544 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/08(日) 19:50:52.82g85yxbRUo (13/22)


天乃「私だって、女の子だもの」

東郷「女の子だから、襲われそうでも怒らないんですか?」

天乃「貴女達が相手なら、怒ったりなんてしないわ」

東郷の、わずかに苛立ちを孕んだような勢いを天乃は受け止める

東郷は罪悪感があるのだろう

だから、天乃に叱られたいと思っているし

叱ろうとしない天乃になぜかと苛立ってしまう

叱ってくれないのなら、東郷は自分のそれを、罪と思う必要はなくなってしまうからだ

天乃「だって、東郷がもしも私にそういう気持ちを抱かなかったら、私にそんな魅力がないみたいじゃない」

東郷「久遠先輩……」

天乃「だから、怒らない。むしろ、そうしたいと思ってくれて嬉しいし……ごめんなさい。と、言いたいわ」

天乃は困ったように笑みを浮かべた

嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちが心に満ちる

東郷が真面目なのは分かっていたことだ

普段は性的欲求に素直だとしても

待てと言われればいつまでも待とうとするほどに

そして、その禁忌に触れてしまいそうであれば、

その愚かさを咎め続けてしまうことも。

天乃「止めるのも……そうしてしまったのも、辛かったでしょう」


545 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/08(日) 20:26:42.55g85yxbRUo (14/22)


沙織に夜這いをかけてしまった経験のある天乃は

手を出してしまったことの罪悪感を知っている

その理解は褒められたことではないし

決して、誇るべきことではないと思っている

だが、それがあったからこそ東郷の心がわかる

天乃「……良いと言ったのは私よ」

東郷「我慢すると言ったのは私です」

天乃「させすぎちゃったのは、私よ」

東郷「それでも……我慢すると言ったのは私です」

東郷は天乃以上に頑固だ

特に、自分のことについては

九尾「仕方があるまい」

天乃「九尾……?」

前触れなく姿を表した九尾は

話を聞いていたのだろう、口と共にしっぽを二人の間に割り込ませる

九尾「主様の味を知ったからには、そうそう逆らえるものでもあるまい」

天乃「それは、性的に?」

九尾「主様には、魅了する力がある。それを直接取り込んだ人間が、惑わされぬとでも思うておるのかや?」


546 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/08(日) 20:45:55.11g85yxbRUo (15/22)


九尾「特別危険なものではないからのう。普段ならば問題はないが……」

九尾は言い淀み、東郷を一瞥する

乱れたままの東郷と天乃は

九尾の言葉を待って、何も言わない

九尾「今の小娘……というのは嫌かや?」

くつくつと

冗談を言ったかのように九尾は喉を鳴らす

九尾「今の主様の伴侶のように、耐え続けた者には毒じゃろうて」

東郷「………」

九尾「言わずとも、そうするとしていたから良いと思うておったのじゃがな」

東郷は我慢に我慢を重ねて、

その毒を吐き出そうとしたのに我慢してしまったし、

天乃はその気持ちを煽るようなことをしてしまうし

九尾「主様は底抜けの阿呆じゃな」

天乃「ぅ……」

九尾「まぁ良い。予定通り娘たちの相手をしてやれ。性的接触でなくとも良い」

ほどほどに主様を感じさせてやれ。と、九尾は優しく、諭すように微笑む

九尾「お主は遠慮せず貪ってやれ。主様とて骨の髄まで食いつかれれば良し悪しも学ぶじゃろう」

東郷「そ、そこまでは……体を壊してしまうのでは」

九尾「壊してしまえ。そう、言っておる」

九尾は真っ赤な瞳で天乃を見据えると、ふっと……そよ風を立たせて消える

東郷「……つまり、私達は定期的に久遠先輩と寝る必要があるんですね」

天乃「あら……凄く嬉しそう」

考え込むのもつかの間、至福の表情を見せる東郷に

天乃はどうしたものかと、苦笑した


547 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/08(日) 20:47:16.13g85yxbRUo (16/22)


√ 2月18日目 昼 (病院) ※金曜日

01~10
11~20 球子
21~30
31~40 園子
41~50 千景
51~60 九尾
61~70
71~80 夏凜
81~90 大赦
91~00 風


↓1のコンマ


548以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/08(日) 20:50:34.20lyWmsVIrO (2/5)




549 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/08(日) 20:51:35.08g85yxbRUo (17/22)


では少し中断いたします
再開は21時半ごろから


550以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/08(日) 20:52:13.39lyWmsVIrO (3/5)

一旦乙


551 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/08(日) 21:48:15.17g85yxbRUo (18/22)


ではもう少しだけ


552 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/08(日) 22:00:52.46g85yxbRUo (19/22)


√ 2月18日目 昼 (病院) ※金曜日


球子「東郷がおかしくなったのにはあんな理由があったとはなー」

天乃「安心した?」

球子「もっと不安になった」

天乃「……私のせいとか言わないでよね」

笑い交じりに言うと球子も楽しそうに笑う

球子らしい、歯を見せる笑顔

東郷が去って行った病室の中が、また賑やかになる

球子「半分くらい思ってる」

天乃「もうっ」

球子「だってさ、天乃の裁量次第なんだろ?」

天乃「みんな平等よ」

球子「そりゃ、天乃はそうするつもりだろうけど……若葉を除いたって7人だろ? 一人一日でも一週間だぞ」

天乃「………」

球子「欲張りすぎたんじゃないのか?」

天乃「欲張ったわけじゃないわよ。そうしたかったの」

球子「タマ知ってる。それ屁理屈って言うんだ」


553 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/08(日) 22:21:02.47g85yxbRUo (20/22)


球子は茶化して言うが

実際、そんなものだと天乃は自覚している

誰も不幸にさせない、幸せにしたい

それが欲張りではないとしたら、人はみな無欲だと言えるだろう

天乃「私の手に余るって、球子も思うの?」

球子「さぁなぁ……天乃にも東郷達にもいろいろ問題があったせいだからな」

多少の苦難なら、それも試練だと一言で済ませられるだろう

それこそ妊娠、出産、子育てなどなど

人生においての誰にでもあるような問題の数々ならば。

しかし、天乃達を取り巻いていたのは一言で言えば死だ

それを戦い抜くうえで、多少すくいきれなかった心がるとしても

それを咎められる者はいないはずだ

球子「天乃は頑張ったと思うぞ。みんなも頑張ってると思う」

天乃「……優しいのね」

球子「優しい? 天乃達の頑張りを見て頑張ってるって思わないやつがいたらそいつは鬼だな」

いいや鬼どころじゃない

悪魔でも非情だと引くくらいに最低な奴らだ

まして、頑張れと言おうものなら……

球子「九尾はそんな天乃と東郷が言い合ってるのが見ていられなかったんだろうな」


554 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/08(日) 23:11:49.20g85yxbRUo (21/22)


だから柄にもなく尻尾を挟み、口を挟んだ

わざわざ嫌味も口になんかして

それこそ、球子は頑張ったと笑ってやりたい

実際に笑ったりすれば首を絞められるのでそんなことは出来ないが

球子「その魅了についてだが、タマには何もないから心配はないと思うぞ」

天乃「心配してるように見えた?」

球子「悩みそうだとは思った」

球子は今まで見てきた海天乃はきっとそうだと考える

自分のことではない

周りの為に考える

もしも魅了の力があるのなら

外に出てはいけないとさえ、悩むかもしれない

球子「タマが若葉についていくのは、タマが若葉の友達だからだ。天乃達が嫌なわけじゃない」

東郷の暴走を止められないと言うのも

ちょっぴりあるけれど。

それはそれ、これはこれだ


1、優しいじゃない。球子
2、若葉をお願いね
3、球子も、千景はいかない方が良いって思ってるの?
4、見透かされちゃってるわね……そんなに分かりやすい?


↓2


555以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/08(日) 23:14:07.05k9S76cpTO (1/1)

4


556以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/08(日) 23:15:01.43rrgYhtu10 (4/4)

4


557以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/08(日) 23:15:35.05lyWmsVIrO (4/5)

1


558 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/08(日) 23:24:39.88g85yxbRUo (22/22)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「風先輩!」

風「ぬわっ!?」

風「な、なに!?」

東郷「朗報です! 久遠先輩を襲っても魅了のせいなので合法です!」

園子「朗報でも合法でもなく東郷だよねぇ~」


樹「園子さんは良いんですか?」

夏凜「樹、ややこしくなるから止めなさい」


559以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/08(日) 23:43:55.78lyWmsVIrO (5/5)


毎晩夜の相手するなら尚更鍛えておかないとだな
あと千景に止められたことで東郷さんの性欲がさらに激しくなってそう


560以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/09(月) 03:20:55.55CX8ufn7JO (1/1)


とにかく園子に会いたいなあ
もう今夜にでも会えないかなあ


561 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/09(月) 21:46:18.35Qx8qrqBho (1/7)


では少しだけ


562 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/09(月) 21:50:55.03Qx8qrqBho (2/7)


天乃「見透かされちゃってるわね……そんなに分かりやすい?」

球子「それなりに見てきたからなぁ。嫌でもわかる」

天乃「……嫌?」

球子「嫌じゃ、ないけど」

天乃の伺う声に、球子は眉を顰めて否定する

球子は巧く言葉に出来ないが、言葉の綾というものだ

顔を顰めたのも嫌だからではなく

天乃からそういう雰囲気を感じ取ったせいだ

精霊としての繋がりのせいか

天乃を見てきたからかは定かではないけれど

天乃の放つ空気感に、球子は敏感だった

恐らくそれは千景たちも同じだろう

天乃はきっと無意識だが、

悲しいとか、嬉しいとか

それこそ……寂しいだとか。

それがビシビシと伝わってくるのだ


563以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/09(月) 21:58:35.330uajtIo2O (1/3)

来てたか


564 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/09(月) 21:59:10.78Qx8qrqBho (3/7)


樹たちの言う誘ってると言うのはそれだろうと球子は思う

天乃がいくら注意していようが、

漏れ出てしまうオーラはどうしようもない

以前の天乃は隠し事が得意だったかもしれないが

蓋を無くしてしまった鍋から湯気が立つように

抑え込めない雰囲気は天乃の感情を晒している

そこに九尾が言っていたような魅了の力が付加されているとしたら、

人の抗える領域にはない

球子「はっきり言って、分かりやすい」

天乃「そう?」

球子「何考えてるかは分からないけどな。なんていうか、こう……ビビッとくるんだ」

天乃「びび……?」

所謂、第六感である

精霊としての繋がりが球子にとってのそれだ

球子は言葉を探して諦めたのだろう

考えるのを止めて、そうだなぁ。と深々と呟く

球子「犬だな。犬」

天乃「……本気で言ってる?」


565 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/09(月) 22:18:54.34Qx8qrqBho (4/7)


球子「時々かまってオーラがあるし」

天乃「貴女に言われるなんて……」

球子「………」

球子からしても

しょんぼりとした天乃の頭には垂れた耳が生えているように見える

頭を撫でたくなる

撫でても怒られないし、なに? と不思議そうにされるか

馬鹿にしてるでしょとむっとされるか

どちらにせよ、

球子よりも1cmしか高くない天乃はベッドの上に居ればもはや愛玩の対象である

思わず手を伸ばしたところで、天乃が顔を上げた

天乃「私ってそんな弱くなったの?」

球子「よ、弱いとかどうとかタマには分からないぞ」

慌てて引いた手を振り、訝し気な天乃の視線に笑みを返す

問題がないのは天乃であって、

名前の通り―球子の個人的感想だが―冷気を放ってるように感じる誰かに狙われたくはない

球子「上手く言えないけど、頼れるようになったってことなんじゃないか?」


566 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/09(月) 22:42:06.08Qx8qrqBho (5/7)


球子の限界にまで言葉を選んだ結果の一言に

天乃はそうかしら……と、小首をかしげる

自分で自分の雰囲気は分からない

だから球子がそうというのならそうなのかもしれない

ただ、頼れるようになったと言うのは少し違うように思う

天乃「……甘え上手?」

球子「そういうところだぞ」

天乃「なにが?」

球子「………」

別に声が高くなっているわけじゃない

猫なで声でもない

ただ、本当に裏の無い笑みで言うものだから

どうしても、心に触れてくる

皮肉を言えば、あざとい

だが、裏がないから嫌悪感はない

何言ってるのかと……悪戯をしたくなる

球子「別に、タマが分からせてやってもいいんだけど……」

やっぱり、普通には死ぬことのできない精霊の身で死ぬのは嫌だ


567 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/09(月) 23:11:24.53Qx8qrqBho (6/7)


球子「素直で良いんじゃないか?」

天乃「……駄々洩れはちょっと」

球子「天乃も色々不満が溜まってるってことだろー」

球子は適当だが、実際に天乃も溜まっているものはある

みんなに対しての不満などはないけれど、

必ずしも対人的な物のみを不満とは言わないわけだ

球子「満足したら、少しは抑えられると思うぞ」

天乃「……球子もそう思う?」

球子「みんな、そんな感じだからな」

天乃「………」

天乃だけじゃない

みんな我慢している

エッチなこともそうだけれど、それ以外にも

でも結局、そのすべては天乃に関係している

球子「天乃は人一倍欲張ったほうが良い。そうじゃなきゃ、みんなが困る」

天乃「我儘過ぎるのも良くないわ」

球子「それに付き合ってくれる人数を考えてもか?」

天乃「……確かに」

球子の間髪入れない直球に天乃は苦笑して、頷く

旅立つ若葉を除いても七人

それはやっぱり、人一倍の欲望がなければ――持て余してしまうだろう


1、ねぇ、球子から見て私は女の子として魅力がある?
2、やっぱり、早くお出かけしたいわね
3、美味しいご飯が食べたいわ
4、ねぇ……球子。貴女から見て園子はどんな感じ?


↓2


568以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/09(月) 23:12:29.360uajtIo2O (2/3)

2


569以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/09(月) 23:14:08.97rl6vnJMb0 (1/1)

1


570 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/09(月) 23:34:23.38Qx8qrqBho (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「くっ……やっぱり襲っておけば!」

風「ストーップ! 落ち着け!」

東郷「行かせてください! いえ、イ――」

樹「手を滑らせました!」ガシャンッ


東郷「まだ……まだ私はッ!」

夏凜「いや、そういうの良いから」ペシッ


571以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/09(月) 23:42:26.090uajtIo2O (3/3)


無自覚にタマにも手を出しそうな久遠さん
そしてオマケで発作を起こすとーごーせんせーェ…


572以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/09(月) 23:58:22.97SooGAsN4O (1/1)


もうこれわからせるしかないなナニでとは言わないが



573以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/10(火) 00:02:52.66NwCvWrXXO (1/1)


ここでどうこうなると千景が身を引いた意味がないから….…


574 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/10(火) 22:16:39.24DZOoUNIqo (1/6)

では遅くなりましたが少しだけ


575以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/10(火) 22:21:25.340Iq+/QMUO (1/2)

よしきた


576 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/10(火) 22:37:33.62DZOoUNIqo (2/6)


天乃「ねぇ、球子から見て私は女の子として魅力がある?」

球子「……はぁ?」

球子は思わず、素っ頓狂な声を漏らした。

天乃には他意はなく、特別な感情など欠片ほどにもないのは、良く分かっている

しかし、唐突に女の子としての魅力がないのかと問われてしまうと

何言ってるんだこの人は。と、思わずにはいられないのだ

みんな女の子とはいえ、すでに8人もの交際相手がおり、

男子にも女子にも告白されたことのある人が、魅力がないのかと不思議に思うことがまず不思議だった

球子はもしかして……と、首をかしげる

球子「なんだ、東郷が手を出さなかったからか?」

天乃「違うわ。貴女、魅了の力は問題ないって言ってたから」

球子「だからタマから見て女の子としての魅力がないって?」

天乃「……少し違うけれど、似たようなものかしら」

球子「ん」

どうしたものかと球子は眉を顰める

女としての自信を持たせる方法など、悪いとは言わないがまったくもって知りえていない

天乃に女の子としての魅力が無いかどうかと言われると、それは間違いなくあるだろうと言えるが。

それを言ったところでどうにかなるものだろうかと球子は柄にもなく考えていた


577 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/10(火) 22:49:43.67DZOoUNIqo (3/6)


天乃は悩んでいる

悩んでいなくても無防備だが、今はもっと無防備だ

あとで千景にぶん殴られるか

若葉に鍛錬と言う名の拷問にかけられるか

球子には二つに一つの未来が見えるものの

一時の私腹……至福を肥やすという建前の元、手を伸ばすことは可能だ

きっといい声が聞けるだろうと、少しだけ顔を赤くした球子は

天乃の栄養の貯蔵庫を見つめる

球子「しかしなぁ……」

球子は天乃の恋人の範疇にはない

求めれば受け入れられてしまうだろうが

本当に愛しているみんなと違う球子はそれを求める気にはなれない

それでも頬を染めるのは、天乃の濡れそぼった姿を知っているからだ

あれは情欲を芽吹かせる

性的欲求を引き立たせる

球子「ん~……まぁ、天乃がもし魅力がないならタマはどうなのかを考えてみてくれタマえ」

生まれて間もない小鹿のような欲求を蹴飛ばした理性が言葉を発する

想像さえしなければ、敗北はなかった


578 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/10(火) 23:17:37.32DZOoUNIqo (4/6)


誇れることではないけれど

球子は自分のことは良く分かっているからはっきりと思う

自分には女の子としての魅力なんてないと。

杏は可愛いと言ってくれていたが、それも小さいからでしかない

女の子のような愛らしさなど、十数年の人生の中のどこかで失ってしまった

だから、そんな自分と比べれば少なくとも魅力がないとは思わないはず

球子のそんな思惑は、その目の先で霧散する

天乃「球子のこと……?」

存外に、天乃が真剣に考えていたからだ

すやすやと眠る双子

左のベッドの姉と、右のベッドの妹

その呼吸が、わずかにずれた

天乃「貴女にも魅力はあると思うわよ」

球子「え」

天乃「友奈がいるからそんなことないと思うのかもしれないけれど……貴女の笑顔は素敵だわ」

球子「なっ」

天乃「男の子っぽい快活さ、ちょっぴり粗雑な言葉遣い。でも、照れた笑顔は女の子そのものよ」

球子「くぅ……」

嬉々として天乃は答える

からかっていないし、皮肉でも何でもない

ただ、天乃は球子をそう見ている


579 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/10(火) 23:40:55.20DZOoUNIqo (5/6)


天乃「そういえば、夏凜は笑顔が好きだって……」

球子「………」

そういうものなのかしら。私も?

天乃は思考を独り歩きさせると、おもむろに深呼吸する

今はもう慣れ親しんだ病院の質素な空気が肺に満ちていく

息を吐き出す間、心臓の音が大きくなっていくのを感じる

つい数時間前までいた東郷の温もりも匂いも失せてしまったベッドの上

皺だらけの敷布をぎゅっと握る

球子「………」

口を挟む必要はきっとない

球子が言わずとも誰かが言ってくれる

天乃は照れた笑顔が女の子らしいと微笑んだ

なら、その天乃が照れくさそうに目を伏せたその仕草はなんと評せばいいのだろうかと、球子は目を背ける

そもそも、女の子としての魅力の証明は、球子には荷が重かった

もっとも簡単で、強く印象付けられる方法は、罪が重い

だからこそ、思う

こういう時こそ、若葉が出て来いと


580 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/10(火) 23:44:41.16DZOoUNIqo (6/6)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


581以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/10(火) 23:53:30.520Iq+/QMUO (2/2)


久遠さんが平然とタマっち先輩を口説こうとしてる…
この場に杏がいないのが惜しまれるな


582以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/11(水) 00:18:35.12cWSScAsNO (1/1)


本人はそんな気一切無いのほんともう久遠さんだな


583以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/11(水) 03:38:08.91F6mnRJ7SO (1/1)


若葉tってあんまり久遠さんの周りにはついてないんだろうか


584 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/11(水) 21:06:18.90EMowGjp0o (1/6)


では少しだけ


585以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/11(水) 21:07:48.64BgXnPwmZO (1/3)

かもーん


586 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/11(水) 21:41:46.60EMowGjp0o (2/6)


球子「タマは、自分に女の子としての魅力なんてないと思ってる」

天乃「わ――」

球子「天乃がなんて言おうと。だ」

否定しようとした天乃を制する

天乃の気持ちはすでに聞いた

それで足らないと分かればもっと語って聞かせてくれるだろうけれど、その必要はない

球子は言い切ってから間をおいて天乃を見る

球子と大差のない小さな体

そのくせ、憎たらしいほど膨らんだ胸

目を向ければ視界を埋める久遠天乃という存在を頭に置く

何を言えば良いのかなんて考えるのは苦手だ

だから、ああ言えばこう言う。

球子「天乃も同じだろ。きっと」

天乃「私がなんて言おうが思おうが、みんなは私を魅力的に思ってくれているの?」

球子「まぁ、そういうことだな」


587 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/11(水) 22:00:14.69EMowGjp0o (3/6)


天乃の問いをそのまま受け渡す

受け流しだが、本心だと言うように球子は微笑む

病室の中の空気が震える

千景か若葉かそれとも別の誰かか

同じ精霊である球子には筒抜けだった

もしかしたら、主である天乃にも。

球子「不安なら聞いてみれば良いんじゃないか? 誰にでもいいさ」

天乃「球子よりはしっかりと答えてくれるかしら」

球子「タマだって真面目だぞ」

天乃「それは分かってるけど……」

球子の話はふわっとしている

球子なりの考えではあるが、具体的な話をしていないのだからそれも致し方ないだろう

天乃はそんな球子を射疑うつもりはないものの

心情としてはやはり、具体的な何かが欲しくなる

夏凜が言っていた面倒くさい彼女というのが天乃の脳裏に浮かぶ


588 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/11(水) 22:33:01.10EMowGjp0o (4/6)


球子「あんまり気にしても、仕方がないだろ」

もし、もしもだ

天乃に女の子としての魅力が無かったらどうなっていただろうか

少なくとも恋人は出来なかっただろう

それでも助け合う仲間はできただろうし

その結果、結局恋人は出来ていたかもしれない

背が高くて、胸の小さい天乃

でも優しくて、強くて、頼れてしまうのが変わらないのだとしたら……

それは、コミュニケーション能力に問題を抱えていない陽乃だ

女の子らしさを極限まで捨て去ろうとしているような生き様だったように思うけれど、

杏曰くツンデレ、杏曰く女の子でも良いと思う。

球子「いや、後半は関係ないな……」

天乃「何の話?」

球子「あー……過去の話」

球子は慌てることなく苦笑すると、天乃をしっかりと見定める

きょとんとした表情

気になっているけど深く聞いてもと引きがちな瞳

――女の子の魅力とは?

球子は眉を顰めて、目を閉じた


589 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/11(水) 22:43:26.30EMowGjp0o (5/6)


√ 2月18日目 夕 (病院) ※金曜日

01~10 若葉
11~20
21~30 千景
31~40 沙織
41~50 大赦
51~60 園子
61~70
71~80
81~90 夏凜
91~00


↓1のコンマ



590以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/11(水) 22:44:55.79BgXnPwmZO (2/3)




591 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/11(水) 22:46:41.99EMowGjp0o (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


592以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/11(水) 22:51:51.98BgXnPwmZO (3/3)


タマっち先輩、久遠さんの誘惑を上手くかわしたな
あと杏が陽乃さんにホの字だった疑惑が…?


593以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/12(木) 06:46:34.03T6hYnAnFO (1/1)


陽乃さん編もいつかは見てみたいな


594 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/12(木) 21:26:59.80pBwG/euco (1/6)


では少しだけ


595以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/12(木) 21:40:12.54GwSoGaDxO (1/3)

いえす


596 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/12(木) 21:52:44.78pBwG/euco (2/6)


√ 2月18日目 夕 (病院) ※金曜日


母乳を上げ終えた双子をベッドの上に戻す

飲み疲れて眠ることもあると言う話だが、双子はまあるい瞳で天乃を見つめている

天乃の橙色の瞳よりもずっと薄い色

まだ、善も悪も知らない白さが溶け込んだ瞳だ

天乃「……星乃ちゃん、月乃ちゃん」

星乃と、月乃

星乃と呼ぶと、姉が声を上げる

月乃と呼ぶと、妹が笑顔を見せる

二人同時に呼ぶと、まだたどたどしい声が揃って上がる

天乃「夏凜ちゃん、分かる?」

星乃「ぁ、ぁ?」

天乃「ん~……あともうちょっとっ」

月乃「ぁぅ?」

天乃「ふふっ」


597 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/12(木) 22:22:03.76pBwG/euco (3/6)


天乃は夏凜ちゃんと言ったのに

母音での夏凜ではなく、意図的なたった二文字の言葉

パパと呼びたかったのか、ママと呼びたかったのか。

もしいたら夏凜にはどう聞こえただろうかと、天乃は笑みに隠す

きっと、違う。と困ったように言って言い直させるだろう

天乃「ぱぁぱ」

星乃「ぁぅぅ?」

天乃「ぱ」

月乃「ぁっ」

天乃「ぱ」

月乃「あっ」

星乃「ぁ~ぁっ」

天乃「あらあら」

妹の頑張りを水泡に帰す可愛い横やり

せっかくの一言一言の教えはどこへやら

元気な合唱が病室に響く


598 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/12(木) 22:41:27.86pBwG/euco (4/6)


夏凜が来た時に間違いなくパパと呼ぶように仕向けるのは難しいらしい

どちらにせよ、パパかママと呼んでくれるから、

下手に教えるよりも面白い反応が見られるかもしれないと天乃は苦笑する

仕込んだのではと疑いがかけられるかもしれないが

そのくらいのたわいないものならば、愛おしい

天乃「……ん」

手をばたつかせて天乃の視線をもらおうとする双子

目を向けてあげるとにっこりと笑って、

まだ言葉にならない声と共に手を伸ばす

星乃「ぁ~」

天乃「五郎くんには、似そうにないわね」

女の子だからだろうか

双子は久遠の血がとても濃い成長をしそうだと天乃は感じる

瞳の色はもちろん、まだまだ薄い、髪の色も

月乃「ぅ~ぅ~?」

天乃「ぅーぅーっ」

星乃「ぁ~ぅ~っ」


1、精霊組
2、勇者組
3、イベント判定
4、ママと呼んで


↓2


599以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/12(木) 22:42:25.83GwSoGaDxO (2/3)

3


600以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/12(木) 22:43:08.57VlXSfOKF0 (1/2)

1


601 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/12(木) 22:49:37.29pBwG/euco (5/6)


1、若葉
2、千景
3、球子
4、水都
5、歌野
6、九尾

↓2


602以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/12(木) 22:52:00.94VlXSfOKF0 (2/2)

Ksk


603以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/12(木) 22:52:47.64GdNqrjTXO (1/1)

6


604 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/12(木) 22:56:53.39pBwG/euco (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


605以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/12(木) 23:00:06.63GwSoGaDxO (3/3)


久遠さん本当に幸せそうだったなぁ…
この幸せが続いていける世界にしてあげたい


606以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/13(金) 08:02:00.59h0m2ZygDO (1/1)


15才にしてこの圧倒的な母性である


607以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/13(金) 09:30:25.24LeXcRvPzo (1/1)


久遠さんは早死にさえしなければ最高の母親になるのは約束されてるから…
しかしあれだ男の子じゃなくて良かった母親(15才の容姿148cm巨乳)とか危ないにも程がある


608 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/13(金) 23:04:04.51eGWeXr9Ho (1/1)


遅くなりましたが遅くなりましたが,少しだけ


609以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/13(金) 23:14:37.33EsVYFE+9O (1/1)

あいあいさ


610 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/14(土) 00:20:00.46Y5lEeJHVo (1/9)


天乃「子供の愛らしさに浸っていたい気持ちはあるけれど

それだけでいられるわけではない

母親然り、天乃然り。

嫌なことではないにしても、後回しにするようなことでもないだろう

なにより、いずれ双子も付き合っていくことになる小姑のように口うるさい精霊だ

早いうちに、母性をくすぐっておいた方が良いかもしれない

天乃「九尾、いるんでしょ?」

子供に目を向けながら声をかけると

目に見えない空間が揺らぐのを感じる

天乃「……そう」

天乃は目の前の双子の瞳が自分ではなく、

その背後へと集中していくのを見て、呟く

双子もまた、その空気を感じ取ることが出来る

物心ついているわけでもないのに、はっきりと

あるいは、まだあやふやだからこそ察しが良いのかもしれない

九尾「将来有望じゃのう」

天乃「こんな力、持ち腐れになってくれた方が良いんだけどね」


611 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/14(土) 00:44:00.94Y5lEeJHVo (2/9)


九尾を見ても、子供たちはおびえた様子もなく笑顔を見せる

天乃や夏凜ほどに明るい声は出さないものの、

自分たちの脅威になることはないと本能的に感じているのだろう

九尾はそんな純真な視線にも、普段通りだった

九尾「持ち腐れであるべきなのはそうやもしれぬ。が、そうはいかぬものじゃろうて」

天乃「そうね……」

九尾「どうしても不要であると言うのなら、それを疑似的に喪失させることも可能じゃがな」

天乃「そうなの?」

九尾「自覚させねば良いだけじゃからのう。戦いもいらぬ世ならば、容易なことじゃ」

記憶を消すか、幼いうちから完全に隔離するか

九尾達はその存在を悟られてしまう以上

完全に隔離というのは難しい話になる

だが、何か気配は感じるものの、ちょっとばかり第六感が優れているだけでは……と

その程度に思わせることは九尾達ならば可能だ

天乃「……危ないことはして欲しくないわ」

九尾「なにも危険なことではない」

天乃「違和感は毒にもなる。分からない貴女ではないでしょう?」


612 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/14(土) 01:03:58.66Y5lEeJHVo (3/9)


違和感というよりは、好奇心というべきだ

母親である天乃やみんなが注意していれば良いことではある

しかし、親が注意しているだけで事なきを得るのならば、

子供は何も成長することはない

少しの違和感、もしかしたらというちょっとした考えが

意図せず道を踏み外す

無意識に、超えてはいけない一線を越えてしまう可能性がある

天乃「隠し通して歪めるくらいなら、曝け出して導くべきだわ」

九尾「祖母の方針が気に食わぬかや?」

天乃「おばあ様じゃないわ。大赦のやり方よ」

九尾「大赦はあやつの持ち物でもあろう。全てではないが、同じことじゃ」

天乃「……そうかもね」

九尾は天乃の祖母をよく知っている

天乃よりも、ずっと深く

だから、その顔は変わらずとも不服を抱く

九尾「必要ならば、妾が排除することも厭わぬが」

天乃「この子たちの前で、そういうのは控えて」


613 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/14(土) 01:04:37.55Y5lEeJHVo (4/9)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から


614以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/14(土) 02:20:37.76PLTARqRwO (1/1)


記憶の改変ダメ絶対
2周目ifルートでもよくないことになってた


615以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/14(土) 07:11:34.90z5MM1aEZO (1/1)


ある意味大赦と祖母が今回のラスボスだな


616 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/14(土) 21:17:31.38Y5lEeJHVo (5/9)


では少しだけ


617以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/14(土) 21:19:50.16H5NPBhgpO (1/1)

よしきた


618 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/14(土) 21:59:13.03Y5lEeJHVo (6/9)


九尾「ならば、妾を呼ぶべきではなかったな」

くつくつと、喉から響く笑い声

純度の薄れた赤い瞳は天乃ではなく双子へと向けられている

見返す幼さに抱く感情は母親なんて言う甘いものではない

しかし、傷をつけるような悪意もない

九尾「主様のように歪ませたくないならば、主様は主様の人生など二の次に考える方がよい」

天乃「私って歪んでる?」

九尾「それはもう、酷く歪じゃろう。自覚は無いかや?」

天乃「貴女に言われるほどの自覚はないけれど……」

星乃と月乃に向ける薄い笑みとは比べものにならない悪意のある笑顔

どちらの方が歪んでいるのかと、天乃は目を細める

九尾はその心を見透かしてか、獣のように鼻で笑う

九尾「主様は人を愛しすぎておる。それを歪んでいると言わずして、何を言えばよい」

天乃「私だって愛してあげられない人くらいいるわよ」

愛嬌を振りまきすぎていると言いたいのかもしれないが、

天乃はあえてそう言い返す

実際に、大赦のすべてを許すことは出来ないし

そんな彼らに対してそんな態度を見せることは出来ない

真っ当ではないかもしれないけれど、人間らしいだけではと、天乃は思う


619 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/14(土) 22:28:45.69Y5lEeJHVo (7/9)


天乃「この子達は優しい子に育って欲しいわ」

九尾「牙をたてられようと振り払わずに抱いてやるような優しさかや?」

天乃「私はそんな優しくないし、それは優しいとは言わないわよ」

九尾「見逃す程度の甘さはあるじゃろう」

天乃「………」

久遠家の力を終始利用しようとしてきた者たち

非情な真実を隠して戦いへと巻き込んだ者たち

天乃達は常に、優しい存在だけしか関わってこなかったわけではない

振り払うべき存在とだって付き合ってきた

だが、天乃は冷たくあしらうことこそあれ

決して、その根本からなぎ倒そうとはしなかった

二度と関わる必要がなくなるように葬るようなことはしなかったし許さなかった

人外である九尾にとって、その理念は優しさであり、甘さであり

なにより【生物として】歪であると考える

生存すること、自信の命を第一に考えるべきそれらにとって、

九尾「子が、それを凌ぎきれる保証などあるまい」

番を除けば温情など――無価値だ


620 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/14(土) 23:03:51.61Y5lEeJHVo (8/9)


天乃「………」

九尾「………」

星乃「ぁぅ……ぁぁぅっ!」

天乃「ふふっ、だいじょうぶ~」

九尾をじっと見つめていた天乃は双子の声に振り返って、優しく声をかける

九尾相手に殺気を放ったわけではないが、ひりつく空気にはしてしまったのだろう

不安そうな双子の要求に、天乃は困ったように眉を顰める

この子たちの前では、さすがに感情的な言葉は吐き出せない

良くも悪くも、母親である天乃の抑止力だ

天乃「でも、そのために親がいると……私は思っているんだけど」

全てから守り切ることは出来なくとも

せめて、悪意から身を隠す盾であり

闇の中で進むべき道に灯る光であるべきではないかと

まだ子供を産んだだけの15歳の子供だと嘲笑されるかもしれないが

天乃は親はそうではないかと考えている

少なくとも子供の味方でいてやるべきではないかと、子供だからこそ。



1、貴女はそうじゃなかったの?
2、ところで全部聞いていたのなら、歌野と水都の件はどう思う?
3、貴女としては、この世界の未来は今以上に危ういと?
4、貴女だっていてくれるでしょう?


↓2


621以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/14(土) 23:05:21.97T1XnTSifO (1/2)

1


622以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/14(土) 23:06:58.99+9CT0MfE0 (1/1)

2


623以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/14(土) 23:07:36.49E4fkhrqv0 (1/1)

3


624 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/14(土) 23:23:40.96Y5lEeJHVo (9/9)


ではここまでとさせていただきます
明日は可能であれば昼頃から


625以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/14(土) 23:31:31.17T1XnTSifO (2/2)


久遠さん元気になった途端再び無茶やらかしそう…
双子ちゃんたちの抑止力が本当に重要になってくるな


626以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/15(日) 04:18:03.97Ckgd2AlDO (1/1)


どんな話だっけ?


627以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/15(日) 08:57:35.25rjY6JAiLO (1/1)


精霊なら女の子同士でも子供作れるんじゃないかってやつでは


628 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 14:09:18.09XIR17xXKo (1/17)


では少しずつ


629以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/15(日) 14:21:41.94XMd44GdwO (1/1)

かもん


630 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 14:52:19.31XIR17xXKo (2/17)


空気の重くなる話は、子供たちの耳には入れられない

これ以上話していても険悪になっていくだけなら……と

天乃は子供達を心と念頭に備え置く

九尾は子供を第一に考えるべきだと言っていたが、それには概ね同意だ

天乃「ところで、貴女いつもいてくれたわよね」

九尾「……藪から棒になんじゃ」

天乃「気配は感じていたから、分かってるのよ」

九尾「ふむ」

九尾は茶々を入れることなく、目を細める

天乃の目が九尾へと向いていない

挟み口を聞く気はないのだと察したからだ

天乃「歌野と水都の件……貴女ならわかるんじゃない?」

九尾「………」

今の話の流れを荒々しく断ち切った問い

目も向けてはいないそれに答える義務はないだろうと九尾は鋭い牙が唇の端から覗かせる

だが、容易に握りつぶせる二つの命を抱えるその背に、九尾は目を閉じる

九尾「そうじゃな。結論を言えば不可能とは言えまい」


631 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 15:46:44.73XIR17xXKo (3/17)


九尾「そのような行為に妖……いや、精霊が勤しむなど聞いたことはないが」

神や妖であれば、人に化けて人間を愛することも

愛され、それに甘んじることも多々あった

しかし、精霊というそれらと同一視されつつも別種の存在である彼らに、そんな話は聞こえない

天乃と共にいる歌野達は、あくまで死した者たちの魂だ

歌野達がこの世界に干渉できていることも

伊邪那美という特殊な神とのつながりを持つ天乃と陽乃だからこそ実現しうる神の御業

天乃が子を宿すことが出来たのは、

天乃自身が生者であり、死した魂をも扱うことのできる力を持っていたからこそだ

死した魂である彼らに、生ある魂の創造は難しいだろう

けれど、天乃の精霊ならば不可能とは言い切れない

九尾「特に、歌野は神の力を持っておるじゃろう? 子ならいくらでも生み出せるはずじゃ」

天乃「稲荷様の……子狐さん?」

九尾「いかにも。歌野が稲荷神の力を完全に用いることが可能ならば、それも容易じゃろう」

天乃「でも、それって子供は子供だけれど意味が違うんじゃない?」

九尾「子が欲しいならば結果は変わらぬ」


632以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/15(日) 15:59:40.80bJ1cb/EKO (1/1)

歌野、精霊の力とはいえまさか子作り可能とは…


633 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 16:36:14.12XIR17xXKo (4/17)


天乃「そうかしら」

九尾の言うやり方で行くと、

天乃と双子のような関係というよりも、力関係によるものになってくる

もちろん、それでも考え方次第だろうと天乃は思うけれど、

歌野達が望んでいるのはきっと、天乃のような親子関係

九尾もそれは分かっているが、結果が同じならばそれでいいと

素でそう考えている

天乃「私のようには、難しいかしら」

九尾「主様のように子を成すのは可能じゃろうな」

天乃「そうなの?」

九尾「主様もそうじゃったが、力を分け与えることになるじゃろう?」

力をより多く分け与えることを目的として

長く体内に留めておけばいい

性行為による妊娠とはならないが

膨張していく手を離れた力を抑えつつ、力を注ぎ続けるのは至難の業だ

普通ならばやり必要のないことゆえ、耐性というものさえない

天乃「体への負担があればいいってわけじゃないのよ?」

九尾「文句ばかりじゃのぅ……小娘の分際で」


634 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 16:52:46.20XIR17xXKo (5/17)


別に同じことでは……と、不服の滲む顔を見せた九尾は

天乃の目を睨むのを止めて、子供達へと目を向ける

九尾も長い歴史の中で母親となった経験はあるが

大して抱いた思いなどなく、

まだ母親になりたての小娘に子を産むことについて語られようと染みるものはない

子供の純粋な瞳とてそれは例外ではない

陽乃は人を愛した

恨まれ、憎まれ、罪を押し付けられようと、

愚かにもそれを止めることは出来なかった

酷く滑稽な少女の末路を九尾はその赤い瞳に映した

それがあってなお、子供を産むという行為について、九尾は特別な感情を抱くことは出来ない

九尾は人間ではなく妖怪

生よりも死を産んだ化け物だ

そんな存在が、生を愛することなど出来るはずがないのだ

九尾「主様はどういうものならばよいと考える。性的な行いがなければ子を成したとは言えぬと言うか」

天乃「人はそうでしょう? 私だって……それが必要だった」

九尾「主様がもう少しまともならばその必要もなかったじゃろう。確実なのがあの行いというだけで、方法ならば別にあった」

それでも悪五郎の力を借り受けるのならば

彼の消滅を免れることは出来なかったし、

人間である天乃が想像妊娠して真っ当な力の分散が出来るとは限らないで

結局必要なことだったかもしれないが。


635 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 17:09:24.94XIR17xXKo (6/17)


九尾「歌野と水都が子が欲しいと言うならば、歌野が望めばいくらでも子は産める」

天乃「でも、それは違うでしょう?」

力としての関係

言ってしまえば、それは眷族のようなものだ

神の御使いと言ってもいい

天乃が産んだ子供のようなものではない

天乃「二人が――」

九尾「主様は忘れておるのやもしれぬが、あ奴らは対等な間柄ではないぞ」

天乃「………」

九尾「主様の精霊として与えられた役柄が同じであるわけでもない」

そもそも、天乃の精霊として該当しているのは歌野だ

水都は、歌野を宿した稲荷神の遣いに対し、

陽乃が付け加えたおまけのようなものでしかない

ゆえに、二人も言ってしまえば親と子の関係にあたる

二人はそれを考えていないし、

天乃もそれを考えていないけれど

九尾の目にはそう見えている


636 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 17:23:51.59XIR17xXKo (7/17)


本来は担うべきではない穢れを担った互いを救う方法として、

あのような行為に勤しんだのには理解もある

だが、あの二人が互いを愛すると言うことに関しては理解していない

だからと言って阻むつもりはないが

各々がそれを弁えずに付き合っていくと言うのなら、九尾は異を唱えなければならない

互いが互いを愛して生まれた子供など

彼女たちには不可能だと

九尾「二人の愛が芽吹いた子供など、望むな」

天乃「無理なの? 二人は」

九尾「不可能。じゃな」

九尾はあえて断じる

言葉をしっかりと区切り、流すことを良しとしなかった

九尾が言っている子供を産めると言うのは

あくまで、歌野が稲荷神として眷族を生み出すことによるものだ

狐として生まれるのが普通だが、

人間としての形を与えることも不可能ではない

しかし。

九尾「主様が悪五郎と行ったことを娘たちがするのは不可能じゃ」


637 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 18:22:31.98XIR17xXKo (8/17)


天乃「絶対に?」

九尾「何があろうと」

天乃「………」

歌野はそれで喜ぶだろうか

二人の想いではなく

自分一人の、神の力で為せる子供で

水都はそれでもかわいい子供だと言うかもしれないが、

歌野は……

天乃「辛辣なのね」

九尾「妾は事実を言っているにすぎぬ」

天乃「そうだけど」

九尾「仕方がなかろう」

歌野達には悪いが

やはり、そういうものなのだ

余計な希望を与えても仕方がない


638 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 19:02:05.05XIR17xXKo (9/17)


九尾「あ奴らも話は聞いておる。主様が言う必要はなかろう」

天乃「そこは気にしてない」

九尾「精霊とて可不可なことはある。仕方がない」

九尾が言ったからと言って

必ずしもそうであるわけではないのは、今までが示してくれている

しかし、難しいことに変わりはない

どちらかが……いや

そもそも生者でなければ、生命の創造というのは可能であってはいけないはずなのだ

九尾「代わりに主様が産んでやればよい」

天乃「それも違うでしょ」

九尾「同じ子供ではあるが……ふむ。違うのならば致し方あるまいな」

九尾はそう言うと、

話は終わっただろうと子供に目もくれず姿を消す

天乃は子供の心配そうな表情に、笑みを返して頬に触れる

歌野達も話を聞いていた

それをどう受け止めたのか、聞こうとは思えなかった


639 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 19:02:56.77XIR17xXKo (10/17)


√ 2月18日目 夜 (病院) ※金曜日

01~10 夏凜
11~20
21~30 若葉
31~40
41~50 千景
51~60
61~70 沙織
71~80
81~90 園子
91~00


↓1のコンマ


640以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/15(日) 19:16:19.52a7TZ48azO (1/5)




641 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 19:45:02.35XIR17xXKo (11/17)


√ 2月18日目 夜 (病院) ※金曜日


子供達が眠りにつこうと大人しくなった時間、

九尾のあの話もあってか、

病室内の異界の空気は波風立つこともなく穏やかだ

今日は体の調子も申し分ない

誰かの相手をすることも不可能ではないのだが、

向こうから来ないのならば、求める必要もないだろう

天乃「………」

今までが激動の日々だった

だから、今のような静寂が酷く寂しく思えるのかもしれない

二人の子供が傍らで平和を謳っているのに

胸中は、あまり穏やかではない

天乃「……子供がいてくれるのに、どう思う?」

答えてくれないと解っていながら、天乃は適当に呟く

子供がいるのにだれかの温もりを求める母親

それは母というよりも、女ではないか

天乃はそう考えて、首を振った


642 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 20:16:46.65XIR17xXKo (12/17)


子供達が起きる様子もないのを見守った天乃は

枕へと頭を落とす

勇者ということもあってか、普通よりも質の良いベッド

柔らかい枕は頭を受け入れてしっかりと包み込むように支えてくれる

程よく柔く、固いスポンジが体を受け止めて、

寝返りの歪みにも応えてくれる

天乃「………」

ほんのりと冷えた布団の冷たさも、

しんと静まり返った部屋の静寂さも

孤独感を冗長させる

目を閉じると、心臓の音がはっきりする

眠るまでは、もう少し時間がかかりそうだった


1、精霊組
2、イベント判定


↓2


643以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/15(日) 20:18:08.48a7TZ48azO (2/5)

2


644以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/15(日) 20:20:17.91yEILIQA70 (1/2)

2


645 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 20:37:55.01XIR17xXKo (13/17)

01~10 沙織
11~20 若葉
21~30 千景
31~40 水都
41~50 夏凜
51~60 歌野
61~70 園子
71~80 風
81~90 球子
91~00 大赦


↓1のコンマ


646以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/15(日) 20:40:12.45a7TZ48azO (3/5)




647 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 21:17:04.84XIR17xXKo (14/17)


天乃「……もう寝ましょ」

すでに眠っている子供達

部屋の中の別世界に声をかける

少し空気が揺らいだが、誰かが出てくることなく静寂が続く

肩までだった布団を持ち上げて口元まで隠し、左肩を下に横になる

天乃「………」

静かなのは誰もいないからではない

夜の、もう眠っていても良い時間帯だからだ

友奈は怪我をしているせいで動けないけれど

みんなはもう退院もできるほどに回復している

いつでも会いに来ることが出来るし、会いに行くことも出来る

この静けさは、平和を取り戻したが故のものだ

天乃は目を瞑る

僅かに布の擦れる音がする

存外に大きく聞こえたそれの余韻が途絶える前に――カタッっと音が聞こえた

静かな足音

侵入を自覚している押し殺したその音はゆっくりと近づく

だが、精霊の誰も介入しない

夏凜「………」

その必要はないと、思ったからだ


648 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 21:33:42.76XIR17xXKo (15/17)


夏凜「………」

夏凜は天乃を一瞥すると、

夜泣きもせずにすやすやと眠る子供たちに目を向ける

正式に星乃と月乃という名前を授かった双子

自分が考えた名前というのは

やはり、ちょっと思うところはある夏凜だったが

今は呼んであげられないと唇を結ぶ

夏凜「……」

天乃は目を瞑っているが

布団を握る手には少しだけ力が込められているのを感じ取った夏凜は

まだ、起きているのだろうと察する

起こすか、踵を返すか

別に求められていない時間の来訪

精霊の邪魔が入らない分、拒まれてはいないだろうけど……と夏凜は目を瞑る

夏凜「天乃」

考えて、夏凜は名前を呼ぶ


649 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 22:02:21.58XIR17xXKo (16/17)


名前を呼んだ夏凜は、

天乃の返答を待つことなくベッドに腰かけて、その手を握る

布団を握っていた手からは力が抜けていく

子供達の寝息が聞こえる部屋は、

病室ではあるけれど……幸せに満ちている

愛したい人がいて

愛されたい人がいて

静かに、時の流れに身を委ねている

退屈だ。

そう、愚痴をこぼしてしまいたくなるようなこれこそが平和だ

夏凜「……眠い?」



1、反応する
2、反応しない


↓2


650以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/15(日) 22:03:11.95a7TZ48azO (4/5)

1


651以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/15(日) 22:07:59.01yEILIQA70 (2/2)

1


652 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/15(日) 22:15:13.29XIR17xXKo (17/17)


では本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


若葉「ここで夏凜が来るか」

千景「嫉妬するくらいなら出て行けばいいじゃない」

若葉「それをしてどうなる……いずれ出ていく私が彼女を抱いて、それがどうなる」

千景「今の久遠さんを守ってあげられるわ。いずれは今じゃないのよ。乃木さん」


653以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/15(日) 22:27:06.47a7TZ48azO (5/5)


久遠さんが悩んでるところに夏凜ちゃん来たか…
とりあえず相談してみるのも手かも


654以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/16(月) 08:05:11.75l/ULDpEAO (1/1)


若葉は恋人の中では大分特殊な立場だよな


655 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/16(月) 22:25:32.666uwXO8l/o (1/3)


では少しだけ


656以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/16(月) 22:27:12.29aWTeVhWmO (1/1)

よっしゃ


657 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/16(月) 23:20:41.396uwXO8l/o (2/3)


天乃「………」

夏凜「………」

天乃は何も言わずに夏凜の指を掴む

目を開くこともの無く

ただ、握ってくれる夏凜の指に絡めていく

夏凜は驚かなかった

ゆっくりと絡んでくる指の動きを受け入れて、握る

天乃「……引っ込めるかと思った」

夏凜「何言ってんのよ」

静かに目を開いた天乃の呟きに、夏凜は苦笑する

そんな理由がどこにあるのか

極寒の水桶に手を突っ込んだわけでも、

虫の蠢く草花に足を踏み入れたわけでもなく

この世のものではない何かに触れたわけでもないのだ

触れ返されることもよしと考えていた頭は

引くことなど微塵も考えていない

たとえ爪をたてられても抵抗する気はなかった


658 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/16(月) 23:39:32.786uwXO8l/o (3/3)


天乃「何しに来たの?」

夏凜「一昨日は樹、昨日は東郷……今日は誰もいないんじゃ寂しいかと思って」

天乃「寂しくない」

夏凜「なら、寝たふりしてればよかったじゃない」

天乃「せっかく来たのにがっかりするでしょ?」

夏凜「何言ってんだか」

夏凜はそう言うと、

身を屈めて天乃を影の中に覆い隠す

普段は二つに結ばれている髪も

役目を終えた光を遮るようにさらりと垂れる

天乃「……くすぐったい」

夏凜「邪魔なら切るけど」

天乃「坊主にするの?」

夏凜「なんでよ、せめてショートとか」

天乃「……尼さんになるんでしょ?」

夏凜「あんたのところは巫女でしょうが」


659 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/17(火) 00:00:34.60LnqDqAcpo (1/6)


本当に力のある巫女としての仕事は残念ながら行えない

出来るのは園子か東郷

巫女としては東郷の方が適任かもしれない

もっとも、東郷は別の目的があるので

天乃がお願いしない限り引き受けてはくれないだろうし

天乃の両親が継ぐことを求めてくるとは限らないが……

夏凜「誰かが継ぐ必要があるって言うなら、私は別にそれでもいいけど」

天乃「巫女になるのって、意外に大変なのよ?」

夏凜「知ってる」

天乃が言った尼―そもそも現在では無い―になるためには色々と制約があったが、

大赦の中枢に祖母がいるような家系の巫女も、当然ながらそう易々となれるものではない

穢れの染みた一族であろうと、

大赦の職員と違い、頭のよさや金、人脈でも割り込むことのできない血統のみで許される正統な巫女とされる久遠家は

これまで、なるかならないかではなく、

巫女にならなければならなかった

舞や祝詞は当然覚える必要があるし、祭祀にも無知ではいられない

神々の知識も熟知する必要があるなど、学ぶことは非常に多く稽古は厳しい

仕方がないからなります。という気持ちでなれるものではない

夏凜「それでも、必要なら頑張れる」

天乃「……貴女は、そうよね」


660 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/17(火) 00:20:52.43LnqDqAcpo (2/6)


死と隣り合わせの戦いに身を投じてきたけれど

それ以前から修行に明け暮れた日々を送っていた夏凜にとって、

たとえ慣れないことであっても、そうする意思があればやり遂げられる

夏凜にはその自負があり、天乃はその信頼があった

人一倍鍛えてきた体は舞など容易にこなせるだろう

研ぎ澄ませた集中力は知識を容易に吸収するだろう

夏凜「まぁ、誰か巫女になれとでも言われなければならないけど」

天乃「言われたらなるの?」

夏凜「じゃなきゃ認めないとか言われても困るし」

すっと降りた影

こつんっと額と額が重なって、呼吸が途絶える

ほんの数秒、強く握り合った手の力を緩める

夏凜「せっかく取り戻したんだから、仲良くしたいでしょ」

関わりたくない兄もいるが、それを含めてもやはり親子の縁を切るなんて話にはさせたくない

あの母親のことだ

あとを継がないと言うだけでそんなことになるとは思えないが、念のためだ

天乃「……ごめん、聞こえなかった」

夏凜「ばか」

吐き捨てて、夏凜はもう一度頭を落とす

髪が天乃の顔にかかったが、くすぐったいと言う小言は聞こえない

言葉は紡げない、声は出せない

月夜の闇が、二人を覆う

夏凜「寂しかったくせに」

天乃「……ばか」

影に染まった病室では、一人も二人も一つだった


661 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/17(火) 00:21:59.46LnqDqAcpo (3/6)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


662以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/17(火) 00:30:00.751T8pGTkgO (1/1)


巫女姿の夏凜ちゃんというのも中々新鮮だな
あとあまにぼのやり取りはいつもながら尊い…


663以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/17(火) 00:33:21.35kxefUYlRO (1/1)


夏凜かわいい


664以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/17(火) 20:28:20.59/qiBHnZq0 (1/1)




665 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/17(火) 22:42:11.74LnqDqAcpo (4/6)


では少しだけ


666以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/17(火) 22:45:00.94OEBfG9K6O (1/1)

あいよー


667 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/17(火) 23:17:54.08LnqDqAcpo (5/6)


夏凜「……予約できない? なんて言った手前来ないわけにもいかないと思った」

天乃「義務感の強い人ね、貴女は」

夏凜「次に大丈夫な日。とも言ったし」

暗がりのせいか、橙色の瞳はより一層鮮やかに見える

白い肌は布団にとけて夜に浮く

夏凜は天乃の視線をしっかりと受け止めながら、唇をきゅっと結ぶ

潤いが舌を滑らせる

夏凜「待たせる人とか言われたし」

天乃「……結局待たされたけど」

夏凜「ほらやっぱり、待ってたんじゃない」

大きな瞳が見開かれて……揺れる

距離を保つ二人の心を表すように吐息が交わる

少しずつ閉じられた瞼はまた、静かに開く

薄紅色の唇が僅かに巻き込まれるのが見えた

天乃「誰か来てくれるって、思ってた」

夏凜「………」

天乃「思っちゃってた」


668 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/17(火) 23:30:58.89LnqDqAcpo (6/6)


儚げな表情を見せる天乃は、

自分のそれがすべきことではないとでも言いたげな声色で呟く

夏凜を見ているようで、通り過ぎていた視線が

無機質な天井を遮る夏凜へと集中する

天乃「………」

こう言うのは、縛り付けるようで好きではない

けれど、空気が冷たかった

静けさが怖かった

一人ではないのは頭で分かっているのに

体をおこせば子供たちがいて

声をかければ精霊が瞬く間に出てきてくれるのに

天乃「……寂しかった」

夏凜「………」

天乃は、どうしようもなくそれを口にした

握ってくれる夏凜の手を握り返した

そして、目を閉じると――想いが触れる

夏凜「ごめん」

それはすぐに離れて、夏凜の声が聞こえた


669 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/18(水) 00:11:31.27j6Sugl2mo (1/5)


夏凜は、寂しいとは思わなかった

でも、気にはなっていた

言ったら? と、声をかけられるほどに

我慢しなくても。と、笑われるほどに

それなのに、

ここまでの暗く沈んだ道のりは不思議なほどに長く感じた

夏凜「………」

寂しがり屋なのは分かっていた

天乃は家族の記憶を失っていた時期があって

今朝、話していた相手を弔わなければならないこともあった

人の温もりを失うことを何よりも恐れていることは分かっていたのに

――空回りたくなかった。

受け入れて貰えると解っていても

必要以上に大きいのではないかと、不安だった

狡いとは思う

けれど、寂しいと言わせてしまった以上は躊躇わない

夏凜「――好き」

その意味を知っていて欲しい気持ちと知らずにいて欲しい気持ちを胸中に宿しながら

天乃の頭を抱くように、右の耳へと口づけをした


670 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/18(水) 00:12:24.31j6Sugl2mo (2/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


671以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/18(水) 01:13:05.17JhMcY789O (1/1)


ついに夏凜ちゃんと…!


672以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/18(水) 04:21:44.12Y8KcCjbdO (1/1)


ムーディな雰囲気に


673 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/18(水) 22:29:29.87j6Sugl2mo (3/5)


では少しだけ


674以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/18(水) 22:48:50.64zpp14lZVO (1/1)

きてたか


675 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/18(水) 23:27:28.46j6Sugl2mo (4/5)


耳へのキスは、誘惑

昂る想いの表れ

夏凜は余韻を感じさせるように時間をかけて離れると

額と額をくっつける

唇が重なってもおかしくはない距離

でも、キスはしない

夏凜「東郷よりも、樹よりも」

天乃「夏凜……」

夏凜「私が一番」

それを実感させられていただろうか?

その自信は、残念ながら

いや、申し訳ないけれどなかった

天乃が待たされたと言うほどには、寂しい思いをさせてしまったのだから

だとしても、一番だと言いたい

否定されようと、そう言いたい

夏凜「天乃を愛してる」

肯定してくれるまで、何度でも


676 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/18(水) 23:55:38.43j6Sugl2mo (5/5)


好きよりも好きで

好きよりも、愛している

言葉にすると、とても軽いものに感じてしまう

でも、言葉にしたくなる

言葉にして欲しくなる

重いのなら、一度でいい

軽いのなら、何度でもいい

想いならば――いくらだっていい

夏凜「………」

天乃「………」

近くて、暗くて

何も見えなくなってしまいそうな視界にも、

天乃の瞳は変わらず見える

じっと見返してくる琥珀色とも言える輝き

そうしようと思うよりも先に、唇が重なる


677 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/19(木) 00:21:40.92FZq0ivtvo (1/3)


天乃「んっ……」

夏凜「っ」

どちらからしたのかも分からないキス

すぐに距離を置いて、見つめ合う

エッチなことをするときのような雰囲気が肌を撫でる

けれど、別にそんなことはしなくてもいい

瞬く間に終わるキスが心地よくて、温かくて

満たされずとも、染み込んでいく

天乃「私も、好き」

暗くてよかったと、思う

どんな顔をしているのかもわかる距離で

どんな顔をしているのだろうかと、誤魔化すことが出来るから

いつもよりも、積極的にできる


678 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/19(木) 00:22:10.06FZq0ivtvo (2/3)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


679以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/19(木) 02:40:40.07Ml/dJ9O5O (1/1)


久々のいちゃいちゃパート


680以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/19(木) 03:12:16.39FSpz7CXUO (1/1)




681 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/19(木) 23:04:16.01FZq0ivtvo (3/3)


すみませんが、本日はお休みとさせていただきます。
可能であれば明日、少し早い時間から


682以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/19(木) 23:12:39.68c9M25BamO (1/1)

乙ですー


683 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/20(金) 21:18:05.236ugve4Owo (1/2)


では少しだけ


684以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/20(金) 21:19:50.96lBnLAvUJO (1/2)

よしきた


685 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/20(金) 22:16:12.206ugve4Owo (2/2)


天乃「……愛してる。の方が嬉しい?」

夏凜「好きでいい」

天乃「それはどっちの意味でかしら」

好きな方で良いのか、

好きと言って欲しいのか。

そもそも好きと愛しているでなにが違うのか。

子供心としては、どちらでもいいのかもしれない

しかし、一歩踏み込んでいる夏凜ならば――

天乃「じゃぁ、愛してる」

夏凜の頭を抱き寄せて、キスをする。

軽く、誘うだけの触れ合い

たった一言を伝えるだけの接吻

天乃「その方が、良いでしょ?」

夏凜「……知ったようなこと言って」

天乃「貴女のことだもの」

知ったようなことも言いたくなるわ。と

口にしたらどうにかなってしまいそうなことは、控える


686 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/20(金) 23:33:28.775XzMXg7rO (1/2)


夏凜「子供がいるんだけど」

天乃「別にエッチに誘ってるわけじゃないし」

夏凜「私が誘ってないとでも?」

天乃「……前言撤回?」

天乃は嬉しそうな声で笑うと、

夏凜の頭に添えていた手を頬へと滑らせる

天乃「子供の前よ?」

夏凜「だから? って言ったら?」

天乃「………」

夏凜の瞳が揺れる

本気よりの、冗談だ

天乃を試そうとしているのだろう

子供の前で、もし隙を突かれたら

どんな対応をするのだろうかと。



1、少しだけよ
2、私と子供どっちが大事なの?
3、怒るわよ?
4、ふふっ、さぁ? 貴女はなんて返されたい?

↓2


687以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/20(金) 23:34:48.00lBnLAvUJO (2/2)

4


688以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/20(金) 23:39:58.57kGNctR1OO (1/1)

4


689 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/20(金) 23:49:53.315XzMXg7rO (2/2)


天乃「ふふっ、さぁ? 貴女はなんて返されたい?」

夏凜「……なるほど」

さっきの仕返しかと、夏凜は苦笑する

好きでいい

だから、どっちが良いのか

天乃の場合は遊んでやろうと言う気持ちなのかもしれないが

夏凜からしてみれば、困ったことにちょっぴり心が揺らされる

今なら何をぶちまけても

冗談で済ませられてしまいそうな気がするし

ちょっと意地悪なことを言っても、天乃が言わせたということに出来てしまう

夜のこの状況だから解放的なのだろうか

天乃を困らせてやりたいなんて考えがよぎるのだ

夏凜「そうね――」

言葉半ばに、首筋にキスをする

びくっと天乃の体が震える

何かが喉を通る音すら吸うように、

ちゅぷっとわざとらしい潤いをはじく

天乃「っ!」

首へのキスは愛情表現

いくばくかの独占欲

そして――欲求

夏凜「こんな感じ?」


690 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/21(土) 00:03:15.02iZrIyQiRO (1/2)


天乃「っ……か、かり……」

夏凜「キスマークがつくほどはしてないわよ」

天乃「そう、だけど」

空気にさらされる首筋は唇へのキスよりも余韻が続く

なのに、簡単に消えてしまう

夏凜「……私が首にして欲しい理由、分かる?」

天乃「私にわかると思ってる?」

夏凜「私のことなのに?」

天乃「………」

夏凜は知ったようなこと言ってみろ。と言っているのだ

キスの部位による意味など知らなくてもいいから、

私の気持ちは察して見せてくれと

しかし、

首へのキスがどういう意味を持っているのか

それを知らなければ、中々に考察しがたいもので

夏凜とて別に正解を言い当てて欲しいとは思っていない

夏凜「間違ったら……ね」

天乃「えっ」

言ってしまえば、意地悪である


691 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/21(土) 00:04:53.24iZrIyQiRO (2/2)


では、ここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から


692以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/21(土) 00:16:50.91fnd0NbqvO (1/1)


あまにぼ、中学生なのに大人顔負けのやり取りだな…


693以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/21(土) 01:52:45.07Rfn1DOZ3O (1/1)


えっちな雰囲気に


694 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/21(土) 21:50:08.52aP3ZTWaGo (1/4)


では少しだけ


695以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/21(土) 21:52:19.36pX8aUt3fO (1/1)

かもーん


696 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/21(土) 22:42:23.22aP3ZTWaGo (2/4)


天乃「間違ったらって……」

間違えたらなにをされるのか

頼りない明りに慣れた瞳に見える夏凜は笑わないようにしているが、

口元はうっすらと笑みを携えている

流石の天乃も、夏凜が悪いことを考えているのはお見通しだけれど、

だからと言って、正解を言い当てなければ悪戯をされると分かっただけだ

天乃「………」

息を呑む

握られた左手の代わりに、右手を胸の上に置く

ドキドキと胸が躍る

期待しているのかと、困惑する

天乃「間違えたら……どう、なるの?」

夏凜「……え」

思っていなかった反応に思わず間の抜けた声を漏らした夏凜は

すぐにふっと笑う

それが天乃の反抗ではなく、素だと熟知しているから

夏凜「あぁ……されたい?」


697 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/21(土) 23:14:34.95aP3ZTWaGo (3/4)


天乃「っ……」

天乃の頬に手を触れる

俗に赤ちゃん肌と言われることもある感触

ぽんにょりとした柔らかさ

摘まめばそのまま奪うことが出来てしまいそうな脆さ

ひんやりとしていて、紅潮の温もりを感じられる

天乃「んっぁ……」

親指で唇の端を押すと、エッチな声が漏れて

指先がぬるりと湿っていく

夏凜は内心、危ないと感じて頬を撫でる

夏凜「これ以上のこと」

天乃「これ、以上……?」

夏凜「そう」

これ以上となるとエッチなことしか思い浮かばない天乃だが、

数々の文学に触れて得た知識を総活用して誘う夏凜とて

この先は性的な行為しか思い浮かばない

もちろん、そこまで伸ばしてしまうのは、さすがにこの場では良くない


698 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/21(土) 23:38:29.46aP3ZTWaGo (4/4)


そう、夏凜は頭で分かっているのだけれど

頭で分かっていれば欲求を抑えられるのならだれも苦労はしていない

天乃「はっ……はふ……んっ」

天乃の呼吸が艶っぽくなっている

猥らさを隠そうと息を呑めば、その魅力は増すばかりで

自分の好きを実感する

愛したいと言う気持ちを、思い知らされる

夏凜「……」

――あぁ、好きだ

独占したいとは思わない

好きだからこそ、天乃の幸せは独り占めには無いと分かる

けれど

もし、自分一人に天乃の愛情が向けられたらどうなっていたのだろうかと思う

万人に向けられる愛情は、自分には重かっただろうか

それとも、それ以上に愛せてしまうほどに恋は満開になっていただろうか

解るのは、それでも愛しているだろうという一途さだけだ


699 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 00:12:44.16Sy8ywPGwo (1/21)


天乃「………」

触れている夏凜の手は、熱い

見えている夏凜の顔も温まってきているのが分かる

間違ったらされる恐らくは卑猥なこと

そんな夏凜がした首筋へのキス

その意味は何だろうと天乃は考える

子供の前で性的欲求に塗れてしまうのは理性が拒む

なら子供の前でなければいいのかと言われると

それは当然とは言えないが、良い寄りの答えが出る

正直、場所を変えてくれるなら間違えてもいいと思ってしまう

とはいえ、それを口にするのは……と天乃は首を振る


1、わかった。エッチなことがして欲しかったのね?
2、首……首……キスマーク? 独占欲?
3、ごめんなさい。キスの意味は分からないわ
4、子供よりも、自分を選んで欲しかった?


↓2


700以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 00:13:55.63smmHX9jmO (1/1)

4


701以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 00:20:43.13DBE0t7JsO (1/5)

4


702 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 00:27:53.48Sy8ywPGwo (2/21)


ではここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから


風「夏凜のあれって結局どういう意味だと思う?」

園子「ん~きっとお前は俺のものだ~って」

東郷「違うわそのっち。狩りはまず首を――」

樹「夏凜さんのことですから、エッチがしたいとかではないような気がします」


東郷「真面目に考えるとそうね」

風「真面目じゃない自覚があったんだ……」


703以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 00:36:17.036QmW5p8QO (1/1)


いつもながら夏凜との行為は誰よりもロマンチックだな


704以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 08:36:40.10fPDvd/U1O (1/1)


果たして正解は…?


705 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 15:13:42.87Sy8ywPGwo (3/21)


では少しだけ


706以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 15:24:29.86Upn6TpQDO (1/2)

きてたか


707 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 16:14:39.87Sy8ywPGwo (4/21)


天乃「子供よりも、自分を選んでほしかった?」

夏凜「……どうして?」

天乃「そうねぇ」

首筋へのキスの意味なんて知らない

だから、キスの意味は考えなかった

ただ、あの瞬間、子供がいることに対して

だから? と言ってきた夏凜のことを考えた

冗談だろうと何であろうと、

この時ばかりは夏凜にとって子供は関係のない存在だった

それよりも天乃のように思える

天乃「子供よりも自分を見て欲しいように思えた」

夏凜「っ」

天乃「子供に嫉妬しちゃったのね? ふふっ」

夏凜「は……ちがっうし」

天乃「良いじゃない」

別に否定しなくても。と、微笑む

もしかしたらそうではないのかもしれない

でも、もしもそうであったとしたら

母親としては失格と言われるかもしれないけれど――

天乃「私は、嬉しいわ」


708 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 16:51:51.57Sy8ywPGwo (5/21)


夏凜「……それ、狡くない?」

天乃「何が?」

夏凜「この……っ」

私は嬉しいと言われて、否定が出来るだろうか

その辺りの判定に厳しい人ならはっきりと言えるだろうか

少なくとも夏凜は無理で、自他ともに厳しい東郷も無理だろう

もっとも、自分のことを考えて欲しいというのは正解だ

夏凜は天乃の頬を摘まもうとした手を引く

夏凜「わ、悪い?」

天乃「全然」

親として間違っていたとしても

女心としては嬉しいもので

天乃とて、夏凜の立場ならばもう少し見て欲しいと思っていたに違いないと思う

天乃「私だって、もしかしたらそうだったかもしれないし」


709 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 17:15:00.77Sy8ywPGwo (6/21)


天乃「親として失格かしら?」

夏凜「……知らないわよ」

天乃「夏凜ならわかるでしょ」

夏凜「私はまだ、親じゃないし」

子供を産んだら

子供を産むための片割れとなったのなら、

それははっきりと親と言えるだろうが

そうではない自分たちはいつ、どうなったら親となるのだろうか

母親である天乃と契りを結んだら親なのか

付き合うと決めた時点で親になるのか

それとも……子供を愛おしく思った時点で親なのか。

夏凜「まぁ……自分を優先してるって意味でなら失格なんじゃないの?」

天乃「……九尾も、自分の人生は二の次に考えるべきだって言ってたわ」

歪ませたくないならという話での一言だったが、

子供のことを考えていないと言う点で、間違いと言えるかもしれない


710 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 17:41:40.82Sy8ywPGwo (7/21)


天乃「………」

夏凜「……何暗い顔してんのよ」

天乃「見えてないでしょ」

夏凜「見えなくてもわかる」

声で分かるし雰囲気で分かる

目を瞑っていたとしても、密着している胸の動きで分かる

自分のことを考えられないと言う落ち込みではなく、

自分のことを優先することを良しとしてしまう自分に負い目を感じているからだろうと夏凜は推測する

親だったら、大人だったら

何かうまいことを言えるのかもしれないけれど、

夏凜にはまだそこまでの経験はない

だから、そのまま口にする

夏凜「私も天乃もまだ子供なんだからそれでいいでしょ」

天乃「でも」

夏凜「私達がそういう時は風達がいる。そのためのみんななんじゃないの?」

そうやって助け合って変わっていけばいい

まだ子供なのだから

少しずつ大人になって、親になっていけばいい

至らないのは仕方がないことだ

夏凜「出来るって言い張るより、出来ないから助けてって言う方が良いでしょ」


711 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 18:07:54.09Sy8ywPGwo (8/21)


天乃「夏凜も助けてくれる?」

夏凜「もちろん」

天乃「……私、母親よりも女の子に見える?」

夏凜「なにその質問」

すっごく難しいんだけどと内心思う夏凜は、

さっきの自分の問いかけもあってか、文句は言わずに考える

女心と秋の空

そして、山の天気だったか。

今の天乃はそこまで難しいことは考えていないだろう

夏凜「今は、女の子」

そう答えて、天乃の唇に唇を下ろす。

子供を見ているとき、抱いているときはその姿も雰囲気も間違いなく母親だ

けれど、今こうして見つめ合い触れ合っているときだけは、女の子だ

天乃の頬を優しく擦る

微かに触れる髪のくすぐったささえ、心地いい

夏凜「……私達の、女の子」

もう一度、キスをした


712 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 18:38:50.44Sy8ywPGwo (9/21)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流有(悪戯、女の子)
・   三好夏凜:交流有(子供の前で、夏凜の気持ち)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流有(解りやすい、女の子の魅力)
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流有(精霊の子供)
・      神樹:交流無()


2月18日目 終了時点

乃木園子との絆  118(かなり高い)
犬吠埼風との絆  142(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  126(かなり高い)
結城友奈との絆  155(かなり高い)
東郷美森との絆  155(かなり高い)
三好夏凜との絆  170(最高値)
乃木若葉との絆  118(かなり高い)
土居球子との絆  65(中々良い)
白鳥歌野との絆  63(中々良い)
藤森水都との絆  56(中々良い)
  郡千景との絆  68(中々良い)
   沙織との絆  155(かなり高い)
   九尾との絆  85(高い)


713 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 18:40:46.89Sy8ywPGwo (10/21)


√ 2月19日目 朝 (病院) ※土曜日


1、夏凜との交流
2、通常のイベント判定

↓2


714以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 18:44:06.89dfs+3TsdO (1/1)

1


715以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 18:49:53.10Upn6TpQDO (2/2)

2


716 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 19:12:00.90Sy8ywPGwo (11/21)


01~10 沙織
11~20
21~30
31~40 園子
41~50
51~60 大赦
61~70 若葉
71~80
81~90 夏凜
91~00 風


↓1のコンマ


717以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 19:14:20.72qsJIAPjRO (1/1)




718 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 19:41:07.59Sy8ywPGwo (12/21)


√ 2月19日目 朝 (病院) ※土曜日


夏凜「……んっ」

天乃「……ふふっ」

すぐ隣に目を向ければ、夏凜の寝顔が見える

何度も見たことがあるはずだけれど、

何度見ても飽きることのない幸福

布団の中の暖かさがまるで心にまで届いたかのような温もり

天乃「好き……ふふっ」

夏凜は好きと言った

愛しているとも言った

エッチなことはしなかったけれど、何度も唇を合わせた感触は心地よくて

思い出しても、ほんのりと頬が熱くなる

天乃「もうちょっと」

狭いベッドの上

もう少し。と、天乃は夏凜へと体を寄せた


719 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 20:13:37.80Sy8ywPGwo (13/21)


天乃「………」

夏凜の肩に額をくっつけた天乃は、

その右腕を両手で抱いて顔を見上げる

ベッドの中でも、天乃は夏凜よりも下になってしまう

枕の位置を合わせようとしても、どうしても天乃の小ささは潜るのだ

背が低いことを悲しんだことはないけれど

今は、その背の低さもちょっぴり嬉しく思う

夏凜の女の子という言葉が、良く感じられるから。

――なんて。

天乃「夏凜には恥ずかしく言えないわね」

手を繋いでも、肩を組んでも

夏凜の方が大きくて、天乃の方が小さい

大人になるまで、

天乃はどこまで行っても女の子かもしれない

天乃「私の方が先輩なんだけどな」

それも、悪くはないと思ってしまう


1、イベント判定
2、精霊組
3、勇者組
4、子供

↓2


720以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 20:15:39.58rJ55Yk2vO (1/1)

3


721以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 20:17:57.64LSCgLuzi0 (1/2)

2


722 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 20:24:06.08Sy8ywPGwo (14/21)


1、九尾
2、球子
3、歌野
4、水都
5、千景
6、若葉

↓2


723以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 20:27:16.994/psX8BJO (1/1)

3


724以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 20:32:10.80DBE0t7JsO (2/5)

3


725 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 20:39:03.17Sy8ywPGwo (15/21)


では少し中断いたします。
再開は21時半ごろから


726以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 20:46:32.37DBE0t7JsO (3/5)

一旦乙です


727 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 21:46:19.97Sy8ywPGwo (16/21)


ではもう少しだけ


728 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 22:20:22.80Sy8ywPGwo (17/21)


天乃「……歌野、いる?」

空間に感じる稲荷神の気配

水都とは種類の違う力の波長は歌のものだと確信している天乃だが、

話をすでに聞いているだろう歌野の気持ちを考えて、呼びかけるだけに止める

無反応ならいない。

そう、切り替えるつもりだった

歌野「……いるわ」

天乃「歌野――」

歌野「あぁ、あのトークはもう聞いたわ」

天乃「九尾ったら無神経で悪かったわね」

歌野「ううん、あれくらいはっきり言ってくれた方があと腐れないし」

歌野はそう言って笑うと、

天乃が頭を下げないようにひらひらと手を振る

水都とは生きていようが死んでいようが、出来ないことが普通

だから、それが不可能だと分かったところで

落ち込むも何もない

むしろ、水都にそんなことを考えていたのが完璧に露呈したことの方がちょっとだけ危うい


729 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 22:41:42.80Sy8ywPGwo (18/21)


歌野「みーちゃんは大ごとになってるってアングリーだったわ」

天乃「……大丈夫だった?」

歌野「まだチークが痛い」

天乃「叩かれたの?」

歌野「引っ張られた」

ひりひりすると歌野は頬を擦る

精霊はバーテックスの攻撃にもある程度耐えられるほどの耐久力があるため、

怪我はないし痛みなんてそもそも感じないが

それとこれとは別の痛みなのだろう

とほほと悲しそうに歌野はぼやく

天乃「ごめんなさい、あんな期待させておきながら」

歌野「でもインポッシブルってわけじゃない。為せば成る」

天乃が言っていたように

二人の愛の結晶とはいかないけれど。

作り出した眷族を子供として愛することは出来る

水都は、別にそこまでしなくても良いと思う。と困り顔だったが。

歌野「それに……郡さんみたいに久遠さんの子供達と触れ合えればそれで充分なのかもって、思うわ」


730 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 22:50:03.25Sy8ywPGwo (19/21)


歌野達は精霊であり、

見守るだけの存在であるべき者達だ

俗にいう守護霊のような存在として

子供達を災厄から守る手伝いができれば良いと考えるべきだと歌野は思う

そんな中で、

子供達と触れ合えるのなら、これ以上の幸福はない

歌野「だからちゃんと帰ってくるわ」

天乃「歌野……」

歌野「今の諏訪に移住できるわけではないし、少し時間はかかるけれど必ず」

精霊ゆえに繋がりが微弱なままではいられず、戻る必要があるだろう。

しかし、歌野はそれを鎖だとは思わない

歌野「それで、私とみーちゃんで育てた野菜をたくさん食べて貰うの」

天乃「野菜嫌いにならないよう気をつけなきゃ」

歌野「ノープロブレム。ミー達が作る野菜は世界一! 野菜嫌いな子だって、きっと好きになるわ」


731 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 23:02:15.59Sy8ywPGwo (20/21)


天乃「………」

明るい歌野の声に、天乃は口を閉ざす。

でも、だけど、なんて言葉は歌野には不要だ

母親の気持ちが知りたいと思った歌野が

それを出来ないことに苦しむのならば、なにがなんでもどうにかするべきだろうが

そうではないのなら、

別のところにその心を置いているのなら

天乃が横槍を入れるのは無粋だろう

歌野「どうしてもってなったら眷族を産むことにするわ」

天乃「……力を持っていかれるだろうから、気を付けてね」

歌野「ええ」

歌野は頷く

天乃が余計なことを言うまいと押さえているのを悟って、微笑む

歌野「ところで、久遠さんはどうなの? みんなのパパ、あるいはママになる気はないの?」

天乃「えっ?」

歌野「東郷さん、その辺りの研究開発に本気で取り組む感じがするんだけど」

天乃「ん……」


1、それは、それが出来てしまったら考えるわ
2、東郷を止めるべきかしら
3、大丈夫。東郷の本気っぽい冗談よ
4、それが可能で、みんながそうしたいのなら私は受け入れるつもりよ


↓2


732以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 23:04:27.33LSCgLuzi0 (2/2)

1


733以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 23:05:12.70DBE0t7JsO (4/5)

1


734 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/22(日) 23:18:06.99Sy8ywPGwo (21/21)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

今週は所用でできない日が多い可能性もあります。


東郷「……これは、お許し!?」

風「ちがぁう!」パシンッ

園子「でも実際、わっしーは出来る技術を生み出しそうだよねぇ……執念で」

風「もはや想像妊娠するんじゃないの?」


樹「西暦の技術でも可能性はあったんですよね?」

千景「動物実験では成功していると言う話だった覚えがあるけれど……人はどうかしら」


735以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 23:20:32.96NasOqoIjO (1/1)




736以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/22(日) 23:21:39.53DBE0t7JsO (5/5)


研究ヤる気マンマンなとーごーせんせー
仮にできたとしてどちらに生やさせるつもりなのだろうか


737以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/23(月) 01:20:50.24okSmqP1nO (1/1)


まあいいんじゃないか?
東郷さんだって本気だろうし


738以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/23(月) 09:56:05.72k0j7kZNQO (1/1)


布団の中で夏凜にくっついて喜ぶとか久遠さんかわいいな


739 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/23(月) 22:49:18.49j/HfNKXJo (1/5)


遅くなりましたが少しだけ


740以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/23(月) 22:51:23.40qMvdmjUFO (1/1)

やったぜ


741 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/23(月) 22:54:54.68j/HfNKXJo (2/5)


天乃「それはそれが出来てしまってから考えるわ」

歌野「出来るようになってからだと、がっかりさせるんじゃない?」

天乃「そう言われちゃうと、弱いわね」

天乃は困ったように呟いて肩を落とす。

せっかく頑張ったのに……と落ち込んだ姿を見てしまったら

天乃はダメとは言えなくなってしまう性格だ

一度だけなら、少しだけならと許してしまうような甘さがある

それが解っていてあえてそういう姿を見せる勇者部ではないが

夢を見て努力した結果の拒絶では、図らずもそういう言動になってしまうのも無理はないだろう

天乃「私が妊娠してから出産するまで。産んでから、その技術が確立されるまでの子育て。まずはそれを考えて貰わないと」

歌野「子供が欲しいってだけではリスクがあるものね」

天乃「私は特殊だけど、やっぱり……妊娠して産むまでの期間でも壮絶だったから」

周りの助けがなければ何もできなかったのは自分だからかもしれないと天乃は思うが

天乃が一番重いと考えても、楽だとは考えられない

少なからず助けは必要になる

それは子育てでも同じだ

双子を抱える天乃は夫―誰がそうかはともかく―を除いてもまだ6人もの相手がいて

その関係にはない精霊たちの助けも得られるから楽に感じられる可能性もあるが、

子供が増えれば増えるほど、大変になっていく

それでもしっかりとやっていくという親としての覚悟

責任をしっかりと感じなければいけない

天乃「そんなこと、私が言えた立場ではないとは思うんだけどね」


742 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/23(月) 23:06:47.03j/HfNKXJo (3/5)


歌野「久遠さんは立派だと思うわ」

天乃「昨日、見てたでしょ?」

優しく言う歌野へと天乃は微笑み、

すぐ隣で眠る夏凜、

赤ちゃん用のベッドで眠る双子へと目を向ける

夏凜には今はそれでもいいと言われた

助け合って少しずつ成長していけばいいと言われた

けれど、今の自分が母親よりも女であることに変わりはない

そんな自分が言えた口ではないと天乃は思う

天乃「私は恵まれてるわ。きっと、誰よりも楽な子育てになると思う」

歌野「……それは、負い目を感じることじゃないわ」

天乃「解ってる」

首を振る

みんなの厚意であり好意

人生の伴侶としての協力だから負い目はない

けれど、母親としての負担が非常に軽いことは事実で

本来の夫婦、片親となってしまった人

その人達から、貴女は恵まれている。と指さされても否定はできない


743 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/23(月) 23:55:11.62j/HfNKXJo (4/5)


天乃の過去を思えば、あって然るべき助力と言える

しかし、事情を知らなければそうとは思えない

15歳と言う若さで母親になったことも

非常識と揶揄されることだってあるかもしれない

少なくとも、天乃は自分を客観的に見てそう感じている

天乃「私情に流れても、歌野達が子供を見てくれてて……そう言うのって中々ないじゃない?」

歌野「三好さん達に聞かれたらベリーベリーアングリーな話ね」

天乃「……聞いてそうだけど」

夏凜の横髪をさっと払って、苦笑する

夏凜はこういう時に黙って聞いている子だ

話し終えてから、何も聞いていなかったようにするか

何かあるかと聞いてくる

どちらにしても、自分がいると言ってくれるだろう

天乃「出来れば簡単に考えずに決めて欲しいと思ってるの」

歌野「それはワァーリィね。でも、スクールをどうするかで久遠さんの考えは聞いているからきっと大丈夫」

ちゃんと考える

そのうえで天乃に声をかけて、決めるはずだ

もっとも、技術が確立されなければ意味の無い悩みになりかねないけれど。

歌野「みんな、とってもいい人だから」


744 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/23(月) 23:55:55.24j/HfNKXJo (5/5)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


745以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/24(火) 00:01:58.53uzj71aY+O (1/1)


久遠さんは恵まれた環境を手に入れた分これから大変になっていく世界をますますほっとけなくなるんだろうな


746以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/24(火) 05:29:39.79DuAql2/bO (1/1)


そのっち忘れられてない?


747以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/24(火) 08:55:29.71wnxe8fj5O (1/1)

そのっち可愛がってあげてほしいな
接触が判定と安価だから仕方ないけど


748 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/24(火) 22:27:44.13pXY0nTWHo (1/6)


では少しだけ


749以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/24(火) 22:32:48.13ygsGMVxSO (1/3)

あいよー


750 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/24(火) 22:39:09.73pXY0nTWHo (2/6)


歌野「だから、久遠さんはあまり無理しないように」

天乃「するように見える?」

歌野「ん~……リトル。ちょっとだけね」

歌野は人差し指と親指の小さな隙間を見せると

苦笑いを浮かべて見せて、すぐに後ろに下げる

ベッドから離れた窓から差し込む光が、床を照らす

天の神と呼ばれた神々が消えても、空が消えることはない

それと同じように、天乃の優しさは消えたりしない

考えを変えることはあっても、無くなりはしないだろう

歌野「これから、きっと大変だから」

天乃「……そうね」

歌野「放っておけない?」

天乃「場合によっては」

見て見ぬふりは出来ないかもね。と

天乃はさらりと溢すが、

本当にそんな状況になったとき、天乃は間違いなく見て見ぬ振りできないはずだ


751 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/24(火) 22:57:42.60pXY0nTWHo (3/6)


幾度となく思う

天乃は優しい、天乃は甘い

その人の良さゆえに付け込まれやすい

もっとも、この時代ではそれも大赦がしようとするくらいで

一般の人々はそんな思惑を持って近づいてくることはない

しかし、それも過去の話となってしまう可能性があるのが今の世界だ

神々により築き上げられた神世紀は終わりを迎える

今は混乱が広がっていると言うこともあって神世紀が続いているが

落ち着いたころに、西暦以降300年の歴史がある神世紀もまた、過去のものとなることだろう

その後の世界で、天乃の周囲の人々が天乃を羨まないとは限らない

歌野「三好さん達がいるから、大丈夫だと思うけど」

天乃「貴女、夏凜達への信頼が厚いわね」

歌野「オフコース! なにしろ、久遠さんが選んだ人たちなんだからっ」

その目を疑わないことはないけれど

この一年しっかりと見てきたつもりだ

そのうえで、友として、仕え守る精霊として

勇者部の面々は信頼に値すると判断した

それは、千景たちも同じことだ


752 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/24(火) 23:32:46.14pXY0nTWHo (4/6)


天乃「もう……」

歌野「じゃなきゃ、久遠さんを置いて行くなんて出来ないわ」

天乃だけではなく、

子供たちも精霊として、守る義務がある

本来ならば天乃に寄り添い続けるべき立場だ

それでも外の世界に出ていくなんてことを考えることが出来たのは

夏凜達が本当に、心から天乃を愛してくれているからに他ならない

歌野「彼女たちなら任せられる。それだけの想いの強さを見せてくれた」

歌野は夏凜へと視線を下ろす

眠っているのか起きているのか

きっと起きているだろうと思いながら、微笑む

歌野「だから、久遠さんも目一杯のラブを」

夏凜の眉が少し動く

やはり、起きていると、歌野は察する

天乃「ええ、もちろん」

満面の笑みが浮かぶ

差し込んでいた陽の光が逃げるように雲の奥へと隠れる

暗くなった病室の中

天乃の笑顔はしっかりと、幸せそうだった


753 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/24(火) 23:35:40.10pXY0nTWHo (5/6)


√ 2月19日目 昼 (病院) ※土曜日

01~10 樹
11~20 大赦
21~30 風
31~40
41~50 夏凜
51~60
61~70 園子
71~80
81~90
91~00 若葉


↓1のコンマ


754以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/24(火) 23:36:17.11ygsGMVxSO (2/3)




755 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/24(火) 23:41:10.54pXY0nTWHo (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


756以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/24(火) 23:50:36.70ygsGMVxSO (3/3)


心から幸せを感じとった途端に大赦が襲来するところが実に久遠さんクオリティ
…是非ともお手柔らかにお願いしますハイ


757以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/25(水) 08:01:28.19EW3p9TnQO (1/1)


寝たふり夏凜かわいい


758 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/25(水) 23:35:36.204NiS179do (1/1)


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日、出来れば通常時間から


759以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/25(水) 23:40:52.91N6LG2aH0O (1/1)

いつも乙です


760 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/26(木) 22:53:54.47BGNsoFEYo (1/2)


では少しだけ


761以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/26(木) 23:01:05.42rq/FvmMGO (1/1)

よしきた


762 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/26(木) 23:36:37.90BGNsoFEYo (2/2)


√ 2月19日目 昼 (病院) ※土曜日


歌野との話が終わるころにタイミングよく目を覚ました夏凜もいなくなってから数時間

お昼に差し掛かる頃合いに双子へと母乳をあげていると

馴染みの浅い足音が聞こえた天乃は、思わず顔を顰める

馴染みは薄いが聞いたことはある足音

それが看護師や医者であるならば良いが……そうではないと天乃は察したからだ

天乃「……帰って貰えないかしら」

千景「追い返す?」

天乃「どうせ帰ってくれないわ」

どこからともなく姿を現した千景が、まだ叩かれない扉の方に目を向ける

神樹様を継ぐ巫女にしようという話を持ち掛けて以降

姿を見せなかった彼らがわざわざこうして来たのだ

天乃が帰ってと言ったからと言って

何も言えずに帰ってくれるはずがなかった

天乃「私、断ったんだけど」

扉が叩かれる

少しって。と声を返すと、承知致しました。と、少し硬い返事が返ってきた


763 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/27(金) 00:07:13.05kAp1uWLPo (1/8)


名残惜しそうな子供たちにごめんねと謝ってベッドに戻し、

招かれざる客人達に入室を許可する

姿を見せている千景はもちろん、

それ以外の精霊たちのいる空気が瞬く間に張りつめていく

それすら感じ取れてしまっているのか

子供達に笑顔はない

以前ほどぞろぞろとしてはいないが、

数名の来客はみんな、大赦の人間だった

珍しく仮面をつけていないが、数日前の代表の女性が正面にいる

「久遠様、先日は――」

天乃「前置きは必要ないわ」

「久遠様が近く退院されるご予定であるとお話を伺いました」

天乃「そのお祝い……なんて雰囲気でもなさそうね」

「退院されるにあたって、お子様は久遠様がお育てになられるのですか?」

天乃「それ以外にある?」


764 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/27(金) 00:32:08.47kAp1uWLPo (2/8)


瞳は特別だけれど、

大赦の人というだけでどうしても声が冷たくなってしまう

それを自覚する天乃は思わず目を細めて、息を吐く

至って冷静ではあるが、精神的には落ち着いていない

天乃「子育てが大変だろうから大赦が請け負います。なんて話を信じるほど……優しくないわ」

「久遠様は我々がお子様を利用すると?」

天乃「それに近いことは思ってる」

瞳のように本当に優しく愛してくれる人もいるかもしれないが、どうにも信用ならない

これからの人々はみな助け合っていかなければいけない世界だと分かってはいるのだが

しかし、大赦のしてきたことを考えてしまうと難しい話になる

下半身を覆う布団がかすかに引っ張られる

自分の手が布団を握りしめたのだと、遅れて気付く

千景「この子達にはちゃんと愛してくれる人がいるわ。貴方達の力を借りる必要はない」

天乃「千景……」

千景「……邪念を感じる。ただ子供愛しさに来たわけではないんでしょう?」

天乃よりも冷ややかに

千景は大赦を睨むようにして、問う


765 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/27(金) 00:32:50.72kAp1uWLPo (3/8)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から


766以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/27(金) 01:16:54.073wYyj5sxO (1/1)


まあこんだけ人数いるんだから子育てはへーきへーき


767以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/27(金) 06:03:10.00VUWu2MobO (1/1)


久遠さんからしたら大赦への信用なんて地に落ちてるどころじゃないもんな…


768 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/27(金) 20:40:29.44kAp1uWLPo (4/8)


では少しだけ


769以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/27(金) 21:09:17.39leGXOixGO (1/1)

早めに来てたか


770 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/27(金) 21:43:03.79kAp1uWLPo (5/8)


「貴女は」

千景「彼女の付き人よ」

「そうですか……邪念を感じる。でしたね」

女性はその言葉を噛みしめるように復唱する

俯いてもその顔は天乃からは見えてしまう

影の差した暗い表情

そんなことはないと否定を含んでいるようにも感じる

天乃「悪いけれど、巫女になるのはお断りするわ」

「久遠様は家系的に巫女を継ぐ必要があると思いますが、その点は良いのですか?」

天乃「私が跡を継いだらそれを持ち上げるつもりなの?」

「簡単に言えばそう言うことになります。ただ、我々大赦というよりも、国が。となりますが」

天乃「国……? 貴女達が口利きしたの?」

「神樹様が失われたとしても根付いた信仰心が失せることはありません」

大赦の遣い曰く、

未だ燻るであろう信仰心を捧ぐ先として、

国が特定の神社を指し示し導くことを目的としているとのことだ

「神に祈る人々と、人に願う人々。二分化されていった場合に、いずれ争いが起こるとも限らないのです」

天乃「貴女が前に言いに来たことと何も変わらない気がするのだけど……」


771 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/27(金) 21:56:07.32kAp1uWLPo (6/8)


信仰心の熱い人たちと、そうではない人たち

分かり合えないからこそ別たれた結果であるならば

それがいずれ争いを産むことになる可能性は否定できない

しかし、だからと言って

久遠の神社を国指定の神社として特例化し

祀り上げられるなど、以前の話と大差はないのではと天乃はため息をつく

考えを改めることに期待していたわけではないが、

それで頷くと思ったのだろうかと、天乃は目を細めた

天乃「私の家以外にも神社は沢山あるでしょう? どうしてそうしないの?」

「久遠様のところが特別だからです」

神樹様信仰の厚かったほかの神社にはそのような神々を祀るような準備がなければ、

そのような文献等は殆ど過去に葬られて残っていない

取って付けたような信仰など、神々からしたらありえない話だ

だが、天乃のところはそうではない

陽乃の時代から彼女が従えていた関わりのある神々への信仰は細々と残っている

正直な話、神樹様信仰時代に許されたことではないが、

神樹様への取って付けたような信仰が今は救いになる

もっとも、天乃からしてみれば救いでも何でもないが


772 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/27(金) 22:28:20.25kAp1uWLPo (7/8)


「なにより、久遠様は豊穣の神とされる稲荷神様、命と死の神である伊邪那美様と深いかかわりがあります」

千景「………」

天乃「……だから、神樹様の信仰を別へと向けるなら私が最適だと?」

「そうなります」

その挙げたうちの一人が今目の前にいるとは想像もしていないだろう

天乃は千景へと目を向けると、困ったように笑みを浮かべる

歌野や千景と言った代替を経由しているが、

その神々に愛されているとはいえるだろう

天乃「神樹様はあくまで総称。神々の集いだったと認識しているのだけど違う?」

「その通りです」

天乃「神樹様が消えたからと言って、その神々までも消失したとは思えないのだけどどうなの?」

「……そうですね。その通りです」

天乃「貴女が知っているなら、大赦にその手の文献や資料は保管されているんでしょう? なら、それを渡せばいいじゃない」

神樹様信仰だったから、

今から別個の神様への信仰などというのはおかしい

とはいうが、その神も神樹様の一部だったはずだ

であれば、神樹様への信仰はそのままにさらに事細かに明記するもよし

そうせずに、あくまで神樹様として祀るのもいいのではないかと天乃は思う

天乃「私をそっち側に引き入れるための話なんだろうけれど、国の指定というのはともかく、そのあとの話は不必要だったんじゃない?」

いずれにしても、

天乃はその話を呑む気など毛頭ない


773 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/27(金) 22:41:57.59kAp1uWLPo (8/8)


「神樹様が消滅したことに変わりはないのです。神樹様は八百万の神々へと戻った。それを告げて納得出来る状況ではありません」

壁が消え、外の世界が晒されることになった

荒れ果てた人が住んでいたはずの土地

そんな惨状を見せられた人々が、神は自然に宿っている。などという抽象的なことに落ち着いてくれるだろうか?

可視化できていた存在が消えたと言うのに

それを納得してくれるだろうか?

大赦も国も、その点に不安が残る

だからこそ、代表的な神社を用意する必要があると考えた

人々が祈るための場が

神がまだいるのだと、人々が想うことのできる存在が。

稲荷神も伊邪那美も繁栄を願うにはこれ以上ない神々だ

天乃「なら、稲荷や伊邪那美だなんて神名を出されて理解できるとも思えないのだけど」

「あくまで神――」

天乃「却下」

「久遠様」

天乃「言わなくてもわかるわよ……でも、言ったら追い出すからね?」

あくまで神樹様の一部だった。

そんな作り話をされたら天乃が言わずとも伊邪那美が許さないのは隣を見れば明白だ


774 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 00:09:40.50KdSRFqqBo (1/17)


精霊という存在として天乃が使役していた以上、

大赦からしてみれば神樹様の一部という認識は間違っていない

しかし、それは間違いだ

天乃「どうして私たちなの? 信仰の対象とするなら大赦お抱えの神社があるでしょう?」

「ええ。ありました」

天乃「何かあったの?」

「最後、久遠様の神婚における祈りを行っていたより強い信仰心を持っていた方々はその身を捧げました」

大赦全体で行っていたことだが、

より高い信仰心を持つ者たちは眷族となっていった

それは当然、大赦が最も深く繋がっていた神社にまで影響が出ている

その結果、今すぐに大役を担えるほどの余裕がない

もちろん、他にも神官はいるし巫女もいる

その手を借りれば良いのは分かっているが……

「久遠様は神に愛されている。その力を借りたいのです」

天乃「……神様を殺せる私が愛されているなんて、節穴も良い所だわ」


1、何度も言うけれど、お断りよ
2、久遠の神社のことならそっちに話をつけてきなさい
3、これからは人の手で頑張っていくのよ? 信仰は必要だとしても、それもまた人に任せるべきことだわ
4、みんなにも聞いてみたら? みんなが良いよって言ったら考えてあげる

↓2


775以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/28(土) 00:12:09.52ondplLP00 (1/3)

3


776以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/28(土) 00:12:25.55MQIs3L3s0 (1/1)

4


777 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 00:21:57.55KdSRFqqBo (2/17)


ではここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから


東郷「ダメですね」

風「断固拒否」

樹「久遠先輩が嫌って言ったならダメです」

友奈「気持ちは分かります。でも、久遠先輩はダメです」

夏凜「却下」

園子「天さんの為にならないこと、私達が良いっていうわけないよ」


778以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/28(土) 00:29:22.99fLDRX79gO (1/1)


なにがなんでも拒否する勇者部の皆さん
大赦は困り果てるだろうけど諦めるしかないな


779以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/28(土) 06:40:16.268xoQdig/O (1/1)


病院の外が今どんな状況なのか気になる


780 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 13:49:19.37KdSRFqqBo (3/17)


では少しずつ


781 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 14:24:14.42KdSRFqqBo (4/17)


天乃「みんなにも聞いてみたら? みんなが良いよって言ったら考えてあげる」

「久遠様、それは」

天乃「出来ないの?」

「いえ、そういうわけではありませんが――」

天乃「関係ないって?」

女性は天乃を見ると、ゆっくりと瞬きをする

大赦から派遣されてきている遣いとはいえ、

天乃の情報は知らされている

天乃が言うみんなが、久遠家の家族ではなく

勇者部だと解っていることだろう

だから渋る

勇者としての力が失われようと、彼女たちは勇者として戦ってきた敬うべき対象であり、

最も天乃の味方である子供達だ

久遠家の人々なら大人だ。

どうにか説得することも可能かもしれない

しかし、世界よりも互いを救うことを選んだ少女たちを説得することは難しいと言う話ではない


782 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 15:00:44.36KdSRFqqBo (5/17)


天乃「隣を見てくれれば分かるけれど……私はもう一人の命ではないの」

「……承知しております」

天乃「この子達だけじゃなく、みんなもね」

同性同士

けれど、血の契りを結んだ深いつながりを持ち、

愛情を持って接している少女たちだ

無関係だとは言わせない

天乃はため息をつくと、自分の手を握る

千景は何も言わない

もしもまだ現役のころだったら……受け入れていたかもしれない

でも、もう駄目だ

天乃「聞いてみて。それで、みんなが良いなら私が他に言うことはないわ」

「……承知しました」

千景「もちろん、久遠さんがやると言った。なんて嘘は通用しないわ」

「当然です」

女性はそう言うと、天乃へと頭を下げる

天乃の願いがあって膝をつくことは出来ないが

それでもと、謝罪する

初めから諦めるのは間違いだが、

諦めるほかないと、悟ったからだ


783 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 15:20:44.25KdSRFqqBo (6/17)


「久遠様、久遠様は神様を信じていますか?」

天乃「私に聞くことじゃないわ」

「いえ、久遠様に尋ねるべきことです」

天乃の周りには神がいる

精霊として力を貸し与え、天乃を守護している神々がいる

彼らは人の形を取って天乃に付き添う

神樹様が生まれ、消えてなおそれは変わらない

天乃は神に嫌われてもおかしくない力を持っている

それは神に愛されているからこそ手にすることとなった力だが

千引の岩を砕くほどのそれを、他の神は恐れたのだ

「……久遠様、どうですか?」

千景「久遠さん、答える必要はないわ」

天乃「邪念を感じる?」

千景「……ええ」

天乃「私は、怯えているように見えるわ」


784 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 15:32:43.44KdSRFqqBo (7/17)


努めて平常心を装っているのだろうけれど、天乃にはわかる

畏怖の念の籠った視線

逃げたくても逃げるわけにはいかないと言う諦念

大赦はいつだってそうだった

天乃を人として扱うようなことはなかった

神を信じていないと言えば、殺されるだろうか

子供を取り上げられて、用済みだとされるだろうか

そんなことになったら、天乃は彼らを救うすべがない

天乃が何と言おうと、精霊がそれを許さないからだ

天乃「……私が神様を信じてるかなんて、考えればわかることだと思うけれど」

「そうかもしれません。ですが、神樹様が失われた今、久遠様の御気持ちを伺いたいのです」

天乃「それで、貴女達に良いことがあるのかしら」

無い。絶対にない。と、天乃は目を閉じる

姿はなく、ただの空気

しかし、天乃の目には彼らの喉元に伸びる九つの尾が見える

輝かしい金色の毛に、深紅の怒りが光る

あれは、天乃の害になると判断している【彼女】の手段


1、信じていないわ
2、信じているわ。少なくとも、この子たちのことはね
3、貴方達の好きに考えていいわ。敵対するならお好きにどうぞ。でも、そうなったら私は止められないからね?


↓2


785以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/28(土) 15:37:10.28ondplLP00 (2/3)

3


786以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/28(土) 15:38:09.79jMyoMqIrO (1/1)

3


787 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 17:04:30.39KdSRFqqBo (8/17)


天乃「貴方達の好きに考えていいわ。敵対するならお好きにどうぞ」

「……敵対するつもりはありません」

天乃「そう……だと良いのだけど、でも、そうなったら私は止められないからね?」

残念ながら本当に止めることは出来ない

彼女――九尾は、本当に必要だと思えば

天乃の制止など気にも留めずに行動に移る

天乃以外の命がどうなろうと関係がない

今も牙を剥く不可視の九尾は代表の頭を齧る寸前のまま留まる

余計なことを言えばかみ砕きかねない姿に、千景が黒い気配を身に纏う

天乃「千景、大丈夫だから」

「……そのようですね」

遣い達の畏怖は千景へと向けられ、

千景は身構えていた手を振ると、一歩下がる

誤解だが、

千景はそれを解こうとはしていない

「今の大赦に、久遠様を敵に回す余力はありませんから」


788 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 17:46:03.53KdSRFqqBo (9/17)


天乃「それはありがたいわ」

千景「………」

天乃は目を伏せる

声に喜びはなく、ただの言葉でしかない

正直に言えば、

天乃は大赦であれど犠牲が出るのを好ましく思っていない

だから、九尾が手を出す必要がない大赦に留まってくれるのならありがたいと思える

でも、だからと言って犠牲を喜べるわけではないのだ

それを察しているからこそ、千景は優しい目を向ける

天乃「どちらを優先するのかは知らないけれど、無理はしないで頂戴」

「久遠様は……」

天乃「悪魔のよう?」

「いえ、そうは思いません」

使いの女性はそう言うと、頭を下げて踵を返す

久遠様は何だと言うのか

その女性が語ることはなく、

取るに足らない相手だと切り捨てたのだろう

その姿を追うように空気は揺れたが――すぐに掻き消えた


789 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 18:20:39.62KdSRFqqBo (10/17)


天乃「千景が疑われちゃったわね」

千景「気にしないわ」

天乃「目を付けられると面倒なのに」

千景「目を付けられるのは私を使役している久遠さんだから」

天乃「えっ」

千景「冗談よ」

軽口をたたいて微笑んだ千景は、

子供達に目を向けると軽く手を振る

怯えた様子がないことに安堵してか、ほっと息をついて姿を消す

天乃「ほんと……子供好きなんだから」

ねーと言うと、きゃっきゃっきゃっきゃと声が返る

愛娘達の愛らしい声は喜んでいるように聞こえて

天乃は優しく子供たちの頭を撫でる

天乃「お・ね・え・ち・や・ん」

星乃「ぉ、ぇ、ぇ、ぁぅっ」

天乃「ち、か、げ」

月乃「ぇっぁっ、ぅっ!」

天乃「ちーちゃん」

星乃「ぃーぁぅ」

天乃「ふふっ、もうちょっと頑張らないとね」


790 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 18:59:14.80KdSRFqqBo (11/17)


√ 2月19日目 夕 (病院) ※土曜日

01~10 九尾
11~20
21~30 
31~40 若葉
41~50
51~60 園子
61~70 東郷
71~80
81~90
91~00 風


↓1のコンマ



791以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/28(土) 19:13:45.934F1kIDBnO (1/3)




792 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 20:32:56.32KdSRFqqBo (12/17)


√ 2月19日目 夕 (病院) ※土曜日


大赦が帰ってからしばらくして病室を訪れた風は、

天乃のベッドに腰かけると、天乃の横髪を払う

風「大丈夫?」

天乃「大丈夫って?」

風「とぼけないの。大赦の遣いが来たんでしょ?」

天乃「……そっちには?」

風「来てない」

風達のところに大赦が言っていないのに知っていると言うことは、

精霊の中の誰かがそれを告げ口したのだろう

千景の口がそんなに軽くないとしたら

繋がりのある沙織辺りだ

天乃「風達に許可をもらってって言ったんだけどね」

風「また巫女の件?」

天乃「巫女どころか、私の実家を国の代表神社にしないかって」

風「国の代表!?」

天乃「ええ。笑っちゃうでしょう?」


793 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 21:07:55.13KdSRFqqBo (13/17)


風「笑うと言うか……それを求めちゃうのは理解できるわね」

天乃「えー……」

風「だって勇者部としてそれなりに名前が知れてるし、力も本物」

天乃の呆れたような、悲しいような

そんな失望感を感じる声に風は思わず苦笑する

力があってそれなりに名前が知れている

そのうえ天乃の同世代の若者達から人気があるとなれば、

これからを作っていく代表の一人として据えたくなってしまう気持ちも理解はできる

そもそも、天乃が巫女というだけで

それなりの付加価値があるのではと風は思う

風「天乃は神様の声だって聴けるんでしょ?」

天乃「前までの話よ」

風「今は無理?」

天乃「やってみないと分からないけど、出来ても言わないわ」


794 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 21:21:23.96KdSRFqqBo (14/17)


聞けるから巫女をやれと言われても困る

夏凜は実家はどうするのかという話をしていたけれど、まさにその問題を大赦は突いてきた

早々に話をつけてしまうべきなのかもしれない

天乃「ねぇ風」

風「ん?」

天乃「もし大赦が私のことを説得してくれって言ってきたらどうしてた?」

風「断ってたわね」

まるで考えていないかのような即答

風は眉を顰めて天乃から目を逸らし、寝てしまっている子供達に目を向けた

風「あたし達の言葉なら聞くだろうって思惑が透けて見えるのよ」

天乃「厳しいわね、風も」

風「あんまりいい思い出があるわけじゃないから」

天乃達一世代前の勇者たちの奮闘により守られた世界

しかし、その影響によって風と樹は両親を失うこととなってしまった

その援助をしてくれたのは大赦だから感謝がないわけでもない

けれど、不満も同じほどにある

風「でも、結局来てないわよ? 大赦」


795 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 22:03:39.49KdSRFqqBo (15/17)


天乃「聞いても無駄だって思ってたからよ」

風「あたし達は天乃寄りだしね」

天乃「世界よりも私のお願いを選んでくれちゃうんだもの。世界の為に私を差し出すとは思わないでしょ?」

風「そうねぇ」

誰一人として、それを良しとする勇者部員はいない

天乃が、みんなが

決死の覚悟でつかみ取った末の平和な世界

みんなで生きるために捧げたものは決して小さなことではない

それなのに、天乃を巫女として差し出すなんてありえないと風は首を振る

それは考えるまでもないことだし

たとえ天乃がそれでみんなが助かるなら……と言い出していても止めるだろう

風「私達の可愛い嫁を奪おうなんて、神様にすら許さないわ」

天乃「っ……」

ちょっとだけ格好良く声色を変えて、

髪を払い、頬に触れる

天乃「……風」

風「その照れた顔、好き」

天乃「もうっ」


796 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 22:28:23.89KdSRFqqBo (16/17)


風の手を払った天乃は髪をさっと撫でると

その手を風との壁にする

可愛いだのなんだの

すぐに言われるのはいつものことだが、どうしても恥ずかしくなってしまう

天乃「真面目な話の時には控えて」

風「……それ以外の時は良いんだ?」

ニヤリと。

天乃に見えないところであくどい笑みを浮かべた風だったが、

天乃はそんな風の悪戯心など知る由もなく

天乃「うん……」

風「ぁ」

天乃は素直に頷く

言われないよりは、断然いい



1、そんなことより、そろそろ家に戻りましょう?
2、ねぇ、風は外に出かけてみたことはある?
3、神様は八百万に宿る……信仰なんて、もう強制すべきことじゃないと思うの
4、ねぇ、私が実家の巫女になるって言ったら怒る?


↓2


797以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/28(土) 22:37:04.204F1kIDBnO (2/3)

4


798以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/28(土) 22:39:28.91ondplLP00 (3/3)

1


799 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/28(土) 22:54:50.89KdSRFqqBo (17/17)


では今回はここまでとさせていただきます
明日もできればお昼ごろから


800以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/28(土) 22:57:05.554F1kIDBnO (3/3)


実家か…一回帰ってお祖母さんと話をした方がいいのかな?


801以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/29(日) 07:27:28.959TXN6xDfO (1/1)




802 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/29(日) 20:01:01.99vHkMWCvWO (1/6)


では少しだけ


803以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/29(日) 20:17:01.18iWHJzCO8O (1/1)

来てたか


804 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/29(日) 20:39:11.89vHkMWCvWO (2/6)


天乃「そんなことより、そろそろ家に戻りましょう?」

風「家? 退院するってこと?」

天乃「ええ」

もう二月も半ばだ

三月になれば卒業式も、風の受験もある

三月になってから退院して慌ただしさを増すよりは、

そろそろ退院してしまって、これからの変化に順応させていくべきだと、天乃は言う

友奈は状態もあって入院を続けるべきだが、

その友奈もみんなが退院することに反対はしないだろう

寂しい思いをさせることにはなるけれど

そこは、出来る限り毎日会いに行くことで許してくれるはずだ

風「確かに、するならそろそろね」

天乃「風は家よりも病院の方が勉強しやすい?」

風「ここだとむしろ、みんながいるから」

穢れの影響も収まっており

以前ほど気になることはないとはいえ、どちらかと言えば家の方がやりやすい

風「とりあえず前の家で良いの?」

天乃「今はそれしかないのよね」


805 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/29(日) 20:59:05.06vHkMWCvWO (3/6)


天乃が済んでいた家は、

天乃と園子の対応を行っていた大赦職員が使っていた部屋を空ければ、

みんなに部屋を与えることも難しくはない

流石に階数は別れることになるが、仕方がないことだ

天乃「子供達は私の部屋にして貰えればいいし」

風「夏凜も一緒の方が良いんじゃない?」

天乃「なんでよ」

風「その方が母子揃って嬉しいでしょ?」

天乃「………」

夏凜と同じ部屋だと、千景以上に夏凜は子供を見てくれる

しかし、気が休まらないのではと天乃は首を振る

互いに好意はある

十分以上に愛していると自負がある

けれど、だからこそ天乃と夏凜は気が休まらない

その心が、あまりにも若すぎるのだ


806 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/29(日) 22:14:10.69vHkMWCvWO (4/6)


天乃「一応みんなの希望も――」

風「そんなこと言ってるとまた時間かかるわよ?」

天乃「家に帰って好きな部屋どうぞ。の方が良い?」

風は少し長い溜息をつく

考え込むようにん~……と唸ると、天乃を見る

風「それで良いんじゃない?」

天乃と同室になることは可能なのか

隣室ならばどうか

多少、平凡な喧嘩があるかもしれないし無いかもしれない

もしかしたら今の病室がそうであるように

寝る部屋はみんな一緒の部屋なんて修学旅行のようなことに落ち着くかもしれない

風「部屋数は十分あるんだっけ?」

天乃「私と園子のお世話してくれていた大赦の人たちの部屋空ければ多分」

風「ならとりあえずそこにして、卒業したら転居考えれば良いんじゃない?」

天乃「そうね……」

あらかじめどこにするかなど考えておく必要はあるけれど

一先ず、前の家で大丈夫だと天乃は考える


807 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/29(日) 22:55:22.00vHkMWCvWO (5/6)


天乃「友奈ってどうにもならないのかしら?」

風「あの状態だからなぁ……」

単なる骨折ならば、自宅療養も可能だし

松葉杖や車椅子でもいいかもしれない

しかし、あそこまで酷い骨折にもなると、

ある程度くっつくまでは絶対安静するべきだ

風「友奈にも会いに行ってあげたら?」

天乃「……園子にも会わないと」

風「園子は呼べるでしょ? 必要なら、今日の夜にでも行くように言っておくけど?」

天乃「園子、何か言ってたりしない? 自分には会いに来ないとか、どうとか」

風「そんなことは一切ないけど……」

誰かが行けとかどうとか背中を押しあうことも特にないし

それで言い合いになることはまずないと言っても良い

ただ、と、風は目を瞑る

園子はまだ未経験だ

火が付けば積極的に進んでいけるかもしれないが、

そうでなければ、気恥ずかしさが勝るもので

そういう何かを含んで天乃のところに向かうのはなかなかできないのだろう

風「呼ぶ?」


1、嫌がってなければ
2、ううん、いいわ
3、ええ、お願い

↓2


808以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/29(日) 22:56:39.12PMb0JKd0O (1/1)

3


809以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/29(日) 22:56:54.64VNO2IGxUO (1/1)

3


810以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/29(日) 22:58:00.28LCTtU4fJ0 (1/2)

3


811 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/29(日) 23:04:04.29vHkMWCvWO (6/6)


では本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


友奈「退院、するんですか?」

天乃「ええ」

友奈「………」

友奈「そう……ですか」フイッ

天乃「友奈?」



園子「ちょっと思わせぶりな態度作戦~」

夏凜「天乃って、基本的にそういう冗談通じないんじゃないの?」


812以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/29(日) 23:13:27.48LCTtU4fJ0 (2/2)


ついにそのっちのターンが…!
随分と待たせたもんなぁ


813以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/30(月) 00:20:21.57qTpK8RteO (1/1)


そのっち待たせたな


814 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/30(月) 22:04:32.33X9ta/nDeo (1/3)


では少しだけ


815以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/30(月) 22:05:05.95fvHPoGN8O (1/1)

よしきた


816 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/30(月) 22:54:08.84X9ta/nDeo (2/3)


天乃「ええ、お願い」

風「任された」

風はパチッとウインクして見せると、照れくさそうに笑って頬を掻く

ウインクに限らず、お茶目なことをすることがある風だが

少女力高めに見せようとしたことが思いのほか恥ずかしかった

天乃はからかう隙を見逃して、優しく笑う

茶化す時もあればそうではない時もある

使い分けの基準は不明瞭ではあるけれど、天乃の中では馬鹿にするところではないと言う判断をしたのだ

天乃「園子が嫌がったら、無理強いはしなくていいからね?」

風「嫌がったらね」

嫌がるだろうか

風はそう考えてすぐに、それはないと思った

勇者部のほかの面々に比べれば、比較的初心な園子だが

天乃が来て欲しがっている。とさえ言えば、意を決して病室を出ていくはずだ

園子は一応、知識はある

みんなの経験談もあるし、天乃の相手としてはちょうどいいかもしれない


817 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/30(月) 23:33:38.42X9ta/nDeo (3/3)


風「……するの?」

天乃「どうかしら」

風「園子しだい?」

天乃「唆したりしないでよ?」

天乃は風の好奇心を感じて、先手を打つ

園子がいくら奥手でも

天乃が誘い、唆されたとなればそう言うことも求めてくるようになる

しかし、そういう、ちょっとばかり不自然な流れというのは

熱が冷めたときにダメな気がした

もちろん、園子が元から積極的なら……別に問題はないのだが

天乃「園子の気持ちを大事にしたいわ」

風「その結果が一線を越えられないままなのに」

天乃「反論の余地がないわね」

ぼやくような風の一言

しかし、まさしくその通りだった


818 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/31(火) 00:10:27.00U+jIliTfo (1/8)


良い例と言えば良いのか、悪い例と言えば良いのか

夏凜には別の考えがあるのだが、天乃と夏凜がそれに近かった

互いを気遣うが故に奥手で

想いの強さゆえに、その綱引きは均衡を保ち続けてしまった

天乃「もう少し欲張ったほうが良い?」

風「もう少しくらいはね」

まぁ……と、風は間延びするように呟くと

子供達の方に目を向ける

今は母親としての責任感もあるだろうから、無理にとは言えない

まだ15歳、本来は高校生になろうかという若輩者だ

そんな中で母親になり、親というものを学ばなければならないのだから

欲求など二の次と考えるのが普通だろうか

風「気が向いたらで良いんじゃない? 天乃か相手が無理ならしない。相手が求めて自分が平気なら受ける」

天乃「子供達は?」

風「あたし達が見てるから大丈夫。というか、見させてくれないと困る」

血は繋がっていないかもしれないが

育ての親とはなりたいと風は笑みを見せる

風「天乃の子供はみんなの子供。大切に育てないとね」


819 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/31(火) 00:12:19.38U+jIliTfo (2/8)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


820以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/31(火) 00:16:49.03h6NMjJV90 (1/1)


知識は豊富そうなのに勇者部で唯一未経験なそのっちってなんだか新鮮だな


821以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/31(火) 00:33:14.92G1k6FnCX0 (1/1)




822以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/31(火) 01:02:57.28lOIZc6dFO (1/1)


キスすら最初の時以来してないんじゃない?
もしかして


823 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/31(火) 22:23:38.30U+jIliTfo (3/8)


では少しだけ


824以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/31(火) 22:34:11.26RstFU9ybO (1/2)

かもーん


825 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/31(火) 22:46:57.60U+jIliTfo (4/8)


天乃「風は、自分の子供が欲しいとか思ったりしない?」

風「考えるか考えないかで言えば……考えるわね」

今もすぐ隣を見れば双子の赤ちゃんがいる

大切そうに腕に抱く天乃は幸せを感じるし、

触れようと伸ばしてくる小さな手

まだたどたどしい未熟な言葉はとても愛おしくて

恋人の子

されど、血の繋がりがない子供でも愛情が湧くのなら

自分の子供ならいかほどかと風は考えた

しかし、それと同時に思い出す

天乃の妊娠の重さ

出産までの苦痛

産んでからの、子育てと進路の悩み

子供が欲しい、だから産む

そんな単純さではやっていけないのが親というものだと風は思っている

風「勇者部と精霊と数えれば十数人、それでも双子でちょっと手一杯な感じがする」


826 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/31(火) 23:16:45.43U+jIliTfo (5/8)


風「作るとしても、もう少し大人になってからよねぇ」

天乃「出来ること前提なの?」

風「東郷がやる気だし」

天乃「……できると思う?」

風「なせばなるんじゃない? なにより東郷だし?」

眉を吊り上げ、困ったように風は言う

東郷の熱心さと、一途さならばできるようになるかもしれない

理系に分類されるその技術は

東郷が好まない横文字に進んで触れていかなければならない分野だ

そこに、自分から進むと言っている

その本気さは測れるほどではない

風「その時は、まぁ……その時考えることにしましょ」

天乃「作るかどうか?」

風「どっちが産むか」

同性間での子供は行ってしまえば人工的な技術である

それでも受精し、それがしっかりと子供となるまで育てる母体は必要不可欠なのは今も昔も変わらないだろう

その場合の母体は誰が担うべきか。

天乃が片割れなのは必然だろうし、

天乃かその相手のどちらかにするべきだ

天乃の健康次第だが、相手の方が母体となることを念頭に置いておくべきだと風は頷く

風「どちらかと言えば、天乃の相手になるだろうけどね」


827 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/31(火) 23:35:33.67U+jIliTfo (6/8)


天乃「年の離れた妹になりそうね」

風「さぁ? 案外早いかも」

風は冗談めかして笑うが、内心本気だ

高校受験までの一年間

やや片手間気味になるかもしれないけれど

そこでも東郷は熱心に勉強するだろうし、

進路はそれを専門的に学べる学校を選択するだろう

東郷なら、止めても人生を研究に費やしかねないのが少し危ういが

天乃が同棲していればどうにかなる

とにかく、東郷が本気になるのを止めないのであれば

実現すると考えていて良いかもしれない

風「惜しむらくは、生えないことよね」

天乃「生えないって……男の子のあれ?」

風「そう、アレ」

天乃「疑似的にならそういう道具を使えばいいんでしょ?」

風「男の子の快感を味わってみたいって言うか……天乃とそれでやってみたいというか」

天乃「えー……」

風「あははっ冗談よ! じょーだん」


828 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/31(火) 23:49:08.66U+jIliTfo (7/8)


天乃と付き合う以前、異性との付き合いを考えていた風は

まだ少し、そっちの方面に憧れがあった

異性と付き合いたい、エッチなことをしたい

そんな考えはないものの、

悪五郎と天乃の性的な行為がどのようなものだったのか

男の子として、天乃と接するのはどんな気持ちになるのか

好奇心は隠せない

もちろん、それは不可能だと解っている

超常の力があるとしても、無理なこともあるのだ

もっとも、道具を含めて疑似的にその体験をすることは可能なのだが。

そこは、力を借りる必要のある彼女が面白い。と、快諾してくれるかどうかによるだろう

風「どう? ちょっとは気分乗ってきた?」

天乃「何の話?」

風の言う乗ってくる気分というのが、天乃は本気で分からなくて、

何気なく考え込むと、風のいやいやいや。と制止する声に呼ばれてはっとする

天乃「エッチな気分?」

風「乗ってこなかったなら良いのよ。雰囲気で押すべきだった」

天乃「私、雰囲気どうこうよりも押しに弱い気がするわ」

風「それは知ってる」

天乃「えっ?」

思わず、間の抜けた声が口から洩れた


829 ◆QhFDI08WfRWv2020/03/31(火) 23:51:02.87U+jIliTfo (8/8)


√ 2月19日目 夜 (病院) ※土曜日

01~10
11~20 若葉
21~30 
31~40
41~50 沙織
51~60
61~70 東郷
71~80
81~90
91~00 水都


↓1のコンマ

※園子来訪前
※空欄なら園子


830以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/03/31(火) 23:55:13.84RstFU9ybO (2/2)




831 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/01(水) 00:10:54.40qb+X639/o (1/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



風「園子、天乃が呼んでるわよ」

園子「えっ……天さんが?」

東郷「エ――」

樹「そいやっ」ガシッ


園子「そ、そっか」

園子「そっかぁ~えへへ~」


832以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/01(水) 00:18:16.31tZdKx4bxO (1/2)


風先輩もえっちなことに興味津々なお年頃なんだなぁ
そしていよいよそのっちとの初夜が…


833以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/01(水) 00:27:26.29KlOJ80ZUO (1/1)


風とのえっちの内容に踏み込んだ会話聞いてると普通に年季の入ったカップルみたいだな


834以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/01(水) 08:17:40.17aLOL91o2O (1/1)

ときめきの章は草
初代久遠さんはほぼあの状態の東郷さえも誑かしてたの強いわ


835 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/01(水) 22:09:52.85qb+X639/o (2/5)


では少しだけ


836以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/01(水) 22:11:06.84tZdKx4bxO (2/2)

よっしゃ


837 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/01(水) 22:59:45.97qb+X639/o (3/5)


√ 2月19日目 夜 (病院) ※土曜日


園子「えっと」

階と部屋を確認しながら

夜の幕が下りた病院の廊下を園子は普段よりも重い足取りで進む

風は何も心配はいらないと言う調子で天乃が呼んでいると伝えたし

怒られる覚えはないので、怖いわけではない

手に余る人数との付き合い

だから、一人くらいは削ろうと考えている……なんて不安もない

園子が普段の軽さを損なっているのは

日を開けての呼び出しだからだ

必ずそうする。という話ではなかったはずだが、

このタイミングで、しかも夜の呼び出しともなると期待が重い

園子「……ふぅ」

静けさと、肌寒さ

はっきり聞こえる心臓の音、じとっと感じる体温

足を止めて深呼吸

園子「天さんだからなぁ」

柄にもなく緊張しながら、扉を叩く


838 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/01(水) 23:33:33.43qb+X639/o (4/5)


ノックに応えると、引き戸を開くからからと渇いた車輪の音が聞こえ

院内スリッパの軽い音が病室に入り込む

天乃「園――」

園子「何か御用でしょうか、奥様」

園子はびしっとした姿勢で立ち、体の前で手を交差させる

使用人のような佇まいに、

天乃は一瞬言葉を失ったものの、笑みを浮かべる

天乃「私が奥様なら、貴女は旦那様よ。園子」

園子「えっへん。旦那様のおな~りぃ」

使用人から屋敷の主人へ

なり上がって胸を張って見せた園子は、

ベッドではなく、椅子を立てて座る

ぎしりと軋む

園子「まさか、呼び出されるとは思わなかったんよ」

天乃「何かやってたりした? 休学中の勉強とか……」

園子「やってることはあったけど、天さん優先」


839 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/01(水) 23:51:28.10qb+X639/o (5/5)


園子「……本当は、私から行くべきだったよね」

天乃「そんなことないわ。いつだって呼べたのに、呼ばなかったのは私だもの」

子供がいるからと、

病室で座して待つことが多かったのは自分だと、天乃は首を振る

けれど、園子は違うと言う

園子「みんな、ちゃんと天さんに会いに行ったんよ」

天乃「園子だってちゃんと会いに来てくれたじゃない」

園子「そうだけど」

天乃「それに、我慢しましょって、言ったのは私だわ」

園子がみんな以上に病室に気軽に来ることが出来なかったのは

それが理由の一つだろうと天乃は言う

東郷も風も、樹も夏凜も

みんながみんな溜まりに溜まっていて

今は、一人か二人ずつ解消させようとしているものの

そう切り替える寸前に、天乃は園子に我慢するように告げた

天乃「一緒だって言ったのに、私だけ……手を出した」

園子「仕方がないんよ、むしろ、天さんはもっとも~っとエッチになったほうが良いと思う」


840 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/02(木) 00:05:57.024xynIcIMo (1/8)


体が不自由でどうにもならなかった期間が長い園子と違い、

勇者部の面々は天乃の穢れを負うことで

性的欲求での発散でそれを払うなど、そういった行為に触れることが多く

年齢にしては非常に踏み込んだ状況に陥っている

若く、満足の行く体で

その味を知ってしまった少女たちを放っておけないのは当然だ

溜めに溜めてしまえば、その不満が爆発した時が恐ろしい

園子「でも、私は違う。天さんの体を口にした。キスだってした……でも」

まだ、体はその温もりを知らない

一人耽る冷めていく切なさだけを、体が覚えている

頭の中で考えて、目を瞑って夢想して

結局、触れるのは自分の手

自分の意思が介在したその感覚は、ひと時の幸福に終わる

園子「まだ、体は知らない」

妄想できるほどの知識が園子にはある

けれど、それを成就させるための経験が不足している

樹が行き、東郷が行き、風が行き、夏凜が行き

それを見送って、どうだったのか話を聞いて

行為をしたというちょっぴり自慢げで、赤裸々な告白に感嘆し、

それが自分だったならと思い浮かべて、羞恥に俯く

園子「天さんとしたい。したいけど……がっかりさせそうで」

未経験と経験者

その一線の差が、園子には底知れないものに思えてならない

それは、夏凜と似た、自信の無さからくるものだった


841 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/02(木) 00:06:28.864xynIcIMo (2/8)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


842以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/02(木) 00:11:00.94IoXTCT+XO (1/1)


自信のないそのっちかわいい
ここは久遠さんがしっかりリードしていかないとだな


843以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/02(木) 01:46:52.577Z86IjwJO (1/1)


ここにきてのじっくり描写いいぞ~


844 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/02(木) 21:52:56.774xynIcIMo (3/8)


では少しだけ


845 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/02(木) 21:54:05.634xynIcIMo (4/8)


天乃「私達は必要だったからしてたし、今はその結果でしかないわ」

普通に考えれば変な話ではあるが、

天乃は生きるために穢れを少しでも祓う必要があり、

それが、性的行為によるものだっただけのこと

しっかりと考えた上でのものだが、この若さで子供を産むことになったのもそれが理由だ

ある意味で義務的な経験を重ねてきた結果、

園子がまだ恥じらう性欲に耐性がついてしまった

園子が普通で、自分たちが旺盛すぎる上に慣れ過ぎている

もちろん、行為を考え実行することに慣れているだけで

それそのものに慣れたとは言いにくいが。

天乃「園子は自信がないって言うけど、私だってする側としての自信なんてない」

園子「でも、天さんは一杯されてるからそういうのもちょっとは分かってると思う」

天乃「そう言われると、困っちゃうけど」

天乃は独り言ちたような園子に答える

攻めとか受けとか、正直天乃には良く分からないことだが

その良く分からないことも、天乃は一部分に特化して経験がある。

上手く言葉に出来なくとも、体は覚えている

その一方で、園子にはどちらもない


846以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/02(木) 21:57:03.46S0Sr9RLkO (1/2)

きてたー


847 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/02(木) 22:22:04.004xynIcIMo (5/8)


女の子同士のちょっぴり先取りした妄想

自分の周りがそれを理解出来なかった時

自分だけの密やかな楽しみだったころ

満足できたはずのことが、今は物足りない

園子「頭の中でいくら考えても、現実は違うんだ」

頭の中では、誰かの――天乃の指先

でも、結局は自分の指先だった

夢の中で頬を抓られたような

あぁ、これは自分の妄想なんだと寂しくなる感覚はスランプのように。

事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものだと、園子は思う

視線を下へと下げると、なににも変われなかった指先が見える

年上、同年代、年下

みんなが堂々と語るそれらは園子の妄想なんかとは比べものにならなかった

多幸感に満ちた表情、悦びに赤らんだ顔色

慰めでは到達することができない何かがそこにはあって

周りの会話についていけない不安

言葉が分かっても、解らないあやふやな知識

置いて行かれている実感が湧くと、どうしようもなく……怖気づく


848 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/02(木) 22:38:29.564xynIcIMo (6/8)


好きなればこそ踏み込めと、誰かは言うだろう

しかし、園子は好きだからこそ踏み込むことを躊躇した

自分以上の技術がいくつもあって、それに満たされている恋人がいる

そこに、自分は必要なのだろうか。

天乃はみんなで一緒に居ることを望むほどにみんなを愛している

傍を離れるのは違うかもしれない

けれど、性的行為の相手としては不必要なのかもしれない

みんなの幸せを聞きながらほんわかと笑って、受け止める

もはや筆先の割れたペンで、大丈夫。と。肝に銘じる

園子「みんな幸せそうで、天さんも幸せそうで……妄想の結果がそこに行きつくのが想像できなかったんよ」

意図せず言葉に笑い声が混じる

嘲笑じみた笑い

あたりまえだ

みんなの幸せに共感できない

そうなんだ~と空返事、現実に見劣りする妄想の収納箱を漁って言葉を引っ張り出して終わる

幸せであること

それが嬉しいことだと、頭だけしか考えない


849 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/02(木) 22:57:02.594xynIcIMo (7/8)


夏凜は、純粋にその想いでの付き合いだった

だから、常に一歩引いた目線でも最近に至るまで思い悩むようなことにはならなかったし、

みんなの幸せが天乃の幸せに直結しているのならばいいと

行ってしまえば親のような目線でいることが出来た

けれど、園子は先輩への憧れがあり、

茶目っ気もありながら、先往くものとしての姿を見せてくれる天乃が好きだった

女の子同士の妄想にも手を出していた園子にとって、その存在はあまりにも刺激的だったし

いけないとは思いつつも、その相手が自分だったらと考えてしまうこともしばしばあった

その募りに募った想いが、置いて行かれることに傷つく痛みが苦しかった

みんながいて、それで幸せなのは園子も分かる

それは嬉しいのに、何度忘れても、置いて行かれていることを思い出すと目の前が真っ暗になる思いだった

天乃「園子……」

園子は気付いているのだろうかと、天乃は名前を呼ぶ。

今にも泣きそうな瞳をしていると

それは、耐える必要のないことなのだと


1、みんなの話を聞いたなら、押せ押せで行ったほうが良いって分かるでしょ?
2、抱きしめる
3、自由になったんだから、貴女も自由で良いのよ。大丈夫、私は好きよ
4、一人だけ置いてきぼりだったものね。ごめんなさい、配慮が足らなかったわ

↓2


850以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/02(木) 23:02:36.28S0Sr9RLkO (2/2)

2


851以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/02(木) 23:03:55.39ZGAZt8W30 (1/1)

3


852 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/02(木) 23:10:56.604xynIcIMo (8/8)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「大丈夫、私は自由な貴方が好きよ」

園子「!」


東郷「ハッ……目覚めてしまったのね。眠れる虎の子が」

風「東郷……あっ、まだ中二か」

樹「お姉ちゃん、それ違うと思う」


853以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/02(木) 23:18:26.18RqFgFcry0 (1/1)


久遠さんを自由にできるんだし思い切ってそのっちの好きなことをしてもええんやで


854以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/03(金) 02:37:25.05c8xUA2uoO (1/1)


そのっちかわいい


855 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/03(金) 23:38:33.41jmS526Fwo (1/1)


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから


856以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/04(土) 01:01:56.45WDk7mqN2O (1/1)

乙ですー


857 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/04(土) 19:27:59.60pu81Xn4ho (1/6)


では少しだけ


858 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/04(土) 19:30:35.20pu81Xn4ho (2/6)


天乃「自由になったんだから、貴女も自由で良いのよ。大丈夫、私は好きよ」

園子の悩みは

園子自身の優しさと想いに甘えすぎた結果ではないかと、天乃は思う

あまり行動に移さずみんなに委ねてしまっていたこと

そもそも、あまり想いを語っていないこと

求めているような素振りに気付いていても

子供がいるからと、我慢させてしまったこと

園子「迷惑じゃない?」

天乃「これっぽっちも」

もちろん、時に親として子供を優先するのは必要だろう

だからこそ園子を含め、勇者部は自分達よりも天乃を、そして子供のことを考えている

しかし、子供を理由に相手を蔑ろにしていいわけではない

その調節がとても難しいわけなのだが

天乃自身が自覚しているように、その点において助けの多い天乃は非常に恵まれている

一言、お願い。と、相手の中の一人に願えばいい

その相手も天乃との恋仲で、いずれ親となるのだからそれは間違いではない


859以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/04(土) 20:08:39.254WsIN4woO (1/2)

きてたか


860 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/04(土) 20:53:21.20pu81Xn4ho (3/6)


天乃「この子達だって、にぎやかなお姉さんの方が好きなはずだわ」

天乃はそう言うと、子供達を一瞥する

子供としては、明るくくても明るくなくても

どちらでも自分を愛してくれる相手ならば関係ないとするかもしれないが。

やっぱり、楽しませてくれる人の方が良いのではと天乃は思う

園子「……ちーちゃんのことが好きだって聞いてるけど」

天乃「千景だって明るい子よ」

園子「そうなんだ」

天乃「とっても良い笑顔を見せてくれるわ」

園子に比べれば明るみに欠ける

けれど、千景だって決して暗い子ではない

なにより、一段と愛情深さを感じることもある

天乃「私が、一番見てきた貴女もそう。とてもいい笑顔を見せてくれる子だった」

園子「………」

天乃「好きよ? 私、園子の笑顔」

園子「もう、今までの私じゃないんよ。今までらしくなんて、いられないよ」


861 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/04(土) 22:02:59.50pu81Xn4ho (4/6)


園子「私は……」

そっと胸に手を当てる

強い鼓動はその手を震わせるほどだ

もうあの頃には戻れない、戻せない

決して真っ白だったわけじゃないだろうが、

純粋だった、無垢だった

胸の高鳴りの意味を知りながら、どこか遠い話に考えていた

でも、無理だ

神樹様への信仰よりも、

この想いは心に深い根を張っている

育つのは早いのに

枯れるのはとても時間が必要で

無理矢理引きはがすのには、苦しみが伴う

園子「先輩が好きだから……恥ずかしいんよ」

純粋ではいられない、無垢ではいられない

でも、この想いを受け止めてくれると言うのなら

出来る限り笑顔でいたいと、

園子は照れくさそうに、園子は微笑む


862 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/04(土) 23:04:52.21pu81Xn4ho (5/6)


好きだ、大好きだ

だから仕方がない

園子は恐る恐る、天乃の顔を見る

天乃「私と同じね」

園子「天さん……」

天乃は嬉しそうだった

好きだと言われたことが照れくさそうで

なにより幸せそうで

こんな自分でも良いのだろうかという悩みなど、馬鹿らしくなった

天乃「嬉しいのだけど……照れくさくなっちゃって」

上手く笑えないと、天乃は言う

他人の目には笑顔でも、笑えていると言う自信を持てない

それは、笑っているからではなく、綻んでいるからだ

幸せゆえの綻び

ならば、それは笑顔というものだろう

園子「天さん……私を抱いてくれない。かな?」


863 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/04(土) 23:24:13.69pu81Xn4ho (6/6)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから


864以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/04(土) 23:29:28.484WsIN4woO (2/2)


ついにそのっちも大人の階段を…!
えっちシーンに期待


865以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/05(日) 08:00:15.81PMv+lGiKO (1/1)


そういや樹の回がまだ来てないな


866 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/05(日) 15:47:20.51Asl9dSORo (1/11)


では少しずつ


867以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/05(日) 15:50:08.405N4iU3aVO (1/1)

あいよー


868 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/05(日) 16:40:19.65Asl9dSORo (2/11)


園子「………」

天乃を見ていられないと、頭はわずかに傾く

恥ずかしさの滲む赤い頬

言ってしまったと閉じた瞼はきゅっとしている

何を言われても……

そう、唇が固く結ばれている

天乃「園子」

園子「っ」

天乃「怖がらないで」

あの日断ってしまったから

ここでも断られるんじゃないかという不安が残っていたのだろう

名前を呼んだだけで震えた園子の頬に、天乃は触れる

垂れた髪を、手の甲で払う

天乃「責任はちゃんと取るわ」

園子「天さん……」

天乃「大丈夫、その言葉の意味を違えるほど私も子供じゃないもの」


869 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/05(日) 17:14:36.50Asl9dSORo (3/11)


抱いて欲しいと求められて

ただ抱きしめて欲しいと思うほど、天乃だって経験不足ではない

園子の抱いて欲しいは精一杯の欲求だ

天乃「今日で大丈夫? 心の準備は本当にできてる?」

園子「そんな、怖いこと言わないで欲しいな~……」

伸びる声

でも、まだまだ全盛期には届かない弱さがある

怖いのではなく、緊張しているのだ

肌の熱が、園子のドキドキを直に伝えてくる

園子の瞼が動く

半分ほど見えた瞳は天乃を見ようとして、逃れていく

天乃「大事なことよ」

園子「大丈夫とか言われても分からないよ」

天乃「……急に呼び出しちゃったから。このために考えていたこととかない?」


870 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/05(日) 17:44:53.20Asl9dSORo (4/11)


園子は経験がないなりに一生懸命考えていたはずだ

みんなの経験を聞いて

自分はこうしようという考えがあったのではないか

それを問う天乃に、園子は目を向ける

園子「良い、大丈夫」

天乃「ほんとうに?」

園子「大丈夫」

頬に当てられた天乃の小さな手

ひんやりとしているのに少し暖かく感じる

園子は自分の胸に当てていた手をベッドへと下ろし

ゆっくりと体を預けて、天乃へと迫る

頬の手が、頭に下がり

そして首へと下がって、柔らかな膨らみが園子の進撃を阻む

園子「……大丈夫」

天乃「そう……なら、良いわ」


871 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/05(日) 18:26:29.28Asl9dSORo (5/11)


一部始終を聞いていた千景たちに子供を任せて、

樹と借りていた部屋をもう一度借りる

看護師の人たちは、以前の東郷達

そして、天乃の体のことを経験済みだからか、とても温かい目で

園子は可愛そうに思われた? と、準備されたベッドを押し込みながら呟く

園子「まるで私が天さんにいじめられるみたいな……」

天乃「私が色んな女の子を連れ込んでるからよ」

園子「なるほど~」

天乃「納得されると、ちょっと困っちゃうけど」

園子「仕方ないんよ~」

複数の女の子をとっかえひっかえ

連れ込んだり、入り込んだり

侍らせてる……というと言葉が悪いかもしれないが

天乃が連れているのは事実だ

もっとも、ベッドの上ではされる側なのだが。

園子「天さんはこれからも色んな女の子を誘惑して、もしかしたら男の子を魅了して……手を出していくかもしれない」

天乃「それはないわ」

園子「本当に?」

天乃「流石に、今以上に相手を増やせる余裕なんてないし、今いるみんなのことを、大事にしたいもの」


872 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/05(日) 18:50:49.02Asl9dSORo (6/11)


園子「……そっかぁ」

余裕がないからダメならば、余裕があれば増やすのか。

そんな文句も頭にはあったのだが、

大事にしたいと言われてしまうと、そんな揚げ足取りも言えなくなる

園子は自分の患者衣の腰ひもを解こうとして、手を止めた

園子「天さんは、裸が良い? 脱がす方が良い?」

天乃「そこは園子に任せようと思ってたんだけど……」

園子「天さんが慣れてる方が良いと思うな~」

天乃「私が慣れてる方ねぇ」

慣れてるのはされる方

つまるところ、脱がされる側なので脱がす方も何もない

それは園子も解っているはずだが……

数少ないする側のことを考えてのことだろうかと、天乃は困ったように笑う


1、園子がしてくれるんでしょ?
2、脱いでて貰うのは新鮮でありかもしれないわ
3、良いわ。脱がしてみたい


↓2


873以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/05(日) 19:06:17.90v/RTxidLO (1/2)

1


874以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/05(日) 19:37:43.00kx30ML8e0 (1/1)

3


875 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/05(日) 20:29:42.48Asl9dSORo (7/11)


天乃「良いわ。脱がしてみたい」

パンっと手を叩き合わせて、園子をベッドへと押し倒す。

小学生の頃よりも神々しさの増した園子の髪が舞う

樹達と変わらない病院の清潔な匂いに交じって

やっぱり、園子の匂いがする

ふんわりとしていて、暖かい匂い

園子「天さんやわやわ~」

天乃の大きな胸が、園子の胸を潰す。

胸の分、離れた距離

唇を重ねることは出来るけれど、

それでは物足りないだろうと、離れる

天乃「……胸、もう少し小さくなれないかしら」

園子「いっつんにむしられちゃうよ~?」

天乃「キスがしにくいのよ」

園子「天さんは、キスが好きだからね~」

始まりはキス

誰かが決めたわけでもなく、それが、天乃達のやり方だった


876 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/05(日) 20:56:30.24Asl9dSORo (8/11)


気を取り直して、ベッドの上に向かい合って座る

月明かりだけの薄暗い部屋の中、

二人を導くように、影が重なる

天乃「………」

園子「………」

二人そろって、一息置く

園子は初めての経験を前にした緊張を抑えるために

天乃は独りよがりの行為になってしまわないために

園子「なんだか、凄く緊張するんよ」

天乃「大丈夫よ。何とかするわ」

園子の肩に手を置く

自分の体を近づけて、園子の体を引っ張って

胸と胸がぶつかり合う反発力をそのままに唇を重ねる

グッと押し込まれる圧力の息苦しさ

すぐに離れて――もう一度キスをする


877 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/05(日) 21:29:03.53Asl9dSORo (9/11)


園子「んっ……」

天乃「っ……」

こうじゃない、そうじゃない

園子の肩を押して離れて、園子の体だけをもう一度引く

左手を頬に添えて、覆いかぶさるようにキスをする

ほんの少し傾けた唇は園子の唇に割入って挟む

園子「っはふ」

離れると、糸が引く

潤いの重なり、心の重なり

胸が重なったまま、園子は天乃の肩に手を添える

園子「今度は、私」

天乃「っ」

園子は天乃の体を押しこんで倒し、

覆いかぶさって、唇を重ねる

唇が潤う

けれど足りない、まだまだ渇く

図らずも手に力が入って、ぎしっと……ベッドが軋む


878 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/05(日) 22:03:29.93Asl9dSORo (10/11)


天乃の肩を抑えていた手が、布団へと滑り落ちる

その分、二人の距離が縮まって、

天乃の体が押しつぶされる

見つめてくる橙色の瞳を、園子の瞳は捉える

じっと見つめ合って、キスをする

触れるだけの挨拶

離れると、唇が開いて舌が覗く

園子「っふ」

天乃「んっ」

園子は天乃の唇を舌先でなぞり、

舌と舌を触れ合わせて、離れ――また、重なる

天乃「んんっ」

天乃の刃割とした甘さが流れ込む

甘すぎないけれど、だからこそ求めてしまうビターな甘さ

これが、大人のキスなのだろうかと、園子は目を閉じる

もっと、もっと天乃を味わいたいと、

キスをするその唇の隙間から器用に空気を取り込んで、天乃へと吹き込む

天乃「んっ、んむっ……」

離れることすら、惜しい

その一秒でさえ、キスをしていたい、重なっていたい

肩に触れた天乃の手を園子は払い除けて……握りしめる


879 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/05(日) 22:21:04.57Asl9dSORo (11/11)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から


880以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/05(日) 22:30:29.25TCBQB46VO (1/1)


例によって濃厚なキス描写…
そして久遠さんが脱がせるという珍しい展開にも期待


881以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/05(日) 22:43:22.01v/RTxidLO (2/2)


久遠さんキス好きだからね


882以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/06(月) 01:13:53.43hZA4IMOsO (1/1)


一番最初もこんな風にそのっちが積極的にキスしてたなあ


883以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/06(月) 08:31:22.56YfUUrAIMO (1/1)


キスの描写ばっかりなのに毎回違う感じ出してるの好き
でももう少し使い回しても良いんだぜ?


884 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/06(月) 22:24:51.91Ing/guw7o (1/5)


では少しだけ


885以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/06(月) 22:26:58.92wqUGNGPSO (1/2)

いえす


886 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/06(月) 22:35:24.58Ing/guw7o (2/5)


園子「っふ……んっ」

唇を押し付けて、舌を天乃の中に差し込む

舌と舌を触れ合わせる

唇を重ね合わせたまま、

舌だけをくっつけては、離れさせて、また触れる

情愛に塗れた唇が淫らな音を立てるのもかまわずに、天乃とキスをする

キスすると、手が握られる

強く握られたり、弱くなったり

びくんっと感じている震えが、天乃の力を奪っているのだと園子に伝わる

その、ほんのわずかな、感覚が――愛おしい

園子「ふぁ……」

天乃「ん……っ」

数分間、繋がり続けた唇

籠り籠った淫猥な空気が、二人の口から溢れていく

天乃の胸が、何度も上下する

平常よりも早い、乱れのある呼吸音

艶やかに濡れた唇が、吸い込み、吐かれる空気に微細に揺れる

園子「天さん」

天乃の頬に手を宛がい、優しく撫でながら……口元を揉み解す

はぁ……っと、漏れた天乃の吐息を、園子は唇で受け止めて、また唇を重ねる


887 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/06(月) 22:46:09.86Ing/guw7o (3/5)


唇が重なって、胸が触れる

胸に押し上げられる分、

触れることが出来ない下腹部に熱を感じる

勇者部のエッチな話を聞いた日

自分で触れてみた日

そんな時に感じた、どうにもならない疼き

園子「っはふ……んっ、んっ」

天乃「んっぁ……っ」

園子「んちゅ」

キスをすればするほど、じんじんと、体中に広がっていくのに

嫌な気分にならない

切ない気持ちに陥らない

園子「はぁ……はっ……んっ」

唇同士を、細く頼りない糸が繋ぐ

そこには、慰めるたびに糸を引いていた自分の指を見る空しさなど、微塵も感じない

園子……っ」

好き。愛してる。

そんな言葉よりも、深く愛せるような気がして

深く、愛されているような気がして

園子は、言葉よりもキスを選ぶ


888 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/06(月) 23:18:46.35Ing/guw7o (4/5)


天乃「っ……んっ」

園子のキスはとても一生懸命だった

愛したくて、愛されたくて

想いの籠った、接吻

天乃は園子の唇を受け入れる

ちょっぴり力が入っているけれど、それもまた、園子の大切な想い

握られている手で、園子の手を握り返して

もう一方の手を、体に回す

園子「ん……」

天乃「っは……は……んっ」

僅かに、唇が離れる

唇を少し動かせば触れてしまうような、そんな距離

園子の可愛らしい瞳と、天乃は見つめ合う

口の中に満ちていた園子と自分の情欲を喉に落とし込む

天乃「……任せて」

体を抱き、そのままぐるりと互いの体を入れ替える

園子の驚いた表情を整えるように、頬を擦る

脆い果実を扱うように、優しく、優しく……愛して

天乃は、薄い桃色の唇に重ねる

押すように、揉むように、ぬるりと唇が滑る

天乃は唇を重ねるに留めると、園子の唇が重なる隙間を、舌で舐める

園子「っ」

天乃「んっ……っちゅ」

園子「ぁっ……んっ」

唇が開き、舌が覗く

その舌を、天乃は舌で押し込んで……離れて

また顔を覗かせた舌先に、舌先を触れさせる

唇が重なりそうな距離で舌と舌を触れ合わせて

舌先から、舌の表面、側面

少しずつ、触れる場所を変えて

園子「んんっ!」

天乃「んっ」

園子の舌ごと唇を覆い、園子の唇の奥

まだ、無色の地に天乃は自分を染み込ませて

舌を触れさせ、絡めて――ねっとりとした淫靡な音を滴らせながら引き抜き、

行かないでと、追いかけてくる園子の舌を舌で抑え込み、キスで塞ぐ


889 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/06(月) 23:20:46.70Ing/guw7o (5/5)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

すみませんが、場合によっては少しお休みを頂いてまとめて出す方に切り替えるかもしれません。


890以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/06(月) 23:28:12.15wqUGNGPSO (2/2)


樹のと同じく園子も完全版待ちになりそうだな
公開が楽しみ過ぎる


891以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/06(月) 23:36:56.83SPHpONl0O (1/1)


また不満か?キスへの拘りが強すぎない?
有料でもプロでもあるまいしほどほどで良いんだぞ


892以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/07(火) 01:32:42.25oJm9rThdO (1/1)


楽しみに待ってますので
ゆっくり書いてくださいね


893 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/07(火) 23:41:49.30RmEScrh1o (1/1)


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日はできれば通常時間から


894以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/07(火) 23:54:34.93IFo/8tLZ0 (1/1)

乙ですー


895以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/07(火) 23:55:44.73SLyiyn9VO (1/1)


二人分だしほどほどで良いから早めに頼むぞ


896以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/08(水) 01:47:15.54BaZ34v21O (1/1)


自分のペースでいいですよ
待ってます


897 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/08(水) 23:26:15.55NvTSEtrPo (1/5)


では少しだけ


898 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/08(水) 23:28:10.44NvTSEtrPo (2/5)


天乃「っふ……」

園子「ん……ごくっ」

横になっているせいか、ひと際大きく喉が鳴る

園子自身には天乃に聞こえるよりも大きく聞こえたのか、

恥ずかしさに顔を真っ赤にしていく

その可愛らしい初々しさに、自分もそうだったのだろうかと、

天乃は少しだけ考えようとして――園子にキスをする

天乃「っは……んちゅ……ぷ……」

園子「っひゅっ……はぁ……んんっ」

自分がどうだったかなんて、今は関係ない

そんなことを考える余裕があるのなら次の手を考えたいし、

なにより、もしもそうだったら……攻め手から陥落しかねないからだ


899 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/08(水) 23:29:54.39NvTSEtrPo (3/5)


天乃「はっ……んっ……」

園子「んにゅ……っふ……」

ぬるりとした流れが唇を潤し、

頬を汚して口元を艶やかに染めあげていく。

園子の長い髪の一部がそれに濡れていくのを横目に見た天乃は、

手の甲で拭うと、その指先で頬をなぞる。

天乃「園子……まだ大丈夫?」

園子「ぁぃ……だい、じょうふ……」

天乃「………」

まだ序の口の接吻だがそれなりに長くふやかしてしまったせいか、

園子の呂律は回らずに不安になるけれど、

あえて天乃は微笑む

性的な接触においては……それもまたスパイスの一つだ。


900以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/08(水) 23:45:14.05DLn8fndnO (1/1)

きてたー


901 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/08(水) 23:49:40.40NvTSEtrPo (4/5)


天乃は園子の手を持ち上げると、その人差し指にキスをする。

くすぐったいのか、ただ驚いただけなのか、

園子の口から、ひゃんっっというような声が漏れたが、

天乃は関せずと、園子の指の側面にキスをして……手の甲を頬に宛がう

天乃よりも大きいけれど、やっぱりまだ小さな少女の手

その指先、爪の境目に舌を走らせる

園子「っ!」

天乃「んっ……」

園子「ゃ……く……」

びくっと、園子の体が震える。

初めての経験ということもあって、

くすぐったさが勝っているのだと判断しつつ、天乃はその指先を口に含む


902 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/08(水) 23:59:07.27NvTSEtrPo (5/5)


第一関節のくぼみを唇で挟み、指の腹を舌先で潤していく

数回舐めて解放すると、園子はさっと手を引っ込める

天乃にはそんな意図など皆無だが、

それは普段、園子が自分の大切な場所に触れていた指だったのだ

園子「な、舐めるのは……禁止」

天乃「ふふっごめんね」

東郷や樹と違い、気まぐれでしかなかった天乃は、

園子の可愛らしい反応が見られるのなら……と、また今度。と心に留めて園子の頬を撫でる

形を体に覚えさせるように、その温もりを染み込ませるように

園子の恥ずかしそうな表情が動き、瞳が向けられる

園子「……んっ」

天乃「ちゅ……ん……」

中断があったことなど瞬く間もなく忘れ去り、二人の体が重なる

卑猥な音が部屋に響く、重なる二人の体の動きにベッドが軋む

整えられていたシーツは無残にも乱れて、所々にシミを作っていく

時も場所も……愛し合う二人にとっては蚊帳の外で、

ただ夢中に愛欲の祝杯をあげるのだった


903 ◆QhFDI08WfRWv2020/04/09(木) 00:02:15.56JhUca1k/o (1/1)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

すみませんがふたりのエッチな部分はここまでとさせて頂ければと思います
樹との方が終了次第可能であれば完成版に着手する予定ですが、出来ない場合もあります


904以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/09(木) 00:10:48.15+zHdulVXO (1/1)


初めてのせいか他の子と違って最後まで初々しいそのっちだったなぁ
そしてそのっち完全版は気長に待ちつつまずは樹編を楽しみにしておりますー


905以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/04/09(木) 02:48:39.374o06yF1UO (1/1)


そのっちよかったね!