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284:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/05/13(水) 21:08:20.20:cKLreMZU0 (1/1)
>>283
しみじみ読み返すと稟ちゃんさんがカワイイヤッター
勢いで書いてるところあるからね、実際分かってないところありますよね……。
そして稟ちゃんさんは、どう考えても怒ってないですね。本人が言っているのだからこれは確定的に明らか。
>>283
しみじみ読み返すと稟ちゃんさんがカワイイヤッター
勢いで書いてるところあるからね、実際分かってないところありますよね……。
そして稟ちゃんさんは、どう考えても怒ってないですね。本人が言っているのだからこれは確定的に明らか。

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285:赤ペン:2020/05/21(木) 15:25:13.08:o5ZAog1b0 (1/1)
ところでもの凄く下らないことに気付いたんだけどさ
ホウケイの持ち主の風って姓が程で名がイクって日本人だったら苛められそうだよね
下らないっていうか下ネタな話だけど
ところでもの凄く下らないことに気付いたんだけどさ
ホウケイの持ち主の風って姓が程で名がイクって日本人だったら苛められそうだよね
下らないっていうか下ネタな話だけど
286:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/05/21(木) 20:35:23.22:raidaerR0 (1/6)
凡将伝では程立だからセーフw
まあ、宝ケイは思ってました
そうなるとネコミミもそうですよねw
凡将伝では程立だからセーフw
まあ、宝ケイは思ってました
そうなるとネコミミもそうですよねw
287:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/05/21(木) 21:11:47.29:raidaerR0 (2/6)
「いやしかし、よおもまあ集まったもんやなあ。黄巾やあるまいし、あの数。
ありえへんやろ……」
寒風吹きすさぶ汜水関の城壁。その上。やがて訪れるであろう阿鼻叫喚の舞台。その上にて張遼は、たはは、とばかりに笑う。笑うしかない。
主将たる彼女の、いっそ軽率とすら言ってもいいこの動きに諫言する者はいない。彼女の身になにかあれば一気に守兵の士気は地に墜ちてしまうのだが。
だが。いや、だからこそ張遼は最前線となるそこに陣取り、酒を呷ってさえみせるのだ。
不安げな兵卒を目の端に納めながらにんまりと笑う。
「まあ、十万が二十万でもどうってこたあらへんわ。
恋が、せやな。五回も出撃したら壊滅する計算やからな」
空元気も元気のうち、とばかりにからからと笑う。
その張遼の声に勇気づけられたのか兵卒たちからも笑いが漏れる。
……無論張遼とて自分の言を信じてはいない。いかに呂布が万夫不当といえど、あの時――単騎で三万の黄巾を撃退した――とは事情が異なる。
敵兵は黄巾とは比べ物にならない精兵であるし、英傑と言っていい武将が幾人もいる。
それに、今の呂布は万全とは言えない。
いや、やる気は十分ではあるのだ。だが。
「おなか、へった……」
今日も今日とて無意識であろうに呟く呂布の姿が思い出される。ぐったりとその身を横たえて動こうとしない。
心配そうに周囲で陳宮があれこれと世話を焼くのであるがそれに対する反応も極めて薄い。
「詠はよくやってんねんやろうけどなあ……」
張遼は内心嘆息する。
必要なだけの食糧は届いているのだ。帳簿上は。
しかし、それは例えば砂混じりの粗悪品だったり、半ば腐りかけのものが混入されていたりするのだ。
厳密な数字は張遼も把握できていないが、体感で二割くらいは目減りしているのではないか。
飢える兵を見て人一倍――どころではない――健啖家である呂布であるが、その心根は優しいのだ。常の食事量を考えれば信じがたいほどに小食になっていた。
中々に明るい見通しのない現状に流石の張遼も気が滅入る毎日である。
だが、現状悪くはない。それでも悪くはないのだ。
――反董卓連合はその大軍で囲みながらも不気味に沈黙を保っている。この状況はけして悪いものではない。
そう思って張遼は苦笑する。
なんのことはない。今自分は時間稼ぎの為だけに兵を、将を死なせようとしているのだと。
この期に及んでもはや董卓の栄達、董家軍の勝利などという甘い見通しを描いてはいない。
自分に、自分たちにできるのは精々時間稼ぎ。
あの、心優しい少女が救い出される時間を稼ぐのだ。
きっと、きっと賈駆ならば董卓を救い出すはずだ。
……生きていさえいればそれでいい、と張遼は思う。
そうだ、死んでしまったらばそれでおしまいなのだ。
ずき、と胸が痛む。
目の前で散った、益荒男の最期が脳裏によぎる。
そんなつもりはなかった。なかったのだ。
できれば董卓を救出するために力を、知恵を貸してほしかったのだ。
だが、それは叶わず。それでも踏み出した道を進むしかないのだ。
「後戻りはできんし……。
やるだけのことはやるしかないわな」
皆が笑って暮らせる世の中。そんなのはやはり夢物語なのかなあという思考を軽く頭を振って追い払う。
そのような絵空事――語る彼らは本気だったみたいだが――に心躍らしていたのが馬鹿みたいだ。
いや、今でも呂布は「ご主人様」に執心のようだが。彼らも反董卓連合にいるというのに。
全く頭が痛い限りだと張遼は内心頭を抱える。こんなのは本来賈駆の役割のはずなのだが。
「まあ、ええわ。なるようになるやろ」
いっそ清々しいくらいに投げやりに張遼は呟き、実際的な防衛について思いを巡らせる。
張遼直卒五千、呂布、五千。そして汜水関と虎牢関に詰める守備兵が五万。
けして勝ち目がない数字ではない。
――だから、不可解なほどに動かぬ反董卓連合の動きはこの上なくありがたいのである。
◆◆◆
「いやしかし、よおもまあ集まったもんやなあ。黄巾やあるまいし、あの数。
ありえへんやろ……」
寒風吹きすさぶ汜水関の城壁。その上。やがて訪れるであろう阿鼻叫喚の舞台。その上にて張遼は、たはは、とばかりに笑う。笑うしかない。
主将たる彼女の、いっそ軽率とすら言ってもいいこの動きに諫言する者はいない。彼女の身になにかあれば一気に守兵の士気は地に墜ちてしまうのだが。
だが。いや、だからこそ張遼は最前線となるそこに陣取り、酒を呷ってさえみせるのだ。
不安げな兵卒を目の端に納めながらにんまりと笑う。
「まあ、十万が二十万でもどうってこたあらへんわ。
恋が、せやな。五回も出撃したら壊滅する計算やからな」
空元気も元気のうち、とばかりにからからと笑う。
その張遼の声に勇気づけられたのか兵卒たちからも笑いが漏れる。
……無論張遼とて自分の言を信じてはいない。いかに呂布が万夫不当といえど、あの時――単騎で三万の黄巾を撃退した――とは事情が異なる。
敵兵は黄巾とは比べ物にならない精兵であるし、英傑と言っていい武将が幾人もいる。
それに、今の呂布は万全とは言えない。
いや、やる気は十分ではあるのだ。だが。
「おなか、へった……」
今日も今日とて無意識であろうに呟く呂布の姿が思い出される。ぐったりとその身を横たえて動こうとしない。
心配そうに周囲で陳宮があれこれと世話を焼くのであるがそれに対する反応も極めて薄い。
「詠はよくやってんねんやろうけどなあ……」
張遼は内心嘆息する。
必要なだけの食糧は届いているのだ。帳簿上は。
しかし、それは例えば砂混じりの粗悪品だったり、半ば腐りかけのものが混入されていたりするのだ。
厳密な数字は張遼も把握できていないが、体感で二割くらいは目減りしているのではないか。
飢える兵を見て人一倍――どころではない――健啖家である呂布であるが、その心根は優しいのだ。常の食事量を考えれば信じがたいほどに小食になっていた。
中々に明るい見通しのない現状に流石の張遼も気が滅入る毎日である。
だが、現状悪くはない。それでも悪くはないのだ。
――反董卓連合はその大軍で囲みながらも不気味に沈黙を保っている。この状況はけして悪いものではない。
そう思って張遼は苦笑する。
なんのことはない。今自分は時間稼ぎの為だけに兵を、将を死なせようとしているのだと。
この期に及んでもはや董卓の栄達、董家軍の勝利などという甘い見通しを描いてはいない。
自分に、自分たちにできるのは精々時間稼ぎ。
あの、心優しい少女が救い出される時間を稼ぐのだ。
きっと、きっと賈駆ならば董卓を救い出すはずだ。
……生きていさえいればそれでいい、と張遼は思う。
そうだ、死んでしまったらばそれでおしまいなのだ。
ずき、と胸が痛む。
目の前で散った、益荒男の最期が脳裏によぎる。
そんなつもりはなかった。なかったのだ。
できれば董卓を救出するために力を、知恵を貸してほしかったのだ。
だが、それは叶わず。それでも踏み出した道を進むしかないのだ。
「後戻りはできんし……。
やるだけのことはやるしかないわな」
皆が笑って暮らせる世の中。そんなのはやはり夢物語なのかなあという思考を軽く頭を振って追い払う。
そのような絵空事――語る彼らは本気だったみたいだが――に心躍らしていたのが馬鹿みたいだ。
いや、今でも呂布は「ご主人様」に執心のようだが。彼らも反董卓連合にいるというのに。
全く頭が痛い限りだと張遼は内心頭を抱える。こんなのは本来賈駆の役割のはずなのだが。
「まあ、ええわ。なるようになるやろ」
いっそ清々しいくらいに投げやりに張遼は呟き、実際的な防衛について思いを巡らせる。
張遼直卒五千、呂布、五千。そして汜水関と虎牢関に詰める守備兵が五万。
けして勝ち目がない数字ではない。
――だから、不可解なほどに動かぬ反董卓連合の動きはこの上なくありがたいのである。
◆◆◆
288:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/05/21(木) 21:12:14.71:raidaerR0 (3/6)
さて、船頭多くして船山に登るという言葉がある。けだし金言だと思う。
頭がいい奴らを集めたらそれで上手くいくかというとそうではない。目の前の状況を見て俺はその金言を思い出していた。
「だいたい、無駄に胸ばっかり大きくして!
頭にいく栄養がそこにいってるからそんなにお気楽な調子なんでしょうよ!」
「あら~。これはこれで大変なんですよ?肩とかこっちゃいますしぃ。
でもでも、殿方には喜んでいただけますけどねぇ」
ね、とばかりにこちらにふわりとした笑みを投げかけてくれる穏に俺の気持ちはどんよりと曇る。頼むから巻き込まんでくれよな。
「あのだな、仲よくせんでもいいから前向きな話をだな……」
「大体なんでアンタがこの場にいるのよ!残念な頭の中身のアンタがここにいても一つも役に立たないでしょうに!
全く!作戦案を練ると聞いてやってきたら何よ。いちいち人の言うことに難癖つけてばっかりで!」
いやそれはお前の態度の方が問題だろうがと言いたいのをぐっとこらえる。ついでに出撃寸前だったため息もぐっとこらえる。
解せぬ、なんで俺がこんな苦労をしているのだ。
いや、美少女に囲まれているという状況はある意味天国なはずなのだがね。
無言で天を仰いだ俺に、これまた稟ちゃんさんが視線で仕事しろと促してくる。厳しい。
――会議室には反董卓連合の中でこれは、と俺が思う人材を集めている。
稟ちゃんさん、ネコミミ、穏という綺羅星のような軍師陣。そして工兵を率いる真桜といった面子だ。
いざ汜水関を攻めるにあたっての作戦案を練ろうと思ったのだが、こんなにも足並みがそろわないとは思わなかった。これじゃ俺、この場から逃げたくなっちまうよ……。
あ、なんで伏竜とか鳳雛がいないかは察してくれ。
「もうちょっと前向きに行こうぜ。あの、難攻不落の汜水関。そして虎牢関をどうやって抜くか。
君らのお知恵を拝借したいんだってば。
攻城兵器を運用する真桜もいることだし、結構現実的な検討ができるんじゃないかなあと思うんだが」
「アンタ、馬鹿?作戦なんて立てようもないでしょ?ほんと馬鹿なの?
これだけの攻城兵器があって、作戦なんてあってないようなものよ!アンタとこの大将が言ったようにね、真正面からぶつかるしかないでしょ!
それに私たちに攻城兵器の運用なんて経験あるわけないんだから、そこでなんか絡繰りをいじってるそばかすの無駄乳娘が仕切ればいいじゃない!」
お、おう。
「あらあら~。ご自分に攻城兵器の運用経験がないからって取り乱すことはないですよ~。
そんなのある方がおかしいのですから~」
くすり、と穏が場を治めようとするがどう見ても火に油である。そんなに相性悪いのか君ら。
さて、船頭多くして船山に登るという言葉がある。けだし金言だと思う。
頭がいい奴らを集めたらそれで上手くいくかというとそうではない。目の前の状況を見て俺はその金言を思い出していた。
「だいたい、無駄に胸ばっかり大きくして!
頭にいく栄養がそこにいってるからそんなにお気楽な調子なんでしょうよ!」
「あら~。これはこれで大変なんですよ?肩とかこっちゃいますしぃ。
でもでも、殿方には喜んでいただけますけどねぇ」
ね、とばかりにこちらにふわりとした笑みを投げかけてくれる穏に俺の気持ちはどんよりと曇る。頼むから巻き込まんでくれよな。
「あのだな、仲よくせんでもいいから前向きな話をだな……」
「大体なんでアンタがこの場にいるのよ!残念な頭の中身のアンタがここにいても一つも役に立たないでしょうに!
全く!作戦案を練ると聞いてやってきたら何よ。いちいち人の言うことに難癖つけてばっかりで!」
いやそれはお前の態度の方が問題だろうがと言いたいのをぐっとこらえる。ついでに出撃寸前だったため息もぐっとこらえる。
解せぬ、なんで俺がこんな苦労をしているのだ。
いや、美少女に囲まれているという状況はある意味天国なはずなのだがね。
無言で天を仰いだ俺に、これまた稟ちゃんさんが視線で仕事しろと促してくる。厳しい。
――会議室には反董卓連合の中でこれは、と俺が思う人材を集めている。
稟ちゃんさん、ネコミミ、穏という綺羅星のような軍師陣。そして工兵を率いる真桜といった面子だ。
いざ汜水関を攻めるにあたっての作戦案を練ろうと思ったのだが、こんなにも足並みがそろわないとは思わなかった。これじゃ俺、この場から逃げたくなっちまうよ……。
あ、なんで伏竜とか鳳雛がいないかは察してくれ。
「もうちょっと前向きに行こうぜ。あの、難攻不落の汜水関。そして虎牢関をどうやって抜くか。
君らのお知恵を拝借したいんだってば。
攻城兵器を運用する真桜もいることだし、結構現実的な検討ができるんじゃないかなあと思うんだが」
「アンタ、馬鹿?作戦なんて立てようもないでしょ?ほんと馬鹿なの?
これだけの攻城兵器があって、作戦なんてあってないようなものよ!アンタとこの大将が言ったようにね、真正面からぶつかるしかないでしょ!
それに私たちに攻城兵器の運用なんて経験あるわけないんだから、そこでなんか絡繰りをいじってるそばかすの無駄乳娘が仕切ればいいじゃない!」
お、おう。
「あらあら~。ご自分に攻城兵器の運用経験がないからって取り乱すことはないですよ~。
そんなのある方がおかしいのですから~」
くすり、と穏が場を治めようとするがどう見ても火に油である。そんなに相性悪いのか君ら。
289:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/05/21(木) 21:12:44.85:raidaerR0 (4/6)
「二郎はん、帰ってええか?うち、ここにいてもしゃあない気がしてきたわ」
げっそりとした表情で真桜が耳打ちしてくる。いや、お前はいないとまずいだろう。俺攻城兵器なんてわかんねえし。
「全く。黙って見ていれば好き勝手なことばかり。見苦しいことこの上ないですね」
これまで沈黙を保っ、ていた稟ちゃんさんが口を開いたらますます場が荒れそうな言葉が紡ぎだされたでござる。
もうどうにでもなーれー。
き、と明らかに攻撃対象を変えたであろうネコミミが口を開こうとするのを見てなんとなくげんなりする。
「二郎殿。そもそも貴方の投げっぱなしな態度がよろしくない」
おおっと!ネコミミが口を開くよりも先に稟ちゃんさんに糾弾されたでござる。って俺?
「いいですか。貴方はこの反董卓連合を仕切らねばならない立場なのです。
いえ。だからこそ汜水関を攻めるにあたってこの場にいる人材を選別されたのでしょう。
ですが、われ関せずというのはいかがなものかと思います。それぞれ背負っているものがあるのですから」
この場で風下になんて、到底受け入れられないのですよと言われてはっとする。
そっかー。そうだよなあ。皆背負ってるもんがあるんだよなあ。
「お分かりになられましたか」
あいよ。俺が仕切らんといかんってこったな。
さてとばかりに姿勢を正した俺に稟ちゃんさんからお題を頂きました。
「では、二郎殿。貴方ならどう汜水関を攻めますか」
えー。
どう、汜水関を攻めるかって言われてもなあ。
そんな妙案とかあるわけもなく。
「別に二郎殿の案を実行するわけではありません。ごく当たり前のやり方で結構です。それを私たちが修正する。或いは代案を出せばいいのです」
なるほどね。具体案の叩き台をまずは造ろうってことか。
まあ、先ほどまでの罵り合いに比べたらいかにも生産的で結構なことである。
じゃあまあ、思う所を述べましょうかね。
「二郎はん、帰ってええか?うち、ここにいてもしゃあない気がしてきたわ」
げっそりとした表情で真桜が耳打ちしてくる。いや、お前はいないとまずいだろう。俺攻城兵器なんてわかんねえし。
「全く。黙って見ていれば好き勝手なことばかり。見苦しいことこの上ないですね」
これまで沈黙を保っ、ていた稟ちゃんさんが口を開いたらますます場が荒れそうな言葉が紡ぎだされたでござる。
もうどうにでもなーれー。
き、と明らかに攻撃対象を変えたであろうネコミミが口を開こうとするのを見てなんとなくげんなりする。
「二郎殿。そもそも貴方の投げっぱなしな態度がよろしくない」
おおっと!ネコミミが口を開くよりも先に稟ちゃんさんに糾弾されたでござる。って俺?
「いいですか。貴方はこの反董卓連合を仕切らねばならない立場なのです。
いえ。だからこそ汜水関を攻めるにあたってこの場にいる人材を選別されたのでしょう。
ですが、われ関せずというのはいかがなものかと思います。それぞれ背負っているものがあるのですから」
この場で風下になんて、到底受け入れられないのですよと言われてはっとする。
そっかー。そうだよなあ。皆背負ってるもんがあるんだよなあ。
「お分かりになられましたか」
あいよ。俺が仕切らんといかんってこったな。
さてとばかりに姿勢を正した俺に稟ちゃんさんからお題を頂きました。
「では、二郎殿。貴方ならどう汜水関を攻めますか」
えー。
どう、汜水関を攻めるかって言われてもなあ。
そんな妙案とかあるわけもなく。
「別に二郎殿の案を実行するわけではありません。ごく当たり前のやり方で結構です。それを私たちが修正する。或いは代案を出せばいいのです」
なるほどね。具体案の叩き台をまずは造ろうってことか。
まあ、先ほどまでの罵り合いに比べたらいかにも生産的で結構なことである。
じゃあまあ、思う所を述べましょうかね。
290:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/05/21(木) 21:13:35.47:raidaerR0 (5/6)
「まあ、あれだな。純粋な力押し。これしかないだろね。折角攻城兵器を色々持ってきて、真桜が慣らし運転までしてくれてるんだ。使わない手はない。
城門を破る衝車、城壁に乗り込む櫓車。それに霹靂車を組み合わせてなんとかするしかないだろう
あとは董家軍の騎兵に蹂躙されるだろうから守備兵をたっぷりと付けよう!」
正直攻城兵器への攻撃が一番気がかりなんだよねえ、とか思ってたら真桜が思いもよらぬことを言ってくる。
「二郎はん、言っとくけど霹靂車な。門扉には使えへんで」
「え、なんで」
衝車より威力があるというイメージなんだけど。
「投じた岩が邪魔で衝車が使えへんくなる」
「あ……なるほど……」
なんだ、威力的な意味で一番数を揃えてきたのに無駄骨なのかな。流石に城壁を砕くのはしんどそうだしなあ。
などと思っていたのだが、ネコミミの冷たい視線が結構こたえたので話をずらそう。
「ち、近くに川とかあったら水攻めとかするんだけどなー」
「アンタ馬鹿ぁ?川どころか木一本たりとも生えてないわよ!」
はい。そうです。攻城兵器の材料となるのを嫌ったのであろう。周りは岩山で本当に木一本たりとも植生していない。
「周りにあるのは……土攻めとか意味わからんしなあ」
はい、ネコミミから更に蔑んだ目つきいただきました!ほんと嬉しくない!
「え~と、でも、それってありじゃないですか~?」
穏が何か言ってるのに縋ろう。とりあえず沈黙されたら心がストレスでマッハだ。
「ですから、敢えて汜水関の門扉に霹靂車で攻撃するんですよ~」
「いやだってそうしたら衝車どころか俺たちだって突入できないじゃん」
にこり、と穏が身を寄せてくる。うん。柔らかい。でかい!
「それが狙いですね~。だってだって。董家軍の本領は騎兵でしょう?
こちらが門扉を使えないということはあちらも。
まさか騎兵が汜水関に引き籠って勝てると思うほど相手も無能ではないでしょうし」
な、なるほど。相手の最大の長所を封じるってことか。
「それ、ええと思うで。二郎はん。ほんでな、さっき言ってた土攻め、アリやと思うわ。
うん。ええ感じにいけると思うで」
真桜も賛同してくれる。ってか土攻めって何さ。いや、俺が口にしたことなんだけんども。
そうしてあれやこれやと数刻かけて打ち合わせは進んで。
「では。ご苦労様でした。どうやら汜水関を落とす方策が見えてきましたね。
それでは明日戦場で」
稟ちゃんさんの静謐な声でこの場はお開きになったのである。
後は明日、攻めかかるだけってね。
準備は万端、というやつだ。あとは仕掛けをご覧じろ。
「まあ、あれだな。純粋な力押し。これしかないだろね。折角攻城兵器を色々持ってきて、真桜が慣らし運転までしてくれてるんだ。使わない手はない。
城門を破る衝車、城壁に乗り込む櫓車。それに霹靂車を組み合わせてなんとかするしかないだろう
あとは董家軍の騎兵に蹂躙されるだろうから守備兵をたっぷりと付けよう!」
正直攻城兵器への攻撃が一番気がかりなんだよねえ、とか思ってたら真桜が思いもよらぬことを言ってくる。
「二郎はん、言っとくけど霹靂車な。門扉には使えへんで」
「え、なんで」
衝車より威力があるというイメージなんだけど。
「投じた岩が邪魔で衝車が使えへんくなる」
「あ……なるほど……」
なんだ、威力的な意味で一番数を揃えてきたのに無駄骨なのかな。流石に城壁を砕くのはしんどそうだしなあ。
などと思っていたのだが、ネコミミの冷たい視線が結構こたえたので話をずらそう。
「ち、近くに川とかあったら水攻めとかするんだけどなー」
「アンタ馬鹿ぁ?川どころか木一本たりとも生えてないわよ!」
はい。そうです。攻城兵器の材料となるのを嫌ったのであろう。周りは岩山で本当に木一本たりとも植生していない。
「周りにあるのは……土攻めとか意味わからんしなあ」
はい、ネコミミから更に蔑んだ目つきいただきました!ほんと嬉しくない!
「え~と、でも、それってありじゃないですか~?」
穏が何か言ってるのに縋ろう。とりあえず沈黙されたら心がストレスでマッハだ。
「ですから、敢えて汜水関の門扉に霹靂車で攻撃するんですよ~」
「いやだってそうしたら衝車どころか俺たちだって突入できないじゃん」
にこり、と穏が身を寄せてくる。うん。柔らかい。でかい!
「それが狙いですね~。だってだって。董家軍の本領は騎兵でしょう?
こちらが門扉を使えないということはあちらも。
まさか騎兵が汜水関に引き籠って勝てると思うほど相手も無能ではないでしょうし」
な、なるほど。相手の最大の長所を封じるってことか。
「それ、ええと思うで。二郎はん。ほんでな、さっき言ってた土攻め、アリやと思うわ。
うん。ええ感じにいけると思うで」
真桜も賛同してくれる。ってか土攻めって何さ。いや、俺が口にしたことなんだけんども。
そうしてあれやこれやと数刻かけて打ち合わせは進んで。
「では。ご苦労様でした。どうやら汜水関を落とす方策が見えてきましたね。
それでは明日戦場で」
稟ちゃんさんの静謐な声でこの場はお開きになったのである。
後は明日、攻めかかるだけってね。
準備は万端、というやつだ。あとは仕掛けをご覧じろ。
291:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/05/21(木) 21:15:10.58:raidaerR0 (6/6)
本日ここまですー感想とかくだしあー
ううむ。思ったより間隔が開いてしまった反省。
お盆に間に合わなくなっちゃう!
お題は募集しまくりでございます。
「開戦前夜」
「踊る会議」
はい、今ひとつなので、よろしくどうぞ。
本日ここまですー感想とかくだしあー
ううむ。思ったより間隔が開いてしまった反省。
お盆に間に合わなくなっちゃう!
お題は募集しまくりでございます。
「開戦前夜」
「踊る会議」
はい、今ひとつなので、よろしくどうぞ。
292:青ペン:2020/05/22(金) 03:30:35.58:tI9yi9rUo (1/1)
>>291
乙ん。
んー、今回のも悩むねぃ。
【逆転発想~出足を挫くは兵法の基礎】
>>291
乙ん。
んー、今回のも悩むねぃ。
【逆転発想~出足を挫くは兵法の基礎】
293:赤ペン:2020/05/23(土) 16:26:02.65:FE4hgQJU0 (1/1)
乙でしたー
>>287
>>その上にて張遼は、たはは、とばかりに笑う。笑うしかない。 【たはは、とばかりに】だと【たはは、(と言わん)ばかりに】になるんですが違和感があるので
○その上にて張遼は、呆れた、とばかりに笑う。笑うしかない。 空元気としてはこれかな?もしくは【たはは、と笑う】とか【たはは、と苦笑する】とかどうでしょう
>>その張遼の声に勇気づけられたのか兵卒たちからも笑いが漏れる。 間違い?笑い声に勇気づけられたなら間違いではないですね
○その張遼の言に勇気づけられたのか兵卒たちからも笑いが漏れる。 言ってる内容に勇気づけられたならこっちですが
>>あの時――単騎で三万の黄巾を撃退した――とは事情が異なる。 間違いと言うほどではないですが
○あの――単騎で三万の黄巾を撃退した――時とは事情が異なる。 【撃退した】からスムーズに言葉が繋がる場所で言うなら【時】かな、と
>>「おなか、へった……」 この後の文を読むとこれってこの場にはいなくて張遼の回想というか想像ですよね
○『おなか、へった……』 最初は隣にいてつい声が漏れてしまったのかと思いましたが
>>……生きていさえいればそれでいい、と張遼は思う。 【いさえいれば】ってちょっと読みづらい
○……生きていさえすればそれでいい、と張遼は思う。 もしくは【生きてさえいれば】でどうでしょう
>>張遼直卒五千、呂布、五千。 勝ったな、風呂入ってくる
○張遼直卒五千、呂布直卒五千。 《兵種、呂布》が5千もいたら戦争とかどうにでもなるよね
>>288
>>ついでに出撃寸前だったため息もぐっとこらえる。 これだと≪出撃寸前だったため、息もぐっと≫に読みそうになるので
○ついでに出撃寸前だった溜め息もぐっとこらえる。 の方が良いと思います
>>289
>>これまで沈黙を保っ、ていた稟ちゃんさんが これはケアレスミス
○これまで沈黙を保っていた稟ちゃんさんが ですね
>>き、と明らかに攻撃対象を変えた 表現としては
○キッ、と明らかに攻撃対象を変えた 刺々しさを出す意味でカタカナにして【ッ】で張り詰めた感じを出す…多分
>>さてとばかりに姿勢を正した俺に稟ちゃんさんからお題を頂きました。 これは【さて】と言ったのか言ってないのか、それと【俺に】にかかってるのが【頂きました】だと文脈が変なので
○気合を入れたとばかりに姿勢を正した俺は稟ちゃんさんからお題を頂きました。 もしくは【さて、と姿勢を正した】と【俺に稟ちゃんさんからお題を出されました】とかどうでしょう
関係ないけど山を登れる船とか100頭の獅子を引き入れる羊とかリアルにいたら絶対欲しいよね
>>皆が笑って暮らせる世の中。 ○○「幸せ、というのが私にはよく分からない」「だが、不幸、という状態、或いは感情に関してはいささか含蓄があると思う」
攻城戦と言えば公式で得意と言われてる絡新婦さんは…アッそんな面倒な事よりも美羽様のお世話の方が大切ですよね、ハイ
乙でしたー
>>287
>>その上にて張遼は、たはは、とばかりに笑う。笑うしかない。 【たはは、とばかりに】だと【たはは、(と言わん)ばかりに】になるんですが違和感があるので
○その上にて張遼は、呆れた、とばかりに笑う。笑うしかない。 空元気としてはこれかな?もしくは【たはは、と笑う】とか【たはは、と苦笑する】とかどうでしょう
>>その張遼の声に勇気づけられたのか兵卒たちからも笑いが漏れる。 間違い?笑い声に勇気づけられたなら間違いではないですね
○その張遼の言に勇気づけられたのか兵卒たちからも笑いが漏れる。 言ってる内容に勇気づけられたならこっちですが
>>あの時――単騎で三万の黄巾を撃退した――とは事情が異なる。 間違いと言うほどではないですが
○あの――単騎で三万の黄巾を撃退した――時とは事情が異なる。 【撃退した】からスムーズに言葉が繋がる場所で言うなら【時】かな、と
>>「おなか、へった……」 この後の文を読むとこれってこの場にはいなくて張遼の回想というか想像ですよね
○『おなか、へった……』 最初は隣にいてつい声が漏れてしまったのかと思いましたが
>>……生きていさえいればそれでいい、と張遼は思う。 【いさえいれば】ってちょっと読みづらい
○……生きていさえすればそれでいい、と張遼は思う。 もしくは【生きてさえいれば】でどうでしょう
>>張遼直卒五千、呂布、五千。 勝ったな、風呂入ってくる
○張遼直卒五千、呂布直卒五千。 《兵種、呂布》が5千もいたら戦争とかどうにでもなるよね
>>288
>>ついでに出撃寸前だったため息もぐっとこらえる。 これだと≪出撃寸前だったため、息もぐっと≫に読みそうになるので
○ついでに出撃寸前だった溜め息もぐっとこらえる。 の方が良いと思います
>>289
>>これまで沈黙を保っ、ていた稟ちゃんさんが これはケアレスミス
○これまで沈黙を保っていた稟ちゃんさんが ですね
>>き、と明らかに攻撃対象を変えた 表現としては
○キッ、と明らかに攻撃対象を変えた 刺々しさを出す意味でカタカナにして【ッ】で張り詰めた感じを出す…多分
>>さてとばかりに姿勢を正した俺に稟ちゃんさんからお題を頂きました。 これは【さて】と言ったのか言ってないのか、それと【俺に】にかかってるのが【頂きました】だと文脈が変なので
○気合を入れたとばかりに姿勢を正した俺は稟ちゃんさんからお題を頂きました。 もしくは【さて、と姿勢を正した】と【俺に稟ちゃんさんからお題を出されました】とかどうでしょう
関係ないけど山を登れる船とか100頭の獅子を引き入れる羊とかリアルにいたら絶対欲しいよね
>>皆が笑って暮らせる世の中。 ○○「幸せ、というのが私にはよく分からない」「だが、不幸、という状態、或いは感情に関してはいささか含蓄があると思う」
攻城戦と言えば公式で得意と言われてる絡新婦さんは…アッそんな面倒な事よりも美羽様のお世話の方が大切ですよね、ハイ
294:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/05/25(月) 05:59:11.67:fu6CPMKT0 (1/1)
>>292
どもです。
逆転発想はいいですね
裁判みたいw
>>293
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>関係ないけど山を登れる船とか100頭の獅子を引き入れる羊とかリアルにいたら絶対欲しいよね
絶対ほしい
前者はヴィンランドサガ冒頭で見て度肝抜かれた思い出があります
終わるんやろかあれ
>攻城戦と言えば公式で得意と言われてる絡新婦さんは…
そらもう
>アッそんな面倒な事よりも美羽様のお世話の方が大切ですよね、ハイ
これですよねw
civ6が無料だったのでダウンロードしてしまった
半日単位で時間が溶けますねこれw
>>292
どもです。
逆転発想はいいですね
裁判みたいw
>>293
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>関係ないけど山を登れる船とか100頭の獅子を引き入れる羊とかリアルにいたら絶対欲しいよね
絶対ほしい
前者はヴィンランドサガ冒頭で見て度肝抜かれた思い出があります
終わるんやろかあれ
>攻城戦と言えば公式で得意と言われてる絡新婦さんは…
そらもう
>アッそんな面倒な事よりも美羽様のお世話の方が大切ですよね、ハイ
これですよねw
civ6が無料だったのでダウンロードしてしまった
半日単位で時間が溶けますねこれw
295:青ペン:2020/05/25(月) 13:58:45.12:HnX+Ka0mo (1/1)
>>294
割と元ネタあったりするタイトル多いんですがねー。
(今回のは言わずもがな)
両翼再びも実はとあるゲームの楽曲タイトルを捻ってるし
>>294
割と元ネタあったりするタイトル多いんですがねー。
(今回のは言わずもがな)
両翼再びも実はとあるゲームの楽曲タイトルを捻ってるし
296:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/03(水) 22:29:23.22:rATsiXvy0 (1/5)
さて、というわけで汜水関である。嗚呼、汜水関である。
難攻不落の要塞にこれから挑むのだ。
ずらりと並ぶ袁家軍をはじめとした反董卓連合。
城壁の上には恋と張遼、陳宮もいるな。皆、流石の存在感である。のだが。
詠ちゃんがいないのはやはり洛陽から動けないということなんだろうさ。風よ、流石だ。パーフェクトだ。流石は俺のメイン軍師なのだぜ。
なんて思いながら城壁を見る。相変わらずそびえ立つ難攻不落は変わらずである。
まあ、そして様式美的な舌戦が始まる。こちらの攻め手は人を罵ってナンボの陳琳だ。
いやあ、陳蘭と姉妹とは思えないほどにこう、舌が滑らかである。檄文を起草したのも彼女だしな。俺、陳蘭にあんなに挑発されたりこきおろされたら精神的に即死だわわ。
……。おお、いよいよ佳境か。
ヒートアップする陳琳の言は流麗にして荒々しい。そして平易にして過激。
つまり、めっちゃむかつくやつ。
煽りマスターかな?
「そもそも相国などという地位に鎮座する董卓とは何か。
その生まれ卑しく、品格は怪しい。それをかの馬援将軍の血を引く名門馬家。その当代きっての英雄たる馬騰殿に取り立てられた孤児に過ぎない。
なるほど、確かに才覚はあったのかもしれない。だがその人品はいかに。
犬でも一宿一飯の恩を感じて尽くすというのに。忘恩なぞという可愛いものではない。
恩を仇で返すとはこのこと。引き立てられた恩人を謀殺して栄達を図る。いや、かつてこれほどの邪知暴虐があったろうか。いや、ないと断言する。
相国なぞという大層な地位を標榜する董卓はまさに君側の奸。それを除くべく――」
いやあ、相手を罵るときほどいきいきと輝くってのは人としてどうなんだろうなあなんて思いながらも目線は城壁の上の―――!
「凪!」
俺の声を受けて陳琳の近くに控えていた凪が弾丸のように飛び出す。
目指すは陳琳。そこに向けて物凄い勢いで迫る物体。ノーモーションで恋が投擲したそれはこのままでは間違いなく陳琳を絶命させるであろう。
「断空砲!」
凪の放った渾身の気弾がその槍の進路を逸らすことに辛うじて成功する。
それでもその威力は凄まじく、陳琳の頬を掠めて地に突き刺さる。
「ひい!」
腰の砕けた陳琳を凪が無言で背負って安全圏まで逃がす。ナイスだぞ凪。安全第一でヨシ!
さて、というわけで汜水関である。嗚呼、汜水関である。
難攻不落の要塞にこれから挑むのだ。
ずらりと並ぶ袁家軍をはじめとした反董卓連合。
城壁の上には恋と張遼、陳宮もいるな。皆、流石の存在感である。のだが。
詠ちゃんがいないのはやはり洛陽から動けないということなんだろうさ。風よ、流石だ。パーフェクトだ。流石は俺のメイン軍師なのだぜ。
なんて思いながら城壁を見る。相変わらずそびえ立つ難攻不落は変わらずである。
まあ、そして様式美的な舌戦が始まる。こちらの攻め手は人を罵ってナンボの陳琳だ。
いやあ、陳蘭と姉妹とは思えないほどにこう、舌が滑らかである。檄文を起草したのも彼女だしな。俺、陳蘭にあんなに挑発されたりこきおろされたら精神的に即死だわわ。
……。おお、いよいよ佳境か。
ヒートアップする陳琳の言は流麗にして荒々しい。そして平易にして過激。
つまり、めっちゃむかつくやつ。
煽りマスターかな?
「そもそも相国などという地位に鎮座する董卓とは何か。
その生まれ卑しく、品格は怪しい。それをかの馬援将軍の血を引く名門馬家。その当代きっての英雄たる馬騰殿に取り立てられた孤児に過ぎない。
なるほど、確かに才覚はあったのかもしれない。だがその人品はいかに。
犬でも一宿一飯の恩を感じて尽くすというのに。忘恩なぞという可愛いものではない。
恩を仇で返すとはこのこと。引き立てられた恩人を謀殺して栄達を図る。いや、かつてこれほどの邪知暴虐があったろうか。いや、ないと断言する。
相国なぞという大層な地位を標榜する董卓はまさに君側の奸。それを除くべく――」
いやあ、相手を罵るときほどいきいきと輝くってのは人としてどうなんだろうなあなんて思いながらも目線は城壁の上の―――!
「凪!」
俺の声を受けて陳琳の近くに控えていた凪が弾丸のように飛び出す。
目指すは陳琳。そこに向けて物凄い勢いで迫る物体。ノーモーションで恋が投擲したそれはこのままでは間違いなく陳琳を絶命させるであろう。
「断空砲!」
凪の放った渾身の気弾がその槍の進路を逸らすことに辛うじて成功する。
それでもその威力は凄まじく、陳琳の頬を掠めて地に突き刺さる。
「ひい!」
腰の砕けた陳琳を凪が無言で背負って安全圏まで逃がす。ナイスだぞ凪。安全第一でヨシ!
297:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/03(水) 22:30:10.85:rATsiXvy0 (2/5)
そんな俺の思惑はともかく、その一部始終に周りはシン、と静まりかえる。
まあ、確かにだ。けして槍を投擲して届く距離じゃないっての。全く!あれでほんとに飢えてるのか?
「化けの皮がはがれたな!口上の途中で口を封じようとするなぞ非を認めたも同然!
さっさと悔い改めて降るんだな!」
ある意味醜態をさらした陳琳に代わり俺が叫ぶ。
これで降ってくれたら楽なんだけどね。
「ふん、好き勝手言えるのもそこまでですぞ!」
ふんぞり返る陳宮が、手を振ると城壁に旗が翻る。そこに記されているのは漢。
錦の御旗、という奴である。
つまり勅が下されるということである。
「逆賊袁家誅するべし!そこな曹家、孫家!そして漢朝に連なる者ども!勅命ですぞ!
――袁家討つべし!」
は、チビのくせによーく響く声だことで。いや、マジで響き渡った。
ざわり、と背後の空気が動くのを感じながらも俺は悠然と歩を進めるのだ。
プランBだ!
◆◆◆
そんな俺の思惑はともかく、その一部始終に周りはシン、と静まりかえる。
まあ、確かにだ。けして槍を投擲して届く距離じゃないっての。全く!あれでほんとに飢えてるのか?
「化けの皮がはがれたな!口上の途中で口を封じようとするなぞ非を認めたも同然!
さっさと悔い改めて降るんだな!」
ある意味醜態をさらした陳琳に代わり俺が叫ぶ。
これで降ってくれたら楽なんだけどね。
「ふん、好き勝手言えるのもそこまでですぞ!」
ふんぞり返る陳宮が、手を振ると城壁に旗が翻る。そこに記されているのは漢。
錦の御旗、という奴である。
つまり勅が下されるということである。
「逆賊袁家誅するべし!そこな曹家、孫家!そして漢朝に連なる者ども!勅命ですぞ!
――袁家討つべし!」
は、チビのくせによーく響く声だことで。いや、マジで響き渡った。
ざわり、と背後の空気が動くのを感じながらも俺は悠然と歩を進めるのだ。
プランBだ!
◆◆◆
298:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/03(水) 22:35:49.38:rATsiXvy0 (3/5)
「え、どうしようご主人様、私たちこのままじゃ逆賊になっちゃうの?」
声がでけえよ。狼狽えるにしろもちっと静かにしろや。つか、そんな覚悟もしてなかったんかいとか、そっちに心が折れそうだぜ俺は。
全く。運がいいのか悪いのかあいつらはこのタイミングでここにいたんだよ。いたんだよなあ。ほんとは後方で兵站の護衛に専念してほしかったんだけども。
まあ、手柄ということではここが稼ぎどころだし、名を上げるところという読みは正しい。腹立たしいがな。
「二郎殿、勅命だそうですが」
稟ちゃんさんの問いに、歪んでいるであろう笑みで応える。
「なに、こっちにだってあるさ」
ぱちんと指を鳴らす。あまりいい音はしなかったが、うやうやしく書簡を捧げて歩を進めるのは春蘭である。
常ならば勇ましい武者姿も今日この場では女官姿だ。いや、なんでって実は官位で言うと春蘭ね。相当上なのよ、偉いのよ。
そしてこの役割に相応しいのはその、声。
「勅である!密勅が下されている!君側の奸を除くべしと!既に何進大将軍より自らに変事あらば動けと命は下されている!
貴様らこそが逆賊!名が惜しいならば直ちに降れい!」
烈火のごとく燃え上がる気迫が汜水関を揺らす。
さっすが春蘭、声でけえ。
いや、これ重要なのよ?
勅を以って勅を制す。
当然予想されていた逆賊認定スルー余裕です。
俺が準備していた切り札の一つだ。ちなみに春蘭が持つ勅は本物である。
いつぞやの際に白紙の勅を何進からもらったのを覚えてる人は偉い。記念メダルをあげよう。
まあ、形式的なもんだけどね。それでもここで朝廷を軽視するわけにはいかん。世が乱れるもとだからな。
あくまでこっちのスタンスは君側の奸を除くこと。そしてその正当性は洛陽の困窮、そしてこの密勅。
悪いが、あらゆる面で完璧に勝たせてもらうぜ?ほんとごめんね。
「問答、無用なようだな!いいだろう、ここからが本当の地獄だ。
じっくりと味わってくれ」
ば、と右手を上げる。
ジャーン、ジャーンと銅鑼が響く。
そして鈍い、重い音が。
「圧倒的だぜ?我が軍は!よ!」
汜水関、なんぼのもんじゃい!くらいは言っても大丈夫と真桜が言ってた。後、稟ちゃんさんも。
だからまあ、大丈夫だろうて……。
地響きを上げて攻城兵器が進んでいく。いやあ、壮観ですね実際。
恐らく、今現在で。この中華で攻城兵器を運用したことのあるのは袁家工兵隊のみのはずだ。匈奴はそんなもの使わないからな。
逆を言えば、先の匈奴大戦で彼奴らが攻城兵器を使用していたら歴史は変わっていたかもわからんね。
まあ、ネコミミには会議後に散々となんでそんなもん大量に保有しているんだと糾弾されたがね。
いや、匈奴が今まで使わなかったからと言って、これからも使わんってこたあないだろうと反論したら黙ったが。
頭のいい人は勝手に納得してくれるからいいね!
……実際千年を経たらそれが故に蒼き狼の末裔は世界史上最大の帝国を築くだろうし。
閑話休題(それはさておき)。
今回様々な兵器を持ち込んだ真桜だが、この戦に限れば主役は投石器である。そういうことになった。
「いよいよ、か。きちんと見せ場はつくってくれるのだろう?」
春蘭が獰猛に笑う。
「んー、とりあえず門扉から出撃する兵は春蘭と秋蘭、それに斗詩で受け止めてもらうことになる。
そんでまあ、機を見れば敏に突出してくれて構わない。なんなら汜水関、落としてくれても構わんぞ?」
「え、どうしようご主人様、私たちこのままじゃ逆賊になっちゃうの?」
声がでけえよ。狼狽えるにしろもちっと静かにしろや。つか、そんな覚悟もしてなかったんかいとか、そっちに心が折れそうだぜ俺は。
全く。運がいいのか悪いのかあいつらはこのタイミングでここにいたんだよ。いたんだよなあ。ほんとは後方で兵站の護衛に専念してほしかったんだけども。
まあ、手柄ということではここが稼ぎどころだし、名を上げるところという読みは正しい。腹立たしいがな。
「二郎殿、勅命だそうですが」
稟ちゃんさんの問いに、歪んでいるであろう笑みで応える。
「なに、こっちにだってあるさ」
ぱちんと指を鳴らす。あまりいい音はしなかったが、うやうやしく書簡を捧げて歩を進めるのは春蘭である。
常ならば勇ましい武者姿も今日この場では女官姿だ。いや、なんでって実は官位で言うと春蘭ね。相当上なのよ、偉いのよ。
そしてこの役割に相応しいのはその、声。
「勅である!密勅が下されている!君側の奸を除くべしと!既に何進大将軍より自らに変事あらば動けと命は下されている!
貴様らこそが逆賊!名が惜しいならば直ちに降れい!」
烈火のごとく燃え上がる気迫が汜水関を揺らす。
さっすが春蘭、声でけえ。
いや、これ重要なのよ?
勅を以って勅を制す。
当然予想されていた逆賊認定スルー余裕です。
俺が準備していた切り札の一つだ。ちなみに春蘭が持つ勅は本物である。
いつぞやの際に白紙の勅を何進からもらったのを覚えてる人は偉い。記念メダルをあげよう。
まあ、形式的なもんだけどね。それでもここで朝廷を軽視するわけにはいかん。世が乱れるもとだからな。
あくまでこっちのスタンスは君側の奸を除くこと。そしてその正当性は洛陽の困窮、そしてこの密勅。
悪いが、あらゆる面で完璧に勝たせてもらうぜ?ほんとごめんね。
「問答、無用なようだな!いいだろう、ここからが本当の地獄だ。
じっくりと味わってくれ」
ば、と右手を上げる。
ジャーン、ジャーンと銅鑼が響く。
そして鈍い、重い音が。
「圧倒的だぜ?我が軍は!よ!」
汜水関、なんぼのもんじゃい!くらいは言っても大丈夫と真桜が言ってた。後、稟ちゃんさんも。
だからまあ、大丈夫だろうて……。
地響きを上げて攻城兵器が進んでいく。いやあ、壮観ですね実際。
恐らく、今現在で。この中華で攻城兵器を運用したことのあるのは袁家工兵隊のみのはずだ。匈奴はそんなもの使わないからな。
逆を言えば、先の匈奴大戦で彼奴らが攻城兵器を使用していたら歴史は変わっていたかもわからんね。
まあ、ネコミミには会議後に散々となんでそんなもん大量に保有しているんだと糾弾されたがね。
いや、匈奴が今まで使わなかったからと言って、これからも使わんってこたあないだろうと反論したら黙ったが。
頭のいい人は勝手に納得してくれるからいいね!
……実際千年を経たらそれが故に蒼き狼の末裔は世界史上最大の帝国を築くだろうし。
閑話休題(それはさておき)。
今回様々な兵器を持ち込んだ真桜だが、この戦に限れば主役は投石器である。そういうことになった。
「いよいよ、か。きちんと見せ場はつくってくれるのだろう?」
春蘭が獰猛に笑う。
「んー、とりあえず門扉から出撃する兵は春蘭と秋蘭、それに斗詩で受け止めてもらうことになる。
そんでまあ、機を見れば敏に突出してくれて構わない。なんなら汜水関、落としてくれても構わんぞ?」
299:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/03(水) 22:37:02.21:rATsiXvy0 (4/5)
◆◆◆
呂布の牽制もあり、汜水関を守る董卓軍は退きながらも被害は軽微。
見事に退却を果たした張遼と陳宮の用兵は、実際見事と言っていいものである。
実にあっさりと汜水関を落とした前線指揮官たる夏候惇は、だから一言もそれを誇ることはなかった。
「フン。戦う前から勝敗は決まっていたということだろうが!」
それでも、築き上げられた土嚢の坂道を単身踏破し、一番槍を果たしたというのはいささか地味な展開であったこの戦いの彩ではあったのだが。
むしろ彼女はそれを耳にすると激昂したということである。
彼女を知る人は、それでこそと
◆◆◆
呂布の牽制もあり、汜水関を守る董卓軍は退きながらも被害は軽微。
見事に退却を果たした張遼と陳宮の用兵は、実際見事と言っていいものである。
実にあっさりと汜水関を落とした前線指揮官たる夏候惇は、だから一言もそれを誇ることはなかった。
「フン。戦う前から勝敗は決まっていたということだろうが!」
それでも、築き上げられた土嚢の坂道を単身踏破し、一番槍を果たしたというのはいささか地味な展開であったこの戦いの彩ではあったのだが。
むしろ彼女はそれを耳にすると激昂したということである。
彼女を知る人は、それでこそと
300:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/03(水) 22:38:50.45:rATsiXvy0 (5/5)
お待たせいたしました
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名くださいよ……ほんともうね、羽化亜\場内ので
飲めば飲むほどええ感じという現状について、ご支援のほどオナシャス
つれええあわw
お待たせいたしました
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名くださいよ……ほんともうね、羽化亜\場内ので
飲めば飲むほどええ感じという現状について、ご支援のほどオナシャス
つれええあわw
301:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2020/06/04(木) 03:41:50.10:Wvq6bOO1o (1/1)
お疲れ様です ほんとお疲れ様です・・・
あらゆる面で正々堂々正面突破、やるなら面白くない勝ち戦がモットーの二郎らしいですね
タイトル案は「勝ち戦ほど、つまらない」
それはそうとして陳琳ちゃんには腹パンを・・・って合ってるよね?
お疲れ様です ほんとお疲れ様です・・・
あらゆる面で正々堂々正面突破、やるなら面白くない勝ち戦がモットーの二郎らしいですね
タイトル案は「勝ち戦ほど、つまらない」
それはそうとして陳琳ちゃんには腹パンを・・・って合ってるよね?
302:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/04(木) 06:05:25.67:vQRkrhUj0 (1/2)
>>301
どもです。
>あらゆる面で正々堂々正面突破、やるなら面白くない勝ち戦がモットーの二郎らしいですね
ありがとうございますー!
そのためにいろいろと積み上げてきましたしね。
>タイトル案は「勝ち戦ほど、つまらない」
これはよきですね。ありがとうございます。
>それはそうとして陳琳ちゃんには腹パンを・・・って合ってるよね?
その通りでございまするw
>>301
どもです。
>あらゆる面で正々堂々正面突破、やるなら面白くない勝ち戦がモットーの二郎らしいですね
ありがとうございますー!
そのためにいろいろと積み上げてきましたしね。
>タイトル案は「勝ち戦ほど、つまらない」
これはよきですね。ありがとうございます。
>それはそうとして陳琳ちゃんには腹パンを・・・って合ってるよね?
その通りでございまするw
303:赤ペン:2020/06/04(木) 12:54:43.73:nZ/e5Ua50 (1/1)
乙でしたー
>>296
>>相変わらずそびえ立つ難攻不落は変わらずである。 【相変わらず~変わらず】だと意味が重複して見えるので
○相変わらずそびえ立つ難攻不落は健在である。 あるいは【難攻不落は相も変わらずそびえ立っている。】とかどうでしょう
>>298
>>いつぞやの際に白紙の勅を何進からもらったのを覚えてる人は偉い。 メタいこと言ってるな…そのこと知ってるの作中に何人いるやら
○いつぞやの際に白紙の勅を何進からもらったのを憶えてる人は偉い。 記憶してる、ですからこっちですね
>>常ならば勇ましい武者姿も今日この場では女官姿だ。 くっそみたい!!いつものナチュラルメイクすらしてなさそうな夏侯惇がおめかししてるとかヅカも真っ青よ(断言
夏侯惇からすれば別に自分がちょっと目立ったといっても勝敗には大して意味ないからなあ、その状態に持って行った袁家工兵隊が本来受けるべき称賛を自分に向けられるようなこととか…ねえ
腹パン…幸子?私のシオニズムは机とか強くたたいて「ひっ」と言わせたり野肉体的嗜虐の少ないタイプです(隙あらば語る)
乙でしたー
>>296
>>相変わらずそびえ立つ難攻不落は変わらずである。 【相変わらず~変わらず】だと意味が重複して見えるので
○相変わらずそびえ立つ難攻不落は健在である。 あるいは【難攻不落は相も変わらずそびえ立っている。】とかどうでしょう
>>298
>>いつぞやの際に白紙の勅を何進からもらったのを覚えてる人は偉い。 メタいこと言ってるな…そのこと知ってるの作中に何人いるやら
○いつぞやの際に白紙の勅を何進からもらったのを憶えてる人は偉い。 記憶してる、ですからこっちですね
>>常ならば勇ましい武者姿も今日この場では女官姿だ。 くっそみたい!!いつものナチュラルメイクすらしてなさそうな夏侯惇がおめかししてるとかヅカも真っ青よ(断言
夏侯惇からすれば別に自分がちょっと目立ったといっても勝敗には大して意味ないからなあ、その状態に持って行った袁家工兵隊が本来受けるべき称賛を自分に向けられるようなこととか…ねえ
腹パン…幸子?私のシオニズムは机とか強くたたいて「ひっ」と言わせたり野肉体的嗜虐の少ないタイプです(隙あらば語る)
304:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/04(木) 19:59:46.70:vQRkrhUj0 (2/2)
>>303
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
今回は少ない!やったぜ!
※ノーミスを目指しております
>くっそみたい!!いつものナチュラルメイクすらしてなさそうな夏侯惇がおめかししてるとかヅカも真っ青よ(断言
これは完全に同意ですね
きっと、はおーが自分好みの化粧を施してるんやろなあ
※眉毛統一はこの世界線ではないものとする
髪の毛を結い上げて冠装着して着飾ったらそらもうね、凄いよ多分
公式でやってくれないかなあ
やらんやろけど
>腹パン…幸子?私のシオニズムは机とか強くたたいて「ひっ」と言わせたり野肉体的嗜虐の少ないタイプです(隙あらば語る)
あ、腹パンは幸子か。これはやってしまったか(棒)
土下座強要からの「ひっ」こそシオニーちゃんの真価よね(適当)
数年前に脈絡無く後輩に語ったけど(十分くらい)、ヒロインの属性があふれかえる昨今、
シオニー・レジスというキャラは空前絶後でオンリーワンな地位を築いたと思っております
>>303
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
今回は少ない!やったぜ!
※ノーミスを目指しております
>くっそみたい!!いつものナチュラルメイクすらしてなさそうな夏侯惇がおめかししてるとかヅカも真っ青よ(断言
これは完全に同意ですね
きっと、はおーが自分好みの化粧を施してるんやろなあ
※眉毛統一はこの世界線ではないものとする
髪の毛を結い上げて冠装着して着飾ったらそらもうね、凄いよ多分
公式でやってくれないかなあ
やらんやろけど
>腹パン…幸子?私のシオニズムは机とか強くたたいて「ひっ」と言わせたり野肉体的嗜虐の少ないタイプです(隙あらば語る)
あ、腹パンは幸子か。これはやってしまったか(棒)
土下座強要からの「ひっ」こそシオニーちゃんの真価よね(適当)
数年前に脈絡無く後輩に語ったけど(十分くらい)、ヒロインの属性があふれかえる昨今、
シオニー・レジスというキャラは空前絶後でオンリーワンな地位を築いたと思っております
305:赤ペン:2020/06/05(金) 10:13:21.73:6CQ4UICY0 (1/1)
シオニーちゃんは腹パンしたい派、痴漢して訴えますよされてから逆切れしたい派、桃鉄でリモネシアを独占した後キングボンビーで壊滅させたい派、たっぷりと水を飲ませてから土下座させておもらしさせたい派、男子トイレに行かせたい派、と多岐にわたるので
srwの世界の歪みを一身に受けたと言われたり彼女のせいで(現実)世界の(性癖の)歪みが生まれたと言われたり凄いお方ですよw
シオニーちゃんは腹パンしたい派、痴漢して訴えますよされてから逆切れしたい派、桃鉄でリモネシアを独占した後キングボンビーで壊滅させたい派、たっぷりと水を飲ませてから土下座させておもらしさせたい派、男子トイレに行かせたい派、と多岐にわたるので
srwの世界の歪みを一身に受けたと言われたり彼女のせいで(現実)世界の(性癖の)歪みが生まれたと言われたり凄いお方ですよw
306:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/05(金) 22:02:10.98:CtPB9C/90 (1/1)
>>305
ヒエッ
>>305
ヒエッ
307:俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU:2020/06/08(月) 14:11:02.13:jpmj6wrL0 (1/1)
乙です。
陳琳さんって……へ?陳蘭さんに妹いたの?おじさんびっくりだー
まぁつまらんでもなんでも結果としての勝ちならそれでよいかと。正直双方に人的被害(死傷者)が少ないという点は評価します(何様じゃ
恋ちゃん(呂布)のやった行為は覚えておきましょう。こちらでちゃんと教育しましょうかね。
あかんよ、言葉に物理で押さえつけるのは。それって自分の価値を下げちゃうよ。
ナギー(おい)。一回「やあってやるぜ」って言って。もしくはクッソエロいチャイナドレス姿で演武するとか。
見ておられるかはわかりませんが、もし見ておられたら、支援絵師様なにとぞこれを描いていただけませんか。
>春蘭さんの女官姿@フルおめかしver
私も見たいっす
さっちゃん(幸子)いじめんといたってね。個人的な癒しなんですよ。
乙です。
陳琳さんって……へ?陳蘭さんに妹いたの?おじさんびっくりだー
まぁつまらんでもなんでも結果としての勝ちならそれでよいかと。正直双方に人的被害(死傷者)が少ないという点は評価します(何様じゃ
恋ちゃん(呂布)のやった行為は覚えておきましょう。こちらでちゃんと教育しましょうかね。
あかんよ、言葉に物理で押さえつけるのは。それって自分の価値を下げちゃうよ。
ナギー(おい)。一回「やあってやるぜ」って言って。もしくはクッソエロいチャイナドレス姿で演武するとか。
見ておられるかはわかりませんが、もし見ておられたら、支援絵師様なにとぞこれを描いていただけませんか。
>春蘭さんの女官姿@フルおめかしver
私も見たいっす
さっちゃん(幸子)いじめんといたってね。個人的な癒しなんですよ。
308:赤ペン:2020/06/08(月) 16:19:08.98:MGcTxH3I0 (1/1)
分かる…あの子はすごいいい子
ただそれはそれとして苛めると輝く子でもある。罰ゲームで青汁一気とかバンジーのリポートとか見えない箱の中の蛇(毒無し)を当てるとかやってほしい
分かる…あの子はすごいいい子
ただそれはそれとして苛めると輝く子でもある。罰ゲームで青汁一気とかバンジーのリポートとか見えない箱の中の蛇(毒無し)を当てるとかやってほしい
309:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/08(月) 21:23:36.67:x9mXsbYW0 (1/1)
どもです。お疲れさまでございます。
>>307
>陳琳さんって……へ?陳蘭さんに妹いたの?
お姉ちゃんですね
>まぁつまらんでもなんでも結果としての勝ちならそれでよいかと。正直双方に人的被害(死傷者)が少ないという点は評価します
本格的なんはこれからですわw
>あかんよ、言葉に物理で押さえつけるのは。それって自分の価値を下げちゃうよ。
何事も暴力で解決するのが一番、となったら最強は恋ちゃんですのよね
>一回「やあってやるぜ」って言って。
凪「へ……っ?や、やってやります!
こんな感じでしょうか?」
>支援絵師様なにとぞこれを描いていただけませんか。
見たいですねえw
どもです。お疲れさまでございます。
>>307
>陳琳さんって……へ?陳蘭さんに妹いたの?
お姉ちゃんですね
>まぁつまらんでもなんでも結果としての勝ちならそれでよいかと。正直双方に人的被害(死傷者)が少ないという点は評価します
本格的なんはこれからですわw
>あかんよ、言葉に物理で押さえつけるのは。それって自分の価値を下げちゃうよ。
何事も暴力で解決するのが一番、となったら最強は恋ちゃんですのよね
>一回「やあってやるぜ」って言って。
凪「へ……っ?や、やってやります!
こんな感じでしょうか?」
>支援絵師様なにとぞこれを描いていただけませんか。
見たいですねえw
310:赤ペン:2020/06/10(水) 12:06:13.49:/8xQUWwm0 (1/1)
某アニメの名台詞に「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」というのがあるんだけど
これって殺される覚悟があればそこいらの善良な市民を虐殺しても良いってことよね
『僕は地獄に落ちるだろう…それを受け入れてるからそれにふさわしいだけの罪を犯すね』
語呂が良いからなのか作品が有名だからなのか結構いろんな投稿小説やらなんやらで見るけど作者はこの言葉意味を理解して使ってるのだろうか?
某アニメの名台詞に「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」というのがあるんだけど
これって殺される覚悟があればそこいらの善良な市民を虐殺しても良いってことよね
『僕は地獄に落ちるだろう…それを受け入れてるからそれにふさわしいだけの罪を犯すね』
語呂が良いからなのか作品が有名だからなのか結構いろんな投稿小説やらなんやらで見るけど作者はこの言葉意味を理解して使ってるのだろうか?
311:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/10(水) 21:44:11.71:4bcIfx7b0 (1/4)
>>310
>「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」
かっこいいですからね。断罪的な決め台詞としてはよきよきw
>これって殺される覚悟があればそこいらの善良な市民を虐殺しても良いってことよね
そこまで考えてないでしょうねえw
相手を処する時の口上ですしおすし
まあ、それを逆手にとってその場から去ってより邪悪、、巨悪になった時にブーメランはアリですねw
次回作でギミックに使ってみようかな
>>310
>「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」
かっこいいですからね。断罪的な決め台詞としてはよきよきw
>これって殺される覚悟があればそこいらの善良な市民を虐殺しても良いってことよね
そこまで考えてないでしょうねえw
相手を処する時の口上ですしおすし
まあ、それを逆手にとってその場から去ってより邪悪、、巨悪になった時にブーメランはアリですねw
次回作でギミックに使ってみようかな
312:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/10(水) 22:02:13.75:4bcIfx7b0 (2/4)
「汜水関が落ちたそうだよ」
その声に少女は肩をびくり、と震わせる。
「ああ、安心したらいい。董家軍に大した被害はなかったようだから」
クク、と言葉を紡ぐのは皇甫嵩である。目の前の少女――董卓――に笑いかけながら慰める。その笑みは爽やかではあるのだが、実質嬲っているのと同意である。
ここは洛陽の奥の奥。執金吾の地位をもって洛陽に広げる捜査の網も届かぬ地。
そこで董卓は監禁されている。そして、いまだ生かされている。
もとから線の細い少女であったがその顔色はより青白く、その身体はややもすると儚くなってしまいそうな印象を受ける。
だが瞳には確かな意思の力があり、臆することなく視線を受け止めていた。
「それにしても大ごとになっちゃったわね。それもこれも貴女のせいよ?相国様?
貴女のせいで洛陽は荒廃し、諸侯は叛乱しているわ。
ねえ、どんな気持ちかしら?貴女のせいで世は乱れているのよねえ。
禁裏を血で染め、恩人を屠ってなお命を永らえているなんて……、可愛い顔して随分とえげつないわねえ……」
侮蔑の念を隠そうともせずに董卓を糾弾するのは李儒である。にまりと笑いながら楽しげに言の葉を紡ぐ。
だが、青白くも表情を変えない董卓の表情を見ていらだたしげに舌打ちを重ねる。
「ああもう!生意気なその顔を見られないようにしてやろうかしら!」
ヒステリックに響くその言葉に皇甫嵩は口を挟む。。
「その辺にしておくんだね。正直、見苦しいよ」
その言葉に李儒は黙り込む。自分との面会で複数の人物が来たのは初めてである。だが、中々に興味深い構図だと董卓は思う。
そ、と窺えば王允が後ろに控えている。だが口を挟む様子は全くない。
この三者の力関係。それを親友に伝えられれば、思う。叶うことはないことであろうが。
しばしの沈黙。それを破ったのは王允であった。初めて董卓に問う。
どうして生きているのか、と。この上は死で償おうと思わないのか、と。
「あら、的外れね。この子はね。命乞いまでしてるのよ。生き汚いったら!
誇りとか、そういうのを期待するのが馬鹿よ。お馬鹿さんよ。
ええ、そうでしょうよ。蝶よ花よと甘やかされてたんでしょうよ。
だから死ぬなんて考えもしないのでしょう!そうよね!そうでしょ!
死にたくないでしょ!死にたくないんでしょ?」
皇甫嵩がうんざりとした表情で口を開こうとする前に、董卓はその小さな身を折りたたむ。
「お願いです。殺さないでください。この身、如何様にもお任せしますのでお助け下さい」
「汜水関が落ちたそうだよ」
その声に少女は肩をびくり、と震わせる。
「ああ、安心したらいい。董家軍に大した被害はなかったようだから」
クク、と言葉を紡ぐのは皇甫嵩である。目の前の少女――董卓――に笑いかけながら慰める。その笑みは爽やかではあるのだが、実質嬲っているのと同意である。
ここは洛陽の奥の奥。執金吾の地位をもって洛陽に広げる捜査の網も届かぬ地。
そこで董卓は監禁されている。そして、いまだ生かされている。
もとから線の細い少女であったがその顔色はより青白く、その身体はややもすると儚くなってしまいそうな印象を受ける。
だが瞳には確かな意思の力があり、臆することなく視線を受け止めていた。
「それにしても大ごとになっちゃったわね。それもこれも貴女のせいよ?相国様?
貴女のせいで洛陽は荒廃し、諸侯は叛乱しているわ。
ねえ、どんな気持ちかしら?貴女のせいで世は乱れているのよねえ。
禁裏を血で染め、恩人を屠ってなお命を永らえているなんて……、可愛い顔して随分とえげつないわねえ……」
侮蔑の念を隠そうともせずに董卓を糾弾するのは李儒である。にまりと笑いながら楽しげに言の葉を紡ぐ。
だが、青白くも表情を変えない董卓の表情を見ていらだたしげに舌打ちを重ねる。
「ああもう!生意気なその顔を見られないようにしてやろうかしら!」
ヒステリックに響くその言葉に皇甫嵩は口を挟む。。
「その辺にしておくんだね。正直、見苦しいよ」
その言葉に李儒は黙り込む。自分との面会で複数の人物が来たのは初めてである。だが、中々に興味深い構図だと董卓は思う。
そ、と窺えば王允が後ろに控えている。だが口を挟む様子は全くない。
この三者の力関係。それを親友に伝えられれば、思う。叶うことはないことであろうが。
しばしの沈黙。それを破ったのは王允であった。初めて董卓に問う。
どうして生きているのか、と。この上は死で償おうと思わないのか、と。
「あら、的外れね。この子はね。命乞いまでしてるのよ。生き汚いったら!
誇りとか、そういうのを期待するのが馬鹿よ。お馬鹿さんよ。
ええ、そうでしょうよ。蝶よ花よと甘やかされてたんでしょうよ。
だから死ぬなんて考えもしないのでしょう!そうよね!そうでしょ!
死にたくないでしょ!死にたくないんでしょ?」
皇甫嵩がうんざりとした表情で口を開こうとする前に、董卓はその小さな身を折りたたむ。
「お願いです。殺さないでください。この身、如何様にもお任せしますのでお助け下さい」
313:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/10(水) 22:02:47.48:4bcIfx7b0 (3/4)
その様子を見て李儒は愉快とばかりに大笑して場を辞する。
それでも董卓はその身を小さく折りたたんだままであった。
「――もう、李儒はいないよ?」
その言葉にも董卓は反応せずに、もっと身を小さく折りたたむ。
見ていられない、とばかりに苛立って吐き捨てる。どうしてだ、と。
苛立ちに任せて董卓の髪を掴み、無理やりその可憐な顔を引き上げる。問う。
「お願いします。詠ちゃんや恋さん、霞さんにねねさんをお助け下さい」
ひとえに自らの責任により漢朝を乱したのだと訴える董卓。
「この身は如何様にも。ですから」
部下の助命を必死に乞う董卓に嗜虐心を刺激されて皇甫嵩は問う。
「へえ、どうやって?」
びくり、と身を震わせて数瞬後、董卓が顔を上げる。
するとその眼差しは別人のように鋭い。
「この身、ご自由に。如何様にもしてください。
ですが、命はお助け下さい」
「――質問に答えてないなあ。それじゃあ駄目だよ。流石に」
冷然と皇甫嵩は。だから分からぬ。理解できぬとばかりに問う。
「もはや君は死んだも同然だ。いや、今のうちに毒を呷るのがいいだろう。楽に死ねる。
そうして命を繋ぐことに何の意味があるんだい?」
き、と董卓は視線を皇甫嵩に合わせる。流石の皇甫嵩が一歩後ずさるほどの、覇気すら感じる強烈さ。
「私は死ぬわけにはいかないんです。だって。だって私のためにみんな。みんなが動いているんですもの。
それは漢朝に対する叛の道。それは死ですら許されぬ反逆。どうして首魁たる私が死を選べましょう。
ええ、そうですね。董家の乱は袁家により治められるでしょう」
それはいいのです、と董卓は儚げに笑う。
「ですから今はこの命を保たねばならないのです。私が今死ねば、皆に。そして付き従ってくれた兵達にも」
迷惑がかかると董卓は気弱に笑う。
「そして、私は責任を取らなければなりません。
ですから死ぬわけにはいかないのです。
だって、そうじゃないと。私の分まで人死にが出ますもの。
私がいないと、困る人がいるって、思うんです……」
儚く笑う彼女に皇甫嵩は何とも言えない表情を浮かべる。
「つまり、君は自分のせいでない乱の責任を摂ると言うのかい」
是、と頷く董卓に皇甫嵩は唸る。
「なるほど。今上陛下が君を頼りにしようとしたのが分かるよ」
そして納得する。李儒や王允が董卓を危険視し、除くべし、と動いたのは実に正しかったと。
ただし、惜しい、という気持ちもある。
「では、君の部下たちの助命のために一筆頼むよ。なに。僕とて漢朝が荒れるのを歓迎しやしないさ」
――助命嘆願。部下のそれを果たしたと確信しながらも董卓は表情を緩めない。
なんとなれば、だれか一人の気まぐれでそれらは反故になるのだからして。
そして、漢朝を覆う叛乱の首魁、元凶となるわが身を笑うのだ。
そんなに、大したもんじゃないのにと。
そして、万感を込めて、呟く。
「ごめんね、詠ちゃん……」
その呟きは、誰に聞かれることもなく消えていくのだった。
その様子を見て李儒は愉快とばかりに大笑して場を辞する。
それでも董卓はその身を小さく折りたたんだままであった。
「――もう、李儒はいないよ?」
その言葉にも董卓は反応せずに、もっと身を小さく折りたたむ。
見ていられない、とばかりに苛立って吐き捨てる。どうしてだ、と。
苛立ちに任せて董卓の髪を掴み、無理やりその可憐な顔を引き上げる。問う。
「お願いします。詠ちゃんや恋さん、霞さんにねねさんをお助け下さい」
ひとえに自らの責任により漢朝を乱したのだと訴える董卓。
「この身は如何様にも。ですから」
部下の助命を必死に乞う董卓に嗜虐心を刺激されて皇甫嵩は問う。
「へえ、どうやって?」
びくり、と身を震わせて数瞬後、董卓が顔を上げる。
するとその眼差しは別人のように鋭い。
「この身、ご自由に。如何様にもしてください。
ですが、命はお助け下さい」
「――質問に答えてないなあ。それじゃあ駄目だよ。流石に」
冷然と皇甫嵩は。だから分からぬ。理解できぬとばかりに問う。
「もはや君は死んだも同然だ。いや、今のうちに毒を呷るのがいいだろう。楽に死ねる。
そうして命を繋ぐことに何の意味があるんだい?」
き、と董卓は視線を皇甫嵩に合わせる。流石の皇甫嵩が一歩後ずさるほどの、覇気すら感じる強烈さ。
「私は死ぬわけにはいかないんです。だって。だって私のためにみんな。みんなが動いているんですもの。
それは漢朝に対する叛の道。それは死ですら許されぬ反逆。どうして首魁たる私が死を選べましょう。
ええ、そうですね。董家の乱は袁家により治められるでしょう」
それはいいのです、と董卓は儚げに笑う。
「ですから今はこの命を保たねばならないのです。私が今死ねば、皆に。そして付き従ってくれた兵達にも」
迷惑がかかると董卓は気弱に笑う。
「そして、私は責任を取らなければなりません。
ですから死ぬわけにはいかないのです。
だって、そうじゃないと。私の分まで人死にが出ますもの。
私がいないと、困る人がいるって、思うんです……」
儚く笑う彼女に皇甫嵩は何とも言えない表情を浮かべる。
「つまり、君は自分のせいでない乱の責任を摂ると言うのかい」
是、と頷く董卓に皇甫嵩は唸る。
「なるほど。今上陛下が君を頼りにしようとしたのが分かるよ」
そして納得する。李儒や王允が董卓を危険視し、除くべし、と動いたのは実に正しかったと。
ただし、惜しい、という気持ちもある。
「では、君の部下たちの助命のために一筆頼むよ。なに。僕とて漢朝が荒れるのを歓迎しやしないさ」
――助命嘆願。部下のそれを果たしたと確信しながらも董卓は表情を緩めない。
なんとなれば、だれか一人の気まぐれでそれらは反故になるのだからして。
そして、漢朝を覆う叛乱の首魁、元凶となるわが身を笑うのだ。
そんなに、大したもんじゃないのにと。
そして、万感を込めて、呟く。
「ごめんね、詠ちゃん……」
その呟きは、誰に聞かれることもなく消えていくのだった。
314:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/10(水) 22:06:15.71:4bcIfx7b0 (4/4)
ほい、本日ここまですー感想とかくだしあー
題名案は「月詠の悲哀」
はい、雰囲気だけで内容がないよう。
よさげなのオナシャス。マジで困っております。
めでてえ内容でコラボできたらよかったんだけど、
当分辛気くさいかんじです、ごめんなさいね→俯瞰者さん
個人的に祝杯あげております
よりよい未来のために頑張りましょう!
ほい、本日ここまですー感想とかくだしあー
題名案は「月詠の悲哀」
はい、雰囲気だけで内容がないよう。
よさげなのオナシャス。マジで困っております。
めでてえ内容でコラボできたらよかったんだけど、
当分辛気くさいかんじです、ごめんなさいね→俯瞰者さん
個人的に祝杯あげております
よりよい未来のために頑張りましょう!
315:青ペン:2020/06/11(木) 11:34:45.78:SmOpf8BDo (1/1)
>>314
乙ん乙ん。
月ちゃんつらたんよね…
しからば。
願いはか弱くも輝めく月光の如く
とまいろうか
>>314
乙ん乙ん。
月ちゃんつらたんよね…
しからば。
願いはか弱くも輝めく月光の如く
とまいろうか
316:赤ペン:2020/06/12(金) 16:54:59.06:iv7KqMtj0 (1/1)
乙でしたー
>>312
>>ヒステリックに響くその言葉に皇甫嵩は口を挟む。。 転換?乖離?…???
○金切声に眉を顰め皇甫嵩は口を挟む。 【耳障りな金切声で喚き散らされるその言葉に】とかも良いですね!!
>>この三者の力関係。それを親友に伝えられれば、思う。 ちょっとぶつ切り感がありますね
○この三者の力関係……それを親友に伝えられれば、と思う。 【……】より【――】の方が良いかな?どうかな?
>>313
>>苛立ちに任せて董卓の髪を掴み、無理やりその可憐な顔を引き上げる。~中略~びくり、と身を震わせて数瞬後、董卓が顔を上げる。 どこで顔を伏せたのかな?
○苛立ちに任せて董卓の髪を掴み、無理やりその可憐な顔を引き上げる。~中略~びくり、と身を震わせて数瞬後、董卓の纏う空気が変わる。 それまで弱弱しかったのがキリッとなる感じで
>>き、と董卓は視線を皇甫嵩に合わせる。流石の皇甫嵩が一歩後ずさるほどの、覇気すら感じる強烈さ。 それまでの嘆願をそっぽ向いてやってたんなら董卓ちゃんなかなかになかなかだよね
○董卓は己が思いを皇甫嵩に示す。流石の皇甫嵩も一歩後ずさるほどの、覇気すら感じる強烈さ。 それとも【董卓はその胸の内を皇甫嵩に明かす。】とかどうでしょう
>>「つまり、君は自分のせいでない乱の責任を摂ると言うのかい」 大体【取る】でいいよ
○「つまり、君は自分のせいでない乱の責任を取ると言うのかい」 もしくは【責任を負う】でどうでしょう
>>そんなに、大したもんじゃないのにと。 間違いと言うほどではないですが
○そんなに、大したもんじゃないのに、と。 それにしてもトップクラスで目を付けられてそうな二人が集まってやってることは…リスクとリターン釣り合ってる?
まあ戦争中だから詠ちゃんの自由な手も目も耳も少ないんだろうけど…テロリストと売国奴が集まってやってることが苛めって…お前ら実は暇なんだな?
そんなことやってる暇があったら食糧調達でもやってろよ
乙でしたー
>>312
>>ヒステリックに響くその言葉に皇甫嵩は口を挟む。。 転換?乖離?…???
○金切声に眉を顰め皇甫嵩は口を挟む。 【耳障りな金切声で喚き散らされるその言葉に】とかも良いですね!!
>>この三者の力関係。それを親友に伝えられれば、思う。 ちょっとぶつ切り感がありますね
○この三者の力関係……それを親友に伝えられれば、と思う。 【……】より【――】の方が良いかな?どうかな?
>>313
>>苛立ちに任せて董卓の髪を掴み、無理やりその可憐な顔を引き上げる。~中略~びくり、と身を震わせて数瞬後、董卓が顔を上げる。 どこで顔を伏せたのかな?
○苛立ちに任せて董卓の髪を掴み、無理やりその可憐な顔を引き上げる。~中略~びくり、と身を震わせて数瞬後、董卓の纏う空気が変わる。 それまで弱弱しかったのがキリッとなる感じで
>>き、と董卓は視線を皇甫嵩に合わせる。流石の皇甫嵩が一歩後ずさるほどの、覇気すら感じる強烈さ。 それまでの嘆願をそっぽ向いてやってたんなら董卓ちゃんなかなかになかなかだよね
○董卓は己が思いを皇甫嵩に示す。流石の皇甫嵩も一歩後ずさるほどの、覇気すら感じる強烈さ。 それとも【董卓はその胸の内を皇甫嵩に明かす。】とかどうでしょう
>>「つまり、君は自分のせいでない乱の責任を摂ると言うのかい」 大体【取る】でいいよ
○「つまり、君は自分のせいでない乱の責任を取ると言うのかい」 もしくは【責任を負う】でどうでしょう
>>そんなに、大したもんじゃないのにと。 間違いと言うほどではないですが
○そんなに、大したもんじゃないのに、と。 それにしてもトップクラスで目を付けられてそうな二人が集まってやってることは…リスクとリターン釣り合ってる?
まあ戦争中だから詠ちゃんの自由な手も目も耳も少ないんだろうけど…テロリストと売国奴が集まってやってることが苛めって…お前ら実は暇なんだな?
そんなことやってる暇があったら食糧調達でもやってろよ
317:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/12(金) 22:30:29.66:S9RcxdRd0 (1/4)
>>315
どもです。
>月ちゃんつらたんよね…
つらたん祭りルートです……っ!
そこでも前を向く月ちゃんはやはり尊敬に値すると思うのアタイ
>願いはか弱くも輝めく月光の如く
詩的や素敵や
ただまあ、ネタバレ満載という感じもするw
>>316
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>それにしてもトップクラスで目を付けられてそうな二人が集まってやってることは…リスクとリターン釣り合ってる?
至極まっとうなツッコミに一ノ瀬も苦笑い
>…テロリストと売国奴が集まってやってることが苛めって…お前ら実は暇なんだな?
実務を担っている詠ちゃんの悲しみが深まりますねぇ……っ!
>そんなことやってる暇があったら食糧調達でもやってろよ
彼らが飢えることはないですからね
>>315
どもです。
>月ちゃんつらたんよね…
つらたん祭りルートです……っ!
そこでも前を向く月ちゃんはやはり尊敬に値すると思うのアタイ
>願いはか弱くも輝めく月光の如く
詩的や素敵や
ただまあ、ネタバレ満載という感じもするw
>>316
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>それにしてもトップクラスで目を付けられてそうな二人が集まってやってることは…リスクとリターン釣り合ってる?
至極まっとうなツッコミに一ノ瀬も苦笑い
>…テロリストと売国奴が集まってやってることが苛めって…お前ら実は暇なんだな?
実務を担っている詠ちゃんの悲しみが深まりますねぇ……っ!
>そんなことやってる暇があったら食糧調達でもやってろよ
彼らが飢えることはないですからね
318:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/12(金) 22:37:38.43:S9RcxdRd0 (2/4)
「しかしまあ、まさか汜水関をどうするのかと思ったら。埋め立てるとはなあ」
その発想はなかったな、と苦笑交じりに頬を掻くのは北郷一刀。義勇軍を率いる劉備一党のご主人様である。
「ええ、袁家が攻城兵器を持っているというのは知ってはいましたが、あれほどまでに鮮やかな運用。そしてこのような戦術。
前代未聞と言っていいでしょう。
……お恥ずかしながら私も雛里ちゃんもこのような展開は予想だにしていませんでした。
攻城戦には妙手なぞなく、衝車で門扉を破るか櫓車で城壁を制するかくらいしか本来ありえません。
……まあ、こんなにも攻城兵器を揃えている袁家の存念は留意する必要がありますが」
陰鬱に諸葛亮が応える。
その声に意外そうに北郷一刀は答える。
「え?でも汜水関や虎牢関という難攻不落の関を攻めるんだから、攻城兵器を準備するのは当たり前じゃないのか?」
道理である。だが、と諸葛亮は思う。
一体、なぜあんなにも大量の攻城兵器を袁家は準備していたのだと。
「攻城兵器。そんなものを諸侯が持っているのがおかしいのです。
そもそも袁家の職責は北方に於いての匈奴への備え。
匈奴は城邑を落としたとしても、略奪するのみですぐさまその場を去ります。ですから、本来攻城兵器なんて必要ないのです。
騎兵に籠城させても強みを消すだけですし」
「朱里ちゃんの言う通りです……。もっと言えば、あそこまで鮮やかな運用を見るに、常から攻城兵器を使う想定をし、訓練していたのは間違いない、です。
そこで問題になるのは、一体なぜ袁家は攻城兵器を準備し、運用する訓練をしていたか、です……」
ふむ、と北郷一刀は考え込む。
かの伏竜鳳雛が懸念を呈するのであればそれはきっと重大なのだろう。
そして袁家の思惑を推察する。
「――。つまり、朱里と雛里は。こう言いたいのかい?袁家はもともと攻城戦をするつもりだったって?」
是、と諸葛亮は頷く。
「はい。そうとしか考えられません。ひょっとしたら袁家は中華に覇を唱えるつもりなのかもしれません」
ふむ、と北郷一刀は頷く。なるほど。これからは乱世になるのだ。そう思う諸侯があってもおかしくはない。そういえば袁家なんて皇帝を僭称したっけ。あれは袁紹だったか袁術だったか。
「虎牢関が落ちれば、あとは無防備な洛陽のみです。ご主人様の仰る通り、手柄を。目に見える派手な武勲を挙げるには虎牢関の戦いにて戦働きする必要があるでしょう。
ですが、いよいよ恋さんを相手取らないといけなくなります。
万夫不当の飛将軍。恋さんは個人で戦局を変えるほどの武を持っています。ですから、それをどう防ぐか、がこの反董卓連合の焦点になるでしょう」
いっそ悲しげに呟く諸葛亮。そして鳳統に北郷一刀は問う。問わずにはいられない。
「なあ、ひょっとして朱里と雛里は。
董家軍がどう出るかって読み切ってるのかな?」
諸葛亮と鳳統は、黙りながらも、是、と頷くのであった。
「乾坤一擲。それしかないでしゅ……」
「朱里ちゃん、噛んでるよ……」
「はわわ……。やっちゃった……。
で、でも。それしかいないのです。
結論としては袁家当主を討つ。これに尽きます。むしろこれ以外にこの状況。
追い詰められたこの状況をひっくり返すことはできないと思います」
「しかしまあ、まさか汜水関をどうするのかと思ったら。埋め立てるとはなあ」
その発想はなかったな、と苦笑交じりに頬を掻くのは北郷一刀。義勇軍を率いる劉備一党のご主人様である。
「ええ、袁家が攻城兵器を持っているというのは知ってはいましたが、あれほどまでに鮮やかな運用。そしてこのような戦術。
前代未聞と言っていいでしょう。
……お恥ずかしながら私も雛里ちゃんもこのような展開は予想だにしていませんでした。
攻城戦には妙手なぞなく、衝車で門扉を破るか櫓車で城壁を制するかくらいしか本来ありえません。
……まあ、こんなにも攻城兵器を揃えている袁家の存念は留意する必要がありますが」
陰鬱に諸葛亮が応える。
その声に意外そうに北郷一刀は答える。
「え?でも汜水関や虎牢関という難攻不落の関を攻めるんだから、攻城兵器を準備するのは当たり前じゃないのか?」
道理である。だが、と諸葛亮は思う。
一体、なぜあんなにも大量の攻城兵器を袁家は準備していたのだと。
「攻城兵器。そんなものを諸侯が持っているのがおかしいのです。
そもそも袁家の職責は北方に於いての匈奴への備え。
匈奴は城邑を落としたとしても、略奪するのみですぐさまその場を去ります。ですから、本来攻城兵器なんて必要ないのです。
騎兵に籠城させても強みを消すだけですし」
「朱里ちゃんの言う通りです……。もっと言えば、あそこまで鮮やかな運用を見るに、常から攻城兵器を使う想定をし、訓練していたのは間違いない、です。
そこで問題になるのは、一体なぜ袁家は攻城兵器を準備し、運用する訓練をしていたか、です……」
ふむ、と北郷一刀は考え込む。
かの伏竜鳳雛が懸念を呈するのであればそれはきっと重大なのだろう。
そして袁家の思惑を推察する。
「――。つまり、朱里と雛里は。こう言いたいのかい?袁家はもともと攻城戦をするつもりだったって?」
是、と諸葛亮は頷く。
「はい。そうとしか考えられません。ひょっとしたら袁家は中華に覇を唱えるつもりなのかもしれません」
ふむ、と北郷一刀は頷く。なるほど。これからは乱世になるのだ。そう思う諸侯があってもおかしくはない。そういえば袁家なんて皇帝を僭称したっけ。あれは袁紹だったか袁術だったか。
「虎牢関が落ちれば、あとは無防備な洛陽のみです。ご主人様の仰る通り、手柄を。目に見える派手な武勲を挙げるには虎牢関の戦いにて戦働きする必要があるでしょう。
ですが、いよいよ恋さんを相手取らないといけなくなります。
万夫不当の飛将軍。恋さんは個人で戦局を変えるほどの武を持っています。ですから、それをどう防ぐか、がこの反董卓連合の焦点になるでしょう」
いっそ悲しげに呟く諸葛亮。そして鳳統に北郷一刀は問う。問わずにはいられない。
「なあ、ひょっとして朱里と雛里は。
董家軍がどう出るかって読み切ってるのかな?」
諸葛亮と鳳統は、黙りながらも、是、と頷くのであった。
「乾坤一擲。それしかないでしゅ……」
「朱里ちゃん、噛んでるよ……」
「はわわ……。やっちゃった……。
で、でも。それしかいないのです。
結論としては袁家当主を討つ。これに尽きます。むしろこれ以外にこの状況。
追い詰められたこの状況をひっくり返すことはできないと思います」
319:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/12(金) 22:38:07.20:S9RcxdRd0 (3/4)
ふむ、と北郷一刀は思う。なるほど、大筋で三国志に準ずる展開なんだなあと。
ならばここで名を上げないといけないであろう。張飛と関羽という英傑がいるのだ。
なに、何せ呂布が相手となるのだ。きっと彼女たちに出番はある。
いや、むしろ彼女たち以外に万夫不当が止められるはずもないのだ。
それはそれとして思いついたことを今のうちに幼女軍師二人に問う。
「例えば、皇帝の身柄を確保して洛陽から物資と資金を略奪して、長安に遷都するとかってのは、どうだろう。
いや、月がそんなことをするはずはないんだけどさ、ふと思って」
唐突なその絵図に諸葛亮も鳳統もその幼い身を震わせる。
なんとも鬼畜の所業。だが、有効ではあるのだ。
「あ、あわわ……。荒廃した洛陽を餌として退くのは本当に有効と思います。
そこまでされたら、どうしようもないですね……」
嘆息する諸葛亮に鳳統も頷く。
そうなれば、荒廃した洛陽を前に諸侯は割れるであろう。
なんの旨みもない反董卓連合はその目的を果たすことなく解散されるはずだ。
いや、互いに争うかもしれない。
そこまでの未来絵図を示唆する眼前の青年の叡智はやはり天の御使いに相応しいだろう。
「でも、月がそんなことをするはずがない。そしたら、なんで恋達はあんなにも必死に抵抗するんだろう」
むむむとばかりに考え込む。そんなの分かり切ったことなのに。
「きっと月さんは悪い人に捕えられているか、操られているんです。
そうでないとつじつまが合いません!
それに、董家軍は時間稼ぎを最優先しています。本来霞さんも恋さんも戦場を駆け廻る人です。
ですから、董家軍のおかしな動きも、それで説明がつきます」
あくまで推論ですがと諸葛亮は嘯く。
北郷一刀は思う。月を救って、なおかつ義勇軍たる自分たちの名声を高める。どちらもせねばならないなあと。
そして、声望高まる機会はここに至りもたらされるだろう。
「……とりあえず、紀霊に会おう。なに、無碍にはされないと思うよ」
――なにせ万夫不当の呂布を封じるべく動くのだ。
張飛と関羽。
彼女らの武があれば流石の呂布も拘束できるだろう。
そして董卓の現状を聞けばいい。
だって。あの優しげな少女が漢朝を揺るがす動乱の元凶だなんて、ありえないことなのだから。
だから、できることをしようと決心も新たに、北郷一刀は張飛と関羽を呼び寄せる。
そして呂布と董卓を思い、心を震わせる。
そうだ。皆が笑って暮らせる世界。
だったら彼女たちを見捨てるわけにはいかない。
「愛紗、鈴々。頼まれてくれるか――」
決意を新たに、北郷一刀は口を開く。
彼がこの外史にその意思をもって介入を決意したその瞬間であった。
ふむ、と北郷一刀は思う。なるほど、大筋で三国志に準ずる展開なんだなあと。
ならばここで名を上げないといけないであろう。張飛と関羽という英傑がいるのだ。
なに、何せ呂布が相手となるのだ。きっと彼女たちに出番はある。
いや、むしろ彼女たち以外に万夫不当が止められるはずもないのだ。
それはそれとして思いついたことを今のうちに幼女軍師二人に問う。
「例えば、皇帝の身柄を確保して洛陽から物資と資金を略奪して、長安に遷都するとかってのは、どうだろう。
いや、月がそんなことをするはずはないんだけどさ、ふと思って」
唐突なその絵図に諸葛亮も鳳統もその幼い身を震わせる。
なんとも鬼畜の所業。だが、有効ではあるのだ。
「あ、あわわ……。荒廃した洛陽を餌として退くのは本当に有効と思います。
そこまでされたら、どうしようもないですね……」
嘆息する諸葛亮に鳳統も頷く。
そうなれば、荒廃した洛陽を前に諸侯は割れるであろう。
なんの旨みもない反董卓連合はその目的を果たすことなく解散されるはずだ。
いや、互いに争うかもしれない。
そこまでの未来絵図を示唆する眼前の青年の叡智はやはり天の御使いに相応しいだろう。
「でも、月がそんなことをするはずがない。そしたら、なんで恋達はあんなにも必死に抵抗するんだろう」
むむむとばかりに考え込む。そんなの分かり切ったことなのに。
「きっと月さんは悪い人に捕えられているか、操られているんです。
そうでないとつじつまが合いません!
それに、董家軍は時間稼ぎを最優先しています。本来霞さんも恋さんも戦場を駆け廻る人です。
ですから、董家軍のおかしな動きも、それで説明がつきます」
あくまで推論ですがと諸葛亮は嘯く。
北郷一刀は思う。月を救って、なおかつ義勇軍たる自分たちの名声を高める。どちらもせねばならないなあと。
そして、声望高まる機会はここに至りもたらされるだろう。
「……とりあえず、紀霊に会おう。なに、無碍にはされないと思うよ」
――なにせ万夫不当の呂布を封じるべく動くのだ。
張飛と関羽。
彼女らの武があれば流石の呂布も拘束できるだろう。
そして董卓の現状を聞けばいい。
だって。あの優しげな少女が漢朝を揺るがす動乱の元凶だなんて、ありえないことなのだから。
だから、できることをしようと決心も新たに、北郷一刀は張飛と関羽を呼び寄せる。
そして呂布と董卓を思い、心を震わせる。
そうだ。皆が笑って暮らせる世界。
だったら彼女たちを見捨てるわけにはいかない。
「愛紗、鈴々。頼まれてくれるか――」
決意を新たに、北郷一刀は口を開く。
彼がこの外史にその意思をもって介入を決意したその瞬間であった。
320:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/12(金) 22:40:56.51:S9RcxdRd0 (4/4)
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
今回も迷走ですマジですよ
頑張るぞいっと。ねむい
アジアというか日本で孫とか愛でたい人は頑張れ
ひとさまに迷惑がかからない範囲でね(ブーメランはアリ)
にゃはむ
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
今回も迷走ですマジですよ
頑張るぞいっと。ねむい
アジアというか日本で孫とか愛でたい人は頑張れ
ひとさまに迷惑がかからない範囲でね(ブーメランはアリ)
にゃはむ
321:青ペン:2020/06/13(土) 01:58:28.84:+RTNqMXAo (1/2)
>>317
んんんー?
わたしゃひとっことも
月たん生存確定とかは言ってませんがねぇニヨニヨ
>>317
んんんー?
わたしゃひとっことも
月たん生存確定とかは言ってませんがねぇニヨニヨ
322:青ペン:2020/06/13(土) 02:08:46.52:+RTNqMXAo (2/2)
>>320
そして今回のは…シンプルに【天使(あまのみつかい)の決断】
>>320
そして今回のは…シンプルに【天使(あまのみつかい)の決断】
323:赤ペン:2020/06/13(土) 13:21:05.91:Q7zvvKYN0 (1/2)
乙でしたー
>>318
>>「――。つまり、朱里と雛里は。こう言いたいのかい? ちょっと違和感
○「――。つまり、朱里と雛里は、こう言いたいのかい? 少し前の黄巾の時にこういうのあれば、と思ったことは無いのか?…無いのか。たかが賊徒に苦戦するとかあっちゃ駄目だもんな
>>で、でも。それしかいないのです。 董家軍総勢一名、参上!
○で、でも。それしかないのです。 張遼(うちもおるで……おるで)
>>319
>>そしたら、なんで恋達はあんなにも必死に抵抗するんだろう」 これってどこかの方言だとこう使うんだっけ?
○それなら、なんで恋達はあんなにも必死に抵抗するんだろう」 一応標準語ではこれが一般的、だと思います
>>北郷一刀。義勇軍を率いる劉備一党のご主人様である。 何度読んでも違和感が消えないw本郷一党名乗れよwwwもしくは呼ばれて何度訂正しても頑なだったんならお前も劉備をご主人様って呼んどけよ
>>まあ、こんなにも攻城兵器を揃えている袁家の存念は留意する必要がありますが」
>>そもそも袁家の職責は北方に於いての匈奴への備え。 城壁強化しても翻意、街道整備しても翻意、お前ら袁家が食糧増産しても翻意とか言うんだろ(決めつけ
そういや董卓の人物鑑定には随分と自信があるようだけどそんな一刀から見て記霊はどんな人物なのかぜひとも聞いてみたいものだね
呂布と張遼と陳宮くらいしかいないんだから将の数から言って抑え込むだけなら別に義勇軍の力が無くてもどうにかなるんだよなあ
まあこの二人がいた方が被害が少ないことは事実だけど
乙でしたー
>>318
>>「――。つまり、朱里と雛里は。こう言いたいのかい? ちょっと違和感
○「――。つまり、朱里と雛里は、こう言いたいのかい? 少し前の黄巾の時にこういうのあれば、と思ったことは無いのか?…無いのか。たかが賊徒に苦戦するとかあっちゃ駄目だもんな
>>で、でも。それしかいないのです。 董家軍総勢一名、参上!
○で、でも。それしかないのです。 張遼(うちもおるで……おるで)
>>319
>>そしたら、なんで恋達はあんなにも必死に抵抗するんだろう」 これってどこかの方言だとこう使うんだっけ?
○それなら、なんで恋達はあんなにも必死に抵抗するんだろう」 一応標準語ではこれが一般的、だと思います
>>北郷一刀。義勇軍を率いる劉備一党のご主人様である。 何度読んでも違和感が消えないw本郷一党名乗れよwwwもしくは呼ばれて何度訂正しても頑なだったんならお前も劉備をご主人様って呼んどけよ
>>まあ、こんなにも攻城兵器を揃えている袁家の存念は留意する必要がありますが」
>>そもそも袁家の職責は北方に於いての匈奴への備え。 城壁強化しても翻意、街道整備しても翻意、お前ら袁家が食糧増産しても翻意とか言うんだろ(決めつけ
そういや董卓の人物鑑定には随分と自信があるようだけどそんな一刀から見て記霊はどんな人物なのかぜひとも聞いてみたいものだね
呂布と張遼と陳宮くらいしかいないんだから将の数から言って抑え込むだけなら別に義勇軍の力が無くてもどうにかなるんだよなあ
まあこの二人がいた方が被害が少ないことは事実だけど
324:赤ペン:2020/06/13(土) 17:05:41.29:Q7zvvKYN0 (2/2)
夏侯惇、許チョ、典韋、趙雲、孫尚香、黄蓋、文醜、馬岱。ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!!俺は麗羽様のそばに侍る、顔良もこっち来い
その他の有力武将は主君の警護に回れ、神速の動向に注意し、各自高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対処せよ!(指揮権は軍師連中に丸投げ)
勝ったな、がははー風呂入ってくる。今日の晩飯はステーキ…はないからでっかい肉の丸焼きだ。この戦争が終わったら俺麗羽様に告白するんだ
夏侯惇、許チョ、典韋、趙雲、孫尚香、黄蓋、文醜、馬岱。ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!!俺は麗羽様のそばに侍る、顔良もこっち来い
その他の有力武将は主君の警護に回れ、神速の動向に注意し、各自高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対処せよ!(指揮権は軍師連中に丸投げ)
勝ったな、がははー風呂入ってくる。今日の晩飯はステーキ…はないからでっかい肉の丸焼きだ。この戦争が終わったら俺麗羽様に告白するんだ
325:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2020/06/13(土) 21:06:01.93:SU0b92pFo (1/1)
乙したー
うん、気持ちは分かる
分かるんだけど、一刀君さぁ・・・ってなっちゃう
三国志パロ作品全般に言えるんだけど何故か劉備陣営好きになれないのです・・・・・・
乙したー
うん、気持ちは分かる
分かるんだけど、一刀君さぁ・・・ってなっちゃう
三国志パロ作品全般に言えるんだけど何故か劉備陣営好きになれないのです・・・・・・
326:赤ペン:2020/06/14(日) 17:53:17.68:x4nEyZmB0 (1/1)
本郷君のフラグよな
これだけの深謀遠慮、神算鬼謀の持ち主なら軍師が1から10まで説明しなくても軍師の思考以上に物が見える、と思われる
いざというときには軍師がいなくても本郷がいればある程度はなんとかできると誤解される
…!これが今はやり(?)の勘違い物か!
本郷君のフラグよな
これだけの深謀遠慮、神算鬼謀の持ち主なら軍師が1から10まで説明しなくても軍師の思考以上に物が見える、と思われる
いざというときには軍師がいなくても本郷がいればある程度はなんとかできると誤解される
…!これが今はやり(?)の勘違い物か!
327:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/14(日) 20:12:24.33:ZUcthOOx0 (1/1)
>>321
どもです。
月生存はなあ。
董家ルートではいけるんじゃがね
いつかやらんといかん董家ルート
>>323
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>そんな一刀から見て記霊はどんな人物なのかぜひとも聞いてみたいものだね
ベースが三国志知識と自分の知見と思われるのでお察しになりますな
>呂布と張遼と陳宮くらいしかいないんだから将の数から言って抑え込むだけなら別に義勇軍の力が無くてもどうにかなるんだよなあ
そこに気付くとはやはり天才か……。
>>324
パインサラダ食べるのを楽しみにして黒猫が横切り、下駄の鼻緒が切れているからセーフ
>>325
どもです。
>うん、気持ちは分かる
実際しゃあないとこは大いにあります。経験値も少ないし。
それもこれも紀霊って奴の仕業が影響しているんだ
三国志派生で劉備陣営が魅力的なもの。さて。
蒼天航路はかなり魅力的ですな。そのベースとなってそうな秘本三国志も中々。
え。趣旨が違う?どっちも名作ですよ。
後は秘本三国志の陳舜臣さんの諸葛孔明もアリです。月英さん異民族で実は美人説をぶっこいたのアレが走りじゃなかろうか。
それを龍狼伝がええ感じにアレンジしているような。
三国志ではやはり爆笑三国志シリーズが珠玉なのかなあ。副読本としては最強だと思います。
>>326
>本郷君のフラグよな
そうですねと言うわけにもいかないw
>>321
どもです。
月生存はなあ。
董家ルートではいけるんじゃがね
いつかやらんといかん董家ルート
>>323
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>そんな一刀から見て記霊はどんな人物なのかぜひとも聞いてみたいものだね
ベースが三国志知識と自分の知見と思われるのでお察しになりますな
>呂布と張遼と陳宮くらいしかいないんだから将の数から言って抑え込むだけなら別に義勇軍の力が無くてもどうにかなるんだよなあ
そこに気付くとはやはり天才か……。
>>324
パインサラダ食べるのを楽しみにして黒猫が横切り、下駄の鼻緒が切れているからセーフ
>>325
どもです。
>うん、気持ちは分かる
実際しゃあないとこは大いにあります。経験値も少ないし。
それもこれも紀霊って奴の仕業が影響しているんだ
三国志派生で劉備陣営が魅力的なもの。さて。
蒼天航路はかなり魅力的ですな。そのベースとなってそうな秘本三国志も中々。
え。趣旨が違う?どっちも名作ですよ。
後は秘本三国志の陳舜臣さんの諸葛孔明もアリです。月英さん異民族で実は美人説をぶっこいたのアレが走りじゃなかろうか。
それを龍狼伝がええ感じにアレンジしているような。
三国志ではやはり爆笑三国志シリーズが珠玉なのかなあ。副読本としては最強だと思います。
>>326
>本郷君のフラグよな
そうですねと言うわけにもいかないw
328:俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU:2020/06/14(日) 23:38:37.18:f2LR/ZFy0 (1/1)
乙です。
まず、皇甫嵩、李儒。おどれら覚悟しとけや(ぼそ
二郎さんもそうだけど、パシリも知識としては流れを把握してるんだよね。でもってちゃんと自分が持ってる戦力も把握していると。
とはいえなぁ、「子龍は一身、之肝也」がどうにもこうにもひっかかる。
趙雲さんのことじゃなくて、呂布以下一騎当千の人物でも一対大多数に勝てるのか?春蘭さんもそうだよ。
ま、パシリの目論見としては董卓軍の主要武将を吸収したい。それを可能にする関羽・張飛がいるから呂布だけでも身柄を拉致りたい。
いいけどさぁ、食わせられんの?というか逆賊認定されている(公的に)人物ほいほい取り込むなよ。黙らせるだけの力あるのかいな。
……こっちの横家長男がやってることがブーメランwww
はわあわの分析が当たっていれば、麗羽さんが危ないんだけど。二郎さん気づいている?
いや普通本陣の守りは手厚く堅くが当たり前だし、どないかなるか。
乙です。
まず、皇甫嵩、李儒。おどれら覚悟しとけや(ぼそ
二郎さんもそうだけど、パシリも知識としては流れを把握してるんだよね。でもってちゃんと自分が持ってる戦力も把握していると。
とはいえなぁ、「子龍は一身、之肝也」がどうにもこうにもひっかかる。
趙雲さんのことじゃなくて、呂布以下一騎当千の人物でも一対大多数に勝てるのか?春蘭さんもそうだよ。
ま、パシリの目論見としては董卓軍の主要武将を吸収したい。それを可能にする関羽・張飛がいるから呂布だけでも身柄を拉致りたい。
いいけどさぁ、食わせられんの?というか逆賊認定されている(公的に)人物ほいほい取り込むなよ。黙らせるだけの力あるのかいな。
……こっちの横家長男がやってることがブーメランwww
はわあわの分析が当たっていれば、麗羽さんが危ないんだけど。二郎さん気づいている?
いや普通本陣の守りは手厚く堅くが当たり前だし、どないかなるか。
329:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/15(月) 21:20:38.53:Q/tC3Ank0 (1/1)
>>328
どもです。
>まず、皇甫嵩、李儒。おどれら覚悟しとけや(ぼそ
無言のガッツポーズ
>二郎さんもそうだけど、パシリも知識としては流れを把握してるんだよね。でもってちゃんと自分が持ってる戦力も把握していると。
まあ、ちゃんと、というのがどこまでかということもありますが
>ま、パシリの目論見としては董卓軍の主要武将を吸収したい。それを可能にする関羽・張飛がいるから呂布だけでも身柄を拉致りたい。
そこまで長期的視野ではないかと。
単純に助けたい!くらいのものじゃないっすかね。今は。
軍師は知らんけど。
>はわあわの分析が当たっていれば、麗羽さんが危ないんだけど。二郎さん気づいている?
ご期待くださいませませ。
>>328
どもです。
>まず、皇甫嵩、李儒。おどれら覚悟しとけや(ぼそ
無言のガッツポーズ
>二郎さんもそうだけど、パシリも知識としては流れを把握してるんだよね。でもってちゃんと自分が持ってる戦力も把握していると。
まあ、ちゃんと、というのがどこまでかということもありますが
>ま、パシリの目論見としては董卓軍の主要武将を吸収したい。それを可能にする関羽・張飛がいるから呂布だけでも身柄を拉致りたい。
そこまで長期的視野ではないかと。
単純に助けたい!くらいのものじゃないっすかね。今は。
軍師は知らんけど。
>はわあわの分析が当たっていれば、麗羽さんが危ないんだけど。二郎さん気づいている?
ご期待くださいませませ。
330:赤ペン:2020/06/16(火) 11:12:49.17:EZ+fIxVc0 (1/1)
パインサラダは南蛮ならあるか?クロネコ、と言うか猫って…俯瞰者さんの方でやってたし居るのか、下駄とか世界観ぐちゃぐち大丈夫、恋姫の世界だよ
>>ベースが三国志知識と自分の知見と思われるのでお察しになりますな 二郎ちゃんも似たようなものだしセーフ。はともかくとして、実際に一度会って話したので、忌憚のない意見を聞いてみたいな、と。三国志知識だけなら董卓も呂布も糞だしその辺は完全にはとらわれてる訳ではないとして、武力は雑魚いの確定としてま、多少は頭の回る虎の威を借る狐だな、とか
俺の趙雲への勧誘を邪魔するとか空気の読めないモブだな、とか
パインサラダは南蛮ならあるか?クロネコ、と言うか猫って…俯瞰者さんの方でやってたし居るのか、下駄とか世界観ぐちゃぐち大丈夫、恋姫の世界だよ
>>ベースが三国志知識と自分の知見と思われるのでお察しになりますな 二郎ちゃんも似たようなものだしセーフ。はともかくとして、実際に一度会って話したので、忌憚のない意見を聞いてみたいな、と。三国志知識だけなら董卓も呂布も糞だしその辺は完全にはとらわれてる訳ではないとして、武力は雑魚いの確定としてま、多少は頭の回る虎の威を借る狐だな、とか
俺の趙雲への勧誘を邪魔するとか空気の読めないモブだな、とか
331:赤ペン:2020/06/17(水) 12:55:21.65:+VMp/JjF0 (1/1)
二郎ちゃん本人は気づいてないけど稟ちゃんさんが気付いてるよ(厚い信頼
そうでなくても麗羽様の安全マージンを凡人を自称してる二郎が無駄になるくらいとってないわけない
実際にどの程度あの二人がやれるかは知らないけど二郎ちゃんにとって麗羽様と美羽様は何があっても守るべき至宝だから(適当
万夫不当の近くにいるのを許容する代わりに鉄壁といざというときの逃走経路と影武者と肉の壁その他諸々でガードしてるさ…七のんが
二郎ちゃん本人は気づいてないけど稟ちゃんさんが気付いてるよ(厚い信頼
そうでなくても麗羽様の安全マージンを凡人を自称してる二郎が無駄になるくらいとってないわけない
実際にどの程度あの二人がやれるかは知らないけど二郎ちゃんにとって麗羽様と美羽様は何があっても守るべき至宝だから(適当
万夫不当の近くにいるのを許容する代わりに鉄壁といざというときの逃走経路と影武者と肉の壁その他諸々でガードしてるさ…七のんが
332:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/22(月) 21:14:40.15:pj/oFiYr0 (1/1)
うう、がんばる
明日には更新したいでう
うう、がんばる
明日には更新したいでう
333:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/23(火) 21:15:46.06:tvO3hrbd0 (1/5)
関羽、張飛という豪傑――いや、見た目はとびきりの美少女であるのだが――を伴い北郷一刀は歩を進める。
これまでついに一度として賊と干戈を交えることなくきた劉家軍であるが、収穫は大きかった。
付き従う関羽、張飛。それに諸葛亮に鳳統と。才能はそれぞれ中華でも五指に入るであろう英傑ではあるが、経験不足はいかんともしがたかった。
それが、今回の輜重の護衛においては望外に経験を積むことが出来たのである。
そこには一人の武人。その存在が大きい。
益州の州牧たる劉焉、彼女の信頼が篤い、厳顔である。
――厳顔が輜重隊の護衛に当たったのは無論訳がある。
劉璋が人質にとられており、それにより劉焉は反董卓連合に全く協力をしていない。
見ようによっては厳顔が反董卓連合にいるというのもむしろ董卓側に情報を流すためと思われても仕方ない。
だからと言って露骨に排除をするわけもいかない。
なので郭嘉は、厄介な存在は一所にまとめてしまおうとばかりに劉家軍に同行させたのである。
――結果的に劉家軍が全く黒山賊に襲われなかったことで董家軍との繋がりを噂されることとなってはいるのではあるが、そんなものを気にする厳顔ではない。
まあ、なんにせよ、だ。厳顔という経験豊富な実戦指揮官の薫陶により、これまで経験不足という、ある意味どうしようもない弱点を抱えていた劉家軍はその弱点を克服しつつあったのだ。
ロクに組織というものを運用したことのない劉家軍の面々にとっては、厳顔の一言一言がまさに金科玉条。渇いた大地が水を吸うように教えを血肉としていったのである。
「いや、白蓮。済まないなあ」
にこやかに北郷一刀は謝辞を述べる。
公孫賛の口添えなくしてはこれから臨む会議に顔を出すこともできなかっただろうから。
持つべきものは頼れる友人であるなと。
いや、横にいる韓浩からは冷たい視線を貰うがそれはもう慣れた。どうということはない。
何にしても、董卓や賈駆を救わなくてはならないのだ。自然、気合いも入ろうというものである。
◆◆◆
関羽、張飛という豪傑――いや、見た目はとびきりの美少女であるのだが――を伴い北郷一刀は歩を進める。
これまでついに一度として賊と干戈を交えることなくきた劉家軍であるが、収穫は大きかった。
付き従う関羽、張飛。それに諸葛亮に鳳統と。才能はそれぞれ中華でも五指に入るであろう英傑ではあるが、経験不足はいかんともしがたかった。
それが、今回の輜重の護衛においては望外に経験を積むことが出来たのである。
そこには一人の武人。その存在が大きい。
益州の州牧たる劉焉、彼女の信頼が篤い、厳顔である。
――厳顔が輜重隊の護衛に当たったのは無論訳がある。
劉璋が人質にとられており、それにより劉焉は反董卓連合に全く協力をしていない。
見ようによっては厳顔が反董卓連合にいるというのもむしろ董卓側に情報を流すためと思われても仕方ない。
だからと言って露骨に排除をするわけもいかない。
なので郭嘉は、厄介な存在は一所にまとめてしまおうとばかりに劉家軍に同行させたのである。
――結果的に劉家軍が全く黒山賊に襲われなかったことで董家軍との繋がりを噂されることとなってはいるのではあるが、そんなものを気にする厳顔ではない。
まあ、なんにせよ、だ。厳顔という経験豊富な実戦指揮官の薫陶により、これまで経験不足という、ある意味どうしようもない弱点を抱えていた劉家軍はその弱点を克服しつつあったのだ。
ロクに組織というものを運用したことのない劉家軍の面々にとっては、厳顔の一言一言がまさに金科玉条。渇いた大地が水を吸うように教えを血肉としていったのである。
「いや、白蓮。済まないなあ」
にこやかに北郷一刀は謝辞を述べる。
公孫賛の口添えなくしてはこれから臨む会議に顔を出すこともできなかっただろうから。
持つべきものは頼れる友人であるなと。
いや、横にいる韓浩からは冷たい視線を貰うがそれはもう慣れた。どうということはない。
何にしても、董卓や賈駆を救わなくてはならないのだ。自然、気合いも入ろうというものである。
◆◆◆
334:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/23(火) 21:16:12.75:tvO3hrbd0 (2/5)
どもです。二郎です。いやあ、汜水関は強敵でしたね。あれやこれやで割と大変でしたよ。ほら、門扉を物理的に閉じてしまいましたしねえ。
閑話休題(それはともかく)。
さて、いよいよ虎牢関攻略である。
基本的には汜水関と変わらない攻略を考えていたのだが、稟ちゃんさんから待ったがあった。
曰く、董家軍は決戦を挑んでくるであろうとのことだ。ほむほむ。
「董家軍は騎兵突破が持ち味。ですから時間を稼ぐにしても虎牢関に籠ることはないでしょう。
虎牢関に籠るよりは乾坤一擲の博打に全力を尽くすかと」
穏もネコミミも、稟ちゃんさんのこの意見には同意した。
……極秘である情報。月が囚われているであろうとかそこいらへんは口外無用として伝えている。
前提としている情報に齟齬があったらいかんからね。中華最高級の頭脳といえども前提となる情報が違えばもたらされる結論は違うだろうし。
だからまあ、全力で董家軍が挑んでくるであろうというのが俺たちの予想だ。
無論、そうでなければまた土攻めをすればいいだけだ。なに、籠城した董家軍なんぞ物の数ではない。って穏が言ってたからそうなんだろう。多分。
だからまあ、野戦での決戦を前提に戦術を立案していたのだ。軍師陣がな!これは勝ったなガハハ。
んでまあ、決戦が予想されるから虎牢関攻略に関しては出し惜しみなく全力だ。
汜水関はあっけなく袁家単独で陥落させたから、手柄が欲しい諸侯軍はこぞって出陣の打診をしてきたんだけどね。
足手まといはいらんとばかりにばっさりと切り捨てた稟ちゃんさんカッコいい。気分を害した彼らのフォローはまかせろー。バリバリ働くぜ。多少は働いてるアピールしとかんとね。
で、まあ。陣構えはこうだ。中央の本陣。ここに麗羽様が陣取る。顔家と文家はここに控える最終防衛線だ。なにせここがやられたら負けだからして。
そして中央でそれを守るのは曹家軍だ。そして右翼に孫家を配し、左翼に紀家軍。
虎の子の騎兵の馬家軍と公孫家軍は温存、である。
これでいける、と軍師陣からはお墨付きをもらってるけどなー。できたらメイン軍師とぶっちゃけトークで確認したかったなあ。
「まあ、なんにせよ袁紹殿の首級さえ無事ならばこちらの勝ちは揺るぎないでしょう」
怜悧な稟ちゃんさんがそんなこと言うけど、逆に考えたら麗羽様が討ち取られたら負けってことですよね分かります。
「……ご自分のお立場をもっと考えてほしいですね。
ああ、風ならばもっと上手いこと諫言したのでしょうが生憎私にそんなのは無理ですから直言ご容赦願いたいですね」
更に言い募ろうとする稟ちゃんさんの言を遮ったのは。
「義勇軍を率いる北郷一刀様がおいでです」
白蓮の口利きならば仕方ない。稟ちゃんさんともうちょっと語りたかったけどしゃあない。
しかしまあ、なんとも厄介なことだ。
つか、本来義勇軍とか相手する余裕ないくらいにクライマックスなのである。
◆◆◆
どもです。二郎です。いやあ、汜水関は強敵でしたね。あれやこれやで割と大変でしたよ。ほら、門扉を物理的に閉じてしまいましたしねえ。
閑話休題(それはともかく)。
さて、いよいよ虎牢関攻略である。
基本的には汜水関と変わらない攻略を考えていたのだが、稟ちゃんさんから待ったがあった。
曰く、董家軍は決戦を挑んでくるであろうとのことだ。ほむほむ。
「董家軍は騎兵突破が持ち味。ですから時間を稼ぐにしても虎牢関に籠ることはないでしょう。
虎牢関に籠るよりは乾坤一擲の博打に全力を尽くすかと」
穏もネコミミも、稟ちゃんさんのこの意見には同意した。
……極秘である情報。月が囚われているであろうとかそこいらへんは口外無用として伝えている。
前提としている情報に齟齬があったらいかんからね。中華最高級の頭脳といえども前提となる情報が違えばもたらされる結論は違うだろうし。
だからまあ、全力で董家軍が挑んでくるであろうというのが俺たちの予想だ。
無論、そうでなければまた土攻めをすればいいだけだ。なに、籠城した董家軍なんぞ物の数ではない。って穏が言ってたからそうなんだろう。多分。
だからまあ、野戦での決戦を前提に戦術を立案していたのだ。軍師陣がな!これは勝ったなガハハ。
んでまあ、決戦が予想されるから虎牢関攻略に関しては出し惜しみなく全力だ。
汜水関はあっけなく袁家単独で陥落させたから、手柄が欲しい諸侯軍はこぞって出陣の打診をしてきたんだけどね。
足手まといはいらんとばかりにばっさりと切り捨てた稟ちゃんさんカッコいい。気分を害した彼らのフォローはまかせろー。バリバリ働くぜ。多少は働いてるアピールしとかんとね。
で、まあ。陣構えはこうだ。中央の本陣。ここに麗羽様が陣取る。顔家と文家はここに控える最終防衛線だ。なにせここがやられたら負けだからして。
そして中央でそれを守るのは曹家軍だ。そして右翼に孫家を配し、左翼に紀家軍。
虎の子の騎兵の馬家軍と公孫家軍は温存、である。
これでいける、と軍師陣からはお墨付きをもらってるけどなー。できたらメイン軍師とぶっちゃけトークで確認したかったなあ。
「まあ、なんにせよ袁紹殿の首級さえ無事ならばこちらの勝ちは揺るぎないでしょう」
怜悧な稟ちゃんさんがそんなこと言うけど、逆に考えたら麗羽様が討ち取られたら負けってことですよね分かります。
「……ご自分のお立場をもっと考えてほしいですね。
ああ、風ならばもっと上手いこと諫言したのでしょうが生憎私にそんなのは無理ですから直言ご容赦願いたいですね」
更に言い募ろうとする稟ちゃんさんの言を遮ったのは。
「義勇軍を率いる北郷一刀様がおいでです」
白蓮の口利きならば仕方ない。稟ちゃんさんともうちょっと語りたかったけどしゃあない。
しかしまあ、なんとも厄介なことだ。
つか、本来義勇軍とか相手する余裕ないくらいにクライマックスなのである。
◆◆◆
335:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/23(火) 21:16:39.40:tvO3hrbd0 (3/5)
「却下」
関羽と張飛を恋に対して使ってくれという北郷一刀の申し出に対して俺は即座に返答した。
「な、なんでだ!鈴々と愛紗の武をもってすれば恋を止められるんだ。
無駄な人死にを減らせるんだぞ」
言い募る少年の熱意やよし。でも駄目。
「総大将の守りをどうして他家に任せられるか、という話さ。
袁家は武家よ。そこを察してくれたら嬉しいな」
稟ちゃんさん、穏、ネコミミも董家軍が摂る戦術の予想は一致している。
即ち乾坤一擲。麗羽様を討ち取り刻を稼ぐというもの。流石に公言なんてできないけどね。
そしてその要は恋であろうというのも一致している。
どうしてそれを、内通の噂さえある義勇軍なぞという有象無象にゆだねられようか。
いや、義勇軍の風評は八割くらい俺のせいだけどね!
「なるほど君が言う関羽と張飛の武勇を認めるにやぶさかではないがね。
だがまあ、これでも俺は恋と矛を交えたこともあるのさ。
そして、だ。そこのお嬢ちゃん。張飛か。
彼女が産まれる前から俺たちは武を磨いてきたのさ。
その子がおねしょをしているより前から俺たちが磨いてきた武というもの。馬鹿にできないと思うがね」
まあ、恋を力づくで、本気で押し返そうと思ったら、信頼する人財しか当てにできやしない。
だから。猪々子、斗詩。すまんが付き合ってくれ。
ちら、と視線をやると二人ともにこり、と満面の笑みで頷いてくれる。
これは俺もみなぎってくるね。
などと気合い充実な俺に北郷君が食い下がってくる。いや、頑張るねえ。だが無意味だ。
「で、でも俺たちは、俺は恋や月と親しかったんだ。だから、こんなのは何かの間違いかもしれないって説得できるかもしれない。
無駄な血は流すべきじゃないだろう?
話して分かるならば、それにこしたことはないはずだ!」
いやいや。話せばわかるとかそんな段階は終えているんだがね。
まあ、いい。俺たちのスタンスを示そう。
「猪々子!」
「あいよ!」
最も信頼するおにゃのこの一人に呼びかける。暇そうにしていたのが俺の呼びかけにたちまち全身に覇気を巡らせる。
「袁家、鉄の掟その壱!」
にまり、と猪々子は俺の呼びかけに応える。そして高らかに謳う。
「とりあえず、ぶっ飛ばす!話はそれから聞いてやる!」
「その弐!」
「戦いは数だよアニキ!」
「結論!」
「勝てばよかろうなのだぁ!」
いやっほうとばかりにハイタッチする俺と猪々子である。斗詩がぱちぱちと拍手しながら囃したててくれる。
なお稟ちゃんさんはため息、北郷君たちはあっけにとられてるね。フフン。
「ま、そういうわけだ。お帰りはあちら、ってな」
まともに議論する気はないのさ。一応面通しもしたから白蓮への筋も通したし、これでよかんべ。
「却下」
関羽と張飛を恋に対して使ってくれという北郷一刀の申し出に対して俺は即座に返答した。
「な、なんでだ!鈴々と愛紗の武をもってすれば恋を止められるんだ。
無駄な人死にを減らせるんだぞ」
言い募る少年の熱意やよし。でも駄目。
「総大将の守りをどうして他家に任せられるか、という話さ。
袁家は武家よ。そこを察してくれたら嬉しいな」
稟ちゃんさん、穏、ネコミミも董家軍が摂る戦術の予想は一致している。
即ち乾坤一擲。麗羽様を討ち取り刻を稼ぐというもの。流石に公言なんてできないけどね。
そしてその要は恋であろうというのも一致している。
どうしてそれを、内通の噂さえある義勇軍なぞという有象無象にゆだねられようか。
いや、義勇軍の風評は八割くらい俺のせいだけどね!
「なるほど君が言う関羽と張飛の武勇を認めるにやぶさかではないがね。
だがまあ、これでも俺は恋と矛を交えたこともあるのさ。
そして、だ。そこのお嬢ちゃん。張飛か。
彼女が産まれる前から俺たちは武を磨いてきたのさ。
その子がおねしょをしているより前から俺たちが磨いてきた武というもの。馬鹿にできないと思うがね」
まあ、恋を力づくで、本気で押し返そうと思ったら、信頼する人財しか当てにできやしない。
だから。猪々子、斗詩。すまんが付き合ってくれ。
ちら、と視線をやると二人ともにこり、と満面の笑みで頷いてくれる。
これは俺もみなぎってくるね。
などと気合い充実な俺に北郷君が食い下がってくる。いや、頑張るねえ。だが無意味だ。
「で、でも俺たちは、俺は恋や月と親しかったんだ。だから、こんなのは何かの間違いかもしれないって説得できるかもしれない。
無駄な血は流すべきじゃないだろう?
話して分かるならば、それにこしたことはないはずだ!」
いやいや。話せばわかるとかそんな段階は終えているんだがね。
まあ、いい。俺たちのスタンスを示そう。
「猪々子!」
「あいよ!」
最も信頼するおにゃのこの一人に呼びかける。暇そうにしていたのが俺の呼びかけにたちまち全身に覇気を巡らせる。
「袁家、鉄の掟その壱!」
にまり、と猪々子は俺の呼びかけに応える。そして高らかに謳う。
「とりあえず、ぶっ飛ばす!話はそれから聞いてやる!」
「その弐!」
「戦いは数だよアニキ!」
「結論!」
「勝てばよかろうなのだぁ!」
いやっほうとばかりにハイタッチする俺と猪々子である。斗詩がぱちぱちと拍手しながら囃したててくれる。
なお稟ちゃんさんはため息、北郷君たちはあっけにとられてるね。フフン。
「ま、そういうわけだ。お帰りはあちら、ってな」
まともに議論する気はないのさ。一応面通しもしたから白蓮への筋も通したし、これでよかんべ。
336:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/23(火) 21:17:21.59:tvO3hrbd0 (4/5)
◆◆◆
そしていざ出陣の時である。
眼前に揃った兵たちを煽る。
シンプルにいこう。いつものやつでもある。盛り上げていこう。
「俺たちは、強い!」
兵たちが唱和し、応える。
「俺たちは、強い!
俺たちは、強い!
俺たちは、強い!」
怒号は熱狂になり、奔流とすらなるだろう。
その熱は袁家軍より発し、たちまちに伝染すらしていく。
この勢い、無駄にしてはなるまいと稟ちゃんさんをちらりと見ればコクリ、と頷くのを確認する。
「全軍、進め!」
そして。
「猪々子、斗詩。済まんが俺に命を預けてくれ」
「アニキになら、よろこんで」
「今更ですよ」
そして俺は万夫不当の飛将軍に挑むことになるのである。
フフ、怖い。
◆◆◆
そしていざ出陣の時である。
眼前に揃った兵たちを煽る。
シンプルにいこう。いつものやつでもある。盛り上げていこう。
「俺たちは、強い!」
兵たちが唱和し、応える。
「俺たちは、強い!
俺たちは、強い!
俺たちは、強い!」
怒号は熱狂になり、奔流とすらなるだろう。
その熱は袁家軍より発し、たちまちに伝染すらしていく。
この勢い、無駄にしてはなるまいと稟ちゃんさんをちらりと見ればコクリ、と頷くのを確認する。
「全軍、進め!」
そして。
「猪々子、斗詩。済まんが俺に命を預けてくれ」
「アニキになら、よろこんで」
「今更ですよ」
そして俺は万夫不当の飛将軍に挑むことになるのである。
フフ、怖い。
337:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/23(火) 21:18:29.76:tvO3hrbd0 (5/5)
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名案は、「前日」です。
はい、いつも通り今ひとつですね本当に。
手抜きと言ってもいい。
オサレな奴オナシャス。
頑張るぞいっと。
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名案は、「前日」です。
はい、いつも通り今ひとつですね本当に。
手抜きと言ってもいい。
オサレな奴オナシャス。
頑張るぞいっと。
338:青ペン:2020/06/24(水) 10:56:48.76:MqPe41lHo (1/1)
>>337
おっつんつん。
色々踏まえて
【弾丸論破~生兵法(ニワカ)は相手にならんよ!】
かねぇ
>>337
おっつんつん。
色々踏まえて
【弾丸論破~生兵法(ニワカ)は相手にならんよ!】
かねぇ
339:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/25(木) 21:30:13.42:iKqomNBV0 (1/1)
>>338
どもです。
ダンガンロンパはアリですね
にわかについてはねw
二郎ちゃんに還ってくるブーメランになりそうw
ほむほむ
>>338
どもです。
ダンガンロンパはアリですね
にわかについてはねw
二郎ちゃんに還ってくるブーメランになりそうw
ほむほむ
340:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2020/06/26(金) 00:19:19.70:b0CTfZRDo (1/1)
おつしたー
話し合いで済ませるには血が流れすぎてるのを「知らない」んだろうなぁ
少なくとも哀家、馬家は止まれない
次は恋ちゃん、身の毛がよだつぜ
タイトル案は「もはや賽は投げられて」
おつしたー
話し合いで済ませるには血が流れすぎてるのを「知らない」んだろうなぁ
少なくとも哀家、馬家は止まれない
次は恋ちゃん、身の毛がよだつぜ
タイトル案は「もはや賽は投げられて」
341:赤ペン:2020/06/26(金) 18:21:53.65:4hleIu3D0 (1/1)
乙でしたー
>>333
>>益州の州牧たる劉焉、彼女の信頼が篤い、厳顔である。 これだと劉焉と厳顔が横並びと言うか《劉焉&厳顔》な感じがするので
○益州の州牧たる劉焉の信頼も篤い武将、厳顔である。 こんな感じでどうでしょう
>>これまで経験不足という、ある意味どうしようもない弱点を 【、】の位置に違和感が
○これまで、経験不足というある意味どうしようもない弱点を の方が良いと思います
>>335
>>稟ちゃんさん、穏、ネコミミも董家軍が摂る戦術の予想は一致している。 《摂政》を考えるとまつりごとは取るものなのか?(ぐるぐる目
○稟ちゃんさん、穏、ネコミミも董家軍が取る戦術の予想は一致している。 【取捨選択】か【執政】か、軍事関係なら【策を採用】で【採る】もありかな?
>>付き従う関羽、張飛。それに諸葛亮に鳳統と。才能はそれぞれ中華でも五指に入るであろう英傑ではあるが、 名前の呼ばれてない人がいますねえ…一刀君の人物評としては魅力はあるけど能力は微妙なのかしら
>>だからと言って露骨に排除をするわけもいかない。 はて?誰に配慮して【いかない】なのかしら。劉焉に配慮するなら手紙持たせて帰らせてこっちに与するならちゃんと表明しろ、と言うだけで良さそうだけど
むしろなあなあでこの状況だと武将一人拘束して劉焉が…それが狙いか?実際にやるかできるかは置いといて劉焉が後ろから反董卓連合を襲わない理由付けと劉璋の命の保証(迂闊に殺すと劉焉が反董卓に加わる可能性がある)と戦後の領地安堵の密約と…負けない戦い方してるな劉焉
で、二郎ちゃんとしても別に無理して欲しくもない土地に手を出さない約束すれば知り合いも安全だし背中もある程度気にしないで済む、と
>>――結果的に劉家軍が全く黒山賊に襲われなかったことで董家軍との繋がりを噂されることとなってはいるのではあるが、そんなものを気にする厳顔ではない。
>>240>>「黄巾の乱のときに月……董卓殿とは知己を得た。彼女はけして暴政を布くような子じゃないんだ。
そのうえで向こうに欲をかかないようにする策も張り巡らせてる、と…二郎ちゃんがかき集めた手札で軍師連中が勝った後の算段を付けまくってやがる
これ厳顔は気にしないどころか下手したら上の方で話が本当に通ってると考えてるかもだけど劉焉からすればここまであからさまにされるとかきっついワナ
>>公孫賛の口添えなくしてはこれから臨む会議に顔を出すこともできなかっただろうから。 前回の会議では一応全勢力がそれぞれのトップ二人までだったのに何があった。汜水関攻略の功績があるからって独断専行すれば無用の軋轢が生まれるだろうし…
と思ったらばっさりやってんのかーい!?上下関係教え込むとしてはアリだけど…ああいや、袁紹の筆頭軍師が鞭をふるって袁術の右腕にして袁家筆頭武将が飴をやるのか、モチロン曹操とか孫権にはそれぞれの軍師を通じて配慮しておく、と…こわっ
>>「義勇軍を率いる北郷一刀様がおいでです」 何度でも言ってやるぜ!!「劉備軍がついに有名無実どころか無名無実になっちまったなアーーwww」
いや本気で、確かに袁家の頭はいないから頭が行かないのもギリギリ非礼にはならんけどもよ、袁家のトップと義勇軍のトップなんて重さが違うんだから今回に限って(限ってと入っていない)の全権代理人に頼み事しに行くなら劉備が行くべきだろjk
そしてこの交渉の場に伏龍鳳雛を連れて行かないとか随分とまあ(笑)
公孫瓚は…多分劉備に頼まれて劉備が記霊に会うと思ったんだろうなあ。一応袁紹の口利きで劉備が県令になったっぽいことが>>98で書かれてるし
まさか無位無官の風来坊と武辺物で会議の場に物申しに行こうとは…読めなかった!この赤のペンの目をもってしても!!
乙でしたー
>>333
>>益州の州牧たる劉焉、彼女の信頼が篤い、厳顔である。 これだと劉焉と厳顔が横並びと言うか《劉焉&厳顔》な感じがするので
○益州の州牧たる劉焉の信頼も篤い武将、厳顔である。 こんな感じでどうでしょう
>>これまで経験不足という、ある意味どうしようもない弱点を 【、】の位置に違和感が
○これまで、経験不足というある意味どうしようもない弱点を の方が良いと思います
>>335
>>稟ちゃんさん、穏、ネコミミも董家軍が摂る戦術の予想は一致している。 《摂政》を考えるとまつりごとは取るものなのか?(ぐるぐる目
○稟ちゃんさん、穏、ネコミミも董家軍が取る戦術の予想は一致している。 【取捨選択】か【執政】か、軍事関係なら【策を採用】で【採る】もありかな?
>>付き従う関羽、張飛。それに諸葛亮に鳳統と。才能はそれぞれ中華でも五指に入るであろう英傑ではあるが、 名前の呼ばれてない人がいますねえ…一刀君の人物評としては魅力はあるけど能力は微妙なのかしら
>>だからと言って露骨に排除をするわけもいかない。 はて?誰に配慮して【いかない】なのかしら。劉焉に配慮するなら手紙持たせて帰らせてこっちに与するならちゃんと表明しろ、と言うだけで良さそうだけど
むしろなあなあでこの状況だと武将一人拘束して劉焉が…それが狙いか?実際にやるかできるかは置いといて劉焉が後ろから反董卓連合を襲わない理由付けと劉璋の命の保証(迂闊に殺すと劉焉が反董卓に加わる可能性がある)と戦後の領地安堵の密約と…負けない戦い方してるな劉焉
で、二郎ちゃんとしても別に無理して欲しくもない土地に手を出さない約束すれば知り合いも安全だし背中もある程度気にしないで済む、と
>>――結果的に劉家軍が全く黒山賊に襲われなかったことで董家軍との繋がりを噂されることとなってはいるのではあるが、そんなものを気にする厳顔ではない。
>>240>>「黄巾の乱のときに月……董卓殿とは知己を得た。彼女はけして暴政を布くような子じゃないんだ。
そのうえで向こうに欲をかかないようにする策も張り巡らせてる、と…二郎ちゃんがかき集めた手札で軍師連中が勝った後の算段を付けまくってやがる
これ厳顔は気にしないどころか下手したら上の方で話が本当に通ってると考えてるかもだけど劉焉からすればここまであからさまにされるとかきっついワナ
>>公孫賛の口添えなくしてはこれから臨む会議に顔を出すこともできなかっただろうから。 前回の会議では一応全勢力がそれぞれのトップ二人までだったのに何があった。汜水関攻略の功績があるからって独断専行すれば無用の軋轢が生まれるだろうし…
と思ったらばっさりやってんのかーい!?上下関係教え込むとしてはアリだけど…ああいや、袁紹の筆頭軍師が鞭をふるって袁術の右腕にして袁家筆頭武将が飴をやるのか、モチロン曹操とか孫権にはそれぞれの軍師を通じて配慮しておく、と…こわっ
>>「義勇軍を率いる北郷一刀様がおいでです」 何度でも言ってやるぜ!!「劉備軍がついに有名無実どころか無名無実になっちまったなアーーwww」
いや本気で、確かに袁家の頭はいないから頭が行かないのもギリギリ非礼にはならんけどもよ、袁家のトップと義勇軍のトップなんて重さが違うんだから今回に限って(限ってと入っていない)の全権代理人に頼み事しに行くなら劉備が行くべきだろjk
そしてこの交渉の場に伏龍鳳雛を連れて行かないとか随分とまあ(笑)
公孫瓚は…多分劉備に頼まれて劉備が記霊に会うと思ったんだろうなあ。一応袁紹の口利きで劉備が県令になったっぽいことが>>98で書かれてるし
まさか無位無官の風来坊と武辺物で会議の場に物申しに行こうとは…読めなかった!この赤のペンの目をもってしても!!
342:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/27(土) 17:00:24.59:O1jg3yil0 (1/1)
>>340
どもです。
>話し合いで済ませるには血が流れすぎてるのを「知らない」んだろうなぁ
間違いなく知らないですね。だからこその言動ではあります。
いや、知らせてやる義理も義務もございませんが
>少なくとも哀家、馬家は止まれない
止まる訳にもいきません
>タイトル案は「もはや賽は投げられて」
シンプルにしてよきよきですね。これになるかな
>>341
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ。
>…負けない戦い方してるな劉焉
割と奸雄であります。出目次第ではえらいことになります。
>公孫瓚は…多分劉備に頼まれて劉備が記霊に会うと思ったんだろうなあ。
普通に考えたらそうですものね。
>まさか無位無官の風来坊と武辺物で会議の場に物申しに行こうとは…読めなかった!この赤のペンの目をもってしても!!
それは海のなんとかさん並の眼力になるのでは(素朴な疑問)
>>340
どもです。
>話し合いで済ませるには血が流れすぎてるのを「知らない」んだろうなぁ
間違いなく知らないですね。だからこその言動ではあります。
いや、知らせてやる義理も義務もございませんが
>少なくとも哀家、馬家は止まれない
止まる訳にもいきません
>タイトル案は「もはや賽は投げられて」
シンプルにしてよきよきですね。これになるかな
>>341
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ。
>…負けない戦い方してるな劉焉
割と奸雄であります。出目次第ではえらいことになります。
>公孫瓚は…多分劉備に頼まれて劉備が記霊に会うと思ったんだろうなあ。
普通に考えたらそうですものね。
>まさか無位無官の風来坊と武辺物で会議の場に物申しに行こうとは…読めなかった!この赤のペンの目をもってしても!!
それは海のなんとかさん並の眼力になるのでは(素朴な疑問)
343:俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU:2020/06/28(日) 11:02:49.75:TEX48d4v0 (1/1)
乙です。
うーん、単純に見ればパシリの言葉も一応説得力はあるんだよね。
ただ、「なんでこうなった」の深いところまでを自分の目で確認できてないからそれぞれの遺恨やらなんやらをわかっていない。
まぁそれ以前にこの時代の人間からしたら、「ヌルイ」で終了だろうけど。
つうか、二郎さんがなんかカッコいいんですが。さすがハーレムの主。腹くくってますね(褒め言葉)
「俺たちは強い」
前の凡将伝を読んでいないので既出ならこれ言えないのですが……
どこかで、どんどこ太鼓打ち鳴らしながら「取られた」と騒いでいる一団がwww
いや気にしないかwそもそもの原作(ルナ・ヴァルガー)ではあんま細かいこと気にしてないですしw
これだけ言いたい、二郎さんと文醜顔良のやり取りが某戦車道のあの高校みたくなってるwww
でもこっちはそもそものレベルがはるかに隔絶してますが。
で、韓浩さん。あなたも親方に殴られてくださいね。理由はあっちで明かされるでしょう。いつか(おおい)
いよいよかぁ。見たくないけど見なきゃいけないんだよな、しょうがない。原始的な闘争ってどれだけ命をやりとりするか、直視します。
乙です。
うーん、単純に見ればパシリの言葉も一応説得力はあるんだよね。
ただ、「なんでこうなった」の深いところまでを自分の目で確認できてないからそれぞれの遺恨やらなんやらをわかっていない。
まぁそれ以前にこの時代の人間からしたら、「ヌルイ」で終了だろうけど。
つうか、二郎さんがなんかカッコいいんですが。さすがハーレムの主。腹くくってますね(褒め言葉)
「俺たちは強い」
前の凡将伝を読んでいないので既出ならこれ言えないのですが……
どこかで、どんどこ太鼓打ち鳴らしながら「取られた」と騒いでいる一団がwww
いや気にしないかwそもそもの原作(ルナ・ヴァルガー)ではあんま細かいこと気にしてないですしw
これだけ言いたい、二郎さんと文醜顔良のやり取りが某戦車道のあの高校みたくなってるwww
でもこっちはそもそものレベルがはるかに隔絶してますが。
で、韓浩さん。あなたも親方に殴られてくださいね。理由はあっちで明かされるでしょう。いつか(おおい)
いよいよかぁ。見たくないけど見なきゃいけないんだよな、しょうがない。原始的な闘争ってどれだけ命をやりとりするか、直視します。
344:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/29(月) 20:11:47.11:Of1GcSB80 (1/5)
>>343
どもです。
>うーん、単純に見ればパシリの言葉も一応説得力はあるんだよね。
一応、彼らは彼らでベストを尽くそうと頑張っております。
>ただ、「なんでこうなった」の深いところまでを自分の目で確認できてないからそれぞれの遺恨やらなんやらをわかっていない。
>まぁそれ以前にこの時代の人間からしたら、「ヌルイ」で終了だろうけど。
これもその通りでございます。
なお、経験をさせないようにどっかの凡人が細工した影響もでかいらしいですよ!
>つうか、二郎さんがなんかカッコいいんですが。さすがハーレムの主。
唐突な賞賛に小躍りしました。やったぜ。成し遂げたぜ。
まあ、ここら辺から二郎ちゃんは苦虫かみつぶす生活が続きそうですがw
>「俺たちは強い」
>いや気にしないかwそもそもの原作(ルナ・ヴァルガー)ではあんま細かいこと気にしてないですしw
ぎりぎりルナさんは履修外なんすよ。いや、何冊か読んでお世話になった記憶はあるのですがそこまで覚えておりません
黄金のワイバーンの群れとか、ちゃらんぽらんなネーミングはかすかに残ってますがw
スラムダンクを想定してました
>これだけ言いたい、二郎さんと文醜顔良のやり取りが某戦車道のあの高校みたくなってるw
ガルパン、いいっすよね……っ!
でもどこ高校だろう。ノリ的にはドゥーチェかにゃ?そんなつもりはなかった。だが光栄ですうぇあ。
>で、韓浩さん。あなたも親方に殴られてくださいね。理由はあっちで明かされるでしょう。いつか(おおい)
韓浩さんは遠慮した。まあ、主君を止めるか態度を改めるかのどっっちかしとけよ的なことはありますね
鉄拳制裁については……理屈と納得がないと表面上の謝罪で終わりそうです
韓浩さん、地味様の意思を尊重しているので、そこまで言うならしゃあないか的な妥協(妥協は多分雷薄さんあたりにため息交じりに仕込まれた)の産物かな
どんどこいきまう。
>>343
どもです。
>うーん、単純に見ればパシリの言葉も一応説得力はあるんだよね。
一応、彼らは彼らでベストを尽くそうと頑張っております。
>ただ、「なんでこうなった」の深いところまでを自分の目で確認できてないからそれぞれの遺恨やらなんやらをわかっていない。
>まぁそれ以前にこの時代の人間からしたら、「ヌルイ」で終了だろうけど。
これもその通りでございます。
なお、経験をさせないようにどっかの凡人が細工した影響もでかいらしいですよ!
>つうか、二郎さんがなんかカッコいいんですが。さすがハーレムの主。
唐突な賞賛に小躍りしました。やったぜ。成し遂げたぜ。
まあ、ここら辺から二郎ちゃんは苦虫かみつぶす生活が続きそうですがw
>「俺たちは強い」
>いや気にしないかwそもそもの原作(ルナ・ヴァルガー)ではあんま細かいこと気にしてないですしw
ぎりぎりルナさんは履修外なんすよ。いや、何冊か読んでお世話になった記憶はあるのですがそこまで覚えておりません
黄金のワイバーンの群れとか、ちゃらんぽらんなネーミングはかすかに残ってますがw
スラムダンクを想定してました
>これだけ言いたい、二郎さんと文醜顔良のやり取りが某戦車道のあの高校みたくなってるw
ガルパン、いいっすよね……っ!
でもどこ高校だろう。ノリ的にはドゥーチェかにゃ?そんなつもりはなかった。だが光栄ですうぇあ。
>で、韓浩さん。あなたも親方に殴られてくださいね。理由はあっちで明かされるでしょう。いつか(おおい)
韓浩さんは遠慮した。まあ、主君を止めるか態度を改めるかのどっっちかしとけよ的なことはありますね
鉄拳制裁については……理屈と納得がないと表面上の謝罪で終わりそうです
韓浩さん、地味様の意思を尊重しているので、そこまで言うならしゃあないか的な妥協(妥協は多分雷薄さんあたりにため息交じりに仕込まれた)の産物かな
どんどこいきまう。
345:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/29(月) 21:48:01.63:Of1GcSB80 (2/5)
「来よったか!」
ガタ、と張遼は我知らず椅子から立ち上がる。
いよいよ、いよいよ勝負の。決戦の時が来たのだ。
ここは虎牢関の司令官室。ぐったりと空腹にへたりこんだ呂布と、伝令の報告にむむむと唸る陳宮のみがいる。
董家軍の、もっとも信頼できる幹部陣だ。本来ならばここには、彼女らを口やかましくまとめ上げる軍師と、それを困ったように包み込む総大将がいるのが常だったのだが。
だから、自分が総大将的な役割にいるのは落ち着かない。いや、向いていないのではないかとすら思ってしまう。
かつては、董卓と賈駆に好き勝手言っていればいい立場だったのに。いざそうなるとこんなにも自縄自縛になるものかと嘆息してしまう。
だが、ようやく決断を下すべき好機が来た。
いよいよ、反董卓連合が汜水関を出て進軍してきているという。
当然、汜水関の時と同じく橋頭堡なり、野戦築城しているであろう。
であれば時間が過ぎるほどに勝ちの目は失われていく。
未だまともに備えがない今こそが野戦にて乾坤一擲の機会。
と、言うよりそれしか董家軍の勝ち筋はない。ないのである。
時間をかければかけるほどに反董卓連合――袁家――はその陣容を文字通り分厚く整えてくる。
で、あれば野戦築城する陣地を確保すべく生身の兵が動く、今こそが好機。
まともに野戦を仕掛けることのできる機会は今を置いて他はないのだ。
「董家軍、出撃の時、というわけや!」
虎牢関という要害に籠るのを利点とさせてくれない敵に歯噛みしつつあった張遼は指示を飛ばす。
出し惜しみはしない。する意味が無い。
虎牢関には門扉を守る兵のみでの全力出撃。
それはともかくとして。まあ、まずは。
「ほな、皆な。腹いっぱい食べえや」
これまで飢えていた兵達に思う存分食べさせる。
いや、満腹の兵なぞ使い物にはならないが、まずは士気を上げること。そして、即刻ぶつかり合うことはないだろうという計算もある。
なにせ、払暁から日没までのみ戦闘すると伝えてきて、それを履行してきたのだから。
実際、色々な意味でありがたかった。
だが、それもこれまでである。
なんにせよ、落ち込んでいた士気をどうにか立て直して張遼は手元の軍勢を虎牢関より発したのである。
野戦であれば、一撃で逆転もありうる。ありうるのだから。
「来よったか!」
ガタ、と張遼は我知らず椅子から立ち上がる。
いよいよ、いよいよ勝負の。決戦の時が来たのだ。
ここは虎牢関の司令官室。ぐったりと空腹にへたりこんだ呂布と、伝令の報告にむむむと唸る陳宮のみがいる。
董家軍の、もっとも信頼できる幹部陣だ。本来ならばここには、彼女らを口やかましくまとめ上げる軍師と、それを困ったように包み込む総大将がいるのが常だったのだが。
だから、自分が総大将的な役割にいるのは落ち着かない。いや、向いていないのではないかとすら思ってしまう。
かつては、董卓と賈駆に好き勝手言っていればいい立場だったのに。いざそうなるとこんなにも自縄自縛になるものかと嘆息してしまう。
だが、ようやく決断を下すべき好機が来た。
いよいよ、反董卓連合が汜水関を出て進軍してきているという。
当然、汜水関の時と同じく橋頭堡なり、野戦築城しているであろう。
であれば時間が過ぎるほどに勝ちの目は失われていく。
未だまともに備えがない今こそが野戦にて乾坤一擲の機会。
と、言うよりそれしか董家軍の勝ち筋はない。ないのである。
時間をかければかけるほどに反董卓連合――袁家――はその陣容を文字通り分厚く整えてくる。
で、あれば野戦築城する陣地を確保すべく生身の兵が動く、今こそが好機。
まともに野戦を仕掛けることのできる機会は今を置いて他はないのだ。
「董家軍、出撃の時、というわけや!」
虎牢関という要害に籠るのを利点とさせてくれない敵に歯噛みしつつあった張遼は指示を飛ばす。
出し惜しみはしない。する意味が無い。
虎牢関には門扉を守る兵のみでの全力出撃。
それはともかくとして。まあ、まずは。
「ほな、皆な。腹いっぱい食べえや」
これまで飢えていた兵達に思う存分食べさせる。
いや、満腹の兵なぞ使い物にはならないが、まずは士気を上げること。そして、即刻ぶつかり合うことはないだろうという計算もある。
なにせ、払暁から日没までのみ戦闘すると伝えてきて、それを履行してきたのだから。
実際、色々な意味でありがたかった。
だが、それもこれまでである。
なんにせよ、落ち込んでいた士気をどうにか立て直して張遼は手元の軍勢を虎牢関より発したのである。
野戦であれば、一撃で逆転もありうる。ありうるのだから。
346:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/29(月) 21:48:27.97:Of1GcSB80 (3/5)
◆◆◆
反董卓連合の本陣。その最奥。急ごしらえの天幕とはいえ、そこは袁家当主が逗留するに相応しい豪奢なつくりとなっている。
だだっ広いその空間に悠然と袁紹は鎮座し、優雅に茶を喫する。
「落ち着いて、らっしゃるのですね」
声をかけたのは郭嘉。袁紹の傍らで対董家軍の方針を立案、統括する軍師である。
元々名家の出身であったがその地盤による栄達を嫌い、名を伏せて中華を放浪したという変わった経歴の持ち主である。
まあ、それで当初仕官を進められていた袁家に結局腰を落ち着けることになろうとは、と郭嘉は苦笑するしかない。
だが、その過程は間違いなく糧であり、それがなければ今の自分もないであったろうと郭嘉は確信している。
なにより自分とは全く違った視点を持つあの友人とは出会うこともなかったはずである。
などと、益体もないことを考えている郭嘉を見ておかしそうに袁紹は笑う。くす、と。
「何か粗相を致したでしょうか」
内心ちょっとだけ焦って郭嘉は問う。いや、ちょっと思いを馳せていただけでおかしな態度はなかったはずなのだが。
「いいえ。でも、心ここに在らず、といった様子がおかしくって」
ころころと重ねて笑う袁紹に郭嘉は憮然として応える。
「――落ち着いて、いらっしゃる」
くす、と袁紹は笑いを軽やかに重ねる。
「ええ、郭嘉さんにそう見えているのならば安心できますわ。
だって、そうでしょう?総大将が慌てて、狼狽しているような軍が勝てるはずありませんもの。
ええ、そうですわ。今私にできることは、こうしていることだけですもの。
前線で槍を振るうことも、献策することもできない。
それでも。この反董卓連合において一番重要なのは私ですわ」
だから、と袁紹は笑う。華々しく。
「如何に袁家が隆盛か、諸侯が如何に弱小か。この身で示すのが私のお役目ですわ。
そう、戦わずして勝つ。それをこの身のみで強いられているのです」
だから、と笑う。豪奢で、華麗に、雄々しく、気高く。
「袁家軍については私の手を離れていますわ。既にね。
だってそうでしょう?」
そして一際艶然と、光輝を放つのだ。
「だって、二郎さんが仰いましたもの」
任せてください。勝ちます。徹底的に。そしてその栄光は貴女に、と。
「だから、私はこうしているのですわ」
全身で語る、放つ。自分の仕事は戦の結果に対して責任を取ることである、と。
既に断は下しているのだ。誰に権限を与えるか、という。
「なるほど。では。私は、その二郎殿に引き立てられたのですから。これはいよいよ負けられませんね」
下手な冗談である。が、そのような戯言を口にすることを知れば程立や趙雲は瞠目したであろう。
「ええ、二郎さんが仰ってましたもの。進むも、退くも貴女次第と。あの二郎さんが全幅の信頼を預けているのですもの。
くれぐれも変な遠慮なぞしないでくださいましね?
貴女の献策に立ちふさがるものはこの私自ら裁きの鉄槌を下してやりましょう」
おーほっほと笑いは、高貴に響く。
「いいですこと?わきまえてらっしゃるわね?」
郭嘉は頷く。
「勝利こそ最優先。魂魄に刻んでおりますとも」
「よろしくってよ。その忠勤、嬉しく思いますわ」
袁家鉄の掟。その根底。
勝てない戦に意味はない。しない。だから袁家は最強なのだ。
◆◆◆
反董卓連合の本陣。その最奥。急ごしらえの天幕とはいえ、そこは袁家当主が逗留するに相応しい豪奢なつくりとなっている。
だだっ広いその空間に悠然と袁紹は鎮座し、優雅に茶を喫する。
「落ち着いて、らっしゃるのですね」
声をかけたのは郭嘉。袁紹の傍らで対董家軍の方針を立案、統括する軍師である。
元々名家の出身であったがその地盤による栄達を嫌い、名を伏せて中華を放浪したという変わった経歴の持ち主である。
まあ、それで当初仕官を進められていた袁家に結局腰を落ち着けることになろうとは、と郭嘉は苦笑するしかない。
だが、その過程は間違いなく糧であり、それがなければ今の自分もないであったろうと郭嘉は確信している。
なにより自分とは全く違った視点を持つあの友人とは出会うこともなかったはずである。
などと、益体もないことを考えている郭嘉を見ておかしそうに袁紹は笑う。くす、と。
「何か粗相を致したでしょうか」
内心ちょっとだけ焦って郭嘉は問う。いや、ちょっと思いを馳せていただけでおかしな態度はなかったはずなのだが。
「いいえ。でも、心ここに在らず、といった様子がおかしくって」
ころころと重ねて笑う袁紹に郭嘉は憮然として応える。
「――落ち着いて、いらっしゃる」
くす、と袁紹は笑いを軽やかに重ねる。
「ええ、郭嘉さんにそう見えているのならば安心できますわ。
だって、そうでしょう?総大将が慌てて、狼狽しているような軍が勝てるはずありませんもの。
ええ、そうですわ。今私にできることは、こうしていることだけですもの。
前線で槍を振るうことも、献策することもできない。
それでも。この反董卓連合において一番重要なのは私ですわ」
だから、と袁紹は笑う。華々しく。
「如何に袁家が隆盛か、諸侯が如何に弱小か。この身で示すのが私のお役目ですわ。
そう、戦わずして勝つ。それをこの身のみで強いられているのです」
だから、と笑う。豪奢で、華麗に、雄々しく、気高く。
「袁家軍については私の手を離れていますわ。既にね。
だってそうでしょう?」
そして一際艶然と、光輝を放つのだ。
「だって、二郎さんが仰いましたもの」
任せてください。勝ちます。徹底的に。そしてその栄光は貴女に、と。
「だから、私はこうしているのですわ」
全身で語る、放つ。自分の仕事は戦の結果に対して責任を取ることである、と。
既に断は下しているのだ。誰に権限を与えるか、という。
「なるほど。では。私は、その二郎殿に引き立てられたのですから。これはいよいよ負けられませんね」
下手な冗談である。が、そのような戯言を口にすることを知れば程立や趙雲は瞠目したであろう。
「ええ、二郎さんが仰ってましたもの。進むも、退くも貴女次第と。あの二郎さんが全幅の信頼を預けているのですもの。
くれぐれも変な遠慮なぞしないでくださいましね?
貴女の献策に立ちふさがるものはこの私自ら裁きの鉄槌を下してやりましょう」
おーほっほと笑いは、高貴に響く。
「いいですこと?わきまえてらっしゃるわね?」
郭嘉は頷く。
「勝利こそ最優先。魂魄に刻んでおりますとも」
「よろしくってよ。その忠勤、嬉しく思いますわ」
袁家鉄の掟。その根底。
勝てない戦に意味はない。しない。だから袁家は最強なのだ。
347:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/29(月) 21:48:53.99:Of1GcSB80 (4/5)
◆◆◆
「で、うちらは何をしたらええねん」
怒気すら露わにして李典は郭嘉に問う。心底から彼女は怒っているのだ。
だって、李典は知ってしまったのだ。これからあの青年。自分を取り立ててくれた、かけがえのない青年。紀霊がその命を晒すのだ。
そのような無茶をしなくても、と李典は歯噛みする。例えば連弩だ。紀霊から示唆を受けたのは結構な前のこと。或いは、或いは。
思いつきでしかなかったであろう数多い兵器。その中にはきっと珠玉もあったはずなのだ。それを総動員すれば彼をそのような修羅場に立たせることもなかったのではないか。
そんな悔いが李典にはある。
実用化と量産化さえしていれば、と肺腑が焼ききれそうなくらいに燃え上がる悔恨。
だが、その思いは郭嘉には届かない。
たかが攻城兵器で戦局が移るものかと。いや、移るならば袁家の底知れない、無尽蔵な財源あればこそだ。
それにしたって、と内心苦笑する。
「あんたなあ、勘弁してや。うちらは、ほんまに頑張ってるし、お望みなら不眠不休待ったなしや。二郎はんが珍しくうちらに頼ってきたからな。
ああ、知っとるわ。戦場で死ぬより過酷やよ。死に至るのは一瞬ちゃうし。
つまり。ええか、二郎はんのためやったら袁家工兵は一日十二刻休まず職責を果たすで!
なんなら一日四十八刻の任務も果たしたるわ!」
だから、と李典は訴える。
「二郎はんが何や身の程知らずなことをしようってのは分かってるねん。
あんたが、だからつれないのも分かってるねん。
何でもええ。うちに、うちらにできることは言ってほしいねん。
後生や……」
嗚咽を交え、みっともなく哀願する李典に郭嘉は問う。
「どうしてそこまで紀霊殿に肩入れするのですか。
貴女の才能については把握しています。どこでも、誰でもそれは評価するでしょう」
冷然とした郭嘉の言葉に李典は激昂する。
「あほ!あんたはあほや!アホ!うちはな!うちは!そんな大したもんやあらへんわ!
阿呆!うちはな!本来そこらへんで野垂れ死んでるくらいにどうでもええ存在や!そんなもんや!
うちがな、お役にたってるとしたら二郎はんのおかげや!
やから!やから!
うちかて分かるわ!あの呂布に二郎はんが挑むて!
やから、うちはあんたの相手なんてしたないねん。そんな暇ないねん。
汜水関と同じく土攻めで虎牢関を落としたいねん。
でもな、二郎はんはそうやないねん。
汜水関みたいに土攻めしたら楽やのに。そのためにうちは、うちらは頑張ってるのに」
幼子のように滂沱の李典。彼女の献身は報われないであろう。
だが、その想いは無駄ではない。
「分かりました。貴女の想い、把握しました。無駄にしません」
郭嘉は思う。
自分はどうにも、おかしいなと。
袁紹の想い。それは高貴であった。そして覚悟があった。信じる男に委ねて揺るがぬ思いがあった。
そして李典の嗚咽。そこには慕情があった。自分を引き立てた男に対する思いは慕情か、感謝か、それとも。
「まあ、それがどうした。と言うべきなのでしょうか」
既にあの青年に毒されているのかもしれない。
そして、既にこの戦に於いて勝利は約束されている。
後は。
「勝ち易きに勝つ。お見事です。後は貴殿の武勇、或いはそれ以外の何か。
それを楽しみにしていますよ。
なに、貴方が討死したって……」
袁家に勝利はもたらしますとも。
笑みなぞなく、真面目くさって郭嘉は思う。
願わくば、あの青年が呂布を打ち砕きますように、と。
◆◆◆
「で、うちらは何をしたらええねん」
怒気すら露わにして李典は郭嘉に問う。心底から彼女は怒っているのだ。
だって、李典は知ってしまったのだ。これからあの青年。自分を取り立ててくれた、かけがえのない青年。紀霊がその命を晒すのだ。
そのような無茶をしなくても、と李典は歯噛みする。例えば連弩だ。紀霊から示唆を受けたのは結構な前のこと。或いは、或いは。
思いつきでしかなかったであろう数多い兵器。その中にはきっと珠玉もあったはずなのだ。それを総動員すれば彼をそのような修羅場に立たせることもなかったのではないか。
そんな悔いが李典にはある。
実用化と量産化さえしていれば、と肺腑が焼ききれそうなくらいに燃え上がる悔恨。
だが、その思いは郭嘉には届かない。
たかが攻城兵器で戦局が移るものかと。いや、移るならば袁家の底知れない、無尽蔵な財源あればこそだ。
それにしたって、と内心苦笑する。
「あんたなあ、勘弁してや。うちらは、ほんまに頑張ってるし、お望みなら不眠不休待ったなしや。二郎はんが珍しくうちらに頼ってきたからな。
ああ、知っとるわ。戦場で死ぬより過酷やよ。死に至るのは一瞬ちゃうし。
つまり。ええか、二郎はんのためやったら袁家工兵は一日十二刻休まず職責を果たすで!
なんなら一日四十八刻の任務も果たしたるわ!」
だから、と李典は訴える。
「二郎はんが何や身の程知らずなことをしようってのは分かってるねん。
あんたが、だからつれないのも分かってるねん。
何でもええ。うちに、うちらにできることは言ってほしいねん。
後生や……」
嗚咽を交え、みっともなく哀願する李典に郭嘉は問う。
「どうしてそこまで紀霊殿に肩入れするのですか。
貴女の才能については把握しています。どこでも、誰でもそれは評価するでしょう」
冷然とした郭嘉の言葉に李典は激昂する。
「あほ!あんたはあほや!アホ!うちはな!うちは!そんな大したもんやあらへんわ!
阿呆!うちはな!本来そこらへんで野垂れ死んでるくらいにどうでもええ存在や!そんなもんや!
うちがな、お役にたってるとしたら二郎はんのおかげや!
やから!やから!
うちかて分かるわ!あの呂布に二郎はんが挑むて!
やから、うちはあんたの相手なんてしたないねん。そんな暇ないねん。
汜水関と同じく土攻めで虎牢関を落としたいねん。
でもな、二郎はんはそうやないねん。
汜水関みたいに土攻めしたら楽やのに。そのためにうちは、うちらは頑張ってるのに」
幼子のように滂沱の李典。彼女の献身は報われないであろう。
だが、その想いは無駄ではない。
「分かりました。貴女の想い、把握しました。無駄にしません」
郭嘉は思う。
自分はどうにも、おかしいなと。
袁紹の想い。それは高貴であった。そして覚悟があった。信じる男に委ねて揺るがぬ思いがあった。
そして李典の嗚咽。そこには慕情があった。自分を引き立てた男に対する思いは慕情か、感謝か、それとも。
「まあ、それがどうした。と言うべきなのでしょうか」
既にあの青年に毒されているのかもしれない。
そして、既にこの戦に於いて勝利は約束されている。
後は。
「勝ち易きに勝つ。お見事です。後は貴殿の武勇、或いはそれ以外の何か。
それを楽しみにしていますよ。
なに、貴方が討死したって……」
袁家に勝利はもたらしますとも。
笑みなぞなく、真面目くさって郭嘉は思う。
願わくば、あの青年が呂布を打ち砕きますように、と。
348:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/06/29(月) 21:50:19.13:Of1GcSB80 (5/5)
本日ここまですー感想とかくだしあー
あうあうあー
題名は、本当に困ってるのです!
かっこいいやつたのみまするよう
お盆までにいけるかなあ
本日ここまですー感想とかくだしあー
あうあうあー
題名は、本当に困ってるのです!
かっこいいやつたのみまするよう
お盆までにいけるかなあ
349:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/02(木) 21:31:48.25:JiI9QVaH0 (1/4)
ぺきり、と骨の鳴る音が響く。
「うんとこどっこいしょ、と」
身体を精一杯伸ばし、固定する。背に暖かで柔らかい感触を感じながら精一杯伸びをする。
両腕を伸ばし、背に背を預けて星のやらかくもしっかりした身体に身を預ける。
はい、絶賛ストレッチ中な二郎ですこんばんわ。
ちょっと離れたとこでは斗詩と猪々子が二人組でストレッチをしてます。
まあ、袁家軍では割と一般的な準備運動だったりするのだが、特別ゲストの秋蘭は奇異なものを見るような、何とも言えない視線でこちらを見ている。
いや、そりゃあね?秋蘭みたいにいきなり身体をトップギアに入れられる人はいいよ?
でも俺なんて凡人なんだから、こうやってストレッチしてアップせんと実力をきっちり発揮できないわけで。
いや、まあ。多分この場でそんなものが必要なのは俺だけだと思うけどね?
何にせよこれから万夫不当の恋の相手をせんといかんのだ。斗詩と猪々子が文句ひとつ言うでなく付き従ってくれるのがありがたい。
しかしまあ、これで三人とも討死したら袁家崩壊だよなあとか益体もないことを考えていたら、ストレッチに付き合ってくれてる星が問うてくる。
「しかし主よ。てっきり汜水関に穴熊を決め込むと思っていたのだが。
それにいくら万夫不当と言っても相手は黄巾だろう?精兵で圧殺すればよいのではないか?」
ふむ。そういやそこんとこロクに説明もしてなかったな。だというのについてきてくれる斗詩と猪々子に感謝だ。
……秋蘭も無関心を装ってるけど興味津々って感じか。
まあ、いいや。別に知られても問題はなかろう。多分。
「まず、だ。汜水関に反董卓連合の将兵全員を収容するのは無理だ。これが一点」
流石に十数万の兵を収容できないのだ。それに土に埋もれてるしな。門扉のとこだけ掘り起こしたのよ。
「そして汜水関の時と同じく野戦築城をしてはいるが完成には程遠い。つか、無理」
「ほう。それはどうしてか聞いても?」
「うん。ぶっちゃけ工兵隊は攻城兵器にかかりっきり。母流龍九商会から技師とか呼んでるけどなあ」
だって、攻城兵器。あれ、真桜がやり過ぎたのだ。でかいのよ。汜水関の門扉を通らないから一旦分解せんといかんの。ぜーんぶ。
それを再起動して実戦テストしてとか、万全を期したらどんだけ時間がかかるやら。
いや、時間をかけるのはいいのだが、流石に領地を放り出して参加している諸侯が文句の一つでも言おうというものである。
そして、最大の理由。
「なあ、今一番やられたら不味いのは何か、分かるか?」
さて、と小首を傾げる星の髪をわしゃ、と掻き交ぜて。
「一番怖いのは。恋が単騎で特攻してくることだ。それも夜陰に紛れて本陣を衝かれると、どうしようもない」
それだけは避けたかった。だから汜水関に籠らずに陣を布く。あくまで軍と軍の戦いに持ち込む。
これでも万が一に備えてはいる。麗羽様の本陣には流琉と華佗を。
美羽様のとこには凪と張魯さんを配している。
即死でなければ救ってみせるという張魯さんのお言葉が頼もしいのだ。
そして、いよいよ始まる。
「始まったか」
喧噪が風に乗って聞こえる。
いよいよだ。いよいよ軍と軍がぶつかり合っている。戦法は曹家軍と孫家軍。戦線を支えてくれるであろう勢力である。
「ほう、四万弱、か。出し惜しみはないと見える」
鷹の目、とはこういうことなのだろう。
秋蘭、流石の眼力である。
ともあれ、まずは歩兵のぶつかり合いだ。
その喧噪を聞きながら俺は入念にアップを再開する。
なに、数の上ではどうあれ、曹家軍と孫家軍ならば支えるだろうさ。いや、支えてくれないと困るんだけんども。
俺にゃ無理だけどね!倍の兵と真正面からぶち当たるとか。
そんなことを思いながら
俺は入念にアキレス腱を伸ばすのであった。
ぺきり、と骨の鳴る音が響く。
「うんとこどっこいしょ、と」
身体を精一杯伸ばし、固定する。背に暖かで柔らかい感触を感じながら精一杯伸びをする。
両腕を伸ばし、背に背を預けて星のやらかくもしっかりした身体に身を預ける。
はい、絶賛ストレッチ中な二郎ですこんばんわ。
ちょっと離れたとこでは斗詩と猪々子が二人組でストレッチをしてます。
まあ、袁家軍では割と一般的な準備運動だったりするのだが、特別ゲストの秋蘭は奇異なものを見るような、何とも言えない視線でこちらを見ている。
いや、そりゃあね?秋蘭みたいにいきなり身体をトップギアに入れられる人はいいよ?
でも俺なんて凡人なんだから、こうやってストレッチしてアップせんと実力をきっちり発揮できないわけで。
いや、まあ。多分この場でそんなものが必要なのは俺だけだと思うけどね?
何にせよこれから万夫不当の恋の相手をせんといかんのだ。斗詩と猪々子が文句ひとつ言うでなく付き従ってくれるのがありがたい。
しかしまあ、これで三人とも討死したら袁家崩壊だよなあとか益体もないことを考えていたら、ストレッチに付き合ってくれてる星が問うてくる。
「しかし主よ。てっきり汜水関に穴熊を決め込むと思っていたのだが。
それにいくら万夫不当と言っても相手は黄巾だろう?精兵で圧殺すればよいのではないか?」
ふむ。そういやそこんとこロクに説明もしてなかったな。だというのについてきてくれる斗詩と猪々子に感謝だ。
……秋蘭も無関心を装ってるけど興味津々って感じか。
まあ、いいや。別に知られても問題はなかろう。多分。
「まず、だ。汜水関に反董卓連合の将兵全員を収容するのは無理だ。これが一点」
流石に十数万の兵を収容できないのだ。それに土に埋もれてるしな。門扉のとこだけ掘り起こしたのよ。
「そして汜水関の時と同じく野戦築城をしてはいるが完成には程遠い。つか、無理」
「ほう。それはどうしてか聞いても?」
「うん。ぶっちゃけ工兵隊は攻城兵器にかかりっきり。母流龍九商会から技師とか呼んでるけどなあ」
だって、攻城兵器。あれ、真桜がやり過ぎたのだ。でかいのよ。汜水関の門扉を通らないから一旦分解せんといかんの。ぜーんぶ。
それを再起動して実戦テストしてとか、万全を期したらどんだけ時間がかかるやら。
いや、時間をかけるのはいいのだが、流石に領地を放り出して参加している諸侯が文句の一つでも言おうというものである。
そして、最大の理由。
「なあ、今一番やられたら不味いのは何か、分かるか?」
さて、と小首を傾げる星の髪をわしゃ、と掻き交ぜて。
「一番怖いのは。恋が単騎で特攻してくることだ。それも夜陰に紛れて本陣を衝かれると、どうしようもない」
それだけは避けたかった。だから汜水関に籠らずに陣を布く。あくまで軍と軍の戦いに持ち込む。
これでも万が一に備えてはいる。麗羽様の本陣には流琉と華佗を。
美羽様のとこには凪と張魯さんを配している。
即死でなければ救ってみせるという張魯さんのお言葉が頼もしいのだ。
そして、いよいよ始まる。
「始まったか」
喧噪が風に乗って聞こえる。
いよいよだ。いよいよ軍と軍がぶつかり合っている。戦法は曹家軍と孫家軍。戦線を支えてくれるであろう勢力である。
「ほう、四万弱、か。出し惜しみはないと見える」
鷹の目、とはこういうことなのだろう。
秋蘭、流石の眼力である。
ともあれ、まずは歩兵のぶつかり合いだ。
その喧噪を聞きながら俺は入念にアップを再開する。
なに、数の上ではどうあれ、曹家軍と孫家軍ならば支えるだろうさ。いや、支えてくれないと困るんだけんども。
俺にゃ無理だけどね!倍の兵と真正面からぶち当たるとか。
そんなことを思いながら
俺は入念にアキレス腱を伸ばすのであった。
350:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/02(木) 21:32:31.51:JiI9QVaH0 (2/4)
◆◆◆
汜水関と虎牢関を守備する兵。それが怒涛となり前進する。四万の大軍に用兵なし。
ただ前進せよとばかりに真正面の敵にぶつかる。ぶつかる。
そして。
「やるやないか」
数の上では初手に於いてはこちらが上であるのにも関わらず。
真正面からぶつかり合って押し負けることなく、戦線を支えている。いや、このままであれば押し返すやもしれぬ。
で、あれば。
張遼は手を挙げ、振り下ろす。
「いったれー!」
銅鑼が響き、神速と謳われる張遼がいよいよ戦場に姿を現す。
ぐる、と左翼より出でて向かうは袁家本陣。
狙うは袁紹の首級一つ。
孫家軍の脇を掠めて陣を布く袁家に迫る。
涼州騎兵の本領を見よとばかりに駆けに駆ける。
「っしゃおらーー!」
だが、その突撃は勢いよく姿を現した軍勢に阻まれることになる。
張の旗を確認するや否や馬超は無言で出撃する。
言葉はいらない、最早いらないとばかりに。
「張遼!」
最早かつて交わした真名をすら呼ばずに突出する馬超に刹那、切なげに視線を送り馬岱は号令を下す。
「いくよ!」
馬家軍は一つの生き物となり動き出す。走り出す。一つとなって突き進む。そこには熱狂。
そう、馬家軍は一塊の狂戦死と化して馬超に続く。
なんとなれば、馬家当主を喪った怨恨は馬家軍の末端まで刻み込まれ、焔となり吹き出でる。
だから、真正面からぶつかる。神速の張遼なにするものぞとばかりに我先に身を投じる。
よくも、よくもおめおめと我らの前に身を晒したなと。
なるほど、一番槍はお嬢に譲ろう。だが、彼奴らは殲滅してやる。涼州騎兵、舐めるな。
そして騎兵と騎兵が。精鋭と精鋭がぶつかり合う。
初撃は互角。流石に鍛えていると馬岱は内心感嘆しながらも姉の姿を見失わない。
「あああああああああ!」
羅刹と化した馬超はそれでも直線的に馬を走らせる。
張遼からすれば厄介なことに迷いなく張遼に向かい突き進んでいる。その勢いたるや。
◆◆◆
汜水関と虎牢関を守備する兵。それが怒涛となり前進する。四万の大軍に用兵なし。
ただ前進せよとばかりに真正面の敵にぶつかる。ぶつかる。
そして。
「やるやないか」
数の上では初手に於いてはこちらが上であるのにも関わらず。
真正面からぶつかり合って押し負けることなく、戦線を支えている。いや、このままであれば押し返すやもしれぬ。
で、あれば。
張遼は手を挙げ、振り下ろす。
「いったれー!」
銅鑼が響き、神速と謳われる張遼がいよいよ戦場に姿を現す。
ぐる、と左翼より出でて向かうは袁家本陣。
狙うは袁紹の首級一つ。
孫家軍の脇を掠めて陣を布く袁家に迫る。
涼州騎兵の本領を見よとばかりに駆けに駆ける。
「っしゃおらーー!」
だが、その突撃は勢いよく姿を現した軍勢に阻まれることになる。
張の旗を確認するや否や馬超は無言で出撃する。
言葉はいらない、最早いらないとばかりに。
「張遼!」
最早かつて交わした真名をすら呼ばずに突出する馬超に刹那、切なげに視線を送り馬岱は号令を下す。
「いくよ!」
馬家軍は一つの生き物となり動き出す。走り出す。一つとなって突き進む。そこには熱狂。
そう、馬家軍は一塊の狂戦死と化して馬超に続く。
なんとなれば、馬家当主を喪った怨恨は馬家軍の末端まで刻み込まれ、焔となり吹き出でる。
だから、真正面からぶつかる。神速の張遼なにするものぞとばかりに我先に身を投じる。
よくも、よくもおめおめと我らの前に身を晒したなと。
なるほど、一番槍はお嬢に譲ろう。だが、彼奴らは殲滅してやる。涼州騎兵、舐めるな。
そして騎兵と騎兵が。精鋭と精鋭がぶつかり合う。
初撃は互角。流石に鍛えていると馬岱は内心感嘆しながらも姉の姿を見失わない。
「あああああああああ!」
羅刹と化した馬超はそれでも直線的に馬を走らせる。
張遼からすれば厄介なことに迷いなく張遼に向かい突き進んでいる。その勢いたるや。
351:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/02(木) 21:32:57.95:JiI9QVaH0 (3/4)
「ちい、猪が……!」
罵るもその前進を止めることはできず、ついには眼前に。
「よくも!父上を!」
「あほんだらあ!」
ついには単騎で切り込んだ馬超の槍は張遼に向けられる。
二合、三合と切り結びながらも、矢継ぎ早に配下へ指示を飛ばす張遼こそ褒められるべきであろう。
だが。
「ああもう!うっざ!」
張遼の指示を上回り馬家軍はその勢いを増す。増していく。
打つ手全てに対応し、その裏を掻こうという悪辣な動き。放置すれば致命傷になる嫌らしい一撃。
薄い陣構えを突破しようと下知を下すも言葉一つで阻まれる。
「ここにいるぞー!」
そしていつの間にか馬岱は実際に分厚く防衛線を構築するのだ。
「ええい!うっとおしい!」
張遼は心底叫ぶ。全力で向かえば突破できるだろうに。馬岱ごときが敷く防衛線なぞ。だが。
「張遼!覚悟!死ねえええええええええ!」
その槍は度々張遼に迫る。流石に片手間に対応できるものではない。
「ああもう、やってられん!」
馬家の用兵は支離滅裂なのに、変に噛み合って結局は戦線を押し上げている。
単騎で突撃する馬超。そしてそれを援護しようともしない馬岱。だが、それは結果としてこの上もなく噛み合って張遼の意図を妨げ、戦場を混沌と化している。
そして馬超にかかりきりなれば戦局は馬家に。戦局を優先すれば手元の兵は馬超により切り裂かれる。
これではまるで。
「馬騰はんを相手してるみたいやないか……」
個人の武と軍としての武。それが絶妙に噛み合って匈奴相手ですら連戦連勝であったあの日。帰ってはこない黄金の日々。
それが馬家軍。その一員であったからこそ張遼はその厄介さに舌打ちする。
そしてその刹那の感慨すら読み取るか如くに馬岱は軍を操る。
馬超の影に隠れていた凡庸な係累。それが馬岱に対する評価であった。だが、そんな評を下した過去の自分を切り捨てたいとばかりに張遼は盛大に舌打ちを重ねる。
「く、ここまでやるか!やってくれるやないか!」
だから、後は頼む。馬家軍はせめてここに釘付けにしてやるから、後は頼んだ。
「恋!頼んだで!」
肺腑より絞り上げたその声は、万夫不当の飛将軍に届いただろうか。
どうあれ。その直後、真紅の呂旗が動きだすのであった。
「ちい、猪が……!」
罵るもその前進を止めることはできず、ついには眼前に。
「よくも!父上を!」
「あほんだらあ!」
ついには単騎で切り込んだ馬超の槍は張遼に向けられる。
二合、三合と切り結びながらも、矢継ぎ早に配下へ指示を飛ばす張遼こそ褒められるべきであろう。
だが。
「ああもう!うっざ!」
張遼の指示を上回り馬家軍はその勢いを増す。増していく。
打つ手全てに対応し、その裏を掻こうという悪辣な動き。放置すれば致命傷になる嫌らしい一撃。
薄い陣構えを突破しようと下知を下すも言葉一つで阻まれる。
「ここにいるぞー!」
そしていつの間にか馬岱は実際に分厚く防衛線を構築するのだ。
「ええい!うっとおしい!」
張遼は心底叫ぶ。全力で向かえば突破できるだろうに。馬岱ごときが敷く防衛線なぞ。だが。
「張遼!覚悟!死ねえええええええええ!」
その槍は度々張遼に迫る。流石に片手間に対応できるものではない。
「ああもう、やってられん!」
馬家の用兵は支離滅裂なのに、変に噛み合って結局は戦線を押し上げている。
単騎で突撃する馬超。そしてそれを援護しようともしない馬岱。だが、それは結果としてこの上もなく噛み合って張遼の意図を妨げ、戦場を混沌と化している。
そして馬超にかかりきりなれば戦局は馬家に。戦局を優先すれば手元の兵は馬超により切り裂かれる。
これではまるで。
「馬騰はんを相手してるみたいやないか……」
個人の武と軍としての武。それが絶妙に噛み合って匈奴相手ですら連戦連勝であったあの日。帰ってはこない黄金の日々。
それが馬家軍。その一員であったからこそ張遼はその厄介さに舌打ちする。
そしてその刹那の感慨すら読み取るか如くに馬岱は軍を操る。
馬超の影に隠れていた凡庸な係累。それが馬岱に対する評価であった。だが、そんな評を下した過去の自分を切り捨てたいとばかりに張遼は盛大に舌打ちを重ねる。
「く、ここまでやるか!やってくれるやないか!」
だから、後は頼む。馬家軍はせめてここに釘付けにしてやるから、後は頼んだ。
「恋!頼んだで!」
肺腑より絞り上げたその声は、万夫不当の飛将軍に届いただろうか。
どうあれ。その直後、真紅の呂旗が動きだすのであった。
352:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/02(木) 21:33:23.71:JiI9QVaH0 (4/4)
本日ここまですー感想とかくだしあー
タイトル案は「開戦」です
よろしくお願いします。
本日ここまですー感想とかくだしあー
タイトル案は「開戦」です
よろしくお願いします。
353:赤ペン:2020/07/03(金) 12:38:42.29:SKLFZ13E0 (1/1)
乙でしたー
>>347
>>郭嘉は思う。 この後の言葉をわざわざ目の前で言うのは人の心が分からないにもほどがあるので
○道すがら郭嘉は思う。 (その場を離れる)を行間に入れる感じでどうでしょう
>>348
>>そして李典の嗚咽。そこには慕情があった。自分を引き立てた男に対する思いは慕情か、感謝か、それとも。 慕情があったのか無かったのか
○そして李典の嗚咽。そこには慕情があった。自分を引き立てた男に対する思いは慕情、感謝……それだけではない。 色んなものが混ぜこぜになってそうかな【慕情か、感謝か、】だと一つを選ぶ感じがするのでこれでどうでしょう
>>349
>>両腕を伸ばし、背に背を預けて星のやらかくもしっかりした身体に身を預ける えっ【やらしくも】?
○両腕を伸ばし、背に背を預けて星のやわらかくもしっかりした身体に身を預ける もしくは【やあらかくも】とか言ってみる?
>>それにいくら万夫不当と言っても相手は黄巾だろう? 間違いではないですがこれだと【黄巾兵の万夫不当】のように読めるので
○それにいくら万夫不当と言っても黄巾を相手にした話だろう? 元黄巾の万夫不当とかいたら怖いなw
>>即死でなければ救ってみせるという張魯さんのお言葉が頼もしいのだ。 間違いではないですが
○即死でなければ救ってみせるという張魯さんのお言葉は頼もしいものだ。 ちょっとした好みのようなものですが
>>戦法は曹家軍と孫家軍。戦線を支えてくれるであろう勢力である。 そんな【戦法;呂布】みたいなスタイルを?
○先鋒は曹家軍と孫家軍。戦線を支えてくれるであろう勢力である。 前衛と言うか先駆けと言うかそういう意味ですよね?
>>350
>>そう、馬家軍は一塊の狂戦死と化して馬超に続く。 こええ…誤字じゃない可能性すらあるのがなお怖え
○そう、馬家軍は一塊の狂戦士と化して馬超に続く。 多分こっちでいいはず
>>羅刹と化した馬超はそれでも直線的に馬を走らせる。 怒りで頭に血が上ってるなら直線的なのは普通では?
○羅刹と化した馬超はその中を直線的に馬を走らせる。 【騎兵同士がぶつかった】=乱戦に掛けるならこの方が良いと思います
>>351
>>馬超の影に隠れていた凡庸な係累。 【影に隠れる】だと黒幕感が出るので
○馬超の影に埋もれていた凡庸な係累。 凡庸な係累ならこの方が良さそうかな?
麗羽様の尊さとかそれぞれの思いとか…イイね!
稟ちゃんさんの対応の仕方もなんとも面白いというか、まじめくさった思考の後に願い事とか
馬家の以心伝心なのか目標が同じだからこその最高のコンビネーションなのかは知らんけど張遼もかわいそうに…自業自得だけど
乙でしたー
>>347
>>郭嘉は思う。 この後の言葉をわざわざ目の前で言うのは人の心が分からないにもほどがあるので
○道すがら郭嘉は思う。 (その場を離れる)を行間に入れる感じでどうでしょう
>>348
>>そして李典の嗚咽。そこには慕情があった。自分を引き立てた男に対する思いは慕情か、感謝か、それとも。 慕情があったのか無かったのか
○そして李典の嗚咽。そこには慕情があった。自分を引き立てた男に対する思いは慕情、感謝……それだけではない。 色んなものが混ぜこぜになってそうかな【慕情か、感謝か、】だと一つを選ぶ感じがするのでこれでどうでしょう
>>349
>>両腕を伸ばし、背に背を預けて星のやらかくもしっかりした身体に身を預ける えっ【やらしくも】?
○両腕を伸ばし、背に背を預けて星のやわらかくもしっかりした身体に身を預ける もしくは【やあらかくも】とか言ってみる?
>>それにいくら万夫不当と言っても相手は黄巾だろう? 間違いではないですがこれだと【黄巾兵の万夫不当】のように読めるので
○それにいくら万夫不当と言っても黄巾を相手にした話だろう? 元黄巾の万夫不当とかいたら怖いなw
>>即死でなければ救ってみせるという張魯さんのお言葉が頼もしいのだ。 間違いではないですが
○即死でなければ救ってみせるという張魯さんのお言葉は頼もしいものだ。 ちょっとした好みのようなものですが
>>戦法は曹家軍と孫家軍。戦線を支えてくれるであろう勢力である。 そんな【戦法;呂布】みたいなスタイルを?
○先鋒は曹家軍と孫家軍。戦線を支えてくれるであろう勢力である。 前衛と言うか先駆けと言うかそういう意味ですよね?
>>350
>>そう、馬家軍は一塊の狂戦死と化して馬超に続く。 こええ…誤字じゃない可能性すらあるのがなお怖え
○そう、馬家軍は一塊の狂戦士と化して馬超に続く。 多分こっちでいいはず
>>羅刹と化した馬超はそれでも直線的に馬を走らせる。 怒りで頭に血が上ってるなら直線的なのは普通では?
○羅刹と化した馬超はその中を直線的に馬を走らせる。 【騎兵同士がぶつかった】=乱戦に掛けるならこの方が良いと思います
>>351
>>馬超の影に隠れていた凡庸な係累。 【影に隠れる】だと黒幕感が出るので
○馬超の影に埋もれていた凡庸な係累。 凡庸な係累ならこの方が良さそうかな?
麗羽様の尊さとかそれぞれの思いとか…イイね!
稟ちゃんさんの対応の仕方もなんとも面白いというか、まじめくさった思考の後に願い事とか
馬家の以心伝心なのか目標が同じだからこその最高のコンビネーションなのかは知らんけど張遼もかわいそうに…自業自得だけど
354:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/03(金) 21:19:33.90:11bQfaHc0 (1/5)
>>353
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
よっしゃ。
>麗羽様の尊さとかそれぞれの思いとか…イイね!
どもです。
隙あらば全部持ってく麗羽様ですが、稟ちゃんさんは頑張りました。
>稟ちゃんさんの対応の仕方もなんとも面白いというか、まじめくさった思考の後に願い事とか
ロジックだけでなくエモーションも持ち合わせた最強の軍師になってくれるはずですw
>馬家の以心伝心なのか目標が同じだからこその最高のコンビネーションなのかは知らんけど張遼もかわいそうに…自業自得だけど
元々馬騰さんに目をかけられて幹部になってきたのに、それはないやろうと
そら馬家軍一万総火の玉です(全員気力170)
>>353
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
よっしゃ。
>麗羽様の尊さとかそれぞれの思いとか…イイね!
どもです。
隙あらば全部持ってく麗羽様ですが、稟ちゃんさんは頑張りました。
>稟ちゃんさんの対応の仕方もなんとも面白いというか、まじめくさった思考の後に願い事とか
ロジックだけでなくエモーションも持ち合わせた最強の軍師になってくれるはずですw
>馬家の以心伝心なのか目標が同じだからこその最高のコンビネーションなのかは知らんけど張遼もかわいそうに…自業自得だけど
元々馬騰さんに目をかけられて幹部になってきたのに、それはないやろうと
そら馬家軍一万総火の玉です(全員気力170)
355:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/03(金) 22:04:59.05:11bQfaHc0 (2/5)
蒼天に翻る真紅の呂旗。
右翼よりその姿を現し、眼前の敵に相対する曹家と孫家を尻目に袁家本陣に向かう。
その戦闘には万夫不当。
なに、相手にとって不足はない。
「白馬義従、出るぞ!」
手にするのは兵卒が手にするのと変わらない普通の剣。
だが、それでいい。白馬義従の強さとは、平準されたところに真髄がある。一人の武勇に引きずられる類のものではないのだ。
そして白い奔流が頸木を解かれ、疾走する。
馬家軍のように真正面からぶつかるのではなく、途中で進路を変え併走する。
ニヤリ、と口を歪ませて公孫賛は先手を取る。
「挨拶代わりだ!撃てぇ!」
騎射。白馬義従が匈奴と互角以上に渡り合う所以である。
袁家本陣に直進するため本腰を入れての対応ができないのをいいことに、と陳宮は歯噛みする。
牽制に迫れば退き、こちらが引けば迫る。なんともいやらしいことこの上ない。
そしてまた牽制に一部隊を寄せる。どうせ届かぬだろうが、矢の雨の中進むよりは遥かにマシというものだ。
だが。
「甘い!」
牽制でしかないと見るや公孫賛はその部隊に寄せ、叩き潰す。
「各個撃破、とはこういうふうにやるのさ!」
あくまで袁家本陣への吶喊を最優先するのを見越し、ゴリゴリと消耗を強いてくる。その手際は熟練と言っていい。
そしてその損害が無視できぬほどになり、陳宮は舌打ちを重ねる。
いや、白馬義従を牽制しつつも損害を最小限に保つ陳宮の用兵は褒められるべきものであろう。例え白馬義従が呂布の武威を警戒して不必要に迫ってきていなかったとしても。
だが、その圧力により着実に進路は歪められており、このままでは袁家本陣への吶喊が果たせるかは微妙。いや、正直厳しくなりつつある。
「……公孫賛、片付ける?」
静かに呂布は陳宮に問う。アレが邪魔ならばアレを除けばいいのではないか、と。
一瞬その言葉にうなずきそうになりながらも陳宮は首を横に振る。
「いえ、いけませんぞ。それこそ彼奴らの思うつぼなのです。
……恋殿。行ってください。そして、袁紹の首級を」
その見切りこそ陳宮の真骨頂であったかもしれない。
自分たちが呂布の足手まといであると、ある意味軍師としては屈辱的なそれを認めて手元の戦力をもっとも効率的に運用する術を選ぶ。
「なに、公孫なぞ有象無象もいいとこなのですぞ。まともにやりあえば敵ではないのです!」
ちっちゃい体躯を精一杯踏ん反り返して陳宮は呂布を解き放つ。
軍団の長という枷を解く。解き放つ。最強を。
「……わかった。行ってくる」
そして呂布は単騎で進路を修正する。勿論立ちふさがる敵なぞいないも同然。
目標たる袁家本陣に狙いを定めて呂布は単騎で突撃を敢行するのだ。
「ちい、呂布には構うな!陣形を崩すな!」
流石の公孫賛が狼狽える。呂布と、切り離された配下の軍。どちらに対応するか。常ならばそこに乗じて戦局をひっくり返されることもあったろう。
だが。
「大事ない。呂布単騎の突出は想定内。今は目前の敵軍に専念すべき」
韓浩の淡々とした進言が響く。全く、それほど大きい声でないというのに、痛いほどに耳に響く。不思議なこともあるものだ。
「そ、そうだな。こっからが本番だった。すまんな、狼狽(うろた)えた」
「いい。呂布はやはり埒外。アレと戦場で互角以上に渡り合う。そのことにこそ尊敬の念を覚える」
「はは、嬉しいことを言ってくれるじゃないか。じゃあ、呂布がいないんだ。彼奴の武勇に備えこれまでは沈黙していたが……」
にま、と公孫賛は笑う。手控えていた接近戦を、騎兵突撃を、そして騎射を組み合わせた白馬義従の本領を見せてやろうとばかりに。
「行くぞ!白馬義従は伊達じゃない!」
蒼天に翻る真紅の呂旗。
右翼よりその姿を現し、眼前の敵に相対する曹家と孫家を尻目に袁家本陣に向かう。
その戦闘には万夫不当。
なに、相手にとって不足はない。
「白馬義従、出るぞ!」
手にするのは兵卒が手にするのと変わらない普通の剣。
だが、それでいい。白馬義従の強さとは、平準されたところに真髄がある。一人の武勇に引きずられる類のものではないのだ。
そして白い奔流が頸木を解かれ、疾走する。
馬家軍のように真正面からぶつかるのではなく、途中で進路を変え併走する。
ニヤリ、と口を歪ませて公孫賛は先手を取る。
「挨拶代わりだ!撃てぇ!」
騎射。白馬義従が匈奴と互角以上に渡り合う所以である。
袁家本陣に直進するため本腰を入れての対応ができないのをいいことに、と陳宮は歯噛みする。
牽制に迫れば退き、こちらが引けば迫る。なんともいやらしいことこの上ない。
そしてまた牽制に一部隊を寄せる。どうせ届かぬだろうが、矢の雨の中進むよりは遥かにマシというものだ。
だが。
「甘い!」
牽制でしかないと見るや公孫賛はその部隊に寄せ、叩き潰す。
「各個撃破、とはこういうふうにやるのさ!」
あくまで袁家本陣への吶喊を最優先するのを見越し、ゴリゴリと消耗を強いてくる。その手際は熟練と言っていい。
そしてその損害が無視できぬほどになり、陳宮は舌打ちを重ねる。
いや、白馬義従を牽制しつつも損害を最小限に保つ陳宮の用兵は褒められるべきものであろう。例え白馬義従が呂布の武威を警戒して不必要に迫ってきていなかったとしても。
だが、その圧力により着実に進路は歪められており、このままでは袁家本陣への吶喊が果たせるかは微妙。いや、正直厳しくなりつつある。
「……公孫賛、片付ける?」
静かに呂布は陳宮に問う。アレが邪魔ならばアレを除けばいいのではないか、と。
一瞬その言葉にうなずきそうになりながらも陳宮は首を横に振る。
「いえ、いけませんぞ。それこそ彼奴らの思うつぼなのです。
……恋殿。行ってください。そして、袁紹の首級を」
その見切りこそ陳宮の真骨頂であったかもしれない。
自分たちが呂布の足手まといであると、ある意味軍師としては屈辱的なそれを認めて手元の戦力をもっとも効率的に運用する術を選ぶ。
「なに、公孫なぞ有象無象もいいとこなのですぞ。まともにやりあえば敵ではないのです!」
ちっちゃい体躯を精一杯踏ん反り返して陳宮は呂布を解き放つ。
軍団の長という枷を解く。解き放つ。最強を。
「……わかった。行ってくる」
そして呂布は単騎で進路を修正する。勿論立ちふさがる敵なぞいないも同然。
目標たる袁家本陣に狙いを定めて呂布は単騎で突撃を敢行するのだ。
「ちい、呂布には構うな!陣形を崩すな!」
流石の公孫賛が狼狽える。呂布と、切り離された配下の軍。どちらに対応するか。常ならばそこに乗じて戦局をひっくり返されることもあったろう。
だが。
「大事ない。呂布単騎の突出は想定内。今は目前の敵軍に専念すべき」
韓浩の淡々とした進言が響く。全く、それほど大きい声でないというのに、痛いほどに耳に響く。不思議なこともあるものだ。
「そ、そうだな。こっからが本番だった。すまんな、狼狽(うろた)えた」
「いい。呂布はやはり埒外。アレと戦場で互角以上に渡り合う。そのことにこそ尊敬の念を覚える」
「はは、嬉しいことを言ってくれるじゃないか。じゃあ、呂布がいないんだ。彼奴の武勇に備えこれまでは沈黙していたが……」
にま、と公孫賛は笑う。手控えていた接近戦を、騎兵突撃を、そして騎射を組み合わせた白馬義従の本領を見せてやろうとばかりに。
「行くぞ!白馬義従は伊達じゃない!」
356:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/03(金) 22:05:26.00:11bQfaHc0 (3/5)
◆◆◆
単騎で恐ろしい勢いで騎馬が迫ってくる。言うまでもなく恋だ。
まさにそれは飛ぶが如く。飛将軍というのは言い得て妙だな。明らかに先ほどまで軍を引きていた時と速度が違う。人馬一体とはこのことか。
まあ、これからそんな化け物と遣り合わんといかんのだけどもね。
だが、此方も恋対策はしている。
「見せて貰おうか、飛将軍の実力とやらを!」
いや、知ってるけどね。武力100だし。でもまあ、これくらいは言わんと恰好がつかん。
「陳蘭!」
最前列にて構えるは陳蘭率いる長弓隊。既に五千の兵が展開し。ざく、ざくと矢を地に突き立てて臨戦態勢。
通常ならばまだまだ射程距離外だが、虎の子の長弓部隊にとってはそうではない。
「なんと、まあ……」
流石の秋蘭が感嘆する。この距離で届くのか、と。へへ、すごいだろう。いや、彼女なら可能だろうが、それを一般兵がやることに意味があるのだ。集団でね。
そして五千の弓兵はただ一人恋を目がけて矢を射る。ひたすらに。
もはやそれは矢の雨。或いは奔流。点でなく面で制圧するのが長弓兵の戦い。大体の位置に只管(ひたすら)矢を射る。
「……」
それらの矢が、恋には届かない。ただひたすらに飛ぶように馬を走らせる。手にした奉天画戟。残像すら見えないそれが降り注ぐ矢の雨を全て弾き返しているのだ。
マジかよ。
いや、想定はしていたけど実際目にすると笑うしかない。
だから。
「秋蘭、頼んだ」
「任されようとも」
秋蘭は不敵に笑い、静かに弓を構える。
「唸れ、餓狼爪!」
一射で三矢。それを文字通り矢継ぎ早に三射。
山なりに襲いかかる長弓部隊と違い、限りなく水平に襲い掛かるそれに流石の恋が……ってマジか。
眉間に迫る矢を掴み、その矢でもって続く二の矢、三の矢を弾く。
降り注ぐ矢を奉天画戟で弾き返しながら、だ。
だが、そこまでである。フ、と笑う秋蘭。
「依頼は果たした。では私はこれで華琳様の処(ところ)に戻らせてもらおう」
いや、しかし呂布とは恐るべきものだな。或いは討ち取れるかとも思っていたのだがな――。
苦笑交じりに秋蘭は踵(きびす)を返す。
そしてその目的は果たされている。
確かに恋の身体には一矢たりとも届いていなかったが、見事にその乗馬の前足を打ち抜いていたのだ。
倒れ込む馬体から軽やかに身を躍らせて……。
「弓兵、下がれ!」
守備力なぞあってないような虎の子を下げる。ここで消耗させるわけにもいかん。そして。
ここからが本番だ。やっと恋をその身一つにすることが出来た。そして。マジか。いや、詠ちゃんに話を聞いたことはあったが半信半疑だったんだよなあ。
――まさか、本当に。
二本の足で走る方が速いとかどういうことだよ。
ぎゅん、と速度を上げ、土煙を背に恋が迫ってくる。なるほど。人中の呂布とはこういうことか。などと軽く現実逃避をしながらも前に出る。
猪々子と斗詩が付き従ってくれる。
「アニキ。やっぱアタイが前に出た方がいいんじゃね?」
猪々子の気遣いに首を振る。
「なに、たまには俺もいいとこ見せたいのさ」
どんどんと近づいてくる恋。その表情は相変わらず何を考えているか読めない。
まあ、それでも言葉が通じるだけありがたいとしよう。
だからまあ、まずは声をかける。
「恋!」
ん、とばかりに義理堅く速度を落とし、停止する。
さて、とばかりに俺は恋に声をかけるのであった。
◆◆◆
単騎で恐ろしい勢いで騎馬が迫ってくる。言うまでもなく恋だ。
まさにそれは飛ぶが如く。飛将軍というのは言い得て妙だな。明らかに先ほどまで軍を引きていた時と速度が違う。人馬一体とはこのことか。
まあ、これからそんな化け物と遣り合わんといかんのだけどもね。
だが、此方も恋対策はしている。
「見せて貰おうか、飛将軍の実力とやらを!」
いや、知ってるけどね。武力100だし。でもまあ、これくらいは言わんと恰好がつかん。
「陳蘭!」
最前列にて構えるは陳蘭率いる長弓隊。既に五千の兵が展開し。ざく、ざくと矢を地に突き立てて臨戦態勢。
通常ならばまだまだ射程距離外だが、虎の子の長弓部隊にとってはそうではない。
「なんと、まあ……」
流石の秋蘭が感嘆する。この距離で届くのか、と。へへ、すごいだろう。いや、彼女なら可能だろうが、それを一般兵がやることに意味があるのだ。集団でね。
そして五千の弓兵はただ一人恋を目がけて矢を射る。ひたすらに。
もはやそれは矢の雨。或いは奔流。点でなく面で制圧するのが長弓兵の戦い。大体の位置に只管(ひたすら)矢を射る。
「……」
それらの矢が、恋には届かない。ただひたすらに飛ぶように馬を走らせる。手にした奉天画戟。残像すら見えないそれが降り注ぐ矢の雨を全て弾き返しているのだ。
マジかよ。
いや、想定はしていたけど実際目にすると笑うしかない。
だから。
「秋蘭、頼んだ」
「任されようとも」
秋蘭は不敵に笑い、静かに弓を構える。
「唸れ、餓狼爪!」
一射で三矢。それを文字通り矢継ぎ早に三射。
山なりに襲いかかる長弓部隊と違い、限りなく水平に襲い掛かるそれに流石の恋が……ってマジか。
眉間に迫る矢を掴み、その矢でもって続く二の矢、三の矢を弾く。
降り注ぐ矢を奉天画戟で弾き返しながら、だ。
だが、そこまでである。フ、と笑う秋蘭。
「依頼は果たした。では私はこれで華琳様の処(ところ)に戻らせてもらおう」
いや、しかし呂布とは恐るべきものだな。或いは討ち取れるかとも思っていたのだがな――。
苦笑交じりに秋蘭は踵(きびす)を返す。
そしてその目的は果たされている。
確かに恋の身体には一矢たりとも届いていなかったが、見事にその乗馬の前足を打ち抜いていたのだ。
倒れ込む馬体から軽やかに身を躍らせて……。
「弓兵、下がれ!」
守備力なぞあってないような虎の子を下げる。ここで消耗させるわけにもいかん。そして。
ここからが本番だ。やっと恋をその身一つにすることが出来た。そして。マジか。いや、詠ちゃんに話を聞いたことはあったが半信半疑だったんだよなあ。
――まさか、本当に。
二本の足で走る方が速いとかどういうことだよ。
ぎゅん、と速度を上げ、土煙を背に恋が迫ってくる。なるほど。人中の呂布とはこういうことか。などと軽く現実逃避をしながらも前に出る。
猪々子と斗詩が付き従ってくれる。
「アニキ。やっぱアタイが前に出た方がいいんじゃね?」
猪々子の気遣いに首を振る。
「なに、たまには俺もいいとこ見せたいのさ」
どんどんと近づいてくる恋。その表情は相変わらず何を考えているか読めない。
まあ、それでも言葉が通じるだけありがたいとしよう。
だからまあ、まずは声をかける。
「恋!」
ん、とばかりに義理堅く速度を落とし、停止する。
さて、とばかりに俺は恋に声をかけるのであった。
357:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/03(金) 22:06:00.61:11bQfaHc0 (4/5)
◆◆◆
さて、何と言ったものかと逡巡している間に恋の方から声をかけてくる。
「……ほしいのは袁紹の首級だけ。二郎を殺す必要は別にない。だからそこをどいて」
いやいやいやいやいや。
「――悪いがここは通行止めだ。大人しく帰ってくれよ」
ふるふると、どこか悲しそうに恋は首を振る。
「月のため。どうしても袁紹の首級がいる。だから、どいて」
「そいつはできねえ相談だな。そもそもだ。それが叶ったとして月が帰ってくるとも限らんだろうに」
流石に仮定の話とは言え麗羽様の首級云々なんて口に出せねえし。それに、月のことは、まあね。そうだよね。しゃあないね。
「それでも、いるの。だから、そこをどいて。袁紹一人で済ませるから」
一生懸命に語る恋に泣きたくなる。なんでだ。なんでこんなにも俺たちはぶつかり合わないといけないんだ。
やってらんないね。本当に。
「聞けないな。麗羽様をやらせるわけにはいかん。こっちは三人。まっさか、卑怯とは言わんよな」
斗詩と猪々子が臨戦態勢に入る。
「……どうでもいい。三人が三万人でも大差、ない」
「は、言ってくれる!恋よ、袁家を、舐めるなぁ――!」
そして三尖刀によるブーストを発動させる。吠えて、やる!
「トランザム!」
四肢に力が漲り時の経過が遅くなる。
漲る力に思いを込めて、叫ぶ。
先手、必勝!
「ちぇすとおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
◆◆◆
さて、何と言ったものかと逡巡している間に恋の方から声をかけてくる。
「……ほしいのは袁紹の首級だけ。二郎を殺す必要は別にない。だからそこをどいて」
いやいやいやいやいや。
「――悪いがここは通行止めだ。大人しく帰ってくれよ」
ふるふると、どこか悲しそうに恋は首を振る。
「月のため。どうしても袁紹の首級がいる。だから、どいて」
「そいつはできねえ相談だな。そもそもだ。それが叶ったとして月が帰ってくるとも限らんだろうに」
流石に仮定の話とは言え麗羽様の首級云々なんて口に出せねえし。それに、月のことは、まあね。そうだよね。しゃあないね。
「それでも、いるの。だから、そこをどいて。袁紹一人で済ませるから」
一生懸命に語る恋に泣きたくなる。なんでだ。なんでこんなにも俺たちはぶつかり合わないといけないんだ。
やってらんないね。本当に。
「聞けないな。麗羽様をやらせるわけにはいかん。こっちは三人。まっさか、卑怯とは言わんよな」
斗詩と猪々子が臨戦態勢に入る。
「……どうでもいい。三人が三万人でも大差、ない」
「は、言ってくれる!恋よ、袁家を、舐めるなぁ――!」
そして三尖刀によるブーストを発動させる。吠えて、やる!
「トランザム!」
四肢に力が漲り時の経過が遅くなる。
漲る力に思いを込めて、叫ぶ。
先手、必勝!
「ちぇすとおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
358:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/03(金) 22:06:54.18:11bQfaHc0 (5/5)
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
「対戦」
ほら今ひとつなのでs
よろしくお願いします。
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
「対戦」
ほら今ひとつなのでs
よろしくお願いします。
359:赤ペン:2020/07/04(土) 12:47:01.74:iAYY6nXZ0 (1/1)
乙でしたー
>>355
>>その戦闘には万夫不当。 まあ確かに戦闘中だけど
○その先頭には万夫不当。 一番前を走ってるのは、って意味だよね
>>その見切りこそ陳宮の真骨頂であったかもしれない。 ここで過去形って…お前、死ぬのか?
○その見切りこそが陳宮の真骨頂かもしれない。 間違いと言うほどではないですがこの方が良いと思います
>>流石の公孫賛が狼狽える。呂布と、切り離された配下の軍。 ここで【流石】と評されるほどには優秀なんだよなあ
○流石の公孫賛も狼狽える。呂布と、切り離された配下の軍。 地味だけど(真顔)
>>356
>>明らかに先ほどまで軍を引きていた時と速度が違う。 全速力出したら遅いのが孤立するからなあ
○明らかに先ほどまで軍を率いていた時と速度が違う。 【引き連れてきた時】だとなんか違うよね
>>「見せて貰おうか、飛将軍の実力とやらを!」 え、何?見稽古とか言うチート能力に開眼した?飛将軍の実力を貰うとか
○「見せてもらおうか、飛将軍の実力とやらを!」 【コートを脱いでください】と【コートを脱いで下さい】には実は大きな隔たりがあるのだ
>>流石の秋蘭が感嘆する。この距離で届くのか、と。 総合力は別にして長距離に矢の雨(弾幕)を降らせる一点ではどこよりも上かもしれんね
○流石の秋蘭も感嘆する。この距離で届くのか、と。 夏侯淵個人では可能かもだけどこの人数による制圧射撃は、ね
>>手にした奉天画戟。残像すら見えないそれが 呂奉先が使うから字を間違いやすいのかな
○手にした方天画戟。残像すら見えないそれが 馬への矢もすべて弾くとか人間業じゃねえな
>>限りなく水平に襲い掛かるそれに流石の恋が……ってマジか。 ほぼほぼ水平なら打たれた側からすれば【・】ここまではいかなくても大分見づらいだろうに
○限りなく水平に襲い掛かるそれには流石の恋も……ってマジか。 微修正も混ぜつつ
>>降り注ぐ矢を奉天画戟で弾き返しながら、だ。 両手放してってことはやろうと思えばこいつも騎射出来るんだろうな
○降り注ぐ矢を方天画戟で弾き返しながら、だ。 そういや奉天って中国の都市の名前なんだな…ちょっと昔だけど
>>ん、とばかりに義理堅く速度を落とし、停止する。 【ん、とばかりに】とはいったい
○ん、と顔を向けた恋は義理堅く速度を落とし、停止する。 こんな感じでどうでしょう
>>さて、とばかりに俺は恋に声をかけるのであった。
>>◆◆◆
>>さて、何と言ったものかと逡巡している間に恋の方から声をかけてくる。 呼びかけはしたけど声掛けは恋からだよね
○さて、とばかりに俺は恋に向き合うのであった。 いやまあ最初の【「恋!」】はあるけどあれは【さて、とばかりに】に合わないしね
公孫瓚が輝いてる!めっちゃ輝いてるよ!…違った白馬義従が輝いてるよ!!
冗談はともかく軍の在り方としてはガチで最高峰よね、公孫瓚以外がトップに立ってもほとんどパフォーマンス落ちないだろうし
陳宮が被害を最小限に抑えてなお吶喊が厳しくなるとか状況的なものもあるとはいえ凄すぎる
恋はなあ…まあ仕方ないよね。お互いに譲れないモノのために戦ってるんだから会話は平行線だわ
どうにかする手段はいくつもあったけど事ここに至ってはどうしようも…
まあアイツラならそれでもみんなが笑って暮らせる世界のためにとかなんとか言ってどうにかしようとするんだろうが(どうにかできるとは言わん)
乙でしたー
>>355
>>その戦闘には万夫不当。 まあ確かに戦闘中だけど
○その先頭には万夫不当。 一番前を走ってるのは、って意味だよね
>>その見切りこそ陳宮の真骨頂であったかもしれない。 ここで過去形って…お前、死ぬのか?
○その見切りこそが陳宮の真骨頂かもしれない。 間違いと言うほどではないですがこの方が良いと思います
>>流石の公孫賛が狼狽える。呂布と、切り離された配下の軍。 ここで【流石】と評されるほどには優秀なんだよなあ
○流石の公孫賛も狼狽える。呂布と、切り離された配下の軍。 地味だけど(真顔)
>>356
>>明らかに先ほどまで軍を引きていた時と速度が違う。 全速力出したら遅いのが孤立するからなあ
○明らかに先ほどまで軍を率いていた時と速度が違う。 【引き連れてきた時】だとなんか違うよね
>>「見せて貰おうか、飛将軍の実力とやらを!」 え、何?見稽古とか言うチート能力に開眼した?飛将軍の実力を貰うとか
○「見せてもらおうか、飛将軍の実力とやらを!」 【コートを脱いでください】と【コートを脱いで下さい】には実は大きな隔たりがあるのだ
>>流石の秋蘭が感嘆する。この距離で届くのか、と。 総合力は別にして長距離に矢の雨(弾幕)を降らせる一点ではどこよりも上かもしれんね
○流石の秋蘭も感嘆する。この距離で届くのか、と。 夏侯淵個人では可能かもだけどこの人数による制圧射撃は、ね
>>手にした奉天画戟。残像すら見えないそれが 呂奉先が使うから字を間違いやすいのかな
○手にした方天画戟。残像すら見えないそれが 馬への矢もすべて弾くとか人間業じゃねえな
>>限りなく水平に襲い掛かるそれに流石の恋が……ってマジか。 ほぼほぼ水平なら打たれた側からすれば【・】ここまではいかなくても大分見づらいだろうに
○限りなく水平に襲い掛かるそれには流石の恋も……ってマジか。 微修正も混ぜつつ
>>降り注ぐ矢を奉天画戟で弾き返しながら、だ。 両手放してってことはやろうと思えばこいつも騎射出来るんだろうな
○降り注ぐ矢を方天画戟で弾き返しながら、だ。 そういや奉天って中国の都市の名前なんだな…ちょっと昔だけど
>>ん、とばかりに義理堅く速度を落とし、停止する。 【ん、とばかりに】とはいったい
○ん、と顔を向けた恋は義理堅く速度を落とし、停止する。 こんな感じでどうでしょう
>>さて、とばかりに俺は恋に声をかけるのであった。
>>◆◆◆
>>さて、何と言ったものかと逡巡している間に恋の方から声をかけてくる。 呼びかけはしたけど声掛けは恋からだよね
○さて、とばかりに俺は恋に向き合うのであった。 いやまあ最初の【「恋!」】はあるけどあれは【さて、とばかりに】に合わないしね
公孫瓚が輝いてる!めっちゃ輝いてるよ!…違った白馬義従が輝いてるよ!!
冗談はともかく軍の在り方としてはガチで最高峰よね、公孫瓚以外がトップに立ってもほとんどパフォーマンス落ちないだろうし
陳宮が被害を最小限に抑えてなお吶喊が厳しくなるとか状況的なものもあるとはいえ凄すぎる
恋はなあ…まあ仕方ないよね。お互いに譲れないモノのために戦ってるんだから会話は平行線だわ
どうにかする手段はいくつもあったけど事ここに至ってはどうしようも…
まあアイツラならそれでもみんなが笑って暮らせる世界のためにとかなんとか言ってどうにかしようとするんだろうが(どうにかできるとは言わん)
360:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2020/07/04(土) 15:35:37.11:jfF7oO/lO (1/1)
乙っしたー
どっかで聞いたセリフがちらほらww
タイトル案「対峙」
乙っしたー
どっかで聞いたセリフがちらほらww
タイトル案「対峙」
361:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/05(日) 05:12:01.42:N9N52iJv0 (1/1)
>>359
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ。今回は多かったな。頑張るぞいっと。
>公孫瓚が輝いてる!めっちゃ輝いてるよ!…違った白馬義従が輝いてるよ!!
強化しといてよかった白馬義従!です。
>冗談はともかく軍の在り方としてはガチで最高峰よね、
作中少ないネームド軍団ですからね……
虎豹騎実装してないということは、作中最強軍団かもしれません
>恋はなあ…まあ仕方ないよね。お互いに譲れないモノのために戦ってるんだから会話は平行線だわ
おっしゃるとおりここはしゃあないところです。
>どうにかする手段はいくつもあったけど事ここに至ってはどうしようも…
董家ルートでは初手最適解ができたはずなんですよね
>まあアイツラなら
ほんと、魏√での彼らの不気味さといったらなかったw
>>360
どもです。
>どっかで聞いたセリフがちらほらw
ナンノコトカナー
>タイトル案「対峙」
ほむ。対決よりよかですね。ありがとうございますー!
>>359
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ。今回は多かったな。頑張るぞいっと。
>公孫瓚が輝いてる!めっちゃ輝いてるよ!…違った白馬義従が輝いてるよ!!
強化しといてよかった白馬義従!です。
>冗談はともかく軍の在り方としてはガチで最高峰よね、
作中少ないネームド軍団ですからね……
虎豹騎実装してないということは、作中最強軍団かもしれません
>恋はなあ…まあ仕方ないよね。お互いに譲れないモノのために戦ってるんだから会話は平行線だわ
おっしゃるとおりここはしゃあないところです。
>どうにかする手段はいくつもあったけど事ここに至ってはどうしようも…
董家ルートでは初手最適解ができたはずなんですよね
>まあアイツラなら
ほんと、魏√での彼らの不気味さといったらなかったw
>>360
どもです。
>どっかで聞いたセリフがちらほらw
ナンノコトカナー
>タイトル案「対峙」
ほむ。対決よりよかですね。ありがとうございますー!
362:俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU:2020/07/06(月) 21:08:43.21:iXKxy26L0 (1/1)
乙です。
嗚呼……とうとうか。原始の肉体武闘の血生臭き戦が。
で、ちゃっかり現代のアップトレを持ち込んでじゃないの。二郎さんw
チェストーって薩摩示現流じゃないの。二郎さん前世は鹿児島出身?
今回のクレームwwwwww
癒し愛人幼馴染の陳蘭ちゃんを前線に出すんじゃないのw
しかも活躍までさせてさw
これも陳蘭ちゃんの愛のカタチ?
個人的には真桜さんの魂の叫びというか慚愧というかが一番印象に残りました。
でさ、どっかの親方が陳宮ちゃん拉致りたいそうなんだけど……どうでしょう?
乙です。
嗚呼……とうとうか。原始の肉体武闘の血生臭き戦が。
で、ちゃっかり現代のアップトレを持ち込んでじゃないの。二郎さんw
チェストーって薩摩示現流じゃないの。二郎さん前世は鹿児島出身?
今回のクレームwwwwww
癒し愛人幼馴染の陳蘭ちゃんを前線に出すんじゃないのw
しかも活躍までさせてさw
これも陳蘭ちゃんの愛のカタチ?
個人的には真桜さんの魂の叫びというか慚愧というかが一番印象に残りました。
でさ、どっかの親方が陳宮ちゃん拉致りたいそうなんだけど……どうでしょう?
363:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/06(月) 21:33:10.65:ST1CGF8G0 (1/6)
>>362
どもです。父上乙ですた。あっちにもちょっとしたら行きますのでお待ちくだしあ。
>嗚呼……とうとうか。原始の肉体武闘の血生臭き戦が
やはり肉体言語ありきですよね。
>で、ちゃっかり現代のアップトレを持ち込んでじゃないの。二郎さんw
ベストを尽くすということで一つ。少しでも勝率を上げないといけませんのでね。アスリートによればアップに30分以上かけるらしいですね。
>チェストーって薩摩示現流じゃないの。二郎さん前世は鹿児島出身?
中の人が示現流の道場で立木打ちを体験したくらいの関係ですw
猿叫については作品により表現が様々ですが、ここはやはり旧作をリスペクトな感じです
>癒し愛人幼馴染の陳蘭ちゃんを前線に出すんじゃないのwしかも活躍までさせてさw
紀家は武家にて、彼女の掌握している部隊も同様。ガチ戦力で虎の子なのです。
呂布にぶつけようとするくらいには稟ちゃんさんからも戦力として計算されておりますん
ということで一つ。
>個人的には真桜さんの魂の叫びというか慚愧というかが一番印象に残りました。
ありがとうございますー!
彼女は本来楽しく技術開発してキャッキャウフフしてたい人生だったのですが、惚れた男が悪かった
研究開発以外のことも、考えないといけないという立場になってしまっております
それが、なんだかなあー、って感じと、惚れた男のためになるので嬉しかったりする真桜です
>でさ、どっかの親方が陳宮ちゃん拉致りたいそうなんだけど……どうでしょう?
短期留学、かつ彼女の心根(呂布原理主義)は変わらないなら、かなあ
>>362
どもです。父上乙ですた。あっちにもちょっとしたら行きますのでお待ちくだしあ。
>嗚呼……とうとうか。原始の肉体武闘の血生臭き戦が
やはり肉体言語ありきですよね。
>で、ちゃっかり現代のアップトレを持ち込んでじゃないの。二郎さんw
ベストを尽くすということで一つ。少しでも勝率を上げないといけませんのでね。アスリートによればアップに30分以上かけるらしいですね。
>チェストーって薩摩示現流じゃないの。二郎さん前世は鹿児島出身?
中の人が示現流の道場で立木打ちを体験したくらいの関係ですw
猿叫については作品により表現が様々ですが、ここはやはり旧作をリスペクトな感じです
>癒し愛人幼馴染の陳蘭ちゃんを前線に出すんじゃないのwしかも活躍までさせてさw
紀家は武家にて、彼女の掌握している部隊も同様。ガチ戦力で虎の子なのです。
呂布にぶつけようとするくらいには稟ちゃんさんからも戦力として計算されておりますん
ということで一つ。
>個人的には真桜さんの魂の叫びというか慚愧というかが一番印象に残りました。
ありがとうございますー!
彼女は本来楽しく技術開発してキャッキャウフフしてたい人生だったのですが、惚れた男が悪かった
研究開発以外のことも、考えないといけないという立場になってしまっております
それが、なんだかなあー、って感じと、惚れた男のためになるので嬉しかったりする真桜です
>でさ、どっかの親方が陳宮ちゃん拉致りたいそうなんだけど……どうでしょう?
短期留学、かつ彼女の心根(呂布原理主義)は変わらないなら、かなあ
364:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/06(月) 22:15:15.42:ST1CGF8G0 (2/6)
「ちぇすとおおおおおおおおおおおお!」
全力での俺の一撃。脳天目がけて三尖刀を振り下ろす。文字通りの全力全開の一撃。その一撃を恋は難なく躱す。身をよじるだけで。
うん、知ってた。
「ちぇいぃ!」
地面に三尖刀を叩きつけた反動を利用してもう一撃食らわす。横薙ぎの一撃。
「秘剣、燕返し!」
流石に三撃を同時展開なんていう人間離れした剣技なんて俺にはない。これが精いっぱい。
無理やりな軌道での連撃は、だが恋には届かない。バックステップ一つ。なんつー超反応だよ!
全力の一撃であったので俺の身体は今度こそ完全に流れてしまった。
「……覚悟」
ゆらり、と身を揺るがして恋が奉天画戟を振り上げる。このままでは間違いなく脳天からばっさりであろう。
が。
「斬山刀、斬山斬!」
恋の死角に回り込んでいた猪々子がその大刀を渾身の力で振り下ろす。
一か八かの大振りの一撃。
「――!」
サイドステップ一つ。恋の身には届かず、斬山刀は大地を抉る。
豪快に土煙が巻き起こり、視界が妨げられる。そしてそれを煙幕代わりに離脱しようとする猪々子を恋は逃がさず追撃。流石、速い!
「はぁっ!」
だが、土煙は猪々子の離脱用じゃあない。奉天画戟を振りかぶる恋に迫る斗詩をこそ隠すためなのだ。
裂帛の気合いを響かせて双剣を振るう。
「やったか!」
確かに斗詩の双剣が恋の身体を捉えた……と見えたのだが、間一髪、紙一重で躱す。
「しぃっ!」
だが、斗詩の攻撃は連撃、そして相手を追い込む運足の妙が持ち味。更に舞うが如く追撃を加える。躱す恋の動きは斗詩とは対照的に野生の獣を思わせる。
「くっ!」
舞いながら、双剣の軌道を捻じ曲げ、恋の体幹部分。回避しづらい部位に斬撃を次々と繰り出すのだが、少しずつ恋が対応し始める。
流石の斗詩の連撃が勢い弱まってくる。あの連撃は無酸素運動を続けるものだからそれほど長く続けることはできない。
だが、それで十分。斗詩は確実に獲物を追い込んでいる。
既に恋の死角を押さえた!五臓六腑に気合いを込めて、迸る裂帛の咆哮。
「ちぇすとおおおおおおおおおおおおおお!」
俺が全力の一撃を振るう。完全に入ったと思ったのだが。
「これが当たらんのか!」
二の太刀も躱されてしまった。ぐぬう。
「どっせーい!」
猪々子によって再び抉られる大地。そして巻き起こる土煙。その中から斗詩が接近して連撃を加える。
次々と死角に回り込み攻撃を加える俺たちの動きはまさに三位一体。そのコンビネーションは恋を少しずつ、少しずつ追い詰めていく。無論、一度でもしくじれば即死につながるという危険極まりない綱渡りなのではあるが。
「うし!」
思わず歓声を漏らしてしまう。
紅い筋が一筋恋の身体に刻まれている。糸のように細いそれは確かに一撃が届いたという証。斗詩の双剣が届いたのだ。
「いける!」
恋に向けて幾度三尖刀を振るったか分からない。だが、今度は届く。その確信がある。
ここぞとばかりに斗詩が死力を尽くして恋を追い詰める。もう一筋、今度は恋の脇腹に紅い筋が。
「殺った!」
「ちぇすとおおおおおおおおおおおお!」
全力での俺の一撃。脳天目がけて三尖刀を振り下ろす。文字通りの全力全開の一撃。その一撃を恋は難なく躱す。身をよじるだけで。
うん、知ってた。
「ちぇいぃ!」
地面に三尖刀を叩きつけた反動を利用してもう一撃食らわす。横薙ぎの一撃。
「秘剣、燕返し!」
流石に三撃を同時展開なんていう人間離れした剣技なんて俺にはない。これが精いっぱい。
無理やりな軌道での連撃は、だが恋には届かない。バックステップ一つ。なんつー超反応だよ!
全力の一撃であったので俺の身体は今度こそ完全に流れてしまった。
「……覚悟」
ゆらり、と身を揺るがして恋が奉天画戟を振り上げる。このままでは間違いなく脳天からばっさりであろう。
が。
「斬山刀、斬山斬!」
恋の死角に回り込んでいた猪々子がその大刀を渾身の力で振り下ろす。
一か八かの大振りの一撃。
「――!」
サイドステップ一つ。恋の身には届かず、斬山刀は大地を抉る。
豪快に土煙が巻き起こり、視界が妨げられる。そしてそれを煙幕代わりに離脱しようとする猪々子を恋は逃がさず追撃。流石、速い!
「はぁっ!」
だが、土煙は猪々子の離脱用じゃあない。奉天画戟を振りかぶる恋に迫る斗詩をこそ隠すためなのだ。
裂帛の気合いを響かせて双剣を振るう。
「やったか!」
確かに斗詩の双剣が恋の身体を捉えた……と見えたのだが、間一髪、紙一重で躱す。
「しぃっ!」
だが、斗詩の攻撃は連撃、そして相手を追い込む運足の妙が持ち味。更に舞うが如く追撃を加える。躱す恋の動きは斗詩とは対照的に野生の獣を思わせる。
「くっ!」
舞いながら、双剣の軌道を捻じ曲げ、恋の体幹部分。回避しづらい部位に斬撃を次々と繰り出すのだが、少しずつ恋が対応し始める。
流石の斗詩の連撃が勢い弱まってくる。あの連撃は無酸素運動を続けるものだからそれほど長く続けることはできない。
だが、それで十分。斗詩は確実に獲物を追い込んでいる。
既に恋の死角を押さえた!五臓六腑に気合いを込めて、迸る裂帛の咆哮。
「ちぇすとおおおおおおおおおおおおおお!」
俺が全力の一撃を振るう。完全に入ったと思ったのだが。
「これが当たらんのか!」
二の太刀も躱されてしまった。ぐぬう。
「どっせーい!」
猪々子によって再び抉られる大地。そして巻き起こる土煙。その中から斗詩が接近して連撃を加える。
次々と死角に回り込み攻撃を加える俺たちの動きはまさに三位一体。そのコンビネーションは恋を少しずつ、少しずつ追い詰めていく。無論、一度でもしくじれば即死につながるという危険極まりない綱渡りなのではあるが。
「うし!」
思わず歓声を漏らしてしまう。
紅い筋が一筋恋の身体に刻まれている。糸のように細いそれは確かに一撃が届いたという証。斗詩の双剣が届いたのだ。
「いける!」
恋に向けて幾度三尖刀を振るったか分からない。だが、今度は届く。その確信がある。
ここぞとばかりに斗詩が死力を尽くして恋を追い詰める。もう一筋、今度は恋の脇腹に紅い筋が。
「殺った!」
365:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/06(月) 22:15:42.06:ST1CGF8G0 (3/6)
いかに恋の身体能力が化け物じみていても流石に三尖刀の全力の一撃を喰らえばひとたまりもない。はずだ。あの飛将軍に届く。俺の一撃が届く。そう確信してにやり、と口が歪むのすら認識しながら三尖刀を振り下ろす。
「な――!」
その腕から急速に力が抜けていく。いや、腕だけではない。全身を脱力感が襲う。くそ!時間切れか!
三尖刀がもたらしてくれていたブーストの効果が切れ、代わってその副作用が顕現してしまう。
「畜生!」
それでもなんとか、なんとかこの一撃だけはと振り下ろそうとするのだが。
恋は生まれた隙を見逃してはくれない。瞬時に間合いを詰め、蹴りを放ってくる。
「が、は!」
鈍い音が全身に響き、盛大に吹っ飛ばされる。
「二郎さん!」
「アニキ!」
斗詩と猪々子が悲鳴を上げ、すぐさま俺の前に立って恋に向かい合う。
二人とも乱れそうな呼吸を必死で整えようとし、それぞれの武器を構える。だが、一度切れた緊張の糸はもはやつながることは無い。
「……結構、強かった。でも、終わり」
奉天画戟を手にした恋がゆっくりと近づいてくる。
風が仕掛けた洛陽での物流の混乱による飢餓。長弓部隊による面制圧。秋蘭による乗騎の射殺。
それもこれも全部恋の弱体化、疲労を誘うそのためだけに為されていた。あんだけ何回も奉天画戟を振るい、その足で全力疾走を続けて間違いなく消耗しているはず。だのにそれでも、三人がかりでも届かなかった。
だが。
「まだだ、まだ終わらんよ!」
切り札は最後に切るもの。主役は最後に出張るもの。俺たち三人が挑んだのも仕掛けに過ぎない。恋に更なる消耗を強いるための一手。いや、危険すぎると稟ちゃんさんには呆れられたけどね。
いやだって兵卒万単位で投入とかしたらそりゃ消耗を強いれるかもしらんけど乱戦で恋を捕捉するなんて不可能じゃん。だからこれしかなかった、と個人的には思っている。
そして、腹部の痛みに顔をしかめながらも、叫ぶ。いや、これアバラ何本かやられてるんじゃないかな。
「星!出ませい!」
痛みをこらえつつ、今の俺に出せる精一杯声を張り上げる。
「全く、無茶をなさる。出番があるのは喜ばしいのですが、正直肝を冷やしましたぞ」
真打、登場である。
手にした愛槍龍牙を一つしごき、高らかに名乗りを上げる。
「常山の昇り竜にて紀家一の将、趙子龍。推して参る!
一手、馳走になる!」
いかに恋の身体能力が化け物じみていても流石に三尖刀の全力の一撃を喰らえばひとたまりもない。はずだ。あの飛将軍に届く。俺の一撃が届く。そう確信してにやり、と口が歪むのすら認識しながら三尖刀を振り下ろす。
「な――!」
その腕から急速に力が抜けていく。いや、腕だけではない。全身を脱力感が襲う。くそ!時間切れか!
三尖刀がもたらしてくれていたブーストの効果が切れ、代わってその副作用が顕現してしまう。
「畜生!」
それでもなんとか、なんとかこの一撃だけはと振り下ろそうとするのだが。
恋は生まれた隙を見逃してはくれない。瞬時に間合いを詰め、蹴りを放ってくる。
「が、は!」
鈍い音が全身に響き、盛大に吹っ飛ばされる。
「二郎さん!」
「アニキ!」
斗詩と猪々子が悲鳴を上げ、すぐさま俺の前に立って恋に向かい合う。
二人とも乱れそうな呼吸を必死で整えようとし、それぞれの武器を構える。だが、一度切れた緊張の糸はもはやつながることは無い。
「……結構、強かった。でも、終わり」
奉天画戟を手にした恋がゆっくりと近づいてくる。
風が仕掛けた洛陽での物流の混乱による飢餓。長弓部隊による面制圧。秋蘭による乗騎の射殺。
それもこれも全部恋の弱体化、疲労を誘うそのためだけに為されていた。あんだけ何回も奉天画戟を振るい、その足で全力疾走を続けて間違いなく消耗しているはず。だのにそれでも、三人がかりでも届かなかった。
だが。
「まだだ、まだ終わらんよ!」
切り札は最後に切るもの。主役は最後に出張るもの。俺たち三人が挑んだのも仕掛けに過ぎない。恋に更なる消耗を強いるための一手。いや、危険すぎると稟ちゃんさんには呆れられたけどね。
いやだって兵卒万単位で投入とかしたらそりゃ消耗を強いれるかもしらんけど乱戦で恋を捕捉するなんて不可能じゃん。だからこれしかなかった、と個人的には思っている。
そして、腹部の痛みに顔をしかめながらも、叫ぶ。いや、これアバラ何本かやられてるんじゃないかな。
「星!出ませい!」
痛みをこらえつつ、今の俺に出せる精一杯声を張り上げる。
「全く、無茶をなさる。出番があるのは喜ばしいのですが、正直肝を冷やしましたぞ」
真打、登場である。
手にした愛槍龍牙を一つしごき、高らかに名乗りを上げる。
「常山の昇り竜にて紀家一の将、趙子龍。推して参る!
一手、馳走になる!」
366:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/06(月) 22:16:08.34:ST1CGF8G0 (4/6)
◆◆◆
ようやっとの出番である。趙雲は軽やかに舞台に躍り出る。
不敵で無敵。そう嘯(うそぶ)く常と変らずに、笑みを浮かべ愛槍龍牙をしごきあげる。
だが内心穏やかではいられない。
何となれば主と定める青年、そしてその傍らにある二人は袁家の宿将たる人物。なぜ自分がその場にいないかと内心臍を噛む思いなのだ。
いや、理解はしているのだ。してしまっている。
過日見た飛将軍の武威。それは趙雲をして手の届かない所に感じられるほどに遠いものであった。最強を見せたかったという主の言を受けて尚、その隔絶した差に絶望さえ覚えたほどだ。だが。
お前ならば至ることが出来ると、閨で囁かれた時に趙雲は決意した。そして理解した。
自分の主は本気であの飛将軍、人中の呂布に克つことを求めているのだと。自分ならばできると本気で思っているのだと。
それを理解して後、趙雲は愛してやまなかった酒すら断ったのである。
多忙な紀霊や顔良、文醜とは中々手合せできなかったが、典韋や楽進、陳蘭と暇さえあれば武を競った。
仮想敵はあくまで呂布。
ついには眠っているときにさえ呂布と打ち合うほどに武を追求する。
だが、それでも。それでも呂布には及ばない。あの日あの時見た呂布に及ばないのだ。
だから、だから主はこのように策を重ねたのだと趙雲は理解している。無論、不本意ではある。このように策を重ね、消耗を強いて得た勝利に意味はあるのか、と。
「勝てない戦はしない。だから袁家は最強なのです。
星、いいですか。そもそも貴方の武人としての誇りというものに私は何の価値も認めていません。
尊重くらいはしますがね。勝てないまでも負けないための策すら忌避しようというそれは百害あって一利なし。傍迷惑この上ないですね」
郭嘉は忌憚なく語ったものだ。自分に伝わると信じてだろう。そして自分がどのような思考回路で策を積み重ねるかを示して。
だが、と言葉を重ねる。そのような武人の誇りと言う奴すら自分は考慮して策を重ねていると。
「まあ、正々堂々と遣りあって袁家の武家三将と星、貴女が揃って討死しても構いません。それでも袁家は勝ちます。そのように策を重ねています。風と私がそうしているのです。ですから、貴女はお好きにしなさい。ええ、ご随意に」
甘えるな。
親友からのその言外の叱咤を趙雲は正しく受け止める。そして思い知るのだ。寄せられる期待の重さを。
紀霊自ら、他の二将まで動員して呂布の消耗を図るなぞ。いや、紀霊は笑っていたが。
「なに、恋の消耗を図るのはいい。だが、俺と斗詩と猪々子でかかるんだ。倒してしまっても構わんのだろう?」
冗談めかして笑ったあの声。
希代の演出家が拵えてくれた舞台なのだ。なにせ、黄巾の乱を率いたという三姉妹の舞台だって紀霊が助言を与えてからその飛躍が始まったと程立は漏らしていた。
だったら。
だったら、期待に応えねばならない。そして今の自分は程立、郭嘉の策を重ねて。
趙雲の目から見ても紀霊たち三人の連携は完璧であった。なのに呂布を討ち取るに至らない。だからこそ無様は晒せない。
最高の舞台をあつらえてくれたのだ。ならばそこにおいて蝶のように舞おう。そして蜂のように刺そう。
「常山の昇り竜にて紀家一の将、趙子龍。推して参る!」
そして、挑む。最強に。口元には優雅で、雄々しい笑みを。そして華麗な勝利こそが袁家にはきっと相応しい。
◆◆◆
先手を取ったのは趙雲である。猛る呂布が動くのを制するが如く槍を突き出す。舌打ちと共に呂布はそれを紙一重で躱す。
「はいはいはいはいー!」
連撃。けしてそれは神速ではないし洗練もされていない。
だがそれを呂布は躱すのに精一杯で反撃もできない。いや、それを趙雲が許さないのだ。
闘いは傍目には一方的にすら映るほどに趙雲が圧倒している、ように見える。
それまでの、紀霊との戦いとは打って変わって防戦一方、それも心底嫌そうな表情の呂布が呟く。
「お前、気持ち悪い」
にやり、と趙雲は笑う。
ああ、そうであろう、そうであろうとばかりに。
呂布の武。それは天性のもの。野生の獣が獲物を襲うときに無駄な所作がないように、呂布の動きには全く無駄がない。
ただ、振るう一撃が最適にして最強。生まれ持った強靭な肉体と獣の本能こそが呂布を最強たらしめているのである。
それに対し、呂布を襲う趙雲の一撃はそこまで鋭くもなく、重くもない。だというのに防戦一方。じりじりと下がり、いらいらとした様子の呂布を翻弄するが如くまた槍を振るう。
◆◆◆
ようやっとの出番である。趙雲は軽やかに舞台に躍り出る。
不敵で無敵。そう嘯(うそぶ)く常と変らずに、笑みを浮かべ愛槍龍牙をしごきあげる。
だが内心穏やかではいられない。
何となれば主と定める青年、そしてその傍らにある二人は袁家の宿将たる人物。なぜ自分がその場にいないかと内心臍を噛む思いなのだ。
いや、理解はしているのだ。してしまっている。
過日見た飛将軍の武威。それは趙雲をして手の届かない所に感じられるほどに遠いものであった。最強を見せたかったという主の言を受けて尚、その隔絶した差に絶望さえ覚えたほどだ。だが。
お前ならば至ることが出来ると、閨で囁かれた時に趙雲は決意した。そして理解した。
自分の主は本気であの飛将軍、人中の呂布に克つことを求めているのだと。自分ならばできると本気で思っているのだと。
それを理解して後、趙雲は愛してやまなかった酒すら断ったのである。
多忙な紀霊や顔良、文醜とは中々手合せできなかったが、典韋や楽進、陳蘭と暇さえあれば武を競った。
仮想敵はあくまで呂布。
ついには眠っているときにさえ呂布と打ち合うほどに武を追求する。
だが、それでも。それでも呂布には及ばない。あの日あの時見た呂布に及ばないのだ。
だから、だから主はこのように策を重ねたのだと趙雲は理解している。無論、不本意ではある。このように策を重ね、消耗を強いて得た勝利に意味はあるのか、と。
「勝てない戦はしない。だから袁家は最強なのです。
星、いいですか。そもそも貴方の武人としての誇りというものに私は何の価値も認めていません。
尊重くらいはしますがね。勝てないまでも負けないための策すら忌避しようというそれは百害あって一利なし。傍迷惑この上ないですね」
郭嘉は忌憚なく語ったものだ。自分に伝わると信じてだろう。そして自分がどのような思考回路で策を積み重ねるかを示して。
だが、と言葉を重ねる。そのような武人の誇りと言う奴すら自分は考慮して策を重ねていると。
「まあ、正々堂々と遣りあって袁家の武家三将と星、貴女が揃って討死しても構いません。それでも袁家は勝ちます。そのように策を重ねています。風と私がそうしているのです。ですから、貴女はお好きにしなさい。ええ、ご随意に」
甘えるな。
親友からのその言外の叱咤を趙雲は正しく受け止める。そして思い知るのだ。寄せられる期待の重さを。
紀霊自ら、他の二将まで動員して呂布の消耗を図るなぞ。いや、紀霊は笑っていたが。
「なに、恋の消耗を図るのはいい。だが、俺と斗詩と猪々子でかかるんだ。倒してしまっても構わんのだろう?」
冗談めかして笑ったあの声。
希代の演出家が拵えてくれた舞台なのだ。なにせ、黄巾の乱を率いたという三姉妹の舞台だって紀霊が助言を与えてからその飛躍が始まったと程立は漏らしていた。
だったら。
だったら、期待に応えねばならない。そして今の自分は程立、郭嘉の策を重ねて。
趙雲の目から見ても紀霊たち三人の連携は完璧であった。なのに呂布を討ち取るに至らない。だからこそ無様は晒せない。
最高の舞台をあつらえてくれたのだ。ならばそこにおいて蝶のように舞おう。そして蜂のように刺そう。
「常山の昇り竜にて紀家一の将、趙子龍。推して参る!」
そして、挑む。最強に。口元には優雅で、雄々しい笑みを。そして華麗な勝利こそが袁家にはきっと相応しい。
◆◆◆
先手を取ったのは趙雲である。猛る呂布が動くのを制するが如く槍を突き出す。舌打ちと共に呂布はそれを紙一重で躱す。
「はいはいはいはいー!」
連撃。けしてそれは神速ではないし洗練もされていない。
だがそれを呂布は躱すのに精一杯で反撃もできない。いや、それを趙雲が許さないのだ。
闘いは傍目には一方的にすら映るほどに趙雲が圧倒している、ように見える。
それまでの、紀霊との戦いとは打って変わって防戦一方、それも心底嫌そうな表情の呂布が呟く。
「お前、気持ち悪い」
にやり、と趙雲は笑う。
ああ、そうであろう、そうであろうとばかりに。
呂布の武。それは天性のもの。野生の獣が獲物を襲うときに無駄な所作がないように、呂布の動きには全く無駄がない。
ただ、振るう一撃が最適にして最強。生まれ持った強靭な肉体と獣の本能こそが呂布を最強たらしめているのである。
それに対し、呂布を襲う趙雲の一撃はそこまで鋭くもなく、重くもない。だというのに防戦一方。じりじりと下がり、いらいらとした様子の呂布を翻弄するが如くまた槍を振るう。
367:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/06(月) 22:16:34.12:ST1CGF8G0 (5/6)
◆◆◆
「なあ、アニキ。なんで呂布はやられっぱなしなんだ?
取り立てて速くもないし重くもなさそうな攻撃なのにさー」
怪訝そうに猪々子が俺に問いかけてくる。いや、答えてやりたいんだが今は呼吸をするのが精一杯。いやこれ何本肋骨持ってかれたのやら。蹴り一つでご覧の有様だよ!
代わって応えてくれたのは俺が背を預けている斗詩だ。声と共に柔らかいものが震える感覚が多少なりとも痛みを和らげてくれる。気がする。いえい。
「文ちゃん、駄目だよ。二郎さんは負傷されてるんだから」
「あ、そっかごめんね、アニキ」
ひらひらと手の平を振って気にするなと伝える。
「あれはね、恐らくだけど。後の先。
星さんは呂布が槍を振るうその予備動作を感じ取って先んじているんだと思う。
私だって理論は知ってたけど、まさか完成させていたなんて……」
後より出(い)でて先に穿つ。まさにカウンターの極みである。そりゃあさぞかし恋はやりにくかろう。自分が攻撃しようと思ったら敵の攻撃が迫っているのだから。
いや、そっから躱したり打ち返したりする恋の化け物っぷりもすごいんだが。
ただまあ、基本的に本能で動いている恋に対しては鬼札だろう。つか、人の技が恋に対して有効なのだと思うと胸に熱いものがこみ上げるよ。
「なるほどなー。以前アニキが言ってた奴かあ。でもまあ、押してはいるけど星も見た目以上に消耗してそうだなあ」
猪々子の言う通りである。いかに後の先で主導権を握っているとはいえあの恋の相手を一人でこなしているのだ。心身ともに消耗は激しいはずだ。しかも決め手に欠けているときたもんだ。いや、そんな中きっちりと猛攻を仕掛ける星はすごいわ。
「うん、そうだね。このままじゃ、ちょっと厳しいかも……」
悔しそうに斗詩が呟く。だが、現状俺らにできるのは見守ることくらいだ。
さて、どうしたものかと思っていると、けたたましい銅鑼の音が響く。どうやらここではないどこかで戦局が動いたようである。
◆◆◆
「なあ、アニキ。なんで呂布はやられっぱなしなんだ?
取り立てて速くもないし重くもなさそうな攻撃なのにさー」
怪訝そうに猪々子が俺に問いかけてくる。いや、答えてやりたいんだが今は呼吸をするのが精一杯。いやこれ何本肋骨持ってかれたのやら。蹴り一つでご覧の有様だよ!
代わって応えてくれたのは俺が背を預けている斗詩だ。声と共に柔らかいものが震える感覚が多少なりとも痛みを和らげてくれる。気がする。いえい。
「文ちゃん、駄目だよ。二郎さんは負傷されてるんだから」
「あ、そっかごめんね、アニキ」
ひらひらと手の平を振って気にするなと伝える。
「あれはね、恐らくだけど。後の先。
星さんは呂布が槍を振るうその予備動作を感じ取って先んじているんだと思う。
私だって理論は知ってたけど、まさか完成させていたなんて……」
後より出(い)でて先に穿つ。まさにカウンターの極みである。そりゃあさぞかし恋はやりにくかろう。自分が攻撃しようと思ったら敵の攻撃が迫っているのだから。
いや、そっから躱したり打ち返したりする恋の化け物っぷりもすごいんだが。
ただまあ、基本的に本能で動いている恋に対しては鬼札だろう。つか、人の技が恋に対して有効なのだと思うと胸に熱いものがこみ上げるよ。
「なるほどなー。以前アニキが言ってた奴かあ。でもまあ、押してはいるけど星も見た目以上に消耗してそうだなあ」
猪々子の言う通りである。いかに後の先で主導権を握っているとはいえあの恋の相手を一人でこなしているのだ。心身ともに消耗は激しいはずだ。しかも決め手に欠けているときたもんだ。いや、そんな中きっちりと猛攻を仕掛ける星はすごいわ。
「うん、そうだね。このままじゃ、ちょっと厳しいかも……」
悔しそうに斗詩が呟く。だが、現状俺らにできるのは見守ることくらいだ。
さて、どうしたものかと思っていると、けたたましい銅鑼の音が響く。どうやらここではないどこかで戦局が動いたようである。
368:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/06(月) 22:17:36.42:ST1CGF8G0 (6/6)
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
今回の草案は「VS呂布」でいs
よさげでかっこいいやつたのみまするよう
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
今回の草案は「VS呂布」でいs
よさげでかっこいいやつたのみまするよう
369:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2020/07/07(火) 15:39:18.82:99brJZgQo (1/1)
乙です
この、ここからの戦闘シーンが本当にカッコよくてずっと好きなのです
いやぁほんと、弱者たる人の技術が生まれもっての強者たる呂布に届くというのは熱くなりますよね
ということで題案ですが
『人技にて天才に挑む』
『星は昇りて、天に届くか』
みたいなかんじでー
乙です
この、ここからの戦闘シーンが本当にカッコよくてずっと好きなのです
いやぁほんと、弱者たる人の技術が生まれもっての強者たる呂布に届くというのは熱くなりますよね
ということで題案ですが
『人技にて天才に挑む』
『星は昇りて、天に届くか』
みたいなかんじでー
370:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/08(水) 05:59:03.46:cl8kAEE80 (1/1)
>>369
どもです。
>この、ここからの戦闘シーンが本当にカッコよくてずっと好きなのです
ありがとうございますー!気合い入れて作ったシーンなので嬉しい限りでございます
>いやぁほんと、弱者たる人の技術が生まれもっての強者たる呂布に届くというのは熱くなりますよね
原作での星ちゃんは、どこか諦めている風すら感じさせるムーブですからねえ
このまま折れずに進んで欲しいところです
>『人技にて天才に挑む』
>『星は昇りて、天に届くか』
ほむ。詩的でよきですね
ストックさせていただきます!
>>369
どもです。
>この、ここからの戦闘シーンが本当にカッコよくてずっと好きなのです
ありがとうございますー!気合い入れて作ったシーンなので嬉しい限りでございます
>いやぁほんと、弱者たる人の技術が生まれもっての強者たる呂布に届くというのは熱くなりますよね
原作での星ちゃんは、どこか諦めている風すら感じさせるムーブですからねえ
このまま折れずに進んで欲しいところです
>『人技にて天才に挑む』
>『星は昇りて、天に届くか』
ほむ。詩的でよきですね
ストックさせていただきます!
371:赤ペン:2020/07/09(木) 15:04:46.73:F0uvBfph0 (1/1)
乙でしたー。私はとても悲しい(ポロロン)
>>364
>>地面に三尖刀を叩きつけた反動を利用してもう一撃食らわす。横薙ぎの一撃。 脳天めがけて振り下ろした↓反動だと横薙ぎ→は難しいかな
○地面に三尖刀を叩きつけた反動を利用してもう一撃食らわす。切り上げの一撃。 ↗か↖だと思うので…反動を利用しないなら人外の膂力で可能かもですが(全力全開からの急制動)
>>ゆらり、と身を揺るがして恋が奉天画戟を振り上げる。 震えたの?
○ゆらり、と身を翻して恋が方天画戟を振り上げる。 それとも恋はバックステップしてたから【と距離を詰めて】とか【と歩を進めて】かな?
>>奉天画戟を振りかぶる恋に迫る斗詩をこそ隠すためなのだ。 それとも原作で奉天画戟って言ってる場面あったっけ?だとしたらごめんなさい
○方天画戟を振りかぶる恋に迫る斗詩をこそ隠すためなのだ。 一応モバゲの方の恋姫だと方天画戟なんだけど
>>流石の斗詩の連撃が勢い弱まってくる。 【勢い弱まる】って文章としては勢い良いね
○流石に斗詩の連撃も勢いが弱まってくる。 この場合【流石の斗詩】と言うまでもなく【恋】は格上なので(呂布の前では)と前に付けるつもりでこれでどうでしょう
>>紅い筋が一筋恋の身体に刻まれている。 【目から滴が一滴】みたいな微妙な違和感が
○紅い線が一筋恋の身体に刻まれている。 もしくは【赤い筋が一本】とかどうでしょう
>>365
>>奉天画戟を手にした恋がゆっくりと近づいてくる。 確かこれについては随分前にも言ったはずなんだけど
○方天画戟を手にした恋がゆっくりと近づいてくる。 ましてや前回>>359も…
>>あんだけ何回も奉天画戟を振るい、 方天画戟がゲシュタルト崩壊しそう
○あんだけ何回も方天画戟を振るい、 この悲しみは月詠の幸せな未来でないときっと晴れないなあ(ゲス顔)
>>痛みをこらえつつ、今の俺に出せる精一杯声を張り上げる。 喋り言葉としてはこれでもいいっちゃいいんですが
○痛みをこらえつつ、今の俺に出せる精一杯の声を張り上げる。 の方が良いと思います
>>366
>>だがそれを呂布は躱すのに精一杯で反撃もできない。 間違いではないですが文脈がちょっとゴチャットしてるような違和感が
○だが呂布はそれを躱すのに精一杯で反撃もできない。 もしくは【だがそれを躱すのに精一杯で呂布は反撃もできない。】の方が良いと思います
>>ただ、振るう一撃が最適にして最強。 前の文章が例えば【呂布の戦いには武の理が無い】みたいな否定のものならこれでいいんですが(ただ(し)、振るう~】みたいな
○ただ振るう一撃が最適にして最強。 そうではないので一息で言った方が良いと思います
>>367
>>代わって応えてくれたのは俺が背を預けている斗詩だ。 《出来る?》と言う問いに《出来る!》と言うのは答えですが
○代わって答えてくれたのは俺が背を預けている斗詩だ。 もしくは内心と言うか痛みに苦しんでる状況を考えれば
○俺が背を預けている斗詩が目くばせに応えてくれた。 阿吽の呼吸的な感じでこれもありか?
二郎は随分とフラグを建ててますなwお前そのセリフは一矢報いるけど途中退場のセリフやろがい!
多重次元屈折現象やらフラガラックやら運命好きね
人事を尽くして天才に克つ。か…二郎ちゃんに頼まれてつぶれ役を引き受けた二人とかあらゆるものを策のうちに練りこんで憎まれ役まで買って出た軍師とか見どころ満載やね
乙でしたー。私はとても悲しい(ポロロン)
>>364
>>地面に三尖刀を叩きつけた反動を利用してもう一撃食らわす。横薙ぎの一撃。 脳天めがけて振り下ろした↓反動だと横薙ぎ→は難しいかな
○地面に三尖刀を叩きつけた反動を利用してもう一撃食らわす。切り上げの一撃。 ↗か↖だと思うので…反動を利用しないなら人外の膂力で可能かもですが(全力全開からの急制動)
>>ゆらり、と身を揺るがして恋が奉天画戟を振り上げる。 震えたの?
○ゆらり、と身を翻して恋が方天画戟を振り上げる。 それとも恋はバックステップしてたから【と距離を詰めて】とか【と歩を進めて】かな?
>>奉天画戟を振りかぶる恋に迫る斗詩をこそ隠すためなのだ。 それとも原作で奉天画戟って言ってる場面あったっけ?だとしたらごめんなさい
○方天画戟を振りかぶる恋に迫る斗詩をこそ隠すためなのだ。 一応モバゲの方の恋姫だと方天画戟なんだけど
>>流石の斗詩の連撃が勢い弱まってくる。 【勢い弱まる】って文章としては勢い良いね
○流石に斗詩の連撃も勢いが弱まってくる。 この場合【流石の斗詩】と言うまでもなく【恋】は格上なので(呂布の前では)と前に付けるつもりでこれでどうでしょう
>>紅い筋が一筋恋の身体に刻まれている。 【目から滴が一滴】みたいな微妙な違和感が
○紅い線が一筋恋の身体に刻まれている。 もしくは【赤い筋が一本】とかどうでしょう
>>365
>>奉天画戟を手にした恋がゆっくりと近づいてくる。 確かこれについては随分前にも言ったはずなんだけど
○方天画戟を手にした恋がゆっくりと近づいてくる。 ましてや前回>>359も…
>>あんだけ何回も奉天画戟を振るい、 方天画戟がゲシュタルト崩壊しそう
○あんだけ何回も方天画戟を振るい、 この悲しみは月詠の幸せな未来でないときっと晴れないなあ(ゲス顔)
>>痛みをこらえつつ、今の俺に出せる精一杯声を張り上げる。 喋り言葉としてはこれでもいいっちゃいいんですが
○痛みをこらえつつ、今の俺に出せる精一杯の声を張り上げる。 の方が良いと思います
>>366
>>だがそれを呂布は躱すのに精一杯で反撃もできない。 間違いではないですが文脈がちょっとゴチャットしてるような違和感が
○だが呂布はそれを躱すのに精一杯で反撃もできない。 もしくは【だがそれを躱すのに精一杯で呂布は反撃もできない。】の方が良いと思います
>>ただ、振るう一撃が最適にして最強。 前の文章が例えば【呂布の戦いには武の理が無い】みたいな否定のものならこれでいいんですが(ただ(し)、振るう~】みたいな
○ただ振るう一撃が最適にして最強。 そうではないので一息で言った方が良いと思います
>>367
>>代わって応えてくれたのは俺が背を預けている斗詩だ。 《出来る?》と言う問いに《出来る!》と言うのは答えですが
○代わって答えてくれたのは俺が背を預けている斗詩だ。 もしくは内心と言うか痛みに苦しんでる状況を考えれば
○俺が背を預けている斗詩が目くばせに応えてくれた。 阿吽の呼吸的な感じでこれもありか?
二郎は随分とフラグを建ててますなwお前そのセリフは一矢報いるけど途中退場のセリフやろがい!
多重次元屈折現象やらフラガラックやら運命好きね
人事を尽くして天才に克つ。か…二郎ちゃんに頼まれてつぶれ役を引き受けた二人とかあらゆるものを策のうちに練りこんで憎まれ役まで買って出た軍師とか見どころ満載やね
372:俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU:2020/07/09(木) 21:28:25.18:adKo1iIT0 (1/1)
乙です。一ノ瀬さんと二郎さんと文ちゃん顔ちゃんに。
感想は書けないです。ひたすら引き込まれて一気読みしましたので。強いて言えば、二郎さん、文ちゃん、顔ちゃん、趙雲さん、呂布さん。
皆さんお疲れ様です、かな?
でも、呂布対趙雲はまだ続いているからこの対決も期待かな。
つか、呂布さん。これ終わったら、おじさんがお腹一杯中華料理御馳走してあげるから、死ぬんじゃないよ。いいね。
二郎さん、骨折なめてるとこの先で不具合出るからちゃんと固定して安静にしなさいよ。あとリハビリもしっかり。
武家だろうがブースト持ちだろうが基本は人間だからね。つか顔ちゃん、そのまま押さえときなさいよ。
無茶しやがって。がまるっと当てはまる場面ですな。
乙です。一ノ瀬さんと二郎さんと文ちゃん顔ちゃんに。
感想は書けないです。ひたすら引き込まれて一気読みしましたので。強いて言えば、二郎さん、文ちゃん、顔ちゃん、趙雲さん、呂布さん。
皆さんお疲れ様です、かな?
でも、呂布対趙雲はまだ続いているからこの対決も期待かな。
つか、呂布さん。これ終わったら、おじさんがお腹一杯中華料理御馳走してあげるから、死ぬんじゃないよ。いいね。
二郎さん、骨折なめてるとこの先で不具合出るからちゃんと固定して安静にしなさいよ。あとリハビリもしっかり。
武家だろうがブースト持ちだろうが基本は人間だからね。つか顔ちゃん、そのまま押さえときなさいよ。
無茶しやがって。がまるっと当てはまる場面ですな。
373:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/09(木) 21:48:50.99:cRY7Feyw0 (1/6)
>>371
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
いつもより多いな(当社比)。頑張るぞいっと。
>私はとても悲しい(ポロロン)
出たなトリスタン!うっせえお前を犯人です(暗黒翡翠)。
>二郎は随分とフラグを建ててますなw
お守りみたいなもんですねw ないとガチダイスロールが発生しますのでw
>お前そのセリフは一矢報いるけど途中退場のセリフやろがい!
パインサラダがないからセーフ。
>人事を尽くして天才に克つ。か…二郎ちゃんに頼まれてつぶれ役を引き受けた二人とかあらゆるものを策のうちに練りこんで憎まれ役まで買って出た軍師とか見どころ満載やね
三国志を題材にしたらその瞬間呂布と向かい合わないといけないですものねw
まあ、当初プロットでは稟ちゃんさんも星ちゃんも陣営にいないはずだったのです。
どうやって勝つんだろう(ノープラン)
あ、普通にデッドエンドですねw
>>372
俯瞰者さん、どもです。
>感想は書けないです。ひたすら引き込まれて一気読みしましたので。
やったぜ。何よりの感想です。嬉しいす。
>強いて言えば、二郎さん、文ちゃん、顔ちゃん、趙雲さん、呂布さん。皆さんお疲れ様です、かな?
今回に限っては、二郎ちゃんが一番身体張ったかもしれませんね。体当たりで恋ちゃんに挑んでくれましたw
>二郎さん、骨折なめてるとこの先で不具合出るからちゃんと固定して安静にしなさいよ。あとリハビリもしっかり。
あれ、痛いんですよね……っ。骨接ぐときは呻いてしまいましたわw
>武家だろうがブースト持ちだろうが基本は人間だからね。つか顔ちゃん、そのまま押さえときなさいよ。
声援ありがとうございますー!
無茶もせなあかんタイミングと言う奴ですね。三尖刀については、ほぼ全て固定イベントです。
それで勝てるかはともかくないと普通に死ぬのですw
頑張るぞいっと。
つか、お忙しいだろうさなかに、ありがとうございますー!
少しでも楽しんでいただけたなら幸いでございます
みんながんばろう
>>371
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
いつもより多いな(当社比)。頑張るぞいっと。
>私はとても悲しい(ポロロン)
出たなトリスタン!うっせえお前を犯人です(暗黒翡翠)。
>二郎は随分とフラグを建ててますなw
お守りみたいなもんですねw ないとガチダイスロールが発生しますのでw
>お前そのセリフは一矢報いるけど途中退場のセリフやろがい!
パインサラダがないからセーフ。
>人事を尽くして天才に克つ。か…二郎ちゃんに頼まれてつぶれ役を引き受けた二人とかあらゆるものを策のうちに練りこんで憎まれ役まで買って出た軍師とか見どころ満載やね
三国志を題材にしたらその瞬間呂布と向かい合わないといけないですものねw
まあ、当初プロットでは稟ちゃんさんも星ちゃんも陣営にいないはずだったのです。
どうやって勝つんだろう(ノープラン)
あ、普通にデッドエンドですねw
>>372
俯瞰者さん、どもです。
>感想は書けないです。ひたすら引き込まれて一気読みしましたので。
やったぜ。何よりの感想です。嬉しいす。
>強いて言えば、二郎さん、文ちゃん、顔ちゃん、趙雲さん、呂布さん。皆さんお疲れ様です、かな?
今回に限っては、二郎ちゃんが一番身体張ったかもしれませんね。体当たりで恋ちゃんに挑んでくれましたw
>二郎さん、骨折なめてるとこの先で不具合出るからちゃんと固定して安静にしなさいよ。あとリハビリもしっかり。
あれ、痛いんですよね……っ。骨接ぐときは呻いてしまいましたわw
>武家だろうがブースト持ちだろうが基本は人間だからね。つか顔ちゃん、そのまま押さえときなさいよ。
声援ありがとうございますー!
無茶もせなあかんタイミングと言う奴ですね。三尖刀については、ほぼ全て固定イベントです。
それで勝てるかはともかくないと普通に死ぬのですw
頑張るぞいっと。
つか、お忙しいだろうさなかに、ありがとうございますー!
少しでも楽しんでいただけたなら幸いでございます
みんながんばろう
374:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/09(木) 21:49:32.82:cRY7Feyw0 (2/6)
「なかなか、やるわね……」
くすり、と口に笑みを浮かべて曹操は薄く笑う。
戦場が供する喧騒を楽曲が如く、その音色を掌(たなごころ)の上で弄ぶ曹操。その讃辞は無論目前の敵兵に向けてのものではない。曹家一万、孫家五千。対するは五万という圧倒的な兵力を前に曹操は既に勝ちを確信している。
例えばこれを賈駆や董卓が率いていたならば話は別であるが、曹操自ら指揮をする曹家軍にとって数なぞ全く意味をなさない。少数を以って大軍を翻弄、撃破するその用兵の冴え。
それはこの瞬間は余技に過ぎない。
「楽しませてくれるものね……」
その視線の先にあるのは孫家軍である。
曹家軍一万と孫家軍五千。対する敵軍は五万。いささか兵数の差が大きすぎる。故に義勇軍を後詰、そして寡兵である孫家軍への編入を提案したのだが。
「お断りしますぅ」
陸遜に拒否されてしまった。曰く。義勇軍、我知らず。故に不要、と。
まあ、実にもっともな話ではあるのだが。
あるのだが。
「兵は孫家に押し付けて関羽だけ引っ張って来ようと思ったのだけれどもね」
そして関羽は客将として腕を振るうのだ。そして曹家軍の精兵を率いる喜びを知る。そしてこの自分の用兵の冴え。その命に従い、その指揮に心服するのだ。そのはずだったのだ。
それを。
「よくも台無しにしてくれたわね……」
だからこれは意趣返し。
曹操が相対するのは孫家軍。勿論直接矛を交える愚は犯さない。だから。
数十、数百の単位で孫家軍に敵軍を誘導しているだけである。陣の綻びそうな所に、陣形を維持する急所に、或いは伝令の通り道に兵を置く。
無論それは弱兵によるものではあるが、曹操が振るうそれは苛烈にして執拗。兵の逐次投入と波状攻撃の何が違うかと言うと、要は費やす兵数である。そしてそれは半ば無尽蔵に目の前にあるのだ。
「まだまだいくわよ?どこまで凌げるか、楽しみね」
不敵に笑い、曹操は戦場を支配する。そう、曹操によって戦場は支配されつつあった。
◆◆◆
「なかなか、やるわね……」
くすり、と口に笑みを浮かべて曹操は薄く笑う。
戦場が供する喧騒を楽曲が如く、その音色を掌(たなごころ)の上で弄ぶ曹操。その讃辞は無論目前の敵兵に向けてのものではない。曹家一万、孫家五千。対するは五万という圧倒的な兵力を前に曹操は既に勝ちを確信している。
例えばこれを賈駆や董卓が率いていたならば話は別であるが、曹操自ら指揮をする曹家軍にとって数なぞ全く意味をなさない。少数を以って大軍を翻弄、撃破するその用兵の冴え。
それはこの瞬間は余技に過ぎない。
「楽しませてくれるものね……」
その視線の先にあるのは孫家軍である。
曹家軍一万と孫家軍五千。対する敵軍は五万。いささか兵数の差が大きすぎる。故に義勇軍を後詰、そして寡兵である孫家軍への編入を提案したのだが。
「お断りしますぅ」
陸遜に拒否されてしまった。曰く。義勇軍、我知らず。故に不要、と。
まあ、実にもっともな話ではあるのだが。
あるのだが。
「兵は孫家に押し付けて関羽だけ引っ張って来ようと思ったのだけれどもね」
そして関羽は客将として腕を振るうのだ。そして曹家軍の精兵を率いる喜びを知る。そしてこの自分の用兵の冴え。その命に従い、その指揮に心服するのだ。そのはずだったのだ。
それを。
「よくも台無しにしてくれたわね……」
だからこれは意趣返し。
曹操が相対するのは孫家軍。勿論直接矛を交える愚は犯さない。だから。
数十、数百の単位で孫家軍に敵軍を誘導しているだけである。陣の綻びそうな所に、陣形を維持する急所に、或いは伝令の通り道に兵を置く。
無論それは弱兵によるものではあるが、曹操が振るうそれは苛烈にして執拗。兵の逐次投入と波状攻撃の何が違うかと言うと、要は費やす兵数である。そしてそれは半ば無尽蔵に目の前にあるのだ。
「まだまだいくわよ?どこまで凌げるか、楽しみね」
不敵に笑い、曹操は戦場を支配する。そう、曹操によって戦場は支配されつつあった。
◆◆◆
375:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/09(木) 21:49:58.84:cRY7Feyw0 (3/6)
「んー。中々にしつこいですねえ」
陸遜は小首を傾げて呟く。
いや、実際に執拗に妨害は続いている。正面の敵兵のみでなく、側面からの圧力にも対応せねばならない。それを孫家軍の首脳は理解しつつある。
……僚軍の不穏な動きに陸遜は即座に対応していた。いや、予測すらしていた。なんとなれば、あの紀霊が徹頭徹尾警戒する英傑。その為人(ひととなり)は彼の洞察――陸遜は紀霊の人物評について高く評価している――を閨においても根掘り葉掘り聞きだしている。
そして曹操から事前にあった提案。義勇軍の参戦について突っぱねた。一見穏やかそうな曹操の顔(かんばせ)に刹那浮かんだ凶相を見逃す陸遜ではない。なるほど。確かに理性的でありながらも激情家のようだと納得したものだ。
そしてその有能さについては語るに及ばず。前面の、ひたすら押し寄せる敵よりもむしろ側面より誘導されてくる敵兵の方が何倍も厄介である。
「でもでもー、無意味ですぅ」
陸遜は嬉々としながら矢継ぎ早に幾度目かの指示を飛ばす。臨機応変こそ孫家の本領。不安定な水上。風向き一つで変わる戦況。それに比べればなんとまあ読み易いことかと。
「穏、大丈夫?」
主の言葉に深く頷く。
「ええ、突如吹き荒れる東南の風と比べればどうということはありません。都合のいいことに、あれはこちらの弱点を的確に衝いてきます。
――故に備えは万全。
ご安心くださいな」
その言葉に頷きつつも孫権は眼前の戦況、そしてそれを可視化した盤から目を離さない。自分の用兵の才は甘寧に、軍略の才は陸遜に遠く及ばずとも。せめて現状の把握くらいはせねばならぬとばかりに目を凝らす。
その様に満足げに視線を一つ。そして陸遜は再び曹操と向き合う。そしてくすり、と笑う。兵の数は少なくとも孫家軍は精鋭。江南の地を、流血でもって治めてきたのだぞとばかりにお返しに弓の斉射をくれてやる。なに、一度ならば誤射で済まされる。済まさせる。
そしてこちらには切り札がある。こちらが挑発に乗らなければそう看破するかと思ったのだが。
いや、それをすら見越しているのだろうか。
「あらあら~。まだやりますか。んー。孫家を甘く見たことを後悔させてあげちゃいましょうかしらねえ~。
あまりこちらにばかり構っていたら、お手柄は孫家総取りしちゃいますけども」
くすくす、と陸遜は朗らかに笑う。その笑みに艶の色が混じっていく。嗚呼、この戦場を今や陸遜は認識している。把握している。なんという悦楽か。
欲情し、恍惚とした貌の彼女はいよいよその思考を研ぎ澄ましていくのだった。
◆◆◆
「んー。中々にしつこいですねえ」
陸遜は小首を傾げて呟く。
いや、実際に執拗に妨害は続いている。正面の敵兵のみでなく、側面からの圧力にも対応せねばならない。それを孫家軍の首脳は理解しつつある。
……僚軍の不穏な動きに陸遜は即座に対応していた。いや、予測すらしていた。なんとなれば、あの紀霊が徹頭徹尾警戒する英傑。その為人(ひととなり)は彼の洞察――陸遜は紀霊の人物評について高く評価している――を閨においても根掘り葉掘り聞きだしている。
そして曹操から事前にあった提案。義勇軍の参戦について突っぱねた。一見穏やかそうな曹操の顔(かんばせ)に刹那浮かんだ凶相を見逃す陸遜ではない。なるほど。確かに理性的でありながらも激情家のようだと納得したものだ。
そしてその有能さについては語るに及ばず。前面の、ひたすら押し寄せる敵よりもむしろ側面より誘導されてくる敵兵の方が何倍も厄介である。
「でもでもー、無意味ですぅ」
陸遜は嬉々としながら矢継ぎ早に幾度目かの指示を飛ばす。臨機応変こそ孫家の本領。不安定な水上。風向き一つで変わる戦況。それに比べればなんとまあ読み易いことかと。
「穏、大丈夫?」
主の言葉に深く頷く。
「ええ、突如吹き荒れる東南の風と比べればどうということはありません。都合のいいことに、あれはこちらの弱点を的確に衝いてきます。
――故に備えは万全。
ご安心くださいな」
その言葉に頷きつつも孫権は眼前の戦況、そしてそれを可視化した盤から目を離さない。自分の用兵の才は甘寧に、軍略の才は陸遜に遠く及ばずとも。せめて現状の把握くらいはせねばならぬとばかりに目を凝らす。
その様に満足げに視線を一つ。そして陸遜は再び曹操と向き合う。そしてくすり、と笑う。兵の数は少なくとも孫家軍は精鋭。江南の地を、流血でもって治めてきたのだぞとばかりにお返しに弓の斉射をくれてやる。なに、一度ならば誤射で済まされる。済まさせる。
そしてこちらには切り札がある。こちらが挑発に乗らなければそう看破するかと思ったのだが。
いや、それをすら見越しているのだろうか。
「あらあら~。まだやりますか。んー。孫家を甘く見たことを後悔させてあげちゃいましょうかしらねえ~。
あまりこちらにばかり構っていたら、お手柄は孫家総取りしちゃいますけども」
くすくす、と陸遜は朗らかに笑う。その笑みに艶の色が混じっていく。嗚呼、この戦場を今や陸遜は認識している。把握している。なんという悦楽か。
欲情し、恍惚とした貌の彼女はいよいよその思考を研ぎ澄ましていくのだった。
◆◆◆
376:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/09(木) 21:50:25.65:cRY7Feyw0 (4/6)
「みんな、がんばってー!」
応!とばかりに野太い声が応える。
激励する声の主は孫尚香。寡兵を以って大軍に挑む孫家軍の消耗は必然。その、歴戦の精鋭をもってしてもこれほど絶望的に兵数が開いた戦いを経験したことはない。
だからこそ孫尚香は最前線にその身を置いている。兵を率いることは甘寧に任せている。だから、単騎での鼓舞と遊撃がその使命。
孫家の愛くるしい三の姫の鼓舞に孫家軍の兵士はその身に力が沸き立つのを実感する。
「孫家万載!孫尚香様万歳!」
轟く雄叫び。孫家軍はその精強さを驚くほどに継続し、敵の波状攻撃を弾き返す。
「全く、孫家の血筋というのは……」
甘寧は最前線で剣を振るいながらそう思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。
一方孫尚香は治まらない。いや、このままではいけないという焦燥感すらある。だから更に前線に向かう。孫家の守護獣たる白虎に命じて前線に向かう。けして敵中に向かうなと姉から言われたことなぞ無かったかの如く。
「シャオの邪魔をすると、ひどいんだから!」
追走する周泰は嘆息する。或いは感嘆する。
そしてある時から孫尚香の動きの質が変わった。縦横無尽に駆け廻り、自陣を鼓舞する。そして敵陣を崩すのは変わらないのだが。
戦場を駆け、血に染まるほどに孫尚香は内より出でる本能に身を任せ、ついには敵陣に単騎で突撃する。
慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。ここで彼女を喪う訳にはいかないとばかりに。
「ええい!流石に孫家の息女は、やってくれる!」
甘寧は一声吠えて苛立ちを解放する。そして淡々と戦線を復旧させる。なに、孫家の血筋によって前線がかき回されるのは慣れっこだ。そして腹立たしいことに彼女らの一手はこの上なく有効なのだ。
「あんなもの、真似できるはずもない……」
そんな甘寧の嘆息なぞどこ吹く風か。孫尚香は敵中枢に単騎で切り込む。そして返り討ちにしてくれんとばかりに取り囲む敵兵は端的に言って不幸だったろう。
「GAAAAAAAAAAAAAA!」
孫家の守護獣たる白虎が咆哮する。それは圧倒的な存在感。生物としての階梯の差。捕食者と被捕食者の差。圧倒的なその立場の違う存在からの咆哮に周囲の兵は白目を剥き、失禁し失神する。その咆哮はいともたやすくその戦意を刈り取り、恐慌を与える。
「やっちゃえー!」
再度、咆哮。
砕ける戦意、士気は地に墜ちる。
そこに押し寄せるのは孫家の精兵。
かくして虎牢関守備兵の主力は大崩れすることになったのである。
「みんな、がんばってー!」
応!とばかりに野太い声が応える。
激励する声の主は孫尚香。寡兵を以って大軍に挑む孫家軍の消耗は必然。その、歴戦の精鋭をもってしてもこれほど絶望的に兵数が開いた戦いを経験したことはない。
だからこそ孫尚香は最前線にその身を置いている。兵を率いることは甘寧に任せている。だから、単騎での鼓舞と遊撃がその使命。
孫家の愛くるしい三の姫の鼓舞に孫家軍の兵士はその身に力が沸き立つのを実感する。
「孫家万載!孫尚香様万歳!」
轟く雄叫び。孫家軍はその精強さを驚くほどに継続し、敵の波状攻撃を弾き返す。
「全く、孫家の血筋というのは……」
甘寧は最前線で剣を振るいながらそう思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。
一方孫尚香は治まらない。いや、このままではいけないという焦燥感すらある。だから更に前線に向かう。孫家の守護獣たる白虎に命じて前線に向かう。けして敵中に向かうなと姉から言われたことなぞ無かったかの如く。
「シャオの邪魔をすると、ひどいんだから!」
追走する周泰は嘆息する。或いは感嘆する。
そしてある時から孫尚香の動きの質が変わった。縦横無尽に駆け廻り、自陣を鼓舞する。そして敵陣を崩すのは変わらないのだが。
戦場を駆け、血に染まるほどに孫尚香は内より出でる本能に身を任せ、ついには敵陣に単騎で突撃する。
慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。ここで彼女を喪う訳にはいかないとばかりに。
「ええい!流石に孫家の息女は、やってくれる!」
甘寧は一声吠えて苛立ちを解放する。そして淡々と戦線を復旧させる。なに、孫家の血筋によって前線がかき回されるのは慣れっこだ。そして腹立たしいことに彼女らの一手はこの上なく有効なのだ。
「あんなもの、真似できるはずもない……」
そんな甘寧の嘆息なぞどこ吹く風か。孫尚香は敵中枢に単騎で切り込む。そして返り討ちにしてくれんとばかりに取り囲む敵兵は端的に言って不幸だったろう。
「GAAAAAAAAAAAAAA!」
孫家の守護獣たる白虎が咆哮する。それは圧倒的な存在感。生物としての階梯の差。捕食者と被捕食者の差。圧倒的なその立場の違う存在からの咆哮に周囲の兵は白目を剥き、失禁し失神する。その咆哮はいともたやすくその戦意を刈り取り、恐慌を与える。
「やっちゃえー!」
再度、咆哮。
砕ける戦意、士気は地に墜ちる。
そこに押し寄せるのは孫家の精兵。
かくして虎牢関守備兵の主力は大崩れすることになったのである。
377:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/09(木) 21:52:03.79:cRY7Feyw0 (5/6)
◆◆◆
「兵が、引いていく……」
銅鑼の音と共に董家軍が退却を始めるのを見て北郷一刀は誰にともなく、呟く。
「張、呂の旗は無事、か……。霞も恋も、生き残ってくれたか……」
その声に劉備がにこやかに笑う。
「うん、みんな無事でよかった!よかったね!ご主人様!」
「ですがこれより追撃戦があります……。翠さんも白蓮さんも機動力では大陸屈指でしょう。虎牢関に入るまでの追撃が心配です……」
「あわわ……大丈夫だよ朱里ちゃん。
白蓮さんは恋さんを深追いしないと思う……。
殿に決死の恋さんがいたらそれだけで公孫の軍が瓦解するくらいの被害があると思うの……。
それより心配なのは霞さん……。きっと翠さんは、馬家軍は霞さんを討ち取るまで追撃をやめないと思う。
でも、神速と異名を取る霞さんなら、きっと逃げ切れる、と思う……」
頼れる軍師二人の言に頷きながらも胸を襲う焦燥に北郷一刀は今にも駆け出したくなる。そんな様子を見かねたか関羽が声をかける。
「よろしかったのですか?今の虎牢関ならばもぬけの空。我らのみでも隠密裏に落とすことは可能だったはず」
そしてその手柄と引き換えに董卓一派の助命を、という案を摂らなかったのは北郷一刀だ。
「ああ、朱里も雛里も虎牢関を落とすまでは容易いと読んでいたけどな。その後がどうにも難しいんだろ?」
「は、はい!虎牢関に迫った時に翻る劉の牙門旗。それはとても目立ちますし、分かり易いお手柄ではあります。
でも、そうなれば帰るところのない董家軍は殲滅されてしまいます。それに、虎牢関に籠った状況で紀霊さんと交渉しようにも伝手は白蓮さんくらいしかありません。
いえ、白蓮さんならば仲立ちをしてくれるとは思うのですが、虎牢関を盾にしての交渉というのはいかにも悪手です」
「朱里ちゃんの言う通りです。そして紀霊さんは私たちにいい感情を持っていません。交渉は難航するでしょう。
そして最悪、反董卓連合が私たちの籠る虎牢関を力づくで落としにかかる可能性だってあります。そうなれば結果は言うまでもありません」
苦渋の表情で暗鬱たる未来を語る軍師二人に関羽は黙らざるをえない。
だが、それでは誰も救えないのではないかと目で訴えかける。その視線を真正面から受け止めて北郷一刀は力強く頷く。
「大丈夫だ。なんとかなるさ。虎牢関に籠っても交渉材料には弱い。だったら、もっと凄い交渉材料を、武勲を手にしたらいい」
「ですが、一体、どうやって……」
関羽の疑問に北郷一刀は重々しく口を開く。
「なんとかなると、思う」
そして語る。伏せていた天の国について。自分がいかなる存在かということを。
「俺が桃香と一緒にいるっていうのは、きっと意味があると思うんだ。
だから、皆の力をこれからも貸してほしい」
皆が笑って暮らせる世の為に、と劉家軍首脳はその団結を新たにするのであった。
◆◆◆
「兵が、引いていく……」
銅鑼の音と共に董家軍が退却を始めるのを見て北郷一刀は誰にともなく、呟く。
「張、呂の旗は無事、か……。霞も恋も、生き残ってくれたか……」
その声に劉備がにこやかに笑う。
「うん、みんな無事でよかった!よかったね!ご主人様!」
「ですがこれより追撃戦があります……。翠さんも白蓮さんも機動力では大陸屈指でしょう。虎牢関に入るまでの追撃が心配です……」
「あわわ……大丈夫だよ朱里ちゃん。
白蓮さんは恋さんを深追いしないと思う……。
殿に決死の恋さんがいたらそれだけで公孫の軍が瓦解するくらいの被害があると思うの……。
それより心配なのは霞さん……。きっと翠さんは、馬家軍は霞さんを討ち取るまで追撃をやめないと思う。
でも、神速と異名を取る霞さんなら、きっと逃げ切れる、と思う……」
頼れる軍師二人の言に頷きながらも胸を襲う焦燥に北郷一刀は今にも駆け出したくなる。そんな様子を見かねたか関羽が声をかける。
「よろしかったのですか?今の虎牢関ならばもぬけの空。我らのみでも隠密裏に落とすことは可能だったはず」
そしてその手柄と引き換えに董卓一派の助命を、という案を摂らなかったのは北郷一刀だ。
「ああ、朱里も雛里も虎牢関を落とすまでは容易いと読んでいたけどな。その後がどうにも難しいんだろ?」
「は、はい!虎牢関に迫った時に翻る劉の牙門旗。それはとても目立ちますし、分かり易いお手柄ではあります。
でも、そうなれば帰るところのない董家軍は殲滅されてしまいます。それに、虎牢関に籠った状況で紀霊さんと交渉しようにも伝手は白蓮さんくらいしかありません。
いえ、白蓮さんならば仲立ちをしてくれるとは思うのですが、虎牢関を盾にしての交渉というのはいかにも悪手です」
「朱里ちゃんの言う通りです。そして紀霊さんは私たちにいい感情を持っていません。交渉は難航するでしょう。
そして最悪、反董卓連合が私たちの籠る虎牢関を力づくで落としにかかる可能性だってあります。そうなれば結果は言うまでもありません」
苦渋の表情で暗鬱たる未来を語る軍師二人に関羽は黙らざるをえない。
だが、それでは誰も救えないのではないかと目で訴えかける。その視線を真正面から受け止めて北郷一刀は力強く頷く。
「大丈夫だ。なんとかなるさ。虎牢関に籠っても交渉材料には弱い。だったら、もっと凄い交渉材料を、武勲を手にしたらいい」
「ですが、一体、どうやって……」
関羽の疑問に北郷一刀は重々しく口を開く。
「なんとかなると、思う」
そして語る。伏せていた天の国について。自分がいかなる存在かということを。
「俺が桃香と一緒にいるっていうのは、きっと意味があると思うんだ。
だから、皆の力をこれからも貸してほしい」
皆が笑って暮らせる世の為に、と劉家軍首脳はその団結を新たにするのであった。
378:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/09(木) 21:53:57.04:cRY7Feyw0 (6/6)
本日ここまですー感想とかくだしあー
タイトル案は「趨勢」
はい、よさげなのを求めております
「董卓軍、袁本初への強襲を断念して兵を退き、天の御遣い、天の国を語り救済を改めて誓う。」
講談ならこれなんだろうなあ(他力本願寺)
本日ここまですー感想とかくだしあー
タイトル案は「趨勢」
はい、よさげなのを求めております
「董卓軍、袁本初への強襲を断念して兵を退き、天の御遣い、天の国を語り救済を改めて誓う。」
講談ならこれなんだろうなあ(他力本願寺)
379:赤ペン:2020/07/11(土) 18:00:24.09:BBVBboHJ0 (1/2)
乙でしたー…一応できれば奉天牙戟について回答願いたい…悲しいなあ
>>374
>>まあ、実にもっともな話ではあるのだが。 好みの話ですが大切な事だから2回言ったなら同じ行にした方が良いかと
あるのだが。
○まあ、実にもっともな話ではあるのだ。 もしくは一回目は否定を入れないか
あるのだが。
○まあ、実にもっともな話ではあるのだが。あるのだが。 まあ間違いと言うほどではないですが
>>376
>>甘寧は最前線で剣を振るいながらそう思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。 【そう思う】だと前の文にかかるので
○甘寧は最前線で剣を振るいながらそう呟く。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。 もしくは【嘆息する】とかするか
○甘寧は最前線で剣を振るいながら思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。 後の文にかけるならこうですね
ちょっと風呂入ってきます…そのまま飯かな?
乙でしたー…一応できれば奉天牙戟について回答願いたい…悲しいなあ
>>374
>>まあ、実にもっともな話ではあるのだが。 好みの話ですが大切な事だから2回言ったなら同じ行にした方が良いかと
あるのだが。
○まあ、実にもっともな話ではあるのだ。 もしくは一回目は否定を入れないか
あるのだが。
○まあ、実にもっともな話ではあるのだが。あるのだが。 まあ間違いと言うほどではないですが
>>376
>>甘寧は最前線で剣を振るいながらそう思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。 【そう思う】だと前の文にかかるので
○甘寧は最前線で剣を振るいながらそう呟く。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。 もしくは【嘆息する】とかするか
○甘寧は最前線で剣を振るいながら思う。あの人望は。最前線で兵卒の士気をあそこまで操るのはまるで、と。かつて仕えた孫堅、そして孫策を連想させると。 後の文にかけるならこうですね
ちょっと風呂入ってきます…そのまま飯かな?
380:赤ペン:2020/07/11(土) 22:16:28.43:BBVBboHJ0 (2/2)
さて続きをば…ああそうだ前スレの685でも奉先については触れてたんですよ(にっこり
>>376
>>一方孫尚香は治まらない。 【気がおさまらない】という意味なら
〇一方孫尚香は収まらない。 【収拾がつかない】となるのでこれですね
>>慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。ここで彼女を喪う訳にはいかないとばかりに。 そりゃそうだよな(納得)だけどそれって孫家軍が「やべえよやべえよ」ってなってるから状況としては尚香ミスってるよね
〇慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。彼女の進む先にこそ勝機があるとばかりに。 寡兵という状況でも引っ張られて勝利を確信できる、みたいな統率力としてはこうかな?
>>「GAAAAAAAAAAAAAA!」 ドラゴンとかならいいんだけど東洋の白虎でこれは…端的に言って好みでない(笑)
〇「牙呀荒昂鳴啼吼!」 使ってる漢字は適当ですが実際に使う場合は3,4つ【が】と【あ】を2つくらいがおすすめかな?【呀荒嗚呼嗚呼】とか【呀嗚嗚呼呼】とかって感じで
>>圧倒的なその立場の違う存在からの咆哮に ちょっと違和感が
〇圧倒的に立場の違うその存在からの咆哮に もしくは【立場の違う圧倒的なその存在からの咆哮に】の方が良いと思います
>>377
>>董卓一派の助命を、という案を摂らなかったのは北郷一刀だ。 【採決】と考えるか【執行】と考えるか…
〇董卓一派の助命を、という案を採らなかったのは北郷一刀だ。 【採用】か…一番楽なのは【取らなかった】だけど
>>「うん、みんな無事でよかった!( ^ω^)・・・ウン!ソウダナ!
>>紀霊さんと交渉しようにも伝手は白蓮さんくらいしかありません。 馬家のお嬢さんがものすごいいい笑顔で自分を指さすよ!よ!(もしもそれをやればほぼ確実に張遼を殺れてそれは本郷たちのおかげだと思うだろうしね!)
>>そして紀霊さんは私たちにいい感情を持っていません。 ご覧ください。本人の目の前で部下の勧誘をしたり厚かましい乞食をしてなお、良い土地に推挙されたり糧食を恵んでもらっておきながらこれですよ
いったいどんなトリックをもってすれば馬超と張遼が一緒に笑って過ごせる未来が来るというのか
ネームドはいないわ、董卓軍の大義名分は微妙だわ…董卓の人柄にひかれて部下になった人たちからすれば洛陽の現状は…ねえ。前回の汜水関があっさり落とされたことも併せて考えるとむしろよくここまでもったよ
さて続きをば…ああそうだ前スレの685でも奉先については触れてたんですよ(にっこり
>>376
>>一方孫尚香は治まらない。 【気がおさまらない】という意味なら
〇一方孫尚香は収まらない。 【収拾がつかない】となるのでこれですね
>>慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。ここで彼女を喪う訳にはいかないとばかりに。 そりゃそうだよな(納得)だけどそれって孫家軍が「やべえよやべえよ」ってなってるから状況としては尚香ミスってるよね
〇慌てて付近の兵が陣形が崩れるのも構わず追走する。彼女の進む先にこそ勝機があるとばかりに。 寡兵という状況でも引っ張られて勝利を確信できる、みたいな統率力としてはこうかな?
>>「GAAAAAAAAAAAAAA!」 ドラゴンとかならいいんだけど東洋の白虎でこれは…端的に言って好みでない(笑)
〇「牙呀荒昂鳴啼吼!」 使ってる漢字は適当ですが実際に使う場合は3,4つ【が】と【あ】を2つくらいがおすすめかな?【呀荒嗚呼嗚呼】とか【呀嗚嗚呼呼】とかって感じで
>>圧倒的なその立場の違う存在からの咆哮に ちょっと違和感が
〇圧倒的に立場の違うその存在からの咆哮に もしくは【立場の違う圧倒的なその存在からの咆哮に】の方が良いと思います
>>377
>>董卓一派の助命を、という案を摂らなかったのは北郷一刀だ。 【採決】と考えるか【執行】と考えるか…
〇董卓一派の助命を、という案を採らなかったのは北郷一刀だ。 【採用】か…一番楽なのは【取らなかった】だけど
>>「うん、みんな無事でよかった!( ^ω^)・・・ウン!ソウダナ!
>>紀霊さんと交渉しようにも伝手は白蓮さんくらいしかありません。 馬家のお嬢さんがものすごいいい笑顔で自分を指さすよ!よ!(もしもそれをやればほぼ確実に張遼を殺れてそれは本郷たちのおかげだと思うだろうしね!)
>>そして紀霊さんは私たちにいい感情を持っていません。 ご覧ください。本人の目の前で部下の勧誘をしたり厚かましい乞食をしてなお、良い土地に推挙されたり糧食を恵んでもらっておきながらこれですよ
いったいどんなトリックをもってすれば馬超と張遼が一緒に笑って過ごせる未来が来るというのか
ネームドはいないわ、董卓軍の大義名分は微妙だわ…董卓の人柄にひかれて部下になった人たちからすれば洛陽の現状は…ねえ。前回の汜水関があっさり落とされたことも併せて考えるとむしろよくここまでもったよ
381:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/12(日) 21:49:02.11:6q8F18s+0 (1/1)
>>379
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>方天画戟
ですね。これは完全に辞書が悪い(他責)
読み返してもなんかスルーしてましたね。いやあ、申し訳ない。
>ドラゴンとかならいいんだけど東洋の白虎でこれは…端的に言って好みでない(笑)
ほむん。
文字化しない方がええかもしれませんね。これは迷ったんだよなあ。
>ご覧ください。本人の目の前で部下の勧誘をしたり厚かましい乞食をしてなお、良い土地に推挙されたり糧食を恵んでもらっておきながらこれですよ
彼らなら言うという確信がございます。苦労もしてませんしね。
>いったいどんなトリックをもってすれば馬超と張遼が一緒に笑って過ごせる未来が来るというのか
お花畑でキャッキャウフフすればきっとおめめぐるぐるしてみんなしあわせ!
>前回の汜水関があっさり落とされたことも併せて考えるとむしろよくここまでもったよ
まさに、です。
>>379
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>方天画戟
ですね。これは完全に辞書が悪い(他責)
読み返してもなんかスルーしてましたね。いやあ、申し訳ない。
>ドラゴンとかならいいんだけど東洋の白虎でこれは…端的に言って好みでない(笑)
ほむん。
文字化しない方がええかもしれませんね。これは迷ったんだよなあ。
>ご覧ください。本人の目の前で部下の勧誘をしたり厚かましい乞食をしてなお、良い土地に推挙されたり糧食を恵んでもらっておきながらこれですよ
彼らなら言うという確信がございます。苦労もしてませんしね。
>いったいどんなトリックをもってすれば馬超と張遼が一緒に笑って過ごせる未来が来るというのか
お花畑でキャッキャウフフすればきっとおめめぐるぐるしてみんなしあわせ!
>前回の汜水関があっさり落とされたことも併せて考えるとむしろよくここまでもったよ
まさに、です。
382:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/14(火) 21:30:57.39:HaclHHix0 (1/4)
「おお、効く効く……」
脇腹に当てられた掌からじんわりと熱が伝わってくる。少しずつだが確実に痛みが引いていき、呼吸のたびに激痛が走っていたのがどんどん楽になっていく。極楽極楽生き返るぅ。
「そうか、それはよかった。しかし、無茶をする。下手をしていたら死んでいてもおかしくなかったぞ?」
そう言って文字通り手当てをしてくれているのは華佗である。
普通骨折とか月単位で治癒に時間が必要だと思うんだが、もう一刻もすれば痛みも完全に消えそうである。曰く、【気】のちょっとした応用、だそうである。【気】、半端ないって。そんなんできひんやん普通。
知ってたつもりだったが、実際自分の身で体験すると違うね。すごE。
これは習得に頑張ってもらわんといかんなと冗談混じりに言ったら、凪はえらく深刻な表情で頷いていた。いや、そんなに真に受けられても逆に申し訳ないんだが……。
閑話休題(それはともかく)。
……鳴り響いた銅鑼はどうやら退却の合図だったようで、恋も一瞬の隙を突いて戦場から離脱していた。流石に全力で逃げられると、流石の星でも追撃を諦めないといかんくらいであった。見事な逃げ足である。是非とも見習いたいものだ。
どうやら真正面でがっぷり四つに組んでいた曹家と孫家の軍が相手を潰走させたらしい。あれ、相当に数的不利だったはずなのだが。戦線を維持してくれたらいいか、くらいの割り振りだったのにね。詳細聞けば聞くほど華琳と穏がしゅごい。
もっと言うとシャオが頑張ったのがもっとしゅごいそうなんだが、意味が分からない。流石孫家の血筋ということだろうか。末恐ろしいことこの上ないやね。こわE。
馬家と公孫家は散々に追撃したらしい。流石に白蓮は引き際を心得ていたみたいだが、翠はもう、執念深く深追いしてしたたかに逆撃を喰らったそうな。まあ、想定内ではある。稟ちゃんさんの想定だけどな!
それはさておき、ちょっと心配なのは真桜である。えらい剣幕で俺のとこに来て、顔を見るなり「あほ!」ときたもんだ。それ以来不眠不休で工兵を指揮し自らも攻城兵器の再組立てと調整に奔走しているらしい。いかんよ、きちんと休まんと。と苦言を口にしようとしたんだが。
「……いえ、好きなようにやらせてあげてください。私も真桜の気持ちは分かります」
ここで稟ちゃんさんのインターセプトである。
ほむ?そんなもんかね。
と、首を傾げていたら一通り治療が終わったらしい。
「二、三日もすれば違和感もなくなると思う。思うが、余り無茶はするなよ」
そう言って立ち去る姿はマジイケメンである。野郎、凪に気の応用を教えるのはいいが粉かけたら許さんからな。
そういや、あいつ女の噂聞かないな。どうなってんだろう。
などと小物丸出しの益体もないことを考えていたら音もなく近寄った七乃が耳打ちしてくる。
「そうか、真桜にゃ悪いが攻城兵器の出番はなくなりそうだな」
降伏の使者として張遼自らが訪れたとのことである。
まあ、籠られてもこっちゃ力押しで完勝しちゃうからなあ。妥当な判断だろうて。
◆◆◆
「おお、効く効く……」
脇腹に当てられた掌からじんわりと熱が伝わってくる。少しずつだが確実に痛みが引いていき、呼吸のたびに激痛が走っていたのがどんどん楽になっていく。極楽極楽生き返るぅ。
「そうか、それはよかった。しかし、無茶をする。下手をしていたら死んでいてもおかしくなかったぞ?」
そう言って文字通り手当てをしてくれているのは華佗である。
普通骨折とか月単位で治癒に時間が必要だと思うんだが、もう一刻もすれば痛みも完全に消えそうである。曰く、【気】のちょっとした応用、だそうである。【気】、半端ないって。そんなんできひんやん普通。
知ってたつもりだったが、実際自分の身で体験すると違うね。すごE。
これは習得に頑張ってもらわんといかんなと冗談混じりに言ったら、凪はえらく深刻な表情で頷いていた。いや、そんなに真に受けられても逆に申し訳ないんだが……。
閑話休題(それはともかく)。
……鳴り響いた銅鑼はどうやら退却の合図だったようで、恋も一瞬の隙を突いて戦場から離脱していた。流石に全力で逃げられると、流石の星でも追撃を諦めないといかんくらいであった。見事な逃げ足である。是非とも見習いたいものだ。
どうやら真正面でがっぷり四つに組んでいた曹家と孫家の軍が相手を潰走させたらしい。あれ、相当に数的不利だったはずなのだが。戦線を維持してくれたらいいか、くらいの割り振りだったのにね。詳細聞けば聞くほど華琳と穏がしゅごい。
もっと言うとシャオが頑張ったのがもっとしゅごいそうなんだが、意味が分からない。流石孫家の血筋ということだろうか。末恐ろしいことこの上ないやね。こわE。
馬家と公孫家は散々に追撃したらしい。流石に白蓮は引き際を心得ていたみたいだが、翠はもう、執念深く深追いしてしたたかに逆撃を喰らったそうな。まあ、想定内ではある。稟ちゃんさんの想定だけどな!
それはさておき、ちょっと心配なのは真桜である。えらい剣幕で俺のとこに来て、顔を見るなり「あほ!」ときたもんだ。それ以来不眠不休で工兵を指揮し自らも攻城兵器の再組立てと調整に奔走しているらしい。いかんよ、きちんと休まんと。と苦言を口にしようとしたんだが。
「……いえ、好きなようにやらせてあげてください。私も真桜の気持ちは分かります」
ここで稟ちゃんさんのインターセプトである。
ほむ?そんなもんかね。
と、首を傾げていたら一通り治療が終わったらしい。
「二、三日もすれば違和感もなくなると思う。思うが、余り無茶はするなよ」
そう言って立ち去る姿はマジイケメンである。野郎、凪に気の応用を教えるのはいいが粉かけたら許さんからな。
そういや、あいつ女の噂聞かないな。どうなってんだろう。
などと小物丸出しの益体もないことを考えていたら音もなく近寄った七乃が耳打ちしてくる。
「そうか、真桜にゃ悪いが攻城兵器の出番はなくなりそうだな」
降伏の使者として張遼自らが訪れたとのことである。
まあ、籠られてもこっちゃ力押しで完勝しちゃうからなあ。妥当な判断だろうて。
◆◆◆
383:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/14(火) 21:31:25.32:HaclHHix0 (2/4)
「なんや、恋の本気の一撃喰ろうたて聞いたから死んだかと思たらえらい元気そうやないか」
「ご挨拶だな。まあ、こう見えて不死身なもんでね。あれしきの怪我、どうということはないのさ」
「ふうん。別に強がりってわけやなさそやな。ま、ええわ。
うちは七面倒くさい口上とかは苦手やさかい、単刀直入に用件を言うで」
まあ、用件自体は予想通りである。無条件降伏と言う奴だ。
「勝ち目があらへんからなあ。これ以上ついてきてくれた兵達を犠牲にするわけにもいかんわ。一か八かの博打にも負けてもうたしなあ」
せやから、と苦い笑みを浮かべながら言葉を繋ぐ。
「これ以上の抵抗は無意味やろ。月と賈駆っちにもまあ、義理は果たしたわ」
いっそさばさばと、張遼は呟く。そこには深い苦悩の跡が見て取れ、揶揄なぞできようはずもない。
「やからまあ、あんじょう頼むわ」
「おうよ。悪いようにはせん。知らん仲じゃないしな」
「ん、おおきに……」
用は済んだとばかりに去ろうとする俺に、らしくなく弱々しい声が届く。
「なあ、月と賈駆っち。なんとかならんか?」
きっとそれをずっと聞きたかったんだろう。そのために彼女らは必死になっていたんだろうし。だが、その問いに対する答えは決まっている。既に決まっているのだ。
「ならんな」
「……そ、か」
最早、是非もなし。
ただし、このろくでもない事態を引き起こした奴についてはきっちり落とし前をつけてやる。
らしくなく、悄然とした張遼を室に置いたまま室を辞する。そして俺はぎり、と歯を食いしばる。
虎牢関を落としたことに昂揚なんぞ欠片も感じない。最高にくそったれな気分である。
後は、洛陽をどうするかだけだな。
こっからはマジで慎重にいかんと、なあ。
「なんや、恋の本気の一撃喰ろうたて聞いたから死んだかと思たらえらい元気そうやないか」
「ご挨拶だな。まあ、こう見えて不死身なもんでね。あれしきの怪我、どうということはないのさ」
「ふうん。別に強がりってわけやなさそやな。ま、ええわ。
うちは七面倒くさい口上とかは苦手やさかい、単刀直入に用件を言うで」
まあ、用件自体は予想通りである。無条件降伏と言う奴だ。
「勝ち目があらへんからなあ。これ以上ついてきてくれた兵達を犠牲にするわけにもいかんわ。一か八かの博打にも負けてもうたしなあ」
せやから、と苦い笑みを浮かべながら言葉を繋ぐ。
「これ以上の抵抗は無意味やろ。月と賈駆っちにもまあ、義理は果たしたわ」
いっそさばさばと、張遼は呟く。そこには深い苦悩の跡が見て取れ、揶揄なぞできようはずもない。
「やからまあ、あんじょう頼むわ」
「おうよ。悪いようにはせん。知らん仲じゃないしな」
「ん、おおきに……」
用は済んだとばかりに去ろうとする俺に、らしくなく弱々しい声が届く。
「なあ、月と賈駆っち。なんとかならんか?」
きっとそれをずっと聞きたかったんだろう。そのために彼女らは必死になっていたんだろうし。だが、その問いに対する答えは決まっている。既に決まっているのだ。
「ならんな」
「……そ、か」
最早、是非もなし。
ただし、このろくでもない事態を引き起こした奴についてはきっちり落とし前をつけてやる。
らしくなく、悄然とした張遼を室に置いたまま室を辞する。そして俺はぎり、と歯を食いしばる。
虎牢関を落としたことに昂揚なんぞ欠片も感じない。最高にくそったれな気分である。
後は、洛陽をどうするかだけだな。
こっからはマジで慎重にいかんと、なあ。
384:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/14(火) 21:31:53.06:HaclHHix0 (3/4)
◆◆◆
さて、虎牢関を落としたら次は洛陽なのだが、一旦ここで足踏みである。なんせ董家軍の主力が降伏したんだから、これ以上干戈を交える必要はない。まさかに洛陽に攻め寄せるわけにもいかんからに。
虎牢関を落として一番助かったのは、洛陽とのやり取りにかかる時間が大幅に短縮されたことだ。メイン軍師たる風とのやり取りがスムーズになったのは本当に大きい。これには稟ちゃんさんもにっこりである。
ちなみに使者には毎回張?を派遣している。人材の無駄遣いと言うなかれ。ここのやり取りは本当に重要だから、万が一にも使者が途中でぶっ殺されたり買収されたりするわけにはいかんのである。
これが他の場合であれば何人も色んなルートで書状を送ったりするんだが、張?ならば問題はない。だって多分素で俺より強いしね。それに無論諜報畑だから色んな、俺の知らない機微にも通じているだろうし。うむ、餅は餅屋、である。
「随分と張?君を買ってらっしゃるんですねえ」
「うお!」
気配もなくいきなり耳元でふう、と息を吹きかけつつ囁いてきたのは七乃だ。前張家の当主であり、今も穏然と影響力を持っている。
と思う。
その隠密スキルは大したもんで、ここまで密着されるまでほんと察知できなかった。ガチで。
いや、俺の気配察知スキルが低いという説もあるけどね。
「脅かすなよ。寿命が縮んだかと思ったっての」
「おやおや。おやおやおや?
寿命が縮んだのはこっちですよ?まさかほんとにあの、人中の呂布と遣り合うとは思ってませんでしたからね。
いいですか?二郎さんは、二郎さんが思っている以上に重要人物なんですよ?死なれたら色々と困るんです」
にこにこしながらしなだれかかってその身体の柔らかさを伝えつつ耳をがじり、と齧るという高等テクニックを駆使しながらそんなことを言う。いやほんと、ごめんて。
「いやいや、俺もこんなところで死ぬつもりは全くなかったし。あれはあれで蓋然性があったし」
「ふうん?本気でそういうこと言ってるあたり救われませんねえ。美羽さまなんて、ほん
と、どれだけ枕を涙で濡らされたか。それだけでも万死に値しますよ?」
マジか。これは後でご機嫌伺いに行かんといかんなあ。嫌味混じりでもそういうことをきちんと伝えてくれる七乃にはマジ感謝である。流石袁家の諜報を一手に握っていただけのことはある。そういう機微は超一流だね。
いや、そういうのをきっちりしとかんと意外と組織の円滑な運用って難しいのよね。中元歳暮、年末年始の挨拶マジ重要ってなもんである。
とは言え、聞いてくれよ。
「だってさあ、恋を軍で迎え撃ったら見失って本陣への侵入を許したかもしれないじゃん。
それに、あの子万単位で兵の相手できちゃうからな。常備軍たる袁家の兵卒をそんなとこで使い捨てにはできんて」
徴兵したら揃うってわけじゃあない。時間も金もかけてるのだよ、袁家の兵には。何せ常備軍なんだから。
「六万の兵卒を使い捨てにしてもよかったと思いますけどね。個人的には。
ま、そこは二郎さんと私の認識の差でしょうね」
「まあ、最悪俺が討死してても袁家勝利は揺るがなかったろうしな。稟ちゃんさんも保証してくれたぞ?」
「ほう。あの女狐がそんなこと言って二郎さんをけしかけたのですか。これはいいこと聞いちゃいましたねー」
「え?俺余計なこと言った?」
「いいええ。そんなことはないですよ?ただ、ですねえ。二郎さんの価値について見解の相違があるというだけです。そうです。この戦いだけであればいいでしょうが、二郎さんがいなくなっちゃったら、結構めんどくさいことになるんですよ?」
ああ、そっか。紀家の跡継ぎとかいないしな。そういや文も顔もか。いや、軽挙妄動しちゃったかもわからんね。
「……分かってなさそうですねえ、その顔だと。ま、いいです。所詮些事ですから、貴重なお時間ですものね。失礼しちゃいました!」
いやいやいや。
「いや、ちょうどいい。呼ぼうと思ってたんだ」
「おや?珍しいですねえ。ああ、戦(いくさ)の後は激しいですもんね。
じゃあ、ちょっと失礼して……」
おもむろに服を脱ぎだそうとするのを慌てて止める。
「違う、違うから!いや、別にそれが嬉しくないってわけじゃあないけど、そうじゃなくて!そうじゃなくってだな!本当に相談したかったんだってばよ!」
こっから先について、な。
一応稟ちゃんさんには確認したし、これから風からの添削も来るとは思うが。やはり謀略と言えば七乃である。にこにことしたままの七乃に、俺が思う所を語ったわけである。
◆◆◆
さて、虎牢関を落としたら次は洛陽なのだが、一旦ここで足踏みである。なんせ董家軍の主力が降伏したんだから、これ以上干戈を交える必要はない。まさかに洛陽に攻め寄せるわけにもいかんからに。
虎牢関を落として一番助かったのは、洛陽とのやり取りにかかる時間が大幅に短縮されたことだ。メイン軍師たる風とのやり取りがスムーズになったのは本当に大きい。これには稟ちゃんさんもにっこりである。
ちなみに使者には毎回張?を派遣している。人材の無駄遣いと言うなかれ。ここのやり取りは本当に重要だから、万が一にも使者が途中でぶっ殺されたり買収されたりするわけにはいかんのである。
これが他の場合であれば何人も色んなルートで書状を送ったりするんだが、張?ならば問題はない。だって多分素で俺より強いしね。それに無論諜報畑だから色んな、俺の知らない機微にも通じているだろうし。うむ、餅は餅屋、である。
「随分と張?君を買ってらっしゃるんですねえ」
「うお!」
気配もなくいきなり耳元でふう、と息を吹きかけつつ囁いてきたのは七乃だ。前張家の当主であり、今も穏然と影響力を持っている。
と思う。
その隠密スキルは大したもんで、ここまで密着されるまでほんと察知できなかった。ガチで。
いや、俺の気配察知スキルが低いという説もあるけどね。
「脅かすなよ。寿命が縮んだかと思ったっての」
「おやおや。おやおやおや?
寿命が縮んだのはこっちですよ?まさかほんとにあの、人中の呂布と遣り合うとは思ってませんでしたからね。
いいですか?二郎さんは、二郎さんが思っている以上に重要人物なんですよ?死なれたら色々と困るんです」
にこにこしながらしなだれかかってその身体の柔らかさを伝えつつ耳をがじり、と齧るという高等テクニックを駆使しながらそんなことを言う。いやほんと、ごめんて。
「いやいや、俺もこんなところで死ぬつもりは全くなかったし。あれはあれで蓋然性があったし」
「ふうん?本気でそういうこと言ってるあたり救われませんねえ。美羽さまなんて、ほん
と、どれだけ枕を涙で濡らされたか。それだけでも万死に値しますよ?」
マジか。これは後でご機嫌伺いに行かんといかんなあ。嫌味混じりでもそういうことをきちんと伝えてくれる七乃にはマジ感謝である。流石袁家の諜報を一手に握っていただけのことはある。そういう機微は超一流だね。
いや、そういうのをきっちりしとかんと意外と組織の円滑な運用って難しいのよね。中元歳暮、年末年始の挨拶マジ重要ってなもんである。
とは言え、聞いてくれよ。
「だってさあ、恋を軍で迎え撃ったら見失って本陣への侵入を許したかもしれないじゃん。
それに、あの子万単位で兵の相手できちゃうからな。常備軍たる袁家の兵卒をそんなとこで使い捨てにはできんて」
徴兵したら揃うってわけじゃあない。時間も金もかけてるのだよ、袁家の兵には。何せ常備軍なんだから。
「六万の兵卒を使い捨てにしてもよかったと思いますけどね。個人的には。
ま、そこは二郎さんと私の認識の差でしょうね」
「まあ、最悪俺が討死してても袁家勝利は揺るがなかったろうしな。稟ちゃんさんも保証してくれたぞ?」
「ほう。あの女狐がそんなこと言って二郎さんをけしかけたのですか。これはいいこと聞いちゃいましたねー」
「え?俺余計なこと言った?」
「いいええ。そんなことはないですよ?ただ、ですねえ。二郎さんの価値について見解の相違があるというだけです。そうです。この戦いだけであればいいでしょうが、二郎さんがいなくなっちゃったら、結構めんどくさいことになるんですよ?」
ああ、そっか。紀家の跡継ぎとかいないしな。そういや文も顔もか。いや、軽挙妄動しちゃったかもわからんね。
「……分かってなさそうですねえ、その顔だと。ま、いいです。所詮些事ですから、貴重なお時間ですものね。失礼しちゃいました!」
いやいやいや。
「いや、ちょうどいい。呼ぼうと思ってたんだ」
「おや?珍しいですねえ。ああ、戦(いくさ)の後は激しいですもんね。
じゃあ、ちょっと失礼して……」
おもむろに服を脱ぎだそうとするのを慌てて止める。
「違う、違うから!いや、別にそれが嬉しくないってわけじゃあないけど、そうじゃなくて!そうじゃなくってだな!本当に相談したかったんだってばよ!」
こっから先について、な。
一応稟ちゃんさんには確認したし、これから風からの添削も来るとは思うが。やはり謀略と言えば七乃である。にこにことしたままの七乃に、俺が思う所を語ったわけである。
385:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/14(火) 21:32:44.96:HaclHHix0 (4/4)
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名案は
陥落
です
ええ感じのやつ、オナシャスる
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名案は
陥落
です
ええ感じのやつ、オナシャスる
386:赤ペン:2020/07/16(木) 12:16:57.99:nd/JbgFZ0 (1/1)
乙でしたー
>>382
>>普通骨折とか月単位で治癒に時間が必要だと思うんだが、もう一刻もすれば痛みも完全に消えそうである。 それが分かるとか医学の心得でもあるのか…抗生物質作らなきゃ!
○普通骨折とか月単位で治癒に時間が必要だと思うんだが、もう少しすれば痛みも完全に消えそうである。 もしくは【もう一刻もすれば痛みも完全に消えるそうである。】素人診断するなら時間はふわっと、時間を指定するなら華佗の診察によるものにした方が自然だと思います
>>流石に全力で逃げられると、流石の星でも追撃を諦めないといかんくらいであった。 【流石】が2階続くと違和感が
○恋に全力で逃げられると、流石の星でも追撃を諦めないといかんくらいであった。 もしくは【流石に全力で逃げられると、あの星でも】とかどうでしょう
>>えらい剣幕で俺のとこに来て、顔を見るなり「あほ!」ときたもんだ。 間違いじゃないよ?あくまでも好みの問題で
○えらい剣幕で俺のとこに来て、顔を見るなり「この、どあほう!」ときたもんだ。 むしろ【こん……ドあほう!】とかの方が雰囲気出るかな?
>>「六万の兵卒を使い捨てにしてもよかったと思いますけどね。個人的には。 あぁ~重い愛が心地よいんじゃあ…実はこれって下手したら6万が無駄死にして失敗する可能性があってなお言ってるよね…基本的に美羽様以外は自分も含めてみな平等に無価値と見てそうな彼女が二郎のことは美羽様の次あたりにおいてそうな良き描写でございました
一応ここからでもどちらかだけなら助ける道はあるんだけど…それしても助けられた方は救われないんだよなあ
両方を救う道はすごい無理をするしその後で一体どれだけの血が流れるかを思うと…二郎ちゃんは選ばないんだろうなあ
そういえば思ったんだけど二郎ちゃんを凡将呼ばわりしていいか微妙になったよね…少なくとも呂布に戦いを挑もうとするだけでネジ外れてるわ
そして分かってないんだろうけど君が呂布に打ち取られて、かつ呂布が君の遺体を持ち帰らなかった場合降伏の受け入れは…
乙でしたー
>>382
>>普通骨折とか月単位で治癒に時間が必要だと思うんだが、もう一刻もすれば痛みも完全に消えそうである。 それが分かるとか医学の心得でもあるのか…抗生物質作らなきゃ!
○普通骨折とか月単位で治癒に時間が必要だと思うんだが、もう少しすれば痛みも完全に消えそうである。 もしくは【もう一刻もすれば痛みも完全に消えるそうである。】素人診断するなら時間はふわっと、時間を指定するなら華佗の診察によるものにした方が自然だと思います
>>流石に全力で逃げられると、流石の星でも追撃を諦めないといかんくらいであった。 【流石】が2階続くと違和感が
○恋に全力で逃げられると、流石の星でも追撃を諦めないといかんくらいであった。 もしくは【流石に全力で逃げられると、あの星でも】とかどうでしょう
>>えらい剣幕で俺のとこに来て、顔を見るなり「あほ!」ときたもんだ。 間違いじゃないよ?あくまでも好みの問題で
○えらい剣幕で俺のとこに来て、顔を見るなり「この、どあほう!」ときたもんだ。 むしろ【こん……ドあほう!】とかの方が雰囲気出るかな?
>>「六万の兵卒を使い捨てにしてもよかったと思いますけどね。個人的には。 あぁ~重い愛が心地よいんじゃあ…実はこれって下手したら6万が無駄死にして失敗する可能性があってなお言ってるよね…基本的に美羽様以外は自分も含めてみな平等に無価値と見てそうな彼女が二郎のことは美羽様の次あたりにおいてそうな良き描写でございました
一応ここからでもどちらかだけなら助ける道はあるんだけど…それしても助けられた方は救われないんだよなあ
両方を救う道はすごい無理をするしその後で一体どれだけの血が流れるかを思うと…二郎ちゃんは選ばないんだろうなあ
そういえば思ったんだけど二郎ちゃんを凡将呼ばわりしていいか微妙になったよね…少なくとも呂布に戦いを挑もうとするだけでネジ外れてるわ
そして分かってないんだろうけど君が呂布に打ち取られて、かつ呂布が君の遺体を持ち帰らなかった場合降伏の受け入れは…
387:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/16(木) 20:37:18.73:54pRcYUb0 (1/1)
>>386
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>あぁ~重い愛が心地よいんじゃあ…
えへへ
>実はこれって下手したら6万が無駄死にして失敗する可能性があってなお言ってるよね…
これはその通りですね
>基本的に美羽様以外は自分も含めてみな平等に無価値と見てそうな彼女が二郎のことは美羽様の次あたりにおいてそうな良き描写でございました
貴重な?七乃さんのデレでございました。七乃さんが自覚してるかどうかは、どうなんでしょねw
>一応ここからでもどちらかだけなら助ける道はあるんだけど…それしても助けられた方は救われないんだよなあ
ほむ。どちらも覚悟完了してますからねえ。
>両方を救う道はすごい無理をするしその後で一体どれだけの血が流れるかを思うと…二郎ちゃんは選ばないんだろうなあ
おとぎ話の主人公なら、それでも両方救うのでしょうけどね。凡人だからね。ある意味諦めてますからね。
>そういえば思ったんだけど二郎ちゃんを凡将呼ばわりしていいか微妙になったよね…少なくとも呂布に戦いを挑もうとするだけでネジ外れてるわ
関羽とやり合ったり、呂布と弓比べしてるから(記憶曖昧)セーフ?
>そして分かってないんだろうけど君が呂布に打ち取られて、かつ呂布が君の遺体を持ち帰らなかった場合降伏の受け入れは…
こわや、こわや……っ!
>>386
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>あぁ~重い愛が心地よいんじゃあ…
えへへ
>実はこれって下手したら6万が無駄死にして失敗する可能性があってなお言ってるよね…
これはその通りですね
>基本的に美羽様以外は自分も含めてみな平等に無価値と見てそうな彼女が二郎のことは美羽様の次あたりにおいてそうな良き描写でございました
貴重な?七乃さんのデレでございました。七乃さんが自覚してるかどうかは、どうなんでしょねw
>一応ここからでもどちらかだけなら助ける道はあるんだけど…それしても助けられた方は救われないんだよなあ
ほむ。どちらも覚悟完了してますからねえ。
>両方を救う道はすごい無理をするしその後で一体どれだけの血が流れるかを思うと…二郎ちゃんは選ばないんだろうなあ
おとぎ話の主人公なら、それでも両方救うのでしょうけどね。凡人だからね。ある意味諦めてますからね。
>そういえば思ったんだけど二郎ちゃんを凡将呼ばわりしていいか微妙になったよね…少なくとも呂布に戦いを挑もうとするだけでネジ外れてるわ
関羽とやり合ったり、呂布と弓比べしてるから(記憶曖昧)セーフ?
>そして分かってないんだろうけど君が呂布に打ち取られて、かつ呂布が君の遺体を持ち帰らなかった場合降伏の受け入れは…
こわや、こわや……っ!
388:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/17(金) 07:28:17.89:HQeadq550 (1/6)
てすと
張?
てすと
張?
389:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/17(金) 07:28:43.85:HQeadq550 (2/6)
てすと
張郃
てすと
張郃
390:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/17(金) 07:46:21.14:HQeadq550 (3/6)
「おや、虎牢関が落ちましたか。予想より早かったですねえ。
しかし、二郎さん自ら矛を交えるというのはいただけません~。これ、誰もお止めしなかったのですか?」
小首を傾げる少女の表情は眠たげであり注意力散漫といった風ではあるが、それは擬態であろうと張郃は推測している。
なんとなれば目前の少女――程立――は単身洛陽に残り、後方より董家軍に有形無形の被害を与え続けていたのだから。まあ、その功績はごくごく限られた人物しか知ることはないであろうが。
「ふむ。紀家当主の強い意向とのことだったな。それに文、顔の当主までが賛同したならば否やはないだろう」
反対意見も根強くあったが、押し切られたというのが実際のところだと張郃は答える。
「それでは致し方ありませんね~。まあ、それは置いておきましょう」
そのような綱渡りをさせたのは自分にも責任があると程立は追及の手を緩める。内心忸怩たる思いはあるのだが、毛ほどにも顔には出さない。
「それでは参りましょう。護衛の方はお願いしますね?」
「ふむ。それは一向に構わんが……」
この期に及んで誰と会うのだという視線での問いにくふふ、と程立は笑う。
「今日は忙しいですよ~。まずは賈駆さんのところですねえ。それからはまあ。その後に決めましょうか~」
ふむ、と張郃は頷く。
「もとより異存はない。虎穴に入ったとしても、君一人くらいならばなんとでもしてみせよう」
「これは心強いですねえ。そのような事態は起こらないとは思いますが、その時はお願いします~」
にこやかに笑う程立。その胆力を目にして、張郃も感嘆の念を惜しまない。
そこいらの自称武人よりもよほど腹が据わっている。
「いえいえ、風は出が庶人ですから~。この程度は鉄火場とは言えません~」
頼りになる護衛もいますしね、と柔らかな笑みを浮かべて言う。
「そう言えば二郎さんと初めてお会いしたのも野盗に襲われて万事休す、という時だったのですよ。ええ。あの頃は毎日が生きるか死ぬかでしたねえ」
程立は刹那どこか遠くを見るような目つきをする。
「ふむ。鉄火場にて狼狽されるよりは余程いいな。では、参ろうか」
彼らが向かう先は紛れもなく戦場。血の一滴流れることもない戦場。だが、その結果いかんでは屍山血河が生じるであろう。
「はいはい、よろしくなのですよ~」
そのような気負いなぞ一切なく程立は含み笑いを一つ漏らすのみであった。
◆◆◆
「おや、虎牢関が落ちましたか。予想より早かったですねえ。
しかし、二郎さん自ら矛を交えるというのはいただけません~。これ、誰もお止めしなかったのですか?」
小首を傾げる少女の表情は眠たげであり注意力散漫といった風ではあるが、それは擬態であろうと張郃は推測している。
なんとなれば目前の少女――程立――は単身洛陽に残り、後方より董家軍に有形無形の被害を与え続けていたのだから。まあ、その功績はごくごく限られた人物しか知ることはないであろうが。
「ふむ。紀家当主の強い意向とのことだったな。それに文、顔の当主までが賛同したならば否やはないだろう」
反対意見も根強くあったが、押し切られたというのが実際のところだと張郃は答える。
「それでは致し方ありませんね~。まあ、それは置いておきましょう」
そのような綱渡りをさせたのは自分にも責任があると程立は追及の手を緩める。内心忸怩たる思いはあるのだが、毛ほどにも顔には出さない。
「それでは参りましょう。護衛の方はお願いしますね?」
「ふむ。それは一向に構わんが……」
この期に及んで誰と会うのだという視線での問いにくふふ、と程立は笑う。
「今日は忙しいですよ~。まずは賈駆さんのところですねえ。それからはまあ。その後に決めましょうか~」
ふむ、と張郃は頷く。
「もとより異存はない。虎穴に入ったとしても、君一人くらいならばなんとでもしてみせよう」
「これは心強いですねえ。そのような事態は起こらないとは思いますが、その時はお願いします~」
にこやかに笑う程立。その胆力を目にして、張郃も感嘆の念を惜しまない。
そこいらの自称武人よりもよほど腹が据わっている。
「いえいえ、風は出が庶人ですから~。この程度は鉄火場とは言えません~」
頼りになる護衛もいますしね、と柔らかな笑みを浮かべて言う。
「そう言えば二郎さんと初めてお会いしたのも野盗に襲われて万事休す、という時だったのですよ。ええ。あの頃は毎日が生きるか死ぬかでしたねえ」
程立は刹那どこか遠くを見るような目つきをする。
「ふむ。鉄火場にて狼狽されるよりは余程いいな。では、参ろうか」
彼らが向かう先は紛れもなく戦場。血の一滴流れることもない戦場。だが、その結果いかんでは屍山血河が生じるであろう。
「はいはい、よろしくなのですよ~」
そのような気負いなぞ一切なく程立は含み笑いを一つ漏らすのみであった。
◆◆◆
391:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/17(金) 07:46:47.29:HQeadq550 (4/6)
「……そう、虎牢関が落ちたの」
賈駆は嘆息する。伝令より早くもたらされたその悲報。それが意味するところを解さないほど鈍ってはいない。
「どれだけ袁家の諜報力は凄いのよ。まあ、今更だけどね。虎牢関失陥については今初めて聞いたわよボクは」
その一言でも千金の価値がある。どうやら賈駆はここに至って情報を出し惜しみするつもりはないようである。
「ではでは、単刀直入にいきましょかね~。
董卓さんはご無事ですか~?」
その言葉に賈駆は僅かに身を震わせながら首を横に振る。
ふむ、とばかりに程立は数瞬瞑目する。
双眸には深く隈が刻まれ、疲労の色がいかに濃くあろうとも賈駆の能力については高く評価しているのだ。
その彼女が、執金吾――洛陽の治安を司る役職である――の権限をもってしてもその足跡が掴めぬというのはどういうことかと。
そして、至る。
「――さて、かしこき方についても?」
その言葉に賈駆はバリ、と頭を掻きむしる。緑の黒髪が乱れるのを惜しいな、とあの青年ならば思うのであろうか。益体もないことを程立は思う。
「――初手でやられたわ。禁軍は皇甫嵩の手の内。禁裏にボクの手は及ばない」
「結構。ではこれにて失礼するのですよ~」
用は済んだとばかりに程立は室を辞そうとする。
「待って!」
「……何か?」
その、程立の問いに賈駆は口ごもる。
「え、その。ね。あの……」
いっそ優しい貌で程立は応える。
「後はお任せくださいな。ええ、後始末はきっちりと。それはもうきっちりと致しますから。
――二郎さんと、お会いする機会も作りましょうからに」
賈駆は瞠目し、しばし言葉を失う。そして辛うじて言葉を捻りだす。
「月を、よろしく。そして。
――二郎にも、よろしく伝えてちょうだい」
にこり、と無言で程立は踵を返す。ここからは時は千金に値するのだ。寸暇も無駄にできない。
「やれやれ、厄介なことなのですよ」
だがまあ、と思う。洛陽に踏みとどまっていたのは無駄ではなかったと。
矢継ぎ早に指示を出すそんな程立に張郃は無言で付き従う。寄り添う影のごとく。
「……そう、虎牢関が落ちたの」
賈駆は嘆息する。伝令より早くもたらされたその悲報。それが意味するところを解さないほど鈍ってはいない。
「どれだけ袁家の諜報力は凄いのよ。まあ、今更だけどね。虎牢関失陥については今初めて聞いたわよボクは」
その一言でも千金の価値がある。どうやら賈駆はここに至って情報を出し惜しみするつもりはないようである。
「ではでは、単刀直入にいきましょかね~。
董卓さんはご無事ですか~?」
その言葉に賈駆は僅かに身を震わせながら首を横に振る。
ふむ、とばかりに程立は数瞬瞑目する。
双眸には深く隈が刻まれ、疲労の色がいかに濃くあろうとも賈駆の能力については高く評価しているのだ。
その彼女が、執金吾――洛陽の治安を司る役職である――の権限をもってしてもその足跡が掴めぬというのはどういうことかと。
そして、至る。
「――さて、かしこき方についても?」
その言葉に賈駆はバリ、と頭を掻きむしる。緑の黒髪が乱れるのを惜しいな、とあの青年ならば思うのであろうか。益体もないことを程立は思う。
「――初手でやられたわ。禁軍は皇甫嵩の手の内。禁裏にボクの手は及ばない」
「結構。ではこれにて失礼するのですよ~」
用は済んだとばかりに程立は室を辞そうとする。
「待って!」
「……何か?」
その、程立の問いに賈駆は口ごもる。
「え、その。ね。あの……」
いっそ優しい貌で程立は応える。
「後はお任せくださいな。ええ、後始末はきっちりと。それはもうきっちりと致しますから。
――二郎さんと、お会いする機会も作りましょうからに」
賈駆は瞠目し、しばし言葉を失う。そして辛うじて言葉を捻りだす。
「月を、よろしく。そして。
――二郎にも、よろしく伝えてちょうだい」
にこり、と無言で程立は踵を返す。ここからは時は千金に値するのだ。寸暇も無駄にできない。
「やれやれ、厄介なことなのですよ」
だがまあ、と思う。洛陽に踏みとどまっていたのは無駄ではなかったと。
矢継ぎ早に指示を出すそんな程立に張郃は無言で付き従う。寄り添う影のごとく。
392:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/17(金) 07:47:28.63:HQeadq550 (5/6)
◆◆◆
「なんと、虎牢関がもう陥落したというのか」
嘆息交じりに劉協は瞑目する。西の函谷関と並び称され、天下に鳴り響いた要害がこうもあっさりと落とされるものかと。
「まあ、それは気にせぬがよいでしょう。なにせ守護するのが董家軍。かの軍は騎馬を以って敵を討つが本領です。もとより拠点の防御については不得手極まる」
相性が致命的に悪かったと皇甫嵩は首を振る。
彼の後ろに控える王允と李儒は身じろぎひとつせずに皇甫嵩と劉協のやり取りを注視している。
今や賈駆がなりふり構わずただ董卓の行方を追うことに全力を尽くしている現状、洛陽に於いて漢朝を動かしているのはこの二人である。政務を劉協が、治安や軍事――と言っても洛陽に限られるが――を皇甫嵩が担っている。
お世辞にも大過なく運営しているとは言い難いが、それでもいいというのが両者の共通した認識である。あくまで董卓が相国として全権を担っている。暴政ならば董卓の責任、うまく回ったら自分たちの尽力の成果ということだ。
「しかし、袁家の怒りは予想以上のようでした」
いささか芝居がかった仕草で皇甫嵩は肩をすくめる。
「む。まあ、無理もないか。当主自らが身の危険を感じての逃避行。聞けばあの豪奢な髪をも自ら切り捨てたとか。いや、もったいないことだ」
劉協はかつて見かけた袁紹の、光輝を背負うが如くに輝いていたその容貌を思い出して惜しむ。
「それだけではありません。董卓の手の者が袁紹殿の逗留地を襲った際に、かの匈奴大戦よりの古参の宿将雷薄、更には袁家の幹部候補生が多数討死しております。
あれは、いかにもまずかった」
せめて、やるならばきっちりと袁紹の首級を上げないと。それができないからこうなる。皇甫嵩は刹那その秀麗な顔を歪めるが、気を取り直して言葉を続ける。
「そう、袁家は本気です。勅すら無視するほどに」
「うむ、そのことよ。何進より事前に密勅があったというが真だろうか」
劉協は懸念を口にする。切り札の一つであった勅命。それをすら袁家はものともしない。勅を以って勅を制するなぞ埒外にもほどがある。
「……なんとも言えないですね。ただ、先ほど程立という人物と話しました。かの怨将軍紀霊の腹心です。何とも読めない人物でしたが……」
茫洋と、掴みどころのないその言動には流石の皇甫嵩もその真意を掴むのは容易ではなかった。無論それは意図的なものだ。
こと鉄火場修羅場をくぐるという意味において、程立の経験は皇甫嵩を遥かに凌ぐ。火花が散るようなその戦場での一挙手一投足に至るまで細心の計算に基づくものである。例え傍目にはいささか呑気な小娘に見えようとも。
その程立をして最大の警戒を抱かせる皇甫嵩こそ傑物であったろう。失意のどん底にある賈駆から情報を吸い出して尚、傍らに張郃を控えさせていたのは故あってのことなのだ。
けして程立は相手を甘く見ない。俯瞰し太極から見据えるのが彼女の本領だからして。
「ある程度の流血はやむを得ないでしょうね」
その言に胡乱げに劉協は問う。
「いささか抽象的だな。袁家は何を求めている?まさか帝位なぞということはなかろうな」
「袁家は北方の防壁にして漢朝の藩屏。そこは揺るぎませんよ。ただ、袁術殿が輿入れする以上、帝位は……」
「劉弁のものとなる、か」
苦さを隠そうともせずに劉弁は口惜しそうに嘆く。あの惰弱、無能、無気力の凡人に帝位を、至尊の座を再び与えねばならないのか、と。
「ですが、劉協様におかれましては陳留王の地位を用意する準備があるとのことでした」
隠居隠遁の必要もなしということである。むしろ、これからも漢朝に影響力を保てるということ。
「ふむ、中々に殊勝ではないか。いや、漢朝の行く末を見れば当然の判断か……」
つい先ほどまでは偽帝として討たれる可能性すらあった劉協は安堵する。なかなか袁家も分かっているではないか、と。
「ええ。ですがここは一度お姿を隠すべきかと思います。邪知暴虐の董卓とは無関係であるということを示すためにも。あれと一連托生する気はないのでしょう?」
可笑しげに、唄うような皇甫嵩の言に内心苦々しいものを感じながらも劉協は頷く。
「そう、だな。一時の雌伏。致し方あるまいて」
返り咲く際には、と劉協は思いを巡らす。
なに、宮中は如何様にもなる。宦官勢力は曹操が押さえるのであろうが、それはきっと袁家の掣肘により大幅に打撃を受けるだろう。
ならば、地力に勝るであろう自分が主導権を握ることができるはずだ。
同床異夢。ほぼ同じ思惑を抱いているのを知ってか知らずか。皇甫嵩と劉協は比較的穏やかにその場を後にするのであった。
◆◆◆
「なんと、虎牢関がもう陥落したというのか」
嘆息交じりに劉協は瞑目する。西の函谷関と並び称され、天下に鳴り響いた要害がこうもあっさりと落とされるものかと。
「まあ、それは気にせぬがよいでしょう。なにせ守護するのが董家軍。かの軍は騎馬を以って敵を討つが本領です。もとより拠点の防御については不得手極まる」
相性が致命的に悪かったと皇甫嵩は首を振る。
彼の後ろに控える王允と李儒は身じろぎひとつせずに皇甫嵩と劉協のやり取りを注視している。
今や賈駆がなりふり構わずただ董卓の行方を追うことに全力を尽くしている現状、洛陽に於いて漢朝を動かしているのはこの二人である。政務を劉協が、治安や軍事――と言っても洛陽に限られるが――を皇甫嵩が担っている。
お世辞にも大過なく運営しているとは言い難いが、それでもいいというのが両者の共通した認識である。あくまで董卓が相国として全権を担っている。暴政ならば董卓の責任、うまく回ったら自分たちの尽力の成果ということだ。
「しかし、袁家の怒りは予想以上のようでした」
いささか芝居がかった仕草で皇甫嵩は肩をすくめる。
「む。まあ、無理もないか。当主自らが身の危険を感じての逃避行。聞けばあの豪奢な髪をも自ら切り捨てたとか。いや、もったいないことだ」
劉協はかつて見かけた袁紹の、光輝を背負うが如くに輝いていたその容貌を思い出して惜しむ。
「それだけではありません。董卓の手の者が袁紹殿の逗留地を襲った際に、かの匈奴大戦よりの古参の宿将雷薄、更には袁家の幹部候補生が多数討死しております。
あれは、いかにもまずかった」
せめて、やるならばきっちりと袁紹の首級を上げないと。それができないからこうなる。皇甫嵩は刹那その秀麗な顔を歪めるが、気を取り直して言葉を続ける。
「そう、袁家は本気です。勅すら無視するほどに」
「うむ、そのことよ。何進より事前に密勅があったというが真だろうか」
劉協は懸念を口にする。切り札の一つであった勅命。それをすら袁家はものともしない。勅を以って勅を制するなぞ埒外にもほどがある。
「……なんとも言えないですね。ただ、先ほど程立という人物と話しました。かの怨将軍紀霊の腹心です。何とも読めない人物でしたが……」
茫洋と、掴みどころのないその言動には流石の皇甫嵩もその真意を掴むのは容易ではなかった。無論それは意図的なものだ。
こと鉄火場修羅場をくぐるという意味において、程立の経験は皇甫嵩を遥かに凌ぐ。火花が散るようなその戦場での一挙手一投足に至るまで細心の計算に基づくものである。例え傍目にはいささか呑気な小娘に見えようとも。
その程立をして最大の警戒を抱かせる皇甫嵩こそ傑物であったろう。失意のどん底にある賈駆から情報を吸い出して尚、傍らに張郃を控えさせていたのは故あってのことなのだ。
けして程立は相手を甘く見ない。俯瞰し太極から見据えるのが彼女の本領だからして。
「ある程度の流血はやむを得ないでしょうね」
その言に胡乱げに劉協は問う。
「いささか抽象的だな。袁家は何を求めている?まさか帝位なぞということはなかろうな」
「袁家は北方の防壁にして漢朝の藩屏。そこは揺るぎませんよ。ただ、袁術殿が輿入れする以上、帝位は……」
「劉弁のものとなる、か」
苦さを隠そうともせずに劉弁は口惜しそうに嘆く。あの惰弱、無能、無気力の凡人に帝位を、至尊の座を再び与えねばならないのか、と。
「ですが、劉協様におかれましては陳留王の地位を用意する準備があるとのことでした」
隠居隠遁の必要もなしということである。むしろ、これからも漢朝に影響力を保てるということ。
「ふむ、中々に殊勝ではないか。いや、漢朝の行く末を見れば当然の判断か……」
つい先ほどまでは偽帝として討たれる可能性すらあった劉協は安堵する。なかなか袁家も分かっているではないか、と。
「ええ。ですがここは一度お姿を隠すべきかと思います。邪知暴虐の董卓とは無関係であるということを示すためにも。あれと一連托生する気はないのでしょう?」
可笑しげに、唄うような皇甫嵩の言に内心苦々しいものを感じながらも劉協は頷く。
「そう、だな。一時の雌伏。致し方あるまいて」
返り咲く際には、と劉協は思いを巡らす。
なに、宮中は如何様にもなる。宦官勢力は曹操が押さえるのであろうが、それはきっと袁家の掣肘により大幅に打撃を受けるだろう。
ならば、地力に勝るであろう自分が主導権を握ることができるはずだ。
同床異夢。ほぼ同じ思惑を抱いているのを知ってか知らずか。皇甫嵩と劉協は比較的穏やかにその場を後にするのであった。
393:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/17(金) 07:48:03.59:HQeadq550 (6/6)
本日ここまですー感想とかくだしあー
タイトル案は「波紋」です
ええ感じのやついただけたら嬉しいんやなって
本日ここまですー感想とかくだしあー
タイトル案は「波紋」です
ええ感じのやついただけたら嬉しいんやなって
394:赤ペン:2020/07/18(土) 12:19:08.89:0mmXyFUK0 (1/1)
乙でしたー
>>392
>>せめて、やるならばきっちりと袁紹の首級を上げないと。それができないからこうなる。 前の言葉からすると
○せめて、やるならばきっちりと袁紹の首級を上げないと。それができないならば次に繋げるための布石にするべきだ。それすらできないからこうなる。 雷簿の死やら何やら…生け捕りにしてればまだ交渉材料になったのに…(なお覚悟完了の死兵…机上の空論ってやつだな
>>俯瞰し太極から見据えるのが彼女の本領だからして。 間違いではないですが好みとしては
○俯瞰し太極から見据えることこそが彼女の本領だからして。 とかどうでしょう
>>貴重な?七乃さんのデレでございました。七乃さんが自覚してるかどうかは、どうなんでしょねw
つ【袁家二の姫と女郎蜘蛛】 彼女はきっちりと二郎が自分にとって特別だと気付いていますですよ
>>関羽とやり合ったり、呂布と弓比べしてるから(記憶曖昧)セーフ?
水木しげるとか手塚治虫とか羽生善治とか織田信長とか徳川家康とかに転生した一般人が本人と同じことをできても中身は凡人認定するかっていうと…しないんじゃないかなあ?
>>茫洋と、掴みどころのないその言動には流石の皇甫嵩もその真意を掴むのは容易ではなかった。
真意を掴むのは容易ではなかった(掴めたものは真意とは言っていない)ですかね…見ているものが違い過ぎる凡人の考えを知らない以上彼女の目指すものを読み取るのは無理な気がする
李儒はともかく王允の立場がよく分からんな…ここまで知って良いというか知るべき立場なのか…能力があるのは分かるけどそれはそれとしてクーデターまがいのことに積極的に与する程権力好きって印象もないし首脳陣には組み込まれてないと思ってたけど違ったのか
乙でしたー
>>392
>>せめて、やるならばきっちりと袁紹の首級を上げないと。それができないからこうなる。 前の言葉からすると
○せめて、やるならばきっちりと袁紹の首級を上げないと。それができないならば次に繋げるための布石にするべきだ。それすらできないからこうなる。 雷簿の死やら何やら…生け捕りにしてればまだ交渉材料になったのに…(なお覚悟完了の死兵…机上の空論ってやつだな
>>俯瞰し太極から見据えるのが彼女の本領だからして。 間違いではないですが好みとしては
○俯瞰し太極から見据えることこそが彼女の本領だからして。 とかどうでしょう
>>貴重な?七乃さんのデレでございました。七乃さんが自覚してるかどうかは、どうなんでしょねw
つ【袁家二の姫と女郎蜘蛛】 彼女はきっちりと二郎が自分にとって特別だと気付いていますですよ
>>関羽とやり合ったり、呂布と弓比べしてるから(記憶曖昧)セーフ?
水木しげるとか手塚治虫とか羽生善治とか織田信長とか徳川家康とかに転生した一般人が本人と同じことをできても中身は凡人認定するかっていうと…しないんじゃないかなあ?
>>茫洋と、掴みどころのないその言動には流石の皇甫嵩もその真意を掴むのは容易ではなかった。
真意を掴むのは容易ではなかった(掴めたものは真意とは言っていない)ですかね…見ているものが違い過ぎる凡人の考えを知らない以上彼女の目指すものを読み取るのは無理な気がする
李儒はともかく王允の立場がよく分からんな…ここまで知って良いというか知るべき立場なのか…能力があるのは分かるけどそれはそれとしてクーデターまがいのことに積極的に与する程権力好きって印象もないし首脳陣には組み込まれてないと思ってたけど違ったのか
395:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2020/07/20(月) 00:00:03.99:8CW2ywaU0 (1/2)
otuです
一刀たちにはぜひ空気読まずにばっちょさんに袁家へのとりなしをお願いしてもらいたいのだが・・・董卓たちを救うために
otuです
一刀たちにはぜひ空気読まずにばっちょさんに袁家へのとりなしをお願いしてもらいたいのだが・・・董卓たちを救うために
396:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/20(月) 06:28:58.53:A34dce7M0 (1/7)
>>394
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>雷簿の死やら何やら…生け捕りにしてればまだ交渉材料になったのに…(なお覚悟完了の死兵…机上の空論ってやつだな
これはマジでそうです。
>水木しげるとか手塚治虫とか羽生善治とか織田信長とか徳川家康とかに転生した一般人が本人と同じことをできても
たとえがすごいw
熱帯で妖怪見たり、医学部入ったりとかむーりー
敦盛踊れないし三河武士の頭領とかやってられないしw
>李儒はともかく王允の立場がよく分からんな…
元から皇甫嵩の手飼いという設定、確かに解説していなかった気もします。どっかで付け加えておくか。
>>395
どもです。
>一刀たちにはぜひ空気読まずにばっちょさんに袁家へのとりなしをお願いしてもらいたいのだが・・・董卓たちを救うために
え?!よりによって馬家に?
多分翠の政治力のアカンさを幼女が察してインターセプトするんじゃないかなあ……っ!
あえての突撃も面白そうではありますね
>>394
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>雷簿の死やら何やら…生け捕りにしてればまだ交渉材料になったのに…(なお覚悟完了の死兵…机上の空論ってやつだな
これはマジでそうです。
>水木しげるとか手塚治虫とか羽生善治とか織田信長とか徳川家康とかに転生した一般人が本人と同じことをできても
たとえがすごいw
熱帯で妖怪見たり、医学部入ったりとかむーりー
敦盛踊れないし三河武士の頭領とかやってられないしw
>李儒はともかく王允の立場がよく分からんな…
元から皇甫嵩の手飼いという設定、確かに解説していなかった気もします。どっかで付け加えておくか。
>>395
どもです。
>一刀たちにはぜひ空気読まずにばっちょさんに袁家へのとりなしをお願いしてもらいたいのだが・・・董卓たちを救うために
え?!よりによって馬家に?
多分翠の政治力のアカンさを幼女が察してインターセプトするんじゃないかなあ……っ!
あえての突撃も面白そうではありますね
397:赤ペン:2020/07/20(月) 14:03:18.33:8CW2ywaU0 (2/2)
まあ手飼いだろうな、とは思ってたけどこういう場に連れ込むほどだったのか…とね
皇甫嵩って自分の頭の良さに自信持ってそうだからいざと言うときの護衛役はいてもこういう時の相談役みたいなポジションがいるのが意外だわ
水木さんとかが無理ならあれだ…ピース又吉で。転生得点に彼の書いた作品を完全記憶で
まあ手飼いだろうな、とは思ってたけどこういう場に連れ込むほどだったのか…とね
皇甫嵩って自分の頭の良さに自信持ってそうだからいざと言うときの護衛役はいてもこういう時の相談役みたいなポジションがいるのが意外だわ
水木さんとかが無理ならあれだ…ピース又吉で。転生得点に彼の書いた作品を完全記憶で
398:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/20(月) 22:25:35.98:A34dce7M0 (2/7)
>>397
どもです。
>まあ手飼いだろうな、とは思ってたけどこういう場に連れ込むほどだったのか…とね
どちらかというと、何進はそれでもそれを重用しないといけなかったという。
うーーん、でも実務というよりつながりですかねえ
>相談役みたいなポジションがいるのが意外だわ
そういう感じではないっすね
おっしゃるとおりです
使い捨てのコマですわ
>水木さんとかが無理ならあれだ…ピース又吉で。転生得点に彼の書いた作品を完全記憶で
勘弁してくだしあw
>>397
どもです。
>まあ手飼いだろうな、とは思ってたけどこういう場に連れ込むほどだったのか…とね
どちらかというと、何進はそれでもそれを重用しないといけなかったという。
うーーん、でも実務というよりつながりですかねえ
>相談役みたいなポジションがいるのが意外だわ
そういう感じではないっすね
おっしゃるとおりです
使い捨てのコマですわ
>水木さんとかが無理ならあれだ…ピース又吉で。転生得点に彼の書いた作品を完全記憶で
勘弁してくだしあw
399:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/20(月) 22:54:49.98:A34dce7M0 (3/7)
「しかしまあなんだね。陳留王とはまた張り込んだねえ」
むしゃむしゃと茶菓子を頬張りながら魯粛は程立に問う。陳留王は権威がありすぎるのではないかと。なんとなれば国政に口を出すことを認めたも同然であるのだ。
「そですか?妥当なところだと思うのですが~」
くふふ、と陽だまりのような笑みを漏らしながら程立は応える。
「劉協どのを陳留王として封じる。これにより袁家が洛陽に兵を進めても至尊の座に座る彼は命脈を保つことが出来ます。彼が一番懸念していることはまあ、言ってみれば保身に尽きますから~。これに否やはないでしょねえ」
「そこだよ。紀霊さんにしては甘っちょろいんじゃない?」
どこか不満げに魯粛は程立にぼやく。魯粛としては地味な後方支援に徹しながら期待していたのだ。苛烈なまでの、怨将軍たる紀霊が本気になって動いた時の酷烈さを。かつて郭図率いる義勇軍を貶め、殲滅せしめたように。洛陽の奥底に潜む汚泥をきっと焼き払うと思っていたのだが。その一端を担っていたのは魯粛ではあるし、だからこそ洛陽に派遣されていたと思っていたのである。
「とりあえずは慎重にいかないといけないのですよ。洛陽を火の海にするわけにもいきませんしねえ」
やけに主君たるあの青年は洛陽が戦禍に巻き込まれるのを気にしていた。防ごうとしていた。ならばそれに至る可能性を排除するべし。
「ああ、ちらっと聞いたよ。洛陽を焦土として諸侯軍の消耗を図る。更には長安に遷都するって与太話でしょ?正気の沙汰とは思えないね」
やれやれとばかりに魯粛はそれを一笑に付す。
「まあ、正気の沙汰かどうかはさておき、なんとも嫌な一手ではありますね。無論前提として、玉体を手にしていないと意味はないのですが」
それもそうかと魯粛は頷く。故に劉協との交渉はこの上なく重要だったのだろう。そして禁軍を掌握する皇甫嵩とも。
「まあ、よかったんじゃない?禁軍は諸侯軍の進駐に対して無血開城するんでしょ?」
「ええ。どだい、正面から禁軍単独では袁家軍単独にすら勝ち目はありません。ですが流石に洛陽を袁家の手で攻め寄せるのはいかにも世間体が悪いですからねえ」
「あれ?勝てばよかろうなのだじゃなかったっけ?」
「しかしまあなんだね。陳留王とはまた張り込んだねえ」
むしゃむしゃと茶菓子を頬張りながら魯粛は程立に問う。陳留王は権威がありすぎるのではないかと。なんとなれば国政に口を出すことを認めたも同然であるのだ。
「そですか?妥当なところだと思うのですが~」
くふふ、と陽だまりのような笑みを漏らしながら程立は応える。
「劉協どのを陳留王として封じる。これにより袁家が洛陽に兵を進めても至尊の座に座る彼は命脈を保つことが出来ます。彼が一番懸念していることはまあ、言ってみれば保身に尽きますから~。これに否やはないでしょねえ」
「そこだよ。紀霊さんにしては甘っちょろいんじゃない?」
どこか不満げに魯粛は程立にぼやく。魯粛としては地味な後方支援に徹しながら期待していたのだ。苛烈なまでの、怨将軍たる紀霊が本気になって動いた時の酷烈さを。かつて郭図率いる義勇軍を貶め、殲滅せしめたように。洛陽の奥底に潜む汚泥をきっと焼き払うと思っていたのだが。その一端を担っていたのは魯粛ではあるし、だからこそ洛陽に派遣されていたと思っていたのである。
「とりあえずは慎重にいかないといけないのですよ。洛陽を火の海にするわけにもいきませんしねえ」
やけに主君たるあの青年は洛陽が戦禍に巻き込まれるのを気にしていた。防ごうとしていた。ならばそれに至る可能性を排除するべし。
「ああ、ちらっと聞いたよ。洛陽を焦土として諸侯軍の消耗を図る。更には長安に遷都するって与太話でしょ?正気の沙汰とは思えないね」
やれやれとばかりに魯粛はそれを一笑に付す。
「まあ、正気の沙汰かどうかはさておき、なんとも嫌な一手ではありますね。無論前提として、玉体を手にしていないと意味はないのですが」
それもそうかと魯粛は頷く。故に劉協との交渉はこの上なく重要だったのだろう。そして禁軍を掌握する皇甫嵩とも。
「まあ、よかったんじゃない?禁軍は諸侯軍の進駐に対して無血開城するんでしょ?」
「ええ。どだい、正面から禁軍単独では袁家軍単独にすら勝ち目はありません。ですが流石に洛陽を袁家の手で攻め寄せるのはいかにも世間体が悪いですからねえ」
「あれ?勝てばよかろうなのだじゃなかったっけ?」
400:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/20(月) 22:55:31.47:A34dce7M0 (4/7)
袁家鉄の掟的なものを思い起こして問いただす魯粛に程立は苦笑して返答する。
「いえいえ、ここに至って勝つのは当然なのですよ。そして当代の袁家当主からは勝ち方についてもご指定頂いていますしね~」
華麗とか優雅とか雄々しくとか。まあ、勝ち方を気にすることが許されるほど余裕がある、ということでもあろう。
「とすれば洛陽を灰塵に帰するわけにはいきませんしね」
くふふ、と笑う程立。そこを混乱に叩き落としておきながらどの口が言うのだろうか。脱力しながらも魯粛は更に問う。
「でもさ、皇甫嵩にしても劉協にしても傑物なんでしょ?まあ、そんなのが本気で抗戦するよりは取り込む方がいいってのも分かるんだけどさ。実際今の朝廷を牛耳ってる人らでしょ?
普通に考えて獅子身中の虫になんない?」
魯粛の問いにごもっともとばかりに程立は深く頷く。
「いやいや、魯粛さんのおっしゃる通りなのですね。ですが、それはそれで悪くありません。意外と袁家の戦略には合致しやしませんか?」
は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分であるのだから、との矜持とともに。
袁家鉄の掟的なものを思い起こして問いただす魯粛に程立は苦笑して返答する。
「いえいえ、ここに至って勝つのは当然なのですよ。そして当代の袁家当主からは勝ち方についてもご指定頂いていますしね~」
華麗とか優雅とか雄々しくとか。まあ、勝ち方を気にすることが許されるほど余裕がある、ということでもあろう。
「とすれば洛陽を灰塵に帰するわけにはいきませんしね」
くふふ、と笑う程立。そこを混乱に叩き落としておきながらどの口が言うのだろうか。脱力しながらも魯粛は更に問う。
「でもさ、皇甫嵩にしても劉協にしても傑物なんでしょ?まあ、そんなのが本気で抗戦するよりは取り込む方がいいってのも分かるんだけどさ。実際今の朝廷を牛耳ってる人らでしょ?
普通に考えて獅子身中の虫になんない?」
魯粛の問いにごもっともとばかりに程立は深く頷く。
「いやいや、魯粛さんのおっしゃる通りなのですね。ですが、それはそれで悪くありません。意外と袁家の戦略には合致しやしませんか?」
は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分であるのだから、との矜持とともに。
401:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/20(月) 22:55:58.94:A34dce7M0 (5/7)
はあ?と魯粛は反射的に返すが、刹那考えてぐぬぬ、と唸った。
「なるほどねえ。そういや紀霊さんの戦略というか方針は三竦みだっけか。当初の目論みでは何進、清流派、そして宦官を率いる曹操さん。それが今回の件で変わったと。何進の位置に劉協殿。それに対して清流派、曹操さんの立ち位置は変わらずかあ。なるほどね。
ぶれないんだね、紀霊さんの戦略って」
なるほどと魯粛が頷く。揺るがぬその方針。それは簡にして単。故に強固。それが察知されても揺るがぬその重厚さよ。
「まあ、今回の乱で曹操さんの権力基盤になるだろう宦官勢力には掣肘が加わるか。となると、ちょっと三つ巴にするには宦官が弱くない?」
その言ごもっとも。しかし、と程立は苦笑する。
「傍目にはそうなのですがね。如何せん曹操さん、そして側近の力を加味すれば、それでも削り足りないのじゃないかと思ってらっしゃるみたいですよ」
「ふうん。私は曹操さんと会ったことないからよくわかんないんだけど、そりゃ厄介だねえ。
でもさ、ちょっと思ったんだけどね。曹操さんの優秀さを置いといたらさ、普通に考えて清流派と劉協さんに組まれたら結構厄介じゃないの?」
「まあ、そこでこれまでの布石が活きてくるのですよ。幾度も上洛して漢朝を欲しいままにする機会あれども袁家は北方の護りに専念してきました。もはや中央に対する権勢欲なぞないと認識されています。
つまり」
董卓亡き後の洛陽、ひいては漢朝は文字通り三つ巴に混沌とするであろう。いやさ、なんとなれば曹操がいない今こそが次の漢朝を手にする好機。
漢朝という極上の餌を前に、清流派を率いる皇甫嵩と劉協が手を取りあえるものだろうか。
「二虎、相喰らう、ってこと?」
にまり、とした程立の貌に魯粛は苦笑する。
「そっか、そうだよね。そうなってもいいし、三つ巴になってもいい。前提が違うんだ。もう、違っちゃったんだね。袁術様が入内される宮中をそのままに放置するわけがない。その嚆矢でもある、か」
そう。袁家は確かに武門。だがその、二の姫が入内するにあたり権力闘争に無関心ではいられないであろう。そしてそこには張勲が傍らにいるのだ。
「ああ、なるほどねえ。袁家はこれまで通り我関せずと思わせておいて後宮に鬼札を潜ませる、か。いやあ、程立さんも悪だねえ」
「いえいえ、それほどでもないのですよ」
袁家の外において張勲という政治的化け物の真価を察していたのは、水面下で暗闘を繰り広げていた何進くらいのものだろう。李儒ですら怪しい。
「まあ、どう転んでもいいようにするのが風達のお仕事ですので~」
その言葉を合図にやれやれとばかりに魯粛は重い腰を上げる。これからはまた、洛陽に集まり配分される物流を混乱させる簡単なお仕事が待っている。
正直気が滅入るその仕事についても、お役御免となるのは近いうちであろうが。
室を辞した魯粛を見送り、程立は顔を引き締める。
「あれで、身内に厳しい方ですからねえ、二郎さんは」
いっそ董卓一派を無罪放免するくらいに公私混同するのならばよかったのだが。
師匠筋の薫陶よろしくむしろ身内には厳しい処断を下すであろう。それはいい。
それはいいのだが。
「あれで、情に脆い方ですからねえ……」
どうせならば情に棹差して流されればいいのにと程立はくしゃり、と顔を顰める。
きっと余計なものを背負ってしまうのだろうなあと思うのである。
「或いはお側に侍っていた方がよかったでしょうか……」
あれで繊細なところもあるのだ。あの青年は苦悩するだろう。だがまあ、致し方なし。何事も万全で挑めることはないのである。
だから、責は果たした。洛陽進駐に於いて禁軍との武力衝突は避けられた。謀略の種も仕込んでいる。できることはしたはずだ。役割は果たしたはずだ。
それでも内心穏やかでないというのは。
「これが、心の贅肉というやつなのですかねえ」
やれやれ、と程立は肩をすくめる。どうにも仕える主に入れ込み過ぎているのかな、という自問と共に。
そしてその、自らの思いすら秤に乗せて程立
はあ?と魯粛は反射的に返すが、刹那考えてぐぬぬ、と唸った。
「なるほどねえ。そういや紀霊さんの戦略というか方針は三竦みだっけか。当初の目論みでは何進、清流派、そして宦官を率いる曹操さん。それが今回の件で変わったと。何進の位置に劉協殿。それに対して清流派、曹操さんの立ち位置は変わらずかあ。なるほどね。
ぶれないんだね、紀霊さんの戦略って」
なるほどと魯粛が頷く。揺るがぬその方針。それは簡にして単。故に強固。それが察知されても揺るがぬその重厚さよ。
「まあ、今回の乱で曹操さんの権力基盤になるだろう宦官勢力には掣肘が加わるか。となると、ちょっと三つ巴にするには宦官が弱くない?」
その言ごもっとも。しかし、と程立は苦笑する。
「傍目にはそうなのですがね。如何せん曹操さん、そして側近の力を加味すれば、それでも削り足りないのじゃないかと思ってらっしゃるみたいですよ」
「ふうん。私は曹操さんと会ったことないからよくわかんないんだけど、そりゃ厄介だねえ。
でもさ、ちょっと思ったんだけどね。曹操さんの優秀さを置いといたらさ、普通に考えて清流派と劉協さんに組まれたら結構厄介じゃないの?」
「まあ、そこでこれまでの布石が活きてくるのですよ。幾度も上洛して漢朝を欲しいままにする機会あれども袁家は北方の護りに専念してきました。もはや中央に対する権勢欲なぞないと認識されています。
つまり」
董卓亡き後の洛陽、ひいては漢朝は文字通り三つ巴に混沌とするであろう。いやさ、なんとなれば曹操がいない今こそが次の漢朝を手にする好機。
漢朝という極上の餌を前に、清流派を率いる皇甫嵩と劉協が手を取りあえるものだろうか。
「二虎、相喰らう、ってこと?」
にまり、とした程立の貌に魯粛は苦笑する。
「そっか、そうだよね。そうなってもいいし、三つ巴になってもいい。前提が違うんだ。もう、違っちゃったんだね。袁術様が入内される宮中をそのままに放置するわけがない。その嚆矢でもある、か」
そう。袁家は確かに武門。だがその、二の姫が入内するにあたり権力闘争に無関心ではいられないであろう。そしてそこには張勲が傍らにいるのだ。
「ああ、なるほどねえ。袁家はこれまで通り我関せずと思わせておいて後宮に鬼札を潜ませる、か。いやあ、程立さんも悪だねえ」
「いえいえ、それほどでもないのですよ」
袁家の外において張勲という政治的化け物の真価を察していたのは、水面下で暗闘を繰り広げていた何進くらいのものだろう。李儒ですら怪しい。
「まあ、どう転んでもいいようにするのが風達のお仕事ですので~」
その言葉を合図にやれやれとばかりに魯粛は重い腰を上げる。これからはまた、洛陽に集まり配分される物流を混乱させる簡単なお仕事が待っている。
正直気が滅入るその仕事についても、お役御免となるのは近いうちであろうが。
室を辞した魯粛を見送り、程立は顔を引き締める。
「あれで、身内に厳しい方ですからねえ、二郎さんは」
いっそ董卓一派を無罪放免するくらいに公私混同するのならばよかったのだが。
師匠筋の薫陶よろしくむしろ身内には厳しい処断を下すであろう。それはいい。
それはいいのだが。
「あれで、情に脆い方ですからねえ……」
どうせならば情に棹差して流されればいいのにと程立はくしゃり、と顔を顰める。
きっと余計なものを背負ってしまうのだろうなあと思うのである。
「或いはお側に侍っていた方がよかったでしょうか……」
あれで繊細なところもあるのだ。あの青年は苦悩するだろう。だがまあ、致し方なし。何事も万全で挑めることはないのである。
だから、責は果たした。洛陽進駐に於いて禁軍との武力衝突は避けられた。謀略の種も仕込んでいる。できることはしたはずだ。役割は果たしたはずだ。
それでも内心穏やかでないというのは。
「これが、心の贅肉というやつなのですかねえ」
やれやれ、と程立は肩をすくめる。どうにも仕える主に入れ込み過ぎているのかな、という自問と共に。
そしてその、自らの思いすら秤に乗せて程立
402:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/20(月) 22:57:06.73:A34dce7M0 (6/7)
そしてその、自らの思いすら秤に乗せて程立は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分であるのだから、との矜持とともに。
そしてその、自らの思いすら秤に乗せて程立は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分であるのだから、との矜持とともに。
403:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/20(月) 22:57:55.31:A34dce7M0 (7/7)
最後ちょっとミスりましたが本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
「黒幕会議」
そこまで黒幕かなあ
最後ちょっとミスりましたが本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
「黒幕会議」
そこまで黒幕かなあ
404:赤ペン:2020/07/21(火) 11:49:26.51:rqiELf7R0 (1/1)
乙でしたー
>>400
>>は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分 誰だお前?
○程立は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分 まあ筆頭軍師なら彼女か
>>401
>>幾度も上洛して漢朝を欲しいままにする機会あれども これが来ちゃったかあ…難しい解説はググってもらうとして
○幾度も上洛して漢朝を縦にする機会あれども ホシイママの書き方は一般的には【恣】(好き勝手に、ぞんざいに)【縦】(したい放題、勝手気ままに)【擅】【独り占め、自分勝手に】の意味を含むので一番近いのは【縦】かなあ?
○幾度も上洛して漢朝を思う儘にする機会あれども そのものずばり《思った通りに》な感じで、もしくは【漢朝を思うがままにする】こっちはより独善性と言うか意味としては【(自分の正しいと)思うがままに】な感じですね
いっそ公私混同して、どうせなら情に流されて、と言う考え方が良いですね~二郎ちゃんは本当にもっと恣にしても周りがどうにかしてくれるのよ?(それによってどれだけ多くの外側の一般人が切り捨てられるかを気にしなければ)
ぶっちゃけ背負い込み過ぎだよね、まあ二郎ちゃんとしてはどっちかと言うと殺すことで背負い込みたくないから生かす道を模索してるのかもしれんけど
そう考えると背負い込むというよりは囲い込むの方が近いか?沢山の人たちで手を繋いだ中で更に沢山の人を庇護しているというか…
乙でしたー
>>400
>>は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分 誰だお前?
○程立は思考を広げる。なんとなれば、離れてなお、袁家を引っ張るあの青年の軍師は自分 まあ筆頭軍師なら彼女か
>>401
>>幾度も上洛して漢朝を欲しいままにする機会あれども これが来ちゃったかあ…難しい解説はググってもらうとして
○幾度も上洛して漢朝を縦にする機会あれども ホシイママの書き方は一般的には【恣】(好き勝手に、ぞんざいに)【縦】(したい放題、勝手気ままに)【擅】【独り占め、自分勝手に】の意味を含むので一番近いのは【縦】かなあ?
○幾度も上洛して漢朝を思う儘にする機会あれども そのものずばり《思った通りに》な感じで、もしくは【漢朝を思うがままにする】こっちはより独善性と言うか意味としては【(自分の正しいと)思うがままに】な感じですね
いっそ公私混同して、どうせなら情に流されて、と言う考え方が良いですね~二郎ちゃんは本当にもっと恣にしても周りがどうにかしてくれるのよ?(それによってどれだけ多くの外側の一般人が切り捨てられるかを気にしなければ)
ぶっちゃけ背負い込み過ぎだよね、まあ二郎ちゃんとしてはどっちかと言うと殺すことで背負い込みたくないから生かす道を模索してるのかもしれんけど
そう考えると背負い込むというよりは囲い込むの方が近いか?沢山の人たちで手を繋いだ中で更に沢山の人を庇護しているというか…
405:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/22(水) 05:42:26.68:AAQSJSuG0 (1/1)
>>404
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>二郎ちゃんは本当にもっと恣にしても周りがどうにかしてくれるのよ?
二郎ちゃん、愛されてますからねえ
知らぬは本人ばかりなり。なお知ったらもっと苦しむ模様
>ぶっちゃけ背負い込み過ぎだよね
これは正直そうですね。もっとお気楽に生きてもいいのに。
どの口がいうかというのは置いといて。。。
主人公してくれてます。
>>404
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>二郎ちゃんは本当にもっと恣にしても周りがどうにかしてくれるのよ?
二郎ちゃん、愛されてますからねえ
知らぬは本人ばかりなり。なお知ったらもっと苦しむ模様
>ぶっちゃけ背負い込み過ぎだよね
これは正直そうですね。もっとお気楽に生きてもいいのに。
どの口がいうかというのは置いといて。。。
主人公してくれてます。
406:赤ペン:2020/07/22(水) 11:37:51.39:F8MZ8cvZ0 (1/1)
補足説明でもしとこうかな
【ほしいまま】が【欲しい儘】じゃない理由…なおこの説明は私の個人的意見によるものであり文部科学省その他による公式解答ではありません
例文として【パイを欲しいままにする】…食えよ。となります【欲しい】なら自分のものにすればいい
でも実際には【ほしいまま】は自分の好きなようにする、と言う意味が強く(もちろん独り占めにする意味合もありますが)【自分の物にする】と言うよりは【自分の物のように扱う】感じがするので【欲しい儘】だと意味がずれるんですね
で、【恣】は下心があるので【思い通りに、我儘勝手に】が強く出ます、また上の【次】は【欠】が屈んだ人、【二】が揃えるを意味するので【座ったまま部屋を片付けるようなぞんざいな】意味があります
【縦】は糸偏に従うで糸をのばすこと、ひいては伸ばす方向を決める意味も含み【追従させる】形になり【多くのものを】が強く出ます
【擅】は手偏があるので【自分の手で】ひいては【自分だけで、独り善がり】が強く出ます
ただメンドクサイのでそれぞれの持つニュアンスをそのまま抜き取って別の言葉に置き換えた方が楽です
きちんと文字の意味を理解したうえで使えば文章としての奥行とか厚みが出ますが…とりあえず例文でお茶を濁して終わります
董卓は洛陽を恣にする悪魔だ。……好き勝手、ぞんざいに扱う場合。感覚的には無駄遣いしてるニュアンスですかね
何進は漢朝を縦にする悪魔だ。……7好き放題、思い通りに扱う場合。感覚的にはワンマン社長とかの引っ張ってるイメージですね。大体助長になりますが
富も名声も擅にした天下の怨将軍だ。……一人で自由に、独占する場合。まあもう少し小さい範囲でまとめて【麻薬の流通を擅にするギャングのボス】とかでも良いのかな…他二つよりも使い勝手が悪いイメージ
補足説明でもしとこうかな
【ほしいまま】が【欲しい儘】じゃない理由…なおこの説明は私の個人的意見によるものであり文部科学省その他による公式解答ではありません
例文として【パイを欲しいままにする】…食えよ。となります【欲しい】なら自分のものにすればいい
でも実際には【ほしいまま】は自分の好きなようにする、と言う意味が強く(もちろん独り占めにする意味合もありますが)【自分の物にする】と言うよりは【自分の物のように扱う】感じがするので【欲しい儘】だと意味がずれるんですね
で、【恣】は下心があるので【思い通りに、我儘勝手に】が強く出ます、また上の【次】は【欠】が屈んだ人、【二】が揃えるを意味するので【座ったまま部屋を片付けるようなぞんざいな】意味があります
【縦】は糸偏に従うで糸をのばすこと、ひいては伸ばす方向を決める意味も含み【追従させる】形になり【多くのものを】が強く出ます
【擅】は手偏があるので【自分の手で】ひいては【自分だけで、独り善がり】が強く出ます
ただメンドクサイのでそれぞれの持つニュアンスをそのまま抜き取って別の言葉に置き換えた方が楽です
きちんと文字の意味を理解したうえで使えば文章としての奥行とか厚みが出ますが…とりあえず例文でお茶を濁して終わります
董卓は洛陽を恣にする悪魔だ。……好き勝手、ぞんざいに扱う場合。感覚的には無駄遣いしてるニュアンスですかね
何進は漢朝を縦にする悪魔だ。……7好き放題、思い通りに扱う場合。感覚的にはワンマン社長とかの引っ張ってるイメージですね。大体助長になりますが
富も名声も擅にした天下の怨将軍だ。……一人で自由に、独占する場合。まあもう少し小さい範囲でまとめて【麻薬の流通を擅にするギャングのボス】とかでも良いのかな…他二つよりも使い勝手が悪いイメージ
407:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/25(土) 21:19:45.42:mnDPLlQC0 (1/1)
>>406
あうあうあうあうあー
非常に繊細なご指摘感謝とともに、あれなんです。
今回のご指摘でちょっと気付いてしまったことがございまして。
ここだけの話ですが、凡将伝では一部システム的なアレがアレする登場人物がいらっしゃいます。
まあ、CPB(カリスマピーチビーム)とか一刀さんとかは優遇枠ですのですが。
他にメタ的視点とか持ってるのは韓浩と風ちゃんでしたのです。
まあ、どっちも微細なものでしたが。
これ風ちゃんは周回プレイしてますね。
なるほど、本来星ちゃんも稟ちゃんさんも二郎ちゃんとこに来ない予定でしたもん。
そらそうですよね。あの三人まとめて登用とか、ね。
ということになりまして。
納得しました。風ちゃん、頑張ってるんやなって。
幾つものバッドエンドを、なんとなく認識してはるんやろうね。
ということになりそうです。
これは本当に赤ペン先生のご指摘から派生いたしました。
ああ、風ちゃんが手腕を発揮してしまうw
>>406
あうあうあうあうあー
非常に繊細なご指摘感謝とともに、あれなんです。
今回のご指摘でちょっと気付いてしまったことがございまして。
ここだけの話ですが、凡将伝では一部システム的なアレがアレする登場人物がいらっしゃいます。
まあ、CPB(カリスマピーチビーム)とか一刀さんとかは優遇枠ですのですが。
他にメタ的視点とか持ってるのは韓浩と風ちゃんでしたのです。
まあ、どっちも微細なものでしたが。
これ風ちゃんは周回プレイしてますね。
なるほど、本来星ちゃんも稟ちゃんさんも二郎ちゃんとこに来ない予定でしたもん。
そらそうですよね。あの三人まとめて登用とか、ね。
ということになりまして。
納得しました。風ちゃん、頑張ってるんやなって。
幾つものバッドエンドを、なんとなく認識してはるんやろうね。
ということになりそうです。
これは本当に赤ペン先生のご指摘から派生いたしました。
ああ、風ちゃんが手腕を発揮してしまうw
408:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2020/07/25(土) 22:48:14.44:3wo2Zapc0 (1/1)
それって前回の周回の時(多分曹操に仕えた)に「この人の下はもういいかな」ってなったってこと?…ブラックだったんやな
それって前回の周回の時(多分曹操に仕えた)に「この人の下はもういいかな」ってなったってこと?…ブラックだったんやな
409:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/26(日) 06:11:28.32:6IY1Gbmq0 (1/1)
>>408
どっちかっていうと、他の周回に二郎ちゃんいないんで
「お、特異点かな?ついてったろ」
くらいの軽いノリじゃないかと
>>408
どっちかっていうと、他の周回に二郎ちゃんいないんで
「お、特異点かな?ついてったろ」
くらいの軽いノリじゃないかと
410:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/27(月) 22:05:48.70:z2f4tQkH0 (1/7)
虎牢関を落とした後、反董卓連合は一度その軍勢を集結させていた。
その大軍を虎牢関に収容しきることはできず、洛陽まであと二日ほどという地点に拠点を築いている。圧倒的な戦力を背景に無言の圧力を洛陽に加えているが、なぜ攻め寄せないのかという不満が諸侯軍からは寄せられている。
その不満は諸侯軍がこれといった武勲を挙げていないということの裏返しである。
董家軍は中華でも屈指の強さを誇る軍勢であるというのは共通認識であり、そのような精強な軍団に手持ちの、さほど練度も高くなく数も多いとはいえない軍勢をぶつけるのに躊躇していたからこそ活躍の機会がなかったのである。
無論諸侯もそれを理解しているのだが。いや、だからこそ残されているであろう、武勲を立てる機会に群がろうとしているわけである。
「つか、ある意味、皆暇を持て余しているってことだよなあ」
誰にともなく呟いたその言葉に関羽は柳眉を逆立てる。
「ご冗談でもそういうことを口になさらないでください。我らはあくまで後ろ盾すらない義勇軍。つけ入るすきをご主人様自ら作られてどうするのですか」
その言葉に北郷一刀は苦笑する。
「いや、ごめんよ愛紗。そういうつもりはなかったんだ」
そして内心感謝する。
何かと口うるさい彼女がそれでも付き従うのは万が一のことに備えてのこと。常在戦場とはよく言ったもので、彼女は常にその凛とした態度を崩すことはない。
むしろ、もっと楽にしてくれてもいいのになあ、と北郷一刀は思うのである。
「翠のとこに行くんだからそんなに気を張らないでもいいんじゃないの?」
馬家軍は反董卓連合においても有数の武家である。その武力は質も量も袁家をして一目も二目もおかざるを得ないほど。その馬家の本陣に向かうのだから、そんなに気を張る必要はないのに、と。
「いえ、だからこそお傍を離れるわけにはいきません」
その、いかにも暢気で、器の大きさを感じさせる言に関羽は首を横に振る。なんとなれば所詮自分たちは義勇軍。
有象無象を束ねている存在である。軽んじられるのは慣れているが、思う所がないわけではない。武門の名家である馬家が相手ならばなおさらのことだ。
舐められて、たまるか。
関羽の心境はこれにつきるのである。
◆◆◆
虎牢関を落とした後、反董卓連合は一度その軍勢を集結させていた。
その大軍を虎牢関に収容しきることはできず、洛陽まであと二日ほどという地点に拠点を築いている。圧倒的な戦力を背景に無言の圧力を洛陽に加えているが、なぜ攻め寄せないのかという不満が諸侯軍からは寄せられている。
その不満は諸侯軍がこれといった武勲を挙げていないということの裏返しである。
董家軍は中華でも屈指の強さを誇る軍勢であるというのは共通認識であり、そのような精強な軍団に手持ちの、さほど練度も高くなく数も多いとはいえない軍勢をぶつけるのに躊躇していたからこそ活躍の機会がなかったのである。
無論諸侯もそれを理解しているのだが。いや、だからこそ残されているであろう、武勲を立てる機会に群がろうとしているわけである。
「つか、ある意味、皆暇を持て余しているってことだよなあ」
誰にともなく呟いたその言葉に関羽は柳眉を逆立てる。
「ご冗談でもそういうことを口になさらないでください。我らはあくまで後ろ盾すらない義勇軍。つけ入るすきをご主人様自ら作られてどうするのですか」
その言葉に北郷一刀は苦笑する。
「いや、ごめんよ愛紗。そういうつもりはなかったんだ」
そして内心感謝する。
何かと口うるさい彼女がそれでも付き従うのは万が一のことに備えてのこと。常在戦場とはよく言ったもので、彼女は常にその凛とした態度を崩すことはない。
むしろ、もっと楽にしてくれてもいいのになあ、と北郷一刀は思うのである。
「翠のとこに行くんだからそんなに気を張らないでもいいんじゃないの?」
馬家軍は反董卓連合においても有数の武家である。その武力は質も量も袁家をして一目も二目もおかざるを得ないほど。その馬家の本陣に向かうのだから、そんなに気を張る必要はないのに、と。
「いえ、だからこそお傍を離れるわけにはいきません」
その、いかにも暢気で、器の大きさを感じさせる言に関羽は首を横に振る。なんとなれば所詮自分たちは義勇軍。
有象無象を束ねている存在である。軽んじられるのは慣れているが、思う所がないわけではない。武門の名家である馬家が相手ならばなおさらのことだ。
舐められて、たまるか。
関羽の心境はこれにつきるのである。
◆◆◆
411:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/27(月) 22:06:17.20:z2f4tQkH0 (2/7)
「ああ、一刀か。久しいな。うん」
北郷一刀は馬超のその言葉に、その様子に内心ため息を大きく吐く。
だって。もっと、もっと。
この子は元気で、全身でその清冽な気を発していたのに。見ていられない。見ていられないほどに鬱屈としているのだ、あの錦馬超が。
だからこんなことを言う。
「翠、翠だよな?」
「は?あたしはあたしだ。何を言ってんだよ一刀」
その声も弱々しく感じる。北郷一刀の知る馬超ならば、そのような妄言あれば刹那の間もなく鉄拳制裁が来たはずなのだ。だから、らしくない。後ろに控える関羽すら違和感を覚えるほどである。
「無理するなよ」
そして張りつめていた糸はその一言で崩壊する。
「は?あたしがなにを無理してるって?なに?あたしのなにを知ってるのさ。何でそんなことを言うのさ。
いい加減なことを言うのだったら、一刀と言えどただじゃおかないぞ……?」
湧き起こる殺気は本気のもの。無言を貫いていた関羽が主を庇うべく前に出ようとするのを制して北郷一刀は言い募る。
「分かりはしない。
でもな。
翠がそんなんで馬騰さんが喜ぶのかな?」
その言葉に、名前に馬超は激昂する。
「ち、父上のことを!言うな!何も知らないくせに!」
反射的に出た槍を関羽が弾く。
それに一層激昂して言い募る。
「父上が、死んだんだぞ!あの父上が!それでなんの馬家軍だよ!
まだ、もっと!教えてほしいことがたくさんあった!あたしが馬家を継ぐに値するだけの武を持っているって、伝えたかった!全部、伝えられなかった!」
力任せの連撃。関羽は苦虫を噛み潰したような貌でそれを弾いていく。
「それでも、翠は今、生きているだろ!馬騰さんが今の翠を見てどう思うか考えろよ!
そんな翠、見てられないよ。なあ。翠……」
「なんだよ!なんなんだよ一刀!お前は一体なんなんだよ!」
手にした愛槍――銀閃を取り落して馬超はこれまで抑え込んでいた悲嘆を吹き出す。
嗚咽を漏らす。
その馬超に、北郷一刀は優しく声をかける。
「なあ、翠。馬騰さんは凄い人だった。俺なんかが言っても説得力がないと思うけどさ。
そんな俺でも分かるくらいに馬騰さんは凄かった」
その言葉に馬超はこくり、と頷く。
「だからさ、翠。馬騰さんの死にざま、ちゃんと、さ」
思えば、敬愛する父の死にざまを知っていなかったのだと馬超は愕然とする。
「そ、そりゃそうだけど……。でも、張遼は絶対に許さないからな!」
その、抗う声に北郷一刀は苦笑する。そんなこと一言も言っていないのに、と。
「いや、まあ、なんだ。話は聞こうよ、な?」
馬騰さんの最期を看取ったに違いないからさ、という言に馬超は無言で頷く。
暫しの沈黙。そして。
伝えられる言葉。最期の言葉。
「ああ、一刀か。久しいな。うん」
北郷一刀は馬超のその言葉に、その様子に内心ため息を大きく吐く。
だって。もっと、もっと。
この子は元気で、全身でその清冽な気を発していたのに。見ていられない。見ていられないほどに鬱屈としているのだ、あの錦馬超が。
だからこんなことを言う。
「翠、翠だよな?」
「は?あたしはあたしだ。何を言ってんだよ一刀」
その声も弱々しく感じる。北郷一刀の知る馬超ならば、そのような妄言あれば刹那の間もなく鉄拳制裁が来たはずなのだ。だから、らしくない。後ろに控える関羽すら違和感を覚えるほどである。
「無理するなよ」
そして張りつめていた糸はその一言で崩壊する。
「は?あたしがなにを無理してるって?なに?あたしのなにを知ってるのさ。何でそんなことを言うのさ。
いい加減なことを言うのだったら、一刀と言えどただじゃおかないぞ……?」
湧き起こる殺気は本気のもの。無言を貫いていた関羽が主を庇うべく前に出ようとするのを制して北郷一刀は言い募る。
「分かりはしない。
でもな。
翠がそんなんで馬騰さんが喜ぶのかな?」
その言葉に、名前に馬超は激昂する。
「ち、父上のことを!言うな!何も知らないくせに!」
反射的に出た槍を関羽が弾く。
それに一層激昂して言い募る。
「父上が、死んだんだぞ!あの父上が!それでなんの馬家軍だよ!
まだ、もっと!教えてほしいことがたくさんあった!あたしが馬家を継ぐに値するだけの武を持っているって、伝えたかった!全部、伝えられなかった!」
力任せの連撃。関羽は苦虫を噛み潰したような貌でそれを弾いていく。
「それでも、翠は今、生きているだろ!馬騰さんが今の翠を見てどう思うか考えろよ!
そんな翠、見てられないよ。なあ。翠……」
「なんだよ!なんなんだよ一刀!お前は一体なんなんだよ!」
手にした愛槍――銀閃を取り落して馬超はこれまで抑え込んでいた悲嘆を吹き出す。
嗚咽を漏らす。
その馬超に、北郷一刀は優しく声をかける。
「なあ、翠。馬騰さんは凄い人だった。俺なんかが言っても説得力がないと思うけどさ。
そんな俺でも分かるくらいに馬騰さんは凄かった」
その言葉に馬超はこくり、と頷く。
「だからさ、翠。馬騰さんの死にざま、ちゃんと、さ」
思えば、敬愛する父の死にざまを知っていなかったのだと馬超は愕然とする。
「そ、そりゃそうだけど……。でも、張遼は絶対に許さないからな!」
その、抗う声に北郷一刀は苦笑する。そんなこと一言も言っていないのに、と。
「いや、まあ、なんだ。話は聞こうよ、な?」
馬騰さんの最期を看取ったに違いないからさ、という言に馬超は無言で頷く。
暫しの沈黙。そして。
伝えられる言葉。最期の言葉。
412:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/27(月) 22:08:21.59:z2f4tQkH0 (3/7)
◆◆◆
「一刀、済まなかったな」
詫びる言葉。歩み寄りの言葉。
いくらか湿り気のある言葉。
「いや、いいんだ。それより、よかったな。霞と翠が仲直りできて、さ」
……一触即発、紆余曲折あったものの、馬超の、張遼との面会は最上の結果であったと言っていいだろう。
「お蔭で、父上の言葉を聞けた。そりゃ、さ。霞には思う所がないわけじゃない。でも、一刀が言った通り、父上はきっとそんなことを望んでないと思うんだ」
――万里を駆けよ。
その、馬騰の遺言はようやく愛娘に伝わったのである。
「一刀が言った、さ。憎しみは何も生まないって、こういうことなのかな。
一刀の言う通り、確かに霞が死んでも父上が帰ってくるわけじゃあないし……」
未だ煩悶としている馬超だが、それでいいと北郷一刀は思うのである。だって。
「うん、そうだな。翠はそうやって笑ってる方が可愛いよ」
こんなにも馬超は輝いているのだ。鬱屈としていた先刻とはまるで別人がごとく。
「な、なななな!そ、か、可愛いとか、何を言うんだ!」
慌てふためく馬超を見て北郷一刀は思うのである。馬家軍を率いると言っても、やはりというか、年頃の少女なのだなあ、と。
そして思うのだ。きっと彼女の父たる馬騰もそのように、笑っている姿をこそ願っていたのではないか、と。
色々と抗議の声を上げる馬超と戯れながら、思う。皆がこのように笑えるならば、それはきっと素敵なことだろう、と。
◆◆◆
◆◆◆
「一刀、済まなかったな」
詫びる言葉。歩み寄りの言葉。
いくらか湿り気のある言葉。
「いや、いいんだ。それより、よかったな。霞と翠が仲直りできて、さ」
……一触即発、紆余曲折あったものの、馬超の、張遼との面会は最上の結果であったと言っていいだろう。
「お蔭で、父上の言葉を聞けた。そりゃ、さ。霞には思う所がないわけじゃない。でも、一刀が言った通り、父上はきっとそんなことを望んでないと思うんだ」
――万里を駆けよ。
その、馬騰の遺言はようやく愛娘に伝わったのである。
「一刀が言った、さ。憎しみは何も生まないって、こういうことなのかな。
一刀の言う通り、確かに霞が死んでも父上が帰ってくるわけじゃあないし……」
未だ煩悶としている馬超だが、それでいいと北郷一刀は思うのである。だって。
「うん、そうだな。翠はそうやって笑ってる方が可愛いよ」
こんなにも馬超は輝いているのだ。鬱屈としていた先刻とはまるで別人がごとく。
「な、なななな!そ、か、可愛いとか、何を言うんだ!」
慌てふためく馬超を見て北郷一刀は思うのである。馬家軍を率いると言っても、やはりというか、年頃の少女なのだなあ、と。
そして思うのだ。きっと彼女の父たる馬騰もそのように、笑っている姿をこそ願っていたのではないか、と。
色々と抗議の声を上げる馬超と戯れながら、思う。皆がこのように笑えるならば、それはきっと素敵なことだろう、と。
◆◆◆
413:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/27(月) 22:33:46.99:z2f4tQkH0 (4/7)
洛陽まであと二日ほど。虎牢関より先は遮るものもない。陣を構えて諸侯軍の集結を待つ。いやさ、流石に今いる兵力で突入というわけにもいかん。洛陽を舞台に手柄争いとかされたらかなわんからな。
専(もっぱ)ら最近は、逸る諸侯とか春蘭とか春蘭とか春蘭をなだめるのがお仕事なのである。あと春蘭な。
ええい、無思慮に洛陽につっかけて禁軍と遣り合うつもりかよ!
だが、そんな忍耐の日々もこれまでだ。
「うし、張郃ご苦労さん」
俺は張郃が持ち帰った報に内心胸をなでおろしていた。
「どうやら禁軍と相対することは避けられたようですね」
背後に控えていた稟ちゃんさんの言う通り、風がやってくれました。これはファインプレーです。
押し寄せる反董卓連合軍に対して洛陽を、禁裏を守護する禁軍。その兵権を握っている――その兵権のありかは風がつきとめたものである――皇甫嵩と風が極秘裏に会談を行った成果だ。
見事無血開城をとりつけてくれた風には流石の一言である。
「禁軍とやりあうつもりはないし、洛陽を攻めて花の都を灰塵とするつもりもないからね。
というかそんなこと間違っても起こってほしくないっての」
俺が今一番恐れているのは洛陽が戦場となり、荒廃してしまうことだ。
史実……と言っていいか分からんが、俺の知る歴史的なものでは董卓が洛陽を焼き払った。長安への遷都と併せての焦土作戦は見事の一言だ。
荒廃した洛陽の再建は曹操も諦め、許昌に帝を招くこととなった。
だが、と思うのだ。果たして董卓の焦土戦術のみでそんなにも荒廃するものか。と。
そして、反董卓連合は収穫なく洛陽を後にするのだが、それまでの戦費の回収はどうしたのだろうか、と。
ぶっちゃけ、洛陽からの略奪で補填したんじゃないかなあなんて思ったりするわけである。そりゃまあそうであっても史書には残らんさね。
歴史は勝者が作るものだから。それはいい。俺の妄想である可能性も高い、が。
既に洛陽近辺に於いて諸侯軍の脱走兵と思われる奴らが略奪暴行をしているという報告も上がっている。そりゃ常備軍として給与が支払われている袁家軍とかと違って徴兵された奴らはなあ。
それはいい。そこいらへんの治安活動は手柄を必死に上げようとしていた義勇軍に任せている。単発で兵卒が起こすそんな事件に対応しきれるならばまあ、たいした求心力である。むしろ義勇軍内部からそういった不逞の輩が出ないかなあなどと思うほどだ。
そんときゃこれ幸いと処分してやるんだがね。
そんな風に暫し思考に耽溺していた俺なのだが。張郃は、にまり、と口を歪めながらとんでもないことを言ってくる。風の差配らしいのだが。マジか。
マジかぁ。
「まあ、洛陽の内実に関してはお詳しい方から聞くがよかろうと思いますな」
そして張郃の手振りでその人物を招き入れる。そして、その名前、その姿に自分の正気を疑う。背後で稟ちゃんの息をのむ音に辛うじてこれが夢ではないのだ、と思い知る。そう、張郃が招き入れたその人物―――。
「賈駆殿です」
緑の黒髪、狷介そうに見えてたまに見せる柔らかい笑顔を彩る鋭い双眸。董卓軍の軍師たる詠ちゃんその人が、そこに、いた。
◆◆◆
洛陽まであと二日ほど。虎牢関より先は遮るものもない。陣を構えて諸侯軍の集結を待つ。いやさ、流石に今いる兵力で突入というわけにもいかん。洛陽を舞台に手柄争いとかされたらかなわんからな。
専(もっぱ)ら最近は、逸る諸侯とか春蘭とか春蘭とか春蘭をなだめるのがお仕事なのである。あと春蘭な。
ええい、無思慮に洛陽につっかけて禁軍と遣り合うつもりかよ!
だが、そんな忍耐の日々もこれまでだ。
「うし、張郃ご苦労さん」
俺は張郃が持ち帰った報に内心胸をなでおろしていた。
「どうやら禁軍と相対することは避けられたようですね」
背後に控えていた稟ちゃんさんの言う通り、風がやってくれました。これはファインプレーです。
押し寄せる反董卓連合軍に対して洛陽を、禁裏を守護する禁軍。その兵権を握っている――その兵権のありかは風がつきとめたものである――皇甫嵩と風が極秘裏に会談を行った成果だ。
見事無血開城をとりつけてくれた風には流石の一言である。
「禁軍とやりあうつもりはないし、洛陽を攻めて花の都を灰塵とするつもりもないからね。
というかそんなこと間違っても起こってほしくないっての」
俺が今一番恐れているのは洛陽が戦場となり、荒廃してしまうことだ。
史実……と言っていいか分からんが、俺の知る歴史的なものでは董卓が洛陽を焼き払った。長安への遷都と併せての焦土作戦は見事の一言だ。
荒廃した洛陽の再建は曹操も諦め、許昌に帝を招くこととなった。
だが、と思うのだ。果たして董卓の焦土戦術のみでそんなにも荒廃するものか。と。
そして、反董卓連合は収穫なく洛陽を後にするのだが、それまでの戦費の回収はどうしたのだろうか、と。
ぶっちゃけ、洛陽からの略奪で補填したんじゃないかなあなんて思ったりするわけである。そりゃまあそうであっても史書には残らんさね。
歴史は勝者が作るものだから。それはいい。俺の妄想である可能性も高い、が。
既に洛陽近辺に於いて諸侯軍の脱走兵と思われる奴らが略奪暴行をしているという報告も上がっている。そりゃ常備軍として給与が支払われている袁家軍とかと違って徴兵された奴らはなあ。
それはいい。そこいらへんの治安活動は手柄を必死に上げようとしていた義勇軍に任せている。単発で兵卒が起こすそんな事件に対応しきれるならばまあ、たいした求心力である。むしろ義勇軍内部からそういった不逞の輩が出ないかなあなどと思うほどだ。
そんときゃこれ幸いと処分してやるんだがね。
そんな風に暫し思考に耽溺していた俺なのだが。張郃は、にまり、と口を歪めながらとんでもないことを言ってくる。風の差配らしいのだが。マジか。
マジかぁ。
「まあ、洛陽の内実に関してはお詳しい方から聞くがよかろうと思いますな」
そして張郃の手振りでその人物を招き入れる。そして、その名前、その姿に自分の正気を疑う。背後で稟ちゃんの息をのむ音に辛うじてこれが夢ではないのだ、と思い知る。そう、張郃が招き入れたその人物―――。
「賈駆殿です」
緑の黒髪、狷介そうに見えてたまに見せる柔らかい笑顔を彩る鋭い双眸。董卓軍の軍師たる詠ちゃんその人が、そこに、いた。
◆◆◆
414:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/27(月) 22:34:56.93:z2f4tQkH0 (5/7)
張郃に招き入れられ、賈駆はその場に身を晒す。
突き刺すような視線は郭嘉のもの。
それによって、却って賈駆は落ち着きを取り戻す。その顔に微笑みすら浮かべられるほどに。
「――久しぶり、だな」
無表情で、なおかつ鋭い視線を寄越す郭嘉と違って紀霊の言葉には様々な思いが込められている。それを嬉しく感じてしまうのはきっと人として駄目なことなんだろうな、などと賈駆は思う。
「ええ、ほんと。
ほんとに久しぶりね、二郎……」
ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を、はたして。無味無臭に自分は発せられただろうか?
くしゃり、と刹那歪む彼の貌(かお)に自分はどう映っているのだろうか?みっともなく、荒れた顔で彼の前には立ちたくなかった。
――正直頬はこけ、目の下にはくっきりと隈が現れている。肌はかさつき、唇はひび割れて。
それを補うために慣れない化粧を今日は念入りに仕立て上げている。おつきの女官には保障されているが、佳人に囲まれている男にすれば見え透いているだろう。
漂う沈黙。それに身体の奥底から込み上げる激情に飲まれないよう、賈駆は懐より書を取り出す。
「洛陽、それと禁裏の見取り図、それに警備の配置図よ」
「な――」
絶句する紀霊と言葉を交わさずに畳み掛ける。
「洛陽の門扉を守る兵は皇甫嵩に掌握されてるわ。禁裏は言うに及ばないわね。でも、これがあればある程度渡り合えるはずよ」
その言葉に紀霊は瞑目する。
くすり、と漏れそうになる笑みを噛み殺す。思えば、目の前の青年の浮かべるこの表情が賈駆は嫌いではなかった。
自分や、配下の軍師には到底及ばないと苦笑する彼は。それでもこの表情をするたびに、自分では思いつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。そんな彼をからかい、彼と語らう時間は賈駆にとってもかけがえのないものであったはずなのだが。
だから、瞑目している彼に、問うてしまう。
「ねえ、なんで、こうなっちゃったんだろ、ね……」
それは彼女なりの、精一杯の甘えであった。
張郃に招き入れられ、賈駆はその場に身を晒す。
突き刺すような視線は郭嘉のもの。
それによって、却って賈駆は落ち着きを取り戻す。その顔に微笑みすら浮かべられるほどに。
「――久しぶり、だな」
無表情で、なおかつ鋭い視線を寄越す郭嘉と違って紀霊の言葉には様々な思いが込められている。それを嬉しく感じてしまうのはきっと人として駄目なことなんだろうな、などと賈駆は思う。
「ええ、ほんと。
ほんとに久しぶりね、二郎……」
ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を、はたして。無味無臭に自分は発せられただろうか?
くしゃり、と刹那歪む彼の貌(かお)に自分はどう映っているのだろうか?みっともなく、荒れた顔で彼の前には立ちたくなかった。
――正直頬はこけ、目の下にはくっきりと隈が現れている。肌はかさつき、唇はひび割れて。
それを補うために慣れない化粧を今日は念入りに仕立て上げている。おつきの女官には保障されているが、佳人に囲まれている男にすれば見え透いているだろう。
漂う沈黙。それに身体の奥底から込み上げる激情に飲まれないよう、賈駆は懐より書を取り出す。
「洛陽、それと禁裏の見取り図、それに警備の配置図よ」
「な――」
絶句する紀霊と言葉を交わさずに畳み掛ける。
「洛陽の門扉を守る兵は皇甫嵩に掌握されてるわ。禁裏は言うに及ばないわね。でも、これがあればある程度渡り合えるはずよ」
その言葉に紀霊は瞑目する。
くすり、と漏れそうになる笑みを噛み殺す。思えば、目の前の青年の浮かべるこの表情が賈駆は嫌いではなかった。
自分や、配下の軍師には到底及ばないと苦笑する彼は。それでもこの表情をするたびに、自分では思いつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。そんな彼をからかい、彼と語らう時間は賈駆にとってもかけがえのないものであったはずなのだが。
だから、瞑目している彼に、問うてしまう。
「ねえ、なんで、こうなっちゃったんだろ、ね……」
それは彼女なりの、精一杯の甘えであった。
415:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/27(月) 22:35:23.13:z2f4tQkH0 (6/7)
それを知ってか知らずか、見開いた紀霊の目。いつものようにへらへらとしてくれたらよかったのに。
見据えた目は、真剣そのもの。
だから、甘えてしまう。いつかのように。いつものように。
「ねえ、どうしたらよかったんだろう……」
それを、俺に言うか。今になって俺に言うのか。
そんな心の叫びを感じるくらいに賈駆は紀霊と通じ合っていたのだな、などとぼんやり思う。そして、ひび割れたような、途切れ途切れの叫びに身を引き裂かれる。
「言ってくれりゃ、よかったんだよ!言ってくれれば!なんとでもしたさ!したよ!
なんとでも、したさ……」
激した、或いは悲嘆にくれる紀霊の激情に言葉を喪う。なによりその熱さに。
「言ってくれれば、なんとでもしたさ。例えば、何進に内密に打診すりゃあ、月の参内を命じたろうさ。
そうなりゃ、漢朝総出で月の捜索さ。いかに漢朝の闇が深くても、それでも何進はそれをすら制してたんだ。
奴の一言あれば、あの政治的化け物が動けば!」
その叫びは賈駆の全身を打ち据える。
「そっか。そうか……。そうだよね……」
無論、賈駆とてそれは検討した。だが、万が一を考えてできなかった。親友たる董卓の身の安全を思うが故にできなかった。それが正しいと知っていても、できなかったのだ。
「ほんと、ボクって、ほんとに、馬鹿だ……」
その結果がこれだ。
「ボクって、ほんと、馬鹿……」
顔がくしゃりと歪み、嗚咽が湧き出ようとするのを必死に抑えて言葉を継ぐ。せめて、不様は晒したくない、これ以上。
これ以上。だって。
「……執金吾の権でも月の行方は知れなかった。だから、月は、月を浚ったこの度の乱の首謀者は」
畏れ多くもかしこき禁裏に。
それこそが賈駆が自ら足を運んだ理由。せめて、自分たちを陥穽に落とし込んだ首魁くらいは間違えなく伝えたい。
「悔しい。悔しいよ、二郎。
月も、ボクも。一生懸命だったのに。頑張ろうとしてたのに。それでもきっとボク達は世紀の謀反人。悪逆非道の佞臣ってなるのが、悔しいよ」
伝えようとしたことを伝え、やはり甘えてしまう。言わずもがなのことをそれでも言ってしまう。そんな自分を馬鹿だなあと思っても、最早止まらない。それでも。
「それでも……好きだった。ううん、好きよ、二郎。
うん。愛してる……」
閨にて、幾度も囁かれた睦言。けして返さなかった男のそれに応え、こらえきれずに双眸から溢れる涙。
「好きよ、二郎」
だから。
ボクのこと、忘れないで……
精一杯の笑みを浮かべて賈駆はその場を去る。
くしゃり、としたそれ。柔らかな、透きとおったその顔を。紀霊は生涯忘れることはないだろう。
それを知ってか知らずか、見開いた紀霊の目。いつものようにへらへらとしてくれたらよかったのに。
見据えた目は、真剣そのもの。
だから、甘えてしまう。いつかのように。いつものように。
「ねえ、どうしたらよかったんだろう……」
それを、俺に言うか。今になって俺に言うのか。
そんな心の叫びを感じるくらいに賈駆は紀霊と通じ合っていたのだな、などとぼんやり思う。そして、ひび割れたような、途切れ途切れの叫びに身を引き裂かれる。
「言ってくれりゃ、よかったんだよ!言ってくれれば!なんとでもしたさ!したよ!
なんとでも、したさ……」
激した、或いは悲嘆にくれる紀霊の激情に言葉を喪う。なによりその熱さに。
「言ってくれれば、なんとでもしたさ。例えば、何進に内密に打診すりゃあ、月の参内を命じたろうさ。
そうなりゃ、漢朝総出で月の捜索さ。いかに漢朝の闇が深くても、それでも何進はそれをすら制してたんだ。
奴の一言あれば、あの政治的化け物が動けば!」
その叫びは賈駆の全身を打ち据える。
「そっか。そうか……。そうだよね……」
無論、賈駆とてそれは検討した。だが、万が一を考えてできなかった。親友たる董卓の身の安全を思うが故にできなかった。それが正しいと知っていても、できなかったのだ。
「ほんと、ボクって、ほんとに、馬鹿だ……」
その結果がこれだ。
「ボクって、ほんと、馬鹿……」
顔がくしゃりと歪み、嗚咽が湧き出ようとするのを必死に抑えて言葉を継ぐ。せめて、不様は晒したくない、これ以上。
これ以上。だって。
「……執金吾の権でも月の行方は知れなかった。だから、月は、月を浚ったこの度の乱の首謀者は」
畏れ多くもかしこき禁裏に。
それこそが賈駆が自ら足を運んだ理由。せめて、自分たちを陥穽に落とし込んだ首魁くらいは間違えなく伝えたい。
「悔しい。悔しいよ、二郎。
月も、ボクも。一生懸命だったのに。頑張ろうとしてたのに。それでもきっとボク達は世紀の謀反人。悪逆非道の佞臣ってなるのが、悔しいよ」
伝えようとしたことを伝え、やはり甘えてしまう。言わずもがなのことをそれでも言ってしまう。そんな自分を馬鹿だなあと思っても、最早止まらない。それでも。
「それでも……好きだった。ううん、好きよ、二郎。
うん。愛してる……」
閨にて、幾度も囁かれた睦言。けして返さなかった男のそれに応え、こらえきれずに双眸から溢れる涙。
「好きよ、二郎」
だから。
ボクのこと、忘れないで……
精一杯の笑みを浮かべて賈駆はその場を去る。
くしゃり、としたそれ。柔らかな、透きとおったその顔を。紀霊は生涯忘れることはないだろう。
416:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/27(月) 22:36:19.37:z2f4tQkH0 (7/7)
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
仮題はなんだろな
「幸福な結末と別離」
もちっとなんとかなりませんか
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
仮題はなんだろな
「幸福な結末と別離」
もちっとなんとかなりませんか
417:赤ペン:2020/07/30(木) 12:53:53.12:Y4a+Y6Th0 (1/1)
乙でしたー
>>410
>>誰にともなく呟いたその言葉に関羽は柳眉を逆立てる。 間違いではないのですがこの言葉はかなり強い印象を受けます(例えるならもしも二郎が呂布に挑むときに顔良をハブにしたりしたら柳眉を逆立てそうかな
○誰にともなく呟いたその言葉に関羽は諫言を以て応える。 関羽が柳眉を逆立てるような気迫で返答したら一刀がそれに苦笑で返したりできなさそうだし、そもそもご主人様相手に本気で怒れないでしょ(信頼感(笑)
>>411
>>教えてほしいことがたくさんあった!あたしが馬家を継ぐに値するだけの武を持っているって、伝えたかった!全部、伝えられなかった!」 【全部】だと既に【馬家を継ぐに値するだけの武を持っている】ように聞こえますが
○教えてほしいことがたくさんあった!あたしが馬家を継ぐに値するだけの武を持っているって、伝えたかった!全然、伝えられなかった!」 【教えてほしいことがたくさんあった】ので自分がまだ未熟だと思ってたようなのでこの方が良いかな?
>>馬騰さんの最期を看取ったに違いないからさ、という言に馬超は無言で頷く。 これだと(多分)看取ったはずだ、みたいな意味になるので
○馬騰さんの最期を看取った事には違いないからさ、という言に馬超は無言で頷く。 下手人な事には違いないけど、みたいな意味で言うならこの方が良いと思います
>>伝えられる言葉。最期の言葉。 この前の文からするとこれ(馬家の天幕内で)沈黙、(その場にいた張遼から)伝えられる言葉になりそうなので
○一刀と共に張遼のもとを訪ねる。伝えられる言葉。最期の言葉。 どう書くかは置いておいて、張遼に会いに行く描写を入れた方が良いと思います
>>412
>>「お蔭で、父上の言葉を聞けた。そりゃ、さ。霞には思う所がないわけじゃない。 待って、ちょっと待とうか?君そんなにあっさりと許した感出すとか本当にどうしよう
○「お蔭で、父上の言葉を聞けた。そりゃ、さ。張遼には思う所がないわけじゃない。 上で「張遼は絶対に許さない」とか言ってたのにもう真名呼びとかもう少しあるだろ?まさか張遼も義勇軍の大将の前で董卓の真実を語るわけないから何故そうしたのかまで話してないだろうし…えっ話したの?(そんなに口が軽いなら)裏切る前に馬騰さんに話して?どうぞ(馬騰→何進の直通ルートを横目に
>>413
>>俺は張郃が持ち帰った報に内心胸をなでおろしていた。 まあ実際にそういう動作をすることもありますが慣用句なので
○俺は張郃が持ち帰った報に胸をなでおろしていた。 【内心】を入れなくても問題ないと思います
>>既に洛陽近辺に於いて諸侯軍の脱走兵と思われる奴らが略奪暴行をしているという報告も上がっている。 間違い?間違いじゃない?勝ってる側で糧食は袁家が持ってる諸侯軍から脱走兵って…中抜きされて食うや食わずなんて袁家が許さんだろうし
○既に洛陽近辺に於いて諸侯軍の兵と思われる奴らが隠れて略奪暴行をしているという報告も上がっている。 そのあと何食わぬ顔で戻ってくるまでがセットで、な気がしますが
>>414
>>ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を、はたして。無味無臭に自分は発せられただろうか? 間違いではないですが
○ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を。はたして、無味無臭に自分は発せられただろうか? 【果たして】は【発せられただろうか】にかかりますのでこの方が良いと思います
>>それでもこの表情をするたびに、自分では思いつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。 ちょっとひと手間
○それでもこの表情をするたびに、自分では思いもつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。 まあ現代人の持つ視点とかがあるからねえ
まあここまでなるとは思ってなかったにしろ…詠ちゃんの未来予想図はどういうものだったんだろう、とは思うね
万が一を恐れて自分だけでなんとかしようとしてたけどそんなことをすれば反董卓連合が組まれるだろうとは思ってただろうしそうなれば信頼できる戦力を外に向けなきゃいけないことも分かってただろうに
洛陽で袁家を襲うときにネームドを派遣しなかったとか、せめても言い含めなかったこととか流されるだけだったから仕方ないっちゃないんだが
天の御使い?あ~はいはい、すごいね。みんなハッピーにまいしんしてるね
乙でしたー
>>410
>>誰にともなく呟いたその言葉に関羽は柳眉を逆立てる。 間違いではないのですがこの言葉はかなり強い印象を受けます(例えるならもしも二郎が呂布に挑むときに顔良をハブにしたりしたら柳眉を逆立てそうかな
○誰にともなく呟いたその言葉に関羽は諫言を以て応える。 関羽が柳眉を逆立てるような気迫で返答したら一刀がそれに苦笑で返したりできなさそうだし、そもそもご主人様相手に本気で怒れないでしょ(信頼感(笑)
>>411
>>教えてほしいことがたくさんあった!あたしが馬家を継ぐに値するだけの武を持っているって、伝えたかった!全部、伝えられなかった!」 【全部】だと既に【馬家を継ぐに値するだけの武を持っている】ように聞こえますが
○教えてほしいことがたくさんあった!あたしが馬家を継ぐに値するだけの武を持っているって、伝えたかった!全然、伝えられなかった!」 【教えてほしいことがたくさんあった】ので自分がまだ未熟だと思ってたようなのでこの方が良いかな?
>>馬騰さんの最期を看取ったに違いないからさ、という言に馬超は無言で頷く。 これだと(多分)看取ったはずだ、みたいな意味になるので
○馬騰さんの最期を看取った事には違いないからさ、という言に馬超は無言で頷く。 下手人な事には違いないけど、みたいな意味で言うならこの方が良いと思います
>>伝えられる言葉。最期の言葉。 この前の文からするとこれ(馬家の天幕内で)沈黙、(その場にいた張遼から)伝えられる言葉になりそうなので
○一刀と共に張遼のもとを訪ねる。伝えられる言葉。最期の言葉。 どう書くかは置いておいて、張遼に会いに行く描写を入れた方が良いと思います
>>412
>>「お蔭で、父上の言葉を聞けた。そりゃ、さ。霞には思う所がないわけじゃない。 待って、ちょっと待とうか?君そんなにあっさりと許した感出すとか本当にどうしよう
○「お蔭で、父上の言葉を聞けた。そりゃ、さ。張遼には思う所がないわけじゃない。 上で「張遼は絶対に許さない」とか言ってたのにもう真名呼びとかもう少しあるだろ?まさか張遼も義勇軍の大将の前で董卓の真実を語るわけないから何故そうしたのかまで話してないだろうし…えっ話したの?(そんなに口が軽いなら)裏切る前に馬騰さんに話して?どうぞ(馬騰→何進の直通ルートを横目に
>>413
>>俺は張郃が持ち帰った報に内心胸をなでおろしていた。 まあ実際にそういう動作をすることもありますが慣用句なので
○俺は張郃が持ち帰った報に胸をなでおろしていた。 【内心】を入れなくても問題ないと思います
>>既に洛陽近辺に於いて諸侯軍の脱走兵と思われる奴らが略奪暴行をしているという報告も上がっている。 間違い?間違いじゃない?勝ってる側で糧食は袁家が持ってる諸侯軍から脱走兵って…中抜きされて食うや食わずなんて袁家が許さんだろうし
○既に洛陽近辺に於いて諸侯軍の兵と思われる奴らが隠れて略奪暴行をしているという報告も上がっている。 そのあと何食わぬ顔で戻ってくるまでがセットで、な気がしますが
>>414
>>ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を、はたして。無味無臭に自分は発せられただろうか? 間違いではないですが
○ややもすると万感の思いを込めそうになるその言を。はたして、無味無臭に自分は発せられただろうか? 【果たして】は【発せられただろうか】にかかりますのでこの方が良いと思います
>>それでもこの表情をするたびに、自分では思いつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。 ちょっとひと手間
○それでもこの表情をするたびに、自分では思いもつかない案を――突飛過ぎて現実的でない時もままあったが――提示したものだ。 まあ現代人の持つ視点とかがあるからねえ
まあここまでなるとは思ってなかったにしろ…詠ちゃんの未来予想図はどういうものだったんだろう、とは思うね
万が一を恐れて自分だけでなんとかしようとしてたけどそんなことをすれば反董卓連合が組まれるだろうとは思ってただろうしそうなれば信頼できる戦力を外に向けなきゃいけないことも分かってただろうに
洛陽で袁家を襲うときにネームドを派遣しなかったとか、せめても言い含めなかったこととか流されるだけだったから仕方ないっちゃないんだが
天の御使い?あ~はいはい、すごいね。みんなハッピーにまいしんしてるね
418:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/07/30(木) 22:08:45.08:EBuKRdwr0 (1/1)
>>417
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うむ。今回多いな。精進せんといかんね。
しかしお盆に間に合うかなあ。割とギリギリのスケジュールだなあと思ったり。
>まあここまでなるとは思ってなかったにしろ…詠ちゃんの未来予想図はどういうものだったんだろう、とは思うね
それな。
いやほんと、気の毒でしかないですが、目の前のことに一生懸命です
そしてもっと言うと、大戦略とかは彼女の不得手なとこじゃないかなって
>万が一を恐れて自分だけでなんとかしようとしてたけどそんなことをすれば反董卓連合が組まれるだろうとは思ってただろうしそうなれば信頼できる戦力を外に向けなきゃいけないことも分かってただろうに
ここで二郎ちゃんに泣きついてたらねえという董家√
6レスくらいでハッピーエンドですね(確信)
>天の御使い?あ~はいはい、すごいね。みんなハッピーにまいしんしてるね
猪突猛進dす
がんばる
>>417
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うむ。今回多いな。精進せんといかんね。
しかしお盆に間に合うかなあ。割とギリギリのスケジュールだなあと思ったり。
>まあここまでなるとは思ってなかったにしろ…詠ちゃんの未来予想図はどういうものだったんだろう、とは思うね
それな。
いやほんと、気の毒でしかないですが、目の前のことに一生懸命です
そしてもっと言うと、大戦略とかは彼女の不得手なとこじゃないかなって
>万が一を恐れて自分だけでなんとかしようとしてたけどそんなことをすれば反董卓連合が組まれるだろうとは思ってただろうしそうなれば信頼できる戦力を外に向けなきゃいけないことも分かってただろうに
ここで二郎ちゃんに泣きついてたらねえという董家√
6レスくらいでハッピーエンドですね(確信)
>天の御使い?あ~はいはい、すごいね。みんなハッピーにまいしんしてるね
猪突猛進dす
がんばる
419:赤ペン:2020/07/31(金) 11:06:04.36:ZXvRgiRN0 (1/1)
まあねえ、所詮はって言い方もアレだけど馬家の下にいた董家の軍師だったからねえ
戦術レベル、うまくいけば戦略レベルまで考えられるとしても国規模の大戦略レベルで考えられるかっていうと、ね
言ってしまえば全国展開してる大企業の一地方の重役レベルがいきなり本社のトップになったようなものだからね…地方レベルで考えても失敗するのは確定的に明らか
さて、天の御使いについての感想があまりにも雑だった気もするからもう少し書いてみるか
今回の行動はなにも間違ってないし考え方もとても正しいと思うよ、結果も考えうる中で最良と言ってもいいと思うし素直に凄いと思うよ?
前提が間違ってるはずなのに結果が正解になるという異常性があることだけで…そもそもなんで彼女は一人で鬱屈としてて、その状態で一刀と会おうと思ったのさ
親の敵を討って落ち着いたら喪失感が、とかでもなく。そんな状態の姉に対して妹が気を紛らわせようとするでもなく。こんな精神状態だから仕事じゃとじゃないなら一人にしてくれとお付きの兵に追い返させるでもなく。会うからにはと空元気でも虚勢でも張ることもなく弱弱しい姿を見せて。
どう考えても弱ってるから慰めてほしいというアッピールですね、本当にありがとうございました。
まあねえ、所詮はって言い方もアレだけど馬家の下にいた董家の軍師だったからねえ
戦術レベル、うまくいけば戦略レベルまで考えられるとしても国規模の大戦略レベルで考えられるかっていうと、ね
言ってしまえば全国展開してる大企業の一地方の重役レベルがいきなり本社のトップになったようなものだからね…地方レベルで考えても失敗するのは確定的に明らか
さて、天の御使いについての感想があまりにも雑だった気もするからもう少し書いてみるか
今回の行動はなにも間違ってないし考え方もとても正しいと思うよ、結果も考えうる中で最良と言ってもいいと思うし素直に凄いと思うよ?
前提が間違ってるはずなのに結果が正解になるという異常性があることだけで…そもそもなんで彼女は一人で鬱屈としてて、その状態で一刀と会おうと思ったのさ
親の敵を討って落ち着いたら喪失感が、とかでもなく。そんな状態の姉に対して妹が気を紛らわせようとするでもなく。こんな精神状態だから仕事じゃとじゃないなら一人にしてくれとお付きの兵に追い返させるでもなく。会うからにはと空元気でも虚勢でも張ることもなく弱弱しい姿を見せて。
どう考えても弱ってるから慰めてほしいというアッピールですね、本当にありがとうございました。
420:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/03(月) 06:24:47.78:3UJ9GBCK0 (1/1)
>>419
>まあねえ、所詮はって言い方もアレだけど馬家の下にいた董家の軍師だったからねえ
州を回すくらいまではともかく流石に国家はね。
経験積めばまた別だったでしょうけど
>今回の行動はなにも間違ってないし考え方もとても正しいと思うよ、結果も考えうる中で最良と言ってもいいと思うし素直に凄いと思うよ?
からの
>前提が間違ってるはずなのに結果が正解になるという異常性があることだけで…
上げて落とす!お見事w
>どう考えても弱ってるから慰めてほしいというアッピールですね、本当にありがとうございました。
これには納得です。
なるほどなあ。。。
>>419
>まあねえ、所詮はって言い方もアレだけど馬家の下にいた董家の軍師だったからねえ
州を回すくらいまではともかく流石に国家はね。
経験積めばまた別だったでしょうけど
>今回の行動はなにも間違ってないし考え方もとても正しいと思うよ、結果も考えうる中で最良と言ってもいいと思うし素直に凄いと思うよ?
からの
>前提が間違ってるはずなのに結果が正解になるという異常性があることだけで…
上げて落とす!お見事w
>どう考えても弱ってるから慰めてほしいというアッピールですね、本当にありがとうございました。
これには納得です。
なるほどなあ。。。
421:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/05(水) 06:00:01.30:o17giggl0 (1/5)
「愛紗。お疲れ様」
北郷一刀は帰ってきた関羽をねぎらう。彼女は先ほどまで近隣の村落を巡り治安活動に励んできたのである。
「いえ、どうということはありません」
関羽の言は誇張でもなんでもない。あちこちと転戦しているのではあるが疲労の影すらなく平然としている。
いや、むしろ兵卒の群れに関羽という豪傑を宛てるというのが贅沢な話であろう。
「しかし、大忙し、だなあ」
彼の言に偽りはない。ここ最近――虎牢関が陥落し、洛陽まであと数日というところまできての足止め。それから劉備率いる義勇軍は東奔西走している。それまでの閑(ひま)さが嘘のように。
「略奪、暴行。ひどいものです」
関羽は吐き捨てる。彼女の言は嘘ではない。後方にいた諸侯軍が合流してこの方、治安や軍規は乱れる一方なのだ。
そんな彼女に気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。
「ご安心ください。彼奴等の性根を叩きなおしてやりましたが……それだけです。命までは奪っておりませんし、致命的な怪我も負わせてはおりません」
数日悶絶する打撲くらいのものだ。骨を折ったりまでは及んでいない。言って聞かない相手にその鉄拳を振るうことに関羽は躊躇しなかった。切り捨ててしまいたいところではあったのだが、主たる劉備や、その軍師たる諸葛亮からも人死には避けるように言明されている。
関羽とて諸侯軍との関係を決定的に悪いようにしたい訳ではない。
例え正義がこちらにあろうとも、人死にが出てしまえばそれを口実に自分たちは不味い立場になるかもしれない。後ろ盾なぞない自分たちなのだ。
故に激発する可能性のある張飛は劉備や北郷一刀という安全弁から離すことは出来ない。
故に関羽のみが劉備一行と離れて行動しているのだが、それが自らに対する信頼の証であると関羽は理解している。
故に、だからこそ軽率なことはできない。例え目の前でどれだけの非道が行われていても、鉄の意志で関羽は激発をすることなく。だが、それでもその憤りは消えることはないのだ。
「どうして、このようなことに……」
関羽には理解できない。どうして同じ漢朝の民にあのようなことができるのか、と。
「――諸侯軍は常備軍ではありません。それが全てです」
静かに諸葛亮は応える。
「――っ。どういうことだ、朱里」
北郷一刀はだから、問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。その理由を彼は知らずにはいられない。
「諸侯軍の多くは徴兵された兵です。故に給与は支払われません」
反董卓連合。しかして完全に常備軍なのは袁家くらいのもの。いや、輜重に至るまでにそうである袁家がおかしいのだ。
つまり、袁家軍は真に戦うための集団。戦うが生業。よくもそのような集団を限界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。
「だったら!さっさと洛陽に入るべきだろう!」
諸葛亮の言葉を受けて北郷一刀は苛立ちを覚える。どうしてこのようなところで足踏みをするのかと。
「おそらく、ですがそのための交渉をしているのではないかと」
未だ洛陽には禁軍がある。そして禁軍との交戦は袁家軍としては何としても避けたいはず。
「此度の反董卓連合。袁家は極めて慎重にその歩を進めています。ええ。持っている影響力からすれば臆病と言っていいほどに……。
あくまで漢朝の臣として。けしてその矩を越えぬよう。越えてはいないと示しながら手を打っています」
いっそ迂遠なほどである。迂闊と言ってもいいかもしれない。
極端な話ではあるが、袁家単独でも洛陽に迫ることは可能であったろうと諸葛亮は思うし、鳳統も同意している。極めて高度に鍛えられた常備軍と、何より攻城兵器群だ。かつて思った通り、事あらば洛陽、とは言わずとも攻城戦を想定していたとしか思えない。
「愛紗。お疲れ様」
北郷一刀は帰ってきた関羽をねぎらう。彼女は先ほどまで近隣の村落を巡り治安活動に励んできたのである。
「いえ、どうということはありません」
関羽の言は誇張でもなんでもない。あちこちと転戦しているのではあるが疲労の影すらなく平然としている。
いや、むしろ兵卒の群れに関羽という豪傑を宛てるというのが贅沢な話であろう。
「しかし、大忙し、だなあ」
彼の言に偽りはない。ここ最近――虎牢関が陥落し、洛陽まであと数日というところまできての足止め。それから劉備率いる義勇軍は東奔西走している。それまでの閑(ひま)さが嘘のように。
「略奪、暴行。ひどいものです」
関羽は吐き捨てる。彼女の言は嘘ではない。後方にいた諸侯軍が合流してこの方、治安や軍規は乱れる一方なのだ。
そんな彼女に気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。
「ご安心ください。彼奴等の性根を叩きなおしてやりましたが……それだけです。命までは奪っておりませんし、致命的な怪我も負わせてはおりません」
数日悶絶する打撲くらいのものだ。骨を折ったりまでは及んでいない。言って聞かない相手にその鉄拳を振るうことに関羽は躊躇しなかった。切り捨ててしまいたいところではあったのだが、主たる劉備や、その軍師たる諸葛亮からも人死には避けるように言明されている。
関羽とて諸侯軍との関係を決定的に悪いようにしたい訳ではない。
例え正義がこちらにあろうとも、人死にが出てしまえばそれを口実に自分たちは不味い立場になるかもしれない。後ろ盾なぞない自分たちなのだ。
故に激発する可能性のある張飛は劉備や北郷一刀という安全弁から離すことは出来ない。
故に関羽のみが劉備一行と離れて行動しているのだが、それが自らに対する信頼の証であると関羽は理解している。
故に、だからこそ軽率なことはできない。例え目の前でどれだけの非道が行われていても、鉄の意志で関羽は激発をすることなく。だが、それでもその憤りは消えることはないのだ。
「どうして、このようなことに……」
関羽には理解できない。どうして同じ漢朝の民にあのようなことができるのか、と。
「――諸侯軍は常備軍ではありません。それが全てです」
静かに諸葛亮は応える。
「――っ。どういうことだ、朱里」
北郷一刀はだから、問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。その理由を彼は知らずにはいられない。
「諸侯軍の多くは徴兵された兵です。故に給与は支払われません」
反董卓連合。しかして完全に常備軍なのは袁家くらいのもの。いや、輜重に至るまでにそうである袁家がおかしいのだ。
つまり、袁家軍は真に戦うための集団。戦うが生業。よくもそのような集団を限界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。
「だったら!さっさと洛陽に入るべきだろう!」
諸葛亮の言葉を受けて北郷一刀は苛立ちを覚える。どうしてこのようなところで足踏みをするのかと。
「おそらく、ですがそのための交渉をしているのではないかと」
未だ洛陽には禁軍がある。そして禁軍との交戦は袁家軍としては何としても避けたいはず。
「此度の反董卓連合。袁家は極めて慎重にその歩を進めています。ええ。持っている影響力からすれば臆病と言っていいほどに……。
あくまで漢朝の臣として。けしてその矩を越えぬよう。越えてはいないと示しながら手を打っています」
いっそ迂遠なほどである。迂闊と言ってもいいかもしれない。
極端な話ではあるが、袁家単独でも洛陽に迫ることは可能であったろうと諸葛亮は思うし、鳳統も同意している。極めて高度に鍛えられた常備軍と、何より攻城兵器群だ。かつて思った通り、事あらば洛陽、とは言わずとも攻城戦を想定していたとしか思えない。
422:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/05(水) 06:00:27.20:o17giggl0 (2/5)
「じゃあ、あの、何進が下したという勅も本物だって朱里は思ってるのか?」
時系列を考えればあからさまに怪しい勅であるのだが。
「はい。極めて怪しいと言わざるを得ませんが、真であると思われます。
あの、紀霊将軍は極めて遵法意識が高いように思われます。
ここで彼が手配したならばそうなのでしょう」
諸葛亮としては、その勅が正規の手続きにより下されたとは考え辛いと思っている。だが、何らかの抜け道によりもたらされたのかもしれない。その仮説も捨てきれない。
「うーん。あれで、やることはきちんとやってるってことか……」
北郷一刀は呟く。好きか嫌いかと言えば嫌いな相手である。
が、やっていることは確かなのだな、というのは認めざるをえない。そしてそれは諸葛亮も大いに頷くところである。
「はい。紀霊将軍。恋さんと立ち会ったような武勇伝には事欠きませんが、真に評価すべきはその卓越した政治力ではないかと」
そう考えるとその手腕は恐るべきものである。
彼が武家筆頭となってから袁胤という不穏分子を除き、袁術という不和の種になりかねない人物を見事に駒として活かしている。
まさか入内させるとは。
袁家の威光はこれまで以上に留まることはないであろう。このままでは、袁家にあらんずば人に非(あら)ずというほどに権勢を誇ることすらありえるだろう。
「なるほどなあ。そんなのに董家軍みんなの命を乞う訳か。なかなか大変だ……」
苦笑する北郷一刀に関羽と諸葛亮は肩に入っていた力が抜けるような感覚を覚える。
見据える目標は困難。それでも気負わずに前を向く彼の言葉に決意を新たにするのだった。
◆◆◆
「じゃあ、あの、何進が下したという勅も本物だって朱里は思ってるのか?」
時系列を考えればあからさまに怪しい勅であるのだが。
「はい。極めて怪しいと言わざるを得ませんが、真であると思われます。
あの、紀霊将軍は極めて遵法意識が高いように思われます。
ここで彼が手配したならばそうなのでしょう」
諸葛亮としては、その勅が正規の手続きにより下されたとは考え辛いと思っている。だが、何らかの抜け道によりもたらされたのかもしれない。その仮説も捨てきれない。
「うーん。あれで、やることはきちんとやってるってことか……」
北郷一刀は呟く。好きか嫌いかと言えば嫌いな相手である。
が、やっていることは確かなのだな、というのは認めざるをえない。そしてそれは諸葛亮も大いに頷くところである。
「はい。紀霊将軍。恋さんと立ち会ったような武勇伝には事欠きませんが、真に評価すべきはその卓越した政治力ではないかと」
そう考えるとその手腕は恐るべきものである。
彼が武家筆頭となってから袁胤という不穏分子を除き、袁術という不和の種になりかねない人物を見事に駒として活かしている。
まさか入内させるとは。
袁家の威光はこれまで以上に留まることはないであろう。このままでは、袁家にあらんずば人に非(あら)ずというほどに権勢を誇ることすらありえるだろう。
「なるほどなあ。そんなのに董家軍みんなの命を乞う訳か。なかなか大変だ……」
苦笑する北郷一刀に関羽と諸葛亮は肩に入っていた力が抜けるような感覚を覚える。
見据える目標は困難。それでも気負わずに前を向く彼の言葉に決意を新たにするのだった。
◆◆◆
423:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/05(水) 06:01:02.52:o17giggl0 (3/5)
詠ちゃんが去ってから数日。洛陽に進駐するスケジュールは皇甫嵩とやりとりし、あらかた固まってきた。
「明後日だ。明後日。日輪が中天に差し掛かるころに洛陽に入る。そう諸侯軍に伝えろ」
そして、けりを、つけよう。
「諸侯軍には前祝として酒を配れ。秘蔵の火酒、全部配って構わん。ありったけを配れ」
そして。
「張郃。配下から選りすぐりをそうだな。百ほど選んどけ」
俺の言葉に張郃はニヤリ、と愉快そうに口を歪める。正しく俺の意図を汲んでくれたようだ。
「ほう。張家からということでよろしいのか?髑髏の面を集めなさるか。出立は?」
「払暁前。もっと言うと、一番鶏の鳴く前」
俺の言葉に稟ちゃんさんが問うてくる。
「それで、よろしいのですか。これまでの名声を地に落とされますか」
幾度か話し合ったことではあるのだが、それでも問うてくる。
「くどい。もう決めたことさ」
別に俺が手を下す必要はないというのはその通りだ。でも、さ。
更に言い募ろうとする稟ちゃんをどこか可笑しげに張郃は眺める。それに構わずに俺は言葉を続ける。
「殴られっぱなしは性に合わんからな。というよりだ。袁家は武家よ。
舐められたままでいられるかよ。このまま矛を収められるものかよ。
――玉無しどもと同じ空気を吸うのもこれまでだ」
そして。
「これは洛陽にて散った者たちの弔い合戦でもある。袁家に仇なすということの意味を教育してやろうじゃあないか」
なに、禁軍とは話が付いている。後宮に残っている男は宦官のみ。ちょっとしたお掃除。それだけのこと。
宦官の誰が悪くて誰がもっと悪いなんて知る術もないならばまとめてポイするのが合理的な発想というものさ。
「最優先は弘農王……いやさ正当なる皇帝陛下劉弁様の身柄。そして宦官は殲滅だ」
「降伏か、死か、ということですかな?」
「違うね。逃げる奴は宦官だ。
降伏する奴は狡猾な宦官だ。
抵抗するのは訓練された宦官だ。
悉(ことごと)く、殺せ。宦官は悪だ。ゆえに鏖(みなごろし)だ」
悪、即、斬。それを体現するだけのこと。
「承知した。なに。禁裏にて血の雨を降らすことに臆するようなものはおりません」
汚れ仕事は張家の誉。その判断はこの上なく正しいと言わんばかりに、恭しく張郃は一礼し、その身を闇に同化させる。
詠ちゃんが去ってから数日。洛陽に進駐するスケジュールは皇甫嵩とやりとりし、あらかた固まってきた。
「明後日だ。明後日。日輪が中天に差し掛かるころに洛陽に入る。そう諸侯軍に伝えろ」
そして、けりを、つけよう。
「諸侯軍には前祝として酒を配れ。秘蔵の火酒、全部配って構わん。ありったけを配れ」
そして。
「張郃。配下から選りすぐりをそうだな。百ほど選んどけ」
俺の言葉に張郃はニヤリ、と愉快そうに口を歪める。正しく俺の意図を汲んでくれたようだ。
「ほう。張家からということでよろしいのか?髑髏の面を集めなさるか。出立は?」
「払暁前。もっと言うと、一番鶏の鳴く前」
俺の言葉に稟ちゃんさんが問うてくる。
「それで、よろしいのですか。これまでの名声を地に落とされますか」
幾度か話し合ったことではあるのだが、それでも問うてくる。
「くどい。もう決めたことさ」
別に俺が手を下す必要はないというのはその通りだ。でも、さ。
更に言い募ろうとする稟ちゃんをどこか可笑しげに張郃は眺める。それに構わずに俺は言葉を続ける。
「殴られっぱなしは性に合わんからな。というよりだ。袁家は武家よ。
舐められたままでいられるかよ。このまま矛を収められるものかよ。
――玉無しどもと同じ空気を吸うのもこれまでだ」
そして。
「これは洛陽にて散った者たちの弔い合戦でもある。袁家に仇なすということの意味を教育してやろうじゃあないか」
なに、禁軍とは話が付いている。後宮に残っている男は宦官のみ。ちょっとしたお掃除。それだけのこと。
宦官の誰が悪くて誰がもっと悪いなんて知る術もないならばまとめてポイするのが合理的な発想というものさ。
「最優先は弘農王……いやさ正当なる皇帝陛下劉弁様の身柄。そして宦官は殲滅だ」
「降伏か、死か、ということですかな?」
「違うね。逃げる奴は宦官だ。
降伏する奴は狡猾な宦官だ。
抵抗するのは訓練された宦官だ。
悉(ことごと)く、殺せ。宦官は悪だ。ゆえに鏖(みなごろし)だ」
悪、即、斬。それを体現するだけのこと。
「承知した。なに。禁裏にて血の雨を降らすことに臆するようなものはおりません」
汚れ仕事は張家の誉。その判断はこの上なく正しいと言わんばかりに、恭しく張郃は一礼し、その身を闇に同化させる。
424:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/05(水) 06:01:34.86:o17giggl0 (4/5)
「何も二郎殿が手を汚すことはないでしょうに」
苦い声に苦笑する。
「怨将軍とか、英雄とか、そういうのは、いいのさ。
もとより身の丈に合ってなかったしな。だから、いいのさ。いいんだよ」
それに。
「そろそろ路線変更しようかなと思ってたとこだ。
そういうのは、もっとちゃんとした英雄が背負った方がボロが出ない。そして袁家、いやさ紀家には正真正銘の英傑がいるし」
一騎当千、趙子龍。
「天下にその名を轟かせるのは星の方が似つかわしい。そうだろう?」
「――貴方は!」
尚も言葉を重ねようとする稟ちゃんさん。
だが刹那の感情の爆発。その後に紡がれた言葉は別方向からのアプローチであった。
「では、譲られたその英雄の座。星はどう思うか。そして十全に槍を振るえるとお思いですか」
「う……」
流石である。そうきましたか。そして困る。
つまり宦官どもを皆殺しにするってのは、半ば俺の私怨と言ってもおかしくないからなあ。そこはまあ、怨将軍だから許してほしいな。
とか愚にもつかないことを考えていたのだが、思わぬところから助け舟が出た。ようそろ。
「稟よ。主をそう苛めるものではない。主には、いやさ男には譲れぬ思いがあるものだ」
そして助け舟を出してくれたのは星でした。いやなんで君ここにいるのん。
「ふ。そう不可思議な顔をすることもないでしょうに。まあ、種明かしをすると簡単ですがな。張郃どのから聞いたからですな。風からの伝言通り護衛を兼ねて控えさせていただいただけのこと。
まあ、主には言いたいこともあるのですが」
それでも、と。ニヤリ、と。
「天下一を目指すというのはこの身が発した志。そのために主はその身を挺してまでも飛将軍と渡り合う機会を作ってくださった。
――もっとも、それでも。それでも討ち取れなかったわが身には忸怩たる思いがある」
暫し視線を地にやり、改めてこちらを見やる。
「紀家軍の指揮、承りましたとも。
下駄をはかせていただいたとは言え、一騎当千のこの身。けして禁裏、いやさ洛陽に余人を近づけませぬとも」
「……すまんな。星」
「何をおっしゃるか。嬉しいのです。
主に受けた恩は計り知れない。ようやく。
ようやくこの身で、この武で返すことができるのです。喜んで果たしましょうとも。
造られた英雄大いに結構。
もとより流浪の、一介の風来坊のこの身。望外の栄光。
見事果たしてみせましょうとも」
そして。
「それに主よ。それがしが聞きたいのはそのような謝罪の言葉ではない。感謝を、鼓舞をこそほしいものです。
と、女からここまで言わせる御身は相当に罪作りですぞ?」
艶然と笑む星。強張っていた思考が動き出す。そうだな。悲壮ぶるのは俺らしくない。
きっとね。
「星、ありがとう。そして何人たりとも洛陽に立ち入らせるな。
――頼りにしてるよ」
「承った。なに、はねっかえりを押さえるだけの簡単なお仕事だろう?」
不敵で無敵。一騎当千な星に見送るしかない俺であった。
あ、微かに。微かに苦笑する稟ちゃんさんを見れたのもすごい収穫だなとかなんとか。
うん、ありがとな二人とも。
それはそれとして。
けじめはつけんとな。
まあ、地雷原での綱渡りではあるのだが、ね。
後始末が、はじまる。
「何も二郎殿が手を汚すことはないでしょうに」
苦い声に苦笑する。
「怨将軍とか、英雄とか、そういうのは、いいのさ。
もとより身の丈に合ってなかったしな。だから、いいのさ。いいんだよ」
それに。
「そろそろ路線変更しようかなと思ってたとこだ。
そういうのは、もっとちゃんとした英雄が背負った方がボロが出ない。そして袁家、いやさ紀家には正真正銘の英傑がいるし」
一騎当千、趙子龍。
「天下にその名を轟かせるのは星の方が似つかわしい。そうだろう?」
「――貴方は!」
尚も言葉を重ねようとする稟ちゃんさん。
だが刹那の感情の爆発。その後に紡がれた言葉は別方向からのアプローチであった。
「では、譲られたその英雄の座。星はどう思うか。そして十全に槍を振るえるとお思いですか」
「う……」
流石である。そうきましたか。そして困る。
つまり宦官どもを皆殺しにするってのは、半ば俺の私怨と言ってもおかしくないからなあ。そこはまあ、怨将軍だから許してほしいな。
とか愚にもつかないことを考えていたのだが、思わぬところから助け舟が出た。ようそろ。
「稟よ。主をそう苛めるものではない。主には、いやさ男には譲れぬ思いがあるものだ」
そして助け舟を出してくれたのは星でした。いやなんで君ここにいるのん。
「ふ。そう不可思議な顔をすることもないでしょうに。まあ、種明かしをすると簡単ですがな。張郃どのから聞いたからですな。風からの伝言通り護衛を兼ねて控えさせていただいただけのこと。
まあ、主には言いたいこともあるのですが」
それでも、と。ニヤリ、と。
「天下一を目指すというのはこの身が発した志。そのために主はその身を挺してまでも飛将軍と渡り合う機会を作ってくださった。
――もっとも、それでも。それでも討ち取れなかったわが身には忸怩たる思いがある」
暫し視線を地にやり、改めてこちらを見やる。
「紀家軍の指揮、承りましたとも。
下駄をはかせていただいたとは言え、一騎当千のこの身。けして禁裏、いやさ洛陽に余人を近づけませぬとも」
「……すまんな。星」
「何をおっしゃるか。嬉しいのです。
主に受けた恩は計り知れない。ようやく。
ようやくこの身で、この武で返すことができるのです。喜んで果たしましょうとも。
造られた英雄大いに結構。
もとより流浪の、一介の風来坊のこの身。望外の栄光。
見事果たしてみせましょうとも」
そして。
「それに主よ。それがしが聞きたいのはそのような謝罪の言葉ではない。感謝を、鼓舞をこそほしいものです。
と、女からここまで言わせる御身は相当に罪作りですぞ?」
艶然と笑む星。強張っていた思考が動き出す。そうだな。悲壮ぶるのは俺らしくない。
きっとね。
「星、ありがとう。そして何人たりとも洛陽に立ち入らせるな。
――頼りにしてるよ」
「承った。なに、はねっかえりを押さえるだけの簡単なお仕事だろう?」
不敵で無敵。一騎当千な星に見送るしかない俺であった。
あ、微かに。微かに苦笑する稟ちゃんさんを見れたのもすごい収穫だなとかなんとか。
うん、ありがとな二人とも。
それはそれとして。
けじめはつけんとな。
まあ、地雷原での綱渡りではあるのだが、ね。
後始末が、はじまる。
425:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/05(水) 06:02:01.65:o17giggl0 (5/5)
寝落ちしておりました
ここまですー感想とかくだしあー
今のところ無題でごんす
寝落ちしておりました
ここまですー感想とかくだしあー
今のところ無題でごんす
426:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2020/08/05(水) 14:03:00.79:1Cc5hk/D0 (1/1)
面白いからよし
面白いからよし
427:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/06(木) 12:39:47.66:C090nCv+0 (1/1)
>>426
ありがとうごぜえやす
えっへっへ
それはともかく、お盆には間に合いませんでしたね。
前後編に分けるしかないにゃー
>>426
ありがとうごぜえやす
えっへっへ
それはともかく、お盆には間に合いませんでしたね。
前後編に分けるしかないにゃー
428:赤ペン:2020/08/06(木) 14:12:30.22:fAoB5U7T0 (1/1)
乙でしたー
>>421
>>そんな彼女に気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。 これだと一刀が関羽に気遣うような視線が向けられてるように読めますね【(一刀が)そんな彼女に~】
○そんな彼女は気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。 この後の言葉からすると【そんな彼女は(一刀の)気遣う様な~】だと思うのでこうですね
>>故に、だからこそ軽率なことはできない。 意味が重複してますね
○だからこそ軽率なことはできない。 意味を重ねるなら【だから……だからこそ】とかかな、と思いますけどそうする程でもないでしょ
>>静かに諸葛亮は応える。 関羽の「どうして」と言う問いに対するものなので
○静かに諸葛亮は答える。 答えを教えるということでこちらですね
>>北郷一刀はだから、問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。その理由を彼は知らずにはいられない。 これだと【だから】の掛かり先が分かりづらいので
○北郷一刀は問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。ならば、その理由を彼は知らずにはいられない。 でどうでしょう
>>よくもそのような集団を限界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。 あ?何が限界だって?(チンピラ風
○よくもそのような集団を現界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。 なお最近の造語なので【設立せしめた】の方が良いかな?むしろ袁家の凄さはそれを維持してることだと思うけど
>>「おそらく、ですがそのための交渉をしているのではないかと」 ちょっと【おそらく】の意味が伝わりづらいので
○「おそらくですが、そのための交渉をしているのではないかと」 もしくは【「おそらく……ですがそのための】勿体ぶるというか思索してて考えをまとめる感じならこうですね
>>422
>>袁家の威光はこれまで以上に留まることはないであろう。 間違いではないですが【これまで以上に留まる】と【ことはない】で分けて読むと違和感が出てしまうので
○袁家の威光はこれまで以上に中華に響き渡るであろう。 書いて思ってけど威光って響くのか?【包み込む】?【照り付ける】?【示される】?いっそ
○袁家の威光はこれまで以上のものとなるであろう。 がすっきりしてて良いかな?
>>424
>>つまり宦官どもを皆殺しにするってのは、半ば俺の私怨と言ってもおかしくないからなあ。 間違いではないですがこれだと前の文章に【つまり】がかかってるように読めて《?》となるので
○つまるところ宦官どもを皆殺しにするってのは、半ば俺の私怨と言ってもおかしくないからなあ。 趙雲が槍を十全うんぬんかんぬんにかかると彼女も宦官皆殺しに関わってしまうけどそうじゃないでしょうし
>>下駄をはかせていただいたとは言え、 下駄って日本の物っぽいんだよなあ…恋姫世界ならありそうだけど…と言うか星の履いてるのが下駄っぽいっちゃぽいんだよなあ
○嵩上げいただいたとは言え、 もしくは【水増しいただいた】とか?まあ気にしなくても良い事か
>>切り捨ててしまいたいところではあったのだが、 劉備に最も近い位置にいるはずの彼女の思考回路が…お前、何で劉備が止めるのか分かってないだろ。あくまでも劉備が止めるからやってないだけだろ
>>北郷一刀は呟く。好きか嫌いかと言えば嫌いな相手である。 一応聞くがなんで嫌いなん?自分の物(趙雲)に手を出されたから?義勇軍に糧食しか提供しないから?董卓を助けようとしないから?
【凡人、終わり方を整える】と言うかこの場合は結び方?締め方?それにしても張コウ君が愉しそうだわw
喧嘩なんてのは始めようと思えば結構簡単に始められるけど終わらせようとするといろいろと大変なのよね…それが戦争になったらなおのこと
そういや食い詰め略奪して痛めつけられた諸侯軍の一兵卒はその後どうしたんだろ…もともとの諸侯のところに届けたのか袁家に届けたのか自分たちのもとに吸収したのか…
乙でしたー
>>421
>>そんな彼女に気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。 これだと一刀が関羽に気遣うような視線が向けられてるように読めますね【(一刀が)そんな彼女に~】
○そんな彼女は気遣うような視線を送られているのを感じて慌てて取り繕う。 この後の言葉からすると【そんな彼女は(一刀の)気遣う様な~】だと思うのでこうですね
>>故に、だからこそ軽率なことはできない。 意味が重複してますね
○だからこそ軽率なことはできない。 意味を重ねるなら【だから……だからこそ】とかかな、と思いますけどそうする程でもないでしょ
>>静かに諸葛亮は応える。 関羽の「どうして」と言う問いに対するものなので
○静かに諸葛亮は答える。 答えを教えるということでこちらですね
>>北郷一刀はだから、問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。その理由を彼は知らずにはいられない。 これだと【だから】の掛かり先が分かりづらいので
○北郷一刀は問いを発する。関羽があのように苦しんでいるのだ。ならば、その理由を彼は知らずにはいられない。 でどうでしょう
>>よくもそのような集団を限界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。 あ?何が限界だって?(チンピラ風
○よくもそのような集団を現界せしめたものだと諸葛亮は改めて戦慄を禁じ得ない。 なお最近の造語なので【設立せしめた】の方が良いかな?むしろ袁家の凄さはそれを維持してることだと思うけど
>>「おそらく、ですがそのための交渉をしているのではないかと」 ちょっと【おそらく】の意味が伝わりづらいので
○「おそらくですが、そのための交渉をしているのではないかと」 もしくは【「おそらく……ですがそのための】勿体ぶるというか思索してて考えをまとめる感じならこうですね
>>422
>>袁家の威光はこれまで以上に留まることはないであろう。 間違いではないですが【これまで以上に留まる】と【ことはない】で分けて読むと違和感が出てしまうので
○袁家の威光はこれまで以上に中華に響き渡るであろう。 書いて思ってけど威光って響くのか?【包み込む】?【照り付ける】?【示される】?いっそ
○袁家の威光はこれまで以上のものとなるであろう。 がすっきりしてて良いかな?
>>424
>>つまり宦官どもを皆殺しにするってのは、半ば俺の私怨と言ってもおかしくないからなあ。 間違いではないですがこれだと前の文章に【つまり】がかかってるように読めて《?》となるので
○つまるところ宦官どもを皆殺しにするってのは、半ば俺の私怨と言ってもおかしくないからなあ。 趙雲が槍を十全うんぬんかんぬんにかかると彼女も宦官皆殺しに関わってしまうけどそうじゃないでしょうし
>>下駄をはかせていただいたとは言え、 下駄って日本の物っぽいんだよなあ…恋姫世界ならありそうだけど…と言うか星の履いてるのが下駄っぽいっちゃぽいんだよなあ
○嵩上げいただいたとは言え、 もしくは【水増しいただいた】とか?まあ気にしなくても良い事か
>>切り捨ててしまいたいところではあったのだが、 劉備に最も近い位置にいるはずの彼女の思考回路が…お前、何で劉備が止めるのか分かってないだろ。あくまでも劉備が止めるからやってないだけだろ
>>北郷一刀は呟く。好きか嫌いかと言えば嫌いな相手である。 一応聞くがなんで嫌いなん?自分の物(趙雲)に手を出されたから?義勇軍に糧食しか提供しないから?董卓を助けようとしないから?
【凡人、終わり方を整える】と言うかこの場合は結び方?締め方?それにしても張コウ君が愉しそうだわw
喧嘩なんてのは始めようと思えば結構簡単に始められるけど終わらせようとするといろいろと大変なのよね…それが戦争になったらなおのこと
そういや食い詰め略奪して痛めつけられた諸侯軍の一兵卒はその後どうしたんだろ…もともとの諸侯のところに届けたのか袁家に届けたのか自分たちのもとに吸収したのか…
429:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/08(土) 09:47:18.26:UDFWiA2i0 (1/2)
>>428
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うほう。
>一応聞くがなんで嫌いなん?自分の物(趙雲)に手を出されたから?義勇軍に糧食しか提供しないから?董卓を助けようとしないから?
熱いマジレスありがとうございますw
それもう星ちゃんとの一件から積み上がっている奴でしょうねw
>喧嘩なんてのは始めようと思えば結構簡単に始められるけど終わらせようとするといろいろと大変なのよね…それが戦争になったらなおのこと
ほんとこれです。
詠ちゃんはもう、このために頑張ってるし、月ちゃんはそれを分かってるから死ぬわけにはいかないのですよね
>そういや食い詰め略奪して痛めつけられた諸侯軍の一兵卒はその後どうしたんだろ…もともとの諸侯のところに届けたのか袁家に届けたのか自分たちのもとに吸収したのか…
大体は送り届けて、いくらかは脱走かな
治安が・・・
>>428
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
うほう。
>一応聞くがなんで嫌いなん?自分の物(趙雲)に手を出されたから?義勇軍に糧食しか提供しないから?董卓を助けようとしないから?
熱いマジレスありがとうございますw
それもう星ちゃんとの一件から積み上がっている奴でしょうねw
>喧嘩なんてのは始めようと思えば結構簡単に始められるけど終わらせようとするといろいろと大変なのよね…それが戦争になったらなおのこと
ほんとこれです。
詠ちゃんはもう、このために頑張ってるし、月ちゃんはそれを分かってるから死ぬわけにはいかないのですよね
>そういや食い詰め略奪して痛めつけられた諸侯軍の一兵卒はその後どうしたんだろ…もともとの諸侯のところに届けたのか袁家に届けたのか自分たちのもとに吸収したのか…
大体は送り届けて、いくらかは脱走かな
治安が・・・
430:赤ペン:2020/08/08(土) 09:57:26.88:9ezm9d5b0 (1/1)
高々義勇軍に「お前のところの兵士がチョーシこいて略奪してたから締めといたわwちゃんと見とけよなw」と雑兵を持ってこられた諸侯軍が何を思ったことやら(隙あらばヘイト稼ぎ
高々義勇軍に「お前のところの兵士がチョーシこいて略奪してたから締めといたわwちゃんと見とけよなw」と雑兵を持ってこられた諸侯軍が何を思ったことやら(隙あらばヘイト稼ぎ
431:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/08(土) 10:07:21.45:UDFWiA2i0 (2/2)
>>430
確かにw
「ぐぬぬ」
状況を考えると暗に命令されてた可能性も高いですね。つか、そうだろうなあ。
これはヘイトが充填されますよ!やったぜ!
>>430
確かにw
「ぐぬぬ」
状況を考えると暗に命令されてた可能性も高いですね。つか、そうだろうなあ。
これはヘイトが充填されますよ!やったぜ!
432:俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU:2020/08/14(金) 12:17:05.49:3kBKbdp20 (1/1)
乙です。残暑お見舞い申し上げます。
うーわー。とうとう血の雨が豪雨のように降るのかぁ。自業自得とはいえ、個人的にはねぇ。でも必要だから、必要だから。
で、こらパシリ。
嫌いなら帰れや。温い異分子が。消毒用アルコールと純粋次亜塩素と界面活性剤で消毒すんぞコラ。
二郎さんは「どうしてこうなった」を知っている側だからお前が董卓軍の助命嘆願しなくても最善をつくすだろうよ(一応オブラート包装)
ただけじめをつける、筋を通す。この関係で何らかの処分はするだろうけど。
第一、使える人材を殺すなんて愚はぜったいやらない。ハーレムに引き込まれるヒロインは絶対出てくるけど(断言)
だからコラパシリ。黙って消えとけや。コラ。
つうか関羽さんを報いてあげて。劉備込みでも仕方ないからなんか報いてあげて。
おーいチョウコウ君。必殺仕事人の出番だぜい。思い切り目立ってちょうだいよ(応援)つうか大活劇期待。超々期待。
二郎さんを本気で怒らせてしまったようですね。まぁ虎の尾を力いっぱい踏みにじって、逆鱗思い切り殴りつけりゃ、こうなるわな。
つうか趙雲さんが指揮権委譲されること自体紀家軍内部では既定事項のようなような気がするんですが。
幕僚幹部の誰かが文句言ってたとか?
乙です。残暑お見舞い申し上げます。
うーわー。とうとう血の雨が豪雨のように降るのかぁ。自業自得とはいえ、個人的にはねぇ。でも必要だから、必要だから。
で、こらパシリ。
嫌いなら帰れや。温い異分子が。消毒用アルコールと純粋次亜塩素と界面活性剤で消毒すんぞコラ。
二郎さんは「どうしてこうなった」を知っている側だからお前が董卓軍の助命嘆願しなくても最善をつくすだろうよ(一応オブラート包装)
ただけじめをつける、筋を通す。この関係で何らかの処分はするだろうけど。
第一、使える人材を殺すなんて愚はぜったいやらない。ハーレムに引き込まれるヒロインは絶対出てくるけど(断言)
だからコラパシリ。黙って消えとけや。コラ。
つうか関羽さんを報いてあげて。劉備込みでも仕方ないからなんか報いてあげて。
おーいチョウコウ君。必殺仕事人の出番だぜい。思い切り目立ってちょうだいよ(応援)つうか大活劇期待。超々期待。
二郎さんを本気で怒らせてしまったようですね。まぁ虎の尾を力いっぱい踏みにじって、逆鱗思い切り殴りつけりゃ、こうなるわな。
つうか趙雲さんが指揮権委譲されること自体紀家軍内部では既定事項のようなような気がするんですが。
幕僚幹部の誰かが文句言ってたとか?
433:赤ペン:2020/08/14(金) 21:34:20.12:rEb+M6s40 (1/1)
強いて言えば紀霊がそんな簡単に閑職に回されたっていう結果が残るのが問題かな?
(えっ!あのPをPだからって理由でひそかにPしてしかもPをPにPしたって?そりゃ責任取るよね)…一応裏ワザというか力業使いまくればあんなことやこんなこともできるけど一ノ瀬さんがどうするのかを邪魔したくないのでP音多めで
強いて言えば紀霊がそんな簡単に閑職に回されたっていう結果が残るのが問題かな?
(えっ!あのPをPだからって理由でひそかにPしてしかもPをPにPしたって?そりゃ責任取るよね)…一応裏ワザというか力業使いまくればあんなことやこんなこともできるけど一ノ瀬さんがどうするのかを邪魔したくないのでP音多めで
434:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/15(土) 07:22:28.12:Bzh9QCmS0 (1/2)
>>432
どもです。
お元気そうでなによりです。
>うーわー。とうとう血の雨が豪雨のように降るのかぁ。自業自得とはいえ、個人的にはねぇ。でも必要だから、必要だから。
屍山血河。まではいかないはず、はずです。
>ただけじめをつける、筋を通す。この関係で何らかの処分はするだろうけど。
はい。とだけ。
>二郎さんを本気で怒らせてしまったようですね。まぁ虎の尾を力いっぱい踏みにじって、逆鱗思い切り殴りつけりゃ、こうなるわな。
二郎ちゃんには辛い展開が続きますが仕方ないっすね。
>つうか趙雲さんが指揮権委譲されること自体紀家軍内部では既定事項のようなような気がするんですが。
まあ、突然あっちこっちほっつき歩いたり、放浪したりするので紀家軍的にはいつものことじゃないかとw
>>433
>強いて言えば紀霊がそんな簡単に閑職に回されたっていう結果が残るのが問題かな?
か、閑職とか。そんな二郎ちゃんのご希望ルートが通るわけがないですw
あっちの更新が一段落しましたら続きやりますので。
>>432
どもです。
お元気そうでなによりです。
>うーわー。とうとう血の雨が豪雨のように降るのかぁ。自業自得とはいえ、個人的にはねぇ。でも必要だから、必要だから。
屍山血河。まではいかないはず、はずです。
>ただけじめをつける、筋を通す。この関係で何らかの処分はするだろうけど。
はい。とだけ。
>二郎さんを本気で怒らせてしまったようですね。まぁ虎の尾を力いっぱい踏みにじって、逆鱗思い切り殴りつけりゃ、こうなるわな。
二郎ちゃんには辛い展開が続きますが仕方ないっすね。
>つうか趙雲さんが指揮権委譲されること自体紀家軍内部では既定事項のようなような気がするんですが。
まあ、突然あっちこっちほっつき歩いたり、放浪したりするので紀家軍的にはいつものことじゃないかとw
>>433
>強いて言えば紀霊がそんな簡単に閑職に回されたっていう結果が残るのが問題かな?
か、閑職とか。そんな二郎ちゃんのご希望ルートが通るわけがないですw
あっちの更新が一段落しましたら続きやりますので。
435:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/15(土) 17:18:40.87:Bzh9QCmS0 (2/2)
やってもた
書いてたのが消えた(本日1度目累計数えきれない)
ぴえん
キャストリアが来てくれたら(書き込みはここで終わっている)
やってもた
書いてたのが消えた(本日1度目累計数えきれない)
ぴえん
キャストリアが来てくれたら(書き込みはここで終わっている)
436:俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU:2020/08/19(水) 11:25:14.85:ETPb6Xi90 (1/1)
なんとなく浮かんだ。
タイトル案 「収束への助走」
うーん……うーん……
なんとなく浮かんだ。
タイトル案 「収束への助走」
うーん……うーん……
437:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/19(水) 20:32:32.50:cFjFIKet0 (1/1)
>>436
>タイトル案 「収束への助走」
ほむん。刺さる。ちょっと検討させてくださいい。
何案あってもいいので、思いつきレベルでも結構なので投げてみて下しあ
あ、麹義さんはこの章のために南皮残留でした。
ここが終わったら完全フリー素材となりますのでよろしくお願いします。
幸せにしてあげてくださいませ。
田豊師匠も同様ですが、どっかで私塾兼道場とか立ち上げてそうですねえ。。。
>>436
>タイトル案 「収束への助走」
ほむん。刺さる。ちょっと検討させてくださいい。
何案あってもいいので、思いつきレベルでも結構なので投げてみて下しあ
あ、麹義さんはこの章のために南皮残留でした。
ここが終わったら完全フリー素材となりますのでよろしくお願いします。
幸せにしてあげてくださいませ。
田豊師匠も同様ですが、どっかで私塾兼道場とか立ち上げてそうですねえ。。。
438:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/25(火) 22:30:13.95:6LwOn5rb0 (1/3)
「なるほど、明日、か」
劉協は嘆息する。
至尊の座に座るのも明日が最後と思えば、ため息の一つも漏れようというものである。
とはいえ、偽帝として討たれるという心配はない。袁家からは内々に陳留王として政務に携わって欲しいという打診を受けている。
まあ、劉弁は愚鈍にして惰弱。そして洛陽に攻め寄せたという後ろめたさもあるのであろう。皇族、それも優秀な皇族が支持するというのは袁家にとっても益があるということである。そしてそれは目の前で持参した美酒を楽しむ男にもあてはまる。
皇甫嵩。清流派の首魁にして禁軍を掌握する重要人物である。彼が禁軍を握っているからこそ、朝廷は平穏を保っていると言ってもいい。
「ま、仕方ないね。想定内の事態ではあるし、ね」
軽く肩をすくめる皇甫嵩。彼も袁家より、内々に三公の座を打診されている。状況が落ち着けば、現状よりもその影響力は大きくなるだろう。
悠然と酒杯を干す。その所作に劉協は湧き起こっていた焦燥を噛み殺す。まだ、皇甫嵩と遣り合うには早い。だが。
「陳留王たるわが身、宦官、そして清流派の首魁たる貴殿、か。
天下三分とはよく言ったものだな」
時さえあれば、皇族たる自分が敵対する二者を圧倒するのは自明の理。劉協にとって時間は味方なのだ。
それを思えば喉を潤す酒精が甘露に思える。いや、実際に銘酒なのであろうが。
「そうだね、僕もそう思う。なるほど、天下を三分にすれば即ち三竦み。容易に動けるものではない。見事、さ。誰が考えたかは知らないけどね」
ぐびり、と皇甫嵩は杯を干して笑う。
「でもね、その一角。宦官は明日未明に誅されるよ」
「なに……?
なん、だって……?」
劉協は言葉を喪う。
何を言っているのだ皇甫嵩は。そんなことができるものか。
「どうやら袁家は宦官という存在を許さないみたいだねえ。いやぁ、怖い怖い」
くすくすとした笑みを深める皇甫嵩。
「き、聞いてないぞ!朕は聞いてないぞ!皇甫嵩!」
「そりゃそうさ、言ってないからね。そして朕とか言うなよ見苦しい。
君は結局偽帝さ。それを認めるのがそんなに嫌かい?」
劉協は言葉を失う。これまでそのような無礼な言葉を聞いたことはない。なんとも不敬か!
「貴様――あ、ぐ、ぶぼ?」
ごぽり、と湧き出る真紅の塊に劉協は言葉を喪う。物理的に。
これは、なんだ。何故、どうして。どうして赤く、染まっているのか。
「まあ、そういうことさ。天下を分ける必要はない。乱れたその後は余計にね。だから、ゆっくり休んでくれたまえ。そして天下はきちんと僕が預かるからさ」
くそ、総取りかと劉協は血を吐きながら目の前で悠然としている男を睨む。せめて、呪われてあれ、と。
「ふふ、負け犬が吠えることもできずに倒れ伏すのを見るのは中々いいねえ。それも特等席ならなおのこと、ね」
宦官勢力が撃滅されたならば敵対するは劉協。そしてあの何進が恐れた才能とまともに組み合うほど皇甫嵩は愚かではない。そして、天下三分。そのうち二つが失われたならば。
「くく、そうさ。ようやく天は相応しい人物へと転がり込むのさ」
計画通り、とばかりにその秀麗な顔を歪めて皇甫嵩は笑う。
「ただまあ、駒が足りないというのがねえ」
文武共に配下の人材については物足りないという言葉では全く足りない。
清流派、とは言え実務に耐えうる人材の少ないことよ。
ことに軍を率いることのできる人材なぞ皆無に等しい。
「いいさ、当てはあるしね」
細工は流々。皇甫嵩はにまりと笑い、室を後にする。
残された劉協は虚空を睨み掴もうとして、無念そのものであった。
「なるほど、明日、か」
劉協は嘆息する。
至尊の座に座るのも明日が最後と思えば、ため息の一つも漏れようというものである。
とはいえ、偽帝として討たれるという心配はない。袁家からは内々に陳留王として政務に携わって欲しいという打診を受けている。
まあ、劉弁は愚鈍にして惰弱。そして洛陽に攻め寄せたという後ろめたさもあるのであろう。皇族、それも優秀な皇族が支持するというのは袁家にとっても益があるということである。そしてそれは目の前で持参した美酒を楽しむ男にもあてはまる。
皇甫嵩。清流派の首魁にして禁軍を掌握する重要人物である。彼が禁軍を握っているからこそ、朝廷は平穏を保っていると言ってもいい。
「ま、仕方ないね。想定内の事態ではあるし、ね」
軽く肩をすくめる皇甫嵩。彼も袁家より、内々に三公の座を打診されている。状況が落ち着けば、現状よりもその影響力は大きくなるだろう。
悠然と酒杯を干す。その所作に劉協は湧き起こっていた焦燥を噛み殺す。まだ、皇甫嵩と遣り合うには早い。だが。
「陳留王たるわが身、宦官、そして清流派の首魁たる貴殿、か。
天下三分とはよく言ったものだな」
時さえあれば、皇族たる自分が敵対する二者を圧倒するのは自明の理。劉協にとって時間は味方なのだ。
それを思えば喉を潤す酒精が甘露に思える。いや、実際に銘酒なのであろうが。
「そうだね、僕もそう思う。なるほど、天下を三分にすれば即ち三竦み。容易に動けるものではない。見事、さ。誰が考えたかは知らないけどね」
ぐびり、と皇甫嵩は杯を干して笑う。
「でもね、その一角。宦官は明日未明に誅されるよ」
「なに……?
なん、だって……?」
劉協は言葉を喪う。
何を言っているのだ皇甫嵩は。そんなことができるものか。
「どうやら袁家は宦官という存在を許さないみたいだねえ。いやぁ、怖い怖い」
くすくすとした笑みを深める皇甫嵩。
「き、聞いてないぞ!朕は聞いてないぞ!皇甫嵩!」
「そりゃそうさ、言ってないからね。そして朕とか言うなよ見苦しい。
君は結局偽帝さ。それを認めるのがそんなに嫌かい?」
劉協は言葉を失う。これまでそのような無礼な言葉を聞いたことはない。なんとも不敬か!
「貴様――あ、ぐ、ぶぼ?」
ごぽり、と湧き出る真紅の塊に劉協は言葉を喪う。物理的に。
これは、なんだ。何故、どうして。どうして赤く、染まっているのか。
「まあ、そういうことさ。天下を分ける必要はない。乱れたその後は余計にね。だから、ゆっくり休んでくれたまえ。そして天下はきちんと僕が預かるからさ」
くそ、総取りかと劉協は血を吐きながら目の前で悠然としている男を睨む。せめて、呪われてあれ、と。
「ふふ、負け犬が吠えることもできずに倒れ伏すのを見るのは中々いいねえ。それも特等席ならなおのこと、ね」
宦官勢力が撃滅されたならば敵対するは劉協。そしてあの何進が恐れた才能とまともに組み合うほど皇甫嵩は愚かではない。そして、天下三分。そのうち二つが失われたならば。
「くく、そうさ。ようやく天は相応しい人物へと転がり込むのさ」
計画通り、とばかりにその秀麗な顔を歪めて皇甫嵩は笑う。
「ただまあ、駒が足りないというのがねえ」
文武共に配下の人材については物足りないという言葉では全く足りない。
清流派、とは言え実務に耐えうる人材の少ないことよ。
ことに軍を率いることのできる人材なぞ皆無に等しい。
「いいさ、当てはあるしね」
細工は流々。皇甫嵩はにまりと笑い、室を後にする。
残された劉協は虚空を睨み掴もうとして、無念そのものであった。
439:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/25(火) 22:32:31.58:6LwOn5rb0 (2/3)
◆◆◆
「陛下、お目覚め下さい。
陛下……」
周泰は穏やかでいながら力強く声をかける。それは目指す相手にしか伝わらないという特殊な発声方法である。そして目の前の、健やかな眠りを貪る少年は不承不承、といった風に応える。
「ううん、なんだい。もう朝なのかい?もうちょっと寝かせてくれよ、まだ暗いじゃないか」
それに、と。
自分は陛下と呼ばれる立場にないから起きる筋合いはないかもね、と軽く主張すると同時に寝息を立て始める。
「ど、どうしましょう……」
禁裏の奥の奥、そして裏の裏。後宮より更に奥にある離れの一室。そこまでの道のり、その厳戒を潜り抜けるよりもこの、今の状況をどうしていいか分からずにあたふたと狼狽(うろた)える。
「なんだ、僕を殺しにきたのじゃあないのか」
不意に目前で寝息を立てていた少年――劉弁――は、のんびりとした声を上げる。
「お、起きていらっしゃったのですか!」
驚くのは周泰である。彼女からしても完全に寝入っていたはず。それが擬態ならば驚くべきものである。
「ううん、そうだね。そうだなあ、寝ていたよ。この上なく安らかにね」
面倒くさげに劉弁はぼそり、と。
曰く、何進が誅されてからこの方、いつ殺されてもおかしくないような空気。その中で過ごしていたというのだ。故に、安らかに眠れたのだ。それら不埒な塵芥を周泰が人知れず駆逐したのを――夜が明けて死体が発見されるまでは露見しないはずであるのだが――この少年はなんとなく感じ取っていたのであろう。
いわば小動物の生存本能にも近しいそれ。だが、それを身に付けてしまうというのがどういう状況下であるのだろうか。
周泰は発する言葉を失ってしまう。
「で、お姉さん。僕は用無しになって殺されるってわけじゃないんだよね?」
その声に周泰は自失していた意識を引き戻して慌てて応える。
「は、はい!勿論です!陛下の御身を守護するべく使わされて参りました。
陛下のご宸襟を騒がせ……」
「なら、それでいいよ。それで、僕はどこかに逃げるのかい?」
「いえ、外に出るのは却って危険です。臣がこの身に代えても御身を守護奉ります」
そうかい、と気安く劉弁は頷き。
「なら、もう少し寝かせてもらうよ。どうにも最近は寝たりなくっていけないからね。
じゃあね、おやすみ」
言い終えるとほぼ同時に湧き起こる健やかな寝息に周泰は目を白黒させる。
周泰は知らない。これが劉弁なりの保身術。それは何進に仕込まれた保身術。
徹底的に無能で、無害であることで魑魅魍魎の跋扈する宮廷をただ、浮揚することで生き残る保身術。それを遣り切る、ある意味での強さ。
そして、日が中天に昇り、すべてが終わり。それでも劉弁は呑気に惰眠を貪っていたのである。
そう、惨劇、阿鼻叫喚。これから起こるそれらを全て認識せず。劉弁はただひたすらに眠るのだった。
◆◆◆
「陛下、お目覚め下さい。
陛下……」
周泰は穏やかでいながら力強く声をかける。それは目指す相手にしか伝わらないという特殊な発声方法である。そして目の前の、健やかな眠りを貪る少年は不承不承、といった風に応える。
「ううん、なんだい。もう朝なのかい?もうちょっと寝かせてくれよ、まだ暗いじゃないか」
それに、と。
自分は陛下と呼ばれる立場にないから起きる筋合いはないかもね、と軽く主張すると同時に寝息を立て始める。
「ど、どうしましょう……」
禁裏の奥の奥、そして裏の裏。後宮より更に奥にある離れの一室。そこまでの道のり、その厳戒を潜り抜けるよりもこの、今の状況をどうしていいか分からずにあたふたと狼狽(うろた)える。
「なんだ、僕を殺しにきたのじゃあないのか」
不意に目前で寝息を立てていた少年――劉弁――は、のんびりとした声を上げる。
「お、起きていらっしゃったのですか!」
驚くのは周泰である。彼女からしても完全に寝入っていたはず。それが擬態ならば驚くべきものである。
「ううん、そうだね。そうだなあ、寝ていたよ。この上なく安らかにね」
面倒くさげに劉弁はぼそり、と。
曰く、何進が誅されてからこの方、いつ殺されてもおかしくないような空気。その中で過ごしていたというのだ。故に、安らかに眠れたのだ。それら不埒な塵芥を周泰が人知れず駆逐したのを――夜が明けて死体が発見されるまでは露見しないはずであるのだが――この少年はなんとなく感じ取っていたのであろう。
いわば小動物の生存本能にも近しいそれ。だが、それを身に付けてしまうというのがどういう状況下であるのだろうか。
周泰は発する言葉を失ってしまう。
「で、お姉さん。僕は用無しになって殺されるってわけじゃないんだよね?」
その声に周泰は自失していた意識を引き戻して慌てて応える。
「は、はい!勿論です!陛下の御身を守護するべく使わされて参りました。
陛下のご宸襟を騒がせ……」
「なら、それでいいよ。それで、僕はどこかに逃げるのかい?」
「いえ、外に出るのは却って危険です。臣がこの身に代えても御身を守護奉ります」
そうかい、と気安く劉弁は頷き。
「なら、もう少し寝かせてもらうよ。どうにも最近は寝たりなくっていけないからね。
じゃあね、おやすみ」
言い終えるとほぼ同時に湧き起こる健やかな寝息に周泰は目を白黒させる。
周泰は知らない。これが劉弁なりの保身術。それは何進に仕込まれた保身術。
徹底的に無能で、無害であることで魑魅魍魎の跋扈する宮廷をただ、浮揚することで生き残る保身術。それを遣り切る、ある意味での強さ。
そして、日が中天に昇り、すべてが終わり。それでも劉弁は呑気に惰眠を貪っていたのである。
そう、惨劇、阿鼻叫喚。これから起こるそれらを全て認識せず。劉弁はただひたすらに眠るのだった。
440:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/25(火) 22:34:16.02:6LwOn5rb0 (3/3)
はい、再開です。頑張ります。
本日ここまですー感想とかくだしあー
流血の序章
血の前日
タイトル案はこんなとこです
いいの欲しいっす。。。
はい、再開です。頑張ります。
本日ここまですー感想とかくだしあー
流血の序章
血の前日
タイトル案はこんなとこです
いいの欲しいっす。。。
441:赤ペン:2020/08/27(木) 18:25:24.82:3LtJcBy00 (1/1)
乙でしたー
>>438
>>袁家からは内々に陳留王として政務に携わって欲しいという打診を受けている。 【~して欲しい】は例えば【そのご飯を食べて欲しい】なら違和感が分かりやすいかな
○袁家からは内々に陳留王として政務に携わってほしいという打診を受けている。 形容詞の【欲しい】と補助形容詞の【~てほしい】の違いらしいですね
>>皇族、それも優秀な皇族が支持するというのは袁家にとっても益があるということである。 間違いではないですが好みの問題で
○皇族――それも優秀な――が支持するというのは袁家にとっても益があるということである。 大事な事なので2回言ったのかもしれませんが>>皇族
>>これまでそのような無礼な言葉を聞いたことはない。なんとも不敬か! 言葉は聞いたことあるよね…上偽帝とは呼ばれないって安堵してたし
○これまでそのような無礼な物言いを許したことはない。なんと不敬な! 最後は【何たる不敬か!】の方が良いかな?
>>「くく、そうさ。ようやく天は相応しい人物へと転がり込むのさ」 この自尊心の塊みたいな男なら【転がり込む】は使わない気がします
○「くく、そうさ。ようやく天は相応しい人物の下へ収まるのさ」 これを取らぬ狸の三日天下と言います…イメージは偉そうな椅子に足組んで座って掌で玉璽とか転がしてる感じで
>>439
>>だが、それを身に付けてしまうというのがどういう状況下であるのだろうか。 接続詞に違和感が
○だが、それを身に付けてしまうというのはどういう状況下であるのだろうか。 それとも【それを身に付けてしまうというのがどれほど異常な状況であるのか。】とかかな?
>>言い終えるとほぼ同時に湧き起こる健やかな寝息に周泰は目を白黒させる。 【沸き起こる】って圧力が強くて抑えられないような印象があってちょっと違和感が
○言い終えるとほぼ同時に健やかな寝息を立ち始め、周泰は目を白黒させる。 もしくは【ほぼ同時に漏れだした健やかな寝息】とかどうでしょう…前者は「グーグー」後者は「すやすや」のイメージです
>>これが劉弁なりの保身術。それは何進に仕込まれた保身術。 【保身術】って意味は分かるんですが調べても出てこないっぽいんで
○これが劉弁なりの自衛方法。それは何進に仕込まれた護身術。 あと【保身】って身体よりも権力とかの印象が強い気がするので
>>無害であることで魑魅魍魎の跋扈する宮廷をただ、浮揚することで生き残る保身術。 【、】の位置に違和感が
○無害であることで魑魅魍魎の跋扈する宮廷を、ただ浮揚することで生き残る自己防衛。 適当に【保身】っぽいものを並べましたのでお好きな言い回しをどうぞ
それにしても皇甫嵩は袁家の思惑を潰して「じゃああなたが天下人ですね」と言われると本気で思ってるのかしら
極端なこと言えばかつてやろうとしたように袁家の人材で公職全部埋められるかもしれないのに(今回の件で袁家も人財減ってるからできないかもしれないけど)
そもそも天下三分を言い出したのが袁家でその一角を潰す袁家が他をどこまで尊重することやら
乙でしたー
>>438
>>袁家からは内々に陳留王として政務に携わって欲しいという打診を受けている。 【~して欲しい】は例えば【そのご飯を食べて欲しい】なら違和感が分かりやすいかな
○袁家からは内々に陳留王として政務に携わってほしいという打診を受けている。 形容詞の【欲しい】と補助形容詞の【~てほしい】の違いらしいですね
>>皇族、それも優秀な皇族が支持するというのは袁家にとっても益があるということである。 間違いではないですが好みの問題で
○皇族――それも優秀な――が支持するというのは袁家にとっても益があるということである。 大事な事なので2回言ったのかもしれませんが>>皇族
>>これまでそのような無礼な言葉を聞いたことはない。なんとも不敬か! 言葉は聞いたことあるよね…上偽帝とは呼ばれないって安堵してたし
○これまでそのような無礼な物言いを許したことはない。なんと不敬な! 最後は【何たる不敬か!】の方が良いかな?
>>「くく、そうさ。ようやく天は相応しい人物へと転がり込むのさ」 この自尊心の塊みたいな男なら【転がり込む】は使わない気がします
○「くく、そうさ。ようやく天は相応しい人物の下へ収まるのさ」 これを取らぬ狸の三日天下と言います…イメージは偉そうな椅子に足組んで座って掌で玉璽とか転がしてる感じで
>>439
>>だが、それを身に付けてしまうというのがどういう状況下であるのだろうか。 接続詞に違和感が
○だが、それを身に付けてしまうというのはどういう状況下であるのだろうか。 それとも【それを身に付けてしまうというのがどれほど異常な状況であるのか。】とかかな?
>>言い終えるとほぼ同時に湧き起こる健やかな寝息に周泰は目を白黒させる。 【沸き起こる】って圧力が強くて抑えられないような印象があってちょっと違和感が
○言い終えるとほぼ同時に健やかな寝息を立ち始め、周泰は目を白黒させる。 もしくは【ほぼ同時に漏れだした健やかな寝息】とかどうでしょう…前者は「グーグー」後者は「すやすや」のイメージです
>>これが劉弁なりの保身術。それは何進に仕込まれた保身術。 【保身術】って意味は分かるんですが調べても出てこないっぽいんで
○これが劉弁なりの自衛方法。それは何進に仕込まれた護身術。 あと【保身】って身体よりも権力とかの印象が強い気がするので
>>無害であることで魑魅魍魎の跋扈する宮廷をただ、浮揚することで生き残る保身術。 【、】の位置に違和感が
○無害であることで魑魅魍魎の跋扈する宮廷を、ただ浮揚することで生き残る自己防衛。 適当に【保身】っぽいものを並べましたのでお好きな言い回しをどうぞ
それにしても皇甫嵩は袁家の思惑を潰して「じゃああなたが天下人ですね」と言われると本気で思ってるのかしら
極端なこと言えばかつてやろうとしたように袁家の人材で公職全部埋められるかもしれないのに(今回の件で袁家も人財減ってるからできないかもしれないけど)
そもそも天下三分を言い出したのが袁家でその一角を潰す袁家が他をどこまで尊重することやら
442:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/27(木) 21:15:57.14:wTzeDcj70 (1/1)
>>441
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
再開でございます。
>これを取らぬ狸の三日天下と言います…
三日もつかな(ぼそり)
>それにしても皇甫嵩は袁家の思惑を潰して「じゃああなたが天下人ですね」と言われると本気で思ってるのかしら
その座を勝ち取ることができるということを確信していらっしゃりますなw
自分はあいつらとは違う。上手くやれるというやつです。
>極端なこと言えばかつてやろうとしたように袁家の人材で公職全部埋められるかもしれないのに(今回の件で袁家も人財減ってるからできないかもしれないけど)
それすら自分の手足として使いこなせるくらいの自信はあるかと
>そもそも天下三分を言い出したのが袁家でその一角を潰す袁家が他をどこまで尊重することやら
自分が切り捨てられるとは思わないものです
>>441
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
再開でございます。
>これを取らぬ狸の三日天下と言います…
三日もつかな(ぼそり)
>それにしても皇甫嵩は袁家の思惑を潰して「じゃああなたが天下人ですね」と言われると本気で思ってるのかしら
その座を勝ち取ることができるということを確信していらっしゃりますなw
自分はあいつらとは違う。上手くやれるというやつです。
>極端なこと言えばかつてやろうとしたように袁家の人材で公職全部埋められるかもしれないのに(今回の件で袁家も人財減ってるからできないかもしれないけど)
それすら自分の手足として使いこなせるくらいの自信はあるかと
>そもそも天下三分を言い出したのが袁家でその一角を潰す袁家が他をどこまで尊重することやら
自分が切り捨てられるとは思わないものです
443:赤ペン:2020/08/30(日) 22:51:25.34:lva6FZp00 (1/1)
三日持つっていうかそもそもとってすらいないから…
三日持つっていうかそもそもとってすらいないから…
444:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/31(月) 06:03:07.80:RrruOudU0 (1/5)
まあそりゃそうですけどw
まあそりゃそうですけどw
445:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/31(月) 21:34:08.46:RrruOudU0 (2/5)
――夜をこめて、鶏の空音は謀るとも
よに逢坂の関はゆるさじ
かつて孟嘗君の配下が、虎牢関と並んで難攻不落を誇る函谷関を抜いた時の故事。
この時代、というか一般的に門が開くのは夜明け以降である。
そしてそれを示すのは一番鶏の鳴き声であり、孟嘗君の食客の一人が鶏の鳴き真似が上手かったからなんとかなったとかいう逸話である。
それにちなんで、あたしゃ函谷関よりもお安くないのよ、という清少納言のお言葉である。
いや、口説こうとしてこんなこと言われたらひくわー。間違いなくひくわー。
いや、意味は分かるよ?分かるけどどう答えたらいいのさ、という話である。そんな、普通の会話にそんなレベルの知識とそれを応用させての返答とか無理でしょ。俺は無理だ。
考えたら華琳とかネコミミとかはそこいらへんの要求レベル高そうである。下手な答えをするだけで好感度ダウンしそうな感じ。いまいちこう、俺を見る目が冷たいのはそこかなあ。くそ、文化人(インテリ)め!なんて時代だ!
などとぼんやりと考えている目の前で洛陽の門扉は音を立てて開いていく。
払暁にもまだ間がある未明のこと。別に鶏の真似をせんでも根回しさえしとけばこうやって開くということだ。そしてここからは速さが勝負。
ちらり、と振り返ると黒装束の軍団が控えている。彼らは張家の精鋭。そしてそれを率いる当主以外は髑髏の仮面。うむ、禍々しい仮面兵団である。
フフ、怖いか?俺はちょっとだけ怖い。ちょっとだけよ。
「じゃ、いくか」
それを率いる俺はというと紀家軍の将らしく白装束である。黒を率いる白。うん、なんか小洒落たことを思いつくかなと思ったけど、そんなことは全然なかったぜ。俺の暗黒面(ちゅうに)は仕事をサボってるなあ。
見習いたい者である。
じゃなくて。
無言で付き従う髑髏の仮面兵団。うむ。呼んどいてなんだがね。改めて、ものっそい不気味この上ない。
……率いる俺がそう思うのだからまあ、恐怖というものを振りまくにはちょうどいいであろう。
きっとね、多分。おそらくメイビー。
――夜をこめて、鶏の空音は謀るとも
よに逢坂の関はゆるさじ
かつて孟嘗君の配下が、虎牢関と並んで難攻不落を誇る函谷関を抜いた時の故事。
この時代、というか一般的に門が開くのは夜明け以降である。
そしてそれを示すのは一番鶏の鳴き声であり、孟嘗君の食客の一人が鶏の鳴き真似が上手かったからなんとかなったとかいう逸話である。
それにちなんで、あたしゃ函谷関よりもお安くないのよ、という清少納言のお言葉である。
いや、口説こうとしてこんなこと言われたらひくわー。間違いなくひくわー。
いや、意味は分かるよ?分かるけどどう答えたらいいのさ、という話である。そんな、普通の会話にそんなレベルの知識とそれを応用させての返答とか無理でしょ。俺は無理だ。
考えたら華琳とかネコミミとかはそこいらへんの要求レベル高そうである。下手な答えをするだけで好感度ダウンしそうな感じ。いまいちこう、俺を見る目が冷たいのはそこかなあ。くそ、文化人(インテリ)め!なんて時代だ!
などとぼんやりと考えている目の前で洛陽の門扉は音を立てて開いていく。
払暁にもまだ間がある未明のこと。別に鶏の真似をせんでも根回しさえしとけばこうやって開くということだ。そしてここからは速さが勝負。
ちらり、と振り返ると黒装束の軍団が控えている。彼らは張家の精鋭。そしてそれを率いる当主以外は髑髏の仮面。うむ、禍々しい仮面兵団である。
フフ、怖いか?俺はちょっとだけ怖い。ちょっとだけよ。
「じゃ、いくか」
それを率いる俺はというと紀家軍の将らしく白装束である。黒を率いる白。うん、なんか小洒落たことを思いつくかなと思ったけど、そんなことは全然なかったぜ。俺の暗黒面(ちゅうに)は仕事をサボってるなあ。
見習いたい者である。
じゃなくて。
無言で付き従う髑髏の仮面兵団。うむ。呼んどいてなんだがね。改めて、ものっそい不気味この上ない。
……率いる俺がそう思うのだからまあ、恐怖というものを振りまくにはちょうどいいであろう。
きっとね、多分。おそらくメイビー。
446:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/31(月) 21:34:43.40:RrruOudU0 (3/5)
◆◆◆
屍山血河が築かれていく。それは人の手によってもたらされている。その光景は控え目に言って凄惨、無惨と言えるであろう。
命乞いをする宦官。逃げ惑う宦官。立ち向かってくる宦官。そのすべてが数瞬後は物言わぬ骸と化していく。いくのだ。
髑髏の仮面を纏った黒装束の殺戮。もはや虐殺と言っていい。
それらを睥睨し、ぴくとも表情を変えない紀霊。それをどこか可笑しげに眺めながら、彼は報告する。
「知恵の回る宦官は宮中に逃亡した模様です」
ち、と舌打ち一つ。
「いかがなさる?」
「疑わしきは、殺すべし。
やるなら徹底的にやらんといかん。
汚れは根こそぎ浄化するべし」
逡巡すら見せない。ここで後顧の憂いを断つ、とばかりに紀霊は命を下す。
にまり、と張郃は僅かに唇を歪ませて配下に命じる。
後宮のみならず宮中にも阿鼻叫喚が溢れる。溢れていく。
どれだけの返り血を浴びても張家の黒装束は其の色を変えない。ただ、死臭を纏うのみ。
官吏の幾人もが、ひげが生えていないというだけで冥府への旅路を余儀なくされる。
目端の利く者は、這い寄る死の気配から逃れるために局部を露わにして命を繋いだなどという話も残されているほどだ。
そして。
「な、なによ!私は一介の女官よ。どうして。あ!痛い!放しなさい!」
待ち人、来たる。
「逢いたかったぜ、李儒よ」
ぼそり、と呟く紀霊。そこには万感の思いが込められていても、声は枯れ果てている。
そして深く、ため息を。
その様に李儒は顔色を白くする。悟る。宦官誅滅。それすら欺瞞工作。その真意は宮中の奥にあり、手を出せない自分。それが主眼だと。
「な、なによ。どうするつもり?此度の董卓の暴挙については私のあずかり知らぬことよ。
私を責めるのはお門違いにも……び!
ぐ、ふ……。
が……」
容赦なく、幾度も加えられた鉄拳。
李儒は反吐と鮮血を撒き散らす。
「おお赤い赤い。
なんだなあ、中身は思ったより綺麗じゃないか。
もっとこう、どす黒い、名状しがたき何かが出てくると思ってたんだが」
倒れ伏す李儒に軽く――紀霊主観である――蹴りを加えてせせら笑う。
◆◆◆
屍山血河が築かれていく。それは人の手によってもたらされている。その光景は控え目に言って凄惨、無惨と言えるであろう。
命乞いをする宦官。逃げ惑う宦官。立ち向かってくる宦官。そのすべてが数瞬後は物言わぬ骸と化していく。いくのだ。
髑髏の仮面を纏った黒装束の殺戮。もはや虐殺と言っていい。
それらを睥睨し、ぴくとも表情を変えない紀霊。それをどこか可笑しげに眺めながら、彼は報告する。
「知恵の回る宦官は宮中に逃亡した模様です」
ち、と舌打ち一つ。
「いかがなさる?」
「疑わしきは、殺すべし。
やるなら徹底的にやらんといかん。
汚れは根こそぎ浄化するべし」
逡巡すら見せない。ここで後顧の憂いを断つ、とばかりに紀霊は命を下す。
にまり、と張郃は僅かに唇を歪ませて配下に命じる。
後宮のみならず宮中にも阿鼻叫喚が溢れる。溢れていく。
どれだけの返り血を浴びても張家の黒装束は其の色を変えない。ただ、死臭を纏うのみ。
官吏の幾人もが、ひげが生えていないというだけで冥府への旅路を余儀なくされる。
目端の利く者は、這い寄る死の気配から逃れるために局部を露わにして命を繋いだなどという話も残されているほどだ。
そして。
「な、なによ!私は一介の女官よ。どうして。あ!痛い!放しなさい!」
待ち人、来たる。
「逢いたかったぜ、李儒よ」
ぼそり、と呟く紀霊。そこには万感の思いが込められていても、声は枯れ果てている。
そして深く、ため息を。
その様に李儒は顔色を白くする。悟る。宦官誅滅。それすら欺瞞工作。その真意は宮中の奥にあり、手を出せない自分。それが主眼だと。
「な、なによ。どうするつもり?此度の董卓の暴挙については私のあずかり知らぬことよ。
私を責めるのはお門違いにも……び!
ぐ、ふ……。
が……」
容赦なく、幾度も加えられた鉄拳。
李儒は反吐と鮮血を撒き散らす。
「おお赤い赤い。
なんだなあ、中身は思ったより綺麗じゃないか。
もっとこう、どす黒い、名状しがたき何かが出てくると思ってたんだが」
倒れ伏す李儒に軽く――紀霊主観である――蹴りを加えてせせら笑う。
447:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/31(月) 21:35:18.43:RrruOudU0 (4/5)
「な、にを。わた、しは。
漢朝の、た、めに」
抗う李儒の髪を掴み、倒れ伏していた顔を上に上げる。
「そりゃあ、ご立派なことだな。だがな、そんなことはどうでもいいのさ」
吐き捨てる。
「長かった。長かったぞ。こうして、お前と向き合える場。
俺がどれだけ逢いたかったか。少しは分かって欲しいってもんさ、李儒さんよぉ」
くつくつ、と笑う紀霊に不吉なものを感じて李儒は。
「ま、待ちなさい。落ち着きなさい。わ、私を殺しても何も解決しないわよ。
そ、それに私は役に立つわよ。ねえ、それに、何でも言うこと聞くから。だから」
必死に媚を売る李儒に、いっそ穏やかと言っていい口調で紀霊は言う。
「何でも、って言ったか」
暫し瞑目し、食いしばった口からもたらされたのは、ただ一言。
「死、以外に貴様の出来ることはなさそうだな」
「ひ!嫌!死にたくない!逝きたくない!
た、助けて!お願い!」
お前が、手にかけた人たちは皆そう思っていたろうよ。
「光射す世界に、汝の闇黒、棲まう場所無し――。
渇かせてやろうか、飢えさせてやろうか。それとも永劫に痛み付けてやろうか。
色々考えていたがな。何も残さず無に還れ」
三尖刀を、一閃。
そしてこの日初めて紀家の白装束が朱く染まる。
「お見事。本懐を果たした気分はいかがかな」
「知るかよ。クソッタレな気分だよ」
だが、それでも。
「姐さんや雷薄。それに気のいいあいつら。みんな、死んだんだ。死んだんだぞ。
みんな死んじまったんだぞ!
それなのにさ、彼奴がのうのうと生きているなんて、おかしいだろう?
ああ、そうだな。気分爽快ってやつ。それを、多少の泥で濁らせたらこんなもんかな」
これで、前に進めるというもの。
嘯(うそぶ)く紀霊に笑みを一つ。それにしかめ面で紀霊が言う。
「何か文句でもあったら言っとけ。
言いづらいなら七乃なり風にでも言っとけ。
ため込んで、我慢して。それで、いいことなんてあんましないからな」
はあ、と遠い目をする紀霊に張郃は表情を改める。
「いえ、この身。
いかようにも使い潰してくだされば、と思いました、が。
取り敢えず、どのようにお伝えしましょうか」
そうだな、と。暫し考えて。
「今回は、俺の私情で動いたところが大きいからなあ。
まあ、いいや。」
紀霊は、笑う。
「復讐するは、我にあり」
その言葉を伝えられた彼女らは、共に微笑んだ。
その笑みの違いは、対面した張郃のみが知ることである。
「な、にを。わた、しは。
漢朝の、た、めに」
抗う李儒の髪を掴み、倒れ伏していた顔を上に上げる。
「そりゃあ、ご立派なことだな。だがな、そんなことはどうでもいいのさ」
吐き捨てる。
「長かった。長かったぞ。こうして、お前と向き合える場。
俺がどれだけ逢いたかったか。少しは分かって欲しいってもんさ、李儒さんよぉ」
くつくつ、と笑う紀霊に不吉なものを感じて李儒は。
「ま、待ちなさい。落ち着きなさい。わ、私を殺しても何も解決しないわよ。
そ、それに私は役に立つわよ。ねえ、それに、何でも言うこと聞くから。だから」
必死に媚を売る李儒に、いっそ穏やかと言っていい口調で紀霊は言う。
「何でも、って言ったか」
暫し瞑目し、食いしばった口からもたらされたのは、ただ一言。
「死、以外に貴様の出来ることはなさそうだな」
「ひ!嫌!死にたくない!逝きたくない!
た、助けて!お願い!」
お前が、手にかけた人たちは皆そう思っていたろうよ。
「光射す世界に、汝の闇黒、棲まう場所無し――。
渇かせてやろうか、飢えさせてやろうか。それとも永劫に痛み付けてやろうか。
色々考えていたがな。何も残さず無に還れ」
三尖刀を、一閃。
そしてこの日初めて紀家の白装束が朱く染まる。
「お見事。本懐を果たした気分はいかがかな」
「知るかよ。クソッタレな気分だよ」
だが、それでも。
「姐さんや雷薄。それに気のいいあいつら。みんな、死んだんだ。死んだんだぞ。
みんな死んじまったんだぞ!
それなのにさ、彼奴がのうのうと生きているなんて、おかしいだろう?
ああ、そうだな。気分爽快ってやつ。それを、多少の泥で濁らせたらこんなもんかな」
これで、前に進めるというもの。
嘯(うそぶ)く紀霊に笑みを一つ。それにしかめ面で紀霊が言う。
「何か文句でもあったら言っとけ。
言いづらいなら七乃なり風にでも言っとけ。
ため込んで、我慢して。それで、いいことなんてあんましないからな」
はあ、と遠い目をする紀霊に張郃は表情を改める。
「いえ、この身。
いかようにも使い潰してくだされば、と思いました、が。
取り敢えず、どのようにお伝えしましょうか」
そうだな、と。暫し考えて。
「今回は、俺の私情で動いたところが大きいからなあ。
まあ、いいや。」
紀霊は、笑う。
「復讐するは、我にあり」
その言葉を伝えられた彼女らは、共に微笑んだ。
その笑みの違いは、対面した張郃のみが知ることである。
448:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/08/31(月) 21:36:36.22:RrruOudU0 (5/5)
本日ここまですー感想とかくだしあー
タイトル案は「復讐するは、我にあり」
もしくは、「朱く染まった日」
ええ感じのやつあったらオナシャス
本日ここまですー感想とかくだしあー
タイトル案は「復讐するは、我にあり」
もしくは、「朱く染まった日」
ええ感じのやつあったらオナシャス
449:青ペン:2020/09/01(火) 10:18:09.65:LkXNlqbvo (1/1)
更新乙ーい。
また溜め込んじまったので適宜隙見ながら…
とりま今回のは
【毒蜘蛛の旅路(さいご)~死装束を朱に染めて~】で。
更新乙ーい。
また溜め込んじまったので適宜隙見ながら…
とりま今回のは
【毒蜘蛛の旅路(さいご)~死装束を朱に染めて~】で。
450:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/01(火) 21:29:52.51:yLO5hVFI0 (1/1)
>>449
どもです。
嬉しいやつです。
>また溜め込んじまったので適宜隙見ながら…
心のガソリンです。よろしくお願いします。
>【毒蜘蛛の旅路(さいご)~死装束を朱に染めて~】で。
>死装束を朱に染めて
これかっこいい。
今回じゃなくてもいつか使いたいです。メモらせてもらいますねっと。
>>449
どもです。
嬉しいやつです。
>また溜め込んじまったので適宜隙見ながら…
心のガソリンです。よろしくお願いします。
>【毒蜘蛛の旅路(さいご)~死装束を朱に染めて~】で。
>死装束を朱に染めて
これかっこいい。
今回じゃなくてもいつか使いたいです。メモらせてもらいますねっと。
451:赤ペン:2020/09/02(水) 16:50:09.87:jlFt85q90 (1/1)
乙でしたー
>>445
>>彼らは張家の精鋭。そしてそれを率いる当主以外は髑髏の仮面。うむ、禍々しい仮面兵団である。 今この場では率いてるのは二郎ですので
○彼らは張家の精鋭。そしてそれを統べる当主以外は髑髏の仮面。うむ、禍々しい仮面兵団である。 感覚的には(一時的に)二郎の右腕ポジ…あくまで、二郎より全員が下かな、と
>>見習いたい者である。 人じゃないので(多分二郎ちゃんが一番見習いたい相手は劉弁君?普通なら位に穴が開きそうだが)
○見習いたいものである。 何らかの物質なら【物である】ですが概念と言うか何かそんな感じなのでひらがなの方が良いと思います
>>446
>>そのすべてが数瞬後は物言わぬ骸と化していく。いくのだ。 この状況を印象付けたいのかもですが、ちょっと【いくのだ。】だと変なコミカルさが
○そのすべてが数瞬後には物言わぬ骸と化していくのだから。 前の文章の【凄惨、無残】にかける倒置法を使う感じでどうでしょう
>>髑髏の仮面を纏った黒装束の殺戮。 【仮面を纏う】…仮面だと被る感じがしますが
○黒装束を纏った髑髏の面の集団による殺戮。 こんな感じでどうでしょう
>>447
>>少しは分かって欲しいってもんさ、李儒さんよぉ」 李儒が欲しいだって?!
○少しは分かってほしいってもんさ、李儒さんよぉ」 補助形容詞なのでひらがなですね
>>「光射す世界に、汝の闇黒、棲まう場所無し――。 闇黒(罪)だけ殺して人は憎まない方向で…楽進さんにも人を殺さずその怨念を殺すとか教えてたわけですし
○「光射す世界に、汝ら闇黒、棲まう場所無し――。 (元ネタでは)闇黒そのものなんですね、じゃあ対象外ってことで、お疲れっしたーっす
>>それとも永劫に痛み付けてやろうか。 痛みを付ける?傷なら付けるものですが
○それとも永劫に痛め付けてやろうか。 と思ったら一応消えない痛みを残すとかの意味では存在するっぽい?まあ一般的にはこっちの方がなじみ深いかな、と(痛め付けるがなじむとかちょっと怖いなw)
>>これで、前に進めるというもの。 これはどっちの言葉か難しいな
○これで、前に進めるというものです。 (泥で濁らせたら云々と)嘯く紀霊に笑みを一つ(しながら言葉をかけた)のか
○これで、前に進めるというものさ。 (と)嘯く紀霊に笑みを一つ(投げかけた)のか…チョウゴウと雷簿の関係とか考えるとどっちのパターンでもそれぞれの言葉を発した感情とそれに対する受け取り方が色々あるから悩ましい
>>それで、いいことなんてあんましないからな」 間違いではないですが《あんま、しないからな》と読み間違えそうなので
○それで、いいことなんてあんまりないからな」 の方が良いと思います
死の安らぎは等しく訪れよう、賢人にあらずとも、善人にあらずとも(めがてんかん)
董卓との関わりは知らんが何進の暗殺を防げなかった以上どう繕ってもお前さんは漢朝にとって総合的に+にはならんよ、その程度のこともできない能力ならいらんし、しなかったなら尚のこといらんし
紀霊の言伝を聞いた時の笑みだけでご飯三杯いけそうなチョウゴウさん…一言でいうなら二人ともとってもきれいな笑顔だったんだろうなあ
乙でしたー
>>445
>>彼らは張家の精鋭。そしてそれを率いる当主以外は髑髏の仮面。うむ、禍々しい仮面兵団である。 今この場では率いてるのは二郎ですので
○彼らは張家の精鋭。そしてそれを統べる当主以外は髑髏の仮面。うむ、禍々しい仮面兵団である。 感覚的には(一時的に)二郎の右腕ポジ…あくまで、二郎より全員が下かな、と
>>見習いたい者である。 人じゃないので(多分二郎ちゃんが一番見習いたい相手は劉弁君?普通なら位に穴が開きそうだが)
○見習いたいものである。 何らかの物質なら【物である】ですが概念と言うか何かそんな感じなのでひらがなの方が良いと思います
>>446
>>そのすべてが数瞬後は物言わぬ骸と化していく。いくのだ。 この状況を印象付けたいのかもですが、ちょっと【いくのだ。】だと変なコミカルさが
○そのすべてが数瞬後には物言わぬ骸と化していくのだから。 前の文章の【凄惨、無残】にかける倒置法を使う感じでどうでしょう
>>髑髏の仮面を纏った黒装束の殺戮。 【仮面を纏う】…仮面だと被る感じがしますが
○黒装束を纏った髑髏の面の集団による殺戮。 こんな感じでどうでしょう
>>447
>>少しは分かって欲しいってもんさ、李儒さんよぉ」 李儒が欲しいだって?!
○少しは分かってほしいってもんさ、李儒さんよぉ」 補助形容詞なのでひらがなですね
>>「光射す世界に、汝の闇黒、棲まう場所無し――。 闇黒(罪)だけ殺して人は憎まない方向で…楽進さんにも人を殺さずその怨念を殺すとか教えてたわけですし
○「光射す世界に、汝ら闇黒、棲まう場所無し――。 (元ネタでは)闇黒そのものなんですね、じゃあ対象外ってことで、お疲れっしたーっす
>>それとも永劫に痛み付けてやろうか。 痛みを付ける?傷なら付けるものですが
○それとも永劫に痛め付けてやろうか。 と思ったら一応消えない痛みを残すとかの意味では存在するっぽい?まあ一般的にはこっちの方がなじみ深いかな、と(痛め付けるがなじむとかちょっと怖いなw)
>>これで、前に進めるというもの。 これはどっちの言葉か難しいな
○これで、前に進めるというものです。 (泥で濁らせたら云々と)嘯く紀霊に笑みを一つ(しながら言葉をかけた)のか
○これで、前に進めるというものさ。 (と)嘯く紀霊に笑みを一つ(投げかけた)のか…チョウゴウと雷簿の関係とか考えるとどっちのパターンでもそれぞれの言葉を発した感情とそれに対する受け取り方が色々あるから悩ましい
>>それで、いいことなんてあんましないからな」 間違いではないですが《あんま、しないからな》と読み間違えそうなので
○それで、いいことなんてあんまりないからな」 の方が良いと思います
死の安らぎは等しく訪れよう、賢人にあらずとも、善人にあらずとも(めがてんかん)
董卓との関わりは知らんが何進の暗殺を防げなかった以上どう繕ってもお前さんは漢朝にとって総合的に+にはならんよ、その程度のこともできない能力ならいらんし、しなかったなら尚のこといらんし
紀霊の言伝を聞いた時の笑みだけでご飯三杯いけそうなチョウゴウさん…一言でいうなら二人ともとってもきれいな笑顔だったんだろうなあ
452:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/02(水) 21:44:09.25:ozDCEB4r0 (1/3)
>>451
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
いくつもなるほどですた。
じっくり検討させていただきます!
>闇黒(罪)だけ殺して人は憎まない方向で…楽進さんにも人を殺さずその怨念を殺すとか教えてたわけですし
その場のノリで言っただけな台詞が二郎ちゃんを襲う!
>これはどっちの言葉か難しいな
二郎ちゃんと思ってましたが、含みができて、そのままの方がいいかもしれないなと思いました
>死の安らぎは等しく訪れよう、賢人にあらずとも、善人にあらずとも(めがてんかん)
ああ、これがあったか!これ使おうかな。使ったらやばいかな???
>董卓との関わりは知らんが何進の暗殺を防げなかった以上どう繕ってもお前さんは漢朝にとって総合的に+にはならんよ、その程度のこともできない能力ならいらんし、しなかったなら尚のこといらんし
まあ、そうなりますよねえ。
何進は偉大だった
>紀霊の言伝を聞いた時の笑みだけでご飯三杯いけそうなチョウゴウさん…一言でいうなら二人ともとってもきれいな笑顔だったんだろうなあ
愉悦というやつですね。
それはともかく、暴れん坊です。彼ら。
ぬ
>>451
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
いくつもなるほどですた。
じっくり検討させていただきます!
>闇黒(罪)だけ殺して人は憎まない方向で…楽進さんにも人を殺さずその怨念を殺すとか教えてたわけですし
その場のノリで言っただけな台詞が二郎ちゃんを襲う!
>これはどっちの言葉か難しいな
二郎ちゃんと思ってましたが、含みができて、そのままの方がいいかもしれないなと思いました
>死の安らぎは等しく訪れよう、賢人にあらずとも、善人にあらずとも(めがてんかん)
ああ、これがあったか!これ使おうかな。使ったらやばいかな???
>董卓との関わりは知らんが何進の暗殺を防げなかった以上どう繕ってもお前さんは漢朝にとって総合的に+にはならんよ、その程度のこともできない能力ならいらんし、しなかったなら尚のこといらんし
まあ、そうなりますよねえ。
何進は偉大だった
>紀霊の言伝を聞いた時の笑みだけでご飯三杯いけそうなチョウゴウさん…一言でいうなら二人ともとってもきれいな笑顔だったんだろうなあ
愉悦というやつですね。
それはともかく、暴れん坊です。彼ら。
ぬ
453:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/02(水) 22:33:59.24:ozDCEB4r0 (2/3)
「やってくれたわね、二郎……」
日輪がその姿を現すかどうか、その未明のことである。
その報せを聞いた曹操はぎり、と歯を噛みしめて呟いた。まさか、という思い。湧き起こる激情。
――時はしばし遡る。
◆◆◆
「華琳様!一大事です!」
曹操がこの日目覚めたのは信頼する参謀の、常になく慌てた声であった。
「何だ、騒がしい」
このとき同衾していたのは夏候惇である。彼女が即座に起き上がり、曹操への道を防ぐように――一糸まとわぬ姿――で応じる。
「あんたはすっこんでなさい!一大事なのよ!」
尚も言い募ろうとする荀彧と夏候惇を、手早く薄布を纏った曹操が制する。
「いいわ、桂花。貴女が一大事だと言うのだもの。よっぽどのことなのでしょう?」
情事の残り香。その色香にどきりとしながら荀彧は言葉を続ける。
「はい!」
そしてもたらされた情報は驚くべきものであった。
「なんと、宦官誅滅とは二郎め。
思い切ったことをするな……」
ふむ、と考え込む夏候惇を糾弾する声が起こる。
「あんた馬鹿?
いい?宦官ってのはね。華琳様の宮中におけるこれから政治的な後援者、後ろ盾になるはずだったのよ!
それが誅滅されてしまったらどうなるか!」
なんとなれば、曹操の出自は宦官なのである。その宦官は当然子をなすことが出来ない。そうしてとった養子、さらにその子。それが曹操だ。
であるからして、これから漢朝の中枢に食い込むにあたっての足掛かりとしを想定するのは当然のこと。そして曹操陣営は宦官勢力を友好勢力と見なしていたし、宦官にしても魚心あれば水心。他の勢力に比べれば気心もしれていようものであるからして。
「フン、なにをいまさら。これまでその宦官とやらが我らにどれほどのことをしてくれたというのか。第一、そんなもの一切なくとも華琳さまは飛翔なさる!
少なくとも私はそう確信しているぞ」
言い争う配下。文武の要のそのやりとり。それに曹操はくすり、と笑みをこぼす。
ともすれば激発しそうな自分。そして、そうならないのは間違いなく、この二人の股肱のお蔭なのだ。
「落ち着きなさいな、二人とも」
それまでの激しい口論なぞ、毛ほどもなかったように二人は曹操の言葉に集中する。聞き入る。
「桂花、まずはご苦労様。
そして春蘭。貴女の言は薫風が如く心地よいもの。いつも以上に私を楽しませてくれたわ」
有難き幸せとばかりに、二人は曹操の前に膝をつく。
「でもね、桂花。無論、報(しら)せはそれだけではないのでしょう?」
曹操の笑みが深まる。
「は。袁家の一連の動き。夏侯淵将軍に――」
言い終わらぬうちに青い疾風が吹き込む。
「報告いたします。
袁家全軍、および公孫家、孫家が洛陽の城壁外に布陣を始めております。どうやら払暁よりも早くから動き出していた模様。
なお、四半刻もすればその陣構えは完了するかと」
「やってくれたわね、二郎……」
日輪がその姿を現すかどうか、その未明のことである。
その報せを聞いた曹操はぎり、と歯を噛みしめて呟いた。まさか、という思い。湧き起こる激情。
――時はしばし遡る。
◆◆◆
「華琳様!一大事です!」
曹操がこの日目覚めたのは信頼する参謀の、常になく慌てた声であった。
「何だ、騒がしい」
このとき同衾していたのは夏候惇である。彼女が即座に起き上がり、曹操への道を防ぐように――一糸まとわぬ姿――で応じる。
「あんたはすっこんでなさい!一大事なのよ!」
尚も言い募ろうとする荀彧と夏候惇を、手早く薄布を纏った曹操が制する。
「いいわ、桂花。貴女が一大事だと言うのだもの。よっぽどのことなのでしょう?」
情事の残り香。その色香にどきりとしながら荀彧は言葉を続ける。
「はい!」
そしてもたらされた情報は驚くべきものであった。
「なんと、宦官誅滅とは二郎め。
思い切ったことをするな……」
ふむ、と考え込む夏候惇を糾弾する声が起こる。
「あんた馬鹿?
いい?宦官ってのはね。華琳様の宮中におけるこれから政治的な後援者、後ろ盾になるはずだったのよ!
それが誅滅されてしまったらどうなるか!」
なんとなれば、曹操の出自は宦官なのである。その宦官は当然子をなすことが出来ない。そうしてとった養子、さらにその子。それが曹操だ。
であるからして、これから漢朝の中枢に食い込むにあたっての足掛かりとしを想定するのは当然のこと。そして曹操陣営は宦官勢力を友好勢力と見なしていたし、宦官にしても魚心あれば水心。他の勢力に比べれば気心もしれていようものであるからして。
「フン、なにをいまさら。これまでその宦官とやらが我らにどれほどのことをしてくれたというのか。第一、そんなもの一切なくとも華琳さまは飛翔なさる!
少なくとも私はそう確信しているぞ」
言い争う配下。文武の要のそのやりとり。それに曹操はくすり、と笑みをこぼす。
ともすれば激発しそうな自分。そして、そうならないのは間違いなく、この二人の股肱のお蔭なのだ。
「落ち着きなさいな、二人とも」
それまでの激しい口論なぞ、毛ほどもなかったように二人は曹操の言葉に集中する。聞き入る。
「桂花、まずはご苦労様。
そして春蘭。貴女の言は薫風が如く心地よいもの。いつも以上に私を楽しませてくれたわ」
有難き幸せとばかりに、二人は曹操の前に膝をつく。
「でもね、桂花。無論、報(しら)せはそれだけではないのでしょう?」
曹操の笑みが深まる。
「は。袁家の一連の動き。夏侯淵将軍に――」
言い終わらぬうちに青い疾風が吹き込む。
「報告いたします。
袁家全軍、および公孫家、孫家が洛陽の城壁外に布陣を始めております。どうやら払暁よりも早くから動き出していた模様。
なお、四半刻もすればその陣構えは完了するかと」
454:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/02(水) 22:34:25.24:ozDCEB4r0 (3/3)
怜悧な口調を崩さぬままに要点のみを主君に伝える。緊急と思えばこそ前口上も不要とばかりに簡潔に述べる。
曹操もそれを褒めこそすれ咎めるなぞしないであろう。それくらいの信頼関係はできている。
そしてその報に、言葉を失う。どういうことだと。
だが、ここにその例外がいる。
「ふむ、抜け駆けもここまでくれば見事なものだ」
誰あろう、夏候惇である。
「アンタね!何を呑気な!」
その言、即座に噛みついたのは荀彧である。これは彼女らの日常を再現しているようなものであろう。それにより、僅かに空気が弛緩する。
「兵は詭道なり。
騙される方が悪いと常々言っているのは貴様だろうに」
ギャンギャンと吠える軍師を半ばあきれたように見下ろして。
夏候惇はむしろ、不思議そうに問うのだ。
それに応える声は涼しく響く。
「まあ、姉者の言う通りではある。
それに、まだ我らはなにもしていないしされてもいない。これから如何様にでもなるだろうさ。
それはそうと姉者。流石に何か着るべきだと思うが」
ふむ、とばかりに頷き今更ながらに身づくろいを始める夏候惇。その様子にくすり、と笑って曹操は口を開く。
「秋蘭、まずはご苦労様。季衣は物見に残しているようね。いいでしょう。
そうね、初動はそれでいいわ。
そして、実際に一杯喰わされてしまったのも確かなことよ」
だが、と曹操は不敵に笑う。
「この程度、窮地でもなんでもないわ。二郎がどのような絵図を描いたとしても私はその上をいきましょう。
桂花、春蘭、秋蘭。まずは陣構えを!」
応とばかりに散る股肱の臣を満足げに見守り、曹操は誰にともなく呟く。
くすり。くすくす。
「ええ、二郎。
私を蚊帳の外においておくなんて――」
ひどいんだから。
薄闇に差し込む陽光を受け、その笑みは輝いていたのであった。
怜悧な口調を崩さぬままに要点のみを主君に伝える。緊急と思えばこそ前口上も不要とばかりに簡潔に述べる。
曹操もそれを褒めこそすれ咎めるなぞしないであろう。それくらいの信頼関係はできている。
そしてその報に、言葉を失う。どういうことだと。
だが、ここにその例外がいる。
「ふむ、抜け駆けもここまでくれば見事なものだ」
誰あろう、夏候惇である。
「アンタね!何を呑気な!」
その言、即座に噛みついたのは荀彧である。これは彼女らの日常を再現しているようなものであろう。それにより、僅かに空気が弛緩する。
「兵は詭道なり。
騙される方が悪いと常々言っているのは貴様だろうに」
ギャンギャンと吠える軍師を半ばあきれたように見下ろして。
夏候惇はむしろ、不思議そうに問うのだ。
それに応える声は涼しく響く。
「まあ、姉者の言う通りではある。
それに、まだ我らはなにもしていないしされてもいない。これから如何様にでもなるだろうさ。
それはそうと姉者。流石に何か着るべきだと思うが」
ふむ、とばかりに頷き今更ながらに身づくろいを始める夏候惇。その様子にくすり、と笑って曹操は口を開く。
「秋蘭、まずはご苦労様。季衣は物見に残しているようね。いいでしょう。
そうね、初動はそれでいいわ。
そして、実際に一杯喰わされてしまったのも確かなことよ」
だが、と曹操は不敵に笑う。
「この程度、窮地でもなんでもないわ。二郎がどのような絵図を描いたとしても私はその上をいきましょう。
桂花、春蘭、秋蘭。まずは陣構えを!」
応とばかりに散る股肱の臣を満足げに見守り、曹操は誰にともなく呟く。
くすり。くすくす。
「ええ、二郎。
私を蚊帳の外においておくなんて――」
ひどいんだから。
薄闇に差し込む陽光を受け、その笑みは輝いていたのであった。
455:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/03(木) 05:57:42.67:ycpGCHS80 (1/7)
ここまですー感想とかくだしあー
題名はなんだろうなあ
覇王の目覚め
とかかなあ
ここまですー感想とかくだしあー
題名はなんだろうなあ
覇王の目覚め
とかかなあ
456:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2020/09/03(木) 11:12:23.68:MLJ9d+WRo (1/1)
おつしたー
何気に曹操出し抜けてるのつおぃなぁ
タイトル案は「覇王のいぬ間に」で
おつしたー
何気に曹操出し抜けてるのつおぃなぁ
タイトル案は「覇王のいぬ間に」で
457:赤ペン:2020/09/03(木) 13:47:12.41:FPs+T2tK0 (1/1)
乙でしたー 歌詞をパクったわけじゃないし使っても良いとは思いますがあれに使うには上等すぎるのではと言うもったいない精神がw
>>453
>>日輪がその姿を現すかどうか、その未明のことである。 意味がかぶってるかなあ日が出るか出ないかの時が未明なので
○日輪がその姿を現すかどうかと言った未明のことである。 それとも【喫緊の問題も無く、久方ぶりにたっぷりと褥を楽しんだ、その未明のことである。】とかで曹操にとってまさに一杯食わされた感を出したりなんだり…どういう状況からの【未明】なのかを書くといいと思います
>>曹操がこの日目覚めたのは信頼する参謀の、常になく慌てた声であった。 間違いと言うほどではないですが【目覚めたのは~声であった。】となるので
○曹操がこの日目覚めたのは信頼する参謀の、常になく慌てた声によってであった。 もしくは【曹操のこの日の起床は、信頼する参謀の常になく慌てた声であった。】う~ん
○曹操のこの日の起床は、信頼する参謀の常になく慌てた声によるものであった。 もしくは【曹操のこの日の目覚めは~】とかどうでしょう
>>曹操への道を防ぐように――一糸まとわぬ姿――で応じる。 【防ぐにようにで応じる。】?
○曹操への道を防ぐように――一糸まとわぬ姿で――応じる。 の方が良いと思います
>>尚も言い募ろうとする荀彧と夏候惇を、手早く薄布を纏った曹操が制する。 【一大事】の内容を言い募るなら問題ないと思ったけどこれ【すっこんでなさい】の方か
○尚も言い争いを続けようとする荀彧と夏候惇を、手早く薄布を纏った曹操が制する。 【言い合い】とか【口喧嘩】とか【問答】も考えましたがちょっと違うかな…
>>そうしてとった養子、さらにその子。 間違いではないです
○それゆえとった養子、さらにその子。 【そうして】だと動機よりも手段の印象があるのでちょっと変更
>>これから漢朝の中枢に食い込むにあたっての足掛かりとしを想定するのは当然のこと。 久しぶりのケアレスミス
○これから漢朝の中枢に食い込むにあたっての足掛かりとして想定するのは当然のこと。 もしくは【足掛かりとすることを】かな?
トンねぇまじトンねぇ…二郎たちとしては何進がいない状態で曹操にブーストとかまじ無理だから少しでも、ね
この一刀唐竹割並みの活にして断…自縄自縛とは無縁の闊達さはまさに曹操の右腕よな
あとねこみみはお前別に袁家に好意持ってないんだから相手側が自分たちに無条件で好意を向けるわけがないって自覚して、どうぞ
自分だって袁家を怒らせないギリギリのラインで優位立てる状況ならするだろ?
乙でしたー 歌詞をパクったわけじゃないし使っても良いとは思いますがあれに使うには上等すぎるのではと言うもったいない精神がw
>>453
>>日輪がその姿を現すかどうか、その未明のことである。 意味がかぶってるかなあ日が出るか出ないかの時が未明なので
○日輪がその姿を現すかどうかと言った未明のことである。 それとも【喫緊の問題も無く、久方ぶりにたっぷりと褥を楽しんだ、その未明のことである。】とかで曹操にとってまさに一杯食わされた感を出したりなんだり…どういう状況からの【未明】なのかを書くといいと思います
>>曹操がこの日目覚めたのは信頼する参謀の、常になく慌てた声であった。 間違いと言うほどではないですが【目覚めたのは~声であった。】となるので
○曹操がこの日目覚めたのは信頼する参謀の、常になく慌てた声によってであった。 もしくは【曹操のこの日の起床は、信頼する参謀の常になく慌てた声であった。】う~ん
○曹操のこの日の起床は、信頼する参謀の常になく慌てた声によるものであった。 もしくは【曹操のこの日の目覚めは~】とかどうでしょう
>>曹操への道を防ぐように――一糸まとわぬ姿――で応じる。 【防ぐにようにで応じる。】?
○曹操への道を防ぐように――一糸まとわぬ姿で――応じる。 の方が良いと思います
>>尚も言い募ろうとする荀彧と夏候惇を、手早く薄布を纏った曹操が制する。 【一大事】の内容を言い募るなら問題ないと思ったけどこれ【すっこんでなさい】の方か
○尚も言い争いを続けようとする荀彧と夏候惇を、手早く薄布を纏った曹操が制する。 【言い合い】とか【口喧嘩】とか【問答】も考えましたがちょっと違うかな…
>>そうしてとった養子、さらにその子。 間違いではないです
○それゆえとった養子、さらにその子。 【そうして】だと動機よりも手段の印象があるのでちょっと変更
>>これから漢朝の中枢に食い込むにあたっての足掛かりとしを想定するのは当然のこと。 久しぶりのケアレスミス
○これから漢朝の中枢に食い込むにあたっての足掛かりとして想定するのは当然のこと。 もしくは【足掛かりとすることを】かな?
トンねぇまじトンねぇ…二郎たちとしては何進がいない状態で曹操にブーストとかまじ無理だから少しでも、ね
この一刀唐竹割並みの活にして断…自縄自縛とは無縁の闊達さはまさに曹操の右腕よな
あとねこみみはお前別に袁家に好意持ってないんだから相手側が自分たちに無条件で好意を向けるわけがないって自覚して、どうぞ
自分だって袁家を怒らせないギリギリのラインで優位立てる状況ならするだろ?
458:青ペン:2020/09/03(木) 20:14:22.72:laKH0HKMo (1/1)
>>455
乙ーい。
ちょいとひねって
【尊べ!電光石火】
といってみようかにゃ?
>>455
乙ーい。
ちょいとひねって
【尊べ!電光石火】
といってみようかにゃ?
459:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/03(木) 22:03:25.06:ycpGCHS80 (2/7)
>>456
感想ありがとうございますー
>何気に曹操出し抜けてるのつおぃなぁ
謀略というか、仕掛けた方が圧倒的に有利なんすよね
先手必勝は真理でございます
>タイトル案は「覇王のいぬ間に」で
覇王であったか。。。
覇王になりませんように。。。
>>457
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
> 歌詞をパクったわけじゃないし使っても良いとは思いますがあれに使うには上等すぎるのではと言うもったいない精神がw
わかりみw
でも使いたい!ちょっと考えます。
>トンねぇまじトンねぇ…二郎たちとしては何進がいない状態で曹操にブーストとかまじ無理だから少しでも、ね
㌧でもねぇ
はおーが覇王になったらえらいこっちゃ祭りです
>この一刀唐竹割並みの活にして断…自縄自縛とは無縁の闊達さはまさに曹操の右腕よな
まさに曹家の大剣ですわ。ネコミミと仲良く?喧嘩する様は一生書いてられる。。。。
>あとねこみみはお前別に袁家に好意持ってないんだから相手側が自分たちに無条件で好意を向けるわけがないって自覚して、どうぞ
はおーからして、自分がうらぎるのはええけど、相手が裏切るのは許さないですからね、多少はね?
>>458
どもです。
>【尊べ!電光石火】
ひねった!ひねってきた!その捻りは想定外!
>>456
感想ありがとうございますー
>何気に曹操出し抜けてるのつおぃなぁ
謀略というか、仕掛けた方が圧倒的に有利なんすよね
先手必勝は真理でございます
>タイトル案は「覇王のいぬ間に」で
覇王であったか。。。
覇王になりませんように。。。
>>457
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
> 歌詞をパクったわけじゃないし使っても良いとは思いますがあれに使うには上等すぎるのではと言うもったいない精神がw
わかりみw
でも使いたい!ちょっと考えます。
>トンねぇまじトンねぇ…二郎たちとしては何進がいない状態で曹操にブーストとかまじ無理だから少しでも、ね
㌧でもねぇ
はおーが覇王になったらえらいこっちゃ祭りです
>この一刀唐竹割並みの活にして断…自縄自縛とは無縁の闊達さはまさに曹操の右腕よな
まさに曹家の大剣ですわ。ネコミミと仲良く?喧嘩する様は一生書いてられる。。。。
>あとねこみみはお前別に袁家に好意持ってないんだから相手側が自分たちに無条件で好意を向けるわけがないって自覚して、どうぞ
はおーからして、自分がうらぎるのはええけど、相手が裏切るのは許さないですからね、多少はね?
>>458
どもです。
>【尊べ!電光石火】
ひねった!ひねってきた!その捻りは想定外!
460:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/03(木) 23:03:01.22:ycpGCHS80 (3/7)
「ご主人様!桃香様!お目覚め下さい!一大事です!」
日輪が昇り、人が活動を始めるであろう時間帯。確かに日の出と共に起き、日の入りと共に床に就く生活が一般なこの時代――無論、贅沢に照明を使って夜を楽しむ者もいるが――では寝坊と言っていい時間帯である。
「愛紗、なんだ。まだ早いじゃないか。そんなに慌てているからよっぽど寝過ごしちゃったかと思ったろ」
そう、慌てることはない。洛陽に兵を進めるのは日輪が中天に至ってから。大所帯という訳でもないし、最近は随分と統制も取れてきている。精々半刻もあれば準備は整うであろう。
それに、昨日はまあ、戦勝の前祝ということらしく大盤振る舞いがあった。それまでは散々兵糧の拠出を渋っていた兵站が酒や肴まで――それも兵卒に十分に行き渡るまで――だ!
大いに飲み、食い、騒いだ。そしてまあ、すこしくらいは呑み過ぎてしまったのも確かではあるが。なにせ袁家秘蔵の火酒なるものはそれまでの酒と比べ、明らかに別物といっていいもの。喉を焼く感覚、まさに火酒であった。味見程度とはいえ、関羽もそれを味わっていたはずなのだが――。
「それです!洛陽への道がふさがれております!」
「なんだって?もう、敵はいないんじゃなかったのか!」
一体、誰が、と。
その問いに関羽が応えるより先に口を開くのは諸葛亮。
「袁家、でしょうか。それに追随する軍閥――白蓮さんあたりと見ました」
「そ、その通りだ。それに付け加えて、孫家だった」
牙門旗を確認した限りではだが、と関羽は毒気を抜かれたように呟く。
「もし、敵対する勢力であるならば昨夜、或いは日の出と共に私たちを含む反董卓連合はうち滅ぼされていたでしょう。もしくは、袁家が防衛戦を繰り広げていたはず。
ですから、ことここに至っては袁家のみがそれを可能とするのです」
「え、でもなんでなの?なんで袁紹さんはそんなことするんだろ」
不思議そうに小首を傾げる劉備に諸葛亮は苦笑する。
「勿論、理由はありますし、推論はありますがそれはあやふやなものです。
ですから、行きましょう。私たちが抱くその疑問は他の諸侯軍も持つものです。
きっとその答えがあるはずです」
にこり、と笑う諸葛亮に北郷一刀は安堵を覚える。
なに、絶対無敵の軍師がそう言うならばきっとそうなのだろう、と。
「ご主人様!桃香様!お目覚め下さい!一大事です!」
日輪が昇り、人が活動を始めるであろう時間帯。確かに日の出と共に起き、日の入りと共に床に就く生活が一般なこの時代――無論、贅沢に照明を使って夜を楽しむ者もいるが――では寝坊と言っていい時間帯である。
「愛紗、なんだ。まだ早いじゃないか。そんなに慌てているからよっぽど寝過ごしちゃったかと思ったろ」
そう、慌てることはない。洛陽に兵を進めるのは日輪が中天に至ってから。大所帯という訳でもないし、最近は随分と統制も取れてきている。精々半刻もあれば準備は整うであろう。
それに、昨日はまあ、戦勝の前祝ということらしく大盤振る舞いがあった。それまでは散々兵糧の拠出を渋っていた兵站が酒や肴まで――それも兵卒に十分に行き渡るまで――だ!
大いに飲み、食い、騒いだ。そしてまあ、すこしくらいは呑み過ぎてしまったのも確かではあるが。なにせ袁家秘蔵の火酒なるものはそれまでの酒と比べ、明らかに別物といっていいもの。喉を焼く感覚、まさに火酒であった。味見程度とはいえ、関羽もそれを味わっていたはずなのだが――。
「それです!洛陽への道がふさがれております!」
「なんだって?もう、敵はいないんじゃなかったのか!」
一体、誰が、と。
その問いに関羽が応えるより先に口を開くのは諸葛亮。
「袁家、でしょうか。それに追随する軍閥――白蓮さんあたりと見ました」
「そ、その通りだ。それに付け加えて、孫家だった」
牙門旗を確認した限りではだが、と関羽は毒気を抜かれたように呟く。
「もし、敵対する勢力であるならば昨夜、或いは日の出と共に私たちを含む反董卓連合はうち滅ぼされていたでしょう。もしくは、袁家が防衛戦を繰り広げていたはず。
ですから、ことここに至っては袁家のみがそれを可能とするのです」
「え、でもなんでなの?なんで袁紹さんはそんなことするんだろ」
不思議そうに小首を傾げる劉備に諸葛亮は苦笑する。
「勿論、理由はありますし、推論はありますがそれはあやふやなものです。
ですから、行きましょう。私たちが抱くその疑問は他の諸侯軍も持つものです。
きっとその答えがあるはずです」
にこり、と笑う諸葛亮に北郷一刀は安堵を覚える。
なに、絶対無敵の軍師がそう言うならばきっとそうなのだろう、と。
461:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/03(木) 23:03:28.08:ycpGCHS80 (4/7)
◆◆◆
「さて、馬家軍か。どうなることやら」
公孫賛はわずかに苦笑する。公孫がその軍を展開するのはちょうど馬家軍の正面あたり。
袁家の差配に馬家が不穏な動きあらば抑えるのが役割となっている。
「……貧乏くじと思っている?」
すぐそばに控える韓浩が問うてくる。
くすり、と笑みが浮かぶのを制せない。なんとなれば戦場でそのような、彼女のような存在が脇にあったことなぞ、ついぞなかったのだから。
「いや、本懐だな」
感慨深く公孫賛は言う。
それは脇に参謀、或いは副将という存在がいるということだけではない。
「だってそうだろう?洛陽の無辜の民。その安寧を守れるのだろう?
これほどの喜びがあるもんか」
――公孫賛は北方の弱小軍閥の出である。
常に匈奴の脅威に晒され、抗い、戦ってきた。
その戦いは常に受け身。侵入する匈奴に対する対処に過ぎない。
――天高く、馬肥ゆる秋。
それは公孫賛にとって、北方の漢民族にとっては戦慄の季節。匈奴が長城を越えてやってくる季節のことに他ならない。その文句は間違っても豊穣を祝う意味ではないのだ。
そして訪れる災厄。男は殺され、女子供は犯され、浚われる。
その惨状に幾度無念とわが身の無力を嘆いたか。
◆◆◆
「さて、馬家軍か。どうなることやら」
公孫賛はわずかに苦笑する。公孫がその軍を展開するのはちょうど馬家軍の正面あたり。
袁家の差配に馬家が不穏な動きあらば抑えるのが役割となっている。
「……貧乏くじと思っている?」
すぐそばに控える韓浩が問うてくる。
くすり、と笑みが浮かぶのを制せない。なんとなれば戦場でそのような、彼女のような存在が脇にあったことなぞ、ついぞなかったのだから。
「いや、本懐だな」
感慨深く公孫賛は言う。
それは脇に参謀、或いは副将という存在がいるということだけではない。
「だってそうだろう?洛陽の無辜の民。その安寧を守れるのだろう?
これほどの喜びがあるもんか」
――公孫賛は北方の弱小軍閥の出である。
常に匈奴の脅威に晒され、抗い、戦ってきた。
その戦いは常に受け身。侵入する匈奴に対する対処に過ぎない。
――天高く、馬肥ゆる秋。
それは公孫賛にとって、北方の漢民族にとっては戦慄の季節。匈奴が長城を越えてやってくる季節のことに他ならない。その文句は間違っても豊穣を祝う意味ではないのだ。
そして訪れる災厄。男は殺され、女子供は犯され、浚われる。
その惨状に幾度無念とわが身の無力を嘆いたか。
462:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/03(木) 23:03:58.57:ycpGCHS80 (5/7)
替え馬すら満足に用意できず、幾度取り逃がしたか。幾度民の悲鳴を聞き、悲嘆を聴き、怨恨を背負ったか。
騎射という匈奴の技術を公孫が身に付けたのも、そのためだ。戦利品の財貨や女を背負った匈奴ども。その重荷に、地平の彼方にあったその姿はやがては手の届きそうなところまで追いつめても、その、届きそうなところに用意されている替え馬。単純な機動力では敵わない。だから騎射という匈奴の技術を身に付けた。
だからこそ公孫家は、弱小軍閥としてはありえないほどの躍進を遂げたのだ。
そう、こと対騎馬戦においてはかの馬家軍相手でも譲るつもりはない。
今となっては白馬義従が武威により、公孫の牙門旗がある村落には匈奴は近づきもしないのだから。
「それにしてもなんかこう、落ち着かないなあ」
公孫賛は馬上でそう、誰に聞かせるわけでもなく呟く。
その声に韓浩は無感動に応える。
「いい加減、自分の立ち位置というのを認識するべきと思う。
この戦場において、こと戦闘経験という意味では公孫賛殿はかの馬家軍の令嬢をもはるかに凌ぐ。これは世辞ではない。厳然たる事実。この中華で貴女より歴戦なぞ、そうはいない。しかも、匈奴相手に、だ」
あくまで淡々と韓浩は呟く。
「お、おう」
常になく真正面からのその思いに公孫賛は戸惑い、そして破顔する。
「そうか、そうだな。他でもない韓浩がそうまで言ってくれるならば、白馬義従は無敵さ。そうだろう?」
是、と迷いなく韓浩は頷く。
「なに、母流龍九商会の長弓兵も後詰に来ている。こちらの指示に従ってくれるそうだ。
……愛されているようでなにより」
「な!」
かあ、と頬を上気させて公孫賛は目を白黒させる。
からかっているのか、揶揄しているのかと思うも韓浩の鉄面皮はぴくりとも動かない。
どうやら、本心からの言葉だったようである。
……それはそれでなんだかなあ。
何とも言えない表情の公孫賛を韓浩は僅かに首を傾げて怪訝そうにする。
「――何か?」
「いーや、なんでもない!なんでもないったらない!」
まあ、会話が微妙に噛み合わないのはよくあることである。
それでも、確かな絆がそこにはある。これはきっと自分だけの思い込みではないはずだ。
単身で駆けまわっていた頃に比べて、なんと恵まれていることか。
それもこれも。
「結局、二郎のおかげなんだよなあ……」
くす、と薄く笑み、気を引き締める。
絶対に負けられない。彼の為にも。
無論、戦端が開かれるとは決まっていないのだけれども。
替え馬すら満足に用意できず、幾度取り逃がしたか。幾度民の悲鳴を聞き、悲嘆を聴き、怨恨を背負ったか。
騎射という匈奴の技術を公孫が身に付けたのも、そのためだ。戦利品の財貨や女を背負った匈奴ども。その重荷に、地平の彼方にあったその姿はやがては手の届きそうなところまで追いつめても、その、届きそうなところに用意されている替え馬。単純な機動力では敵わない。だから騎射という匈奴の技術を身に付けた。
だからこそ公孫家は、弱小軍閥としてはありえないほどの躍進を遂げたのだ。
そう、こと対騎馬戦においてはかの馬家軍相手でも譲るつもりはない。
今となっては白馬義従が武威により、公孫の牙門旗がある村落には匈奴は近づきもしないのだから。
「それにしてもなんかこう、落ち着かないなあ」
公孫賛は馬上でそう、誰に聞かせるわけでもなく呟く。
その声に韓浩は無感動に応える。
「いい加減、自分の立ち位置というのを認識するべきと思う。
この戦場において、こと戦闘経験という意味では公孫賛殿はかの馬家軍の令嬢をもはるかに凌ぐ。これは世辞ではない。厳然たる事実。この中華で貴女より歴戦なぞ、そうはいない。しかも、匈奴相手に、だ」
あくまで淡々と韓浩は呟く。
「お、おう」
常になく真正面からのその思いに公孫賛は戸惑い、そして破顔する。
「そうか、そうだな。他でもない韓浩がそうまで言ってくれるならば、白馬義従は無敵さ。そうだろう?」
是、と迷いなく韓浩は頷く。
「なに、母流龍九商会の長弓兵も後詰に来ている。こちらの指示に従ってくれるそうだ。
……愛されているようでなにより」
「な!」
かあ、と頬を上気させて公孫賛は目を白黒させる。
からかっているのか、揶揄しているのかと思うも韓浩の鉄面皮はぴくりとも動かない。
どうやら、本心からの言葉だったようである。
……それはそれでなんだかなあ。
何とも言えない表情の公孫賛を韓浩は僅かに首を傾げて怪訝そうにする。
「――何か?」
「いーや、なんでもない!なんでもないったらない!」
まあ、会話が微妙に噛み合わないのはよくあることである。
それでも、確かな絆がそこにはある。これはきっと自分だけの思い込みではないはずだ。
単身で駆けまわっていた頃に比べて、なんと恵まれていることか。
それもこれも。
「結局、二郎のおかげなんだよなあ……」
くす、と薄く笑み、気を引き締める。
絶対に負けられない。彼の為にも。
無論、戦端が開かれるとは決まっていないのだけれども。
463:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/03(木) 23:04:29.68:ycpGCHS80 (6/7)
替え馬すら満足に用意できず、幾度取り逃がしたか。幾度民の悲鳴を聞き、悲嘆を聴き、怨恨を背負ったか。
騎射という匈奴の技術を公孫が身に付けたのも、そのためだ。戦利品の財貨や女を背負った匈奴ども。その重荷に、地平の彼方にあったその姿はやがては手の届きそうなところまで追いつめても、その、届きそうなところに用意されている替え馬。単純な機動力では敵わない。だから騎射という匈奴の技術を身に付けた。
だからこそ公孫家は、弱小軍閥としてはありえないほどの躍進を遂げたのだ。
そう、こと対騎馬戦においてはかの馬家軍相手でも譲るつもりはない。
今となっては白馬義従が武威により、公孫の牙門旗がある村落には匈奴は近づきもしないのだから。
「それにしてもなんかこう、落ち着かないなあ」
公孫賛は馬上でそう、誰に聞かせるわけでもなく呟く。
その声に韓浩は無感動に応える。
「いい加減、自分の立ち位置というのを認識するべきと思う。
この戦場において、こと戦闘経験という意味では公孫賛殿はかの馬家軍の令嬢をもはるかに凌ぐ。これは世辞ではない。厳然たる事実。この中華で貴女より歴戦なぞ、そうはいない。しかも、匈奴相手に、だ」
あくまで淡々と韓浩は呟く。
「お、おう」
常になく真正面からのその思いに公孫賛は戸惑い、そして破顔する。
「そうか、そうだな。他でもない韓浩がそうまで言ってくれるならば、白馬義従は無敵さ。そうだろう?」
是、と迷いなく韓浩は頷く。
「なに、母流龍九商会の長弓兵も後詰に来ている。こちらの指示に従ってくれるそうだ。
……愛されているようでなにより」
「な!」
かあ、と頬を上気させて公孫賛は目を白黒させる。
からかっているのか、揶揄しているのかと思うも韓浩の鉄面皮はぴくりとも動かない。
どうやら、本心からの言葉だったようである。
……それはそれでなんだかなあ。
何とも言えない表情の公孫賛を韓浩は僅かに首を傾げて怪訝そうにする。
「――何か?」
「いーや、なんでもない!なんでもないったらない!」
まあ、会話が微妙に噛み合わないのはよくあることである。
それでも、確かな絆がそこにはある。これはきっと自分だけの思い込みではないはずだ。
単身で駆けまわっていた頃に比べて、なんと恵まれていることか。
それもこれも。
「結局、二郎のおかげなんだよなあ……」
くす、と薄く笑み、気を引き締める。
絶対に負けられない。彼の為にも。
無論、戦端が開かれるとは決まっていないのだけれども。
替え馬すら満足に用意できず、幾度取り逃がしたか。幾度民の悲鳴を聞き、悲嘆を聴き、怨恨を背負ったか。
騎射という匈奴の技術を公孫が身に付けたのも、そのためだ。戦利品の財貨や女を背負った匈奴ども。その重荷に、地平の彼方にあったその姿はやがては手の届きそうなところまで追いつめても、その、届きそうなところに用意されている替え馬。単純な機動力では敵わない。だから騎射という匈奴の技術を身に付けた。
だからこそ公孫家は、弱小軍閥としてはありえないほどの躍進を遂げたのだ。
そう、こと対騎馬戦においてはかの馬家軍相手でも譲るつもりはない。
今となっては白馬義従が武威により、公孫の牙門旗がある村落には匈奴は近づきもしないのだから。
「それにしてもなんかこう、落ち着かないなあ」
公孫賛は馬上でそう、誰に聞かせるわけでもなく呟く。
その声に韓浩は無感動に応える。
「いい加減、自分の立ち位置というのを認識するべきと思う。
この戦場において、こと戦闘経験という意味では公孫賛殿はかの馬家軍の令嬢をもはるかに凌ぐ。これは世辞ではない。厳然たる事実。この中華で貴女より歴戦なぞ、そうはいない。しかも、匈奴相手に、だ」
あくまで淡々と韓浩は呟く。
「お、おう」
常になく真正面からのその思いに公孫賛は戸惑い、そして破顔する。
「そうか、そうだな。他でもない韓浩がそうまで言ってくれるならば、白馬義従は無敵さ。そうだろう?」
是、と迷いなく韓浩は頷く。
「なに、母流龍九商会の長弓兵も後詰に来ている。こちらの指示に従ってくれるそうだ。
……愛されているようでなにより」
「な!」
かあ、と頬を上気させて公孫賛は目を白黒させる。
からかっているのか、揶揄しているのかと思うも韓浩の鉄面皮はぴくりとも動かない。
どうやら、本心からの言葉だったようである。
……それはそれでなんだかなあ。
何とも言えない表情の公孫賛を韓浩は僅かに首を傾げて怪訝そうにする。
「――何か?」
「いーや、なんでもない!なんでもないったらない!」
まあ、会話が微妙に噛み合わないのはよくあることである。
それでも、確かな絆がそこにはある。これはきっと自分だけの思い込みではないはずだ。
単身で駆けまわっていた頃に比べて、なんと恵まれていることか。
それもこれも。
「結局、二郎のおかげなんだよなあ……」
くす、と薄く笑み、気を引き締める。
絶対に負けられない。彼の為にも。
無論、戦端が開かれるとは決まっていないのだけれども。
464:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/03(木) 23:05:12.78:ycpGCHS80 (7/7)
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
案は「地味様の憂鬱、或いは腹心との語らい」
そんな感じです
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
案は「地味様の憂鬱、或いは腹心との語らい」
そんな感じです
465:赤ペン:2020/09/05(土) 16:07:57.62:PTNduLdB0 (1/1)
乙でしたー>>はおーからして、自分がうらぎるのはええけど、相手が裏切るのは許さないですからね、多少はね? はおーはそれでいいけど軍師がそれじゃあかんやろ(マジレス
>>460
>>「ご主人様!桃香様!お目覚め下さい!一大事です!」 補助動詞なので
○「ご主人様!桃香様!お目覚めください!一大事です!」 ですね(わかりやすい例文としては【上着を脱いでください】これを漢字にすると上着が欲しいことになります)
>>それまでは散々兵糧の拠出を渋っていた兵站が酒や肴まで――それも兵卒に十分に行き渡るまで――だ! ちゃんと仕事ができる程度には出してたと思うんだけど…大食漢の分とか水増し請求して睨まれたんじゃねーの?
○それまでは散々出し渋っていた兵糧のみならず酒や肴まで――それも兵卒に十分に行き渡るまで――だ! 【拠出】だと出し合うことなので(まあ兵力は出してたんでしょうけど)袁家に集ってしかいないのに面の皮厚いっすわ。ちなみに兵糧は必要な食糧なので《食料だけじゃなくて嗜好品まで》って意味でこの方が良いと思います
>>その問いに関羽が応えるより先に口を開くのは諸葛亮。 【誰が?】という問いに対しては
○その問いに関羽が答えるより先に口を開くのは諸葛亮。 こうですね《袁家が?》という問いなら《是、と応える》のもありですが
>>462
>>「なに、母流龍九商会の長弓兵も後詰に来ている。 反董卓連合に商会が商会として戦力出してるの?
○「なに、袁家の長弓兵も後詰に来ている。 普通に袁家が徴兵した(という建前の)一般兵でいい気がする(賤業の私兵とか諸侯勢力からいらんいちゃもん付けられそうだし)
>>463 丸っと重複してますね
>>夜を楽しむ者もいる…アッ(察し)モゲレバイイノニ
>>そんなに慌てているからよっぽど寝過ごしちゃったかと思ったろ」 【よっぽど】じゃなくても寝過ごしたことを恥じろ。そもそも一大事って言われてんだろ山賊の奇襲報告だったらどうすんだよ
絶対にこいつら(兵卒含む)いつも以上に食って飲んで食い過ぎ、二日酔いの役立たず集団になってるな
そういえば韓浩は【公孫瓚殿】呼びなんだな…らしいと言えばらしいけどもっと胸襟を開いて良いのよ?地味様が尊過ぎて…原作だと兵力と領民をNTRされてんだよなあ
乙でしたー>>はおーからして、自分がうらぎるのはええけど、相手が裏切るのは許さないですからね、多少はね? はおーはそれでいいけど軍師がそれじゃあかんやろ(マジレス
>>460
>>「ご主人様!桃香様!お目覚め下さい!一大事です!」 補助動詞なので
○「ご主人様!桃香様!お目覚めください!一大事です!」 ですね(わかりやすい例文としては【上着を脱いでください】これを漢字にすると上着が欲しいことになります)
>>それまでは散々兵糧の拠出を渋っていた兵站が酒や肴まで――それも兵卒に十分に行き渡るまで――だ! ちゃんと仕事ができる程度には出してたと思うんだけど…大食漢の分とか水増し請求して睨まれたんじゃねーの?
○それまでは散々出し渋っていた兵糧のみならず酒や肴まで――それも兵卒に十分に行き渡るまで――だ! 【拠出】だと出し合うことなので(まあ兵力は出してたんでしょうけど)袁家に集ってしかいないのに面の皮厚いっすわ。ちなみに兵糧は必要な食糧なので《食料だけじゃなくて嗜好品まで》って意味でこの方が良いと思います
>>その問いに関羽が応えるより先に口を開くのは諸葛亮。 【誰が?】という問いに対しては
○その問いに関羽が答えるより先に口を開くのは諸葛亮。 こうですね《袁家が?》という問いなら《是、と応える》のもありですが
>>462
>>「なに、母流龍九商会の長弓兵も後詰に来ている。 反董卓連合に商会が商会として戦力出してるの?
○「なに、袁家の長弓兵も後詰に来ている。 普通に袁家が徴兵した(という建前の)一般兵でいい気がする(賤業の私兵とか諸侯勢力からいらんいちゃもん付けられそうだし)
>>463 丸っと重複してますね
>>夜を楽しむ者もいる…アッ(察し)モゲレバイイノニ
>>そんなに慌てているからよっぽど寝過ごしちゃったかと思ったろ」 【よっぽど】じゃなくても寝過ごしたことを恥じろ。そもそも一大事って言われてんだろ山賊の奇襲報告だったらどうすんだよ
絶対にこいつら(兵卒含む)いつも以上に食って飲んで食い過ぎ、二日酔いの役立たず集団になってるな
そういえば韓浩は【公孫瓚殿】呼びなんだな…らしいと言えばらしいけどもっと胸襟を開いて良いのよ?地味様が尊過ぎて…原作だと兵力と領民をNTRされてんだよなあ
466:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/05(土) 16:47:20.14:qvVR2asK0 (1/1)
>>465
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ
> はおーはそれでいいけど軍師がそれじゃあかんやろ(マジレス
ぐうの音も出ない正論ですw
でもネコミミの欠点ここなんですよねえ。。どう考えても。。。
はおーが覇王になれない一因ですわこれ
稟ちゃんさんと風ちゃんがいたら問題なく覇王になってたんだろうなあと。
>絶対にこいつら(兵卒含む)いつも以上に食って飲んで食い過ぎ、二日酔いの役立たず集団になってるな
普段飲んでない人間が蒸留酒飲むと頭痛いし吐き気もするしで、ある意味毒を盛ったのと変わらないっしょw
>そういえば韓浩は【公孫瓚殿】呼びなんだな…らしいと言えばらしいけどもっと胸襟を開いて良いのよ?
「一理ある。だが新参かつ外様の自分は分をわきまえるのがよかろう」
とのことです。お堅い!
>地味様が尊過ぎて…原作だと兵力と領民をNTRされてんだよなあ
これはひどい案件ですわw
そしてそれを快く送り出す人の良さよ!
ねえ。。。
>>465
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
ほむ
> はおーはそれでいいけど軍師がそれじゃあかんやろ(マジレス
ぐうの音も出ない正論ですw
でもネコミミの欠点ここなんですよねえ。。どう考えても。。。
はおーが覇王になれない一因ですわこれ
稟ちゃんさんと風ちゃんがいたら問題なく覇王になってたんだろうなあと。
>絶対にこいつら(兵卒含む)いつも以上に食って飲んで食い過ぎ、二日酔いの役立たず集団になってるな
普段飲んでない人間が蒸留酒飲むと頭痛いし吐き気もするしで、ある意味毒を盛ったのと変わらないっしょw
>そういえば韓浩は【公孫瓚殿】呼びなんだな…らしいと言えばらしいけどもっと胸襟を開いて良いのよ?
「一理ある。だが新参かつ外様の自分は分をわきまえるのがよかろう」
とのことです。お堅い!
>地味様が尊過ぎて…原作だと兵力と領民をNTRされてんだよなあ
これはひどい案件ですわw
そしてそれを快く送り出す人の良さよ!
ねえ。。。
467:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/06(日) 21:55:54.93:PuubI+Mi0 (1/3)
ざわめきが徐々に、だが確実に広がっていく。
日輪が昇り切り、前夜の狂騒の残滓を振り払ってのそりと起き出した諸侯軍は端的に言って戸惑っていた。
これよりは洛陽に進軍するのみ。もはや抵抗勢力はなく、進軍するのみ。だのに。
なぜ洛陽への道は既に陣構えを終えた軍勢によって塞がれているのであろうか、と。
「物流に難がある洛陽では反董卓連合の大軍を受け容れる余地がない」
袁家からはそのような事情を説明する書状が回されてくるが、それで納得する諸侯軍ではない。
「なるほど、確かに凄い人数だもんな。そりゃあ混乱するか。でもそれにしたらものものしくないか?」
北郷一刀は浮かんだ疑問を口にする。
「はい。確かにそうです。あれは、断固として通さないという袁家の意思表示がうかがえます」
「でも、何で袁家軍だけじゃなく諸侯軍も殺気立ってるんだ?」
膠着した状況が暫し続き、諸侯軍からは不穏な気配が立ち上る。そう、諸侯軍としてみたら上前をはねられたようなものである。たまったものではない。
そう、たまったものではないのだ。
「それは……」
そして諸葛亮は口ごもる。果たしてそれを聞かせていいものか。
「朱里、分かっているなら教えてくれないか」
そう、言われてしまえば否やはない。
「……諸侯軍は常備軍ではありません。それが最大の理由です」
「どういうことだい?」
首を傾げる北郷一刀と劉備に鳳統が言葉を続ける。
「諸侯軍の兵力。それは正規の兵ではありません。極端な話、そこいらの農民、流民に武器をもたせただけというのが実態です」
まあ、それは自分たち義勇軍も変わらないのではあるが。
「戸籍のしっかりした民を動員すればするほど手元の領内の収入は減ります。そしてそれは動員された兵も同じく、です」
武具、糧食に費やされた軍費。それは諸侯の財政を圧迫する。誰がこのように大規模な出兵――それも長期間の、だ――を想定なぞしていようか。
「ですから、いえ、だからこそ諸侯軍は洛陽への進軍を待ち構えていたのでしょう」
この時代、進軍に伴う略奪は黙認されている。そして貧しい寒村ならばともかく、これから進軍するのは肥え太った洛陽である。どれだけの富が蓄えられていることか。そしてその富を分捕った後は領地に帰るだけなのだ。
ざわめきが徐々に、だが確実に広がっていく。
日輪が昇り切り、前夜の狂騒の残滓を振り払ってのそりと起き出した諸侯軍は端的に言って戸惑っていた。
これよりは洛陽に進軍するのみ。もはや抵抗勢力はなく、進軍するのみ。だのに。
なぜ洛陽への道は既に陣構えを終えた軍勢によって塞がれているのであろうか、と。
「物流に難がある洛陽では反董卓連合の大軍を受け容れる余地がない」
袁家からはそのような事情を説明する書状が回されてくるが、それで納得する諸侯軍ではない。
「なるほど、確かに凄い人数だもんな。そりゃあ混乱するか。でもそれにしたらものものしくないか?」
北郷一刀は浮かんだ疑問を口にする。
「はい。確かにそうです。あれは、断固として通さないという袁家の意思表示がうかがえます」
「でも、何で袁家軍だけじゃなく諸侯軍も殺気立ってるんだ?」
膠着した状況が暫し続き、諸侯軍からは不穏な気配が立ち上る。そう、諸侯軍としてみたら上前をはねられたようなものである。たまったものではない。
そう、たまったものではないのだ。
「それは……」
そして諸葛亮は口ごもる。果たしてそれを聞かせていいものか。
「朱里、分かっているなら教えてくれないか」
そう、言われてしまえば否やはない。
「……諸侯軍は常備軍ではありません。それが最大の理由です」
「どういうことだい?」
首を傾げる北郷一刀と劉備に鳳統が言葉を続ける。
「諸侯軍の兵力。それは正規の兵ではありません。極端な話、そこいらの農民、流民に武器をもたせただけというのが実態です」
まあ、それは自分たち義勇軍も変わらないのではあるが。
「戸籍のしっかりした民を動員すればするほど手元の領内の収入は減ります。そしてそれは動員された兵も同じく、です」
武具、糧食に費やされた軍費。それは諸侯の財政を圧迫する。誰がこのように大規模な出兵――それも長期間の、だ――を想定なぞしていようか。
「ですから、いえ、だからこそ諸侯軍は洛陽への進軍を待ち構えていたのでしょう」
この時代、進軍に伴う略奪は黙認されている。そして貧しい寒村ならばともかく、これから進軍するのは肥え太った洛陽である。どれだけの富が蓄えられていることか。そしてその富を分捕った後は領地に帰るだけなのだ。
468:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/06(日) 21:56:40.28:PuubI+Mi0 (2/3)
「そんな……ひどい……」
劉備の悲しげな言葉にやはり言うべきではなかったか、と諸葛亮は僅かに後悔する。
「でも、じゃあ、どうして袁家は……あれじゃまるで洛陽を守っているみたいじゃないか」
北郷一刀の言は正しい。正しく袁家は洛陽を守護しようとしているのであろう。なぜならば。
「袁術殿が入内されます。故に洛陽が荒れるのは看過できないということでしょう。そして、兵を蓄えた諸侯軍は実に目障り。あわよくばここで誅滅してしまう心づもりでさえあるかもしれません」
「そんな……乱暴な!」
もっとやり様があるだろうにと北郷一刀は憤慨する。
下手をすれば洛陽は火の海になるだろう。彼の知っている歴史と同じく。
その憤懣、或いは悲嘆。
だが、と思い諸葛亮は傍らの親友に問う。
「……雛里ちゃん、あれ、抜ける?」
こと、千変万化たる戦場の機微に関して諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も譲るのを自覚している。
「無理だよ、朱里ちゃん。中央に陣取る顔家軍の重厚さ。左右を固める孫家軍と公孫。どっちも陣構えだけでその歴戦が分かるよ。そこに遊軍として紀家軍。決戦勢力として文家軍がいるんだよ?しかも本陣は更に分厚い袁家旗本。
あれを抜くなら、倍は、欲しいな」
実際、反董卓連合と言ってもその内実は袁家軍単独でも成り立つもの。
そしてその威容があるからこそ大多数の諸侯を前にしても袁家軍は揺るがない。質、量ともに恐るべきものである。将帥も、兵卒も。
「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りと思う。
桃香様、ご主人様。恋さんでもいない限り目の前の陣を突破することはまず無理でしょう」
「じゃあ、それが鈴々と愛紗ならどうだろう」
ふと、好奇心で北郷一刀はそう尋ねてみる。
「……何とも言えません。私からはなんとも。雛里ちゃん、どう?」
急に話を振られた鳳統は慌てつつも所見を述べる。
「あわわ……。駄目です。勝ち目はないです。
まずもってお二人を前線に出したならば、敵はこちらの本陣を急襲してくるでしょう。
と言って、どちらかお一人ならば星さんに足止めさせられます」
それに、あの呂布に手傷を負わせた顔良もいる。改めて袁家の分厚い陣容を再認識する。個の武勇でどうこうできるものではない。
いや、そもそも一騎打ちの優劣で戦場を語ってはいけない。そのような偶発的な状況を許すほど袁家は甘くないだろう。
少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は内心歯噛みする。質も量もまるで足りない。将帥の優秀さあある故にそれが残念でならない。未だ中華に影響を与える打ち手としてはその前提とする力がまるで足りないのだ。
この場で、一石を投じるとすればせめて馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことにはお話にならない。
「あ……!」
そしてその、状況を動かすに足る陣営が動く。
「あれは……?」
北郷一刀の呟き。
そう。
曹家軍きっての猛将夏候惇。それが少数の手勢を率いて、陣取る袁家軍に相対する。
陣頭の夏候惇は高らかに口を開く。
「曹家軍名代夏候惇である!洛陽への道を塞ぐ袁家に問いたいことがある!いざ尋常に応えられたし!」
そして状況を動かすのは曹操。夏候惇の口上を満足げに、不敵に笑いながら見守る。
その根底には怒りがある。
よくも自分をのけものにしてくれたな、と。
やられたままではいられない。それが曹操である。
「そんな……ひどい……」
劉備の悲しげな言葉にやはり言うべきではなかったか、と諸葛亮は僅かに後悔する。
「でも、じゃあ、どうして袁家は……あれじゃまるで洛陽を守っているみたいじゃないか」
北郷一刀の言は正しい。正しく袁家は洛陽を守護しようとしているのであろう。なぜならば。
「袁術殿が入内されます。故に洛陽が荒れるのは看過できないということでしょう。そして、兵を蓄えた諸侯軍は実に目障り。あわよくばここで誅滅してしまう心づもりでさえあるかもしれません」
「そんな……乱暴な!」
もっとやり様があるだろうにと北郷一刀は憤慨する。
下手をすれば洛陽は火の海になるだろう。彼の知っている歴史と同じく。
その憤懣、或いは悲嘆。
だが、と思い諸葛亮は傍らの親友に問う。
「……雛里ちゃん、あれ、抜ける?」
こと、千変万化たる戦場の機微に関して諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も譲るのを自覚している。
「無理だよ、朱里ちゃん。中央に陣取る顔家軍の重厚さ。左右を固める孫家軍と公孫。どっちも陣構えだけでその歴戦が分かるよ。そこに遊軍として紀家軍。決戦勢力として文家軍がいるんだよ?しかも本陣は更に分厚い袁家旗本。
あれを抜くなら、倍は、欲しいな」
実際、反董卓連合と言ってもその内実は袁家軍単独でも成り立つもの。
そしてその威容があるからこそ大多数の諸侯を前にしても袁家軍は揺るがない。質、量ともに恐るべきものである。将帥も、兵卒も。
「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りと思う。
桃香様、ご主人様。恋さんでもいない限り目の前の陣を突破することはまず無理でしょう」
「じゃあ、それが鈴々と愛紗ならどうだろう」
ふと、好奇心で北郷一刀はそう尋ねてみる。
「……何とも言えません。私からはなんとも。雛里ちゃん、どう?」
急に話を振られた鳳統は慌てつつも所見を述べる。
「あわわ……。駄目です。勝ち目はないです。
まずもってお二人を前線に出したならば、敵はこちらの本陣を急襲してくるでしょう。
と言って、どちらかお一人ならば星さんに足止めさせられます」
それに、あの呂布に手傷を負わせた顔良もいる。改めて袁家の分厚い陣容を再認識する。個の武勇でどうこうできるものではない。
いや、そもそも一騎打ちの優劣で戦場を語ってはいけない。そのような偶発的な状況を許すほど袁家は甘くないだろう。
少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は内心歯噛みする。質も量もまるで足りない。将帥の優秀さあある故にそれが残念でならない。未だ中華に影響を与える打ち手としてはその前提とする力がまるで足りないのだ。
この場で、一石を投じるとすればせめて馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことにはお話にならない。
「あ……!」
そしてその、状況を動かすに足る陣営が動く。
「あれは……?」
北郷一刀の呟き。
そう。
曹家軍きっての猛将夏候惇。それが少数の手勢を率いて、陣取る袁家軍に相対する。
陣頭の夏候惇は高らかに口を開く。
「曹家軍名代夏候惇である!洛陽への道を塞ぐ袁家に問いたいことがある!いざ尋常に応えられたし!」
そして状況を動かすのは曹操。夏候惇の口上を満足げに、不敵に笑いながら見守る。
その根底には怒りがある。
よくも自分をのけものにしてくれたな、と。
やられたままではいられない。それが曹操である。
469:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/06(日) 21:57:06.81:PuubI+Mi0 (3/3)
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名未定です
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名未定です
470:赤ペン:2020/09/07(月) 18:27:43.93:GgWEZK4E0 (1/2)
乙でしたー
>>467
>>そう、諸侯軍としてみたら上前をはねられたようなものである。 間違いではないですが
○そう、諸侯軍からすれば上前をはねられたようなものである。 まあ好みの問題かな
>>そう、言われてしまえば否やはない。 《そうなってしまえば》と同じような使い方なので
○そう言われてしまえば否やはない。 の方が良いと思います
>>「ですから、いえ、だからこそ諸侯軍は洛陽への進軍を待ち構えていたのでしょう」 間違いではないですがこれだと《こっちに来い》感が強いというか罠をはって相手が掛かるのを待ってるような印象があるので
○「ですから、いえ、だからこそ諸侯軍は洛陽への進軍を待ち望んでいたのでしょう」 もっとSAGEしたいなら【進軍を舌なめずりしていた】とか?こいつどっちも糞とか考えてそうだしなあ…【進軍の時を待ちわびていた】とかどうでしょう
>>468
>>諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も譲るのを自覚している。 【譲る】だと上位者が下位者に。の印象があるのでちょっと違和感が
○諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も劣るのを自覚している。 もしくは【鳳統に一歩二歩及ばないのを】だと負けん気の強さが出るかな?【鳳統には引けをとるのを】だとガチで客観視してる感じが出せる…なおご主人様の寵愛を考えるとこうはできないだろうね
>>左右を固める孫家軍と公孫。 単騎?軍の体をなしてない寄せ集めの揶揄?
○左右を固める孫家軍と公孫家軍。 (精鋭で)数が少ないから【公孫】呼びなのかな?
>>あわよくばここで誅滅してしまう心づもりでさえあるかもしれません」 本気でそれをやるなら食料に毒なり薬なり混ぜるだろうしそんなつもりが無いこと分かって言ってるのかねえ
>>「そんな……乱暴な!」 案の定推論を真実にして袁家に怒り向けてるしw董卓の治めてた洛陽を守ってるという事実から見直そうとは…しないんだなあ
ちょっとご飯食べてきます
乙でしたー
>>467
>>そう、諸侯軍としてみたら上前をはねられたようなものである。 間違いではないですが
○そう、諸侯軍からすれば上前をはねられたようなものである。 まあ好みの問題かな
>>そう、言われてしまえば否やはない。 《そうなってしまえば》と同じような使い方なので
○そう言われてしまえば否やはない。 の方が良いと思います
>>「ですから、いえ、だからこそ諸侯軍は洛陽への進軍を待ち構えていたのでしょう」 間違いではないですがこれだと《こっちに来い》感が強いというか罠をはって相手が掛かるのを待ってるような印象があるので
○「ですから、いえ、だからこそ諸侯軍は洛陽への進軍を待ち望んでいたのでしょう」 もっとSAGEしたいなら【進軍を舌なめずりしていた】とか?こいつどっちも糞とか考えてそうだしなあ…【進軍の時を待ちわびていた】とかどうでしょう
>>468
>>諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も譲るのを自覚している。 【譲る】だと上位者が下位者に。の印象があるのでちょっと違和感が
○諸葛亮は鳳統に一歩も二歩も劣るのを自覚している。 もしくは【鳳統に一歩二歩及ばないのを】だと負けん気の強さが出るかな?【鳳統には引けをとるのを】だとガチで客観視してる感じが出せる…なおご主人様の寵愛を考えるとこうはできないだろうね
>>左右を固める孫家軍と公孫。 単騎?軍の体をなしてない寄せ集めの揶揄?
○左右を固める孫家軍と公孫家軍。 (精鋭で)数が少ないから【公孫】呼びなのかな?
>>あわよくばここで誅滅してしまう心づもりでさえあるかもしれません」 本気でそれをやるなら食料に毒なり薬なり混ぜるだろうしそんなつもりが無いこと分かって言ってるのかねえ
>>「そんな……乱暴な!」 案の定推論を真実にして袁家に怒り向けてるしw董卓の治めてた洛陽を守ってるという事実から見直そうとは…しないんだなあ
ちょっとご飯食べてきます
471:赤ペン:2020/09/07(月) 23:54:57.95:GgWEZK4E0 (2/2)
さて続きを
>>468
>>「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りと思う。 ちょっと読みづらいような?
〇「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りだと思う。 の方が良いと思います
>>少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は内心歯噛みする。 【歯噛みする】は慣用句なのでこの書き方だと≪内心はらわたが煮えくり返る≫のような…まあそれを知られたくないならありかもですが
〇少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は歯噛みする。 敬愛するご主人様に「できるか?」と聞かれて「できない」と答えるなら悔しそうな顔を隠す意味もないでしょうし
>>将帥の優秀さあある故にそれが残念でならない。 何かが足りないけど何が足りないのか
〇将帥の優秀さならば引けを取らない自負がある故にそれが残念でならない。 兵の質、量と将の量で大敗してるけどここだけは勝ってると(無い)胸を張ってそう
>>馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことにはお話にならない。 結構ひっ迫した状況なのに危機感というか緊張感が足りない気がする
〇馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことには話にもならない。 【も】を入れることで強調されるので…例えば≪戦いにならない≫と≪戦いにもならない≫だと後者の方が差があるような気がします
袁家の万人の100歩を以て覇王の万歩を阻む。って感じですかね…交渉とは相手に応じないことに不都合があって初めて打てる手であるな
そもそも天の御使いは「袁家が洛陽を守ってるよ、よかったね」で済ませとけよ、めんどくせえな。
さて続きを
>>468
>>「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りと思う。 ちょっと読みづらいような?
〇「うん。私なら三倍は欲しい。雛里ちゃんの言う通りだと思う。 の方が良いと思います
>>少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は内心歯噛みする。 【歯噛みする】は慣用句なのでこの書き方だと≪内心はらわたが煮えくり返る≫のような…まあそれを知られたくないならありかもですが
〇少なくとも、自分たちの手持ちの兵力では如何ともしがたい。そう諸葛亮は歯噛みする。 敬愛するご主人様に「できるか?」と聞かれて「できない」と答えるなら悔しそうな顔を隠す意味もないでしょうし
>>将帥の優秀さあある故にそれが残念でならない。 何かが足りないけど何が足りないのか
〇将帥の優秀さならば引けを取らない自負がある故にそれが残念でならない。 兵の質、量と将の量で大敗してるけどここだけは勝ってると(無い)胸を張ってそう
>>馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことにはお話にならない。 結構ひっ迫した状況なのに危機感というか緊張感が足りない気がする
〇馬家軍か曹家軍くらいの武威がないことには話にもならない。 【も】を入れることで強調されるので…例えば≪戦いにならない≫と≪戦いにもならない≫だと後者の方が差があるような気がします
袁家の万人の100歩を以て覇王の万歩を阻む。って感じですかね…交渉とは相手に応じないことに不都合があって初めて打てる手であるな
そもそも天の御使いは「袁家が洛陽を守ってるよ、よかったね」で済ませとけよ、めんどくせえな。
472:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/09(水) 05:59:08.10:7tRPZSxX0 (1/1)
>>471
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>袁家の万人の100歩を以て覇王の万歩を阻む。って感じですかね…交渉とは相手に応じないことに不都合があって初めて打てる手であるな
今のところ、はおーです。まだ。
>そもそも天の御使いは「袁家が洛陽を守ってるよ、よかったね」で済ませとけよ、めんどくせえな。
これには笑いましたw
自分たちが世界の中心であるという万能感。若者の特権的なやつをこじらせてる感じですかね。
ここまであんまりいいところないですからねえ。。。
>>471
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>袁家の万人の100歩を以て覇王の万歩を阻む。って感じですかね…交渉とは相手に応じないことに不都合があって初めて打てる手であるな
今のところ、はおーです。まだ。
>そもそも天の御使いは「袁家が洛陽を守ってるよ、よかったね」で済ませとけよ、めんどくせえな。
これには笑いましたw
自分たちが世界の中心であるという万能感。若者の特権的なやつをこじらせてる感じですかね。
ここまであんまりいいところないですからねえ。。。
473:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/10(木) 21:36:18.80:vY1pce2o0 (1/2)
「ご報告申し上げます!今上陛下劉弁様ご無事!並びに紀霊将軍は宦官誅滅したとのことです!」
伝令の声に張りつめていた室の空気が僅かに緩む。
「ご苦労様です。下がってよろしい」
そして平淡に響く郭嘉の声が、盛り上がりかけた場を引き締める。
なんとなれば、まだことが終わったわけではない。この、本営にありて諸侯軍と対峙する彼らにとってはこれからが本番といってもいい。
「ふむ、まずは陛下のご無事を確保できたようですな」
口を開いたのは張魯である。彼が華佗と共にこの本陣にいる意味は極めて大きい。
張魯と華佗以外に袁家以外の人物となると、孫尚香くらいのものである。袁紹と、彼女を補佐する郭嘉。その護衛に楽進。袁術と孫尚香。その二人を典韋が守護している。まあ、袁術と孫尚香については孫家守護獣たる白虎に埋もれて安らかな寝息を立てているのではあるが。
ともかく、この場に五斗米道の二人がいるというのはこの上ない意味を持つ。漢中という要衝に根拠を置く五斗米道。南は劉焉、北は韓遂から有形無形の圧力を受けているその地、この勢力。それを袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。
まあ、袁家の重要人物が負傷した時の備えという意味もある。なにせ、即死でなければどのような傷病であっても治してみせるという神仙の如き奇跡をもたらす、まさに神医なのだ。張魯も華佗も。
「当然ですわ。二郎さんが陣頭指揮されてるのですもの」
くすり、と艶然と笑みを浮かべる袁紹。その背には光輝すら幻視されるほど。
「なるほど。二郎君は随分と信用されているようだ」
あら。これは心外な、と袁紹は異を唱える。
「信頼ですわよ?張魯さん」
「これは一本取られましたな」
ひとしきり笑みを漏らした後に、問う。
「ここからが難しいところですな。諸侯はいずれも洛陽の財貨を当てにしているのでしょう。
果たして、退けと言って退くものですかな?」
常に強大な勢力に脅かされてきた張魯としては疑問を呈さざるをえない。なんとなれば、利害、利益というものは道理や倫理を軽く踏みつぶすものだからして。
「郭嘉さん?」
袁紹はくすり、と笑って傍らの軍師に答えさせる。
「は。確かに諸侯軍は収まらないでしょう。ですが、それでも袁家軍と正面切ってまでの覚悟がある諸侯なぞおりません。
いえ、この戦力差で暴発するような愚物があるのならばこの場で潰してしまうのが最善。
そう、判断しております」
そう言いながらも郭嘉がその動きを読めないでいるのが曹家と馬家である。
前者はその計り知れない智謀において。後者はその果断なる蛮勇において、だ。もっとも、どのように動いても、必要とあらば叩き潰すだけの準備はしている。
郭嘉としてみれば、いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかとも思うのではあるのではある。あるのではあるが、抵抗勢力、反抗勢力は顕在化させておいた方がいい、という張勲の言。それを紀霊が容れたことによって、心ならずも。この上なく不本意ではあるのだが、大鉈を振るう機会を逸してしまっている。
それはいい。決まったことである。決まったことだ。
与えられた条件下で最善を尽くすのが軍師の役目、とばかりに郭嘉は思考を切り替える。
これより先において彼女の出番があるとすれば、最悪の事態が起こった時のみであろう。
だが、そうはならない。その確信がある。なんとなれば。
「曹家軍に動きあり!陣頭には夏候惇将軍!後詰に夏侯淵将軍!兵力は五百強!」
やはり。状況を動かすのは曹家軍かと郭嘉は深く頷く。
「郭嘉さん?」
袁紹の問いにも臆することなく応える。何を畏れることがあろうか。なんとなれば郭嘉は、考えうる最良の一手を既に打ってある。
「は。ご心配なく。
なにせ、我が軍には一騎当千たる趙子龍がおります故に」
「ご報告申し上げます!今上陛下劉弁様ご無事!並びに紀霊将軍は宦官誅滅したとのことです!」
伝令の声に張りつめていた室の空気が僅かに緩む。
「ご苦労様です。下がってよろしい」
そして平淡に響く郭嘉の声が、盛り上がりかけた場を引き締める。
なんとなれば、まだことが終わったわけではない。この、本営にありて諸侯軍と対峙する彼らにとってはこれからが本番といってもいい。
「ふむ、まずは陛下のご無事を確保できたようですな」
口を開いたのは張魯である。彼が華佗と共にこの本陣にいる意味は極めて大きい。
張魯と華佗以外に袁家以外の人物となると、孫尚香くらいのものである。袁紹と、彼女を補佐する郭嘉。その護衛に楽進。袁術と孫尚香。その二人を典韋が守護している。まあ、袁術と孫尚香については孫家守護獣たる白虎に埋もれて安らかな寝息を立てているのではあるが。
ともかく、この場に五斗米道の二人がいるというのはこの上ない意味を持つ。漢中という要衝に根拠を置く五斗米道。南は劉焉、北は韓遂から有形無形の圧力を受けているその地、この勢力。それを袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。
まあ、袁家の重要人物が負傷した時の備えという意味もある。なにせ、即死でなければどのような傷病であっても治してみせるという神仙の如き奇跡をもたらす、まさに神医なのだ。張魯も華佗も。
「当然ですわ。二郎さんが陣頭指揮されてるのですもの」
くすり、と艶然と笑みを浮かべる袁紹。その背には光輝すら幻視されるほど。
「なるほど。二郎君は随分と信用されているようだ」
あら。これは心外な、と袁紹は異を唱える。
「信頼ですわよ?張魯さん」
「これは一本取られましたな」
ひとしきり笑みを漏らした後に、問う。
「ここからが難しいところですな。諸侯はいずれも洛陽の財貨を当てにしているのでしょう。
果たして、退けと言って退くものですかな?」
常に強大な勢力に脅かされてきた張魯としては疑問を呈さざるをえない。なんとなれば、利害、利益というものは道理や倫理を軽く踏みつぶすものだからして。
「郭嘉さん?」
袁紹はくすり、と笑って傍らの軍師に答えさせる。
「は。確かに諸侯軍は収まらないでしょう。ですが、それでも袁家軍と正面切ってまでの覚悟がある諸侯なぞおりません。
いえ、この戦力差で暴発するような愚物があるのならばこの場で潰してしまうのが最善。
そう、判断しております」
そう言いながらも郭嘉がその動きを読めないでいるのが曹家と馬家である。
前者はその計り知れない智謀において。後者はその果断なる蛮勇において、だ。もっとも、どのように動いても、必要とあらば叩き潰すだけの準備はしている。
郭嘉としてみれば、いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかとも思うのではあるのではある。あるのではあるが、抵抗勢力、反抗勢力は顕在化させておいた方がいい、という張勲の言。それを紀霊が容れたことによって、心ならずも。この上なく不本意ではあるのだが、大鉈を振るう機会を逸してしまっている。
それはいい。決まったことである。決まったことだ。
与えられた条件下で最善を尽くすのが軍師の役目、とばかりに郭嘉は思考を切り替える。
これより先において彼女の出番があるとすれば、最悪の事態が起こった時のみであろう。
だが、そうはならない。その確信がある。なんとなれば。
「曹家軍に動きあり!陣頭には夏候惇将軍!後詰に夏侯淵将軍!兵力は五百強!」
やはり。状況を動かすのは曹家軍かと郭嘉は深く頷く。
「郭嘉さん?」
袁紹の問いにも臆することなく応える。何を畏れることがあろうか。なんとなれば郭嘉は、考えうる最良の一手を既に打ってある。
「は。ご心配なく。
なにせ、我が軍には一騎当千たる趙子龍がおります故に」
474:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/10(木) 21:37:16.51:vY1pce2o0 (2/2)
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
でもまあ、前とくっつけた感じにした方がよさそうですね。
次回、趙雲VS夏候惇
ご期待くださいませませ。
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
でもまあ、前とくっつけた感じにした方がよさそうですね。
次回、趙雲VS夏候惇
ご期待くださいませませ。
475:青ペン:2020/09/11(金) 00:27:40.49:WeajKTWzo (1/1)
>>474
乙ーい。
そうねー、繋げた方がしっくり来そう。
んで、【洛陽を血に染めて~天子の唄~】とでも。
>>474
乙ーい。
そうねー、繋げた方がしっくり来そう。
んで、【洛陽を血に染めて~天子の唄~】とでも。
476:赤ペン:2020/09/11(金) 11:54:49.72:u6lrHLbC0 (1/1)
乙でしたー
>>473
>>この勢力。それを袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。 この場合【それ(この勢力)を袁家が後ろ盾になるということを】となるとちょっと接続詞に違和感が
○この勢力。それに袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。 の方が良いと思います
>>いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかとも思うのではあるのではある。あるのではあるが、 どんだけ潰したいんだよってくらい【ある】連呼してますがちょっと読みづらいかな
○いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかという思いもあるのである。そうではあるのだが、 この場合は郭嘉の心情が《やれるなら積極的にやりたい》のか《やれるならまあやってもいい(あるにはある)》のか《やれるならやりたくはないけどやらざるを得ない(ないではない)》のか
将を信頼するのに理由なんていらないよ、と言いそうな劉備、信頼する相手だから将を任せるのよ、と言いそうな曹操、私が信頼したのですから将くらいできるにきまってます、と言いそうな袁紹…かな
尚史実では信頼して将を任せた相手に裏切られて手痛い敗北をした模様…お前田豊さんのこともう少し信じろよ
>>くすり、と艶然と笑みを浮かべる袁紹。 あぁ~「おーほっほっほ」とか高笑いせずにこんなんヤバいわ、あかんやろ…尊い。
乙でしたー
>>473
>>この勢力。それを袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。 この場合【それ(この勢力)を袁家が後ろ盾になるということを】となるとちょっと接続詞に違和感が
○この勢力。それに袁家が後ろ盾になるということをわかりやすく表明している。 の方が良いと思います
>>いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかとも思うのではあるのではある。あるのではあるが、 どんだけ潰したいんだよってくらい【ある】連呼してますがちょっと読みづらいかな
○いっそ諸侯とまとめて始末してもいいのではないかという思いもあるのである。そうではあるのだが、 この場合は郭嘉の心情が《やれるなら積極的にやりたい》のか《やれるならまあやってもいい(あるにはある)》のか《やれるならやりたくはないけどやらざるを得ない(ないではない)》のか
将を信頼するのに理由なんていらないよ、と言いそうな劉備、信頼する相手だから将を任せるのよ、と言いそうな曹操、私が信頼したのですから将くらいできるにきまってます、と言いそうな袁紹…かな
尚史実では信頼して将を任せた相手に裏切られて手痛い敗北をした模様…お前田豊さんのこともう少し信じろよ
>>くすり、と艶然と笑みを浮かべる袁紹。 あぁ~「おーほっほっほ」とか高笑いせずにこんなんヤバいわ、あかんやろ…尊い。
477:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/13(日) 06:12:50.42:+BcfcCX80 (1/1)
>>475
どもです。
>そうねー、繋げた方がしっくり来そう。
やっぱりそうですよねー
あっちと繋げていこうそうしよう
>んで、【洛陽を血に染めて~天子の唄~】とでも。
洛陽入れたいなー血に染めてもいいなー
ヨシ!
>>476
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>将を信頼するのに理由なんていらないよ、と言いそうな劉備、信頼する相手だから将を任せるのよ、と言いそうな曹操、私が信頼したのですから将くらいできるにきまってます、と言いそうな袁紹…かな
言われてみれば確かにそんな感じですね。しかし英傑の対比に袁紹が出てくるのが珍しいことよ。。。普通は孫権だもんで
>尚史実では信頼して将を任せた相手に裏切られて手痛い敗北をした模様…お前田豊さんのこともう少し信じろよ
出ると負け軍師。。。
田豊と沮授の派閥が勝ってればなあ。いや、史実で曹操が負けると困るんですけどね
>あぁ~「おーほっほっほ」とか高笑いせずにこんなんヤバいわ、あかんやろ…尊い。
高笑いだけじゃないんです!しっとりできるんです!やはり麗羽様が出ると持って行きますね
>>475
どもです。
>そうねー、繋げた方がしっくり来そう。
やっぱりそうですよねー
あっちと繋げていこうそうしよう
>んで、【洛陽を血に染めて~天子の唄~】とでも。
洛陽入れたいなー血に染めてもいいなー
ヨシ!
>>476
赤ペン先生いつもありがとうございますー!
>将を信頼するのに理由なんていらないよ、と言いそうな劉備、信頼する相手だから将を任せるのよ、と言いそうな曹操、私が信頼したのですから将くらいできるにきまってます、と言いそうな袁紹…かな
言われてみれば確かにそんな感じですね。しかし英傑の対比に袁紹が出てくるのが珍しいことよ。。。普通は孫権だもんで
>尚史実では信頼して将を任せた相手に裏切られて手痛い敗北をした模様…お前田豊さんのこともう少し信じろよ
出ると負け軍師。。。
田豊と沮授の派閥が勝ってればなあ。いや、史実で曹操が負けると困るんですけどね
>あぁ~「おーほっほっほ」とか高笑いせずにこんなんヤバいわ、あかんやろ…尊い。
高笑いだけじゃないんです!しっとりできるんです!やはり麗羽様が出ると持って行きますね
478:赤ペン:2020/09/14(月) 09:22:16.41:pKnfVT8o0 (1/1)
えっ孫権?…こいつならできると知ってるから将を任せる。もし失敗するなら私が知らない何らかの要因があったせいだから私が悪い
多分これを無意識で行ってるタイプ
えっ孫権?…こいつならできると知ってるから将を任せる。もし失敗するなら私が知らない何らかの要因があったせいだから私が悪い
多分これを無意識で行ってるタイプ
479:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/14(月) 22:18:15.84:MO/NhoCH0 (1/6)
「な、なんだってんだ……?」
端的に言って馬超は混乱していた。なんとなれば、洛陽を守護するが如く袁家軍は布陣しているのだ。そして士気も高い。見ただけで分かる。あれを抜くとなると苦労しそうだ。そんなことを思うほどに。
「お姉さま、本気でそれ言ってる?」
呆れたような馬岱の台詞に馬超は柳眉を逆立てる。
「当たり前だろう!あれじゃあ、喧嘩を売られているようなものじゃないか!」
はあ。と馬岱はこれ見よがしに、ため息を通常の三倍くらいに増量して吐き出す。
「ええとね、お姉さまが本気でそう言ってるのはさ。たんぽぽも分かったよ。分かりたくなかったけど。
うん。これには流石にたんぽぽもびっくりだよー。ほんとにね。
だってさ、昨日、張勲さんが来てたでしょ?」
じとり、となんとも言えない馬岱の視線にさしもの馬超もたじろぐ。
「そ、それはもちろん覚えてるぞ。酒肴をたっぷりと持ってきてくれたことも」
戦場暮らしには慣れているとはいえ、袁家秘蔵の火酒に、戦場食とは思えない料理の数々であったと馬超は頷く。
「そうだよねー。お姉さま、それで気持ちよく酔っぱらってたもんね。むしろ酔いつぶれてた気配すらあったもんね。
張勲さんの相手とかぜーんぶたんぽぽに押し付けて、さ」
「な、なんだよ」
「ほんと、覚えてないんだなあってさ。
昨日張勲さんが言ってたじゃない。諸侯軍の不埒な動きに対するために洛陽へは入らせないって。
それで、お姉さまが漢朝、官軍と相対するのはいかがなものかって言ったから、馬家軍は静観することになったじゃない」
ちなみにここまでの馬岱の言説は虚実入り混じったものである。
「そ、そうだったか?」
焦り気味の馬超の態度に、上手く思考誘導ができたかと思うが気を緩めるわけにはいかない。
「そうだったよ!
ほんとにもー。ひょっとしたらと思ったけど、そこまで前後不覚になったのはまずいんじゃないかなあ。
気を緩めすぎだよ」
尚も言いつのろうとする馬岱が口を開く前に馬超は言葉をかぶせる。
「む、曹家軍が動いたか」
若干以上の後ろめたさを隠すように、必要以上に声高に曹家軍の動きを口にする。
「なんだ。五百もいないぞ。だが、率いるのは夏候惇。それに……兵に混じって夏侯淵もいるな」
流石の眼力だ、と馬岱は内心で従姉を賞賛する。何かを糊塗するかのような態度さえなければ実際大したものだと感銘を受ける者も多かったであろうに。
そして張勲の言説通り、場を動かすのは曹家軍だったかと状況を認識し、覚悟を決める。
なんとなれば、内々に張勲の口から馬家軍は仮想敵として想定されているというロクでもない情報がもたらされているのだ。
これを目の前の従姉が知ったならばどうなるか。いや、普通に暴発するだろうなあと馬岱は思う。
「もー、どうにでもなあれ」
馬岱の本音である。が、状況はそれを許さない。
「あれは、趙雲か」
単騎で曹家軍に対峙する白装束の武将。それは。その人物こそは。
「うん。一騎当千、だね」
ごくり、とさしもの馬岱も生唾を飲み込む。
単騎であの呂布と渡り合い、退かせたのだ。呂布の武勇は涼州にて轡を並べた自分たちが一番よく知っている。あの、呂布だ。呂布なのだ。あの人外と言っていい、いわば化け物と単騎で打ち合い、退かせたなぞ。
実際ありえない。だから、「一騎当千」と急速に異名が広がる趙雲に対して無関心ではいられない。いられないのである。
そして、趙雲に対する思いを清冽な声が引き裂く。
◆◆◆
「な、なんだってんだ……?」
端的に言って馬超は混乱していた。なんとなれば、洛陽を守護するが如く袁家軍は布陣しているのだ。そして士気も高い。見ただけで分かる。あれを抜くとなると苦労しそうだ。そんなことを思うほどに。
「お姉さま、本気でそれ言ってる?」
呆れたような馬岱の台詞に馬超は柳眉を逆立てる。
「当たり前だろう!あれじゃあ、喧嘩を売られているようなものじゃないか!」
はあ。と馬岱はこれ見よがしに、ため息を通常の三倍くらいに増量して吐き出す。
「ええとね、お姉さまが本気でそう言ってるのはさ。たんぽぽも分かったよ。分かりたくなかったけど。
うん。これには流石にたんぽぽもびっくりだよー。ほんとにね。
だってさ、昨日、張勲さんが来てたでしょ?」
じとり、となんとも言えない馬岱の視線にさしもの馬超もたじろぐ。
「そ、それはもちろん覚えてるぞ。酒肴をたっぷりと持ってきてくれたことも」
戦場暮らしには慣れているとはいえ、袁家秘蔵の火酒に、戦場食とは思えない料理の数々であったと馬超は頷く。
「そうだよねー。お姉さま、それで気持ちよく酔っぱらってたもんね。むしろ酔いつぶれてた気配すらあったもんね。
張勲さんの相手とかぜーんぶたんぽぽに押し付けて、さ」
「な、なんだよ」
「ほんと、覚えてないんだなあってさ。
昨日張勲さんが言ってたじゃない。諸侯軍の不埒な動きに対するために洛陽へは入らせないって。
それで、お姉さまが漢朝、官軍と相対するのはいかがなものかって言ったから、馬家軍は静観することになったじゃない」
ちなみにここまでの馬岱の言説は虚実入り混じったものである。
「そ、そうだったか?」
焦り気味の馬超の態度に、上手く思考誘導ができたかと思うが気を緩めるわけにはいかない。
「そうだったよ!
ほんとにもー。ひょっとしたらと思ったけど、そこまで前後不覚になったのはまずいんじゃないかなあ。
気を緩めすぎだよ」
尚も言いつのろうとする馬岱が口を開く前に馬超は言葉をかぶせる。
「む、曹家軍が動いたか」
若干以上の後ろめたさを隠すように、必要以上に声高に曹家軍の動きを口にする。
「なんだ。五百もいないぞ。だが、率いるのは夏候惇。それに……兵に混じって夏侯淵もいるな」
流石の眼力だ、と馬岱は内心で従姉を賞賛する。何かを糊塗するかのような態度さえなければ実際大したものだと感銘を受ける者も多かったであろうに。
そして張勲の言説通り、場を動かすのは曹家軍だったかと状況を認識し、覚悟を決める。
なんとなれば、内々に張勲の口から馬家軍は仮想敵として想定されているというロクでもない情報がもたらされているのだ。
これを目の前の従姉が知ったならばどうなるか。いや、普通に暴発するだろうなあと馬岱は思う。
「もー、どうにでもなあれ」
馬岱の本音である。が、状況はそれを許さない。
「あれは、趙雲か」
単騎で曹家軍に対峙する白装束の武将。それは。その人物こそは。
「うん。一騎当千、だね」
ごくり、とさしもの馬岱も生唾を飲み込む。
単騎であの呂布と渡り合い、退かせたのだ。呂布の武勇は涼州にて轡を並べた自分たちが一番よく知っている。あの、呂布だ。呂布なのだ。あの人外と言っていい、いわば化け物と単騎で打ち合い、退かせたなぞ。
実際ありえない。だから、「一騎当千」と急速に異名が広がる趙雲に対して無関心ではいられない。いられないのである。
そして、趙雲に対する思いを清冽な声が引き裂く。
◆◆◆
480:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/14(月) 22:18:42.63:MO/NhoCH0 (2/6)
「曹家軍名代夏候惇である!洛陽への道を塞ぐ袁家に問いたいことがある!
いざ尋常に応えられたし!」
見事な口上である。なにより見事なのはその声量だ。戦場においては声量というのは馬鹿に出来ない。その指示を行き渡らせるに必須の、或いは将としての素質。
「問おう。何故に洛陽への道を閉ざすのか」
朗々と響き渡る夏候惇の声。だが、対する趙雲の声も負けてはいない。玲瓏たる響きは、質こそ違えど敵味方問わず浸透する。
夏候惇が雷鳴ならば趙雲は地鳴り。腹に響き、否応なく認識するそれ。袁家の古参は雷薄を連想した。そしてそれは正しい。
「おや、曹家には伝わっていなかったかな。
数万に及ぶ軍勢を容れる準備なぞ洛陽にはない。無用の混乱は求めるところではないだろう」
その言に夏候惇はにまり、と口をゆがめる。
「笑止!それならばそれで構わんとも!だがな!いささか勝手がすぎるというものだろうが」
趙雲は、それがどうしたとばかりに。
「は、既に諸侯軍のはねっかえりどもが凶行に及んでいるがな。それを知らぬとでも言うのか」
「知らんな。知っているのはそう、貴殿らがこともあろうに禁中にて血を流したことくらいか。宦官誅滅とはまた思い切ったものだ、な」
◆◆◆
「何だって!」
驚愕、それが激昂となる直前に馬岱は口を挟む。
「そっかー。二郎様ってば、ようやく仇を討てたんだね。よかったよー」
気勢を逸らされた格好の馬超は馬岱に問いかける。
「ちょっと待て、どういうことだ?」
馬岱は苦笑しつつも言葉を選びつつ宦官と袁家……紀霊との因縁を語る。
それを聞き、馬超はむむむ、と唸る。
「だからね、二郎様は本懐を果たしたんだよ。ようやくね。
うん。ようやっと、だね」
いつになくしおらしく、しんみりとした馬岱。その双眸には、涙すら浮かんでいる。
いつもおちゃらけている態度、へらへらとしている馬岱。だからこそ、その涙は馬超の胸を打つ。
「そうか……。そうだな。それは譲れない、よな」
自分とて父たる馬騰の復讐に燃えていたのだ。その心根は痛いほどに分かる。
そして、願わくばあの青年が、復讐という不毛な感情から解放されて欲しいものだ。
彼女は心の底からそう願う。
「それはそうとして、曹家は収まらんだろう。いや。だからこそ夏候惇が出たのか」
宦官をその支持基盤とする曹家。宦官を誅滅するということは曹家に喧嘩を売るに等しい。
洛陽という果実を目の前にしてお預けを喰らっている諸侯軍の不穏な空気を背負い、仕掛けるつもりかと馬超は訝(いぶか)る。仲間内で争っている場合かよと内心呆れる。
……この時馬超にこの場をどうこうしようという発想はない。それを認識して馬岱は内心安堵する。
これでよい、とばかりに。やりきった、とばかりに。
そしてこの場を支配する二人がどうこの場を動かすのかと無責任に好奇心を優先させることにする。元来、あれやこれやと思い悩むのは向いてないのだ。
◆◆◆
「曹家軍名代夏候惇である!洛陽への道を塞ぐ袁家に問いたいことがある!
いざ尋常に応えられたし!」
見事な口上である。なにより見事なのはその声量だ。戦場においては声量というのは馬鹿に出来ない。その指示を行き渡らせるに必須の、或いは将としての素質。
「問おう。何故に洛陽への道を閉ざすのか」
朗々と響き渡る夏候惇の声。だが、対する趙雲の声も負けてはいない。玲瓏たる響きは、質こそ違えど敵味方問わず浸透する。
夏候惇が雷鳴ならば趙雲は地鳴り。腹に響き、否応なく認識するそれ。袁家の古参は雷薄を連想した。そしてそれは正しい。
「おや、曹家には伝わっていなかったかな。
数万に及ぶ軍勢を容れる準備なぞ洛陽にはない。無用の混乱は求めるところではないだろう」
その言に夏候惇はにまり、と口をゆがめる。
「笑止!それならばそれで構わんとも!だがな!いささか勝手がすぎるというものだろうが」
趙雲は、それがどうしたとばかりに。
「は、既に諸侯軍のはねっかえりどもが凶行に及んでいるがな。それを知らぬとでも言うのか」
「知らんな。知っているのはそう、貴殿らがこともあろうに禁中にて血を流したことくらいか。宦官誅滅とはまた思い切ったものだ、な」
◆◆◆
「何だって!」
驚愕、それが激昂となる直前に馬岱は口を挟む。
「そっかー。二郎様ってば、ようやく仇を討てたんだね。よかったよー」
気勢を逸らされた格好の馬超は馬岱に問いかける。
「ちょっと待て、どういうことだ?」
馬岱は苦笑しつつも言葉を選びつつ宦官と袁家……紀霊との因縁を語る。
それを聞き、馬超はむむむ、と唸る。
「だからね、二郎様は本懐を果たしたんだよ。ようやくね。
うん。ようやっと、だね」
いつになくしおらしく、しんみりとした馬岱。その双眸には、涙すら浮かんでいる。
いつもおちゃらけている態度、へらへらとしている馬岱。だからこそ、その涙は馬超の胸を打つ。
「そうか……。そうだな。それは譲れない、よな」
自分とて父たる馬騰の復讐に燃えていたのだ。その心根は痛いほどに分かる。
そして、願わくばあの青年が、復讐という不毛な感情から解放されて欲しいものだ。
彼女は心の底からそう願う。
「それはそうとして、曹家は収まらんだろう。いや。だからこそ夏候惇が出たのか」
宦官をその支持基盤とする曹家。宦官を誅滅するということは曹家に喧嘩を売るに等しい。
洛陽という果実を目の前にしてお預けを喰らっている諸侯軍の不穏な空気を背負い、仕掛けるつもりかと馬超は訝(いぶか)る。仲間内で争っている場合かよと内心呆れる。
……この時馬超にこの場をどうこうしようという発想はない。それを認識して馬岱は内心安堵する。
これでよい、とばかりに。やりきった、とばかりに。
そしてこの場を支配する二人がどうこの場を動かすのかと無責任に好奇心を優先させることにする。元来、あれやこれやと思い悩むのは向いてないのだ。
◆◆◆
481:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/14(月) 22:19:08.80:MO/NhoCH0 (3/6)
「ほう、曹家には順風耳がいるようだ。そしてそれはご不満かね」
あからさまに挑発混じり。
その趙雲の台詞に夏候惇は答える。
「正直、私個人としてはどうでもいい。主たる華琳様に乞うてまでこの場にいるのはな。
一騎当千と謳(うた)われる貴殿と手合せをしたいからよ。かの万夫不当を単身追い返した貴殿と、な。
まさか、否とは言わんだろう?」
ちゃきり、と七星餓狼を構える夏候惇。
「曹家の大剣たる貴殿のお誘い。
無論受けるとも」
くるり、くるりと螺旋を描かせた愛槍龍牙。それを手にして構える。
ざわり、と戸惑う諸侯軍すら魅了せんとばかりに見栄を切る。
「先手は、譲ろう。
いざ、尋常に」
◆◆◆
「ほう、曹家には順風耳がいるようだ。そしてそれはご不満かね」
あからさまに挑発混じり。
その趙雲の台詞に夏候惇は答える。
「正直、私個人としてはどうでもいい。主たる華琳様に乞うてまでこの場にいるのはな。
一騎当千と謳(うた)われる貴殿と手合せをしたいからよ。かの万夫不当を単身追い返した貴殿と、な。
まさか、否とは言わんだろう?」
ちゃきり、と七星餓狼を構える夏候惇。
「曹家の大剣たる貴殿のお誘い。
無論受けるとも」
くるり、くるりと螺旋を描かせた愛槍龍牙。それを手にして構える。
ざわり、と戸惑う諸侯軍すら魅了せんとばかりに見栄を切る。
「先手は、譲ろう。
いざ、尋常に」
◆◆◆
482:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/14(月) 22:19:36.05:MO/NhoCH0 (4/6)
「よくぞ言った。では、遠慮せん!」
突風。或いは暴風であろうか。夏候惇の一撃を趙雲は辛うじて躱す。
「おおおおおおおおおおおお!」
雄叫びと共に繰り出される一撃には一見隙がありそうなものだが。
「ちいっ!」
必殺の斬撃が迫る。躱せば続いてまた必殺の一撃が襲いかかる。暴風のような連撃。それはいずれも、掠るだけで致命傷になりかねない。それを趙雲はそれでも躱す。ただし辛うじて、だ。
「なるほど、これは厄介極まりない!」
思わず愚痴と称賛の入り混じったものが漏れる。
自分の武が夏候惇に劣るとは思わない。少なくともここまで一方的に攻められるほどには、だ。それを、この趙雲を追い詰めるのは。
「どうしたどうした!」
必殺の一撃。夏候惇は次々と斬撃を繰り出す。
「なんとぉ!」
心ならずも紙一重で躱す。そして僅かな猶予で反撃を図るも。
ぞくり、と背筋に悪寒が走る。
「おおおおおおお!」
刹那の硬直。それを見逃す夏候惇ではない。次の一撃を繰り出してくる。
「これは下がって、下がりまくるしかないか……」
「よくぞ言った。では、遠慮せん!」
突風。或いは暴風であろうか。夏候惇の一撃を趙雲は辛うじて躱す。
「おおおおおおおおおおおお!」
雄叫びと共に繰り出される一撃には一見隙がありそうなものだが。
「ちいっ!」
必殺の斬撃が迫る。躱せば続いてまた必殺の一撃が襲いかかる。暴風のような連撃。それはいずれも、掠るだけで致命傷になりかねない。それを趙雲はそれでも躱す。ただし辛うじて、だ。
「なるほど、これは厄介極まりない!」
思わず愚痴と称賛の入り混じったものが漏れる。
自分の武が夏候惇に劣るとは思わない。少なくともここまで一方的に攻められるほどには、だ。それを、この趙雲を追い詰めるのは。
「どうしたどうした!」
必殺の一撃。夏候惇は次々と斬撃を繰り出す。
「なんとぉ!」
心ならずも紙一重で躱す。そして僅かな猶予で反撃を図るも。
ぞくり、と背筋に悪寒が走る。
「おおおおおおお!」
刹那の硬直。それを見逃す夏候惇ではない。次の一撃を繰り出してくる。
「これは下がって、下がりまくるしかないか……」
483:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/14(月) 22:20:21.34:MO/NhoCH0 (5/6)
誰ともなく趙雲は呟き、巧みな運足でその身を隠す。誰あろう夏侯淵から、である。
だが、それでも、だ。夏侯淵の視線は明確な殺意をもって趙雲を視線のみで貫く。
一矢一殺。
その妙技も恐るべきものではある。何せ人馬一体となったあの呂布をして愛馬を喪わせたくらいなのだ。そして趙雲は舌打ちを重ねる。
いっそ可視化できるくらいの殺意。全身を貫く射線。瞬き一つのうちに貫かれるという確信。一歩、二歩と技巧の限りを尽くして距離をとるくらいしか対策はない。
「正直、たまらんな……」
不敵で無敵を本領とする趙雲ですら弱音を吐くほどに、夏候姉妹の連携は完璧であった。これが実戦ならば、と思うと暗鬱としてしまうほどである。
「はっはは!見事。小手調べでは失礼だな!ならば受けよ、必殺の一撃を!」
す、と夏候惇は腕を上げる。
それまで絶えず趙雲を捕捉していた殺気が霧消する。ほ、と息を吐くその瞬間に押し寄せる気迫。
「おおおおおおおおおおお!」
その艶やかな黒髪が逆立つのを幻視すらするほどの気迫。天を衝かんばかりの気迫と共に夏候惇は愛刀である七星餓狼を振りおろす。
「く!」
殺った。その確信をもって振るうその一撃。それを振り下ろそうとするその瞬間。悪寒が夏候惇の背筋を駆けあがる。咄嗟に斬撃の勢いそのままに前方に転げてその悪寒を躱す。
「小癪な!」
再び、必殺の一撃を放とうとするが。
「なんとぉ!」
確かに先手を取ったはずの夏候惇を趙雲の一撃が襲う。無理やりに躱すその動作に頑強な身体が悲鳴を上げ、軋(きし)む。
「面妖な……」
吐き捨てながらも、夏候惇は沸く。纏わりつく死の気配。ここまでの武芸者に会えたという幸運、更には矛を交えているという僥倖。
ニヤリ、と口角を吊り上げてただ目の前の獲物を屠るために全身全霊を特化していく。
我こそは曹家の大剣。ならば断てぬ者はなし。
乾坤一擲。例えこの身が儚くなろうとも、だ。骨を斬らせて命を絶つ。それこそがこの身の在り方。
趙子龍よ。
我が必殺の一撃、受けてみるか。
「姉者!」
そんな夏候惇の思考を断ったのは妹の叫び。窘めるような、それでいて必死な響きが夏候惇の物騒な思考を遮る。
そうだ。そうじゃあなかった。忘れていたわけではないのだが。
残念無念。しかして自分の存念よりも大事なことがある。あるのだ。
「ふ、はは!見事。流石一騎当千の異名は伊達ではないな!
本気で貴公と命のやり取りを楽しむ心算であったわ」
ふう、と一息吐いて趙雲は応える。
「ふむ。ご満足いただけたかな?」
ニヤリ、と双方が笑みを浮かべる。視線は互いに逸らさない。
そして数瞬の火花。だが、口を開いたのは夏候惇であった。
「馳走になった。
いや、かの万夫不当を単騎で退けた武威、確かなり。
いやさ。いずれまた手合せ願いたいものだ」
ほう、と頷きながらも趙雲は構えを崩さない。
「ご満悦のようだが、それでいいのか?」
むしろ趙雲が訝しげに問う。
「なに、あれこれ能書きを垂れたがな。それもこれも貴公と遣り合っていたらどうでもよくなった。
第一、だ。我が主華琳様は賢明なお方だ。
どうして漢朝に弓引くことあろうか」
呵呵大笑して夏候惇は宣言する。
「これより曹家軍は洛陽の守護者となる。聞いたぞ、知ったぞ!
無辜なる民を締め上げて私腹を肥やす、肥やそうとする者ども!
この夏候惇の目が黒いうちには好きにはさせんぞ!
命が惜しくないならばかかってこい!」
吠える夏候惇の気迫に圧されたのか、集う諸侯から異議が出されることはなかった。
――反董卓連合の、勝利が確定したのはこの時であった。というのが通説である。
誰ともなく趙雲は呟き、巧みな運足でその身を隠す。誰あろう夏侯淵から、である。
だが、それでも、だ。夏侯淵の視線は明確な殺意をもって趙雲を視線のみで貫く。
一矢一殺。
その妙技も恐るべきものではある。何せ人馬一体となったあの呂布をして愛馬を喪わせたくらいなのだ。そして趙雲は舌打ちを重ねる。
いっそ可視化できるくらいの殺意。全身を貫く射線。瞬き一つのうちに貫かれるという確信。一歩、二歩と技巧の限りを尽くして距離をとるくらいしか対策はない。
「正直、たまらんな……」
不敵で無敵を本領とする趙雲ですら弱音を吐くほどに、夏候姉妹の連携は完璧であった。これが実戦ならば、と思うと暗鬱としてしまうほどである。
「はっはは!見事。小手調べでは失礼だな!ならば受けよ、必殺の一撃を!」
す、と夏候惇は腕を上げる。
それまで絶えず趙雲を捕捉していた殺気が霧消する。ほ、と息を吐くその瞬間に押し寄せる気迫。
「おおおおおおおおおおお!」
その艶やかな黒髪が逆立つのを幻視すらするほどの気迫。天を衝かんばかりの気迫と共に夏候惇は愛刀である七星餓狼を振りおろす。
「く!」
殺った。その確信をもって振るうその一撃。それを振り下ろそうとするその瞬間。悪寒が夏候惇の背筋を駆けあがる。咄嗟に斬撃の勢いそのままに前方に転げてその悪寒を躱す。
「小癪な!」
再び、必殺の一撃を放とうとするが。
「なんとぉ!」
確かに先手を取ったはずの夏候惇を趙雲の一撃が襲う。無理やりに躱すその動作に頑強な身体が悲鳴を上げ、軋(きし)む。
「面妖な……」
吐き捨てながらも、夏候惇は沸く。纏わりつく死の気配。ここまでの武芸者に会えたという幸運、更には矛を交えているという僥倖。
ニヤリ、と口角を吊り上げてただ目の前の獲物を屠るために全身全霊を特化していく。
我こそは曹家の大剣。ならば断てぬ者はなし。
乾坤一擲。例えこの身が儚くなろうとも、だ。骨を斬らせて命を絶つ。それこそがこの身の在り方。
趙子龍よ。
我が必殺の一撃、受けてみるか。
「姉者!」
そんな夏候惇の思考を断ったのは妹の叫び。窘めるような、それでいて必死な響きが夏候惇の物騒な思考を遮る。
そうだ。そうじゃあなかった。忘れていたわけではないのだが。
残念無念。しかして自分の存念よりも大事なことがある。あるのだ。
「ふ、はは!見事。流石一騎当千の異名は伊達ではないな!
本気で貴公と命のやり取りを楽しむ心算であったわ」
ふう、と一息吐いて趙雲は応える。
「ふむ。ご満足いただけたかな?」
ニヤリ、と双方が笑みを浮かべる。視線は互いに逸らさない。
そして数瞬の火花。だが、口を開いたのは夏候惇であった。
「馳走になった。
いや、かの万夫不当を単騎で退けた武威、確かなり。
いやさ。いずれまた手合せ願いたいものだ」
ほう、と頷きながらも趙雲は構えを崩さない。
「ご満悦のようだが、それでいいのか?」
むしろ趙雲が訝しげに問う。
「なに、あれこれ能書きを垂れたがな。それもこれも貴公と遣り合っていたらどうでもよくなった。
第一、だ。我が主華琳様は賢明なお方だ。
どうして漢朝に弓引くことあろうか」
呵呵大笑して夏候惇は宣言する。
「これより曹家軍は洛陽の守護者となる。聞いたぞ、知ったぞ!
無辜なる民を締め上げて私腹を肥やす、肥やそうとする者ども!
この夏候惇の目が黒いうちには好きにはさせんぞ!
命が惜しくないならばかかってこい!」
吠える夏候惇の気迫に圧されたのか、集う諸侯から異議が出されることはなかった。
――反董卓連合の、勝利が確定したのはこの時であった。というのが通説である。
484:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/14(月) 22:21:47.96:MO/NhoCH0 (6/6)
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
だって「星VS姉者」とかが原案なんすよ
ぼすけて
ぼすけて
本日ここまですー感想とかくだしあー
題名募集しまくりんぐですよ本当に!
だって「星VS姉者」とかが原案なんすよ
ぼすけて
ぼすけて
485:青ペン:2020/09/15(火) 03:19:53.65:eE1JbzrDo (1/1)
>>484
ほいほい乙乙
【拳で語るは大義名分】といったところ?
>>484
ほいほい乙乙
【拳で語るは大義名分】といったところ?
486:赤ペン:2020/09/15(火) 12:43:44.96:dNheb2OA0 (1/2)
乙でしたー
>>479
>>だから、「一騎当千」と急速に異名が広がる趙雲に対して無関心ではいられない。いられないのである。 間違いではないですが好みの問題で
○だから、「一騎当千」と急速に異名が広がる趙雲に対して無関心ではいられない。いられるわけがない。 否定からの肯定よりも肯定からの否定の方が印象が強いかな、と
>>そして、趙雲に対する思いを清冽な声が引き裂く。 引き裂かれた思いとか失恋っぽいw
○そして、趙雲に対する思考を清冽な声が切り裂く。 【引き裂く】だと《ビリッ》て感じですがこの場合は【切り裂く】で≪スパっ≫て感じの方が合いそうかな
>>480
>>復讐という不毛な感情から解放されて欲しいものだ。 復讐は何も生まない…だからお前はそんなものに囚われずに生きろ(親の仇を殺したらその子供がいたので言ってみる)
○復讐という不毛な感情から解放されてほしいものだ。 すっきりしたぜえ~まるで3日間無かったお通じが出たようによぉ~
>>481
>>くるり、くるりと螺旋を描かせた愛槍龍牙。 【螺旋】って雑に言うとドリルみたいなものよね?…魔改造した?それともヒュンケルのブラッディ―スクライドみたいな動かし方を手元でしてるのかしら。大穴は螺旋をペイントしてるとか
○くるり、くるりと円を描く愛槍龍牙。 むしろ【くるり、くるりと愛槍龍牙で円を描く。】の方が良いかな?イメージは風車というか新体操のバトンみたいな?合ってるかわかりませんが
>>ざわり、と戸惑う諸侯軍すら魅了せんとばかりに見栄を切る。 【見栄】は張るのが一般的かな(虚勢をはる。みたいな意味(見栄っ張り)です)多分感覚的には無いものを有るように見せる?
○ざわり、と戸惑う諸侯軍すら魅了せんとばかりに見得を切る。 歌舞伎とかの《大見得を切る》から来るらしいですが大げさな声や動きで耳目を集めるというか…多分感覚的には大きいものをより大きく?
>>482
>>それを趙雲はそれでも躱す。ただし辛うじて、だ。 これ後の方の【それでも】のそれは何に掛かってるんでしょうか?
○それを趙雲は軽やかに躱す。ただし辛うじて、だ。 もしくは【それを趙雲は辛うじて躱す。だがその顔はあくまでも涼やかだ。】先手を譲ったからには内心はどうあれ格好つけるかな?ということでこんな感じでどうでしょう?
>>少なくともここまで一方的に攻められるほどには、だ。それを、この趙雲を追い詰めるのは。 これ最後のはちょっと後の夏侯淵の殺気に掛かってますよね
○少なくともここまで一方的に攻められるほどには、だ。それを、この趙雲を追い詰めるのは……。 単純に夏侯惇への称賛に繋がるなら【追い詰めるとは。】が良いと思いますが【……】を付けて含みを持たせて(何かある)と読者に思わせるのが良さそうかな?
>>483
>>不敵で無敵を本領とする趙雲ですら弱音を吐くほどに、 【無敵】が本領とか【全知】が本領の伏龍じゃないんだから
○不敵で無敵を自負する趙雲ですら弱音を吐くほどに、 《私は不敵で無敵だ!》と思っててそうあろうとしてる。みたいな印象なので【自負】かなあ?
>>無理やりに躱すその動作に頑強な身体が悲鳴を上げ、軋(きし)む。 悲鳴を上げるから軋むんじゃない。軋むから悲鳴を上げるのだ(どやあ)
○無理やりに躱すその動作に頑強な身体が軋(きし)み、悲鳴を上げる。 冗談はともかく実際に《ミシミシ》とか《メキメキ》とか夏侯惇が聞こえたならこうで、前後逆にしないなら【悲鳴を上げるように軋(きし)む】こっちなら(音がしそうだ)と思ってる感じですね
拳っていうか剣で語ってた…で良いのか?(汗)《剣で大義名分を騙り、生き様を語る》…多分交えた二人にしかわからないことが色々あったんでしょうし、そうであることはお互いの主は十二分に知ってそうでもありますが
実際原作でも同じような状況になったら夏侯惇ならやりそうw妹の援護をイランと言いそうな気もするけど…でもそう言いそうな夏侯惇だったら曹操が命令しないか…ばっちょさんは…まあ何というか残念だなあ。復讐心が消えるのと同時に何か大切なものも抜けてってない?
乙でしたー
>>479
>>だから、「一騎当千」と急速に異名が広がる趙雲に対して無関心ではいられない。いられないのである。 間違いではないですが好みの問題で
○だから、「一騎当千」と急速に異名が広がる趙雲に対して無関心ではいられない。いられるわけがない。 否定からの肯定よりも肯定からの否定の方が印象が強いかな、と
>>そして、趙雲に対する思いを清冽な声が引き裂く。 引き裂かれた思いとか失恋っぽいw
○そして、趙雲に対する思考を清冽な声が切り裂く。 【引き裂く】だと《ビリッ》て感じですがこの場合は【切り裂く】で≪スパっ≫て感じの方が合いそうかな
>>480
>>復讐という不毛な感情から解放されて欲しいものだ。 復讐は何も生まない…だからお前はそんなものに囚われずに生きろ(親の仇を殺したらその子供がいたので言ってみる)
○復讐という不毛な感情から解放されてほしいものだ。 すっきりしたぜえ~まるで3日間無かったお通じが出たようによぉ~
>>481
>>くるり、くるりと螺旋を描かせた愛槍龍牙。 【螺旋】って雑に言うとドリルみたいなものよね?…魔改造した?それともヒュンケルのブラッディ―スクライドみたいな動かし方を手元でしてるのかしら。大穴は螺旋をペイントしてるとか
○くるり、くるりと円を描く愛槍龍牙。 むしろ【くるり、くるりと愛槍龍牙で円を描く。】の方が良いかな?イメージは風車というか新体操のバトンみたいな?合ってるかわかりませんが
>>ざわり、と戸惑う諸侯軍すら魅了せんとばかりに見栄を切る。 【見栄】は張るのが一般的かな(虚勢をはる。みたいな意味(見栄っ張り)です)多分感覚的には無いものを有るように見せる?
○ざわり、と戸惑う諸侯軍すら魅了せんとばかりに見得を切る。 歌舞伎とかの《大見得を切る》から来るらしいですが大げさな声や動きで耳目を集めるというか…多分感覚的には大きいものをより大きく?
>>482
>>それを趙雲はそれでも躱す。ただし辛うじて、だ。 これ後の方の【それでも】のそれは何に掛かってるんでしょうか?
○それを趙雲は軽やかに躱す。ただし辛うじて、だ。 もしくは【それを趙雲は辛うじて躱す。だがその顔はあくまでも涼やかだ。】先手を譲ったからには内心はどうあれ格好つけるかな?ということでこんな感じでどうでしょう?
>>少なくともここまで一方的に攻められるほどには、だ。それを、この趙雲を追い詰めるのは。 これ最後のはちょっと後の夏侯淵の殺気に掛かってますよね
○少なくともここまで一方的に攻められるほどには、だ。それを、この趙雲を追い詰めるのは……。 単純に夏侯惇への称賛に繋がるなら【追い詰めるとは。】が良いと思いますが【……】を付けて含みを持たせて(何かある)と読者に思わせるのが良さそうかな?
>>483
>>不敵で無敵を本領とする趙雲ですら弱音を吐くほどに、 【無敵】が本領とか【全知】が本領の伏龍じゃないんだから
○不敵で無敵を自負する趙雲ですら弱音を吐くほどに、 《私は不敵で無敵だ!》と思っててそうあろうとしてる。みたいな印象なので【自負】かなあ?
>>無理やりに躱すその動作に頑強な身体が悲鳴を上げ、軋(きし)む。 悲鳴を上げるから軋むんじゃない。軋むから悲鳴を上げるのだ(どやあ)
○無理やりに躱すその動作に頑強な身体が軋(きし)み、悲鳴を上げる。 冗談はともかく実際に《ミシミシ》とか《メキメキ》とか夏侯惇が聞こえたならこうで、前後逆にしないなら【悲鳴を上げるように軋(きし)む】こっちなら(音がしそうだ)と思ってる感じですね
拳っていうか剣で語ってた…で良いのか?(汗)《剣で大義名分を騙り、生き様を語る》…多分交えた二人にしかわからないことが色々あったんでしょうし、そうであることはお互いの主は十二分に知ってそうでもありますが
実際原作でも同じような状況になったら夏侯惇ならやりそうw妹の援護をイランと言いそうな気もするけど…でもそう言いそうな夏侯惇だったら曹操が命令しないか…ばっちょさんは…まあ何というか残念だなあ。復讐心が消えるのと同時に何か大切なものも抜けてってない?
487:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/15(火) 21:37:29.08:1UTVWaR70 (1/3)
>>485
どもです。
>【拳で語るは大義名分】といったところ?
やだ、かっこいい。。。
ジャンプとかで連載されてる気分になってしまったのことですわよ。
こういうの、思いつかないのだよなあ。妬ましい。
折角だから熱い感じにしたいですね!
>>486
赤ペン先生いつもありがとうございますー!ほんと。
>すっきりしたぜえ~まるで3日間無かったお通じが出たようによぉ~
流石に草不可避w
> これ後の方の【それでも】のそれは何に掛かってるんでしょうか?
これ、わざとぼかしてます。どこがキモかは解釈次第と。分かりやすい方がええかなあ。。。
>)《剣で大義名分を騙り、生き様を語る》…多分交えた二人にしかわからないことが色々あったんでしょうし、そうであることはお互いの主は十二分に知ってそうでもありますが
これは、はおーも二郎ちゃんも理解の外じゃないかなあ。。
>実際原作でも同じような状況になったら夏侯惇ならやりそうw妹の援護をイランと言いそうな気もするけど…でもそう言いそうな夏侯惇だったら曹操が命令しないか…
これは一騎打ちをどう考えるかという読み手様の解釈次第と思ってます。
まあ、一騎打ちシーンはKOEI三国志で実際テストプレイしてるんですよね。無駄に。
三人まで参戦できるアレです。
>ばっちょさんは…まあ何というか残念だなあ。復讐心が消えるのと同時に何か大切なものも抜けてってない?
当時のダイスロール判定がね。本当にね。
困ったものです
>>485
どもです。
>【拳で語るは大義名分】といったところ?
やだ、かっこいい。。。
ジャンプとかで連載されてる気分になってしまったのことですわよ。
こういうの、思いつかないのだよなあ。妬ましい。
折角だから熱い感じにしたいですね!
>>486
赤ペン先生いつもありがとうございますー!ほんと。
>すっきりしたぜえ~まるで3日間無かったお通じが出たようによぉ~
流石に草不可避w
> これ後の方の【それでも】のそれは何に掛かってるんでしょうか?
これ、わざとぼかしてます。どこがキモかは解釈次第と。分かりやすい方がええかなあ。。。
>)《剣で大義名分を騙り、生き様を語る》…多分交えた二人にしかわからないことが色々あったんでしょうし、そうであることはお互いの主は十二分に知ってそうでもありますが
これは、はおーも二郎ちゃんも理解の外じゃないかなあ。。
>実際原作でも同じような状況になったら夏侯惇ならやりそうw妹の援護をイランと言いそうな気もするけど…でもそう言いそうな夏侯惇だったら曹操が命令しないか…
これは一騎打ちをどう考えるかという読み手様の解釈次第と思ってます。
まあ、一騎打ちシーンはKOEI三国志で実際テストプレイしてるんですよね。無駄に。
三人まで参戦できるアレです。
>ばっちょさんは…まあ何というか残念だなあ。復讐心が消えるのと同時に何か大切なものも抜けてってない?
当時のダイスロール判定がね。本当にね。
困ったものです
488:赤ペン:2020/09/15(火) 22:27:51.70:dNheb2OA0 (2/2)
ああいや、この場合の主二人が知ってることっていうのは武人という人種は千の言葉よりもただ一合で分かり合うことがあるんだろうなあ…みたいな、自分とは違う考え方があることを知ってるというかそういう感じで
ああいや、この場合の主二人が知ってることっていうのは武人という人種は千の言葉よりもただ一合で分かり合うことがあるんだろうなあ…みたいな、自分とは違う考え方があることを知ってるというかそういう感じで
489:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/15(火) 22:42:09.61:1UTVWaR70 (2/3)
「はいはい、押さないでくださいねー。商品はたっぷりとありますのでー」
洛陽の市街は、端的に言って大混乱であった。これまでの禁足令が解かれ、それまで欠品続きで開店休業であった商店にも商品が溢れているのである。洛陽の民はここぞとばかりに商店におしかけているのだ。
無論、この機に乗じて不埒な暴利を貪る者や、正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だがそれも徒花(あだばな)というものであろう、そう程立は思うのだ。
なにせ、だ。どうせ物資はふんだんにあるのだからして、いずれは適正価格に落ち着くであろう。そして、不埒な商売をするような商店はしっぺ返しをくらうものである。とはいえ。
「はいはい、ちゃんと並んでね。並んでねってば。この、この!ええい!」
そのような道理なぞどこ吹く風と、店頭で魯粛に絡むような不埒者も出てくる。矮躯(ミニサイズ)な魯粛を与しやすしと見たか、掴みかかって店頭の商品を掻っ攫おうとする者も出てくる。
「てい、てい!てややー!」
掴みかかる巨漢すらを、魯粛は軽やかに叩きのめす。的確に加えられる打撃は見事なものであり、程立は感嘆の声を漏らす。
「おお、これは結構なお点前で~」
「や、それほどでもあるかなー。
まあ、実際これくらいできないと荒れた江南では生きていけなかったからねえ」
感慨深く呟く魯粛。片手間に数人の暴漢を叩きのめす。
「実際、本当に飢えた集団ならこうはいかないからねえ。流石に幾度も組み伏せられたよ。多勢に無勢ってね。
女でよかったと思うのはそんな時さ。殺されはしないからね」
きゃらきゃらと笑うその表情に暗さはない。修羅場をくぐるどころか、身を浸していた凄味がそこにはある。
「でもまあ、元気すぎるのも困るなあ」
雲霞の如く湧き出る不埒者にさしもの魯粛も苦笑する。どうしたものか、と。
可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。
「ぐう」
「寝るなー!」
「おお、寝てました!」
実際どうしようもないのだ。ある程度の混乱は致し方ない。
ただ、自分がそこに巻き込まれるのは避けたかったのだが、そうも言っていられない。状況は加速度的に悪化していた。
そして混乱に立ち向かう魯粛とは違い、実際逃げるしか方策はないのではある。流石に圧倒的な数の暴力にそれすらも果たせそうにない。文武両道の魯粛と違って正真正銘無力であるので、いささかまずいことになったなあと思っていたのだが。
「噴(フン)!」
人とは、空を飛ぶものであったか。それも航続距離は凄そうだ。
「破!」
また一人、大空に飛び立った。まさか人の手によるものとは誰も思うまい。だが事実だ。
その異常事態をもたらした青年に程立は親しげに語りかける。
「いや、助かりました。それともお見事となお点前と言った方がよろしいのでしょうか?」
フン、と鼻で笑い張?は次々と不埒者を叩きのめしていく。その勢いに押されたか暴徒予備軍の不埒者たちは沈静化していく。わざわざ派手に吹き飛ばしたのはこの効果を狙ったものであろう。
「はいはい、押さないでくださいねー。商品はたっぷりとありますのでー」
洛陽の市街は、端的に言って大混乱であった。これまでの禁足令が解かれ、それまで欠品続きで開店休業であった商店にも商品が溢れているのである。洛陽の民はここぞとばかりに商店におしかけているのだ。
無論、この機に乗じて不埒な暴利を貪る者や、正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だがそれも徒花(あだばな)というものであろう、そう程立は思うのだ。
なにせ、だ。どうせ物資はふんだんにあるのだからして、いずれは適正価格に落ち着くであろう。そして、不埒な商売をするような商店はしっぺ返しをくらうものである。とはいえ。
「はいはい、ちゃんと並んでね。並んでねってば。この、この!ええい!」
そのような道理なぞどこ吹く風と、店頭で魯粛に絡むような不埒者も出てくる。矮躯(ミニサイズ)な魯粛を与しやすしと見たか、掴みかかって店頭の商品を掻っ攫おうとする者も出てくる。
「てい、てい!てややー!」
掴みかかる巨漢すらを、魯粛は軽やかに叩きのめす。的確に加えられる打撃は見事なものであり、程立は感嘆の声を漏らす。
「おお、これは結構なお点前で~」
「や、それほどでもあるかなー。
まあ、実際これくらいできないと荒れた江南では生きていけなかったからねえ」
感慨深く呟く魯粛。片手間に数人の暴漢を叩きのめす。
「実際、本当に飢えた集団ならこうはいかないからねえ。流石に幾度も組み伏せられたよ。多勢に無勢ってね。
女でよかったと思うのはそんな時さ。殺されはしないからね」
きゃらきゃらと笑うその表情に暗さはない。修羅場をくぐるどころか、身を浸していた凄味がそこにはある。
「でもまあ、元気すぎるのも困るなあ」
雲霞の如く湧き出る不埒者にさしもの魯粛も苦笑する。どうしたものか、と。
可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。
「ぐう」
「寝るなー!」
「おお、寝てました!」
実際どうしようもないのだ。ある程度の混乱は致し方ない。
ただ、自分がそこに巻き込まれるのは避けたかったのだが、そうも言っていられない。状況は加速度的に悪化していた。
そして混乱に立ち向かう魯粛とは違い、実際逃げるしか方策はないのではある。流石に圧倒的な数の暴力にそれすらも果たせそうにない。文武両道の魯粛と違って正真正銘無力であるので、いささかまずいことになったなあと思っていたのだが。
「噴(フン)!」
人とは、空を飛ぶものであったか。それも航続距離は凄そうだ。
「破!」
また一人、大空に飛び立った。まさか人の手によるものとは誰も思うまい。だが事実だ。
その異常事態をもたらした青年に程立は親しげに語りかける。
「いや、助かりました。それともお見事となお点前と言った方がよろしいのでしょうか?」
フン、と鼻で笑い張?は次々と不埒者を叩きのめしていく。その勢いに押されたか暴徒予備軍の不埒者たちは沈静化していく。わざわざ派手に吹き飛ばしたのはこの効果を狙ったものであろう。
490:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/15(火) 22:43:10.37:1UTVWaR70 (3/3)
「その軽口が叩けるのであれば加勢の必要はなかったか」
「いえいえ、実に助かりました。危機一髪という奴でしたね~」
呑気な程立の口調に張?は苦笑する。
「ですが、張?さんがここにいるということは」
「うむ。禁裏については片が付いた。万事滞りない」
それはなによりと程立は安堵の息を漏らす。万全たるべく動いてはいたが、実際に事が起こると、何が起こるか分からない。
「では?」
「うむ、張家の手勢は洛陽の混乱を収めるために動いている。私がここにいるのもその一環だ」
ふむ、と程立は頷く。恐らく民衆の暴動を防ぐべく、張家は奔走しているのであろう。その功績は大きいが、史書に記されることもないであろう影働きである。
「では、劉弁様はご無事で?」
「うむ。そうだな。だが、予想外の事態に混乱してはいるのだ」
張?が語るそれ。まさか、劉協と皇甫嵩が死んでいるなどとは。
程立は僅かに眉を寄せる。
「ほう、君が主体となっての排除劇ではなかったのか」
口を歪ませて張?は問う。
「いえいえ。劉協様と皇甫嵩さんの離間工作。それなりに布石は打っていましたが、まさかに……」
二虎競食の計とか色々考えていたのだが、仕掛ける前に結果が伴うとは。それも双方の退場という結果で。
「なんということでしょね~」
くふ、と一声笑って程立は思考を進める。茫洋としたその表情からは、何も読み取ることはできない。
「洛外については、稟ちゃんが上手くやってくれたようですし、ここからは時間との戦いですかね~」
実は程立と郭嘉は洛外においての諸侯軍への対応において意見が分かれていた。程立は袁家とその友好軍閥の武威を以って圧倒すべしと主張し、郭嘉はむしろ袁家単独で当たり、軽挙妄動する諸侯を炙り出し、殲滅すべしと主張していた。
そこで決を下したのは紀霊である。
人死には少ない方がいいというその言に郭嘉は大いに思うところはあったようであるが、一先(ひとま)ずはその方針に沿って動いてくれたようである。
「既に朝廷は紀霊殿が押さえた。軟禁されていた者も解放、或いは確保している」
ふむ、と程立は頷く。そして目線でさらなる報告を促す。
「ああ、無論董卓殿の身柄も確保しているとも」
にまり、と張?は歪んだ笑みを浮かべる。
「健気、であったな。いや、彼女を憐れんでいるのではない。それは彼女に失礼だろう。いや、立派なものであった」
狭い室内に監禁され、疲労の色が濃いながらもその瞳には力が宿って張?を見据えて貫く。静かで、それでいて真摯に響くその声。その声には自然と耳を傾けてしまう。
なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、郭嘉の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。
「惜しい、と思うのは感傷かな」
くふふ、と程立は笑う。
「まさか張?さんからそのようなお言葉が出るとは、ですね~。ただまあ、袁家には必要ないかと~」
穏やかな口調で程立は、ばっさりと切り捨てる。
「それに、二郎さんが決めたことを蒸し返しても致し方ありませんしね~」
くふ、と軽く。軽く笑って程立は身を翻(ひるがえ)す。
きっとあの青年はやると決めたことは全部やって、それで勝手に傷ついているに違いない。
泣いているかもしれない。喚いているかもしれない。それでもやらねばならないことはやっているであろう。
だから、自分が。紀霊の軍師たる自分の出番である。そう程立は思う。
「後はお任せしましたので~」
魯粛に言い捨てて禁裏に向かい歩き出す。
その歩みは、いつも通りであった。
「その軽口が叩けるのであれば加勢の必要はなかったか」
「いえいえ、実に助かりました。危機一髪という奴でしたね~」
呑気な程立の口調に張?は苦笑する。
「ですが、張?さんがここにいるということは」
「うむ。禁裏については片が付いた。万事滞りない」
それはなによりと程立は安堵の息を漏らす。万全たるべく動いてはいたが、実際に事が起こると、何が起こるか分からない。
「では?」
「うむ、張家の手勢は洛陽の混乱を収めるために動いている。私がここにいるのもその一環だ」
ふむ、と程立は頷く。恐らく民衆の暴動を防ぐべく、張家は奔走しているのであろう。その功績は大きいが、史書に記されることもないであろう影働きである。
「では、劉弁様はご無事で?」
「うむ。そうだな。だが、予想外の事態に混乱してはいるのだ」
張?が語るそれ。まさか、劉協と皇甫嵩が死んでいるなどとは。
程立は僅かに眉を寄せる。
「ほう、君が主体となっての排除劇ではなかったのか」
口を歪ませて張?は問う。
「いえいえ。劉協様と皇甫嵩さんの離間工作。それなりに布石は打っていましたが、まさかに……」
二虎競食の計とか色々考えていたのだが、仕掛ける前に結果が伴うとは。それも双方の退場という結果で。
「なんということでしょね~」
くふ、と一声笑って程立は思考を進める。茫洋としたその表情からは、何も読み取ることはできない。
「洛外については、稟ちゃんが上手くやってくれたようですし、ここからは時間との戦いですかね~」
実は程立と郭嘉は洛外においての諸侯軍への対応において意見が分かれていた。程立は袁家とその友好軍閥の武威を以って圧倒すべしと主張し、郭嘉はむしろ袁家単独で当たり、軽挙妄動する諸侯を炙り出し、殲滅すべしと主張していた。
そこで決を下したのは紀霊である。
人死には少ない方がいいというその言に郭嘉は大いに思うところはあったようであるが、一先(ひとま)ずはその方針に沿って動いてくれたようである。
「既に朝廷は紀霊殿が押さえた。軟禁されていた者も解放、或いは確保している」
ふむ、と程立は頷く。そして目線でさらなる報告を促す。
「ああ、無論董卓殿の身柄も確保しているとも」
にまり、と張?は歪んだ笑みを浮かべる。
「健気、であったな。いや、彼女を憐れんでいるのではない。それは彼女に失礼だろう。いや、立派なものであった」
狭い室内に監禁され、疲労の色が濃いながらもその瞳には力が宿って張?を見据えて貫く。静かで、それでいて真摯に響くその声。その声には自然と耳を傾けてしまう。
なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、郭嘉の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。
「惜しい、と思うのは感傷かな」
くふふ、と程立は笑う。
「まさか張?さんからそのようなお言葉が出るとは、ですね~。ただまあ、袁家には必要ないかと~」
穏やかな口調で程立は、ばっさりと切り捨てる。
「それに、二郎さんが決めたことを蒸し返しても致し方ありませんしね~」
くふ、と軽く。軽く笑って程立は身を翻(ひるがえ)す。
きっとあの青年はやると決めたことは全部やって、それで勝手に傷ついているに違いない。
泣いているかもしれない。喚いているかもしれない。それでもやらねばならないことはやっているであろう。
だから、自分が。紀霊の軍師たる自分の出番である。そう程立は思う。
「後はお任せしましたので~」
魯粛に言い捨てて禁裏に向かい歩き出す。
その歩みは、いつも通りであった。
491:青ペン:2020/09/16(水) 00:29:42.96:ht3ZMhX8o (1/1)
>>487
青ペン流タイトル講座
1)印象的なシーンをひとつ見つけます
(今回は趙雲vs夏侯惇)→拳で語る
2)そこに至る経緯を探ります
(今回は何故袁軍のみで洛陽を制圧保護したのか)→大義名分
3)組み合わせます
ざっくりこんな感じ。
メインとなるシーンをひとつ見つけると楽しめます、はい。
>>487
青ペン流タイトル講座
1)印象的なシーンをひとつ見つけます
(今回は趙雲vs夏侯惇)→拳で語る
2)そこに至る経緯を探ります
(今回は何故袁軍のみで洛陽を制圧保護したのか)→大義名分
3)組み合わせます
ざっくりこんな感じ。
メインとなるシーンをひとつ見つけると楽しめます、はい。
492:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/16(水) 06:04:46.94:gOPBOXyi0 (1/5)
◆◆◆
「ほいさ、任されたともー」
軽く応えながら、その責任の大きさよ。洛陽内を差配するも同様の権限に流石の魯粛がぶる、と身を振るわせる。
「って、張?さんもどっかにいっちゃうとか!」
まあ、程立の護衛と考えれば妥当ではある。あるのだが。
「何気に、めんどくさいことを押し付けられた気がしないでもないなあ」
まあ、信頼の証さとばかりに魯粛は思考を切り替える。
「ま、餅は餅屋と任されたんだから、見事やって見せましょう!ってね」
そう。洛陽の混乱が早期に治まったのは、魯粛の手腕に依るところが大きかったというのは定説であるし、事実でもあった。
◆◆◆
「ほいさ、任されたともー」
軽く応えながら、その責任の大きさよ。洛陽内を差配するも同様の権限に流石の魯粛がぶる、と身を振るわせる。
「って、張?さんもどっかにいっちゃうとか!」
まあ、程立の護衛と考えれば妥当ではある。あるのだが。
「何気に、めんどくさいことを押し付けられた気がしないでもないなあ」
まあ、信頼の証さとばかりに魯粛は思考を切り替える。
「ま、餅は餅屋と任されたんだから、見事やって見せましょう!ってね」
そう。洛陽の混乱が早期に治まったのは、魯粛の手腕に依るところが大きかったというのは定説であるし、事実でもあった。
493:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/16(水) 06:05:32.16:gOPBOXyi0 (2/5)
◆◆◆
反董卓連合により――正確には紀霊により禁裏が制圧され、「正当なる皇帝」たる劉弁が無事保護されてより二日後。それまでは袁家のみが立ち入りを許されていたのだが、袁家に近しい諸侯も洛陽に入ることが許されている。
治安維持が名目であるが、慰撫を兼ねていることは明白である。人数にすれば万に満たないが、彼らは大いに羽を伸ばしている。無論、きちんと治安維持に努める者もいるのだが。
「はいはい、ちゃんと並んでねー。まだまだご飯はあるからねー!」
輝かんばかりの笑顔で声を張るのは劉備。
「あらあら、張りきっちゃって」
「なに、可愛いものじゃろうて」
その様子を温かく見守るのは黄忠と厳顔である。
「でも、中々できることじゃないわよね」
黄忠はそう言って目を細める。なんとなれば、劉備は乱れた洛陽。そこで困窮する民のために炊き出しを行っているのだ。それも、驚くことに自らの兵に宛がわれた兵糧を供出して、だ!
「そうさな。わが身のみを考える者ばかりの世情で、あのような娘もいる。中々に捨てたものではないな」
そしてその劉備の炊き出しに黄忠と厳顔は深く関わっている。黄忠は荊州より運搬してきた糧食の一部を融通し、厳顔は関係各所への根回しと、作業に当たる人員への指示統括で、だ。
「ええ、そうね。ほんと、そう思うわ」
そしてその劉備がご主人様と慕う青年について自然と語り合う。
「不思議な男の子、よね……」
「然り。然りよな。
皆が笑って暮らせる世を、か。劉備にしろ、北郷一刀にしろ、ああまで理想に向かう姿は眩しいものよな」
ふ、と笑い合う。
「禁裏までもが血に染まる。劉姓として思う所もあるでしょうにね……」
「ほう、思う所があるのは貴殿ではないのかな?」
黄忠は厳顔の問いに曖昧な笑みで応える。だが。
「でもね、ああまでまっすぐに求められたら、ちょっとは心が動かない?」
貴女たちの力が必要だと、愚直なほどに。
北郷一刀、そして劉備から誘われたのだ。道を同じくしないか、と。
「まあ、今更地位や名誉を求めようとは思わぬが、な……」
流石に、と言うか、だ。
「せめて太守くらいになってから言ってほしいものだが、な」
恐れを知らぬとはこのことであろう。何となれば黄忠も厳顔も皇族と言っていい程に由緒正しい劉家に仕えているのだからして、と厳顔は苦笑する。
◆◆◆
反董卓連合により――正確には紀霊により禁裏が制圧され、「正当なる皇帝」たる劉弁が無事保護されてより二日後。それまでは袁家のみが立ち入りを許されていたのだが、袁家に近しい諸侯も洛陽に入ることが許されている。
治安維持が名目であるが、慰撫を兼ねていることは明白である。人数にすれば万に満たないが、彼らは大いに羽を伸ばしている。無論、きちんと治安維持に努める者もいるのだが。
「はいはい、ちゃんと並んでねー。まだまだご飯はあるからねー!」
輝かんばかりの笑顔で声を張るのは劉備。
「あらあら、張りきっちゃって」
「なに、可愛いものじゃろうて」
その様子を温かく見守るのは黄忠と厳顔である。
「でも、中々できることじゃないわよね」
黄忠はそう言って目を細める。なんとなれば、劉備は乱れた洛陽。そこで困窮する民のために炊き出しを行っているのだ。それも、驚くことに自らの兵に宛がわれた兵糧を供出して、だ!
「そうさな。わが身のみを考える者ばかりの世情で、あのような娘もいる。中々に捨てたものではないな」
そしてその劉備の炊き出しに黄忠と厳顔は深く関わっている。黄忠は荊州より運搬してきた糧食の一部を融通し、厳顔は関係各所への根回しと、作業に当たる人員への指示統括で、だ。
「ええ、そうね。ほんと、そう思うわ」
そしてその劉備がご主人様と慕う青年について自然と語り合う。
「不思議な男の子、よね……」
「然り。然りよな。
皆が笑って暮らせる世を、か。劉備にしろ、北郷一刀にしろ、ああまで理想に向かう姿は眩しいものよな」
ふ、と笑い合う。
「禁裏までもが血に染まる。劉姓として思う所もあるでしょうにね……」
「ほう、思う所があるのは貴殿ではないのかな?」
黄忠は厳顔の問いに曖昧な笑みで応える。だが。
「でもね、ああまでまっすぐに求められたら、ちょっとは心が動かない?」
貴女たちの力が必要だと、愚直なほどに。
北郷一刀、そして劉備から誘われたのだ。道を同じくしないか、と。
「まあ、今更地位や名誉を求めようとは思わぬが、な……」
流石に、と言うか、だ。
「せめて太守くらいになってから言ってほしいものだが、な」
恐れを知らぬとはこのことであろう。何となれば黄忠も厳顔も皇族と言っていい程に由緒正しい劉家に仕えているのだからして、と厳顔は苦笑する。
494:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/16(水) 06:05:58.58:gOPBOXyi0 (3/5)
「あら、でも、あの子、ね」
くすり、と黄忠は艶やかに笑う。
「あの錦馬超にも粉をかけたらしいわよ?」
「なんと!」
厳顔は驚愕する。まさかに、名門馬家の当主に?
……正直その場で切り捨てられてもおかしくはない所業だな、と厳顔は言葉を失う。
「それでね、まんざらでもなかったって話よ?」
「なんと」
わけがわからない。厳顔は内心頭を抱える。馬家を背負う小娘はもっとこう、短慮で狭量であったと思うのだが。だからこそ、韓遂さえいなければ主である劉焉は涼州すら手に収めることも容易であると思っていたのである。
「天運の相、か」
「何、それ?」
かつて主君から聞いたことがある。天に愛され、竜が如く雲を集めるという英雄の相。人呼んで天運の相。
「いや、なんでもない。
……で、話題の北郷一刀は?」
劉備に給仕なぞさせてどうしているのか。
「さあ?何か気になることがあるとかないとか……」
可愛らしく小首を傾げる黄忠に厳顔は苦笑する。一体世の男どもはどうしてこのように魅力的な女を放っておくのか、と。
……まあ、黄忠がその、厳顔の内心を知れば「お互い様」と苦笑したであろうが。
なんにしてもまあ、世はこともなし。まことに結構なことである。それは二人に共通した思いであった。
「あら、でも、あの子、ね」
くすり、と黄忠は艶やかに笑う。
「あの錦馬超にも粉をかけたらしいわよ?」
「なんと!」
厳顔は驚愕する。まさかに、名門馬家の当主に?
……正直その場で切り捨てられてもおかしくはない所業だな、と厳顔は言葉を失う。
「それでね、まんざらでもなかったって話よ?」
「なんと」
わけがわからない。厳顔は内心頭を抱える。馬家を背負う小娘はもっとこう、短慮で狭量であったと思うのだが。だからこそ、韓遂さえいなければ主である劉焉は涼州すら手に収めることも容易であると思っていたのである。
「天運の相、か」
「何、それ?」
かつて主君から聞いたことがある。天に愛され、竜が如く雲を集めるという英雄の相。人呼んで天運の相。
「いや、なんでもない。
……で、話題の北郷一刀は?」
劉備に給仕なぞさせてどうしているのか。
「さあ?何か気になることがあるとかないとか……」
可愛らしく小首を傾げる黄忠に厳顔は苦笑する。一体世の男どもはどうしてこのように魅力的な女を放っておくのか、と。
……まあ、黄忠がその、厳顔の内心を知れば「お互い様」と苦笑したであろうが。
なんにしてもまあ、世はこともなし。まことに結構なことである。それは二人に共通した思いであった。
495:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/16(水) 06:06:34.77:gOPBOXyi0 (4/5)
◆◆◆
「何も皆殺しにすることもないだろうに……」
北郷一刀は、呟く。
諸葛亮がもたらした情報。宦官を誅滅したというそれ。その非道、悪逆に彼は心を痛める。
なにも殺すことはないじゃないか、と。
諸葛亮にしてみれば、納得しかないのではあるのだが。
様々な逸話から察する紀霊の性質において、読み取れるのは激情。そして身内への愛情。
ならば、禁裏において武力を以って何進を排除した宦官。それを紀霊が放置するわけもないのである。
なんとなれば、彼が、否。袁家の幹部が溺愛する袁術が入内するのだ。気に入らぬからといって暗殺に走るような存在を、かの怨将軍が許すはずもない。まあ、それを進言して主の機嫌を損なう必要もない。これは自分と親友たる鳳統が把握していればいいことである。
そして、その、北郷一刀は何をしているかというと、である。
「鈴々、くれぐれも気を付けてな」
「大丈夫なのだ。お兄ちゃんはどっしりと構えていてくれたらいいのだ」
気になることがあると言って、張飛と諸葛亮を引き連れて洛陽を巡っていたのだ。いや、密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うのではあるが。あるのだが、自信に満ちた彼の言うことにはなぜか頷いてしまう自分がいるのだ。
ちなみに、この、混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。袁家の助成にいち早く立ち、ことによれば馬家と矛を交える可能性すら飲み込んで至誠を尽くした彼女の、だ。
洛陽の困窮した民に炊き出しをしたいという劉備の願いは届き、そして。
「いや、確信はないんだけどさ」
それでも、必要であると断じたのだ。天の御使いたる北郷一刀が。ならば、と諸葛亮は思う。まあ、彼女の叡智をもってしても「涸れ井戸と箪笥は要チェックだもんな」などという北郷一刀の本意を把握しているとは言い難いのだが――。
「お兄ちゃん!あったのだ!これだと思うのだ!」
そして北郷一刀は、とある涸れ井戸から玉璽と七星刀を発見する。
◆◆◆
「こ、これが伝国の玉璽……」
流石に諸葛亮も目にするのは初めてである。そしてその重要性を把握しているのはこの場できっと自分だけであろう。四百年にわたって連綿と続く漢朝。その権威を担うのがこの玉璽なのだ。
触れたいような、触れたくないような。その、内心の逡巡を身体は裏切る。気づけば両手を伸ばして。
それを見た張飛が無造作に放り投げる。
「わ、わ!」
取り落しかけて諸葛亮は必死に受け止める。
「ひゃ、ひゃう……。
ご、ご主人様。玉璽に七星刀。いずれもお金では買えない、秘宝です。どうするおつもりなのでしゅか……。
あ、噛んじゃった」
はわわ、と狼狽える諸葛亮の様子に笑みを漏らしながらも北郷一刀は答える。
「そうだな。とんでもないお宝だ。漢朝にとっては特に、さ」
だから、さ、と北郷一刀は笑う。
「きっとさ、これだけの貴重なお宝だ。きっと月と詠を購えると思うんだよ」
「ご主人様……」
「流石お兄ちゃんなのだ!」
諸葛亮と張飛はそれぞれに反応する。そこに含まれる音響には差異があれども、共通するのは主への讃辞。
「早い方がいいでしょう。早速動きます。ええ、董卓さんや賈駆さん達はこのような……、このようなところで喪っていいわけがありません」
救わなくてはいけない。救えるかもしれない。救えるだろう。いや、救うのだ。
董卓を、賈駆を。呂布を、張遼を。
「細かいところは朱里に任せるから、さ」
頼んだ、と頭を下げる北郷一刀に諸葛亮は胸を熱く。
皆が笑える世を。きっと。
◆◆◆
「何も皆殺しにすることもないだろうに……」
北郷一刀は、呟く。
諸葛亮がもたらした情報。宦官を誅滅したというそれ。その非道、悪逆に彼は心を痛める。
なにも殺すことはないじゃないか、と。
諸葛亮にしてみれば、納得しかないのではあるのだが。
様々な逸話から察する紀霊の性質において、読み取れるのは激情。そして身内への愛情。
ならば、禁裏において武力を以って何進を排除した宦官。それを紀霊が放置するわけもないのである。
なんとなれば、彼が、否。袁家の幹部が溺愛する袁術が入内するのだ。気に入らぬからといって暗殺に走るような存在を、かの怨将軍が許すはずもない。まあ、それを進言して主の機嫌を損なう必要もない。これは自分と親友たる鳳統が把握していればいいことである。
そして、その、北郷一刀は何をしているかというと、である。
「鈴々、くれぐれも気を付けてな」
「大丈夫なのだ。お兄ちゃんはどっしりと構えていてくれたらいいのだ」
気になることがあると言って、張飛と諸葛亮を引き連れて洛陽を巡っていたのだ。いや、密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うのではあるが。あるのだが、自信に満ちた彼の言うことにはなぜか頷いてしまう自分がいるのだ。
ちなみに、この、混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。袁家の助成にいち早く立ち、ことによれば馬家と矛を交える可能性すら飲み込んで至誠を尽くした彼女の、だ。
洛陽の困窮した民に炊き出しをしたいという劉備の願いは届き、そして。
「いや、確信はないんだけどさ」
それでも、必要であると断じたのだ。天の御使いたる北郷一刀が。ならば、と諸葛亮は思う。まあ、彼女の叡智をもってしても「涸れ井戸と箪笥は要チェックだもんな」などという北郷一刀の本意を把握しているとは言い難いのだが――。
「お兄ちゃん!あったのだ!これだと思うのだ!」
そして北郷一刀は、とある涸れ井戸から玉璽と七星刀を発見する。
◆◆◆
「こ、これが伝国の玉璽……」
流石に諸葛亮も目にするのは初めてである。そしてその重要性を把握しているのはこの場できっと自分だけであろう。四百年にわたって連綿と続く漢朝。その権威を担うのがこの玉璽なのだ。
触れたいような、触れたくないような。その、内心の逡巡を身体は裏切る。気づけば両手を伸ばして。
それを見た張飛が無造作に放り投げる。
「わ、わ!」
取り落しかけて諸葛亮は必死に受け止める。
「ひゃ、ひゃう……。
ご、ご主人様。玉璽に七星刀。いずれもお金では買えない、秘宝です。どうするおつもりなのでしゅか……。
あ、噛んじゃった」
はわわ、と狼狽える諸葛亮の様子に笑みを漏らしながらも北郷一刀は答える。
「そうだな。とんでもないお宝だ。漢朝にとっては特に、さ」
だから、さ、と北郷一刀は笑う。
「きっとさ、これだけの貴重なお宝だ。きっと月と詠を購えると思うんだよ」
「ご主人様……」
「流石お兄ちゃんなのだ!」
諸葛亮と張飛はそれぞれに反応する。そこに含まれる音響には差異があれども、共通するのは主への讃辞。
「早い方がいいでしょう。早速動きます。ええ、董卓さんや賈駆さん達はこのような……、このようなところで喪っていいわけがありません」
救わなくてはいけない。救えるかもしれない。救えるだろう。いや、救うのだ。
董卓を、賈駆を。呂布を、張遼を。
「細かいところは朱里に任せるから、さ」
頼んだ、と頭を下げる北郷一刀に諸葛亮は胸を熱く。
皆が笑える世を。きっと。
496:一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo.:2020/09/16(水) 06:07:02.37:gOPBOXyi0 (5/5)
久々寝落ちしておりました
感想とかくだしあー
久々寝落ちしておりました
感想とかくだしあー
497:青ペン:2020/09/17(木) 00:24:52.11:dDhP3NEBo (1/1)
>>496
独断の行動が凶と出そうな気がするんだけどねぇ…
【使徒が知る術もなき鬼神の想い】といった感じかな…
>>496
独断の行動が凶と出そうな気がするんだけどねぇ…
【使徒が知る術もなき鬼神の想い】といった感じかな…
498:赤ペン:2020/09/18(金) 18:26:52.15:GEKwW4RT0 (1/2)
乙でしたー
>>489
>>正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だがそれも徒花(あだばな)というものであろう、そう程立は思うのだ。 これは《枯れ木も山の賑わい》みたいな意味で使ったのかしら?
○正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だがそれは徒花(あだばな)というものであろう、そう程立は思うのだ。 意味としては《どうせ無駄》みたいなものだからこうかな?
○正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だが例え徒花(あだばな)であろうと咲くことは出来た、そう程立は思うのだ。 今まではそれすらできないほど疲弊してたから《これもまたよし》みたいな感じでこうかな?
>>さしもの魯粛も苦笑する。どうしたものか、と。
可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。 【どうしたものか、と。視線で問うてくる。】だとちょっとリズムが悪いかな
○さしもの魯粛も苦笑する。
どうしたものかと、可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。 もしくは
○さしもの魯粛も苦笑して、可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。 それとも【苦笑しながら】の方が良いかな?
どうしたものか、と。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。
>>「いや、助かりました。それともお見事となお点前と言った方がよろしいのでしょうか?」 ケアレスミスですね
○「いや、助かりました。それともお見事なお手前と言った方がよろしいのでしょうか?」 【お点前】だとお茶の作法になるらしいので
>>490
>>「なんということでしょね~」 喋り言葉だし間違いではないですが
○「なんということでしょうね~」 の方が良いと思います
>>なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、郭嘉の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。 申し訳ないがNTRはNG
○なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、賈駆の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。 曹操からさんざん二郎がNTRしてる?先に唾つけただけだからセーフ
>>492
>>洛陽内を差配するも同様の権限に流石の魯粛がぶる、と身を振るわせる。 凹凸が無いとわからグシャ
○洛陽内を差配するも同様の権限に流石の魯粛もぶる、と身を震わせる。 むしろ【流石の魯粛も、ぶるっと身を震わせる。】とか?擬音無しで【流石の魯粛も一度大きく体を震わせた。】とかかな
>>494
>>だからこそ、韓遂さえいなければ主である劉焉は涼州すら手に収めることも容易であると思っていたのである。 馬騰さん亡き今、で考えてるのかもしれないけどそこには昔何進、馬騰、紀霊の繋がりがあったから迂闊な事すると大義名分振りかざされるぞ
○だからこそ、韓遂さえいなければ主である劉焉は涼州すら手中に収めることも容易であると思っていたのである。 慣用句としてはこうですね
>>なんにしてもまあ、世はこともなし。まことに結構なことである。 つい先日まで戦争してたんだし禁裏は今も血まみれだろうし事ありまくりでは?
○なんにしてもまあ、戦は終わった。まことに結構なことである。 【怒号は聞こえず、徴兵される子供や、飢えて死ぬものもいない。】とか入れるのもありかな?
>>495
>>そして、その、北郷一刀は何をしているかというと、である。 ちょっと【、】が多いかな
○そして、その北郷一刀は何をしているかというと、である。 まあちょっと憚られることをやってる感じを出すなら上の方が良いですが…ぶっちゃけ火事場泥棒と似たようなことだし
>>密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うのではあるが。あるのだが、 【密かに】なの?
○密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うところもある。あるのだが、 【が、】を一つの文で2回使うと違和感があるのでここは1回否定しない方が良いかな
>>ちなみに、この、混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。 止めろ(迫真)何やってんだよ韓浩。そもそも初日の汜水関をどう落とす?の質問に反董卓連合は本当に正しいのか?と返したような輩に口添えしただけでもお前の株は下がり、その時に紀霊に会いに来たのが無位無官の風来坊で…っていう事の顛末は当然知ってるよな?報連相的に。袁家への恩と義理を考えたら恥ずかしくってとてもできることじゃねーぞ
○ちなみに、この混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。 「前回私は二郎に桃香の面会をお願いしたつもりだった、それを勝手に私が勘違いしたというなら、なるほど私の不徳だろう。だからこそこれ以上私は彼らに恥知らずな真似はしたくないのだ」とか真摯に断れよ。恩人に無礼を働いた友人から口添え頼まれてもっかい泥塗られて更にまた力添えとかどんだけ恩人を軽く見てるんだよ
>>袁家の助成にいち早く立ち、 これは経済的な援助ですね
○袁家の助勢にいち早く立ち、 肉体的な援助はこちらですね
>>張?が語るそれ。まさか、劉協と皇甫嵩が死んでいるなどとは。 www描写無しに行間で死んでてさすがに草ですわ
>>驚くことに自らの兵に宛がわれた兵糧を供出して、だ! そいつらは何を食うんだ?まさかこの後で袁家に事情説明してタカリに行くとか…他人の飯を使って人気取りとかしてるわけないと言い切れないのがこいつらの恐ろしいところ
>>一体世の男どもはどうしてこのように魅力的な女を放っておくのか、と。 子連れだからじゃないっすかね?未亡人なのかシングルマザーなのか知らんけど
>>彼女の叡智をもってしても「涸れ井戸と箪笥は要チェックだもんな」などという北郷一刀の本意を把握しているとは言い難いのだが――。 あ、アンサートーカーで…まあ知ってしまうとSAN値チェックですが。なんせご主人様がゲーム感覚で生きてるってことだからな(リアルでタンス漁るのが日常の可能性もあるけど)
まさか公孫瓚前回一刀が紀霊に会いたいって言ったのを紹介してそれで終わりなわけないよね…100歩譲っても韓浩がそこに知らぬ存ぜぬするわけないし劉備を遠ざける理由ができたならきちんと報告するだろうし
乙でしたー
>>489
>>正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だがそれも徒花(あだばな)というものであろう、そう程立は思うのだ。 これは《枯れ木も山の賑わい》みたいな意味で使ったのかしら?
○正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だがそれは徒花(あだばな)というものであろう、そう程立は思うのだ。 意味としては《どうせ無駄》みたいなものだからこうかな?
○正規の値で買った商品を転売しようとする者もいる。だが例え徒花(あだばな)であろうと咲くことは出来た、そう程立は思うのだ。 今まではそれすらできないほど疲弊してたから《これもまたよし》みたいな感じでこうかな?
>>さしもの魯粛も苦笑する。どうしたものか、と。
可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。 【どうしたものか、と。視線で問うてくる。】だとちょっとリズムが悪いかな
○さしもの魯粛も苦笑する。
どうしたものかと、可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。 もしくは
○さしもの魯粛も苦笑して、可愛らしく小首を傾げて程立に視線で問うてくる。 それとも【苦笑しながら】の方が良いかな?
どうしたものか、と。とは言え、程立にもここに至って名案なぞなく。
>>「いや、助かりました。それともお見事となお点前と言った方がよろしいのでしょうか?」 ケアレスミスですね
○「いや、助かりました。それともお見事なお手前と言った方がよろしいのでしょうか?」 【お点前】だとお茶の作法になるらしいので
>>490
>>「なんということでしょね~」 喋り言葉だし間違いではないですが
○「なんということでしょうね~」 の方が良いと思います
>>なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、郭嘉の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。 申し訳ないがNTRはNG
○なるほど、董家は呂布の武威、張遼の神速、賈駆の神算鬼謀。それらは枝葉末節であったのだと。 曹操からさんざん二郎がNTRしてる?先に唾つけただけだからセーフ
>>492
>>洛陽内を差配するも同様の権限に流石の魯粛がぶる、と身を振るわせる。 凹凸が無いとわからグシャ
○洛陽内を差配するも同様の権限に流石の魯粛もぶる、と身を震わせる。 むしろ【流石の魯粛も、ぶるっと身を震わせる。】とか?擬音無しで【流石の魯粛も一度大きく体を震わせた。】とかかな
>>494
>>だからこそ、韓遂さえいなければ主である劉焉は涼州すら手に収めることも容易であると思っていたのである。 馬騰さん亡き今、で考えてるのかもしれないけどそこには昔何進、馬騰、紀霊の繋がりがあったから迂闊な事すると大義名分振りかざされるぞ
○だからこそ、韓遂さえいなければ主である劉焉は涼州すら手中に収めることも容易であると思っていたのである。 慣用句としてはこうですね
>>なんにしてもまあ、世はこともなし。まことに結構なことである。 つい先日まで戦争してたんだし禁裏は今も血まみれだろうし事ありまくりでは?
○なんにしてもまあ、戦は終わった。まことに結構なことである。 【怒号は聞こえず、徴兵される子供や、飢えて死ぬものもいない。】とか入れるのもありかな?
>>495
>>そして、その、北郷一刀は何をしているかというと、である。 ちょっと【、】が多いかな
○そして、その北郷一刀は何をしているかというと、である。 まあちょっと憚られることをやってる感じを出すなら上の方が良いですが…ぶっちゃけ火事場泥棒と似たようなことだし
>>密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うのではあるが。あるのだが、 【密かに】なの?
○密かに慕う北郷一刀と触れ合う機会があるのはいいのだが、この時期にそれはどうなのだろうと思うところもある。あるのだが、 【が、】を一つの文で2回使うと違和感があるのでここは1回否定しない方が良いかな
>>ちなみに、この、混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。 止めろ(迫真)何やってんだよ韓浩。そもそも初日の汜水関をどう落とす?の質問に反董卓連合は本当に正しいのか?と返したような輩に口添えしただけでもお前の株は下がり、その時に紀霊に会いに来たのが無位無官の風来坊で…っていう事の顛末は当然知ってるよな?報連相的に。袁家への恩と義理を考えたら恥ずかしくってとてもできることじゃねーぞ
○ちなみに、この混乱から立ち直ったばかりの洛陽に彼らが潜り込めたのは公孫賛の力添えあってのこと。 「前回私は二郎に桃香の面会をお願いしたつもりだった、それを勝手に私が勘違いしたというなら、なるほど私の不徳だろう。だからこそこれ以上私は彼らに恥知らずな真似はしたくないのだ」とか真摯に断れよ。恩人に無礼を働いた友人から口添え頼まれてもっかい泥塗られて更にまた力添えとかどんだけ恩人を軽く見てるんだよ
>>袁家の助成にいち早く立ち、 これは経済的な援助ですね
○袁家の助勢にいち早く立ち、 肉体的な援助はこちらですね
>>張?が語るそれ。まさか、劉協と皇甫嵩が死んでいるなどとは。 www描写無しに行間で死んでてさすがに草ですわ
>>驚くことに自らの兵に宛がわれた兵糧を供出して、だ! そいつらは何を食うんだ?まさかこの後で袁家に事情説明してタカリに行くとか…他人の飯を使って人気取りとかしてるわけないと言い切れないのがこいつらの恐ろしいところ
>>一体世の男どもはどうしてこのように魅力的な女を放っておくのか、と。 子連れだからじゃないっすかね?未亡人なのかシングルマザーなのか知らんけど
>>彼女の叡智をもってしても「涸れ井戸と箪笥は要チェックだもんな」などという北郷一刀の本意を把握しているとは言い難いのだが――。 あ、アンサートーカーで…まあ知ってしまうとSAN値チェックですが。なんせご主人様がゲーム感覚で生きてるってことだからな(リアルでタンス漁るのが日常の可能性もあるけど)
まさか公孫瓚前回一刀が紀霊に会いたいって言ったのを紹介してそれで終わりなわけないよね…100歩譲っても韓浩がそこに知らぬ存ぜぬするわけないし劉備を遠ざける理由ができたならきちんと報告するだろうし
499:赤ペン:2020/09/18(金) 21:22:21.36:GEKwW4RT0 (2/2)
今回はだいぶ地味様に辛辣な書き方をしてしまいましたが
①昔公孫瓚の紹介で袁紹のもとを訪ねる。要件は前に公孫瓚が友誼の証として贈った剣を「もとは自分のものだから返せ」と、糧食の融通と引き抜き勧誘
②戦時中に≪反董卓連合盟主の袁紹が総てを預けたいわゆる全権代理人の≫紀霊への口添えを頼まれたがそれによって今までと何かが変わったところは無い
現代風に言えば大会社の社長が社運をかけたプロジェクトのプロジェクトリーダーに抜擢した専務に共同開発してる会社(規模は普通)の社長が新進気鋭の会社の古参社員(役職不明)を紹介したというワケワカメな状態…てっきり画期的な案でも出すのかと思ったら自分たちをプロジェクトの中心に使ってくれという…みたいな?
③今回の件(表向き炊き出ししつつ裏で火事場泥棒)
とかなりアレなんですよね。もちろんそれ以外の時にはいろいろと持ちつ持たれつしてるし洛陽防衛線で借りも作ってるけど
私が思うに公孫瓚ってかなり損な性分してると思うんですよ。自己評価が小さいというか、何かをしてもらったらそれ以上に返そうとしそうだったり、自分がやったことに対するお礼は最低限でよさそうだったり
で、袁家はマンパワーが圧倒的だからぶっちゃけ義勇軍が力を貸しても袁家に対して恩返しにはならないわけで、今までに2回も迷惑かけたのと同じようなことをもう1回やるのかな? と疑問が生まれまして
100歩譲って公孫瓚が桃香への友情を重く見たとしても韓浩が袁家への恩義を説いて「どうしてもというなら自分たちが監督すべし」とか言ってきちんと力添えした責任を取らせないと(なおむしろやらかして公孫瓚と劉備の間に溝ができることを望む可能性
実際韓浩なら(、奴らならやらかす、袁家なら公孫を許してくれる)と踏んであえて監視網に穴開けそうなんだよなあ
今回はだいぶ地味様に辛辣な書き方をしてしまいましたが
①昔公孫瓚の紹介で袁紹のもとを訪ねる。要件は前に公孫瓚が友誼の証として贈った剣を「もとは自分のものだから返せ」と、糧食の融通と引き抜き勧誘
②戦時中に≪反董卓連合盟主の袁紹が総てを預けたいわゆる全権代理人の≫紀霊への口添えを頼まれたがそれによって今までと何かが変わったところは無い
現代風に言えば大会社の社長が社運をかけたプロジェクトのプロジェクトリーダーに抜擢した専務に共同開発してる会社(規模は普通)の社長が新進気鋭の会社の古参社員(役職不明)を紹介したというワケワカメな状態…てっきり画期的な案でも出すのかと思ったら自分たちをプロジェクトの中心に使ってくれという…みたいな?
③今回の件(表向き炊き出ししつつ裏で火事場泥棒)
とかなりアレなんですよね。もちろんそれ以外の時にはいろいろと持ちつ持たれつしてるし洛陽防衛線で借りも作ってるけど
私が思うに公孫瓚ってかなり損な性分してると思うんですよ。自己評価が小さいというか、何かをしてもらったらそれ以上に返そうとしそうだったり、自分がやったことに対するお礼は最低限でよさそうだったり
で、袁家はマンパワーが圧倒的だからぶっちゃけ義勇軍が力を貸しても袁家に対して恩返しにはならないわけで、今までに2回も迷惑かけたのと同じようなことをもう1回やるのかな? と疑問が生まれまして
100歩譲って公孫瓚が桃香への友情を重く見たとしても韓浩が袁家への恩義を説いて「どうしてもというなら自分たちが監督すべし」とか言ってきちんと力添えした責任を取らせないと(なおむしろやらかして公孫瓚と劉備の間に溝ができることを望む可能性
実際韓浩なら(、奴らならやらかす、袁家なら公孫を許してくれる)と踏んであえて監視網に穴開けそうなんだよなあ
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真・恋姫無双【凡将伝Re】4(その3)
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