1 ◆DXWxLR/SkYo1 [!orz] 2019/12/26(木) 23:50:37.85L3vMUExA0 (1/2)

※注意

・このスレはオリロンパです。

・ダンガンロンパシリーズ、過去作のネタバレがあります

・オリキャラ中心になりますのでご注意ください

・過去作
【ダンガンロンパ】こまる「それは違うよ!」【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384078808/

【スーダン2】???「コロシアイ修学旅行……!?」【安価】【オリキャラ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400847912/

【ダンガンロンパ】【安価】絶対絶望のコロシアイ生活【オリキャラ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423310760/

【ダンロン】ダンガンロンパ・クエスト【オリキャラ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469192282/

注意は以上です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1577371837



2 ◆DXWxLR/SkYo12019/12/26(木) 23:52:50.34L3vMUExA0 (2/2)







――私には、大好きなお姉ちゃんがいます。









3 ◆DXWxLR/SkYo12019/12/27(金) 00:03:52.86qAIGMZ6A0 (1/6)

私がまだちっちゃい頃に、お父さんとお母さんが別々に暮らす事になって。

私はお母さんと、お姉ちゃんはお父さんと一緒に暮らす事になった……らしいです。

正直その頃の記憶は曖昧だけど、でも泣いてた私の頭をお姉ちゃんが撫でてくれたのは、よく覚えてます。

それから時々お姉ちゃんやお父さんと遊んだりしながら新しい家で新しいお友達も出来て何年かしたくらいの時……私はお姉ちゃんを普段とは別の場所で見つけました。

それは、テレビの中。

お姉ちゃんはなんと芸能人になったらしくて。

あっという間に人気者になったお姉ちゃんは忙しくて遊べなくなっちゃったけど。

それでも学校の皆がお姉ちゃんの名前を言う度に、お姉ちゃんをすごいって褒めてくれる度に……くすぐったくて。

でもそれ以上に、とても嬉しかった。

だから私もお姉ちゃんみたいになりたいなって思って……歌とか踊りとかをたくさん練習したんです。

そんなある日、私は偉い学校に転校しないかって誘われて。

お友達と離れちゃうのは、寂しかったけど……お姉ちゃんみたいになれるならって私は転校を決めました。


4 ◆DXWxLR/SkYo12019/12/27(金) 00:06:23.87qAIGMZ6A0 (2/6)







その学校の名前は【希望ヶ峰学園付属小学校】。

私は【超小学生級の音楽の時間】として、その学校に入学する事になったんです。









5 ◆DXWxLR/SkYo12019/12/27(金) 00:14:19.09qAIGMZ6A0 (3/6)

「はじめまして」

あれ?

「あなたの名前は?」

ここは、どこだろう?

「あなたの名前は?」

私は……まりか。

【舞園まりか】です。


舞園 まりか(マイゾノ ―――)
【超小学生級の音楽の時間】


「ありがとうまりか」

あなたは?

あなたは誰なんですか?

「いずれわかるよ」

「また後で会おうまりか」

えっ?後でっていつ……

あ、あれ、何も聞こえない……あっ、なんだか、眠くなって……

そして私の意識は、暗く暗く……沈ん、で……………………


6 ◆DXWxLR/SkYo12019/12/27(金) 00:14:59.96qAIGMZ6A0 (4/6)







「……期待してるよ」

「【女神様】」









7 ◆DXWxLR/SkYo12019/12/27(金) 00:17:43.24qAIGMZ6A0 (5/6)







プロローグ【絶望の引き金は今引かれた】









8 ◆DXWxLR/SkYo12019/12/27(金) 00:19:53.83qAIGMZ6A0 (6/6)

導入まででここまで。

今回の主人公は絶対絶望少女の設定資料集の没設定に載っていた舞園さやかさんの妹です。

名前はなかったのでそれはこちらでつけました。

それではまたよろしくお願いいたします。


9 ◆DXWxLR/SkYo12019/12/30(月) 22:30:25.54QCbvJojA0 (1/4)

【???】

まりか「……んうっ」

目が覚めたら、そこは教室でした。

まりか「えっと……」

ここ、どこですか?

いつの間にか知らない教室で机に突っ伏して寝ていた……そんな本みたいな状況。

まりか「私、確か……」

こういう時は、目が覚める前に何をしていたか思い出すといいって前に聞いた事があります。

まりか「……あっ」

そして思い出しました。

私は今まで、誘拐されていたんだって。


希望ヶ峰学園付属小学校に転校してから少しして、世界はおかしくなりました。

事件とか事故とか……とにかく色々な事が重なって、ごく普通の生活なんて送れなくなって。

私は避難する途中、変なマスクの人に……誘拐された。

まりか「……」

気がついたらマンションみたいな所にいた私は、それから1年ぐらい……そこで過ごしました。

誰とも話せない、何も出来ないそんな毎日。

まりか「……」

それが、変わったのは……ついこの間。

私がいたマンションで何かあったみたいで、扉が壊れてたから抜け出して……そこで、確か……

まりか「そうだ……私、あの時……」


10 ◆DXWxLR/SkYo12019/12/30(月) 22:44:44.48QCbvJojA0 (2/4)

【回想】

まりか「はぁ、はぁ……」

よく、わからないけど……今が逃げるチャンスだよね。

真っ暗な廊下を走って私は外に向かいます。

お母さんに会いたい、お父さんに会いたい、お姉ちゃんに会いたい。

そんな気持ちで、必死に走っていた私は……廊下の陰にいた【ソレ】に気付くのが遅れました。

まりか「きゃあっ!?」

いきなり腕が痛くなって、見てみたら服が破けて、血が、出てて……

まりか「えっ?えっ……」

痛くて、涙がポロポロ溢れてきて……だけど大きな声で泣く前に【ソレ】は私の前に出てきました。

モノクマ「……」

まりか「クマ、さん……?」

ちょこちょこと歩いてくるクマさん……その顔が前に私を誘拐した人が着けていたマスクにそっくりなのと、そのクマさんの爪に血がついているって気付いたのはほぼ同時。

まりか「あっ……や、やだっ、来ないでっ……!」

走って逃げるどころか、脚が震えて立つ事も出来ない。

だから私は泣きながら、ただ来ないでってクマさんにお願いする事しか出来ません。

モノクマ「……」

だけどクマさんはお願いを聞いてくれませんでした。

クマさんは、爪を振り上げて、私に向かって、一直線に……


11 ◆DXWxLR/SkYo12019/12/30(月) 22:45:29.10QCbvJojA0 (3/4)







「させるかよ!」

ガシャアアアアンッ!









12 ◆DXWxLR/SkYo12019/12/30(月) 22:55:55.46QCbvJojA0 (4/4)

まりか「……」

あの時クマさんに襲われて……でも誰かが助けてくれて……

まりか「……私、気絶しちゃったんだ」

安心して、急に眠くなったのは覚えてました。

まりか「……」

あの時にひっかかれた腕を見てみます。

服はいつも着ているやつだけど、破けていません。

まりか「……」

袖を捲ってみると、包帯が巻かれていました。

触ってみると、ピリッと痛みが走って。

まりか「夢じゃ、なかったんだ」

襲われたのも、助けてもらったのも……あの部屋から出られたのも。

まりか「っ……」ポロッ

涙がどんどん出てきます……だけどそれは怖いからでも、寂しいからでもなくて。

まりか「私、助かったんだ……」ポロポロ

嬉しい……それが、今の私の素直な気持ちでした。


13 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/02(木) 21:29:26.63DVuLd+sA0 (1/6)

まりか「……そういえば、ここは?」

助けてくれた人が連れてきてくれたとか……でもなんで教室なのかな?

まりか「えっと……とりあえず、外に出てみよう」

私は教室の扉に手をかけます。

だけど扉は開かない……なんて事はなくて。

ガラッ

「あら?」

まりか「へっ?」

その代わりに、扉を開けた先には1人の女の人が立っていました。

紫色の着物を着た女の人は驚いたのか少し目を丸くしていたけど、私の顔を見ると一転して優しく微笑んでくれます。

「まさかこんな可愛らしい子がいたなんて。お名前は?」

まりか「えっ、えっと……舞園、舞園まりかです」

「……舞園?」

女の人は私の名前を聞くと、少し難しい顔をして……でもまたすぐにさっきの笑顔に戻りました。

何か、変な事言ったのかな……

「私は漆原裕香。漆芸家です」


漆原 裕香(ウルシバラ ユカ)
【超高校級の漆芸家】


まりか「漆芸家……?」

漆原「あっ、ごめんなさい。あまり聞き慣れないかもしれませんね……うーん、重箱やお椀を作っている人、と言えばわかりすいでしょうか?」

まりか「お姉さんが、ですか?」

漆原「はい。私の家は代々そういった物を作っていて……私もその1人なんですよ」

まりか「お姉さんが……」

もしかしたら私が使ってた食器も作ったのかな……

まりか「えっと、ありがとうございます」

漆原「えっ?」

まりか「家でいつもお椀使ってたから……」

漆原「……ふふっ、ふふふっ」

まりか「ふえっ!?」

な、なんでお姉さん笑って……

漆原「ご、ごめんなさい……でも貴女はとてもいいこなんですね」

まりか「???」


14 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/02(木) 21:51:37.21DVuLd+sA0 (2/6)

漆原「つまりまりかちゃんはいつの間にかここにいて、どこかもわからないんですね?」

まりか「は、はい」

漆原「うーん……」

あれから私はお姉さん……漆原さんに今までの事を全部話しました。

信じてもらえるかもわからなかったけど……漆原さんは真剣に考えてくれて。

漆原「まりかちゃん、1つだけ聞いていいですか?」

まりか「なんですか?」

漆原「【モノクマ】という名前に聞き覚えは?」

まりか「【モノクマ】……?」

何かの、キャラクターかな?

漆原「これすら知らないなんて……どうやら本当に何も知らないようですね」

まりか「あ、あの……」

漆原「後で色々教えてあげますね。とりあえず今は……皆さんと合流しましょう」

まりか「皆さん?」

漆原「今ここには私達を除いて13人の人がいるんです。ある人を探しにこの【未来機関】の施設に」

まりか「【未来機関】……」

また知らない名前だ……

漆原「とにかく行きましょう。今ホールに集まっているはずですから」

まりか「わ、わかりました」

とにかくついていこう……そう決めた私は漆原さんの背中を追いかけました。


15 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/02(木) 22:15:32.02DVuLd+sA0 (3/6)

【ホール】

漆原「皆さん、生存者がいらっしゃいましたよ」

漆原さんの背中からこっそり覗いてみると、確かに10人くらいの人がいました。

漆原「……あら?久里浜支部長達はいないんですか?」

「施設の奥に突撃してったよ。小塚と冴草も追いかけてった」

「はっはは!オレも行こうと思ったんだが、これ以上減ったら殺すと言われてな!」

「当たり前でしょう……状況考えなよ」

「それでユカ?その隠れている子が生存者かい?」

漆原「はい、そうです。まりかちゃん、挨拶しましょうか」

漆原さんに手を引かれて前に立たされます。

お、大人がたくさん見てる……き、緊張するけど……頑張らなきゃ!

まりか「ま、舞園まりかです!」

名前を叫んで頭を下げる……そのせいか、私は視線が何か変わったのを感じました。

なんだろう、この感じ……?

「舞園……もしかして、舞園さやかの身内か?」

まりか「えっ?は、はい……舞園さやかは、お姉ちゃんです」

「妹さん……」

漆原「皆さん、彼女は監禁されていたらしく何も知らないんです。【モノクマ】という名前すら」

「マジかぁ……」

「そんな事があるのでございますか!?」

漆原「あるんです。だから、まずはその警戒を解いてあげてください」

「……ちっ」

……警戒?

私、を?


16 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/02(木) 22:37:04.61DVuLd+sA0 (4/6)

漆原「まりかちゃん。これから1人ずつ紹介しますね」

まりか「は、はい」

漆原「まずは……彼にしましょうか」

漆原さんに連れられて黄色いスーツを着た帽子と眼鏡の男の人の所に行きます。

男の人はこっちを見ると……すぐに興味をなくしたみたいに向こうを向いちゃいました。

漆原「梅生さん!」

「なんだよ」

漆原「自己紹介してあげてください。彼女は不安だったはずなんです、こういう時は年長者の私達がしっかりしないと」

「……ちっ」

「梅生流、ブローカーだ」


梅生 流(ウメオ ナガレ)
【超高校級のブローカー】


梅生「ブローカーわかるか?要するに色々売るのに間に立つ人間だ」

まりか「な、何となく」

梅生「はっ、まあいい。アイドルの身内なら金になりそうな話がありそうだ、仲良くやってやるよ」

まりか「あ、ありがとうございます」

漆原「まりかちゃん、ここはお礼を言うところではありませんよ」

まりか「そ、そうなんですか?」

漆原さんとそんな話をしている間に梅生さんはいなくなってました。

漆原「全くあの人は……!」




17 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/02(木) 22:51:12.91DVuLd+sA0 (5/6)

漆原「気を取り直して自己紹介ですよ。次はあの人です」

漆原さんが次に連れていってくれたのはマントを着けた女の人の所でした。

口元は隠れてるけど、私を見る目はどちらかと言うと優しい気がします。

「漆原、何か用かしら」

漆原「まりかちゃんに皆さんを紹介しようかと」

「ああ、なるほどね」

「ワタシはエカテリーナ・トランダフィール。魔女をしているわ」


エカテリーナ・トランダフィール
【超高校級の魔女】


まりか「よ、よろしくお願いしますエカテリーナさん」

エカテリーナ「呼びにくいならエリナでいいわよ?」

まりか「は、はい、エリナさん……あの、魔女って」

エカテリーナ「ワタシの国グランヴィノム王国は職業として魔女が存在するの。最も試験に合格したのはワタシだけだけど」

まりか「1人だけの魔女……な、なんだかかっこいいです!」

エリナ「フフッ、憧れの眼差しを向けられるのは嬉しいわね。もしよかったら今度占ってあげるわ」

まりか「はい!」

漆原「よかったですね、まりかちゃん」


18 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/02(木) 23:45:04.26DVuLd+sA0 (6/6)

漆原「次は……あの人達にしましょう」

次はマフラーを着けた金髪の男の人と白髪の女の人。

とても仲が良さそうだけど……

「やぁ、ユカ。それとマリカだったかな?」

「何をしてるの?」

漆原「皆さんを紹介しているんです。次はお2人にお願いしようかと」

「なるほど!そう言われたからにはしっかり名前を覚えてもらわないとなハニー!」

「……うん」

「オレはクロウ・S・イヴラベルト!超高校級のサンタクロースさ!」

「わたしは刀華・Y・イヴラベルト……具足師なんだけど、わかるかな?」

クロウ・S・イヴラベルト
【超高校級のサンタクロース】

刀華(トウカ)・Y・イヴラベルト
【超高校級の具足師】


まりか「サンタさん……!?」

漆原「クロウさんは世界中の子供達にプレゼントをしているんですよ。刀華さんは私みたいに代々鎧を作る家の人なんです」

まりか「わ、わー!本物のサンタさんに会ったの初めて!」

クロウ「そんなに喜ばれると照れるな」

刀華「小学生だから無理ないよ」

まりか「……あれ?そういえば名前……」

クロウ「ああ、気になるかい?オレとハニーは夫婦なのさ!」

よく見るとクロウさんと刀華さんの左手薬指には指輪が光ってます。

クロウ「ハニーはオレにとってとても大切な奥さんなんだ。2人の出会いはそう、あの忘れもしない……」

刀華「ダ、ダーリン……恥ずかしいよ……」

とても嬉しそうに刀華さんのお話をするクロウさん。

恥ずかしそうにマフラーに顔を埋めながら、クロウさんを見つめる刀華さん。

本当に仲良さそうで、羨ましいなぁ……


19 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/03(金) 00:35:07.08sm7eXCeA0 (1/6)

漆原「次は……」

「ねぇ」

漆原「っ、財前さん」

「その子に紹介してるんでしょ?だったら僕にもやらせてよ」

後ろから声をかけられたので振り向くと、帽子を深く被って顔にガスマスクを着けた人がすぐそばに来ていました。

まりか「あ、あのあなたは」

「財前葉月。トレジャーハンターしてるよ」


財前 葉月(ザイゼン ハヅキ)
【超高校級のトレジャーハンター】


漆原「財前さんは、世界各国を飛び回るトレジャーハンターなんですよ」

まりか「そ、そうなんですか……」

でもなんだか、すごく冷たい目で見られてる気がします……

財前「君さ、舞園さやかの妹なんだよね?」

まりか「えっ?は、はい」

財前「ふーん、そうか……」

まりか「……?」

漆原「っ、まりかちゃん!」

漆原さんが叫ぶのと同時に、財前さんが服からナイフを取り出して、私に向かって降り下ろ――


20 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/03(金) 01:11:12.68sm7eXCeA0 (2/6)

「おっとそこまでだ財前!」

刺される……そう思って目を瞑った私だったけど、痛みはまるで来なくて。

ゆっくり目を開けると、私を庇うように抱き締める漆原さんと財前さんの腕を掴んでるアゴヒゲを生やした男の人が、見えました。

財前「邪魔するわけ?」

「オレ達未来機関はいきなり無抵抗の人間を殺すような存在じゃないだろう!」

財前「……はいはい、わかったよ」

財前さんはナイフをしまうとヒラヒラと手を振っていなくなります。

なんで、私……

漆原「まりかちゃん怪我はありませんか!?」

まりか「は、はい」

「悪かったな嬢ちゃん!あいつはなんというか過激なんだ!」

「おっと、オレは大丸正之助!掛け持ち部員をしてるぞ!」


大丸 正之助(ダイマル ショウノスケ)
【超高校級の掛け持ち部員】


漆原「大丸さん……ありがとうございます」

まりか「あっ、ありがとうございます」

大丸「いいって事よ!何事も結果を出すがオレの信条だからな!」

大丸「はっはは!困った事があればいつでも助けを求めてくれていいからな!」

大丸さんは笑いながら歩いていきます……もし大丸さんが止めてくれなかったら……

まりか「うっ、ううっ」

漆原「まりかちゃん大丈夫、もう大丈夫ですからね……」


21 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/03(金) 01:13:17.93sm7eXCeA0 (3/6)

一旦ここまで。
次回自己紹介後半です。


22 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/03(金) 20:22:31.35sm7eXCeA0 (4/6)

漆原さんが慰めてくれているけど、私の涙はまだ止まりそうにありません。

財前さんのナイフは、私にあのクマさんの爪を思い出させたから。

「あ、あのー……大丈夫でございますか?」

漆原「蝶塚さん」

心配そうに声をかけてくれたのは、水色の髪に星の髪飾りや赤いヘッドフォンを着けた女の人。

前髪に隠れて目は見えないけど、多分声と同じように心配そうにしてるのかな……

「あっ、ウチは蝶塚菊乃でございます!無線通信で盗ちょ……ごほんごほん!世界の平和を守っているのでございます!」


蝶塚 菊乃(チョウヅカ キクノ)
【超高校級の無線通信士】


漆原「蝶塚さんは昔遭難していた船からの助けを偶然聞いて活躍したすごい人なんですよ」

まりか「ぐすんっ、そう、なの?」

蝶塚「そうでございますよ!しかしはづきちも酷いでございますね!いきなりナイフなんて!」

漆原「本当に信じられません……どうしてあの人はあんな」

蝶塚「まあウチも殺されかけた事がありますから、気持ちはよーくわかるでございます」

まりか「えっ……」

蝶塚「ちょっとはづきちの部屋を盗聴しようとしただけでございますのに……」

漆原「……まりかちゃんと違って自業自得ではありません?」

蝶塚「な、なんでそんな事言うでございますかゆかりん!?うわぁああああんっ!」

まりか「え、えっと泣かないでください……」

な、なんだか涙も引っ込んじゃった……

蝶塚「……ま」

まりか「えっ」

蝶塚「あああ、ママでございます!まりかママ、もっとウチを甘えさせて――」

漆原「いい加減にしてください!」

蝶塚「あいたぁ!?」

まりか「あ、あはは……」


23 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/03(金) 20:34:44.09sm7eXCeA0 (5/6)

漆原「もう大丈夫ですか?」

まりか「蝶塚さんと話してたらなんだか忘れちゃいました」

漆原「……それを蝶塚さんが計算していたなら見直すんですが」


蝶塚「ふへっ、もっとまりかを知りたいでございます……どうにかして会話を盗み聞き……」


漆原「……あまり近づかない方がいいかもしれませんね」

まりか「つ、次は誰とお話しましょうか!」

漆原「そうですね、次は……あっ、遠見さん!」

「……なに」

漆原さんが声をかけたのは迷彩服、だったっけ?それを着た女の子。

眼帯してるのは、怪我してるのかな……

漆原「今皆さんを紹介してるんです。遠見さんも……」

「……遠見セイ、傭兵」


遠見 セイ(トオミ ――)
【超高校級の狙撃手】


まりか「よ、よろしくお願いしま……」

遠見「それ以上近づかないで」

漆原「遠見さん、そんな……」

遠見「子供だからって警戒しない理由にはならない。そもそもセイに近づいていいのは家族だけ」

遠見「それ以外の人間なんて……信用出来ない」

まりか「あっ……」

遠見さんは結局それ以上口を利いてくれませんでした……



24 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/03(金) 20:52:27.31sm7eXCeA0 (6/6)

一時中断します。


25 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/04(土) 02:52:02.04lFux8XTA0 (1/11)

漆原「ここまで来ると、あの人の大切さが身に染みますね」

まりか「あの人?」

漆原「今ここにいない人です。ムードメーカー、というんでしょうか……とにかく明るい人なんですよ」

「まあ、それに付き合わされてる2人は振り回されてるけどねぇ……」

漆原「風馬支部長」

青い上着を着た男の人が話しかけてきます。

支部長って事は偉い人なのかな?

「あぁ、おれは風馬亮平だよぉ……一応この中だと一番歳上になるかなぁ?」


風馬 亮平(フウマ リョウヘイ)
【超高校級の旅人】


まりか「風馬……あっ、もしかしてあの旅番組の人ですか?」

前にお姉ちゃんがゲストで出てた旅番組で紹介されてた人だよね。

結構印象強かったから、今でもよく覚えてる。

風馬「あっ、知ってるんだぁ?こりゃ光栄だねぇ…………」

漆原「支部長?」

風馬「ぐぅ」

まりか「ね、寝ちゃってますね……」

番組でも寝ながら歩いてたりしてたんだよね……お姉ちゃん大変そうだったなぁ。

風馬「……んあっ、ああ、ごめんごめん。どうも眠気には逆らえないんだよねぇ」

うん、テレビで見たそのままの人みたい……


26 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/04(土) 03:07:20.47lFux8XTA0 (2/11)

漆原「今ここにいる人で紹介してないのは後1人ですね」

漆原さんの視線の先にはノースリーブの服に半ズボンの男の人。

なんで髪の毛に花が散らばってるんだろう……?

漆原「森山さん、少しよろしいですか?」

「うっ、がっ……少し、待って、くださいですます」

「森山、獣牙……です。よろしくお願いいたしまし……ます」


森山 獣牙(モリヤマ ジュウガ)
【超高校級の野生児】


漆原「森山さんは、最近まで森で動物と暮らしていたんです」

まりか「絵本で読んだことはありますけど……本当にそういう人がいるんですね」

森山「は、ははい。だから、話すの、まだ苦手で……すみ、ません」

まりか「そんな、謝らないでください」

漆原「そうですよ森山さんが努力なさっているのは皆さんよく知っていますから」

森山「あ、ああ、ありがとうですね……」

いい人そうでよかった……

森山「ウガアアアアアアァッ!!」

まりか「きゃあっ!?」

漆原「っ!?」

森山「あ、あ、すみません、吠えるの、まだ抜けなくて……」


27 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/04(土) 03:28:09.11lFux8XTA0 (3/11)

漆原「とりあえず今ここにいる人は全員紹介しましたね……財前さん、先ほどの件について釈明する事はありますか?」

財前「釈明?そんなの必要ないでしょ」

漆原「なっ」

財前「僕は僕の信念に従ってそのガキを殺そうと決めた。とやかく言われる筋合いはないね」

蝶塚「あ、あのはづきち……まりかはそんな悪い子じゃ」

財前「黙れ。お前だって今すぐ殺したいんだよ僕は」

蝶塚「ひいいっ!?い、命ばかりはお助けくださいでございますぅ!」

風馬「躊躇いのない綺麗な土下座だねぇ」

クロウ「穏やかじゃないなハヅキ。キミが急進派なのは知っているが」

刀華「強引過ぎると思うよ」

財前「だってあの件を考えたら間違いなく因子持ちでしょ、そのガキは」

森山「あ、あの件……まさか」

財前「そうだよ、全員見たでしょ。あのコロ――」

漆原「それ以上はやめなさい!」

財前「……そういえば、知らないんだっけ?ははっ、これは傑作だ!あれを知らないなんて哀れだね!」

エカテリーナ「……あれはショックが大きいだろう案件よ。今彼女に伝えるのは反対だわ」

まりか「あ、あの……何の話、ですか?」

遠見「……」

大丸「なんつうか、なぁ……」

何の話を、してるの?

どうしよう、聞いたらいけないって頭でわかってるのに……

まりか「あ、あの……」

私はそれでも聞こうとするのをやめられません。

そして教えてほしいと口にしようとして……

「たっだいまぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

大声に、遮られました。


28 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/04(土) 03:44:08.78lFux8XTA0 (4/11)

財前「……げっ」

梅生「うるせえのが帰ってきちまったな」

「何その反応!せっかく人が生存者を見つけ……んんっ?」

黒いジャケットと青いズボンを着て青色の髪に黒い帽子を被った女の人が、私を見るなりどんどん近づいてきます。

「ジー……」

み、見られてる……名前言った方がいいよね?

まりか「あ、あの私は舞園まりかと言います……気がついたらここに、その」

「……舞園?」

まただ。

また舞園って聞いた途端に変な反応……

「やっぱり!きみ舞園さやかちゃんの妹の舞園まりかちゃん!?」

まりか「へっ?は、はい……」

「わー、ぼくさやかちゃんときみの大ファンなんだ!さやかちゃんのコンサートはもちろん子供のど自慢大会のまりかちゃんもバッチリ見てたよ!」

まりか「あ、えっと……あ、ありがとうございます」

「おっとぼくも名乗らないとね!」

「ぼくは久里浜美代子!クリケットの世界でぼくを知らない奴はいない!」


久里浜 美代子(クリハマ ミヨコ)
【超高校級のクリケット選手】


久里浜「あっ、まりかちゃんサインちょうだい!」

まりか「サ、サインですか?」

久里浜「あっ、色紙とペンがない!?」

す、すごく元気な人だ……


29 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/04(土) 03:54:08.37lFux8XTA0 (5/11)

漆原「久里浜支部長!ちょうどいいところに!」

久里浜「どしたの?もしかしてまりかちゃんのコンサートでもやるつもりだった?」

漆原「そ、そうではなくて」

遠見「……財前葉月がその子を殺そうとした」

久里浜「はい?」

財前「そのガキは因子持ちだ。だから先手を打とうとしただけ」

久里浜「はぁ……相変わらずだね、きみは。そりゃ葉月が未来機関として頑張ってるのは知ってるよ?」

久里浜「だけどきみがやろうとしてるのはただの人殺しだよ?それきみの大嫌いな絶望と何が違うの?」

財前「……!」

久里浜「ぼくはさ、葉月。仲間同士で争うとかしたくないんだ……でも」

久里浜「きみがあんまり強情ならぼくも意地を張らせてもらうよ?」

しばらく久里浜さんと財前さんは睨みあっていて……先に目をそらしたのは財前さんでした。

財前「わかったわかった。君とやりあうのは僕も望むところじゃないよ」

久里浜「わかればよろしい!」

財前「ちっ……」


30 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/04(土) 04:21:39.75lFux8XTA0 (6/11)

風馬「……治まったのはいいとしてさぁ、久里浜君」

久里浜「なになに?」

風馬「さっき生存者を見つけたとか言ってたよねぇ?」

クロウ「そういえば言っていたな。それにエルとシゲフミは一緒じゃないのかい?」

久里浜「恵留とシゲならもうすぐ来るよ!ぼくは報告のために一足先に……」

「はぁ、はぁ……み、みーちゃん、待って……」

「ぜぇ、ぜぇ……」

久里浜さんの言葉に合わせたみたいに、男の人と女の人が入ってきます。

男の人の背中には……また1人男の人が背負われていました。

久里浜「おっ、来たね!まりかちゃん、紹介するよ!あっちの女の子が小塚恵留!ぼくの幼馴染なんだ!ほら恵留も挨拶挨拶!」

「えっ?えっ?」

久里浜さんに呼ばれて桃色の髪に大きなリボンと眼鏡を着けた女の人がやって来ます。

この格好、メイドさん?

「あっ、はぁ……小塚、恵留です?」


小塚 恵留(オツカ エル)
【超高校級のメイド】


久里浜「恵留はね、どじっ子に見えるけど家事とかすごいんだよ!どじっ子に見えるけど!」

小塚「なんで2回言ったのかな!?」

まりか「とっても仲良しさんなんですね」

久里浜「あはははは、まあね!」ギュッ

小塚「わぷっ」



31 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/04(土) 04:32:44.07lFux8XTA0 (7/11)

「楽しそうですね支部長……」

小塚さんと一緒にいた男の人がこっちに来ました。

背負っていた男の人はあっちに寝かされています。

久里浜「女の子が3人集まれば仲良しだって言うしね!」

「それ違うと思いますよ……さっき聞いてきましたけど、この子も生存者ですか?」

久里浜「そうそう、舞園さやかちゃんの妹の舞園まりかちゃんだよ!」

「だからテンション高いのか……」

パーカーのフードを深く被った男の人はため息をつくとこっちに向き直ります。

眼鏡越しの視線は複雑な色をしていました。

「俺は冴草茂文。一応、幸運だったんだ」


冴草 茂文(サエグサ シゲフミ)
【超高校級の幸運】


久里浜「幸運って言ってもシゲってむしろ不運だよね」

冴草「言わないでくださいよ……俺もわりとそこ凹んでるんですから」

小塚「さ、冴草さんにもきっと幸運が訪れますよ」

冴草「あはは……ありがとう、小塚さん」

冴草さんって、なんだか苦労してる雰囲気だなぁ……


32 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/04(土) 05:00:23.30lFux8XTA0 (8/11)

「うっ、くっ……」

刀華「あっ……生存者が目を覚ましたよ」

刀華さんの言葉に全員さっきの男の人の所に集まります。

まりか「……!」

近づいてみると、その男の人が酷い怪我をしているのがわかります。

頭や顔の左に巻かれた包帯、首元に見える火傷の痕……左手も火傷があるのかそれを隠すように手袋に覆われてました。

「ここは、どこだ……?」

大丸「目を覚ましたか!お前はここで倒れていたらしいが、いったい何があったんだ?」

「……わからない」

梅生「わからねえ?」

「わからない、わからないわからない……」

「俺は、誰だ……?」

まりか「えっ……」

エカテリーナ「どうやら記憶喪失、というやつのようね」

久里浜「記憶喪失!?それ大変だよ!何か覚えてる事とかないの!?」

「……ミラ、イ」

森山「み、未来?」

「今、その単語が、頭を……過った……」

久里浜「うーん、わかった!じゃあきみの名前はミライだね!」


ミライ
【超高校級の???】


小塚「い、いいのかな、勝手に名前……」

久里浜「だって名前がないと色々困るでしょ?」

冴草「それはそうなんですけどね……本人は?」

ミライ「……それで、いい」

なんだか、色々大変な事になっています……

記憶喪失の男の人。

よくわからない施設。

そして私自身も……まだ知らない事がたくさんあります。

まりか「……」

モヤモヤした不安を感じていたこの時の私は知りませんでした。

絶望。

それがどんなものか。

まだ、何も知りませんでした。


33 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/04(土) 10:18:22.63lFux8XTA0 (9/11)

【名簿】

・舞園 まりか【マイゾノ ―――】
才能…【超小学生級の音楽の時間】
身長…140cm 体重…30kg 胸囲…68cm
料理の腕…40 掃除の腕…35
好きなもの…歌、家族
嫌いなもの…停電

・梅生 流【ウメオ ナガレ】
才能…【超高校級のブローカー】
身長…182cm 体重…73kg 胸囲…84cm
料理の腕…45 掃除の腕…70
好きなもの…金
嫌いなもの…貧乏
まりかへの印象…【金になるか観察だな】

・漆原 裕香【ウルシバラ ユカ】
才能…【超高校級の漆芸家】
身長…159cm 体重…45kg 胸囲…80cm
料理の腕…70 掃除の腕…35
好きなもの…お味噌汁
嫌いなもの…麻婆豆腐
まりかへの印象…【優しい子ですね】

・エカテリーナ・トランダフィール
才能…【超高校級の魔女】
身長…179cm 体重…69kg 胸囲…98cm
料理の腕…90 掃除の腕…90
好きなもの…魔女の仕事
嫌いなもの…魔女を勘違いする人
まりかへの印象…【子供は護るもの……彼女も例外ではないわ】

・小塚 恵留【オツカ エル】
才能…【超高校級のメイド】
身長…154cm 体重…40kg 胸囲…84cm
料理の腕…140 掃除の腕…120
好きなもの…お世話
嫌いなもの…コンタクトレンズ
まりかへの印象…【み、みーちゃんがごめんなさい】

・久里浜 美代子【クリハマ ミヨコ】
才能…【超高校級のクリケット選手】
身長…164cm 体重…54kg 胸囲…87cm
料理の腕…60 掃除の腕…30
好きなもの…スポーツ全般
嫌いなもの…書類仕事
まりかへの印象…【追っかけてたよ、まりかちゃーん!】

・クロウ・S・イヴラベルト
才能…【超高校級のサンタクロース】
身長…193cm 体重…85kg 胸囲…89cm
料理の腕…80 掃除の腕…75
好きなもの…ハニー、クリスマス
嫌いなもの…暴力
まりかへの印象…【気になる事もあるけど彼女も子供、宝である事に変わりはないさ】

・財前 葉月【ザイゼン ハヅキ】
才能…【超高校級のトレジャーハンター】
身長…170cm 体重…61kg 胸囲…78cm
料理の腕…20 掃除の腕…10
好きなもの…単独行動
嫌いなもの…足手まとい
まりかへの印象…【姉みたいになる前に殺さないと】


34 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/04(土) 10:42:02.06lFux8XTA0 (10/11)

・冴草 茂文【サエグサ シゲフミ】
才能…【超高校級の幸運】
身長…178cm 体重…70kg 胸囲…82cm
料理の腕…50 掃除の腕…50
好きなもの…友達
嫌いなもの…自分の流されやすい性格
まりかへの印象…【舞園さやかの妹さんか……】

・大丸 正之助【ダイマル ショウノスケ】
才能…【超高校級の掛け持ち部員】
身長…188cm 体重…83kg 胸囲…90cm
料理の腕…5 掃除の腕…5
好きなもの…運動
嫌いなもの…怪我
まりかへの印象…【大変だな、色々と】

・蝶塚 菊乃【チョウヅカ キクノ】
才能…【超高校級の無線通信士】
身長…166cm 体重…54kg 胸囲…93cm
料理の腕…15 掃除の腕…5
好きなもの…噂話
嫌いなもの…騒音
まりかへの印象…【ママ……ひひっ】

・刀華・Y・イヴラベルト【トウカ】
才能…【超高校級の具足師】
身長…178cm 体重…66kg 胸囲…86cm
料理の腕…95 掃除の腕…55
好きなもの…ダーリン、クリスマス
嫌いなもの…血
まりかへの印象…【不安だったよね、きっと】

・遠見 セイ【トオミ ――】
才能…【超高校級の狙撃手】
身長…143cm 体重…30kg 胸囲…73cm
料理の腕…13 掃除の腕…47
好きなもの…隊長、メメ、家族(部隊)の皆
嫌いなもの…家族を脅かす全て
まりかへの印象…【別に何もない】

・風馬 亮平【フウマ リョウヘイ】
才能…【超高校級の旅人】
身長…183cm 体重…72kg 胸囲…83cm
料理の腕…75 掃除の腕…25
好きなもの…旅
嫌いなもの…睡眠不足
まりかへの印象…【知っててくれてありがとねぇ】

・ミライ
才能…【超高校級の???】
身長…176cm 体重…68kg 胸囲…81cm
料理の腕…0 掃除の腕…0
好きなもの…わからない
嫌いなもの…わからない
まりかへの印象…【わからない】

・森山 獣牙【モリヤマ ジュウガ】
才能…【超高校級の野生児】
身長…196cm 体重…90kg 胸囲…94cm
料理の腕…15 掃除の腕…25
好きなもの…勉強
嫌いなもの…見世物扱い
まりかへの印象…【驚かせて、ごめ、すみ、まさい】


35 ◆DXWxLR/SkYo12020/01/04(土) 10:43:09.29lFux8XTA0 (11/11)

今回はここまでで。


36 ◆DXWxLR/SkYo12020/04/21(火) 22:26:13.99e39Nie7A0 (1/8)

久里浜「さて!全員集まったし、色々話し合おうか!恵留!」

小塚「は、はははい!」

久里浜さんに呼ばれた小塚さんがホワイトボードをガラガラと押して……あれ、どこにあったの……?

漆原「その前に支部長、少し……」

久里浜「なになに?」

漆原「……」

久里浜「……そっか、うん、わかった」

漆原さんとのお話が終わると、久里浜さんは少し目を閉じて……またさっきみたいな笑顔になります。

何を、考えてたのかな……

久里浜「まりかちゃんとミライは色々わからないみたいだから、まずは今世の中がどうなってるか教えてあげるね?」

まりか「は、はい」

ミライ「……頼む」

風馬「じゃあまずは…………」

そうして説明された事は、私には難しい事ばかりでした。

世界が大変な事になってるとか、たくさんの人が死んじゃったとか……怖くて、信じられない、漫画みたいな話で。

漆原「私達未来機関は、そんな世の中を平和にするために活動しているんですよ」

大丸「わかりやすく言うなら、正義の味方ってやつだな!」

まりか「正義の味方……」

梅生「金目の物が手に入るから悪くもねえがな」

財前「はっ、絶望を殺し尽くせばいいだけならもっと楽なのに」

エカテリーナ「梅生、財前、言葉は選んでほしいわ」

財前「はいはい」


37 ◆DXWxLR/SkYo12020/04/21(火) 22:50:40.42e39Nie7A0 (2/8)

ミライ「……事情は、わかった。それで俺とそいつがいたここは、どこだ?」

クロウ「未来機関の施設さ。元々は希望ヶ峰の分校になる予定だった」

冴草「確か世の中キナ臭いから生徒を集中させずに分けようって計画だったんだっけか」

刀華「結局それどころじゃなくなったから……未来機関の施設として動かす事になったの」

未来機関の建物……なんで私そんなところにいたんだろう。

森山「で、ででも、ここを警備してた人達と、連絡が……」

遠見「途絶、した」

蝶塚「そこでウチ達が調べに来たんでございますよぉ!」

ミライ「なるほど、な……」

それで私とミライさんが見つかったんだ……

久里浜「ああもう。それにしてもシュウはどこ行ったのかな!まりかちゃん保護したならボクに一言あってもいいだろうに!」

まりか「シュウ……?」

冴草「服部脩【ハットリシュウ】。ここを警備してた第18支部の支部長だよ」

小塚「【超高校級のサッカー選手】でわたし達のクラスメイトだったの」

ミライ「……服部、脩」

財前「何か思い当たるわけ?」

ミライ「い、や――」



38 ◆DXWxLR/SkYo12020/04/21(火) 22:52:08.71e39Nie7A0 (3/8)







ドォン!!









39 ◆DXWxLR/SkYo12020/04/21(火) 23:06:25.17e39Nie7A0 (4/8)

刀華「きゃっ!?」

クロウ「ハニー!」

財前「なに今の?」

遠見「っ、爆発音……!」

まりか「あっ……!」

大丸「遠見、待て!」

遠見さんを追いかけて大丸さんもいなくなって。

空気が、ピリピリしてくるのを私は感じました。

エカテリーナ「爆発音……いったい何が」

風馬「蝶塚くん、通信お願いできるかなぁ?」

蝶塚「はいはいでございます!」

まりか「……」

皆さんが、慌ただしく動き回って、私はどうしたらいいのかわからなくて……泣きそうに、なります。

漆原「大丈夫ですよまりかちゃん。すぐにここから出してあげますからね」

まりか「う、うん……」

久里浜「……なんかさ、やな感じしない?」

小塚「み、みーちゃん?」

冴草「どういう事です?」

久里浜「そもそも、さ……ボク達がここに来たのシュウと通信繋がらなくなったからだよね」

梅生「それが?」

久里浜「だけどそれってこんな支部長複数の大所帯で来る必要あった?それも見つかった2人含めて今いるのは16人」

エカテリーナ「16人……まさか」

大丸「おい、大変だ!」

蝶塚「あ、あれ?どうなってるでございますか!?」


40 ◆DXWxLR/SkYo12020/04/21(火) 23:07:34.32e39Nie7A0 (5/8)







大丸「出入口が崩れて塞がれてるぞ!」

蝶塚「そ、外と全く通信出来ないでございます……!」









41 ◆DXWxLR/SkYo12020/04/21(火) 23:15:38.34e39Nie7A0 (6/8)

まりか「えっ、えっ……」

刀華「どう、なってるの……?」

クロウ「出入口封鎖、外と連絡はつかない……」

梅生「まるでコロシアイ学園生活じゃねえか」

まりか「コロシアイ、学園生活?」

ミライ「おい……前にもこんな事があったのか……」

漆原「でも出入口付近にも、職員が何人か……」

財前「殺されたんでしょ。絶望に」

森山「う、グルルル……!」

風馬「……穏やかじゃないなぁ、これは」

混乱する私達……

そんな私達にとどめをさすかのように。

ピンポンパンポーン!

久里浜「チャイム!?」

小塚「みーちゃん!あっちのモニター!」

冴草「なんだよ、あれ……!」

モニターに、それは、映されました。

そして、それが。



私の初めて体験する。

絶望、だったんです。


42 ◆DXWxLR/SkYo12020/04/21(火) 23:16:27.91e39Nie7A0 (7/8)







       GAME OVER

  ハットリクンがミセシメにきまりました。

    おしおきをかいしします。









43 ◆DXWxLR/SkYo12020/04/21(火) 23:17:18.35e39Nie7A0 (8/8)

今回はここまで。


44 ◆DXWxLR/SkYo12020/06/21(日) 23:13:22.48cyb1PK/A0 (1/2)

モニターに映ったのは、青いユニフォームの上からスーツを羽織った男の人。

頭や腕が真っ赤に染まったその人がいるのは……サッカーの、グラウンド?

そんな男の人を取り囲む、たくさんの……たくさんの……

まりか「ひっ」

久里浜「っ、裕香!!」

漆原「は、はい!」

私が悲鳴をあげる前に、漆原さんが私を抱き締めます。

モニターはもう見えないけど、あれは……私を襲ってきたクマさんで。

だから私は、見えないモニターの向こうで何が起きるのか……わかって……しまったんです。


45 ◆DXWxLR/SkYo12020/06/21(日) 23:45:43.06cyb1PK/A0 (2/2)

【デッドシュートゴールエンド】

【元超高校級のサッカー選手服部脩処刑執行】

周りを取り囲むモノクマを睨む服部クンの足元にサッカーボールが転がってきます。

モニターを見ると1人でモノクマを突破し、ゴールしろという指令。

何が起こるかわからない、しかしサッカーをする事なら誰にも負けるつもりはありません。

スーツを脱ぎ捨て、ボールに足をかけた服部クンはひとつ息を吐くとゴールに向かって走り出しました。

服部クンからボールを奪わんとモノクマ達が群がります。

スライディングに始まり、体当たり、爪、挙げ句の果てには凶器……ルール無用の攻撃を避けながら、服部クンはゴールに向かい。

そしてオロオロしているキーパーのモノクマを無視して、服部クンはシュートをしようと脚を振り上げて……

巨大な脚にボールごと蹴り飛ばされました。

反対側のゴールに叩きつけられる服部クンの歪む視界の先にいたのは……巨大なモノクマ。

転がってきた巨大なボール、それをゴールに叩き込まんと放たれたモノクマの必殺シュート。

そのままシュートされたボールは、ゴールを服部クンもろとも破壊しました。

歓喜するモノクマ達、転がるボール、そして……

白黒のボールの一部分には真っ赤なナニカが、へばりついていました。


46 ◆DXWxLR/SkYo12020/06/22(月) 00:02:11.450DPWAsyA0 (1/7)

悲鳴が、聞こえてきます。

蝶塚「ひぎゃああああっ!!?」

小塚「ひいっ!」

冴草「嘘だろ、脩!?」

財前「相変わらず悪趣味だね、絶望のやる事は」

漆原「うっ、くっ……」

まりか「う、漆原さ」

漆原「見たらいけません!」

森山「グルルルル……!!」

見なくても、わかります。

モニターに映ってた男の人は……死んじゃったんだって。

久里浜「…………」

風馬「久里浜君、この場預かるねぇ」

久里浜「あっ……うん、お願い」

風馬「大丸君、出られないっていうのは本当かなぁ?」

大丸「おう、間違いない。遠見も確認してる」

遠見「……」

梅生「通信も出来ねえんだったな?」

蝶塚「あばばばばば」

クロウ「ちょっと借りるよキクノ……ああ、ダメだな」

刀華「ダーリン、じゃあわたし達……」

エカテリーナ「閉じ込められた……どうやら罠にかかったようね」

風馬「罠……やっぱりこれを仕組んだのは」


47 ◆DXWxLR/SkYo12020/06/22(月) 00:02:40.660DPWAsyA0 (2/7)







「もちろんボクでーす!」









48 ◆DXWxLR/SkYo12020/06/22(月) 00:13:32.000DPWAsyA0 (3/7)

今まで聞いた事のない明るい声。

漆原さんの抱き締める力が少しだけ弱くなって、私はそれを見ます。

モノクマ「オマエラごきげんよう!元気にしてた?」

それは私を殺そうとしたあのクマさん。

だけど、よくわからないけど……私はあの時のクマさんよりも今のクマさんを、怖く感じました。

久里浜「やっぱり出てきたね……モノクマ!」

財前「はっ、あんなもの見たら当然関わってるよね」

モノクマ「うぷぷ、その反応だと盛大なデモンストレーションは気に入ってくれたみたいだね!」

冴草「デモンストレーションだと……脩を殺したのがか!」

モノクマ「そうだよ!服部クンはこれから始まるビッグイベントの開会式担当だったからね!」

梅生「イベントねぇ、だいたい想像はつきやがるが……」

モノクマ「まっ、オマエラには説明しなくてもわかるよね……ではこれより!」




モノクマ「未来機関コロシアイ共同生活の開会式を始めまーす!」


49 ◆DXWxLR/SkYo12020/06/22(月) 00:15:41.870DPWAsyA0 (4/7)







コロシアイ。

殺しあい。

きっとこの先何年かかっても忘れられない、それは。

いきなり、何もわからない私を……飲み込んで、いったんです。









50 ◆DXWxLR/SkYo12020/06/22(月) 00:16:19.360DPWAsyA0 (5/7)







ミライ「…………コロシ、アイ」









51 ◆DXWxLR/SkYo12020/06/22(月) 00:19:27.340DPWAsyA0 (6/7)







プロローグ【絶望の引き金は今引かれた】END

生き残りメンバー16人

To Be Continued...









52 ◆DXWxLR/SkYo12020/06/22(月) 00:20:14.210DPWAsyA0 (7/7)

今回はここまでで。


53 ◆DXWxLR/SkYo12021/01/02(土) 08:48:26.75GBHRfvpA0 (1/12)







CHAPTER01【イキキレ】(非)日常編









54 ◆DXWxLR/SkYo12021/01/02(土) 09:00:43.69GBHRfvpA0 (2/12)

まりか「……」

クマさん……モノクマの言うコロシアイ共同生活。

コロシアイ……その意味は、私にだってわかります。

大丸「またかクソッ!」

財前「全く、芸がないね」

皆さんの反応で、それがこの世界では全然珍しくない事も……

本当に、今世の中は大変なんだ……

まりか(お姉ちゃん……会いたいよ……)

モノクマ「さて何もわからない人もいるみたいだし、ルール説明をしよっか!」

久里浜「その言い方からして、まりかちゃんとミライがここにいるのもきみの仕業みたいだね」

まりか「えっ」

ミライ「……」

モノクマ「うぷぷ、何の事かな久里浜さん?」

久里浜「とぼけるんだ。つまり触れられたくないって事か……ふーん」

モノクマ「うるさいなぁ。あんまり言いがかりつけるとキミも……」

小塚「だ、だめっ!」

睨みあうモノクマと久里浜さんの間に小塚さんが入ります。

小塚さんは私に負けないぐらい震えていて、それなのに久里浜さんには手を出させないって気持ちがはっきり伝わって……

小塚「それだけは、させない……みーちゃんも変に刺激しないで……!」

久里浜「だけどさ恵留」

小塚「お願いだから!」

久里浜「……わかったよ」

久里浜さんはモノクマを睨むのをやめると、小塚さんはホッとしたように息を吐きます。

二人がどれだけ仲良しなのか、それだけでわかる気がしました。


55 ◆DXWxLR/SkYo12021/01/02(土) 09:09:03.79GBHRfvpA0 (3/12)

モノクマ「さていきなり脱線しちゃったけど、改めてルール説明を行います!」

さっきの久里浜さんへの態度からまたコロコロ変わってモノクマは笑います。

それがとても、怖くて……また泣きそうになる私の頭を漆原さんが撫でてくれました。

モノクマ「オマエラ16人にはこの【未来機関絶望支部】にて共同生活を送っていただきます!」

エカテリーナ「絶望支部……勝手に変な名前をつけてくれたものね」

モノクマ「期限はもちろん無期限!出たければ他の誰かを殺すしかありません!」

クロウ「相変わらず、不愉快なやり口だ」

刀華「……うん」

モノクマ「でも殺しただけじゃ終わらないのがこのコロシアイ!コロシアイが起きたら生き残りで学級裁判を行います!」

学級、裁判?

森山「が、がが学級裁判……!」

蝶塚「ひいいいっ!?い、嫌な事を思い出したでございますぅ!」



56 ◆DXWxLR/SkYo12021/01/02(土) 09:15:46.20GBHRfvpA0 (4/12)

モノクマ「学級裁判では被害者……シロを殺した犯人……クロが誰かを議論してもらいます!」

モノクマ「もちろんクロは自分が殺したってバレないよう、議論を進めないとダメだからね!」

遠見「……」

モノクマ「見事クロを明らかに出来たらクロはおしおき!生き残りは再び共同生活に」

モノクマ「だけどクロを明らかに出来なかった場合は、クロ以外の全員がおしおきだよ!」

おしおき……それが、言葉通りの意味じゃない事を私は知っています。

さっき見たモニターにも、同じ言葉があったから。

モノクマ「おしおきが何なのかは、さっき実際に見てもらったからわかるよね?」

冴草「脩……くっ!」

モノクマ「ちなみにボクに危害を加えたりしてもおしおきだから気をつけるように!」

モノクマ「生きるために、斬って刺して殴って沈めて絞めて焼いて凍らせて痺れさせて毒を盛って突き落として……」

モノクマ「あらゆる絶望を生み出すサイッコーのエンターテイメント!」

モノクマ「それがコロシアイなのです!」

ミライ「コロシアイ、コロシアイ……っ」



57 ◆DXWxLR/SkYo12021/01/02(土) 09:28:30.71GBHRfvpA0 (5/12)

モノクマ「ルール説明は以上!このコロシアイがどれだけいいものかわかってもらったところで……」

漆原「どこがいいものなんですか……っ!?」

まりか「えっ……」

私を抱き締めながらモノクマを睨む漆原さん……その姿がいきなり消えます。

ううん、それだけじゃなくて景色も変わって……

久里浜「なっ!?まりかちゃん!」

それがモノクマが私を漆原さんから奪ったからだって気付いた時には、私の首元に何か硬い物が押し当てられていました。

それがいいものじゃないのは、皆さんの顔が真っ青になったから私にも伝わります。

クロウ「マリカを人質に……!?」

遠見「何の真似?」

モノクマ「いやぁ、さっきから漆原さんが舞園さんを庇ってばかりだからさ!この子に絶望が足りないんじゃないかなーって」

漆原「まりかちゃんを放しなさい!」

蝶塚「ま、まりかぁ……!」

モノクマ「うぷぷ、よかったねぇ舞園さん。みんなキミを心配してるよ」

まりか「痛っ……!」

モノクマが私の首に当ててるものが、さらに深く当たって。

首から何かが出てきて、それを手で触ったら……真っ赤な、血でした。

まりか「ひっ」

モノクマ「ねぇ、舞園さん?今ここでさぁ……」


モノクマ「――キミを殺したら、最高に絶望的じゃない?」


58 ◆DXWxLR/SkYo12021/01/02(土) 09:53:31.59GBHRfvpA0 (6/12)

まりか「っ!?」

モノクマが赤い目で私を見つめてきます。

さっきの血もあって私はモノクマは本気なんだって、嫌でもわからされて……

エカテリーナ「待ちなさい!たとえ絶望的だとしても彼女は何もしていない……殺す理由がないはずよ」

風馬「エカテリーナ君の言う通りだねぇ。早くその子を解放してほしいなぁ」

モノクマ「でもねぇ、正直思わない?この中で唯一の小学生の舞園さんにコロシアイなんかまともに出来やしないって」

財前「まっ、殺されるのがオチだね」

大丸「財前!!」

モノクマ「だからこれはボクの慈悲でもあるんだ。裏切られて死ぬ前に殺してあげる……ほら、ボクの優しさに舞園さんも感涙してるよ!」

刀華「絶対嘘……!」

冴草「何が感涙だよ!」

モノクマ「さてそういう事だから舞園さん」

モノクマ「最期に何か言う事があるならどうぞ!」

まりか「さ、い、ご……?」

私は、死んじゃう?

殺され、ちゃうの?

まりか「や、だ」

やだ、やだよ。

まりか「死にたく、ないよぉ……!」

なんで、なんでなんでなんでなんで。

私悪い事なんてしてない。

やだ、やだやだやだ!

まりか「助けてっ!誰か助けてよぉ!お姉ちゃん!お姉ちゃあん!うわあああんっ!!」

私は、必死に助けてと叫びます。

お姉ちゃんを何度も何度も呼びます。

まりか「なんでもするからっ!だから助けてっ!誰か、お姉ちゃん助けてぇ!!」

モノクマ「うぷぷ!いいね、その絶望をしっかりと心に刻んで逝ってください!」

まりか「やだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

それが、私の最期の言葉。

私の首に当たってたのが爪だって、モノクマが腕を振り上げた時にようやく気付いて……

私は。


59 ◆DXWxLR/SkYo12021/01/02(土) 09:54:22.44GBHRfvpA0 (7/12)







また、景色が変わりました。









60 ◆DXWxLR/SkYo12021/01/02(土) 10:10:36.49GBHRfvpA0 (8/12)

まりか「…………?」

あれ?

私、どうなったの?

「おい、言ったな?」

まりか「えっ」

私の上から声が聞こえます。

それで、私は誰かに抱えられてるんだって気付いて。

梅生「なんでもするからって言葉、嘘じゃねえな?」

私を抱えていたのは、梅生さんでした。

漆原「梅生さん……どうして!?」

梅生「なんでもするって言ったからだよ。こいつは舞園さやかの妹、金の卵になるかもしれねえだろ」

エカテリーナ「だから助けたと言うの?」

梅生「金になるならその価値はあるだろうが」

まりか「……」

梅生さんが、私を助けてくれたんだ。

私、殺されずに済んだんだ……!

まりか「ひっく、ぐすっ……」

梅生「ちっ、スーツが染みになんだろうが。おい漆原!」

漆原「きゃっ!?」

梅生「泣き止ましとけ、商談もできやしねえ」

漆原「ま、まりかちゃん!ごめんなさい、私がもっとしっかり……ううっ!」

まりか「怖かった、怖かったよぉ……うわあああんっ!」

恐怖と安堵で涙が止まりません。

だから私は漆原さんの腕の中でたくさんたくさん、泣きました。


61 ◆DXWxLR/SkYo12021/01/02(土) 10:26:29.80GBHRfvpA0 (9/12)

モノクマ「うぐぐ……やってくれるじゃない梅生クン」

財前「またやるわけ?一度防がれたんだから二度目なんて興醒めだけど?」

モノクマ「ふんだ!ボクの優しさを受け取らなかった事を後悔する日が来ても知らないからね!」

モノクマ「それではオマエラ!せいぜいコロシアイで絶望を盛り上げてください!」

モノクマがいなくなって、私達だけが残されます。

久里浜「まりかちゃん!!」

まりか「むぎゅ」

それを合図にしたみたいに、久里浜さんや何人もの人が私に駆け寄ってきました。

久里浜「ごめん、ごめんね!もっと早く助けてあげられなくて!ああ、首にこんな傷が……恵留!」

小塚「う、うん。ちょっと首見せて……きゃうっ!」

蝶塚「ま、まままままりかぁ!生きてるでございますか!?まさか幽霊じゃ、ひいいいっ!?成仏してくださいでございますぅ!!」

小塚「治療出来ないから離れて……!」

小塚さんが血が出てる私の首を治療してくれてる間、漆原さんと久里浜さん、蝶塚さんがずっと私を心配してくれます。

私が死んだら絶望的……モノクマの言葉は、もしかしたら正解だったのかな。



62 ◆DXWxLR/SkYo12021/01/02(土) 10:46:05.74GBHRfvpA0 (10/12)

小塚「はい、治療終わったよ」

まりか「ありがとう、ございます……」

久里浜「モノクマのやつ……よくもまりかちゃんに怪我をさせてくれたな!絶対許さないよ!」

冴草「あんま無茶はしないでくださいよ支部長」

風馬「とにかく、一度落ち着いて話し合いしたいねぇ……どこかいい場所ないかなぁ?」

大丸「それならさっき調べていた時にあった食堂がいいんじゃないか!」

エカテリーナ「そうね……コロシアイとなった以上食料についても知っておく必要があるわ」

クロウ「長期戦になるかもしれない。改めて調査もした方がいいかもな」

刀華「だったら要救助者のまりかちゃんとミライくんの二人には休んでてもらおうよ」

ミライ「……」

森山「さ、さ賛成ですますね」

漆原「さっきの事もあります。二人の警護に誰かつけた方がいいのでは?」

遠見「……セイがやる」

蝶塚「じゃあウチも警護に……あいたたたた!?」

財前「お前は調査に決まってるでしょ。殺すよ?」

蝶塚「ひいいいっ!?お許しくださいませぇ!」

久里浜「じゃあ恵留!調査はこっちでやるからセイと二人でまりかちゃん、ミライを警護してて!」

小塚「いいけど……みーちゃん、自分が警護に残るっていうと思ってた」

久里浜「それも考えたけどさ。やっぱり恵留の方が適任だからね!」


63 ◆DXWxLR/SkYo12021/01/02(土) 10:59:56.95GBHRfvpA0 (11/12)

皆さんが調査する間、私は食堂で待っている事になりました。

小塚「じゃあ行こうか?」

ミライ「ああ……」

まりか「はい……あっ、ちょっと待ってください!」

調査に行く皆さん……その内の一つの背中が部屋を出る前に私は追いかけます。

まりか「あ、あの!」

梅生「んっ?」

まりか「た、助けてくれてありがとうございました!」

梅生さんにまだお礼を言ってない……その事を思い出した私は頭を深く下げます。

梅生さんはしばらく無言だったけど……私に近づいてきたのが足音でわかりました。

梅生「頭を上げな。言葉の礼なんか金にならねえ」

まりか「は、はい」

梅生「商談は後でする。さっさと食堂に行っとけ」

まりか「えっと……」

梅生「はっ」

梅生さんが私の頭に帽子を被せます。

そのせいで梅生さんの表情がよく見えません。

梅生「戻るまで貸してやる。高え帽子だ、汚したら承知しねえぞ」

まりか「あっ、えっ」

梅生「わかったらおとなしくしてろ。てめえに死なれたら困るんでな」

まりか「っ!」

私が帽子を外した時にはもう梅生さんは背中を向けていて。

まりか「……」

その背中を、私は呼ばれるまでずっと見ていました。


64 ◆DXWxLR/SkYo12021/01/02(土) 11:00:25.87GBHRfvpA0 (12/12)

今回はここまでで。