◆QhFDI08WfRWv さんの作品一覧
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1: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/19(日) 22:23:24.48:rrq2V0npo (1/5)
このスレは安価で
乃木若葉の章
鷲尾須美の章
結城友奈の章
楠芽吹の章
―勇者の章―
を遊ぶゲーム形式なスレです
やりたいこと
結婚式
安価
・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります
日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2
基本的には9月14日目が最終
勇者の章に関しては、2月14日目が最終
戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%
※ストーリーによってはHP0で死にます
wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】 不定期更新 ※前周はこちらに
前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1464699221/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1468417496/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1472477551/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【四輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1477053722/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【五輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1481292024/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1484833454/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【七輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1488104860/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【八輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1491918867/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【九輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1495544664/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499086961/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1503148550/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1507900727/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1512897754/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十四輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1517577349/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十五輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1523885099/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1532355674/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十七輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1543739820/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十八輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1552817368/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十九輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1560668705/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二十輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1570364671/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二十一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1579428830/
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安価
・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります
日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2
基本的には9月14日目が最終
勇者の章に関しては、2月14日目が最終
戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二輪目】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十三輪目】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十四輪目】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十五輪目】
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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1532355674/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十七輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1543739820/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十八輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1552817368/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十九輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1560668705/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二十輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1570364671/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二十一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1579428830/
モバP「泰葉からチョコもらった時の話?」
絵里「なんとかストロガノフ!」穂乃果「そう、カレーです」
タマ「ニャー」タラオ「タマ口臭いですぅ!」タマ「!!!!!!!」
玲音「風邪を引いてしまったようだ…」
苗木「霧切さん、この蝶ネクタイつけてみてよ」
2:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/19(日) 22:28:42.78:nai54rAXO (1/2)
立て乙
立て乙
3: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/19(日) 22:40:50.28:rrq2V0npo (2/5)
天乃「そうね、友奈に会いに行こうかしら。子供、頼んで平気?」
風「任せてくれるのね」
天乃「え?」
風「んーん。ほら、千景達がいるから」
そっちに任せるのかと思った。と、
風は嬉しそうに、天乃へと目を向ける
届きそうで届かない位置にあった鈴が離れたせいか、
子供達の不満そうな抗議が可愛らしく風に投げかけられる
風「はいはーい。ほれほれ~」
天乃「風は、子供好き?」
風「嫌いだったら、勇者部の活動で発狂してるわね」
天乃「それもそうね」
子供達に向いている風の横顔は、幸せを感じる
優しい、年上の顔
妹や、弟
まだ小さな子供に向けられる慈愛に満ちた表情は
子供が好きだと、語る
風「任せて貰えるなら、それほど嬉しいことはないわ」
天乃「……一応、風も親になるんだもの。任せられるわ」
天乃「そうね、友奈に会いに行こうかしら。子供、頼んで平気?」
風「任せてくれるのね」
天乃「え?」
風「んーん。ほら、千景達がいるから」
そっちに任せるのかと思った。と、
風は嬉しそうに、天乃へと目を向ける
届きそうで届かない位置にあった鈴が離れたせいか、
子供達の不満そうな抗議が可愛らしく風に投げかけられる
風「はいはーい。ほれほれ~」
天乃「風は、子供好き?」
風「嫌いだったら、勇者部の活動で発狂してるわね」
天乃「それもそうね」
子供達に向いている風の横顔は、幸せを感じる
優しい、年上の顔
妹や、弟
まだ小さな子供に向けられる慈愛に満ちた表情は
子供が好きだと、語る
風「任せて貰えるなら、それほど嬉しいことはないわ」
天乃「……一応、風も親になるんだもの。任せられるわ」
4: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/19(日) 23:09:04.33:rrq2V0npo (3/5)
交際しているみんなが、星乃と月乃の親になる
だから、任せられるのは当然だ
特に、風なんかは小さい子を見るという点において非常に優れていると言ってもいい
千景たちの手を借りることなく
一人で見ていて貰っても安心できる
もちろん、一応は精霊にも手伝ってもらうつもりではあるが。
風「親かぁ……」
天乃「……私」
風「あぁ、良いのよ。もう過ぎたことだし」
天乃「風」
風「頑張って、親っぽくなっていきましょ」
風の手が、天乃の頭に触れる
まだ、中学生だ
あと数ヶ月で高校生になれるかもしれないけれど、
それでもまだ、結婚さえ許されない子供だ
風「みんなで、ね?」
天乃「……子供扱いしてるわね」
風「だってー、天乃はちっこいし」
天乃「もうっ」
風「大丈夫。子供はあたし達が見ておくから、友奈に会ってきて」
天乃に弾かれた手をもう一度天乃の頭に置いて風は微笑む
照れくさそうな顔、ちょっとだけ怒った顔、嬉しそうな顔、幸せそうな顔
夏凜が一番守りたいと言っていた笑顔
風「あたしはもう少し、可愛い顔を見てても良いけど?」
天乃「今すぐ行く」
交際しているみんなが、星乃と月乃の親になる
だから、任せられるのは当然だ
特に、風なんかは小さい子を見るという点において非常に優れていると言ってもいい
千景たちの手を借りることなく
一人で見ていて貰っても安心できる
もちろん、一応は精霊にも手伝ってもらうつもりではあるが。
風「親かぁ……」
天乃「……私」
風「あぁ、良いのよ。もう過ぎたことだし」
天乃「風」
風「頑張って、親っぽくなっていきましょ」
風の手が、天乃の頭に触れる
まだ、中学生だ
あと数ヶ月で高校生になれるかもしれないけれど、
それでもまだ、結婚さえ許されない子供だ
風「みんなで、ね?」
天乃「……子供扱いしてるわね」
風「だってー、天乃はちっこいし」
天乃「もうっ」
風「大丈夫。子供はあたし達が見ておくから、友奈に会ってきて」
天乃に弾かれた手をもう一度天乃の頭に置いて風は微笑む
照れくさそうな顔、ちょっとだけ怒った顔、嬉しそうな顔、幸せそうな顔
夏凜が一番守りたいと言っていた笑顔
風「あたしはもう少し、可愛い顔を見てても良いけど?」
天乃「今すぐ行く」
5: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/19(日) 23:30:49.25:rrq2V0npo (4/5)
えーもう少しいてもいいのにぃ。と
名残惜しそうな風の声に背中を押されて、天乃は病室を出る
松葉杖を使って歩くのも慣れたもので
全盛期の速度は出せなくても、普通に歩くことは出来るようになってきている
天乃「あとは……筋力的な問題よね」
よく食て、良く寝る
そして、適度な運動
体力的に戻ってきたら、夏凜に付き合って貰って鍛錬
最初は負けるだろうが、最終的には打ち負かしたい
天乃「……はぁ」
松葉杖を半歩後ろにして、自分の左足だけで床に触れる
かかとをつけて、ゆっくりと踏み込んでいく
ふくらはぎに負荷がかかり、膝に上って……痛みが走る
天乃「っ」
まだだ
そのまま、右足を前に出して――先に左足が崩れて
松葉杖が滑って廊下に大きな音が響く
天乃「………」
この体では、友奈を連れて帰って大丈夫だなんて言えない
リハビリを頑張っているけれど、まだまだだ
若葉「無茶をするな」
天乃「あらやだ……みんなには内緒にしてね?」
若葉「精霊には伝わる。沙織には……口止めしておく」
どこからともなく現れ、手を差し伸べてくれた若葉に笑みを向けて、その手を取る。
甘えられるときは甘える
天乃「そろそろ行けると思ったのよ。ダメだったけど」
若葉「病院食で足りていないだけだ。退院したら、肉でも食べに行こう」
天乃「みんなで?」
若葉「二人でもいい。まぁ、私の場合は結局精霊の繋がりが残るが」
えーもう少しいてもいいのにぃ。と
名残惜しそうな風の声に背中を押されて、天乃は病室を出る
松葉杖を使って歩くのも慣れたもので
全盛期の速度は出せなくても、普通に歩くことは出来るようになってきている
天乃「あとは……筋力的な問題よね」
よく食て、良く寝る
そして、適度な運動
体力的に戻ってきたら、夏凜に付き合って貰って鍛錬
最初は負けるだろうが、最終的には打ち負かしたい
天乃「……はぁ」
松葉杖を半歩後ろにして、自分の左足だけで床に触れる
かかとをつけて、ゆっくりと踏み込んでいく
ふくらはぎに負荷がかかり、膝に上って……痛みが走る
天乃「っ」
まだだ
そのまま、右足を前に出して――先に左足が崩れて
松葉杖が滑って廊下に大きな音が響く
天乃「………」
この体では、友奈を連れて帰って大丈夫だなんて言えない
リハビリを頑張っているけれど、まだまだだ
若葉「無茶をするな」
天乃「あらやだ……みんなには内緒にしてね?」
若葉「精霊には伝わる。沙織には……口止めしておく」
どこからともなく現れ、手を差し伸べてくれた若葉に笑みを向けて、その手を取る。
甘えられるときは甘える
天乃「そろそろ行けると思ったのよ。ダメだったけど」
若葉「病院食で足りていないだけだ。退院したら、肉でも食べに行こう」
天乃「みんなで?」
若葉「二人でもいい。まぁ、私の場合は結局精霊の繋がりが残るが」
6: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/19(日) 23:38:08.96:rrq2V0npo (5/5)
では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
園子「ねぇわっしー」
東郷「どうしたの? そのっち」
園子「お嫁さん、だね」
東郷「……そうね」
東郷「でも、久遠先輩がお嫁さんよ。それは譲らないわ」
園子「ふーっ! 流石わっしー! 以心伝心だぜ~!」
では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
園子「ねぇわっしー」
東郷「どうしたの? そのっち」
園子「お嫁さん、だね」
東郷「……そうね」
東郷「でも、久遠先輩がお嫁さんよ。それは譲らないわ」
園子「ふーっ! 流石わっしー! 以心伝心だぜ~!」
7:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/19(日) 23:49:58.49:nai54rAXO (2/2)
乙
友奈ちゃんもそうだけど久遠さんも調子が戻るのは大分先になりそうか…
あと地味に目的がやりたいことに変化したな
乙
友奈ちゃんもそうだけど久遠さんも調子が戻るのは大分先になりそうか…
あと地味に目的がやりたいことに変化したな
8:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/20(月) 00:25:11.18:hLaWL3dlO (1/1)
乙
ゆゆゆ一挙終わったー
久遠さん今期(3周目の5周年)ももうすぐかぁ
>>1のモチベ次第だけど次はのわゆに先行して陽乃さん見たいな
乙
ゆゆゆ一挙終わったー
久遠さん今期(3周目の5周年)ももうすぐかぁ
>>1のモチベ次第だけど次はのわゆに先行して陽乃さん見たいな
9:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/20(月) 12:26:25.40:2oV5QCsJO (1/1)
陽乃さん編かー
くあゆシリーズの西暦時代もなかなか見応えありそう
陽乃さん編かー
くあゆシリーズの西暦時代もなかなか見応えありそう
10: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/20(月) 23:27:43.30:GHz4ndg5o (1/1)
すみませんが本日はお休みとさせていただきます
その分、明日は少し早い時間から
すみませんが本日はお休みとさせていただきます
その分、明日は少し早い時間から
11:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/20(月) 23:32:49.52:UN/QBDDVO (1/1)
乙ですー
乙ですー
12: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/21(火) 20:49:40.52:+4xqiPoto (1/7)
では少しだけ
では少しだけ
13:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/21(火) 21:01:27.85:OTfXPy8SO (1/1)
かもーん
かもーん
14: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/21(火) 21:18:19.97:+4xqiPoto (2/7)
天乃「そう? じゃぁ、二人きり」
若葉「だが東郷達には事前に説明しておいてくれ」
天乃「ええ、任せて」
あえて東郷を前面に出してきたのは、
東郷が一番、ちょっかいを出してくる可能性が高いからだろう
友奈が入院中だし、
その期間なら、友奈のことを任せると一言いえば天乃にばかり構うことはないはずだ
元々、天乃だけでなく友奈にも入れ込んでいるのだから
あまり心配をする必要はない
天乃「東郷だって常に暴走するわけじゃないから大丈夫よ」
若葉「……だと良いが」
天乃「なにか心配なの?」
若葉「ただでさえ貴重な時間を二人きりにして貰うんだ。その分が天乃に回ってくるんじゃないかと思ってな」
天乃「そう? じゃぁ、二人きり」
若葉「だが東郷達には事前に説明しておいてくれ」
天乃「ええ、任せて」
あえて東郷を前面に出してきたのは、
東郷が一番、ちょっかいを出してくる可能性が高いからだろう
友奈が入院中だし、
その期間なら、友奈のことを任せると一言いえば天乃にばかり構うことはないはずだ
元々、天乃だけでなく友奈にも入れ込んでいるのだから
あまり心配をする必要はない
天乃「東郷だって常に暴走するわけじゃないから大丈夫よ」
若葉「……だと良いが」
天乃「なにか心配なの?」
若葉「ただでさえ貴重な時間を二人きりにして貰うんだ。その分が天乃に回ってくるんじゃないかと思ってな」
15: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/21(火) 21:39:35.24:+4xqiPoto (3/7)
若葉が心配しているのは、
若葉と二人きりで行動……デートした結果
天乃がみんなからもデートを要求されるのではないか。という部分
特に、東郷はやや強引に引っ張ろうとするのではないかと思っているのだ
東郷のちょっかい自体は気にしていない
というのも、自分がちょっかいを出せばみんなからちょっかいを出されるし
天乃の幸せを妨害する気はないはずである
若葉「一日で数時間ずつ一人一人とデートする体力をつけたほうが良いな」
天乃「えぇ……」
若葉「私と二人きりになるというのは、そうなる可能性を作るって言うことだ」
もっとも、若葉とではなくても同じことなのだが。
落胆したように肩を落として壁に寄り掛かる天乃を見つめる若葉は、
大変だな。と、心の中で呟いて天乃の肩に触れる
若葉「先に進もう。友奈に会うのだろう?」
天乃「そうね」
若葉が心配しているのは、
若葉と二人きりで行動……デートした結果
天乃がみんなからもデートを要求されるのではないか。という部分
特に、東郷はやや強引に引っ張ろうとするのではないかと思っているのだ
東郷のちょっかい自体は気にしていない
というのも、自分がちょっかいを出せばみんなからちょっかいを出されるし
天乃の幸せを妨害する気はないはずである
若葉「一日で数時間ずつ一人一人とデートする体力をつけたほうが良いな」
天乃「えぇ……」
若葉「私と二人きりになるというのは、そうなる可能性を作るって言うことだ」
もっとも、若葉とではなくても同じことなのだが。
落胆したように肩を落として壁に寄り掛かる天乃を見つめる若葉は、
大変だな。と、心の中で呟いて天乃の肩に触れる
若葉「先に進もう。友奈に会うのだろう?」
天乃「そうね」
16: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/21(火) 22:31:23.94:+4xqiPoto (4/7)
病室の扉を叩くと、待つまでもなく友奈の快活な声が戻ってくる
友奈のベッドまでの細い通路を進み、
松葉杖を壁に立てかけて来客用の椅子に座る
足の固定はまだまだ取れないようで、
友奈は窮屈そうに大丈夫です。と笑う
友奈「退院、されるんですよね?」
天乃「ええ」
友奈「星乃ちゃんと月乃ちゃんと同じ部屋で安静にしてられたらなぁ……って、思ってたんですけど」
それができれば、日中の子供の面倒は友奈が見ることが出来る
おしめを変えたりすることは残念ながらできないが、
何かがあったら呼ぶようにして、日中ずっと見ている心配を無くすことが出来る
その役割は精霊の方が優秀だけれど、
出来れば、友奈はそうしたかった
天乃「お見舞いに来るときは、連れてきてあげる」
友奈「絶対ですよ?」
天乃「もちろんよ。あの子達だって友奈に会いたいと思うわ」
病室の扉を叩くと、待つまでもなく友奈の快活な声が戻ってくる
友奈のベッドまでの細い通路を進み、
松葉杖を壁に立てかけて来客用の椅子に座る
足の固定はまだまだ取れないようで、
友奈は窮屈そうに大丈夫です。と笑う
友奈「退院、されるんですよね?」
天乃「ええ」
友奈「星乃ちゃんと月乃ちゃんと同じ部屋で安静にしてられたらなぁ……って、思ってたんですけど」
それができれば、日中の子供の面倒は友奈が見ることが出来る
おしめを変えたりすることは残念ながらできないが、
何かがあったら呼ぶようにして、日中ずっと見ている心配を無くすことが出来る
その役割は精霊の方が優秀だけれど、
出来れば、友奈はそうしたかった
天乃「お見舞いに来るときは、連れてきてあげる」
友奈「絶対ですよ?」
天乃「もちろんよ。あの子達だって友奈に会いたいと思うわ」
17: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/21(火) 22:51:45.60:+4xqiPoto (5/7)
今はまだ、幼過ぎて連れ出すことは難しいけれど、
天乃が万全になって、子供達がもう少し成長する時間さえあれば
連れてくることも出来るはずだ
天乃「友奈、子供好きだものね」
友奈「えへへっ可愛いですよねっ」
天乃「ええ、とっても」
可愛いと喜ぶ友奈の笑顔
それもまた愛らしいものだと天乃は微笑む。
幼稚園での出し物や地域のイベント
友奈達勇者部は子供たちと関わることが多く
特に、友奈は子供に好かれやすかった
きっと、星乃と月乃だって友奈のことを気にいるだろう
天乃「だから、友奈はちゃんと大人しくしててね?」
友奈「任せてください」
天乃「元気が有り余ってるからって、下手に体を動かさないように」
友奈「大丈夫です。ちゃんと分ってますから」
今はまだ、幼過ぎて連れ出すことは難しいけれど、
天乃が万全になって、子供達がもう少し成長する時間さえあれば
連れてくることも出来るはずだ
天乃「友奈、子供好きだものね」
友奈「えへへっ可愛いですよねっ」
天乃「ええ、とっても」
可愛いと喜ぶ友奈の笑顔
それもまた愛らしいものだと天乃は微笑む。
幼稚園での出し物や地域のイベント
友奈達勇者部は子供たちと関わることが多く
特に、友奈は子供に好かれやすかった
きっと、星乃と月乃だって友奈のことを気にいるだろう
天乃「だから、友奈はちゃんと大人しくしててね?」
友奈「任せてください」
天乃「元気が有り余ってるからって、下手に体を動かさないように」
友奈「大丈夫です。ちゃんと分ってますから」
18: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/21(火) 23:06:32.66:+4xqiPoto (6/7)
友奈は枕元に置いてある本を手に取ると、
天乃に見えるように振る
サイズ的に文庫本のそれは、夏凜が用意したものだ
聞いた話、
東郷はせっかくならと勇者部の掲示板にもかかわるHTMLの教本を用意していたが
夏凜によって奪い取られたらしい
友奈「本があるので、なんとか」
天乃「退屈にならない?」
友奈「少しは……動けないもどかしさはあります」
天乃「やっぱり」
友奈「でも、この我慢は悪い我慢じゃないですし、良いかなーって」
本を読むのもそんなに早くない友奈は
むしろ、読むことに集中できて捗ってるくらいですと楽しそうに笑う
嘘はない、無理もない
本当に、夏凜の持ってきた本を楽しめているということだろう
夏凜のことだ、友奈の性格を加味して用意したに違いない
1、体の方は問題ない? その……えっちなほうで
2、それならよかったわ。夏凜もいい仕事してくれるわ
3、読み終わったら、貸してくれる?
4、東郷のHTMLの本も持ってきてあげましょうか?
↓2
友奈は枕元に置いてある本を手に取ると、
天乃に見えるように振る
サイズ的に文庫本のそれは、夏凜が用意したものだ
聞いた話、
東郷はせっかくならと勇者部の掲示板にもかかわるHTMLの教本を用意していたが
夏凜によって奪い取られたらしい
友奈「本があるので、なんとか」
天乃「退屈にならない?」
友奈「少しは……動けないもどかしさはあります」
天乃「やっぱり」
友奈「でも、この我慢は悪い我慢じゃないですし、良いかなーって」
本を読むのもそんなに早くない友奈は
むしろ、読むことに集中できて捗ってるくらいですと楽しそうに笑う
嘘はない、無理もない
本当に、夏凜の持ってきた本を楽しめているということだろう
夏凜のことだ、友奈の性格を加味して用意したに違いない
1、体の方は問題ない? その……えっちなほうで
2、それならよかったわ。夏凜もいい仕事してくれるわ
3、読み終わったら、貸してくれる?
4、東郷のHTMLの本も持ってきてあげましょうか?
↓2
19:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/21(火) 23:10:40.86:VQSfP3c/O (1/2)
4
4
20:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/21(火) 23:15:15.87:VQSfP3c/O (2/2)
2
2
21:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/21(火) 23:17:14.16:g0nuwDU6O (1/1)
1
1
22: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/21(火) 23:22:51.46:+4xqiPoto (7/7)
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
https://w.atwiki.jp/anka_yuyuyu/pages/120.html
樹編の方が終わりましたのでサービス頁の方に載せております。
通例通り、pdfとword(docx)の2パターンで内容は同じですが、少し長いので注意してください
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
https://w.atwiki.jp/anka_yuyuyu/pages/120.html
樹編の方が終わりましたのでサービス頁の方に載せております。
通例通り、pdfとword(docx)の2パターンで内容は同じですが、少し長いので注意してください
23:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/21(火) 23:31:00.91:KoVldP1rO (1/1)
乙
久々のwiki更新とついに樹ちゃん編キター!
今すぐ見に行きますぞ
乙
久々のwiki更新とついに樹ちゃん編キター!
今すぐ見に行きますぞ
24:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/21(火) 23:44:18.66:ZAQG+/aQO (1/1)
乙
いっつん編みようと思ったら24Pだから明日にする
いつも半分くらいなのにスゲーわ
乙
いっつん編みようと思ったら24Pだから明日にする
いつも半分くらいなのにスゲーわ
25:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/22(水) 08:08:04.58:QOH+1o36O (1/1)
この大ボリュームは五郎くんの回以来かな?
樹ちゃんのテクニシャンっぷりと久遠さんのますます増したエロさ(特におっぱいの描写)が大変素晴らしかったです
そのっち編も楽しみにお待ちしております
この大ボリュームは五郎くんの回以来かな?
樹ちゃんのテクニシャンっぷりと久遠さんのますます増したエロさ(特におっぱいの描写)が大変素晴らしかったです
そのっち編も楽しみにお待ちしております
26:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/22(水) 09:59:19.82:cIufEm9fO (1/1)
道具もなく即脱がしじゃなくじわじわ…キスと愛撫と母乳が交わる描写の官能感がハイレベルなエロスだった
愛撫の入れ込み具合がガチ過ぎる…
前戯だけで短編小説仕上げるのはもはや趣味じゃなくプロだと思うんだが…無料公開で良いのか?
道具もなく即脱がしじゃなくじわじわ…キスと愛撫と母乳が交わる描写の官能感がハイレベルなエロスだった
愛撫の入れ込み具合がガチ過ぎる…
前戯だけで短編小説仕上げるのはもはや趣味じゃなくプロだと思うんだが…無料公開で良いのか?
27:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/22(水) 12:17:15.76:VDw/jraaO (1/1)
乙
読み応えあったわ
樹も久遠さんもかわいいなあ
乙
読み応えあったわ
樹も久遠さんもかわいいなあ
28: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/22(水) 22:40:20.25:41MRdxR0o (1/5)
遅くなりましたが少しだけ
遅くなりましたが少しだけ
29:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/22(水) 22:44:33.13:hQoK3bEiO (1/1)
おk
おk
30: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/22(水) 23:00:28.76:41MRdxR0o (2/5)
天乃「それならよかったわ。夏凜もいい仕事してくれたわ」
友奈「夏凜ちゃん、いっぱい本読んでるみたいで……あれじゃないこれじゃないって」
天乃「ふふっ、そっか」
友奈「久遠先輩にも持って行ったら良いのにって言ったんですけど」
天乃「……あら」
あ……っ。と、友奈の察した呟きに微笑む
大方、夏凜は考えておくとでも言ってそのままだったのだ
ちゃんと選んでくれたのか
それとも、選ぶことすらしてくれなかったのか
これは夏凜を言詰める必要がありそうだと思う天乃を、友奈は困ったように見つめる
悪戯を企む笑みを浮かべていたからだ
友奈「夏凜ちゃん、久遠先輩のことになると恥ずかしいんだと思います」
天乃「恥ずかしい?」
友奈「好きだからこそ、うまくできない……みたいなっ?」
天乃の目が向けられた途端、
適当な場所へと目を逸らした友奈は、夏凜の文庫本で口元を隠すけれど
頬から伝播した熟したような赤色は耳を染めている
天乃「それならよかったわ。夏凜もいい仕事してくれたわ」
友奈「夏凜ちゃん、いっぱい本読んでるみたいで……あれじゃないこれじゃないって」
天乃「ふふっ、そっか」
友奈「久遠先輩にも持って行ったら良いのにって言ったんですけど」
天乃「……あら」
あ……っ。と、友奈の察した呟きに微笑む
大方、夏凜は考えておくとでも言ってそのままだったのだ
ちゃんと選んでくれたのか
それとも、選ぶことすらしてくれなかったのか
これは夏凜を言詰める必要がありそうだと思う天乃を、友奈は困ったように見つめる
悪戯を企む笑みを浮かべていたからだ
友奈「夏凜ちゃん、久遠先輩のことになると恥ずかしいんだと思います」
天乃「恥ずかしい?」
友奈「好きだからこそ、うまくできない……みたいなっ?」
天乃の目が向けられた途端、
適当な場所へと目を逸らした友奈は、夏凜の文庫本で口元を隠すけれど
頬から伝播した熟したような赤色は耳を染めている
31: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/22(水) 23:15:07.70:41MRdxR0o (3/5)
天乃「まぁ……ねぇ」
夏凜からはもう、その心を聞いている
友奈にも相談することもあるかもしれないけれど、
自分よりもみんなの方が……その悩みは口にできなかったはずだ
天乃は一人、理解していると伏せって微笑む
友奈「……敵わない。ですよ」
天乃「えっ?」
友奈「えへへ」
友奈は夏凜から言われなくとも、引きがちに動いていたことは分かっていた
常にみんなの後ろに回るように動いて
みんなから得られるもので幸せそうにする天乃を眺めて
それで自分は十分なのだと
そうしている。なんてことくらい、解っている
友奈「みんな解ってると思います」
天乃「夏凜のこと?」
友奈「夏凜ちゃんにはかなわないってことをです」
本当なら、隣に居続けることが出来たのは夏凜なのだ
天乃の優しさと、夏凜の寛容さ
そして何より、夏凜が最も天乃の幸せを願っているからこそ、自分たちは関係を深められている
本来、一歩引いているべき自分たちが、それを理解しないなど無理な話なのだ
天乃「まぁ……ねぇ」
夏凜からはもう、その心を聞いている
友奈にも相談することもあるかもしれないけれど、
自分よりもみんなの方が……その悩みは口にできなかったはずだ
天乃は一人、理解していると伏せって微笑む
友奈「……敵わない。ですよ」
天乃「えっ?」
友奈「えへへ」
友奈は夏凜から言われなくとも、引きがちに動いていたことは分かっていた
常にみんなの後ろに回るように動いて
みんなから得られるもので幸せそうにする天乃を眺めて
それで自分は十分なのだと
そうしている。なんてことくらい、解っている
友奈「みんな解ってると思います」
天乃「夏凜のこと?」
友奈「夏凜ちゃんにはかなわないってことをです」
本当なら、隣に居続けることが出来たのは夏凜なのだ
天乃の優しさと、夏凜の寛容さ
そして何より、夏凜が最も天乃の幸せを願っているからこそ、自分たちは関係を深められている
本来、一歩引いているべき自分たちが、それを理解しないなど無理な話なのだ
32: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/22(水) 23:37:35.30:41MRdxR0o (4/5)
それに……と、友奈は天乃を見る
天乃「なぁに?」
友奈「いえ……」
きょとんっとして不思議そうに見返してくる天乃は、きっと解ってない
自分が、誰の隣でこそ一番幸せそうなのか。
天乃はみんなと一緒に居られることを望んでいる
みんなと深いつながりを持つことが出来ていることを嬉しそうに、抱きしめてくれている
けれど、やっぱり――だから、敵わない。
だからこそ、今でもちょっぴり技術を学ぶ
その典型と言えば、樹ちゃんかな……と、友奈は苦笑する
樹は夏凜よりも、恋をしていたから当然だ
友奈「夏凜ちゃんは久遠先輩を大切に思ってますが、私達もちゃんと、すっごく大切に思ってますっ」
天乃「ええ、本当……ありがとう」
天乃はそう言うと、友奈の動かせない足を一瞥する
この足の怪我だって、天乃の我儘を聞いてくれたからこそだ
それは大切に思ってくれているからこそ、愛してくれているからこそのもの。
天乃「ちょっと、その気持ちに甘えすぎちゃった気もするけどね」
それに……と、友奈は天乃を見る
天乃「なぁに?」
友奈「いえ……」
きょとんっとして不思議そうに見返してくる天乃は、きっと解ってない
自分が、誰の隣でこそ一番幸せそうなのか。
天乃はみんなと一緒に居られることを望んでいる
みんなと深いつながりを持つことが出来ていることを嬉しそうに、抱きしめてくれている
けれど、やっぱり――だから、敵わない。
だからこそ、今でもちょっぴり技術を学ぶ
その典型と言えば、樹ちゃんかな……と、友奈は苦笑する
樹は夏凜よりも、恋をしていたから当然だ
友奈「夏凜ちゃんは久遠先輩を大切に思ってますが、私達もちゃんと、すっごく大切に思ってますっ」
天乃「ええ、本当……ありがとう」
天乃はそう言うと、友奈の動かせない足を一瞥する
この足の怪我だって、天乃の我儘を聞いてくれたからこそだ
それは大切に思ってくれているからこそ、愛してくれているからこそのもの。
天乃「ちょっと、その気持ちに甘えすぎちゃった気もするけどね」
33: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/22(水) 23:59:05.84:41MRdxR0o (5/5)
友奈「むしろ久遠先輩は甘えすぎなかったので、東郷さんのぼた餅くらい甘くなっちゃってください」
天乃「それは……ん。どうかしらねぇ」
長い入院生活のせいで、
東郷のぼた餅はまだしっかりと味わうことが出来ていない
味覚がない時期のこともあって、
退院してからも、東郷が作ってくれるとは限らない
天乃「恋しいわね。ぼた餅」
友奈「はいっ」
天乃「退院したら頼んでみるわ。すぐには難しいかもしれないけど、絶対に」
時期も時期で
復学の準備や家のことなど……
積もり積もったこともあって、なかなかぼた餅に愛情込めている余裕はないかもしれないけれど、
きっと。と、天乃は友奈に微笑む
友奈「お見舞いにぼた餅って持ってきていいんでしょうか?」
天乃「持ってきて欲しいの?」
友奈「話してたら食べたくなってきちゃいました……」
友奈「むしろ久遠先輩は甘えすぎなかったので、東郷さんのぼた餅くらい甘くなっちゃってください」
天乃「それは……ん。どうかしらねぇ」
長い入院生活のせいで、
東郷のぼた餅はまだしっかりと味わうことが出来ていない
味覚がない時期のこともあって、
退院してからも、東郷が作ってくれるとは限らない
天乃「恋しいわね。ぼた餅」
友奈「はいっ」
天乃「退院したら頼んでみるわ。すぐには難しいかもしれないけど、絶対に」
時期も時期で
復学の準備や家のことなど……
積もり積もったこともあって、なかなかぼた餅に愛情込めている余裕はないかもしれないけれど、
きっと。と、天乃は友奈に微笑む
友奈「お見舞いにぼた餅って持ってきていいんでしょうか?」
天乃「持ってきて欲しいの?」
友奈「話してたら食べたくなってきちゃいました……」
34: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/23(木) 00:09:20.28:ItovN6Rco (1/6)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
オマケの園子編は余裕があれば書きますが、
樹編よりはだいぶボリュームが下がるかと思います。ご了承ください
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
オマケの園子編は余裕があれば書きますが、
樹編よりはだいぶボリュームが下がるかと思います。ご了承ください
35:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/23(木) 00:20:08.82:9auRwKYvO (1/1)
乙
みんなが久遠さんとえっちなことする中、夏凜ちゃんは絆が深まり過ぎて必要ないぐらい特別な関係になっているな
あとそのっち編ものんびり気長に待ちながら楽しみにしてます
乙
みんなが久遠さんとえっちなことする中、夏凜ちゃんは絆が深まり過ぎて必要ないぐらい特別な関係になっているな
あとそのっち編ものんびり気長に待ちながら楽しみにしてます
36:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/23(木) 00:38:00.20:OoPMUsVBO (1/1)
乙
しばらく離れちゃうからしっかり話さないと
乙
しばらく離れちゃうからしっかり話さないと
37: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/23(木) 22:27:16.97:ItovN6Rco (2/6)
では少しだけ
では少しだけ
38:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/23(木) 22:28:35.10:WRjtjAGBO (1/2)
あいよ
あいよ
39: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/23(木) 22:38:36.24:ItovN6Rco (3/6)
天乃「友奈は食事制限されてたりするわけじゃないんでしょう?」
友奈「はい……? されてないと思います」
天乃「なら、あまり沢山じゃなければ大丈夫だと思うわよ」
天乃の場合は、入院期間の大体が食事制限があった
というよりも、天乃自身が余り何かを食べるなんて余裕を持っておらず、
お見舞いのお菓子なんて物は皆無だったのだが
友奈のように、制限されていないというのであれば
それでも多少、量は少なめにしなければならないという制約はあるけれど
お見舞いに持ってきても問題はない
特に友奈自身が望んでいることだし、それが毒になる様なものではないなら大丈夫なはずだ
天乃「東郷には私から言っておくわ」
友奈「作り過ぎちゃいますか?」
天乃「ふふっ、良く分かってるじゃない」
友奈「東郷さん、すっごく張り切って作ってくれそうだなぁって」
東郷自身、みんなに振舞えなくて思うところはあるはずで
そこに友奈の要求とくれば結果は見えているようなものだ
友奈にも、それは分かるらしい
天乃「友奈は食事制限されてたりするわけじゃないんでしょう?」
友奈「はい……? されてないと思います」
天乃「なら、あまり沢山じゃなければ大丈夫だと思うわよ」
天乃の場合は、入院期間の大体が食事制限があった
というよりも、天乃自身が余り何かを食べるなんて余裕を持っておらず、
お見舞いのお菓子なんて物は皆無だったのだが
友奈のように、制限されていないというのであれば
それでも多少、量は少なめにしなければならないという制約はあるけれど
お見舞いに持ってきても問題はない
特に友奈自身が望んでいることだし、それが毒になる様なものではないなら大丈夫なはずだ
天乃「東郷には私から言っておくわ」
友奈「作り過ぎちゃいますか?」
天乃「ふふっ、良く分かってるじゃない」
友奈「東郷さん、すっごく張り切って作ってくれそうだなぁって」
東郷自身、みんなに振舞えなくて思うところはあるはずで
そこに友奈の要求とくれば結果は見えているようなものだ
友奈にも、それは分かるらしい
40: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/23(木) 23:07:45.95:ItovN6Rco (4/6)
友奈「……でも、久遠先輩のお料理も食べたいです」
天乃「退院しないと無理ね」
友奈「じゃぁ、頑張って治さなくちゃですね」
天乃「頑張らないで、治すのよ」
リハビリを頑張るならともかく、
骨折を治すのは頑張られても困ってしまう
根性で骨をくっつける。なんていうわけにもいかないのだから
天乃「私はこの病院の看護婦さんと連絡取れるってことを覚えておきなさい」
向こうからすると、連絡なんてまっぴらごめんな問題のある患者だったかもしれない
けれど、長い入院生活と大赦繋がりということもあって
連絡は非常に取りやすいようになっている
そうでなくても、精霊や東郷達のお見舞いがある
天乃「無茶したら、一昨年に音を上げたお饅頭をお見舞いに持っていくわよ」
友奈「一昨年……?」
天乃「あの凄く辛い奴。私、久しぶりに食べたいと思ってるのよ。だから、お・す・そ・わ・け」
友奈「あっ」
何のことを言っているのか天乃の悪戯な笑みで思い出した友奈は、
思わず息を飲んで首を振ると、自分の襟首を引っ張って手で仰ぐ
友奈「あれは……もう、ごめんなさい」
友奈「……でも、久遠先輩のお料理も食べたいです」
天乃「退院しないと無理ね」
友奈「じゃぁ、頑張って治さなくちゃですね」
天乃「頑張らないで、治すのよ」
リハビリを頑張るならともかく、
骨折を治すのは頑張られても困ってしまう
根性で骨をくっつける。なんていうわけにもいかないのだから
天乃「私はこの病院の看護婦さんと連絡取れるってことを覚えておきなさい」
向こうからすると、連絡なんてまっぴらごめんな問題のある患者だったかもしれない
けれど、長い入院生活と大赦繋がりということもあって
連絡は非常に取りやすいようになっている
そうでなくても、精霊や東郷達のお見舞いがある
天乃「無茶したら、一昨年に音を上げたお饅頭をお見舞いに持っていくわよ」
友奈「一昨年……?」
天乃「あの凄く辛い奴。私、久しぶりに食べたいと思ってるのよ。だから、お・す・そ・わ・け」
友奈「あっ」
何のことを言っているのか天乃の悪戯な笑みで思い出した友奈は、
思わず息を飲んで首を振ると、自分の襟首を引っ張って手で仰ぐ
友奈「あれは……もう、ごめんなさい」
41: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/23(木) 23:32:12.72:ItovN6Rco (5/6)
一昨年、友奈がまだ一年生の頃の話だ
仲良くなろうと歩み寄ってくる可愛い後輩に対し、
天乃は私はこれが好きなの。と、その饅頭を食べさせたのだ
実際、元々から辛い物を好み、
その時にはすでに味覚の無かった天乃にとって、それは大好物と言っても過言ではなかった
とはいえ、甘い物に慣れていた友奈には大ダメージだったし
東郷の記憶が混濁するくらいにはあってはならないものだった
友奈「あれをぺろりと食べる久遠先輩は、すっごく大人に見えました」
天乃「ふふっ、コーヒーを飲めるから……みたいな話ね」
友奈「でも――」
友奈の声が途切れる
申し訳なさそうな視線を感じた天乃は、あえて、目を向けなかった
味覚の問題、あれは天乃が誤魔化していたのだから仕方がないことだ
1、がっかりさせちゃったかしら?
2、関係ないわ。元から好きなのよ。本当よ?
3、風にも味覚おかしいんじゃないのって怒られたわねぇ。そういえば
4、あら、今は大人っぽく見えないかしら?
↓2
一昨年、友奈がまだ一年生の頃の話だ
仲良くなろうと歩み寄ってくる可愛い後輩に対し、
天乃は私はこれが好きなの。と、その饅頭を食べさせたのだ
実際、元々から辛い物を好み、
その時にはすでに味覚の無かった天乃にとって、それは大好物と言っても過言ではなかった
とはいえ、甘い物に慣れていた友奈には大ダメージだったし
東郷の記憶が混濁するくらいにはあってはならないものだった
友奈「あれをぺろりと食べる久遠先輩は、すっごく大人に見えました」
天乃「ふふっ、コーヒーを飲めるから……みたいな話ね」
友奈「でも――」
友奈の声が途切れる
申し訳なさそうな視線を感じた天乃は、あえて、目を向けなかった
味覚の問題、あれは天乃が誤魔化していたのだから仕方がないことだ
1、がっかりさせちゃったかしら?
2、関係ないわ。元から好きなのよ。本当よ?
3、風にも味覚おかしいんじゃないのって怒られたわねぇ。そういえば
4、あら、今は大人っぽく見えないかしら?
↓2
42:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/23(木) 23:33:55.03:WRjtjAGBO (2/2)
2
2
43:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/23(木) 23:37:12.20:M/tv3FRl0 (1/1)
4
4
44: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/23(木) 23:54:03.25:ItovN6Rco (6/6)
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
友奈「あ、あの……久遠先輩ってどんな食べ物が好きなんですか?」
天乃「そうねぇ……辛い物かしら。ふふっ、おすすめがあるのだけど、食べてにいく?」
友奈「はいっ! 行きたいですっ!」
東郷「待って、待って友奈ちゃん……なんだか行ってはいけない気がするわ……」
東郷「――なんてことがあって」
園子「天さんのそういうところ子供っぽいよね~」
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
友奈「あ、あの……久遠先輩ってどんな食べ物が好きなんですか?」
天乃「そうねぇ……辛い物かしら。ふふっ、おすすめがあるのだけど、食べてにいく?」
友奈「はいっ! 行きたいですっ!」
東郷「待って、待って友奈ちゃん……なんだか行ってはいけない気がするわ……」
東郷「――なんてことがあって」
園子「天さんのそういうところ子供っぽいよね~」
45:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/24(金) 00:07:11.97:1ik26PhiO (1/1)
乙
やっと辛いものも満足に食べられるようになった久遠さん
あと激辛饅頭のくだりって懐かしの一作目にもあったのを思い出すなぁ…
乙
やっと辛いものも満足に食べられるようになった久遠さん
あと激辛饅頭のくだりって懐かしの一作目にもあったのを思い出すなぁ…
46:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/24(金) 02:40:59.92:FajnywfZO (1/2)
乙
料理か
こんだけいればみんなで手料理ローテできるね!
乙
料理か
こんだけいればみんなで手料理ローテできるね!
47: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/24(金) 22:10:19.79:6OFQ55Xoo (1/7)
では少しだけ
では少しだけ
48: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/24(金) 22:17:03.51:6OFQ55Xoo (2/7)
天乃「あら、今は大人っぽく見えないかしら?」
友奈「そんなことはっ、ない、ですけど……」
天乃「んー――もしかして、味覚がないから食べられたんじゃないかって思ってるの?」
友奈「そ、そんなことないですっ」
最初こそ視線が下がる嘘っぽい否定をした友奈だったけれど
笑み交じりの悪戯っぽい天乃の疑問には、声を張り上げる
本当にそんなことは思っていない
ただ、あの時に気付けたのではないか。
そう、思ってしまっただけで
友奈「違うんです。久遠先輩は辛いのが好きだって聞いてましたし……ただ、その時に気付けたのかもしれないって思って」
天乃「まだ知り合い程度だった貴女が気付けるわけないでしょう?」
友奈「っ……」
天乃「私だって、さすがに誰にでも分かりやすいわけないじゃない。少しは隠せる自信があるわ」
天乃「あら、今は大人っぽく見えないかしら?」
友奈「そんなことはっ、ない、ですけど……」
天乃「んー――もしかして、味覚がないから食べられたんじゃないかって思ってるの?」
友奈「そ、そんなことないですっ」
最初こそ視線が下がる嘘っぽい否定をした友奈だったけれど
笑み交じりの悪戯っぽい天乃の疑問には、声を張り上げる
本当にそんなことは思っていない
ただ、あの時に気付けたのではないか。
そう、思ってしまっただけで
友奈「違うんです。久遠先輩は辛いのが好きだって聞いてましたし……ただ、その時に気付けたのかもしれないって思って」
天乃「まだ知り合い程度だった貴女が気付けるわけないでしょう?」
友奈「っ……」
天乃「私だって、さすがに誰にでも分かりやすいわけないじゃない。少しは隠せる自信があるわ」
49:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/24(金) 22:18:34.33:vBk1GXatO (1/2)
よっしゃ
よっしゃ
50: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/24(金) 22:24:19.84:6OFQ55Xoo (3/7)
実際、味覚が無いことは隠し通すことが出来ていたし
今だって、みんなに隠し事をする必要がないという前提があるからこそ、曝け出している
絶対に隠さなければならないこと―基本的にありえないが―がもしあったとしたら
天乃は全身全霊を持って隠し通して見せる
それを知ってしまうことが、みんなにとって最大限の不幸で
どうにもならないほどの宿命であるならば、一人で抱えるかもしれない
天乃「……でも、今は違うでしょう? 友奈」
友奈「久遠先輩……」
俯きがちな友奈の頬に手を添えて、上を向かせる
明るい笑みに差した影を払うように横髪を払う
天乃「夏凜だけじゃなく、友奈も、みんなも。私のことをよく知っているはずよ」
友奈「………」
天乃「それとも、そう思っているのは私だけで。友奈は私のことなんて知らないのかしら?」
友奈「知ってますっ」
天乃「だったら、そんな風に考える必要があるのかどうかだって、悩むまでもないことでしょ?」
実際、味覚が無いことは隠し通すことが出来ていたし
今だって、みんなに隠し事をする必要がないという前提があるからこそ、曝け出している
絶対に隠さなければならないこと―基本的にありえないが―がもしあったとしたら
天乃は全身全霊を持って隠し通して見せる
それを知ってしまうことが、みんなにとって最大限の不幸で
どうにもならないほどの宿命であるならば、一人で抱えるかもしれない
天乃「……でも、今は違うでしょう? 友奈」
友奈「久遠先輩……」
俯きがちな友奈の頬に手を添えて、上を向かせる
明るい笑みに差した影を払うように横髪を払う
天乃「夏凜だけじゃなく、友奈も、みんなも。私のことをよく知っているはずよ」
友奈「………」
天乃「それとも、そう思っているのは私だけで。友奈は私のことなんて知らないのかしら?」
友奈「知ってますっ」
天乃「だったら、そんな風に考える必要があるのかどうかだって、悩むまでもないことでしょ?」
51: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/24(金) 22:41:21.50:6OFQ55Xoo (4/7)
友奈「……ごめんなさい」
天乃「良いのよ。あれはあれで、みんなの中で結構重い話だったものね」
それこそ、勇者部が離散しかねないほどに影響のある話だった
もちろん神樹様の勇者という話や、犬吠埼夫妻のこと
そして、天乃の味覚を含めた戦いにおける後遺症と言うもの
色々なことが交錯していたあの時期のことは簡単に忘れられることではないし、
一つでも避けられたらどれだけ良かったのだろうかと、思ってしまうのも無理はない
天乃「私はせめて風には話しておくべきだったし、何なら……そもそも東郷や風の傍から離れるべきだった」
友奈「そしたら、久遠先輩は別の学校に通ってたんですよね?」
天乃「そうなるでしょうね。でも、大赦は目の届くところに置いておきたいだろうし……そう遠くなかったと思うわ」
ただ、天乃がしていたような積極的な戦闘への介入はさせて貰えなかっただろうし
それをしようものなら監禁されていたかもしれない……十中八九無駄だが。
天乃「もしもそうだったら、私……友奈たちとここまでの関係になってなかったと思うわ」
友奈「そう、ですよね」
天乃「ええ。世間体からしたら、あってはならないものだし」
友奈「……ごめんなさい」
天乃「良いのよ。あれはあれで、みんなの中で結構重い話だったものね」
それこそ、勇者部が離散しかねないほどに影響のある話だった
もちろん神樹様の勇者という話や、犬吠埼夫妻のこと
そして、天乃の味覚を含めた戦いにおける後遺症と言うもの
色々なことが交錯していたあの時期のことは簡単に忘れられることではないし、
一つでも避けられたらどれだけ良かったのだろうかと、思ってしまうのも無理はない
天乃「私はせめて風には話しておくべきだったし、何なら……そもそも東郷や風の傍から離れるべきだった」
友奈「そしたら、久遠先輩は別の学校に通ってたんですよね?」
天乃「そうなるでしょうね。でも、大赦は目の届くところに置いておきたいだろうし……そう遠くなかったと思うわ」
ただ、天乃がしていたような積極的な戦闘への介入はさせて貰えなかっただろうし
それをしようものなら監禁されていたかもしれない……十中八九無駄だが。
天乃「もしもそうだったら、私……友奈たちとここまでの関係になってなかったと思うわ」
友奈「そう、ですよね」
天乃「ええ。世間体からしたら、あってはならないものだし」
52: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/24(金) 23:06:28.25:6OFQ55Xoo (5/7)
友奈達との関係だって
ここまで深いつながりにまで至ったのは穢れによる影響が大きい
それさえなければ、もう少し清いお付き合いが出来ていたのでは。とは思う
それに、友奈たちと居なければ夏凜と会うことはなかったわけだし
そうしたら、以前、学校で男の子にされたような強引さに負けてしまって
異性とのお付き合いをしていたかもしれない
友奈「久遠先輩は……今の関係を後悔してるんですか?」
天乃「してるかしてないかで言えばしてるわ」
友奈「えっ」
天乃「だって、ベッドの上で主導権握られっぱなしなのよ? 悔しいじゃない」
友奈「あっそういう……」
天乃「なに?」
ほっと胸を撫で下ろした友奈は、
天乃の怪訝な問いに、いえいえなんでも。と、苦笑する
天乃を蝕む穢れを払うべく、無茶も無理も年齢制限も承知でみんなで勉強しあったのだ
その努力で磨き上げた技術がそう簡単に奪われるわけがない
ただ、確かに天乃との距離があればここまでではなかった。と、友奈は思う
友奈「でも、私は今のこの関係が凄く幸せです」
友奈達との関係だって
ここまで深いつながりにまで至ったのは穢れによる影響が大きい
それさえなければ、もう少し清いお付き合いが出来ていたのでは。とは思う
それに、友奈たちと居なければ夏凜と会うことはなかったわけだし
そうしたら、以前、学校で男の子にされたような強引さに負けてしまって
異性とのお付き合いをしていたかもしれない
友奈「久遠先輩は……今の関係を後悔してるんですか?」
天乃「してるかしてないかで言えばしてるわ」
友奈「えっ」
天乃「だって、ベッドの上で主導権握られっぱなしなのよ? 悔しいじゃない」
友奈「あっそういう……」
天乃「なに?」
ほっと胸を撫で下ろした友奈は、
天乃の怪訝な問いに、いえいえなんでも。と、苦笑する
天乃を蝕む穢れを払うべく、無茶も無理も年齢制限も承知でみんなで勉強しあったのだ
その努力で磨き上げた技術がそう簡単に奪われるわけがない
ただ、確かに天乃との距離があればここまでではなかった。と、友奈は思う
友奈「でも、私は今のこの関係が凄く幸せです」
53: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/24(金) 23:32:56.24:6OFQ55Xoo (6/7)
もしかしたら清く正しいお付き合いが出来ていたかもしれないし、
場合によっては異性と付き合っていたかもしれない。
だが、結局天乃は友奈たちの傍に来て関わって、深いつながりを持つようになった
明るく優しい先輩、運動神経だって決して悪くはないし頭もいい先輩
時に厳しかったりもするけれど、それは思ってくれているからこそだった
羨望の眼差しに映る背中は、とても凛々しく強くて
果てしなく遠い、頂に存在しているようにも思えた
けれど、それは死ぬことを厭わない
傷だらけになっても、足を奪われようとも、
立ち上がり前進し続ける不屈ではなく、捨て身の上に成り立っていた
その足を止めることが出来たこの関係を友奈は悔やまない
言ってしまえば、大人の世界に飛び込んだだけだ
聞けば高校生でだいぶ背伸びするようになるともいうし、危うさのある異性との早すぎる関わりではないだけマシだろう
友奈「色々大変な事もありますけど……なんて言えば良いのかな。その、ぽかぽかするので」
わたわたと手を振って、友奈は困ったように笑う
上手く言葉に出来ないけれど、でも、それが幸せということなのかもしれない
1、そう、良かったわ……破廉恥で嫌になるとか言われたら腹を切るしかなかった
2、ぽかぽかね。そうね、ぽかぽかするわね
3、ありがとね。見捨てないでくれて
4、でもその分、今みたいに不自由なのが嫌になっちゃわない?
↓2
もしかしたら清く正しいお付き合いが出来ていたかもしれないし、
場合によっては異性と付き合っていたかもしれない。
だが、結局天乃は友奈たちの傍に来て関わって、深いつながりを持つようになった
明るく優しい先輩、運動神経だって決して悪くはないし頭もいい先輩
時に厳しかったりもするけれど、それは思ってくれているからこそだった
羨望の眼差しに映る背中は、とても凛々しく強くて
果てしなく遠い、頂に存在しているようにも思えた
けれど、それは死ぬことを厭わない
傷だらけになっても、足を奪われようとも、
立ち上がり前進し続ける不屈ではなく、捨て身の上に成り立っていた
その足を止めることが出来たこの関係を友奈は悔やまない
言ってしまえば、大人の世界に飛び込んだだけだ
聞けば高校生でだいぶ背伸びするようになるともいうし、危うさのある異性との早すぎる関わりではないだけマシだろう
友奈「色々大変な事もありますけど……なんて言えば良いのかな。その、ぽかぽかするので」
わたわたと手を振って、友奈は困ったように笑う
上手く言葉に出来ないけれど、でも、それが幸せということなのかもしれない
1、そう、良かったわ……破廉恥で嫌になるとか言われたら腹を切るしかなかった
2、ぽかぽかね。そうね、ぽかぽかするわね
3、ありがとね。見捨てないでくれて
4、でもその分、今みたいに不自由なのが嫌になっちゃわない?
↓2
54:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/24(金) 23:42:11.68:FajnywfZO (2/2)
2
2
55:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/24(金) 23:45:28.88:vBk1GXatO (2/2)
3
3
56: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/24(金) 23:59:28.38:6OFQ55Xoo (7/7)
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば早い時間から
園子「私だけ天さんにしてやられたんよ~……」
東郷「大丈夫よそのっち、久遠先輩はコツさえ掴めば簡単にやり込めるわ」
風「天乃って人一倍敏感なのよね」
樹「ゆっくりじっくりがコツですよ。焦っちゃだめです」
夏凜「幸せ?」
友奈「あはは……でも、みんな楽しそうだから良いんじゃないかな」
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば早い時間から
園子「私だけ天さんにしてやられたんよ~……」
東郷「大丈夫よそのっち、久遠先輩はコツさえ掴めば簡単にやり込めるわ」
風「天乃って人一倍敏感なのよね」
樹「ゆっくりじっくりがコツですよ。焦っちゃだめです」
夏凜「幸せ?」
友奈「あはは……でも、みんな楽しそうだから良いんじゃないかな」
57:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/25(土) 00:10:27.48:qHU7mzVVO (1/1)
乙
友奈ちゃんも早くケガを治してイチャイチャに加われるといいなぁ
乙
友奈ちゃんも早くケガを治してイチャイチャに加われるといいなぁ
58:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/25(土) 07:59:39.53:LqtWVPBZO (1/1)
乙
乙
59: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/25(土) 21:13:52.12:2DcDDX3Ko (1/5)
では少しだけ
では少しだけ
60:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/25(土) 21:31:44.41:csbyMd/KO (1/1)
きてたか
きてたか
61: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/25(土) 22:27:39.27:2DcDDX3Ko (2/5)
天乃「ありがとね、見捨てないでくれて」
友奈「見捨てるなんて」
天乃「普通なら付き合いきれたものじゃなかったと思うわ」
自分で言うのもあれかもしれないが、
正直に言って、無謀が過ぎていたと思うし
任せるようになってからも、我儘を言っていいと言われたとしても望みすぎだったように思ってしまう
普通なら、付き合いきれないと見限られてもおかしくはなかった
けれど、勇者部のみんなはそうせずに、助けてくれた
最後まで付き合ってくれた
天乃「死にたがり、だったし」
友奈「久遠先輩はみんなのことを想ってくれてのことだったじゃないですか」
天乃「でも、見放されてもおかしくはないでしょう?」
友奈「それは……」
天乃「ありがとね、見捨てないでくれて」
友奈「見捨てるなんて」
天乃「普通なら付き合いきれたものじゃなかったと思うわ」
自分で言うのもあれかもしれないが、
正直に言って、無謀が過ぎていたと思うし
任せるようになってからも、我儘を言っていいと言われたとしても望みすぎだったように思ってしまう
普通なら、付き合いきれないと見限られてもおかしくはなかった
けれど、勇者部のみんなはそうせずに、助けてくれた
最後まで付き合ってくれた
天乃「死にたがり、だったし」
友奈「久遠先輩はみんなのことを想ってくれてのことだったじゃないですか」
天乃「でも、見放されてもおかしくはないでしょう?」
友奈「それは……」
62: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/25(土) 22:43:45.26:2DcDDX3Ko (3/5)
もし、執拗に戦闘参加を強行されていたら
もう付き合いきれないです。と、見捨てていただろうか
勝手にしてくださいとそっぽを向いていただろうか
友奈は考えてみてから、首を振る
友奈「やっぱりありえないですよ。見捨てるなんて出来ません」
天乃「……貴女達はね? そういう優しい子だもの」
友奈達が見捨てる可能性なんて考えていない天乃は
友奈の優しい反論に微笑みながら、ありがとう。と、答える
けれどやはり、一般的な考えからすれば
天乃のような考えと行動は否定されるものだろう
天乃「典型的な例が、大赦だわ」
友奈「大赦は……その、あまり一般的とは言えないような気が……」
天乃「ふふっ、そんなこと言うと監禁されて再教育されちゃうわよ」
友奈「ふぇっ!?」
天乃「冗談よ」
もし、執拗に戦闘参加を強行されていたら
もう付き合いきれないです。と、見捨てていただろうか
勝手にしてくださいとそっぽを向いていただろうか
友奈は考えてみてから、首を振る
友奈「やっぱりありえないですよ。見捨てるなんて出来ません」
天乃「……貴女達はね? そういう優しい子だもの」
友奈達が見捨てる可能性なんて考えていない天乃は
友奈の優しい反論に微笑みながら、ありがとう。と、答える
けれどやはり、一般的な考えからすれば
天乃のような考えと行動は否定されるものだろう
天乃「典型的な例が、大赦だわ」
友奈「大赦は……その、あまり一般的とは言えないような気が……」
天乃「ふふっ、そんなこと言うと監禁されて再教育されちゃうわよ」
友奈「ふぇっ!?」
天乃「冗談よ」
63: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/25(土) 23:04:40.08:2DcDDX3Ko (4/5)
以前はともかく、今の大赦にそんな余裕などない
それに、以前か今か関係なしに
友奈達に手を出そうというのなら天乃が相手になるし
そうなってくると、最も容赦のない九尾が出てくることになるわけで……
天乃はそこまで考えて、苦笑する
天乃「もしも何かされそうになったら、すぐに助けられるように用意はしておくわ」
友奈「若葉さん達ですか?」
天乃「九尾よ」
友奈「……大丈夫でしょうか?」
天乃「大丈夫よ」
穏便にお願い。と言っておけば、
渋々ながら穏便に済ませてくれる
それでも執拗以上に来るというのであれば、死ぬ覚悟はできているはずだ
もちろん、天乃は殺させるつもりはないが
天乃「とにかくそう言うことよ。友奈……ありがとう」
友奈「いえ……お役に立てて、嬉しいです」
以前はともかく、今の大赦にそんな余裕などない
それに、以前か今か関係なしに
友奈達に手を出そうというのなら天乃が相手になるし
そうなってくると、最も容赦のない九尾が出てくることになるわけで……
天乃はそこまで考えて、苦笑する
天乃「もしも何かされそうになったら、すぐに助けられるように用意はしておくわ」
友奈「若葉さん達ですか?」
天乃「九尾よ」
友奈「……大丈夫でしょうか?」
天乃「大丈夫よ」
穏便にお願い。と言っておけば、
渋々ながら穏便に済ませてくれる
それでも執拗以上に来るというのであれば、死ぬ覚悟はできているはずだ
もちろん、天乃は殺させるつもりはないが
天乃「とにかくそう言うことよ。友奈……ありがとう」
友奈「いえ……お役に立てて、嬉しいです」
64: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/25(土) 23:44:29.43:2DcDDX3Ko (5/5)
友奈「でも、多分ですけど……久遠先輩がいなければ私達の誰かが同じことしていたと思います」
天乃「私が別の学校だったらって話の続きかしら」
友奈「いえ、それ以前の話です」
久遠家の過去の話を調べて、
生き残り続ける難しさを知って
正直な話、久遠家がここまで残ることが出来たのは奇跡と言ってもいいだろう
ゆえに、何らかの弊害で途絶えていたら天乃はここに居なかった
そうなっていた場合、自分たちはどうなっていただろうかと……友奈は少しだけ考えた
特に、神婚のことだってそう
天乃がいたから、そのすべてが天乃に向かっただけで
そうでなければ誰かが抱えることになっていた問題だ
友奈「満開のことも、神婚のことも、久遠先輩がいなかったらもっと大惨事だったと思うので……」
天乃「私の穢れ以上に危険なことってあるのかしら?」
友奈「もしかしたら、東郷さんが神樹様を攻撃していたりするかもしれないですよ」
天乃「私に向いてる分、友奈のことを大事に思っていたらありえない話でもないわね」
友奈「でも、多分ですけど……久遠先輩がいなければ私達の誰かが同じことしていたと思います」
天乃「私が別の学校だったらって話の続きかしら」
友奈「いえ、それ以前の話です」
久遠家の過去の話を調べて、
生き残り続ける難しさを知って
正直な話、久遠家がここまで残ることが出来たのは奇跡と言ってもいいだろう
ゆえに、何らかの弊害で途絶えていたら天乃はここに居なかった
そうなっていた場合、自分たちはどうなっていただろうかと……友奈は少しだけ考えた
特に、神婚のことだってそう
天乃がいたから、そのすべてが天乃に向かっただけで
そうでなければ誰かが抱えることになっていた問題だ
友奈「満開のことも、神婚のことも、久遠先輩がいなかったらもっと大惨事だったと思うので……」
天乃「私の穢れ以上に危険なことってあるのかしら?」
友奈「もしかしたら、東郷さんが神樹様を攻撃していたりするかもしれないですよ」
天乃「私に向いてる分、友奈のことを大事に思っていたらありえない話でもないわね」
65: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/26(日) 00:03:41.79:SC3cfZcCo (1/10)
天乃の穢れと違い、神樹様に直接的な危害を加えることは出来ないだろう
であれば、出来るとしたら壁の破壊だ
満開の真実を知る時期が時期であれば、間違いなくそんな暴挙に出ていただろうし、
神婚の対象が友奈であっても同様だったかもしれない
友奈は話の内容にそぐわない笑顔を浮かべると
僅かに唇を結んで、天乃を見る
友奈「なので、その……こういうのは変かもしれないですけど、ありがとうございます」
天乃「互いに助け合って支え合って……だったのね」
友奈「はいっ」
元気よく笑顔を見せる友奈は、
しかし、体の動きは最小限に止めようとしているせいか、少しぎこちなく見える
普通なら見捨てられていた。という天乃の話が
友奈からすると、あまりいい話ではなかったというのもあるだろう
天乃「……早く良くなるように、安静にしてるのよ?」
友奈「任せてください」
天乃「いつも元気な貴女に任せるのは、ちょっと不安になるんだけど……」
友奈「そんなぁ……」
天乃「冗談よ。大丈夫、私よりは無茶をしないって信じてるわ」
天乃の穢れと違い、神樹様に直接的な危害を加えることは出来ないだろう
であれば、出来るとしたら壁の破壊だ
満開の真実を知る時期が時期であれば、間違いなくそんな暴挙に出ていただろうし、
神婚の対象が友奈であっても同様だったかもしれない
友奈は話の内容にそぐわない笑顔を浮かべると
僅かに唇を結んで、天乃を見る
友奈「なので、その……こういうのは変かもしれないですけど、ありがとうございます」
天乃「互いに助け合って支え合って……だったのね」
友奈「はいっ」
元気よく笑顔を見せる友奈は、
しかし、体の動きは最小限に止めようとしているせいか、少しぎこちなく見える
普通なら見捨てられていた。という天乃の話が
友奈からすると、あまりいい話ではなかったというのもあるだろう
天乃「……早く良くなるように、安静にしてるのよ?」
友奈「任せてください」
天乃「いつも元気な貴女に任せるのは、ちょっと不安になるんだけど……」
友奈「そんなぁ……」
天乃「冗談よ。大丈夫、私よりは無茶をしないって信じてるわ」
66: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/26(日) 00:04:27.49:SC3cfZcCo (2/10)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから
67:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/26(日) 00:10:08.46:w6jqv89CO (1/1)
乙
勇者部の運命を久遠さんが変えたように、それで破滅しそうになる久遠さんの運命を勇者部が変えた
お互いの成長がお互いを救ったんだよな…
乙
勇者部の運命を久遠さんが変えたように、それで破滅しそうになる久遠さんの運命を勇者部が変えた
お互いの成長がお互いを救ったんだよな…
68:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/26(日) 01:18:56.01:19198FeOO (1/1)
乙
友奈も早く治るといいなあ
乙
友奈も早く治るといいなあ
69: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/26(日) 19:17:09.88:SC3cfZcCo (3/10)
遅くなりましたが、少しずつ
遅くなりましたが、少しずつ
70:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/26(日) 19:25:34.12:BIFAQ3UaO (1/4)
やったぜ
やったぜ
71: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/26(日) 19:32:49.85:SC3cfZcCo (4/10)
友奈「久遠先輩以上の無茶なんて、そんなに出来ることじゃないですよ」
死ぬ覚悟を持ち、
死なずとも数ヶ月もの間血反吐を吐いてもがき苦しむような無茶
もはや無茶ではなく、無理というべき行為は、到底出来ることではない
生き地獄であるそれに比べれば、
神様に身を捧げる神婚という昇華はまだ救いがあると思えるほどだ
友奈「久遠先輩も、もうそういうことは絶対にしないでください」
天乃「残念……というか、私はもうできる体じゃないわ」
友奈「だからこそですっ」
出来る体かどうかなんて二の次で
みんなを護るためならば……というのが天乃なのだから
体が無理とか言うのはまるで信用できないのだ
天乃「大丈夫、大丈夫よ。お母さん、なんだもの」
天乃は思いに耽るように、静かに呟く
体が無理できないのもそうだが、
大切な仲間の力を受け止め、壮絶な思いをして産んだ二人の子供がいる
その子たちを置いて死ぬことの何が、良いことなのか
犬吠埼夫妻だって、死のうとして亡くなったわけじゃない
同列に語るべきことではないと理解しつつ、天乃は夫妻を想う
天乃「私の命も体も。もう自分だけで同行して良いものじゃないことは十分解っているつもりだから。安心して」
友奈「久遠先輩以上の無茶なんて、そんなに出来ることじゃないですよ」
死ぬ覚悟を持ち、
死なずとも数ヶ月もの間血反吐を吐いてもがき苦しむような無茶
もはや無茶ではなく、無理というべき行為は、到底出来ることではない
生き地獄であるそれに比べれば、
神様に身を捧げる神婚という昇華はまだ救いがあると思えるほどだ
友奈「久遠先輩も、もうそういうことは絶対にしないでください」
天乃「残念……というか、私はもうできる体じゃないわ」
友奈「だからこそですっ」
出来る体かどうかなんて二の次で
みんなを護るためならば……というのが天乃なのだから
体が無理とか言うのはまるで信用できないのだ
天乃「大丈夫、大丈夫よ。お母さん、なんだもの」
天乃は思いに耽るように、静かに呟く
体が無理できないのもそうだが、
大切な仲間の力を受け止め、壮絶な思いをして産んだ二人の子供がいる
その子たちを置いて死ぬことの何が、良いことなのか
犬吠埼夫妻だって、死のうとして亡くなったわけじゃない
同列に語るべきことではないと理解しつつ、天乃は夫妻を想う
天乃「私の命も体も。もう自分だけで同行して良いものじゃないことは十分解っているつもりだから。安心して」
72: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/26(日) 20:06:51.45:SC3cfZcCo (5/10)
友奈「すみません、解ってはいたんですけど……」
天乃「安心できないのも一理あるから気にしないで」
自分で言うのもあれだけれど、
あの友奈までもがちょっぴり疑いたくなってしまう気持ちは理解できる
それほどに、散々なことをやってきたのだ
天乃「中々会いに来てあげられなくてごめんね」
友奈「いえ、久遠先輩も大変そうですし」
天乃「……それも聞いてるの?」
友奈「そうですね、色々と……その、話に来てくれるので」
友奈の状況を考えて、さすがに直接的に及んだことを口にしてはいないだろう
しかし聡い友奈は、心から満足気な表情
弾んだ声色から、天乃かまって貰えた。ということくらいは察しが付く
友奈「みんなは気付いてるか分からないですけど、えっちの次の日とか、久遠先輩の名前を言うだけで赤くなったりしますよ」
天乃「へぇ……」
1、それは友奈もかしら?
2、あら、それは……確かめてみたくなるわね
3、焦らして悪いけれど、友奈は退院してからね?
4、みんな自分は違うって思っているんじゃないかしら
↓2
友奈「すみません、解ってはいたんですけど……」
天乃「安心できないのも一理あるから気にしないで」
自分で言うのもあれだけれど、
あの友奈までもがちょっぴり疑いたくなってしまう気持ちは理解できる
それほどに、散々なことをやってきたのだ
天乃「中々会いに来てあげられなくてごめんね」
友奈「いえ、久遠先輩も大変そうですし」
天乃「……それも聞いてるの?」
友奈「そうですね、色々と……その、話に来てくれるので」
友奈の状況を考えて、さすがに直接的に及んだことを口にしてはいないだろう
しかし聡い友奈は、心から満足気な表情
弾んだ声色から、天乃かまって貰えた。ということくらいは察しが付く
友奈「みんなは気付いてるか分からないですけど、えっちの次の日とか、久遠先輩の名前を言うだけで赤くなったりしますよ」
天乃「へぇ……」
1、それは友奈もかしら?
2、あら、それは……確かめてみたくなるわね
3、焦らして悪いけれど、友奈は退院してからね?
4、みんな自分は違うって思っているんじゃないかしら
↓2
73:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/26(日) 20:09:30.99:BIFAQ3UaO (2/4)
2
2
74:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/26(日) 20:11:11.30:GpEIxeup0 (1/2)
2
2
75: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/26(日) 21:20:27.68:SC3cfZcCo (6/10)
天乃「あら、それは……確かめてみたくなるわね」
友奈「久遠先輩には難しいと思いますよ」
天乃「どうして?」
友奈「久遠先輩と直接話してるだけで……思い出しちゃうので」
友奈は照れくさそうに笑うと、
腰を支える枕をぎゅっと押しつぶす
することを考えていないという前提ならともかく
考えているときや、
した後、翌日などはさすがに羞恥心を感じずにはいられない
それも、押しの強い子に限って
やりすぎてしまった……と、ちょっとだけ罪悪感を覚えてしまうものなのだが
その分、久遠先輩は可愛かっただの、エッチだっただの考えてしまう
友奈「無理ではないと思いますけど……特別というより、いつも通りですね」
天乃「そう……」
友奈「見て、みたいですか?」
天乃「いつも見ているのなら、そういう顔でみんなと話しているのね。という感じなのだけど……」
天乃「あら、それは……確かめてみたくなるわね」
友奈「久遠先輩には難しいと思いますよ」
天乃「どうして?」
友奈「久遠先輩と直接話してるだけで……思い出しちゃうので」
友奈は照れくさそうに笑うと、
腰を支える枕をぎゅっと押しつぶす
することを考えていないという前提ならともかく
考えているときや、
した後、翌日などはさすがに羞恥心を感じずにはいられない
それも、押しの強い子に限って
やりすぎてしまった……と、ちょっとだけ罪悪感を覚えてしまうものなのだが
その分、久遠先輩は可愛かっただの、エッチだっただの考えてしまう
友奈「無理ではないと思いますけど……特別というより、いつも通りですね」
天乃「そう……」
友奈「見て、みたいですか?」
天乃「いつも見ているのなら、そういう顔でみんなと話しているのね。という感じなのだけど……」
76: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/26(日) 21:40:43.19:SC3cfZcCo (7/10)
他のみんなとどういう風に話しているのかは、ちょっとだけ気になると、天乃は悩む
エッチのあとの様子そのまま……というわけではないだろうし
そこまで違いはないとは思うけれど、
やはり、天乃とみんなで話すときの様子は変わってくるはずだ
誇らしげだったり、楽しげだったり
天乃がその場に居たら耳を塞ぎ頭を抱えたくなるかもしれないが、興味はある
天乃「私の前とみんなの前ではやっぱり違うと思うのよ」
友奈「そう、ですね……」
恥ずかしさからくる表情と、恍惚とした表情
それはやっぱり、違う
天乃「私としたことを話すときの表情、なのよね?」
友奈「え……? はい?」
天乃「………」
友奈「そんなに真剣に悩まなくても……」
他のみんなとどういう風に話しているのかは、ちょっとだけ気になると、天乃は悩む
エッチのあとの様子そのまま……というわけではないだろうし
そこまで違いはないとは思うけれど、
やはり、天乃とみんなで話すときの様子は変わってくるはずだ
誇らしげだったり、楽しげだったり
天乃がその場に居たら耳を塞ぎ頭を抱えたくなるかもしれないが、興味はある
天乃「私の前とみんなの前ではやっぱり違うと思うのよ」
友奈「そう、ですね……」
恥ずかしさからくる表情と、恍惚とした表情
それはやっぱり、違う
天乃「私としたことを話すときの表情、なのよね?」
友奈「え……? はい?」
天乃「………」
友奈「そんなに真剣に悩まなくても……」
77: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/26(日) 22:01:13.54:SC3cfZcCo (8/10)
思っていた以上に食いついて考え込む天乃は、
無意識なのか、自分の唇を指でぷにぷにと弄びながらささやかに唸る
友奈「………」
普段から、割と敵意以外に関して非常に無防備な天乃だが
今に関してはより、無防備で
友奈は引き倒したくなる情動を何とか飲み下す
それで天乃に嫌われることはないと確信している
だが、友奈自身の足が壊れてしまう
友奈「……むぅ」
考えに耽っている天乃の横顔は、とても凛々しく見える
エッチの時の可愛さとか、楽しそうな時の愛らしさとか
ふとした時の、綺麗さだとか
どれかに類するものではなく、邪魔をせず見ていたいと思うけれど
ちょっぴりもやもやしてしまう友奈は、人知れず頬を膨らませる
少し動くだけで、固定された足が動く
自分からはどうにもできないのが、もどかしかった
思っていた以上に食いついて考え込む天乃は、
無意識なのか、自分の唇を指でぷにぷにと弄びながらささやかに唸る
友奈「………」
普段から、割と敵意以外に関して非常に無防備な天乃だが
今に関してはより、無防備で
友奈は引き倒したくなる情動を何とか飲み下す
それで天乃に嫌われることはないと確信している
だが、友奈自身の足が壊れてしまう
友奈「……むぅ」
考えに耽っている天乃の横顔は、とても凛々しく見える
エッチの時の可愛さとか、楽しそうな時の愛らしさとか
ふとした時の、綺麗さだとか
どれかに類するものではなく、邪魔をせず見ていたいと思うけれど
ちょっぴりもやもやしてしまう友奈は、人知れず頬を膨らませる
少し動くだけで、固定された足が動く
自分からはどうにもできないのが、もどかしかった
78: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/26(日) 22:37:49.66:SC3cfZcCo (9/10)
天乃「ねぇ、それってもしかして私も――友奈?」
友奈「は、はいっ!」
天乃「あ……ごめんね。余計な事考えちゃって」
友奈「ぅ……」
天乃「確かに、そこまで考えることじゃないわよね」
友奈のことを放っておいて……というのはさすがに飲み込む
誰だって、自分をほっぽっていかれたら嫌だろう
そうした側が、茶化すように言うのは聊か狡い
けれど、だからと言って申し訳なさそうにされるのは嫌で、友奈の頬に手を添える
友奈「えっ、ぁっ」
天乃「ん?」
目を逸らし、顔を背けようとするから支える程度の力で自分へと目を向けさせて、微笑む
柔らかい頬はすべすべとしていて、良く手に馴染んでくれる
友奈「ふぇっ、ぁ、えっ?」
驚いているのは、内心を悟られたからではなく
触れたからだろう
1、頭を撫でる
2、キスをする
3、友奈も、嫉妬するのね
4、退院した後が、楽しみね
↓2
天乃「ねぇ、それってもしかして私も――友奈?」
友奈「は、はいっ!」
天乃「あ……ごめんね。余計な事考えちゃって」
友奈「ぅ……」
天乃「確かに、そこまで考えることじゃないわよね」
友奈のことを放っておいて……というのはさすがに飲み込む
誰だって、自分をほっぽっていかれたら嫌だろう
そうした側が、茶化すように言うのは聊か狡い
けれど、だからと言って申し訳なさそうにされるのは嫌で、友奈の頬に手を添える
友奈「えっ、ぁっ」
天乃「ん?」
目を逸らし、顔を背けようとするから支える程度の力で自分へと目を向けさせて、微笑む
柔らかい頬はすべすべとしていて、良く手に馴染んでくれる
友奈「ふぇっ、ぁ、えっ?」
驚いているのは、内心を悟られたからではなく
触れたからだろう
1、頭を撫でる
2、キスをする
3、友奈も、嫉妬するのね
4、退院した後が、楽しみね
↓2
79:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/26(日) 22:40:58.46:GpEIxeup0 (2/2)
4
4
80:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/26(日) 22:44:15.33:BIFAQ3UaO (3/4)
2
2
81: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/26(日) 22:59:13.66:SC3cfZcCo (10/10)
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
もう少しだけ友奈との時間
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
もう少しだけ友奈との時間
82:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/26(日) 23:03:43.89:BIFAQ3UaO (4/4)
乙
友奈ちゃんはしばらくこれからのイベントに不参加なのは寂しいけど今は治すことに専念させないとな
乙
友奈ちゃんはしばらくこれからのイベントに不参加なのは寂しいけど今は治すことに専念させないとな
83:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/27(月) 02:32:04.72:afIa3gAlO (1/1)
乙
退院前に好きにしちゃっていいぞ
乙
退院前に好きにしちゃっていいぞ
84: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/27(月) 20:47:40.45:uIUAitJLo (1/8)
では少しだけ
では少しだけ
85: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/27(月) 21:03:05.83:uIUAitJLo (2/8)
天乃「友奈」
友奈「く――……」
ベッドに手をついて、身を乗り出した天乃の唇が友奈に唇に重なる
唇だけの、ささやかな接吻
天乃「っふ……」
ほんの数秒でしかない時間
けれど、友奈には果てしないもののように感じられて――空気を読んだかのように、パイプ椅子がカタンっと音を立てた
友奈「ぁっ……えっ? えっ?」
天乃「そんな驚くようなことじゃないでしょう?」
友奈「で、でも……だって……」
友奈は自分の唇に触れると、
困惑したように言葉にならない声を漏らす
今されたのはキスだ、間違いなく
するのもされるのもおかしいことではない
それでも友奈は戸惑って、呆然としてしまう
心の準備がなければ、友奈はただの少女だった
天乃「友奈」
友奈「く――……」
ベッドに手をついて、身を乗り出した天乃の唇が友奈に唇に重なる
唇だけの、ささやかな接吻
天乃「っふ……」
ほんの数秒でしかない時間
けれど、友奈には果てしないもののように感じられて――空気を読んだかのように、パイプ椅子がカタンっと音を立てた
友奈「ぁっ……えっ? えっ?」
天乃「そんな驚くようなことじゃないでしょう?」
友奈「で、でも……だって……」
友奈は自分の唇に触れると、
困惑したように言葉にならない声を漏らす
今されたのはキスだ、間違いなく
するのもされるのもおかしいことではない
それでも友奈は戸惑って、呆然としてしまう
心の準備がなければ、友奈はただの少女だった
86:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/27(月) 21:16:12.10:fmFjLuV3O (1/3)
きてたー
きてたー
87: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/27(月) 21:37:06.22:uIUAitJLo (3/8)
友奈「ど、どうして……」
天乃「どうしてと言われると困るのだけど……そうね。したかったから、かな?」
気恥ずかしさに頬を染める友奈の一方で、天乃は余裕ありげに微笑んで見せる
友奈とはあまり話すことも顔を合わせることも出来ていない
だから、キスをする
――なんて、単純ではない
普段なら出来ることも今は出来ないせいか、
ちょっとだけ話が反れてしまったことにむっとしてしまうほど、欲求不満になっている
みんなが幸せそうに笑っている……なら、友奈はそれをどう聞いているのか
きっと笑顔で聞いているだろうし、良かったね。と、本心で言うだろう
しかし、それで友奈が満たされるのかと言えば、そんなことはないと天乃は思う
少なくとも、自分が友奈の立場であればそれくらいはしても良いんじゃないかと求めたくなる
だから、天乃はキスをした
自分がその立場なら、したかったはずだから。と
友奈「き、キスなんてみんなとしてるじゃないですか」
天乃「そうだけど、みんなはみんなで友奈は友奈よ。唇の感触が違うわ」
友奈「ど、どうして……」
天乃「どうしてと言われると困るのだけど……そうね。したかったから、かな?」
気恥ずかしさに頬を染める友奈の一方で、天乃は余裕ありげに微笑んで見せる
友奈とはあまり話すことも顔を合わせることも出来ていない
だから、キスをする
――なんて、単純ではない
普段なら出来ることも今は出来ないせいか、
ちょっとだけ話が反れてしまったことにむっとしてしまうほど、欲求不満になっている
みんなが幸せそうに笑っている……なら、友奈はそれをどう聞いているのか
きっと笑顔で聞いているだろうし、良かったね。と、本心で言うだろう
しかし、それで友奈が満たされるのかと言えば、そんなことはないと天乃は思う
少なくとも、自分が友奈の立場であればそれくらいはしても良いんじゃないかと求めたくなる
だから、天乃はキスをした
自分がその立場なら、したかったはずだから。と
友奈「き、キスなんてみんなとしてるじゃないですか」
天乃「そうだけど、みんなはみんなで友奈は友奈よ。唇の感触が違うわ」
88: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/27(月) 22:02:39.27:uIUAitJLo (4/8)
はっきりと、照れくささもなく天乃は言った
友奈も解ってるでしょ? とでも問いかけるような自然体で、柔らかい笑みを浮かべる
友奈はそれに気づかずに、自分の手を見つめる
唇に触れていた、人差し指
まだそこに残っている柔らかさは、触れ慣れてしまった感触
友奈「唇の、感触……」
天乃「ええ」
無意識にも感じる呟きに天乃は短い言葉で答え、友奈を見守る
快活さを表すようにほんのりと焼けた頬の色はまだほんのりと朱色が混じり、
天乃よりも大きい……けれど、まだ小さな手がもう一度唇に触れる
今度は押し込むように、疑似的なキスを感じるように。
そうして、友奈ははっとして天乃を見る
友奈「わ、わから、無いですっ」
天乃「うん?」
友奈「解らないです……その、全然、解りませんっ」
はっきりと、照れくささもなく天乃は言った
友奈も解ってるでしょ? とでも問いかけるような自然体で、柔らかい笑みを浮かべる
友奈はそれに気づかずに、自分の手を見つめる
唇に触れていた、人差し指
まだそこに残っている柔らかさは、触れ慣れてしまった感触
友奈「唇の、感触……」
天乃「ええ」
無意識にも感じる呟きに天乃は短い言葉で答え、友奈を見守る
快活さを表すようにほんのりと焼けた頬の色はまだほんのりと朱色が混じり、
天乃よりも大きい……けれど、まだ小さな手がもう一度唇に触れる
今度は押し込むように、疑似的なキスを感じるように。
そうして、友奈ははっとして天乃を見る
友奈「わ、わから、無いですっ」
天乃「うん?」
友奈「解らないです……その、全然、解りませんっ」
89: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/27(月) 22:33:25.49:uIUAitJLo (5/8)
心の準備が出来ていなかった友奈の精一杯
足に配慮しすぎた最小限の動きは、体を天乃へと向けることは出来ていないけれど
追い求めるような友奈の表情は、天乃の瞳にしっかりと映っている
友奈「久遠先輩ほど、経験がないので……」
自分が何を言っているのか分からなくなりそうなほど煩くて、
体を熱っぽくしてしまう心を抑えるように、胸に手を当てて……友奈は息を飲む
友奈「どういうのが、久遠先輩の唇かわかりません」
天乃「……そうなの?」
友奈「っ」
天乃の手が友奈の唇に触れる
爪は奇麗に切り添えられていて、ちょっぴり柔らかいだけの硬さを感じる指先
口の端を圧して開こうとしているような指は横に逸れて、頬を支える
さっきと同じように、キスをするお膳立て
天乃「友奈は初めてした時のこと、あんまり覚えていないの?」
友奈「それはっ、覚えて……ます、けど……」
友奈の頬は紅く、熱く
手を離せば簡単にそっぽを向いてしまいそうな雰囲気で
天乃は小さく笑みをこぼすと、ごめんなさい。と、囁く
友奈「え――」
そしてもう一度、準備が出来ていない友奈の唇を奪った
心の準備が出来ていなかった友奈の精一杯
足に配慮しすぎた最小限の動きは、体を天乃へと向けることは出来ていないけれど
追い求めるような友奈の表情は、天乃の瞳にしっかりと映っている
友奈「久遠先輩ほど、経験がないので……」
自分が何を言っているのか分からなくなりそうなほど煩くて、
体を熱っぽくしてしまう心を抑えるように、胸に手を当てて……友奈は息を飲む
友奈「どういうのが、久遠先輩の唇かわかりません」
天乃「……そうなの?」
友奈「っ」
天乃の手が友奈の唇に触れる
爪は奇麗に切り添えられていて、ちょっぴり柔らかいだけの硬さを感じる指先
口の端を圧して開こうとしているような指は横に逸れて、頬を支える
さっきと同じように、キスをするお膳立て
天乃「友奈は初めてした時のこと、あんまり覚えていないの?」
友奈「それはっ、覚えて……ます、けど……」
友奈の頬は紅く、熱く
手を離せば簡単にそっぽを向いてしまいそうな雰囲気で
天乃は小さく笑みをこぼすと、ごめんなさい。と、囁く
友奈「え――」
そしてもう一度、準備が出来ていない友奈の唇を奪った
90: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/27(月) 23:19:13.42:uIUAitJLo (6/8)
友奈「っはっ……」
今度は少しだけ長い時間重なっていた唇
キスの間の呼吸も忘れていた友奈は離れた途端に大きく息を吸い込む
悪戯好きの子供のように唇を撫でていく空気はどこかくすぐったくて……
唇の感触をより、強調させられてしまう
友奈「はふ……っ」
天乃「どう? 覚えてくれた?」
友奈「ぁっ、えっと」
天乃「別に忘れてくれてもいいのよ?」
友奈「そんなこと、出来ないです……」
天乃の手は友奈に触れたままで
まだ、吐息が重なりそうな距離
少しだけ体を動かせばキスが出来そうなその僅かな隙間も埋められない友奈は、目を伏せる
忘れられない、忘れられるわけがないし忘れたくない
たとえ、神樹様の力であっても奪わせない
天乃「そう……忘れてくれたらもう一回してあげたのに」
友奈「えっ!?」
天乃「冗談よ。忘れなくてもしてあげる」
体を交えることが出来ない分、唇を合わせて誤魔化す。
もどかしさは拭えないけれど、寂しくはないし嫌でもない
友奈「退院するまで、頑張って勉強しておきますね?」
天乃「ええ、友奈はまだ学生だものね。しっかり勉強しておきなさい」
友奈「……そうですね。みんなに負けていられないのでっ」
樹にも、東郷にも、風にも、園子にも
そして夏凜にも
後れを取らないように勉強すると、友奈は笑みを浮かべた
友奈「っはっ……」
今度は少しだけ長い時間重なっていた唇
キスの間の呼吸も忘れていた友奈は離れた途端に大きく息を吸い込む
悪戯好きの子供のように唇を撫でていく空気はどこかくすぐったくて……
唇の感触をより、強調させられてしまう
友奈「はふ……っ」
天乃「どう? 覚えてくれた?」
友奈「ぁっ、えっと」
天乃「別に忘れてくれてもいいのよ?」
友奈「そんなこと、出来ないです……」
天乃の手は友奈に触れたままで
まだ、吐息が重なりそうな距離
少しだけ体を動かせばキスが出来そうなその僅かな隙間も埋められない友奈は、目を伏せる
忘れられない、忘れられるわけがないし忘れたくない
たとえ、神樹様の力であっても奪わせない
天乃「そう……忘れてくれたらもう一回してあげたのに」
友奈「えっ!?」
天乃「冗談よ。忘れなくてもしてあげる」
体を交えることが出来ない分、唇を合わせて誤魔化す。
もどかしさは拭えないけれど、寂しくはないし嫌でもない
友奈「退院するまで、頑張って勉強しておきますね?」
天乃「ええ、友奈はまだ学生だものね。しっかり勉強しておきなさい」
友奈「……そうですね。みんなに負けていられないのでっ」
樹にも、東郷にも、風にも、園子にも
そして夏凜にも
後れを取らないように勉強すると、友奈は笑みを浮かべた
91: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/27(月) 23:20:56.40:uIUAitJLo (7/8)
√ 2月20日目 夕(病院) ※日曜日
01~10
11~20 夏凜
21~30
31~40 沙織
41~50 東郷
51~60
61~70
71~80 樹
81~90
91~00 風
↓1のコンマ
√ 2月20日目 夕(病院) ※日曜日
01~10
11~20 夏凜
21~30
31~40 沙織
41~50 東郷
51~60
61~70
71~80 樹
81~90
91~00 風
↓1のコンマ
92:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/27(月) 23:25:58.85:fmFjLuV3O (2/3)
あ
あ
93: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/27(月) 23:37:46.06:uIUAitJLo (8/8)
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
ちょっとだけ風交流
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
ちょっとだけ風交流
94:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/27(月) 23:41:42.50:fmFjLuV3O (3/3)
乙
風先輩がちょいちょい出番ある反面、最近さおりん見かけないな
乙
風先輩がちょいちょい出番ある反面、最近さおりん見かけないな
95:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/28(火) 06:06:38.08:dizvg7ILO (1/1)
乙
乙
96: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/28(火) 23:41:51.61:a23qOWY9o (1/1)
すみませんが、本日はお休みとさせてください
明日はできればお昼ごろから
すみませんが、本日はお休みとさせてください
明日はできればお昼ごろから
97:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/28(火) 23:45:50.80:Sj0r5lOjO (1/1)
乙ですー
乙ですー
98:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/29(水) 16:25:39.10:AjmnCRxRO (1/1)
今更サービスページのおまけ見たけど最高だった
ありがとうございます!
今更サービスページのおまけ見たけど最高だった
ありがとうございます!
99: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/29(水) 18:55:19.03:MCF7OIhto (1/11)
遅くなりましたが、少しだけ
遅くなりましたが、少しだけ
100:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/29(水) 19:19:16.24:6qu3VBSfO (1/3)
あいあいさ
あいあいさ
101: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/29(水) 19:23:29.06:MCF7OIhto (2/11)
√ 2月20日目 夕(病院) ※日曜日
天乃「あら……」
星乃「ぁぁぅ……?」
天乃「しーっ」
友奈の部屋から戻った天乃は、
自分のベッドの光景に思わず声を漏らして、目を開けた愛娘に微笑む
指を差し出してあげると、嬉しそうにつかんで握る
小さな手は、温かい
天乃「ごめんね?」
月乃「ぅぅぅ」
天乃「そう」
お昼に離れてからも風hずっと付き合ってくれていたのだろう
可愛らしい顔には、母親への不満を感じない
けれど……それは言葉がないだけかもしれない
あまり任せっきりにするのも考えものよね。と、頷く
天乃「あっちのママ、好き?」
星乃「ぁぁぃっ」
天乃「良かった」
√ 2月20日目 夕(病院) ※日曜日
天乃「あら……」
星乃「ぁぁぅ……?」
天乃「しーっ」
友奈の部屋から戻った天乃は、
自分のベッドの光景に思わず声を漏らして、目を開けた愛娘に微笑む
指を差し出してあげると、嬉しそうにつかんで握る
小さな手は、温かい
天乃「ごめんね?」
月乃「ぅぅぅ」
天乃「そう」
お昼に離れてからも風hずっと付き合ってくれていたのだろう
可愛らしい顔には、母親への不満を感じない
けれど……それは言葉がないだけかもしれない
あまり任せっきりにするのも考えものよね。と、頷く
天乃「あっちのママ、好き?」
星乃「ぁぁぃっ」
天乃「良かった」
102: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/29(水) 20:07:51.25:MCF7OIhto (3/11)
抱きかかえて指さした先、
天乃のベッドで横になっている風を見た星乃は、明るく答えてくれる
天乃の枕を抱きしめて、横になっている風の手元には
直前まで遊んでいたであろう鈴が転がっていて
寝たというよりは、寝落ちしたのだろうと、天乃は察する
天乃「ありがとうね」
風「ん……」
星乃「ぁぅ~」
天乃「ふふっ」
星乃と月乃の二人をベッドから抱き上げて、風の傍に寝かせる
風の身体が下手に寝返りを打たないようにと警戒しつつ、子供たちに任せてあげると、
双子は揃って、風の頬をぺちぺちと叩き
髪を触って、引っ張る
天乃「あっ」
風「っ」
星乃「ぁぁぅ~」
月乃「ぅ~ぅっ」
星乃が髪を引っ張って、月乃が風の鼻をぐっと指で押し込む
息苦しさか痛みか、
唸るような声を漏らしながら、風は目を開く
抱きかかえて指さした先、
天乃のベッドで横になっている風を見た星乃は、明るく答えてくれる
天乃の枕を抱きしめて、横になっている風の手元には
直前まで遊んでいたであろう鈴が転がっていて
寝たというよりは、寝落ちしたのだろうと、天乃は察する
天乃「ありがとうね」
風「ん……」
星乃「ぁぅ~」
天乃「ふふっ」
星乃と月乃の二人をベッドから抱き上げて、風の傍に寝かせる
風の身体が下手に寝返りを打たないようにと警戒しつつ、子供たちに任せてあげると、
双子は揃って、風の頬をぺちぺちと叩き
髪を触って、引っ張る
天乃「あっ」
風「っ」
星乃「ぁぁぅ~」
月乃「ぅ~ぅっ」
星乃が髪を引っ張って、月乃が風の鼻をぐっと指で押し込む
息苦しさか痛みか、
唸るような声を漏らしながら、風は目を開く
103: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/29(水) 20:52:57.19:MCF7OIhto (4/11)
風「なに――」
天乃「だめよ」
風「ぇ……?」
風の上げかけた腕を掴んで抑える
寝ぼけた拍子に二人を弾き飛ばされてしまっては困る
それならベッドにあげるなという話ではあるけれど
二人が触りたがったのだから仕方がない
星乃「ぁぁぅ~っ」
月乃「あぁぉ~っ」
風「ん……ぁっ」
はっと気づいた風の手を離して微笑む天乃は
まだ風の顔を弄る子供たちを抱き上げて、ベッドへと戻す
流石に、まだ数ヶ月の子供たちをずっと自由にはさせておけない
ちょっぴり風の顔が引っ張られたけれど。
風「……寝てた?」
天乃「ええ」
風「ごめん……寝るつもりは」
天乃「良いわよ。みんなだっているし」
風「でも、精霊がいないのが普通だから」
風「なに――」
天乃「だめよ」
風「ぇ……?」
風の上げかけた腕を掴んで抑える
寝ぼけた拍子に二人を弾き飛ばされてしまっては困る
それならベッドにあげるなという話ではあるけれど
二人が触りたがったのだから仕方がない
星乃「ぁぁぅ~っ」
月乃「あぁぉ~っ」
風「ん……ぁっ」
はっと気づいた風の手を離して微笑む天乃は
まだ風の顔を弄る子供たちを抱き上げて、ベッドへと戻す
流石に、まだ数ヶ月の子供たちをずっと自由にはさせておけない
ちょっぴり風の顔が引っ張られたけれど。
風「……寝てた?」
天乃「ええ」
風「ごめん……寝るつもりは」
天乃「良いわよ。みんなだっているし」
風「でも、精霊がいないのが普通だから」
104: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/29(水) 21:13:46.48:MCF7OIhto (5/11)
天乃「そうだけど、さすがにずっと落ち着かないのは無理でしょう? この子達だって寝ていたみたいだし」
風が子供かどうかなんて関係はなく、
疲れは感じるだろうし、気を失うように眠ってしまうこともある
星乃と月乃はおとなしい子で
ベッドの端をよじ登っていくことはまだ出来ないし
子供達も天乃が戻ってくるまでは眠っていたのだ
風が少しくらい……と、休む気持ちになっても咎められることではないだろう
風が寝たときに、子供たちが寝ていたとは限らないけれど
風の手元に鈴が転がっていたということは、
風が眠った後にあやす道具が必要なかったということだろうし……
天乃「この子たちも、風のことは好きだって言ってるわ」
風「それは良かったけど」
天乃「この子たちを寝かしつけてからなんでしょ? 気にしないの」
風「まぁねぇ……ごめん、寝起きであんまり頭働いてないみたい」
天乃「起こさない方が良かったかしら」
風「逆に夜に寝れなくなるから、助かった」
天乃「そうだけど、さすがにずっと落ち着かないのは無理でしょう? この子達だって寝ていたみたいだし」
風が子供かどうかなんて関係はなく、
疲れは感じるだろうし、気を失うように眠ってしまうこともある
星乃と月乃はおとなしい子で
ベッドの端をよじ登っていくことはまだ出来ないし
子供達も天乃が戻ってくるまでは眠っていたのだ
風が少しくらい……と、休む気持ちになっても咎められることではないだろう
風が寝たときに、子供たちが寝ていたとは限らないけれど
風の手元に鈴が転がっていたということは、
風が眠った後にあやす道具が必要なかったということだろうし……
天乃「この子たちも、風のことは好きだって言ってるわ」
風「それは良かったけど」
天乃「この子たちを寝かしつけてからなんでしょ? 気にしないの」
風「まぁねぇ……ごめん、寝起きであんまり頭働いてないみたい」
天乃「起こさない方が良かったかしら」
風「逆に夜に寝れなくなるから、助かった」
105: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/29(水) 21:58:39.69:MCF7OIhto (6/11)
天乃「夜、あまり眠れていないの?」
風「寝れてはいるんだけど……」
ベッドの上の枕を一瞥した風は、
無意識に握りしめていたことに気付いて、手放す
寝不足ではないが、
このベッドの上は特に心が落ち着く
天乃の匂いを感じる布団は、ついつい、目を閉じてしまうのだ
風「天乃の匂いって、毒ねぇ」
天乃「私の匂い……? 臭う?」
風「あーごめん、毒って言っても全く悪いにおいではないのよ……なんというか、まあ、察して?」
自分の襟を引っ張る天乃の手を抑えて、首を振る
毒と言っても、
いい意味でもないけれど悪い意味でもない
上手く言葉に出来ない特殊な意味
もちろんだが、夜での意味とも違う
天乃「夜、あまり眠れていないの?」
風「寝れてはいるんだけど……」
ベッドの上の枕を一瞥した風は、
無意識に握りしめていたことに気付いて、手放す
寝不足ではないが、
このベッドの上は特に心が落ち着く
天乃の匂いを感じる布団は、ついつい、目を閉じてしまうのだ
風「天乃の匂いって、毒ねぇ」
天乃「私の匂い……? 臭う?」
風「あーごめん、毒って言っても全く悪いにおいではないのよ……なんというか、まあ、察して?」
自分の襟を引っ張る天乃の手を抑えて、首を振る
毒と言っても、
いい意味でもないけれど悪い意味でもない
上手く言葉に出来ない特殊な意味
もちろんだが、夜での意味とも違う
106: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/29(水) 22:29:00.29:MCF7OIhto (7/11)
天乃「家に戻ったらもっとちゃんとしたいわ」
風「今も十分ちゃんとしてるじゃない」
天乃「学生……今も一応はそうだけど、通学していた時とはまるで違うわ」
足が不自由ではあったけれど、身なりはきちんと整えられていた
室内での服だっていつまでも寝間着ではないし
髪に寝癖が残っているなんてことはないし、
今のように真っ直ぐ下ろしている状態ではなく、基本的にはシュシュを用いてのポニーテールにしていた
家族の記憶を失っていた時は知らずにそうしていたが、
その髪型にしているのは、兄がそれを好きだと言っていたからである
今はともかく、元々天乃は兄が好きな可愛らしい妹だったのだ
天乃「退院したら短くしようかしら」
風「短くって、髪?」
天乃「それ以外にあるの?」
風「んー……スカートの丈?」
天乃「馬鹿なの?」
風「冗談よ。じょーだん」
天乃「家に戻ったらもっとちゃんとしたいわ」
風「今も十分ちゃんとしてるじゃない」
天乃「学生……今も一応はそうだけど、通学していた時とはまるで違うわ」
足が不自由ではあったけれど、身なりはきちんと整えられていた
室内での服だっていつまでも寝間着ではないし
髪に寝癖が残っているなんてことはないし、
今のように真っ直ぐ下ろしている状態ではなく、基本的にはシュシュを用いてのポニーテールにしていた
家族の記憶を失っていた時は知らずにそうしていたが、
その髪型にしているのは、兄がそれを好きだと言っていたからである
今はともかく、元々天乃は兄が好きな可愛らしい妹だったのだ
天乃「退院したら短くしようかしら」
風「短くって、髪?」
天乃「それ以外にあるの?」
風「んー……スカートの丈?」
天乃「馬鹿なの?」
風「冗談よ。じょーだん」
107: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/29(水) 22:55:23.90:MCF7OIhto (8/11)
最初のころは肩の辺りを少し過ぎるかすぎないか
ミディアム程度に抑えられていたのだが、
今では肩をだいぶ過ぎてしまっている
長くなった天乃の髪に触れた風は、指先で軽く弄る
風「まぁ、確かに伸びてきてるわね」
天乃「今までに戻すか、もうちょっと短くしようかなって」
風「長くてもいいと思うけど」
天乃「この子達を抱っこしてるとき引っ張られると困るわ」
風「あぁ……さっきのはそれか」
笑ってごまかす天乃の奥、
赤ちゃん用のベッドの上で笑っている双子に手を振る
まだ寝ぼけている数分間
髪をちょっとだけ引っ張られた痛みとも言えない感覚
あれがそうなのかと天乃を見るが、笑うだけだ
風「ショート辺りまで切るつもり?」
天乃「単なる思い付きだから、深くは考えてないけど……似合う?」
手と腕で髪を隠し、短く見せる天乃は風を伺うように見つめる
普段から長い髪の天乃を見ている風としては、短い髪が似合うかどうかと言われると判断に困ってしまう
風「ただショートにするよりはボブとかにしたほうが良いんじゃない? あたしは……長い方が良いと思うけど」
最初のころは肩の辺りを少し過ぎるかすぎないか
ミディアム程度に抑えられていたのだが、
今では肩をだいぶ過ぎてしまっている
長くなった天乃の髪に触れた風は、指先で軽く弄る
風「まぁ、確かに伸びてきてるわね」
天乃「今までに戻すか、もうちょっと短くしようかなって」
風「長くてもいいと思うけど」
天乃「この子達を抱っこしてるとき引っ張られると困るわ」
風「あぁ……さっきのはそれか」
笑ってごまかす天乃の奥、
赤ちゃん用のベッドの上で笑っている双子に手を振る
まだ寝ぼけている数分間
髪をちょっとだけ引っ張られた痛みとも言えない感覚
あれがそうなのかと天乃を見るが、笑うだけだ
風「ショート辺りまで切るつもり?」
天乃「単なる思い付きだから、深くは考えてないけど……似合う?」
手と腕で髪を隠し、短く見せる天乃は風を伺うように見つめる
普段から長い髪の天乃を見ている風としては、短い髪が似合うかどうかと言われると判断に困ってしまう
風「ただショートにするよりはボブとかにしたほうが良いんじゃない? あたしは……長い方が良いと思うけど」
108: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/29(水) 23:04:38.49:MCF7OIhto (9/11)
天乃は短くても似合うと言えば似合う
風は長いが、樹は天乃が切ろうかと言ったショートよりも少し長いボブの辺りだ
友奈も髪の長さ的には樹よりも少し長いかどうかという程度
その辺りも踏まえて考えてみると、
ただショートにするくらいなら、ショートボブの方が合うように思う
そして、そうするくらいならボブで良いと思ってしまう
なにより、風は恋愛小説的に思考を働かせる
風「急にバッサリ落とすのってさーなんか失恋したっぽくない?」
天乃「どうして?」
風「気分転換とか、今までの自分を変えたい―とか。ほら、一気に短くするのって一新するみたいじゃない?」
天乃「言われてみれば……でも、私失恋してないわよ?」
風「それは分かってるけど、あたしは長い方が良いのっ」
ベッドの上、散りばめられた長い髪
月夜の妖艶な輝きに満ちる細い命ともいわれる無数の線は、とても綺麗だった
だから、どうしてもというなら止めないが
どうしてもというわけではないのなら、今まで位が好ましいと風は言う
天乃「そう……じゃぁ、風は今まで位の私が好きなのね」
風「……ん」
天乃は短くても似合うと言えば似合う
風は長いが、樹は天乃が切ろうかと言ったショートよりも少し長いボブの辺りだ
友奈も髪の長さ的には樹よりも少し長いかどうかという程度
その辺りも踏まえて考えてみると、
ただショートにするくらいなら、ショートボブの方が合うように思う
そして、そうするくらいならボブで良いと思ってしまう
なにより、風は恋愛小説的に思考を働かせる
風「急にバッサリ落とすのってさーなんか失恋したっぽくない?」
天乃「どうして?」
風「気分転換とか、今までの自分を変えたい―とか。ほら、一気に短くするのって一新するみたいじゃない?」
天乃「言われてみれば……でも、私失恋してないわよ?」
風「それは分かってるけど、あたしは長い方が良いのっ」
ベッドの上、散りばめられた長い髪
月夜の妖艶な輝きに満ちる細い命ともいわれる無数の線は、とても綺麗だった
だから、どうしてもというなら止めないが
どうしてもというわけではないのなら、今まで位が好ましいと風は言う
天乃「そう……じゃぁ、風は今まで位の私が好きなのね」
風「……ん」
109: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/29(水) 23:12:17.21:MCF7OIhto (10/11)
風「それで、友奈に何か言われたの?」
天乃「ううん、特に」
風「退院したいですとか言ってなかった?」
天乃「出来たらしたいって言ってたけど、無理はさせられないでしょ?」
子供達と同じ部屋で安静にすることで
出来る限り面倒を見てあげたい
友奈はそう思っていたけれど、さすがに退院させられる状態ではない
天乃「私の料理……そうそう、東郷のぼた餅が食べたいって」
風「そうねぇ、軽食としてなら持参できるかも。あとで聞いてみとく」
天乃「お願いね」
風「任せといて。東郷にも言っとくわ」
確かに久しぶりに……と風は悩むように言って、頷くと
久しく口にしていない味、思えば恋しくなるものね。と、腹部を擦った
1、それと、お料理当番どうする?
2、ねぇ、風はみんなに嫉妬したりする?
3、友奈から聞いたのだけど、エッチの後だと恥ずかしいものなのね
4、……ありがとうね。風
↓2
風「それで、友奈に何か言われたの?」
天乃「ううん、特に」
風「退院したいですとか言ってなかった?」
天乃「出来たらしたいって言ってたけど、無理はさせられないでしょ?」
子供達と同じ部屋で安静にすることで
出来る限り面倒を見てあげたい
友奈はそう思っていたけれど、さすがに退院させられる状態ではない
天乃「私の料理……そうそう、東郷のぼた餅が食べたいって」
風「そうねぇ、軽食としてなら持参できるかも。あとで聞いてみとく」
天乃「お願いね」
風「任せといて。東郷にも言っとくわ」
確かに久しぶりに……と風は悩むように言って、頷くと
久しく口にしていない味、思えば恋しくなるものね。と、腹部を擦った
1、それと、お料理当番どうする?
2、ねぇ、風はみんなに嫉妬したりする?
3、友奈から聞いたのだけど、エッチの後だと恥ずかしいものなのね
4、……ありがとうね。風
↓2
110:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/29(水) 23:14:17.91:6qu3VBSfO (2/3)
3
3
111:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/29(水) 23:18:12.18:nDtICq2H0 (1/1)
3
3
112: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/29(水) 23:33:08.72:MCF7OIhto (11/11)
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
113:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/29(水) 23:51:00.84:6qu3VBSfO (3/3)
乙
久遠さんのポニテは兄貴の好みだったのね
そういや今頃実家の久遠家はどうなってるのだろうか
乙
久遠さんのポニテは兄貴の好みだったのね
そういや今頃実家の久遠家はどうなってるのだろうか
114:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/30(木) 00:15:14.64:tNkABF2nO (1/1)
乙
またお料理の話もしたいな
乙
またお料理の話もしたいな
115: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/30(木) 21:49:57.05:4ZKZ5IPNo (1/3)
遅くなりましたが少しだけ
遅くなりましたが少しだけ
116:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/04/30(木) 21:57:40.26:deHNGzZ/O (1/1)
かもん
かもん
117: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/30(木) 22:52:44.72:4ZKZ5IPNo (2/3)
天乃「友奈から聞いたのだけど、エッチの後だと恥ずかしいものなのね」
風「は……え、えっちのあと?」
余りにも唐突な話に思わず素っ頓狂な声を漏らした風に、
天乃は冷静に考え込むように首肯する
友奈の話ではエッチの後の恥じらいが可愛らしいだとか
その分、幸せそうだとも言っていたけれど。
天乃「エッチの後、みんなに話すんでしょう?」
風「そ、そんなこと言ってた……?」
天乃「言ってたけど」
言ってなくてもそのくらいは分かってたわよ。と、
天乃は少し恥ずかしそうに首を振る
みんな天乃の関係者だ
それも、肉体的な意味で
だから、それを話されても仕方がないとは思う
天乃「確かにしたと、ベッドの上では愛らしいものだけど、みんなの前でもそうだとは思わなかったわ」
天乃「友奈から聞いたのだけど、エッチの後だと恥ずかしいものなのね」
風「は……え、えっちのあと?」
余りにも唐突な話に思わず素っ頓狂な声を漏らした風に、
天乃は冷静に考え込むように首肯する
友奈の話ではエッチの後の恥じらいが可愛らしいだとか
その分、幸せそうだとも言っていたけれど。
天乃「エッチの後、みんなに話すんでしょう?」
風「そ、そんなこと言ってた……?」
天乃「言ってたけど」
言ってなくてもそのくらいは分かってたわよ。と、
天乃は少し恥ずかしそうに首を振る
みんな天乃の関係者だ
それも、肉体的な意味で
だから、それを話されても仕方がないとは思う
天乃「確かにしたと、ベッドの上では愛らしいものだけど、みんなの前でもそうだとは思わなかったわ」
118: ◆QhFDI08WfRWv:2020/04/30(木) 23:05:20.58:4ZKZ5IPNo (3/3)
天乃「次の日とか、私の名前だけで恥ずかしがってるって聞いたわ」
風「何に言ってんのよ友奈……」
天乃「思い出して真っ赤になっちゃうんでしょう?」
友奈には確かめてみたいと言ったけれど、
思えば、園子はとても可愛らしかったように思う
いつほんわかとしていて
例えるなら柔らかい園子も可愛いけれど
それ以上に、何とも言えない可愛らしさがあった
性欲がある
実際にあるが、からかい五割増しで言ってみただけで気絶するくらいには
あの時の園子は可愛らしかった
嬉しそうに、照れくささの見える笑顔を浮かべている天乃に
風はそういえば園子が……と、察する
風「園子が見せてた通り。結構、刻み付けられちゃうもんなのよ」
天乃「次の日とか、私の名前だけで恥ずかしがってるって聞いたわ」
風「何に言ってんのよ友奈……」
天乃「思い出して真っ赤になっちゃうんでしょう?」
友奈には確かめてみたいと言ったけれど、
思えば、園子はとても可愛らしかったように思う
いつほんわかとしていて
例えるなら柔らかい園子も可愛いけれど
それ以上に、何とも言えない可愛らしさがあった
性欲がある
実際にあるが、からかい五割増しで言ってみただけで気絶するくらいには
あの時の園子は可愛らしかった
嬉しそうに、照れくささの見える笑顔を浮かべている天乃に
風はそういえば園子が……と、察する
風「園子が見せてた通り。結構、刻み付けられちゃうもんなのよ」
119: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/01(金) 00:08:12.35:Q68/5gS8o (1/3)
世界のどこかには参考にした資料のほんの一握りのように
そうではない人もいるかもしれないが
少なくとも風達は天乃に好意を抱き、愛しているからこそその行為を行う
それゆえに、身にも心にも深く染み込んでくる
まだ結婚したわけではないけれど
蜜月の付き合いは、その字に違わずとても甘いのだ
風「すぐに忘れられることでもないし、ね」
天乃「そう……」
風「逆に天乃は忘れられる? 抱いた感触、キスした感触、漂ってた匂い、合わせるたび、這わせるたび、重ねるたび聞こえた音」
天乃「………」
想いを馳せるように、身をくねらせながら、風は呟く
正直今だって忘れているわけではない
一度口にしてしまえばじんわりと感じるし
そこに天乃がいるならば、ちょっぴりつまみ食いをしてしまいたくなる
もちろん、理性があればそんなのは思うだけだけれど。
風「あたしは忘れないわよ。と言うか、あたし達は忘れられないわよ」
天乃「私だって、別に忘れてるわけじゃ……ない」
世界のどこかには参考にした資料のほんの一握りのように
そうではない人もいるかもしれないが
少なくとも風達は天乃に好意を抱き、愛しているからこそその行為を行う
それゆえに、身にも心にも深く染み込んでくる
まだ結婚したわけではないけれど
蜜月の付き合いは、その字に違わずとても甘いのだ
風「すぐに忘れられることでもないし、ね」
天乃「そう……」
風「逆に天乃は忘れられる? 抱いた感触、キスした感触、漂ってた匂い、合わせるたび、這わせるたび、重ねるたび聞こえた音」
天乃「………」
想いを馳せるように、身をくねらせながら、風は呟く
正直今だって忘れているわけではない
一度口にしてしまえばじんわりと感じるし
そこに天乃がいるならば、ちょっぴりつまみ食いをしてしまいたくなる
もちろん、理性があればそんなのは思うだけだけれど。
風「あたしは忘れないわよ。と言うか、あたし達は忘れられないわよ」
天乃「私だって、別に忘れてるわけじゃ……ない」
120: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/01(金) 00:08:50.04:Q68/5gS8o (2/3)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から
121:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/01(金) 00:19:21.78:ObrqH8smO (1/1)
乙
風先輩のターンも来るかな?
乙
風先輩のターンも来るかな?
122:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/01(金) 07:56:02.35:t4c6COaCO (1/1)
乙
乙
123: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/01(金) 22:56:56.33:Q68/5gS8o (3/3)
すいませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
予定としては20日目終了後に、エピローグと考えております。
すいませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
予定としては20日目終了後に、エピローグと考えております。
124:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/01(金) 23:10:14.27:upEdz6wnO (1/1)
乙です
三周目も遂にエピローグかー
まさかほぼ丸四年の大作になるとは…
乙です
三周目も遂にエピローグかー
まさかほぼ丸四年の大作になるとは…
125:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/02(土) 01:01:55.20:E9RlOIbRO (1/1)
乙
え!?もう終わるの!?
いろいろまだ久遠さん達の日常見たかったなあ
乙
え!?もう終わるの!?
いろいろまだ久遠さん達の日常見たかったなあ
126:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/02(土) 01:17:18.58:4m2ZW5QpO (1/1)
結婚式とか見たいけどどうなるかな
結婚式とか見たいけどどうなるかな
127: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/02(土) 15:22:36.03:+MZz+i4to (1/12)
では少しずつ
では少しずつ
128: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/02(土) 15:33:53.32:+MZz+i4to (2/12)
天乃は呟くように答えると、自分の胸に触れる
押せば沈む感触
風達の触れられた記憶と、風達のそれに触れた記憶
身体はもちろん、心にだってその記憶は強く残っている
天乃「ちゃんと覚えてるわ……でも、なにかしらね」
風「なにって?」
天乃「どんな風だったのかを口に出されるのは恥ずかしいのだけど、それをしたこと自体を恥ずかしいとは思わないのよ」
だから、風達がそういう話をしていたと言われると羞恥心に触れるものがあるけれど
天乃自身は、その行為をしたということに恥じらいを感じない
風、友奈、東郷、樹、園子、沙織、悪五郎
そして……夏凜
助力と言う点では九尾もだろうか
みんなとのことが染み込んだ体は、自分で触れるたびに想起する
あの時はこうだった。と
目を閉じ、思い出して……ふと、風を横目に見る
天乃「私、今どんな顔してる? 真っ赤に、なっちゃってるかしら」
天乃は呟くように答えると、自分の胸に触れる
押せば沈む感触
風達の触れられた記憶と、風達のそれに触れた記憶
身体はもちろん、心にだってその記憶は強く残っている
天乃「ちゃんと覚えてるわ……でも、なにかしらね」
風「なにって?」
天乃「どんな風だったのかを口に出されるのは恥ずかしいのだけど、それをしたこと自体を恥ずかしいとは思わないのよ」
だから、風達がそういう話をしていたと言われると羞恥心に触れるものがあるけれど
天乃自身は、その行為をしたということに恥じらいを感じない
風、友奈、東郷、樹、園子、沙織、悪五郎
そして……夏凜
助力と言う点では九尾もだろうか
みんなとのことが染み込んだ体は、自分で触れるたびに想起する
あの時はこうだった。と
目を閉じ、思い出して……ふと、風を横目に見る
天乃「私、今どんな顔してる? 真っ赤に、なっちゃってるかしら」
129:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/02(土) 15:41:34.86:oAcLGAQbO (1/4)
きてたー
きてたー
130: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/02(土) 16:02:28.66:+MZz+i4to (3/12)
風「どんな……って」
質素な患者衣に覆われつつも膨らみの見える胸元
ベッドに下ろされた腰、筋肉の落ちてしまった少し細身の太腿
長く伸びたさらさらと艶のある桜色の髪
妖艶に上がる唇、橙色の瞳は生気に満ちた輝きがある
それはとても幸せそうで
それはとても――
風「きれい……」
天乃「綺麗?」
風「あっ、いや……幸せそうに見えるわね……」
天乃「なに慌ててるのよ」
取り繕うような風の慌てた仕草に、天乃は思わず笑う
綺麗も可愛いも
散々言ってきたことだし、言われてきたことだ
それが本心ではなかったとは言わないけれど、
無意識にこぼれ出てしまう本心は、存外に照れくさいものなのは分かる
風「どんな……って」
質素な患者衣に覆われつつも膨らみの見える胸元
ベッドに下ろされた腰、筋肉の落ちてしまった少し細身の太腿
長く伸びたさらさらと艶のある桜色の髪
妖艶に上がる唇、橙色の瞳は生気に満ちた輝きがある
それはとても幸せそうで
それはとても――
風「きれい……」
天乃「綺麗?」
風「あっ、いや……幸せそうに見えるわね……」
天乃「なに慌ててるのよ」
取り繕うような風の慌てた仕草に、天乃は思わず笑う
綺麗も可愛いも
散々言ってきたことだし、言われてきたことだ
それが本心ではなかったとは言わないけれど、
無意識にこぼれ出てしまう本心は、存外に照れくさいものなのは分かる
131: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/02(土) 16:24:44.03:+MZz+i4to (4/12)
天乃「私が聞きたかったの赤いかどうかなんだけど」
風「へぇっ! ぁっ、あーそうだったっけ」
天乃「そんなに調子狂わせるような顔だった?」
風「どちらかと、言えば」
風は頬を掻いて頷く
天乃と同じように、束ねることを放置した長い髪が
肩から滑り落ちて、布団へと垂れる
はたから見て幸せそうだと感じられる微笑みは、
恋をしている立場からしたら、美しいものだ
風「……大人に、なった」
天乃「一応、こう見えて母親だもの」
まだ15歳ではあるけれど、
あと数ヶ月もしたら16歳になるし、二児の母だ
ただでさえ少しずつ大人になっていく時期に、大きく前進せざるを得なかった
天乃「大人っぽいのなら、それは良いことだわ」
天乃「私が聞きたかったの赤いかどうかなんだけど」
風「へぇっ! ぁっ、あーそうだったっけ」
天乃「そんなに調子狂わせるような顔だった?」
風「どちらかと、言えば」
風は頬を掻いて頷く
天乃と同じように、束ねることを放置した長い髪が
肩から滑り落ちて、布団へと垂れる
はたから見て幸せそうだと感じられる微笑みは、
恋をしている立場からしたら、美しいものだ
風「……大人に、なった」
天乃「一応、こう見えて母親だもの」
まだ15歳ではあるけれど、
あと数ヶ月もしたら16歳になるし、二児の母だ
ただでさえ少しずつ大人になっていく時期に、大きく前進せざるを得なかった
天乃「大人っぽいのなら、それは良いことだわ」
132: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/02(土) 16:55:50.46:+MZz+i4to (5/12)
天乃「風だって、これから大人になっていくでしょ?」
風「天乃はその先を行ってるのよ」
天乃はいつだって、みんなの先にいる
風が大人になれば、天乃はおばさん……とはならないけれど。
元々の境遇もあって、
天乃の身体は子供みたいでも、精神的には成熟している
きっと、そこに追いつくことは出来ないだろうと、風は思う
これから緩やかになっていく
天乃が無理をしなくてもいい世界で、笑っていていい世界
それでも天乃は先にいる
風「可愛いと綺麗の差って、意外にこういうところにあるのかもねぇ」
天乃「じゃぁ、私はもうかわいいって言って貰えないのね」
風「それはない」
天乃「そう?」
風「あたし的には楽しんでるときの笑顔は可愛いと思うし、幸せそうなときが綺麗だと思う」
意外な……というのはその部分だ
理屈はないし、理由もない
ただ、幸せになる難しさを知ったから、それが尊いものだと気づいたから……綺麗だと思うのかもしれない
天乃「風だって、これから大人になっていくでしょ?」
風「天乃はその先を行ってるのよ」
天乃はいつだって、みんなの先にいる
風が大人になれば、天乃はおばさん……とはならないけれど。
元々の境遇もあって、
天乃の身体は子供みたいでも、精神的には成熟している
きっと、そこに追いつくことは出来ないだろうと、風は思う
これから緩やかになっていく
天乃が無理をしなくてもいい世界で、笑っていていい世界
それでも天乃は先にいる
風「可愛いと綺麗の差って、意外にこういうところにあるのかもねぇ」
天乃「じゃぁ、私はもうかわいいって言って貰えないのね」
風「それはない」
天乃「そう?」
風「あたし的には楽しんでるときの笑顔は可愛いと思うし、幸せそうなときが綺麗だと思う」
意外な……というのはその部分だ
理屈はないし、理由もない
ただ、幸せになる難しさを知ったから、それが尊いものだと気づいたから……綺麗だと思うのかもしれない
133: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/02(土) 17:31:24.42:+MZz+i4to (6/12)
風「……あたしはだけど」
天乃「そうねぇ、友奈は幸せそうでもまだまだ可愛いわ。園子だって」
天乃はそう言いながら、自分の子供を見る
まだ幼い赤子である星乃と月乃
言葉で幸せとも楽しいとも言えない歳ではあるけれど
嬉しそうだと感じられる笑顔は、とても愛らしい
天乃「だから、大人になって幸せだと思えた瞬間の笑顔が、綺麗だって言えるのかもしれないわ」
風「友奈達はまだ子供?」
天乃「まだ可愛いから、子供ね」
適当にでっち上げた考えで比較する二人は
何となく苦笑して、笑い声を零して
何事かと声を上げる双子に、「かわいいって話よ~」と、難しいことを囁く
天乃「あと一年……友奈は難しいかな」
風「樹は?」
天乃「樹は、大人びてる……もしかしたら私のせいかも」
風「……あたしはだけど」
天乃「そうねぇ、友奈は幸せそうでもまだまだ可愛いわ。園子だって」
天乃はそう言いながら、自分の子供を見る
まだ幼い赤子である星乃と月乃
言葉で幸せとも楽しいとも言えない歳ではあるけれど
嬉しそうだと感じられる笑顔は、とても愛らしい
天乃「だから、大人になって幸せだと思えた瞬間の笑顔が、綺麗だって言えるのかもしれないわ」
風「友奈達はまだ子供?」
天乃「まだ可愛いから、子供ね」
適当にでっち上げた考えで比較する二人は
何となく苦笑して、笑い声を零して
何事かと声を上げる双子に、「かわいいって話よ~」と、難しいことを囁く
天乃「あと一年……友奈は難しいかな」
風「樹は?」
天乃「樹は、大人びてる……もしかしたら私のせいかも」
134: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/02(土) 18:15:13.96:+MZz+i4to (7/12)
風は濁した天乃を一瞥する
樹が大人と言うのは同意だし、天乃が原因と言うのも納得の話だ
奥手と言うべきか、人見知りと言うべきか
そんな状態だった樹が、今や前面に立って動くことが出来る
それは天乃に恋をしたからだろうし、その天乃が酷く自己犠牲的な人だったから……でもあるだろう
風「歌野も一役買ってると思うけどね。ほら、歌野って樹と対照的な感じにフレンドリーだから」
天乃「歌野が拍車をかけたというべきかしら」
風「みんなのおかげね~」
せいとは言わず、おかげと笑う風は
まだ、人付き合いの苦手だった樹を思い、今の樹を思い
その成長をより強く実感して、感慨深く笑みをこぼす口元を縛る
風「ありがと」
天乃「……それは私が言うべきことよ」
風「ん~……いや、あたしが言うべきことでしょ」
1、風にも樹にも凄く感謝してるわ
2、そう、かしら
3、大したこと、してあげられてないと思うけど
4、……妹想い、ね
↓2
風は濁した天乃を一瞥する
樹が大人と言うのは同意だし、天乃が原因と言うのも納得の話だ
奥手と言うべきか、人見知りと言うべきか
そんな状態だった樹が、今や前面に立って動くことが出来る
それは天乃に恋をしたからだろうし、その天乃が酷く自己犠牲的な人だったから……でもあるだろう
風「歌野も一役買ってると思うけどね。ほら、歌野って樹と対照的な感じにフレンドリーだから」
天乃「歌野が拍車をかけたというべきかしら」
風「みんなのおかげね~」
せいとは言わず、おかげと笑う風は
まだ、人付き合いの苦手だった樹を思い、今の樹を思い
その成長をより強く実感して、感慨深く笑みをこぼす口元を縛る
風「ありがと」
天乃「……それは私が言うべきことよ」
風「ん~……いや、あたしが言うべきことでしょ」
1、風にも樹にも凄く感謝してるわ
2、そう、かしら
3、大したこと、してあげられてないと思うけど
4、……妹想い、ね
↓2
135:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/02(土) 18:29:20.62:oAcLGAQbO (2/4)
1
1
136:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/02(土) 18:34:41.66:rvXvIPro0 (1/2)
4
4
137: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/02(土) 19:04:41.14:+MZz+i4to (8/12)
天乃「……妹想い、ね」
風「当然でしょっ」
風はそう言って胸を張る
風の感謝、言うべきは自分だろうと思うし
そこまで感謝されるようなこと0が出来たという自負はない
けれど、風が言うのなら、それは素直に受け取っておくべきだろう
天乃「このままだと、樹の方が先に姉離れしちゃうんじゃない?」
風「えっ……」
天乃「樹だったら、そんな顔しないもの」
バーテックスと戦っているときよりも深い絶望に陥ったとでもいうような顔を見せ、
嘘でしょ……と、零す
そんな姉と比べて、妹の方は落ち着いているはずだと天乃は見る
風も樹も天乃と一緒に暮らす
結婚もするわけで、つまりは離れる要素が無くなるのだが
それでも自然と以前よりもべったりとはならなくなるはずだ
その分、天乃に来るけれど。
天乃「卒業して学校では会えなくなるんだから、少しくらい慣れないと」
天乃「……妹想い、ね」
風「当然でしょっ」
風はそう言って胸を張る
風の感謝、言うべきは自分だろうと思うし
そこまで感謝されるようなこと0が出来たという自負はない
けれど、風が言うのなら、それは素直に受け取っておくべきだろう
天乃「このままだと、樹の方が先に姉離れしちゃうんじゃない?」
風「えっ……」
天乃「樹だったら、そんな顔しないもの」
バーテックスと戦っているときよりも深い絶望に陥ったとでもいうような顔を見せ、
嘘でしょ……と、零す
そんな姉と比べて、妹の方は落ち着いているはずだと天乃は見る
風も樹も天乃と一緒に暮らす
結婚もするわけで、つまりは離れる要素が無くなるのだが
それでも自然と以前よりもべったりとはならなくなるはずだ
その分、天乃に来るけれど。
天乃「卒業して学校では会えなくなるんだから、少しくらい慣れないと」
138: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/02(土) 19:21:08.26:+MZz+i4to (9/12)
風「そのくらいは平気よっ、全然っ」
天乃「卒業したら勇者部に入り浸ること禁止って言われても?」
風「何それそんなこと言ってたの!?」
天乃「言ってないけど……」
風は一応、受験する
結果次第では一年間みっちりと勉強する必要があるわけで
その場合、OBとはいえ勇者部に行っている場合ではないのではと思う
風もそれは分かっているはずだけれど
そんな気はさらさらないのかもしれない
天乃「大丈夫なの?」
風「なにがー?」
天乃「勉強」
風「……成せば大抵なんとかなるなる」
天乃「五箇条……今は六箇条よね。それを怠惰に使わないようにしなさい。旧部長」
風「はーいはい。オッケー」
ニコッと笑って指でOKを示す風は
そこはかとなく歌野に毒されているのでは……と、思わざるをえなかった
風「そのくらいは平気よっ、全然っ」
天乃「卒業したら勇者部に入り浸ること禁止って言われても?」
風「何それそんなこと言ってたの!?」
天乃「言ってないけど……」
風は一応、受験する
結果次第では一年間みっちりと勉強する必要があるわけで
その場合、OBとはいえ勇者部に行っている場合ではないのではと思う
風もそれは分かっているはずだけれど
そんな気はさらさらないのかもしれない
天乃「大丈夫なの?」
風「なにがー?」
天乃「勉強」
風「……成せば大抵なんとかなるなる」
天乃「五箇条……今は六箇条よね。それを怠惰に使わないようにしなさい。旧部長」
風「はーいはい。オッケー」
ニコッと笑って指でOKを示す風は
そこはかとなく歌野に毒されているのでは……と、思わざるをえなかった
139: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/02(土) 19:55:44.61:+MZz+i4to (10/12)
風「もちろん、妹想いなあたしだけど部長にしたのは贔屓じゃないわよ?」
天乃「それは聞いてる」
風「それでー? 天乃はどうするのよ」
天乃「どうするって? 何かあったかしら」
進路に関しては一年間は少なくとも子育てに集中することにしている
結婚式だってみんなが落ち着き、ちゃんと適性の年齢になるまではしない
挨拶はやはり、改めてしようと思っているけれど
天乃だけがどうするかを判断する事ではない
考える天乃に、風は「副部長のこと」と、呟く
風「副部長のことは決めなくてもいいの?」
天乃「必要かしら」
風「んー人数的には要らないかもしれないけどね……」
天乃「あってもいい?」
風「天乃の後継者的な意味で、あっても良いんじゃないって思うかな」
風「もちろん、妹想いなあたしだけど部長にしたのは贔屓じゃないわよ?」
天乃「それは聞いてる」
風「それでー? 天乃はどうするのよ」
天乃「どうするって? 何かあったかしら」
進路に関しては一年間は少なくとも子育てに集中することにしている
結婚式だってみんなが落ち着き、ちゃんと適性の年齢になるまではしない
挨拶はやはり、改めてしようと思っているけれど
天乃だけがどうするかを判断する事ではない
考える天乃に、風は「副部長のこと」と、呟く
風「副部長のことは決めなくてもいいの?」
天乃「必要かしら」
風「んー人数的には要らないかもしれないけどね……」
天乃「あってもいい?」
風「天乃の後継者的な意味で、あっても良いんじゃないって思うかな」
140: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/02(土) 20:14:49.38:+MZz+i4to (11/12)
以前までは、勇者部は勇者に無関係な生徒を入れることは出来なかった
天乃に惹かれての入部希望はもちろん、
今までの活動に憧れて……と言うのも含めてだ
しかし、これからは断る理由はない
来るものも出るものも拒無必要がないし、その裁量は部長に一任される
今後、人が増えてくるかもしれないし
もしかしたら増えないかもしれないけれど。
それを考えれば、とりあえずは副部長を任命してもいいだろう
風「みんな、誰が指名されるんだろうって期待してるわよ?」
天乃「どうせ夏凜が指名されるって思ってるの間違いでしょ?」
すーっと目を逸らす風で察して、目を逸らす。
だれが任命されるのか、ではなく夏凜が……
というなら夏凜を指名しても特に問題はおこらないはずだ
そもそも指名しなくても問題はないけれども
1、副部長は要らないでしょ
2、任命は樹に任せるわ
3、夏凜で良いんじゃない?
4、後で話したほうが良いかしら
↓2
※4は後ほど、みんなのところへ
以前までは、勇者部は勇者に無関係な生徒を入れることは出来なかった
天乃に惹かれての入部希望はもちろん、
今までの活動に憧れて……と言うのも含めてだ
しかし、これからは断る理由はない
来るものも出るものも拒無必要がないし、その裁量は部長に一任される
今後、人が増えてくるかもしれないし
もしかしたら増えないかもしれないけれど。
それを考えれば、とりあえずは副部長を任命してもいいだろう
風「みんな、誰が指名されるんだろうって期待してるわよ?」
天乃「どうせ夏凜が指名されるって思ってるの間違いでしょ?」
すーっと目を逸らす風で察して、目を逸らす。
だれが任命されるのか、ではなく夏凜が……
というなら夏凜を指名しても特に問題はおこらないはずだ
そもそも指名しなくても問題はないけれども
1、副部長は要らないでしょ
2、任命は樹に任せるわ
3、夏凜で良いんじゃない?
4、後で話したほうが良いかしら
↓2
※4は後ほど、みんなのところへ
141:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/02(土) 20:16:53.73:rvXvIPro0 (2/2)
4
4
142:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/02(土) 20:18:42.81:oAcLGAQbO (3/4)
4
4
143:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/02(土) 20:19:59.03:R0zhx/NtO (1/1)
4
4
144: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/02(土) 20:23:43.35:+MZz+i4to (12/12)
では、少し中断いたします。
22時頃に再開予定です。
では、少し中断いたします。
22時頃に再開予定です。
145:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/02(土) 20:26:04.55:oAcLGAQbO (4/4)
一旦乙
一旦乙
146:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/02(土) 23:58:49.46:WwjJL1OVO (1/1)
今日は終了?
今日は終了?
147: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/03(日) 00:02:34.87:ikKNgA38o (1/6)
すみません、本日は終了とさせてください
明日はできればお昼ごろから続きをやりたいと思います。
すみません、本日は終了とさせてください
明日はできればお昼ごろから続きをやりたいと思います。
148:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/03(日) 00:25:36.21:JxCQLxBAO (1/1)
乙です
乙です
149:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/03(日) 03:37:14.60:zmlCIVKiO (1/1)
乙
そもそも勇者部は今の1年の代が卒業の時存続できるのだろうか
乙
そもそも勇者部は今の1年の代が卒業の時存続できるのだろうか
150: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/03(日) 21:43:28.99:ikKNgA38o (2/6)
遅くなりましたが、少しだけ
遅くなりましたが、少しだけ
151:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/03(日) 21:45:27.37:HGoaotwLO (1/1)
やったぜ
やったぜ
152: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/03(日) 22:45:09.21:ikKNgA38o (3/6)
天乃「あとで話したほうが良いかしら?」
風「それが良いかもね。戻るとき一緒にいく?」
天乃「そうする」
風の誘いに乗って、頷く
友奈以外のみんながいる病室にいって、副部長の話
誰にしようか
みんなが予想しているように夏凜にするのも別に悪い話ではないと天乃は思う
別に裏をかく必要なんてないのだ
天乃「とはいっても、夏凜達が卒業した後も残るいこと前提よね……」
風「そうねぇ」
樹を除けば、みんな三年生になる
つまり、樹以外は来年には卒業するため、
それ以外の部員がせめて4人は増えてくれなければいけない
天乃「今のうちに部員募集する?」
風「天乃が募集すれば増えるでしょ、絶対」
天乃「あとで話したほうが良いかしら?」
風「それが良いかもね。戻るとき一緒にいく?」
天乃「そうする」
風の誘いに乗って、頷く
友奈以外のみんながいる病室にいって、副部長の話
誰にしようか
みんなが予想しているように夏凜にするのも別に悪い話ではないと天乃は思う
別に裏をかく必要なんてないのだ
天乃「とはいっても、夏凜達が卒業した後も残るいこと前提よね……」
風「そうねぇ」
樹を除けば、みんな三年生になる
つまり、樹以外は来年には卒業するため、
それ以外の部員がせめて4人は増えてくれなければいけない
天乃「今のうちに部員募集する?」
風「天乃が募集すれば増えるでしょ、絶対」
153: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/03(日) 22:59:20.49:ikKNgA38o (4/6)
天乃「そうかしら?」
風「絶対」
天乃「………」
断言されると、そう思えてしまいそうなものだが
本当にそうだろうかと、天乃は眉を顰める
ほぼ関わりがなく、しかも休学していたような先輩が声をかけたところで
勇者部に入部してくれるとは思えない
天乃「同じクラスの子ならともかく、後輩は無理じゃないかしら?」
風「そう思ってるのは天乃だけよ?」
天乃「ほぼいなかったのよ?」
風「でも、少なくとも今の一年生は天乃を見てきてるでしょ」
半年程度ではあったが、
それでも天乃を見てきている
中には犬吠埼姉妹のように妹や弟もいるだろうから
姉や兄繋がりで、天乃に興味を持っている子はいるはずだ
天乃「そうかしら?」
風「絶対」
天乃「………」
断言されると、そう思えてしまいそうなものだが
本当にそうだろうかと、天乃は眉を顰める
ほぼ関わりがなく、しかも休学していたような先輩が声をかけたところで
勇者部に入部してくれるとは思えない
天乃「同じクラスの子ならともかく、後輩は無理じゃないかしら?」
風「そう思ってるのは天乃だけよ?」
天乃「ほぼいなかったのよ?」
風「でも、少なくとも今の一年生は天乃を見てきてるでしょ」
半年程度ではあったが、
それでも天乃を見てきている
中には犬吠埼姉妹のように妹や弟もいるだろうから
姉や兄繋がりで、天乃に興味を持っている子はいるはずだ
154: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/03(日) 23:20:50.04:ikKNgA38o (5/6)
天乃「でも、私いなくなっちゃうから……」
風「繋がりを持てるってだけで嬉しいもんよ」
男の子なんかは特に、喜ぶのではないかと思う
以前の天乃は体に障害を抱えていたこともあって
中々に難しい存在ではあったけれど、それでも声をかけられることがあったのだ
けれど……と、考え直す
風「そういえば、子持ちだって公表したんだっけ?」
天乃「ええ……不思議よね。みんな受け入れてくれちゃうんだもの……」
風「受け入れてた……かなぁ?」
まだ中学生の身体である天乃に子供を産ませる
そんなことを大赦がさせたのだとしたら……という点で怒っていたような気がする。と、風は思い出す
風「男子は諦める……か……?」
子持ちと言うのは、さすがにリスクが高いと考えるかもしれない
親だって、子供がまだ子供時点で子持ちの相手と付き合うことを受け入れるとは思えない
愛があれば云々とかそういう次元ではない
天乃「でも、私いなくなっちゃうから……」
風「繋がりを持てるってだけで嬉しいもんよ」
男の子なんかは特に、喜ぶのではないかと思う
以前の天乃は体に障害を抱えていたこともあって
中々に難しい存在ではあったけれど、それでも声をかけられることがあったのだ
けれど……と、考え直す
風「そういえば、子持ちだって公表したんだっけ?」
天乃「ええ……不思議よね。みんな受け入れてくれちゃうんだもの……」
風「受け入れてた……かなぁ?」
まだ中学生の身体である天乃に子供を産ませる
そんなことを大赦がさせたのだとしたら……という点で怒っていたような気がする。と、風は思い出す
風「男子は諦める……か……?」
子持ちと言うのは、さすがにリスクが高いと考えるかもしれない
親だって、子供がまだ子供時点で子持ちの相手と付き合うことを受け入れるとは思えない
愛があれば云々とかそういう次元ではない
155: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/03(日) 23:57:21.64:ikKNgA38o (6/6)
風「ま、勧誘はみんなに頑張って貰うってことで良いんじゃない?」
天乃「仕方がないわね……部活の勧誘は入学式のあとだしね」
今の状況で入学式が行われるとは限らないけれど
でも、きっと入ってくる一年生がいるはずだ
その新しい子達を誘うのは、残された者達の仕事
風「その仕事を、夏凜に押し付けちゃいなさい」
天乃「こらこら」
風「樹もいるから大丈夫よ」
天乃「……そうね」
本当に、今の樹ならばとても頼りになる
夏凜と二人で……いや、友奈たちも含めてみんなでやっていけば
きっとうまくいくだろう
天乃[……なんとなく、風が入り浸りたくなるのも分かるわ」
風「でしょ?」
嬉しそうに笑う風に頷いて、子供達へと目を向ける
みんなのところに行くのは、母乳をあげてからだ
風「ま、勧誘はみんなに頑張って貰うってことで良いんじゃない?」
天乃「仕方がないわね……部活の勧誘は入学式のあとだしね」
今の状況で入学式が行われるとは限らないけれど
でも、きっと入ってくる一年生がいるはずだ
その新しい子達を誘うのは、残された者達の仕事
風「その仕事を、夏凜に押し付けちゃいなさい」
天乃「こらこら」
風「樹もいるから大丈夫よ」
天乃「……そうね」
本当に、今の樹ならばとても頼りになる
夏凜と二人で……いや、友奈たちも含めてみんなでやっていけば
きっとうまくいくだろう
天乃[……なんとなく、風が入り浸りたくなるのも分かるわ」
風「でしょ?」
嬉しそうに笑う風に頷いて、子供達へと目を向ける
みんなのところに行くのは、母乳をあげてからだ
156: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/04(月) 00:06:24.96:cVrmtW5ao (1/11)
では、本日はここまでとさせていただきます
明日もできればお昼ごろから
再開時はみんなの病室
では、本日はここまでとさせていただきます
明日もできればお昼ごろから
再開時はみんなの病室
157:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/04(月) 00:12:20.52:9c/klGibO (1/1)
乙
クラスのみんなも優しかったよなぁ
後半はほとんど会えなくなった分卒業式には元気な姿を見せてやりたいな
乙
クラスのみんなも優しかったよなぁ
後半はほとんど会えなくなった分卒業式には元気な姿を見せてやりたいな
158:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/04(月) 07:41:04.12:avV76FLvO (1/1)
乙
乙
159: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/04(月) 18:12:40.48:cVrmtW5ao (2/11)
では少しずつ
では少しずつ
160:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/04(月) 18:18:29.17:ag5VxHNLO (1/1)
あいよー
あいよー
161: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/04(月) 19:02:02.35:cVrmtW5ao (3/11)
夏凜「はー……そんな理由でわざわざ来たの?」
天乃「なによ、来て欲しくなかった?」
東郷「自分に会いに来てほしかっただけですよ、久遠先輩」
夏凜「はぁっ!?」
口を挟んだ東郷に向かって怒鳴るように唸って、
そんなこと言ってないでしょ! と、夏凜は声を張り上げる
向けられた東郷は平然と笑っていて
困ったように笑う樹がふと、天乃に目を向ける
樹「副部長は自分で決まり。みたいな考えだったのではないでしょうか?」
夏凜「い~つ~き~?」
樹「あははっ」
ムッとする夏凜に対して、笑顔のその他
この病室の中に限っては、夏凜が弱いのだろうか?
きっと、天乃が来たからと、これ見よがしに攻撃しているだけだろう
天乃「会いに来たのに……嬉しくないの?」
夏凜「ぅ……嬉しいわよっ! 悪いっ!?」
風「真っ赤になっちゃってまぁ……少し落ち着きなさい」
夏凜「はー……そんな理由でわざわざ来たの?」
天乃「なによ、来て欲しくなかった?」
東郷「自分に会いに来てほしかっただけですよ、久遠先輩」
夏凜「はぁっ!?」
口を挟んだ東郷に向かって怒鳴るように唸って、
そんなこと言ってないでしょ! と、夏凜は声を張り上げる
向けられた東郷は平然と笑っていて
困ったように笑う樹がふと、天乃に目を向ける
樹「副部長は自分で決まり。みたいな考えだったのではないでしょうか?」
夏凜「い~つ~き~?」
樹「あははっ」
ムッとする夏凜に対して、笑顔のその他
この病室の中に限っては、夏凜が弱いのだろうか?
きっと、天乃が来たからと、これ見よがしに攻撃しているだけだろう
天乃「会いに来たのに……嬉しくないの?」
夏凜「ぅ……嬉しいわよっ! 悪いっ!?」
風「真っ赤になっちゃってまぁ……少し落ち着きなさい」
162: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/04(月) 19:34:36.57:cVrmtW5ao (4/11)
夏凜「ったく……」
天乃「まぁまぁ」
夏凜「ふんっ」
天乃はそっぽを向く夏凜の横に腰かけて、
その体に身を寄せながら、体を揺する
ムッとしてはいるけれど、振り払わないのが愛おしい
天乃よりもちょっぴり大きいだけの体は、
体幹がしっかりとしていて、男の子にも負けない作りになっている
天乃「……ふふっ」
夏凜「何笑ってんのよ」
天乃「別にぃ~?」
天乃に身を寄せられ、まんざらでもなさそうな夏凜のそれでもそっぽを向く姿勢に、
風達は温かい目を向けて、ため息をつく
園子「それで~? 副部長は決まってるの~?」
夏凜「ったく……」
天乃「まぁまぁ」
夏凜「ふんっ」
天乃はそっぽを向く夏凜の横に腰かけて、
その体に身を寄せながら、体を揺する
ムッとしてはいるけれど、振り払わないのが愛おしい
天乃よりもちょっぴり大きいだけの体は、
体幹がしっかりとしていて、男の子にも負けない作りになっている
天乃「……ふふっ」
夏凜「何笑ってんのよ」
天乃「別にぃ~?」
天乃に身を寄せられ、まんざらでもなさそうな夏凜のそれでもそっぽを向く姿勢に、
風達は温かい目を向けて、ため息をつく
園子「それで~? 副部長は決まってるの~?」
163: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/04(月) 20:03:11.07:cVrmtW5ao (5/11)
園子の間延びする声に、天乃は考える素振りを見せる
みんなは本気で―きっと本心で―夏凜が副部長になると思っているはずだ
そこであえて別の人を指名するのも、ちょっとだけやってみたくなる
夏凜も文句は言わないだろうし、みんなだってきっと
けれど、今そうであるように、天乃の支えとなってくれているのは夏凜だった
最初は、本当……酷いこともあったが
今ではれっきとした深い仲にまで至っている
天乃「そうねぇ」
小さく呟くと、視線が集まる
さっきまでの雑談のにぎやかさは瞬く間に薄れて消滅する
1、夏凜
2、友奈
3、園子
4、東郷
5、正直……副部長なんていらなくない?
↓2
園子の間延びする声に、天乃は考える素振りを見せる
みんなは本気で―きっと本心で―夏凜が副部長になると思っているはずだ
そこであえて別の人を指名するのも、ちょっとだけやってみたくなる
夏凜も文句は言わないだろうし、みんなだってきっと
けれど、今そうであるように、天乃の支えとなってくれているのは夏凜だった
最初は、本当……酷いこともあったが
今ではれっきとした深い仲にまで至っている
天乃「そうねぇ」
小さく呟くと、視線が集まる
さっきまでの雑談のにぎやかさは瞬く間に薄れて消滅する
1、夏凜
2、友奈
3、園子
4、東郷
5、正直……副部長なんていらなくない?
↓2
164:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/04(月) 20:04:43.14:xzFlupoHO (1/1)
1
1
165:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/04(月) 20:06:09.02:U1jqWP3X0 (1/1)
1
1
166: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/04(月) 20:41:20.85:cVrmtW5ao (6/11)
天乃「夏凜、かな」
夏凜「っ」
風「はーい解散解散!」
パンパンッと風が高らかに手を叩くと
部屋を出ていく……なんていうことはないものの、
布団を引っ張り上げてベッドに横になってしまう
天乃「えっ、なに? なんで?」
東郷「どうせそんなことだろうと思っていたので」
園子「予想通り過ぎてなんもいえね~ぜ~」
樹「もちろん、文句があるわけではないので、大丈夫だと思いますよ」
ベッドにふて寝したようにみえる東郷達からの呆れたような声に続いて
樹の困った笑い交じりのフォローが入る
樹は横にはならずに、ニコニコと夏凜と天乃の方を見ている
唯一、副部長選に無関係な部長という立場だからだろう
樹「夏凜さん……いえ、夏凜副部長。至らない点があるかと思いますが、宜しくお願い致します」
天乃「夏凜、かな」
夏凜「っ」
風「はーい解散解散!」
パンパンッと風が高らかに手を叩くと
部屋を出ていく……なんていうことはないものの、
布団を引っ張り上げてベッドに横になってしまう
天乃「えっ、なに? なんで?」
東郷「どうせそんなことだろうと思っていたので」
園子「予想通り過ぎてなんもいえね~ぜ~」
樹「もちろん、文句があるわけではないので、大丈夫だと思いますよ」
ベッドにふて寝したようにみえる東郷達からの呆れたような声に続いて
樹の困った笑い交じりのフォローが入る
樹は横にはならずに、ニコニコと夏凜と天乃の方を見ている
唯一、副部長選に無関係な部長という立場だからだろう
樹「夏凜さん……いえ、夏凜副部長。至らない点があるかと思いますが、宜しくお願い致します」
167: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/04(月) 21:42:00.46:cVrmtW5ao (7/11)
夏凜「順応性あるわね、樹」
樹「臨機応変、常在戦場。武士たるもの、常に堂々たれって、若葉さんが」
天乃「若葉……」
何を言ってるのか……
そもそも、若干間違っているような気がする。と、天乃は眉を顰める
若葉が間違えたのか、樹が間違えたのか
もしくは、混ざってしまったかだ
夏凜「良いわ。天乃……引き継いであげる」
天乃「良いの? 大変よ?」
夏凜「あんたに付き合う以上に大変な事はないでしょ」
天乃「じゃぁ……別れる?」
口ではそう言いながら、夏凜の腕に抱き着く
別れると言われない自信はあるけれど
でも、自分は別れたくないという、意思を示したくて
夏凜は言葉よりも息をついて、天乃の頭に触れる
夏凜「別れない……決まってるでしょ」
夏凜「順応性あるわね、樹」
樹「臨機応変、常在戦場。武士たるもの、常に堂々たれって、若葉さんが」
天乃「若葉……」
何を言ってるのか……
そもそも、若干間違っているような気がする。と、天乃は眉を顰める
若葉が間違えたのか、樹が間違えたのか
もしくは、混ざってしまったかだ
夏凜「良いわ。天乃……引き継いであげる」
天乃「良いの? 大変よ?」
夏凜「あんたに付き合う以上に大変な事はないでしょ」
天乃「じゃぁ……別れる?」
口ではそう言いながら、夏凜の腕に抱き着く
別れると言われない自信はあるけれど
でも、自分は別れたくないという、意思を示したくて
夏凜は言葉よりも息をついて、天乃の頭に触れる
夏凜「別れない……決まってるでしょ」
168: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/04(月) 22:00:09.72:cVrmtW5ao (8/11)
夏凜「樹」
樹「はぁ……」
夏凜「私は副部長とか良く分からないけど……部長のサポートをする立場。だと思って全力でやるわ」
だから覚悟しなさい。と、夏凜は胸を張る
恋人を腕に巻きながら
その頭を撫でている姿は、威張ってもまるで威厳がない
流石の樹も間の抜けた反応を見せて、首を振る
あらかじめ決まっていることが明白だった副部長を決めるだけで、
こんなにも甘えている姿を見せられては、拍子抜けしてしまう
樹「解りました。夏凜さんを久遠先輩だと思って頼らせて頂きますねっ」
夏凜「いや、天乃――」
樹「お願いしますねっ?」
にっこりと、樹は笑う
その威圧を感じる要求に、夏凜は頬を掻いて、「はいはい」と答える
目の前で恋人が抱き着いたままなのだ
少しくらいは……嫉妬もされるだろう
夏凜「樹」
樹「はぁ……」
夏凜「私は副部長とか良く分からないけど……部長のサポートをする立場。だと思って全力でやるわ」
だから覚悟しなさい。と、夏凜は胸を張る
恋人を腕に巻きながら
その頭を撫でている姿は、威張ってもまるで威厳がない
流石の樹も間の抜けた反応を見せて、首を振る
あらかじめ決まっていることが明白だった副部長を決めるだけで、
こんなにも甘えている姿を見せられては、拍子抜けしてしまう
樹「解りました。夏凜さんを久遠先輩だと思って頼らせて頂きますねっ」
夏凜「いや、天乃――」
樹「お願いしますねっ?」
にっこりと、樹は笑う
その威圧を感じる要求に、夏凜は頬を掻いて、「はいはい」と答える
目の前で恋人が抱き着いたままなのだ
少しくらいは……嫉妬もされるだろう
169: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/04(月) 22:24:07.80:cVrmtW5ao (9/11)
東郷「ところで、久遠先輩は卒業式には参加出来そうですか?」
天乃「本当に唐突ね……」
あと一ヶ月もない先にある卒業式
本来なら参加できない程に休学してしまっているけれど、
一応は義務教育だし、成績的には問題もない
なにより、大赦による重要なお役目と言うこともあって、卒業は可能だ
天乃「可能なら参加したいわ」
風「可能ならって……参加するでしょ?」
天乃「予定としては参加だけれど……私が出ていったら騒ぎになりそうで」
風「いーじゃない~最後くらい華々しくいきましょ」
園子「天さんが参加してくれないと、悲しいな~」
樹「参加してください、久遠先輩」
天乃「ん……」
夏凜「騒ぎが起こったら、何とかしてあげるから……」
東郷「ところで、久遠先輩は卒業式には参加出来そうですか?」
天乃「本当に唐突ね……」
あと一ヶ月もない先にある卒業式
本来なら参加できない程に休学してしまっているけれど、
一応は義務教育だし、成績的には問題もない
なにより、大赦による重要なお役目と言うこともあって、卒業は可能だ
天乃「可能なら参加したいわ」
風「可能ならって……参加するでしょ?」
天乃「予定としては参加だけれど……私が出ていったら騒ぎになりそうで」
風「いーじゃない~最後くらい華々しくいきましょ」
園子「天さんが参加してくれないと、悲しいな~」
樹「参加してください、久遠先輩」
天乃「ん……」
夏凜「騒ぎが起こったら、何とかしてあげるから……」
170: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/04(月) 22:50:13.34:cVrmtW5ao (10/11)
参加してではなく、
騒ぎになったら何とかしてあげると、夏凜は優しい声で言う
頭に触れていた手が抱き寄せるものへと変わる
夏凜「ちゃんと卒業して欲しい」
天乃「夏凜……」
園子「アツアツだね~」
天乃「っ」
夏凜「私より先に色々やってんだから良いでしょ」
茶々を入れる園子達に、夏凜はむっとして言い放つ
天乃の体を抱き寄せながら、ベッドへと倒す
天乃「ふぇ……えっ?」
夏凜「どうする? 卒業式……学校の卒業しないなら……別の卒業させるけど」
天乃「べ、別……?」
1、卒業式に出るから止めて
2、……それ、ちょっと気になるわね
3、冗談よ。ちゃんと出るから
4、今、するの?
↓2
参加してではなく、
騒ぎになったら何とかしてあげると、夏凜は優しい声で言う
頭に触れていた手が抱き寄せるものへと変わる
夏凜「ちゃんと卒業して欲しい」
天乃「夏凜……」
園子「アツアツだね~」
天乃「っ」
夏凜「私より先に色々やってんだから良いでしょ」
茶々を入れる園子達に、夏凜はむっとして言い放つ
天乃の体を抱き寄せながら、ベッドへと倒す
天乃「ふぇ……えっ?」
夏凜「どうする? 卒業式……学校の卒業しないなら……別の卒業させるけど」
天乃「べ、別……?」
1、卒業式に出るから止めて
2、……それ、ちょっと気になるわね
3、冗談よ。ちゃんと出るから
4、今、するの?
↓2
171:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/04(月) 22:54:43.15:8JH18P7LO (1/1)
2
2
172:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/04(月) 22:56:37.53:OLfY1Xh0O (1/1)
2
2
173: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/04(月) 23:03:03.74:cVrmtW5ao (11/11)
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
園子「卒業とは~!?」
東郷「童て――」パシンッ
樹「男の子じゃないんですから……」
東郷「そういえば、久遠先輩の回復力なら膜も――」
風「はーいそこまで!」
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
園子「卒業とは~!?」
東郷「童て――」パシンッ
樹「男の子じゃないんですから……」
東郷「そういえば、久遠先輩の回復力なら膜も――」
風「はーいそこまで!」
174:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/04(月) 23:14:47.69:3fISZTp1O (1/1)
乙
そういえば夏凜ちゃんずっとキスだけで本番はロクにしてなかったっけ
乙
そういえば夏凜ちゃんずっとキスだけで本番はロクにしてなかったっけ
175:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/05(火) 07:17:25.62:P2zP3pPVO (1/1)
乙
夏凜が珍しく積極的だな
乙
夏凜が珍しく積極的だな
176: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/05(火) 22:53:30.15:CCumAL8Lo (1/4)
遅くなりましたが、少しだけ
遅くなりましたが、少しだけ
177:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/05(火) 23:03:29.97:dhSAFhh6O (1/1)
かもーん
かもーん
178: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/05(火) 23:08:21.41:CCumAL8Lo (2/4)
天乃「……それは、ちょっと気になるわね」
夏凜「は……」
天乃「ふふっいつまでもやられっぱなしなわけないじゃない」
ちょっとだけ驚いたけれど。と
天乃は笑顔の裏に焦りを押し隠して、余裕そうに見せる
無理矢理に引き倒されたのには驚いたし、
夏凜が積極的な事にもびっくりだ
けれど、負けていられない
天乃「今の私はね……園子のおかげで攻めることも出来る女なのよ」
東郷「へぇ……」
園子「えへへ……」
少し離れた場所で何か怖い声が聞こえたが、夏凜は天乃を見下ろしたまま……視線を合わせる
じっと、見つめ合う
夏凜「天乃ってみんながやってることが全てだとか勘違いしてるでしょ」
天乃「何の話?」
夏凜「セックスの話」
天乃「セッ――」
夏凜「ほら赤くなった」
天乃「……それは、ちょっと気になるわね」
夏凜「は……」
天乃「ふふっいつまでもやられっぱなしなわけないじゃない」
ちょっとだけ驚いたけれど。と
天乃は笑顔の裏に焦りを押し隠して、余裕そうに見せる
無理矢理に引き倒されたのには驚いたし、
夏凜が積極的な事にもびっくりだ
けれど、負けていられない
天乃「今の私はね……園子のおかげで攻めることも出来る女なのよ」
東郷「へぇ……」
園子「えへへ……」
少し離れた場所で何か怖い声が聞こえたが、夏凜は天乃を見下ろしたまま……視線を合わせる
じっと、見つめ合う
夏凜「天乃ってみんながやってることが全てだとか勘違いしてるでしょ」
天乃「何の話?」
夏凜「セックスの話」
天乃「セッ――」
夏凜「ほら赤くなった」
179: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/05(火) 23:17:36.68:CCumAL8Lo (3/4)
園子を下したと天乃は言っているけれど、
園子は天乃を除いた勇者部の中でも最も弱いのだから、何の自慢にもならない
そもそも、だからと言って天乃が弱いことも変わりはない
天乃「か、夏凜……だって」
夏凜「ただの直喩でしょ。私は別に恥ずかしくないわよ」
天乃「ぅ……」
夏凜「あんたの考えてることなんてお見通しなんだから」
どうせ、からかってやろう。という魂胆だったのだろうと夏凜は苦笑する
夏凜の引き倒し、別の意味での卒業と言う言葉
それに対して強気で行けば主導権を握れる……とでも
それは甘い考えだ
夏凜「調べたんだけど、四十八手って面白い教本があって、これの1から48までをやって卒業。ってことにしようかと思ってるのよ」
天乃「ん……うん?」
夏凜「東郷の研究が完成して、天乃がもしも生やせたなら……童貞の方でもいいんだけど」
東郷「私の研究はそういう方じゃないわ」
園子を下したと天乃は言っているけれど、
園子は天乃を除いた勇者部の中でも最も弱いのだから、何の自慢にもならない
そもそも、だからと言って天乃が弱いことも変わりはない
天乃「か、夏凜……だって」
夏凜「ただの直喩でしょ。私は別に恥ずかしくないわよ」
天乃「ぅ……」
夏凜「あんたの考えてることなんてお見通しなんだから」
どうせ、からかってやろう。という魂胆だったのだろうと夏凜は苦笑する
夏凜の引き倒し、別の意味での卒業と言う言葉
それに対して強気で行けば主導権を握れる……とでも
それは甘い考えだ
夏凜「調べたんだけど、四十八手って面白い教本があって、これの1から48までをやって卒業。ってことにしようかと思ってるのよ」
天乃「ん……うん?」
夏凜「東郷の研究が完成して、天乃がもしも生やせたなら……童貞の方でもいいんだけど」
東郷「私の研究はそういう方じゃないわ」
180: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/05(火) 23:56:31.02:CCumAL8Lo (4/4)
夏凜「……というか、園子ともやったなら、私ともそろそろやっても良いんじゃない?」
天乃「私は、体さえ問題ないならいつでも来てくれていいんだけど」
夏凜「そ……じゃぁ次は宜しく」
天乃「ええ」
夏凜が離れるのに従って体を起こすと、
隠れたはずのみんなが天乃達の方を見ているのが目に入る
恨めしいとかではなく
どこか生暖かさを感じる視線だった
天乃「……なに?」
園子「わざわざこんなところでやらなくても~」
東郷「違うわそのっち。夏凜ちゃんは久遠先輩は私のものだって独占欲を発揮したのよ」
夏凜「……別に良いでしょ」
樹「若葉さんを含めれば一人六つで卒業ですね」
指折り数える樹の言葉に、風の乾いた笑い声が返る
四十八手とは言うが、あれのすべてをやるのは無理だと、すでに答えは出ているのだ
風「なんていうか、こうやって宣言しないといけないくらいには……天乃の予定ってかつかつなのよ」
夏凜「……というか、園子ともやったなら、私ともそろそろやっても良いんじゃない?」
天乃「私は、体さえ問題ないならいつでも来てくれていいんだけど」
夏凜「そ……じゃぁ次は宜しく」
天乃「ええ」
夏凜が離れるのに従って体を起こすと、
隠れたはずのみんなが天乃達の方を見ているのが目に入る
恨めしいとかではなく
どこか生暖かさを感じる視線だった
天乃「……なに?」
園子「わざわざこんなところでやらなくても~」
東郷「違うわそのっち。夏凜ちゃんは久遠先輩は私のものだって独占欲を発揮したのよ」
夏凜「……別に良いでしょ」
樹「若葉さんを含めれば一人六つで卒業ですね」
指折り数える樹の言葉に、風の乾いた笑い声が返る
四十八手とは言うが、あれのすべてをやるのは無理だと、すでに答えは出ているのだ
風「なんていうか、こうやって宣言しないといけないくらいには……天乃の予定ってかつかつなのよ」
181: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/06(水) 00:02:58.88:tXJXbZT7o (1/3)
次から次へと、天乃の隣は取られてしまう
だから二人同時に相手をしよう。なんていう話にもなったりするわけで……
夏凜は二人同時相手でもいいが
園子はつまみ食いされたわけだし、自分だって可能ならそうしたいと思ったのだ
夏凜「……嫌なら、良いわよ。別に」
天乃「夏凜……」
アプローチの仕方がうまいとは、残念ながら言えない
けれど、夏凜はみんなの前で攻めてきてくれた
自分が欲しいと、近づいてきてくれた
それは、天乃にとってはとても嬉しいことで。
天乃「……嫌って言うと思う?」
夏凜「かもしれない」
天乃「言わないわよ。大丈夫」
そう言って、天乃は夏凜を引き倒した
次から次へと、天乃の隣は取られてしまう
だから二人同時に相手をしよう。なんていう話にもなったりするわけで……
夏凜は二人同時相手でもいいが
園子はつまみ食いされたわけだし、自分だって可能ならそうしたいと思ったのだ
夏凜「……嫌なら、良いわよ。別に」
天乃「夏凜……」
アプローチの仕方がうまいとは、残念ながら言えない
けれど、夏凜はみんなの前で攻めてきてくれた
自分が欲しいと、近づいてきてくれた
それは、天乃にとってはとても嬉しいことで。
天乃「……嫌って言うと思う?」
夏凜「かもしれない」
天乃「言わないわよ。大丈夫」
そう言って、天乃は夏凜を引き倒した
182: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/06(水) 00:03:34.69:tXJXbZT7o (2/3)
では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
183:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/06(水) 00:16:03.85:hBa21cHCO (1/1)
乙
雰囲気的に夏凜ちゃんとはやらない感じと思ってたらここで来るか
あと夏凜ちゃんの口からセックスという言葉が出てくるとは…
乙
雰囲気的に夏凜ちゃんとはやらない感じと思ってたらここで来るか
あと夏凜ちゃんの口からセックスという言葉が出てくるとは…
184:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/06(水) 01:51:59.57:ItXZbBqRO (1/1)
乙
女同士で全部できるようなもんだろうか四十八手
乙
女同士で全部できるようなもんだろうか四十八手
185: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/06(水) 23:45:09.41:tXJXbZT7o (3/3)
すみませんが本日はお休みとさせてください
明日はできれば通常時間から
すみませんが本日はお休みとさせてください
明日はできれば通常時間から
186:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/07(木) 06:01:16.56:2go8icfTO (1/1)
乙
乙
187: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/07(木) 21:46:13.10:u0LWjEa4o (1/5)
では少しだけ
では少しだけ
188:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/07(木) 21:50:53.39:QuUbCZ+pO (1/2)
やったぜ
やったぜ
189: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/07(木) 22:57:11.22:u0LWjEa4o (2/5)
風「いやいやいや、ここでおっぱじめないでよ!?」
沙織「引きはがしてあげようか……」
天乃「沙織……?」
沙織「それ以外の誰かに見えたのなら、寂しいなぁ」
暫く姿を見せていなかった沙織は、
精霊らしく、どこからともなく姿を見せる
先日、子供たちの名前がまだ決まっていない頃
名前の候補の一つを出してくれた時が、まともに顔を見た最後だったと、天乃は思い出す
天乃「それ以外には見えないわ……でも、どこに居たの?」
沙織「ん~……大赦の方だね。ほら、久遠さんを巫女にするとかいうクソ……じゃなかったクズみたいなことを言ってたから」
東郷「伊集院先輩、ほとんど一緒です」
沙織「ごめんね……猿猴の力を使うとどうしてもそうなっちゃうから」
困ったように言う沙織は、はぁ……とため息をつく
巫女の装束を身に纏っている沙織は、普段よりも猿猴の力を色濃く漂わせている
天乃「何か悪さしたりしてないわよね?」
沙織「深い話を聞くためには伊集院沙織じゃもう駄目だからね。ちょーっとごまかしを」
人差し指と親指の隙間を見せて、沙織は苦笑した
風「いやいやいや、ここでおっぱじめないでよ!?」
沙織「引きはがしてあげようか……」
天乃「沙織……?」
沙織「それ以外の誰かに見えたのなら、寂しいなぁ」
暫く姿を見せていなかった沙織は、
精霊らしく、どこからともなく姿を見せる
先日、子供たちの名前がまだ決まっていない頃
名前の候補の一つを出してくれた時が、まともに顔を見た最後だったと、天乃は思い出す
天乃「それ以外には見えないわ……でも、どこに居たの?」
沙織「ん~……大赦の方だね。ほら、久遠さんを巫女にするとかいうクソ……じゃなかったクズみたいなことを言ってたから」
東郷「伊集院先輩、ほとんど一緒です」
沙織「ごめんね……猿猴の力を使うとどうしてもそうなっちゃうから」
困ったように言う沙織は、はぁ……とため息をつく
巫女の装束を身に纏っている沙織は、普段よりも猿猴の力を色濃く漂わせている
天乃「何か悪さしたりしてないわよね?」
沙織「深い話を聞くためには伊集院沙織じゃもう駄目だからね。ちょーっとごまかしを」
人差し指と親指の隙間を見せて、沙織は苦笑した
190: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/07(木) 23:33:01.05:u0LWjEa4o (3/5)
沙織「今回の神婚と、神々が散り散りになったことでかなり変わっていくみたいだね」
天乃を巫女としてたてようとしたが、
残念ながらそれは天乃が拒否したし、みんなも嫌がるから上手くはいかない
ならばどうするのかと忍び込んでみれば、
少しずつ、西暦時代の形に戻していくつもりらしい
とはいえ、西暦時代にあんなことが起きた以上
完全にそれと同じにするわけにもいかないので、その調整に四苦八苦しているらしい
神樹様に護られる世界から
人が人として生きていく世界へ
その移ろいは、簡単にできることではないようだ
だからこそ、天乃の力を借りたかったのかもしれない
沙織「ただ、久遠さんが巫女に仕立て上げられることは、多分もうないから大丈夫だと思うよ」
天乃「あら、意外ね」
沙織「ほら、久遠さんのお祖母ちゃん。あの人、久遠家代々の穢れを継いでた人だから神婚の時に何も影響なかったみたいで……」
沙織「今回の神婚と、神々が散り散りになったことでかなり変わっていくみたいだね」
天乃を巫女としてたてようとしたが、
残念ながらそれは天乃が拒否したし、みんなも嫌がるから上手くはいかない
ならばどうするのかと忍び込んでみれば、
少しずつ、西暦時代の形に戻していくつもりらしい
とはいえ、西暦時代にあんなことが起きた以上
完全にそれと同じにするわけにもいかないので、その調整に四苦八苦しているらしい
神樹様に護られる世界から
人が人として生きていく世界へ
その移ろいは、簡単にできることではないようだ
だからこそ、天乃の力を借りたかったのかもしれない
沙織「ただ、久遠さんが巫女に仕立て上げられることは、多分もうないから大丈夫だと思うよ」
天乃「あら、意外ね」
沙織「ほら、久遠さんのお祖母ちゃん。あの人、久遠家代々の穢れを継いでた人だから神婚の時に何も影響なかったみたいで……」
191: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/07(木) 23:47:32.95:u0LWjEa4o (4/5)
園子「つまり、おばあ様が天さんを生贄にするな~って号令をかけたの?」
沙織「それに近いかな……聞いた話だからあれなんだけど」
これ以上、子供たちに重荷を背負わせてどうするのか。
天乃の祖母はそう言っていたらしい
直接的に天乃に手を出すなとは言っていないが
天乃が双子を産んだことは知っている
それも含めて、新しい世界に向かうということもあって、
久遠家の柵を払拭しようと考えたのかもしれない
沙織「あの人も、色々大変だったから」
風「なんか、上から目線ね……いや、わかってはいるんだけど」
沙織の中の猿猴が強まっているのだろう
沙織はどこか不思議な感じで語って、けれど、ふっと唐突にその気配が失せる
沙織「だから、大丈夫」
天乃「そう……お祖母様は家に戻るって言ってた?」
沙織「ううん、言ってないと思う。ごめんね、直接お話しできたわけじゃないから」
天乃「大丈夫、ありがとう」
園子「つまり、おばあ様が天さんを生贄にするな~って号令をかけたの?」
沙織「それに近いかな……聞いた話だからあれなんだけど」
これ以上、子供たちに重荷を背負わせてどうするのか。
天乃の祖母はそう言っていたらしい
直接的に天乃に手を出すなとは言っていないが
天乃が双子を産んだことは知っている
それも含めて、新しい世界に向かうということもあって、
久遠家の柵を払拭しようと考えたのかもしれない
沙織「あの人も、色々大変だったから」
風「なんか、上から目線ね……いや、わかってはいるんだけど」
沙織の中の猿猴が強まっているのだろう
沙織はどこか不思議な感じで語って、けれど、ふっと唐突にその気配が失せる
沙織「だから、大丈夫」
天乃「そう……お祖母様は家に戻るって言ってた?」
沙織「ううん、言ってないと思う。ごめんね、直接お話しできたわけじゃないから」
天乃「大丈夫、ありがとう」
192: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/07(木) 23:49:11.38:u0LWjEa4o (5/5)
すみませんが、短いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
すみませんが、短いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
193:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/07(木) 23:56:31.91:QuUbCZ+pO (2/2)
乙
さおりんと猿猴すごい久しぶりに見たなぁ
そしてあのお祖母様がついにデレるとは…直接話を聞きたかったけどもう時間がないのが惜しまれるな
乙
さおりんと猿猴すごい久しぶりに見たなぁ
そしてあのお祖母様がついにデレるとは…直接話を聞きたかったけどもう時間がないのが惜しまれるな
194:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/08(金) 02:23:57.40:IPu1S+UqO (1/1)
乙
終わりが近いのを実感するぜ…・…
乙
終わりが近いのを実感するぜ…・…
195: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/08(金) 23:49:45.84:OBU1VO0mo (1/1)
遅くなってしまったので、本日はお休みとさせてください
明日は、可能であればお昼ごろから
遅くなってしまったので、本日はお休みとさせてください
明日は、可能であればお昼ごろから
196:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/08(金) 23:51:19.60:eLB/kchZO (1/1)
乙ですー
乙ですー
197: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/09(土) 22:06:50.46:zJVzLAyqo (1/3)
遅くなりましたが、少しだけ
遅くなりましたが、少しだけ
198:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/09(土) 22:10:33.02:UYbir0dlO (1/1)
よしきた
よしきた
199: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/09(土) 23:20:07.41:zJVzLAyqo (2/3)
天乃「結婚式には……どうかしら。来てくれるかな」
沙織「どうかなぁ……」
沙織は渋るように言う
天乃の祖母は、自他ともに厳しい
同性交際だって認めていないかもしれないし
同性結婚なんて、もっと反対しているかもしれない
直接的には何も言って来ないが、ちゃんと異性と付き合いすべきと思っているかもしれない
沙織「まぁ、お祖母様は若干ツンデレみたいなところもあるし。来ないかもね」
天乃「そう……よね」
夏凜「それを言ったら、うちの親だって」
東郷「東郷、鷲尾両家は全然。私が幸せなら……と、言っていますよ」
園子「とっしーに同じく~」
樹「私も、大丈夫です。お姉ちゃんですし」
夏凜「羨ましい」
天乃「結婚式には……どうかしら。来てくれるかな」
沙織「どうかなぁ……」
沙織は渋るように言う
天乃の祖母は、自他ともに厳しい
同性交際だって認めていないかもしれないし
同性結婚なんて、もっと反対しているかもしれない
直接的には何も言って来ないが、ちゃんと異性と付き合いすべきと思っているかもしれない
沙織「まぁ、お祖母様は若干ツンデレみたいなところもあるし。来ないかもね」
天乃「そう……よね」
夏凜「それを言ったら、うちの親だって」
東郷「東郷、鷲尾両家は全然。私が幸せなら……と、言っていますよ」
園子「とっしーに同じく~」
樹「私も、大丈夫です。お姉ちゃんですし」
夏凜「羨ましい」
200: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/09(土) 23:52:55.12:zJVzLAyqo (3/3)
風「あれ? 結婚反対?」
夏凜「久遠の血が穢れてるって考えてんのよ」
春信の手を借りて、ようやく説得した。という状態である夏凜の家は
恐らくではあるが、結婚式に招待したところで来てはくれないかもしれない
だから、羨ましいとぼやく
反対されても、天乃との結婚は変わらない
仲の良かった兄は招待したら来てくれるはずだし、
全員が全員、大反対と言うわけでもない
天乃「また今度、ご挨拶に行く?」
夏凜「止めた方が良い」
子持ちであることは伝わっているだろうし、
変な難癖をつけられてしまうだけだ
夏凜としては、もうあまり関わらなくてもいいのでは。と、思っている
夏凜「どうしてもって言うなら、止めないけどね」
天乃「止めないって、夏凜にも来てもらわなきゃ困るわ」
夏凜「そりゃそうだけど」
風「あれ? 結婚反対?」
夏凜「久遠の血が穢れてるって考えてんのよ」
春信の手を借りて、ようやく説得した。という状態である夏凜の家は
恐らくではあるが、結婚式に招待したところで来てはくれないかもしれない
だから、羨ましいとぼやく
反対されても、天乃との結婚は変わらない
仲の良かった兄は招待したら来てくれるはずだし、
全員が全員、大反対と言うわけでもない
天乃「また今度、ご挨拶に行く?」
夏凜「止めた方が良い」
子持ちであることは伝わっているだろうし、
変な難癖をつけられてしまうだけだ
夏凜としては、もうあまり関わらなくてもいいのでは。と、思っている
夏凜「どうしてもって言うなら、止めないけどね」
天乃「止めないって、夏凜にも来てもらわなきゃ困るわ」
夏凜「そりゃそうだけど」
201: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 00:19:28.31:BBtUgUKto (1/14)
樹「うちは……良いの?」
風「そうねぇ」
天乃「風のところにもいくわよ。もちろん」
風「家とお墓?」
天乃「両方」
犬吠埼家のご両親
今から二年……いや、もう三年前と言ってもいい
天乃達とバーテックスの戦いの被害によって亡くなった二人
天乃はまだ、しっかりとお話を出来ていない
先延ばしになってしまっていたけれど、今度こそ
天乃はそう思って、笑みを浮かべる
天乃「色々な意味で、責任は取らなきゃね」
風「それは良いんだけど……樹を妊娠させる前に、あたしを妊娠させなさいよ?」
天乃「えっ?」
風「東郷が、そういうことできるようにしてくれるらしいから」
東郷「待ってください風先輩! 一番は私では!?」
園子「そういう話じゃないんじゃないかなぁ~?」
夏凜「園子が一番、落ち着いてるかもしれないわね」
呆れたように呟く夏凜に、
園子は困ったように笑って「いっつんが一番だよ」と、譲った
樹「うちは……良いの?」
風「そうねぇ」
天乃「風のところにもいくわよ。もちろん」
風「家とお墓?」
天乃「両方」
犬吠埼家のご両親
今から二年……いや、もう三年前と言ってもいい
天乃達とバーテックスの戦いの被害によって亡くなった二人
天乃はまだ、しっかりとお話を出来ていない
先延ばしになってしまっていたけれど、今度こそ
天乃はそう思って、笑みを浮かべる
天乃「色々な意味で、責任は取らなきゃね」
風「それは良いんだけど……樹を妊娠させる前に、あたしを妊娠させなさいよ?」
天乃「えっ?」
風「東郷が、そういうことできるようにしてくれるらしいから」
東郷「待ってください風先輩! 一番は私では!?」
園子「そういう話じゃないんじゃないかなぁ~?」
夏凜「園子が一番、落ち着いてるかもしれないわね」
呆れたように呟く夏凜に、
園子は困ったように笑って「いっつんが一番だよ」と、譲った
202: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 00:22:52.13:BBtUgUKto (2/14)
では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日は可能な限り、お昼ごろから
では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日は可能な限り、お昼ごろから
203:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/10(日) 00:36:03.27:jsSwlO2gO (1/1)
乙
今度は久遠さんと子作りしたい勇者部の皆さん
乙
今度は久遠さんと子作りしたい勇者部の皆さん
204:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/10(日) 03:32:51.39:1x66Bw2bO (1/1)
乙
東郷さんの肩にすべてかかっている
乙
東郷さんの肩にすべてかかっている
205: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 15:35:50.55:BBtUgUKto (3/14)
では、少しずつ
では、少しずつ
206:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/10(日) 15:50:00.31:Nt9AkM04O (1/3)
きてたー
きてたー
207: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 16:23:36.42:BBtUgUKto (4/14)
天乃「待って、そういう話は出来るようになってからにしましょう。ね?」
沙織「早めに考えておかないと大変だよ? 東郷さんはかなり本気で考えてるんだからね?」
天乃「え、ええ……」
東郷が本気になったときは、
本当に、完成させてしまいそうな気もしなくもない
少なくとも、沙織は完成させると信じているらしい
東郷「それがあれば、夏凜ちゃんのご両親も黙らせられるかしら……」
夏凜「血の問題だから無理だと思うわよ。とはいえ、遠い遠い血の繋がりがあるんだけど」
ほんのわずかな力の継承が出来ている程度の繋がり
三百年経ってなお、残る程度には強い繋がりだ
沙織「三好さん家は、そうだろうねぇ」
夏凜「まぁ……おか……母親は認めてくれてるから。渋ってる父親はどうにかなるわよ」
変な話して悪かったわね。と、夏凜は笑う
以前あいさつに行ったとき、母親の方は同性かつ複数の付き合いがあることを気にしていた
その一方で、父親は久遠家として気にしていた
あれから、だいぶいろいろなことがあった
その中で、久遠家の穢れというものを忌避しても仕方がないことだろう
天乃「待って、そういう話は出来るようになってからにしましょう。ね?」
沙織「早めに考えておかないと大変だよ? 東郷さんはかなり本気で考えてるんだからね?」
天乃「え、ええ……」
東郷が本気になったときは、
本当に、完成させてしまいそうな気もしなくもない
少なくとも、沙織は完成させると信じているらしい
東郷「それがあれば、夏凜ちゃんのご両親も黙らせられるかしら……」
夏凜「血の問題だから無理だと思うわよ。とはいえ、遠い遠い血の繋がりがあるんだけど」
ほんのわずかな力の継承が出来ている程度の繋がり
三百年経ってなお、残る程度には強い繋がりだ
沙織「三好さん家は、そうだろうねぇ」
夏凜「まぁ……おか……母親は認めてくれてるから。渋ってる父親はどうにかなるわよ」
変な話して悪かったわね。と、夏凜は笑う
以前あいさつに行ったとき、母親の方は同性かつ複数の付き合いがあることを気にしていた
その一方で、父親は久遠家として気にしていた
あれから、だいぶいろいろなことがあった
その中で、久遠家の穢れというものを忌避しても仕方がないことだろう
208: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 17:01:30.35:BBtUgUKto (5/14)
夏凜「天乃がまたしばらく、元気な顔見せてれば大丈夫」
樹「そうです。久遠先輩が元気に過ごしていれば、もう大丈夫だって思って貰えますよね」
なにより、神樹様がが選ぼうとした人だ
神々が選ぼうとした人が穢れ切っているわけがない
そして、長く苦しんでいた人が、
とても、元気に生きていたとしたら
穢れのことなんて、忘れて貰えるだろう
樹「そのためにも、夏凜さんが頑張らないとだめですよ?」
夏凜「なんで私だけなのよ」
園子「元々、そういうつもりだったって聞いてるんよ~」
夏凜「聞いたって言うか……」
なれそめは、それなりに話し合っている
だから、当然園子も知っているのだ
東郷「そう……元気な赤ちゃんを作れるくらい元気に……」
風「東郷、それはもういいから」
夏凜「天乃がまたしばらく、元気な顔見せてれば大丈夫」
樹「そうです。久遠先輩が元気に過ごしていれば、もう大丈夫だって思って貰えますよね」
なにより、神樹様がが選ぼうとした人だ
神々が選ぼうとした人が穢れ切っているわけがない
そして、長く苦しんでいた人が、
とても、元気に生きていたとしたら
穢れのことなんて、忘れて貰えるだろう
樹「そのためにも、夏凜さんが頑張らないとだめですよ?」
夏凜「なんで私だけなのよ」
園子「元々、そういうつもりだったって聞いてるんよ~」
夏凜「聞いたって言うか……」
なれそめは、それなりに話し合っている
だから、当然園子も知っているのだ
東郷「そう……元気な赤ちゃんを作れるくらい元気に……」
風「東郷、それはもういいから」
209: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 17:54:12.35:BBtUgUKto (6/14)
沙織「何はともあれ、これで結城さんのことを除けば心置きなく退院できるよ」
天乃「家に大赦の人がわざわざ来ることもないのね」
沙織「そうだね。春信さんと瞳さん以外……になるけどね」
くすくすと笑う沙織は、
二人ならば別に来ても問題がないことは分かっている
それ以前に、どちらかと言えば、春信は来ない方だろう
天乃「子供達とゆっくり、出来るかしら」
風「いやぁ、育児に炊事洗濯はなかなかきついんじゃない?」
樹「お姉ちゃんも手伝ってね?」
風「それはもちろん手伝うけど――」
園子「いやいや、ふーみん先輩は今は勉強しなければいけない期間……よって、私達で頑張ろ~」
夏凜「……変なこと言い出すんじゃないわよ?」
当たり前のことを、にやにやとして語る園子に、
夏凜は不穏なものを感じたのだろう
すかさずそう牽制するが、園子はにっこりと笑う
園子「その代わり、天さんには可愛いエプロンをつけて貰って~ご飯にする? お風呂にする? それとも~わ・た・し? をして貰うんよ~」
東郷「その――」
風「いや、東郷それはない」
東郷「まだ何も言ってません!」
沙織「何はともあれ、これで結城さんのことを除けば心置きなく退院できるよ」
天乃「家に大赦の人がわざわざ来ることもないのね」
沙織「そうだね。春信さんと瞳さん以外……になるけどね」
くすくすと笑う沙織は、
二人ならば別に来ても問題がないことは分かっている
それ以前に、どちらかと言えば、春信は来ない方だろう
天乃「子供達とゆっくり、出来るかしら」
風「いやぁ、育児に炊事洗濯はなかなかきついんじゃない?」
樹「お姉ちゃんも手伝ってね?」
風「それはもちろん手伝うけど――」
園子「いやいや、ふーみん先輩は今は勉強しなければいけない期間……よって、私達で頑張ろ~」
夏凜「……変なこと言い出すんじゃないわよ?」
当たり前のことを、にやにやとして語る園子に、
夏凜は不穏なものを感じたのだろう
すかさずそう牽制するが、園子はにっこりと笑う
園子「その代わり、天さんには可愛いエプロンをつけて貰って~ご飯にする? お風呂にする? それとも~わ・た・し? をして貰うんよ~」
東郷「その――」
風「いや、東郷それはない」
東郷「まだ何も言ってません!」
210: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 18:28:33.27:BBtUgUKto (7/14)
天乃「はいはい」
可愛いエプロンが似合うかとかどうとか
ちょっと気になることはあるけれど、
みんながそれが見たいというのなら……と、天乃は困ったように笑う
病室らしからぬ華やかな空気は、
友奈が居たらもっと賑やかだったろう
そして、これからは自分たちの家で、ずっと……
天乃「夏凜」
夏凜「なに?」
天乃「大変だろうけど、副部長宜しくね」
夏凜「あぁ……まぁ、樹が部長なら大丈夫でしょ」
確かに。と、沙織が言う
風の不満げな声に、みんなが笑う
これから部員が増えるのか
それとも、来年には部を畳んでしまうのか
それは分からないけれど――
樹「いっそ、個人運営しちゃうのも。ありですよね」
風「何でも屋でも開く? 自営業化しちゃう?」
天乃「そう言うのじゃないでしょ、勇者部は」
天乃「はいはい」
可愛いエプロンが似合うかとかどうとか
ちょっと気になることはあるけれど、
みんながそれが見たいというのなら……と、天乃は困ったように笑う
病室らしからぬ華やかな空気は、
友奈が居たらもっと賑やかだったろう
そして、これからは自分たちの家で、ずっと……
天乃「夏凜」
夏凜「なに?」
天乃「大変だろうけど、副部長宜しくね」
夏凜「あぁ……まぁ、樹が部長なら大丈夫でしょ」
確かに。と、沙織が言う
風の不満げな声に、みんなが笑う
これから部員が増えるのか
それとも、来年には部を畳んでしまうのか
それは分からないけれど――
樹「いっそ、個人運営しちゃうのも。ありですよね」
風「何でも屋でも開く? 自営業化しちゃう?」
天乃「そう言うのじゃないでしょ、勇者部は」
211: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 19:09:37.98:BBtUgUKto (8/14)
風もそれは分かっているのだろう
冗談だと言って、軽くウインクして見せる
園子「みんなで同じ家……かぁ」
樹「どうしたんですか?」
園子「ん~ん~……いつかそうなりたい。そう思っていたけど、叶うとは思ってなかったから」
天乃「そうね」
園子のしみじみとした思いを感じる
園子の瞳が、天乃へと向く
それは、天乃が一番願っていたことで
天乃が一番、叶わないだろうと思っていたこと
それを一番、園子は知っている
あの日、最後まで付き合ったからこそ、知っている
天乃「本当……そうだわ」
風もそれは分かっているのだろう
冗談だと言って、軽くウインクして見せる
園子「みんなで同じ家……かぁ」
樹「どうしたんですか?」
園子「ん~ん~……いつかそうなりたい。そう思っていたけど、叶うとは思ってなかったから」
天乃「そうね」
園子のしみじみとした思いを感じる
園子の瞳が、天乃へと向く
それは、天乃が一番願っていたことで
天乃が一番、叶わないだろうと思っていたこと
それを一番、園子は知っている
あの日、最後まで付き合ったからこそ、知っている
天乃「本当……そうだわ」
212: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 19:35:59.81:BBtUgUKto (9/14)
夏凜「友奈が退院したら、あそこ行きましょ」
天乃「あそこ?」
風「うどん!」
樹「お姉ちゃん……」
夏凜「そう、うどん」
東郷「えっ」
勇者部と言えば、うどんだ
夏凜が来てからは、天乃の体の状態もあって全然でダメだったが
それ以前も、天乃は味覚がない状態だった
夏凜「みんなで、快気祝いしましょ」
天乃「……子供達は置いて行けないわ」
園子「そこは何とかするんよ~」
赤ちゃんを連れているのは、
もしかしたら、ちょっと目を引くことかもしれないけれど
その辺りは、ちゃんと考えていけばいい
もしもダメそうなら、家でうどんで妥協だ
天乃「なら……そうしましょ」
夏凜「友奈が退院したら、あそこ行きましょ」
天乃「あそこ?」
風「うどん!」
樹「お姉ちゃん……」
夏凜「そう、うどん」
東郷「えっ」
勇者部と言えば、うどんだ
夏凜が来てからは、天乃の体の状態もあって全然でダメだったが
それ以前も、天乃は味覚がない状態だった
夏凜「みんなで、快気祝いしましょ」
天乃「……子供達は置いて行けないわ」
園子「そこは何とかするんよ~」
赤ちゃんを連れているのは、
もしかしたら、ちょっと目を引くことかもしれないけれど
その辺りは、ちゃんと考えていけばいい
もしもダメそうなら、家でうどんで妥協だ
天乃「なら……そうしましょ」
213: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 20:06:39.77:BBtUgUKto (10/14)
風「でもそっかぁ……そうよねぇ。赤ちゃんのこと、ちゃんと考えなきゃね」
夏凜「確かに、安易だった」
天乃「そうよ。ちゃんと考えて貰わないと」
申し訳なさそうな夏凜に便乗して、突っつく
夏凜はちゃんと考えてくれている
みんな、しっかりと考えてくれている
天乃「――夏凜パパ」
夏凜「はぁ!?」
驚く夏凜をよそに、天乃は笑う
誰がパパと言うわけではないけれど、
でも、だからこそ自分勝手に呼んでみたいのだ
東郷「待ってください久遠先輩、私もパパです!」
園子「それは無理があるんじゃないかな~」
東郷「くぅっ!」
天乃「ふふっ」
1、そこ拘っちゃうの?
2、冗談よ。パパは悪五郎くんだもの
3、みんなパパね。私がママ
4、さぁ? みんなママじゃないかしら
5、そういう園子もママだからね?
↓2
風「でもそっかぁ……そうよねぇ。赤ちゃんのこと、ちゃんと考えなきゃね」
夏凜「確かに、安易だった」
天乃「そうよ。ちゃんと考えて貰わないと」
申し訳なさそうな夏凜に便乗して、突っつく
夏凜はちゃんと考えてくれている
みんな、しっかりと考えてくれている
天乃「――夏凜パパ」
夏凜「はぁ!?」
驚く夏凜をよそに、天乃は笑う
誰がパパと言うわけではないけれど、
でも、だからこそ自分勝手に呼んでみたいのだ
東郷「待ってください久遠先輩、私もパパです!」
園子「それは無理があるんじゃないかな~」
東郷「くぅっ!」
天乃「ふふっ」
1、そこ拘っちゃうの?
2、冗談よ。パパは悪五郎くんだもの
3、みんなパパね。私がママ
4、さぁ? みんなママじゃないかしら
5、そういう園子もママだからね?
↓2
214:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/10(日) 20:08:37.33:Nt9AkM04O (2/3)
3
3
215:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/10(日) 20:10:06.40:kcmiYUQv0 (1/1)
1
1
216: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 21:38:23.53:BBtUgUKto (11/14)
天乃「そこに拘っちゃうの?」
東郷「何言ってるんですかっ!」
天乃「っ!」
同じベッドに板ならば押し倒すと言わんばかりの声が飛ぶ
ベッドに体を起こしている東郷は、手にした枕を強く握りしめて、天乃を見ていた
東郷「パパですよ。パパ……それがどんな意味を持っているか……」
知らないんですか? とでも言いたげな切れ方
言いたくても言えない
そんな純情を抱えているように東郷は俯く
天乃「そんな大事?」
夏凜「さぁ?」
沙織「パパってことは、ママと対になるってことだからね。大事なことだよ」
天乃「……そういうことね」
風「だから東郷は二人のパパの座狙ってんのよ。あの体で」
東郷「あの体は酷くないですか?」
樹「パパは私か夏凜さんですよ。これは決まってます」
園子「ここはゆーゆを推しておくんよ~」
天乃「そこに拘っちゃうの?」
東郷「何言ってるんですかっ!」
天乃「っ!」
同じベッドに板ならば押し倒すと言わんばかりの声が飛ぶ
ベッドに体を起こしている東郷は、手にした枕を強く握りしめて、天乃を見ていた
東郷「パパですよ。パパ……それがどんな意味を持っているか……」
知らないんですか? とでも言いたげな切れ方
言いたくても言えない
そんな純情を抱えているように東郷は俯く
天乃「そんな大事?」
夏凜「さぁ?」
沙織「パパってことは、ママと対になるってことだからね。大事なことだよ」
天乃「……そういうことね」
風「だから東郷は二人のパパの座狙ってんのよ。あの体で」
東郷「あの体は酷くないですか?」
樹「パパは私か夏凜さんですよ。これは決まってます」
園子「ここはゆーゆを推しておくんよ~」
217: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 22:19:44.02:BBtUgUKto (12/14)
風「男気なら友奈よねぇ」
天乃「風は良いんだ?」
風「あたしはほら~女子力に満ち溢れてるから」
女子力に溢れすぎているせいか、
風は残念だけどパパにはなれないらしい
確かに性格はパパ向きだが、女子力はある
東郷「くっ……友奈ちゃんには勝てないっ」
樹「友奈さんには譲るんですね……」
友奈に対しては対抗しようとした東郷に、
樹は苦笑いを浮かべて、少し考える素振りを見せる
東郷は友奈で、風も友奈で、園子も友奈で
そうなってしまうと、多数決的に友奈になってしまう……
樹「夏凜さんに一票で」
夏凜「貰っとく」
天乃「みんなパパとか言ったらダメ?」
沙織「みんなの分の子供を産む気があるなら良いんじゃない?」
天乃「それは難しいわね」
風「男気なら友奈よねぇ」
天乃「風は良いんだ?」
風「あたしはほら~女子力に満ち溢れてるから」
女子力に溢れすぎているせいか、
風は残念だけどパパにはなれないらしい
確かに性格はパパ向きだが、女子力はある
東郷「くっ……友奈ちゃんには勝てないっ」
樹「友奈さんには譲るんですね……」
友奈に対しては対抗しようとした東郷に、
樹は苦笑いを浮かべて、少し考える素振りを見せる
東郷は友奈で、風も友奈で、園子も友奈で
そうなってしまうと、多数決的に友奈になってしまう……
樹「夏凜さんに一票で」
夏凜「貰っとく」
天乃「みんなパパとか言ったらダメ?」
沙織「みんなの分の子供を産む気があるなら良いんじゃない?」
天乃「それは難しいわね」
218: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 23:20:59.86:BBtUgUKto (13/14)
沙織「そんな即答しなくても」
天乃「無理よ、体が持たないわ」
夏凜、風、園子、樹、友奈、東郷、沙織
若葉を除いても7人分の子供など、天乃の体がまず持たないかもしれない
もちろん、探せばもっと大家族がいるだろうし、
天乃の体が本調子なら子供を産むこと自体は可能かもしれないけれど、
相手が一人ではないのが、持たない
天乃「……欲張りすぎたわ」
夏凜「でもその責任は、取って貰わないと」
天乃「わかってる」
でも子供は多分無理。と
天乃はそれでも無理と言って「ごめんなさい」と手を合わせる
誰か一人の子供を7人なら可能だが、
7人一人ずつは、やっぱりさすがに可能だとは言えなかった
沙織「そんな即答しなくても」
天乃「無理よ、体が持たないわ」
夏凜、風、園子、樹、友奈、東郷、沙織
若葉を除いても7人分の子供など、天乃の体がまず持たないかもしれない
もちろん、探せばもっと大家族がいるだろうし、
天乃の体が本調子なら子供を産むこと自体は可能かもしれないけれど、
相手が一人ではないのが、持たない
天乃「……欲張りすぎたわ」
夏凜「でもその責任は、取って貰わないと」
天乃「わかってる」
でも子供は多分無理。と
天乃はそれでも無理と言って「ごめんなさい」と手を合わせる
誰か一人の子供を7人なら可能だが、
7人一人ずつは、やっぱりさすがに可能だとは言えなかった
219: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/10(日) 23:46:31.18:BBtUgUKto (14/14)
天乃「でも、どうなの実際」
夏凜「何が?」
天乃「みんなの考え」
そう言いつつ、天乃は東郷に目を向ける
天乃は東郷が女の子同士で子供を作れる技術を本気で研究しようとしていることは聞いているが、
みんなが自分たちで産む気なのか天乃に産ませたがっているのか。だ
みんなのさっきの会話的に、
自分たちが子供を産む気なのだろうか
今はまだ東郷の研究……と言うよりは計画だろうか
それがまだ成就していないため、考える必要はないことかもしれない
大体、天乃の体が持つかどうかも分からないのだから、
自分が……と思っているとは思う
1、あー……えっと、私との結婚。どう思ってるのかなって
2、子供は産みたいの? 産んで欲しいの?
3、名前。苗字……どうする?
4、本気で子供作りたいって考えてるの?
5、えっと、そう……戦い。完全に終わったって思ってる?
↓2
天乃「でも、どうなの実際」
夏凜「何が?」
天乃「みんなの考え」
そう言いつつ、天乃は東郷に目を向ける
天乃は東郷が女の子同士で子供を作れる技術を本気で研究しようとしていることは聞いているが、
みんなが自分たちで産む気なのか天乃に産ませたがっているのか。だ
みんなのさっきの会話的に、
自分たちが子供を産む気なのだろうか
今はまだ東郷の研究……と言うよりは計画だろうか
それがまだ成就していないため、考える必要はないことかもしれない
大体、天乃の体が持つかどうかも分からないのだから、
自分が……と思っているとは思う
1、あー……えっと、私との結婚。どう思ってるのかなって
2、子供は産みたいの? 産んで欲しいの?
3、名前。苗字……どうする?
4、本気で子供作りたいって考えてるの?
5、えっと、そう……戦い。完全に終わったって思ってる?
↓2
220:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/10(日) 23:56:54.81:Nt9AkM04O (3/3)
2
2
221:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/10(日) 23:59:07.68:GYyWxWGuO (1/1)
2
2
222: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/11(月) 00:11:38.14:xTXApZPwo (1/7)
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「そんなことよりこっちのベッドきませんか?」
樹「あっずるいですっ。こっちに来てください!」
園子「こっちも開いてるんよ~」
沙織「こっちにもあるよ」
風「……あれ? この流れ……」
夏凜「デジャヴよ。デジャヴ」
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「そんなことよりこっちのベッドきませんか?」
樹「あっずるいですっ。こっちに来てください!」
園子「こっちも開いてるんよ~」
沙織「こっちにもあるよ」
風「……あれ? この流れ……」
夏凜「デジャヴよ。デジャヴ」
223:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/11(月) 00:13:54.86:k2/dfG4iO (1/1)
乙
東郷さんの研究次第で今度は久遠さんがパパに…?
乙
東郷さんの研究次第で今度は久遠さんがパパに…?
224:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/11(月) 00:23:43.97:BzBHZNmKO (1/1)
乙
久遠さんが産ませる方なら全員作れるんじゃね?
乙
久遠さんが産ませる方なら全員作れるんじゃね?
225:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/11(月) 00:32:02.62:whRXnH4WO (1/1)
乙
久遠さん以外処女だからまずエッチしないと
乙
久遠さん以外処女だからまずエッチしないと
226: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/11(月) 21:35:23.05:xTXApZPwo (2/7)
では少しだけ
では少しだけ
227:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/11(月) 21:38:28.97:QTnWpafXO (1/1)
かもん
かもん
228: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/11(月) 22:30:29.16:xTXApZPwo (3/7)
天乃「子供は産みたいの? 産んで欲しいの?」
実際、東郷が研究しようとしているのは別に天乃やみんなが
女の子から男の子に性別転換するようなものではない
だから、どちらも産めなくなるなんてことはないし
当人さえよければ、どちらでも問題はないのだ
天乃「言っておくけど、辛いわよ?」
自慢げに言う天乃は、確かに辛そうだった
今でこそ笑って話せることだが、無事に産むこと、死産になること
それよりもずっと天乃が死ぬ可能性の方が高かったくらいだ
ただ、それは天乃だったからだ
風「天乃はかなり特例でしょ」
園子「天さんは穢れがピークに達してたし、神樹様の力も影響してかなり危ない状態だったから……」
東郷「そうね……それを考えれば、私達が久遠先輩の子供を産むべきだと思うわ」
東郷はそう言ったが、
ただ。それを考えなくていいのなら。と、続ける
東郷「やっぱり、久遠先輩に産んで欲しい」
天乃「子供は産みたいの? 産んで欲しいの?」
実際、東郷が研究しようとしているのは別に天乃やみんなが
女の子から男の子に性別転換するようなものではない
だから、どちらも産めなくなるなんてことはないし
当人さえよければ、どちらでも問題はないのだ
天乃「言っておくけど、辛いわよ?」
自慢げに言う天乃は、確かに辛そうだった
今でこそ笑って話せることだが、無事に産むこと、死産になること
それよりもずっと天乃が死ぬ可能性の方が高かったくらいだ
ただ、それは天乃だったからだ
風「天乃はかなり特例でしょ」
園子「天さんは穢れがピークに達してたし、神樹様の力も影響してかなり危ない状態だったから……」
東郷「そうね……それを考えれば、私達が久遠先輩の子供を産むべきだと思うわ」
東郷はそう言ったが、
ただ。それを考えなくていいのなら。と、続ける
東郷「やっぱり、久遠先輩に産んで欲しい」
229: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/11(月) 22:57:08.19:xTXApZPwo (4/7)
東郷「やっぱり、女として一度は久遠先輩の出産に立ち会いたい……というより、夏凜ちゃんだけ狡いです」
天乃「女の子なら立会される方だと思うのだけど」
樹「でも久遠先輩の体に負担はかけたくないです」
沙織「その問題はあるよね。そこ気にすると、樹ちゃんも危ない感じがするけど」
樹「これでも背は伸びてるので――というより、子供作るのはだいぶ先の話じゃないですかっ」
樹はむっとして言い返す。
樹が気にしてるのは、天乃の体が一部を除いてまだ未成熟に近い状態だからだ
しかも、今後身長が伸びることはないとほぼ確定しているような状態である今
やはり、穢れ等のことがないとしても天乃の出産は通常以上に危険が伴う
天乃はとても小さい
今では樹さえ通り過ぎた148cmのままだ
そのそんな小柄な天乃のお腹がだんだんと大きくなっていく
双子ということもあったのかもしれないけれど、
腹筋のある天乃のそれを超えて膨らんだように思う
夏凜「天乃はどうなのよ。私達が決めても良いわけ?」
天乃「みんながそうして欲しいならそれでもいいかなって思ってるわ」
東郷「やっぱり、女として一度は久遠先輩の出産に立ち会いたい……というより、夏凜ちゃんだけ狡いです」
天乃「女の子なら立会される方だと思うのだけど」
樹「でも久遠先輩の体に負担はかけたくないです」
沙織「その問題はあるよね。そこ気にすると、樹ちゃんも危ない感じがするけど」
樹「これでも背は伸びてるので――というより、子供作るのはだいぶ先の話じゃないですかっ」
樹はむっとして言い返す。
樹が気にしてるのは、天乃の体が一部を除いてまだ未成熟に近い状態だからだ
しかも、今後身長が伸びることはないとほぼ確定しているような状態である今
やはり、穢れ等のことがないとしても天乃の出産は通常以上に危険が伴う
天乃はとても小さい
今では樹さえ通り過ぎた148cmのままだ
そのそんな小柄な天乃のお腹がだんだんと大きくなっていく
双子ということもあったのかもしれないけれど、
腹筋のある天乃のそれを超えて膨らんだように思う
夏凜「天乃はどうなのよ。私達が決めても良いわけ?」
天乃「みんながそうして欲しいならそれでもいいかなって思ってるわ」
230: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/11(月) 23:23:26.28:xTXApZPwo (5/7)
天乃だってあの感覚を忘れたわけではない
すぐ隣にいる夏凜がトラウマになるくらいに、出産までの期間は大変だった
けれど、今の身体ならそこまで重い症状にならないことは、
天乃自身、感じていることだ
だから、みんなが天乃に産んで欲しいというなら受け入れることは出来る
そして、子供を産むということ
それが全てではないにしても
だんだん胎児が成長していく感覚
その痛みと、苦しさと辛さを身をもって知ること
それは、母親になる過程でとても大事な感覚なのではないかと、天乃は思っている
頑張って、頑張って、頑張って
ようやく勝ち得たものの尊さと大切さを知っている夏凜達なら
それがどれだけ大きな意味を持っているか、きっとわかるはずだ
だからもちろん、みんなが自分たちが産むというのなら止めないし
その手伝いは可能な限りするつもりではある
天乃「でも、お願いだから全員で妊娠はちょっと……できれば、避けて?」
それだけは、かなり困ってしまう
天乃だってあの感覚を忘れたわけではない
すぐ隣にいる夏凜がトラウマになるくらいに、出産までの期間は大変だった
けれど、今の身体ならそこまで重い症状にならないことは、
天乃自身、感じていることだ
だから、みんなが天乃に産んで欲しいというなら受け入れることは出来る
そして、子供を産むということ
それが全てではないにしても
だんだん胎児が成長していく感覚
その痛みと、苦しさと辛さを身をもって知ること
それは、母親になる過程でとても大事な感覚なのではないかと、天乃は思っている
頑張って、頑張って、頑張って
ようやく勝ち得たものの尊さと大切さを知っている夏凜達なら
それがどれだけ大きな意味を持っているか、きっとわかるはずだ
だからもちろん、みんなが自分たちが産むというのなら止めないし
その手伝いは可能な限りするつもりではある
天乃「でも、お願いだから全員で妊娠はちょっと……できれば、避けて?」
それだけは、かなり困ってしまう
231: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/11(月) 23:51:47.99:xTXApZPwo (6/7)
みんなが双子を孕むなんて言うことにはならないとは思うけれど、
そうならなくても、全員が一斉となると七つ子になる
一人でそうなるわけではないため、
体の負担があるなんてことはないけれど、
流石に、妊婦7人は天乃にも無理だ
千景が運良く残ってくれたとしても
瞳が手伝ってくれたとしても
最終的には、やはり手が回らなくなっていくことだろう
天乃「みんなが産んでくれるなら、それはそれでいいの。でも、一人一人にちゃんと寄り添いたいわ」
はっきりと、天乃は自分の望みを言う
一つあるいは二つもしかしたらそれ以上
新しく命が生まれるのだから
それに対し、母親であろうと父親であろうと
片手間で寄り添いたくはないと、天乃は言う
風「それはあるわねぇ」
東郷「久遠先輩に産んでもらいたいのもちゃんと付き合いたかったという思いがあってこそなので」
園子「なら、いっそ天さんがあと7人産んで私達が1人ずつ産むというのは……」
樹「名案では、無いですよ?」
ぴっか~ん。と、閃いたというような満面の笑みを見せる園子に、
樹はすかさず言葉を挟む
夏凜「産んで欲しい人は天乃に産んでもらって、産みたい人は自分でしっかりと産む。それが一番なんじゃない?」
みんなが双子を孕むなんて言うことにはならないとは思うけれど、
そうならなくても、全員が一斉となると七つ子になる
一人でそうなるわけではないため、
体の負担があるなんてことはないけれど、
流石に、妊婦7人は天乃にも無理だ
千景が運良く残ってくれたとしても
瞳が手伝ってくれたとしても
最終的には、やはり手が回らなくなっていくことだろう
天乃「みんなが産んでくれるなら、それはそれでいいの。でも、一人一人にちゃんと寄り添いたいわ」
はっきりと、天乃は自分の望みを言う
一つあるいは二つもしかしたらそれ以上
新しく命が生まれるのだから
それに対し、母親であろうと父親であろうと
片手間で寄り添いたくはないと、天乃は言う
風「それはあるわねぇ」
東郷「久遠先輩に産んでもらいたいのもちゃんと付き合いたかったという思いがあってこそなので」
園子「なら、いっそ天さんがあと7人産んで私達が1人ずつ産むというのは……」
樹「名案では、無いですよ?」
ぴっか~ん。と、閃いたというような満面の笑みを見せる園子に、
樹はすかさず言葉を挟む
夏凜「産んで欲しい人は天乃に産んでもらって、産みたい人は自分でしっかりと産む。それが一番なんじゃない?」
232: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/11(月) 23:52:15.37:xTXApZPwo (7/7)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
233:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/12(火) 00:08:02.50:/ty3BHZDO (1/1)
乙
久遠さんの場合は相手が妖怪の五郎くんだったから期間が短くて大変だったもんなぁ
乙
久遠さんの場合は相手が妖怪の五郎くんだったから期間が短くて大変だったもんなぁ
234:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/12(火) 00:39:58.86:Ri02TJwCO (1/1)
乙
こういうときやっぱり久遠さんは子供っぽくない考えしてるなと思う
乙
こういうときやっぱり久遠さんは子供っぽくない考えしてるなと思う
235: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/12(火) 23:44:45.14:3NsyLSLHo (1/1)
遅くなりましたが、少しだけ
安価は出せないと思います
遅くなりましたが、少しだけ
安価は出せないと思います
236:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/12(火) 23:46:51.19:mFB39T9AO (1/1)
おk
おk
237: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/13(水) 00:00:29.35:CcwTjGyUo (1/8)
風「まぁねー……それが正解」
天乃「でも私が妊娠してるときは、他の子を妊娠させたりしたらダメよ?」
夏凜「なんか微妙に悪寒が走るわね。ソレ」
うん? と、不思議そうに小首をかしげる天乃を夏凜は一瞥する
天乃や夏凜達に関しては、みんな交際中なので実際は問題ないのだけれど、
恋人が妊娠中にほかの女の子を妊娠させるというのは、普通は大問題である
とはいえ、天乃が言いたいのはそう言うことではないのだが。
夏凜「ただ、それだとやっぱり一年に一人、早くても二人とかになっちゃわない?」
天乃「それは……」
東郷「仮に、今年またもう一人作るとしても、最低7歳は離れるわね」
樹「年の離れた兄弟姉妹もない話ではないと思うので、問題はないのでは?」
沙織「えっちがしにくくなるよ」
樹「!」
園子「それは子供が出来たら仕方がないんじゃないかな~」
風「まぁねー……それが正解」
天乃「でも私が妊娠してるときは、他の子を妊娠させたりしたらダメよ?」
夏凜「なんか微妙に悪寒が走るわね。ソレ」
うん? と、不思議そうに小首をかしげる天乃を夏凜は一瞥する
天乃や夏凜達に関しては、みんな交際中なので実際は問題ないのだけれど、
恋人が妊娠中にほかの女の子を妊娠させるというのは、普通は大問題である
とはいえ、天乃が言いたいのはそう言うことではないのだが。
夏凜「ただ、それだとやっぱり一年に一人、早くても二人とかになっちゃわない?」
天乃「それは……」
東郷「仮に、今年またもう一人作るとしても、最低7歳は離れるわね」
樹「年の離れた兄弟姉妹もない話ではないと思うので、問題はないのでは?」
沙織「えっちがしにくくなるよ」
樹「!」
園子「それは子供が出来たら仕方がないんじゃないかな~」
238: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/13(水) 00:13:35.02:CcwTjGyUo (2/8)
はっとする樹を横目に、園子の声が伸びる
天乃達が順調に一人ずつ産むことになったとしても、
すでに生まれている星乃と月乃を含めれば9人の子供がいることになる
歳の差があって、子供の手が借りられるようになるかもしれないとはいえ、
任せきりにするわけにはいかないし、
まさか、夜な夜な母親がエッチなことをしている……と言うのは、
子供にとっては、少々知りたくない現実だろう
天乃「待って、子供が増えたら当然だけど子供を優先して欲しいわ」
沙織「それは当たり前だよ。いや、どっちが優先とかいうより、どっちも大事が正しいかな」
園子「そうだねぇ~天さんにも子供達にも寂しい思いとかはさせたくないな~」
樹「私達は子供の分だけ親がいるので楽と言えば楽ですけど……子供が多い場合に増える負担も加味すべきかと」
東郷「そうね……ただ子供が欲しい。それだけで考えるのはやや早計ね」
まるでTVのチャンネルを変えてしまったかのように、会話の空気感が変わる
子供のことを話している以上、根本的に変化はないのだが、
その真面目度合いがまるで違っていた
風「それは、東郷の研究が完成するまでの議題ってことで良いんじゃないの? まさか今日明日に完成するわけじゃないんだし」
はっとする樹を横目に、園子の声が伸びる
天乃達が順調に一人ずつ産むことになったとしても、
すでに生まれている星乃と月乃を含めれば9人の子供がいることになる
歳の差があって、子供の手が借りられるようになるかもしれないとはいえ、
任せきりにするわけにはいかないし、
まさか、夜な夜な母親がエッチなことをしている……と言うのは、
子供にとっては、少々知りたくない現実だろう
天乃「待って、子供が増えたら当然だけど子供を優先して欲しいわ」
沙織「それは当たり前だよ。いや、どっちが優先とかいうより、どっちも大事が正しいかな」
園子「そうだねぇ~天さんにも子供達にも寂しい思いとかはさせたくないな~」
樹「私達は子供の分だけ親がいるので楽と言えば楽ですけど……子供が多い場合に増える負担も加味すべきかと」
東郷「そうね……ただ子供が欲しい。それだけで考えるのはやや早計ね」
まるでTVのチャンネルを変えてしまったかのように、会話の空気感が変わる
子供のことを話している以上、根本的に変化はないのだが、
その真面目度合いがまるで違っていた
風「それは、東郷の研究が完成するまでの議題ってことで良いんじゃないの? まさか今日明日に完成するわけじゃないんだし」
239: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/13(水) 00:28:50.05:CcwTjGyUo (3/8)
沙織「問題点はさておいてって話なら、あたしは久遠さんに産んで欲しいな。そしてそのあとにあたしが産むのっ」
天乃「こらこら」
沙織「うんっと頑張ってる久遠さんに寄り添い続けて、可愛い赤ちゃんが産まれてから、大きくなりつつあるお腹を撫でながら、やっちゃったって」
東郷「そのやっちゃったは、一般的に駄目な方の意味なのでは……?」
真面目に考えれば。と、東郷は付け加える
ただし、すべては研究が成功してこそだ
みんなが期待している以上、絶対に……それこそ10年以内にはどうにかしたいと思うわけだが
ことはそう簡単な話ではない
最低7歳と言うのは、あくまで星乃達を抜いての話
そうでなければ、月乃達が中学生になるころに、もう一人妊娠と言うかたちになるだろうから
そこから毎年であれど、二人が成人した後にももう一人妹か弟が出来るわけで……
夏凜「というか、自分が産みたいって人はいるわけ?」
夏凜は東郷の黙り込む内面を察してか、口を挟んだ
園子「私は産みたい……かな」
風「直情的に答えるなら、あたしも園子に同じかな。やっぱり、女として一度は恋人の子供を産みたいとか思っちゃうわ」
樹「私はどう、かな……久遠先輩を見ていてとても辛そうだったから……自分の方が。って答えになっちゃうかも」
沙織「問題点はさておいてって話なら、あたしは久遠さんに産んで欲しいな。そしてそのあとにあたしが産むのっ」
天乃「こらこら」
沙織「うんっと頑張ってる久遠さんに寄り添い続けて、可愛い赤ちゃんが産まれてから、大きくなりつつあるお腹を撫でながら、やっちゃったって」
東郷「そのやっちゃったは、一般的に駄目な方の意味なのでは……?」
真面目に考えれば。と、東郷は付け加える
ただし、すべては研究が成功してこそだ
みんなが期待している以上、絶対に……それこそ10年以内にはどうにかしたいと思うわけだが
ことはそう簡単な話ではない
最低7歳と言うのは、あくまで星乃達を抜いての話
そうでなければ、月乃達が中学生になるころに、もう一人妊娠と言うかたちになるだろうから
そこから毎年であれど、二人が成人した後にももう一人妹か弟が出来るわけで……
夏凜「というか、自分が産みたいって人はいるわけ?」
夏凜は東郷の黙り込む内面を察してか、口を挟んだ
園子「私は産みたい……かな」
風「直情的に答えるなら、あたしも園子に同じかな。やっぱり、女として一度は恋人の子供を産みたいとか思っちゃうわ」
樹「私はどう、かな……久遠先輩を見ていてとても辛そうだったから……自分の方が。って答えになっちゃうかも」
240: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/13(水) 00:36:44.37:CcwTjGyUo (4/8)
申し訳なさそうに樹は言うけれど、それは仕方がないことだ
天乃のあの頃を見てきているならば、
妊娠も出産も相当重いものであると感じられる
天乃の体質が特殊で本来はもっと時間をかけるべき成長が半分ほどに凝縮されていたのだ
辛さが和らぐなんてとんでもない、負担は倍増だった
だから、みんなが言うように天乃は特例である
特例ではあるが、実際に目の当たりにした前例は、それだった
天乃「私のことは一先ず考えてくれなくていいわ。大丈夫」
だからと言って沙織のような無謀な発言は控えて欲しい所なのだが。
目を向けられたことに気付いても、沙織は微笑むだけだ
樹「それなら、産みたいですね。理由はお姉ちゃんと同じです」
天乃「夏凜は?」
夏凜「私は……私はなんていうか、自分が妊婦になるって言う場面が想像つかないのよ」
夏凜だって女の子だ
当然、体質の問題さえなければ子供は出来ることだろう
だが、夏凜は立ち会った出産を見て以降、ずっと考えていたのだ
自分ははたして、子供を産む母親となれるのだろうか。と
申し訳なさそうに樹は言うけれど、それは仕方がないことだ
天乃のあの頃を見てきているならば、
妊娠も出産も相当重いものであると感じられる
天乃の体質が特殊で本来はもっと時間をかけるべき成長が半分ほどに凝縮されていたのだ
辛さが和らぐなんてとんでもない、負担は倍増だった
だから、みんなが言うように天乃は特例である
特例ではあるが、実際に目の当たりにした前例は、それだった
天乃「私のことは一先ず考えてくれなくていいわ。大丈夫」
だからと言って沙織のような無謀な発言は控えて欲しい所なのだが。
目を向けられたことに気付いても、沙織は微笑むだけだ
樹「それなら、産みたいですね。理由はお姉ちゃんと同じです」
天乃「夏凜は?」
夏凜「私は……私はなんていうか、自分が妊婦になるって言う場面が想像つかないのよ」
夏凜だって女の子だ
当然、体質の問題さえなければ子供は出来ることだろう
だが、夏凜は立ち会った出産を見て以降、ずっと考えていたのだ
自分ははたして、子供を産む母親となれるのだろうか。と
241: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/13(水) 00:37:27.65:CcwTjGyUo (5/8)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
242:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/13(水) 01:12:07.16:nJHsYQHfO (1/1)
乙
久遠さん家の九つ子!
乙
久遠さん家の九つ子!
243:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/13(水) 06:04:04.57:x8pPvkVrO (1/1)
乙
乙
244: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/13(水) 22:41:45.45:CcwTjGyUo (6/8)
では遅くなりましたが、少しだけ
では遅くなりましたが、少しだけ
245:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/13(水) 22:48:46.61:q/S6wldhO (1/1)
いえす
いえす
246: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/13(水) 23:01:18.60:CcwTjGyUo (7/8)
天乃が特例であることは百も承知なのだが
その立場に自分を照らし合わせることがどうしてもできない
自分が母親となることを、望んではいないのかもしれないと……感じる
夏凜「妊娠出産に耐えられる耐えられないじゃなくて、それそのものが自分には合わないっていうか……」
園子「それは、にぼっしーが今まで勇者であることに全身全霊で生きてきたからではなく?」
夏凜「それもあるかもしれない」
夏凜は薄い笑みを浮かべる
エッチなこともそうだが、
夏凜はしっかりとそれについて勉強している
もちろん、天乃の体の為に
けれど、だとしても想像が出来ない
勇者になれるかどうかなんていうこと以上に、わからない
天乃「別に無理する必要はないのよ?」
夏凜が子供は別にいらない
星乃と月乃の二人がいればそれで充分
そうなら、それでもいいと天乃は思っている
三好家は喜べないかもしれないが、
長男の春信がいるから、血が途絶えることはとりあえず無い
天乃が特例であることは百も承知なのだが
その立場に自分を照らし合わせることがどうしてもできない
自分が母親となることを、望んではいないのかもしれないと……感じる
夏凜「妊娠出産に耐えられる耐えられないじゃなくて、それそのものが自分には合わないっていうか……」
園子「それは、にぼっしーが今まで勇者であることに全身全霊で生きてきたからではなく?」
夏凜「それもあるかもしれない」
夏凜は薄い笑みを浮かべる
エッチなこともそうだが、
夏凜はしっかりとそれについて勉強している
もちろん、天乃の体の為に
けれど、だとしても想像が出来ない
勇者になれるかどうかなんていうこと以上に、わからない
天乃「別に無理する必要はないのよ?」
夏凜が子供は別にいらない
星乃と月乃の二人がいればそれで充分
そうなら、それでもいいと天乃は思っている
三好家は喜べないかもしれないが、
長男の春信がいるから、血が途絶えることはとりあえず無い
247: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/13(水) 23:39:29.90:CcwTjGyUo (8/8)
夏凜「別に無理はしてないけど」
東郷「夏凜ちゃんは、久遠先輩の出産に立ち会っちゃったからこそ、その想像が出来ないんじゃない?」
東郷は珍しく生真面目に切り込む
浮かべる表情は慈愛を感じるような、得心しているものだった
東郷「夏凜ちゃんは女の子。でも、自分よりも久遠先輩は女の子……なにより、子供を目の前で産んだ妻なのよね?」
東郷の穏やかなに語り掛ける声の後には沈黙が続く
目を向けられた夏凜は言葉がないようで、
東郷の方を一瞥すると、天乃へと目を向ける
橙色の瞳は、優しく見つめ返している
同じベッドにいる天乃は、今は穏やかだが、
あの頃はそれも一過性のものに過ぎなかった
天乃「……妻?」
見つめられているのが気恥ずかしいのか、
ちょっとだけ照れくさそうに自分を指さして、天乃は問う
夏凜「そう……そう、思ってるのかもね」
天乃は自分よりも女の子だと
天乃は、自分の妻……嫁なのだと
夏凜は東郷の言葉に頷く
夏凜「別に無理はしてないけど」
東郷「夏凜ちゃんは、久遠先輩の出産に立ち会っちゃったからこそ、その想像が出来ないんじゃない?」
東郷は珍しく生真面目に切り込む
浮かべる表情は慈愛を感じるような、得心しているものだった
東郷「夏凜ちゃんは女の子。でも、自分よりも久遠先輩は女の子……なにより、子供を目の前で産んだ妻なのよね?」
東郷の穏やかなに語り掛ける声の後には沈黙が続く
目を向けられた夏凜は言葉がないようで、
東郷の方を一瞥すると、天乃へと目を向ける
橙色の瞳は、優しく見つめ返している
同じベッドにいる天乃は、今は穏やかだが、
あの頃はそれも一過性のものに過ぎなかった
天乃「……妻?」
見つめられているのが気恥ずかしいのか、
ちょっとだけ照れくさそうに自分を指さして、天乃は問う
夏凜「そう……そう、思ってるのかもね」
天乃は自分よりも女の子だと
天乃は、自分の妻……嫁なのだと
夏凜は東郷の言葉に頷く
248: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/14(木) 00:06:42.26:oGdfzkqLo (1/3)
夏凜「私にとって天乃はそういう存在で、だから私は自分がその立場になるとは考えられない」
偏見だろうか
固定観念だろうか
夏凜は、あれからそうなのだ
自分よりもか弱い存在だとは思っていないけれど
女の子で、嫁で、大切にしたいし愛したい
自分が妊娠するよりも、天乃が妊娠していることを考えてしまう
夏凜「……」
そっと胸に手を置く
高鳴りは感じない、緊張もしていないし動揺していない
これは、嘘ではない
夏凜「……だからごめん。もし、子供が欲しくなったら、天乃に産んで欲しい」
天乃は平気と言っているけれど
あんなにも辛い思いをしているのを見てきた夏凜としては、
それはあまり、頼みたくはないことだった
けれど、どうしても頭は天乃の方を考えてしまう
1、ごめんなんて、別に謝ることじゃないでしょう?
2、ええ、喜んで
3、そう……妻……妻なのね
4、どうしようかしら。夏凜にも産んで欲しいのに
↓2
夏凜「私にとって天乃はそういう存在で、だから私は自分がその立場になるとは考えられない」
偏見だろうか
固定観念だろうか
夏凜は、あれからそうなのだ
自分よりもか弱い存在だとは思っていないけれど
女の子で、嫁で、大切にしたいし愛したい
自分が妊娠するよりも、天乃が妊娠していることを考えてしまう
夏凜「……」
そっと胸に手を置く
高鳴りは感じない、緊張もしていないし動揺していない
これは、嘘ではない
夏凜「……だからごめん。もし、子供が欲しくなったら、天乃に産んで欲しい」
天乃は平気と言っているけれど
あんなにも辛い思いをしているのを見てきた夏凜としては、
それはあまり、頼みたくはないことだった
けれど、どうしても頭は天乃の方を考えてしまう
1、ごめんなんて、別に謝ることじゃないでしょう?
2、ええ、喜んで
3、そう……妻……妻なのね
4、どうしようかしら。夏凜にも産んで欲しいのに
↓2
249:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/14(木) 00:07:57.97:KXQc0BBBO (1/1)
1
1
250:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/14(木) 00:10:36.70:AejR9xX7O (1/2)
1
1
251: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/14(木) 00:19:52.61:oGdfzkqLo (2/3)
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
園子「ま、まさかわっしーがこんな真面目に……!」
東郷「察しがつくわ。きっと、樹ちゃんだって」
東郷「久遠先輩が好きだから、恋しているから――わかる」
風「一理あるわ、東郷。流石ね」
樹「嫁だからこそ、出産は久遠先輩に……かぁ」
沙織「考えてなかったとしても、落ち込む必要はないよ」
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
園子「ま、まさかわっしーがこんな真面目に……!」
東郷「察しがつくわ。きっと、樹ちゃんだって」
東郷「久遠先輩が好きだから、恋しているから――わかる」
風「一理あるわ、東郷。流石ね」
樹「嫁だからこそ、出産は久遠先輩に……かぁ」
沙織「考えてなかったとしても、落ち込む必要はないよ」
252:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/14(木) 00:31:54.51:AejR9xX7O (2/2)
乙
久遠さんが横になってる時いつも旦那のように寄り添ってたよな
そう考えると確かに夏凜ちゃんが妊娠するのは想像しにくいかもね
乙
久遠さんが横になってる時いつも旦那のように寄り添ってたよな
そう考えると確かに夏凜ちゃんが妊娠するのは想像しにくいかもね
253:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/14(木) 02:27:02.17:LdIBWyp4O (1/1)
乙
父性の波動に目覚めた夏凜ちゃん
乙
父性の波動に目覚めた夏凜ちゃん
254: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/14(木) 23:42:24.51:oGdfzkqLo (3/3)
すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
明日はできれば通常時間から
すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
明日はできれば通常時間から
255:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/15(金) 06:02:14.95:WVvURqa3O (1/1)
乙
乙
256: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/15(金) 22:10:33.69:BF/xNtkwo (1/3)
遅くなりましたが少しだけ
遅くなりましたが少しだけ
257:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/15(金) 22:37:33.05:7kvTCIXvO (1/1)
来てたか
来てたか
258: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/15(金) 23:04:27.22:BF/xNtkwo (2/3)
天乃「ごめんなんて、別に謝ることじゃないでしょう?」
夏凜もさっき言っていたことだが、
産んで欲しい人は天乃に頼んで、産みたい人は自分で産む
天乃もそれでいいと思っている
だから、別に謝ることではない
天乃「夏凜がそうして欲しいって言うなら、私はちゃんと産むわよ?」
妊娠していた経験をなぞるように、
今は膨らんでいないお腹を優しく撫でながら、天乃は微笑む
夏凜「あんた……」
天乃「?」
夏凜「いや、なんかやっぱ様になってるなって」
お腹の子に愛情を注いでいるようなその仕草は、
天乃だからこそ似合うのだろうと、夏凜は再認識する
少なくとも、自分には似合わない
夏凜「本当に産んでくれるの?」
天乃「ええ」
天乃「ごめんなんて、別に謝ることじゃないでしょう?」
夏凜もさっき言っていたことだが、
産んで欲しい人は天乃に頼んで、産みたい人は自分で産む
天乃もそれでいいと思っている
だから、別に謝ることではない
天乃「夏凜がそうして欲しいって言うなら、私はちゃんと産むわよ?」
妊娠していた経験をなぞるように、
今は膨らんでいないお腹を優しく撫でながら、天乃は微笑む
夏凜「あんた……」
天乃「?」
夏凜「いや、なんかやっぱ様になってるなって」
お腹の子に愛情を注いでいるようなその仕草は、
天乃だからこそ似合うのだろうと、夏凜は再認識する
少なくとも、自分には似合わない
夏凜「本当に産んでくれるの?」
天乃「ええ」
259: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/15(金) 23:28:45.44:BF/xNtkwo (3/3)
天乃が笑みを見せると、
夏凜は照れくさそうに頬を染めて、目を逸らす
結婚相手が自分の子供を産んでくれると言っている
男ならば、一部例外もあるかもしれないけれど
それはとても嬉しいことだろうし、面と向かって言われると……照れくさくなるものだろう
沙織「みっ、三好さんは……そういうこと、で、良いかなっ」
天乃「沙織?」
じわじわと広がりつつある二人だけの空気に、沙織の声が割って入る
二人きりならば邪魔もしないが、
みんながいる場では、そんなことは許さない
沙織「三好さんは久遠さんに産んでもらう。つまり、久遠さんを孕ませたいんだね?」
風「孕ませはやめない? 生々しくなっちゃう」
東郷「ですが、妊娠して貰う。よりも孕んで貰う。の方が性的だと見た覚えがあります」
樹「今は性的じゃなくていいと思います」
天乃が笑みを見せると、
夏凜は照れくさそうに頬を染めて、目を逸らす
結婚相手が自分の子供を産んでくれると言っている
男ならば、一部例外もあるかもしれないけれど
それはとても嬉しいことだろうし、面と向かって言われると……照れくさくなるものだろう
沙織「みっ、三好さんは……そういうこと、で、良いかなっ」
天乃「沙織?」
じわじわと広がりつつある二人だけの空気に、沙織の声が割って入る
二人きりならば邪魔もしないが、
みんながいる場では、そんなことは許さない
沙織「三好さんは久遠さんに産んでもらう。つまり、久遠さんを孕ませたいんだね?」
風「孕ませはやめない? 生々しくなっちゃう」
東郷「ですが、妊娠して貰う。よりも孕んで貰う。の方が性的だと見た覚えがあります」
樹「今は性的じゃなくていいと思います」
260: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/16(土) 00:11:20.37:/bmx/Bx7o (1/9)
スッパリと東郷の言葉を断ち切る
孕んでもらうというのは、確かに性的かもしれないけれど
その分、どこか強引さがあって樹は好きではないのだ
エッチの時に、ちょっとした責め句として用いるのならば良いかもしれないが。
残念ながら、そのための体の部位が欠如してしまっている
沙織「あたしは、まぁ、多分子供産むと大変な事になるだろうし」
天乃「そうなの?」
沙織「産めるとは思うんだけどね」
ただ、天乃の力が流れ込むことになるため、
若干ではあるが、不安定になる可能性はある
出産に伴って猿猴の力が抜ける脱力感によって、力の消失もないとは言い切れない
沙織「だからあたしは久遠さんに産んで欲しいな」
天乃「さっきも聞いたわ。大丈夫、任せて頂戴」
沙織「……久遠さんて何でもないことをえっちにするよね」
天乃「えっ?」
スッパリと東郷の言葉を断ち切る
孕んでもらうというのは、確かに性的かもしれないけれど
その分、どこか強引さがあって樹は好きではないのだ
エッチの時に、ちょっとした責め句として用いるのならば良いかもしれないが。
残念ながら、そのための体の部位が欠如してしまっている
沙織「あたしは、まぁ、多分子供産むと大変な事になるだろうし」
天乃「そうなの?」
沙織「産めるとは思うんだけどね」
ただ、天乃の力が流れ込むことになるため、
若干ではあるが、不安定になる可能性はある
出産に伴って猿猴の力が抜ける脱力感によって、力の消失もないとは言い切れない
沙織「だからあたしは久遠さんに産んで欲しいな」
天乃「さっきも聞いたわ。大丈夫、任せて頂戴」
沙織「……久遠さんて何でもないことをえっちにするよね」
天乃「えっ?」
261: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/16(土) 00:13:56.35:/bmx/Bx7o (2/9)
では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日は可能であれば、お昼ごろから
では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日は可能であれば、お昼ごろから
262:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/16(土) 00:23:19.02:WcYa1NmbO (1/1)
乙
久遠さん双子ちゃんたちを産むまで散々死にかけてたとは思えないほど子作り方面で頼もしくなってるな
乙
久遠さん双子ちゃんたちを産むまで散々死にかけてたとは思えないほど子作り方面で頼もしくなってるな
263:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/16(土) 01:05:45.41:8WgKQysUO (1/1)
乙
いろいろ楽しみが広がっていくな
乙
いろいろ楽しみが広がっていくな
264: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/16(土) 20:15:29.01:/bmx/Bx7o (3/9)
遅くなりましたが少しだけ
遅くなりましたが少しだけ
265:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/16(土) 20:21:11.47:Ekiz2D+hO (1/3)
よしきた
よしきた
266: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/16(土) 20:57:27.43:/bmx/Bx7o (4/9)
夏凜「あとは友奈だけだけど、話聞いてたりする?」
天乃「ううん、そういう話はしてなかったから……夏凜達は聞いてたりしないの?」
夏凜「友奈は……」
樹「友奈さんはそういう話してなかったと思います」
エッチな話に関しても、どこか消極的だったと樹は思う
最近の友奈は、ちょっぴり嫉妬していたのが原因なのだが。
東郷「友奈ちゃんも女の子だから、子供を産むことを考えそうだけど……」
それを実際に、産みたいです! と、はっきり言うだろうか
産んでもらうよりは産みたい女の子かもしれないけれど、
子供を産むという点において、恥じらいを感じてしまう気がするのだ
東郷「産めるなら、産みたいです。というところね」
風「東郷がそういうなら、そうかも」
園子「わっしーはゆーゆ博士だね~」
友奈の性格的に
天乃の初めての妊娠出産の苦痛が完全に解消されたと確信できるまで、
天乃にそういったことをさせること自体、避けようとするかもしれない
肩代わりできるなら、肩代わりしたがるだろう
子供を産むことに関しては、やっぱりそういう犠牲的な考えはして欲しくないものだが。
夏凜「あとは友奈だけだけど、話聞いてたりする?」
天乃「ううん、そういう話はしてなかったから……夏凜達は聞いてたりしないの?」
夏凜「友奈は……」
樹「友奈さんはそういう話してなかったと思います」
エッチな話に関しても、どこか消極的だったと樹は思う
最近の友奈は、ちょっぴり嫉妬していたのが原因なのだが。
東郷「友奈ちゃんも女の子だから、子供を産むことを考えそうだけど……」
それを実際に、産みたいです! と、はっきり言うだろうか
産んでもらうよりは産みたい女の子かもしれないけれど、
子供を産むという点において、恥じらいを感じてしまう気がするのだ
東郷「産めるなら、産みたいです。というところね」
風「東郷がそういうなら、そうかも」
園子「わっしーはゆーゆ博士だね~」
友奈の性格的に
天乃の初めての妊娠出産の苦痛が完全に解消されたと確信できるまで、
天乃にそういったことをさせること自体、避けようとするかもしれない
肩代わりできるなら、肩代わりしたがるだろう
子供を産むことに関しては、やっぱりそういう犠牲的な考えはして欲しくないものだが。
267: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/16(土) 21:41:15.47:/bmx/Bx7o (5/9)
天乃「友奈にもあとで聞いておこうかしら?」
沙織「もう夜になりそうな時間だし、また明日にしておいた方が良いよ」
天乃「そうね。そうするわ」
友奈は絶対安静の身だ
夏凜から借りている本があるからある程度暇を潰せているだろうし、
子供を産みたいか産んでもらいたいかについては、
今すぐ話を聞かなければいけない。なんていうものでもない
東郷「………」
夏凜「東郷、どうかした?」
東郷「大したことではないけど……」
そうは言いつつ、東郷は神妙な面持ちで俯く
何かあるのかと天乃が目を向けると、
風の苦笑が聞こえた
風「あの顔は真剣にくだらないことを考えてるわね」
園子「わっしーにとっては唐揚げのレモンくらいに重要な事なんよ~」
天乃「友奈にもあとで聞いておこうかしら?」
沙織「もう夜になりそうな時間だし、また明日にしておいた方が良いよ」
天乃「そうね。そうするわ」
友奈は絶対安静の身だ
夏凜から借りている本があるからある程度暇を潰せているだろうし、
子供を産みたいか産んでもらいたいかについては、
今すぐ話を聞かなければいけない。なんていうものでもない
東郷「………」
夏凜「東郷、どうかした?」
東郷「大したことではないけど……」
そうは言いつつ、東郷は神妙な面持ちで俯く
何かあるのかと天乃が目を向けると、
風の苦笑が聞こえた
風「あの顔は真剣にくだらないことを考えてるわね」
園子「わっしーにとっては唐揚げのレモンくらいに重要な事なんよ~」
268: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/16(土) 22:10:56.32:/bmx/Bx7o (6/9)
良く分からない基準に天乃が首をかしげていると、
おもむろに東郷が顔を上げて、園子を一瞥して天乃を見る
それでようやく、天乃は風がくだらないと笑った理由が少しだけわかった
少なくとも、神妙な顔つきになるほど重い話ではないのだ
東郷「昨日はそのっちと寝たんですよね?」
天乃「そうね。堪能させて貰ったわ」
園子「つ、次は負けないんよ~」
思い出してしまったのだろう
真っ赤な顔の園子は常日頃愛用しているサンチョに顔を埋めていて
東郷は「ですよね」と、呟く
東郷「なら、今日は出来ませんよね?」
天乃「そう、ね……」
こうして普通に話したり、出歩いたり
朝も問題なく起きることが出来ていたことを考えると大丈夫に思えるけれど
天乃の今までを考えれば、だからと言って油断すべきではない
大事を取って、性接触は隔日にしておくべきだ
良く分からない基準に天乃が首をかしげていると、
おもむろに東郷が顔を上げて、園子を一瞥して天乃を見る
それでようやく、天乃は風がくだらないと笑った理由が少しだけわかった
少なくとも、神妙な顔つきになるほど重い話ではないのだ
東郷「昨日はそのっちと寝たんですよね?」
天乃「そうね。堪能させて貰ったわ」
園子「つ、次は負けないんよ~」
思い出してしまったのだろう
真っ赤な顔の園子は常日頃愛用しているサンチョに顔を埋めていて
東郷は「ですよね」と、呟く
東郷「なら、今日は出来ませんよね?」
天乃「そう、ね……」
こうして普通に話したり、出歩いたり
朝も問題なく起きることが出来ていたことを考えると大丈夫に思えるけれど
天乃の今までを考えれば、だからと言って油断すべきではない
大事を取って、性接触は隔日にしておくべきだ
269: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/16(土) 22:49:36.12:/bmx/Bx7o (7/9)
樹「東郷先輩、出来るとしても明日のことを考えたら今日は控えたほうが良いかと」
東郷「樹ちゃん……」
最近少し厳しくない? とでも言いたそうな困った顔をした東郷だが、
樹の名前を呼ぶ程度に抑え、一息つくと笑顔を見せる
東郷だって、頭の中がそればっかりではないのだ
好奇心ではないけれど、そういったものが旺盛でのめり込みやすいというだけだ
特に、以前の天乃に必要不可欠となっていたのならば、なおさら
これがもしも友奈に必要だったとしても、東郷は全身全霊で取り組んでいただろう
今でこそ若干の下心が垣間見えるが、当時はそんなものはまるでなかった
東郷「大丈夫。解ってるわ」
優しく言う東郷は「それでですが、久遠先輩」と切り替える
東郷「今宵の相手はお決まりでしょうか?」
天乃「それは、えっちをする相手じゃないのよね?」
東郷「もちろんです」
天乃「それだったら、決まってないわ」
樹「東郷先輩、出来るとしても明日のことを考えたら今日は控えたほうが良いかと」
東郷「樹ちゃん……」
最近少し厳しくない? とでも言いたそうな困った顔をした東郷だが、
樹の名前を呼ぶ程度に抑え、一息つくと笑顔を見せる
東郷だって、頭の中がそればっかりではないのだ
好奇心ではないけれど、そういったものが旺盛でのめり込みやすいというだけだ
特に、以前の天乃に必要不可欠となっていたのならば、なおさら
これがもしも友奈に必要だったとしても、東郷は全身全霊で取り組んでいただろう
今でこそ若干の下心が垣間見えるが、当時はそんなものはまるでなかった
東郷「大丈夫。解ってるわ」
優しく言う東郷は「それでですが、久遠先輩」と切り替える
東郷「今宵の相手はお決まりでしょうか?」
天乃「それは、えっちをする相手じゃないのよね?」
東郷「もちろんです」
天乃「それだったら、決まってないわ」
270: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/16(土) 23:17:38.40:/bmx/Bx7o (8/9)
みんなとは、えっちをするだけの関係ではない
だからえっちをしないと決めた日であっても、
別に一緒に過ごすこと自体は何も問題はないのである
出来ないではなく、しない
もしも手を出してしまっても絶対にダメとはならないけれど
可能な限り理性の強い子が望ましい
その前提もあってか、風が東郷を見つめる
風「東郷は対象外……と」
東郷「風先輩?」
夏凜「今日くらい一人で良いんじゃない? 子供だっているわけだし」
樹「久遠先輩がその方が良いならそれが一番ですけど……夏凜さんは出来るなら一緒に居たいとか欲はないんですか?」
夏凜「それは」
天乃「……」
夏凜の困った視線の先、天乃もまた、夏凜を見る
1、勇者の中から選択
2、そうねぇ、別に一人でもいいのだけど……精霊もいるし
3、沙織、久しぶりにどう?
4、へぇ……そう。夏凜は一緒は好きじゃないと
↓2
※1は再安価
みんなとは、えっちをするだけの関係ではない
だからえっちをしないと決めた日であっても、
別に一緒に過ごすこと自体は何も問題はないのである
出来ないではなく、しない
もしも手を出してしまっても絶対にダメとはならないけれど
可能な限り理性の強い子が望ましい
その前提もあってか、風が東郷を見つめる
風「東郷は対象外……と」
東郷「風先輩?」
夏凜「今日くらい一人で良いんじゃない? 子供だっているわけだし」
樹「久遠先輩がその方が良いならそれが一番ですけど……夏凜さんは出来るなら一緒に居たいとか欲はないんですか?」
夏凜「それは」
天乃「……」
夏凜の困った視線の先、天乃もまた、夏凜を見る
1、勇者の中から選択
2、そうねぇ、別に一人でもいいのだけど……精霊もいるし
3、沙織、久しぶりにどう?
4、へぇ……そう。夏凜は一緒は好きじゃないと
↓2
※1は再安価
271:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/16(土) 23:19:36.55:Ekiz2D+hO (2/3)
3
3
272:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/16(土) 23:20:09.72:IUx/VLiv0 (1/1)
3
3
273: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/16(土) 23:40:58.98:/bmx/Bx7o (9/9)
では本日はここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから
風「ほらぁ……天乃へのアプローチが薄いから……」
夏凜「わ、分かってるわよ」
樹「まるで分かってないじゃないですか」
夏凜「うっさいっ! 天乃は久しぶりに沙織と一緒が良かっただけでしょ!」
東郷「でも、夏凜ちゃんが一緒に居たいって言ってたら結果は変わっていたと思うわ」
園子「天さんは乙女さんだからね~好きな人に一緒に居たいって言われたら絶対に嬉しいんよ~」
では本日はここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから
風「ほらぁ……天乃へのアプローチが薄いから……」
夏凜「わ、分かってるわよ」
樹「まるで分かってないじゃないですか」
夏凜「うっさいっ! 天乃は久しぶりに沙織と一緒が良かっただけでしょ!」
東郷「でも、夏凜ちゃんが一緒に居たいって言ってたら結果は変わっていたと思うわ」
園子「天さんは乙女さんだからね~好きな人に一緒に居たいって言われたら絶対に嬉しいんよ~」
274:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/16(土) 23:53:06.96:Ekiz2D+hO (3/3)
乙
まぁさおりんも何故かここ最近出番が減って来てたしたまにはね
乙
まぁさおりんも何故かここ最近出番が減って来てたしたまにはね
275:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/17(日) 07:29:06.94:uhT2LHnqO (1/1)
乙
乙
276: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/17(日) 16:46:33.46:01iMoeTfo (1/11)
遅くなりましたが少しずつ
遅くなりましたが少しずつ
277:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/17(日) 16:48:15.87:RCcxpSIEO (1/1)
やったぜ
やったぜ
278: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/17(日) 17:04:02.57:01iMoeTfo (2/11)
天乃「沙織、久しぶりにどう?」
沙織「へっ? あたし?」
天乃「他に沙織はいないでしょう?」
自分を指さして驚く沙織に苦笑した天乃は、
黙り込んでいる夏凜の方へと向き直ると、「嫌がらせではないのよ?」と、前置く
天乃「夏凜が一緒に居たいって言ってくれないとか、そういう面倒くさいことは全然ないわ」
夏凜「何も言ってないし……」
天乃「そうね。でも――」
自分に自信がないことを語っていたから
樹からの口出しに乗れなかったこと
その姿を一瞥してなお沙織を選んだことにやっぱり。と思われては困る
天乃「沙織と久しぶりに一緒に居たかったのよ」
夏凜が一緒に居たいと言っても結果は変わらなかったのかと聞かれると
少し間が出来てしまうかもしれないけれど。
天乃「わざわざ大赦に殴り込みに行ったことも、少しお話が必要だろうから」
天乃「沙織、久しぶりにどう?」
沙織「へっ? あたし?」
天乃「他に沙織はいないでしょう?」
自分を指さして驚く沙織に苦笑した天乃は、
黙り込んでいる夏凜の方へと向き直ると、「嫌がらせではないのよ?」と、前置く
天乃「夏凜が一緒に居たいって言ってくれないとか、そういう面倒くさいことは全然ないわ」
夏凜「何も言ってないし……」
天乃「そうね。でも――」
自分に自信がないことを語っていたから
樹からの口出しに乗れなかったこと
その姿を一瞥してなお沙織を選んだことにやっぱり。と思われては困る
天乃「沙織と久しぶりに一緒に居たかったのよ」
夏凜が一緒に居たいと言っても結果は変わらなかったのかと聞かれると
少し間が出来てしまうかもしれないけれど。
天乃「わざわざ大赦に殴り込みに行ったことも、少しお話が必要だろうから」
279: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/17(日) 17:33:37.06:01iMoeTfo (3/11)
沙織「殴り込みには行ってないよ!?」
天乃「でも、どうしても私を引っ張り出そうって言うならそれも辞さなかったでしょ」
沙織「あはは」
誤魔化す気のない笑い声を零して「ごめんなさい」と、沙織は呟く
どうしても天乃を連れ出そうというのなら、
多少なりにでも痛い目を見て貰おうという考えはあったのだ
それこそ、ただでさえ少なくなった大赦の人員を半減させるほどには。
猿猴の力が滾っているのだってそれが原因だと天乃は分かっているのだろう
東郷「大赦を壊滅させることについては必要であれば異論はありませんが、今は控えるべきかと」
風「必要でももう少し考えなさい」
樹「今は混乱してるところもあるから、何とかなる……?」
風「隠蔽を考えないで樹っ!」
焦った風の悲鳴が上がる
東郷はともかく樹は冗談だったようで
そんなことはしないよ。と、笑う
けれど、今の樹ならばそれを考えることも出来るはずだ
沙織「殴り込みには行ってないよ!?」
天乃「でも、どうしても私を引っ張り出そうって言うならそれも辞さなかったでしょ」
沙織「あはは」
誤魔化す気のない笑い声を零して「ごめんなさい」と、沙織は呟く
どうしても天乃を連れ出そうというのなら、
多少なりにでも痛い目を見て貰おうという考えはあったのだ
それこそ、ただでさえ少なくなった大赦の人員を半減させるほどには。
猿猴の力が滾っているのだってそれが原因だと天乃は分かっているのだろう
東郷「大赦を壊滅させることについては必要であれば異論はありませんが、今は控えるべきかと」
風「必要でももう少し考えなさい」
樹「今は混乱してるところもあるから、何とかなる……?」
風「隠蔽を考えないで樹っ!」
焦った風の悲鳴が上がる
東郷はともかく樹は冗談だったようで
そんなことはしないよ。と、笑う
けれど、今の樹ならばそれを考えることも出来るはずだ
280: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/17(日) 18:19:15.11:01iMoeTfo (4/11)
沙織「いくらあたしでもそこまではしないって、本当」
園子「でも~やっちゃいそうな雰囲気だったんよ~」
夏凜「出てきたときはかなりやばい奴だったわよ」
沙織「そんな……」
夏凜達の指摘に肩を落とす沙織だが、すぐに顔を上げると
天乃へと嬉しそうな笑顔を向ける
沙織「でも久遠さんに選ばれたのはあたしだからいいや」
天乃「ちょっ」
天乃のすぐ横
ベッドに座っている夏凜を払い除けるようにしながら、
天乃のもとへと飛び込んでいった沙織に押されて倒れこむ
天乃「沙織……っ」
沙織「どう? エッチなことしたくなった?」
天乃「なってないーっ」
グッと沙織の体を押す
けれど、天乃のまだ弱い力ではちょっとくらいしか、動かせなかった
沙織「いくらあたしでもそこまではしないって、本当」
園子「でも~やっちゃいそうな雰囲気だったんよ~」
夏凜「出てきたときはかなりやばい奴だったわよ」
沙織「そんな……」
夏凜達の指摘に肩を落とす沙織だが、すぐに顔を上げると
天乃へと嬉しそうな笑顔を向ける
沙織「でも久遠さんに選ばれたのはあたしだからいいや」
天乃「ちょっ」
天乃のすぐ横
ベッドに座っている夏凜を払い除けるようにしながら、
天乃のもとへと飛び込んでいった沙織に押されて倒れこむ
天乃「沙織……っ」
沙織「どう? エッチなことしたくなった?」
天乃「なってないーっ」
グッと沙織の体を押す
けれど、天乃のまだ弱い力ではちょっとくらいしか、動かせなかった
281: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/17(日) 18:58:57.36:01iMoeTfo (5/11)
√ 2月20日目 夜(病院) ※日曜日
01~10
11~20 九尾
21~30
31~40
41~50 千景
51~60
61~70
71~80 若葉
81~90
91~00 歌野
↓1のコンマ
※空白なら沙織
√ 2月20日目 夜(病院) ※日曜日
01~10
11~20 九尾
21~30
31~40
41~50 千景
51~60
61~70
71~80 若葉
81~90
91~00 歌野
↓1のコンマ
※空白なら沙織
282:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/17(日) 19:23:46.50:Sspwnm9NO (1/1)
あ
あ
283: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/17(日) 19:57:43.59:01iMoeTfo (6/11)
√ 2月20日目 夜(病院) ※日曜日
沙織を連れて、病室へと戻る
まだ松葉杖を手放すことは出来ていないが
沙織の力を借りずに真っ直ぐ病室へと戻れたのは
少しずつ感覚と筋力が戻ってきているということだろう
沙織「久遠さん、だいぶ歩けるようになってきたね」
天乃「まだ、家からの登校は無理そうだけどね」
一日の力を使い切れば徒歩で登校できるかもしれないけれど、
下校する体力は残っていないかもしれない
あるいは、授業に出る余裕もなくて保健室に直行することになるかもしれない
天乃「もう少し頑張らないとダメよ。デートもできないわ」
沙織「むんっ」
グッと腕に力を込めて、沙織は自慢げに天乃を見る
何を誇りたいのかと天乃が考えていると「それなりに力はあるんだよ」と、
沙織はぺちぺちと二の腕を叩く
沙織「久遠さんをお姫様抱っこして半日歩き続けるくらいに」
天乃「それは遠慮しておきたいわ」
√ 2月20日目 夜(病院) ※日曜日
沙織を連れて、病室へと戻る
まだ松葉杖を手放すことは出来ていないが
沙織の力を借りずに真っ直ぐ病室へと戻れたのは
少しずつ感覚と筋力が戻ってきているということだろう
沙織「久遠さん、だいぶ歩けるようになってきたね」
天乃「まだ、家からの登校は無理そうだけどね」
一日の力を使い切れば徒歩で登校できるかもしれないけれど、
下校する体力は残っていないかもしれない
あるいは、授業に出る余裕もなくて保健室に直行することになるかもしれない
天乃「もう少し頑張らないとダメよ。デートもできないわ」
沙織「むんっ」
グッと腕に力を込めて、沙織は自慢げに天乃を見る
何を誇りたいのかと天乃が考えていると「それなりに力はあるんだよ」と、
沙織はぺちぺちと二の腕を叩く
沙織「久遠さんをお姫様抱っこして半日歩き続けるくらいに」
天乃「それは遠慮しておきたいわ」
284: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/17(日) 20:46:20.34:01iMoeTfo (7/11)
千景「久遠さん……と、伊集院さん。だったわね」
星乃と月乃の二人がすやすやと寝息を立てる中、
天乃と沙織が並んでベッドに入るその横に、千景が姿を見せた
沙織「あたしの名前を忘れたのかな?」
千景「そういうわけではないけれど、最近見ていなかったから」
沙織「パスは通じてたはずだよ」
天乃の精霊としての繋がり
県外にまで出て大丈夫なのかどうかはまだ分かっていないが、
少なくとも、病院から大赦までの距離であれば問題はないらしく、
千景は軽く頷く
天乃「あなた達、仲悪かったっけ?」
千景「今の伊集院さんからはあまり良くない気配がするのよ……猿猴だったかしら。その気配が普段よりも濃い」
天乃「猿猴も一応私の精霊なのだけど、駄目なの?」
千景「普段は駄目ではないわ。ただ、今日は良くないと思う」
千景「久遠さん……と、伊集院さん。だったわね」
星乃と月乃の二人がすやすやと寝息を立てる中、
天乃と沙織が並んでベッドに入るその横に、千景が姿を見せた
沙織「あたしの名前を忘れたのかな?」
千景「そういうわけではないけれど、最近見ていなかったから」
沙織「パスは通じてたはずだよ」
天乃の精霊としての繋がり
県外にまで出て大丈夫なのかどうかはまだ分かっていないが、
少なくとも、病院から大赦までの距離であれば問題はないらしく、
千景は軽く頷く
天乃「あなた達、仲悪かったっけ?」
千景「今の伊集院さんからはあまり良くない気配がするのよ……猿猴だったかしら。その気配が普段よりも濃い」
天乃「猿猴も一応私の精霊なのだけど、駄目なの?」
千景「普段は駄目ではないわ。ただ、今日は良くないと思う」
285: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/17(日) 21:12:54.98:01iMoeTfo (8/11)
千景は沙織へと厳しい目を向ける
その顔は敵を見るような鋭さだ
千景「久遠さん、猿猴の性的欲求は度が過ぎているわ。気を付けないと、喰われるわよ」
天乃「喰われ、る?」
性的欲求が強いことと、喰われること
それがどう結びつくのか分からない天乃は首をかしげていて
沙織は分かっているのかニヤリと笑う
沙織「あたしが久遠さんを好きな以上、この体を乗っ取られようと久遠さんにだけは手を出させないよ」
それは絶対
それには命を賭けても良いとさえ思う
沙織「同意がなければ、絶対にね」
千景「……そう」
考えながら、呟く
口だけなら何とも言える
けれど、沙織と精霊同士である千景はその心の内を感じ取れる
同意なしに手を出す以外の道がなければ死んでやる。とでもいうような意志は、
他人である千景の心にもチクチクとした痛みがあった
千景は沙織へと厳しい目を向ける
その顔は敵を見るような鋭さだ
千景「久遠さん、猿猴の性的欲求は度が過ぎているわ。気を付けないと、喰われるわよ」
天乃「喰われ、る?」
性的欲求が強いことと、喰われること
それがどう結びつくのか分からない天乃は首をかしげていて
沙織は分かっているのかニヤリと笑う
沙織「あたしが久遠さんを好きな以上、この体を乗っ取られようと久遠さんにだけは手を出させないよ」
それは絶対
それには命を賭けても良いとさえ思う
沙織「同意がなければ、絶対にね」
千景「……そう」
考えながら、呟く
口だけなら何とも言える
けれど、沙織と精霊同士である千景はその心の内を感じ取れる
同意なしに手を出す以外の道がなければ死んでやる。とでもいうような意志は、
他人である千景の心にもチクチクとした痛みがあった
286: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/17(日) 21:45:24.31:01iMoeTfo (9/11)
天乃「千景は私が襲われるんじゃないかって心配してくれたの?」
千景「ええ、そうね」
沙織「いくらあたしでもそれはないよ」
千景「あなたならありえると……いえ、疑って悪かったわ」
素直に頭を下げた千景を、
沙織は特に怒ってるわけではないと宥める
だが、沙織の制御から離れた猿猴を警戒する千景の気持ちも天乃は分かる
沙織を信じるならば、安心できるかもしれない
だが、猿猴という妖怪が危険であることには変わりない
九尾とは別のベクトルで危うく、千景も言っていたように女性を襲うし
場合によっては、人を殺めてしまう
千景「……」
天乃「千景?」
千景「伊集院さんをこれ以上疑う気はないわ。大丈夫」
天乃「千景は私が襲われるんじゃないかって心配してくれたの?」
千景「ええ、そうね」
沙織「いくらあたしでもそれはないよ」
千景「あなたならありえると……いえ、疑って悪かったわ」
素直に頭を下げた千景を、
沙織は特に怒ってるわけではないと宥める
だが、沙織の制御から離れた猿猴を警戒する千景の気持ちも天乃は分かる
沙織を信じるならば、安心できるかもしれない
だが、猿猴という妖怪が危険であることには変わりない
九尾とは別のベクトルで危うく、千景も言っていたように女性を襲うし
場合によっては、人を殺めてしまう
千景「……」
天乃「千景?」
千景「伊集院さんをこれ以上疑う気はないわ。大丈夫」
287: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/17(日) 22:06:54.82:01iMoeTfo (10/11)
沙織「思ったけど、猿猴の力を使えば久遠さんを妊娠させられるんじゃ――」
天乃「五郎くんと同じやり方なら、次は死ぬ自信があるわよ。私」
沙織「そうだよね……ごめん」
猿猴の力、その命を異性の片割れとして天乃に注ぐ
そうやって妊娠させた場合、体内のパワーバランスが著しく崩れてしまう
だからこその宣言に沙織は申し訳ないと悲しげだが
天乃は「そんな顔しないで」と、微笑む
沙織だってそれは分かっているし、
実際にやるつもりで言ったわけではないはずだ
千景「……邪魔したわね」
天乃「戻っちゃうの?」
千景「傍にはいるわ。性的なことはしないみたいだけれど……邪魔かしら」
沙織「久遠さんと星乃ちゃん月乃ちゃんのためだからね、良いと思うよ」
目を向けられた沙織は満面の笑みで答えて
星乃と月乃の名前が出たから、千景は少し目を背けた
1、沙織が良いのなら、千景も一緒に実体化していても良いんじゃない?
2、ねぇ……千景。やっぱりこのままこっちに残っている気はない?
3、いつもありがとうね。千景
4、千景も性的なことしたいの?
↓2
沙織「思ったけど、猿猴の力を使えば久遠さんを妊娠させられるんじゃ――」
天乃「五郎くんと同じやり方なら、次は死ぬ自信があるわよ。私」
沙織「そうだよね……ごめん」
猿猴の力、その命を異性の片割れとして天乃に注ぐ
そうやって妊娠させた場合、体内のパワーバランスが著しく崩れてしまう
だからこその宣言に沙織は申し訳ないと悲しげだが
天乃は「そんな顔しないで」と、微笑む
沙織だってそれは分かっているし、
実際にやるつもりで言ったわけではないはずだ
千景「……邪魔したわね」
天乃「戻っちゃうの?」
千景「傍にはいるわ。性的なことはしないみたいだけれど……邪魔かしら」
沙織「久遠さんと星乃ちゃん月乃ちゃんのためだからね、良いと思うよ」
目を向けられた沙織は満面の笑みで答えて
星乃と月乃の名前が出たから、千景は少し目を背けた
1、沙織が良いのなら、千景も一緒に実体化していても良いんじゃない?
2、ねぇ……千景。やっぱりこのままこっちに残っている気はない?
3、いつもありがとうね。千景
4、千景も性的なことしたいの?
↓2
288:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/17(日) 22:09:14.42:VdRknImNO (1/2)
1
1
289:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/17(日) 22:11:10.65:iVUaS58P0 (1/1)
4
4
290: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/17(日) 22:16:43.24:01iMoeTfo (11/11)
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
沙織「またそうやって誘って……」
沙織「久遠さん、そういうことできないように猿猴の力使っちゃうよ?」
天乃「誘ってって、待って私――」
千景「久遠さんに久遠さんの精霊の力が通用するわけないでしょう」
九尾「そうとは限らぬが」
千景「なっ!?」
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
沙織「またそうやって誘って……」
沙織「久遠さん、そういうことできないように猿猴の力使っちゃうよ?」
天乃「誘ってって、待って私――」
千景「久遠さんに久遠さんの精霊の力が通用するわけないでしょう」
九尾「そうとは限らぬが」
千景「なっ!?」
291:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/17(日) 22:23:15.93:VdRknImNO (2/2)
乙
久遠さん相変わらずの誘い受けの天才っぷりだな
それにしても猿猴が性欲強いって設定あったのすっかり忘れてたわ
乙
久遠さん相変わらずの誘い受けの天才っぷりだな
それにしても猿猴が性欲強いって設定あったのすっかり忘れてたわ
292:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/18(月) 01:58:51.73:lxBUTdQEO (1/1)
乙
まーた久遠さんが他所の女にちょっかいかけてる…
乙
まーた久遠さんが他所の女にちょっかいかけてる…
293: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/18(月) 22:04:00.98:8/w5wj8Oo (1/4)
遅くなりましたが、少しだけ
遅くなりましたが、少しだけ
294:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/18(月) 22:10:51.62:XBaiCSJNO (1/1)
かもーん
かもーん
295: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/18(月) 22:45:14.38:8/w5wj8Oo (2/4)
天乃「千景も性的なことしたいの?」
千景「何を、言っているの?」
沙織「そうだよ久遠さんっ!」
天乃「何か言いたそうな雰囲気だったから……」
だとしてもそれはないんじゃないかな。と
あからさまにムッとする沙織の傍らで、千景は眉を顰める
何か言いたそうだとして
それが性的なことをしたいという理由なのは、千景が知る限りでは勇者部くらいだ
千景「何かがあるとしても、伊集院さんはともかく私はそんなこと考えてないわ」
天乃「性的な行為についての話の後なのに?」
千景「食い下がらないで……」
広げるような話題ではない
確かに、勇者部と関わっている以上その姿を見ることになる
そんなことをした経験の話を耳にすることがある
だとしても。
千景は天乃から目を逸らすと、可愛らしい双子を見て微笑む
千景「確かに……興味がないと言えば、嘘になるわ」
天乃「千景も性的なことしたいの?」
千景「何を、言っているの?」
沙織「そうだよ久遠さんっ!」
天乃「何か言いたそうな雰囲気だったから……」
だとしてもそれはないんじゃないかな。と
あからさまにムッとする沙織の傍らで、千景は眉を顰める
何か言いたそうだとして
それが性的なことをしたいという理由なのは、千景が知る限りでは勇者部くらいだ
千景「何かがあるとしても、伊集院さんはともかく私はそんなこと考えてないわ」
天乃「性的な行為についての話の後なのに?」
千景「食い下がらないで……」
広げるような話題ではない
確かに、勇者部と関わっている以上その姿を見ることになる
そんなことをした経験の話を耳にすることがある
だとしても。
千景は天乃から目を逸らすと、可愛らしい双子を見て微笑む
千景「確かに……興味がないと言えば、嘘になるわ」
296: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/18(月) 23:35:43.45:8/w5wj8Oo (3/4)
沙織「郡さん!?」
千景「伊集院さんがいなければ、久遠さんを襲うのも吝かではなかったのだけど」
天乃「えっ」
惜しいわね。と、千景は呟く
小さく独り言ちたそれは冷ややかで
軽く折れ曲がった唇、見ているようで見ていない薄く開いた瞼から覗く瞳からは
言いようのない雰囲気が感じられる
沙織「ま、待って! 駄目だよ!」
天乃「んにゃっ」
千景から庇うように天乃を抱きしめて、千景を見る
けれど、千景は明るく笑う
千景「冗談よ。だからと言って、久遠さんに手を出す気はないわ」
散々話を聞かされてきてしまっては
流石の千景にも好奇心と言うものは芽生えてしまうものだ
けれど、それはあくまで好奇心であって恋愛感情ではない
沙織が心配しているようなことにはならないしする気もない
沙織がいなかったとしても
別に、天乃を襲おうなどとは考えていないと
天乃を庇う沙織に声をかける
沙織「郡さん!?」
千景「伊集院さんがいなければ、久遠さんを襲うのも吝かではなかったのだけど」
天乃「えっ」
惜しいわね。と、千景は呟く
小さく独り言ちたそれは冷ややかで
軽く折れ曲がった唇、見ているようで見ていない薄く開いた瞼から覗く瞳からは
言いようのない雰囲気が感じられる
沙織「ま、待って! 駄目だよ!」
天乃「んにゃっ」
千景から庇うように天乃を抱きしめて、千景を見る
けれど、千景は明るく笑う
千景「冗談よ。だからと言って、久遠さんに手を出す気はないわ」
散々話を聞かされてきてしまっては
流石の千景にも好奇心と言うものは芽生えてしまうものだ
けれど、それはあくまで好奇心であって恋愛感情ではない
沙織が心配しているようなことにはならないしする気もない
沙織がいなかったとしても
別に、天乃を襲おうなどとは考えていないと
天乃を庇う沙織に声をかける
297: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/18(月) 23:58:57.15:8/w5wj8Oo (4/4)
千景「私は、二人を見させて貰えればそれで充分よ」
沙織「……源氏物語?」
千景「意味は分からないけど、違うとだけは言っておくわ」
性的な事への興味はある
けれど、千景としてはそれよりも気になっていることがあるし、
関わっていきたいことがある
千景「私は久遠さんの精霊だから……多少、好意はあるけれど、やっぱりそういう思いじゃない」
それよりも、守りたいという思いが先に出る
共に在りたいとは思うけれど、そんな深い関係になりたいということもない
千景「久遠さん」
天乃「は、はい……」
千景「私は、久遠さんが好きよ。でも、そういう関係は求めてない」
天乃「そうなのね……ごめんなさい」
千景「謝らなくていいわ。話の流れで聞きたくなったのも理解はある。けれど私は――」
千景は言葉を閉じて、口を結ぶ
その目は天乃ではなく子供達へと向けられている
千景「久遠さんさえよければだけど……二人の面倒を見させて貰いたいわ」
千景「私は、二人を見させて貰えればそれで充分よ」
沙織「……源氏物語?」
千景「意味は分からないけど、違うとだけは言っておくわ」
性的な事への興味はある
けれど、千景としてはそれよりも気になっていることがあるし、
関わっていきたいことがある
千景「私は久遠さんの精霊だから……多少、好意はあるけれど、やっぱりそういう思いじゃない」
それよりも、守りたいという思いが先に出る
共に在りたいとは思うけれど、そんな深い関係になりたいということもない
千景「久遠さん」
天乃「は、はい……」
千景「私は、久遠さんが好きよ。でも、そういう関係は求めてない」
天乃「そうなのね……ごめんなさい」
千景「謝らなくていいわ。話の流れで聞きたくなったのも理解はある。けれど私は――」
千景は言葉を閉じて、口を結ぶ
その目は天乃ではなく子供達へと向けられている
千景「久遠さんさえよければだけど……二人の面倒を見させて貰いたいわ」
298: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/19(火) 00:00:20.37:kQvVH9a1o (1/7)
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
299:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/19(火) 00:11:37.00:N3OgGOCKO (1/1)
乙
やはり千景は久遠さんたちの所に残ることにしたか
自身の過去のこともあるから双子ちゃんには特に愛情注ぎそう
乙
やはり千景は久遠さんたちの所に残ることにしたか
自身の過去のこともあるから双子ちゃんには特に愛情注ぎそう
300:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/19(火) 00:37:36.45:ii6P+UPQO (1/1)
乙
もうエピローグ入るのかな?
すごく寂しい
乙
もうエピローグ入るのかな?
すごく寂しい
301:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/19(火) 08:12:06.01:FAe8EKG8O (1/1)
乙
もう少しだけ延長戦の延長戦をしてもええんやで
乙
もう少しだけ延長戦の延長戦をしてもええんやで
302: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/19(火) 21:17:47.46:kQvVH9a1o (2/7)
では少しだけ
では少しだけ
303:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/19(火) 21:22:59.48:tpzaA5m6O (1/2)
おk
おk
304: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/19(火) 21:29:48.61:kQvVH9a1o (3/7)
天乃「それって……こっちに残るってこと?」
千景「そういうことになるわ」
天乃「若葉達には話したの?」
千景「……むしろそれが良いんじゃないかって言われたのよ」
千景は穏やかな笑みを浮かべながらぐるりとベッドの周りを回って
子供達の小さなベッドの横に立つと、その寝顔を覗き込む
見られているなんてことには気付かないのか、
ぐっすりと眠っている二人は同じような寝顔だ
千景「私、存外に相手をすることを楽しんでいたみたい」
沙織「楽しんでるというか――」
千景「幸せそう……ね。ええ、そうだったらしいわ」
くすっと自嘲気味に笑って見せる
けれど、皮肉とも嫌味とも感じていないのだろう
困ったことにね。と、むしろ納得しているような口ぶりだった
千景「……母親じゃ、無いのに」
天乃「それって……こっちに残るってこと?」
千景「そういうことになるわ」
天乃「若葉達には話したの?」
千景「……むしろそれが良いんじゃないかって言われたのよ」
千景は穏やかな笑みを浮かべながらぐるりとベッドの周りを回って
子供達の小さなベッドの横に立つと、その寝顔を覗き込む
見られているなんてことには気付かないのか、
ぐっすりと眠っている二人は同じような寝顔だ
千景「私、存外に相手をすることを楽しんでいたみたい」
沙織「楽しんでるというか――」
千景「幸せそう……ね。ええ、そうだったらしいわ」
くすっと自嘲気味に笑って見せる
けれど、皮肉とも嫌味とも感じていないのだろう
困ったことにね。と、むしろ納得しているような口ぶりだった
千景「……母親じゃ、無いのに」
305: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/19(火) 21:55:00.99:kQvVH9a1o (4/7)
天乃「別に母親じゃなくても、おかしくないわ」
千景が他人でも
たとえ、人間ではなく精霊であったとしても
女の子であることには変わりないのだから、母性と言うものもあるだろう
それはきっと、悪五郎が生きていたとしても同じで
彼はまさしく父親ではあるけれど
もしもそうではなくても父性が刺激されていたかもしれない
天乃「純粋に、無垢に、応えてくれるでしょう? それが、可愛いのよね」
小さく開いている手のひらに向けて指を差し出してあげると、きゅっと握る
おっぱいを吸うように、ちゅうちゅうと吸ったりすることもある
こっちが笑うと、星乃と月乃の二人も笑顔を見せてくれる
言葉になりかけの、ちょっとだけ高い声で呼びかけてくる
どれも、とても愛らしい
千景「小さくて、握られてる感覚なんてまるでないのに……暖かいのよ」
天乃「……そう」
それは握られた指先なのか
それとも、それとは全然違う、胸の奥なのか
天乃はあえて問わずに、優しく呟いた
天乃「別に母親じゃなくても、おかしくないわ」
千景が他人でも
たとえ、人間ではなく精霊であったとしても
女の子であることには変わりないのだから、母性と言うものもあるだろう
それはきっと、悪五郎が生きていたとしても同じで
彼はまさしく父親ではあるけれど
もしもそうではなくても父性が刺激されていたかもしれない
天乃「純粋に、無垢に、応えてくれるでしょう? それが、可愛いのよね」
小さく開いている手のひらに向けて指を差し出してあげると、きゅっと握る
おっぱいを吸うように、ちゅうちゅうと吸ったりすることもある
こっちが笑うと、星乃と月乃の二人も笑顔を見せてくれる
言葉になりかけの、ちょっとだけ高い声で呼びかけてくる
どれも、とても愛らしい
千景「小さくて、握られてる感覚なんてまるでないのに……暖かいのよ」
天乃「……そう」
それは握られた指先なのか
それとも、それとは全然違う、胸の奥なのか
天乃はあえて問わずに、優しく呟いた
306: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/19(火) 22:45:56.13:kQvVH9a1o (5/7)
天乃「千景がそうしたいのなら、私は全然大丈夫よ」
久遠さんさえよければと千景は言ったが、
天乃が良くても星乃達が千景を気に入っていなければ許可は出来ない
でも、二人が千景を気に入っているのは十分に分かっている
千景が、二人のことを本当の子供のように大切に思ってくれているのも分かっている
だから、大丈夫と言うことが出来る
天乃「この子達も千景のこと好きだと思うから、きっと喜ぶと思うわ」
千景「……」
沙織「あたしか郡さんなら、郡さんを選ぶくらいには、気に入ってるはずだよ」
一緒に居る時間が短ったからだけど。と
負け惜しみのようなことを呟いた沙織だったが、
千景を認めているのは本心なのか、そのまなざしはとても優しい
沙織「一緒に居たいんだよね?」
千景「……そう思ってしまったわ」
天乃「千景がそうしたいのなら、私は全然大丈夫よ」
久遠さんさえよければと千景は言ったが、
天乃が良くても星乃達が千景を気に入っていなければ許可は出来ない
でも、二人が千景を気に入っているのは十分に分かっている
千景が、二人のことを本当の子供のように大切に思ってくれているのも分かっている
だから、大丈夫と言うことが出来る
天乃「この子達も千景のこと好きだと思うから、きっと喜ぶと思うわ」
千景「……」
沙織「あたしか郡さんなら、郡さんを選ぶくらいには、気に入ってるはずだよ」
一緒に居る時間が短ったからだけど。と
負け惜しみのようなことを呟いた沙織だったが、
千景を認めているのは本心なのか、そのまなざしはとても優しい
沙織「一緒に居たいんだよね?」
千景「……そう思ってしまったわ」
307: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/19(火) 23:02:29.29:kQvVH9a1o (6/7)
千景「基本的には久遠さんがお世話をするべきだと思うけど、寝るまでの相手とか手伝うわ」
天乃「抱っこしてもいいのよ?」
千景「せがまれたらするわ」
沙織「おっぱいをあげ――」
千景「斬るわ」
どこからともなく出現した鎌の切っ先が床に接触して、金属音が鳴る
子供達が起きるほどではなかったものの、沙織は慌てて天乃を手放す
冗談でも斬られれば、そのダメージは計り知れない
沙織「冗談、冗談だよ」
千景「私が妊娠したわけじゃないのだから、出るわけないでしょう」
千景が深々とため息をつくと、大鎌が瞬く間に消え去る
ふと顔を上げた千景の視線と、天乃の視線が重なった
千景「邪魔をしてしまったわね。そういう、ことだから」
天乃「分かった。ありがとう、千景」
千景「私がしたいだけ……別にお礼を言われることじゃないわ」
天乃「それでも助かることには変わりないし、この子たちの代弁だと思って受け取っておいて頂戴」
天乃がそう言うと、
千景は軽く笑みを浮かべて「分かったわ」と、姿を隠した
千景「基本的には久遠さんがお世話をするべきだと思うけど、寝るまでの相手とか手伝うわ」
天乃「抱っこしてもいいのよ?」
千景「せがまれたらするわ」
沙織「おっぱいをあげ――」
千景「斬るわ」
どこからともなく出現した鎌の切っ先が床に接触して、金属音が鳴る
子供達が起きるほどではなかったものの、沙織は慌てて天乃を手放す
冗談でも斬られれば、そのダメージは計り知れない
沙織「冗談、冗談だよ」
千景「私が妊娠したわけじゃないのだから、出るわけないでしょう」
千景が深々とため息をつくと、大鎌が瞬く間に消え去る
ふと顔を上げた千景の視線と、天乃の視線が重なった
千景「邪魔をしてしまったわね。そういう、ことだから」
天乃「分かった。ありがとう、千景」
千景「私がしたいだけ……別にお礼を言われることじゃないわ」
天乃「それでも助かることには変わりないし、この子たちの代弁だと思って受け取っておいて頂戴」
天乃がそう言うと、
千景は軽く笑みを浮かべて「分かったわ」と、姿を隠した
308: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/19(火) 23:08:31.87:kQvVH9a1o (7/7)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
九尾「じゃが、千景も母乳を模した栄養は与えられるぞ」
千景「えっ」
沙織「あたしも!?」
九尾「半人間の娘は無理じゃ。純粋に主様の力を持った精霊でなければのう」
九尾「もっとも、それで力を与えたら千景は消えるじゃろうから、推奨は出来ぬぞ」
千景「やるわけないでしょう」
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
九尾「じゃが、千景も母乳を模した栄養は与えられるぞ」
千景「えっ」
沙織「あたしも!?」
九尾「半人間の娘は無理じゃ。純粋に主様の力を持った精霊でなければのう」
九尾「もっとも、それで力を与えたら千景は消えるじゃろうから、推奨は出来ぬぞ」
千景「やるわけないでしょう」
309:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/19(火) 23:13:30.92:tpzaA5m6O (2/2)
乙
千景ママに甘えられる双子ちゃんたちが羨ましい…
乙
千景ママに甘えられる双子ちゃんたちが羨ましい…
310:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/19(火) 23:31:18.78:b6Lmof1FO (1/1)
乙
ゆゆゆいとも違う千景の優しさ好き
乙
ゆゆゆいとも違う千景の優しさ好き
311: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/20(水) 21:31:20.50:6P1TkNg+o (1/4)
では少しだけ
では少しだけ
312: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/20(水) 21:44:07.06:6P1TkNg+o (2/4)
沙織「郡さんが残ってくれるの、嬉しい?」
天乃「嬉しいわ」
沙織「……恋、しちゃってる?」
天乃「ふふっ」
今の顔は恋をしているように見えるのかと、天乃は思わず笑って沙織に目を向ける
胸に手を当てると、ドキドキと脈打つ音は感じない
千景が残ってくれることは嬉しい
けれど、それは別に恋をしているからではないのだ
天乃「千景を誘っちゃったこと根に持ってるでしょ」
沙織「持ってるか持っていないかで言えば、ちょっぴり不満ですけど?」
でも別に怒ってたりはしないんだよ。と、沙織は取り繕う
天乃が誰かを誘ってしまうことなんてよくあることだし、
それを許容しているからこその今の関係だ
それが許せなかったら、自分が今こうしていることだって許されないだろう
沙織「たださ、久遠さんが凄くいい顔していたから、恋しちゃったのかな……って」
沙織「郡さんが残ってくれるの、嬉しい?」
天乃「嬉しいわ」
沙織「……恋、しちゃってる?」
天乃「ふふっ」
今の顔は恋をしているように見えるのかと、天乃は思わず笑って沙織に目を向ける
胸に手を当てると、ドキドキと脈打つ音は感じない
千景が残ってくれることは嬉しい
けれど、それは別に恋をしているからではないのだ
天乃「千景を誘っちゃったこと根に持ってるでしょ」
沙織「持ってるか持っていないかで言えば、ちょっぴり不満ですけど?」
でも別に怒ってたりはしないんだよ。と、沙織は取り繕う
天乃が誰かを誘ってしまうことなんてよくあることだし、
それを許容しているからこその今の関係だ
それが許せなかったら、自分が今こうしていることだって許されないだろう
沙織「たださ、久遠さんが凄くいい顔していたから、恋しちゃったのかな……って」
313:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/20(水) 21:49:45.97:MG1RgfVGO (1/1)
きてたー
きてたー
314: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/20(水) 22:21:16.75:6P1TkNg+o (3/4)
天乃「千景も言っていたけど私達は多分、互いにそういう思いはないのよ」
千景が天乃に好意があるといっていたように
天乃だって、千景のことは好きだ
好きだけれど、夏凜達のような感情があるのかと言われると……そうとは言えない
それはきっと、千景が元々は死神の魂だからだろう
九尾と同じようにずっと傍に居てくれた
彼女は、家族だ
天乃「もし私が恋をしているように見えたのだとしたら、それはただ、凄く嬉しいだけ」
沙織は天乃を見て、小さく息をつく
愁いを帯びた、天乃の表情
嬉しいという言葉とは少し釣り合いが取れていない
沙織「それは嬉しいの? それとも悲しいの?」
天乃「何を言っているのよ」
うっすらと笑みを浮かべる
悲しいわけがない
彼女が一緒に居てくれると言ってくれたのだから
天乃「悲しいわけがないわ」
天乃「千景も言っていたけど私達は多分、互いにそういう思いはないのよ」
千景が天乃に好意があるといっていたように
天乃だって、千景のことは好きだ
好きだけれど、夏凜達のような感情があるのかと言われると……そうとは言えない
それはきっと、千景が元々は死神の魂だからだろう
九尾と同じようにずっと傍に居てくれた
彼女は、家族だ
天乃「もし私が恋をしているように見えたのだとしたら、それはただ、凄く嬉しいだけ」
沙織は天乃を見て、小さく息をつく
愁いを帯びた、天乃の表情
嬉しいという言葉とは少し釣り合いが取れていない
沙織「それは嬉しいの? それとも悲しいの?」
天乃「何を言っているのよ」
うっすらと笑みを浮かべる
悲しいわけがない
彼女が一緒に居てくれると言ってくれたのだから
天乃「悲しいわけがないわ」
315: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/20(水) 23:25:11.86:6P1TkNg+o (4/4)
沙織「死神……伊邪那美のこと、考えてたでしょ」
天乃「少しだけね」
沙織「そっか……」
死神は千景であって千景ではない
千景は死神であって死神ではない
だから死神の事を考えてしまうとちょっぴり寂しさを感じるし
千景のことを思うと、一緒に居てくれるというのが……嬉しく感じる
天乃の表情は相変わらずで
けれど、それが尾を引くようなものではないのだろうと、沙織は短く言葉を切る
沙織「郡さんを抱きたくなったら言ってね? 雰囲気と場所だけは用意するよ」
天乃「大丈夫よ」
沙織「でも、押せばやれそうな――」
天乃「相当、駄目な状態でもなければ大丈夫」
以前、天乃の穢れを請け負った東郷達のような状態にでも陥らない限りは
千景を性的に抱こうなどとは絶対に考えない
もっともその状況では、考える。ということ自体出来ないかもしれないが。
沙織「死神……伊邪那美のこと、考えてたでしょ」
天乃「少しだけね」
沙織「そっか……」
死神は千景であって千景ではない
千景は死神であって死神ではない
だから死神の事を考えてしまうとちょっぴり寂しさを感じるし
千景のことを思うと、一緒に居てくれるというのが……嬉しく感じる
天乃の表情は相変わらずで
けれど、それが尾を引くようなものではないのだろうと、沙織は短く言葉を切る
沙織「郡さんを抱きたくなったら言ってね? 雰囲気と場所だけは用意するよ」
天乃「大丈夫よ」
沙織「でも、押せばやれそうな――」
天乃「相当、駄目な状態でもなければ大丈夫」
以前、天乃の穢れを請け負った東郷達のような状態にでも陥らない限りは
千景を性的に抱こうなどとは絶対に考えない
もっともその状況では、考える。ということ自体出来ないかもしれないが。
316: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/21(木) 00:09:33.16:41TPbLV1o (1/8)
沙織「それでー? あたしを抱く?」
天乃「今日は抱けない」
寄り添い、ぎゅっと抱きついてくる沙織だけれど
残念ながら、昨日は園子の相手をしていた
それはさっきも話したのだから沙織も分かっていることだろう
それでも口にしたのは
二人きりならばちょっとだけ……という思いもあってだ
もちろん、それで天乃の体調が急激に崩れるのであれば
いくら沙織と言えど、天乃と体を重ねることはしない
天乃「どうして大赦になんて潜り込んじゃったのよ……そうしなければ抱くことも出来たかもしれないのに」
沙織「久遠さんの邪魔になりそうだったから」
天乃「それは聞いたけど……」
沙織「あたしが行かなければ九尾さんが行ってたかもしれない」
そうなったらどうなると思う? そう問いかける沙織の苦笑いは
まるで答えを求めていない
沙織「九尾さんが行くとは限らない。でも、近づけば辿り着く前に喰い殺す」
それくらいはやってのけるのが九尾という精霊だ
とはいえ、沙織が潜入した段階で祖母の話が出ていたから、もう来ることはなかったのだけれど
沙織「久遠さんの大赦であっても傷つけたくない甘い意向に沿うためだよ」
天乃「甘い、ね」
沙織「甘いよ。すっごく」
沙織「それでー? あたしを抱く?」
天乃「今日は抱けない」
寄り添い、ぎゅっと抱きついてくる沙織だけれど
残念ながら、昨日は園子の相手をしていた
それはさっきも話したのだから沙織も分かっていることだろう
それでも口にしたのは
二人きりならばちょっとだけ……という思いもあってだ
もちろん、それで天乃の体調が急激に崩れるのであれば
いくら沙織と言えど、天乃と体を重ねることはしない
天乃「どうして大赦になんて潜り込んじゃったのよ……そうしなければ抱くことも出来たかもしれないのに」
沙織「久遠さんの邪魔になりそうだったから」
天乃「それは聞いたけど……」
沙織「あたしが行かなければ九尾さんが行ってたかもしれない」
そうなったらどうなると思う? そう問いかける沙織の苦笑いは
まるで答えを求めていない
沙織「九尾さんが行くとは限らない。でも、近づけば辿り着く前に喰い殺す」
それくらいはやってのけるのが九尾という精霊だ
とはいえ、沙織が潜入した段階で祖母の話が出ていたから、もう来ることはなかったのだけれど
沙織「久遠さんの大赦であっても傷つけたくない甘い意向に沿うためだよ」
天乃「甘い、ね」
沙織「甘いよ。すっごく」
317: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/21(木) 00:10:27.41:41TPbLV1o (2/8)
遅くなりましたが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
遅くなりましたが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
318:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/21(木) 00:18:57.44:Bcu5U3q/O (1/4)
乙
まぁ九尾も二周目よりは丸くなってたお陰で平和的に事が進められたのは大きいよね
乙
まぁ九尾も二周目よりは丸くなってたお陰で平和的に事が進められたのは大きいよね
319:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/21(木) 00:31:51.13:kiORTy2oO (1/1)
乙
久遠さんの為なら久遠さんが望まないこともやる九尾の信念好きだけどえぐいよね
確か前は食い殺して消息不明になってたし
乙
久遠さんの為なら久遠さんが望まないこともやる九尾の信念好きだけどえぐいよね
確か前は食い殺して消息不明になってたし
320:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/21(木) 01:59:17.92:gvXvd7d6O (1/1)
乙
スパイさおりんかわいい
乙
スパイさおりんかわいい
321: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/21(木) 21:36:33.37:41TPbLV1o (3/8)
では少しだけ
では少しだけ
322:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/21(木) 21:38:41.28:Bcu5U3q/O (2/4)
あいあいさ
あいあいさ
323: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/21(木) 21:47:09.35:41TPbLV1o (4/8)
灰茶色の髪が揺れる
それと似た瞳は天乃をしっかりと見定めていて
その奥に、仄かに猿猴の気配が感じられた
沙織「少しは見限ることも必要だと思うよ」
今はもう、遅い話ではあるが
大赦が厄介ならば、その一角でも滅ぼしてしまう方が良いと沙織は言う
そんなことをしてしまったら敵と認識されるが
しかし、元々敵視されている一族だ
大赦が敵と言うのならば、敵対行動しても何ら問題はなかったはずだ
天乃「それは、私にはできないことだわ」
沙織「うん、そうだろうね」
大赦の言動に憤ることはあっても
それを理由に傷つけようとはしない
怒って、頼みごとを跳ね除けるけれど
自分の望みがその先にあるのならば、片手間に叶えてあげてしまう
沙織「久遠さんは、優しすぎるんだよ」
灰茶色の髪が揺れる
それと似た瞳は天乃をしっかりと見定めていて
その奥に、仄かに猿猴の気配が感じられた
沙織「少しは見限ることも必要だと思うよ」
今はもう、遅い話ではあるが
大赦が厄介ならば、その一角でも滅ぼしてしまう方が良いと沙織は言う
そんなことをしてしまったら敵と認識されるが
しかし、元々敵視されている一族だ
大赦が敵と言うのならば、敵対行動しても何ら問題はなかったはずだ
天乃「それは、私にはできないことだわ」
沙織「うん、そうだろうね」
大赦の言動に憤ることはあっても
それを理由に傷つけようとはしない
怒って、頼みごとを跳ね除けるけれど
自分の望みがその先にあるのならば、片手間に叶えてあげてしまう
沙織「久遠さんは、優しすぎるんだよ」
324: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/21(木) 22:26:40.59:41TPbLV1o (5/8)
天乃「もう少し厳しい私の方が好き?」
沙織「ん~……前言撤回かな」
天乃「ふふっ、ありがとう」
沙織はもう少し厳しくするべきとは言うけれど
今の優しい天乃が、好きなのだ
怒ることもあるし、叱ることだって当然ある
相手にそれが必要だと思えば、厳しく接することだってある
天乃の優しさは、怒らないことでも厳しくないことでもない
相手の望んでいることを叶えてしまう優しさだ
それはたとえ、大赦であってもだ
沙織「良いよ。久遠さんが甘い分、あたし達が厳しくなる。これまでも、これからも」
天乃「それで沙織が傷つくなら、私――」
沙織「大丈夫」
天乃「でも」
沙織「大丈夫だよ……ごめんね。余計な話、だったね」
天乃「もう少し厳しい私の方が好き?」
沙織「ん~……前言撤回かな」
天乃「ふふっ、ありがとう」
沙織はもう少し厳しくするべきとは言うけれど
今の優しい天乃が、好きなのだ
怒ることもあるし、叱ることだって当然ある
相手にそれが必要だと思えば、厳しく接することだってある
天乃の優しさは、怒らないことでも厳しくないことでもない
相手の望んでいることを叶えてしまう優しさだ
それはたとえ、大赦であってもだ
沙織「良いよ。久遠さんが甘い分、あたし達が厳しくなる。これまでも、これからも」
天乃「それで沙織が傷つくなら、私――」
沙織「大丈夫」
天乃「でも」
沙織「大丈夫だよ……ごめんね。余計な話、だったね」
325: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/21(木) 22:43:53.46:41TPbLV1o (6/8)
沙織は一言一言をはっきりと絞り出して
天乃の小さな手を握り、微笑む
沙織「本当に大丈夫。確かに、この手を汚すことは厭わないけどまだそうしたことはないからね」
たぶん、これからはもうそんなことも必要ない。と
沙織は妙に自信あり気に口にする
戦いは終わったのだ
命の駆け引きは必要ないし
天乃の力が必要とされることももうない
築き上げてきた道徳、信仰心
それが保たれて、天乃に何らかの被害が出るようなことがなければ
沙織も、九尾も何もしなくて済む
沙織「あーでも……久遠さんをナンパしようなんていう人がいたら成敗するかも」
天乃「そんな人いるかしら」
沙織「いる。ぜーったい!」
沙織は一言一言をはっきりと絞り出して
天乃の小さな手を握り、微笑む
沙織「本当に大丈夫。確かに、この手を汚すことは厭わないけどまだそうしたことはないからね」
たぶん、これからはもうそんなことも必要ない。と
沙織は妙に自信あり気に口にする
戦いは終わったのだ
命の駆け引きは必要ないし
天乃の力が必要とされることももうない
築き上げてきた道徳、信仰心
それが保たれて、天乃に何らかの被害が出るようなことがなければ
沙織も、九尾も何もしなくて済む
沙織「あーでも……久遠さんをナンパしようなんていう人がいたら成敗するかも」
天乃「そんな人いるかしら」
沙織「いる。ぜーったい!」
326: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/21(木) 23:07:27.85:41TPbLV1o (7/8)
ベッドの上でいきり立つように体を起こすと
驚く天乃をしり目に、沙織は「絶対にいるよ」と繰り返して強調する
天乃は二児の母であることを理由にしているのかもしれないが
傍に連れていなければそんなこと関係ない
力の影響で不老不死に近い状態だという話だが
身長148センチ、以前は重めだったが筋肉も落ちた今では比較的軽めな体重
そのくせ胸は大きく、腰の緩やかな曲線、まろやかな臀部
夏場の海にでも居ようものなら、引く手数多なのは言わずもがなであろう
沙織「……だから、えっと」
天乃「?」
沙織「本当は、あたしが渡したら駄目なのかもしれないけど……」
いつまでも待つのはもどかしいから。
沙織は独り言ちるように顔を伏せて、患者衣ではない寝間着のポケットから、小さな箱を取り出す
沙織「開けてみて」
天乃「これ……」
小さな箱の中には、指輪が入っていた
三つのリングを重ね絡め合わせたような薄いピンク色の指輪
沙織「本当は人数分のが良いんだけど、さすがにそれは厚みがね……だから、三連。三好さんの、三」
1、……ありがとう
2、わざわざ、買ってくれたの?
3、そう……沙織の三ではないのね
4、婚約指輪って、思っていいのかしら
5、駄目ね……本当は私が用意するべきなのに
↓2
ベッドの上でいきり立つように体を起こすと
驚く天乃をしり目に、沙織は「絶対にいるよ」と繰り返して強調する
天乃は二児の母であることを理由にしているのかもしれないが
傍に連れていなければそんなこと関係ない
力の影響で不老不死に近い状態だという話だが
身長148センチ、以前は重めだったが筋肉も落ちた今では比較的軽めな体重
そのくせ胸は大きく、腰の緩やかな曲線、まろやかな臀部
夏場の海にでも居ようものなら、引く手数多なのは言わずもがなであろう
沙織「……だから、えっと」
天乃「?」
沙織「本当は、あたしが渡したら駄目なのかもしれないけど……」
いつまでも待つのはもどかしいから。
沙織は独り言ちるように顔を伏せて、患者衣ではない寝間着のポケットから、小さな箱を取り出す
沙織「開けてみて」
天乃「これ……」
小さな箱の中には、指輪が入っていた
三つのリングを重ね絡め合わせたような薄いピンク色の指輪
沙織「本当は人数分のが良いんだけど、さすがにそれは厚みがね……だから、三連。三好さんの、三」
1、……ありがとう
2、わざわざ、買ってくれたの?
3、そう……沙織の三ではないのね
4、婚約指輪って、思っていいのかしら
5、駄目ね……本当は私が用意するべきなのに
↓2
327:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/21(木) 23:11:51.19:Bcu5U3q/O (3/4)
1
1
328:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/21(木) 23:15:25.97:knHWgwob0 (1/1)
5
5
329: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/21(木) 23:23:41.54:41TPbLV1o (8/8)
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「久遠先輩がナンパされてたら……撃ちますね」
樹「夏凜さん達直伝の武術でねじ伏せます」
沙織「殺すかな」
園子「ふーみん先輩……事件が、事件が起こるんよ~」
風「天乃が止めるから大丈夫でしょ……たぶん」
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「久遠先輩がナンパされてたら……撃ちますね」
樹「夏凜さん達直伝の武術でねじ伏せます」
沙織「殺すかな」
園子「ふーみん先輩……事件が、事件が起こるんよ~」
風「天乃が止めるから大丈夫でしょ……たぶん」
330:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/21(木) 23:42:32.68:Bcu5U3q/O (4/4)
乙
久遠さん、子持ちだからといってモテない訳ないもんなぁ…
ちゃんと指輪を付けて見せないと地獄絵図になりそう
乙
久遠さん、子持ちだからといってモテない訳ないもんなぁ…
ちゃんと指輪を付けて見せないと地獄絵図になりそう
331:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/22(金) 02:04:07.15:z9V7CjXfO (1/1)
乙
もちろん薬指につけるよな!!
乙
もちろん薬指につけるよな!!
332: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/22(金) 21:20:41.63:wMMUJiDdo (1/5)
では少しだけ
では少しだけ
333:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/22(金) 21:46:06.59:DGj4HqShO (1/1)
きてたか
きてたか
334: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/22(金) 22:24:34.97:wMMUJiDdo (2/5)
天乃「駄目ね……本当は私が用意するべきなのに」
沙織「そこは仕方がないよ。あたしみたいに自由に出入りできるわけじゃないんだから」
天乃「そうなんだけどね、私が貴女達を貰うんだから私がするべきだったのよ」
沙織「でも、久遠さんは嫁だから男として婚約指輪渡したいなぁ……」
天乃「男の子じゃないでしょ、貴女」
沙織の半ば本気な声に、天乃は呆れつつ答える
みんなから見て女の子……それはもうどうしようもないだろう
子供を実際に産んでいるし
みんなよりもずいぶんと弱弱しいし
抱っこするかされるかと言えば、抱っこされる方になる
それでも、娶られるのではなく、娶るのだ
婚約指輪を渡すのであれば、天乃が渡すはずだった
天乃「……でも、ありがとう」
沙織「良いよ。本当は三好さんがするべきことだったけどね」
天乃「そこは譲らないのね」
沙織「それはそうだよ」
天乃「駄目ね……本当は私が用意するべきなのに」
沙織「そこは仕方がないよ。あたしみたいに自由に出入りできるわけじゃないんだから」
天乃「そうなんだけどね、私が貴女達を貰うんだから私がするべきだったのよ」
沙織「でも、久遠さんは嫁だから男として婚約指輪渡したいなぁ……」
天乃「男の子じゃないでしょ、貴女」
沙織の半ば本気な声に、天乃は呆れつつ答える
みんなから見て女の子……それはもうどうしようもないだろう
子供を実際に産んでいるし
みんなよりもずいぶんと弱弱しいし
抱っこするかされるかと言えば、抱っこされる方になる
それでも、娶られるのではなく、娶るのだ
婚約指輪を渡すのであれば、天乃が渡すはずだった
天乃「……でも、ありがとう」
沙織「良いよ。本当は三好さんがするべきことだったけどね」
天乃「そこは譲らないのね」
沙織「それはそうだよ」
335: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/22(金) 23:01:18.76:wMMUJiDdo (3/5)
沙織は一転してムッとしたた表情を見せる
それは天乃に対してというよりも
あと一歩を中々踏み出さない夏凜に対してのものなのだろう
天乃に目が向けられると、はっとして笑みを浮かべた
沙織「久遠さんだって、三好さんから結婚しようってプロポーズされたくなかった?」
天乃「考えて、無かったわ」
沙織「自分が渡すべきだって思ってたから?」
天乃「ええ」
沙織「久遠さんにとって夏凜ちゃんは女の子なんだね」
天乃「夏凜だけじゃないわ、みんなそう。みんな女の子」
どちらが男の子役かなんて言うことはあまり考えていない
もちろん、結婚式を挙げるときには一応そういうものもあるだろうし
その場合は、ウェディングドレスだろうか
それとも白無垢かもしれないし振袖かもしれない
とにかく、それを着る側が一応は女の子側となるだろう
沙織は一転してムッとしたた表情を見せる
それは天乃に対してというよりも
あと一歩を中々踏み出さない夏凜に対してのものなのだろう
天乃に目が向けられると、はっとして笑みを浮かべた
沙織「久遠さんだって、三好さんから結婚しようってプロポーズされたくなかった?」
天乃「考えて、無かったわ」
沙織「自分が渡すべきだって思ってたから?」
天乃「ええ」
沙織「久遠さんにとって夏凜ちゃんは女の子なんだね」
天乃「夏凜だけじゃないわ、みんなそう。みんな女の子」
どちらが男の子役かなんて言うことはあまり考えていない
もちろん、結婚式を挙げるときには一応そういうものもあるだろうし
その場合は、ウェディングドレスだろうか
それとも白無垢かもしれないし振袖かもしれない
とにかく、それを着る側が一応は女の子側となるだろう
336: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/22(金) 23:28:59.66:wMMUJiDdo (4/5)
天乃「どちらが男の子女の子じゃなくて、純粋に恋人として考えてたのよ」
沙織「エッチの時も?」
天乃「委ねるかどうかでしょう? そこに性別はないでしょ?」
男の子とのエッチならば、どちらが男の子か女の子か関係あるだろうけれど
どちらも女の子ならば、攻めるか受けるか
それくらいしかないのではと、天乃は首をかしげる
天乃「別に……そう、体の奥にまで、するわけじゃないし」
そう言って、お腹を撫でる
悪五郎とした最初で最後の性行為
その時に感じた下腹部への圧迫感
それは、みんなとの行為では感じることのできない感覚
沙織「しようと思えば、出来ないこともないよ」
天乃「そうなの?」
沙織「道具を使わないといけないからあたしは好きじゃないけどね」
そうは言ったものの
えっちのレパートリーを増やすためにも使うのも悪くはないと思うけど。と、
沙織はちょっぴり難しい顔をする
天乃「どちらが男の子女の子じゃなくて、純粋に恋人として考えてたのよ」
沙織「エッチの時も?」
天乃「委ねるかどうかでしょう? そこに性別はないでしょ?」
男の子とのエッチならば、どちらが男の子か女の子か関係あるだろうけれど
どちらも女の子ならば、攻めるか受けるか
それくらいしかないのではと、天乃は首をかしげる
天乃「別に……そう、体の奥にまで、するわけじゃないし」
そう言って、お腹を撫でる
悪五郎とした最初で最後の性行為
その時に感じた下腹部への圧迫感
それは、みんなとの行為では感じることのできない感覚
沙織「しようと思えば、出来ないこともないよ」
天乃「そうなの?」
沙織「道具を使わないといけないからあたしは好きじゃないけどね」
そうは言ったものの
えっちのレパートリーを増やすためにも使うのも悪くはないと思うけど。と、
沙織はちょっぴり難しい顔をする
337: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/22(金) 23:49:57.34:wMMUJiDdo (5/5)
沙織「それはともかく、その指輪は必ず左手の薬指につけること」
天乃「声をかけられたら、これを見せたらいいのね?」
沙織「ううん、露骨に見せると避けるために付けてるって思われる可能性もあるから無理に見せなくていいよ」
さりげなく、相手に見えるようにしておけばいい
たとえば髪を触る仕草、笑う口元を隠す仕草
ちょっとした視点誘導に左手を使って、見せる
強調していないからこそ、信憑性が高まるのだと沙織は力説する
余りの圧力に天乃が困ってしまうほどだ
沙織「久遠さんはね、永遠の中学生なんだよ。分かる? 結婚? はぁ? ってなるような見た目なのっ」
天乃「そんなこと――」
沙織「久遠さんは当事者だからそう言うこともあるわねって思うだろうけど普通はないからね? 中学生で子持ちとか、婚約とか」
かなり大昔はそう言うのもあったらしいと文献を見た覚えはあるけれど
現代にそれは適していない
だから、天乃が左手の薬指に指輪をはめていたとしても
それを信じてくれるとは残念ながら思えない
天乃「そ、そう……そうね。ごめんなさい」
沙織「入院中は平気だけど、外に出たら今までみたいに無防備でいたら絶対にダメだよ」
沙織「それはともかく、その指輪は必ず左手の薬指につけること」
天乃「声をかけられたら、これを見せたらいいのね?」
沙織「ううん、露骨に見せると避けるために付けてるって思われる可能性もあるから無理に見せなくていいよ」
さりげなく、相手に見えるようにしておけばいい
たとえば髪を触る仕草、笑う口元を隠す仕草
ちょっとした視点誘導に左手を使って、見せる
強調していないからこそ、信憑性が高まるのだと沙織は力説する
余りの圧力に天乃が困ってしまうほどだ
沙織「久遠さんはね、永遠の中学生なんだよ。分かる? 結婚? はぁ? ってなるような見た目なのっ」
天乃「そんなこと――」
沙織「久遠さんは当事者だからそう言うこともあるわねって思うだろうけど普通はないからね? 中学生で子持ちとか、婚約とか」
かなり大昔はそう言うのもあったらしいと文献を見た覚えはあるけれど
現代にそれは適していない
だから、天乃が左手の薬指に指輪をはめていたとしても
それを信じてくれるとは残念ながら思えない
天乃「そ、そう……そうね。ごめんなさい」
沙織「入院中は平気だけど、外に出たら今までみたいに無防備でいたら絶対にダメだよ」
338: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/23(土) 00:16:44.50:iEqozAJ1o (1/7)
天乃「気を付けるわ……でも、私一人なんてそうそうないと思うわよ」
赤ちゃんの二人を背負っていくとか
買い物は変わりにみんなにしてきてもらうとか
散歩するときはやっぱり赤ん坊を背負って、平日なら風とか千景と……となるだろう
沙織「そうだね」
風だって男勝りなところはあるけれど
一目見たときは普通に大人になりかけの綺麗な女の子
千景だって、影があるように見えるけれど
とても優しいし、やっぱり……綺麗な女の子だろう
ただの友人と思われて声をかけられることはあるはずだ
もっとも、その二人に限らず
天乃の傍に居るだろう誰かは、声をかけてきた相手をやんわりと拒絶するだろうから、大丈夫だろう
沙織「郡さんの方が安心かな……犬吠埼さんは、なんかちょっと対応が甘そうだから」
天乃「ふふっ、そうかしら」
1、ねぇ沙織、指輪は自分ではめちゃっていいのかしら
2、心配なら九尾を連れて行くって約束してあげようか?
3、沙織、はめてくれないの?
4、今度一緒に指輪を買いに行きましょ
↓2
天乃「気を付けるわ……でも、私一人なんてそうそうないと思うわよ」
赤ちゃんの二人を背負っていくとか
買い物は変わりにみんなにしてきてもらうとか
散歩するときはやっぱり赤ん坊を背負って、平日なら風とか千景と……となるだろう
沙織「そうだね」
風だって男勝りなところはあるけれど
一目見たときは普通に大人になりかけの綺麗な女の子
千景だって、影があるように見えるけれど
とても優しいし、やっぱり……綺麗な女の子だろう
ただの友人と思われて声をかけられることはあるはずだ
もっとも、その二人に限らず
天乃の傍に居るだろう誰かは、声をかけてきた相手をやんわりと拒絶するだろうから、大丈夫だろう
沙織「郡さんの方が安心かな……犬吠埼さんは、なんかちょっと対応が甘そうだから」
天乃「ふふっ、そうかしら」
1、ねぇ沙織、指輪は自分ではめちゃっていいのかしら
2、心配なら九尾を連れて行くって約束してあげようか?
3、沙織、はめてくれないの?
4、今度一緒に指輪を買いに行きましょ
↓2
339:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/23(土) 00:20:41.10:kQahiaKcO (1/1)
4
4
340:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/23(土) 00:21:46.44:NBJ3qdKRO (1/1)
1
1
341: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/23(土) 00:32:10.82:iEqozAJ1o (2/7)
では本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば早めの時間から
園子「おっ、そこのお二人さん。この後時間あったらちょっと付き合ってよ」
園子「って誘われたら~?」
風「用事があるって断るわね」
千景「無視するわ。相手にしたくもない」
若葉「ということだが……貴女なら、どうする?」
九尾「無論、喰い殺す」
では本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば早めの時間から
園子「おっ、そこのお二人さん。この後時間あったらちょっと付き合ってよ」
園子「って誘われたら~?」
風「用事があるって断るわね」
千景「無視するわ。相手にしたくもない」
若葉「ということだが……貴女なら、どうする?」
九尾「無論、喰い殺す」
342:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/23(土) 00:40:19.36:NCD4UAcVO (1/1)
乙
久遠さんの年齢や容姿でえっちを経験済み(しかも相手が妖怪)とは誰も思わないだろうしな…
乙
久遠さんの年齢や容姿でえっちを経験済み(しかも相手が妖怪)とは誰も思わないだろうしな…
343:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/23(土) 03:53:16.62:ukohDCY4O (1/2)
乙
久遠さんはエロいからな!(断言)
乙
久遠さんはエロいからな!(断言)
344: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/23(土) 20:26:37.30:iEqozAJ1o (3/7)
では少しだけ
では少しだけ
345:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/23(土) 20:27:32.50:fmugcOZeO (1/2)
よっしゃ
よっしゃ
346: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/23(土) 21:25:21.65:iEqozAJ1o (4/7)
天乃「ねぇ沙織、指輪は自分ではめちゃっていいのかしら」
沙織「んー……そうだね」
悩ましい声が伸びたのは、
沙織の予定では、婚約指輪を渡すのは夏凜だったからだ
痺れを切らしたとはいえ、そこまでしても良いのか。なんて
ちょっとだけ思うのだが……沙織は目を瞑ると、息を吐く
心の奥で燻るものが、大きくなるのを感じた
沙織「あたしがはめるよ」
天乃「じゃぁ、お願い」
沙織「………」
小さな箱の中にポツンっと収まっているトリニティリング
柔らかい桜色は愛情を示す
もう一度息を吐く、吸って……天乃をまっすぐ見る
沙織「久遠さん、これからもずっとそばに居させてください」
はっきりと芯のある沙織の声が病室に満ちる
驚きはなく、ただ温かみを感じて天乃は頷いて微笑む
天乃「……はい。喜んで」
天乃「ねぇ沙織、指輪は自分ではめちゃっていいのかしら」
沙織「んー……そうだね」
悩ましい声が伸びたのは、
沙織の予定では、婚約指輪を渡すのは夏凜だったからだ
痺れを切らしたとはいえ、そこまでしても良いのか。なんて
ちょっとだけ思うのだが……沙織は目を瞑ると、息を吐く
心の奥で燻るものが、大きくなるのを感じた
沙織「あたしがはめるよ」
天乃「じゃぁ、お願い」
沙織「………」
小さな箱の中にポツンっと収まっているトリニティリング
柔らかい桜色は愛情を示す
もう一度息を吐く、吸って……天乃をまっすぐ見る
沙織「久遠さん、これからもずっとそばに居させてください」
はっきりと芯のある沙織の声が病室に満ちる
驚きはなく、ただ温かみを感じて天乃は頷いて微笑む
天乃「……はい。喜んで」
347: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/23(土) 22:09:18.17:iEqozAJ1o (5/7)
沙織は天乃の答えに頷いて
指先で汚れてしまわないよう、指輪を優しくつまんで支えから引き抜く
沙織「手を」
天乃「ん……」
伸ばされた小さな手は、下から支える沙織の手よりも一回り以上小さい
その細い指を沙織は愛おしそうに親指でなぞって
薬指に、指輪をはめる
天乃「ぴったり……って、言えば良いのかしら」
沙織にはめて貰った指輪は、
天乃の細さにもしっかりとフィットしている
けれど、きつすぎるなんてことはなく
外そうとすれば外すことが出来るような大きさだ
天乃「――綺麗ね」
天井の光にかざしてみると、桜色のきらめきが瞬く
ダイヤなどの宝飾のないシンプルなものだが
それでも十分に綺麗な指輪だと、天乃は思った
沙織は天乃の答えに頷いて
指先で汚れてしまわないよう、指輪を優しくつまんで支えから引き抜く
沙織「手を」
天乃「ん……」
伸ばされた小さな手は、下から支える沙織の手よりも一回り以上小さい
その細い指を沙織は愛おしそうに親指でなぞって
薬指に、指輪をはめる
天乃「ぴったり……って、言えば良いのかしら」
沙織にはめて貰った指輪は、
天乃の細さにもしっかりとフィットしている
けれど、きつすぎるなんてことはなく
外そうとすれば外すことが出来るような大きさだ
天乃「――綺麗ね」
天井の光にかざしてみると、桜色のきらめきが瞬く
ダイヤなどの宝飾のないシンプルなものだが
それでも十分に綺麗な指輪だと、天乃は思った
348: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/23(土) 23:18:43.74:iEqozAJ1o (6/7)
沙織「……せめてフェイクでもダイヤがあったほうが良かったかな」
天乃「ううん、良いの。良いのよ、これが良い」
宝飾が施されていようがいまいが関係ない
本当は自分が渡したかったというのも関係ない
これは沙織が考えて、選んでくれた指輪だ
だから、これが良いと天乃は指輪のはめられた左手を大切に抱きしめる
天乃「ありがとう、嬉しいわ」
沙織「そこまでして貰えると、あたしも踏み出して良かったって思えるよ」
嬉しいという言葉だけでなく
幸せそうな顔を見せて貰っては、こっちまで幸せになれる
沙織「久遠さん、手を見せて」
天乃「なぁに?」
抱え込む左手を差し向けてあげると
沙織はとてもうれしそうに、うっとりとした笑みを浮かべる
今までは何もなく、ただ純白だった左手に収まった指輪
誰もが憧れて、目を惹かれて
時には疎まれるほどの人が、ずっと傍に居させてくれると誓ってくれたのだ
沙織「やった……えへへ……やったぁ……」
涙が零れる
絶対に無理だと、いつかは失うのだと覚悟までしていたから
だから、指輪の現実味を帯びた輝きに沙織は耐えられなかった
沙織「……せめてフェイクでもダイヤがあったほうが良かったかな」
天乃「ううん、良いの。良いのよ、これが良い」
宝飾が施されていようがいまいが関係ない
本当は自分が渡したかったというのも関係ない
これは沙織が考えて、選んでくれた指輪だ
だから、これが良いと天乃は指輪のはめられた左手を大切に抱きしめる
天乃「ありがとう、嬉しいわ」
沙織「そこまでして貰えると、あたしも踏み出して良かったって思えるよ」
嬉しいという言葉だけでなく
幸せそうな顔を見せて貰っては、こっちまで幸せになれる
沙織「久遠さん、手を見せて」
天乃「なぁに?」
抱え込む左手を差し向けてあげると
沙織はとてもうれしそうに、うっとりとした笑みを浮かべる
今までは何もなく、ただ純白だった左手に収まった指輪
誰もが憧れて、目を惹かれて
時には疎まれるほどの人が、ずっと傍に居させてくれると誓ってくれたのだ
沙織「やった……えへへ……やったぁ……」
涙が零れる
絶対に無理だと、いつかは失うのだと覚悟までしていたから
だから、指輪の現実味を帯びた輝きに沙織は耐えられなかった
349: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/23(土) 23:33:02.63:iEqozAJ1o (7/7)
天乃「沙織……」
左手には、今まで感じたことのない重みがある
ずっと傍に居たい。
沙織の想いの込められたその指輪を傷つけてしまわないかと、怯えているのかもしれない
指を曲げることすら緊張するけれど、
そうっと沙織の頬に触れさせる
伝い落ちていた流れをせき止めて、指先で優しく拭う
天乃「ありがとね」
ここまで想ってくれて
ここまでずっと付き添ってくれて
こんな厄介な嫁が欲しいと、愛してくれて
天乃「私は、幸せだわ」
世界中の誰よりも、きっと
本当に良いのかと思ってしまうほどに、恵まれている
1、抱きしめる
2、キスをする
3、一生、貴女を愛し続けると誓うわ
4、ありがとう、沙織達のおかげよ
↓2
天乃「沙織……」
左手には、今まで感じたことのない重みがある
ずっと傍に居たい。
沙織の想いの込められたその指輪を傷つけてしまわないかと、怯えているのかもしれない
指を曲げることすら緊張するけれど、
そうっと沙織の頬に触れさせる
伝い落ちていた流れをせき止めて、指先で優しく拭う
天乃「ありがとね」
ここまで想ってくれて
ここまでずっと付き添ってくれて
こんな厄介な嫁が欲しいと、愛してくれて
天乃「私は、幸せだわ」
世界中の誰よりも、きっと
本当に良いのかと思ってしまうほどに、恵まれている
1、抱きしめる
2、キスをする
3、一生、貴女を愛し続けると誓うわ
4、ありがとう、沙織達のおかげよ
↓2
350:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/23(土) 23:36:20.34:fmugcOZeO (2/2)
1
1
351:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/23(土) 23:36:25.45:ukohDCY4O (2/2)
2
2
352:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/23(土) 23:36:55.30:q9M58/bO0 (1/1)
4
4
353: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/24(日) 00:05:46.95:hfx9p5Ofo (1/12)
ではここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
樹「久遠先輩、これからも……一緒に幸せになりたいです」
風「天乃、結婚、してくれない?」
友奈「久遠先輩っ、私の……お嫁さんになってくれませんか?」
東郷「お慕いしております。久遠先輩」
園子「これからもずっと天さんと一緒に居たい、なぁ……」
夏凜「天乃。絶対に幸せにするって約束する……だから、結婚しましょ」
ではここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
樹「久遠先輩、これからも……一緒に幸せになりたいです」
風「天乃、結婚、してくれない?」
友奈「久遠先輩っ、私の……お嫁さんになってくれませんか?」
東郷「お慕いしております。久遠先輩」
園子「これからもずっと天さんと一緒に居たい、なぁ……」
夏凜「天乃。絶対に幸せにするって約束する……だから、結婚しましょ」
354:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/24(日) 00:08:32.40:yuOMLjH3O (1/1)
乙
指輪つけてもらう→口付けで実質結婚式と言ってもいいのでは?
乙
指輪つけてもらう→口付けで実質結婚式と言ってもいいのでは?
355:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/24(日) 00:13:19.13:OZtmJkjCO (1/1)
乙
さおりんがここに来て正統派ヒロインに…!
夏凜ちゃんも何かアクション来たりしないかな
乙
さおりんがここに来て正統派ヒロインに…!
夏凜ちゃんも何かアクション来たりしないかな
356: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/24(日) 16:19:12.42:hfx9p5Ofo (2/12)
では少しずつ
では少しずつ
357:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/24(日) 16:34:50.06:HxP5oLyGO (1/2)
かもーん
かもーん
358: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/24(日) 17:25:02.03:hfx9p5Ofo (3/12)
プロポーズをされたらどうしたらいいかなんて、天乃にはわからない
申し込まれて……受けて、抱擁する
そのくらいしか思いつかない
けれど、自分ならどうするかと考えて、沙織の頬を撫でる
天乃「沙織」
囁くように、名前を呼ぶ
今まで以上に親しみを込めて
愛情が伝わるようにと心からその名前を口にする
沙織「……んっ」
そうして――唇を重ねる
エッチな時にも必ずするキス
これが一番、気持ちを伝えやすいのだ
沙織「っふ……ん……」
天乃「んっ」
一度は軽く、二回目はもう少し長く
そして三回目は――瞳を閉ざして、それだけに浸った
プロポーズをされたらどうしたらいいかなんて、天乃にはわからない
申し込まれて……受けて、抱擁する
そのくらいしか思いつかない
けれど、自分ならどうするかと考えて、沙織の頬を撫でる
天乃「沙織」
囁くように、名前を呼ぶ
今まで以上に親しみを込めて
愛情が伝わるようにと心からその名前を口にする
沙織「……んっ」
そうして――唇を重ねる
エッチな時にも必ずするキス
これが一番、気持ちを伝えやすいのだ
沙織「っふ……ん……」
天乃「んっ」
一度は軽く、二回目はもう少し長く
そして三回目は――瞳を閉ざして、それだけに浸った
359: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/24(日) 18:35:03.77:hfx9p5Ofo (4/12)
天乃「……沙織、好きよ」
沙織「久遠さん……」
天乃「愛してる」
行動で示して、言葉を伝える
沙織はどちらかと言えば、その方が好むだろうと思って
頬を撫でてあげると、沙織は嬉しそうに口元を綻ばせて、
その手のひらを支えるように、手を重ねる
沙織「うん……あたしも愛してる」
天乃の手は、普通の人よりも冷たい
でも、今こうして触れている手はとても暖かく感じる
小さいけれど、大きな手だ
沙織「久遠さん」
天乃「なに?」
沙織「……愛してます」
何度も言えば安っぽくなってしまうかもしれない
そう思いつつも、言わずにはいられなかった
天乃「……沙織、好きよ」
沙織「久遠さん……」
天乃「愛してる」
行動で示して、言葉を伝える
沙織はどちらかと言えば、その方が好むだろうと思って
頬を撫でてあげると、沙織は嬉しそうに口元を綻ばせて、
その手のひらを支えるように、手を重ねる
沙織「うん……あたしも愛してる」
天乃の手は、普通の人よりも冷たい
でも、今こうして触れている手はとても暖かく感じる
小さいけれど、大きな手だ
沙織「久遠さん」
天乃「なに?」
沙織「……愛してます」
何度も言えば安っぽくなってしまうかもしれない
そう思いつつも、言わずにはいられなかった
360: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/24(日) 19:42:44.16:hfx9p5Ofo (5/12)
沙織「指輪が触れるこの感触……癖になりそう」
天乃「痛くない?」
沙織「気持ちいい」
手よりも冷たい金属の感触
硬いけれど、確かな感触だ
ちょっぴり感じるものはあるけれど、痛くなんてない
沙織「これからも、触るときは左手で触って欲しいな」
天乃「沙織が良いなら、そうするけど……」
沙織「お願い」
天乃「もう……分かったわ」
頬を擦って、横髪を手の甲で払う
指にはまっているピンク色の指輪
それを、沙織が感じられるように
天乃「でも、寝るときとかには外すからね?」
沙織「うんっ、あ……エッチの時はしててもいいよ?」
天乃「汚れちゃうでしょ」
沙織「指輪が触れるこの感触……癖になりそう」
天乃「痛くない?」
沙織「気持ちいい」
手よりも冷たい金属の感触
硬いけれど、確かな感触だ
ちょっぴり感じるものはあるけれど、痛くなんてない
沙織「これからも、触るときは左手で触って欲しいな」
天乃「沙織が良いなら、そうするけど……」
沙織「お願い」
天乃「もう……分かったわ」
頬を擦って、横髪を手の甲で払う
指にはまっているピンク色の指輪
それを、沙織が感じられるように
天乃「でも、寝るときとかには外すからね?」
沙織「うんっ、あ……エッチの時はしててもいいよ?」
天乃「汚れちゃうでしょ」
361: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/24(日) 20:34:38.27:hfx9p5Ofo (6/12)
沙織「箱の中に戻しちゃうの?」
天乃「それが一番いいじゃない」
沙織「それは……そうだけど」
そもそも、今はまだ装飾品を置いておくような小物入れも何もない
大切にしたい気持ちはあるけれど、ここは病室だ
指輪そのままにしておきたくはないし
だったら、買った時に入れられていた小箱に納めてしまう方が良い
確かに、買った箱そのまま使うというのは
ちょっぴり残念な感じがしてしまうけれど、今は仕方がない
それに、この箱だって当然ながら悪いものじゃない
天乃「もし、趣がないっていうなら今度買いに行きましょ」
沙織「デート!?」
天乃「そうねぇ……二人きりは、ちょっとできないかもしれないけれど」
指輪は一つではない
天乃だけでも、結婚指輪が増えれば二つになる
みんなそれぞれに指輪を用意するのなら
数は結婚指輪だけでも7つになる
若葉の分を用意するのならば、8つだ
天乃の分を含めて10になる
それぞれの箱に納めておいてもいいのかもしれないが、そこは相談になるだろう
沙織「箱の中に戻しちゃうの?」
天乃「それが一番いいじゃない」
沙織「それは……そうだけど」
そもそも、今はまだ装飾品を置いておくような小物入れも何もない
大切にしたい気持ちはあるけれど、ここは病室だ
指輪そのままにしておきたくはないし
だったら、買った時に入れられていた小箱に納めてしまう方が良い
確かに、買った箱そのまま使うというのは
ちょっぴり残念な感じがしてしまうけれど、今は仕方がない
それに、この箱だって当然ながら悪いものじゃない
天乃「もし、趣がないっていうなら今度買いに行きましょ」
沙織「デート!?」
天乃「そうねぇ……二人きりは、ちょっとできないかもしれないけれど」
指輪は一つではない
天乃だけでも、結婚指輪が増えれば二つになる
みんなそれぞれに指輪を用意するのなら
数は結婚指輪だけでも7つになる
若葉の分を用意するのならば、8つだ
天乃の分を含めて10になる
それぞれの箱に納めておいてもいいのかもしれないが、そこは相談になるだろう
362: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/24(日) 21:12:57.83:hfx9p5Ofo (7/12)
天乃「沙織だったら、指輪どうしておきたい?」
沙織「あたしなら、久遠さんの指輪に重ねておきたいかな」
天乃「指輪も寄り添わせたいなんて……」
それは独占欲と言うのだろうか
沙織からしてみれば、単純な思いの強さなのかもしれないけれど
流石に、指輪を重ねられてしまうと少し困る
場合によっては傷ついてしまうかもしれないし
沙織達を思うに、指輪はお揃いか
少なくとも同色のものを要求してくるだろう
そうなったら、最悪わからなくなってしまう可能性がある
天乃「ジュエリーケースでも買う?」
沙織「それでもいい……かな」
天乃「1人一つの箱より、私と一緒の箱が良いんでしょう?」
沙織「うん」
天乃「一応、みんなに相談してからね」
天乃「沙織だったら、指輪どうしておきたい?」
沙織「あたしなら、久遠さんの指輪に重ねておきたいかな」
天乃「指輪も寄り添わせたいなんて……」
それは独占欲と言うのだろうか
沙織からしてみれば、単純な思いの強さなのかもしれないけれど
流石に、指輪を重ねられてしまうと少し困る
場合によっては傷ついてしまうかもしれないし
沙織達を思うに、指輪はお揃いか
少なくとも同色のものを要求してくるだろう
そうなったら、最悪わからなくなってしまう可能性がある
天乃「ジュエリーケースでも買う?」
沙織「それでもいい……かな」
天乃「1人一つの箱より、私と一緒の箱が良いんでしょう?」
沙織「うん」
天乃「一応、みんなに相談してからね」
363: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/24(日) 21:33:22.02:hfx9p5Ofo (8/12)
沙織がその方が良いと言っても
みんながそれぞれ分けたいと言えば、そうなる
みんなで一つの入れ物となってしまうとなると
自室には置いておけない
それを好まない子もいるかもしれないのだ
天乃「……まぁ」
一人二人いるかどうかだけど。と、
天乃は心のうちに止める
天乃「沙織、ごめんね。指輪をそっちに置いておいてくれる?」
沙織「はーい」
沙織は指輪のおさまった小さな箱を受け取ると、
ベッドのすぐ横にある棚の上に置く
天乃「もう寝ましょう」
沙織「そう、だね」
横になって、一息
二人そろっても、手を広げなければ仰向けでいられる広さがある
明かりが制限された病室の中
さっきまでの声の余韻も無くなって、双子のすやすやとした寝息だけが聞こえる
沙織がその方が良いと言っても
みんながそれぞれ分けたいと言えば、そうなる
みんなで一つの入れ物となってしまうとなると
自室には置いておけない
それを好まない子もいるかもしれないのだ
天乃「……まぁ」
一人二人いるかどうかだけど。と、
天乃は心のうちに止める
天乃「沙織、ごめんね。指輪をそっちに置いておいてくれる?」
沙織「はーい」
沙織は指輪のおさまった小さな箱を受け取ると、
ベッドのすぐ横にある棚の上に置く
天乃「もう寝ましょう」
沙織「そう、だね」
横になって、一息
二人そろっても、手を広げなければ仰向けでいられる広さがある
明かりが制限された病室の中
さっきまでの声の余韻も無くなって、双子のすやすやとした寝息だけが聞こえる
364: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/24(日) 21:54:04.09:hfx9p5Ofo (9/12)
沙織「ねぇ、久遠さん」
天乃「……なぁに?」
沙織「えっと……その……結婚、するでしょ?」
天乃「ええ、して欲しいわ」
掛布団の中、沙織の手を握る
婚約をしてくれたのは沙織だ
そして、受けたのは天乃だ
だから、して欲しいと言って沙織の方に顔を向ける
天乃「それで?」
沙織「だから、その……名前で呼んでもいい、かな」
沙織からの掛け声はいつも久遠さんだった
出会ってから、ずっと
だから天乃にも思い入れがある
1、良いわよ
2、寂しくなるわね、少し
3、全然いいわよ。大丈夫
4、沙織が大変そうね
↓2
沙織「ねぇ、久遠さん」
天乃「……なぁに?」
沙織「えっと……その……結婚、するでしょ?」
天乃「ええ、して欲しいわ」
掛布団の中、沙織の手を握る
婚約をしてくれたのは沙織だ
そして、受けたのは天乃だ
だから、して欲しいと言って沙織の方に顔を向ける
天乃「それで?」
沙織「だから、その……名前で呼んでもいい、かな」
沙織からの掛け声はいつも久遠さんだった
出会ってから、ずっと
だから天乃にも思い入れがある
1、良いわよ
2、寂しくなるわね、少し
3、全然いいわよ。大丈夫
4、沙織が大変そうね
↓2
365:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/24(日) 21:55:32.82:HxP5oLyGO (2/2)
1
1
366:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/24(日) 22:01:03.94:LWc9YGUA0 (1/1)
4
4
367: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/24(日) 22:52:34.17:hfx9p5Ofo (10/12)
天乃「それは沙織が大変そうね」
沙織「そうだね」
今までずっと久遠さんだった
精霊である猿猴を宿しても
久遠さんと呼ぶのは変えられなかった
天乃と呼ぶよりもずっと良く馴染んでしまっている
天乃ちゃんとも、天乃さんとも
呼びにくいというのが正直なところだ
けれど、だからこそ少しずつ変えていきたいと思う
沙織「でも、ちょっとずつ呼んでいけばまた、馴染むかなって」
天乃「そうね、きっとなれるわ」
沙織「でも馴染まなかったら、ママって呼んじゃおうかな」
天乃「ママねぇ……」
沙織「ほら奥さんの事をママとか、ママさんって呼ぶ可能性もあるでしょ?」
天乃「そんなこと言ってた気はするけど」
実際に呼ぶのかと、天乃は困ったように息をつく
天乃「それは沙織が大変そうね」
沙織「そうだね」
今までずっと久遠さんだった
精霊である猿猴を宿しても
久遠さんと呼ぶのは変えられなかった
天乃と呼ぶよりもずっと良く馴染んでしまっている
天乃ちゃんとも、天乃さんとも
呼びにくいというのが正直なところだ
けれど、だからこそ少しずつ変えていきたいと思う
沙織「でも、ちょっとずつ呼んでいけばまた、馴染むかなって」
天乃「そうね、きっとなれるわ」
沙織「でも馴染まなかったら、ママって呼んじゃおうかな」
天乃「ママねぇ……」
沙織「ほら奥さんの事をママとか、ママさんって呼ぶ可能性もあるでしょ?」
天乃「そんなこと言ってた気はするけど」
実際に呼ぶのかと、天乃は困ったように息をつく
368: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/24(日) 23:31:01.98:hfx9p5Ofo (11/12)
天乃「ちょっと呼んでみたら?」
沙織「えっと、ママ……?」
天乃「そっちじゃなくて」
沙織「あ、天乃……さんっ」
いつも積極的で明るい声が、
こればかりは怖気づいて聞こえる
気恥ずかし気で、弱弱しい
伺うような瞳、ほんのり赤らんだ頬
沙織は目を潤ませると、きゅっと瞑る
沙織「天乃、天乃さん、天乃ちゃん……あまのんっ!」
天乃「誤魔化さないの」
勢いで誤魔化して
別のクラスメイトの呼び方を真似て
沙織はふっと息を吐く
沙織「……天乃さん」
天乃「なぁに?」
沙織「っ……やっぱりまだ無理っ」
天乃「ちょっと呼んでみたら?」
沙織「えっと、ママ……?」
天乃「そっちじゃなくて」
沙織「あ、天乃……さんっ」
いつも積極的で明るい声が、
こればかりは怖気づいて聞こえる
気恥ずかし気で、弱弱しい
伺うような瞳、ほんのり赤らんだ頬
沙織は目を潤ませると、きゅっと瞑る
沙織「天乃、天乃さん、天乃ちゃん……あまのんっ!」
天乃「誤魔化さないの」
勢いで誤魔化して
別のクラスメイトの呼び方を真似て
沙織はふっと息を吐く
沙織「……天乃さん」
天乃「なぁに?」
沙織「っ……やっぱりまだ無理っ」
369: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/24(日) 23:47:14.84:hfx9p5Ofo (12/12)
天乃「あっ」
沙織「……ごめん、もう少し待って」
布団の中で握っていた手も引きはがされて、
沙織は縮こまるようにして天乃に背を向ける
呼び捨てにするのはきっと無理だ
猿猴の力を借りても、
きっとそこまで辿り着くことは出来ない
けれど、名前くらいは。と、思う
沙織「ねぇ……天乃、さん」
天乃「ふふっ、なぁに?」
沙織「久遠さんは、呼び方変えないの?」
天乃「私は沙織って呼んでるから」
そこから変えるとなれば、
沙織さんか、沙織ちゃんか……パパさんだろうか
天乃「じゃぁ、伊集院さん?」
沙織「泣くよ?」
天乃「冗談よ……変える必要ないわ。沙織は沙織だもの」
少なくとも、パパさん。は、なしだ
天乃「あっ」
沙織「……ごめん、もう少し待って」
布団の中で握っていた手も引きはがされて、
沙織は縮こまるようにして天乃に背を向ける
呼び捨てにするのはきっと無理だ
猿猴の力を借りても、
きっとそこまで辿り着くことは出来ない
けれど、名前くらいは。と、思う
沙織「ねぇ……天乃、さん」
天乃「ふふっ、なぁに?」
沙織「久遠さんは、呼び方変えないの?」
天乃「私は沙織って呼んでるから」
そこから変えるとなれば、
沙織さんか、沙織ちゃんか……パパさんだろうか
天乃「じゃぁ、伊集院さん?」
沙織「泣くよ?」
天乃「冗談よ……変える必要ないわ。沙織は沙織だもの」
少なくとも、パパさん。は、なしだ
370: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/25(月) 00:12:39.98:KGpXu2h4o (1/7)
沙織「そうだよねぇ……」
天乃「沙織は変えて欲しいの?」
沙織「同じ気分を味わってもらえるかと思って」
天乃「私は無理よ」
天乃はもともと、初対面から呼び捨てするような性格ではない
沙織と初めて出会ったときは伊集院さんと呼んだし、
沙織と呼んだのも仲良くなってからだ
沙織がその方が良いというのなら、
さん付けでもちゃん付けでも構わない
天乃「伊集院さんは駄目なんでしょう?」
沙織「エイプリルフールだろうと絶対に許さない」
ふりではあるのだろうけれど、
ぐすっと鼻をすするような音が聞こえた
1、沙織は沙織のままでいさせて
2、沙織さん?
3、沙織ちゃん?
4、どう呼んで欲しいの?
↓2
沙織「そうだよねぇ……」
天乃「沙織は変えて欲しいの?」
沙織「同じ気分を味わってもらえるかと思って」
天乃「私は無理よ」
天乃はもともと、初対面から呼び捨てするような性格ではない
沙織と初めて出会ったときは伊集院さんと呼んだし、
沙織と呼んだのも仲良くなってからだ
沙織がその方が良いというのなら、
さん付けでもちゃん付けでも構わない
天乃「伊集院さんは駄目なんでしょう?」
沙織「エイプリルフールだろうと絶対に許さない」
ふりではあるのだろうけれど、
ぐすっと鼻をすするような音が聞こえた
1、沙織は沙織のままでいさせて
2、沙織さん?
3、沙織ちゃん?
4、どう呼んで欲しいの?
↓2
371:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/25(月) 00:14:16.77:WdhtUL+LO (1/1)
1
1
372:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/25(月) 00:15:14.88:/2Ntw0NlO (1/2)
1
1
373: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/25(月) 00:18:57.17:KGpXu2h4o (2/7)
少し遅くなりましたが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
少し遅くなりましたが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
374:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/25(月) 00:23:10.91:/2Ntw0NlO (2/2)
乙
久々にメイン回がまわってきたせいか乙女モード全開のさおりん可愛い
乙
久々にメイン回がまわってきたせいか乙女モード全開のさおりん可愛い
375:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/25(月) 02:15:23.50:o7KXU+j6O (1/1)
乙
本当にかわいいな
乙
本当にかわいいな
376: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/25(月) 20:42:23.18:KGpXu2h4o (3/7)
では少しだけ
では少しだけ
377:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/25(月) 20:44:08.33:lh3JFO0AO (1/2)
あいあいさ
あいあいさ
378: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/25(月) 21:24:59.29:KGpXu2h4o (4/7)
天乃「沙織は沙織のままでいさせて」
沙織「それが一番いいよね」
天乃「……ええ」
もう一度、布団の中の沙織の手に触れる
今度は一方的にではなく
沙織からも、緩やかに握り返される
いつかは、沙織と呼ばずに沙織さんと呼ぶことになるかもしれないけれど
今しばらくは、沙織のままが良い
それが一番年相応に、身近な感じがする
天乃「沙織」
沙織「なに? 久遠さん」
天乃「やっぱり、こうよね」
沙織「んー?」
天乃「私が沙織で、沙織が久遠さん」
どちらかが呼べば、そのように呼ぶ
呼び捨てと、敬称の距離感
どちらも、まったく変わらない
天乃「沙織は沙織のままでいさせて」
沙織「それが一番いいよね」
天乃「……ええ」
もう一度、布団の中の沙織の手に触れる
今度は一方的にではなく
沙織からも、緩やかに握り返される
いつかは、沙織と呼ばずに沙織さんと呼ぶことになるかもしれないけれど
今しばらくは、沙織のままが良い
それが一番年相応に、身近な感じがする
天乃「沙織」
沙織「なに? 久遠さん」
天乃「やっぱり、こうよね」
沙織「んー?」
天乃「私が沙織で、沙織が久遠さん」
どちらかが呼べば、そのように呼ぶ
呼び捨てと、敬称の距離感
どちらも、まったく変わらない
379: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/25(月) 22:16:32.39:KGpXu2h4o (5/7)
天乃「……このままで、いいのかもね」
沙織「そう、だねぇ……」
天乃「……」
思えば友奈も、久遠先輩と呼ぶことに思い入れがあるようだった
結婚するのなら、姓を変えることになる
ただ、どうしてもというのならば
別姓のままでいることも可能かもしれない
沙織も、友奈も
いつかは久遠を名乗るからと、覚悟を決めてくれているから
このまま久遠になって貰うのでも十分かもしれない
天乃「でも、やっぱり久遠沙織が良い?」
沙織「そうだねぇ」
さっきと同じ言葉
けれど、声がはっきりとしている
嬉しさを噛みしめている表情が見えた
沙織「その方が、繋がりが深く感じられるかな」
天乃「……このままで、いいのかもね」
沙織「そう、だねぇ……」
天乃「……」
思えば友奈も、久遠先輩と呼ぶことに思い入れがあるようだった
結婚するのなら、姓を変えることになる
ただ、どうしてもというのならば
別姓のままでいることも可能かもしれない
沙織も、友奈も
いつかは久遠を名乗るからと、覚悟を決めてくれているから
このまま久遠になって貰うのでも十分かもしれない
天乃「でも、やっぱり久遠沙織が良い?」
沙織「そうだねぇ」
さっきと同じ言葉
けれど、声がはっきりとしている
嬉しさを噛みしめている表情が見えた
沙織「その方が、繋がりが深く感じられるかな」
380: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/25(月) 22:52:13.84:KGpXu2h4o (6/7)
伊集院という姓が嫌いなわけではない
けれど、ずっと想ってきた久遠と言う姓を名乗ることの方が、上回る
指輪の感触もそうだけれど、
自分が久遠の一人になった実感が、わくからだ
沙織「久遠沙織って……凄く、深く感じる」
天乃「……そうね」
ただ姓が変わるだけ
たったそれだけのことが、とても特別
結ばれるはずがないと思っていたからこそ
その深みはより強く感じられるのだろう
沙織「だから、結城さんも久遠先輩を変えようとしてる」
天乃「知ってたのね」
沙織「知ってるよ……みんな、ちょっとだけ練習してるしね」
天乃「練習?」
沙織「書いたり、自称したり」
久遠の漢字を書き、その名で自分を呼ぶ
相手に向けて、自分に向けて
ちょっと慣れないなぁ……と、笑ったりしていた
伊集院という姓が嫌いなわけではない
けれど、ずっと想ってきた久遠と言う姓を名乗ることの方が、上回る
指輪の感触もそうだけれど、
自分が久遠の一人になった実感が、わくからだ
沙織「久遠沙織って……凄く、深く感じる」
天乃「……そうね」
ただ姓が変わるだけ
たったそれだけのことが、とても特別
結ばれるはずがないと思っていたからこそ
その深みはより強く感じられるのだろう
沙織「だから、結城さんも久遠先輩を変えようとしてる」
天乃「知ってたのね」
沙織「知ってるよ……みんな、ちょっとだけ練習してるしね」
天乃「練習?」
沙織「書いたり、自称したり」
久遠の漢字を書き、その名で自分を呼ぶ
相手に向けて、自分に向けて
ちょっと慣れないなぁ……と、笑ったりしていた
381: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/25(月) 22:53:00.94:KGpXu2h4o (7/7)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
382:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/25(月) 23:01:27.12:lh3JFO0AO (2/2)
乙
姓や呼び方にもこだわりを感じるな
乙
姓や呼び方にもこだわりを感じるな
383:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/26(火) 03:42:18.64:QRdbuTv+O (1/1)
乙
大家族だから一気に久遠姓が増えるね!
乙
大家族だから一気に久遠姓が増えるね!
384: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/26(火) 23:06:21.14:gVnWbaEto (1/1)
すみませんが、本日はお休みとさせていただきます。
明日は可能であれば少し早い時間から
すみませんが、本日はお休みとさせていただきます。
明日は可能であれば少し早い時間から
385:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/26(火) 23:19:56.29:BzL8HrmdO (1/1)
乙ですー
乙ですー
386: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/27(水) 20:13:00.94:NQYY0M76o (1/8)
では少しだけ
では少しだけ
387:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/27(水) 20:15:17.45:wNIKnbgfO (1/4)
よっしゃ
よっしゃ
388: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/27(水) 20:32:33.45:NQYY0M76o (2/8)
みんなは、久遠の姓へと変わることに特別な感情を抱いている
そこには恋慕ゆえの喜びがあれば、敬慕ゆえの畏れ多さもある
だからちょっと照れくさいとか、呼び慣れていないとか
色々言ったりはするけれど、
結局のところ、そんな悩ましささえも愛おしいのだ
沙織「だからやっぱり、そのままって言うのは無しかなーって思うよ」
例に則って、
天乃がそのままが良いというのであれば、
みんなはそれを受け入れてくれるだろうけれど
みんなが何らかの理由で別姓を望むというのは考えられない
沙織「でも思えばさ、あたしたちみんなが久遠さんになるわけだよね?」
天乃「そうね」
沙織「そうなると、郡さん達も呼び方変えないといけなくなるよね」
天乃「そこは任せて良いんじゃない?」
みんなは、久遠の姓へと変わることに特別な感情を抱いている
そこには恋慕ゆえの喜びがあれば、敬慕ゆえの畏れ多さもある
だからちょっと照れくさいとか、呼び慣れていないとか
色々言ったりはするけれど、
結局のところ、そんな悩ましささえも愛おしいのだ
沙織「だからやっぱり、そのままって言うのは無しかなーって思うよ」
例に則って、
天乃がそのままが良いというのであれば、
みんなはそれを受け入れてくれるだろうけれど
みんなが何らかの理由で別姓を望むというのは考えられない
沙織「でも思えばさ、あたしたちみんなが久遠さんになるわけだよね?」
天乃「そうね」
沙織「そうなると、郡さん達も呼び方変えないといけなくなるよね」
天乃「そこは任せて良いんじゃない?」
389: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/27(水) 20:55:36.58:NQYY0M76o (3/8)
天乃「あだ名として扱うのなら、沙織を伊集院さんって呼んでもいいわけだし」
沙織「えー……反応してあげない」
天乃「私じゃないわよ?」
沙織「それでも、なんか……う~ん……」
我儘かな。と、
沙織は考え込みながら呟いて、息を吐く
悩みを吐き捨てたのか、確かに。と、答えた
沙織「呼ぶのを強制するのは、おめでたくないよね」
天乃「最初からいきなりこう呼べって言うのも違うわよね……少しずつ変えていって貰えばいいのよ」
それは千景たちに関わらず
名前を変えることになるみんなも同じことだ
だから、まだ名前の変わらない今の内から練習をしているわけで。
それに、そのいい例……と言っていいのかは分からないが
東郷のことをわっしーと呼び続ける園子のようなものだ
大事な場面では正して貰って、そうでなければ今まで通りでもいいのかもしれない
もちろん、みんながそれでいいのならと言う前提だけれど
沙織は少し嫌がっていたものの、考えてみれば。と切り替えた
少なくとも、大反対されるようなことではないかもしれない
天乃「あだ名として扱うのなら、沙織を伊集院さんって呼んでもいいわけだし」
沙織「えー……反応してあげない」
天乃「私じゃないわよ?」
沙織「それでも、なんか……う~ん……」
我儘かな。と、
沙織は考え込みながら呟いて、息を吐く
悩みを吐き捨てたのか、確かに。と、答えた
沙織「呼ぶのを強制するのは、おめでたくないよね」
天乃「最初からいきなりこう呼べって言うのも違うわよね……少しずつ変えていって貰えばいいのよ」
それは千景たちに関わらず
名前を変えることになるみんなも同じことだ
だから、まだ名前の変わらない今の内から練習をしているわけで。
それに、そのいい例……と言っていいのかは分からないが
東郷のことをわっしーと呼び続ける園子のようなものだ
大事な場面では正して貰って、そうでなければ今まで通りでもいいのかもしれない
もちろん、みんながそれでいいのならと言う前提だけれど
沙織は少し嫌がっていたものの、考えてみれば。と切り替えた
少なくとも、大反対されるようなことではないかもしれない
390: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/27(水) 21:19:12.18:NQYY0M76o (4/8)
沙織「時間はまだまだたくさんあるから……ゆっくり考えればいいや」
天乃「結婚だって今年、来年。そんな近くにするわけじゃないものね」
沙織「あたしは近くていいけど」
天乃「ダメよ」
沙織は半分精霊だが、学校がある
天乃達と同じ三年生で受験もあるし、もしも合格できたのなら高校生だ
沙織曰く、別に学校なんてもういいよ。とのことだが、
伊集院家のことを考えれば、中卒で働く。と言うのは許されがたいことだろう
大赦の巫女として頑張ったことを加味すれば……と思わなくもないが
天乃のような理由があるのならばともかく、それも無しには難しいのだ
天乃「勉強、してなかったでしょ」
沙織「今から頑張っても、あたしにはどうしようもないからね」
天乃「もう……私達の関係が悪いって言われたらどうするつもりなのよ」
沙織「大赦のことを持ち出す」
即答すると、沙織は事実だもん。と
拗ねたように言って、天乃の方に寝返りを打つ
天乃が横を向けば、目がはっきりと合う
沙織「でもできる限りは頑張るよ。犬吠埼さんと一緒にね」
天乃「ええ、無理はしないようにね」
沙織「……無理しないと勉強のべの字も触れないかなぁ」
沙織「時間はまだまだたくさんあるから……ゆっくり考えればいいや」
天乃「結婚だって今年、来年。そんな近くにするわけじゃないものね」
沙織「あたしは近くていいけど」
天乃「ダメよ」
沙織は半分精霊だが、学校がある
天乃達と同じ三年生で受験もあるし、もしも合格できたのなら高校生だ
沙織曰く、別に学校なんてもういいよ。とのことだが、
伊集院家のことを考えれば、中卒で働く。と言うのは許されがたいことだろう
大赦の巫女として頑張ったことを加味すれば……と思わなくもないが
天乃のような理由があるのならばともかく、それも無しには難しいのだ
天乃「勉強、してなかったでしょ」
沙織「今から頑張っても、あたしにはどうしようもないからね」
天乃「もう……私達の関係が悪いって言われたらどうするつもりなのよ」
沙織「大赦のことを持ち出す」
即答すると、沙織は事実だもん。と
拗ねたように言って、天乃の方に寝返りを打つ
天乃が横を向けば、目がはっきりと合う
沙織「でもできる限りは頑張るよ。犬吠埼さんと一緒にね」
天乃「ええ、無理はしないようにね」
沙織「……無理しないと勉強のべの字も触れないかなぁ」
391: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/27(水) 21:54:45.53:NQYY0M76o (5/8)
単なる冗談
それを口にして、沙織はふにゃりと笑う
握り合う手と手を布団の中から引っ張り出して
天乃の小さな手を、両手で覆う
沙織「久遠さんが何でもしてくれるなら、頑張れるかも」
天乃「それでだめだったら、一年間私と離れ離れになるけど良い?」
沙織「ダメに決まってるよね?」
あえて疑問形をぶつけて
天乃の困った顔を一瞥すると「冗談だよ」と零し、目を瞑る
天乃が何かをしてくれなくても、大丈夫だ
同じ家に住み
会いたい時に会うことが出来て、触れられる
その生活の維持のためならば頑張り切れる
そこに結果が伴うかは分からないけれど
やれるだけやる。それだけだ
沙織「全部これから……これからだよ。久遠さん」
天乃「ええ」
沙織「全部……」
少しずつ、声が小さくなっていく
目を瞑ったのが思っていた以上に眠気を誘ったのだろう
一足先にまどろみへと落ちていく沙織の手を優しく握る
天乃「おやすみなさい、沙織」
囁いて目を閉じ、天乃も後を追う
星乃と月乃の寝息に交じって、沙織の呼吸を感じる
それはとても、心地の良い静けさだった
単なる冗談
それを口にして、沙織はふにゃりと笑う
握り合う手と手を布団の中から引っ張り出して
天乃の小さな手を、両手で覆う
沙織「久遠さんが何でもしてくれるなら、頑張れるかも」
天乃「それでだめだったら、一年間私と離れ離れになるけど良い?」
沙織「ダメに決まってるよね?」
あえて疑問形をぶつけて
天乃の困った顔を一瞥すると「冗談だよ」と零し、目を瞑る
天乃が何かをしてくれなくても、大丈夫だ
同じ家に住み
会いたい時に会うことが出来て、触れられる
その生活の維持のためならば頑張り切れる
そこに結果が伴うかは分からないけれど
やれるだけやる。それだけだ
沙織「全部これから……これからだよ。久遠さん」
天乃「ええ」
沙織「全部……」
少しずつ、声が小さくなっていく
目を瞑ったのが思っていた以上に眠気を誘ったのだろう
一足先にまどろみへと落ちていく沙織の手を優しく握る
天乃「おやすみなさい、沙織」
囁いて目を閉じ、天乃も後を追う
星乃と月乃の寝息に交じって、沙織の呼吸を感じる
それはとても、心地の良い静けさだった
392: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/27(水) 22:03:25.24:NQYY0M76o (6/8)
1日のまとめ
・ 乃木園子:交流有(昨夜、お姉様、子供、父母)
・ 犬吠埼風:交流有(子供、父母)
・ 犬吠埼樹:交流有(子供、父母)
・ 結城友奈:交流有(嫉妬、唇の感触)
・ 東郷美森:交流有(子供、父母)
・ 三好夏凜:交流有(子供、父母、別の卒業、謝らないで)
・ 乃木若葉:交流無()
・ 土居球子:交流無()
・ 白鳥歌野:交流無()
・ 藤森水都:交流無()
・ 郡千景:交流有(性的な事、残留)
・ 伊集院沙織:交流有(子供、父母、一緒、名前、指輪)
・ 九尾:交流無()
2月20日目 終了時点
乃木園子との絆 120(かなり高い)
犬吠埼風との絆 144(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 128(かなり高い)
結城友奈との絆 158(かなり高い)
東郷美森との絆 157(かなり高い)
三好夏凜との絆 170(最高値)
乃木若葉との絆 118(かなり高い)
土居球子との絆 65(中々良い)
白鳥歌野との絆 63(中々良い)
藤森水都との絆 56(中々良い)
郡千景との絆 70(中々良い)
沙織との絆 161(かなり高い)
九尾との絆 85(高い)
1日のまとめ
・ 乃木園子:交流有(昨夜、お姉様、子供、父母)
・ 犬吠埼風:交流有(子供、父母)
・ 犬吠埼樹:交流有(子供、父母)
・ 結城友奈:交流有(嫉妬、唇の感触)
・ 東郷美森:交流有(子供、父母)
・ 三好夏凜:交流有(子供、父母、別の卒業、謝らないで)
・ 乃木若葉:交流無()
・ 土居球子:交流無()
・ 白鳥歌野:交流無()
・ 藤森水都:交流無()
・ 郡千景:交流有(性的な事、残留)
・ 伊集院沙織:交流有(子供、父母、一緒、名前、指輪)
・ 九尾:交流無()
2月20日目 終了時点
乃木園子との絆 120(かなり高い)
犬吠埼風との絆 144(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 128(かなり高い)
結城友奈との絆 158(かなり高い)
東郷美森との絆 157(かなり高い)
三好夏凜との絆 170(最高値)
乃木若葉との絆 118(かなり高い)
土居球子との絆 65(中々良い)
白鳥歌野との絆 63(中々良い)
藤森水都との絆 56(中々良い)
郡千景との絆 70(中々良い)
沙織との絆 161(かなり高い)
九尾との絆 85(高い)
393: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/27(水) 22:19:35.50:NQYY0M76o (7/8)
受験結果判定
奇数:合格
偶数:不合格
ぞろ目:合格
↓1 コンマ判定 風
↓2 コンマ判定 沙織
受験結果判定
奇数:合格
偶数:不合格
ぞろ目:合格
↓1 コンマ判定 風
↓2 コンマ判定 沙織
394:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/27(水) 22:23:54.48:wNIKnbgfO (2/4)
あ
あ
395:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/27(水) 22:25:08.72:L95SD01D0 (1/1)
ほい
ほい
396:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/27(水) 22:27:21.17:wNIKnbgfO (3/4)
二人揃ってやってもうた…
二人揃ってやってもうた…
397: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/27(水) 22:32:44.27:NQYY0M76o (8/8)
では本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
予定としては、以降エピローグとなります。
ルートはまさかの二人揃って不合格なので
天乃が進学の場合、樹以外の学年が揃う形になります。
では本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
予定としては、以降エピローグとなります。
ルートはまさかの二人揃って不合格なので
天乃が進学の場合、樹以外の学年が揃う形になります。
398:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/27(水) 22:41:23.12:wNIKnbgfO (4/4)
乙
まぁ次は久遠さんもいるしモチベーションは断然上がるだろうな
それにしてもとうとうエピローグ来ちゃったかー
最後に夏凜ちゃんとのイベントあるかなと思ったけどそうでもなくて意外
乙
まぁ次は久遠さんもいるしモチベーションは断然上がるだろうな
それにしてもとうとうエピローグ来ちゃったかー
最後に夏凜ちゃんとのイベントあるかなと思ったけどそうでもなくて意外
399:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/27(水) 22:48:02.32:sgDODvlpO (1/1)
乙
もう一年で樹とも同じだな
最後に夏凜じゃないのは一応全員ルートだし沙織選んだからかな
でもエピローグは夏凜とがメインになりそう
乙
もう一年で樹とも同じだな
最後に夏凜じゃないのは一応全員ルートだし沙織選んだからかな
でもエピローグは夏凜とがメインになりそう
400:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/28(木) 01:12:19.55:QVYPy0odO (1/1)
乙
ま、まあちょうど学年そろってよかったんじゃない?
乙
ま、まあちょうど学年そろってよかったんじゃない?
401:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/28(木) 12:35:09.78:S+yVm3GKO (1/1)
夏凜は久遠さんとは別の意味の卒業をしなくちゃだね
夏凜は久遠さんとは別の意味の卒業をしなくちゃだね
402: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/28(木) 21:41:23.23:s04AFfG0o (1/6)
では少しだけ
では少しだけ
403:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/28(木) 22:00:09.83:4NvOjz32O (1/2)
きてたー
きてたー
404: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/28(木) 22:22:39.24:s04AFfG0o (2/6)
√ 3月14日目 朝 (自宅)
天乃「……ん」
天乃は自室のベッドの上で体を伸ばすと、
強く握り拳を作って、自分の血からを確かめる。
退院してから、約三週間
リハビリを続けてきた天乃は、松葉杖を使わずに歩くことも出来るようになり、
全盛期ほどではないけれど、普通の女の子よりもちょっぴり上な程度には筋力も戻ってきている
これなら、耐えきることも出来るだろう
天乃「………」
いよいよだ。と、天乃は壁に掛けてある讃州中学の制服へと目を向ける
今日は、天乃達三年生の卒業式だ
昨年の中ごろから欠席の多かった天乃だが、
義務教育と言うのもあって、卒業が許されている
一応、卒業試験的なものとして期末テストを受けさせて貰ったが、
平均より下回るようなことはなかったので、天乃自身は卒業することに不満はない
√ 3月14日目 朝 (自宅)
天乃「……ん」
天乃は自室のベッドの上で体を伸ばすと、
強く握り拳を作って、自分の血からを確かめる。
退院してから、約三週間
リハビリを続けてきた天乃は、松葉杖を使わずに歩くことも出来るようになり、
全盛期ほどではないけれど、普通の女の子よりもちょっぴり上な程度には筋力も戻ってきている
これなら、耐えきることも出来るだろう
天乃「………」
いよいよだ。と、天乃は壁に掛けてある讃州中学の制服へと目を向ける
今日は、天乃達三年生の卒業式だ
昨年の中ごろから欠席の多かった天乃だが、
義務教育と言うのもあって、卒業が許されている
一応、卒業試験的なものとして期末テストを受けさせて貰ったが、
平均より下回るようなことはなかったので、天乃自身は卒業することに不満はない
405: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/28(木) 23:06:41.77:s04AFfG0o (3/6)
天乃「今日は千景お姉ちゃんが見ててくれるからね~」
星乃「あ~ぅ~」
天乃「ふふっ」
手足をばたつかせる愛らしい我が子の要求に応えて
天乃は星乃の小さな手に、指先を当ててあげる
星乃と月乃は、よくよく面倒を見ててくれる千景のことが大好きなようで
夜泣きしたりはしないけれど、
千景に抱っこされている時が特に嬉しそうなのだ
天乃「大丈夫そうね……」
母親である以上
自分よりも好かれているとは考えたくないものだが、
千景に関しては、そう認めざるを得ないかもしれない。とでさえ、思う
母親ではないが、母親のような優しい笑み
笑顔に対する嬉しそうな表情
星乃と月乃に関わらず、子供に好かれそうなのだ
天乃「今日は千景お姉ちゃんが見ててくれるからね~」
星乃「あ~ぅ~」
天乃「ふふっ」
手足をばたつかせる愛らしい我が子の要求に応えて
天乃は星乃の小さな手に、指先を当ててあげる
星乃と月乃は、よくよく面倒を見ててくれる千景のことが大好きなようで
夜泣きしたりはしないけれど、
千景に抱っこされている時が特に嬉しそうなのだ
天乃「大丈夫そうね……」
母親である以上
自分よりも好かれているとは考えたくないものだが、
千景に関しては、そう認めざるを得ないかもしれない。とでさえ、思う
母親ではないが、母親のような優しい笑み
笑顔に対する嬉しそうな表情
星乃と月乃に関わらず、子供に好かれそうなのだ
406: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/28(木) 23:31:26.75:s04AFfG0o (4/6)
天乃「ま~ま」
月乃「ぁ~ぁ~」
天乃「ん~……ぅん? どうぞ」
子供達の相手をしてあげていると、
扉が叩かれて……風と沙織が部屋に入ってきた
沙織「準備手伝おうか?」
天乃「大丈夫よ」
沙織「えぇ~……じゃぁ、手伝わせて?」
天乃「大丈夫」
風「………」
沙織は緊張も感じられないいつもの雰囲気で天乃に近づく
その一方で風は浮かない表情のまま、入り口で立ち止まっていた
二人も三年生で今日卒業だが
風が気まずいのは卒業だからではない
天乃よりは学校に通えていたものの、
勉強に集中できたのはすべてが終わってからの一月にも満たない期間
一般入試と言うこともあって、結果発表はまださきの話だが
試験の自己採点をした結果、かなり厳しいのが分かってしまっているからだ
天乃「ま~ま」
月乃「ぁ~ぁ~」
天乃「ん~……ぅん? どうぞ」
子供達の相手をしてあげていると、
扉が叩かれて……風と沙織が部屋に入ってきた
沙織「準備手伝おうか?」
天乃「大丈夫よ」
沙織「えぇ~……じゃぁ、手伝わせて?」
天乃「大丈夫」
風「………」
沙織は緊張も感じられないいつもの雰囲気で天乃に近づく
その一方で風は浮かない表情のまま、入り口で立ち止まっていた
二人も三年生で今日卒業だが
風が気まずいのは卒業だからではない
天乃よりは学校に通えていたものの、
勉強に集中できたのはすべてが終わってからの一月にも満たない期間
一般入試と言うこともあって、結果発表はまださきの話だが
試験の自己採点をした結果、かなり厳しいのが分かってしまっているからだ
407: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/28(木) 23:41:34.15:s04AFfG0o (5/6)
天乃「……大丈夫?」
風「大丈夫……とは、言えないかも」
天乃「そうよね……」
天乃はそもそも、一年間子育てに集中する前提だったため、
受験自体していないが、沙織と風はしっかりと受験した
風達が受験したことはみんな知っているため、
卒業式で出会うみんなは風達の結果を祈ってくれることだろう
あるいは、同じ高校になるかもしれない子は、楽しそうに嬉しそうに声をかけてくれるはずだ
それに対し、自信満々に合格してるとは言えないし
卒業式と言う大切な日に落ちました。などと言えるわけもなく……
風「あーもうっ! なんであんたはそんな平気なのよ」
沙織「だって、留年したら久遠さんと平日も一緒に居られるわけで……悩むまでもないというか」
風「そのブレのない所は憧れて良いものか……」
沙織「あたしは声かけられたら、落ちたけど久遠さんと一緒に居られる時間が増えるから別に良いって開き直るよ?」
風「はぁ……」
天乃「沙織は特殊な例よ。参考にならないわ」
そうだね。と、間の抜けた声で笑顔を見せる沙織
風はため息をついて、天乃を見る
風「同級生が先輩になって、友奈達と同級生になるのか……」
天乃「次もダメなら樹と同級生ね」
風「次は受かるわよ! 次はッ!」
天乃「……大丈夫?」
風「大丈夫……とは、言えないかも」
天乃「そうよね……」
天乃はそもそも、一年間子育てに集中する前提だったため、
受験自体していないが、沙織と風はしっかりと受験した
風達が受験したことはみんな知っているため、
卒業式で出会うみんなは風達の結果を祈ってくれることだろう
あるいは、同じ高校になるかもしれない子は、楽しそうに嬉しそうに声をかけてくれるはずだ
それに対し、自信満々に合格してるとは言えないし
卒業式と言う大切な日に落ちました。などと言えるわけもなく……
風「あーもうっ! なんであんたはそんな平気なのよ」
沙織「だって、留年したら久遠さんと平日も一緒に居られるわけで……悩むまでもないというか」
風「そのブレのない所は憧れて良いものか……」
沙織「あたしは声かけられたら、落ちたけど久遠さんと一緒に居られる時間が増えるから別に良いって開き直るよ?」
風「はぁ……」
天乃「沙織は特殊な例よ。参考にならないわ」
そうだね。と、間の抜けた声で笑顔を見せる沙織
風はため息をついて、天乃を見る
風「同級生が先輩になって、友奈達と同級生になるのか……」
天乃「次もダメなら樹と同級生ね」
風「次は受かるわよ! 次はッ!」
408: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/28(木) 23:43:43.05:s04AFfG0o (6/6)
では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
409:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/28(木) 23:53:14.24:4NvOjz32O (2/2)
乙
この一年間はさおりん歓喜の一緒に子育てコースだな
乙
この一年間はさおりん歓喜の一緒に子育てコースだな
410:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/29(金) 06:02:46.26:yV2kE3peO (1/1)
乙
乙
411: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/29(金) 21:45:49.89:iUhUDpUOo (1/3)
では少しだけ
では少しだけ
412:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/29(金) 22:12:43.13:ktbnvgaWO (1/1)
おっしゃ
おっしゃ
413: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/29(金) 22:28:29.34:iUhUDpUOo (2/3)
風の大きな声にびっくりしたのか、きゃっきゃとした明るい声が途絶える
めったなことでは、二人は泣かないし夜泣きすらしない
そんな二人の瞳が潤み始めたのを見て、沙織が星乃を抱き上げ
天乃が月乃を抱き上げる
沙織「お~よしよし~」
天乃「こわくないこわくないよ~」
出来るだけ柔らかく声をかける
軽く左右に体を揺らしながら、
叩くとは言えないほどの力で背中にリズムを伝えてあげる
天乃「いいこね~」
月乃「ぁぅ……ぅぅ~……」
天乃「ママがいるからね~」
母親に抱かれているからか
月乃は少しずつ落ち着きを取り戻していくのだが、
星乃「うぅ……ぁぅ……あぁぅ~っ!」
沙織「なんでーっ!?」
まだ不慣れなのだろう、沙織に抱かれている星乃は不満を爆発させて、泣き出してしまった
風の大きな声にびっくりしたのか、きゃっきゃとした明るい声が途絶える
めったなことでは、二人は泣かないし夜泣きすらしない
そんな二人の瞳が潤み始めたのを見て、沙織が星乃を抱き上げ
天乃が月乃を抱き上げる
沙織「お~よしよし~」
天乃「こわくないこわくないよ~」
出来るだけ柔らかく声をかける
軽く左右に体を揺らしながら、
叩くとは言えないほどの力で背中にリズムを伝えてあげる
天乃「いいこね~」
月乃「ぁぅ……ぅぅ~……」
天乃「ママがいるからね~」
母親に抱かれているからか
月乃は少しずつ落ち着きを取り戻していくのだが、
星乃「うぅ……ぁぅ……あぁぅ~っ!」
沙織「なんでーっ!?」
まだ不慣れなのだろう、沙織に抱かれている星乃は不満を爆発させて、泣き出してしまった
414: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/29(金) 23:34:07.08:iUhUDpUOo (3/3)
天乃「抱き方は、ちゃんとしてるんだけど……」
沙織の抱き方は天乃とほとんど一緒だ
胸の大きさの分差違はあるけれど、抱かれている感触に違いはあまりないはずなのだ
そもそも、星乃と月乃が好んで抱かれる千景は言葉は悪いが大きくはない
大から小まで網羅し、好んでいるにもかかわらずダメなのは、赤ちゃんの感覚のせいだろうか
風「あた――」
千景「私が抱くわ」
天乃「千景」
千景「……久遠さんは月乃をお願い」
初めからそこに居たかのように沙織の隣に忽然と姿を見せた千景は、
手を伸ばしてくる月乃の手のひらを指先でつついてあげると、
沙織から星乃を受け取り声をかけず、適度に体を揺らす
長い髪が揺れて、横紙の一部が星乃の頬をなぞる
ぐずっている星乃の背中を撫でて、宥めていく
千景「……ん」
ほんの少し、千景があやしてあげるだけで
星乃はすぐに泣き止んだ
天乃「抱き方は、ちゃんとしてるんだけど……」
沙織の抱き方は天乃とほとんど一緒だ
胸の大きさの分差違はあるけれど、抱かれている感触に違いはあまりないはずなのだ
そもそも、星乃と月乃が好んで抱かれる千景は言葉は悪いが大きくはない
大から小まで網羅し、好んでいるにもかかわらずダメなのは、赤ちゃんの感覚のせいだろうか
風「あた――」
千景「私が抱くわ」
天乃「千景」
千景「……久遠さんは月乃をお願い」
初めからそこに居たかのように沙織の隣に忽然と姿を見せた千景は、
手を伸ばしてくる月乃の手のひらを指先でつついてあげると、
沙織から星乃を受け取り声をかけず、適度に体を揺らす
長い髪が揺れて、横紙の一部が星乃の頬をなぞる
ぐずっている星乃の背中を撫でて、宥めていく
千景「……ん」
ほんの少し、千景があやしてあげるだけで
星乃はすぐに泣き止んだ
415: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/30(土) 00:10:04.61:cDEzO6Ypo (1/5)
千景「……この子はあまり声をかけない方が良いわ」
沙織「そう、なんだ」
千景「久遠さんはともかく、基本的に嫌がるのよ」
普段は全くそんなことはないのだが
ぐずっているときは声をかけられるのは不服なようで
余計に泣き出してしまうのだと千景は言う
逆に月乃は声をかけてあげるとだんだんと落ち着く
双子で、育ち方も同じ
けれど好みは分かれているようだ
天乃「九尾は、担ってる力の違いも関係あるんじゃないかって言ってたけど……」
風「あー……沙織は穢れ側だから嫌なの?」
沙織「だとしたら郡さんも嫌われるよね?」
千景「そのはずだけど」
千景の視線の先、星乃は千景を嫌う素振りは一切見せず
それどころか、
千景の髪を触ることにご執心のようだった
沙織「髪……伸ばそうかな」
天乃「十分長いでしょ」
千景「……この子はあまり声をかけない方が良いわ」
沙織「そう、なんだ」
千景「久遠さんはともかく、基本的に嫌がるのよ」
普段は全くそんなことはないのだが
ぐずっているときは声をかけられるのは不服なようで
余計に泣き出してしまうのだと千景は言う
逆に月乃は声をかけてあげるとだんだんと落ち着く
双子で、育ち方も同じ
けれど好みは分かれているようだ
天乃「九尾は、担ってる力の違いも関係あるんじゃないかって言ってたけど……」
風「あー……沙織は穢れ側だから嫌なの?」
沙織「だとしたら郡さんも嫌われるよね?」
千景「そのはずだけど」
千景の視線の先、星乃は千景を嫌う素振りは一切見せず
それどころか、
千景の髪を触ることにご執心のようだった
沙織「髪……伸ばそうかな」
天乃「十分長いでしょ」
416: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/30(土) 00:34:49.84:cDEzO6Ypo (2/5)
樹が抱っこしても大人しくはなるし髪の長さも関係はない
その話を聞いた友奈は、楽しそうに「東郷さんもダメだと思いますよ」と言っていたが、
実際に、落ち着きはするものの、どちらかと言えば好ましくないような反応をしていたので
友奈はその理由を察しているようだったし
夏凜も、「樹はセーフなんだ」と、少し不思議がってはいたものの
概ね納得は出来ているようだった
もちろん、友奈と夏凜が察している時点で
天乃もそれとなく分かってはいるのだが。
天乃「もう少し気長に付き合ってあげて」
沙織「うぅ……」
沙織に関しては猿猴の影響が強いだろうから、仕方がない
天乃「風、沙織。二人は準備できてる? 樹も平気そう?」
風「平気よ。樹はもう……部長なんだから」
天乃「そうね……千景、二人のこと任せるわね」
千景「問題ないわ」
天乃「じゃぁ、着替えるから風と沙織は出て行って」
沙織「え~……」
天乃「そういう反応するから出て行って欲しいの。じっと見られても困るのよ」
肉体関係があるとしても
恥ずかしいものは、恥ずかしいのだ
樹が抱っこしても大人しくはなるし髪の長さも関係はない
その話を聞いた友奈は、楽しそうに「東郷さんもダメだと思いますよ」と言っていたが、
実際に、落ち着きはするものの、どちらかと言えば好ましくないような反応をしていたので
友奈はその理由を察しているようだったし
夏凜も、「樹はセーフなんだ」と、少し不思議がってはいたものの
概ね納得は出来ているようだった
もちろん、友奈と夏凜が察している時点で
天乃もそれとなく分かってはいるのだが。
天乃「もう少し気長に付き合ってあげて」
沙織「うぅ……」
沙織に関しては猿猴の影響が強いだろうから、仕方がない
天乃「風、沙織。二人は準備できてる? 樹も平気そう?」
風「平気よ。樹はもう……部長なんだから」
天乃「そうね……千景、二人のこと任せるわね」
千景「問題ないわ」
天乃「じゃぁ、着替えるから風と沙織は出て行って」
沙織「え~……」
天乃「そういう反応するから出て行って欲しいの。じっと見られても困るのよ」
肉体関係があるとしても
恥ずかしいものは、恥ずかしいのだ
417: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/30(土) 00:35:37.83:cDEzO6Ypo (3/5)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
418:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/30(土) 00:39:30.65:Tg+y2gemO (1/1)
乙
千景が久遠さん以上に双子ちゃんたちのことを熟知してるな
乙
千景が久遠さん以上に双子ちゃんたちのことを熟知してるな
419:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/30(土) 02:49:49.22:bfwvy4VSO (1/1)
乙
保母さん千景
乙
保母さん千景
420: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/30(土) 22:40:32.37:cDEzO6Ypo (4/5)
では少しだけ
では少しだけ
421:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/30(土) 22:43:29.53:Xdp0dJ+IO (1/1)
いえす
いえす
422: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/30(土) 23:04:11.90:cDEzO6Ypo (5/5)
星乃達に母乳を上げ、着替えも済ませた天乃は
終え子供達を千景に任せてから部屋を出て、リビングに向かう
もうすでに準備を終えた東郷達も朝食の準備を終えているようだった
東郷「久遠先輩、おはようございます」
天乃「おはよう。私が最後なのね」
樹「園子さんはまた寝ちゃってますけど」
テレビの置かれているテレビ台の前、
三人掛けが二つ、五人が座れるソファ一つが並ぶそこには、
友奈以外の勇者部がもう揃っている
園子「ん~……」
園子だけは、制服を着ているにもかかわらず、眠っているが。
友奈はまだ退院は出来ていない
今月末には、リハビリで歩いても大丈夫だろうという話なので
退院は早くてもそれが出来るようになってからとなっている
それでも、卒業式だけは……という熱い懇願の結果、
車椅子を積むことのできる瞳の車で送って貰えることになっている
星乃達に母乳を上げ、着替えも済ませた天乃は
終え子供達を千景に任せてから部屋を出て、リビングに向かう
もうすでに準備を終えた東郷達も朝食の準備を終えているようだった
東郷「久遠先輩、おはようございます」
天乃「おはよう。私が最後なのね」
樹「園子さんはまた寝ちゃってますけど」
テレビの置かれているテレビ台の前、
三人掛けが二つ、五人が座れるソファ一つが並ぶそこには、
友奈以外の勇者部がもう揃っている
園子「ん~……」
園子だけは、制服を着ているにもかかわらず、眠っているが。
友奈はまだ退院は出来ていない
今月末には、リハビリで歩いても大丈夫だろうという話なので
退院は早くてもそれが出来るようになってからとなっている
それでも、卒業式だけは……という熱い懇願の結果、
車椅子を積むことのできる瞳の車で送って貰えることになっている
423: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/31(日) 00:01:05.25:OQAyl8xyo (1/11)
夏凜「天乃は……大丈夫なのよね?」
天乃「私が、なに?」
夏凜「卒業式耐えられるのかって話」
体力的に戻ってきているのは分かっているが、
それでも夏凜は心配しているのだ
天乃のクラスメイトがいる
風もいるし沙織もいるのでバックアップの体制は十分なのは分かっているのだが……それでも
天乃「大丈夫よ。ずっと立ってるわけじゃないし」
夏凜「そこが問題なのよ」
風「夏凜さー」
呆れが混じる声が間延びする
風はジトっとした目を夏凜に向けると、
あえて間を置いてから、ふっと息を吐いた
風「過保護過ぎない?」
夏凜「……天乃が弱いのがいけないのよ」
夏凜「天乃は……大丈夫なのよね?」
天乃「私が、なに?」
夏凜「卒業式耐えられるのかって話」
体力的に戻ってきているのは分かっているが、
それでも夏凜は心配しているのだ
天乃のクラスメイトがいる
風もいるし沙織もいるのでバックアップの体制は十分なのは分かっているのだが……それでも
天乃「大丈夫よ。ずっと立ってるわけじゃないし」
夏凜「そこが問題なのよ」
風「夏凜さー」
呆れが混じる声が間延びする
風はジトっとした目を夏凜に向けると、
あえて間を置いてから、ふっと息を吐いた
風「過保護過ぎない?」
夏凜「……天乃が弱いのがいけないのよ」
424: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/31(日) 00:43:44.17:OQAyl8xyo (2/11)
樹「体力的にも筋力的にも人並には戻ってきてますし、そろそろ大丈夫だと思いますよ」
東郷「気持ちは分かるけれど」
もう去年の話になってしまっているが、
夏凜が付き添い続けた天乃は悲惨なものだった
そのトラウマを思えば、
夏凜が過保護なのは中々に諫められるものではないだろう
天乃は食事の手を止めると、隣に座る夏凜に体を寄せる
天乃「大丈夫よ、鍛錬に付き合いきれないのはそうだけど、付き合えるほどには戻ってるから」
夏凜「天乃の大丈夫が大赦の次に信用できないわ」
天乃「えっ」
風「気持ちは分かる」
東郷「表情で察するしかないですね」
園子「天さんは無理して洋菓子てまいが、大丈夫っていうからねぇ~」
天乃「最近は……ううん、妊娠してからはちゃんと正直だったじゃないっ」
樹「体力的にも筋力的にも人並には戻ってきてますし、そろそろ大丈夫だと思いますよ」
東郷「気持ちは分かるけれど」
もう去年の話になってしまっているが、
夏凜が付き添い続けた天乃は悲惨なものだった
そのトラウマを思えば、
夏凜が過保護なのは中々に諫められるものではないだろう
天乃は食事の手を止めると、隣に座る夏凜に体を寄せる
天乃「大丈夫よ、鍛錬に付き合いきれないのはそうだけど、付き合えるほどには戻ってるから」
夏凜「天乃の大丈夫が大赦の次に信用できないわ」
天乃「えっ」
風「気持ちは分かる」
東郷「表情で察するしかないですね」
園子「天さんは無理して洋菓子てまいが、大丈夫っていうからねぇ~」
天乃「最近は……ううん、妊娠してからはちゃんと正直だったじゃないっ」
425: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/31(日) 01:23:09.34:OQAyl8xyo (3/11)
ムッとする天乃の一方で
みんなは楽しそうに、あるいは嬉しそうに笑う
今の天乃はもちろんそんなことはない
確かに、疑り深くなってしまうことはあるけれど
少しでも駄目そうならちゃんと声をかけてくれるようになっているので
たとえ、天乃が大丈夫。と言っていても信じることは可能だ
そもそも、本当に疑うことなんて基本的にはない
沙織「久遠さん、一応立たなくても良いって許可は出てるんだよね?」
天乃「ええ、去年まで車椅子だし、公欠……病欠だったから」
天乃が卒業式に出ると知ったクラスメイトからの要求と
それ以前に、担任が無理をさせるわけにはいかないからと配慮してくれた結果
天乃は校歌などでの起立はしなくてもいいと言われている
入退場、証書授与についても免除できるとされたが
そこは、やらせてほしい。としたが
天乃「入退場も授与もさせて貰うんだから、極力頑張るつもりよ」
風「リハでは大丈夫だったから大丈夫だとは思うけど、無理だったら必ず声をかけなさいよ?」
天乃「解ってるわ……心配しないで」
ムッとする天乃の一方で
みんなは楽しそうに、あるいは嬉しそうに笑う
今の天乃はもちろんそんなことはない
確かに、疑り深くなってしまうことはあるけれど
少しでも駄目そうならちゃんと声をかけてくれるようになっているので
たとえ、天乃が大丈夫。と言っていても信じることは可能だ
そもそも、本当に疑うことなんて基本的にはない
沙織「久遠さん、一応立たなくても良いって許可は出てるんだよね?」
天乃「ええ、去年まで車椅子だし、公欠……病欠だったから」
天乃が卒業式に出ると知ったクラスメイトからの要求と
それ以前に、担任が無理をさせるわけにはいかないからと配慮してくれた結果
天乃は校歌などでの起立はしなくてもいいと言われている
入退場、証書授与についても免除できるとされたが
そこは、やらせてほしい。としたが
天乃「入退場も授与もさせて貰うんだから、極力頑張るつもりよ」
風「リハでは大丈夫だったから大丈夫だとは思うけど、無理だったら必ず声をかけなさいよ?」
天乃「解ってるわ……心配しないで」
426: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/31(日) 01:29:18.21:OQAyl8xyo (4/11)
では遅くなりましたが、ここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから
では遅くなりましたが、ここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから
427:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/31(日) 06:21:51.91:iHWX3670O (1/1)
乙
過保護の夏凜ちゃんかわいい
乙
過保護の夏凜ちゃんかわいい
428:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/31(日) 07:28:03.49:+Y+2xpySO (1/1)
乙
乙
429: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/31(日) 16:49:00.65:OQAyl8xyo (5/11)
では少しずつ
では少しずつ
430:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/05/31(日) 17:25:07.21:KcpgSaHVO (1/1)
来てたか
来てたか
431: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/31(日) 18:26:15.26:OQAyl8xyo (6/11)
風「終わった後はどうする? すぐに帰る?」
天乃「母親としては、真っ先に帰りたいのだけど……」
まだ幼過ぎる子供達の為に
母乳を上げるという母親としての役割もある
真っ直ぐ帰りたいというのが母親としての考えだが、
讃州中学のいち学生として通うことが出来るのはこれが最後になる
クラスメイトとしてみんなと会うのも、最後だ
風と沙織に関しては浪人と言うのもあり、
来年にはクラスメイトとしてまた高校に通うことになるかもしれないけれど。
天乃「みんな放してくれるかしら」
沙織「子供が待ってるって言えば絶対に」
夏凜「知ってるんでしょ?」
天乃「ええ」
担任はもちろんクラスメイトには話しているし、
恐らくだが、在校生にも天乃に子供がいることは伝わっていることだろう
最後の最後で、卒業記念
天乃を少しは引っ張りまわしたいと思う人もいるだろうが、
子供のことを話せば遠慮してくれるだろう
風「終わった後はどうする? すぐに帰る?」
天乃「母親としては、真っ先に帰りたいのだけど……」
まだ幼過ぎる子供達の為に
母乳を上げるという母親としての役割もある
真っ直ぐ帰りたいというのが母親としての考えだが、
讃州中学のいち学生として通うことが出来るのはこれが最後になる
クラスメイトとしてみんなと会うのも、最後だ
風と沙織に関しては浪人と言うのもあり、
来年にはクラスメイトとしてまた高校に通うことになるかもしれないけれど。
天乃「みんな放してくれるかしら」
沙織「子供が待ってるって言えば絶対に」
夏凜「知ってるんでしょ?」
天乃「ええ」
担任はもちろんクラスメイトには話しているし、
恐らくだが、在校生にも天乃に子供がいることは伝わっていることだろう
最後の最後で、卒業記念
天乃を少しは引っ張りまわしたいと思う人もいるだろうが、
子供のことを話せば遠慮してくれるだろう
432: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/31(日) 19:07:53.80:OQAyl8xyo (7/11)
東郷「夏凜ちゃんが母乳が出れば解決するのに」
夏凜「何が解決すんのよ……」
風「天乃の代わりに母乳をあげる?」
夏凜「私の子供の分が無くなるから無理」
天乃「……飲んだくせに」
夏凜「そうだけどっ!」
夏凜にも子供がいて
その子供に問題なく与える分があって、それでもなお余るのであれば考えることも可能ではあるが
それはなかなか、難しい話だ
天乃がみんなに与えたのだって、特別な理由があってこそだ
夏凜「そもそも、私が妊娠するための相手が必要なんだけど?」
樹「お兄さ――」
夏凜「兄貴はない! 業が深いわ!」
天乃「私のお兄ちゃんじゃないの?」
夏凜「あ……あー……まぁ、でも無いわ。あり得ない」
東郷「夏凜ちゃんが母乳が出れば解決するのに」
夏凜「何が解決すんのよ……」
風「天乃の代わりに母乳をあげる?」
夏凜「私の子供の分が無くなるから無理」
天乃「……飲んだくせに」
夏凜「そうだけどっ!」
夏凜にも子供がいて
その子供に問題なく与える分があって、それでもなお余るのであれば考えることも可能ではあるが
それはなかなか、難しい話だ
天乃がみんなに与えたのだって、特別な理由があってこそだ
夏凜「そもそも、私が妊娠するための相手が必要なんだけど?」
樹「お兄さ――」
夏凜「兄貴はない! 業が深いわ!」
天乃「私のお兄ちゃんじゃないの?」
夏凜「あ……あー……まぁ、でも無いわ。あり得ない」
433: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/31(日) 19:37:31.19:OQAyl8xyo (8/11)
天乃「そうよね……私も嫌よ」
実の兄とは言え、夏凜を抱かせるのは考えたくもない話だ
命にかかわることならば、致し方なく頼むことも考える
そうではないなら、考える余地もない
園子「搾っていけばいいんじゃないかな~?」
東郷「!」
天乃「名案! みたいな良い顔しないの」
園子の案に振り向いた東郷に首を振る
搾れば出るかもしれないが
あげるまでの時間が不透明だ
風「ならいっそ、千景に連れてきてもらえば良いんじゃない?」
東郷「首は据わっているんでしたっけ?」
夏凜「先週の検診ではそう判断されてたけど、大丈夫なの?」
天乃「二人一緒にだっこは少し不安だわ」
前と後ろに一人ずつ
そうすればいいだけなのだが、
後ろの子の顔が見れないのが不安になる
それは、千景も言っていたことだ
天乃「そうよね……私も嫌よ」
実の兄とは言え、夏凜を抱かせるのは考えたくもない話だ
命にかかわることならば、致し方なく頼むことも考える
そうではないなら、考える余地もない
園子「搾っていけばいいんじゃないかな~?」
東郷「!」
天乃「名案! みたいな良い顔しないの」
園子の案に振り向いた東郷に首を振る
搾れば出るかもしれないが
あげるまでの時間が不透明だ
風「ならいっそ、千景に連れてきてもらえば良いんじゃない?」
東郷「首は据わっているんでしたっけ?」
夏凜「先週の検診ではそう判断されてたけど、大丈夫なの?」
天乃「二人一緒にだっこは少し不安だわ」
前と後ろに一人ずつ
そうすればいいだけなのだが、
後ろの子の顔が見れないのが不安になる
それは、千景も言っていたことだ
434: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/31(日) 20:14:32.03:OQAyl8xyo (9/11)
沙織「瞳さんの車にベビーシート積んでなかった?」
夏凜「嬉々として積んでる」
しっかりと二人分のベビーシートが積んである車は
車椅子も積むことのできるかなり大きめのものだ
友奈を連れてきてもらった後
千景たちを迎えに行ってもらうという算段だ
そうして、母乳は――
天乃「待って、さすがに私にも羞恥心はあるわ」
夏凜「車の中で授乳が必要になる可能性もあるけど」
天乃「それは非常時でしょ」
特に問題がない時にそれは出来ない
瞳の車に人の目を遮るものがあるなら……とは思うけれど。
風「じゃぁ、少しくらいは残るってことでいい?」
遊びに行くとかは付き合えないが
多少、話をしたりなんだり……その程度ならば。
樹「一旦家に帰ってからと言う手もありますけど、久遠先輩次第ですね」
天乃「そうねぇ……みんながそれでお良いなら、そうするのが一番かしら」
いっそ家に招く
それも考えられるが、行きたいと答える人数を考えると、それは無理な話だった
沙織「瞳さんの車にベビーシート積んでなかった?」
夏凜「嬉々として積んでる」
しっかりと二人分のベビーシートが積んである車は
車椅子も積むことのできるかなり大きめのものだ
友奈を連れてきてもらった後
千景たちを迎えに行ってもらうという算段だ
そうして、母乳は――
天乃「待って、さすがに私にも羞恥心はあるわ」
夏凜「車の中で授乳が必要になる可能性もあるけど」
天乃「それは非常時でしょ」
特に問題がない時にそれは出来ない
瞳の車に人の目を遮るものがあるなら……とは思うけれど。
風「じゃぁ、少しくらいは残るってことでいい?」
遊びに行くとかは付き合えないが
多少、話をしたりなんだり……その程度ならば。
樹「一旦家に帰ってからと言う手もありますけど、久遠先輩次第ですね」
天乃「そうねぇ……みんながそれでお良いなら、そうするのが一番かしら」
いっそ家に招く
それも考えられるが、行きたいと答える人数を考えると、それは無理な話だった
435: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/31(日) 21:36:27.72:OQAyl8xyo (10/11)
若葉「行くのか?」
天乃「貴女は来ないの?」
若葉「私はもう転校したよ」
天乃「見には来る?」
若葉「転校したのにか?」
そんなバカな話はないだろう。と、
若葉は笑って首を振る
若葉の転入はあくまで偽りだ
天乃がほぼ完全に通学不可となった時点で通う意味はなく
それ以降は在籍すらしていない状態になっている
九尾の力を再度借りれば、違和感なく忍び込むことも出来るが、
それは、したくなかった
球子「タマは行くぞ。中には入れないけどな」
歌野「土居さん、ステイよ」
球子「なぁーっ」
行くと天乃に近づいた多摩湖の襟首を歌野が捕まえる
歌野「邪魔はしない。そういう約束でしょう?」
若葉「行くのか?」
天乃「貴女は来ないの?」
若葉「私はもう転校したよ」
天乃「見には来る?」
若葉「転校したのにか?」
そんなバカな話はないだろう。と、
若葉は笑って首を振る
若葉の転入はあくまで偽りだ
天乃がほぼ完全に通学不可となった時点で通う意味はなく
それ以降は在籍すらしていない状態になっている
九尾の力を再度借りれば、違和感なく忍び込むことも出来るが、
それは、したくなかった
球子「タマは行くぞ。中には入れないけどな」
歌野「土居さん、ステイよ」
球子「なぁーっ」
行くと天乃に近づいた多摩湖の襟首を歌野が捕まえる
歌野「邪魔はしない。そういう約束でしょう?」
436: ◆QhFDI08WfRWv:2020/05/31(日) 22:39:03.36:OQAyl8xyo (11/11)
天乃「そんな約束したの?」
水都「一応、過去の人ですから……あまり干渉するのは止めとこうって話したんです」
若葉「主な理由は、私たちがいずれここを出ていくから。だが」
天乃「あぁ……そう。だったわね」
今は天乃達のことも考えて残ってくれているが、
天乃の精霊として現代にいる西暦組の中で残ってくれるのは千景だけだ
若葉達は四国の外に出て行ってしまう
だから、あまり知り合いは増やすべきではない。と言う判断だろう
天乃「来年でも、再来年でもいいのに」
球子「それもそうなんだけどなー」
水都「何があるかわからないので、あまり余裕はないと思うんです」
若葉「万が一、もあり得るからな」
天乃「そうね」
バーテックスはいないとは思うが、星屑がいるという最悪の可能性が一つ
もう一つは、一瞬で世界が書き換えられたということ
外の世界には自然が広がっていることを踏まえたうえで――生存者がいる可能性
天乃「やっぱり、引き留めるわけにはいかないわ」
天乃「そんな約束したの?」
水都「一応、過去の人ですから……あまり干渉するのは止めとこうって話したんです」
若葉「主な理由は、私たちがいずれここを出ていくから。だが」
天乃「あぁ……そう。だったわね」
今は天乃達のことも考えて残ってくれているが、
天乃の精霊として現代にいる西暦組の中で残ってくれるのは千景だけだ
若葉達は四国の外に出て行ってしまう
だから、あまり知り合いは増やすべきではない。と言う判断だろう
天乃「来年でも、再来年でもいいのに」
球子「それもそうなんだけどなー」
水都「何があるかわからないので、あまり余裕はないと思うんです」
若葉「万が一、もあり得るからな」
天乃「そうね」
バーテックスはいないとは思うが、星屑がいるという最悪の可能性が一つ
もう一つは、一瞬で世界が書き換えられたということ
外の世界には自然が広がっていることを踏まえたうえで――生存者がいる可能性
天乃「やっぱり、引き留めるわけにはいかないわ」
437: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/01(月) 00:05:32.48:CwcuPhaco (1/11)
若葉「ああ、すまない」
天乃「ううん、千景を許してくれただけありがたいわ」
若葉「いいさ。千景が望んでいるなら止める理由がない」
そう言った若葉はとてもうれしそうな顔をする
かつて千景と戦い、千景の過酷さを知っているからこそ
千景が星乃と月乃に愛情を注いでいる姿は、喜ばしいのだろう
球子「ほんと、幸せそうで何よりだな」
若葉「本当にな」
天乃「……千景に聞かれないようにね」
自分のことで嬉しそうにしている二人など
照れ隠しで斬られてしまうかもしれないからと冗談めかして
そんなことはないと若葉は苦笑する
風「天乃、そろそろ行くわよ」
天乃「ん……」
玄関から入ってきた風の手招きに頷いて、若葉に目を向ける
天乃「じゃぁ、行ってきます」
若葉「気をつけて。子供達は千景が見ているが、私達も見ておく」
水都「必要なら呼んでくださいね。千景さんと一緒に二人を連れて行きますから」
天乃「ありがとう。その時は宜しくね」
見送ってくれる西暦時代を生きた英霊たちに手を振って、
風と沙織と共に学校へと向かう
夏凜達は残念ながら先に行く必要があったため、三人だけで最後の通学路を歩いた
若葉「ああ、すまない」
天乃「ううん、千景を許してくれただけありがたいわ」
若葉「いいさ。千景が望んでいるなら止める理由がない」
そう言った若葉はとてもうれしそうな顔をする
かつて千景と戦い、千景の過酷さを知っているからこそ
千景が星乃と月乃に愛情を注いでいる姿は、喜ばしいのだろう
球子「ほんと、幸せそうで何よりだな」
若葉「本当にな」
天乃「……千景に聞かれないようにね」
自分のことで嬉しそうにしている二人など
照れ隠しで斬られてしまうかもしれないからと冗談めかして
そんなことはないと若葉は苦笑する
風「天乃、そろそろ行くわよ」
天乃「ん……」
玄関から入ってきた風の手招きに頷いて、若葉に目を向ける
天乃「じゃぁ、行ってきます」
若葉「気をつけて。子供達は千景が見ているが、私達も見ておく」
水都「必要なら呼んでくださいね。千景さんと一緒に二人を連れて行きますから」
天乃「ありがとう。その時は宜しくね」
見送ってくれる西暦時代を生きた英霊たちに手を振って、
風と沙織と共に学校へと向かう
夏凜達は残念ながら先に行く必要があったため、三人だけで最後の通学路を歩いた
438: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/01(月) 00:07:35.27:CwcuPhaco (2/11)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
14日目 予定
卒業式参加:クラスメイト交流
部室交流
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
14日目 予定
卒業式参加:クラスメイト交流
部室交流
439:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/01(月) 00:11:08.48:1SuLXnSKO (1/1)
乙
クラスメイトのみんな久々の出番か
後半ほとんど交流できなかったのが惜しまれるな
乙
クラスメイトのみんな久々の出番か
後半ほとんど交流できなかったのが惜しまれるな
440:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/01(月) 00:33:41.29:scEoZq/WO (1/1)
乙
後半非日常だったからな
乙
後半非日常だったからな
441: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/01(月) 21:58:15.25:CwcuPhaco (3/11)
では少しだけ
では少しだけ
442:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/01(月) 21:59:10.92:yGI9ae3CO (1/2)
よしきた
よしきた
443: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/01(月) 21:59:12.10:CwcuPhaco (4/11)
√ 3月14日目 朝 (学校)
「わはーっ! あっっまっの~んっ!」
天乃「きゃぁっ!?」
教室に着くや否や、
天乃の身体へと真正面から突っ込んできたクラスメイトを抱きとめて、ぐるりと回る
天乃をあまのんと呼ぶ女生徒は、
天乃の胸に顔を埋めたまますりすりと頬ずりして、不気味な笑い声を零す
「これが、母乳のにおい……」
「こーらっ!」
「ひゅぐっ」
そんな女生徒の首根っこを乱暴につかんで引き剥がした
快活そうな困り顔は、メガネのずり落ちた友人を一瞥すると、ため息が零れる
「久遠さんを困らせるな負担をかけるな邪魔をするな」
「ふぇぇ」
天乃「あはは……リハでも会ったじゃない」
「でもこれが最後なんだよ。これが……もー進学するって去年は話してたのにぃ」
天乃「してないしてない」
去年から一貫して、天乃は進路については未定続きだった
勇者としてのお役目に関わりがある以上、安易には決められなかったし
特に、去年の天乃には自分がどうしたいかなんてことは全く考えられなかったのだ
進学するなんて、一言も言っていない
√ 3月14日目 朝 (学校)
「わはーっ! あっっまっの~んっ!」
天乃「きゃぁっ!?」
教室に着くや否や、
天乃の身体へと真正面から突っ込んできたクラスメイトを抱きとめて、ぐるりと回る
天乃をあまのんと呼ぶ女生徒は、
天乃の胸に顔を埋めたまますりすりと頬ずりして、不気味な笑い声を零す
「これが、母乳のにおい……」
「こーらっ!」
「ひゅぐっ」
そんな女生徒の首根っこを乱暴につかんで引き剥がした
快活そうな困り顔は、メガネのずり落ちた友人を一瞥すると、ため息が零れる
「久遠さんを困らせるな負担をかけるな邪魔をするな」
「ふぇぇ」
天乃「あはは……リハでも会ったじゃない」
「でもこれが最後なんだよ。これが……もー進学するって去年は話してたのにぃ」
天乃「してないしてない」
去年から一貫して、天乃は進路については未定続きだった
勇者としてのお役目に関わりがある以上、安易には決められなかったし
特に、去年の天乃には自分がどうしたいかなんてことは全く考えられなかったのだ
進学するなんて、一言も言っていない
444: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/01(月) 22:17:35.55:CwcuPhaco (5/11)
沙織「久遠さんが進学できない理由、分かってるよね?」
「それは分かってるよー……だから私のママになっ――いだっ痛い痛い痛いっ!」
頭をわしづかみにされ、
苦痛に呻く友人をその手の力のみでねじ伏せようとするクラスメイトは
ギブアップだと手を叩かれてもなお力を込めたのだろう
ごめんなさい。という叫び声のような謝罪が教室に響いた
「久遠さんを困らせないの」
「だってさぁ」
「久遠さんが大抵のこと許してくれるからって調子乗らないの」
「むぅ」
あからさまに不服なふくれっ面
しかし、それも天乃へと目を向ければすぐに崩壊して、照れくさそうな笑顔に変わる
「ごめんねあまのん。スキンシップだと思って諦め――ぎゃぅっ」
風「まぁまぁ、節度は保ってくれるでしょ」
「ダメよ犬吠埼さん。この人、許すとつけあがるから」
この人はやめて。と
悲し気に抗議した女生徒は天乃へと笑みを浮かべる
「まぁでも、良かった。あまのんが無事に卒業出来て」
天乃「本当にね」
「色々大変だとは思うけど、あまのんとりんりん達なら大丈夫だよ。きっと」
沙織「久遠さんが進学できない理由、分かってるよね?」
「それは分かってるよー……だから私のママになっ――いだっ痛い痛い痛いっ!」
頭をわしづかみにされ、
苦痛に呻く友人をその手の力のみでねじ伏せようとするクラスメイトは
ギブアップだと手を叩かれてもなお力を込めたのだろう
ごめんなさい。という叫び声のような謝罪が教室に響いた
「久遠さんを困らせないの」
「だってさぁ」
「久遠さんが大抵のこと許してくれるからって調子乗らないの」
「むぅ」
あからさまに不服なふくれっ面
しかし、それも天乃へと目を向ければすぐに崩壊して、照れくさそうな笑顔に変わる
「ごめんねあまのん。スキンシップだと思って諦め――ぎゃぅっ」
風「まぁまぁ、節度は保ってくれるでしょ」
「ダメよ犬吠埼さん。この人、許すとつけあがるから」
この人はやめて。と
悲し気に抗議した女生徒は天乃へと笑みを浮かべる
「まぁでも、良かった。あまのんが無事に卒業出来て」
天乃「本当にね」
「色々大変だとは思うけど、あまのんとりんりん達なら大丈夫だよ。きっと」
445: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/01(月) 22:34:30.82:CwcuPhaco (6/11)
夏凜達が勇者として挑んだ最後の戦い
そこでほんの一時だけ、生きるすべての人が垣間見ることのできた世界の真実
それは夢だと言われている。幻だとされている
しかしながら、不真面目に明るいクラスメイトはそれを真実だと認めている
そうでなければ、見てきた天乃の三年間の過酷さが不自然だ
「………」
それは踏み込み切れない領域
だから、大丈夫だよ。と言う言葉に集約する
「一年間は子育て集中なんだっけ?」
天乃「ええ」
「遊びに行ってもいい?」
「あんた――」
沙織「久遠さんに変なことしないなら大丈夫なんじゃないかな」
風「天乃は無防備でも、家では結構ガードがきついからね」
「大丈夫大丈夫、さすがに変なことはしないよ」
「心配だから行くときは私も行くからね?」
天乃「ふふっ、事前に連絡頂戴ね?」
家に住んでいるのが天乃だけならいざ知らず……と言えるが、
みんなが住む家である以上、いきなり来られては困るので、念のためだ
夏凜達が勇者として挑んだ最後の戦い
そこでほんの一時だけ、生きるすべての人が垣間見ることのできた世界の真実
それは夢だと言われている。幻だとされている
しかしながら、不真面目に明るいクラスメイトはそれを真実だと認めている
そうでなければ、見てきた天乃の三年間の過酷さが不自然だ
「………」
それは踏み込み切れない領域
だから、大丈夫だよ。と言う言葉に集約する
「一年間は子育て集中なんだっけ?」
天乃「ええ」
「遊びに行ってもいい?」
「あんた――」
沙織「久遠さんに変なことしないなら大丈夫なんじゃないかな」
風「天乃は無防備でも、家では結構ガードがきついからね」
「大丈夫大丈夫、さすがに変なことはしないよ」
「心配だから行くときは私も行くからね?」
天乃「ふふっ、事前に連絡頂戴ね?」
家に住んでいるのが天乃だけならいざ知らず……と言えるが、
みんなが住む家である以上、いきなり来られては困るので、念のためだ
446: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/01(月) 22:56:45.19:CwcuPhaco (7/11)
「おーなに? 久遠の家?」
「男子禁制だからダメ」
「はぁ!?」
タイミングよく教室に入ってきた天乃の隣の席の男子生徒だったが、
天乃が答える間もなくクラスメイトに払われて、渋々と席に着く
天乃としては、夏凜達が良いのなら別に良いとは思う
しかし、ちらっと見てみた風と沙織の目を見れば、駄目なのは明白だった
沙織「久遠さんの家は駄目。部屋も駄目。ぜったい駄目」
風「というか、天乃の家はある意味女子寮みたいな感じだから、男子禁制なのはほんとよ」
「それは逆に興味湧くんだが……」
沙織「んー……死ぬ覚悟が必要だと思う」
「マジ?」
「あまのん以外からの殺意は高そうだよね」
天乃が招いたのだから……と
致し方なく家にあげて貰える可能性はある
しかし、常に見張られている挙句、天乃に手を出そうものなら首が刎ねられるかもしれないと、沙織は思う
風もその考えには同意見で、夏凜達が実際に手を下すことはまずないだろうが、
その帰り道、喰い殺されない保証がない
「おーなに? 久遠の家?」
「男子禁制だからダメ」
「はぁ!?」
タイミングよく教室に入ってきた天乃の隣の席の男子生徒だったが、
天乃が答える間もなくクラスメイトに払われて、渋々と席に着く
天乃としては、夏凜達が良いのなら別に良いとは思う
しかし、ちらっと見てみた風と沙織の目を見れば、駄目なのは明白だった
沙織「久遠さんの家は駄目。部屋も駄目。ぜったい駄目」
風「というか、天乃の家はある意味女子寮みたいな感じだから、男子禁制なのはほんとよ」
「それは逆に興味湧くんだが……」
沙織「んー……死ぬ覚悟が必要だと思う」
「マジ?」
「あまのん以外からの殺意は高そうだよね」
天乃が招いたのだから……と
致し方なく家にあげて貰える可能性はある
しかし、常に見張られている挙句、天乃に手を出そうものなら首が刎ねられるかもしれないと、沙織は思う
風もその考えには同意見で、夏凜達が実際に手を下すことはまずないだろうが、
その帰り道、喰い殺されない保証がない
447: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/01(月) 23:08:25.53:CwcuPhaco (8/11)
「えーなになに?」
「あー久遠さん!」
「久遠さ~ん!」
今日卒業する三年生が増えるにつれて賑やかさは増していき、
天乃の周りにもどんどん人が増えて騒がしくなっていく
長い欠席期間
会いたかったと喜ぶ人の喧騒も広がり、
そうこうしているうちに担任もやってきて、一気に霧散する
風と沙織も自席へと散って
残った天乃は急な静けさに思わず苦笑する
「どうした?」
天乃「何でもないわ。ただ、なんとなく」
「そうか……」
天乃は、ようやく戻ってこれたことを実感する
ちょっぴり固い学校の椅子
ひんやりとしていた机が体温で温まっていく感覚
空っぽの机の中、渇いた音のする金属感
前にも左隣にも同じ制服を着るクラスメイトがいて
前には黒板や教卓があって……
学生なのだと、日常の中にいるのだと……実感させてくれる
「えーなになに?」
「あー久遠さん!」
「久遠さ~ん!」
今日卒業する三年生が増えるにつれて賑やかさは増していき、
天乃の周りにもどんどん人が増えて騒がしくなっていく
長い欠席期間
会いたかったと喜ぶ人の喧騒も広がり、
そうこうしているうちに担任もやってきて、一気に霧散する
風と沙織も自席へと散って
残った天乃は急な静けさに思わず苦笑する
「どうした?」
天乃「何でもないわ。ただ、なんとなく」
「そうか……」
天乃は、ようやく戻ってこれたことを実感する
ちょっぴり固い学校の椅子
ひんやりとしていた机が体温で温まっていく感覚
空っぽの机の中、渇いた音のする金属感
前にも左隣にも同じ制服を着るクラスメイトがいて
前には黒板や教卓があって……
学生なのだと、日常の中にいるのだと……実感させてくれる
448: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/01(月) 23:18:19.74:CwcuPhaco (9/11)
「………」
天乃「どうかした?」
隣からの視線を感じて声をかけると、
男子生徒ははっとしてそっぽを向き、頭を抱えるようにして机に伏せる
彼が久しく見なかった女子生徒
けれど、それが天乃であることを彼は知っている
照れくさいのかな。と、天乃は感じ取って前を向く
「席替え、一応あったんだよ」
天乃「……そうね」
風や沙織の席の位置が変わっているし、
隣の男子生徒だって変わっている
半年近く欠席していればそれも当たり前で
唯一、車椅子だった天乃だけが、
出入り口が近く、後ろに誰もいない右側最後尾で固定されている
「だからちょっとだけ……期待してた」
残念そうな男子生徒の声に、
天乃はやっぱり、と察して目を瞑る
天乃「ごめんなさいね」
「いや、話は聞いてたし左手のそれってさ。そう言うことなんだろ?」
「………」
天乃「どうかした?」
隣からの視線を感じて声をかけると、
男子生徒ははっとしてそっぽを向き、頭を抱えるようにして机に伏せる
彼が久しく見なかった女子生徒
けれど、それが天乃であることを彼は知っている
照れくさいのかな。と、天乃は感じ取って前を向く
「席替え、一応あったんだよ」
天乃「……そうね」
風や沙織の席の位置が変わっているし、
隣の男子生徒だって変わっている
半年近く欠席していればそれも当たり前で
唯一、車椅子だった天乃だけが、
出入り口が近く、後ろに誰もいない右側最後尾で固定されている
「だからちょっとだけ……期待してた」
残念そうな男子生徒の声に、
天乃はやっぱり、と察して目を瞑る
天乃「ごめんなさいね」
「いや、話は聞いてたし左手のそれってさ。そう言うことなんだろ?」
449: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/01(月) 23:27:23.12:CwcuPhaco (10/11)
男子生徒が言う【それ】は沙織からもらった婚約指輪だ
薄いピンク色のトリニティリング
ちゃんとつけてね。と言われてつけておいた指輪は
しっかりと、効力を発揮しているらしい
天乃「そうよ」
「そっか……」
男子生徒はそう言うと、天乃の方に顔を向ける
心の無しか悔やんでいるようには感じるが、
それでも、笑みを浮かべていた
「おめでとう……って、言っていいのか?」
天乃「うん、ありがとう」
天乃の年齢で出産と婚約
それが喜ばしいものなのかどうか悩んでの言葉に
天乃は迷わずに答える
確かに特異なことだけれど、天乃にとっては幸福なことだ
それは間違いなく、祝福されたい
「ならよかった」
天乃「ありがと、嬉しいわ」
「っ――ぉ、おう……別に」
奇異の目で見られることも覚悟しているし、
軽蔑されることも覚悟している
だからこそ、純粋に祝ってくれる彼の言葉に天乃は心からの笑みを浮かべてしまうのだった
男子生徒が言う【それ】は沙織からもらった婚約指輪だ
薄いピンク色のトリニティリング
ちゃんとつけてね。と言われてつけておいた指輪は
しっかりと、効力を発揮しているらしい
天乃「そうよ」
「そっか……」
男子生徒はそう言うと、天乃の方に顔を向ける
心の無しか悔やんでいるようには感じるが、
それでも、笑みを浮かべていた
「おめでとう……って、言っていいのか?」
天乃「うん、ありがとう」
天乃の年齢で出産と婚約
それが喜ばしいものなのかどうか悩んでの言葉に
天乃は迷わずに答える
確かに特異なことだけれど、天乃にとっては幸福なことだ
それは間違いなく、祝福されたい
「ならよかった」
天乃「ありがと、嬉しいわ」
「っ――ぉ、おう……別に」
奇異の目で見られることも覚悟しているし、
軽蔑されることも覚悟している
だからこそ、純粋に祝ってくれる彼の言葉に天乃は心からの笑みを浮かべてしまうのだった
450: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/01(月) 23:34:15.32:CwcuPhaco (11/11)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
451:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/01(月) 23:44:48.32:yGI9ae3CO (2/2)
乙
久遠さんの自宅はクラスメイトには色んな意味で刺激が強そう…
あとさおりん以外の指輪もどんなものになってるか気になる
乙
久遠さんの自宅はクラスメイトには色んな意味で刺激が強そう…
あとさおりん以外の指輪もどんなものになってるか気になる
452:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/02(火) 01:00:06.81:DjBO38RRO (1/1)
乙
久遠さんも指輪みんなに送らなきゃ
乙
久遠さんも指輪みんなに送らなきゃ
453: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/02(火) 21:49:56.44:MErjWTl3o (1/5)
では少しだけ
では少しだけ
454:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/02(火) 21:53:20.99:IoomyXM5O (1/1)
あいよー
あいよー
455: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/02(火) 21:57:04.91:MErjWTl3o (2/5)
卒業式の最中に天乃が体調不良で倒れるような緊急事態もなく
式は滞りなく終了を迎えた
授与の際に壇上へあがることも出来たのは、
天乃としても十分な頑張りだったと、自席に戻ってきてから大きく安堵する
「おつかれーあまのん」
天乃「うん……」
風「気分悪い?」
天乃「大丈夫」
机に伏せると、風の心配そうな声がかけられて顔を上げる
起立と着席
時折大した間を持たずに行われるそれを繰り返したことへの疲労は確かにあるけれど、
その程度で体調を崩すほどに落ちぶれてはいない。と、天乃は自負する
もちろん、疲れてはいるが。
天乃「これで、もうここに通うことはなくなるのよね……」
沙織「そうだねぇ~……」
「あれ? 犬吠埼さんは勇者部参加するんじゃなかった?」
風「あー……まぁ、余裕があったらね」
卒業式の最中に天乃が体調不良で倒れるような緊急事態もなく
式は滞りなく終了を迎えた
授与の際に壇上へあがることも出来たのは、
天乃としても十分な頑張りだったと、自席に戻ってきてから大きく安堵する
「おつかれーあまのん」
天乃「うん……」
風「気分悪い?」
天乃「大丈夫」
机に伏せると、風の心配そうな声がかけられて顔を上げる
起立と着席
時折大した間を持たずに行われるそれを繰り返したことへの疲労は確かにあるけれど、
その程度で体調を崩すほどに落ちぶれてはいない。と、天乃は自負する
もちろん、疲れてはいるが。
天乃「これで、もうここに通うことはなくなるのよね……」
沙織「そうだねぇ~……」
「あれ? 犬吠埼さんは勇者部参加するんじゃなかった?」
風「あー……まぁ、余裕があったらね」
456: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/02(火) 22:29:35.36:MErjWTl3o (3/5)
高校受験が失敗した。とははっきり言えずに風は答えを濁す。
その点、やはり沙織は堂々とした表情を見せる
あまりにも誇らしげなその表情は、
志望する高校の受験に勝ったかのように錯覚するが……受験には敗北している。
しかし、沙織としては望ましい結果だからこその満足感だ
「久遠さんは難しいよねぇ」
天乃「ええ、残念だけど」
沙織「色んな部活にヘルプしてたから、顔は広いよね」
風「天乃は相談も受けてたしね」
「そうそう、特に久遠さんは人気あるから」
天乃「無駄に尾鰭をつけてくれるからよ……私、そんな大したことしてないのに」
「いやぁ……どうだろ」
悩める男女の相談に乗る立場だったし、
優しすぎず、厳しすぎず。
けれど寄り添ってくれる相談相手と言うのは、とても心地いいものだっただろう
ともすれば、天乃に相談した生徒から噂が広がり人気になる。
多少、誇張があったかもしれないけれど大体間違ってもいなかっただろうから。
高校受験が失敗した。とははっきり言えずに風は答えを濁す。
その点、やはり沙織は堂々とした表情を見せる
あまりにも誇らしげなその表情は、
志望する高校の受験に勝ったかのように錯覚するが……受験には敗北している。
しかし、沙織としては望ましい結果だからこその満足感だ
「久遠さんは難しいよねぇ」
天乃「ええ、残念だけど」
沙織「色んな部活にヘルプしてたから、顔は広いよね」
風「天乃は相談も受けてたしね」
「そうそう、特に久遠さんは人気あるから」
天乃「無駄に尾鰭をつけてくれるからよ……私、そんな大したことしてないのに」
「いやぁ……どうだろ」
悩める男女の相談に乗る立場だったし、
優しすぎず、厳しすぎず。
けれど寄り添ってくれる相談相手と言うのは、とても心地いいものだっただろう
ともすれば、天乃に相談した生徒から噂が広がり人気になる。
多少、誇張があったかもしれないけれど大体間違ってもいなかっただろうから。
457: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/02(火) 23:17:10.47:MErjWTl3o (4/5)
「そういえば、久遠さんその左手、婚約指輪だよね?」
天乃「え? ええ」
さっと攫うように左手を取られ、
思わず声が詰まってしまった天乃を気にせずに、女子生徒は天乃の左手薬指に収まる指輪をまじまじと見つめる
その声が聞こえたのか、クラスメイトが続々と天乃の周囲に集まって、
天乃の小さな左手に視線が集中していく
「婚約指輪だーっ」
「ピンク? 桜? 綺麗な色だね~」
「だれだれ~誰からもらったの~?」
天乃「これは、沙織からよ」
指輪には触れず、それを覆うように撫でながら天乃は答える
思いのほか弾んだ声になっていることに天乃は気付いているのかいないのか
幸せを感じる笑顔に、集まるクラスメイトもみんな、嬉しそうに微笑む
「そっかさおぽんかぁ。可愛いセンスしてるよ」
沙織「えへ~」
「風ちゃんは?」
風「あたしは……まだ」
「久遠さん、沙織達に指輪は買わないの? 結婚指輪だけ?」
「そういえば、久遠さんその左手、婚約指輪だよね?」
天乃「え? ええ」
さっと攫うように左手を取られ、
思わず声が詰まってしまった天乃を気にせずに、女子生徒は天乃の左手薬指に収まる指輪をまじまじと見つめる
その声が聞こえたのか、クラスメイトが続々と天乃の周囲に集まって、
天乃の小さな左手に視線が集中していく
「婚約指輪だーっ」
「ピンク? 桜? 綺麗な色だね~」
「だれだれ~誰からもらったの~?」
天乃「これは、沙織からよ」
指輪には触れず、それを覆うように撫でながら天乃は答える
思いのほか弾んだ声になっていることに天乃は気付いているのかいないのか
幸せを感じる笑顔に、集まるクラスメイトもみんな、嬉しそうに微笑む
「そっかさおぽんかぁ。可愛いセンスしてるよ」
沙織「えへ~」
「風ちゃんは?」
風「あたしは……まだ」
「久遠さん、沙織達に指輪は買わないの? 結婚指輪だけ?」
458: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/02(火) 23:40:26.08:MErjWTl3o (5/5)
沙織と風の左手を一瞥したクラスメイトの一人が、
天乃へと疑問を投げかける
この少女自身、完璧な理解はないし婚約指輪は女性としては相手から貰うものである。と言う認識だ
しかしながら、少し気になったのだ
「婚約記念のお返しっていうのがあるみたいだし、あげないのかなーって」
天乃「それは考えていたのだけど、まだ準備できてなくて」
「えーっ! 今日の帰り? 帰りに行っちゃう?」
天乃「えっと……」
風「そうねぇ、近々って感じね」
困った天乃の代わりに、風が答える
男性用の婚約指輪は珍しいものであるという話がある
けれど、天乃達に関しては全員が少女の為、指輪の用意が可能だ
もちろん、男性であれオーダーメイドならば可能だが。
沙織と風の左手を一瞥したクラスメイトの一人が、
天乃へと疑問を投げかける
この少女自身、完璧な理解はないし婚約指輪は女性としては相手から貰うものである。と言う認識だ
しかしながら、少し気になったのだ
「婚約記念のお返しっていうのがあるみたいだし、あげないのかなーって」
天乃「それは考えていたのだけど、まだ準備できてなくて」
「えーっ! 今日の帰り? 帰りに行っちゃう?」
天乃「えっと……」
風「そうねぇ、近々って感じね」
困った天乃の代わりに、風が答える
男性用の婚約指輪は珍しいものであるという話がある
けれど、天乃達に関しては全員が少女の為、指輪の用意が可能だ
もちろん、男性であれオーダーメイドならば可能だが。
459: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/03(水) 00:02:54.03:4ZE+yW9bo (1/7)
「あまのんもセンス発揮しないとだよ~?」
天乃「わ、分かってるわ」
「もしかして自信ない?」
天乃「そんなことは……」
7人分だ
ちょっとだけ悩んでしまうというか
絶対に満足して貰えてしまうと分かってはいるけれど、不安にはなる
そうこう考えているうちに、一ヶ月
風も言っていた事だが、近々揃えたいと天乃も思っている
「まーもし不安なら相談乗るよ~? 調査もしといてあげる~」
天乃「一緒に買いに行けなかったら、お願いするかな」
「は~い」
合法的なデートのつもりなのか、
喜んで~という女生徒の声が複数重なる
風はあきれ顔だが、沙織は不満気だ
「そうそう。ところで終礼済んだらすぐ帰っちゃう?」
天乃「ん?」
「時間あったらさ、すこーし、付き合って貰いたいんだよね~」
「あまのんもセンス発揮しないとだよ~?」
天乃「わ、分かってるわ」
「もしかして自信ない?」
天乃「そんなことは……」
7人分だ
ちょっとだけ悩んでしまうというか
絶対に満足して貰えてしまうと分かってはいるけれど、不安にはなる
そうこう考えているうちに、一ヶ月
風も言っていた事だが、近々揃えたいと天乃も思っている
「まーもし不安なら相談乗るよ~? 調査もしといてあげる~」
天乃「一緒に買いに行けなかったら、お願いするかな」
「は~い」
合法的なデートのつもりなのか、
喜んで~という女生徒の声が複数重なる
風はあきれ顔だが、沙織は不満気だ
「そうそう。ところで終礼済んだらすぐ帰っちゃう?」
天乃「ん?」
「時間あったらさ、すこーし、付き合って貰いたいんだよね~」
460: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/03(水) 00:04:52.62:4ZE+yW9bo (2/7)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
461:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/03(水) 00:08:30.37:mDd9J0i5O (1/2)
乙
クラスメイトたちと最後のお出かけか
乙
クラスメイトたちと最後のお出かけか
462:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/03(水) 01:48:17.32:jw04Lyx4O (1/1)
乙
久遠さんの貯金にダイレクトアタック
乙
久遠さんの貯金にダイレクトアタック
463: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/03(水) 21:41:40.71:4ZE+yW9bo (3/7)
では少しだけ
では少しだけ
464: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/03(水) 21:46:00.16:4ZE+yW9bo (4/7)
風「終礼の後か……どうする?」
「あー無理ならいいよ?」
天乃「無理ではないわ」
風と沙織の反応でダメかと思ったクラスメイトに、首を振る
子供達を想ってのことだけれど、
一目散に帰宅したいというのはあくまで天乃の都合だ
それに、瞳達に頼めば連れてきてもらえる手はずになっている
天乃「ただ、子供たちのお昼もあるから……時間がかかるなら難しいの」
「時間はそんなにかからないよ。やりたいこと自体は30分もかからないかな」
天乃「それなら、大丈夫」
「じゃぁ終礼終わったらね」
天乃「ええ」
天乃の答えに満足したクラスメイトの一人が、
端末を持ち出して、どこかへと連絡を入れる
お店の予約か何かをしてくれているのだろうか。
そうだったら、少し申し訳ないな……と考えて、首を振る
抱くべきは、そうじゃない。
風「終礼の後か……どうする?」
「あー無理ならいいよ?」
天乃「無理ではないわ」
風と沙織の反応でダメかと思ったクラスメイトに、首を振る
子供達を想ってのことだけれど、
一目散に帰宅したいというのはあくまで天乃の都合だ
それに、瞳達に頼めば連れてきてもらえる手はずになっている
天乃「ただ、子供たちのお昼もあるから……時間がかかるなら難しいの」
「時間はそんなにかからないよ。やりたいこと自体は30分もかからないかな」
天乃「それなら、大丈夫」
「じゃぁ終礼終わったらね」
天乃「ええ」
天乃の答えに満足したクラスメイトの一人が、
端末を持ち出して、どこかへと連絡を入れる
お店の予約か何かをしてくれているのだろうか。
そうだったら、少し申し訳ないな……と考えて、首を振る
抱くべきは、そうじゃない。
465:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/03(水) 21:53:17.40:mDd9J0i5O (2/2)
きてたか
きてたか
466: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/03(水) 22:00:45.01:4ZE+yW9bo (5/7)
「どう?」
「準備しとくってー」
天乃「何か大がかりなことしてる?」
「ん~そんな大がかりじゃない……? いや、大がかりかも」
沙織「なにするの?」
「それはお楽しみなのだ」
ふふんっと胸を張って出し渋る女生徒以外のクラスメイトも
知ってはいるが、言うつもりはないという態度で
沙織と風は知らされていないのだろう、本心からの驚きが感じられる
沙織「久遠さんを困らせたりしないよね?」
「大丈夫、絶対に困らせない」
普段、お茶らけた声色のクラスメイトの真剣な声が返る
思っていた以上の反応に戸惑う沙織は半歩後退りして、
真面目な面持ちのクラスメイトは眼鏡の位置を人差し指で正すと、にっこりと笑った
「さおぽんの気持ちもわかるけどさー私達だって、あまのんのこと愛してるんだよ?」
沙織「あっ愛……?」
「愛したって良いでしょ? 別に、それが必ずしも性的とは限らないんだし」
沙織「む~っ」
風「それはそうでしょ、仕方がない」
文句言いたげな沙織の頭をぽんっと叩いて、風は宥める
「どう?」
「準備しとくってー」
天乃「何か大がかりなことしてる?」
「ん~そんな大がかりじゃない……? いや、大がかりかも」
沙織「なにするの?」
「それはお楽しみなのだ」
ふふんっと胸を張って出し渋る女生徒以外のクラスメイトも
知ってはいるが、言うつもりはないという態度で
沙織と風は知らされていないのだろう、本心からの驚きが感じられる
沙織「久遠さんを困らせたりしないよね?」
「大丈夫、絶対に困らせない」
普段、お茶らけた声色のクラスメイトの真剣な声が返る
思っていた以上の反応に戸惑う沙織は半歩後退りして、
真面目な面持ちのクラスメイトは眼鏡の位置を人差し指で正すと、にっこりと笑った
「さおぽんの気持ちもわかるけどさー私達だって、あまのんのこと愛してるんだよ?」
沙織「あっ愛……?」
「愛したって良いでしょ? 別に、それが必ずしも性的とは限らないんだし」
沙織「む~っ」
風「それはそうでしょ、仕方がない」
文句言いたげな沙織の頭をぽんっと叩いて、風は宥める
467: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/03(水) 22:42:37.78:4ZE+yW9bo (6/7)
天乃は人気がある。それは事実だ
だから、好きな人も愛している人もいるだろう
クラスメイトは性的とは限らないというけれど、
性的な意味で好きな人もいないとは限らない
現に、沙織たちがそうだ
「あんまり言うとさっちんが怒るよ」
「だってさ~……」
天乃「?」
クラスメイトの女生徒の一人は渋るように沙織を一瞥すると
唇をきゅっと結んで天乃を見る
伺うようなその視線は、少し、見覚えがあった
「久遠さんさ、指の数くらいの付き合いする余裕ある?」
沙織「はぁっ!?」
「ちょっ、何言ってんの!?」
天乃は人気がある。それは事実だ
だから、好きな人も愛している人もいるだろう
クラスメイトは性的とは限らないというけれど、
性的な意味で好きな人もいないとは限らない
現に、沙織たちがそうだ
「あんまり言うとさっちんが怒るよ」
「だってさ~……」
天乃「?」
クラスメイトの女生徒の一人は渋るように沙織を一瞥すると
唇をきゅっと結んで天乃を見る
伺うようなその視線は、少し、見覚えがあった
「久遠さんさ、指の数くらいの付き合いする余裕ある?」
沙織「はぁっ!?」
「ちょっ、何言ってんの!?」
468: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/03(水) 23:51:42.96:4ZE+yW9bo (7/7)
指の数くらいの付き合い
クラスメイトのその言葉を誤魔化す意味はないだろう
勘違いはもうできない
本当はからかっているのなら、恥ずかしい話だが。
天乃の経験上、これは様子見だ
答え次第では「冗談だよ」と返答する確認
天乃は相手を押し倒しそうな沙織と、
それを抑え込む風を横目にクラスメイトを見る
じっと見ると、ほんのりと頬が染まる
天乃「ごめんなさい、流石にそこまでの包容力は私にはないわ」
「そっかぁ……だぁよねぇ」
残念そうに、でも、冗談かのように
クラスメイトは困ったように笑う
本心はどうだったのか……天乃は見抜くことを止めて、
騒がしい恋人の手を掴む
天乃「落ち着きなさい、間違っても手を出したら駄目よ」
沙織「解ってる」
「ごめんね伊集院さん、流石に婚約指輪してる人を奪う気はないよ」
沙織「これだから、婚約指輪は外せないんだよ……もぅ」
「まぁ? こ・ん・や・くだから、破棄し――」
「ストーップ! いい加減にしろ」
風「ったく……次は沙織のこと止めないからね」
懲りないクラスメイトへの制止と罵倒と呆れの騒がしさは
担任の登場で、一気に消え去っていった
指の数くらいの付き合い
クラスメイトのその言葉を誤魔化す意味はないだろう
勘違いはもうできない
本当はからかっているのなら、恥ずかしい話だが。
天乃の経験上、これは様子見だ
答え次第では「冗談だよ」と返答する確認
天乃は相手を押し倒しそうな沙織と、
それを抑え込む風を横目にクラスメイトを見る
じっと見ると、ほんのりと頬が染まる
天乃「ごめんなさい、流石にそこまでの包容力は私にはないわ」
「そっかぁ……だぁよねぇ」
残念そうに、でも、冗談かのように
クラスメイトは困ったように笑う
本心はどうだったのか……天乃は見抜くことを止めて、
騒がしい恋人の手を掴む
天乃「落ち着きなさい、間違っても手を出したら駄目よ」
沙織「解ってる」
「ごめんね伊集院さん、流石に婚約指輪してる人を奪う気はないよ」
沙織「これだから、婚約指輪は外せないんだよ……もぅ」
「まぁ? こ・ん・や・くだから、破棄し――」
「ストーップ! いい加減にしろ」
風「ったく……次は沙織のこと止めないからね」
懲りないクラスメイトへの制止と罵倒と呆れの騒がしさは
担任の登場で、一気に消え去っていった
469: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/04(木) 00:00:12.56:s9x03NWao (1/2)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
470:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/04(木) 00:06:01.46:KVJ2TdcrO (1/1)
乙
久遠さんと再会できたのが余程嬉しかったのかかなり興奮気味なクラスメイトちゃん
乙
久遠さんと再会できたのが余程嬉しかったのかかなり興奮気味なクラスメイトちゃん
471:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/04(木) 01:33:08.16:EfjgqjaHO (1/1)
乙
久遠さんnモテるなあ
乙
久遠さんnモテるなあ
472: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/04(木) 22:52:37.26:s9x03NWao (2/2)
すみませんが、本日はお休みとさせていただきます。
明日はできれば通常時間から
すみませんが、本日はお休みとさせていただきます。
明日はできれば通常時間から
473:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/04(木) 22:53:21.48:NHOugVAhO (1/1)
乙ですー
乙ですー
474: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/05(金) 22:46:41.66:TAYW+Ed0o (1/2)
遅くなりましたが少しだけ
遅くなりましたが少しだけ
475:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/05(金) 22:48:39.84:r9CQ8D0OO (1/1)
やったぜ
やったぜ
476: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/05(金) 23:54:58.09:TAYW+Ed0o (2/2)
「さて今日でみんなは中学生を卒業する……」
含みの感じられる言葉尻
クラス全体を見ていた担任の男性は視線を天乃へと向けると、
穏やかに笑みを浮かべて、またクラスみんなを見渡す
「卒業生は何度か見送ったが、正直このクラスほど、問題児ばっかりだったのは初めてだ」
「えーっ!」
笑い声と、隣席とのささやきが広がっていく
担任の男性はそれを止めようとはせず
それどころか乗っかって笑うと「冗談じゃないぞ」と、皮肉ぶる
実際、天乃の件で暴動にまで発展させたクラスは問題児どころではなかったはずだ
担任にとっても、学校にとっても
大赦にとっても
神樹様が失われ、大赦の力も失われていくことだろう
そうなれば、天乃が今までのように嫌な目に遭うことも無くなるはずだが
それ以外の事でも、やろうと思えばやれてしまうのがこのクラスだ
だからあえて、彼は釘をさす
「高校生になってもその気持ちは忘れないように。ただし、やりすぎないように」
「さて今日でみんなは中学生を卒業する……」
含みの感じられる言葉尻
クラス全体を見ていた担任の男性は視線を天乃へと向けると、
穏やかに笑みを浮かべて、またクラスみんなを見渡す
「卒業生は何度か見送ったが、正直このクラスほど、問題児ばっかりだったのは初めてだ」
「えーっ!」
笑い声と、隣席とのささやきが広がっていく
担任の男性はそれを止めようとはせず
それどころか乗っかって笑うと「冗談じゃないぞ」と、皮肉ぶる
実際、天乃の件で暴動にまで発展させたクラスは問題児どころではなかったはずだ
担任にとっても、学校にとっても
大赦にとっても
神樹様が失われ、大赦の力も失われていくことだろう
そうなれば、天乃が今までのように嫌な目に遭うことも無くなるはずだが
それ以外の事でも、やろうと思えばやれてしまうのがこのクラスだ
だからあえて、彼は釘をさす
「高校生になってもその気持ちは忘れないように。ただし、やりすぎないように」
477: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/06(土) 00:48:39.78:/80q2/JQo (1/8)
「はーい」
「わかってまーす!」
不揃いな了承の声がいたるところから上がる
茶化しているようにも取れる声色ではあるものの
クラスメイト達は本心で言っているのだろう
クラスの中で一番、子供っぽい性格の女生徒が「大丈夫です」と、宣誓する
「大丈夫です、先生。あまのんが戻って来たんだもん。幸せそうなんだもん……大丈夫だよ」
「……そうだな。戻ってきてくれてよかった。3人とも」
天乃と風と沙織
一番長く外していた天乃を含め、
数ヶ月はまともに通えていなかった二人も対象に、担任は目を向ける
廊下に居ても聞こえたクラスの笑い声
病院で見たような状況ではないのは、明らかだった
「改めて……卒業おめでとう」
今まで閉ざされていた世界も露わになり、
これまで以上に大変な事もあるかもしれないが、
みんなら大丈夫だろうと、男性教師は困ったように笑った
「はーい」
「わかってまーす!」
不揃いな了承の声がいたるところから上がる
茶化しているようにも取れる声色ではあるものの
クラスメイト達は本心で言っているのだろう
クラスの中で一番、子供っぽい性格の女生徒が「大丈夫です」と、宣誓する
「大丈夫です、先生。あまのんが戻って来たんだもん。幸せそうなんだもん……大丈夫だよ」
「……そうだな。戻ってきてくれてよかった。3人とも」
天乃と風と沙織
一番長く外していた天乃を含め、
数ヶ月はまともに通えていなかった二人も対象に、担任は目を向ける
廊下に居ても聞こえたクラスの笑い声
病院で見たような状況ではないのは、明らかだった
「改めて……卒業おめでとう」
今まで閉ざされていた世界も露わになり、
これまで以上に大変な事もあるかもしれないが、
みんなら大丈夫だろうと、男性教師は困ったように笑った
478: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/06(土) 02:07:43.54:/80q2/JQo (2/8)
「久遠さん久遠さん」
天乃「なに?」
「先生にお別れのキスでもしてあげたら?」
沙織「!?」
天乃の手前に座る女子生徒の言葉には、
天乃以上に、沙織が驚いて机が僅かに蹴り上がる
その鈍痛などなかったかのように、沙織の首がぐるっと動いて女生徒に向かう
沙織「絶対ダメだよ!?」
「でも――」
「待て待て! 久遠さんに限らずそれは許されない。冗談にもならない」
食い下がろうとする女子生徒に対し、担任の声が飛ぶ
男子生徒が悪ふざけで頬にキス―想像したくもないが―それならばまだ、許されないこともない
だが、女子生徒にそれをさせてしまうと、とてもではないが許されない
それが天乃であれば、なおのこと
「最後の最後まで、冗談にならないことは止めてくれ」
天乃「ん……そう。残念ね」
風「天乃~っ!?」
担任の心からの願いに天乃が笑うと沙織でも担任でもなく、風の声が響く
最後の最後まで騒がしくて、涙ながらの卒業にもならない
けれど、担任の男性教師は収まりのつかなくなりつつある今の騒がしさにこそ、幸福を感じてしまう
クラスメイト……天乃の欠けていた時期を思えばむしろ穏やかだ
「みんながこれからも健康を一番に、前へ前へと進んでいけるよう願ってるよ」
男性教師は笑い交じりに、少し投げやりにそう言って、手を叩く
静まり返ることさえなく、男子と女子の入り混じった返事が返ってくる
とても締まりのない終わり
でもそれが、彼が受け持ったクラスだった
「久遠さん久遠さん」
天乃「なに?」
「先生にお別れのキスでもしてあげたら?」
沙織「!?」
天乃の手前に座る女子生徒の言葉には、
天乃以上に、沙織が驚いて机が僅かに蹴り上がる
その鈍痛などなかったかのように、沙織の首がぐるっと動いて女生徒に向かう
沙織「絶対ダメだよ!?」
「でも――」
「待て待て! 久遠さんに限らずそれは許されない。冗談にもならない」
食い下がろうとする女子生徒に対し、担任の声が飛ぶ
男子生徒が悪ふざけで頬にキス―想像したくもないが―それならばまだ、許されないこともない
だが、女子生徒にそれをさせてしまうと、とてもではないが許されない
それが天乃であれば、なおのこと
「最後の最後まで、冗談にならないことは止めてくれ」
天乃「ん……そう。残念ね」
風「天乃~っ!?」
担任の心からの願いに天乃が笑うと沙織でも担任でもなく、風の声が響く
最後の最後まで騒がしくて、涙ながらの卒業にもならない
けれど、担任の男性教師は収まりのつかなくなりつつある今の騒がしさにこそ、幸福を感じてしまう
クラスメイト……天乃の欠けていた時期を思えばむしろ穏やかだ
「みんながこれからも健康を一番に、前へ前へと進んでいけるよう願ってるよ」
男性教師は笑い交じりに、少し投げやりにそう言って、手を叩く
静まり返ることさえなく、男子と女子の入り混じった返事が返ってくる
とても締まりのない終わり
でもそれが、彼が受け持ったクラスだった
479: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/06(土) 02:10:05.91:/80q2/JQo (3/8)
遅くなりましたがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
遅くなりましたがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
480:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/06(土) 03:41:38.03:KpJS27JTO (1/1)
乙
久遠さんもいよいよ卒業かあ
乙
久遠さんもいよいよ卒業かあ
481:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/06(土) 04:06:23.18:/I4EGW2vO (1/1)
乙
乙
482:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/06(土) 12:52:06.67:37EjSOxS0 (1/1)
クオンサン タンジョウビ オメデト
クオンサン タンジョウビ オメデト
483: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/06(土) 21:17:14.32:/80q2/JQo (4/8)
では少しだけ
では少しだけ
484: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/06(土) 21:54:03.71:/80q2/JQo (5/8)
「あまのん! 立てる?」
天乃「っ」
机を弾き飛ばす勢いで突っ込んできたクラスメイトは、
ごつんっと額を打ちながらも、平然と天乃を見上げる
赤くなった額はちょっぴり痛そうだが、どうとも思っていないようだった
天乃「大丈夫、なの?」
「へーきへーき、あまのんは? 疲れてない?」
天乃「ええ、大丈夫よ」
「ん……」
天乃は女子生徒のずり落ちた眼鏡を直してあげると、
痛そうな額を一瞥して、頬を撫でる
女生徒はキスを待つかのように目を閉じたが、流石にキスをする気はない
天乃「危ないことしないでね」
「ごめんなさーい」
天乃「次やったら怒るからね」
むにゅっと頬を抓ると、
女生徒は痛みを訴えず、嬉しそうに笑った
「あまのん! 立てる?」
天乃「っ」
机を弾き飛ばす勢いで突っ込んできたクラスメイトは、
ごつんっと額を打ちながらも、平然と天乃を見上げる
赤くなった額はちょっぴり痛そうだが、どうとも思っていないようだった
天乃「大丈夫、なの?」
「へーきへーき、あまのんは? 疲れてない?」
天乃「ええ、大丈夫よ」
「ん……」
天乃は女子生徒のずり落ちた眼鏡を直してあげると、
痛そうな額を一瞥して、頬を撫でる
女生徒はキスを待つかのように目を閉じたが、流石にキスをする気はない
天乃「危ないことしないでね」
「ごめんなさーい」
天乃「次やったら怒るからね」
むにゅっと頬を抓ると、
女生徒は痛みを訴えず、嬉しそうに笑った
485:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/06(土) 22:12:03.18:/rCiJtZxO (1/1)
遅れたけど久遠さん誕生日おめー
遅れたけど久遠さん誕生日おめー
486: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/06(土) 23:09:22.91:/80q2/JQo (6/8)
沙織「そ、れ、で?」
「ぐぇっ」
沙織はクラスメイトの襟首をつかんで引っ張ると
自分の体を天乃との間に入り込ませて、じっと睨む
敵意を感じさせる雰囲気を漂わせる沙織だが、
それに気づいているのは天乃と風、
それと睨まれている女生徒くらいなのか、
沙織の妨害は【らしい】という一言で片づけられてしまう
沙織「久遠さんをどこに連れて行きたいのかな?」
「あー……そうそう。すぐ近くだよ」
沙織ににらまれている女子生徒とは別の女の子が、思い出したように答える
「久遠さん、立てる?」
天乃「大丈夫だってば、そこまでひ弱じゃないわ」
「ならよかった。伊集院さんと犬吠埼さんも大丈夫かな?」
風「あたし達も?」
「そっ、みんな」
沙織「そ、れ、で?」
「ぐぇっ」
沙織はクラスメイトの襟首をつかんで引っ張ると
自分の体を天乃との間に入り込ませて、じっと睨む
敵意を感じさせる雰囲気を漂わせる沙織だが、
それに気づいているのは天乃と風、
それと睨まれている女生徒くらいなのか、
沙織の妨害は【らしい】という一言で片づけられてしまう
沙織「久遠さんをどこに連れて行きたいのかな?」
「あー……そうそう。すぐ近くだよ」
沙織ににらまれている女子生徒とは別の女の子が、思い出したように答える
「久遠さん、立てる?」
天乃「大丈夫だってば、そこまでひ弱じゃないわ」
「ならよかった。伊集院さんと犬吠埼さんも大丈夫かな?」
風「あたし達も?」
「そっ、みんな」
487: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/06(土) 23:31:51.01:/80q2/JQo (7/8)
軽快に答えた女子生徒は、
座り込んでいるクラスメイトを引き立たせると、
天乃の肩に触れようとして――沙織の背中を突く
「久遠さんを支えてあげてね」
沙織「任せて」
沙織はにこやかに答える
天乃の方へと振り向くと、手を差し出す
天乃「別にいいのに」
沙織「駄目だよ。久遠さん、疲れてはいるでしょ」
天乃は沙織の仕方がないなぁ。と言いたげな笑みから目を逸らす
無理をしているわけではない
しかし、立ったり座ったり、歩いたり
徒歩登校してきたことも相極まって、疲労感は残る
沙織の手を取って、天乃は苦笑を浮かべた
天乃「少しだけね」
沙織「えへへ……それで、どこに行くの?」
「体育館だよ。特別に借りてるんだよね~」
軽快に答えた女子生徒は、
座り込んでいるクラスメイトを引き立たせると、
天乃の肩に触れようとして――沙織の背中を突く
「久遠さんを支えてあげてね」
沙織「任せて」
沙織はにこやかに答える
天乃の方へと振り向くと、手を差し出す
天乃「別にいいのに」
沙織「駄目だよ。久遠さん、疲れてはいるでしょ」
天乃は沙織の仕方がないなぁ。と言いたげな笑みから目を逸らす
無理をしているわけではない
しかし、立ったり座ったり、歩いたり
徒歩登校してきたことも相極まって、疲労感は残る
沙織の手を取って、天乃は苦笑を浮かべた
天乃「少しだけね」
沙織「えへへ……それで、どこに行くの?」
「体育館だよ。特別に借りてるんだよね~」
488: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/06(土) 23:59:27.81:/80q2/JQo (8/8)
天乃「体育館?」
ついさっきまで卒業式で使っていたはずの場所
だとしたら、終礼前にクラスメイトが連絡していたのはその辺りのことだろう
卒業式のための装飾、椅子などの片づけを誰かに手伝わせて早回しに行わせ
天乃達に見せるための何かを準備させたのかもしれない
天乃「大がかりじゃない……」
「そんなことないよ。一ヶ月くらいでゆっくりやったから」
平然と言う女子生徒の周りで、クラスメイトはうんうんと頷く
もはや一年近く休学していたと言える天乃を見てきた彼女たちとしては
たった一ヶ月程度……と言うものなのだ
天乃に言わせれば一ヶ月も。なのだけれど。
天乃「それが大規模じゃなかったら何が大規模なのかしらね」
沙織「もう準備は出来てるの?」
「大丈夫だよ」
「あまのん、さっちん、さき坊。いこっか」
風「さ、さき坊……?」
風の戸惑う声にクラスメイトの女子生徒は笑みを見せただけで
もう一度、「いこっか」と、沙織と風の背中を押した
天乃「体育館?」
ついさっきまで卒業式で使っていたはずの場所
だとしたら、終礼前にクラスメイトが連絡していたのはその辺りのことだろう
卒業式のための装飾、椅子などの片づけを誰かに手伝わせて早回しに行わせ
天乃達に見せるための何かを準備させたのかもしれない
天乃「大がかりじゃない……」
「そんなことないよ。一ヶ月くらいでゆっくりやったから」
平然と言う女子生徒の周りで、クラスメイトはうんうんと頷く
もはや一年近く休学していたと言える天乃を見てきた彼女たちとしては
たった一ヶ月程度……と言うものなのだ
天乃に言わせれば一ヶ月も。なのだけれど。
天乃「それが大規模じゃなかったら何が大規模なのかしらね」
沙織「もう準備は出来てるの?」
「大丈夫だよ」
「あまのん、さっちん、さき坊。いこっか」
風「さ、さき坊……?」
風の戸惑う声にクラスメイトの女子生徒は笑みを見せただけで
もう一度、「いこっか」と、沙織と風の背中を押した
489: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/07(日) 00:06:57.02:D8cvzZBno (1/5)
では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
沙織「久遠さんの誕生日って、大体祝えないよね」
風「いっつも厳しい時期だからね」
樹「久遠先輩が無茶さえしなければ……と言うところですね」
園子「ん~……無理かも~」
友奈「久遠先輩、今年はちゃんと、お祝いさせてくださいね?」
天乃「ええ、もう……無理はしないわ」
夏凜「約束しなさいよ。天乃」
では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
沙織「久遠さんの誕生日って、大体祝えないよね」
風「いっつも厳しい時期だからね」
樹「久遠先輩が無茶さえしなければ……と言うところですね」
園子「ん~……無理かも~」
友奈「久遠先輩、今年はちゃんと、お祝いさせてくださいね?」
天乃「ええ、もう……無理はしないわ」
夏凜「約束しなさいよ。天乃」
490:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/07(日) 00:16:19.69:UTfqNc4cO (1/1)
乙
久遠さんの誕生日はだいたい物語のターニングポイントだからね
家族が壊滅したり記憶喪失になったり凶暴な猿猴が誕生したり…
乙
久遠さんの誕生日はだいたい物語のターニングポイントだからね
家族が壊滅したり記憶喪失になったり凶暴な猿猴が誕生したり…
491:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/07(日) 01:33:33.39:opX4KcDoO (1/1)
乙
そうか誕生日だったのか知らなかったわ
乙
そうか誕生日だったのか知らなかったわ
492: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/07(日) 21:53:44.83:D8cvzZBno (2/5)
遅くなりましたが、少しだけ
遅くなりましたが、少しだけ
493:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/07(日) 21:59:58.08:Dt1ICVa7O (1/1)
かもーん
かもーん
494: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/07(日) 22:46:55.71:D8cvzZBno (3/5)
友奈「久遠先輩!」
天乃「あら……」
体育館への通用口へと差し掛かると、昨日ぶりの快活な声が届く
普段は入院していて、学校を休んでいる友奈だ
今日は卒業式で、せっかくだからと一時外出の許可を取った友奈は
天乃が以前使っていた車椅子をそのまま譲り受けて、使っている
そのすぐそばには東郷と夏凜がいて、園子と樹が天乃へと駆け寄ってきた
園子「天さん卒おめ~」
樹「ご卒業、おめでとうございます」
天乃「ありがとう」
緩やかな喜びと、しっかりとした祝福に天乃は微笑む
天乃「みんなも呼ばれたの?」
樹「勇者部一同ご招待って呼ばれました」
風は「勇者部?」と呟くと、思考を巡らせるように顎の方に手をあてがう
風と沙織も含めてという時点でそれとなく想像はできるけれど
それだけならまだ卒業生のみ……という解釈もできる
しかし、樹達もとなれば、流石に察してしまう
風「もしかして、例の件?」
友奈「久遠先輩!」
天乃「あら……」
体育館への通用口へと差し掛かると、昨日ぶりの快活な声が届く
普段は入院していて、学校を休んでいる友奈だ
今日は卒業式で、せっかくだからと一時外出の許可を取った友奈は
天乃が以前使っていた車椅子をそのまま譲り受けて、使っている
そのすぐそばには東郷と夏凜がいて、園子と樹が天乃へと駆け寄ってきた
園子「天さん卒おめ~」
樹「ご卒業、おめでとうございます」
天乃「ありがとう」
緩やかな喜びと、しっかりとした祝福に天乃は微笑む
天乃「みんなも呼ばれたの?」
樹「勇者部一同ご招待って呼ばれました」
風は「勇者部?」と呟くと、思考を巡らせるように顎の方に手をあてがう
風と沙織も含めてという時点でそれとなく想像はできるけれど
それだけならまだ卒業生のみ……という解釈もできる
しかし、樹達もとなれば、流石に察してしまう
風「もしかして、例の件?」
495: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/07(日) 23:45:26.00:D8cvzZBno (4/5)
「まぁまぁ、ほらっ、もうすぐだから」
女子生徒は答えを渋って天乃の背中を押す
押す気力の感じられない弱い力ではあったものの
天乃が半歩踏み出せば、もっともっとと押し込んでいく
天乃「あんまり押さないで、躓いちゃう」
「ごめんっ」
背中への圧力が消える
一般的な女子生徒のさらに弱いものでも天乃の体は動かされてしまう
元々小さいのが原因だろう
背中を押していた女子生徒も決して高身長ではないものの
天乃よりは10cmも高い
沙織「久遠さんはか弱いんだから、強引なことすると……怒っちゃうよ?」
「う、うんっ」
声こそ優しいが、怒りを感じるような笑顔を見せる沙織に女子生徒は身震いする
温厚なはずの沙織だが、ここ最近は天乃関連になると非常に恐ろしく感じる時がある
普通の子は分からないが、猿猴の影響だ
天乃「こーらっ、あんまり悪さをするようなら、私も考えることになるわよ」
沙織「あっ……あははっ」
精霊の力を天乃が引き取る
そうすれば猿猴という精霊は消滅し、その分の力が天乃に加わる
体調を崩すことになるだろうが、悪さをするならばそれも考えなければならない
「まぁまぁ、ほらっ、もうすぐだから」
女子生徒は答えを渋って天乃の背中を押す
押す気力の感じられない弱い力ではあったものの
天乃が半歩踏み出せば、もっともっとと押し込んでいく
天乃「あんまり押さないで、躓いちゃう」
「ごめんっ」
背中への圧力が消える
一般的な女子生徒のさらに弱いものでも天乃の体は動かされてしまう
元々小さいのが原因だろう
背中を押していた女子生徒も決して高身長ではないものの
天乃よりは10cmも高い
沙織「久遠さんはか弱いんだから、強引なことすると……怒っちゃうよ?」
「う、うんっ」
声こそ優しいが、怒りを感じるような笑顔を見せる沙織に女子生徒は身震いする
温厚なはずの沙織だが、ここ最近は天乃関連になると非常に恐ろしく感じる時がある
普通の子は分からないが、猿猴の影響だ
天乃「こーらっ、あんまり悪さをするようなら、私も考えることになるわよ」
沙織「あっ……あははっ」
精霊の力を天乃が引き取る
そうすれば猿猴という精霊は消滅し、その分の力が天乃に加わる
体調を崩すことになるだろうが、悪さをするならばそれも考えなければならない
496: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/07(日) 23:58:24.43:D8cvzZBno (5/5)
沙織「気を付ける……ごめんね」
「えっ、あっ、うん……?」
唐突に謝られた女子生徒は戸惑うが、
沙織は困ったように笑って胸を撫で下ろすと、深呼吸をする
ひしひしと感じられた敵意のようなものは霧散して、
いつもの穏和な空気に戻った
「ねぇ、沙織」
沙織「うん?」
「沙織、だよね?」
沙織は目を見開いて、ふと笑う
園子に似た間延びした声を漏らし、はっとする。
悪いことというと語弊が生じるけれど、悪戯を思いついた顔だ
沙織「伊集院かって言われたら違うけど、沙織だよ?」
風「久遠はまだ先の話でしょ」
風は呆れ混じりにぺしっと頭を叩き、沙織を置いて天乃の手を引く
遅れるように動いた天乃にさらに遅れて、沙織が「待って」と続いた
沙織「気を付ける……ごめんね」
「えっ、あっ、うん……?」
唐突に謝られた女子生徒は戸惑うが、
沙織は困ったように笑って胸を撫で下ろすと、深呼吸をする
ひしひしと感じられた敵意のようなものは霧散して、
いつもの穏和な空気に戻った
「ねぇ、沙織」
沙織「うん?」
「沙織、だよね?」
沙織は目を見開いて、ふと笑う
園子に似た間延びした声を漏らし、はっとする。
悪いことというと語弊が生じるけれど、悪戯を思いついた顔だ
沙織「伊集院かって言われたら違うけど、沙織だよ?」
風「久遠はまだ先の話でしょ」
風は呆れ混じりにぺしっと頭を叩き、沙織を置いて天乃の手を引く
遅れるように動いた天乃にさらに遅れて、沙織が「待って」と続いた
497: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/08(月) 00:28:00.03:6BVP1Mf8o (1/3)
「どぞー」
クラスメイトが体育館の扉を開く
天乃「えっ」
夏凜「……すごいわね」
ついさっきも見たはずの世界は、まったく違ったものになっていた
壁際の垂れ幕は紅白ではなく、勇者部に対する寄せ書きに満ちていて、
白いはずの幕は、おそらく全校生徒の字によって、色とりどりに染まっている
多くの椅子が並んでいた床には6人分の椅子があって、
周囲には讃州中学の他の学年、ほかのクラスの生徒が集まっている
流石に全校生徒ではないが、かなりの人数だ
「勇者部~っ!」
大人数のやや不揃いな声が響く
元部長の風も見たことはない光景に、口を押える
風「なに……これ」
「勇者部の送迎会というか……ほらっ、今までは大赦のせいで縛りがあってお礼も何もできなかったから。ありがとうって」
「世界を広げてくれたのも、私達がこうして生きていけてるのも……みんな勇者部のみんなが頑張ってくれたから。なんだよね?」
「どぞー」
クラスメイトが体育館の扉を開く
天乃「えっ」
夏凜「……すごいわね」
ついさっきも見たはずの世界は、まったく違ったものになっていた
壁際の垂れ幕は紅白ではなく、勇者部に対する寄せ書きに満ちていて、
白いはずの幕は、おそらく全校生徒の字によって、色とりどりに染まっている
多くの椅子が並んでいた床には6人分の椅子があって、
周囲には讃州中学の他の学年、ほかのクラスの生徒が集まっている
流石に全校生徒ではないが、かなりの人数だ
「勇者部~っ!」
大人数のやや不揃いな声が響く
元部長の風も見たことはない光景に、口を押える
風「なに……これ」
「勇者部の送迎会というか……ほらっ、今までは大赦のせいで縛りがあってお礼も何もできなかったから。ありがとうって」
「世界を広げてくれたのも、私達がこうして生きていけてるのも……みんな勇者部のみんなが頑張ってくれたから。なんだよね?」
498: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/08(月) 00:30:45.94:6BVP1Mf8o (2/3)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
499:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/08(月) 01:32:20.53:rWY24UCQO (1/1)
乙
こうして労ってもらうとよかったなあと思うよね
乙
こうして労ってもらうとよかったなあと思うよね
500:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/08(月) 06:06:35.04:S+o/YiNEO (1/1)
乙
クラスメイト達による送迎会か…なかなか新鮮だな
乙
クラスメイト達による送迎会か…なかなか新鮮だな
501: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/08(月) 23:42:16.66:6BVP1Mf8o (3/3)
すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日はできれば通常時間から
予定
クラスメイト交流:勇者部へのお礼
部室交流:勇者部交流
すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日はできれば通常時間から
予定
クラスメイト交流:勇者部へのお礼
部室交流:勇者部交流
502:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/08(月) 23:52:39.14:SHYdWM3cO (1/1)
乙ですー
乙ですー
503: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/09(火) 22:01:57.99:HmIwFiVzo (1/3)
では少しだけ
では少しだけ
504:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/09(火) 22:08:13.10:ofxoiCI40 (1/1)
よしきた
よしきた
505: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/09(火) 22:14:43.08:HmIwFiVzo (2/3)
クラスメイトの女子生徒は、どこか悲し気に笑う
勇者部が頑張ってくれていたことを知ったのは、本当に最近だ
天乃がボロボロになっていく、休学が増えていく
さらには子供が出来たなんていう話まで……
そんな事態になってからだった
「勇者部のみなさん、本当に、ありがとうございました」
天乃「えっと……」
「生徒会長です。元、ですけどね」
天乃の戸惑いが自分が誰なのかわからなかったからだろうと察した女子生徒は微笑む
天乃と同じ三年生ではあるが、クラスは別だ
長い休学もあったし、大して表立った活動もしていない元生徒会長としては
知られていないのも無理はないだろうと理解している
「流石に全校生徒は難しいので、勇者部の方々と親しい方以外の代表とさせていただきました」
元生徒会長は穏やかに述べると、もう一度「ありがとうございました」と、頭を下げる
それにつられるようにほかの生徒達も礼をする
ありがとうという言葉を重ねないのは、不揃いになってしまうからだろう
クラスメイトの女子生徒は、どこか悲し気に笑う
勇者部が頑張ってくれていたことを知ったのは、本当に最近だ
天乃がボロボロになっていく、休学が増えていく
さらには子供が出来たなんていう話まで……
そんな事態になってからだった
「勇者部のみなさん、本当に、ありがとうございました」
天乃「えっと……」
「生徒会長です。元、ですけどね」
天乃の戸惑いが自分が誰なのかわからなかったからだろうと察した女子生徒は微笑む
天乃と同じ三年生ではあるが、クラスは別だ
長い休学もあったし、大して表立った活動もしていない元生徒会長としては
知られていないのも無理はないだろうと理解している
「流石に全校生徒は難しいので、勇者部の方々と親しい方以外の代表とさせていただきました」
元生徒会長は穏やかに述べると、もう一度「ありがとうございました」と、頭を下げる
それにつられるようにほかの生徒達も礼をする
ありがとうという言葉を重ねないのは、不揃いになってしまうからだろう
506: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/09(火) 22:54:34.72:HmIwFiVzo (3/3)
風「まさか、お礼を言われるとは思わなかった……」
「感謝されるべきだと思います。そもそも、お役目などという不透明な一言で片づけるべきではありません」
元生徒会長は断言する
大赦の【お役目】という部分だけが強調されたように聞こえたのは気のせいではないだろう
自分たちが気付かなかったことを悔いているのもそうだが、
大赦や大人たちがたったそれだけの言葉ではぐらかしていたことが気に入らないのだ
天乃はそんな生徒会長から周囲の生徒達へと視線を動かし、
体育館の周囲の壁に下ろされている垂れ幕を見る
どれもこれもびっしりと埋まっていて、それが合わせて6枚ほど……だろうか
ひとクラスが書くような量ではない
天乃「大赦に知られたら大変な事になるのに」
感嘆から思わず漏れたような独り言だったが
すぐ傍に居たクラスメイトは笑いながら、天乃の肩の辺りに顔を出し、答えた
「それはそうだけど、書かずにはいられないよね」
「本当は、入院中にお渡ししたかったのですが」
天乃「今でも十分、気持ちが伝わるわ。ありがとう」
この後頂いて良いのでしょう? と言うと、
元生徒会長は少し驚くそぶりを見せて「ぜひに」と、微笑んだ
風「まさか、お礼を言われるとは思わなかった……」
「感謝されるべきだと思います。そもそも、お役目などという不透明な一言で片づけるべきではありません」
元生徒会長は断言する
大赦の【お役目】という部分だけが強調されたように聞こえたのは気のせいではないだろう
自分たちが気付かなかったことを悔いているのもそうだが、
大赦や大人たちがたったそれだけの言葉ではぐらかしていたことが気に入らないのだ
天乃はそんな生徒会長から周囲の生徒達へと視線を動かし、
体育館の周囲の壁に下ろされている垂れ幕を見る
どれもこれもびっしりと埋まっていて、それが合わせて6枚ほど……だろうか
ひとクラスが書くような量ではない
天乃「大赦に知られたら大変な事になるのに」
感嘆から思わず漏れたような独り言だったが
すぐ傍に居たクラスメイトは笑いながら、天乃の肩の辺りに顔を出し、答えた
「それはそうだけど、書かずにはいられないよね」
「本当は、入院中にお渡ししたかったのですが」
天乃「今でも十分、気持ちが伝わるわ。ありがとう」
この後頂いて良いのでしょう? と言うと、
元生徒会長は少し驚くそぶりを見せて「ぜひに」と、微笑んだ
507: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/10(水) 00:00:56.77:UVydkH0Do (1/3)
東郷「本当にすごいわ」
天乃の級友が外してくれた垂れ幕を受け取った東郷は屈んで、友奈に見えやすいように体を傾ける
友奈はありがとう。とやや申し訳なさそうに言いつつ、垂れ幕を見る
友奈「本当だね……凄い」
天乃の入院に対するものが多く感じられるのは発端がそれだったからだろう
別の垂れ幕を見てみれば、勇者部のことに言及するものも増え始めている
当然ではあるけれど、すべて手書きだ
文字が大きかったり小さかったり、一部だけ色を変えていたりと
書く人書く人の想いが染み込んでいる
友奈は嬉しそうに「凄いね」と繰り返し、続きそうになった口を閉じた
どうするべきか、と迷ったのだ
樹「お姉ちゃん、元部長が良いんじゃないかな」
風「ん? あー……」
勇者部と称されるのは8人だ
全員そろって「ありがとうございます」と言うのは何だか違う
かといって、個人個人でバラバラに言うのはどうだろうか。
元生徒会長が出てきてくれたのだから、勇者部も代表にするのが良いのではと樹は考えたのだ
天乃「風、貴女に任せるわ。元部長さん」
それを後押しするように笑う天乃を、風はやっぱりか。と言いたげに一瞥した
東郷「本当にすごいわ」
天乃の級友が外してくれた垂れ幕を受け取った東郷は屈んで、友奈に見えやすいように体を傾ける
友奈はありがとう。とやや申し訳なさそうに言いつつ、垂れ幕を見る
友奈「本当だね……凄い」
天乃の入院に対するものが多く感じられるのは発端がそれだったからだろう
別の垂れ幕を見てみれば、勇者部のことに言及するものも増え始めている
当然ではあるけれど、すべて手書きだ
文字が大きかったり小さかったり、一部だけ色を変えていたりと
書く人書く人の想いが染み込んでいる
友奈は嬉しそうに「凄いね」と繰り返し、続きそうになった口を閉じた
どうするべきか、と迷ったのだ
樹「お姉ちゃん、元部長が良いんじゃないかな」
風「ん? あー……」
勇者部と称されるのは8人だ
全員そろって「ありがとうございます」と言うのは何だか違う
かといって、個人個人でバラバラに言うのはどうだろうか。
元生徒会長が出てきてくれたのだから、勇者部も代表にするのが良いのではと樹は考えたのだ
天乃「風、貴女に任せるわ。元部長さん」
それを後押しするように笑う天乃を、風はやっぱりか。と言いたげに一瞥した
508: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/10(水) 00:02:09.10:UVydkH0Do (2/3)
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
509:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/10(水) 00:12:12.26:60Z9ctRiO (1/1)
乙
クラスメイトのみんなも本当にいい人たちだなぁ…
乙
クラスメイトのみんなも本当にいい人たちだなぁ…
510:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/10(水) 06:07:41.27:fNeWl4GCO (1/1)
乙ー
乙ー
511: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/10(水) 22:55:31.73:UVydkH0Do (3/3)
遅くなりましたが、少しだけ
遅くなりましたが、少しだけ
512:以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします:2020/06/10(水) 23:05:12.16:QAx/CZsa0 (1/1)
あいよ
あいよ
513: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/11(木) 00:14:56.45:96vUrKbso (1/6)
天乃が代表として……というのも間違いではないが、
勇者部としての当時の代表は風だ
天乃は天乃で、すでにお礼を口にしてしまっているし、
ならば、勇者部は自分が言うべきかと風は少し悩んで、頷く
風「会長……それに、みんなも。本当にありがとう。感謝されるとは思ってなかった。けど……」
風は言葉を切ると、笑みを浮かべる
風「凄く、凄く……嬉しい」
感謝されたいと思ってやっていたわけではない
勇者部が戦い続けたのは、守るためだ
世界を、自分たちを、そして天乃を
天乃を犠牲にしなければ守れないのであれば、滅んでしまってもいいとさえ思ったりもしてしまったことだってある
けれど、だから【嬉しい】と感じる
風「守れてよかった、諦めなくてよかった……ごめん、ごめんなさい」
「さき坊?」
「犬吠埼さん?」
クラスメイトが、生徒会長が風の謝罪に戸惑う
僅かでも切り捨てようと考えたなんてことは、一般生徒に分かるはずがない
口を閉じていた夏凜は、風を留めようとしたが、園子が止める
天乃が代表として……というのも間違いではないが、
勇者部としての当時の代表は風だ
天乃は天乃で、すでにお礼を口にしてしまっているし、
ならば、勇者部は自分が言うべきかと風は少し悩んで、頷く
風「会長……それに、みんなも。本当にありがとう。感謝されるとは思ってなかった。けど……」
風は言葉を切ると、笑みを浮かべる
風「凄く、凄く……嬉しい」
感謝されたいと思ってやっていたわけではない
勇者部が戦い続けたのは、守るためだ
世界を、自分たちを、そして天乃を
天乃を犠牲にしなければ守れないのであれば、滅んでしまってもいいとさえ思ったりもしてしまったことだってある
けれど、だから【嬉しい】と感じる
風「守れてよかった、諦めなくてよかった……ごめん、ごめんなさい」
「さき坊?」
「犬吠埼さん?」
クラスメイトが、生徒会長が風の謝罪に戸惑う
僅かでも切り捨てようと考えたなんてことは、一般生徒に分かるはずがない
口を閉じていた夏凜は、風を留めようとしたが、園子が止める
514: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/11(木) 00:42:26.91:96vUrKbso (2/6)
夏凜「園子――」
園子「大丈夫」
園子の声に柔らかさはない
手を握る園子の手には少しだけ力が籠っていて
夏凜は園子を見ると、その視線の先に目を向ける
風の言葉に驚く級友達と、元会長
みんなは風のことを見て……そして、元会長が一歩踏み出す
「……勇者様、私達の謝罪も受け取っていただけますか?」
風「え?」
「不公平ではありませんか。私達は感謝しかしていないのに、一方的にごめんなさいなど……」
元会長は、本当に困りました。と言いたげに眉を顰める
風の謝罪の理由は、風自身が語っている
想像に容易いとは口が裂けても言えることではない
「勇者様といえど、級友であり後輩であり……同年代。そこに課せられた重責を思えば、世界を諦めるのも無理はありません」
元会長は「少なくとも、私でしたら早々に心折れていたことかと思います」と、苦笑する
なぜ、自分がこんなことをしなければいけないのか
なぜ周りがのうのうと生きている中で、自分達だけが。と
「むしろ、のうのうと生きてきた側が申し訳ないと言うべきだと思っています」
夏凜「園子――」
園子「大丈夫」
園子の声に柔らかさはない
手を握る園子の手には少しだけ力が籠っていて
夏凜は園子を見ると、その視線の先に目を向ける
風の言葉に驚く級友達と、元会長
みんなは風のことを見て……そして、元会長が一歩踏み出す
「……勇者様、私達の謝罪も受け取っていただけますか?」
風「え?」
「不公平ではありませんか。私達は感謝しかしていないのに、一方的にごめんなさいなど……」
元会長は、本当に困りました。と言いたげに眉を顰める
風の謝罪の理由は、風自身が語っている
想像に容易いとは口が裂けても言えることではない
「勇者様といえど、級友であり後輩であり……同年代。そこに課せられた重責を思えば、世界を諦めるのも無理はありません」
元会長は「少なくとも、私でしたら早々に心折れていたことかと思います」と、苦笑する
なぜ、自分がこんなことをしなければいけないのか
なぜ周りがのうのうと生きている中で、自分達だけが。と
「むしろ、のうのうと生きてきた側が申し訳ないと言うべきだと思っています」
515: ◆QhFDI08WfRWv:2020/06/11(木) 00:59:08.09:96vUrKbso (3/6)
風「そんなことない」
元会長は、いいえ、あります。と断言する
「犬吠埼さんが悔いているように、私達にも背負わせてしまったという後悔がある」
もし、風が一時であれ世界を見捨てようと考えたことを悔いているのであれば、
ただ背負わせてしまったことを、自分たちは謝罪するべきだ
世界中も、誤魔化し続けてきた大赦も、みんな
「ですが、勇者部のみなさんは世界を救ってくれた」
これは結果論でしかありませんが。と前置きする
「ですからどうか、謝罪よりも胸を張って頂きたいです。そうでなければ、有り余る感謝を述べることも出来ませんから」
元会長は言葉を選びに選んで、そう述べる
風の謝罪したくなる気持ちも察することは出来るからか、瞳は少しばかり揺らいで見える
それでも笑みは絶やすことなく、声色は明るい
そんな元会長を見て、天乃が口を開く
天乃「……そうね。あまり自分を卑下しすぎると周りが困ってしまうものよ」
完全な経験談
しかも、困らせた側なのだから、苦笑いを浮かべてしまう
天乃「風、貴女は諦めなくてよかったと言ったじゃない。それが全てだわ」
風「そんなことない」
元会長は、いいえ、あります。と断言する
「犬吠埼さんが悔いているように、私達にも背負わせてしまったという後悔がある」
もし、風が一時であれ世界を見捨てようと考えたことを悔いているのであれば、
ただ背負わせてしまったことを、自分たちは謝罪するべきだ
世界中も、誤魔化し続けてきた大赦も、みんな
「ですが、勇者部のみなさんは世界を救ってくれた」
これは結果論でしかありませんが。と前置きする
「ですからどうか、謝罪よりも胸を張って頂きたいです。そうでなければ、有り余る感謝を述べることも出来ませんから」
元会長は言葉を選びに選んで、そう述べる
風の謝罪したくなる気持ちも察することは出来るからか、瞳は少しばかり揺らいで見える
それでも笑みは絶やすことなく、声色は明るい
そんな元会長を見て、天乃が口を開く
天乃「……そうね。あまり自分を卑下しすぎると周りが困ってしまうものよ」
完全な経験談
しかも、困らせた側なのだから、苦笑いを浮かべてしまう
天乃「風、貴女は諦めなくてよかったと言ったじゃない。それが全てだわ」
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http://s2-d2.com/archives/16798212.html
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