「あ、あたしたちの記憶……う、うそですよね……」

夏葉「そんなはずはないわ……ただの悪趣味な冗談でしょう?」

モノクマ「まあこの件に関しては、さっき言った通りボクがやったわけではないのでモノミに聞いてもらわないと!」

バビューン!!



244 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:43:12.71R8XLdqbj0 (12/55)


にちか「モノミ……! 今、どういうことなの?!」

にちか「本当に私たちの記憶は奪われてるの?! 今って本当は、何年の何月、何日なの?!」

モノミ「え、えーっと……その……」

美琴「教えて」

美琴「私たちはライトの下から離れて……どれくらいの時間が経ったのかを」

モノミ「あのでちゅね……」


モノミは詰め寄る私たちを前に、はっきりしない物言いを繰り返すばかり。
自分のしてしまったことの罪の重さをはかりかねているかのような、そんな怯えたような表情のまま、しばらく。


モノミ「もうこれ以上お話しできることは何もありまちぇん!」

バビューン!!

灯織「……行ってしまいましたね」

愛依「け、ケッキョク……なんも教えてくれなかったね……」



245 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:44:42.57R8XLdqbj0 (13/55)


透「記憶、か……」

雛菜「雛菜たち、一体いつから記憶を失ってるんだろうね~」

あさひ「ていうか、記憶を奪うってなんなんすか? そんなことができるっすか?」

結華「さあね……ただ、モノミ・モノクマ・モノケモノとこうも現実味のないことが続いちゃ……疑う気力も沸いてこないっていうか……」

千雪「モノミちゃんが私たちのそんなひどいことをするなんて、信じられないけど……」

ルカ「何を甘いこと言ってんだよ。あいつだって所詮はモノクマ側の存在、ウサミだか何だか知らねえが、ずっと私たちを欺いて笑ってやがったんだ」

智代子「だ、だとしても……どうして!? わたしたちの記憶を奪うことになんの意味があるの?!」

冬優子「その意味すら、ふゆたちは忘れてしまってるのかもしれないね……」


重く冷たい空気がのしかかる。
それも当然だ、人間の存在なんてものは、継続的な観測からなるものでしかない。
つい昨日の自分があるから、今日の自分がある。
これまでの十数年の蓄積が私という存在を形作っている。
でも、今その根幹から揺るがされているのだ。
いつから、どれくらいの記憶が抜け落ちているのかもわからない。


そんな状態で立っている今の自分は、本当に『わたし』だと胸を張って言えるのだろうか……?





246 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:46:12.09R8XLdqbj0 (14/55)







灯織「……落ち着きましょう、皆さん」








247 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:49:01.30R8XLdqbj0 (15/55)


それでも、彼女だけはこんな状態でも立ち上がった。
私たちの一歩前に出て、胸に手を当てて。自分自身もその手は震えているというのに、それでも鼓舞するために一歩を踏み出す。


愛依「ひ、灯織ちゃん……」

灯織「確かに記憶の欠落、それを聞いて私も冷静ではとてもいられませんが……不安に駆られてしまってはモノクマの思うつぼです」

夏葉「……ええ、その通りね。きっとモノクマは私たちにゆさぶりをかけたかったのよ。コロシアイになかなか手を付けようとしない私たちを焚きつけるために、不安という起爆剤を投入した」

灯織「だから、まずは深呼吸をして……隣を見てください。私たちには仲間がいます、頼れる存在がいるんです。不安に感じているなら、それを共有してください」

灯織「一人じゃなければ、きっとそれにも立ち向かえるはずなんです……!」

(……やっぱり、風野さんはすごいな)

美琴「……そうだね、狼狽えてても何も変わらないから」

果穂「もし本当にきおくがうしなわれてるなら、その分新しく思い出を作りましょう!」

智代子「果穂! そうだね、楽しい記憶は今からでも取り返しが効くからね!」

摩美々「はぁ……もっと重要な記憶も色々抜け落ちてるかもしれないケド、それは無視―?」

恋鐘「摩美々、今はそういうことにしとかんね。深く考えこんだら、沼んみたく深みにハマってしまうとよ!」

ルカ「……チッ、なんの解決にもなってねえじゃねえか」

あさひ「……わたし、何を忘れてるんだろ」



248 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:50:31.20R8XLdqbj0 (16/55)

-------------------------------------------------

【にちかのコテージ】

キーン、コーン…カーンコーン…

『えーと、希望ヶ峰学園歌姫計画実行委員会がお知らせします…』

『ただいま、午後十時になりました』

『波の音を聞きながら、ゆったりと穏やかにおやすみくださいね』

『ではでは、いい夢を。グッナイ…』


一部の人を除いて不安はだいぶん和らいだ様子で、そのまま公園で解散となった。
もう夜時間を回っている、私もその瞼はだいぶん重たくなっていた。
ただ、それとは別に思考は巡る。
みんなの手前口にはしなかった不安がふつふつと込み上げる。
確かに仲間に共有できれば気が楽になる不安もある、けどすべてがそう易々と仲間に共有できる不安ばかりじゃないことも私は知っている。
特に私はみんなとは違う。本当のゼロからスタートした私は、その下地も、素材も、心構えも、何もかもが違っている。
違うもの同士の不安に共感なんかできない、そこにあるのはただの憐憫だ。

そんな惨めな真似、私には……


「……お姉ちゃん」


夜は、更けていく。




249 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:52:17.76R8XLdqbj0 (17/55)

_____
_______
_________

=========
≪island life:day 5≫
=========
-------------------------------------------------
【にちかのコテージ】


昨日に引き続き、アナウンスよりも先に目が覚めてしまっていた。
そりゃ当然、あんなの聞かされて寝ていられるはずもない。
夢もなんだか気持ちが悪いものを見た。
学校の先生とか友達とかがグニャグニャとねじ曲がって、渦みたいになってそこに溶け込んでいく夢。
チーズフォンデュのようにドロドロになった自分の体が、すごく醜悪な感触だった。


「記憶がない……か」


それで目を覚ましたんで居ても立っても居られなくなり、既にコテージの部屋を出てホテルの中を歩くなどしてしまった。
それでもまるでスッキリとしない、ムカムカとしたものが胸にくすぶり続けている。


「あー! なんかもうっ!」


近くにあった紙をぐしゃぐしゃに丸めて近くに放った。
がさがさと耳障りな音を立てて紙屑の山は軋む。


「……とりあえず、なんか口に入れよ」


まだ朝食会には早い。
でも、この放っておけばこのイライラが無限に口から放出されそうで、それを抑え込むための栓が欲しくて。
私の足は自然とレストランに向かっていた。



250 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:54:00.38R8XLdqbj0 (18/55)

-------------------------------------------------
【レストラン】

灯織「……! に、にちかさん……おはようございます」

にちか「おはようございます……相変わらず早いですね、普段から早起きなんです?」

灯織「い、いえ……どうしてもこんな状況だと目が覚めてしまうといいますか……」

にちか「あ、あはは……ですよねー……」

にちか「……? あれ、風野さん、その手に何か持ってます?」

灯織「っ!? い、いえ! これは別に、その、なんでも!」

(いやいや……隠すの下手すぎでしょ……紙っぽいのがモロ見えだったし)

(でも、なんだか追及するのはかわいそうだよね……見なかったことにしてあげよう)


風野さんは平然とした体を取り繕ってはいるものの、よっぽど触れられたくないものに触れられてしまったのだろう。動揺の色を全く隠せていなかった。

そのままなんとも居心地悪そうな時間が過ぎて、徐々に全員が集まったころ……

彼女は切り出した。



251 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:55:57.28R8XLdqbj0 (19/55)


灯織「あ、あの……もしよろしければ一つ、提案をお聞きしていただいても……」

結華「んー? どったの、ひおりん? なんだか珍しいね」

灯織「そ、その……せっかくこうやって283プロの皆さんがユニットの垣根を越えて集まったことですし……何か【パーティ】のような催しでも出来たらなと思いまして……」

あさひ「えっ?! パーティ!? 楽しそう!」

冬優子「あさひちゃん、まずは静かにお話を聞こうね~」

灯織「ホテルには旧館もありますし、パーティ会場にはうってつけではないかと」

モノミ「いいでちゅね! すごく素敵な提案でちゅ!」

あさひ「あっ! モノミだ!」

モノミ「せ、芹沢さん……く、来るなら来いでちゅ! そう簡単に、あちしの縫い目がほどけるとは思わないことでちゅ!」

愛依「アハハ、そんな警戒しなくても大丈夫系! あさひちゃん、今はすっかり朝ご飯にムチューみたいだから!」

モノミ「へ?」

千雪「あさひちゃんのために島の果物でデザートを作ってあげたの。喜んでくれたみたいでよかった」

あさひ「すごくおいしいっす! これ何使ってるっすか?」

モノミ「ということはあちしの貞操は守られるってことでちゅか?」

果穂「てーそー……? それってなんですか?」

夏葉「……モノミ、変な言い回しはやめてくれるかしら」




252 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:57:23.64R8XLdqbj0 (20/55)


結華「と、とにかく! モノミもこのタイミングで姿を現したってことは何か話があるってコトでしょ?」

モノミ「あ! そうでちた! ミナサンのパーティのお話を聞いて居ても立っても居られなくなったんでちゅ。旧館を使ってパーティがしたいとのことでちたけど、長いこと使ってないせいでボロボロなんでちゅよね」

雛菜「え~! 雛菜パーティやりたかった~!」

モノミ「施設自体は汚れてはいまちゅけど、使う分に問題は無いので掃除さえすれば大丈夫でちゅよ!」

摩美々「えー、面倒くさー……」

灯織「ただ会場としてはこれ以上ないぐらいにうってつけですし……いたし方ありませんね」

透「あ、それじゃせっかくだし」

にちか「浅倉さん?」

透「この箸使ってくじ引き。ギャンブルで決めるってのは、どうよ」

雛菜「やは~♡ それじゃあたりを引いた人が掃除係ね~!」

千雪「う~ん……でも一人で任せるにはちょっと旧館は広いような」

愛依「うち、掃除やるよ? せっかくのパーティだし、みんな気持ちよくできたほうがいいんじゃん?」

灯織「それでしたら私もお手伝いします。もともと言い出したのは私ですから」

果穂「あたしもやらせてください!」

恋鐘「うちも手伝うばい! こういうのは、全員でやった方が早かやけん!」

摩美々「えー、全員―……?」

結華「あらら……とおるんのくじ引きも面白そうだとは思ったんだけどね」

透「ちぇー」


そういうわけで結局なし崩し的に会場となる旧館の掃除は全員で行うことに。
正直私としては面倒だったし浅倉さんのくじ引き案に賛成ではあったんだけど……しょうがないか。



253 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 22:58:23.75R8XLdqbj0 (21/55)

-------------------------------------------------
【旧館】

にちか「うーわ……埃っぽすぎ……美琴さん、私が美琴さんの分もやるので休んでて大丈夫ですよ!」

美琴「ううん、そういう訳にもいかないから」


いざ足を踏み入れた旧館はそこら中にクモの巣が張ってるし、埃もあちらこちらに溜まっているというありさま。
できれば美琴さんには足を踏み入れてすらほしくない。
うー……全員で掃除をするなんて流れになるから、もう!


灯織「正直想像以上の有様ですが……これだけの人数がいればすぐに終わるはずです、頑張りましょう!」

冬優子「うん♡ できた時よりもピカピカにしちゃおうね!」

智代子「よしっ! 果穂、掃除用のエプロンしっかり結べたよ!」

果穂「ありがとうございます! おそうじ用のスペシャルアーマーに変身! です!」

夏葉「負けないわよ果穂! 誰よりもこの旧館を一番きれいにするのは私なんだから!」

透「やるかー」

雛菜「あは~、雛菜やりたくない~」

結華「お、温度差!?」


きちんと準備を整えて真面目に掃除に挑もうというメンバー、行動一つ一つが仰々しいやたらやる気の入ったメンバー、全くと言っていいほどやる気のないメンバー。温度感もバラバラなメンバーたちでしばらくの間掃除に取り組んだ。



254 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:01:52.71R8XLdqbj0 (22/55)

_____
_______
_________


そして、掃除が終わったのは……昼前。


恋鐘「終わった~~~~~~~~!」

あさひ「え、もう終わるんすか? もっと床下の方とか掃除したかったっす」

灯織「ありがとうございます、皆さんのおかげで予定よりかなり早く清掃を終えることができました」

結華「一時はどうなることかと思ったけど、これならパーティも問題なく行えそうな感じ?」

透「頑張ったしね、めっちゃ」

雛菜「透先輩途中から同じところばっか掃除してなかった~?」

透「え? あー、取れなくて。油汚れ」

摩美々「透が掃除してたの玄関周りじゃなかったぁ?」

千雪「ふふっ、でも玄関周りを綺麗にしておくのは大事だから。ありがとう、透ちゃん」

透「ただ掃除してただけなんで」

冬優子「それにしても愛依ちゃんとにちかちゃんはすごく手際がよかったね! ふゆ、驚いちゃった!」

愛依「んー、うちはばあちゃんが腰悪くしてる分やったげることが多いからかな?」

にちか「うちもそんな感じですかねー。お姉ちゃん、家だとてんでダメなので!」

美琴「そうなんだ、えらいね」

にちか「い、いやいやそんな!」



255 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:02:47.58R8XLdqbj0 (23/55)


智代子「お疲れー、果穂。あとでお菓子食べてリフレッシュしようね!」

果穂「はい! つかれた体にはとう分ほきゅうが必要です!」

智代子「よくぞ言ってくれました!」

夏葉「ふふっ……そんな見せつけるようにしなくても別に咎めたりはしないわ、智代子」

灯織「ひとまずは皆さんご苦労様でした。パーティ自体は、夜時間のチャイムが鳴ってから開始するのでそれまでは自由に過ごしてください」

摩美々「じゃあ摩美々は仮眠でもとろっかなー。今夜は灯織が寝かせてくれないみたいだしー」

結華「ま、まみみん?! その言い方は見過ごせないけど?!」

灯織「ふふっ……でも摩美々さんのように皆さんも体を休めておいてください。せっかくの機会、今夜は目いっぱい楽しんでいただきたいですから」


掃除を終えた私たちは、いったん風野さんの言った通りにそれぞれの個室に戻って体を休めることにした。
掃除というのは何かと無理な姿勢を強いられたり、重いものを持ち上げたり、自分が思っている以上に体が疲労するものだ。


美琴「今日は練習もしないつもりだから、にちかちゃんもゆっくり休んで」

にちか「え? もしかして私に気を使っちゃってます? 大丈夫ですよ、これぐらい平気です!」

美琴「違うの。私も今日はもともと練習をする気じゃなかったから」

にちか「え……そうなんですか?」

美琴「うん、丁度よかった。パーティと予定が重なったおかげで休憩をすることもないし」

にちか「それじゃ、美琴さんも今日はゆっくり休むようにしてください。体は資本って言いますし……」

美琴「心配してくれてありがとう。にちかちゃんもね」

にちか「は、はい!」



256 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:05:02.69R8XLdqbj0 (24/55)

-------------------------------------------------

【にちかのコテージ】

私も自分の部屋に入ると、ベッドにそのまま倒れこんだ。
手足がシーツに溶け込んでいくような心地で、疲労もその白地に浸透していく頃……

私はそのまま意識を手放した。



257 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:06:35.32R8XLdqbj0 (25/55)

____
______
________

≪night time≫

「……夜、か」


いつもならこのまま寝る支度をするところだけど、今日はそうじゃない。
旧館で行われるパーティのためにスクっと立ち上がった、丁度そのタイミングだった。


ピンポーン

(……インターホン?)


珍しい来客。慌てて扉を開けると、そこに立っていたのは風野さんだった。


灯織「こ、こんばんは……七草さん」

にちか「ど、どうも……あれ、パーティは……?」

灯織「そのことなんですが……少し、お手伝いいただきたいことがございまして」

にちか「手伝い?」

灯織「七草さん、もしよろしければ私と一緒に入場時の【ボディチェック】を行ってもらえませんか?」



258 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:07:36.06R8XLdqbj0 (26/55)


にちか「ぼ、ボディチェック? なんでまた……」

灯織「皆さんを疑う訳ではないんですが……状況が状況のため、念のために危険物が持ち込まれないように細心の注意は払いたいと思いまして」

にちか「わかりましたけど……なんで私なんですか?」

灯織「同世代の方にお願いしたくて……でも、どうやらチョコは放クラで集まっているようだったので」

灯織「市川さんは、その……なかなか捕まらなくてですね……」

(消去法ってことか……)

にちか「なるほど……ま、いいですよ。どうせ今から行くとこだったので」

灯織「本当ですか! あ、ありがとうございます……でしたらぜひ一緒に今から旧館の方へ」

にちか「あ、それじゃちょっと待ってくださいね。パーティ盛り上げるために用意してたものもちょっとだけあるので!」

風野さんにそう声をかけると、机の上に用意していたお菓子などを適当に手に取った。

にちか「じゃーん! これ、お気に入りなんですよー!」

灯織「ふふっ……今日くらいは遅くなってからお菓子を食べても許されますよね」

にちか「ですです!」



259 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:09:25.55R8XLdqbj0 (27/55)

-------------------------------------------------
【旧館 玄関】

灯織「一応先んじて七草さんの体を調べさせていただきますね」

にちか「あ、はい……」


風野さんは申し訳なさそうに頭を下げると、私の体を隅々までべたべたと触りだす。
一通り見終えると、満足した様子でふぅと息をついた。


灯織「はい、問題ないと思います」

にちか「ど、どうも……危険物なんか、そうそう持ってないと思いますけど」

灯織「念には念を、ですから……」

ボディチェックを終えて、ひと段落。そう思っていると、今度は逆に私の体に何かを取り付けた。胸元に両面テープでとめたそれは、花を模して造られた布飾りのようだ。

にちか「これ……何ですか?」

灯織「ええ……パーティを開くにあたって、果穂と千雪さんとで用意してくださったものらしくて、全員分ご用意いただいてせっかくなのでここでボディチェックのついでにお渡ししようかと」

(要はこれでご機嫌取りってわけね……)


風野さんは全員分に用意された花飾りを紙袋を広げて見せてくれた。
なるほど形の不揃いな様子が果穂ちゃんの制作風景を想起させ、なんとも愛らしい。

これなら確かにボディチェックのイライラも引っ込むかもしれない。



260 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:10:34.45R8XLdqbj0 (28/55)


灯織「あ、どなたか来たみたいですよ」

ガチャ

あさひ「こんばんは! ……あれ? 二人ともどうしたっすか?」

灯織「あさひ……一応パーティを始める前に参加者はみんな身体検査をしておこうと思って」

あさひ「ふーん……でも、わたしなにも変なものなんか持ってないっすよ」

灯織「念のためだから……ごめんね」


パンパン


にちか「……あっ」

灯織「プラスドライバー……人を刺すには十分……」

あさひ「えー、そんなことしないっすよー」

灯織「ごめん、これも念のためだから」

あさひ「ああっ!?」


風野さんにしては珍しいぐらいの強引さで芹沢さんからプラスドライバーをひったくると、そのまま手元にあったジュラルミンケースに放り込んだ。


灯織「パーティが終わったらちゃんと返すから……今は我慢して」

あさひ「むー!」


芹沢さんは納得していないといった様子で頬を膨らませる。
それでも風野さんが折れそうにないとみるや、ぷいとそっぽ向いて、そのまま会場へと走っていった。


にちか「ドライバーでもダメなんですか?」

灯織「全員に安心して参加していただきたいので……七草さんもあれぐらいでお願いします」

にちか「は、はい……」



261 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:11:45.70R8XLdqbj0 (29/55)


ガチャ

透「ばんはー」

雛菜「パーティもう始まってますか~?」

灯織「市川さん……いえ、まだ始まっていません。その前に身体検査をしてもよろしいでしょうか? ……七草さん、浅倉さんをお願いします」

にちか「は、はい!」

透「厳重じゃん、めっちゃ」

にちか「ここまでやる必要はあるんですかねー……」


とはいえ一度引き受けてしまった仕事。
風野さんに言われるがままに浅倉さんの身体検査を行った。
全身をパンパンと叩いていき、不審なものはないか確かめて、さらには胸元も襟を掴ませてもらって一応は確認。


透「えー、恥ず……」

にちか「す、すみません……」



全身くまなく捜査して……不審なものは。



にちか「こんなの、なんで持ってきてるんですか? 十徳ナイフ」



____普通に見つかった。





262 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:13:07.33R8XLdqbj0 (30/55)


透「あー、なんでだろ」

にちか「いやいや?! 思いっきり刃物じゃないですか?!」

(こ、この人は……!)

雛菜「あ~、それさっき使ったやつ~! 透先輩持ってきちゃったんだ~~~!」

(……え?)

透「あー、さっき。雛菜と食べたんだっけ、缶詰」

にちか「か、缶詰……?」

雛菜「雛菜が桃食べたくなったから~、スーパーで透先輩に食べさせてもらっちゃった~!」

透「開け方わかんなかったからさ、使ったの。缶切りのとこで」

灯織「は、はぁ……一応、回収しておいてもよろしいですか?」

透「ノープロブレム」

(全く人騒がせな……)




263 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:14:21.78R8XLdqbj0 (31/55)


ノクチルの二人の独特な空気感にため息をつきながら、私はジェラルミンケースにそのナイフを放り込んだ。
まあこの二人ならそんな思い付きで缶詰を食べようとしてナイフを持ち出すこともあるだろう。その点については納得も行く。

……ただ、浅倉さんに関して、胸中にふつと湧き上がった疑念を拭い去ることはできなかった。


にちか「い、一応もっかい見といていいですか?!」

透「え、いいけど……どうしたの」

にちか「ね、念のため! 念のためですから!」


ただ、当然それ以上のものは見つからず。
結局浅倉さんも会場にそのまま入っていってしまった。


(だ、大丈夫なんだよね……?)

灯織「七草さん……! 安全意識を高く持っていただけたようで非常にありがたいです……!」


完全に不純な疑いから来た再点検だったのだけれど、風野さんは何か別の勘違いをして、それにいたく感動したのか私の手を取って上下にブンブンと振った。



264 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:16:08.78R8XLdqbj0 (32/55)

そこからは次々と入ってくるメンバーを一人ひとり点検していった。


灯織「摩美々さん……な、ナイフなんかダメに決まってるじゃないですか?!」

摩美々「いや、これ刃が引っ込むビックリグッズなんだケド……」


とはいえ、流石に露骨な危険物を持ち込む人間などおらず……


にちか「あー、これ……アウトかもしれないです」

千雪「そうなの? 誰かの服がほつれでもしたらと思ったんだけど」

にちか「私はいいと思うんですけどね、別に……」


安全と危険とのその交差点ぐらいのものばかりを拾い集めるだけで……


美琴「にちかちゃん、何やってるの?」

にちか「み、み、みみみみ……美琴さん?!」

美琴「ボディチェック? それじゃあ、私もお願いできる?」

にちか「わ、私が美琴さんの体をあちこち触るなんてそんな……!」

灯織「七草さん……? ユニット同士だし七草さんの方がよいかと思ったんですが……無理なら私が代わりましょうか」

にちか「やります!!!!!!!!!!!」

灯織「は、はぁ……」


特にボディチェック事態に成果はないままに終わった。



265 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:18:07.50R8XLdqbj0 (33/55)


灯織「斑鳩さんはいらしていませんが……それ以外は全員これで確認できましたね」

にちか「まあ多分……来ないんじゃないですかね」

灯織「後は……会場の確認ですね、改めて」

にちか「え、ちょっ……風野さん?!」


突然くるりと向きを変えたかと思うと、そのままずんずんと風野さんは旧館の奥へ。
慌てて後を追っていくと、そのまま風野さんは厨房へと入っていった。

-------------------------------------------------
【旧館 厨房】

恋鐘「ん? 灯織ににちか、何~? 料理はあらかた済んだけん、大広間で待っとったら持っていくとよ?」

灯織「料理は大体終わった……そうですか」

恋鐘「……灯織?」

灯織「すみません、恋鐘さん!」


一言だけ謝罪の言葉を述べたかと思うと、風野さんはそのまま目にもとまらぬ速さで次々に卓上に並んだ調理道具をジュラルミンケースへと放り込んでいった。包丁もフライパンも何もかも一緒くた。すぐに厨房の調理現場は草一本生えない荒れ地のように、なにもなくなってしまった。


恋鐘「ふぇ~~~~~?! な、なんばしよっと?!」

灯織「これも安全のためなんです……危害を加える可能性のあるものは少しでも減らしておかないとだめですから」

(そ、そこまでしなくとも……)


呆気にとられる私たち。それでも風野さんは意にも留めない様子ですぐに厨房を抜けて、別の部屋へと突き進んでいく。


にちか「す、すみません月岡さん!」


私も一言だけ謝って、すぐその後をついていった。


恋鐘「な、なんやったとやろ……」



266 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:19:22.60R8XLdqbj0 (34/55)

-------------------------------------------------
【倉庫】

灯織「この部屋は特に危険物はなさそうですね……」

にちか「はぁ……はぁ……か、風野さん……どこまで見る気なんですか、もうみんなで一回通り掃除しましたよね……?」

灯織「え、ええ……それはそうなんですが……」


それでも不安だとばかりに辺りをきょろきょろするばかりの風野さん。
心配性もここまで行くと重症だな……


にちか「誰も何も持ち込めないし、何も無いですって……あんまり慎重になっていると、パーティ遅くなっちゃいますよ?」

灯織「……それもそうですね」

灯織「七草さん、お付き合いいただきありがとうございました。パーティ、始めてしまいましょうか」

(よかった、分かってもらえた……)

灯織「皆さんお腹もすいていらっしゃるようですし、それだけでも済ませておきましょう」

にちか「え? それって、どういう……」

灯織「とにかく、いったんは大広間に行きましょうか」


風野さんの言葉の意味は良くつかめず、とりあえずは大広間に戻るとのことだったのでそれについていくことにした。
私も会場に入ってからそれなりに経った、ボディチェックや安全点検はもうたくさんと感じていたところだった。



267 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:20:40.27R8XLdqbj0 (35/55)

-------------------------------------------------
【大広間】

大広間ではすでに全員が待ち構えていた。手にはジュースの入ったグラスをもって、それぞれ思い思いに談笑をしている。
美琴さんも壁にもたれて、それはそれは優美にフォトジェニックに炭酸水を口へ運んでいた。


美琴「にちかちゃん、お疲れ様」

にちか「美琴さん、お疲れ様です! えっと、パーティはまだ始まってないんですかね」

美琴「うん、料理もまだ揃っていないようだし……始まりはみんなで合わせたいって」

にちか「なるほど……お待たせしちゃいましたかね」

美琴「いいの。恋鐘ちゃんもついさっき料理の盛り付けが終わったばかりみたいだから」

バンッ!

恋鐘「お待たせ~~~~! うちん特製、スペシャルディナーばい~~~~~!」


勢いよく扉が開かれたかと思うと、山盛りになった料理がのせられたワゴンとともに月岡さんが登場。
和洋折衷、ジャンル豊かに取り揃えられた料理の数々、どれも美味しそうで思わずよだれが垂れてくる。


にちか「うわうわうわうわ……! めっっちゃくちゃ豪華じゃないですかー!」

あさひ「すごいっすー! これ、全部食べていいっすか?!」

恋鐘「ふふーん! 好きなだけ食べてくれて構わんとよ! 全員で食べてもまだ余るぐらいの量を用意させてもらったばい!」

夏葉「これは……負けてられないわね!」

智代子「うん! これは食べ尽くさないとむしろ失礼だよね、夏葉ちゃん!」


と、会場全体が食事を前に盛り上がりを見せる中。




……誰よりも最初に飛びついたのは【彼女】だった。



268 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:21:57.72R8XLdqbj0 (36/55)




灯織「美味しい! 美味しいです!」




恋鐘「ふぇ~~~!? ひ、灯織~~~!? まだいただきますもやっとらんね?!」

結華「ひ、ひおりん?! そんな大食いキャラだったっけ?!」

灯織「すみません、恋鐘さんの料理があまりにもおいしそうだったので……!」

あさひ「えぇ~~~!? 灯織ちゃん、ずるいっすよ~~~?!」

果穂「あ、あたしも食べたいです!」

灯織「あ、あちらのチャーハンもいただかないと……!」

にちか「うわ……な、なにこれ……風野さん、さっきから様子おかしすぎだよ……」

美琴「よっぽどお腹がすいてたんだね」

にちか「いやいや、にしてもですよ! 大会終わりの野球部じゃないんですから!」


ワゴンの上の料理を片っ端から口に運んだ風野さんは満足そうに「美味しかったです」と声を上げた。
そりゃそうだろうとその場にいた全員が思ったことではあるのだけど、それをやったのが芹沢さんなどではなく風野さんだったことに呆気に取られて言葉は出てこなかった。



269 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:23:50.68R8XLdqbj0 (37/55)


灯織「す、すみません……出過ぎた真似を……」

摩美々「や、別にいいんだケド……灯織、大丈夫―?」

灯織「……うう、急いで食べすぎたみたいです」


風野さんはよろよろとお腹を抱えながら大広間を出ていった。


にちか「な、なんだったんだろう……」

恋鐘「パーティで灯織も浮かれとるたい! うちもあれぐらい喜んで食べてもらえたら作った甲斐があるばい!」

雛菜「それじゃあそろそろ雛菜たちもいただいちゃいます~? 雛菜お腹ペコペコ~!」

冬優子「そうだね! 灯織ちゃんは抜けちゃったけど……」

摩美々「じゃ、乾杯の音頭は三峰、任せたー」

結華「え?! ま、まあいいか……えーっと……」



270 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:25:26.63R8XLdqbj0 (38/55)






結華「この島から全員そろって無事に脱出するための決起集会ということで……とりあえず、かんぱーい!」

「「「「「かんぱーい!」」」」」







271 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:26:36.60R8XLdqbj0 (39/55)


色々とあったけど、とりあえずパーティはその幕を開けた。
それぞれの机の上に豪勢な料理が並び、それを取り囲んでの立食パーティ。
卓と卓とを行き来しながらいろんな人と話をしつつ、パーティは進んでいく。


愛依「にちかちゃん、食べてる~?」

にちか「は、はい! いや、すごいです……家にいたんじゃこんなの食べられないですから!」

恋鐘「そがん喜んでくれたらうちも嬉しか! ほら、このシュラスコも食べんね!」

あさひ「あ、それおいしそう! 私も食べたい!」

摩美々「ちょっとー、それ今摩美々が取ろうとしたやつなんですケドー……」

夏葉「いい、智代子? デカ盛りに挑むときは急ぐことより咀嚼に力を入れて消化液をより多く分泌するの。野菜を挟むことも肝要ね」

智代子「もちろん! デカ盛りパフェに挑んだ経験を生かす時だね!」

果穂「あ、あたしの顔くらいあります、このフライドチキン!」

千雪「ふふっ、ホントね。かじりついたら美味しさも倍になるよね」

美琴「食べないの?」

冬優子「あ、いや……その、ふゆ、油っぽいのはあんまり……」

透「おー、プロ意識」

雛菜「でも、その割にさっきから麻婆豆腐はいっぱいとってますね~?」

結華「え? あ、あー……それ三峰も取っちゃってるから減りが早いだけなんじゃないかなー?」


食事の力というのは偉大だ。
馴染みのない人とでも同じ卓を囲めば、ついつい言葉が口から出てしまう。
そんなついついが飛び交って、重なっていくと、頬も綻んでしまう。

どんちゃん騒ぎが繰り広げられて、時間もどんどん過ぎていく。



272 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:27:47.62R8XLdqbj0 (40/55)

◆◇◆◇◆◇◆◇

美琴「……ふぅ」

にちか「あれ、美琴さん? どこか行かれます?」

美琴「ちょっと、夜風にあたろうかな。食べすぎちゃったみたいだから」

にちか「だ、大丈夫ですか?! い、胃薬とかいります?!」

美琴「ううん、大丈夫。ちょっと出てれば治るから。それに……この会場にモノクマとか、ルカとかが寄ってきても困るでしょ?」

にちか「見張りってことですか? それならご一緒します……!」

美琴「いいから、にちかちゃんはパーティを楽しんで」

にちか「で、でも……」

美琴「じゃあ、また後で」

にちか「あ、ちょ、美琴さ____

恋鐘「にちか~~~~! こげんところでなにしとる~!? ほら、食べんね食べんね!」

にちか「わぁっ?! な、なんでこの人ジュースで酔ってるんですか~!?」

摩美々「がっつり素面だよー、ほら。恋鐘は雰囲気で酔うタイプだからー」


美琴さんの後を追いたかったけど、なぜか月岡さんに捕まってしまいそのままお別れ。
私はしばらくそのまま酔っぱらい(素面)の対処に付き合うことに。
うぅ……料理はおいしいんだけど、押しつけがましい……



273 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:28:45.34R8XLdqbj0 (41/55)

◆◇◆◇◆◇◆◇


あさひ「えっ、このお花って果穂ちゃんが作ったの?!」

果穂「えへへ……千雪さんに教えてもらいました!」

千雪「果穂ちゃんがパーティを盛り上げるための飾りつけを手伝いたいって言ってくれたから、スーパーの布材を使って作ってみたの」

果穂「色付けはあたしがやりました!」

あさひ「へー……あ、そうだ!」

タッタッタッタッ

あさひ「冬優子ちゃん、愛依ちゃん! その花飾り、貸してほしいっす!」

愛依「え? うん、いいけど……何に使う系?」

冬優子「あさひちゃん、ふゆも聞かせてほしいな?」

あさひ「みんなの花飾りを集めて花束を作るっす!」

愛依「花束……? どしてまた?」

あさひ「今、パーティにはルカちゃんがいないけど……料理と一緒に渡してあげたらきっと喜んでくれるっすよ!」

千雪「まあ、素敵!」

果穂「わあ……! あたしも手伝います!」

果穂「すみませーん! みなさんの花かざりを一度回しゅうさせてくださーい!」




274 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:30:07.55R8XLdqbj0 (42/55)


ストレイライトの三人と千雪さん、果穂ちゃんは芹沢さんに協力するようで、卓を回って参加者の花飾りを次々に集めていった。


果穂「にちかさんの花かざりも、いいですか?」

にちか「え、あ……うん。ど、どうぞ……」

(正直、あのルカさんが花束をもらったところで喜ぶかは怪しいけど……)


私も特に断る理由はなかったのでそのまま果穂ちゃんに手渡す。
全員分の花飾りを一通り集め終わると、千雪さんが近くにあった装飾品の布とリボンとで起用に一つに取りまとめ、それを芹沢さんに手渡した。


あさひ「じゃあこれ……果穂ちゃん! 渡してきて!」

果穂「え? あたしですか?」

あさひ「わたしはもうちょっと料理食べたいから!」

千雪「そうだよね、こんなにおいしい料理……離れてる間になくなっちゃってたら悲しいもんね」

千雪「果穂ちゃん、貸して。これは私がきちんと責任をもってルカちゃんに届けます」

果穂「あ、す、すみません……ありがとうございます!」

千雪「ううん、いいの。私の分もパーティを楽しんでね」

(やれやれ……芹沢さんの思い付きなのに勝手なもんだな)



275 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:31:18.37R8XLdqbj0 (43/55)

◆◇◆◇◆◇◆◇

そうして千雪さんが花束を抱えて会場を後にした数分後。
入れ替わるようにして、風野さんが戻ってきた。
少しげっそりとした様子……最初の暴食で無理がたたった様子だ。


灯織「すみません、ご心配をおかけしました」

夏葉「灯織……大丈夫? さっきは……尋常ではない様子だったから」

灯織「え、ええ……私もそう思います」

愛依「アハハ……灯織ちゃんの分、まだ料理も残してあるよ。さっきの今だから辛いかもだけど、よかったら食べて」

灯織「ありがとうございます……ゆっくりいただきます」

透「これ、美味しかったよ。なんていうんだっけ……ザリ……ザリなんとか」

結華「いやいや、ザリから始まるものってザリガニくらいしかないでしょ?!」

雛菜「それラザニアだよ~?」




276 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:32:31.34R8XLdqbj0 (44/55)


メンバーの入れ替わり立ち代わりが激しかったパーティ会場もいったんは落ち着きを取り戻した様子。
それを受けてか、三峰さんはふと思い出したかのように懐からデジカメを取り出し、全員の前に立った。


結華「あ、そうだ! 今日のパーティの写真撮っときたかったんだよね、一枚撮ってもよろしいですか?」

愛依「オッケー♪」

透「いいね、じゃんじゃん撮ろうよ」

結華「そう言ってもらえるとカメラマンとしても最高! よっし、それじゃあ行くよ~!」

結華「はい、こっち向いて~?」


結華「はい、チーズ!」


カシャッ

結華「うん、いい感じいい感じ! 後でスーパーで焼き増しするから、ちゃんと全員にお渡ししますよ~!」

(うわうわ……283プロのメンバー揃ってのパーティ写真とか、どんだけ価値あるんだろう……?!)

恋鐘「結華、写真どがん感じになったばい? ちょっと見せてくれんね?」

結華「オッケー、ちょっと待って……今アルバム開くから……」

ピピッ

それは突然のことだった。
会場に突如として響く電子音。
てっきりデジカメの操作音かと思い、みんな三峰さんへ視線を送る。
三峰さんは自分ではないとばかりに首を振る。


____そしてその直後。



277 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:33:26.74R8XLdqbj0 (45/55)






バンッ!





暗転。
突如として私たちの視界は黒い闇にべったりと上塗りされてしまった。



278 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:34:51.27R8XLdqbj0 (46/55)


???「ふぇ~~~~!? 真っ暗ばい~~~~~!」

???「く、くらいですー! て、てい電ですか?!」

???「あは~! お化け屋敷みたい~~~♡」


俄かにパニック状態に陥る室内。
それぞれがどこにいるかもわからず、誰が何をしているのかもわからない状況に突如陥った。


???「だ、大丈夫です……こういうこともあろうかと……あれ?」

???「やーん! ど、どうしましょう……暗くて何も見えません……」

???「これぞまさにお先真っ暗ってね!」

???「みんな落ち着いて、不用意に動くと危ないわ」

ガシャーン!

???「だ、大丈夫?! 今誰か転ばなかった?!」

???「ちょっとー、今誰か足踏んだでしょー?」

???「え……? な、なん……で……」

タパパッ

???「あれ、から揚げどっか行った……から揚げから揚げ……」

???「ちょ、ちょっと待ってて! うちがどうにかブレーカー入れてくるから! 壁伝いに行けばなんとかなるっしょ!」

???「なんだか目も慣れてきたっすね」



279 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:36:15.12R8XLdqbj0 (47/55)

そうして暫く思い思いに騒ぎ続けていると……


パッ

あさひ「あ、点いた!」

にちか「わぁっ?! ま、眩しい……!」


トンネルを抜けたかのように、前触れもなく視界が明るくなった。
ずっと闇を見続けていた目にはかえって光が眩しすぎて、思わず腕で自分の目を覆う。


冬優子「もぅ……なんだったんですかぁ……?」

夏葉「設備不良かしら……モノミはこんなこと言っていなかったと思うのだけど……」


徐々に視界の明暗の落差に目も馴染んできた。
私たちは口々に停電に対する不服の声を挙げながら、その腕を下げていき、世界を自分自身の眼で観測を始める。




280 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:37:18.41R8XLdqbj0 (48/55)


でも、それと同時だった。

私たちは自分自身の五感に強く違和感を感じた。
それは視覚でもなく、味覚でもなく、聴覚でもなく、触覚でもなく……【嗅覚】。


あさひ「……あれ? なんの臭いっすか? これ」

恋鐘「うちん料理とはまた違った臭い……」

雛菜「ていうか、なんだかすごく嫌な臭い~……」


私は幼いころにこの臭いを嗅いだことがあった。
小学生の時だったか。自転車でそれはそれは結構激しく転んで、膝小僧を縫うか縫わないか、その一歩手前ぐらいに擦りむいたことがある。
膝は赤々とした色合いで、幼心に目をそむけたくなるくらいの凄惨な有様。
お姉ちゃんに見せるときにも、自分は目をつむっていた。

それでも、わかるのだ。
自分の鼻に届く臭いがあるから。
傷口から流れ出す、命と苦しみをないまぜにした、鼻の奥の奥まで染みついてしまう頑固な臭い。



281 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:38:17.92R8XLdqbj0 (49/55)






あさひ「あ! これ、血の臭いっすね」









282 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:39:43.02R8XLdqbj0 (50/55)


にちか「……!」

智代子「血の臭いって……なんで……?」

冬優子「う、うそですよね……?」

夏葉「違う! 違うわ! 考えすぎよ!」


背筋を何か冷たいものが撫でた。
それまでのパーティの熱が嘘のように急速に冷えていき、胃袋に溜まった料理が鉛のように重たくなっていく。

そんなこと、あるはずない。
だってこれは、全員で生き抜いていくための決起集会だったはず。
むしろ、あってはならないことなんだ。

そんな言葉を口腔でもごもごと呟きながらも、全員の視線はある一点へと向けられていく。
人間の本能というのは立派なものだ。理性とは無関係に、感覚でそれとわかると勝手にフォーカスを当ててくれる。
それがよくも悪くも……ね。



283 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:40:28.68R8XLdqbj0 (51/55)


そして、それは私も例外じゃない。
視線はどんどんと高度を下げていく。


壁、

みんなの顔、

パーティの料理、

それが乗っていた机、

机のその足……


…………

……………………

………………………………

…………………………………………




284 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:41:38.56R8XLdqbj0 (52/55)




………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………

………………………………………………………………………………………………赤。






285 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:42:28.53R8XLdqbj0 (53/55)







【パーティ会場の大広間、その床には風野灯織の骸が転がっていた】








286 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:43:13.67R8XLdqbj0 (54/55)

-------------------------------------------------


CHAPTER 01

MIDNIGHTのせいにして

非日常編


-------------------------------------------------



287 ◆zbOQ645F4s2021/11/25(木) 23:45:32.61R8XLdqbj0 (55/55)


というわけで事件発生まで進めたので本日はここまで。
最近ずっとペースが低調だったので強引にですが進めさせていただきました。
今回の被害者は予想もしやすかったのではないでしょうか。
次回より捜査パートに移ります。

少し点検をしてからにしたいので次回は11/26の夜を予定しています。
安価で行動指定を行う予定なので、参加していただければ幸いです。

それではお疲れさまでした。


288以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/26(金) 00:24:17.93o5xbYzCu0 (1/2)

お疲れ様です!続きを楽しみにしてます!


289以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/26(金) 00:59:44.599KrhxZ/J0 (1/1)

ガイシャかホシのどっちかだとは思ったけどやっぱりね
最初に飯食い散らかしたのはやっぱ毒味だったのかな


290以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/26(金) 23:21:31.53o5xbYzCu0 (2/2)

今日はお休みですか?


291 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 00:09:45.902HvOXjB50 (1/59)


すみません、完全に日付を書き込み間違えてました
一日空けて11/27のつもりでした…
お待ちいただいていたところ申し訳ありません!


292以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/27(土) 00:23:53.42QFqYBZKM0 (1/9)

明日も楽しみにしてます!


293 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 20:58:04.132HvOXjB50 (2/59)

-------------------------------------------------


CHAPTER 01

MIDNIGHTのせいにして

非日常編


-------------------------------------------------



294 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 20:59:02.602HvOXjB50 (3/59)


ほんの数分前、下手すれば数十秒前の話だ。
彼女は私たちと一緒に卓を囲んで、食事を口に運んで、和気あいあいとした会話をしていた。
ついさっきまで、生きていたはずなんだ。

……それなのに。

床に体をぐったりと預けた弛緩し切ったその体からは生気というものを一切感じない。
もはや“これ”がちょっと前には生きていたといわれても、信じられないほどに……【死んでいる】。
これまで漠然としたイメージでしか掴んでいなかった『死』が、これ以上ない鮮明かつ立体的で実像的な形で、私たちの前に姿を現した。


にちか「な、なんで……なんで……なんで風野さんが!?」


思わず風野さんの体に手を触れた。
まだその体はほんのりと温かく、彼女が命を落としたのがつい先ほどであったのを物語る。
ただ、その温かさは私の手の中で急速に、静かに……失われていく。



295 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:00:11.892HvOXjB50 (4/59)


智代子「灯織ちゃん! 灯織ちゃん?!」

あさひ「これ……!!」

果穂「……ひお、り……さん……?」

夏葉「……!! 果穂、見ちゃダメよ!」

にちか「……!! と、とりあえず、テーブルクロスでもかけて隠します!」


小学生が見るにはあまりに刺激が強すぎる。
とっさに私は近くにあったテーブルクロスを死体の上からかぶせた。


恋鐘「灯織、灯織……! 何が、何が起きとうね?!」

結華「ドッキリ……じゃあなさそうだよね」

透「……うん」


考えもしなかった事態を前に狼狽する私たち。目の前で起きているそれを咀嚼することができず、何度も何度も疑った。
頬をつねりもしたかもしれない。

悪い夢であってくれ。
そんなことを現実で思う時が来るなんて、思いもしなかった。


____でも、現実はそんな私たちのことを嘲笑う。



296 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:02:06.002HvOXjB50 (5/59)


ピンポンパンポーン!


冬優子「ひゃぁ!? こ、これって……?」

『死体が発見されました! 一定の自由時間の後、学級裁判を開きます!』

にちか「……は?」

雛菜「ん~? 何~? 今のアナウンス~?」


矢継ぎ早に理解不能を押し付けてくるのが現実というやつだ。
ショート気味な思考回路に割り込んできた突然のアナウンス。
それを確かめるような時間も与えてくれずに、モノクマは姿を現した。

バビューン!!

モノクマ「どうもです!」

結華「も、モノクマ……! こ、これ何がどうなって……」

モノクマ「どうしたのさ、オマエラ。揃いもそろって校長室のツボを割っちゃったみたいな顔しちゃってさ」

智代子「そ、そんな可愛いものじゃないよ! 灯織ちゃんが、灯織ちゃんが……!」

モノクマ「なあんだ、ちゃんと状況はよくわかってるんじゃない。そうだよ、今この状況はオマエラが目で確認したとおり!」



297 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:03:07.162HvOXjB50 (6/59)






モノクマ「【風野灯織】さんが【オマエラの中の誰か】に【殺された】んだよー!」








298 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:05:11.472HvOXjB50 (7/59)


にちか「……!」


本当に、軽々しく口にした。
人の命が誰かの手によって失われたという新聞でも一面を飾るような大きな出来事を、さも当然に、むしろ娯楽の一つでもあるかのように、飄々と。


夏葉「ふざけないで頂戴……! 私たちの誰かが灯織を手にかけただなんて……そんなこと、あり得るわけないでしょう……?!」

モノクマ「あらあら、放課後クライマックスガールズの年長者たる有栖川さんらしからぬ言動でごぜーますね」

夏葉「ど、どういう意味かしら……?」

モノクマ「最年少の小宮さんを抱え込んでおいて、そんな現実逃避みたいなことを口にしちゃってさ、子供の教育には悪影響なんじゃない?」

智代子「げ、現実逃避なんかじゃないよ! だって……わたしも夏葉ちゃんと同じ考え! 仲間内でコロシアイなんて……!」

モノクマ「……はぁぁぁぁ、めんどっちいなぁもう! イヤイヤ期は未就学児の段階でフツー済ませておくものだよ!」

モノクマ「オマエラがどうこう言おうと確かにそれは勝手さ、でもいつまでも現実を直視しないと困るのはオマエラなんだよ」

摩美々「それって、さっきのアナウンスで言ってた【学級裁判】ってのー?」

(……!!)

(そういえばそんなことを言っていた。これまでに聞いたことのない言葉、それが今から開かれると……)

モノクマ「そう! そしてその【学級裁判】こそがこのコロシアイ南国生活のメインディッシュなのです!」



299 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:07:46.442HvOXjB50 (8/59)


モノクマ「オマエラ、この南国生活のしおりはしっかり確認してくれたよね?」

雛菜「モノミの書いてた、自然を大切にするとか仲良くするとかのやつ~?」

透「……あれ、なんか増えてる」

にちか「え……?」

モノクマ「クロとなった生徒が本当にほかのシロの生徒に殺害を行ったことがバレていないか精査する、それが【学級裁判】なのです!」


【ルール その5 生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます】
【ルール その6 学級裁判で正しいクロを指摘した場合はクロだけが処刑されます】
【ルール その7 学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、校則違反とみなして残りの生徒は全員処刑されます】
【ルール その8 生き残ったクロは歌姫計画の成功者として罪が免除され、島から脱出してメジャーデビューが確約されます】


モノクマ「学級裁判では誰かを殺害したクロを見つけ出すために全員参加で議論を行っていただきます。議論の結果指摘した生徒がクロだった場合は、クロだけがおしおき。間違った生徒を指摘した場合は、クロ以外の生徒全員がおしおきされ、見事クロの生徒が希望ヶ峰学園歌姫計画の成功者として、この島を出ることができるのです!」

モノクマ「ま、ほかにも細々したルールはあるけど、それは後で各自確認しといてよね!」

冬優子「それってつまりは犯人当てをしろってことですか……?」

恋鐘「ちょ、ちょっと待たんね! さっきから言うとる【おしおき】って何―?!」

モノクマ「あー、そっか! オマエラってばおしおきも知らないんだ! あのね、おしおきっていうのはね……」



300 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:08:41.362HvOXjB50 (9/59)





モノクマ「平たく言っちゃえば【処刑】だよ! エクスキューション!」

モノクマ「巨大な火山に突き落として人間とんかつを作るとか、大量のロボットで一斉に斬殺するとか! 薬を大量投入してオーバードーズにするのもいいなあ、いっそシンプルに野生動物を従えて轢き殺すのもあり! 予算があればゲームに見立てて処刑なんかもしちゃったりして!」

モノクマ「いやぁ、今から夢と妄想が膨らみまクリスティーナ!」







301 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:10:14.742HvOXjB50 (10/59)


にちか「……え? い、いやいやいやいや! じょ、冗談だよね……?」

モノクマ「冗談? いつだってボクは本気だよ、ブリバリのマジだよ!」

モノクマ「だってさ、これはコロシアイなんだよ? 一方的に殺すだけじゃ面白くない、殺し殺されのリスクを味わってもらわないと! いわばおしおきはコロシアイにおける、天ぷらの塩ってことだね」


言葉を失った。
モノクマは、ただ私たちの命を弄んでいるんじゃない。
人間としての尊厳すらも、おもちゃとしか見ていない。
人を殺す方法を晩御飯のおかずを考えるときのように、浮足立った口調で話すそれは、別の生物……いや、同じ世界の住人とも思えない異質さだった。


透「……じゃ、灯織ちゃんを殺した犯人を見つけないと……死ぬのはうちら?」

智代子「しかもおしおきなんて、ひどい方法で……」




302 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:11:54.882HvOXjB50 (11/59)


あさひ「……モノクマ、それって誰が正解不正解を決定するっすか?」

モノクマ「あ、そこに関しては安心してくれていいよ。ボクは千里眼を持っているからね、今回の事件の犯人もマルっとスリっとお見通し!」

モノクマ「どっちに加担するとか一切なしに公平に判断いたします!」

雛菜「こんな真っ暗闇で起きた事件なのに~?」

モノクマ「まあね、クマは夜目が効くからさ」

モノクマ「さ、立ち止まってる時間はないよ! ほら、犯人を見つけないと最終的に困る、死ぬことになるのはオマエラだよ~!」

にちか「……っ!」

夏葉「……致し方ないわ。捜査を行いましょう」

智代子「夏葉ちゃん!?」

夏葉「……私だって認めたくないわ。でも、だからといって止まっていたら……私だけでなく、果穂や智代子……大切な仲間を失ってしまうことになる。それ以上に耐えがたいことはないもの」

摩美々「……夏葉の言う通りだよ、灯織のためにも今摩美々たちがすべきことはここで泣き叫ぶことなんかじゃないってー」

冬優子「……やりましょう。捜査を……ふゆたちは戦わなくちゃいけないですよ」

夏葉「智代子、果穂のことは頼めるかしら。少なくともこの凄惨な現場は果穂に見せるべきじゃないわ」

果穂「……夏葉さん」

智代子「う、うん……行こう、果穂」

モノクマ「うんうん、えらいね。やっぱりこういう時に場を引っ張ってくれるのは年長者のお姉さん型なんだよね。ボクもお姉ちゃんが欲しかったよ」

摩美々「用件が済んだなら引っ込んでてくれるー?」

モノクマ「ああ、ちょっと待ってよ。まだボクにはやるべきことが残ってるからさ」

ピピッ

モノクマ「オマエラの電子生徒手帳に【モノクマファイル】を送っといたから確認しといてよね!」


モノクマに言われるがまま電子生徒手帳に目を落とす。
見慣れたホーム画面には初めて見るポップアップ。それをタップしてみると、画面いっぱいに刑事ドラマで見るようなプロファイリングのデータのようなものが現れた。



303 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:13:30.422HvOXjB50 (12/59)


モノクマ「これはモノクマファイル! 事件の捜査についてオマエラにとって重要な情報が収められています。死因だとか死亡推定時刻とかってずぶの素人のオマエラじゃわかんないじゃん? そういうのを調べる手間を省いてくれますよ!」

あさひ「でも今回の事件はそこら辺の情報は見ればわかるっすよ」

冬優子「わっ、あ、あさひちゃん!? そんな急にテーブルクロスをめくっちゃダメ!」

あさひ「え、でもこうしないと状況わかんないじゃないっすか」

夏葉「……いずれ直視せねばならない現実よ。果穂もいないし、大丈夫よ」

あさひ「……だって、冬優子ちゃん!」

モノクマ「まぁ今回は不必要かもしれないけどさ、今後の事件では有効になるかもしれないよ!」

摩美々「今後とか、やめてよねー……」

結華「それじゃあこれを踏まえて捜査するしかないか……」

夏葉「ええ……そのようね」

にちか「……」

透「しゃー、やるかー」

恋鐘「ふ、踏ん張りどころばい……気合い入れていかんと!」

モノクマ「では、ボクは捜査の様子を自分の部屋から生暖かい目で見守らせてもらうよ! グッドラック!」

バビューン!!

冬優子「行っちゃいましたね……」

夏葉「……覚悟を決めるしかないわ」

にちか「……は、はい!」




304 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:14:35.832HvOXjB50 (13/59)


イかれてる。

仲間の死ってだけで手いっぱいなのに、それに加えて犯人捜し?
胸に燻ぶるこれに蓋をして、無理やりにでも動けって?

……でも、それをするしかないんだよね。
犯人以外の全員が生きていくのなら、それしか道はない。

……怖い。
死にたくない。

でも、だからこそ、動かなくちゃ。

暗闇に沈んでいる、残酷で凄惨な真実を無理やりにも引きずり出して、白日の下に晒す。
その結果、犯人が死ぬことになろうとも。


____それしか道は、ないんだから。


【捜査開始】



305 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:16:12.122HvOXjB50 (14/59)


さて、まずはさっきモノクマに渡されたモノクマファイルとやらのデータの確認からかな?


『被害者は風野灯織。死亡推定時刻は午後11時30分ごろ。旧館で行われていたパーティ中に発生した停電の中で襲われたものとみられる。死因は胸部を正面から鋭利な刃物で一突きされたことによる臓器損傷によるショック死並びに失血死。ほぼ即死だったものと思われる』


まあ、さっき芹沢さんも言ってたけど今回の情報に関しては『見ればわかる』範疇だよね。
風野さんは私たちの目の前で死んだわけだし、死因も状況を見れば明らか。
一応の見分記録としては使えるかな……?


コトダマゲット!【モノクマファイル1】
〔被害者は風野灯織。死亡推定時刻は午後11時30分ごろ。旧館で行われていたパーティ中に発生した停電の中で襲われたものとみられる。死体は胸部を千枚通しのような細くとがった鋭利な刃物で胸元を貫通している、これが直接の死因となったと思われる。臓器損傷によるショック死並びに失血死。ほぼ即死だったものと思われる〕

-------------------------------------------------

丁度モノクマファイルを確認し終え、捜査を始めようとした頃合いだった。
大広間の扉は突然にものすごい勢いで開かれた。

バンッ!

愛依「い、今のアナウンス……それにこのデータって……?!」

千雪「ひ、灯織ちゃんは……!?」


大広間の殺害現場にちょうど居合わせていなかった人たちだ。
確か愛依さんは停電中にブレーカーを入れるために部屋を出て、千雪さんはもっと早くにルカさんに花束を渡すために部屋を出ていた。


美琴「……本当に、殺人事件が起きたの?」


そして、美琴さんはさらに早くに玄関で夜風にあたっていた。


ルカ「……ハッ! あんなこと言ってた割に……私より先に動いた奴がいるんじゃねーか」


そもそも参加すらしていないルカさんもいるんだけど。




306 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:18:58.382HvOXjB50 (15/59)


四人とも情報は聞きかじった程度でしか知らず、赤い血の中に倒れている風野さんの姿を見るなり、叫ぶでもなく金切り声をあげるでもなく、口元を抑えるようにして戸惑いの色を見せた。


愛依「灯織ちゃんが……ひ、灯織ちゃんが……」

千雪「……そんな」

美琴「……」

ルカ「……けっ」

夏葉「色々と思うところはあると思うけど、今は犯人を見つけることが先決よ。校則に追加された学級裁判のルール、これに則ってシロ側が勝利しなければ……私たちが命を落としてしまう」

愛依「……うぅ……うち、そんな……」

摩美々「今は一秒でも時間が惜しいワケー、だから早いとこ分担も決めとかないとー」

結華「まみみん、分担って?」



307 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:21:10.702HvOXjB50 (16/59)


摩美々「推理する側と現場を保存する側ってとこかなー。ほら、真犯人側からすれば証拠は一つでも取り除きたいじゃーん。見とく人がいないと真実からは遠ざかると思うんだよねー」

透「あー、それじゃ見とくよ。うちら」

雛菜「雛菜も推理とかできそうにないし~、透先輩の手伝いする~!」

にちか「あ、あの……! もうちょっといたほうがいいと思います、見張り!」

(流石に浅倉さんと……その仲良しの市川さんじゃ心配だ)

愛依「じゃあうちも見とく……今はまだ、灯織ちゃんのこと、受け入れられそうにないし……」

愛依「ごめん、冬優子ちゃん……あさひちゃんのこと、見てあげて。多分きっと、うちよりももっとショック受けてると思うし」

冬優子「う、うん……」

あさひ「……」

(でも、ショックを受けているというよりも深く考えている、みたいな感じっぽいけどな……)



308 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:22:51.422HvOXjB50 (17/59)


夏葉「それじゃあ残りはとにかく捜査に集中しましょう。証拠を一つでも多く集めて、真実をなんとしても見つけ出すの」

美琴「にちかちゃん、手伝ってもらえる?」

にちか「え、あ、はい! ぜひ!」

美琴「よかった。私は途中からパーティから抜けてたし、その情報も共有しておきたかったの」

にちか「そうですね……美琴さんのお話も少し聞かせていただければ!」


よし、ここからが本格的な捜査だ。
調べるべきはひとまずこの犯行現場である【大広間】。
それにここにいる人たちに【聞き込み】もしなくちゃだよね。
あとは……【倉庫】ぐらい見ておくべきかな。
事件に関係するものはあそこで調達されている可能性も高い!

時間はいつまであるかわからない。
とにかく今は、できることをすべてやり抜くんだ……!

-------------------------------------------------

【大広間の捜査】

1.死体周辺を調べる
2.結華に聞き込み
3.あさひに聞き込み
4.エアコンを調べる
5.美琴と情報共有する

↓1



309以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/27(土) 21:26:04.09SCKCfH0t0 (1/2)

2


310 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:29:21.902HvOXjB50 (18/59)

2 選択

【結華に聞き込み】

今回の事件において、重要な情報を握っているだろう人が一人いる。
彼女は事件が起きる直前の私たちをそのままの形で可視化された形の情報として持っている。
集合写真という形で。


にちか「結華さん、ちょっと話聞いてもいいです?」

結華「ああ……にっちゃん……うん、大丈夫だよ」

にちか「あの、停電が発生する前にパーティの写真を撮ってましたよね。あれって今見られます?」

美琴「写真?」

結華「ああ、美琴姉さんは知らないか……停電が起きる直前に大広間にいた皆で一度写真を撮ったんだよね。美琴姉さん、千雪姉さんとルカルカ以外の全員が写った写真なんだけど……はいこれ」


結華さんのデジカメを二人で覗き込む。
言った通り、パーティの参加者はほぼ全員が写り込んでいる。
料理を片手に笑顔を浮かべて、まさかこの後に風野さんが命を落とすなんて誰一人として考えていなかっただろう。


結華「あと……一応事件が発生してからすぐに写真も撮ったんだけど、これも見る?」


続いて出てきたのは風野さんの死体を発見した直後の写真。
停電の中でパニック状態だった私たちが荒らしてしまった現場の様子が写っている。
テーブルも一卓倒れていて、料理も散乱している。


結華「うーん、これを見れば大体の停電中の参加者の立ち位置とかわかりそうだよね」

にちか「確かにそうですね……あの暗闇の中で大きく動いた人はそうそういないですし」

結華「確かめいめいが停電を直しに行ったぐらいだっけ……?」

美琴「……ねえ、その写真をもとに立ち位置の情報を整理してもらえるかな。私は開錠にいなかったから、知っておきたいの」

結華「了解! 今の三峰にできるのはそれぐらいだしね! 【上面図】を裁判までに作っておきますよ!」


あの暗闇の中で何が起きたのか、それを今から完全にうかがい知ることは難しい。
でも、立ち位置さえわかればその手掛かりとしてはこれ以上ないはずだ。

結華さん、頑張って……!!


コトダマゲット!【パーティの上面図】
〔結華の写真をもとにした上面図。現在鋭意制作中〕

-------------------------------------------------

1.死体周辺を調べる
2.あさひに聞き込み
3.エアコンを調べる
4.美琴と情報共有する

↓1


311以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/27(土) 21:50:25.19QFqYBZKM0 (2/9)

1


312 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 21:56:33.242HvOXjB50 (19/59)

1 選択

【風野灯織の死体周辺】

風野さんの死体だ……
胸に深く突き刺さった凶器はもう残っていないけど、そこからあふれ出る血液はまだ乾いてもいない。
それはつまり、命を落とした、その瞬間からそう経っていないことを表している。


美琴「にちかちゃんたちの目の前で事件は起きたんだよね?」

にちか「はい……とはいえ停電中だったので、よく見えなかったんですけど」

美琴「……確かに、今は真夜中だしここには外の光を取り入れられそうな光もないね」

にちか「完っっ全に真っ暗でした。あの中で不用意に動いてたらそれはもう大変だぞー!って感じで」

美琴「……だとしたら、どうやって犯人は灯織ちゃんを刺したのかな?」

にちか「……暗闇でも犯人は見えてたってことなんですかね?」

美琴「どうだろう……ただ、そこにヒントはありそうだね」

(あの暗闇の中ではどこに誰がいるかの判別をつけることは不可能だった)

(……暗闇に目が慣れる、ほどの時間じゃなかったはずだよね)

美琴「さて、死体を少し調べてみようか」


1.死体についている花飾り
2.死体の傍らのスコープ
3.死体にかけていたテーブルクロス
4.死体の近くで散乱している料理

↓1



313以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/27(土) 22:01:42.62QFqYBZKM0 (3/9)

1


314 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 22:06:30.642HvOXjB50 (20/59)

1 選択

【死体についている花飾り】

にちか「あ、そういえば風野さん……まだこの花飾りつけっぱなしだったんですね」

美琴「旧館に入る時にもらったやつ? 私もまだつけてるけど……あれ、皆はつけてないんだね」

にちか「あー、そっか! 二人がいなくなってから芹沢さんと果穂ちゃんと千雪さんの花束づくりが始まったからだ」

美琴「花束?」

にちか「はい、全員分の花飾りを集めなおして、それを一つにしたんです。それでパーティに来てない……あっ」

美琴「ルカに、渡してくれようとしたんだね」

にちか「……は、はい」

美琴「気を遣わせちゃったかな。大丈夫、ルカのことを思ってくれたのは純粋にうれしい」

(よ、よかった……)

にちか「でも、結局あの花束ってどうなったんだろう……後で千雪さんに確認しておいた方がいいかもしれませんね」

美琴「うん、私もちょっと……見てみたいかも」


コトダマゲット!【胸元の花飾り】
〔パーティの参加者が胸につけていた花飾り。被害者となった灯織もその胸につけたままになっている〕

【千雪への聞き込みが可能になりました!】

1.死体の傍らのスコープ
2.死体にかけていたテーブルクロス
3.死体の近くで散乱している料理

↓1


315以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/27(土) 22:12:11.32QFqYBZKM0 (4/9)

1


316 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 22:16:09.312HvOXjB50 (21/59)

1 選択

【死体の傍らのスコープ】

風野さんの死体のそばにはあまり見なれない、珍妙な機械が落ちている。
双眼鏡のような形状、いやむしろVRゴーグルのようというべきか。
とにかく頭に装着して使う、スコープ型のものらしい。


美琴「……これ、暗視スコープかな」

にちか「暗視……ですか?」

美琴「うん……前、バラエティのロケで使ったことがあるから。これを使えば暗闇でも赤外線で物を見ることができるはず」

(どんなバラエティに出たんだろう……)

にちか「……あれ? それってつまり……これを使えば停電中でも物が見れたってコトじゃないです?!」

美琴「普通ならね。……にちかちゃん、これ、覗き込んでもらえる?」

にちか「え? は、はい……」

にちか「……うわ?! ま、真っ黒ですよ、美琴さん!」

美琴「これ、レンズの部分がペンキか何かで黒色に塗りつぶされてる。スコープとして機能しないように細工がされてるみたい」

にちか「さ、細工?!」

美琴「……これは、どういうことなのかな」

真っ暗闇でも動ける暗視スコープ。
通常ならこれで行動可能なはずだけど……塗りつぶされてたせいで使えない。
じゃあ、これを用意したのって……?


コトダマゲット!【暗視スコープ】
〔死体付近に落ちていた暗視スコープ。通常なら暗闇でも物を見ることができるが、レンズ部分が塗りつぶされて使用不可〕


1.死体にかけていたテーブルクロス
2.死体の近くで散乱している料理

↓1


317以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/27(土) 22:17:17.30QFqYBZKM0 (5/9)

1


318以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/27(土) 22:17:34.68SCKCfH0t0 (2/2)

2


319 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 22:20:15.322HvOXjB50 (22/59)

1 選択

【死体にかけていたテーブルクロス】

死体の傍らには、つい先ほど果穂ちゃんの目から死体を隠すために使っていたテーブルクロスをぐしゃぐしゃにしておいてある。


美琴「とっさの判断……よかったよ」

にちか「え、えへへ……小学生にはさすがに刺激が強すぎですからね」


死体にある傷は胸部の貫通痕のみだけど、あふれ出る血液はかなりの量。
私たち高校生でもうっとたじろいでしまうようなインパクト。
死体に一瞬かぶせただけのテーブルクロスも、その内側に風野さんの血液を写し取って真っ赤に染まっている。


にちか「うわうわ……ここまでついてると洗濯しても落ちませんよ……」

美琴「そうなの?」

にちか「血とかってただでさえ落ちにくいのにここまでべったりだと流石にご愁傷さまって感じです!」

にちか「……いや、この状況じゃ使う表現じゃなかったですね……すみません」

美琴「ううん、気にしてないから」


コトダマゲット!【テーブルクロス】
〔果穂に死体を見せないようににちかが死体にかぶせたテーブルクロス。灯織の血によって真っ赤に染まっている〕


【選択肢が残り一つとなったので自動で進行します】



320 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 22:21:16.382HvOXjB50 (23/59)


【死体の近くで散乱している料理】


美琴「和洋折衷……恋鐘ちゃん、本当に料理が上手なんだね」

にちか「確かご実家がもともと料理屋さんだって言ってましたよね!」

美琴「うん……流石だよね。こんな串焼きなんか作り方、わからないな」

にちか「夏祭りの屋台とかで売ってるのよりもっとでかいですもんねー……こんなの火も通らないですって」

美琴「……あれ? このシュラスコ……肉だけ串から引き抜いてあるんだね」

にちか「……? え、あ……はい……そうみたいですけど……」

美琴「……」

(……何か気になってるのかな?)


……とはいえ、実家の料理屋さんでこんな料理をふるまっているとは到底思いづらいんだよね。
シュラスコにチャーハン、ラザニア、etc……いったいどんなお店ならこんな取り合わせになるんだろう。
もしかして、ホテルのバイキングとかやってる感じだったりして。
うーん、私もこれぐらいできたほうがいいのかな……?

でも、そのおいしそうな料理の数々はその悉くが床に無残な形でぶちまけられている。


美琴「……勿体ないね」

にちか「はい……これ、結構まだ量がありますよね」

美琴「私がパーティにいた時はこんな風じゃなかったよね?」

にちか「ええ、まあ……多分停電中じゃないですかね。誰かが足を引っかけて倒したみたいなめちゃでかい音がしてたので!」

美琴「それは……倒した人が心配だね」

にちか「あはは……そうですね」


あのしっちゃかめっちゃかな状況なら誰かが倒してもおかしくない。
みんなそう思ってるみたいだけど……どうだろう、これって『そんな認識』のままでいいのかな……?

コトダマゲット!【床に散乱した料理】
〔シュラスコやチャーハン、ラザニアなど和洋折衷の品目の並んだ恋鐘特製料理。停電中のパニックで床に食べかけの料理がぶちまけられている〕



321 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 22:22:53.372HvOXjB50 (24/59)


にちか「死体のそばで調べられるのはこれくらいです?」

美琴「そうだね。新しく確認したいこともできたから、併せて検証しようか」

にちか「はい!」

-------------------------------------------------

1.あさひに聞き込み
2.エアコンを調べる
3.美琴と情報共有する
4.千雪に聞き込み

↓1


322以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/27(土) 22:24:26.12QFqYBZKM0 (6/9)

1


323 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 22:26:07.632HvOXjB50 (25/59)

1 選択

【あさひに聞き込み】

芹沢さん、なんだか深く集中して風野さんの死体を眺めているな……


にちか「せ、芹沢さん……あの、ちょっと、いい……?」

あさひ「……」

冬優子「あ、あはは……あさひちゃん、なんだか考え事してるみたい……ちょっと待ってくださいね」

冬優子「あさひちゃ~ん? にちかちゃんと美琴さんがお話したいって言ってくれてるよ~?」

あさひ「……今忙しいっす」

にちか「えぇ……」

美琴「ちょっとでいいの、何か気づいたことはないかな?」

あさひ「今はわたしも捜査中だから、にちかちゃんと美琴さんと一緒っすよ?」

冬優子「ほら、あさひちゃん。あさひちゃんだからこそ気づいたこともあったりするんじゃないかな?」

あさひ「わたしだから気づいたこと……気づいたこと……」

あさひ「特にないっすね!」

にちか「な、無いの?!」

美琴「……聞き方がまずかったかな、きっとこの子は……漠然とした聞き方じゃ分からないんだと思う」

にちか「さ、流石美琴さん! お医者さんみたいな洞察力です!」

美琴「あさひちゃん、あなたの知っていることで私の知らなさそうな情報はないかな」

あさひ「……」

あさひ「あ、それじゃあ美琴さんがいなかった時のことでいいっすか?」

にちか「それってつまり、美琴さんが離席中のときのこと?」

あさひ「ていうか停電中っすかね。あの時、真っ暗闇でみんなの姿は見えなかったっすけど、誰が何をしゃべってたかぐらいは分かったから……それでいいっすか?」

冬優子「え?! あ、あの時の会話を聞き分けて、さらに覚えてるの?!」

あさひ「……? そうっすけど……どうかしたっすか?」

美琴「聞かせてもらえる?」

あさひ「はいっす。えっと確か……」




324 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 22:27:14.052HvOXjB50 (26/59)

◆◇◆◇◆◇

バンッ!

恋鐘「ふぇ~~~~!? 真っ暗ばい~~~~~!」

果穂「く、くらいですー! て、てい電ですか?!」

雛菜「あは~! お化け屋敷みたい~~~♡」

灯織「だ、大丈夫です……こういうこともあろうかと……あれ?」

冬優子「やーん! ど、どうしましょう……暗くて何も見えません……」

結華「これぞまさにお先真っ暗ってね!」

夏葉「みんな落ち着いて、不用意に動くと危ないわ」

ガシャーン!

智代子「だ、大丈夫?! 今誰か転ばなかった?!」

摩美々「ちょっとー、今誰か足踏んだでしょー?」

灯織「え……? な、なん……で……」

タパパッ

透「あれ、から揚げどっか行った……から揚げから揚げ……」

愛依「ちょ、ちょっと待ってて! うちがどうにかブレーカー入れてくるから! 壁伝いに行けばなんとかなるっしょ!」

あさひ「なんだか目も慣れてきたっすね」

パッ

◆◇◆◇◆◇



325 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 22:29:41.732HvOXjB50 (27/59)


あさひ「多分こんな感じだったっす」

冬優子「す、すごい……あさひちゃん、流石の記憶力だね」

美琴「……だいぶ混乱していたんだね」

にちか「突然でしたからねー」

美琴「……それにしても、灯織ちゃんの発言がなんだか不思議だね」


≪灯織「だ、大丈夫です……こういうこともあろうかと……あれ?」≫


美琴「停電になっても何か対策をしていたような口ぶり……でも最終的に彼女も動揺している」

冬優子「何かがうまくいかなかったんでしょうか……?」


≪灯織「え……? な、なん……で……」≫


美琴「そして彼女が刺されたのはこのタイミングかな?」

にちか「ちょうど大きな物音がした直後くらいですねー、その後に水が飛び散るような音がしてて……」

あさひ「多分返り血っすね。突き刺した瞬間に犯人は灯織ちゃんの血液を浴びたはずっすよ」

美琴「……でも、そんな人はいないよね?」

冬優子「どういうことなんでしょう……」

美琴「……あさひちゃん、邪魔してごめんね。ありがとう、参考になったから」

あさひ「そっすか? それならよかったっす!」


芹沢さんから聞けた停電中の私たちのやり取り……
具体的に何か判明したわけじゃないけど、死の直前の灯織ちゃんの言動が少しでも分かったのは収穫かな?


コトダマゲット!【あさひの証言】
〔あさひは旧館が停電になった時の反応を正確に聞き取っていた。発言は以下の通り。
恋鐘「ふぇ~~~~!? 真っ暗ばい~~~~~!」
果穂「く、くらいですー! て、てい電ですか?!」
雛菜「あは~! お化け屋敷みたい~~~♡」
灯織「だ、大丈夫です……こういうこともあろうかと……あれ?」
冬優子「やーん! ど、どうしましょう……暗くて何も見えません……」
結華「これぞまさにお先真っ暗ってね!」
夏葉「みんな落ち着いて、不用意に動くと危ないわ」
ガシャーン!
智代子「だ、大丈夫?! 今誰か転ばなかった?!」
摩美々「ちょっとー、今誰か足踏んだでしょー?」
灯織「え……? な、なん……で……」
タパパッ
透「あれ、から揚げどっか行った……から揚げから揚げ……」
愛依「ちょ、ちょっと待ってて! うちがどうにかブレーカー入れてくるから! 壁伝いに行けばなんとかなるっしょ!」
あさひ「なんだか目も慣れてきたっすね」〕

-------------------------------------------------

1.エアコンを調べる
2.美琴と情報共有する
3.千雪に聞き込み

↓1


326以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/27(土) 22:29:52.94QFqYBZKM0 (7/9)

2


327 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 22:32:51.252HvOXjB50 (28/59)

2 選択

【美琴と情報共有】

美琴「それじゃあ私が合流するまでのことを聞かせてもらえるかな」

にちか「はい……えっと、覚えている限りで全部、お話しますね!」


私は美琴さんにすべてのことを話した。
パーティの中の騒ぎの様子から停電中のパニックまで。
流石に詳細部までは伝えられなかったけど、何があったかぐらいは全部伝えることができたはず。
美琴さんは私の話を聞き終えると、「そう」とだけ返し、私にも情報を少しだけ与えてくれた。


美琴「私は……ずっと玄関にいたの」

にちか「旧館のですか?」

美琴「そう、出てすぐのところ。モノクマやルカが近づいてこないようにじっと見てたんだけど……誰も近寄っては来なかったかな」

にちか「まあ、そうですよねー……」

美琴「一回だけ、千雪さんが出ていったときはあったけど、出入りもそれぐらいかな」

(千雪さんが出ていったのは、きっと花束を作ったときのことだな……)

美琴「ごめんね、特に何も見ていなくて」

にちか「いえいえ! 美琴さんは何も見ていない、それだけでも重要な情報になりますよ!」

美琴「そうなの?」

にちか「はい!」


コトダマゲット!【美琴の証言】
〔美琴が旧館の玄関に出てからは、千雪が出て行ったのみで他に誰も来ていない〕

-------------------------------------------------

1.エアコンを調べる
2.千雪に聞き込み

↓1



328以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/27(土) 22:34:59.08QFqYBZKM0 (8/9)

1


329 ◆zbOQ645F4s2021/11/27(土) 22:36:56.972HvOXjB50 (29/59)

1 選択

【エアコン】

美琴「そういえば、なんだかやたら涼しいような気がするね」

にちか「言われてみれば……夜ってのもありますけど、むしろ肌寒いくらいです!」

美琴「……もしかして、エアコンがついてる?」

にちか「……! そうみたいです!」


よく耳を澄ますとどこかから風が吹き込むような音がしている。
ボロい旧館ではあるものの、流石に隙間風が差し込むほどじゃない。
これは間違いなく、空調から出ている音だ。


にちか「そういえば、停電が発生する直前に……」


≪恋鐘「結華、写真どがん感じになったばい? ちょっと見せてくれんね?」

結華「オッケー、ちょっと待って……今アルバム開くから……」

ピピッ≫


にちか「何かが作動するような電子音が鳴ってました!」

美琴「……! ちょっと、見てみようか」

美琴「……やっぱり、23時30分にタイマーが設定されている。この島の気候は割と穏やかなようだから誰も操作せず、気づかなかったんだね」

にちか「じゃあこれって……何か意図的なものってことですよね」

美琴「停電とも無関係には思えないかな、ちゃんと抑えておいた方がいい情報だと思う」

にちか「は、はい!」


コトダマゲット!【エアコンのスイッチ】
〔大広間のエアコンは事件発生直前の午後11時30分に起動するようにタイマーがセットされていた。なお、停電が起きたのはその直後〕


【選択肢が残り一つとなったので自動で進行します】