736以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/07/24(土) 23:59:28.79dvOrl/i/0 (2/2)


  レオナルド「君はああならない方が良いよ」

   エミリア「え?」


 俯き考えこんでいた時、彼女は背後から声を掛けられる振り返るとそこには機械化した人間が1人
限りなく人間の声帯に似せた機械音で語り掛けてくる彼に疑問符を浮かべると…


  レオナルド「ボクはファッション雑誌やモデルさんに興味は無いけどね、君くらいの有名人なら流石に知ってるよ」

  レオナルド「一緒に行動する上でリュート君達からも少々事情を聴かされたからね」


 一世を風靡したトップモデルの転落人生、全ての元凶である道化師の仮面をつけた男との因縁のこと
どういう経緯で今回潜入することになった基地の主人、モンド氏とエミリアが面識を持ったのかを説明する上で芋づる式に
ジョーカー事件についても語らざるを得なくなったらしい



  レオナルド「憎しみや怒りに囚われると人間、"真実を見る目"を曇らせてしまうからね」


   エミリア「…ふふっ、あなたってば全然メカっぽくないことを言うのね」クスッ


  レオナルド「機械化したことで多少物事を俯瞰的に視ることは多くなったかもしれないけれどね」

  レオナルド「これでも元は人間だから、人としての心理や感情論だってちゃんと解るんだよ」

  レオナルド「だから彼の"人間ならば誰しもが持つ側面"を否定する気も無いかな~って」


  レオナルド「でも時と場合によってはそれに囚われ過ぎちゃ駄目な時があるのも事実かな、難しい話だけど」

  レオナルド「と言うのも君にとっての仇、ジョーカーって言ったっけ?」


   エミリア「え、ええ…そうだけど」



  レオナルド「丁度一週間前のお昼頃になるのかな
         ボクはT-260君の事を調べる上でトリニティの第七執政絡みのデータを閲覧していてね…」

  レオナルド「その時、"表向きは"爆破テロって事になってる事件に運悪く巻き込まれちゃってさ」


   エミリア「…一週間前の爆破テロ」




         - エミリア『っ!!な、なんなのよ!今の音は!!』-

  -ルージュ『! み、みんな、見てくれ!あのビル!! あの一番大きな建物から煙が出てるぞ!!』-




   エミリア(…あの時の爆発、私達にも見えてたのよね…)


  レオナルド「それでその時にトリニティに接触してたジョーカーという人物に関するデータを流し見程度にだけど見た」

  レオナルド「機械になった今の計算思考、生前の記憶情報と合わせて改めて考えてもどうにも不可解な点が多すぎる」




  レオナルド「なんというか偶に行動に奇妙な間隔がある、一定間隔で指針を変えるような動きというか一貫してない」

  レオナルド「こう…"人格が別々にある"…みたいな?」



…人格が、別々にある?



   エミリア「それって「おーい!レオナルドさーん!これなんてバッテリーに使えそうじゃねーかぁ~?」


 続きを促そうとした所で階段を上った先からリュートが声を掛けてくる


737続きは日曜日2021/07/25(日) 00:00:02.71xHOyBFoT0 (1/2)



  レオナルド「っと、いけない…つい話し込んでしまったね、興味のある事だと長話になるのが悪い癖だ」

  レオナルド「兎に角、君は仇を前にしても冷静さを欠いてはいけない」

  レオナルド「"確証の持てない考察論"だからボクからは深く言えないけど対面して直ぐに相手を殺さないようにね」


   エミリア「あっ…」



 暗に仮面の男の真相を掴んでいるという発言だった、[ラムダ基地]潜入時のモンド氏といい
自分が未だに知り得ない真実を周囲の人物は得ている
 喉から手が出る程知りたくて堪らない、渇望して止まない憎むべき男の正体を…っ



 だが、目の前の彼は告げるのだ『冷静さを欠くな』『1対1で対面する機会があっても直ぐに撃ち殺すな』…と



 100%の確証が無くとも何らかの答えに辿り着いているのなら教えて欲しいというのが正直な所、彼女の本音だが
彼なりにエミリアを気遣ってくれたつもりなのだろうと彼女は思うことにした
 レオナルドからすれば何の関わりも無く助言する必要性すらない赤の他人である彼女に対して復讐心は真実を見誤らせる
感情に突き動かされて確かめもせずに直ぐ相手を殺す様な真似はするな、と発言する辺りジョーカーを殺す事自体に何か…


 きっと、何か大切な意味があるに違いない…


 手っ取り早いのは彼が口答で教えてくれることなのだが、それをあえて逸らすように話を切ったからには
おいそれと言葉にする訳にはいかないという事だ




     エミリア「ふふっ、レオナルドさんかぁ…機械は苦手だけど少しだけ、好きになれそうかもね」クスッ









  アニー「エ、エミリア…ちょっとアンタそれはマズイって、いくら未亡人だからってメカに手を出すのはちょっと…」

 エミリア「!? ち、違うから!?そういうんじゃないってば!?今のはそういう意味じゃないからね!?」






 ……レオナルドは確かにジョーカーの正体に見当が付いていた、だがエミリアにそれを直接言うのは憚られた




 彼自身が言った様に、ロボットになってしまったとはいえ彼には人間の感情や心理を理解できるから
だからジョーカーの正体を彼女を前にして大っぴらに言うのは気が引けた






―――
――




    リュート「どうだい、レオナルドさんコレならあのエレベーター動かせるんじゃねぇかな」つ『バッテリー』

   レオナルド「OKこれで更に下層へ向かう事ができそうだね」



 予備電源と成り得る物を両手に掲げて自慢げな顔をするリュートに大判子を押して一行は来た道を戻りリフトフロアへ
戻ろうとしていた…だが戻った先には



738続きは火曜日か水曜日2021/07/25(日) 22:11:08.26xHOyBFoT0 (2/2)





         ワンダードギー「ディィイヤァァァァァァァァーーーーッ!」ブンッ




 リュート「うおっ!?あぶねっ」サッ!



 戻った先には基地の警報機を作動させた[ワンダードギー]が待ち構えていて侵入者達を始末せんと槍を構え一直線上に
突っ走って槍を大きく振るい出した
 先頭を歩いていた無職の青年はそれを避ける、ランスの先端が特徴的なボサボサ髪を掠めて毛先が舞う
飛び退きつつも抜刀して戦闘態勢に入るリュートと後方の仲間達も直ぐに応戦する形となり…




 結論から言うと、余裕の勝利であった







    エミリア「はぁっ!」BANG!

     アニー「飛んでけぇぇ[飛燕剣]!!」ヒュバッ!

    スライム「(`・ω・´)ぶくぶくぶー!」ゴッ!



 ダンッ! ズバッ ドガッ


 ワンダードギー「ぐぎゃっ」ザジュッ!
  ワンダーランス『』カラン、カラン…


 手から愛用の槍を離し地に転げ落ちる下位妖魔は侵入者を恨めし気に睨みつける
[ファシナトゥール]から出奔して長らく不遇だった自身に日の目を見る機会が来たと、藁にも縋る思いで
モンドの軍門に下ったのだ…っ!リージョン界全体を圧倒的な力で引っ繰り返して理想の世の中を築くと



 …そうしてモンドの下で甘い汁を啜り、叶うならモンドの寝首を掻いて、己が地位と富を―――と野心も抱いていた



 力こそ全て、圧倒的な力を以てして全てを捻じ伏せ自分を誇示する、それは妖魔社会のやり方にも通ずる部分があった
この辺りがモンド氏とこの下級妖魔の最大の違いなのだが…



  ワンダードギー「ちっくしょぉぉぉ…!俺の大望が、こんな所で潰えて堪るかよおぉぉぉ…」



 世の理不尽さを訴えんとばかりに喉から声を絞り出す

 こんな日に限って侵入者が現れるなんて…っ!何故よりにもよって"今日"なのだ
雇い主であるモンドは今日基地に不在で、しかもこのタイミングで最下層で建造中の【アレ】が完成する日だというのにッ 


 野望を胸に秘めた妖魔にとって今日は人生の岐路だった、"完成した【アレ】に搭乗して"そのまま盗み去り
その圧倒的なパワーによって自分を見下してきた全てを蹂躙してやろうと決めていた
 【アレ】さえ盗み出すことに成功すれば自分がリージョン界を支配するという夢物語も夢で終わらなくなるかもしれない
それこそ[ファシナトゥール]の[針の城]で道楽に耽っている魅惑の君さえも叩き潰して妖魔の君として君臨できるかもと
莫迦げた夢想を思い描けてしまう程だ


―ガシッ!

  ワンダードギー「あぐぁっ!?」

    ブルー「貴様は基地の者だな、主の命令に背かないメカでないのは丁度良い我々を案内してもらうおうか」ググッ

  ワンダードギー「わ、わかった…胸倉をつかむな、は、はなせ…ゲホッ」プルプル




739以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/07/26(月) 06:10:50.53Q6mwjGRr0 (1/1)

レオナルドさんかっこええなあ


740続き 金曜日か土曜日2021/07/28(水) 08:45:03.539DRm4tWr0 (1/1)


 フロア内で拾ってきた動力源とコンソールを電力ケーブルで繋いだ事で自分達が立っている足場が沈んでいく
底なしの光も届かぬ地下のまた地下、泥沼に突っ込んだ方脚がずぶずぶ引き込まれるのと同じ感覚で斜行する

 深淵へ、更なる下層へと侵入者様御一行と捕虜1名を乗せて沈む



    アニー「暗いわね…、警報前はまだ電灯も点いてたんでしょうけど」ジーッ


 非常事態勢が敷かれたことで電源が落ちたのは何もリフトだけではない、そもそもが予備電源を拾って態々繋げなければ
稼働しない設備なのだから此処を照らす光源が落ちのも自明の理

 天井に申し訳程度にぶら下がった非常灯の薄明かりだけが唯一の光だが、頼りないソレでは少し視線を伸ばした先には
何があるのか到底分かったものではない




  リュート「なぁなぁ、アンタ教えてくれよな~ここはマジにモンドさんの基地でヤバい秘密兵器があるのかい?」

 ワンダードギー「ええい!なんだテメェは馴れ馴れしいっ!侵入者に漏らす情報なんざねぇよ!」


   ブルー「ちっ、思いの外強情な妖魔だな情報を一切吐かんとは…やはり締め上げて」グッ
  リュート「わーっ!だからお前は物騒なことすんなって!!」ガシッ


 下位妖魔の雇い主にして基地の大将は本当にモンドで間違いないという言質を取ろうとするが主人の名前、基地の弱点
最下層で造られているトンデモなく危険な兵器に関する情報も一切口にしようとしない
 いい加減痺れを切らし始めた蒼き魔術師が暴力に物を言わせ黙秘する事全てを赤裸々にさせようと蛮行に走りかけたり
それに対して青年がヨーク綿の帽子を振り落とさん勢いで術士を羽交い絞めにして止めたり

 後方は随分と賑やかになっているな、とアニーとスライムは暗闇を見つめながら思った




     アニー「こう暗いんじゃ待ち伏せの敵が本当に居るかなん…て…?」ジッ

    スライム「(´・ω・)ぶく?」キョトン



 黄金色の髪をした彼女は暗がりに一瞬だけ光る何かを見た、防衛本能に長けた彼女だからこそ見逃さなかった一瞬
鞘から剣を引き抜き仲間に声を掛けるっ――と同時に飛んでくる[バルカン]の弾雨を咄嗟に装備していた[シェルガード]で
防いで応戦の[飛燕剣]を打ち込む


 ズダダダダダダダッ…!


  エミリア「きゃっ!」サッ

    ゲン「敵が下からこっち目掛けて撃ってきやがったか!」


 ズダダダダダダダッ…!

    ブルー「ムッ!?」

  ワンダードギー「ひっ、ひぃぃぃ…」ドサッ

   リュート「おいアンタ!もうちょっとリフトの後方へ行ってろよな下から上目掛けた銃撃なら端に居りゃあ無事だ」


  ワンダードギー「あわわ…味方の流れ弾で死んでなんぞ堪るか」ノロノロ


 自分の直ぐ傍に[バルカン]砲による弾雨が降り注いだ事ですっかり腰を抜かしてその場に座り込んだ下位妖魔は
弦楽器を背負った男に言われるまま後ろ手で縛られた状態でノロノロと弾が来ない後ろ端へと進みだす




 ガシュッ!

 アニーの花った真空の刃が金属のボディに当たり火花を散らす、一瞬だがその時の火花で中に浮かぶ"何か"が2体と
弾雨を降らせた張本人の姿が浮かび上がった


   アニー「…あれは、[ヘルメス]ね!お供に何かが2機くらいついてるみたいだけど…っ」




741続きは日曜日か月曜日2021/07/31(土) 23:24:32.05X2LXx8+80 (1/1)


 薄闇を照らす非常灯の頼りない光に助力した火花に照らされた鈍い黄緑色と骨組みだけの様な特徴的な脚に腕部の銃器
[ヘルメス]特有のガトリング砲は侵入者達へと向けられていた
 暗黒の中であろうとも彼奴には関係ない、多少の視界不良はものともせずにリフト上という定められた範囲でしか移動が
儘ならない人間やモンスターを相手に一方的な射撃を行えるという訳だ


   ズガガガガガッ!


    リュート「こりゃあマズいぜ!おーいナカジマ零式ー、飛べるんだからなんとかならないか~?」サッ

  ナカジマ零式「ハーイ、待ってましたよ~ 近づいてからぁのぉ必殺[連装ミサイル]とぉっ!」バシュッ!


 呑気な声で一方的に殴られる現状をどうにかできないかと唯一浮遊できる仲間に語り掛ける青年に対して
戦闘機を模した機体のAIはなんとも間延びした声で仲間の期待に応えようとする

 零式は[ヘルメス]の火線を掻い潜りこの距離ならば回避されまいと射程範囲に入った所で自機搭載の[連装ミサイル]を
撃ち込むのだが


   連装ミサイル『』ヒュルルルルル!!
   連装ミサイル『』ヒュルルルルル!!







    「 ピピッ!ミサイル検知、[ECM]を発動します 」キュィィィン!





  ナカジマ零式「へ?」



   連装ミサイル『』ヒュルルルルル!!―――ピタッ、ヒューン!……コォンッ!コロコロ…



 [ヘルメス]目掛けて飛んで行く筈だったソレは突如として勢いを失くし空中で完全停止する
推力を失った事で落下したミサイルは斜行プラットホームの底へと墜ちてコォン!と金属音を響かせながら何処かへと
そのままコロコロ転がっていく…"爆発もせずに"


 ナカジマ零式「お、おーのー!なぁんてことでしょう![ECM]でーす!"ミサイル攻撃が無効化"されちゃいましたぁ!」

 ナカジマ零式「はわっ、はわわわ…なーんかバランスがうまく取れないこれ以上はマズイですねー!」クルッ ヒューッ


 [ECM]の影響下で後部スラスターに不具合が生じた零式は直ぐにUターンして仲間の下へと帰還する
この時、漸くアニーは暗がりの中見えなかった[ヘルメス]の傍を浮遊していた2体の御供がなんであるか確認できた



   アニー「…!まだ暗闇に浮かぶぼんやりとした物陰でしかないけど、あれって[スカイラブ]じゃないかしら!?」

 レオナルド「…やれやれ、そういうことか我ながら厄介な物を造ったなぁ」ウーム



 [ディスペア]監獄に度々お世話になる機会があったアニーは闇に覆われたシルエットだけでもソレがなんであるか察した
ルーンの石が置かれている一室へ向かう際に嫌でも突破せねばならない赤外線エリアの防衛装置として
時折とんでもない兵器が配備される日がある、監獄所長の道楽で行われる"解放の日"で脱走を企てる者のリストに
死刑囚でもおかしくない様な重罪人が紛れ込んでいる場合がそうである

 機械工学の天才レオナルド博士が"拠点防衛用"の衛兵メカとして開発した物で性能は当然折り紙付き

 拠点防衛装置として監獄に配備されていると言えば聞こえは良いが
その実態は"解放の日"に参加する死刑が妥当な重罪人への処刑マシンなのであったあ


   pzkwⅤ「せ、先生!どうしますかッ!あいつ等が浮かんでたんじゃこの[ハイペリオン]だって!!」

   ブルー「この狭い足場上で[ヴァーミリオンサンズ]を唱えるのも厳しいな、狭すぎて間違いなく何人か巻き込む」


 広範囲への最大火力を誇る魔術は使えば敵には勝つが味方への被害も甚大…足場と進行中の通路が狭すぎる
pzkwⅤが自前で持ってきた砲も[陽子ロケット弾]が[ECM]の効果で着弾前に虚しく落下するだけである



742注) 作中のスカイラブはレーザー回避 を使用できません2021/08/02(月) 23:50:30.03AiQYHdEV0 (1/2)


  レオナルド「問題ないさ要は連中を墜とせばいいだけの話だよ
          [ECM]効果は飛来するミサイルの推力系と起爆に必要な信管を狂わせて不発弾にする電磁波妨害」

  レオナルド「ナカジマくんのバランス調整が不安定になって飛び辛くなったのもそのせいだね」

  レオナルド「あくまで対象を飛びも爆発もしない鉄塊に変えるだけの機能だから普通に
           光線や機銃の類が通るさ、尤も回避プログラム搭載の場合を考えれば――――」



  ズガガガガッ!!  ビュゥゥン!ガガガッ!



   ゲン「レ、レオナルドさんよ!難しい話はあとで聞くから結局俺達は何すりゃいいのかだけ言ってくれぃ!!」ササッ

  レオナルド「おっと、そうだね…じゃあ[飛燕剣]や[烈風剣]を使える人はじゃんじゃんやっちゃってよ」



 2機の浮遊する防衛装置の射程圏内に入ったのかガトリング砲を援護する様に[スプレッドブラスター]が飛んでくる
制作者の長々とした解説を聴くよりも目先の厄介な敵機を破壊する方法をご教授願いたい剣豪は博士に結論を述べてもらう

 エミリアの銃撃やメカ軍団の[破壊光線銃]も普通に通る、何より浮遊という特性上[スカイラブ]は[飛燕剣]や[烈風剣]等
宙に浮かぶ者を切り落とす術に滅法弱いのだ




   特殊工作車「[破壊光線]、照射します!」ビィィィィィッ!
      T-260「優先順位変更、敵の護衛機を殲滅せよ![破壊光線銃]を使用します」ビィィィィィッ!




   スカイラブA『 』サッ!クルクルクルクル!
   スカイラブB『 』サッ!クルクルクルクル!

   スカイラブに避けられ真横を飛んでく破壊光線『』チュドーン!



 裏通りの武器店でpzkwⅤから頂戴した兵器を撃つが防衛機構の2機は優雅に踊る様に…っ!
人間が技を見切った時と同じ動きで華麗に破滅を導く光を避ける
 それを見て博士は「あちゃー…やっぱり[レーザー回避]プログラム付きかぁ、慎重派だからなぁモンドも」と
目元を覆うように金属製の腕を顔へと運ぶ



  レオナルド「残念だけど、ボク達は今回できることは無いみたいだ精々皆が被弾しない様に盾になるくらいだね」バッ


 前衛の"人間<ヒューマン>"達の前に立ち両腕を伸ばして少しでも味方の損害を減らそうと遮蔽物の役割に徹する
それに倣ってT-260も前に出て、特殊工作車は移動しながら実弾を受けつつ内蔵された機銃で応戦を試みる


   アニー「せいぁッ!!」ヒュバッ

    ゲン「墜ちろや!」シュバッ

  リュート「俺からもっッと!」シュバッ、シュバッ



 剣気の刃が、刀身が生み出す烈風が、間髪入れずに飛び交う二重の疾風が、嵐となって下方に居る3機へと降り注ぐ
地に足を点けてどっしりと身構えながら耐える[ヘルメス]は兎も角、宙に浮いていた2機は斬撃の集中豪雨を浴びて
片方が完全に沈黙する、辛うじて浮いていたもう一方は…


        BANNG!


    エミリア「…ふう、[集中射撃]で狙い撃ったわね」 

  ナカジマ零式「わーお!さっきよりかは幾分か気分がよくなりましたねー!」フワッ


 レオナルド「[ECM]の影響はまだ残ってる、ミサイル兵装はまだ使えないさ」



 ナカジマ零式「oh!ノープログレムでーす!これだけ動ければアイツに一撃喰らわせてやれまーす!」ビュォンッ




743続き 水曜日か木曜日2021/08/02(月) 23:51:36.71AiQYHdEV0 (2/2)


 護衛を失い丸裸同然となった彼奴に超スピードで接近する機影、残骸と化した[スカイラブ]の忘れ形見は未だ効力が続き
先程自機を撃破しようとした[連装ミサイル]を射出したとて
不発弾となり虚しくプラットフォームの溝へ落ちる光景の焼き直しになるだけだと[ヘルメス]のAIにもわかっていた
 ただ一切の減速も無く寧ろ更なる加速力を得て此方にやってくる戦闘機の姿に電子頭脳はある可能性を描かせた

 
    ヘルメス『!!』ウィーン、ピロン!ズガガガガッ

 ナカジマ零式「はっはっはぁ!遅い遅ーい!止まって見えま~す!…ミサイルが駄目でもコレがありますよッ!」ヒュバッ



 陽気な声に笑いながら殺人的な加速力を以て白い機影が必至の抵抗を繰り広げる基地守備隊のメカへと急接近…っ!
あの速度で鉄の塊が突っ込んできたら如何ほどの衝撃エネルギーと成り得るか、自機はどうなってしまうのか?



 考えるまでもない。 例え"旧型<ポンコツ>"の電子頭脳の計算式であっても容易に叩き出せる結果である



  ナカジマ零式「超必殺のぉぉぉ!![神威クラッシュ]ぅぅぅぅ!!!」



   ズ ッッッボゴォ ォ ォ ォ ン!!


―――
――



     T-260「プログラム [レーザー回避]を 手に入れた」ピロリン!バンザイ!バンザイ!

  特殊工作車「プログラム [レーザー回避]を 手に入れた」ピロリン!グッグッ!


  レオナルド「おお!やったじゃないか二人とも」


 残骸と化した[スカイラブ]2機とさっきまでは[ヘルメス]だった[がらくた]から何か収集できないものかと
博士は仲間のメカ達を連れてリフトが次の層へ無事(?)到着停止した途端にせっせと倒した敵にコードを繋ぎ始めたのだ



   pzkwⅤ「先生…すいません、エネルギーを補充しただけで何も取れませんでした」シュンッ

 レオナルド「気に病むことはないよ、機会はいつだって訪れるさ、だって周りを見てごらんよ」スッ


 さて、そんな一幕があった後成果を得られなかったことを悔やむ店主を宥めながら博士が指さしたのはこの層の奥である
メカ達がプログラムの吸収を行っている合間に粗方内部に居た敵は術士やモンスター、剣士組が始末を終えていた
 攻撃の届かない遠距離から一方的に撃たれていた先程とは打って変わって今や地続きの広い空間に敵が要る、となれば
彼らは水を得た魚も同然で広範囲術を唱えるわ、自慢の剣技で細切れにするわの大暴れである


 …話は逸れたが、その戦闘行為が行われているフロアの最奥に見える赤いメタリックボディ

 それは[Tウォーカー]と呼ばれる地上掃討用の自立型メカ兵器である、無骨な二本の脚で二足歩行しつつ
視界に入る兵隊目掛けて[バルカン]の雨嵐をお見舞いするというなんて事無いメカ

 なんならさっき戦った[ヘルメス]よりも弱い自立型兵器だ、……では何故レオナルドはソレを興味深々に眺めているか?





   ブルー「…随分なものだな」カシャッ

 レオナルド「お?ブルー君にも分かるのかい?これの凄さが…っ!」キラキラ


 カメラのレンズに大っ嫌いな赤を基調とした機体を入れてシャッターを切りながらブルーは横目で機械化した男を見る
心なしか無垢な少年の様にメタルな瞳が輝いてる気がするが気のせいだろう


   ブルー「正直言ってメカは門外漢だがな、流石にコレは異様だと解る……"デカすぎる"だろ」カシャッ

 レオナルド「うんうん!凄いよね通常サイズより明らかに大きいもん[ガイアトード]に匹敵するかもね」ワクワク


 術士の瞳にさえ奇異に映る通常の自立型メカにあるまじき巨体さ、それこそ"人間が搭乗できそうなサイズ"のソレである



744以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/08/03(火) 00:29:49.98LLRfWuqB0 (1/1)

*******************************************************

 モンド基地に関して②

 [モンド基地]は原作中で4つの層に分かれており、リュート主人公時に[ネルソン]の艦長に船で乗せてもらって最初に
脚を踏み入れる入口エリア、MAP上に(おそらく)建造中の[ヘルメス]と思わしき物が置いてある2層目エリア
同じく建造中の巨大[Tウォーカー]が存在する3層目エリア、そして最後にラスボスが控えている部屋へ直通の最新層


 以上、4層に分かれている―――階段の類は無く、いずれも斜陽リフトによる移動で下へ下へと延々に進むだけで
しかも一度降りたら来た道を戻るという行為はできない



 道は一本道であるために迷うこともなく、道中にアイテムも落ちてはいない…リフトを動かす為の電源は拾えるが



2層目、3層目には敵メカとして実際に出現する先述の兵器が超巨大グラフィックでMAP上に存在していて如何にモンドが
トリニティ政府に対して反旗を翻そうと戦力を準備しているのかが窺えるであろう



また各層のリフト乗り場には敵シンボルが1体ずつ存在しており



1層目=メカ系敵シンボル

2層目=妖魔系敵シンボル

3層目=メカ系敵シンボル

最深部=巨人系敵シンボル



となっている。 基地全体の敵も妖魔やモンスターこそ少数居れどヒューマン系は0でもっと言えば圧倒的にメカが多い

これは心の奥底ではモンド執政官が人を信用していないという事の現れなのかもしれない
 エミリア編の[ラムダ基地(2回度目)]も警備がメカシンボルだらけになったが
それは単にトリニティの要所だからで説明が付く…しかしモンド氏個人の秘密基地であるなら私兵としてメカ以外がもっと
居てもおかしくない筈、でも見張りの大半は主人に逆らわないAIな辺り色々考えさせられる







…個人的な見解ですが、MAP上の[ヘルメス]も[Tウォーカー]も通常のソレと違って特別製だと解釈できる要素が存在します

まず、くどいようですが外見があまりにも巨大だ

 通常戦闘で出てくる2機は普通に主人公勢や他の雑魚的とサイズは変わらず小さいがMAP上のソレは
[シンロウ遺跡]の入り口から左に行ってすぐの[ガイアトード]よりデカい


 単にキャラクターグラフィック上、戦闘時の2機は小さく見えるけど実際は[モンド基地]の背景としてある巨大メカと
同じくらい本当はでかい兵器なんですよー、と説明されてしまえばそれまでかもしれない

 でも、それこそ[シンロウ遺跡]の[ガイアトード]や[キャンベルビル]に出るデカくした[スライム]系シンボルやら
そういうのはちゃんと戦闘時にも反映される特大サイズで用意されてて、あれだけサイズが違うのか?という話になります








 モンド氏は、原作に置いてもラストバトルで"アレ"を用意してます




 [シュライク]の[中島製作所]から技術を奪い、それで人間がパイロットととして操作できる超巨大ロボを地下で建造した
だとすれば、あの[ヘルメス]や[Tウォーカー]がとんでもない規格外サイズなのも兵士が乗り込んで戦う兵器の試作型と
そう考えたら辻褄が合うのではないか?というのが見解です


 基地の2層と3層の背景グラフィックにはそんな事情があるのかもしれません…


*******************************************************


745以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/08/05(木) 04:31:58.45ucSf01tv0 (1/1)

ナカジマかわいいな


746以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/08/05(木) 23:18:15.04CetTk8Ey0 (1/2)


 ルーファスから支給されたカメラに[モンド基地]の内部、そして件の超大型メカの姿を収める
帰還後、手当される有給休暇が如何ほどかは知らないが店の雑務から解放されて自分のやりたいことや本格的な術の鍛錬に
励めるくらいの日数は貰えるだろうと術士は考える


 最後にもう一枚と[Tウォーカー]の姿をレンズに入れた所で、ふと赤い機体の真上に人影が見えた気がした



   エミリア「ねぇ、ちょっと!エレベーターを動かすのに必要なのってこれでいいのかしら!?」タッタッタッ

  レオナルド「そうそう、前の階層と同じで階段を上った先にあったんだね…ブルー君どうかしたのかい?」


    ブルー「…いや、今あそこに誰かいた気がしたんだが」スッ



 術士は人影らしきものが見えた箇所を指さす、シャッターを切る前に見えた影の真意を知ろうと目を凝らし凝視するが
やはり気のせいであったのだろうか…何も感じない
 自慢じゃないがそれなりに人の気配を察せられるくらいには修羅場を潜り抜けてきたつもりだったが宙を飛べる
ナカジマ零式が「誰もいませんよー」と天井スレスレの上部から[Tウォーカー]を見下ろしてそう告げた



   ブルー(…俺も修練が足らんということか?)


   ブルー「まぁいい、電源が手に入ったなら次の下層に行くとしよう…おい、いい加減貴様も情報を吐け」グッ!

 ワンダードギー「ウゲッ、…だ、誰がキサマら何かに」ゲホッ











  もしも、まだ敵の生き残りが潜んでいて自分達の潜入を快く思わないのであれば機を窺い、隙を見せた所を攻めてくる


 それこそ悠長に写真なんぞ撮ってる場合ではない、だが敵意も無く、飛べるメカが上部から見ても誰も居ないとなると
やはり見間違いだったのか?

 彼はそう結論付けたが、実は…この時、既に基地にとある人物が居た事を直ぐに知ることとなる







 理想家にして野心家の男(……)

 理想家にして野心家の男([ワカツ]の残党、レオナルド、ミス・エミリア…そしてやはり来たかイアンの息子よ)





 理想家にして野心家の男(ここ数日[ワカツ]へ渡航記録が頻繁にあったことから特に基地周辺の監視をさせていたが)

 理想家にして野心家の男(どうやら正解だったようだな、…私はまだ失脚する訳にはいかないのでね)


 理想家にして野心家の男「」チラッ




 ワンダードギー「――!」

*******************************************************



747コピーミス、続きは土曜日か日曜のどちらか2021/08/05(木) 23:24:59.58CetTk8Ey0 (2/2)


 ルーファスから支給されたカメラに[モンド基地]の内部、そして件の超大型メカの姿を収める
帰還後、手当される有給休暇が如何ほどかは知らないが店の雑務から解放されて自分のやりたいことや本格的な術の鍛錬に
励めるくらいの日数は貰えるだろうと術士は考える


 最後にもう一枚と[Tウォーカー]の姿をレンズに入れた所で、ふと赤い機体の真上に人影が見えた気がした



   エミリア「ねぇ、ちょっと!エレベーターを動かすのに必要なのってこれでいいのかしら!?」タッタッタッ

  レオナルド「そうそう、前の階層と同じで階段を上った先にあったんだね…ブルー君どうかしたのかい?」


    ブルー「…いや、今あそこに誰かいた気がしたんだが」スッ



 術士は人影らしきものが見えた箇所を指さす、シャッターを切る前に見えた影の真意を知ろうと目を凝らし凝視するが
やはり気のせいであったのだろうか…何も感じない
 自慢じゃないがそれなりに人の気配を察せられるくらいには修羅場を潜り抜けてきたつもりだったが宙を飛べる
ナカジマ零式が「誰もいませんよー」と天井スレスレの上部から[Tウォーカー]を見下ろしてそう告げた



   ブルー(…俺も修練が足らんということか?)


   ブルー「まぁいい、電源が手に入ったなら次の下層に行くとしよう…おい、いい加減貴様も情報を吐け」グッ!

 ワンダードギー「ウゲッ、…だ、誰がキサマら何かに」ゲホッ











  もしも、まだ敵の生き残りが潜んでいて自分達の潜入を快く思わないのであれば機を窺い、隙を見せた所を攻めてくる


 それこそ悠長に写真なんぞ撮ってる場合ではない、だが敵意も無く、飛べるメカが上部から見ても誰も居ないとなると
やはり見間違いだったのか?

 彼はそう結論付けたが、実は…この時、既に基地にとある人物が居た事を直ぐに知ることとなる







 理想家にして野心家の男(……)

 理想家にして野心家の男([ワカツ]の残党、レオナルド、ミス・エミリア…そしてやはり来たかイアンの息子よ)





 理想家にして野心家の男(ここ数日[ワカツ]へ渡航記録が頻繁にあったことから特に基地周辺の監視をさせていたが)

 理想家にして野心家の男(どうやら正解だったようだな、…私はまだ失脚する訳にはいかないのでね)


 理想家にして野心家の男「」チラッ




 ワンダードギー「――!」


 理想家にして野心家の男(本来であれば今日は私が来訪する予定日では無い、私が来ていることを知る者はいない)

 理想家にして野心家の男(彼には"羊"となってもらうとするか)スッ


 誰一人としてその場に居ることを悟らせず、ほんの小さな大気の乱れ、呼吸、音、気配、全てを断ち
トリニティの執政にまで上り詰めた男――――モンドは飛行メカの視界からすらも難なく逃れたのであった


748続きは水曜日か木曜日2021/08/08(日) 23:08:02.77orQ/uRYR0 (1/1)


  ナカジマ零式「にしても~…これってやぁ~っぱりアレですかね?」
   特殊工作車「そうですね、社長達があの日"メカマウス"にデータを入れて[斉王の古墳]に逃がしましたが…」


  レオナルド「うん?」


  ナカジマ零式「いえね、ウチの会社で作ってた技術がこのデッカイのに所々使われてるっぽいんですね~」

  ナカジマ零式「なんか政府の偉い人が『トリニティの技術を盗用してる~!』とかなんとか言いがかりつけて」


      T-260「私たちが初めて[シュライク]を訪れた時の話ですね」
      ゲン「ああ、そういやそんなこともあったっけな…」


  レオナルド「…ふぅん、"トリニティの技術"を盗用してるねぇ…」フム

  レオナルド「ボクの管轄外の研究部署だって言われればそれまでだけど
           トリニティにこんな巨大メカに使う物は無かった筈なんだよねぇ…」


 …モンドの手の者が民間企業の開発した画期的なシステムをそのまま横領して秘密基地でせっせっかと開発していたのか
暫し考え込んで博士は一つ案を出した


  レオナルド「多分、[中島製作所]に乗り込んで色々漁りをやっていった記録は抹消されてると思うんだ」

  レオナルド「だからさ、もし追っかけるなら[IRPO]に手を貸してもらうのはどうかな?」


 パトロール隊員の力を借りてはどうだろうか?その話にエミリア達が耳を少しだけ傾けた
トリニティ政府は確かにリージョン界の司法や行政、全国共通の通貨であるクレジットの発行をすることで金融など
幅広く世界に秩序と調和を齎しているかもしれないが、それイコール100%クリーンな組織という訳ではない

 当たり前の様に汚職や買収、それこそエミリアが以前潜入したヤルート執政と同じ輩だってごまんと居る
警察組織[IRPO]への圧力も当然の様に掛け、都合が悪くなれば厄介な捜査官を閑職に追い込む事だって厭わない


  レオナルド「ボクの行きつけのハンバーガー屋さんに常連の刑事が居るんだ」

  レオナルド「彼なら多分、上からの圧力とか無視して色々調べてくれると思うんだよね」


  レオナルド「この基地から帰れたらさ、得た情報でモンドの弱み握っておきたいならその線で調べるっていうのも…」


 その線で調べるっていうのもありかもね、と言おうとした所でリュートに早く下層に行ってみようぜ!と急かされて
やれやれと首を振り博士はリフトの方へと向かった

―――
――


 ガコンッ、ウィーン


 基地最下層へと降っていく一行は奇妙な沈黙に包まれていた、ついさっき[スカイラブ]と[ヘルメス]の編成に
反撃不可能な遠距離から攻め立てられたからだ
 最下層ともすれば唯一の階層移動ができる此処が最終防衛ラインと呼ぶに等しく激しい防衛線が敷かれていても良い筈で
何の抵抗も無くすんなり降りれていることに不気味さを感じる程である


   リュート「なぁ…変だぜ、なんで誰も"お出迎え"しないんだい?」

   リュート「普通はこういうとこに超強ぇ奴とかがどっしり構えてるもんじゃねぇのか」


 当たり前の様に出された疑問は誰しもが胸に秘めていた、そして――――


――――――ゴゴゴゴゴゴゴッ

    ゲン「なんだこの音は!?」

   ブルー(聞こえる方角からして………後ろから何かが俺達の方へ向かってきているだとっ!?)バッ






      巨人「グゴガァァァァァァ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!



749続き 明日 金曜日2021/08/12(木) 23:04:24.34BD83U3zu0 (1/1)


 リフトが最深部の乗り場に着く寸での所で後方から怒声を張り上げながら滑り落ちてくる巨大な人影
弦楽器を背負った青年はその姿に故郷に置いてきた弟分のサンダーを思い出していた
 [オーガ]種のサンダー同様"巨人系"に部類される者で彼らを排除せんとするそれは可愛い舎弟とは似ても似つかぬ大怪物
政府指定の危険度認定は最大値に相当…っ!敵ランク9の[巨人]だッッ!


   リュート「オイオイ、嘘だろ…ヤバいぜありゃあ!?」


 リフト用のレールを滑走するように"落ちて"来る[巨人]は更に勢いをつけて左腕に担いだ大剣を振り下ろす姿勢に入った
がっちりとした筋骨隆々の体格、人間のそれとは明らかに違う青肌に纏った鋼鉄鎧と右腕の棘付きシールド
 肉体そのものの耐久性も然ることながら盾回避による攻撃の無効化…攻守共に最凶のバケモノだ


 そんなバケモノの装着している武者兜に似た頭装備から覗かせる赤い目はギラついていて
パーティーを逃す気など殊更無い事を物語っていた、唸りをあげた巨体はレール上を滑り落ちてくる事を止める
 [魔獣の革]で作った特製の黒ブーツで地を蹴飛ばし一気に急降下を仕掛けたのだ、左手の[ブレード]を振り下ろしながら



     巨人「ぐごああああああああああああっっ!!」ブォンッ

    レオナルド「みんな!!リフトが着いた急いで向こうの通路まで退h―――うわあああああぁっ!?」ブワッ



 エレベーターが停止し乗り場から奥の通路へと逃れられる様になった、博士があの[巨人]の図体ではそう易々と
入り込めないだろう踏んで狭い通路へ逃げ込むように呼び掛けた直後[ブレード]の剣圧で吹き飛ばされた

 金属ボディとなった彼ですら吹き飛ぶのだから当然生身である他の仲間達も次々と吹き飛ばされていく



  拉げたエレベーターの制御盤『 』グシャッ…



   リュート「うひぃ~、誰か助けてくれぇい!!」バタバタ

    ブルー「ええい!何をしてる掴まらんかっ」ガシッ


   リュート「た、助かったぜ危うくプラットフォームの溝に落っこちちまうかと……あのリフトもう使えねぇな」ヒー


 斜行エレベーターを稼働させるためのディスプレイは見るも無残なスクラップにされているのが目に映る
幸い、今の一撃が直撃した仲間は居らず全員が吹き飛ばされて床に転がっているだけであった……これで退路は断たれた




     巨人「ぐごごごごごごごごッッ…………! シン、ニュウシャ……オデ、コロス」フーッ!フーッ!…シュバッ、ズシーン




   リュート「あら~…ただでさえ真っ赤なお目々が血走ってらぁ、こりゃ穏便に話し合いとはいかねぇよな」タラーリ

   エミリア「先日の[巨獣]といい、私達でかい怪物に縁でもあるのかしらね…ブルー、いざって時は[ゲート]を…」


 ごくり、喉を鳴らしてエミリアは敵を見据える

 初撃でリフトを破壊して退路を断った大怪物はそのまま片足で飛び跳ねて一気に彼女達の頭上を越え
レオナルドが指定した逃げ込み先の通路の手前に陣取った
 退路に続いて進路さえも塞がれた、これでブルーの術が無ければ本格的に袋小路の鼠もいい所…っ!


     アニー「ん!? あ、あいつ…!?」



 ワンダードギー「ハァ…ハァ…ははっ!!バカめ!この隙に俺は逃げさせてもらうぜ!八つ裂きにされやがれってんだ!」


 [巨人]の大脚の影に隠れて見え辛いが何かが通路に向かって走り去っていく姿をアニーは見逃さなかった
全員が吹き飛ばされてバラバラになった時に捕虜として捕まえたあの[ワンダードギー]も同じくリフトから吹き飛ばされた
 これ幸いと言わんばかりに彼奴は基地の奥へと一目散に逃げていくではないか…っ!


 ワンダードギー(へへっ!天に見放されたと思ったがこりゃあいいぜ、何から何まで俺に運が傾いてきやがったッ)タッタッタッ

 ワンダードギー(この先に組み立て終わった"アレ"がある!モンド様…いやモンドが居ねぇ今が好機、俺が頂戴してやんぜ)



750続き 土日のどっちか2021/08/13(金) 23:27:24.85q4Y5kSAF0 (1/1)


 下位妖魔が通路奥へと消えていくの侵入者達は黙って見過ごすより他なかった、捕虜に逃げられたことよりも
剥き出しの敵意そのままに狂剣を振るう大怪物をどうにかせねば退路も進路も無いのだから

 [巨人]は牙を覗かせる大きな口から燃え盛る火炎を吹き、あろうことかそれを自らの得物に吹き付ける
熱せられて赤々とした刃を腕ごと前に突き出す型、突剣の構えで迫りくる


    巨人「うおおおおおおおぉぉぉ ヤケ ロ!」グォォォッ


 弦楽器の青年目掛けて放たれた[ヒートスマッシュ]に青年は目を見開く、今度ばかりは運の良さを自慢する自分でも
年貢の納め時かと――――鼻先まで熱気が迫ってきた所でリュートは何かに吹き飛ばされた


 ドガッ

   リュート「げふんっ!?」ドサァァァァ…


 固い何かに真横から強烈なタックルを喰らって変な声を出しながら地面を転がる彼は自身を弾き飛ばしたのが誰か見た
窮地を救ってくれたのは特殊工作車であった
 硬いボディを持つ彼の装甲に熱を帯びた劔はいともたやすく突き刺さっていて
一撃で戦闘の継続を不可能なまでにしてしまったのである



   特殊工作車「ピガガッ、 すみませんが私はコレいじょうは うごけませ  ん」プシュー

    リュート「こ、工作車!!お前っ」



 彼の人格を形成するコア、メカという種族にとっての魂そのものは破損していない為レオナルドが居れば直せる
だが、恐るべきは相手の圧倒的な破壊力である…特殊工作車を直すにしてもここで全滅すれば直す人も何も生きてはいまい


   ブルー(チィッ、これは正攻法で挑んでも勝ち目が無い…ならば――――)

   ブルー「エミリア、アニー!手を貸せ、スライム貴様もだ!」



  スライム「ぶくくー!(`・ω・´)」ピョン!

  エミリア「何か策があるのね!?」
   アニー「あたし等は何すればいいんだ!?」


   ブルー「…正直アレ相手にどこまで通用するか判らんがやらんよりはマシな策だ、よく聞け――――」


―――
――


     ゲン「セイッッッ!!」ガキィィン [ディフレクト]

     巨人「ウオオオオオオォォォォォ」ブンブンッ

     ゲン「うっ、 ぐ   ぐあああぁぁぁっ」キィン キィン  ズバッ

     ゲン「くそったれが…ハァハァ」ボタッ、ボタッ



 差があり過ぎる体格差と武器の質量、リーチがありながらも捌き続けた剣豪も遂に利き腕に大きな切り傷を負う
パックリと二の腕に横一線に紅い線が走りボタボタと金属製の床に血痕を創っていく
 そんな彼の背をリュートは眺めるしかできないのが歯痒かった、奥歯を噛みしめる度に脇腹に受けた一太刀の痛みが
じわりと広がっていく…折角、特殊工作車が身を挺してくれたというのに次の攻撃を避け切れなかった


 メカの仲間達も接近戦を得意とするT-260はゲンと同じく壁になりつつ敵に[多段切り]を浴びせるがそれでも
[巨人]は倒れずに猛攻を繰り返す、遠距離主体のナカジマ零式達の射撃攻撃さえ背中に直撃してもだ
 ダメージは入っていないわけでないが想像上以上にタフネスな怪物で更に片言な言動の割にそこそこ知恵も回る
爆撃や光線銃、[多段切り]の痛みでも攻撃手を緩めないのは一番火力を持つゲンとT-260の連携を断つ為だ
[多段切り]にゲンのワカツ流剣術が加わればばその威力は数倍に膨れ上がるのだが…




 ゲンが切り込んで相手に一番攻撃が入る位置をがら空きにさせた瞬間にT-260が入り込む、という段取りを
見事に間に割って入り込んで邪魔をする……多少のリスク込みで剣豪の一太刀を大きく浴びてでも
"がら空きの位置"取りをさせない、片腕に着けた棘付きの盾で牽制を兼ねた防御で徹底して連携を邪魔してくるのだ



751以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/08/14(土) 03:37:30.90ObMq5Wyc0 (1/1)

乙!


752続きは火曜日か水曜日2021/08/15(日) 23:47:26.59wcPXXzYq0 (1/1)


 敵は人の背丈を優に超えた得物を大きく振り上げてゲンにトドメを刺そうとする
利き腕を満足に振るえないと成ればワカツの剣豪と言えど防げまい、[巨人]は[ブレード]を眼下の脆弱な人間に降し――




       「 その御身を厄災の眼<まなこ>から逃れさせよ!――[保護のルーン] 」フォンッ!フォンッ!




    巨人「ぐごっ!?」ブン―――ピタッ、クルッ! ヒュバッ

    T-260「敵の攻撃目標が自機に移った事を確認、戦闘プログラムを対応した型に変更します!」キィィン!



 刹那、叩き潰そうとした剣豪の真上に光の線が走った
先端が三叉に枝分かれした古代文字を表した輝きは神秘の光をゲンに浴びせ、その姿を視界から"消させた"
 目標を見失った剣先は一瞬の戸惑いから瞬時に切り替える、振り下ろすよりも止める、止めてT-260への牽制に使うと

 気配を完全に断ち切りそこに居るのに相手に存在を悟らせない[心術]の[隠行]と同じく、敵対勢力の網膜に姿を映さぬ
認識阻害の術…それが[保護のルーン]であるッッ!!


   ゲン「ハァハァ な、にがどうなって、やがんだ…」ポタッ

  ブルー「彼奴の目に俺達が映らなくなっただけだ」


 この時、"手を伸ばせば触れられる程近くに居た"術士に剣豪はギョッとした
強敵を前にして全神経を尖らせていたにも関わらずこんなにも近くに居て気付かなかったのだ


  ブルー「手短に話す、あくまでコレは一時的なステルス効果だ自身が攻勢に出たり空間全域の攻撃で悟られては困る」


 語りながら蒼き魔術師は肩を貸してゲンとこの場を離れようとする
一時的なステルス、つまり銃弾や刀身など攻撃の類が幽霊の如く身体を透過していく無敵状態になったというわけではない
あくまでも敵から"見えなくなった"だけであって此方から攻勢に出れば攻撃の出所から現在位置を逆探知されたり
 又、敵方から[ヴァーミリオンサンズ]の様な広範囲への攻撃手段で偶然巻き込まれた場合も印術が解除されてしまうのだ



 其故に、ブルー曰く『どこまで通用するか判らんがやらんよりはマシな策』なのだ…完璧ではない


  ブルー「[保護のルーン]が掛かった今のお前には俺や優先順位に応じて印術を唱えるエミリアとアニーが視えるな?」


 言われて初めて気が付いた、そうだ…どの辺りから"この3人の居場所や安否を意識しなくなっていた"のか
半ば暴れ回り場をしっちゃかめっちゃかにかき乱すバケモノを相手にした乱戦状態とは言え敵は1人だ…っ!
 剣を持ったT-260を初めとした射撃組との連携も意識していたのだからそれなりに仲間の位置や負傷具合も解っていた


 だが、途中からこの3名だけは完全に意識外の存在になっていた


 ゲン「…はははっ、やっぱ術士ってのはおっかねぇや、やれ祈祷師だ陰陽師だのと"呪い<まじない>"ってのは…イテテ」

 ブルー「あまり喋るな怪我人だろうが、バカめ」


 不愛想で余計な一言は付くが『怪我人だから無理するな』と言う旨な辺りコイツなりの優しさのつもりなのかもしれない
少しだけではあったが、正反対な印象を覚える紅い方の双子にほんの僅かに似通った根の部分をゲンは見た気がした


 ブルー「生憎と俺は[陽術]はまだ使えん、だから貴様にはこれから[活力のルーン]を掛ける、その後は武器強化だ」


 ゲンをある程度[巨人]から離れた位置まで連れて行きそこでルーンの一文字を蒼き魔術師は描き出す
[保護のルーン]は、というより[印術]自体が直接的な戦局を揺るがすダメージソースになりえる術系統ではない
 基本的に味方への援護、支援を主体とするのが目的で相手への攻撃を考えるのなら
初期術の[剣]を初め生命そのものを刈り取る[死神]、最大瞬間火力の[塔]など[秘術]が主となる


 敵がこちらの姿を知覚できないこの瞬間に、仲間の武器を強化する[勝利のルーン]や徐々に怪我を治す[活力のルーン]
豊潤な資金で揃えていた基本術を掛けて態勢を整えるのがベストと言える

 ルーンの小石を集めていたグラディウス組の二人が優先順位に沿って術力の続く限りで仲間の保護と支援を
唯一回復手段を持つスライムが[ユニコーン]に変身、一番深手のリュートを治しつつも俊敏さと耐久を活かし敵を攪乱
 ここまでがブルーの指示した策であった、尤も指揮した当人が危惧する通り全体攻撃が来て印術が解ければ
態勢の立て直しも何も全てが終わり兼ねない薄氷を踏む思いの下策ではある、…現状でやらんよりマシな唯一の策だ



753>>1です2021/08/18(水) 23:48:29.49e4SsnFb90 (1/1)

少々書き直し場所が発生した為、次は土曜日更新予定


754続き明日2021/08/21(土) 23:12:28.350ZWRNPvs0 (1/1)


 術士とグラディウス組がルーンの加護を振り翳している合間[ユニコーン]と化したスライムは攪乱に動いていた
角先から治癒の奇跡を放ちリュートや傷ついたメカ勢の回復に努める
 [マジカルヒール]は生物だけではなくメカの損傷を修復できる力があるのだ、人間と違って[インスタントキット]等を
使わなくては直せない彼らを癒せるのは正しく奇跡と呼ぶほかない

 負傷者の手当と俊敏性を活かして怪物の視線を奪う、振り下ろされる[ブレード]の一撃を堪えつつも自身に
[マジカルヒール]を掛けて耐えきる…っ!伊達に"最速行動<ファスト>"で回復可能な訳じゃない


    巨人「オノレ、ウットウシイ…ッ!」グンッ


 怪物は手にしていた武器を大きく振り被った、ここまでは今までと何一つとして変わらない

 ただ不自然な風が一陣吹きだした、それが違いだ



  スライム「(;´・ω・)!?」ハッ!?


 地下基地の内部で生まれた不自然な気流、それは逞しい肉体を持つ化け物を中心に取り巻く"気<オーラ>"が成していた
仲間であるアニーやリュート、剣豪のゲンが当たり前の様に使ってきた剣気を飛ばす技の前兆だとスライムは察する



  ブルー『いいか、よく聞け俺達は[印術]やリュートの[バックパック]に入れてある物で可能な限り準備を整える』

  ブルー『それまでの時間稼ぎが貴様の役割だ、敵が広範囲攻撃を放つのを何としても阻止しろ』



 敵ランク9に該当される彼奴の代名詞と呼べる技――――[烈風撃]の前兆だッッ


 スライムは阻止すべく両前足を上げ、後方の2本脚だけを地につけたまま角を天高く掲げる
敵の創り出した風を利用する形で聖獣の角に風を纏わせる
 風の精霊、霊魂を使役して飛ばすモンスター特有の技術[シルフィード]を撃ち出し相手の技の発動を阻害せんとする



  巨人「ウゲッ、ジャマ ヲ スルカ…!!」ギロッ


 烈風が視覚化できる程に真空の刃を纏った[ブレード]に衝撃弾をぶち当てて空気を散開させる
目障りな群れを一気に殲滅する所を邪魔されて腹立たしく思った[巨人]のヘイトは当然スライムに向く

 全体攻撃の阻止と攪乱、仲間の準備が完了するまでのタンク役としての仕事

 圧倒的火力を前に瀕死になったとしても"最速<ファスト>"で自身を完治できるのだからこれ程お誂え向きなこともあるまい


―――
――


  リュート「うおぉっ!?ブルーお前何時の間に俺の傍に!?」

   ブルー「デカい声を出すな!…[保護のルーン]で相手が声も姿も認識出来ないとはいえ違和感を感じることはある」


 目の前で戦っていたゲンが突然消えた、何を言っているのか分からないだろうが神隠しにでも遭ったように消えた
超スピードとか催眠術なんてチャチなモンじゃ説明付かない物の鱗片を味わったリュートは直ぐに同じ現象に至った

 剣豪が居なくなりT-260と交戦を始めた[巨人]の元へ一角獣の姿に変身したスライムがすっ飛んできて
奇跡の輝きで腹部の負傷を治してそのまま敵に向かって突っ込んでいき随所をチクチクと[角]で突き刺しては離れていく
一撃離脱を繰り返していくのを見たのまでは覚えている、T-260を叩き潰そうとする絶妙なタイミングで視界を奪う様に
顔面の目ん玉狙いや武器を持つ手首の付け根など彼奴からすれば鬱陶しいことこの上ない戦い方だった

 気が付けばそんな自分の傍にいつの間にか蒼の魔術師が居て、女性陣と目の前で消えた筈のゲン、pzkwⅤにナカジマ零式
特殊工作車を修理しているレオナルド博士が居る


  アニー「あぁ…もう無理、あたしはそもそも術向きじゃないんだからね?」ゼェゼェ
 エミリア「コレ結構神経すり減るわよね、頭の中で文字を思い浮かべてるだけなのに…」グッタリ

  ブルー「メカ組の確保と能力強化よくやった、あとは貴様らの得意分野だ」

  アニー「ったく…へとへとだってのにまだ働けってのかよアンタは」


 悪態を付きつつ剣の柄を握りしめて不敵な笑みを浮かべる黄金髪と銃を取り『術を使うより楽そうね』と同じく笑う金髪
蜂蜜色の髪を揺らしながらブルーはリュートの[バックパック]を漁り"石"を数個取り出し告げる、今からが反撃の時だと



755以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/08/22(日) 00:43:06.36cvXHcYK60 (1/1)

おつースライム有能
かつてこんなにスライムに光が当たったサガフロ二次無いのでは…


756以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/08/22(日) 23:55:41.716ou5FD+Q0 (1/2)


 蒼の魔術師は手にした"石"をそれぞれメカ組に持たせていく、弦楽器を背負った青年はそれを見て首を傾げた
彼は旅路の最中で幾つかその石を拾う機会があったが何に使う物なのか分からなかった
 [マンハッタン]の宝石店やアクセサリーショップで見かける綺麗な鉱石だな、くらいには思ったがそれだけで
そんなものを態々武装を取り外してメカに着けさせる意図が読めなかった


  ゲン「っしゃ、傷も完治したぜ…これならいつでも行けらぁ!」

 ルーンの効力で傷が塞がり更に勝利の加護が付与されて切れ味の増した武器を振るうゲン
特殊工作車の修理を終えたレオナルドも[勝利のルーン]によって今まで以上に早く直せたと上機嫌だ

 装備武器の効果性能を向上させる[勝利のルーン]は[修理装置]にもちゃんと適応される
リュートが保護の力で大怪物の視界に入らなくなる少し前に術士の策とやらは伝わっているらしく
 メカ勢全員が謎の石を鉄のボディへ取り付けていた



  ブルー「リュート、お前に渡してある[バックパック]にはこの"3つ"の予備がまだあるな?」スッ

 リュート「あるぜ、けどこんな時に綺麗な石っころでどうしようってんだい」


  ブルー「貴様今までコレの用途を理解せずに拾ってたのか…」



 レオナルド「軍師兼術士くん、こちらは準備完了だよ」

   ブルー「むっ…リュートいいか、お前は石が無くなった奴に片っ端から予備のそれを装備させ直せそれだけだ!」


 "準備"とやらが出来たメカ達を改めて見る、術士の男が何を考えてその指示を出したのか未だに彼には図り兼ねていた
高火力の重火器や業物の劔、そういった武器の類を一切外し変わりに全身鎧や盾を付けさせる

 …もとより外せない武器はそうだが何故か[火炎放射器]などを明らかに外した武装よりも弱い物を装着させていた


  リュート(???…一体全体何しようってんだ、マジで?)


 多少筋力や銃撃に必要とする集中力を落としてまで防御性と耐久、なにより丈夫さをあげた装備編成は
攻撃重視というよりも守りに特化していた

 ブルーはメカ達にも当然[勝利のルーン]だけでなく[活力のルーン]も掛けていた
ボディ全体の"丈夫さ<Vit>"を上げることや耐久力そのものを増強したことで[活力のルーン]効果を増やすことはできる
 然しながら機械は生物ではない、だから[マジカルヒール]なら兎も角普通の術による治癒効果はそこまで見込めない
微々たる回復量と取り外した武器の威力…天秤に掛ければ後者に傾きがあるのは当然だが…


―――
――


   スライム「(;´・ω・) ぶ…ぶく、ぶ…」ヨロッ…


 T-260の[多段切り]とスライムの攪乱によって[巨人]の屈強な肉体にも至る所に傷が出来ていた
常識外れのタフネスさを持つ怪物はそれでも未だ沈まず…っ!
 傷は癒せたとしてもスライム自身の消耗した体力と気力は戻らない、疲労の色が見え始めたモンスターと
エネルギー切れが近く[多段切り]も後数発撃てるかどうかのメカが1台

 大怪物はほくそ笑み、再び口から火炎を吐き出して手持ちの劔を赤々と熱していく


 巨漢は[ヒートスマッシュ]を一角獣目掛けて振り下ろす、スライムはそれを避けようとするも激戦で散らばった破片に
脚を取られそのまま四つ足を縺れさせてしまう…ッッ!


   スライム「Σ(・ω・ノ)ノ!ぶくっ!?」ガクッ、ドサッ



     巨人「カッタ!!シネィ―――!!」ブンッ



 赤々と照った金属が倒れた一角獣目掛けて落ちていく、T-260では位置からしてスライムと煉獄の刃の間に割って入り
救出することができない、攪乱してヘイトを一身に買う役目のスライムが居たからこそ
死角に潜り込んで切り刻むことができたのだ


 せめてもの抵抗とばかりに青肌の背中に剣を突き立ててそのまま上部へと裂く様に腕を振りあげるも
それでも悪鬼は止まらないッ!タフネスが売りのバケモノが今の今までメカ達の火力を受けて尚、強行してくるだけはある



757続きは火曜日か水曜日2021/08/22(日) 23:56:41.216ou5FD+Q0 (2/2)








      ブルー「この瞬間を待っていたぞ!全員突撃ィー―――ッッ!!」





  ドウッ! ドウッ! ドウッ!




 術士、策の発令を叫ぶ。


 それに伴ってリュートを除いた全員が護印の庇護から飛び出す
後部のバーニアを、各関節部のスラスターを吹かしての急加速、[ヒートスマッシュ]の一撃で先程沈んだ特殊工作車も
最速を誇っていた機動性を落としてでも頑丈さを取らせたナカジマ零式だって
 重装甲と化したpzkwⅤもレオナルド博士も皆が一斉に前に飛び出したのだ


 [保護のルーン]によって未だ透明化していたリュートは戦いの被害が及ばない離れた位置から見て思った


  リュート(なるほどメカの皆には火力要員じゃなくて盾役に徹してもらうって訳か…けれども―――)



 これ以上はどう足掻いても防御性を上げきれない、それ程の装甲と雀の涙ほどに微々たるとは言えルーン効果の自動回復
確かに味方が全滅するという確率はこれで各段に下がるかもしれないが…

 根本的な解決にはつながらない

 鉄壁の要塞だろうが究極の盾であろうとも敵に少しでも攻撃が通らなければジリ貧で終わる
攻撃は最大の防御とはよく言ったものだ

 倒せなければ結局は時間をじっくり掛けた上で1人1人確実にこちらが削り切られる、防ぎつつも攻撃ができれば良いが
主要武装の殆どを外して防御面に極振りしている以上は前へ進めない、打開できないとリュートは見た




 メカ集団が4機掛かりで煉獄の刃を受け止めようとする寸での所で彼らは皆一世に片腕を天高く掲げた





    特殊工作車「オペレーション、カウンターシールドを発動します―――[紅炎石]を破壊!!」パキィィン

   ナカジマ零式「あっそーれ!!」パキィィン
      pzkwⅤ「砕けろッ」パキィィン

    レオナルド「やれやれ中々面白いこと考えるね、彼」パキィィン





 弦楽器を背負った青年は確かに見た。

 [マンハッタン]の装飾品店でよく見かけた"綺麗な石"を天高く掲げたと思えば指先で粉々に砕く様を
蒐集癖のあるグラディウス組と何気なくリュートが拾い続けた"3つの石"…ブルーが[バックパック]から取り出した3種


 即ち、[紅炎石]と[銀氷石]そして[雷の結晶]の3つである…ッッ!


 紅々と輝く柘榴石に似た輝きのそれは砕け散り、その破片はやがて吹き荒れる炎と化してメカ達の身体を包み込む
猛火に包まれているにも関わらず涼しい顔をする彼らは敵ランク9のモンスター[朱雀]が使うとされる[ファイアバリア]を
その身に纏ったのだッッ!

 4機の[ファイアバリア]を纏った鉄の要塞と[ヒートスマッシュ]がぶつかり合うッッッッ!!

 一撃の下に戦闘不能に陥った特殊工作車は今度は墜ちなかった、術士達の指示で取り付けた防御性極振りの装備故に
煉獄の刃を耐えきり更には身に纏った不死鳥の炎が[巨人]の劔を伝い、腕を焦がし青肌の巨体さえも業火に包んでいく…!




758続きは金曜日か土曜日予定2021/08/25(水) 14:17:46.47GQdXw0gO0 (1/1)


 手首の先から燃え広がり徐々に腕に肩に胴へ、[ファイアーバリア]による炎は水分の抜け切った枯れ木を燃やすが如く
大怪物を襲う炎熱の洗礼となったのを青の魔術師はその目で確認した
 修士として学院で勉学に励んでいた時分に学院の古書で遠い昔の"惑星<リージョン>"に存在した術に関して学んだ事はある
現代では失われてしまった系統の術だが"朱雀術"というもので[セルフバーニング]などと呼ばれていたらしい



 人間が使う術としては失われても、その術を用いた文化や技術自体がモンスターの能力として組み込まれたり
あるいは古文書…各地の神話や伝承と言った歴史書を頼りに現代の魔道や科学技術の髄を結集して
失われた術を限りなく再現しようとする試みは昔から存在する


 少し前に苦戦した[ゴースト]共の使っていた[邪術]

 今や無き術系統とされている[幻術]だって[陰術]と[妖術]にそれぞれ吸収された形式で形こそ変われど現代に存在する


 例を挙げるならばそれらが該当するのだろう
今回使用した鉱石の内1つは術や技術に心得のある者が少し手を加える事で疑似的に[セルフバーニング]を再現できる
 モンスターの吸収能力として姿形を変えた[ファイアーバリア]という形式名で…



    巨人「う、うがあああああああああああああああっっ」ゴォォォォォ!!


 これは堪らんとばかりに猛火の衣を纏った怪物は両腕で頭を押さえ振り乱す様に全身を揺り動かす
自らを蝕む獄熱のローブを剥がそうと大降りに動きつつも握り拳を開き武器を落とそうとしない辺り大した者だ

 相手の体積も右腕に装着した盾も屈強な肉体を護る鉄鎧も関係ない、ただ"自身に敵対の意思を持ち接触した相手"を
例外なく炎上させるのが[ファイアーバリア]なのだから…

 メカ4機分の推力が織りなす馬力ともなれば大怪物の筋力で振り下ろされた大質量の武器にも拮抗でき
敵の攻撃を防ぎつつも相手に大火傷を負わせる鉄壁の布陣は此処に完成した


 ナカジマ零式「ふぅ~っ!4人同時で受け止めれば流石に受けるダメージも軽減されまーすねー!」+HP85
    pzkwⅤ「分厚くしたおかげでそこまで痛くない上に自動修復されるとはいえそこまでじゃないけどな」+HP81

  レオナルド「なーに、だからこそボク達が居るのさ[勝利のルーン]で[修理装置]の"性能向上<WEA UP>"もされた」
  特殊工作車「今なら直せないパーツなんてありませんよ、ええ」



 BANNG!! ヒュンッ!ヒュンッ!


 跳び上がり敵の攻撃を受け止めた焔の防壁達が反動で後方へ飛び退くと同時に漸く鎮火し始めた[巨人]の青肌に無慈悲な
銃弾と剣気が襲い掛かるッ!勝利を約束する護印を刻まれた武器の味はさぞや痛かろう
 今まで攻撃を受けても顔色一つ変えずに剣を振り下ろす事を強行してきた大怪物が初めて苦痛に顔を歪め
流れる様だった動作に手を止める時間や勢いの衰えが生じ始めたのだ


     ゲン「帰って来たぜ!長い事待たせちまったなT-260!!」

    T-260「ゲン様の戦線復帰を確認、また自軍の防備並びに兵装の大幅な見直しも確認!連携主体の軸へ変更!」


 闘気を纏った一閃…!光の波が地を奔ったかと思えば怪物の鉄鎧ごと胸筋に一太刀が浴びせられていた
グラディウス組の攻撃の後間髪入れずに[燕返し]を放ったゲンが[ボロ]を旅立った時から付き合い続けた相棒の隣に並ぶ


    巨人「ツギカラ ツギヘト…ッ!!」ギリッ


 いつの間にやら消えたと思えば伏兵として帰ってきた侵入者共に腹を立てて武器を振りまわす、それに反応するように
やはりT-260以外のメカ達が前に出て立ち塞がる……未だ燃え続けたままで
 振るわれる大剣と燃え盛る要塞の激突、先の状況そのままに焼き直しだ
自分の意志で攻撃を仕掛けて自分から触れてはならない機雷に触れて火傷を負う

 鉄壁の防衛線で侵入者達へ決定打は与えられない上に自身は焼けて、更に相手に追撃の機会をみすみすくれてやるのだ
蜘蛛の巣に絡めとられた蝶にでもなった気分を[巨人]は味わった
 足掻けば足掻いただけ糸が絡まり雁字搦めになってどうしようもない、今の一撃で[ファイアーバリア]がやっと消えて
状況が少しは好転したか!?と思えば…



       ブルー「その御身を厄災の眼<まなこ>から逃れさせよ![保護のルーン]」フォンフォン!
      スライム「(。-`ω-)ぶくぶくぶー!」パカラ!パカラッ! 


 一角獣の背に乗って素早く回り込んできた術士が炎の消えた機械戦士を片っ端から[巨人]の意識外へと逃がしてしまうッ
次に出てくる時には裏方に回ったリュートの援護で[フリーズバリア]か[サンダ―バリア]を纏って現れる事間違いなし



759以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/08/26(木) 03:12:37.00zqoBlmjQ0 (1/1)

乙乙


760続きは明日 日曜日2021/08/28(土) 23:18:42.95TT9QJu3Q0 (1/1)


 武器を振り回す[ブレード]に属性を付与した[ヒートスマッシュ]と[アイススマッシュ]体格を活かした[グランドヒット]
目の前の大怪物はその殆どが近接格闘を主体としていて
 間接的な攻撃手段など[烈風撃]や[タイタスウェイヴ]に[地震]などであった

 収束させた気流を放つ烈風の技はともかく他の2つは使用頻度が高いとは言えない、大技であればある程隙が生じるから



 劣勢から拮抗へ、拮抗から優勢へ。


 勝利を約束されし武具の一撃は一発一発が序盤の痛みとは比較にならないもので着実に[巨人]の命を削り続けていた
反撃に転じようと愛用する劔を振るえば虚無から突如として湧いて出てくる雷を纏った鉄兵が受け止め
落雷に撃たれでもしたような痛みが全身を駆け、追い打ちの様に柄を握る手首に焔や冷気までもが突き刺さる

 棘だらけの茨を素手で殴りつけているような嫌な感じ、大幅なダメージ覚悟で隙を見せて広範囲攻撃に転じても
活力が滾る侵入者達は時間の経過と共に傷など無かったと謂わんばかりの状態に戻っているのだ


 最早どうにもなるまい、単純な戦闘能力だけでは覆しようの無い布陣が敷かれたのだ



   エミリア「そこだわッ!」BANNG!!
    アニー「[無拍子]…!」シュバッ


            2連携 [ 跳 弾 拍 子 ]


 2発分の[跳弾]が左右の肩に撃ち込まれ、速さを売りにしたアニーの回避不可能の切り抜けが青肌の脚の脛を切り刻み
遂にその巨体は喉奥から血反吐を吐きながら膝を折った、シールドを装着した右腕は崩れ落ちる身体を支える柱となるべく
床に掌をつけて……そして顔をあげた時に見た


 鉢巻を巻いた男の背に見えるはずの無い"月影<げつえい>"を幻視した――――ッ



        ヒュッッッ  ――― ― ―   ― -‐ ッ



 地の底で、この時分に見える筈の無い満月に人間の影が重なった
月の輪郭を沿ってかあるいは滑り落ちる様な[刀]の峰を見た、刃は幻想の月光の中に溶け込む様で見えなかった…

 美しく心さえ奪う鮮やかな、それでいて総毛立つ程にゾッとする白刃に怪物は見惚れた


 薄布のベール越しに透過して見える月の輝きだとでもいうのか、刀身はきめ細やかなソレのように幻想の美さえ魅せて








 [巨人]のその魂を刈り取った。






       巨/人「う  ケ  ガぁ?」




 顔がおかしい、目の焦点が合わない

 魅入った月が真っ二つに割れる、光の筋が走ったと思えば目線の真ん中に上から下に掛けた斜めの線が後を追い

ドサッ…


      巨「…ぉ」
        人「…ぁ?」


 青肌の悪鬼は顔から先の胴体さえも真っ二つに切り別れた
辞世の言葉が『ぉぁ?』と我が身に何が起きたか分からぬという言葉だけを残して…かくして激闘の"前哨戦"は幕を閉じた



761続きは木曜日か金曜日予定2021/08/29(日) 22:10:06.024pgvLgm20 (1/1)


 さて読者諸氏よ…ッ!我々は重大な事を一つ忘れていないだろうか!?
我らが愉快な侵入者御一行がモンド執政の秘密基地で最終防衛ラインの巨漢と激戦繰り広げる少し前に逃げ出した奴をッ!

 時間は少し前に遡る…

―――
――


  ワンダードギー「ハッハッハッ…へ、へへっ 見えてきたぜ!!あのドッグだ」タッタッタッ

 どさくさ紛れで逃げ出した下位妖魔は後方から聞こえてくる轟音に脇目も振らずただ一か所を目指していた
最下層周辺警備のメカや慌てふためく雇われのモンスター達の波を掻い潜って文字通りの"秘密兵器"の下へと…


       「しゅ、主任さんよォ!?一体どうなってんだい!?敵が近くまで来てんのか!?」
  ワンダードギー「うるさいっ!そんなことよりアレの起動準備を進めろ!!」

       「は?ア、アレって…それはウチの大将が乗り込む機動兵器だろ、勝手に起動なんて…」




  ワンダードギー「 つ べ こ べ 言 っ て ねぇ で 早 く や り や が れ !! 」

  ワンダードギー「モンド様からの直接命令だぞ!?」




 一世一代のチャンス到来、焦る気持ちからカッとなって怒鳴り散らしたことで幾分か冷静さを取り戻して
一呼吸置いてから堂々と『モンド様からの指示』だと嘘をつく
 自分1人でもできないことは無いが折角人手があるのなら最大限利用してやろうくらいの気持ちだった

 怪訝な顔をしつつも自分より立場の上に居る人物が更に上の者から命令されたのだとすれば…と彼らは奥に鎮座する
機動兵器の枷を外す作業へ取り掛かる



 それが彼らにとっての最大の悲劇の始まりとも知らずに


 その"機動兵器"は格納庫のドッグ内でしっかりと固定されていて、いつでも出撃可能な状態になっていた
下級妖魔は心臓の鼓動が早くなるのを感じる、夢にまで見た『力』を我が手にできるのだと意気揚々とコックピットに乗り
コンソールを弄って稼働準備を進めていく、ディスプレイに灯る光

 それに連動するように眠りから覚める様に赤く光り出すツインアイのカメラ
人間の手と同じ様に滑らかに動く5本指のマニピュレータ、図太い巨大な金属製の大脚



           『 Great Monde. 』


 "Great Monde<グレートモンド>"…その大型機動兵器の名称がモニター画面に表示された
下位妖魔はこの世に生を受けた事を認識して以来、未だかつてない程の喜びを噛みしめた


   ワンダードギー「…くっ、うくく、くはははっ…やった、やったぜ…遂にやったぜ!!!」


 殺しきれない笑いが、喜楽の感情が漏れ出す中[モンド基地]の全防衛システムと電力、火器系統にアクセスして掌握する
そしてメインカメラ越しに蟻にしか見えなくなったモンスター…先程[ワンダードギー]の言葉を鵜呑みにし起動立ち上げを
手伝ったモンスターの姿を認識した、集音器が拾った音声からして問題無いか?と叫んでいるらしい


   ワンダードギー「…ああ、問題ねーよ!」ガチャッ


 最終兵器と呼ぶに相応しい機動兵器は銃口を足元に居る整備士に向けて撃ち出す、一瞬にして起動を手伝った者は
穴だらけのチーズと化してその場に倒れ伏す…この事態に他のモンスターもメカも理解が追い付かなかった
 搭乗者の誤作動?いいや違う、裏切り行為だ意図的に撃ったのだと理解した時には全員が今際を迎えていた


   ワンダードギー「俺を見下してきた全てをぶち壊すんだ、これさえあれば妖魔の君を倒す事だって夢じゃねぇんだ…!」




    ワンダードギー「リージョン界を統べるのは『力』だ! それが解らねぇ野郎共に教えてやる…っ」

    ワンダードギー「力の意義って奴をなァ!まずはあの侵入者共からだ…あいつ等の体に直接、叩き込んでやる!!」




762続きは明日、土曜日2021/09/03(金) 23:54:19.71+IJbBCz00 (1/1)

―――
――


 鞄から取り出した酒を喉に流す、体内に消耗した術力が滾るのを彼は感じながら思う
戦闘を終える度に勝利の美酒はこれだからやめられないと謳うゲンの気持ちも分からなくはないと
 命のやり取りをした直後の高揚、喉の乾きを潤すのが甘露水ではなくアルコールというのは好くは無いが
自分が一息つける環境に至れたと実感できる瞬間には違いない

 長距離走を走り切った後の息絶え絶えの所で座り込んで飲み物を一杯、今この瞬間だけはこれ以上頑張らなくていい

 何かの例に喩えるならばそんな言葉だろうな、嫌いじゃない…後ろを見やれば本職のブルーよりは
圧倒的に術力は少ないが多少消耗した女性陣も一口[術酒]を含んでいた、背景ではレオナルド博士やリュート等が忙しなく
メカ達の装備を防御性重視から元のプログラム装着を意識したINT用のメモリーや火器武装の取り付け作業に入っている
 既に切れた[活力のルーン]やスライムの治癒の光で肉体的な怪我も完治したと言っていい
最後はスライムに[巨人]の死体から細胞を取り込んでもらい技力の回復、あわよくば何かしらの戦闘技術を会得させる


    ブルー「どうだ?何か得るものがあったか?」

   スライム「(´・ω・`)…ぶー」シュン

   リュート「気にすんなって、お前さん今回大活躍だったんだぜ誰も責めねぇよ、なぁ?」


 弦楽器を背負った無職に振られて蒼い法衣の術士も肯定する、[ワカツ]到着から現在に至るまでの最大の功労者を
褒めこそすれど咎める理由は無い
 準備が整った所で荷物をまとめて通路の先を見据えた所で奥の様子がおかしいことにリュートが気が付いた


  リュート「んあぁ?なんだ~奥から変な音聞こえねぇか?」

  エミリア「変な音…ううん、そんなの聞こえないけど気のせいじゃないの」


  リュート「いやいや、聞こえるって俺ミュージシャン目指してんだから耳は悪い方じゃねーんだって」


 蒼き魔術師はいつだったかこの無職に『俺、いつかプロになって[マンハッタン]で公開ライブしてぇんだ!どうだ?』と
音楽にはそこまで詳しくない素人の自分からしても微妙な顔をするしかない歌を聞かされたのを思い出した
 首を横に振り払って変な記憶を掻き消しながらも彼に問う、どんな音なんだ?と


  リュート「なんか、こう…ガガガガガ!って銃声みてーな?にしちゃ普通のマシンガン的な奴じゃねぇなって」


 これまで[バルカン]を撃ち出すメカの敵とも戦ってきたがそれとは音の質が異なるらしい
機銃の音よりも轟く滝の傍で水が止め処なく落ち続けるような轟音だと




 彼らは知らない、それがこの通路の奥で機動兵器に乗り込んだ[ワンダードギー]が基地内のモンスター達を
通常のメカとは明らかに異なる大経口尚且つ尋常ではない数の備え付けられた銃塔でハチの巣を通り越しミンチにした事を


 使い捨てのカメラによる写真撮影も欠かさず、侵入者一行は基地の最奥へと向かう
そして長い通路の半分を過ぎた辺りで仲間の1人がいよいよもって異変に気が付き身構える


  アニー「待って様子がおかしいわ、……リュート、アンタがさっき聞いた音ってのは気のせいじゃないかもね」スッ

 リュート「えっ、この先になんかあんのか?なんでわかるんだ?」



  アニー「……鉄臭い上に焦げ臭い、血の匂いと"焼けてる"嫌な臭いが鼻に突くのよ」


 そう言われてスンスンと鼻をひくつかせるが弦楽器を背負う男にも魔術師やブロンド美女も一向に分からなかった
ただ一人、剣豪だけは見ればアニー同様に武器の柄に手を掛けて眉間に皺を寄せていた


   ゲン「分かってるじゃねぇかネエちゃんよぉ、ひり付いた嫌な臭いがプンプンしてくらぁ…」


 基地の最深部だ、重要な場所であればあるほど護られる機密も大きなもので防衛線もより堅牢、苛烈を極める物となる
ならばこの先に待ち受けるのはなんだ?[巨人]を超える程の恐ろしい物があるのか?

 それが侵入者である自分達を待ち受けている、にしては状況がややおかしい

 リュートが聞いたというおそらく攻撃音、そして血の匂いと生き物の肉が焼ける異臭が奥からする
そこから導き出される答えは基地内部の何物かが同じく基地内部に居る仲間を襲ったとしか思えない
少なくとも自分達より先に侵入していた先客が居たという形跡は無かった、……意を決して彼らは奥へと脚を運んだ



763続き明日 日曜日 お昼過ぎくらい2021/09/04(土) 23:52:44.60GXy8DoJa0 (1/1)


 進めば進む程に嫌でも達人達が嗅ぎつけた死の匂いが立ち込めているのが解った
薬莢の匂いとまだ床に残る真新しい血痕、空調が効いてるにも関わらずそこに残る熱、飛び散ったモンスターの身体と
物言わぬ屑鉄と化したメカの残骸…


 大型機材の駆動音、それは奥のドッグから聞こえてきて彼らを今か今かと待ち受ける様に唸りを上げていた



  ブルー「な、なんだというのだこれは!?」

 リュート「……こいつぁヒデェな」



 見渡す限りの朱、紅、赤…、漏れ出したメカのオイルに発火でもしたか炎上している箇所もあり、消火設備がそれを
必死に消そうと動き続けていた

 最早、この[モンド基地]は拠点としてまともに使えないのではないか、とそんな考えさえ過っていた
カメラで撮影してルーファスに写真を叩き付ける所の話ではないと判断して蒼き魔術師は提案する


  ブルー「……一応聞いておこう、幾つか十分な証拠写真は得た」

  ブルー「モンドという男の基地があるという噂を裏付けるには十分すぎるほどの物をな、此処で退却するか?」



   ゲン「…俺ぁ帰らねぇよ、[ワカツ]の真下にこれだけの事やらかす化け物が居るんだろ?」

   ゲン「なら…同胞達の安らかな眠りの為に、魂を鎮める為にも放っておけねぇからよ」


 俺は個人的に残るんだ、お前達は付き合わなくても大丈夫だ、と続けて言ってくれるゲンに対して
T-260を初めとするメカ勢が同行すると口にしリュートもまた…



   リュート「水臭いぜ、ゲンさん…正直に言えばおっかねぇから帰りたいけどよ…皆で無事に帰らねぇとな」ニカッ

    アニー「ここで帰ったらルーファスにグチグチ言われちゃいそうだからね、アタシも付き合ったげるよ」
   エミリア「まっ、そうなるわよね」



  ブルー「…はぁ、やれやれだ全く、貧乏籤を引かされたものだな…」スタスタ




 臆病者で無職の癖して[スクラップ]の酒場に居た頃からクーンを初め知り合った人物を放っておけない人情の厚い男は
カバレロ一味との対決時の様にゲンに付き合うと言い出した、尤も今回の基地潜入自体がモンド氏絡みだしもっと言えば
剣豪に頼み込んで[ワカツ]に連れて行ってくれと言い出したのはリュート本人だ、当然ながら思う事もある


 同じく義理堅い女のアニーも上司の愚痴が嫌だの任務が云々抜かすがそんな建前抜きに共に戦った仲間の為に
協力を申し出てることぐらいは誰にだってわかる、二人が残るなら放っておけないと同僚と友人の為にエミリアも…


 1人でさっさと[ゲート]を開いて帰ってもいいのだが、そうなるとここまで自分が来た理由が無いし上に
唯一[ディスペア]に足を踏み入れる為の鍵であるアニーに万が一があれば自分の資質集めの旅に支障が出ると想定され
 芋づる式にブルーの選択肢も決まった様な物であった

……もちろん、ブルーが残るならスライムも説明不要である



  ブルー(そうだろうよ、…こういう奴らだからな)



  "一応聞いておこう"、魔術師は帰還を提案する際に前置きで言葉をそう発した
知ってた、わかっていたとも…あぁ、解り切っていた、短くない付き合いなのだからどう言葉にするかなんて理解してたさ


 何が写真を撮って帰るだけの簡単な任務だ…とんだ貧乏籤じゃないか、内心で悪態を付きつつも
不思議と魔術師は悪い気はしなかった

 厄介ごとに付き合わされているだけ、客観的に見ればそうなのに。

 最近の自分はどこかおかしいのかもしれない、周囲の喧しい人間達に振り回されているこの環境が嫌いじゃないのだから
肩を竦めてため息を吐きつつもブルーは仲間達の元へと歩き出す、どうせなら未知の脅威とやらをこの目で拝んでやる
どんな化け物が出るやら、自分の魔術がどこまで通じるか試して見るのもまた一興、修行の一環だ、彼はそう結論付けた



764続き 夜2021/09/05(日) 15:52:50.41pLf8J+eI0 (1/3)


 意を決して、最奥のドッグ内へと入り込み彼らは最終兵器の姿を捉えた…っ!
そのフォルムは神話に登場する半人半馬を連想させる屈強な四つ足、尤も手にしているのは弓ではなく
彼のサイズに見合う超大型のサブマシンガンであり、全身も体毛に覆われた生物然とした物とは異なる合金の塊だ
 上層で見かけた超大型の[Tウォーカー]等や[巨人]以上の巨大さに思わず侵入者達は息を飲んだ


   リュート「おいおい、子供向けのヒーロームービーに出てくる合体変形ロボのご登場かよ…」タラーッ

   エミリア「いや、本当デカいのに縁があり過ぎでしょ私達…」ゴクリッ


 鬼が出るか蛇が出るかと覚悟はしたが、正直舐めてたな―――これはいくら何でも規格外だ
見上げる程の機動兵器を見上げて多くの者が同じような感想を抱いた所で向こうは紅く光るツインアイカメラで此方を
認識してか声を発してくる、つい最近聞いた声だ


  『待ってたぜ侵入者共!基地の深部に来るのが目的だったようなんでなァ待ち構えてたんだ!!』



  ブルー「その声は…貴様さっきの捕虜か!?」


  『おうともよ!てめぇ等さっきはよくもこの俺をコケにしてくれたじゃねぇか…』

  『俺は"力"を手に入れたんだ!今まで俺を馬鹿にしてきた連中を全員踏みつぶせる程の"力"をなァ!』

  『リージョン界は全て俺様の物だ、トリニティも妖魔の君も全部俺様にひれ伏すんだよォォ!!』



 ゴオオォォ!スピーカーから操縦席に座る野心家の叫びが木霊する、―――馬鹿に鋏を持たせるなという諺はよく聞くが
気違いに刃物という例は正しくコレだろう、支配欲を持った小物がある日突然巨大な力を得ればこうなるのだと…っ!



  『外に出て色んなモンをぶっ壊す前にてめぇ等だ、覚悟しやがれ…ッッ!!』ドゥッ!


                    ――――ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォォォ


 本来の搭乗者、モンド氏の名前を冠した兵器…[グレートモンド驚天]は轟音をあげて前進してくるッ
同時に[ワンダードギー]は掌握した基地内のシステムを作動させて自身達の居る"足場"を動かした



  アニー「おわっ!?」グラッ

   T-260「足場が上昇移動を開始!不安定な揺れによる回避率の低下が懸念されます!」グラッ


 ここまで降ってきた斜行リフトとはまた違う動き方をする足場、上昇に急速をつけ左右にも揺さぶりを掛けるのが何とも
嫌らしい動きである、喩えるなら荒れ狂う海上にポツンと取り残された丸太筏の上に突っ立ってる様な気分だ
 警告を発したT-260の言う通り不安定極まりない足場上での戦闘は彼らにとって不利なフィールドでしかない

 マニピュレータの指が大型機銃の引鉄を引いて[バルカン]を撃ち出し続けざまに肩のミサイルポッドから
[ミサイル]も撃ち出す、[ミサイル回避][バルカン回避]プログラムを持つメカ勢は兎も角
常に揺れ動く不安定な足場では十分な回避動作も取れず直撃こそせずとも大型機銃の銃弾が
床を削った際に飛び散った破片が身体に突き刺さったり、ミサイルの爆炎で火傷を負う者も出始める


    敵ミサイル『』ヒュルルルッ

   特殊工作車「危ない…っ [ヘッジホグシステム]!!」バシュゥッ!
  迎撃ミサイル『』ヒュルルルルッ、バッグォォォン!

   エミリア「熱っ!」

 本来、直接攻撃に対するカウンター用のプログラムで敵の[ミサイル]直撃から仲間を護ろうとするが唯でさえ
照準が定まらない、迎撃はできても相殺の際に生じる爆炎はどうしようもできない


   特殊工作車「す、すみません…」
    エミリア「いいわ、気にしないで…そんなことよりあの巨大兵器をなんとかしないと!外で暴れ出したら大変よ」

     ブルー「あぁ同感だ…あの妖魔リージョン界を自分の物にするとか言ってたからな」

     ブルー「ちっ、これはもう[ゲート]の術で一旦退却だどうのと言ってる場合ではないなッ!」

 自分達が暮す"全宇宙<リージョン界>"を蹂躙して自分が支配者になると宣うのだ
銀河の海に浮かぶ全ての"惑星<リージョン>"の危機とあらば当然[マジックキングダム]も例外ではない
 ブルーとしても自分は無関係だから黙って背を向けて去りますね、という訳には行かない



765以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/09/05(日) 23:36:24.04pLf8J+eI0 (2/3)


BGM:リュート編ラストバトル
[
]

*******************************************************

―――
――


 [グレートモンド驚天]は四つ足を巧みに動かし稼働中の足場を大きくグラつかせる、上昇リフト化した足場全体を支える
鉄骨も当然の様に揺れ悲鳴を上げる、激しい[地響き]の最中で脚部の膝関節部分に取り付けられた
火炎放射器からも[放射火炎]を吐き出し稀に股間部分にも取り付けられた衝撃波発生装置から[超音波]も発せられる


   ブルー「くっ…脚だ!全員彼奴の脚を仕留めろ…っ」グラグラ、ヨロッ…


   T-260「[多段切り]」ザシュザシュザシュ!
 特殊工作車「同じく[多段切り]」ザシュザシュザシュ!
 ナカジマ零式「は~い!もいっちょ[多段切り]」ザシュザシュザシュ!
   レオナルド「ボクも手伝うよ」ザシュザシュザシュ!



            4連携 [ 多 段 多 段 多 段 多 段 切 り ]


 [地響き]の影響下で"人間<ヒューマン>"とスライムが移動困難な中、安定した動きで巨大兵器のボディを
切り刻んでいく機械戦士達、連携さえ組めれば彼らのマシンパワーが産み出す剣技の強さに立っていられる者は居ない
 あの[巨人]でさえメカ組達の連携を恐れて組ませない様に立ち振る舞っていたのだから…



    pzkwⅤ「おらぁ!![ハイペリオン]を喰らいなァ!」
  陽子ロケット弾『 』バシュゥゥゥッッッ!ドゴォォォォ!!


 人間では決して繰り出せないであろう機械の剛腕による無数の斬撃、それによって出来た鋼鉄の四つ足の裂け目に
大火力の[陽子ロケット弾]の熱が浸透していく
 将を射んとせば馬を射よ、まずは敵の脚を潰して逃げられない状況にして同時に足場の揺れを産み出す[地響き]も止める
これだけでも大分戦いの流れは変わってくる筈だ

 ロケット弾が命中して黙々と立ち上る黒煙が晴れればそこには読み通りもう使い物にならないと思えるボロボロの脚
他にも肩部に取り付けられていたミサイルポッド等のパーツがバラバラになって転がっていた


   エミリア「足場の揺れが大分マシになったわ…っ!これなら―――」

 敵の武装も今の攻撃で大型機銃が"御釈迦になった"のだから警戒すべきは火炎放射と[超音波]くらいしかない
これなら労せずに無力化も可能か!?―――そんな考えが浮かび、それが甘い考えだと直ぐに思い知らされる



   ウィーン…ガコンッ!


  リュート「おろ!?なんだぁ足場の上昇が止まったみてぇだが此処は何処だ…後ろにでけぇドックがある」



      『くっくっくっ…このマシンがそんなヤワな訳がねぇだろォ!?』



 ウィーン!!

 ドッグ扉が開いて巨大なクレーンアームが伸びてくる…っ!基地内システムを掌握した下位妖魔は考え無しに足場を
移動させていたわけではない、最下層のグレートモンド専用外付けパーツ格納庫まで稼働させていたのだ
 アームに掴まってダメージを受けた機動兵器はドッグの奥へと運ばれ当然逃がす訳にも行かずに追撃を掛けようとするが


                   【 [敵の援護射撃] 】

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ…!


  ゲン「うぐあっ」ズシュッ

 アニー「痛っ――――天井に機銃が取り付いてるッ」バッ!


 全てのシステムを掌握済みなら火器統制の権限も彼奴が握っているのは当然で、この重要ドッグ前の侵入者迎撃用機銃も
操縦席の妖魔の意のままというわけであった



766続き明日の昼か明後日のどっちか2021/09/05(日) 23:38:04.32pLf8J+eI0 (3/3)


 ドッグ奥へと消えていった時と同じようにアームの腕に掴まれてグレートモンドは再び戦線へと復帰してきた
ただし、[グレートモンド驚天]から多少装備を変えた[グレートモンド動地]の姿でッッ!!


    グレートモンド動地『 [ブレード]装備 』グオォォォォンッ!ドウッ!!


    ブルー「何!?速いだと!?」


 四本脚は確実にぶっ潰してやった筈だ、手にした[ブレード]が敵機の復帰地点から一番近くに居たレオナルド目掛けて
動き出した所で彼は直ぐにその考えを振り払った

 メカ4機の[多段切り]と大火力の砲撃を受けて脚は使い物にならないほどの致命傷を受けた?
いいや違うね…あの脚は"ガワ"だ
 切りつけられた表面の皮だけを脱げる玉ねぎ、否、マトリョーシカ人形の様な物だ
表層が致命傷を負った所で外側のパーツを任意のタイミングでいつでも"脱ぎ捨て<パージ>"可能という仕組み
汚れた上着を脱ぎ棄てて、その下には傷や汚れの一つ無い身体があるのと同じ事

 しかも厄介な事に、要らんパーツを取り外した事で俊敏性が驚天形態の時とはダンチだ
4本脚自体の動きがより滑らかに尚且つ早く、ミサイルポッド等の重りも外れどうやら背部にスラスター付きと見た
 背部スラスター自体は後付けでなく元からの取り付けで、その上に取り外し自由の防御装甲が付いていたのだろうな


  レオナルド「これは…っ、なるほど重装甲を取り除いた事で重量が減り更にあの背部の輝きは…っ!」
    pzkwⅤ「先生っ!?うおぉぉぉ先生は私がお守りするっっ!!喰らえぇぇぇ」バッ、ガチャッ


 恩人の為に身を挺して、前に飛び出したpzkwⅤが[ハイペリオン]を構えて引鉄を引く…っ!しかし―――


  陽子ロケット弾『 』バシュゥゥゥッッ――――――ゴトッ…コロコロ!



   pzkwⅤ「はっ!?弾がそのまま落ちて転がって―――」ハッ!


  ナカジマ零式「い、いけませーん!これは[ECM]でーすッ!」



 上層で[スカイラブ]が戦闘時に発揮した対弾道兵器の妨害プログラムッッ!![ハイペリオン]の最後の1発は
不発弾として虚しく地を転がり、pzkwⅤの眼前には横凪で迫りくる青肌の巨漢のソレを上回る大型[ブレード]があった

   ガキィイィン!


   pzkwⅤ「がぶふぅっっ!?」ヒュバンッ


 機敏さを増したケンタウロス擬きの横一閃を諸に受けてそのまま吹き飛ばされる重火力メカ、彼の身は宙で回転しながら
再び浮かび出した足場から弾き飛ばされ、落下していく…っ!


  レオナルド「っ!pzkwⅤーー!」


 この高さから落ちてもメカならばコアが砕け死に至るという事は無いが、飛べない彼では戦線復帰は無理だ…
マニピュレータが振るった[ブレード]を仕舞うとそのままスラスターを吹かして[突進]を特殊工作車目掛けて仕掛けてくる
 大質量の巨大兵器の突撃で蹴り飛ばした後、直ぐに両前脚をあげて[ふみつけ]んとする脚と
狙われた特殊工作車の合間にゲンが割って入る


    ゲン「ふんぬぅぅぅっ―――ぅぎぎぎっ!!」[ディフレクト]


   『うおっ!このオヤジなんて馬鹿力だ…コイツの全重量乗せた両足を剣で受け止めやがった…!?』


    ゲン「おぃ、ボサっとしてねぇで、は、はやく 離れろぃ…」ギギギギギッ!


 四輪を全力でバックアクセルでその場から退避し剣豪も仲間が離れたのを見計らって直ぐに飛び退く
玉汗を滲ませながら今までの強敵との連戦が児戯に思える最終兵器の方を振り向けば
背部スラスターから紺碧色の光が飛び出す、夏の青空が如く済んだ青い光が1条、また1条と飛び回るナカジマ零式目掛けて
突き刺さっては爆発を起こす―――それはスライムの[シルフィード]に似た[スプレッドブラスター]の輝きに他ならない


  ナカジマ零式「ぐっばぁあぁッ……こ、これ以上は厳しいですか、ええーいならせめてっっ!!」ギュウウウゥゥン!

 紺碧色が空舞うナカジマ零式の身を突き刺し機体の制空が厳しくなったと判断して墜落交じりで[神威クラッシュ]を
[グレートモンド動地]へとお見舞いする、一矢報いると同時に激しい音を立てて墜ちた彼に直ぐレオナルドと工作車が寄る



767続き 木曜日か金曜日のどっちか2021/09/07(火) 02:59:52.46ZcOhC0Iy0 (1/1)


 火花を散らすナカジマ零式の修理が急ピッチで行われる中、[神威クラッシュ]の一撃で入った罅目掛けて
アニーが[刀]で突き剣の技を撃ち込む、刀身の先を罅のど真ん中に定めてからの迅雷が如き突撃…![稲妻突き]が刺さるッ


   アニー「流石に勿体ないとか言ってる場合じゃない、コイツはアンタにくれてやるよ!!」ギュンッッッ!ドスッ!

 グレートモンド動地の装甲に入った罅『 突き刺さったアニーの[刀] 』バチバチ…!


 闘気を纏い稲妻を帯びた彼女の武器を機動兵器の装甲に勢いよく突き立てる
木材に釘を一本軽く立てて槌で一発殴った時に似た浅く、それでいて深く先端が突き刺さり外れない様と言えよう


   ブルー「でかしたぞ!エミリア貴様の腕っぷしでアレを奥まで刺し込めッッ!!」


 武器を失い手ぶらになって後退するアニーとすれ違う様に銃をホルスターに収めたエミリアが
ライザ仕込みの体術フォームを取って突き刺さった武器に拳を叩き込もうと狙いを定める
 左足で一気に踏み込んで跳び上り、右手の指先に闘気を込めた一撃を[刀]の柄に叩き込んだッ!!


  エミリア「もうっ!!女の子に腕っぷしで叩けとかデリカシーゼロなんだからっ!!!」カッ!!


 女心の分からない指揮者に愚痴の一つでも吐き捨てながら窮地を脱する為の策通りエミリアは気を一点集中させた一撃
[短勁]を杭と化した戦友の武器に打ちつける
 刀身は分厚い[グレートモンド動地]の装甲の中へと更に沈んでいき柄から先端へと闘気の熱が伝導して機動兵器の内部に
ダメージが浸透しているのが罅割れの隅々から溢れ出す輝き、パキパキと硬い物が内側から砕ける音で分かった


  『うお"お"ぉぉぉ"ぉ"ぉ!?…うぐぐ、やるじゃねぇか!だがまだ終わりじゃねぇぜ!』


 どうやら[短勁]の熱はガワ全体だけでなく操縦席まで僅かに浸透したらしい、下位妖魔の悲鳴と苦しむ声が
スピーカー越しに聞こえてくる、機体は今の一撃で大きく仰け反り両腕は情けなくバンザイのポーズで静止
 同時に杭打ちの攻撃に耐え切れなかった外側のパーツがまたバラバラと落下していく


  ウィーン!!
        ウィーン!!

                   【 [鉄柱攻撃] 】



  鉄柱『 』ブォンッ!
       鉄柱『 』ブォンッ!


 機動兵器をドッグ奥へと連れ立ったあの巨大アームが足場の上に居る者達を左右から弾き飛ばさんと襲ってくるッ!
数は1つ、2つ所の話ではない間違いなく全員の身体に打身を創る事が確実…っ!


   リュート「うべっ!?」ドゴォ!!
    ブルー「ぐほ"ぉっ!?」ドガァッ!
   スライム「(;゚Д゚) ぶぶーっっ!?」ゲシャッ


 鳩尾に赤いロボットアームの爪部分が入る者、肩を鉄骨部分に当てられ脱臼する者、下顎から蹴り上げられた形の聖獣
左腕がぷらんとだらしなく垂れ下がった術士は右手で左肩を抑えながら被害の程を確認しようと周囲を見渡す
 敵はまだ何か手札を出し切っていないのだ…っ!戦闘不能者は居るのか?まだ戦える者はどれだけ残っている!?

 エミリアと武器を失ったアニーも[鉄柱攻撃]にぶち当たったが痣こそあれど動く事には問題ない、ゲンは額から出血
避けきれずにアーム部分の爪辺りで頭部を負傷したか、メカ組は…っ!?


 ここで青の魔術師は今まさにこの瞬間、鉄柱がメカ勢を襲うのを目撃した
T-260は金属音を響かせながら御手玉よろしくと飛ばされて床に2度ほどバウンドした、直ぐに起き上がった所を見るに
戦闘行為の継続に問題無し、―――――問題ありなのは…ッッ!!


    ナカジマ零式「あわわわわわわっ!不味いです不味いですよーーーーっ!」バチバチ

     特殊工作車「…っ!じ、自分のプログラムは修理中では身動きが取れませんっ」ジジジジッ
     レオナルド「この位置は不味い…!……くっ、後で直すから許してくれよ!」バッ


 同じタイプ6型に該当する機械を修理するメカでも素となっているボディ、武装が違うのと同様彼らの動きにも
多少違いがあった、修理の真っ最中は動けない特殊工作車と中断して動けるレオナルドの差、後者はボディ自体が完全に
レオナルド自身のオリジナルだからこそ迫りくる鉄柱を前にしてできた咄嗟の回避行動である

 回避できなかった2機は鉄柱の一撃でpzkwⅤの時と同じく盤上から放り投げられた…っ!

ガンガンとそこかしこに金属の塊がぶつかり合う音が下方から聞こえてくる、着実に此方陣営の駒は減らされていくッ!


768続き 土曜日か日曜日のどちらか2021/09/10(金) 23:06:38.580iN/7mw+0 (1/1)


 盤上から2機のメカを退場させた代わりに向こうも重装が取り払われた
グラディウス組の攻撃で壊れた装甲毎[鉄柱攻撃]を行ったアームが機動兵器を持ち上げて上方へと運んでいて
 四方八方から襲い来る鉄柱の対処に追われた彼らが一波乱を漸く乗り切った後には次の形態に移行した兵器が上から
足場へと降り立った頃であった

 [グレートモンド威力]…そう称される形態は神話の獣と違い次は4つ足ではなく2足歩行の限りなく人に近いシルエットだ

 ただ両腕の手首よりは松葉杖を持った怪我人よろしくとガトリング機銃が伸びていて肘に当たる部分には
[バックラー]タイプのシールド装甲、背部には展開式の折り畳み[ブレード]を収納

 肩には[ハイパーバズーカ]と威力という名を冠する通りの[レールガン]が装着されていたッ!



  『うははははっ!踊れ踊れぇ!死のダンスだ!!』ズガガガガガガガッ

 ゲン「クソッたれめ、本当に玉ねぎみてーなロボだぜ!剥いても剥いても中身が出てくらぁ」


 [バルカン]を撒き散らす巨大兵器に悪態を吐く、倒したかと思えば次の形態になって戻ってくるこのくどさ…!
両腕から乱射される豆鉄砲はまだどうにかなるとして[レールガン]の威力には手を焼く
 [ディフレクト]で弾こうとするが弾圧が普通に重い、自分の力を以てして確実に仲間を護り切れるかどうか不明瞭ときた


   T-260「敵の銃塔を破壊し行動の制限を図ります」ピピッ
 レオナルド「随分な兵器じゃないか、こんなのトリニティには無かったよ本当…っ!」


 倒せば倒す程に厄介さを増す敵の兵器にT-260とレオナルドが[多段切り]を決めようと接近を試みる
 

            『ぎゃはははっ、わかってんだよ!』

                【 [無伴奏ソナタ] 】

 ポロロロ…♪ ポロロロ…♪


 メカ2機が切りかかるのを読んでいたと謂わんばかりに"最速行動<ファスト>"で奏でられる電子音が辺りに木霊する
酷く耳障りで鼓膜が破けるんじゃないかとさえ思える大音量で発せられる特定コードを織り交ぜ込んだ音色


      T-260「!!! システムに異常あり、シス…ムに異……り!」
   レオナルド「こ、この周波数は、不味い、ぞ」ギギギッ

    『いい加減目障りなんだよッ!こいつで消えちまいな!』ガシャッ!


 メカの機能を麻痺させて"行動をスタン"させる特殊音波によって動かなくなる2機、彼らに目掛けて
肩に担がれた[ハイパーバズーカ]の弾が炸裂する
 機銃や[レールガン]に翻弄されて2機を直ぐには救援に向かえなかったゲン、同じくリュートやエミリア
失った武器の代わりをブルーから受け取るべく後退したアニー、[鉄柱攻撃]で受けた仲間達の回復に努めたスライム
 誰が居ても爆風で場外へ吹き飛ばされるメカ達を救えなかったのは仕方がない事だろう


     『厄介な屑鉄共は居なくなった、次はお前達の番だッ!』

    ブルー(くっ、レオナルド達が落ちたか…!!このまま人員が減るのは不味い何か無いのか!?)キョロキョロ!


 下位妖魔の叫びが聞こえた後[グレートモンド威力]のバズーカ砲は弦楽器の青年と剣豪の方向に向き始めた
それを見て術士は何か無いかと辺りを見渡し――――


 ブルー「…ハッ!アレだッ! スライム、エミリア!誰でもいい奴のバズーカ穴に入れろ![エナジーチェイン]!」バシュッ


  エナジーチェインの鎖『 不発に終わったpzkwⅤの[陽子ロケット弾] 』シュルシュルッ!ギュッ!
 ブルー「うおおおおぉぉぉぉぉ!!」ブゥンッ!


 宙に投げ飛ばされる陽子ロケット弾『 』ヒューン!

  スライム「(。・`ω・) ぶくっッッ!!」ヒュバッ!タッ―――ガツンッ!


 レオナルドを庇って前に飛び出たpzkwⅤが先程撃った[陽子ロケット弾]ッッ!!不発に終わり落ちてコロコロと転がった
その弾を思念の鎖で縛り上げる、魔術の熱でジジジジッと嫌な音を立てながら熔解しつつあるそれを直ぐ様
上方へと投げ飛ばす、一角獣と化したスライムは脚力を活かして一気に飛び出し
 首を大きく振って額の[角]を使い黒煙が立ち上り出した弾をフルスイング!!

 下位妖魔が今まさに剣豪達目掛けて[ハイパーバズーカ]のトリガーを引こうとした瞬間でバズーカの発射穴へと
[陽子ロケット弾]の弾がゴールインを決めた…っ!



769続き 火曜日か水曜日2021/09/12(日) 22:45:45.59lm+HfbVY0 (1/1)


 暴発。 発射口にすっぽりと入り込んだ不発弾と[ハイパーバズーカ]が砲塔内で誘爆を引き起こす
当然の事ながらバズーカ砲は使い物にならない状態となり、機体全体が炎上していく
 既に分かり切っていることだがこの兵器最大の利点は装甲のパージが可能ということだ
勢いよく燃え上がる砲塔、肩から腕まで燃え広がるシールドやガトリング機銃部分を脱ぎ捨てて芯の部分、搭乗者の居る
コックピットを守ろうという行動に移る

 "動地"から"威力"へと変わる際には巨大[Tウォーカー]の格納庫のエリアで一旦止まったが
今回もまた更に一つ上に階層へといつの間にやら昇っていたようだ燃え上がる衣を脱ぎ捨てたメタルボディは
侵入者達と対峙した時と比べて幾分も小さくなった



 第1層、我らが侵入者御一行が[ワカツ]の裂け目から[モンド基地]へと乗り込んできた際の出入り口がある階層まで
舞い戻ってきたのだ…っ!

 身を大きく振り乱しながら燃える鉄塊と化したパーツをばら撒き敵を近づかせないようにしながらもアームに掴まった
機動兵器は正に"人"と表現するに相応しいシンプルなデザインと言えよう
 4本脚でもなければ無骨な重装甲と火器の怪物でも無い、"[巨人]と変わらぬサイズのシンプルな人型兵器と呼べよう"



   ウィーン!


 赤爪のアームがこの階層にでもあったのか布に包まれた"何か"を持ってくる…っ!
何も着飾らない機動兵器はそれを手にして勢いよく布を取り払う



 …それはモンド氏がかの"悪の秘密結社"と秘密裏に取引を行った末に開発した超兵器[バスターランチャー]だッッ!



 神話の半人半馬や重装鎧の怪物と違った平凡な見た目に反して"神"の名を付けた形態…[グレートモンド超神]
神を超えし者という製作者の傲りなのか、それともこの形態に移行することで
初めてマニピュレータが反応できる先述の超兵器を使えるからついた名称なのか…

 身に余る力を手にして天狗と化した下位妖魔は[ECM]の力場を掻き消す[カウンターECM]を作動させる
神超えし者の力を誇示せんが為だけに隠し武器の一斉射出の準備を始めたのだ


      『見るがいいこれぞ超神の姿だぁーっ!!』


 リュート「うげっ!?なんじゃあのミサイルの数はぁ!?!?」


 超神は大の字になるように手足を広げて仰け反らせる、カシュっと音がして人で言う所の腿、胸部、腕肩、背部
あらゆる部分から小型のマイクロミサイルが顔を覗かせていた
 操縦席で下級妖魔は感極まった声を上げながら[全弾発射]を行使した…っ!


―――――ボッッボボボボッ、ボッゴォォォン!


 場に嵐が吹き荒れる、透き通る水の雨粒の代わりに先端が真っ赤な小型兵器が火の尾を引いて彼らを包囲し
それでいて着実に逃げ道を奪うように包囲網を狭めていく様に降り注ぐ

 巻きあがる黒煙、吹き上げる火の粉、メカに比べて脆弱な肉体の人間やモンスターは熱渦に絡めとられ身を焦がす
その様を巨大メカの操縦席という鉄の揺り籠から彼奴は見下ろしていた
 この禍中で自分だけが絶対的な安全を約束されているのだと、ほくそ笑みメインカメラで小虫の舞は如何ほどかと眺める


  リュート「ぐっ、あぁ"、おい、皆無事、か?」ジュゥゥゥ

  エミリア「…生きてはいる、けど、ね」ヨロッ…

 舞い踊る炎と渦巻く爆風に手を引かれて踊りたくもない円舞曲を踊らされた面々は全身ズタボロの満身創痍
回復手段の[マジカルヒール]を使えるスライムも直撃を受け失神していて[バックパック]持ちの自身が起こさねばと
焼け爛れた片足を引き摺ってリュートが仲間の元へと進んでいく


  リュート(他の3人は…)チラッ


 青年は辺りを見渡す、得物を杖代わりに片膝をついているがゲンは未だ辛うじて動けそうだが
倒れ伏したアニーと指先は動いているが身を起こせないらしいブルーの姿が目に入る
 彼らも助け起こしたいが人手が足りない、スライムを一刻も早く起こさなくては…っ!


 『仲間を助け起こそうったってそうはさせねーよォ!!』 


 [全弾発射]後の黒煙を煙幕代わりにスライムまで近づこうとしていた彼を妖魔は決して見逃さなかった…!


770以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/09/15(水) 03:06:06.198s8sXWN20 (1/1)

さすがに強いなあ
それにしてもモンドさんはどう思うんだろうこれw


771続き 金曜日か土曜日2021/09/15(水) 23:51:06.51jcX2QZWl0 (1/1)


 超神は[バスターランチャー]を振り回して弦楽器の青年を叩き潰そうと試みる、どうやら鈍器としても優秀らしい
普通なら故障の原因となり得る乱雑な扱いでも問題ないと言いたげにランチャーで相手の脳髄を真夏のスイカ割りかと
思うような全力の振り下ろし―――[ブレインクラッシュ]で潰そうとする


 『はっはっはーっ!ぶっ潰れちまえぇぇぇぇぇぇぇ!!』ブンッ

  リュート「うっ!?」

 さしもの楽天家も今度ばかりは不味いと死を覚悟するのだが…っ!


   ゲン「っうらああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!」ダッ!ドガッ
 リュート「うわぁっ!?」ドンッ、ゴロゴロ…!


 片膝をついていたゲンが悲鳴を上げる身体に鞭を打ち、死が降り注がんとする青年をその場から突き飛ばす
剣豪も青年も九死に一生を得るのだが、その行動が下位妖魔には気に障ったようだ


  『 ク ソ 死 に ぞ こ な い の オ ヤ ジ が ぁ ぁぁ !! さ っ さ と 死 ね や!!!』

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!


  ブルー「ぐっ……ハッ!なんだ、この熱量は!?あの砲身から…コレはいかん!!」ズズッ
  アニー「ぅく――――な、なに、あたし気を失って?…!? なにあのバカでかい光は!?」パチッ、バッ!?


 痛みから身を起こせない魔術師と飛んでいた意識が戻った女は剣豪に対して向けられた超兵器の輝きを見た
渦を巻く膨大な熱エネルギー、それこそ遠く離れている筈の二人にまで熱が伝わる程の異常数値
 誰がどう見ても一目で理解できた、アレは当たれば確実に死を招くと…!今までの攻撃とは次元が違い過ぎるッ!


 エミリア「――っ、ゲ、ンさん…!!」ヨロッ


 [バカラ]の[巨獣]戦で術士を救出したときの様に[スライディング]で横から掻っ攫って彼を救う事も考えたが
エミリアの脚は動かない、それは偏に負傷した足が思うように動かぬからか
あるいは超神の名に相応しい超破壊的エネルギーに委縮したからなのか…

 突き飛ばされ、そのまま転げたお陰で難を逃れ目標地点までの距離を一気に縮めた青年も当初の目的であるヒーラー
スライムを[最高傷薬]で助け起こし直ぐにゲンの方を見やる

                "もう駄目だ、間に合わない彼は助からない"

 誰しもがこの時同じ考えに至った。



                  【 [ バ ス タ ー ラ ン チ ャ ー ] 】   




 刹那、光が迸った

何もかもを飲み込む破壊衝動を体現した波動が渦を巻いて剣豪の身を包む、光芒に呑まれ…彼の、ゲンの精神は、途切れた



      リュート「っっ! ゲ ン さ ぁ ぁ ぁ ぁぁぁ ぁぁ ぁー―――ん!!!」


  エミリア「…そ、そんな」ガクッ
   アニー「嘘、嘘よ、こんなの…」
   ブルー「っ、ゲン……」グッ


 青年の悲痛な叫び、光が収まった後に黒焦げになった男が1人握りしめていた業物を手放して音もなく倒れる姿
それを見て膝から崩れ落ちる者、信じられないと言わんばかりに首を横に振り震える者
 短い間とは言え情が湧いていた男の最期に奥歯を噛みしめ怒りを覚えた者、…哀しみ、失意、否定、怒り、皆誰しもが
その順に心の奥から湧き上がる感情に困惑した、同時に本能で理解した

 仲間を失った悲しみと理解が追い付かないが故の虚無感、目の前の惨事への否定からソレは
徐々に引き起こした者への怒りに変わっていく、早い話が仇への復讐心だ


   アニー「アイツだけは許せない、絶対ぶちのめしてやる…っ」グッ!
   ブルー「…ああ、よかろうゲンの弔い合戦だ」キッ!

 青年と一角獣の回復を受けて立ち上がった仲間達が次々と闘志を燃やす、当初此処に来た目的なぞ最早どうでもいいッ
あるのは至ってシンプルな思考ッ!神を超えし者を自負する機動兵器に対する復讐心のみッッ!



772以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/09/16(木) 00:49:20.97FHuAMtVp0 (1/1)

*******************************************************


                  【解説 グレートモンド に関して】

 サガフロンティア、全7主人公(+リマスター版からヒューズ)の内リュート編に登場するラスボスの1人

 原作に置いてトリニティ政府への謀反を企てているモンド執政官が直接乗り込んで戦う大型機動兵器
 このラスボスは他主人公と違って各形態変化にHPが設定されていて、それを削り切ると次の形態に移行する特徴がある

 次作の卵にもその構造は継承されている、各形態にそれぞれHPがあり行動パターンも大きく変わる点まで

 HPを削り切ると鉄柱のアームがやってきてグレートモンドを回収、次の形態に変形した状態で戦線復帰してくる
 その際は足場の上昇中や実際に攻略してきたMAPの各階層で足場が停止したり地味に背景が細かい
 ちゃんとドックや[Tウォーカー]が映っている


 なお、グレートモンド戦は毎回5ターン経過毎に[敵の援護射撃]、[鉄柱攻撃]が発動するので戦闘不能者がいると
 LPが削られるので地味に鬱陶しい


・ グレートモンド驚天

・ グレートモンド動地

・ グレートモンド威力

・ グレートモンド超神

・ グレートモンド魂



 形態:驚天

 屈強な四つ足の巨大メカで一番最初に戦う形態
 最初の形態だけあって[バルカン]や[放射火炎]、[ミサイル]などそこまで脅威性は高くないのだが
 範囲攻撃の[超音波]また全体攻撃の[地響き]を行ってくるので油断のし過ぎも禁物

 [超音波]に関してはこの形態と"動地"までで以降はしてこないから早期に2形態倒すか精霊銀装備で完封すればいい
 [地響き]の方は驚天形態限定でしかやってこない技だから地耐性まで用意する必要は正直そこまでは要らない

 なお、死に際に[ECM]を使って場全体をミサイル無効状態にしてから動地形態に移行する


※ ……物凄く今更ですが、[ECM]はミサイル攻撃が必ずmissになる様にする効果であって
   陽子ロケット弾やナカジマ零式が飛べなくなるなんて仕様は無いです、当SSだけです


 形態:動地

 基本的には前の形態と変わらないが[ミサイル]や[バルカン]が無くなり、代わりに[ブレード]と[ふみつけ][突進]が追加
 そして[スプレッドブラスター]を撃ってくるため若干火力は上がっている脅威性もまだ高くはない為、十分に対処可能


 形態:威力

 ここから2足歩行の兵器に変化、再び[バルカン]をしてくるようになり
 新たに[レールガン]攻撃と[ハイパーバズーカ]が追加されるのだが正直に言うとこの形態も十分鍛えてれば脅威ではない


 形態:超神

 長い前座が終わって漸く本番に入った超神形態だが、これで特筆すべきは4ターンに一回
 必ず[バスターランチャー]を撃つ行動パターンが組み込まれていることだろう


 ラスボス固有の所謂、超必殺…グレートモンドに該当するのが[バスターランチャー]であり
 恐ろしい事に威力が 脅 威 の 4 桁 ダ メ ー ジ なのである!


 サガフロのシステム上、主人公達はHP999でカンストなので4桁ダメージなんて喰らったら確実に死ぬ

 防御力無視攻撃なのでいくらDEF<防御力>を装備品で高めても意味はない
 戦闘コマンドの防御でダメージを軽減はできるが普通に痛い
 また直線状の敵を巻き込むライン状の範囲攻撃なので対象キャラの近く(真横)、そして前後に居るキャラも
 巻き添えでダメージを受ける、流石に余波を受けるキャラまで4桁ダメージとまでは行かないが

 超神形態は初手で必ず[カウンターECM]を発動させて自身が最初の形態で発動させた[ECM]を掻き消し2ターン目で
 [全弾発射]を行ってくる、その後は[ヒートスマッシュ]、[ブレインクラッシュ]の打撃系を初め
 [突進]と[スプレッドブラスター]…それから[ビット]を飛ばしての攻撃が主となる

 これを撃破したら最期はいよいよ[グレートモンド魂]形態と戦えるのである

*******************************************************


773続き、明日か明後日2021/09/18(土) 23:08:51.43mupUKFgE0 (1/1)


    リュート「ブ、ブルー待ってくれ!」ガシッ

 術士が最大攻撃術の詠唱に入ろうとした時に声を上げて腕裾を掴む男がいた、彼の方を振り向けば彼は鞄の中身を
引っ繰り返した様にぶちまけて倒れたまま目覚めないゲンの身体を止血すべく包帯を巻いて医薬品の注射器を使用していた


   リュート「俺はまだ諦めちゃいねぇ!ゲンさんに[活力のルーン]を…[活力のルーン]を使ってくれよぉ!」

    ブルー「……その[最高傷薬]を注入しても意識が戻らんというのなら、…つまりは"そういうこと"だぞ」


 言外に、もう手遅れだとブルーは告げる

 例え人であれ妖魔であれ、モンスターにもメカのコアにだって生命力<LP>というモノが存在する
生きとし生ける者全てに存在する魂の輝きそのものだ
 魂が尽きた時、その者はこの世を去る…当たり前すぎる自然の摂理といえよう


 目を一向に覚ます気配の無い彼の意識は黄泉に居るのだと…っ!蒼き魔術師は「ゲンは死んだ」という言葉こそ使わない
だが二度と目覚めさせることはできないと、そう口にしたのだ…!!


 リュート「…ッッ!」グッ
 リュート「…。」


 リュート「…薬が回るのが遅いだけってこともあるさ[傷薬]で気絶したお前ら起こす時だって直ぐに目覚めないんだぜ」

 リュート「個人差だってあるかもしれねぇ………ブルー、頼むよ」


  ブルー「……。」


  ブルー「万物の慈母神の名の元に生命を繋げし印を刻み錫―――[活力のルーン]」フォン!フォン!

 リュート「…!ブルーっ!」


  ブルー「スライム!貴様はコイツ等に付き添ってやれ、お前がコイツ等を守るんだ!」
 スライム「Σ(・ω・ノ)ノ! ぶっ、ぶく!?」


  ブルー「…。」スッ

 蒼き魔術師は途切れ掛けの生命の線と線を繋ぐ守護印を剣豪に掛けて一角獣も護衛につけさせた
それから――――無言でリュートの[バックパック]を拾い担ぎ上げる


   ブルー「貴様は戦うな、ここに居ろ…………今の貴様では足手まといだ」フイッ
  リュート「ぅ…」


 声に感情は乗っていなかった、怒りでも呆れでも哀れみも失望でも何も無い、無機質な声で告げられた戦力外通知
いや…もしかしたら敢えて声に感情を乗せない様にしていたのかもしれない

 床に散らばった幾つかの医薬品をかき集めるでもなくそのままそこに残して大分軽くなった[バックパック]を背負い
蒼の術士はそのまま苦戦を強いられているグラディウス組の元へと走り出す


   ブルー(…チッ、俺もヤキが回ったか!?)タッタッタッ!


 誰がどう見ても助かる見込みなどない、だというのに自分はなんなんだ!?
1分1秒を争うこの重要な局面で無駄に時間と術力を浪費して[活力のルーン]を刻み、あまつさえ貴重な戦力と
戦線維持のヒーラーであるスライムを護衛につけさせるなどと…っ!!全滅すればゲンが身を挺して仲間を救った事も
その仇を討つ者もいなくなり全ては無意味になるというのに…ッ!


 この時、術士はまだ気付いていなかった…。


 自分でさえ非効率的と思ったのに何故か剣豪へのルーン付与やスライムを残した事への戸惑いと
 全滅すれば"仲間の仇を討つ者が居なくなる"という目的自体が祖国を護る事でも自身の生還でもない事実…







 今この瞬間だけは目の前の機動兵器を放っておけば祖国のキングダムにも影響が出る事や生きてルージュと出会って
決闘を果たすという己の使命でさえも忘れて、ただ純粋に"仲間"の事だけを行動原理にして動いている自分自身に…っ!



774次 金曜日か土曜日2021/09/20(月) 09:24:17.03NvYLWv8a0 (1/1)

―――
――


 背部からの[スプレッドブラスター]と射出された[ビット]によるビーム攻撃でグラディウス組を追い込んでいく
青空色の輝きが拡散からの収束へ、不規則な機動で死角に回り緑色の光線を撃ち出す子機
 厄介な2色の光条は流れては身を掠め、時には躱しきれずに肌を焦がしていく


  ビット機×4『 』ビュンッ!ビュンッ!
  エミリア肩『』バジュゥゥッ!


  エミリア「あぁっ!?」
   アニー「エミリアっ!――ぐっ!?このっ」サッ、ビュォッ


 左肩を焼かれて苦悶の表情を浮かべた年上の後輩に声を掛けながら黄金髪の女は飛んできた光を躱し様に[飛燕剣]を放つ
ビット機を1基潰したがまだ3基残っている、踊る様にクルクルと獲物を取り囲むハイエナの様にグルグルと宙を舞っている


    ブルー「爆ぜろ![インプロージョン]」


  ビット機×2『』ドゴォォン!


   アニー「来るのが遅い!」
   ブルー「わかっている!!――エミリア、使え!」ブンッ


 一気に2基まとめて[ビット]を破壊した術士はリュートから取り上げた[バックパック]から[最高傷薬]を取り出して
被弾の多いブロンドの女に投げ渡す、それを受け取った相手は直ぐ様患部に使って残りの1基を撃ち落とした
 止血や鎮痛だけでなく気付け薬としても効能があるこのご時世の回復薬だ、痛みで意識が霞みかけていたが集中力を
取り戻してからの射撃はビット機が光線を放つよりも先に核の部分を撃ち抜く


  エミリア「リュートは!?」

   ブルー「奴は来ない、それよりも前に集中しろ来るぞッ!」


 来ない仲間の事を問う女に対してリュートは来ないとだけ返し、目の前の機動兵器に集中しろと叫ぶ
言われて顔を向ければ彼奴の手にはこの宇宙開拓時世に開発された[最高傷薬]でも目覚めぬ程の大怪我を
ゲンに負わせたあの忌々しい[バスターランチャー]が向けられていたッッ

 その威力を目の当たりにしたが故に彼女も当然身構える…!しかし相手はそれで此方を狙い撃つでもなく天井へ向ける


  アニー(撃ってこない…?)


カシュッ!
ブシュー――――ッ!!


 天へとランチャーの砲身を向けた[グレートモンド超神]は排莢式ボルトアクションでもする様に手を動かす
するとどうだろう、夥しい程の熱が砲から抜けていくではないか
 湿度と気温の高い真夏日にアスファルト上で見かける陽炎現象が発生していることから
その熱量がとんでもない物だというのは解る、光の屈折を曲げて景色がゆらゆらと揺れて見える程の超高温の空気


   ブルー(あの兵器…威力が高いがその反動で熱が篭る、だから排熱が必要で連発で撃てないということなのか?)


 1発撃つ度に排熱処理をしなければ砲身自体に熱が溜まり続け暴発<コッキングオフ>を引き起こすのではないか
そう考えれば自ずと相手の隙、反撃のチャンスは見えてくると術士は考える


      『休む暇なんて与えねぇ、コイツを喰らいやがれ!』


 ランチャーの排熱をそのままに燃える様に熱い砲身を機動兵器は振り回す、それは[巨人]が使っていた
[ヒートスマッシュ]と同じ威力と言えよう



       「させませーん!喰らいやがりなさーい[神威クラッシュ]――!!」ビュオォッ!ドッコォォォッ

       『ぐおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!?』グラッ


 超神が[ヒートスマッシュ]を叩き込む為に振り上げた右腕に何かが突っ込んでくる
捨て身の一撃を放ったのは…っ!



775以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2021/09/22(水) 06:43:56.64tpAm7SOO0 (1/1)

神威クラッシュすき