425以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/14(火) 23:49:14.27LyV/eOEVO (8/8)

お決まりの4して1


426 ◆xjSC8AOvWI2021/09/15(水) 00:23:47.50V0YB/3M00 (1/10)




 魔女は直線的にこっちに突っ込んでくるようだ。

 その刀身が届く前にバリアに閉じ込める。


 刃先の衝突した部分がヒビが入った。けど、使い魔に邪魔されることがなければ。


 回り込んでから斧を振り下ろした。


小巻「はあああッ!」


 手応えは硬く、その刀身が砕けていく感触がジンと手を痺れるように伝わってきた。

 息が切れる。嫌な汗も滲んでくる。本来だったらトドメ、文字通り“最後”になるはずの一撃だ。

 魔女にはトドメとなっているけど……――――。


 ……さっきから全力で斧を振りっぱなしだ。


 景色が白黒に変わる。次の結界が覆っていた。


沙々「もうお疲れですよね?」

小巻「うるさいわよ……!」



 ――――優木には一撃も与えられない。アイツはずっと余裕そうにこっちを見てる。

 人質を簡単には殺さないのはわかってる。でも、簡単に感づかれる状況で攻撃するわけにもいかない。


 考えているうちに、黒い影のようなものが迫ってきていた。


小巻「!」

沙々「よそ見してる場合ですか?」



 影を咄嗟に盾で防いで、切り落とす。



小巻 魔力[77/100]  状態:疲労・負傷(軽傷)
GS:6個
・[20/100] ・[100/100]
・鳥かご[100/100] ・お菓子[100/100]
・ハコ[100/100] ・銀[86/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]

敵:魔女Elsamaria

  優木沙々(攻撃不可)
 

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
3ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
4バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
5自分の負傷を回復(肩・かすり傷、疲労 魔力-15) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
6自由安価

 下2レス


427以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/15(水) 00:27:59.89lQkCV12F0 (1/5)

1人で魔女連戦はキツいな・・・
織莉子に正気に戻れと怒鳴りながら1


428以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/15(水) 00:30:09.40cUDO/0CpO (1/1)

GSでも疲労は回復出来ないんだっけ?
出来るなら疲労回復、出来ないなら4して1


429 ◆xjSC8AOvWI2021/09/15(水) 00:34:08.35V0YB/3M00 (2/10)

-----------------------------
今回更新はここまで
次回は15日(水)19時くらいからの予定


430以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/15(水) 00:36:42.33lQkCV12F0 (2/5)

乙です。

小巻、孤軍奮闘してますがこのままだとヤバいですね。



431以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/15(水) 09:43:13.90SAAEFEwIO (1/1)


よくみたら5で出来ると書いてあるな
5で疲労回復のあと↑↑に変更


432 ◆xjSC8AOvWI2021/09/15(水) 20:05:09.63V0YB/3M00 (3/10)



 回復しなきゃやってられない。

 迫ってくる敵を最低限に対処しつつ、魔女の攻撃を盾で受けながら治療に集中する。


 まずは肉体の疲れと傷を治さないと。


小巻「いい加減正気に戻れ、美国!」

小巻「こっちは必死で戦ってんのよ! こんなヤツにいいようにされるなんて悔しくないの!?」


 近寄ってきてる使い魔を一体切り捨てると、再び走り出した。

 背を向け続ける魔女と、その間に立ちふさがるように首を生やした使い魔のほうめがけて。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv3]*3


433以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/15(水) 20:07:14.47vfDtj9BIO (1/1)




434 ◆xjSC8AOvWI2021/09/15(水) 21:08:48.49V0YB/3M00 (4/10)

優勢:56



 使い魔一体はさほど硬くはない。

 蛇のようにうねる動きと、次から次へと沸いて群れることが問題だった。


小巻「アンタ見てるといっつもそうよ……!」


 使い魔の湧くスピードが速い。魔女の妨害もある。

 魔女に刃が届く距離まで追いつく前には阻まれてしまう。


小巻「あたしはこのまま誰かにいいようにされて死ぬなんて絶対にイヤ」



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(優勢時は自分)
+ゾロクリティカル(自分)
+補正 自[格闘Lv3]*3


435以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/15(水) 21:10:35.91wEkrphE9O (1/1)




436 ◆xjSC8AOvWI2021/09/15(水) 21:33:44.72V0YB/3M00 (5/10)



 魔女は移動しない。黒い地面に根を生やしたように座り込んだままだ。

 進むことができればいつかは届く。




*優勢:100(どちらを選んでも撃破できます)*
1短期決戦を仕掛ける(新しい技を考案)
2このまま粘り勝つ

 下2レス


437以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/15(水) 21:35:33.90ld2XKesVO (1/1)

1


438以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/15(水) 21:36:45.84lQkCV12F0 (3/5)

ここは新しい技が出来る1で。


439 ◆xjSC8AOvWI2021/09/15(水) 22:07:40.50V0YB/3M00 (6/10)



 持っているのと同じ斧をもう一つ増やす。

 気を抜けば自分が振り回される重量だ。いつもの全力以上に無茶はするだろうけど、とはいえ次も耐えて回復することはできる。

 幸い、グリーフシードはまだある。


 魔力を滾らせ、使い魔を切り裂いていく。足は止めない。

 魔女の背中から繰り出される攻撃を1つ斧を投げて破壊し、続けて斧を両手に持ち直して振り下ろした。



小巻「アンタもっ、死にたくなければ戦え――……!」



 ――――結界が消えた。

 現実であるそこにはあたりにグリーフシードが散らばっているのが見えて、そこにまた一つ落ちる音がした。

 こんなに倒してきたんだ――一瞬そんな感傷が沸いたけど、浸るほどの暇はくれなかった。


 いつのまにか、美国はあたしの後ろにいた。

 そして、近づいてくる。手の包丁を振り上げて。


小巻「っ……!」


 咄嗟にその腕を掴むと、包丁が落ちた。

 さっきまでの戦いとは違って、なんの力もない美国の手はそっと掴んだだけで止められた。むしろ無駄に傷つけてないかのほうが心配になる。


 もしかして優木のやつ、一般人に反撃された屈辱を根に持ってるわけ。そんで本命は魔女じゃなくて美国にあたしを殺させようと。

 まあ、あたしが魔女に負けるならそれでもよかったんだろうけど。




440以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/15(水) 22:11:31.77lQkCV12F0 (4/5)

織莉子は本当に操られているのか、操られるのも織り込み済みなのかどっちかねぇ?
どっちにしろ自分の意思で契約したのなら小巻とは相容れないのは確定なんだが・・・


441 ◆xjSC8AOvWI2021/09/15(水) 22:44:20.08V0YB/3M00 (7/10)



 でも、これこそ“慢心から生まれた隙”だ。また魔女を差し向けられていれば、戦いはまだ長引いていた。


小巻「残念だったわね。魔女にばっかり戦わせてるアンタと一緒にしないでくれる?」

沙々「……」


 すかさず美国をバリアで覆った。

 もう物騒なモノはなくなったのだから自殺もさせられない。素手じゃ暴れようにも何もできない。


小巻「アンタの作戦は失敗よ。もう人質もいなくなったのよ。これで安心してアンタをやれる!」


 優木に向き直る。今のあたしは鬼の形相をしていることだろう。

 あたしの友達や知り合いに手を出しただけじゃなく、あれだけのことをしでかしてきた奴だ。両断されたって文句は言えないはずだ。

 次の魔女結界が包んだが、どんな魔女だろうとどうでもいい。あたしの狙いは優木だけ――――!



小巻「ッ…………――――!?」



 瞬間、痛みが走り、生温かいものがこみ上げる。胸から『ナニカ』が飛び出てくるのが見えた。

 思考が追いつかない。こんなに早く使い魔だって沸かないはず。



 崩れ落ちていく身体をなんとか後ろを向けると、ぼやけかかった視界でこちらに向けて手をかざしている美国の姿が見えた。



――――
――――


――――――


442以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/15(水) 22:46:48.43lQkCV12F0 (5/5)

ああああああ・・・BAD ENDか、これは?


443以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/15(水) 22:49:31.85aHH5fa3RO (1/1)

やっぱり織莉子はクズだったな


444 ◆xjSC8AOvWI2021/09/15(水) 23:16:36.11V0YB/3M00 (8/10)

――――――



沙々「お疲れ様です」



 結界内が静まり返ると、優木沙々は手を叩いた。

 血を流し続ける“死体”に近寄っていく。


沙々「……包丁は注意を引くためのフェイク。私も武器持たせただけの一般人は近づけさせたりしませんって」

沙々「好意を利用しておびき出し、洗脳された“フリ”で行動を制限して疲弊させる。最後に人質助け出して安心したところに魔法でズドン」

沙々「さすがですね。私一人じゃここまで思いつきませんよ!」

織莉子「油断させるためとはいえ、貴女一人を悪者にしちゃったでしょう。嫌ではなかったの?」

沙々「あー、へいきへいき。悪者でもなんでも気にしませんって。おかげでいいもの見せてもらいましたし」

沙々「死んだ相手が自分をどう思ってたかなんて、一番どうでもいいことです」

織莉子「そう」


 織莉子は淡々と、軽く返した。


沙々「それより、あなたのほうこそ少しは躊躇ったりしなかったんですか? 織莉子さんの友人だったんでしょう?」

織莉子「……友人ではないわ。生かしておくデメリットが多すぎる。彼女から隠れるのにもそろそろ困っていたところだった」

沙々「最高です! 本当、織莉子さんって私より性格悪い!」


 冷たく感情の見えない顔をした織莉子とは対照的に、沙々は心底楽しそうに笑っていた。




445 ◆xjSC8AOvWI2021/09/15(水) 23:54:39.56V0YB/3M00 (9/10)



 ……織莉子にはわかっていた。もしも『躊躇った』場合、沙々は本当に洗脳魔法をかけるつもりだったことも。

 提案した時点でもう引き返す選択肢なんて無いことは決まっていた。


沙々「これで邪魔者が一人減りました。それにあの面倒な巴マミまで引き込む気だなんて」

沙々「あの『偽の記憶』でどう引き込むのかはわかりませんが…… 魔法少女が魔女になるなんて、また悪趣味な作り話を思いつきますね?」

織莉子「もしも作り話じゃなかったとしたらどうする?」

沙々「……え?」


 沙々は思わず目を丸くする。織莉子はまだ真剣な表情をしていた。

 ……それから、織莉子はその表情を目の笑わない微笑みに変えた。


織莉子「冗談よ?」

沙々「で、ですよね? 織莉子さんはそんな顔で冗談を言うから冗談に聞こえないんですよ!」

織莉子「この戦いでも、魔法の効果を持続させるために貴女に傷をつけさせるわけにはいかなかった」

織莉子「これからもよろしく頼むわね」

沙々「はい! 私も織莉子さんのことは頼りにしてますからね!」


 笑みを交わす。一見すれば仲の良い二人に見えただろう。しかし、その笑顔の裏側に本当の絆はあるのだろうか。


 織莉子はゆったりとした動作で沙々の隣に――死体の前に立つ。

 そして、少し前までは力強く自分に呼びかけていたその姿を見下ろした。……目をそらさずに見ようと決めていた。


沙々「これどうします? 死体はいりませんよね?」

織莉子「ええ。処理は任せるわ」




織莉子「……これが私の『戦い』よ。貴女の守りたかったものも、きっと救ってあげるから」



――――――
――――――



★新技習得

両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。



―22日目終了―



小巻 魔力[死の絶望の淵]  状態:仮死
GS:0個

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]



446 ◆xjSC8AOvWI2021/09/15(水) 23:57:27.27V0YB/3M00 (10/10)

---------------------------
今回更新はここまで
次回は18日(土)18時くらいからの予定


447以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/16(木) 00:01:19.78WOmgLN110 (1/1)

乙です。

小巻編でも織莉子はキュウベェ並みに通常営業でしたね・・・
主役が死んだ(?)まま話が続くのは初めてですかね?
このあとどうなるのか全然予想がつきませんね・・・


448以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/16(木) 00:29:14.684fBan/leO (1/1)


気になるところで終わったな


449以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/18(土) 20:36:23.219Mo917DiO (1/2)

来ないな


450 ◆xjSC8AOvWI2021/09/18(土) 21:02:51.28ckY+msPe0 (1/4)

――――――



 ――――人間は死んだらどうなるのか。みんな一度くらいは考えたことがあると思う。


 善人の魂は天国に上って幸せに暮らしながら現世を見守り、悪人は地獄に落ちて裁かれ苦しむのだという人もいる。

 霊魂になって漂うという人もいる。いつかどこかの誰かとして生まれ変わるのだという人もいる。

 そんなものはただの都合の良い妄想で、死んだら“無”……『魂』なんてどこにも残らず消えてなくなるという人もいる。


 『無』というのはある意味で優しい。死んだあとには悲しむことも苦しむこともないのだから。

 それならあたしは、無に向かっているのだろう。しかし、それはそんな生易しいものではなかった。


 人間性がガリガリと剥がれ落ちていくような、生きて存在していたはずの『自分自身』を形作るものがなくなっていく感覚。

 悪夢ほどはっきりとしていない、しかし魘されているような、その感覚はまさしく地獄よりも地獄というにふさわしかった。




 どうしてこんな目に遭う。何に向けてかもわからない憎悪すら向けたくなるほど。



 ……『どうして』。

 その問いとともに瞼の奥に浮かんだのは、死ぬ直前に見た『誰か』の姿だった。



――――――


451以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/18(土) 21:02:54.9256iq7w6C0 (1/3)

スレ主さん、用事か何かかな?
それともまた曜日間違えてるとか・・・?


452以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/18(土) 21:03:54.4056iq7w6C0 (2/3)

と思ったら来た!
わずか3秒差とは・・・w


453 ◆xjSC8AOvWI2021/09/18(土) 21:57:11.40ckY+msPe0 (2/4)

――――――
23日目




マミ「……ねぇキュゥべえ、どうして黙ってたの?」

QB「なんの話だい?」

マミ「ソウルジェムのことと魔女のこと。……どちらも私達の“魂”のことよ」


 いつもどおりふらりと姿を表したソレに疑問をぶつけてやれば、またいつもの悪びれない様子で答えた。


QB「キミたちが知らないほうがいいことだからだよ」

マミ「は……?」

QB「真実を知ったキミは、事実そうして態度を変えた。キミも知りたくなかったんだろう?」

QB「それなら、やっぱり聞かれない限りは話さないのが正解だということだよね」

マミ「勝手なこと言わないで。私はずっとあなたを信じてたのに……!」


 昨日からこうして詰め寄ってやりたい気持ちだったが、やってみてもそれで何かが出来るわけじゃなかった。

 ……私には何も出来ない。身体のことも、魔女のことも。

 ひしひしと感じられる無力さに涙が伝った。




454以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/18(土) 22:24:00.449Mo917DiO (2/2)

このままだとマミは織莉子の駒になりそうだな


455 ◆xjSC8AOvWI2021/09/18(土) 23:01:34.99ckY+msPe0 (3/4)



QB「マミ、ここは学校だ。あまり声を荒げたりしたら不自然に思われるんじゃないのかい」

QB「……それと、杏子から伝言を預かっているよ。ボクが伝えにきたのはそのことだ」


 今聞くと思わなかった名前が聞こえて、ハッとする。


マミ「どうして今更?」

QB「それは本人に聞いてみるといい。これからこっちに来るようだからね」

マミ「まさか縄張り争いでもする気なの?」

QB「君たちに協力してもいいって言ってたよ」


 まさかこれも罠。……そう浮かんだが、どっちにしても来るというのだから対応しないわけにいかない。


 涙を拭う。

 今日は朝から足取りが重かった。

 ここまで来られたのは、積み上げてきた優等生としての習慣と、まだ『何も知らない』仲間がいるからに過ぎなかった。


 私は友達を一人失った。誰よりも深く信頼してた友達を。

 本人はそう思っていないかもしれない。でも私にとっては裏切られたも同然だった。


マミ「今日もお昼に話があるんだけど……」


 教室を訪ねてみる。探していた姿がそこには一人見当たらなかった。


キリカ「小巻なら今日きてないよ?」





456以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/18(土) 23:05:51.8956iq7w6C0 (3/3)

翌日ってことは大分時間経ったね。
小巻、身体を処理されちゃったらもうどうにもならないんだよね・・・


457 ◆xjSC8AOvWI2021/09/18(土) 23:38:48.99ckY+msPe0 (4/4)

――――
――――



 帰り際にテレパシーを受けて示された場所に向かうと、そこには久しぶりに見る顔があった。

 それと、初めて見る小さな子もその傍に寄り添っていた。


マミ「……佐倉さん、今日は一体どういうこと?」

杏子「気が変わったっつってんだよ。協力してやってもいいってな」

キリカ「キミが『風見野の魔法少女』?」

杏子「そうだよ。そっちこそ、『小巻』はどうしたんだよ」


 どうしてその名前を知ってるのかと一瞬身構える。

 多分キュゥべえが教えたのだろう。


マミ「……浅古さんはおやすみよ」


 このこともずっと引っかかっていた。休みの連絡は来ていないらしい。

 どうにも嫌な予感がする。同じことは呉さんも感じてきているようだった。

 優木さんのこと、それから、私が見た光景が浮かぶ。


杏子「死んだか?」

マミ「滅多なことを言わないで。……協力してくれるっていうのが本気なら感謝はするわ。悪いけど、お話は手短にお願いするわね」

杏子「なんだよ。せっかく来てやったのに邪魔者扱いかよ」


 佐倉さんが機嫌悪そうにポケットの中から出したお菓子を貪る。

 すると、小さな子が佐倉さんを守るように私達の前に出た。


「ケンカしないでっ。キョーコは悪い魔法少女じゃないもん!」




458以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/19(日) 00:01:04.30oy176i/j0 (1/6)

ゆまちゃんが一緒となると杏子も少し丸くなったのかな?



459 ◆xjSC8AOvWI2021/09/19(日) 00:22:17.44EF9zyLSb0 (1/7)



 思わず毒気が抜かれる。佐倉さんもそれは同じだったようで、『本題』を切り出した。


杏子「あー…… こいつはゆま。今日来たのはこいつのことで聞きたいことがあるからだ。協力ってのはその代わりにしてやってもいいかなってこと!」

マミ「この子のことで……?」

杏子「『織莉子』って名前を知ってるか?」

マミ「それがどう関係があるの?」

杏子「ゆまは昨日契約したんだよ。織莉子に言われてな。ソイツ、絶対なにか企んでやがる!」


 心当たりはもちろんあった。それに、あまり聞かない名前。


マミ「本当にそんなことを……?」

杏子「は!? それって、心当たりあるってことでいいんだな?」

マミ「え、ええ。心当たりだけなら。でも美国さんは――」

杏子「ソイツに会わせろ」

マミ「ちょっと、いきなり変なことする気じゃないでしょうね?」

杏子「そんなの返答次第だろ! 明らかに怪しいことしてんだぞ。肩持つほうが意味わかんねえ」

杏子「知り合いかしらないけどマミもさ、いいように口車に乗せられて騙されてんじゃないの?」

マミ「え……?」


 美国さんがそんなことをした理由はわからない。

 魔法少女だったってことも昨日まで知らなかった――いや、その理由は知ってる。話してくれた。

 でも、私の知らなかった美国さんの顔が見えた気がして、私は戸惑っていた。


――――――


460 ◆xjSC8AOvWI2021/09/19(日) 00:25:56.51EF9zyLSb0 (2/7)

-----------------------------
今回更新はここまで
次回は19日(日)19時くらいからの予定


461以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/19(日) 00:30:31.97oy176i/j0 (2/6)

乙です。

小巻の件、杏子も知らないとなるとどうなったのか不安ですね・・・
ひょっとして小糸が契約することになるのか?



462 ◆xjSC8AOvWI2021/09/19(日) 21:19:01.35EF9zyLSb0 (3/7)

――――――




キリカ(“美国”って、小巻と一緒にいた人だよね?)


 歩きながら考える。いつものようなパトロールをしてるわけではない。

 風見野の魔法少女――杏子たちとの話の途中から、どこか置いていかれたような気分だった。

 マミはその人のことを知ってるらしい。


 それから、小巻のことを除けば気になることはもうひとつだ。


キリカ(朝教室にきた時のマミ、目が赤くて泣いてたみたいだった。なにがあったんだろ?)


 小巻のことは今探してる。まずはどうにかして連絡がとれないかを試した。今のところ連絡はなし。

 マミは話に出てきた魔法少女『美国織莉子』にも連絡をとろうとしてたようだった。でもそっちからの連絡もなし。

 ……杏子はああ言ってたけど、そもそも味方なのかな?


キリカ「小巻の家は先生に聞けたしそこは行くとして、なんもわかんなかったら手分けして探す?」

マミ「……」

キリカ「……おーい?」


 マミは今日はこうやってたまにぼーっとしてる。


マミ「あ、あぁ、そうね。でも、一人になったら危険もあるわよ」

キリカ「それもそうだけど」

マミ「ねぇ、呉さん」




463 ◆xjSC8AOvWI2021/09/19(日) 22:09:38.37EF9zyLSb0 (4/7)



 マミの声のトーンはいやに真剣だった。


キリカ「ん?」

マミ「辛い事を知らずに死んでしまったら、それ以上は辛い思いをせずにすむのかしら」 


 その言葉に、さすがになんて返したらいいかもわからず。

 呆気にとられているうちにマミが慌てたように言った。


マミ「……なんでもないわ! ごめんなさいね、嫌なことばかり考えてしまうの」


 なんかよくないことがあったのはわかる。そのことでなんか隠してるっていうのも。


 小巻の家に行くと妹さんが出てきてくれたけど、やっぱり小巻はいなくて、昨日から帰ってないって言ってた。

 それからしばらくマミと一緒に探し回って、それでも見つけられずに今日は別れた。



 薄々思ってる。もう見つからないんじゃないかと。もし見つかったとしても――――……



「...!」



 もう『無事』ではないんじゃないかと。




「......――――!」


――――――
――――――


464以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/19(日) 22:15:06.91oy176i/j0 (3/6)

うーん・・・小巻どうなるんだ、これは?


465以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/19(日) 22:31:03.31mIb05u5RO (1/2)

まどポのさやかBADにあった身体がゾンビ化してたら流石に嫌だな
そういやほむら全然出てこないな


466 ◆xjSC8AOvWI2021/09/19(日) 22:32:25.09EF9zyLSb0 (5/7)





 ……『誰か?』 違う。

 このまま全部忘れてなにも無くなるとか冗談じゃない。


 そんなの――!



小巻「『美国』…………!」



 あたしはまだここにいる。

 浅古小巻だ。消えてなくなったりしない。たとえ死んだってあたしはあたし。そんな簡単なこと見失ってたまるか。


 アイツ、なんで魔法なんか。キュゥべえ見えてないって嘘だったの?


 その名を呼んだ先には、あたしの手を掴む人がいた。


キリカ「私だよ! 今、美国って言ったの!? わっ、手冷た……!?」

キリカ「生きてるんだよね!? 救急車呼ぶからね!?」


 キリカはひどく焦った様子で呼びかけていた。

 ――――――“生きてる”?


 気づけばそのまま意識はブラックアウトして、また別の場所で目を覚ました。




467以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/19(日) 22:36:13.91oy176i/j0 (4/6)

キリカが見つけてくれたのか!


468以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/19(日) 22:46:13.88mIb05u5RO (2/2)

何て言うか、小巻のメンタルくそ堅いな
マミの豆腐メンタルとは大違いだな


469以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/19(日) 22:52:15.76oy176i/j0 (5/6)

>>あたしはまだここにいる。

なんか涼宮○○ヒみたいなセリフだな・・・小巻のCV平野綾で脳内保管できたわw


470 ◆xjSC8AOvWI2021/09/19(日) 23:35:13.05EF9zyLSb0 (6/7)



小巻「ここは……!?」


 白い天井。意識ははっきりとしていて傷もない。

 怪我を負ったことも優木との戦いも夢だったかのように、すっきりとした目覚めだった。


 ……そんな都合の良いことを考えて、思い直した。

 救急車呼ぶって言ってたから、ここは病院なんだろう。あたしたちなら傷を治す方法も考えられる。

 そうして現実に思考を戻した頃、泣きつく妹の姿が見えた。


小糸「お姉ちゃん! 生きててよかった! 死んじゃうかと思ったんだから!」

小巻「そ……そんな簡単に死なないわよ」

小糸「そんなこと……ないよ」


 弱くつぶやくような声が聞こえた気がして、首を傾げる。

 それから他にも周りに人がいることに気づいた。


キリカ「覚えてる? 路地裏のせまっこいトコから小巻の声が聞こえた気がして、見てみたら本当に小巻がいたんだから驚いたんだよ!」

小巻「路地裏?」

マミ「記憶にないなら、後からそこに運ばれたのかしらね。とにかく助かってよかったわよね」

キリカ「あれから目は覚まさないし、すっごい血まみれで身体は冷たくて、もうダメかと思ったんだから! もうなんともないの?」

マミ「……」


 マミはどこか目をそらすような素振りをした。よほど酷い怪我だったのだろうか。

 誰が治してくれたんだろう。


小糸「それとね、お姉ちゃん、実は私……」

小巻「え?」



 小糸が何かを言いたさそうに手を胸の位置まで挙げる。

 ――――……その指には、あたしたちにあるのと同じ指輪がはまっていた。



――――――


471以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/19(日) 23:45:48.53oy176i/j0 (6/6)

やっぱり小糸は契約したか・・・
マンガとは違う願いなのかな?


472 ◆xjSC8AOvWI2021/09/19(日) 23:59:15.63EF9zyLSb0 (7/7)

――――――



 そこは誰もいない突きあたりの廊下。

 佇むマミの傍にはキュゥべえがいた。



マミ「……ねえ、魔法少女は身体が傷ついても死ぬことはないんでしょう? 小糸さんが契約する必要はあったの?」

QB「そのことを小巻は知らない」

QB「あのまま運ばれてたら『死亡してる』と判断されただろうし、いずれは心のほうが耐えられなくなって魔女になる可能性もあったんじゃないかな」

QB「マミが浄化しておいて助かったね。もうかなり濁っていたみたいだったから」

マミ「……」

QB「納得できないかい? 君たちが望んだ通りに事は進んだじゃないか」

マミ「ええ。だって、誰もそのことを知って契約してないから」



 キュゥべえはそう言うマミのことを、まったく理解できなさそうに見上げていた。



―23日目終了―



小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:0個

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


473 ◆xjSC8AOvWI2021/09/20(月) 00:02:21.52PZyfwj1D0 (1/1)

----------------------------
今回更新はここまで
次回は20日(月)20時くらいからの予定


474以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/20(月) 00:23:50.28mVxpPc6Q0 (1/4)

乙です。

うーん、何が起こったのか・・・
紗々は小巻の身体の処理に失敗したのか、雑な処理をしたのかはたして・・・


475 ◆xjSC8AOvWI2021/09/20(月) 22:18:52.36RH/XRy7j0 (1/2)

――――――
24日目



 あのあとは駆けつけてきた両親に泣かれたり、味の薄いご飯を食べて、検査したり。

 あたしのことは、行方不明で意識を失っていたものの、これといった外傷はなく検査でも異常はなかった――っていう扱いだ。



 ――――昼には退院して、今に至る。

 契約しちゃったばっかりの小糸も含めて四人で話してた。



小巻「それじゃあやっぱり、美国は契約してたのね?」

マミ「ええ。本当は本人から話すって言ってたのだけど、まさかこんなことになるなんて……」


 風見野の魔法少女が協力するって言ってきたこと、小さな女の子の契約を美国がそそのかしたってのも聞いたけど、

 マミがこのことを知ってたのが一番の衝撃だった。


小巻「でもこれではっきりしたじゃない! 美国のとこには優木がいた」

小巻「何企んでんのかは知らないけど、それも全部アイツに操られてたんだわ!」

マミ「そうよね。じゃあやっぱり早く優木さんを見つけないと……」


「あれ? 昨日より一人増えてる。くたばってなかったのか」


 その時、この場にもう一つ声が響く。

 風見野の魔法少女も呼ぶとは言ってたけど。まさか。




476以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/20(月) 22:25:47.65mVxpPc6Q0 (2/4)

あー、小巻は織莉子が沙々に操られてると思ってるのか。
これなら沙々倒した後の保険にもなるからなぁ・・・


477以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/20(月) 22:31:55.59mVxpPc6Q0 (3/4)

あれ、小巻は杏子を知ってるのはGS強盗にあったからか?
名前を聞いてもピンとこなかったのは杏子がその時の魔法少女だと一致しなかったからか?


478以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/20(月) 22:36:30.991yTThfPLO (1/2)

昨日杏子たちに会ってたのはマミとキリカだから増えたのは1人じゃなくて2人じゃね?


479 ◆xjSC8AOvWI2021/09/20(月) 23:04:27.23RH/XRy7j0 (2/2)



小巻「佐倉杏子ってコイツ?」

杏子「そうだよ」

小巻「アンタ、この前ヘンなこと言ってきた強盗じゃない!」

マミ「佐倉さん……悪い噂は聞いてたけど、どうしてそうやって人に迷惑かけるようなことするの?」

杏子「うるせーよ! もうあたしと何の関係もないくせに、今更説教すんな!」

小巻「それに、一人じゃなくて少なくとも二人でしょ? 小糸が契約したのは夜なんだから」


 そう言ってやると、佐倉は不遜に腕を組んだまま小糸をジーッと見た。

 小糸は縮こまるようにしてる。


小糸「……は、はじめまして」

杏子「地味過ぎて目に入ってなかったわ。……契約した? なんでだよ」

小糸「お姉ちゃんの怪我を治すために。本当に死ぬかもしれないとこだったんです。冗談でもあんなこと言わないで」


 縮こまりながらもはっきりそう言うと、佐倉は少したじろいで、それから不機嫌そうな表情をした。


杏子「……揃いも揃って他人のために契約しやがって」

ゆま「キョーコ! いじわるなこと言っちゃダメだよ!」

ゆま「それに、ゆまはキョーコを助けたこと後悔してないよ?」


 小さな女の子っていうのはこの子のことだろう。




480以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/20(月) 23:08:08.221yTThfPLO (2/2)

上手いカバーリングだな


481以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/20(月) 23:17:25.36mVxpPc6Q0 (4/4)

杏子、やっぱりGS強盗やってたのか。
ゆまの契約内容は原作通りみたいだけど、小糸は変わってますね。
2人とも治癒能力系か・・・


482 ◆xjSC8AOvWI2021/09/21(火) 00:20:18.65LV+shFI+0 (1/2)



小巻「人のためにナントカとか、そういえば前も聞いたわ。いちいち人の契約した理由まで探ってケチつけるなんて女々しいやつ!」

杏子「ああ?」

小巻「言っとっけど、あたしは他人のために契約したわけじゃないからね!」

小巻「あたしのやりたいことを、あたしの力でやろうとしただけ! アンタに文句言われる筋合いないから!」

小巻「ていうか、みんなそんなもんじゃないの。誰かを大事だと思うのも、助けたいって思うのも、結局は自分の気持ちなんだから」


 いつだか、キュゥべえにあたしの考え方は変わってるって言われたっけ。

 あれ正直いまだに納得できないけど。……それとも、他の人は違うっての?


杏子「……そうかよ。ずっとそう思ってられるといいな」

ゆま「ゆまはこれからもずっと後悔しないよ!」

杏子「これから先のことなんてわかんないだろ?」


 佐倉はぶっきらぼうに言う。一体何がそんなに気に食わないんだろう。



 それから、さっき話した優木のことを佐倉たちにも言ってやると、改めてみんなで『打倒優木』を目標に決めた。

 あたしたちにとってはこれまでと変わらない。でも、これで心から全員が一致団結できた。

 風見野でも堂々と探せるようになったというのは大きい。人数も増えたし、こっちが有利にはなったはずだ。



小巻「そうと決まったら優木を追うわよ!」

キリカ「これだけいれば手分けもできるね」

ゆま「ゆまはキョーコと一緒がいいな」

杏子「わかったわかった」

マミ「私は美国さんのところをまた訪ねてみるわ。優木さんがまた接触してくるかもしれないし、安全は確保したいもの」



1あたしもそうする
2風見野に探しにいく

 下2レス


483以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/21(火) 00:41:38.717FrLN+Hv0 (1/1)

ゆまに自己紹介してから1

ひとまず今日は美国のとこにマミとキリカ、小糸も一緒に行きましょう。
洗脳を解くためにあのすまし顔にグーパン叩きこんでも良いわよね?
操られていたとはいえ胸に風穴開けられて死にかけたんだから、こっちも1回くらいやりかえしても文句を言われる筋合いはないわよね?

風見野のほうは佐倉とゆまちゃんの2人の地元組みに任せるわ。
ゆまちゃん、佐倉が『また』やられたら助けてあげてね?





484以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/21(火) 00:51:48.58ok6PFZ1NO (1/1)


てっきり杏子は織莉子の家に突撃すると思ったけどしないのか?



485 ◆xjSC8AOvWI2021/09/21(火) 00:58:13.50LV+shFI+0 (2/2)

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今回更新はここまで
次回は23日(木)18時くらいからの予定です


486 ◆xjSC8AOvWI2021/09/23(木) 20:21:16.55dfLwgn6j0 (1/4)



小巻「あたしもそうする。アイツ、美国につきまとってるみたいだしね。知り合いのあたしたちがついててやるのが一番でしょ」

小巻「で、もしまた襲ってくんなら顔面にパンチ入れて目を覚まさせてやる!」

小巻「こっちは胸に風穴空けられて、小糸まであたしのために契約することになったんだから!」

マミ「そ…… そうね。まぁ出来るだけ穏便にいきましょう? 洗脳魔法の仕組みもわからないんだもの」

小巻「ま、当然優先すべきは優木をぶっ飛ばすことよ。アイツさえやっつければ全部解決するんだしね」

杏子「……そうだな。優木を見つけたらなんでゆまを契約させたのかも聞いといてくれ。くだらない理由だったらその場でシメとけ」



 その言葉にみんなが頷いて、それぞれ分かれていく。

 土地に慣れてる佐倉とゆまには風見野を、キリカと小糸には見滝原と風見野両方で怪しいとこを調べて探ってもらうようにしてる。



 そして、あたしとマミは美国の家へと向かった。もちろん事前に連絡なんかはしてない。



小巻「美国! いたら出てきなさい!」


 いつか以上に乱暴にインターホンを押しながら叫ぶと、ほどなくして扉が開く。



マミ「……いきなりでごめんなさいね。今お一人?」

小巻「てか単刀直入に言うわ! 優木はここにいない? あたしたちはアンタを守りにきてやったの。優木を懲らしめるついでにね」

織莉子「守る……?」

小巻「自覚もないわけ? そんなんだからあんなヤツに付け込まれるのよ。アンタどこまでわかってんの?」

小巻「話したいからあがっていい? ていうかあがるわよ。今は緊急事態なの」


 美国は今のところ襲ってくる様子はない。

 洗脳魔法といっても、術者が傍にいない状態でどこまで制御がきくものなのか。


 突然豹変する可能性もないわけじゃないから、一応警戒はしておく。

 でも契約してるってわかってればもうやられてあげるわけない。こっちにはマミだっているんだ。


織莉子「……ええ。入って」





487 ◆xjSC8AOvWI2021/09/23(木) 21:12:26.31dfLwgn6j0 (2/4)



 こんな時でものんきにお茶を淹れてるのを見ると、緊急事態って言葉が伝わってんのかわからなくなる。

 でも、その姿を眺めている分にはいつもの美国と変わらなくて、少しほっとした。


小巻「アンタさ、契約してるんでしょ?」


 紅茶も入って腰を落ち着けると、話の続きを再開した。


 今は指輪があることも隠していない。当たり前のように着いているそれに目がいった。

 あたしの前ではわざわざ取ったり見られないようにしてたんだろうか。


小巻「なんで隠してたのよ。わざわざ小細工までして」

織莉子「……小巻さん、すごく反対してたじゃない。魔法少女になること」

小巻「なっちゃってるものはしょうがないでしょ! そんなこと責めたりしないわよ!」

小巻「いたずらバレそうになって隠してる子供か!? アンタ意外と幼稚なとこあるわよね! あたしはアンタの親かっての!」


 本当になんで隠そうとなんてしたんだ。もっと早く気づけてればよかった。

 そしたら一緒に動けたし、一緒に戦えたかもしれない。


 美国は何か言いたそうにひくりと眉を動かした。……けど、一瞬見えた怒気は次には消え去って戻ってた。いつもの澄まし顔に。


小巻「一人でいるからああいうことになるのよ」

マミ「優木沙々について、知っていることがあったら教えてくれないかしら? 覚えていれば、出会った時のこととか」

小巻「あたしと優木が戦ってる時のこととかね」


 美国はしばらく考えるように沈黙を続ける。

 それから静かに口を開いた。


織莉子「……覚えていないわ」

小巻「何も?」

織莉子「優木沙々さんについて小巻さんから聞かせてもらったのは覚えているのだけど、それ以上は何も」

織莉子「でも最近、ボーっとしていた時があった気がするの」


 じゃあ、その時が操られてた時なんだろう。

 操られてる間やその前後についても、丸ごと記憶を消されてるなら聞いても意味がない。



1なんとか思い出せない?
2心を強く持て、と言う
3この街の魔法少女について話す
4自由安価

 下2レス


488以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/23(木) 21:19:57.19/fY8uTCsO (1/2)

1
追加でゆまの契約についても問い詰める


489以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/23(木) 21:42:31.91mIIelpSK0 (1/2)



とにかく一発殴らせろと言う。
そのあと怒りか逆に冷静になって織莉子が本当に覚えていないというのが演技ではないかと疑念を持つ。

あー、もうイラつく!
あんたは覚えてないみたいだけど、こっちはあんたに後ろからなんかされて胸に風穴開けられたのよ!
おかげで小糸も契約するはめになっちゃったし、とにかく一発殴らせなさい!
壊れたテレビも叩けば直るんだから、あんたの記憶もショックで思い出すかもしれないしあたしも溜飲下がって一石二鳥よ!

こいつ記憶がないっていうの本当なのかしら?
仮に洗脳されてる間は記憶がないっていうの、あまりに都合よすぎるのよね・・・
あたしに契約したこと黙ってたのも何か変よね?


490 ◆xjSC8AOvWI2021/09/23(木) 22:43:48.20dfLwgn6j0 (3/4)



小巻「一風見野のほうに行ってたことも知らないのよね?」

織莉子「ええ…… 風見野に?」

小巻「優木と一緒に行ってたらしいのよ。聞いた話ではね。なんとか思い出せない?」

織莉子「そう言われても…………」


 再び考え込む美国。


 自覚がないのは良いことなんだろうか。知り合いを殺させて罪悪感煽るとか、もし出来るなら優木がいかにも好きそうだし。

 ともかく、やってたことを責めるなら優木本人だ。罪はアイツに償ってもらう。


 もしくは。


マミ『浅古さん、どう思う?』

小巻『……どうって』

マミ『今の状態は素かしらね? それとも、今も操られていてこの話も演技だった……ということも考えられなくはないけど』


 マミからテレパシーが飛んでくる。……紅茶を淹れるのんきな姿は素に見えたけど。

 洗脳魔法について詳しくわからないから、どのくらいのことが出来るのか疑ったらキリがなかった。

 ぶん殴って解決するならそれでもいいけど、あたしにぶん殴られた魔女や使い魔が正気に戻らないんだから、結局優木をなんとかしなきゃ解けなさそうだ。


マミ『さっきの話が本当なら、行動を操るだけじゃなくて記憶も操作したりできるみたいね。今のところはそう考えておきましょう』


 すると、ずっと沈黙してた美国がやっと口を開いた。


織莉子「……やっぱり、わからないわ」

小巻「ここまで収穫なしかー。あとは優木が来るかどうか待つしかしかないわね。優木はいつから接触していたのかしら?」

マミ「確実なのは一昨日よね。それ以前は……」

小巻「そうだわ、その前からぼーっとしてた日があったんじゃなかったっけ? そのことは覚えてんの?」




491 ◆xjSC8AOvWI2021/09/23(木) 23:27:35.38dfLwgn6j0 (4/4)



織莉子「あぁ…… マミさんを心配させてしまった時のこと?」

マミ「そうそう、それから美国さんが魔法少女だってことを聞いて…… あの時はこうなるとは思ってなかったわね」

織莉子「そうね。小巻さんにも私から話そうと思っていたのに、こんな形で知られてしまうなんて思ってなかったわ」


 これは操られてのことではない、だろう。

 せっかく美国のことは他の魔法少女に知られてなかったのに、マミに明かされちゃったら悪いこと企むにはメリットがない。はず。


織莉子「紅茶のおかわり淹れてきましょうか? まだ居るんでしょう?」

マミ「あら、ありがとう。気を使わせてしまって。頼むわね」

小巻「もう、ホント気が抜けるわね! まあ美味しいからいいけどさ」



 ……こっちは気を張ってんのに。疑ってんのがバカバカしく思えてきた。まさかこれもアイツの作戦だったりしない?


 美国が席を外してるうちに携帯を確認する。

 すると、ちょうど画面に電話の着信が現れた。どうやら有事の最中らしく、ほぼ一方的に伝えたいことを喋っていった。


マミ「浅古さん、今のは?」

小巻「マミ、やったわよ! 小糸たちが優木を見つけて、途中で佐倉たちとも合流して追ってるって!」

マミ「本当に良い報せね。随分と逃げるのが得意なようだけど、こうなったらもう逃げ続けられないでしょう」


 優木は結界ごと逃げてるらしい。大まかな現在地はわかった。

 今までみすみす逃走を許してきたけど、二つの縄張りを敵に回したのは大きい。

 あとはまた他の街に移られる前に懲らしめてやらないと。


織莉子「私達はどうするの?」



1ここで待機
2家を出る

 下2レス


492以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/23(木) 23:30:23.71mIIelpSK0 (2/2)

ここは2かな?


493以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/23(木) 23:37:14.27/fY8uTCsO (2/2)

2


494 ◆xjSC8AOvWI2021/09/24(金) 00:12:27.014rBbK3G+0 (1/3)



 もし優木と会ったら美国も戦う気なんだろうか。

 洗脳の影響が残ってるのかもよくわからないから警戒してたってのに。


小巻「アンタも戦えるの?」

織莉子「私も魔法少女よ。こんな時に何もしないのは……」

小巻「足手まといになったりしない? それが心配なのよ!」

マミ「でも、私達が行くなら置いていくわけにはいかないわよね。私達は美国さんを守りに来たんだから」


 マミがあたしのほうを見る。どっちに決めてもいいってことだろう。

 向こうも仲間が揃ってるけど、今度は絶対に逃したくない。


小巻「あいにく、こんな時に紅茶飲んでゆっくりしてる場合じゃないって考えはあたしも同じ!」

マミ「ええ、じゃあ行きましょう」



 あたしたちも追うことに決める。美国の家を後にした。





495 ◆xjSC8AOvWI2021/09/24(金) 00:16:59.714rBbK3G+0 (2/3)

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今回更新はここまで
次回は25日(土)18時くらいからの予定


496以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/24(金) 00:20:17.49EICCYKRK0 (1/1)

乙です。

次回は沙々戦ですね。
6人+織莉子が味方?なので魔女がわんさか出てきても何とかなる、のか??
沙々はなんで小巻の身体の処理をずさんにやったのか理由が気になりますね。



497 ◆xjSC8AOvWI2021/09/24(金) 00:43:18.084rBbK3G+0 (3/3)

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単純な答えになりますが、沙々が身体の真実を知らないからですね
事件になることはどうでもいいと思ってるので適当に目につかなさそうなところに捨てました
別編でもキリカを倒したと思ったまま放置でしたし…あんなかんじです


498以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/25(土) 17:51:11.05dxam8/qR0 (1/6)

>>497

なるほど、そういう事でしたか。
沙々は死んだはずの小巻が現れたらどんな顔するのやら。


499 ◆xjSC8AOvWI2021/09/25(土) 19:01:40.29BYuvvzXY0 (1/8)

――――――
――――――



 その頃、優木沙々は冷や汗を浮かべていた。



沙々(…………――どうしてこうなった)



 自身の操る魔女の結界の中で。



沙々(織莉子が味方についてから状況はよくなった! 何が目的かは知らないけど、アイツの力は役に立ったし望んだことは全部うまくいった!)

沙々(あのブルジョアみてーな屋敷も隠れ家としては気に入ってた。……用済みになったら適当に奪っちまおうかなって思ってたくらいには)


 ただし、その時はこないだろうとも思っていた。

 魔法少女の味方なんて考えたこともなかったけど、織莉子はそのくらい、沙々にとっては都合が良かった。

 この先立ちはだかるものがなくなろうとも、傍に置いといて損はない存在――くらいには信頼してた。洗脳魔法があるから、というのも理由にはあるのだが。


沙々(そうだ。風見野にはもう『敵』はいなかったはずだったんだ)


 嫌われることはどうでもいい。

 『憎まれっ子世にはばかる』なんて言葉もあるくらいだ。誰に嫌われようと憎まれようとやりたいようにやったもん勝ちなんだ。

 どうせ手出しできないんだから――。


沙々(なのに、なぜ……)



 結界の最奥にある扉が強引に破られる音が響く。



杏子「観念しろっ、テメー! 逃げ続けられると思うなよ!」

ゆま「おいつめたよ!」


 自分と同類だと思っていた風見野の魔法少女。そして、手出し出来ないはずの。


キリカ「ついに会えたね?」

小糸「この人が優木沙々……!」



沙々(なぜ、こうなった――――!!)



――――――


500 ◆xjSC8AOvWI2021/09/25(土) 19:43:30.68BYuvvzXY0 (2/8)

――――――



マミ「……!?」


 示された場所へ向かう途中、マミがどこかハッとしたように足を止める。


小巻「何っ? どうかしたの?」

織莉子「……マミさん、具合でも?」

マミ「い、いえ…… 私は何も…………」


 そんなマミを二人で覗きこむ。

 すると、マミはその視線を振り切るように再び強く否定してみせた。


マミ「な、なんでもないのよ! そんなことより、ほら、今は急がないと……!」



 戸惑ったけれど、みんなはもう戦ってるかもしれない。

 急いだほうがいいのはそのとおりだ。



 ――――……あたしたちが着いた頃には、すでに優木は追い詰められた後だった。


 結界は消え、ヌンチャクのように分かれた槍の柄でぐるぐる巻きに捕らえられ、みんなから囲まれるようにして武器を突きつけられている。

 ここまでされては反撃の機会もないだろう。しかし、優木は予想外とでもいったような顔をしていた。


沙々「……な、なんのつもりですかね? これは。これから拷問でもするつもりなんですか?」

杏子「望むならそうしてやってもいいけど?」

沙々「そそんなことはひとことも! ……冗談ですよう冗談! 謝れば許してくれるなら謝りますって! ね? ホント悪かったですからぁ~もう魔女育てたりしません~」




501 ◆xjSC8AOvWI2021/09/25(土) 20:10:23.64BYuvvzXY0 (3/8)



 なんか調子のいいことをほざいてた。

 謝れば許す気があってみんながこうしているとでも思ったらしい。


小巻「今更そんなことよく言うわね! 許されると思ってるの!? 大勢の命をうばっておいて!」

小巻「それにね、あたしだってアンタに二度も大迷惑かけられて死にかけたんだから!」

小巻「ああそうね、あたしからも一発は殴んないと気がすまないわ! このままみんなに倒されたからめでたしじゃあたしの気がおさまらないわよ!」

沙々「きゃああぁっ」


 拘束されたままの優木にずかずかと近寄ると、とりあえず二発ぶん殴っといた。

 気の抜けるような媚びた悲鳴があがったが、まったく心は痛まなかった。


杏子「あたしは魔女のことはどうでもいいんだよ。どんだけ犠牲が出ようが知らないし、責めるつもりもない。小巻のこともあたしには関係ない」

沙々「じゃあどうして……?」

杏子「なんでゆまを契約させようとした。“織莉子”を使って」


 佐倉が詰め寄る。しかし優木はそれに言葉を返す前に、あたしの後ろにいる存在を見た。……美国のほうを。


沙々「あ、あ……!? 織莉子さん! 助けてください! こいつらを殺せええええええええええ!!!」

杏子「!?」


 全員が身構えた。やっぱり連れてくるのは間違いだったのかもしれない。

 美国のほうにも警戒が移る。しかし、美国が動くことはなかった。


織莉子「……残念、もう魔法は解けているみたいね」


 みんなの隣で、美国も優木に向けて手をかざした。




502以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/25(土) 20:41:50.64dxam8/qR0 (2/6)

うーむ、ここでみんなを油断させておいて裏切るのか?
それとも沙々を口封じするかな?


503 ◆xjSC8AOvWI2021/09/25(土) 21:08:05.01BYuvvzXY0 (4/8)



沙々「テッ……――メェェェェェ! よくも! よくも!!」

沙々「お前のせいなんだろ! 織莉子おおおぉぉ! お前がしくじったから……!!」


 優木は美国に向けて呪詛を吐き出す。


織莉子「何を言っているの……?」

小巻「相手にしちゃダメよ。駒を上手く操れなかった責任を押し付けようとしてんでしょ」

沙々「違う! 私は最初から織莉子に洗脳なんてしてない!」

小巻「この前と言ってることが違うわよ」

沙々「それも織莉子の作戦だったんだ! そうすれば浅古小巻を簡単に殺せるって!」

小巻「……」

沙々「契約……、誰か契約したんだな? 知らないヤツが増えてる。願いで生き返らせたんだろ? あの時は確実に心臓を破って殺してた」

沙々「結局作戦は失敗だった……織莉子は約立たずだ」


 言ってることが支離滅裂で呆れ返った。こいつ、どうしても全部美国のせいにでもしたいってこと?

 優木が卑劣なヤツだということはみんなよく知ってる。耳を貸す人はいなかった。


 それに、小糸はキュゥべえからあたしが『大怪我』を負ったことを聞いて契約したと言っていた。

 ……やっぱり支離滅裂だ。路地裏でキリカが発見した時のことも覚えてる。死んでる人間が一瞬でも目を覚ますはずがないんだから。


杏子「もうどっちでもいいから答えろ! なんでゆまを契約させた!?」

沙々「知るか! 知ってたとしてもお前にゃ教えねえよ!」

杏子「そうかよ。……じゃあ死ね」



 佐倉は問い詰めても答えを得られないと判断したのか、優木に深々と槍を突き刺した。

 ――――……こうして思っていたよりあっさりと、すっきりとしない後味を残しつつ、見滝原と風見野を騒がせていた事件は幕を閉じたのだった。




504以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/25(土) 21:17:25.23dxam8/qR0 (3/6)

織莉子は洗脳されてたフリをして沙々を口風じか。
あ、これ小巻と一緒でSG壊してないから死んでない?まぁ、沙々本人が『死んだ』と思ってたらそのままなんだけど・・・
さっきマミが何か気づいたのは織莉子以外で魔法少女の真実を知ってるから、下手したらここで魔女化の事実が暴露されると考えたからかな?


505 ◆xjSC8AOvWI2021/09/25(土) 22:05:41.23BYuvvzXY0 (5/8)



 向けていた武器を下ろし、優木に目を向ける人、そらす人。

 まだ周りを囲んだままそれぞれの反応を返していた。


 あたしは覚悟してた。多分、みんなもそうだと思う。もはや優木は魔法少女以外には裁けない存在だったから。

 でも、契約したばっかりの小糸とかゆまとかにまで、いきなりこんな光景を見せたくはなかったとも思う。


マミ「……この後どうするの?」

小巻「このままにしといてあげましょうよ。死んだ後くらい、誰かに気づいてもらえたっていいんじゃないの」

キリカ「優木にやられた人は行方不明だったのに。恵まれてるね」

小巻「魔女にだって食べるものくらい選ぶ権利あるでしょ。コイツと同じことはしたくもない」

杏子「あたしはなんでもいい」


 佐倉は機嫌が悪そうだった。優木から聞きたいことを聞けなかったからだろう。

 それから、美国をほうを見た。


小糸「美国さんを疑ってるの……? さっきの話を聞いたから?」

杏子「いや。でもあたしは信じてもいないからな」

織莉子「……それは仕方ありませんわ。初対面ですもの」

ゆま「キョーコ……」


 佐倉はまだ美国のことを睨めつけている。

 対して、美国は……優木のことを睨んでいるかのように見えた。 睨む? いつも何言われてもふわふわと澄ましてる美国が?


小巻「はい、やめやめ! もう帰りましょ! こんなとこにずっといたら気分悪くなるわ!」

マミ「……ええ」

織莉子「……」





506以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/25(土) 22:20:12.43dxam8/qR0 (4/6)

この織莉子がいつも通り(?)の織莉子なら、沙々の事を使えなかった駒として怒りを感じてるのかな?
あと小巻もいい加減織莉子を疑ったほうが良いと思うぞ。



507 ◆xjSC8AOvWI2021/09/25(土) 22:49:34.14BYuvvzXY0 (6/8)

――――――
――――――



 ――――みんなが日常へと帰っていった、かのように見えた後のことだった。

 人目にもつかず、誰もいなくなったその場所に再び一人の影が訪れていた。



織莉子「わかっていたの。貴女も小さい時から私とお父様の周りにいた人たちとよく似てるって」


 濁った宝石がかかとで踏み潰される。

 小さな破片が床に散らばった。


織莉子「上辺だけの好意に、手のひらを返したような悪意」

織莉子「だからこそ私も『私』でいられた。上辺でも悪くはない付き合いだったわよ。でもね」


 破片の上にもう一度強く踏み降ろした。


織莉子「…………貴女のほうが役立たずよ、優木沙々」

織莉子「願いで生き返らせたと言ってたけれど……違う。魂を残さなければ『万が一』の事態は起きなかったのに」


 ジリ、と音を立てて破片が更に小さくなっていく。


織莉子「本気で私を駒にした気でいたの? 私が【“操らなければ”指示を出さなければ】何もできなかった駒のくせに」


 結局のところ、『洗脳の魔法』すらもただの道具でしかない。

 使い手が真に操る側とは限らない。



 織莉子が優木との『別れ』を済ませた頃、もう一つの影がここに向かっていた。



マミ(あの時『見た』と思っていたもの…… あれは違う。あんなことはなかった。でも、だったらどうして……)

マミ(あの後キュゥべえと話した記憶は嘘じゃない。あのことは本当だっていうの)


マミ(偽の記憶を植え付ける魔法。あれは優木さんの魔法だわ。でも、優木さんはソウルジェムのことを知らないようだった)




508以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/25(土) 23:06:46.92dxam8/qR0 (5/6)

ああ、やっぱり織莉子は織莉子だったか。
万が一が起きたことで織莉子の予知はあすみ編の時みたいにガバガバだよなぁ・・・

マミもおそらく織莉子が魔女化のことを話した時、洗脳されてなかったと気づいたっぽいね。



509以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/25(土) 23:14:04.32HJoCQMrGO (1/2)

織莉子ってやっぱり馬鹿だよなぁ
万が一が起こりうるなら自分で最後までやりゃあいいのに他人が失敗したらそいつのせいとか小物すぎる
世界を救うためとかいいながら予知に振り回されてるピエロじゃん


510 ◆xjSC8AOvWI2021/09/25(土) 23:34:30.76BYuvvzXY0 (7/8)



マミ「美国……さん」

織莉子「あら、ごきげんよう」


 その場に現れたマミを、織莉子は物腰柔らかく迎え入れた。

 しかし、そんな上品な挨拶も優雅とは思えないほどにその背景は生々しい。足元に散らばった破片も相まって、マミは何かを確信する。


マミ「やっぱり、美国さんは知っていたのね」

織莉子「少し後始末をしようと思って。……『万が一』のことがあっては困るものね」

マミ「じゃあ、優木さんの言ってたことは…………」

織莉子「本当よ」

マミ「……そうだったのね」


 マミは衝撃を受けたものの、そう静かに答えていた。

 心の中で処理できないことが多すぎて、怒ることにも悲しむことにももう疲れてしまっていた。


マミ「じゃあ、美国さんは私に何を伝えたかったの?」

マミ「優木さんに『ソウルジェムが魂で、そこから魔女が生まれるのをこの目で見た』という偽の記憶を植え付けさせる……なんて遠回しな方法を取ってまで」

織莉子「そこまでわかっているのね。それなら話が早いわ」

マミ「……やっぱり何かあるのね?」

織莉子「私の目的について、聞いてほしいの。ソウルジェムの真実はそれを理解するために必要だった」

織莉子「当然、グリーフシードなんかじゃないわよ。真実を知った貴女にはその重要性もわかるでしょうけど、それは手段であって目的ではない」

織莉子「マミさん、私の力になるって言ってくれたわよね」



 織莉子が精神的に追い詰められていた時のこと。

 織莉子がマミを『協力者にしたい』と思い始めたのはその時からだった。



織莉子「今度こそ……―――― 貴女とはきっと、今以上にいい関係になれると思うの」




―24日目終了―



小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:0個

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


511 ◆xjSC8AOvWI2021/09/25(土) 23:39:03.58BYuvvzXY0 (8/8)

----------------
今回更新はここまで
織莉子さんはまあ、ストレスが溜まってるんですよ…八つ当たり出来る相手もいないし繕わなきゃいけない場面が多くって

次回は26日(日)18時くらいからの予定


512以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/25(土) 23:45:04.61dxam8/qR0 (6/6)

乙です。

結局織莉子は自分の考えに賛同してくれるイエスマンが側に居てほしいだけなんですよね。
ストレスが溜まってるとはいえ視野狭窄におちいってるだけなんだよなぁ・・・
小巻もめんどくさい性格とはいえ、ちゃんと織莉子に手を差し伸べたのにその手を取らなかったわけで。
あすみがこき下ろすのもわかるよ、ほんと。


513以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/25(土) 23:53:10.24HJoCQMrGO (2/2)


またマミは織莉子の駒になるのか
2人とも寂しがりやの癖に虚勢を張るからある意味似た者同士か?


514 ◆xjSC8AOvWI2021/09/26(日) 21:25:33.54q8Fp/QRZ0 (1/3)

――――――
25日目



「浅古さん、退院おめでとう!」

「小巻! 色々大変だったって聞いたよ! でもなんともなくてよかったー」


 教室に入るとクラスメイトから次々に声をかけられた。

 行方不明とか入院とか、そこそこ話題にもなってたようだ。


 歓迎も落ちついてHRがはじまるのを待っていると、昨日のことを思い出す。


 ずっとみんなで追っていて、あたしにとっても因縁の相手だった優木をついに倒せたこと。

 でも、それよりも――あの時解散する間際に見た美国の表情がどこか胸に引っかかっていた。



 昼休みになると、久しぶりに丸々自由な時間になる。

 最近はマミたちと集まったり、放課後も優木への対策として固まってパトロールするようになっていた。

 風見野の魔法少女――佐倉たちと団結出来てたのも優木のことがあったからだ。解決した今、これからどうするのか。



小巻(そういえば、暁美にも昨日のことは一応メールとしいたほうがいいのかしら……)


 携帯を取り出して少し悩んだ。返信は一度も返ってきたことはないし、あの件のことでは関わりもしなかった。

 興味がないってのは言ってたし、わざわざ手間を掛けてやる必要なんてあるんだろうかと思ってしまう。


小巻(いいわ、一度は話してたんだから解決したってことくらいは送ってやる。でも向こうがあんな態度ならこっちも一言だけで済ませるわよ!)



 結局、『優木のことは解決した』とそれだけの文章を送った。これに対してもどうせ何も返ってこないんだろう。




515以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/26(日) 22:26:14.75mEFmsa7x0 (1/2)

久しぶりにクーほむの出番あるかな?


516 ◆xjSC8AOvWI2021/09/26(日) 22:52:14.24q8Fp/QRZ0 (2/3)



 ヤケクソ気味にメールを送ってから、これからのことを考える。

 もう固まってパトロールする必要はない。とはいってもやっぱり小糸のことは気になった。

 あたしが契約して、特に学校が離れてからは放課後に一緒に何かをすることってほとんどなくなってた。


 パトロールなんかでも、誘ってあげたらよろこぶだろうか。


 ……でも同時に、ふいに『変身したところが見たい!』なんて言ってた姿も浮かんできた。

 昨日はみんないたから仕方なかったけど、パトロールするにも魔法少女の衣装で一緒に戦うと思うとちょっと気が重くなる。


小巻(本当、なんであんな格好しなくちゃいけないのかしらね。あれさえなければ迷うことなんてないのに!)

小巻(みんなは今日はどうするのかしら?)



1マミに声をかけにいく
2キリカに声をかけにいく
3小糸をパトロールに誘う
4美国に予定を聞いてみる
5キュゥべえに佐倉たちのことを聞く
6自由安価

 下2レス


517以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/26(日) 23:01:41.60mEFmsa7x0 (2/2)

6
小糸をパトロールに誘う前に昨日一緒だったキリカにも一緒に行かないかと誘う。
あとキュウベェにも小糸の戦い方について助言が欲しいので付いてきてと呼ぶ。


518以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/26(日) 23:11:03.97WQ/TuOBfO (1/2)


追加でマミも魔女狩りに誘う
あと合同訓練を再提案する


519 ◆xjSC8AOvWI2021/09/26(日) 23:40:47.57q8Fp/QRZ0 (3/3)



 ここ最近ずっと一緒に行動してた仲間だ。

 気になって、マミのところに声をかけにいってみる。


 今日のことを聞いてみると、マミは少し曖昧な口調で答えた。


マミ「私は今日は……」

小巻「何? 用事?」

マミ「そうね。少し」

小巻「わかった。もう変なヤツもいないんだし、都合が合う時でいいわ」


 マミの態度はどこかよそよそしく感じる。何か違和感があるような。


小巻「それってさ、なんか嫌な用事なわけ?」

マミ「どうして?」

小巻「なんとなくよ! しいていうなら、元気がなさそうに見えたから」

マミ「そういうわけじゃないわよ。心配かけたならごめんなさいね」


 昨日まではどうだっただろう?

 その様子は『大丈夫』と言い続ける美国とも被る気がした。




520以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/26(日) 23:55:32.61WQ/TuOBfO (2/2)

昨日何を聞いたかわからんがマミはまだ動揺中か



521 ◆xjSC8AOvWI2021/09/27(月) 00:27:24.34ZOWYk2gV0 (1/3)




 教室に戻ってから、キリカにも声をかけてみる。



キリカ「私はとくに予定ないよ。パトロール……いく?」


 こっちはこっちで曖昧な答え方だった。


小巻「なによ、言っておいて乗り気じゃないわけ?」

キリカ「いや、なんかついに優木も倒したし気が抜けたっていうの?」

小巻「そんなこと言ってると魔女にやられるかもしれないわよ。まだまだ魔女は沸いて出るんだから燃え尽きてらんないわよ」

キリカ「それはそうだけどさあ……」


 キリカのは単にやる気の問題のようだった。

 そんな漠然とした目的じゃ納得しきれないっていうのか。


小巻「じゃあ、小糸のこと一緒に見てよ。今日は小糸も誘うから。昨日は一緒にいたでしょ?」

小巻「……あたしも家族としてはこれでも心配なの。あたしのために契約させることになって。今までは小糸に心配させてたけど、その気持ちも少しわかったっていうか」

キリカ「なりたてだし家族だもんね」

小巻「後輩もいるなら少しはやる気出たりしない?」

キリカ「まあ、少しかな。私も前よりは魔女と戦うの嫌じゃないしさ」


 ……悩んだけど、小糸も誘うことにした。

 渋る理由が衣装のせいってのもよく考えたらバカバカしい。なんか負けた気がする。



――――
――――


522 ◆xjSC8AOvWI2021/09/27(月) 00:34:14.61ZOWYk2gV0 (2/3)

------------------------
ここまで
次回更新は27日(月)20時くらいからの予定


523以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/27(月) 00:37:24.57Aa/CoeIX0 (1/2)

乙です。

うーん、マミさんはこのまま織莉子の言われるまま協力者になってしまうのか・・・
小巻は織莉子に疑念を持っても核心に至らないとそのまま信じたままみたいですね。
面倒見の良いツンデレってなかなか厄介だなぁ・・・


524以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/27(月) 23:27:04.43Aa/CoeIX0 (2/2)

今日はもう来ないかな?


525 ◆xjSC8AOvWI2021/09/27(月) 23:27:44.82ZOWYk2gV0 (3/3)

-------------
今日は時間がとれなかった…
次回は29日(水)20時くらいからの予定


526 ◆xjSC8AOvWI2021/09/29(水) 20:36:22.95Q6sH27gI0 (1/6)



 放課後、キリカと学校を出て街を歩き始めた。

 小糸が白女からこっちに来るまでにはもう少し時間がかかる。その間にも少し回れそうだ。


 パトロールの途中に、こんな話を聞いた。


キリカ「マミ、この前からなんかおかしいんだよね。たまに考え込んで上の空になってるっていうか」

小巻「この前から?」

キリカ「ちょうど小巻がいなくなったあたりだったかなぁ。朝うちの教室きた時、泣いてたんじゃないかって目してたし」


 この話は今日の違和感とも関係があるはず。

 あたしが倒れてた間に何かあったのか。ただ、それが『何か』はキリカにも想像がつかないようだった。


小巻「個人的なこと?」

キリカ「私にはわかんないよ」

小巻「聞き出すしかないわね。余計なお世話かもしれないけど、泣くほどって相当よ」


 さっそく明日やることの一つが決まった。


キリカ「……小巻は頼もしいね」

小巻「そう?」

キリカ「普通人と向き合おうとするのは勇気がいるから」

小巻「なによ、人を普通じゃないみたいに」

キリカ「えーっ。そういう意味で言ったんじゃないけど…… いや、うん、そうかもしれない」

小巻「は?」

キリカ「小巻見てると、やっぱ私とは違うなって思うとこあるから。私はそんなに強くなれないし」



 下1レスコンマ判定 1/3
0~20 使い魔
21~40 魔女


527以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/29(水) 21:09:37.29lGKTDBB+0 (1/3)

ほいさ!


528 ◆xjSC8AOvWI2021/09/29(水) 21:50:31.27Q6sH27gI0 (2/6)



小巻(強い、ね……)


 そう言われるのがあたしからすればよくわかんない。

 あたしはあたしのやりたいようにやってきた。ただそれだけだった。


小巻「魔女がいるわよ」

キリカ「魔力は足りてる? 優木に襲われてあんなことになって……」

小巻「そういえば……」


 指輪を具現する。今まで特に気にかけてなかった。

 てのひらの上の宝石は曇りひとつなく、綺麗なままだった。――あれ? でも戦ってたはずなのに。

 ポケットに入れてたグリーフシードはくすねられたみたいだけど。


小巻「戦う分はある、わね」

キリカ「綺麗だね」


 誰かが浄化してくれた?


小巻「よくわかんないけど、汚いよりはマシね。行きましょう」




529 ◆xjSC8AOvWI2021/09/29(水) 22:00:35.24Q6sH27gI0 (3/6)


―落書きの魔女結界



小巻「この結界は……」



 小さくてすばしっこくて、ちょこまかと動く使い魔。

 コイツは見覚えがあった。どちらかというと嫌なほうの意味でだ。


 その奥には、子供の落書きみたいな使い魔を生み出している魔女本体がいた。


小巻「もーっ、こいつらうっとうしいのよ!」

キリカ「でもその盾のおかげで助かってるよ」

小巻「とっとと魔女をシメて終わりにしたいわね」


 道中は飛んできた攻撃を弾いたりとか、サポート役になりがちだった。

 でも魔女との戦いなら、あたしの重い攻撃だって活かせるはず。



小巻 魔力[97/100]  状態:正常
GS:0個

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
キリカ 状態:正常

敵:魔女Albertine <-攻撃対象A
  使い魔Anja×7 <-攻撃対象B
 

1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
6自由安価

 下2レス


530以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/29(水) 22:07:01.45lGKTDBB+0 (2/3)

使い魔をキリカにまかせて魔女に5+1


531以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/29(水) 22:08:26.65B9gNg2IgO (1/2)

魔女に1


532 ◆xjSC8AOvWI2021/09/29(水) 22:38:49.95Q6sH27gI0 (4/6)



 というわけで、あたしは最初から魔女狙いだ。


小巻「アンタさえ倒せば、終わりよっ!」


 力強く斧を握り振りかぶる。――すると、魔女は楽しそうに笑いながら走り出しどこかへ隠れてしまった。

 使い魔だけじゃなくて魔女もこうなのか。


小巻「もー!!」

キリカ「ありゃ……まー落ち着いて。牛になるよ?」



*魔女はどこだ。
1片っ端から隠れられそうなものを壊す
2出てくるまで使い魔の一掃に加わる
3キリカにも魔女を狙うのに協力してもらう

 下2レス


533以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/29(水) 22:44:09.96B9gNg2IgO (2/2)

1


534以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/29(水) 22:45:20.59lGKTDBB+0 (3/3)

3で。


535 ◆xjSC8AOvWI2021/09/29(水) 23:26:13.16Q6sH27gI0 (5/6)



 どこかの地面から使い魔が増える。

 隠れながらも魔女が描いていたようで、その姿が見つかると魔女は『バレちゃった』とばかりにまた走り出した。


小巻「そこか!」


 咄嗟に斧を構えて追うが、すぐに隠れてしまう。残るのは地面の亀裂だけ。

 向かってくる使い魔はキリカが切り捨てた。


小巻「アンタもちょっと協力してよ。出てくるタイミングはあるんだから……」

キリカ「……なるほど、そうだね」


 速度を遅くする魔法。鬼ごっこには役立つんじゃないか。

 それは正解だった。


 キリカが集中して魔法をかけ、その隙を狙ってあたしが攻撃する。


小巻「――勝ってやったわね! 魔女にもかくれんぼにも」

キリカ「魔法使ったから正々堂々かはわかんないけどね」

小巻「そんなことはいいのよ! 相手は魔女なんだから」


 力を合わせれば相性の悪そうな魔女も思ったより簡単に倒すことができた。



小巻 魔力[97/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


536 ◆xjSC8AOvWI2021/09/29(水) 23:43:36.81Q6sH27gI0 (6/6)



 そろそろ待ち合わせの時間も近い。あたしたちは駅へと向かって歩いていた。


キリカ「駅前ついたらちょっとエネルギー補給していい?」

小巻「別にいいけど、アンタのそれは本当に補給なの? エネルギーすでに溢れてない?」

キリカ「なんでそういうこと言うんだ! もうシェアしてあげないぞ!」

小巻「はいはい、悪かったわよ。……まあ一戦したんだしあたしも少しくらい良いわよね」


 そんなこんなで、駅前で買い食い。

 前だったらこんなふうに適当な場所で食べるってなかっただけど……行儀悪いかしら。


小糸「お姉ちゃん!」


 待っていると、小糸があたしを見つけて駆け寄ってきた。


小糸「何か食べてる」

キリカ「小糸もエネルギー補給する?」

小巻「小糸は動く前でしょ。大丈夫?」

小糸「これから動くから!」



 ――腹ごしらえが終わると、いよいよ三人で歩き始めた。



 下1レスコンマ判定 2/3
0~20 使い魔
21~40 魔女


537以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/09/30(木) 00:19:44.24mbykjm/jO (1/1)




538 ◆xjSC8AOvWI2021/09/30(木) 00:36:30.739+t9TvZf0 (1/1)

---------------------
今回更新はここまで
次回は2日(土)20時くらいからの予定


539 ◆xjSC8AOvWI2021/10/02(土) 19:00:47.34sHYRF9G10 (1/3)



―委員長の魔女結界



小巻「うわああっ、なにこの結界! もうヤダ! もう本当ヤダ!」

キリカ「同感!」

小糸「こんな結界もあるんだ……!」


 小さい路地の隅から気づけば青空の中へ放り出される。

 結界に足を踏み入れた途端、眼前には不安定な糸の足場とそこを器用に渡り歩く使い魔たちが広がっていた。


キリカ「むやみに斧振り回して足場切っちゃわないでよ? 落ちたらどうなるかわかんないんだから!」

小巻「それはこっちのセリフよ」


 こんな結界ではあたしも重く重心の崩れやすい斧は安易に持てない。

 いつもと同じ戦い方はできない。魔女の姿を遠くに捉えつつ、どう責めるか思案する。


小巻「魔女はアレ……か」

小糸「その前に使い魔きてるっ!」



小巻 魔力[97/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
キリカ 状態:正常
小糸 状態:正常

敵:魔女Patricia
  使い魔Mathieu ×5
  使い魔teacher ×3



1逆に足場切れば使い魔も倒せる?
2攻撃は他に任せてサポートに集中
3一か八か遠距離から武器を投げる
4指示を出す(自由安価)

 下2レス


540以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/02(土) 20:34:39.57r9q6wVYr0 (1/2)

4
小糸に何が出来るか聞いてまずは使い魔から小糸を守る。
大丈夫そうなら2人にガードを頼んで3


541以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/02(土) 20:57:44.41y91JJv7AO (1/1)


追加で戦いのあと小糸の能力について本人から詳しく聞いて戦いかたを考える
もしきゅうべぇがいたらきゅうべぇにも感想を聞く


542 ◆xjSC8AOvWI2021/10/02(土) 21:41:17.21sHYRF9G10 (2/3)



小巻「小糸、戦える?」

小糸「迫ってくる使い魔だけなら……!」

小巻「わかった、あたしもサポートはするから無理はすんな!」


 戦いづらいが、協力すれば防戦だけならなんとかなる。

 とはいえ追い詰められたままの状況は勘弁だ。


小巻「……どうにかこっから攻撃を届かせられないかしら」

キリカ「え? どうやって?」

小巻「そりゃもちろん、投げるのよ。外したらどっか変なとこが切れるかもしれないけど……そん時はそん時よっ!」

キリカ「ええええっ」



 武器を手にして足元を踏ん張ろうとすると、さらに足場がたわんだ。

 地面にいる時と違ってうまく力が入らず、狙いがつけづらい。


小巻「ええい、ままよッ!」



 下1レスコンマ1桁
0or1 成功


543以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/02(土) 21:47:38.85ZInXQHwt0 (1/1)

あたれ


544以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/02(土) 21:53:54.97r9q6wVYr0 (2/2)

さすがに5/1はキツいか・・・


545 ◆xjSC8AOvWI2021/10/02(土) 22:48:54.99sHYRF9G10 (3/3)



 投げた斧は魔女の近くに張られた足場までを使い魔ごとぶち破りながら飛んでいった。

 それと同時に、こっちも足元にぐらつきが伝わる。しかし魔女は蜘蛛のような腕を器用に動かし、まだ足場の上を渡っていた。


小糸「うわわっ」

小巻「くっ、ダメか!」

キリカ「もーどーすんのー!」


 今ので魔女に近づくための足場をいくつか失った。

 まともに伝っていくのがますます難しくなった……かも。


キリカ「普段勉強教えてもらってるんだけどなぁ。クラスの優等生とは思えない脳筋っぷりだよ」

小巻「じゃあ他に考えがあるわけ?」

キリカ「ないけど……」

小巻「下がどうなってるかなんて知らないけど、あたしのバリアがあるんだから、最悪落ちて地面に激突したって怪我はさせないわよ」

小巻「その時には魔女も引きずり落としてやるし」

小糸「ちょっ、本当にこの下に落ちるの? 魔女と一緒に?」

小巻「最終手段よ! この下がどうなってるかはわからないんだから!」



1逆に足場切れば使い魔も倒せる?
2攻撃は他に任せてサポートに集中
3届くまで投げてやる!
4指示を出す(自由安価)

※このスレにおける小糸の設定はあとで安価で決めますが、
使える魔法が回復なのでこの戦況に大きく優位に立てる力は持ち合わせてません

 下2レス


546以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/03(日) 00:25:14.48Rjqbyoah0 (1/1)

2+3
斧投げでサポートしながらキリカに前へ出てもらう


547以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/03(日) 05:52:26.60+q67oc3YO (1/1)

1


548 ◆xjSC8AOvWI2021/10/05(火) 23:22:11.24EbvabYZl0 (1/1)

---------------------------
今週は忙しいので更新はお休みさせてください。
日曜は夜なら顔出せるかも。


549 ◆xjSC8AOvWI2021/10/16(土) 21:51:18.62nWDpmfLl0 (1/2)



 ……ただでさえ武器が扱いづらいのにここからってのは無謀だ。

 ひとまずは限られた足場を渡ってなんとか近づいていくしかない。最終手段とは言ったけど、できるだけ心臓に悪いことはしたくないし。


 しかし、青空の結界に残っているのはあたしたちを囲むかのように張り巡らされた足場ばかり。

 考えてるうちにも、糸の上をスケートを滑るようにして自由に走る使い魔たちが迫ってきていた。


小糸「わあああっ、また来てるよ」

キリカ「ちょっと伏せて!」


 キリカが袖から魔力の刃を出して軽く腕を振るうと、手元を離れて飛んでいき、使い魔のいる糸を切り落とした。

 あたしの武器は手斧のような投げやすい形状のものとは違う。そういう使い方ならキリカのほうが向いてるんだろう。


小糸「あ、こうやって敵の足場も落としていけば……!」

小巻「あたしたちが使える足場も限られるけど、魔女や使い魔の移動手段も限られるわね」


 周りを囲む糸を落とし、手分けして使い魔を倒しながら進んでいく。

 そうして少しずつ近づくと魔女は新しく足場の糸を吐いた。けど、それもその傍から落としてやった。

 魔女へとつながる糸はもう一本のみとなった。


キリカ「今だよ!」

小糸「はい!」


 小糸が魔女に向かって飛びつく。

 ……この戦いではあたしもサポートしてたけど、結局二人がよく頑張ってた。




550以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/16(土) 22:13:23.76ckw3UxDH0 (1/2)

お、ほぼ2週間ぶりの更新来た!
お待ちしておりました!


551 ◆xjSC8AOvWI2021/10/16(土) 23:04:06.47nWDpmfLl0 (2/2)



 「わあああああああああっ!!」


 感心したのも束の間。絶叫マシンにでも乗った時みたいな声が響く。

 魔女が消えれば今度はなにもない場所へと投げ出されたわけだ。底の見えない場所に落ちるよりはマシか。

 すかさずバリアで包み込んだ。


小巻「言ったでしょ? 落ちても激突はさせないって」

小糸「倒したあとも気が抜けないんだね……」

キリカ「お疲れさま。ちょっと休む?」

小巻「それアンタが休みたいだけでしょ?」

キリカ「まあね。あんな変な結界いたら疲れるって」

小糸「私も疲れたなぁ」

小巻「あたしは休むよりとっとと終わらせたいけど……ちょっとだけね」


 近くの公園で少しだけ休んでからパトロールを再開した。


小巻(てかまた食べてるし……)


 キリカの鞄にはいつでもお菓子が入ってるらしい。



小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]



 下1レスコンマ判定 3/3
0~20 使い魔
21~40 魔女


552以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/16(土) 23:09:43.07ckw3UxDH0 (2/2)

ほいさ!


553 ◆xjSC8AOvWI2021/10/17(日) 00:01:55.22HOvXbFWi0 (1/4)



小巻「――――とりゃっ!」


 魔力を感じて立ち寄った駐車場の片隅、回転するマネキンのようなものを薙ぎ払う。

 ちらつくように中途半端に侵食する結界は使い魔のものだ。


小糸「これでおしまい?」

キリカ「もういないみたいだよ」

小巻「じゃあこれくらいにしときますか」



 逃げることも立ち向かうこともしなかったそれを三人で壊し尽くすと、元来た表通りに戻っていった。

 パトロールを終えてからも帰りはまだ少し一緒だ。

 帰り道を歩く途中、小糸がキリカに問いかける。



小糸「ところで、お姉ちゃんって優等生なんですか? さっき、空中の結界の時に言ってた……!」


 まるで信じられないみたいな顔だった。


キリカ「それはもう、転入初日から小巻は優等生で通ってるよ。何の教科やらせても完璧にこなすし」

小糸「ええぇー」

小巻「何よその反応は」

小糸「だってお姉ちゃんって見ての通り脳筋でしょ? そんなキャラじゃないし、今まで一度もそんな話聞いたことない……」

小巻「失礼な。まあでも、小糸が聞いたことないのは当然でしょうね。白女じゃたいして優れてたわけでもなかったから」

小巻「優等生といえば……白女だと美国がまさにそのイメージだったわ。何やらせても完璧にこなして、誰からも一目置かれて。ムカつくわよね!」

小糸「だからなんでそうなるのっ!?」


 別に僻んでるわけじゃない。ただ、何かが気に入らない。

 どんな時にもあの涼しい顔を崩さず、優等生で、絵に書いたような完璧であり続ける。そんな姿が。




554 ◆xjSC8AOvWI2021/10/17(日) 00:29:49.59HOvXbFWi0 (2/4)



 けど同時に、昨日見た美国の表情も脳裏に浮かんだ。怒ってた、ような気がした。何にかはわからない。


小巻「……今は周りの評価は変わってしまったけれど、それで美国のなにかが下がるわけじゃないわ」

小巻「今でもあいつには敵わないのよ。別にあたしは競う気もないけど」

小糸「競ったところでお姉ちゃんじゃ勝てないでしょ……」

小巻「一言余計よっ」

小糸「あいたっ」


 げんこつを落とすと、小糸はマンガじみた大げさなリアクションをとる。

 キリカは不思議そうな顔をしていた。


キリカ「……そうなんだ」

小巻「ようするに『優等生』なんて相対評価なのよ! アンタは幼稚園児の中に混じって一番になって嬉しいの!?」

キリカ「え、それ私たち幼稚園児扱い?」

小巻「あーもう、なんでこんなとこでまで美国の話してんだ! この話はおしまいよ!」

キリカ「話し始めたのはそっちじゃん。ふーん、あの人ってそんなにすごいんだね」


 そんな雑談を交わしながら三人で歩いていたが、キリカは急に何かが足を止めた。


キリカ「……あれ、転校初日? 初日って私、小巻となんか話したっけ?」

小巻「何、どうしたわけ?」

キリカ「いや、なんでもない」

小巻「……?」


 何を気にしたというんだろう。

 ――――そうしているうちに岐路が見えて、キリカとは別れる。小糸と二人の帰り道になった。


 そう思ったのだが、すぐにもう一人、いや、『もう一匹』の声がした。


QB「今日は仲間と一緒だったけど、小糸もよく戦えていたね」

小巻「キュゥべえ、着いてきてたの?」

QB「戦いを見させてもらっていたよ。僕のアドバイスなんていらなかったみたいだけど」

小糸「そうだったかな」




555 ◆xjSC8AOvWI2021/10/17(日) 00:45:46.97HOvXbFWi0 (3/4)

---------------------------
ここまで
次回は17日(日)20時くらいからの予定、多分安価からはじまります


556以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/17(日) 14:35:48.36K7uUsKfTO (1/1)

あ、復活してる


557以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/17(日) 17:47:19.18w1QRIpnR0 (1/1)

なんかキリカが不穏なフラグ立ててるような……


558 ◆xjSC8AOvWI2021/10/17(日) 20:38:59.93HOvXbFWi0 (4/4)



小巻「ラクショーだったとは言わないけど、できるだけ自分たちのことは自分たちでなんとかするわよ」

小巻「……けどまあ、自分の力について小糸も気づいてないことがあるなら聞かせてあげてほしいわね」

QB「小糸の願いから考えれば、癒やしの魔法の効果は人一倍に発揮できるはずだよ。ゆまとも同系統だね」

小巻「ゆま……か。なるほどね」


 佐倉と一緒にいた女の子。

 たしか、『キョーコを助けた』とか言ってたっけ。



・小糸の魔法少女としての武器/ギミックみたいなものとか

 下4レス中多数決


559以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/17(日) 21:24:22.86n8ETmE8c0 (1/1)

ヴァイオリンのような弦楽器を模した攻守一体の武装。
渦巻きやベグの部位を引き抜くと、弓のような形の片刃の剣が現れ残りの部分はそのまま盾となる。
盾のまま突撃したり不意打ちにも使える、引き抜くのと逆の方(チェロで言うとエンドピンのある方)からパイルバンカーのごとく杭も出せる。


560以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/17(日) 21:35:03.18Pm/OxGEzO (1/2)

本当は銃とか弓みたいなのが良かったけど委員長の魔女戦でそういう描写なかったから安価↑



561以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/17(日) 23:16:05.14Pm/OxGEzO (2/2)

なんか安価来ないからもう一度↑↑


562以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/18(月) 00:50:50.11GNANNwJHO (1/1)

559で


563 ◆xjSC8AOvWI2021/10/22(金) 23:04:29.15GLHlngAW0 (1/1)



QB「とはいっても、小糸ならではの戦い方は武器の応用でいくらでも編み出せるだろう。思いついたことは色々試してみるといいよ」

小糸「うん……頑張ってみる!」

小巻「あれバイオリンでしょ? なんか使いづらそうだなって思ってたけど。憧れでもあったの?」

小糸「ま、まあ、少しね?」


 小糸はちょっと照れくさそうに言った。

 習い事は小さい頃から色々やってたけど、音楽にそんな思い入れがあったなんて知らなかった。


小巻「そっかそっか。いいんじゃない? 悪くないと思うわよ。将来は音楽家でも目指す?」

小糸「さすがにそこまで考えてないよ。もーいいでしょ? その話は」


 契約してなかった時は他人事のように言ってたけど、今はあたしの気持ちも少しはわかっただろうか。

 あの恥ずかしい衣装も武器も内面から出たものって言うんだから、自分を見透かされるような恥ずかしさがある。


小巻「とにかく、契約しちゃったものはしょうがないものね。これからはあたしもついてられるときは一緒に戦うわよ」


 不安はあるけど、やることは今までと変わらない。小糸のこともあたしが守る。……前は助けられたけど、今度こそ。

 こうして同じ目線でものが見えるようになったのは悪くない気分だった。


 その後も会話を交わしながら小糸との帰り道を歩いていった。



―25日目終了―


小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]



564 ◆xjSC8AOvWI2021/10/23(土) 00:05:49.09VdH6uQW10 (1/2)

――――――
――――――
美国邸



マミ「――――なるほどね。でも、暁美さんは学校でも厳重に見守ってるわ」

マミ「強力な魔法を持っているんでしょう? 不用意に近付こうものなら警戒されるし、それこそ殺されかねない勢いよ」

織莉子「標的に近づけないなら、守護者の魔法のことだけでも探れないかしら」

マミ「……」



――――


――――――
――――――
26日目



 登校して教室に向かおうとする途中、階段の途中で立ち尽くしているマミの姿が見えた。


小巻「おはよう、マミ。どうしたの? 遅刻するわよ」

マミ「……え、ええ。そうね」


 マミの態度はやっぱりおかしい。キリカにも同じことを思われてたんだから、相当に重症だ。

 今日はマミと話し合おうと思っていたしいい機会だ。


小巻「ねえ、最近なんかあったんでしょ? その前にさ、何に悩んでるのか聞かせてよ」

マミ「別になんでもないわよ。話し込んでたら遅刻してしまうわ。行きましょう」

小巻「時間がかかるなら後でもいいから。なんでもないって態度じゃないでしょ」

マミ「……本当になにもないわよ」

小巻「もう、くどい! いいから話しなさいよ! 話したら楽になるって言うでしょ!」


 逃げ腰なマミにイラッときて、人前だが大声を出した。すれ違う生徒の視線がこっちを向く。


マミ「ちょ、ちょっと、浅古さん」

小巻「キリカも気づいてあたしに話してたのよ。ぜんっぜん何もなかったようには見えてないから!」

マミ「……ごめんなさい。私にだって言いたくないことくらいあるの」


 それでもマミはあたしを拒んで逃げていった。

 ――――逃げるようにして、階段を早足で駆けていった。




565 ◆xjSC8AOvWI2021/10/23(土) 19:31:25.16VdH6uQW10 (2/2)



小巻(なんなのよまったく……)


 マミは意地でも話したくないようだった。

 ああなったのはあたしが怪我で倒れてた時かららしいけど、その間に何があったっていうの?

 ハッキリしないことがあるともやもやする。こうなればこっちも意地を張ってやろうか。


小巻(とはいっても、それなりに込み入った話になるなら朝はあんまり時間がないわね)


 放課後じゃまた逃げられるかもしれないから、昼になったらまた声をかけに行ってみよう。

 教室に行けばいつものようにクラスメイトが出迎えて、授業を受けて、午前が過ぎていく。



 それから、決めてた通り休み時間になると早速マミのクラスに直行した。



マミ「……浅古さん」


 マミはあたしを見るとぎょっとしたような顔をする。会いたくなかったみたいな態度。


小巻「マミ、ちょっと来てよ。いつもの場所で話しましょう」

マミ「朝のことなら本当に気にしないでいいから。それとも……他のこと?」


 適当に嘘でもつけば乗ってくれるのかもしれない。

 でも、小細工なんて性に合わない。変にごまかすようなことはしたくない。


小巻「ええ、朝のことよ」

マミ「……話したくないって言ったでしょう。どうしてわかってくれないの?」



 マミとの間には今までになかったようなギクシャクとした空気が漂っている。



1あたしたち友達よね?
2仲間として心配なのよ
3自由安価

 下2レス


566以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/23(土) 21:48:47.79iM2ikcIR0 (1/1)

2+3
マミの態度に怒りと苛立ちを持つが逆に冷静な口調になる。
最後にマミの態度が織莉子の態度と重なりカマをかける様な事を言う。

話したくない?
ならもう良いわ、仲間なのに話さないというならこっちも考えがあるから。

今のあんた、美国みたいね。会わせるんじゃなかったわ。
せいぜいそうやって自分を取り繕っていなさいよ。



567以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/23(土) 22:18:23.42Ne03xlF6O (1/1)


追加で昼休みにほむらに会いに行く。
マミが変になったけど何か心辺りある?




568 ◆xjSC8AOvWI2021/10/24(日) 00:06:25.92hJia5anP0 (1/6)



小巻「仲間として心配なのよ。同じ街のね。マミだって立場とか大事にしてるんでしょ」

マミ「そう…… 縄張りのことね」

小巻「プライベートな悩みだとしても、そんな状態でもし何かあったらこっちだって関係大アリよ! だからほっとけないし、話を聞いてやろうって言ってるの!」

小巻「ねえ、あたしの言ってることなんか間違ってる? 間違ってるっていうなら教えてくれない?」


 相変わらずマミの態度には苛立ってる。けど、朝とは違って少しだけ冷静な口調で詰め寄った。

 今度こそ逃げるなんて許さないっていうように。

 こんな風に思うのはマミが嫌いだからってわけじゃない。そんなことくらいは、マミだってわかってくれてると思ってた。


マミ「浅古さんは間違ってはいないわよ」

マミ「だから嫌になるの。そうやって正しさを盾にして押し付けられると」

マミ「私が間違ってるって言いたいの? あなたは何も知らないくせに……!」


 でもマミから返ってきた言葉は、予想もしてなかったことだった。


小巻「は……? だ、だから何をよ!」

マミ「浅古さんは正しいけど、みんながそんなに強いわけじゃない」


 マミは少しの間、どこか言いづらそうに視線をそらして落とした。

 まるでここじゃない、今じゃないどこかを見つめたように。


マミ「……戦いのことならあなたに心配してもらうようなことじゃないわよ。たとえ万全じゃないとしても、あなたより慣れてるもの。悪いけど今はほっといて」

小巻「そ…… そう! どうしても話したくないってんなら、こっちも考えがあるから!」

小巻「今のアンタ、美国みたいね。マミまでそんなんじゃ、アイツもどう思うのかしら。会わせるんじゃなかったかもね」

マミ「……あなたは随分美国さんのこと信頼してるのね」

小巻「はあ? そんなんじゃないから!」


 結局喧嘩腰に吐き捨てて、自分の教室へと戻っていった。

 周りはざわめいてた。何か揉めてたってのは気にされてるみたい。




569 ◆xjSC8AOvWI2021/10/24(日) 00:35:40.91hJia5anP0 (2/6)



*「なんかあったの? 巴さんとなんか言い合ってたって聞いたよ?」

小巻「……少しね。わかんないわよ。あたしだって何があったか知らないもの」

*「??」


 様子を見てた生徒が駆け寄ってくる。こっちはこっちで、あたしも心配されてるってことなんだろう。

 ……けど、どうしてだろう。こうして詰め寄られる側になるといい気はしなかった。マミに言われたことは理解できないし受け止めきれてもいない。

 わかることといったら、あたしはこのくらいのことしか言えないし。


キリカ「いったいどうしたのさ? 過去最高の不機嫌記録更新してるよ?」

小巻「マミに何かあったのかって聞いてきた」

キリカ「聞けたの?」

小巻「いーえ。何が何でも言いたくないってさ」


 マミのことは、キリカもあたしも知らないところで何か起きたんだろう。

 マミには家族はいない。あとあたしの当たれる範囲でいくと、ダメ元ではあるけど一人が頭に浮かんで立ち上がった。なにより今はじっとしてたくない気分だった。


小巻「二年のほうにも聞きに行ってくる」

キリカ「え、それってあの暁美とかいう?」


 久しぶりに直接会いに行く。

 教室の外から目が合うと、暁美は変わらずの剣幕で鋭い視線を向けてきた。


ほむら「用件があるならメールでと言ったでしょう」

小巻「……アンタはマミに何があったかって、知らないのよね?」

ほむら「巴マミのこと? 私の知ったことじゃないわ。関わってもいない」

小巻「あっそう!」


 こいつと話すのはやっぱりイライラしてくる。相手も同じ気持ちみたいだし、今のところ長いこと話してても良いことはなさそうだ。

 ……そうしているうちにチャイムが鳴って、もう一度自分の教室へと戻っていった。




570 ◆xjSC8AOvWI2021/10/24(日) 00:38:44.16hJia5anP0 (3/6)

-----------------
ここまで
次回は24日(日)18時くらいからの予定


571 ◆xjSC8AOvWI2021/10/24(日) 19:58:03.46hJia5anP0 (4/6)




 午後の授業もこなせば学校での一日も終わり。放課後だ。

 マミとは拗れたままだし、こっちまで暗い気持ちになる。


小巻(元はと言えばマミの相談に乗ろうとしてたのに、どうしてあたしまでこんなこと考えてるのよ……)

小巻(いや。今日はまだプライベートのこともやらなきゃいけないことがあるんだから!)


 鞄の中身を整理して、嫌な気持ちを振り切るように立ち上がった。

 このあとは習い事だ。それに明日からは休日。

 せっかく優木のことも気にしなくてよくなったんだし、この土日は小糸とパトロールもかねて外出しに行こう。


 これからの予定に思考を巡らせる。

 美国のことも頭に浮かんだ。アイツもいつから契約してたのかは知らないけど、抱えてる問題はそのままだし、状態はいいとは言えない。

 アイツは一体、何のために願ったんだ。契約すれば何でも叶うってのにあんな状況で。


小巻(……アイツにも、声をかけてみようかしら)


 美国には後で連絡を入れよう。学校を出て、校舎から離れて目的地に歩いていく。


 ――でも、マミのことは本当にこのままにしといてもいいの?

 このままじゃ、仲間としても友達としても離れていってしまうかもしれない。



―26日目終了―


小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


572 ◆xjSC8AOvWI2021/10/24(日) 23:06:02.49hJia5anP0 (5/6)

――――――
27日目



小糸「あっ、この映画もう公開してたんだ。今度見にいこうよ!」

小巻「そうね。今度はパトロールじゃなくてまた遊びに行ってもいいかもね」


 昼過ぎになって家を出て、まずは二人だけの道中。小糸は街に大きく貼られたポスターを見て言った。

 魔女が出てないときはただの散歩と変わらない。とくにずっと一緒にいた家族だからだろうか。

 今は魔法少女としての義務感よりも妹と出かけてるって感覚のが大きかった。


小糸「今日は美国さんも一緒なんでしょ? ついに仲直りしたの?」

小巻「仲直りもなにもアイツとは一度もケンカなんかしてないわよ。ケンカ売ったって勝ってもくれない腰抜けなんだから」

小糸「それって腰抜けじゃなくて、『大人』って言うんじゃない?」

小巻「何が『大人』よ! 痩せ我慢のことでしょ? そんな言葉だいっきらいだわ!」


 そう言って、昨日のマミとのことを思い出す。……マミとのことは、あれこそケンカだ。

 待ち合わせの場所につくと、美国はひと足早くそこに来て待っていた。


織莉子「ごきげんよう」

小巻「……ごきげんよー。なんだ、もう来てたの」

織莉子「ええ」


 白女にいる時にも飽きるほど聞いたお上品な挨拶を真似してみる。

 美国は気に留めた様子もなくいつもの調子だ。


小巻「さっそく行きましょ! グズグズしてたら置いてくからね」

小糸「もう、誘っておいてその態度はないでしょー? 美国さん、今日はよろしくおねがいしますねっ。私も契約したてなので心強いですっ!」



 下1レスコンマ判定 1/2
0~20 使い魔
21~40 魔女



573以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/24(日) 23:18:20.904lLG/BiO0 (1/2)

ほい!


574 ◆xjSC8AOvWI2021/10/24(日) 23:41:51.75hJia5anP0 (6/6)



小巻「小糸はそりゃ契約したてだけど、そもそもアンタはどのくらいなのよ? 頼りにできるほど強いわけ?」


 美国を誘ったのは、パトロールが目的っていうよりも色々と話しておきたいことがあるからだった。

 どんな戦い方をするのかも、どれだけ強いのかも、魔法少女としてことはあたしはほとんど知らない。


織莉子「私もあまり長くはないわよ。小巻さんから聞くよりも少し前だったから……」

小巻「ふーん、あたしの忠告はちょっとだけ遅かったのか」

織莉子「ま、まあ、そう言うこともできるかしら……?」

小巻「ってことは、あの事件があった後なのね」


 そう言うと、美国は言いづらそうに黙ってしまった。それを見た小糸が慌て出す。

 心が不安定な方が付け入られやすいのは、魔女や使い魔だけじゃなくきっと契約を迫られる時も一緒。そのほうが願いがあるってことだから。

 でもそれを知ると、ますます美国が何を叶えたのか疑問だった。


小糸「もう、お姉ちゃんったらデリカシーなさすぎるよ……! なんか本当ごめんなさい!」

織莉子「いいの。でも、せっかくのご忠告なのだけど、私は契約して後悔はしてないわ。貴女たちも、そうなのでしょう?」

小巻「……まあ、あたしはそうね」

小糸「あ、はい。私も……」



 歩き始めて、どんどんと街の中心からは離れていく。

 休日で賑わう人混みから遠ざかり、周囲の空気が静かになるのを感じた。



 下1レスコンマ判定 2/2
0~20 使い魔
21~40 魔女



575以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/24(日) 23:47:27.844lLG/BiO0 (2/2)

今度こそ!


576 ◆xjSC8AOvWI2021/10/25(月) 00:08:37.67xbqX96XQ0 (1/4)



小巻「魔力の反応、ないわね……」

小糸「この前はわりとすぐに見つけられたけど、なかなか会えない時もあるんだね」


 魔女にも使い魔にも会えないまま足を進める。

 小糸の言うとおり、狙った場所に魔女がいるかは運頼みだ。もう結構歩いた気がしていた。


「あっ、おねえちゃんたち!」


 人気がないと思っていた景色の中、あたしたちに声がかけられる。聞き覚えのある女の子の声だ。


小巻「アンタはたしか、ゆま。 ……と、佐倉」

ゆま「こんにちは!」

小糸「こんにちは」


 ゆまは可愛げがあるが、ゆまの隣にはもれなく嫌なものまでついてる。

 絶対小さい子の教育にはよくないヤツだけど、少しは絆されて改心してたりするのだろうか?


小巻「そういえばこのあたりはもう街外れね。一旦引き返すかー。言っとくけど、別に縄張り越えようとか思ったわけじゃないから」

杏子「……あっそ。それならいいけど」

ゆま「ねえ、ゆまたちはもう見滝原にはいかないの?」

杏子「行く必要がないだろ。優木ももうぶっ倒したんだし……あっちにはムカつくもんしかない」




577以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/25(月) 00:16:17.86lvr2zq570 (1/2)

ここで杏子にマミが最近おかしいことを伝えたいけど、今織莉子も一緒なんだよなぁ・・・


578 ◆xjSC8AOvWI2021/10/25(月) 00:40:33.03xbqX96XQ0 (2/4)



ゆま「コマキやマミとけんかしてるから? だったら仲直りしよーよ! みんな仲いいほうがいいよ!」

ゆま「ね! おねえちゃんたちも……――――」

杏子「……そんなの簡単に言うな! 何も知らないくせに」

ゆま「ご、ごめんなさいっ」


 ゆまはこっちにも話をふろうとしたが、あたしが何か言う暇もないうちに佐倉が言葉を遮った。


 自分の発言で怒らせてしまったと思ったからか、ゆまは素直に謝っていた。

 幼いながらに人一倍敏感に怒気に反応してて、そんなところを見ると代わりに口を挟んでやりたくもなる。そもそも何に怒ってんの?

 ……でも、そんな時浮かんだのも昨日言われたことだった。あたしはともかく、マミも今は仲直りとか考えられるような余裕はないだろう。


杏子「あたしだってもうゆまを置いてまで誰彼構わずにケンカ売りにいったりはしないさ。でも今更仲良くなんてのはできっこないんだよ」

杏子「だからこれでいいんだ。魔法少女には縄張りってもんがあんの」

杏子「結局優木からは何も聞けなかったのは心残りだけどさ。アンタはあれから何か思い出してない?」


 佐倉の目が美国のほうに向けられる。すると、今まで口数の少なかった美国が口を開いた。


織莉子「いえ、何も」

杏子「そうか。期待はしてなかったよ」




579 ◆xjSC8AOvWI2021/10/25(月) 00:44:31.12xbqX96XQ0 (3/4)

-------------------
今回更新はここまで
次回は25日(月)20時くらいからの予定


580以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/25(月) 00:48:31.49lvr2zq570 (2/2)

乙です。

うーん、ギクシャクしてますねぇ・・・
マミは織莉子の口車に乗せらてるし、ほむらは相変わらずだしこのままだと原作通りになりそうだけど・・・


581 ◆xjSC8AOvWI2021/10/25(月) 23:43:31.98xbqX96XQ0 (4/4)



杏子「ゆま、もう行くぞ」


 佐倉が去っていって、ゆまもそれについていく。

 初対面よりは少しだけ落ち着いたのはゆまの影響なんだろうけど、変わったというにはまだまだだ。


小糸「巴さんとなにかあったのかな……?」

小巻「あたしも何があったのかは詳しく知らないけど、マミと佐倉って昔組んでたらしいのよ」

小糸「そうなの? あの人が? そういえばそれっぽいことは言ってたけど」

小巻「多分、アイツも昔はあんな感じじゃなかったんでしょ」

小糸「私、あの人のこと苦手だって思ってた。口は悪いし、願いのこともバカにされたし」

小糸「でも元はそうじゃなかったなら、どうにかできればいいのにね」

小巻「……」

小糸「お姉ちゃん?」


 たしかに、なにを意地張ってんのかは知らないけど、さっさとどうにかしてくりゃいいって思う。

 でも今はあたしもマミと拗れてる。人のこと言えたもんじゃない。


小巻「どうにかするにしても今はどうでしょうね」

小糸「どういうこと?」

小巻「佐倉のほうがあんな態度だってのもあるけど、マミだって今は」




582 ◆xjSC8AOvWI2021/10/26(火) 00:38:42.43OgOZvxFY0 (1/1)


小糸「お姉ちゃん……巴さんとケンカでもしたの?」


 そういえばあの時美国のことも引き合いに出したっけ。

 うじうじ悩んでるヤツ同士が一緒にいたらろくでもないほうに悪化するに決まってる。


織莉子「……マミさんに何か?」

小巻「アンタは知らないでいいのよ! 人のこと心配する暇があるなら自分のことをなんとかしなさいよね!」

織莉子「……」

小巻「アンタは最近どうなのよ? まだ前と変わらずなの?」

織莉子「周りの状況は変わってないけれど、前に比べたらそう辛いわけでもないわよ。『味方』も増えたもの」

小巻「それってマミのこと?」

織莉子「えぇ、そうね」


 結局美国の支えはマミしかいないんだ。そう思うと、マミに対してもじれったさが募った。


小巻「味方増やすのもいいけど、まずは元凶をどうにかしたほうがいいんじゃないの」

小巻「ていうか気になってたんだけど……どうして契約の力でどうしてそうしなかったのよ」


 美国にとって、核心を突く問いではあったようだ。表情が変わったのが見て取れた。


織莉子「……どうしてそう言えるの」

小巻「そんなの考えなくてもわかるわ。だってアンタはまだ悩んでるし、理不尽なヤツも周りにわんさかいるんだから。何にも変わってないじゃない」

織莉子「そんなことはないわ。私は――そうね、この力を手に入れたことで『生きる意味』を手に入れられたもの」

織莉子「この力で人を救えるんだものね。その使命を持てたのは、私にとっては大きな違いよ。きっと私を見て喜んでいるはずよ……お父様だって」

小巻「なんか大層なこと言ってるけど、本当にそんなことで満足できてるって? そう思ってんの?」

織莉子「私の話はもういいでしょう?」

小糸「お、お姉ちゃんっ、だからデリカシーないって! 行こう!」



 逃げるように話を切り上げようとしている。……まるで昨日みたいに。



1全然そう思えない
2本当は後悔してるんじゃないの?
3自由安価

 下2レス


583以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/26(火) 21:33:37.65wu5EGq3g0 (1/1)

1+3織莉子の露骨な態度に昨日のマミの事もあって不満が爆発する。

生きる意味を見つけた?その割には何も変わってないわよね。
あんたって前からそう、見栄かプライドだかしらないけどそうやって『美国』って家に縛られてる。
契約で何を願ったか知らないけど、どうせ本心からの願いでなくて自分取りつくろうような願いだったんでしょ?
だから前と何も変わってないのよ!いい加減『美国織莉子』じゃなくて『織莉子』としての本心を出しなさいよ!



584以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/26(火) 21:47:57.36c5X3r2v+O (1/1)

ケンカ売ってるなぁ
織莉子がぶちギレないか心配だけど↑


585 ◆xjSC8AOvWI2021/10/27(水) 21:04:18.847NQbM8Da0 (1/3)



小巻「アンタを見てたら全然そうは思えないわ。ごまかしてるだけじゃないの?」

織莉子「……」

小巻「……何よ。言い返したいなら言い返せばいいじゃない」


 周囲の空気も、聞こえていたはずの木々のざわめきも、シンと静まり返っていた。

 美国の口から言葉が返ってくる気配はない。ただいつもと違って、表情の消えた碧の瞳はいくらも冷たい色に映った。


小巻「そう思わないとやってられないだけでしょ」

小巻「何がお父様よ。ソイツは美国を裏切るようなことしたのよ。アンタと親は別でしょ? もう居もしないソイツのためにいい子ぶって何になるってわけ」


 さすがにあたしも、今回ばかりは珍しく美国が怒ってるのはわかる。

 それでもあたしの口は止まることはなかった。


 ……美国はずっと怒ってた。

 あんなふうに澄ました顔で、なんともないかのようにふわふわと躱しておきながらも、中身のほうではずっと恨みが蓄積されてたんだろう。

 そう考えたらふと、この前から抱いていた違和感にも納得がいった。


小糸「お姉ちゃん! いい加減にしなよ! 人には触れられたくないものってのがあるんだよ!」

小糸「悪気がなくても、正しいと思っていても、土足で踏み込んだら相手を傷つけちゃうこともあるの!」

小糸「巴さんともそうやってケンカしちゃったんじゃないの?」

小巻「え……?」


 見かねたように小糸が慌てた口調で割り込んだ。

 心当たりがズキリと鼓動を揺らした。さすがにまずいことを言ったと思った。


 それでも美国はこう言った。


織莉子「…………いいの。いいから」




586 ◆xjSC8AOvWI2021/10/27(水) 22:33:19.617NQbM8Da0 (2/3)


小巻「……い、今のはさすがに悪かったわよ」

織莉子「そんなことより、パトロールを続けるんじゃないの?」


 怒ったのなんかわかってる。だからあたしも悪いと思って謝ったし、簡単には許されなくても仕方ないとも思う。

 なのにここまでしても言い返すこともしなかった。

 今までは苛立ってたけど、今は無理やり鎮めたみたいな態度がひどく不気味に感じられた。


小糸「で、でも……」

小巻「アンタは本当にそれでいいの?」

織莉子「貴女は私に何と言って欲しかったの? それで貴女が満たされるならそうしてあげてもいいけれど、無駄な時間になると思うわよ」

小巻「……ふーん、言うじゃない。それって結局、許す気がないってことでしょ?」

織莉子「……」


 なんてねちっこいヤツだ。あたしには真似できそうにない。あたしならたとえ許す気でも一発ぶん殴らせろって言ってるとこ。

 それからも美国から言葉はなく、いよいよパトロールを再開して歩き出す。


 そんな時、後ろから魔力が沸き起こった。


小糸「えっ……、お姉ちゃん!?」


 小糸の呼びかけが聞こえてから“その攻撃”に気づく。

 これは、前の時と同じだ。ただ、今は小糸がそばにいるから助かった。


小糸「ちょっ、そんな!? どうして……こんなところで仲間割れなんか」

織莉子「私の邪魔をするな!」

小糸「ひっ……?」

小巻「なによ……やっぱ怒ってるんじゃない。でも、背後から殴るのはやることが卑怯よ。やり返すならさっきにしておきなさいよね!」

織莉子「もう何を言われたところで許す気は無いと、解ってもらえてたんじゃなかったの?」


 美国から感じるのは純粋な『怒り』。それが剥き出しになって見えると、その圧はさっきとは比べ物にならないくらいだった。

 ……でも、少しだけ安心した。美国もあたしと遠い存在ではなかったんだって。




587以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/27(水) 22:38:05.8306LJMs0nO (1/2)

織莉子ぶちギレ、とうとう化けの皮が剥がれたか



588 ◆xjSC8AOvWI2021/10/27(水) 23:24:33.247NQbM8Da0 (3/3)



 立ち上がると同時に、瞬時に変身する。

 飛んできた水晶のような珠を斧の刃で受け止めた。


小巻「やっとまともに喧嘩買う気になったんなら受けて立ってやろうじゃない……!」

小糸「お、お姉ちゃんもやめてよ!? 危ないって!」

小巻「大丈夫よ小糸、こんなチンケな玉なんか全部弾いてやるんだから。あたしだってアンタのこと見てるとイライラしてたのよ!」

織莉子「ええ……私もよ。貴女のおせっかい、そろそろ鬱陶しいと思っていたところだった」




小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
小糸 状態:怯み(行動は回復のみ)

敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス


589以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/27(水) 23:27:05.2306LJMs0nO (2/2)

4+1


590以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/27(水) 23:36:22.28eNjiHPNE0 (1/1)

↑+織莉子を罵倒。

あんたのそのすまし顔、前から気に入らなかったのよ!
バカにされてるの気にしながら、外面だけで『私は気にしてません』ってお高くとまって取り繕って内心気に病んでたんじゃない!
図星を差されたから逆ギレで殺人未遂とか、親が親ならこも子も子ね!まぁ、あんたの方が子供染みててタチが悪いけどね!




591 ◆xjSC8AOvWI2021/10/28(木) 00:02:49.648OfLE10l0 (1/4)



 斧を構え、水晶を砕きながら突っ切っていく。


小巻「はぁっ!」


 振り下ろした斧を美国はひらりと躱していった。

 外したとわかっていても勢いが止められない。死角から来た攻撃をなんとか盾で防ぐが、全ては捌けなかった。

 当たった分には大した威力はなかったのが救いか。


小巻「全然痛くないし! やっぱりこんな玉チンケよ……!」


 相手を捉え直し、再び斧を振るいに向かう。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3


592以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/28(木) 02:03:12.715u8Aq4Qe0 (1/1)




593 ◆xjSC8AOvWI2021/10/28(木) 21:51:58.928OfLE10l0 (2/4)

77


 いつもまっすぐに敵を裂く刃は、服についた装飾一つ傷つけずに空を斬り続ける。

 今度こそ近づいたと思ったらまた離れていってしまう。バリアでの拘束もこいつには意味がない。

 決して相手に押し負けてるわけじゃないはずなのに、こっちは近づくこともできなくて負けてる気分。


 段々腹が立ってきた。


小巻「~~っ、ホント逃げてばっか! 戦い方までこうだとは思わなかったけど、お似合いよね!」

織莉子「貴女の言う事はいつも的外れよ。私が何から逃げてると言ってるの?」


 避けきれない数の水晶が襲う。

 一発一発は大したことないと思っていた水晶の打撃も当たれば体勢が崩れる。

 どこまで狙ってたのか、その拍子に重心が安定を失って武器が手から離れた。


小巻「くっ……!」

小糸「きゃあ!」


 しかし、ヘタ打ったと思った瞬間に代わりに上がったのは駆け寄ろうとした小糸の悲鳴だった。

 頭から一筋血を流してぐったりと力が抜けている。それを見たら背筋が凍った。


小巻「なにやってるのよ! 小糸は関係ないでしょ!」

織莉子「無関係だと言うのなら手助けなどせずに見捨てればいいだけよ。といっても、どちらももう許す気はないわ」

小巻「アンタ……っ! マジで痛い目見させるわよ! 大体さっきもアンタはやりすぎなのよ! 小糸の回復魔法がなかったらどうなってたと思ってんの!」

織莉子「さあ。考えてみたらいいんじゃないかしら?」


 美国は黒の溜まった胸元の宝石をグリーフシードで浄化する。

 ゾッとするような怒りとも笑みともつかない表情を浮かべていた。




594以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/28(木) 22:04:22.85C/4au+DgO (1/1)

あれ?状況不利?


595 ◆xjSC8AOvWI2021/10/28(木) 22:50:59.318OfLE10l0 (3/4)



小巻「何を、言ってるのよ……?」

織莉子「貴女、これをただの喧嘩だとでもまだ思っているの?」

織莉子「私は最初から貴女たちを殺す気だったのよ。私は“今回も”ちゃんと心臓を貫いた」

織莉子「……何故まだ生きていられるのか不思議ではない?」


 何を言ってるのか理解できない。

 心臓を? 言われてとっさに自分の胸のあたりを掴む。今はなんともないけど、さっき痛んだ箇所を思い出す。


 たしか、そういえば優木もそんなことを言っていた。 


小巻「……今回もですって?」


 気になることはまだあるけど、一番に耳に引っかかって無視できないのはそこだった。


織莉子「ええ。貴女が生きてたと知った時には驚いたけど、この期に及んで私を信じてたのは別の意味で驚いたわよ」

織莉子「どこまで愚かなのだろう、とね」

小巻「アンタ……優木なんかとつながってたの?」

織莉子「あんなクズとは一緒にしないで欲しいわね。あれは駒。私は利用しただけ。でも少々、出来損ないだったわ」


 優木は自分さえ良ければって考えで、散々好き放題してたようなヤツだ。

 美国はそんな嫌なヤツとは違うって思ってたのに。




596以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/28(木) 23:10:53.23T+pynNeIO (1/2)

まだ目的を果たしてないのに自分からばらしたか
あすみが見たらバカじゃねーの、こいつって酷評するな


597 ◆xjSC8AOvWI2021/10/28(木) 23:24:44.138OfLE10l0 (4/4)



小巻「なんであんなヤツなんかと! アンタはそんな……っ!」

織莉子「だから、勝手に決めつけないで。貴女の考えは的外れだと言ったはずよ」

織莉子「頼んでもいないのに見当違いな心配を押し付けて、勝手なことをして、それが受け入れられなければ『ムカつく』ですって?」

織莉子「いい加減に迷惑だわ。私の邪魔をする貴女たちは“要らない”。生きていれば確実に邪魔するであろう貴女の妹も含めてね」


 美国が手をかざす。

 怒りと冷たさに満ちた目の前の姿は、あたしの知っている美国織莉子ではなかった。


 ……知った気になってた。ある程度わかってるつもりだった。でも違った。――どうしてこんなことになった?


 あたしのやってたことはまるで意味がなかった。


織莉子「……私は周りで陰口を叩く人たちなんてどうでも良かったのよ。私とはもう立場が違うのだから」

織莉子「私のためというのなら死になさい。私の正義のために。この世界の為に!」

小巻「っ……!」


 飛んできた水晶をとっさに盾で防ぐ。美国は本気で殺しにかかっている。

 ひとまず小糸のことは守らないといけない。小糸をバリアで包んで、走り出すと斧の柄を掴んだ。


 頭の中がぐるぐるしてる。


 ……斧を両手で構えた。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-20


598以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/28(木) 23:29:40.72T+pynNeIO (2/2)




599以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/28(木) 23:30:23.00YCoSacvV0 (1/2)

どうだ?


600以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/28(木) 23:31:50.71YCoSacvV0 (2/2)

うわっ、00だった・・・当たらなくて良かった・・・
もし自分のレスだったら即死してたかも・・・(汗


601 ◆xjSC8AOvWI2021/10/29(金) 00:22:37.01owg+F9HS0 (1/2)

58



 あたしの一撃は重い。刃が入ればほとんどの魔女は引き裂ける。

 きっと、だからこそ――。


 半端な覚悟では攻撃を当てることすら出来ないんだ。迷ったらむしろそこが隙になる。

 かたや、相手は殺す気で来てる。


 直感的に悟った。この戦い、このまま続けていても勝てない。実力が足りないんじゃなくて、心の問題だ。……それに加えて。


織莉子「一度死んだとき、貴女が持っていたグリーフシードも私が回収したわ。今の私は惜しむことなく魔法を使える」

織莉子「諦めなさい。魔力も少ない貴女じゃ私には勝てないわよ」



小巻(それでも小糸だけは守らなくちゃ。……小糸は本当になにも悪くないんだから!)



 そう思うと、ピンときた。あたしの願い。自分の魔法で何が出来るかは自分がわかっている。


 『守る』ことに特化したあたしの魔法なら、守りに徹していれば逃げることくらいはできそうだ。

 らしくないのはわかってる。さっきは逃げてばっかだってバカにしたけど。


 ここは街外れといっても外。走り続ければ人通りのある道には出られる。



 もう一度小糸を掴んで、走り出した。



織莉子「待ちなさい! まさか逃げる気じゃないでしょうね! おとなしく私に殺されていろッ!」



 声に聞こえないフリして走り続ける。もうこうなったらプライドなんて気にしてる場合じゃない。仮面を取っ払った美国がこんなのだなんて知りたくもなかった。

 いつも恥ずかしいって思ってた衣装のことも気にせずに駆け抜けて、道の真ん中でへたりこんだ。


 ……今は逃げた。でも、あたしはいつになったら向き合えるだろうか。



―27日目終了―



小巻 魔力[44/100]  状態:傷心
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


602 ◆xjSC8AOvWI2021/10/29(金) 00:34:27.97owg+F9HS0 (2/2)

----------------
今回更新はここまで
>>596 ???「余裕こいてベラベラ話した挙げ句逃げられるとか、ホント三流悪役だよねー」

ブチ切れて台無しにしなかったらもう主人公関われないまま計画完遂になりそうなとこでしたけどね。
まあ今まで溜め込んだ分、一発大きく爆発したということで…。
あとは原作で描かれなかった小巻の葛藤とかを描きたいってのもあります

次回は30日(土)18時くらいからの予定


603以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/29(金) 02:29:40.66EuStPG2u0 (1/1)

VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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604以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/29(金) 19:52:35.82x8Jg6WBS0 (1/1)


やっぱりあすみに酷評されてるなw


605 ◆xjSC8AOvWI2021/10/30(土) 21:03:02.288sw4wMDF0 (1/3)

――――――


小糸「お姉ちゃん! ごはんできたってさ! 呼ばれてるよ」

小糸「今日は私も一緒に作ったの。自信作なんだからね!」

小巻「本当に? また塩と砂糖間違えてたりしない?」

小糸「そんな初歩的な間違えそうそう何度もしないよっ! ……たぶん。ちゃんと味見もしたもん」

小巻「冗談よ。今いくから」


 怪我は負ったけど、魔法のおかげで私達はこうして変わりない日々を遅れている。

 ……でもやっぱ、お姉ちゃんはいつもより元気がないように見えた。


小糸(……あれから美国さんのことも話さないし、珍しく凹んでる)

小糸(これを機に少しは丸くなってくれるならいいけど、調子狂うなぁ)


 でも、あの美国さんに命を狙われてたって、私も今でも信じられない。


――――――
――――――


606 ◆xjSC8AOvWI2021/10/30(土) 22:05:47.768sw4wMDF0 (2/3)

29日目



 放っときゃいい、関わらないほうがいいってのはさんざん言われた。

 好きかって言われたらむしろ逆。気に食わなくて仕方がなかった。

 ……でも、なんだかんだで信じてたんだ。


 『いい加減に迷惑だわ。私の邪魔をする貴女たちは“要らない”』

 『おとなしく私に殺されていろッ!」』


 あたしのやってきたことだって、あたしはそれが正しいって信じてきたから――――。


 でもその結果がこれじゃあ、今までのあたしの行動はなんだったの。

 これじゃバカみたいだ。


 ――――チャイムが鳴る。家も学校も何か起きたとこ以外は普段と変わらないし、いつもどおりはやってくる。

 忘れたふりをしてそこに浸かっていれば楽なんだろう。嫌なことを隠そうとするマミや美国みたいに。



 いつのまにか時刻は昼になっていた。あたしは一人教室を抜け出して廊下に出ていた。



小巻「……ねえ、あんたならわかるんでしょ」

小巻「“心臓を貫かれたのにも関わらず死ななかった意味”……って、なんなのよ」


QB「ソウルジェムの身体の関係だね」



 無感情な声が響く。




607以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/30(土) 22:27:56.027025/mCT0 (1/2)

出たなきゅうべぇ。
ここでようやく小巻が魔法少女の真実を知るのか・・・


608 ◆xjSC8AOvWI2021/10/30(土) 23:35:03.518sw4wMDF0 (3/3)


QB「魔法少女の契約って、どういうものだと思う?」

小巻「は……? それはだから、魔法を使えるように?」

QB「そう。“君たちの身体の中から魂を特殊な力として活動できる形に取り出してあげているんだよ”。それが魔力と呼ばれるものだ」

QB「普段戦う時も、今こうして息をしたり喋ったりして動いているのだって、魂が身体に命令を出して動かしてる」

QB「君たちの場合は魂は身体から切り離されているんだから、もちろん身体が致命傷を負っても魔力を使えば生きられるよね」


 わけわかんないと思ったけど、結局最後まで聞いても意味がわからなかった。


小巻「何がもちろんよ……! わけわかんないわよ! そんなの一度もアンタから聞いてない!」

QB「難しい話はしてないはずだよ。僕からしたら君の反応のほうがわからないよ」

小巻「なにを言ってんだって、言ってるのよっ!」


 キュゥべえを力任せにつかもうとして、やめる。

 こんなことしたってなんにもならない。


QB「……いたた、君は力が強いんだから。頭が引き裂けるかと思った」

小巻「聞いておくけど、アンタはちゃんと死んだら死ぬの?」

QB「それも君たちにとっての身体のことかい? もちろん僕は死ぬよ。代わりはあるけど、あまり無意味に傷つけられたくはないんだ」

小巻「代わりですって……」

QB「聞きたいことがそれだけなら僕はもう行かせてもらうよ」


 キュゥべえは猫のような仕草で身軽に高所へと飛び乗った。


小巻「待ちなさい! 本当にそれだけ……?」

QB「……そう言われてもわからないな。まあ聞かれたことには答えるつもりだよ。またわからないことがあったら呼ぶといいさ」



 なんなのよ、これは。

 とりあえずわかるのは、キュゥべえまであたしの知らないことを黙ってたってこと。



「ねえ、ちょっといい?」



 ……屋上まで行くと、鞄片手に声をかけられた。




609以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/30(土) 23:47:33.367025/mCT0 (2/2)

む、誰だろ?口調からしてほむらかな?


610 ◆xjSC8AOvWI2021/10/31(日) 23:31:20.81hSwhX+M00 (1/1)



キリカ「昼、一緒に食べようと思ってさ」

小巻「別にいいけど」



 どうしてこんなとこまで。そう思ったけど、ついてきたわけではないらしい。あたしがここに来たのも思いつきだ。

 キュゥべえとの会話も……聞こえてたならこんなテンションじゃないだろう。


キリカ「小巻もどっかいっちゃったし、私もたまには違うとこで食べてみようかなあって思ってたら行き先にキミがいてびっくりだよ」

キリカ「たまには屋上でってのもいいよね! なんか開放感があってさ」


 そう言ってキリカがフェンスのほうに近づいていく。


キリカ「人は少ないし、景色も見下ろせるし、高いとこにいると特別な存在になった気になる。気がする!」

小巻「はあ…… そうかしら?」


 ……のうてんきだ。正直あまり理解できないけど。


 すぐに見飽きたのかそれから適当に腰を下ろして、鞄の中から弁当を取り出す。

 出てくるのは弁当だけじゃない。お菓子まで並べている。

 あたしも同じように腰を下ろした。


キリカ「たしか前も行き先に迷ったらここにきてたと思う。一人でなにかを考えたいとか」




611以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/10/31(日) 23:36:06.74z8u8iY190 (1/1)

キリカだったか。


612 ◆xjSC8AOvWI2021/11/01(月) 01:12:47.50fb34IcqE0 (1/3)



小巻「それって、思い出せたの?」

キリカ「全部じゃないけど、どんなこと考えてたかくらいは。契約したときも屋上にいたっていうのは聞いてたし」


 ああ、そういえばキリカを最初に見かけたのは屋上だった。

 もうそれもずいぶんと前のことに思えた。あの頃のキリカは何かに悩んでいたんだ。


 あたしもなんとなくここにきたけど、無意識でもそういう思いがあったのかもしれない。


小巻「アンタはさ、あたしは普通じゃない、自分とは違うって言ったわよね」

小巻「もし、自分がよかれと思ってやってきたことが逆効果だったらどうする?」

小巻「全然受け入れてもらえなくて、本当は迷惑だって思われてて、相手は裏で予想もしなかったようなことやってて」


 ……屋上は考えるのにいい場所だなんていうからあたしもこんなことを話し始めたんだろう。

 キリカがお菓子を漁る手を止めた。


キリカ「どうするかって言われたら、落ち込むかなあ。もう無理って思ったら離れちゃうかも」

キリカ「……でも、もしその人とまだ仲良くしたいって思うならとりあえず謝ってみるかな」

小巻「自分は間違ったことはしてないのに?」

キリカ「そうだとしても、正論って弱ってる時には耳に痛かったりするし。そういうときは何かあるんだろうから、正しいだけじゃ簡単に受け入れられないこともあると思う」

小巻「そもそも迷惑ならそうと言えばいいでしょ。どうしてそんなことまで隠すのよ」

キリカ「……なんていうのかな、誰かとぶつかるのって疲れるでしょ。傷つけないようにとか考えたらなかなか言えないんじゃないかな」

キリカ「だから、まずは傷つけちゃったのはゴメンって。……相手の気持ちをわかってあげたら、いつかは受け入れてくれることもあるんじゃないかな?」

小巻「そういうものかしら……」

キリカ「か、考えてみただけだから私だって実際にちゃんと謝れるかはわかんないけどさ。うん、まあそうだと思う」


 マミにも小糸にも、似たようなことは言われてた。でもあのときは聞こうともしてなかった。

 ……相手の気持ち、か。 今までのあたしが理解しようとしてなかった? ただ押し付けようとしていた?




613 ◆xjSC8AOvWI2021/11/01(月) 22:22:50.28fb34IcqE0 (2/3)



キリカ「もちろん相手だって悪いよ。もし謝ってもダメでひどいことしてくるようなら怒っていいと思うし」

小巻「そ、それは当然よ!」


 美国はあたしだけじゃなく小糸まで殺す気だ。一度は……殺されたも同然。

 それに優木とつるんで悪事を働いてたんだ。あれはもう許していい範疇じゃない。


 でも、おかげで少しは気持ちの整理ができた。まずはマミとのことをなんとかしないと。


キリカ「でもやっぱ、そういうことがあって落ち込んでる時でもふさぎこまないでられるのが小巻の強いところだよ」

小巻「……なんでそうなるのよ。こんな話、ただのものの例えじゃない」

キリカ「いや…… 妙に具体的だし、そんなことホントになかったら絶対言ってないじゃん」

小巻「……もう、あたしってそんなにごまかすのが下手?」


 やっぱり慣れないことはするものじゃない。


 キリカはもうひとつお菓子を取り出すと、封をあけて中身をひとつつまむ。

 それを指でもてあそびながら、話し始めた。


キリカ「ちょっと、私の話もしてもいい?」

小巻「……聞くわよ」

キリカ「契約する前のことなんだけど、私が小巻に最初に抱いた印象はただの優等生ってだけだったんだ。正直たいして気に留めてもいなかったと思う」

キリカ「でも、それからほんの小さなきっかけがあって見方が変わって…… 私は小巻を恨むようになった」

小巻「え」


 思わず声を上げた。なにそれ。逆恨みにもほどがある。

 小さなきっかけって。


キリカ「私もそのきっかけまではよく覚えてないんだけど」




614以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/01(月) 22:46:22.40RkoOvamY0 (1/1)

キリカの悩みを「くだらないこと」って言ったことかな?


615 ◆xjSC8AOvWI2021/11/01(月) 23:05:21.00fb34IcqE0 (3/3)


キリカ「嫉妬してたんだ。小巻は強くて堂々としてて、なんでも言えて、おまけに勉強や運動まで出来るクラスの人気者」

キリカ「どうでもいいって思ってたくせに、目を向けてみたら私には眩しすぎて、こういう人には絶対に私の気持ちなんてわかんないんだろうなあって。考える資格もないのに比べてはさらに落ち込んで」

キリカ「そんな醜い自分が嫌になって契約した……んだと思う」

小巻「……なによそれ。私のせいでそんなくっだらない理由で契約したってこと?」

小巻「あたしは覚えてるわよ。転入してからあの日までのアンタとたいして接点もないんだから。たかが小銭拾ったくらいで……」

キリカ「たぶんそれだけじゃなくて、小さなきっかけからそんなこと考えるようになった私にも元から問題はあったんだろうけど」


 卑屈さとか、そもそもの自己評価の低さとか、たしかに端々から伝わってくるものはある。

 あたしがきっかけになったひと押しがなかったとしても、遅かれ早かれ…… だったのかもしれない。


キリカ「契約してからは小巻に対しての印象も『ただの優等生』に戻ってたんだ。ヘンな意味じゃなくて単純にすごいなぁって感じ」

キリカ「でも、仲間とか友達として接するうちにまた同じようなことを思いはじめて、そうしてるうちに思い出したんだ」

小巻「嫉妬…… ってやつ? 今も?」

キリカ「……そうだね。羨ましいと思う。私は契約してからイライラして周りに当たっちゃったし、今でもなかなか前向きになんてなれないからさ」

キリカ「結局、本当はそこまで変わってなかったんだよ。喜んでいいのかわかんないけど、ちょっと安心した気分っていうのかな?」

小巻「あのね、みんなあたしのこと強い強いって言うし確かにそうなのかもしれないけど、とりあえずあたしはちょっと今傷ついたわよ! そんな風に思われてたなんて」


 なんでどいつもこいつも思ってることを隠すのか。面倒くさいったらありゃしない。

 溜め込むからどんどん膨らんでそのうち大変なことになるんだ。


キリカ「ご、ゴメンって。ほらいっこあげるから! 今ならお弁当のおかずもひとつつけちゃう!」

小巻「じゃあ許してあげるから、好きなの選ばせなさいよ?」


 お話をそこそこに、弁当を広げて食べ始める。昼休みもあまりゆったりしてると時間がなくなってしまう。


キリカ「今は少し前向きになれたよ。キミが言ったとおり、残りの記憶もなんかきっかけがあればそのうち思い出せそうだよね」

小巻「……それならよかったわね」



 あたしだって落ち込んでるわけにもいかない、か。





616 ◆xjSC8AOvWI2021/11/02(火) 00:02:18.78P5tv3Xsx0 (1/3)



 ――――屋上から戻ると、マミにテレパシーを送った。放課後になったら話そうって。

 案の定返事はかえってこなかった。会っても無視して逃げようとするかもしれない。

 それでも、テレパシーだったら一方的にでも送ることは出来る。


 今度こそちゃんとマミとも話す。まずは謝るだけでも、聞いてさえいてくれれば。

 ……この前は意地を張ったけど、あたしはマミとの関係はこれで終わりにしたくないから。


 ガラス張りの壁越し、教室の外に鞄を持ったマミの姿が見えた。

 もうチャイムも鳴ってしばらく経つ教室は静かだ。こっちに来るわけではない。

 それどころか教室の前を横切って遠ざかっていく。帰る気だ。早退までして逃げる気だろう。


 もともとろくに聞いてなかった授業をすっぽかしてあたしも追った。


 あたしはやっぱり優等生なんかじゃない。美国じゃないんだから、そんな称号は似合わないみたい。


小巻「待ちなさいよ!」

小巻「あたしは違うけど、アンタは優等生なんでしょ」

マミ「……」




617 ◆xjSC8AOvWI2021/11/02(火) 00:13:20.85P5tv3Xsx0 (2/3)



小巻「テレパシーじゃ言った気がしないからもう一度言うわ。この前は悪かったわよ。あたし、マミの気持ちを考えてなかった」

マミ「どうしてあなたが謝るのよ」

小巻「あたしだって素直じゃなかったからよ。自分は間違ってないからって、考えを押し付けることしかしてなかった」

小巻「今思えば、それだって正しいとはいえないわよね。それで傷つけてるんだから」

マミ「……もういいわ。私だって今までは似たようなことしてきたもの」

マミ「自分が間違ってないからって、それを盾にして人に押し付けてきた」

マミ「それなのに、いざ自分が困ったらこれだものね。気づいたのはこの前、浅古さんと話した時よ。……私も佐倉さんに言われたのと同じ言葉を言ってたの」


 佐倉との間にあったこと。この前もその片鱗には触れた。

 ……あたしは詳しくは知らないけど。


マミ「気づいたら私は一人になっていた。同じ考えを持って友達になれたのは浅古さんだけだったのに」

小巻「……それならどうしてまだ逃げようとするのよ」


 マミはまだこっちに顔を合わせようとはしない。このまま一人で去ろうとするつもりだ。


小巻「ねえ、もう問い詰めないけどさ。マミが知ってることって、身体とソウルジェムのことなの?」




618 ◆xjSC8AOvWI2021/11/02(火) 00:16:06.94P5tv3Xsx0 (3/3)

-----------------------
今回更新はここまで
次回は3日(水)20時くらいからの予定


619以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/02(火) 00:19:26.58TlPfvRNB0 (1/1)

乙です。

とうとうその話が来ますか・・・
マミは織莉子から聞いて魔女化のことは知ってそうだけど。


620 ◆xjSC8AOvWI2021/11/03(水) 21:19:15.31xw+75fck0 (1/3)


マミ「なんで、どこでそれを知って……――」


 やっとあたしのほうを向いた。マミこそこんなのどこで知ったんだろう。


小巻「このまえ美国と揉めちゃってね。その時に知ることになったのよ」

マミ「そう…… 美国さんと」

小巻「アイツもこのこと知ってたみたいだった。アイツはあたしと小糸を殺そうとしたの。まだ、狙ってると思う」

マミ「……!」



 マミの顔はまだ思いつめた顔のまま。でも、予想もしなかったものに驚くって反応ではなかった。

 ――――……今日はこのまま学校を早退して、久しぶりにマミの家に行くことになった。


 ……そこであたしは、さらに知らなかった話を聞くことになった。



小巻「……まさか、キュゥべえはそんなことまで隠してたの」

マミ「……ええ」

小巻「確かにあたしもまだ何かあるんじゃないかとは思ってたけど……!」

小巻「それって、つまり、ソウルジェムが濁りきればあたしたちは魔女になるってことでしょう?」


 マミは静かに頷く。

 あたしは激情を隠せない。そんなこと簡単に受け入れられない。マミはもう受け入れちゃったってこと?


 そこからは、今まで貯めてたものを吐き出すように淡々とした話が続けられた。




621 ◆xjSC8AOvWI2021/11/03(水) 22:00:51.01xw+75fck0 (2/3)



マミ「魔法少女は危険を産む。美国さんは最悪の事態を防ぐために行動しているの」

マミ「これから先の未来に世界を滅ぼす魔女となる少女がいるんですって。美国さんの魔法は未来を視ることができるのよ」

マミ「その少女と、その子を護る存在を消すことが美国さんの計画……キュゥべえに気づかせないために、『目を引く』事件も利用したわ」

小巻「……優木のこと?」

マミ「ええ。それが優木さんと組んだ理由ですって。魔法を使うのにグリーフシードが不足しがちだというのもあったようだけどね」


 確かに美国は『計画』だとか『世界のため』とか言っていた。

 あのときは余裕もなくて気にしてなかったけど。


 ……ひととおり吐き出すと、マミは力なく沈黙してしまった。


小巻「マミはそれに協力してんの?」

マミ「ええ。だって、世界の危機ですもの」

小巻「そのために人を殺すの? 魔女になるって人だけじゃなく、なんの関係もない人たちまで大勢巻き込んだのよ」

小巻「アンタは街の平和を守るために魔法少女やってたんじゃなかったの?」

マミ「そんなのまやかしよ」

マミ「私は何も知らなかった。でも、魔法少女が魔女になるなら。……それに、街よりも世界の平和のほうが大きいじゃない」

小巻「だから仕方なかったって言いたいわけ……?」



1目を覚ましなさいよ
2そんなこと考えて苦しんでるの?
3自由安価

 下2レス


622以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/03(水) 22:40:40.24aW4FpeAo0 (1/1)

1+3
まずは魔法少女の真実を話してくれた事に礼を言う。
そのあと怒るがマミに落ち着いてもらおうとこれからの事を話す。

真実を話してくれた事には礼を言うわ、キュウベェを許す気はないし魔法少女の真実にしても色々とショックなのは事実よ。
でもね、だからと言って人殺しをするなんて同意は出来ない。
私たちはまだ人間なのよ!?なのに自分から呪いを振りまいてどうするのよ!それこそ魔女そのものじゃない!

だいたい美国の言う未来予知だなんて不確定なものでしょ!
私と小糸を殺そうとしたくせに失敗して今こうして私とマミが話してる事自体おかしいし!
また正論でだとか言うつもりはないけど、魔法少女の使命だとか魔法に振り回されて自分を見失ってどうするのよ!

正直私だって不安よ。考えなきゃいけないことがありすぎて頭がパンクしそうよ。
だから一緒に考えていきましょうよ、悩んで泣きそうになったら私やみんなを頼ってよ、友達なんだから。


623以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/03(水) 22:52:16.64SuNZXvJ8O (1/2)


追加でマミが賛同してくれたらキリカや杏子達も呼んで事情を話して強力を要請する


624以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/03(水) 23:42:18.27SuNZXvJ8O (2/2)

あ、強力じゃなくて協力だった


625 ◆xjSC8AOvWI2021/11/03(水) 23:55:10.63xw+75fck0 (3/3)



 ソウルジェムのことにも驚いたけど、マミから聞いた話は予想の斜め上をいっていた。

 美国もマミもそんなことで悩んでたんだ。


 もう自分の考えを押し付けることはやめる。

 それでも、あたしはこれからも自分が正しいと思ったことは大事にしたい。自分をごまかして納得させたくはない。


小巻「目を覚ましなさいよ! 本当に本心からそう思ってるの? あたしは仕方ないって言葉が一番キライなの」

マミ「正しいとは思わないわ。最低よ。でも優木さんのことはもう過ぎたことよ」

小巻「それだけじゃない。魔女になる少女のことだって。ソイツもあたしたちもまだ人間なのよ」

小巻「話してくれたことはありがとう。でもあたしは協力する気はないわ。人殺しなんて賛同できない」

マミ「……それなら、世界が滅んでもいいというの?」


 マミの目は暗く、しかし覚悟を決めた目をしていた。


マミ「綺麗事でどうにかなることじゃない。もう時間もあまりないの」

小巻「でも……あたしはやりたくない」

マミ「……わかったわ。それがあなたの考えね。それならもう何も言わないわ。私が話したのは、ただ、吐き出したかっただけだから」


 マミの考えが変わることはなかった。

 最悪美国みたいに敵対するのかもしれない。ショックだけど、今はこれしか道はないのだろう。




626 ◆xjSC8AOvWI2021/11/05(金) 21:13:34.69AH3Zwdu+0 (1/7)



 予知が使えるとはいえ、美国が予想してなかったことはいくらでもある。


 何もしなくても世界が滅ぶって決まったわけじゃないが、その素質があることは確定事項だ。

 逆に早まることだってありえるんだから、殺すよりも確実な方法を考えなきゃきっと納得はさせられない。


マミ「……今日はありがとう。少しだけ、話せたおかげで吹っ切れたわ」

小巻「それはお互い様よ」

マミ「私、佐倉さんにも今までのこと謝ってくる。今ならできる気がするの」


 そう言うマミの顔は、まだ影があるものの少しだけ晴れやかな表情をしていた。

 でも、それが良い意味なのかがわからない。今のうちに未練をなくして、どこかへ行こうとしているようにも見えて。


小巻「……ねえ、私は美国と戦うわ。もしあたしが勝って、マミがまだ悩んでるならあたしにも協力してよ」

マミ「え?」

小巻「一人じゃ頭がパンクしそうだし、一緒に考えてほしいのよ。殺さなくて世界も救える他の方法、ってやつを」

マミ「そんな方法……」

小巻「やっぱり綺麗事、だと思う? でもそれって、美国から聞いてその覚悟を決めたからでしょ?」

小巻「もしマミが一人で考えたとしたら、他のことも考えたんじゃない?」

マミ「……」


 マミは答えなかった。ただ、思いもしなかったことを聞いたような顔をしていた。

 殺せば確実に世界は救える。それはそうなのかもしれない。



 でも、その考えを突き進んで暴走した結果があの美国だとしたら。成功してもやっぱり悪い方向にしかいかないような気がして。



 ――――帰宅すると、自分のソウルジェムを確認する。

 ……あんなこと聞いて、あたしだって動揺してる。それに美国とのことも覚悟を固めなきゃいけない。



 すでに魔力の残りは少なくなっていた。さほど気にしていなかったが、この宝石が濁り切れば今度こそ本当に死ぬ。魔女になる……。

 そう思うとゾッとした感覚が沸き起こった。


 グリーフシードを手に取り、浄化して指に戻した。



―29日目終了―



小巻 魔力[100/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


627 ◆xjSC8AOvWI2021/11/05(金) 22:17:50.94AH3Zwdu+0 (2/7)

――――――
30日目



小巻「行ってくるわね」


 朝、小糸に見送られながら家を出る。


 一人の時に狙われたら困るから、小糸には昨日から学校を休ませてた。

 でも、こんな状態を長く続けるわけにはいかない。……向こうはまだ相変わらずいつもどおりの生活を送ってるんだろうか。



 登校してみると、いつもより少し廊下が騒がしいことに気づいた。

 その中心に目を向けてみる。すると、そこにはずっと考えてた姿があった。


 周りの生徒からは浮いた赤い制服。まるで転入したての頃のあたしみたいに。



美国「おはよう、小巻さん」


 美国はあたしに気づくとなんでもなさそうに挨拶をしてきた。


小巻「アンタ、なんでここに!」

美国「もう向こうへ行く必要が無くなったから、貴女のお勧めどおりにしてみたのだけど」



 次会う時はまたこの前みたいな殺し合いになるもんだと思ってたから、こんなところで普通に話しかけられるなんて思ってなかった。

 あたしが勧めた時はあんなに渋ってたのに。


 ……『必要がなくなった』? それってどういう意味なのか。




628 ◆xjSC8AOvWI2021/11/05(金) 22:20:58.83AH3Zwdu+0 (3/7)

---------------------------------------------------
どうでもいいけどなぜかここだけ名字表記になっとる…


629以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/05(金) 22:31:09.11jnITK1w+0 (1/2)

まさか織莉子は2人いたとか?
メガほむ編の時みたいに盾の中に入れてきたとかw


630 ◆xjSC8AOvWI2021/11/05(金) 22:40:47.05AH3Zwdu+0 (4/7)



小巻「アンタ……まさかとは思うけど、この前のこと忘れたとか言わないわよね」

織莉子「ええ、覚えてるわよ」


 怒気をにじませる。

 何も知らなかったときからすればあたしの思い通りになったはずだけど、こんなんじゃ納得がいかない。


織莉子「……でも今ここで戦うわけにはいかないでしょう? 教室へお行きになったら?」


 美国はあたしの怒りを手慣れたようにふわりと躱す。しかしもう怒りの気配すら隠さなくなっていた。


 何考えてるんだかわからないけど、どうやら心の準備をする暇すらくれなかったらしい。

 コイツとは今度こそ、殺してでも正面から向き合って決着つけてやるって決めてた。


 ……それをこんなわけのわからない鉢合わせ方して、普段どおりに教室に行けって?



1逃げる気なの?
2放課後は待ってなさい
3アンタの考えてたことはもう知ってるのよ
4自由安価

 下2レス


631以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/05(金) 22:51:54.66jnITK1w+0 (2/2)

4あえて織莉子を無視してマミが言ってた『世界を滅ぼす魔女となる少女』と『その子を護る存在』について考える。

あれだけの事をしていながら何よあの余裕ぶった態度・・・
今見滝原に転校してきたって事は例の少女とその守護者ってのがここに居るってことかしら?
マミとキリカ以外の魔法少女といったら暁美しかいないじゃない・・・
すぐに暁美に警告のメールして連絡が来たらキリカと情報を共有しないと。



632以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/05(金) 22:57:47.687ww2EuXVO (1/1)


追加でマミが登校してるかどうかを確認
ほむらと連絡が取れたらその時GSに余裕がないかどうか聞く


633 ◆xjSC8AOvWI2021/11/05(金) 23:21:52.04AH3Zwdu+0 (5/7)



小巻「仕方ないから今はそうするわよ」


 納得はいかないが、ここで戦うわけにはいかないのは事実だ。

 コイツのことは見なかったことにして教室に向かおうとする。そこで、すれ違いざまに美国が言った。


織莉子「……それと、マミに余計なことを吹き込んで惑わせないで。マミは私の友達よ」


 いったんは視界から消すことに決めた美国を一瞬見やると、鋭い眼光がこちらを睨んでいた。

 どっちのセリフだ。

 ムッとしたものの、今はそれも無視することにした。決着をつけるなら後。


 教室の自分の席につくと、そこでも美国は話題になっていた。


*「ねえ今朝さ、前の小巻と同じ制服着てる人いたよ。同じ学校から来たんだよね? 見た?」

*「小巻と知り合い?」

小巻「ええ。……会いたくなかったわ」

*「え? 仲悪いの?」

小巻「悪いけど、この話はここまでにしてくれる?」


 そう言うと、質問攻めにしてた子たちも何かを感じ取ったのかあっさり引いてった。


 ……いつのまにかあたしにも踏み込まれたくない領域ができてることに気づく。

 争いに関わらせたくないからってのもあるけど、知らない人にあたしたちの問題について触れられたくない。




634 ◆xjSC8AOvWI2021/11/05(金) 23:45:06.10AH3Zwdu+0 (6/7)



 考え事の世界に没頭していく。


 なんで美国は今更。内心煮えたぎってるくせに余裕ぶった態度してるし。

 ……昨日言ってた人たちを狙って?


 マミの話を聞いてから“少女”と“守る存在”とやらのことは考えたなかったわけじゃない。

 あたしたち以外の魔法少女っていったら一人しか浮かばない。


 教室を見回すとキリカの姿は見えた。ちょうど今来たとこみたいだった。それとマミは?


キリカ「おはよー」

小巻「おはよう。マミってもう来てるかしら?」

キリカ「え? わかんないけど、見に行く?」

小巻「ええ」


 もう一度席を立ち上がる。

 事情を知らないキリカは少し不思議そうな顔をしてるものの付き合ってくれた。


 二人でマミの教室の前まで行くが、そこに姿はなかった。

 ……何かまずい予感がする。どうして美国が今になって渋ってた行動を起こしたのか。

 それってつまり、渋る要因がなくなったってことだ。


 暁美にも連絡しないと。




635 ◆xjSC8AOvWI2021/11/05(金) 23:56:37.17AH3Zwdu+0 (7/7)



キリカ「どうかしたの?」


 マミが来てないことを確かめて、暁美にメールを送ったところでキリカが聞いてきた。

 キリカにも少しは事情を話したほうがいいかもしれない。でも、どこまで。



1美国がおそらくこの学校の生徒を狙ってる、ということだけ
2ソウルジェムの真実から全部話す
3自由安価

 下2レス


636以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 00:17:57.95CNTxFS980 (1/7)

うーん、難しい選択ですねぇ・・・
どっちにしろ戦闘になったら織莉子がバラしそうだし2かな?
話す時マミに話した時のように話す。


637以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 00:24:06.32CNTxFS980 (2/7)

あ、途中送信・・・

キリカ、今は混乱すると思うけど私も昨日から同じよ。
だからよく聞いて。とにかく生きる事を考えましょう、一緒にね。
魔女になっててしぬのも交通事故で死ぬのも一緒よ、人間どうせいつかは死ぬんだから。
ならせいぜい足掻いていきましょう!あんたもまだ沢山甘いもの食べたいでしょ?

安価↓


638以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 00:29:29.82L7I6Z1v1O (1/3)

せめてヒントが欲しかったけど安価↑
追加で小糸にも連絡して応援に来てもらう


639 ◆xjSC8AOvWI2021/11/06(土) 00:47:07.35aH3pf+d90 (1/7)



 ……ソウルジェムの真実から今の状況を全部話した。

 かなり時間が経ったようだ。話し終えたところでチャイムが鳴る。


小巻「……いきなりこんなこと言われても困るわよね。混乱するわよね」

小巻「でもそれはあたしも同じよ。今は生きることを考えればいいの。やりたいことだってまだあるんだし……キリカも甘い物食べるとかさ」

キリカ「う、うん…… でもなんかまだ突然すぎてちょっと」

小巻「戻りましょうか……」


 二人で教室に戻った。

 いつものようにホームルームで担任の話を聞く。小糸も今は家にいるだろうし、後で連絡をしておこうか――。


 ホームルームの途中で、先生の声を遮るようにスピーカーから緊急の放送が流れた。


 『全校集会』を開くそうだ。至急体育館に集まって欲しいらしい。



小巻(嘘、これってまさか…………)



 遅かった。今まで何にどうやって阻まれてて、どう解決したのかは知らないけど、こうして行動に起こしたってことはもう準備は整っていたんだ。


 みんなと一緒に場所を移動すると、学校には警察の人まで来ていた。

 そしてついに校内で生徒の死体が発見されたと校長の口から聞かされることになる。


 体育館を見回してみれば、ひときわ目立つ違う色の制服――美国が何食わぬ顔をして生徒の中に混じっていた。





640以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 00:55:47.76CNTxFS980 (3/7)

あれま


641以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 00:59:37.84L7I6Z1v1O (2/3)

預かり知らぬところで状況が動いてしまったか


642 ◆xjSC8AOvWI2021/11/06(土) 01:04:37.88aH3pf+d90 (2/7)

-------------------------------
今回更新はここまで  …はい、多分もう終盤ですがルート分岐しました。
今回QBにもばれてなく協力者は万全なうえ戦力も高いので、騒ぎ起こしたり捨て身のようなことをせずともこっそり暗殺できちゃうんですね

次回は6日(土)19時くらいからの予定


643以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 01:08:41.16L7I6Z1v1O (3/3)


これはBADだなぁ


644 ◆xjSC8AOvWI2021/11/06(土) 21:04:05.04aH3pf+d90 (3/7)

――――――



 リボンで括られた手の先に掴む銃は弾切れ。その身体にはいくつも糸とリボンがつなげられていた。

 暁美ほむらは、それでもその瞳に湛える鋭さだけは衰えなかった。


 しかしそれを聞いた瞬間、その光もついに失われる。


マミ「私の仲間が鹿目まどかを殺したそうよ」

ほむら「……嘘。どうせ嘘よ!」

マミ「私の役目は足止めだけ。あいにくと、すぐにバレる嘘をつく必要もないの」

マミ「あなたはキュゥべえからも鹿目さんを守っていた。でも貴女を放っておくことは世界を滅ぼすことにつながる」

マミ「そうしたら、私のせいだもの。やっぱり私にはそんなことはできないわ」

ほむら「さっきから何を言っているの。私はそんなことをしたいわけじゃない! 私はただ……」

マミ「したくなくても、そうなっているの。鹿目さんの素質は世界を滅ぼすのだから」

マミ「いったいどうしてこうなったの? 貴女はこれからどうするつもりなの?」

ほむら「――――……」




マミ「これからも同じことをまだ続けるのだとしたら、それを許しておくことはできない」




――――――


645 ◆xjSC8AOvWI2021/11/06(土) 21:18:57.39aH3pf+d90 (4/7)



 全校生徒がざわめく中、この日はすぐに下校となった。

 捜査のために一般生徒は校内も立入禁止だ。今のところは死因について、詳しいことは何ひとつ話されることはなかった。

 発見されたのは監視カメラもない廊下の隅。証拠らしい証拠も残っていないのかもしれない。


 でも、あたしにはもうわかっていた。


小巻「……あんたがやったんでしょ?」


 美国の背中に言葉を投げかける。

 すると足を止めて振り返った。


織莉子「ええ、そうよ」


 そして、あっさりと認めた。


織莉子「これで世界は救われたの。今ここにいる人たちみんなが助かったわ。それでも貴女は私のことを責めたいの?」

小巻「アンタのやったことが正しいとは思わないけど、そのことはもういいわよ。結局まだアンタと違う方法ってのも思いつけてなかったしね」

小巻「でも責めたいことならたくさんあるわ! あたしももうアンタから逃げるなんてしない!」

織莉子「そう」

小巻「来なさい! 今度こそ決着をつけてやる……!」



 “少女”のことは世界まで関わるような壮大な話だ。

 でもここからのことは、あたしとコイツだけの問題だ。誰も巻き込まなくていい。




646以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 21:30:37.01CNTxFS980 (4/7)

うーん、状況的にほむらはマミにやられちゃったくさいなぁ・・・
どうなるんだこれ?


647 ◆xjSC8AOvWI2021/11/06(土) 21:39:49.22aH3pf+d90 (5/7)



 ――――場所を移す。人気のあるところを離れて、二人きり。


小巻「もう遠慮なんてしなくていいのよ。今日は本気でくるアンタをぶっ倒してやるんだから。じゃないと面白くないしね」

小巻「アンタの本性なんてもう知ってるんだから」

織莉子「いいでしょう。この間の続きをしてあげる……!」



 今度こそ汚い不意打ちもなし。どちらも戦闘態勢に入った。



小巻 魔力[100/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス


648以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 21:53:30.47CNTxFS980 (5/7)

なんか勝ち目はなさそうだが1


649以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 22:05:02.3859raNYigO (1/1)

怒っているときこそ慎重に
守りを固める感じで1


650 ◆xjSC8AOvWI2021/11/06(土) 22:34:48.59aH3pf+d90 (6/7)



織莉子「後悔してももう遅い!」

小巻「そっちこそ!」


 叫び声。それと同時に迸る魔力、攻撃。


小巻「っ……!」


 この前よりも魔力の込められた水晶は半端なガードでは破られかねない。

 前方から広範囲に打ち付けられる攻撃に、大きな盾を構えた。


 出し惜しみなしの全力だ。確かに魔力をふんだんに使えるってのはでかい。


小巻「そうやって、最初から怒ってればよかったのよ」

小巻「ずっと澄ましてたけどアンタも内心はずっと怒ってたんでしょ?」

小巻「当然よね? ムカつくようなこと散々言われてるんだもの。それでムカつかないわけないものね」

織莉子「何が言いたいの?」


 力強く斧を振り上げる。


小巻「アンタだってあたしと同じで大人なんかじゃなかったってことよ!」

織莉子「一緒にしないで! 誰が貴女なんかと!」

小巻「そうね、じゃあまともな怒り方も知らないで育った厄介な子供ね!」



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5



651以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 22:41:15.54GMgYDGylO (1/2)





652以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 22:50:17.67CNTxFS980 (6/7)



55、ほぼ互角ってことかな?
膠着したらGSないからキツいなぁ・・・


653 ◆xjSC8AOvWI2021/11/06(土) 23:24:07.97aH3pf+d90 (7/7)

55


 刃が力強く地面を削った。

 今度こそ、刃はちゃんとその姿を捉えていた。でも躱される。


 たとえこっちの準備が万全だったとしても、相手には魔法がある。攻撃が予測されてるんだから。


小巻(長引かせちゃいけない!)


 力を緩めずに斧を振るって水晶を砕き、食らいつくように近付こうとする。

 しかし一定の距離を保ったまま攻防が続き、届くことはなかった。


 呼吸が乱れはじめている。盾を構えて守りの体勢を取り、いったん息を整える。


織莉子「無茶な動きをするじゃない。重いもの振り回して。諦めてしまえば楽になれるわよ?」


 まだ余裕綽々の様子だ。武器や魔法の違いもせいもあるが、あたしとは対照的に最小限の動きしかしてない。

 もっとも、軟弱そうなコイツに心配されることなんてないけど。


小巻「アンタはこれからどうする気? 人を殺して、世界を救って。で、その救世主様は今はこんなところで怒りを撒き散らしてる」

小巻「全然満足そうに見えない。それとも、あたしと小糸を殺せば満足するのかしら?」

織莉子「そうよ。私の目標は達成できた。あとは貴女達を殺せれば満足だわ」


 どこまで本当なんだか。あたしの心配はたしかに見当違いだった。

 でも、理由は違っても、あの日上の空になるほど悩んでたことは変えようもない事実だった。



小巻 魔力[90/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス


654以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 23:40:30.85GMgYDGylO (2/2)

無駄に攻撃をしないように>>649をもう一度


655以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/06(土) 23:44:19.63CNTxFS980 (7/7)



焦ったら駄目な感じだからなぁ・・・勝ち目がみつからないけど。


656 ◆xjSC8AOvWI2021/11/07(日) 00:10:48.38w0XzH/SZ0 (1/12)

守りの姿勢(50固定)


 隙を作らないように攻撃を耐える。

 動いたらそのぶん隙ができる。あたしはまだ守りの体勢をとけないでいた。


 でもこれじゃ、相手の隙もできない。

 このままの状態が続けば魔力の差でこっちが押し負ける。

 向こうの動き方がどうでも、あたしとコイツじゃ戦い方が違う。あたしが読み合いで勝てることなんてないのだから。



小巻 魔力[85/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス


657以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 00:18:21.44pzO9TK7m0 (1/10)

前回の戦いの際に気づいた自分の『守る力』を攻撃に使えないかと考えて1


658以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 00:24:39.87kXx0/db2O (1/3)




659 ◆xjSC8AOvWI2021/11/07(日) 00:47:48.57w0XzH/SZ0 (2/12)

あまり良い案が思いつかなかったので安価
--------------------------------------


1盾を構えたまま突撃
2他になんか戦術(自由安価)
3普通にコンマ判定する

 下2レス


660以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 00:58:42.84pzO9TK7m0 (2/10)

2
まどマギは想いが魔法の力になるみたいだから、

『ここで負けると小糸が殺される、小糸は絶対に守る!』

みたいな決意して盾を構えて突撃+小糸の武器みたいに盾の影から短くしたハルバードでブッ刺すとかどうでしょう?


661以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 01:02:14.54kXx0/db2O (2/3)


お姉ちゃんパワー?
もう織莉子のことで悩むより小糸の事考えた方が小巻らしいかな?



662 ◆xjSC8AOvWI2021/11/07(日) 01:31:33.15w0XzH/SZ0 (3/12)



 準備万端かって言われたら完璧じゃない。でももう覚悟は決めた。こんなところで二の足踏んでるわけにはいかない。


 いちかばちか、盾を構えたまま突撃してみた。

 ……ダメだ。斧を振るうよりもリーチがないんじゃ届かない。

 ただでさえ手の内は丸見えなんだから、小手先の工夫じゃ通用しないんだろう。



 結局のところ、あたしはあたしの戦い方を活かすしかないわけだ。



 盾もあるけどちょっとくらいの怪我は気合で耐える。

 あたしはもう、この身体に命がないことを知ってる。美国のほうは既にその覚悟をしているはずだ。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

・そろそろ拮抗以下だとまずいかも…

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5


663以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 01:36:57.20OnEZTd1Q0 (1/1)

とつげき!


664 ◆xjSC8AOvWI2021/11/07(日) 01:48:38.48w0XzH/SZ0 (4/12)

-------------------------------------------------------
あ、相手クリット…今回は運が悪かったということでまた次に戦闘やり直しですね(白目)
次回は7日(日)19時くらいからの予定


665以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 09:26:39.58kXx0/db2O (3/3)

オワタ


666 ◆xjSC8AOvWI2021/11/07(日) 21:00:05.39w0XzH/SZ0 (5/12)

21(劣勢:相手クリティカル)


 力を込めて勢いをつけて、叩き込みに行く。

 相手のペースに飲まれてちゃいけない。どうせここで踏ん張らなければ疲弊する一方だ。


 向こうも本気なら、こっちも全力をぶつけよう。大事なものを守るために。


小巻「……さぞ迷惑だったんでしょうね。あたしのやってきたことはアンタからすれば邪魔なことばかりだった」

織莉子「やっと理解したの?」

小巻「これがアンタのやりたかったことなのよね? そのためにずっと悩んで、殺して……!」


 避けられては、すかさず踏み込む。飛んでくる水晶は見極めて防ぐ。

 魔力と魔力がぶつかり合って火花を散らす。


 でも、コイツがこうまでして守りたいものって、ただの意地? プライド? ――そう思うと、悔しさがこみ上げた。


 その悔しさは、自分に対してもだった。

 美国のこと気にしておきながら、あたしも意地を張っていた。


小巻「アンタの気持ちなんかあたしが知るはずもなかったけど!」

織莉子「どうせわからないわよ。貴女には」


 冷たく、諦めたような口調で突き放される。

 少し前までのあたしじゃ聞いたところで理解しようとすることもできなかったかもしれない。


 それでも。




667 ◆xjSC8AOvWI2021/11/07(日) 21:22:59.64w0XzH/SZ0 (6/12)



 決着は近づいている。



 知ってたって避け続けられるわけじゃないし、逃げ続けられる場所も無限にあるわけじゃない。

 迫り続け、少しずつ後退していった先のその背には壁が近づいている。


 もう迷わない。最後まで全力で斧を振り抜いた。



小巻「ッ……――――!!」



 ――――あたしの刃が届くことはなかった。奇妙に力が抜ける感覚がして、倒れ込んだ。

 まだ言ってやりたいことがあったのに。



*どこからコンティニューする?*

1>>637(戦闘開始)
2>>653(戦況:拮抗)
3>>656(戦況:拮抗、最後の安価)

 下2レス


668以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 21:36:39.31pzO9TK7m0 (3/10)

あああ・・・ゲ-ムオーバーか・・・
とりあえず2で。


669以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 21:42:37.74cs/NQvGjO (1/1)

3


670 ◆xjSC8AOvWI2021/11/07(日) 22:04:43.09w0XzH/SZ0 (7/12)

------------------------
 やり直し >>656
------------------------
守りの姿勢(50固定)


 隙を作らないように攻撃を耐える。

 動いたらそのぶん隙ができる。あたしはまだ守りの体勢をとけないでいた。


 でもこれじゃ、相手の隙もできない。

 このままの状態が続けば魔力の差でこっちが押し負ける。

 向こうの動き方がどうでも、あたしとコイツじゃ戦い方が違う。あたしが読み合いで勝てることなんてないのだから。



小巻 魔力[85/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス


671以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 22:12:47.96RVwhSFsfO (1/1)

安価↓


672以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 22:14:25.40pzO9TK7m0 (4/10)

もう一度>>660な感じで1


673 ◆xjSC8AOvWI2021/11/07(日) 22:24:25.46w0XzH/SZ0 (8/12)



 準備万端かって言われたら完璧じゃない。でももう覚悟は決めた。こんなところで二の足踏んでるわけにはいかない。


 いちかばちか、盾を構えたまま突撃してみた。

 ……ダメだ。斧を振るうよりもリーチがないんじゃ届かない。

 ただでさえ手の内は丸見えなんだから、小手先の工夫じゃ通用しないんだろう。



 結局のところ、あたしはあたしの戦い方を活かすしかないわけだ。



 盾もあるけどちょっとくらいの怪我は気合で耐える。

 あたしはもう、この身体に命がないことを知ってる。美国のほうは既にその覚悟をしているはずだ。



 下1レスコンマ判定 戦況
0~(劣勢) < 99(優勢)

・そろそろ拮抗以下だとまずいかも…

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5


674以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 22:25:04.670DQAA6gXO (1/2)





675以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 22:25:14.95pzO9TK7m0 (5/10)

こんどこそ!


676以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 22:26:55.770DQAA6gXO (2/2)

ありゃ、>>675なら勝ってたな


677 ◆xjSC8AOvWI2021/11/07(日) 22:36:20.76w0XzH/SZ0 (9/12)

68


 力を込めて勢いをつけて、叩き込みに行く。

 相手のペースに飲まれてちゃいけない。どうせここで踏ん張らなければ疲弊する一方だ。


 向こうも本気なら、こっちも全力をぶつけよう。大事なものを守るために。


小巻「……さぞ迷惑だったんでしょうね。あたしのやってきたことはアンタからすれば邪魔なことばかりだった」

織莉子「やっと理解したの?」

小巻「これがアンタのやりたかったことなのよね? そのためにずっと悩んで、殺して……!」


 避けられては、すかさず踏み込む。飛んでくる水晶は見極めて防ぐ。

 魔力と魔力がぶつかり合って火花を散らす。


 でも、コイツがこうまでして守りたいものって、ただの意地? プライド? ――そう思うと、悔しさがこみ上げた。


 その悔しさは、自分に対してもだった。

 美国のこと気にしておきながら、あたしも意地を張っていた。


小巻「アンタの気持ちなんかあたしが知るはずもなかったけど!」

織莉子「どうせわからないわよ。貴女には」


 冷たく、諦めたような口調で突き放される。

 少し前までのあたしじゃ聞いたところで理解しようとすることもできなかったかもしれない。


 それでも。



小巻 魔力[80/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス


678以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 22:43:53.50pzO9TK7m0 (6/10)

思い切って2で勝負。


679以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 22:49:03.62u2OiGOD3O (1/1)

まだ1


680 ◆xjSC8AOvWI2021/11/07(日) 22:57:27.00w0XzH/SZ0 (10/12)






 下1レスコンマ判定 戦況
勝敗結果決定:75

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5


681以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 23:00:39.71pzO9TK7m0 (7/10)

お願い!


682以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 23:01:42.93pzO9TK7m0 (8/10)

あああ、3足りない・・・


683 ◆xjSC8AOvWI2021/11/07(日) 23:24:59.72w0XzH/SZ0 (11/12)

73(拮抗継続→粘り負け)



 ……。


 もう迷わない。あたしは最後まで全力で振り抜いていた。でも攻める隙が見つからなかった。

 きっと相手だってそうだった。……結構やれてたと思ってたのに、魔力がなくなってくると身体までうまく動かなくなってくる。


 これ以上は続けられない。


小巻「……残念だわ。こんなことになるなんてね」

織莉子「もう負けを認めるの?」

小巻「もう魔力ないし」

織莉子「そのようね」

小巻「あたしは魔女にはならないから。まあでも、言いたいことは言えたわ。どのみちどっちかは死ぬんだものね。その前に」

織莉子「……」



 せっかく勝てたというのに、あたしの言葉を聞いた織莉子はとても不満足そうな顔をしていた。



*どこからコンティニューする?*

1>>637(戦闘開始)
2>>653(戦況:拮抗)
3>>656(戦況:拮抗2)
4>>677(戦況:決め手不足)

 下2レス


684以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 23:36:48.44Hy7mwwmnO (1/3)

いい加減疲れてきたから4


685以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 23:37:50.12pzO9TK7m0 (9/10)

4かな?でも決め手かぁ・・・


686以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 23:41:35.41Hy7mwwmnO (2/3)

ヒントが欲しいな


687 ◆xjSC8AOvWI2021/11/07(日) 23:44:16.82w0XzH/SZ0 (12/12)

------------------------------
 やり直し>>677
------------------------------
68


 力を込めて勢いをつけて、叩き込みに行く。

 相手のペースに飲まれてちゃいけない。どうせここで踏ん張らなければ疲弊する一方だ。


 向こうも本気なら、こっちも全力をぶつけよう。大事なものを守るために。


小巻「……さぞ迷惑だったんでしょうね。あたしのやってきたことはアンタからすれば邪魔なことばかりだった」

織莉子「やっと理解したの?」

小巻「これがアンタのやりたかったことなのよね? そのためにずっと悩んで、殺して……!」


 避けられては、すかさず踏み込む。飛んでくる水晶は見極めて防ぐ。

 魔力と魔力がぶつかり合って火花を散らす。


 でも、コイツがこうまでして守りたいものって、ただの意地? プライド? ――そう思うと、悔しさがこみ上げた。


 その悔しさは、自分に対してもだった。

 美国のこと気にしておきながら、あたしも意地を張っていた。


小巻「アンタの気持ちなんかあたしが知るはずもなかったけど!」

織莉子「どうせわからないわよ。貴女には」


 冷たく、諦めたような口調で突き放される。

 少し前までのあたしじゃ聞いたところで理解しようとすることもできなかったかもしれない。


 それでも。



小巻 魔力[80/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3~5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス


688以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 23:48:50.64Hy7mwwmnO (3/3)

2


689以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/07(日) 23:50:02.52pzO9TK7m0 (10/10)

>>678でやった2で。


690 ◆xjSC8AOvWI2021/11/08(月) 00:14:41.19EcOlwUUA0 (1/3)

勝利の秘訣はコンマとかいう見も蓋もない答えになりますね
短期決戦なので戦い始めのほうで良いコンマ出すのと、手数二倍は補正良くなりますが、戦力は大差ないので結局は運です
もう敗北パターン書ききってネタもないのでコンマ結果はダメでも通しますが、多少描写に関わるので一応判定やります
-------------------------------------------------------------------------------------------------------

 下1レスコンマ判定 戦況
勝敗結果決定:75

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3*2
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5


691以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/08(月) 00:18:58.77py0IbnlQO (1/2)

結局はコンマ運か、やりきれねー


692以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/08(月) 00:20:32.97bKjrdn9q0 (1/2)

やったか!


693以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/08(月) 00:27:43.55bKjrdn9q0 (2/2)

久しぶりに長丁場になったな・・・ほむプルギスの時みたいで懐かしいw


694以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/08(月) 00:30:45.77py0IbnlQO (2/2)

ほむプルギスって何だ?


695 ◆xjSC8AOvWI2021/11/08(月) 00:45:57.53EcOlwUUA0 (2/3)

87


 決着は近づいている。



 知ってたって避け続けられるわけじゃないし、逃げ続けられる場所も無限にあるわけじゃない。

 迫り続け、少しずつ後退していった先のその背には壁が近づいている。


 もう迷わない。最後まで全力で斧を振り抜いた。


小巻「……今になって思うのよ」

小巻「マミじゃなくてあたしがアンタと友達になってやるって言ってれば、こうはならなかったんじゃないかって」


 ――――血が滴り落ちていく。両手に持った斧の先から。『斬りつけたもの』から。

 今まで魔女を両断してきた斧が、はじめて違うものを裂いた。

 それでもあたしたちはまだ死なない。だからまだ握りしめて、もう一度振るう。


 あたしがつけたかった決着ってのは、殺すことだけじゃない。ごまかしてばっかだったコイツと今度こそちゃんと話すため。

 最後に言っておきたかった、あたしの後悔の言葉とともに。


織莉子「そんなの……」

小巻「変わらないかしら? 案外友達になれたかもしれないわよ」

小巻「どうせアンタのことだから、誰かにこんなに全力で怒りをぶつけたのだって、あたしがはじめてなんでしょ?」


小巻「織莉子」


 今度こそ、胸についた宝石を砕いてやった。




696 ◆xjSC8AOvWI2021/11/08(月) 00:53:11.74EcOlwUUA0 (3/3)

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今回更新はここまで
ストーリー的には勝利確定なんですが、主人公補正すら砕くのがコンマということで…

次回は9日(火)20時くらいからの予定


697 ◆xjSC8AOvWI2021/11/09(火) 22:05:05.310/VLAM3k0 (1/2)




 死闘の末、すべてが終わった。あれだけ必死に戦っていたけど最後はあっけなく思えた。

 織莉子との決着はついた。そして、“少女”はすでに死んでいる。


小巻「……覚悟はしてたつもりだったけど、まだ動揺してるわね」


 疲労感が押し寄せてきて帰宅しようとする。

 小糸にも無事勝ってきたって、顔みせてあげないと。


 今日だけでも色々あったけど、やり残したことはもうないだろうか?



1マミに連絡を取る
2キリカに連絡を取る
3キュゥべえと話す
4まっすぐ帰ろう
5自由安価

 下2レス


698以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/09(火) 22:23:23.43A7geXVPB0 (1/2)

まぁ、共犯者のマミに連絡取るのは怖いけど1、あと事情話したキリカも心配なので2も追加。


699以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/09(火) 22:28:16.30qKLU9oiGO (1/1)


追加で3
きゅうべぇに織莉子が確実に死んだか確認をとる
SGから偽物ってことはないわよね?あとこの遺体、どうすればいいと思う?


700 ◆xjSC8AOvWI2021/11/09(火) 23:09:16.440/VLAM3k0 (2/2)



 結局マミとは会ってない。今、何してるのかな。

 携帯に手を伸ばす。こっちからの報告も兼ねて。


マミ『……浅古さん。どうしたの?』


 マミは電話には出た。まずは声を聞けて安心した。


小巻「織莉子を倒してきたわ」

マミ『……』

小巻「マミのほうこそ今どうしてるのよ。朝は学校にいなかったじゃない」

マミ『今? 今は何もしてないわよ。学校、今日はお休みになったそうね』

小巻「へえ……後で知ったのね、それ」


 言い方からしてそうだ。マミはあのとき学校には来ていなかった。

 “少女”の死が公にわかって学校内の閉鎖が決まった時にも。


 暁美からの反応も何もない。

 “守る存在”――暁美を押さえて対処したのはマミだろう。


小巻「これからどうすんの?」

マミ『これからも別に何もしないわよ。せっかくの休みだけど、今は何をする気分でもないの』

小巻「消えてなくなろうとか考えてんじゃないわよね?」




701以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/09(火) 23:24:54.31A7geXVPB0 (2/2)

マミのSGにごってそうだなぁ・・・


702 ◆xjSC8AOvWI2021/11/10(水) 00:26:57.47l8dVIfC50 (1/2)




 待ってみてもマミからの返事はなかった。……代わりに沈黙が答えていた。



小巻「言っておくけどね、アンタが死んだところで何も解決しないわよ。それにあたしはまだ友達だと思ってるから」

マミ「……そんなことを言わないで。もう疲れちゃったわ。希望を持って生きていけるわけがないの」

小巻「あたしも疲れたわ。小糸は守れたけど色々ありすぎたし、誰か死ぬとか殺すとかもうたくさんよ」

小巻「あたしをさらに疲れさせる気?」


 本心からの言葉だった。でもこれもあたしのエゴなのかもしれない。

 キリカにも中途半端に事情を話しちゃったままだから連絡をしたけれど、そっちも元気がなさそうな声してた。



 今は疲れたって、時間が経てば少しずつでも回復する。きっと。それまで生きていれば。



小糸「お姉ちゃんおかえり!」


 家に帰ると小糸が迎えてくれた。明日からはパトロールも再開しないといけない。

 今日はもうゆっくり休もう。



―30日目終了―



小巻 魔力[100/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[10/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


703 ◆xjSC8AOvWI2021/11/10(水) 00:29:41.29l8dVIfC50 (2/2)

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今回更新はここまで
次回は12日(金)20時くらいからの予定


704以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/10(水) 00:32:21.598/8FT2DVO (1/1)


きゅうべぇが来なかったのが気になるな


705以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/10(水) 01:51:33.01RGR6SVt40 (1/1)

織莉子からGS回収したことにしてもいいんじゃない?


706 ◆xjSC8AOvWI2021/11/12(金) 22:22:38.53rK8RnnsJ0 (1/3)

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あすみとかだったら間違いなく回収してますが、
小巻には自分の殺した死体漁るのは心理的ハードルが高いかな…


707 ◆xjSC8AOvWI2021/11/12(金) 22:44:30.42rK8RnnsJ0 (2/3)

――――――
31日目



 もう小糸も学校に行けない理由はなくなって、昨日までとは逆に見送る朝が戻ってきた。

 それでも日常は完全に戻ったわけじゃない。

 受け入れるしかないあたしたちの真実。覆ることのない出来事。身近に起きた死と事件の匂いのせいか、学校内の空気も心なしか重い。



 マミは今日も学校には来なかった。



小巻「あれって……」


 学校を出てから少し歩いたところで、見覚えのある姿があった。

 佐倉。ついこの間街外れのほうで見たばっかりだけど、あれからこんなに早くこっちで会うとは思わなかった。


小巻「何しにきたのよ。この前はあんなこと言ってたくせに」


 そう言いつつも、心当たりはあった。

 もうこっちに来ないと決めてた佐倉が考えを曲げる理由があるとしたら一つだけだ。


杏子「キュゥべえのやつが妙な伝言よこしてきやがったんだよ。……いや、正確にはマミだけど」


 苛立ったような困惑したような、納得いかない様相をしている。

 そんな佐倉を小さな姿が見上げている。


ゆま「マミは『なかなおりしたい』ってゆってたんだよね?」

杏子「それが意味わかんないんだよ! 今になっていきなり。アンタなんか知らない?」

小巻「……」


 少し、言い淀んだ。




708 ◆xjSC8AOvWI2021/11/12(金) 23:43:07.82rK8RnnsJ0 (3/3)



 言いづらい話だ。長くもなる。それに知った後の仲間のあんな反応を見たら。

 そもそも考えてみれば、今あたしの口から話す必要なんてない。……あたしだってマミのこと気になってたんだから。


 もしかしたら、その『仲直り』がマミを立ち直らせてくれるかもしれない。


小巻「本人と話してみればいいじゃない。そのためにここまできたんでしょ」

杏子「そりゃそうだけど」

小巻「じゃあウジウジしてないで会いに行けば?」

ゆま「キョーコ、がんばって!」

杏子「そもそも『仲直り』とは一言も――」


 佐倉が言いかけた時、小さな影がふわりとその場に表れた。


QB「やあ。今日はこっちに来てるんだね。杏子、ゆま」


 無機質な声がいつもの調子で響く。

 こいつに隠されてたことを知ってからは、なんでもない挨拶さえ癇に障るようになった。


小巻「……アンタはなんなの」

QB「少し聞きたいことがあるんだ。織莉子を殺したのは君ではないよね?」


 その言葉に動揺を突かれる。昨日の今日だ。思い出したくない感覚まで蘇る。


小巻「だったらどうするの」

QB「キミはなにかと彼女を気にかけてたから、なにか喧嘩でもあったのか不思議に思うね」


 でも同時に、最後まで事情はバレずに済んだのだと思った。



709 ◆xjSC8AOvWI2021/11/13(土) 00:14:50.38hwr5tM2U0 (1/6)



QB「それで、その返答は小巻がそうしたと捉えてもいいのかな」

小巻「……そうよ。アイツとはもう本当に最悪な、すっごい拗らせた喧嘩をしたのよ」

QB「そうなんだね。それは……」


 まだ何かあるのか。そう思っていると、キュゥべえは少しだけ核心に迫るような事件についても言及する。


QB「昨日君の学校で、『まどか』が死んだことと関係はあるのかい?」

小巻「誰、それ」

QB「知らないならいいんだ」


 知らない名前。その反応に嘘はない。けど、誰の名前かはわかる。

 でも、どのみちもうそのことについてあたしは何もできないんだから。


小巻「ねえ、織莉子は――……死んだのよね。もう、目を覚ますなんてないくらい確実に」

QB「それは確認かい? それとも後悔ってやつかな」

QB「君が殺したのなら、確実に死んでいることもわかるはずだよ。それこそ誰かが奇跡でも祈らない限りね」


 気づいたら尋ねてた。

 そりゃ生きてても困るけど、なんとなくふとした瞬間にその実感がなくなって。


小巻「アンタに言われなくたって、アイツのことで後悔ならずっとしてるのよ!」



710 ◆xjSC8AOvWI2021/11/13(土) 00:36:34.18hwr5tM2U0 (2/6)




 ――――キュゥべえは聞きたいことは聞けたとばかりに去っていった。



杏子「おい、殺したって、あたしの知らない間に何が起きてるんだよ!?」

ゆま「そうだよ。どうして……っ」


 蚊帳の外だった二人があたしに迫る。

 そういえばこの二人も織莉子とは因縁があったんだ。


小巻「……そのこともマミとちゃんと話すなら話してあげるわよ。ここで話すわけにはいかないから」


 どこまで話したほうがいいのかはわからない。全部話すことになるかもしれない。

 何も知らないままで終わっても納得なんてできないだろうから。

 あたしには具体的に織莉子が何やってきたのかまでは知らないけど、目的がわかれば推測することはできる。マミならもう少し知ってるかもしれない。


 三人でマミの家に向かう。


 しかし、そこで知ったのは――――。


 いつのまにか、マミが自ら死を選んでいたことだった。




711 ◆xjSC8AOvWI2021/11/13(土) 00:39:52.56hwr5tM2U0 (3/6)

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今回更新はここまで
次回は13日(土)18時くらいからの予定


712 ◆xjSC8AOvWI2021/11/13(土) 19:59:35.94hwr5tM2U0 (4/6)



 ――生きていれば。生きてさえいれば、いつかは解決できるはずだと思ってたのに。

 マミはそこまで耐えられなかった。あたしが思うよりも早くに、マミは自分の未来に決断を下してしまった。



 呼んでも返事はなかったが、代わりに扉の鍵もかかってなかった。

 マミはテーブルに頭を乗せてうたた寝でもするように目を閉じていた。

 死んだとわかったのは、傍らに手紙があることと、それと、ソウルジェムの割れた欠片が散らばっていたこと。


杏子「……おい、なんだよこれ! なんなんだよ!!」


 佐倉が手紙を拾い上げて怒鳴る。

 そこにはあたしたちへの謝罪と、魔女になることへの恐怖が綴られていた。だから、その前に――と。


 あたしたちの心と命はソウルジェムという形になって目に見える。

 この宿命が、あたしたちが平穏を取り戻すことすらどこまでも阻んでくる。怒りが沸いた。キュゥべえはこの結末もすでに知っていたのだろうか。



 結局、あたしの口から全てを話した。



 佐倉とゆま、キリカ。真実を知った人はみんな、いつかはこうなってしまうんだろうか。

 そう思うと、言い知れぬ恐怖が纏わりついて離れない。


 まるでマミが幽霊になってここにいるかのように。あたしにとって死は身近な存在になってしまった。


 みんな、強くないから。あたしが思ってるよりも簡単に傷ついて、間違って、耐えられなくなってしまうから。


 あたしはみんなとは違う? あたしだけは強いっていうの? 本当に?




713以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/13(土) 20:03:29.59BiQ41eWOO (1/1)

マミ、はやまったか


714 ◆xjSC8AOvWI2021/11/13(土) 22:37:35.06hwr5tM2U0 (5/6)




小巻「……ただいま」


 マミの家を出る頃にはもうすっかり時間が経っていた。

 結局、今日決めてた予定も中止だ。やらなくちゃいけないのはわかるけど今日もそんな気分じゃない。


小糸「どうかしたの?」

小巻「何が?」

小糸「なんか元気なさそうにしてるな、って」


 小糸にも感づかれてたらしい。隠し事がうまいほうじゃないのはわかってたけど。


小糸「大丈夫! パトロールは私一人でもできるし!」

小巻「小糸……」



 みんなが穏やかに過ごせる日が戻るのはまだ遠そうだった。それに、一人はすでに失ってしまった。



小巻「心配しすぎよ。その時はあたしもついてくわよ」


 それでも、せめてこれ以上失いたくなかった。




715 ◆xjSC8AOvWI2021/11/13(土) 23:01:26.39hwr5tM2U0 (6/6)



 ――――その夜、世界に小さな異変が起きた。

 覆るはずのないものを何かが無理やり変えたかのような、そんな異変。違和。


 それは小さいけれど、世界を変えるほどの『奇跡』。

 どこかの場所で、獣と少女が向かい合っていた。



QB「君の願いは確かに叶ったよ」

「よかった……っ! ホントよかったよ……!」


 泣き崩れた少女の頬を伝う水滴を、“もう一人の少女”が指でやさしく拭った。



 『それこそ誰かが奇跡でも祈らない限りね』――言い換えれば、奇跡があれば人は蘇る。


 皮肉にも彼女を殺した人にはそれを願い叶えられる人は居なくて、彼女に殺された少女には居た。

 それだけの話だった。



―END①―




716以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/13(土) 23:06:21.77IOwZREv0O (1/1)

さやかがまどかを蘇らせたのか?
さやかの素質でまどかを蘇らせたっけ?


717以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/21(日) 19:40:54.19+VlOldPf0 (1/1)

続きこないなぁ・・・


718 ◆xjSC8AOvWI2021/11/26(金) 23:49:52.40xIVMLgOV0 (1/1)

-------------------------------------------------------------
一区切りついたのでちょっと間空けてましたが、休日には次回やると思います
次は「30日目」からやりなおして別ルートになりますね

ちなみに、このルートはここで終わりなのでその後の結果は割愛してますが、
すでにまどかの死が公に知られすぎてるので、蘇生というよりは死んだことをなかったことにしたみたいな願いを想定してたりします
願いにリソースを取られてほむらのように攻撃手段もなくなってるかもしれません
とはいえ、シリーズ見てもわかるように、完全に死者を復活させるのはどれほど強い力をもってしても難しい…とだけ
まあ蘇生と一口に言っても色々手段もありますし、QBに知られた時点であの手この手を考えないわけがないんですよね


719 ◆xjSC8AOvWI2021/11/28(日) 20:03:58.43oKmfZ5NY0 (1/4)

--------------------------
30日目からやりなおし
--------------------------


――――
――――


小巻「アンタ……まさかとは思うけど、この前のこと忘れたとか言わないわよね」

織莉子「ええ、覚えてるわよ」


 怒気をにじませる。

 何も知らなかったときからすればあたしの思い通りになったはずだけど、こんなんじゃ納得がいかない。


織莉子「……でも今ここで戦うわけにはいかないでしょう? 教室へお行きになったら?」


 美国はあたしの怒りを手慣れたようにふわりと躱す。しかしもう怒りの気配すら隠さなくなっていた。


 何考えてるんだかわからないけど、どうやら心の準備をする暇すらくれなかったらしい。

 コイツとは今度こそ、殺してでも正面から向き合って決着つけてやるって決めてた。


 ……それをこんなわけのわからない鉢合わせ方して、普段どおりに教室に行けって?



1逃げる気なの?
2放課後は待ってなさい
3アンタの考えてたことはもう知ってるのよ
4自由安価

 下2レス


720以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/28(日) 21:02:43.14UpcB9wIn0 (1/3)

お!スレ主さん、お久しぶり!

30日から再スタートですか。
ここは違う結末を目指して4、急いで暁美の教室に行って暁美が登校してるかどうかを確認する。
来てなかったら暁美が親しくしていたのは誰かを確認して、彼女たちを屋上に連れ出してキュウベェを呼んで素質持ちがいるか確認する。


721以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/28(日) 21:09:38.608qqcDi9X0 (1/1)

↑で


722 ◆xjSC8AOvWI2021/11/28(日) 22:25:21.02oKmfZ5NY0 (2/4)

行動指定するのはいいんですが、一応会話中なのでセリフとして使えるものがないと無視したことになります。
あと小巻自身が認識してないことは目的を考えるのに時間がかかります。これも会話の後の行動になるので…。
---------------------------------------------------------------------------------------------------


小巻(意味わかんない)


 キッと睨む。美国もそんなことじゃ怯まない。何考えてるのか。

 いつもだったら嫌味の一つくらい返してるとこだけど、あたしが何も言わないのを見ると美国は立ち去ろうとする。


織莉子「無視するつもりならそれでも構わないわよ。いつまでもそこにいなさい」


 去り際、すれ違いざまに鋭い視線を感じた。


織莉子「それと、マミに余計なことを吹き込んで惑わせないで。マミは私の友達よ」


 怯むどころか睨み返してきていた。本当、思ったより図太いっていうかひねくれてるっていうか。

 ……どっちのセリフだ。


小巻「アンタはどこへ行くのよ」

織莉子「貴女に関係があるの?」

小巻「……そうね。転入初日にやることならあたしももう知ってるわよ」


 モヤモヤとした気持ちのまま美国の姿を見送る。

 何してるんだろう。朝から調子を狂わされる。




723 ◆xjSC8AOvWI2021/11/28(日) 22:41:12.73oKmfZ5NY0 (3/4)



 なんで美国は今更。内心煮えたぎってるくせに余裕ぶった態度してるし。

 ……昨日言ってた人たちを狙って?


 マミの話を聞いてから“少女”と“守る存在”とやらのことは考えたなかったわけじゃない。

 あたしたち以外の魔法少女っていったら一人しか浮かばない。



 急いで暁美の教室に向かった。



小巻(いない!)


 そこには暁美の姿はなかった。

 たしか、前にここに来た時、暁美はクラスメイトとだけは楽しそうにしていた。

 あの時一緒にいたのはどんなヤツだったかを思い出そうとしながら、教室の中を見ていると、空色の髪の女子生徒がこっちに来た。


 ……見覚えがある気がする。


「何か用ですか?」

小巻「このクラスの暁美ほむらって知ってるわよね。アンタ、そいつと仲いい?」

「まあ、あたしはよく一緒にいますけど」


 コイツが暁美の守りたかった人?


小巻「他には? 仲いい人っていないの?」

「……失礼かもしれませんけど、なんでそんなことを?」


 少し怪訝に思われてるのが伝わってくる。どうしよう。

 コイツだけでもなんとかしようか?



1この女性生徒をつれて屋上に行く
2暁美と仲の良い人が危ないかもしれない、と話す
3自由安価
4一つ前の選択肢に戻る

 下2レス


724以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/28(日) 22:59:19.15UpcB9wIn0 (2/3)

おや、選択肢に戻るは珍しいですね。
せっかくなので4に>>720の選択肢に1を追加で。


725以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/28(日) 23:00:43.70EaW+0SQ1O (1/1)


追加でキリカも連れて行く


726以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/28(日) 23:12:08.23UpcB9wIn0 (3/3)

あ、そうか。
キリカは手芸部のことでキリカの事を知ってるから、キリカがいれば自分から話に加わってきてくれるかも?
小巻編でも手芸部の先輩後輩ならですけど。


727 ◆xjSC8AOvWI2021/11/28(日) 23:59:18.64oKmfZ5NY0 (4/4)

【一つ前の選択肢に戻る】
一度エンドは見てるので、快適性重視でいきたいと思ってます
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――――
――――



織莉子「……でも今ここで戦うわけにはいかないでしょう? 教室へお行きになったら?」


 美国はあたしの怒りを手慣れたようにふわりと躱す。しかしもう怒りの気配すら隠さなくなっていた。


 何考えてるんだかわからないけど、どうやら心の準備をする暇すらくれなかったらしい。

 コイツとは今度こそ、殺してでも正面から向き合って決着つけてやるって決めてた。


 ……それをこんなわけのわからない鉢合わせ方して、普段どおりに教室に行けって?


小巻「逃げる気なの?」

織莉子「どうしても私の前に立ちふさがりたいの?」

小巻「……」


 相手の思惑がわからないから、睨みだけを向ける。それで怯むようなヤツでもないことはもうわかってる。

 すると、美国はイラついたようにため息を吐き捨てる。まだ静かではあるが美国の語調が怒気を孕んでいくのを感じた。


織莉子「そうやって、いつも貴女は私の邪魔をする……」


 美国が漏らした言葉の意味を考える。ろくでもないことを実行しようとしてたのはわかった。

 尚更ここでコイツを逃しちゃいけない。今、あたしの前に居る間に押さえなきゃ手遅れになる。


小巻「何か企んでるんでしょ? いえ、目的はもうわかるわ。“世界を滅ぼす存在”ってやつがこの学校にいるの?」

小巻「そこに行く気なら、行かせるわけにはいかない」

織莉子「貴女は何故全てをわかっておきながら“魔女”の味方をするの。それに、マミに余計なことを吹き込んで惑わせないで。マミは私の友達よ」

小巻「どっちのセリフよ!」


 カッときて、人目も憚らず怒鳴った。

 何が正しいかじゃない。美国のやったことのせいでマミは苦しんでる。やりたくもないことをやらなきゃいけないって思いつめて、そのせいで他の選択肢すら考えられなくなってる。

 魔女のことも世界滅亡のことも何も知らなければあんなふうに苦しむことはなかったのに。


 誰かは全部を知って考えなくちゃいけない。でも美国だけがそれを背負うべきとも思わないから、余計にこうなったのが悔しくなった。




728以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/29(月) 00:23:50.613za6TfKz0 (1/5)

あ、織莉子が「マミは私の友達よ」ってセリフがあったのだから、ここで>>695の小巻のセリフを入れてみたかったかも・・・


729 ◆xjSC8AOvWI2021/11/29(月) 00:39:44.386UhIlK0g0 (1/8)



小巻「場所を変えましょう。嫌だと言ってもついてきてもらうわ」

小巻「どのみちアンタとは戦わなきゃいけないって決まってたもの。アンタと決着をつけられて“殺人”も防げるなら一石二鳥だわ」

織莉子「でも本当にいいの? 今私を逃さないと後悔することになるでしょうね」

小巻「……いまさら命乞いでもする気?」

織莉子「まさか」


 美国はあたしの言葉を一笑に付す。

 それから、関係なさそうな調子で話し始めた。


織莉子「ところで、魔女の素体がこの学校にいるって推測は正解よ。当然近くに居るほうが狙いやすいわ。でも私がこの学校への転校を渋っていた理由は、守護者の事だけじゃないの」

織莉子「この学校にはすでに魔法少女がいる。守護者を排除できる目処が立つまでは、ギリギリまでインキュベーターの注目を集めるのは避けたかったから」

小巻「……そんなことあの時は考えもしなかったわ」

織莉子「そして、守護者は今いないわ。マミに足止めをしてもらっているの。この意味がわかる?」

織莉子「守護者は私からだけじゃなく契約からも守ってくれる存在だった。そのガードが外れている今、放っていればじきに契約してしまう」

織莉子「だからその前に今すぐ、私が除かなければならないの」

小巻「自分たちでやっといて、随分勝手な理由じゃない」

織莉子「ええ、そうだとしてもね。変わらないわ。戦ってあげる時間など無いの。わかったら、大人しく私に道を開けなさい」




1じゃあその前にとっとと決着をつけるしかないわね!
2契約されたら何かまずいわけ?
3自由安価

 下2レス


730以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/29(月) 01:06:16.453za6TfKz0 (2/5)

1+いないけどあすみみたいに織莉子を煽る。
あと最後に>>695の友達、怒りを見せる云々のせりふも。

ふん、世界を救うためとか言って余裕ぶってベラベラ喋ってるけど、焦って余裕がなさそうに見えるわね。
自分の計画が上手く行きそうだから口が軽くなってるみたいだけどそれって小悪党そのものよね?
あれね、選挙の結果が出る前に当選確実とか確信して実際は落選するってやつかしら?
そんなところまで政治家染みてて『美国』って家に囚われてるのね・・・ここまでくるともう道化ね。
ま、あんたの場合は道化になろうとしていても、端から見たら必死すぎて道化になりきれていない三流だけどね。


731以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/29(月) 01:14:07.89IHKTIO6P0 (1/1)




732以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/29(月) 01:15:56.64QluEkn/3O (1/2)


一応2も追加


733 ◆xjSC8AOvWI2021/11/29(月) 01:27:43.526UhIlK0g0 (2/8)

------------------
今回更新はここまで
次回は29日(月)20時くらいからの予定


734以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/29(月) 01:37:19.76QluEkn/3O (2/2)





735 ◆xjSC8AOvWI2021/11/29(月) 21:28:16.686UhIlK0g0 (3/8)



 ここまで言われて引き下がれるか!


小巻「じゃあその前にとっとと決着をつければいい話よ!」

織莉子「貴女、正気なの? それとも世界を滅ぼしたいの?」

小巻「アンタとは考え方が違うってだけ」

織莉子「ここまで言ってもわかってくれないなんて。やはり私達は何処まで行こうとも相容れない定めのようね」

小巻「……そうよ。アンタがそうする限り、相容れないわ」

織莉子「それなら、先に排除するしか無いわ。この世界の為に」


 ようやく場所を移す。最低限人目のつかない場所に。

 時間がないってのはあたしだってわかってる。



 長引かせずに倒す。――――いや、『殺す』。

 光が散る。ほぼ同時に衣装を身に纏った。そして、両手でしっかりと斧を構えて踏み込んだ。


小巻「覚悟しなさいッ!」


 前方からは珠が飛んでくる。今更互いに遠慮なんて必要ない。全力がぶつかり合った。




736 ◆xjSC8AOvWI2021/11/29(月) 22:17:08.596UhIlK0g0 (4/8)



織莉子「私の邪魔をして貴女には何が出来るというの? どうせ何も出来ないのなら、安い正義を振りかざすな!」

小巻「『安い正義』?」


 この前からコイツが言ってることは一つだ。世界のため。正義のため。


小巻「それってアンタのことでしょ? 世界のためとか言って正当化してるけど、アンタのやってることは小悪党そのものよ」

織莉子「何とでも言えばいい。悪逆の道に居る事なんて理解ってる。それで世を救えるのなら安いものでしょう?」

小巻「それも例の父親に誇りたいからやってるの?」


 『父親』――その言葉を出した瞬間に、美国は更に怒りの形相を鋭くした。


小巻「この前も言ったけどね、ソイツはもう居ないのよ! 死んだヤツのこと勝手に決めつけて、生きてる人殺していい理由になんてなるか!」

織莉子「お前がお父様のことを口に出すなぁッ!!!」

小巻「っ!」


 ひときわに殺意と威力の籠もった珠が飛んでくる。そこからさらに、レーザーが四方八方に弾けて展開された。

 盾で受けるにもキツい猛攻だ。一歩引き下がらせられ、防御の間に合わなかった手足にレーザーに焼き切られた傷がつく。


 そうでなくともさっきから、相手は魔力を出し惜しみなしに使ってる。


小巻「やっぱずっと、内心じゃ怒ってたんじゃない。本当は人助けなんてしたくないんでしょ?」

小巻「そうやって、最初から怒ってればよかったのよ」

織莉子「何が言いたい!」


 なんとか体勢を直して、力強く斧を振り上げる。


小巻「ムカつくこと散々言われてたんだから、怒るのは当然よ。そこで発散してりゃよかったの!」

小巻「アンタだってあたしと同じで大人なんかじゃなかったってことよ!」

織莉子「一緒にしないで! 誰が貴女なんかと!」

小巻「そうね、じゃあまともな怒り方も知らないで育った厄介な子供ね! それで無関係な人殺すのまで正当化するんだから、本当に厄介よ!」




737以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/29(月) 22:45:19.783za6TfKz0 (3/5)

派手な喧嘩どころか殺し合いをやってるなぁ
人気がないとこってまさか学校の敷地内、屋上とかじゃないよね・・・?


738 ◆xjSC8AOvWI2021/11/29(月) 23:06:33.846UhIlK0g0 (5/8)



 美国は弾かれたように叫んだ。

 目的の根幹だ。美国からすれば過剰に反応してでも認めるわけにはいかないんだろう。認めたらここまでやってきた全てが崩れてしまう。


織莉子「黙りなさいッ! ……黙れッ! 撤回しろ!」

小巻「怒り慣れてないからかしらね? そういうの図星突かれた反応って言うのよ」


 美国は今まで抱いてきた怒りすら正当化して消してきたんだ。あたしの心配はたしかに見当違いだった。

 でも、あの日上の空になるほど悩んでたことは変えようもない事実だった。


 その根本的な理由は他にあって、完璧に理解することはあたしにはできない。どうしてこうなったかも、コイツのこと全部は知らないから。


小巻「……さぞ迷惑だったんでしょうね。あたしのやってきたことはアンタからすれば邪魔なことばかりだったでしょうね」

織莉子「わかったのなら退いて。こうしている時間なんて無いの」

小巻「これがアンタのやりたかったことなのよね? そのためにずっと悩んで、殺して……!」


 避けられては、すかさず踏み込む。飛んでくる水晶は見極めて防ぐ。

 魔力と魔力がぶつかり合って火花を散らす。


 でも、コイツがこうまでして守りたいものって、ただの意地? プライド? そう思うと、悔しさがこみ上げた。


 その悔しさは、自分に対してもだった。

 美国のこと気にしておきながら、あたしも意地を張っていた。


 理由を理解できていたのなら、『何か』は変わったかもしれない。


小巻「アンタの気持ちなんかあたしが知るはずもなかったけど!」

織莉子「どうせわからないわよ。貴女には。私達は相容れないのだから」


 冷たく、諦めたような口調で突き放される。

 少し前までのあたしじゃ聞いたところで理解しようとすることもできなかったかもしれない。


 それでも。




739 ◆xjSC8AOvWI2021/11/29(月) 23:11:42.756UhIlK0g0 (6/8)



 感情のせいか、水晶の威力は変わらないものの次第に狙いは単調なものになっている。

 あたしのほうもそろそろ万全の動きじゃない。



 決着は近づいている。



 知ってたって避け続けられるわけじゃないし、逃げ続けられる場所も無限にあるわけじゃない。

 迫り続け、少しずつ後退していった先のその背には壁が近づいている。


 もう迷わない。最後まで全力で斧を振り抜いた。


小巻「『アンタがそうする限り』って、言ったでしょ?」

織莉子「は……」

小巻「……今になって思うのよ」

小巻「マミじゃなくてあたしがアンタと友達になってやるって言ってれば、こうはならなかったんじゃないかって」


 ――――血が滴り落ちていく。両手に持った斧の先から。『斬りつけたもの』から。

 今まで魔女を両断してきた斧が、はじめて違うものを裂いた。

 それでもあたしたちはまだ死なない。だからまだ握りしめて、もう一度振るう。


 あたしがつけたかった決着ってのは、殺すことだけじゃない。ごまかしてばっかだったコイツと今度こそちゃんと話すため。

 最後に言っておきたかった、あたしの後悔の言葉とともに。


織莉子「そんなの……」

小巻「変わらないかしら? 案外友達になれたかもしれないわよ」

小巻「どうせアンタのことだから、誰かにこんなに全力で怒りをぶつけたのだって、あたしがはじめてなんでしょ?」


小巻「織莉子」


 今度こそ、胸についた宝石を砕いてやった。



740 ◆xjSC8AOvWI2021/11/29(月) 23:29:57.446UhIlK0g0 (7/8)



小巻「はぁ……っ」


 思わず気が抜けてその場にへたりこんだ。今まで気にならなかった疲労や痛みが一気に押し寄せてくる。

 戻ったときに心配されるだろうから治療だけはしておこう。


 ここは学校からそう離れてもない場所だ。今は人気がないけど、覗こうと思えばすぐに覗ける。


小巻「違う、まだ気を抜いてる場合じゃない……!」


 傷を直し終えると、もう一度気合を入れて立ち上がる。

 一人この場所を抜けていく。

 織莉子に最後に別れを告げて、もう見ないようにした。ここならきっと、誰かは見つけてくれるはず。



1暁美のクラスに行こう
2マミが暁美を足止めしてるって言ってたな
3自由安価

 下2レス


741以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/29(月) 23:37:43.793za6TfKz0 (4/5)

織莉子戦、安価がないのって良いですねぇ・・・

1+2
暁美のクラスに急いで向かいながら2の事でマミに電話する。

マミ、今あんたが何をしてるのかわかってるから!
今すぐ馬鹿な事はやめて暁美を解放しなさい、そうすればあんたはまだ手遅れにならない!
名前をだすのは尺だけど、佐倉が誇れるマミ先輩でいるべきなのよ、あんたは!


742以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/29(月) 23:41:11.30i/GpZkMUO (1/2)


追加でキリカにも連絡して暁美のクラスに先に行くように頼む。
きゅうべぇがいたら契約させないように頼む


743 ◆xjSC8AOvWI2021/11/29(月) 23:49:40.596UhIlK0g0 (8/8)

------------------------------
今回更新はここまで
次回は1日(水)20時くらいからの予定


744以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/29(月) 23:54:22.813za6TfKz0 (5/5)

乙です。

とりあえず1回目とは違う展開になりそうですね。
マミがクーほむを倒してなければ良いんですけどねぇ・・・


745以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/11/29(月) 23:54:56.61i/GpZkMUO (2/2)





746 ◆xjSC8AOvWI2021/12/01(水) 21:46:44.282xHtwyZa0 (1/2)



 携帯を取り出してキリカにコールする。

 あたしがここから学校に戻るまでには少し時間がかかる。事情を話してる暇はないけど、見てもらうだけでも。


キリカ『どこにいるの! もうホームルーム始まるよ? 今日休み?』

小巻「今はそれどころじゃないのよ! それより、すぐに今から言う教室を見てきてくれない!?」

キリカ『えー、なんでそんな……』

小巻「あたしも向かってるし、事情は後で話すから! 悪いんだけど今は何も聞かずに頼まれて!」


 ここまで言うと、キリカも腑に落ちない様子ではあったものの了承してくれた。


 これまで暁美に会いにいったときはあたしとマミだけだった。キリカはまだ暁美とも会ったことがないかもしれないし、教室も知らないはず。

 学年と組を伝えて、ひとまず電話を切る。


 ……気にしなきゃいけないのはそっちだけじゃない。マミが暁美を足止めしてるって言ってた。次はマミだ。


小巻(お願い、出て……!)


 学校に来る前に足止めしてるんだから暁美の通学路にいるんだろうけど、見当もつけられなきゃそんなの闇雲に探すなんてできない。




747以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/01(水) 22:05:30.32f2pzoUuk0 (1/1)

さて、どうなるか……間に合ってほしいけど。


748 ◆xjSC8AOvWI2021/12/01(水) 23:08:49.142xHtwyZa0 (2/2)

――――――
――――――



 リボンで括られた手の先に掴む銃は弾切れ。その身体にはいくつも糸とリボンがつなげられていた。

 マミが空中に浮かばせられたそれを無感情に眺める。


マミ「……」

ほむら「……」


 戦いの終わったこの場からは戦いの音も消え、沈黙が流れていた。

 それでも、暁美ほむらのその瞳に湛える鋭さだけは衰えることはなかった。


マミ(私には……やっぱりこうするしかない)

マミ(これが私にできることだから。協力すると言ったもの。美国さんが行動を起こすというのなら、今更断るのは世界を滅ぼすことにつながる)


マミ(そうしたら、私のせいだもの)


 のしかかる重さを感じながら、与えられた役割をこなす。責任感の強い性格もそれを手伝っていた。

 しかし捕らえられたままのほむらは、それ以上がないことを訝しみはじめる。


ほむら「……一体いつまでこうしているの」


 ほむらも元々口数が少ないほうではあるが、不自然な沈黙に痺れを切らしようやく口を開いた。

 しかし、マミのほうがまだ頑なに口を閉ざしていた。


 織莉子からの連絡を待つ。そして、携帯をとった。



マミ「……!」



――――――


749以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/01(水) 23:19:57.373tzGj5OeO (1/1)

縛りプレイに放置プレイとかマミってなかなかマニアックな嗜好してるのな


750 ◆xjSC8AOvWI2021/12/02(木) 00:00:04.00D2o4LAJ70 (1/2)



小巻「マミ、今暁美のとこにいるんでしょ!? アンタが何をしてるかわかってるから!」

マミ『浅古さん……!? どうしてあなたが』

小巻「織莉子を倒したの」


 電話越しに短く息をのんだのが伝わってきた。


小巻「殺したのよ。あたしが」


 あたしのやったことについて、自分にも誰にもごまかすことはしない。

 アイツは魔女とは違う。


小巻「だからアンタも今すぐ学校にきなさい! 暁美も解放してやって」

マミ『そんなこと、今更……! きっとただで許してはくれないわ』

小巻「今更も何も、アンタとアイツの考えてた計画はもう潰えたのよ。あたしは殺しはしない」

小巻「そしたらこれから守ってくれる暁美がいないと困るのはあたしたちでしょ? そうする以外の選択肢があるっていうの?」

マミ『そうじゃなくて、私のことよ』


 電話の向こうから戦いの音は聞こえない。

 もう戦いは終わっているんだろう。


 何を迷ってるんだと思ったらそんなこと。そりゃ暁美が許すかどうかは知らないけど。


小巻「暁美がどうするかは知らないわ。でも、アンタはまだ戻れるわよ。きっと」

小巻「今は疲れてるだろうけど、生きてる限りはいつかは回復するんだから」


 マミをなんとか元気づけるために言葉を選ぶ。

 言おうかどうか迷ったけど、これも言うことにした。マミの中じゃその存在も大きいみたいだから。


小巻「名前を出すのは癪だけど、佐倉が誇れるマミ先輩でいるべきなのよ。アンタは」


 マミからの返事はまだなかったけど、こっちはこっちでやることがある。

 校舎には入った。織莉子のやり方を否定したんだから、アイツとは違うやり方で、今は暁美の代わりにあたしが守りきってみせる。


小巻「こっちも時間ないんだからこれで切るわよ? 言いたいことは全部言ったからね!」

マミ『……ええ。わかったわ』


 やっと返事が聞けたことに安心して通話を切った。

 教室が見えてくる。


小巻(今はキリカが来てくれてるはず……! 間に合ってるわよね?)



 踏み込む前に、まずは外から目で探す。しかしそこには、探していた姿はなかった。



――――――


751以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/02(木) 00:05:00.649ACUR6Rt0 (1/2)

ほむらの方はなんとかなったけど、キリカがいないだと?


752 ◆xjSC8AOvWI2021/12/02(木) 00:05:50.42D2o4LAJ70 (2/2)

----------------------
今回更新はここまで
次回は3日(金)20時くらいからの予定


753以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/02(木) 00:10:43.499ACUR6Rt0 (2/2)

乙です。

とりあえずマミとほむらの方は何とかなったけど、まどかの方はどうなるか微妙だなぁ……





754 ◆xjSC8AOvWI2021/12/03(金) 22:05:00.26NClVhbmG0 (1/2)

――――――



 ほとんどの人が教室内に揃っている。

 もうホームルームもはじまるという時になってから、キリカは教室を抜け出していた。



 ――正直、何やってんだって気はする。何がしたいのかもわからない。



 他の人の頼みだったら聞いてない。けど、小巻から頼みなんて珍しいことだった。

 自分で出来ることは自分でなんとかする。いつもそういう人だから。


キリカ(ていうか、見てきてとしか言われてないけど)


 見たらどうにかなるのか。行ったら何かがわかるのかもしれない。

 言われたとおりのクラスを見てみると、知らない人しかいないと思ってた教室には、たしかに知ってる姿があった。


 知ってる姿と知らない姿。


キリカ「……キュゥべえ?」


 そこにはキュゥべえがいて、その視線の先には誰かがいた。




755以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/03(金) 22:47:05.67w4TLv7JV0 (1/2)

やはり来てたか営業マン。
一応>>742の安価があるから契約させない事は出来るのかな?


756 ◆xjSC8AOvWI2021/12/03(金) 23:37:53.55NClVhbmG0 (2/2)



QB「やあ、キリカじゃないか。どうしてキミがここに?」

キリカ「……さあ。なんとなくかな?」


 そう答えたのは直感だった。素直に言ったらまずい気がした。

 少なくともコイツのこと信用はしてない。


「この人は?」

QB「魔法少女だよ」


 キュゥべえが誰かを見てると思ったのは偶然じゃなかった。

 やっぱりなにか話してたんだ。


キリカ「また新しい人なんて増えてたの? それとも候補?」

QB「二人はこれから魔法少女になってくれるかもしれないんだ。前向きに考えてくれているみたいだよ」

キリカ「あぁ、そーですか……」


 呆れたような声を出す。実際呆れてた。

 席についてって先生の声が響き渡る。そろそろ出なくちゃまずいかもしれない。


 わざわざ来させたとこにキュゥべえがいたんだから、契約されるのは快く思ってないんだろう。

 それはわかる。私からできるのは忠告くらいだ。


キリカ「ねぇ、きみたち本当に後悔しない? 何も知らずに契約して」

QB「何も知らないわけじゃないよ。僕からも話してるし」

キリカ「どうせ詳しいことなんてろくに話さないでしょ! 契約した人がそのあとどうなるか、とか……!」




757以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/03(金) 23:41:43.977m0wV3ZUO (1/1)

キリカは真実は知らないけど不信感はあるからな


758以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/03(金) 23:48:00.48w4TLv7JV0 (2/2)

2人ということはまどかとさやかか、早まらないでほしいなぁ……


759 ◆xjSC8AOvWI2021/12/04(土) 00:13:35.879Q6rQirQ0 (1/7)



 一瞬だけど、空気が凍りついた気がした。


 自分のことを考えれば不満はいくらでもでてくる。

 私は契約した時のことは覚えてない。でも、聞いてたらさすがにやめてると思った。


「……キリカさんは後悔してるんですか?」

キリカ「うん。今は全部じゃないけど、後悔してることはあるよ。……まあ、契約するならよく考えてよ」

「でも早くしないと…………」


 一人の子は何かに焦っているようだった。

 せめてもっと話す時間があればよかった。教室で契約はしないだろうけど、キュゥべえならずっとここにいても怪しく思われないし。


 すると、もう一人の子が叫び始めた。


「あああぁっ! いたいいたいいたい、お腹がいたーい! まどか、保健室につれてって!」


 視線を送られた子は少しの間ぽかんとしてたけど、すぐに意図を汲み取って言った。


「先生、さやかちゃんが具合悪いみたいなので保健室につれていきます」





760以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/04(土) 00:16:37.56mvtnRZ7U0 (1/5)

そう来たか、さやかナイスw
とにかく時間が稼げればキリカの話は聞いてくれそうだけど。


761 ◆xjSC8AOvWI2021/12/04(土) 00:45:36.599Q6rQirQ0 (2/7)

――――
――――


さやか「ここなら契約も会話の続きもできるって思ってさ。どうなるかって話は現役の人に聞くのが一番でしょ?」

まどか「巻き込んじゃってごめんなさい……」

キリカ「べつに私ならいいよ。サボりっていうのは、まぁいまさらだし」


 最近はなかったんだけど。


QB「キリカの場合はレアなケースだよ。君たちの場合には当てはまることはないんじゃないかな」

さやか「レアってことは、たまにはあるってこと?」

QB「願い事の結果だよ。キリカの場合は『違う自分になりたい』って願ったんだ」

キリカ「なんであんたが先に言うわけ? ほんっとにデリカシーがないな!」

QB「どうせこれから話そうとしてたなら誰が話してもいいじゃないか」


 そう言われたら同じなのかもしれないけど、気持ちとしては何か違う。

 やっぱこいつはそういうとこを察しない。


まどか「それでどうなったかっていうのも気になるけど、わたしのことから聞いてもらってもいいですか」

キリカ「……どーぞ? ムカつくことになったのはわかったと思うけど、個人的な話にはなるからね」

まどか「わたしの友達が今日学校に来てないんです」

まどか「最初はお休みかなって思ってたけど……キュゥべえからその子が魔法少女だって教えてもらって、よくないことがあったのかもって……」

キリカ「まどかはその子を助けたいの?」

まどか「わたしがそう願えば助けられるから」




762以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/04(土) 00:47:28.80RRoEUz7ZO (1/2)

保健室に行ったから入れ違いなのか


763 ◆xjSC8AOvWI2021/12/04(土) 00:49:02.899Q6rQirQ0 (3/7)

------------------------
今回更新はここまで
次回は4日(土)18時くらいからの予定


764以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/04(土) 00:50:19.26RRoEUz7ZO (2/2)


このまま小巻達が来るまで契約なしでいきたいな


765 ◆xjSC8AOvWI2021/12/04(土) 19:03:59.039Q6rQirQ0 (4/7)



キリカ「……ふーん」


 上の空な相槌を返すさまは、真剣に悩むまどかにとっては失礼に映ったかもしれない。

 でもなんかしっくりこない。


キリカ「たぶん聞いたことあるんだよね、その子のこと」

まどか「ほむらちゃんのこと知ってるんですか?」

キリカ「会ったことないけど。……なんか、私達には『助けなんていらない』とでも言いそうなイメージ?」


 聞いた条件で浮かぶ人は一人しかいない。

 べつに、だから気にしなくていいとか、助けなくていいとか言いたいわけじゃなくて。

 大した意味もない素直な感想として。


 言ってから、こんなこと言ってる場合じゃないと思う。


キリカ「どうしようか考えようか! もうちょっと何があったのか手がかりとかわかれば、何かできるかも――――」


 慌てて言葉を考え直す。


 すると、扉が開け放たれた。



――――――


766以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/04(土) 19:09:45.50mvtnRZ7U0 (2/5)

小巻かな?間に合った?


767 ◆xjSC8AOvWI2021/12/04(土) 20:42:50.149Q6rQirQ0 (5/7)

――――――


小巻「ホームルームまでには間に合わなかったわね」


 後ろ手で扉を閉める。

 一瞬焦ったけど、この時間なら教室にいなくて当然だった。


キリカ「ここのことまだ伝えてなかったと思うけど……」

小巻「うちのクラスに戻ってもいなかったし、今更意味もなくサボったりはしないと思ってね。どこにいるかはしらみつぶしよ」


 でも、わからないのはキリカと一緒に知らないのが『二人』いることだった。



小巻「で? 今どんな状況よ?」



――――
――――


 ……――――互いの簡単な自己紹介と状況の確認が終わる。

 そうしてる間に、しばらくして暁美とマミもこの場に揃った。


 暁美は一番にこの光景を見て驚愕していた。

 契約はまだしていなかった。でも、暁美は知ってしまうこと自体防ごうとしてた。だからあんなにあたしたちのことまで遠ざけてまで。



小巻「契約すれば世界を滅ぼすほどの素質を持つ存在がいるんですって」


 みんなの視線が向いた。

 あたしから切り出す。さっきまでは暁美の無事を喜んで一見落着って雰囲気が流れてただけに、突然こんな話をされるなんて予想できてた人は限られていた。


小巻「だからあたしの知り合いはその人を殺そうとして、マミは暁美に邪魔されないように足止めしてた」

小巻「……そうよね? マミ」

マミ「……ええ。そうよ」


 マミはここに来たときから、居心地悪そうにうつむいている。




768以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/04(土) 20:57:51.82mvtnRZ7U0 (3/5)

よかった、何とか間に合ったか。
でもここからが本番なんだよなぁ…


769以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/04(土) 21:11:30.45leJzMYD3O (1/1)

ここで魔女化のこと話さないとどうにもならないか
キリカは知らなかったよな


770以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/04(土) 23:38:28.57mvtnRZ7U0 (4/5)

スレ主、根落ちかな?


771 ◆xjSC8AOvWI2021/12/04(土) 23:41:22.539Q6rQirQ0 (6/7)


小巻「こっちでも戦ってたのよ。その知り合いのやろうとしてること知っちゃったし、どうしても許せないことがあって」

小巻「アンタたちも危ないとこだったんだからね!? そのせいでよりによって自分のために契約されるなんて、暁美だって嬉しくないだろうし!」

ほむら「……その通りね」

さやか「は? マジ!?」

まどか「ま、まだちょっと話が大きすぎてついていけてないけど……」

小巻「ねえ、キュゥべえ。もうアンタはわかってるんじゃないの? ここにもう一人いると思ってなかったけど、どっちかが契約したらヤバいって」


 知らんぷりしてるキュゥべえに話をふってみる。

 あたしたちのことなんて、どうせどうでもいいとでも思ってるんだろう。でもわからないことがあった。


 そう思ってたのは、マミも同じようだった。


QB「たしかに大きい素質は感じるよ。ほむらのことは杞憂だったけど、まどかなら他にもどんな願い事でも叶えられるだろうね」

マミ「よくまだそんなことが言えるわね。世界が滅んだらあなただって生きてはいられないのよ」

QB「でも、それは誤解を招く言い方だと思うよ」

マミ「……どういう意味?」

QB「君たちにとっては今いる場所が『世界』の全てかもしれないけど、宇宙は広いってことさ。広い視野で見れば世界滅亡と言えるような問題にはならないだろう」

小巻「そんなの屁理屈じゃない! じゃあなに? 自分は地球外にでも逃げるから大丈夫だって言いたいの!?」


 キュゥべえの落ち着きようを見れば、そんな冗談みたいなことも本当なんじゃないかと思えてしまった。

 だって、じゃなきゃ自分の寿命まで縮めるようなことを進んでやるか。


小巻「でもまあ、ここまで言われればまどかは契約なんかしないでしょ」


 まどかは何も言わないで頷いた。

 ……二人の様子は混乱から怯えに変わってた。そりゃ、多少は信用しようとしてた相手からいきなりこんなことを言われれば。




772以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/04(土) 23:45:01.91mvtnRZ7U0 (5/5)

これで絶対に契約しないと思えないのがまどかなんだよなぁ……


773 ◆xjSC8AOvWI2021/12/04(土) 23:58:06.179Q6rQirQ0 (7/7)

-----------------------
今回更新はここまで
次回は5日(日)18時くらいからの予定


774 ◆xjSC8AOvWI2021/12/05(日) 18:00:30.15tK9zflXK0 (1/6)



 やっぱり話してよかったと思う。

 あたしたちもまどかもみんな無事。でも、マミはまだ不安そうな顔をしていた。


マミ「……本当にこれで大丈夫なの? 世界は救えたの?」


 今はまどかを信じるしかない。でも、『信頼』という言葉に世界の命運すら託せと言うのはひどく不安定な響きに思えた。

 織莉子のやろうとしてたこと以上に確実な状況にはまだなっていない。

 やっぱり、これからもそんな時はこないのかもしれない。生きてる限り絶対はないんだから。


小巻(違う。まだだ)


 でも、考えてみればどうだろう?

 この世界には奇跡だって魔法だってあるんだから、死んだからって絶対にもならない。


 一度死んだと思われたあたしだってこうして生き返ったように。


 これからもずっと、守り続けなくちゃならない。


 今までそうしてきた暁美みたいに。


マミ「一つ聞くわ。暁美さん、あなたは鹿目さんの友達なのよね」

ほむら「ええ、もちろんそうよ」

マミ「あなたは鹿目さんの素質にも気づいていたんでしょう?」

ほむら「……」

マミ「キュゥべえからも私たちからも徹底的に遠ざけて、鹿目さんを護っていた理由は本当にそれだけ?」

マミ「……一体どうしてこうなったの」

ほむら「私は…… それだけよ!」




775 ◆xjSC8AOvWI2021/12/05(日) 19:14:17.18tK9zflXK0 (2/6)



 問い詰められた暁美は言葉を強める。

 それから、観念したように静かに話し始めた。


ほむら「……もう隠し通せないでしょうね。私はまどかを助けるために魔法少女になったのよ」

まどか「え?」

ほむら「私、未来からきたの」

ほむら「今となってはもう誰も覚えていないけれど、まどかは魔法少女で、私を助けてくれたのよ。それから友達になったの」

ほむら「でも、死んでしまった。『ワルプルギスの夜』にやられて」

マミ「ワルプルギスの夜……!?」


 暁美が語ったのは思いもよらなかったような話だった。みんな驚いてる。けど、マミだけは別の“特定のもの”に反応していた。

 ――“ワルプルギスの夜”。


 キュゥべえは見定めるような赤い目を光らせて、ただそこにいる。


ほむら「こんなことになるとは思ってなかった」

ほむら「はじめは魔女に負けて、でも次からは…… 私は今度こそまどかを守りたいの。人のまま、魔法少女にもせずに」

ほむら「巴マミ、私は貴女のことを許したわけじゃない。ただあの時はそうするしかなかっただけ」

ほむら「お願いだから私の邪魔をしないで!」


 これまで見たこともない必死な様子。……マミは何とも答えなかった。

 その代わりに、キュゥべえだけが平坦な声で納得したようにつぶやいていた。


QB「なるほどね。そういうことだったのか」




776 ◆xjSC8AOvWI2021/12/05(日) 20:07:09.87tK9zflXK0 (3/6)


 『そういうこと』って。

 暁美がどこからきたかとか、最初は気になってたけどもう今となってはどうでもよくなってた。

 危害を加えないってことはわかったし。突き放したような態度は気に食わなかったけど、こんな理由があったら尚更簡単には言えない。


小巻「とりあえず、まどかは契約したらダメってことはわかったと思うけど、さやかのほうは願い事とか考えてたの?」

さやか「あたしは……」

ほむら「やめておきなさい」

さやか「まだなにも言ってないんだけど……」

ほむら「もし貴女に何かあればまどかが悲しむ。それに、私は貴女の未来も知っている」


 未来からきたっていう暁美の忠告。

 さやかもその意味は理解したらしく、自嘲気味に笑った。


さやか「……あはは、んー。ろくなことにならない感じかー……」

まどか「そういえば、どうなったんですか?」

さやか「え?」

まどか「キリカさんのこと。よかったらですけど、後でもいいのであの話の続きが気になったので」

キリカ「あぁー、うん。もう相談も終わったしね。個人的になら」


 もうこの場で話したいことは話せたかな。


小巻「……じゃあ、いつまでもここに集まってても怪しまれそうだし」


 ……本当は言ってないことがあった。暁美も知ってるだろうにそこには触れなかった。

 魔女の事。本当は契約しただけじゃ世界は滅ばない。



1言わないほうが契約する気がなくなる
2後であの子だちだけには言おう
3ここで打ち明ける
4自由安価

 下2レス


777以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/05(日) 20:37:26.03lji0SCHf0 (1/2)

とりあえずほむらに協力を要請+放課後に今ここにいるメンバーで集まる事を提案。
あと杏子も呼んでマミと腹を割って話し合うように提案。

暁美、こうなった以上もう以前みたいな非協力的な態度は止めてもらうわよ。
今回の件であたしも背負ったものがあるけど、最初から協力してくれてれば別の可能性もあったかもしれないんだから。
私は『魔法少女』である以上後悔はしてないけど、あなたたちに背負わせるものを減らしていくためにもね。
まどかとさやかも話しに加わってもらうわ。
巻き込まれたとはいえもう当事者であるし、中途半端な知識のままだとそいつの詐欺同然の勧誘で契約させられるかもしれないから。

まぁ、詳しくは放課後まどかとさやかも含めて集まって話し合いましょう。
私も小糸に連絡するけどきゅうべぇ、佐倉とゆまちゃんにそういうことだと伝言をお願い。
マミ、今回の件で佐倉に怒られたり失望されるかもしれないけど仲直りしたいなら隠さずにしっかり話し合いなさい。


778以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/05(日) 20:44:53.83p9bTjFpFO (1/1)


追加でキリカに自分が来るまでに何があったかを詳しく聞く
頼みを聞いてくれた礼を言ってお昼に好きなものを奢る


779 ◆xjSC8AOvWI2021/12/05(日) 22:15:27.95tK9zflXK0 (4/6)


小巻「とりあえず、アンタもこれからは協力してくれるってことでいいのよね? 暁美」

ほむら「物事によるわ。私は常にまどかのことを優先させてもらう」

小巻「……まあ、アンタはそれでもいいわ。そこが崩れたらみんなが困るんだし、任せるわ。ただ任せきりにはしない」

小巻「アンタだけの問題じゃないんだからね。あたしだって、最初からわかってたらもっと別の可能性があったかもしれないのに」


 あたしの後悔。暁美を責めるべきか、織莉子を責めるべきか。

 いや、考えたってどうにもならない。


 暁美はそれきり黙っていたが、解散の雰囲気になってから小さく言った。


ほむら「……放課後、少しいいかしら」

小巻「いいけど、何?」

ほむら「『ワルプルギスの夜』という魔女のことについて」


 さっきの暁美の話にも出てきた魔女。

 たぶんこれが暁美にとっての最大にあたしたちを『頼ろう』とした結果だったんろう。


マミ「この街に来るのね……?」

ほむら「ええ」

小巻「ちょっと待ってみんな! それってみんなを集めたほうがいいでしょ?」


 呼びかけると、聞こえずに戻ろうとしてた人たちも振り向いた。


小巻「……それに、あたしもまどかたちにホントは言うべきこと、足りてなかったから」



780 ◆xjSC8AOvWI2021/12/05(日) 23:22:41.05tK9zflXK0 (5/6)



小巻「暁美が放課後にあたしたちに話があるんだって。アンタたちも来られる?」

まどか「は、はい、予定空けておきます。……さやかちゃんも、大丈夫だよね?」

さやか「うん。あたしも平気」

小巻「あたしのほうでも知ってる魔法少女は誘っておくからさ。ていうか、身内にいるし」

小巻「あとキュゥべえ、一応佐倉たちも呼んどいてくれない?」


 小糸には後で連絡するとして、佐倉はこの前あんなこと言ってたのを聞いたばっかりだ。

 呼んだところで来てくれるかはわからない。


 暁美はまた小声で言った。


ほむら「……二人にはあまり魔法少女に関わってほしくはないのだけど。それに何を話す気?」

小巻「魔女のこと。中途半端にしか知らなかったら、キュゥべえにそこを突かれるかもしれないでしょ」

ほむら「そのこと、あなたたちも全員は知らないんじゃないの?」

小巻「……そうね。だから言い渋ったの。でもいつかはちゃんと知らなきゃいけないことだと思うわよ。自分のことなんだから」


 知らないほうがよかった、と思うか、知ってよかったと思うかはわからない。

 マミは今でも『知らないほうがよかった』と思っているんだろう。


 それから、あたしもキリカたちと一緒に教室に向かった。




781 ◆xjSC8AOvWI2021/12/05(日) 23:25:48.64tK9zflXK0 (6/6)

---------------------------------
今回更新はここまで
8日(水)20時くらいからの予定


782以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/05(日) 23:33:36.09lji0SCHf0 (2/2)

乙です。

さて、織莉子はなんとかなったけど次はワルプル戦か……
杏子が仲間に加わってくれるかどうかはマミ次第かな?


783 ◆xjSC8AOvWI2021/12/08(水) 22:52:44.35+Z1r8W210 (1/3)



 授業中の教室を脇目に廊下を歩いていく。

 もう一段落ついたんだから、あたしたちも早く戻らないと。


小巻「ありがとうね」

キリカ「え?」

小巻「朝は焦ってたし、あれだけしか言わなかったのによく頼み聞いてくれたじゃない。じゃなかったら今頃……」

キリカ「逆に、焦ってたからだよ。珍しいし変な理由じゃないんだろうなって思った」

小巻「あたしって信頼されてるのね。よし、気分良くなったし昼は何かおごってあげようか?」

キリカ「えっホント? そういえばキミってお金持ちだったんだっけ。……あ、関係ないよ! いやホントに!」


 ……一瞬だけ現金さが見えた気がしたけど、スルーしておこう。

 購買で一番高いのくらいなら全然大丈夫だけど。


小巻「信頼、まどかたちともいつかはお互いにできるようになるといいわね。まだ出会ったばかりだけど」

キリカ「そうだね。まだお互い信じられてないよね。問題が大きすぎるってのもあるけど……」

小巻「キリカは少しは仲良くなれたの? あたしたちよりも早く会って相談乗ってたんだし、そのときは世界がどうとかも知らずに話してたでしょ」

キリカ「そうだけど、まだこれからじゃないかな?」

小巻「まあそうか。ちょっと見方変わるのかなって思ってさ。……暁美は本当に友達を助けたいだけなんでしょうね、きっと」



 あたしたちの前じゃあんなだったけど、前に見た友達といる時の顔も嘘ではないはずだから。



――――――


784 ◆xjSC8AOvWI2021/12/08(水) 23:34:04.73+Z1r8W210 (2/3)

――――――
昼休み



 後でって言ってた話。

 一度しか人に話したことのないすべての顛末を聞かせて、その反応を待つ。

 この場にはまどかだけ。興味を持ったのもまどかだけだった。



キリカ「……でも、なんで今更こんなことに興味持ったの? もう関係ない話でしょ」

まどか「キリカさんの願い、わたしの考えてたことと同じだと思って」

キリカ「同じ?」

まどか「あのときはほむらちゃんを助けることが最優先だったけど、『その先』で叶えたかったことが」

まどか「魔法少女になったら……街のために戦える。ほむらちゃんや他の人を助けることができる。それって今のわたしにはできないし、すごく誇らしいことじゃないですか」

まどか「そしたら、どんくさくて平凡でぱっとしない自分も、自信が持てるように変われるんじゃないかと思って」

キリカ「……そんな風に私は思えないよ」

まどか「結局わたしにはできないけど、キリカさんはもっと誇らしく思ってください。わたしから見たらすごい人なんだから!」


 そのあまりにも純粋な視線に、思わずたじろぐ。


キリカ「きっと今のままでもできないってことはないよ。魔女と戦えなくてもできることはあるさ」

キリカ「探して自分を好きになろうよ。あんなヤツに頼る必要ないって!」


 過去の自分ができなかった――しなかったことを託してみる。

 今の私からは自分でも驚くくらい前向きな言葉が出てきた。


まどか「そうですね。むずかしいけど、がんばってみます!」



――――――


――――
――――



785 ◆xjSC8AOvWI2021/12/08(水) 23:55:18.00+Z1r8W210 (3/3)

――――――
放課後



 まずは校内で集まれる人たちだけで合流すると暁美が先導していった。


 向かった先は暁美の家だ。ずいぶんと小さな家だと思ったけど、入ってみればそうでもなかった。

 異常に物がないせいでそう思えるのかもしれないが、内装はよくわからない。



 小糸は駅まで来たら連絡をくれるらしい。複雑な道でもないから案内はできるだろう。遅れて来る人たちを待ちつつ、本題について触れる。



小巻「……で? そのナントカとかいう魔女?」

ほむら「『ワルプルギスの夜』」

小巻「覚えにくいからもう『ワルい奴』でいい? 間違ってないでしょ」

キリカ「間違ってはいないだろーけど…… ダジャレじゃん」

さやか「まあセンスはあると思いますよ? で、なんだっけ?」

マミ「『ワルプルギスの夜』……」



 元から知ってた二人が訂正した。

 これからあたしも嫌でも忘れられない名前になるのかもしれないけど。



待ち時間
1マミはなんで知ってるの?
2さやかは余裕そうね?
3自由安価

 下2レス


786以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/08(水) 23:59:48.75ZucbfPJTO (1/1)

1


787以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/09(木) 00:08:08.15BxCdJxP00 (1/1)

1+キリカとまどかに2人は顔見知りだったのかと質問。

2人とも今日が初対面にしては打ち解けてるように見えるけど顔見知りだったの?
それとも契約の際の願いが似ててシンパシーとか感じてるの?


788 ◆xjSC8AOvWI2021/12/09(木) 00:18:02.84Br0fYCun0 (1/1)

-------------------------
今回更新はここまで
師走が師走しててちょっと間が空くのですが、次回は14日(火)の予定です


789 ◆xjSC8AOvWI2021/12/14(火) 23:17:03.28CEgHErto0 (1/1)



小巻「マミはなんで知ってるの?」

マミ「古くから魔法少女の間に言い伝えられているらしいのよ。長くやってる人ならみんな聞いたことくらいはあると思うわ」

マミ「結界に隠れることすらなく突然表れては街ごと滅ぼし、一般人には災害と認識されるような超弩級の魔女だって」


 少なくともあたしは聞いたことなかった。

 魔女が結界に隠れ潜むのを卑怯だと罵ってやったこともあった。もちろん言葉なんてわかってなかっただろうけど。

 けど、閉じこもってるからあたしたちも思う存分暴れられるし、魔女の被害も抑えられてる。それがなければ…… あたしたちも人前で戦わなきゃいけなくなる?


小巻「マジ? そんなのが?」

ほむら「……ええ。そうよ」

マミ「そう。やっぱり、その伝説のままなのね」


 暁美のほうに視線を投げれば、あっさりと肯定される。

 知っていたマミですら、簡単には信じられないというように驚いたような反応をしていた。


小巻「マジかぁ……」

さやか「へぇー! そんなのがいるんだ。っていっても、あたしたちはまだ普通の魔女も見たことないんだけど」

まどか「そうだね……」

キリカ「どうしたの、小巻。キミにしては珍しく弱気な反応じゃん。そりゃあ楽に勝てはしないんだろうけどさ」

小巻「いや、それもそうだけど! ……結界を持たないってことは人前で戦うことになるのよね? 当日はどうすればいいわけ? もうくる日もわかってんでしょ」

ほむら「それはこれから話すわ。もう少し待ってからね」


 そういえば今は小糸たちを待ってるんだった。

 佐倉は来るかどうかわかんないけど。


 ちょうど、携帯の着信が鳴った。


小巻「小糸から。ちょっと案内に出てくるわね」


 駅まで迎えに席を立った。




790 ◆xjSC8AOvWI2021/12/15(水) 00:00:12.41BsWAKs790 (1/2)





小糸「みんなよろしく」

ほむら「……ええ」

まどか「よろしくね、小糸ちゃん」

さやか「よろしくー、どこの学校だっけ?」

小糸「白羽女学院ってところ」

さやか「あ、たぶん私立だよね? 頭いいんだ!」

キリカ「頭もそうだけど、多分おカネもちしか通えないとこだよ。小巻も前はそこにいたって」


 小糸もみんなと軽く自己紹介を済ませる。

 これで一応は揃った。来るかわからない人はこれ以上待ってても時間のムダか。


さやか「前は?」

小巻「それは今はいいでしょ? 隠しはしないけど、だからって本題とは何も関係ないんだし」

小巻「暁美、すごいつまらなそうにしてるけどそろそろ主導権返してやってもいいわよ。あたしも気になってるもの」

ほむら「ええ」


 話が逸れて膨らみすぎないうちに切り出した。

 暁美はあたしや小糸に注意が向いてる間中、とにかく退屈そうにしていた。




791 ◆xjSC8AOvWI2021/12/15(水) 00:32:36.90BsWAKs790 (2/2)



ほむら「ワルプルギスの夜が来るのは五日後。この日は朝から警報が出て、街の人は避難所に集まるわ」

ほむら「ワルプルギスの夜が姿を現す前からその周囲には暴風が吹き荒れているから、よほど無謀な人でない限り近寄ろうとは思えないでしょうね」

小巻「……なんだ、そういうわけね」

ほむら「ただ、敵は大きいし、移動する速度もシャレにならないから広範囲を駆け回ることになるのは覚悟しておいたほうがいいわ」


 結界を持たなくてもそこまで“人前”で戦うってわけではないらしい。

 みんな避難していて、守りながら戦うってこともしなくていいなら考えたよりはマシで安心した。


キリカ「大きくて速い魔女かー。みんなで囲めばなんとかなるかな」

マミ「私の拘束は効くかしら?」

ほむら「拘束もあまり持たないでしょう。ワルプルギスの夜の攻撃は凄まじく、そして気まぐれ」

ほむら「大空に浮かびながら炎や風を起こし、私達を煙に巻く。時間が経つにつれて街並みも見る影もないほどに破壊されていくわ」


 人はいなくても街は壊れる。さすがにそこまでは守りようもない。

 さっきまで直接関係はないからかそこそこ余裕そうにしてたさやかたちも、さすがにそろそろ緊迫した面持ちで聞いていた。


ほむら「……これは本当は誰にも相談するつもりはなかったのだけど」

小巻「話を聞く限りなんだかすごそうなんだけど、頑張ればアンタ一人で勝てるくらいの相手と考えてもいいわけ?」

ほむら「わからない。あなた達も生きていれば一緒に戦うことになるだろうとは思っていた」

小巻「生きてればって、アンタね」


 大げさだって考えて、本当に今ここにいる生きてること自体あたりまえじゃないことに気づいた。

 今日だって命を懸けて戦った。命のやりとりをして、なんとか自分と大切なものを守りきった。


 これまでだって、これからだって。まだまだ全然安心なんてできなかった。




792以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/24(金) 01:14:36.16n47gzjn4O (1/1)

途切れた?


793以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2021/12/25(土) 19:50:48.28AWQnXXZ40 (1/1)

スレ主さん、お忙しいみたいだから気長に待ちます。


794 ◆xjSC8AOvWI2021/12/31(金) 22:58:31.37mmv2kB/x0 (1/2)



まどか「みんな、大丈夫なんだよね? ワルプルギスの夜と戦って……」


 まどかが心配そうにおずおずとあたしたちに問いかけてきた。

 すると、ほむらは安心させるようにまどかに向かい合う。


ほむら「大丈夫」


、そして、手を握って言った。


ほむら「私がまどかを守るわ。……他の人の事も」


 まどかがゆっくりと頷く。

 これだけで心から安心できたのかはわからないけど、少なくとも暁美は本気で言ってるように見えた。


キリカ「他はともかく、私も守られるだけじゃないから! 心配なら、そのぶんまどかの分まで戦ってきてあげるよ」

小巻「ええ、あたしもよ」

マミ「私も、出来る限りのことはするわ」


 続いて、他のみんなも励ましの言葉をかけていった。

 でもそのきっかけを作ったのがキリカなのはちょっと意外だった。


小巻「にしても、キリカがそこまで言うなんて。暁美が仲いいのはわかるけど、そっちも結構打ち解けてそうね?」

キリカ「えっそうかな?」

小巻「なんかあったわけ?」

まどか「え、えっと……」

キリカ「……さあ、どうだろうね」

まどか「はい、秘密ですっ」


 キリカがすっとぼけると、まどかも合わせたようにそう言った。

 あのあと本当に何かあったのか。それとも失われた記憶に関わることで、実は最初から顔見知りかなにかだったのか。

 これまでそんな話は聞いてないけど。




795 ◆xjSC8AOvWI2021/12/31(金) 23:59:35.11mmv2kB/x0 (2/2)



ほむら「……他に質問がないなら、私からの話は終わりにするわ」


 暁美が少し居心地悪そうにしながら言った。

 ……仲いい人と他の人が話し始めると入っていけなくなるタイプ。


 この雰囲気で切り出すのは少し勇気がいるけど、話をするなら今だ。


小巻「じゃあ、あたしからは、朝話せなかったことをこれから話すから」

キリカ「え?」


 キリカや小糸は予想もつかないようだった。

 今更あたしがみんなに話したいことなんて。


マミ「待って!」


 あたしが何を言おうとしてるか気づいたのか、マミが制止に入る。


マミ「言う必要があるの? ……知らないほうが幸せよ。せめてワルプルギスの夜を倒すまでは」

小巻「まだ契約してないまどかたちには全部知ってもらってたほうがいいと思う。それにそんなこと聞いたら何か隠されてることなんてもうバレバレでしょ!」

マミ「……」


 とはいえ、そう言われると迷った。

 ワルプルギスの夜がくるまであと5日。それを間近に控えた今、無用に悩み事を増やす必要はないのかもしれない。


 そんな時、小糸が言う。


小糸「甘く見ないでよ」




796 ◆xjSC8AOvWI2022/01/01(土) 00:59:50.51tysoX0Ka0 (1/2)



小糸「私は最初、お姉ちゃんがなにしてるか何も知らなかった。魔法少女なんてやってることも、魔女や魔法少女と戦ってることも」

小糸「結局教えてもらったけど、お姉ちゃんずっと隠そうとしてたよね?」


 何もなければずっと隠してたままだっただろう。

 そしたらどうなってたかはわからない。契約しなかったかもしれない。でも、そしたらあたしは。


小糸「もし何も知らないまま何かあったりしたらすごい後悔してた! たとえ良くないことでももう隠されたくないよ!」

小糸「とにかく私には教えて。お姉ちゃんと巴さんがもう知ってて何かを抱えてるなら私も背負うから」

小巻「……小糸、アンタにそうまで言われるとはね」


 ちょっとだけじんときた。

 さすが、我が妹ながらこう見えて気が強いというか。生意気なこと言うものだと思った。


キリカ「なんかわかんないけど、みんなが知ってるなら仲間はずれにはされたくないかな?」

小巻「言っとくけど、そんな軽い気持ちだったら後悔するかもしれないわね」

キリカ「えー……?」


 キリカはいつもどおりへらへらとしてる。そんな様子を見ると不安になった。

 けど、結局遠くないうちには話すつもりだ。今にするかワルプルギスの後にするか――。


小巻「アンタがそんな調子だから迷ってるのよ! せっかく悩んでることが解決してちょっと前向きになれたんでしょ。そんなときにさ」


 とはいえまあ、仲間はずれにされるのもそれはそれで確かに悩みになるのかもしれない。

 なにかあった時、一人だけ話が通じなくて困るかもしれないし。


さやか「そ、そんな深刻な隠し事がまだあるんですか? キュゥべえが話してなかったことで?」

まどか「ほむらちゃんは知ってるの?」

ほむら「ええ、私はもう知っているわ。けど、一部の魔法少女しか知らないことよ」

小巻「……ええ、そうね。困ったことに、あたしやマミが知ったのもついこの前だったんだもの」




797 ◆xjSC8AOvWI2022/01/01(土) 01:02:24.24tysoX0Ka0 (2/2)

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今回更新はここまで。…あけましておめでとうございます。
なんか図ってたわけじゃないけど書きながら年越ししてしまった。


798以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/01(土) 10:35:55.48VWyThNry0 (1/1)

お、年越しの投稿でしたか!
全然気づいてませんでしたが、明けましておめでとうございます!


799 ◆xjSC8AOvWI2022/01/02(日) 23:19:43.16wzTJ43Y00 (1/1)



 ――――ソウルジェムのことはあたしの口から話した。


さやか「そんなことが……」


 まどかたちは一歩間違えたら自分の身に訪れていたかもしれない変化に、純粋な驚きの反応を。

 すでに知っていたマミと暁美は視線を落としてどこか重苦しい表情をしているように見えた。


 暁美も朝にした説明を補足する。


ほむら「つまり、まどかが契約したら世界を滅ぼすっていうのは、魔女になった時のことだと思うの」

ほむら「魔法少女は魔女になる。私が見たあなたたちも……。そんな運命を背負うことなんて望まないはずよ」

さやか「あ、あたしも? 魔女になった!?」

ほむら「ええ、そうね」


 暁美は涼しく言ってのけたが、それを聞いたさやかは露骨に顔を青ざめさせた。

 うげーって感じだ。


まどか「……ほむらちゃんたちも、みんないつかはそうなるの?」

ほむら「……」


 暁美は返事をためらった。

 たった今知った二人までさっきに増してその重さを実感したのか、重苦しい表情をした。

 たしかに真実なら曲げようがないし、暁美の話し方じゃ変えられない運命だって言い方に聞こえたけど、本当はそうじゃない。


 思わず立ち上がる。


小巻「絶対なんかじゃないわ! 話聞いてた? 魔女になるのは『魔力がなくなるか絶望しきった時』なのよ」

小巻「その魔力を回復するのも“成れの果て”を倒さなくちゃならないなんてサイッアクに悪趣味だけど、だからって死にたくもないし野放しにしとくわけにもいかないでしょ?」

小巻「あたしは魔女になんてなってやるもんか! やることだって変わらない! 決めつけんな! 自分の運命くらい自分で切り開くっての!」




800 ◆xjSC8AOvWI2022/01/03(月) 00:30:37.93siov/QX40 (1/1)



 それを聞いたみんなは少しの間唖然としてて、張り切って言い切ったのが一人だけカッコつけたみたいで少し後悔しはじめた。

 正直、自分に言い聞かせるためって意味もあったから。

 でも、少しずつ口を開く人もあらわれた。


小糸「……うん、そうだよ! もう同じような人は増えてほしくないけど、私達は今までと変わらないから」

キリカ「そ、そうだよね。正直、聞かないほうがよかったかもとは思ったけどさ」

キリカ「聞かなかったらそうならないってわけじゃないし、契約したこと後悔してるのは今更」

キリカ「……きっと、マミがずっと上の空だった原因や自分のことすら一人だけ知らなかったら、それはそれできっと後悔してるよ」


 他のあたしに賛同した人も、同じように自分に言い聞かせてたのもあるんだろう。でも、みんなで覚悟したら勇気が沸いてきた。

 マミも考え込んだように沈黙してるけど、さっきよりはその表情から重苦しさは消えていた。


マミ「…………」


 あたしたちは今生きてる。それが当たり前の結果じゃなくとも、それだけは事実なんだから。

 どんなに難しくてもこれからも生きてくってだけだ。


 まどかも少し安心したようだった。





801 ◆xjSC8AOvWI2022/01/09(日) 23:31:24.87/AALJHOQ0 (1/1)



小巻「とりあえず、あと5日をどう過ごすかってのは考えといたほうがいいわよね」

ほむら「出来るだけグリーフシードは蓄えておきましょう。そのために争われても困るけど、あればあるだけ嬉しいわ」

ほむら「戦闘中に魔力が尽きてしまえば……さっき話した通り、なのだし」


 とにかく今はグリーフシードが少ない。その現状を重く受け止めた。

 自分すら生きる余裕がないようじゃ、みんなを守るなんて言ったところで説得力がない。


小巻「そうね。まずあたしたちは、これから魔女を探しにいくわ」

小糸「うん!」


 小糸に視線を送ると、元気よく頷いてくれた。


キリカ「私はどうしようかなぁ。そんなに少ないってわけじゃないけど」

ほむら「余裕があるなら自己鍛錬でもしていたら?」

キリカ「えぇ……」


 時刻は夕方。これから夜がやってくる時間帯だ。

 帰る前に活動する暇は作れる。


 この時間になっても結局、佐倉は来なかった。


小巻「じゃあもう行くけど。マミはこれからどうする?」

マミ「私は…… 今日は休ませてもらうわ」

マミ「まさかそんな大きな敵が待ってるなんて思わなくて、少し疲れたの。もちろんワルプルギスの夜は倒さなくちゃいけないし協力はするから」

ほむら「……そう。私としては邪魔さえしなければ構わないから」


 暁美は冷たく言い放った。朝のことだけじゃなく、暁美だけが知る過去にもまだ何かあったのだろうか。

 昔からこの街で活動してるマミとはこれまでにも関わったことくらいあるかもしれない。


小巻「休むのだって立派な準備よ! 無理してこんなところで死んだら元も子もないわ」

小巻「今は疲れてたって生きてさえいればいつかは回復するんだから、まずは生きることを目標にしましょう」

小巻「まどかたちもね。今日はいきなり変なこといっぱい聞かされて混乱したと思うけど、もう帰ったらゆっくり休みなさい。そんで精一杯、今までもこれからもいつも通りの生活を送んなさい!」

まどか「は……はい」

さやか「わかりました。じゃ帰ろ? まどか」



 小糸と二人で暁美の家を後にする。他の人たちも各々の行く場所へと帰っていったようだ。




 家の中に残ったのはその主である一人と、もうひとつ。

 ――――物陰からはいつもの赤い目が覗いていた。





802 ◆xjSC8AOvWI2022/01/10(月) 22:29:06.43dEytkm0P0 (1/1)

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毎度ちまっちまの投稿になってるのは本当反省してる!
次回12日(水)20時くらいの予定で少しまとまってやります

…ちょっと休んでた間に書き方の感覚飛んでるわ、結局書かないと戻らないんだよね


803 ◆xjSC8AOvWI2022/01/12(水) 20:23:24.398yjF9Cq90 (1/5)



小糸「ついに私も夜道を出歩く側になるのかぁ……」

小巻「今日は放課後にも予定が出来て忙しかったし。そんなに遅くならないようにはするつもりだけど」


 並んで街を歩き出す。

 グリーフシードは手に入れなきゃとは思ってたけど、こんな切羽詰まって備える必要があるとはあたしだって予想してなかった。


小糸「……学校のことだけどさ、明日からは行っていいんだよね? 美国さんとはもう」


 小糸はそこで言葉を区切る。朝のことは小糸にもメールでざっくりとだけ伝えていた。

 もう会うことはない。小糸にはもう隠したりごまかしたりするのはやめようと思った。


小巻「ええ。アイツはもういないわ。あたしたちもまどかももう命を狙われることはなくなった」

小巻「だからこそ、織莉子のやろうとしてたことは必要なかったって鼻で笑って証明してやるのよ。あたしが殺したんだもの」


 守るためでも、自分のしたことからは目はそらせない。実感してなきゃいけない。

 後ろめたいほど間違ったことをしてないんだから尚更だ。

 小糸は何も言わなかったが、しばらくしてこれだけ言った。


小糸「そのためにもこれから来る魔女には絶対勝たなくちゃいけないね」


 本当にいろんなことがありすぎて、イヤなことも知って、正直今も動揺してないといえば嘘になるけど新しい目標ができた。

 またみんなで力を合わせて倒さなくちゃいけない目標が。それがなければ今頃燃え尽きて感傷に浸ってたかもしれない。


小巻「そうね」


 でもそんなのは後でいい。もう一踏ん張りしようと決めて、力強く頷いた。


――――――
――――――


804以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/12(水) 21:05:05.82bBybgMaj0 (1/3)

小巻はタフですねぇ・・・
杏子結局来なかったけど、マミのマンションの方に直接来るかな?


805 ◆xjSC8AOvWI2022/01/12(水) 21:26:05.428yjF9Cq90 (2/5)




 『休む』と言ったとおり、マミはこの日はもうどこにも寄らないことに決めて早々に帰路についていた。

 そして、自宅のあるマンションも見えたところで、その足を止める。


マミ「……!」


 いつもの帰路の片隅に、二つの姿を見つけてしまった。

 一見したらたむろする不良のように態度悪そうに片手をポケットに入れて気まぐれにその中身を食い漁る杏子と、その傍に寄り添うゆまの姿。


杏子「よう。……久しぶりだな」


 二人だけで会うのはどのくらいぶりだろう。単なる挨拶だがどこかぎこちない空気を感じていた。

 杏子はまだ目線を合わせようともしていない。


マミ「どうしてここに……。こっちに来るなら、集まりのほうに顔を出せばよかったのに。呼ばれてたのは知ってたでしょう?」

杏子「それより前に、なんか変なコト言ったろ。キュゥべえづてに」

杏子「ホントはもうこねーって決めてたんだよ。アンタたちが何してようがどうでもいいし」


 杏子は『なのに』というように続ける。


杏子「……あれはなんなんだよ。あんなこと。今更」


 ゆまが前に出て、その小さい身体で精一杯に呼びかけた。


ゆま「キョーコずっと迷ってたんだよ! きになるなら会いにいこうよってゆまがゆったの!」

ゆま「ここにきてからもどうしようかってうろうろしててね、ちょうどマミがきたところなの」

ゆま「だって、マミはキョーコと『なかなおり』したいんでしょ?」

マミ「あれは……」


 あれはそういうつもりじゃなかった。

 むしろ、その先のことなんて考えてない。言うだけ言って、最後の『別れ』を告げるつもりの言葉だった。




806以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/12(水) 21:35:13.02bBybgMaj0 (2/3)

予想が当たったか。
BADの時は先に小巻の方に着たけど今度は直接マミの方に来たか。
これが吉と出れば良いんだけど・・・


807 ◆xjSC8AOvWI2022/01/12(水) 22:47:05.518yjF9Cq90 (3/5)



 しかし、マミは言いよどむ。ゆまの純粋な目を見てそんなことは言えない。

 実際にこうして会ってしまったから。『別れ』をするならせめてワルプルギスの夜までは先延ばしだ。それまでは死ねない。


 考えていなかった展開にマミは動けなくなった。ようやく杏子はマミを見据えて睨んだ。


杏子「なんで今になっていきなり! あたしに謝るって!」

杏子「アンタは今も正義だなんだってヒーロー気取ってんだろ? 使い魔見逃すのも許さないし、こうして“ズル”するのも許さないんだろ?」


 杏子は空になったスナック菓子の袋を傾けて呷ると、地面に捨てて足で踏みつけた。

 見せつけるためだ。盗んだものを貪って、その残骸すら身勝手に捨てていくさまを。


杏子「変わったってのか? あたしのが正しかったって認めんの?」

マミ「変わらないわよ。……変わりたくなんてないの。でもね、あなたの気持ちはわかったから」

杏子「気持ちがわかるとかハンパな同情が一番ムカつ……――」


 杏子は怒りにまかせて吐き出そうとした言葉を一旦止めた。

 マミの纏う空気が思っていたよりもあまりに重かったからだった。


杏子「……」


 その分はすぐに気まずい沈黙へと変わった。


マミ「確かに私は今までわかってあげてると思っていながら何もわかっていなかったの。それでずっと傷つけてしまった」

マミ「私はただ何も知らずに威張ってただけ。あなたを正しいとは言えないけれど、私も正しいとはいえなかった」

杏子「……別にあたしはそんなこと言ってほしいわけじゃないけど」

マミ「そうね。これも私が言いたいから言ってるだけよ」

杏子「もうわかったよそれは。それより何があったわけ? まさか本当に……」


 杏子の攻撃的な雰囲気もすっかりとしぼんでしまった。

 マミは床に落ちたゴミを拾い上げて、マンションの中へと歩いていく。


 これ以上なんて考える気はなかった。謝って、それで終わりにするつもりだったのに。


杏子「おい!」

ゆま「マミ! なかなおりできたんだよね? なんでまだ悲しそうなの?」

マミ「……ついてきて。あなたが知りたがっていることについて、知っていることは話すから」



――――――
――――――


808 ◆xjSC8AOvWI2022/01/12(水) 23:19:18.398yjF9Cq90 (4/5)




小糸「すっかり遅くなっちゃったね。魔女を探すのって本当に大変……」

小巻「そうなのよ。でも戦い自体はそんなに長引かなかったわね。結界も変なトコだったし疲れたし、早く帰ってシャワーを浴びたいとこ」

小糸「そのとーりー……」


 パトロールが終わると、もうすぐに帰路につこうとする。

 しかしそこで、気にかかった場所があって一旦思いとどまった。


小巻「……やっぱりちょっと先に帰っててくれる? 最後にひとつ寄りたい場所があるの」

小糸「え?」

小巻「野暮用! お風呂はすぐ入れるように沸かして待っててよ! そんなに時間かかんないから」

小糸「なにそれ!? やっぱり妹使いが荒いんだから!」



 帰路に着く前に寄り道して、一人で足を進めていった。学校へ向かう道の近く。



 立ち寄った先、立入禁止のテープが貼られていた。その奥、朝に『あたしたち』が居た場所にはブルーシートが見える。

 ――……あぁ、見つけてもらえたんだ。心にひやりとしたものが通った感覚がしながらも、安堵した気持ちも覚える。

 汚職議員の娘の不審死なんてまたどんな風に報道されるかわかったもんじゃないけど。

 それでも、最後まで、醜くなって孤独に放置されることはなかった。……それだけを思った。


小巻(今度こそ本当に帰りましょう。……お風呂が冷めちゃうわ。温め直しはできるけど)



 今日確保できたグリーフシードは、まずはあたしと小糸と一つずつ。

 決して余裕があるとはいえない。でも手に入っただけマシだ。


 戦いに向けて残りの日々をどう過ごそうか……。



―30日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:2個
・落書き[10/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


809 ◆xjSC8AOvWI2022/01/12(水) 23:22:51.148yjF9Cq90 (5/5)

------------------------------
今回更新はここまで
次回は17日(月)20時くらいからの予定


810以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/12(水) 23:28:57.18bBybgMaj0 (3/3)

乙です。

小巻、やはり織莉子のことがどうなったのかは気になってたのか・・・
マミの方はどうなるかな?


811 ◆xjSC8AOvWI2022/01/17(月) 20:50:06.82jp3QNqNR0 (1/4)

――――――
31日目



 朝、家族を見送ってあたしも家を出る。


 織莉子のことはニュースになっていた。校内でもみんなの目を引く話題になっているようだった。

 多くの媒体で見知った場所の名前が、景色が掲載され、さらには同じ学校に転入して関わっていたかもしれないんだから。


 そんな話が耳に入ると落ち着かない心地だった。

 それでも、あたしの周りにいる人たちは以前と変わらない。他愛のない話をして、授業を受ける。


小巻(そういえば、昨日は塾サボっちゃったわね……ま、いいか。そんな場合でもなかったし)


 学校生活の中にいれば何事もない日常に戻ったかのようだった。これが突然壊されるなんて嘘なんじゃないかって思えてくる。

 ――もちろん放課後になればそんな気じゃいられない。

 実感がわかなくとも、残り少ない日にちは迫っている。



 ワルプルギスの夜との戦いまで、あと4日。



*今日の予定
1小糸とパトロール
2まどかたちの様子を気にかけにいく
3マミち一緒に行動
4キリカと一緒に行動
5ほむらと一緒に行動
6一人で行動

 下2レス


812以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/17(月) 20:58:58.97rXnTr9Ip0 (1/5)

>>3マミち一緒に行動

マミち…マミっち?
何か可愛いぞw

ここは5で。


813以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/17(月) 21:09:47.26Vsh8AHFpO (1/3)

1+4
ダメなら4


814 ◆xjSC8AOvWI2022/01/17(月) 22:21:59.50jp3QNqNR0 (2/4)

マミっち!
1以外の行動は相手が主体になります
--------------------------------



 学校が終わって、外に繰り出す。

 今日は教室を出るときから隣にはキリカがいる。このまま帰るわけにはいかないけど、何をするとも言っていない。

 ……とりあえず、このままならパトロールって流れになるかしら。


小巻「昨日は結局、自主鍛錬したの?」

キリカ「いや。……鍛錬のやり方とかしらないし。今になってからちょっとやそっと鍛えたところでどうにもならないでしょ」

キリカ「そう思ったらパトロールしてたほうがマシだなって」

小巻「それはそうね。焼け石に水?」


 あたしもマミの隣で素振りしたことはあったけど、その程度で実感できるほどは変わらない。

 継続したら力になるとしても、あたしたちにはそれだけの日数は残されていない。

 余裕がある時だとしてもそれより魔女を倒しにいったほうがいいんじゃないかって思う。


キリカ「……はっきり言いすぎじゃない?」

小巻「そもそも大したことするには変身しなきゃだし、あの格好を外でするのも絶対にお断りよ!」

キリカ「たしかにね」


 キリカは軽く笑ってこの話題を流そうとした。


 でも、あのときのことを思い出して少し考えてみる。

 あたしたちが適当に素振りとかしたところで大した訓練にはならないかもしれないけど、教われる人がいたらどうだろう。

 今のマミは頼るにはまだ負担になりすぎるか。



 下1レスコンマ判定 1/3
0~20 使い魔
21~40 魔女


815以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/17(月) 22:29:07.55rXnTr9Ip0 (2/5)

ほいさ!


816 ◆xjSC8AOvWI2022/01/17(月) 23:02:36.35jp3QNqNR0 (3/4)



小巻「……鍛錬のやり方ってさ、それがわかったらやってみてもいいかもとは思う?」


 キリカにとっては唐突な質問に感じたかもしれない。

 答えが返ってくるまでに少し時間が空いた。


キリカ「うーん、誰かに弟子入りするかってこと?」


 誰かの下につくって考えたら面倒臭くも思えてきた。マミが話してた、昔のマミと佐倉の関係みたいな。

 あたしはこれまで完全に我流だったし、それで困ったこともなかったから習おうと思ったこともなかった。


キリカ「それだったらどうだろ。まあ、やってみてもいいかもね」

小巻「そう?」

キリカ「前はそう言われてもどうでもよかったけどさ、強くなるってのは悪い気がしないし」


 意外な答えが返ってきた。

 なんだかんだ、あれからキリカは変わっている。それはもちろん願い事のせいじゃない。

 むしろ多分、ちゃんと願い【悩み】と向き合って先に進んだから。



 下1レスコンマ判定 2/3
0~20 使い魔
21~40 魔女


817以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/17(月) 23:06:37.67Vsh8AHFpO (2/3)




818以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/17(月) 23:07:25.52rXnTr9Ip0 (3/5)

今度こそ。


819以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/17(月) 23:08:27.39rXnTr9Ip0 (4/5)

うーん、駄目かぁ・・・
せめてGSは欲しいとこなんだけど。


820 ◆xjSC8AOvWI2022/01/17(月) 23:23:58.00jp3QNqNR0 (4/4)



 せっかくキリカはこう言ってるんだし、今すぐじゃないにしても機会があれば話してみよう。

 その時はあたしも一緒にやってやってもいいかな。……置いてかれるのは勘弁だから。



 途中で話しながらも魔力には気を配っていた。暗くなるまで街を一通り回る。




 下1レスコンマ判定 3/3
0~20 使い魔
21~40 魔女


821以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/17(月) 23:29:09.75rXnTr9Ip0 (5/5)

これで駄目なら1日無駄になっちゃうなぁ・・・


822以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/17(月) 23:30:00.67Vsh8AHFpO (3/3)

ダメだこりゃ


823 ◆xjSC8AOvWI2022/01/18(火) 00:16:39.33tKv52bcg0 (1/2)




 ――――パトロールを終えた。粘ってはみたものの、今日は二人分のグリーフシードは手に入らなかった。



小巻「まあ、こういう日もあるわ」

キリカ「そうだね……」


 いや、むしろ、今回怪我も苦戦もしなかったことを喜ぶべきだ。

 戦って毎回無事で済むとも限ったわけじゃない。



―31日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:3個
・落書き[10/100]
・[100/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


824 ◆xjSC8AOvWI2022/01/18(火) 00:24:45.34tKv52bcg0 (2/2)

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今回更新はここまで
基本ここからワル夜までは大体二人で組むので、2つないと確定でもらえないのきつすぎってことで自動で粘って1個は見つけてきます
ただし判定引けないと1つが誰に渡るかは人と好感度によります…
今一番に手持ちが少ないのは小巻と小糸なのでキリカはくれたってことですね…

次回は19日(水)20時くらいからの予定


825以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/18(火) 00:28:56.82PtEZjrw20 (1/1)

乙です。

うーん、自動で1個ゲット出来るのは良いのですが最後はコンマ運頼みなのか・・・



826以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/18(火) 00:31:54.95TWdzjANZO (1/1)


最強の敵はコンマ運だからな


827 ◆xjSC8AOvWI2022/01/19(水) 20:44:51.23cNFBvCM/0 (1/3)

――――――
32日目



 ワルプルギスの夜との戦いまで、あと3日。



*今日の予定
1小糸とパトロール
2まどかたちの様子を気にかけにいく
3マミと一緒に行動
4ほむらと一緒に行動
5一人で行動

 下2レス


828以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/19(水) 20:50:43.349hc/ERzM0 (1/1)

3のマミっちと。
メンタル的に回復してるかどうかわからないけど。



829以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2022/01/19(水) 20:58:31.34IE7zhMaTO (1/1)

杏子たちとどうなったか知りたいから↑


830 ◆xjSC8AOvWI2022/01/19(水) 22:51:58.56cNFBvCM/0 (2/3)



 チャイムが鳴る。

 放課後になってから廊下に出ると、マミの姿が目にとまった。マミはまだ教室の中だ。


マミ「浅古……さん」


 そこに近づいていくとマミがあたしのほうに気づいた。鞄を整理していた手が止まる。


小巻「おつかれ。調子はどう?」


 よくある挨拶だけど、今は心配の意味も含んでいた。

 そんなに簡単に調子なんて良くなるわけないってことはわかってるつもりだ。あたしだって動揺した。本気で悩む経験だってした。

 もう弱さがわからないあたしじゃない。所詮言わなきゃわからないから、その気持ちは素直に伝えたほうがいいことも知った。


小巻「……心配だったのよ。一緒に戦う仲間ってのもあるけど、友達がヘコんだままじゃあたしも気が気じゃないの。少しは休めた?」

マミ「え、ええ。少し」


 気になって聞いてはみたものの、ここでは詳しいことを話すのには向かない。

 こんなとこで気軽に聞けるほど軽くはない。



 そのまま横でマミの支度が終わるのを待つと、自然と一緒に廊下に出て、校舎を出ていった。

 それから、その行き先はなんとなくだろうか。前にも一緒に来たことのある土手の片隅に腰掛けた。



マミ「私、迷っていたの」


 水の流れる音以外には、通りから聞こえる音も少ない。静かで、どことなく寂しさを感じさせるこの場所でマミは口を開く。


小巻「……、何を?」

マミ「全部」


 あたしは今でも、隠された細かな感情の機微や遠回しな表現を汲み取るのは苦手だ。

 そう思って聞いてみれば、返ってきたのはそんな身も蓋もないような一言だった。




831 ◆xjSC8AOvWI2022/01/19(水) 23:55:44.11cNFBvCM/0 (3/3)



 マミは語り始める。


マミ「なにをするか、どう生きるのか、生きてていいのか、全部よ」

マミ「ワルプルギスの夜を倒すのは決まってる。でもそれが終わったら、その先は。……私は全然わからなかった。もう“何もない”ように思えた」

マミ「どうせ魔女になるのなら死ねばいいのかもとも思った。今もふと気づいたら迷ってしまうことがあるわ」

小巻「そんなこと言わないでよ! この前言ったでしょ? 生きてればいつかきっとなんとかなるって――」

マミ「聞いて。……あなたの言葉は嬉しい。勇気づけられた。でも、いくらそう言われても、私は心からそうは思えなかったの」


 そう言われて一旦心を落ち着ける。

 心から思えなければ、希望を持った言葉ですら押し付けでしかなくなるのだろうか。


マミ「私はもう話すつもりなんてなかったけど、みんなで集まって話した日、本当は佐倉さんはこっちには来てたのよ」

マミ「あの子は今の浅古さんほども素直じゃないからそんなにはっきりとは言ってなかったけど、きっと心配されてたの」


 ……あの日、来てたんだ。暁美の家にいたときから今日まで、一切連絡よこしてないし気づかなかった。


マミ「全部打ち明けて…… そうしたら、『今まで強がってばかりでわかろうとしなくてごめんなさい』って伝えた私に対して、『自分も強がってた』って」

マミ「正義とか、悪とか、魔法少女とか、これからはそういうのに縛られないで本当にやりたいようにやろうって。……“だから”、お互いを許して一緒に生きようって」

小巻「……ホントにそんなこと言ったの、アイツが?」

マミ「もちろんすぐにそう言ったわけじゃないし照れ隠しはあったけど、重要なところはこのとおりよ」


 正直驚いてた。

 どう頑張っても、マミの心に響かせられるのはあたしじゃなかったってわけだ。


マミ「先のことは相変わらずわからないけど、私もそっちのほうがいいって……やっとそう思えたの」

小巻「わかるわけないでしょ。未来のことなんて。……織莉子だってこんな未来はわかってなかったわよ」

マミ「……そうね」


 まあでも、あたしの言ったことは間違ってなかったんだろう。

 死んでたらそんな話もできなかったんだから。


小巻「ところで、佐倉の昔の話もっと聞かせてよ。マミしか知らない面白い話あるんでしょ?」

マミ「ええ」


 こうしてやっと、重苦しかった空気が明るいものへと変わった。

 久しぶりにマミと会話を楽しむことができていると、その最中に、いつからかとても気まずそうな顔をした人影が覗いていることに気づいた。


 話題の中心人物だ。