1 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:44:55.53Uw1Hn3HT0 (1/63)

ーー放課後、宮益坂女子学園、屋上

遥「ーーはぁ……」
愛莉「まーたそれ?そんな溜息付いてると幸せが逃げるわよ」
遥「実際、ずっと逃げられてるしね……」
愛莉「……また、みのりのこと?」
遥「……うん。私って、そんなにダメなのかな……」
愛莉「今回はどう逃げられたわけ?」
遥「えっと、今回は……」

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2 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:45:44.42Uw1Hn3HT0 (2/63)

~~

みのり「屋上……ここでいいのかな……?」
遥「あ、みのり。こっち」
みのり「遥ちゃんっ。私に話があるって言ってたけど……」
遥「突然呼び出してごめん。大事な話だから、誰にも聞かれたくなくて」
みのり「……隣、座っていい?」
遥「……うん。来て」

~~

愛莉「いつになく真剣な空気ね」
遥「実際真剣だからね。結果はお察しの通りなんだけど……」
愛莉「ここから逃げられるって相当よね。どうなったの?」
遥「それが……」


3 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:46:39.44Uw1Hn3HT0 (3/63)

~~

みのり「……遥ちゃん?あの、手が……」
遥「少しだけ、こうさせて」
みのり「え……」
遥「……あのね、みのり」
みのり「?」
遥「私ーーみのりのことが好きなの」

みのり「へ?」
遥「私が諦めかけた夢を、取り戻させてくれた。今まであった辛いことも、みのりが居たから頑張れた。みのりがいつも元気をくれた……」
みのり「あ、あのっ、遥ちゃん……?」
遥「いつからか、みのりの側にいるだけで楽しくなって。みのりと会うだけで嬉しくて、距離が空くだけで淋しさを覚えるようになって……もう、みのりのことが頭から離れないの」
遥「みのりには、ずっと……一番近くに居てほしい」

みのり「え、えっと……今のって……その……告白……?」
遥「……うん。私からみのりへの、告白」
みのり「そ、そっか……そうなんだ……」


4 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:47:28.62Uw1Hn3HT0 (4/63)

みのり「……うん」
みのり「あのね、遥ちゃん」
遥「……なに?」
みのり「私、多分そろそろ起きなきゃなんだよね」
遥「……」
遥「……は?」

みのり「もうすぐ授業が始まるから、早く戻らなくちゃいけなくて……」
遥「え、起きるって何?しかもまだお昼休み始まったばかり……」
みのり「この後友達に勉強教えてもらう約束してるんだ。だから、早く現実に戻らないと……」
遥「……もしかしてみのり」
みのり「また夜に会いに来るから、だからそれまで……」
遥「これが夢だと思ってる……!?」


5 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:48:17.93Uw1Hn3HT0 (5/63)

遥「みのり、目を覚まして?ここは夢じゃないから」
みのり「えっ?だって、あなたは私の夢に出てくる遥ちゃんで……」
遥「多分それ違うから、私は本物だから。しかもお昼休みはまだ半分以上あるからね」
みのり「えっ、えっ?今目の前にいるのが本物の遥ちゃんで、でもさっき遥ちゃんに告白されて……あれ?」
遥「みのり、落ち着いて。もう一回だけ言うから、私の話を聞いて」
みのり「は、はいっ」

遥「……私、みのりのことが好き。ずっと、私の一番近くにいてほしい」
遥「あなたのことを、一番近くで感じていたい」

みのり「…………」
遥「……みのり?」
みのり「」
遥「みのり……みのりっ?ーー気絶してる!?」


6 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:49:20.95Uw1Hn3HT0 (6/63)

~~

遥「……とまぁ、こういう感じで」
愛莉「……は?」
愛莉「え、は?夢だと思われてたの?」
遥「私も同じことを思ったし、多分同じことを言ったよ」
愛莉「いやいやいや、アンタ屋上に呼び出して隣に座って話したわけでしょ?それを夢って……」
愛莉(というか『また夜に会いに来るから』って、みのりの夢に遥が出ることは確定なのね。もしかして毎晩出てるの?)
遥「あれがもう遠回しの拒絶に思えてきて……正直かなり辛い」
愛莉「ま、まぁまだ可能性はあるわよ……多分」
遥「これでもう3回目なんだけど……」

愛莉「でも、明確な返事は貰ってないんでしょ?前回も、その前も」
遥「……うん」
愛莉「だったらこんなところで諦めかけてないで、ちゃんと聞いてもらえるまで頑張る!アンタがみのりに教わったことでしょ」
遥「そう……だよね。ごめん、愛莉」
愛莉「それでいいのよ」


7 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:49:47.27Uw1Hn3HT0 (7/63)

愛莉「でも、確かにこのまま続けても可能性がないのは確かよね」
遥「う……」
愛莉「あぁ、違うわよ。アンタに可能性がないって話じゃなくて」
愛莉(そもそもみのりが選ぶのはどう考えても遥だと思うけれど)
遥「やり方を変えるってこと?」
愛莉「そ。前回はどんな感じだったっけ、確か……」
遥「あの時、か……」


8 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:50:31.79Uw1Hn3HT0 (8/63)

~~

遥「みのり」
みのり「あ、遥ちゃん!遥ちゃんもこれからお昼?」
遥「うん。みのりは?」
みのり「私もだよっ。そうだ、せっかくだから一緒にお昼食べない?」
遥「あ、それなら私いい場所知ってるよ。そこで食べない?」
みのり「遥ちゃんのおすすめスポット……!?行きたいっ」
遥「良かった。こっち、来て」
みのり「わわっ、遥ちゃん引っ張らないでっ」

遥「着いた」
みのり「ここって……」
遥「こういう敷地の隅なら人もあまり来ないし、一人で静かに過ごせるから」
みのり「確かに遥ちゃんが校舎にいると、不思議な空気になるよね」
遥「みんなに注目はされるけど、遠巻きに見るだけで話しかけられることはなくて。……あんまり居心地がいいとは言えないかもね」
遥「だからここにはよく来てるんだ。最近はお昼を校庭で食べることもあるけど」
みのり「そっか……ってそれ、私が知っちゃって良かったの?一人で居たいからここに来るって……」
遥「あぁ、そのこと?それなら大丈夫。だって……」

遥「ここなら、みのりと二人きりになれるから」


9 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:51:27.49Uw1Hn3HT0 (9/63)

みのり「へ……?」
遥「もう少しだけ、近付いてもいい?」
みのり「あ、ごめんね狭いよね。私はもう少し奥に……」
遥「ううん、みのりはそこにいて?……よ、っと」
みのり「は、遥ちゃんっ?ええと、その、あの……」
遥「……やっぱりみのりの近くにいるとドキドキする。でもイヤじゃない」
みのり「は、遥ちゃん、近いっ……」
遥「ねぇ、みのりは?……私にドキドキしてくれてる?私のこと、意識してくれてる?」
みのり「は、遥ちゃんの顔がこんな近くにっ……あわわわわわわ……」
遥「……良かった、私だけじゃなくて。みのりもそんな風に感じてくれてるんだ」
遥「……これからすること、イヤなら突き飛ばしてくれていいから。……でももしそうじゃないなら、少しだけそのままでいて」
みのり「ひぅ…………耳元、くすぐったいっ……」
遥「……好きだよ、みのり。……んっ」
みのり「ぁ……ぁ……」

遥「……耳にキスしちゃった。……みのり?」
みのり「…………そんなの、ダメだよ……」
遥「みのり……どうしたの?」
みのり「ガチ恋はダメだよぉぉぉぉぉ!!」
遥「わ……ちょ、みのり!急に飛び上がったら……っていない!?」
遥「まさかお昼置きっ放しで逃げるなんて……いやそんなことよりもみのりはどこに……」


10 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:52:16.56Uw1Hn3HT0 (10/63)

~~

愛莉「あー……あったわね、そんなこと」
遥「もしかして愛莉、忘れてた?」
愛莉「……正直、忘れてた。あんまりにも……その、アレで、思い出したくなくて」
遥「それはそうだけど……でも……」
愛莉「……そうねぇ。確かに、突き飛ばされてはないけど……」
遥「むしろ突き飛ばさないようになのか、器用に私の腕からすり抜けていったね」
愛莉「わざわざ奥に避けてから遥の前を通って逃げるおまけ付きでね。遥に怪我させないようにっていう、みのりの最大限の配慮を感じるわ」
愛莉(ついでに出来るだけ遥に触れないでいようっていう意志も感じるけど。多分、好きにならないように)


11 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:53:32.14Uw1Hn3HT0 (11/63)

愛莉「にしてもアンタ、結構攻めたわね……耳にキスって」
遥「告白も二回目だし、ほとんど衝動的にしてたけどね。……なにか拙かった?」
愛莉「いや、拙いってわけじゃないと思うけど……時間ある時でいいから、部位別のキスの意味とか調べておきなさい」
遥「……そんなのがあるんだ」
愛莉「結構有名な話よ?遥が意味を込めたかは別として、気にしてる人がそれなりに多いのは事実だから」
遥「調べとく。それと、逃げる時にみのりが言ってたのは……」

愛莉「ガチ恋はダメ、ね。気持ちは分からなくもないけど……」
遥「ガチ恋、っていうのは、その……文字通り?」
愛莉「そ。好きなアイドルとかに本気で恋しちゃうっていうやつ。実際にはあんまり見ないけど」
遥「で、それがダメっていうのは……」
愛莉「あー、多分そういう意味はないから安心して。気が動転して逃げただけよ」
遥「そうだといいけど」

愛莉「……ちなみに、そのあとは?」
遥「……置いてくわけにもいかないからみのりのお昼持って追いかけて、見つけた時にはもうクラスの子といたから誘いにくくて……お昼だけ渡して戻った」
愛莉「……ご愁傷様。そのあと遥はどこで?」
遥「結局また同じ場所に戻ったよ。クラスで食べる気にもなれなくて」
愛莉「ちなみにその場所って……」
遥「悪いけど、内緒。みのりと二人の秘密だから」
愛莉「はいはい。そういうとこ律儀なのね」


12 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:54:14.90Uw1Hn3HT0 (12/63)

愛莉「今のところ逃走か気絶。そういえば一回目は?」
遥「もしかして最近疲れてるの?って心配された」
愛莉「そりゃまた……まともに受け止めてないのは共通してるわね」
遥「まともに受け止めてないって……言い方が」
愛莉「事実でしょ?結局今のみのりにとって、遥は推し止まりってこと」
愛莉「まずはそこを突破しなきゃ、告白を聞いてもらうことは不可能でしょうね」
遥「推し、か……推しって何なんだろうね」
愛莉「……そこを突付くのはやめておきなさい。一歩先は沼よ」
遥「……わかった」

遥「ん?足音がーーあ」
愛莉「あぁ、雫」
雫「早いわねぇ、二人とも。私も結構急いで来たんだけど……」
愛莉「二人で話したいことがあったのよ」
遥「放課後、練習の前にしようってなって」
雫「……」
愛莉「……あぁもう、そんな顔しなくても別に隠したりしないわよっ!」
雫「ありがとう、愛莉ちゃん」
遥(……今ので分かるんだ?)


13 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:55:31.91Uw1Hn3HT0 (13/63)

~~

雫「なるほど、ね」
愛莉「雫はなにかいい案ない?」
雫「私?うーん……」
雫「みのりちゃんのその感じだと、嫌いってことはないだろうし……少しびっくりしちゃってるのかも」
遥「びっくり……?」
雫「だって、みのりちゃんから見れば遥ちゃんの告白は突然なわけでしょう?」
雫「応援していたアイドルで、同じグループの先輩で……そう見ていた相手に突然告白されたら、これからどう見ればいいのか分からなくなると思うの」
遥「先輩って……一応、学年は同じなんだけどな……」
愛莉「普通に尊敬されてるって話でしょ?……でも、そうね。一気に距離を縮められても、追い付かないのは当然か」

遥「なら、自然にゆっくり距離を縮める……?」
愛莉「いや、それじゃ結局一定ラインでストップしちゃう。みのりがブレーキをかけてるしね」
遥「ならどうすれば……」
愛莉「そんなの、決まってるじゃない」
雫「?」

愛莉「引いてダメなら押し続ける!最初っから全力で、いっそそれに慣れさせるの」
愛莉「逃げ道塞いで距離詰めてりゃ、いつかはみのりだって慣れるわよ」
遥「そんな強引な……」
雫「いいんじゃないかしら?みのりちゃんは、自分でブレーキをかけて動けなくなってるだけだろうし」
雫「そういう人にとって、強引にでも連れ出してくれる人は魅力的に映るものだから」
愛莉「……なんでそこでこっちを見ながら言うわけ?」
雫「ふふ」
愛莉「はぁ。ともかく、そういうことだから」
遥「……うん。ちょっと、元気出た」
愛莉「なら良かったわーーあ、ほら。お待ちかねの人が来たみたいよ」


14 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:56:07.31Uw1Hn3HT0 (14/63)

みのり「遅れてごめんなさいっ!廊下で友達と話してて……」
雫「大丈夫よみのりちゃん、時計を見て?」
みのり「……あれ、時間通り?」
愛莉「落ち着きがないわねぇ。先に来た3人でちょっと話してただけよ」
みのり「3人で?何の話してたの?」
雫「それは……」

遥「私がみのりのこと好きだから、どう告白したらいいかなって話」
愛莉「はっ!?ここで言うのそれ!?」
遥「隠してても仕方ないし。愛莉が言ったんでしょ」
愛莉「だからさっきのはそういうのとは……みのり?」


15 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:56:39.86Uw1Hn3HT0 (15/63)

みのり「聞き間違い……じゃないよね?今遥ちゃんが告白って……」
みのり「誰っ!?誰なんですかっ!?」
雫「……あら?」
愛莉「器用に自分だってことだけを聞き逃した上で詰め寄ってるわね……」

遥「だからみのりだって。あれだけ言ったのにもう忘れたの?」
みのり「ほぇ……?」
遥「いや……仕方ないか。でももう、逃がすつもりもないから。みのり、耳貸して」
みのり「あ、うん……」

遥「ーー大好きだよ、みのり」


16 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:57:08.67Uw1Hn3HT0 (16/63)

みのり「~~っ!?!?!?」
雫「わ……」
愛莉「……練習終わる前に再起不能にするんじゃないわよ?」
遥「考えておく」
みのり「は、は、はる、はるっ、遥ちゃんっ、ががが」
愛莉「アンタは落ち着け。4回目でしょうが」
みのり「だ、だって、わた、わたっ、私のことっ」
愛莉「愛莉ちょっぷ!」
みのり「あだっ!」
遥「練習、しようか」
雫「……、そうね」


17 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:57:37.60Uw1Hn3HT0 (17/63)

愛莉「1・2・3・4、5・6・7・8。ここで止めっ」
みのり「……っ。出来てたかな……?」
遥「大丈夫、振りは合ってたよ」
愛莉「一旦休憩ね。15分後に再開しましょ」

愛莉「……やっぱり。録画見返してても、少し動きが固いのが分かるわね」
雫「緊張してるのかしら」
愛莉「みたいね。原因は言うまでもないけど」
雫「あれ、そういえばみのりちゃんは……?」
愛莉「あぁ、みのりならあそこよ」
雫「……、どうしてあんな隅っこに?」
愛莉「さーね。……気になるなら後で聞いてみれば?」
雫「そうしてみるわ」


18 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:58:43.09Uw1Hn3HT0 (18/63)

遥「みのり」
みのり「ひゃぁっ!?……は、遥ちゃんっ?」
遥「もう、なんでそんなに驚くの……隣、座るね」
みのり「あっ、うん、今避けるから……どうぞっ……」
遥「……それ以上端には寄れないんじゃない?」
みのり「だ、だって……こうでもしないと落ち着かなくて……」
遥「そっか。……なら私も詰めちゃおうかな」
みのり「えっ!?ま、待って……!」

遥「みのりはそれ以上端に行けないから、私がもっと詰めれば……ほら、逃げられない」
みのり「ぁ……ち、近いよ……遥ちゃん……っ」
遥「これだけ近づけば、いろんなことが分かるよね。肌の感触も、吐息も」
遥「それにこうやって手を握れば……指の感触も、体の温度も分かる。みのりは少し熱いね」
みのり「だってそれは、遥ちゃんがっ……」
遥「ふふ、ごめんね?でも、もっとみのりのこと知りたいな」
遥「あ、手首からちょっと脈が分かるかも。……すごく速い。私にドキドキしてくれてるのかな」
みのり「す、するに決まってるよっ。こんなの……さっきからドキドキしっぱなしだもん」
遥「そっか。……ねぇ、もっと速くしてあげよっか?」
みのり「えぇっ……これ以上速くなったら、もう……」
遥「もっとドキドキさせて、何も考えられないようにしてあげる。……んっ」
みのり「ひゃ……ぁ……そんなことされたら……」
みのり(遥ちゃんに抱き締められて、耳にキスまでされるなんて……こんなの無理、耐えられないっ)
みのり(それに、遥ちゃんの心臓の音が響いて……私のとごちゃ混ぜになってて、もうどっちの音か分かんないしっ。頭がおかしくなりそう……!)

遥「……ぁ、ここまでかな」
みのり「ふぇ……っ」
遥「これ以上やるとみのり、多分気絶して忘れちゃうし。ちゃんと覚えててくれないとね」
遥「私、さっきの振りの録画見てくるから。みのりは休んでて」
みのり「あっ、遥ちゃ……」
みのり「……っ」
みのり(この残った熱はどうしたらいいのっ……!?)


19 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:59:18.06Uw1Hn3HT0 (19/63)

愛莉「あ、遥。戻ってきたのね」
遥「愛莉、私にもそれ見せて」
愛莉「いいわよー。しっかしあのみのりの顔、アンタ何やったの?」
遥「んー……実験?」
愛莉「ホントに何やったのか分からないのが恐ろしいわね……ま、頑張りなさい」
雫「……」

みのり「はぅ……」
雫「みのりちゃん、大丈夫?」
みのり「あ、雫ちゃん……大丈夫……じゃ、ないかも……」
雫「……何が、大丈夫じゃないの?」
みのり「何が…………」
雫「良かったら話、聞かせて?」


20 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 20:59:54.31Uw1Hn3HT0 (20/63)

雫「やっぱり、遥ちゃんとのこと?」
みのり「うん……遥ちゃんが私のこと好きって……さっきもあんなに近くで……」
みのり「~~っ」
雫「お、落ち着いて。ねっ?」
みのり「は、はいぃ……」

雫「みのりちゃんは……それが、嫌?」
みのり「全然嫌じゃないよっ。嫌じゃない、けど……なんか、ヘンな感じで」
みのり「急に体がぶわって熱くなって……そわそわして、落ち着かなくて……」
みのり「それに、好きって言われるだけで心臓が飛び出しそうになるくらい嬉しくて。でも……」
みのり「……やっぱり、何かの勘違いじゃないかなって。思っちゃうの」


21 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:00:40.00Uw1Hn3HT0 (21/63)

雫「それは……遥ちゃんがみのりちゃんを好きってことが?」
みのり「うん。だって遥ちゃんは私よりもずっとずっとすごくて、可愛くて、格好良くて……私に見合うわけ、ないのに」
雫「……みのりちゃん、前に遥ちゃんに告白された時のことは覚えてる?」
みのり「前に……?」
雫「校舎の隅と……ここだったかしら。みのりちゃんは逃げ出したって聞いたけど……」
みのり「……ぼんやりとは、覚えてるかも」

雫「遥ちゃんはみのりちゃんのこと、凄い人だと思ってる。私もそうだし、愛莉ちゃんもそう」
雫「きっとあなたが思ってる以上に、あなたが与えたものは大きいわ。たしかにパフォーマンスとか歌とかトークとか、そういうものにおいて遥ちゃんは凄いけど……それより大事で、私たちが失いかけたものをあなたは持ってる。見合わないなんてこと、絶対にない」


22 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:01:11.53Uw1Hn3HT0 (22/63)

雫「それに……遥ちゃんは、あなたが好きだって言ったんでしょう?」
みのり「……たぶん」
雫「なら、あとはみのりちゃんの気持ち次第だと思う。見合わないんじゃないかって思う前に……自分の気持ちに、寄り添ってみて?」
みのり「……うん。ありがとう、雫ちゃん」
雫「そろそろ練習再開の時間だけど……大丈夫?」
みのり「多分大丈夫……なはずっ。頑張って思い出さないようにすれば……!」
雫(……ちょっと心配ね)


23 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:01:38.97Uw1Hn3HT0 (23/63)

遥「今日はここまでにしよっか」
愛莉「そうね。空も暗くなってきているし」
みのり「わ、ほんとだ。全然気付かなかった……」
雫(練習中はずっと遥ちゃんの方見てたものね)
愛莉(そういえば練習中ずっと遥の方見てたわね)
遥「……え、何?どうかしたの、二人とも」
雫「えっと……何でもないから、気にしないで」

みのり「……」
みのり(結局、この気持ちが何なのかはよく分からなかったな……。うー、すごくモヤモヤする……)
みのり(遥ちゃん、このまま帰っちゃうのかな?なんか、やだな……)


24 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:02:08.92Uw1Hn3HT0 (24/63)

遥「みのり?」
みのり「……」
遥「……着替えて帰らないと。みのり、戻ろう?」
みのり「……っ」
遥「……えっと……みのり?」
みのり「はっ……な、何?遥ちゃんっ」
遥「その……手……」
みのり「えっ……?……あっ」

みのり(咄嗟に遥ちゃんの服を掴んで……私ったらなんてことをっ)
みのり(ぼんやりしてたとは言っても、こんなの恥ずかしすぎる……!)

みのり「な、なんでもないからっ。変なことしてごめんね?」
遥「それはいいんだけど……一体どういう……」


25 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:02:38.31Uw1Hn3HT0 (25/63)

愛莉「……あー、っと。私達、先に帰るから」
みのり「あ、えっ……えっ?」
雫「二人とも、あまり遅くはならないようにね」
遥「愛莉、雫……」
愛莉「あと……みのり」
みのり「は、はいっ」
愛莉「いい機会だし、ここらでその変な悩みにケリ付けなさい」
みのり「あ、愛莉ちゃんっ?」
愛莉「ーーそれだけよ。じゃ、また明日」

みのり「……愛莉ちゃん、なんであんなこと……」
遥「……何か、悩んでることがあるの?」
みのり「あ、えっと、悩み事っていうか……」
みのり(思いっきり遥ちゃんのことなんだけど……)
遥「……そっか。ごめんね、困らせちゃって」


26 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:03:35.89Uw1Hn3HT0 (26/63)

みのり「え、あっ、遥ちゃんのせいじゃなくて……!」
遥「でも、それでみのりは悩んでる。……良かったら聞かせて?みのりの気持ち」
みのり「あぅ……えっと……」
みのり(遥ちゃんに直接言えるわけ……でもこのまま悩んでてもすっきりしないし……)
みのり(私が遥ちゃんの告白で悩んでること、バレちゃってたし……)
みのり(……いいのかな、そんなこと相談しても……)

遥「ーーみのりのこと、もっと知りたいから」
みのり「っ」


27 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:04:03.22Uw1Hn3HT0 (27/63)

みのり(遥ちゃんが聞きたいなら、言うしかないよね。それに……)
みのり(遥ちゃんは勇気を出してくれたから。今度は私の番……っ)
みのり「…………うん」
遥「ありがとう。ここだと寒いから、中に入ろう?」

~~

雫「二人とも、大丈夫かしら……」
愛莉「心配し過ぎ、なるようになるわよ。案外明日にはくっついてるかもね」
愛莉「そのためにわざわざあんなこと言ったんだし。あー、なんか変な感じ」


28 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:04:55.30Uw1Hn3HT0 (28/63)

愛莉「っと、明日の練習休みってグループにメッセージ送っとかないと」
雫「明日は練習しないの?」
愛莉「明日は私、用事あるのよ」
雫「……どんな用事?」
愛莉「あー……えっと……」
雫「……」

雫「ーーねぇ、愛莉ちゃん」
愛莉「な、何よ?」
雫「明日の放課後、私の買い物に付き合って欲しいな」
愛莉「……どこ」
雫「ショッピングモール。お洋服を買いたいのだけど、愛莉ちゃんの意見が聞きたくて」

愛莉「…………、しょーがないわねぇ。特別よ?」
愛莉「アンタを連れ回してると、どこからともなく人が寄ってくるんだから。変装はしっかりしてよね!」
雫「ありがとう、愛莉ちゃん」
愛莉「ーーあーもうっ!なんかさっきから変な感じするんだけど!?」
雫「優しいね、愛莉ちゃんは」
愛莉「そういうのじゃないからっ」


29 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:05:48.91Uw1Hn3HT0 (29/63)

~~

遥「……なんだか不思議な感じ。学校の階段に並んで座って、二人で話すなんて」
みのり「ほ、ほんとにここでいいの?誰かに見つかったら拙いんじゃ……」
遥「屋上の扉の目の前なんて、ほとんど人も来ないし。それに……外じゃ、みのりが逃げ出しちゃうでしょ」
みのり「そ、それなら教室とか……」
遥「もし誰か通りかかったら見られちゃうけど、いいの?」
みのり「……よくない、です……」
遥「ん。それで、みのりは何に悩んでいるの?」
みのり「……えっと……」
遥「っと、ごめん。いきなり聞かれても、どう答えればいいのか分からないよね」

遥「ーー初めての気持ちに戸惑ってる。あと、みのりが私と釣り合わないとか言ってたっけ」
みのり「え、なんで知って……」
遥「屋上って、別にそんなに広くないよ?」
みのり「……あ」
みのり(雫ちゃんと話してたあの時……!)

みのり「まさか遥ちゃんに聞かれてたなんて……」
遥「で、みのりの今の悩みはそれで正解?」
みのり「……うん」


30 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:06:27.18Uw1Hn3HT0 (30/63)

みのり「……自分でもよく分からないの。いつも通りに話してるはずなのに、すごく嬉しくなったりドキドキしたり」
みのり「前もきっとそうだった。でも、今はそれとは違う気がするの。……少し、痛いから」
遥「……痛い?」
みのり「……うん。こんな気持ちを持っていていいのかなって、勘違いなんじゃないかなって、考えちゃって」
遥「……やっぱり、そこなんだね」

遥「みのり、今から言うことをよく聞いて」
みのり「う、うん」
遥「誰が言ったのか知らないけど。みのりと私が釣り合わないとか、そんなことは絶対ない」
遥「もしみのりがそう思っていても、私にとってはみのりしかありえないから。釣り合う釣り合わないより、みのりじゃないと私がイヤ」
遥「何度も言ったけれど、私にとってみのりは特別なの。そこだけは誰が相手でも譲れない」


31 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:07:01.54Uw1Hn3HT0 (31/63)

みのり「遥ちゃん……」
遥「……それでもきっと、みのりは不安だろうから……答え合わせをしようか」
みのり「答え合わせ?」
遥「そう。私の思う特別と、みのりのその気持ち。何が違って、何が同じなのか」
遥「……それが分かれば、安心できるでしょ?」
みのり「…………そうなの、かな?」
遥「きっとそう。……少し、そっちに寄るね」

みのり「わ……!」
遥「どう?さっきまでと、何か変わった?」
みのり「え、っと……胸のあたりが、すごく熱くて。ドキドキしてる」
遥「私と同じだね。……次は手を貸して?」


32 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:07:33.08Uw1Hn3HT0 (32/63)

遥「……こうして手をギュッとしてると、さっきよりもドキドキするね。……でも、ちょっとだけ安心する」
遥「みのりはどうかな。……痛みはない?」
みのり「……ちょっと、楽になったかも」
遥「良かった。もう少し、こうしてるね」

みのり「……遥ちゃんの手」
みのり「こうやって合わせてみると、私と同じくらいだね」
遥「ほんの少しだけ、私の方が指が長いかな?でも、ほとんど変わらないね」
みのり「……そっか。私とそんなに違わないんだ……」



33 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:08:08.41Uw1Hn3HT0 (33/63)

遥「みのり、こっち向いてみて」
みのり「……ん、っと。こう?」
遥「そう。……ちょっと触るね」
みのり「……っ」
遥「……わ、すごくドキドキしてるのが分かる」
みのり「うぅ……恥ずかしいから、あまり言わないで……」
遥「ごめんね?……痛むのは、この辺りかな」
みのり「……うん」
遥「みのりのここに教えてあげないとね。……大丈夫だよ、間違ってないよ、って」

遥「……撫でてるところは、もう痛くない?」
みのり「…………痛く、ない。ぽかぽかする……」
遥「……もっとこうしてたい、って。思わない?」
みのり「ぁ……」
遥「いいよ、みのりがしたいなら。……素直なみのりの気持ちを、教えて?」
みのり「……、……」

みのり「……もっと、してほしい……かも」
遥「ん。じゃ、続けるね」


34 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:08:39.43Uw1Hn3HT0 (34/63)

遥「……近付くとぽかぽかして、離れると少し淋しい」
遥「一度知ったらずっと忘れられなくて、また欲しくなって」
遥「……ずっとそうだったの」
みのり「遥ちゃん……」
遥「みのりは、どう?」

みのり「……屋上から戻る時。咄嗟に遥ちゃんの服を掴んじゃった時」
みのり「遥ちゃんはこのまま帰っちゃうのかな、って。……それがイヤなんて、子供みたいなこと考えてた」
みのり「……淋しかった、のかな」

遥「……やっぱり、私と同じ」
遥「子供みたいなんて思わないで……みのりのしたいこと、もっと教えてよ」
みのり「……いいの?多分、すごくわがままなこと言っちゃう」
遥「うん。……聞かせて」


35 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:09:09.47Uw1Hn3HT0 (35/63)

みのり「……もし」
みのり「……もしも、出来るなら」
みのり「このまま離れないでいたい。このぽかぽかした気持ちだけ、感じていたい」
みのり「きっとこのあと、遥ちゃんは帰っちゃう。そうしたら私、また淋しい気持ちになっちゃうの」
みのり「……もう淋しいのはイヤ。ずっとずっと、一緒にいたいよ……っ」


36 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:09:36.96Uw1Hn3HT0 (36/63)

遥「……、…………」
遥「……やっと、言ってくれた」
みのり「……遥ちゃんっ……」
遥「うん……うん。私も、離れたくない。ずっと、こうしてみのりと一緒にいたい」

みのり「……でも、この後はきっと」
遥「……淋しくなるのは、きっと不安だから。でも、大丈夫」
遥「みのりが一緒にいたいって思ってくれるなら、明日も明後日もずっと一緒だよ」
みのり「……ほんと?」
遥「うん。……少し、そのままでいて」
みのり「わっ……」
遥「首元、触るね……こうして、服をずらして……ここでいいかな。じっとしてて」
みのり「うん…………、……ふぁ、っ……」
遥「ん、ちゅ…………」


37 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:11:05.20Uw1Hn3HT0 (37/63)

遥「……ぷぁ。ふふ、少し跡がついちゃったかな」
みのり「今、胸に……」
遥「……私とみのりが特別って証。明日、また付けてあげる」
遥「どう?……これで明日まで待てる?」
みのり「……まだ、足りないかも」
遥「なら、もっとしなきゃね。ん……」

遥「これだけすれば、明日までは保つかな」
遥「……そろそろ、帰らなきゃ。外も暗いし」
みのり「……やだ」
遥「……大丈夫。明日、続きをしよう」
遥「それでも不安なら……寝る前に、少しだけ時間をもらえる?」
みのり「……寝る前?」
遥「うん。みのりの好きな時でいいから、私に電話して」
遥「そうすれば、すぐに明日が来るから。きっと淋しくないよ」
みのり「……!うんっ」
遥「ん。じゃ、行こっか」
みのり「えへへっ。遥ちゃんと電話、楽しみっ」

遥(良かった。これで不安も晴れたみたい)
遥(明日が不安なら、それ以上に楽しいことがあればいいだけだもんね)
遥(私も……今日の夜と、明日が楽しみだな)


38 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:11:31.37Uw1Hn3HT0 (38/63)

遥「……それじゃ、私はこっちだから」
みのり「うん……」
遥「……大丈夫。今日の夜は電話するし、明日また会えるでしょ?」
遥「ほんの少しだけ我慢すれば、すぐだよ」
みのり「……そう……だよね。うん、頑張るっ」
遥「うん。……また、夜にね」

遥(思えば、みのりのあんな顔は初めて見たかもしれない)
遥(たった一晩離れるだけのはずなのに、あんな悲しそうな顔をして……電話しようって言ったら、すぐに戻ったけど)
遥(……大丈夫、みのりにあんな顔はもうさせない。それに、私も淋しいのはイヤだから)
遥(大好きだよ、みのり)


39 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:12:35.12Uw1Hn3HT0 (39/63)

ーー翌朝

愛莉「あ、遥にみのり。おはよ」
遥「愛莉?……ここ一年の廊下だけど。もしかして、待ってたの?」
愛莉「アンタたちのことがちょっと気になって……、……たんだけどね。横にくっついてるそれ見たらすっきりしたわ」
遥「あぁ、そのこと……うん。もう大丈夫」
愛莉「そ。……で、そこのアンタはそんな体勢で私のこと見えてんの?」

みのり「遥ちゃん遥ちゃんっ」
遥「みのり、どうしたの?」
みのり「えへへ」
遥「……呼んでみただけって?……もう」
みのり「……ごめんね?遥ちゃんの声が聞こえるのが嬉しくて、つい……」
遥「ううん。私も、みのりに呼んでもらえて嬉しいよ」
みのり「ほんと?もっともっと呼んでいい?」
遥「そうしてくれると嬉しいな」
みのり「遥ちゃ~ん」
遥「……ふふ。なに、みのり」
みのり「なんでもないっ。えへへ」


40 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:13:04.17Uw1Hn3HT0 (40/63)

愛莉「ーーだーかーらぁー!私を置いてけぼりにすんなっての!」
みのり「わっ……えと、あの……愛莉、ちゃん?」
愛莉「ちょっと待って、私の名前呼ぶのに時間かかりすぎじゃない?」
遥「さっきまでこうしてたから、まだ切り替えが出来てないのかも」
愛莉「き、切り替えって……あのねぇ……」
みのり「ご、ごめんねっ。気が付かなくって……」

愛莉「……はぁ~っ」
愛莉「とりあえずアンタたちがなんともないなら、それでいいわ」
遥「うん。……ありがとう、愛莉」
愛莉「別に、私は何もしてないし」
遥「それでも、ね」
愛莉「ん……ま、いいけど」


41 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:13:35.37Uw1Hn3HT0 (41/63)

雫「ーー愛莉ちゃん?」
愛莉「あ、雫。何、妹に用事でもあったの?」
雫「ううん、二人のことが少し気になって……」
愛莉「……私もそれで来たんだけどね。この通りよーーって」
雫「……あら?」

みのり「遥ちゃぁん……」
遥「……そっか、昨日したっきりだから」
みのり「うぅ~~……」
遥「大丈夫だから、そんな顔しないで……えっと、ほっぺなら今出来るかな」
遥「ちょっとじっとしててね……ーーんっ、ちゅ……」
みのり「ふわ…………」

愛莉「……人前で何してんのよ、アンタたち」
雫「わ……」


42 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:14:16.69Uw1Hn3HT0 (42/63)

遥「……ぷぁ。これでお昼まで頑張れる?」
みのり「……えへへ。ありがとう、遥ちゃん」
遥「ううん。足りなくなったら、いつでも言ってくれていいからね」
みのり「よしっ。今日も頑張るぞーっ」

愛莉「本当にこれで良かったのかしら……」
雫「仲がいいのは良いことよ?」
愛莉「そういう問題じゃないっての、全く……」
雫「……でも、良かったね?愛莉ちゃん」

愛莉「はっ?」
雫「ずっと二人が心配だったんでしょう?だから今は安心してるんじゃないかなって」
愛莉「……なんで私が安心なんか」
雫「目の下に隈が出来てる」
愛莉「え?ーーウソっ、今朝消したつもりだったのに……!」
雫「ふふ。愛莉ちゃんって、やっぱり優しい」
愛莉「~~っ……なんで最近のアンタは変なところで鋭いのよ……あーもうっ」
雫(……愛莉ちゃんが優しいって知ってるから、なんて。今言ったら怒られちゃうかな)


43 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:15:47.47Uw1Hn3HT0 (43/63)

ーー1-A 教室

みのり(ほっぺにキスされちゃった……絶対周りの人にも見られてたよね……)
みのり(実はものすっごい恥ずかしいことしてたんじゃ……!?というかさっきからすごい視線感じるし……うぅ……)
みのり(……でも……遥ちゃんのキス……このあたりに、ちゅって……)
みのり「……えへへ」

志歩「みのり、ずっとほっぺ触ってニヤついてるんだけど……」
こはね「何かいいことでもあったのかな?」
志歩「さぁ?気になるんなら聞いて来たら」
こはね「そうしたい、けど……なんだか、聞きにくくない?雰囲気が、こう……」
志歩「……あぁ、そういうこと……」
志歩(どことなく、咲希の話する時の穂波に似てるなとは思ったけど。こはねも同じように見えてるなら、やっぱりそういうことなのかな)
志歩「相手は…………ま、あの人か」

こはね「……日野森さん、何か知ってるの?」
志歩「別に知ってるわけじゃない。ただ……似たようなのを何度か見てきたから、察しはついてる」
こはね「そう、なの?」
志歩「……仕方ないな。ちょっと来て」
志歩(教室でずっとあの顔されても困るし)


44 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:16:35.13Uw1Hn3HT0 (44/63)

みのり「んー……ふふー……えへ……」
志歩「うわ……想像以上にヤバいな、これ」
こはね「あの……みのりちゃん……?」
みのり「あ、二人とも来たんだ!おはよう」
志歩「おはよう。来たのは私達が先だけどね」
みのり「えっ、ウソ!?全然気付かなかった……」
こはね「気付かなかったって……」
志歩「私の目の前通って行ったじゃん……で、何で朝からそんな嬉しそうな顔してるわけ?」
みのり「えー?えっとねー、朝遥ちゃんと」
志歩「あー、もういい。分かったから」

こはね「……結局、どういうこと?」
志歩「桐谷遥、だっけ。その人と付き合い始めたってことでしょ」
こはね「付き合い始めた、って……えっ、みのりちゃんが!?」
志歩「みのりと行動してるところは学内でよく見かけるけど、向こうもそんな感じしてたしね」

こはね「もしかして、さっき廊下に人が集まってたのって……」
志歩「……廊下で一体何してたの」
みのり「あ、さっきのこと?遥ちゃんがほっぺにキスしてくれて……この辺にちゅっ、て……えへへぇ」
こはね「……もしかしなくても、この後かなり大変なことになるんじゃ」
志歩「流石にそれくらいは分かってるでしょ……っと、そろそろ授業が始まる」
こはね「あ、ほんとだ……ま、また聞かせてね」
みのり「うんっ!」
志歩(ん、この子がそんなこと言うのちょっと珍しいな)
志歩(……まさか、ね)

こはね(みのりちゃん、とっても嬉しそう……前からあの人のこと、好きだったんだもんね)
こはね(……私もいつか、好きな人とあんな風になれるかな?)



45 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:17:20.64Uw1Hn3HT0 (45/63)

ーー1-C 教室

遥(なんだかすごい視線を感じるけど……多分さっきみのりとしたことを見られてたから、だよね)
遥(……さっきのみのり、可愛かったな……こう……潤んだ瞳で求められる、みたいな感じで)
遥(ホントは唇にしてあげたいけど、でもそれは付き合ってる人同士がすることで……)
遥(……あれ?胸にはしてたけど、あれもそういう人同士しかしないのか。みのりも受け入れてくれてたし、同じように考えてくれてるのかな)
遥(……うーん)


46 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:17:56.63Uw1Hn3HT0 (46/63)

一歌「桐谷さん、どうしたんだろ……さっきから唸ってるけど」
咲希「いっちゃん?」
一歌「咲希。桐谷さんのあの感じ、どう思う?」
咲希「……んー?なんだかお悩み中みたい……?」
一歌「だよね。やっぱり何かあったのかな」
咲希「聞いてみる?」
一歌「……そうしよっか。私に出来ることがあるかは分からないけど……」

遥(愛莉にも「部位別のキスの意味とか調べておきなさい」って言われたから調べたけど、やっぱり付き合ってもない人がすることじゃないよね)
遥(……ならこれは付き合ってると言っていいのか。いやでもみのりの気持ちを確認しないことには……)
遥(でもどうやって?「私達、付き合ってることになるのかな」って聞くのはちょっと違うよね)
咲希「遥ちゃん?」


47 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:18:26.58Uw1Hn3HT0 (47/63)

遥(そもそも「付き合ってる」がどういう状態なのかを知らないことには聞きようがないよね。でも仮にそれに合致したとしても別に付き合ってることには)
咲希「遥ちゃんっ」
遥「わっ……天馬さんに星乃さんも。ごめん、何かあった?」

一歌「何かあったって……それはこっちの台詞。さっきまでずっと唸ってたし、顔も暗いし……」
咲希「何か悩み事?アタシ達で良ければ聞くよ」
遥「そんな、聞いてもらうほどのことじゃ……」
一歌「……悩み事があるのは、否定しないんだ?」
遥「あっ……!」
咲希「やっぱりっ。何があったの?」
遥「……話すしかないか。実はーー」


48 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:19:22.99Uw1Hn3HT0 (48/63)

一歌「付き合ってるのか分からない、か……」
遥「元々どっちから言ったわけでもないから。自然とこうなったというか……」
咲希「自然と……?」
一歌「……咲希、私達に言われるまで動かなかったから」
咲希「うぐ……」

咲希「ほ、ほら!まずは直接聞いてみるとか」
遥「……私達って、付き合ってることになるのかな。って?」
一歌「あー……すごく答えづらいよね」
咲希「でも確認しないと分からないわけだし……」
遥「多分確認しても分からない。矛盾してる」
一歌「……ん?」

一歌「ねぇ、思ったんだけど」
咲希「ほぇ?」
遥「どうしたの?」
一歌「付き合ってるか付き合ってないかが、どうしてそんなに重要なの?」
遥「どうして、重要……」
一歌「ほらさっき、胸……にキスしたとか言ってたじゃん。それだけ仲が良くて、お互い特別なのは認識してて……」
遥「でも、唇とはまた」
一歌「キスをするのに、付き合ってることは必要?」


49 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:20:19.42Uw1Hn3HT0 (49/63)

遥「……一つの判断基準にこそなるけど、絶対的な条件ではない……?」
一歌「そういうこと。それに……」
一歌「咲希って、穂波と付き合ってるの?」
咲希「え、アタシ?うーん……付き合ってる……わけじゃないと思うけど」
遥「……あんなに好きなのに?」
咲希「でもでも、好きだから付き合ってるってわけでもないんでしょ?ほなちゃんとそういう話したことないし……」
遥「なるほど……?」
一歌「ーーお互いが好きで、特別だと思ってて。それがあれば十分なんだと思う」
一歌「あ、もちろんキスするなら確認は必要だけど」

遥「キスしてもいいかな……って?」
一歌「……あー、うん。そうするしかない、よね……」
咲希「……今すっごくドキッとした」
一歌「え、咲希?桐谷さんは……」
咲希「あーいや、そういうことじゃなくってね!?ほなちゃんに言われたら絶対断れないなぁーって」
一歌「びっくりした……」
遥「……お互いが好きで特別なら十分、か」
遥「ありがとう。すっきりしたかも」
咲希「あ、うんっ。なら良かった」

咲希(アタシもほなちゃんとキスしてみたいなぁ……お昼休みの時に聞いてみようかな?)
一歌(とか思ってるんだろうなぁ。穂波、咲希にキスしてとか言われたら絶対失神するよね)
一歌(……このままだと私、お昼は一人か……志歩を誘おうかな)


50 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:21:03.44Uw1Hn3HT0 (50/63)

ーーお昼休み、校舎裏

みのり「遥ちゃんの言ってた場所って、ここ?」
遥「うん。一回来たことあるはずだけど……覚えてない?」
みのり「……なんとなく、見覚えがあるような……?」
遥(……やっぱり忘れてたか。いや、忘れようとしていた……のかな)
遥「ま、いいか。ほらみのり、ここ座って」
みのり「あ、うん……お邪魔しますっ」

遥「じゃ、私は隣に座ってっと……」
みのり「……えへへ。なんだか嬉しいな、こういうの」
遥「こういうのって?」
みのり「遥ちゃんと並んでお弁当食べるの、久々な気がして。それに……二人っきり、だし……」
遥「……ふふ。私も嬉しいよ。みのりと二人きりになれて……ね」
みのり「……は、遥ちゃんっ?」
遥「前はみのりが逃げちゃったから、こうしてここで食べるのは初めてだね。誰もいない、静かな場所」
みのり「あの……さっきからとても近付いてる、ような……」
遥「気のせいじゃないかな?……わ、みのりの手あったかい」
みのり「……やっぱり近付いてるよねっ!?」


51 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:21:54.34Uw1Hn3HT0 (51/63)

遥「……どうしたの?そんなに顔を赤くして」
みのり「そ、それは……は、遥ちゃんが、近いからっ」
遥「そっか。……どうして私が近くにいると、顔が赤くなるのかな?」
みのり「どうして、って……それは……」
遥「こうやってくっつけば、もっと赤くなるし」
みのり「ひゃ……っ、やめ……」

遥「……ふぅーっ……」
みのり「ひゃぁぁぁっ!?!?」

遥「わ、すごい声。少し耳に息を吹きかけただけなのに……」
みのり「あぅ……ぁぅぁぅぁぅ……」
遥「……こうやって耳元で話すのもダメなんだ?」
みのり「ぅぅぅ~~~…………」

遥「ふふ、どんどん赤くなっちゃうね。みのりの顔、もう真っ赤」
遥「……あ、目瞑ってる。もう、そんなことしたらもったいないでしょ?」
みのり「だってぇ……」
遥「ほら、目開けて……私をちゃんと見て?」
遥「開けないと……見えないところで、もっと大変なことになるかもよ?」
みのり「な、何をするつもりなの……?」
遥「気になるなら、目を開けたらいいんじゃないかな」
みのり(すっっっごく気になるけど、目を開けたらやめちゃうから開けられない……っ)

みのり(ーーあれっ、私……何かされるのを望んで……)
みのり(……ウソっ!?そんなつもり、全くなかった……のに……)
みのり「~~っ」


52 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:22:54.99Uw1Hn3HT0 (52/63)

遥(体を縮こまらせて、目をギュッと瞑って……なんだろう、すごく可愛いと思ってしまう)
遥(……今ならキス出来るかな?いやでも、確認は取らないと……)

みのり「……っ……なにも、しない……の……?」
遥「みのり?」
みのり「……まだ目、開けてないよ……?」
遥「……そんなこと言われたら、我慢できなくなるじゃない。んっ……ちゅ……」
みのり「ひゃぅ……」

遥「……ん、ぷぁ…………みのりってもしかして、ほっぺにキスされるの好きなの?」
みのり「……キスされてると、ぽかぽかするから……すき」
遥「やっぱり。顔は真っ赤なのに、ちょっと嬉しそうな表情してるもんね」

遥「……ねぇ。もっと気持ちいいキス、してみない?」
みのり「ふぇ……?」
遥「ほっぺよりきっともっと気持ちいい、特別な人同士だけのキス。ほら……ここ」
みのり「唇、に……」

遥「……したい?」
みのり「……うん」
遥「みのりが望むなら、私もしたい。だからね……」
遥「……私のこと、好きって。言ってくれたら、してあげる」
みのり「……っ」

みのり「……誰も、見てない……よね……?」
遥「うん。今ここにいるのは、私達だけ」
みのり「……恥ずかしいけど……でも、遥ちゃんがそう言うなら。……すぅー……はぁー……」


53 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:23:22.91Uw1Hn3HT0 (53/63)

みのり「……、……っ、す……っ」
みのり「すっ……」

みのり「す、き…………遥ちゃん……だいすき……」

遥「みのりっ」
みのり「はるかちゃ、っ、んっ……!」
遥「んむ……ちゅ…………」
みのり「んんっ……」

みのり「ん、ふぁ……ぁ……はるか、ちゃ……」
遥「みのり、好き。大好き……んむ……」
みのり「ぁ、またっ、んっ……!」


54 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:23:52.44Uw1Hn3HT0 (54/63)

遥(すごい、唇と唇を合わせてるだけなのに……とても気持ちいい)
遥(今までは私からだったけど、これはみのりからもしてくれてるのが分かって……止まらなくなりそう)
遥(好き。好き……みのり、大好き……)

みのり(好きって気持ちがいっぱい流れてきて……幸せ……)
みのり(こんな私にも、好きだよって言ってくれて……私の好きは間違ってないって、教えてくれた……)
みのり(……やっぱり、好き。遥ちゃんが、好き……もっと好きって、伝えたい……)


55 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:25:06.16Uw1Hn3HT0 (55/63)

みのり「……ぷぁっ!はぁ、はぁ…………、っはぁ……」
遥「……止まらなくなっちゃった。ごめんね?」
みのり「だい、じょうぶ…………ちょっと疲れただけ……」

遥「……、しちゃったね」
みのり「う、ん」
遥「気持ちよかった?」
みのり「……、……気持ち、よかった。遥ちゃんから、いっぱい好きって伝わってきて」
遥「……ちゃんと、感じてくれたんだ。嬉しいな」

みのり「……すき……すき…………えへへ」
遥「……みのり?」
みのり「……なんか、止まらなくなっちゃった。……すき……遥ちゃん、すき……」
遥「……ふふ。私も、好き。みのり、好きだよ」

みのり「……すきって、言うのも言われるのも気持ちいいね。不思議……」
遥「なんでだろうね。私もみのりから言われると、すごく嬉しい」
みのり「……すき……すき。遥ちゃん……」
遥「好き。好き……みのり、好き……」
みのり「……もうダメ、止まらないっ。遥ちゃん、大好きっ……!」
遥「みの、んっ……!」
みのり「んぅ……すき………すき、なの……んちゅ……」
遥「ふぁ…………、ん…………」


56 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:25:58.69Uw1Hn3HT0 (56/63)

ーー中庭

一歌「……あ、もうこんな時間。二人とも来なかったね」
志歩「ま、なんとなくそんな感じはしてたけど。どこに行ったのやら」
一歌「……クラスではないだろうし、校庭のどこか隅っことかかな?あとは屋上……」

志歩「……屋上はないでしょ。なんで?」
一歌「今日は二人、他の人に見られない場所を選ぶだろうなって思って。……昼休みに隠れてキス、かぁ……」
志歩「……き、キス?突然そんな単語が出てくるとか、どうしたの」

一歌「いや、朝にクラスでちょっとね。……学校中で噂になってるでしょ?桐谷さんの話」
志歩「あぁ……みのりがかなりヤバい顔してたからそうなんだろうなとは思ってたけど、やっぱり?」
一歌「あ、そっか。志歩、その子と同じクラスなんだっけ」
志歩「でも噂になってる桐谷遥って、確かそっちのクラスでしょ?……で、咲希達と何の関係があるの」
一歌「朝に桐谷さんから話を聞いててね。キスしたいけど、付き合ってるかどうか分からないからーみたいな」

志歩「は?付き合ってるか分からない?あれで……?」
一歌「元々そういうつもりじゃなかったんだって。ほら、穂波と咲希もそんな感じでしょ」
一歌「で、一緒に話を聞いてた咲希が穂波としてみたいって……」
志歩「……今ここにいないのはどこかでキスしてるから、と。確かに、穂波は咲希にそんなこと言われたら延々としてそうだし」

一歌「……今頃桐谷さんも咲希も、学校のどこかでキスしてるのかなぁ……」
志歩「……なんか、慣れてきた自分が嫌になるんだけど」
一歌「仕方ないよ、こればかりは……そろそろ戻ろう?」
志歩「そうだね。午後の授業はなんだっけ……」


57 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:26:59.85Uw1Hn3HT0 (57/63)

こはね「……あ、いた。日野森さんっ」
志歩「こはね?……私に用事でもあった?」
こはね「次の授業、多分小テストがあるから伝えておこうと思って……」
一歌「……もしかして、数学?」
志歩「一歌のクラス、午前に小テストあった?」
一歌「うん。確か範囲は……」
こはね「この辺り。同じ先生だし、この2ページを復習しておけば大丈夫だと思う」
志歩「……そういえば、みのりは?」
こはね「それが、ずっと探してはいるんだけど……」

志歩「なるほどね。多分、みのりは授業の直前まで帰ってこないと思う」
こはね「えっと……どうして、分かるの?」
志歩「……経験と、勘?あとは前例」
一歌「端的過ぎるよ……多分桐谷さんと一緒にいるし、見つけられないと思う」
こはね「みのりちゃん、小テスト大丈夫かなぁ」
志歩「もし酷い点取っても自業自得でしょ。……それじゃ一歌、私は教室に戻るから」
一歌「あ、うん。頑張って」

こはね「……見つけられないって、言ってたけど」
志歩「あぁ、あれ?あの二人、今頃どこかに隠れてキスしてるから」
こはね「きっ、キスっ……!?」
志歩「……慣れてないとこうなるのか」
こはね「そ、それってどういう……」
志歩「知らない方が良いこともある。早く戻ろう」
こはね「え、日野森さん?ま、待って~……!」


58 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:27:45.67Uw1Hn3HT0 (58/63)

一歌「それじゃ、私もそろそろ……」
咲希「いっちゃ~ん!」
一歌「わ、咲希。穂波のところ行ってたんじゃ……」
穂波「ご、ごめんねっ。約束してたのに……気付いたらこんな時間に……」
一歌「穂波も戻ってきてたんだ。……ん?」

咲希「……いっちゃん、どうしたの?私の顔、何か変?」
一歌「変っていうか……愛されてる、ね?」
咲希「えっ」
一歌「確か午後に体育あった気がするし……穂波、程々にしなよ?」
穂波「え……あっ……!ごめんね咲希ちゃんっ、全然気付かなくって……!」
一歌「咲希も。首のその跡、頑張って隠さないと」
咲希「……あっ!?どうしよう、どうやって隠せばいいかな!?」
穂波「と、とりあえず絆創膏で……!」
一歌「……ふふ」


59 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:30:02.57Uw1Hn3HT0 (59/63)

ーー校舎裏

みのり「ーーはぁ、ふぅ……」
遥「……大丈夫?」
みのり「……ふー。なんとか……」
遥「もう。激しくしすぎだよ」
みのり「ご、ごめんねっ。途中から頭がぽわぽわ~ってしてきて……」
遥「……もっと激しくてもいいのに」
みのり「は、遥ちゃんっ?」
遥「私はまだ大丈夫。だから……みのりの思うまま、してほしい」
遥「まだ、足りないんでしょ?」
みのり「あぅ……でも……」
遥「私がしたいって言ってるんだから、何も考えなくていいの。ほら、続き……しよ……?」
みのり「そんなこと言われたら、止まらなくなっちゃうよ……?お昼休み終わっちゃう……」

遥「……え?お昼休み?」
みのり「……あ」

みのり「あーっ、お昼ごはん!キスに夢中ですっかり忘れてた!!」
遥「そういえば、ずっとしてたもんね」
みのり「えっとえっと、時間……わぁぁぁあと半分もない!!早く食べて戻らないとっ」
遥「みのり、落ち着いて。えっと……ほら」
みのり「はるかちゃ、ふぁ……」
遥「……よしよし」
みのり「ぁ……それ、きもちい……」
遥(……咄嗟にやったけど、みのりって抱き締めて撫でてあげるとこんな顔するんだ。可愛いな……)


60 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:30:35.90Uw1Hn3HT0 (60/63)

遥「……落ち着いた?」
みのり「……う、ん……」
遥「ん。お昼にしよっか」

みのり「あ、あの……」
遥「どうしたの?」
みのり「…………さっきのやつ」
遥「あ……嫌じゃなかった?」
みのり「……、……」

みのり「……もう、いっかい。して?」


61 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:31:02.42Uw1Hn3HT0 (61/63)

遥「……ふふ、なにそれ。今度は甘えん坊なの?」
みのり「だって、気持ちよかったから……だめ?」
遥「ううん、いいよ。もう一回してあげる。……ほら」
みのり「……えへ……これ、すき……」
遥「……可愛い」

遥(あれ、お昼休みの時間……)
遥(ま、いっか……たまには、こんな日があってもいいよね)



62 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:31:33.63Uw1Hn3HT0 (62/63)

ーー廊下

こはね「みのりちゃん、どこ行ったんだろ……もうすぐ次の授業なのに」
志歩「自業自得でしょ。っと、そろそろ私達も戻らないと」
こはね「……そうだね。みのりちゃん……頑張って」

~~

一歌「桐谷さん、戻ってこないな……」
咲希「どこに行ったのかも分からないしね……」

一歌「……あ、予鈴。教室行かないと」
咲希「戻ろっか?」

一歌(あの二人、結局間に合わなかったな……)
一歌(もしかして、サボったとか?桐谷さんに限ってそれはないか)
一歌(……いや、ありそうだなぁ……授業サボって恋人と二人きり……)

一歌「ちょっと羨ましいかも……なんて」


63 ◆bncJ1ovdPY2021/01/27(水) 21:33:44.89Uw1Hn3HT0 (63/63)

終わり。みのはる流行って、あとプロセカ百合も流行れ