586 ◆b0M46H9tf98h2019/10/18(金) 00:49:05.89NaM/LutR0 (1/2)

…化粧室…

提督「…と、格好を付けてみたはいいものの……」


…洗面台の鏡に向かいつつとっくりと考えると、少しづつ不安になってきた提督…もちろん艦娘たちへの愛情や想いに嘘はないが、自分や艦娘たちの生命もかかるとなると穏やかな気持ちではいられない……


提督「うぅん…でも皆が出撃しているっていうのに、私だけ鎮守府に残っているなんていうのもいたたまれないし……」

シロッコ「…提督、また悩み事?」

提督「あぁ、シロッコ……えぇ、まぁ…」

シロッコ「ふふ……その様子だと「私の作戦で怪我をする娘が出るんじゃないか」とか「もっといい作戦があるんじゃないか」とか、そんな取り越し苦労をしている…ってところかしら……」

提督「…よく分かったわね?」

シロッコ「ふふふ、提督ってば夏季作戦の時もそうだったもの…」

………

…さかのぼって・夏季作戦の直前…

提督「うーん……うぅん…」

シロッコ「…提督、どうしたの?」

提督「いえ…今回が私にとって初の大型作戦なのだけれど、「提督」の経験がない私が立てた作戦で大丈夫か心配で……」

シロッコ「提督」

提督「なぁに、シロッコ?」

シロッコ「…私はね、新しい世代の海軍は女が率いると思っているんだ」

提督「ずいぶんといきなりね……でも、海軍はそこまで変われるかしら?」

シロッコ「変えるのよ……もしかしたら、提督…それをやるのは貴女かもしれない」

提督「……シロッコ…」

シロッコ「…私は提督の可能性を信じているわ」

………



提督「…あの時はシロッコの一言のおかげで随分と自信が持てたわ」

シロッコ「ふふ……なにせ「歴史の立会人」たる私だもの…今度の作戦も上手く行くわ」

提督「ありがとう」

シロッコ「どういたしまして……あと、「ディアナ」の護衛は任せておいてちょうだい」

提督「……まだ誰もしゃべっていないのに、どうして分かったの?」

シロッコ「さぁ、どうしてかしらね…♪」

提督「…」




587 ◆b0M46H9tf98h2019/10/18(金) 02:38:41.80NaM/LutR0 (2/2)

…食堂…

提督「……では、作戦に参加する艦娘と作戦計画を伝達します」

デルフィーノ「はい」

提督「まずは輸送艦として通報艦(高速スループ)の「ディアナ」…それを護衛する直接援護の駆逐隊にはマエストラーレ級の四隻「マエストラーレ」「リベッチオ」「グレカーレ」「シロッコ」と、さらに「ソルダティ」級から「コラッツィエーレ」と「レジオナーリオ」を参加させます」

ディアナ「…よしなに」

マエストラーレ「ディアナ、貴女には深海棲艦の指一本だって触れさせはしないわ♪」

提督「それから、深海側の駆逐隊などが出撃してきた場合に備えて、軽巡「ジュゼッペ・ガリバルディ」「ライモンド・モンテクッコリ」「ジョバンニ・デッレ・バンデ・ネーレ」およびオリアーニ級駆逐艦の四隻「アルフレド・オリアーニ」「ヴィットリオ・アルフィエリ」「ジョスエ・カルドゥッチ」「ヴィンチェンツォ・ジオベルティ」からなる間接護衛グループを編成します……旗艦はガリバルディ、お願いね」

ガリバルディ「ええ…提督の言うことなら「オッベディスコ(従う)」だから安心して♪」

提督「グラツィエ……また、重巡以上の強力な敵水上艦艇が迎撃してくる場合に備えて戦艦を中心とした支隊を「影の護衛部隊」とし、船団から距離を空けて随伴させます…」

チェザーレ「…なるほど」

提督「……この支隊は旗艦「リットリオ」を中心に重巡「トレント」「トリエステ」およびフォルゴーレ級駆逐艦の「フォルゴーレ」「フルミーネ」「バレーノ」「ランポ」の四隻で構成し、タラント・マルタ・ベンガジ(リビア)沖を結んだ三角形の哨戒ルートを航行…必要に応じて船団の援護に駆けつけます」

リットリオ「はい♪」

スクアーロ「…提督、私たち潜水艦隊は?」

提督「安心して、今からその話をするわ……潜水艦隊は側面警戒と無線通信の中継を兼ねてタラント湾、メッシーナ海峡、マルタ島、シルテ湾(リビア)の沖に展開します。特にシルテ湾沖は深海棲艦の出現が見込まれるので、担当の娘は十分警戒するように」

ルビノ(中型潜シレーナ級「ルビー」)「それで「シルテ湾」担当は誰になるの?」

提督「ええ、ちょっと待ってね……まず「タラント湾沖」は少し哨戒ルートに手をくわえますが、基本は普段通りに作戦日の当直艦が哨戒につきます」

ヴォルフラミオ(中型潜アッチアイーオ級「タングステン」)「…なるほど」

提督「それからメッシーナ海峡は「アントニオ・シエスタ」…友軍の制空権下にあるから危険度は少ないけれど、長時間にわたって哨戒してもらう事になるから、航続距離の長い貴女にお願いするわ」

アントニオ・シエスタ(大型潜バリラ級)「はい、了解しました…ぁ」

提督「…哨戒中に寝こけたりしないようにね?」どっと笑いが起きる…

シエスタ「もう、そんな事ありませんってば…ぁ///」

提督「よろしい……それからマルタ沖は船団と鎮守府、あるいは戦艦隊などとの通信を中継する役目だから…グリエルモ・マルコーニ。貴女が一番の適役ね」(※マルコーニ…無線電信の発明者)

マルコーニ(大型潜マルコーニ級)「ん、通信なら任せて」

提督「ええ……そしてシルテ湾沖は「デジエ」「アクスム」の二人にお願いするわ…もし深海側の水上艦艇を発見したら船団への脅威にならないよう、積極的に攻撃すること」

デジエ(中型潜アデュア級)「任せておいて、提督。だってアクスムと一緒だもの…ね♪」

アクスム(アデュア級)「ええ…デジエ♪」お互いに指を絡めて身体を寄せ合っている……

アラジ(アデュア級)「まったく、お熱いんだから…」

提督「こほん……話を続けてもいいかしら?」

デジエ「はい」

アクスム「どうぞ♪」

提督「あー……上空の援護に関してはうちから発進させる「メリジオナーリRo43」水偵と「カント・Z506」水偵、それにグロッタリーエの空軍基地に置いてあるうちの「フィアット・CR42」戦闘機が…マルタ島より先の制空権がない空域に関してはシチリアのトラーパニにうちの「マッキ・C202」戦闘機と「サヴォイア・マルケッティSM79」雷撃機を作戦に先だって展開させ、援護出来る態勢をとります…」

アヴィエーレ「…提督、一ついいかな?」

提督「どうぞ?」

アヴィエーレ「夜間の上空援護が必要なら「CR42・CN」が三機だけあるけど……使わないのかい?」

提督「ええ…それも考えたけれど、フィアット夜戦と言っても夜間に長距離進出できる特別な航法装置があるわけでもないし、それはあちらの軽爆や雷撃機も同様で夜は大人しくしているから……夜間に戦闘機を飛ばすことはしないわ」

アヴィエーレ「了解だ」

提督「……他に質問は?」

提督「よろしい。それでは作戦に参加する全員は無事に帰って来られるよう、当日までよく練習に励むこと……以上!」




588 ◆b0M46H9tf98h2019/10/21(月) 02:22:53.80SzJ6ROYr0 (1/2)

…お話の続きを投下する前に、名前を登場させた機体の紹介を一つ……長いので読み飛ばしてくれても大丈夫です


フィアットCR42「ファルコ」(鷹)戦闘機

合計で1000機以上生産された、イタリア王国空軍の(数の上では)主力となった複葉戦闘機。
愛称は「ファルコ」(鷹)で、正式名称についているアルファベットの意味はメーカーごとに異なるが、フィアットの場合は主任設計士(この場合チェレスティーノ・ロザテッリ)の頭文字をとっている。


武装は「12.7ミリ・ブレダ・サファト(SAFAT)」機銃が二挺と、イタリアの戦闘機としてはごく普通。

CR42戦闘機の前作である「CR32」複葉戦闘機が、スペイン内乱で交戦した共和派の「ポリカルポフI-15」「I-16」などに対してほどほどに戦うことができたことと、単葉戦闘機の性能がまだそこまでではなかったことから「複葉機でも十分に戦える」という勘違い、イタリア空軍の操縦士たちが(今でもイタリア空軍が得意な)アクロバットや旋回戦ばかり練習していて、技術面で保守的だったことから「戦闘機は開放風防で」(もっとも当時は無線機がなかったり性能が悪かったりしたことから機上のやり取りは手信号だったことと、風防ガラスが綺麗に作れずゆがんで見えたりくすんだりと見づらかった事もあるが…)「水平格闘戦で勝てることが一番だ」という意見が強く、世界の流れに乗らず複葉固定脚という形で設計された。


…とはいえそれでは性能が心もとないと、当時の戦闘機としては強力な「フィアット・A74RC38」(空冷840馬力)という高出力のエンジンを選択し、最高速度は約430キロを出した…その複葉機にしては高い性能から「最後の複葉戦闘機」や「世界最速の複葉戦闘機」などと言われた…開戦当初は英軍が配備していた「グロスター・グラディエーター」複葉戦闘機などを相手に互角に戦えたが、ハリケーンやスピットファイアが出現し始めると一気に劣勢に……おまけになまじ速度があったため複葉機が得意な低速域での旋回戦に持ち込むことも出来ず、被害ばかりが増えて行った……それでもアシ(航続距離)の長さと頑丈な機体構造、整備性の良さ、また複葉機らしい軽快な動きから戦闘爆撃機として戦い抜いた



…また実戦テストを兼ねて様々な機体を使っていた「独立第377飛行隊」や、ローマやナポリの防空を請け負った「第300飛行隊」など一部の部隊では、夜間防空のために機体を黒一色で塗り、胴体下部にまで伸びる消炎排気管と主翼下にサーチライトを吊るしたCR42「CN」(カッチア・ノトゥルナ…夜間戦闘)仕様として夜間迎撃に用いた。

特に独立377飛行隊は「赤い逆三角形の中に三日月が浮かび、そこにフクロウが止まっている」部隊マークが、狙ったわけではないのに夜間戦闘機らしい……古めかしい機体ながら377飛行隊のエース(撃墜5機)、ルイージ・トルキオ中尉が見事に夜間爆撃の英空軍「ウェリントン」爆撃機を撃墜している


………

カント(CANT)・Z506「アイローネ」(アオサギ)水上偵察機

もとは郵便機や旅客機として開発された民間用の水上機に目をつけて、軍用とした単葉、「アルファロメオ126RC34」(750馬力)の三発エンジン、木製胴体に双フロート(フロートだけは波に耐えるため金属製)の大型水偵。


形式名称の「Z」は後にブレダに引き抜かれた設計者「フィリッポ・ザパタ」の名字から。
愛称は「アイローネ」で、同じくカント製で木製胴体の優秀な三発爆撃機、Z1007「アルシオーネ」(カワセミ)と響きが似ていてまぎらわしい…(機体も一部の設計を流用しているため、わざと似た響きの名前にしたのかもしれない)


Z506は、戦前にありとあらゆる水上機の記録を塗り替えた優秀な機体で、単発エンジンで機体構造も複雑だったZ501「ガッビアーノ」(カモメ)より全ての面で優れていた。
特に外部搭載量が1200キロと多く、航続距離も約2750キロと長いことから長距離哨戒や、制空権のない海域を航行する船団を攻撃することも意識して生産された。武装は前方固定、上部旋回銃座、下部張り出しの旋回銃座に装備された12.7ミリと7.7ミリのブレダ・サファト機銃。

もちろん「下駄ばき」(フロート機)なので速度は360キロ程度とさして出ないが、大戦序盤は機体の頑丈さや航続距離の長さを買われて地中海上空の哨戒などにあたった……が、英地中海艦隊に空母が加わったり、北アフリカの英軍機が洋上にまで出てくるようになったりすると損害が急増し、それ以後は救難機として洋上で脱出したパイロットたちの救出にあたって過ごした




589 ◆b0M46H9tf98h2019/10/21(月) 02:27:43.65SzJ6ROYr0 (2/2)

………

サヴォイア・マルケッティSM79「スパルヴィエロ」(ハイタカ)

言わずと知れたイタリア王国空軍で一番有名な三発の爆・雷撃機。形式番号のアルファベットは「サヴォイア・マルケッティ」の略で、資料によっては「S.79」としている物も。


元は旅客機レース用の高速旅客機と言うことで開発されたがレースそのものには間に合わず、1934年に初飛行…軍用型は「アルファロメオ126・RC34」(750馬力)エンジンを搭載し速度は430キロ前後、航続距離は1900キロで爆弾などの搭載量は1250キロと、戦前の設計にしてはなかなか。


1935年頃、ドゥーエ将軍の唱えていた「空中艦隊構想」(「近未来小説」の形で発表された論文で、いわゆる戦略爆撃を唱え、世界の空軍関係者やムッソリーニにまで感銘を与えたが、ムッソリーニは『戦闘機よりも爆撃機が重要』と戦闘機の開発や調達を二の次とし、兵力のアンバランスや戦闘機の近代化に遅れをとってしまった……また「空中艦隊」は工業生産力に乏しいイタリアには実現できず、反対に米英に実現されてしまった…)にふさわしい近代的な高速爆撃機が見つからないでいた空軍から打診されて、爆撃機として改造。

12.7ミリのブレダ・SAFAT機銃をコクピット上部のふくらみに(前方固定と後部手動旋回)各一挺、左右胴体に7.7ミリブレダ機銃を各一挺、後部胴体下面の爆撃手用ゴンドラに12.7ミリブレダ旋回機銃を一挺装備しているが、専任の銃手はおらず、操縦士を除く全員が銃手を兼任しなければならない(米軍を除くたいていの国も同じ…)ので「一度に全ての機銃が火を噴く」と言うわけにはいかなかった。


実戦デビューのスペイン内乱では共和国側のポリカルポフ戦闘機を全て振り切り「戦闘機による被撃墜ゼロ」と、頑丈で運動性がよく高速なSM79の高性能ぶりを内外にアピールしたが、第二次大戦ではハリケーンやスピットファイアなどが相手で分が悪く、輸送船団相手の対艦攻撃にシフト。腹部のゴンドラを取り払って魚雷二本を胴体に吊るした雷撃仕様の「SM79bis」となって多くの船団に猛攻を加え、かなりの損害を与えている。


機体をすっきりとリファインさせ、エンジンを1000馬力級の「ピアッジォP10・RC40」に換装した後継機「SM84」も1940年から少しづつ生産されたが、思っていたほど性能が伸びず、むしろ運動性が悪くなり、大戦中盤からはより高性能なカントZ1007「アルシオーネ」の方が多用された……それでもSM84は英戦艦「ネルソン」に雷撃を敢行するなど奮闘、一部の生き残った機体は戦後も輸送機などとして活躍した。



590 ◆b0M46H9tf98h2019/10/26(土) 03:15:37.68fSWdaZ0o0 (1/1)

…翌日…

マエストラーレ「それじゃあ速度二十ノットの時に、主軸の回転数がどのくらいになるか計測すること!」それぞれの艦ごとに微妙に速度差があるが、それでも艦隊運動の時に速度がぴったりと合わせられるよう、一定ごとの速度とその時の軸(スクリューシャフト)の回転数を測る……

ディアナ「…よしなに」

リベッチオ「よし…うん、ちょうど二十ノット♪」

グレカーレ「計測完了です」

マエストラーレ「いいわ……それじゃあ沖合十キロまで出て護衛隊形の訓練と、潜水艦たちを相手に回避行動の訓練をするわよ」

シロッコ「了解」


…鎮守府沖の海中・深度十数メートル…

スクアーロ「ふふふ…見えてきたみえてきた……白くて柔らかいお腹をさらした美味しそうなお魚さんが…♪」


…白い八重歯を光らせ、にたりと笑みを浮かべている「スクアーロ」(サメ)は、姉妹艦の「デルフィーノ」(イルカ)「ナルヴァーロ」(イッカク)「トリケーコ」(セイウチ)たちと模擬魚雷で「雷撃」を仕掛けることになっている…当然ディアナたちには攻撃のタイミングや方向を教えない実戦形式になっている…


デルフィーノ「…対象の速度二十五ノット、偏差調整を……雷速三十ノット、深度三メートル……前部の四本を扇状発射で行きますよ…ぅ」頭がよく計算も早いデルフィーノは手早く偏差を調整し、片目を細めて潜望鏡に取りついた…

スクアーロ「……発射管に注水…前扉開け!」潜望鏡に淡灰色と濃い灰色、そして艦首に白で偽の艦首波を描いた迷彩姿のディアナたちが入ってくる……

デルフィーノ「…トーレ、ドゥーエ、ウーノ…魚雷発射!」弾頭なしの模擬魚雷が鈍い音を立てて射出されると、魚雷が「シュル…ッ」と白い泡を引きながら航走を始めた…

…海上…

マエストラーレ「……左舷九○度に雷跡! …とぉぉーりかぁーじ、いっぱぁーい!」

リベッチオ「とぉーりかぁーじ、いっぱーい!」


…鎮守府の潜水艦たちを仮想敵にして、魚雷の回避と一斉回頭の訓練にいそしむディアナたち……マエストラーレたちは取り舵と面舵に特定の信号旗を決め、旗艦のメインマストに信号旗が揚がると同時に各艦もすぐ同じ旗を揚げ、信号旗が降りた瞬間に舵輪を回す……信号旗に合わせて一糸乱れぬ動きが出来るよう、今はそれぞれが直接護衛グループの旗艦「マエストラーレ」に目をこらしている…


マエストラーレ「…グレカーレ、回頭の入りが遅いっ!」

グレカーレ「うぅ、ごめんなさい……ここからだと信号旗が見づらくて…」マエストラーレの真後ろに配置されているグレカーレからは、はためく信号旗が何色なのかも見分けにくい…

マエストラーレ「だったら他艦と見比べる! …海の600メートルなんてすぐ距離が詰まっちゃうのは分かっているでしょうが!」

グレカーレ「…っ、了解!」

トリケーコ「……ふふ、上手上手…でも、ね♪」ドシュッ…!

シロッコ「…右舷に雷跡!」

マエストラーレ「……っ、両舷全速! 面舵一杯!」最初の雷撃をかわして船団が真横を向いた所に、第二撃の魚雷が航走してくる…

ディアナ「おもーかぁぁーじ、いっぱぁーい!」32ノットと駆逐艦並みの高速を誇るディアナだけあって、優雅に波を切りながら二本の雷跡の間をすり抜けた…

トリケーコ「…むぅぅ、なかなかお上手だこと……」

ナルヴァーロ「……トリケーコも外したようだし、今度は私が…前部一番から四番、撃て!」

マエストラーレ「左舷に雷跡、取り舵一杯!」

グレカーレ「とぉーりかぁぁーじ、いっぱぁーい!」

リベッチオ「……っ、間に合わない!」ぎりぎりの所で避けきれず、白い雷跡が艦尾に届くと「ゴン…」と鈍い音がした…

マエストラーレ「あぁ、もう…もうちょっとだったのに……!」

リベッチオ「……ごめんね、お姉ちゃん…」

マエストラーレ「謝らなくていいわ……もっとも、その分練習するように!」

リベッチオ「はぁ…い」

シロッコ「…まったく、スクアーロたちもやってくれるね」

ディアナ「ふぅ、最後の斉射はわたくしもひやりといたしました……」

マエストラーレ「そうね……でも深海の連中はもっといろんな手を使ってくるはずだし、このくらいは回避できないと困るわよ…」




591 ◆b0M46H9tf98h2019/10/28(月) 02:59:44.56Vzx2CwQ/0 (1/1)

…一方…

ガリバルディ「まったく…旗艦だから提督を乗せているけれど、ライモンドに嫉妬されそうで怖いわね♪」

提督「大丈夫よ、ライモンはいい娘だもの。任務に必要なことで怒ったりすねたりはしないわ」

ガリバルディ「まったく、惚気てくれちゃって……」と、ふいに目を細めると水平線に目をこらした……

提督「…」提督も慌てて首にかけている双眼鏡を引っつかみ、水平線近くを探る…ぽつりぽつりと黒い点が視界に入り、倍率を上げると水面ぎりぎりを飛ぶ独特なシルエットが見えた…

ガリバルディ「……敵機! 赤(左舷)二十度! 機関全速!」

提督「対空戦、用意! 射程に入り次第自由に撃て!」


…提督が座乗する予定の軽巡「ジュゼッペ・ガリバルディ」を始めとする間接護衛グループは、鎮守府所属の「サヴォイア・マルケッティSM79」を使っての対空戦と、腕の立つ「フルット」級や「アデュア」級中型潜を相手にした対潜戦の訓練に余念がない…提督は耳に防音のイアピース(耳当て)をつけていて、おまけに訓練では空砲を使っている……が、それでも耳が聞こえなくなりそうな砲声と硝煙の臭いが立ちこめ、指示を飛ばすために大声を張り上げているので喉がひりひりする…


ガリバルディ「左舷ブレダ機銃、撃ち方始め!」…37ミリや20ミリのブレダ機銃が低空で突っ込んでくるサヴォイアに振り向けられると「バン、バン、バンッ!」と吼えたてる……甲板上ではうっすらした幻影のような水兵たちが次々と保弾板を入れ替え、照準をつけているのが見える…

ライモン「距離2000! 機種、サヴォイア雷撃機! 高角砲、撃てっ!」

バンデ・ネーレ「左舷ブレダ、先頭の敵機を狙え…撃て!」

オリアーニ「…左舷四十五度に敵機三機!」

カルドゥッチ「ブレダ機銃、てーっ!」中央部の三連装魚雷発射管を下ろして37ミリ連装機銃を増備した「護衛駆逐艦」仕様のオリアーニたちが、アイススケートのような航跡を描きながら機銃を振り向ける…

アルフィエリ「機関全速! 取り舵いっぱぁーい!」

ジオベルティ「左舷に雷跡! 取り舵二十!」

ガリバルディ「…敵機、左舷から来るわ!」

提督「…っ!」エンジンの爆音に思わず頭を引っ込めそうになるくらいの低空…艦橋すれすれの高度でサヴォイア雷撃機がすり抜けて行った……

ガリバルディ「……撃ち方止め! どうやらこれでおしまいみたいね」

提督「え? あぁ、そうね……っと…」疲労のせいで少し足元がふらついて、慌てて海図台につかまる提督…

ガリバルディ「……提督はまだこういうのに慣れていないし、疲れたでしょう?」ガリバルディが後ろから腕を回して提督の肩を抱えた…びっしょりと汗ばんだ略装越しに、ガリバルディの張りのある胸の感触と身体の火照りが伝わり、首筋に熱い息がかかる……

提督「ええ、まぁ…でも大丈夫///」

ガリバルディ「ふふ、頼もしいわ……まぁ操艦は私がやるわけだから、提督は全体の指揮を頑張ってちょうだいね」

提督「ええ」

ガリバルディ「よろしい……さーて、今日のお昼当番は誰だったかしら? うんと動いたし、何かしっかりしたものが食べたいわね」

提督「えーと…今日はドリアとザラが担当だったはずよ」

ガリバルディ「あら、いいじゃない。特にドリアは美食家だから期待できるわ」

提督「そうね。それじゃあ早く帰りましょう」

ガリバルディ「了解、それじゃあ最大戦速で行きましょうか♪」横から提督の顔をのぞくと冗談めかして派手なウィンクを投げた…

提督「もう…鎮守府に戻るまでは訓練のうちなんだから、真面目にやりなさい?」

ガリバルディ「了解。従うわ」

提督「結構♪」

………




592 ◆b0M46H9tf98h2019/10/31(木) 02:49:19.27iOMn/hET0 (1/1)

…しばらくして・執務室…

提督「ふー…さっぱりしたし、後は遅めのお昼でも……」硝煙と汗の染みた服は洗濯機に放り込み、シャワーも済ませた提督……軽くお化粧を直し、クリーム色をした薄手のセーターに袖を通す……と、急に内線電話が鳴り出した…

提督「はい、こちら執務室…」

カラビニエーレ「提督、食堂でトラブルです! 至急来てください!」

提督「トラブルね……了解、すぐ行くわ」

カラビニエーレ「お願いします!」

…食堂…

ガッビアーノ「……確かにそれは悪かったかもしれないけれどね…」

フレッチア「悪かったと思ってるなら謝ればいいでしょうが、カモメだからって意地汚いにもほどがあるわ!」

アレッサンドロ・マラスピーナ「まぁまぁ……フレッチアもそこまで言うことはないじゃないか…だろう?」

フレッチア「そりゃあ言いたくもなるでしょうよ! それにアレッサンドロ、あんただって同罪みたいなものなんだからね!?」

マラスピーナ「……何も私にまで雷を落とさなくたっていいだろう」

フレッチア「落とすわよ! だいたいあんたはいっつも適当で、暇さえあれば女の子とベタベタして…作戦も近いってのに、ちゃんと真剣にやってるわけ!?」

…両手を腰にあて、小柄ながら迫力充分のフレッチア……普段から稲妻のようにはねている髪は腹立ちのためか、まるで帯電でもしているかのように逆立っている…

マラスピーナ「……これでも実力は伴っているんだ…君が可愛いおつむを悩ませて、他人のことまで心配する必要はないよ!」

フレッチア「この…っ!」いきり立って飛びかかると、マラスピーナの顔に爪をたてて引っかこうとするフレッチア…

提督「…やめ!!」

…普段は柔和で大声一つ出さない提督が声を張り上げると、途端に全員が「気をつけ」の姿勢を取り、食堂がピタリと静まり返った…

提督「アレッサンドロ、ガッビアーノ、フレッチア……それぞれ離れなさい」

ガッビアーノ「…了解」

マラスピーナ「…ああ、了解」

フレッチア「ええ……」

提督「ふぅ……それで、一体どうしたって言うの?」

エリトレア「えぇ…と、その……実は…」

…十数分前…

ガッビアーノ「エリトレア、このお皿のお菓子だけど…食べてもいいかな?」

エリトレア「え? お菓子ですか?」

ガッビアーノ「うん、ここに置いてあるんだけどね…」

エリトレア「そうですねぇ……特に誰もいないようですし、私も早くお皿洗いを済ませたいですから……食べちゃっていいですよ♪」

ガッビアーノ「分かった。それじゃあいただこう…」

マラスピーナ「…おや、白い翼のガッビアーノ(カモメ)さん……いったい何をしているのかな?」

ガッビアーノ「ん、机にお菓子があったからね…アレッサンドロも一つ食べるか……な?」

マラスピーナ「おや、嬉しいね…ではありがたく♪」にこやかに笑って隣に座ると、ガッビアーノにジャム付きのクッキーを差し出した…

………



提督「…それで?」

エリトレア「はい…そのお菓子はフレッチアが哨戒の前に、帰投したら食べるつもりで置いておいたそうなんです……」

提督「なるほどね……」

カルドゥッチ「…まさに「人間は自分の父親が死んだことよりも、物を取られたことの方がよく覚えている」っていうものだね」(※マキャヴェリ)

フレッチア「……哨戒が終わったら食べようと思って取っておいたのに、この泥棒カモメが盗み食いするんだもの…それだけならまだしも、謝りもしないでいけしゃあしゃあと「皿に名前でも書いてあれば食べなかったさ…」なんて言うのよ!?」



593 ◆b0M46H9tf98h2019/11/01(金) 01:31:14.24KkJEtLI60 (1/1)

提督「フレッチア!」

フレッチア「…ごめんなさい、いくらなんでも言い過ぎたわ」

提督「分かればよろしい……では、三人に処分を言い渡します」

フレッチア「…はい」

ガッビアーノ「…」

マラスピーナ「…」

提督「まず……ガッビアーノは知らなかったとはいえフレッチアが取っておいたお菓子を食べちゃったのだから、ちゃんと謝ること」

ガッビアーノ「了解…」

提督「次、フレッチアはガッビアーノとアレッサンドロの二人に対して言った悪態を取り消すこと」

フレッチア「……分かったわ」

提督「アレッサンドロもフレッチアに向けて謝ること」

マラスピーナ「了解したよ、提督……」

提督「それから三人には罰直として、今日から三日間お風呂とトイレの掃除を命じます…以上、分かったわね?」

三人「「了解」」

提督「よろしい……それじゃあお互いに仲直りのキスをして?」急に甘い口調になると、満面の笑みを浮かべた…

フレッチア「…は!?」

提督「頬で構わないわ…もし唇にしたければ別だけれど♪」

フレッチア「だ、誰がよ…///」

アレッサンドロ「ふふ、了解……そういうのは得意な方でね♪」

フレッチア「ち、ちょっと!」

アレッサンドロ「…フレッチア、さっきは悪かったよ……つい頭に血が上ってね…愚かな私を許してくれるかい……?」ひざまづいてフレッチアの手を包むように握ると、上体を伸ばして頬にキスをした…

フレッチア「ゆ、許してあげるわよ……じゃあ、今度は私が…///」ちゅっ♪

ガッビアーノ「……フレッチア、済まなかったよ…今後は気を付ける……」ちゅぅ…っ♪

フレッチア「わ、私も言い過ぎたわ……ごめんなさい///」…ちゅっ♪

提督「はい、よろしい♪」

カラビニエーレ「ふぅ……やっぱりこういう時は提督じゃないとおさまりがつかないわ。私が上手く抑えられれば良かったのだけど……」

提督「ふふ、いいのよ…そのために私がいるんだもの。 …カラビニエーレはよくやったわ♪」

カラビニエーレ「グラツィエ、提督…///」

提督「それにしても今後は同じような事がないように、お皿に何か「目印」でも置いておくことにしましょうか…」

エリトレア「そうですね、それなら私もうっかり片付けないで済みます♪」

………

…夜・執務室…

提督「……はぁぁ」執務室の椅子に座ると身体をぐったりさせて、大きなため息をついた…

カヴール「あら、そんな大きなため息をついて…どうなさいました?」

提督「いえ、ね……作戦が近いせいか、みんな神経がささくれ立っているというか…どうも鎮守府の雰囲気がピリピリしていて……夏の作戦の時はそうでもなかったのに……」

カヴール「そうですねぇ……まぁ、夏の時は提督が着任したばかりでの大作戦でしたから、どのような指揮を執られるかも分からなかったですし…それに提督が作戦の前に風邪をお召しになったりしたものですから……みんな気がかりな事柄が多くて、それどころではなかったのだと思いますよ♪」

提督「もう、そんなところで慣れてもらっても困るわね……」

カヴール「ふふふ…っ♪」

提督「……それにしても作戦が決まってからは体力トレーニングに、ガリバルディたちに座乗させてもらって対空戦・対潜戦の訓練…それから必要書類の整理と、作戦に関連するあちこちとの調整……やることが多くて、なんだか身体の芯に疲れが溜まっている感じがするわ…」

カヴール「あら、それはいけませんね…」

提督「ええ……だからと言ってどれも手抜きは出来ないし…」

カヴール「なるほど…そういうことでしたら、ダ・ヴィンチの所に行ってみるとよろしいかと♪」

提督「……ダ・ヴィンチ?」


594以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/01(金) 21:00:51.77fWKr2iXZO (1/1)

おぉ!ヘッジホッグったぁこれまた懐かしい!昔乗っていた艦を思い出しますな!


595 ◆b0M46H9tf98h2019/11/02(土) 01:39:38.13Jo8ogCgX0 (1/1)

>>594 乗艦にヘッジホッグが搭載されていたのでしょうか…戦後の艦は軒並みリンボーになっているものと思っていましたが……

…もっとも寡聞にして、海自がヘッジホッグやリンボーのような対潜迫撃砲をどう呼称していたのかは知らないので…もしかしたらひとくくりにして全部「ヘッジホッグ」で済ましていたのかもしれませんね


596以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/11/03(日) 18:20:30.31C1E9vHspO (1/1)

確かアメちゃんから貰ったやつの固定型がmk10(ちゃんとした型式は忘れた)で回転式は六八式対潜弾投射機Mk15って呼んどった思い出が。まぁ、私の乗っとった某DDGではまとめてヘッジホッグっと呼んどりましたが。


597 ◆b0M46H9tf98h2019/11/05(火) 01:35:29.02H8J3P0o/0 (1/2)

>>596 なるほど、わざわざ教えて下さってありがとうございます

…ここしばらく進められないでいましたが、そろそろ秋季作戦の場面を書き、それからまた提督たちがだらだらいちゃいちゃする予定です…お待ちください


598 ◆b0M46H9tf98h2019/11/05(火) 02:42:40.66H8J3P0o/0 (2/2)

…大型潜「マルコーニ級」の部屋…

提督「…ダ・ヴィンチ、いる?」

レオナルド・ダ・ヴィンチ「いますよ、どうぞ」

提督「お邪魔するわね」

ダ・ヴィンチ「ええ、いらっしゃい……さて、今日はこの「世紀の大天才」レオナルド・ダ・ヴィンチにどのようなご用でしょう…科学、天文、錬金、美術に建築……何でもどうぞ?」


…いつも通りひらひらしたケープに花飾りの「錬金術士スタイル」をしているダ・ヴィンチ…錬金用の大釜は鎮守府の「錬金術士」たちが入り浸っているアルキメーデ級の部屋にあるが、「予備」の小さい釜が室内の暖炉に据え付けてある…


提督「ふふ、そんなに大層なものじゃないわ…実はね、この数日ちょっと疲れ気味で……」

ダ・ヴィンチ「なるほどなるほど……それで疲労回復の薬が欲しいと…そう言うことね?」

提督「いえ、まだ何も…」

ダ・ヴィンチ「大丈夫…そんな提督にぴったりのお薬があるわ♪」ごそごそとポーチをかきまわすと、夕日のような色をした錠剤を取り出した……

提督「…これ?」

ダ・ヴィンチ「ええ、疲労回復に役立つモノがうんと入っているわ……ちなみに主な成分はバリン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸ナトリウム…アセスルファムカリウム、トレハロース、酸化マグネシウム、クエン酸……そこにチェザーレの勇敢さとガリバルディのカリスマ……マンドラゴラにピンクヒスイの粉末…そして色付けに飴色紅茶のエッセンスと唇に透けたオレンジを加えて……」

提督「……あー、それって飲んでも大丈夫なのね?」

ダ・ヴィンチ「もちろん。一回一錠で疲労も吹き飛ぶわ♪」

提督「そう、ならいただくわね…」

ダ・ヴィンチ「はい、また何か助けてほしい事があったら来てね?」

提督「ええ、ありがとう」

ダ・ヴィンチ「また明日ね、提督……っと、副作用の事を伝え忘れたっけ……」

ダ・ヴィンチ「……ま、いいか♪」

…夕食後・執務室…

提督「ふわぁ…さすがにくたびれたわね……」目をしょぼしょぼさせながらノートパソコンの画面に映る数字とにらめっこしていたが、ようやくけりがついたので「保存」をクリックし、電源を落とすと肩を回して伸びをした…

提督「さてと、あとは深夜哨戒に出る娘たちのお見送りをして……それから食堂に行って、深夜哨戒組が戻ってきた時に食べる加給食(お夜食)の確認と検品……」


…時々ディアナやエリトレアが夜食に出すサンドウィッチや軽食を作り過ぎると「検品」と称して、提督やその場にいる艦娘たちがおすそ分けにあずかることがある……体形も気になる提督としては別段なくても構わないが、あるとちょっとだけ嬉しい気分になることは否定できない…


提督「…あ、あと作戦・通信室にも顔を出さないといけないわよね……で、それが済んだら寝る前にお風呂に入って…ふぅ、何だかんだで色々やらないといけないわね…」と、執務机の上に置いておいた錠剤に目が留まった…

提督「…せっかくだからダ・ヴィンチのくれた薬でも飲んでみるとしましょうか……えーと、グラスは…と」

………



…しばらくして・待機室…

ウアルシエク(中型潜アデュア級)「ふわ…ぁ、眠いネェ……」

ネゲリ(アデュア級)「うん……深夜哨戒ノ辛いトコロだよネ…」浅黒かったり褐色だったり、はたまたカスタード色の肌をしている艦娘「アデュア」級の面々はしゃべるとアフリカ…特に艦名についている植民地の地名からか、アビシニア(エチオピア)訛りやキレナイカ(リビア)訛りが多い……

ベリロ(中型潜ペルラ級「ベリル(緑柱石)」)「まぁまぁ…私たちが毎晩タラント湾の哨戒をしているおかげで、深海棲艦の機雷の敷設や夜襲を予防出来ているんですから」

オニーチェ(ペルラ級「オニキス(縞メノウ)」)「……とはいうものの、眠いことは変わりませんね…ぇ」午後の間に昼寝をしておいたとはいえ、生あくびが出る……オニキスのように黒と白がそれぞれ房に分かれている髪をかき上げ、濃いエスプレッソをすすった…

ベリロ「それでも、提督はたいてい出撃前に様子を見に来てくれるもの…優しいわ」

ウアルシエク「そうネ」




599 ◆b0M46H9tf98h2019/11/09(土) 12:13:30.22Coi5ZTzq0 (1/1)

提督「みんな…チャオ……♪」

ウアルシエク「あ……噂をすれば、ネ」

ベリロ「提督、来てくれたんですね……って、大丈夫ですか?」

提督「んふふっ……ええ、私は元気よ…ぉ♪」頬は紅潮し、滑らかな肌は上気してしっとりと汗ばんでいる……いつもは優しげに細められていることが多い金色の目は瞳孔が広がり、ギラついた光を帯びて爛々と輝いている……

オニーチェ「ほ、本当に…?」

ベリロ「…何だか顔が火照っているようですけれ…ど?」

提督「え、ええ……はぁ、はぁ、はぁ…っ///」

ネゲリ「提督、平気…?」提督に近寄ると上目づかいで見上げるようにして身体を近づけたネゲリ……ぴっちりした淡灰色と灰緑色の迷彩が施された競泳水着風の「艤装」が際立たせる、滑らかで引き締まった身体の曲線…そして艶やかな浅黒い肌からふわりと立ちのぼる甘く香ばしいような匂いが、提督の鼻腔をくすぐる…

提督「……実を言うと…ふーっ、ふーっ……もう…我慢できない…わ♪」ちゅぅぅっ、ちゅるぅ…っ♪

ネゲリ「…んむっ!?」

オニーチェ「!?」

ベリロ「え…?」

ウアルシエク「な…!?」

提督「あむっ、んっ、ちゅむ……んちゅぅ、じゅるっぅぅ…っ♪」背中に腕を回してぎゅっと抱きしめると、顔を上向かせてむさぼるようなキスを浴びせる…

ネゲリ「んふぅっ、んぅぅっ…んふぅ……っ///」

提督「ふあぁぁんっ♪ ネゲリの唇、柔らかくて…はむっ、ちゅぅっ……んー、むちゅっ…ぅ♪」

ネゲリ「ぷはぁっ…んぐっ、むぅぅ…んっ///」

提督「それにこの……んちゅっ…弾力のあるお尻も……んふふっ♪」提督のきれいな指が水着の隙間に差し入れられ、張りのあるヒップを撫で上げる…

ネゲリ「ひゃぁん…っ///」

提督「んふふっ、そんなに甘い声を出しちゃって……ふふ、もっと気持ちよくしてあげるわね…ちゅぅっ♪」ちゅくっ、くちゅ…っ♪

ネゲリ「はー、はー……んあっ、ふあぁ…んっ♪」

提督「うふふっ、ネゲリったらもうこんなにとろとろになって…可愛い♪」メロンか何かの目方を量るようにヒップを下から支えつつ、もう片方の手をぴっちりと張りついた水着の隙間に優しく滑り込ませる……

ネゲリ「はーっ、はぁぁ…っ…ていとく……気持ひイイ…ふぁぁ…///」ひざから崩れ落ちそうな内股でとろけた表情を浮かべ、提督にしがみついている…

提督「んふふっ、嬉しいわ…それじゃあもっとしてあげる……♪」にちゅっ、ぐちゅぐちゅっ♪

ネゲリ「ふあぁぁん…っ///」

提督「あらあら、もういいの? んふふっ、それじゃあ次は誰にしようかしら…♪」ねっとりと甘い声をあげオニーチェたちを見回すと、ぺろりと舌なめずりをした…

オニーチェ「///」

ウアルシエク「テ、提督…っ///」

ベリロ「…っ///」

…数十分後…


提督「んむっ…はむっ、ちゅるぅ…っ♪」

ベリロ「ふぁぁぁ、提督……提督ぅ///」ぷしゃぁぁ…っ♪

提督「んふふっ……あむっ、ちゅむっ♪」

オニーチェ「はひぃぃ…っ♪」ぐちゅっぐちゅぅ…っ♪

提督「んちゅるっ、ちゅむ……ちゅぅぅ…っ♪」

ウアルシエク「ふわぁぁ…あふっ、んはぁぁ///」

………




600 ◆b0M46H9tf98h2019/11/10(日) 02:19:16.05ykpg1ixF0 (1/1)

提督「あんっ、もう…四人ともすっかりとろとろに濡らしちゃって♪」

オニーチェ「はー、はー、はーっ……///」

ベリロ「はひぃ…ふぅ…///」

ウアルシエク「……はへぇ…ぇ///」

ネゲリ「…んぅ…っ///」

提督「ふふっ……それじゃあ哨戒、頑張ってね♪」黒いタイツに包まれたふとももにとろりと愛蜜を垂らしたまま、甘ったるい笑みを浮かべると出て行った…

ベリロ「……まずは…ふぅ、はぁ……一旦シャワーを浴びて……出撃は…それからにしましょう……」

ウアルシエク「…賛成……」

………



…廊下…

提督「ふーっ、ふーっ……はあぁ…っ♪」くちゅ…っ♪

…廊下を歩きながら、まるでマラソンでもした後のように荒い息遣いをしている提督……歩くたびにもっちりしたふとももとねっとりと濡れた花芯がこすれて、腰が抜けそうなほど気持ちいい……いつもなら潮風の爽やかな息吹か艦娘たちの甘い香水の匂いに満ちている廊下も、今はくらくらするほど強いジャスミンやチョコレート、それに熟れきったメロンが合わさったような甘ったるい香りにしか感じられない…

提督「ふーっ、ふーっ…」

チコーニャ「あ、提督っ♪」

提督「あら、チコーニャ……港内の掃海は終わったの…ね♪」

チコーニャ「はい、きれいになりましたよ…って、提督…どうしたんです……か?」

提督「…いいえ、どうもしないわ……チコーニャはもう一度シャワーに?」

チコーニャ「はい。鎮守府はいつでもお風呂に入れるので…自由に汗や塩気が流せるので嬉しいです♪」

提督「そうね……ところで掃海具の予備はどうなっていたかしら…」

チコーニャ「はい、掃海具の予備はパラベーンと一緒に備品倉庫に入ってます」

提督「それじゃあ少し付き合ってもらえるかしら……一緒に確認しましょう?」

チコーニャ「分かりました、それじゃあシャワーの前に済ませちゃいましょう♪」

提督「…ええ、それがいいわ……んふふっ…♪」何も気づいていないチコーニャを見て、いやらしい笑みを小さく浮かべた……

チコーニャ「提督、どうかしましたか?」

提督「いいえ……何でもないわ♪」

…倉庫…

チコーニャ「えぇ…と、曳索が十巻きにパラベーンが八つ、それに掃海具がそれぞれ……」

提督「…なるほど、大丈夫そう……ね♪」カチリ…

チコーニャ「そうですね、それじゃあこれでおしまいで……あれ?」

提督「ふふふ…っ♪」

チコーニャ「…あの、提督?」

提督「……チコーニャ♪」小さなチコーニャを壁に押し付け、頬に手を当てる…

チコーニャ「え、あっ……提督…っ///」

提督「…好きよ……んむっ、ちゅるぅっ…可愛らしくて、一生懸命で……よくやってくれているわ…ちゅぱ…ちゅむっ、むちゅぅ…っ♪」

チコーニャ「んむっ、あふっ……ふわぁぁぁ///」

提督「…ふふふっ…シャワーの前に…もうちょっと汗をかいていきましょう……ね♪」チコーニャのプリーツスカートをめくりあげ白いサイドリボン付きのショーツをずり下ろすと、ふとももを絡めた…

チコーニャ「ふぁ…ぃ///」

………




601 ◆b0M46H9tf98h2019/11/19(火) 23:15:51.73PFIh8J0J0 (1/1)

…ここしばらく投下できずにいてすみませんでした。ちょっとPCがダメになってしまったもので…

…また数日以内に投下していきますので、どうかもうしばらくお待ちいただければと思います……


602 ◆b0M46H9tf98h2019/11/22(金) 01:52:43.55GrZO/GVE0 (1/1)

…しばらくして・軽巡アオスタ級の部屋…

エウジェニオ「…『愛しいレオナルダ、その後かわりはないかしら……ちょうど今頃のボローニャは焼き栗の季節ね。屋台で紙袋に詰めてもらって、二人で歩きながら食べたことを思い出すわ』と…」


…毎晩寝る前に、イタリア各地の「恋人」たちから送られてくる恋文に返事を書くのが日課になっている女たらしのエウジェニオ……白いすっきりしたナイトガウン姿で椅子に腰かけ、きれいなすみれ色の便せんにさらさらと手紙を書きつづっている…かたわらには甘い言葉がたっぷりつまった便せんを入れて、各地の住所と宛名が記された出来上がりの封筒が積み上げられている…


エウジェニオ「…結びに『…貴女を思い出しつつ……エウジェニオ』と…ふふ、これでいいわ……あら」軽く数回ノックの音が響いた…

エウジェニオ「……どうぞ、提督…開いているわ」

提督「…ふぅ、ふぅ……どうして私だって分かった…の……?」とろりとした表情を浮かべて頬を火照らせ、ドアの枠につかまるようにしてようやく立っている…

エウジェニオ「あら、だってノックの仕方が違うもの…」

提督「…はーっ、はーっ……さすがね…エウジェニオ……///」

エウジェニオ「ふふ、お褒めにあずかり光栄ね……それで、こんな時間に何のご用かしら?」手紙の山をきれいに片付けると書き物机の引き出しにしまい、片方の腕で頬杖をついた…髪の房が胸元に垂れ、ギリシャ彫刻風の端正な顔立ちには微笑を浮かべている……

提督「…あの…それが……ね…エウジェニオ……」

エウジェニオ「ええ、何かしら?」

提督「…その……私、身体が火照って…さっき…から……収まらないの…ぉ///」

エウジェニオ「あら…私にそんなことを言っていいのかしら? めちゃくちゃにしちゃうわよ?」

提督「…ええ、お願い……私のこと…好きなだけ……めちゃくちゃにして…///」

エウジェニオ「そう……ふふっ、提督の頼みとあれば断れないわね♪」立ち上がって片方の手を提督の腰に回し、もう片方の手を肩にかけると部屋に招き入れた…

提督「はぁ…はぁ……ん///」

エウジェニオ「もう…そんな表情をされたら、我慢出来ないわ♪」ちゅぅ…っ♪

提督「あ、ふぁ……んあぁっ♪」

エウジェニオ「それにしても……ふふっ、こんな格好でここまで来たの?」

提督「…あ、んっ……♪」ちゅくっ、くちゅ…っ♪

エウジェニオ「タイツは伝線しているし、こんなところまでぐっしょり濡れて……おまけに下着をどこかに置いてきちゃったようね?」

提督「…そんなこと、どうでもいいの……んくっ、ちゅむっ……んむ…っ♪」

エウジェニオ「ふふ、そうかもしれないわね……んむ、ちゅぅぅっ…ちゅるっ、ちゅぷ…っ♪」

提督「あっ、ふぁ…ぁんっ……んふっ、んくぅぅ…っ♪」

エウジェニオ「ほら、壁にもたれかかって……ね♪」

提督「ふあぁぁぁ…あんっ、あぁ……それ、とっれも…いい…っ♪」


…だらしなく喘いでいる提督を壁に押しつけるようにし、片脚を膝から上げさせるとタイツの破れ目から指をするりと滑り込ませた……技巧派のエウジェニオらしく、ねっとりとぬめる花芯を洗練されたやり方で甘く責めたてる……同時に耳元に唇を寄せると甘い言葉をささやき、時折じらすように耳たぶを甘噛みする…


提督「ぁぁ…っ、はぁっ、はぁぁ…んっ♪」

エウジェニオ「ふふ、イっちゃっていいのよ……ほら♪」

提督「ふあぁぁぁっ、あふっ、んぅっ……あっ、あぁぁ…っ♪」

エウジェニオ「……愛しているわ♪」

提督「あぁぁっ…はひっ、あぁぁぁ……っ♪」

………



提督「…すぅ、すぅ……」

エウジェニオ「ふふ、すっかり疲れて寝ちゃったわね…♪」

提督「…すぅ……むにゃ…ライモン……」

エウジェニオ「……ふふ、提督ったら…情事の後に違う女性(ひと)の名前を出すなんて……らしくないじゃない」

提督「…すぅ……」

エウジェニオ「…まったく、ライモンドってば提督からこんなに想ってもらえて…幸せ者ね……♪」すっかり衣服の乱れた提督を軽々と抱きあげると、提督の寝室へと運んでいった…

………


603 ◆b0M46H9tf98h2019/11/28(木) 02:38:13.51qBetKeOS0 (1/2)

…翌日…

提督「…それで?」

ダ・ヴィンチ「いえ、まぁ…提督は出て行っちゃったし、わざわざ追いかけて言うほどのことでもないか……と」

提督「なるほど……つまり「副作用があるかもしれないのに説明をし忘れた」というわけね?」

ダ・ヴィンチ「…まぁ、短くいえば」

提督「それじゃあ改めて聞くけれど……あの薬の「副作用」っていうのはなぁに?」

ダ・ヴィンチ「あー…何というか、女性から女性への欲情が止まらなくなるの……言うなれば「桃色トランス」とでもいったところね…」

提督「なるほど」

ダ・ヴィンチ「あと飲んだ人は百合になるって効果はあるけれど…まぁ提督はすでに百合だから関係ないし……」

提督「……ダ・ヴィンチ」

ダ・ヴィンチ「な、なに…?」

提督「今後は軽々しくそういう薬を調合したりしないこと……それと、後でもうちょっともらえるかしら♪」

ダ・ヴィンチ「なんだぁ…ふふっ、もちろん「お任せあれ」よ♪」

………

…執務室…

提督「うーん…作戦計画はだいたい形になったし、後はいい名前が欲しいわね……夏の作戦の時はそこまで手が回らなかったけれど、さすがに「A025」だと素っ気なさすぎるし…」コーヒーカップを片手に思案顔の提督…


…管区司令部へ送り、作戦が終わると海軍のデータベースへ登録される作戦計画書には「20XX(西暦)-A025(季節「アウトゥーノ(秋)」の頭文字と、管区内で実施された作戦の通し番号)-TR6(鎮守府ナンバー)-25063(資料照会ナンバー)」と、検索システムですぐ調べられるよう一連のアルファベットと数字が振ってある……が、鎮守府の艦娘たちが身体を張って挑む作戦がただの文字列ではあまりにも味気ない…


デルフィーノ「確かに、何か気の利いた名前が欲しいですね」

提督「ね…カヴールもそう思うでしょう?」

カヴール「ええ」秘書艦を交代してからも、提督のところに来てはあれこれ手伝ってくれるカヴール…律儀なライモンの手早くかいがいしい手助けとは違って、じっくりと腰を据えて導き出される深慮遠謀や機略の数々は、イタリアを統一した名宰相の名にふさわしい……

提督「……それじゃあどんな作戦名にしようかしら」

カヴール「そうですね…やはりここは神話から命名するのがよいのではないかと思いますが」

提督「神話ねぇ……あ、それじゃあ「プレイアディ」は?」(※プレイアディ…イタリア語でプレアデス(すばる)の意)

カヴール「プレイアディ、ですか」

提督「ええ…今回の主役はディアナでしょう? それで、ディアナと関係のある神話を考えてみたら、プレイアディの話を思い出したの……輸送船団ともなれば深海側も目の色を変えて追いかけてくるでしょうし、躍起になった誰かに追いかけられるなんて、プレイアディとそっくりだな…って思ったのだけれど、どうかしら?」

デルフィーノ「…なるほど、言い得て妙ですね♪」

提督「いいと思う?」

カヴール「ええ、まさに今回の船団にぴったりの名前です……でしたら提督、敵の出現に備えるリットリオたちには「スコルピオーネ」と名付けたらいかがでしょう♪」(※スコルピオーネ…さそり座)

提督「…オリオーネが出てきたら一刺しするわけね?」(※オリオーネ…オリオン座)

カヴール「ええ…何しろディアナの怒りに触れたわけですから、ね♪」

提督「ふふっ、了解…それじゃあ輸送作戦そのものは「プレイアディ」で、敵の出現があったときの戦艦隊には「スコルピオーネ」としましょう♪」

カヴール「はい」




604 ◆b0M46H9tf98h2019/11/28(木) 02:47:04.80qBetKeOS0 (2/2)

…オリオーネとプレイアディ、ディアナ(アルテミス)…


…オリオンは大地の女神ガイアが産んだ(あるいは海神ポセイドンとネプトゥーヌス(ネプチューン)の間に生まれた)猟の得意な美青年で、ディアナに仕える狩人となったが、女とみれば追いかけ回すようなだらしのない性格で、こともあろうにディアナ(狩人と月の女神であり、純潔な一面もあった)に欲情しこれを手籠めにしようとしたため、怒り狂ったディアナによって差し向けられた蠍によってかかとを刺されて死に、星座になった

また、オリオンを見事に刺し殺した蠍はその功績によって星座にしてもらった…そのため、いつもオリオン座(夏の星座)はさそり座(秋の星座)から逃げるように天界を巡っているのだという


…プレアデスは世界を支える巨神アトラスの娘とされる七人の乙女で、野原で母親と遊んでいたところを女好きのオリオンに見染められ、五年もの間追いかけ回されたあげく、とうとう白い鳩になって逃げ出した……そこでかわいそうに思ったゼウスがプレアデスを星座にしたが、星になってもまだオリオンが追いかけ回してくるので、プレアデスはオリオン座から逃げるような季節に空に上るのだという…



605 ◆b0M46H9tf98h2019/12/03(火) 02:13:42.13bw28VMfR0 (1/1)

提督「……というわけで、作戦名は「プレイアディ」と言うことになったわ。どうかしら?」

ディアナ「なるほど、プレイアディとは良い名前ですね」目を細めて「ふふ…」と上品に笑ってみせた…

提督「そう、そう言ってもらえて良かったわ…それから支援の戦艦隊は「スコルピオーネ」よ」

ディアナ「もしもオリオーネのようにわたくしを追い回す敵艦が現れたら、後ろから一刺し…というわけでございますね」

提督「ええ」

ディアナ「ふふ、よろしいではありませんか…♪」


…作戦前日・食堂…

提督「では、いよいよ明日から秋期作戦「プレイアディ」を開始します…」

リベッチオ「待ってました!」リベッチオの軽口に一同がどっと吹き出した…

提督「こぉら、大事な任務説明なんだから茶化さないの…まったくもう」…苦笑いすると、ざわつきが静まるのを待ってから続けた

提督「すでにみんなも知っている通り、内容は夏の作戦と同じ「リビア輸送作戦」だけれど…今回は高速水上艦艇での輸送作戦なので激しい空襲が予想されます……全員、より一層の監視・警戒に努めるよう」

提督「…それから参加艦艇は以前伝達した通りですが、間接護衛部隊にグレイ提督の座乗する軽巡「エメラルド」と、ヴァイス提督が座乗する戦艦「ティルピッツ」が帯同します……ガリバルディ、お客様を怪我させないようにお願いね?」

ガリバルディ「ええ」

提督「結構…それからリビア沖のシルテ湾で哨戒を行う「デジエ」と「アクスム」は今夜の2200時、マルタ沖での哨戒と通信の中継を担当する「グリエルモ・マルコーニ」は2300時…同じくメッシーナ海峡担当の「アントニオ・シエスタ」は日付が変わった深夜の0300時頃にここを出撃し、それぞれ担当の海域で哨戒を行ってもらいます」

デジエ・アクスム「了解」

マルコーニ「了解」

シエスタ「はーい、一番眠い時間ですが感張ります…」

提督「貴女はいつもたっぷりお昼寝しているから大丈夫よ♪」

一同「くすくす…」

提督「それから「ディアナ」は物資の搭載があるため、この後すぐにタラント港に向けて出港します。また、護衛駆逐隊のうち「ソルダティ」級の「コラッツィエーレ」と「レジオナーリオ」を除く「マエストラーレ」級四隻はこれに随伴して護衛にあたること」

マエストラーレ「了解!」

提督「ディアナがタラントで物資を搭載したらトンボ返りを打つ形でここまで戻ってきてもらって、残りの護衛艦艇と会同。プレイアディ船団そのものとしては明日の0900時に出撃する形になります…何か質問は?」

ガリバルディ「提督、対潜哨戒機の援護はもらえるの?」

提督「それが、航空部の知り合いに頼んで回せないか聞いてみたのだけれど……マルタ島以南の制空権が確保できていない以上P-3Cの投入は厳しいし、今回はリビア側との折り合いもつかなくて、残念ながら手に入らなかったわ…そのぶん、うちの航空隊に頑張ってもらいましょう」

ガリバルディ「分かったわ」

提督「あと、他に質問は……ないようね」

提督「…それでは、全員無事に作戦を完了できるよう頑張りましょう!」

チェザーレ「…そしてカルタゴは滅びなければならぬ、と」(※ローマの政治家で弁舌家の「大カトー」が演説の際、必ずこれで締めくくった)

デュイリオ「まぁまぁ、ふふっ…♪」



グレイ提督「…なかなか見事なスピーチでしたわ」

提督「ありがとうございます、メアリ」

グレイ提督「カンピオーニ提督の艦隊運用をこの目で見られるとは…なかなか楽しみですわね」

提督「メアリに見られていると思うと、深海棲艦よりもその方が気にかかりますね…」

グレイ提督「ふふ……とかく作戦前は何かと思い悩む事があるでしょうが、貴女と艦娘たちはこれだけ訓練を積んできたのですから恐れることはありません…でしょう?」

提督「メアリ…」

グレイ提督「……それでは、わたくしも支度をしないといけませんので…失礼」

提督「…」いつもは皮肉っぽいグレイ提督から励まされ、すっかり驚いた提督…グレイ提督自身も少し気恥ずかしくなったのか、さらりと立ち去った…

………





606 ◆b0M46H9tf98h2019/12/09(月) 01:52:20.62q9rKqYv10 (1/1)

…数分後・作戦室…

提督「全員、用意はいい?」


…時刻合わせのために腕時計のリューズに指をあて、作戦室の時計に目をやっている提督……辺りには作戦に参加する艦娘たちと、グレイ提督、ヴァイス提督が集まっている……提督のクロノグラフ(精密時計)はしっかりしたステンレス製で、グレイ提督はそれだけで財産になりそうな「パテック・フィリップ」の腕時計、ヴァイス提督はドイツ製らしい堅実なデザインのものを付けている…艦娘たちはそれぞれ好みのクロノグラフを付けているが、潜水艦組は大戦時のイタリア王国海軍に納入されて、当時その出来の良さから数々の特殊作戦で役だった「パネライ」の軍用ダイバーズウォッチか、頑丈で特殊部隊の隊員たちにも愛されている「G-ショック」が多い…


ディアナ「…よしなに」

提督「それじゃあ秒読み……トーレ…ドゥーエ…ウーノ、カウント!」

ライモン「はい、合わせました」

提督「よろしい…それじゃあディアナとマエストラーレたちはそのままタラントへ出港してちょうだい」

ディアナ「了解」

………



…2145時…

デジエ「それじゃあちょっと早いけれど……行ってきます、提督」

…船団に先駆けて出撃し、リビア・シルテ湾で哨戒にあたる予定の中型潜「アデュア」級の二人は、灰色に灰緑色の斑点迷彩が施された、ぴっちりしたウェットスーツ風の「艤装」を身につけ、その上から潜水艦乗りらしい黒いレザーコートを羽織り、頭には艦長帽をかぶっている…

アクスム「シルテ湾は私たちでばっちり哨戒しておきます…ね、デジエ♪」…ちゅっ♪

デジエ「ん…♪」戦中は二隻でよく英船団に襲いかかり、大戦果を挙げていた名コンビの「デジエ」と「アクスム」…艦娘としても二人は息ぴったりで、いつも「恋人つなぎ」で手をつないだり唇を重ねたりと、誰かが間に入る余地もないほどお熱い…

提督「ふふ、相変わらず二人は仲が良いわね……深海側の哨戒機には気をつけてね?」

デジエ「はい」

提督「それじゃあ波止場までお見送りするわ」

アクスム「グラツィエ、提督…♪」

…普段提督たちが過ごしている「鎮守府本棟」の西側とつながっている黄色っぽいレンガ造りのささやかな船渠と、そこから海に向かって伸びている波止場……提督と見送りの艦娘たちがそれぞれ帽子や手を振って「帽振れ」で見送るなか、月もさやかな夜のイオニア海にディーゼル主機の青い煙を残しつつ、アデュア級の二隻がゆっくりと出港していった…

デルフィーノ「…次は2300時のマルコーニさんですね」

提督「そうね」

………

…2300時・波止場…

マルコーニ「それでは「グリエルモ・マルコーニ」出撃します…!」艶のある黒い競泳水着スタイルの服にレザーコート、裏張り付きの艦内長靴を履いたマルコーニが司令塔の上から敬礼した…

提督「ええ、通信の中継は任せたわ」

マルコーニ「了解…!」迷彩を施した大柄な「グリエルモ・マルコーニ」が4ノットくらいの低速で波止場を出て行った…

提督「……さてと、後は明日の朝方まで待つことになるわけだけれど……その間にあれこれとやらないといけない事があるわね」

ガリバルディ「そうね」

提督「ええ…それとガリバルディ、貴女たちは0900時の出撃に間に合うように蒸気を上げておいて?」

ガリバルディ「了解、それなら2400時くらいから缶を温めておけば間に合うわ」

提督「お願いね」






607 ◆b0M46H9tf98h2019/12/10(火) 01:56:31.75ycELa66v0 (1/1)

…2400時・作戦室…

提督「みんな、お疲れ様」

セラ「こんばんは、提督……あの、お休みにならなくて大丈夫ですか?」

提督「ありがとう、セラ。だけど今は色々とやる事があるから」

セラ「それはそうですけれど…」

提督「ふふ、出撃したらマルタ島までたっぷり数時間はかかるもの…その間に仮眠でもさせてもらうわ」

セラ「あ、なら良かったです」

提督「ええ…お気遣いありがとう♪」小さなセラのほっぺたに軽く唇を当てた…

セラ「///」

提督「ふふっ、セラは可愛いわね……ところでムツィオ」

アッテンドーロ「なに?」

提督「空軍のAWACS(早期警戒管制機)から何か情報は?」

アッテンドーロ「今のところ何もなし…定期的にキレナイカ(リビア)上空に深海側の哨戒機らしいシルエットがあるけど、それだけね」

提督「了解…ドリア」

ドリア「はい、何でしょう?」

提督「最新の気象通報は?」

ドリア「はい。明日0600時から1200時の天候ですが、今の段階では「晴れ」、雲量は3から4、風力は2から3、波高1,5メートルから2メートル、気圧は1000「ヘクトパスカル」からさらに上昇する見通しとのこと」

提督「そう。さっきから雲が湧いてきて、てっきり悪天候になるのかとばかり思っていたけれど……それじゃあ、明日は「やがて晴れになる」っていうところね?」

ドリア「はい「きっとこのまま変わらない」かと♪」

提督「ふふっ、了解」

ドリア「また最新のものが届き次第連絡します」

提督「お願いね…それから、サントーレ」

サントーレ・サンタローサ「は、はい…!」

提督「イオニア海管区の他の鎮守府から深海側の動静について通報は?」

サンタローサ「いえ、ありません」

提督「了解。サイント・ボン…貴女の方には?」

アミラーリオ・ディ・サイント・ボン「本官の方にもありませんよ、提督…マルタ島も今夜は静かなようです」

提督「では、引き続きお願いね」

サイント・ボン「もちろんですとも」

提督「それじゃあ私は出撃組の様子を見てくるから、何かあったら館内放送か内線で呼び出してね…携帯でもかまわないわ」

ドリア「はい、承知しました♪」



608 ◆b0M46H9tf98h2019/12/14(土) 12:25:18.36nhuAnhou0 (1/1)

…十数分前・軽巡「アブルッツィ」級の部屋…

ガリバルディ「そろそろ2400時ね…ちょっと着替えて缶に火を入れてくるわ」

アブルッツィ「私の分まで活躍してきてね、ガリバルディ?」

ガリバルディ「ええ、任せておきなさいな」


…ゆるいチュニックを脱ぐとおもむろに着替え始めたガリバルディ…革命家として「赤シャツ隊」を率いていたためか着るものは紅色が多く、今も真紅のブラとレースの縁取りがされたランジェリーを身につけている……軽巡とはいえ排水量が一万トン近くあり、前級「デュカ・ダオスタ」級よりも大柄で少し幅広になったアブルッツィ級の艦娘だけあって、運動選手のような平たく引き締まったお腹と形良くふくらんでいる乳房、張りのあるヒップと長く伸びた脚が、ライモンやアオスタのような軽巡勢の先輩たちよりも力強い印象をあたえる…


ガリバルディ「これでよし、と…着替えはすんだし、行ってくるわね」黒のストッキングと、イタリア海軍独特の白に近いライトグレイに濃い灰色の折れ線迷彩を施したブレザーとプリーツスカートに袖を通した…

アブルッツィ「気をつけて行ってらっしゃい」

ガリバルディ「もちろん…♪」口元に笑みを浮かべると頬に音高くキスをし、片手を振りながら出て行った…

…数分後・鎮守府の湾内…

ライモン「それにしても、ガリバルディさんと出撃するのは久しぶりですね」沖合に錨泊している艦まで、モーターランチに乗って移動するライモンたち…鎮守府のある三日月型の小さな湾には波もなく、夜風とランチの艇首から飛び散る飛沫はひんやりと冷たいが、まだ凍えるほどではない…

バンデ・ネーレ「そうだね」

ガリバルディ「でも私が旗艦って…なんだか悪いわね、ライモンド」

ライモン「…何がです?」

ガリバルディ「だって提督を乗せたかったでしょう?」

ライモン「えっ、いえ…そんな///」

バンデ・ネーレ「ふふ、ライモンドってば真っ赤になって…可愛いよ♪」

ガリバルディ「ね…これじゃあ提督が惚れ込むのも無理ないわ」

ライモン「そ、そのことは言いっこなしですよ…///」

ガリバルディ「ふふふっ…全くいつまでたっても初心なんだから♪」

アウグスト・リボティ「そこがまた可愛いんだよね」ランチの舵輪を操りながら、くすくす笑いをするリボティ…

ライモン「も、もう…みんなしてわたしをからかわないで下さい…!」

ガリバルディ「もう、悪かったってば…ほら、貴女の艦に着いたわよ?」

ライモン「むぅ……」腑に落ちない顔で舷側のタラップを上っていった…

…2400時・軽巡「ジュゼッペ・ガリバルディ」艦橋…

ガリバルディ「ガリバルディから各艦へ…機関、用意!」

ガリバルディ「……秒読み開始…3…2…1、点火!」


…十万馬力を誇る「ジュゼッペ・ガリバルディ」の缶室ではどろりとした重油が燃え始め、最初のぞき窓から見えていた不完全燃焼の黒い煙が次第に消えて、やがてめらめらと燃えさかり始めた…後は圧力鍋と同じ原理で高圧・過熱状態にした蒸気を作り、その力でタービンを回す…各艦ともに最初は煙突から煙を上げるが、それも次第に収まってほぼ無煙になる…


ガリバルディ「さて、あとは蒸気が上がるのを待つばかり…と」

ガリバルディ「…こっちはいいけど、お客さんの具合はどうかしら」向こうに見える「ティルピッツ」と「エメラルド」に視線を走らせた…

…戦艦「ティルピッツ」艦橋…

ティルピッツ「よし、無事に動いてくれた……これで点火に失敗したりしたら、提督と姉上に合わせる顔がない…」

…南イタリアで数ヶ月近く過ごしている割には、相変わらずバレンツ海の流氷のように真っ白な肌をしているティルピッツ……かつての大戦中は中盤からほとんど活躍の機会を与えられずノルウェーに留め置かれていただけに、いまだに機関を稼働させるだけでも身構えてしまう…

…軽巡「エメラルド」艦橋…

エメラルド「…あちらも無事に点火できたようですね」

…ずっと引きこもり状態で「孤独な女王」などと揶揄(やゆ)されたティルピッツとは対照的に、快速かつ使い勝手のいい軽巡として、船団護衛やポケット戦艦「アドミラル・グラーフ・シュペー」追撃戦で大西洋やインド洋を所狭しと駆け回った「E」級軽巡のエメラルド…白と淡い緑色を基調にした英海軍「地中海艦隊」仕様の迷彩に身を包み、慣れた様子で艦橋に立っている…


エメラルド「あとは作戦開始を待つばかり…せっかくですし紅茶でも淹れるとしましょう」

………




609 ◆b0M46H9tf98h2019/12/17(火) 03:30:44.24PHLfK2AX0 (1/1)

…0400時・執務室…

提督「うーん…」昼間に軽く眠っておいたとはいえ、どうしてもあくびが出てしまう提督…仕方がないので大浴場で熱めのシャワーを浴びてくると、黒い下着に前をはだけたブラウスだけという格好でコーヒーをすすっている……そのまま机の端に腰を下ろすとノートパソコンを立ち上げ、落ち着かなげに気象通報や各鎮守府から届く最新の敵情報を眺めている…


提督「…まだ早いけれど着替えることにしましょう。どうせこのままの格好でいても落ち着かないし……」

提督「そうと決まればまずはちょっとお化粧をしないと……んー、どれにしようかしら」化粧台の椅子に腰を下ろすと唇におとなしい色合いのルージュを引き、軽く白粉をはたく……それから少し悩んで、甘いバラと蜂蜜の香りがする香水を手首や首筋に吹きかけた…

提督「うん…いい香り。 さ、制服を出さないと…」


…十一月も終わりに近づき、すっかり衣替えも済んでいる鎮守府……それは提督も同様で、夏に着ていた白いダブルの上着とスラックス、タイトスカート、それから「艦娘たちが馴染みやすいよう」復活した旧王国海軍スタイルの白い詰襟はクリーニングから戻ってきて、今はクローゼットの奥にしまってある……代わりに提督が取り出した冬期の制服はダブルの上着とスラックス(あるいはタイトスカート)の組み合わせで、濃紺の布地に金ボタンや階級章、胸元に並んだ略綬がきらりと映える…


提督「よいしょ……と」イオニア海とはいえ晩秋の海風は寒かろうと、黒い厚手のタイツを履いてからスラックスに脚を通した…

提督「……これでどうかしら…」白ワイシャツに濃紺のネクタイを締めると、金モールと少将の袖章もまだ新しいずっしりとした上着を着込み、姿見の前で軽く姿勢を整えてみた…

提督「……ま、いいわ」

提督「あとは帽をかぶって…と」


…腰まで届きそうな長い髪を後ろでお団子に結い上げると、金の帽章と将官の金線が施された上部の白い濃紺の制帽を頭にのせた…近頃は艦娘を運用する「鎮守府」の司令や提督たちとして女性が増えたこともあって、女性士官も今までの「縁が丸い」帽ではなく「つば付き」の制帽をかぶってもいい事になり、提督もつば付きの方を選んでいた…


提督「…ん」

提督「さてと…あとは作戦室に行って状況の確認ね」…作戦にかかる数日分の着替えやこまごました物が入っている軍用バッグはガリバルディが先に艦へ運んでくれたので、提督としては手ぶらで乗艦できる……そして普段と同じように着替えをしたおかげか、そわそわした気分もいくらか落ち着いた…

………

…0500時・タラント港…

マエストラーレ「各艦、準備はいい?」

グレカーレ「うん」

リベッチオ「いいよっ♪」

シロッコ「…もちろん」

ディアナ「よしなに」

マエストラーレ「よろしい…係留索、離せ! 両舷機前進微速!」


…タラントの外港でリビア向けの物資をずっしりと積み込んだディアナと護衛の「マエストラーレ」級駆逐艦四隻が、まだ夜も明けないうちに係留索を離し、ゆっくりと岸壁を離れた……マエストラーレたちは岸壁に艦尾を向けた状態で姉妹横並びで停泊していたが、タラントをはじめだいたいのイタリアの港は直接外海と接しているので水深が深く、首尾線を海に向けた状態(縦向き)で停泊するようになっていて、そのためあまり曳船(タグボート)のお世話にならず手際よく出港することができる…


グレカーレ「了解、両舷前進微速」

リベッチオ「あ…お姉ちゃん! タラント港湾部から発光信号「無事な航海と作戦の成功を祈る」だって♪」

マエストラーレ「了解、それじゃあ「感謝する」…とでも打っておくわ」信号灯を取り出し、カタカタと返事を送った…

ディアナ「あら、また信号でございますね…「追伸…そちらの女たらしの提督に、たまには顔を出してくれるようお伝え下さい」だそうですわ」

マエストラーレ「あぁもう…うちの提督ときたら女性を見たら口説かないといけない病気にでもかかってるわけ?」

グレカーレ「くすくすっ…♪」

リベッチオ「あははっ、提督らしいね♪」

マエストラーレ「ちっともおかしくなんかないわよ、まったく…「その件については直接本人に伝達されたし」…以上!」

………






610 ◆b0M46H9tf98h2019/12/21(土) 10:28:58.93FdN18XhI0 (1/2)

…0530時・食堂…

提督「おはようございます。グレイ提督、ヴァイス提督」

グレイ提督「…モーニン」

ヴァイス提督「グーテンモルゲン(おはようございます)、カンピオーニ提督」

…あと数時間で出撃するとは思えないほど落ち着き払った態度で紅茶を味わっているグレイ提督と、緊張のためかいつもよりさらに堅苦しい態度のヴァイス提督…

アッチアイーオ「提督、朝食の準備が出来ているわよ」

提督「ありがとう、いただくわ」

アッチアイーオ「それじゃあ持ってくるわね…それとナプキンを使ってちょうだい。制服に食べこぼしなんて付いていたらみっともないもの」

提督「ふふっ、お気遣いありがとう…♪」

アッチアイーオ「飲み物はコーヒーでいい?」

提督「ええ…砂糖はふたさじ、ミルクを多めにしてもらえる?」

アッチアイーオ「了解、すぐ持って行くわ」

提督「ええ……それにしても天気が良さそうで何よりですね」

グレイ提督「そうですわね」

ヴァイス提督「…それだけ敵機からの攻撃が激しくなる可能性はあると思いますが、波で船体が動揺することはありませんね……」そこまで言ってから、ビスマルクたちの方をちらっと見た…

ビスマルク「……どうしたティルピッツ、もっと食え…貴様はこれから出撃するのだからな、うんと食って力をつけろ」

ティルピッツ「…ヤ、ヤヴォール……しかし姉上、そんなには食べられません……」

ビスマルク「なんだ、仕方のないやつだな…私より貴様の身体の方が大きいのだから、もっと食えるはずだろうが」

(※ティルピッツ…ビスマルク級の二番艦として改修を加えたため船体が少し大きく、排水量も1000トンほど増加している)

ヴァイス提督「この前も言ったはずだぞ、ビスマルク…ティルピッツは貴様と違って大食らいではないのだから無理を言うな」

ビスマルク「そうは言ってもな…あまりに食が細いので姉としては心配なのだ……」

エリザベス「……エメラルド、紅茶をもう一杯いかが?」

エメラルド「はい、いただきます…」

エリザベス「さ、どうぞ……それにしてもわたくしがもう少し高速なら、提督のお供が出来たというのに…残念でございますわ」

エメラルド「大丈夫です、私がその分も駆け回ってきますから」

グレイ提督「そういうことです……エリザベス、あなたは英国海軍の戦艦らしく腰を据えて堂々としていればいいのですよ」

エリザベス「はい…このエリザベス、納得いたしました」

グレイ提督「よろしい」

提督「…ふぅ、美味しかったわ」

アッチアイーオ「ちゃんと食べたわね、提督?」

提督「ええ…ありがとう♪」

アッチアイーオ「…っ、作ったのはエリトレアなんだから、お礼は私じゃなくてエリトレアに言って……///」

提督「ええ…グラツィエ、エリトレア♪」

エリトレア「はいっ♪」




611 ◆b0M46H9tf98h2019/12/21(土) 12:02:03.92FdN18XhI0 (2/2)

…0600時…

提督「…さてと、あとはガリバルディに乗艦すればいいだけ……と」

提督「むぅ…あれだけ忙しかったはずなのに、急にやることがなくなっちゃったわね……」

デルフィーノ「くすくすっ、出撃前にはよくあることですよぅ…♪」

提督「ふふっ…とはいえこのまま座っているのも落ち着かないし……どうしようかしら」

カヴール「……それでしたら、礼拝堂でお祈りなどなさってきたらいかがでしょう?」

提督「なるほど、いい考えね……それじゃあちょっと行ってくるわ♪」

…鎮守府・礼拝堂…

レジナルド・ジュリアーニ(大型潜リウッツィ級)「……あ、提督…」


…鎮守府本棟の東側に建っている礼拝堂は小ぶりながら、丁寧な仕上げのステンドグラスから差し込む神々しい朝の光と、静まりかえった空間のおかげで大きさ以上の荘厳さを感じる……提督が帽を脱いで入ろうとしたタイミングで、リウッツィ級の「レジナルド・ジュリアーニ」もやってきた…従軍神父の名が付いているジュリアーニは黒い僧服姿で、首には小さな金の十字架を下げている…


提督「あら、レジナルド…おはよう」

ジュリアーニ「おはようございます…提督も礼拝に?」

提督「ええ、まぁ」普段は特に教会へ行くこともなく、日曜礼拝もほぼすっぽかしている提督は、ときたまこの礼拝堂で祈るのがせいぜいだった…

ジュリアーニ「良い心がけです…特に出撃の前ですからね」

提督「ええ」

…礼拝堂の中には小ぶりなマリア像と、その左右に火薬庫の守護聖人である「サンタ・バーバラ(聖バルバラ)」と、船乗り(とナポリ)の守護聖人「サンタ・ルチア(聖ルチア)」の絵がかけてある…

ジュリアーニ「…」

提督「…」

………



…0700時・波止場…

提督「それじゃあ、留守は任せたわよ?」

アッチアイーオ「ええ、心配しないで」

デルフィーノ「はい♪」

カヴール「…お気をつけて、提督」

提督「ん…♪」それぞれの頬に軽く口づけすると、モーターランチに乗り込んだ…

…数分後…

ガリバルディ「改めて、ようこそ「ジュゼッペ・ガリバルディ」へ…旗艦として提督をお迎えできて嬉しいわ♪」

提督「ありがとう……蒸気の具合はどう?」

ガリバルディ「順調に上がっているわ」

提督「そう、よかった」

ガリバルディ「おかげさまでね。順調だから何も心配いらないわよ」

提督「了解」

ガリバルディ「ええ。後はディアナの到着を待つばかりよ…」

………




612 ◆b0M46H9tf98h2019/12/24(火) 11:26:05.44f/I/uGWb0 (1/2)

…0830時…

ガリバルディ「提督、来たわ。 左舷四〇、マストの先端が見えるわ」

提督「ガリバルディは目がいいわね…どこ?」

ガリバルディ「東の岬の先端と、丸っこいちぎれ雲とが直角に交わる辺りの水平線上に…どう?」

提督「んー……あぁ、見つけた♪」

ガリバルディ「ね、ディアナのマストに間違いないわ……あら、どうやらオリアーニも見つけたようね。信号旗を揚げてるわ…だけどね、もうこっちは見つけているのよ♪」了解信号を掲げながらも、少し自慢げなガリバルディ…

提督「それじゃあ出撃の用意を…準備はいい?」

ガリバルディ「もちろん」

…0900時…

提督「うん、時間通り……それじゃあ各艦に信号旗で「出港せよ」をお願い」

ガリバルディ「了解」

提督「それから事前の計画通り「コラッツィエーレ」「レジオナーリオ」は近接護衛戦隊の後方につけ」


…ガリバルディのマストに信号旗が掲げられると、ソルダティ級駆逐艦「コラッツィエーレ(装甲兵)」と「レジオナーリオ(ローマ軍団兵)」の二隻に「了解」の信号旗がはためいた……二隻は白波を蹴立ててぐっと加速すると、ディアナをひし形に取り囲んで近接護衛戦隊を形成するマエストラーレたちの斜め左右後方、おおよそ一浬の位置に付いた…


提督「ちょうどいい位置に付いたわね…それじゃあこちらも出撃しましょう。両舷前進半速!」

ガリバルディ「了解。両舷前進半速!」

…戦隊の全艦が了解信号旗を掲げるのを確認すると、ガリバルディの信号旗が下ろされた…

グレイ提督「……エメラルド、両舷前進半速」

エメラルド「了解、両舷前進半速」

ヴァイス提督「両舷前進半速!」

ティルピッツ「ヤヴォール、両舷前進半速!」

提督「……うん、エメラルドとティルピッツも無事に動き始めたわ」

ガリバルディ「そうね……しかしなんとも場違いよね、彼女」

提督「ティルピッツ?」

ガリバルディ「ええ、だってあの迷彩ときたら…白夜の北海だとか時化どきのバルト海ならさておき、ここじゃあ逆に目立って仕方ないわ」

提督「確かにね…」


…そう言って提督が視線を向けた先には、濃淡の灰色で幾何学的な折れ線迷彩が施された「ティルピッツ」の、四万トンを越す堂々とした姿がある……荒天下での航行に耐えるよう低くまとめられたシルエット、鋭くとがった艦首の「アトランティック・バウ」に重厚な艦橋……イタリア艦のしゃれたデザインとは全く違う、牙を剥いた狼のような鋭さは灰色の北大西洋や北海にこそふさわしく、晩秋の爽やかなイオニア海にはまるで似合わない…


ガリバルディ「ま、いいわ…そろそろ陣形を組みましょうか?」

提督「ええ、そうね」

ガリバルディ「了解、信号旗を揚げるわ」

オリアーニ「…戦隊旗艦から信号「各艦は所定の位置につけ」ね……了解、と」


…オリアーニたち四隻の駆逐艦が軽やかに動いてひし形の外周を作ると、その中に軽巡「ライモンド・モンテクッコリ」「ジュゼッペ・ガリバルディ」「ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ」がくさび形に展開し、お客様である「エメラルド」と「ティルピッツ」はそのくさび形で守られるようにして横陣を組む…


ガリバルディ「提督、陣形が整ったわ」

提督「了解…それじゃあ速力十五ノット、進路はこのまま」

ガリバルディ「了解」

………




613 ◆b0M46H9tf98h2019/12/24(火) 11:40:02.52f/I/uGWb0 (2/2)

…このところなかなか進められなくて済みません、ちょっと忙しかったもので……それはそうとクリスマスおめでとうございます♪


……この後もしばらくお堅い作戦の場面が続きます。数日おきくらいの間隔で思い出したように投下していきますので、時折のぞきに来てもらえれば(たぶん)進んでいるはずです……


614 ◆b0M46H9tf98h2019/12/27(金) 02:17:22.34SDU57/2m0 (1/1)

…1000時…

ガリバルディ「提督、このあたりはこっちの勢力圏内だし…今のうちに少し寝てきたら?」

提督「うーん、そうは言ってもね……何か突発的に対応しないといけない事が起きるかもしれないし」

ガリバルディ「そうなったら熱いキッスで起こしてあげるわよ」

提督「ふふっ、もう…っ♪」

ガリバルディ「ふふふ……革命家の血って言うのはね、いつでも情熱的にたぎっているものなのよ」

提督「……ガリバルディ///」

ガリバルディ「…提督ってば、本当にいい女よね……♪」くいっ…とあごに指をあてがい、艦橋の壁面に押しつけた……

提督「///」頬を赤らめて恥ずかしげな表情を浮かべ、視線をデッキに落としてはいるが、案外まんざらでもなさそうな提督……次第にガリバルディの紅い唇が近寄り、熱っぽい吐息がかかってくる……

ライモン「左舷に機影!」

提督「…っ!」慌ててガリバルディから離れ、首から下げていた双眼鏡をひっつかむ提督…

ガリバルディ「……いいところだったのにとんだ邪魔が入ったわね…機種は!」

ライモン「機種…カントZ506水偵「アイローネ」です!」

ガリバルディ「予定にあったうちの航空隊ね……了解」

提督「……ふぅ、びっくりしたわ」

…提督は上面を「ヴェルデ・オリーヴァ・スクーロ(暗いオリーヴグリーン)」、下面を「グリージョ・アズーロ・キアーロ(明るいブルーグレイ)」に塗った大型のカント水偵を確認すると、ほっとしたように双眼鏡を下ろした…

ガリバルディ「……ライモンドもなかなかやるじゃない…♪」

提督「なにか言った?」

ガリバルディ「いえ、何も……何はともあれ味方機が来てくれたことだし、少し休んでいらっしゃいよ」

提督「ええ、そうするわ。それじゃあ何かあった場合はすぐ…なかったら1130時に起こしてもらえる?」

ガリバルディ「了解」

提督「……もうちょっとで「革命」は成功だったのに、惜しかったわね♪」

ガリバルディ「ふふん……ライモンドだって艦長室の中までは確認できないもの、そのときにお邪魔させてもらうわよ♪」

提督「見張りを怠らない程度にしてね?」

ガリバルディ「大丈夫よ、手際よく済ませるから」

提督「むぅ……せっかくなのだからじっくり味わって欲しいわね」

ガリバルディ「おっと、これは失礼したわね♪」

………

…1130時…

ガリバルディ「1130時よ、提督」

提督「ふわぁ……ありがとう、ガリバルディ」

ガリバルディ「どういたしまして…海況は相変わらず、風は十分前から北西の風、風力2に変わったわ」

提督「了解」

ガリバルディ「戦隊は異常なし、陣形もきっちり維持しているわ」

提督「よろしい」

ガリバルディ「…それから「アントニオ・シエスタ」から入電「…本艦は予定海域に到着、哨戒を開始する」だそうよ」

提督「了解…マルタ沖のマルコーニは?」

ガリバルディ「まだ電文は届いていないけれど、彼女もそろそろ哨戒地点に到着するはずよ」

提督「そうね」

ガリバルディ「それから何か軽い昼食を作るから、提督は艦橋で待っていて? …少し早いけれど、今のうちに食べておいたほうがいいわ」

提督「グラツィエ♪」




615 ◆b0M46H9tf98h2019/12/31(火) 01:39:24.24vio1SP0Y0 (1/2)

…1200時・鎮守府…

リットリオ「……それでは「プレイアディ」作戦支援のため、「スコルピオーネ」戦隊および旗艦リットリオ、出撃します!」

カヴール「気をつけて行ってらっしゃいね、リットリオ」

リットリオ「はいっ♪」

ザラ「…トレント、トリエステ……二人とも無理は禁物よ」

トレント「はい、気をつけます」

ポーラ「そうですよぉ~、二人は装甲が薄いんですからぁ」

トリエステ「ええ…」

フレッチア「……出撃したら辺りをよく警戒すること。特に敵機は太陽を背にして突っ込んでくるんだから、気をつけなきゃダメよ?」

フォルゴーレ「分かってるわ」

フレッチア「ならいいけど…四人とも、とにかく気をつけるのよ?」

フォルゴーレ「ええ、任せておいて♪」

………

…1230時…

提督「ふー…艦上とは思えないほど美味しい食事だったわ」

ガリバルディ「…ふふ♪」

提督「特にあのフェデリーニのペスカトーレ……とっても美味しかった♪」

ガリバルディ「気に入ってもらえてなによりだわ…コーヒーは?」

提督「ええ、いただくわ…」

…軽巡「エメラルド」艦橋…

エメラルド「提督、昼食をお持ちしました」

グレイ提督「ありがとう、エメラルド…さぁ、貴女も自分の分を召し上がりなさいな」

エメラルド「はい」海図台に食事の盆を置くエメラルド……

グレイ提督「よろしい……なるほど、今日のお昼はタンの冷肉にピクルス…それにエンドウ豆のポタージュですわね」

エメラルド「あまり複雑なものは作れませんから…」

グレイ提督「いいえ、構いませんよ」立ったまま海図台に載せてある食事に取りかかった…

エメラルド「……ココアはいかがでしょうか?」

グレイ提督「ええ、いただきましょう」

…戦艦「ティルピッツ」艦橋…

ティルピッツ「提督、昼食の準備が整いました…どうぞ」

ヴァイス提督「ダンケ、ティルピッツ」

ティルピッツ「いいえ、そんな…」

…皿の上にはパン数切れにバター、オイルサーディン、ハム数枚と味の強いチーズ…それから熟成が進み白っぽくなっているザワークラウトが盛り合わせにしてある……

ヴァイス提督「……ところでティルピッツ、貴様はもう済ませたのか?」

ティルピッツ「いえ、これから食べようかと…」

ヴァイス提督「なら私が食べ終わったら昼食を食べるように……命令だ」

ティルピッツ「ヤヴォール!」かちりとかかとをぶつけ、敬礼するティルピッツ…

………




616 ◆b0M46H9tf98h2019/12/31(火) 21:51:40.66vio1SP0Y0 (2/2)

…まずは今年一年このssを見てくださったり感想を下さった皆さま、遅筆でなかなか進まない作品にお付き合い下さりありがとうございました……来年が皆様にとって良いお年でありますようにお祈りしております


……ちなみに1はこれからお雑煮の準備に取りかかる予定なのですが、皆様の地元はどんなお雑煮ですか?


617 ◆b0M46H9tf98h2020/01/02(木) 01:04:03.87r7eAEn950 (1/1)

まずは遅ればせながら、明けましておめでとうございます

…皆さま本年もよろしくお願いいたします…また、今年はもっと投下のペースを上げていけるよう頑張りたいと思います…


618 ◆b0M46H9tf98h2020/01/03(金) 01:35:33.06dKyWi9450 (1/1)

…1500時・鎮守府…

フィウメ「そろそろ提督たちはメッシーナ海峡の辺りでしょうか……っと」

ザラ「ええ、それで計算は合うんじゃないかしら……それっ」

ポーラ「何もないといいですけれどねぇ~……せーのっ♪」

ゴリツィア「そうですね、トレントたちも上手くやってくれればいいですけど…えいっ!」

…さすがに海で泳ぐには水温が冷たくなってきてしまったので、運動と暇つぶしを兼ねて浜辺でビーチバレーにいそしむ留守番の艦娘たち…

ポーラ「そーれっ♪」バレーボールを「ぽぉ…んっ」と打ち上げると、思っていたよりも遠くに飛んでいってしまった……

ザラ「もう、ポーラってば……そんなはるかなかなたにレシーブしてどうするのよ?」

ポーラ「姉様、ごめんなさぁ~い…拾って来ますねぇ」

ザラ「ええ…」目をこらせば提督たちが見えるかのように、南西の方を向いて水平線をじっとながめた…

…1520時・メッシーナ海峡沖…

提督「うーん、そろそろレッジョ・ディ・カラブリアを過ぎるころね…」海図にディバイダーと定規をあてがい、航行距離を計算する提督……本土からシチリアへの玄関口「レッジョ・ディ・カラブリア」とメッシーナ海峡を横に、艦隊は陣形を組んで進んでいる…

ガリバルディ「ええ……回頭点もまもなくよ」

提督「そうね、信号旗の用意をお願い」

ガリバルディ「了解」

…しばらくして・鎮守府の作戦室…

トリチェリ「…間接護衛戦隊より入電「回頭点に到着、針路190度に転針」とのこと」

ローマ「ええ、分かりました……それとこちらからプレイアディ船団とスコルピオーネ戦隊に向けて「敵状に変化なし、引き続き無事の航海を願う」と」

トリチェリ「はい」

…同じ頃・シルテ湾の北50浬…

デジエ「…」

アクスム「…」


…革コートの襟を立て、双眼鏡で周囲の空を探っているデジエとアクスム…地中海は陸地に囲まれていて(深海側に基地があるかどうかはさておき)航空基地が近いため、おそろしく空襲が激しく気が抜けない……だからといってずっと潜航していると、それでなくても長くは持たない電動機用バッテリーの充電がカラになってしまい、いざというときに使えなくなってしまう……結局、周りで当直にあたっている当時の将兵の幻影たちと一緒に見張りに立ち、ずっしりと重い双眼鏡を目に当てている…


デジエ「…ふー、ふー……」一旦双眼鏡を下ろし、マグカップを両手で包むようにしてコーヒーをすする…潜水艦は乾舷が低いので海が穏やかな時でもしばしば波が甲板を洗い、しょっぱい飛沫が艦橋まではねてくる……

アクスム「……ほ…っ」まるで見計らったかのように、ほぼ同じタイミングでコーヒーをすすっているアクスム……

デジエ「……ふぅ」コーヒーマグを足下に置くと、また双眼鏡を取り上げた…

…一方・メッシーナ海峡…

アントニオ・シエスタ「ふわ…ぁ……こういい天気ですと、眠くなってしまいますね…」

…波もない凪の海をゆったり航行しながらちぎれ雲が穏やかに浮かんでいる空を眺め、ディーゼル主機の震動に身を任せているとむしょうに眠くなってくる……それでなくても深夜に出撃してから哨戒にあたっていたおかげで満足に熟睡出来ておらず、それもあってなおのこと眠気がつのってくる…

シエスタ「そろそろ提督たちはここの沖を通過したはずですね……」双眼鏡片手に濃く淹れた砂糖入りのコーヒーをすすり、甘苦い味を舌の上で転がす……

シエスタ「……ふぁぁ…作戦が終わって無事に帰投したら、うんとお昼寝をするとしましょう…」

………




619 ◆b0M46H9tf98h2020/01/07(火) 11:59:08.82nrkZ5FeF0 (1/1)

…1800時・シチリア島沖…

マエストラーレ「ここまでは無事に来られたわね……でも油断しないように。ここからが大変なんだから」

シロッコ「確かに」

マエストラーレ「…ディアナ、あなたは平気?」

ディアナ「ええ。少し揺れますが、大丈夫ですよ」

マエストラーレ「ならいいけど……とりあえず鎮守府に無電を打っておきましょう」

…鎮守府・作戦室…

サウロ「……アオスタ、船団から通信です」

アオスタ「内容は?」

サウロ「はい「現在、座標AN256にあり。速度15ノット。北西の風、風力2。波高2から2.5メートル」とのことです」

アオスタ「了解…その座標だとそろそろシチリア島の影を抜ける所ね」

チェザーレ「となると少しばかり波も出てくるはずだ……駆逐艦は大変であろうな」

アオスタ「そうですね」

チェザーレ「うむ。ではチェザーレは秘書艦の二人に伝えるとしよう…」そういって内線電話の受話器を取り上げた…

…同じ頃・執務室…

アッチアイーオ「それじゃあ見回りに行ってくるから、留守番はお願いね」

デルフィーノ「はい、行ってらっしゃい」

アッチアイーオ「何かあったら呼び出しをかけるのよ?」

デルフィーノ「もう、分かってますってばぁ」

アッチアイーオ「頼んだわよ」

デルフィーノ「…もう、アッチアイーオったらガミガミとうるさいんですから……んしょ」そう言うと提督の椅子に腰かけてみた…

デルフィーノ「わぁ、座り心地のいい椅子です…提督はいつもこの椅子に座って執務をしているんですね♪」嬉しそうにペン立ての万年筆を触ってみたり、周囲を眺め回してみたりした…

デルフィーノ「……っと、いけないいけない。アッチアイーオが戻ってくるまでにこのファイルを片付けないと…」ぴょんと跳ねるように椅子から立ち上がる……と、執務机のふちが秘部をこすった…

デルフィーノ「ふあ…っ♪」

デルフィーノ「も、もうっ…///」変な声が出てしまい、少し恥ずかしくなるデルフィーノ……

デルフィーノ「……他に用がある訳でもないですし、少しだけ///」くちゅ…♪

デルフィーノ「あっ、ん…♪」くちゅっ、ちゅく…っ♪

デルフィーノ「ふわぁぁ、提督の甘い匂いがして……あふっ♪」

デルフィーノ「ん、あっ…ふあぁんっ♪」賢そうなくりくりとした瞳がとろんと焦点を失い、困ったように眉を寄せつつ机のふちに腰を擦り付ける……

デルフィーノ「ふあぁ……気持ちいいですよ…ぅ♪」

デルフィーノ「…はぁっ、はぁっ……んぅぅっ♪」くちゅり、くちゅくちゅっ…♪

デルフィーノ「……んぁぁ、んくぅぅ♪」

デルフィーノ「はひっ、んんぅ……あぁぁ…んっ♪」口を半開きにして甘い嬌声をあげ、下着の隙間からぬるりと花芯に指を滑り込ませる……

デルフィーノ「ふわぁぁ…♪」ちゅくちゅくっ…にちゅっ♪

デルフィーノ「あふぅ、んあぁ………執務室でするの……っ、気持ちいいです…ぅ♪」…左手を机について崩れ落ちそうな身体を支え、右手の人差し指と中指でくちゅくちゅと花芯をかき回す……と、不意に内線電話が「リリリン…ッ」と鳴った…

デルフィーノ「ふあぁぁん…っ♪」驚いてびくっと身体が跳ねた拍子に指を奥まで突き入れてしまったデルフィーノ…がくがくと膝が震え、太ももにとろりと蜜が垂れる…

デルフィーノ「はふぅ、はひぃ……こ、こちら執務室…///」

チェザーレ「こちら作戦室のチェザーレ。マエストラーレより入電…船団は間もなくシチリア島の沖を通過するそうだ」

デルフィーノ「り、了解です…ぅ///」

チェザーレ「うむ……作戦室、以上だ」

デルフィーノ「……ふわぁぁぁ♪」腰が抜け、机にしがみつくようにしてだらしない表情を浮かべている…

………




620 ◆b0M46H9tf98h2020/01/12(日) 02:29:22.51Z75oY1A10 (1/1)

…1900時…

チェザーレ「それでは諸君、夕食をいただこうではないか」

ドリア「今夜は私が腕を振るいましたから、存分に召し上がって下さいね…特にイワシのパン粉焼きが美味しいですよ♪」

ムレーナ(中型潜フルット級「ウツボ」)「ふっ、それは楽しみだ……魚は好物だからな♪」

スクアーロ(中型潜スクアーロ級「サメ」)「んふふっ、全く……もっとも、柔らかくて汁気たっぷりの生き物なら何でも好きだけれ…ど♪」

セルペンテ(中型潜アルゴナウタ級「海蛇」)「ね…くすくすっ♪」

メドゥーサ(アルゴナウタ級)「……くふふ…っ♪」

フィザリア(アルゴナウタ級「カツオノエボシ」)「…そうですねぇ……ふふふ♪」

デルフィーノ「ひぃぃ……ここの面々は怖すぎですよ…ぅ」

スパリーデ(フルット級「鯛」)「うぅ…どうしてこんなテーブルになってしまったのでしょう……」

ナウティーロ(フルット級「オウムガイ」)「……ここは殻に閉じこもっているしかないようです…ね」

ムレーナ「…どうした、ナウティーロ。グラスが空だぞ?」

ナウティーロ「…」

ムレーナ「私が注いであげよう……いい作戦だったが、ウツボは固い殻でも噛み砕く……残念だったな♪」顔を近寄せると小声でささやき、ニタリと笑みを浮かべた…

ナウティーロ「…ひぃ」

…中央のテーブル…

カヴール「…それにしても、ここに提督がいらっしゃらないとおかしな気分です」

ローマ「私もリットリオ姉さんがいないとなんだか張り合いがなくって…」

ヴェネト「ええ、全くです」

チェザーレ「日頃から仲の良いそなたたちだ、さもあろう……ルチアもいくぶん寂しげだな」

ルチア「……クゥン」テーブルの下でぺったりと床に伏せている…

チェザーレ「よしよし…お前には骨があるからな、それをかじっているといい」

ルチア「ワフッ…♪」

チェザーレ「ふふ、現金な奴め…♪」

カヴール「……それにしても」

チェザーレ「うん?」

カヴール「相変わらずビスマルクはよく食べますね」

ビスマルク「…がつがつ……はぐっ……ん、呼んだか?」

カヴール「あぁ、いえ……こうしてみると育ち盛りの子供のようで微笑ましいですね♪」

エリザベス「…まぁ、ふふっ♪」

ビスマルク「…その言い方だとまるでお祖母さんだな……」

カヴール「……何かおっしゃいました?」

ビスマルク「あぁ、いや……カヴール候は何年生まれだ?」

カヴール「むぅ、女性に軽々しく年齢を聞くものではありませんよ……1915年です」

ビスマルク「…と、いうと……」

カヴール「ちょうどお国の「バイエルン」級戦艦と同い年、といったところですね。もっとも、海戦で相まみえたことはありませんでしたが」

ビスマルク「…ば、バイエルン級……」

エリザベス「ふふ、その点わたくしは幸運にもユトランド海戦に加わる栄誉に恵まれましたが…あれだけの大海戦はもう二度とないかと存じますわ」

ビスマルク「…」

チェザーレ「……分かっただろう。いくら身体が大きいからとて、あまり年上を侮るものではないぞ……小娘」

ビスマルク「…ヤヴォール」

………




621 ◆b0M46H9tf98h2020/01/14(火) 01:58:54.037HNDS27/0 (1/1)

…1930時・マルタ島の沖…

マエストラーレ「各艦、夜間護衛隊形に移行せよ……鎮守府じゃ今ごろ夕食の時間ね」昼間に比べてお互いを視認しにくいので、1200メートルほどに開いていた各艦の距離をおおよそ600メートルまで詰めさせる……

リベッチオ「だったら私たちもご飯にしよう?」

シロッコ「いい考えだ…夜は長いし、今のうちに詰め込んでおきたいね」

グレカーレ「賛成」

ディアナ「それはよい考えです」

マエストラーレ「分かった、わかったわよ……それじゃあ夕食にしましょう」


…あきれたように肩をすくめて両手を上に向けると、夕食の準備に取りかかったマエストラーレ……丸い胚芽入りパンをスライスしたところにオリーヴオイルを垂らし、サラミ、厚切りのチーズ、出撃前に作って瓶詰めにしてきたトマトペーストを載せ、ぐらぐらしているのを落とさないようマスタードを塗りつけるともう一枚を重ねる……口を開けてかぶりつくと、サラミの脂とオレガノの効いたトマトの味わい、チーズの濃厚な後味が絡んでとても美味しい…


マエストラーレ「…っと」駆逐艦は喫水が浅いだけによくローリングやピッチングを起こし、ひとかけらもこぼさずに食べ物を口に運ぶのはなかなか難しいが、そこは長女としての意地というものがある……膝を艦の揺れに合わせながら、悠々とサンドウィッチを頬張る…

マエストラーレ「……せっかくだし温かい飲み物も欲しいところよね」


…パンを食べ終えると、食堂から持ってきた保温容器からスープを注いだ…ふわっと立ちのぼる温かいいい匂いを吸い込み、それからマカロニが入ったキノコと牛肉の濃いスープをすする…


マエストラーレ「うーん……美味し…」

シロッコ「……こちらシロッコ、水中聴音機に感あり。方位、左舷四〇!」

マエストラーレ「けほっ! …こちらマエストラーレ、確かね?」

シロッコ「ああ、敵潜でほぼ間違いない!」

マエストラーレ「仕方ないわね…護衛戦隊旗艦より「レジオナーリオ」および「コラッツィエーレ」へ。船団はこのまま突っ走るから、対潜攻撃は任せたわよ!」

レジオナーリオ「承知した! ローマ軍団兵の誇りにかけて、アルビオンの蛮族に思い知らせてやろう!」

コラッツィエーレ「装甲兵の意地にかけて!」

マエストラーレ「勢い込んで返り討ちに遭わないでよ? …それから鎮守府および間接護衛戦隊に打電「座標AN261にて敵潜を探知、後衛グループに攻撃を任せ、船団は続航す…」と」

………

…数分後・間接護衛戦隊…

提督「ふぅ…おかげですっかり暖まったわ」コーヒーのマグカップを両手で包み込むようにして持ち、満足そうなため息をついた……と、無電室からせわしないモールス信号の音が響いてくる……数十秒もしないうちに通信紙を持って駆け上がってくる旧王国海軍の水兵や、それを受け取る士官たちの「幻影」が提督とガリバルディの左右を行き交った…

ガリバルディ「提督、こちらと鎮守府に宛てて「SBJK」より打電あり!」

提督「船団のコールサインね…内容は?」

ガリバルディ「今読むわ…「座標AN261にて敵潜を探知、後衛グループに攻撃を任せ、船団は続航す…マエストラーレ」だそうよ」

提督「了解……今まで見つからなかっただけでも大したものだと思うわ」

ガリバルディ「まぁね」

提督「それと座標を確認しましょう…「アンコーナ(A)」「ナポリ(N)」の261だったわね?」海図にディバイダーと定規を当て、鉛筆で印をつけた…

ガリバルディ「ええ」

提督「と言うことは、この辺りね……それと内容を英訳して「エメラルド」と「ティルピッツ」へ連絡。低出力でね」

ガリバルディ「了解」

…軽巡「エメラルド」司令官室…

グレイ提督「…1925時、本艦はシチリア島の南南西十五浬の地点に進出(proceed)せり……」伝統と格式を重んじる英海軍では、戦闘日誌に「行く(go)」や「前進(forward)」と言った安っぽい言葉は使わず、必ず「進出」と書く……金の万年筆でさらさらと走らせながら、古めかしい調子の文章を書いていくグレイ提督……

エメラルド「……失礼します、マイ・レディ」

グレイ提督「どうぞ?」

エメラルド「さきほど電文が入りました」

グレイ提督「ええ…それで?」

エメラルド「戦隊旗艦「ガリバルディ」からの翻訳文によると、船団が敵潜に発見されたそうです」

グレイ提督「なるほど……ご苦労様、下がってよろしい」

エメラルド「はい」

グレイ提督「…ふむ「船団より敵潜に発見さると入電…」と……どうやら舞台の幕開けですわね」


622 ◆b0M46H9tf98h2020/01/18(土) 01:56:35.48w0MFw1b10 (1/1)

…2000時…

レジオナーリオ「敵潜、相対方位020度……距離約1000!」

コラッツィエーレ「こちらでも捉えた…こちらからは方位350、距離およそ900!」


…今でこそ優れた対潜能力をもつイタリア海軍だが「艦娘」たちは大戦当時の王国海軍が用いていた装備が反映されていて、測深兵器としては水中聴音機しか装備されていない…そしてアクティブ探知のアスディックやソーナーと違い、水中聴音機では敵潜のおおよその方位と距離に、かなり不正確な深度しかつかめない……そこで片方の艦は10ノット前後の低速で聴音を行い、もう片方の艦がその情報に従って攻撃にあたる…


レジオナーリオ「了解、では先にそちらが攻撃を」…艦橋を出て聴音室に入ると聴音機のヘッドフォンを片耳に当て、海流の音に交じってザワザワとざわめく敵潜のスクリュー音に耳を傾けた……

コラッツィエーレ「了解、攻撃に移る! 信管、深度50メートルに調定!」

レジオナーリオ「目標、方位そのまま…」

コラッツィエーレ「速度20ノットに増速、目標に接近する…爆雷投下、投下、投下!」

…敵潜に近づくと自分を巻き込まないよう一気に増速し、艦尾に設置された投下軌条からドラム缶型の爆雷を数発ほど転がり落とす……数秒すると白い水柱が噴き上がり、どーっと崩れ落ちる…

レジオーナリオ「こちらレジオナーリオ、しばらく聴音不能」

コラッツィエーレ「了解…一旦距離を取って、海中が静まったら再攻撃に移るわ!」

レジオナーリオ「了解」

…2015時…

レジオナーリオ「……敵潜を探知! 方位060、距離1100」

コラッツィエーレ「右に転舵して逃げ切るつもりらしいけど…そうはいかないから!」

レジオナーリオ「目標の推進音増大。全速で離脱を図る模様!」

コラッツィエーレ「そう思わせてこっちが真上まで来たら急減速して、爆雷を外させようって魂胆ね……見え透いてるわ」

レジオナーリオ「目標、針路変わらず…距離、600…400……接近」

コラッツィエーレ「爆雷投下!」爆雷が放り込まれると「ずぅーん…」と鈍い音がして、また間欠泉のような水柱が噴き上がる…

…2130時…

レジオナーリオ「……どうやら変温層か何かの下に入ったようだ…敵潜の推進音、はっきりせず」

コラッツィエーレ「了解…このあたりで変温層が生まれる海流となると、だいたい100メートルくらいに流れているはず……爆雷、深度をそれぞれ100メートル、150メートル、100メートルに調定!」海図に記されたおおよその海流を確認し、爆雷の信管を調定する…

レジオナーリオ「敵潜、方位045。距離…約1200」

コラッツィエーレ「そのままがっちり捉まえておいてちょうだいよ……両舷機全速、接近するわ!」

レジオナーリオ「敵潜、方位そのまま……距離、およそ600……200…接近!」

コラッツィエーレ「爆雷投下、投下!」

レジオナーリオ「聴音不能……っと、レジオナーリオよりコラッツィエーレ」

コラッツィエーレ「こちらコラッツィエーレ…どうしたの?」

レジオナーリオ「右舷二〇に油膜だ…距離、およそ300メートル」青い月明かりに照らされた海面に、一カ所だけぎらぎらした虹色がかった部分が見える…

コラッツィエーレ「ん、確かに油くさい臭いもするわね。撃沈したにしては少し油膜の量が少ないようだけれど…」

レジオナーリオ「もしかしたらタンクから少しだけ燃料を放出して、沈められたふりでやり過ごすつもりかもしれない…とはいえ、これだけ足止めしてやれば充分だろう……船団のこともあるし、こいつはこれで捨てていこう」

コラッツィエーレ「少し不満足だけれど仕方ないわね…了解」

レジオナーリオ「……さて、今から船団に追いつくには…25ノットで三時間といったところか」

コラッツィエーレ「高速のディアナが相手だと追いつくのも一苦労ね……それじゃあさっさと行きましょう」

レジオナーリオ「そうだな…それと無線を打とう「2130時…コラッツィエーレと協同し敵潜に爆雷攻撃を行い、少量の油膜を確認するも撃沈は確認できず……レジオナーリオ」と」

コラッツィエーレ「さ、それじゃあとっとと行きましょう」

………




623 ◆b0M46H9tf98h2020/01/21(火) 11:58:28.90rqym4C3M0 (1/1)

…2200時・鎮守府…

アッチアイーオ「お疲れ様、みんな。食堂からコーヒーを持ってきたわよ」

セラ「ありがとうございます」

アヴォリオ(中型潜アッチアイーオ級「象牙」)「ありがとう」

アルジェント(アッチアイーオ級「銀」)「良いところで持ってきてくれたわね、アッチアイーオ」

アミラーリオ・ディ・サイント・ボン(大型潜「カーニ」級)「すまないね」

アッチアイーオ「いいのよ……それで、様子はどう?」平静を装ってはいるものの何だかんだと言って作戦室に顔を出し、そのつど船団と提督の指揮する間接護衛戦隊の様子を尋ねている…

アミラーリオ・サイント・ボン(大型潜「カーニ」級)「ええ…それが先ほど敵潜を撃退してから、あちらのものとおぼしき通信が急増していると空軍の空中警戒管制機から通報がありましたよ」

アッチアイーオ「船団が敵潜に見つかったならそうなるわよね…それ以外には?」

サイント・ボン「いや、今のところ他に動きは見られませんな」

アッチアイーオ「そう……ならいいわ」

サイント・ボン「うむ…提督も無事でおられるから、安心しなさい」イタリア王国海軍のきっての造船監であり、また「リッサ海戦」の惨敗で地に墜ちた王国海軍を復活させた名海相「サイント・ボン提督」の名をいただくだけあり、大人の余裕を持っている…

アッチアイーオ「べ、別に提督の事を聞きに来た訳じゃないわよ…///」

サイント・ボン「もちろん、分かっていますとも♪」

…2400時…

チェザーレ「…当直交替の時間だ……海相、ご苦労だったな」

サイント・ボン「いえいえ…後は頼みます」そう言うと気象課から連絡された気象通報やレーダー画面に写った輝点の情報などを引き継いだ…

ネレイーデ(中型潜シレーナ級)「エリトレアが夜食を作ってくれましたから、食堂で召し上がって下さい」

ガラテア(シレーナ級)「お疲れ様でしたね」

…それぞれギリシャ神話から名を取った海の精「ネレイーデ」の軽やかな身のこなしと、自分が彫り上げた彫像に恋をした「ピグマリオン伝説」の由来となった美しき大理石像「ガラテア」の息をのむような美しさは、深夜にも関わらず昼間と同じでまったく衰えていない…

アルジェント「それはありがたいですね……では、お先に失礼」

アヴォリオ「お休みなさい」

デルフィーノ「お休みなさいです♪」にっこり笑うと軽く手を振った

チェザーレ「…ではよろしく頼むぞ、諸君」

ネレイーデ「はい」

ガラテア「ええ」

チェザーレ「さて、と…どうやら深海連中の通信が賑やかになっているようだな」

デルフィーノ「……深海側は潜水艦を集結させるつもりなんでしょうか?」

チェザーレ「おそらくな……空が完全に明るくなるのが0750時頃であることを考えると、それまでは潜水艦で触接を保ちつつ雷撃の機会をうかがう…と言うのが定石であろう…」

…同じ頃・マルタ島の南南東十浬…

提督「…おはよう、ガリバルディ」

ガリバルディ「おはようには早過ぎるわ…少しは眠れた?」

提督「いえ、あんまり…」

ガリバルディ「ふふ……そうだと思ったわ」

提督「ええ…緊張しているせいかしら。どうにも寝付けなくて……」

ガリバルディ「無理もないわ……ま、トリポリに着いたらゆっくり寝る事ね」

提督「ええ、そうするわ…」

………





624 ◆b0M46H9tf98h2020/01/24(金) 03:18:18.9593kBGqnk0 (1/1)

…0600時…

ガリバルディ「提督、船団を確認したわ」

提督「ええ、私も……それじゃあこのまま合流してもらえる?」

ガリバルディ「了解」

…すでに船団が発見された以上、もはや深海側の迎撃を受けることは間違いない…そうなると直衛の駆逐艦六隻では荷が重く、また、間接護衛戦隊が船団から離れておく必要もなくなるので、提督は戦隊をディアナたちに合流させた…

ガリバルディ「提督に宛てて「マエストラーレ」から信号…「戦隊の来着を歓迎。護衛は本隊のみでも充分なれど、共に航行できて嬉しい」とのこと」

提督「ふふっ、マエストラーレったら私たちの前で活躍できるのが嬉しいのね…♪」

ガリバルディ「かもね♪ それと、そろそろ夜間隊形から昼間隊形に変更するわ」

提督「そうね……辺りもほの明るくなってきたし、いいんじゃないかしら」

ガリバルディ「了解」


…次第に白々と明けてくる空を警戒して輪形陣に近い形を取る戦隊……外周には駆逐艦たちが遊弋し、内側に軽巡がくさび形を構成する……本来なら戦隊旗艦が押さえるべき「くさび」の頂点は旗艦ガリバルディではなく提督の信頼もあついライモンが占位し、かわりに対空能力に優れたガリバルディは北アフリカ沿岸から出撃して来るであろう深海側の敵機に備えて左舷側(南側)に位置し、バンデ・ネーレが右舷側を固める。そしてその三隻が構成する三角形で守られるようにして、ティルピッツとエメラルドが横陣を組み、さらにその二隻に挟まれるようにして、貴重な物資をいっぱいに積み込んだディアナがなめらかに航行している…


ガリバルディ「それにしても、戦隊旗艦がこの位置って言うのはね…なんだかライモンドに悪い気がして仕方ないわ」

提督「ええ……でも、貴女の方が対空能力に優れているから」

ガリバルディ「ま、赤の私が左で黒のバンデ・ネーレが右…ちょうど良いわよね」


…左派の革命家ガリバルディと、貴族の家系に生まれたが親を亡くしてローマ教皇に育てられ、傭兵隊長となった後に教皇が亡くなると、それを悼んで部隊を黒備えにしたという中世の人物「ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ(黒備えのジョヴァンニ)」…と、対照的な二人が左右に展開している…


提督「まさに「赤と黒」って言うわけね……別にそう思って決めたわけじゃないけど」

ガリバルディ「ふふ、てっきりそれが言いたいからこの布陣にしたのかと思っていたわ…♪」

提督「まさか…それはそうと、もうじきトラーパニからうちの航空隊が発進する頃ね」

ガリバルディ「それはありがたいわね……誤爆がなければもっとありがたいわ」艦首の甲板に描かれた紅白の防空識別帯を見てぼやいた…

提督「そんなことを言ったらアヴィエーレが怒るわよ…「うちの航空隊は敵味方の識別も出来ないような低い練度じゃないよ」って」

ガリバルディ「間違いないわね…今の話はアヴィエーレには内緒よ」

提督「ふふっ、了解…♪」

…0635時…

ガリバルディ「……それにしても、昨夜は夜っぴて敵さんの通信が賑やかだったわね」

提督「ディアナたちが発見されたから仕方ないわね」

ガリバルディ「はたして連中は何を繰り出して来るやら…まぁ何が出てこようと迎え撃ってやるつもりだけど、さすがに戦艦ともなるとちょっと荷が重いわ」

提督「そうねぇ…船団が見つかったのが昨夜の1900時ごろだったから、そこから出撃準備を整えて、缶の蒸気を上げて、それから最大戦速でこっちに向かったとして……深海側の「基地」がどこにあるかにもよるけれど、あちらの戦艦がこの船団を迎撃するのはちょっと難しいはずよ」

ガリバルディ「ならいいけど」

提督「それにシルテ湾にはデジエとアクスムがいるから、敵艦を発見したら無電を打ってくれるわ…場合によっては雷撃もね♪」

ガリバルディ「あの二人は大したものだものね」

提督「ええ」

………




625 ◆b0M46H9tf98h2020/01/28(火) 01:49:51.16w+lIEtrl0 (1/1)

…0710時…

提督「日が昇ってきたわね…」

…海と空をサフラン色に染めながら太陽が昇り、水平線上に広がる雲間から射す陽光が光の筋となって波に照り映える…

ガリバルディ「……綺麗だけど嫌な時間帯ね」そう言って双眼鏡を構え、太陽を背にして接近してくる敵機がいないか見張っている…

提督「ええ、いつも以上に警戒する必要があるわね」

ガリバルディ「そういうこと……で、うちの戦闘機はまだ来ないの?」

提督「そうね…トラーパニから出撃したのが0600前後だから、予定到着時刻は0730時ごろね」

ガリバルディ「それならあと数十分もないわね…」

提督「ええ」

ガリバルディ「ならその援護機が来たらシャワーでも浴びてくるといいわ」

提督「…もしかして汗臭いかしら?」

ガリバルディ「別にそういうわけじゃないけど……朝から浴びるシャワーなんていいものじゃない。それに、せっかく艦長浴室が使えるんだし」

提督「それもそうね。それじゃあもう少し日が高くなって、奇襲の危険が少なくなったら浴びさせてもらうわ」

ガリバルディ「ええ……」と、双眼鏡の倍率を上げて目をこらす…

提督「ガリバルディ?」

ガリバルディ「左舷に飛行機!」

提督「…っ、機種は!」

ガリバルディ「機種「サンダーランド」…敵機!」

提督「戦闘配置! 対空戦用意!」

ガリバルディ「了解!」…言うが早いがマストに信号旗を上げて合図の信号弾を打ち上げ、警報ベルのボタンを押し込むと艦内に甲高い音が鳴り響いた……

…一方・軽巡「エメラルド」艦橋…

エメラルド「紅茶のお代わりはいかがですか、提督?」

グレイ提督「ええ、頂きます…」白地に青で錨とロープが描かれた士官食堂用のティーカップに二杯目のダージリンを注いでもらい、朝焼けを眺めつつ優雅に口元に運ぶ…

エメラルド「……機影を視認、左舷約2ポイント!」(※ポイント(点。記号pt)…360度を32等分にしたもの。1ポイントは11,25度)

グレイ提督「種別は?」…グレイ提督にしては珍しく、少し慌てたように「かちゃり」と音立ててティーカップを海図台に置き、首から提げていた「バー・アンド・ストラウド」の双眼鏡を取り上げた…

エメラルド「機種、ショート「サンダーランド」大型飛行艇!」

グレイ提督「総員戦闘配置、対空戦に備えよ! ……確かに深海側のサンダーランドですわね。いつもだったら味方側の機種ですけれど…」

エメラルド「あの「フライング・ポーキュパイン」を撃墜するのはなかなか難儀ですね、マイ・レディ」

(※フライング・ポーキュパイン(flying porcupine)…「空飛ぶヤマアラシ」の意。頑丈で防御機銃の数も多かったサンダーランドに対して付けられた愛称)

グレイ提督「そうは言っても仕方ないでしょう……あちらとしては遠巻きにしてわたくしたちの位置を通報するつもりでしょうから、出来うることならば撃墜しなければなりません」

…軽巡「ガリバルディ」艦橋…

ガリバルディ「対空戦、準備完了!」

提督「了解」

…メインマストに掲げられた戦闘旗の鮮やかな緑・白・赤のトリコローリ(三色旗)が淡灰色の船体に映える……すでに152ミリ主砲の砲口栓は外され、100ミリ連装高角砲と37ミリブレダ連装機銃、13ミリ連装機銃から換装した20ミリ連装機銃にも影のような兵員たちが付いている…

提督「ガリバルディ、敵機の距離は?」

ガリバルディ「敵機、左舷およそ二〇、距離約10000メートル、高度2000……雲に隠れて接近したみたいね」

提督「ええ」



626 ◆b0M46H9tf98h2020/01/31(金) 03:48:32.00agg366TE0 (1/1)

ガリバルディ「…まったく、空軍の警戒管制機(AWACS)は何をやってるのよ!」

提督「今さら言っても仕方ないわ…鎮守府に緊急電「YRYR…我、敵哨戒機に発見さる」と送って。もちろんうちの航空隊にも「至急支援されたし」とね」

ガリバルディ「了解!」

…同時刻・鎮守府…

ロレンツォ・マルチェロ(大型潜マルチェロ級)「こちらタラント第六、了解。情報に感謝する……アンジェロ、最新の気象通報が入ったぞ」

アンジェロ・エモ(マルチェロ級)「了解、お願いします」

マルチェロ「風は北西、風力3から4で、波は2から3メートル。雲量は4から5。気圧1018ヘクトパスカルでしばらく安定の模様」

エモ「はい」

エンリコ・ダンドロ(マルチェロ級)「ふー…貴官らはやることがあっていいな。本官は暇で仕方がない……」通信機のヘッドセットを耳に当てて机に肘をつき、パラパラと文庫本をめくっている……と、扉を開けてチェザーレが入ってきた…

チェザーレ「…おはよう、提督の諸君」いずれも中世ヴェネツィアの提督名から来ているマルチェロたちに向かって、軽く冗談めかした…

マルチェロ「おや、チェザーレ…今は貴官の当直ではないはずだが」

チェザーレ「なに、少し状況が気になったものだからな……異常はないか?」


…恋の駆け引きと戦争に関してはやたら勘が働くチェザーレ……何か気になる様子で立ったまま壁面のディスプレイに写っている地中海の沿岸図と、そこに反映されているレーダー範囲の円周や敵味方を示すコンタクトの輝点をじっと眺めている…


マルチェロ「今のところは特にないな。せいぜい最新の気象通報が届いたくらいで…」

エンリコ・ダンドロ(大型潜マルチェロ級)「……っ、船団より符号「YRYR」の緊急電!」

チェザーレ「…内容は?」すっと目を細めて背筋を伸ばし、無意識に軍団を率いるような堂々とした口調になる…

ダンドロ「いま読む…「プレイアディ船団旗艦「ガリバルディ」より鎮守府…我が船団は敵哨戒機に発見さる。位置AN335。現在対空戦を実施しつつあり」とのことだ!」

チェザーレ「何だと?」

…鎮守府のフェイズドアレイレーダーはさすがにそこまでの距離になるとカバーしきれず、マルタ島よりも南はパンテレリーア島にある海軍レーダー基地と、空軍のAWACS(警戒管制機)がそれぞれコンタクトを発見しだい連絡してくれる手はずになっていた…

マルチェロ「…まったく、これだから空軍の連中は……タラント第六よりピアット(皿)1へ、応答願う!」

AWACS「こちらピアット1、タラント第六どうぞ!」

マルチェロ「こちらタラント第六、ただいま本鎮守府の護送船団から敵哨戒機に発見されたとの報あり。そちらでは機影を確認していないのか、どうぞ?」

AWACS「こちらピアット1、現在こちらではコンタクトを確認できず……深海側の機影はエコー(反射)が小さいのでゴーストとして処理されやすく、そのためかと思われる…どうぞ」

マルチェロ「こちらタラント第六、了解した。通信終わり……あのろくでなしめ」

ダンドロ「空軍ときたらいつもああだ……今度会ったらビルジ(船底)に溜まった水で水割りをごちそうしてやる」

マルチェロ「全くだ…あとは提督が上手くやってくるのを祈るしかないな……」

…一方「ガリバルディ」艦橋…

ガリバルディ「左舷高角砲、発射用意よし!」

提督「よろしい。各艦は目標を照準次第、随意に発砲!」軍帽を脱いでヘルメットをかぶっている提督…

ガリバルディ「了解……左舷高角砲1番2番、フオーコ(撃て)!」

…ガリバルディに装備されている片舷二基の100ミリ連装高角砲が仰角を取ると「ド、ドンッ…!」と鈍い音を立てて、サンダーランド飛行艇に向け砲弾を放った…主砲の口径が120ミリとガリバルディたちの高角砲とさして変わらない駆逐艦はさておき、軽巡やティルピッツは対艦戦に備えて主砲弾を使うのを控えている…

ガリバルディ「仰角2度上げ、射距離400上げ…撃てっ!」悠々と飛んでいるように見えるサンダーランドの周囲には炸裂する高角砲の煙がパッパッと雲を作り、時折黒い煙の中に包まれたように見える…

提督「…」発砲するたび無意識に身体が小さくびくっと跳ねるが、それにも気づかず双眼鏡でサンダーランドの姿を追っている…

ガリバルディ「ちっ…提督、さっきから敵機の無電を確認してるわ!」

提督「ええ、そうでしょうね!」…と、気まぐれな一発が敵機のそばで炸裂したように見えた……

ガリバルディ「…命中!」

…いくら大柄で丈夫なサンダーランドといえども、高角砲の至近弾を浴びてはたまらない……後ろに煙の帯を引きながら、水平線上に固まっている雲の中に逃げ込んでいった…

提督「撃ち方止め! 各艦は砲弾の消費を報告し、引き続き警戒せよ……なかなかの射撃だったわよ、ガリバルディ」

………





627 ◆b0M46H9tf98h2020/02/07(金) 03:06:49.083ovFwhAO0 (1/1)

…0815時・鎮守府…

マルチェロ「……む、出たな……タラント第六よりピアット1」友軍のレーダー情報を反映した大型ディスプレイに、いくつかの輝点が現れた…

AWACS「こちらピアット。タラント第六どうぞ?」

マルチェロ「こちらタラント第六。ピアット1へ…座標AN372のコンタクト、識別を」

AWACS「こちらピアット、座標AN372のコンタクト。方位145、速度およそ150ノット、高度約6000フィート……敵爆撃機と思われます」

マルチェロ「タラント第六了解。機種は識別出来るか…どうぞ?」

AWACS「こちらピアット、機種はおそらく「ブリストル・ブレニム」…機数はおそらく十数機程度です、どうぞ」

マルチェロ「了解、引き続き監視を頼む。交信終わり……エンリコ、船団に宛てて緊急電「敵爆撃機複数、方位145より速度約150ノットで接近中。機種はおそらくブレニム」とな!」

ダンドロ「了解!」

チェザーレ「…となると会敵までおよそ30分もないな」

マルチェロ「とはいえ現状ではうちの航空隊が上空に付いている……もてなしの準備は出来ておりますよ」

チェザーレ「うむ…」

…0845時…

提督「ガリバルディ、どう?」

ガリバルディ「いいえ…全く、こう言うときはぽんこつでもいいから対空レーダーが欲しくなるわ」

提督「そうね……ティルピッツの「ゼータクト」レーダーも対艦用だから空中目標ではあまり役に立たないし、せいぜい目を凝らしているしかないわね」

ガリバルディ「まぁ、アヴィエーレ自慢の戦闘機隊が上にいるだけマシってところね」

提督「ええ…」と、ライモンの艦橋からシュルシュルと信号弾が打ち上げられ、数枚の信号旗がマストに掲揚された…同時に近距離用の無線機から声が入る…

ライモン「こちらライモンド、左舷四〇に機影!」

ガリバルディ「時間通りに来たわね」

提督「対空戦用意! ライモン、機種は!」

ライモン「機種…ブレニムです!」

提督「了解、各艦は27ノットへ増速!」

ガリバルディ「護衛戦隊旗艦より各艦へ、何としてもディアナを守りきれ!」


…提督の足元でぐぐっと「ガリバルディ」の甲板が押し込まれたような感じがして、視界には各艦の艦首が「ざぁっ…」と白い波を切り裂く光景が広がる……同時に上空を遊弋していたマッキC202「フォルゴーレ」の編隊がエンジン音を響かせて敵機に向かう…


提督「上空の援護機が交戦に入るわ…各艦は友軍機を巻き込まないよう、距離1万メートルを目安に射撃開始」

ガリバルディ「提督、主砲の射撃は?」

提督「許可します」

ガリバルディ「了解、そう言うのを待ってたわ!」

…その間にも鎮守府のC202がブレニムの密集編隊に向かってダイブしていく…大戦当初にはなかなか優速で上部旋回銃座も備えている双発軽爆のブレニムではあるが、C202「フォルゴーレ」が相手ではどうにもならない……提督の双眼鏡には煙の尾を引いて撃墜される数機のブレニムが見えた…

ガリバルディ「敵機、距離2万を割ったわ」

提督「ええ…」

ガリバルディ「距離18000…」

提督「目標、先頭グループのブレニム」

ガリバルディ「14000…」

提督「友軍機が離れたわ……射撃用意」

ガリバルディ「用意よし」

提督「まだよ…まだよ……トーレ、ドゥーエ、ウーノ…撃ち方始め!」

ガリバルディ「前部主砲1番2番、撃てっ!」



628 ◆b0M46H9tf98h2020/02/11(火) 02:47:54.45DWzCTEO40 (1/1)

ライモン「全主砲および高角砲、撃ち方始め!」152ミリ主砲が仰角を取ると「バウッ!」と吼えた…砲口からは分厚い黒煙が噴き出し、上空には炸裂した砲弾が黒雲を作る…

グレカーレ「ライモンドが撃った……よし、前部主砲!撃て!」

バンデ・ネーレ「……目標に照準…各砲、撃ち方始め!」

ガリバルディ「距離400上げ! 左舷高角砲、次弾装填急げ…ラピド(早く)!ラピド!ラピド!」

提督「目標、先頭のブレニム!」

ガリバルディ「了解、撃て!」

提督「敵機、爆撃コースに入るわ!」

ガリバルディ「ええ……今度は高い、200下げ! 撃て!」

提督「ガリバルディ、各艦に向けて「左舷一斉回頭用意」の信号旗を!」

ガリバルディ「了解! …左舷高角砲、撃て!」ド、ドン…ッ!

マエストラーレ「主砲、撃て!」パウッ!

ガリバルディ「敵機、距離7000!」

提督「高度はおおよそ3000メートル……このまま水平爆撃するつもりね…」

ガリバルディ「距離6000!」

リベッチオ「撃て、撃て、撃てっ!」

ガリバルディ「距離5000……敵機、針路を定針!」

提督「信号旗「各艦左舷一斉回頭!」を揚げ!」

ガリバルディ「…各艦より了解旗……降りたわ!」

提督「信号旗降ろせ! 取り舵一杯!」

ガリバルディ「取り舵、いっぱぁぁーい!」

提督「37ミリ高角機銃、撃ち方始め!」

ガリバルディ「了解、撃てっ!」

…甲板上の連装ブレダ37ミリ機銃が「バン、バン、バンッ!」と吼えたてて、6発入りの保弾板が次々と撃ち尽くされる…

コラッツィエーレ「敵機、爆弾を投下!」

ガリバルディ「そう来るだろうと思ったわ!」

提督「ええ……でも、そろそろ舵が効き始める頃よ!」


…提督がそういう間にも船体がぐーっと傾斜し、戦隊は後ろに美しい航跡を残して統制の取れた回頭をみせる……と、右舷側のたっぷり500メートルは離れた辺りに爆弾の水柱が林立した…


提督「…被害なし、ね」

ガリバルディ「ええ、それじゃあこっちの番よ…!」

シロッコ「37ミリ機銃、てーっ!」

レジオナーリオ「撃て、撃て、撃てっ!」

バンデ・ネーレ「……命中っ、敵機撃墜!」

提督「…そろそろ有効射程を出るわね……撃ち方止め!」

ガリバルディ「ふぅ、とりあえず二機はやったわ…なかなかいい滑り出しね」

提督「ええ…各艦は針路を元に戻し、弾薬の消費を報告、次の空襲に備えよ……すごく喉が渇いたわ」

ガリバルディ「そうね、それじゃあコーヒーでも淹れるとしましょう」

提督「ええ、今ならポット一杯分でも飲めそう…♪」そう言ってヘルメットを外し、汗ばんだ額を拭った…

………




629 ◆b0M46H9tf98h2020/02/16(日) 02:44:37.06H+9XOJz60 (1/1)

…0915時…

ガリバルディ「提督、鎮守府から入電」

提督「内容は?」

ガリバルディ「AWACSからの連絡で「そちらに向け複数の機影が接近中。方位170、速度約150ノット、高度6000フィート…敵の爆撃隊と推定される。予想会敵時刻は0940時」だそうよ」

提督「第二波の攻撃隊ね…方位170ということは、相対方位で言うと……南南東から接近してくる形になるわ」

ガリバルディ「太陽を背にしての進入…典型的な攻撃パターンね」

提督「ええ……それにしてもタイミングが悪いわ。うちのC202は燃料切れで引き上げたばかりだし、次の援護機が来るまではしばらくかかるわ」

ガリバルディ「構わないわ、私たちで叩き落とせばいいじゃない」

提督「頼もしいわね。でも、私たちがこうやって空襲で足止めされている間にもあちらは艦隊を急行させているはずだから……」

ガリバルディ「…あんまり遊んでいるわけにはいかないってことね」

提督「ええ……各艦に情報を伝達、対空警戒を怠らないように」

ガリバルディ「了解」

…0935時…

ディアナ「…敵襲! 上空に敵機!」

提督「機種は!」

ライモン「左舷二〇! 機種、ブレニム!」

ガリバルディ「見えた、距離21000!」

提督「各艦へ。有効射程に入りしだい自由射撃!」

ガリバルディ「…了解、射撃開始!」バウッ…!

バンデ・ネーレ「…天にまします我らが主よ……フィレンツェのジョヴァンニ・ディ・メディチ、参る!」バウ…ッ!

ガリバルディ「左舷高角砲、撃てっ!」ド、ドン…ッ!

提督「敵機、爆撃コースに入ったわ…全艦一斉回頭、面舵一杯!」

ガリバルディ「了解、面舵いっぱぁい!」

…第二波のブレニムは直前で数機ずつに分かれて時間差攻撃をかけてきた……周囲に黒ずんだ水柱が噴き上がり、耳を聾する砲声に交じって37ミリと20ミリブレダ機銃の断続的な「バン、バン、バンッ!」という銃声が響く…

提督「ガリバルディ! 航過した敵機はもういいから、爆撃コースに入るブレニムを!」

ガリバルディ「分かってるわ! 3番4番主砲、撃て!」

…一方・軽巡「エメラルド」艦橋…

グレイ提督「どうにも腑に落ちませんわね…」

エメラルド「ポンポン砲、射撃を継続……何がでしょう?」

グレイ提督「この散発的な空襲が、ですわ…」

エメラルド「…本腰には見えないと言うことですか?」

グレイ提督「ええ…」と、急に水平線に目を凝らした…

エメラルド「……提督?」

グレイ提督「左舷真横に機影、距離およそ2マイル!」まるで海面をかすめるように接近してくる複葉機のシルエットがぽつぽつと見える…

エメラルド「雷撃機ですか」

グレイ提督「ええ。おおかたこんなことだろうと思いましたわ……エメラルド、戦隊旗艦に向け信号!」

…軽巡「ガリバルディ」艦橋…

提督「……敵機を視認、距離およそ2マイル…機種、ソードフィッシュ……ブレニムは陽動だったわけね」

ガリバルディ「バスタールド(くそったれ)、なかなか味なことをやってくれるじゃない!」

提督「ええ。ガリバルディ、主砲の目標をソードフィッシュに!」

…目が回るほど忙しい対空砲と比べて両用砲ではない主砲は対空戦で手持ち無沙汰になりがちだが、超低空で進入してくる雷撃機相手の射撃ならこなせる……それに長射程の主砲でソードフィッシュが接近するまでに少しでも数を目減りさせたいということもある…

ガリバルディ「了解!」


630 ◆b0M46H9tf98h2020/02/22(土) 02:28:46.16s1SD33Xl0 (1/1)

ティルピッツ「くっ、ソードフィッシュとは……」かつて姉であるビスマルクが撃沈される原因となった「因縁の相手」だけに、少し唇をかんだ…

ヴァイス提督「ティルピッツ、ソードフィッシュの方位と距離を!」

ティルピッツ「目標、左舷45度! およそ300ヘクトメートル!」ドイツらしい精密な10.5メートル測距儀が旋回し、水平線上をなめるように接近してくるソードフィッシュの古めかしい姿を捉えた…

(※ヘクトメートル…普通はあまり使われないが、第二次大戦時のドイツ主力艦では砲戦の際に用いられていたという。1ヘクトメートルは100メートル)

ヴァイス提督「よろしい。A砲塔およびB砲塔を指向、榴弾を装填!」

ティルピッツ「ヤヴォール! A(アントン)およびB(ベルタ)砲塔、目標をソードフィッシュに!」


…灰色の迷彩が施された前部の38センチ連装主砲「SKC/34」が重々しく…しかし意外と素早く旋回し、弾体重量800キロもの巨弾と薬莢(各国海軍の主力艦は金属の節約や装薬の調整がたやすいことから薬嚢を用いていたが、ドイツの主力艦は引火・誘爆の防止を意識したらしく伝統的に薬莢を用いていた)が装填される…


ヴァイス提督「目標を照準!」

ティルピッツ「照準よし!」

ヴァイス提督「よろしい……A砲塔およびB砲塔、よーい…フォイア(撃て)!」

ティルピッツ「撃て!」巨砲が咆えると「ガウ…ッ!」と天地も裂けるような轟音が鳴り響き、海面がブラストで白く波打った…

提督「……ティルピッツが撃ったわ!」

ガリバルディ「…さすがにあれだけの砲ともなるとものすごいわね!」

提督「ええ!」…編隊を組んでいるソードフィッシュの前方でどどっ…と巨大な水柱が上がり、まるでたじろいだかのように敵機がぐらついた……

ヴァイス提督「……目標2上げ、照準!」

ティルピッツ「ヤヴォール!」

ヴァイス提督「撃て!」

ガリバルディ「敵機、射程に入ったわ……前部主砲1番2番、撃て!」

ライモン「…撃て!」

バンデ・ネーレ「撃てっ!」


…距離が2万メートルを切った辺りでガリバルディ、ライモン、バンデ・ネーレの152ミリ主砲が火を噴く……わけてもガリバルディの新型主砲は個別俯仰ができ、散布界を広く取ることが出来る……じりじりと距離を詰めてくるソードフィッシュの周囲に次々と砲弾が炸裂し、黒雲と水柱が編隊を包み込む…


グレイ提督「……エメラルド、敵機の距離は?」

エメラルド「約18000ヤードです」

グレイ提督「そろそろこちらの主砲も有効射程ですわね……A砲塔、B砲塔の射撃用意」

エメラルド「A、B砲塔の射撃用意」

グレイ提督「目標、ソードフィッシュ……撃ち方始め!」

エメラルド「了解…撃て!」

…エメラルドの「6インチ(15.2センチ)MkⅫ」単装砲が旋回し火を噴いた……砲塔とは名ばかりで防楯だけの簡素な主砲ながら、7500トンあまりのエメラルドがそのスマートな細身の船体を30ノット近くの高速で疾駆させつつ射撃するさまは、まさに「軽巡」と呼ぶにふさわしい…

グレイ提督「4インチ高角砲も射程に入り次第撃ち方始め」

エメラルド「アイ・アイ・マイ・レディ」

マエストラーレ「…よーい、撃て!」

シロッコ「撃て!」

グレカーレ「撃てっ!」

リベッチオ「てーっ!」

レジオナーリオ「撃て、撃てっ!」

コラッツィエーレ「撃て!」

ガリバルディ「いよいよ近づいてきたわね……撃て!」駆逐艦の120ミリ主砲をはじめティルピッツの10.5センチ高角砲、ガリバルディたちの100ミリ高角砲、エメラルドの4インチ高角砲…そして距離が縮まるにつれて各艦の高角機銃も火蓋を切り、次第に一機、また一機とソードフィッシュが墜ちていく……

提督「ええ、射点に入られる前に一機残らず撃墜するわよ!」

ガリバルディ「了解!」

………




631 ◆b0M46H9tf98h2020/02/27(木) 02:06:37.25OxrwM/5I0 (1/1)

…1000時…

ガリバルディ「上空に残存敵機なし…どうにか退けたわね」

提督「ふぅ……」


…次第に強まる日差しを受けて暑くなってきた艦橋……周囲には硝煙の臭いが立ちこめていて髪は汗ばんでぺったりと張り付き、耳の中ではまだ砲声が反響している……かろうじて射点にたどり着いた数機のソードフィッシュから魚雷が投下されたものの幸いなことに命中弾はなく、戦隊は相変わらず白波を蹴立て、舵を原針路に戻しつつあった…


ガリバルディ「…何か命令は?」

提督「各艦は速やかに残弾と燃料を報告……それから現位置と、トリポリまでの最短ルート算出を急ぎましょう」

ガリバルディ「了解」

提督「……空襲のせいで二時間近くも回避行動を取っていたし、直線距離で言えば十数浬しか進めていないはずよ……これじゃあ足踏みしていたのと変わりないわ」

ガリバルディ「それが敵さんの狙いね」

提督「ええ…今この瞬間も、深海側の駆逐隊が急行してきているに違いないもの」

ガリバルディ「でしょうね……提督、各艦より報告」

提督「了解、読んでもらえる?」

ガリバルディ「ええ…ライモンド、バンデ・ネーレ、およびエメラルド、ティルピッツは燃料、残弾ともに余裕あり……特に主砲弾に関してはそれぞれまだ百発あまり残しているとのこと……ディアナも燃料に関しては充分残しているそうよ」

提督「よろしい」

ガリバルディ「戦果に関してはライモンドが三機、バンデ・ネーレが二機ないしは三機、エメラルドが二機、ティルピッツが三ないしは四機機撃墜を報告しているわ」

提督「なかなかの腕前ね…それぞれに宛てて私から「よくやった」と伝えて?」

ガリバルディ「了解…ところで私の戦果は聞かないつもり?」

提督「ごめんなさい、うっかりしていたわ……ガリバルディ、撃墜は?」

ガリバルディ「驚くなかれ……四機よ」

提督「まぁ、すごい…それじゃあ四回キスしてあげるわ♪」ちゅっ…♪

ガリバルディ「ふふ…っ♪」

提督「本当によくやったわね、ガリバルディ……ところで駆逐隊からの報告は?」

ガリバルディ「ええ、いま報告するわ」

提督「お願いね」

ガリバルディ「それじゃあ読むわよ……駆逐隊だけれど、マエストラーレ、シロッコ、リベッチオより「37ミリ機銃及ビ20ミリ機銃弾ノ消費ハナハダシク、残弾半数程度」とのこと…それからここまで27ノットを続けていて、おまけにさっきの対空戦闘で回避行動を取ったりなんだりしたから、駆逐艦はいずれも「我、燃料ノ残リ心モトナシ」だそうよ」

提督「むぅ……かといって洋上補給なんて悠長な事をやっているわけにはいかないわ」

ガリバルディ「…やっぱりトリポリまで突っ走るしかないんじゃない?」

提督「そうね…こんなこともあろうかと燃料は満載にしておいたのだけれど、どうしても……ね」

ガリバルディ「もとよりあの娘たちは燃料搭載量が少ないもの……言うなれば「胃が小さい」みたいなものよね…ケ・サラ(どうなるやら)」



632 ◆b0M46H9tf98h2020/03/02(月) 01:46:50.631eATQsXR0 (1/1)

提督「……そういえば歌にもあったわね」

ガリバルディ「そう?」

提督「ええ…」各艦からの報告を記した紙を確認しながら、つぶやくように歌い出した…


(※ケ・サラ(Che Sara)…1971年サン・レモ音楽祭で男女二人ずつの歌手グループ「リッキとボーヴェリ」と、プエルト・リコの著名な歌手「ホセ・フェリシアーノ」が歌って2位に入賞した曲で、タイトルは「どうなるだろう」の意……ドリス・デイの歌で有名な「ケ・セラ・セラ」(どうにかなる)とはタイトルが似ているが全くの別物…日本語訳もされた)


提督「♪~ファエゼ・ミオ、ケ・スタイ、スッラ・コリーナ…ディステーゾ、コメ・ウンベッキォ、アドルメンタート…」
(♪~私の故郷、お前は丘の上にある…眠れる老人のごとく横になって…)

提督「♪~…ラ・ノイア、イァバンドノ、イルニエンテ……ソン、ラ・トゥア、マラッティア…ファエゼ・ミオ、ティラスチォ、イォ・ヴァドヴィーア…」
(♪~…退屈、放縦、虚無……それがお前の病だ…故郷よ、私はお前を捨てて行ってしまうだろう…)

提督「♪~ケ・サラ、ケ・サラ、ケ・サラぁー……ケ・サラ、デ・ラミァヴィタ、キロッサあぁー…!」(※1)
(♪~どうなるだろう、どうなるだろう、どうなるだろう……私の人生はどうなるのだろう、誰が知っているのか…!)

提督「♪~ソ・ファルトゥット、オ・フォルセニェンテ…ダ・ドマーニ、スィ、ヴェデラ……エ・サラぁぁー、サラ・クェル、ケ・サラ…!」(※2)
(♪~私に全てすることが出来るか、それとも何も出来ないのか…明日になったら分かるだろう……そしてなるだろう、なるだろう、なるようになるだろう…!)

提督「♪~リャミツィ、ミエイ、ソン、クァスィ、トゥッティヴィア…エ・リアルトゥリ、パルティアンノ、ドゥポメぇ……」
(♪~私の友はほとんど皆行ってしまった…そしてまた他の人たちは私の後に発つだろう…)

提督「♪~ペ・カト、ペルチェ、スタヴォ・ベーネ、イローロ、コンパニーア……マ・トゥットパサ、トゥット・セネヴァ…」
(♪~残念だ、なぜなら私は彼らと共にいたかったから…だが全ては過ぎて、全ては去ってしまう…)

(※1)

提督「♪~コ・メ・ポルト、ラ・キターラ、エ・セ、ラ・ノッテ、ピアンジェロ、ウナ・ネミア、デ・ファエーゼ、スォネロ…」
(♪~私は一緒にギターを持って行き、もしも私が夜に泣けば、私は故郷の弔いを歌うだろう…)

提督「♪~アモーレ・ミオ、ティ・バッチォ、スラ・ボッカ…ケ・フラ・フォンテ、デル・ミーオ、プリモ・アモーレ…ティ・ド、ラプンタメント、コーメ・クァンド・ノン・ロソ…マ・ソ、ソルタント、ケ・リトォネロ…」
(♪~愛しい人よ、私は貴女の口にキスをする…それは私の初恋の泉だった…私はどのようにしてかいつか貴女に会うことを約束する、そして私はただ帰ってくるだろう…)

(※2)

………



…鎮守府・1030時…

チェザーレ「どうだ?」

バリラ(大型潜バリラ級)「…戦隊より電文「我、敵機の空襲を退け被害なし。目的地に続航す……なれど駆逐艦の燃料少なく、大規模な空襲に耐えることあたわず…戦隊司令」だそうです」

チェザーレ「むむ……やはり敵機の空襲を受けたのは大きかったな」

エットーレ・フィエラモスカ「…心配ですね」

チェザーレ「うむ、だからといって今さらどうこうでもあるまい……賽は投げられたのだ」

バリラ「ええ…」

チェザーレ「とにかく、これ以上戦隊が足止めされないよう上空援護をしっかりしてもらわねばな……アヴィエーレ、航空隊はどうなっているのだ?」

アヴィエーレ「うちのCR42九機がすでにトラーパニから発進、三十分後にはC202三機も出撃の予定…特にCR42は脚(航続距離)が長いから、提督たちの上空で一時間は滞空出来るはずだ」

ビスマルク「…こんな時にJG26のメッサーシュミット一個中隊が手に入るなら「デア・ディッケ」にだって頭を下げてやるのだが……」(※デア・ディッケ…口先ばかりの空軍長官ゲーリングにつけられたあだ名、ドイツ語で「デブ」の意)

チェザーレ「ないものをねだっても仕方あるまい……あるものでやりくりせねばな」

ドリア「そうですね、チェザーレの言うとおりです…♪」

チェザーレ「おや、ドリア……エプロン姿でどうしたのだ?」

ドリア「あぁ、この格好ですか…いえ、いまお昼の仕込みに入るところなのですが少し材料が足りなくて……」

デルフィーノ「多少材料が足りなくても、ドリアの作るお料理はとっても美味しいですから…大丈夫ですよ♪」

ドリア「あら、嬉しいお言葉…そう言っていただけるとやる気になりますね♪」

アッチアイーオ「だからってあんまり張り切りすぎないでちょうだいね……ごちそうはいいけれど、数日分の食材を一回で使われちゃここの予算がたまらないわ」

ドリア「…でも美味しい食事がなければ士気は高まりませんから」

アッチアイーオ「はぁ……提督とディアナが帰ってきたときになんて言えばいいのよ…」

ドリア「ふふふっ…それじゃあラザーニアの準備をしてきます♪」


633 ◆b0M46H9tf98h2020/03/06(金) 02:45:21.13dOZAnfQT0 (1/1)

ビスマルク「あれは一体何だったのだ…」

チェザーレ「ふぅむ……ドリアのあの余裕はさすがだ。だてに艦齢(とし)を食っているわけではないということであるな」

アヴィエーレ「そんなことを言ったら怒られるよ…」

チェザーレ「なに、チェザーレも歳で言えばほとんど変わらんのだ。多少は大目に……む」それまで静かに回っていたレーダー画面に、ぽつりと緑の点が浮かんだ…

フィエラモスカ「レーダーに感あり」

チェザーレ「…すぐ友軍の管制機に敵味方識別を依頼するのだ」

フィエラモスカ「ええ……タラント第六よりピアット1へ、座標AP332にレーダーコンタクト…識別を願います」

AWACS「……タラント第六へ、そちらのコンタクトは方位270、速度28ノット、数は四ないしは五……おそらく深海側の駆逐艦グループと思われます」

フィエラモスカ「了解」

チェザーレ「いよいよお出ましになったな……28ノットとなるとかなり本気のようだな」

アヴィエーレ「…確かに」

チェザーレ「……位置的にはデジエとアクスムが近い。迎え撃たせる必要があるな…」

デルフィーノ「はい、それがいいと思います…それとバリラ」

バリラ「ええ、デルフィーノ」

デルフィーノ「デジエたちとは別に、戦隊に宛てて警戒の電文を送って下さい」

バリラ「了解。文面は「広域レーダーに複数の感あり、貴戦隊を迎撃せんとする敵駆逐隊ならん…注意されたし」と…後は座標と速度、針路を加えて……これでいいかしら?」

デルフィーノ「はい、大丈夫です」

チェザーレ「いよいよルビコン川を渡る事になるようだ……皆、警戒を怠るなよ」

フィエラモスカ「はい」


…1040時・シルテ湾の沖合三十浬…

デジエ「……アフリカの匂いがする」

アクスム「ん、私もそう思った…♪」


…どこまでも濃く青い海に抜けるような鮮やかな空と白い綿雲、滑らかなレースのように流れていく艦首波と航跡、そして暖かな南風にかすかに混じる土の匂い……双眼鏡を手に水平線を警戒しつつも、砂漠の香りが二人にノスタルジーを感じさせる…


アクスム「熱いコーヒーと砂漠の香り……なんだか懐かしいね、デジエ」

デジエ「そうね、アクスム…」マグカップのコーヒーをふーふーと吹きつつ、アフリカ流に甘いなつめやしを口に放り込む…

アクスム「ね……ところで、提督たちは上手くいっていると思う?」

デジエ「ええ」

アクスム「…かなり空襲を受けたみたいだけれど」

デジエ「提督なら大丈夫よ……っと」下の無電室でモールス信号機がひとしきり騒ぐと、下士官が切り取ったばかりの通信紙を持ち、艦橋の士官に敬礼して通信紙を渡す「幻影」が見えた…

デジエ「……敵駆逐艦グループと思われるコンタクトは、現在28ノットにて戦隊を捕捉するべく急行中…デジエ、アクスムは直ちに以下の座標に進出し敵駆逐艦に対し触接を図り、また可能ならば雷撃を敢行し、敵駆逐艦による「プレイアディ」戦隊への接近および攻撃を妨害すべし…」

アクスム「久しぶりに一緒ね…デジエ」

デジエ「ん……私もアクスムがいると安心できるわ」

アクスム「ありがと…さ、急いで行かないと」

デジエ「…両舷機全速で針路を310に取れば、一時間くらいで接触出来るはず……アクスム!」

アクスム「了解…両舷機前進全速、針路310!」

………




634 ◆b0M46H9tf98h2020/03/12(木) 02:15:39.45JTElnBqv0 (1/1)

…1128時…

アクスム「……右舷に煙!」

デジエ「…っ、急速潜航っ!」


…ざぁっと波をかぶりつつ前傾姿勢を取って潜航するデジエとアクスム……デジエは滑り降りるようにして司令塔の中に飛び込むと、しぶきをかぶりながら急いでハッチのハンドルを回して閉め、主機をディーゼルから電動機に切り替える…


デジエ「ディーゼル排気弁および各排気弁閉鎖、トリムタンク水平、潜舵もどせ……両舷電動機微速、潜望鏡深度へ」艦内は無音状態で、あちこちに張り巡らされたパイプからぽたぽたと雫が滴る音のほかは重く湿っぽい空気の中で静まりかえっている……潜っている間は姿を見ることはできないが、姉妹であり名コンビでもある二人には互いの動きが手に取るようによく分かっている…


アクスム「……右舷二〇に薄い煙とマストの影…情報にあった駆逐艦で間違いなさそうネ」

デジエ「…きっと今ごろアクスムも潜望鏡にかじりついているカシラ……両舷機半速、接近を試みる」気づいてはいないが、緊張と興奮からか訛りが出ている二人……


…1135時…

アクスム「…デジエならこのまま距離を詰めていくはずね……両舷機半速、針路320へ」

デジエ「……きっとアクスムは駆逐艦の頭を押さえられるように変針するはず…なら私はこのまま忍び寄って待ち伏せ攻撃をするだけね」

1140時…

アクスム「……敵は駆逐艦が五隻……どれも「G」級か「H」級みたいね。イギリスの駆逐艦と来たらどれもこれも似たり寄ったりだけど……」


…二人はそれぞれ潜望鏡が水面から高く出すぎないよう注意深く深度を微調整しながら、白波を蹴立てて接近してくる敵艦に目を凝らした……地中海迷彩のように見える様々な色合いの貝殻や海藻に包まれた深海側の駆逐艦たち…


デジエ「…速度はおよそ28ノット、単縦陣、ジグザク航行はなし……提督たちを捕捉するためにお急ぎなのね」

アクスム「…それにしても戦隊にはティルピッツまでいるって言うのに、たかだか駆逐艦五隻をぶつけるつもりって事は……」

デジエ「…どうやら取るものも取りあえず飛び出してきた……ってところね」

アクスム「……この速度じゃあアスディックは使えないから対潜警戒はないも同然…」

デジエ「…おまけにこっちはちょうどいい位置に着いている……」

アクスム「…とはいえ駆逐艦は機敏だし、速度も出しているから並の雷撃じゃあかすりもしない……だけど」

デジエ「……こっちにはアクスムがいるもの…♪」

アクスム「…こっちにはデジエがいるもの……♪」

…一方・軽巡「ガリバルディ」艦橋…

提督「面舵いっぱぁぁい!」

グレイ提督「ハード・ア・スターボード(面舵一杯)!」

ヴァイス提督「右舷回頭全速!」

ガリバルディ「ったく、次から次へと…撃て!」

ライモン「左舷高角砲、てーっ!」

バンデ・ネーレ「主よ…我らが口、汝が誉れをあらわさん……撃てっ!」

シロッコ「高角機銃、次弾を急げ!」鈍足ながらも果敢に突っ込んでくるソードフィッシュの編隊に向けて、砲身も焼けよとつるべ打ちする戦隊…

コラッツィエーレ「敵機、魚雷を投下!」

ガリバルディ「左舷四〇に雷跡!」

提督「取り舵一杯っ! 主砲、俯角一杯!海面に向けて撃て!」

ガリバルディ「了解!」バウッ!

ライモン「…敵魚雷、航走していません!」主砲の弾着が起こした猛烈な水柱と衝撃に巻き込まれ、誘爆を起こしたり繊細な機構に不具合を起こしたりして「走らなく」なった魚雷……

提督「…ふぅっ」いつの間にか止めていた息を吐き出すと、手の甲で額を拭った……

………




635 ◆b0M46H9tf98h2020/03/17(火) 02:27:53.94S3WH+KKl0 (1/1)

…1150時…

アクスム「ふふ、まるで練習みたいね……」


…少し風が出てきて、周囲の海面には白く「うさぎの足」(波頭)が立ち始めている…おかげで潜望鏡がしょっちゅう水面下に潜るが、べた凪の海に比べれば潜望鏡が見つかる危険は少ない…そして視界に映る深海側の駆逐艦は「プレイアディ」船団を阻止するべく、わき目もふらずに航行している…


デジエ「敵相対針路270度…速度は28ノット、距離3200……」

アクスム「敵針路180度……速度28ノット、距離3500メートル…」

デジエ「……前部魚雷1番から4番、深度3メートル、雷速30ノットに調定……扇状発射で行く」

アクスム「前部魚雷1番から4番…深度3、雷速30……」艦長帽を前後ろにかぶって潜望鏡の接眼レンズに目を押しつけ、ぶつぶつとつぶやくように魚雷の発射諸元を設定していく……それから計算盤に敵艦のコースや速度を入力すると、最適な発射距離や角度がはじき出される…

アクスム「…距離1500で発射ね……」

デジエ「距離1200、針路二〇で発射するわ……前部魚雷発射管に注水!」


…ごろごろと音がして発射管への注水が行われる……その間にも敵駆逐艦との距離は縮まり、やせた船体には不釣り合いな感じのする主砲の4.7インチ(12センチ)高角砲や魚雷発射管などの細部がくっきりと見えてくる…


アクスム「…距離2800…発射管に注水。前部発射管、前扉開け…!」

デジエ「距離2500……発射管前扉開け…」

アクスム「……距離2000」

デジエ「距離1700…」

アクスム「…距離1600……魚雷発射用意」

デジエ「……魚雷発射管1番から4番…用意……撃て!」

アクスム「…発射管1番から4番……よーい、てっ!」

デジエ「前部トリムタンクに注水!」…一本あたり一トン近くある魚雷を撃ち出すと同時に、前部トリムタンクへ発射した分の重量を一気に注水する……そうしないと撃ち出した魚雷の分だけ軽くなった船体が浮き上がり、悪くすると水面に浮上してしまう…

デジエ「…ちっ、気づかれた! 深度八十メートルまで急速潜航!」

アクスム「ふふ、さすが……でも…ね♪」


…デジエの放った魚雷が残す白い雷跡をめざとく見つけて、撃ってきた方向に向けて急回頭を図る「G」級と「H」級の駆逐艦……が、デジエとアクスムの名コンビはその戦術ならよく知っていた……


デジエ「……この蜘蛛の巣からは逃げられない…♪」デジエの放った魚雷をかわそうと左舷に急回頭する間にも、アクスムの撃った魚雷がちょうど交差するように航走してくる…

アクスム「…命中」ストップウォッチのタイマーを眺めていたが、予定より少し遅れて鈍い爆発音がした…

デジエ「ふふ、二発命中……一隻は撃沈の模様」…と、敵艦の沈んでいくきしみ音と別に、次第に近づいてくるスクリューの音が響いてくる……

アクスム「どうやらそれ相応の仕返しがやってくるみたいね……」

デジエ「……提督、敵艦の足止めはできたわ……後はそっちでどうにかやってちょうだい…ね?」

………






636 ◆b0M46H9tf98h2020/03/22(日) 02:18:16.28G9YhW11i0 (1/1)

…1300時…

ガリバルディ「提督、少し遅くなったけど昼食にしましょう…飲み物も持ってきたわよ」

提督「ありがとう……けほっ、怒鳴りすぎて喉がカサカサ…」

ガリバルディ「普段から大声で号令をかけていない証拠ね…さ、飲んで♪」

提督「グラッツェ・ミーレ(本当にありがとう)……んくっ、んっ…」ほうろう引きの大きなマグカップに注がれた水を一息にあおった…

ガリバルディ「お盆は海図台の上に置くわよ…それと、提督」

提督「なぁに?」

ガリバルディ「……鉄兜、いつまでかぶっているつもりなの?」

提督「え? あ、あぁ…言われてみれば……///」少し恥ずかしげな表情を浮かべるとヘルメットを脱ぎ、手近な椅子の上に置いた…

ガリバルディ「ふふ…♪」

提督「もう、笑うことはないでしょう?」

ガリバルディ「だってねぇ…あれだけ堂々と指揮を執っておきながら、そんな士官候補生みたいなうっかりをするんだもの……くくっ♪」

提督「むぅ…」

ガリバルディ「ふふふ…むくれている顔も可愛いけれど、早く食べないとお昼が冷めるわよ?」

提督「はいはい……よくこの短時間でこれだけの献立が作れたわね?」

ガリバルディ「別にそうでもないわ、たいていは瓶詰めだの缶詰だのを開けただけだもの…」

提督「それにしたって大したものよ……はむっ…」


…お盆の上には大きな丸パンを薄くスライスしたところに瓶詰めのサルサ・ポモドーレ(トマトソース)を塗り、サラミとチーズ、瓶詰めの黒オリーヴを乗せたオープンサンドウィッチが二切れに冷たい玉ねぎのマリネ、それに缶詰のアンズがついている…


提督「んむ……ガリバルディ、貴女は食べないの?」

ガリバルディ「提督が済んだらね……それと鎮守府経由で電文が届いたわ」

提督「…あむっ、ん……読んでもらえる?」

ガリバルディ「ええ…「発、空軍AWACS……1030時頃発見せし敵駆逐艦グループのうち、二隻のコンタクトを喪失…おそらく撃沈されたものと推測される。残余の三隻は同海域にとどまり、対潜攻撃とおぼしき機動を実施しあり」だそうよ……どうやらデジエとアクスムがやってくれたようね」

提督「んむっ、ごくんっ……でも駆逐艦五隻に仕掛けるなんて分が悪すぎるわ。鎮守府が打った電文にも「可能ならば」雷撃を行い、敵艦の船団への攻撃および接近を妨害すべしってあるのに……そもそもあの二人には敵艦を監視して情報を送ってもらいたかっただけなのに、そんな無茶な真似をするなんて…」

ガリバルディ「まぁまぁ、きっとあの二人のことだから「行ける」と思って博打を打ったに違いないわ……それからリビアの港湾当局から入港許可と、予定時刻がいつ頃か聞いてきているわ」

提督「それはそうかもしれないけれど…それからリビア側には「予定到着時刻は1530時から1630時頃になる模様」と打電してもらえる?」

ガリバルディ「了解」

提督「お願いね……他には?」

ガリバルディ「ええ…鎮守府から次の上空援護は「1340頃にCR42の三機が到達の予定」だそうよ」

提督「よろしい」

ガリバルディ「それから各艦の状況だけれど……」

………

…1540時…

ガリバルディ「提督、間もなくトリポリに到着するわ」

提督「了解…長かったわね」

ガリバルディ「ふふ、まだ帰りもあるのよ?」

提督「聞いただけでげんなりするわ……各艦は単縦陣、速度10ノットまで落とせ」

ガリバルディ「了解」

提督「入港次第ディアナから物資を卸すことになるから、その間に各艦は燃料と弾薬の補給を行うことにします」

ガリバルディ「それが済むまでベッドはお預けってわけね…」

提督「そういうこと……もちろん私も同じだから、手早く済ませましょう…ね♪」

ガリバルディ「ええ♪」




637 ◆b0M46H9tf98h2020/03/27(金) 01:14:09.62L2g+Yx+Q0 (1/1)

このところあまり筆が進まず申し訳ないですが、おかげさまで無事です…皆さまはいかがお過ごしでしょうか?


…このところのコロナ騒ぎは我が国もそうですが、個人的にはイタリアの状態も心配です…何しろ大戦中でもなくならなかったパスタが品切れになってしまうくらいだそうですから…月並みですが早く終息してほしいものです


638 ◆b0M46H9tf98h2020/04/01(水) 02:16:38.74N1cWadxf0 (1/1)

…同じ頃・鎮守府…

ウエビ・セベリ(中型潜アデュア級)「…」

フルット(中型潜フルット級)「どうですか、セベリ?」

セベリ「いいえ…なにも聞こえまセン」

フルット「……そうですか」

アッチアイーオ「何か聞こえたらすぐに言うのよ」

セベリ「もちろんです」

デルフィーノ「きっと駆逐艦から爆雷攻撃を受けているでしょうし、数時間はデジエとアクスムから返事がないのもうなずけますけど……」

アッチアイーオ「心配と言えば心配よね……とにかく、哨戒中の各艦には無電を聴取したら必ずこちらに向けて内容を転送するように指示しておいてちょうだい」

セベリ「了解です」

アッチアイーオ「……もう、駆逐艦グループ相手に雷撃をかますなんて…どうかしているわよ」あきれたような口調で言いながらも、心配そうな様子で口元に手を当てている…

………



…同時刻・シルテ湾沖の深度八十メートル付近…

デジエ「…取り舵二十、両舷電動機全速!」そう叫ぶ間にも「ゴゥン…ッ!」と爆雷の炸裂音が響く…

デジエ「これで二十二個め……下げ舵十度、深度百メートルへ!」海図台の上には紙と鉛筆があり、爆雷攻撃が止むまでの目安として投下された爆雷の数を線で引いている……


…デジエとアクスムがそれぞれ四発放った魚雷は少なくとも二隻の駆逐艦をしとめたものの、デジエはそれから数時間にわたって「お返し」とばかりに猛烈な爆雷攻撃を受け続けている……あちこちにある赤色電球は粉みじんに割れ、バルブやパイプの継ぎ目からはたびたび水が噴き出す…聴音兵の「幻影」は席に着き、敵側のアスディックに比べて情けないほど原始的な水中聴音機で敵艦の動きや周囲の状況を探ろうとヘッドフォンを耳に当てているが、そのはっきりした幻影はたびたび急いでヘッドフォンを外し、十数秒後には投下された爆雷が「ズシーン…!」と船体をめちゃくちゃに揺さぶる…


水兵の幻影「ディーゼル排気バルブから浸水!」

デジエ「ぐぅ…っ!」幻影の水兵や士官たちが動き回って浸水しているバルブやパイプのつなぎ目に駆け寄り、海水を浴びながらスパナでボルトを締め上げる様子が見える……が、その間にも「ピーン…ピーン……!」とアスディックのパルスが船体を叩く…

デジエ「両舷機半速、面舵二十!」

デジエ「…まだよ、まだ……」船内にもはっきりと聞こえるアスディックのパルス音に続き「シャッシャッシャッ……」というスクリュー音が、クレッシェンドで高まってくる……しばらくすると聴音機なしでも「ジャッジャッジャッジャッ…!」と頭上を行く駆逐艦の轟音がはっきり聞こえてきた…

デジエ「両舷機全速!取り舵一杯!」

デジエ「…うっ、く……両舷機半速、針路戻せぇ!」ズゥ…ン、ズズーン…ッ!

水兵の幻影「深々度用深度計パイプより浸水!」…ピン、ピン…ッ!

下士の幻影「左舷トリムタンク用海水弁より浸水!」

デジエ「五百リットル排水! 中央トリムタンク、ブロー!」ズーン……グワァァ…ン!ガァ…ン!

デジエ「……まだまだ!」すでに湿気と汗でびしゃびしゃのハンカチを引っかけてあるパイプから取ると、あごと胸の間に伝わった汗を拭った…

デジエ「もしアクスムも捕捉しているなら二対三……そうなれば手も足りナイはず」

デジエ「そもそも爆雷だってそんなに積んでいるわけじゃないもの…それに潜望鏡で見たときはヘッジホッグの投射器はなかっタし……」ズゥゥ…ンッ!

デジエ「ふぅ、今のは遠かったわ……」

デジエ「排水止め! …ポンプがごろごろ言っていたら敵はアスディックなしでも爆雷を投下できるし……」ピーン…ピィ…ン……

デジエ「…アクスム、貴女は大丈夫なの? 両舷電動機全速、面舵一杯!」ドゴォ…ンッ、ガァー…ン!

デジエ「う゛っ…!」

デジエ「くうっ、なかなかの大盤振る舞いね……きっと後で青あざになっているわ…」

………






639以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/05/16(土) 09:26:52.68HO2CRAKS0 (1/1)

そういえば、オリオンが蠍をけしかけられたのは動物を絶滅させかねない程の腕前を恐れられたパターンとか、
死因が、アポロンがアルテミスを騙して、オリオンを誤射させたパターンがあったりする


640 ◆b0M46H9tf98h2020/05/24(日) 10:44:25.862QWyZXu00 (1/1)

>>639 書き込みありがとうございます、ギリシャ神話にお詳しいのですね!

…色々あって入院することになり、ずいぶん長い間更新出来ずにおりました……が、無事に退院することが出来ましたので(まさかコロナ騒動がこんなになっているとは思いもよりませんでしたが…)今後も見ていただければ幸いです


641 ◆b0M46H9tf98h2020/05/27(水) 01:39:59.47kM86nZ0E0 (1/1)

…二時間後…

アクスム「…ぐぅっ!」ズシーン…!

下士の幻影「ディーゼル排気パイプ、損傷!」

水兵の幻影「コンプレッサーが台座から外れました!」

アクスム「取り舵一杯!深度百二十メートルまで潜航! …デジエ、貴女は無事でいてネ……う゛っ!」ズウゥ…ン!

下士の幻影「給気弁上部より浸水!」

電動機関兵の幻影「バッテリーの液漏れ発生!」

士官の幻影「石灰水で中和しろ、急げ!」

アクスム「…作業中断、両舷機微速!」ピーン…ピィー…ン……

アクスム「全員静粛に…物音を立てナイで」ピーン……ピーン……

アクスム「…」


…アクスムは結露したパイプに手をかけ、じっと上を見上げている……あちこちの配管や船殻からはぽたりぽたりと水滴がしたたり落ち、その間にも「シャッシャッシャッ…」と駆逐艦のスクリュー音が聞こえてくる…


アクスム「このまま無音潜航…」深度が深ければ深いほど、周囲の水圧に押さえつけられるため爆雷の衝撃波は減衰する…が、同時に艦の耐久力も試されることになる……アクスムが駆逐艦をまこうと様々な小細工や技を繰り出す間にも、ときおり船殻から「ミシッ…ギギ、ギィィ……」と不安になるような音が聞こえてくる…

アクスム「…」シャッシャッシャッ……

アクスム「……ふぅぅ、どうやらあきらめてくれたようネ」アスディックの響きとスクリュー音が次第に遠ざかっていき、完全に聞こえなくなると息を吐いた…

アクスム「各部の被害状況を知らせ、修理せよ…」アクスムがまとっている競泳水着風の「艤装」は汗で一回り濃い色のしみができている……アクスムは額から垂れる汗を手の甲で拭うと上からひっかけていた熱帯用シャツを脱ぎ、艦長帽と一緒に海図台の上へ放り出した…

アクスム「……それにしてもデジエは大丈夫カシラ…?」

………



…そのころ・トリポリ港外…

提督「両舷前進微速…針路そのまま」

ガリバルディ「了解」

提督「まだよ、まだ……もう少し…いいわ、両舷後進微速!」行き足をころすために後進をかけ、湾内のちょうどいい位置に近づいた…

提督「…投錨!」


…提督がそう言うとがらがらと錨鎖が滑り出し、錨が派手な水音を立てて水中に沈んでいく…そのうちに錨鎖が止まり、錨が底に着いたことを示した…一方、埠頭ではディアナが見事な腕前を見せ、タグボートなしでそのスマートな船体をぴったりと横付けさせた……また、ライモンやバンデ・ネーレ、エメラルドやティルピッツ、マエストラーレたちも問題なく投錨していく…


提督「ふぅ…」思わず安堵のため息をついた…と、ガリバルディが声をあげた

ガリバルディ「提督」

提督「なに?」

ガリバルディ「港湾当局から信号…何でも「貴船団の入港を確認、心より歓迎す…これより税関当局のランチ(快速艇)を送る」だそうよ」

提督「了解……準備しておいて良かったわ」

ガリバルディ「それでさっき着替えていたわけね?」

提督「ええ。やっぱりこう言うときは金モールがものを言うから…♪」


…そう言ってガリバルディに微笑した提督は、四列にわたる略綬が胸元を飾る濃紺のダブルのブレザーとスラックス姿の冬期正装で、長い髪は綺麗にシニヨンにして結い上げ、白軍帽を少し斜めにかぶっている…


ガリバルディ「まぁね…ランチが来たわよ」

………




642 ◆b0M46H9tf98h2020/05/29(金) 12:57:34.22NRZKUKHE0 (1/1)

ガリバルディ「どうやら乗艦してくるのはリビア海軍の将校と国連の関係者…それからあの金モールのベタベタは税関の『エライ人』ってところね」

提督「そのようね」

ガリバルディ「どうも長話になりそうだし、士官食堂にコーヒーを用意しておくわ」

提督「ええ、お願い」


…ガリバルディが手際よくコーヒーを淹れ、海軍らしい「錨とロープ」の柄が入ったコーヒーセットを用意して戻ってくるとちょうどランチが接舷し、舷側に張り出させたタラップを使って数人が乗艦してきた……最初の二人は浅黒い顔に口ひげをたくわえ、まるで元帥のような金モールと略綬で豪華に飾られたリビア軍の大佐と副官で、それに続く青ベレー帽の国連職員が男女一人ずつ、そしてやはり金モールの税関将校……リビア軍の将校はマストに少将旗と戦隊司令官旗を掲げている提督がまだ若い女性とあって、ひどく驚いたような顔をした…


リビア海軍大佐「ようこそトリポリへ、貴船団の到着を歓迎いたします…航海はつつがなく済みましたか?」アラビアの女性と違って提督とガリバルディはヴェールで髪や顔を覆っていないので少し気まずそうな様子で、かなり片言の英語であいさつした

提督「はい。おかげさまでさしたる被害もなく到着することができました」

大佐「なるほど、それは何よりでしたな」

提督「ええ…ところで、よろしければコーヒーでもいかがですか?」

大佐「結構ですな、いただきましょう」

提督「ではこちらへ…」

…士官食堂…

提督「…さ、どうぞ召し上がってください」

大佐「これはどうも」そう言うと大佐と副官はブラックのコーヒーに砂糖を山ほど入れてアラビア風にするとゆっくりとすすった…

国連職員「あぁ…とても美味しいコーヒーですね」一方の国連職員は甘ったるいほどに甘いアラビア流のコーヒーにげんなりしていたようで、ミルクを少しだけ入れたコーヒーに満足そうな声をあげた…

提督「ふふ、それは良かったです」

大佐「……ふぅ、ごちそうになりましたな…ところで提督」

提督「ええ」

大佐「貴官の戦隊に補給する燃料ですが……」


…ひとわたりコーヒーを飲み終えると各艦への補給やディアナが搭載してきた物資の積みおろしについての長ったらしいやりとりが始まった……幸いなことにどこの軍でも階級章の金線は効果があるもので、海軍大佐は少将の階級をつけている提督に対してこれといったけちをつけないでくれた……そこで提督は国連の二人に通訳を頼み、何かにつけて物資を出し渋ったりちょっとした賄賂を要求したり「ああでもないこうでもない」と余計な茶々を入れてくる税関当局をなだめすかし、どうにかこうにか手はずをまとめた…


提督「……では、そういうことで」

税関将校「分かりました」

提督「ふぅ……先ほどは翻訳していただきありがとうございました。アラビア語はあいさつぐらいしかできないものですから…」

国連職員「いえ、こちらこそ手際よく話をまとめていただいて助かりました」

提督「どういたしまして…♪」

国連職員「ところで提督…」

提督「なんでしょう?」

国連職員「その…提督や「艦娘」の皆さんのために、こちらにいる間の宿泊先としてホテルを用意したのですが……」

提督「ですが…?」

国連職員「政府高官の視察や何かが重なって部屋が取れなくて……提督は艦娘さんと「ふたりべや」でも大丈夫ですか?」

提督「ふふっ、構いませんよ…♪」そう言うと真面目そうな国連の女性職員に向けてにっこりした…

………





643 ◆b0M46H9tf98h2020/06/02(火) 02:12:22.51NPaLGJD80 (1/1)

…同時刻・鎮守府…

サウロ「…ガリレオより通信「深海側の八千トン級独航船を魚雷二発で撃沈…ガリレオ」とのこと」

アッチアイーオ「了解。独航船をやるとは、さすがは「世紀の大天才」ね…」

(※独航船…船団を組まず単独で航行する輸送船のこと。たいていは船齢が若く高速の出る船なので、潜水艦で捕捉することは難しい)

ニコ「トリチェリより入電「座標AS342にて五百トン級の沿岸貨物船を視認、浮上砲撃にて撃沈…トリチェリ」だそうです」

アッチアイーオ「了解」

デルフィーノ「…交代しに来ましたよ、アッチアイーオ……状況はどうですか?」

アッチアイーオ「そうね、哨戒中の潜水艦から電文がいくつか…それとさっき空軍のAWACSから敵の位置情報が送られてきたわ」

デルフィーノ「そうですか」

アッチアイーオ「ええ…ま、とにかくちょっと休んで……」

サウロ「…プレイアディ船団より入電!」暗号文を解読器にかけると、平文に戻った電文が通信紙に印字されて出てくる…

アッチアイーオ「内容は!」

サウロ「今読みます…「プレイアディ船団より鎮守府へ…船団は無事トリポリに入港、各艦いずれも損害なし」だそうです!」サウロが読み終えないうちに室内の全員が「わぁっ…!」と歓声をあげた…

アッチアイーオ「静かに! …それで、デジエとアクスムは何も言って来てないの?」

サウロ「はい、それが…」

ニコ「待った、デジエより通信あり!」

デルフィーノ「駆逐艦に魚雷攻撃を仕掛けたそうですけど…二人は大丈夫でしょうか?」

ニコ「ふふ…それに関しては安心していいよ、デルフィーノ……通信内容だけれど「アクスムと協同で敵『H』級と思われる駆逐艦各一隻を撃沈。五時間に渡って爆雷攻撃を受け、両艦ともに各所に被害を受けるも航行に支障なし。トリポリに入港し補給と応急修理を行う……デジエ」だそうだ」

デルフィーノ「ふぅぅ、そうですか……それを聞いてほっとしましたぁ」

アッチアイーオ「…無茶をやった割には元気なようで結構だわ……どうやら馬鹿を守る守護聖人でもいたみたいね」口ではそう言いながらもどこかほっとした様子で、今度は歓声が上がっても止めなかった……

ニコ「エリトレアに、今夜の夕食は腕によりをかけてご馳走を作ってくれるよう頼まないと…ね♪」

デルフィーノ「そうですね♪」

…しばらくして・トリポリ…

ガリバルディ「…そういうわけで、デジエとアクスムはこっちに合流するそうよ」

提督「そうね、いい考えだわ……応急修理もせずにタラントまで戻るのは無理があるもの」

ガリバルディ「ええ」

提督「ところでガリバルディ、燃料と弾薬の補給は?」

ガリバルディ「今のところ燃料の補給は八割ほど……最近のC重油は質がよくて感心するわ」

提督「やっぱり当時の燃料とは違う?」

ガリバルディ「それはそうよ。おかげで当時より二ノットは早く出せるんじゃないかって思うくらい」

提督「ふふっ、それは何よりね♪」

ガリバルディ「で、弾薬の方は半分ほど積み込んだところ……リビアの港にしては手際が良くて助かるわ」

提督「さっき来たお偉方に渡したチョコレートと煙草のカートンが効いたのかしら?」いたずらっぽい笑みを浮かべると、ガリバルディにウィンクを投げた…

ガリバルディ「間違いないわね…ま、それで少しでも補給が早くなるならお世辞だって言うし袖の下だってばらまくわ♪」

提督「そういうこと…でもシャルロッテには内緒よ?」

ガリバルディ「分かってるわ。お堅いドイツの士官さんには納得できないでしょうからね…♪」そう言ってティルピッツの方をちらっと見た……

…ティルピッツ・艦橋…

ヴァイス提督「…くしっ!」

ティルピッツ「大丈夫ですか、司令?」

ヴァイス提督「ヤー、大丈夫だ……きっと誰かが噂でもしているに違いない」

………




644 ◆b0M46H9tf98h2020/06/05(金) 01:45:58.01kQzBN6x50 (1/2)

…しばらくして・鎮守府の厨房…

エリトレア「はぁ…」

ヴィットリオ・ヴェネト「おや…ため息なんて吐いてどうしたんです、エリトレア?」

エリトレア「あ、ヴィットリオさん……いえ、この数日というもの厨房に立ちづめだったので、さすがに疲れちゃって…」

ヴェネト「なるほど、でしたら少し休んだらどうですか?」

エリトレア「それはそうなんですが、そろそろ夕食を作らないといけないので…食事当番のみんなもよく手伝ってくれるので助かってはいますけれど……ぉ」

ヴェネト「…エリトレアは食事の準備に取りかかるのが早いですものね」

エリトレア「はい。なにせ私はディアナと違って動きが遅いので、その分早く取りかからないといけないですからぁ…」

ヴェネト「うーん……でしたら今日だけ手抜きをしたらどうでしょうか?」

エリトレア「手抜きですかぁ……でもみんな美味しいものを食べたいと思うんですが、いいんでしょうか?」

ヴェネト「まぁまぁ、たまにはいいと思いますよ…いざとなったら私が矢面に立ってあげます」

エリトレア「んー…それもそうですね。なんだかヴィットリオにそう言ってもらえてほっとしました…っ♪」と、厨房に上機嫌なニコがやってきた…

ニコ「やあ、エリトレア」

エリトレア「はい♪」

ヴィットリオ「チャオ、ニコ」

ニコ「チャオ、ヴィットリオ……ところでエリトレア、今夜の献立は何かな?」

エリトレア「あ、夕食の献立ですか……今日は、えぇと…そのぉ……」

ヴェネト「…今日の夕食は私が中心にやる予定だから、エリトレアは何を作るか知らないの」

ニコ「へぇ、それは楽しみだねぇ♪」

ヴェネト「ええ、楽しみにしておいて…それからデュイリオとドリアを呼んできてもらえる?」

ニコ「了解、すぐ呼んでくるね」

ヴェネト「グラツィエ」

…数分後…

ドリア「…何かご用だそうですね、ヴィットリオ?」

デュイリオ「私でよければ手伝ってあげるわ…ね♪」肩にカラスを止まらせ、にっこりと甘い笑みを浮かべるデュイリオ…

ヴェネト「ええ、ぜひお二人の力をお借りしたいと思いまして……かくかくしかじか…」

デュイリオ「…なるほど」

ドリア「そういうことなら私に任せておいて下さいな、ヴィットリオ♪」

ヴェネト「ええ、アンドレアは美食家ですし頼りにしています……それで、何を作りましょう?」

ドリア「そうですねぇ…とりあえず「何を作るか」よりも、まずは貯蔵室や冷蔵庫に「何があるか」を確認してみましょうか」そう言うと壁にかけてある食材のリストを確認しはじめた…

ドリア「…中抜きの鶏に、牛のあばら肉……卵もいっぱいありますね…」

デュイリオ「ねぇドリア、そういえば……」

ドリア「なんです?」

デュイリオ「いえ、ふと思い出したのだけれど……そろそろ保管してあるラツィオーネ(軍用携行糧食)の保存期限がくるし、まずはあれを消費しないといけないんじゃないかしら?」

ドリア「あぁ、そういえばそうでした…提督も気にしていましたし、そろそろ食べないといけませんね」

デュイリオ「それじゃあ今夜はあれに手を加えて夕食にする?」

ドリア「そうですね……ちょっと難しいですが、やってみましょうか」



645 ◆b0M46H9tf98h2020/06/05(金) 12:35:30.57kQzBN6x50 (2/2)

ヴェネト「それにしてもずいぶんありますね…っと!」

ドリア「それはもう、鎮守府の一週間分だもの……よいしょ」

デュイリオ「…そうね、わたくしのようなお婆ちゃんが運ぶには少し大変です♪」

ドリア「まぁ、デュイリオったら…ふふふっ♪」くすくすと笑いながら糧食の入っている段ボール箱を二つ重ねて持ち上げ、事もなげに厨房へ運び込む…

エリトレア「…ひぃ、ふぅ……やっぱりコラッザータ(戦艦・装甲艦)の皆さんは馬力が違いますね…っ!」

ヴェネト「さて、と…次は何をしますか?」

ドリア「そうですね、まずは中身を確認しましょう…」箱に印字されているセット名と内容物リストをしげしげと眺めた…

デュイリオ「…どう?」

ドリア「ええ、これなら献立に使えそうですよ…さ、開けましょう♪」

エリトレア「ふぅ、良かった……もしこれを戻すようなことになったらへこたれちゃいます」

デュイリオ「ふふ、その点は心配いらないわ。美食家のドリアに任せておけば何だって三つ星リストランテの味にしてくれるもの……ね、アンドレア♪」

ドリア「うふふっ、そんなに期待されると照れちゃいますね…♪」甘い笑みを浮かべると段ボールを開け、ダークグリーンのアルミ包装がされた軍用糧食のセットを取り出した…

ヴェネト「それじゃあ私が中身をより分けます。なにしろ色々入っていますからね」

デュイリオ「では私が野菜を刻んだりしますから、その間にエリトレアは缶を開けて下さいな…それなら座ってできますものね♪」豊かな髪をヘアゴムでまとめると、クリーム色をしたタートルネックの袖をまくり上げてエプロンをかけた…

エリトレア「ありがとうございます、デュイリオ」

デュイリオ「ふふ、構いませんよ…でも缶を開けるのがエリトレア一人では大変ですね……」

ロモロ「…エリトレア、今日の夕食はなぁに?」

レモ「レモは美味しいお肉が食べたいかも♪」

デュイリオ「あら、ちょうどいいところに可愛い狼さんが来てくれましたね……ふふ♪」

…数分後…

ドリア「これで人数分ですね……さてと、そちらはどうですか?」…空になった段ボール箱をつぶし、糧食を包装している厚手のアルミパウチをゴミ箱に放り込むとエプロンをつけ「戦闘準備」を整える……

エリトレア「はい、やっていますっ」側面が濃緑色で塗られ、黄色い字で内容物が記載されている糧食の缶詰を次々と開けては大きなボウルに放り込む…

ロモロ「うぇぇ、まだこんなにある…」

レモ「もぅ…いい加減飽きてきたよぉ……」キコキコと缶切りを動かしては文句をこぼすロモロとレモ…

ドリア「まぁまぁ……出来上がったら少し味見をさせてあげますから…ね♪」ぶつぶつとこぼしている二人をなだめつつ、手際よくニンニクと玉ねぎを刻みはじめた…


…本来なら夕食は軽めに済ませることが多いイタリアである……が、哨戒から帰投してすっかりカロリーを消費しきった潜水艦や、あちこち駆け回ってはすぐひもじくなってしまう駆逐艦、はたまたその豊満な身体に栄養を取らせるため三食をたっぷり取る戦艦や重巡に、なにかと忙しく空腹をかかえた軽巡たち……と、何だかんだでお腹を空かせた艦娘たちのために、鎮守府の食卓は三食ともにたっぷりとした食事が用意されている…


デュイリオ「それじゃあ私はトマトを切っておきますね」

ドリア「ええ、お願いします」


…ドリアは大きな平鍋にオリーヴオイルを入れ、ニンニクと玉ねぎを炒める……ニンニクがカリカリと音を立てて香りを立て始め、玉ねぎが透明になったところでみじん切りにしてもらったトマトを入れ、ほどよく形が崩れたところで糧食の缶詰に入っていた「牛のハンバーグステーキ」を放り込み、薄めのコンソメスープで煮込んでいく…


ドリア「ん、いい香りがしてきましたね…」どうしても缶詰の糧食は塩気が多くて風味が乏しいので、オールスパイスとオレガノ、ローズマリーを少々入れ、アクセントとしてほのかな渋みをつけるべく赤ワインを注ぎ入れる…

デュイリオ「ふふ、さすがはドリア……とっても美味しそうね♪」

ドリア「お褒めいただき光栄です、よかったら味見してみますか?」小さじでスープをすくうと「はい、あーん♪」と、デュイリオの口元に近づけた…

デュイリオ「まぁ、ふふっ…あーん♪」

ドリア「いかがです?」

デュイリオ「ええ、とっても美味しい…♪」小さく舌なめずりをすると、とろりと甘い視線を向ける…

ドリア「うふふっ……ドルチェは食後までとっておかないと駄目ですよ、デュイリオ♪」そう言って意味深な含み笑いを浮かべた……


646 ◆b0M46H9tf98h2020/06/11(木) 00:55:13.2417O4TZqH0 (1/1)

デュイリオ「もう、アンドレアのいじわる……ん、ちゅっ♪」

ドリア「あんっ……デュイリオったら、今はまだ駄目ですって…ば♪」

デュイリオ「んふふっ、そんな堅いことを言わないで……ね?」後ろから抱きつくと、服の裾から手を入れてドリアのたわわな乳房をこね回す…

ドリア「いけません、まだ夕食の支度が済んでいないんですから……んちゅっ、ちゅ…っ♪」口ではそう言いつつもまんざらでもなさそうなドリアは、肩口にあごを乗せるようにして顔をのぞき込むデュイリオに対して、振り返るようにして甘いキスを交わした…

デュイリオ「あむっ、ちゅぅ…っ♪」

ドリア「ん、ちゅる……っ♪」

レモ「///」

ロモロ「……また始まった」

エリトレア「うわわ…っ///」

ヴェネト「あー…えーと、その……デュイリオたちはなにかと持て余し気味なものですから…///」

デュイリオ「ふふっ…人の逢瀬をそんなにまじまじと見ちゃダメですよ、ヴィットリオ♪」

ヴェネト「あ、いえ…決してそういうつもりでは///」

ドリア「ふふ、私は一向に構いませんよ……でも、早くしないと夕食に間に合わなくなってしまいますから」

デュイリオ「むぅ……それなら仕方がないですね」

エリトレア「え、えぇ…と……それじゃあ次は何をすればいいですか…?」

ドリア「そうですね、エリトレアは果物の缶詰を開けてガラス鉢に空けて下さい」

エリトレア「わ、分かりました…っ///」


…軍用糧食に入っている果物缶(今回はサイコロ状に切ってある洋梨のシロップ漬けだった)を開け、大きなガラスボウルに次々と投入する……そこに冷蔵庫から出してきた苺のリキュールを注いでマラスキーノチェリーを飾ると、それだけでおしゃれなフルーツポンチになった…


ドリア「さてと、残りの缶詰は何に使いましょうか……」ドリアが眺めている缶詰の軍用クラッカーはそれなりに美味しいが、わざわざそれだけで食べたいようなものでもない…

ヴェネト「…困りましたね」

ドリア「ええ……あ、いいことを思いつきました♪」軽く手を打つと冷蔵庫から生クリーム、牛乳、バター、それときのこを取り出した…

ドリア「……ロモロ、レモ、エリトレアはクラッカーを軽く砕いて下さい…あまり細かくなりすぎないようにお願いします」

三人「「了解」」

ドリア「デュイリオ、グラタン皿を出してくれますか?」

デュイリオ「仰せのままに…♪」

ドリア「ニコ、貴女はその間にチーズをおろしてもらえる?」

ニコ「了解、任せておいて」


…ドリアはそれぞれに役割を振り分けると、自身はベシャメルソースに取りかかった…バターを溶かしたフライパンにふるいで振るった小麦粉(薄力粉)を入れるとダマにならないよう、そして焦げ付かないよう素早く木べらでかき混ぜる……小麦粉とバターが溶け合ってほんのり黄色く色づいたところで少しずつ牛乳を注いで伸ばし、ある程度とろりとしたところでコンソメスープと生クリームとを注ぎ入れて煮詰め、最後に別のフライパンでバターソテーにしたきのこを加える……砕いたクラッカーを敷き詰めた皿に出来上がったソースとチーズをかけ、オーブンに入れてこんがりと焼き上げると充分立派なグラタンが出来上がった…


ニコ「うわぁ、美味しそうだねぇ…♪」

ドリア「ええ…きっと美味しいと思いますよ」

エリトレア「ドリアさんたちのおかげで本当に助かりました…」

ドリア「気にしないで下さいな、エリトレア……私もお料理ができて楽しかったですから♪」

デュイリオ「…あなたには後でクラッカーのおこぼれをあげますからね?」デュイリオのカラスは厨房のカウンターの片隅に置いた大ぶりな鳥かごに入ってもらっている……かごの隙間から指を入れて、カラスの首筋を撫でるデュイリオ…

カラス「カー…♪」デュイリオに撫でてもらって気持ちよさそうにしている…

ドリア「ルチア、あなたにはスープを取った後の鶏をあげますから……いい娘にしていらっしゃいね?」

ルチア「ワフ…ッ♪」こちらは食堂の片隅にあるお気に入りの場所で寝そべっていて、ドリアに声をかけられるとぱたぱたと尻尾を振った……

ニコ「…でも、提督やライモンドがいないから少し寂しそうだね……?」

ヴェネト「ええ、確かに……任務とはいえ提督には早く戻ってきて欲しいですね」

ルチア「フゥ…ン……」組んだ前脚の上にあごを乗せて、少しわびしげな様子のルチア…

………




647 ◆b0M46H9tf98h2020/06/17(水) 02:16:19.25zwat5yPK0 (1/1)

…夕暮れ時・トリポリ…

ガリバルディ「提督、デジエとアクスムのトリポリ入港は今夜の2000時頃になる予定だそうよ……まぁ潜水艦の速度じゃそのくらいの時間になるのも無理ないわ」

提督「そうでしょうね…」そう言ってどこか安堵の表情を浮かべる提督…

ガリバルディ「……今のところ深海側の航空機から夜間攻撃を受けたっていう話は聞かないから、日没さえ迎えればまずは一安心…ってところかしら?」…提督の気持ちを読んで、軽くにやりと笑ってみせた……

提督「ええ、その通りよ」

ガリバルディ「…良かったわね、これで安心してホテルに泊まれるじゃない……ここまで来る間にはなにかと邪魔が入ったけれど、今夜こそお相手をしてくれるんでしょう?」提督を隔壁に押しつけると、あごにあてがった親指で「くいっ…」と顔を上向かせた…

提督「え、えぇ…と、その……気持ちは嬉しいけれど、まだ作戦が終わったわけじゃないし…///」

ガリバルディ「ふぅん…そうは言うけれど、私にはすっかりその気に見えるわよ?」

提督「だって、ガリバルディみたいな美人にそんな風に言われたら…ね///」

ガリバルディ「あら、てっきり提督のことだからライモンドばっかりで他の娘なんて眼中にないものとばっかり思っていたわ……それとも目移りしちゃうお年頃なのかしら?」

提督「…もう、ガリバルディってば……♪」

ガリバルディ「ふふふ…いずれにしてもホテルは二人部屋だっていうし、色々と楽しみね……さ、ランチにどうぞ?」ガリバルディは軽やかに舷側のタラップを降りると、先ほど下ろした搭載艇から手を差しだし、提督の手を取った…

提督「ありがとう」

………

…トリポリ市街・ホテル「キレナイカ」…


ガリバルディ「あら、なかなかいいホテルじゃない…♪」

バンデ・ネーレ「確かに」

ライモン「ええ、本当に…提督もそう思いませんか?」そう言ってさりげなく腕を絡めた…

提督「ふふっ、そうね♪」

ディアナ「あぁ、提督…お疲れ様でございます。それと道中の護衛に感謝いたします」疲れた様子もなく、銀の弓を背中に背負って近寄ってきたディアナ

提督「ディアナこそ……どう、ここまで航海してきて疲れたんじゃないかしら?」

ディアナ「よしなに…わたくしは大丈夫でございます」

リベッチオ「……ねぇ、夕食はいつ頃なの?」

マエストラーレ「さぁ…でもそんなに遅くはならないはずよ?」

提督「そうね、チェックインを済ませてお部屋に入ったらすぐ夕食にしましょう…特に貴女たちはずいぶん駆け回っていたからお腹が空いたでしょう?」

グレカーレ「まぁ、駆逐艦っていうのはそういうものだから…♪」

…しばらくして・ホテルの食堂…

提督「ん、美味しい…♪」

ガリバルディ「ええ、本当に……これならローマ辺りにある並の店よりもいいわ」

…提督たちはホテルの食堂で夕食を味わっている……戦前は長らくイタリアの植民地で戦後もなにかと影響を受けていたこともあって、他の北アフリカ諸国と違ってイタリア料理も交じっているリビア……そのおかげでローマやナポリの店にも負けない美味しいピッツァやパスタを食べることができる…敬虔なイスラム教の国ゆえ大っぴらにワインを飲むことはできないが、それも見えないようにすれば黙認してくれる気前の良さがある…

グレイ提督「まさに「異国の美味」というものですわね?」

ヴァイス提督「…リビアの料理は初めてですが、とても美味しいです」

リベッチオ「うん、美味しい…っ♪」

マエストラーレ「ほぉら、口についてるわよ……まったくもう♪」


…テーブルに並んでいるのは干しぶどうとアーモンドが入っているピラフのようなライスに、レモンと香辛料を利かせたピリッと辛い鶏のロースト…それに丸くて薄いナポリ風生地のピッツァ……飲み物は冷たいレモネードか小さな銀のカップに入ったとても甘いコーヒーで、それも料理とよく合っている…


提督「ふふ…こんなに美味しい料理が味わえるなら、リビア作戦も悪くないわね?」

オリアーニ「冗談でしょ、私は勘弁して欲しいわ…」

ジオベルティ「まったく……だいたい今回の作戦で一番緊張していたのは提督だったわよね」

提督「…そうだったかしら?」そう言ってとぼけてみせるとウィンクを投げた…


648 ◆b0M46H9tf98h2020/06/23(火) 02:49:34.58W2PUr9tJ0 (1/1)

…2020時・トリポリ港…

デジエ「両舷機停止、もやい綱を!」

アクスム「…ふぅぅ、やっと着きましたね」


…明るく照らされどこかエキゾチックな雰囲気が漂うトリポリ港の埠頭に、灰色と灰緑色で迷彩を施した「デジエ」と「アクスム」がゆっくりと入港してくる……二人とも数時間にわたる爆雷攻撃を耐えてきたせいで目の下には濃いくまができ、羽織っている黒いレザーコートはオイルや海水のシミだらけ…おまけに頭の白い艦長帽は形が崩れてふにゃふにゃになっている……そして艦のほうも爆雷攻撃であちこちガタがきているらしく、ディーゼルの青っぽい排煙がもうもうと立ちのぼり、調子のおかしいコンプレッサーかなにかがガタゴトと不満げな音を立てている……埠頭には出迎えに来た提督とガリバルディが待っていて、二人が道板を降りて敬礼すると答礼し、それから親しげにあいさつした…


提督「お疲れ様、二人とも…♪」そう言うと頬に音高くキスをした…

アクスム「はい、中型潜デジエおよびアクスム……無事に到着いたしまシタ」

ガリバルディ「魅惑の町トリポリへようこそ…まったく、待ちくたびれたわよ♪」

デジエ「もう、ガリバルディってば…やっと着いたのにそれはナイでしょウ♪」ガリバルディの軽口に苦笑いするデジエ…

ガリバルディ「ほんの冗談よ……ま、無事でよかったわ」

提督「ええ、本当に……さ、おしゃべりは後にしてホテルへ行きましょう。何はさておきまずは汚れを落とさないと…ね♪」

デジエ「はい♪」


…しばらくして…

デジエ「ふー…やっと落ち着きました」シャワーで身体にまとわりついた汗とディーゼルの油煙とを流し、さっぱりした格好に着替えた二人はホテルの食堂で遅めの夕食をとった…

アクスム「本当に…お腹いっぱいです♪」

提督「それは良かったわ……あと、何か甘いものでも頼みましょうか?」


…デジエたちが夕食を食べている間「お相伴」とばかりにコーヒーとお菓子をつまんでいた提督……食堂のテーブルにはガリバルディやライモンを始めとする艦娘たちや、グレイ提督とヴァイス提督も集まってゆったりとくつろいでいる…


アクスム「はい、甘いもの欲しいデス♪」

リベッチオ「あ、それじゃあ私もっ!」

マエストラーレ「こぉら、みっともないから落ち着いていなさい……提督、良かったら私も甘いのが食べたいわ」

カルドゥッチ「なら私も頂戴しましょう…詩を練るには糖分を摂らなくてはいけないので」

提督「はいはい…♪」


…提督はどうにか片言のイタリア語がしゃべれるウェイターを相手にイタリア語と英語、それにメニューの指さしで注文をし、しばらくするとバラの香りと甘い匂いのする焼き菓子が皿に載ってやってきた…アラビア風にとても甘い菓子は生地にたっぷりの砂糖とローズウォーター(バラのエッセンス)を練り込んで焼き上げ、最後に細かいアーモンドの粉を振りかけたもので、一個で充分過ぎるほどのボリュームがある…


グレカーレ「わぁぁ…美味しそうなお菓子ですね、ライモンド♪」

ライモン「ええ、本当に……ひとつ取ってあげますね」

デジエ「あむ…あぁぁ、すっごく甘いけど美味しい……ほら、アクスムも…あーん♪」

アクスム「あーん……うん、甘いねぇ♪」

リベッチオ「甘いのはお菓子じゃなくてデジエとアクスムだよね♪」

提督「ふふ…っ♪」

ガリバルディ「くくっ……言い得て妙ね♪」

アクスム「……それじゃあ私からも…はい、あーん♪」

デジエ「あー……むっ♪」お菓子と一緒に指先まで甘噛みするデジエ…

アクスム「あんっ…もう、デジエってば♪」

………




649 ◆b0M46H9tf98h2020/06/27(土) 01:47:17.02uwogqglU0 (1/1)

…深夜・提督の客室…

提督「ふわぁ……あ」

ガリバルディ「おやまぁ、提督ってばそんな大あくびして……」

提督「ええ……無事に到着したのだと思ったらなんだかほっとして、急に眠くなって来ちゃったの…」

ガリバルディ「ふふ、分かるわ……それじゃあ私は提督の安眠を妨げないよう失礼するわね」

提督「え? でも二人部屋だから、貴女のベッドもここよ…?」

ガリバルディ「あぁ、いいの……私はカルドゥッチからお誘いを受けたから、そっちで寝るわ♪」

提督「…ここに来るまであんなに敵襲だのなんだのあったのに……みんな元気ねぇ」あきれ半分で苦笑いを浮かべながら両手を上に向けた…

ガリバルディ「やっぱり缶に火が入って硝煙の匂いを嗅ぐと身体が火照るのよ……提督も誰か好きな娘を呼んであげたら?」

提督「んー、さすがに眠いし今夜は遠慮しようかしら……ふぁ…ぁ」

ガリバルディ「あら珍しい、明日は雨かしら……それじゃあ、お休みなさい♪」

提督「ええ、お休みなさい」

………

…しばらくして…

提督「……ライモン?」客室のドアから聞こえてくる控え目なノックの音は、耳慣れたライモンの叩き方だった…

ライモン「はい、わたしです……お邪魔してもよろしいですか?」

提督「ええ、どうぞ♪」

ライモン「…失礼します、提督……///」少し上気してぽーっと赤みを帯びた頬に、ため息のような息づかい……

提督「いらっしゃい…こんな時間にどうしたの?」(どうやらガリバルディの言うとおりみたいね…)

ライモン「あ、いえ…その……はぁ…ぁ///」

提督「…いらっしゃい、ライモン♪」

ライモン「あぁ、提督…ん、んふっ…ちゅ……」

提督「ちゅむっ、ちゅぅ…♪」

ライモン「ふぁ…あ、んちゅっ……ぷは…ぁ///」

提督「ふふっ…これが欲しかったのね?」

ライモン「は、はい…///」

提督「ライモンは船団の中央でずっと頑張ってくれていたし、その分「ごほうび」をあげないといけないわよね……来て?」ベッドに仰向けになるとネグリジェの裾をたくし上げた…

ライモン「あぁ、提督…ていとく……っ♪」

提督「あ、あっ、ふぁぁぁ…んっ♪」

…一方…

デジエ「ちゅむっ、んちゅ……アクスム…アクスム…ぅ♪」じゅぷっ、ぐちゅっ、ぬちゅ…っ♪

アクスム「ん、ふ…デジエ……デジエぇ…♪」じゅぷじゅぷっ、ずちゅ…っ♪

デジエ「はぁ、はぁ、はぁっ…気持ひいぃ……腰が…とろけそウ…♪」

アクスム「わらひも…ぉ……デジエのゆび…ぃ、すっごくイイの…ぉ♪」

デジエ「…アクスム……」ちゅぷ、ちゅぅっ…♪

アクスム「デジエ…」むちゅぅ…れろっ、ちゅるぅ♪

デジエ「はぁ…あ、あ、あぁ……っ♪」がくがく…っ♪

アクスム「んあぁぁ……はふっ、あぁ…ん♪」とろっ……ぶしゃぁぁ…♪

デジエ「……ふふ、アクスムの蜜でこんなにべとべと…♪」指を広げると人差し指と中指の間にねっとりと糸が垂れた…

アクスム「デジエこそ、こんなになッテ……♪」愛液まみれのべとつく手でデジエの頬を撫でる…

デジエ「ふふ……♪」

アクスム「くすくす…っ♪」



650 ◆b0M46H9tf98h2020/07/02(木) 02:24:00.67KeGfCKtn0 (1/1)

…同じ頃・鎮守府…

グラニト(中型潜アッチアイーオ級「花崗岩・御影石」)「…ただいま戻りました」

アルジェント(アッチアイーオ級「銀」)「アルジェントおよびグラニト、深夜哨戒より帰投いたしました……いま帰りましたよ、アッチアイーオ」


…深夜哨戒を終えて鎮守府に戻ってきたアッチアイーオ級のグラニトとアルジェント……二人がまとっている「艤装」はそれぞれ黒御影のような美しい光沢のある黒と、液体金属を流したような銀色の肌に吸い付くようなボディスーツスタイルで、そのSF映画のような格好からは無駄のない身体のラインがくっきりと浮き上がっている…


アッチアイーオ「お帰りなさい、海況はどう?」

アルジェント「風は南東の風力2くらいで、波は2から2.5メートル…艦橋も波に叩かれたのですっかり濡れてしまいました」

グラニト「もう髪の毛が絞れそうなほどです」

アッチアイーオ「それじゃあまずはお風呂で塩気を流して、それから寝る前に食堂で加給食をつまんでくるといいわ……二人ともお疲れ様」

アルジェント「ええ、それでは…」

………

…大浴場…

グラニト「……ねぇ、アルジェント」

アルジェント「ええ、なぁに?」

グラニト「…ここで「艤装」を脱ぐのはおっくうですし、いっそお風呂の中で脱いでしまいませんか?」

アルジェント「確かに……それにこれも洗濯機にかけるとはいえ、ある程度は塩気を落としておきたいですものね」

…深夜の誰もいない大浴場……灯りが人気の無い周囲を明るく照らし、樋を伝って流れるお湯の音だけが響く中、二人は浴槽に身体を沈めた…

グラニト「あぁぁ……気持ちい…ぃ……」

アルジェント「ええ…身体が冷えていたからなおの事…」

グラニト「……ふぅ。大分暖まったことですし、そろそろ身体を洗いましょうよ」

アルジェント「そうね……んっ」一生懸命に脱ごうとするが、まるでのり付けしたかのようにぴっちりと吸い付いた「艤装」はなかなか脱げない……

グラニト「…ふっ、んぅっ!」みちっ、ぴち…っ…!

アルジェント「ん……くっ」ぎちっ…ぱちんっ!

グラニト「ふぅぅ……まったくこれを脱ぐのも一苦労ですね、アルジェント?」

アルジェント「…なら、着たまま洗ってしまいましょうか?」

グラニト「あぁ、それはいいかもしれないですね…それじゃあお互いに洗いっこしましょうよ」

アルジェント「ええ、いいですよ…♪」

グラニト「それじゃあ石けんを……海水がついているせいか泡立ちが悪いですね」ぬる…っ♪

アルジェント「まぁまぁ、そう言わずに……んっ///」

グラニト「アルジェント、私の方もお願いします」

アルジェント「ああ、そうでしたね……///」ぬりゅ…っ♪

グラニト「あっ…///」二人がお互いの艤装に石けんを擦りつけて手で洗っていくと、肩甲骨や脇腹を指先が滑るたびにぞくりとするような感覚が走る…

アルジェント「…あ、あっ……あ…♪」

グラニト「ふあぁ……あ、ん…っ♪」




651 ◆b0M46H9tf98h2020/07/07(火) 01:53:22.58EoKpi3Rv0 (1/2)

アルジェント「んっ、ふ……んぁぁ…っ///」くちっ、ちゅぷ…っ♪

グラニト「あふっ…あ、あっ……ふあぁ…アルジェント……ぉ///」つぷ…にちゅっ♪


…石けんでぬめるボディスーツを洗っているうちに、妙な気分になってきた二人……お互いに向かい合ってそれぞれ相手の瞳を見つめ合いながら甘く物欲しげな声をあげ、形のいい乳房を撫で上げ、くっきりと食い込んでいる花芯の割れ目に指をあてがう…


アルジェント「はぁ、はぁ…はぁ……んっ///」

グラニト「んくぅぅ……ん、あ…っ///」

アルジェント「ねぇ、グラニト……ちゅむ、ちゅぅ……もっと…ね///」

グラニト「ん、ちゅるっ、ちゅぅ……アルジェントも…そうして…?」

アルジェント「ん、くっ……ふっ…ん……///」

グラニト「あむっ…ちゅ…む……ん、ふぅ……っ///」

アルジェント「…グラニトの…ふともも……もうこんなに…とろとろ……っ♪」

グラニト「ん、あふっ…そういうアルジェントこそ…すっかり……べとべと…です……♪」

アルジェント「……ふふっ…それじゃあこのまま…♪」

グラニト「ん…♪」


…カランの前に据えてある腰かけから下りて直接大浴場の床に座り込むと、そのまま寝転がって絡み合う……ねっとりとした蜜がまとっているボディースーツを滑らせ、ふとももが擦れあうたびに「にちゅっ…♪」と粘っこい水音を立てる……アルジェントのきらめく銀髪とグラニトの艶やかな黒髪が床に広がり、二人のつま先が交錯する…


グラニト「あ、あ、あっ…あぁ…ん……っ♪」じゅぷっ、くちゅっ…ぬちゅっ♪

アルジェント「ん、あふぅ…んぅぅ…っ♪」ぐちゅぐちゅっ、ずちゅ……っ♪

グラニト「ふあぁぁ…あぁ、あ……アルジェント…好き……ぃ♪」

アルジェント「グラニト……可愛いわ…んあぁぁ、あふ…っ♪」


…石けんの泡と愛蜜にまみれたまま秘所を重ね、ねっとりと舌をむさぼり合うような濃密な口づけを交わし、互いのべとつく指を「恋人つなぎ」にしている二人……甘い言葉をささやきながら耳たぶを甘噛みし、首筋に跡が残るようなキスをする…


アルジェント「……好き…私の愛おしいグラニト……ちゅぅ…っ♪」

グラニト「私も…アルジェントが姉妹で良かったです……///」

アルジェント「嬉しい…っ♪」くちゅくちゅっ、にちゅ……とろ…っ♪

グラニト「アルジェント……あ、あっ、ふあぁ…イくぅ……っ♪」ぬちゅっ、くちゅ……ぷしゃぁぁ…っ♪


…数十分後…

アルジェント「……グラニト…もっと愛し合っていたいわ…♪」

グラニト「ん…私も……♪」

アルジェント「んっ、ぷ……」グラニトとキスを交わしていたが、急に顔をしかめた…

グラニト「……アルジェント?」

アルジェント「…いいの、大丈夫……石けんの泡が口の中に入っただけだから…」

グラニト「くすくすっ…もう、びっくりした……てっきり私のキスが不味かったのかと思った…♪」

アルジェント「そんなことないわ……でも、そろそろ上がりましょう?」

グラニト「そうですね…」

アルジェント「ふふ……この続きはベッドでしましょう…♪」

グラニト「…はい♪」

………






652 ◆b0M46H9tf98h2020/07/07(火) 02:03:36.29EoKpi3Rv0 (2/2)

…本当は予定していなかったのですが、書いているうちに流れでアルジェント×グラニトの百合になりました……

…それにしても九州は球磨があふれて大変ですね。たしか去年も大雨の被害がありましたし、できるだけ少ない被害であって欲しいと願うばかりです…また、その救援活動にあたる皆さまには頭が下がるばかりです……どうか無理をせずに活動してくださいね


……それからマカロニ・ウェスタンのテーマ音楽で有名な映画音楽の作曲家、エンニオ・モリコーネ氏が亡くなってしまったそうで……長寿ではありましたが、もっとずっと名曲を作り続けていて欲しかったですね…


653 ◆b0M46H9tf98h2020/07/12(日) 01:39:45.423TwcF5Mp0 (1/2)

…翌朝・0700時…

提督「おはよう、みんな…昨夜はよく休めた?」

ガリバルディ「そうね「休めたか」って聞かれると……あんまり休めていないかもしれないわ♪」隣に座っているカルドゥッチに向けてウィンクを投げた…

カルドゥッチ「けほっ…///」昨日は巻いていなかったスカーフを首筋に巻き、しきりにそれを気にしている…

デジエ「たしかニ…ね、アクスム♪」

アクスム「ええ…♪」

シロッコ「……ふふ、どうやら昨晩はどの部屋もみんな同じだったようね♪」

リベッチオ「くすくすっ…ね、お姉ちゃん♪」

マエストラーレ「…っ///」

提督「あらあら…♪」

ライモン「あー……と、とりあえず朝食にしませんか///」

提督「ふふっ、そうね…それじゃあメアリとシャルロッテを……」

グレイ提督「…あら、今朝は皆さまお早いですわね…グ・モーニン」

提督「あぁ、噂をすれば……おはようございます。メアリ、エメラルド」

グレイ提督「ええ、おはようございます」

エメラルド「おはようございます、カンピオーニ提督」

ヴァイス提督「グーテンモルゲン(おはようございます)」

提督「グーテンモルゲン、シャルロッテ…それにティルピッツも」

ティルピッツ「グーテンモルゲン……っぷ…」相変わらず色白なティルピッツは、北アフリカの陽光の下ではなおのこと病弱そうに見える…

提督「…ティルピッツ?」

ティルピッツ「ヤー、なんでもありません……うぷ…っ…」

ヴァイス提督「エントシュルディゲン(失礼)…少し部屋に忘れ物を……」

グレイ提督「…あらまぁ」その一言だけで軽く見下したような皮肉と多少の気づかいを見事に表現してみせた…

…洗面所…

ヴァイス提督「しっかりしないか、まったく!」

ティルピッツ「ヤー、アトミラール…うぇぇ……」

ヴァイス提督「……はぁ、昨夜の夕食で胃もたれを起こすなど…ほら、胃薬を飲め」口調こそ厳しいが、ちゃんと薬を持っているヴァイス提督…

ティルピッツ「ダンケシェーン……ごくんっ」

ヴァイス提督「やれやれ…車には酔う、飛行機は嫌い、胃は弱い……まったく、それでも連邦海軍を代表する「艦娘」か?」

ティルピッツ「そう言われても……昨夜の料理は美味しかったけれど、油がきつかったようで…」

ヴァイス提督「情けない…今朝はコーヒーと果物くらいにしておけ」

ティルピッツ「了解…」

………




654 ◆b0M46H9tf98h2020/07/12(日) 02:39:16.323TwcF5Mp0 (2/2)

ヴァイス提督「…失礼しました」

提督「ええ、構いませんよ……ティルピッツは大丈夫ですか?」他の皆に聞こえないようそっと耳打ちした…

ヴァイス提督「ええ、どうにか…」

提督「それなら良かったです」

ヴァイス提督「それにしても情けないさまをお目にかけてしまいました……」

提督「まぁまぁ…外国の料理は美味しくてもお腹に合わないことがありますもの、仕方ないですよ」

ヴァイス提督「は、そう言っていただけるとありがたい限りです……」

リベッチオ「提督っ、早く来ないと無くなっちゃうよっ!」

提督「はいはい…♪」

…ホテルの食堂…

ライモン「提督、これもよそいましょうか?」

提督「ええ、いただくわ♪」

ガリバルディ「ジョヴァンニ、メロンをもう一切れどう?」

バンデ・ネーレ「うん、もらうよ」

コラッツィエーレ「…あむっ、むしゃむしゃ…もぐ……」

レジオナーリオ「はぐっ…ん、これは美味いな……んむっ…」


…正体のよく分からないリビア料理を相手にしながら、朝からボリュームたっぷりのメニューを頼んだ艦娘たち……定番の甘ったるいコーヒーと、なかなか新鮮でみずみずしいスイカとメロンのスライス、羊肉を薄切りにしたケバブのような肉料理に、ぽってりした「フムス」(ひよこ豆のペースト)とそれにつけるピタパン…


グレイ提督「エメラルド、そのメロンをもう少しいただけます?」

エメラルド「はい」

提督「ライモン、このケバブみたいな料理なかなか美味しいわよ……取ってあげましょうか?」ちょっと脂っこいが香辛料が効いていて、なかなか美味な肉料理…

ライモン「そうですね、お願いします」

ヴァイス提督「……どうにも甘いな」

ティルピッツ「ヤー…別に甘いものは嫌いじゃないけれど、これは甘すぎる……」綺麗な銅のカップに注がれたシロップのように甘く、しかもヴェスヴィアスの火口のように熱いアラビアコーヒーを相手に微妙な顔をしている…

ライモン「確かに、とても甘いですね」

提督「…まるで恋人どうしみたいよね、ライモン?」

ライモン「も、もう…///」

ガリバルディ「確かに、お熱いところもそっくりね♪」

提督「ふふっ…♪」

マエストラーレ「…ほら、そんなに食べると輸送船みたいになっちゃうわよ?」

リベッチオ「大丈夫だよ、お姉ちゃん……この後ちゃんと「運動」するもんっ♪」

マエストラーレ「…もう、すぐそうやって減らず口を叩くんだからっ///」

オリアーニ「まぁまぁ、確かに帰りの航海だってあるんだし……マエストラーレ、そう言わないであげたら?」

マエストラーレ「えっ? あ、あぁ…そうね」

リベッチオ「くすくす……お姉ちゃんってば、いったいどんな「運動」を想像してたの?」

マエストラーレ「余計なお世話よ…いいから黙って食べてなさい///」

リベッチオ「はぁーい♪」




655 ◆b0M46H9tf98h2020/07/14(火) 17:15:42.23pLuIMkXr0 (1/1)

…今日はパリ祭(フランス革命記念日)ですね……世の中はコロナに大雨、イナゴの害と、まるで黙示録みたいになってきていますが、いい加減に終息してほしいものです


……それと強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」の火災がニュースになっていましたね……実情を知らずに言うのはよろしくないですが、ちょっと最近の米軍はたるんでいる感じがします…


656 ◆b0M46H9tf98h2020/07/16(木) 01:40:55.61rRTd9fHX0 (1/1)

…0900時…

提督「それじゃあ今日は物資の積み卸しと、各艦の損傷箇所の修理が終わるまで自由行動とします…」

一同「「わー♪」」

提督「……といっても、国連の職員さんに引率してもらう形になるからほとんど団体行動なのは変わらないけれど、ね」

ガリバルディ「それでも陸(おか)はいいものよ……アラビアらしいエキゾチックで可愛い女の子がいるといいんだけど♪」

提督「あー…ガリバルディ、期待している所に水を差すようで悪いけれど……」

ガリバルディ「何かしら?」

提督「ここはイスラムの国でそういうことに関してはなにかとデリケートだから、地元の女の子に声をかけたり誘ったりするのはダメよ……いいわね?」

ガリバルディ「…」

提督「ガリバルディ、返事は?」

ガリバルディ「……オッベディスコ(従うわ)」

提督「よろしい」

ガリバルディ「提督…それじゃあ提督もそこらの素敵なお姉さんを口説いたりしちゃ駄目ってことね」

提督「…え?」

ガリバルディ「だってそうでしょう? 地元の女性に声をかけちゃいけないって言うのは、私も提督も同じよね?」

提督「えぇ、まぁ…」

ガリバルディ「……提督はそれを守れる自信があるの?」

提督「も、もちろん…私は提督としてみんなを指揮する立場ですもの、決まりがあるならそれを率先垂範するのがあるべき姿というものよ……」

ガリバルディ「ふぅん、そう…じゃあ地元のお姉さんに「良かったらお食事でもご一緒しませんか?」って声をかけられたら?」

提督「ええ、喜ん……いえ、もちろん丁重にお断りするわ」

リベッチオ「この調子じゃダメそうだねぇ♪」

カルドゥッチ「ふぅ…こうなったら提督が蝶のように綺麗な花を求めてふらふら飛んでいってしまわないよう、誰か付いていてあげたほうがいいね」

オリアーニ「まったくね」

バンデ・ネーレ「…と、なるとライモンド……君しかいないよね」

ライモン「えっ?」

提督「ふふっ、ライモンと一緒に街歩きなんて素敵ね……よかったらご一緒してもらえるかしら?」

ライモン「は、はい…っ///」

ガリバルディ「あーあ、二人ともお熱くって結構ね……ところでカルドゥッチ、良かったら私と…どう?」

カルドゥッチ「……まさか、あの偉大なガリバルディが昨夜だけでなく今日も私を選んでくれるとは…も、もちろんご一緒させてもらうよ///」

リベッチオ「お姉ちゃん、一緒に回ろう?」

マエストラーレ「ええ、そうさせてもらうわ…グレカーレ、貴女はどうする?」

グレカーレ「うん、私もお姉ちゃんたちと一緒に行くね」

マエストラーレ「そう?」

…同じ1964年の除籍でライモンと親しいグレカーレだが、ライモンの「恋人」である提督に気兼ねして一緒に行きたいのを我慢しているのではないか……そう思って気づかったマエストラーレ…

シロッコ「…大丈夫。きっと優しい提督のことだから、途中で代わってくれると思うわ」

グレカーレ「ありがとう、シロッコ///」

シロッコ「ふふ…お礼なんていらないわ。単に「歴史の立会人」である私の勘がそう告げているだけよ…♪」

提督「……ええ、私もライモンをひとりじめなんてしないから安心して?」

グレカーレ「///」

ライモン「良かったら後で一緒に市場(スーク)でも回りましょうね、グレカーレ」

グレカーレ「…うん♪」


657 ◆b0M46H9tf98h2020/07/21(火) 02:43:07.47GEpALtCZ0 (1/1)

…1000時・トリポリ市街…

提督「…ライモン、貴女にはこれなんて似合うんじゃないかしら」

ライモン「どれですか?」

提督「ほら、これ……アラビア風のスカーフだけれど、色味もシックでライモンの綺麗な髪にぴったりだと思うの」

ライモン「そ、そうでしょうか…///」

提督「ええ…せっかくの機会だし、お店の人に頼んで試させてもらったら?」

ライモン「分かりました、提督がそうおっしゃるのでしたら…」

提督「それじゃあ私が尋ねてみるわ……すみません♪」

………

シロッコ「…それにしても戦中のイメージでいたから驚いたわ」

マエストラーレ「街の様子?」

シロッコ「うん……トリポリと言えばいかにもキレナイカの植民地らしい別荘に柑橘を植えた果樹園、それから港って言う感じだったから…高い建物なんてなかったし」

グレカーレ「確かにそうかも…でもこの熱い風やほこりっぽい感じは変わらないね」

シロッコ「ふふ、私の風だもの」(※シロッコ…砂漠の熱い季節風)

マエストラーレ「そういえばそうよね……ところでせっかくトリポリに来たんだから、お土産にアクセサリーでも買わない?」そう言ってこまごました細工物を売っている工房をのぞき込んだ…

リベッチオ「それいいかも…どれにしよっか、お姉ちゃん♪」

………

レジオナーリオ「…しかしかつてのカルタゴの都市がここまで大きくなるとは……」

コラッツィエーレ「ローマ軍団の兵士としてはびっくりでしょうね」(※レジオナーリオ…ローマ軍団兵)

レジオナーリオ「むむむ……こんなに新鮮なイチジクが…」

(※大カトーの演説「このように新鮮なイチジクが持ってこられるほどの距離にカルタゴ(というローマにとっての脅威)がある…ゆえにカルタゴは滅びねばならない」)

コラッツィエーレ「…ねぇレジオナーリオ、どうせだからうちの姉妹たちに何か買っていってあげましょうよ」

レジオナーリオ「うん、そうだな……」

コラッツィエーレ「私たちのクラスは数が多いし、お財布ともよく相談しないとね?」

レジオナーリオ「…チェザーレには何をあげれば喜ぶだろうか…いつも髪を気にしているからスカーフがいいか……」

コラッツィエーレ「ちょっと!」

レジオナーリオ「ん、あぁ……どうした?」

コラッツィエーレ「あのね…貴女がチェザーレのことが大好きなのは知っているけど、自分の姉妹に買っていってあげるプレゼントなんだから、ちゃんと選ぶのを手伝って?」

レジオナーリオ「悪かったよ、済まない……」

コラッツィエーレ「ふぅ……分かったわ、まずはあの女たらしに買っていってあげる物を選びましょう?」

レジオナーリオ「あぁ…ありがとう、コラッツィエーレ!」

コラッツィエーレ「ノン・ファ・ニエンテ(いいのよ)…そんなにお礼を言うことなんてないわ、照れるじゃない///」

………

ガリバルディ「…それで、貴女はどこから来たの?」

観光客の女性「私はフランスからよ」

ガリバルディ「そう…フランスには美人が多いって言うけれど、あながち嘘じゃないみたいね……それとも貴女が特別なのかしら♪」

…喫茶店で小さなカップに入ったコーヒーをちびちびとすすりつつ、相手のほっそりした手に自分の手を重ねた……そして映画のようなキザなセリフでも、情熱的なガリバルディの手にかかるとどんな相手をも骨抜きにしてしまう必殺の口説き文句になってしまう…

女性「///」

ガリバルディ「ふふふ…♪」

………




658 ◆b0M46H9tf98h2020/07/26(日) 01:26:49.68PR4JtXeu0 (1/1)

…昼下がり…

提督「ふー、こうやって街をそぞろ歩きするのもなかなか楽しいわよね」道端のカフェで甘いコーヒーをすすりながらライモンに向けてにっこりした

ライモン「はい…特に提督と一緒ですからなおの事……///」

提督「あら、そう言ってもらえて嬉しいわ♪」

ライモン「///」

提督「ふふふっ……そういえば何人か姿が見えないわね?」

ライモン「え…あぁ、そう言われてみれば確かに……」

提督「まぁ時間になったらホテルまで戻ってくればいいし「艦娘」だからよっぽどの事がない限り大丈夫でしょうけれど…」

ライモン「そうですね」

提督「えぇと、いないのはデジエとアクスムに……ガリバルディとカルドゥッチもそうみたいね」

ライモン「…きっとガリバルディのことですから、カルドゥッチをどこかに連れ込んでいるに違いありませんね」

提督「ライモンも午後はグレカーレと一緒に楽しんでいらっしゃい♪」

ライモン「…はい///」

………

…夕方…

提督「さてと、みんな充分に羽を伸ばせたかしら?」

ライモン「はい」

デジエ「もちろん…ね、アクスム♪」

アクスム「うん♪」

ガリバルディ「ええ、楽しかったわ…♪」艶のある色っぽい表情を浮かべ、カルドゥッチに向けて意味深な笑みを向ける…

カルドゥッチ「///」

提督「結構。何しろ帰りもあるのだから、充分に鋭気を養っておかないと…ね♪」

マエストラーレ「鋭気を養うどころか、かえってくたびれたわ…」

シロッコ「ふふふ……♪」

リベッチオ「くすくすっ…お姉ちゃんってばだらしないねぇ♪」

マエストラーレ「誰のせいだと思っているのよ、まったく…グレカーレ、貴女はライモンドと有意義に過ごせた?」

グレカーレ「おかげさまで…ありがとう、お姉ちゃん」

マエストラーレ「いいのよ、貴女が幸せなら私も嬉しいわ……どこかの盛りが付いた妹たちはさておき」

リベッチオ「そうそう♪」

マエストラーレ「…」

グレカーレ「くすっ…♪」

提督「仲がいいようで何よりね……ディアナ、貴女はどうだった?」

ディアナ「よしなに…わたくしもスークを巡ったりして充分に楽しませていただきました」

提督「良かったわ…何しろ貴女がこの作戦で一番の立役者だもの」

ディアナ「ふふ、それは褒めすぎというものでございます」

提督「謙遜することはないわ……鎮守府に戻ったら今回の作戦手当で何を買うかとか、考える楽しみができるわね♪」

ディアナ「ええ…♪」


659 ◆b0M46H9tf98h2020/07/28(火) 10:46:46.76owupA7270 (1/1)

…翌朝・0800時…

国連職員「……今回は支援物資を迅速に輸送していただき、本当に助かりました。リビア政府からも感謝するとのことです」


…埠頭に整列した提督たちに対し、見送りに来た青いベレーの国連職員やリビア海軍の士官、政府のお偉方がそれぞれ感謝のメッセージを伝える……埠頭には「さぁっ…」と陸軟風が吹き、潮も引き始めて海に出るにはちょうどいい具合になりつつある…


提督「いえ、任務ですから……それに、この作戦がなければ貴女にも出会えなかったでしょうし…ね♪」握手を交わす瞬間を見計らって、そっとささやいた…

国連職員「そ、それは…///」

ライモン「……こほん!」

提督「まぁ、その…とにかく無事に物資が届けられて良かったです。我々はこれよりタラントに帰投します」

国連職員「はい……どうか無事な航海を」

提督「ふふ、ありがとうございます」

………



提督「両舷前進微速!」

ガリバルディ「了解」

提督「…針路そのまま、港外に出たら単横陣を組みます」

ガリバルディ「了解……で、どうだったの?」

提督「何が?」

ガリバルディ「ふふっ、しらばっくれても無駄よ…あの国連のお嬢さん、提督の事を見て頬を紅くしていたじゃない」

提督「ノーコメント」

ガリバルディ「知らないわよ……そうやってつまみ食いばっかりしていると、いつかライモンドに刺されるから…♪」

提督「ライモンはそんなことしませんー…それに、ライモンとは特別だもの♪」

ガリバルディ「まったくお熱いことで……」

提督「そんなことを言ったらガリバルディこそ……あの短い時間で一体どのくらいのお姉さんを口説いたの?」

ガリバルディ「ご想像にお任せするわ♪」

提督「ふふっ♪」

ガリバルディ「ふふふふっ…♪」



デジエ「…ようやく二人きりになれたわ……ね、アクスム♪」

アクスム「うん、そうね…デジエ♪」


…全速の水上航行でも14ノットそこそこと、戦隊の速度には到底ついて行けない潜水艦「デジエ」と「アクスム」は別行動で、静かな海面を二隻だけで滑るように進んでいく…髪にはトリポリで買ったお揃いの金のアクセサリーがついている…


デジエ「提督たちも好きだケレど、やっぱりアクスムと二人きりの方がいいの…」

アクスム「私も…///」

………





660 ◆b0M46H9tf98h2020/07/29(水) 02:29:17.11pQTuNQ5O0 (1/1)

グレイ提督「……紅茶を淹れてもらえるかしら、エメラルド?」

エメラルド「分かりました…葉はどれにしますか」

グレイ提督「そうですわね……トワイニングのアールグレイがありますから、それを頂きましょう」

エメラルド「アイ・アイ・マイ・レディ」

グレイ提督「…それにしても往路の激しい空襲が嘘のようですわね……」いくら双眼鏡で探っても晴れ渡った空には機影一つ見えず、穏やかな地中海の波間に、はかなげでありながら恐ろしい白い雷跡が伸びる…と言うこともない…



ヴァイス提督「…ティルピッツ、引き続き右舷側の見張りを厳にせよ……それと、ゼータクト(レーダー)はどうか?」

ティルピッツ「ヤヴォール(了解)…ゼータクトは水上、空中ともに感なし」

ヴァイス提督「よろしい、ならコーヒーを持ってきてくれ…ティルピッツも一杯付き合わないか?」

ティルピッツ「ダンケシェーン、司令…いただきます」

ヴァイス提督「うむ……しかし今回の「知識交換プログラム」が完了した暁には、ビスマルクとティルピッツにも何か褒美をやらないとな…///」ティルピッツが艦橋から出て行くと、一人頬を赤らめてつぶやいた…



ガリバルディ「コーヒーを持ってきたわよ、提督……良かったらどう?」

提督「あら、ありがとう…ちょうど一杯欲しかったところよ♪」

ガリバルディ「潮風を浴びていると喉が渇くものね…」

提督「ええ……んぅ、美味しい♪」

ガリバルディ「それは良かったわね……鎮守府まではあと一日ってところだし、友軍の哨戒線までは数時間…そのあたりまでたどり着けば制空権もあるから、少しは頭の上を気にしなくて済みそうね」

提督「そうね…」ほうろう引きのマグカップを両手で包むようにして持ち、ミルク入りのコーヒーをすする…

ガリバルディ「……戻ったらうんとライモンドを抱いてあげなさいよ?」

提督「ええ、言われなくても…♪」

ガリバルディ「ふふ、余計なお世話だったかしら……」

………



…1335時・鎮守府…

デルフィーノ「…本当ですか、良かったです……」

サイント・ボン「間違いないとも、デルフィーノ君……たった今「プレイアディ船団護衛戦隊司令より鎮守府…ディアナおよび直接・間接護衛戦隊は友軍哨戒線の範囲内に入れり……上空援護のCR42戦闘機およびカントZ506水偵と合流」と電文が届いた…まずはこれで一安心だ」

デルフィーノ「ええ……やっと安心しましたよ…ぅ」

ガラテア「ふふ…デルフィーノ、貴女は本当に提督がたの事を心配しておりましたものね」息をのむような美しさのガラテアが優しく微笑む…

デルフィーノ「はい…///」

アルゴ「それにしても提督は勇敢だし…帰ってきたら私の上に乗せてあげなくちゃ♪」

…金羊毛を取りに行くギリシャ神話の冒険譚「アルゴー号の物語」からつけられた「アルゴ」は金羊毛を肩に羽織り、ユーノー(ヘーラー)から授けられた「予言の柏の枝」をかんざしのように差している…

アルゴナウタ「そのときは私も乗せてよね?」イタリア語で「イカの一種」とされるが、むしろギリシャ中の英雄豪傑が集まったアルゴーの乗員から「勇敢な者」を意味するアルゴナウタ……

アルゴ「ふふ…私なら「勇敢であること」さえ証明できれば何人来てくれたって構わないけど♪」

リボティ「くすくすっ……もしそうなったらデルフィーノなんて可愛いから大変なことになっちゃうわ♪」

デルフィーノ「えっ、まさか皆で私のことを……///」両の頬に手を当てて恥ずかしげな…それでいて嬉しそうな表情を浮かべるデルフィーノ……

トリケーコ「まぁ…とにかく良かったじゃない、デルフィーノ。提督が戻ってくるわよ」

デルフィーノ「はい…って、こうしてはいられません。さっそくお出迎えの準備をしないとですね♪」イルカの背のような濃灰色の髪をなびかせ、跳ねるような足取りで作戦室から出て行く…

トリケーコ「ああいうところがたまらないのよね…♪」デルフィーノとは姉妹艦にあたるトリケーコ(セイウチ)が、後ろ姿を見送ってからにんまりと笑みをうかべた……

………






661 ◆b0M46H9tf98h2020/08/02(日) 02:32:26.16BhYQcwcK0 (1/1)

…翌日・1020時…

アッチアイーオ「ぜんたぁーい、整列っ!」

デルフィーノ「海軍旗、捧げぇ!」


…イタリア海軍歌「ラ・リティラータ」(La Ritirata)のレコードがかけられ、カヴール、デュイリオ、ローマ、ヴェネトがそれぞれイタリア海軍旗、NATO旗、ホワイト・エンサイン(英海軍旗)、ドイツ連邦海軍旗を捧げ持つ中、戦隊はしずしずと沖合に艦を停泊させた……波に叩かれた喫水線の辺りや錨鎖でこすれた部分は塗装が剥がれて早くも赤錆が浮いているが、艦上はよく整えられ、淡灰色と濃い灰色の迷彩も凛とした美しさを際立たせている……そしてそれぞれの艦尾に掲げられたイタリア海軍旗の「トリコローリ」(三色旗)やエメラルドの「ホワイト・エンサイン」(英海軍旗)、ティルピッツの「ブンデスマリーネ」(連邦海軍)旗が白、黒、灰色ばかりの船体に鮮やかな色あいを添えている…


提督「…」

グレイ提督「…」

ヴァイス提督「…」

…鎮守府のモーターランチから降りて波止場に立って、鎮守府の艦娘たちに答礼する提督たち……晩秋の穏やかな日差しが明るく鎮守府を照らし、濃紺の制服に金モールと略綬がキラキラと映え、ディアナたち出撃組の艦娘たちもそれぞれの「艤装」をまとってきっちり整列している…

提督「秋期リビア方面輸送作戦むけ船団「プレイアディ」…ただいま帰投しました!」

アッチアイーオ「船団の帰投と任務の成功に、鎮守府一同よりお祝いを申し上げます!」代表として大きなカサブランカ(白百合)の花束を渡した…

提督「よろしい……休め」一斉に直立不動を解くと、態度こそ崩さずにいるものの笑顔を向けてくれる艦娘たち…

デルフィーノ「お帰りなさいっ、提督っ…♪」

提督「ええ……ただいま、みんな♪」堅苦しい式典向けの態度を崩すとパチリとウィンクを投げ、それからにっこりと微笑んだ……途端にきゃあきゃあと嬌声が響き渡り、一斉に抱きついてきたりキスしてきたりする艦娘たち……と、ちぎれそうなほど尻尾を振って提督の足元に駆け寄ってきたルチア…

カミチア・ネラ(ソルダティ級駆逐艦「黒シャツ隊員」)「ヴィンチェレ!(勝利!)、ヴィンチェレ!ヴィンチェレ!」

ルビノ(中型潜シレーナ級「ルビー」)「提督っ、おめでとう! んんーっ、ちゅぅっ…ぷはぁ♪」

アミラーリオ・カラッチォーロ(大型潜カーニ級)「作戦は大成功でしたな、提督……♪」

ルイージ・トレーリ(大型潜マルコーニ級)「おめでとうございます、提督♪」

ルチア「ワンワンッ!」

提督「ありがとう、みんな…これもみんなの努力があったからよ……ん、ちゅぅっ♪」花束を片手に抱いたまま次々と左右の頬……と、それに劣らずたくさん唇へのキスを受ける提督…きっちりかぶっていた軍帽はすっかりずれてしまい、頬のあちこちにルージュの跡がついている…

ペルラ(中型潜ペルラ級「真珠」)「提督にますますの健康と富、長寿がありますよう…ちゅっ♪」パールピンクとパールホワイトの交じったような艶やかな髪からは甘いいい匂いがして、透き通るような白い肌をした顔が左頬に近づいた…

トゥルケーゼ(ペルラ級「トルコ石」)「私からは繁栄と成功を! んちゅっ♪」トルコ石のような水色を帯びた髪に艶やかな水色の瞳がせまり、右頬に熱い唇が触れた…

提督「んっ…嬉しいわ、二人とも♪」

グラニト(アッチアイーオ級「花崗岩・御影石」)「…提督の功績は、私の心に彫り込まれました……ちゅっ♪」

提督「ふふふっ、ありがとう…♪」

クィーン・エリザベス「…見事でございます、エメラルド……そして提督、お帰りなさいませ」

グレイ提督「ふふ…お気遣いありがとう、エリザベス」

エメラルド「お褒めいただき光栄です」

ビスマルク「…提督、よく戻られた! 我が妹はよく戦ったか?」

ヴァイス提督「ヤー。おかげで私は無事で、作戦に寄与することも出来た」

ビスマルク「そうか……よくやったぞ、ティルピッツ! それでこそ「フォン・ティルピッツ提督」の名を受け継ぐ者だ!」

ティルピッツ「ダンケシェーン、姉上…そのように言われると気恥ずかしいですね///」

ビスマルク「何を恥ずかしがることがあるか、貴様の功績なのだぞ!」

ティルピッツ「///」

デルフィーノ「……そういうわけで、デジエとアクスムが戻ってくる明日以降にお祝いのパーティをします♪」

提督「ええ♪」

アッチアイーオ「今のうちに食べたいものがあったら言ってちょうだいね」

提督「了解♪」

ポーラ「美味しいお酒も用意してありますからねぇ~♪」

提督「ふふっ、楽しみにしているわ…♪」

………




662 ◆b0M46H9tf98h2020/08/06(木) 02:01:06.15+mdwVyZM0 (1/1)

…1400時…

グリエルモ・マルコーニ「ただいま、提督……グリエルモ・マルコーニ、帰投したよ」

提督「お帰りなさい…貴女が鎮守府からの通信を中継してくれたおかげで、交信がやりやすかったわ」

マルコーニ「…それはよかった……」そう言いながらさりげなく指先で「ツー・ツー・トン…」とリズミカルにふとももを叩いている…

提督「……ふふ「グラツィエ」…ね♪」

アントニオ・シエスタ「……アントニオ・シエスタ、ただいま帰投しました…ぁ」

提督「お疲れ様、シエスタ……ずいぶん眠そうね?」

シエスタ「はい…実は哨戒中に余裕があったら仮眠を取るつもりでいたのですが、そのたびに機影を見かけたり通信が入ったりで……」目の下に青黒いくまを作り、立ったまま船を漕ぎそうになっている…

提督「あらあら…それじゃあしばらく寝ていらっしゃい♪」

シエスタ「……では、お言葉に甘えて…ふわぁ……ぁ」

提督「マルコーニ、貴女は?」

マルコーニ「私はまだまだ元気だから…部屋に戻ったらハム(アマチュア無線家)の仲間と少し交信でもしようかと思っているよ……」

提督「そう…それじゃあまた後で♪」

マルコーニ「ああ…」

…1530時…

リットリオ「…リットリオ以下「スコルピオーネ」戦隊、ただいま帰投しました!」

提督「お帰りなさい、リットリオ……それにみんなも♪」

トレント「はい、こうして無事に帰投できました…」

トリエステ「…私たち、ちゃんとお役に立てたでしょうか?」

提督「ええ♪」

フォルゴーレ(フォルゴーレ級駆逐艦「稲妻」)「私たちも頑張ったわよ」

提督「ふふ、分かっているわ」

フルミーネ(フォルゴーレ級「電光・電撃」)「そ、まるで電光石火のように…ね」

ランポ(フォルゴーレ級「雷」)「私たちのこと、褒めてくれる?」

バレーノ(フォルゴーレ級「閃光」)「ね、提督?」

提督「もちろん……みんなお疲れ様♪」ちゅっ…♪

フルミーネ「ありがと、提督♪」

トレント「て…提督は私みたいな重巡のなり損ねにも優しくして下さって……少し恥ずかしいです///」

提督「もう、そういうこと言わない…トレントもトリエステも、私にとってはかけがえのない大事な一人よ」

トリエステ「///」

提督「…さぁさぁ、おしゃべりはそのくらいにして……お風呂で汗を流していらっしゃい」

リットリオ「はい……ふふふっ、それが済んだら数日ぶりにヴェネトたちと一緒に「仲良く」したいですね♪」

提督「…リットリオ」

リットリオ「はい、何でしょう?」

提督「……翌日に差し支えない程度にしてあげてね?」

リットリオ「はぁい、了解です♪」

アッチアイーオ「……あれは絶対分かってないわ」

提督「ふふふっ…そうね♪」




663 ◆b0M46H9tf98h2020/08/07(金) 00:31:57.71BJPKbci00 (1/1)

…1730時…

デジエ「…デジエ、帰投しました」

アクスム「同じくアクスム、帰投しました」

提督「二人ともお帰りなさい、無事で良かったわ…って、アクスムったら体中まっ黒けじゃない……一体どうしたの?」

…カーキ色の熱帯用シャツを着ているアクスムだが、そのシャツの胸元から左右の腕、頬からお腹からお構いなしにべったりと黒く汚れている…

アクスム「あー、これですか。実は帰投中にディーゼル主機の滑油パイプから油が漏れて…どうにか閉めたのですが、こんなになってしまいまシタ……」

提督「なるほどね…それじゃあ戦闘日誌の提出は後でいいから、服を洗濯機にかけてお風呂に入ってきなさい……命令よ♪」

アクスム「了解…デジエ、一緒に入りましょう?」

デジエ「ええ…♪」お互いに指を絡めた「恋人つなぎ」で大浴場に向かって歩いて行った…

………



…翌日…

提督「おー、よしよし……ルチアはいい子ねぇ…そーれっ♪」

ルチア「ワンッ♪」


…作戦のあいだ着ていたずっしりと重い制服からごくあっさりしたタートルネックセーターとスカートに着替え、大喜びで庭をはしゃぎ回っているルチア相手におもちゃを投げたり、抱きしめてあちこち撫で回したりしている提督……元気な駆逐艦や中型潜の数人も一緒になって駆け回り、カヴールたちはそれを食堂から眺めている…


カヴール「…ふふふ、提督ったらさっきからずっとあんな具合で……なんとも微笑ましいですね♪」

チェザーレ「まぁ、提督の気持ちは分からぬでもない……作戦は成功、援護部隊の「スコルピオーネ」戦隊もリットリオを始め何事もなく帰投し、哨戒にあたっていたマルコーニたちから、デジエとアクスムまで残らず無事とあれば浮かれた気分にもなる」

ドリア「ええ…それにしても、ああして無邪気にルチアとたわむれている提督を見ていると……」

チェザーレ「提督を見ると…なんだ?」

ドリア「……とても可愛くて、もう食べてしまいたいですね♪」おっとりした笑みを浮かべつつも、庭でルチアに振り回されている提督を見る目はとろりと妖しげな色を帯び、小さく舌なめずりをした……

カヴール「まぁまぁ…アンドレアったら本当に美食家なんですから♪」ころころと笑いながらも、やはり提督を見る目は色欲を帯びて爛々と輝いている…

チェザーレ「ふっ、やれやれ…どうやら二人ともまだまだ枯れてはいないようであるな」

カヴール「あら……ジュリオ、そういう貴女だって提督と一戦交えたいでしょう?」

チェザーレ「無論だ…あの優しい性格に甘い声、ふっくらした柔肌……口説きたくもなるというものだ」

カヴール「ふふっ…♪」

ドリア「うふふ…っ♪」

チェザーレ「ははははっ…♪」

サウロ「……カヴールたちは何の話をしているんでしょうね、とっても楽しそうです」

提督「そうね……ほぉら、もう一回投げてあげますからねぇ♪」

ルチア「ワフッ…♪」

フレッチア「私だって負けないわよ!」

提督「ふふふっ…もう、フレッチアったらルチアに張り合ってどうするのよ♪」

ライモン「…駆逐艦の娘はみんな元気一杯ですから」

提督「あら、ライモン……厨房でお昼の手伝いをしに行くんじゃなかったの?」

ライモン「ええ、それが「作戦成功お祝いパーティの準備を始めるからのぞいちゃダメですっ!」…とエリトレアに追い出されまして」

提督「なるほど…」

ライモン「コーヒーはもらえたので、しばらくこちらにいることにします」

提督「ええ、歓迎するわ……まぁ、偉い偉い♪」駆け込んでくるルチアを抱きとめ、そのまま一緒に芝生の上に転がった……チェックの暖色のスカートがめくれ上がり、黒いストッキングと対照的な白いふとももがあらわになる…

ライモン「…っ///」

………




664 ◆b0M46H9tf98h2020/08/14(金) 02:16:11.19E62L7rk/0 (1/1)

…昼・食堂…

提督「…それじゃあ、そろそろ入りましょうか?」鎮守府の内輪のお祝いと言うことで、紺の正装ではなくすっきりした白いドレススタイルの提督…唇には艶のあるパールピンクのルージュを引き、胸元には控え目な銀のネックレスをつけている…

ライモン「はい」ライモンは淡いグレイの袖なしドレススタイルで、髪はリボンでまとめたオードリー・ヘップバーン風のアップにしている…

提督「手も繋ぐ?」

ライモン「ええ、提督がよろしければ…///」

提督「もちろん♪」

ガリバルディ「それじゃあ私たちも繋ぎましょうか…左手を貸してもらえるかしら、ジョヴァンニ?」メリハリの効いた身体に張り付くような真紅のドレスがなんとも艶やかなガリバルディ…

バンデ・ネーレ「はい」こちらはラメの入った黒一色のドレスと、首元を飾る金の小さな十字架がおしゃれなバンデ・ネーレ…

提督「ふふっ…それじゃあ、いざ♪」

一同「「わーっ!」」

提督「……まぁ、すごいわね♪」


…食堂のドアを開けてもらった途端に大歓声で迎えられた提督たち……普段は落ち着いた雰囲気の食堂は紙の花飾りや紅・白・緑のリボンでにぎにぎしく飾り立ててあり、演説台の後ろには「祝!作戦成功!」の垂れ幕が下がっている……厨房からはエリトリアたち十数人がおおわらわで作ったごちそうの香りが漂い、長テーブルにはレースのテーブルクロスが敷かれている。テーブルの中央には重巡「ポーラ」が吟味したスプマンテの大瓶がアイスバケットで冷やされて並んでいて、所々に花が活けてある…


アオスタ「みんな、静粛に……それでは最初に作戦の成功と艦隊の帰投を祝って乾杯したいと思います…提督、お願いします」なにかと委員長気質で司会役や進行係の好きな軽巡アオスタがマイクを取り上げ、提督に挨拶と乾杯の音頭を取るよう促した…

提督「ええ…あー、まずは何より誰も怪我をせず「プレイアディ」船団が帰投できたこと、そして無事に秋期作戦を成功させられたことを嬉しく思います……これもひとえに皆の活躍、特に物資輸送を担ったディアナ…」

ディアナ「よしなに」

提督「そして直衛のマエストラーレ級に、間接援護のガリバルディを始め護衛艦艇のみんな…」

マエストラーレ「あのくらい何てことないわ」

ガリバルディ「そう言ってくれて嬉しいわよ、提督♪」

提督「それから「スコルピオーネ」戦隊としていざというときの援護役を担ってくれたリットリオたち……」

リットリオ「グラツィエ♪」

提督「…そしてマルコーニを始め通信の中継と哨戒にあたってくれた潜水艦と、鎮守府を守っていてくれたみんな……そして随行して下さったグレイ提督とヴァイス提督…その全員に感謝しています」

グレイ提督「ふふ…お気になさらず」

提督「……それでは、作戦の成功を祝って乾杯したいと思います…乾杯!」

一同「「乾杯!」」

提督「…んくっ、んっ……」爽やかな味をした白のスプマンテ「アスティ」がしゅーっと泡を立てて喉をくだる…

提督「……ふぅ、とっても美味しい♪」

ポーラ「えへへぇ…何しろこう言うときのために買っておいたボトルですからぁ~♪」

提督「…嬉しいわ、ポーラ……値段は考えないことにするわね」

エリトレア「さぁさぁ提督、お料理がやって来ましたよ…好きなだけ取って下さいねっ♪」大きな盆を抱えてやって来たエリトレア…

提督「グラツィエ、エリトレア……さて、最初は何かしら…と♪」


…アンティパスト(前菜)として大皿に盛られてきたのは牛肉をハーブで巻いて楊枝に刺し軽く炙った「サルティン・ボッカ」(肉のロール巻き)と、玉ねぎの黒オリーヴのマリネ……バターとセージの香りも食欲をそそるサルティン・ボッカとさっぱりしたマリネをつまみつつ、上等なアスティを傾ける…


ライモン「とても美味しいですね♪」

エウジェニオ「そうね……みんな美味しそう…♪」

ライモン「…エウジェニオ?」

エウジェニオ「ふふふ、何でもないわ♪」




665 ◆b0M46H9tf98h2020/08/15(土) 11:02:00.53b3OPF9F10 (1/1)

提督「…それにしてもよくこれだけのごちそうを作ったものね」

エリトレア「だって、せっかくのお祝いですから♪」

ガッビアーノ(ガッビアーノ級コルヴェット「カモメ」)「…私も手伝ったんだよ、提督」

チコーニャ(ガッビアーノ級「コウノトリ」)「お姉ちゃんはつまみ食いばっかりだったよね?」

ガッビアーノ「はて、そうだったかな…?」

提督「ふふふ、ガッビアーノは相変わらずみたいね♪」

ドリア「いつも通りにテーブルを囲んでごちそうをいただく…いいことですね」

提督「そうね……ドリア、もう一杯いかが?」

ドリア「そうですね、頂戴します」

アブルッツィ「さぁさぁ、次の料理がやって来たわよ! テーブルを空けて!」

提督「あら、アブルッツィ…お次は何かしら?」

アブルッツィ「ふふん、よくぞ尋ねてくれました…この時期だからキノコたっぷりのパスタにさせてもらったわ」

提督「なるほどね……あら、いい香り♪」

…保温容器に山と盛られたパスタはあちこちに様々なキノコがちりばめられ、上からパラリと緑のパセリが撒いてある……立ちのぼる湯気からはバターのいい香りがする…

アブルッツィ「私とアオスタで作ったのよ…さ、どんどん召し上がれ!」

提督「それじゃあ遠慮なく……ん♪」


…アブルッツィお手製のキノコのパスタはスライスしたマッシュルームやポルチーニ茸(ヤマドリタケ)をたっぷりのバターでソテーし、そこにアンチョビを加えてよくなじませて、最後に茹で上がったフェデリーニを加えてさっと和えたものだった……見た目はアンチョビとマッシュルームから出た汁気のせいで地味な薄茶色をしているが、口に含むとアンチョビのほどよい塩味とキノコの滋味豊かな風味が絶妙で、いくらでも食べられそうな味をしている…


アブルッツィ「どう?」

提督「美味しい……アンチョビの臭みも全然ないし、とっても美味しいわ♪」

アブルッツィ「良かった…ほらジュゼッペ、貴女も食べて?」

ガリバルディ「ええ、姉さんの手作りだものね…ローマ、取ってあげましょうか?」

ローマ「はい、お願いします……美味しいですね、アブルッツィ」

アブルッツィ「そうでしょう、自分でもうまくいったと思ってたのよ!」

フランチェスコ・クリスピ(セラ級駆逐艦)「ガリバルディ、私にも少しもらえますか?」

ガリバルディ「もちろん…私と貴女の仲じゃない♪」親しげなウィンクを送るとたっぷりとパスタを取り分けた…

(※クリスピ…ガリバルディのイタリア統一運動に賛同して「千人隊」のシチリア攻略前に同島へ潜入、情報収集を行った民衆派の活動家)

エリトレア「んー、美味しい……って、いけないいけないっ!」急に席を立つとあたふたと厨房へ駆け込んでいった…

提督「…エリトレアったら、どうしたのかしら?」

エリトレア「ふぅぅ、せっかく買ったのに危うく忘れる所でした……提督、良かったらパスタに少しかけませんか?」

提督「何かしら…チーズ?」

エリトレア「いえいえ、これですよ……じゃーん♪」後ろ手に持って隠していたスライサーと、白トリュフを見せた…

提督「わ、白トリュフ…高かったでしょうに」

エリトレア「だってせっかくのパーティですし、提督たちが無事だった事のお祝いなんですから……皆さんもかけますよねっ?」

ドリア「ええ、ぜひお願いします♪」

ザラ「いいわね…♪」

ゴフレド・マメリ(中型潜マメリ級)「私にもぜひお願いします…!」

ガリバルディ「良かったら私がかけてあげるわよ♪」(※マメリ…ガリバルディと共闘した愛国詩人)

マメリ「こ、光栄です///」



666 ◆b0M46H9tf98h2020/08/16(日) 01:19:40.68wT72Y/Oh0 (1/2)

ポーラ「……提督ぅ、そろそろ次の一本を開けませんかぁ~?」

提督「そうねぇ、アスティも美味しかったけれどそろそろおしまいだし…せっかくだからもらおうかしら♪」

ポーラ「はぁい、了解で~す♪」厨房の方に立つと別のボトルを持って戻ってきた…

提督「それで、今度は何かしら?」

ポーラ「今お見せしますねぇ……じゃーん、これですよぅ~♪」

提督「なるほど…白の次は紅の「ランブルスコ」ね」

ポーラ「えへへぇ……ランブルスコの「アマービレ」(中甘口)です♪」

提督「いいわね…セッコ(辛口)だと少しきついし、かといって料理にドルチェ(甘口)は合わないものね」

ポーラ「そういうことですねぇ…♪」針金を外し、布巾でコルクを抑えつつ栓を抜いた…軽い「ポンッ!」という音と一緒にふっと白煙が上がる…

提督「ありがとう、ポーラ」

ポーラ「どういたしましてぇ~…姉様たちも一緒に飲みましょ~う♪」

ザラ「ええ、もらうわ」

フィウメ「ありがとう、ポーラ」

ゴリツィア「嬉しいです、ポーラお姉様」

ポーラ「…ほぉら、ボルツァーノもグラスを出して下さいっ♪」

ボルツァーノ「あ……どうもすみません、ポーラ」

ポーラ「もう…ボルツァーノは私たちの妹みたいなものなんですからぁ、他人行儀は無しですよ~♪」

ボルツァーノ「は、はい///」イタリアの重巡七隻のうち最後を飾る「ボルツァーノ」は単艦に終わり姉妹がいないが、ザラ級…特に「ポーラ」のデザインを基本形にして作られているため、ザラ級の四人からは妹のように可愛がられている…

提督「…メアリ、良かったらランブルスコも召し上がりませんか? 紅のスプマンテは結構珍しいと思いますけれど」

グレイ提督「そうですわね、では少し……なるほど、どちらかというと紅と言うより「いちご色」といった所でしょうか…綺麗な色合いですわ」

提督「味も美味しいですよ♪」

グレイ提督「そうですか、では……んくっ」

提督「いかがですか?」

グレイ提督「ええ…とてもフルーティですっきりしておりますわね」

提督「気に入っていただけたようで何よりです……シャルロッテもどうぞ♪」

ヴァイス提督「ダンケシェーン」

ローマ「……ところでそろそろ次の料理を持ってきますが…提督、まだ召し上がれますか?」

提督「ええ、大丈夫♪」

ローマ「それは何よりです」

バルトロメオ・コレオーニ(ジュッサーノ級軽巡)「ふふ、提督に限って食べ物と女の子を断るはずはないものね…♪」

提督「ふふふっ、まぁね…♪」

ジュッサーノ「そこは冗談にも否定するところでしょうに」

バンデ・ネーレ「まぁまぁ……それに向こうの暴食ぶりをみれば提督の「食べ過ぎ」なんて可愛いものさ♪」

ビスマルク「ティルピッツ、貴様のお祝いでもあるのだぞ……遠慮せずもっといっぱい食え!」ガツガツと料理を口に放り込みつつ、時々スプマンテをぐいぐいとあおる…

エメラルド「……まるで一週間も食事をしていなかったようですね♪」

エリザベス「まぁまぁ、ふふ…♪」

ビスマルク「んむ、むぐ…ごくんっ……美味いな、お代わりをもらおう!」

ヴァイス提督「…シャイス……あの意地汚い大食らいめ…///」

提督「まぁまぁ…きっとビスマルクもシャルロッテとティルピッツが無事で安心したんですよ♪」

ヴァイス提督「は、お気遣い痛み入ります……が、ビスマルクはいつもああなので…全く、あきれかえって物も言えない……///」

提督「ふふっ…食事が進むのは元気な証拠ですよ」

ガリバルディ「それにしてもあれはいささか元気すぎるけれど…ね♪」


667 ◆b0M46H9tf98h2020/08/16(日) 01:40:14.63wT72Y/Oh0 (2/2)

…とりあえず今日はここで止めますが、しばらくはこのまままったりとパーティやらいちゃいちゃやらを書いていく予定です…


……十五日は敗戦の日でもあったわけですから「不謹慎だ」と言われるかもしれませんが、当時悲惨な目に遭った人や艦(フネ)たちの分までここのssでは楽しく過ごしてもらいたいですし、それもあってごちそうの場面を書くことにしました……美味しい物を存分に食べられるのは本当にありがたいことです…

それとそのうち「海自のカレー」のように、世界中の軍人さんたちが自国のレシピ自慢を競い合うような時代が来るといいですね…もっとも、それで言うとイギリスは予選落ちしそうですが…




668 ◆b0M46H9tf98h2020/08/19(水) 03:05:11.634KQztkkv0 (1/1)

ヴィットリオ・ヴェネト「パスタはもう一種類ありますから、どうぞたくさん召し上がって下さいね♪」

提督「ええ……美味しそうね」

ヴェネト「はい、美味しいと思いますよ♪」

アッチアイーオ(温)「…それじゃあ私がよそってあげるわね、提督……///」

提督「あら、ありがとう♪」

アッチアイーオ「い、いいのよ///」

提督「ふふっ……♪」


…縁にアンズの柄が描かれたジノリの取り皿にたっぷりと盛られたのは、筒状のパスタ「リガトーニ」をボローニャ風の挽肉ソースであるボロネーゼに和えたもので、肉の食感を残した粗挽きの牛挽肉と玉ねぎをよく炒め、そこにトマトペーストをなじませ、赤ワインを加えて煮込んだ汁気たっぷりのソースがリガトーニによく絡み、上からかけたパルメジァーノ・レッジァーノ・チーズともよく合う…


提督「んんぅ…美味しい♪」

デルフィーノ「そうですねっ、美味しいです…えへへっ♪」少し恥ずかしそうに頬を染めているが、くりっとした瞳を提督に向けると、濃灰色のワンピース越しに張りのある滑らかなふとももをぴったりとくっつけた…

アッチアイーオ「そうね……でも、提督が一緒だからもっと美味しいわ///」

提督「…あらあら、そんなことを言われたらすぐにでもドルチェ(デザート)にしたくなっちゃうわね♪」いたずらっぽい微笑みを浮かべて、アッチアイーオにウィンクを投げた…

アッチアイーオ「も、もうっ…ばか///」

デュイリオ「まぁまぁ…♪」

コルサーロ(ソルダティ級駆逐艦「アラビア海賊」)「あーあ、なんともお熱いこって…スクアーロ、注いでくれ」アラビア風のターバンに白い長衣、つま先のとがったきらびやかな靴を履いて、宝石を散りばめた三日月刀(シャムシール)を腰から提げている…

スクアーロ(中型潜スクアーロ級「サメ」)「いいとも……可愛い妹のデルフィーノも提督の横でご満悦のようだし、こっちはこっちで楽しむとしよう…♪」海のギャングだけに白い犬歯をきらりと光らせ、にやりと恐ろしげな笑みを浮かべる…

ムレーナ(中型潜フルット級「ウツボ」)「ふふ、それがいいだろうな……スパリーデ、何をそうおどおどしているんだ…?」優雅なフルットの妹だけあって、同じ「ギャング」でも粋なマフィアのような茶色のスーツとチョッキ、ネクタイのスリーピース姿で、上品かつすごみのあるムレーナ…

スパリーデ(フルット級「鯛」)「いえ、だってムレーナたちが……その…」肉食のスクアーロとムレーナに挟まれ、小さくなっているスパリーデ…銀色がかった桃色(鯛色?)の髪は綺麗にとかしてあり、ふわりとしたドレスもどことなく気品がある……

コルサーロ「つまりおっかないってことさ…だろ♪」

スパリーデ「いえ、そんなことは……///」

ムレーナ「大丈夫だ、スパリーデ…私がお前になにかすると思うか? 私とお前はソレッラ(姉妹)じゃないか」(※sorella…姉妹)

スパリーデ「そ、そうですよね…まさか自分の姉妹にそんなことをするはずがないですよね……」

ムレーナ「もちろんだ。安心するといい……しかしそれにしても、姉妹って言うのは可愛いものだ…そう、食べてしまいたいくらいに…な♪」さりげなく腰に手を回して、口の端ににんまりと笑みを浮かべた…

スパリーデ「ひっ……!」

ナルヴァーロ(スクアーロ級「イッカク」)「ムレーナ、そんなにスパリーデをおどかしてはだめですよ…自分の妹じゃありませんか」アイボリーホワイトのドレスに、イッカクの角を模した銀の飾りを額につけているナルヴァーロ…

ムレーナ「なに、ちょっとした冗談さ…」

スパリーデ「ナルヴァーロ…///」

ナルヴァーロ「……ところで、お魚の料理はまだでしょうか…早く食べたいものですね♪」

スパリーデ「ひぅ…っ!」

イリーデ(中型潜ペルラ級「伝令の神『イーリス』またはアヤメ」)「はいはい、ちょうど魚料理を持ってきましたよ…よいしょ♪」

ナルヴァーロ「あら、バッカラ(干し鱈)のお料理……私、大好きです♪」(※イッカクの好物はタラ類)

イリーデ「そうですよね……そう思って献立に付け加えたんです」

ナルヴァーロ「金曜日ではないですものね」(※イタリアやスペインではカトリックのしきたりで金曜日にタラの料理を食べることがある)

イリーデ「はい…今日はスペイン風にトマトと唐辛子で煮込んでみました、どうぞ食べてみて下さい♪」

…スペイン内乱時、秘密裏にフランコ側に供与されて「ゴンサレス・ロペス」と名乗っていたイリーデ……髪に飾ったアヤメ(アイリス)の飾りにも、スペイン国旗と同じ「赤・金・赤」のリボンがついていて、左右には大戦中に後付けされた有名な「マイアーレ」ことSLCの格納筒をそれぞれ二つつけている…

(※マイアーレ…人間魚雷。正確には「吸着機雷つき水中スクーター」で、磁気クランプで相手の船底に機雷をくっつけた後は分離した残りのスクーター部分で脱出できる)

ナルヴァーロ「ええ、それでは……んむ♪」

イリーデ「美味しいですか?」

ナルヴァーロ「はい、とっても…ちょっと辛くて、ワインが欲しくなりますね♪」


669 ◆b0M46H9tf98h2020/08/24(月) 11:33:56.44ZhwQHnfV0 (1/1)

提督「うーん、どの料理も美味しいわ……それにこうやってみんなで食べるとなおのこと♪」

ライモン「そうですね」

ザラ「そうね。それに今日は哨戒もないし、みんなもくつろげるわね」

提督「ええ……何しろ秋期作戦を成功させたんですもの。今日くらいは休ませてもらったっていいはずでしょう?」

ドリア「それに作戦室の機械もほとんどが自動ですし……私が産まれたころとは隔世の感がありますね」

デュイリオ「まぁ…アンドレアってば、そんなことを言っていると歳がばれてしまいますよ?」

ドリア「あら、それを言うならデュイリオこそ…♪」

チェザーレ「ああ、よせよせ……老嬢どうしがお互いに艦齢(とし)の話をしてどうする、食事が不味くなるぞ」

カヴール「そうですよ、あまり気にしないことです。それに身体は若いんですから…ねっ♪」

提督「確かに、とても1915年生まれとは思えないわ……」ドレスの襟ぐりからのぞくたわわな乳房やむっちりとした豊満な身体を眺め、感心したように言った…

カヴール「…」

提督「…あっ、いえ……その…っ」

カヴール「構いませんよ、提督……その分の埋め合わせはしていただきますから♪」

チェザーレ「やれやれ…自分から導火線に火をつけに行くとはな……」

…和気あいあいと食事が進み、メインディッシュの肉料理がやって来た……中抜きの丸鶏は黒胡椒とローズマリーを効かせてローストし、季節のキノコが添えてある…鶏の中にはたっぷりとマッシュポテトが詰めてあり、香ばしい鶏の肉汁が染みこんでいる…

レモ「わぁ、美味しいねぇ…お姉ちゃんも、ほら♪」

ロモロ「ええ、とっても美味しい……やっぱり肉料理はこうやってかぶりついてこそね♪」白い牙…のような犬歯をむき出しにして、分厚い肉に食らいついている……

ルチア「ワフッ……♪」こちらは床に寝そべり、エリトレアが別に用意してくれた牛骨を前脚で押さえガリガリとかじっている…

提督「ふふ、まるでルチアが三匹いるみたいね…♪」ナイフやフォークを置いたまま、野生のおもむくままにかぶりついているロモロとレモを見て苦笑している…

アッチアイーオ「まったく、あれじゃあマナーもへったくれもないじゃない……」と、ドイツ艦の方に視線を動かした…

ビスマルク「はぐっ、むしゃ……ん、ぐぅ…っ!」切り分けてもらった腿肉の部分を手でつかみ、肉を食いちぎっているビスマルク…すで数本の骨が、薪のように皿の上に積まれている……

アッチアイーオ「…どうやら似たようなのがもう一人いたわ」

ティルピッツ「……姉上、姉上っ…」横のティルピッツが小さく脇腹をつついて注意を促しているが、ビスマルクはまるで気づいていない…

エリザベス「ふふ…「食事の様子をみれば人の育ちが分かる」とは、まさにこのことでございます♪」

グレイ提督「エリザベス、そのような事を申してはいけませんよ……ふふふ♪」

ヴァイス提督「///」

提督「……多少無作法だとしても、私としては美味しそうに食べてもらえて嬉しい限りです…それだけここの食事が気に入ってもらえたと言うことですから」

チェザーレ「いかにも……これがイギリスではそうもいくまい」

ドリア「うふふっ…♪」

グレイ提督「あらあら、これは手厳しいですわね…♪」

提督「ね、そうやってお互いに言い合っていては終わりがありませんよ……もう一杯いかがですか?」

グレイ提督「ええ、いただきますわ♪」

………






670 ◆b0M46H9tf98h2020/08/28(金) 03:10:08.530YQb0oGf0 (1/1)

提督「ふー、お腹いっぱい…♪」

ライモン「たくさん召し上がっていましたものね」

提督「そうかもしれないわね……さ、ドルチェは何にしようかしら…と♪」

アッチアイーオ「あれだけ食べておいてドルチェまで食べるつもりなの? 後で体重計に乗って、どうなっていても知らないわよ?」

提督「せっかくのご馳走を我慢するくらいなら、体重計を見てため息をつく方がいいもの……あむっ…んむ♪」


…かりっと揚げた筒状の生地に甘く味付けしたリコッタチーズを詰め、マラスキーノチェリー、薄くスライスしたアーモンドを飾った「カンノーロ」を二つばかり取り、さらにチョコレートと砕いたクルミを卵と砂糖、バターを加えて練り上げて焼いた濃厚なチョコレートケーキのような「トルタ・カプレーゼ」を一切れ皿に加えた……とろけるような表情を浮かべて頬に手を当て、カンノーロを味わっている…


ガリバルディ「まったく、なんともいい笑顔で食べるじゃない……あんなに喜んでもらえるなら「作ったかいがある」ってものよね、エリトレア?」

エリトレア「はい、とっても嬉しいですっ♪」

フィウメ「……私たちもこうして姉妹揃ってワインが飲めるなんて幸せですね、ポーラ姉様」

ポーラ「えへへぇ、そうですねぇ~♪」

ゴリツィア「同感…ザラ姉もそう思うでしょう?」

ザラ「ええ」

ポーラ「それじゃあ~、もう一杯飲みましょ~う♪」

ザラ「ふふ…今日ぐらいはいいかもしれないわね」四姉妹…そして従妹のようなボルツァーノを入れた五人はチェザーレからプレゼントされた銀製のアンティークグラスにワインを注ぎ、軽く「コンッ…♪」とグラスをふれ合わせた…

ポーラ「ん~、美味しいですねぇ~…♪」

フィウメ「さすがポーラ姉様の見立てですね」

ザラ「確かにね」

………

…しばらくして…

提督「ふぅ、とっても満足したわ……♪」満足げな様子でワインをゆっくりとすすっている…

チェザーレ「うむ……しかし、何か余興が欲しいところだな」

アオスタ「そうですね…なら、どなたか歌でも歌ってくれませんか?」

カミチア・ネラ(ソルダティ級駆逐艦「黒シャツ隊員」)「歌、ね……なら私が一曲やるわ!」ほどよくワインが入ってご機嫌な様子のカミチア・ネラ…

提督「ふふっ、何を歌うのかしら……楽しみね♪」椅子に身体をあずけて、ゆったりとした姿勢を取った…

アオスタ「それで、カミチア・ネラ…曲目は何ですか?」レコードとCDのプレーヤーに近寄り、曲をセットしようとしている…

カミチア・ネラ「曲はね…フィアンメ・ネーレ(黒い炎)を頼むわ!」

提督「けほっ…!」

(※フィアンメ…本来は「炎」のことだが、イタリア陸軍の波形をした襟章を「フィアンメ」といい、兵科によって色分けされていた。そしてファシスタ党結成時の中核となった第一次大戦時のアルディーティ(突撃隊…コマンド部隊)が夜襲のため黒いシャツで、これが第二次大戦のファシスタ党部隊「黒シャツ隊」に引き継がれたことから制服や襟章などは黒を基調とし、のちにヒトラーもこれを真似て武装親衛隊(SS)を作った…曲のタイトルは「黒い襟章」とも)

フィリッポ・コリドーニ(中型潜ブラガディン級)「素晴らしい!」艦名がムッソリーニに近かったジャーナリストのコリドーニや、他の数人が喝采した…

カミチア・ネラ「♪~マンマ・ノン・ピァンジェレ、チェ・ラ・ヴァンザータ」
(♪~お母さん泣かないで、行かないといけないんだ)

カミチア・ネラ「♪~トゥオ・フィリオ・エ・フォルテ、ス・イン・アルト・イ・クォぉール!」
(♪~あなたの息子は強く、そしてたくましいから)

カミチア・ネラ「♪~アスゥイガ・イル・ピアント、ミーア・フィダンツァータぁぁ!」
(♪~愛しいフィアンセよ、君も涙を拭いてよ)

カミチア・ネラ「♪~ケ・ネッラサールト、スィ・ヴィンチェ、オ、スィ・ムォール!」
(♪~僕たちには栄光の勝利か、さもなければ死しかないんだ!)

カミチア・ネラ「♪~アヴァンティ・アルディート! レ・フィアンメ・ネーレぇぇ!」
(♪~進め突撃兵!「黒い炎」よ!)

カミチア・ネラ「♪~コ・ソーメ・シンボロぉぉ、デッレ・トゥエ・シェーレ!」
(♪~それは君を表す象徴!)

カミチア・ネラ「♪~スカヴァルカ、イ・モンティ、ディヴォラ・イル・ピァーノぉぉ!」
(♪~山を越え、平野を進み!)

カミチア・ネラ「♪~プナァルフラ・イ・デンティ…レ・ボンベ・ア・マぁぁーノぉ!」
(♪~ナイフをくわえ、手榴弾を持って!)



671 ◆b0M46H9tf98h2020/08/30(日) 03:19:33.59Ooi65mkc0 (1/1)

コルサーロ「けっ、全く「愛国心」だのへったくれだのって……あたしは姉さんのこと好きだけど、こういう所だけは嫌いさね」

ゴフレド・マメリ「歌うのはいいんですが「フィアンメ・ネーレ」とはね……一体どういうつもりですかね?」

ガリバルディ「まったく、せっかくのワインが不味くなるわ」意気揚々と歌っているカミチア・ネラやコリドーニ、マルコーニ級の大型潜「ミケーレ・ビアンキ」たちとは対照的に、革命家のガリバルディやそれと共闘したマメリ、クリスピ……あるいは主義などには鼻もひっかけないアラビア海賊の「コルサーロ」あたりはまるで酸っぱくなったワインでも飲んでしまったかのような顔をしている……


カミチア・ネラ「♪~フィアンメ・ネーレ、アヴァングァルディア・ディ・モぉールテ!」
(♪~「黒い炎」それは死の尖兵!)

コリドーニ「♪~スィアム、ヴェッスィぃーロ、ディ・ロッテ、エディぃ・オロぉール!」
(♪~我らの戦いと誉(ほまれ)の証!)

ミケーレ・ビアンキ「♪~スィアモ、ロ・リィオぉール、ムタト・イン・コぉぉールテ!」
(♪~我らが誇りは皆同じ!)

ルイージ・カドルナ(カドルナ級軽巡)「♪~ペェル・ディフェンデェル、リターリアぁ・ロノぉール!」
(♪~イタリアの名誉を守らんとする!)

※(「♪~それは君の象徴…」以下くり返し)


ガリバルディ「…黒シャツの連中にばっかり歌わせているのはちょっと癪ね……私たちも一曲やるとしましょうか」

フランチェスコ・クリスピ「はい、ガリバルディ」

ゴフレド・マメリ「仰せのままに!」

ジョスエ・カルドゥッチ「ガリバルディ、ぜひ私も一緒に///」

ガリバルディ「もちろん……それじゃあそれぞれ歌と楽器を頼むわ」


カミチア・ネラ「♪~ウナ・ステぇーラ、スィ・グゥイダ、ラ・ソぉールテ!」
(♪~星が我らを運命へと導く!)

アルマンド・ディアス(カドルナ級軽巡)「♪~エ、スィ・アヴィンコン、トッレ・フィアンメ・ド・ノぉぉール!」
(♪~我らが名誉の三つの炎!)

コリドーニ「♪~トッレ・パロぉぉーレ、ディ・フェーデ、ディ・モぉールテ!」
(♪~信仰、運命、そして三つの言葉!)

カミチア・ネラたち「「♪~イル・プニャーレ、ラ・ボンバ、エディル・クォぉール!」」
(♪~「ナイフ」、「手榴弾」そして「心」!)

※~くり返し

………




提督「えーと、その……上手だったわよ、ネラ」

カミチア・ネラ「グラツィエ♪」

アオスタ「あー…えーと、誰か他に歌いたい曲があれば……」

ガリバルディ「あるわよ!」

アオスタ「了解です、ガリバルディ……何を歌いますか?」

ガリバルディ「大丈夫よアオスタ、レコードだのCDだのなんてかけなくってもいいわ…だってみんな歌えるもの♪」

カルドゥッチ「ええ、その通りです!」食堂の片隅にある共用の楽器置き場からアコーディオンを持ち出し、椅子に腰かけた…

アレッサンドロ・マラスピーナ「だね…♪」自室から私物のクラシックギターを持ってきて、弦を試すマラスピーナ……

アオスタ「そうですか、それじゃあ曲名をお願いします」

ガリバルディ「ええ…「ベラ・チャオ」よ♪」

(※「ベラ・チャオ(さらば恋人)」…作詞・作曲者は不詳だが、43年以降「南北内戦」状態にあったイタリアの対独レジスタンスグループの間で愛唱歌として親しまれてきた名曲。今でも多くのイタリア人に愛され、よく歌われている……日本でもかつて男声コーラスグループの「ダークダックス」によってカバーされたことがある)

一同「「わぁーっ!」」

ガリバルディ「…これなら提督も歌えるでしょう?」

提督「ええ、歌えるわ♪」




672 ◆b0M46H9tf98h2020/09/02(水) 01:51:14.52R6013Idx0 (1/1)

ガリバルディ「それじゃあ行くわよ……せーの!」

…マラスピーナのギターとカルドゥッチのアコーディオンに前奏を奏でてもらい、一斉に立ち上がって合唱を始めたガリバルディと多くの艦娘たち……提督もガリバルディが腰に手を回してきたので、肩を並べて目一杯歌った…


一同「♪~ウナ・マッティナ、ミ・ソナ・サァト…オ・ベラ・チャオ、ベラ・チャオ・ベラ・チャオ・チャオ・チャオ!」
(♪~ある朝、私は目を覚ました…チャオ(さらば)愛しい女性(ひと)よ、チャオ愛しい女性よ、愛しい女性よ、チャオ、チャオ、チャオ!)

一同「♪~ウナ・マッティナ、ミ・ソナ・サァト、イォ・トロヴァート・リィーンヴァッソぉール」
(♪~ある朝、私は目覚めて、そして侵略者を見たのだ)

一同「♪オ・パルティジァーノ、ポルタ・ミ、ヴィア…オ・ベラ・チャオ・ベラ・チャオ・ベラ・チャオ・チャオ・チャオ!」
(♪~パルチザンよ、どうか私を連れて行ってくれ…チャオ愛しい女性よ、チャオ愛しい女性よ、愛しい女性よ、チャオ、チャオ、チャオ!)

一同「♪~パルティジァーノ、ポルタ・ミ・ヴィア…ケ・ミ・セント・ディ・モぉリぃぃール」
(♪~パルチザンよ、私を連れて行ってくれ…私は死を覚悟したのだ)

一同「♪~エ・セ・イォ・ムォイォ、ダ・パルティジァーノ…オ・ベラ・チャオ・ベラ・チャオ、ベラ・チャオ・チャオ・チャオ!」
(♪~そしてもし、私がパルチザンとして死んだのなら…チャオ愛しい女性よ、チャオ愛しい女性よ、愛しい女性よ、チャオ・チャオ・チャオ!)

一同「♪~エ・セ・イォ・ムォイォ、ダ・パルティジァーノ…トゥ・ミ・デヴィ・セーペェリィぃぃール」
(♪~そしてもし、私がパルチザンとして死んだのなら…君は私のことを忘れてくれ)

一同「♪~エ・セッペリィぃーレ、ラ・スゥイ・モンターニャ…オ・ベラ・チャオ、ベラ・チャオ、ベラ・チャオ・チャオ・チャオ!」
(♪~そして山の頂上に埋めてくれ…チャオ愛しい女性よ、チャオ愛しい女性よ、愛しい女性よ、チャオ・チャオ・チャオ!)

一同「♪~エ・セッペリィーレ、ラ・スゥイ・モンターニャ、ソット・ロォンブラァ・ウン・ディ・ベル・フィオール」
(♪~そして山の頂上に埋めてくれ、美しい花の咲く下に)

一同「♪~トゥテッレ・ジェンティ、ケ・パッセラぁーノ…オ・ベラ・チャオ、ベラ・チャオ、ベラ・チャオ・チャオ・チャオ!」
(♪~そして通りがかる人は…チャオ愛しい女性よ、チャオ愛しい女性よ、愛しい女性よ、チャオ・チャオ・チャオ!)

一同「♪~トゥテッレ・ジェンティ、ケ・パッセラぁーノ…ミ・ディ・ラノ・ディ・ベル・フィオール」
(♪~そして通りかかる人は皆言うだろう…「なんて美しい花だろう!」と)

一同「♪~エ・クェスト・イル・フローレ、デル・パルティジァーノ…オ・ベラ・チャオ、ベラ・チャオ、ベラ・チャオ・チャオ・チャオ!」
(♪~その花はパルチザンの花だ…チャオ愛しい女性よ、チャオ愛しい女性よ、愛しい女性よ、チャオ・チャオ・チャオ!)

一同「♪~エ・クェスト・イル・フローレ、デル・パルティジァーノ、モルト・ペッラ・リィベぇぇルタ!」
(♪~その花は自由のために死んだパルチザンの花だ!)


………

提督「ふぅ…」歌い終わって汗を拭う提督…

ガリバルディ「…上手だったわよ、提督♪」

提督「ありがと」

ライモン「こうして「ベラ・チャオ」を歌ったのも久しぶりですが……良い曲ですね」

提督「そうね……ぐすっ…」

アッテンドーロ「ちょっと…どうしたのよ、提督」

提督「いえ、なんだか急に歌詞が沁みて…」

アッテンドーロ「それで涙ぐんじゃったわけ?」

提督「え、ええ…そんなのちょっとおかしいわよね……」無理に笑ってみせる提督…

ガリバルディ「別にいいじゃない、提督が豊かな感受性の持ち主って事だもの……ほら」目を潤ませている提督の頬に指を当て、一粒の涙をすくい上げた…

提督「グラツィエ、ガリバルディ…」

ガリバルディ「いいのよ…さ、せっかくの楽しいパーティなんだから、涙は拭いて楽しく飲みましょう♪」軽く唇にキスをすると、派手なウィンクを投げた…

提督「ええ…♪」

………




673 ◆b0M46H9tf98h2020/09/04(金) 01:56:28.53RNw+/cfz0 (1/1)

…しばらくして…

アゴスティーノ・バルバリゴ(大型潜マルチェロ級)「…エリトレア、ちょっといいかね?」中世ヴェネツィアの提督が由来のマルチェロたちは金モールや三角帽、腰のサーベルも堂々としていて、へたな提督たちよりもずっと存在感がある……と、バルバリゴが人差し指を「くいっ」と動かしてエリトレアを呼んだ……

エリトレア「はいっ、何でしょう?」

ロレンツォ・マルチェロ「なに、少しな……♪」ごにょごにょと何かを耳打ちするマルチェロ…

エリトレア「…なるほど」

マルチェロ「分かったかね、エリトレア?」

エリトレア「そうですね、何でそんなことを頼まれるのかよく分かりませんが……」

エンリコ・ダンドロ(マルチェロ級)「なーに、気にせずともすぐに分かるさ…♪」

エリトレア「そうですか……あのっ、皆さーん!」

チェザーレ「おや…どうしたのだ、エリトレア? 諸君、少し静かにしてもらえるか……エリトレアが何か言いたいようなのでな」チェザーレの貫禄とカリスマですぐおしゃべりの音量が小さくなる…

エリトレア「ありがとうございますっ、チェザーレ…」

チェザーレ「構わぬよ…それで、なにか言いたいことがあるのであろう?」

エリトレア「はい…えーと、ですねっ……済みませんがお皿を片付けてしまいたいので…ちょっと一旦お開きにしてもらえませんかぁ?」

リベッチオ「えー、今日は2000時くらいまでは食べたり飲んだりしようと思ってたのに」

提督「まぁまぁ…今日はごちそうだった分、洗わないといけないお皿がたくさんあるわけだし……それにエリトレアは作る方もしてくれたのだから、みんなも協力してあげないと」

マエストラーレ「そうよ。それにディアナやエリトレアには普段からお世話になっているんだから、少しでも負担を減らしてあげるようにしないといけないでしょ」

リベッチオ「むぅ…それはそうだよね」

提督「その代わり、お皿の片付けが済んだらバーカウンターは「終夜営業」を許可するわ♪」

ポーラ「えへへぇ、提督ってば優しいですねぇ~♪」

提督「まぁ、たまには…ね♪」

………

…しばらくして・提督私室…

提督「ふぅぅ…♪」お皿を片付けるのを手伝い、それからお風呂でさっぱりと汗を流してきた提督…バスローブで包まれた身体はほんのりと桜色を帯び、たっぷりのごちそうと一緒に味わった上等なスプマンテやワインのおかげでほどよく気持ちよくなっている……と、ノックの音が響いた…

マルチェロ「……提督、少しいいかね?」

提督「ええ、どうぞ?」

マルチェロ「失礼」マルチェロを始め数人が、リボンをかけた紙の箱を持っている…

提督「いらっしゃい……どうしたの、マルチェロ?」

マルチェロ「なぁに…実は作戦成功のお祝いと言うことで、本官を始め「ヴェネツィア派」の皆でちょっとした贈り物を用意したのだが……受け取ってもらえるかな?」

提督「まぁ、私に?」

ラッツァロ・モチェニーゴ「いやいや、提督だけではなく皆に用意したのだ…」

提督「えぇ? ここの全員分なんて買ったらお金が大変だったでしょうに」

モチェニーゴ「ふふふ、気にすることはないよ…皆にも「作戦成功の記念品を買う」ということで献金してもらったりしたのでね♪」

フランチェスコ・モロシーニ(マルチェロ級)「さよう…と言うわけで、ぜひ受け取ってもらえないだろうか?」

提督「ええ、ありがとう…嬉しいわ♪」板チョコより二回りほど大きい長方形の箱を受け取った…

マルチェロ「うむ……それとだ」

提督「なぁに?」

マルチェロ「本官たちが出て行ったらそれを開けてみて、その後よろしければ食堂までおいで願いたい…そしてだ、その際にはうんとおめかしをしていただければ幸いだ♪」

提督「ええ……そうするわね?」

マルチェロ「うむ、それではまた♪」

提督「……どういう意味かしら」腑に落ちない表情で箱を開ける提督…すると中には金とヴェルヴェット、それに羽根飾りのついた豪華な仮面が入っていた…

提督「あら、これってヴェネツィアのカーニバルで使う……しかもこんなに立派な…」

提督「…ふふ、きっとマルチェロたちは仮面舞踏会でもするつもりなのね……それじゃあうんとおしゃれをしてお邪魔しないと…ね♪」寝室に入ると、クローゼットをかき回しはじめた……


674 ◆b0M46H9tf98h2020/09/11(金) 02:51:10.80cHoa1UiW0 (1/1)

…しばらくして・食堂前…

マルチェロ「おお、提督…来てくれて本官は嬉しいぞ」扉の前に立って、海軍提督らしく後ろで腕を組んでいるマルチェロ…扉の向こうからは艦娘たちのきゃあきゃあいう嬌声と、音楽がわずかに聞こえてくる……


提督「ふふっ…だってせっかくのお誘いだもの、断るわけがないわ♪」パチリとウィンクを投げた…

…かなりの長身でむっちりと豊満な「ド級戦艦体型」の提督は身体の曲線を引き立てる艶やかな黒いドレススタイルで、金色がかった腰まで届く長い髪はゆるい縦ロールにして左側に垂らしている……唇には少し強い紅のルージュを引き、左手には仮面を持っている…

マルチェロ「ははは、嬉しいことを言ってくれる」

提督「まぁね…それじゃあ仮面をつけて、と♪」

マルチェロ「さ、どうぞ…♪」


…そう言って食堂の立派な扉を押さえて、中に入れてくれる……どういうわけか普段は大浴場の脱衣所にあるカゴが廊下に並んでいたり、提督を招き入れるときにマルチェロが小さくニヤリと笑みを浮かべたりしていたが、作戦成功のお祝い気分とほろ酔い状態が合わさってぼんやりしていた提督は気づかなかった…


提督「あら、ありがとう……って、ちょっと///」

モチェニーゴ「おや、主賓の登場だ♪」

アンジェロ・エモ「そうですね……よく来てくれました、提督///」

提督「何、一体どういう…えっ!?」

…食堂に入った瞬間驚きの声をあげた提督…もちろん辺りにいる艦娘たちはいずれも仮面をつけている……が、そのほとんどが仮面をのぞくとランジェリーくらいしか着ていない…

マルチェロ「ははははっ♪ 今夜はみんな仮面を付けているわけだから「誰なのか分からない」ってことでね、無礼講で行こうという訳さ♪」そう言いながらドレスを脱ぎ捨て、あっという間にブラとパンティだけになった……背丈は高校生ほどのマルチェロだが、大型潜らしいメリハリのある身体に桃色の下着が映える…

提督「いえ、無礼講って……若気の至りでたくさんバカなことをした士官宿舎時代の私だって、こんなことは滅多にしなかったわよ?」

モチェニーゴ「まぁまぁ、そう堅くならずに…さ、脱いだ脱いだ♪」


提督「もう、せっかく素敵なドレスを引っ張り出してきたって言うのに……あきれた♪」そう言いながらもいたずらっぽい笑みを浮かべ、ドレスを脱ぐ提督……以前ヴェネツィアのシモネッタ提督からプレゼントされた極薄の黒いランジェリーからは柔らかそうな乳房がのぞき、白いヒップが弾む…


コルサーロ「……ひゅう♪」アラビア風の豪華な腰巻きと胸当てだけで、腰に三日月刀を提げているコルサーロ…

アヴィエーレ「…おやおや、提督が立っている様はまるでウェーヌス(ヴィーナス)だね……天界じゃあ女神が一人足りないって騒ぎになっているんじゃないかな?」黒のブラとショーツに革の長靴、首にマフラーのアヴィエーレ…

提督「もう、相変わらず口が上手いんだから…って、まぁ♪」

デュイリオ「あらあら、提督もいらっしゃったのですね……うふふっ♪」口元を押さえてころころと笑っているデュイリオは白い薄手のおしゃれなレースの下着にストッキング、ガーターを付け、柔らかそうな巨乳を包む白いレースのブラからはたわわな乳房がこぼれ落ちそうになっている……

ドリア「ふふふっ…とってもよくお似合いですよ、提督♪」デュイリオの姉妹であるドリアは黒いバラ模様をあしらったビスチェと、かなり大胆に切り上がっているハイレグのパンティとストッキング、それに黒いエナメルハイヒールを身につけている…

ザフィーロ(中型潜シレーナ級「サファイア」)「ふふ、提督も来てくれたんですね…嬉しいです♪」

アメティスタ(シレーナ級「アメジスト」)「……下着姿を見られるのはちょっと恥ずかしいですけど///」

ルビノ(シレーナ級「ルビー」)「アメティスタってばいっつもこうなのよ…私は思う存分鑑賞して欲しいわ!」

スメラルド(シレーナ級「エメラルド」)「まぁまぁ、そこはそれぞれですよ…ね?」

シレーナ(シレーナ級「セイレーン」)「ラララ…さぁ、みんな私に宝石をちょうだい……ララ♪」


…それぞれの艦名である宝石にちなんだ色のランジェリーとアクセサリーを付けているザフィーロたちと、その姉であり歌で船乗りを惑わすというシレーナ…セイレーン(人魚)は宝石が好きと言うこともあって、シレーナは妹たちにアクセサリーを貸してもらい、ティアラにネックレスにイヤリング…と、すっかり飾り立てられている…


オンディーナ(シレーナ級「ウンディーネ」)「ふふっ、提督も来たのね…♪」金髪に水色の瞳で、いつも無邪気でいたずらっぽいオンディーナ(水の精)は、すっきりした水色の下着が無垢な印象を与える……

提督「ええ…こんなに楽しい事になっているって知ってたら、もっと早くに来たのに♪」

オンディーナ「大丈夫…まだまだ夜は長いもの♪」

提督「そうね……あら、いけない♪」

ドリア「うふふっ…もう提督ったら、どこに手を伸ばしておいでなのですか♪」

提督「ごめんなさい、ドリア……たまたま手が触れちゃって♪」

ドリア「もう…提督ったら♪」ぎゅむ…っ♪

提督「あんっ♪」

ドリア「あら、いけません……たまたま胸元に押しつけてしまいました♪」

提督「んむ……ぷはぁ♪」



675 ◆b0M46H9tf98h2020/09/13(日) 02:22:34.02T2d2WsfL0 (1/1)

提督「…それにしても、ここに憲兵隊がいなくて良かったわ♪」

デュイリオ「ええ、その通りですね…提督♪」提督を椅子に座らせると、立ったまま後ろから胸を押し当てた…たわわな乳房が提督の後頭部を枕のように包み込む……

提督「本当よ、まったく……とりあえず飲み物をもらおうかしら♪」

デュイリオ「うふふっ、分かりました…何をお召し上がりになります?」

提督「そうねぇ……なら「カルーア・ミルク」を頂ける?」

デュイリオ「はい♪ ポーラ、カルーア・ミルクをお願いできますか?」

ポーラ「カルーア・ミルクですね、りょ~うか~い…えへへぇ、提督は甘いのがお好きですものねぇ……♪」


…バーカウンターでは何か飲み物を注文されるたびに味見をしてすっかりご機嫌になっているポーラが、白いレース生地に紅いサイドリボンのついた下着姿でカクテルシェーカーを振っている……かしゃかしゃとシェーカーを振るたびに、形の良いおっぱいが「たゆんっ…♪」と弾むのを、ザラを始め数人がにんまりと笑みを浮かべながら眺めている…


ザラ「ねぇ、ポーラ♪」

ポーラ「はぁい、ザラ姉様…なんですかぁ~♪」

ザラ「…私にも一杯作ってくれる?」

ポーラ「もちろんですよぉ~…それじゃあ、何にしましょ~う?」

ザラ「そうねぇ……じゃあ「オーガズム」がいいわ♪」すっかりだらしない笑みを浮かべつつ、カウンター越しにポーラのハーフカップ(下半分を支える)ブラからのぞく胸を揉みしだいたり、アクセントの紅いリボンをもてあそんだりしている…

ポーラ「もう、ザラ姉様のえっち…♪」

(※オーガズム…いわゆる大人の「言葉遊びカクテル」の一つ。クリームにウィスキーとバニラ風味をくわえたリキュール「アイリッシュ・クリーム」にコーヒーリキュール、アーモンドリキュールの「アマレット」を加え、バニラアイスを入れてブレンダーにかける、甘くて冷たい飲み口の良いカクテル。レシピによってはアイリッシュ・クリーム、アマレット、コーヒーリキュールの1対1対1を注いでいくやり方もある)

ザラ「そんなことを言ったってポーラが悪いのよ……仮面を付けているからってそんな格好で誘惑するんだもの♪」もみ…っ♪

ポーラ「あんっ、もう…ザラ姉様が触るから、カクテルがこぼれちゃいましたぁ……早く拭いて下さい♪」

ザラ「ええ、そうさせてもらうわね……んちゅっ、ちゅるぅ…っ♪」そう言うと胸元に跳ねた「オーガズム」を舐めあげるザラ……

ポーラ「ふぁぁんっ、あふっ…あぁんっ、もう…ザラ姉様ってばぁ……えへへぇ♪」

リットリオ「あっ、ザラってばそんな美味しそうなカクテルを自分だけで独り占めして……ずるいですっ♪」ほとんど紐のような紅のパンティと、花模様のレースのおかげでかろうじて先端が見えない程度のきわどいブラ、それにふとももまである薄手の紅いストッキングとガーターベルト…顔には金色にトリコローリ(イタリアの三色)の羽根飾りをあしらった仮面を付けている…

ザラ「むちゅっ、んちゅ…れろっ……ポーラは私の妹だもの。リットリオだってヴェネトとローマがいるんだから、二人にしてもらえば良いじゃない♪」

リットリオ「なるほど、それもそうですね…ヴェーネトっ♪」

ヴェネト「はい、リットリオ♪」可愛らしい顔とは対照的な色っぽい身体に、黒のランジェリーとパンプスがよく似合う……

リットリオ「…えい♪」ぱしゃ…!

ヴェネト「ひゃっ、冷た…っ!」

リットリオ「ごめんなさい、ヴェネト……ちょっと手元が狂っちゃったの。いま綺麗にしてあげる♪」れろっ、ぴちゃ…♪

ヴェネト「あふぅっ、んぅ……あぁんっ♪」

リットリオ「ふふっ、美味しい…んちゅ、ちゅむ……っ♪」

提督「んふふっ…みんな仲睦まじくて結構ね♪」

エウジェニオ「……ええ、全く♪」

提督「あら、エウジェニオ……その様子だともうずいぶんと愉しんだのかしら?」

エウジェニオ「ふふ…まぁね♪」

提督「そう、それはなにより……」白い肌を際立たせる極薄の黒いランジェリーに包まれている、ほどよい大きさで張りのある乳房と細身の身体、すらりと伸びる脚…そのギリシャ彫刻のような整った身体をうっかり眺めてしまい、思わず生唾を飲んだ提督……

エウジェニオ「ふふ、提督もしたいのかしら…?」エウジェニオでよこしまな場面を想像したのを一瞬で見抜かれると、耳元で甘くささやかれた……提督に身体を寄せてしなだれかかると、指先でそっとふとももを撫であげる…

提督「あっ…ん♪」

エウジェニオ「ふふ…♪」


676 ◆b0M46H9tf98h2020/09/21(月) 01:59:51.74DUz+ZZ6H0 (1/1)

提督「あふっ……ん…っ♪」

エウジェニオ「提督ったらとっても可愛らしいわね。白くて柔らかくて…それに甘くて良い良い匂いがするわ♪」

提督「さっき香水を付けてきたから、きっとそれが……んんっ♪」

エウジェニオ「ふふふ……っと、私がいたらお邪魔ね。それじゃあまた後で♪」ちらりと横目で何かを確認するとふとももを撫で回すのを止めて軽く頬にキスをし、するりと離れた……

提督「あら、エウジェニオにしてはずいぶん唐突に……って、あらあら♪」

ライモン「あの……提督、よかったら隣に座ってもよろしいですか///」

提督「なるほど、そういうこと……ええ、もちろんよ♪」

ライモン「そ、それじゃあ失礼して…///」


…しなやかなバランスの良い身体にピュアホワイトのレース付き下着で、銀色の仮面を付けているライモン……ことさらに艶やかだったり際どい物ではないが、それもまた瀟洒(しょうしゃ)ですっきりしたライモンにふさわしい清潔感がある…


提督「ええ、どうぞ♪」

ライモン「ありがとうございます…それにしても二人きりの時ならいざ知らず、こうして皆がいるところで下着姿をさらすなんて……少し恥ずかしいですね///」とはいえワインが入っているおかげか、照れながらも少し楽しげにしている……

提督「ふふふっ…仮面を付けているのだから平気よ♪」

ライモン「ええ、それはそうなんですが…///」

提督「だいじょうぶだいじょうぶ……ん♪」ちゅぅ…っ♪

ライモン「んっ…んんぅ///」

提督「ほら、これで平気になったでしょう?」

ライモン「いえ、あの…むしろさっきよりも胸の鼓動が……でも、嬉しいです///」ちゅ…っ♪

提督「ん……ふふっ、ライモンったら♪」

ライモン「ふふ…♪」

リベッチオ「あー、提督も来たんだねぇ♪」

提督「ええ。リベッチオ、あなたも楽しんでいるかし……けほっ!」カクテルグラスに唇が触れたところで振り向き、リベッチオの格好を一瞥(いちべつ)するやいなやむせた…

リベッチオ「おかげさまでとっても楽しいよっ♪ 作戦も成功したし、今は解放感でいっぱい…ってとこ♪」


…金と紫のヴェルヴェットをあしらった仮面と、口ゴムの部分にトリコローリ(イタリアの三色旗)のリボンが通してある白い薄手のサイハイストッキング、それに黒のエナメルハイヒールをのぞけば、他には何も身につけていないリベッチオ……艶やかな褐色の肌に、小ぶりな胸、つるりとした秘部の割れ目、それにぷりっとした張りのあるヒップが惜しげもなくさらされている…


提督「そのようね♪」

リベッチオ「えへへっ、せっかくの「無礼講」だもんね…思い切り楽しんでおかないと♪」

提督「ええ…冷えて風邪を引かないようにね?」

リベッチオ「もう、大丈夫だよ……むしろ暑いくらいだもん、ほら♪」ぎゅっと抱きついてきたリベッチオ……夏の砂浜のような香ばしいほのかな匂いがふっと鼻腔をくすぐり、ぺたりとくっついた肌からじんわりと熱が伝わってくる……

提督「…」

リベッチオ「提督…?」

提督「…」

リベッチオ「ねぇ、提督ってば…どうしたの?」少し身体を離すと、提督の顔をじっとのぞき込んだ……

提督「あぁ、いえ……ふぅ、もうちょっとで危うくエレオノーラみたいなロリコンになるところだったわ」

リベッチオ「ふふ、提督ってば基本的には年上好きだもんね……あ、でもよく考えたら♪」

提督「ん、なぁに?」

リベッチオ「私たちの艦齢(とし)からいけば、みんな提督よりも年上じゃない?」

提督「確かに…」

リベッチオ「だったら別にロリコンじゃないよね……特にミラベロたちなんてあんなに子供っぽいのに、ドリアやデュイリオたちとほぼ同い年なんだから…」(※ミラベロ級…1916年~17年竣工)

提督「そう言われてみれば……」向こうのテーブルにいるミラベロたちを眺めた…


677 ◆b0M46H9tf98h2020/09/23(水) 02:37:05.97GGSe7wse0 (1/1)

ミラベロ「…ねぇマルコーニ、何を飲んでいるの?」


…小ぶりな幼い姿に似つかわしくない、大人びた言動のせいで「耳年増」や「おませさん」な印象のミラベロと妹の「アウグスト・リボティ」…そしてミラベロの艦名は、第一次大戦前にイタリア王国海軍で初めてマルコーニ式無電を導入しようとテストした提督の名から付けられている……それもあってかしきりにマルコーニに身体を擦り付けたり、意味深な言葉をささやいたりしている……身につけているのは紅いサイドリボン付きの白い下着とニーハイソックス、黒エナメルの丸いつま先の靴で、リボティも似たような格好をしている…


マルコーニ「え、今飲んでるのは赤だけど……?」

ミラベロ「そう…良かったら私に一口ちょうだい?」

マルコーニ「ま、まぁ構わないけれど…///」

ミラベロ「ありがと…ふふ、美味しい♪」見せつけるようにグラスを傾け、一口すすると唇についた雫をゆっくりと舐め取った…

マルコーニ「…」真っ赤になって机をトン・ツーで叩き始めた…

ミラベロ「なぁに……「そんな見せつけるようにしないで」って? …ふふ、見せつけているのよ♪」

マルコーニ「もう、ミラベロってばいつもそうやって……///」

ミラベロ「だって…マルコーニってば初心で、すぐ口が利けなくなっちゃうんだもの♪」

マルコーニ「……わ、私だってひとかどの艦娘なんだから、そうやってからかうのは……って、ちょっと待って///」

ミラベロ「なぁに……マルコーニお姉ちゃん?」ぽんっ…とマルコーニと向かい合わせになるような形でふとももの上にまたがり、下から顔をのぞき込んだ…

マルコーニ「だ、だから…///」

ミラベロ「うん、ちゃんと聞いているから続けて……ね♪」小さな白い手を鎖骨の部分にあてがい、ゆっくりと胸元までなぞる…

マルコーニ「その、つまりね……そもそもミラベロの方が……はふっ…年上だけど…あっ……だから…って///」

ミラベロ「年上だから…?」

マルコーニ「やって良いことと……んぅ…悪いことっていうのものが…はぁ、ん……///」

ミラベロ「ごめんなさい、マルコーニお姉ちゃん……それじゃあちゃんとおわびするわ…ね♪」つぷっ…くちゅ♪

マルコーニ「あっ、ふ……んぅっ///」

ミラベロ「私ね、マルコーニが優しいからついやりすぎちゃうの……だから、今度からやり過ぎたときは教えて…ね?」くちゅくちゅ…っ♪

マルコーニ「い、今がまさに……あっ、あっ…あっ♪」

ミラベロ「なぁに、マルコーニ…言いたいことがあるならはっきり言って欲しいわ♪」

マルコーニ「…ん、んっ///」たまらずミラベロを抱き寄せ、肩甲骨の辺りに人差し指を這わせてモールスを叩き始めた…

ミラベロ「うんうん、そうなのね…分かったわ♪」ちゅくっ…♪

マルコーニ「あぁんっ……ち、違うってばぁ…っ♪」

ミラベロ「そうだったの? てっきり「もっとして」だと思ったの……♪」くすくすと笑いながら、割と大柄で遠泳選手のように引き締まった…それでいて豊かな乳房をしているマルコーニの身体にしがみつき、鼓動を聞くような格好で胸に頬を当てた…

マルコーニ「も、もう……そんな顔されたら怒るに怒れなくなっちゃう…///」

提督「……ああ言うのって反則だと思うわ」

リベッチオ「ね、サッカーで手を使うくらいずるいよね」

提督「確かに…でもああ見えて案外責められると可愛いかったりするのよね……ふふ、思い出すわ♪」

ライモン「…提督」

提督「え、ちょっと…そんなあきれたような顔しないで、ね?」

リベッチオ「もう、提督ってばイケナイんだ……♪」

提督「さぁ、何のことかしら……グラスも空になったし、もう一杯なにか頂くとしようかしら」

リベッチオ「あー、またそうやって♪」

提督「ふふっ…提督たるもの、ちゃんと引き際を心得ておかないと……ね♪」

リベッチオ「それに話をはぐらかす煙幕も、だね?」

提督「そういうこと♪」


678 ◆b0M46H9tf98h2020/09/25(金) 02:37:55.02zhsP/gR/0 (1/1)

…そういえば数日前に駆逐艦「蕨」の船体が発見されたとのことで、後味の悪い「美保関事件」で失われた彼女ですが、こうして見つけてもらえた事で少しでも供養になると良いですね…


679 ◆b0M46H9tf98h2020/09/28(月) 02:03:54.81OO686Muc0 (1/1)

…バーカウンター…

ポーラ「あ~、提督ぅ~……いらっしゃいませぇ~、何にしますかぁ~…?」

提督「そうねぇ、何にしようかしら……」

フィザリア(中型潜アルゴナウタ級「カツオノエボシ」)「……それじゃあ、私からのおごりで「チャイナ・ブルー」をお願いねぇ…♪」


…薄青の透き通ったベビードール一枚で、カツオノエボシの「浮き袋」を模した薄青色をしたガラスのティアラをつけ、同じくカツオノエボシの触手のような長い青みがかった髪を後ろに垂らしているフィザリア…見た目は綺麗で雰囲気は海面をたゆたうようにおっとりしているが、魚の名前が付いている相手となると次々に捕食している肉食系でもある……おまけにベッドでもりあがってくると、身体のあちこちに爪を立てて引っかき、毒クラゲらしいミミズ腫れをつける癖がある…


ポーラ「りょ~か~い……ひゃっ…く♪」半開きの笑ったような口元にとろんとした目つきで、ゆらゆらしながらカクテルシェーカーを振っている…

提督「…大丈夫?」

ザラ「一応は大丈夫よ…ポーラってばこう言う時になるとあきれるほど飲むけれど、不思議と酔い潰れたり戻したりはしないのよ。それに私たちもいるし…ね♪」

提督「そうね、それなら安心だわ♪」

ポーラ「だってぇ……せっかくのお酒を戻しちゃうなんてもったいですからぁ~……えへへぇ♪」

提督「とはいえ、あんまりザラたちに迷惑をかけないようにね?」

ポーラ「はぁ~い♪」

提督「ん…美味しいわ♪」

フィザリア「澄んだ青色がきれいねぇ…♪」

提督「ええ♪」

フィザリア「…ねぇ、提督…良かったらこのまま私と……」白いもっちりしたふとももに長い指を這わせ、ゆったりと身体を絡めてくる…

提督「あら、フィザリアったら……ふふふ♪」

ジャンティーナ(アルゴナウタ級「アサガオガイ」)「ふふ、こんなところにいたんですね……フィザリア♪」

…フィザリアの妹であり、同時にクラゲ類を食べるクラゲである「アサガオガイ」であることからフィザリアをはじめ、クラゲに関係する艦名を持つ娘たちを次々と獲物にしているジャンティーナ……アサガオガイの「浮き袋」である、カタツムリ型をした美しい紫の巻き貝を模した青紫の飾りを頭につけ、身体がはっきりと透けて見える青いシースルーの薄物を羽織っている…

フィザリア「ジャンティーナ…他のみんなはどうした…の……?」

ジャンティーナ「はい、さっきまで一緒に飲んでいたのですけれど……なんだか美味しそうだったので、食べちゃいました…ぁ♪」

ジャレア(アルゴナウタ級・クラゲの一種)「はひっ……はへっ…♪」

サルパ(アルゴナウタ級・クラゲの一種)「あへぇ…はへぇぇ……♪」テーブルに突っ伏してひくひくと身体をけいれんさせている…

フィザリア「…」

ジャンティーナ「……でも、もうちょっと食べたい気分なので…いただきます♪」ゆっくりと後ろから押し包むようにして抱きしめると、そのまま提督から引き剥がした…

フィザリア「え、ちょっ……と///」

ジャンティーナ「それでは提督…チャオ♪」

提督「チャオ♪」

フィウメ「……ジャンティーナたちはふわふわした見た目によりませんね」

提督「ね…って、またずいぶん向こうが騒がしいわね……」

ジュセッペ・フィンチ(大型潜カルヴィ級)「…ジァポーネではゲイシャが「女体盛り」などと言って、こうした際に果物やらお菓子やらを載せて興じることがあるのだ♪」イタリアの休戦に伴いドイツに接収されて日本への物資輸送用として改造されたが、使われる前に自沈したせいか、間違い日本知識をひけらかす癖がある…テーブルに寝転がって乳房やふとももにクリームを塗り、マラスキーノ・チェリーだのオレンジピールの砂糖漬けだのを載せている…

ルイージ・トレーリ(大型潜マルコーニ級)「はい、そういうこともありますね…♪」一方はるばるイタリアから日本の神戸にまで到着し、その間に伊・独・日と国旗を変える数奇な運命をたどった「ルイージ・トレーリ」…三カ国語を話し、物腰も丁寧と非の打ち所がない……が、酔っているらしくフィンチの悪ふざけに乗っている…

レモ「わぁ、美味しそう♪」

フィンチ「ははは、遠慮しないでいいぞ!」

トレーリ「それじゃあ私もいただきます…ね♪」

エリトレア「あむっ、ちゅっ…れろっ……もっとクリームが欲しいですねっ♪」




680 ◆b0M46H9tf98h2020/10/05(月) 01:27:20.90S7+5Z4s70 (1/1)

提督「…」何も言わずじっとフィンチたちの方を眺めている…

ライモン「て、提督……さすがにあれは止めさせますか? 提督は前にも「食べ物で遊んではいけない」とおっしゃっていましたし……///」

提督「……美味しそうなドルチェね♪」

ライモン「えっ…?」

提督「そうね、確かに「食べ物を粗末にいてはいけない」とは言ったわ。でもレモやトレーリたちはこぼしたり無駄にしたりしないでちゃんと食べているみたいだし……それに今日はお祝いだもの、少しくらい羽目を外したって構わないわ♪」

ライモン「そ、そうですか…」

エウジェニオ「おおかた提督自身もああいう遊びをした経験があるのよね…♪」

提督「…かもね♪」

グレイ提督「まぁまぁ……なかなか愉快な事になっておりますわね?」滑らかなシルクのスリップ(ロング丈のキャミソール)姿でどこからともなく現れると、提督から二つばかり離れたストゥール(腰かけ)に座ったグレイ提督……優雅な姿勢でちびちびとブランデーを舐めながら、グラスをもてあそんでいる……

提督「あら、メアリ…てっきりこういうパーティにはおいでにならないかと思っておりました」

グレイ提督「いえいえ。わたくしも一応「ザ・アンドリュース」(英国海軍)の一員ですから、時にはこうした「愉快なパーティ」も経験したことがありますわ……もっとも、ここのパーティほどではありませんでしたけれど♪」

提督「お褒めにあずかり恐縮です…良かったら楽しんでいって下さいね?」甘い笑みを浮かべると、わざとらしくウィンクを投げた…

グレイ提督「ええ、そうさせていただきますわ…♪」

…しばらくして…

トレーリ「…ちょっと中だるみになってきましたし、そろそろ出し物でもやりましょう……ルイージ・トレーリ、行きます♪」拍手喝采の中、ご機嫌なトレーリが一段高くなっている演説台に上がった…身体には大きなイタリア王国海軍旗を巻き付け、マントのように首もとで軽く結んでいる……

提督「あら…トレーリってば、何をするのかしら?」

トレーリ「それではルイージ・トレーリの「極東輸送航海」を始めますね…ぇ♪」CDプレーヤーから何やら妖しげなムード音楽が流れ始めると、自分の身体を抱きしめるようにして腕を回し、それからなまめかしい手つきで国旗の結び目をゆっくりとほどいていく……

マルコーニ「お、おぉ…ぅ!?」

ニコ「うわ…///」

…テーブルの一つ…

マルチェロ「おっ…見たまえ提督諸君。あれを見逃す手は無いぞ♪」

アミラーリオ・ディ・サイント・ボン(大型潜カーニ級)「ほほう…あれこそまさに曲線美の極致というものですね」

ベネデット・ブリン(大型潜ブリン級)「まさに「造船の美」ですな」

コマンダンテ・ファー・ディ・ブルーノ(大型潜カッペリーニ級)「目の保養になりますね…♪」

アミラーリオ・ミロ(カーニ級)「……いい眺めです♪」

トレーリ「…ふぅ、あっ…ん……♪」肩から胸元と、次第に肌があらわになっていく……

…バーカウンター…

提督「もう、トレーリってばどこであんなことを覚えたのかしら……うふふっ♪」

グレイ提督「なかなか刺激的な余興ですわね…♪」

トレーリ「はぁ……はふっ…ん……んぅぅ…♪」指先で身体をなぞるようにして、次第に国旗をはだけさせていくトレーリ…

提督「♪」氷が溶けるのも構わず、カクテルそっちのけでトレーリの整った身体をじっくりと眺めている……

トレーリ「……んぁ……はふっ…んぅぅっ♪」悩ましげな声をあげると「しゅるり…」とトリコローリの旗が床に落ちた…

アゴスティーノ・バルバリゴ(マルチェロ級)「おお…っ!?」

トレーリ「…はあんっ……ふあぁぁ…んっ♪」トリコローリの下にはいまだにヨーロッパ中でアレルギーを引き起こす「黒・白・赤」をした第三帝国の海軍旗をまとっていた…ように見えたがそれはあっという間に消え、最後は赤と白の旭日旗を脱ぎ捨てて、布一枚まとっていない胸元と秘部を押さえて、甘いあえぎ声を上げて床にへたり込んだ……

提督「ふふ、とっても良いものを見せてもらったけれど……おかげでカクテルがぬるくなっちゃったわ♪」

コマンダンテ・カッペリーニ(大型潜カッペリーニ級)「トレーリがそうなら、私も……♪」

ファー・ディ・ブルーノ「ふふ、期待していますよ…姉上♪」

カッペリーニ「トレーリ、今度は私が…ほら、エリトレアも来て♪」

エリトレア「はいっ…♪」やはり伊・独・日と掲げる国旗を変え、最後は「伊五〇三」として解体された「コマンダンテ・カッペリーニ」と、ボルネオまで進出し彼女たちを支えていたエリトレア……二人が絡み合いながらゆっくりとお互いを脱がせ合っていく…最後は口づけをしたところで、ちょうど音楽が終わった…

提督「うふふっ…とっても素敵な出し物だったわ♪」

………




681 ◆b0M46H9tf98h2020/10/10(土) 03:19:22.39ZnD6HBjl0 (1/1)

…数分後…

ポーラ「提督、つぎは何にしますかぁ~?」

提督「そうね、それじゃあアマレットを……って、トレーリったら大丈夫かしら…?」

…テーブルの一つ…

ビスマルク「…ははは、なんともいい出し物だったぞ!」

トレーリ「ダンケシェーン、ビスマルク…♪」


…日本風の「キモノ」を羽織り、帯を締めずすっかりはだけさせているトレーリと、シンプルな黒の下着にワイシャツだけの姿でキルシュヴァッサー(チェリーブランデー)のグラスをあおっているビスマルク…


トレーリ「ところでビスマルク、ヴァイス提督とティルピッツさんはどうしました?」

ビスマルク「ああ、そのことか…全くふがいないことに、ティルピッツときたら「恥ずかしくてそんな格好なんて出来ない」と駄々をこねて、部屋にこもってしまったのだ……まったく」

トレーリ「そうでしたか」

ビスマルク「ヤー。それに付き合ってうちの提督も一旦戻ったが…果たしてもう一度ここに戻ってくるかは分からんな……まぁいい、飲もう!」ろれつの回らない舌でグラスにキルシュヴァッサーを注ぎ、焦点の合わない目でトレーリを見た…

トレーリ「プロージット(乾杯)♪」イタリア語はもちろん、ドイツ語と日本語も流暢なトレーリ…軽くグラスを触れさせると、きついキルシュヴァッサーを慎重に飲んだ…

ビスマルク「プロージット!」すっかりへべれけでグラスの半分はこぼしてしまったビスマルク……すでにワイシャツはびしょびしょで、下の黒いブラが透けて見える…

提督「…」

ヴァイス提督「エントシュルディゲン(失礼)……カンピオーニ提督」

提督「あら、シャルロッテ…水着ですか?」

ヴァイス提督「や、ヤー……さすがに下着というのは恥ずかしかったので///」無難な紺色のビキニスタイルで、仮面越しにもすっかり顔を赤らめているのがわかる…

提督「そうですか。まぁ無理にとは言いませんが、せっかく仮面をつけているのですし…たまには羽目を外してみてもいいと思いますけれど♪」

ヴァイス提督「い、いえ…///」

提督「……それに、シャルロッテの下着姿も見てみたかったですし♪」甘い笑みを浮かべると、艶っぽい声でささやいた…

ヴァイス提督「…っ///」

提督「ふふふっ……それで、どうしました?」

ヴァイス提督「はっ、そろそろビスマルクを連れ戻そうと思いまして……ビスマルク!」

ビスマルク「おぉ、来たかマイン・アトミラール(我が提督)…そうして立っているとまるでフライアのようだな!」


(※フライア…北欧神話の美と豊作の女神「フレイヤ」のドイツ語読み。美の女神だが勇敢な事も好み、地上に戦が起きるとワルキューレ(戦乙女)たちを率いて降りてきて「神々の黄昏(ラグナロク)」に備え、主神オーディンがヴァルハラへと連れて行く名誉ある戦死者たちから半分を自分の館「セスリムニル」へと連れて行くとされる。そこで戦士たちはラグナロクが来る時まで蜂蜜酒を飲み、ごちそうを食べて楽しく過ごすという……ドイツ語で婦人を意味する「フラウ」や英語の金曜日「フライデー」はフレイヤが語源。第二次大戦中のドイツ軍のレーダーにも「フライア」がある)


ヴァイス提督「誰がフライアだ! それに私がフライアなら、なおのこと貴様を連れて行く必要があるだろうが…ほら、立て!」

ビスマルク「待て待て、私は死んでなどいないぞ……それに蜂蜜酒は好きじゃない!」

ヴァイス提督「やかましい、この酔っ払いが…!」

ライモン「……連れて行かれましたね」

提督「そうね」

カヴール「ふふふっ…見ている分には面白かったのですが、残念ですね♪」




682 ◆b0M46H9tf98h2020/10/12(月) 01:13:10.05NZHeAV+N0 (1/1)

…深夜…

コルサーロ「ひっく…さすがのあたしも……もう飲めねぇ…や」

アスカーリ「んだ……えかく飲んだで…部屋がローリングしているように見えるだ……ひゃっく」

ジェンマ「……ぐぅ」

ナザリオ・サウロ「さすがに飲み疲れちゃいましたね……」

チェザーレ・バティスティ「…うん…パーティは楽しいけど、そろそろ寝たいかも……ふわぁ…ぁ」

アンフィトリテ(中型潜シレーナ級…ギリシャ神話の海神ポセイドンの妻)「ふふ…貴女もそろそろおねむの時間なのじゃない、トリトーネ?」

トリトーネ(中型潜フルット級…アンフィトリテの娘の一人。海の精「トリトン」)「はい、お母さ……いえ、アンフィトリテ///」

アンフィトリテ「お母さんでいいわよ……デルフィーノはどうする?」

デルフィーノ「そうですねぇ、だったら私もご一緒させて下さい……だいぶ眠くなってきちゃいましたから…ぁ」


…ポセイドンがアンフィトリテへ「求婚の印」として贈ったとされ、アンフィトリテを示す印となったデルフィーノ(イルカ)……後には行方不明になったアンフィトリテを見つけた功績により星座の「いるか座」になったとされることから、アンフィトリテとその娘トリトーネとは仲がいい…


アンフィトリテ「それじゃあ仲良く三人で…ね」

トリトーネ「デルフィーノは私とお母さんに挟まれたら眠れなくなりそうだけど……♪」

デルフィーノ「そ、そんなことないですよぅ…///」

トリトーネ「どうだか……それじゃあ提督、お休みなさい」

提督「ええ、お休みなさい♪」


…夕方から始まったパーティを目一杯楽しんでいた艦娘たちも、さすがに2400時を回った頃になると、小さな駆逐艦や中型潜たちを中心に眠い目をこすったりあくびをし始める様子が目立つようになり、三々五々と引き上げる娘たちも出はじめた……一方、遊び方を心得ている妙齢の貴婦人である戦艦組や、航続距離の長さには定評のある大型潜あたりはパーティの「第二部」を楽しんでいる…


カヴール「…もう残っているのは私のような老嬢ばかりのようですね♪」

ローマ「カヴール、その言い方は失礼ではありませんか?」

デュイリオ「そうですよ、カヴール……リットリオたちは別にしてあげませんと♪」

ローマ「いえ、そうではなく」

デュイリオ「あら、違いました?」

ローマ「ええ…だって、提督がおりますから」

カヴール「ふふ、そうでした…まだ提督がおりますものね♪」ぎゅむ…っ♪

提督「んふふっ、もう…♪」カヴールに抱きつかれた提督はにやけた笑みを浮かべながら、カヴールの柔らかいたわわな乳房をこね回した…

カヴール「あんっ♪」

エリザベス「……まさにバビロン(悪徳の都)もかくや、と言った具合にございますね」

グレイ提督「ふふ、彼女たちはかのローマ帝国の末裔ですもの……ですが「郷に入りては郷に従え」と申しますし…せっかくなのですからわたくしたちも愉しませていただきましょう」

エリザベス「仰せのままに…♪」古風なペチコートにキャミソール姿のクィーン・エリザベス…グレイ提督と身体を寄せあい、ゆっくりと唇を交わした…

グレイ提督「ん…」

エリザベス「んっ…む」

カヴール「あらあら、あのお二人が口づけを交わすような仲だったとは思いませんでした…♪」

提督「ふふっ…ああ見えてメアリは意外と優しい所があるのよ」

グレイ提督「ふぅ……フランチェスカ、「ああ見えて」は余計ですわ」

提督「あ、聞こえてしまいましたか……失礼しました♪」

グレイ提督「お分かり頂けたのならよろしいですわ」

提督「ふふっ♪」

グレイ提督「ふふふ…♪」


683 ◆b0M46H9tf98h2020/10/13(火) 02:03:38.52pFiWdDEu0 (1/1)

…しばらくして…

ポーラ「ザラ姉様ぁ…ポーラ、さすがにもう飲めませぇ……ん…♪」

ザラ「はいはい……それじゃあお風呂に入って、それから一緒のベッドで休みましょう?」

ポーラ「はい、せっかくの夜に独り寝じゃあさみしいですものねぇ……姉妹で仲良く「添い寝」しましょうねぇ…えへへぇ♪」意味深な言い方をすると甘ったるい含み笑いを浮かべた……

ザラ「…もう、そういうこと言わないでよ///」口ではそう言いながらも、酔って桃色を帯びたポーラの身体を見て小さく舌なめずりをするザラ…

ポーラ「えへへっ……それじゃあ提督、ポーラは一足先に休ませてもらいますねぇ~…♪」

提督「ええ、お休みなさい」

フィウメ「お休みなさい」

ゴリツィア「また明日、提督♪」

提督「お休みなさい……相変わらず仲むつまじいようで何よりね。もっとも、ザラたちのはちょっと激しいけれど…ふふっ♪」暇さえあれば身体を重ねているザラたちを思い出して、くすくすと笑った……と、ライモンが何か言いたそうにもじもじしている…

提督「どうしたの、ライモン?」

ライモン「えぇと…あの、提督……一つお願いがあるのですが」

提督「なぁに?」

ライモン「その、良かったら……わたしと一曲踊ってくれませんか///」

提督「私はだいぶお酒が入っているけれど……今から?」

ライモン「はい…この格好はともかくとして、やっぱり仮面といえば「仮面舞踏会」かな、と……だめでしょうか?」

提督「……いいえ、他ならぬライモンのお願いですもの…喜んで♪」

カヴール「…それでは私が何か曲をかけてあげますね……あ、これなんていいかもしれません」そう言うとプレーヤーにCDをセットした……

ライモン「それでは提督…どうか一曲お願いします///」

提督「ええ、こちらこそ♪」膝を曲げて優雅に一礼すると、差し出された手を取った…

ライモン「はい///」


…CDから流れてきた「妖艶なる絆の響き」のメロディーをお供に、二人はリズムを刻んでゆったりと踊った……お互いに下着だけの火照った身体が触れあい、熱っぽい吐息が首筋や胸元にかかる…ほっそりしたライモンの指先と提督のしなやかな指が絡み合い、提督の金色をした瞳が次第にとろりと艶めいた光を帯びてくる…


提督「……ライモン」

ライモン「提督…///」

提督「だめ…今だけは「提督」じゃなくて……名前で呼んで」

ライモン「…っ、恥ずかしいです///」

提督「ふふ、そういうところも可愛いわ…ライモン♪」

ライモン「フ、フランチェスカ……///」

提督「なぁに…?」

ライモン「……愛しています///」

提督「私もよ…愛しいライモン♪」……ちゅ…っ♪

ライモン「///」

………






684 ◆b0M46H9tf98h2020/10/17(土) 02:00:06.12K3NNCykn0 (1/1)

…提督寝室…

ライモン「あ、あの…フランチェスカ///」

提督「なぁに、ライモン?」

ライモン「えぇと、その……服はここに置いてしまって構いませんか…?」律儀に服を畳み、椅子の上に置こうとしているライモン…仮面はすでに外されていて、桜色に染まった頬はワインとカクテルのためだけではないように見える……

提督「ふふっ、ライモンったら……顔が紅いわ♪」

ライモン「だ、だって……こうして一緒にいられるのは嬉しいですけれど…ベッドをご一緒するとなると、まだ少し恥ずかしいんです///」

提督「大丈夫よ、私だって恥ずかしいわ…」ライモンの手に自分の手を重ねると、そのままふくよかな胸に押し当てた…

ライモン「あっ…///」

提督「……ね?」

ライモン「はい……それに、とても張りがあって暖かいです…///」わずかに開いたライモンの手が、提督のもっちりした乳房をそっと揉んだ…

提督「ふふ、そう遠慮しないで…ね♪」ライモンの腰に手を回すと、そのまま一気にベッドにもつれ込んだ…

ライモン「きゃあっ…///」

提督「…まぁまぁ、そんな可愛い声をあげちゃって♪」

ライモン「だ、だって提督がいきなり…んむっ!?」

提督「…んちゅっ、ちゅむ……ちゅる…っ……んちゅ…♪」

ライモン「んんっ、んぅ…んぅぅ……っ///」

提督「ぷは…♪」

ライモン「い、いきなり何を…///」

提督「さっき言ったでしょう……今だけは「提督」じゃなくて「フランチェスカ」って呼んで…」緑がかった月明かりだけがぼんやりと部屋を照らす中、提督の金色の瞳がきらりとまたたく……

ライモン「そ、そうでした…でも、だからっていきなり……///」

提督「いいじゃない…せっかく二人きりなんだもの」

ライモン「……それもそうですね、じゃあ…今度はわたしから…」ん、ちゅっ…♪

提督「んむっ、ん……ふ…♪」

ライモン「…んっ……あむっ、ちゅぅ……///」

提督「ライモン…」提督の白くて柔らかな人差し指が優しく下腹部を撫でる…

ライモン「はい…///」

提督「ん、ちゅぅ…っ♪」舌を絡めてゆっくりと口づけをしながら、優しく抱き合う二人……次第にライモンの身体が提督の上に沈んで行き、提督の左手とライモンのほっそりした右手の指が互いに重なり合う…

ライモン「んんぅ、んぅ…っ……はぁ…あぁ……んぅ///」

提督「ん、んぅっ……♪」

ライモン「はぁ、あふっ、ふぅ……あっ、あっ…///」くちゅくちゅ…っ、ちゅぷっ♪

提督「あふっ、あっ、あぁん…っ♪」ぬちゅっ、ちゅく…っ♪

ライモン「い、いきますよ……フランカ///」

提督「ええ…ライモン♪」気恥ずかしそうにしながら指を花芯に滑り込ませるライモンと、甘いとろけるような笑みを浮かべながらライモンを愛撫する提督…

ライモン「…フランカのここ……とろりとしていて、とっても柔らかいです…///」くちゅ…ぬちゅり……とろ…っ♪

提督「ライモンの中も…暖かくて、指がとろけそうよ……♪」ぬちゅ…ちゅぷ、くちゅ……っ♪

ライモン「ふわぁ……あっ、あ……ぁっ、んあぁ…っ♪」

提督「んんぅ、あぁぁんっ…はぁんっ……♪」

………




685 ◆b0M46H9tf98h2020/10/24(土) 01:18:59.07bSBImuJk0 (1/2)

…翌朝…

提督「……んんぅ…♪」

ライモン「…おはようございます……フランチェスカ///」


…肌触りのいいパイル地のタオルケットと、その上からほどよいぬくもりをもたらす布団……そして横向きに寝ている提督の身体にぴったりと寄り添っているすべすべしたライモンの身体……いつも高めに結っているポニーテールは解かれていて、落ち着いた色合いの金髪がふわりと肩にかかっている…


提督「おはよう……って、あんっ♪」

ライモン「…ん、ちゅっ///」

提督「ちょっと、ライモンってば……今朝はずいぶんと大胆ね…ん、あふっ♪」

ライモン「ええ、たまにはわたしも積極的になろうかと……だめでしょうか…///」少し恥ずかしげな表情を浮かべつつ、提督のたわわな乳房や柔らかい二の腕、むっちりとしたふとももに吸い付くようなキスをする…

提督「まさか……むしろ大歓迎よ♪」

ライモン「もう…っ///」

提督「ところで、せっかくライモンがキスしてくれているのだし……私もお礼をしないといけないわよね?」

ライモン「きゃあ…っ♪」

提督「それじゃあ、どこからキスしようかしら…と♪」

ライモン「…ふぁ///」

提督「……そんな声を出されたら、またしたくなっちゃうわよ…ライモン♪」

ライモン「ええ……その、わたしも…///」

提督「………」

ライモン「…フランチェスカ?」

提督「……ライモン、その誘い方を知っていて使ったのなら満点をあげるわ…抑えようとする気がなくなったもの♪」

ライモン「えっ、それって……あっ、ひゃぁん…っ♪」

提督「あぁんっ、もう…ライモンったら、そういう反応がたまらないのよ……んむっ、ちゅむ……っ♪」

ライモン「あふっ、ふわぁぁん…っ♪」

…しばらくして…

提督「ふぅぅ…とっても可愛かったわよ、ライモン♪」朝方はすでに薄ら寒いほどの時期だというのに全身汗ばみ、肩で息をしながらベッドに仰向けになった……ふとももは垂らした愛蜜でべとべとしていて、動くたびに「ぬちゅ…っ♪」と粘っこい音を立てる…

ライモン「……そういう提督こそ…でも、そろそろ起きないといけませんよ♪」

提督「あら…今朝はもう「フランチェスカ」って呼んでくれないの?」

ライモン「ええ、本当はわたしもそう呼んでいたいですけれど……」

提督「そうね…分かったわ、ライモン」

ライモン「はい」

提督「それじゃあまずは歯でも磨くとするわ……そうしたらちゃんと口にキスできるものね♪」いたずらっぽい口調でそう言うとベッドを出て、振り向きざまにウィンクを投げつつドアノブに手をかけた…

ライモン「なら、わたしはその間にコーヒーを用意して……」

ルイージ・トレーリ「…その必要はないですよ、ライモンド」

ライモン「きゃっ…///」慌てて布団で胸元を隠した…

提督「あら、トレーリ…おはよう♪」

トレーリ「ええ。おはようございます、提督……執務机の上には今朝の気象通報と新聞を置いておきましたし、コーヒーも食堂から持ってきました。どうぞ冷めないうちに召し上がって下さい」

提督「あら、わざわざ持ってきてくれたの?」

トレーリ「はい。私もさきほど目覚めのコーヒーを飲んでいて、ふと思いたったものですから……よかったらライモンドもどうぞ?」

ライモン「え、ええ…それじゃあそうさせてもらいますね///」

トレーリ「はい」

提督「わざわざありがとう、トレーリ」

トレーリ「いえいえ…それに昨夜のみんなを考えたら、デルフィーノとアッチアイーオもしばらく起きてこられないでしょうから……♪」

提督「ふふっ、確かに…♪」


686 ◆b0M46H9tf98h2020/10/24(土) 02:16:31.79bSBImuJk0 (2/2)

…しばらくして・食堂…

提督「おはよう、ザラ」

ザラ「ええ…おはよう、提督……」

提督「…ずいぶんお疲れのようね?」

ザラ「まぁね……あと「空が黄色い」って言うけれど、あれは嘘ね…何しろ目の前は黄色じゃなくて桃色がかっているもの……喉はひりひりするし、頭も痛いわ…」

提督「そんなに激しかったのね?」

ザラ「ええ…昨日のアルコールが残っているのを別にすれば、腰が抜けるほど気持ち良かったわ……♪」充血した目をして深いくまも作っているが、口元に笑みを浮かべた…

ガリバルディ「あら、提督にザラ…おはよう♪」

提督「おはよう、ガリバルディ」

ザラ「ええ、おはよう……」

ガリバルディ「昨夜は楽しかったわね。私も久々に心ゆくまで愉しませてもらったわ♪」朝からご機嫌で肌の血色と張りもよく、あちこちにキスの跡をつけているガリバルディ…

ザラ「ガリバルディってば、どういう体力をしているのよ…私なんてもうふらふらなのに……」

ガリバルディ「ふふん、革命家っていうのは体力がないとね♪」

ザラ「まったく、貴女のその女たらしには付き合いきれないわ…」

エウジェニオ「……あら、昨日の今日だって言うのに…みんな結構早いのね?」

提督「あら、エウジェニオ。おはよう♪」

エウジェニオ「ええ、おはよう……んちゅっ、むちゅぅ…っ♪」

提督「ん、ふ……あふっ…んぅ♪」

エウジェニオ「ん…今朝の提督からはライモンドの味がするわね♪」

提督「ご名答。そういうエウジェニオからはいろんな味がするわ」

エウジェニオ「ふふ…どの娘も違う味がして、みんな美味しかったわよ♪」

提督「…分かるわ♪」

エウジェニオ「さてと…それじゃあもう一度ベッドに戻る前に、コーヒーでもいただくとしましょうか」そう言って濃いエスプレッソをすするエウジェニオ…

ザラ「ちょっと、まだするつもりなの? …もう太陽は出ているのよ?」

エウジェニオ「だって、明るいところで身体を重ねるのもまた格別だもの……せっかくだし、ザラもポーラたちと「朝寝」にいそしんでみたら?」

ザラ「冗談にならないわ…さっきようやくポーラが寝てくれたって言うところなのに……」

エウジェニオ「そう。なら私と一緒に、なんて……いかが?」白くてほっそりした手でザラの頬を下から撫で上げた…

ザラ「遠慮しておくわ」

エウジェニオ「ふふふっ、気が変わったら私の部屋までおいでなさいね……チャオ♪」

ザラ「……あきれた」

提督「ふふっ、エウジェニオらしいわ…♪」

ガリバルディ「そうね……さーて、私もコーヒーを飲んだらもうちょっと可愛い娘たちといちゃついてくるわ♪」

提督「ええ」

ガリバルディ「何かあったら呼んでちょうだいね…それじゃ♪」

ディアナ「……この様子では朝食抜きになる娘が多そうでございますね」

提督「あら、ディアナ」

ディアナ「おはようございます、提督…何か召し上がりますか?」

提督「ありがとう、でも気にしないで。ディアナは昨夜のごちそうを作るので大変だったのだから、今朝くらいはお休みしていいのよ?」

ディアナ「よしなに」

提督「それに、たまには私もお料理をしないと…腕がなまっちゃうもの」

ザラ「…提督は料理上手だし、そんなことはないと思うけれど」

提督「あら、ありがとう…嬉しいことを言ってくれるから、ザラにも何か作ってあげるわね♪」


687 ◆b0M46H9tf98h2020/10/27(火) 01:26:59.48Az9KLuO70 (1/1)

…午前中…

提督「……それにしても、時が経つのは早いものですね」紅茶のカップを眺めつつ、しみじみとした口調で言った…

グレイ提督「と、申しますと?」

提督「いえ…今回の「交換プログラム」もあと数日でおしまいですし、そうなると……」

グレイ提督「…これ以上「嫌味で皮肉屋なイギリス貴族」の相手をしなくて済みますわね?」口角をかすかに上げると「ふふ…♪」と小さく笑ってみせる…

提督「そんな、滅相もない……確かにメアリは少し気位の高いところがありますけれど、何事もきちんとしていますし…それ以上に……とっても魅力的です///」

グレイ提督「あら、人を褒めるのがお上手ですわね……」

提督「……だって、嘘偽りのない気持ちですから♪」そう言うと、グレイ提督のほっそりした手を両手でそっと包んだ…

グレイ提督「まぁまぁ……そういう所が貴女らしいですわね、フランチェスカ?」さらりと手をほどくと、何事もなかったかのように紅茶をすする…

提督「…メアリのいじわる」

グレイ提督「ふふ……♪」

提督「ふふふっ……話は変わりますが、機会があったらぜひまたここに立ち寄って下さいね?」

グレイ提督「ええ、もちろんですわ…もっとも、ジブラルタルに戻り次第わたくしは北大西洋の護衛任務に駆り出される事になるでしょうから、ダッフルコートにくるまって身震いをしながら、暖かいここの波を懐かしく思うのがせいぜい…と言ったことになりそうですわね」

提督「英国海軍も大変ですね」

グレイ提督「いいえ、わたくしの苦労などあの娘たちに比べればさしたるものではありませんわ……とにかく、フランチェスカとここの艦娘の皆には良くして頂いて「エリザベス」「エメラルド」共々ありがたく思っております」

提督「いえいえ…」

グレイ提督「フランチェスカも「ザ・ガット(ジブラルタル)」までおいでになる機会がありましたら、ぜひわたくしの鎮守府においでなさいな……そのときはちゃんとした英国料理でおもてなしいたしますわ」

提督「あー、イギリス料理は…その……」

グレイ提督「ふふ、安心なさいな…よく冗談のタネにされていたような「不味いイギリス料理」というのは昔の話ですわ。最近は「ピカデリー・サーカス(ロンドンの繁華街)」にも美味しいお店が増えて、エジプト料理やパキスタン料理を食べた際も、なかなか美味しゅうございましたもの」

提督「……あの、イギリス料理のお話では?」

グレイ提督「まぁ、ご冗談を……エジプトやパキスタンはまだまだ「コモンウェルス(英連邦)」のようなものではありませんか♪」

提督「…」

グレイ提督「…それにヴァイス中佐には申し訳ありませんけれど、少なくともあの粗末なドイツ料理に比べれば……」そこまで言いかけたところでヴァイス提督が食堂に入ってきたのを見つけ、口をつぐんだ…

ヴァイス提督「おはようございます。カンピオーニ提督、グレイ提督……何のお話ですか?」

グレイ提督「モーニン……ええ、わたくしはちょうどフランチェスカにお礼と「機会があったらぜひジブラルタルにもおいで下さい」と言っていたところですわ♪」

ヴァイス提督「あぁ、なるほど…確かにカンピオーニ提督には大変豪華なもてなしをしていただき、感謝の言葉もないほどです。ヴィルヘルムスハーフェンにおいでになる機会がありましたら、ぜひ本官の鎮守府にもお立ち寄り下さい」

提督「ダンケシェーン、シャルロッテ…♪」

ヴァイス提督「ビッテシェーン……カンピオーニ提督///」

グレイ提督「まぁまぁ…ヴァイス提督は獰猛な狼のごとき「ビスマルク」と「ティルピッツ」をいともたやすく指揮しておられるのに、それがカンピオーニ提督のお礼一つで頬を染めてしまわれて……ふふ♪」

ヴァイス提督「いえ、それは……その…っ///」

提督「ふふっ…だってシャルロッテは花も恥じらうユングフラウ(若き乙女)ですもの♪」

ヴァイス提督「いえ、そんな…///」

グレイ提督「そうでしたわね…ふふ♪」

提督「うふふっ♪」

ヴァイス提督「///」

提督「ふふふっ…冗談ですよ、シャルロッテ。一緒に紅茶をどうですか?」

ヴァイス提督「はっ、いただきます…///」




688 ◆b0M46H9tf98h2020/10/31(土) 02:36:11.14umwdAZY80 (1/1)

…数日後…

アッチアイーオ「…提督、準備が整ったわよ」

提督「ええ、それじゃあ行きましょうか」

…鎮守府・庭…

提督「…それでは、これより「戦術・知識交換プログラム」の完了に伴い本鎮守府を離れられる、英国海軍地中海艦隊のメアリ・グレイ少将、ならびにドイツ連邦海軍のシャルロッテ・ヴァイス中佐の送別式を実施いたします」


…形ばかりの「送別式」とはいうものの、鎮守府の庭に立っている国旗掲揚柱にはイタリア海軍、英国海軍、ドイツ連邦海軍の旗がへんぽんと翻って秋の涼しい風にはためき、艦娘たちはそれぞれの正装をまとい、提督も濃紺と金モールの礼装姿で将官らしく決まっている…


デルフィーノ「では、本鎮守府の提督よりご挨拶を申し上げます…提督、どうぞ」

提督「ええ……まずはこの数ヶ月というもの、グレイ提督ならびにヴァイス司令には多くの面でご指導、ご鞭撻いただき、大変に感謝しております…イタリア海軍の一将官として、私はお二人から学んだ数々の知識をもってイオニア海…ひいては地中海の平和により一層寄与出来るよう努力していく所存です……」

提督「…お二人、そして随伴艦「クィーン・エリザベス」「エメラルド」「ビスマルク」「ティルピッツ」と過ごした時間はとても素晴らしいものでした……少々寂しくはなりますが、いつかまたこの美しい海のどこかでお会い出来ることを信じております」

アッチアイーオ「…それでは、英国海軍地中海艦隊メアリ・グレイ少将ならびにドイツ連邦海軍シャルロッテ・ヴァイス中佐からご挨拶をいただきます…グレイ提督、どうぞ」

グレイ提督「こほん……まずはカンピオーニ提督と艦娘の方々には大変よくしていただき、お礼の言葉もないほどです…改めて、英国海軍を代表して感謝を申し上げますわ」

提督「…いえ、こちらこそ有意義な時間を過ごさせていただきました」

グレイ提督「それはわたくしの方ですわ……カンピオーニ提督の作戦指揮、イタリア海軍の機動と戦術…なかなか興味深く、参考になるものも多うございました」

提督「グレイ提督にそう言っていただければ、この交換プログラムも成功ですね」

グレイ提督「ええ、もちろんですわ……そして今後も我が英国海軍と、イタリア海軍の友好が続きますことを願っております……楽しい時間を過ごさせていただいたこと、感謝しておりますわ…フランチェスカ」そう言って挨拶を終えると提督に近寄り、珍しいことに左右の頬へキスをした…

提督「…はい♪」

デルフィーノ「続いてヴァイス提督、どうぞ」

ヴァイス提督「ヤー。まずはカンピオーニ提督、並びに「タラント第六鎮守府」に所属する艦娘の方々には、本官および「ビスマルク」「ティルピッツ」を厚遇して下さり、誠に感謝しております…また、船団護衛とそれに伴う対空・対潜戦におけるイタリア海軍の戦術を学ぶ機会を得たことは、本官にとって大変有意義であり、かつ射撃管制や艦艇の機動におけるカンピオーニ提督の指揮は大いに学ぶべきものがありました……」

提督「ダンケシェーン」

ヴァイス提督「はっ……本官および「ビスマルク」「ティルピッツ」は今回の交換プログラムで得た経験を糧とし、今後もドイツ連邦海軍の戦力として任務を遂行し、その任を全うするべく努力するものです」

提督「ええ……ヴァイス提督ならきっと出来ますよ♪」ちゅっ…♪

ヴァイス提督「はっ、ありがとうございます…///」

提督「ふふっ、キスをすると紅くなるのは直らなかったわね……シャルロッテ♪」

ヴァイス提督「///」

グレイ提督「まぁ……ふふ♪」

アッチアイーオ「あー…以上で送別式を終わります。全体、敬礼っ!」

…翌日…

グレイ提督「…それにしても、ここでは「色々と」楽しく過ごさせていただきましたわ……♪」提督との様々な経験を思い出させる、少し見下したような微笑を浮かべた…

提督「もう、メアリってば…///」

グレイ提督「ふふ…♪」

提督「うふふっ♪」

ヴァイス提督「……本当にありがとうございました、カンピオーニ提督」

提督「いえいえ♪」

ヴァイス提督「これで「研究発表会」までの交通手段が車なら良かったのですが…」交換プログラムの締めくくりとしてローマで行う「研究発表会」へ向かうべく、支度を整えて正門で待っている提督たち……

提督「……ここからローマまで行くのに、ですか?」

ヴァイス提督「あぁ、いえ……何でもありません」と、苦り切った表情でちらりと後ろを見た…

ビスマルク「……シャイス、とっとと歩け…!」

ティルピッツ「嫌だぁぁ、どうせまた飛行機に乗せられるんだ……しかもマカロニのパイロットが曲芸飛行みたいな操縦をする軍の輸送機で…!」

ビスマルク「…えぇい、この……!」

提督「…なかなか大変ですね」

………




689 ◆b0M46H9tf98h2020/11/07(土) 01:24:01.359iMuyVjb0 (1/1)

…しばらくして・グロッタリーエ空軍基地…

下士官「グロッタリーエに到着しましたよ、提督閣下…しかも記録を十分も更新しました!」ローマへと向かう輸送機が待っているグロッタリーエまで送ってくれた軍の「マセラッティ・クアトロポルテ」はエンジンがチリチリと音を立てている…

提督「でしょうね、とても早かったもの」

下士官「ええ、何しろお急ぎかと思いまして」

提督「ふふっ、グラツィエ」ほどなくしてグレイ提督たちを乗せた残り二台のマセラッティも基地のゲートをくぐってエプロン(駐機場)で停車した……と、下士官がドアを開けるか開けないかのうちによろよろと降りてきたティルピッツ……

ティルピッツ「…うぇ…っ……朝食べたものを吐きそうだ……」

ビスマルク「全くだらしない…そんなことで冬のビスケー湾や北海が乗り切れると思っているのか?」

ティルピッツ「いや…姉上の前だが、海は自分で舵を取れるし平気なのだ……だが、人が運転している乗り物となると…」

ビスマルク「あれこれと御託を並べるな! ……ほら、化粧室まで連れて行ってやる」

ティルピッツ「ダンケ……」

ヴァイス提督「…申し訳ありません、少しだけ時間を取らせて頂けますか」

提督「ええ、大丈夫ですよ♪」

チェザーレ「まぁ、致し方あるまい」

ガリバルディ「……あれだけの大戦艦にしてはちょっと「虚弱体質」ってところだけど♪」

提督「ガリバルディ」

ガリバルディ「失礼、口が滑ったわ」

グレイ提督「ふふ……それにしてもイタリア軍のドライバーは、どなたもまるでサー・スターリング・モスのようですわね」

(※スターリング・モス…1950~60年代に名を馳せた、イギリスの伝説的レーシング・ドライバー)

提督「そこはエンツォ・フェラーリでしょう、メアリ♪」

(※エンツォ・フェラーリ…言わずと知れた自動車メーカー「フェラーリ」の創業者にしてレーシング・ドライバー。第一次大戦のエース、フランチェスコ・バラッカの遺族から許可を得て譲り受けたという「カヴァッリーノ・ランパンテ(跳ねる馬)」のエンブレムが有名)

グレイ提督「ふふふ……あら、どうやらヴァイス中佐たちが戻ってきたようですわ」

ヴァイス提督「お待たせいたしました」

提督「いえ、とんでもない…さ、行きましょう♪」

ティルピッツ「飛行機は嫌だ、飛行機は嫌だぁぁ……」

提督「あー…ティルピッツは大丈夫?」

ビスマルク「なに、心配は無用だ」

提督「そう?」

ビスマルク「ああ……なぁ、ティルピッツ」

ティルピッツ「何ですか、姉上…っ!?」

ビスマルク「…この手に限る」首筋に一撃を叩き込むと、気絶したティルピッツに肩を貸して「ダッソー・ファルコン」のタラップを上った…

(※ダッソー・ファルコン…戦闘機の「ミラージュ」や「ラファール」で有名なフランスのダッソー社が製造している傑作ビジネスジェット機シリーズ。イタリア空軍のは三発エンジン仕様の「ファルコン50」)

提督「…」

…しばらくして・機内…

ティルピッツ「……うえぇ…気持ち悪い…」

ビスマルク「我慢しろ、ローマまでは数時間もかからん…それに酔い止めも飲んだのだから、気持ち悪いなどと言うのは気のせいだ」

ティルピッツ「そんなこと言ったって……」

ヴァイス提督「外でも見て気を紛らわせたらどうだ」

ティルピッツ「いや、外なんて見たら足がすくんでもっと気持ち悪くなる…」

ヴァイス提督「はぁ……なら少しでも良くなるように、具体的な対処法を考えろ。…水でも飲むか?」

ティルピッツ「いや、止めておく……飲み物を飲んだりしたら胸がムカムカするから…」

ヴァイス提督「ふぅ…全く、駄々っ子じゃあるまいにあれも駄目これも駄目と……」




690 ◆b0M46H9tf98h2020/11/08(日) 00:45:38.78Xo9qcpkC0 (1/1)

ティルピッツ「だって……そもそも飛行機なんて揺れるし耳が詰まった感じになるし、足元は浮いている感じになるし…」

ヴァイス提督「言いたいことは分かるが、飛行機の方が圧倒的に速いのだから仕方ないだろう」

ティルピッツ「うぅぅ…」

提督「…あの、シャルロッテ」

ヴァイス提督「は、何でしょうか?」

提督「一つ私に考えがあるのですが……もしかしたら、ティルピッツの飛行機酔いが少しは収まるかもしれません」

ヴァイス提督「そうですか。本当なら私がどうにかせねばならないのですが、カンピオーニ提督に名案があるならば…ぜひ」

提督「ええ、それではティルピッツをこの席に座らせてあげて下さい」

ヴァイス提督「ヤヴォール……歩けるか、ティルピッツ?」

ティルピッツ「ヤ、ヤー…どうにか……」空いている席に移ると、へたり込むように座った…

提督「ふふっ、それでは…♪」むにゅ…♪

ティルピッツ「むぐ…っ!?」

ビスマルク「!?」

ヴァイス提督「な、何を…っ!」

提督「いえ、こうしてあげれば少しは安心できるかと思いまして……♪」ティルピッツの隣の席に座ると制服のダブルの上着を脱いでブラウスのボタンをいくつか外し、豊満で張りのある乳房の間にティルピッツの顔を埋めさせて「よしよし…♪」と頭を撫でた…

ヴァイス提督「いえ、しかし…!」

提督「まぁまぁ……気持ち悪いのは辛いでしょうし、私からしていることですから…ね?」

ヴァイス提督「いえ、それはそうかもしれませんが…」

チェザーレ「ふむ…提督の胸を顔を埋めるとはうらやましい限りだな」

ガリバルディ「……まったく、本当に可愛い女の子ときたら見境がないんだから♪」

提督「ふふっ、まぁね……それで、気分はいかが?」

ティルピッツ「その…少し楽になった気がする……///」

提督「良かった。落ち着いたら少し眠るといいわ♪」

ティルピッツ「ヤー…」

…数時間後・ローマ…

グレイ提督「ふぅ、到着しましたわね」

提督「ええ……ティルピッツ、気持ち悪いのは大丈夫?」

ティルピッツ「…その……いつもよりはマシだった///」結局フライトの間は提督に抱かれたままで過ごしたティルピッツ…普段は血色の良くない青白い顔をしているだけに、赤面しているのが余計に目立つ……

提督「それなら良かったわ♪」

チェザーレ「ついでに、提督のブラの跡も付いているぞ…♪」

ティルピッツ「え…っ!?」

チェザーレ「冗談だ……まぁ、せっかくローマに来たのに飛行機酔いでは名所旧蹟の見物も満足に出来ぬだろうからな…良かったではないか」

ティルピッツ「ダ、ダンケ…」

提督「…とはいえ明日は「知識交換プログラム」の研究報告会が入っているから、観光の時間は取れそうもないわね」

チェザーレ「そうか、それは残念なことだ…七つの丘がそびえるローマは、秋が一番いいと言うのにな」

提督「ええ……でも明日は姫にも会えるし、その点では嬉しいわ♪」

チェザーレ「ふふ、提督はそうだろうな」

………




691 ◆b0M46H9tf98h2020/11/10(火) 01:38:01.23dCTiNBEd0 (1/2)

…翌日・「研究発表会」会場…

提督「姫、会いたかったわ♪」

百合姫提督「あ、フランカ……元気?」

…金モールがきらきらと光り輝く各国の制服姿が入り交じっている会場で、百合姫提督を見つけると近寄っていった提督……声を聞いて振り向いた百合姫提督ははにかんだような控え目な笑みを浮かべ、胸の前で小さく手を振った…

提督「いいえ…姫がヴェネツィアに行ってからというもの、その優しい笑顔が見られなくて寂しかったわ……それこそ、もう何年も会えなかった気がするくらいに……」ちゅ…っ♪

百合姫提督「あ、だめ…こんなに人がいるところで……///」

シモネッタ提督「どうぞお構いなく♪」

グレイ提督「わたくしには何も見えませんわ」

ヴァイス提督「///」

提督「ん、ちゅぅ…っ♪」

百合姫提督「も、もう…フランカったら……///」

提督「ふふっ♪」

足柄「はぁぁ…どうやらカンピオーニ提督は斬られないと分からないらしいわよ、龍田?」

龍田「そのようねぇ……」

百合姫提督「だ、だめ……その…私が流されるのもいけないのだし、フランカだけを責められないわ…///」

足柄「大丈夫よ、分かってるわ」

龍田「ええ、半分は冗談よぉ…♪」

足柄「そうそう、ちょっとした冗談なんだから……半分?」

龍田「…ふふふ♪」

足柄「……提督。私はいいから、横鎮(横須賀鎮守府)に戻ったら龍田のことをうんと可愛がってあげなさいよ…さもないといつ闇討ちに遭うか分かったものじゃないわ」

百合姫提督「ええ…でも大丈夫。だって龍田は優しいもの……ね?」

龍田「あらぁ…ふふ♪」

足柄「…これを「優しい」って言っちゃうあたりが、うちの提督の度量の広さというか……これだから変なのばっかり配属されるのね」

提督「まぁまぁ…それもまた姫のいい所でしょう?」

足柄「ま、そうよね……って、前にもこんなやり取りをした気がするわ」

提督「それだけ姫の優しさは変わらない…っていうことね♪」

案内係「えー…そろそろ「研究発表会」の方に移りたいと思いますので、提督と随伴艦の皆さんはホールにお集まり下さい!」

提督「それじゃあ行きましょうか、姫…お手をどうぞ♪」

百合姫提督「…はい///」

………

提督「……以上をもってイオニア海管区「タラント第六鎮守府」からの発表を終わります」発表の順番が来ると、提督自身「なかなかよく出来た」と思っている労作のレポートを片手に発表へと臨み、質疑応答を終えて戻ってきた……

チェザーレ「…提督、ご苦労であったな」

提督「そうね、少し緊張したわ……鋭い質問もいくつかあったし」

百合姫提督「でも、とっても良くまとまっていたわ」

グレイ提督「それに、文章もなかなかお上手でしたわね」

提督「グラツィエ♪」

エクレール提督「……まぁ、口の上手い貴女らしいと言った所ですわ」

提督「あら、マリー…トゥーロンからわざわざ来たの?」

エクレール提督「ええ。いくらレポートの写しとこの「研究発表会」の映像が送られてくるとはいえ、その場でなければ質問は出来ませんもの」

提督「そう……てっきり私とキスしたくてわざわざ来たのかと思ったけれど♪」

エクレール提督「ば、馬鹿な事をいわないで下さいまし…っ///」

提督「ええ、ごめんなさい……それじゃあ、また後で…ね♪」小声で耳元にささやくと、軽く耳たぶを甘噛みした…

エクレール提督「///」


692 ◆b0M46H9tf98h2020/11/10(火) 02:48:44.25dCTiNBEd0 (2/2)

…翌日・フィウミチーノ空港…

提督「それにしても慌ただしい限りね…もっとゆっくり出来たら、ローマを案内してあげるのに」

百合姫提督「仕方ないわ…でもあの数ヶ月間、フランカと「タラント第六」で一緒に過ごせて……とても嬉しかった///」

提督「ふふっ、そう言ってもらえて光栄ね…♪」

百合姫提督「ええ…今度はフランカが日本に来られたらいいわね、そうすればいろんな名所を案内できるもの」

提督「そうね♪」

アナウンス「…アリタリア航空、成田行きの便は間もなく搭乗手続きを開始いたします!」

提督「姫、搭乗手続きが始まるわ」

百合姫提督「ええ…それにしても、時間っておかしなものね……ここに来るまではとっても長く感じたのに、フランカと別れるまではあっという間……」

提督「…きっと愛している女性(ひと)と一緒にいると、神さまが嫉妬して時の流れを早くしちゃうからだと思うわ♪」

百合姫提督「……フランカ」

提督「姫…」

百合姫提督「ん…///」

提督「ん、ちゅっ……ちゅむ…っ♪」

百合姫提督「ぷは…ぁ…」

提督「ふふ…こうやって毎日キスできたらいいのに♪」

百合姫提督「…私も……本当にそう思うわ…///」

提督「ふふっ、でもそうなったら止められなくなっちゃうから駄目ね……さ、忘れ物はない?」

百合姫提督「ええ、大丈夫」

提督「お土産は持った?」

百合姫提督「おかげさまでいっぱいあるわ…♪」

提督「よろしい……それじゃあもう一つ、私から個人的なお土産を…♪」そう言ってウィンクをすると、平たい箱を取り出した提督…

百合姫提督「えっ…!?」

提督「姫、貴女のために心を込めて選んだの……身に付けてくれたら嬉しいわ♪」

百合姫提督「そんな、私は何も用意していないのに…///」

提督「いいのよ、私にとっては姫と過ごせたことが最高の贈り物だもの……開けてみて?」

百合姫提督「ええ…///」箱の中にはヴェルヴェットが敷き詰められ、提督と百合姫提督がキスしている写真がセットされている楕円形のロケットと、それに合わせた銀のネックレスが入っている…

提督「…いつぞやコリドーニがこっそり写真を撮っていたから、貸してもらって宝石屋さんに頼んでおいたの」

百合姫提督「///」

提督「それと、私も同じものを作ってもらったから…これでいつでも会えるわね♪」よく見ると、首元に同じネックレスを付けている…

百合姫提督「もう、フランカったら…こんな素敵なプレゼントをこっそり準備しているなんて……///」

提督「奇襲攻撃は作戦の基本だもの…ね♪」

アリタリアのお姉さん「……受け付け時間はそろそろ締め切りですよ、お客様…どうかお急ぎ下さい!」

提督「ええ、ちょっと待ってて下さいね……んちゅっ♪」

百合姫提督「んっ♪」

提督「…姫とはまた会いたいから、アリヴェデルチ(さようなら)とは言わないわ…チャオ(またね)、私のお姫様♪」

百合姫提督「ええ…!」

提督「…」受付ゲートを通って飛行機に向かう百合姫提督の後ろ姿をじっと見送った…

お姉さん「……素敵な彼女さんですね?」

提督「ええ、私の愛しい人です♪」

お姉さん「きっとまた会えますよ……それと、その際はぜひアリタリア航空をお願いします♪」

提督「ふふふっ…ええ、そうします♪」


693 ◆b0M46H9tf98h2020/11/16(月) 00:56:19.18HUr5/VWs0 (1/1)

…しばらくして・11月初旬…


提督「……そういえばディアナのお誕生日ももうすぐだったわね…こうして一緒に祝えるなんて、とっても嬉しいわ」

ディアナ「そう言っていただき、わたくしも欣快とするところでございます」


…半年近くに及んだ「戦術研究・交換プログラム」も無事に終わり、またのんきな日々に戻っている鎮守府…食事の後片付けを終えたディアナと一緒に厨房のストゥール(腰かけ)に座ってコーヒーを飲みながら、おしゃべりに興じている提督…


提督「いいのよ…それで、お誕生日には何を買うか、もう決めているのかしら?」艦娘たちの誕生日ごとに何かしらのプレゼントを贈ったり、買いたい物のお金を出してあげたりしている提督……厨房の調理台に頬杖をついて、小首を傾げてディアナを見た…


ディアナ「はい。実は、わたくしも何か生き物を飼いたいと思っております……ルチアやデュイリオさんのカラスは可愛らしいですし、わたくしも部屋に何かペットがいれば…そう思った次第なのでございます」

提督「あら、いいわね…候補は決まっているの?」

ディアナ「ええ。実はある程度考えておりまして、せっかくですからわたくしと「縁の深い」生き物にしようかと…」

提督「……ちょっと待って」

ディアナ「何でございましょう?」

提督「あー…「ディアナと縁のある生き物」って聞いて一つ頭に浮かんできたのだけれど、私の考え違いだといけないから尋ねるわね……その…何を飼いたいのか教えてもらえるかしら?」

ディアナ「はい、これなのですが…♪」インターネット上から探してプリントアウトしたらしい写真には、ちょっとしたオマール海老(伊勢海老)ほどもありそうな黒いサソリが尾を振り上げている姿が写っている…

提督「…っ、さすがにここで蠍は……」

ディアナ「駄目でしょうか? …この種類は見た目こそ大きいですけれど、そこまで強い毒はないのですが……」

提督「いえ……それはそうかもしれないけれど、さすがに皆も怖がるだろうし…」

ディアナ「提督は蠍がお嫌いですか?」

提督「いえ、別に嫌いって言うほどではないけれど……でも「ここで飼う」と言われると、ちょっと…ね」

ディアナ「…そうですか、致し方ありませんね……ならば別のものにいたしましょう」

提督「そうね、そうしてもらえると助かるわ…それで、他の候補には何があるのかしら?」

ディアナ「ええ、実を申しますともう一つ……」

………



…数日後・タラント市街…

提督「…ディアナ、そろそろタラントに着くわよ」深青色に塗られた「ランチア・フラミニア」の助手席にディアナを乗せ、鎮守府から快調に飛ばしてきた提督…

ディアナ「はい」

提督「それにしても、ディアナが車を欲しがるとは思っていなかったわ…♪」

…回想…

提督「……ディアナはお誕生日に車が欲しいの?」

ディアナ「はい。こうして厨房に立ってお料理をしていると、近くの町まで買い物へ出かける機会も多いものですから…ベスパでは雨の日や荷物が多い時には困りますし、かといって鎮守府のイヴェコ四輪トラックでは大仰ですので……わたくしも荷物が載せられるような一台が欲しいと思っていたのでございます」

提督「そうねぇ…別にガレージに空きはあるし、ディアナは免許も持っているから構わないけれど……でも、必要なら私がフラミニアを出してあげるわよ?」

ディアナ「ええ、ですがリットリオが「チンクエチェント」(二代目フィアット500)に乗っているのを見ると楽しそうで……わたくし、少々うらやましくなってしまったのでございます///」

提督「なるほど…了解、それならどこかでタラントの自動車屋さんにでも行ってみましょうか」

ディアナ「ええ、ぜひとも…♪」

………




694 ◆b0M46H9tf98h2020/11/17(火) 02:47:27.68w5ITmo700 (1/1)

…中古自動車販売店…

提督「さぁ、着いたわよ」

ディアナ「はい」

おっちゃん「お、海軍さん…久しぶりだねぇ!」

提督「どうも♪」


…提督が車を停めた中古自動車の店は小さい事務所とガレージ、それからレストア中の廃物寸前のものから新車と変わらないような綺麗な状態の物まで十数台の自動車が並べられた屋外スペースで出来ていて、オイルだらけのつなぎで手を拭いながらオーナーのおっちゃんが出てきた……事務所には数十年前のレースクィーンたちが写っているポスターや自動車メーカー、そしてカロッツェリア(※車体架装業者…コーチビルダー)のロゴマークがあちこちに貼ってある…


おっちゃん「…それで、今日は「フラミニア」のメンテかい? まぁいいや、ちょっと待ってな……エミーリア、お客さんだぞ!」

女性の声「えぇ? …ったく、ひとがエンジンをバラしてるって言うのに……いま行くからちょっと待ってて!」

…ガレージから出てきたのはやはりオイルだらけの作業つなぎを着た女性で、手袋を脱いで胸ポケットに押し込みながらやって来た…髪は短く切ってあるが癖っ毛らしく、かぶり直した「フィアット・ラリー」の野球帽からあちこちに跳ねて飛び出している…

提督「チャオ、エミーリア♪」

女性「あぁ、海軍さん……今日はどうしたの? ランチアのパーツがイカれちゃった?」

提督「いいえ。今日は「彼女」のお買い物♪」

女性「へぇ、なるほど……オイルまみれのさえないメカニックの前に素敵な彼女を連れてきた、ってわけね?」

提督「あぁ、そう言う意味じゃなくて…あくまでも女性の人称代名詞として「彼女」っていうことよ」

女性「冗談よ、分かってるわ……それで、貴女が今日のお客さんね?」

ディアナ「初めてお目にかかります…わたくし「ディアナ」と申します」

女性「エミーリアよ。ここのガレージでうちの親父と一緒に車をいじくってるの…よろしくね?」

ディアナ「よろしくお願い申し上げます」

エミーリア「これはまた、ずいぶんご丁寧に……とにかく、好みの一台が見つかるよう手伝わせてもらうわ♪」

ディアナ「よしなに」

………

…しばらくして…

ディアナ「……ずいぶんと色々な種類があるのですね…わたくし、目移りしてしまいそうです」

エミーリア「まぁ、半分は趣味みたいなもんだからね…それじゃあこの「チンクエチェント」なんてどう? ありきたりかもしれないけど、荷物をのっけてもよく走るし、小回りが利くから狭い道でも使いやすいし……それに値段もお手頃よ?」

ディアナ「ええ……ですが「フィアット500」は鎮守府ですでに持っている方がおりまして…」

エミーリア「あぁ、なるほど…ま、せっかくなら違うのにしたいわよね」

ディアナ「はい」

エミーリア「ならこの「アルファロメオ・スパイダー」は? 小柄だけど加速はいいし、ハンドリングもキレがあるから今どきのスポーツクーペにも負けないわよ?」

ディアナ「なるほど、とても綺麗な車ですが…できればお買い物をして荷物を載せられるような車を買いたいので」

エミーリア「なぁんだ、それならそうと言ってくれればいいのに……そういうことなら、こっちにいいのがあるわ♪」

ディアナ「…この車、ですか?」

エミーリア「ええ「ランチア・デルタ・HFインテグラーレ」よ……ラリーでもぶっちぎりで速かったし、コーナーも抜群だった傑作よ。しかも四駆だから道路が悪くてもへっちゃらだし、ハッチバックだから後ろに荷物を載せることも出来るわ……どう?」

ディアナ「なるほど、なかなか良さそうですね…お値段はおいくらになるでしょうか?」

エミーリア「そうねぇ、この「デルタ」は人気もあるし……ま、このくらいかな?」つなぎのポケットから電卓を出すと手早くはじいた…

ディアナ「あら…その値段では少々折り合いませんね…提督もいくらか出してくれるとおっしゃって下さいますが、予算的には……万リラ程度で抑えたいと思っておりますので」

エミーリア「うーん、その値段でとなると……じゃあ、これならどう?」そう言うと、満月のような綺麗な淡いクリーム色に塗られた一台を指し示した…

ディアナ「まぁ……何とも可愛らしいデザインでございますね」

エミーリア「気に入った? これはね「フィアット850」のベルリーナ(セダン)タイプよ」

ディアナ「なるほど……おや?」周囲を見て回ったが、フロントグリルを眺めて軽く首を傾げた…

エミーリア「どうかした?」