586 ◆b0M46H9tf98h2019/10/18(金) 00:49:05.89NaM/LutR0 (1/2)

…化粧室…

提督「…と、格好を付けてみたはいいものの……」


…洗面台の鏡に向かいつつとっくりと考えると、少しづつ不安になってきた提督…もちろん艦娘たちへの愛情や想いに嘘はないが、自分や艦娘たちの生命もかかるとなると穏やかな気持ちではいられない……


提督「うぅん…でも皆が出撃しているっていうのに、私だけ鎮守府に残っているなんていうのもいたたまれないし……」

シロッコ「…提督、また悩み事?」

提督「あぁ、シロッコ……えぇ、まぁ…」

シロッコ「ふふ……その様子だと「私の作戦で怪我をする娘が出るんじゃないか」とか「もっといい作戦があるんじゃないか」とか、そんな取り越し苦労をしている…ってところかしら……」

提督「…よく分かったわね?」

シロッコ「ふふふ、提督ってば夏季作戦の時もそうだったもの…」

………

…さかのぼって・夏季作戦の直前…

提督「うーん……うぅん…」

シロッコ「…提督、どうしたの?」

提督「いえ…今回が私にとって初の大型作戦なのだけれど、「提督」の経験がない私が立てた作戦で大丈夫か心配で……」

シロッコ「提督」

提督「なぁに、シロッコ?」

シロッコ「…私はね、新しい世代の海軍は女が率いると思っているんだ」

提督「ずいぶんといきなりね……でも、海軍はそこまで変われるかしら?」

シロッコ「変えるのよ……もしかしたら、提督…それをやるのは貴女かもしれない」

提督「……シロッコ…」

シロッコ「…私は提督の可能性を信じているわ」

………



提督「…あの時はシロッコの一言のおかげで随分と自信が持てたわ」

シロッコ「ふふ……なにせ「歴史の立会人」たる私だもの…今度の作戦も上手く行くわ」

提督「ありがとう」

シロッコ「どういたしまして……あと、「ディアナ」の護衛は任せておいてちょうだい」

提督「……まだ誰もしゃべっていないのに、どうして分かったの?」

シロッコ「さぁ、どうしてかしらね…♪」

提督「…」




587 ◆b0M46H9tf98h2019/10/18(金) 02:38:41.80NaM/LutR0 (2/2)

…食堂…

提督「……では、作戦に参加する艦娘と作戦計画を伝達します」

デルフィーノ「はい」

提督「まずは輸送艦として通報艦(高速スループ)の「ディアナ」…それを護衛する直接援護の駆逐隊にはマエストラーレ級の四隻「マエストラーレ」「リベッチオ」「グレカーレ」「シロッコ」と、さらに「ソルダティ」級から「コラッツィエーレ」と「レジオナーリオ」を参加させます」

ディアナ「…よしなに」

マエストラーレ「ディアナ、貴女には深海棲艦の指一本だって触れさせはしないわ♪」

提督「それから、深海側の駆逐隊などが出撃してきた場合に備えて、軽巡「ジュゼッペ・ガリバルディ」「ライモンド・モンテクッコリ」「ジョバンニ・デッレ・バンデ・ネーレ」およびオリアーニ級駆逐艦の四隻「アルフレド・オリアーニ」「ヴィットリオ・アルフィエリ」「ジョスエ・カルドゥッチ」「ヴィンチェンツォ・ジオベルティ」からなる間接護衛グループを編成します……旗艦はガリバルディ、お願いね」

ガリバルディ「ええ…提督の言うことなら「オッベディスコ(従う)」だから安心して♪」

提督「グラツィエ……また、重巡以上の強力な敵水上艦艇が迎撃してくる場合に備えて戦艦を中心とした支隊を「影の護衛部隊」とし、船団から距離を空けて随伴させます…」

チェザーレ「…なるほど」

提督「……この支隊は旗艦「リットリオ」を中心に重巡「トレント」「トリエステ」およびフォルゴーレ級駆逐艦の「フォルゴーレ」「フルミーネ」「バレーノ」「ランポ」の四隻で構成し、タラント・マルタ・ベンガジ(リビア)沖を結んだ三角形の哨戒ルートを航行…必要に応じて船団の援護に駆けつけます」

リットリオ「はい♪」

スクアーロ「…提督、私たち潜水艦隊は?」

提督「安心して、今からその話をするわ……潜水艦隊は側面警戒と無線通信の中継を兼ねてタラント湾、メッシーナ海峡、マルタ島、シルテ湾(リビア)の沖に展開します。特にシルテ湾沖は深海棲艦の出現が見込まれるので、担当の娘は十分警戒するように」

ルビノ(中型潜シレーナ級「ルビー」)「それで「シルテ湾」担当は誰になるの?」

提督「ええ、ちょっと待ってね……まず「タラント湾沖」は少し哨戒ルートに手をくわえますが、基本は普段通りに作戦日の当直艦が哨戒につきます」

ヴォルフラミオ(中型潜アッチアイーオ級「タングステン」)「…なるほど」

提督「それからメッシーナ海峡は「アントニオ・シエスタ」…友軍の制空権下にあるから危険度は少ないけれど、長時間にわたって哨戒してもらう事になるから、航続距離の長い貴女にお願いするわ」

アントニオ・シエスタ(大型潜バリラ級)「はい、了解しました…ぁ」

提督「…哨戒中に寝こけたりしないようにね?」どっと笑いが起きる…

シエスタ「もう、そんな事ありませんってば…ぁ///」

提督「よろしい……それからマルタ沖は船団と鎮守府、あるいは戦艦隊などとの通信を中継する役目だから…グリエルモ・マルコーニ。貴女が一番の適役ね」(※マルコーニ…無線電信の発明者)

マルコーニ(大型潜マルコーニ級)「ん、通信なら任せて」

提督「ええ……そしてシルテ湾沖は「デジエ」「アクスム」の二人にお願いするわ…もし深海側の水上艦艇を発見したら船団への脅威にならないよう、積極的に攻撃すること」

デジエ(中型潜アデュア級)「任せておいて、提督。だってアクスムと一緒だもの…ね♪」

アクスム(アデュア級)「ええ…デジエ♪」お互いに指を絡めて身体を寄せ合っている……

アラジ(アデュア級)「まったく、お熱いんだから…」

提督「こほん……話を続けてもいいかしら?」

デジエ「はい」

アクスム「どうぞ♪」

提督「あー……上空の援護に関してはうちから発進させる「メリジオナーリRo43」水偵と「カント・Z506」水偵、それにグロッタリーエの空軍基地に置いてあるうちの「フィアット・CR42」戦闘機が…マルタ島より先の制空権がない空域に関してはシチリアのトラーパニにうちの「マッキ・C202」戦闘機と「サヴォイア・マルケッティSM79」雷撃機を作戦に先だって展開させ、援護出来る態勢をとります…」

アヴィエーレ「…提督、一ついいかな?」

提督「どうぞ?」

アヴィエーレ「夜間の上空援護が必要なら「CR42・CN」が三機だけあるけど……使わないのかい?」

提督「ええ…それも考えたけれど、フィアット夜戦と言っても夜間に長距離進出できる特別な航法装置があるわけでもないし、それはあちらの軽爆や雷撃機も同様で夜は大人しくしているから……夜間に戦闘機を飛ばすことはしないわ」

アヴィエーレ「了解だ」

提督「……他に質問は?」

提督「よろしい。それでは作戦に参加する全員は無事に帰って来られるよう、当日までよく練習に励むこと……以上!」




588 ◆b0M46H9tf98h2019/10/21(月) 02:22:53.80SzJ6ROYr0 (1/2)

…お話の続きを投下する前に、名前を登場させた機体の紹介を一つ……長いので読み飛ばしてくれても大丈夫です


フィアットCR42「ファルコ」(鷹)戦闘機

合計で1000機以上生産された、イタリア王国空軍の(数の上では)主力となった複葉戦闘機。
愛称は「ファルコ」(鷹)で、正式名称についているアルファベットの意味はメーカーごとに異なるが、フィアットの場合は主任設計士(この場合チェレスティーノ・ロザテッリ)の頭文字をとっている。


武装は「12.7ミリ・ブレダ・サファト(SAFAT)」機銃が二挺と、イタリアの戦闘機としてはごく普通。

CR42戦闘機の前作である「CR32」複葉戦闘機が、スペイン内乱で交戦した共和派の「ポリカルポフI-15」「I-16」などに対してほどほどに戦うことができたことと、単葉戦闘機の性能がまだそこまでではなかったことから「複葉機でも十分に戦える」という勘違い、イタリア空軍の操縦士たちが(今でもイタリア空軍が得意な)アクロバットや旋回戦ばかり練習していて、技術面で保守的だったことから「戦闘機は開放風防で」(もっとも当時は無線機がなかったり性能が悪かったりしたことから機上のやり取りは手信号だったことと、風防ガラスが綺麗に作れずゆがんで見えたりくすんだりと見づらかった事もあるが…)「水平格闘戦で勝てることが一番だ」という意見が強く、世界の流れに乗らず複葉固定脚という形で設計された。


…とはいえそれでは性能が心もとないと、当時の戦闘機としては強力な「フィアット・A74RC38」(空冷840馬力)という高出力のエンジンを選択し、最高速度は約430キロを出した…その複葉機にしては高い性能から「最後の複葉戦闘機」や「世界最速の複葉戦闘機」などと言われた…開戦当初は英軍が配備していた「グロスター・グラディエーター」複葉戦闘機などを相手に互角に戦えたが、ハリケーンやスピットファイアが出現し始めると一気に劣勢に……おまけになまじ速度があったため複葉機が得意な低速域での旋回戦に持ち込むことも出来ず、被害ばかりが増えて行った……それでもアシ(航続距離)の長さと頑丈な機体構造、整備性の良さ、また複葉機らしい軽快な動きから戦闘爆撃機として戦い抜いた



…また実戦テストを兼ねて様々な機体を使っていた「独立第377飛行隊」や、ローマやナポリの防空を請け負った「第300飛行隊」など一部の部隊では、夜間防空のために機体を黒一色で塗り、胴体下部にまで伸びる消炎排気管と主翼下にサーチライトを吊るしたCR42「CN」(カッチア・ノトゥルナ…夜間戦闘)仕様として夜間迎撃に用いた。

特に独立377飛行隊は「赤い逆三角形の中に三日月が浮かび、そこにフクロウが止まっている」部隊マークが、狙ったわけではないのに夜間戦闘機らしい……古めかしい機体ながら377飛行隊のエース(撃墜5機)、ルイージ・トルキオ中尉が見事に夜間爆撃の英空軍「ウェリントン」爆撃機を撃墜している


………

カント(CANT)・Z506「アイローネ」(アオサギ)水上偵察機

もとは郵便機や旅客機として開発された民間用の水上機に目をつけて、軍用とした単葉、「アルファロメオ126RC34」(750馬力)の三発エンジン、木製胴体に双フロート(フロートだけは波に耐えるため金属製)の大型水偵。


形式名称の「Z」は後にブレダに引き抜かれた設計者「フィリッポ・ザパタ」の名字から。
愛称は「アイローネ」で、同じくカント製で木製胴体の優秀な三発爆撃機、Z1007「アルシオーネ」(カワセミ)と響きが似ていてまぎらわしい…(機体も一部の設計を流用しているため、わざと似た響きの名前にしたのかもしれない)


Z506は、戦前にありとあらゆる水上機の記録を塗り替えた優秀な機体で、単発エンジンで機体構造も複雑だったZ501「ガッビアーノ」(カモメ)より全ての面で優れていた。
特に外部搭載量が1200キロと多く、航続距離も約2750キロと長いことから長距離哨戒や、制空権のない海域を航行する船団を攻撃することも意識して生産された。武装は前方固定、上部旋回銃座、下部張り出しの旋回銃座に装備された12.7ミリと7.7ミリのブレダ・サファト機銃。

もちろん「下駄ばき」(フロート機)なので速度は360キロ程度とさして出ないが、大戦序盤は機体の頑丈さや航続距離の長さを買われて地中海上空の哨戒などにあたった……が、英地中海艦隊に空母が加わったり、北アフリカの英軍機が洋上にまで出てくるようになったりすると損害が急増し、それ以後は救難機として洋上で脱出したパイロットたちの救出にあたって過ごした




589 ◆b0M46H9tf98h2019/10/21(月) 02:27:43.65SzJ6ROYr0 (2/2)

………

サヴォイア・マルケッティSM79「スパルヴィエロ」(ハイタカ)

言わずと知れたイタリア王国空軍で一番有名な三発の爆・雷撃機。形式番号のアルファベットは「サヴォイア・マルケッティ」の略で、資料によっては「S.79」としている物も。


元は旅客機レース用の高速旅客機と言うことで開発されたがレースそのものには間に合わず、1934年に初飛行…軍用型は「アルファロメオ126・RC34」(750馬力)エンジンを搭載し速度は430キロ前後、航続距離は1900キロで爆弾などの搭載量は1250キロと、戦前の設計にしてはなかなか。


1935年頃、ドゥーエ将軍の唱えていた「空中艦隊構想」(「近未来小説」の形で発表された論文で、いわゆる戦略爆撃を唱え、世界の空軍関係者やムッソリーニにまで感銘を与えたが、ムッソリーニは『戦闘機よりも爆撃機が重要』と戦闘機の開発や調達を二の次とし、兵力のアンバランスや戦闘機の近代化に遅れをとってしまった……また「空中艦隊」は工業生産力に乏しいイタリアには実現できず、反対に米英に実現されてしまった…)にふさわしい近代的な高速爆撃機が見つからないでいた空軍から打診されて、爆撃機として改造。

12.7ミリのブレダ・SAFAT機銃をコクピット上部のふくらみに(前方固定と後部手動旋回)各一挺、左右胴体に7.7ミリブレダ機銃を各一挺、後部胴体下面の爆撃手用ゴンドラに12.7ミリブレダ旋回機銃を一挺装備しているが、専任の銃手はおらず、操縦士を除く全員が銃手を兼任しなければならない(米軍を除くたいていの国も同じ…)ので「一度に全ての機銃が火を噴く」と言うわけにはいかなかった。


実戦デビューのスペイン内乱では共和国側のポリカルポフ戦闘機を全て振り切り「戦闘機による被撃墜ゼロ」と、頑丈で運動性がよく高速なSM79の高性能ぶりを内外にアピールしたが、第二次大戦ではハリケーンやスピットファイアなどが相手で分が悪く、輸送船団相手の対艦攻撃にシフト。腹部のゴンドラを取り払って魚雷二本を胴体に吊るした雷撃仕様の「SM79bis」となって多くの船団に猛攻を加え、かなりの損害を与えている。


機体をすっきりとリファインさせ、エンジンを1000馬力級の「ピアッジォP10・RC40」に換装した後継機「SM84」も1940年から少しづつ生産されたが、思っていたほど性能が伸びず、むしろ運動性が悪くなり、大戦中盤からはより高性能なカントZ1007「アルシオーネ」の方が多用された……それでもSM84は英戦艦「ネルソン」に雷撃を敢行するなど奮闘、一部の生き残った機体は戦後も輸送機などとして活躍した。



590 ◆b0M46H9tf98h2019/10/26(土) 03:15:37.68fSWdaZ0o0 (1/1)

…翌日…

マエストラーレ「それじゃあ速度二十ノットの時に、主軸の回転数がどのくらいになるか計測すること!」それぞれの艦ごとに微妙に速度差があるが、それでも艦隊運動の時に速度がぴったりと合わせられるよう、一定ごとの速度とその時の軸(スクリューシャフト)の回転数を測る……

ディアナ「…よしなに」

リベッチオ「よし…うん、ちょうど二十ノット♪」

グレカーレ「計測完了です」

マエストラーレ「いいわ……それじゃあ沖合十キロまで出て護衛隊形の訓練と、潜水艦たちを相手に回避行動の訓練をするわよ」

シロッコ「了解」


…鎮守府沖の海中・深度十数メートル…

スクアーロ「ふふふ…見えてきたみえてきた……白くて柔らかいお腹をさらした美味しそうなお魚さんが…♪」


…白い八重歯を光らせ、にたりと笑みを浮かべている「スクアーロ」(サメ)は、姉妹艦の「デルフィーノ」(イルカ)「ナルヴァーロ」(イッカク)「トリケーコ」(セイウチ)たちと模擬魚雷で「雷撃」を仕掛けることになっている…当然ディアナたちには攻撃のタイミングや方向を教えない実戦形式になっている…


デルフィーノ「…対象の速度二十五ノット、偏差調整を……雷速三十ノット、深度三メートル……前部の四本を扇状発射で行きますよ…ぅ」頭がよく計算も早いデルフィーノは手早く偏差を調整し、片目を細めて潜望鏡に取りついた…

スクアーロ「……発射管に注水…前扉開け!」潜望鏡に淡灰色と濃い灰色、そして艦首に白で偽の艦首波を描いた迷彩姿のディアナたちが入ってくる……

デルフィーノ「…トーレ、ドゥーエ、ウーノ…魚雷発射!」弾頭なしの模擬魚雷が鈍い音を立てて射出されると、魚雷が「シュル…ッ」と白い泡を引きながら航走を始めた…

…海上…

マエストラーレ「……左舷九○度に雷跡! …とぉぉーりかぁーじ、いっぱぁーい!」

リベッチオ「とぉーりかぁーじ、いっぱーい!」


…鎮守府の潜水艦たちを仮想敵にして、魚雷の回避と一斉回頭の訓練にいそしむディアナたち……マエストラーレたちは取り舵と面舵に特定の信号旗を決め、旗艦のメインマストに信号旗が揚がると同時に各艦もすぐ同じ旗を揚げ、信号旗が降りた瞬間に舵輪を回す……信号旗に合わせて一糸乱れぬ動きが出来るよう、今はそれぞれが直接護衛グループの旗艦「マエストラーレ」に目をこらしている…


マエストラーレ「…グレカーレ、回頭の入りが遅いっ!」

グレカーレ「うぅ、ごめんなさい……ここからだと信号旗が見づらくて…」マエストラーレの真後ろに配置されているグレカーレからは、はためく信号旗が何色なのかも見分けにくい…

マエストラーレ「だったら他艦と見比べる! …海の600メートルなんてすぐ距離が詰まっちゃうのは分かっているでしょうが!」

グレカーレ「…っ、了解!」

トリケーコ「……ふふ、上手上手…でも、ね♪」ドシュッ…!

シロッコ「…右舷に雷跡!」

マエストラーレ「……っ、両舷全速! 面舵一杯!」最初の雷撃をかわして船団が真横を向いた所に、第二撃の魚雷が航走してくる…

ディアナ「おもーかぁぁーじ、いっぱぁーい!」32ノットと駆逐艦並みの高速を誇るディアナだけあって、優雅に波を切りながら二本の雷跡の間をすり抜けた…

トリケーコ「…むぅぅ、なかなかお上手だこと……」

ナルヴァーロ「……トリケーコも外したようだし、今度は私が…前部一番から四番、撃て!」

マエストラーレ「左舷に雷跡、取り舵一杯!」

グレカーレ「とぉーりかぁぁーじ、いっぱぁーい!」

リベッチオ「……っ、間に合わない!」ぎりぎりの所で避けきれず、白い雷跡が艦尾に届くと「ゴン…」と鈍い音がした…

マエストラーレ「あぁ、もう…もうちょっとだったのに……!」

リベッチオ「……ごめんね、お姉ちゃん…」

マエストラーレ「謝らなくていいわ……もっとも、その分練習するように!」

リベッチオ「はぁ…い」

シロッコ「…まったく、スクアーロたちもやってくれるね」

ディアナ「ふぅ、最後の斉射はわたくしもひやりといたしました……」

マエストラーレ「そうね……でも深海の連中はもっといろんな手を使ってくるはずだし、このくらいは回避できないと困るわよ…」




591 ◆b0M46H9tf98h2019/10/28(月) 02:59:44.56Vzx2CwQ/0 (1/1)

…一方…

ガリバルディ「まったく…旗艦だから提督を乗せているけれど、ライモンドに嫉妬されそうで怖いわね♪」

提督「大丈夫よ、ライモンはいい娘だもの。任務に必要なことで怒ったりすねたりはしないわ」

ガリバルディ「まったく、惚気てくれちゃって……」と、ふいに目を細めると水平線に目をこらした……

提督「…」提督も慌てて首にかけている双眼鏡を引っつかみ、水平線近くを探る…ぽつりぽつりと黒い点が視界に入り、倍率を上げると水面ぎりぎりを飛ぶ独特なシルエットが見えた…

ガリバルディ「……敵機! 赤(左舷)二十度! 機関全速!」

提督「対空戦、用意! 射程に入り次第自由に撃て!」


…提督が座乗する予定の軽巡「ジュゼッペ・ガリバルディ」を始めとする間接護衛グループは、鎮守府所属の「サヴォイア・マルケッティSM79」を使っての対空戦と、腕の立つ「フルット」級や「アデュア」級中型潜を相手にした対潜戦の訓練に余念がない…提督は耳に防音のイアピース(耳当て)をつけていて、おまけに訓練では空砲を使っている……が、それでも耳が聞こえなくなりそうな砲声と硝煙の臭いが立ちこめ、指示を飛ばすために大声を張り上げているので喉がひりひりする…


ガリバルディ「左舷ブレダ機銃、撃ち方始め!」…37ミリや20ミリのブレダ機銃が低空で突っ込んでくるサヴォイアに振り向けられると「バン、バン、バンッ!」と吼えたてる……甲板上ではうっすらした幻影のような水兵たちが次々と保弾板を入れ替え、照準をつけているのが見える…

ライモン「距離2000! 機種、サヴォイア雷撃機! 高角砲、撃てっ!」

バンデ・ネーレ「左舷ブレダ、先頭の敵機を狙え…撃て!」

オリアーニ「…左舷四十五度に敵機三機!」

カルドゥッチ「ブレダ機銃、てーっ!」中央部の三連装魚雷発射管を下ろして37ミリ連装機銃を増備した「護衛駆逐艦」仕様のオリアーニたちが、アイススケートのような航跡を描きながら機銃を振り向ける…

アルフィエリ「機関全速! 取り舵いっぱぁーい!」

ジオベルティ「左舷に雷跡! 取り舵二十!」

ガリバルディ「…敵機、左舷から来るわ!」

提督「…っ!」エンジンの爆音に思わず頭を引っ込めそうになるくらいの低空…艦橋すれすれの高度でサヴォイア雷撃機がすり抜けて行った……

ガリバルディ「……撃ち方止め! どうやらこれでおしまいみたいね」

提督「え? あぁ、そうね……っと…」疲労のせいで少し足元がふらついて、慌てて海図台につかまる提督…

ガリバルディ「……提督はまだこういうのに慣れていないし、疲れたでしょう?」ガリバルディが後ろから腕を回して提督の肩を抱えた…びっしょりと汗ばんだ略装越しに、ガリバルディの張りのある胸の感触と身体の火照りが伝わり、首筋に熱い息がかかる……

提督「ええ、まぁ…でも大丈夫///」

ガリバルディ「ふふ、頼もしいわ……まぁ操艦は私がやるわけだから、提督は全体の指揮を頑張ってちょうだいね」

提督「ええ」

ガリバルディ「よろしい……さーて、今日のお昼当番は誰だったかしら? うんと動いたし、何かしっかりしたものが食べたいわね」

提督「えーと…今日はドリアとザラが担当だったはずよ」

ガリバルディ「あら、いいじゃない。特にドリアは美食家だから期待できるわ」

提督「そうね。それじゃあ早く帰りましょう」

ガリバルディ「了解、それじゃあ最大戦速で行きましょうか♪」横から提督の顔をのぞくと冗談めかして派手なウィンクを投げた…

提督「もう…鎮守府に戻るまでは訓練のうちなんだから、真面目にやりなさい?」

ガリバルディ「了解。従うわ」

提督「結構♪」

………




592 ◆b0M46H9tf98h2019/10/31(木) 02:49:19.27iOMn/hET0 (1/1)

…しばらくして・執務室…

提督「ふー…さっぱりしたし、後は遅めのお昼でも……」硝煙と汗の染みた服は洗濯機に放り込み、シャワーも済ませた提督……軽くお化粧を直し、クリーム色をした薄手のセーターに袖を通す……と、急に内線電話が鳴り出した…

提督「はい、こちら執務室…」

カラビニエーレ「提督、食堂でトラブルです! 至急来てください!」

提督「トラブルね……了解、すぐ行くわ」

カラビニエーレ「お願いします!」

…食堂…

ガッビアーノ「……確かにそれは悪かったかもしれないけれどね…」

フレッチア「悪かったと思ってるなら謝ればいいでしょうが、カモメだからって意地汚いにもほどがあるわ!」

アレッサンドロ・マラスピーナ「まぁまぁ……フレッチアもそこまで言うことはないじゃないか…だろう?」

フレッチア「そりゃあ言いたくもなるでしょうよ! それにアレッサンドロ、あんただって同罪みたいなものなんだからね!?」

マラスピーナ「……何も私にまで雷を落とさなくたっていいだろう」

フレッチア「落とすわよ! だいたいあんたはいっつも適当で、暇さえあれば女の子とベタベタして…作戦も近いってのに、ちゃんと真剣にやってるわけ!?」

…両手を腰にあて、小柄ながら迫力充分のフレッチア……普段から稲妻のようにはねている髪は腹立ちのためか、まるで帯電でもしているかのように逆立っている…

マラスピーナ「……これでも実力は伴っているんだ…君が可愛いおつむを悩ませて、他人のことまで心配する必要はないよ!」

フレッチア「この…っ!」いきり立って飛びかかると、マラスピーナの顔に爪をたてて引っかこうとするフレッチア…

提督「…やめ!!」

…普段は柔和で大声一つ出さない提督が声を張り上げると、途端に全員が「気をつけ」の姿勢を取り、食堂がピタリと静まり返った…

提督「アレッサンドロ、ガッビアーノ、フレッチア……それぞれ離れなさい」

ガッビアーノ「…了解」

マラスピーナ「…ああ、了解」

フレッチア「ええ……」

提督「ふぅ……それで、一体どうしたって言うの?」

エリトレア「えぇ…と、その……実は…」

…十数分前…

ガッビアーノ「エリトレア、このお皿のお菓子だけど…食べてもいいかな?」

エリトレア「え? お菓子ですか?」

ガッビアーノ「うん、ここに置いてあるんだけどね…」

エリトレア「そうですねぇ……特に誰もいないようですし、私も早くお皿洗いを済ませたいですから……食べちゃっていいですよ♪」

ガッビアーノ「分かった。それじゃあいただこう…」

マラスピーナ「…おや、白い翼のガッビアーノ(カモメ)さん……いったい何をしているのかな?」

ガッビアーノ「ん、机にお菓子があったからね…アレッサンドロも一つ食べるか……な?」

マラスピーナ「おや、嬉しいね…ではありがたく♪」にこやかに笑って隣に座ると、ガッビアーノにジャム付きのクッキーを差し出した…

………



提督「…それで?」

エリトレア「はい…そのお菓子はフレッチアが哨戒の前に、帰投したら食べるつもりで置いておいたそうなんです……」

提督「なるほどね……」

カルドゥッチ「…まさに「人間は自分の父親が死んだことよりも、物を取られたことの方がよく覚えている」っていうものだね」(※マキャヴェリ)

フレッチア「……哨戒が終わったら食べようと思って取っておいたのに、この泥棒カモメが盗み食いするんだもの…それだけならまだしも、謝りもしないでいけしゃあしゃあと「皿に名前でも書いてあれば食べなかったさ…」なんて言うのよ!?」



593 ◆b0M46H9tf98h2019/11/01(金) 01:31:14.24KkJEtLI60 (1/1)

提督「フレッチア!」

フレッチア「…ごめんなさい、いくらなんでも言い過ぎたわ」

提督「分かればよろしい……では、三人に処分を言い渡します」

フレッチア「…はい」

ガッビアーノ「…」

マラスピーナ「…」

提督「まず……ガッビアーノは知らなかったとはいえフレッチアが取っておいたお菓子を食べちゃったのだから、ちゃんと謝ること」

ガッビアーノ「了解…」

提督「次、フレッチアはガッビアーノとアレッサンドロの二人に対して言った悪態を取り消すこと」

フレッチア「……分かったわ」

提督「アレッサンドロもフレッチアに向けて謝ること」

マラスピーナ「了解したよ、提督……」

提督「それから三人には罰直として、今日から三日間お風呂とトイレの掃除を命じます…以上、分かったわね?」

三人「「了解」」

提督「よろしい……それじゃあお互いに仲直りのキスをして?」急に甘い口調になると、満面の笑みを浮かべた…

フレッチア「…は!?」

提督「頬で構わないわ…もし唇にしたければ別だけれど♪」

フレッチア「だ、誰がよ…///」

アレッサンドロ「ふふ、了解……そういうのは得意な方でね♪」

フレッチア「ち、ちょっと!」

アレッサンドロ「…フレッチア、さっきは悪かったよ……つい頭に血が上ってね…愚かな私を許してくれるかい……?」ひざまづいてフレッチアの手を包むように握ると、上体を伸ばして頬にキスをした…

フレッチア「ゆ、許してあげるわよ……じゃあ、今度は私が…///」ちゅっ♪

ガッビアーノ「……フレッチア、済まなかったよ…今後は気を付ける……」ちゅぅ…っ♪

フレッチア「わ、私も言い過ぎたわ……ごめんなさい///」…ちゅっ♪

提督「はい、よろしい♪」

カラビニエーレ「ふぅ……やっぱりこういう時は提督じゃないとおさまりがつかないわ。私が上手く抑えられれば良かったのだけど……」

提督「ふふ、いいのよ…そのために私がいるんだもの。 …カラビニエーレはよくやったわ♪」

カラビニエーレ「グラツィエ、提督…///」

提督「それにしても今後は同じような事がないように、お皿に何か「目印」でも置いておくことにしましょうか…」

エリトレア「そうですね、それなら私もうっかり片付けないで済みます♪」

………

…夜・執務室…

提督「……はぁぁ」執務室の椅子に座ると身体をぐったりさせて、大きなため息をついた…

カヴール「あら、そんな大きなため息をついて…どうなさいました?」

提督「いえ、ね……作戦が近いせいか、みんな神経がささくれ立っているというか…どうも鎮守府の雰囲気がピリピリしていて……夏の作戦の時はそうでもなかったのに……」

カヴール「そうですねぇ……まぁ、夏の時は提督が着任したばかりでの大作戦でしたから、どのような指揮を執られるかも分からなかったですし…それに提督が作戦の前に風邪をお召しになったりしたものですから……みんな気がかりな事柄が多くて、それどころではなかったのだと思いますよ♪」

提督「もう、そんなところで慣れてもらっても困るわね……」

カヴール「ふふふ…っ♪」

提督「……それにしても作戦が決まってからは体力トレーニングに、ガリバルディたちに座乗させてもらって対空戦・対潜戦の訓練…それから必要書類の整理と、作戦に関連するあちこちとの調整……やることが多くて、なんだか身体の芯に疲れが溜まっている感じがするわ…」

カヴール「あら、それはいけませんね…」

提督「ええ……だからと言ってどれも手抜きは出来ないし…」

カヴール「なるほど…そういうことでしたら、ダ・ヴィンチの所に行ってみるとよろしいかと♪」

提督「……ダ・ヴィンチ?」


594以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/01(金) 21:00:51.77fWKr2iXZO (1/1)

おぉ!ヘッジホッグったぁこれまた懐かしい!昔乗っていた艦を思い出しますな!


595 ◆b0M46H9tf98h2019/11/02(土) 01:39:38.13Jo8ogCgX0 (1/1)

>>594 乗艦にヘッジホッグが搭載されていたのでしょうか…戦後の艦は軒並みリンボーになっているものと思っていましたが……

…もっとも寡聞にして、海自がヘッジホッグやリンボーのような対潜迫撃砲をどう呼称していたのかは知らないので…もしかしたらひとくくりにして全部「ヘッジホッグ」で済ましていたのかもしれませんね


596以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/03(日) 18:20:30.31C1E9vHspO (1/1)

確かアメちゃんから貰ったやつの固定型がmk10(ちゃんとした型式は忘れた)で回転式は六八式対潜弾投射機Mk15って呼んどった思い出が。まぁ、私の乗っとった某DDGではまとめてヘッジホッグっと呼んどりましたが。


597 ◆b0M46H9tf98h2019/11/05(火) 01:35:29.02H8J3P0o/0 (1/2)

>>596 なるほど、わざわざ教えて下さってありがとうございます

…ここしばらく進められないでいましたが、そろそろ秋季作戦の場面を書き、それからまた提督たちがだらだらいちゃいちゃする予定です…お待ちください


598 ◆b0M46H9tf98h2019/11/05(火) 02:42:40.66H8J3P0o/0 (2/2)

…大型潜「マルコーニ級」の部屋…

提督「…ダ・ヴィンチ、いる?」

レオナルド・ダ・ヴィンチ「いますよ、どうぞ」

提督「お邪魔するわね」

ダ・ヴィンチ「ええ、いらっしゃい……さて、今日はこの「世紀の大天才」レオナルド・ダ・ヴィンチにどのようなご用でしょう…科学、天文、錬金、美術に建築……何でもどうぞ?」


…いつも通りひらひらしたケープに花飾りの「錬金術士スタイル」をしているダ・ヴィンチ…錬金用の大釜は鎮守府の「錬金術士」たちが入り浸っているアルキメーデ級の部屋にあるが、「予備」の小さい釜が室内の暖炉に据え付けてある…


提督「ふふ、そんなに大層なものじゃないわ…実はね、この数日ちょっと疲れ気味で……」

ダ・ヴィンチ「なるほどなるほど……それで疲労回復の薬が欲しいと…そう言うことね?」

提督「いえ、まだ何も…」

ダ・ヴィンチ「大丈夫…そんな提督にぴったりのお薬があるわ♪」ごそごそとポーチをかきまわすと、夕日のような色をした錠剤を取り出した……

提督「…これ?」

ダ・ヴィンチ「ええ、疲労回復に役立つモノがうんと入っているわ……ちなみに主な成分はバリン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸ナトリウム…アセスルファムカリウム、トレハロース、酸化マグネシウム、クエン酸……そこにチェザーレの勇敢さとガリバルディのカリスマ……マンドラゴラにピンクヒスイの粉末…そして色付けに飴色紅茶のエッセンスと唇に透けたオレンジを加えて……」

提督「……あー、それって飲んでも大丈夫なのね?」

ダ・ヴィンチ「もちろん。一回一錠で疲労も吹き飛ぶわ♪」

提督「そう、ならいただくわね…」

ダ・ヴィンチ「はい、また何か助けてほしい事があったら来てね?」

提督「ええ、ありがとう」

ダ・ヴィンチ「また明日ね、提督……っと、副作用の事を伝え忘れたっけ……」

ダ・ヴィンチ「……ま、いいか♪」

…夕食後・執務室…

提督「ふわぁ…さすがにくたびれたわね……」目をしょぼしょぼさせながらノートパソコンの画面に映る数字とにらめっこしていたが、ようやくけりがついたので「保存」をクリックし、電源を落とすと肩を回して伸びをした…

提督「さてと、あとは深夜哨戒に出る娘たちのお見送りをして……それから食堂に行って、深夜哨戒組が戻ってきた時に食べる加給食(お夜食)の確認と検品……」


…時々ディアナやエリトレアが夜食に出すサンドウィッチや軽食を作り過ぎると「検品」と称して、提督やその場にいる艦娘たちがおすそ分けにあずかることがある……体形も気になる提督としては別段なくても構わないが、あるとちょっとだけ嬉しい気分になることは否定できない…


提督「…あ、あと作戦・通信室にも顔を出さないといけないわよね……で、それが済んだら寝る前にお風呂に入って…ふぅ、何だかんだで色々やらないといけないわね…」と、執務机の上に置いておいた錠剤に目が留まった…

提督「…せっかくだからダ・ヴィンチのくれた薬でも飲んでみるとしましょうか……えーと、グラスは…と」

………



…しばらくして・待機室…

ウアルシエク(中型潜アデュア級)「ふわ…ぁ、眠いネェ……」

ネゲリ(アデュア級)「うん……深夜哨戒ノ辛いトコロだよネ…」浅黒かったり褐色だったり、はたまたカスタード色の肌をしている艦娘「アデュア」級の面々はしゃべるとアフリカ…特に艦名についている植民地の地名からか、アビシニア(エチオピア)訛りやキレナイカ(リビア)訛りが多い……

ベリロ(中型潜ペルラ級「ベリル(緑柱石)」)「まぁまぁ…私たちが毎晩タラント湾の哨戒をしているおかげで、深海棲艦の機雷の敷設や夜襲を予防出来ているんですから」

オニーチェ(ペルラ級「オニキス(縞メノウ)」)「……とはいうものの、眠いことは変わりませんね…ぇ」午後の間に昼寝をしておいたとはいえ、生あくびが出る……オニキスのように黒と白がそれぞれ房に分かれている髪をかき上げ、濃いエスプレッソをすすった…

ベリロ「それでも、提督はたいてい出撃前に様子を見に来てくれるもの…優しいわ」

ウアルシエク「そうネ」




599 ◆b0M46H9tf98h2019/11/09(土) 12:13:30.22Coi5ZTzq0 (1/1)

提督「みんな…チャオ……♪」

ウアルシエク「あ……噂をすれば、ネ」

ベリロ「提督、来てくれたんですね……って、大丈夫ですか?」

提督「んふふっ……ええ、私は元気よ…ぉ♪」頬は紅潮し、滑らかな肌は上気してしっとりと汗ばんでいる……いつもは優しげに細められていることが多い金色の目は瞳孔が広がり、ギラついた光を帯びて爛々と輝いている……

オニーチェ「ほ、本当に…?」

ベリロ「…何だか顔が火照っているようですけれ…ど?」

提督「え、ええ……はぁ、はぁ、はぁ…っ///」

ネゲリ「提督、平気…?」提督に近寄ると上目づかいで見上げるようにして身体を近づけたネゲリ……ぴっちりした淡灰色と灰緑色の迷彩が施された競泳水着風の「艤装」が際立たせる、滑らかで引き締まった身体の曲線…そして艶やかな浅黒い肌からふわりと立ちのぼる甘く香ばしいような匂いが、提督の鼻腔をくすぐる…

提督「……実を言うと…ふーっ、ふーっ……もう…我慢できない…わ♪」ちゅぅぅっ、ちゅるぅ…っ♪

ネゲリ「…んむっ!?」

オニーチェ「!?」

ベリロ「え…?」

ウアルシエク「な…!?」

提督「あむっ、んっ、ちゅむ……んちゅぅ、じゅるっぅぅ…っ♪」背中に腕を回してぎゅっと抱きしめると、顔を上向かせてむさぼるようなキスを浴びせる…

ネゲリ「んふぅっ、んぅぅっ…んふぅ……っ///」

提督「ふあぁぁんっ♪ ネゲリの唇、柔らかくて…はむっ、ちゅぅっ……んー、むちゅっ…ぅ♪」

ネゲリ「ぷはぁっ…んぐっ、むぅぅ…んっ///」

提督「それにこの……んちゅっ…弾力のあるお尻も……んふふっ♪」提督のきれいな指が水着の隙間に差し入れられ、張りのあるヒップを撫で上げる…

ネゲリ「ひゃぁん…っ///」

提督「んふふっ、そんなに甘い声を出しちゃって……ふふ、もっと気持ちよくしてあげるわね…ちゅぅっ♪」ちゅくっ、くちゅ…っ♪

ネゲリ「はー、はー……んあっ、ふあぁ…んっ♪」

提督「うふふっ、ネゲリったらもうこんなにとろとろになって…可愛い♪」メロンか何かの目方を量るようにヒップを下から支えつつ、もう片方の手をぴっちりと張りついた水着の隙間に優しく滑り込ませる……

ネゲリ「はーっ、はぁぁ…っ…ていとく……気持ひイイ…ふぁぁ…///」ひざから崩れ落ちそうな内股でとろけた表情を浮かべ、提督にしがみついている…

提督「んふふっ、嬉しいわ…それじゃあもっとしてあげる……♪」にちゅっ、ぐちゅぐちゅっ♪

ネゲリ「ふあぁぁん…っ///」

提督「あらあら、もういいの? んふふっ、それじゃあ次は誰にしようかしら…♪」ねっとりと甘い声をあげオニーチェたちを見回すと、ぺろりと舌なめずりをした…

オニーチェ「///」

ウアルシエク「テ、提督…っ///」

ベリロ「…っ///」

…数十分後…


提督「んむっ…はむっ、ちゅるぅ…っ♪」

ベリロ「ふぁぁぁ、提督……提督ぅ///」ぷしゃぁぁ…っ♪

提督「んふふっ……あむっ、ちゅむっ♪」

オニーチェ「はひぃぃ…っ♪」ぐちゅっぐちゅぅ…っ♪

提督「んちゅるっ、ちゅむ……ちゅぅぅ…っ♪」

ウアルシエク「ふわぁぁ…あふっ、んはぁぁ///」

………




600 ◆b0M46H9tf98h2019/11/10(日) 02:19:16.05ykpg1ixF0 (1/1)

提督「あんっ、もう…四人ともすっかりとろとろに濡らしちゃって♪」

オニーチェ「はー、はー、はーっ……///」

ベリロ「はひぃ…ふぅ…///」

ウアルシエク「……はへぇ…ぇ///」

ネゲリ「…んぅ…っ///」

提督「ふふっ……それじゃあ哨戒、頑張ってね♪」黒いタイツに包まれたふとももにとろりと愛蜜を垂らしたまま、甘ったるい笑みを浮かべると出て行った…

ベリロ「……まずは…ふぅ、はぁ……一旦シャワーを浴びて……出撃は…それからにしましょう……」

ウアルシエク「…賛成……」

………



…廊下…

提督「ふーっ、ふーっ……はあぁ…っ♪」くちゅ…っ♪

…廊下を歩きながら、まるでマラソンでもした後のように荒い息遣いをしている提督……歩くたびにもっちりしたふとももとねっとりと濡れた花芯がこすれて、腰が抜けそうなほど気持ちいい……いつもなら潮風の爽やかな息吹か艦娘たちの甘い香水の匂いに満ちている廊下も、今はくらくらするほど強いジャスミンやチョコレート、それに熟れきったメロンが合わさったような甘ったるい香りにしか感じられない…

提督「ふーっ、ふーっ…」

チコーニャ「あ、提督っ♪」

提督「あら、チコーニャ……港内の掃海は終わったの…ね♪」

チコーニャ「はい、きれいになりましたよ…って、提督…どうしたんです……か?」

提督「…いいえ、どうもしないわ……チコーニャはもう一度シャワーに?」

チコーニャ「はい。鎮守府はいつでもお風呂に入れるので…自由に汗や塩気が流せるので嬉しいです♪」

提督「そうね……ところで掃海具の予備はどうなっていたかしら…」

チコーニャ「はい、掃海具の予備はパラベーンと一緒に備品倉庫に入ってます」

提督「それじゃあ少し付き合ってもらえるかしら……一緒に確認しましょう?」

チコーニャ「分かりました、それじゃあシャワーの前に済ませちゃいましょう♪」

提督「…ええ、それがいいわ……んふふっ…♪」何も気づいていないチコーニャを見て、いやらしい笑みを小さく浮かべた……

チコーニャ「提督、どうかしましたか?」

提督「いいえ……何でもないわ♪」

…倉庫…

チコーニャ「えぇ…と、曳索が十巻きにパラベーンが八つ、それに掃海具がそれぞれ……」

提督「…なるほど、大丈夫そう……ね♪」カチリ…

チコーニャ「そうですね、それじゃあこれでおしまいで……あれ?」

提督「ふふふ…っ♪」

チコーニャ「…あの、提督?」

提督「……チコーニャ♪」小さなチコーニャを壁に押し付け、頬に手を当てる…

チコーニャ「え、あっ……提督…っ///」

提督「…好きよ……んむっ、ちゅるぅっ…可愛らしくて、一生懸命で……よくやってくれているわ…ちゅぱ…ちゅむっ、むちゅぅ…っ♪」

チコーニャ「んむっ、あふっ……ふわぁぁぁ///」

提督「…ふふふっ…シャワーの前に…もうちょっと汗をかいていきましょう……ね♪」チコーニャのプリーツスカートをめくりあげ白いサイドリボン付きのショーツをずり下ろすと、ふとももを絡めた…

チコーニャ「ふぁ…ぃ///」

………




601 ◆b0M46H9tf98h2019/11/19(火) 23:15:51.73PFIh8J0J0 (1/1)

…ここしばらく投下できずにいてすみませんでした。ちょっとPCがダメになってしまったもので…

…また数日以内に投下していきますので、どうかもうしばらくお待ちいただければと思います……


602 ◆b0M46H9tf98h2019/11/22(金) 01:52:43.55GrZO/GVE0 (1/1)

…しばらくして・軽巡アオスタ級の部屋…

エウジェニオ「…『愛しいレオナルダ、その後かわりはないかしら……ちょうど今頃のボローニャは焼き栗の季節ね。屋台で紙袋に詰めてもらって、二人で歩きながら食べたことを思い出すわ』と…」


…毎晩寝る前に、イタリア各地の「恋人」たちから送られてくる恋文に返事を書くのが日課になっている女たらしのエウジェニオ……白いすっきりしたナイトガウン姿で椅子に腰かけ、きれいなすみれ色の便せんにさらさらと手紙を書きつづっている…かたわらには甘い言葉がたっぷりつまった便せんを入れて、各地の住所と宛名が記された出来上がりの封筒が積み上げられている…


エウジェニオ「…結びに『…貴女を思い出しつつ……エウジェニオ』と…ふふ、これでいいわ……あら」軽く数回ノックの音が響いた…

エウジェニオ「……どうぞ、提督…開いているわ」

提督「…ふぅ、ふぅ……どうして私だって分かった…の……?」とろりとした表情を浮かべて頬を火照らせ、ドアの枠につかまるようにしてようやく立っている…

エウジェニオ「あら、だってノックの仕方が違うもの…」

提督「…はーっ、はーっ……さすがね…エウジェニオ……///」

エウジェニオ「ふふ、お褒めにあずかり光栄ね……それで、こんな時間に何のご用かしら?」手紙の山をきれいに片付けると書き物机の引き出しにしまい、片方の腕で頬杖をついた…髪の房が胸元に垂れ、ギリシャ彫刻風の端正な顔立ちには微笑を浮かべている……

提督「…あの…それが……ね…エウジェニオ……」

エウジェニオ「ええ、何かしら?」

提督「…その……私、身体が火照って…さっき…から……収まらないの…ぉ///」

エウジェニオ「あら…私にそんなことを言っていいのかしら? めちゃくちゃにしちゃうわよ?」

提督「…ええ、お願い……私のこと…好きなだけ……めちゃくちゃにして…///」

エウジェニオ「そう……ふふっ、提督の頼みとあれば断れないわね♪」立ち上がって片方の手を提督の腰に回し、もう片方の手を肩にかけると部屋に招き入れた…

提督「はぁ…はぁ……ん///」

エウジェニオ「もう…そんな表情をされたら、我慢出来ないわ♪」ちゅぅ…っ♪

提督「あ、ふぁ……んあぁっ♪」

エウジェニオ「それにしても……ふふっ、こんな格好でここまで来たの?」

提督「…あ、んっ……♪」ちゅくっ、くちゅ…っ♪

エウジェニオ「タイツは伝線しているし、こんなところまでぐっしょり濡れて……おまけに下着をどこかに置いてきちゃったようね?」

提督「…そんなこと、どうでもいいの……んくっ、ちゅむっ……んむ…っ♪」

エウジェニオ「ふふ、そうかもしれないわね……んむ、ちゅぅぅっ…ちゅるっ、ちゅぷ…っ♪」

提督「あっ、ふぁ…ぁんっ……んふっ、んくぅぅ…っ♪」

エウジェニオ「ほら、壁にもたれかかって……ね♪」

提督「ふあぁぁぁ…あんっ、あぁ……それ、とっれも…いい…っ♪」


…だらしなく喘いでいる提督を壁に押しつけるようにし、片脚を膝から上げさせるとタイツの破れ目から指をするりと滑り込ませた……技巧派のエウジェニオらしく、ねっとりとぬめる花芯を洗練されたやり方で甘く責めたてる……同時に耳元に唇を寄せると甘い言葉をささやき、時折じらすように耳たぶを甘噛みする…


提督「ぁぁ…っ、はぁっ、はぁぁ…んっ♪」

エウジェニオ「ふふ、イっちゃっていいのよ……ほら♪」

提督「ふあぁぁぁっ、あふっ、んぅっ……あっ、あぁぁ…っ♪」

エウジェニオ「……愛しているわ♪」

提督「あぁぁっ…はひっ、あぁぁぁ……っ♪」

………



提督「…すぅ、すぅ……」

エウジェニオ「ふふ、すっかり疲れて寝ちゃったわね…♪」

提督「…すぅ……むにゃ…ライモン……」

エウジェニオ「……ふふ、提督ったら…情事の後に違う女性(ひと)の名前を出すなんて……らしくないじゃない」

提督「…すぅ……」

エウジェニオ「…まったく、ライモンドってば提督からこんなに想ってもらえて…幸せ者ね……♪」すっかり衣服の乱れた提督を軽々と抱きあげると、提督の寝室へと運んでいった…

………


603 ◆b0M46H9tf98h2019/11/28(木) 02:38:13.51qBetKeOS0 (1/2)

…翌日…

提督「…それで?」

ダ・ヴィンチ「いえ、まぁ…提督は出て行っちゃったし、わざわざ追いかけて言うほどのことでもないか……と」

提督「なるほど……つまり「副作用があるかもしれないのに説明をし忘れた」というわけね?」

ダ・ヴィンチ「…まぁ、短くいえば」

提督「それじゃあ改めて聞くけれど……あの薬の「副作用」っていうのはなぁに?」

ダ・ヴィンチ「あー…何というか、女性から女性への欲情が止まらなくなるの……言うなれば「桃色トランス」とでもいったところね…」

提督「なるほど」

ダ・ヴィンチ「あと飲んだ人は百合になるって効果はあるけれど…まぁ提督はすでに百合だから関係ないし……」

提督「……ダ・ヴィンチ」

ダ・ヴィンチ「な、なに…?」

提督「今後は軽々しくそういう薬を調合したりしないこと……それと、後でもうちょっともらえるかしら♪」

ダ・ヴィンチ「なんだぁ…ふふっ、もちろん「お任せあれ」よ♪」

………

…執務室…

提督「うーん…作戦計画はだいたい形になったし、後はいい名前が欲しいわね……夏の作戦の時はそこまで手が回らなかったけれど、さすがに「A025」だと素っ気なさすぎるし…」コーヒーカップを片手に思案顔の提督…


…管区司令部へ送り、作戦が終わると海軍のデータベースへ登録される作戦計画書には「20XX(西暦)-A025(季節「アウトゥーノ(秋)」の頭文字と、管区内で実施された作戦の通し番号)-TR6(鎮守府ナンバー)-25063(資料照会ナンバー)」と、検索システムですぐ調べられるよう一連のアルファベットと数字が振ってある……が、鎮守府の艦娘たちが身体を張って挑む作戦がただの文字列ではあまりにも味気ない…


デルフィーノ「確かに、何か気の利いた名前が欲しいですね」

提督「ね…カヴールもそう思うでしょう?」

カヴール「ええ」秘書艦を交代してからも、提督のところに来てはあれこれ手伝ってくれるカヴール…律儀なライモンの手早くかいがいしい手助けとは違って、じっくりと腰を据えて導き出される深慮遠謀や機略の数々は、イタリアを統一した名宰相の名にふさわしい……

提督「……それじゃあどんな作戦名にしようかしら」

カヴール「そうですね…やはりここは神話から命名するのがよいのではないかと思いますが」

提督「神話ねぇ……あ、それじゃあ「プレイアディ」は?」(※プレイアディ…イタリア語でプレアデス(すばる)の意)

カヴール「プレイアディ、ですか」

提督「ええ…今回の主役はディアナでしょう? それで、ディアナと関係のある神話を考えてみたら、プレイアディの話を思い出したの……輸送船団ともなれば深海側も目の色を変えて追いかけてくるでしょうし、躍起になった誰かに追いかけられるなんて、プレイアディとそっくりだな…って思ったのだけれど、どうかしら?」

デルフィーノ「…なるほど、言い得て妙ですね♪」

提督「いいと思う?」

カヴール「ええ、まさに今回の船団にぴったりの名前です……でしたら提督、敵の出現に備えるリットリオたちには「スコルピオーネ」と名付けたらいかがでしょう♪」(※スコルピオーネ…さそり座)

提督「…オリオーネが出てきたら一刺しするわけね?」(※オリオーネ…オリオン座)

カヴール「ええ…何しろディアナの怒りに触れたわけですから、ね♪」

提督「ふふっ、了解…それじゃあ輸送作戦そのものは「プレイアディ」で、敵の出現があったときの戦艦隊には「スコルピオーネ」としましょう♪」

カヴール「はい」




604 ◆b0M46H9tf98h2019/11/28(木) 02:47:04.80qBetKeOS0 (2/2)

…オリオーネとプレイアディ、ディアナ(アルテミス)…


…オリオンは大地の女神ガイアが産んだ(あるいは海神ポセイドンとネプトゥーヌス(ネプチューン)の間に生まれた)猟の得意な美青年で、ディアナに仕える狩人となったが、女とみれば追いかけ回すようなだらしのない性格で、こともあろうにディアナ(狩人と月の女神であり、純潔な一面もあった)に欲情しこれを手籠めにしようとしたため、怒り狂ったディアナによって差し向けられた蠍によってかかとを刺されて死に、星座になった

また、オリオンを見事に刺し殺した蠍はその功績によって星座にしてもらった…そのため、いつもオリオン座(夏の星座)はさそり座(秋の星座)から逃げるように天界を巡っているのだという


…プレアデスは世界を支える巨神アトラスの娘とされる七人の乙女で、野原で母親と遊んでいたところを女好きのオリオンに見染められ、五年もの間追いかけ回されたあげく、とうとう白い鳩になって逃げ出した……そこでかわいそうに思ったゼウスがプレアデスを星座にしたが、星になってもまだオリオンが追いかけ回してくるので、プレアデスはオリオン座から逃げるような季節に空に上るのだという…



605 ◆b0M46H9tf98h2019/12/03(火) 02:13:42.13bw28VMfR0 (1/1)

提督「……というわけで、作戦名は「プレイアディ」と言うことになったわ。どうかしら?」

ディアナ「なるほど、プレイアディとは良い名前ですね」目を細めて「ふふ…」と上品に笑ってみせた…

提督「そう、そう言ってもらえて良かったわ…それから支援の戦艦隊は「スコルピオーネ」よ」

ディアナ「もしもオリオーネのようにわたくしを追い回す敵艦が現れたら、後ろから一刺し…というわけでございますね」

提督「ええ」

ディアナ「ふふ、よろしいではありませんか…♪」


…作戦前日・食堂…

提督「では、いよいよ明日から秋期作戦「プレイアディ」を開始します…」

リベッチオ「待ってました!」リベッチオの軽口に一同がどっと吹き出した…

提督「こぉら、大事な任務説明なんだから茶化さないの…まったくもう」…苦笑いすると、ざわつきが静まるのを待ってから続けた

提督「すでにみんなも知っている通り、内容は夏の作戦と同じ「リビア輸送作戦」だけれど…今回は高速水上艦艇での輸送作戦なので激しい空襲が予想されます……全員、より一層の監視・警戒に努めるよう」

提督「…それから参加艦艇は以前伝達した通りですが、間接護衛部隊にグレイ提督の座乗する軽巡「エメラルド」と、ヴァイス提督が座乗する戦艦「ティルピッツ」が帯同します……ガリバルディ、お客様を怪我させないようにお願いね?」

ガリバルディ「ええ」

提督「結構…それからリビア沖のシルテ湾で哨戒を行う「デジエ」と「アクスム」は今夜の2200時、マルタ沖での哨戒と通信の中継を担当する「グリエルモ・マルコーニ」は2300時…同じくメッシーナ海峡担当の「アントニオ・シエスタ」は日付が変わった深夜の0300時頃にここを出撃し、それぞれ担当の海域で哨戒を行ってもらいます」

デジエ・アクスム「了解」

マルコーニ「了解」

シエスタ「はーい、一番眠い時間ですが感張ります…」

提督「貴女はいつもたっぷりお昼寝しているから大丈夫よ♪」

一同「くすくす…」

提督「それから「ディアナ」は物資の搭載があるため、この後すぐにタラント港に向けて出港します。また、護衛駆逐隊のうち「ソルダティ」級の「コラッツィエーレ」と「レジオナーリオ」を除く「マエストラーレ」級四隻はこれに随伴して護衛にあたること」

マエストラーレ「了解!」

提督「ディアナがタラントで物資を搭載したらトンボ返りを打つ形でここまで戻ってきてもらって、残りの護衛艦艇と会同。プレイアディ船団そのものとしては明日の0900時に出撃する形になります…何か質問は?」

ガリバルディ「提督、対潜哨戒機の援護はもらえるの?」

提督「それが、航空部の知り合いに頼んで回せないか聞いてみたのだけれど……マルタ島以南の制空権が確保できていない以上P-3Cの投入は厳しいし、今回はリビア側との折り合いもつかなくて、残念ながら手に入らなかったわ…そのぶん、うちの航空隊に頑張ってもらいましょう」

ガリバルディ「分かったわ」

提督「あと、他に質問は……ないようね」

提督「…それでは、全員無事に作戦を完了できるよう頑張りましょう!」

チェザーレ「…そしてカルタゴは滅びなければならぬ、と」(※ローマの政治家で弁舌家の「大カトー」が演説の際、必ずこれで締めくくった)

デュイリオ「まぁまぁ、ふふっ…♪」



グレイ提督「…なかなか見事なスピーチでしたわ」

提督「ありがとうございます、メアリ」

グレイ提督「カンピオーニ提督の艦隊運用をこの目で見られるとは…なかなか楽しみですわね」

提督「メアリに見られていると思うと、深海棲艦よりもその方が気にかかりますね…」

グレイ提督「ふふ……とかく作戦前は何かと思い悩む事があるでしょうが、貴女と艦娘たちはこれだけ訓練を積んできたのですから恐れることはありません…でしょう?」

提督「メアリ…」

グレイ提督「……それでは、わたくしも支度をしないといけませんので…失礼」

提督「…」いつもは皮肉っぽいグレイ提督から励まされ、すっかり驚いた提督…グレイ提督自身も少し気恥ずかしくなったのか、さらりと立ち去った…

………





606 ◆b0M46H9tf98h2019/12/09(月) 01:52:20.62q9rKqYv10 (1/1)

…数分後・作戦室…

提督「全員、用意はいい?」


…時刻合わせのために腕時計のリューズに指をあて、作戦室の時計に目をやっている提督……辺りには作戦に参加する艦娘たちと、グレイ提督、ヴァイス提督が集まっている……提督のクロノグラフ(精密時計)はしっかりしたステンレス製で、グレイ提督はそれだけで財産になりそうな「パテック・フィリップ」の腕時計、ヴァイス提督はドイツ製らしい堅実なデザインのものを付けている…艦娘たちはそれぞれ好みのクロノグラフを付けているが、潜水艦組は大戦時のイタリア王国海軍に納入されて、当時その出来の良さから数々の特殊作戦で役だった「パネライ」の軍用ダイバーズウォッチか、頑丈で特殊部隊の隊員たちにも愛されている「G-ショック」が多い…


ディアナ「…よしなに」

提督「それじゃあ秒読み……トーレ…ドゥーエ…ウーノ、カウント!」

ライモン「はい、合わせました」

提督「よろしい…それじゃあディアナとマエストラーレたちはそのままタラントへ出港してちょうだい」

ディアナ「了解」

………



…2145時…

デジエ「それじゃあちょっと早いけれど……行ってきます、提督」

…船団に先駆けて出撃し、リビア・シルテ湾で哨戒にあたる予定の中型潜「アデュア」級の二人は、灰色に灰緑色の斑点迷彩が施された、ぴっちりしたウェットスーツ風の「艤装」を身につけ、その上から潜水艦乗りらしい黒いレザーコートを羽織り、頭には艦長帽をかぶっている…

アクスム「シルテ湾は私たちでばっちり哨戒しておきます…ね、デジエ♪」…ちゅっ♪

デジエ「ん…♪」戦中は二隻でよく英船団に襲いかかり、大戦果を挙げていた名コンビの「デジエ」と「アクスム」…艦娘としても二人は息ぴったりで、いつも「恋人つなぎ」で手をつないだり唇を重ねたりと、誰かが間に入る余地もないほどお熱い…

提督「ふふ、相変わらず二人は仲が良いわね……深海側の哨戒機には気をつけてね?」

デジエ「はい」

提督「それじゃあ波止場までお見送りするわ」

アクスム「グラツィエ、提督…♪」

…普段提督たちが過ごしている「鎮守府本棟」の西側とつながっている黄色っぽいレンガ造りのささやかな船渠と、そこから海に向かって伸びている波止場……提督と見送りの艦娘たちがそれぞれ帽子や手を振って「帽振れ」で見送るなか、月もさやかな夜のイオニア海にディーゼル主機の青い煙を残しつつ、アデュア級の二隻がゆっくりと出港していった…

デルフィーノ「…次は2300時のマルコーニさんですね」

提督「そうね」

………

…2300時・波止場…

マルコーニ「それでは「グリエルモ・マルコーニ」出撃します…!」艶のある黒い競泳水着スタイルの服にレザーコート、裏張り付きの艦内長靴を履いたマルコーニが司令塔の上から敬礼した…

提督「ええ、通信の中継は任せたわ」

マルコーニ「了解…!」迷彩を施した大柄な「グリエルモ・マルコーニ」が4ノットくらいの低速で波止場を出て行った…

提督「……さてと、後は明日の朝方まで待つことになるわけだけれど……その間にあれこれとやらないといけない事があるわね」

ガリバルディ「そうね」

提督「ええ…それとガリバルディ、貴女たちは0900時の出撃に間に合うように蒸気を上げておいて?」

ガリバルディ「了解、それなら2400時くらいから缶を温めておけば間に合うわ」

提督「お願いね」






607 ◆b0M46H9tf98h2019/12/10(火) 01:56:31.75ycELa66v0 (1/1)

…2400時・作戦室…

提督「みんな、お疲れ様」

セラ「こんばんは、提督……あの、お休みにならなくて大丈夫ですか?」

提督「ありがとう、セラ。だけど今は色々とやる事があるから」

セラ「それはそうですけれど…」

提督「ふふ、出撃したらマルタ島までたっぷり数時間はかかるもの…その間に仮眠でもさせてもらうわ」

セラ「あ、なら良かったです」

提督「ええ…お気遣いありがとう♪」小さなセラのほっぺたに軽く唇を当てた…

セラ「///」

提督「ふふっ、セラは可愛いわね……ところでムツィオ」

アッテンドーロ「なに?」

提督「空軍のAWACS(早期警戒管制機)から何か情報は?」

アッテンドーロ「今のところ何もなし…定期的にキレナイカ(リビア)上空に深海側の哨戒機らしいシルエットがあるけど、それだけね」

提督「了解…ドリア」

ドリア「はい、何でしょう?」

提督「最新の気象通報は?」

ドリア「はい。明日0600時から1200時の天候ですが、今の段階では「晴れ」、雲量は3から4、風力は2から3、波高1,5メートルから2メートル、気圧は1000「ヘクトパスカル」からさらに上昇する見通しとのこと」

提督「そう。さっきから雲が湧いてきて、てっきり悪天候になるのかとばかり思っていたけれど……それじゃあ、明日は「やがて晴れになる」っていうところね?」

ドリア「はい「きっとこのまま変わらない」かと♪」

提督「ふふっ、了解」

ドリア「また最新のものが届き次第連絡します」

提督「お願いね…それから、サントーレ」

サントーレ・サンタローサ「は、はい…!」

提督「イオニア海管区の他の鎮守府から深海側の動静について通報は?」

サンタローサ「いえ、ありません」

提督「了解。サイント・ボン…貴女の方には?」

アミラーリオ・ディ・サイント・ボン「本官の方にもありませんよ、提督…マルタ島も今夜は静かなようです」

提督「では、引き続きお願いね」

サイント・ボン「もちろんですとも」

提督「それじゃあ私は出撃組の様子を見てくるから、何かあったら館内放送か内線で呼び出してね…携帯でもかまわないわ」

ドリア「はい、承知しました♪」