1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/11(月) 22:06:47.56:ZKg1ruiG0 (1/2)
リーフ「…」パリーン
ルシア「…」ザクッ
リー「…おめでとうございます、と言うべきなのでしょう。が、任務の直前、このタイミングですか…」
指揮官「リーフ、皿が割れたから触らないようにね。ルシア、驚くのは分かるが携帯肉に刀を突き立てないでくれ、切れ味が落ちるぞ。
リーそうは言わないでくれ。だから、これが最後の任務なんだ。この任務が無事終わったら退役をして、結婚をするんだ」
リー「…退役されるんですか?」
指揮官「ああ。彼女に言われてな。これまで、お前たちのおかげで、沢山救われたし、困難な任務を遂行することができた。
だから、こんな形になるのは本当に申し訳ない。だが、今のお前たちなら、俺がいなくてもきっとやり遂げて見せるさ」
リー「……なるほど、理屈は分かりました」
リー「まだ納得はできませんが、おめでとうございます」
指揮官「ありがとう、リー」
リーフ「指揮官、今ではわたしたちは、家族、ですよね。」
指揮官「リーフ…もちろんだ。別れたあとも、変わらずにな」
リーフは静かにすすり泣いた。家族との二度目の別れ、それは彼女の心にぽっかりと穴を空けることになるかもしれない」
指揮官(それでも、私は前線に立ってはならない。わたしの存在は、あまりにも危険なものとなっている)
ルシア「指揮官、私は…許せません」
深紅の瞳が濡れて、見ているものを蠱惑する。
ルシア「なにが、許せないかはわかりません。ですが意識海が沸騰しそうなほど、強く怒りを感じています」
指揮官「ルシア、すまない」
ルシアはその情けない声を聴いて、唇をきつく噛み締めた。紅い血が一滴、地面へと垂れた。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1610370407
リーフ「…」パリーン
ルシア「…」ザクッ
リー「…おめでとうございます、と言うべきなのでしょう。が、任務の直前、このタイミングですか…」
指揮官「リーフ、皿が割れたから触らないようにね。ルシア、驚くのは分かるが携帯肉に刀を突き立てないでくれ、切れ味が落ちるぞ。
リーそうは言わないでくれ。だから、これが最後の任務なんだ。この任務が無事終わったら退役をして、結婚をするんだ」
リー「…退役されるんですか?」
指揮官「ああ。彼女に言われてな。これまで、お前たちのおかげで、沢山救われたし、困難な任務を遂行することができた。
だから、こんな形になるのは本当に申し訳ない。だが、今のお前たちなら、俺がいなくてもきっとやり遂げて見せるさ」
リー「……なるほど、理屈は分かりました」
リー「まだ納得はできませんが、おめでとうございます」
指揮官「ありがとう、リー」
リーフ「指揮官、今ではわたしたちは、家族、ですよね。」
指揮官「リーフ…もちろんだ。別れたあとも、変わらずにな」
リーフは静かにすすり泣いた。家族との二度目の別れ、それは彼女の心にぽっかりと穴を空けることになるかもしれない」
指揮官(それでも、私は前線に立ってはならない。わたしの存在は、あまりにも危険なものとなっている)
ルシア「指揮官、私は…許せません」
深紅の瞳が濡れて、見ているものを蠱惑する。
ルシア「なにが、許せないかはわかりません。ですが意識海が沸騰しそうなほど、強く怒りを感じています」
指揮官「ルシア、すまない」
ルシアはその情けない声を聴いて、唇をきつく噛み締めた。紅い血が一滴、地面へと垂れた。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1610370407

山寺宏一「最近、洋画の吹き替え呼ばれない。アニメの代表作と言われるものも20年前。干された…」

リト「モモがベッドに潜り込んでくるかと思うと眠れない」

【画像】セブンイレブンが風評被害にブチキレた結果www

【画像】自宅でサバイバル炊飯楽しすぎワロタwww

【画像】『超昴大戦』のランスコラボに出てきた魔想志津香ちゃん、可愛すぎるwww
2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/11(月) 22:51:48.24:ZKg1ruiG0 (2/2)
夜の私は、神経質になってしまう。最近は睡眠もあまりとれない。
白ルシア「さもわたしのせいだと言いたげね」
指揮官「実際、そうだからな」
白ルシア「でも、あんな嘘の理由で退役することで私と離れられると思っているのね」
白ルシアは、薄く嗤った。
彼女は、私の中に住み着いた、【敵】。最初は、幻聴だと思っていたが毎夜に現れて、なにかを確認しては消えていくだけの存在だった。
やがて、二言、三言話すようになり、徐々に会話が続く。
それが白ルシアと邂逅を果たした北極圏での事件以来、ずっと続いている。
これが、ただの夢だったらどれだけよかったことか。
あの事件以来、私が所属するレイヴン隊は昇格者と遭遇することが異常に増加していた。
レイヴン隊は、確かに前線を駆け巡る隊だが、明らかに他の隊に比べて10倍以上に多い。
昇格者は非常に危険な存在で、何度も危機にあってきた。その危機を、自分が作っていたとしたら?ルシアの右腕がロランの一撃で吹き飛んだとき、
私の疑念は恐怖へと変わった。彼女の防御が一瞬遅れて、ロランの本来の狙い通り、彼女の頭を吹き飛ばしていたら、彼女は二度と復帰できない。
永遠に失われるのだ、その命が。
指揮官「私の価値は喪失した。君が、私の記憶を探って、行動を把握する理由もなくなる」
白ルシア「何のことかしら」
彼女はポケットから取り出したクジラのぬいぐるみを、なではじめる。
綻んだ糸くずを丁寧に取り外すところから、相当にお気に入りらしい。
指揮官「一つの可能性の話だ。だが、根拠がないわけじゃない」
白ルシア「貴方は、昇格者、機械生命体から見て、優先的に殺す価値はあった」
白ルシアがクジラの人形を甘く噛む。噛んだあとは、八重歯の位置に綺麗な穴が開いている。
白ルシア「それだけの脅威。この一方的な情勢を変える力があると目されていた」
指揮官「私は――――」
白ルシア「そんなあなたも仲間を危険にさらすことが、怖いのね」
指揮官「…それも今度で終わりだ、君と会うのも、永遠に」
白ルシア「わたしの敵がこんな臆病者だったなんて」
白ルシアは、くじらのぬいぐるみを静かに抱きしめた。
白ルシア「大切にしておかないと、すぐ壊れてしまいそう」
彼女には、収集癖があった。そのくじらのモチーフである一角くじらもその一つである。
指揮官「私は、君の思い通りにはならない」
白ルシア「それが、私の望むことよ」
私にすっかり興味をなくした彼女は、音もなくその姿を消した。
それから私は、眠れない夜を漠然と過ごすのが日課であった。
夜の私は、神経質になってしまう。最近は睡眠もあまりとれない。
白ルシア「さもわたしのせいだと言いたげね」
指揮官「実際、そうだからな」
白ルシア「でも、あんな嘘の理由で退役することで私と離れられると思っているのね」
白ルシアは、薄く嗤った。
彼女は、私の中に住み着いた、【敵】。最初は、幻聴だと思っていたが毎夜に現れて、なにかを確認しては消えていくだけの存在だった。
やがて、二言、三言話すようになり、徐々に会話が続く。
それが白ルシアと邂逅を果たした北極圏での事件以来、ずっと続いている。
これが、ただの夢だったらどれだけよかったことか。
あの事件以来、私が所属するレイヴン隊は昇格者と遭遇することが異常に増加していた。
レイヴン隊は、確かに前線を駆け巡る隊だが、明らかに他の隊に比べて10倍以上に多い。
昇格者は非常に危険な存在で、何度も危機にあってきた。その危機を、自分が作っていたとしたら?ルシアの右腕がロランの一撃で吹き飛んだとき、
私の疑念は恐怖へと変わった。彼女の防御が一瞬遅れて、ロランの本来の狙い通り、彼女の頭を吹き飛ばしていたら、彼女は二度と復帰できない。
永遠に失われるのだ、その命が。
指揮官「私の価値は喪失した。君が、私の記憶を探って、行動を把握する理由もなくなる」
白ルシア「何のことかしら」
彼女はポケットから取り出したクジラのぬいぐるみを、なではじめる。
綻んだ糸くずを丁寧に取り外すところから、相当にお気に入りらしい。
指揮官「一つの可能性の話だ。だが、根拠がないわけじゃない」
白ルシア「貴方は、昇格者、機械生命体から見て、優先的に殺す価値はあった」
白ルシアがクジラの人形を甘く噛む。噛んだあとは、八重歯の位置に綺麗な穴が開いている。
白ルシア「それだけの脅威。この一方的な情勢を変える力があると目されていた」
指揮官「私は――――」
白ルシア「そんなあなたも仲間を危険にさらすことが、怖いのね」
指揮官「…それも今度で終わりだ、君と会うのも、永遠に」
白ルシア「わたしの敵がこんな臆病者だったなんて」
白ルシアは、くじらのぬいぐるみを静かに抱きしめた。
白ルシア「大切にしておかないと、すぐ壊れてしまいそう」
彼女には、収集癖があった。そのくじらのモチーフである一角くじらもその一つである。
指揮官「私は、君の思い通りにはならない」
白ルシア「それが、私の望むことよ」
私にすっかり興味をなくした彼女は、音もなくその姿を消した。
それから私は、眠れない夜を漠然と過ごすのが日課であった。
3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/11(月) 23:44:40.26:09O0rmluo (1/1)
おおパニグレ!
きたい
おおパニグレ!
きたい
4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/12(火) 00:55:25.79:qIC0mMphO (1/1)
パニグレssだ!!!
キタ━(゚∀゚)━!
パニグレssだ!!!
キタ━(゚∀゚)━!
5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/12(火) 23:15:41.05:s/wsQdjy0 (1/3)
ようやく意識が朦朧としてきたとき、目の前を風が通り過ぎた。
それは、小柄な肉食動物のような俊敏な動きで、部屋を漁っている。
指揮官「ナナミ…ここは、お前の部屋じゃないだろう。来客用の部屋があるから、そこで休みなさい」
ナナミ「ここは、指揮官とナナミの部屋だよ。だって、この部屋にナナミの宝物を集めているんだもん!」
指揮官「どうりで、最近君の出入りが激しいわけだ…」
もはや天上天下無双の不法侵入者に打つ手なしで、全てを放棄し再び心地よい昏睡に浸ろうとする、
ナナミ「あー指揮官!眠るまえに一つ教えて!」
指揮官「なんだぁ」
ナナミ「指揮官が、指揮官をやめるってホントなの?」
指揮官「…ああ、本当だ」
最悪だ、ばっちり目が覚めた。
指揮官「誰から聞いたんだ?」
ナナミ「リーフから!今のうち、会っておいたほうがいいよって」
指揮官「ああ、なるほど」
彼女なりの気遣いだったのだろう。そういえば、ナナミともこれでお別れになるのか。
ナナミ「私と結婚するためなんだよね、、、ナナミ、うれしい!」
ナナミがぴょーんと跳ねて、ふわりと私の膝の上に着地した。
上目遣いで、頭をこすりつけてくる。
ナナミ「絶対に幸せにしてね。ううん、指揮官といれたら幸せだから、これから一緒にもっと幸せになろうね!」
指揮官「どうしてこうなった?」
ナナミの予想は、根本的に間違っている。私は、これから彼女の誤解を解くことに全力をかけた。
ナナミ「…」
指揮官「ということで、私が結婚するのはナナミじゃないよ」
ナナミ「うそつき」
指揮官「うそじゃない」
ナナミ「だって、指揮官に恋人なんていないじゃない」
指揮官「うぐ」
ナナミ「わたしは、指揮官のことならなんでも知ってるよ」
指揮官「だ、だが私は定期的にエデンにいる彼女と連絡をとっていてだな」
ナナミ「ちっちっち、全ての通信も、会話も記録されているものは全部ナナミのものなのだ」
指揮官「…天才ハッカーめ…」
ナナミ「そんなウソをついても、指揮官は、指揮官をやめたいんだね。レイヴン隊の誰にも悟られずに」
指揮官「…その通りだよ」
ナナミ「なんで?」
ようやく意識が朦朧としてきたとき、目の前を風が通り過ぎた。
それは、小柄な肉食動物のような俊敏な動きで、部屋を漁っている。
指揮官「ナナミ…ここは、お前の部屋じゃないだろう。来客用の部屋があるから、そこで休みなさい」
ナナミ「ここは、指揮官とナナミの部屋だよ。だって、この部屋にナナミの宝物を集めているんだもん!」
指揮官「どうりで、最近君の出入りが激しいわけだ…」
もはや天上天下無双の不法侵入者に打つ手なしで、全てを放棄し再び心地よい昏睡に浸ろうとする、
ナナミ「あー指揮官!眠るまえに一つ教えて!」
指揮官「なんだぁ」
ナナミ「指揮官が、指揮官をやめるってホントなの?」
指揮官「…ああ、本当だ」
最悪だ、ばっちり目が覚めた。
指揮官「誰から聞いたんだ?」
ナナミ「リーフから!今のうち、会っておいたほうがいいよって」
指揮官「ああ、なるほど」
彼女なりの気遣いだったのだろう。そういえば、ナナミともこれでお別れになるのか。
ナナミ「私と結婚するためなんだよね、、、ナナミ、うれしい!」
ナナミがぴょーんと跳ねて、ふわりと私の膝の上に着地した。
上目遣いで、頭をこすりつけてくる。
ナナミ「絶対に幸せにしてね。ううん、指揮官といれたら幸せだから、これから一緒にもっと幸せになろうね!」
指揮官「どうしてこうなった?」
ナナミの予想は、根本的に間違っている。私は、これから彼女の誤解を解くことに全力をかけた。
ナナミ「…」
指揮官「ということで、私が結婚するのはナナミじゃないよ」
ナナミ「うそつき」
指揮官「うそじゃない」
ナナミ「だって、指揮官に恋人なんていないじゃない」
指揮官「うぐ」
ナナミ「わたしは、指揮官のことならなんでも知ってるよ」
指揮官「だ、だが私は定期的にエデンにいる彼女と連絡をとっていてだな」
ナナミ「ちっちっち、全ての通信も、会話も記録されているものは全部ナナミのものなのだ」
指揮官「…天才ハッカーめ…」
ナナミ「そんなウソをついても、指揮官は、指揮官をやめたいんだね。レイヴン隊の誰にも悟られずに」
指揮官「…その通りだよ」
ナナミ「なんで?」
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/12(火) 23:18:26.59:s/wsQdjy0 (2/3)
直球すぎて、答えに困る。
指揮官「たとえて言うなら、私はいつ爆発するかわからない爆弾を頭の中に持っているんだ。任務中にそれが爆発したら、みんな困るだろう?だからだよ」
ナナミ「それなら、心配ないよ!構造体は指揮官の頭程度のサイズの通常爆弾ぐらいで、死なないから」
指揮官「たとえが悪かったよ。まあ、超強力爆弾だと思ってくれ」
ナナミ「うーん、指揮官はみんなを甘く見てるよ」
指揮官「なに?」
ナナミ「リーフは医療が上手いから指揮官がバラバラーになっても組み立ててくれるし、リーは爆弾を解除してくれる、あとルシアはきっと爆弾を切ってくれる」
指揮官「…」
ナナミ「なにより、指揮官がいるから、みんな頑張れるんだよ」
指揮官「だからこそ、誰一人、死なせたくないんだ」
ナナミ「…なら、指揮官をやめちゃおう。周りが弱かったら、指揮官が苦しむもんね。悪いのは、弱いやつだよ」
指揮官「…ぁ」
ナナミの目が、赤く光る。それはまるで、パニシングに侵された機械のようで。
ナナミ「なら、指揮官をやめて、全てを背負って、ナナミと二人で、世界旅行しようよ。
ナナミは【強い】から誰にも負けないし、【死なない】」
ナナミ「それに、指揮官は、ナナミのことを、守ってくれるんだよね」
ナナミはそっと手を私の頬に添えた。
ナナミ「ナナミは、一人でも生きていけるけど、二人の方が楽しいと思うもん」
ナナミ「そうしたら、指揮官ときっとアイが芽生えて、寄り添って生きる。
そして、初めて、わたしは人間になれるんだ」
指揮官「ナナミ…?」
彼女は悲しそうに微笑んで、静かにその場で服を脱いだ。
そして、私に、構造体でも、人間でもでない、証を見せた。
それからナナミは笑った。
この身体は、嫌いだった。
ニンゲンでないことが嫌いだと言った。
でも、人間は好きだといった
結局ナナミが立ち去ってなお、私は彼女のことを考え続けた。
直球すぎて、答えに困る。
指揮官「たとえて言うなら、私はいつ爆発するかわからない爆弾を頭の中に持っているんだ。任務中にそれが爆発したら、みんな困るだろう?だからだよ」
ナナミ「それなら、心配ないよ!構造体は指揮官の頭程度のサイズの通常爆弾ぐらいで、死なないから」
指揮官「たとえが悪かったよ。まあ、超強力爆弾だと思ってくれ」
ナナミ「うーん、指揮官はみんなを甘く見てるよ」
指揮官「なに?」
ナナミ「リーフは医療が上手いから指揮官がバラバラーになっても組み立ててくれるし、リーは爆弾を解除してくれる、あとルシアはきっと爆弾を切ってくれる」
指揮官「…」
ナナミ「なにより、指揮官がいるから、みんな頑張れるんだよ」
指揮官「だからこそ、誰一人、死なせたくないんだ」
ナナミ「…なら、指揮官をやめちゃおう。周りが弱かったら、指揮官が苦しむもんね。悪いのは、弱いやつだよ」
指揮官「…ぁ」
ナナミの目が、赤く光る。それはまるで、パニシングに侵された機械のようで。
ナナミ「なら、指揮官をやめて、全てを背負って、ナナミと二人で、世界旅行しようよ。
ナナミは【強い】から誰にも負けないし、【死なない】」
ナナミ「それに、指揮官は、ナナミのことを、守ってくれるんだよね」
ナナミはそっと手を私の頬に添えた。
ナナミ「ナナミは、一人でも生きていけるけど、二人の方が楽しいと思うもん」
ナナミ「そうしたら、指揮官ときっとアイが芽生えて、寄り添って生きる。
そして、初めて、わたしは人間になれるんだ」
指揮官「ナナミ…?」
彼女は悲しそうに微笑んで、静かにその場で服を脱いだ。
そして、私に、構造体でも、人間でもでない、証を見せた。
それからナナミは笑った。
この身体は、嫌いだった。
ニンゲンでないことが嫌いだと言った。
でも、人間は好きだといった
結局ナナミが立ち去ってなお、私は彼女のことを考え続けた。
7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/12(火) 23:22:30.71:s/wsQdjy0 (3/3)
今更だけどネタバレ,オリ要素に注意ね
見てくれた人ありがとう
今更だけどネタバレ,オリ要素に注意ね
見てくれた人ありがとう
8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/13(水) 00:36:21.73:nHVzAH7Ao (1/1)
おつあつ
気にしない
おつあつ
気にしない
9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/13(水) 21:24:19.44:PWbcHGAJ0 (1/4)
任務開始は、世界時刻にしてAM8:00きっかり。
私は、それまでに一通りの書類を整理し、任務の最終確認を行う。
そして、その間にリーフが作戦室にきて、健康診断が行われる。
私に埋め込まれた生体チップから、健康状態、睡眠時間、正常な精神状態であるか、などを判断する。
リーフは、扉を二度叩いて、いつものように告げる。
「リーフです。指揮官、任務前の健康診断のお時間です」
「ああ、入ってきてくれ」
そして、リーフを招き入れると、私は椅子に座り、首を見せる。
首筋に埋め込まれたチップに彼女が触れると、全身に痺れが走る。
そのあと、数分間、そのままの姿勢で待つ。
本来なら、雑談でもするところだが、彼女は私と目線を合わそうとしなかった。
だが私は、どうしても彼女と話す必要があった。
私が今回の件において、一番の不安の種だったのが、実はリーフである。
彼女は、真面目で、繊細で、責任感が強い。
今回の乱暴な私の振る舞いに対して、彼女がなにも思わないわけがない。
傷ついた心に対するアフターケアは、必要なことだ。
処置を誤れば、それは何年も彼女の心身を苛むだろう。
リーフは二度の家族との別れを経験している。
1度目は、父と母の別居、2度目は戦争による招集。
それは、この時代における多くの者が抱えていた、過剰な責任と不安定な環境であった。
さらに、同年代で飛びぬけて優秀であった彼女は、人ならざる構造体へと踏み込んだ。
いや、違うな。
大人が、踏み込ませた。
彼女が気づいているかはわからないがそれは彼女の想い以上に、強いものだ。
リーフ「指揮官、注意すべき点として、疲労が警戒水準、睡眠も同様です。こちらは任意となりますが、意識促進剤を打ちますか?」
指揮官「頼むよ」
彼女は手慣れた手つきで、注射器に薬剤を注入する。衛生兵としての経験は、確実に彼女の中で息づいていた、
リーフ「注入の際、少し、痛むかもしれません。痺れなどを感じましたら、すぐに教えてください」
一通り、滞りなく終わったところで、私は声をかけた。
任務開始は、世界時刻にしてAM8:00きっかり。
私は、それまでに一通りの書類を整理し、任務の最終確認を行う。
そして、その間にリーフが作戦室にきて、健康診断が行われる。
私に埋め込まれた生体チップから、健康状態、睡眠時間、正常な精神状態であるか、などを判断する。
リーフは、扉を二度叩いて、いつものように告げる。
「リーフです。指揮官、任務前の健康診断のお時間です」
「ああ、入ってきてくれ」
そして、リーフを招き入れると、私は椅子に座り、首を見せる。
首筋に埋め込まれたチップに彼女が触れると、全身に痺れが走る。
そのあと、数分間、そのままの姿勢で待つ。
本来なら、雑談でもするところだが、彼女は私と目線を合わそうとしなかった。
だが私は、どうしても彼女と話す必要があった。
私が今回の件において、一番の不安の種だったのが、実はリーフである。
彼女は、真面目で、繊細で、責任感が強い。
今回の乱暴な私の振る舞いに対して、彼女がなにも思わないわけがない。
傷ついた心に対するアフターケアは、必要なことだ。
処置を誤れば、それは何年も彼女の心身を苛むだろう。
リーフは二度の家族との別れを経験している。
1度目は、父と母の別居、2度目は戦争による招集。
それは、この時代における多くの者が抱えていた、過剰な責任と不安定な環境であった。
さらに、同年代で飛びぬけて優秀であった彼女は、人ならざる構造体へと踏み込んだ。
いや、違うな。
大人が、踏み込ませた。
彼女が気づいているかはわからないがそれは彼女の想い以上に、強いものだ。
リーフ「指揮官、注意すべき点として、疲労が警戒水準、睡眠も同様です。こちらは任意となりますが、意識促進剤を打ちますか?」
指揮官「頼むよ」
彼女は手慣れた手つきで、注射器に薬剤を注入する。衛生兵としての経験は、確実に彼女の中で息づいていた、
リーフ「注入の際、少し、痛むかもしれません。痺れなどを感じましたら、すぐに教えてください」
一通り、滞りなく終わったところで、私は声をかけた。
10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/13(水) 21:25:26.71:PWbcHGAJ0 (2/4)
指揮官「なら、私から言おう。君は、私が何百と見た中で最も優れた構造体の一体であり、もっとも頼れる仲間だった。」
リーフの表情は、驚きと喜びが入り混じったものになった。そして、一抹の不安が影をよぎる。
指揮官「すこし、自信がないところもあったが、最近ではぜんぜん違うな。私が頼ってばかりだ」
指揮官「リーフ、この時代で、君と出会えたことを誇りに思ってる」
リーフは、手で顔を覆い隠し、肩で震えている。
リーフ「ぁ、わ、わたしは」
リーフ「【指揮官と組んで、良かったとは今は思いません】」
リーフ「どうしても、【指揮官が結婚することを祝福できません】」
リーフはそこまで言って、言葉を切った。
リーフ「ごめんなさい!こんなことを言うつもりじゃなかったんです」
リーフ「私は、私は、本当にこのチームが好きだったんです。本当にそれだけなんです」
リーフは、荷物を抱えてふらつく足で執務室を飛び出した。
私は、自分の判断の正しさを自問自答しなければならないようだ。
死ぬことより、辛いことはあると知ってしまったから。
指揮官「なら、私から言おう。君は、私が何百と見た中で最も優れた構造体の一体であり、もっとも頼れる仲間だった。」
リーフの表情は、驚きと喜びが入り混じったものになった。そして、一抹の不安が影をよぎる。
指揮官「すこし、自信がないところもあったが、最近ではぜんぜん違うな。私が頼ってばかりだ」
指揮官「リーフ、この時代で、君と出会えたことを誇りに思ってる」
リーフは、手で顔を覆い隠し、肩で震えている。
リーフ「ぁ、わ、わたしは」
リーフ「【指揮官と組んで、良かったとは今は思いません】」
リーフ「どうしても、【指揮官が結婚することを祝福できません】」
リーフはそこまで言って、言葉を切った。
リーフ「ごめんなさい!こんなことを言うつもりじゃなかったんです」
リーフ「私は、私は、本当にこのチームが好きだったんです。本当にそれだけなんです」
リーフは、荷物を抱えてふらつく足で執務室を飛び出した。
私は、自分の判断の正しさを自問自答しなければならないようだ。
死ぬことより、辛いことはあると知ってしまったから。
11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/13(水) 21:30:02.59:PWbcHGAJ0 (3/4)
誤字修正
>>9と>>10の間に
リーフは、一瞬口を開いたが、すぐに閉じた。
リーフ「いえ、なにもありません」
が抜けてました。脳内変換お願いします
誤字修正
>>9と>>10の間に
リーフは、一瞬口を開いたが、すぐに閉じた。
リーフ「いえ、なにもありません」
が抜けてました。脳内変換お願いします
12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/13(水) 22:14:13.90:PWbcHGAJ0 (4/4)
すみません、一つ相談させてください
公式パ二グレから動画やイラストが奨励されました。
昔は二次創作の中にSS動画もちらほらありましたが、今の若い子に読む層はいるのでしょうか?あるとすればどんな内容の動画でしょうか
この機会で動画に初挑戦するのですが私の知識が古くて相談させてもらいました。
すみません、一つ相談させてください
公式パ二グレから動画やイラストが奨励されました。
昔は二次創作の中にSS動画もちらほらありましたが、今の若い子に読む層はいるのでしょうか?あるとすればどんな内容の動画でしょうか
この機会で動画に初挑戦するのですが私の知識が古くて相談させてもらいました。
13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/13(水) 23:13:21.44:tyvBFTZkO (1/1)
>>12
中学生だけど普通に見るぞ
僕だけかもしれんが
>>12
中学生だけど普通に見るぞ
僕だけかもしれんが
14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/14(木) 21:29:10.51:08Ool1XX0 (1/3)
>>13
教えてくださってありがとうございます
簡単に勇気づけられました
素晴らしい!
>>13
教えてくださってありがとうございます
簡単に勇気づけられました
素晴らしい!
15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/14(木) 23:09:15.08:08Ool1XX0 (2/3)
科学研究室前
指揮官「私は、果たして間違っているのだろうか」
アシモフ「俺に言うな、あんたの決断だろう」
不機嫌そうに、手を振った若き科学者アシモフ。彼が朝早くから、研究室で不可思議な数式とにらみ合っていたところを、話しかけてみた。
なぜなら彼が、私の頭の中にいる住人について、もっとも詳しいと言えるだろうから。
指揮官「客観的な目線が欲しくなったんだよ。私が知っている中で、君はもっとも理知的で、パニシングウイルスに明るいからね」
アシモフ「褒めてるのか、それは」
指揮官「勿論だ」
アシモフはため息をついた。
アシモフ「俺は、可能性の話をしただけだ。お前の全身のパニシングウイルスが信号を発して、昇格者と不思議な線を繋いでいる。
目には見えないが、ある意味お前の隣に昇格者が立っていると言っていい。そして、ウイルスが発している信号の種類はまだ解析が済んでいない。だが、ある種の情報を含んでいることは十分に考えられる」
指揮官「それが、私の記憶という可能性だな」
アシモフ「心あたりのあったお前は、私に相談したが、どうすることもできない。
もし、本当にパニシングウイルスを止めたければ、お前ごと殺すしかない」
指揮官「よくわからないものに殺されるのはごめんだ」
アシモフ「なら指揮官をやめるというのは、妥当な線だろう。お前は、代わりに指揮官としての記憶を司令部に永遠に預けることになるが、死ぬことはない。だいたいエデンで暮らすのに、戦争の記憶は必要ない」
そのとおり、わたしが指揮官を辞めれば、指揮官でいた記憶を司令部に捧げなければならない。それは指揮官になる前からあらかじめ分かっていた
ことだ。
戦争にまつわるいかなる情報機密も守らなければならない。
戦争に構造体がどのように使われ、死んでいくかなど、エデンの誰も知る必要はない。
人権が守られては、地球を取り戻せない。
とはいえ、指揮官になった時の私は、記憶を失うつもりなどなかった。
戦場に出る指揮官の死亡率は40歳代までに100%である。
私は、辞職する前に自分が死ぬと、思っていた。
科学研究室前
指揮官「私は、果たして間違っているのだろうか」
アシモフ「俺に言うな、あんたの決断だろう」
不機嫌そうに、手を振った若き科学者アシモフ。彼が朝早くから、研究室で不可思議な数式とにらみ合っていたところを、話しかけてみた。
なぜなら彼が、私の頭の中にいる住人について、もっとも詳しいと言えるだろうから。
指揮官「客観的な目線が欲しくなったんだよ。私が知っている中で、君はもっとも理知的で、パニシングウイルスに明るいからね」
アシモフ「褒めてるのか、それは」
指揮官「勿論だ」
アシモフはため息をついた。
アシモフ「俺は、可能性の話をしただけだ。お前の全身のパニシングウイルスが信号を発して、昇格者と不思議な線を繋いでいる。
目には見えないが、ある意味お前の隣に昇格者が立っていると言っていい。そして、ウイルスが発している信号の種類はまだ解析が済んでいない。だが、ある種の情報を含んでいることは十分に考えられる」
指揮官「それが、私の記憶という可能性だな」
アシモフ「心あたりのあったお前は、私に相談したが、どうすることもできない。
もし、本当にパニシングウイルスを止めたければ、お前ごと殺すしかない」
指揮官「よくわからないものに殺されるのはごめんだ」
アシモフ「なら指揮官をやめるというのは、妥当な線だろう。お前は、代わりに指揮官としての記憶を司令部に永遠に預けることになるが、死ぬことはない。だいたいエデンで暮らすのに、戦争の記憶は必要ない」
そのとおり、わたしが指揮官を辞めれば、指揮官でいた記憶を司令部に捧げなければならない。それは指揮官になる前からあらかじめ分かっていた
ことだ。
戦争にまつわるいかなる情報機密も守らなければならない。
戦争に構造体がどのように使われ、死んでいくかなど、エデンの誰も知る必要はない。
人権が守られては、地球を取り戻せない。
とはいえ、指揮官になった時の私は、記憶を失うつもりなどなかった。
戦場に出る指揮官の死亡率は40歳代までに100%である。
私は、辞職する前に自分が死ぬと、思っていた。
16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/14(木) 23:10:18.36:08Ool1XX0 (3/3)
一方で、エデンからロボットを派遣して、周りの構造体に遠隔命令を下す指揮官の死亡率は0である。
だが、実際は戦場に出なければ迅速に判断できないことがある。
ロボットを通してみる世界と、実際に見る世界ではやはり作戦効率が違う。
そして、かつて住んでいた地球に実際に足をつけて歩けることは、人間を惹きつけてやまないものだ。
指揮官「死ななくていい。それは俺にとっても、いいことのはずなんだ」
だけど、それでも私が悩むのは残された者たちがいるからだろう。
アシモフ「お前は構造体に思い入れがありすぎるんだ。言っておくが、構造体は自分たちの使命を理解しているぞ、お前よりよっぽどな」
冷たいナイフのような言葉が、刺さる。
指揮官「私のほうが理解できていない、その通りだな」
無理やり笑った。
アシモフ「分かったらさっさと帰れ。お前の仕事は部屋でセンチな会話をすることじゃない」
指揮官「アシモフ、ありがとう」
アシモフは細い腕で試験管を投げつけた。
アシモフ「もし、指揮官を続けるなら、それを飲め。最新の睡眠薬だ。変な夢も見づらくなるはずだ」
あれが夢でないと、アシモフは最も分かっているはずだ。
それでも夢と言ってくれたことに私は、感謝しなければならないだろう。
一方で、エデンからロボットを派遣して、周りの構造体に遠隔命令を下す指揮官の死亡率は0である。
だが、実際は戦場に出なければ迅速に判断できないことがある。
ロボットを通してみる世界と、実際に見る世界ではやはり作戦効率が違う。
そして、かつて住んでいた地球に実際に足をつけて歩けることは、人間を惹きつけてやまないものだ。
指揮官「死ななくていい。それは俺にとっても、いいことのはずなんだ」
だけど、それでも私が悩むのは残された者たちがいるからだろう。
アシモフ「お前は構造体に思い入れがありすぎるんだ。言っておくが、構造体は自分たちの使命を理解しているぞ、お前よりよっぽどな」
冷たいナイフのような言葉が、刺さる。
指揮官「私のほうが理解できていない、その通りだな」
無理やり笑った。
アシモフ「分かったらさっさと帰れ。お前の仕事は部屋でセンチな会話をすることじゃない」
指揮官「アシモフ、ありがとう」
アシモフは細い腕で試験管を投げつけた。
アシモフ「もし、指揮官を続けるなら、それを飲め。最新の睡眠薬だ。変な夢も見づらくなるはずだ」
あれが夢でないと、アシモフは最も分かっているはずだ。
それでも夢と言ってくれたことに私は、感謝しなければならないだろう。
17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/17(日) 01:42:55.30:QogjYIo0O (1/1)
面白い
面白い
18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/17(日) 21:23:48.95:3fqL9RpU0 (1/2)
研究室から、作戦室へ戻ると扉の前に修羅のような形相のカレニーナが立っていた。
まるで、ご主人の帰りを待つ番犬、あるいは夜中まで帰ってこない夫を待つ嫁のようだ。
指揮官「おはよう、カレニーナ。ルシアなら、あと30分もすれば来るはずだ」
彼女のいつも通りならば、これからやってくるルシアに勝負をしかけるはずだ。
だが、カレニーナはそれを無視した。
カレニーナ「指揮官、いつもより遅かったじゃねえか。どこに行ってたんだ?」
指揮官「アシモフと少し話してきたんだ」
カレニーナ「…そうか」
カレニーナは、扉の前から動く素振りは見せない。
指揮官「カレニーナは、今日は非番の予定だっただろう?」
カレニーナ「緊急の任務が入った」
指揮官「?そんな急用の任務が入ったのか…えっ」
カレニーナは私の胸元をつかみ無理やり私をかがめさせた。
カレニーナ「話がある、ちょっと面を貸せ」
耳元でつぶやくと、カレニーナはぱっと離れて作戦室前の通路を進んで見えなくなった。
怒涛の展開に呆然とその様子を眺めていると、通路の先で怒声が聞こえた。
カレニーナ「手を繋いでやらないと、ついてこれないのか!」
カツカツと向こうからはや歩きでやってきたカレニーナは、私の手をひったくるとぷいと前を向いて歩き始めた。
なにもわからないまま、薄暗い通路を何本も通り、資材置き場としてしか使われていない空き部屋に連れ込まれた。
カレニーナは部屋の周囲に人がいないかを確認すると扉を閉めた。
未だに、手は繋がれたままである。
指揮官「カレニーナ、なにか不満があるなら喜んで聞かせてもらうよ」
カレニーナ「不満だ?オレは今回の任務は、本当に気に食わない。なにかもが急すぎるんだ」
カレニーナは苛立ちを隠さずに、靴を鳴らした。
指揮官「任務について、なにか問題があるのか?」
カレニーナは身体をこちらに向けた。ほぼ両者の身体が接触するような形である。
火薬の焦げるような微かなにおいと、甘酸っぱい柑橘類の香りが鼻孔をくすぐる。
カレニーナ「今回の任務は、【不穏分子の監視とその処分】だ」
カレニーナ「上は、今はただ監視しろと言ってきた。だが、万が一妙な動きを見せれば、これを起動させろってな」
いつの間にか彼女のもう片方の掌には、パチンコ玉ほどの大きさの灰色の球体が載っている。
カレニーナ「これが起動すれば、爆破と共に内部の無数の破片が飛び出して、周囲の人間を攻撃する。
1つ1つはたいしたことねえし、構造体にとってはほぼ無傷だろうが、ゼロ距離にいる人間なら内臓を傷つけられて即死だ」
カレニーナ「これを、指揮官の装備に取り付けるように指示された」
研究室から、作戦室へ戻ると扉の前に修羅のような形相のカレニーナが立っていた。
まるで、ご主人の帰りを待つ番犬、あるいは夜中まで帰ってこない夫を待つ嫁のようだ。
指揮官「おはよう、カレニーナ。ルシアなら、あと30分もすれば来るはずだ」
彼女のいつも通りならば、これからやってくるルシアに勝負をしかけるはずだ。
だが、カレニーナはそれを無視した。
カレニーナ「指揮官、いつもより遅かったじゃねえか。どこに行ってたんだ?」
指揮官「アシモフと少し話してきたんだ」
カレニーナ「…そうか」
カレニーナは、扉の前から動く素振りは見せない。
指揮官「カレニーナは、今日は非番の予定だっただろう?」
カレニーナ「緊急の任務が入った」
指揮官「?そんな急用の任務が入ったのか…えっ」
カレニーナは私の胸元をつかみ無理やり私をかがめさせた。
カレニーナ「話がある、ちょっと面を貸せ」
耳元でつぶやくと、カレニーナはぱっと離れて作戦室前の通路を進んで見えなくなった。
怒涛の展開に呆然とその様子を眺めていると、通路の先で怒声が聞こえた。
カレニーナ「手を繋いでやらないと、ついてこれないのか!」
カツカツと向こうからはや歩きでやってきたカレニーナは、私の手をひったくるとぷいと前を向いて歩き始めた。
なにもわからないまま、薄暗い通路を何本も通り、資材置き場としてしか使われていない空き部屋に連れ込まれた。
カレニーナは部屋の周囲に人がいないかを確認すると扉を閉めた。
未だに、手は繋がれたままである。
指揮官「カレニーナ、なにか不満があるなら喜んで聞かせてもらうよ」
カレニーナ「不満だ?オレは今回の任務は、本当に気に食わない。なにかもが急すぎるんだ」
カレニーナは苛立ちを隠さずに、靴を鳴らした。
指揮官「任務について、なにか問題があるのか?」
カレニーナは身体をこちらに向けた。ほぼ両者の身体が接触するような形である。
火薬の焦げるような微かなにおいと、甘酸っぱい柑橘類の香りが鼻孔をくすぐる。
カレニーナ「今回の任務は、【不穏分子の監視とその処分】だ」
カレニーナ「上は、今はただ監視しろと言ってきた。だが、万が一妙な動きを見せれば、これを起動させろってな」
いつの間にか彼女のもう片方の掌には、パチンコ玉ほどの大きさの灰色の球体が載っている。
カレニーナ「これが起動すれば、爆破と共に内部の無数の破片が飛び出して、周囲の人間を攻撃する。
1つ1つはたいしたことねえし、構造体にとってはほぼ無傷だろうが、ゼロ距離にいる人間なら内臓を傷つけられて即死だ」
カレニーナ「これを、指揮官の装備に取り付けるように指示された」
19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/17(日) 21:26:53.78:3fqL9RpU0 (2/2)
私の中で、急速に脳細胞が活性化して、思考が冴えわたる。
上層部の中で、私への不信感は募っているらしい。
ある程度実績を上げ始めた指揮官が急に昇格者への接触を理由に、指揮官の辞職を希望する。
そして、彼のいうことには、記憶を昇格者に抜き取られているとか。
正気を疑うのは、無理もない。だが、ここまで直接的な手を使うとは―――予想外だった。
さらに、カレニーナが私に告げるのはまずい。
カレニーナ「危険を冒してここまで、言ったんだ。指揮官もオレにも教えろよ。レイヴン隊になにが起きてんだ?」
指揮官「私が今回の任務で、指揮官をやめる。それだけだ」
カレニーナ「はぁ!?なんだよそれ、聞いてねえよ」
カレニーナ「オレが指揮官を守るんだ。オレの許可なく勝手なことをするなよ!じゃあ、どこの部隊に入るんだ?粛清部隊か?」
カレニーナは期待がこもった視線を私に向ける
指揮官「いや、私は軍部から足を洗う。つまり、エデンに戻ることになる」
カレニーナは身体をびくりと震わせた。
カレニーナ「……意味わかんねえ」
指揮官「---結婚するんだ」
カレニーナを中心に急激に高熱が噴き出す。触れている肌がちりつくような熱さ。
カレニーナ「ふざけんなっ!」
こうして、彼女から真っ向から、なにかを言われるのは、初めてだ。
大体、ビアンカや周りの人間が気をそらして、なだめるから。これがカレニーナのありのままの姿だ。
カレニーナ「オレたちを置いて、一人幸せになろうってか」
指揮官「そんなつもりはない。こうなっては、私以外の人間がより適正だということだ」
私は一歩下がると、カレニーナは一歩詰める。
カレニーナ「―――指揮官は、オレに色々教えてくれるって言ったよな。あれはウソか?」
指揮官「戦闘のことなら、カレニーナに教えられることはもうないよ」
カレニーナ「ちがう、オレが教えてほしいことは戦闘だけじゃない!」
カレニーナは私の手を、痛いほどに握った。
カレニーナ「指揮官!分かっているのに、適当なことを言うな!オレの気持ちだって分かってるんだろう!オレは指揮官に…!」
指揮官「カレニーナ、もう戻ろう。私は粛清対象だし、こうした行為は君の信用を失墜させるリスクがある」
カレニーナ「今更こんなリスクがなんだよ!オレは昔からそんなものを背負ってる!指揮官も、オレと同じものを背負ってるはずだ!地球を取り返すんだろ!?」
カレニーナの黄金色の瞳が、不安で揺れる。
カレニーナ「そのために―――オレはまだお前と歩き続けたい。お前とならできる気がするんだ」
私は、カレニーナの手から銀色の球体爆弾をつまみ上げてから、胸ポケットに入れた。
それは、今まで共に戦ってきたはずの人類からもらった、最期のプレゼント。
指揮官「カレニーナ、初めから私は君の横に立つ資格などなかったんだ」
運命の歯車は回りだした。もう止まることはできない。
私の指揮官としての役目は、もはや取り戻せない位置にあるのだ。
私の中で、急速に脳細胞が活性化して、思考が冴えわたる。
上層部の中で、私への不信感は募っているらしい。
ある程度実績を上げ始めた指揮官が急に昇格者への接触を理由に、指揮官の辞職を希望する。
そして、彼のいうことには、記憶を昇格者に抜き取られているとか。
正気を疑うのは、無理もない。だが、ここまで直接的な手を使うとは―――予想外だった。
さらに、カレニーナが私に告げるのはまずい。
カレニーナ「危険を冒してここまで、言ったんだ。指揮官もオレにも教えろよ。レイヴン隊になにが起きてんだ?」
指揮官「私が今回の任務で、指揮官をやめる。それだけだ」
カレニーナ「はぁ!?なんだよそれ、聞いてねえよ」
カレニーナ「オレが指揮官を守るんだ。オレの許可なく勝手なことをするなよ!じゃあ、どこの部隊に入るんだ?粛清部隊か?」
カレニーナは期待がこもった視線を私に向ける
指揮官「いや、私は軍部から足を洗う。つまり、エデンに戻ることになる」
カレニーナは身体をびくりと震わせた。
カレニーナ「……意味わかんねえ」
指揮官「---結婚するんだ」
カレニーナを中心に急激に高熱が噴き出す。触れている肌がちりつくような熱さ。
カレニーナ「ふざけんなっ!」
こうして、彼女から真っ向から、なにかを言われるのは、初めてだ。
大体、ビアンカや周りの人間が気をそらして、なだめるから。これがカレニーナのありのままの姿だ。
カレニーナ「オレたちを置いて、一人幸せになろうってか」
指揮官「そんなつもりはない。こうなっては、私以外の人間がより適正だということだ」
私は一歩下がると、カレニーナは一歩詰める。
カレニーナ「―――指揮官は、オレに色々教えてくれるって言ったよな。あれはウソか?」
指揮官「戦闘のことなら、カレニーナに教えられることはもうないよ」
カレニーナ「ちがう、オレが教えてほしいことは戦闘だけじゃない!」
カレニーナは私の手を、痛いほどに握った。
カレニーナ「指揮官!分かっているのに、適当なことを言うな!オレの気持ちだって分かってるんだろう!オレは指揮官に…!」
指揮官「カレニーナ、もう戻ろう。私は粛清対象だし、こうした行為は君の信用を失墜させるリスクがある」
カレニーナ「今更こんなリスクがなんだよ!オレは昔からそんなものを背負ってる!指揮官も、オレと同じものを背負ってるはずだ!地球を取り返すんだろ!?」
カレニーナの黄金色の瞳が、不安で揺れる。
カレニーナ「そのために―――オレはまだお前と歩き続けたい。お前とならできる気がするんだ」
私は、カレニーナの手から銀色の球体爆弾をつまみ上げてから、胸ポケットに入れた。
それは、今まで共に戦ってきたはずの人類からもらった、最期のプレゼント。
指揮官「カレニーナ、初めから私は君の横に立つ資格などなかったんだ」
運命の歯車は回りだした。もう止まることはできない。
私の指揮官としての役目は、もはや取り戻せない位置にあるのだ。
20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/17(日) 21:36:06.14:Fljslppfo (1/1)
おつ
おつ
21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/17(日) 21:47:56.46:38+yx0TtO (1/1)
どうなってしまうんだ…
どうなってしまうんだ…
22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/18(月) 18:32:19.91:bFddqzyRo (1/1)
カレニーナの狂犬と見せかけてただの大型犬なのよく表されててとてもよき……
カレニーナの狂犬と見せかけてただの大型犬なのよく表されててとてもよき……
23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/18(月) 23:59:22.48:U7pHuOmj0 (1/1)
作戦室
指揮官「皆、無事揃ったみたいだな。それではブリーフィングを始めよう」
場には、レイヴン隊の三名とカレニーナがいるが、誰も物音ひとつ立てない。
こんな雰囲気で始めるのは、ルシアが怪我によって一時的に抜けていた時以来だ。
そのルシアはようやく慣れてきた右腕の義手を、確かめるように何度も握りしめている。
私の視線に気づくと、さっと右腕を隠して、顔をそむける。
右腕を失った彼女の戦闘能力が以前に比べて明らかに落ちていることはデータとして挙がっていた。
だから、今回の任務は主に偵察、情報収集系のそれを選んだ。
指揮官「今回の任務は、先月衛星によって発見された塔に関する調査だ。
先月、衛星によって、基地の南を広がる大峡谷にとある塔が建築されつつあることが分かった。現在、地球はパニシングに覆われているが、気候条
件の幸運が積み重なってたまたま切れ間から映ったそうだ。」
私は一枚の衛星写真を、張り出す。そこに映っていたのは、無数の機械生命体によって覆われたつまようじのような細長い物体が谷の奥から覗いている。
リー「我々も遭遇した集団行動をとる機械生命体ですね。この塔には、昇格者が関わっている可能性があります。
そして、この物体は…一種の大砲にも見えますが」
指揮官「リーのいう通り、この件は昇格者が関わっていると考えていい。送った先遣隊のいくつかが壊滅したが
昇格者によるものだと判断されることがあった。そして、最も大切なことは、この物体の正体を見極め、次の作戦に繋げることだ。
そのために、カレニーナに参加してもらう。彼女の工兵としてのスキルは偵察にピッタリだからな。機械や化学方面に明るいリーと合わせて今回の作戦の要だ」
カレニーナは一瞬相好を崩したが、私を見るとすぐにふんっとそっぽを向いた。
リーフ「ルシア、リーフの両名はその援護と護衛を担当させて頂きます」
彼女は、ぺこりと頭を下げた。
指揮官「二人とも、よろしく頼む。特に任務中は通常よりも範囲を広げて索敵レーダーを張ってくれ。」
作戦室
指揮官「皆、無事揃ったみたいだな。それではブリーフィングを始めよう」
場には、レイヴン隊の三名とカレニーナがいるが、誰も物音ひとつ立てない。
こんな雰囲気で始めるのは、ルシアが怪我によって一時的に抜けていた時以来だ。
そのルシアはようやく慣れてきた右腕の義手を、確かめるように何度も握りしめている。
私の視線に気づくと、さっと右腕を隠して、顔をそむける。
右腕を失った彼女の戦闘能力が以前に比べて明らかに落ちていることはデータとして挙がっていた。
だから、今回の任務は主に偵察、情報収集系のそれを選んだ。
指揮官「今回の任務は、先月衛星によって発見された塔に関する調査だ。
先月、衛星によって、基地の南を広がる大峡谷にとある塔が建築されつつあることが分かった。現在、地球はパニシングに覆われているが、気候条
件の幸運が積み重なってたまたま切れ間から映ったそうだ。」
私は一枚の衛星写真を、張り出す。そこに映っていたのは、無数の機械生命体によって覆われたつまようじのような細長い物体が谷の奥から覗いている。
リー「我々も遭遇した集団行動をとる機械生命体ですね。この塔には、昇格者が関わっている可能性があります。
そして、この物体は…一種の大砲にも見えますが」
指揮官「リーのいう通り、この件は昇格者が関わっていると考えていい。送った先遣隊のいくつかが壊滅したが
昇格者によるものだと判断されることがあった。そして、最も大切なことは、この物体の正体を見極め、次の作戦に繋げることだ。
そのために、カレニーナに参加してもらう。彼女の工兵としてのスキルは偵察にピッタリだからな。機械や化学方面に明るいリーと合わせて今回の作戦の要だ」
カレニーナは一瞬相好を崩したが、私を見るとすぐにふんっとそっぽを向いた。
リーフ「ルシア、リーフの両名はその援護と護衛を担当させて頂きます」
彼女は、ぺこりと頭を下げた。
指揮官「二人とも、よろしく頼む。特に任務中は通常よりも範囲を広げて索敵レーダーを張ってくれ。」
24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/19(火) 00:01:01.33:eY8lwSRJ0 (1/1)
指揮官「そして、みんなになにより徹底してほしいことは、今回の目的は戦闘ではなく情報収集だということだ。戦闘になったら、常に脱出ルートを意識して動いてくれ。見て分かる通り、機械生命体の数は段違いに多い。これらを潰すのは、次の作戦になる。…ルシア?」
ルシア「指揮官、一つ確認させてください」
指揮官「どうぞ」
ルシア「先月の件で、片腕を落とした私の身を案じていただけるのは光栄ですが、任務中はお控え願います。私は、替えの利く兵隊です。余計な気遣いは、任務に差し障ります」
指揮官「勿論、私はカバーできる範囲で仲間を守りつつ、任務達成に全力を注ぐ。ルシア、君はこれまで通り、隊の先鋒として動いてもらうつもりだ」
ルシア「ありがとうございます、指揮官。今度は絶対に、遅れをとることはありません。
―――指揮官。どうかもう一度、私を信じてください。」
ルシアの表情は、硬く強張っていた。今度は絶対に失敗できないという自分に課した縛りのせいだろうか、あまりにも純粋で、壊れてしまいそうに見える。
指揮官「…【もちろんだ】」
ルシア、君は本当にあの夢の中ででてくる昇格者とこんなにも違う。
真面目で、頑固で、冷静だけど、優しい。
私は怖いんだ。
あの昇格者と剣を切り結ぶたびに、どちらが本当の君かわからなくなる。
あの昇格者の酷薄な嗤いと、君の笑顔が重なる―――。
視界の端から生まれた白い花びらが目の前を覆いつくし、意識を遠のいていく。
白ルシア「最後の任務かしら、指揮官」
指揮官「ああ、そうだ。ルシア」
白ルシアは、私の前で意味深に微笑んだ。
白ルシア「久しぶりに、家族以外にその名で呼ばれたわ。」
指揮官「どうして君たちはこんなにも似ているんだ?」
白ルシア「あの子の生まれた理由は、私と似ているから。似ているのは、当然」
指揮官「…分からない」
白ルシア「ひさしぶりに、気分がいいからひとつ教えてあげる―――指揮官、塔には近づかないことね」
指揮官「なぜ?」
白ルシア「死ぬから」
指揮官「そんなに恐ろしいことじゃないように思えるから、不思議だよ」
白ルシア「貴方以外の人類が、ね」クスクス
彼女は、バイクのエンジン音と共に消えていく。
指揮官「ぁ」
ルシア「あの…起きたならどいてもらえますか?」
ルシアの膝枕に寝かされていた私は跳ね起きた。
リー「全く、急に倒れたと思ったらルシアの服を掴んで離さなかったんですよ」
リーフ「…よかったような、よくなかったような気がします…」
私は、ルシアに謝ってからすぐに作戦開始の指示を出した、
不吉な予言が頭の隅でいつまでも鳴り響いている、
指揮官「そして、みんなになにより徹底してほしいことは、今回の目的は戦闘ではなく情報収集だということだ。戦闘になったら、常に脱出ルートを意識して動いてくれ。見て分かる通り、機械生命体の数は段違いに多い。これらを潰すのは、次の作戦になる。…ルシア?」
ルシア「指揮官、一つ確認させてください」
指揮官「どうぞ」
ルシア「先月の件で、片腕を落とした私の身を案じていただけるのは光栄ですが、任務中はお控え願います。私は、替えの利く兵隊です。余計な気遣いは、任務に差し障ります」
指揮官「勿論、私はカバーできる範囲で仲間を守りつつ、任務達成に全力を注ぐ。ルシア、君はこれまで通り、隊の先鋒として動いてもらうつもりだ」
ルシア「ありがとうございます、指揮官。今度は絶対に、遅れをとることはありません。
―――指揮官。どうかもう一度、私を信じてください。」
ルシアの表情は、硬く強張っていた。今度は絶対に失敗できないという自分に課した縛りのせいだろうか、あまりにも純粋で、壊れてしまいそうに見える。
指揮官「…【もちろんだ】」
ルシア、君は本当にあの夢の中ででてくる昇格者とこんなにも違う。
真面目で、頑固で、冷静だけど、優しい。
私は怖いんだ。
あの昇格者と剣を切り結ぶたびに、どちらが本当の君かわからなくなる。
あの昇格者の酷薄な嗤いと、君の笑顔が重なる―――。
視界の端から生まれた白い花びらが目の前を覆いつくし、意識を遠のいていく。
白ルシア「最後の任務かしら、指揮官」
指揮官「ああ、そうだ。ルシア」
白ルシアは、私の前で意味深に微笑んだ。
白ルシア「久しぶりに、家族以外にその名で呼ばれたわ。」
指揮官「どうして君たちはこんなにも似ているんだ?」
白ルシア「あの子の生まれた理由は、私と似ているから。似ているのは、当然」
指揮官「…分からない」
白ルシア「ひさしぶりに、気分がいいからひとつ教えてあげる―――指揮官、塔には近づかないことね」
指揮官「なぜ?」
白ルシア「死ぬから」
指揮官「そんなに恐ろしいことじゃないように思えるから、不思議だよ」
白ルシア「貴方以外の人類が、ね」クスクス
彼女は、バイクのエンジン音と共に消えていく。
指揮官「ぁ」
ルシア「あの…起きたならどいてもらえますか?」
ルシアの膝枕に寝かされていた私は跳ね起きた。
リー「全く、急に倒れたと思ったらルシアの服を掴んで離さなかったんですよ」
リーフ「…よかったような、よくなかったような気がします…」
私は、ルシアに謝ってからすぐに作戦開始の指示を出した、
不吉な予言が頭の隅でいつまでも鳴り響いている、
25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/21(木) 12:09:56.25:99ccycxcO (1/1)
今月末は繁忙期で、毎日更新がかなり厳しくなって参りました。見てくださってる方に申し訳ありません。
今月末は繁忙期で、毎日更新がかなり厳しくなって参りました。見てくださってる方に申し訳ありません。
26:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/01/21(木) 13:10:51.55:VVCarp+fO (1/1)
お疲れ様
ゆっくりでいいので待ってます
お疲れ様
ゆっくりでいいので待ってます
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