◆b0M46H9tf98h さんの作品一覧
http://s2-d2.com/archives/16952728.html
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695: ◆b0M46H9tf98h:2020/11/23(月) 02:04:17.28:0tB4BqT30 (1/1)
ディアナ「はい…この車はエンブレムがフィアットの物では無いようですね、絵柄は蠍に見えますが…」黄色とオレンジ色で斜めに塗り分けられた盾の中に、図案化された黒い蠍が入っている…
エミーリア「そうなのよ、実はね……」
提督「…どう、ディアナ? 気に入った一台はあった?」ガレージのオーナーであるおっちゃんとランチアの部品についてやりとりしていたが、必要な話は済んだらしく、ディアナのもとにやって来た…
ディアナ「はい、提督。この車にしようかと思っているのですが…」
提督「あら、フィアット850ね。見た目も可愛らしいし、大きさも手頃だしいいじゃない……って、ちょっと待って?」にこにこと微笑していたが、車体を見て何か腑に落ちないような表情を浮かべ、それからフロントの蠍のエンブレムを見て驚きの表情を浮かべた…
提督「……もしかして、これってただのフィアット850じゃなくて「フィアット850アバルト」なの?」
(※アバルト…イタリアの自動車カスタムメーカー。フィアット500を始めとする各種の自動車をレース仕様に改造して多くの成績を残し、エンブレムの「スコルピオーネ」ともども有名)
エミーリア「ふふーん、さすが海軍さん……その通り♪」ニヤリと笑うと、後部のエンジンカバーを開けた…
提督「うわ…!」
エミーリア「どうよ? 一見するとただの850に見えるけど、エンジンから足回りから、中身はまるっきりの別物…これならオートストラーダ(高速道路)で生意気な顔をしている今どきのルノーだのアウディだのにも負けないわ♪」
提督「驚いたわね…ちなみにおいくら?」
エミーリア「そうねぇ……万リラって話をしてたんだけど」
提督「え、この850アバルトが…!?」
エミーリア「そこはワケありでね……実は前の持ち主がこれで事故ってて「不愉快だから」って手放したってシロモノなの。もちろんフレームは問題ないし、各部もこっちでしっかり直してあるんだけど、どうも売れなくってねぇ…と言うわけで、現金の一括払い……それと整備をうちでしてくれるって言うなら、この値段でいいわ♪」
提督「…いいのね?」
エミーリア「もちいいわ…買う?」
提督「ディアナの気に入ったならね……どうかしら?」
ディアナ「そうですね、お話を聞く限りではかなりの掘り出し物のようですし…わたくしも気に入りましたので、これにしようかと存じます♪」
エミーリア「決まりね!」
提督「それじゃあ私が……万リラは出してあげるわ。それにしてもこの値段で「850アバルト」が買えるなんて良かったわね」
ディアナ「ええ。提督もよろしければ後で試してみて下さいませ」
提督「ありがとう♪」
…それから事務所で契約書類を始め、車検証だの何だのとこまごました書類にサインを書き込んだディアナと提督…
エミーリア「…はい、それじゃあ晴れてあの850はあなたの物よ……よくしてやってね♪」
ディアナ「ええ、ぜひともそうさせていただきます」
エミーリア「良かった…それじゃあお役所の手続きがあるから、12日までにはそっちの鎮守府にお届けするわ」
提督「あら、12日といえばちょうどディアナのお誕生日ね♪」
ディアナ「さようにございますね」
エミーリア「ホント? それならなおの事よかったわ…お父さん、聞いた?」
おっちゃん「おうよ……良かったなお嬢ちゃん。ちょっとばかし型は古いが、いい車だぜ?」
ディアナ「はい…♪」
提督「それじゃあ、当日はよろしくお願いします」
おっちゃん「ああ、まかしときな!」
ディアナ「よしなに」
………
…
ディアナ「はい…この車はエンブレムがフィアットの物では無いようですね、絵柄は蠍に見えますが…」黄色とオレンジ色で斜めに塗り分けられた盾の中に、図案化された黒い蠍が入っている…
エミーリア「そうなのよ、実はね……」
提督「…どう、ディアナ? 気に入った一台はあった?」ガレージのオーナーであるおっちゃんとランチアの部品についてやりとりしていたが、必要な話は済んだらしく、ディアナのもとにやって来た…
ディアナ「はい、提督。この車にしようかと思っているのですが…」
提督「あら、フィアット850ね。見た目も可愛らしいし、大きさも手頃だしいいじゃない……って、ちょっと待って?」にこにこと微笑していたが、車体を見て何か腑に落ちないような表情を浮かべ、それからフロントの蠍のエンブレムを見て驚きの表情を浮かべた…
提督「……もしかして、これってただのフィアット850じゃなくて「フィアット850アバルト」なの?」
(※アバルト…イタリアの自動車カスタムメーカー。フィアット500を始めとする各種の自動車をレース仕様に改造して多くの成績を残し、エンブレムの「スコルピオーネ」ともども有名)
エミーリア「ふふーん、さすが海軍さん……その通り♪」ニヤリと笑うと、後部のエンジンカバーを開けた…
提督「うわ…!」
エミーリア「どうよ? 一見するとただの850に見えるけど、エンジンから足回りから、中身はまるっきりの別物…これならオートストラーダ(高速道路)で生意気な顔をしている今どきのルノーだのアウディだのにも負けないわ♪」
提督「驚いたわね…ちなみにおいくら?」
エミーリア「そうねぇ……万リラって話をしてたんだけど」
提督「え、この850アバルトが…!?」
エミーリア「そこはワケありでね……実は前の持ち主がこれで事故ってて「不愉快だから」って手放したってシロモノなの。もちろんフレームは問題ないし、各部もこっちでしっかり直してあるんだけど、どうも売れなくってねぇ…と言うわけで、現金の一括払い……それと整備をうちでしてくれるって言うなら、この値段でいいわ♪」
提督「…いいのね?」
エミーリア「もちいいわ…買う?」
提督「ディアナの気に入ったならね……どうかしら?」
ディアナ「そうですね、お話を聞く限りではかなりの掘り出し物のようですし…わたくしも気に入りましたので、これにしようかと存じます♪」
エミーリア「決まりね!」
提督「それじゃあ私が……万リラは出してあげるわ。それにしてもこの値段で「850アバルト」が買えるなんて良かったわね」
ディアナ「ええ。提督もよろしければ後で試してみて下さいませ」
提督「ありがとう♪」
…それから事務所で契約書類を始め、車検証だの何だのとこまごました書類にサインを書き込んだディアナと提督…
エミーリア「…はい、それじゃあ晴れてあの850はあなたの物よ……よくしてやってね♪」
ディアナ「ええ、ぜひともそうさせていただきます」
エミーリア「良かった…それじゃあお役所の手続きがあるから、12日までにはそっちの鎮守府にお届けするわ」
提督「あら、12日といえばちょうどディアナのお誕生日ね♪」
ディアナ「さようにございますね」
エミーリア「ホント? それならなおの事よかったわ…お父さん、聞いた?」
おっちゃん「おうよ……良かったなお嬢ちゃん。ちょっとばかし型は古いが、いい車だぜ?」
ディアナ「はい…♪」
提督「それじゃあ、当日はよろしくお願いします」
おっちゃん「ああ、まかしときな!」
ディアナ「よしなに」
………
…

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696: ◆b0M46H9tf98h:2020/11/25(水) 01:57:27.51:C66/dfAs0 (1/1)
…11月12日・午前…
提督「さて、と…それじゃあディアナのために、腕によりをかけてごちそうを作るとしましょうか♪」タートルネックセーターの袖をまくりエプロンを着けると、ヘアゴムで髪を束ねた……
ドリア「はい…♪」
エリトレア「お任せ下さいっ♪」
アブルッツィ「ええ、任せておいて」
ルイージ・トレーリ「和食ならいくらか心得がありますから、お手伝いしますね」
提督「ふふ、みんな頼もしいわ…それじゃあ基本はここに貼ってある献立通りに行きましょう…もし材料が足りなかったり時間が足りなかったりしたら、そのときは臨機応変に……ね?」
四人「「了解」」
…誕生日というよりは、いわば「成人式」のような就役日(ディアナの進水自体は5月25日)だと言うのに、いつものように厨房で料理を作ろうとするディアナをなかば無理矢理に追い出し、提督の指揮の下でごちそうの準備に取りかかる…
提督「セコンド・ピアットは予定通りローストのチキンにしましょう……シンプルにローズマリーとオリーヴオイル、塩胡椒でいいわよね」
(※セコンド・ピアット…食前酒、「アンティパスト(前菜)」、「プリモ・ピアット(第一皿…パスタ・スープ類)」に続く「第二皿」と呼ばれるメインディッシュのこと)
アブルッツィ「それと提督のおばさまが送ってきてくれたイノシシ肉ね……ドングリだの松の実だのを一杯食べた秋のイノシシだから脂も乗ってるし、赤味もすごく美味しそうよ!」ひと抱えはありそうな大きなイノシシのもも肉とあばら肉を取り出し、まな板の上にドシンと置いた…
提督「シルヴィアおばさまは猟の名人だもの♪」
アブルッツィ「みたいね……うーん、ここはやっぱり炭火でこんがりと…いや、赤ワインと玉ねぎでじっくり煮込んだのも捨てがたいか…むむむ……」
提督「んー…チキンはローストだから、イノシシは煮込みにしたらどうかしら……残ったらボロネーゼ風にして、明日のパスタにしてあげる♪」
アブルッツィ「そうね、それがいいかも……あぁ、考えただけでお腹が空いてくるわ!」
提督「ふふっ、私も…♪」
トレーリ「ふふ、提督は食いしん坊さんですものね……それでは、私は「茶碗蒸し」を作ろうかと思います。ジァポーネで食べる、甘くないプリンのような蒸し物ですよ」
提督「なるほど…」
エリトレア「じゃあ私は東南アジア風のサラダでも…そういえばボルネオのときも一緒でしたね、トレーリ?」
トレーリ「はい。他にカッペリーニたちもいて……懐かしいです」技術・貴重物資交換のために日本へと派遣されたトレーリたち数隻の大型潜水艦と、その支援にあたったエリトレア…
エリトレア「…こうしてまたトレーリたちに会えて嬉しいですっ♪」
トレーリ「私もです、エリトレア」
提督「良かったわね、二人とも……ところでエリトレア、お湯が噴きこぼれそうだけれど?」
エリトレア「うわわっ…!」
提督「ふふ…♪」
………
…昼頃…
提督「…えー、それではディアナの就役記念日を祝って……乾杯♪」
一同「「乾杯っ♪」」
ディアナ「ありがとうございます…このように盛大なお祝いを開いていただいて、言葉もございません」チェザーレから借りた真っ白なトーガに身を包んで銀の弓を背負ったディアナは、まさに月の女神のように見える……乾杯の音頭を受けたディアナは弓と矢筒をかたわらに置くと、優雅に一礼した…
エリトレア「まぁまぁ…そう固くならずに、遠慮しないでいっぱい食べて下さいねっ♪」
ディアナ「ふふ、エリトレアがそう言って下さるのですから…遠慮せずいただくことと致しましょう」
………
…
…11月12日・午前…
提督「さて、と…それじゃあディアナのために、腕によりをかけてごちそうを作るとしましょうか♪」タートルネックセーターの袖をまくりエプロンを着けると、ヘアゴムで髪を束ねた……
ドリア「はい…♪」
エリトレア「お任せ下さいっ♪」
アブルッツィ「ええ、任せておいて」
ルイージ・トレーリ「和食ならいくらか心得がありますから、お手伝いしますね」
提督「ふふ、みんな頼もしいわ…それじゃあ基本はここに貼ってある献立通りに行きましょう…もし材料が足りなかったり時間が足りなかったりしたら、そのときは臨機応変に……ね?」
四人「「了解」」
…誕生日というよりは、いわば「成人式」のような就役日(ディアナの進水自体は5月25日)だと言うのに、いつものように厨房で料理を作ろうとするディアナをなかば無理矢理に追い出し、提督の指揮の下でごちそうの準備に取りかかる…
提督「セコンド・ピアットは予定通りローストのチキンにしましょう……シンプルにローズマリーとオリーヴオイル、塩胡椒でいいわよね」
(※セコンド・ピアット…食前酒、「アンティパスト(前菜)」、「プリモ・ピアット(第一皿…パスタ・スープ類)」に続く「第二皿」と呼ばれるメインディッシュのこと)
アブルッツィ「それと提督のおばさまが送ってきてくれたイノシシ肉ね……ドングリだの松の実だのを一杯食べた秋のイノシシだから脂も乗ってるし、赤味もすごく美味しそうよ!」ひと抱えはありそうな大きなイノシシのもも肉とあばら肉を取り出し、まな板の上にドシンと置いた…
提督「シルヴィアおばさまは猟の名人だもの♪」
アブルッツィ「みたいね……うーん、ここはやっぱり炭火でこんがりと…いや、赤ワインと玉ねぎでじっくり煮込んだのも捨てがたいか…むむむ……」
提督「んー…チキンはローストだから、イノシシは煮込みにしたらどうかしら……残ったらボロネーゼ風にして、明日のパスタにしてあげる♪」
アブルッツィ「そうね、それがいいかも……あぁ、考えただけでお腹が空いてくるわ!」
提督「ふふっ、私も…♪」
トレーリ「ふふ、提督は食いしん坊さんですものね……それでは、私は「茶碗蒸し」を作ろうかと思います。ジァポーネで食べる、甘くないプリンのような蒸し物ですよ」
提督「なるほど…」
エリトレア「じゃあ私は東南アジア風のサラダでも…そういえばボルネオのときも一緒でしたね、トレーリ?」
トレーリ「はい。他にカッペリーニたちもいて……懐かしいです」技術・貴重物資交換のために日本へと派遣されたトレーリたち数隻の大型潜水艦と、その支援にあたったエリトレア…
エリトレア「…こうしてまたトレーリたちに会えて嬉しいですっ♪」
トレーリ「私もです、エリトレア」
提督「良かったわね、二人とも……ところでエリトレア、お湯が噴きこぼれそうだけれど?」
エリトレア「うわわっ…!」
提督「ふふ…♪」
………
…昼頃…
提督「…えー、それではディアナの就役記念日を祝って……乾杯♪」
一同「「乾杯っ♪」」
ディアナ「ありがとうございます…このように盛大なお祝いを開いていただいて、言葉もございません」チェザーレから借りた真っ白なトーガに身を包んで銀の弓を背負ったディアナは、まさに月の女神のように見える……乾杯の音頭を受けたディアナは弓と矢筒をかたわらに置くと、優雅に一礼した…
エリトレア「まぁまぁ…そう固くならずに、遠慮しないでいっぱい食べて下さいねっ♪」
ディアナ「ふふ、エリトレアがそう言って下さるのですから…遠慮せずいただくことと致しましょう」
………
…
697: ◆b0M46H9tf98h:2020/11/28(土) 02:39:36.19:TzoCDUmn0 (1/1)
提督「…ディアナ、もう少しパスタを取ってあげましょうか?」
ディアナ「ありがとうございます」
ポーラ「良かったらキアンティをもう一杯いかがですかぁ~♪」
ディアナ「よしなに…♪」
アブルッツィ「いっぱい作ったから、遠慮しないでどんどん食べてよ?」
ディアナ「ええ」
…歯切れのいいきゅうりのような食感をした青パパイヤと蒸した鶏の胸肉を細く切って和え、軽く魚醤で味付けをして砕いたピーナツを散らしたエリトレアの「東南アジア風サラダ」に始まり、春に続いて秋に旬を迎えるアサリで仕上げた「スパゲッティ・アッレ・ボンゴレ」に、提督の実家から送られてきた猪肉の味わい深い煮込み……飲み物にはイタリア赤ワインの王様「バローロ」と、銘柄こそないがポーラが選んだすっきりした地元の白ワイン、それにキアンティやシェリーが何本か待機している…
提督「んー…料理もよければワインも素晴らしいわ」
エリトレア「頑張って作ったぶん、美味しさもひとしおですねっ♪」
提督「ええ」
ペルラ(中型潜ペルラ級「真珠」)「ところで、今日のドルチェは何かしら…♪」
アメティスタ(中型潜シレーナ級「アメジスト」)「何でしょうね…私も楽しみです」
ヴォルフラミオ(中型潜アッチアイーオ級「タングステン」)「……甘い物はそこまで好きじゃない」
プラティノ(アッチアイーオ級「プラチナ」)「ヴォルフラミオってば、いつもそうやってドイツ人みたいなことを言うんだから……もっと人生を情熱的に楽しみなさいよ♪」白金のような輝く白い歯を見せて笑いかける…
ヴォルフラミオ「そう言う性分なんだ、仕方ないだろう」ヴォルフラミオ(元は「狼の泡」の意)はドイツ語が語源と言うこともあるためか、狼のような雰囲気でタングステンらしい冷徹な印象を与える……
アクスム「ヴォルフラミオはいつもこうでしたよ……ね、デジエ?」
デジエ「そうね、アクスム…♪」
アッチアイーオ「ちょっと、食事中にいちゃつくのは止めなさいよ!」
アルゴ(中型潜アルゴ級)「いいじゃない、二人は「私に乗る権利がある」くらいの立派な英雄だもの♪」ギリシャ神話のイアーソーンが「金羊毛」を求めて作った伝説の船「アルゴー号」にちなんでいるアルゴ……そのせいか、勇敢だったり戦績を残している娘にはとことん甘い…
アッチアイーオ「ほんとにもう…!」
ナウティロ(中型潜フルット級「オウムガイ」)「まぁまぁ、いいじゃないですか…♪」オウム貝の殻のように紅白で房になっている髪を垂らしている…
アラジ(中型潜アデュア級)「ナウティロの言う通りね。怒ってばかりだと疲れちゃうわよ?」
シーレ(アデュア級)「そうそう♪」
トリチェリ(大型潜ブリン級)「たまにはゆったりした気分でワインを味わって、のんびりして下さい……ね?」
アッチアイーオ「分かった、分かったわよ…あなたたちに言われたら何にも言えないわ」
…有名な「マイアーレ(豚)」ことSLC(人間魚雷)を搭載してアレクサンドリア港に侵入、戦艦「クィーン・エリザベス」「ヴァリアント」を大破着底、駆逐艦「ジャーヴィス」を損傷させた殊勲艦「シーレ」と、55回もの出撃を行い無事に戦後を迎えた強運の「アラジ」、そして紅海で対潜グループ相手に浮上砲戦を強いられるも駆逐艦とスループ各一隻を返り討ちにし、最後は総員退艦の上で自沈した「トリチェリ」と、そうそうたる功績の持ち主がアッチアイーオをなだめる…
アラジ「よろしい」
提督「…それじゃあそろそろドルチェを持ってきましょうか……ね?」
エリトレア「はいっ♪」
…厨房から提督とエリトレアが持ってきた大きなお盆には、イタリアの秋を代表する栗を使った「モンテ・ビアンコ」がぎっしりと並べてある…
(※モンブラン…元はフランスではなくイタリアの郷土菓子。日本で見られる「モンブラン」はアレンジされたもので、元祖イタリアのものはモンブランの山並みを表したきつい三角錐型に整えたマロンクリームに白い粉砂糖を振りかけるスタイル)
ディアナ「まぁ…♪」
ドリア「美味しそうですね♪」
ヴォルフラミオ「…」
プラティノ「…ヴォルフラミオはいらないそうだから、私がもらっておくわね♪」
ヴォルフラミオ「いや、別に食べないとは言ってないだろう……///」
近くの数人「「あはははっ♪」」
ヴォルフラミオ「///」
………
…
提督「…ディアナ、もう少しパスタを取ってあげましょうか?」
ディアナ「ありがとうございます」
ポーラ「良かったらキアンティをもう一杯いかがですかぁ~♪」
ディアナ「よしなに…♪」
アブルッツィ「いっぱい作ったから、遠慮しないでどんどん食べてよ?」
ディアナ「ええ」
…歯切れのいいきゅうりのような食感をした青パパイヤと蒸した鶏の胸肉を細く切って和え、軽く魚醤で味付けをして砕いたピーナツを散らしたエリトレアの「東南アジア風サラダ」に始まり、春に続いて秋に旬を迎えるアサリで仕上げた「スパゲッティ・アッレ・ボンゴレ」に、提督の実家から送られてきた猪肉の味わい深い煮込み……飲み物にはイタリア赤ワインの王様「バローロ」と、銘柄こそないがポーラが選んだすっきりした地元の白ワイン、それにキアンティやシェリーが何本か待機している…
提督「んー…料理もよければワインも素晴らしいわ」
エリトレア「頑張って作ったぶん、美味しさもひとしおですねっ♪」
提督「ええ」
ペルラ(中型潜ペルラ級「真珠」)「ところで、今日のドルチェは何かしら…♪」
アメティスタ(中型潜シレーナ級「アメジスト」)「何でしょうね…私も楽しみです」
ヴォルフラミオ(中型潜アッチアイーオ級「タングステン」)「……甘い物はそこまで好きじゃない」
プラティノ(アッチアイーオ級「プラチナ」)「ヴォルフラミオってば、いつもそうやってドイツ人みたいなことを言うんだから……もっと人生を情熱的に楽しみなさいよ♪」白金のような輝く白い歯を見せて笑いかける…
ヴォルフラミオ「そう言う性分なんだ、仕方ないだろう」ヴォルフラミオ(元は「狼の泡」の意)はドイツ語が語源と言うこともあるためか、狼のような雰囲気でタングステンらしい冷徹な印象を与える……
アクスム「ヴォルフラミオはいつもこうでしたよ……ね、デジエ?」
デジエ「そうね、アクスム…♪」
アッチアイーオ「ちょっと、食事中にいちゃつくのは止めなさいよ!」
アルゴ(中型潜アルゴ級)「いいじゃない、二人は「私に乗る権利がある」くらいの立派な英雄だもの♪」ギリシャ神話のイアーソーンが「金羊毛」を求めて作った伝説の船「アルゴー号」にちなんでいるアルゴ……そのせいか、勇敢だったり戦績を残している娘にはとことん甘い…
アッチアイーオ「ほんとにもう…!」
ナウティロ(中型潜フルット級「オウムガイ」)「まぁまぁ、いいじゃないですか…♪」オウム貝の殻のように紅白で房になっている髪を垂らしている…
アラジ(中型潜アデュア級)「ナウティロの言う通りね。怒ってばかりだと疲れちゃうわよ?」
シーレ(アデュア級)「そうそう♪」
トリチェリ(大型潜ブリン級)「たまにはゆったりした気分でワインを味わって、のんびりして下さい……ね?」
アッチアイーオ「分かった、分かったわよ…あなたたちに言われたら何にも言えないわ」
…有名な「マイアーレ(豚)」ことSLC(人間魚雷)を搭載してアレクサンドリア港に侵入、戦艦「クィーン・エリザベス」「ヴァリアント」を大破着底、駆逐艦「ジャーヴィス」を損傷させた殊勲艦「シーレ」と、55回もの出撃を行い無事に戦後を迎えた強運の「アラジ」、そして紅海で対潜グループ相手に浮上砲戦を強いられるも駆逐艦とスループ各一隻を返り討ちにし、最後は総員退艦の上で自沈した「トリチェリ」と、そうそうたる功績の持ち主がアッチアイーオをなだめる…
アラジ「よろしい」
提督「…それじゃあそろそろドルチェを持ってきましょうか……ね?」
エリトレア「はいっ♪」
…厨房から提督とエリトレアが持ってきた大きなお盆には、イタリアの秋を代表する栗を使った「モンテ・ビアンコ」がぎっしりと並べてある…
(※モンブラン…元はフランスではなくイタリアの郷土菓子。日本で見られる「モンブラン」はアレンジされたもので、元祖イタリアのものはモンブランの山並みを表したきつい三角錐型に整えたマロンクリームに白い粉砂糖を振りかけるスタイル)
ディアナ「まぁ…♪」
ドリア「美味しそうですね♪」
ヴォルフラミオ「…」
プラティノ「…ヴォルフラミオはいらないそうだから、私がもらっておくわね♪」
ヴォルフラミオ「いや、別に食べないとは言ってないだろう……///」
近くの数人「「あはははっ♪」」
ヴォルフラミオ「///」
………
…
698: ◆b0M46H9tf98h:2020/11/30(月) 02:19:11.33:0EK9Te0B0 (1/1)
…食後…
提督「ふぅ…美味しかったのはいいけれど、思っていたより食べちゃったわね……」
アッチアイーオ「いっつもそんなこと言ってるじゃない、少しは加減したらどうなの?」
提督「…言ってくれるわね」
デルフィーノ「まぁまぁ…食べた分だけちゃんと運動すれば大丈夫ですよぅ」
ドリア「うふふっ、提督はそれが出来ないからお悩みなのですよ…デルフィーノ♪」
提督「むぅぅ…」
エリトレア「……それじゃあ、身近な所から始めてみたらどうでしょうかっ♪」
提督「あら、エリトレア…えぇと、その「身近な所」ってどういう意味かしら?」
エリトレア「はいっ、そのことですが…家事は意外と身体を使いますし、腹筋や腕立て伏せみたいにだらだら汗を流して……と言うわけでもありませんから、こまめに身体を動かすにはいいと思うのですが…どうでしょうか、提督っ♪」
提督「なるほど、なかなかいい考えかもしれないわね…♪」
エリトレア「そうですか…では洗い物もいっぱいありますし、まずはお皿洗いなんてどうですかっ?」
提督「……本当はそれが狙いね?」
エリトレア「あらら、バレちゃいましたか…」
提督「もう…そんな手を使わなくたって、必要なら手伝ってあげるわよ♪」ウィンクをすると椅子から立ち上がり、タートルネックの袖をまくり上げた…
エリトレア「ありがとうございますっ♪」
ディアナ「あ、でしたらわたくしも…」
提督「いいのよ、ディアナは今日の主役なんだから…ゆっくりしていて?」さっと立ち上がろうとするディアナを軽く押さえてにっこりした…
ディアナ「恐れ入ります…」
提督「さぁ、それじゃあ頑張りましょうか♪」
エリトレア「はいっ♪」
…数十分後…
提督「ふー…やっと終わったわね」
エリトレア「今日は特にお皿が多かったので、大変でしたねっ」数人が当番として手伝ってくれたとはいえ、かなりの作業だった後片付け……にも関わらず、いつも通りの屈託ない笑顔を見せるエリトレア…
提督「まぁ、美味しいごちそうを食べるためにはやむを得ないわね…」
アッチアイーオ「提督、門の所に訪問者よ……誰だか知らないけれど、つなぎを着た女の子が古めかしいトレーラーで来てるわ」
提督「トレーラー…? あぁ、はいはい」
アッチアイーオ「入れていいのね?」
提督「ええ、いいわ……ディアナ、来たわよ♪」
ディアナ「あら…♪」
…鎮守府・管理棟前…
エミーリア「はーい、海軍さん…ご注文の品のお届けに上がったわよ♪」つなぎ姿のエミーリアは、戦前のモデルと思われる骨董品のトレーラートラックから「よっ…!」と飛び降り、後ろの道板を下ろした…
提督「まぁ、これはまたずいぶんと……戦前のOM?」(※オフィシーネ・メカニケ…戦前~1970年代に「イヴェコ」へ統合されるまで長くトラック等を作っていた自動車メーカー)
エミーリア「そ、ひいお祖父ちゃんの代からずーっとうちで使ってるトレーラーなの…もちろんパワーステアリングとかエアコンなんてないし、ウィンカーだって「窓から腕を振る」スタイルだけど、これだけ古いと逆に目立つから、結構いい広告になるのよ?」
提督「確かにそうでしょうね…」
エミーリア「…それじゃあ降ろすからね」フィアットの運転席に乗り込むと、ゆっくりバックさせてトレーラーから降ろした…
ディアナ「ありがとうございます」
エミーリア「いいのよ、あなたの就役記念日なんでしょ? おめでとう!」そう言うとつなぎのポケットに隠していたクラッカーを取り出して「パンッ!」と鳴らした…
ディアナ「まぁ…♪」
エミーリア「それじゃあ、これからもうちのガレージをよろしくね!」
ディアナ「こちらこそ」
提督「…良かったわね、ディアナ♪」
ディアナ「はい」
…食後…
提督「ふぅ…美味しかったのはいいけれど、思っていたより食べちゃったわね……」
アッチアイーオ「いっつもそんなこと言ってるじゃない、少しは加減したらどうなの?」
提督「…言ってくれるわね」
デルフィーノ「まぁまぁ…食べた分だけちゃんと運動すれば大丈夫ですよぅ」
ドリア「うふふっ、提督はそれが出来ないからお悩みなのですよ…デルフィーノ♪」
提督「むぅぅ…」
エリトレア「……それじゃあ、身近な所から始めてみたらどうでしょうかっ♪」
提督「あら、エリトレア…えぇと、その「身近な所」ってどういう意味かしら?」
エリトレア「はいっ、そのことですが…家事は意外と身体を使いますし、腹筋や腕立て伏せみたいにだらだら汗を流して……と言うわけでもありませんから、こまめに身体を動かすにはいいと思うのですが…どうでしょうか、提督っ♪」
提督「なるほど、なかなかいい考えかもしれないわね…♪」
エリトレア「そうですか…では洗い物もいっぱいありますし、まずはお皿洗いなんてどうですかっ?」
提督「……本当はそれが狙いね?」
エリトレア「あらら、バレちゃいましたか…」
提督「もう…そんな手を使わなくたって、必要なら手伝ってあげるわよ♪」ウィンクをすると椅子から立ち上がり、タートルネックの袖をまくり上げた…
エリトレア「ありがとうございますっ♪」
ディアナ「あ、でしたらわたくしも…」
提督「いいのよ、ディアナは今日の主役なんだから…ゆっくりしていて?」さっと立ち上がろうとするディアナを軽く押さえてにっこりした…
ディアナ「恐れ入ります…」
提督「さぁ、それじゃあ頑張りましょうか♪」
エリトレア「はいっ♪」
…数十分後…
提督「ふー…やっと終わったわね」
エリトレア「今日は特にお皿が多かったので、大変でしたねっ」数人が当番として手伝ってくれたとはいえ、かなりの作業だった後片付け……にも関わらず、いつも通りの屈託ない笑顔を見せるエリトレア…
提督「まぁ、美味しいごちそうを食べるためにはやむを得ないわね…」
アッチアイーオ「提督、門の所に訪問者よ……誰だか知らないけれど、つなぎを着た女の子が古めかしいトレーラーで来てるわ」
提督「トレーラー…? あぁ、はいはい」
アッチアイーオ「入れていいのね?」
提督「ええ、いいわ……ディアナ、来たわよ♪」
ディアナ「あら…♪」
…鎮守府・管理棟前…
エミーリア「はーい、海軍さん…ご注文の品のお届けに上がったわよ♪」つなぎ姿のエミーリアは、戦前のモデルと思われる骨董品のトレーラートラックから「よっ…!」と飛び降り、後ろの道板を下ろした…
提督「まぁ、これはまたずいぶんと……戦前のOM?」(※オフィシーネ・メカニケ…戦前~1970年代に「イヴェコ」へ統合されるまで長くトラック等を作っていた自動車メーカー)
エミーリア「そ、ひいお祖父ちゃんの代からずーっとうちで使ってるトレーラーなの…もちろんパワーステアリングとかエアコンなんてないし、ウィンカーだって「窓から腕を振る」スタイルだけど、これだけ古いと逆に目立つから、結構いい広告になるのよ?」
提督「確かにそうでしょうね…」
エミーリア「…それじゃあ降ろすからね」フィアットの運転席に乗り込むと、ゆっくりバックさせてトレーラーから降ろした…
ディアナ「ありがとうございます」
エミーリア「いいのよ、あなたの就役記念日なんでしょ? おめでとう!」そう言うとつなぎのポケットに隠していたクラッカーを取り出して「パンッ!」と鳴らした…
ディアナ「まぁ…♪」
エミーリア「それじゃあ、これからもうちのガレージをよろしくね!」
ディアナ「こちらこそ」
提督「…良かったわね、ディアナ♪」
ディアナ「はい」
699: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/06(日) 02:23:32.05:2nlRcBMt0 (1/1)
…数日後・提督私室…
提督「うーん…」
アッチアイーオ(常温)「提督、一体どうしたのよ? 冬物の服を見ながら考え込んじゃって」
提督「いえ、それがね…ここに着任した時は春だったから、冬物を箱に詰めて来たのだけれど…その時に整理を兼ねてハンガーを捨てたりあげちゃったりしたものだから……こうして冬物を出したら本数が足りなくなっちゃって…」ロングコートにマフラー、厚手のセーターやカーディガンといった冬物を広げて、少し困り顔の提督……
アッチアイーオ「だったら誰かから借りればいいじゃない…エウジェニオあたりならお洒落にもうるさいし、ハンガーの数本くらい持っているんじゃないの?」
提督「まぁ、今だけならそれでもいいのだけれど……でも、これから冬の間ずーっと借りっぱなし…っていう訳にもいかないじゃない?」
アッチアイーオ「まぁ、そうよね…じゃあ買いに行けば?」
提督「んー……そうね、そうするわ。 それじゃあアッチアイーオ、一緒に行かない?」
アッチアイーオ「私はいいわ…その分、秘書艦として留守はしておいてあげるから」
提督「そう…それじゃあ留守はよろしくね♪」ちゅっ…♪
アッチアイーオ(温)「も、もうっ…いきなりしないでって言ってるでしょ///」
提督「ふふっ……それじゃあ何かお土産を買ってきてあげるから…ね♪」
アッチアイーオ「い、いらないわよ! …提督がキスしてくれれば……それでいいし…///」
提督「ふふふっ、了解♪」
…玄関…
ディアナ「あら、提督…お出かけですか?」
提督「ええ。ちょっと「近くの町」まで買い物に行こうと思って……ディアナは?」
ディアナ「まぁ、奇遇でございますね…実はわたくしも、ちょうどお買い物に行こうと思って準備を整えた所でして…それに、せっかく自動車も買ったわけですし、少々試し乗りも兼ねて……と言うわけでございます」そう言うと、少し照れたような笑みを浮かべた…
提督「なるほど、いいじゃない♪」
ディアナ「はい……あ、一つ良い考えを思いついたのですが」
提督「いい考え?」
ディアナ「ええ…よろしければ、提督もわたくしのフィアットにお乗りになっては?」
提督「ディアナ、そう言ってくれるのは嬉しいけれど……始めて同乗するのが私でいいの?」
ディアナ「もちろんでございます…いかがでございましょう?」
提督「そうね……ディアナが乗せてくれるなら、喜んで♪」
ディアナ「では、決まりでございますね」
…数分後…
提督「……さてと、それじゃあ留守はよろしくね?」
デルフィーノの声「了解です、気をつけて行ってきて下さいねぇ♪」提督はインターホンのカメラ越しに当番のデルフィーノに手を振りつつ正門を開け、門を出た所でデルフィーノにロックを操作してもらうと、ちゃんと施錠されたことを確認した…
提督「これでよし…と♪」
ディアナ「…では、よしなに参りましょう♪」ブォ…ン、ブロロロ…ッ!
提督「…っ!?」
…提督がドアを閉めてシートベルトを締めたことを確認すると、ディアナは一気にフィアットのアクセルを吹かした……手早くギアをトップに入れると、十秒もしないうちに速度計の針が百キロを越えた…
提督「ね、ねぇ…ディアナ」
ディアナ「はい、何でございましょう」
提督「いえ、その……少し飛ばしすぎじゃないかしら?」
…外見こそノーマルの物とあまり変わらない、ディアナの小さな「フィアット850」ではあるが、中身は「アバルト」仕様で手を加えてあるので、ものすごいスピードで海沿いの道路を疾走する……もちろん提督も自分の「ランチア・フラミニア」でなら100キロなど何と言うこともないのだが、大柄ですわりのいいランチアに比べて小さいフィアット850だけに身体の振られ方や車体の傾きが激しく、同時に自分で運転していない分だけ他の事に意識が向き、より速度が出ているように感じる…
ディアナ「…そうでしょうか?」
提督「ええ……120キロは出ているわよ」
ディアナ「さようにございますね」にこにこしながらハンドルをさばきつつ、一流ドライバー並にコーナーをクリアしていく……
提督「…」(「高速スループ」だけあって、ディアナは車に乗るとスピードが抑えられないタイプなのかしら…?)
ディアナ「ふふふ、運転というのは楽しいものでございますね…♪」
提督「え、えぇ……そうね」
…数日後・提督私室…
提督「うーん…」
アッチアイーオ(常温)「提督、一体どうしたのよ? 冬物の服を見ながら考え込んじゃって」
提督「いえ、それがね…ここに着任した時は春だったから、冬物を箱に詰めて来たのだけれど…その時に整理を兼ねてハンガーを捨てたりあげちゃったりしたものだから……こうして冬物を出したら本数が足りなくなっちゃって…」ロングコートにマフラー、厚手のセーターやカーディガンといった冬物を広げて、少し困り顔の提督……
アッチアイーオ「だったら誰かから借りればいいじゃない…エウジェニオあたりならお洒落にもうるさいし、ハンガーの数本くらい持っているんじゃないの?」
提督「まぁ、今だけならそれでもいいのだけれど……でも、これから冬の間ずーっと借りっぱなし…っていう訳にもいかないじゃない?」
アッチアイーオ「まぁ、そうよね…じゃあ買いに行けば?」
提督「んー……そうね、そうするわ。 それじゃあアッチアイーオ、一緒に行かない?」
アッチアイーオ「私はいいわ…その分、秘書艦として留守はしておいてあげるから」
提督「そう…それじゃあ留守はよろしくね♪」ちゅっ…♪
アッチアイーオ(温)「も、もうっ…いきなりしないでって言ってるでしょ///」
提督「ふふっ……それじゃあ何かお土産を買ってきてあげるから…ね♪」
アッチアイーオ「い、いらないわよ! …提督がキスしてくれれば……それでいいし…///」
提督「ふふふっ、了解♪」
…玄関…
ディアナ「あら、提督…お出かけですか?」
提督「ええ。ちょっと「近くの町」まで買い物に行こうと思って……ディアナは?」
ディアナ「まぁ、奇遇でございますね…実はわたくしも、ちょうどお買い物に行こうと思って準備を整えた所でして…それに、せっかく自動車も買ったわけですし、少々試し乗りも兼ねて……と言うわけでございます」そう言うと、少し照れたような笑みを浮かべた…
提督「なるほど、いいじゃない♪」
ディアナ「はい……あ、一つ良い考えを思いついたのですが」
提督「いい考え?」
ディアナ「ええ…よろしければ、提督もわたくしのフィアットにお乗りになっては?」
提督「ディアナ、そう言ってくれるのは嬉しいけれど……始めて同乗するのが私でいいの?」
ディアナ「もちろんでございます…いかがでございましょう?」
提督「そうね……ディアナが乗せてくれるなら、喜んで♪」
ディアナ「では、決まりでございますね」
…数分後…
提督「……さてと、それじゃあ留守はよろしくね?」
デルフィーノの声「了解です、気をつけて行ってきて下さいねぇ♪」提督はインターホンのカメラ越しに当番のデルフィーノに手を振りつつ正門を開け、門を出た所でデルフィーノにロックを操作してもらうと、ちゃんと施錠されたことを確認した…
提督「これでよし…と♪」
ディアナ「…では、よしなに参りましょう♪」ブォ…ン、ブロロロ…ッ!
提督「…っ!?」
…提督がドアを閉めてシートベルトを締めたことを確認すると、ディアナは一気にフィアットのアクセルを吹かした……手早くギアをトップに入れると、十秒もしないうちに速度計の針が百キロを越えた…
提督「ね、ねぇ…ディアナ」
ディアナ「はい、何でございましょう」
提督「いえ、その……少し飛ばしすぎじゃないかしら?」
…外見こそノーマルの物とあまり変わらない、ディアナの小さな「フィアット850」ではあるが、中身は「アバルト」仕様で手を加えてあるので、ものすごいスピードで海沿いの道路を疾走する……もちろん提督も自分の「ランチア・フラミニア」でなら100キロなど何と言うこともないのだが、大柄ですわりのいいランチアに比べて小さいフィアット850だけに身体の振られ方や車体の傾きが激しく、同時に自分で運転していない分だけ他の事に意識が向き、より速度が出ているように感じる…
ディアナ「…そうでしょうか?」
提督「ええ……120キロは出ているわよ」
ディアナ「さようにございますね」にこにこしながらハンドルをさばきつつ、一流ドライバー並にコーナーをクリアしていく……
提督「…」(「高速スループ」だけあって、ディアナは車に乗るとスピードが抑えられないタイプなのかしら…?)
ディアナ「ふふふ、運転というのは楽しいものでございますね…♪」
提督「え、えぇ……そうね」
700: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/08(火) 02:10:25.91:LWvTy/0w0 (1/1)
…数時間後…
リットリオ「あ、お帰りなさいっ♪」提督が帰ってくると、玄関先で待っていたリットリオが飛びついてきた……割と長身の提督よりもさらに頭一つ分は大きいリットリオに抱きつかれて、ちょうど胸の間に顔が埋まった……
提督「んむっ……///」
リットリオ「ふふふっ、提督が帰ってくるのを待っていたんですよっ…♪」
提督「んんぅ、むふぅ……ぷはぁ♪ …もう、リットリオってば♪」
リットリオ「えへへっ…それで、ディアナとのドライブはどうでした?」
提督「あー……次回からは遠慮させてもらいたいわね」
リットリオ「え? でもディアナは運転が上手だって話でしたよ?」
提督「ええ、確かに上手ではあるわよ……でもスピードが…」
リットリオ「なるほど、そういうことですか」
提督「ええ…普通なら十分や十五分はかかるっていう道のりを半分くらいに縮めるんだもの……ちょっと冷や汗が出たわ」
リットリオ「それは大変でしたねぇ……私がヴィットリオやローマとお出かけするときは、そこまで出しませんから♪」
提督「それがいいわ…」
リットリオ「…あ、そういえば」
提督「なぁに?」
リットリオ「この間「近くの町」にお買い物に行ったとき、ちょっと変わった人を見かけたんですよ♪」
提督「変わった人?」
リットリオ「はい…町のカフェでコーヒーを飲んでいた時なんですが、クリーム色のチンクエチェント(フィアット500)に乗った人が通りかかって……」
………
…しばらく前…
リットリオ「はー…お買い物、楽しかったですねぇ♪」
ヴィットリオ・ヴェネト「そうですね、姉さま……でも、少し喉が渇きました」
ローマ「なら、カフェで休憩でもしていきませんか?」
リットリオ「はーい、それじゃあそうしましょう♪」ちょうど道端のカフェを見つけると真っ赤なフィアット500を多少ぎこちなく停めた…
…数分後…
ローマ「…リットリオ姉様、口の端にクリームが付いていますよ?」
リットリオ「本当? …それじゃあローマ、取って♪」テーブル越しに顔を近づける…
ローマ「も、もう……仕方ないですね…あむっ///」
ヴィットリオ・ヴェネト「ふふ、リットリオ姉さまってば…」と、不意にテーブルに男が近寄ってきた…
男「やぁ、お嬢さん方…♪」
…リットリオたちに声をかけてきた愉快そうな顔をしたいがぐり頭の男は赤いジャケットに青いワイシャツ、黄色のネクタイ…と、ど派手な格好をしていて、そばにはカスタードクリームのような色をしたチンクエチェントが停まっている……車体には帽子を目深にかぶった立派なあごひげの男がもたれかかり、吸いさしの煙草をくわえている…
リットリオ「はい、何でしょう?」
派手な男「いやぁ、ちょーっと火を貸してもらえたら……と思ったんだけどなぁ♪」ちょっと軽い三枚目といった口調で、派手なウィンクを投げて来た…が、それほど悪い人間には見えない…
ローマ「済みません、あいにく煙草はたしなまないもので」
派手な男「あらぁ~、それはごめんなさいねぇ……ところでそこのチンクエチェント、あれは君の車?」
リットリオ「はい、そうですよ」
派手な男「そっか…大事にしてるねぇ」
リットリオ「ええ、もちろんです♪」
ひげの男「……おい、いつまで油を売っているつもりだよ?」
派手な男「そう言うなよ……それじゃあお嬢さん方、チャオ♪」そう言うとクリーム色のチンクエチェントに飛び乗り走り去っていった…
ヴェネト「なんだか面白い感じの人でしたねぇ♪」
ローマ「そうね、ちょっと軽い感じだけれど……」ローマがそう言いかけた時、イタリア財務警察のパトカーが数台、甲高いサイレンを鳴らして青い回転灯を回しながらカフェの前を通過していった……
リットリオ「そうですね…さ、コーヒーは飲み終わりました?」
…数時間後…
リットリオ「あ、お帰りなさいっ♪」提督が帰ってくると、玄関先で待っていたリットリオが飛びついてきた……割と長身の提督よりもさらに頭一つ分は大きいリットリオに抱きつかれて、ちょうど胸の間に顔が埋まった……
提督「んむっ……///」
リットリオ「ふふふっ、提督が帰ってくるのを待っていたんですよっ…♪」
提督「んんぅ、むふぅ……ぷはぁ♪ …もう、リットリオってば♪」
リットリオ「えへへっ…それで、ディアナとのドライブはどうでした?」
提督「あー……次回からは遠慮させてもらいたいわね」
リットリオ「え? でもディアナは運転が上手だって話でしたよ?」
提督「ええ、確かに上手ではあるわよ……でもスピードが…」
リットリオ「なるほど、そういうことですか」
提督「ええ…普通なら十分や十五分はかかるっていう道のりを半分くらいに縮めるんだもの……ちょっと冷や汗が出たわ」
リットリオ「それは大変でしたねぇ……私がヴィットリオやローマとお出かけするときは、そこまで出しませんから♪」
提督「それがいいわ…」
リットリオ「…あ、そういえば」
提督「なぁに?」
リットリオ「この間「近くの町」にお買い物に行ったとき、ちょっと変わった人を見かけたんですよ♪」
提督「変わった人?」
リットリオ「はい…町のカフェでコーヒーを飲んでいた時なんですが、クリーム色のチンクエチェント(フィアット500)に乗った人が通りかかって……」
………
…しばらく前…
リットリオ「はー…お買い物、楽しかったですねぇ♪」
ヴィットリオ・ヴェネト「そうですね、姉さま……でも、少し喉が渇きました」
ローマ「なら、カフェで休憩でもしていきませんか?」
リットリオ「はーい、それじゃあそうしましょう♪」ちょうど道端のカフェを見つけると真っ赤なフィアット500を多少ぎこちなく停めた…
…数分後…
ローマ「…リットリオ姉様、口の端にクリームが付いていますよ?」
リットリオ「本当? …それじゃあローマ、取って♪」テーブル越しに顔を近づける…
ローマ「も、もう……仕方ないですね…あむっ///」
ヴィットリオ・ヴェネト「ふふ、リットリオ姉さまってば…」と、不意にテーブルに男が近寄ってきた…
男「やぁ、お嬢さん方…♪」
…リットリオたちに声をかけてきた愉快そうな顔をしたいがぐり頭の男は赤いジャケットに青いワイシャツ、黄色のネクタイ…と、ど派手な格好をしていて、そばにはカスタードクリームのような色をしたチンクエチェントが停まっている……車体には帽子を目深にかぶった立派なあごひげの男がもたれかかり、吸いさしの煙草をくわえている…
リットリオ「はい、何でしょう?」
派手な男「いやぁ、ちょーっと火を貸してもらえたら……と思ったんだけどなぁ♪」ちょっと軽い三枚目といった口調で、派手なウィンクを投げて来た…が、それほど悪い人間には見えない…
ローマ「済みません、あいにく煙草はたしなまないもので」
派手な男「あらぁ~、それはごめんなさいねぇ……ところでそこのチンクエチェント、あれは君の車?」
リットリオ「はい、そうですよ」
派手な男「そっか…大事にしてるねぇ」
リットリオ「ええ、もちろんです♪」
ひげの男「……おい、いつまで油を売っているつもりだよ?」
派手な男「そう言うなよ……それじゃあお嬢さん方、チャオ♪」そう言うとクリーム色のチンクエチェントに飛び乗り走り去っていった…
ヴェネト「なんだか面白い感じの人でしたねぇ♪」
ローマ「そうね、ちょっと軽い感じだけれど……」ローマがそう言いかけた時、イタリア財務警察のパトカーが数台、甲高いサイレンを鳴らして青い回転灯を回しながらカフェの前を通過していった……
リットリオ「そうですね…さ、コーヒーは飲み終わりました?」
701:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/12/08(火) 20:13:36.04:bI5zaUi6O (1/1)
久しぶりにその1から読み直してたけどグレイ提督がだんだん金髪ギブソンタックの某妖怪紅茶格言ババアの声でされるようになってしまった...
久しぶりにその1から読み直してたけどグレイ提督がだんだん金髪ギブソンタックの某妖怪紅茶格言ババアの声でされるようになってしまった...
702: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/11(金) 03:29:59.34:dfwfGMK00 (1/1)
>>701 振り返ってみるとあちこちに誤記や設定の矛盾があって恥ずかしい限りですが、読み返して感想まで下さる方がいて嬉しい限りです……最近色々と忙しく、更新が滞りがちなので、そうして読み返しながらお待ちいただければ幸いです
…あの髪型は「ギブソンタック」と言うのですね、知らなかったのでためになりました……それと「妖怪紅茶格言ババア」呼ばわりなどすると、家にパンジャンドラムが放り込まれたり、チャーチル歩兵直協戦車のゲテモノ派生型が突っ込んで来たりするかもしれませんよ…くわばらくわばら
……この後は「横須賀第二鎮守府」に戻った百合姫提督の様子でも書こうかと思っていますが、帝国海軍の艦にはなかなかエピソードも多いので、資料を読みつつどの艦をキャラクターとして使うか思案中です…個人的には松型駆逐艦や、普段はなかなか目立たない補助艦艇、護衛艦艇を中心に出して行きたい所存です……もし出して欲しい艦があれば、いつでもリクエストを下さいね
>>701 振り返ってみるとあちこちに誤記や設定の矛盾があって恥ずかしい限りですが、読み返して感想まで下さる方がいて嬉しい限りです……最近色々と忙しく、更新が滞りがちなので、そうして読み返しながらお待ちいただければ幸いです
…あの髪型は「ギブソンタック」と言うのですね、知らなかったのでためになりました……それと「妖怪紅茶格言ババア」呼ばわりなどすると、家にパンジャンドラムが放り込まれたり、チャーチル歩兵直協戦車のゲテモノ派生型が突っ込んで来たりするかもしれませんよ…くわばらくわばら
……この後は「横須賀第二鎮守府」に戻った百合姫提督の様子でも書こうかと思っていますが、帝国海軍の艦にはなかなかエピソードも多いので、資料を読みつつどの艦をキャラクターとして使うか思案中です…個人的には松型駆逐艦や、普段はなかなか目立たない補助艦艇、護衛艦艇を中心に出して行きたい所存です……もし出して欲しい艦があれば、いつでもリクエストを下さいね
703: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/12(土) 03:01:30.79:OMqTK5j60 (1/1)
リットリオ「…と言うわけで、なんだか面白そうな人でした♪」
提督「なるほどね……うーん……」
リットリオ「どうしました、提督?」
提督「いえ…その特徴をした男の人、どこかで見かけたことがある気がするのだけれど……あ!」こめかみに手を当てて考えていたが、ふいにすっとんきょうな声をあげた…
リットリオ「思い出しましたか?」
提督「ええ、まだ私がパリ駐在の海軍武官付連絡将校だったころよ…まだ駆け出しの中尉で、マリーとも知り合って間もない頃ね♪」
リットリオ「そのお話、ぜひ聞きたいです♪」
提督「それじゃあ立ち話もなんだし、食堂で話すとしましょうか♪」
…食堂…
提督「さてと…」何だかんだで非番の艦娘たちが良く集まってお茶とお菓子を楽しんだり、おしゃべりに興じている食堂……提督が座ると面白い話でも聞こうと、三々五々と集まってくる…
ライモン「あ、提督……お帰りなさい」さきほどまで当直で作戦室に詰めていたライモン……ずっとレーダー画面を見ていたせいか、しきりにまばたきしている…
提督「ええ、ただいま…はい、お土産♪」町の小さな菓子店で買ってきた、クッキーの小袋を渡した…
ライモン「ありがとうございます」
提督「ノン・ファ・ニエンテ(いいのよ)…大丈夫、みんなにも買ってきたわよ♪」
…小脇に抱えていた大きな紙袋をがさごそと開けて、チョコレートやアーモンド入りのクッキー、小さなピスタチオ入りケーキを取り出して大皿に並べる提督……ほとんどは買ったものだが、お菓子屋の主人であるほっそりしたおじさんと、その奥さんである愛想のいいおばさんは「お得意様」である鎮守府に、欠けたり割れたりした焼菓子や、少し崩れたムースやら飾りのサクランボが取れたカンノーロやらををたくさんおまけしてくれた…
カルロ・ミラベロ「ふふ、ありがとう…でも、私はもっと甘いものが食べたいの♪」
アウグスト・リボティ「そう…舐めるとあまーい蜜がいっぱい滴ってくるような……ね?」ねちっこい妖しい手つきで提督にまとわりつく二人…
提督「ふふっ、それは夜のお愉しみに取っておきましょうね……♪」
エリトレア「はいはーい、みなさーん♪ お茶を淹れましたから、飲みたい方は自分で注いで下さいねっ♪」
提督「ふふ、ちょうどタイミングね…それじゃあ……」
ライモン「提督のはわたしが持ってきますから、どうぞ座っていて下さい」
提督「あら、ありがとう……ちゅっ♪」
ライモン「も、もうっ…///」
提督「…さてと、リットリオたちが会ったっていう男の人だけれど……」みんなにリットリオの話のあらましを伝えると、紅茶を一口すすってから続けた…
………
…十年ほど前・パリ…
カンピオーニ中尉(提督)「ふぅ……まったく」
エクレール中尉(エクレール提督)「…そういうこともありますわ」
提督「そうは言ってもね……「ブリエンヌ館」(フランス防衛省…パリ七区)に行けば書類を渡す相手がいるって言われたのに、行き違いで「オテル(ホテル)・ドゥ・ラ・マリーヌ」(フランス海軍参謀本部…パリ八区)に行かなきゃいけないなんて…まったく」
エクレール提督「まぁ、でも良いではありませんの…パリ七区に八区と言えば「オテル・ドゥ・ザンヴァリッド(アンヴァリッド…廃兵院。古くは傷病兵の施設だった。軍事博物館(ミュゼー・ドゥ・ラルメー)が併設されており、ナポレオン・ボナパルトの棺もある)」に「コンコルド広場」「オルセー美術館」「グラン・パレ(パリ万博会場で現在は展示場兼美術館)」…他にもあまたの名所旧跡のある世界遺産ですもの。書類を渡し終えたら、わたくしが案内して差し上げますわ♪」
…セーヌ川を挟んで向かい合わせの位置にあり、どちらも高級商業地区と官庁街であるパリ七区と八区……ルノーやシトロエンが行き交う橋の歩道を連れだって歩きながら、自慢げに言うエクレール提督…
提督「世界遺産だって言うのならローマだってそうよ……それにプロヴァンス娘の貴女にパリの案内が出来るのかしら♪」
エクレール提督「この、言わせておけば…!」
提督「ふふっ、冗談よ」
エクレール提督「…世の中には言って良いことと悪いことと言うものがありますわ」
提督「悪かったわ……代わりに今夜はたくさん愛してあげるから…ね?」
エクレール提督「こ、こんな所でそういうことを言うものではありませんわ…っ///」
提督「ふふっ、それじゃあカフェでお茶でもごちそうしてあげる…♪」
リットリオ「…と言うわけで、なんだか面白そうな人でした♪」
提督「なるほどね……うーん……」
リットリオ「どうしました、提督?」
提督「いえ…その特徴をした男の人、どこかで見かけたことがある気がするのだけれど……あ!」こめかみに手を当てて考えていたが、ふいにすっとんきょうな声をあげた…
リットリオ「思い出しましたか?」
提督「ええ、まだ私がパリ駐在の海軍武官付連絡将校だったころよ…まだ駆け出しの中尉で、マリーとも知り合って間もない頃ね♪」
リットリオ「そのお話、ぜひ聞きたいです♪」
提督「それじゃあ立ち話もなんだし、食堂で話すとしましょうか♪」
…食堂…
提督「さてと…」何だかんだで非番の艦娘たちが良く集まってお茶とお菓子を楽しんだり、おしゃべりに興じている食堂……提督が座ると面白い話でも聞こうと、三々五々と集まってくる…
ライモン「あ、提督……お帰りなさい」さきほどまで当直で作戦室に詰めていたライモン……ずっとレーダー画面を見ていたせいか、しきりにまばたきしている…
提督「ええ、ただいま…はい、お土産♪」町の小さな菓子店で買ってきた、クッキーの小袋を渡した…
ライモン「ありがとうございます」
提督「ノン・ファ・ニエンテ(いいのよ)…大丈夫、みんなにも買ってきたわよ♪」
…小脇に抱えていた大きな紙袋をがさごそと開けて、チョコレートやアーモンド入りのクッキー、小さなピスタチオ入りケーキを取り出して大皿に並べる提督……ほとんどは買ったものだが、お菓子屋の主人であるほっそりしたおじさんと、その奥さんである愛想のいいおばさんは「お得意様」である鎮守府に、欠けたり割れたりした焼菓子や、少し崩れたムースやら飾りのサクランボが取れたカンノーロやらををたくさんおまけしてくれた…
カルロ・ミラベロ「ふふ、ありがとう…でも、私はもっと甘いものが食べたいの♪」
アウグスト・リボティ「そう…舐めるとあまーい蜜がいっぱい滴ってくるような……ね?」ねちっこい妖しい手つきで提督にまとわりつく二人…
提督「ふふっ、それは夜のお愉しみに取っておきましょうね……♪」
エリトレア「はいはーい、みなさーん♪ お茶を淹れましたから、飲みたい方は自分で注いで下さいねっ♪」
提督「ふふ、ちょうどタイミングね…それじゃあ……」
ライモン「提督のはわたしが持ってきますから、どうぞ座っていて下さい」
提督「あら、ありがとう……ちゅっ♪」
ライモン「も、もうっ…///」
提督「…さてと、リットリオたちが会ったっていう男の人だけれど……」みんなにリットリオの話のあらましを伝えると、紅茶を一口すすってから続けた…
………
…十年ほど前・パリ…
カンピオーニ中尉(提督)「ふぅ……まったく」
エクレール中尉(エクレール提督)「…そういうこともありますわ」
提督「そうは言ってもね……「ブリエンヌ館」(フランス防衛省…パリ七区)に行けば書類を渡す相手がいるって言われたのに、行き違いで「オテル(ホテル)・ドゥ・ラ・マリーヌ」(フランス海軍参謀本部…パリ八区)に行かなきゃいけないなんて…まったく」
エクレール提督「まぁ、でも良いではありませんの…パリ七区に八区と言えば「オテル・ドゥ・ザンヴァリッド(アンヴァリッド…廃兵院。古くは傷病兵の施設だった。軍事博物館(ミュゼー・ドゥ・ラルメー)が併設されており、ナポレオン・ボナパルトの棺もある)」に「コンコルド広場」「オルセー美術館」「グラン・パレ(パリ万博会場で現在は展示場兼美術館)」…他にもあまたの名所旧跡のある世界遺産ですもの。書類を渡し終えたら、わたくしが案内して差し上げますわ♪」
…セーヌ川を挟んで向かい合わせの位置にあり、どちらも高級商業地区と官庁街であるパリ七区と八区……ルノーやシトロエンが行き交う橋の歩道を連れだって歩きながら、自慢げに言うエクレール提督…
提督「世界遺産だって言うのならローマだってそうよ……それにプロヴァンス娘の貴女にパリの案内が出来るのかしら♪」
エクレール提督「この、言わせておけば…!」
提督「ふふっ、冗談よ」
エクレール提督「…世の中には言って良いことと悪いことと言うものがありますわ」
提督「悪かったわ……代わりに今夜はたくさん愛してあげるから…ね?」
エクレール提督「こ、こんな所でそういうことを言うものではありませんわ…っ///」
提督「ふふっ、それじゃあカフェでお茶でもごちそうしてあげる…♪」
704: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/13(日) 11:37:08.65:f+VetOaY0 (1/1)
提督「……これだけ種類があると目移りしそうね…マリーはどれにするの?」
エクレール提督「そうですわね…わたくしはクレープにいたしますわ」
提督「そう、それじゃあ私はエクレール(エクレア)にするわ♪」にっこりと微笑み、それからさりげなくウィンクを投げた…
エクレール提督「…ま、また貴女はそうやって……///」
提督「あら、いけない?」
エクレール提督「い、いけない事はありませんわ……奇をてらったところがないだけに、最もパティシエの腕前が試されるお菓子ですもの///」
提督「ふふっ…そうよね♪」
エクレール提督「…え、ええ///」
…数分後…
提督「あら、美味しい…中のクリームも甘すぎなくて、ちょうどいいわ」
エクレール提督「それはなによりですわ…まぁパリには美食という美食が集まっておりますもの♪」
提督「ええ…少なくともカトリーナ・ディ・メディチが教えてからはね」
(※カトリーナ・ディ・メディチ…フィレンツェの名門メディチ家の出身で、フランス国王アンリ二世の王妃。フランス名はカトリーヌ・ド・メディシス。政略結婚でフランスに嫁がされ、その際にイタリアのすぐれた文化が多くフランスに持ち込まれた)
エクレール提督「また貴女はそうやって…!」
提督「まぁまぁ…そうやってイライラしているとお肌に悪いわよ?」
エクレール提督「そうなったのは一体誰のせいだと…」
提督「さぁ?」
エクレール提督「…まったく///」
提督「ふふふっ…♪」提督が笑っていると、そばの席に二人の男が座った……片方は派手な赤いジャケットに黄色のワイシャツ、青いネクタイで、もう一人は目深にかぶった帽子にものすごいあごひげで、ひしゃげた吸いさしの煙草をくわえている…
ひげの男「…やれやれ、本当にあの女の言うことを信じるつもりなのか?」
派手な男「ああそうさ……それに今回のヤマはどデカいぜぇ♪」
ひげの男「あきれかえって物も言えねぇな…だいたい「とっつぁん」が目の色を変えて追っかけて来てるって言うのによ」
派手な男「うひひ、とっつぁんは熱心だからねぇ……っと、いけねぇ」そう言うと不意に提督たちの方に声をかけてきた…
派手な男「エクスキューゼ・モア(失礼)…お嬢さん方、ちょーっとその新聞を見せて欲しいんだけどなぁ?」エクレール提督が買って持っていた「ル・モンド」を指し示した…
エクレール提督「まぁ、別に構いませんけれど…いきなりなんですの?」
提督「まぁまぁ……さ、どうぞ?」
派手な男「メルスィ♪」
…軽く礼を述べて「ル・モンド」を受け取ると、二人は紙面を広げて顔を隠すように読み始めた……と、男が新聞を広げるか広げないかのうちに、ふにゃふにゃの茶色いトレンチコートに帽子の男が通りかかった…どうやら日本人らしいコートの男は、雰囲気いい態度といい、どこからどう見ても刑事にしか見えない…
刑事「くそぉ…奴め、逃げ足だけは天下一品だ……!」肩を怒らせ、どたどたと足音も荒く通りを走っていった…
派手な男「……ぬひひ♪」
ひげの男「ははははっ…♪」
派手な男「うひひひ……っと、新聞をどうも♪」
エクレール提督「ええ…」何が何やらといった表情で、細い眉をひそめているエクレール提督……
派手な男「…それじゃあ行くかい?」
ひげの男「おう、そうだな」
…二人の男は勘定をテーブルに置くと、ひょいと横の小路を曲がった……そしてエンジンをかける音が聞こえると、目の覚めるような黄色の「メルツェデス・ベンツSSK」に乗って出てきた…
提督「すごいわね…あれ、メルツェデスのSSKよ」
エクレール提督「確かにクラシックな車のようですけれど……そんなにすごい車なんですの?」
提督「ええ、世界に数百台とない名車よ…立派な車ですね」
派手な男「いやぁ、どうも……とにかく、さっきはありがとさん♪」邪気のないウィンクを投げると、エンジン音を響かせて走り去っていった…
エクレール提督「なんだか知りませんが、変わった方でしたわ……」そう言って丸められた「ル・モンド」を開くと、中に一輪のバラが仕込まれていた…
エクレール提督「まぁ…驚きましたわね」
提督「…なかなかお洒落なことをするわね、私も見習おうかしら♪」
提督「……これだけ種類があると目移りしそうね…マリーはどれにするの?」
エクレール提督「そうですわね…わたくしはクレープにいたしますわ」
提督「そう、それじゃあ私はエクレール(エクレア)にするわ♪」にっこりと微笑み、それからさりげなくウィンクを投げた…
エクレール提督「…ま、また貴女はそうやって……///」
提督「あら、いけない?」
エクレール提督「い、いけない事はありませんわ……奇をてらったところがないだけに、最もパティシエの腕前が試されるお菓子ですもの///」
提督「ふふっ…そうよね♪」
エクレール提督「…え、ええ///」
…数分後…
提督「あら、美味しい…中のクリームも甘すぎなくて、ちょうどいいわ」
エクレール提督「それはなによりですわ…まぁパリには美食という美食が集まっておりますもの♪」
提督「ええ…少なくともカトリーナ・ディ・メディチが教えてからはね」
(※カトリーナ・ディ・メディチ…フィレンツェの名門メディチ家の出身で、フランス国王アンリ二世の王妃。フランス名はカトリーヌ・ド・メディシス。政略結婚でフランスに嫁がされ、その際にイタリアのすぐれた文化が多くフランスに持ち込まれた)
エクレール提督「また貴女はそうやって…!」
提督「まぁまぁ…そうやってイライラしているとお肌に悪いわよ?」
エクレール提督「そうなったのは一体誰のせいだと…」
提督「さぁ?」
エクレール提督「…まったく///」
提督「ふふふっ…♪」提督が笑っていると、そばの席に二人の男が座った……片方は派手な赤いジャケットに黄色のワイシャツ、青いネクタイで、もう一人は目深にかぶった帽子にものすごいあごひげで、ひしゃげた吸いさしの煙草をくわえている…
ひげの男「…やれやれ、本当にあの女の言うことを信じるつもりなのか?」
派手な男「ああそうさ……それに今回のヤマはどデカいぜぇ♪」
ひげの男「あきれかえって物も言えねぇな…だいたい「とっつぁん」が目の色を変えて追っかけて来てるって言うのによ」
派手な男「うひひ、とっつぁんは熱心だからねぇ……っと、いけねぇ」そう言うと不意に提督たちの方に声をかけてきた…
派手な男「エクスキューゼ・モア(失礼)…お嬢さん方、ちょーっとその新聞を見せて欲しいんだけどなぁ?」エクレール提督が買って持っていた「ル・モンド」を指し示した…
エクレール提督「まぁ、別に構いませんけれど…いきなりなんですの?」
提督「まぁまぁ……さ、どうぞ?」
派手な男「メルスィ♪」
…軽く礼を述べて「ル・モンド」を受け取ると、二人は紙面を広げて顔を隠すように読み始めた……と、男が新聞を広げるか広げないかのうちに、ふにゃふにゃの茶色いトレンチコートに帽子の男が通りかかった…どうやら日本人らしいコートの男は、雰囲気いい態度といい、どこからどう見ても刑事にしか見えない…
刑事「くそぉ…奴め、逃げ足だけは天下一品だ……!」肩を怒らせ、どたどたと足音も荒く通りを走っていった…
派手な男「……ぬひひ♪」
ひげの男「ははははっ…♪」
派手な男「うひひひ……っと、新聞をどうも♪」
エクレール提督「ええ…」何が何やらといった表情で、細い眉をひそめているエクレール提督……
派手な男「…それじゃあ行くかい?」
ひげの男「おう、そうだな」
…二人の男は勘定をテーブルに置くと、ひょいと横の小路を曲がった……そしてエンジンをかける音が聞こえると、目の覚めるような黄色の「メルツェデス・ベンツSSK」に乗って出てきた…
提督「すごいわね…あれ、メルツェデスのSSKよ」
エクレール提督「確かにクラシックな車のようですけれど……そんなにすごい車なんですの?」
提督「ええ、世界に数百台とない名車よ…立派な車ですね」
派手な男「いやぁ、どうも……とにかく、さっきはありがとさん♪」邪気のないウィンクを投げると、エンジン音を響かせて走り去っていった…
エクレール提督「なんだか知りませんが、変わった方でしたわ……」そう言って丸められた「ル・モンド」を開くと、中に一輪のバラが仕込まれていた…
エクレール提督「まぁ…驚きましたわね」
提督「…なかなかお洒落なことをするわね、私も見習おうかしら♪」
705:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/12/18(金) 18:27:06.81:PNcM2sITO (1/1)
アバルトの850ベルリーナとはまたオシャレなイタリア車を... アバルトは元のフィアットの可愛さを残したままレーシーに仕上がってるので私も大好きです。私の愛車のアバルト1000もよく走る、よく曲がる、よく壊れるの3拍子ですが手を掛ければかけるほど愛情と愛着が沸きとても可愛いです。
アバルトの850ベルリーナとはまたオシャレなイタリア車を... アバルトは元のフィアットの可愛さを残したままレーシーに仕上がってるので私も大好きです。私の愛車のアバルト1000もよく走る、よく曲がる、よく壊れるの3拍子ですが手を掛ければかけるほど愛情と愛着が沸きとても可愛いです。
706: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/19(土) 00:26:07.47:yfdtbr+t0 (1/2)
>>705 まずはコメントありがとうございます、それにしてもアバルト1000に乗っておられるなんてお洒落ですね!
当初はセイチェント(フィアット600)やフィアット127、あるいはいっそスポーティでとても格好いい「ランチア・アウレリア・スパイダー」にしようかとも考えていましたが、ディアナがお買い物にも使えて、なおかつスピードの出る一台を選ぶなら……と考えて850にしてみました。小さい丸っこい見た目でよく走る、イタリアの街角に似合いの一台といったイメージですね
…イタリア車というと、一時期は工員がライン上の車でお昼を食べたり休憩したりして「弁当がオマケについてくる」なんて言われたこともあったそうですが……メンテナンスフリーといった感じの日本車と違って「自分でメンテナンス出来る人が手をかけて楽しむ」イメージがありますね
>>705 まずはコメントありがとうございます、それにしてもアバルト1000に乗っておられるなんてお洒落ですね!
当初はセイチェント(フィアット600)やフィアット127、あるいはいっそスポーティでとても格好いい「ランチア・アウレリア・スパイダー」にしようかとも考えていましたが、ディアナがお買い物にも使えて、なおかつスピードの出る一台を選ぶなら……と考えて850にしてみました。小さい丸っこい見た目でよく走る、イタリアの街角に似合いの一台といったイメージですね
…イタリア車というと、一時期は工員がライン上の車でお昼を食べたり休憩したりして「弁当がオマケについてくる」なんて言われたこともあったそうですが……メンテナンスフリーといった感じの日本車と違って「自分でメンテナンス出来る人が手をかけて楽しむ」イメージがありますね
707: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/19(土) 01:24:01.28:yfdtbr+t0 (2/2)
………
…
提督「…って言うことがあったから、たぶん同じ人じゃないかしら?」
リットリオ「きっとそうですね♪」
提督「ね……って、あら」首から提げている携帯電話が「ヴーッ、ヴーッ…!」とうなりだした……
ライモン「電話ですね…どなたでしょうか?」
提督「えぇと…あ、姫からだわ♪」嬉しそうにいそいそと電話を取る提督…
提督「…もしもし、姫?」
百合姫提督の声「ええ、フランカ……電話をするのが遅くなっちゃってごめんなさい、本当は成田に着いたらすぐに連絡したかったのだけれど…この数日はちょっとバタバタしていたものだから……それにこっちが忙しくない時間にかけようとすると、そっちは時差で夜中になっちゃうし…ごめんなさいね?」
提督「ノン・ファ・ニエンテ(いいのよ)…それより、姫の声が聞けて嬉しいわ……まるで天上の音楽みたいね♪」
百合姫提督「も、もう…またそうやって……///」
提督「ふふふっ…ところで、そっちはどう?」
百合姫提督「そうね。みんながよく留守をしていてくれたおかげで、問題はあまりなかったわ」
提督「それはなによりね…良かったら横須賀に戻ったときの話を聞かせてくれる?」
百合姫提督「ええ、でも長話になってしまいそうだけれど……大丈夫?」
提督「構わないわ…姫の方こそ国際電話でしょう? 主計部か何かに「通話料が高い」とか何とか、ねちねち言われたりしない?」
百合姫提督「そうねぇ、それは一応大丈夫だと思うわ……」
提督「そう、それなら安心ね♪ それじゃあ、そっちの話を聞かせて?」
百合姫提督「ええ、今話すわね……」
…数日前・成田空港第一ターミナル…
足柄「ふぅぅ…やっと着いたわね」
百合姫提督「疲れた?」
足柄「まさか……もっとも、まだ飛行機の旅は慣れないわね」
龍田「そうねぇ…お日様が後から着いてきたりとか、夕焼けからお昼になったりとか……」
足柄「ね……面白いから見ていたかったんだけど、カーテンを閉めるように言われちゃって残念だったわ」
百合姫提督「確かに国際線の飛行機じゃないと出来ない体験だけれど、あれを見ていると時差ボケがひどくなるから……仕方ないわ」
足柄「そうらしいわね……それに機内食もなかなかだったわよ。とはいえ、タラントの食事に比べれば「月とすっぽん」ってところだけど…」
百合姫提督「ふふ、無理を言っちゃだめよ…何しろエコノミーだもの」
…今回の「交換プログラム」には百合姫提督の他に「横鎮(横須賀鎮守府)」からもう一人、そして「呉鎮(呉鎮守府)」「佐鎮(佐世保鎮守府)」「舞鎮(舞鶴鎮守府)」から二人ずつの都合八人と、その随行の艦娘たちがイタリアやイギリス、フランスへと派遣されていた……となると、ファーストクラスはおろかビジネスクラスでも予算がかかりすぎる……結局、エコノミークラスで少々疲れる飛行機の旅をすることになった百合姫提督たち…
足柄「まぁそうよね……いいわ、戻ったら好きなだけ寝ればいいんだものね」
百合姫提督「そういうこと……さ、行きましょうか」…PKO参加の部隊や国際貢献活動からの帰還と違って、大仰な「帰国式」だの「旗を振ってのお出迎え」だのといった物もないので、入国審査を済ませた後はむしろ気楽な気分で電車に乗り込んだ……
…電車内…
龍田「…ところで、提督」
百合姫提督「なぁに?」
龍田「結局鎮守府には列車で戻るの?」
百合姫提督「あぁ、そのことね……実はね、横須賀線だと遠回りになるから千葉港までうちの「十七メートル内火艇」が迎えに来てくれるって」
(※十七米内火艇…戦艦・一等巡洋艦(重巡)クラス搭載のモーターランチ。軽快で後部に甲板室を設けている事から「長官艇」としてもよく用いられた。速度およそ十五ノット)
足柄「それはありがたいわね」
百合姫提督「そうね…♪」
………
…
提督「…って言うことがあったから、たぶん同じ人じゃないかしら?」
リットリオ「きっとそうですね♪」
提督「ね……って、あら」首から提げている携帯電話が「ヴーッ、ヴーッ…!」とうなりだした……
ライモン「電話ですね…どなたでしょうか?」
提督「えぇと…あ、姫からだわ♪」嬉しそうにいそいそと電話を取る提督…
提督「…もしもし、姫?」
百合姫提督の声「ええ、フランカ……電話をするのが遅くなっちゃってごめんなさい、本当は成田に着いたらすぐに連絡したかったのだけれど…この数日はちょっとバタバタしていたものだから……それにこっちが忙しくない時間にかけようとすると、そっちは時差で夜中になっちゃうし…ごめんなさいね?」
提督「ノン・ファ・ニエンテ(いいのよ)…それより、姫の声が聞けて嬉しいわ……まるで天上の音楽みたいね♪」
百合姫提督「も、もう…またそうやって……///」
提督「ふふふっ…ところで、そっちはどう?」
百合姫提督「そうね。みんながよく留守をしていてくれたおかげで、問題はあまりなかったわ」
提督「それはなによりね…良かったら横須賀に戻ったときの話を聞かせてくれる?」
百合姫提督「ええ、でも長話になってしまいそうだけれど……大丈夫?」
提督「構わないわ…姫の方こそ国際電話でしょう? 主計部か何かに「通話料が高い」とか何とか、ねちねち言われたりしない?」
百合姫提督「そうねぇ、それは一応大丈夫だと思うわ……」
提督「そう、それなら安心ね♪ それじゃあ、そっちの話を聞かせて?」
百合姫提督「ええ、今話すわね……」
…数日前・成田空港第一ターミナル…
足柄「ふぅぅ…やっと着いたわね」
百合姫提督「疲れた?」
足柄「まさか……もっとも、まだ飛行機の旅は慣れないわね」
龍田「そうねぇ…お日様が後から着いてきたりとか、夕焼けからお昼になったりとか……」
足柄「ね……面白いから見ていたかったんだけど、カーテンを閉めるように言われちゃって残念だったわ」
百合姫提督「確かに国際線の飛行機じゃないと出来ない体験だけれど、あれを見ていると時差ボケがひどくなるから……仕方ないわ」
足柄「そうらしいわね……それに機内食もなかなかだったわよ。とはいえ、タラントの食事に比べれば「月とすっぽん」ってところだけど…」
百合姫提督「ふふ、無理を言っちゃだめよ…何しろエコノミーだもの」
…今回の「交換プログラム」には百合姫提督の他に「横鎮(横須賀鎮守府)」からもう一人、そして「呉鎮(呉鎮守府)」「佐鎮(佐世保鎮守府)」「舞鎮(舞鶴鎮守府)」から二人ずつの都合八人と、その随行の艦娘たちがイタリアやイギリス、フランスへと派遣されていた……となると、ファーストクラスはおろかビジネスクラスでも予算がかかりすぎる……結局、エコノミークラスで少々疲れる飛行機の旅をすることになった百合姫提督たち…
足柄「まぁそうよね……いいわ、戻ったら好きなだけ寝ればいいんだものね」
百合姫提督「そういうこと……さ、行きましょうか」…PKO参加の部隊や国際貢献活動からの帰還と違って、大仰な「帰国式」だの「旗を振ってのお出迎え」だのといった物もないので、入国審査を済ませた後はむしろ気楽な気分で電車に乗り込んだ……
…電車内…
龍田「…ところで、提督」
百合姫提督「なぁに?」
龍田「結局鎮守府には列車で戻るの?」
百合姫提督「あぁ、そのことね……実はね、横須賀線だと遠回りになるから千葉港までうちの「十七メートル内火艇」が迎えに来てくれるって」
(※十七米内火艇…戦艦・一等巡洋艦(重巡)クラス搭載のモーターランチ。軽快で後部に甲板室を設けている事から「長官艇」としてもよく用いられた。速度およそ十五ノット)
足柄「それはありがたいわね」
百合姫提督「そうね…♪」
708: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/20(日) 02:54:27.29:+uJOkREP0 (1/1)
…千葉駅…
百合姫提督「さてと、ようやく着いたわね」
足柄「着いちゃったわねぇ……それにしても、どうして今の日本はコンクリートとガラスの建物ばっかりで、しかも統一感がなくってごちゃごちゃしているのかしらね」駅のホームからを見える街の様子を眺めてため息をついた…
龍田「そうねぇ…それでいてお店はみんな似たようなチェーン店ばっかりだものね」
足柄「まったくよ…そりゃ向こうにもゴミが散らかっている場所だってあったし、スプレーの落書きがひどい場所なんかもあったわよ? でもこうやって戻ってきてあっちに比べると、どこの駅前もそっけないコンクリートとガラスのビルばっかりで嫌になるわ……我が国だって大正年間にはもっとこう…レンガと装飾のあるハイカラな建物があったじゃない」
百合姫提督「そうね、私もそんな時代を見てみたかったわ…確かにイタリアはすぐ水道が詰まったり、アパートには階段しかない…なんて不便なところもあったけれど……でも「ただ古い」だけじゃなくて、歴史を大事にした綺麗な建物が多かったわね」
足柄「ほんと、そういうところなのよね」
百合姫提督「そうね…」
龍田「……それはそうとして、千葉港まではどうやって行くのかしら?」
百合姫提督「あぁ、それならモノレールがあるから…それで行きましょう」
足柄「へぇ、モノレールってあのぶら下がったりまたがったりしてるやつでしょ?」
百合姫提督「ええ、そうよ」
足柄「私はまだ乗ったことないわ…面白そうね♪」
百合姫提督「ふふ、気に入ってくれるといいのだけれど……と、その前に」
足柄「なに?」
百合姫提督「せっかくだからここでお弁当でも買っていきましょうか……港に内火艇が来るまでもうしばらくかかるし」
龍田「それがいいわねぇ」
足柄「いいわね、もうお昼に近いし……言われてみればお腹も減ったわ」
百合姫提督「それじゃあ決まりね…♪」
…千葉都市モノレール…
足柄「うわ、思ってたよりもつなぎ目のところでガタガタ揺れるのね……しかも結構加速するし、ぶら下がってるから変な気分」
百合姫提督「…驚いた?」
足柄「そりゃあ私がフネの形で「産まれた」頃にはなかったもの…まぁ路面電車の方がロマンがあると思うけれど、眺めはこっちの方がいいわね」
百合姫提督「そうね…ちなみにここのモノレールは世界で一番長い「懸垂式」のモノレールなんですって」
足柄「へぇ、そうなの」
…しばらくして・千葉港…
足柄「……あぁ、いい風…青くって穏やかな地中海も良かったけど、やっぱりこっちの海の方が落ち着くわねぇ」
龍田「そうねぇ、風の匂いも波の音も……全てが懐かしいわぁ」
百合姫提督「ふふ…それじゃあ懐かしい海を見ながらお昼にしましょうか」
…港を望む「千葉ポートタワー」とその周辺に広がる公園……薫る海風を受け、周囲に広がる東京湾と沿岸の工業地帯を眺めるベンチに腰をかけた……百合姫提督が袋から取り出したのは千葉駅の名物「はまぐり飯」の駅弁で、大きな瀬戸物で出来たハマグリ型の入れ物を開けると、中には醤油で炊き込んだご飯に甘辛いハマグリのむき身が散りばめられたものが入っている…
(※はまぐり弁当…以前は千葉駅にある「万葉軒」の名物だったが、外房線・内房線を使った観光客が減ったためか今では販売されていない)
足柄「あら、美味しそうじゃない」
百合姫提督「それと、ついでにこれも…はい♪」串に刺して焼き、甘辛く味付けした焼き鳥のような「はまぐり串」を差し出した…
龍田「ふぅ……洋食も悪くはなかったけれど、やっぱりご飯と醤油の味は落ち着くわねぇ」
足柄「そう? 私はイタリヤ料理だって好きだけれど?」神戸生まれのハイカラさんで「スピットヘッド観艦式」への参加と欧州歴訪経験もある足柄らしく、少々得意げに言った…
龍田「相変わらずバタ臭いことを言っているわねぇ…」(※バタ臭い…バターの匂いをさせていることから転じて「ヨーロッパ風」あるいは「欧州かぶれ」のこと)
足柄「バタ臭いとは失礼ね」
百合姫提督「ふふふ、まぁまぁ……♪」
…千葉駅…
百合姫提督「さてと、ようやく着いたわね」
足柄「着いちゃったわねぇ……それにしても、どうして今の日本はコンクリートとガラスの建物ばっかりで、しかも統一感がなくってごちゃごちゃしているのかしらね」駅のホームからを見える街の様子を眺めてため息をついた…
龍田「そうねぇ…それでいてお店はみんな似たようなチェーン店ばっかりだものね」
足柄「まったくよ…そりゃ向こうにもゴミが散らかっている場所だってあったし、スプレーの落書きがひどい場所なんかもあったわよ? でもこうやって戻ってきてあっちに比べると、どこの駅前もそっけないコンクリートとガラスのビルばっかりで嫌になるわ……我が国だって大正年間にはもっとこう…レンガと装飾のあるハイカラな建物があったじゃない」
百合姫提督「そうね、私もそんな時代を見てみたかったわ…確かにイタリアはすぐ水道が詰まったり、アパートには階段しかない…なんて不便なところもあったけれど……でも「ただ古い」だけじゃなくて、歴史を大事にした綺麗な建物が多かったわね」
足柄「ほんと、そういうところなのよね」
百合姫提督「そうね…」
龍田「……それはそうとして、千葉港まではどうやって行くのかしら?」
百合姫提督「あぁ、それならモノレールがあるから…それで行きましょう」
足柄「へぇ、モノレールってあのぶら下がったりまたがったりしてるやつでしょ?」
百合姫提督「ええ、そうよ」
足柄「私はまだ乗ったことないわ…面白そうね♪」
百合姫提督「ふふ、気に入ってくれるといいのだけれど……と、その前に」
足柄「なに?」
百合姫提督「せっかくだからここでお弁当でも買っていきましょうか……港に内火艇が来るまでもうしばらくかかるし」
龍田「それがいいわねぇ」
足柄「いいわね、もうお昼に近いし……言われてみればお腹も減ったわ」
百合姫提督「それじゃあ決まりね…♪」
…千葉都市モノレール…
足柄「うわ、思ってたよりもつなぎ目のところでガタガタ揺れるのね……しかも結構加速するし、ぶら下がってるから変な気分」
百合姫提督「…驚いた?」
足柄「そりゃあ私がフネの形で「産まれた」頃にはなかったもの…まぁ路面電車の方がロマンがあると思うけれど、眺めはこっちの方がいいわね」
百合姫提督「そうね…ちなみにここのモノレールは世界で一番長い「懸垂式」のモノレールなんですって」
足柄「へぇ、そうなの」
…しばらくして・千葉港…
足柄「……あぁ、いい風…青くって穏やかな地中海も良かったけど、やっぱりこっちの海の方が落ち着くわねぇ」
龍田「そうねぇ、風の匂いも波の音も……全てが懐かしいわぁ」
百合姫提督「ふふ…それじゃあ懐かしい海を見ながらお昼にしましょうか」
…港を望む「千葉ポートタワー」とその周辺に広がる公園……薫る海風を受け、周囲に広がる東京湾と沿岸の工業地帯を眺めるベンチに腰をかけた……百合姫提督が袋から取り出したのは千葉駅の名物「はまぐり飯」の駅弁で、大きな瀬戸物で出来たハマグリ型の入れ物を開けると、中には醤油で炊き込んだご飯に甘辛いハマグリのむき身が散りばめられたものが入っている…
(※はまぐり弁当…以前は千葉駅にある「万葉軒」の名物だったが、外房線・内房線を使った観光客が減ったためか今では販売されていない)
足柄「あら、美味しそうじゃない」
百合姫提督「それと、ついでにこれも…はい♪」串に刺して焼き、甘辛く味付けした焼き鳥のような「はまぐり串」を差し出した…
龍田「ふぅ……洋食も悪くはなかったけれど、やっぱりご飯と醤油の味は落ち着くわねぇ」
足柄「そう? 私はイタリヤ料理だって好きだけれど?」神戸生まれのハイカラさんで「スピットヘッド観艦式」への参加と欧州歴訪経験もある足柄らしく、少々得意げに言った…
龍田「相変わらずバタ臭いことを言っているわねぇ…」(※バタ臭い…バターの匂いをさせていることから転じて「ヨーロッパ風」あるいは「欧州かぶれ」のこと)
足柄「バタ臭いとは失礼ね」
百合姫提督「ふふふ、まぁまぁ……♪」
709: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/24(木) 01:34:26.33:II9EerSm0 (1/1)
…数十分後…
足柄「あれ、うちの内火艇じゃない?」
龍田「間違いないわねぇ……」
百合姫提督「そう、それじゃあ行きましょうか…♪」
…いつもは東京湾クルーズの遊覧船が舫って(もやって)いる客船用の桟橋に近寄ってきた十七メートル内火艇は、桟橋の近くまで来ると逆進をかけて行き脚を止め、ピタリと桟橋に寄せた……そこからさっと降りて提督たちに敬礼する、きりりとした雰囲気の艦娘…
百合姫提督「ご苦労様……わざわざ迎えに来てくれて、どうもありがとう」答礼をすると手を下ろし、それからやさしい微笑を浮かべた…
長身の艦娘「構いません、提督……私が一番にお迎えできて嬉しい限りです♪」
龍田「…相変わらず眩しいわねぇ」
足柄「ええ……まるで帝劇か宝塚のスタアみたいよね」
艦娘「ふっ、そう言われると照れるね……お帰り、足柄、龍田…イタリーは楽しかったかな?」
足柄「相変わらずいいところだったわよ…長門」順番に内火艇へと乗り込みながら返事をした…
長門(長門型戦艦一番艦)「それは何よりだね、まぁつもる話は後で聞くとしようか……さぁ、どうぞお乗りください、提督」内火艇から渡された道板を歩く百合姫提督にさっと手を差しだし、きりりとした凜々しい表情を向けた…
百合姫提督「ええ、ありがとう…///」
…東京湾…
足柄「あー、あれは「高栄丸」ね……また機雷敷設に行くのかしら、ご苦労なことね」元は貨物船ながら帝国海軍へと徴用され「特設敷設船」として機雷敷設を行っていた功労船…同時に無事に大戦を生き延びて長く活躍した幸運船でもある「高栄丸」がゆっくりと出港していく……
龍田「本当にねぇ…」
百合姫提督「……ところで長門、鎮守府はどう?」
長門「ほとんど問題ありません、提督…私と「比叡」のどちらが提督を迎えに行くかで少し押し問答がありましたが……」
百合姫提督「もう、長門ってば……」
長門「申し訳ありません…何しろ比叡が「お召し艦ならば私です」というので「いや…提督は司令官なのだから、そこは『連合艦隊旗艦』の私が行くべきでしょう?」と言ったら、最後は折れてくれました……しかしそのままでは面子が立たないだろうと思ったので、鎮守府での帰還式は比叡に任せました」
百合姫提督「そう、鎮守府での暮らしはお互い譲り合って…ね?」
長門「はい、心得ております」
百合姫提督「よろしい…♪」
足柄「…それで、鎮守府の様子はどう?」
長門「ふふ、そこは相変わらずと言った所かな……」
龍田「天龍姉さんはどうかしら?」
長門「相変わらずの暴れ者で困った限りさ…」そう言いながら龍田の頬に手を当てて、じっと目を見る…
龍田「…ちょっとぉ、止めてくれるかしらぁ?」
長門「おっと、済まないね…♪」
足柄「全く、このやり取りがあると帰ってきた気分になるわね……」
長門「ふふ、足柄もご苦労様……久しぶり会えて嬉しいよ」
足柄「…ちょっ、いいから止めてよ!」
長門「ああ、悪かったね…そうそう、妙高たちも元気で、足柄に会えるのを楽しみにしているよ」
足柄「それならよかったわ」
…数十分後…
足柄「あれ、うちの内火艇じゃない?」
龍田「間違いないわねぇ……」
百合姫提督「そう、それじゃあ行きましょうか…♪」
…いつもは東京湾クルーズの遊覧船が舫って(もやって)いる客船用の桟橋に近寄ってきた十七メートル内火艇は、桟橋の近くまで来ると逆進をかけて行き脚を止め、ピタリと桟橋に寄せた……そこからさっと降りて提督たちに敬礼する、きりりとした雰囲気の艦娘…
百合姫提督「ご苦労様……わざわざ迎えに来てくれて、どうもありがとう」答礼をすると手を下ろし、それからやさしい微笑を浮かべた…
長身の艦娘「構いません、提督……私が一番にお迎えできて嬉しい限りです♪」
龍田「…相変わらず眩しいわねぇ」
足柄「ええ……まるで帝劇か宝塚のスタアみたいよね」
艦娘「ふっ、そう言われると照れるね……お帰り、足柄、龍田…イタリーは楽しかったかな?」
足柄「相変わらずいいところだったわよ…長門」順番に内火艇へと乗り込みながら返事をした…
長門(長門型戦艦一番艦)「それは何よりだね、まぁつもる話は後で聞くとしようか……さぁ、どうぞお乗りください、提督」内火艇から渡された道板を歩く百合姫提督にさっと手を差しだし、きりりとした凜々しい表情を向けた…
百合姫提督「ええ、ありがとう…///」
…東京湾…
足柄「あー、あれは「高栄丸」ね……また機雷敷設に行くのかしら、ご苦労なことね」元は貨物船ながら帝国海軍へと徴用され「特設敷設船」として機雷敷設を行っていた功労船…同時に無事に大戦を生き延びて長く活躍した幸運船でもある「高栄丸」がゆっくりと出港していく……
龍田「本当にねぇ…」
百合姫提督「……ところで長門、鎮守府はどう?」
長門「ほとんど問題ありません、提督…私と「比叡」のどちらが提督を迎えに行くかで少し押し問答がありましたが……」
百合姫提督「もう、長門ってば……」
長門「申し訳ありません…何しろ比叡が「お召し艦ならば私です」というので「いや…提督は司令官なのだから、そこは『連合艦隊旗艦』の私が行くべきでしょう?」と言ったら、最後は折れてくれました……しかしそのままでは面子が立たないだろうと思ったので、鎮守府での帰還式は比叡に任せました」
百合姫提督「そう、鎮守府での暮らしはお互い譲り合って…ね?」
長門「はい、心得ております」
百合姫提督「よろしい…♪」
足柄「…それで、鎮守府の様子はどう?」
長門「ふふ、そこは相変わらずと言った所かな……」
龍田「天龍姉さんはどうかしら?」
長門「相変わらずの暴れ者で困った限りさ…」そう言いながら龍田の頬に手を当てて、じっと目を見る…
龍田「…ちょっとぉ、止めてくれるかしらぁ?」
長門「おっと、済まないね…♪」
足柄「全く、このやり取りがあると帰ってきた気分になるわね……」
長門「ふふ、足柄もご苦労様……久しぶり会えて嬉しいよ」
足柄「…ちょっ、いいから止めてよ!」
長門「ああ、悪かったね…そうそう、妙高たちも元気で、足柄に会えるのを楽しみにしているよ」
足柄「それならよかったわ」
710: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/25(金) 02:48:13.96:/SNzKGI00 (1/1)
…読んで下さっている皆様、メリークリスマス……どうか楽しいクリスマスを送れますように…
…きっとクリスマスは可愛い女の子が彼女さんとチャイナドレスでデートしたり、命感じたりするのでしょうね……ちなみに>1は25日のディナーにローストチキンを焼く予定です…
…読んで下さっている皆様、メリークリスマス……どうか楽しいクリスマスを送れますように…
…きっとクリスマスは可愛い女の子が彼女さんとチャイナドレスでデートしたり、命感じたりするのでしょうね……ちなみに>1は25日のディナーにローストチキンを焼く予定です…
711: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/26(土) 03:26:26.45:mqgdI8yL0 (1/1)
…横須賀第二鎮守府…
長門「そろそろ到着の頃合いだな…」
足柄「……はぁ、早く畳で休みたいわ」
長門「そうだろうね…さ、提督も準備のほどを……♪」
百合姫提督「え、ええ……ありがとう///」
龍田「そういうことをさらっとするんだものねぇ…」
…百合姫提督の預かる「横須賀第二鎮守府」は湾内の拡大された軍港エリアの一画にあり、沖には猿島、東側には記念館「三笠」の姿が見える……周囲の海面には通船や曳船が行き交い、何隻も停泊している各種の艦艇がかつての横須賀を想起させる…
百合姫提督「……帰ってきたわね」
足柄「そうね…ま、比叡が帰還式の音頭を取るってことはかしこまった制式の式があるんだろうから…しゃっきりしてよ?」
百合姫提督「ええ…♪」
長門「機関後進微速…機関停止!」
…将旗を掲げた内火艇が埠頭に着くと、陸(おか)にいた一人がもやい綱をクリートに結ぶ…道板が渡され、龍田、足柄、長門……そして百合姫提督が降りた所でさっと旭日旗と将旗が翻り、整列していた艦娘たちが一斉に敬礼する…同時にスピーカーから「君が代」と、続けて「軍艦」(軍艦マーチ)が流れる…
比叡(金剛型戦艦二番艦)「鎮守府司令官、帰投されました! …提督、どうぞご挨拶を」
百合姫提督「ええ…」ご丁寧にも倉庫から持ち出して来たらしいレッドカーペットを歩くと用意されているマイクスタンドの前に立ち、大小様々な姿をしている艦娘たちをさっと見渡した…
百合姫提督「……今回は「交換プログラム」によるイタリアへの派遣により、大いに研鑽を積み、また見聞を広めることが出来ました……その間、鎮守府の留守をよく守ってくれてありがとう」そう言って軽く頭を下げる…
百合姫提督「こうして無事に帰投することができ…そして皆が健勝であることをこの目で見ることが出来るのは大変に喜ばしいことです」
百合姫提督「……さて、明日からはまた本官が執務を行いますが、欧州で得た経験を持ってして…労苦を惜しまず、より一層この鎮守府の運営に励みたいと思う所存です。ぜひ、皆も協力を願います」挨拶が終わったことを示すべく、マイクスタンドから一歩下がる…
比叡「全体、敬礼っ! 解散っ!」
百合姫提督「……式の進行、ご苦労様」
比叡「いえ、こうした式はきちんと行わないといけませんから……ですが、ありがとうございます」
百合姫提督「どういたしまして。ところで……」そう言いかけたところで次々と艦娘たちが押し寄せ、たちまち取り囲まれた百合姫提督たち…
金剛「お帰りなさぁい……提督♪」
伊勢「提督の帰投を心よりお待ちしておりました」
飛龍「お帰りなさい、提督…みんな待ちくたびれていましたよ!」
妙高「足柄、お帰りなさい……会いたかったわよ」
足柄「ええ、私も…」
那智「足柄、戻ってきてくれて嬉しいわ…後で囲碁でも一局指しましょうか」
足柄「私は囲碁なんかよりチェスの方がいいわ……ハイカラだし」
羽黒「ふふ、まーた足柄の「ハイカラ病」が始まったわ…♪」
天龍「……お帰り、龍田」
龍田「ええ、ただいま」
電「提督、お帰りなさ…!」
百合姫提督「ただいま、いな……痛っ!」
電「あいたた……ぁ!」百合姫提督に挨拶をしようと「ととと…っ!」駆け寄ってきた電だったが、百合姫提督が振り向いた途端頭をぶつけた…
比叡「まったくもう、なにをやっているんです…っとと」ずっしりと重くかさばる赤い絨毯をきちんと丸めて片付けようとした比叡だったが、思わずたたらを踏む…
雪風「大丈夫ですか、比叡…よかったら私が代わりますよ」
比叡「大丈夫よ、大丈夫……雪風は身なりもちゃんとしていて偉いわね」
雪風「あ、ありがとうございます…///」
松「お帰りなさい、提督!」
竹「会いたかったわ!」
梅「うむ、待ちくたびれたぞえ」
百合姫提督「ありがとう、みんな……さぁ、立ち話もなんだから休憩室にでも行きましょう」
…横須賀第二鎮守府…
長門「そろそろ到着の頃合いだな…」
足柄「……はぁ、早く畳で休みたいわ」
長門「そうだろうね…さ、提督も準備のほどを……♪」
百合姫提督「え、ええ……ありがとう///」
龍田「そういうことをさらっとするんだものねぇ…」
…百合姫提督の預かる「横須賀第二鎮守府」は湾内の拡大された軍港エリアの一画にあり、沖には猿島、東側には記念館「三笠」の姿が見える……周囲の海面には通船や曳船が行き交い、何隻も停泊している各種の艦艇がかつての横須賀を想起させる…
百合姫提督「……帰ってきたわね」
足柄「そうね…ま、比叡が帰還式の音頭を取るってことはかしこまった制式の式があるんだろうから…しゃっきりしてよ?」
百合姫提督「ええ…♪」
長門「機関後進微速…機関停止!」
…将旗を掲げた内火艇が埠頭に着くと、陸(おか)にいた一人がもやい綱をクリートに結ぶ…道板が渡され、龍田、足柄、長門……そして百合姫提督が降りた所でさっと旭日旗と将旗が翻り、整列していた艦娘たちが一斉に敬礼する…同時にスピーカーから「君が代」と、続けて「軍艦」(軍艦マーチ)が流れる…
比叡(金剛型戦艦二番艦)「鎮守府司令官、帰投されました! …提督、どうぞご挨拶を」
百合姫提督「ええ…」ご丁寧にも倉庫から持ち出して来たらしいレッドカーペットを歩くと用意されているマイクスタンドの前に立ち、大小様々な姿をしている艦娘たちをさっと見渡した…
百合姫提督「……今回は「交換プログラム」によるイタリアへの派遣により、大いに研鑽を積み、また見聞を広めることが出来ました……その間、鎮守府の留守をよく守ってくれてありがとう」そう言って軽く頭を下げる…
百合姫提督「こうして無事に帰投することができ…そして皆が健勝であることをこの目で見ることが出来るのは大変に喜ばしいことです」
百合姫提督「……さて、明日からはまた本官が執務を行いますが、欧州で得た経験を持ってして…労苦を惜しまず、より一層この鎮守府の運営に励みたいと思う所存です。ぜひ、皆も協力を願います」挨拶が終わったことを示すべく、マイクスタンドから一歩下がる…
比叡「全体、敬礼っ! 解散っ!」
百合姫提督「……式の進行、ご苦労様」
比叡「いえ、こうした式はきちんと行わないといけませんから……ですが、ありがとうございます」
百合姫提督「どういたしまして。ところで……」そう言いかけたところで次々と艦娘たちが押し寄せ、たちまち取り囲まれた百合姫提督たち…
金剛「お帰りなさぁい……提督♪」
伊勢「提督の帰投を心よりお待ちしておりました」
飛龍「お帰りなさい、提督…みんな待ちくたびれていましたよ!」
妙高「足柄、お帰りなさい……会いたかったわよ」
足柄「ええ、私も…」
那智「足柄、戻ってきてくれて嬉しいわ…後で囲碁でも一局指しましょうか」
足柄「私は囲碁なんかよりチェスの方がいいわ……ハイカラだし」
羽黒「ふふ、まーた足柄の「ハイカラ病」が始まったわ…♪」
天龍「……お帰り、龍田」
龍田「ええ、ただいま」
電「提督、お帰りなさ…!」
百合姫提督「ただいま、いな……痛っ!」
電「あいたた……ぁ!」百合姫提督に挨拶をしようと「ととと…っ!」駆け寄ってきた電だったが、百合姫提督が振り向いた途端頭をぶつけた…
比叡「まったくもう、なにをやっているんです…っとと」ずっしりと重くかさばる赤い絨毯をきちんと丸めて片付けようとした比叡だったが、思わずたたらを踏む…
雪風「大丈夫ですか、比叡…よかったら私が代わりますよ」
比叡「大丈夫よ、大丈夫……雪風は身なりもちゃんとしていて偉いわね」
雪風「あ、ありがとうございます…///」
松「お帰りなさい、提督!」
竹「会いたかったわ!」
梅「うむ、待ちくたびれたぞえ」
百合姫提督「ありがとう、みんな……さぁ、立ち話もなんだから休憩室にでも行きましょう」
712: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/27(日) 03:14:15.85:iA+3r6mJ0 (1/1)
…休憩室…
百合姫提督「畳の部屋で緑茶とお茶請け……ふふ、何だかんだで落ち着くわ…♪」
龍田「何より靴を脱いでいられるのはありがたいわねぇ……スリッパや室内履きだとしても、室内で履物を履いていないといけないって言うのは落ち着かなかったものねぇ」
足柄「まぁ、気持ちは分かるわ……龍田、お煎餅を取ってちょうだい」
龍田「はいはい、どうぞ…♪」
百合姫提督「今日のお茶請けは「三原堂」の塩せんべいね……私は好きよ、これ」餅米の粒を残して薄く焼いてある塩せんべいは、独特のばりばりとした食感と香ばしい風味がしてとても美味しい……
足柄「でも何枚もないわね……もらっちゃっていいかしら?」
妙高「もちろんいいわ、だって海外派遣の間はお煎餅なんて食べられなかったでしょう?」
足柄「まぁね……最も、イタリヤじゃあ「カンノーリ」とか「ビスコッティ」みたいにハイカラで素敵なお菓子をうんと食べてきたけれど♪」
羽黒「じゃあいらない?」
足柄「まさか…せっかくなんだもの、いらないって事にはならないわよ」
妙高「そういうところは相変わらずね…♪」
扶桑「あらら……出遅れちゃいましたね。塩せんべいはもうおしまいですか?」
雪風「あ、ごめんなさい…最後の一枚は私が……半分食べます?」
扶桑「ありがとう、それじゃあ半分だけ……」
雪風「はい、おすそ分けです」
百合姫提督「……塩せんべいは無くなっちゃったけれど、他にも色々あるから…何か食べる?」
扶桑「そうですね…何がありますか?」
百合姫提督「えぇと…普通の厚焼き煎餅に「チーズアーモンド」と「柿の種」…それからこれは「七福神あられ」ね……」
赤城「あ、それは私が注文しておいたものです……良かったら皆さんもどうぞ」
…群馬の隠れた(?)お土産である「七福神あられ」…昔懐かしい感じがする四角い缶には、個包装されているあられがざらざらと入っている…一口大の軽い食感をした薄焼きあられはコミカルな七福神のイラストの描いてある袋に一枚ずつ入っていて、恵比寿様の「えび」や福禄寿の「しそ」…はたまた弁財天の「バター」や毘沙門天の「カレー」といった洋風な味もある…
榛名「…存外美味しいですよね、これ」赤城山、妙義山と並ぶ「上毛三山」の一つである榛名山が名前の由来だけに、群馬名物には目がない…
百合姫提督「それから甘いのは「ルマンド」に「バームロール」と……」
大淀「あ、そういえばそのお菓子は「新発田鎮」の提督からいただきました……提督がお戻りにならないうちに開けてしまうのもいかがかとは思いましたが、置いておいて悪くしてしまうといけないと思ったので…///」
(※お菓子メーカーの「ブルボン」や柿の種の「亀田製菓」はいずれも越後(新潟)にある。また山本五十六長官も同じく新潟の出身なので、艦隊と縁があるとも言える…?)
百合姫提督「ええ、分かっています……どうぞ、遠慮しないで?」
間宮「…皆さん、お茶のお代わりを淹れてきましたよ」
百合姫提督「あら、ありがとう……間宮も座って?」
間宮「ありがとうございます…それでは♪」
百合姫提督「……それで、留守中は何もなかった?」
大淀「そうですね…だいたいはいつも通りです」
百合姫提督「だいたいは…?」
大淀「はい。ですが何人かは…その…少々……」
百合姫提督「…その話は後で執務室に戻ってから聞くことにしましょう……留守中の執務、お疲れ様」言いづらそうに口ごもった大淀の様子と、艦娘たちのいつもの調子からだいたいの予想がついた百合姫提督……
大淀「いえ、そんな…///」
百合姫提督「みんなもよく協力してくれたみたいで嬉しいわ…改めてお礼を言わせてもらいます……」
百合姫提督「……どうもありがとう、みんな」背筋を伸ばして姿勢を正すと、丁寧に頭を下げた…
………
…
…休憩室…
百合姫提督「畳の部屋で緑茶とお茶請け……ふふ、何だかんだで落ち着くわ…♪」
龍田「何より靴を脱いでいられるのはありがたいわねぇ……スリッパや室内履きだとしても、室内で履物を履いていないといけないって言うのは落ち着かなかったものねぇ」
足柄「まぁ、気持ちは分かるわ……龍田、お煎餅を取ってちょうだい」
龍田「はいはい、どうぞ…♪」
百合姫提督「今日のお茶請けは「三原堂」の塩せんべいね……私は好きよ、これ」餅米の粒を残して薄く焼いてある塩せんべいは、独特のばりばりとした食感と香ばしい風味がしてとても美味しい……
足柄「でも何枚もないわね……もらっちゃっていいかしら?」
妙高「もちろんいいわ、だって海外派遣の間はお煎餅なんて食べられなかったでしょう?」
足柄「まぁね……最も、イタリヤじゃあ「カンノーリ」とか「ビスコッティ」みたいにハイカラで素敵なお菓子をうんと食べてきたけれど♪」
羽黒「じゃあいらない?」
足柄「まさか…せっかくなんだもの、いらないって事にはならないわよ」
妙高「そういうところは相変わらずね…♪」
扶桑「あらら……出遅れちゃいましたね。塩せんべいはもうおしまいですか?」
雪風「あ、ごめんなさい…最後の一枚は私が……半分食べます?」
扶桑「ありがとう、それじゃあ半分だけ……」
雪風「はい、おすそ分けです」
百合姫提督「……塩せんべいは無くなっちゃったけれど、他にも色々あるから…何か食べる?」
扶桑「そうですね…何がありますか?」
百合姫提督「えぇと…普通の厚焼き煎餅に「チーズアーモンド」と「柿の種」…それからこれは「七福神あられ」ね……」
赤城「あ、それは私が注文しておいたものです……良かったら皆さんもどうぞ」
…群馬の隠れた(?)お土産である「七福神あられ」…昔懐かしい感じがする四角い缶には、個包装されているあられがざらざらと入っている…一口大の軽い食感をした薄焼きあられはコミカルな七福神のイラストの描いてある袋に一枚ずつ入っていて、恵比寿様の「えび」や福禄寿の「しそ」…はたまた弁財天の「バター」や毘沙門天の「カレー」といった洋風な味もある…
榛名「…存外美味しいですよね、これ」赤城山、妙義山と並ぶ「上毛三山」の一つである榛名山が名前の由来だけに、群馬名物には目がない…
百合姫提督「それから甘いのは「ルマンド」に「バームロール」と……」
大淀「あ、そういえばそのお菓子は「新発田鎮」の提督からいただきました……提督がお戻りにならないうちに開けてしまうのもいかがかとは思いましたが、置いておいて悪くしてしまうといけないと思ったので…///」
(※お菓子メーカーの「ブルボン」や柿の種の「亀田製菓」はいずれも越後(新潟)にある。また山本五十六長官も同じく新潟の出身なので、艦隊と縁があるとも言える…?)
百合姫提督「ええ、分かっています……どうぞ、遠慮しないで?」
間宮「…皆さん、お茶のお代わりを淹れてきましたよ」
百合姫提督「あら、ありがとう……間宮も座って?」
間宮「ありがとうございます…それでは♪」
百合姫提督「……それで、留守中は何もなかった?」
大淀「そうですね…だいたいはいつも通りです」
百合姫提督「だいたいは…?」
大淀「はい。ですが何人かは…その…少々……」
百合姫提督「…その話は後で執務室に戻ってから聞くことにしましょう……留守中の執務、お疲れ様」言いづらそうに口ごもった大淀の様子と、艦娘たちのいつもの調子からだいたいの予想がついた百合姫提督……
大淀「いえ、そんな…///」
百合姫提督「みんなもよく協力してくれたみたいで嬉しいわ…改めてお礼を言わせてもらいます……」
百合姫提督「……どうもありがとう、みんな」背筋を伸ばして姿勢を正すと、丁寧に頭を下げた…
………
…
713: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/29(火) 01:07:27.41:4K2R67yb0 (1/2)
…しばらくして・執務室…
百合姫提督「…それで?」
大淀「は…みんなの陰口を言うようで、あまりいい気分ではありませんが……」
百合姫提督「もし問題が起きそうなら何か起きる前に収めなればいけないし、みんなが鎮守府で気持ちよく過ごせるために聞くだけだから……必要以上に口外もしません」
大淀「言われてみればそうでした。提督に限って軽々しくしゃべったりはしないですよね……」そこまで言いかけたところでふと口をつぐむと机の上のメモ帳を取って何か書き、それを百合姫提督に渡すと閉まっている扉の方を向いた…
百合姫提督「…」(「誰かが扉の外で聞き耳を立てています。忍び寄って取り押さえるので、何か話していてください」…ね)
大淀「……と言うわけでして、提督はどうお思いになられますか?」
百合姫提督「そうね…にわかには信じがたいことだけれど、そういうことがあったなら考え直さないといけないかもしれないわね……」
大淀「提督もそう思いますよね……そこにいるのは誰かっ!」
間宮「…っ!」
大淀「間宮?」
百合姫提督「……間宮、そんなところで一体どうしたの?」
間宮「えぇーと、その…実は、提督に何かお飲み物でもお持ちしようかと……」
大淀「…お茶ならもうありますが?」
間宮「あー、それはそうですが……そうそう、お茶請けに間宮特製の羊羹でもお持ちしましょうか…甘くって美味しいですよ♪」
大淀「…」
百合姫提督「…」
間宮「…」
百合姫提督「……間宮」
間宮「はい、提督」
百合姫提督「…本当は何をしていたの?」
間宮「……すみません。どうにも二人のお話が気になったものですから、少々聞き耳を…」
(※間宮には高性能の通信機器が装備されており、米軍の通信を探知・傍受するなど「情報収集艦」としての機能も有していた)
大淀「はぁ、まったく……どうしますか、提督?」
百合姫提督「そうねぇ…間宮」
間宮「は、はい…」
百合姫提督「…今から食堂に行って、私と大淀に羊羹を切ってきてもらえる?」
間宮「は、はい…すぐに行って参ります!」
大淀「……よろしいのですか?」
百合姫提督「ええ…間宮は速度が出ないから、行って帰ってくるまでにはしばらくかかるでしょう」(※間宮…最高速度14ノット)
大淀「なるほど」
百合姫提督「さぁ、それじゃあ今度こそ聞かせてもらえるわね?」
大淀「はい、まずは……」
………
…
…しばらくして・執務室…
百合姫提督「…それで?」
大淀「は…みんなの陰口を言うようで、あまりいい気分ではありませんが……」
百合姫提督「もし問題が起きそうなら何か起きる前に収めなればいけないし、みんなが鎮守府で気持ちよく過ごせるために聞くだけだから……必要以上に口外もしません」
大淀「言われてみればそうでした。提督に限って軽々しくしゃべったりはしないですよね……」そこまで言いかけたところでふと口をつぐむと机の上のメモ帳を取って何か書き、それを百合姫提督に渡すと閉まっている扉の方を向いた…
百合姫提督「…」(「誰かが扉の外で聞き耳を立てています。忍び寄って取り押さえるので、何か話していてください」…ね)
大淀「……と言うわけでして、提督はどうお思いになられますか?」
百合姫提督「そうね…にわかには信じがたいことだけれど、そういうことがあったなら考え直さないといけないかもしれないわね……」
大淀「提督もそう思いますよね……そこにいるのは誰かっ!」
間宮「…っ!」
大淀「間宮?」
百合姫提督「……間宮、そんなところで一体どうしたの?」
間宮「えぇーと、その…実は、提督に何かお飲み物でもお持ちしようかと……」
大淀「…お茶ならもうありますが?」
間宮「あー、それはそうですが……そうそう、お茶請けに間宮特製の羊羹でもお持ちしましょうか…甘くって美味しいですよ♪」
大淀「…」
百合姫提督「…」
間宮「…」
百合姫提督「……間宮」
間宮「はい、提督」
百合姫提督「…本当は何をしていたの?」
間宮「……すみません。どうにも二人のお話が気になったものですから、少々聞き耳を…」
(※間宮には高性能の通信機器が装備されており、米軍の通信を探知・傍受するなど「情報収集艦」としての機能も有していた)
大淀「はぁ、まったく……どうしますか、提督?」
百合姫提督「そうねぇ…間宮」
間宮「は、はい…」
百合姫提督「…今から食堂に行って、私と大淀に羊羹を切ってきてもらえる?」
間宮「は、はい…すぐに行って参ります!」
大淀「……よろしいのですか?」
百合姫提督「ええ…間宮は速度が出ないから、行って帰ってくるまでにはしばらくかかるでしょう」(※間宮…最高速度14ノット)
大淀「なるほど」
百合姫提督「さぁ、それじゃあ今度こそ聞かせてもらえるわね?」
大淀「はい、まずは……」
………
…
714: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/29(火) 02:54:20.89:4K2R67yb0 (2/2)
…数ヶ月前…
蒼龍「…提督がいないと寂しいわ」
飛龍「確かに…それに出撃もなくて、身体もなまっている感じ……」
龍驤「…それじゃあ一つ気晴らしに「演習」でもしますか」
鳳翔「あぁ、演習ですか…いいですね♪」
…しばらくして…
摂津(標的艦)「な、なぁ……うちのこと呼んだ…?」
鳳翔「はい、呼びましたよ…♪」
飛龍「呼んだよ……摂津おばあちゃん♪」
赤城「……ふふ、かつての戦艦がおどおどして……たまりませんね♪」
加賀「うんと逃げ回って、私たちを愉しませてくださいね……それと、貴女たちも♪」爛々とした目をして、ぺろりと舌なめずりする空母たち…
波勝(標的艦)「くふふっ…空母のお姉ちゃんたちってば、まーた私たちで「演習」したいんだ……本当にスキモノなんだから♪」
矢風(標的艦)「わ、私は……ほ、ほら、摂津が相手してくれるからいいでしょ?」
…稽古室に呼び出されたのはかつての戦艦、ワシントン条約の制限で「陸奥」建造の代償として標的艦にされた旧戦艦「摂津」と、その無線操縦を行う旧駆逐艦「矢風」…そしてより高速で駆逐艦に似た形状をした標的艦の「波勝(はかち)」…
摂津「あ、あんまり痛いのは堪忍してな…?」
龍驤「…っ///」
鳳翔「……もう、そんなことを言われると…♪」
飛龍「余計にたまらなくなっちゃう……♪」
摂津「…ひっ///」立派な身体をしている摂津だが、妙に嗜虐心をくすぐるオーラを放っている…
赤城「そう怖がらずに…さぁ、頭にこれを♪」
…そう言うと煙突から艦内に演習弾の弾片が飛び込まないようにする、そろばん玉のような形をしたファンネルキャップ(煙突カバー)…のようなかぶり物を身に付けさせた…
波勝「それじゃあ私も…と♪」小さい「波勝」は船体の上に隙間を空けて設けられた装甲に加え、上空から見た時のシルエットを大きくする「幕的(まくてき)」という折りたたみの布がついている……それを広げると、まるで演歌歌手が派手なパフォーマンスをしているように見える…
矢風「私は大丈夫だよね……」それでも一応かぶり物と、摂津を「操る」リモコンを手にしている…
飛龍「それじゃあ始めようか……そーら、捕まえちゃうぞ!」
摂津「いややぁ…止めて、堪忍して…ぇ///」
鳳翔「あぁ、その表情っ……ほぉら、そんな鈍足では逃げ切れませんよぉ♪」
矢風「ほら、もっと捕まらないように頑張ってよ……早く、取り舵いっぱーい!」着物の裾やたわわな胸元をはだけさせ、よろよろと逃げ回る摂津……そしてそれを「操り」ながら、自分は巻き込まれないようにしている矢風…
摂津「は、はひっ…♪」
波勝「加賀さんこちら、てーの鳴る方へ……っと♪」一方、赤城、加賀、蒼龍、飛龍の四人を相手に幕的をひらひらとひらめかせ、ちょこまかと動き回る波勝……
加賀「ふふ、捕まえたらうんとお仕置きです…逃がしませんよ♪」
波勝「ひゃあ…っ///」
赤城「ほぉーら、つーかまえーた……この、このっ♪」パシッ、ピシャン…ッ♪
波勝「あひっ、ひゃあんっ…♪」
鳳翔・龍驤「「捕まえた♪」」
摂津「なぁ龍驤、鳳翔……お願いやから堪忍してぇなぁ…♪」
鳳翔「あら、戦艦は艦砲にも耐えられるはずでしょう……こんな…三号演習爆弾程度では……効かないんじゃありませんか?」バチンッ、ピシン…ッ♪
…鳳翔と龍驤は大柄でぽっちゃりした摂津を捕まえると四つん這いにさせて着物の裾をめくると、代わる代わるむっちりしたお尻へと平手を加える…
摂津「あぁん……っ///」
龍驤「いいよ、たまらない……はい、鳳翔の番♪」バチンッ、ビシッ…♪
鳳翔「はいっ……あぁ、かつての戦艦をこんな風に踏みつけにしていると思うと……ぞくぞくしてきます…っ♪」ぐりぐり…っ♪
摂津「はぁぁん…っ♪」足袋を履いた鳳翔に頭を踏みつけられ、また龍驤にお尻を叩かれながら畳の上で喘いでいる摂津……
…数ヶ月前…
蒼龍「…提督がいないと寂しいわ」
飛龍「確かに…それに出撃もなくて、身体もなまっている感じ……」
龍驤「…それじゃあ一つ気晴らしに「演習」でもしますか」
鳳翔「あぁ、演習ですか…いいですね♪」
…しばらくして…
摂津(標的艦)「な、なぁ……うちのこと呼んだ…?」
鳳翔「はい、呼びましたよ…♪」
飛龍「呼んだよ……摂津おばあちゃん♪」
赤城「……ふふ、かつての戦艦がおどおどして……たまりませんね♪」
加賀「うんと逃げ回って、私たちを愉しませてくださいね……それと、貴女たちも♪」爛々とした目をして、ぺろりと舌なめずりする空母たち…
波勝(標的艦)「くふふっ…空母のお姉ちゃんたちってば、まーた私たちで「演習」したいんだ……本当にスキモノなんだから♪」
矢風(標的艦)「わ、私は……ほ、ほら、摂津が相手してくれるからいいでしょ?」
…稽古室に呼び出されたのはかつての戦艦、ワシントン条約の制限で「陸奥」建造の代償として標的艦にされた旧戦艦「摂津」と、その無線操縦を行う旧駆逐艦「矢風」…そしてより高速で駆逐艦に似た形状をした標的艦の「波勝(はかち)」…
摂津「あ、あんまり痛いのは堪忍してな…?」
龍驤「…っ///」
鳳翔「……もう、そんなことを言われると…♪」
飛龍「余計にたまらなくなっちゃう……♪」
摂津「…ひっ///」立派な身体をしている摂津だが、妙に嗜虐心をくすぐるオーラを放っている…
赤城「そう怖がらずに…さぁ、頭にこれを♪」
…そう言うと煙突から艦内に演習弾の弾片が飛び込まないようにする、そろばん玉のような形をしたファンネルキャップ(煙突カバー)…のようなかぶり物を身に付けさせた…
波勝「それじゃあ私も…と♪」小さい「波勝」は船体の上に隙間を空けて設けられた装甲に加え、上空から見た時のシルエットを大きくする「幕的(まくてき)」という折りたたみの布がついている……それを広げると、まるで演歌歌手が派手なパフォーマンスをしているように見える…
矢風「私は大丈夫だよね……」それでも一応かぶり物と、摂津を「操る」リモコンを手にしている…
飛龍「それじゃあ始めようか……そーら、捕まえちゃうぞ!」
摂津「いややぁ…止めて、堪忍して…ぇ///」
鳳翔「あぁ、その表情っ……ほぉら、そんな鈍足では逃げ切れませんよぉ♪」
矢風「ほら、もっと捕まらないように頑張ってよ……早く、取り舵いっぱーい!」着物の裾やたわわな胸元をはだけさせ、よろよろと逃げ回る摂津……そしてそれを「操り」ながら、自分は巻き込まれないようにしている矢風…
摂津「は、はひっ…♪」
波勝「加賀さんこちら、てーの鳴る方へ……っと♪」一方、赤城、加賀、蒼龍、飛龍の四人を相手に幕的をひらひらとひらめかせ、ちょこまかと動き回る波勝……
加賀「ふふ、捕まえたらうんとお仕置きです…逃がしませんよ♪」
波勝「ひゃあ…っ///」
赤城「ほぉーら、つーかまえーた……この、このっ♪」パシッ、ピシャン…ッ♪
波勝「あひっ、ひゃあんっ…♪」
鳳翔・龍驤「「捕まえた♪」」
摂津「なぁ龍驤、鳳翔……お願いやから堪忍してぇなぁ…♪」
鳳翔「あら、戦艦は艦砲にも耐えられるはずでしょう……こんな…三号演習爆弾程度では……効かないんじゃありませんか?」バチンッ、ピシン…ッ♪
…鳳翔と龍驤は大柄でぽっちゃりした摂津を捕まえると四つん這いにさせて着物の裾をめくると、代わる代わるむっちりしたお尻へと平手を加える…
摂津「あぁん……っ///」
龍驤「いいよ、たまらない……はい、鳳翔の番♪」バチンッ、ビシッ…♪
鳳翔「はいっ……あぁ、かつての戦艦をこんな風に踏みつけにしていると思うと……ぞくぞくしてきます…っ♪」ぐりぐり…っ♪
摂津「はぁぁん…っ♪」足袋を履いた鳳翔に頭を踏みつけられ、また龍驤にお尻を叩かれながら畳の上で喘いでいる摂津……
715: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/31(木) 03:01:55.16:FlOthHET0 (1/2)
赤城「ふぅぅ、ふぅ…っ♪」ぬちゅっ、ぬる…っ♪
加賀「あぁ……んくっ♪」くちゅっ…ぬちゅっ♪
波勝「はひぃ、あひぃぃっ……♪」じゅぷじゅぷっ……とぽ…っ♪
飛龍「んっ、んんぅぅっ……はぁ、はぁ…でも、まだ終わりじゃないでしょ……攻撃するなら徹底的に叩かないと、ね♪」
蒼龍「ん、飛龍の言うとおり…♪」
波勝「あへぇぇ……ぜぇぇ、はぁ……♪」
飛龍「あー、でも波勝はすっかりイっちゃって息切れか……なら♪」じゅるっ…と舌なめずりをして「矢風」を見た…
矢風「えっ、ちょっと待って……ほ、ほら…私は摂津の操作をするだけで「実艦的」じゃ……」
赤城「…それは以前の話ですよ…ね♪」
加賀「ふふ、貴女だってちゃんと「実艦的」改装を受けているでしょう……大丈夫、耐えられる程度にしてあげるから…♪」
矢風「いや、でもほら……」
鳳翔「……ふふ、摂津はあっさり捕捉できてしまって少々物足りないですから♪」
龍驤「そういうこと…もう息も上がってるし♪」
摂津「はへぇ…はひぃぃ……♪」鳳翔たちがほどよく手心を加えたビンタの跡が残る大きなヒップをさらし、唾液と愛蜜にまみれた状態で畳に崩れ落ちている……
飛龍「と言うわけで…第二次攻撃の要ありと認めます♪」
赤城「そうですね、普段ならもう満足なのですが……」
加賀「今日は少し物足りないので……賛成です♪」
矢風「…ひっ!」
鳳翔「怖がらなくても大丈夫ですよ、ちゃんと手加減してあげますから…ね♪」腰が引けている矢風をねっとりとした目つきで、舐め回すように眺めた…
飛龍「そぉら、お姉ちゃんたちに捕まらないように逃げ回ってごらん…♪」
蒼龍「捕まったら食べられちゃうぞ…ぉ♪」
矢風「わ、私までさせられるなんて聞いてない……いやぁぁ…っ///」
………
大淀「…とまぁ、出撃がなく身体をもてあましていた空母勢はこのような具合でして」
百合姫提督「……そ、そう///」
大淀「それから……」
百合姫提督「まだあるの…?」
大淀「ええ、もっともこちらは違う方に……」
………
…
…別の日…
大淀「はぁ、書類仕事をするといつもこうなんですから…」紙に付いていた手の小指側の部分がすっかり黒くなってしまい、それを洗いに来た大淀…
大淀「お腹も減ったことですし、間宮のお昼が楽しみですね……あら?」洗面台で手を洗っている一人の艦娘…
電「あ、大淀さん」
大淀「どうしたの、電……もうお昼ですよ? 手を洗うのはいいけれど、早く行かないと」
電「はい。でもおかしいんです、いくら洗っても汚れが落ちなくて……石鹸が悪いんでしょうか?」
大淀「え…?」
電「ほら、私の手……赤茶けた染みが見えますよね…?」そういって差し出した両手は白く綺麗で、汚れ一つ付いていない…
大淀「…」
電「そういえばこの間、執務室にお邪魔したとき提督がいらっしゃらなくて…どうしてかなって思ったら……提督のお名前は「深雪」なんですよね……だから私の代わりにいなくなっちゃったんでしょうか?」
大淀「い、電……」
赤城「ふぅぅ、ふぅ…っ♪」ぬちゅっ、ぬる…っ♪
加賀「あぁ……んくっ♪」くちゅっ…ぬちゅっ♪
波勝「はひぃ、あひぃぃっ……♪」じゅぷじゅぷっ……とぽ…っ♪
飛龍「んっ、んんぅぅっ……はぁ、はぁ…でも、まだ終わりじゃないでしょ……攻撃するなら徹底的に叩かないと、ね♪」
蒼龍「ん、飛龍の言うとおり…♪」
波勝「あへぇぇ……ぜぇぇ、はぁ……♪」
飛龍「あー、でも波勝はすっかりイっちゃって息切れか……なら♪」じゅるっ…と舌なめずりをして「矢風」を見た…
矢風「えっ、ちょっと待って……ほ、ほら…私は摂津の操作をするだけで「実艦的」じゃ……」
赤城「…それは以前の話ですよ…ね♪」
加賀「ふふ、貴女だってちゃんと「実艦的」改装を受けているでしょう……大丈夫、耐えられる程度にしてあげるから…♪」
矢風「いや、でもほら……」
鳳翔「……ふふ、摂津はあっさり捕捉できてしまって少々物足りないですから♪」
龍驤「そういうこと…もう息も上がってるし♪」
摂津「はへぇ…はひぃぃ……♪」鳳翔たちがほどよく手心を加えたビンタの跡が残る大きなヒップをさらし、唾液と愛蜜にまみれた状態で畳に崩れ落ちている……
飛龍「と言うわけで…第二次攻撃の要ありと認めます♪」
赤城「そうですね、普段ならもう満足なのですが……」
加賀「今日は少し物足りないので……賛成です♪」
矢風「…ひっ!」
鳳翔「怖がらなくても大丈夫ですよ、ちゃんと手加減してあげますから…ね♪」腰が引けている矢風をねっとりとした目つきで、舐め回すように眺めた…
飛龍「そぉら、お姉ちゃんたちに捕まらないように逃げ回ってごらん…♪」
蒼龍「捕まったら食べられちゃうぞ…ぉ♪」
矢風「わ、私までさせられるなんて聞いてない……いやぁぁ…っ///」
………
大淀「…とまぁ、出撃がなく身体をもてあましていた空母勢はこのような具合でして」
百合姫提督「……そ、そう///」
大淀「それから……」
百合姫提督「まだあるの…?」
大淀「ええ、もっともこちらは違う方に……」
………
…
…別の日…
大淀「はぁ、書類仕事をするといつもこうなんですから…」紙に付いていた手の小指側の部分がすっかり黒くなってしまい、それを洗いに来た大淀…
大淀「お腹も減ったことですし、間宮のお昼が楽しみですね……あら?」洗面台で手を洗っている一人の艦娘…
電「あ、大淀さん」
大淀「どうしたの、電……もうお昼ですよ? 手を洗うのはいいけれど、早く行かないと」
電「はい。でもおかしいんです、いくら洗っても汚れが落ちなくて……石鹸が悪いんでしょうか?」
大淀「え…?」
電「ほら、私の手……赤茶けた染みが見えますよね…?」そういって差し出した両手は白く綺麗で、汚れ一つ付いていない…
大淀「…」
電「そういえばこの間、執務室にお邪魔したとき提督がいらっしゃらなくて…どうしてかなって思ったら……提督のお名前は「深雪」なんですよね……だから私の代わりにいなくなっちゃったんでしょうか?」
大淀「い、電……」
716: ◆b0M46H9tf98h:2020/12/31(木) 17:21:20.66:FlOthHET0 (2/2)
…時が経つのは早いもので、今年もあと数時間となりましたね。このssを読んで下さった方、感想を下さった方…なかなか進まない中お付き合い下さり、どうもありがとうございます。
…色々と大変な一年でしたし、来年はもっといい年になるといいですね……新年の投下では縁起をかついで「松」型駆逐艦の「松」「竹」「梅」でも登場させようかと思っております…
…時が経つのは早いもので、今年もあと数時間となりましたね。このssを読んで下さった方、感想を下さった方…なかなか進まない中お付き合い下さり、どうもありがとうございます。
…色々と大変な一年でしたし、来年はもっといい年になるといいですね……新年の投下では縁起をかついで「松」型駆逐艦の「松」「竹」「梅」でも登場させようかと思っております…
717: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/02(土) 01:21:04.10:tm4xbeH90 (1/1)
明けましておめでとうございます……今年も初日の出をちゃんと拝むことが出来て感無量でした…
…今年は牛歩の歩みで、遅くとも一歩ずつ投下していけるよう頑張ります…
明けましておめでとうございます……今年も初日の出をちゃんと拝むことが出来て感無量でした…
…今年は牛歩の歩みで、遅くとも一歩ずつ投下していけるよう頑張ります…
718: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/03(日) 01:50:23.24:IuAZhzQP0 (1/1)
大淀「さすがにあの時は背筋に冷たいものが走りましたよ…」
百合姫提督「そうでしょうね。ちなみに、どう対処したの…?」
大淀「それなんですが……提督のお部屋に連れて行って布団の残り香を嗅がせたらすぐに収まりました」
百合姫提督「そう…電には後でうんとわがままを言わせてあげるとしましょう……」
大淀「それがいいかもしれませんね……っと、もうこんな時間ですか。提督、帰ってくる間の道中で食事をしている時間もあまり無かったでしょうし、間宮に言って軽く作らせておきましたが…?」
百合姫提督「あら、本当に…?」
大淀「はい、きっと鰹節の香りが懐かしいだろうと思いまして……いかがいたしますか?」
百合姫提督「そうね、途中でお弁当はいただいたけれど…せっかく作ってくれたのだから、いただきます」
大淀「了解」
間宮「失礼します、提督。羊羹をお持ちしました…♪」
百合姫提督「あら、ありがとう…せっかく持ってきてくれたところ申し訳ないけれど、羊羹は食堂でご飯をいただいてから頂戴します」
間宮「そうですか」
百合姫提督「ええ…わざわざご苦労様」ちゅっ…♪
間宮「!?」
大淀「て、提督…っ!?」
百合姫提督「…っ、ごめんなさい……向こうでは頬に口づけするのが挨拶のようなものだったから…///」
間宮「いえ、あの……わ、私は別に構いませんので……」
大淀「…驚きましたね」
百合姫提督「///」
…廊下…
大淀「……留守中にあったことは日誌に付けてありますので、後で確認いただければと思います」
百合姫提督「はい」
間宮「///」
百合姫提督「間宮…?」
間宮「は、はい…っ!」
百合姫提督「その……さっきは驚かせてしまってごめんなさいね?」
間宮「いえ、そのことでしたら全然…でも、不意打ちだったものですから///」
百合姫提督「ええ、私もなかば無意識にしていたから……///」
大淀「やれやれ、提督があちらでどんなことをなさっていたのか気になる所ですね…」
…食堂…
足柄「待ってたわよ、提督」
龍田「遅かったじゃない」
百合姫提督「ええ、少し報告を聞いていたものだから……いい香りがするわね」
間宮「はい。提督は洋行帰りですし和食が食べたいかと思いまして…何品か用意させていただきました」
長門「それにしても提督がお帰りになると鎮守府に花が咲いたようですね……さ、お手を取らせていただきます♪」椅子を引くと、百合姫提督の手を取って席に座らせる…
百合姫提督「…何もそんなにしてくれなくたって///」
長門「ふふ、そうおっしゃらず…」
大淀「さすがにあの時は背筋に冷たいものが走りましたよ…」
百合姫提督「そうでしょうね。ちなみに、どう対処したの…?」
大淀「それなんですが……提督のお部屋に連れて行って布団の残り香を嗅がせたらすぐに収まりました」
百合姫提督「そう…電には後でうんとわがままを言わせてあげるとしましょう……」
大淀「それがいいかもしれませんね……っと、もうこんな時間ですか。提督、帰ってくる間の道中で食事をしている時間もあまり無かったでしょうし、間宮に言って軽く作らせておきましたが…?」
百合姫提督「あら、本当に…?」
大淀「はい、きっと鰹節の香りが懐かしいだろうと思いまして……いかがいたしますか?」
百合姫提督「そうね、途中でお弁当はいただいたけれど…せっかく作ってくれたのだから、いただきます」
大淀「了解」
間宮「失礼します、提督。羊羹をお持ちしました…♪」
百合姫提督「あら、ありがとう…せっかく持ってきてくれたところ申し訳ないけれど、羊羹は食堂でご飯をいただいてから頂戴します」
間宮「そうですか」
百合姫提督「ええ…わざわざご苦労様」ちゅっ…♪
間宮「!?」
大淀「て、提督…っ!?」
百合姫提督「…っ、ごめんなさい……向こうでは頬に口づけするのが挨拶のようなものだったから…///」
間宮「いえ、あの……わ、私は別に構いませんので……」
大淀「…驚きましたね」
百合姫提督「///」
…廊下…
大淀「……留守中にあったことは日誌に付けてありますので、後で確認いただければと思います」
百合姫提督「はい」
間宮「///」
百合姫提督「間宮…?」
間宮「は、はい…っ!」
百合姫提督「その……さっきは驚かせてしまってごめんなさいね?」
間宮「いえ、そのことでしたら全然…でも、不意打ちだったものですから///」
百合姫提督「ええ、私もなかば無意識にしていたから……///」
大淀「やれやれ、提督があちらでどんなことをなさっていたのか気になる所ですね…」
…食堂…
足柄「待ってたわよ、提督」
龍田「遅かったじゃない」
百合姫提督「ええ、少し報告を聞いていたものだから……いい香りがするわね」
間宮「はい。提督は洋行帰りですし和食が食べたいかと思いまして…何品か用意させていただきました」
長門「それにしても提督がお帰りになると鎮守府に花が咲いたようですね……さ、お手を取らせていただきます♪」椅子を引くと、百合姫提督の手を取って席に座らせる…
百合姫提督「…何もそんなにしてくれなくたって///」
長門「ふふ、そうおっしゃらず…」
719: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/05(火) 02:05:09.08:ORDf8MIy0 (1/1)
足柄「それで、献立は何かしら?」
間宮「はい。献立ですが、海風が冷たかったでしょうから温かいものにしようと思いまして…ちょうど頂き物の山菜も残っておりましたので、山菜そばにいたしました……杵埼たちも運ぶのを手伝って下さい」
杵埼(給糧艦「杵埼」型)「はい、間宮さん」
早崎(杵埼型)「私も手伝います♪」
白崎(杵埼型)「私もっ」
荒崎(杵埼型)「すぐ行くよ!」
野埼(給糧艦「野埼」型・単艦)「私も運びますね♪」
剣埼(給油艦「剣埼」型・単艦)「分かりました、それじゃあ私も…って、わわっ!」
…小学生も低学年くらいに見える小さな給糧艦の「杵埼」たちに交じって料理を運ぶ小柄な給油艦の「剣埼(初代)」は妙に足元がおぼつかず、お盆を持ってふらふらしていたが、机まできた所でよろめいてこぼしそうになる……
足柄「ちょっと…!」
吹雪「うわ…っ!」
大淀「あ、危ない…っ!」
百合姫提督「きゃ…っ!」よけようと慌てて席から立ち上がる百合姫提督と艦娘たち……
剣埼「提督、ごめんなさい……」どうにかこぼさずに盆を置くことは出来たが、すっかりしょげている剣埼…
百合姫提督「いいのよ…それより怪我はない?」
剣埼「だ、大丈夫です……」
百合姫提督「それなら良かった……今度は運ぶ量をもっと少なくした方がいいかもしれないわ」
剣埼「はい、今度からはそうします」
百合姫提督「ええ」
間宮「…お蕎麦も無事で良かったですね」
百合姫提督「そうね……あら、美味しそう」
…蕎麦どんぶりで湯気を立てている山菜入りの蕎麦は出汁を宗田節と利尻昆布、いりこでしっかりと取り、つゆを関東風の濃口に仕上げてある……蕎麦はつゆの濃い味わいに合わせて白く細い更科(さらしな)ではなく殻ごと挽いてある田舎蕎麦を使い、上には醤油で煮付けにした数種類の山菜と、まだからりとしている天かす(揚げ玉)が載せてある…
間宮「どうぞ召し上がれ」
百合姫提督「ええ…では、いただきます」
…つゆをひと口飲むと、続けて蕎麦をたぐる…多少幅のある田舎蕎麦はするりとすするより、口の中で軽く噛む方が、香ばしい蕎麦の風味がより引き立って美味しい感じがする…
百合姫提督「…はぁぁ」何口かすすると、満足げにため息をついた…
間宮「美味しいですか?」
百合姫提督「ええ…とっても」
間宮「良かったです……みんな提督がいらっしゃらなくて寂しく思っておりました」
梅(「松」(丁)型駆逐艦)「うむ…それだけに提督が戻ってきてくれて喜ばしいの。まさに「盆と正月がいっぺんに来た」というものじゃな♪」
百合姫提督「ふふ、嬉しいお言葉…」
間宮「ええ……さ、早くしないと蕎麦が伸びてしまいますよ?」
百合姫提督「はいはい…♪」
足柄「…あー、美味しいわね」
間宮「他にも色々ありますから、たくさん召し上がって下さいね♪」
…どんぶりの隣には長方形の皿が置いてあり、三角型の大きな混ぜご飯のおにぎりが二つ載せてある。百合姫提督が手に取って一口頬張ってみると、醤油と砂糖、それにみりんで味付けしたらしい甘塩っぱいおかかと、細かく刻んだ昆布の佃煮の味がした…
百合姫提督「これも美味しい…もしかしてお出汁を取った後の昆布と鰹節?」
間宮「ええ、そうです……皆さんの分を作るとかなりの量が出ますし、それをただ捨ててしまうのはもったいないですからね」
百合姫提督「そうね…味付けもちょうどいいわ」
間宮「そう言ってもらえて何よりです。あとはたくあんとぬか漬けに…食後には白玉のお汁粉も用意してあります」
百合姫提督「それは楽しみね…♪」
足柄「それで、献立は何かしら?」
間宮「はい。献立ですが、海風が冷たかったでしょうから温かいものにしようと思いまして…ちょうど頂き物の山菜も残っておりましたので、山菜そばにいたしました……杵埼たちも運ぶのを手伝って下さい」
杵埼(給糧艦「杵埼」型)「はい、間宮さん」
早崎(杵埼型)「私も手伝います♪」
白崎(杵埼型)「私もっ」
荒崎(杵埼型)「すぐ行くよ!」
野埼(給糧艦「野埼」型・単艦)「私も運びますね♪」
剣埼(給油艦「剣埼」型・単艦)「分かりました、それじゃあ私も…って、わわっ!」
…小学生も低学年くらいに見える小さな給糧艦の「杵埼」たちに交じって料理を運ぶ小柄な給油艦の「剣埼(初代)」は妙に足元がおぼつかず、お盆を持ってふらふらしていたが、机まできた所でよろめいてこぼしそうになる……
足柄「ちょっと…!」
吹雪「うわ…っ!」
大淀「あ、危ない…っ!」
百合姫提督「きゃ…っ!」よけようと慌てて席から立ち上がる百合姫提督と艦娘たち……
剣埼「提督、ごめんなさい……」どうにかこぼさずに盆を置くことは出来たが、すっかりしょげている剣埼…
百合姫提督「いいのよ…それより怪我はない?」
剣埼「だ、大丈夫です……」
百合姫提督「それなら良かった……今度は運ぶ量をもっと少なくした方がいいかもしれないわ」
剣埼「はい、今度からはそうします」
百合姫提督「ええ」
間宮「…お蕎麦も無事で良かったですね」
百合姫提督「そうね……あら、美味しそう」
…蕎麦どんぶりで湯気を立てている山菜入りの蕎麦は出汁を宗田節と利尻昆布、いりこでしっかりと取り、つゆを関東風の濃口に仕上げてある……蕎麦はつゆの濃い味わいに合わせて白く細い更科(さらしな)ではなく殻ごと挽いてある田舎蕎麦を使い、上には醤油で煮付けにした数種類の山菜と、まだからりとしている天かす(揚げ玉)が載せてある…
間宮「どうぞ召し上がれ」
百合姫提督「ええ…では、いただきます」
…つゆをひと口飲むと、続けて蕎麦をたぐる…多少幅のある田舎蕎麦はするりとすするより、口の中で軽く噛む方が、香ばしい蕎麦の風味がより引き立って美味しい感じがする…
百合姫提督「…はぁぁ」何口かすすると、満足げにため息をついた…
間宮「美味しいですか?」
百合姫提督「ええ…とっても」
間宮「良かったです……みんな提督がいらっしゃらなくて寂しく思っておりました」
梅(「松」(丁)型駆逐艦)「うむ…それだけに提督が戻ってきてくれて喜ばしいの。まさに「盆と正月がいっぺんに来た」というものじゃな♪」
百合姫提督「ふふ、嬉しいお言葉…」
間宮「ええ……さ、早くしないと蕎麦が伸びてしまいますよ?」
百合姫提督「はいはい…♪」
足柄「…あー、美味しいわね」
間宮「他にも色々ありますから、たくさん召し上がって下さいね♪」
…どんぶりの隣には長方形の皿が置いてあり、三角型の大きな混ぜご飯のおにぎりが二つ載せてある。百合姫提督が手に取って一口頬張ってみると、醤油と砂糖、それにみりんで味付けしたらしい甘塩っぱいおかかと、細かく刻んだ昆布の佃煮の味がした…
百合姫提督「これも美味しい…もしかしてお出汁を取った後の昆布と鰹節?」
間宮「ええ、そうです……皆さんの分を作るとかなりの量が出ますし、それをただ捨ててしまうのはもったいないですからね」
百合姫提督「そうね…味付けもちょうどいいわ」
間宮「そう言ってもらえて何よりです。あとはたくあんとぬか漬けに…食後には白玉のお汁粉も用意してあります」
百合姫提督「それは楽しみね…♪」
720: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/06(水) 01:55:56.36:l5tzBqU30 (1/1)
…しばらくして・執務室…
百合姫提督「ふぅ、ちょっと食べ過ぎちゃったわ……」
長門「結構なことではありませんか…それに、そういう所も可愛いですよ」
百合姫提督「///」
大淀「長門は相変わらずですね……ところで提督、留守中のことでいくつかご報告が」
百合姫提督「なにかしら?」
大淀「はっ、提督のイタリア訪問中にお中元ですとか贈り物を頂戴しまして…一応私からお礼の手紙を書いておきましたが、改めて提督からもお礼をお願いしたいので…」
百合姫提督「なるほど、分かりました……名前は控えてある?」
大淀「もちろんです」
百合姫提督「助かるわ…それじゃあまずは電話でお礼を伝えて、お返しはまた改めて送ることにしましょう……最初は誰から?」
大淀「えー…まずは「市川・梨香子(いちかわ・りかこ)」中佐ですね。いつものようにご実家から梨をたくさん送って下さいました」
百合姫提督「相変わらず梨香子は親切ね……とりあえず電話をかけていきましょう」受話器を取り上げると、ダイヤルを回した…
…千葉県・館山…
女性「はい、もしもし…こちら「海上自衛隊横須賀鎮守府付属・館山基地分遣隊」です」
百合姫提督「もしもし「横須賀第二鎮守府」の百合野ですけれど……市川中佐はいらっしゃいますか?」
女性「あ、深雪ぃ……久しぶり♪」
百合姫提督「…あら、もしかして梨香子?」
市川中佐「もしかしなくてもよ……急に電話なんてどうしたの?」
百合姫提督「ええ、うちの大淀から聞いたのだけれど…今年もご実家から梨を送ってくれたそうだから、まずはお礼の電話をしようと思って……」
市川中佐「あー、あれね…いいのいいの、気にしないで? …どうせ「送った」っていっても、形が悪くて売れないのばっかりだから、むしろ食べてくれて助かるわ」
百合姫提督「いえ、そんな…」
市川中佐「本当にいいのよ…なにしろ夏頃になって実家に戻ると箱詰めや直売所を手伝わされるし、選別ではじかれた梨ばっかり食べさせられるしで……そうやって喜んでくれる人がいて嬉しいわ」
百合姫提督「いえいえ、こちらこそもらってばっかりで……今度うちでお手伝い出来る事があったら遠慮無く言ってね?」
市川中佐「ええ、わざわざどうも♪」
百合姫提督「はい、それじゃあまた…」
大淀「…次は伊豆大島分遣駆逐隊の司令、本八幡・由紀(もとやわた・ゆき)中佐ですね」
百合姫提督「はい」
…伊豆大島…
綺麗な黒髪の女性「はい、こちら大島分遣隊の本八幡です」
百合姫提督「もしもし、こちら「横二」の百合野です……久しぶりね、由紀」
本八幡中佐「あら、あらあら…深雪、いつ戻ってきたの?」
百合姫提督「ちょうど今日戻ってきたわ……ただいま」
本八幡中佐「お帰りなさい。それで、帰国早々に私に電話をくれるなんて…そっちで何かあったの?」
百合姫提督「いいえ……ただ、鎮守府にあててお中元を送ってくれたそうだから、まずは取り急ぎお礼の電話を…と思って」
本八幡中佐「これはどうもご丁寧に…せっかく伊豆大島の分遣隊司令だから、地元特産「大島椿」の髪油にしてみたけれど……毎日使ってたおかげで私の髪はつやつやになったけれど、そっちの娘たちは気に入ってくれたかしら?」
百合姫提督「ええ、とっても気に入ってくれたみたい…♪」横でうなずいている大淀を見ながら返事をした…
本八幡中佐「なら良かった……その様子だと、他にもあちこちに電話をしなきゃいけないんじゃない? お時間を取らせたら悪いから、失礼させてもらうわね」
百合姫提督「ごめんなさい、お気遣いいただいちゃって……それじゃあ、今度は時間があるときにゆっくりお話しましょうね」
本八幡中佐「ええ、またね」
…しばらくして・執務室…
百合姫提督「ふぅ、ちょっと食べ過ぎちゃったわ……」
長門「結構なことではありませんか…それに、そういう所も可愛いですよ」
百合姫提督「///」
大淀「長門は相変わらずですね……ところで提督、留守中のことでいくつかご報告が」
百合姫提督「なにかしら?」
大淀「はっ、提督のイタリア訪問中にお中元ですとか贈り物を頂戴しまして…一応私からお礼の手紙を書いておきましたが、改めて提督からもお礼をお願いしたいので…」
百合姫提督「なるほど、分かりました……名前は控えてある?」
大淀「もちろんです」
百合姫提督「助かるわ…それじゃあまずは電話でお礼を伝えて、お返しはまた改めて送ることにしましょう……最初は誰から?」
大淀「えー…まずは「市川・梨香子(いちかわ・りかこ)」中佐ですね。いつものようにご実家から梨をたくさん送って下さいました」
百合姫提督「相変わらず梨香子は親切ね……とりあえず電話をかけていきましょう」受話器を取り上げると、ダイヤルを回した…
…千葉県・館山…
女性「はい、もしもし…こちら「海上自衛隊横須賀鎮守府付属・館山基地分遣隊」です」
百合姫提督「もしもし「横須賀第二鎮守府」の百合野ですけれど……市川中佐はいらっしゃいますか?」
女性「あ、深雪ぃ……久しぶり♪」
百合姫提督「…あら、もしかして梨香子?」
市川中佐「もしかしなくてもよ……急に電話なんてどうしたの?」
百合姫提督「ええ、うちの大淀から聞いたのだけれど…今年もご実家から梨を送ってくれたそうだから、まずはお礼の電話をしようと思って……」
市川中佐「あー、あれね…いいのいいの、気にしないで? …どうせ「送った」っていっても、形が悪くて売れないのばっかりだから、むしろ食べてくれて助かるわ」
百合姫提督「いえ、そんな…」
市川中佐「本当にいいのよ…なにしろ夏頃になって実家に戻ると箱詰めや直売所を手伝わされるし、選別ではじかれた梨ばっかり食べさせられるしで……そうやって喜んでくれる人がいて嬉しいわ」
百合姫提督「いえいえ、こちらこそもらってばっかりで……今度うちでお手伝い出来る事があったら遠慮無く言ってね?」
市川中佐「ええ、わざわざどうも♪」
百合姫提督「はい、それじゃあまた…」
大淀「…次は伊豆大島分遣駆逐隊の司令、本八幡・由紀(もとやわた・ゆき)中佐ですね」
百合姫提督「はい」
…伊豆大島…
綺麗な黒髪の女性「はい、こちら大島分遣隊の本八幡です」
百合姫提督「もしもし、こちら「横二」の百合野です……久しぶりね、由紀」
本八幡中佐「あら、あらあら…深雪、いつ戻ってきたの?」
百合姫提督「ちょうど今日戻ってきたわ……ただいま」
本八幡中佐「お帰りなさい。それで、帰国早々に私に電話をくれるなんて…そっちで何かあったの?」
百合姫提督「いいえ……ただ、鎮守府にあててお中元を送ってくれたそうだから、まずは取り急ぎお礼の電話を…と思って」
本八幡中佐「これはどうもご丁寧に…せっかく伊豆大島の分遣隊司令だから、地元特産「大島椿」の髪油にしてみたけれど……毎日使ってたおかげで私の髪はつやつやになったけれど、そっちの娘たちは気に入ってくれたかしら?」
百合姫提督「ええ、とっても気に入ってくれたみたい…♪」横でうなずいている大淀を見ながら返事をした…
本八幡中佐「なら良かった……その様子だと、他にもあちこちに電話をしなきゃいけないんじゃない? お時間を取らせたら悪いから、失礼させてもらうわね」
百合姫提督「ごめんなさい、お気遣いいただいちゃって……それじゃあ、今度は時間があるときにゆっくりお話しましょうね」
本八幡中佐「ええ、またね」
721:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2021/01/06(水) 01:59:10.96:lFP7dIijo (1/1)
いつも楽しみにしています
いつも楽しみにしています
722: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/08(金) 01:08:08.42:fsyfMdVM0 (1/2)
>>721 ありがとうございます。しばらくは百合姫提督と艦娘たちの日常をお送りするつもりですので、よろしかったら見ていって下さい。
…すでにお気づきかと思いますが「市川」と「本八幡」は総武線が千葉県に入ってすぐの駅名から順に取っています…ついでに色々調べてみましたが、結構特産品や名所旧跡があったので、そのうちに取り入れてみる予定です。
他にも各鎮守府の提督として名字に地名を入れたキャラクターを出してみようかと思っておりますが、もし都道府県のリクエストがあれば、その都道府県にある市町村や駅名などから名前を出そうかな……とも思っております
>>721 ありがとうございます。しばらくは百合姫提督と艦娘たちの日常をお送りするつもりですので、よろしかったら見ていって下さい。
…すでにお気づきかと思いますが「市川」と「本八幡」は総武線が千葉県に入ってすぐの駅名から順に取っています…ついでに色々調べてみましたが、結構特産品や名所旧跡があったので、そのうちに取り入れてみる予定です。
他にも各鎮守府の提督として名字に地名を入れたキャラクターを出してみようかと思っておりますが、もし都道府県のリクエストがあれば、その都道府県にある市町村や駅名などから名前を出そうかな……とも思っております
723: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/08(金) 02:09:06.91:fsyfMdVM0 (2/2)
百合姫提督「ええ、またね……大淀、次は誰に電話をすればいいのかしら?」
大淀「えー、次はですね…中山翔子(なかやま・しょうこ)少佐にお願いします」
百合姫提督「…あぁ「下総中山」の」
大淀「そういえば、提督」
百合姫提督「ええ、なにかしら…?」
大淀「いえ、中山少佐のそのあだ名は幾度か耳にしましたが……どうして「下総中山」なんです?」
百合姫提督「あぁ、そのこと?」
大淀「はい」
百合姫提督「いえ、実はね……ふふ♪」口元に手を当てて、くすくすと笑いはじめた百合姫提督…
大淀「…何がおかしいんです?」
百合姫提督「実はね、私と翔子は同期なんだけれど……中山っていう名字は同期に数人はいたし、彼女は始め鎮守府じゃなくって「下総基地」の航空隊の方にいたものだから…」
大淀「それで「下総中山」ですか」
百合姫提督「ええ…誰かが駅の名前とかけて付けたあだ名なのだけれど、便利だからすっかり浸透しちゃって……」
大淀「…なるほど」
百合姫提督「ええ……それじゃあ電話するわね…♪」
………
…
…翌日…
百合姫提督「……鎮守府のみんなで飲み会?」
大淀「はい。提督も無事に帰国された訳ですし、横須賀のお店数軒を借りてお祝いでもしようと…いかがでしょうか?」
百合姫提督「そうねぇ、とりあえず明後日は市ヶ谷(防衛省)で帰還式と研究成果の報告会があるから……それより後の日付なら大丈夫よ」
大淀「了解」
百合姫提督「それより予算は大丈夫? …いくら出せばいいかしら?」財布を取り出してお札を渡そうとする百合姫提督…
大淀「いえいえ、とんでもない……みんなのお給料から出しあいましたので、提督はお金の心配をしなくても大丈夫ですよ」
百合姫提督「そう…なんだかごめんなさいね?」
大淀「お気になさらず。みんな提督が帰ってきて嬉しく思っておりますから……♪」
百合姫提督「ありがとう…///」
大淀「はい」
…数日後・市ヶ谷…
百合姫提督「…横須賀第二鎮守府の百合野です。ただいま到着いたしました」
防衛省幹部「あぁ、ご苦労様です……どうぞ会議室へ」
百合姫提督「はい」
…会議室には旭日旗が飾られ「交換プログラム」に参加した数名の提督たちと広報課のカメラマン、そして海幕(海上幕僚監部)のエライ人も幾人かやって来た……挨拶に始まり、短くまとめたプログラムの成果発表、そして提督たちに対するねぎらいの言葉……と、式次第に則って滞りなく行われる…
百合姫提督「…以上で、本官の発表を終わります」
進行役「では、最後にご挨拶をいただきます…」
海幕のエライ人「うむ……各提督それぞれよく研究し報告書にまとめられていたと思います…今回の経験を糧にして、これからも海上における安全保障と国際貢献のために尽くしてくれることを願っています…以上!」
………
…
百合姫提督「ええ、またね……大淀、次は誰に電話をすればいいのかしら?」
大淀「えー、次はですね…中山翔子(なかやま・しょうこ)少佐にお願いします」
百合姫提督「…あぁ「下総中山」の」
大淀「そういえば、提督」
百合姫提督「ええ、なにかしら…?」
大淀「いえ、中山少佐のそのあだ名は幾度か耳にしましたが……どうして「下総中山」なんです?」
百合姫提督「あぁ、そのこと?」
大淀「はい」
百合姫提督「いえ、実はね……ふふ♪」口元に手を当てて、くすくすと笑いはじめた百合姫提督…
大淀「…何がおかしいんです?」
百合姫提督「実はね、私と翔子は同期なんだけれど……中山っていう名字は同期に数人はいたし、彼女は始め鎮守府じゃなくって「下総基地」の航空隊の方にいたものだから…」
大淀「それで「下総中山」ですか」
百合姫提督「ええ…誰かが駅の名前とかけて付けたあだ名なのだけれど、便利だからすっかり浸透しちゃって……」
大淀「…なるほど」
百合姫提督「ええ……それじゃあ電話するわね…♪」
………
…
…翌日…
百合姫提督「……鎮守府のみんなで飲み会?」
大淀「はい。提督も無事に帰国された訳ですし、横須賀のお店数軒を借りてお祝いでもしようと…いかがでしょうか?」
百合姫提督「そうねぇ、とりあえず明後日は市ヶ谷(防衛省)で帰還式と研究成果の報告会があるから……それより後の日付なら大丈夫よ」
大淀「了解」
百合姫提督「それより予算は大丈夫? …いくら出せばいいかしら?」財布を取り出してお札を渡そうとする百合姫提督…
大淀「いえいえ、とんでもない……みんなのお給料から出しあいましたので、提督はお金の心配をしなくても大丈夫ですよ」
百合姫提督「そう…なんだかごめんなさいね?」
大淀「お気になさらず。みんな提督が帰ってきて嬉しく思っておりますから……♪」
百合姫提督「ありがとう…///」
大淀「はい」
…数日後・市ヶ谷…
百合姫提督「…横須賀第二鎮守府の百合野です。ただいま到着いたしました」
防衛省幹部「あぁ、ご苦労様です……どうぞ会議室へ」
百合姫提督「はい」
…会議室には旭日旗が飾られ「交換プログラム」に参加した数名の提督たちと広報課のカメラマン、そして海幕(海上幕僚監部)のエライ人も幾人かやって来た……挨拶に始まり、短くまとめたプログラムの成果発表、そして提督たちに対するねぎらいの言葉……と、式次第に則って滞りなく行われる…
百合姫提督「…以上で、本官の発表を終わります」
進行役「では、最後にご挨拶をいただきます…」
海幕のエライ人「うむ……各提督それぞれよく研究し報告書にまとめられていたと思います…今回の経験を糧にして、これからも海上における安全保障と国際貢献のために尽くしてくれることを願っています…以上!」
………
…
724: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/09(土) 11:08:12.03:U57nhV8t0 (1/1)
…数日後・横須賀市街の居酒屋…
大淀「……えー、では提督の帰還と欧州歴訪の完了を祝って…乾杯!」
一同「「乾杯!」」
提督「…ありがとう、みんな」
長門「なに、礼を言うには及びません……みんな、注文は?」
陸奥「じゃあ…きゅうりの浅漬け」
明石「たこぶつお願いします」
雪風「私は冷奴(ひややっこ)がいいです…♪」
比叡「焼き鳥盛り合わせを頼みます…軟骨と皮、ハツ(心臓)は塩、他はタレで」
霧島「それならだし巻き卵で」
長門「分かった……提督、提督は何にします?」
百合姫提督「私はみんなが頼んだ分から一口ずついただくわ……ほら、他の娘たちのいるお店も回らないといけないし」
…百合姫提督の鎮守府は「連合艦隊勢揃い」とまでは行かないが、大小取り混ぜて二百人近くもの艦娘たちがいる大所帯なので、たいてい一軒の店では入りきらない……そのため、いくつかの店で数十人分の席を取り、お互いに入れ替わり立ち替わりしながら宴席を張り、百合姫提督も中座してはそれぞれの店を行ったり来たりする…というのがいつものやり方になっていた…
長門「それもそうですね……あと鯨の刺身を」
百合姫提督「んくっ…こくんっ……」百合姫提督はビールがあまり得意でないのと(たいていは酒豪の)艦娘たちが善意からお酌をしてくれたり杯を勧めてきたりすることを踏まえて、長門が手際よく人数分注文した「キリン」の生を少しずつ飲む……
霧島「あー……美味しい」
店員「…お待たせしました、冷奴ときゅうりの浅漬け、それと鯨の刺身にたこぶつですね」
長門「来たか…それじゃあいただこう」からし醤油で赤身の濃い鯨をつまんだ……
明石「…本当にあのときは、鯨なんて見るのも嫌だったくらいよく献立に出ましたよね」
長門「確かに……でも私は好きだが?」(※長門…今の山口県にあたり、鯨の水揚げを行う漁港もあった)
明石「それもまぁ人それぞれですね……あむっ」たこのぶつ切りを威勢良く口に放り込む…
比叡「明石、箸の持ち方が良くありませんよ」
明石「了解……全く比叡ときたらお召し艦だったからって、小姑みたいに行儀作法をねちねちと…」
比叡「…何か言いましたか?」
明石「いいえ、なーんでも……ま、もうちょっとしたら別の店の方に行って、そこで駆逐艦の二、三人でも引っかけて…ふふっ♪」
百合姫提督「…」
長門「…それにしても今回はいい店が取れてよかったですね……あのときの居酒屋みたいな店だったら、軽巡たちがまた暴れたに違いないですから」
百合姫提督「ええ、そうね…」
霧島「本当に水雷戦隊は気が荒いんだから…」
長門「ふっ、君も人のことは言えないんじゃないかな?」
霧島「私の場合は別です……店員さん「白霧島」と氷を下さい」
百合姫提督「あと、白和えをお願いします」
店員「はい」
………
…
…数日後・横須賀市街の居酒屋…
大淀「……えー、では提督の帰還と欧州歴訪の完了を祝って…乾杯!」
一同「「乾杯!」」
提督「…ありがとう、みんな」
長門「なに、礼を言うには及びません……みんな、注文は?」
陸奥「じゃあ…きゅうりの浅漬け」
明石「たこぶつお願いします」
雪風「私は冷奴(ひややっこ)がいいです…♪」
比叡「焼き鳥盛り合わせを頼みます…軟骨と皮、ハツ(心臓)は塩、他はタレで」
霧島「それならだし巻き卵で」
長門「分かった……提督、提督は何にします?」
百合姫提督「私はみんなが頼んだ分から一口ずついただくわ……ほら、他の娘たちのいるお店も回らないといけないし」
…百合姫提督の鎮守府は「連合艦隊勢揃い」とまでは行かないが、大小取り混ぜて二百人近くもの艦娘たちがいる大所帯なので、たいてい一軒の店では入りきらない……そのため、いくつかの店で数十人分の席を取り、お互いに入れ替わり立ち替わりしながら宴席を張り、百合姫提督も中座してはそれぞれの店を行ったり来たりする…というのがいつものやり方になっていた…
長門「それもそうですね……あと鯨の刺身を」
百合姫提督「んくっ…こくんっ……」百合姫提督はビールがあまり得意でないのと(たいていは酒豪の)艦娘たちが善意からお酌をしてくれたり杯を勧めてきたりすることを踏まえて、長門が手際よく人数分注文した「キリン」の生を少しずつ飲む……
霧島「あー……美味しい」
店員「…お待たせしました、冷奴ときゅうりの浅漬け、それと鯨の刺身にたこぶつですね」
長門「来たか…それじゃあいただこう」からし醤油で赤身の濃い鯨をつまんだ……
明石「…本当にあのときは、鯨なんて見るのも嫌だったくらいよく献立に出ましたよね」
長門「確かに……でも私は好きだが?」(※長門…今の山口県にあたり、鯨の水揚げを行う漁港もあった)
明石「それもまぁ人それぞれですね……あむっ」たこのぶつ切りを威勢良く口に放り込む…
比叡「明石、箸の持ち方が良くありませんよ」
明石「了解……全く比叡ときたらお召し艦だったからって、小姑みたいに行儀作法をねちねちと…」
比叡「…何か言いましたか?」
明石「いいえ、なーんでも……ま、もうちょっとしたら別の店の方に行って、そこで駆逐艦の二、三人でも引っかけて…ふふっ♪」
百合姫提督「…」
長門「…それにしても今回はいい店が取れてよかったですね……あのときの居酒屋みたいな店だったら、軽巡たちがまた暴れたに違いないですから」
百合姫提督「ええ、そうね…」
霧島「本当に水雷戦隊は気が荒いんだから…」
長門「ふっ、君も人のことは言えないんじゃないかな?」
霧島「私の場合は別です……店員さん「白霧島」と氷を下さい」
百合姫提督「あと、白和えをお願いします」
店員「はい」
………
…
725: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/12(火) 02:23:06.22:SL1ufSD10 (1/1)
…別の店…
利根「…おっ、提督じゃない! さ、座って座って!」
百合姫提督「ありがとう」
球磨(二等巡洋艦「球磨」型)「夜風に吹かれて冷えたでしょ? ま、とりあえず一杯ってところで……!」
百合姫提督「え、ええ…いただきます」とくとくとくっ…と小気味いい音を立てて注がれた燗酒の「八海山」を控え目に含んだ……
足柄「それとこれ、食べさしで悪いけど……ねぇ、提督にそっちのもつ煮をよそってあげて」
松風(神風型駆逐艦)「了解…七味はいります?」
百合姫提督「ええ」
足柄「なんでも食べたいものを頼んでよ?」
百合姫提督「ありがとう」
木曾(球磨型)「あぁ……沁みるねぇ」
妙高「…そういえばさっき利根たちの話になってたわよ」
利根「へぇ、どんな?」
妙高「例の居酒屋で暴れた話…」
利根「あぁ、あれか……そんなこと言ったって、あれは向こうの言い方が悪いってもんよ」
………
…
…数年前・居酒屋にて…
川内(二等巡洋艦「川内」型)「…それじゃあ作戦成功を祝って!」
神通(川内型)「乾杯!」
利根「乾杯!」
暁「乾杯!」
雷「乾杯…っ!」
天龍「んっ、んっ、んんぅ……くぅーっ!」
川内「さすがは「暴れ天龍」…いい飲みっぷりね!」
天龍「なんだよそれ……さ、もう一杯!」
龍田「はいはい、手酌は良くないから私が注いであげる♪」
天龍「おっ、悪い…♪」
店員「すいません「お通し」お持ちしました」
暁「あ、はーい……って、何これ?」解凍ものにしても粗末な枝豆が数個ばかり小鉢に入っている……
店員「いや、お通しですけど……うちではお酒を注文するときに「お通し」も頼む形になってるんで…」
(※お通し…地域によっては「突き出し」とも。少なくとも江戸時代には余り物や半端な量だけしかない料理を店に「お通し」した際に出すこと、あるいは「突き出す」程度のひと品といった意味合いで、その「残り物」の善し悪しで店の技量が分かるとされていた。元来は店の「心意気」であって金を取るような物ではなく、客もちゃんと料理を頼み「お通し」だけで酒を飲むなどといった野暮はしないのがしきたりであったが、今では「席料」がわりとしてお通しでお金を取る店も多い)
川内「…は?」
神通「今なんて言った…?」
店員「いえ、ですから…」
利根「なぁお兄さん、ちょいと待ちなよ……お通しを「頼む」ってことは金を取るってぇのかい?」日本三大暴れ川の長男「板東太郎」の異名を持つ利根だけに、江戸っ子のようなべらんめえが出始める…
店員「はい、そういうことになってます」
利根「……ここにそんなこと書いてあるか?」メニューをめくって指差した…
店員「いや、書いてはないんですけど……そう言う仕組みなんで…」
利根「あぁ、悪かった。兄さんに言ったって仕方がねぇや……ちょいと店長さんでも何でもいいから、上の人を呼んできてくんなよ」
店員「は、はい…」
…別の店…
利根「…おっ、提督じゃない! さ、座って座って!」
百合姫提督「ありがとう」
球磨(二等巡洋艦「球磨」型)「夜風に吹かれて冷えたでしょ? ま、とりあえず一杯ってところで……!」
百合姫提督「え、ええ…いただきます」とくとくとくっ…と小気味いい音を立てて注がれた燗酒の「八海山」を控え目に含んだ……
足柄「それとこれ、食べさしで悪いけど……ねぇ、提督にそっちのもつ煮をよそってあげて」
松風(神風型駆逐艦)「了解…七味はいります?」
百合姫提督「ええ」
足柄「なんでも食べたいものを頼んでよ?」
百合姫提督「ありがとう」
木曾(球磨型)「あぁ……沁みるねぇ」
妙高「…そういえばさっき利根たちの話になってたわよ」
利根「へぇ、どんな?」
妙高「例の居酒屋で暴れた話…」
利根「あぁ、あれか……そんなこと言ったって、あれは向こうの言い方が悪いってもんよ」
………
…
…数年前・居酒屋にて…
川内(二等巡洋艦「川内」型)「…それじゃあ作戦成功を祝って!」
神通(川内型)「乾杯!」
利根「乾杯!」
暁「乾杯!」
雷「乾杯…っ!」
天龍「んっ、んっ、んんぅ……くぅーっ!」
川内「さすがは「暴れ天龍」…いい飲みっぷりね!」
天龍「なんだよそれ……さ、もう一杯!」
龍田「はいはい、手酌は良くないから私が注いであげる♪」
天龍「おっ、悪い…♪」
店員「すいません「お通し」お持ちしました」
暁「あ、はーい……って、何これ?」解凍ものにしても粗末な枝豆が数個ばかり小鉢に入っている……
店員「いや、お通しですけど……うちではお酒を注文するときに「お通し」も頼む形になってるんで…」
(※お通し…地域によっては「突き出し」とも。少なくとも江戸時代には余り物や半端な量だけしかない料理を店に「お通し」した際に出すこと、あるいは「突き出す」程度のひと品といった意味合いで、その「残り物」の善し悪しで店の技量が分かるとされていた。元来は店の「心意気」であって金を取るような物ではなく、客もちゃんと料理を頼み「お通し」だけで酒を飲むなどといった野暮はしないのがしきたりであったが、今では「席料」がわりとしてお通しでお金を取る店も多い)
川内「…は?」
神通「今なんて言った…?」
店員「いえ、ですから…」
利根「なぁお兄さん、ちょいと待ちなよ……お通しを「頼む」ってことは金を取るってぇのかい?」日本三大暴れ川の長男「板東太郎」の異名を持つ利根だけに、江戸っ子のようなべらんめえが出始める…
店員「はい、そういうことになってます」
利根「……ここにそんなこと書いてあるか?」メニューをめくって指差した…
店員「いや、書いてはないんですけど……そう言う仕組みなんで…」
利根「あぁ、悪かった。兄さんに言ったって仕方がねぇや……ちょいと店長さんでも何でもいいから、上の人を呼んできてくんなよ」
店員「は、はい…」
726: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/16(土) 02:10:59.29:fJ/9p/wD0 (1/2)
白雪「雷たちは先行して居酒屋に入っているはずですから、着いたらすぐに何か飲めますね」
百合姫提督「そうね…あ、あったわ。確か利根たちが言っていたのはこのお店だったはず……一体どうしたのかしら」居酒屋の前には交番のスクーターが二台ばかり止まっている…
初雪「酔客でも騒いだんじゃないでしょうか……それより外は蒸し暑いですし、早く入りましょう♪」
百合姫提督「ええ…」チェーン居酒屋の自動ドアが開き、のれんをくぐった……
…数分前…
利根「……んだとぉ、頼んでもねえ物に金を払えってぇのか!?」
店長「ですから、この「お通し」はお酒とセットになって注文される仕組みなんですよ…」
利根「そんなこたぁ献立表のどこにも書いてねえじゃねぇか!」
店長「いや、書いてないですけどうちの店の決まりになっていて…」
利根「知ってて頼んだってぇならこっちも悪いが、書いてねぇんじゃこちとらぁ知りようもねえじゃねえか!」
店長「いえ、でもお客さん…」
天龍「なぁ、このままじゃあ埒があかないから出よう……な?」
川内「全く、楽しく飲むべき酒がこれじゃあやりきれないわ…利根、その辺で止めておいたら?」
利根「待てよ川内、こんなのおかしいだろう……!?」
龍田「もういいから……さぁ、もう帰るからお勘定を持ってきて?」
店長「えーと、それでしたら冷酒一合が六本に瓶ビールが三本、それとセットのお通しで…」
天龍「おいおい、待てよ……こっちがその「お通し」を食べたって言うんならちゃんと払うけど、食べてないんだぞ?」
店長「いえ、でもお客さんは注文していますから支払っていただかないと……」
天龍「…なんだとぉ!?」
木曾「貴様ぁ!」
………
巡査「…つまり「頼んでもいないし食べてもいない物にお金を払う必要」はない、ってことでいいですか?」
利根「その通り、さっすが話が早ぇや…!」
巡査B「……それじゃあセットになっているので、お酒を頼んだ以上は支払ってもらいたいと」
店長「そうなんですよ」
百合姫提督「…あの、済みません」
巡査「はい、なんですか?」
百合姫提督「その……なにかトラブルでも…?」
木曾「あっ…!」たちまち姿勢を正して直立する艦娘たち…
百合姫提督「よろしい、休め」
巡査「……この人は君たちのお知り合い?」
木曾「知り合いも何も…うちの提督だよ」
百合姫提督「ねぇ木曾、何があったの?」
木曾「ああ、それがかくかくしかじか……」
百合姫提督「なるほど……それで巡査さん、こういった場合はどうしたらいいですか?」
巡査「そうですね…別に店員を殴ったとかそういうことではないですから、誰かが飲食の料金を払えばいいんですが……」
百合姫提督「そうですか、分かりました…では私が払いますので、それで大丈夫ですか?」
店長「はい、払ってくれれば何も問題はないので…」
利根「ちょいと待った!別にこっちは飲み食いして金を払わねえってんじゃあねえんだ……勝手に注文したことにして金を取ろうってぇ、そのしみったれた了見が気に入らねぇってんだ!」
百合姫提督「……利根」
利根「う…分かったよ、提督に迷惑がかかっちゃあいけねえ……」
………
…
白雪「雷たちは先行して居酒屋に入っているはずですから、着いたらすぐに何か飲めますね」
百合姫提督「そうね…あ、あったわ。確か利根たちが言っていたのはこのお店だったはず……一体どうしたのかしら」居酒屋の前には交番のスクーターが二台ばかり止まっている…
初雪「酔客でも騒いだんじゃないでしょうか……それより外は蒸し暑いですし、早く入りましょう♪」
百合姫提督「ええ…」チェーン居酒屋の自動ドアが開き、のれんをくぐった……
…数分前…
利根「……んだとぉ、頼んでもねえ物に金を払えってぇのか!?」
店長「ですから、この「お通し」はお酒とセットになって注文される仕組みなんですよ…」
利根「そんなこたぁ献立表のどこにも書いてねえじゃねぇか!」
店長「いや、書いてないですけどうちの店の決まりになっていて…」
利根「知ってて頼んだってぇならこっちも悪いが、書いてねぇんじゃこちとらぁ知りようもねえじゃねえか!」
店長「いえ、でもお客さん…」
天龍「なぁ、このままじゃあ埒があかないから出よう……な?」
川内「全く、楽しく飲むべき酒がこれじゃあやりきれないわ…利根、その辺で止めておいたら?」
利根「待てよ川内、こんなのおかしいだろう……!?」
龍田「もういいから……さぁ、もう帰るからお勘定を持ってきて?」
店長「えーと、それでしたら冷酒一合が六本に瓶ビールが三本、それとセットのお通しで…」
天龍「おいおい、待てよ……こっちがその「お通し」を食べたって言うんならちゃんと払うけど、食べてないんだぞ?」
店長「いえ、でもお客さんは注文していますから支払っていただかないと……」
天龍「…なんだとぉ!?」
木曾「貴様ぁ!」
………
巡査「…つまり「頼んでもいないし食べてもいない物にお金を払う必要」はない、ってことでいいですか?」
利根「その通り、さっすが話が早ぇや…!」
巡査B「……それじゃあセットになっているので、お酒を頼んだ以上は支払ってもらいたいと」
店長「そうなんですよ」
百合姫提督「…あの、済みません」
巡査「はい、なんですか?」
百合姫提督「その……なにかトラブルでも…?」
木曾「あっ…!」たちまち姿勢を正して直立する艦娘たち…
百合姫提督「よろしい、休め」
巡査「……この人は君たちのお知り合い?」
木曾「知り合いも何も…うちの提督だよ」
百合姫提督「ねぇ木曾、何があったの?」
木曾「ああ、それがかくかくしかじか……」
百合姫提督「なるほど……それで巡査さん、こういった場合はどうしたらいいですか?」
巡査「そうですね…別に店員を殴ったとかそういうことではないですから、誰かが飲食の料金を払えばいいんですが……」
百合姫提督「そうですか、分かりました…では私が払いますので、それで大丈夫ですか?」
店長「はい、払ってくれれば何も問題はないので…」
利根「ちょいと待った!別にこっちは飲み食いして金を払わねえってんじゃあねえんだ……勝手に注文したことにして金を取ろうってぇ、そのしみったれた了見が気に入らねぇってんだ!」
百合姫提督「……利根」
利根「う…分かったよ、提督に迷惑がかかっちゃあいけねえ……」
………
…
727: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/16(土) 03:45:47.84:fJ/9p/wD0 (2/2)
神通「あったあった…♪」
木曾「ああ、あったねぇ……全く利根は暴れ者なんだから♪」
利根「へっ、あちこちで暴れてきたお前さんたちに言われたかぁねえや…兄さん、この「鰺のなめろう」を三つばかし頼むよ♪」
店員「はーい!」
妙高「全く……提督もこんなのばっかりで頭が痛いわね?」
百合姫提督「ふふ、利根たちは威勢がいいのが取り柄だもの…それに私はそういうのが苦手だから、少しうらやましいわ……」
足柄「やれやれ…「あばたもえくぼ」とはよく言ったものね」
羽黒「提督の変わり者ぶりには感心するわ」
扶桑「ええ、全くです……何しろ他の鎮守府で持て余されていた私たちを受け入れてしまうほどですもの」
山城「…どうして「出来損ない」呼ばわりされていた私たちを引き取る気になったんですか?」
百合姫提督「そうね…あの時は……」
…数年前・市ヶ谷…
提督「百合野くん、百合野くん…ちょっと相談事なんだが……今いいかな?」
百合姫提督「はい、なんでしょう…?」
…市ヶ谷(防衛省)での「深海棲艦対策検討会」を終えて書類をまとめていると、中将の階級章を付けた一人の提督に手招きされた…
提督「いや、実はな……うちの鎮守府にもそろそろ「大和」と「武蔵」が欲しくて条件を揃えた所なんだが、今期の建造枠では足りなくってね…良かったらうちの鎮守府の艦娘数人と「交換」ってことで、しばらく建造枠を貸してくれないかな…?」
百合姫提督「交換…ですか?」
提督「ああ……いやもちろん「無理に」とは言わないし、建造枠のトン数もこっちの分が溜まったら返す。それに何か百合野くんが手を回して欲しいことやなんかがあったら、できるだけ手助けするが…どうかな?」
百合姫提督「そうですね……ええ、構いませんよ」
提督「本当かい! いやぁ、君に相談して正解だったなぁ……他の提督たちにも当たってみたんだが、なかなか「大和」と「武蔵」が建造出来るほど枠を残している提督はいなくってね……恩に着るよ」
百合姫提督「いえいえ…」
提督「それじゃあうちから「放出」できる艦娘のリストを後で送るから、好きな娘を選んで教えてくれ」
百合姫提督「はい」
………
…
扶桑「それで選んだのが私と山城、それと「知床」型給油艦の五人を合わせて七人……どう見ても割のいい交換じゃありませんよ?」
山城「ええ…何せ私たちは落ちこぼれの「カテゴリーF」ですから」
百合姫提督「……確かにそういう意見もあるかもしれないわ…でもね」ちびりと日本酒を飲むとコトリとおちょこを置いた…
百合姫提督「私は背伸びをしてまで「大和型」を持とうとは思わないの…確かに「世紀の大戦艦」ではあるし、当時の技術の粋を集めた大艦巨砲主義の究極ともいえる二隻であるのは間違いないわ……でも運用するとなれば鎮守府の設備や使いどころを考えるにも苦労するし、水中防御や隔壁配置の脆弱性から言っても「世界で最も優れた戦艦」とは必ずしも言い切れない……それならむしろ伊勢型とも合わせやすいあなたたちを選ぶわ」
扶桑「…」
百合姫提督「…それと「大和と武蔵を持っている」っていう満足のためだけに、艦隊運用に必要なフネをおざなりにするようなことはしたくないから……」
山城「提督…」
百合姫提督「……あと、私みたいな若輩者が大和型を持っていたら、先輩にあたる提督方に対して「生意気」だものね?」急に流れた真面目な雰囲気を和らげるように、わざと冗談めかした…
足柄「違いないわね…♪」
百合姫提督「ね? …あ、そこにあるお豆腐の田楽を取ってくれる?」
木曾「はい、どうぞ…めっぽう美味いですよ、これ」厚手に切った木綿豆腐に酸味の利いた赤出汁の味噌を塗り、その上にぱらりと白胡麻を散らしたものと葉山椒を載せたものの二種類を炭火で香ばしく炙ってある…
足柄「本当に木曾ときたら、赤出汁ならなんでも美味いっていうんだから……この美濃の田舎娘は」
木曾「余計なお世話だっての…そもそも赤出汁の方がぼんやりした白味噌より美味いだろ?」
百合姫提督「まるで織田信長ね……あ、でも本当に美味しい♪」
木曾「ほら…♪」
神通「あったあった…♪」
木曾「ああ、あったねぇ……全く利根は暴れ者なんだから♪」
利根「へっ、あちこちで暴れてきたお前さんたちに言われたかぁねえや…兄さん、この「鰺のなめろう」を三つばかし頼むよ♪」
店員「はーい!」
妙高「全く……提督もこんなのばっかりで頭が痛いわね?」
百合姫提督「ふふ、利根たちは威勢がいいのが取り柄だもの…それに私はそういうのが苦手だから、少しうらやましいわ……」
足柄「やれやれ…「あばたもえくぼ」とはよく言ったものね」
羽黒「提督の変わり者ぶりには感心するわ」
扶桑「ええ、全くです……何しろ他の鎮守府で持て余されていた私たちを受け入れてしまうほどですもの」
山城「…どうして「出来損ない」呼ばわりされていた私たちを引き取る気になったんですか?」
百合姫提督「そうね…あの時は……」
…数年前・市ヶ谷…
提督「百合野くん、百合野くん…ちょっと相談事なんだが……今いいかな?」
百合姫提督「はい、なんでしょう…?」
…市ヶ谷(防衛省)での「深海棲艦対策検討会」を終えて書類をまとめていると、中将の階級章を付けた一人の提督に手招きされた…
提督「いや、実はな……うちの鎮守府にもそろそろ「大和」と「武蔵」が欲しくて条件を揃えた所なんだが、今期の建造枠では足りなくってね…良かったらうちの鎮守府の艦娘数人と「交換」ってことで、しばらく建造枠を貸してくれないかな…?」
百合姫提督「交換…ですか?」
提督「ああ……いやもちろん「無理に」とは言わないし、建造枠のトン数もこっちの分が溜まったら返す。それに何か百合野くんが手を回して欲しいことやなんかがあったら、できるだけ手助けするが…どうかな?」
百合姫提督「そうですね……ええ、構いませんよ」
提督「本当かい! いやぁ、君に相談して正解だったなぁ……他の提督たちにも当たってみたんだが、なかなか「大和」と「武蔵」が建造出来るほど枠を残している提督はいなくってね……恩に着るよ」
百合姫提督「いえいえ…」
提督「それじゃあうちから「放出」できる艦娘のリストを後で送るから、好きな娘を選んで教えてくれ」
百合姫提督「はい」
………
…
扶桑「それで選んだのが私と山城、それと「知床」型給油艦の五人を合わせて七人……どう見ても割のいい交換じゃありませんよ?」
山城「ええ…何せ私たちは落ちこぼれの「カテゴリーF」ですから」
百合姫提督「……確かにそういう意見もあるかもしれないわ…でもね」ちびりと日本酒を飲むとコトリとおちょこを置いた…
百合姫提督「私は背伸びをしてまで「大和型」を持とうとは思わないの…確かに「世紀の大戦艦」ではあるし、当時の技術の粋を集めた大艦巨砲主義の究極ともいえる二隻であるのは間違いないわ……でも運用するとなれば鎮守府の設備や使いどころを考えるにも苦労するし、水中防御や隔壁配置の脆弱性から言っても「世界で最も優れた戦艦」とは必ずしも言い切れない……それならむしろ伊勢型とも合わせやすいあなたたちを選ぶわ」
扶桑「…」
百合姫提督「…それと「大和と武蔵を持っている」っていう満足のためだけに、艦隊運用に必要なフネをおざなりにするようなことはしたくないから……」
山城「提督…」
百合姫提督「……あと、私みたいな若輩者が大和型を持っていたら、先輩にあたる提督方に対して「生意気」だものね?」急に流れた真面目な雰囲気を和らげるように、わざと冗談めかした…
足柄「違いないわね…♪」
百合姫提督「ね? …あ、そこにあるお豆腐の田楽を取ってくれる?」
木曾「はい、どうぞ…めっぽう美味いですよ、これ」厚手に切った木綿豆腐に酸味の利いた赤出汁の味噌を塗り、その上にぱらりと白胡麻を散らしたものと葉山椒を載せたものの二種類を炭火で香ばしく炙ってある…
足柄「本当に木曾ときたら、赤出汁ならなんでも美味いっていうんだから……この美濃の田舎娘は」
木曾「余計なお世話だっての…そもそも赤出汁の方がぼんやりした白味噌より美味いだろ?」
百合姫提督「まるで織田信長ね……あ、でも本当に美味しい♪」
木曾「ほら…♪」
728: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/18(月) 03:44:50.88:fC93kTTt0 (1/1)
店員「山菜のお煮しめです」
龍田「あ、はーい…神通、那珂、お煮しめはどうですか?」
…鉢に盛られた山菜の煮しめは醤油と酒、砂糖、みりんで味を付けてあり、細くて歯切れのいい「姫竹(※「地竹」あるいは「根曲がり竹」とも)」に味の良く染みた椎茸、それにぜんまいやわらびが入っている…
那珂「ちびちび飲むにはいいかもね……少しちょうだい?」
神通「それなら私も」
龍田「はいはい…さ、どうぞ?」
那珂「いや、ありがと…って」
神通「うっ…!」
龍田「どうかしたの……あっ」
神通「や、やっぱりいらないかな……」山菜を小鉢に取り分けてもらったが、その中に入っているわらびを見て苦い表情を浮かべた神通…
百合姫提督「……神通、良かったら私が」
神通「すみません、提督…」
百合姫提督「大丈夫、気にしないで?」
…数十分後・三軒目の店…
足柄「うー…ちょっと飲んでは別の店に向かって、そこでまた少し飲んで……まるでハシゴ酒じゃない。こんな飲み方をしていたら酔いが早く回りそうよ……」
百合姫提督「仕方ないわ、みんなの所にちゃんと顔を出してあげないといけないし……」
足柄「相変わらず律儀なことで…それで、今度の店は……」
百合姫提督「…確かここじゃないかしら?」
足柄「…中華料理「定遠」……ええ、ここで合ってるわ」
…店内…
鵜来(海防艦「鵜来」型)「…あっ、提督!」
新南(鵜来型)「いらっしゃい♪」
松輪(海防艦「択捉」型)「待ちくたびれましたよ…ささ、どうぞ上座に♪」
百合姫提督「ええ、ありがとう…」
日振(海防艦「日振」型)「食べ放題飲み放題ですからね、たくさん食べないと損ですよ?」
四阪(日振型)「ここの中華は美味しいですよ……私が保証するアル♪」戦後は中華民国(国府軍)に引き渡され「恵安」となり、中共の手に落ちた後も長らく奉公した功労艦の四阪……
百合姫提督「ふふ、四阪(しさか)が言うなら間違いないわね……みんなこそちゃんと食べてる?」
第一号(海防艦「第一号」(丙)型)「はい、たくさんいただいてます…」
第二号(海防艦「第二号」(丁)型)「こんなに食べられるなんて良い時代ですね……司令」
…大戦も末期に急遽大量生産された「第一号」(丙型)および「第二号」(丁型)型海防艦は「鵜来(うくる)型」(甲型)海防艦をさらに簡略、小型化した戦時急造の海防艦で「痩せ馬」の目立つフネであったが、それを反映してか(鎮守府ではちゃんと食べさせているにもかかわらず)みんなあばら骨が浮き出て見えるようなやつれた子供のような姿をしていて、その哀れを誘う様子を見るたびに、百合姫提督としては贅沢をさせてあげたくなる…
(※痩せ馬…造船時において外板に使う鋼材の厚みや品質を落とした時に起きる現象で、外板がへこんで船の肋材の部分だけが浮き上がって見える状態。粗製濫造、劣悪な造船の代名詞)
百合姫提督「え、ええ…いっぱい食べてね……」多くは不遇な生涯を送った海防艦たちのいじらしい様子を見て、かすかに目をうるませる百合姫提督…
鵜来「本当ですね……あ「薩摩白波」お代わりで」(※鵜来…戦後は海上保安庁の巡視船「さつま」となり、1965年(昭和四十年)まで長く艦齢を重ね無事退役)
新南「古滷肉(くーろーよー…酢豚)をお願いします!」大陸に進出して以来、帝国海軍の献立にも取り入れられた中華料理…その中でもおなじみだった「古滷肉」を頼む鵜来型の「新南(しんなん)」…
竹生(鵜来型)「春巻きを六皿お願いです」
杉(松型駆逐艦…戦後国府海軍「恵陽」)「麻婆豆腐を…大皿だし三つでいい?」
梨(松型)「ん、いいんじゃない?」
杉「じゃあ三つで…それと五目焼きそばが二つと、小籠包と海老焼売を蒸籠で三つずつ……それと東坡肉(角煮)を四皿…」
店員のお姉さん「はい♪ …一杯食べてくれテ、私たちも嬉しいネ!」注文を取ると奥の厨房に向かって声を張り上げ、早口の広東語で注文を伝えた…
店員「山菜のお煮しめです」
龍田「あ、はーい…神通、那珂、お煮しめはどうですか?」
…鉢に盛られた山菜の煮しめは醤油と酒、砂糖、みりんで味を付けてあり、細くて歯切れのいい「姫竹(※「地竹」あるいは「根曲がり竹」とも)」に味の良く染みた椎茸、それにぜんまいやわらびが入っている…
那珂「ちびちび飲むにはいいかもね……少しちょうだい?」
神通「それなら私も」
龍田「はいはい…さ、どうぞ?」
那珂「いや、ありがと…って」
神通「うっ…!」
龍田「どうかしたの……あっ」
神通「や、やっぱりいらないかな……」山菜を小鉢に取り分けてもらったが、その中に入っているわらびを見て苦い表情を浮かべた神通…
百合姫提督「……神通、良かったら私が」
神通「すみません、提督…」
百合姫提督「大丈夫、気にしないで?」
…数十分後・三軒目の店…
足柄「うー…ちょっと飲んでは別の店に向かって、そこでまた少し飲んで……まるでハシゴ酒じゃない。こんな飲み方をしていたら酔いが早く回りそうよ……」
百合姫提督「仕方ないわ、みんなの所にちゃんと顔を出してあげないといけないし……」
足柄「相変わらず律儀なことで…それで、今度の店は……」
百合姫提督「…確かここじゃないかしら?」
足柄「…中華料理「定遠」……ええ、ここで合ってるわ」
…店内…
鵜来(海防艦「鵜来」型)「…あっ、提督!」
新南(鵜来型)「いらっしゃい♪」
松輪(海防艦「択捉」型)「待ちくたびれましたよ…ささ、どうぞ上座に♪」
百合姫提督「ええ、ありがとう…」
日振(海防艦「日振」型)「食べ放題飲み放題ですからね、たくさん食べないと損ですよ?」
四阪(日振型)「ここの中華は美味しいですよ……私が保証するアル♪」戦後は中華民国(国府軍)に引き渡され「恵安」となり、中共の手に落ちた後も長らく奉公した功労艦の四阪……
百合姫提督「ふふ、四阪(しさか)が言うなら間違いないわね……みんなこそちゃんと食べてる?」
第一号(海防艦「第一号」(丙)型)「はい、たくさんいただいてます…」
第二号(海防艦「第二号」(丁)型)「こんなに食べられるなんて良い時代ですね……司令」
…大戦も末期に急遽大量生産された「第一号」(丙型)および「第二号」(丁型)型海防艦は「鵜来(うくる)型」(甲型)海防艦をさらに簡略、小型化した戦時急造の海防艦で「痩せ馬」の目立つフネであったが、それを反映してか(鎮守府ではちゃんと食べさせているにもかかわらず)みんなあばら骨が浮き出て見えるようなやつれた子供のような姿をしていて、その哀れを誘う様子を見るたびに、百合姫提督としては贅沢をさせてあげたくなる…
(※痩せ馬…造船時において外板に使う鋼材の厚みや品質を落とした時に起きる現象で、外板がへこんで船の肋材の部分だけが浮き上がって見える状態。粗製濫造、劣悪な造船の代名詞)
百合姫提督「え、ええ…いっぱい食べてね……」多くは不遇な生涯を送った海防艦たちのいじらしい様子を見て、かすかに目をうるませる百合姫提督…
鵜来「本当ですね……あ「薩摩白波」お代わりで」(※鵜来…戦後は海上保安庁の巡視船「さつま」となり、1965年(昭和四十年)まで長く艦齢を重ね無事退役)
新南「古滷肉(くーろーよー…酢豚)をお願いします!」大陸に進出して以来、帝国海軍の献立にも取り入れられた中華料理…その中でもおなじみだった「古滷肉」を頼む鵜来型の「新南(しんなん)」…
竹生(鵜来型)「春巻きを六皿お願いです」
杉(松型駆逐艦…戦後国府海軍「恵陽」)「麻婆豆腐を…大皿だし三つでいい?」
梨(松型)「ん、いいんじゃない?」
杉「じゃあ三つで…それと五目焼きそばが二つと、小籠包と海老焼売を蒸籠で三つずつ……それと東坡肉(角煮)を四皿…」
店員のお姉さん「はい♪ …一杯食べてくれテ、私たちも嬉しいネ!」注文を取ると奥の厨房に向かって声を張り上げ、早口の広東語で注文を伝えた…
729: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/19(火) 01:12:42.09:B9ibwpp60 (1/1)
…しばらくは百合姫提督と艦娘たちの飲み会の場面をお送りする予定で、登場した艦娘たちについては後で紹介を書きたいと思っております…
…相変わらず新型コロナの拡大が叫ばれている中で「大学共通入試テスト」に挑んだ受験生の皆さんや、雪の多い地域に住んでいる皆様は何かと大変なことと思いますが、このssで気分転換になれば幸いです…
…しばらくは百合姫提督と艦娘たちの飲み会の場面をお送りする予定で、登場した艦娘たちについては後で紹介を書きたいと思っております…
…相変わらず新型コロナの拡大が叫ばれている中で「大学共通入試テスト」に挑んだ受験生の皆さんや、雪の多い地域に住んでいる皆様は何かと大変なことと思いますが、このssで気分転換になれば幸いです…
730: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/23(土) 02:04:32.82:Hfaed8l30 (1/1)
鵜来「あ、これも美味しい……ほら、提督も今のうちにいっぱい食べてください」一段に小籠包が五つ入っている丸い蒸籠を渡す…
杉「麻婆豆腐もよそってあげますね」
梨(「松」型駆逐艦)「どうぞ、春巻と海老焼売ですよ♪」
四阪「棒々鶏も取ってあげます」
百合姫提督「い、一旦そのくらいで……いただきます…」
…小籠包を小ぶりのれんげに移して、箸で少し皮を切る……ふわりと生姜の香る熱い肉汁をすすると、それから小籠包そのものを口に運ぶ…
百合姫提督「あ、あふっ…!」
足柄「あー、もう提督ったら…よく冷ましてから食べないと……」
百合姫提督「え、ええ……でも美味しい…」舌先が火傷するかと思うような熱い小籠包に涙目を浮かべ、ふーふーと慌てて息を吹きかける…
初雪「それじゃあ私は春巻を…ふわ、おいひい……♪」
白雪「ん、本当に美味しいです…」
…皿に数本ずつ盛られている春巻を取り、まずはそのまま食べる二人……からりと揚がった皮目が「ぱりっ…」といい音を立てて、中にたっぷり詰まっている餡がこぼれそうになる……餡はひき肉と刻んだ春雨、きくらげと細切りの筍で、オイスターソースと醤油の風味が効いた香ばしい味が付いている……それから残りの部分に辛子醤油を付けて口に運ぶ…
四阪「小姐、很好吃(お姉さん、美味しいよ)!」通りかかったお姉さんに向かって声をかける…
お姉さん「謝謝(ありがと)!」
足柄「それじゃあ私も…と♪」
…大皿から取り分けた「五目焼きそば」は塩味風のあんかけがたっぷりかかっていて、色鮮やかなむき身の海老、細かな切り込みの入れてあるイカ、きくらげ、フクロタケや短冊切りの筍…それにさっと油通しをしているおかげで、シャキシャキしていながら火の通っている白菜と人参などがたっぷり入っている…
足柄「……美味しいわね、これ」
第六十七号(第一号型)「これも美味しいですよ、提督?」
百合姫提督「ええ……私より、六十七号こそちゃんと食べてる?」
第六十七号「はい、いっぱい食べてます♪」
…醤油に八角や紹興酒を加えた甘辛い味で豚の三枚肉をとろとろになるまで煮込み、それをさらに蒸して仕上げた「東坡肉」……北宋時代の詩人であった蘇東坡が左遷先で考案したという一品は手間がかかるが大変に美味で、赤みを帯びた艶のあるタレが肉とよく合う…
百合姫提督「あ、これも美味しい…」
初雪「提督、これも美味しいですよ……はい♪」
百合姫提督「ありがとう、初雪」
初雪「いいんですよ、みゆ……提督///」
百合姫提督「ふふ…初雪がよければ「深雪」でもいいわ……♪」
白雪「…だって、吹雪お姉ちゃん?」
吹雪「い、いえ…さすがに提督のことを名前で呼び捨てにするのは……」
百合姫提督「そう……でもあんまり堅苦しいのは抜きにしましょう、ね?」
吹雪「え、ええ…」
足柄「そうよ、軽巡たちなんて羽目を外しすぎてひっくり返りそうだったんだから」
吹雪「あー……」
百合姫提督「まぁまぁ。人様に迷惑をかけるようなことをしない限りは、少しくらい羽目を外しても……ね?」
白雪「そうですね…特に比叡さんはああですから、提督の留守中は息苦しくって……」
吹雪「ちょっと、白雪…!」
白雪「…っ!」
百合姫提督「大丈夫、比叡には言わないであげるから…♪」
足柄「ま、余計な口は利かないで黙って食べておくことね……もしどこかでこの話が漏れたら、あの調子でねちねちやられるわよ?」
白雪「…気をつけます」
………
…
鵜来「あ、これも美味しい……ほら、提督も今のうちにいっぱい食べてください」一段に小籠包が五つ入っている丸い蒸籠を渡す…
杉「麻婆豆腐もよそってあげますね」
梨(「松」型駆逐艦)「どうぞ、春巻と海老焼売ですよ♪」
四阪「棒々鶏も取ってあげます」
百合姫提督「い、一旦そのくらいで……いただきます…」
…小籠包を小ぶりのれんげに移して、箸で少し皮を切る……ふわりと生姜の香る熱い肉汁をすすると、それから小籠包そのものを口に運ぶ…
百合姫提督「あ、あふっ…!」
足柄「あー、もう提督ったら…よく冷ましてから食べないと……」
百合姫提督「え、ええ……でも美味しい…」舌先が火傷するかと思うような熱い小籠包に涙目を浮かべ、ふーふーと慌てて息を吹きかける…
初雪「それじゃあ私は春巻を…ふわ、おいひい……♪」
白雪「ん、本当に美味しいです…」
…皿に数本ずつ盛られている春巻を取り、まずはそのまま食べる二人……からりと揚がった皮目が「ぱりっ…」といい音を立てて、中にたっぷり詰まっている餡がこぼれそうになる……餡はひき肉と刻んだ春雨、きくらげと細切りの筍で、オイスターソースと醤油の風味が効いた香ばしい味が付いている……それから残りの部分に辛子醤油を付けて口に運ぶ…
四阪「小姐、很好吃(お姉さん、美味しいよ)!」通りかかったお姉さんに向かって声をかける…
お姉さん「謝謝(ありがと)!」
足柄「それじゃあ私も…と♪」
…大皿から取り分けた「五目焼きそば」は塩味風のあんかけがたっぷりかかっていて、色鮮やかなむき身の海老、細かな切り込みの入れてあるイカ、きくらげ、フクロタケや短冊切りの筍…それにさっと油通しをしているおかげで、シャキシャキしていながら火の通っている白菜と人参などがたっぷり入っている…
足柄「……美味しいわね、これ」
第六十七号(第一号型)「これも美味しいですよ、提督?」
百合姫提督「ええ……私より、六十七号こそちゃんと食べてる?」
第六十七号「はい、いっぱい食べてます♪」
…醤油に八角や紹興酒を加えた甘辛い味で豚の三枚肉をとろとろになるまで煮込み、それをさらに蒸して仕上げた「東坡肉」……北宋時代の詩人であった蘇東坡が左遷先で考案したという一品は手間がかかるが大変に美味で、赤みを帯びた艶のあるタレが肉とよく合う…
百合姫提督「あ、これも美味しい…」
初雪「提督、これも美味しいですよ……はい♪」
百合姫提督「ありがとう、初雪」
初雪「いいんですよ、みゆ……提督///」
百合姫提督「ふふ…初雪がよければ「深雪」でもいいわ……♪」
白雪「…だって、吹雪お姉ちゃん?」
吹雪「い、いえ…さすがに提督のことを名前で呼び捨てにするのは……」
百合姫提督「そう……でもあんまり堅苦しいのは抜きにしましょう、ね?」
吹雪「え、ええ…」
足柄「そうよ、軽巡たちなんて羽目を外しすぎてひっくり返りそうだったんだから」
吹雪「あー……」
百合姫提督「まぁまぁ。人様に迷惑をかけるようなことをしない限りは、少しくらい羽目を外しても……ね?」
白雪「そうですね…特に比叡さんはああですから、提督の留守中は息苦しくって……」
吹雪「ちょっと、白雪…!」
白雪「…っ!」
百合姫提督「大丈夫、比叡には言わないであげるから…♪」
足柄「ま、余計な口は利かないで黙って食べておくことね……もしどこかでこの話が漏れたら、あの調子でねちねちやられるわよ?」
白雪「…気をつけます」
………
…
731: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/26(火) 02:54:08.31:Gu6r3h8L0 (1/1)
…数時間後…
百合姫提督「ふぅ…すっかり食べ過ぎちゃった……」
足柄「そうねぇ、それに飲み過ぎもしたし…最後のお銚子は止めておけばよかったわね」
百合姫提督「まぁまぁ…いつも鎮守府で過ごしているんだもの、たまには酒量を過ごしたっていいわ……♪」ぎゅっ…♪
足柄「///」
…多少酔っているらしく、少し紅潮した頬をした百合姫提督はいつもより積極的な様子で、足柄の腕に軽くしがみついた……もちろん足柄もまんざらではないが、腕に抱きつかれて赤くなっている…
大淀「あぁ、提督もいらっしゃいましたか」
百合姫提督「ええ…この後はカラオケに行くんでしょう?」
大淀「はい。ああいう施設は「この姿」になるまでは知らなかったので、目新しくて面白いですね……それに「中央」や「どぶ板通り」もずいぶんと変わったものです」
(※「中央」「どぶ板通り」…いずれも横須賀の繁華街。戦前は横須賀鎮守府の門前で栄え、今でも海自や米軍、観光客向けの店で賑わっている。また「どぶ板通り」は戦前に海軍工廠から鉄板を分けてもらってどぶ川の上に渡し、その上に店を連ねたからと言われる)
百合姫提督「そうね……それで、みんなも行くのかしら?」
大淀「何人かの当直艦と眠気がこらえきれない数人は先行して帰りましたが、おおかたは行くそうですよ」
百合姫提督「了解」
龍田「……あらあら、足柄ったら提督に抱きつかれて…うらやましいわねぇ♪」
足柄「からかわないでちょうだい、提督も少し「きこしめしてる」から支えてるだけよ…ところで川内はどこ?」
扶桑「それがさっきはぐれてしまって……磯波も一緒だったはずなのですが」
山城「まったく、図体の割には手のかかる子供なんだから……戻ってきたらうんとしごいてやらないといけないわね…ぇ♪」白地に紅と黒で彩った般若と髑髏の着物をまとい、ぎらりと八重歯をのぞかせる「鬼」の山城…
初雪「確かに旗艦がいないのでは……」
白雪「…困っちゃいますよね、お姉ちゃん?」
吹雪「え、ええ? まぁ、そういうことになるのかも知れないけど…」
叢雲「まぁ、風の向くまま気の向くまま…月に叢雲、花に雨……まこと世の中は変わりやすい…」
百合姫提督「とりあえず、しばらくの間ここで待っていてあげましょう?」
…数分後…
川内「……お、遅くなりました」
磯波「済みません…」
百合姫提督「大丈夫…それよりも二人が迷子にならなくてよかったわ」
川内「は、それが鳳翔さんが探しに来てくれまして……面目次第もありません」
鳳翔「ふふ、迷子の扱いには慣れていますから…それに少しだけとはいえ「水雷戦隊旗艦」というのも面白いものでしたよ♪」
金剛「おやおや、川内も鳳翔の前では赤子同然ですねぇ…♪」
川内「///」
百合姫提督「まぁまぁ……無事に揃ったわけだし、お店に行きましょうか」
…カラオケ店…
大淀「…予約しておいた「横二」鎮守府ですけれど」
店員「あぁ、はい…えーと、大部屋が全部と手前の個室が十部屋、それにドリンクの飲み放題ですね」
大淀「そうです」
店員「…それでは、これが端末とマイクですね……どうぞごゆっくり!」
大淀「はい、それじゃあ分散してそれぞれの部屋に入って下さい」
一同「「了解」」
百合姫提督「…それじゃあ、私は大淀たちと一緒でいいかしら?」
大淀「そうですね、それじゃあまずは私たちと……♪」
…数時間後…
百合姫提督「ふぅ…すっかり食べ過ぎちゃった……」
足柄「そうねぇ、それに飲み過ぎもしたし…最後のお銚子は止めておけばよかったわね」
百合姫提督「まぁまぁ…いつも鎮守府で過ごしているんだもの、たまには酒量を過ごしたっていいわ……♪」ぎゅっ…♪
足柄「///」
…多少酔っているらしく、少し紅潮した頬をした百合姫提督はいつもより積極的な様子で、足柄の腕に軽くしがみついた……もちろん足柄もまんざらではないが、腕に抱きつかれて赤くなっている…
大淀「あぁ、提督もいらっしゃいましたか」
百合姫提督「ええ…この後はカラオケに行くんでしょう?」
大淀「はい。ああいう施設は「この姿」になるまでは知らなかったので、目新しくて面白いですね……それに「中央」や「どぶ板通り」もずいぶんと変わったものです」
(※「中央」「どぶ板通り」…いずれも横須賀の繁華街。戦前は横須賀鎮守府の門前で栄え、今でも海自や米軍、観光客向けの店で賑わっている。また「どぶ板通り」は戦前に海軍工廠から鉄板を分けてもらってどぶ川の上に渡し、その上に店を連ねたからと言われる)
百合姫提督「そうね……それで、みんなも行くのかしら?」
大淀「何人かの当直艦と眠気がこらえきれない数人は先行して帰りましたが、おおかたは行くそうですよ」
百合姫提督「了解」
龍田「……あらあら、足柄ったら提督に抱きつかれて…うらやましいわねぇ♪」
足柄「からかわないでちょうだい、提督も少し「きこしめしてる」から支えてるだけよ…ところで川内はどこ?」
扶桑「それがさっきはぐれてしまって……磯波も一緒だったはずなのですが」
山城「まったく、図体の割には手のかかる子供なんだから……戻ってきたらうんとしごいてやらないといけないわね…ぇ♪」白地に紅と黒で彩った般若と髑髏の着物をまとい、ぎらりと八重歯をのぞかせる「鬼」の山城…
初雪「確かに旗艦がいないのでは……」
白雪「…困っちゃいますよね、お姉ちゃん?」
吹雪「え、ええ? まぁ、そういうことになるのかも知れないけど…」
叢雲「まぁ、風の向くまま気の向くまま…月に叢雲、花に雨……まこと世の中は変わりやすい…」
百合姫提督「とりあえず、しばらくの間ここで待っていてあげましょう?」
…数分後…
川内「……お、遅くなりました」
磯波「済みません…」
百合姫提督「大丈夫…それよりも二人が迷子にならなくてよかったわ」
川内「は、それが鳳翔さんが探しに来てくれまして……面目次第もありません」
鳳翔「ふふ、迷子の扱いには慣れていますから…それに少しだけとはいえ「水雷戦隊旗艦」というのも面白いものでしたよ♪」
金剛「おやおや、川内も鳳翔の前では赤子同然ですねぇ…♪」
川内「///」
百合姫提督「まぁまぁ……無事に揃ったわけだし、お店に行きましょうか」
…カラオケ店…
大淀「…予約しておいた「横二」鎮守府ですけれど」
店員「あぁ、はい…えーと、大部屋が全部と手前の個室が十部屋、それにドリンクの飲み放題ですね」
大淀「そうです」
店員「…それでは、これが端末とマイクですね……どうぞごゆっくり!」
大淀「はい、それじゃあ分散してそれぞれの部屋に入って下さい」
一同「「了解」」
百合姫提督「…それじゃあ、私は大淀たちと一緒でいいかしら?」
大淀「そうですね、それじゃあまずは私たちと……♪」
732: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/28(木) 01:52:17.18:jnaPZfiB0 (1/1)
百合姫提督「えーと…それで、まずは誰から歌うの?」
球磨「んじゃあこっ球磨が「一番槍」行くと……ぬしらも一緒っ歌ば歌うとばい!」
(※…>1は方言のない地域の人間なので出てくる方言は正しくありませんが、あくまでも雰囲気としてお読み下さい)
多摩「あぁ、球磨ってば酒が入るとまた球磨弁に戻っちゃうんだから…ったく分かりづらい!」
木曾「まぁまぁ…こっちも訛りくらい出るこたぁーあーから」
多摩「だぁぁ、もう…っ!」
百合姫提督「はいはい、それじゃあマイクをどうぞ……」
多摩「それじゃあ「妖怪人間」の替え歌で「水雷戦隊の歌」…行きます!」
三人「♪~闇にかーくれて生きる、おれたちゃ水雷戦隊なのさ」
三人「♪~敵に姿を見せられぬ、ブリキのようなこの船体(からだ)」(早く二水戦になりたい!)
三人「♪~くらいさーだめを、ふきとばせ!」(※以下くり返し)
球磨「球磨!」
多摩「多摩!」
木曾「木曾!」
三人「♪~水雷戦隊!」
…そのまま二番、三番と続ける三人……本来は「北上」と「大井」も姉妹艦であり仲が悪い訳でもないが、二人は別の部屋に入っている…
三人「♪~月に涙を流す、おれたちゃ水雷戦隊なのさ」
三人「♪~悪を懲らして人の世に、生きる望みに燃えている」
(※くり返し)
三人「♪~星に願いをかける、おれたちゃ水雷戦隊なのさ」
三人「♪~正義のために戦って、いつかは生まれ変わるんだ」
(※くり返し)
百合姫提督「うん、上手だったわ……次はだあれ?」
白雪「…でしたら提督、一緒に歌いませんか?」透き通るような白い肌にほっそりと涼しげな顔立ちの「白雪」が百合姫提督を誘った…
百合姫提督「ええ、それじゃあ……」
白雪「えーと、じゃあこの曲を……吹雪お姉ちゃんに捧げます♪」くすくす笑いながらマイクを取り、ついでに初雪にも渡した…
吹雪「?」
白雪「曲は…「氷の世界」です」
百合姫提督「あぁ、なるほど……」
白雪「♪~窓の外ではリンゴ売り、声を枯らしてリンゴ売り…!」
百合姫提督「♪~きっと誰かがふざけて、リンゴ売りの真似をしているだけなんだろう…」
初雪「♪~僕のテレビは寒さで、画期的な色になり」
白雪「♪~とても醜いあの子を、ぐっと魅力的な子にしてすぐ消えた…」
百合姫提督「♪~今年の寒さは、記録的なもの」
初雪「♪~凍えてしまうよ、あぁ…!」
白雪「♪~まいにーち、吹雪、吹雪…氷の世界ぃぃ…!」
吹雪「も、もう…そういうことね///」
一同「「あはははっ♪」」
百合姫提督「…ふぅ、それじゃあ私は他の部屋にも顔を出してきますから……みんなはそのまま楽しんで♪」
百合姫提督「えーと…それで、まずは誰から歌うの?」
球磨「んじゃあこっ球磨が「一番槍」行くと……ぬしらも一緒っ歌ば歌うとばい!」
(※…>1は方言のない地域の人間なので出てくる方言は正しくありませんが、あくまでも雰囲気としてお読み下さい)
多摩「あぁ、球磨ってば酒が入るとまた球磨弁に戻っちゃうんだから…ったく分かりづらい!」
木曾「まぁまぁ…こっちも訛りくらい出るこたぁーあーから」
多摩「だぁぁ、もう…っ!」
百合姫提督「はいはい、それじゃあマイクをどうぞ……」
多摩「それじゃあ「妖怪人間」の替え歌で「水雷戦隊の歌」…行きます!」
三人「♪~闇にかーくれて生きる、おれたちゃ水雷戦隊なのさ」
三人「♪~敵に姿を見せられぬ、ブリキのようなこの船体(からだ)」(早く二水戦になりたい!)
三人「♪~くらいさーだめを、ふきとばせ!」(※以下くり返し)
球磨「球磨!」
多摩「多摩!」
木曾「木曾!」
三人「♪~水雷戦隊!」
…そのまま二番、三番と続ける三人……本来は「北上」と「大井」も姉妹艦であり仲が悪い訳でもないが、二人は別の部屋に入っている…
三人「♪~月に涙を流す、おれたちゃ水雷戦隊なのさ」
三人「♪~悪を懲らして人の世に、生きる望みに燃えている」
(※くり返し)
三人「♪~星に願いをかける、おれたちゃ水雷戦隊なのさ」
三人「♪~正義のために戦って、いつかは生まれ変わるんだ」
(※くり返し)
百合姫提督「うん、上手だったわ……次はだあれ?」
白雪「…でしたら提督、一緒に歌いませんか?」透き通るような白い肌にほっそりと涼しげな顔立ちの「白雪」が百合姫提督を誘った…
百合姫提督「ええ、それじゃあ……」
白雪「えーと、じゃあこの曲を……吹雪お姉ちゃんに捧げます♪」くすくす笑いながらマイクを取り、ついでに初雪にも渡した…
吹雪「?」
白雪「曲は…「氷の世界」です」
百合姫提督「あぁ、なるほど……」
白雪「♪~窓の外ではリンゴ売り、声を枯らしてリンゴ売り…!」
百合姫提督「♪~きっと誰かがふざけて、リンゴ売りの真似をしているだけなんだろう…」
初雪「♪~僕のテレビは寒さで、画期的な色になり」
白雪「♪~とても醜いあの子を、ぐっと魅力的な子にしてすぐ消えた…」
百合姫提督「♪~今年の寒さは、記録的なもの」
初雪「♪~凍えてしまうよ、あぁ…!」
白雪「♪~まいにーち、吹雪、吹雪…氷の世界ぃぃ…!」
吹雪「も、もう…そういうことね///」
一同「「あはははっ♪」」
百合姫提督「…ふぅ、それじゃあ私は他の部屋にも顔を出してきますから……みんなはそのまま楽しんで♪」
733: ◆b0M46H9tf98h:2021/01/31(日) 01:34:17.20:jBZPKpsI0 (1/1)
…別の個室…
百合姫提督「…どう、みんな?」
天龍「おう、提督……おかげさまで楽しくやらせてもらってるよ!」
百合姫提督「そう、よかった」
天龍「まぁまぁ、立ち話ってこともないだろ…ほら」席を詰めるとソファーの座面を「ぽんぽん…っ」と叩いた…
百合姫提督「ええ、それじゃあ……」
天龍「いいってことよ」
龍田「ふふ、来てくれて嬉しいわ」
百合姫提督「いえいえ…♪」
伊勢「龍田、貴女の番じゃない?」
龍田「あら、ご丁寧にどうも……では、わたくし「龍田」が一曲歌います…♪」提督に向けて軽く一礼するとマイクを取りあげる…
天龍「龍田か…「よっ、待ってました!」とは言いにくいな……」
龍田「ふーん、一体どういう意味かしら…ぁ?」立ち上がっていたが腰をかがめ、天龍のあごを指先で撫でた……
天龍「いや、龍田の歌は怖いんだよ……」
百合姫提督「まぁまぁ、天龍…別に龍田だって怖がらせるためにやっているわけじゃないはずだもの……」
天龍「いや、それは分かってるんだけどさ…で、何を歌うんだい? まぁ、なんか明るいのがいいな!」
龍田「……えぇ、ではこの曲を「龍田の夢は夜ひらく」です…♪」演歌ではなく怨みを込めた「怨歌」と称される名曲にのせ、歌い始める…
天龍「これだよ……」
龍田「♪~紅く咲くのは、けしの花…白く咲くのは百合の花」
龍田「♪~どう咲きゃいいのさ、この私……夢は夜ひらく…」
龍田「♪~(昭和)十六、十七、十八と…私の人生、暗かった……過去がどんなに暗くとも、夢は夜ひらく…」
龍田「♪~昨日「蕨」に「四十三」…明日は「疾風」と「如月」と……」
(※「龍田」は戦前の演習で「第四十三号潜水艦」と衝突・沈没させ、「美保関事件」では演習の防御側として夜襲を迎え撃つため探照灯を照射、これを避けようとした「神通」が回頭し「蕨」沈没の原因となった。「疾風」「如月」は大戦初期ウェーク島攻略時に撃沈された)
天龍「なぁ提督…」
百合姫提督「なぁに、天龍?」
天龍「いや、龍田が歌い終わったら一曲やってくれないか……これじゃあ盛り下がっちまうよ」
百合姫提督「分かったわ…」
龍田「……ありがとうございました」
百合姫提督「上手だったわ、龍田……それじゃあせっかくだから私も…♪」
龍田「それじゃあマイクをどうぞ」
伊勢「曲は何にします?」
百合姫提督「あんまり上手じゃないから、ちょっと恥ずかしいけれど……誰か一緒に歌ってくれる?」
天龍「もちろん」
松「じゃあ私も♪」
梅「うむ、わらわも付き合うぞえ♪」
梨「はい」
百合姫提督「ありがとう、それじゃあ……」
………
…
…別の個室…
百合姫提督「…どう、みんな?」
天龍「おう、提督……おかげさまで楽しくやらせてもらってるよ!」
百合姫提督「そう、よかった」
天龍「まぁまぁ、立ち話ってこともないだろ…ほら」席を詰めるとソファーの座面を「ぽんぽん…っ」と叩いた…
百合姫提督「ええ、それじゃあ……」
天龍「いいってことよ」
龍田「ふふ、来てくれて嬉しいわ」
百合姫提督「いえいえ…♪」
伊勢「龍田、貴女の番じゃない?」
龍田「あら、ご丁寧にどうも……では、わたくし「龍田」が一曲歌います…♪」提督に向けて軽く一礼するとマイクを取りあげる…
天龍「龍田か…「よっ、待ってました!」とは言いにくいな……」
龍田「ふーん、一体どういう意味かしら…ぁ?」立ち上がっていたが腰をかがめ、天龍のあごを指先で撫でた……
天龍「いや、龍田の歌は怖いんだよ……」
百合姫提督「まぁまぁ、天龍…別に龍田だって怖がらせるためにやっているわけじゃないはずだもの……」
天龍「いや、それは分かってるんだけどさ…で、何を歌うんだい? まぁ、なんか明るいのがいいな!」
龍田「……えぇ、ではこの曲を「龍田の夢は夜ひらく」です…♪」演歌ではなく怨みを込めた「怨歌」と称される名曲にのせ、歌い始める…
天龍「これだよ……」
龍田「♪~紅く咲くのは、けしの花…白く咲くのは百合の花」
龍田「♪~どう咲きゃいいのさ、この私……夢は夜ひらく…」
龍田「♪~(昭和)十六、十七、十八と…私の人生、暗かった……過去がどんなに暗くとも、夢は夜ひらく…」
龍田「♪~昨日「蕨」に「四十三」…明日は「疾風」と「如月」と……」
(※「龍田」は戦前の演習で「第四十三号潜水艦」と衝突・沈没させ、「美保関事件」では演習の防御側として夜襲を迎え撃つため探照灯を照射、これを避けようとした「神通」が回頭し「蕨」沈没の原因となった。「疾風」「如月」は大戦初期ウェーク島攻略時に撃沈された)
天龍「なぁ提督…」
百合姫提督「なぁに、天龍?」
天龍「いや、龍田が歌い終わったら一曲やってくれないか……これじゃあ盛り下がっちまうよ」
百合姫提督「分かったわ…」
龍田「……ありがとうございました」
百合姫提督「上手だったわ、龍田……それじゃあせっかくだから私も…♪」
龍田「それじゃあマイクをどうぞ」
伊勢「曲は何にします?」
百合姫提督「あんまり上手じゃないから、ちょっと恥ずかしいけれど……誰か一緒に歌ってくれる?」
天龍「もちろん」
松「じゃあ私も♪」
梅「うむ、わらわも付き合うぞえ♪」
梨「はい」
百合姫提督「ありがとう、それじゃあ……」
………
…
734: ◆b0M46H9tf98h:2021/02/02(火) 22:39:27.84:MJAwUMIL0 (1/1)
…次の投下は(多分)木曜の深夜になるかと思います…このところなにかと忙しく、かといって休日に出かけるのもはばかられて息苦しい感じですが、そのぶん頑張って書き続けていこうと思います……ちなみに出てくる曲は懐かしの昭和歌謡から名曲と思われるものを多めにしております
…そういえば今年は百数十年ぶりに今日が節分だそうですね……ぜひ豆を撒いたりヒイラギを飾ったりしましょう
…次の投下は(多分)木曜の深夜になるかと思います…このところなにかと忙しく、かといって休日に出かけるのもはばかられて息苦しい感じですが、そのぶん頑張って書き続けていこうと思います……ちなみに出てくる曲は懐かしの昭和歌謡から名曲と思われるものを多めにしております
…そういえば今年は百数十年ぶりに今日が節分だそうですね……ぜひ豆を撒いたりヒイラギを飾ったりしましょう
735: ◆b0M46H9tf98h:2021/02/05(金) 02:00:59.75:SXqBTSbd0 (1/1)
…しばらくして…
比叡「提督、ぜひもう一曲お願いします♪」
百合姫提督「…分かったわ、それじゃあ……「初恋」で」
天龍「おっ、提督の十八番じゃないか!」
夕立「待ってましたっ!」
百合姫提督「もう…そんなに言われたら恥ずかしいわ……///」
百合姫提督「♪~五月雨は、緑色……かーなしくさせたよ、一人の午後は…」
百合姫提督「♪~恋をして、淋しくて…とーどかぬ想いを、暖めていたぁぁ……」
百合姫提督「♪~「好きだよ」と言えずに初恋は……振り子細工のこころ…ぉ」
百合姫提督「♪~放課後の校庭を走る君がいた…遠くで僕はいつでも君を探していた……」
百合姫提督「♪~浅い夢だからぁ…胸を離れない……」
梨「提督の声、やっぱり沁みるわ…」
梅「確かに綺麗じゃのう……」
百合姫提督「も、もういいでしょ……ほら、次は誰の番?」
…しばらくして・また別の個室…
百合姫提督「……ごめんなさい、遅くなっちゃって」
赤城「あぁ、提督……良く来て下さいました」
加賀「謝る事なんてありませんから…どうぞかけて下さい♪」
百合姫提督「ありがとう」
飛龍「ここは空母ばっかりだから蒸し暑いかもね?」
鳳翔「まぁ、ふふ…♪」
赤城「その話は言いっこなしですよ」
蒼龍「曲は?」
赤城「そうですね…さっきまで演歌でしたから、この辺りで趣向を変えて……ね、加賀?」
加賀「はい、一緒にね…♪」
…曲の前奏に合わせて「ピピピピピ…」と電子音が流れると、二人して背中合わせに立った…
赤城・加賀「♪~I just feel 『rhythm emotion』……この胸の鼓動は…」
赤城・加賀「♪~あなたへとつづーいてーる…so far away…!」
赤城「♪~…もう、傷ついてもいい 瞳をそらさずに……熱く、激しく生きていたい…!」
加賀「♪~あーきーらめーなーい強さを…くーれーる、あなただから抱きしめたい…!」
赤城・加賀「♪~I just feel 『rhythm emotion』」
赤城「♪~過ちも痛みも…あーざやかーな、一瞬の、光へとみちーびーいて!」
赤城・加賀「♪~I just feel 『rhythm emotion』」
加賀「♪~この胸の鼓動は、あなたへとつーづいてーる、so far away…!」
百合姫提督「二人とも、とっても格好いい…」二人が歌い終わったのを見て拍手をしている百合姫提督…
赤城「ありがとうございます…♪」
加賀「…ゼロ、教えてくれ……私はあと何機のグラマンとカーチスを殺せばいい…?」
百合姫提督「……加賀?」
飛龍「…くすくすっ♪」
龍驤「くくっ…♪」
…しばらくして…
比叡「提督、ぜひもう一曲お願いします♪」
百合姫提督「…分かったわ、それじゃあ……「初恋」で」
天龍「おっ、提督の十八番じゃないか!」
夕立「待ってましたっ!」
百合姫提督「もう…そんなに言われたら恥ずかしいわ……///」
百合姫提督「♪~五月雨は、緑色……かーなしくさせたよ、一人の午後は…」
百合姫提督「♪~恋をして、淋しくて…とーどかぬ想いを、暖めていたぁぁ……」
百合姫提督「♪~「好きだよ」と言えずに初恋は……振り子細工のこころ…ぉ」
百合姫提督「♪~放課後の校庭を走る君がいた…遠くで僕はいつでも君を探していた……」
百合姫提督「♪~浅い夢だからぁ…胸を離れない……」
梨「提督の声、やっぱり沁みるわ…」
梅「確かに綺麗じゃのう……」
百合姫提督「も、もういいでしょ……ほら、次は誰の番?」
…しばらくして・また別の個室…
百合姫提督「……ごめんなさい、遅くなっちゃって」
赤城「あぁ、提督……良く来て下さいました」
加賀「謝る事なんてありませんから…どうぞかけて下さい♪」
百合姫提督「ありがとう」
飛龍「ここは空母ばっかりだから蒸し暑いかもね?」
鳳翔「まぁ、ふふ…♪」
赤城「その話は言いっこなしですよ」
蒼龍「曲は?」
赤城「そうですね…さっきまで演歌でしたから、この辺りで趣向を変えて……ね、加賀?」
加賀「はい、一緒にね…♪」
…曲の前奏に合わせて「ピピピピピ…」と電子音が流れると、二人して背中合わせに立った…
赤城・加賀「♪~I just feel 『rhythm emotion』……この胸の鼓動は…」
赤城・加賀「♪~あなたへとつづーいてーる…so far away…!」
赤城「♪~…もう、傷ついてもいい 瞳をそらさずに……熱く、激しく生きていたい…!」
加賀「♪~あーきーらめーなーい強さを…くーれーる、あなただから抱きしめたい…!」
赤城・加賀「♪~I just feel 『rhythm emotion』」
赤城「♪~過ちも痛みも…あーざやかーな、一瞬の、光へとみちーびーいて!」
赤城・加賀「♪~I just feel 『rhythm emotion』」
加賀「♪~この胸の鼓動は、あなたへとつーづいてーる、so far away…!」
百合姫提督「二人とも、とっても格好いい…」二人が歌い終わったのを見て拍手をしている百合姫提督…
赤城「ありがとうございます…♪」
加賀「…ゼロ、教えてくれ……私はあと何機のグラマンとカーチスを殺せばいい…?」
百合姫提督「……加賀?」
飛龍「…くすくすっ♪」
龍驤「くくっ…♪」
736:以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします:2021/02/05(金) 03:03:25.01:2vv8dtEa0 (1/1)
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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737:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2021/02/08(月) 23:25:37.09:DjVB5Cg70 (1/1)
まさかのガンダムW
まさかのガンダムW
738: ◆b0M46H9tf98h:2021/02/11(木) 01:06:37.59:yelslRfq0 (1/1)
Wのあの効果音付きは、最後の数回だけだったとは思えないほどの印象がありましたね…
…それにしても「そうりゅう」の事故はかなりひどいものですね…
…もちろん詳しい原因は各種の審判や調査を待つ必要がありますが「航路逸脱があった」とか「フルノを作動させていなかった」とか「ワッチがちゃんとしていなかった」といった言い訳も立つ水上艦と民間船の事故ならばともかく、聴音もバッフルクリアーもせずにただ浮上し、おまけにセイルのアンテナを損傷させたので乗員の携帯で陸と連絡を取ったというのでは……
こう言うときはたいてい、部外者側に何か原因の一部でもを押しつけられないかやっきになって、それから不運な当直など「誰か」が責任を負わされる…そして「監視をちゃんと行う」のような分かりきったことを小難しく書いたマニュアルを作るよう言われる、というパターンが出来上がっていますから……そして責任者は「あぁ、あの人はね……」と毒にも薬にもならない場所に転属させられて、腫れ物に触るような扱いを受ける……と
…「そうりゅう」型そのものは「世〇の艦船」のそうりゅう型潜水艦とAIPについての特集で詳しく書かれており、なかなか優れた潜水艦である印象を受けましたが……
Wのあの効果音付きは、最後の数回だけだったとは思えないほどの印象がありましたね…
…それにしても「そうりゅう」の事故はかなりひどいものですね…
…もちろん詳しい原因は各種の審判や調査を待つ必要がありますが「航路逸脱があった」とか「フルノを作動させていなかった」とか「ワッチがちゃんとしていなかった」といった言い訳も立つ水上艦と民間船の事故ならばともかく、聴音もバッフルクリアーもせずにただ浮上し、おまけにセイルのアンテナを損傷させたので乗員の携帯で陸と連絡を取ったというのでは……
こう言うときはたいてい、部外者側に何か原因の一部でもを押しつけられないかやっきになって、それから不運な当直など「誰か」が責任を負わされる…そして「監視をちゃんと行う」のような分かりきったことを小難しく書いたマニュアルを作るよう言われる、というパターンが出来上がっていますから……そして責任者は「あぁ、あの人はね……」と毒にも薬にもならない場所に転属させられて、腫れ物に触るような扱いを受ける……と
…「そうりゅう」型そのものは「世〇の艦船」のそうりゅう型潜水艦とAIPについての特集で詳しく書かれており、なかなか優れた潜水艦である印象を受けましたが……
739: ◆b0M46H9tf98h:2021/02/14(日) 01:19:37.38:+E2XBgOH0 (1/1)
…本当は今日投下するつもりだったのですが、地震もありましたし明日以降に持ち越します……住んでいる地域は揺れこそしたものの、棚の小物が少々落ちた程度で済みましたが……皆様の住んでいる場所でも被害が少なかったことを願っております…
……落ち着いたらまた投下します
…本当は今日投下するつもりだったのですが、地震もありましたし明日以降に持ち越します……住んでいる地域は揺れこそしたものの、棚の小物が少々落ちた程度で済みましたが……皆様の住んでいる場所でも被害が少なかったことを願っております…
……落ち着いたらまた投下します
740: ◆b0M46H9tf98h:2021/02/15(月) 03:44:21.64:V1XzAlLH0 (1/1)
…数十分後…
龍驤「♪~きさまとお~れ~と~はぁぁ、同期のさ~く~らぁぁ! お~なじ兵学校のぉ、にぃぃわぁぁにぃ咲ぁぁくぅ~!」
鳳翔「♪~ちぃぃにくわぁぁけたぁぁる、仲でぇぇはな~い~がぁぁ…!」
二人「♪~な~ぜか気がおぉぉてぇぇ、わぁぁかれらぁぁれぬぅぅ…!」(※「同期の桜」二番)
…酔うとたいていの(特に戦前から戦況の良かった大戦序盤を経験している)艦娘たちは当時流行していた軍歌のメドレーというのがお決まりになっていて、鎮守府のそばにあるカラオケ店の履歴には「軍隊小唄」や「月月火水木金金」のような歌が入っている……そしてかなり酒が回っている鳳翔と龍驤もそのタイプで、肩を組みながら「同期の桜」を熱唱している…
百合姫提督「……ぐすっ…」
鳳翔「あぁ、目一杯歌っていい心持ちです……って、提督…っ!?」
百合姫提督「だめ、歌詞が……泣けて…あのね、絶対に……ぐすんっ…私はみんなのことを無駄死なんてさせない……無茶な作戦で「散る」なんてさせないから…!」
赤城「あらら……さ、ちり紙をどうぞ」
百合姫提督「あ、ありがとう…」
…さらに数分後…
鳳翔「……それにしても少々歌いすぎたせいか、喉が渇きましたね」
百合姫提督「…ドリンクバーはセットに入っているし、何か取ってくる…烏龍茶でいい?」
鳳翔「そんな滅相もない!提督に飲み物を取ってきていただくなんて……」そう言いながらマイクを握っていない数人をちらりと見た…
赤城「あー…なら私が……」
加賀「そ、そうですね…ここは若輩者である私たちが…」
飛龍「いえ、だったら我々の方が後輩なので……!」
蒼龍「そ、そうですよ…!」鳳翔の視線を受けて、一斉に立ち上がろうとする「後輩」たち……
龍驤「え、飲み物を持ってきてくれるって? …なんだか悪いねぇ」
鳳翔「おや、わざわざ済みません……でも、せっかくそう言ってくれるなら…お言葉に甘えさせてもらいましょうか♪」
百合姫提督「鳳翔、龍驤。いくら自分たちが年上で先輩だからって、赤城たちをあごで使うようなことはしない」ソファーでくつろいだ姿勢を取っていたが、急に背筋を伸ばすとピシリと言った…
鳳翔「……それを言われますと」
龍驤「確かに提督のおっしゃるとおりです…」
百合姫提督「あのね、飲み物が欲しいなら素直にお願いすること……それから不公平にならないように順番で行きなさい。いい?」
鳳翔「はい」
百合姫提督「……よろしい、それじゃあ私は他の部屋も回ってきます♪」
…いくらか酩酊しているらしい百合姫提督はいつもより感情の表し方がはっきりさせていて、それもころころと変わる……ついさっきまで鳳翔たちを叱っていたかと思いきや、素直に反省した様子を見せると途端に笑顔になった…
飛龍「提督、大丈夫ですか…?」
百合姫提督「ええ、大丈夫大丈夫…お気持ちだけいただいておきます♪」
…別の個室…
百合姫提督「みんな、お待たせ♪」
択捉「提督っ、連絡してくれたら迎えに行ったのに…!」
百合姫提督「いいのいいの……ここ、座っていい?」
択捉「はい、もちろんですよ♪」
日振(「甲(日振)」型海防艦)「…えー、それじゃあ次は私たちが歌います」
佐渡(「甲(択捉)」型海防艦)「この曲を大好きなお姉ちゃんたちに捧げます……たとえ三人生まれたときは違っても、最期はみんな一緒だからね…お姉ちゃん?」
松輪(「甲(択捉)」型海防艦)「き、気持ちは嬉しいけど……」
…数十分後…
龍驤「♪~きさまとお~れ~と~はぁぁ、同期のさ~く~らぁぁ! お~なじ兵学校のぉ、にぃぃわぁぁにぃ咲ぁぁくぅ~!」
鳳翔「♪~ちぃぃにくわぁぁけたぁぁる、仲でぇぇはな~い~がぁぁ…!」
二人「♪~な~ぜか気がおぉぉてぇぇ、わぁぁかれらぁぁれぬぅぅ…!」(※「同期の桜」二番)
…酔うとたいていの(特に戦前から戦況の良かった大戦序盤を経験している)艦娘たちは当時流行していた軍歌のメドレーというのがお決まりになっていて、鎮守府のそばにあるカラオケ店の履歴には「軍隊小唄」や「月月火水木金金」のような歌が入っている……そしてかなり酒が回っている鳳翔と龍驤もそのタイプで、肩を組みながら「同期の桜」を熱唱している…
百合姫提督「……ぐすっ…」
鳳翔「あぁ、目一杯歌っていい心持ちです……って、提督…っ!?」
百合姫提督「だめ、歌詞が……泣けて…あのね、絶対に……ぐすんっ…私はみんなのことを無駄死なんてさせない……無茶な作戦で「散る」なんてさせないから…!」
赤城「あらら……さ、ちり紙をどうぞ」
百合姫提督「あ、ありがとう…」
…さらに数分後…
鳳翔「……それにしても少々歌いすぎたせいか、喉が渇きましたね」
百合姫提督「…ドリンクバーはセットに入っているし、何か取ってくる…烏龍茶でいい?」
鳳翔「そんな滅相もない!提督に飲み物を取ってきていただくなんて……」そう言いながらマイクを握っていない数人をちらりと見た…
赤城「あー…なら私が……」
加賀「そ、そうですね…ここは若輩者である私たちが…」
飛龍「いえ、だったら我々の方が後輩なので……!」
蒼龍「そ、そうですよ…!」鳳翔の視線を受けて、一斉に立ち上がろうとする「後輩」たち……
龍驤「え、飲み物を持ってきてくれるって? …なんだか悪いねぇ」
鳳翔「おや、わざわざ済みません……でも、せっかくそう言ってくれるなら…お言葉に甘えさせてもらいましょうか♪」
百合姫提督「鳳翔、龍驤。いくら自分たちが年上で先輩だからって、赤城たちをあごで使うようなことはしない」ソファーでくつろいだ姿勢を取っていたが、急に背筋を伸ばすとピシリと言った…
鳳翔「……それを言われますと」
龍驤「確かに提督のおっしゃるとおりです…」
百合姫提督「あのね、飲み物が欲しいなら素直にお願いすること……それから不公平にならないように順番で行きなさい。いい?」
鳳翔「はい」
百合姫提督「……よろしい、それじゃあ私は他の部屋も回ってきます♪」
…いくらか酩酊しているらしい百合姫提督はいつもより感情の表し方がはっきりさせていて、それもころころと変わる……ついさっきまで鳳翔たちを叱っていたかと思いきや、素直に反省した様子を見せると途端に笑顔になった…
飛龍「提督、大丈夫ですか…?」
百合姫提督「ええ、大丈夫大丈夫…お気持ちだけいただいておきます♪」
…別の個室…
百合姫提督「みんな、お待たせ♪」
択捉「提督っ、連絡してくれたら迎えに行ったのに…!」
百合姫提督「いいのいいの……ここ、座っていい?」
択捉「はい、もちろんですよ♪」
日振(「甲(日振)」型海防艦)「…えー、それじゃあ次は私たちが歌います」
佐渡(「甲(択捉)」型海防艦)「この曲を大好きなお姉ちゃんたちに捧げます……たとえ三人生まれたときは違っても、最期はみんな一緒だからね…お姉ちゃん?」
松輪(「甲(択捉)」型海防艦)「き、気持ちは嬉しいけど……」
741: ◆b0M46H9tf98h:2021/02/21(日) 02:14:31.92:4bYGHXsG0 (1/1)
百合姫提督「わー…♪」胸の前で小さく拍手する百合姫提督…
日振「♪~かーわいいいふりしてわりと、やるもんだねと」
佐渡「♪~言われ続けたあのこ~ろ、生きるのが辛かった」
日振「♪~行ったり来たりすれ違い、あなたと私の恋…」
二人「♪~いつかどこかで結ばれるって、ことは永遠(とわ)の夢…」
日振「♪~あーおーく、広いこのそーらー…」
佐渡「♪~誰のものでもなーいわー」
二人「♪~かーぜに、ひとひらの雲…流してなーがーされてーぇ…」
二人「♪~わたしまーつーわ、いつまでも待つわ」
二人「♪~たとえあなたが振り向いてくれなくても」
二人「♪~まーつわー(待つわ)…いつまでもまーつーわ」
二人「♪~他の誰かにあなたが振られる日まーで…」
第二十二号「本当に仲がいいね、松輪?」
松輪「むむ…嬉しいような嬉しくないような……」
第百二号哨戒艇(単艦)「そういうことは言わないの、大事な姉妹でしょ?」
松輪「まあね……」
百合姫提督「ねぇねぇ択捉、何か頼まない…?」
択捉「いいけど、お財布は大丈夫?」
百合姫提督「ええ大丈夫、そのためにちゃんとお金も下ろしてきたの……みんなも好きな物を頼んでね?」
日振「やった♪ それじゃあ私はパンケーキにする♪」
佐渡「じゃあアイスでも頼もうかな…お姉ちゃんにも一口分けてあげるからね」
日振「ありがと……提督は何にしますか?」
百合姫提督「私はイチゴパフェにするわ…お酒を飲んだ後はパフェを食べるって、北海道へ出張したときに教わったの♪」
択捉「ああ、そういえば聞いたことがあるかも…」
百合姫提督「そうそう「すすきの」でごちそうになったときも最後はみんなでパフェを食べて……懐かしいわ」
竹生(鵜来型)「提督も意外とあちこちで遊んでるよね」
百合姫提督「んー…と言うよりは、各地に出張で行くとたいてい地元の提督さんや幹部の人から「本日はお疲れ様でした…どうですか、少し?」って飲みに誘われるから…むげに断るのも悪いし……」
新南(鵜来型)「提督も私と同じであちこち行ってるもんねぇ…」
(※新南…戦後は海上保安庁の巡視船「つがる」となり皆既日食の観測などを行い、さらに海保退役後はボルネオ石油開発公団の宿泊船として用いられ、1971年(昭和46年)に解体と、長く数奇な運命をたどった)
百合姫提督「ええ、おかげで全国の繁華街は一通り巡ったと思うわ…すすきのに国分町、京都の先斗町(ぼんとちょう)に大阪の道頓堀、十三(じゅうそう)……神戸の「南京町」(中華街)や名古屋の栄…福岡の「親不孝通り」(天神)に中州……あと、沖縄の「国際通り」とかも」指折り数えてみる百合姫提督…
日振「へぇ、ずいぶん遊んでるんだ?」
百合姫提督「ううん、私はあくまでもお招きに預かっただけ……たいていはお店まで連れて行ってもらうから、道もよく知らないの」
第一号「そうなの」
百合姫提督「ええ…それより注文は決まった?」
択捉「決まったわ」
百合姫提督「それじゃあ電話を…と♪」
………
…
百合姫提督「わー…♪」胸の前で小さく拍手する百合姫提督…
日振「♪~かーわいいいふりしてわりと、やるもんだねと」
佐渡「♪~言われ続けたあのこ~ろ、生きるのが辛かった」
日振「♪~行ったり来たりすれ違い、あなたと私の恋…」
二人「♪~いつかどこかで結ばれるって、ことは永遠(とわ)の夢…」
日振「♪~あーおーく、広いこのそーらー…」
佐渡「♪~誰のものでもなーいわー」
二人「♪~かーぜに、ひとひらの雲…流してなーがーされてーぇ…」
二人「♪~わたしまーつーわ、いつまでも待つわ」
二人「♪~たとえあなたが振り向いてくれなくても」
二人「♪~まーつわー(待つわ)…いつまでもまーつーわ」
二人「♪~他の誰かにあなたが振られる日まーで…」
第二十二号「本当に仲がいいね、松輪?」
松輪「むむ…嬉しいような嬉しくないような……」
第百二号哨戒艇(単艦)「そういうことは言わないの、大事な姉妹でしょ?」
松輪「まあね……」
百合姫提督「ねぇねぇ択捉、何か頼まない…?」
択捉「いいけど、お財布は大丈夫?」
百合姫提督「ええ大丈夫、そのためにちゃんとお金も下ろしてきたの……みんなも好きな物を頼んでね?」
日振「やった♪ それじゃあ私はパンケーキにする♪」
佐渡「じゃあアイスでも頼もうかな…お姉ちゃんにも一口分けてあげるからね」
日振「ありがと……提督は何にしますか?」
百合姫提督「私はイチゴパフェにするわ…お酒を飲んだ後はパフェを食べるって、北海道へ出張したときに教わったの♪」
択捉「ああ、そういえば聞いたことがあるかも…」
百合姫提督「そうそう「すすきの」でごちそうになったときも最後はみんなでパフェを食べて……懐かしいわ」
竹生(鵜来型)「提督も意外とあちこちで遊んでるよね」
百合姫提督「んー…と言うよりは、各地に出張で行くとたいてい地元の提督さんや幹部の人から「本日はお疲れ様でした…どうですか、少し?」って飲みに誘われるから…むげに断るのも悪いし……」
新南(鵜来型)「提督も私と同じであちこち行ってるもんねぇ…」
(※新南…戦後は海上保安庁の巡視船「つがる」となり皆既日食の観測などを行い、さらに海保退役後はボルネオ石油開発公団の宿泊船として用いられ、1971年(昭和46年)に解体と、長く数奇な運命をたどった)
百合姫提督「ええ、おかげで全国の繁華街は一通り巡ったと思うわ…すすきのに国分町、京都の先斗町(ぼんとちょう)に大阪の道頓堀、十三(じゅうそう)……神戸の「南京町」(中華街)や名古屋の栄…福岡の「親不孝通り」(天神)に中州……あと、沖縄の「国際通り」とかも」指折り数えてみる百合姫提督…
日振「へぇ、ずいぶん遊んでるんだ?」
百合姫提督「ううん、私はあくまでもお招きに預かっただけ……たいていはお店まで連れて行ってもらうから、道もよく知らないの」
第一号「そうなの」
百合姫提督「ええ…それより注文は決まった?」
択捉「決まったわ」
百合姫提督「それじゃあ電話を…と♪」
………
…
742: ◆b0M46H9tf98h:2021/02/23(火) 02:29:04.05:FykYnvfk0 (1/1)
…数分後…
店員「ご注文は以上ですか?」
百合姫提督「はい、ご苦労様です……さ、遠慮せずに召し上がれ…♪」
日振「じゃあいただきます…♪」
百合姫提督「私もパフェが溶けないうちに……」
第二十二号「美味しいですか?」
百合姫提督「ええ、ひんやりしていて美味しい……はい、みんなにもおすそ分け…♪」柄の長いパフェスプーンでイチゴパフェをしゃくっては、順繰りに味見させる百合姫提督…
鵜来「ふわぁ、甘くて美味しいですねぇ…」
竹生「んー…♪」
百合姫提督「ね、火照った身体が涼しくなる感じがするわ…」
新南「提督にしてはいっぱい飲んでましたからね……さっきも中華を食べながら「杏露酒」とか「サンザシ酒」とか、けっこう色んなお酒を飲んでましたもんね?」
百合姫提督「そうなの。なんだか見慣れないお酒も多かったから味見してみたくて……」
第一号「提督のそういう所も可愛いです…♪」
百合姫提督「ふふ、ありがとう……それじゃあお礼にもう一口あげます…はい「あーん」して……♪」
第一号「あーん……ん、冷たっ」
第二号「分かる分かる、いっぺんに食べると「キーン」ってなるよね」
百合姫提督「あれはねぇ「アイスクリーム頭痛」って言うらしいわね…大丈夫?」
第一号「ん、平気」
百合姫提督「良かった……んぅぅ♪」満足げにパフェを食べ進めた百合姫提督……
…数十分後…
百合姫提督「みんな、忘れ物はなぁ…い?」
択捉「ちゃんと確認したから平気。それより提督こそ大丈夫?」
百合姫提督「ありがとう、大丈夫……っ」
松輪「あぁもう、全然大丈夫じゃないですよ……さ、つかまって下さい」
百合姫提督「本当に大丈夫だから…それに提督として松輪たちに迷惑をかけるような事はしませんし、こうしてちゃんと歩けます……っとと」
日振「もう、大人しい顔して頑固なんですから…」
百合姫提督「…それよりみんなも帰り支度をして、もう一度忘れ物がないか確認すること…あぁ、それと個別で頼んだものの支払いは私が済ませてきますから…みんなはお店の邪魔にならないように外で待っていてね……」
第六十七号「提督、一人では足元がおぼつかないですから……私が随伴します」
百合姫提督「いいからいいから、支払いなんて私に任せて…」
足柄「……またずいぶんとへべれけじゃない…提督にしては珍しいわね」
鵜来「あぁ、足柄さん」
足柄「なぁに、提督ったらあなたたちの言うことを聞かないでいるわけ?」
日振「えぇまぁ……私たちに「支払いは私が済ませるから先にお店を出ていなさい」の一点張りで」
足柄「変に律儀だものねぇ、うちの提督は……さ、それじゃあ私が肩を支えてあげるから」
百合姫提督「大丈夫よ足柄、ちゃんとお財布はこうしてあるから…ほら」
足柄「別に財布の中身を心配しているんじゃないの……いいから一緒に行くわよ?」
百合姫提督「りょうかぁ…い♪」
足柄「どうも済まなかったわね、提督をあなたたち「ちびっ子」組に任せちゃって」
第一号「むぅっ…私たちに「菊の御紋」がないからって「ちびっ子」言うな!」
(※海防艦…当初は帝国海軍における狭義の「軍艦」に含まれていたが、途中で類別が「特務艦艇」へと変更され、またほぼ全ての海防艦が1943~45年に就役したため「軍艦」にのみ施される艦首の「菊の御紋章」の飾りはない)
足柄「あぁ、悪かったわ。別に他意があって言ったわけじゃないの」
第一号「ならいいけど…小さいからって役立たずってわけじゃないんだから」
足柄「知ってるわよ…さ、帰りましょう?」
…数分後…
店員「ご注文は以上ですか?」
百合姫提督「はい、ご苦労様です……さ、遠慮せずに召し上がれ…♪」
日振「じゃあいただきます…♪」
百合姫提督「私もパフェが溶けないうちに……」
第二十二号「美味しいですか?」
百合姫提督「ええ、ひんやりしていて美味しい……はい、みんなにもおすそ分け…♪」柄の長いパフェスプーンでイチゴパフェをしゃくっては、順繰りに味見させる百合姫提督…
鵜来「ふわぁ、甘くて美味しいですねぇ…」
竹生「んー…♪」
百合姫提督「ね、火照った身体が涼しくなる感じがするわ…」
新南「提督にしてはいっぱい飲んでましたからね……さっきも中華を食べながら「杏露酒」とか「サンザシ酒」とか、けっこう色んなお酒を飲んでましたもんね?」
百合姫提督「そうなの。なんだか見慣れないお酒も多かったから味見してみたくて……」
第一号「提督のそういう所も可愛いです…♪」
百合姫提督「ふふ、ありがとう……それじゃあお礼にもう一口あげます…はい「あーん」して……♪」
第一号「あーん……ん、冷たっ」
第二号「分かる分かる、いっぺんに食べると「キーン」ってなるよね」
百合姫提督「あれはねぇ「アイスクリーム頭痛」って言うらしいわね…大丈夫?」
第一号「ん、平気」
百合姫提督「良かった……んぅぅ♪」満足げにパフェを食べ進めた百合姫提督……
…数十分後…
百合姫提督「みんな、忘れ物はなぁ…い?」
択捉「ちゃんと確認したから平気。それより提督こそ大丈夫?」
百合姫提督「ありがとう、大丈夫……っ」
松輪「あぁもう、全然大丈夫じゃないですよ……さ、つかまって下さい」
百合姫提督「本当に大丈夫だから…それに提督として松輪たちに迷惑をかけるような事はしませんし、こうしてちゃんと歩けます……っとと」
日振「もう、大人しい顔して頑固なんですから…」
百合姫提督「…それよりみんなも帰り支度をして、もう一度忘れ物がないか確認すること…あぁ、それと個別で頼んだものの支払いは私が済ませてきますから…みんなはお店の邪魔にならないように外で待っていてね……」
第六十七号「提督、一人では足元がおぼつかないですから……私が随伴します」
百合姫提督「いいからいいから、支払いなんて私に任せて…」
足柄「……またずいぶんとへべれけじゃない…提督にしては珍しいわね」
鵜来「あぁ、足柄さん」
足柄「なぁに、提督ったらあなたたちの言うことを聞かないでいるわけ?」
日振「えぇまぁ……私たちに「支払いは私が済ませるから先にお店を出ていなさい」の一点張りで」
足柄「変に律儀だものねぇ、うちの提督は……さ、それじゃあ私が肩を支えてあげるから」
百合姫提督「大丈夫よ足柄、ちゃんとお財布はこうしてあるから…ほら」
足柄「別に財布の中身を心配しているんじゃないの……いいから一緒に行くわよ?」
百合姫提督「りょうかぁ…い♪」
足柄「どうも済まなかったわね、提督をあなたたち「ちびっ子」組に任せちゃって」
第一号「むぅっ…私たちに「菊の御紋」がないからって「ちびっ子」言うな!」
(※海防艦…当初は帝国海軍における狭義の「軍艦」に含まれていたが、途中で類別が「特務艦艇」へと変更され、またほぼ全ての海防艦が1943~45年に就役したため「軍艦」にのみ施される艦首の「菊の御紋章」の飾りはない)
足柄「あぁ、悪かったわ。別に他意があって言ったわけじゃないの」
第一号「ならいいけど…小さいからって役立たずってわけじゃないんだから」
足柄「知ってるわよ…さ、帰りましょう?」
743: ◆b0M46H9tf98h:2021/02/27(土) 01:36:53.89:Y/Bh6zKJ0 (1/1)
百合姫提督「…♪」
足柄「あら、ずいぶんとご機嫌ね?」
百合姫提督「だって、久しぶりにみんなとお酒を飲んで……それに…こうして足柄と一緒だから…///」足柄と手をつなぎ、肩に頭をもたせかけている…
足柄「///」
間宮「あらまぁ。ずいぶんと仲がいいじゃあありませんか、足柄……もしかしてイタリヤでお二人の仲を進展させるような事でもあったんですか?」
足柄「よ、余計なお世話よ…///」
吹雪「もう…いいじゃないですか、提督に頼られて」
白雪「本当ですよ、私たちだってしたいくらいなのに」
初雪「足柄ばっかりずるいです…」
百合姫提督「あぁ、みんなごめんなさい……それじゃあ交代…っ♪」
吹雪「はい、じゃあ支えますよ…っ!」
白雪「右手は私が」
初雪「じゃあ左は私ですね」
百合姫提督「まぁ、みんな手が冷たいけれど…大丈夫?」
白雪「いつものことじゃないですか、大丈夫ですよ」
初雪「それより提督こそずいぶん火照ってますね……溶けちゃいそうです」
百合姫提督「まぁ、ふふ…雪のみんなが溶けたら雨になっちゃうわね……♪」
摂津「そないなことより、はよ渡らんと信号が変わってまう…!」
百合姫提督「それじゃあ最大戦速で渡らないと……さぁみんな、急いで急いで♪」
吹雪「わわっ、酔ってるのに走っちゃ転んじゃいますよ…!」
第一号「ま、待って…ふぅ、ふぅ……そんなに早くされると追いつけない…」
間宮「ええ、私も……はぁ、はぁ…走るのが…遅いものですから……」
潮(「吹雪」型駆逐艦)「本当に前進しているのか後退しているのか……ほら、手を出して…」
間宮「…ふぅ、ふぅぅ……ええ…助かります……」
…鎮守府…
百合姫提督「はい、ただいまー…♪」
足柄「はいはい……いいからまずはお風呂にでも入って、歯を磨いたらとっとと寝床につきなさいよ…明日があるんだから」
百合姫提督「そうしま……ふわぁ…」
雪風「ふふ、提督もかなりおねむみたいですね…♪」
比叡「さ、どうぞお風呂に……みんなは提督が入浴を済まされた後ですからね」
吹雪「了解」
百合姫提督「あぁ、今のは取り消し…私が出るのを待っていたら遅くなるから……「入浴許す」をかけますから、みんなで入っちゃいましょう…♪」
比叡「しかしそれでは艦隊の規律が…」
長門「まぁまぁ、提督がそう言っているのだから……ね?」
比叡「確かにそうですが……」
金剛「そういうことよ…それとも比叡は提督の命令が聞けないの……んん?」生っ白い指をくねらせると、ねっとりした手つきで比叡の頬を撫で上げる「蛇」の金剛…
比叡「そ、そういうことではありません!」
百合姫提督「はい、それじゃあ行きましょう…♪」
百合姫提督「…♪」
足柄「あら、ずいぶんとご機嫌ね?」
百合姫提督「だって、久しぶりにみんなとお酒を飲んで……それに…こうして足柄と一緒だから…///」足柄と手をつなぎ、肩に頭をもたせかけている…
足柄「///」
間宮「あらまぁ。ずいぶんと仲がいいじゃあありませんか、足柄……もしかしてイタリヤでお二人の仲を進展させるような事でもあったんですか?」
足柄「よ、余計なお世話よ…///」
吹雪「もう…いいじゃないですか、提督に頼られて」
白雪「本当ですよ、私たちだってしたいくらいなのに」
初雪「足柄ばっかりずるいです…」
百合姫提督「あぁ、みんなごめんなさい……それじゃあ交代…っ♪」
吹雪「はい、じゃあ支えますよ…っ!」
白雪「右手は私が」
初雪「じゃあ左は私ですね」
百合姫提督「まぁ、みんな手が冷たいけれど…大丈夫?」
白雪「いつものことじゃないですか、大丈夫ですよ」
初雪「それより提督こそずいぶん火照ってますね……溶けちゃいそうです」
百合姫提督「まぁ、ふふ…雪のみんなが溶けたら雨になっちゃうわね……♪」
摂津「そないなことより、はよ渡らんと信号が変わってまう…!」
百合姫提督「それじゃあ最大戦速で渡らないと……さぁみんな、急いで急いで♪」
吹雪「わわっ、酔ってるのに走っちゃ転んじゃいますよ…!」
第一号「ま、待って…ふぅ、ふぅ……そんなに早くされると追いつけない…」
間宮「ええ、私も……はぁ、はぁ…走るのが…遅いものですから……」
潮(「吹雪」型駆逐艦)「本当に前進しているのか後退しているのか……ほら、手を出して…」
間宮「…ふぅ、ふぅぅ……ええ…助かります……」
…鎮守府…
百合姫提督「はい、ただいまー…♪」
足柄「はいはい……いいからまずはお風呂にでも入って、歯を磨いたらとっとと寝床につきなさいよ…明日があるんだから」
百合姫提督「そうしま……ふわぁ…」
雪風「ふふ、提督もかなりおねむみたいですね…♪」
比叡「さ、どうぞお風呂に……みんなは提督が入浴を済まされた後ですからね」
吹雪「了解」
百合姫提督「あぁ、今のは取り消し…私が出るのを待っていたら遅くなるから……「入浴許す」をかけますから、みんなで入っちゃいましょう…♪」
比叡「しかしそれでは艦隊の規律が…」
長門「まぁまぁ、提督がそう言っているのだから……ね?」
比叡「確かにそうですが……」
金剛「そういうことよ…それとも比叡は提督の命令が聞けないの……んん?」生っ白い指をくねらせると、ねっとりした手つきで比叡の頬を撫で上げる「蛇」の金剛…
比叡「そ、そういうことではありません!」
百合姫提督「はい、それじゃあ行きましょう…♪」
744: ◆b0M46H9tf98h:2021/03/05(金) 01:53:02.85:iR33lOce0 (1/1)
…浴場…
百合姫提督「ふぅ……このお風呂に入ると「帰ってきた」っていう気分がするわね…」
足柄「ええ。タラントのお風呂は少し贅沢すぎたものね……このぐらいの方が気楽でいいわ」
…壁沿いに並んだカランが十数個と、色あせたタイル張りの真四角な浴槽……風呂自体にはかろうじて追い炊きや保温の機能がついているが、それ以上でもそれ以下でもない「横須賀第二」鎮守府の浴場……まるでさびれた温泉旅館をほうふつとさせる浴室ではあるが、艦娘たちにとっては「真水とお湯が自由に使える」というだけでも充分に贅沢だというので、文句が出ることはあまりない……手桶で一つ二つとかけ湯をすると、ほどのいい熱さのお湯にほっそりした身体を沈める百合姫提督…
吹雪「提督」
白雪「…隣、よろしいですか?」
百合姫提督「ええ、どうぞ……」
速吸「では私も…♪」
足柄「ちょっとちょっと、何もみんなして提督の周りに集まることはないでしょう……せせこましいったらありゃしないわ」
比叡「そうです。だいたいちゃんとかけ湯はしましたか?」
明石「…うわ、まーた比叡のガミガミが始まった……」
比叡「何かいいました?」
明石「なーんにも…ね、間宮♪」
間宮「はい…♪」お互いに顔を見合わせ、いたずらっ子のような笑みを浮かべる二人…
比叡「……まぁいいでしょう。それから流しは交代で使って、一人で長く使わないこと」
百合姫提督「はーい…♪」
比叡「あっ、いえ……決して提督に申し上げたわけではありませんので」
百合姫提督「ううん、ちゃんと私も守らないと不公平になるもの……そろそろ身体を洗いましょうか」
雪風「あっ、私が支えます…!」
百合姫提督「あぁ、私は大丈夫だから……ゆっくり浸かっていて?」
電「それに私がいますから…提督、お手をどうぞ♪」
百合姫提督「ありがとう…」
…カランの前に座ると少々ぼんやりした様子で石鹸を泡立て、身体を洗い始めた百合姫提督……長い黒髪は紺ですすきの模様が染め抜いてある手拭いでまとめてあり、酔いと入浴で火照ったうなじが桜色を帯びている…
足柄「…」
松「…」
明石「ごくり……」
百合姫提督「……ふぅ、それじゃあ今度は頭を…と」手拭いをほどくとしっとりとした「烏の濡れ羽色」の髪が滝のように背中へと流れた…
羽黒「提督の髪は相変わらず綺麗ですね……しっとりしていて艶があって…」
百合姫提督「あら、それを言うなら羽黒だってこんなにすべすべ…それに那智も、本当に「那智黒」の名前にぴったりな黒髪で……」羽黒の髪を手のひらですくい上げると優しく撫で、それから碁石で有名な「那智黒」を連想させる、那智の艶やかな黒髪にそっと指を沈めると手櫛で梳いた…
羽黒「///」
那智「…て、提督///」
長門「ふふ、提督はだいぶ聞こし召していらっしゃるようですね……あんまり長くいるとのぼせてしまいますから、頭を洗ったらお上がりになったほうがよろしいですよ」
百合姫提督「ええ、そうさせてもらいます…長門は優しいわ……♪」
長門「い、いえ…別にそういうつもりではないであります///」
明石「…んふふっ♪」
長門「な、何…?」
明石「いいえ……でもいつも帝劇のスタアみたいに凜々しい長門が長州弁で「デアリマス」なんて言うものだから……おかしくって♪」
梅「くくくっ、確かにのう…♪」
長門「…っ///」
百合姫提督「明石、人の訛りを笑ったりするんじゃありません……」
明石「はい、提督」
百合姫提督「よろしい…♪」
…浴場…
百合姫提督「ふぅ……このお風呂に入ると「帰ってきた」っていう気分がするわね…」
足柄「ええ。タラントのお風呂は少し贅沢すぎたものね……このぐらいの方が気楽でいいわ」
…壁沿いに並んだカランが十数個と、色あせたタイル張りの真四角な浴槽……風呂自体にはかろうじて追い炊きや保温の機能がついているが、それ以上でもそれ以下でもない「横須賀第二」鎮守府の浴場……まるでさびれた温泉旅館をほうふつとさせる浴室ではあるが、艦娘たちにとっては「真水とお湯が自由に使える」というだけでも充分に贅沢だというので、文句が出ることはあまりない……手桶で一つ二つとかけ湯をすると、ほどのいい熱さのお湯にほっそりした身体を沈める百合姫提督…
吹雪「提督」
白雪「…隣、よろしいですか?」
百合姫提督「ええ、どうぞ……」
速吸「では私も…♪」
足柄「ちょっとちょっと、何もみんなして提督の周りに集まることはないでしょう……せせこましいったらありゃしないわ」
比叡「そうです。だいたいちゃんとかけ湯はしましたか?」
明石「…うわ、まーた比叡のガミガミが始まった……」
比叡「何かいいました?」
明石「なーんにも…ね、間宮♪」
間宮「はい…♪」お互いに顔を見合わせ、いたずらっ子のような笑みを浮かべる二人…
比叡「……まぁいいでしょう。それから流しは交代で使って、一人で長く使わないこと」
百合姫提督「はーい…♪」
比叡「あっ、いえ……決して提督に申し上げたわけではありませんので」
百合姫提督「ううん、ちゃんと私も守らないと不公平になるもの……そろそろ身体を洗いましょうか」
雪風「あっ、私が支えます…!」
百合姫提督「あぁ、私は大丈夫だから……ゆっくり浸かっていて?」
電「それに私がいますから…提督、お手をどうぞ♪」
百合姫提督「ありがとう…」
…カランの前に座ると少々ぼんやりした様子で石鹸を泡立て、身体を洗い始めた百合姫提督……長い黒髪は紺ですすきの模様が染め抜いてある手拭いでまとめてあり、酔いと入浴で火照ったうなじが桜色を帯びている…
足柄「…」
松「…」
明石「ごくり……」
百合姫提督「……ふぅ、それじゃあ今度は頭を…と」手拭いをほどくとしっとりとした「烏の濡れ羽色」の髪が滝のように背中へと流れた…
羽黒「提督の髪は相変わらず綺麗ですね……しっとりしていて艶があって…」
百合姫提督「あら、それを言うなら羽黒だってこんなにすべすべ…それに那智も、本当に「那智黒」の名前にぴったりな黒髪で……」羽黒の髪を手のひらですくい上げると優しく撫で、それから碁石で有名な「那智黒」を連想させる、那智の艶やかな黒髪にそっと指を沈めると手櫛で梳いた…
羽黒「///」
那智「…て、提督///」
長門「ふふ、提督はだいぶ聞こし召していらっしゃるようですね……あんまり長くいるとのぼせてしまいますから、頭を洗ったらお上がりになったほうがよろしいですよ」
百合姫提督「ええ、そうさせてもらいます…長門は優しいわ……♪」
長門「い、いえ…別にそういうつもりではないであります///」
明石「…んふふっ♪」
長門「な、何…?」
明石「いいえ……でもいつも帝劇のスタアみたいに凜々しい長門が長州弁で「デアリマス」なんて言うものだから……おかしくって♪」
梅「くくくっ、確かにのう…♪」
長門「…っ///」
百合姫提督「明石、人の訛りを笑ったりするんじゃありません……」
明石「はい、提督」
百合姫提督「よろしい…♪」
◆b0M46H9tf98h さんの作品一覧
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