539以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/25(月) 22:32:42.36WcpuIrntO (2/3)

2


540以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/25(月) 22:33:11.28Xat1MVoH0 (1/1)

2


541 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/25(月) 22:36:00.93VlXp4KNxo (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


542以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/25(月) 22:48:24.08WcpuIrntO (3/3)


完全に旦那みたいな若葉だけど生前は久遠さんと同じ立場だったんだろうな


543以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/26(火) 08:01:26.96REoXPAJhO (1/1)


この様子だともしかして延長戦に入るかな?


544 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/26(火) 21:15:45.04jL15l6Rto (1/5)


では少しだけ


545以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/26(火) 21:28:52.25ZfIv4kIeO (1/2)

かもーん


546 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/26(火) 21:39:38.61jL15l6Rto (2/5)


天乃「じゃぁ、みんなに聞いてから決めるわ」

若葉「それが良い」

天乃「……何笑ってるのよ」

若葉「いや、別に」

みんなに聞いたところで、答えが得られるのかどうか。

こうして欲しいという願いは各々持っているだろうが

それを抑えてでも叶えたいことが、一つだけある

若葉「良い答えが得られると良いな」

天乃「そのあからさまに思っていない顔は何なのよ……想像はつくけど」

若葉「だろう?」

天乃の納得済みの困り顔に、若葉は笑顔のまま首肯する

当たり前だ

若葉があんな答えを出すのだから

若葉以上に天乃のことを考えているみんなだって、考える

天乃「みんなも、どうせ私の好きにしてっていうわよ」

若葉「言わないかもしれないじゃないか」

天乃「言うわよ。まず間違いなく」


547 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/26(火) 21:52:18.77jL15l6Rto (3/5)


みんなに聞いてからと言いはしたものの、

みんなが若葉と似たようなことを言ってくるだろうという確信が天乃にはあった

開口一番、幸せに感じるのはどちらですか。と。

どっちも幸せになれると思う

どちらを選んでも、勇者部と双子

どちらとも永別するわけではない

一日の中の数時間、会うことが出来ないというだけでしかない。

学校生活を犠牲にすることにはなるが

その分、貴重な子供との時間を過ごすことが出来るし、

逆に、子育てを少し周りに委ねるだけで、

天乃が望んでいた普通の学生としての生活を歩むことが出来る

天乃「でも、きっとね。きっと……でも私はって自分の意見をくれると思う」

若葉「もしも叶うなら、こうして欲しいという願いはあるからな」

天乃「貴女にだって、あるんでしょう?」

若葉「そうだな、あるかないか。なんて無駄口は必要ないか」

若葉はふっと苦笑を飲むため息をつくと、天乃を見る

若葉「私としては、子供を愛してやって欲しいと思っているよ」


548 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/26(火) 22:16:04.52jL15l6Rto (4/5)


若葉「現世に至るまで、久遠家は子を愛する時間を少しずつ持つことが出来るようになってきたはずだ」

しかし其の実、久遠家はお役目と穢れに苛まれ続け

本当に安心とともに愛する時間を得られたのはほんの一握り。

それは、天乃の症状を改善するために久遠家に残されていた文献からも明らかだった

なにより、若葉は陽乃の最期を看取った友であり、

その時の、陽乃の子供に対する与えることの叶わなかった愛情と後悔を知っている

若葉「だが、やはり……その手で抱き、その手で育ててあげてはくれないだろうか?」

天乃「私にとってもこの子たちにとっても、この瞬間はこの時しかないものね」

若葉「ああ。看護師さんの提案していた一年でもいい。たった一年、されど一年。その触れ合いは三人にとってかけがえないものになる」

いつの間にか双子へと目を降ろしていた若葉の表情は、明るくも儚い

自分の子供を見ているような顔をしているのは、

かつて、自分も同じ経験をしたという確証があってこそだろう

若葉「園子を娘と言う気はないが、この子たちを見てて思うんだ。園子にもこんな時があったと。そして、過去の私にそれがあったのだと」

天乃「若葉……」

若葉「その時を知らない空白が当然だとしても、結果が目の前にいるのだとしても……寄り添いたかったと思うものだ」

若葉の憂う笑みなどつゆ知らず穏やかな寝顔の双子

木々の枝のような手が布団をずらし、若葉の手が即座に直す

若葉「なにより、子が求める温もりは両親が与えてやるべきだと思う」

深く息を吐くようなトーンでつづけた若葉は、

薄く幸せを感じる笑みを唇で露わにして、複雑に眉を湾曲させる

若葉「まだ処女の小娘の戯言……いや、理想論だが少しは参考になっただろうか?」


549 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/26(火) 22:26:26.63jL15l6Rto (5/5)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


550以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/26(火) 22:35:14.54ZfIv4kIeO (2/2)


双子ちゃんは久遠さんのだけでなくみんなの娘のような存在なりそうだな


551以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/27(水) 01:04:30.02NTwHwMseO (1/1)


若葉もいいやつだなあ


552以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/27(水) 07:57:34.79Me74LvmXO (1/1)

おかしい…若葉に母性を感じる


553 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/27(水) 21:43:06.87Rg+iIg5Eo (1/1)


すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
明日は出来れば通常時間から


554以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/27(水) 21:44:36.34Z6UwOjS9O (1/1)

乙ですー


555 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/28(木) 21:07:02.784VfkaXhUo (1/6)


では少しだけ


556 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/28(木) 21:15:00.204VfkaXhUo (2/6)


天乃「小娘じゃないでしょ、若葉も」

若葉「この世界の私は子孫を残したが、この私はまだ未経験だからな」

天乃「なら、私の子供でも残してみる?」

若葉「……ほう」

強ち悪くはないと言うような

含みを感じる呟きを重ねた息を吐いた若葉の目を、天乃は見返して眉を顰める

言ったのは天乃だが、それを本気にされては困る

天乃も若葉も女の子

今の技術に、同性間の子供という選択はない

天乃「冗談よ?」

若葉「本気でも困る。もっとも、それを望む人もいるには居るだろうな」

天乃「東郷とか?」

若葉「誰とは、いえないな」

口よりも語る若葉の仕草

目は天乃から彼方へと逸れて、頬をかく指先がひそかに濡れたのが見えた


557以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/28(木) 21:15:00.26H26pQFLoO (1/3)

よっしゃ


558 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/28(木) 21:30:24.844VfkaXhUo (3/6)


若葉「天乃はどう思うんだ?」

天乃「どうって、なに? 自分が女であること? それとも、女同士であること?」

若葉「後者の方」

天乃「最初は色々思うところもあったけど、ここに来てまで悩むことじゃないと思ってるわ」

そんなことで悩むくらいなら、

あの子もこの子も。なんて、

勇者部の中で満遍なく手を出すなんてことはなかったはずで

かりに付き合うことになっていたのだとしても、

体を許すことはなかったはずだ

残念ながら天乃の体質を考えると、体については天乃自身も自信は持てないけれど。

天乃「そもそも、男の子だったら出会ってすらいなかった可能性もあるし、私やみんなが私達だったからこその今の関係だもの」

もし自分がこうだったなら。

そんな考えは必要ない

それでも聞きたいと言うならば、「それでもきっと出会ってた」と、言うだろう


559 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/28(木) 22:06:28.424VfkaXhUo (4/6)


天乃「若葉の話、ちゃんと心に止めておくわ」

若葉「あくまで私個人の意見だ。それを優先するんじゃないぞ?」

天乃「分かってる」

若葉の忠告に笑みを向けると

仕方がないなと言いたげな雰囲気で、若葉も笑みを浮かべていた

若葉「それならいい。ただ、無理はしないようにな」

天乃「うん」

若葉「体が動くようになったからって、一人で出ていくようなことはしないように」

天乃「分かってるってば……もう、貴女は私の保護者なの?」

若葉「保護者ではないが、守護霊ではあるぞ」

天乃「屁理屈言っちゃって」

若葉「おかげさまでな」

天乃「またそういうこと言うんだから」

してやった里奈顔をする若葉を、

天乃は優しく見つめて、自分の手を握り締める

空気は冷たいけれど、寒いとは感じなかった






560 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/28(木) 22:11:17.134VfkaXhUo (5/6)


√ 2月15日目 朝 (病院) ※水曜日


01~10 夏凜
11~20
21~30 風
31~40
41~50 樹
51~60
61~70 東郷
71~80
81~90 沙織
91~00 園子


↓1のコンマ



561以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/28(木) 22:18:22.95H26pQFLoO (2/3)




562 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/28(木) 22:22:41.924VfkaXhUo (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

今回の周はもう少しだけ続きます。


563以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/28(木) 22:27:43.12H26pQFLoO (3/3)


やはり延長戦に突入きたか
まぁ天の神を倒してなお回収できてない要素がまだいくつか残ってたしね


564以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/29(金) 01:45:05.676Z5xUed6O (1/1)


未だにやること山積みだしなあ
まだまだ楽しみだ


565 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/29(金) 22:09:51.504BOvnpRJo (1/1)


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は出来れば早い時間から


566以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/29(金) 22:17:38.51xzP/2Kn4O (1/1)

乙ですー


567 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/30(土) 20:58:49.27ADe15kVZo (1/5)


遅くなりましたが、少しだけ


568以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/30(土) 21:01:13.39LrhLE5KPO (1/1)

いえす


569 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/30(土) 21:33:50.88ADe15kVZo (2/5)


√ 2月15日目 朝 (病院) ※水曜日


戦いから早くも二日と少し

数時間というものを除けば三日も経過するようになってくると

友奈を除く勇者部のみんなは自由に活動するだけの余力が出てくるのだろう

一番満開の症状が重かったはずの園子は、松葉杖を手にしながらではあるが天乃の病室を訪れた

園子「わは~っ、聞いた通りなんよ~っ」

天乃「寝てるんだから、静かにね」

園子「………!」

口を左手で押さえ、右手でグッドサイン

黙っていてもうるさい園子は、見開いた瞳を輝かせながら、

猛獣が目の目にいる事も知らず穏やかに眠りこける双子を見下ろす

園子「……ずっと、会ってみたかったんよ」

天乃「園子は会ったことなかったのね」

園子「供物を返してもらってからも、会いに行く余裕がなかったから」


570 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/30(土) 22:03:08.45ADe15kVZo (3/5)


園子「絶対に天さんに似てかわいい子になるんよ」

天乃「五郎くんに似たらどうする?」

園子「男の子っぽいイケメン女子でモテモテだね」

今の天乃も似たような状態ではあるけれど、

優しさと厳しさ、纏う雰囲気

そこに好意を持たれている天乃と違い、

容姿からして好意を持たれるだろうと、園子は思う

体つきがどうなるのか

天乃を参考にしてしまうと背の低いおっぱいの大きな女の子だが

そこは、久遠家の血筋ゆえだ

解放されたとは思えないけれど、

その束縛の緩んだ双子なら、身長は天乃を超えるかもしれない

園子「天さんよりも背が高くなりそう」

天乃「陽乃さんなら、私よりもずっと背が高かったわ」

園子「おっぱいが大きくて背の高い女の子……男の子は好きなのかな~?」


571 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/30(土) 22:53:15.73ADe15kVZo (4/5)


中学校生活に乏しい園子の記憶としては、須美が参考になるはずだが、

須美は嫌われていないものの好意的な対象としてはやや色物のような扱いとなっていて、

天乃の子供の参考にはならない

まだ大人ではない男の子は自分よりも女の子の方が大きいのはプライド的にNGかもしれないし、

だとすれば、やはり、天乃は最も理想的な存在だったかもしれない

小さくて、大きくて、優しくて……でも、厳しい部分もちゃんとあって。

天乃「園子?」

園子「う~ん……分からないねぇ」

園子は答えを出せずに悩まし気に眉を顰めると

ほっと息を吐いて、考えを引き出しの奥にしまい込む

男の子による取り合いが起こる可能性はあるが、女の子による取り合いだってないとは限らない

その時、自分の子供が多妻を求めたときの天乃の反応の方が興味がある

園子「でも、きっと天さんに似ると思うんよ」

天乃「そう?」

園子「寝顔がもう、そっくり」

天乃「……私、こんな顔してる?」

園子「これをもう少し大人にして、可愛くしたら天さんだよ」


572 ◆QhFDI08WfRWv2019/11/30(土) 23:48:36.30ADe15kVZo (5/5)


天乃「大人にして可愛くしたらってどうなのよ?」

園子「天さんはいつまでも可愛いんよ」

天乃「あら、ありがと」

しっかりと動く両手両足

無理のない微笑み

お腹を痛めて産んだ愛らしい双子を傍においている

取り戻せたその世界、その喜び

嬉しそうに微笑む園子を、天乃はじっと見つめる

天乃「私はやっぱり、笑顔の園子が一番好きだわ」

園子「天さんだって、その方がいい」

天乃「!」

園子は前触れなく、天乃に抱き着く

子供が起きないように気遣ったのか

音もないそれは天乃の体を背中まで抱きしめて、ベッドが揺れる

軋んだ小さな音は、双子の耳には響かない

園子「その方がいい、その方が良かった……そんな天さんが、私達は大好きなんよ」


573 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 00:50:52.49+N6jUX7ro (1/19)


かつて、まだ銀も生きている頃のこと

明るく賑やかで、銀と一緒に須美を困らせていた人

けれど、有事には頼れるお姉さんだった

いつも笑顔で、ずっと笑顔で

けれど、銀を失ってから酷く変わってしまった人

それでも優しくて、辛そうで

天乃「園子……?」

園子「良かった、ほんと……良かった」

抱き着いているというよりもしがみ付いているような力で、

性的な接触を求めている感じはしない

園子「天さん、幸せになって欲しい」

天乃「園子だって、幸せになって欲しいわ」

園子「悩んでるって聞いたよ。進学か子育てか」

天乃「若葉ね……」

園子「私は、出来なかった学校生活を天さんと一緒に取り戻したいと思う」

でも。と、園子は続ける

園子「天さんは学生じゃなくて、お母さんなんよ」


574 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 00:52:59.51+N6jUX7ro (2/19)


では、遅くなりましたがここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼ごろから


575以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/01(日) 00:58:02.34F6afvaznO (1/1)


これはしばらく子育てしたのち進学路線が濃厚かな


576以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/01(日) 01:45:31.71Tkwb8HA6O (1/2)


子育てしながら同居してる友奈たちが高校行くのを見送りする久遠さん

イイネ!


577 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 14:12:15.27+N6jUX7ro (3/19)


では少しずつ


578以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/01(日) 14:26:17.05cIfB8YAyO (1/1)

あいよー


579 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 15:29:04.77+N6jUX7ro (4/19)


園子「子供を見てる天さんは可愛くて、優しくて……凄く、幸せそうで」

自分の見てきた乃木の母親の顔

覗き見た、弟をあやす銀の顔

それにとても似ていた

園子「今の天さんには、そっちの方が良さそうだよ」

天乃「………」

園子「みんなのことを考えようとしてくれてるのは嬉しい。けど、きっと、家に置いてきた子供のことを、天さんは忘れられない」

忘れて良いことではないから、それは正しいことだといえるだろう

けれど一人の学生として、

学校生活を楽しむことが出来ないのなら、学校よりも子供を優先するべきだ

その方が心に優しいし、より幸福な人生となる

園子「天さんが私達の幸せを考えてくれているのと同じように、私達も天さんの幸せが一番なんよ」

天乃「それは、分かってるけど」

園子「だったら、天さんがしたいことを言おう」

それが自分たちにとって好ましいかそうではないか

それをみんなで考えて、嫌なら嫌って言うし

それが良いと思うのなら、そうして欲しいと言うだろう


580 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 16:03:32.20+N6jUX7ro (5/19)


園子「私達は天さんの幸せが一番だよ」

天乃「園子は良いの? それで」

園子「園子は良いの。それが」

天乃の言葉を真似るように、答えて微笑む

一緒の学校生活、それは小学生だったころに抱いた憧れ

そう出来たはずなのに、学校に通うことさえできなくなってしまった二年間

ようやく取り戻した世界で、銀はいなくなってしまったけれど

みんなで通うことが出来るのなら、どれだけ幸せか。

でも、天乃の幸せが別にあるのなら

それが優先されるべきだ

園子「天さんは今まで頑張ってくれたから、天さんがしたいようにしてほしい」

天乃「……やっぱり」

園子「んー?」

天乃「そう言うと思ってた」

園子「そう言うよ。だって、みんなにとっての一番だからね」


581 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 16:27:47.57+N6jUX7ro (6/19)


園子にとっては天乃が子供と一緒にいる事が一番で、

天乃とみんなで学校に通うことは二番目だ

天乃が心から幸せに生きているだろうから

みんなが幸せに生きていけるだろうから

だから、どちらでもいいし、出来るだけ天乃が幸せな方がいい

その方が、みんな幸せだろう

天乃「いつものように、緩く話さないのね」

園子「真面目な時は真面目に。それが、天さんの見せてくれた生き方」

天乃「そっか」

園子「うん。私が、私達が見てきた背中」

それがあったからこそ、戦えた

天乃は「自分がいなくたって大丈夫だと思う」と、あの日に言ったが

でも、会ったからこそ変わったこともあった。

得られたものは大きい

変えられたものも多い

園子「いつまでも、天さんは私達の憧れ」


1、抱く
2、ありがとう。私のことも考えてみるわ
3、みんなが好き。でも、子供のことも好きなの
4、園子は、子供のことも大事にしてくれる?


↓2


582以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/01(日) 16:28:46.54/k5V7m+gO (1/1)

1


583以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/01(日) 16:32:25.48sMc31UqcO (1/1)

1


584 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 17:23:16.06+N6jUX7ro (7/19)


今までの苦い記憶があるからか、

困り顔の微笑みを携えている園子を、天乃は抱きしめる

自分の体に回っている園子の力よりも、ほんの少しだけ強く

天乃「だから、私は頑張れたのよ」

園子「天さん……」

天乃「私を見ていてくれるみんながいてくれたことが、私の生きる理由だった」

死んでもいいと。

そう、覚悟を決めてはいたけれど

ただでは死ぬまいという力になって。

それがいつしか、死なないための理由になった

天乃「ありがとね、園子」

園子「っ……」

しがみ付く園子の力が強くなる

声を出すまいとしている分の力だ

ずっと、ずっと求めていた

天乃が、幸せになれる世界を

天乃「園子は、別れたあの日からもずっと……私のことを考えてくれていたのよね」


585 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 17:48:25.79+N6jUX7ro (8/19)


天乃「だからこそ、私はみんなにも幸せになって欲しいって思う」

満開を使用したことで、自由を奪われた天乃を。

久遠の血の穢れによって、ままならなくなった生活を。

支え続けてくれたみんなこそが、

もっとも幸せになるべき者達だと、天乃は考える

だが、そのみんなは天乃が幸せになるべきだと考える

どちらも相手に救われ、相手を想っているからこそ。

天乃「園子は、私が幸せな方が幸せなのね」

園子「……うん」

天乃「そっか」

みんなもそうだ

若葉の嘲笑じみた笑い声を思い出して、天乃は眉を顰める

ほら言った通りじゃないかと言いたげな空気を感じるが

あえて無視して、息をつく

抱きしめた園子の温もりは、患者衣を通してでも色濃く伝わってくる

天乃「どうしよう」

園子「天さんの好きにして、良いと思う」


586 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 18:06:12.29+N6jUX7ro (9/19)


天乃「そればっかり」

園子「それしかない。それだけでいいんよ」

選択肢は数あれど、選ぶべき選択肢は一つしかない

結局幸せになれてしまう悩みだから。

その言葉を口の中で転がす園子のもごもごとした頬の動きが、胸元に響く

温かく、柔らかな女の子の体

病院ゆえか、清潔な匂いは変わらないけれど

園子の匂いには、ほんのりと甘みを感じる

天乃「子供を優先するなら、我慢しないとね」

園子「ふぇ?」

天乃「えっちなこと。見せられないもの」

園子「!?」

天乃「別の部屋でやればいいとか考えないの。声を聞かせたくないし」

目を見開く園子の、そんなところまで考えていなかったという表情に、

天乃は楽し気な笑みを向けて、頭を撫でてあげる

天乃「我慢するのは私も一緒よ。安心して」

園子「なにも安心できない~」


587 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 18:23:52.89+N6jUX7ro (10/19)


園子「うぅぅ~」

天乃「よしよし、泣かないの」

園子「うへへ~」

すりすりと。

頬ずりをする園子の嘘泣きが止む

嬉しそうな濁りのある声

不真面目だが、喜びを感じる

天乃「ねぇ園子」

園子「?」

天乃「抱っこしてあやしてあげようか?」

園子「……うん。もう少し、万全になったら」

かつて、

園子が銀に向けたちょっとしたお願い。

それを覚えていたことにちょっとだけ反応の遅れた園子は

すぐに求めて、下心なく天乃に抱き着く

温かい、柔らかい

同じ清潔な匂いと、懐かしみを感じる匂い

心が休まる天乃に体へと、負担がないように体を預けた


588 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 19:09:45.65+N6jUX7ro (11/19)


園子「これからだよ」

天乃「………」

園子「これから、私達の楽しい人生が始まる」

苦しい思い、辛い思いをしてようやく取り戻した世界

そして、始まる本来の生活

望み、願い、倒れるほどに強く伸ばした手で掴んだのだ

もう、失いたくはない

園子「だからもう、無理はしないでね」

天乃「ええ」

園子「私達を頼ってね」

天乃「信頼してる」

優しい声が、病室に木霊する

園子の動いた布の擦れる音が小さく聞こえ、

胸に埋めるようにしていた園子の顔が、天乃を見る

園子「好き」

天乃「……私もよ」

よじ登るように体を伸ばした園子は、

小さく言葉を紡いだ天乃の唇に、唇を重ねた


589 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 19:15:16.66+N6jUX7ro (12/19)


√ 2月15日目 昼 (病院) ※水曜日


01~10 九尾
11~20
21~30 千景
31~40 沙織
41~50 風
51~60
61~70 樹
71~80
81~90 東郷
91~00


↓1のコンマ



590以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/01(日) 19:19:08.31GHVPTqX3O (1/3)




591 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 19:45:08.68+N6jUX7ro (13/19)


√ 2月15日目 昼 (病院) ※水曜日


天乃「ふふっ」

園子が病室を去ったあと、

目を覚ました双子に母乳を与え、ベビーベッドへと戻す

母乳を飲んで満足したのか、母の顔が見られるからか

嬉しそうな顔を見せてくれる双子は可愛らしい声を病室に響かせる

天乃「ママ。ま、ま」

「ぁ、あ」

天乃「ふふっ、うん。マ、マ」

まだはっきりとしない言葉だけれど、

ちゃんと呼ぼうとしてくれているのは、分かる

その愛らしい我が子に触れようとした瞬間、

扉を開くことない侵入に空気が震えた

沙織「ママ……」

天乃「貴女は違うでしょ。沙織」

沙織「ばぶぅ」

天乃「違う」


592 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 19:59:28.02+N6jUX7ro (14/19)


天乃「子供の教育に悪いわ」

沙織「今なら、それが自然じゃないかな」

天乃「それはそうだけど、違うでしょ?」

沙織「……そうなんだけどね」

沙織は天乃の子供ではない

子供よりも繋がりは浅く、しかし深い間柄だ

とはいえ、赤ちゃんをあやし、母乳を与え、

母としての幸せそうな笑顔を見せられれば、

自分もそうされてみたいというのが、沙織の考えだった

天乃に対しては、

して貰えるかどうかは重要ではない。

そんな希望もある。ということを知って貰うことが重要なのだ

要求……欲求があれば、「仕方がない」と、やってくれるかもしれない

沙織「赤ちゃん、元気そうだね。向こうの部屋にいる頃よりも幸せそう」

天乃「そうかしら」

沙織「そうだよ。幸せなのが見てるだけで伝わってくる」


593 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 20:29:52.18+N6jUX7ro (15/19)


沙織「世界は変わっても、子供は変わらないよね。可愛いまま」

天乃「二ヶ月。気付けば髪も生えてるのよ」

沙織「そうだね。じき、久遠さんをママって呼んでくれるよ」

今はまだたどたどしいけれど、

いずれははっきりとした言葉を話すようになって

ママ、お母さん……と、なっていくことだろう

沙織「可愛いよね。楽しみだよね。たった二ヶ月で成長できちゃう赤ちゃんが、一年、二年。それでどうなっていくのか」

天乃「……そういうこと」

沙織「あたしの答え、久遠さんなら察しがついてるはずだよ」

園子の後に入れ替わるようにして訪れた沙織

沙織が若葉から聞いていた時点で想像はつくことだが、

園子と同じ病室にいたみんなが、天乃が話したいとしていたことを聞いている

そして各々が考え、その答えを伝えようとしている

沙織「久遠さんはもう、子供じゃない」

元々高みにいた人

それがより遠くなったのをその心に感じて、沙織はくっと唇を噛む

沙織「お母さん、なんだ」


594 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 21:02:41.21+N6jUX7ro (16/19)


沙織「乃木さんは学校に通いたかった。結城さんだって、東郷さんだって。あたしもそうだよ」

バーテックスの侵攻が開始され、

まず間違いなく普通の学校生活を送ることは出来ないだろうという覚悟をしていた

園子が難しいと思い、願った学校生活

沙織も同じように願っていたのだ

沙織「進学先を悩んで、学力に悩んで、一緒に勉強して、頑張って、穏やかじゃないドキドキに急かされながら受験番号を探す」

天乃「普通なら、そうしてた」

沙織「そう。だからそうしたかった」

天乃「……なら、貴女は」

沙織「だけど、違う。久遠さんは違う。進学を悩むのはあたし達のため。その目は初めから、子供を見てる」

天乃は悪くない

母親として当然のことだ

言葉通り、死を覚悟して子供を産んだのだから

沙織「それでも学校を選んでくれたら。なんて、思わないと言えば嘘になる」

ちらりと双子に目を向けた沙織は、一瞬だけ眉を顰めて天乃へと向き直る

ぺろりとなめた唇が少しだけ潤う

沙織「子供相手に何をって思うけど、自分が一番だって思えてちょっと嬉しくなるよ」


595 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 21:31:18.93+N6jUX7ro (17/19)


天乃「私、そんなに子供優先しているように見える?」

沙織「それ、みんなに聞くつもり?」

天乃「………」

沙織「お母さんなんだよ。もう」

沙織はそう言うと、微笑む

天乃にはそんな自覚なんてなさそうだけれど、母親だ

それは、園子や沙織だけでなく

みんなが思っていることだ

沙織「久遠さん的には、学校生活も悪くないと思ってそうだけどね」

元々、普通の日常生活に戻ることが天乃の望み

ゆえに、学校生活を取ったとしてもそれが本心だと言えるかもしれない

沙織「子供の名前、決めなくていいの?」

天乃「話が早いわね」

沙織「どれだけ久遠さんを見てきたと思ってるのかな……これでも、片思いは樹ちゃんよりも長いんだよ?」



1、私が後輩になっても、沙織は私を好きでいるの?
2、なら、沙織が思う私の答えは?
3、子供の名前、考えてくれてるの?
4、止めてよ。貴女達のこと考えちゃうわ
5、私も、普通に学校に行きたかった。普通の学生になりたかった

↓2


596以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/01(日) 21:34:23.16GHVPTqX3O (2/3)

5


597以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/01(日) 21:37:05.36/K58LwPZ0 (1/1)

3


598 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 22:29:31.74+N6jUX7ro (18/19)


天乃「子供の名前、考えてくれてるの?」

沙織「そうだねぇ、やっぱり色々考えるよ」

三日前にも、似たような話をした。

あの時に話した名前も別に冗談ではなかったが、

天乃の名前を入れるのか入れないのか

それ次第で難しさは変わってくる

沙織「沙乃とか、天織とか。久遠さんが選んでくれるならそれでもいいんだけど」

天乃「沙織がこの前言ってたのよね?」

沙織「うん。久遠さんの名前はいれた方がいい。だけど、乃はともかく天を混ぜるのは難しいんだ」

意味だけを考えるならば、こじつけてしまえばいい

とはいえ、子供の名前でそんなことはしたくない

沙織「そこで天と書いて、そらと読み、陽と書いてはると読む。あたし的には、犬吠埼さんのような一文字もありだと思った」

天乃「私の名前と、陽乃さんの名前を二人に?」

沙織「そう。神樹様の力は久遠さん、穢れの力は陽乃さん。それぞれが最も結びが強いからね」

天のように広い心で人に寄り添える子であるように

陽のように温かく、優しい子であるように

沙織「なにも、久遠さんだけの名前じゃなくていい。久遠家代々引き継がれる名でもいい。そう思ったんだよね」


599 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/01(日) 22:36:41.84+N6jUX7ro (19/19)


では、ここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みをいただくことになるかと思いますが
可能であれば通常時間から


沙織「陽と天……つけるならひらがなの方が良いかもね」

天乃「巫女的な姓名判断は大丈夫なの?」

沙織「大丈夫。なせばなるってさ」

天乃「またそうやって、適当なこと言うんだから」


600以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/01(日) 22:46:48.33GHVPTqX3O (3/3)


久遠さんは色んな段階すっ飛ばしてお母さんになったからなぁ
今度こそ長く幸せになってほしい


601以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/01(日) 23:01:19.24Tkwb8HA6O (2/2)


沙織めちゃくちゃセンスいいじゃん!


602 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/03(火) 22:13:12.26rKNsIVhio (1/6)


遅くなりましたが少しだけ


603以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/03(火) 22:15:41.371/NOWKXWO (1/1)

やったぜ


604 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/03(火) 22:46:47.74rKNsIVhio (2/6)


沙織「もちろん、決めるのは久遠さんだよ」

天乃「それは、そうなんだけど……」

沙織「難しい?」

天乃「ええ」

沙織が言うように、

母親である天乃に最終的な決定権がある。

天乃がみんなで決めよう。と多数決を持ち出せばそれで決まることになるけれど、

そうではないならば、沙織たちも決めることが出来る

だが、沙織はあくまで、自分達は提案のみに止めようと考えているらしい

沙織「変えようとしない限り、ずっと残るものだもんね。その気持ちは……少しわかる」

天乃「でも、いつまでも有耶無耶にはしたくないわ」

沙織「そうだね」

いつまでも名前を呼ばないままでいるのは子供が可哀想だ

せめて、今月中には決めるべきだろう


605 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/03(火) 23:15:24.20rKNsIVhio (3/6)


沙織「今はまだあれだけど、そろそろ言葉もちゃんと受け答えするようになってくる」

天乃「うん。その時に、一切名前を呼ばれないなんておかしいものね」

なにより。と、天乃は自分を戒めるような表情を見せる

天乃「散々寂しくさせちゃったんだもの。出来ることは出来る限り尽くしたいわ」

沙織「……だろうね」

天乃「沙織の考えは盲点だったわ。悪くない……ううん、良いと思う」

沙織「はるちゃんとそらちゃん?」

天乃「うん。漢字で書いても書きやすいし、陽乃さんの名前を継ぐのは考えてなかった」

天乃の「乃」という文字は陽乃から引き継がれているため、

それを使えば、必然的に引き継ぐことになるのだが、それとは違う

天乃「そらとはる。天と陽……陽乃さんが遺した天乃という名前が取り戻せという意味なら、その証にもなる」

沙織「久遠さんの場合は、双子がお祖母ちゃんになっても生きてそうな気がするけどね」

天乃「沙織は?」

沙織「多分、あたしも生きてるんじゃないかな」


606 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/03(火) 23:45:19.56rKNsIVhio (4/6)


沙織「半霊だからね。どこまでも一緒」

もしかしたら、

天乃が死んでも与えられた分の力が延命となって

それを見届けることになるかもしれない

天乃と一緒に死ぬというのは、簡単ではない

沙織「ただ、お役目からの解放という意味も込めてあえて名前を引き継がないのも間違いじゃないと思うよ」

天乃「悩ませること言わないで」

沙織「子供のためだよ」

天乃「子供をたてにするのは、狡いわ」

天乃は一瞬ムッとしたものの、

沙織の二つの提案は間違っていないと、頷く

天乃「考えておく……けど、沙織はどっちがいいの?」

沙織「そうだねぇ」

深々と息を吐くように言う沙織は、

一人納得したようにうんうんと頷いて、ニヤリと天乃を見る

沙織「やっぱり、名付け親になれるって特別な気がするよね」

天乃「そう言うと思った」

沙織としては、「はる」と「そら」をお勧めしたいらしい


607 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/03(火) 23:54:13.10rKNsIVhio (5/6)


沙織「みんなも同じこと考えてるよ。きっと」

天乃「みんながみんな企んでるわけじゃないでしょ」

もっとも、企んでいる子もいるだろうけれど、

別に、悪いことをしようというわけではないのだから、

それを咎める必要はないだろう

下心があるのなら話は別だが、それも大丈夫なはずだ

天乃「将来についても、この子達についても、色々参考になったわ」

沙織「うん、いくらでも頼ってくれていいんだからね?」

天乃「ええ」

沙織「あたしだけじゃなく、みんなのことも」

天乃「もう、ちゃんと分ってるつもりよ」

沙織の釘を刺すような言葉に笑みを返す

もう言われ慣れた

もう、言われる必要はない……と、天乃は思う

天乃「一人で抱え込む問題じゃないわ」

自分の将来も、子供たちのことも

自分だけのものではないのだから


608 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/03(火) 23:55:03.45rKNsIVhio (6/6)


√ 2月15日目 夕 (病院) ※水曜日


01~10
11~20 東郷
21~30 九尾
31~40
41~50 夏凜
51~60
61~70 千景
71~80 樹
81~90
91~00 風


↓1のコンマ


609以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/03(火) 23:55:40.23XcNZ9ItG0 (1/1)




610 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/04(水) 00:08:13.95bBjgxvMUo (1/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


沙織「名付け親って特別な感じするよね」

夏凜「そりゃ、基本的には親かその親が付けるもんだし」

風「夏凜は何か考えてないの?」

夏凜「私は――」

東郷「母乳が出せれば……育て親と胸を張れるかもしれない。と?」


園子「そういえば今回の戦いの後遺症でゆーゆに生えたんだよね」

樹「適当なこと言うと、千景さんに怒られちゃいますよ」


611以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/04(水) 00:13:32.76Zius/woCO (1/1)


どういう理論で生えてんだ


612以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/04(水) 00:24:55.60cpSP3WLQO (1/1)


はるとそら…凄くしっくりくる名前で流石はさおりんだなぁと


613 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/04(水) 21:07:17.96bBjgxvMUo (2/6)


では少しだけ


614以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/04(水) 21:33:01.227Z4xor5/O (1/3)

きてたー


615 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/04(水) 21:57:05.43bBjgxvMUo (3/6)


√ 2月15日目 夕 (病院) ※水曜日


九尾「構わぬのではないかや? 沙織の案であれ、主様が良いと言えばそれが答えじゃ」

天乃「他人事だと思ってる?」

九尾「思ってると言ったらどうする?」

嫌味ったらしい笑みを浮かべる九尾の問い

天乃が答えずに見つめていると、

九尾はおもむろに鼻を鳴らして、顔を逸らす

胸の前で組んだ腕が、少し動く

九尾「赤子に是非の判断など出来ぬ。なれば、名など親の自己満足でしかなかろう」

天乃「そんなことないわ」

九尾「ほう? 主様にはそれ以外の何かがあると?」

天乃「子供にとって……ううん、人にとって、大事なことよ」

九尾「そうかや? 妾にはわからぬな」

くすくすと。

本当は分かっていそうな笑い声を零す九尾の瞳は、

それでもしっかり、子供へと向けられている


616 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/04(水) 22:38:51.94bBjgxvMUo (4/6)


九尾「主様が産まれた頃とそっくりじゃな」

天乃「貴女は知ってるのよね。私がこのくらいの頃のことも」

九尾「主様に限らぬ。妾は常に久遠の傍に在ったからのう。主様も、陽乃もそれ以前も。妾は見てきた」

最初こそ、毛頭興味のない有象無象の誕生だった

それが、陽乃が産まれてから世界は大きな戦禍に包まれ

神々に囲われた世界へと退化し、冗長な怠惰を拠り所にした生と死を繰り返す魂に触れるようになった

九尾「だが、陽乃に似ているのは主様が一番じゃ。育った結果は大きく違うが」

天乃「本質は変わらなかったんじゃない? 私だって、裏切られ続けたら信じることも嫌になる。でも、変らなかったと思うわ」

裏切られたからといって周囲を見捨てられるわけではない

心が強い、心が弱い

人によっては二分されるだろうが、

結局、穢れのように染みついた甘さは抜けないだろう

天乃「それで? 貴女の目から見て、この子たちはどう育ちそう?」

九尾「ふむ……主ら次第じゃろう。子は親を見る。親を見る余裕のなかった娘共は世界を見ることで荒んでおったぞ」


617 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/04(水) 23:03:07.17bBjgxvMUo (5/6)


くつくつとした笑い声は、嫌に響く

本当に馬鹿にしているのか、ただの冗談なのか

九尾の性格ではどちらでもあり得るのが悩ましくて

天乃は九尾の表情を窺うのを止めて、子供を見る

天乃「貴女も、子供の傍に居るべきというのね」

直接的な表現ではない

しかし、九尾が言いたいのはつまり「傍に居てやれ」ということだ

親は子の傍にあるべきだと。

天乃「貴女は親のいない子供たちを多く見てきた。それが、どんな思いで生きてきたのかも」

勇者としての力がなくとも、

久遠家のしがらみ、受け継がれた穢れは絶えることなく

寄り添い続けた九尾は子供たちのすべてを知っている

だからこそ、皮肉のように、嫌味らしく、荒んだ。と

天乃「そんな思いを、この子たちにさせたくないのね」

九尾「妾はそんなこと言うておらぬが」


1、貴女は変わったのよ。陽乃さんのおかげで
2、そうでしょう? 陽乃さん
3、貴女のそれは、そう言ってるのと一緒なのよ
4、なら、陽乃さんはどうしたいって言うと思う?


↓2


618以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/04(水) 23:09:25.667Z4xor5/O (2/3)

2


619以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/04(水) 23:12:11.11kb+Iaea10 (1/1)

2


620 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/04(水) 23:20:15.08bBjgxvMUo (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


621以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/04(水) 23:26:32.217Z4xor5/O (3/3)


例え九尾であっても若くして亡くなる久遠さんの先祖たちを見続けるのは辛かっただろうなぁ…


622以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/05(木) 08:03:54.64GH/MROnJO (1/1)


九尾は二作目の怪しさ全開の時と比べると本当に丸くなったな


623 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/05(木) 21:15:46.20aG3pHz7so (1/5)


遅くなりましたが、少しだけ


624以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/05(木) 21:17:49.20YDPJoN0QO (1/2)

よしきた


625 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/05(木) 21:55:32.92aG3pHz7so (2/5)


天乃「あら? でもそういうことでしょう? 陽乃さん」

九尾「何を言うておる。妾は九尾じゃぞ。呆けたか?」

天乃「ずっと不思議だったのよ」

子供から、九尾へと

流れるように動いた視線を感じ取った九尾の細い瞳がさらに細くなる

ルビーのような赤色が、かすかに淀んだように見えた

天乃「死神や稲荷、穿山甲とか私の精霊のほとんどが西暦勇者の魂を込められてた」

にもかかわらず、

火明命と九尾だけが何ともない

稲荷や死神は久遠家由来

穿山甲などの少し特殊な精霊は、

西暦勇者の魂を込める際に混入した陽乃の力が引き寄せられた結果かもしれないが、

火明命と九尾は死神たちと同じく久遠家由来

その二人が、何もないというのは奇妙なのだ。あまりにも。

天乃「貴女には、陽乃さんの魂が込められているんじゃないの?」


626 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/05(木) 23:02:49.56aG3pHz7so (3/5)


九尾「ふむ……」

なぜだか、九尾は考え込む。

わざとらしく口に出した思案の声

ため息のような吐息は瞬く間に空気に溶けていく

九尾「あやつの魂の一滴を妾が受け取ったのは事実じゃが、残念ながら妾は陽乃ではない」

天乃「若葉達みたいに密度が足りない?」

歌野達や球子、千景や若葉

みんなを後世に遺したのだ

陽乃が自分を遺すことが出来ないなんてありえなかったし

その方法がないと諦めているわけがない

九尾「いかにも。陽乃は残る久遠の血の者の打開の術として力を遺したが、自らが召喚されることは望んではおらなかった」

天乃「どうして?」

九尾「自分は不要だと。生きたいとは望まなんだ」

天乃「私とは真逆だったのね」

九尾「そうじゃな……友に恵まれなかったわけではないと今なら思う。じゃが、それでもあやつは拒んだ」


627 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/05(木) 23:25:59.95aG3pHz7so (4/5)


天乃「若葉だって、最後は敵視していたわけじゃない。高嶋さんも」

千景たちは、敵視というか良く思っていないというのは記憶の断片でも感じられるほどだ

だが、陽乃は信頼していなかったわけではない

言葉は強く、嫌味を含んではいたが

しかし、だとしても背中を預けていた

それが、仲間だと認めていた証拠だともいえる

それでなくとも、子供を委ねただけで十分だ

天乃「それでも陽乃さんが嫌がったのはどうしてなの? 力を最も理解していたのは陽乃さんでしょう?」

九尾「そうじゃな。力の発端ゆえ、妾以上に理解していたやもしれぬ」

九尾はそう零すと、細めた視線を下げる

子供も天乃も見ていない瞳ははるか遠くを見ているように感じる

九尾「悔しいが、妾にはあやつの心を読む力はないが、きっと、友と信ずることが出来たからこそ拒んだと思うておる」

天乃「……託す当てが出来たから。もう大丈夫だって? だから、死ぬとしても笑顔で?」

九尾「うむ」

天乃「久遠家が苦しい歩みになると解っていて、それでも。そこに手を差し伸べてくれる人がいると信じたから?」

裏切られたのに?

家族も、何もかもを奪われるほどの絶望と怒り、憎しみがあって

それでなお、絶対的に信じられると?

天乃「滅ぶなら滅べ。そう思っていた節もあるんじゃない?」

むしろ、そうなってしまえと思っていたかもしれないと、

天乃は断片的な記憶の中にいる陽乃の姿を探す


628 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/05(木) 23:31:38.79aG3pHz7so (5/5)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


629以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/05(木) 23:47:15.441+pOvT2LO (1/1)


難しいね


630以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/05(木) 23:49:14.55YDPJoN0QO (2/2)


陽乃さん…最期の最後で人を信じることができたのかな


631 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/06(金) 23:43:04.704sNX5ukno (1/1)


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は出来れば通常時間から


632以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/06(金) 23:45:23.56J3iAm04pO (1/1)

いつも乙ですー


633 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/07(土) 20:37:52.80BECUdO/8o (1/7)


では少しずつ


634以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/07(土) 20:54:22.11Qnp+iF/SO (1/1)

きてたか


635 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/07(土) 21:07:02.81BECUdO/8o (2/7)


九尾「否定は出来ぬ。が、あやつは三好に力を分け与えた。それが、いつか久遠家の力になるじゃろうと」

天乃「そうだったわね」

九尾「もし、主様らが救われることない世界なら滅んでも良い。あやつはそういう賭け事を好む娘じゃ」

天乃「陽乃さんって、ギャンブラーだったの?」

九尾「欺騙は得意じゃったな」

やや強引に連れ出されたカード遊びでは、

純真な友奈をイカサマで大敗に追い込んだりしていたのだ

それでよく、千景が一対一で勝負を挑んでいたと九尾は思い出す

今のように仲が良かったわけではない

ただ、仲介に立った友奈の強引な手引きが繋いでいただけだ

しかし、今思えばそれも

純真すぎる友奈に対し、こういう人間もいるのだという教育をしたかったのかもしれないと、思う

九尾「いずれにせよ、陽乃は主様の世代に遺すべきものを遺した。それが答えじゃろう」

天乃「……そうね」


636 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/07(土) 21:34:18.31BECUdO/8o (3/7)


天乃「でも、陽乃さんがいてくれたらもっとうまくできたように思うわ」

九尾「それを考えても仕方がなかろう」

天乃「ねぇ、今回の戦い。陽乃さんならどうしてた?」

九尾「陽乃ならば、手など借りぬと単身で終わらせていたじゃろう」

そもそもの話、勇者部みんなの信頼を勝ち得るような行いをしてきたかどうか疑問だ

少なくとも、ボランティアを行う勇者部に所属することはないし

人付き合いをしようという気概も一切見せないことだろう

それは、最も迫ってくる友奈に対してでもそう

突き放して、拒絶して

問題は自分の中に止めておくはずだ

九尾「たとえ、それで自分の命が尽き果てるのだとしても。あやつは、己の身を代償として安寧を齎したはずじゃ」

天乃「自分の周りに誰もいなくても?」

九尾「そんな奴に、声をかける愚か者がいるからじゃろう」

信じない、頼らない

そう口にしておきながら、本心では信頼している。頼っている。

自分がいなくなった後の世界を、託そうとしている

九尾「間違いなく言えるのは主様だからこそ小娘共は幸せになれる。ということじゃな」


637 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/07(土) 21:56:56.20BECUdO/8o (4/7)


天乃「貴女がほめてくれるなんて珍しいこともあるものね」

九尾「成し遂げたからのう。貶すほど妾も落ちぶれてはおらぬ」

九尾の見せるほほえみは企みなどはなく優しいもので

本当に心から思っていることなのだろうと、少しだけ信じられる。

九尾「主様よ。存分に悩むがよい。それは、人間として然るべきことであろう」

天乃「………」

九尾「悩み、問い、それを持って答えとする。それでよかろう」

柔らかな瞳、穏やかな声色

それが企みゆえならば、内心に感じるほほえみがあるはずだが、

今の九尾からはそんなものは一切感じない

天乃「ねぇ、貴女は……残るのよね?」

九尾「力はある。妾が消滅することはない」

天乃「そうじゃなくて。もう、終わったからっていなくなったりしないよね?」

九尾「……これからの主様に、妾は有用ではなかろう」

天乃「家族に、有用も無用もないと思うわ」

九尾「愚か者め」

天乃「陽乃さんの子孫だもの」


638 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/07(土) 22:51:54.05BECUdO/8o (5/7)


九尾はくつくつと笑うと、

天乃の子供を見つめて、微笑む

取り戻した記憶の中にある母の笑みだ

九尾「手に余るのなら、妾が預かってやるが?」

天乃「貴女に預けるなら、お母さんたちに預けるわよ」

九尾「妾も、母の経験はあるのじゃが」

天乃「信頼の問題よ」

別に九尾のことが信頼できないわけではないけれど、

流石に、母としての信頼は実母に劣る

九尾「ふむ。家族の記憶はない方が良かったかのう」

天乃「嫌なこと言わないで」

九尾「くふふっ。妾に奪う力はない。安心するがよい」

九尾の伸ばした手に、小さな手が伸びる

九尾にとっては有象無象……では、もうないのだろう

九尾「妾に触れるとは、勇気があるのう」

九尾は穏やかに声をかけると

その小さな手を許し、微笑んだ


639 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/07(土) 23:10:52.32BECUdO/8o (6/7)


√ 2月15日目 夜 (病院) ※水曜日


01~10
11~20 樹
21~30
31~40 千景
41~50 風
51~60 球子
61~70
71~80 夏凜
81~90
91~00 東郷


↓1のコンマ


640以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/07(土) 23:12:34.07GdGsEKUuO (1/2)




641 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/07(土) 23:28:33.08BECUdO/8o (7/7)


では本日はここまでとさせていただきます
明日は出来れば昼頃から


642以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/07(土) 23:31:06.170ZdZV2qWO (1/1)


穏やかな時間が続くな


643以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/07(土) 23:39:46.48GdGsEKUuO (2/2)


陽乃さんの行動って一作目の久遠さんを彷彿させるな
友奈(高嶋さん)の心をあえて折ろうとするところも似てる気がする


644以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/08(日) 01:29:43.57ST9007NVO (1/2)


大赦の動きはなんもないのかな


645 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 16:05:02.96yPECPfaZo (1/13)


では少しずつ


646 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 16:29:29.50yPECPfaZo (2/13)


√ 2月15日目 夜 (病院) ※水曜日


天乃「なぁに? お腹すいた?」

小さな声を精一杯出して呼びかけてくる双子に答える

頬に触れてあげると、嬉しそうな声を出す

温もりが欲しかったのだろうか

天乃「ふふっ」

可愛い子、愛しい子

二人が歩む世界はどのような世界になるのだろうか

二人は、この世界にどんな影響を与えることになるのだろうか

守ってあげるべきだろう

だけど、守るではなく、あえてその厳しさに触れさせるべきかもしれない

天乃「……でも、そこまでに何年かかるかしらね」

少なくとも、園子達が勇者として戦った小学校の6年生

その辺りでなければ、自分の判断というのも難しいだろうから、それまでは守るべきだ

天乃「それよりも前に、今のことよね」


647以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/08(日) 16:52:12.83aUPOF/KdO (1/2)

きてたー


648 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 16:59:57.11yPECPfaZo (3/13)


九尾も、沙織たちも

みんなが望んでいるのは子供と一緒にいることだ

でも、内心では一緒に学校に通いたいとも思ってくれている。

看護師の意見である、一年だけ子育てに集中し、

離乳食を口にできるようになってから復学するというのがベストかもしれない

ただ、子供の状況、天乃の心境次第ではそのまま母となることもあり得るだろう

天乃「……確かに、私はもうお母さんだわ」

子供を産んだという意味でも

子供の愛らしさに心を癒されるという意味でも

普通の少女として生きていきたかったが、

今は、置いて行くことになってしまう子供の身を案じてしまう

母として当然のことだが、まだ15の少女としては当然のことではないだろう

ゆえに、身も心も母なのだ


1、精霊組
2、勇者組 ※部屋を抜け出します
3、イベント判定
4、はる、そらで呼んでみる

↓2


649以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/08(日) 17:09:23.77aUPOF/KdO (2/2)

2


650以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/08(日) 17:11:12.65GaZcJYjS0 (1/3)

2


651 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 17:36:52.90yPECPfaZo (4/13)


1、友奈
2、園子達(夏凜、風、樹、東郷、園子)

↓2


※判定20~29 看護師 40~49 大赦


652以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/08(日) 17:38:06.61GaZcJYjS0 (2/3)

2


653以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/08(日) 17:39:12.00UGdnvESHO (1/1)

2


654 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 18:02:35.55yPECPfaZo (5/13)


天乃「……んっ」

端に足を降ろすと、布団の中との空気の違いに身震いする

せめて靴下だけでも履くべきだろうか

そんなことを考えていると、

どこからともなく白い手が伸びて天乃をベッドへと押し戻す

千景「なにを、しているのかしら」

天乃「あら、こんばんは」

千景「こんばんは。で?」

困り顔の千景は挨拶を素直に返しながらも、

天乃へと詰め寄る

天乃の体は治ってきているとはいえ本調子ではなく、

そもそも消灯時間も近く、

急ぎの用事でもない限り、出歩くのは避けるべきだ

天乃「みんなのところに行こうと思って」

千景「子供を置いて?」

天乃「連れて行きたいけど……難しいから」

千景「だったら呼んだほうが良いんじゃない?」

天乃「戦いの疲労もまだ抜けていないだろうし、負担はかけたくないわ」


655 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 18:34:01.97yPECPfaZo (6/13)


千景「それは貴女も同じことでしょう……まったく」

天乃「千景?」

もう何度聞いたかもわからない呆れ混じりのため息

仕方がないと千景の表情が語る

千景「流石に、あの距離を歩かせたくないわ。子供も置いて行くんでしょう?」

天乃「ええ……だから、そんな長くは出ないつもり」

千景「だったら車椅子ね。異論は?」

天乃「そんな威圧的に言わなくても」

千景「貴女の体と子供のことを考えれば当然でしょう?」

むしろ、絶対にダメだと制止しないだけありがたいと思って欲しい

天乃の体は絶対安静ではないにせよ、安静を推奨するべきで

まだ幼い双子を思えば、置いて出ていくなどすべきではない

天乃「……怒ってる?」

千景「怒ってないわ。ただ、もう少し……貴女は貴女が貴女だけのものではないと自覚するべきだと思うわ」

天乃「貴女じゃなくて、天乃で良いのに」

千景「久遠さんだけのものではないと自覚するべきよ」

天乃「いけずね」

千景「………」

天乃「ふふっ、ごめんなさい。分かってるからそんな顔しないで」


656 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 19:02:08.24yPECPfaZo (7/13)


千景のムッとした頬に触れて、微笑む

本気で怒らせるのもあれだからと、体を起こす

天乃「園子たちのところに行きたいの。連れて行ってくれない?」

千景「なら車椅子を用意するから、少し待って」

体を冷やさないようにという気遣いだろう

布団を天乃にかけると、

松葉杖とならぶ車椅子のロックを外し、ブレーキを確かめる

天乃「……手慣れてるわね」

千景「見てたから」

友奈や夏凜達がやっていたのを見ていたとはいえ、

実際に慣れて見えるのは、ただ見ていただけではないからだろう

千景も、夏凜達に及ばないとはいえ手を貸してくれていたのだ

天乃「迷惑かけるわね」

千景「気にしなくていいわ。私達がしたくてしていることよ」

天乃「ありがと」

千景「……ええ」

千景の背中しか見えないが、

それでも、声に感じる嬉しそうな色に

天乃は子供へと、「ね?」と、優しく微笑む

子供は、若葉達に見ていてもらうことにした


657 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 19:51:37.44yPECPfaZo (8/13)


東郷「久遠先輩……会いに来て下さるのは嬉しいですけど、あまり無理は」

天乃「大丈夫。そのための千景よ」

風「千景も大変ねぇ」

千景「この程度、戦うことに比べれば大したことじゃないわ」

風の茶化すような物言いにさらりと答えた千景の手に押された車椅子が、病室の中央に止まる

友奈がいない分、寂しいベッドがあるものの、

東郷達5人は各々のベッドの上にいる

布団に入っていた東郷の体から、起き上がった分の布団がずり落ちた

夏凜「それで? わざわざどうしたのよ。聞いた話、病室に子供入れたんでしょ?」

天乃「ええ。入れたわ」

夏凜「置いてまで来たってことは、それほど急な話ってわけ?」

東郷「あるいは、会いに行かない人がいるから。とか」

夏凜「仕方ないじゃない。私だって安静にする必要があったのよ」

樹「子供の名前ですか? 将来のことですか? それとも……大赦に言われた件ですか?」


658 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 20:16:45.56yPECPfaZo (9/13)


天乃「大赦のこと……誰から聞いたの?」

東郷「沙織先輩です」

天乃「精霊の繋がりね……」

告げ口というよりは、警戒のための報連相

それを受けて、沙織は念の為にと根回ししておいてくれたのだろう

ありがたいとは思うけれど、

少しばかり過保護ではないかと、天乃は目を瞑る

それだけ心労をかけてきたということだろうか

風「言っておくけど反対だからね」

東郷「風先輩だけじゃなく、総意です」

樹「これ以上、久遠先輩が世界の為に頑張る必要はないと思います」

天乃「貴女達……」

夏凜「良くある話だけど、一難去ってまた一難だっていうなら……そうね。全面戦争も受けて立ってやるわ」

神樹様の加護が失せ、

夏凜達に勇者としての力はない

しかし、鍛錬に費やした時間までもが失われたわけではない

長年費やした人間には付け焼刃かもしれないが、それなりの戦いは出来るだろう



1、その話は、断ることに決めているわ
2、そうじゃないわ。将来についてよ
3、そんなことどうでもいいわよ。断るし。問題は子供の名前よ

↓2


659以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/08(日) 20:24:44.01OXXsBcs3O (1/2)

1


660以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/08(日) 20:26:24.39GaZcJYjS0 (3/3)

1


661 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 21:41:33.63yPECPfaZo (10/13)


天乃「その話は断ることに決めているわ」

夏凜「大丈夫なの?」

天乃「大丈夫も何も私の人生だもの。一生縛られるなんて嫌よ」

東郷「違いありませんね」

そもそも、天乃は生まれてからずっと死命に縛られてきただろう

厳しい戦いに勝利してまで手に入れた世界で間で縛られるなど、

断じて許せることではない

それを強要しようものならば……と

今はもう握ることのできない銃を握るように布団を握りしめる

東郷「久遠先輩が受けると言い出したらどうしようかと……」

風「羽交い絞めにするんだっけ?」

樹「四六時中目を離せないとしか言ってなかったよ」

天乃「私だって、色々反省してるのよ」

言いたい放題の風達を一瞥して、息を吐く

確かに、以前の自分だったら受けようかと考えていたに違いない

嫌だけど、仕方がないことだから。と


662 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 21:58:28.93yPECPfaZo (11/13)


夏凜「でも大赦は認めてないんでしょ?」

天乃「また来るでしょうね」

拒絶したにもかかわらず、

神官は出直すと言っていた

一日二日程度で再訪するなんてことはさすがにしなかったようだが、

来ると言った以上は来るだろう

来ると言わなくても来るのだから

樹「久遠先輩を神樹様の代行に仕立て上げるなんて、おかしな話だとは思わないんでしょうか?」

風「今まで神樹様の敵だってしてきたくせにね。なりふり構っていられない状況なんだろうけど」

夏凜「九尾に門前払いして貰えば?」

天乃「帰さないわよ。九尾は」

九尾にどうにかしてと頼むことは出来るけれど、

それをしたら、使者として送られてきた人々は帰らぬ人となるだろう

千景「門前払いなら私達が引き受けてもかまわないけれど、解決にはならないと思うわ」

天乃「でしょうね」


663 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 22:34:40.31yPECPfaZo (12/13)


とはいえ、

嫌ですと拒んではいそうですかと受け入れてくれるわけでもない

学校のことを前に出して拒否したが、

子供のことを口にしたら納得してくれるだろうか?

いや、してくれるはずがない

大方、その乳母や手伝いを用意するので。とでも提案するだろう

天乃「神樹様は人としての力を信じようとしてくれた。なのに、その残滓に縋りついていたら呆れられるわね」

東郷「それを神託とするのは?」

夏凜「天乃寄りの神託を受け入れるとは思えないんだけど」

樹「それこそ神樹様の名前を出すべきかと」

風「なるほど、神樹様を出されたら、そんなはずはないなんて言えないか」

天乃「……脅迫みたいね」

夏凜「穏便に済ませたいけど、すべて穏便に済ませるのは無理でしょ」

夏凜の言葉は厳しいが、その通りだろうと天乃は思う

多少は脅迫のようなことを交えなければならない

東郷「ただ、念のため傍に誰かいたほうが良いと思います。それと、向こうに来られるよりこっちから呼び出すべきかと」


664 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/08(日) 22:39:34.48yPECPfaZo (13/13)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「久遠先輩が受けるつもりならしようと、亀甲縛りを習得したのに」

風「布団の中でごそごそやってたのはそれかぁ……」

樹「てっきりえっちなことしてると思ってました」

風「えっ」

夏凜「無垢で良かったじゃない」


園子「……さて、そろそろ私の出番だね」

風「やめて」


665以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/08(日) 22:52:44.04OXXsBcs3O (2/2)


とーごーせんせーを中心に勇者部の無垢な心が…

それはともかく大赦が簡単に引き下がるとは思えないしどうしたもんかなぁ


666以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/08(日) 23:28:16.21ST9007NVO (2/2)


東郷さんは誰で練習してたんですかねえ
友奈?


667 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/09(月) 20:59:56.15uwDJCYTeo (1/5)


では少しだけ


668以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/09(月) 21:20:40.41a4EFMbr8O (1/2)

あいあいさ


669 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/09(月) 21:46:47.66uwDJCYTeo (2/5)


天乃「呼び出したほうが、ペースを掴めるかしら」

東郷「それもありますが、こちらの意思をはっきりさせられるかと」

夏凜「確かに東郷の言う通りかもね」

相手が来たからと拒絶するよりは、

自分から、はっきりと断ってしまうべきだ

相手の言葉を聞く前に断るのであれば気も引けるものだが、

すでに、向こうの一手は打たれている

ならば呼び出してお断りするくらい許されるだろう

そうでなくとも

大赦との関係を考えれば門前払いも仕方がないほどだ

園子「天さんが呼び出す時点で察しはつくだろうし。それで引かないのなら、強硬手段も考えないといけないかもしれないね」

天乃「強硬手段は、ちょっと」

風「天乃は甘いのよ。ガツンと言ってやりなさい。ガツンと」

千景「これでも、大赦から話が来た時は結構な塩対応だったわ」

樹「久遠先輩がですか?」

天乃「私だって、言うときは言うのよ? 知ってるでしょ?」


670 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/09(月) 22:14:22.66uwDJCYTeo (3/5)


風「そういえば、どこかの誰かがぼっこぼこにされてなかったっけ?」

夏凜「さぁ?」

東郷「久遠先輩は優しいですけど、厳しい時もあるのはみんな知ってますよ」

特に、身近な人を傷つけられることを強く嫌悪している

それゆえに、友奈を傷つけた夏凜との反発もあったのだが

今ではとても仲のいい二人だ

それは風もそうで……だから、きっと。と、風は思う

風「今ここで反発したとしても、いつか手を取り合えるようになるわよ」

天乃「風……」

風「それはあたし達が保証してあげる」

夏凜「それは私達だったからでしょ」

園子「なるほど~にぼっしーはたとえ何があろうと天さんを愛していたと~」

夏凜「そんなこと言ってない」

園子「そう言ってるようなものなんよ~」

ニコニコと笑う園子へと悪態をつく夏凜は、

それでも否定まではせずに、悩まし気な表情を見せる

夏凜「まぁ、神樹様もいなくなったわけだし、なるようになるだけなんじゃない?」



671 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/09(月) 22:52:05.65uwDJCYTeo (4/5)


園子「良い方向に進めば、それは必要なかった。悪い方に進めば、手を貸してくれないからだと」

単純かつ極端な話だが、

もしもそうなるようなら、それまででしかない

だが、もしも利己的なだけではない人々が集った大赦であるならば、

どちらからともなく、手を取り合うことが出来るようになるだろう

園子「信じてみても良いんじゃないかな? 大丈夫だって」

天乃「………」

大赦の要請を受け入れるつもりはない

けれど、その結果がどうなってしまうのか

そこに不安が残る

でも、それはどんなことにだってあるはずで

成功もあるし、失敗もある

夏凜「大赦がどうこうじゃなくて、人を信じるか信じないか。ってことね」

天乃「神樹様は人を信じたわ……信じようとしてくれた」

樹「なら、信じて貰いましょう。神様が信じた子供たちは、この世界でも生きていけるんだって」

風「……そうねぇ。天乃の力がなくても、神様の導きがなくてもあたし達とこれからの子供達が何とか出来るってところを見せてやろうじゃない」

東郷「これからは大人ではなく、子供。ですか」

大人が作った過去を子供が歩み、それが未来を作る

300年間の過去から踏み出す時が来たのだと、東郷は小さく頷く

東郷「なんというか、子供子供って。みんなしてお母さんになったみたいだわ」

園子「育ての親という便利な言葉があるんだよ。わっしー」


672 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/09(月) 22:54:34.08uwDJCYTeo (5/5)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


673以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/09(月) 23:09:05.05a4EFMbr8O (2/2)


神の力はなくても生きていける世界…久遠さんがもっとも望んでた世界かも知れないな


674以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/10(火) 08:01:59.13YBlzjSD2O (1/1)


まさに母は強しだな


675 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/10(火) 21:17:52.83AeYDvtDVo (1/5)


では少しだけ


676以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/10(火) 21:37:22.869uaUzKGIO (1/3)

よしきた


677 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/10(火) 21:58:18.69AeYDvtDVo (2/5)


樹「……なら、まずは復活させないとですね。勇者部」

夏凜「風も沙織も天乃もいなくなるのに?」

樹「だとしても、続けるべきだと思います」

夏凜の否定ではない問い

対する樹には迷いがなく、はっきりと答える

いつから考えていたのか分からないそれは、

逡巡する程度の時間、病室を静まり返らせた

東郷「私達は3年生になる。樹ちゃん一人になっても続けられる?」

樹「一人では難しいと思いますが、そうならないようにできればいいのかなって思ってます」

千景「むしろ、一年後に独りになってしまうような状態なら、望みは薄いと思うわ」

勇者部という名前に負けてしまうからと引く者も少なからずいるかもしれないけれど、

だとしても、自分も力になりたいと

出来ることがあるのならと思い、行動に移せるような人を生み出せなければ、

この世界はそう遠くない未来に朽ちるだろうと千景は考える

天乃「………」

そもそも、学校の部活としてではなく

一個人の活動として発足させればいいのではと天乃は思うが、

それを口にするのは無粋なのかもしれない


678 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/10(火) 22:20:56.67AeYDvtDVo (3/5)


風「勧誘すれば集まってくれたりするんじゃない? ほら、意外と有名だし」

夏凜「それが二番でしょうね」

風「一番は?」

夏凜「自主的に集まってくれること」

夏凜は勇者としての活動がメインでの入部で

友奈と東郷、樹は勧誘したからで

園子は自主的ではあったが、

天乃達が所属しているからというのが強いし、

そもそも、ほとんど活動休止状態での入部だ

夏凜の言う一番は確かに一番だが、それは難しいだろう

悪く言ってしまえば高望みだ

樹「活動してればついてきてくれる人がいるかもしれない……なんて、難しいですよね」

園子「始める前から諦めてたら駄目だよ。本当、難しいと思うけどね」


679 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/10(火) 22:45:38.15AeYDvtDVo (4/5)


園子の穏やかな声色には茶化す素振りは感じられず、

それだけ真面目なのだという意志が強く伝わってくる

それゆえに、余裕を感じることのできない不安を覚える

どうするべきかと。

悩まし気な視線は前を見ることが出来ない

戦うことだって簡単ではなかったけれど、

天乃を傷つけさせないために、救うために

そして、倒すべき敵がいた

そんな明確さがあったからこそ、がむしゃらでも突き進むことが出来た

しかし、これからの世界に敵はいない

なのに、それでいいのだろうかと……思慮深くなっていく

樹「っ」

天乃「………」

久遠先輩は。

そう言いたげな目が一瞬だけ向けられた

目は合っていないから、気付かなかったことにして委ねることも出来るかもしれない


1、気付かなかったことにして、委ねる
2、私は何も言うつもりはないわよ。そうするべきと思ったなら、そうしてみなさい
3、樹。貴女がどうしてそうするべきだと思ったのか。それが大切よ
4、誰だって最初の一歩は恐ろしいものよ。だからこそ……ね?


↓2


680以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/10(火) 22:48:44.989uaUzKGIO (2/3)

3


681以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/10(火) 22:53:24.81rlpLKeV8O (1/2)

3


682 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/10(火) 22:55:34.37AeYDvtDVo (5/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


683以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/10(火) 23:00:58.539uaUzKGIO (3/3)


次期部長の力が試される時でもあるな
がんばれ樹ちゃん


684以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/10(火) 23:16:22.26ypsVW/B7O (1/1)


いっつんが変わったのはみんなのお陰だけど一番はやっぱり久遠さんの影響だろうなぁ


685以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/10(火) 23:22:32.04rlpLKeV8O (2/2)


樹の成長著しいよな


686 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/11(水) 21:01:54.31QLBJ6hffo (1/7)


では少しだけ


687以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/11(水) 21:04:32.98cPB3xsDMO (1/3)

よっしゃ


688 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/11(水) 21:27:22.85QLBJ6hffo (2/7)


天乃「………」

天乃は卒業し、樹たちを残していく側の存在だ

これからどうするべきかと【未来】を悩む樹たちにとって、

過去である天乃の言葉は必要ないかもしれない

だから気付かなかったことにしても良かったのだが。

天乃は小さく笑みを浮かべると

自分を見てはいない樹へと目を向ける

天乃「樹、貴女がどうしてそうするべきだと思ったのか。それが大切よ」

樹「どうして……ですか」

どうしてそうするべきだと思ったのか。

それだけを口にするのなら簡単かもしれない

樹「私は、お姉ちゃんや歌野さん達……それと、やっぱり久遠先輩がいてくれたから、ここまでこれた」

それは多分、勇者部がなくても作られていた関係だ

はっきり言おう。必要なのは勇者部ではない

自分の前を歩んでくれる誰かの背中だ

自分がそうありたいと、そうなりたいと憧れる誰かの姿

それが最も分かりやすく、明確にできるのが勇者部なのだ

樹は、胸の奥でつっかえる言葉を押し出すように胸元に拳を押し付ける

樹「私に出来るのかは分からないけど、私にとっての久遠先輩たちのような存在があれば大丈夫な気がしたんです」


689 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/11(水) 21:54:59.69QLBJ6hffo (3/7)


だから、一つでも先輩のしてきたことを踏襲したい

別の思惑があったにせよ、

作り上げられた勇者部という存在は大きく

勇者部がしてきたことは、人が最も大切にすべきことであると樹は思う

少なくとも自分にとっては必要なことで、とても大切なこと

樹「神樹様がいなくなって、知らない世界が広がって……でも、だからこそ、小さなことから一つずつやっていくべきです」

事の重大さも、何もかもも比にならないかもしれないけれど

両親を亡くしてからの数年間

通いなれた小学校の卒業と、初めての中学生

それと、似たようなものだ

樹「私はそうして来たし、それでよかったと思ってます。それだけは、自信がある」

夏凜「……異議なし」

勇者候補の時代から、

鍛錬を積み重ね続けてきた夏凜としては、

樹の言う積み重ねる事、小さなことも切り捨てずにやっていくことの大切さは分かっているつもりだ

夏凜「ただ何となくだったらあれだけど、それだけ言えるなら支持するわ」

東郷「もう少し素直に言ってもいいんじゃない?」

夏凜「そういう東郷はどうなのよ。いつもの反論してみれば?」


690 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/11(水) 22:12:57.73QLBJ6hffo (4/7)


夏凜の思わぬ反撃を受けた東郷は、樹を見ると笑みを浮かべる

樹には不安がない。

何を言われるのかという恐れもない。

それだけ、自分の経験に自信があるということだろう

東郷「異論はないわ」

すでに一度、樹の言葉が口先だけではないと見せつけられたことがある

天乃が苦しみ続けるのは神様が悪いのだと

失うくらいなら、壊してしまおうと

世界の敵になりかけた東郷に、樹は道を示してくれたのだ

それを経て、今

力のある姿を見せられて異論などあるはずもない

園子「私も異議なーし! いっつんなら大丈夫なんよ」

樹を見てきた時間はみんなの中で最も短いけれど、

だからこそ、今の樹なら大丈夫だと園子は断言できる

樹は小さくて、妹らしくて、一見弱弱しいけれど

それでも怖気づくことなく歩む姿を見せてくれるとしたら、どれだけの力になるか。

園子「たとえ迷ってもその自信を忘れなければ、絶対に大丈夫」

迷ったとしてもその意志がある限り、膝を屈することはあり得ないからだ


691 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/11(水) 22:32:25.50QLBJ6hffo (5/7)


風「いつの間にか大きくなったわね。樹」

樹「そんなしんみりするようなことじゃないよ」

風「そうね」

夏凜も東郷も園子も異論はなく、

きっと、友奈だって異議を唱えることはないだろう

樹は大きくなったし強くなった

普通ではありえない勇者としての戦いがあったこともそうだが、

やっぱり、目指すべき者がいたことが大きかったのかもしれない

風「言い出したからには成し遂げる。分かってるわね?」

樹「もちろん、その時に大事なことだってちゃんと分ってる」

風「そう……」

無理をし過ぎないこと。

ひとりで抱え込んだりしないこと。

弱音を吐いてもいい、迷ってもいい

それでもしっかりと歩み続けていけば、辿り着けるのだと今この瞬間が教えてくれている

風「よろしい」

風はどこか寂し気に

けれどもとても嬉しそうな笑顔を浮かべて、大きく息を吸い込む

風「では、新部長に樹を任命します! 異論あれば挙手!」

部屋に響く風の声

遮るもののない沈黙、それは間違いなく肯定だった

風「……成し遂げて見せなさい。樹」

優しい姉としての言葉に、樹は力強く頷いて答えた



692 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/11(水) 22:49:19.01QLBJ6hffo (6/7)


天乃「………」

友奈を除くみんなが納得している

その友奈だって、樹が部長になることに嫌悪感を抱くことはないだろうし

むしろ、応援するだろうから大丈夫かもしれないが

念のために保留として、友奈に話を聞くべきだろうか?

今までの友奈を鑑みれば、その必要はなさそうだけれど。

天乃はそんなことを考えて、樹を見る

自信を感じるし、大丈夫だろうと思わせる雰囲気がある

最初はだれもいなくても、

最後はきっと、多くの人がそのあとに続いているだろう

樹は二年生になり、天乃は卒業してしまう

学校でその姿を見ることが出来ないのは少しだけ残念だ


1、頑張りすぎないようにね。樹
2、夏凜、貴女が副部長なんだからしっかりとサポートしてあげなさい
3、貴女はもう十分、立派だわ
4、私に出来ることがあったら言いなさいね。可能な限り、何とかするから


↓2


693以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/11(水) 22:51:47.56cPB3xsDMO (2/3)

2


694以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/11(水) 22:52:37.41pNdz9aOV0 (1/1)

4


695 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/11(水) 22:54:27.88QLBJ6hffo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


696以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/11(水) 23:02:27.57cPB3xsDMO (3/3)


風先輩のバトンが樹ちゃんに託される流れが本当に良かった…
他の色々な問題もみんなと共に解決したいな


697以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/12(木) 00:29:43.48Wo2qYOf8O (1/1)


風は進路どうするんだろうな


698以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/12(木) 08:52:00.32UxL0TSkRo (1/1)

風の進路は…樹のヒモやな


699 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/12(木) 22:49:11.776ghl1PV0o (1/1)


すいませんが本日はお休みとさせていただきます
明日も場合によってはお休みをいただく可能性があります。

明後日の再開は出来るだけ早い時間から


700以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/12(木) 22:58:29.46D4KvQryhO (1/1)

乙です
楽しみに待ってます


701 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/14(土) 20:15:54.28NHPxOG3to (1/6)


遅くなりましたが、少しだけ


702以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/14(土) 20:25:56.22lZxCktxVO (1/3)

よっしゃ


703 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/14(土) 20:51:25.98NHPxOG3to (2/6)


天乃「私に出来ることがあったら言いなさいね。可能な限り、何とかするから」

樹「はいっ」

風「そこは、お姉ちゃんに頼るって言うところでは……?」

夏凜「頼れないし」

風「えっ!?」

東郷「そこで私を見られても……」

驚きと戸惑いの表情を向けられた東郷は、

困り切った返しをしつつ夏凜を見る

夏凜の【頼れない】がどういう意味なのかは察しがつくし、

樹が何を頼りたいのかも不真面目ではなく分かっているつもりだ

東郷「部長としては、十分頼りにされると思いますよ」

風「そ、そうよね……お世辞、じゃなく?」

東郷「嘘はつきませんよ」

そう。部長としては。

もちろん姉としても頼りにされるだろうが、

先輩として頼りにするのは天乃の方だろう

好意も相極まって、そこは譲れないのだ


704 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/14(土) 21:44:41.91NHPxOG3to (3/6)


園子「風先輩も自信もっていいと思う」

風「妹の贔屓込みで負けると自信も木っ端微塵になるわ」

落ち込んだ様子もない風はあっけらかんとした表情でぼやくと、天乃を一瞥する

頼られるべき立場の人が頼りにしている相手だ

勝てないのも無理はないだろう

姉としては勝っているだろうと風は考えているが

それ以外の面では……どうだろうか

樹が口に出さずともどこかで求めていただろう母性は

もはや天と地の差だ

風「天乃……だけに」

天乃「うん?」

樹「お姉ちゃんも頼りにしてるから、大丈夫だよ」

風「樹……」

園子「いっつん、大人の対応」

東郷「そのっち空気読んで」

風「そんな深刻に考えてないわよ。大丈夫」

親離れしていく子供とはこういうものなのかと

それを見送る親の心とはこういうものなのかと。

風「ほんと、もう大丈夫」

少しだけ感じる胸の奥の寂しさは、すぐになくなった


705 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/14(土) 22:26:14.69NHPxOG3to (4/6)


夏凜「部活はそれでいいとして、天乃と風は進路どうすんのよ」

東郷「久遠先輩にはお子さんがいますし、そっちに注力するという選択もありますが……」

風「いやいや、あたしにだってまだ進学出来る可能性はあるから」

樹「それがもう諦めてるような感じなんだけどね」

風「樹ぃ~っ」

とはいえ、正直な話。と、風は呟く

本来の中学生であれば、何らかの問題がない限りは進学一辺倒であるべきで

ただ、どこの学校にしようと考えて、友達がいるからとか近いからとか。

あとから思えば、もう少し真面目に考えておけばよかったなと笑うような適当さで考えるもの

しかし、犬吠埼家には親がいない

今まであった大赦のサポートも、神樹様が失われた今、

成人まで続いてくれるのかは分からない

風「天乃はどう?」

天乃「私は……」

風「中卒で出来る仕事あると思う?」

東郷「あるにはあるかと。ただ、どれだけ稼げるかは分かりませんが」

園子「外への調査要員とか臨時で募集されたりするかも~」


706 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/14(土) 22:58:31.65NHPxOG3to (5/6)


言い淀んだ天乃の代わりに話が進んでいく

天乃と一緒になるなら、進学を含めた将来的な不安要素は取り除けるはずだ

しかし、そこに頼り切ってよいものか。

そもそも。

あの兄も、あの姉も

そんなことは気にしなくてもいいと全面的に協力してくれると思うけれども。

……けれども。

夏凜「なんなら、天乃の家業を継ぐって考えもあるんじゃない?」

樹「そうだよっ。久遠先輩もすぐに戻ることは難しいし、久遠先輩がやるはずだった分もやるのも良いと思う」

東郷「公立なら、アルバイトで学費は何とか出来るのでは?」

風「……学力的問題がね」

真剣に考えてくれるみんなの口から気付いた声が漏れる

勇者として戦い始める前の二年生の成績は問題なかったが、

今年に入って―もう去年だが―からは酷い状態だった

そこは天乃も似たような感じ……かと思えば、

入院中にこそこそしていた分、天乃が上だ


1、とりあえず、進学で考えてみたら?
2、留年しちゃえば?
3、浪人して、もっと上を目指しました。感を出してみたら?
4、巫女は絶賛募集中よ
5、専業主婦がいてくれると、結構助かるのよね


↓2


707以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/14(土) 23:10:54.38lZxCktxVO (2/3)

3


708以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/14(土) 23:11:39.304Ox2PZNy0 (1/1)

1


709以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/14(土) 23:17:37.17S2qSJrF/O (1/2)

4


710 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/14(土) 23:24:36.95NHPxOG3to (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼ごろから


711以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/14(土) 23:33:34.48lZxCktxVO (3/3)


風先輩の進路か…
久遠家なら色んな意味でバックアップはしてくれると思うけど


712以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/14(土) 23:38:37.07S2qSJrF/O (2/2)


久遠さんは育児が規定路線で沙織は普通に進学できるんだろうけど
風マジでどうなるか読めない


713 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/15(日) 19:35:13.230EmW+6F5o (1/8)


遅くなりましたが、少しだけ


714以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/15(日) 19:41:33.56nIZjwyr9O (1/3)

かもーん


715 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/15(日) 20:29:28.300EmW+6F5o (2/8)


天乃「とりあえず、進学で考えてみたら?」

風「そうしたいのはやまやまなんだけどねぇ」

天乃「そんなに勉強してなかったの? 私よりも学校行ってたのに?」

風「うっ」

東郷「学校に行けたからといって、そっちに集中できたかと言えば……そうでもなかったので」

黙り込んでしまった風を横目に、

東郷はフォローを含めて、言い訳を答える

東郷だけじゃない、友奈たちだってそうだ

学校に行けたけれど、天乃は学校に行けずに入院中

しかもいつ体調が悪化するのかもわからないような不安を常に感じていれば、

勉強など頭に入るはずなどなかった

夏凜「勉強に集中して欲しかったんだろうけど無理言うなって感じよ」

樹「そもそも、私達だけじゃなかったですからね。集中できていなかったのって」

天乃「そこまで影響あったの?」

風「暴動を起こさせる程度にはね」

夏凜「クラスで妊娠公表するからそうなんのよ。ほんと、毎日毎日……」

大丈夫なのか、ちゃんと産めるのか

あんなに小さいのに、同い年のまだまだ子供なはずなのに

みんな、そればっかりだった

だからこそ、文化祭は大成させよう、楽しんでもらおう

そんな想いが強く込められていたが、それは言わない方がいいだろう


716 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/15(日) 21:14:32.500EmW+6F5o (3/8)


夏凜「風、一ヶ月で追いつく自信は?」

風「付け焼刃が、一年の努力に追いつけるとでも?」

天乃「300年を終わらせることのできた勇者なら、あるいは可能性もあるんじゃない?」

確かに、努力した時間も量も重要だし、

そこにかけた情熱が強いのならば、風がそれを追い抜くことは難しいだろう

だけど、別にそこでなくてもいい人はいる

とりあえずだとか、近いからとかではなく、

絶対にそうでなければならないという信念を持って臨むような人が決して多くはない年代だ

天乃「為せば大抵なんとかなるんでしょ? それで世界を救って見せた勇者様が、受験なんかで諦めないで」

風「そりゃぁ、でも、いや……うん」

救ったのは天乃だなんて、言うのは無意味

天乃が打ったのは最後の一手

それまでに持ちこたえてくれた風たちがいたからこその勝利だ

風「出来ると思う?」

天乃「私はそう信じてるわよ。必要なら、魔法の言葉もあげるけど?」


717 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/15(日) 21:27:08.410EmW+6F5o (4/8)


死ぬ気で

それこそ、今日から受験までの期間を一睡もせずに勉強し続けてしまいそうな魔法の言葉

思いついた天乃の笑みは悪だくみをしているのだと分かりやすくて

それを聞きたいと思いつつ、

聞いたら取り返しがつかなくなりそうで、風は笑って首を振る

風「信じてくれるだけで十分」

天乃「そう」

風「うん、それで頑張れる」

天乃「無理はしたらダメよ。それこそ水の泡になりかねないんだから」

夏凜「経験者の言葉ね」

天乃「そこまではいってなかったわよ」

唐突に口を挟んだ夏凜の一言にむっとして言い返す

けれど、止められなかったら確実にいってたと、天乃は思う

天乃「でも、感謝してる」

夏凜「っ」

天乃「ありがとね」


718 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/15(日) 21:41:06.540EmW+6F5o (5/8)


夏凜「べっ、べっつに……見てられなかっただけだし」

天乃の嬉しそうな笑顔から、夏凜は目を逸らす

ずっと見たいと思っていて

それのために頑張ってきて、

だけど実際に目にしてしまうと、その声を聞いてしまうと

どうにも上手な対応が出来なくなって、顔を背ける

東郷「照れた? 夏凜ちゃん、照れた?」

夏凜「んなっ」

園子「良いダシでてるよ~」

夏凜「ダシなんか出ないわよっ!」

茶目っ気の強い東郷と園子に救われて

内心の感謝を込めて言い返して、天乃へと目を向ける

そんな自分たちを見てか嬉しそうな天乃に、

夏凜は言葉を探して、ふと気づいたように笑みを向ける

困った笑顔だけど、幸せを感じる笑み

向けあう二人はそれぞれ察するだけで、何も言い合わなかった


719 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/15(日) 22:20:24.110EmW+6F5o (6/8)


千景「それで、久遠さんは進学じゃなく子育て集中で良いの?」

天乃「進学も考えてはいるんだけどね」

東郷「子育て集中したほうが良いのでは? 将来の収入が心配なら、私達が養いますし」

園子「そこは、懸念してないんじゃないかな~?」

夏凜「世帯年収で言えば相当な金額になるでしょ。私達」

ちゃんとした職にありつければ。の話だが

そもそも天乃は久遠家の神社を継ぐか継がないのかの話もあるだろうし

継ぐなら余計に収入の話は無縁なくらいにはなる

天乃「私って学生よりも母親な感じがするんでしょ?」

東郷「母性に満ちてますね」

樹「実際にお母さんですし」

風「母乳だってまだまだ出るんでしょ?」

園子「ママ……」

千景「真面目に話す気あるの?」

冗談めかしてはいるが、真面目なのだろう

浮つく呟きを漏らした園子はその瞳を真剣に向ける

園子「私の気持ちは話したからね。それでも、天さんが進学したいのなら私はそれを応援するし、全力で支えたいって思う」

樹「そうですよ。あれはあくまで私達の意見ですから。久遠先輩が実際にどうしたいのか。それが大事です」


720 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/15(日) 22:39:53.650EmW+6F5o (7/8)


自分がどうしたいのか。

それを悩んでいるからこそ、まだ答えを出していない天乃は、

意図したわけでもなく夏凜へと目を向ける

夏凜は冗談にも乗らず、ただ天乃を見ていた

さっきまでの照れた赤色はなく、目を逸らすことはない

向けられた真剣さは、本気で考えてくれているからこそだ

夏凜「今大事にするべきなのはどっちなのよ。どうとでもできる学校生活か。母親の愛情を求めてる子育てなのか」

天乃「……夏凜は」

夏凜「私は後者よ。別のことに夢中だった家族を知ってる。それが、子供にとってどんなものだったのかも知ってる」

だからこそ、夏凜は断言できるだろう

ここで勉強を選ぶのは良くないと

自分達を選んでくれるのは、嫌なんだと。

天乃が子供を愛さないわけがないし、みんなだっているし自分もいる

誰かのように愛されない苦しさを感じ、承認欲求に駆られて身を粉にするような人生にはならないはずだ

夏凜「まぁ、天乃の人生だし? 学校以外の時間を費やすだろうから絶対にダメとも言わないけどね」

天乃「みんなそうやって選択肢をくれるから迷うんじゃない」

風「……つまり、あたしが一緒に浪人しようって誘うのもありってこと?」

樹「お姉ちゃんは頑張ろうよ……」

夏凜「好きでいいのよ。天乃」



1、子供を大事にしたいわ
2、学校に行きたい……みんなも協力して
3、風を甘えさせたくないし、子育てに集中するわ
4、あと、友奈にも考えを聞いてから決めるわ。一応、ね


↓2


721以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/15(日) 22:45:42.82nIZjwyr9O (2/3)

1


722以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/15(日) 22:45:50.23APgXysMxO (1/2)

1


723 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/15(日) 22:58:04.070EmW+6F5o (8/8)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


夏凜「ところで、魔法の言葉ってなんなの?」

天乃「ん? あぁ、あれは……失敗したら絶交する。ってだけよ」

園子「天さんならやらないって安心感があるにはあるけど……だからこそ言われたことの絶望感が」

風「言われたら死ぬ」

天乃「泣きそうな顔で言わないで。本当はなんでも言うこと聞いてあげるって、言おうとしただけだから」


夏凜「分かってて言ってる?」

千景「この人が分かってるわけないでしょう。常識で考えて」


724以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/15(日) 23:08:19.28nIZjwyr9O (3/3)


久遠さんの何でも言うこと聞くとか色々な意味でヤバそう
あととりあえずは子育て優先になりそうだな


725以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/15(日) 23:37:58.95APgXysMxO (2/2)


風の進学はコンマ判定とかになりそう


726以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/16(月) 12:25:35.64nRcPnVAbO (1/1)

この世界では瞳さんがいたとはいえ夏凜は家族関係で寂しい思いをしてたもんな…


727 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/16(月) 21:20:57.44gQXlI0u+o (1/6)


では少しだけ


728以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/16(月) 21:24:52.49kJ6KKWZHO (1/2)

よしきた


729 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/16(月) 21:48:21.93gQXlI0u+o (2/6)


天乃「……私は子供を大事にしたいわ」

学校に行きたい気持ちもある

樹達が押し込めようとした想いに応えてあげたいとも思う

けれど、天乃としては。

二児の母として出てくる答えはそれだった

天乃「私もね。なくなってしまった経験があるから」

失ったというよりは、奪われたというのが正しい

銀を亡くし、

戦いの果てに家族の記憶を失くして

園子と別れ、讃州中学へと通い続けた

風がいて、沙織がいて、友奈がいて、東郷がいて

完全にすべてを奪われてしまったわけではないけれど

その喪失感は、今も覚えている

天乃「あの子たちに寂しい思いはさせたくない。辛いことも、悲しいこともあるだろうけど……でも、寂しいだなんて言わせたくない」


730 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/16(月) 22:28:32.10gQXlI0u+o (3/6)


天乃「やっぱり、私はお母さんになっちゃったのね」

子供の笑顔を見てしまったから

弱すぎる力に触れられてしまったから

容易く失われてしまうそれを失いたくないと、強く思う

そして、子供の幸せを感じられること、温もりに触れられること

それがとても、幸せに感じる

天乃「私はあの子たちを幸せにしてあげたい」

風「そんな申し訳なさそうに言うことないわよ。天乃」

天乃「……そんなつもりは」

樹「私達よりも子供を選んでるみたいだって、思ってますか? 思いますよね、久遠先輩は」

樹は一番幼いながらも、どこか大人びた笑みを浮かべる

天乃はそういう人だ

何も悪くはないのに、相手の想いに応えてあげられないことに罪悪感を抱く

東郷「私達にとっては久遠先輩の幸せが一番なんです。久遠先輩もそうだとは思いますが……そこは許して貰えませんか?」

園子「子供を愛してる天さんは可愛いんよ~大丈夫、大丈夫。そのっちは大満足なのです」


731 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/16(月) 22:54:30.99gQXlI0u+o (4/6)


真剣な東郷の裏で、

園子のふやけたのんびりとした声が場を和ませてくれる

別に重苦しく考える必要はないと言いたげな柔らかい表情

天乃の子供を優先する考えに反論などあるはずもないとする園子の目は、天乃を見つめる

園子「そうしたいからそうする。それが良いからそうする。それでいいんよ」

夏凜「私達がイエスマンじゃないのは分かってるでしょ?」

天乃「っ」

夏凜「嫌だったら嫌だって言うし、駄目だって思うならダメだって言うわよ」

今までだってそうしてきたのだから、

子供を優先されるのが嫌なら嫌だって言う

もちろん、子供を愛したいという母親の想いを非難するなどありえない

特に、夏凜はずっと天乃の笑顔が見たくて寄り添ってきたのだ

自分たちを選んでくれたら嬉しいは嬉しいけれど、

それが母親として子供を愛したい気持ちを押しつぶしてのものだとしたら、認めたくない

東郷「そもそも、久遠先輩には子供を選んで欲しかったんですよ」


732 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/16(月) 23:15:46.47gQXlI0u+o (5/6)


天乃の後輩としては一緒の学校に通いたいし

そうしてくれた方が嬉しいと思うけれど、

それはあくまで、学生としての考え

東郷美森……いや、天乃と共に生きることを決めた美森達は

血の繋がりがない双子を我が子として受け入れる心構えは十分だ

ゆえに、母親である天乃が子供を選んでくれることを望む

それが天乃の幸せにつながるだろうことは、見ていて良く分かった

風「天乃が母親なら、籍を入れるつもりのあたし達はどうなると思う?」

天乃「……母親?」

風「そ。産みの親じゃないし、血が繋がってるわけでもないけど母親になる」

東郷「私は父親でも構いませんが」

園子「わっし~……」

夏凜「とにかく、私達だってそうなんのよ。分かる? それが、子供よりも貴女が大事なんて言われて喜べると思う?」

喜べる人もいるだろうけれど、夏凜達はそうではない

それこそ自分たちのせいで子供が愛されないのではと悩ましくなる

夏凜「子供を心配してる天乃の顔なんて、もう見飽きたのよ」

身籠っている間

自分が死んで、子供を遺してしまうのではないか

そもそも、子供を無事に産むことは出来ないのではないか

そんな状況にあった天乃を間近で見て、凄惨な場面に立ち会うことさえあった夏凜は、もうあんなことはごめんだと首を振る

夏凜「頼ることは多いけど、子育ての手伝いは私達もするから。それを見て、学校をどうするか決めたらいいんじゃない?」

子育てと学業の両立

それがどれだけのものなのか。

ほんの一部ではあるかもしれないけれど、今年の受験を見逃すのならまずは一年

じっくりと悩んだらいいと、夏凜は付け加える

夏凜「不慣れ同士、助け合っていきましょ。天乃」


733 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/16(月) 23:17:43.63gQXlI0u+o (6/6)


では、途中ですがここまでとさせていただきます。
明日もできれば通常時間から


734以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/16(月) 23:26:10.09kJ6KKWZHO (2/2)


久遠さんと双子ちゃんを優しく包み込む勇者部の暖かさよ
そしてとりあえず学校は様子見だな


735以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/17(火) 08:02:42.94t3zhFSHpO (1/1)


あとは世界や大赦関連をどうするかだな


736以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/17(火) 09:05:05.636TcVp42Io (1/1)

世界は勇者部を復活させて導いていくのでは?


737 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/17(火) 22:56:35.23f2eLLtB8o (1/1)


すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
明日はできれば通常時間から


738以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/18(水) 00:04:20.29aOguZPY2O (1/1)

乙です


739 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/18(水) 21:24:51.214jNIb1EWo (1/1)


すみませんが本日もお休みとさせていただきます

諸事情で厳しいので、早ければ土曜日の再開を考えておりますが、
場合によっては日曜日にずれる可能性があります。


740以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/18(水) 21:39:59.37Dm1k2VzZO (1/1)

乙です
久々に少し長めの休載だけど連絡してくれてありがたい


741以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/22(日) 06:32:21.24n9WT4TesO (1/1)

くあゆシリーズついに五周年おめー
これからも原作共々末永く続いてくれるといいなぁ


742 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/22(日) 16:41:45.25i8RT/Fo3o (1/9)


では、少しずつ


743以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/22(日) 17:07:16.86uZ+Zzh3jO (1/1)

待ちわびたぞ


744 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/22(日) 18:12:18.80i8RT/Fo3o (2/9)


樹「もちろん、私達も全面的に協力させて貰います」

東郷「体も動かせますし、今までサボらせて頂いた分何でもさせてください」

何でもですよ。と付け加えて天乃を見るが、

天乃は東郷のそんな視線に気付いて、苦笑する

天乃もたまに使う言葉だけれど、東郷が言うと裏の意図が感じやすい

天乃「なら、安心ね」

風「安心できる要素あった?」

樹「今のうちにおむつの変え方とか覚えておいた方がいいよね」

東郷「離乳食のレシピも考えないとね」

夏凜「あと2、3か月で一応離乳食になる予定なんだけど」

まだ考えてなかったのかと言いたげな夏凜の呟きに、

東郷は当然のように首を横に振る

樹も嫌味とは思っていない

樹「もうそんな経つんですね」

風「離乳食か……まぁ、そのくらいならあたしが何とか出来るわよ?」

樹「お姉ちゃんに全部任せてたら、みんなでやる意味がないよ」

園子「今のうちに当番表でも作っておく?」


745 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/22(日) 19:13:42.40i8RT/Fo3o (3/9)


いずれ出て行ってしまう精霊である若葉を抜いても

夏凜、樹、東郷、友奈、風、園子、沙織

一日一人の割合で振っても、一週間を使いきてっしまう

それでは天乃が何もできなくなる

双子だから、一日に二人……三人

ローテーションしていくと考えれば、何とかなるだろう

夏凜「天乃って、料理はどの程度できるの?」

天乃「味覚がなかった時期もあるし……そこまでうまくは出来ないかもね」

一応、味覚を失う前はそれなりに料理もしていたし、

判断基準にならない兄と沙織の言葉だが、美味しいとも言われた

姉である晴海も言っていたのだから、嘘ではないと思いたいが。

東郷「料理担当、おむつ等雑務担当、あと久遠先輩担当でどうかしら?」

風「後ろ一つは却下ね。雑務は多いし、おむつだって処理と替えで一人ずついたほうがあたし達は安心でしょ」

大人や、慣れている人ならば簡単に替えてしまえそうなものだが

双子だし、別に慣れているわけではないのだ、一人に一人でやると考えたほうが良い

二人同時にするなんてないとは思うけれど、念のためだ


746 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/22(日) 19:49:07.46i8RT/Fo3o (4/9)


樹「でも、それってもう久遠先輩のお手伝いの範疇を超えちゃってるんじゃ……」

夏凜「天乃がどこまで手を借りたいかに寄るわね」

天乃「わたしだって素人だもの。手を借りれるに越したことはないわ」

東郷「質問良いですか?」

すっと手を上げた東郷は

天乃が頷いたのを見て一度口を開こうとしたあと、

とても真剣な表情で考えこんで、逸らした目を向ける

東郷「子育てに教育方針は含まれるんでしょうか?」

風「いきなり話跳んでない?」

園子「遠足のバナナ理論だねぇ」

夏凜「理論でも何でもないでしょ、それは」

子育てにどこまで含まれるのかと聞かれると、天乃も困る

読んで字のごとく子供を育てることであるなら、

子供が育つうえでの要素と言えるであろう教育方針も含まれるはず

東郷「よく聞く話では、含まれてると考えて良いと思いますが……」

天乃「何か心配事でも?」

東郷「私たち全員の意見を聞くのは無理があるのでは?」


747 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/22(日) 20:31:14.34i8RT/Fo3o (5/9)


園子「あ、私は口出しする気はないよ~」

東郷「そのっち!」

園子「私的には、自由を尊重したいんよ」

出ばなを挫いた園子は意見を変えずに笑みを見せていて、

いっても仕方がないと判断した東郷は眉間にしわを寄せたものの

ついたのは小さなため息だけにとどまった

樹「正直、教育方針を語れる年齢ではないかと」

風「まだ赤ん坊だしね。考えておくに越したことはないと思うけど」

夏凜「今のご時世で、それに意味があるのかってところよね」

天乃「夏凜も自由派?」

夏凜「勉強も良いけど、鍛錬もさせたいわね。有事に備えて鍛えたい」

勇者として育てる気はないけれど

それを経験した身としては、ある程度戦える子になって貰いたいらしい

天乃「確かに、東郷の言うとおりね」

教育方針を揃えるのは難しい

もっとも、天乃が決めればそれが全てになるのは変わらないけれど。

天乃「それは、子供がもう少し大きくなってから悩みましょう。子供と一緒にね」

親の一存で決めるべきではないことだけは、確かだ


748 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/22(日) 21:23:11.36i8RT/Fo3o (6/9)


千景「そろそろ戻る?」

東郷「子供がいるなら、一緒にとは言えませんね」

せっかく来たのだから、

消灯時間も過ぎてしまったし、

どうせなら一緒の寝床に……とでも言いたかったが、

子供を待たせているのならそうもいかない

風「わざわざ悪いわね。本当なら出向くべきなのに」

天乃「来たかったから来たのよ。悪いことなんてないわ」

樹「夏凜さんが会いに来ないからでは?」

天乃「それもあるけど」

夏凜「……はいはい」

お手上げだと手を上げる夏凜を見て、病室に活気が満ちる

天乃がいて、普通に話していて、笑っていて、

それだけで、とても明るい

天乃「それじゃ、また明日ね」

夏凜「明日の朝は行くわ。気が向いたらね」

天乃「どうせ来ないんでしょ? まったくもう」

困ったように笑いながら、千景に連れられて行く天乃を、夏凜は見送った


749 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/22(日) 21:29:09.17i8RT/Fo3o (7/9)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(子供、抱きしめる)
・   犬吠埼風:交流有(子供)
・   犬吠埼樹:交流有(子供)
・   結城友奈:交流有(子供)
・   東郷美森:交流有(子供)
・   三好夏凜:交流有(子供)
・   乃木若葉:交流有()
・   土居球子:交流有()
・   白鳥歌野:交流有()
・   藤森水都:交流有()
・     郡千景:交流有()
・ 伊集院沙織:交流有(子供の名前)
・      九尾:交流有(久遠陽乃)
・      神樹:交流有()


2月15日目 終了時点

乃木園子との絆  115(かなり高い)
犬吠埼風との絆  139(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  122(かなり高い)
結城友奈との絆  153(かなり高い)
東郷美森との絆  150(かなり高い)
三好夏凜との絆  170(最高値)
乃木若葉との絆  117(かなり高い)
土居球子との絆  63(中々良い)
白鳥歌野との絆  61(中々良い)
藤森水都との絆  54(中々良い)
  郡千景との絆  66(中々良い)
   沙織との絆  153(かなり高い)
   九尾との絆  84(高い)


750 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/22(日) 21:41:46.12i8RT/Fo3o (8/9)


√ 2月16日目 朝 (病院) ※水曜日


01~10 大赦
11~20
21~30
31~40 東郷
41~50
51~60 夏凜
61~70 水都
71~80
81~90 球子
91~00


↓1のコンマ


751以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/22(日) 21:42:16.23fS7fpgbZO (1/2)




752 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/22(日) 22:17:10.95i8RT/Fo3o (9/9)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「久遠先輩担当、要らない?」

樹「無くてもいいじゃないですか」

東郷「あればその日中傍に居られるのよ?」

風「なければ好きな時に一緒でしょ」

夏凜「天乃はそこら辺拘りないからどうにもできるし、気にしなくていいでしょ」


園子「私は抱いて寝てくれればそれでいいよ~」

東郷「それは駄目」


753以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/22(日) 22:28:59.76fS7fpgbZO (2/2)


双子ちゃんたちも凄く愛されてるなぁ
そして久遠さん担当という言葉から滲み出る東郷さんの欲望よ


754以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/23(月) 04:55:24.22QZyTr/PcO (1/1)


最近めっきり行為の機会少なくなってるから
友奈が代わりに餌食になってそう


755 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/23(月) 22:09:45.78+qhctdg9o (1/6)


遅くなりましたが少しだけ


756以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/23(月) 22:29:39.915Jjjb8qsO (1/1)

きてたか


757 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/23(月) 22:47:25.06+qhctdg9o (2/6)


√ 2月16日目 朝 (病院) ※水曜日


天乃「……よく眠ってる」

赤ん坊用の小さなベッドで寝息を立てる双子へと目を向けて、

起こさないようにと、触れようとしていた手を引っ込める

夏凜も見に来てくれたらいいのにと天乃は思うが、

夏凜は会いに行くと言いつつ会いに来てくれない

目的を果たした今、そこまでの好意はなくなった。なんてことはないだろうけど。

天乃「会いに来てくれたっていいと思わない?」

すやすやと眠る双子は、

天乃の問いに答えてくれるような様子はなく穏やかだ

答えを期待したわけじゃない天乃は困ったように笑って、手元の布団を握る

手持ち無沙汰だ

体が治ってきているし、

リハビリするのも悪くない

天乃「鍛えなおしてぼっこぼこにしてやるべきかしら」


758 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/23(月) 23:10:55.33+qhctdg9o (3/6)


むふーっと息を吐いた天乃は、一度、強く握り拳を作ってみる

全盛期に程遠い力は、

かつての女子学生よりも弱い力よりは回復に向かっているのを感じる

戦えるほどじゃない

でも、鍛えれば元に戻すことも出来るはずだ

天乃「友奈はどうかしら」

勇者としての力を失った友奈の回復力は一般人程度

靱帯を損傷してしまった友奈はまだしばらく動けない

その間に、どれだけ衰えてしまうのか。

両足の機能を失っている間、

最低限の低下に止められるようマッサージなどを行っていた天乃とて

そこまでしっかりとした力は残っていない

天乃「そのケアを手伝うのも、アリよね」

暇だからというわけではなく、

今までして貰った分を返すためにも。

友奈の体は傷ついていて、丁重に扱うべきだが、

そのあたり、天乃は慣れている


759 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/23(月) 23:28:31.98+qhctdg9o (4/6)


友奈の今の体を考えると、自分でやるのは少し大変だ

ただ、

東郷や風が天乃の代わりにすでに手伝いにいってくれているはず

だからといってそれを苦に思ってないだろうし

別に、天乃が手を貸す必要はないかもしれない

天乃「………」

そもそも、天乃だって力がそこまで出るわけじゃない

そのうえ、足はリハビリ中

傍に居ることは出来るけど

それ以上のことをするのは、まだ早い気もする

なら、昨日話していたように大赦を呼び出して話をするべきだろうか

向こうに来られるよりは呼ぶべき

そこには同意できる

断ることは決めたわけだし、

打つ手が決まったのなら早急に手を打ってしまうべきかもしれない


760 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/23(月) 23:34:08.95+qhctdg9o (5/6)


天乃「でも……友奈に話してからにするべきかしら」

方針を決めたとはいえ、

それについて友奈を蚊帳の外にして良いのだろうか

友奈の体の状況からして、

話から外れてしまうのは致し方ない部分もあるけれど。

天乃「友奈は別に気にしないと思うけど」

そうなんですね。というだろうか

いや、それは友奈にしては素っ気なさがある気がする

友奈のことだから「気にしなくていいですよ。久遠先輩たちで決めたことですよね」と、

自分の意見はみんなの言葉に含まれているようなことを言うだろう

そしてきっと、笑顔を見せてくれる

天乃「お世話になった瞳に声をかけるのも悪くないけど」

どうするか。


1、友奈
2、大赦を呼ぶ
3、瞳
4、勇者組
5、精霊組
6、大人しくしておこう
7、イベント判定


↓2


761以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/23(月) 23:37:21.06vSHVqhRNO (1/1)

3


762以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/23(月) 23:39:10.054P6xfYly0 (1/1)

3


763 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/23(月) 23:41:36.71+qhctdg9o (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


久しぶりの瞳


764以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/24(火) 00:08:30.544jRi6qTS0 (1/2)


瞳さん全然出番なかったからなぁ
たまにはスポットを当ててあげたいところだな


765以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/24(火) 00:58:08.40DWmuOxzPO (1/1)


最後喧嘩別れみたいになったんだっけ?


766 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/24(火) 21:46:09.97FqcXxMj7o (1/6)


では少しだけ


767以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/24(火) 21:47:11.96c+x3kZTIO (1/1)

よしきた


768 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/24(火) 22:24:58.20FqcXxMj7o (2/6)


天乃「最後は……そういえばそうよね」

数日前の戦いの日、

天乃をあの場所まで運んでくれた車の運転手は瞳だった

若葉が刀を抜こうとしたり、

ちょっとだけ大変だったことは、胸の内にしまっておいてくれている

こう言ってはあれだが、

瞳は天乃の送迎係としての仕事を全うしてきたため、

大赦として任せられる大きな仕事はないだろうし、

会いに来てくれてもいいのにと思わなくもない。

少なくとも仕事はあるだろうから

仕方がないことではあるのだけれど。

天乃「……出てくれるかしら」

朝というには少し遅い

けれど、ちゃんとした大人なら起きている時間

天乃「若葉、千景。ちょっと協力して」

千景「乃木さんも?」

天乃「電話をかけたいの。良いでしょ?」

若葉「ああ」

子供を千景に託して、

若葉と一緒に電話ができる場所まで出て行ってから電話をかける


769 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/24(火) 23:04:40.25FqcXxMj7o (3/6)


瞳『おはようございます。久遠さん』

天乃「おはよう……早いわね。出るの」

瞳『いついかなる時であろうと出られるようにしておくのが務めですからね』

大赦的には、

世界を容易く崩壊に追い込める怖い存在だ

機嫌を損ねたりするなど言語道断という感じだったのだが、

それでいてやっているのがあれなのだから、

救いようがなかったのかもしれない

瞳『退院する話は聞いていませんが、何か御用でも?』

天乃「そんな畏まらなくていいじゃない。私達は」

瞳『そうするべきだってお話があったんですよ。どうします?』

天乃「やめて」

瞳『そういうと思ってました』

電話の奥から聞こえる笑い声はどこかに反響しているかのように響く

部屋ほどの広さではない……なら、車だろうか

天乃「運転中?」

瞳『いえ、待機中です。久遠さんが逃げ出したいと言えば逃げ出せるように』

天乃「みんなを置いて行くほど、私は自分本位にはなれないわ」


770 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/24(火) 23:15:37.47FqcXxMj7o (4/6)


瞳『そうですか……そうですね。夏凜ちゃんが逃げろと言っても逃げませんよね』

天乃「言ってたりする?」

瞳『まさか』

この状況では逃げる理由が思い当たらない

無理にこじつけるとしたら、大赦に無理やり連れて行かれそうになっているかもしれないくらい

今の大赦もさすがにそれでは意味がないことは分かっているだろうし

それをするつもりなら先日来た時に実行に移していたはずだ

そのくらいには、状況は芳しくない

神樹様の加護が失われてしまったことで

世界に満ちていた豊穣の実りはなく、今まで以上に地道な努力の積み重ねが必要で

何もしなければ食料は日に日に失われていくことだろう

瞳『巫女様になるつもりはないんですよね?』

天乃「貴女は、なって欲しいの?」

瞳『そんなつもりは毛頭。私が一番見てきた勇者様は特に望まない人ですからね』

天乃「あぁ……そうよね」

瞳『夏凜ちゃんには会いました?』

天乃「ええ、元気にしてるわ。連絡取ってるんでしょ?」

瞳『定期連絡みたいなものですけどね』


771 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/24(火) 23:23:57.76FqcXxMj7o (5/6)


瞳『久遠さん、夏凜ちゃんはどうですか? 最初と比べて見違えたのでは?』

天乃「みんな見違えたわよ。夏凜もだけど、樹とか」

瞳『ふふっ、夏凜ちゃんも同じこと言ってました。負けていられないって』

まるで、自分の大切な人を褒め合うように、

共通の話題をつついて楽しむ午後のひと時のように

天乃と瞳は楽し気に会話を弾ませる

瞳にとって夏凜は家族の次に……もしかしたら、

家族以上に夏凜の姿を見てきたかもしれない人だ

その成長を実感できるのも

夏凜がしてきたことを喜ばれることも、だからこそだ

瞳『夏凜ちゃんは勇者ですか? 女の子ですか?』

天乃「難しい質問ね」

瞳『夏凜ちゃんには言えないと思いまして』

天乃「……確かにね」

瞳『わたしから告げ口しませんよ。それとも、言われずとも自分から言いたいですか? 夏凜ちゃんに』


1、勇者よ、夏凜は
2、まだ女の子よ。私に勝つまではね
3、
4、そうね。それがベストだわ


↓2


772以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/24(火) 23:25:11.00JKS9kpBHO (1/2)

1


773以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/24(火) 23:28:23.624jRi6qTS0 (2/2)

1


774 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/24(火) 23:29:49.28FqcXxMj7o (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日はお休みをいただくことになるかと思います。

再開は明後日、通常時間から


775以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/24(火) 23:40:30.32JKS9kpBHO (2/2)


夏凜ちゃんは子育てを優先してほしいみたいなことを言ってるけどやっぱりどこかで二人っきりの時間を作りたいなぁ


776以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/25(水) 01:29:34.503dC5FC3aO (1/1)


まあ退院してからになるんじゃない?
もう退院できそうな気もするけど


777以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/25(水) 23:53:10.11GOATgkqcO (1/1)

みんなと一緒に退院したいって言ってるから友奈を残すにしても次月じゃないか?


778 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/26(木) 21:28:05.78VH05HSQ3o (1/7)


では少しだけ


779以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/26(木) 21:37:35.10YkV1KNdlO (1/1)

やったぜ


780 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/26(木) 22:47:33.42VH05HSQ3o (2/7)


天乃「勇者よ。夏凜は」

瞳『そうですか……夏凜ちゃんは久遠さんの勇者様ですか』

天乃「貴女にとってもでしょう?」

瞳『そうですね』

瞳は明るく答えると、笑いを交えながら「そうですか」と続ける

天乃にとって夏凜は変わらず勇者であると

それが嬉しかったのだろう

呑み込むのに苦労しているのが、電話越しにもわかる

瞳『夏凜ちゃんの努力も報われます』

天乃「そうね。でも、夏凜はまだまだ、努力し足りないみたい」

瞳『久遠さんがいる限り、夏凜ちゃんが努力を怠ることはないと思います』

天乃「子供も喜んで鍛えるつもりよ」

瞳『備えあれば憂いなし。でしょうか? それとも、まだ、それしか知らないのでしょうか』

解り切っているように茶化すような声が電話から零れてくる

夏凜を見てきた瞳は

夏凜がその点を変えようとしていない理由を分かっている

瞳『夏凜ちゃんの傍に居てあげてください。からかってもいいです。もう大丈夫なんだってことを、教えてあげてください』

天乃「流石に辛い経験をさせ過ぎたわ」

瞳『そうですよ。だから、お願いします』


781 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/26(木) 22:56:42.12VH05HSQ3o (3/7)


髪の揺れる音がした

大人ゆえか、大赦ゆえか

一礼したと分かる音をさせて、瞳の言葉が続く

瞳『夏凜ちゃんをよろしくお願いしますね』

天乃「夏凜にとって、貴女は大事な家族の一人のはずよ」

瞳『私にとってもそうです。たった一年ですが、とても心労のかかる幸せな時間でした』

天乃「なのに、それでいいの?」

瞳『もともとそういう契約なんですよ。勇者としてのお役目がある間だけ私が夏凜ちゃんを預かるという契約』

鷲尾が東郷美森を鷲尾須美として預かったのと似たような話だ

瞳の苗字である夢路という名に力があるわけではないから、

三好夏凜は三好夏凜のままだったが

勇者である三好夏凜をサポートする名目で、瞳は夏凜を傍に置いて置くことが出来たのだ

勇者としての戦いに終止符が打たれた以上

元通りに、三好家へと戻るのが普通なのだ

天乃「夏凜には?」

瞳『一緒に暮らすときに伝えてます。ほら、ああいう子ですから、一年だけですからお願いしますって最初に言ったんです』


782 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/26(木) 23:09:52.52VH05HSQ3o (4/7)


努めてつまらない顔で「勝手にして」とでも返したのが目に浮かぶ

本当の肉親にはあまりいい触れかたをして貰えなかった夏凜にとって

瞳との関係は別段特別でもなく

勇者としてのお役目についた一般人―実際は特殊だったが―への監視のようなものにしか思っていなかったかもしれない

だけど、次第に本当の家族のように打ち解けていって

定例の報告は団らんでのひと時のような温もりを含んだものになっていただろう

年上として、頼っていただろう

瞳『私と夏凜ちゃんの関係はこれで終わりです。私と久遠さんとの関係ももう終わりです』

天乃「私達は一般人よ。離れる必要はないわ」

瞳『私が一般人じゃないんです。有象無象の血筋であれ、大赦である以上は果たすべき務めがあります』

これまで子供に頼り切っていた分、

超常の関わらない事柄には大人が率先して動くべきであるという働きかけがすでに大赦の内部にもある

久遠家の責務、三ノ輪家の犠牲、鷲尾須美という少女がいたという過去

それ以前のことも含めて、大赦だって一枚岩ではない

天乃を神の御使いとして扱おうとする一派がいれば、その逆も当然ながら存在する

瞳『夏凜ちゃんがこれからも一人なら、考えるべきことですけど、久遠さん達がいるなら憂いもありません』


783 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/26(木) 23:22:14.72VH05HSQ3o (5/7)


天乃「夏凜は何も言ってない?」

瞳『何か言うと思いますか?』

天乃「今の夏凜は素直な子だから」

瞳『その分、大人になったんですよ』

瞳は嬉しいのか、嬉しくないのか

感情を押し隠した静かな声色で返す

瞳という運転手ではなく、大赦の一員というイメージが強い声

仮面はないが、電話という不鮮明さがそれを増長させる

瞳『我儘だって分かってるんですよ。そのくせ、定期連絡を建前に連絡してきますし、問い合わせと称した相談もある』

天乃「貴女を頼っても良いって」

瞳『久遠さんに頼られたら断れませんからね、大赦としては』

天乃「夢路瞳としては?」

瞳『だとしても。ですね』

愚問だと言わんばかりの切り返し

笑いの混じった声は明るさを取り戻している

大赦になり切れないところが、瞳らしい

園子達の担任だった先生とは境遇が違うのも大きいだろうか

瞳『どうぞ、お幸せに』


784 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/26(木) 23:33:19.72VH05HSQ3o (6/7)


天乃「皮肉?」

瞳『そんなことないですよ』

天乃達に関わるようになってからずっと、願ってきたことだ

自分も若いと思っているが、

それ以上に若い子供たちが常に死と隣り合わせの闘いの日々

子供としての時間を使いつぶして鍛錬を重ね

それでも抗えない絶望に直面し、足掻き、乗り越えた先で挫折を味わい

それでもなお……屈せずに突き進んできた姿を見てきた

瞳『大赦は慌てていますが、私としてはこの程度で狼狽えてどうするんですかって失笑も禁じえませんよ』

天乃「クビになるわよ?」

瞳『底が知れますね』

天乃「言うようになったじゃない」

瞳『お手本がいましたから』

すんなりと返してくる瞳がひと呼吸置く

天乃も言葉を切って、目を瞑る

次に何と言われるのか、想像に易かった

瞳『久遠さんさようなら。大赦なんて忘れて、どうか心より楽しい人生を』


785 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/26(木) 23:36:00.05VH05HSQ3o (7/7)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


786以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/27(金) 00:53:03.50k8Fxe+B/O (1/1)


瞳さんとお別れするのか…なんか寂しく感じるな


787以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/27(金) 01:22:21.69KM6td28TO (1/1)


さようなら瞳さん


788以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/27(金) 08:00:25.99cfj4dKyeO (1/1)

夏凜はわからないけど他の勇者部なら引き留めるかな


789以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/27(金) 09:23:26.78F+WwuwZFO (1/1)

失笑を正しく使ってそうな瞳さん賢い
夏凜は行かないでと言わずにありがとうって言いそう


790 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/28(土) 21:19:33.93PgNlZOXRo (1/4)


遅くなりましたが、少しだけ


791以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/28(土) 21:36:23.52fupBq6YBO (1/2)

やったぜ


792 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/28(土) 21:51:37.60PgNlZOXRo (2/4)


天乃「貴女には迷惑をかけたわ」

自由の利かない車椅子という立場でありながら、

勇者部としてあっちこっちに移動していたし

その移動手段として、瞳に車を出して貰っていた

休みも何もないような生活は大変だったはずだ

天乃「運転手としての役割が必要なくなるのは分かってたんだけどね」

瞳『久遠さん?』

天乃「ごめんなさい、正直考えてなかったのよ」

瞳の運転手としての役割が無くなることくらい、

少し考えれば分かっていたはずなのだが、

そんなことこれっぽっちも考えていなかったし

それで瞳が別れを告げることになるなど思ってもいなかった

言われてようやく、そうなることを思い出したのは、

頼りきりだった身としては、いささか失礼が過ぎる気がする


793 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/28(土) 22:41:39.85PgNlZOXRo (3/4)


天乃「瞳がいてくれるのがあたりまえだって、思ってたのよ」

運転手としての役割を求めることが無くなっても、

好きに連絡出来て、夏凜の実家のようになっている家に向かえば、

そこで、普通に会うことが出来ると。

夏凜だってそんな素振りは全く感じさせなかったし、

瞳を頼って良いとまで言っていた

だから、そんなこと……

瞳『もしかして、寂しいっておもってくれてますか?』

天乃「そう言ったら、考え直すの?」

瞳『言ったら、久遠さんはどうであれ思ってるって言うじゃないですか』

天乃「流石に居て欲しくなかったら言わないわよ」

もはや答えのような気もしたけれど、

瞳の笑みを感じる声に、苦笑を伴って返す

なりふり構わず「思ってる」というのは事実だ



1、貴女がそれが良いと思っているなら私は良いわ
2、今生の別れじゃないんでしょう?
3、大赦なら、不安要素の双子くらいに見に来なさい
4、寂しくなるわ。私も、夏凜も


↓2


794以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/28(土) 22:44:38.47fupBq6YBO (2/2)

4


795以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/28(土) 22:46:12.48UexeETdm0 (1/1)

4


796以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/28(土) 22:47:31.88O5LkxeZBO (1/1)

2


797 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/28(土) 23:53:22.76PgNlZOXRo (4/4)


天乃「寂しくなるわ。私も夏凜も」

瞳『夏凜ちゃんもですか』

天乃「夏凜は言わないけれど、そう思ってると思うわ」

勝手に代弁したと知られたら

そんなことないと否定されるだろうけど

でも、夏凜にとって瞳が肉親のような存在だったことに変わりないだろう

それを失うなんてとんでもない

瞳は任せられる。大丈夫だなんて言うし

夏凜は何も問題がないようにふるまっているが、

何もないはずなんてない

天乃「ねぇ瞳。私達がなんて言ったって、大赦としてするべきことは変わらないんでしょう?」

瞳『ええ。変わりませんとも。もちろん、久遠さんが巫女として納めてくれるなんて言葉も無用ですよ』

天乃「………」

瞳『自負しませんが、久遠さんなら夏凜ちゃんのためにもそんなこと言いそうですからね』

嘘は聞き抜かれるだろう

けれど、互いに分かっていることが分かっている以上

無駄なことにはならないはずだと瞳は思う

なにより、天乃には大事にすべき子供がいる

一時の感情で子供の人生を狂わせるようなことはしないはずだ


798 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/29(日) 00:24:18.338vShfikvo (1/2)


瞳『嬉しいです。久遠さんと夏凜ちゃんに気に入って貰えて』

天乃や夏凜が勇者や神の御使いとしての立場に至れるような存在だということなど関係なく、

敵対に近い行為を行っていた組織の一員である自分が、

別れを寂しいと言って貰えるようになれたのは純粋に喜ばしいことだった

気難しいと言われていた二人と心を通わせられたということだし

良好な関係を築けていたということだから

瞳『久遠さんが大赦に一言いえば、どうにかなる。でも仕事としてお付き合いしていくようなことにはなりたくないと思ってる』

天乃「何も言わないでって言うの?」

瞳『交換条件を出されるのがオチですよ。正直言って時間の無駄です。子供との時間を大事にしてください』

天乃「貴女が申請してどうにかなることではないの?」

瞳『お話したほうが良いですか?』

天乃「したくないなら良いわよ。別に」

強制はしない

夏凜だって強制する気は毛頭ないと断言できる

瞳の意思を尊重したうえで、精一杯自分の意思を伝える手段が定期連絡の夏凜だ

察しろと言うのは意地悪だが、夏凜を知っている人ならば誰だって察せるだろう

天乃「人生の先輩に偉そうなこと言うつもりはないけれど、二児の母親として一つ言うのなら……」

目を瞑り、息を飲む

瞳は数年先に生まれ、すでに成人した大人だ

天乃の親ほどの世代から見れば子供だろうが、先人は先人である

そんな相手に語れることなど多くはない

天乃「子供が何を望んでいるのか汲み取って応えてあげるのが親の務めだと思うわ。まだまだ未熟ものだけど、私はそう思ってる」

瞳『全肯定はすべきではないと思いますが、一理あります。夏凜ちゃんとお話……するとしましょうか』


799 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/29(日) 00:32:57.418vShfikvo (2/2)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から


800以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/29(日) 00:42:43.15pXATtE2vO (1/1)


久遠さん母親になって言動も大人っぽさが増してきたなぁ
そして瞳さんは本当に去ってしまうのだろうか


801以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/29(日) 06:27:56.93hEtwaMhiO (1/1)


瞳さんもいい人だな


802 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/30(月) 21:36:08.10sLtUERcLo (1/5)


遅くなりましたが少しだけ


803以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/30(月) 21:42:55.287hTdQ1XLO (1/1)

待ちわびたぞ


804 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/30(月) 22:11:13.51sLtUERcLo (2/5)


天乃「私から夏凜にも話しておく……必要はないわね」

瞳『そうですね。大丈夫です』

天乃「夏凜について色々お願いしたいことがあるけど、瞳なら言う必要も無いのよね」

本当は優しい心の持ち主であること

それに素直になれない不器用な性格なだけであること

人一倍努力家であること、一生懸命な子であること

それ以外にだって色々あるけれど、

夏凜のことなら天乃よりも分かっているかもしれない

瞳『そんなことないです。私の知らない夏凜ちゃんなんてたくさんありますよ』

天乃「付き合ってるわけじゃないから?」

瞳『ええ。その関係だからこそ、見えることもあるのでは?』

天乃「と言っても夏凜はあんまり積極的じゃないからね」

みんなと比べて一歩引いたような姿勢の夏凜は、

どちらかと言えば消極的で

付き合っているからこそ見えてくるなんてものは殆どない

天乃「だから、瞳には夏凜とちゃんとお話しして欲しいわ」


805 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/30(月) 22:49:00.09sLtUERcLo (3/5)


天乃「貴女が知らないことがあるように私にだって知らないことはあるのよ」

夏凜はこう考えるだろうと推測して、

それを伝えることは出来るけれど、

それ以上深く心に隠している想いについては天乃でも代弁できる自信がなかった

それを本人に直接言うと、笑われるだろう

瞳『夏凜ちゃんは久遠さんと同じ意見のような気もしますけど』

天乃「自分よりも私の方が付き合いが長かったとでも思ってそう」

瞳『それは事実じゃないですか』

夏凜を引き取ったのは夏凜が勇者として選ばれる頃になってからで

不自由になってしまった天乃の送迎係を担っていた瞳の期間は長い

瞳『夏凜ちゃんも私のしたようにしたらいいって言うと思うんです』

瞳の言う大赦としても責務

それを全うするのがすべきことであると本当に考えているのなら、

それでいいと、夏凜は言うのではと瞳は思っていた

天乃もそれは否定できない


806 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/30(月) 23:14:54.58sLtUERcLo (4/5)


天乃「それが本心なら良いんだけど」

瞳『本心じゃない可能性もありますからね』

夏凜が好きにしたらいいと言う可能性はあるが、

本心からの言葉ではない可能性も十分あるのだ

血縁者よりも仲良くなれた相手

その人のやるべきことだとはいえど

完全に離れ離れになってしまうというのは許しがたいのではないだろうか

夏凜はその点、気丈に振舞いがちだが

端々に喪失感が滲むことだろう

瞳『夏凜ちゃんも分かってはいると思いますし、変らずに話してみようかと思います』

ごくありふれた、日常的な会話

電話をする時点で聊か違和感がうまれてしまうけれど

でも、家族としてならばそれは普通のこと。

今みたいに距離のある時はメールでの定期連絡がメインだが、

家に帰っていた時は直接口頭だったし場合によっては電話連絡も行っていた

瞳『血は繋がっていませんが、家族として』

天乃「ええ、悔いだけはないようにね」

どちらかと言えば夏凜に言うべきだけど、

天乃はあえて瞳にそれを伝えると、

宜しくね。と、声をかけて電話を切った


807 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/30(月) 23:19:26.89sLtUERcLo (5/5)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


808以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/30(月) 23:29:47.25IA3nAGXZO (1/1)


お別れしたら夏凜ちゃん強がりつつも部屋の隅っこで寂しがりそう


809以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/31(火) 01:29:24.14yatEPVnxO (1/1)


今年最後の久遠さん……
って思ったけど明日もあるか


810以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/31(火) 11:52:10.215aighK5eO (1/1)

そういや公式の方も新作小説を連載するらしいな
来年は向こうもくあゆシリーズもどう転んでくか楽しみだ


811 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/31(火) 23:21:38.44Bb4+svKqo (1/2)


今年も残すところ少しですが、少しだけ


812以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/12/31(火) 23:23:44.83QUmDcu3bO (1/1)

今年ラストきたー


813 ◆QhFDI08WfRWv2019/12/31(火) 23:42:11.75Bb4+svKqo (2/2)


天乃「瞳、どうすると思う?」

若葉「なぜ私に聞く」

天乃「過去の英霊がどうだからっていなくなろうとした誰かと似てると思わない?」

若葉「………」

ちらりと向けられた視線を受けた若葉は、

目を向けるべきかと悩んで、「そうだな」と零す

天乃の表情も声も穏やかで

責めるつもりがないのは明白だった

若葉「瞳さんは大赦というより、大人として果たす責務があると考えているんだろう?」

天乃「そうね……」

若葉「瞳さんにとって、夏凜が他人なのかどうかが重要だろうな」

血縁的に言えば、当然赤の他人だ

しかしそれは若葉達西暦組と天乃達と手同じこと

血の繋がりがあるかどうかではなく、相手と出会ってから

どのような関係にまで至ることが出来たのかが大事なのだ


814 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/01(水) 00:09:47.36Q+OSQq55o (1/8)


若葉「使命は大事だ。だが、それよりも大事なものは当然あるだろう?」

天乃「瞳の場合、だからこそ離れる事を選ぶんじゃないかしら」

若葉「そこは私もそうだが、今もここにいるじゃないか」

天乃「結局は、夏凜の気持ち次第ってことね?」

若葉「そうだな……いかに、素直に話せるかだ」

夏凜は素直に話すようになってきているけれど

瞳と天乃が話し合っていたように、

夏凜は瞳のことを考えて、

自分の本心を語ろうとしないかもしれないのだ

だが、それでは瞳は別れを選ぶだろう

もちろん、夏凜達のことを想って

若葉「瞳にどうして欲しいのか。夏凜が素直に求めればちゃんと考えてくれるかもしれない」

天乃「夏凜が求めると思う?」

若葉「天乃次第だと思うぞ。私は」

天乃が夏凜のことを考えているのと同じように

夏凜も天乃のことを考えているだろうと、若葉は思う


815 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/01(水) 00:31:50.45Q+OSQq55o (2/8)


若葉「瞳さんがいつ話すのか分からないが、彼女について話してみるのも悪くないんじゃないだろうか?」

天乃「瞳がいなくなっちゃうことは話さない方がいいわよね」

若葉「夏凜が察しているのなら、どちらでも良い」

天乃が瞳の話をする時点で、

その話がどのような形であれ天乃に伝わったのだと夏凜は理解するはずだ

そうなれば、夏凜は瞳がいなくなることを前提として話してくれるだろう

天乃相手で気丈に振舞う理由もないし

散々言い聞かせてきた我儘になれということを疎かにはしないなら

本心からの言葉で語ってくれる

それに対し、天乃がどう答えるかが非常に重要になってくる

天乃と同じように

夏凜とて天乃の全てを代弁することが適わないのだから

夏凜の気持ちを聞きつつ、天乃の気持ちを語るというのは重要だ

若葉「瞳さんには必要ないと言っていたが、二人にとっては必要なことだろう?」

天乃「屁理屈だわ」

若葉「でも事実じゃないか」

天乃「ええ、そうね」


816 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/01(水) 00:35:47.11Q+OSQq55o (3/8)

√ 2月16日目 朝 (病院) ※水曜日

1、夏凜と話す
2、夏凜と話さない

↓2




817以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/01(水) 00:38:04.69aDBxFC1qO (1/1)

1


818以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/01(水) 00:40:13.53bHvCP+TdO (1/1)

1


819以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/01(水) 00:41:08.66cxI+mq+tO (1/1)

1


820 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/01(水) 00:53:14.91Q+OSQq55o (4/8)


ではここまでとさせていただきます。
明日もできれば通常時間から


昨年は何度か休載を頂くなどありましたが、
もうしばらく続きますので、今年もよろしくお願いします。


821以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/01(水) 01:07:38.15j6+w09qrO (1/1)

乙&あけおめですー
こちらこそくあゆシリーズがこれからどんな展開になるのか楽しみにしてます


822以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/01(水) 08:10:18.523AdofXDDO (1/1)


今年もよろしく


823 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/01(水) 22:36:13.63Q+OSQq55o (5/8)


では少しだけ

安価は次回になるかと思います


824以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/01(水) 22:40:12.69uKLDiBx9O (1/1)

あいあいさ


825 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/01(水) 23:00:25.34Q+OSQq55o (6/8)


天乃「夏凜と話すわ」

若葉「そうか……二人きりの方がいいか?」

天乃「みんなも無関係じゃないけど……」

二人きりの方が良いと言いかけた天乃は、

その言葉を飲み込むと、くっと唇を噛む

近しい人の話だから二人きりでの話にするべきだ

それが正しいかもしれないが、

そこで隔離してたら今までと変わらないような気がするのだ

無関係ではないのなら、

風達にも話を聞いてみたほうが良いような気がする

だけど……と首を振る

これは夏凜の気持ち次第で変わってくる話

夏凜の本心たる優しさが

みんなの考えに左右されてしまっては元も子もない

そこまで考えた天乃の額にとんっと衝撃が加えられて

はっとして顔を上げると、若葉の指と顔が見えた


826 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/01(水) 23:31:36.19Q+OSQq55o (7/8)


若葉「眉間にしわを寄せるんじゃない」

天乃「若葉……」

若葉「私も人のことを言えないが……ふふっ。五箇条、今は六だったか。それを学んだ私には権利があるぞ」

自慢気な表情を見せる若葉は清々しい

悩んだら相談

それを指していると分かる若葉の言葉を受け止めて、

天乃はふと息を吐く

自分だけの問題ではないのに、

自分一人で考えているなんて無意味も良い所だ

天乃「とりあえず二人きりで良いと思う」

若葉「みんなは良いのか?」

天乃「みんなの答えは決まってるもの。後悔しないためにも、私達で話し合うべきだわ」

若葉「そうか……」

天乃「若葉としては駄目?」

若葉「いや、良い判断だ」

夏凜の気持ちを無視するのが悪手

天乃はそれをしかけていたのだ

それを二人で話し合ってからとしたのなら、英断だろう

若葉「なら天乃は部屋で待っていてくれ――」

球子「夏凜ならタマが呼んできてやるぞ」

若葉「球子聞いていたのか」

球子「みんな聞いてるぞ。心配しなくてもみんな同意の上だからな。胸を張っていい」


827 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/01(水) 23:46:50.86Q+OSQq55o (8/8)


二っと笑って見せた球子は天乃が答える前に背中を見せて、姿を消す

任せろと言いに来ただけなのか、

言うだけ言って消えてしまった球子に残されてしまった二人は

暫く黙り込んでいたが、おもむろに顔を見合わせて苦笑する

任せろというのなら任せてもいいだろう

若葉「部屋まで送ろう」

天乃「ええ、お願い」

若葉「……華奢だな」

ぎゅっと抱き寄せた若葉の呟き

思わず零れたであろう本音に本人が気づいていないのか

天乃の見上げる優しい顔は変わらない

天乃「私、お母さんらしい?」

若葉「どうだろう」

天乃「違うの?」

若葉「なんて言えば良いか……ふむ……」

むぅっとうなった若葉はふと足を止める

若葉「私にとっては女性だ。唯一無二の、たった一人の女性だ」

答えのようで答えではないような若葉の言葉

けれど、若葉にとっては精一杯らしく、

すぐに誤魔化す笑い声を零して歩みを進める

その耳元が赤くなっているのを見た天乃は、若葉には見えない笑みを浮かべながら

少しだけ、若葉へと体を預けた

天乃「……なら、守ってね」

若葉「ああ」

抱く力が少しだけ強くなる

病室までの距離は、あっという間に過ぎ去った


828 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/02(木) 00:05:57.865aIu0+UYo (1/6)


球子に声をかけられた夏凜が天乃の待つ病室に向かうのにそう時間はかからなかった

天乃が寂しいってさ。などという理由で呼ばれたからというのもあるが

千景や沙織

あるいは若葉ではなく球子が来た時点で

たったそれだけの理由ではないことは何となく察しがついていたからだ

夏凜「……入るわよ」

軽くノックをすると、病室から天乃の声が返ってくる

一段弾んだように聞こえる声は扉に隔たれているからだろう

天乃「パパが来てくれたよ~」

夏凜「パパ言うな」

双子を抱いて笑みを浮かべる天乃の傍らには、

普段いるはずの精霊の姿はない

全幅の信頼を置いているのか、姿を消している

天乃「ママは私よ」

夏凜「……まぁ、だとしたら私がパパか」

天乃「夏凜パパ」

夏凜「風パパと樹パパと美森パパと園子パパと友奈パパと沙織パパに若葉パパもいるのよ」

普段よりも早い口調で並べ立てた夏凜は、

赤ちゃんの頬を指の腹でムニムニと押して、愛らしそうに微笑む

夏凜「……多くない?」

天乃「半分ぐらいママで良いような気もしてきた」

夏凜「……ママ要素って?」

天乃「胸の大きさ?」

夏凜「勝ち目がないわね、それ」

きゃっきゃきゃっきゃと手をばたつかせる赤ん坊に笑みを浮かべるママの夏凜は、

天乃の手から姉の方を抱き上げて、ゆりかごのように体を揺らす

夏凜「……で、そんな話するために呼んだんじゃないでしょ?」

子供への優しさはそのままに、夏凜は天乃へと目を向けた


829 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/02(木) 00:15:21.505aIu0+UYo (2/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


風「夏凜が指名されたわね」

東郷「やっぱり欲求――」

樹「夏凜さんの雰囲気的に真面目な話では?」

園子「……お風呂に入りにくいから体を拭いてって求めるのかも~」

風「よくあったやつだわ。それ」


園子「天さんってもしかしてみんなの前で恥じらいがない?」

樹「一般的な人に比べればないと思います。脱ぎ慣れてますし」

東郷「言い換えればヤリ慣――」ガタンッ


830以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/02(木) 00:22:32.916RZCw1IZO (1/1)


胸の大きさ基準なら綺麗にパパかママかが割れるなw
あと双子ちゃんが相変わらずかわいい


831以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/02(木) 00:37:10.07pua/gs8HO (1/2)


夫婦としての風格が出てきたな


832 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/02(木) 22:09:36.005aIu0+UYo (3/6)


では少しだけ


833以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/02(木) 22:31:09.84+xNT67OmO (1/3)

きてたか


834 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/02(木) 22:52:45.115aIu0+UYo (4/6)


夏凜「子供のことなら良いけど、どうせ違うんでしょ?」

天乃「球子に何も聞いてないの?」

夏凜「聞いてない。天乃が呼んでるとしか言ってなかったわ」

多少余計なことは言われたが、言葉の通り余計なことだった

天乃がなぜ呼んでいるのかは

実際のところ、何も教えてはくれていない

夏凜「それでも、天乃がマジなこと話したいってくらいは分かる」

天乃「……やるわね」

襟首のあたりをぎゅっと掴んでは、引っ張る姉の方に応えて頭を下げてあげる夏凜は

添える左手を外して、赤ちゃんの手を包む

夏凜「それなりに見てきたつもりだし……瞳のこととか?」

天乃「ええ。そう」

誤魔化す必要はないと肯定して、

天乃は腕の中で眠る妹の方を一瞥し、微笑む

赤ちゃんの寝顔が愛らしいからか

夏凜が分かってくれていることが嬉しいのか。

天乃「瞳と電話したのよ。それで聞いたわ」


835 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/02(木) 23:25:11.335aIu0+UYo (5/6)


夏凜「やっぱり、いなくなるつもりだって?」

天乃「それが分かっているのに、何も言う気はないの?」

夏凜「元々そのはずだったから」

瞳も言っていたように

そういう契約での付き合いだった

その契約期限が過ぎた今、

瞳がするべきと思って行うことに異を唱える権利はないのではと思う

夏凜「大赦だって言うのは気に入らないけど、私達に敵対するわけでもないし、良いんじゃない?」

天乃「本当に良いの?」

抱いていた赤ちゃんをベッドに戻して、夏凜を見る

落ち着きを取り戻した赤ちゃんの閉じるかどうかの瞼を一瞥した夏凜と目が合う

夏凜「瞳がそうするべきって言うなら、それでいいわよ」

天乃「夏凜……」


1、私は、寂しいわ
2、夏凜にとって瞳はどんな人だったの? 契約だから。それで終わるようなものだったの?
3、……そう。夏凜はそれでいいのね?
4、子供の前で嘘はつかないって誓える?


↓2


836以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/02(木) 23:34:18.93pua/gs8HO (2/2)

4


837以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/02(木) 23:36:13.63+xNT67OmO (2/3)

4


838 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/02(木) 23:38:52.985aIu0+UYo (6/6)


では短いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


839以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/02(木) 23:48:16.69+xNT67OmO (3/3)


遠回しに説得してるような感じの久遠さん
夏凜ちゃんは素直な気持ちを出せるのだろうか


840以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/03(金) 00:01:48.28H77UaeeIO (1/1)


夏凛の答えやいかに


841 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/03(金) 21:38:58.89W5vhovy0o (1/6)


では少しだけ


842 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/03(金) 22:04:45.68W5vhovy0o (2/6)


天乃「ねぇ、夏凜。子供の前では嘘つかないって誓える?」

夏凜「……急に何?」

天乃「教育上良くないから。夏凜の方が詳しいだろうけど、もうこんな小さい時から学習してるって話だし」

夏凜「………」

胸元をぎゅっと掴んだまま、夏凜の腕の中で眠る赤ちゃん

天乃の腕の中で眠る赤ちゃん

二人とも眠っているが、その耳を通して脳の中には刻まれている

表向き記憶に残らないだろうが、深層心理にそれは残るかもしれない

夏凜「嘘なんてつかないわよ」

子供が眠ったからか、

夏凜は動きをだんだんとゆっくりにしていく

夏凜「瞳がそうするべきだって思ってるならそれでいいって考えてるのは本当」

天乃「……そっか」

夏凜「でも……寂しくは、なるかもね」

瞳との付き合いが終わる以上

瞳が暮らしている家に帰ることはなくなる

ここに瞳がいたはずなのになんて喪失感を感じることはないが

一つ一つの所作に対する瞳のコメントは二度と聞けなくなるし

こうしていたらこう言われたなぁ。と、思い出すことはあるだろう


843 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/03(金) 22:37:31.62W5vhovy0o (3/6)


夏凜「兄貴は気付いた時には家からいなくなってて……あんな家に一人になって」

兄からしたら、

自分と比べられることに辟易していた妹を解放したい一心だったかもしれない

だけど、大赦などという組織の一員に加わったことは特別極まっていて

夏凜の扱いは大して変わらなかったのだ

あの兄の妹なのだから。という期待

あの兄の妹なのだから。という重圧

むしろ嫌なことが倍になってしまったともいえる

そんな中で選ばれた勇者候補

それならばと突き詰めた夏凜は共に競った芽吹達を差し置いて勇者となって

手のひらを返した両親を横目に、大赦所属で天乃の送迎を担当しているという理由から

瞳預かりとなった

大して期待していなかった関係は少しずつ頼る割合が増えて

親ではないが、近親者と言えなくもない所にまで上り詰めていた

夏凜「正直に言って、風には悪いけど……せめて母親が瞳だったらと思うわ」

天乃「なら一緒に居たいんでしょう?」

夏凜「一緒は望まない。瞳には瞳のしたいことがあるはずだし、そのためには私がいないほうが良いことだってあるはず」

でも。と、呟く

夏凜「せめて繋がりは残したい。兄貴みたいに本人かもわからないようなやり取りしかできなくなるのはなんかね」


844 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/03(金) 22:56:33.99W5vhovy0o (4/6)


気恥ずかしさからか、

子供へと視線を下げた夏凜は苦笑いを浮かべる

夏凜「大赦としてはそんなことさせられないのが現実」

天乃「検閲は入るわよね」

夏凜「酷ければ代理とかになるかもしれない」

電話は無理でも、

メールのやり取りなら文体が大赦ゆえのお堅いものだとしても

大赦だからで押し通すことが可能だ

それで元勇者のご機嫌を取れるならば安いものだろう

天乃「沙織なら巫女に忍んで確認できるわよ」

夏凜「アサシンか何かよね。もう」

姿を消せて、壁抜けが出来て

巫女と精霊の力を併せ持っているハイブリット暗殺者

天乃が言えば実際に成し遂げそうなところが怖い

天乃「でも、言ってみたら? せめて繋がりは残して欲しいって」

夏凜「そんなこと言ったら困るでしょ」

天乃「そう思ってた時期もあったわね。私」

夏凜「はいはい、私達のせい」


845 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/03(金) 23:15:05.07W5vhovy0o (5/6)


静かに歩いて赤ちゃんをベッドへと下ろした夏凜は

抱いていた感触の残る手を見て、赤ちゃんを見て、天乃へと目を向ける

何か思うところがあるのか、ふと息を吐く

夏凜「天乃は? 寂しい?」

天乃「今まで付き合ってくれていた人よ」

敵ばかりの大赦の中で、

監視役としての役目を担いながらも味方してくれていた人

瞳の存在は、大赦との付き合いをするうえで非常に重要だったと言える

天乃「送迎して貰うことはなくなるけど、でも、寂しくなるわ」

夏凜「……そう」

零れ落ちるような呟き

天乃に向けたわけではないその呟きを追うように夏凜の瞳が動く

夏凜「確かに、付き合ってくれていたのよね」

我儘ではないが、扱いの難しい二人

その二人と、それ以外の勇者たちと

長く付き合ってきてくれた人

夏凜「分かった。最後くらい、困らせてみるわ」


846 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/03(金) 23:20:29.38W5vhovy0o (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から



東郷「……送迎が必要なくなったから外されるんですよね?」

天乃「ええ、それもあるわ」

東郷「送迎が必要なら別れる必要はない?」

天乃「絶対とは言い切れないけど、でも私の体は治ってきてるのよ?」

東郷「つまり、私達が何とかして久遠先輩を孕ませれば……?」


風「友奈ーっ! カァムバァァァック!」

樹「でも出来たらいいとは思うよね。子供」

風「えっ」


847以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/03(金) 23:41:28.28kL5mUwpqO (1/1)


ips細胞でなんとか……


848以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/03(金) 23:49:21.90RHPpSD4wO (1/1)


こういう時にこそ我儘を言っておかないとね


849 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/04(土) 20:57:23.26Ugcubpz1o (1/6)


では少しだけ


850以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/04(土) 21:20:06.36ENjrlTnAO (1/2)

よっしゃ


851 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/04(土) 21:28:36.85Ugcubpz1o (2/6)


天乃「今日中か明日には瞳から連絡があると思うわ」

夏凜「連絡するって?」

天乃「ええ。してくれるって」

夏凜「するつもりなかったのね……瞳」

元々の契約で決まっていたことなら、

メールで終了の通知を送るくらいで済ませてもいい

連絡するつもりのなかったことに対して、不満はあるが文句はないと、

夏凜は口に含んだ言葉を飲み込む

夏凜「天乃が連絡したからなんでしょ? ありがと」

天乃「お礼なんて」

電話をしたのは夏凜のためではなかった

契約でここでお別れになると知ったのも偶然だ

霊を言って貰うようなことをしていないと否定する天乃に

夏凜は「理由はどうあれ」と困った笑みを見せる

夏凜「結果的に助かったことに変わりないんだから、素直にどういたしまして。とでも笑ってなさいよ」


852 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/04(土) 22:06:31.88Ugcubpz1o (3/6)


夏凜「それはそれとして、名前は決めたの?」

天乃「沙織がね、はるとそらはどうかって提案はしてくれたんだけど……」

夏凜「気に入らない?」

天乃「そんなことないわ。全然いいと思う」

正直、自分で全く浮かんでこないのが申し訳ないくらいに。

とはいえ、みんなに聞くことなく決めてしまうのはどうかとも思うわけで

そう言っていたら、時間がどんどんどんどん過ぎて行ってしまった

天乃「夏凜はどう? 何か良い案ある? それとも、沙織の案が良い?」

夏凜「そうねぇ……」

子供の名前に関しては語彙力なんてものは役立たずだ

たくさん本を読んでいるからと言って、

子供の名前がすんなり出てくるわけではなく

出てきたとしても作中の登場人物からの引用が多い

夏凜「名前に意味を込めるって言う点なら咲とか華……優しい子で優子とかあるけど」

天乃「けど?」

夏凜「私のそれって結局読んできた小説の登場人物なのよ。できればそこに頼りたくない」


853 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/04(土) 22:49:39.96Ugcubpz1o (4/6)


夏凜「それで言えば、沙織のはるとそらは良い案だと思う」

天乃「それだって、陽乃さんの陽と私の天を使った名前よ?」

夏凜「その発想の転換というか、うまく当てはめるセンスがね……」

困り果てた唸り声を漏らした夏凜の眉間にしわが寄る

本気で悩んで浮かんでないだろう夏凜は

ちらりと天乃の腕の中を見る

すやすや眠る妹、ベッドに置いたばかりの姉

二人の名前は、どうするべきか

夏凜「陽乃は太陽、天乃は天そのものをイメージしてるんでしょ?」

天乃「お姉ちゃんは晴海で……海、お兄ちゃんは大地で地だよ」

夏凜「太陽、天、海、地……なら、星。星乃とかどう? それと、月乃」

天乃「あら、星と月?」

夏凜「そう。陽乃の太陽はともかく、天乃の天は天の神に対しての挑発というかそういう部分があるし」

星座をモチーフとしたのは大赦だが、それに通ずる姿をしたバーテックスに対するものとして

星を冠した名前を付ける

太陽に相対するものとして月の名前を冠する

夏凜「やっぱり……なしね。なんか違うわ」


854 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/04(土) 23:28:52.48Ugcubpz1o (5/6)


夏凜は自分で言って自分で却下する

久遠家が代々行ってきた天地空海の用いての名付けにあやかったもの

考え方としては間違っていないし、

陽乃の陽と乃は特別なものとされており、

今までの先祖には天乃以外にその言葉は一つたりとも使われなかったはずだ

天乃の子供であり、力を確実に引き継いでいる双子なら

その名前を用いるに十分な素質がある

星と月だって、

並び立つ双子の名前としては決して悪くはないはずだが夏凜は気に入らないらしい

天乃「何が気に入らないの?」

夏凜「……いや、感覚と言えば良いのかセンスと言えば良いのか分からないけど、はるとそらの方が可愛くない?」

天乃「私の名前は、可愛くない?」

夏凜「う゛」

言葉に詰まった夏凜はじっと見つめてくる天乃から目を逸らすかどうか逡巡し、

どうにもならなくて息を飲む

夏凜「か、かわいい……って、思ってるけど」

天乃「じゃぁ月乃ちゃんと星乃ちゃんだって決して悪くはないんじゃない?」

夏凜「……狡いわよ。そういうの」

天乃「ふふっ、私ってそういうところあるのよ。知らなかった?」

にっこりと笑みを浮かべる天乃に、

夏凜はどちらかと言えば知ってた。と、呆れたように返した


855 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/04(土) 23:35:11.80Ugcubpz1o (6/6)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから

そろそろ名前決め


856以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/04(土) 23:42:24.11ENjrlTnAO (2/2)


いよいよ双子ちゃんの名前を決める時か…
果たしてどんな名前になるかな


857以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 01:39:33.68BJ3WQUXSO (1/1)


双子ちゃん名前付いたらさらに愛着湧きそう


858 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 12:58:30.75FNslBdiro (1/23)


では少しずつ


859以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 13:16:27.37UQEPW8+YO (1/2)

やったぜ


860 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 13:24:36.08FNslBdiro (2/23)


夏凜「天乃は考えられたわけ?」

ベッドの端の方に腰かけた夏凜は、

天乃の足の位置を確かめるように擦って、天乃の腕の中にいる子供に手を伸ばす

まだ幼く、双子

そのせいもあって完全に瓜二つな妹は、触れてみると違いを感じる

感触は同じ

しかし、触れたものを察知しようと無意識に動く力が姉のそれとは違う

夏凜「名前は大事よ。ほんと」

天乃「うん。そうね」

言霊というものもある

迷信めいたものだが、与えられる名前というものは

名付けられたものが一生を通して持ち続けるものだ

変えることも出来る。が、変えたとしてもその名前で生まれてきたという過去は消えない

簡単に決めて良いものじゃない。自分たちの勝手にしてはいけない

込めるべきは祈りであって望みではない

天乃「夏凜は、春信さんのこともあるし四季を引用した名前よね」

夏凜「6月は季節的に夏だからそうなっただけでしょ」

天乃「でも、凜はそうじゃないでしょう? だからきっと、夏凜の名前だってしっかりとした意味が込められていたと思うわ」


861 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 13:43:35.91FNslBdiro (3/23)


夏凜「……だと良いけど」

どこかへと吐き捨てるように言った夏凜は、

はっとしたように、天乃の子供へと目を向ける

閉じていたはずの瞼は開いていて、

小さな小さな手が、触れてくる夏凜の指を握ろうと頑張っている

「ぁぅ」

夏凜「ごめん」

触れているせいで感じ取れてしまうし

子供は元々そういったことに敏感だという話もある

陰った感情を持って触れるべきではないと、

夏凜は困った笑みを浮かべて、その小さな手を指先で握る

夏凜「天乃に子供が産まれて、名前を付ける必要があるだろうって思った時に調べた」

赤ちゃんとつながっているからだろう

夏凜の目は子供に向いたままで

口元は緩く結ばれていて、怒哀の感情は感じられない

夏凜「夏凜は明るく元気に、けれど相手への思いやりを持つ勇気ある子でありますようにって意味があるって」

天乃「信じなかったのね」

夏凜「信じられるわけがない。あの親が、そんな意味を持たせるはずなんてない。そう思った」


862 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 13:58:45.78FNslBdiro (4/23)


夏凜「でも、今がそうであるように産まれたばかりの赤ちゃんにはただ、そうあって欲しいと思うだけ」

名前だってそうだ

ただの名前、されど名前

そうあって欲しいという祈りが込められただけの名前。

夏凜の両親だって、

最初から春信と比較していたわけではない

春信がそういう風に育っていったから、夏凜もそうだろうという期待をしてしまったのだ

天乃「………」

天乃は夏凜をじっと見つめる

赤ちゃんを見つめる夏凜の口元は少しだけ強く結ばれている

夏凜がどうして自分で考えた名前を取り下げたのか

そこに理由があるような気がして、天乃は口を開く

天乃「夏凜とお母様は違うわ。私とお母さん。お母さんとお祖母ちゃんがまるで違うように。何もかもが同じになるわけじゃない」

夏凜「天乃……」

天乃「貴女はそれが嫌なことだって分かってるんでしょう? それがどうなってしまうか分かっているんでしょう? それでも、繰り返すの?」


863 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 14:14:03.50FNslBdiro (5/23)


夏凜「そんな風に言われてもね。そればかりは分からないわよ」

天乃「私がいても?」

夏凜「……っ」

赤ちゃんの手よりもしっかりとしていて、大きい

けれど、自分よりも小さく、華奢な手が腕を掴む

それでも。

そんな言葉は言う気はないけれど、

あったとしても言えなくなるような瞳が向けられる

天乃「目を合わせたわね」

夏凜「狡くない?」

天乃「狡いわよ。知ってるんでしょ?」

夏凜「あんたねぇ……」

「あっあぅ~あっあっ」

夏凜に伸びた天乃の腕を掴む小さな手

私も私もと言いたげな声と笑顔に、夏凜は言葉を失って息を吐く

夏凜「信じてるわよ。天乃のことも、みんなのことも」

天乃「うん」


864 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 14:29:42.39FNslBdiro (6/23)


夏凜「とはいえ、私の方の名前は使わなくても良いんじゃない?」

天乃「冬と秋ならどっちも私の名前に合うんだけど」

夏凜「私が言ってるセンスはそういうやつじゃない」

天乃「秋乃ちゃんと冬乃ちゃん」

秋乃は穏やかで優しく落ち着きのある子に

冬乃は澄んだ清さのある温もりのある子に

そして、冬は秋から続き秋冬は夏から続く

天乃「どう? 夏凜」

夏凜「どうって、言われても……いや、あんた」

天乃「ん?」

夏凜「………」

それではまるで、二人の子供のようではないかと。

天乃が分かっていなさそうな名前の意味を、グッと喉元にため込む

夏凜「天乃の名前の候補はそれくらいなわけ?」

天乃「そうねぇ……」

1、今思いつくのはそれくらいかしら
2、他にもあるわよ。一応

↓2


※2は再安価。名前募集


865以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 14:31:43.75UQEPW8+YO (2/2)

1


866以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 14:41:25.54CIuwgu3fO (1/1)

1


867 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 15:17:47.05FNslBdiro (7/23)


天乃「今思いつくのはそれくらいかしら」

夏凜「そ、そう……」

天乃「どうしたの?」

夏凜「いや……別に」

それは違うと分かっている

けれど、その名前は自分と天乃の関わりが強く

それしか思いつかないと言われてしまうと、

天乃に限って言えば裏の意味なんて全くないと分かっているのに

少し、紅くなってしまう

夏凜「友奈たちの名前を使う気はないわけ?」

天乃「友奈たちの名前って四季とか空みたいに近しい言葉が思いつかなくて……その点、夏凜は夏だからわかりやすいし」

夏凜「そういうてきとう――」

天乃「もちろんちゃんと考えた上でよ? そもそも、近しい言葉で名付けること自体ちゃんとしてるんだから」

夏凜「繋がりを感じられるから?」

天乃「ええ。分かってるじゃない」


868 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 15:35:14.58FNslBdiro (8/23)


嬉しそうに笑う天乃の笑顔を、夏凜は見守る

胸の動きがあるからか、

抱かれる赤ちゃんはすっかり目を覚ましているが、同じく笑顔だ

天乃「名前を引き継ぐのだって、私の名前に関しては力を受け継ぐ意味合いもあるの」

夏凜「四季は?」

天乃「難しい言葉は使いたくないよねって意見があってね。四季はそれ自体にイメージが乗ってて子供にも伝えやすいじゃない?」

夏凜「………」

ふふんっと自慢げに話す天乃だが、

話していることは確かにそうで、一理ある

変な意味もないし、

秋乃と冬乃という名前は夏凜の個人的な羞恥心を除けば、

反対する理由がなかった

動く唇は薄い桜色

苦しさを感じる汗は流れて折らず、表情も柔らかい

顔色は落ち着いていて、白く澄んでいる

天乃「夏り――」

窓が締まっているはずの病室で、空気が勢いよく揺れる

中々軋まないベッドが軋んで、夏凜の足から抜け落ちたスリッパが床に落ちて音を立てた

天乃「夏凜? どうしたの?」

力が入っていないのは子供が間にいるからだろう

子供を挟む優しい抱擁

腰と首元に回った手が、その存在を確かめるように動く

夏凜「……ごめん」

天乃「良いけど、子供だけは気を付けてね」


869 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 15:56:32.82FNslBdiro (9/23)


夏凜は天乃を抱きしめて、

首筋に落ちた頭を少しだけ起こす

夏凜「……楽しそうだったから」

天乃「嬉しくなった?」

夏凜「聞くな」

天乃「夏凜達が頑張ったからよ」

子供がいるから両腕ではできないが、

子供の体を自分へと傾ければなんとか使える左手で、夏凜の頭に手を添える

言葉はなく、優しく撫でる

天乃「子供の名前を考えられているのだって、そのおかげ」

繋がりを大切にしたいのは、

その繋がりが容易く絶たれてしまうものであることを知っているから

世界は決して甘いものでも優しいものでもないことを知っているから

夏秋冬、四季を用いた名前を考えたのは、

別れがあれば再会があるように、四季もまた巡り戻ってくるものだからこそ。

天乃「温かいでしょう? 私」

夏凜「そうね、もう……冷たくない」

血を吐いて、血塗れになって、

血が抜けた分死人のように体温の下がっていたあの頃とは違う

強く抱きたい想いを赤ちゃんの柔らかさで制して、そっと体を引いた


870 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 16:33:05.14FNslBdiro (10/23)


夏凜「ほんとごめん。勢いが出た」

天乃「別にいいわよ。この子も嬉しそうだし」

夏凜と天乃に挟まれている間静かだった赤ちゃんは、

夏凜が離れた途端にその手をバタバタとさせて、夏凜の服を掴もうとしている

離れて欲しくなかったとみてわかる動きに、

天乃は思わず苦笑しながら、夏凜の方に体を寄せる

天乃「もう一回抱く?」

夏凜「抱かない。そんなことより名前を決めるんでしょ」

天乃「みんなにも相談しないと」

夏凜「天乃としては今までの中で何が良いのよ」

天乃「今までと言っても、まだ沙織と夏凜にしか教えて貰ってないわ」

夏凜「その中では?」

天乃「………」

沙織か、夏凜か

それとも自分で考えた名前か


1、はるとそら
2、星乃と月乃
3、秋乃と冬乃

↓2


871以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 16:34:33.21gFxhVA1LO (1/2)

1


872以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 16:35:13.215hbGOSXKO (1/1)

2


873以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 16:35:49.01esQNn66J0 (1/2)

1


874 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 17:01:15.34FNslBdiro (11/23)


天乃「私の個人的な意見で良い?」

夏凜「良いから聞いてるんだけど」

天乃「じゃぁ……夏凜の意見」

夏凜「は?」

天乃「夏凜の考えた名前」

夏凜「いや、あれは……なしって」

天乃「私は却下してませーん」

悪戯っぽく笑う天乃だが、

その考えは真面目なようで、本気でその名前が良いと考えているらしい

夏凜としては、天乃の考えた名前とか

沙織の考えた名前の方が良いと思う野田が。

夏凜「本気?」

天乃「天に輝く星と月。太陽とも繋がりがあって、すてきだと思うわ」

夏凜「けど」

天乃「どういう意味があるの?」

夏凜「………」

星乃は空に輝く星。あるときは人の導きとして、あるときは心穏やかな輝きのように

月乃は空から降る光。優しく穏やかな光は癒しを与えられるように

夏凜「だ、だけど沙織たちの方がいいんじゃない?」

天乃「私は夏凜の方が好きよ」

夏凜「はっ!?」


875 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 17:11:26.57FNslBdiro (12/23)


天乃「沙織のも分かりやすいわ。陽乃さんと私の名前を使ってるのも良いと思う。でも、夏凜の考えた名前の方が好き」

夏凜「あぁ……そう」

けれど、力を継ぐことに集中するあまり、

夏凜や天乃が考えていたような祈りらしい祈りが欠けてしまっている

それが悪いとは言わないが、

やはり、名前を付けるのなら、そういうものも重要だろう

それを考えれば、

天の神に対する思い、力を受け継ぐことへの想い

そして、自分の子供に対しての祈り

それらが備わっている夏凜の考えた名前が良いと、天乃は思ったのだ

天乃「夏凜はいや?」

「ぁぁぅぁぅぅ?」

夏凜「……なんなのよ」

天乃の言葉に続いて言葉にならない声を出して夏凜を求める赤ちゃん

ベッドの上に居た姉の方も、いつの間にか目を覚まして夏凜を見ている

天乃が言った【子供の前では嘘をつかないと誓えるか】それをまた問われているような気がした


876 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 17:37:31.14FNslBdiro (13/23)


夏凜「嫌じゃない……嫌じゃ、ないわよ。分かるでしょ」

自分がお腹を痛めた子ではないけれど、

自分の子供となる双子の名前の候補として自分の考えたものが選ばれた

それも、母親である天乃に選んでもらえた

嫌なわけがないし、嬉しくないわけない

「ぁぁぅ?」

夏凜「嬉しい……」

赤ちゃんの頬を撫でながら、

夏凜は諦めを含む笑みを携えて答える

まだそうなると決まったわけではないけれど

もしそうなったら、本当に父と母のようで。

天乃「だったらいいでしょ? 私の候補は夏凜の考えた名前。それでいいわよね?」

夏凜「駄目とは言わせないくせに……良いわよ」

天乃が推すのは夏凜の案

天乃がそれを言った瞬間にそれで決まってしまうのが勇者部だが。

子供が嬉しそうなのを一瞥した夏凜は、

それでも良いかと、赤ちゃんへと微笑みかけた


877 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 17:41:36.34FNslBdiro (14/23)



√ 2月16日目 昼 (病院) ※水曜日


01~10 夏凜
11~20
21~30 東郷
31~40
41~50
51~60 樹
61~70
71~80
81~90 千景
91~00


↓1のコンマ


878以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 17:45:07.39P7aqzvn6O (1/2)




879 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 17:51:32.59FNslBdiro (15/23)


では少し中断します
再開は19時頃を予定しています


880以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 17:53:17.20P7aqzvn6O (2/2)

一旦乙
名前どれもいい案だったなぁ


881 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 19:36:32.21FNslBdiro (16/23)


ではもう少しだけ


882 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 20:21:24.75FNslBdiro (17/23)


√ 2月16日目 昼 (病院) ※水曜日


子供の誘いに負けて病室に残っていた夏凜は、

昼食が運び込まれてくる時間になってようやく、そろそろ。とベッドから立ち上がる

天乃「お願いしてこっちに持ってきてもらったら?」

夏凜「流石にそんな我儘は言えないって」

勇者である夏凜達の扱いは最優先事項とされていて

多少の融通は利かせて貰えることになっている

昼食を天乃と取りたいという我儘なんかは、

症状的に軽くなってきている夏凜と天乃であれば

許可して貰えるはずだ

天乃「もう勇者じゃないからダメなの?」

夏凜「そうじゃないけど、居座りすぎたのよ」

天乃「風達なら文句は言わないでしょ?」

夏凜「………」

分かってるのかと眉を顰めた夏凜は渋った目を天乃へと向ける

以前なら何かあるのと疑問符を浮かべていただろうけど

その辺りは学習してきているらしい


883 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 20:51:25.93FNslBdiro (18/23)


夏凜「文句は言わないけどからかわれるのよ」

ようやく素直になったのかとか

やって来たのかとか

結局寂しかったのかとか

嫌なことをされたり言われたりはしないけれど、

羞恥心的に辛抱ならない

天乃「子供の為に一緒に居てくれてるんだから別にいいと思うけど」

夏凜「子供のためだけならね……ここだけの話、一緒に居たいのは事実だから」

天乃「……そっか」

夏凜「……ばか」

言ったのは夏凜だが

ちょっぴり赤くなって声が小さくなった天乃を見てしまった夏凜は

思わず悪口を呟いて目を逸らす

断じて寂しかったわけではない

夏凜「前は良くなってきたところに一緒に居たら体調崩して……不安だったのよ」

天乃「あったわね。そんなことも」

夏凜「でももう大丈夫そうだし、それなら――とか思うのよ」


884 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 21:18:35.58FNslBdiro (19/23)


夏凜「だから東郷はともかく、風とか園子の言葉は結構痛い」

天乃「誇ってみれば? そうだけど悪い? って」

夏凜「はぁ?」

天乃「貴女がそうやって怖気づくからその言葉に意味があるの。だからなんなんだって胸を張って見せれば治まるはずよ」

夏凜「そりゃ一理あるけど、出来たら苦労しないわよ」

夏凜は困り顔でぼやく

頭で考えられても、それが実行できるわけではない

やっぱり天乃のことが大好きなんじゃない。とでも言われたら、

まず間違いなく声を張り上げる……しかも裏返った声で。

天乃「やっぱり、私のこと一番好きなんじゃない」

夏凜「はぁっ!?」

引き込む吐息に巻き込まれた間の抜けた語尾

見開いた瞳は驚きが露わになっていて、

ほんのり赤い頬が可愛らしい

天乃「ふふっ」

夏凜「っ、急に何言ってんのよ……」

天乃「ふふふっ、ふふっあふっ」

夏凜「笑うなぁっ」

天乃「ごめんなさい、ふふっ……あはっふふっ図星、なのねっ」


885 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 21:52:31.61FNslBdiro (20/23)


夏凜「あんたねぇっ」

天乃「素直になったらいいんじゃない?」

夏凜「押し倒すわよアンタ」

本気ではないのか

呆れた声色の夏凜は心を落ち着けるためか、子供の方へと顔を向けて

その優しい横顔に天乃は微笑む

素直に好きだと言えればからかわれることなんて何ともないはずなのに

そうできる勇気があるはずなのに

夏凜はしようとしない

いや……してくれない。だろうか

夏凜「子供についての話するなら病室にいるよう話しとくけどどうする?」

一息ついて、何事もなかったように夏凜は問う

友奈がいないのは仕方がない

だけど、いるはずの子がいない状態での話は二度手間だろうという配慮


1、そうね。お願いできる?
2、ベッドに横になる
3、押し倒してくれないの?
4、好きって、言ってくれないの?


↓2


886以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 21:55:03.45qNI4+ssMO (1/2)

3


887以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 22:03:19.20esQNn66J0 (2/2)

3


888 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 22:17:53.12FNslBdiro (21/23)


天乃「……押し倒してくれないの?」

夏凜「え、は、いや、あれはっ」

天乃「ただの冗談?」

夏凜「もしかして、まだ効果が残ってる?」

夏凜は答えずに問い返した

つい数秒前と違う天乃の雰囲気

以前にもあった天乃の穢れによる情欲衝動

それの再発を警戒したためだ

天乃「どうして何もなかったみたいに話を変えるの? 本当は嫌い?」

夏凜「ちょっと待って。待って天乃落ち着いて」

物語に出てくるような

面倒くさい系彼女に通ずるものがある天乃の言葉

天乃がそんなものを嗜んでいるはずがあるわけがない

天乃「落ち着いてないように見える?」

夏凜「穢れの力が暴走してるかと思って……」

天乃「私がそういうの求めたら変なの? 抱いてって言ったら穢れのせいだって仕方がなくするの?」

夏凜「そんなわけない」

天乃「だったら――」

夏凜「子供の前でできるわけないでしょうがっ」


889 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 22:47:31.37FNslBdiro (22/23)


思っていたよりもあった勢いを受け止めたベッドが軋む

華奢だと感じた天乃の細腕を抵抗などさせない力で抑え込む夏凜の結んだ二束の髪が

天乃の顔の横へとカーテンのように垂れて

明るさをかき消す暗い影の中、深い色の瞳がじっと天乃を見下ろす

夏凜「押し倒すって、こういうことなのよ?」

天乃「うん……分かってる」

抵抗できない力でベッドに押さえつけられて

その圧迫感と無力感からくる怖さに息を飲むものなのだ

夏凜「解ってないでしょ。こういうことしないの? とか」

力でねじ伏せるのは好みじゃないが

ベッドに散らばる桃色の髪、膨らんだ乳房の柔らかさが目に見える潰れ具合

呼吸するたびに微かに揺れて、僅かに開いた唇、宝石のように輝く橙色の瞳

前髪が横に流れて見えた眉

布団がなければより隅々まで見ることのできる姿勢

夏凜「このまま、唇にキスできる。首筋に痕をつけることだってできる」

天乃「うん」

夏凜「受け入れるの?」

天乃「受け入れるというか……夏凜がそういう痕つけたいなら、別に」

夏凜「付けたくないわよ。傷みたいなものなんて」

でも、つかない程度になら。

そう考える夏凜の横で、元気な声が上がる

夏凜「………」

天乃「………」

隣の並んだ小さなベッドから聞こえる愛娘達の楽し気な声に緊張感が削がれ、

夏凜は天乃を押し倒したまま、目を瞑る

夏凜「……せめて人がいないところに行かないと」

天乃「連れ出してくれてもいいのよ?」

夏凜「さては思ってた以上に欲求不満ね?」


890 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/05(日) 22:53:21.38FNslBdiro (23/23)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「四季……?」

東郷「それなら東西南北方角だって有効では?」

樹「久遠西乃や南乃だと、なんだか外国での和名の読み方みたいですけど良いんですか?」

東郷「はっ!」


園子「にぼっしーの案は良かったよねぇ」

風「同級生なんだから逃避しないで」


891以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 23:00:31.15qNI4+ssMO (2/2)


久々に濃厚な夏凜ちゃんメイン回だったな
一番夫婦感が出てるけど実は肝心の営みはカットされたりとかして少な目というね


892以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/05(日) 23:01:47.99gFxhVA1LO (2/2)


四つ子なら方角だったのかな!?


893以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/06(月) 01:03:00.38loQ51bZBO (1/1)


読み方はどう読むんだろ
せいの?ほしの?

月乃はなんとなく「つきの」な気はする


894以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/06(月) 08:04:56.87jTAo3+GKO (1/1)

久遠星乃(くおん ほしの)
久遠月乃(くおん つきの)
かと思われる

夏凜ちゃん奥手だから久遠さんの誘い受けが光るぜ


895以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/06(月) 08:58:56.75+Vir27Vlo (1/1)

面倒くさい系彼女は草
でも夏凜がなにもしないせいだから許す


896 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/06(月) 21:39:00.113WL2GUYyo (1/5)


では少しだけ


897以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/06(月) 21:41:29.30NJEJqe/HO (1/1)

よしきた


898 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/06(月) 22:16:57.963WL2GUYyo (2/5)


天乃「別にそういうわけじゃないけど……」

夏凜「だとしたら、東郷にでも毒された?」

天乃「ううん、違う」

夏凜「………」

天乃「夏凜が急に抱きしめてきたから、ドキドキした」

すぐ隣から聞こえてくる子供の声

全力を出しても敵わない夏凜の力

その抑止力もあって、天乃は夏凜を見つめるだけに止める

夏凜「……あれはそういうのじゃないから」

天乃「分かってる。私だって別に夏凜とエッチなことがしたいわけじゃない」

夏凜「だったらなんなの?」

天乃「感じたいの。感じていたいの」

夏凜「………」

天乃「分かってよ。貴女も女の子なら」


899 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/06(月) 22:39:58.813WL2GUYyo (3/5)


それがずるい言葉だということは分かっていて、天乃はそれを口にした

男の子であれ、女の子であれ

心のすべてを察しろなんて無理な話

自分で求めて、それでも蔑ろにされて初めて嫌味を言うべきだ

夏凜は問えば答えてくれる

求めれば応えてくれる

だから、そんな言い方なんてする必要はなくて

なんでそんなこと言うのか。

どうしてそんなこと言われなければいけないのか

反論があってもおかしくなかったが、

夏凜は驚いた表情を鎮めると、目を逸らす

夏凜「悪いけど、その辺の女子力の無さには自信があるわ」

天乃「自信を持たないで」

夏凜「風の方が女子力がある。友奈や樹の方が察しが良い。天乃になんて言われようとそれは断言できる」

鍛錬に努めてきた人生だ

恋をして、頑張って勉強してみたけれど

それはやっぱり付け焼刃

振り払ってきた乙女心なんてまだ一握りほどもない


900 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/06(月) 23:13:33.113WL2GUYyo (4/5)


夏凜「男だったらきっと、みっともなさすぎて死にたくなる」

自分より優秀な人がいると自覚している

追いつこうと変わろうと努力して

それでも手が届かない未熟者だと思い知らされて。

夏凜「だから、パパは無理。私にはその資格がないと思う」

天乃「……卑屈ね」

夏凜「そう言ってくれるから、好き」

そんなことはないよ。と、甘い言葉を囁ける場面だ

私は十分あるよと寄り添える場面だと思う

だけどそうせずに、困った笑顔で卑屈と言う

その厳しい優しさが好きなのだ

夏凜「でも、本当にそう……謙遜じゃなくて、卑屈」

夏凜は自分への嘲笑のように笑うと

天乃へと向き直って、眉を顰める

夏凜「だから、悪いけど私に女の子ってものを教えてくれない?」

天乃「……私だって、普通の女の子じゃないわ」

夏凜「普通かどうかなんてどうでもいい。私は、久遠天乃って女の子のことが知りたいだけよ」

隣のベッドからの声がだんだんと遮断されていく

双子の視線を遮るように、天乃の手と自分の手で壁を作って

こっそりと、唇を重ねる

質素な病室の色合いがなぜだか鮮やかに感じて

桃色の匂いは甘く、溶け込んでしまいたくなる温もりに満ちている

夕暮れ時の人気の薄れた教室でこっそりとキスするラブロマンスの描写が、ようやく感じ取れた気がした


901 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/06(月) 23:15:20.723WL2GUYyo (5/5)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


902以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/06(月) 23:29:51.57b2idY1UXO (1/1)


なんてロマンチックなやりとり…
よく久遠さんの旦那扱いされるけど夏凜ちゃんだって立派な女の子だもんな


903以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/06(月) 23:50:58.36cpAaOPaZO (1/1)


前々から分かってたけど尊さが凄い
本妻はやっぱ特別なんだなって


904以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/07(火) 00:37:37.18F4ZTPCorO (1/1)


まあ隠す部分は隠しておかないと将来的に夜に美森お母さんと天乃お母さんがプロレスごっこしてるの見たって言って茶の間を冷やす事件が起こりかねない


905 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/07(火) 23:12:27.90m+hrq01yo (1/1)


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日はできれば通常時間から


906以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/07(火) 23:39:59.84llIUJklMO (1/1)

乙ですー


907 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/08(水) 21:06:37.88Gq7FjNMao (1/5)


では少しだけ


908以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/08(水) 21:19:18.508+QjyvZDO (1/1)

あいよー


909 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/08(水) 22:33:35.63Gq7FjNMao (2/5)


夏凜「っふ……」

子供がいる場所でできるのはこれが精いっぱいだ

作っていた壁を取り除き、

天乃にのしかかっていた圧迫感を持ち上げて離れると

夏凜は重なるために閉じていた瞼を開く

夏凜「これで少しは我慢――って、何顔赤くしてんのよ! 私の方が恥ずいんだけど!」

天乃「だ、だって……」

夏凜「あぁもう……っの」

悲しくないのに涙が零れそうなほどに潤んで見える天乃の瞳

陶器のように白かった肌は白桃のように鮮やかさに染まり、

甘さのある唇の余韻も相極まって、目の前には果実が落ちているようにしか見えなくなってしまいそうで

夏凜は誤ってもしないようにと、自分の手首を口に押し当てる

夏凜「そんな顔されたら、先に進みたくなる」

天乃「ごめん」

夏凜「いいって、言わないんだ」


910 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/08(水) 23:26:48.00Gq7FjNMao (3/5)


天乃「ぇっ!? だ、だってっ!」

夏凜「子供がいるから……でしょ? それはそうだわ」

天乃「夏凜?」

夏凜「でも、天乃は求めてきた」

夏凜の瞳は穏やかだが、冗談ではなさそうだと天乃は息を飲む

流石に、自分で子供がいるからやるべきではないと渋っていたのに

無理やりしてくることはないはずだけど。

夏凜「その気持ちが少しわかったわ」

天乃「……余計なことさせちゃった?」

夏凜「いや、我慢できなくなるわけじゃないし……」

今の天乃を押さえつけていたらどうなるかは分からないが、

そうしない程度の理性はある

夏凜「ねぇ天乃」

天乃「うん?」

夏凜「やっぱり、好き」

天乃「ここでそれを言わないで……抱いて欲しくなる」


911 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/08(水) 23:49:14.36Gq7FjNMao (4/5)


性的なことではなく、

ただ単純にその温もりを感じさせて欲しい

それも、子供の前では距離感的に近すぎて

教育上悪いというわけではないけれど

恥ずかしいわけでもないけれど

なぜだか、遠慮してしまう

夏凜「……馬鹿ね」

天乃「仕方がないじゃない」

夏凜の困った笑みに、天乃は似たような笑みを返す

人の温もりが好きだ

一人は嫌だ

その感触で、安心できる

だから、欲しい

でもそれは求めすぎだと天乃はかみ砕く

けれど――

夏凜「あんたじゃない。私がよ」

夏凜の優しい声

布団の中で、何かが天乃の手を握る

夏凜「一緒に居て大丈夫なら、一緒に居たい。そう思っちゃってる……ほんと、鍛錬漬けの脳筋はだめだわ」

あたかも自分が悪いという口ぶりで

自分の我儘だと苦笑して

握ってくれる手は、離さないでと引き寄せるように指を絡めてきた


912 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/08(水) 23:58:55.87Gq7FjNMao (5/5)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から


園子「脳筋だから力加減が分からない」

園子「夏凜はそう言うと、天乃の体を引き寄せて抱きしめる」

園子「脳筋だから嫌がってるかどうかなんてわからない」

園子「夏凜はそう言うと、天乃の頬を包んで――」


東郷「そのっち、脳筋なら三大欲求である性交渉に一直線だと思うわ」

樹「えぇ……」


913以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/09(木) 00:13:33.746LrtEiPTO (1/1)


子供がいるからとはいえお互いに下心がほとんどないのが凄いな
他の子だったらもう性的な行為とか始めてそう


914以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/09(木) 03:40:26.67vr7FM+xoO (1/1)


子供がいなかったら最後まで行ってそうな空気感はあるけどな
まあ恋人同士なんだからなんの問題もないけど


915 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/09(木) 22:33:03.89hsvfTvXBo (1/3)


遅くなりましたが、少しだけ


916以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/09(木) 22:34:42.52EoRY8vB4O (1/1)

やったぜ


917 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/09(木) 23:30:01.48hsvfTvXBo (2/3)


夏凜「……ねぇ、もし進路なんかどうでもいいから一緒に居たいって言ったらどうする?」

天乃「なにそれ」

夏凜「たとえばよ。例えば」

笑いながら、夏凜は言う

他愛もない会話の一片とでも言いたげな夏凜の表情

ベッドに座る天乃と夏凜の視線は、

身長の分低い天乃が見上げる形になってしまう

天乃「本気でそう思ってるでしょ」

夏凜「まぁ、讃州に通ったのだって勇者部があればこそだったから」

本当なら通うつもりなんてなかった

勇者の素質上、勇者達と合流する場合は学校に行く必要があったはずだが

それでも、授業に参加したりする必要がないと言えばないし、

放課後にだけ合流すれば話は出来る

今のような仲の良さに至れなかっただろうけど……それはあくまでその場合の話

結果的には讃州に通い、勇者部に入り天乃と付き合うことになっている

夏凜「だから、私は別に……高校に通いたいわけじゃない」


918 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/09(木) 23:48:48.98hsvfTvXBo (3/3)


学校に通いたくても通えない天乃の前で

それはとても酷い言葉だろうと夏凜は後から思い至って、首を振る

夏凜「ごめん」

でも、それはつまり本心だ

みんながそうであるように、夏凜は天乃と一緒に居たいと思う

違うのは、一緒に学校に通いたいわけではないということ。

今まで遠慮していたツケが今更回ってきてしまったか

それとも、子供を愛し育てることを優先しようとしている天乃を見て

自分も、その心に従うべきだと思ったのか。

あるいは。

夏凜は傍らのベッドへと目を向ける

二人の子供、薄いオレンジ色の丸い瞳が見返す

夏凜「……出産に立ち会ったからかしらね。考えがどうであれ、意識的には父親なのかも」

天乃「育児休暇って高校にはあるのかしら」

夏凜「ないでしょうね。まず間違いなく」


919 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/10(金) 00:06:22.18+8VvMiT1o (1/2)


夏凜「天乃はどう? 学校に行かずに一緒に居る私と、ちゃんと学校に行って一緒に居ない私」

天乃「難しいことを聞いてくるのね」

一緒に居ることを求めたくなる状況で、

学生として不真面目ではあるが、一緒に居てくれるのと

真面目ではあるが、一日のほとんどを一緒に居られないのと

どちらが良いのかと聞かれると困る

もっとも、自分の感情を無視してしまえば答えは簡単なのだが。

天乃「……私がどちらか決めたら、貴女はそうするの?」

夏凜「自分でも分からない」

どちらが正しいのかなんて

長い目で見て、しっかりと考えればわかることなのに

目先のことを考えてしまう可能性を否定できない

夏凜「正しいのは、学校に行ってちゃんと勉強して仕事する事なのは理解してるけど」



1、そうよ夏凜。そうして頂戴
2、私、養われるつもりだから。薄給な人はお断りよ
3、……何か方法が無いか、調べてみる?
4、手を離す


↓2


920以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/10(金) 00:09:27.16jF3ZbCxlO (1/1)

3


921以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/10(金) 00:09:34.28UKVjhBvPO (1/2)

3


922 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/10(金) 00:18:49.24+8VvMiT1o (2/2)


ではここまでとさせていただきます
明日はお休みをいただくことになるかと思います
再開は明後日、通常時間から


園子「あるよ。たった一つの冴えたやり方」

東郷「……夏凜ちゃんが望むなら、教えてあげても良いわ」

東郷「本当はわ――友奈ちゃんのために調べたんだけど」

樹「私も知ってますよ。お姉ちゃんが留年する可能性もあるので」


風「樹ーっ!?」


923以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/10(金) 00:27:40.40rbHQgI7+O (1/1)


ある程度子育てしたら進学を考えてる久遠さんに対して夏凜ちゃんは働きに出る気満々だな


924以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/10(金) 02:10:36.36UKVjhBvPO (2/2)


夏凜が子供出来てからどんどん父性に目覚めていく


925 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/11(土) 23:15:50.81/1rM7ZRAo (1/3)


遅くなりましたが少しだけ
時間も時間なので安価は出さない予定です


926以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/11(土) 23:17:40.48nKlDJD/jO (1/1)

あいあいさ


927 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/11(土) 23:39:59.80/1rM7ZRAo (2/3)


天乃「……何か方法が無いか、調べてみる?」

夏凜「方法、ね」

天乃「なに? 不満?」

夏凜「いや、ごめん……実はもう調べたのよね。これがさ」

赤ちゃんのことを調べて、

子育てについて専門のサイトを巡り、個人の生々しいブログを巡り

そのどれもが成人を終えた人の経験でしかなかった

けれど、多少の誇張もあるのかもしれないが

大変でしたと、旦那の協力が不可欠だったと

そう、書かれていて

夏凜「若葉達が出ていくって話したでしょ?」

天乃「そうね」

天乃は大丈夫だと笑うだろう

朝も夕方もいる。

だから、お昼だけ一人で頑張ればいいと言うだろう

だけど産まれたのは双子で、天乃の体は特殊で……なのにまだ15歳の幼さだから

夏凜「誰か残ったほうが良いんじゃないかとか、考えたのよ」


928 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/11(土) 23:49:48.79/1rM7ZRAo (3/3)


天乃「貴女ねぇ……」

夏凜「くくっ、はははっ」

考えていた時に、真っ先に思い浮かんだこと。

呆れたように顰めた天乃の表情

まさにそれが目の前で作られて、夏凜は思わず笑ってしまう

夏凜「そう。その顔」

天乃「なによっ、私は――」

夏凜「そういう顔されても言い勝つために調べたのよ」

誰か残るべきだ

学校を中卒で終え、あるいは中退で終えて子育てを手伝う

そうして欲しいと頼まれたわけではないけれど

子供を想う気持ちを心労が上回ってしまわないように

疲れが、何かを疎かにしてしまわないように

なにより、幾度となく蝕まれてしまったその体が倒れてしまうことがないように

――なんて、言い訳を重ねて

夏凜「ちゃんと将来については考えてる。だから、認めてくんない? って、自信を持って言おうと思ってさ」


929 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/12(日) 00:24:34.440R2DnPkeo (1/8)


笑いながらの夏凜の言葉は、

普段よりも親しみを感じる砕けたもので

天乃は顰めていた表情を解くと、息をつく

夏凜はそれなりに調べている

少なくとも、簡単に言い負かされてはくれないだろう

天乃「それで? 夏凜が見つけた勝つ方法は?」

夏凜「それなんだけど、高校を卒業していなくても高校卒業と同等の資格があるらしいのよ」

天乃「なるほど」

夏凜「それを取れるよう家で勉強するなら、子供の傍に居られるし、それを取るなら高校にだって……」

天乃「行く必要はないのね」

まず、夏凜が中学校中退は可能か不可能かで言えば可能だ

天乃と子供に気を張るべきだがそれどころではない大赦ならば、

その世話を担うためと言われれば精神安定にもってこいの夏凜を中退させるのはむしろ推奨してくる

資格を取る勉強だって努力家の夏凜なら絶対に突破できるし

天乃だってそこは抜け目がないから問題はないだろう

天乃「でも……高校生になりたいわ」

夏凜「制服なら――」

天乃「制服が着たいんじゃない。通いたいの。みんなと」


930 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/12(日) 00:48:25.540R2DnPkeo (2/8)


夏凜「……それを言い負かす自信がなかったのよ」

天乃のそれは願いだ

みんなが同じ学校になれるとは限らない

だが、みんなが別の制服を着ていたとしても

みんなで家を出て

誰かが途中で分かれるとしても、

帰りにはどこかに出かけるとか学校の枠を超えた部活を行うとか

色々と、出来ることはある

夏凜「天乃が学校に通いたいだけなら、大学でも良いでしょって言えたけど……そうじゃない」

天乃「夏凜は嫌なの?」

夏凜「学校に通う意味があるとは思うわ。でも、天乃と子供を置いて通うほどの価値はないと思ってる」

東郷達に言えば批判が返ってくるかもしれない

だけど、夏凜はそう考えているしその考えを改めようとは思わない

子供がいなければまだ余地はあったかもしれないけれど。

夏凜「進路だけを考えれば、高校に通う必要はない。勉強を頑張れば卒業程度の資格があって、それがあれば大学に行ける」

高校の三年間があれば、子供も十分に育ってくる

一日中目をはなして良くなるわけではないが、お手伝いさんがいれば何とか出来る程度にはなってくる

それなら、気兼ねなくとは言えないけれど学生生活に戻ることが可能だ

夏凜「……天乃は、私が学校を辞めるから学校に行って良いって言われたって認めないでしょ?」

天乃「そんなの当り前じゃない」

夏凜「なら、妥協案として……私が讃州を中退することを認めてくれない?」


931 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/12(日) 00:55:40.990R2DnPkeo (3/8)


ではここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から


932以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/12(日) 01:03:48.41Mm6G8SqPO (1/1)


本当に久遠さんと双子ちゃんの幸せを第一に考える夏凜ちゃん



933以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/12(日) 09:14:59.065LEsIzlYO (1/1)


久遠さんはどう返すのかな


934 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/12(日) 21:38:54.310R2DnPkeo (4/8)


遅くなりましたが、少しだけ


935以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/12(日) 21:43:10.38kPtfWvCGO (1/2)

いえす


936 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/12(日) 22:20:50.480R2DnPkeo (5/8)


天乃「……ご両親にはどう説明するの?」

夏凜「あの人たちには中退したことは言わなくていいと思うわ」

天乃「嘘をつくの?」

夏凜「必要なら」

夏凜の目は本気だ

勇者として選ばれたこと

その特例を使っての中学校中退

嫌悪している大赦の力を使って、公的には卒業したことにすることになるだろう

正式な卒業時期までは在学中として扱い、

卒業したら、卒業だ

夏凜の両親が授業参観などの行事に来訪することはないから

騙しとおせるだろうけれど。

夏凜「天乃、私は本気よ」

天乃「それで貴女は良いの? 貴女は幸せになれるの?」

夏凜「なれるわよ。なりたいから、そう望んでるんだから」


937 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/12(日) 22:52:54.940R2DnPkeo (6/8)


夏凜「……何かの為に頑張るのは少し、休みたいのよ」

認められたくて、頑張った

勇者になれるようにと努力して

勇者になれたら、生き残れるように努力して

ずっと気を張ってきた一年間

夏凜「もちろん、子供の世話もあんたのことも。私にとっては頑張ることなんかじゃないから心配はいらない」

天乃「でも、大変だって分かってるんでしょう?」

夏凜「それ以上に大変だったのを、見てきたから」

夏凜には妊娠の経験がない

それがなければ産む苦しみだってまだ未経験だ

だけど、夏凜が唯一見てきた妊婦は、常に死と隣り合わせだった

彼女が特別だと言われても否定はしない

しかし、特別であるのだとしても

それが辛く苦しいものだったことに変わりはない

夏凜「あんな姿を見てたら……普通の人が大変ってぼやく程度のことを大変だなんて言えないわよ」

天乃「でも」

夏凜「それに、神樹様の種と力を借り受けてるとは言え天乃の体から不安の種が消えたわけじゃないでしょ?」


938 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/12(日) 23:23:17.020R2DnPkeo (7/8)


子育てを天乃がすると言ったって

誰も手を貸さないわけではない

必要ならお手伝いさんを用意できるだろうし、

天乃の家族はもちろん、

東郷や鷲尾、乃木や結城など

天乃に好意的で、力を惜しみなく貸してくれる家族は決して少なくない

だから、夏凜の不安は誰かが解消してくれる。

けれど、出来るなら触れたい

自分が経験できなかったことのすべてを、

自分は、子供に与えてやりたいと思う

今までの苦しみのすべてを分かち合うことは出来ていない

けれど、その一部でも心に焼き付けてきた夏凜は

天乃に好きと言わせた責任と、自分が好きと言った責任を取りたいと思う

多少無茶苦茶なことを言っていると自覚はある

けれど。

夏凜「私は、天乃を幸せにするために出来ることは何でもしたい……これが、私のわがまま」

子供がいるから、接触は控えめに

その分、布団の中で握る手は強く、橙色の瞳をしっかりと見つめる


1、後悔しない? こんな私の為にそれをして、間違っていたと思わない?
2、駄目よ。夏凜。貴女はちゃんと学校に通うべきだわ
3、馬鹿ね……私のためなんかに人生を棒に振ろうだなんて
4、私を幸せにしたいなら学校行きなさい。友奈たちと、一緒に
5、なんでそんな素直なのよ……ばか


↓2


939以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/12(日) 23:24:34.01kPtfWvCGO (2/2)

4


940以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/12(日) 23:25:17.64MVxzIdU10 (1/1)

4


941 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/12(日) 23:58:52.610R2DnPkeo (8/8)


ではここまでとさせていただきます
明日はできれば早い時間から


942以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/13(月) 00:09:49.88gSnZS9+QO (1/1)


やっぱり久遠さんはみんな一緒に青春を過ごすことが一番幸せなんだろうなぁ


943以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/13(月) 00:57:49.030UXDTFwzO (1/2)


みんな同棲するとしてどこに住むんだろ


944 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/13(月) 20:39:40.28o4VxkxF+o (1/8)


では少しだけ


945以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/13(月) 20:45:00.443nr0c0laO (1/1)

よしきた


946 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/13(月) 21:10:41.51o4VxkxF+o (2/8)


天乃「私を幸せにしたいなら学校に行きなさい。友奈たちと、一緒に」

夏凜「天乃っ」

握ってくれる手の温もり

その先へと目を向けて、夏凜の顔をじっと見る

どうしてと問う瞳は悲し気で

天乃は夏凜の手を優しく握り返すと、微笑む

天乃「夏凜の気持ちは嬉しいわ。ほんと、凄く……嬉しいのよ?」

どれだけ強く想ってくれているのか

その一部が子供のためのものであったとしても、

感じる愛情は紛れもなく本物

だからとても、嬉しいのだ

天乃「でもね? 夏凜には学校に行って欲しいの」

夏凜「なんで?」

天乃「私が得られなかったものを、夏凜に得て欲しいから」

夏凜「それで、天乃は幸せになれるの? 置いて行かれるのよ?」

天乃「良いのよ。ずっと会えなくなるわけじゃないから」


947 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/13(月) 21:32:33.75o4VxkxF+o (3/8)


本当なら、自分が通えていたはずなのに

本当なら、自分も外に出ていくはずなのに

見送り、待つ時間

それは苦じゃないのかと、案じてくれる夏凜

身を寄せようとしても、寄りかかれる距離ではないのが少しさびしく感じる

天乃「それにみんなもだけど、夏凜だってお話してくれるでしょう?」

夏凜「……聞くだけじゃ、切なくなるだけの人もいるって聞くけど」

天乃「そうね。そうできたのにって、思う気持ちは強くなるかもしれないわ」

修学旅行も体育祭も……行事の大半が不参加だった

やりたかったなぁ……と

演じることのできなかった文化祭のことは、今でも胸の奥に残っている

天乃「けれど、夏凜にその気持ちは感じて欲しくないし、友奈達にも心の底から楽しんでもらいたいのよ」

夏凜「………」

天乃「優しい夏凜なら分かるでしょう? 自分のそれを友奈達がやっているときの気持ち」

自分たちはこうしていて良いのだろうか

自分たちも、もっと協力するべきではないのか

優しいからこそ抱く思い

それはきっと、大切な時間を黒くしてしまう

天乃「私は、みんなが好きよ。楽しそうにしているみんなが……大好きなのよ」


948 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/13(月) 21:57:20.26o4VxkxF+o (4/8)


天乃「行ってらっしゃいって見送って、お帰りなさいって出迎える。それでね? こんなことがあったって、聞くの」

ちゃんと帰ってきてくれること、

みんながその分楽しんできてくれていること

それが分かってさえいれば、見送ることなんて寂しくはない

待っている数時間なんて寂しくもなんともない

むしろ今日はどんな話が聞けるだろうかと……恋をしてしまうかもしれない

天乃「みんなが楽しそうにしていれば、それがとても良かったことなんだって感じられる」

ふさぎ込んでいたり、言いづらそうなことがあったりしたら

それは悩みがあるんだと分かる

問題の大小はあれど、それが学生であるゆえの悩みであれば好ましいものだ

天乃「……同年代というより、母親みたいかしら?」

夏凜「ええ、そう思う」

天乃は本当に楽しそうに理想を語る

まだ経験していなくても、それが幸せだと分かっている微笑み

しかし、そこにあるのは子供のものではない

子を持つ母親が願う親としてのものだ

夏凜「天乃がようやく母親になった瞬間を目の前で見てたのに……私はまだ、何が一番幸せか考えられてなかったのかも」


949 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/13(月) 22:17:54.79o4VxkxF+o (5/8)


自分じゃなくてもいい

誰かが傍に居てくれることも、天乃にとって幸せなことだろう

けれど、それは幸せなだけで

天乃が最も幸福に感じられるものは別にある

天乃は子供ではなく母親なのだ

元々精神的に年齢を上回っていたのが

母親となったことで……それらしく変わっていった

夏凜「本当に寂しくない?」

天乃「大丈夫」

夏凜「大変だったり、辛かったり、苦しかったり……何かあったら学校に居ても連絡する?」

天乃「お手伝いさんを呼ぶから大丈夫よ。でも、ちゃんと連絡する」

手が少し強く握られる

指に絡むような動きをして、しっかりと

夏凜はうつむきがちで、天乃を見ていないが、

口元は笑みを感じさせて、瞳は柔らかい

夏凜「……あんたが心配。だって、あんなにまでボロボロになることもあるんだから」

天乃「ええ。だから遠慮なく私のことを抱いて欲しいの。もうそうならないって、夏凜が安心できるまで」


950 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/13(月) 22:48:10.10o4VxkxF+o (6/8)


布団の中に隠していた手を引く

ゆっくりとズレて言った布団は床へと落ちて

遠かったはずの距離は意外に遠くはなかったのが露わになる

子供たちの元気な声はなく

静かに眠る柔らかい吐息が二つ、聞こえるだけ

天乃「抱くことを怖がらないで」

夏凜「っ」

天乃「確かに、今の私は華奢だけれど……壊れたりはしないから」

苦痛に呻いたりしない

血を吐いたりしない

この体から、熱が失われていくことはない

指が絡む手を離すと、夏凜の小さな声が漏れる

その些細な落とし物を拾い上げるように天乃は夏凜を見上げ、両の手を広げる

天乃「おいで」

夏凜「……あんた」

それは子供への言葉のかけかただと、夏凜は思わず笑う

壊れてしまうかもしれないという緊張感も、失せて

夏凜はため息をつきながら天乃へと近づく

夏凜「信じるわ。大丈夫だって」

開いた手に甘んじて、母親でありながら自分よりも小さな体に手を回す

柔らかく、温かい人の体

夏凜「あんな思いをして母親になった天乃を、私は弱いとは思わない」

抱き返される力は弱く、愛おしい

確かに聞こえる心臓の音、少しずつ高まっていく体温

それは自分ものか天乃のものか、それとも二人のものか

いずれにしても二人が生きているからこそだと、夏凜は目を閉じた


951 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/13(月) 22:49:19.60o4VxkxF+o (7/8)


√ 2月16日目 夕 (病院) ※水曜日


01~10 瞳
11~20
21~30 千景
31~40
41~50 樹
51~60 大赦
61~70
71~80 風
81~90
91~00 東郷


↓1のコンマ


952以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/13(月) 22:51:04.41mN5B/JKyO (1/2)




953 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/13(月) 22:56:12.66o4VxkxF+o (8/8)


ではここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から


夏凜パート終了


954以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/13(月) 23:09:41.31mN5B/JKyO (2/2)


夏凜ちゃんの幸せこそが久遠さんの幸せでもあるんだよな
この二人のやりとりはひたすらに尊いなぁ


955以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/13(月) 23:10:12.880UXDTFwzO (2/2)


樹のターン!


956以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/14(火) 07:40:24.76Q3nAT3VAO (1/1)


正しく母親って感じの描写と言葉の雰囲気強いな
「おいで」の部分はラノベなら一枚絵だな


957 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/14(火) 21:40:27.53aK1tn6L5o (1/5)


では少しだけ


958以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/14(火) 21:45:49.09u+pa3DtLO (1/1)

かもーん


959 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/14(火) 22:11:24.08aK1tn6L5o (2/5)


√ 2月16日目 夕 (病院) ※水曜日


そろそろ電話も来るだろうしと部屋を離れた夏凜と入れ替わるようにして、その足音は近づいてきた

小さくて、静かな足音

天乃「この感じは、樹ね」

目を瞑るとよりはっきりとする

体重は軽いが足早なせいか、時々擦れる音が天乃の耳に届く

走っていないのは病院だからか、緊急ではないからか

焦燥感のある吐息は聞こえない

少しして、軽いノックが数回

樹『入っていいですか?』

扉を隔てた伺う声に了承の返事を返すと、

樹は恐る恐るといったようすで部屋の角から顔を覗かせる

樹「あれ……?」

天乃「夏凜ならいないわ。部屋を出て左の突き当りのところで電話をしてるはずよ」

樹「ずっと戻ってこないから、久遠先輩と一緒に居ると思ってました」

天乃「夏凜に何かされてないか心配でもしてたの?」

樹「そ、そんなことは……あははっ、はいっ。ちょっとだけ」


960 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/14(火) 22:33:36.04aK1tn6L5o (3/5)


天乃「夏凜は私が嫌がることなんてしないわ」

天乃の言葉に、樹は笑みをこぼす

夏凜は忍耐力のある女の子だ

それは樹も分かっている

けれど、だからこそ我慢しすぎているはずで

平和を勝ち取った今

その気が緩んでしまうのではないかと、思ってしまったりもしたのだ

樹「夏凜さんは本当に何もしなかったんですか? それはそれで心配になるんですが」

天乃「樹が同じ立場だったら何かする?」

樹「そうですね。ちょっと迷うかもしれませんが、どうにかすると思います」

天乃の視線が子供に移ったのを見て、

樹は逡巡すると、子供へと声をかけるような優しさで答える

子供の目に映るのは気恥ずかしいが

それを気にして何もしなくなったら、どちらかが……寂しいだろうから

樹「たとえば、こっち側に腰かければ背中で見えませんし」

子供のベッドに何かがないように気を付けながらベッドへと腰かけた樹は

自分の影に覆われる天乃を見下ろす

寄り掛かり気味で、斜めの天乃は樹の座高よりも低い


961 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/14(火) 22:52:58.87aK1tn6L5o (4/5)


樹「ここからなら、久遠先輩にキスできます」

天乃「するの?」

樹「見上げないでください……しちゃいますよ」

天乃「無理言わないで」

樹にとっては、大好きな先輩

その言動と雰囲気が大人びているのとは真逆に

背は低く、胸を除けば小柄だ

勇者部の中で最年少の樹でも、その体を抱くのは容易で

覆いかぶさるのは簡単で

先輩だと知らなければ同学年だと思って……いや、思いたくはなかっただろうか

樹「……ドキドキする」

綺麗な顔立ちと、可愛らしい矮躯

橙色の瞳は輝かしく、艶のある唇は血の薄く通った桜色

見下ろしている分、自分が勝っているように思えてしまう

樹の手が、そうっと天乃の頬に触れた


1、目を瞑る
2、樹の手に手を重ねる
3、樹の頬に手を触れる
4、夏凜は私が誘わないと、してくれなかったのよ?


↓2


962以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/14(火) 22:56:40.613V7M0VuEO (1/2)

4


963以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/14(火) 23:00:50.36sQyGL/Dj0 (1/1)

1


964以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/14(火) 23:07:44.19i9d2o3h+O (1/1)

1


965 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/14(火) 23:17:09.65aK1tn6L5o (5/5)


ではここまでとさせていただきます。
明日もできれば通常時間から


園子「いいよ~いいよ~捗るよ~いっつん」zzz

園子「いけーっ、そこだ~っ」zzz

風「……何してると思う? あれ」

東郷「気を付けないと布団を汚しちゃうんですけど、そのっちなら大丈夫ですよ」


風「え? いや、えっ?」

風「何を言ってるのか分からないあたしが駄目なの? 友奈……」グスッ


966以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/14(火) 23:29:37.023V7M0VuEO (2/2)


久遠さんあれだけ夏凜ちゃんと濃いやりとりした後でも樹ちゃんに安定の誘い受けするとは…


967以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/15(水) 00:59:38.23D3CJemrWO (1/1)


今日は久遠さんのキス駅伝開催中かな


968以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/15(水) 09:20:02.903MFx9v+mO (1/1)

何かする?(誘い)→するの?(催促)→目を瞑る(待ち)
ほんとこの人は…


969 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/15(水) 21:26:18.11r3UYLLWKo (1/7)


では少しだけ


970以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/15(水) 21:27:53.97Mm8R+w2KO (1/1)

よっしゃ


971 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/15(水) 22:13:11.40r3UYLLWKo (2/7)


天乃「………」

ゆっくりと目を瞑ると、樹の小さな手の温もりを感じ

普段よりも少し乱れた呼吸が聞こえる

吐息はだんだんと近づいて、頬に触れていた手は撫でるような動きで、

そうっと、天乃の顎を上へと向けていく

数秒の間をおいて、唇が重なる

樹の前髪が鼻先を掠めて

病院で慣れたシャンプーの香りが流れ込む

柔らかい唇の接触

潤いを感じ合うほどの時間の余裕さえなく、

それは離れていく

天乃「いつっ――」

そして、もう一度

天乃の開いた瞼が大きく開く

その瞳には樹の瞳が映る

緩んだ唇に優しい圧迫感

唇の表面ではなく、全体を覆う樹の愛情

樹「――っふ」

名残を惜しむように伸びた艶めかしさを、樹の細い指が絡めとる


972 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/15(水) 22:30:47.68r3UYLLWKo (3/7)


目の前で目を瞑った天乃は、とても綺麗だったのだ

白い頬はほんのりと温かくて、

動いた指先に引かれた肌が滑ると、桜色の唇が動いた

整えられたまつげ、閉ざされたのではなく、降りている瞼

キスをしてもいいのだと、させてくれるのだと

高揚感が湧いて

近づくのではなく、体を倒していくと、

少しでも多く感じたいとする体がそれ以外のすべてを排除したのだろう

風はなく汗ばんでもいないのに、病院のシャンプーと天乃の匂いが強くなった

唇を重ねると、体が熱くなるのを感じた

きゅんとする、胸の内

早まる鼓動を差し置いて冷静な頭

すぐに離れて、考えるまでもなくもう一度。と、体が動いてしまった

二度のキス

了承の一回と、無断の一回

樹「……つい……そのっ、我慢、できなくて」

樹は天乃の顔を見れずに呟くと、付け足すように「ごめんなさい」と言った


973 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/15(水) 22:48:52.66r3UYLLWKo (4/7)


天乃「良いのよ。別に」

樹「っ……」

天乃は自分の唇に人差し指を触れさせると

その指先を一瞥して、樹へと微笑む

潤いすぎた唇から滴らないかの確認なのは分かる

けれど、今の樹には……やや刺激が強い

天乃「一回だけだと思ってたから、驚いたけど」

唇が動く

キスしたばかりの、甘い唇

何ともないような様子なのに、嬉しかったのか照れくさかったのか

白かった頬はほんのりと赤い

樹「っ、うっ」

押し倒してしまいたい心

それはダメだと正義感の壁

子供の吐息に背中を引っ張られるような感覚になる

天乃「どうかした?」

樹「えっ……えっと……」

天乃「もしかして、もう一回?」


974 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/15(水) 23:13:52.60r3UYLLWKo (5/7)


少しだけ、黙り込む

見つめ合うわけでもなく沈黙して、数秒間

天乃は樹が何も言わないのを見ると、ペロッと唇を舐める

天乃「……なんて、さすがにないわよね」

夏凜ならしないと振り払うところだが、樹達は夏凜とは違う

二度あることは三度あるとも言うし

したいと望むのならさせてあげてもかまわない

というよりも……少し。

そう思って、樹を見つめる

動きを止めた樹は見るからに赤い顔をしていて

迷い子のように行先を見失った樹の手は、自分の手を握る

緑色の瞳は天乃を見るまいとしているようで、それてしまう

天乃「樹?」

体の中にある力が伝わってしまったのかと

不安そうに伸ばした手を、樹ははっとして振り払う

樹「だっ、駄目ですっ……駄目ですよ。久遠先輩」

天乃「えっ」

樹「今、そんなことされたら我慢する自信がない自信しかないです」


975 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/15(水) 23:25:38.11r3UYLLWKo (6/7)


天乃に「もう一回?」と言われた瞬間に、樹はまずいと思った

ちょっと弾んだ声と、楽しそうな表情

色気づかせる朱色の天然化粧

無理をしているわけではないけれど、

無理をしているように見えてしまう華奢さ

綺麗よりも可愛らしい

可愛らしいよりも愛おしい

して良いのなら何度でもしたい

してもいいのなら――押し倒してしまいたい

瞬く間にヒートアップしていく思考回路など

いっそショートしてしまえばいいと思う樹の前で、

天乃はちょっぴり心残りを感じさせる呟きを零したのだ

やってしまえと動いた手を抑え込んだのに、今度は天乃から手を伸ばしてきて……

樹「夏凜さんみたいに優しいとは限らないんですよ?」

天乃「でも、樹達は優しくしてくれるじゃない」

樹「とっ、当然です……けど。やり方が優しいだけで程度が優しいとは限りませんっ!」

何を言ってるんだろう

自分の発言に困惑する樹を、天乃は優しい笑顔で見つめていた


976 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/15(水) 23:30:31.24r3UYLLWKo (7/7)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


977以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/15(水) 23:39:33.44IxrNtkt3O (1/1)


自分の欲求を必死に抑え込む樹ちゃんかわいい
あとこうして見るとなかなか流されない夏凜ちゃんの精神力って相当凄いんだな


978以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/16(木) 01:09:44.35ZgXXgbJHO (1/1)


久遠さんが嫁といちゃいちゃするのは見ててほっこりする
このまま全員部屋よんじゃえ


979 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/16(木) 23:14:20.85T+mp1Faio (1/1)


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日はできれば通常時間から


980以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/16(木) 23:27:02.02gSPpgc5iO (1/1)

乙ですー


981以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/18(土) 22:30:40.54XtqF9qE3O (1/1)

今日も休載?


982 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 00:25:55.189CENXdRFo (1/13)


所用で三日ほどできませんでしたが、
日曜日の再開はお昼ごろからを予定しています


983以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/19(日) 06:34:15.72Q4bVWpZBO (1/1)


楽しみに待ってます


984 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 13:24:21.229CENXdRFo (2/13)


では少しずつ


985以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/19(日) 13:25:18.092NW2KBkIO (1/1)

やったぜ


986 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 14:14:02.359CENXdRFo (3/13)


天乃「子供の前ではよろしくない感じになりそうなの?」

樹「今の久遠先輩ならわかると思いますが、えっちなことを始めちゃったらまず止めたくないです」

穢れの影響を抑えるための性的接触

今もうその必要はなくなってしまったが

その経験も、そのために学んだ知識も無くなったわけではない

それを知ってしまった以上は

それが、心に感じられるものだと分かってしまった以上は……手放しがたい

天乃「そっち、するの?」

樹「……しちゃいますよって、話です」

一度のキスは挨拶

二度目のキスは、確認

なら三度目は……と、樹は天乃の頬に触れる

このまま顔を近づけてしまえば後戻りはできない

樹「三回目なんです。三回目は、始まりなんです」


987 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 14:32:54.519CENXdRFo (4/13)


樹「そのまま離れる自信がないです」

天乃「なるほど」

樹「なるほど。じゃないですっ」

やっていいならやりたい

そんな気持ちもある中で

しないの? と、誘われてしまうと困る

ここが二人きりの場所なら

久遠先輩が悪いんですよ? とでも微笑むだけで済む―すまない―が

ここには子供がいる

子供には見せられないからという配慮までしているのに

それを取り払っての大暴れはさすがに不味い

少なくとも、

親の淫靡な声など子供に聞かせるわけにはいかない


988 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 15:02:59.149CENXdRFo (5/13)


樹「いいですか久遠先輩。誘うのは良いです。むしろ……その」

誘ってくれていると言うことは受け入れてくれているということ

本心を言えば嬉しい

けれど、ちょっぴり残る羞恥心が抑圧するが

天乃はそんな樹の目から察してか、

頬に残る樹の手に手を重ねる

樹「っ」

天乃「私は誘って貰えたら嬉しいわ。みんな、意外と遠慮しがちだから」

樹「ず、狡くないですか!?」

天乃「狡いかしら……確かに、遠慮してたのは私自身の問題のせいだものね」

穢れの影響でその行為を必要としていたのに、

穢れに加え、妊娠もあって体調が酷く不安定だった

その気にさせておきながら相手をすることが出来なかったこともしばしばあったし

離れ離れになっていることが多く

こうして、触れ合う機会だって少なかったのだ

誘ってくれなかった……というのは聊か嫌味に思える

天乃「でも、これからはそれなりに大丈夫よ。常に大丈夫とは言えないけど……子供がいない場所なら」

樹「その子供が今私の後ろにいるんですけど」


989 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 16:10:53.689CENXdRFo (6/13)


天乃「そうねぇ……だからもう一回は冗談みたいなものだったのよ」

樹「冗談でも誘ったことに違いはないですよ?」

天乃「ないわよねって、否定したのに」

樹「本気ですか? 本気ですよね……久遠先輩の場合」

もう一回? というだけでも確かに誘い文句だが

そんなことはないわよねと、言うのはただの追撃であって否定ではない

そこで引く人もいるだろうけれど

それは常日頃から満足出来ている人か、ただのヘタレだ

ヘタレではないものの、満足できていない樹としては

そんなことはないわよね。と言われたら、そんなことないですよ? と唇を重ねたくなる

推測だが、他6人中5人が確実に乗る

乗らない一人だって、

そういうことするとこうなるぞ。というくらいの脅しをするはずだ

樹「もうちょっと気を付けてくださいね? 子供を部屋に連れてきてて正解です」

天乃「え、ええ……」

樹「居なかったら今日は寝られませんでしたよ。きっと」

天乃「そんなことになるほどなの……?」


990 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 16:56:25.709CENXdRFo (7/13)


樹「東郷先輩たちと押し掛けたほうが良いですか? 子供は夏凜さんに任せれば大丈夫ですし」

天乃「押し掛けられても困るわ。でも、夏凜は確かに任せられるわね」

みんながダメなわけではないが、

特に夏凜は子供を大切にしようとしてくれている

樹達にも任せられるけれど、誰か一人に任せる―それは避けたいが―事態になったら夏凜だろう

戦力的にも愛情的にも間違いなく夏凜だ

天乃「夏凜って離乳食作れるのかしら」

樹「軽い離乳食ならみんな一通り作れますが……それは別の話です」

今しているのは子供を預けられるかどうかじゃない

やろうと思えば天乃と子供を別の部屋にして、

一晩中相手にして貰うことだってできる。という話だ

樹「久遠先輩も言ってたじゃないですか遠慮がちだって。もう大丈夫だって」

天乃「ええ」

樹「それはみんな分かってるので安心してください」

天乃「それは……安心して良いの? 寝られなくなるんでしょう?」

樹「程度は弁えているつもりですよ」

樹はそう言って微笑むと、天乃から離れる

今回みたいなことが、二人きりあるいは子供がいない状況でなければ。の、話だが。

二人きりだったり、人数が多いけれど子供がいないと言う状況だったらどうなるかは語れない


991 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 17:25:43.159CENXdRFo (8/13)


天乃「この子たちを一日中任せるわけにはいかないし、お願いね?」

樹「……はい」

程度の話をしてのお願いに、樹は困った顔で返事する

片方が程度を弁えていたとしても

もう片方がその限りを分かっていなければ意味がない

近いうちに大変なことになりそうな気がしたが、

バーテックスに襲われたり、

大怪我や体調不良に繋がるようなことではないだろうし

一回くらいなら良いかと、樹はため息をつく

天乃「どうしたの?」

樹「どうもしてないです」

どうもしていないけれど、

どうにかしたいと思うが……簡単ではなさそうだ

天乃「……?」


1、それはそうと子供の名前なんだけど……
2、今日は一緒に寝る?
3、ごめんね? 本当ならまだ、そこまで性的な気分になるはずじゃなかったのに
4、本当に夏凜に頼んで半日くらいなら時間作れなくもないわよ?

↓2


992以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/19(日) 17:36:43.201gRkdpZaO (1/1)

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993以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/19(日) 17:38:30.58rebvP7/uO (1/1)

3


994 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 18:06:02.069CENXdRFo (9/13)


天乃「ごめんね? 本当ならまだ、そこまで性的な気分になるはずじゃなかったのに」

樹「それは……そうかもしれないですね」

今でこそ性的な知識が豊富な樹達だが、

どんなことがそれに繋がるのか

ふんわりとした曖昧なものであれば、漫画などで知ってはいたけれど

天乃があんなことになるまでは全くの無知だったと言ってもいい

けれど、樹は「でも」と続ける

樹「こういうのも経験だと思うので、まったく知らないままでいるよりは全然よかったと思います」

天乃「けど、色々支障があるんじゃない?」

樹「そうですね……時々、したいなぁってなることもあります」

樹は困ったように笑う

恥ずかしそうに赤く染まった頬

目はそらしていないが、左手は所在無さげに右手を握る

樹「ドキドキするいい雰囲気なはずなのに、ちょっぴりムラムラしてることもあったりとか」

天乃「……大丈夫なの?」

樹「大丈夫ですよ。我慢するか自分でするか、東郷先輩たちとするか迷うけど……大丈夫です」


995 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 18:26:31.009CENXdRFo (10/13)


樹「だから、今も何とかなりますよ」

天乃「でも」

樹「一人でするのにも結構慣れてきたんですよ。流石に部屋ではできないですけど」

天乃「それを自慢させちゃう辺りに罪悪感を覚えるわ」

樹はそろそろ二年生だが、まだ中学生だ

一人での致し方に手慣れてきたと言われてしまうと、

本当にそれでよかったのかと思わざるを得ない

必要で仕方がなかったこととはいえ、

自分が親であれば、子供が覚えるには早すぎるのではと思わなくもない

樹「けど、必要なことだったから仕方がないと思います」

天乃「仕方がないで済ませたら駄目よ」

樹「遅いか早いかの違いですし、それだけに没頭してるわけでもありませんから」

やや入れ込み過ぎている人がいなくもないけれど

その人だって節度がある

言葉だけは過剰だが、内ではしっかりと考えているので

天乃が下手に受け入れない限りは暴走することもないはずだ


996 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 18:40:48.779CENXdRFo (11/13)


樹「むしろ、必要なことだったからこそ念入りに調べたりしたんですよ?」

何をどうしたらいいのか

痛そうなことにはならないように、

無駄に長引いたりしないように

ちゃんと心身ともに満足できるように

徹底的に調べたりしたのだ

ただの好奇心だったら、そこまで丁寧にはならなかった

樹「ちゃんと学べたのは久遠先輩のおかげです……だから」

そうっと、天乃に触れる

さっきの余韻が残っているせいか

ドキドキする気持ちに勝る気分があるけれど

それでも、絶対に傷つけない自信はある

樹「謝ったりしないでください」

天乃「樹……」

樹「東郷先輩や園子さんには謝っちゃだめですよ?」

なら責任とってください。と、押し倒される光景しか想像できない


997 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 19:11:51.499CENXdRFo (12/13)


樹「でも、どうしてもなら……久遠先輩」

天乃「なに? 出来る事ならするわ」

樹「………」

樹への信頼もあるのだろうが

躊躇のない受け入れ態勢に、樹は困った様子で天乃を見る

とはいえ、それなら話が早い

樹「それなら……久遠先輩からして貰えませんか?」

天乃「私から?」

何をとは聞く必要はないだろう

樹からするのは、我慢が効かなくなると言うけれど

天乃からしても大丈夫なのだろうか

天乃「大丈夫? 言っておくけれど……樹にも力負けする自信があるわよ私」

樹「え……」

天乃「抵抗できても簡単に抑え込まれちゃうから、樹がダメだったらどうしようもないわ」

樹「えっと……あの」

それは子供さえいなければ、「家に親がいないから」みたいな発言なのだと

樹は漫画の中の知識を思い出して、口を閉ざす

樹「そこは……何とかします」


998 ◆QhFDI08WfRWv2020/01/19(日) 19:14:51.069CENXdRFo (13/13)


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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二十一輪目】
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999以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/01/19(日) 19:27:20.6211sb2nWoO (1/1)

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