1以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/21(土) 23:12:093ac0lzx6 (1/8)






クロが冷たくなっていた。





ある朝、いつも起きているはずの愛猫は、側に横たわったまま動かなくなっていた。
触れた手が冷える。
体毛の下は既に硬い。

そうして、2分間だけ亡骸に触れた自分はワイシャツのボタンを留める。
勝手にネクタイを締め、スーツを着ている。
カバンを持つと、その中のPCと図面に意識が飛ぶ。
昨日の打ち合わせの内容が頭に流入してくる。


弔うことすらできない自分の心は完全に擦り切れてしまった。

もう、ダメだ。

喪失感が絶望に変わる。


まだ陽も昇らない早朝の闇の中。
古く硬質な部屋の鍵を閉める音と、心の支えが折れる音は似ていた。


2以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/21(土) 23:17:133ac0lzx6 (2/8)








その日の帰りは午前0時。
一日はとても短かった。
辛かった仕事も、これで最後と思えば何も辛くなかった。

頭は真っ黒。
空っぽで何もない。
今夜死のう。

仕事中、うわの空だった自分の真ん中には自殺のことだけが横たわっていた。
クロの……愛猫の傍らで共に眠りたい。
それだけだった。


部屋の鍵を開ける。


3以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/21(土) 23:25:253ac0lzx6 (3/8)



「…?」


部屋に戻る。
朝、枕元にいたクロが居ない。
そのまま横たわっていたはずなのだが、どうしたことか。

実は今朝、まだ息があって、主人に愛想を尽かしたのか。

詳細が気にはなるが、それを知る必要はないように思えた。
自分には、もうクロを看取ることも看取られることも許されないらしい。
当然だ。自分は劣っているし、使えない。

なんにせよ、全部これで終わりだ。


会社で使っている長いケーブルを、自分の首と物干し用のフックに結ぶ。


4以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/21(土) 23:30:413ac0lzx6 (4/8)


あとは倒れ込むようにしてケーブルをピンと張れば、それで終わり……のはず。

終わりのはずだった。







愛猫の匂いが、ふと恋しくなった。
あの黒猫と一緒に寝ていた、布団の上を見やる。

もし……許されるなら。あの子の優しい香りと一緒に。



距離がちょっと遠くなるだけだ。死ぬのに支障はない。

葛藤はなかった。
人生を捨てる実感と共に、膝と、腰と、足の力を抜いた。


5以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/21(土) 23:37:523ac0lzx6 (5/8)


「……っ、ぁ゛ぅ」

首に強い圧力を感じて苦しい。
だが、俗世への関心を捨てるとそれも他人事のように思えた。


暗い視界に枕が映る。
塞がれた気道を無視するかのように、頭に愛猫の香りが蘇る。


それも、錯覚だと思うと薄れていく……
薄れて………
薄く………………
きえ、て…………………………





……
闇の中。
何かをかじるような。
そんな音を聞いたような気がした。

そのまま自分の意識は途絶えた。


6以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/21(土) 23:41:563ac0lzx6 (6/8)



Day 1
Sat









「……すー……すー」

「……んん……」

冬に、布団をかけず寝るのは寒かった。


7以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/21(土) 23:44:163ac0lzx6 (7/8)




……

「……すー……すー」

寒い。


…………

「……すー……すー」

寒い?


………………

「……すー……すー」

あれ、自分は……



自分は一体!?


8以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/21(土) 23:49:153ac0lzx6 (8/8)


ガバッ!!!
「しまっ、遅刻する……!!!!!!」

ビシッ!!!

「いて!」

急激に起き上がり、時間を確認する。外が明るい。頭が痛い。首になんか付いてて、振り回した表紙にまぶたをぶった。午前10時。遅刻だ。

……

「あ……」

ああ、土曜日だった。しかも珍しく休みだ。あれ、でも……





「自分……生きてる……?」

生きていた。
首に付いていたケーブルは何故か切れている。
自分は、そのケーブルの元に繋がっていた方に振り向いた。


9以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 00:01:52o6IP7knE (1/12)




自分の布団に、見知らぬ少女が眠っていた。



長く、つややかな黒髪。
丸く、小さな身体。
白く、眩しい肌。

目の前ですうすうと寝息を立てる少女を事実と認めた。
疑問が生まれるより先に、どこかでストンと腑に落ちた。

この少女は……。



「クロ……」

衝動的に、鼻を彼女のからだに寄せていた。
すぐに、慣れ親しんだ優しい香りが漂ってきた。

「クロ……クロなのか……!」




どうかこのことが、自分の見た夢でありませんように。
そう思った瞬間、自分はクロを得難い存在だと、失いたくない存在であったと認めたのだった。


10以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 00:12:32o6IP7knE (2/12)



損耗しきった心に、ごく、ごくわずかな活力が戻る。


「自分は……」
愛猫の死を悼まないような、そんな酷い人間じゃない。
そこまで落ちぶれていない……!

【習慣:人道を獲得】



「……すー……すー」

寝所のぬしとも言えるクロの香りと、自分に対するわずかな安心が、空っぽで傷ついた心に沁みてゆく。

いまは休んでいい。きっとだいじょうぶ。




小さな少女を胸の前に置き、二度寝を始めるのにそう時間はかからなかった。


11以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 00:22:33o6IP7knE (3/12)


つんつん
「……」
「くぅ……くぅ……」


つんつんつん
「……」
「んん……」


てしっ、てしっ
「……」
「んんっ、ん……?」


何やら、こめかみに刺激がある。
目を開ける。


「ん……ん?????」
「……」

【能力:ねこパンチを獲得】

目の前に、なんかすっぱだかの美少女がいた。


12以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 00:38:09o6IP7knE (4/12)


――

情けなくも二度寝して、完全に目が覚めた。

「……」

少女はぼーっと座っていて布団から動かない。
毛布を雑に被せただけなので、生脚がにゅっと出ている。



まあいい。今までのことも頭に戻ってきた。
さあ、現状を整理しよう。


まず、昨日の朝クロが死んでいた。これは間違いないと思う。拾ってから享年14歳と……9ヶ月か。大病はなかったが、休むには充分な歳だったろう。

その晩クロは消えていた。傷心の自分が無自覚に投げ捨てたなんてことは無いと思いたい。

自分は絶望して首吊り自殺を図ったが、失敗して普通に寝付いた。ケーブルが切れたことがおそらくの原因。

そして今朝、クロの匂いがするこの少女が、自分の後ろで寝ていた。


……直感を信じるなら、この少女はクロと何かの関係がある。
もし彼女がクロ自身であったとして、どうして人間の少女になってしまったのかという疑問が残るが。


13以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 00:49:27o6IP7knE (5/12)


生活の辛さは何ひとつ変わっていないが、自分の心に突き刺さっていた喪失感はなくなっている。

生きたいとまでは言えないが、死にたいとは思わない。
この少女を残して逝くのは何だか気が引けるのだ。

来週も生きていくのなら、問題が色々ある。



この……中高生相応の少女はどうやら喋ることができないのだ。
日本の義務教育を考えると、ワケありなのは間違いないだろう。

外部に保護してもらうにも、出自不明の裸乙女を捕まえたと言えば後ろに手が回るだろう。
そして、どうにも失い難く感じる。

「……よし」

この子を匿おう。マンションに一人暮らしなんだ、ある程度は何とかなる。
決めてしまえば早いもので、衣装ケースから自分の肌着一式を探していた。


14以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 05:18:56Zl69Uo6w (1/1)

きたい


15以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 06:20:04wHH5N5AY (1/1)

このうえなくとこのうえ


16以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 09:21:32o6IP7knE (6/12)


……

結論から言うと、肌着をひとりでは着てくれなかった。なので、自分が着せた。
身体を掴めば素直に動いてくれるのはありがたい。
少女の肢体は綺麗だったが、変な気を起こすわけにはいかないのだ。


よし。次だ。
衣と住があるなら食も揃えなければならない。

時間や金銭の問題で自分は身を削っていたが、そうとばかりもいかないだろう。
人と同じ食生活をするのであれば、やはり食費や用意する時間を捻出する必要がある。
そういえば、今日は自分も食事をとっていない。

……チーン!

持つべきものはレンジでご飯。
醤油とかつ節を振りかけて、立ち昇る湯気に負けじとかき混ぜた。

「えーと」

彼女は布団の上から出ようとしない。
仕方なく、茶碗とスプーンを持って彼女のもとへ。

「クロ」
「……!」
「あっ」

つい、黒猫の名を呼んでしまう。彼女は首をコチラに向け、明らかに反応した。


17以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 09:35:03o6IP7knE (7/12)


「クロ、その……ごはん」
「!、!、」

目を輝かせ、自分の肩にほほをすり寄せる少女。
飼い主だったから分かる……それはクロの仕草とまったく同じで、正直嬉しかった。

「ふー、ふーっ……はい」
「んっ、んぐ、む」

スプーンのねこまんまを口元に寄せていく。
彼女は、自分に遠慮して身を預けているように見えた。思えば目覚めてから、ちゃんと声を掛けていなかった。

この子はきっとクロなんだ。だったら……

「その、クロ。おはよう」
「……んー!」

スプーンを咥えたまま、にんまりと目を細める。彼女の瞳に残っていたわずかな不安が消える。
待つべき声を聞き届けた彼女は、嬉しそうに頬を擦って次の一口を急かす。
程なくして、綺麗にそれを平らげた。


18以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 10:08:31o6IP7knE (8/12)


台所に食器を戻し、彼女のもとへ戻る。
クロはすぐに反応し、自分の足元へすり寄ろうとしていた。

が。


バチチ……

「ひうっ!!」

布団から大きく離れようとした時、何かに押し戻されるようにしてひっくり返った。

「クロ。大丈夫」
「???」

毛が……髪の毛が少し逆立っている。
そんなところまで猫なのか。

毛を寝かしつけるようにして撫で付けると、すぐに落ち着いたみたいだった。



「クロは布団から離れられないのか……?」

不可思議な現象であったが、負担がありそうなので何度も検証するものじゃない。
まずは自分の空腹を満たそう。バナナ1本と野菜ジュースを求め、台所へと向かった。


19以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 10:39:08o6IP7knE (9/12)


……
さて。

夜 20:00

(朝と夜に行動を選ぶことが出来ます)
(行動には一定の時間を消費します)
(定刻の夜0:00、朝6:00を過ぎて行動する場合、後の行動に影響が出ます)
(選択肢の番号が消えている場合は選択できません)

(5つのパラメータ「体力」「健康」「安心」「財力」「精力」のどれかひとつでも損耗しすぎると、男は死亡します)
(パラメータは表示されませんが、異常をきたしている場合、文調や文量に変化が起こります)
(一見効果のない行動も、【習慣】や【能力】の獲得に繋がる場合があります)

(クロと共に、日々を生き延びましょう。)

1【触れ合い】
X【食事】
3【仕事】
4【入浴】
5【家事】
6【外出】
7【息抜き】
X【】
9【就寝】

↓2


20以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 10:40:34o6IP7knE (10/12)

糞雑魚寝落謝罪
小少女珍珍苛苛同意求
不定期更新


21以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 11:03:49Y6RcaRzQ (1/2)

1


22以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 18:30:17o6IP7knE (11/12)


1【触れ合い】

「クロ」
「!」

猫が元だったのか、人が元だったのか。
彼女の正体は分からないが、今まで一緒に暮らしてきた存在には違いない。

この頼りない身で、改めて彼女を守っていかなければならない。

「おいで」
「ん……」


ヘーゼルの美しい瞳がスッと閉じられる。
広げた腕に招かれるようにして、薄着の少女は身を預けてきた。


肌はすべすべして柔らかいはずなのだが、撫でた感覚は猫っぽくもある。
髪の毛もさらさらで、指を抜ける感触が気持ちいい。

猫であった時と同様、静かにしている。嫌がる素振りはない。試しに顎をごろごろしてみる。

「う、なー……」

嫌がるとも喜んでいるとも取れない、微妙な表情。
なんとなく、色っぽくも見える……。

しばし、頭や肩などの無難なところを、慈しむように撫でていた。


23以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 18:46:20o6IP7knE (12/12)


「……?」

しばらくクロを撫でていると、触れている側の腕に怠さを感じてくる。
……妙な感覚だが、昨日の今日で疲れていたのだろう。
大切な存在が、再び腕の中で息をしている。それに勝る安心はない。



20:00 → 20:45

1【触れ合い】
X【食事】
3【仕事】
4【入浴】
5【家事】
6【外出】
7【息抜き】
X【】
9【就寝】

↓1


24以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 19:21:035Cf5U.ek (1/1)

5


25以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 22:42:35jlDjet5c (1/3)


5【家事】

平日に溜めていた洗濯を片付けよう。

下着や肌着の類いを片っ端から洗濯機に放り込み、続いてタオルを、ワイシャツは襟に漂白剤を付けてそのまま。



ゴウンゴウンと景気良く洗濯機が回る間、クロの衣服をどうするか考えた。
いつまでも男物の、サイズの合わない肌着では、毛皮のない彼女は風邪をひいてしまう。
下着の有無はともかく、寝間着に相当する女物の衣類が必要だ。

通販サイトを開き、大きさに融通の効きそうな寝間着を見繕う。
丁度あつらえたような、白地に猫のワンポイントが入った、暖かそうなパジャマが見つかった。
そう高いものではなかったので、迷わずに購入する。

下着などもそのうち選ばなくてはいけないだろうが、今はこれでも何とかなるはずだ。


26以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 22:47:16jlDjet5c (2/3)


洗濯機が止まり、所狭しと部屋干ししてゆく。
臭いが気にならないわけではないが、日中こまめに洗濯物を干す時間を作るより圧倒的に楽だ。

クロのパジャマは、明日の夜には届いているだろう。


20:45 → 21:45

1【触れ合い】
X【食事】
3【仕事】
4【入浴】
5【家事】
6【外出】
7【息抜き】
X【】
9【就寝】

↓1


27以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 22:47:32Nha8CExA (1/1)

6


28以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 22:51:55jlDjet5c (3/3)


6【外出】

さて、少し遅いが買い出しでもするか。

「! ーっ!!」
「大丈夫だよ、ちゃんと帰ってくる。」



身支度を感づかれてしまった。さっさと出ないと可哀想だな。

今の時間だと……


1【近くのコンビニ】
2【夜間空いているスーパー】

↓1


29以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/22(日) 23:23:45Y6RcaRzQ (2/2)

2


30誤字謝罪。射爆2019/12/23(月) 17:24:50o7IQ9Sdw (1/8)


2【夜間開いているスーパー】

少し距離はあるが、食料以外にも買い揃えたいものがある。
0時まで開いているスーパーへ向かう。

……

『いらっしゃいませぇ!えい!えい!えい!はぁーっ!』

ラジカセから流れる、よく分からないお囃子を聞き流して店内へ。
時刻は22時。休日だというのに、この時間帯でも人がポツポツと居る。


遅くなっても仕方ない。
目的のものを探して帰ろう。


……
…………


31以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/23(月) 22:46:52o7IQ9Sdw (2/8)


……
ガチャッ。

「……」

あれ、電気つけっぱ……ああ、そうだ。


「ただいま、クロ……っおわ」
「、、!! ! !」

布団の方に行くとズボンの裾をすごい勢いで掴まれ、切実そうな顔で頬擦りされた。
なかなか離してくれそうにない。

「ごめんな、ちゃんと居るよ、ほらほら」
「…………。」



クロが落ち着いてから、ひとまずの食料とクロ用の携行食、いざという時の栄養食をしまい込む。
そして、クロの為に買った食器や歯ブラシ、マグなどをテーブルに並べた。

「クロ。クロの為に一応いろいろ揃えてきたけど……分かるかな」
「……?」

使い方どころか、自分の所有物であるかどうかも、ちんぷんかんぷんのようだ。

これらを扱うには相応の【能力】が必要だろう。


32以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/23(月) 22:50:36o7IQ9Sdw (3/8)


さて……寒い中、荷物を持って歩き回るのはそれなりに堪えた。
平日の疲れが残っていると足が訴えている。


21:45 → 23:15

1【触れ合い】
X【食事】
3【仕事】
4【入浴】
5【家事】
6【外出】
7【息抜き】
X【】
9【就寝】

↓1


33以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/23(月) 22:59:31cLBrRAXQ (1/2)

4


34以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/23(月) 22:59:33zmD6HiKI (1/1)

1


35以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/23(月) 23:13:51o7IQ9Sdw (4/8)


4【入浴】

さて。そろそろいい時間だし、お湯でも浴びて……

「!」
「あー……」

立ち上がった時、見えないところに離れる場合だけ何故か反応するのは……どういう理屈なんだろうか。

クロか……クロもか……そうだよな。
でも、布団からは大きく離れられないし……困った。



↓1 (ふたつ選ぶ場合があります。今回は実質ひとつですが)

自分は……
1【シャワー】
X【お風呂】

クロは……
A【クロを濡らしたバスタオルで拭く】
B【クロを蒸らした蒸しタオルで拭く】
C【布団ごと洗面所に運び、洗う】
D【肌を見るのはどうかと思う】


36以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/23(月) 23:16:34T/PnpZuI (1/1)

B


37以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/23(月) 23:31:39o7IQ9Sdw (5/8)


【シャワー】【蒸しタオル】

「……ふー」

熱いお湯を顔から浴びる。ホコリやら脂やらが削げ落ちていくようで気持ちいい。

どうあっても全身は温まらないので、縮こまるよりサッサと洗って着替えよう。

……

クロは、家を出てないと分かれば大人しくしているようだった。さて、綺麗になってもらおう。
手ごろなタオルを濡らし、軽く絞ってレンジの中へ。


……チーン!

「っおわ、あつつつつあつ、あつ、あつっ」

温めすぎた。右手と左手がなすりつけあい、湯気を叩き付ける。頃合いになる前にクロの元へ。

「クロっ、身体拭くよっ」
「?」
「ちょっと熱いから……っ」
「!!!!!」

蒸しタオルがお腹に触れた瞬間、その熱さに身を竦める。クロには悪いが、この隙に肌着の隙間から拭かせてもらおう。


38以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/23(月) 23:40:07o7IQ9Sdw (6/8)


「っ、っ、」
「急がないと……」

脇を抜けて背中、首……ああ、もう蒸しタオルがぬるい。身体を冷やしてもしょうがない。温め直そう。
タオルをすすいで再びレンジへ。

チーン!

「っとととと、クロー」
「……っ」


少し怯えている気もするが、今はこれが一番身体に障らないはず。
飼い主の責務と思って、一気にやってしまおう。

チーン!

チーン!

チーン!

「はい、おしまい。お疲れさま」
「………………」

クロは複雑そうな表情。それなりにスッキリしていると良いが。
途中から、もう猫を世話するのと同じような感覚で拭き回っていた為、あまり肌や裸は気にならなかった。


39以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/23(月) 23:44:48o7IQ9Sdw (7/8)


さて。クロはこれで良かったのだろうが、自分の身体が少し冷えてしまった。
蒸しタオルは時間も掛かるし、毎日やるには大変かもしれないな。

23:15 → !0:15!

1【触れ合い】
X【食事】
3【仕事】
X【入浴】
5【家事】
X【外出】
X【息抜き】
X【】
9【就寝】

↓1


40以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/23(月) 23:51:22cLBrRAXQ (2/2)

9


41以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/23(月) 23:58:42o7IQ9Sdw (8/8)

今日終休
明日聖夜今年中止求


(定刻のオーバーは夜の場合、1~2時間くらいならそこまで大きな影響にはなりません。)
(対し、朝の6時を逃して出社すると、始業少し前あたりに着く形になります。)
(抱えた仕事の具合を考えて家を出ましょう。)

(そして、出る時間までに起きられるようにしましょう。遅刻は精神的大ダメージ、無断欠勤は大変なことに繋がります。)


42以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/24(火) 21:54:22z1c5mzrc (1/3)


9【就寝】

もう日付も変わった。寝支度もした。

……昨日はもう来ない。
今日はちゃんと休んで、

「クロ」
「! 、、」

……明日を迎えよう。


さて。
布団はひとつしかないが、クロの身体は大きくない。
寝ようと思えば一緒に寝ることのできる広さ。

迷うことなく、既に温かい布団へ足を入れる。
猫であった時と同じように、それが毎日当たり前であったように、そっと温もりが寄り添う。
そして、温もりは肩を昇り、首を抱き、耳を塞ぎ……

頭をお腹に包むように、枕元へ移動した。


43以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/24(火) 22:15:43z1c5mzrc (2/3)


「これは変わらないのな」
「~…」

これは、クロを飼い始めた当初からの習慣。
クロは何故か枕元へ来て、自分の頭を抱き包むようにして寝る。
両親が上手いこと言うには【クロ電話】……確かに自分の頭とクロは、黒電話と受話器に似ている。

その習慣は、人の身体を得ても変わらないらしい。

「クロ、冷えないか」
「。。。」
「そうか」

猫の時とは大きさも感触も違う。
だけど、いつもの温もりに包まれるだけで、すぐに目蓋が落ちる。
自分にとって安息を象徴する香りが降り注ぐ。

膝が、顎と首を優しく支える。ももが、頬を柔らかく受け止める。お腹から、命が動く音だけが伝わる。二の腕が、もう一方の耳を匿う。
心地よい腕の重みが右肩から力を抜いてゆき、すねの程良い硬さが左肩の姿勢を正した。



……幸せだ。



「ぉゃ…み……クロ……」
「…♪」


44以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/24(火) 22:44:21FHS/wubQ (1/2)


……い
…………さい
…………………なさい

んん?

「起きなさい。」


微睡みから無我に落ちると、待っていたのは朝ではなく闇だった。

暗闇の中にぼう、と灯る肌。
ばさりと投げられた黒い翼、血肉のように赤い唇。
いわゆるボンテージとやらに身を包んだ、悪魔の格好をした女。

地面も地平もない、頼りない闇の中に浮かぶカタチ。

……あー、これ、夢か。
それも、明晰夢なんて言ったっけ。

「意識ははっきりしているかしら?」
「……一応。夢にしては」
「そうね。よろしい」


45以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/24(火) 22:53:04FHS/wubQ (2/2)



「私は、端的に言うと悪魔。今はそれで良いわ」


「悪魔って……マジで言ってますか」
「人ではないわ。それくらいの認識で十分よ」

悪魔にしては面倒見の良さそうな顔で、サバサバと用件を連ねてゆく。

「時間に限りがあるから、簡潔に話すわ。今夜は、貴方の側で眠っているあの子。猫だった子のことを話してあげる」
「! クロの事を知っているのか」
「ええ。彼女を猫から人の形へと蘇らせたのは、他ならぬ私だから」

これは、本当にただの夢なのだろうか……?
彼女の話す言葉、声は、とても現実味を帯びているように感じる。


「まずは一昨日のことから話してあげるわ。……」

……


46以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/24(火) 23:26:44z1c5mzrc (3/3)


……

話を要約しよう。

クロは一昨日、自身が老衰で力尽きることを前から悟っていたらしい。
しかし、クロにはどうあっても逝けない理由があった。自分のことだ。
クロは、自身が居なくなったあと……日々に苦しむ主人が支えを失って倒れてしまうことを予見していたらしい。

情けないが、事実そのものである。


クロは死の間際、主人を護りきれない無念に叫ぶ。
その一際荘厳な声が、この悪魔の耳に止まったらしい。

悪魔は朽ちて散りゆく魂を留め、クロと対話し……クロはそれを承諾し、契約を結ぶ。
それは、悪魔の一種へと魂を固着し、再び自我と肉体を得るというもの。

……もう、サラリーマンにはファンタジーな単語ばかりで頭が痛いが、現在クロの種族は夢魔。
悪魔によると、手持ちの器の中でもっとも扱いやすい種族だったとか。

そうして、クロは自分のことを護るために悪魔として生を受け、傍らに蘇ったのである。


47以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/25(水) 06:47:41tef5yuW. (1/2)


しかし、契約とは取引。対価が付き物なのは人も魔も変わらない。
クロの契約とは「精力を世界へ捧げ続ける限り、生まれ出た肉体の外で魂を固着させる」というもの。

契約に必要な精力……?というものは、老衰を迎えた猫の身体を焚べたことと、布団に刻まれた無数の想いを変換したことで何とか間に合わせた。

そうして何とか新生した矢先、目の前で首を吊り始める主人を見つけて大慌て。即座にケーブルを噛みちぎって救出完了。



というのが事の次第。
いや、あのケーブル太いし、シールド付きなんだけど……夢魔の牙が鋭いのか、クロの愛情が規格外なのか。

「それで、クロが布団から離れられないのは契約に布団が関係していたからなのか?」
「ええ。ただ、これからもずっと離れられないわけではないの。いずれ話すわ」

「あと、貴方はその布団に長年刻まれてきた想いを一応知ることも出来るわ。今はまだ、私の手元にあるから。」
「……正直、おすすめはしないけれど。貴方にとって彼女が、主従や恋慕の関係に無いというのなら、あるいは」

↓1 (クロには大きく、猫・人・夢魔のルートがあります)

1【知る】
2【知らずにおく】


48以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/25(水) 07:45:12QtfVtOng (1/1)

1


49以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/25(水) 08:16:560.bBiAC. (1/2)


1【知る】

「いや、知っておきたい」
「……気が触れるわよ。要は、頭がオカシクなる。それでも良いなら、この光に手を入れなさい」

クロは自分にとって単なる飼い猫というわけではない。支えであり、理解者だ。
躊躇なく掌をかざす。やがて、声が聞こえてくる。


「守ってくれた……いい人」
「大事にしてくれてる。いい人」「この人は、私のご主人」
「ご主人、気をつけて行ってきてね」「ご主人、お腹すいたよ」
「今日ご主人帰ってこない……えんそくってナニ……?」「ご主人、頑張ってる……静かにしなきゃ」「ご主人!ご主人ご主人!血が出てるよ!ペロペロする!!」「ご主人……寒いよう。一緒に寝ようよう」

クロとの思い出が流れ込んでくる。

「ご主人、泣いてる」「ご主人、ぐったり」「ご主人、つらそう」「ご主人、起きる?起きて?いつもの時間だよう」

「ご主人、帰ってくるとつらそう」「ご主人が困らないようにしなきゃ」「ご主人……!暴れないでよう……!」「ご主人、私いい子にするから」「ご主人、私と居るとホッとする?」「ご主人、嬉しそう」「ご主人、一緒に居てあげるね」「ご主人、こわくないよ」「ご主人、護ってあげるね」「ご主人が守ってくれた時みたいに」

ま、待った……


「ご主人、ご主人 ご主人、大好き ご主人、泣かないで ご主人、あったかい? ご主人、撫でて撫でて ご主人、今日も護ってあげる ご主人、おつかれさま ご主人、私、ご主人大好き ご主人、お布団に来て ご主人、早く帰ってきて」


「あ ぁ……」
あまりにも眩しく、純粋で鮮烈な想いが、異常なスピードを持って脳裏で炸裂し始める。
処理が追いつかない。心がトぶ。


50以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/25(水) 18:00:580.bBiAC. (2/2)





「ご主人、あったかい?ご主人、かまってかまってご主人、いつもありがとうご主人、今日暑いようご主人、今日は疲れたの?ご主人、元気ないご主人、お酒の匂いすごいご主人、帰ってきて……ご主人、私もう眠いようご主人、いつも朝早くに行っちゃうご主人、一緒にご飯食べたいよご主人、私のこときらいになった?ご主人家にいてもずっと寝てご主人大丈夫最近ヘンだよご主人顔真っ赤なのに外出ちゃダメだよご主人あの黒い服着るとこわい顔するご主人帰ったら休もう休もうよご主人今日寝てないよ大丈夫なの行かないでご主人ごめんねご主人がつらいのにごめんね





「あ、が、ぅぁ、ぅあぅぁうぁぅ……!」

壊れる、こわれる、あたまこわれる

「――ここまでね。歯を、食いしばりなさい!!」


バチン!!

……悪魔は平手をブチかまし、倒れた自分の手は光から離れていた。
ヒリヒリとした痛みが頬を刺し、段々と意識が、自我が、戻ってくる。

「言わんこっちゃないわ。でも、それが貴方の覚悟なのね」
「面目、ない」
「そうね。一応言っておくけれど、彼女はここまで四六時中、想い続けてきたわけではないわ。強い想いのみが布団に染みついていて、それを短時間に回想しただけ」


51以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/25(水) 23:53:23tef5yuW. (2/2)


「……」

先ほど聞いた、クロの声を思い出す。
自分はこんなにもクロに想われていたのか。
言葉が通じないとはいえ、心配も掛けたし苦労も掛けた……

「さて、今夜はここまでにしておくわ。私の準備もあるし」
「準備?」

「あとで分かるわ。貴方が目覚めた後、彼女はそのまま寝かせておいてくれる?」
「いや。いつもクロは先に起きてるんだが」
「いいえ、寝ているわ。まあ、楽しみにして頂戴」



悪魔が得意そうに指を鳴らすと、自分の身体と意識が闇に包まれ、夢のカタチがほどけてゆく。

「お休みなさい。きっとまた会うわ」
「待ってくれ、君はどうしてクロと自分を助けた?」

「……。悪心をもって、貴方達を利用するつもりはない。それだけ分かってくれれば良いわ」

悪魔は微笑むと、この夢を閉じた。


52以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/26(木) 00:08:02avETvkN6 (1/1)





【能力:一般教養Ⅰを獲得】




(睡眠評価が「熟睡」の時にのみ会える悪魔は、クロの大きな能力の獲得に関わっています。)

(クロの成長や行動半径に行き詰まりを感じたら、彼女を訪ねることが出来る様に生活しましょう。)





(また、健康状態・精神状態が良くて早寝しても、体力が減りすぎている場合は最高評価の「爆睡」となり、悪魔には会えません。)


53以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/26(木) 21:18:21uwoNDDok (1/4)


「くぅ……くぅ……」
「すー……すー……」




Day 2
Sun



「く……う、ん」

目が覚める。
時間は……いや……休みか。
頭はあまり痛くない……身体の疲れは、少しか。

「すー……すー……」

枕元に、いつもと違う温もり。

「クロ……」

その身は少女のようにしか見えない。だが例の悪魔が言うには、夢魔という人ならざる存在。
だが、自分を案じ、天寿を超えてまで追ってきた彼女を疎むことなどできない。

クロを守り、クロに護られる。
それだけだ。


54以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/26(木) 22:16:02uwoNDDok (2/4)


……

ひとまずは洗濯物を片付け、朝食を済ませる。
クロが目を覚ましていた。

こちらに気付くと、そのまますっくと立ち上がり


「――おはよ、ご主人!」
「……は?」


鈴が転がるような声でそう鳴いたのだった。




「んふっ、やっとお話しできた」
「クロっ」
「悪魔のお姉さんに、日本語教えてもらったの」

すごい、ペラペラじゃないか……朝寝してた、あの短時間で?

「ね、どう? ヘンじゃない?」
「ああ、ああ、すごいぞ。驚いた」
「わ!んふふふ」

思わず、頭をわしわしと撫でる。黒髪の少女は嬉しそうに息を漏らした。


55以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/26(木) 23:03:28uwoNDDok (3/4)


クロは猫の生活で得た記憶を基に、一般に聞いたことのある日本語を習得したらしい。
理屈は不明だが、悪魔の手引きだ。細かいことは気にしても仕方ないだろう。

猫の生活が15年ほどだから、そのまま15歳児相応と言うことだろうか。

「ご主人、ご主人っ!」
「はは、どうした」

伝えたい言葉……いや、気持ちが色々あるようだ。
首に回る腕を受け入れ、小さな身体を抱きとめる。



「ご主人っ、私ご主人が生きててっ……んん? どうしたの? ヘンな顔」
「……」

クロ、真剣なところすまない。
15歳「児」と呼ぶには、些か女性への免疫が不足しているんだ。

………………
……



56以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/26(木) 23:13:00uwoNDDok (4/4)

チュートリアルなげーんだよ謝罪。一区切り。

妄想するのは歓迎だ。
脳内でいい匂いしろ。
だが妄想は必ずBカップでしろ。良いな。
それ以外はレギュレーション違反だ。


57以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/26(木) 23:15:3524ibkhsA (1/1)

はい!
ちんぽであります!


58以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/27(金) 11:26:51BtG2mtxc (1/1)

追い詰められた先の妄想で鬱って事はなさそうでよかった


59以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/30(月) 12:27:45OEP4rj9. (1/6)



「ご主人、今日はどうするの?」


今日は休日を自由に使うことができる。
普段、予定のない日は仕事を片付けながら体力の回復に努めていたが……


↓1

1【昼寝】
2【くつろぐ】
3【簡単な仕事】
4【手のかかる仕事】


60以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/30(月) 12:44:510dKKYwVM (1/1)

1


61以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/30(月) 13:38:10OEP4rj9. (2/6)


平日の疲れが少し残っている。
少し午睡を取ろう。

「ご主人、寝るの?」
「ああ」

上着を脱いで布団に潜り込む。
毛布に座っていたクロも、すぐに隣へ入ってきた。

「ご主人、クロ電話する?」
「いや、そのまま隣に居てくれ……ふぁ」
「うん。……あったかい」

肌着から伝わる柔らかさ、温かさ。
猫の時も変わらず側に居てくれたとはいえ、今のクロは人とほとんど変わらない。ひとりの女の子だ。
そんな彼女が、主人と呼び、慕い、肌を寄せてくれる。
男として喜ばしくないわけがない。

「おやすみ、ご主人」
「ん……」


62以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/30(月) 15:03:39OEP4rj9. (3/6)


「くぅ……くぅ……」
「すー……すー……」

……






「ん……」

十分に休み、意識が戻ってくる。
クロの身体からはまだ動きが感じられない……まだ眠っているだろうか。
一目見たくなり、目を開ける。

「えへへ、ご主人」

ただ瞼を開けただけのことを、こんなにも嬉しそうな顔で迎えてくれる……クロの笑顔が目の前にあった。

「起きてたのか」
「……。ご主人が起きた気がしたから、起きたんだよ」

そんなことも、嬉しそうに首を振って否定するのだった。


63以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/30(月) 18:30:48OEP4rj9. (4/6)


「ご主人、すっきりした?」

もうしばらく寝なくて良いだろう。
日が沈むまで、まだまだ時間はある。

↓1

X【昼寝】
2【くつろぐ】
3【簡単な仕事】
4【手のかかる仕事】


64以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/30(月) 18:33:43YZRLn.SU (1/1)

2


65以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/30(月) 20:20:55OEP4rj9. (5/6)


2【くつろぐ】


冷蔵庫から麦茶を出し、自分のコップに注いだ。
ああ、そういえば……

「クロ、お茶飲む?」
「お茶……そっか、飲めるんだ」

なんとも言えないが、まずはクロのマグカップにお茶を注いで持っていった。


「えと、ご主人と同じようにすれば良いの?」
「ああ。一緒にね」

ふたりでコップに口をつける。自分は液面を注視することなく嚥下できるが……

「……」
「……」
「んぼっ、クロ! こぼれてる!こぼれてるから!」
「つめたい」

……


66以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/30(月) 20:36:25OEP4rj9. (6/6)


「……っくん」

まずはスプーンでひと口ずつ、飲み込み方を掴んでもらう。

「……っくん」

無防備な白い喉が動く。

「……っくん」



そうして、ようやくマグカップを持たせる。

「そう。それで、ひと口分」
「……っくん」

これで、黒色のコップを自分の持ち物として扱うだろう。

……




【能力:嚥下Ⅰを獲得】


67以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 18:56:46PlOpnP2o (1/15)


ピーンポーン!

「っ!?」
「お。はーい」

……

ネコパジャマ(白)が届いた。



夜 19:00

1【触れ合い】
2【食事】
3【仕事】
4【入浴】
5【家事】
6【外出】
7【息抜き】
X【】
X【就寝】

↓1


68以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 19:02:391kCQaNQU (1/3)

2


69以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 19:31:29Sxam.tcg (1/2)


2【食事】

……

今夜はトマトソースのパスタ。
クロにはソース部分を使った簡素なリゾットを。

「クロ、玉ねぎとかは、塩分の多いベーコンやチーズとかは、食べられるのか?」
「うっ。う、うー……ごめんね、分かんない」

……未だに猫の食べられないものが入ってないか、気を遣ってしまう。食べること自体は大丈夫でも、敏感な鼻には辛いものもある。
今度悪魔に会ったら、夢魔の生態について聞かなければ。



……

「ごちそうさま! ご主人、ありがとう!」
「っ……ああ、ごちそうさま」

ご飯作るだけで、こんなにニッコリとお礼言われるなんて……いや、いつも伝えたかったんだろうけど。

この分だと、食器の扱いも問題なさそうだ。


70以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 19:37:00Sxam.tcg (2/2)


さて、お腹も膨れた。
食器を洗い終わって戻ると、クロが自分を見つめている。

……

19:00 → 19:45


1【触れ合い】
X【食事】
3【仕事】
4【入浴】
5【家事】
6【外出】
7【息抜き】
X【】
X【就寝】

↓1


71以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 19:40:39xTOebyBM (1/1)

1


72以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 19:56:09PlOpnP2o (2/15)


1【触れ合い】


物欲しそうな眼差しに応えて、クロとの時間を設けることにする。

「クロ、おいで」
「! はい、ご主人」

布団に腰を下ろすと、自分のももに頭を乗せてきた。艶やかな黒髪を梳く。


指が気持ちいい……ああ、そういえば。

「クロ、着替えようか」
「?」

先ほど届いたパジャマを手繰り寄せる。
真っ白な綿に、黒猫の刺繍が映える一着だ。

「……脱げばいい?」
「っ」

……着替えは一度しているし、やり方も分からないだろうが、どうしたものか。

↓1

1【気にならないぞ。順序良く教える】
2【気になるが、我慢して教える】
3【着替えられるまで、席を外す】


73以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 20:00:101kCQaNQU (2/3)

2


74以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 20:23:57PlOpnP2o (3/15)


2【気になるが、我慢して教える】

「クロ。えっと……その、やり方は教えるから、その通りにお願い」
「んー? 私、ひとりで脱げるよ……?」

言うが早いか自分のトランクスに手を掛け、片手で無作為に引き下ろす!
この分では、脱ぎ掛けることは出来ても身体から外せないだろう。

「わーっ!! 待った、待った!」
「っっ! ご、ご主人、おどかさないで」

「……一緒に動かして。まず、ここを掴んでね」
「うん」
「身体を……前に倒して……膝まで、下げて……」
「……んっ。うん」

ちゃんと出来てるか見ないといけないけど今は絶対もう守るものがなくて剥き出しででで!
綺麗なつま先から視線を上に少しずつズラしていあああふくらはぎ細いっ、見えた、脱ぎかけパンツ見えた!出来てるね次!

「右脚、あげて」
「はぁい」
「あし、ぬいて」

とんっ……

「もう片方、も……」
「……んふ。うん」


75以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 20:39:37PlOpnP2o (4/15)


「脱げた、よ……?」

クロの声、おかしくないか……?
細いし、高いし、甘い、し。

膝から外れた布きれが、元の持ち主の前で踊る。
射竦められたように、視線が上げられない。

先に続くものがないってだけで、こんなに輪郭を目でなぞるように追ったり、足首が綺麗に見えたり、動悸が止まらなかったり、したっけ。

「クロ 脱いだの 腰の前で、ぶら下げて」
「えへ……♪」


太ももの白さにクラクラしながら、隠されてることを確認しつつ、視線を上げる。
つい、と灰色の布地を持ち上げ、知らない顔で微笑んでるクロがいる。

「あの、な。そういう顔は 」
「ご主人……」

自分のトランクスで隠しているのか、自分のトランクスの裏を見せつけているのか。
間違いが許されてしまいそうな雰囲気を、彼女は漂わせている。

↓1

1【落ち着け。逆の順序で履かせる】
2【自分が、履かせる。】


76以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 20:48:27a3jRX0FA (1/2)

1


77以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 20:58:17PlOpnP2o (5/15)


1【落ち着け。逆の順序で履かせる】


深く息を吸い、より深く吐き出す。
熱が身体から逃げていく。

「クロ、これ。ここから脚を入れて、逆の順序で履いて」
「っ、ごしゅじん」
「できる?」
「……はい」

飼い猫として飼い始めた頃、去勢が終わるまでは大きな声で鳴き続けることもあった。
それの名残りがあるのかもしれないが、付き合ってやることだけが主人の責務じゃない。


「上も、私ひとりで出来るよ」
「そっか。ボタンは?」
「たぶん……出来る。毎朝見てたから」

視線を壁に向ける。しばらくして、着替えは終わっていた。


78以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 21:06:28PlOpnP2o (6/15)


「どうかな?」
「おー」

くるんと一回転してくれる。
ふわりと舞った長髪を、白地の綿がさらりと受け止めた。

足首はキュッと窄まっていて、暖かそうだ。
下着がまだ無いとはいえ、風邪を引くこともないだろう。
ゆったりとしたシルエットが愛らしい、共寝が気持ち良さそうなピッタリのパジャマだった。

「うん。似合ってる」
「えへへ。ご主人、ありがとうっ!」

……

19:45 → 20:15

1【触れ合い】
X【食事】
3【仕事】
4【入浴】
5【家事】
6【外出】
7【息抜き】
X【】
9【就寝】

↓1


79以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 21:12:46pxZUFH4c (1/2)

7


80以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 21:21:55PlOpnP2o (7/15)


7【息抜き】


「クロ、テレビ見る?」
「テレビ……テレビ!? う、うん! 見る!」

TVを点け、カジュアルなニュースを適当に流しておく。
ようやく人語を解せるようになったクロが、今までの疑問を解消するかの如く食レポに見入っていた。
まあ、こういうのもいいだろう。


自分はデスクトップを立ち上げ、趣味で弄っているソフトを起動する。
柿の種を一袋持ってきて、デスクにセット。

よし、やるか。


…………
……



81以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 21:40:14PlOpnP2o (8/15)


……

「ご主人、この赤いのホントに美味しいの……?」
「どれ? あー、ありゃめちゃくちゃ辛い。やめとこう」

……

「ご主人、あれ、氷?」
「そういや家では見たことなかったな。あれはかき氷って言って……」

……

「ご主人! クロちゃんのご飯ってなに!?」
「あれはタレントさんだな。クロちゃんって人が居るんだよ」

…………
……



82以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 21:46:57PlOpnP2o (9/15)


自分が作業していたのは趣味で作っているプログラムだ。仕事を楽にするために始めたものだが、単純に面白くて簡単な形のエディターを時折弄っている。

ちょうど、つまんでいた柿の種が最後のひとつになった。

「ご主人、安田さんの食い倒れ、終わった!」
「はは、そっか。それじゃ、これ」
「ん、んむ?」

かり。

「……。。。」

瞳がうるうるしている。辛かったか。

……

20:15 → 21:15

1【触れ合い】
X【食事】
3【仕事】
4【入浴】
5【家事】
6【外出】
7【息抜き】
X【】
9【就寝】

↓1


83以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 21:49:22a3jRX0FA (2/2)

1


84以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 22:07:51PlOpnP2o (10/15)


1【触れ合い】


パジャマに着替えたクロが可愛い。
愛猫だか、愛娘だか、愛妻……いやそれはないか。

「クロ」
「んふっ。ご主人?」

とにかく、優しく頭を撫でて、眺めていたい気分。
キョトンとした様子の瞳を見つめる。


猫の時と変わらない、美しいヘーゼル。
明るい室内で細くしている、縦長の黒目。
非の打ち所がない、長く艶やかな睫毛。


「目が綺麗だよね」
「……綺麗かな? 人の目と同じ?」
「ううん。綺麗な猫の目で、いつも見てきたクロの目だよ」
「ぅ……」

クロは顔を伏せる。猫の時も、可愛がりすぎるとそっぽ向いてたっけ。
本当、自慢したくなるほどに可愛い……と思うのは愛猫家が過ぎるか。


85以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 22:21:56PlOpnP2o (11/15)


「う……にゃ」
「おいで」

頭頂を撫でているとクロの身体がだらんとしてきた。
両腕に迎え入れ、背中から抱き包むように布団へ。

「ごひゅじん……」

頭を撫でるのをやめ、細い体躯に腕を回し、抱え込む。
優しいクロの香りが立ち上り、柔らかい体温と重みが感じられる。

「ごしゅじん、すき……」
「うん」

ああ……この感触、この声だけで、もう生きていける気がする。

【習慣:破滅的思考の脱却を獲得】

↓1

1【頃合いで起こす】
2【寝落ちする】
3【寝かしつける】


86以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 22:28:17S0fmAibY (1/1)

3


87以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 22:37:19PlOpnP2o (12/15)


3【寝かしつける】


クロは完全に夢うつつのようだ。
自分も色々あったが、クロにも色々あった。
きっと自分と同じく安心できたのだろう。
そーっと布団から抜け出て、頭の下に枕をずらす。

「うん……?」
「おやすみ、クロ。大丈夫だよ」
「……ん」

クロの目蓋が落ちる。
布団の上からポンポンと触れているうち、規則正しい呼吸に変わる。



「くぅ……くぅ……」

……


88以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 22:40:52PlOpnP2o (13/15)


「ふう……」

しかし、クロに触れていた部分が……やはり少し気怠い。手だけではなく胴体も。
どういった理屈なのか?



カチッ、カチ。

部屋の照明を小さくした。


21:15 → 22:00

X【触れ合い】
X【食事】
3【仕事】
4【入浴】
X【家事】
6【外出】
7【息抜き】
X【】
9【就寝】

↓1


89以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 22:50:381kCQaNQU (3/3)

3


90以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 22:58:04PlOpnP2o (14/15)


3【仕事】


この週末は少し弛みすぎたところもある。
少しでも仕事を進めておこう。
暗い部屋でノートPCを開き、部署内で頼まれていた定期的な雑務の処理を進めていく……

……

日中休んだ分、頭が冴えている。
良いペースで進んでいる。普段の5割増しで捗っているといっても良いくらいだ。

……

この場で出来る仕事を完了した。

22:00 → 23:30

X【触れ合い】
X【食事】
X【仕事】
4【入浴】
X【家事】
6【外出】
7【息抜き】
X【】
9【就寝】

↓1


91以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 22:59:47pxZUFH4c (2/2)

9


92熟睡判定です。良いお年を2019/12/31(火) 23:13:05PlOpnP2o (15/15)


9【就寝】


明日からは仕事だ。
固まった身体を伸ばすと、血流と一緒に眠気が全身を回る。
シャワーは明日の朝でも良いだろう。



寝間着に着替え、そっと布団の端をめくる。
足先から忍び込むと、先客の体温が出迎えてくれた。

「ん、ぅ……?」

濡羽のように広がる黒髪にうずまり、クロの肩に額を付ける。

「♪」

反対側の手が、自分の手に添えられていた。
温かい。

「すー……すー……」
「くぅ……くぅ……」

闇に入るふたりは、頼みの綱を手に無我へと落ちてゆく……


93以下、名無しが深夜にお送りします2019/12/31(火) 23:44:45Ltv8mI76 (1/1)

優しい世界


94あけけおめ。今年もよろろ。2020/01/03(金) 20:16:48Gh8RnuGs (1/2)



……い
…………さい
…………………なさい

これは……

「起きなさい。」


微睡みから無我に落ちると、待っていたのは朝ではなく闇だった。

暗闇の中にぼう、と灯る肌。
ばさりと投げられた黒い翼、血肉のように赤い唇。
いわゆるボンテージファッションの似合う、不思議な女悪魔。

地面も地平もない、頼りない闇の中に浮かぶカタチ。



「意識ははっきりしているかしら?」
「……ああ。慣れないけど」
「そうでしょうね。よろしい」

顔の強張りを解いて、女悪魔はくすりと笑った。


95以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/03(金) 20:22:38Gh8RnuGs (2/2)


「さて、いかにも用がありそうな顔をしているわね」

それくらいは分かっているだろうに。
嬉しそうな顔すらしてこちらを待っている。




「うふ、良いわ。私の話の前に聞いてあげる」

「用件は……」

↓1

1【クロの事について】
2【女悪魔の事について】
3【クロの能力について】


96以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/03(金) 20:26:16HC/jcTEE (1/1)

3


97機嫌が良いと色々な事を話してくれます。適度なリップサービスを。2020/01/03(金) 22:03:30UxidiF8I (1/6)


3【クロの能力について】


「クロの能力について教えてほしい。急に喋れるようになったり……」
「あら、それなの? とっくに察しが付いているものだと思ってたけど」

「もちろん、私が手引したことよ。でも、こういったこともタダでは出来なくてね。……」



……要約するとこうだ。
自分がクロと【触れ合い】をする時、クロは夢魔として無自覚に自分の身体から精力を奪っているらしい。妙な気怠さはこれが原因か。
クロが得た精力を使って、女悪魔は能力を手引きを出来る。
何をさせるかについても、今度からは自分が好きにして良いらしい。



「あと、クロちゃんと貴方との契約の維持にも同じく精力が用いられてるわ。こちらについては、クロちゃんが自分で補給しようと動くでしょうから、あまりほったらかしにしなければ気にしないで良いわ」
「分かった。ありがとう」
「ふふ、殊勝ね。それじゃあ、今晩の取引を致しましょう」


98以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/03(金) 22:14:46UxidiF8I (2/6)


「ちなみに、深く触れ合うコト。それで、大きな精力を与える事もできるわ。……貴方たちふたりの関係がどうなるか、貴方が腹上死しないかは別として……ね」
「腹上死って……」
「冗談よ。でも、可愛いでしょう? あの子。私に気を遣うことはないわ。貴方の意思次第よ」



取得精力:2(能力の後ろにある数字だけ消費されます)

1【契約書換・行動域Ⅰ】2
2【夢干渉Ⅰ】1
X【念話Ⅰ】3
4【集中治癒Ⅰ】2
X【一般教養Ⅱ】5
X【運動能力Ⅰ】3
X【魔術基礎】3

↓1


99以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/03(金) 22:29:28HmVcfkkw (1/2)

1


100以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/03(金) 22:37:59UxidiF8I (3/6)


1【契約書換・行動域Ⅰ】


「クロの行動域を広げてほしい。布団の上だけじゃ、何かと不便だ」
「契約の書き換えね。大した内容でもないし、すぐに終わるわ。貴方が目覚めて、少ししたら起きるでしょう」

【能力:契約書換・行動域Ⅰを獲得】




「……私、今日は機嫌が良いわ。貴方が望むなら、もう少しだけ居てあげる」

↓1

1【クロの事について】
2【女悪魔の事について】
X【能力の獲得】


101以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/03(金) 22:40:07cYJGJYk6 (1/1)

2


102以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/03(金) 22:52:49UxidiF8I (4/6)


2【女悪魔の事について】


「君の事が知りたい。君は一体何者で、自分たちの事をどう思っているんだ?」

「あら……? ふふ、それは口説き文句かしら」
「そうじゃない」
「分かってるわ。いくら貴方にとって超常の存在でも、信頼できるかは別の話だものね」


「私は……悪魔。その中で、淫魔として生を受けた種族」
「淫魔……」
「貴方たちの伝承や、創作物にもあるわね。人の精を啜り、惑わせ、陥れる者。色々あるけれど、おおよそ知っている通りの認識で構わないわ」

淫魔、サッキュバス。しばしば性に都合の良い存在として描かれながらも、多くの伝承で命を奪う者として扱われている。

「でも、この場で断言させて貰うわ。私は精のために力を貸しているわけではないと」


……信じていいものか。甘言に乗って、まだ倒れるわけにはいかない。

「じゃあどうして」
「ごめんなさい……まだ、教えられないの。私の、名前も……」

告げる女の表情は何かを抱え込んでいるようであり、辛そうである。


103以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/03(金) 23:01:08UxidiF8I (5/6)


「私は精を得るどころか、クロちゃんとの契約において貯めてた精を大量に切り崩して、何とか形を保てる状態にまで、」
「分かった、すまない。じゃあ、それはそれで仕方ない」



「……有難う。それと、貴方たちの事だったわね。正直に言うと、とても興味深い観察の対象として見ているわ」
「観察?」

聞こえは良くない。

「人形扱いしているわけではないわ。ただ、人と動物の間に、貴方たち程の強い絆を見るのはとても稀なことだから」
「見ていたくなった、と?」
「……え、え。いい趣味では、なかったかしら」

……なんと答えよう。


1【悪くはない】
2【いい根性だ】

↓1


104以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/03(金) 23:03:04HmVcfkkw (2/2)

1


105以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/03(金) 23:14:00UxidiF8I (6/6)


1【悪くはない】


「いや、悪くはない。物珍しさとしても、褒められているんだから構わない」

どころか、それが理由で助けてくれたのだ。
機嫌を損ねることはない。



「飼い主として、鼻が高いよ」
「有難う。でも、今は飼い主と言える状態なのかしら?」
「クロとは、今まで通りだよ」

「……余計なお世話かもしれないけど。失礼」

女悪魔は自分に掌をかざす。


「黄色……緑色……桜色……」
「?」

「貴方はクロちゃんを、守り合い支え合う飼い猫のようにも、向かい合える友人や娘のようにも、刺激や安寧をくれる恋人のようにも感じているみたいだわ」
「!」
「不愉快だったらごめんなさいね。でも、きっと貴方が望まなくても、クロちゃんは貴方の心を感じ取っているわ」


106以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/05(日) 23:02:181YmfIS.s (1/1)


確かに、今の自分たちは様々な付き合い方ができる可能性を秘めているだろう。

「……だからといって、急にどうこうできるわけでもない」
「ええ。だから、ほんのお節介」



「そういえば、君の話は?」
「ああ、そうだったわね。夢魔の身体について、人とは大きく違うから教えておこうと思って。まず……」

……
夢魔の身体は、実体を持つ外側だけを除けば全てはイメージで出来ている。
例えば消化器系などは最たるもので、クロが意識して食事をエネルギーに変換する想像さえできれば、実際に食事をせずとも活動可能なのである。
逆に、その器の中には実体を受け入れる事が出来ず、飲食物などは全てイメージ、夢想的な概念に変換される。

またその体質上、人の想像や気分、夢などに干渉する魔術も得意とする。
猫としての経験が新生に戸惑ってはいるものの、少しの訓練で習得できるらしいとも。

「……例えば、お手洗いなんかは?」
「不要ね。表層から生まれる唾液なんかを除いて、クロちゃんの体内から排出されるものは無い」
「その……要らないものの概念は溜まっていかないのか?」
「人が物事をよく忘れるように、イメージ次第よ。そして、概念から実体を産むことは相当の力量がなければ出来ないわ」


107生存2020/01/11(土) 17:03:266K2C59n6 (1/1)



「さて」


凡百の人間より知識人めいた、聡明な眼をスッと閉じる。
面倒見の良さそうな、掴みどころのないような、少し意地の悪そうな、不思議な印象のある顔つきに戻る。

「今夜はここまでね。契約の書換えをするから、クロちゃんのところに行くわ」
「一緒には居れないのか?」
「やだ……また平手して欲しいのね?」

平手というと、想いが流れ込んでくるアレか。人の夢に入るというのはそういうことらしい。

「それは困る」
「脳は一応休んでても、貴方の精神にも休息は必要よ」


淫魔がパチンと指を鳴らす。自分の意識が闇に包まれ、夢のカタチがほどけてゆく。

「お休みなさい。また会いましょう」
「ああ……また」

心を開き切るのはどうかと思って、何となく無愛想な挨拶になってしまった。
しかし、クロを正しく理解しようと思う限り、彼女とはまた会うことになるだろう。

淫魔は慈しむように微笑み、この夢を閉じた。


108以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/14(火) 20:31:15zw6tEB4I (1/1)

クロの移動範囲はどの位まで広がったのかな


109そりゃもちろん「いってらっしゃい!」してもらいたいですよね?2020/01/14(火) 23:31:56TBnZKa0A (1/1)

待たせていてごめんなさい、日曜までお待ちを


110以下、名無しが深夜にお送りします2020/01/15(水) 00:13:23LKeqCL62 (1/1)

やったぜ。