1 ◆5IONXlxNzTMN [!orz] 2019/09/02(月) 00:00:50.81PyRLcjVA0 (1/13)

この作品は
【オリロンパ】矛盾の希望とコロシアイ洋館生活【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1451827818/
の安価なしリメイクです。

ダンガンロンパシリーズのネタバレがあります。

舞台はオリジナル【洋館】です。

当然の事ながらオリキャラとなりますのでご注意ください。

前作
【オリロンパ】安価キャラでコロシアイ特急列車の旅【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1439992477/

同時進行
【ダンロン】ダンガンロンパ・クエスト【オリキャラ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469192282/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1567350050



2 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/02(月) 00:02:37.73PyRLcjVA0 (2/13)

〔名簿〕

・男子

・伊勢 実(イセ ミノル)
・才能…〈超高校級の???〉
・身長…179cm
・胸囲…87cm
・キーワード
〔主人公〕…原則的に被害者にもクロにもならない。
〔完全記憶能力〕…一度見たり聞いた事は忘れない。
〔リーダーシップ〕…みんなを引っ張る統率力が高い。
〔前向きなイケメン〕…物事を前向きに捉える。しかもイケメン。

・東 夕人(アヅマ ユウト)
・才能…〈超高校級の幸運〉
・身長…176cm
・胸囲…84cm
・キーワード
〔幽愁暗恨〕…誰も知らない深い憂い、恨みを抱えている。
〔神仏眼鏡〕…表面的にはまるで神や仏のような人物。眼鏡をかけている。
〔猪突猛進〕…目標に向かって一心に突き進む。

・ダヴィデ・エピメニデス
・才能…〈超高校級のモデル〉
・身長…194cm
・胸囲…90cm
・キーワード
〔心は女性〕…立派な男ですが心は女性。
〔真面目とふざけて盛り上げる場面のオンオフがしっかり出来る〕…空気を読むのが上手く、オンオフも問題なし。
〔ナルシスト〕…自分が大好き。

・天童 昴(テンドウ スバル)
・才能…〈超高校級の執事〉
・身長…159cm
・胸囲…70cm
・キーワード
〔中性的な顔立ちで優しく真っ直ぐな性格〕…彼の顔立ちと性格は周りに好印象を与える。
〔コーヒーソムリエ〕…コーヒーにはちょっとうるさい。
〔親切〕…困った人は放っておけない。



3 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/02(月) 00:03:36.82PyRLcjVA0 (3/13)

・符流 ケン(フリュウ ――)
・才能…〈超高校級のピアニスト〉
・身長…199cm
・胸囲…78cm
・キーワード
〔かなりの長身〕…二メートルに行くかという長身。
〔孤高〕…群れようとしない。
〔オペラ口調〕…歌うように喋る。

・百鬼 勇次(ナキリ ユウジ)
・才能…〈超高校級のテニス部〉
・身長…183cm
・胸囲…91cm
・キーワード
〔ヤンキー〕…柄が悪く口調も荒い。
〔推理力抜群の天才〕…ヤンキーだからといって推理力が低いわけじゃない。
〔天才ですから〕…テニスも上手い、推理力も高い。だって自分は天才だから。

・奥寺 軌跡(オクデラ キセキ)
・才能…〈超高校級のプロデューサー〉
・身長…143cm
・胸囲…68cm
・キーワード
〔仲間を信じる真っ直ぐ素直な奴〕…仲間を信じて疑う事を知らない。
〔適材適所〕…プロデューサーらしく采配が得意。
〔泣き虫で守ってあげたくなる小動物系〕…よく泣くがそれが周りに庇護欲を湧かせる。

・月ヶ瀬 流行(ツキガセ ハヤリ)
・才能…〈超高校級のクラッカー〉
・身長…187cm
・胸囲…83cm
・キーワード
〔露悪趣味〕…自分が犯罪者である事を隠そうとしない。
〔喫煙者〕…煙草を愛用するヘビースモーカー。
〔世界の敵〕…クラッカーとして世界を混乱させた事もあり、マークされている。



4 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/02(月) 00:04:27.13PyRLcjVA0 (4/13)

・女子

・甲羅 洋子(コウラ ヨウコ)
・才能…〈超高校級の修理屋〉
・身長…167cm
・胸囲…87cm
・キーワード
〔短気〕…怒りっぽく我慢を知らない。
〔骨フェチ〕…骨に性的興奮を覚える。
〔人を芸術的に壊したい〕…修理屋の心の底の願望。対象はあくまでも人。

・姫島 在留(ヒメシマ アルル)
・才能…〈超高校級の脇役〉
・身長…158cm
・胸囲…78cm
・キーワード
〔無口かつ無敵〕…基本的に喋らない。故に敵も作らない。
〔プロ意識〕…あくまで脇役に徹しようとする。
〔アイデアマン〕…たくさんのアイデアを持っている。でも脇役なので言わない。

・一里塚 ニコ(イチリヅカ ――)
・才能…〈超高校級の漫画家〉
・身長…181cm
・胸囲…73cm
・キーワード
〔ハッピーエンド主義〕…彼女の辞書にバッドエンドの文字はない。
〔夜行性〕…完全な夜型人間。夜になると張り切り出す。
〔見た目は爽やかなイケメン〕…女の子にモテる女の子。本人はかなり気にしてる。

・紫乃 美月(シノ ミヅキ)
・才能…〈超高校級の霊能力者〉
・身長…161cm
・胸囲…102cm
・キーワード
〔性欲が高まると霊能発動〕…霊能力の使用のためには性的興奮が必要になる。
〔男が喜ぶことを熟知している男好き〕…男が大好きで喜ぶ事もよく知っている。
〔隠れビッチ〕…あくまで霊能力のためと見せかけてただ単に男好きなだけ。



5 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/02(月) 00:05:16.79PyRLcjVA0 (5/13)

・祭田 結奈(マツリダ ユナ)
・才能…〈超高校級の花屋〉
・身長…139cm
・胸囲…70cm
・キーワード
〔メルヘンチック〕…まるで童話に出てきそうな雰囲気を持つ。
〔天然〕…少しばかり浮き世離れした言動をする。
〔印象派〕…花を飾る時周りの光や空気を重視する。

・駆祭 はやて(カケマツリ ―――)
・才能…〈超高校級のレースクイーン〉
・身長…174cm
・胸囲…83cm
・キーワード
〔ドS〕…サディスト。精神的にいたぶる事が好き。
〔テンションが上がると脱ぐ〕…テンションが上がると脱ぎ出す。そこからさらにいたぶる事も。
〔綺麗な薔薇には棘がある〕…相当な美人だが迂闊に近付くと痛い目に遭う。

・中後 直巳(ナカウシロ ナオミ)
・才能…〈超高校級の鑑定士〉
・身長…160cm
・胸囲…80cm
・キーワード
〔器用〕…作業も人付き合いも器用にこなす。
〔守銭奴〕…お金が大好きでお金が絡むとかなり厳しい。
〔五感が鋭い〕…五感が人より鋭い。本人は鑑定に役立つとご満悦。

・野場 夕貴(ノバ ユウキ)
・才能…〈超高校級の冒険家〉
・身長…166cm
・胸囲…85cm
・キーワード
〔不潔〕…着替えないし野宿も多いため不潔。
〔博識〕…様々な知識を持つ。
〔ビッグマウス〕…大口をたたく。そしてやかましい。



6 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/02(月) 00:17:35.84PyRLcjVA0 (6/13)







希望を求めよ。

絶望を求めよ。

その果てに、きっと……

答えは、ある。









7 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/02(月) 00:19:01.20PyRLcjVA0 (7/13)







プロローグ【絶望の館への招待状】









8 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/02(月) 00:29:04.77PyRLcjVA0 (8/13)

「くっ……」

頭が痛い……それに吐き気もする……

脳をかき回されたかのような不快な感覚に耐え、ズキズキと痛む頭を抑えながら、僕は目を開ける。

「ここは、いったい?」

見回してみるとそこは真っ赤なカーペットが敷かれた……エントランスのような場所だった。

「僕はなぜこんな……っ!」

なんだ?

何かを思い出そうとすると、痛みが走る……まるでそれを許さないと言うように。

「……マズいな」

これは所謂、記憶喪失という物ではないか?

この頭痛がその原因だろうか……痛みに顔をしかめながら何か思い出せる事はないかと脳を漁る。

「…………思い、出した」

僕の名前は……伊勢 実(イセ ミノル)だ。


・伊勢 実(イセ ミノル)
〔超高校級の???〕


伊勢「良かった、さすがに名無しではこの先困ってしまうからな」

それに名前を思い出せるくらいならば、きっと他の事もすぐに思い出せるはず。

頭痛と吐き気も沈静化したようだ……これは幸先がいいな。


9 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/02(月) 00:35:53.04PyRLcjVA0 (9/13)

伊勢「さて、記憶がない以上断言は不可能だが、倒れていたここは僕の家か何かかもしれないわけか」

周りを改めて見てみる。

エントランスには正面に大きな扉、そして右には二階に繋がる階段があるが……なぜか階段は黄色い立ち入り禁止を示すテープで塞がれている。

伊勢「……おや?」

さらに隅に目をやると監視カメラとモニターらしき物もあった。

ふむ、どうやら防犯は完璧らしい……いいことだ。

伊勢「ここで考えていても仕方ない。とりあえず外に出るとしようか」

振り返った先にある大扉に歩み寄る。

そして大扉を開い……

ガチャガチャ

伊勢「……開かない?」

押しても引いても大扉は開く気配がない。

そもそもこの大扉……鍵らしき物が見当たらないのだが。

つまりこの扉はイミテーション……偽物の可能性がある。

伊勢「……ふむ」

ここが僕の家にしろそうでないにしろ、外に出られないのは困る事態だ。

となると……

伊勢「家人を捜した方がいいな」

大扉から離れると僕は奥にある扉に向かう。

伊勢「こちらに鍵はかかっていない……部屋に閉じ込められたわけではないのは救いだな」

ノブを回して扉を押し開ける。

するとそこには……1人の少女が、いた。


10 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/02(月) 00:52:51.42PyRLcjVA0 (10/13)







僕は、その出会いをきっと忘れないだろう。

金のメッシュが入った茶髪の頭にゴーグルが着けられている赤いつなぎの少女。

端正な顔立ちからは気の強そうな雰囲気が漂うそんな少女。

「……!」

少女が僕の存在に気付く。

そして僕が何かを言う前に歩み寄ってきた彼女は。

「オラァ!テメエか、オレをこんな所に閉じこめやがったのはぁ!」

僕の胸ぐらを掴んで強く揺さぶってきた。









11 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/02(月) 01:03:40.35PyRLcjVA0 (11/13)

伊勢「待て、落ち着きたまえ」

「うっせえ!今すぐここから出しやがれ!ギッタギタにすんぞ!」

聞く耳持たないと言わんばかりに少女は僕を揺さぶるのを止めようとしない。

マズイ、せっかく治まった吐き気がまた……

伊勢「話を、聞いてくれ!」

とにかく止めなければ話にならない。

そう考えた僕は少女の腕を掴む。

「……!」ビクッ!

するとどうした事だろうか……少女の動きがピタッと止まった。

ふむ、強く掴んだつもりはないのだが痛かったのだろうか?

「な、なんだコレ、マジかよ……」

伊勢「すまない、そんなに強く掴んでは」

止まってくれたようだし、いつまでも女性の腕を掴んだままもよろしくない。

そう思って放した僕の腕を……

「あっ、コラ!」

なぜか彼女はまた掴んできた。

伊勢「……どうかしたのかね?」

「へっ、へへっ……」

どうやらまた聞く耳持たないようだ……揺さぶられないだけいいのだろうが。

「あむっ」

伊勢「!?」

しかしそうも言っていられない。

少女がいきなり僕の指を口に含んだのだから。



12 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/02(月) 01:15:47.54PyRLcjVA0 (12/13)

「あむっ、んっ」

伊勢「ちょっと、待ちたまえ……!」

恍惚とした表情で僕の指を舐めてくる少女に危機を感じた僕は慌てて指を引き抜く。

「あっ!」

伊勢「まずは、話をしよう。僕達にはそれが必要だ」

なんでもいい。

彼女を冷静にさせなければ。

「ハァ、ハァ……オ、オイ、オマエ名前は?」

伊勢「伊勢実だが……」

「そうか、伊勢実伊勢実……オイ、ミノル!」

伊勢「な、なんだろうか?」

甲羅「オレは甲羅洋子!よ、洋子って呼んでいいからな」

・甲羅 洋子(コウラ ヨウコ)
〔超高校級の修理屋〕

甲羅洋子?

伊勢「どんな物でも直すという〔超高校級の修理屋〕。医療も志しているようで医療行為も出来るとか」

なんだ、名前を聞いた瞬間急に頭に彼女の情報が……

甲羅「なんだ、オレの事知ってんのかよ!なら話は早え!さっそく続きを」

伊勢「冷静になりたまえ……いきなり指を舐めてくるのはどうかと思う」

甲羅「うっ……じゃ、じゃあ触るぐらいならいいだろ」

甲羅……洋子君は答えも聞かずに僕の手を触り始める。

……まあ、敵意を向けられるよりはいいと思おう。

甲羅「オイ、ミノル!オマエはこのままでいろよ!なっ!?牛乳とか小魚とかやめろよ!?カルシウムなんてもってのほかだからな!?」

しかし……洋子君は何を言いたいんだろうか?


13 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/02(月) 01:16:34.65PyRLcjVA0 (13/13)

今回はここまで。


14 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/03(火) 22:16:47.83DG7uUD2A0 (1/2)

伊勢「ふむ、つまり洋子君も気がついたらここにいたと」

甲羅「そうなんだよ!ったく、ふざけた話だろ!?」フニフニ

あれから洋子君と情報を交換したところ、どうやら彼女もここにどうしているのかわからないらしい。

最も僕のように名前以外は忘れているという事ではないようだが。

伊勢「しかしそうなると……この状況は深刻かもしれないな」

甲羅「どういうこった?」フニフニ

伊勢「僕がいたエントランスは階段が封鎖され、扉も開かなかった。さらにすぐ隣のここにもある監視カメラ……」

甲羅「誰かが監禁してるってか?だけどなんでミノルとオレなんだよ」フニフニ

伊勢「ふむ……記憶がないから何とも言えないが、犯人は何かしら共通点を見出だしているのではないだろうか」

甲羅「記憶がない?」フニフニ

伊勢「ああ、名前ぐらいしか覚えていない」

甲羅「はー、そりゃまた踏んだり蹴ったりだな」フニフニ


15 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/03(火) 22:32:30.35DG7uUD2A0 (2/2)

ガチャッ

「あっ、ようやく人に出会えた」

伊勢「むっ?」

甲羅「あん?」フニフニ

音の方を見ると眼鏡をかけた学生服の少年が入ってきていた。

しかしなぜ彼は驚いたような顔をしているのだろうか?

「……えっと、お邪魔だったか?」

伊勢「そんな事はないが……なぜそう思うのかね?」

「いや、だってなんか向かい合って手繋いでるからさ」

伊勢「ああ……これは気にしなくて大丈夫だ。それより1ついいだろうか」

「なんだ?」

伊勢「先ほどのようやく人に出会えたという言葉から君も僕達と同じ状況だと思うのだが……」

「ああ、じゃあそっちも気がついたらここにいたのか……あっ、自己紹介がまだだったな」

「俺は東夕人。〔超高校級の幸運〕だ」


・東 夕人(アズマ ユウト)
〔超高校級の幸運〕


東夕人……毎年抽選で選ばれる〔超高校級の幸運〕。
浮かんだ情報によると99期生の〔超高校級の幸運〕らしいな彼は。

ふむ……相手の情報が浮かぶのはなかなかに便利だな。

伊勢「僕は伊勢実、彼女は甲羅洋子君だ。こんな不可解な状況だがよろしく頼む東君」

東「ああ、よろしくな」

甲羅「おう」フニフニ

伊勢「洋子君、せめて顔を見るぐらいはするべきではないだろうか」

東「あはは、気にしなくていいよ伊勢。俺は大丈夫だからさ」

そう言って笑う東君……ふむ、彼は懐の広い人物なのかもしれないな。


16 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/04(水) 23:14:56.11+GQBRP5A0 (1/1)

東「あー、ところで1ついいか?」

伊勢「何か気になる事でもあるのかね?」

東「いや、あそこにいる子は紹介しないのかって思ってさ」

伊勢「あそこにいる子……?」

東君の指差す先を見てみるとごく普通のセーラー服を着た少女が立っている。

いつの間に、入ってきていたのだろうか……

甲羅「うおっ!?いつからそこにいたんだオマエ!?」

「……あなた達が来る前から」

甲羅「声かけろよ!」

東「あれ?よく見たらあの子ってもしかして女優の……」

「違う、私は女優じゃない」

「姫島在留……ただの脇役」


・姫島 在留(ヒメシマ アルル)
〔超高校級の脇役〕


姫島在留……どんなドラマにも必ずいる〔超高校級の脇役〕。
まるで目立たず、ただ自然にそこにいる……脇役をやらせたら彼女の右に出る者はいないとも言われているらしい。

ふむ、ここまで自然に溶け込むというのも一種の才能という事か。

東「えっと、とにかくこっち来て話し合わないか?」

姫島「……私は脇役」

東「いや、だから……」

姫島「……」

東「なんか、やりにくいな……」

伊勢「ふむ、プロ意識が高いのだろうな」

甲羅「ただのコミュ障じゃねえの?」


17 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/06(金) 08:34:26.24wZuXt0AA0 (1/1)

「えっと……あっ、すみません!」

姫島君との距離を掴みかねていると、扉が開いて後ろで結んだ茶髪、着崩した紺のブレザーにズボンといった装いの少年が顔を覗かせる。

ふむ、しかし男性にしてはやけに声が高いな……

甲羅「ミノルよりデケエなアイツ」

東「あの感じだと、俺達と同じ境遇みたいだな」

姫島「……」

伊勢「君は?」

「あっ、私は一里塚ニコ」

「ちょっとは名の知れた漫画家だよ」

・一里塚 ニコ(イチリヅカ ――)
〔超高校級の漫画家〕


一里塚ニコ……数々の雑誌で複数の連載をしている現役女子高校生にして人気漫画家。

その連載作品は全てヒットし、アニメ映画ドラマ化など幅広い形で愛されているようだ。

東「一里塚ニコってあの有名な漫画描いてる一里塚ニコか!」

一里塚「多分そうだけど……」

甲羅「名前は見た事あんな……こんなチャラ男だったのか」

一里塚「チャラ……」

伊勢「洋子君、一里塚君は女性だ」

甲羅「マジか!?」

東「えっ、そうだったのか」

姫島「……」

伊勢「……すまない、一里塚君。僕がもう少し早く言及しておけば」

一里塚「あ、あはは、1人わかってくれてただけでも御の字だから」

一里塚君はそう言うが、その表情を見れば傷ついているのがわかる。

僕も頭に浮かぶまで彼女を男性だと思っていたからな……見た目だけで判断するのは危険という事か。


18 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/11(水) 21:49:37.808SivzNYA0 (1/2)

あれから膝を抱えてしまった一里塚君は女性2人に任せる事にした。

一里塚「はぁぁ……やっぱり凹むなぁ」

姫島「……」ポンポン

甲羅「まあ、気にすんなって!」

……本当に任せて大丈夫なのだろうか?

東「だけどあれだな……ここにいるのって【超高校級】ばっかりじゃないか?」

伊勢「んっ、ああ、それは僕も感じていた。洋子君、東君、姫島君、一里塚君……【超高校級】と呼ばれる者ばかりがここにはいる」

記憶がないのでどういったものかまではわからないが……僕自身も何らかの才能があったとみていいだろう。

「あら?もうこんなに集まって……パーティーの相談かしら」

そんな事を考えていると次にやって来たのは背の高い金髪の男性だ。

いや、一里塚君の例もある……男性か女性かを決めるにはまだ早い。

伊勢「少しいいだろうか?」

「あらやだ、イケメン……!まあ、アタシにはほんの少し及ばないけれど」

真っ白なシャツが眩しい……そんな彼、もしくは彼女は鏡を見てどこか恍惚としていた。

伊勢「僕は伊勢実という者だ。君の名前を聞かせてもらっても?」

「いいわね、真面目そうなところもなかなか素敵!」

「アタシはダヴィデ。ダヴィデ・エピメニデスよ。この世界で最も美しい天使……性別だけは神様が悪戯してくれたけどちょうどいいハンデかしらね」


・ダヴィデ・エピメニデス
〔超高校級のモデル〕


ダヴィデ・エピメニデス……ファッションショーから雑誌まで数々の媒体で姿を見せるカリスマモデル。

どうやら性同一性障害らしく、心は女性だと聞いたが……

伊勢「よろしく頼むダヴィデ君。それと1つ……頼みが」

ダヴィデ「あら、なぁに?」

伊勢「あそこにいる一里塚ニコ君という女性を慰めてほしい。男性と間違われて、少し落ち込んでいるのだが……」

ダヴィデ「なるほど。アタシとある意味では同じ……だから慰めるのに適任って事ね」

伊勢「頼まれて、くれるだろうか?」

ダヴィデ「ウフフ、イケメンの頼みならお安いご用よ!ちょっと行ってくるわ!」

ダヴィデ君が一里塚君の所に向かい、何かを話している。

ふむ、はた目から見て話は弾んでいる。

上手くいったなら何よりだ……


19 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/11(水) 22:31:43.018SivzNYA0 (2/2)

ダヴィデ「ニコちゃんは漫画家なのね!どんな物を描いてるのかしら?」

一里塚「えっと、一応代表作は」

ダヴィデ「あらやだ!アタシそのお話大好きなのよ!まさかここで作者に会えるなんて光栄だわ!」

一里塚「あ、ありがとう」

ふむ、だいぶ打ち解けたか。

東「なんというか、上手い事やったな伊勢」

伊勢「ダヴィデ君と一里塚君の相性がよかったのだろう」

甲羅「すっかり仲良くなっちまって」

姫島「……」

「失礼します」

次に入ってきたのは執事の服を着た小柄な少年だ。

その動きの1つ1つが彼がどれだけ優れているかを示している。

「あの、少しいいですか?」

伊勢「僕か?」

「はい。わたしは天童昴と言います」

天童「伊勢様、わたしの主人を知りませんか?」


・天童 昴(テンドウ スバル)
〔超高校級の執事〕


天童昴……名家に仕え、その家にあらゆる貢献をする〔超高校級の執事〕。
彼を巡って数多くの名家が争いを繰り広げているらしいが。

伊勢「君の主人はここにいるのだろうか?」

天童「わかりません……だけどここの個室で目を覚ます直前までは一緒にいたんですが」

伊勢「ふむ、天童君の主人は駆祭はやてと言うのか」

東「……駆祭はやて?」

天童「はい。はやてお嬢様をご存じなんですか?」

東「まあ、噂ぐらいはな……」

伊勢「東君、どうしたのかね?」

なんなんだろうか、この反応は……?

東「多分いるだろうから、会えばわかるよ」

伊勢「ふむ、洋子君や姫島君は何か知っているだろうか?」

甲羅「知らねえなぁ」

姫島「……知らない」

ふむ、実際に会ってからの楽しみという事か……


20 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/12(木) 22:38:10.99DvsQiypA0 (1/1)

天童「どうぞ、コーヒーです」

伊勢「ああ、ありがとう天童君」

東「待て、今どこから出したんだ」

天童「執事ですから」

一里塚「執事ってすごい」

「あっ、もうこんなに集まっていらして……」

天童君のコーヒーに舌鼓を打っているなか入ってきたのは白い装束と黒髪に付けた赤い髪飾りが印象的な女性だった。

「皆様、はじめまして。わたくし紫乃美月と申します」


・紫乃 美月(シノ ミヅキ)
〔超高校級の霊能力者〕

紫乃美月……確か霊視、除霊、あらゆる霊的現象に対処している〔超高校級の霊能力者〕。
大多数の依頼者が彼女に詰めかけているらしいが……

紫乃「あっ……!」

伊勢「おっと。大丈夫か紫乃君?」

僕達の所に来る直前に躓いた紫乃君を咄嗟に抱き留める。

ふむ……これが彼女に依頼者、特に男性が絶えない理由と言われている……

よくはわからないが、つまりこれは役得というものなのだろうか。

紫乃「あっ……あなた様は?」

伊勢「伊勢実だ。ここで会ったのも何かの縁、よろしく頼む」

紫乃「実様……はい、よろしくお願いいたします」

伊勢「ところで紫乃君。転んだ所を抱き留めたとはいえ少々近い気がするのだが……」

紫乃「あっ、わ、わたくしったら……恥ずかしいです」

頬を染める紫乃君の仕草はどこか妖艶だ。

なぜだろう、彼女の行動1つ1つが……まるで誘うように見えてしまうのは。

一里塚「お、大きい……」

甲羅「でかくても邪魔なだけだろ?それに背はイチリヅカの方がでけえしな!」

一里塚「それ慰めになってない……」


21 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/15(日) 11:50:42.46kmZ3CMrA0 (1/9)

紫乃「うふふ」

伊勢「紫乃君は早く打ち解けたようだな」

ダヴィテ「そうねぇ、でも少し違和感もあるのよね」

伊勢「違和感?」

ダヴィテ「まあ、勘違いかもしれないし言わないでおくわ」

「誰か~♪いるのか~♪」

歌声のする方を見てみると燕尾服を着た長身で痩せ形の男性が立っていた。

その身長は、ダヴィテ君よりもさらに高い……2メートル近くはありそうだ。

先ほどの歌声は彼が発したのだろうか?

一里塚「また濃そうな人が来たね……」

「この孤高のピアニスト~♪符流ケンを捕まえて何を言う~♪」

・符流 ケン(フリュウ ――)
〔超高校級のピアニスト〕

符流ケン……世界的なコンクールで何回も優勝した〔超高校級のピアニスト〕。
そのピアノの腕は彼が来るというだけでホールが埋まるほどらしい。

天童「あの、なぜ符流様は歌いながら会話を?」

符流「……なぜそんな事を言わなければならない~♪」

符流「何が起きたか知らないが~♪オレは群れる気はない~♪」

そう言って符流君は壁に寄りかかる。

ふむ、気難しい性格のようだな。

天童「あれ?でも超高校級のピアニストって確か女の子じゃなかったか?」

甲羅「はあ?じゃあアイツ女なのか?」

ピアニストの女性、そう聞いて1つの名前が浮かぶ。

伊勢「もしやそれは赤松――」

符流「その名前を出すなっ!!」

姫島「!?」ビクッ

先ほどまでの歌声のような話し方とは違う激情を秘めた声が符流君の口から吐き出される。

その瞳には憎悪にも似た色が見え隠れしていた。

符流「……!ふん、なんでもない~♪」

注目を浴びた事に気付いたらしい符流君は再び壁に寄りかかる。

……今出そうとした名前は、彼にとって地雷になるようだな。


22 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/15(日) 11:53:19.01kmZ3CMrA0 (2/9)

訂正

天童「あれ?でも超高校級のピアニストって確か女の子じゃなかったか?」



東「あれ?でも超高校級のピアニストって確か女の子じゃなかったか?」


23 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/15(日) 12:07:34.42kmZ3CMrA0 (3/9)

東「俺なんか悪い事言ったかな……」

伊勢「東君ではなく僕の出そうとした名前に反応したようだ。東君の気に病む事ではないだろう」

「んしょんしょ……」

扉の開く音がしてそちらを見ると現れたのは……花束?

伊勢「喋る花束か……興味深いな」

一里塚「いや、誰かが花束抱えてるだけだよ……」

「誰かいるの?もしかして妖精さん?」

天童「よ、妖精さんですか?」

伊勢「ふむ、もしかしたらその可能性もあるから否定は出来ないな」

甲羅「マジか!?」

一里塚「いや、ないと思う……えっと花で見えないからちょっと顔見せてくれる?」

一里塚君の言葉に応えたのか、花束がゆっくり床に置かれる。

その向こうにいたのは白いフリルが大量についた服を着たツインテールの少女。

「こんにちは妖精さん。ユナは祭田結奈だよ」

・祭田 結奈(マツリダ ユナ)
〔超高校級の花屋〕

紫乃「祭田……もしかしてマツリダフラワーの方ですか?」

祭田「それはユナのお花屋さんだよ?」

ダヴィテ「あらやだ、妖精さんみたいに可愛らしい子じゃない!アタシには少し負けるけど!」

祭田「むぎゅ」

祭田結奈……小さな花屋をマツリダフラワーというフラワーアレンジメントも手掛ける大会社に成長させた〔超高校級の花屋〕。

彼女の飾った花は芸術品としての評価も高い……この小柄な少女がそうなのか。

符流「ふん」

祭田「……」ジー

符流「なんだ~♪」

祭田「巨人さん?」

符流「巨人……!?」

姫島「……っ」

東「えっ、今姫島笑って」

姫島「……」

ふむ、だいぶ賑やかになったな……もう十人いるのだから当たり前かもしれないが。


24 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/15(日) 12:29:52.03kmZ3CMrA0 (4/9)

伊勢「……」

人数も増えて雰囲気もどこか柔らかい。

やはり同じような境遇が1人ではなかったというのがよかったのだろう。

バンッ!!

一里塚「わっ!?な、なに?」

まるで壊すんじゃないかと言わんばかりに開かれた扉。

そこから出てきたのはセパレートの青いコスチュームの上からブレザーを羽織った金髪の女性。

その眉はつり上がり、洋子君以上の気の強さを如実に表している。

天童「はやてお嬢様!」

天童君が笑顔を浮かべてその女性に駆け寄る。

そうか、彼女が天童君の主人……

・駆祭 はやて(カケマツリ ―――)
〔超高校級のレースクイーン〕

駆祭はやて……レーシングチームのサポートや広報をこなし、勝利に導く〔超高校級のレースクイーン〕。
しかしそれはあくまでも表の顔……裏ではまさにクイーンの名の通りレーシングチームを支配し、運営しているらしい……

バシッ!

天童「っ!」

ダヴィテ「あら?」

紫乃「いきなり頬をはたくなんて……」

頬を打たれて床に倒れた天童君を駆祭君は冷たい目で見下ろしている。

見知った執事に会えた喜びなどそこには全くない。

駆祭「このワタシを探しもせず随分と他人と仲良しこよししてたようね昴」

天童「申し訳ありません、はやてお嬢様……」

駆祭「お前、自分が超高校級だからって調子に乗っているわね?」

天童「そ、そのような事は……っ!」

駆祭「主に口答えか。それが既に調子に乗っているのよ!」

天童「も、申し訳ありません!」

天童君の髪を掴み、さらに平手打ちをぶつける駆祭君。

これは止めなければまずいと僕を含めた何人かが2人の下に向かう。

東「おいおい、そこまでにしておけよ。いくらなんでも」

駆祭「触るな下等!」

東「か、下等?」

駆祭「ちっ、下等に触れられて汚れた!昴、何を寝ているの!今すぐ消毒しなさい!」

天童「は、はい……」

駆祭君の命令に素直に従う天童君……どうやらこの主従は相当歪なようだ。

東「……」


25 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/15(日) 13:08:25.18kmZ3CMrA0 (5/9)

駆祭君が現れてから雰囲気は完全に悪化していた。

いつ破裂するかもわからない緊張感。

「ああん?なんだこの空気はよ」

そんななかで、また扉が開く。

そこにいるのは目つきの鋭い男……ふむ、緑のジャージや抱えているバッグから見えるテニスラケットからして彼は……

「オイ、この百鬼勇次様にガンつけてんじゃねえぞ、こらぁ!!」

・百鬼 勇次(ナキリ ユウジ)
〔超高校級のテニス部〕

百鬼勇次……高校生にして世界ランキングに入る〔超高校級のテニス部〕。
噂ではトーナメントでは優勝者が彼と試合する権利を得るという形になっているとか……

百鬼「オイ、てめえだよてめえ!!この俺をさっきからジロジロ見やがって!!」

そんな百鬼君が睨んでいるのは……よりによって駆祭君。

駆祭「また下品な下等が入ってきたと呆れただけよ」

百鬼「それは俺の事を言ってんだな?」

駆祭「あら、自分が言われたという事を理解できる知能はあるみたい。プランクトンに格上げしてあげるわ、光栄に思いなさい」

百鬼「このアマ……痛い目見ねえとその口は閉じねえらしいな」

駆祭「……やれやれ、低脳プランクトンはこれだから嫌ね」

天童「……お嬢様へ危害を加えるようなら私がお相手いたします」

百鬼「上等だ!ぼろ雑巾にして……ああん?」

今にも暴れそうだった百鬼君は、天童君を見るなり眉を潜める。

そして……握っていた拳を解いて駆祭君に背中を向けた。

百鬼「ちっ、やめだやめ。怪我してんのなんか相手にできっか」

駆祭「あら、逃げるのかしらプランクトン」

百鬼「……てめえ、そいつのご主人様ってとこか?」

駆祭「それが?」

百鬼「……かわいそうなやつだなてめえ」

駆祭「は?」

百鬼「……」

駆祭「今哀れんだ?この駆祭はやてを?あのプランクトンごときが?」

駆祭「……昴!!今すぐそのプランクトンを――」

伊勢「……ふむ、プランクトンと言うが、随分その言葉に左右されているようだ」

駆祭「!!」

その言葉に駆祭君がこちらを睨み付ける。

しかしもう何も出来ないのか、その口が開く事はなかった。

百鬼「やるなてめえ」

伊勢「思った事を言っただけだ。そちらも冷静な判断感謝する」

百鬼「へっ」

どうやら彼は言動に隠れているが、的確な判断力を持つようだな……


26 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/15(日) 13:53:28.15kmZ3CMrA0 (6/9)

「ぐすっ、ここどこぉ……?」

駆祭君と百鬼君が衝突せずに済んだ事に安堵の空気が漂うなか、入ってきたのは祭田君と変わらない身長をした少年だった。

ふむ、スーツが妙にアンバランスに感じるな。

「あっ、あー!誰かいる!良かったぁ……」

僕達を見つけたらしい少年はハンカチで涙を拭くと僕達に向かってくる。

「あ、あの!ぼく奥寺軌跡って言います!ここの家の人ですか!?」

・奥寺 軌跡(オクデラ キセキ)
〔超高校級のプロデューサー〕

奥寺軌跡……数多くのプロデュースを成功させてきた〔超高校級のプロデューサー〕。

彼によって花開いた芸能人はたくさんいて、彼がその気になれば芸能界を掌握できる程らしい。

最も、彼にその気は全くないようだが。

奥寺「ぐすっ、そうですか……皆さんもぼくと同じでしたか……」

祭田「泣かないで」ナデナデ

奥寺「あうっ、ありがとう」

一里塚「うーん、なんて微笑ましい光景……」

ダヴィテ「うふふ、食べちゃいたいぐらいね!」

2人共高校生なのだが……確かに微笑ましくはあるか。

姫島「……久しぶりプロデューサー」

奥寺「姫島さん!?まさかこんなところで会えるなんて……」

どうやら姫島君も知り合いだったようだな。

奥寺君もこれで少しは安心出来るだろう。


27 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/15(日) 23:10:42.05kmZ3CMrA0 (7/9)

伊勢「ふむ」

これだけの人数が集まったわけだが……まだ他にも人はいるのだろうか?

それに誰もここに来た経緯を知らないというのも気にかかる。

「ふふふふふ……」

伊勢「……?」

なんだ?この笑い声は……

「いいね!実にいい!」

伊勢「っ!?」

喜色に満ちた声と共に扉を勢いよく開いて入ってきたのは、モノクルを着けた青いベストに焦げ茶色のスカートを履いた少女。

モノクルを弄りながら僕達を見るその顔は満面の笑みという形容が相応しいものだった。

「素晴らしいよ。超高校級の人達がいっぱいだ!」

「おっと自己紹介が遅れたね!」

「ボクは中後直巳!しがない鑑定士さ!」


・中後直巳(ナカウシロ ナオミ)
〔超高校級の鑑定士〕


中後直巳……数々の美術品や骨董品の鑑定を任されてきた〔超高校級の鑑定士〕。
真偽を確かめたければ中後直巳に頼ればいい……そんな言葉すらあるほどだ。

中後「うんうん、この屋敷といいここにいる人達といい素晴らしいの一言だね」

中後「だけど特に君は興味深いよ」

伊勢「僕がか?」

中後「このボクが簡単に鑑定の結論を出せない……鑑定しがいがあるよ。是非とも隅々まで調べあげて……」

伊勢「……近いのだが」

中後「おっと失礼。鑑定の事になると熱くなる……ボクの悪い癖だ」

それだけ己の職務に熱心という事になるのだろうか……しかしまだ近いぞ中後君。


28 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/15(日) 23:44:06.21kmZ3CMrA0 (8/9)

伊勢「……んっ?」

何か、臭ってきたぞ……?

「おはようございまーす!」

伊勢「っ!?」

どうやら臭いの元らしい少女が入ってくる。
ボロボロの服、ボロボロの帽子、ボロボロのリュックを着た彼女が入ってきた瞬間……ホールは阿鼻叫喚と化した。

甲羅「くせえっ!?」

一里塚「うっ……!?」

祭田「スマトラオオコンニャクの臭いがするよ……」

奥寺「うええっ……!」

姫島「……」フラッ

符流「なんだこの悪臭は~……歌えるか……!」

東「は、はは、なかなか個性的な……」

紫乃「こ、これは……」

駆祭「昴!!何とかしなさい!!」

天童「は、はい!マスクをどうぞ!」

ダヴィデ「いやん!こんな臭いノーセンキューよ!」

百鬼「こっち来んなてめえ!!」

中後「ダメだね、うん、これはダメだ。ダメダメダメだって」

「おやおや?なんだか盛り上がってます?盛り上がっちゃってます?」

「だったらこの野場夕貴にお任せあれ!この野場夕貴がいるだけでみんな盛り上がる事間違いなし!」


・野場 夕貴(ノバ ユウキ)
〔超高校級の冒険家〕

野場夕貴……世界中を旅し、あらゆる遺跡や奥地を踏破した〔超高校級の冒険家〕。
彼女のおかげで明らかになった文明は少なくないと……ダメだ、集中出来ない!

伊勢「野場君と言ったか、その臭いはなんなんだ……!」

野場「ああ、半年ぐらいお風呂入ってませんからね!まあ、野場はお風呂に入らない程度で死にはしませんからご安心あれ!」

このままではこちらが死ぬ……!

その後なんとか野場君を隔離する事に成功した……さすがにあれはダメだろう。


29 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/15(日) 23:51:22.44kmZ3CMrA0 (9/9)

「いやぁ、少年少女が揃いも揃って賑やかなこったなぁ?」

野場君の放つ悪臭を逃がしているとヘラヘラした声が聞こえてくる。

見るとサングラスに黒い上下の服を着た男性が煙草を吸いながらニヤニヤと笑っていた。

伊勢「君は……」

「月ヶ瀬流行。キハハハハ、世界の敵って言えばわかるよなぁ?」


・月ヶ瀬 流行(ツキガセ ハヤリ)
〔超高校級のクラッカー〕


月ヶ瀬流行……並外れたハッキング技術を犯罪のみに使用する〔超高校級のクラッカー〕。

彼のハッキングによって三つの国と五つの都市が実質滅ぼされた。

さらに暇つぶしに病院にハッキングして停電を起こし患者を殺したりしている……超高校級どころか世界に名を知られる世界級の犯罪者だ。

月ヶ瀬「しかしアレだな。お前ら、なかなか図太い神経してんなぁ?」

伊勢「どういう意味だろうか?」

月ヶ瀬「キハハ、すぐにわかるさ」

月ヶ瀬「もうすぐ最高にスリリングなゲームが始まるって事がなぁ」

……月ヶ瀬流行。

まさにわかりやすい危険人物だな。



30 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/16(月) 22:19:49.21WNzEC0eA0 (1/12)

それからしばらく待ったが……もう誰も現れる気配はなかった。

どうやらこの場にいるのは僕達十六人だけのようだ。

伊勢「つまり全員気がついたらこの家にいたというわけか?」

ダヴィデ「そうねぇ……あやふやだけどそんな感じかしら」

紫乃「しかし不思議なお話です。皆様気がついたらこの場にいて、なぜそうなったかを覚えていらっしゃらない……」

中後「確かに、何かしらの意図を感じるね」

百鬼「なんでこうなったかなんざどうでもいいだろうが!!んな事よりこの家の奴を見つけてシメんのが先だ!!」

甲羅「うっさい!!んなもんオレ達だってわかってんだよ!!」

百鬼「んだとコラァ!?」

甲羅「なんだやんのかテメエ!?」

奥寺「け、喧嘩はよくないですよぉ」

百鬼「うっせえ!」

甲羅「黙ってろ!」

奥寺「ううっ……」

祭田「泣かないでキセキ」ナデナデ

これでは収拾がつかないな……


31 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/16(月) 22:37:58.41WNzEC0eA0 (2/12)

百鬼「女だからって手加減すると思うなよ!」

甲羅「上等だ!バラしてやんよ!」

伊勢「落ち着きたまえ洋子君」ギュッ

甲羅「ほわぁ!?」ビクンッ!

どちらを止めるかを考えた結果、僕に触れている間はおとなしかった洋子君を止める事にした。

こういう場合はとにかくこちらに意識を向かせる事が重要……そういうわけで後ろから抱き締めてみたわけだが。

甲羅「お、おまっ、ミノルッ、何しやがっ!?」

ふむ、少なくとも意識を逸らすのは成功したようだな。

一里塚「わぁ……!」

ダヴィデ「あら大胆ねぇ」

東「本当にすごいな……色んな意味で」

紫乃「あんなにお顔を真っ赤にされて……」

駆祭「ふん、くだらない茶番」

天童「……」

……周りが騒がしいな。

百鬼「……」

伊勢「すまない、百鬼君。しかし今は冷静に事を運ぶのが最優先だ。ここは矛を収めてほしい」

百鬼「……はあ、なんか萎えちまった」

伊勢「感謝する。洋子君も落ち着いただろうか」

甲羅「お、おう…………」

伊勢「それならよかった」

甲羅「こ、この野郎……人の気も知らねえで……」



32 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/16(月) 23:02:50.02WNzEC0eA0 (3/12)

伊勢「落ち着いたところで僕達の今置かれた状況をきちんと整理しようではないか。東君」

東「えっ、俺か?」

伊勢「先ほどの会話を覚えているだろうか?」


――――


東「だけどあれだな……ここにいるのって【超高校級】ばっかりじゃないか?」

伊勢「んっ、ああ、それは僕も感じていた。洋子君、東君、姫島君、一里塚君……【超高校級】と呼ばれる者ばかりがここにはいる」


――――


伊勢「この発言からしてここにいるのは【超高校級】と呼ばれる者ばかり……そうではないかと思うのだが」

東「ああ、そうだよ。それも99期生だ。みんなもスカウトはされてたんじゃないか?」

符流「なるほどな~♪確かにオレは99期生としてスカウトされている~♪」

一里塚「言われてみれば今年の入学生って掲示板で名前を見た人達ばっかりだ……」

姫島「……」

伊勢「ふむ」

ここにいるのは希望ヶ峰学園第99期生……これは何らかの手がかりになるかもしれないな。

そしてこの中にいるのならば僕自身もおそらく……



月ヶ瀬「はぁ……」


33 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/16(月) 23:10:58.71WNzEC0eA0 (4/12)

伊勢「むっ?」

これ見よがしにため息を吐いたのは月ヶ瀬君だ。

その目にはあからさまな侮蔑の色が見えている。

月ヶ瀬「どいつもこいつもヌルイ、ヌルイなぁ。この状況の真の意味を理解できてない」

伊勢「何が言いたいのかね月ヶ瀬君」

月ヶ瀬「集められた十六人、脱出が出来ない空間、そして全員希望ヶ峰の関係者……キハハ」

月ヶ瀬「まるでアレを彷彿とさせるじゃないか」

伊勢「アレ?」

月ヶ瀬「本当にわからないのか?それとも認めたくないのか?」

月ヶ瀬「そろそろ来るんじゃないか?アイツが」

月ヶ瀬「俺達を絶望に導く……」

月ヶ瀬「悪魔がな」



34 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/16(月) 23:13:17.96WNzEC0eA0 (5/12)







「ようこそ、いらっしゃいました!」

「希望の絶える館……【希絶館】へようこそ!」









35 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/16(月) 23:20:01.86WNzEC0eA0 (6/12)

月ヶ瀬君の声に応えるように、ホールにそれは現れた。

「ボクはモノクマ……」

モノクマ「この【希絶館】の管理者にしてこれから執り行う……」

モノクマ「コロシアイ共同生活の責任者でーす!」

伊勢「……」

モノクマ……モノクマ?
絶望。絶望のために産まれ、絶望のために。

絶望絶望絶望絶望絶望絶望……

伊勢「ぐうっ!?」

甲羅「ミノル!?」

な、なんだこの今までにない頭痛は……!

モノクマ、あのぬいぐるみを認識した途端に……

野場「モノクマ!かつて世界を震撼させた【人類史上最大最悪の絶望的事件】で量産されたロボット兵器!」

奥寺「コロシアイって、あの【78期生連続殺傷事件】の……」

月ヶ瀬「キハハ、未確認なだけで実際は他にもコロシアイはあったがな」

モノクマ「まあそんな過去のお話はいいじゃない!」

モノクマ「重要なのは……そのコロシアイにオマエラが選ばれたって事なんだから!」

中後「な、なんだって!?」

一里塚「う、嘘……」

ダヴィデ「穏やかじゃないわね……」

いきなりの事に起こる混乱。

くっ、まずは、この場を――


36 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/16(月) 23:25:53.42WNzEC0eA0 (7/12)







ガシャンッ!!









37 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/16(月) 23:28:01.54WNzEC0eA0 (8/12)

伊勢「!?」

それはいきなりの事だった。

喋っていたモノクマが後ろに吹き飛んだのだ。

眼に何か当たったのか、赤い破片がパラパラと床にこぼれる。

百鬼「舐めた口叩いてんじゃねえぞオイ!!」

百鬼「コロシアイだぁ?くだらねえ事言ってねえで出しやがれ!!」

百鬼君がテニスボールをモノクマにぶつけたとわかったのは、彼が二球目をモノクマにさらに打ち込んでからだ。

百鬼「ケッ、てめえなんぞぶっ壊しちまえば痛くも痒くもねえ!」

中後「これは凄い……二球共全く同じ場所に当てたよ」

一里塚「さすが超高校級……」

東「これなら、いけるんじゃないか……!」

百鬼君のボールによってモノクマは倒れたまま動かない。

そのためかみんなは百鬼君の腕に注目している。

月ヶ瀬「あーあ……馬鹿だなぁ」

だけど僕は。

月ヶ瀬「そんな事したら死ぬだけだってのに」

その月ヶ瀬君の言葉に促されるように。

伊勢「百鬼君!!下がれ!!」

そう叫んでいた。



38 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/16(月) 23:30:56.30WNzEC0eA0 (9/12)

百鬼「うおっ!?」

僕の声に咄嗟に下がった百鬼君の驚きの声が聞こえる。

百鬼君が立っていた場所……今そこにはどこからか飛んできた槍に埋め尽くされていた。

超高校級のテニス部である百鬼君だからこそ、僕の声に咄嗟に反応出来たのだろうが……もしこれが他の誰かだったら。

串刺しになって、死んでいた。

奥寺「わ、わあっ!?」

天童「お嬢様!下がってください!」

駆祭「……」

百鬼「な、なんだってんだよオイ!」

モノクマ「なんだとはなんだよ!オマエがいけないんだろ!」

起き上がったモノクマがボロボロになった赤い左目で百鬼君を睨む。

先ほど当たったボールによって割れてこそいたが、動きには支障がないようだった。

モノクマ「この館の管理者たるボクに暴力を振るうなんてなんたる無礼千万!」

モノクマ「本来なら百鬼君には死んでもらう所だよ!」

百鬼「なっ」

モノクマ「だけどボクもまだルールを説明してなかったからね……今回はまあ勘弁してあげるよ!」

完全に空気は凍り付いていた。

百鬼君が本当に死にかけた……その事が僕達に実感させたのだ。

モノクマは本気であると。



39 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/16(月) 23:40:49.61WNzEC0eA0 (10/12)

モノクマ「さてルール説明ですが……」

モノクマ「殺し合ってください!以上!」

甲羅「それだけかよ!?」

モノクマ「うぷぷ、冗談だよ冗談」

モノクマ「肝の学級裁判についても説明しておかないと」

東「学級裁判……?」

モノクマ「オマエラの間でコロシアイが起きた場合、一定の捜査時間の後行われるんだよ」

モノクマ「オマエラは犯人が誰かを議論し、見事当てられた場合は犯人、クロをおしおきします」

モノクマ「ただし外した場合はクロはこの【希絶館】から出られ、他のシロ全員がおしおきされます!」

ダヴィデ「ちなみにおしおきって……?」

モノクマ「処刑です!」

紫乃「……!」

モノクマ「うぷぷ、ちなみにボクや監視カメラに傷を付けた場合もルール違反として処刑するからそのつもりで!」

祭田「あっ……」

モノクマ「詳しくはオマエラに用意した個室にある物で確認してね!」

モノクマ「うぷぷ、それでは改めて……」

モノクマ「コロシアイ共同生活を始めたいと思いまーす!」

モノクマの宣言。

それがこれから起こる絶望的事件の始まりだった。



40 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/16(月) 23:41:51.56WNzEC0eA0 (11/12)







〔プロローグ〕

〔絶望の館への招待状〕

〔END〕

生き残りメンバー

伊勢実
東夕人
ダヴィデ・エピメニデス
甲羅洋子
姫島在留
一里塚ニコ
天童昴
符流ケン
百鬼勇次
紫乃美月
奥寺軌跡
月ヶ瀬流行
祭田結奈
駆祭はやて
中後直巳
野場夕貴

以上十六名。









41 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/16(月) 23:42:41.25WNzEC0eA0 (12/12)

今回はここまで。
次回一章を開始します。


42 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/17(火) 21:36:56.61eyRwX/yA0 (1/5)







CASE.1【花開く絶望の種】(非)日常編









43 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/17(火) 21:41:06.22eyRwX/yA0 (2/5)

モノクマ「うぷぷ……」

モノクマによる宣言を受けた僕達十六人は誰一人として動けずにいた。

あの百鬼君や洋子君まで静かになっている……

「……キハハ!」

だが1人だけ。

この状況で笑っている人間がいた。

月ヶ瀬「いいねぇ。実にいい」

月ヶ瀬流行……世界を敵に回す犯罪者である彼はこの状況さえも楽しんでいるらしい。

月ヶ瀬「モノクマ、今ここで皆殺しにしたらその瞬間ゲームは俺の勝ちになるかぁ?」

モノクマ「ダメに決まってんでしょうが!そんなのコロシアイじゃなくてただの虐殺じゃないのさ!」

月ヶ瀬「そりゃ残念」

ダヴィデ「ちょっと待ちなさい!あなた自分が何言ってるか……」

月ヶ瀬「キハハ、もちろんわかってるさ」

あまりに堂々と彼は宣言する。

月ヶ瀬「お前ら15人をいかに出し抜いて勝つか……それを考えなきゃいけなくなったって事がな」

コロシアイへの積極的な参加……それを示した月ヶ瀬君は笑いながらホールから出ていこうとしている。

思わず僕はその背中を呼び止めた。

伊勢「どこに行く気だね、月ヶ瀬君」

月ヶ瀬「部屋に戻るのさ。ああ、お前らの部屋もこっちにあるからなぁ?」

月ヶ瀬君は煙草を吹かし、右にあった扉から出ていった。

あちらに僕達の部屋が……既に調査済みという事か。


44 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/17(火) 21:44:54.67eyRwX/yA0 (3/5)

モノクマ「うぷぷ、とりあえず開始宣言はしたからこれからは自由にしていいよ」

モノクマ「ルールに関しては各自の部屋にある物で確認出来るからさ」

モノクマ「それじゃあどれだけオマエラが楽しいコロシアイをするか楽しみにしてるからね!」ピョーン!

モノクマも消え、月ヶ瀬君を除いた僕達はホールへと取り残された。

コロシアイ……とんでもない事に巻き込まれてしまったな。

奥寺「な、なんでコロシアイなんて……」

祭田「うっ、ぐすっ、怖いよ……」

一里塚「ふ、2人共、泣かないで!」

衝撃が抜ければ、次に訪れるのは恐怖と困惑。

口々に漏れ出す不安はどうしようもなく、止められそうもない。

しかしこのままではパニックからそれこそモノクマの言う虐殺が始まりかねない……何とかしなくては。


45 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/17(火) 22:48:55.70eyRwX/yA0 (4/5)

伊勢「……さて、月ヶ瀬君はいなくなってしまったが僕達はこれからどうする?」

ざわめきの中に響くように意識しながら僕は声を出す。

どうやら効果があったらしく、皆の視線はこちらの方に向いていた。

伊勢「僕としては、まずこの館がどれだけの規模かなどを調査するべきだと考えるのだが」

コロシアイに巻き込まれた以上、このまま何もせず怯えるだけというわけにはいかない。

そう判断した僕の言葉に皆も同じだったのか、何人かが僕の言葉に頷いている。

符流「くだらないな~♪オレは群れる気はないと言った~♪」

駆祭「……ふん、昴」

天童「お、お嬢様!も、申し訳ありません皆様!」

ふむ、3人ほどさらにいなくなってしまったが……これだけ残れば上々だろう。

伊勢「今いるのは12人か……ちょうどこのホールにはエントランスに繋がる物以外に3つの扉がある」

東「4人ぐらいで分かれて調べるって事か?」

伊勢「それがいいだろうな」

さて、どうやら僕に振り分けを任せてくれるようだ……どうしたものか。



46 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/17(火) 23:29:22.28eyRwX/yA0 (5/5)

すみませんがここまでで。


47 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/19(木) 21:48:15.246IcxpH9A0 (1/4)

伊勢「ふむ……」

考えた結果僕は一里塚君、奥寺君、百鬼君と調査をする事にした。

洋子君が不満を口にしていたが、彼女と僕が調査を共にすれば先ほどまでの状態から見ておそらく洋子君は調査どころではなくなる。

一里塚「あはは、私は伊勢君達と一緒だね」

奥寺「よ、よろしくお願いします!」

一里塚君と奥寺君、2人共常識的な部類だ……調査をするのに大きな問題は起きないだろう。

百鬼「……」

問題なのはどこか上の空な百鬼君だ。

さっき殺されかけたのが堪えているのかもしれない……注意深く見ておこう。

一里塚「伊勢君、私達はどこに行くのかな?」

伊勢「正面の扉に行こう。月ヶ瀬君が行った右はどうやら個室のあるエリアのようだからな」

奥寺「わ、わかりました!」

さて、何が待っているのか……


48 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/19(木) 21:56:46.226IcxpH9A0 (2/4)

【希絶館一階・大食堂】

伊勢「食堂か」

ホールよりは狭いがここも十二分に広い。

中央に置かれた円形の巨大なテーブルは僕達16人全員でも座れそうだ。

中心にモノクマの像がなければ楽しい食事も出来ただろうに……

一里塚「なんかお金かけてますって感じだね……」

奥寺「奥にも部屋があるみたいですね……えっと」

奥寺君がメモ帳と眼鏡を取り出すと何かを書き記している。

伊勢「何をしているのかね?」

奥寺「地図を描いておこうかと思いまして」

……なるほど、それは大切な事だな。

奥寺「よし、出来た!」

伊勢「奥寺君はマメなのだな」

奥寺「いえいえ、そんな事ありませんよー。こうしないと落ち着かないっていうだけですし……」

伊勢「ふむ……」

職業病、というものなのかもしれないな……


49 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/19(木) 22:04:00.946IcxpH9A0 (3/4)

【希絶館一階・厨房】

奥にあったのは厨房だった。

左側にも扉があって冷凍庫に繋がるようだな。

一里塚「これだけ大きいと料理も捗りそうだね」

奥寺「一里塚さんは料理とかするんですか?」

一里塚「一応人並みにはね。見た目が見た目だからこういう所で……ね」

一里塚君がどこか遠い目をしている……

百鬼「食材は毎日補充します……だとよ」

百鬼君が壁の貼り紙を剥がして僕達に見せる。

なるほど、確かに餓死の心配はなさそうだな。

最も餓死の危険性があるほど長くはいたくないが……

伊勢「一里塚君」

一里塚「どうしたの?」

伊勢「おそらく食事は僕達で用意しなければならないだろう。後で提案するつもりだが、食事を全員でとるようにしたい」

一里塚「なるほど、その時は私に料理を頼みたいと」

伊勢「無論他にも料理を出来る者がいるかは確かめるが……」

一里塚「うん、いいよ。さすがに1人では厳しいけど何人かでなら」

伊勢「感謝する。もちろん僕も出来る限りのサポートをしよう」

一里塚「あはは、その時はよろしく!」

記憶のない僕がどれほどサポート出来るかはわからないが、頑張って取り組まなくてはな……


50 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/19(木) 22:16:03.006IcxpH9A0 (4/4)

【希絶館一階・冷凍庫】

何があるかと冷凍庫に入ってみたが……肉や魚、冷凍食品など以外には何もなさそうだ。

一里塚「さ、寒っ!」

奥寺「ううっ、寒い……!」

伊勢「こちらもなかなか広いな……厨房とあまり変わらない広さだ」

百鬼「ちっ、どんだけの規模なんだよ……」

一里塚「は、はっくしゅん!も、もう出ない?」

伊勢「そうだな……ホールに戻ろう」

百鬼「……オイ」

ホールに戻る途中、百鬼君に声をかけられる。

どこかばつの悪そうな様子だが……

伊勢「百鬼君、どうしたのかね」

百鬼「さっきの事だけどよ……てめえのおかげで助かった」

伊勢「声をかけた事なら気にしなくていい。僕はやりたい事をしただけだ」

百鬼「それじゃあ俺が納得いかねえんだよ!」

伊勢「ふむ……ならば僕にどうしろと?」

百鬼「別にどうもしなくていい。ただ借りは借りだ……いつか返してやるから覚悟しやがれ!」

伊勢「……」

まるで仕返しされるような言い方なのだが……

百鬼「それだけだ!」

ふむ……まあ危害を加えられるわけではないだろう。


51 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/21(土) 22:50:23.92SF37kjYA0 (1/3)

【希絶館一階・ホール】

ホールに戻ってくると他のメンバーも戻ってきていた。

早速調査結果を報告するとしよう。

伊勢「食事については問題ないと判断する……僕からは以上だ」

東「それじゃあ俺達の報告をさせてもらうな。俺達は月ヶ瀬が行った方に行ったんだけど……」

甲羅「男子の個室が4つずつ並んでたぜ。奥には倉庫もありやがった」

紫乃「倉庫にはタオルや換えの服などがありました。後保存食も」

姫島「……それぐらい」

ダヴィデ「アタシ達は夕人くん達とは反対側に行ったわ。あったのは女子の個室よ」

祭田「こっちは奥にお風呂があったよ?」

伊勢「もしや野場君がこの場にいないのは……」

中後「お風呂に叩き込んできたんだよ。あのままでいられたら商売道具の鼻がおかしくなってしまう」

紫乃「あの、ちなみにお風呂は男女別ですか?」

ダヴィデ「仕切りはなかったわね。混浴みたい」

紫乃「そうですか……」

伊勢「……?」

どことなく紫乃君が嬉しそうなのは気のせいだろうか……


52 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/21(土) 22:56:59.01SF37kjYA0 (2/3)

伊勢「1つ提案があるのだがいいだろうか?」

東「どうした伊勢?」

伊勢「今回の調査を踏まえると脱出まではなかなかの長期戦になると予想される」

百鬼「癪だが否定も出来ねえな」

伊勢「その間安否確認も兼ねて食事会を行いたい」

中後「安否確認って、事件が起きると思っているのかい?」

伊勢「月ヶ瀬君がいる限りその不安は拭いきれないのではないだろうか」

奥寺「で、でも、月ヶ瀬さんも話せばわかる人かも……」

ダヴィデ「それはどうかしら……彼は本気にしか見えなかったわよ?」

奥寺「うっ……」

祭田「泣かないで」ナデナデ

奥寺「あう」

野場「野場ただいま帰還!すっきりしました!」

一里塚「おかえ……って野場さん!?なんでバスタオル一枚なの!」

野場「替えの服がありません!」

伊勢「……誰でもいい。とりあえずこの上着を野場君に」

甲羅「アイツとんでもねえな、色々と」


53 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/21(土) 23:03:39.84SF37kjYA0 (3/3)

その後野場君を一度部屋に戻し、着替えて戻ってくるのを待つ。

そして戻ってきた野場君は出会った時とは違う新品の服を着ていた。

伊勢「こほん、話を戻そう。とにかく異論がなければ僕としては毎日の食事会をしたいのだが」

中後「いいんじゃないかな?何かあってもすぐわかるしね」

甲羅「でもメシは誰が作んだよ」

伊勢「ふむ、一里塚君には既に打診してあるのだが、他にこの中で炊事が得意な者はいるだろうか?」

紫乃「あっ、わたくしは出来ますが……」

ダヴィデ「アタシも得意よ!」

天童君も出来るだろうが、彼は駆祭君の相手で手一杯だろうから……

伊勢「ふむ、それでは基本は3人に任せていいだろうか?他の皆も出来る事があれば手伝ってほしい」

ダヴィデ「任せてちょうだい!」

一里塚「頑張ってみるよ」

紫乃「かしこまりました」

伊勢「今は……5時か。各自部屋を確認して7時頃に食堂に集合としよう」

僕の言葉に頷いて皆はホールから個室に向かう。
ふむ、僕もあてがわれた部屋に行くとしようか……



54 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/22(日) 22:12:29.23heMUSoRA0 (1/1)

【希絶館一階・男子側客室廊下】

廊下に出ると報告にあったように4つの部屋がズラリと左右に並び、奥には倉庫に繋がるらしい扉があった。

扉のネームプレートによると僕の部屋は……左側の1番手前、1号室か。

その後、念のために確認したところ

・左側
1号室…伊勢
2号室…天童
3号室…符流
4号室…月ヶ瀬
・右側
5号室…ダヴィデ
6号室…百鬼
7号室…東
8号室…奥寺

という部屋割りである事が確認出来た。

ダヴィデ君が向かい、天童君が隣か。

伊勢「ふむ、廊下はこれぐらいにして部屋を調べるとしよう」



55 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 05:42:28.66LVsG1Z3A0 (1/21)

【1号室・伊勢の客室】

部屋の中はベッドとテーブルなどが置かれた簡素な物だった。

テーブルの上にはこの部屋の鍵と電子機器のような物が置いてある。

伊勢「【希絶館専用端末】……」

操作してみると希絶館の地図、ここにいる十六人の簡易的なプロフィール、そしてルールが記載されていた。

ルール1…あなたはこの希絶館で共同生活を行いましょう。

ルール2…夜10時から朝7時までは夜時間とします。夜時間は一部の部屋が立ち入り禁止になるので注意しましょう。

ルール3…個室以外での故意の就寝は禁止します。

ルール4…この希絶館について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。

ルール5…管理者であるモノクマへの暴力行為、監視カメラやモニターの破壊を禁じます。

ルール6…お客様の間で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。

ルール7…学級裁判で正しいクロを指摘した場合は、クロだけが処刑されます。

ルール8…学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、残りのお客様は全員処刑されます。

ルール9…3人以上の人間が死体を最初に発見した際に、それを知らせる死体発見アナウンスが流れます。

ルール10…大浴場と脱衣場での殺人は禁止します。

ルール11…同一のクロが一度に殺せるのは二人までです。

ルール12…封鎖テープを剥がしたりする事は禁じます。

ルール13…ルールは増える場合もあります。

伊勢「ふむ……」

百鬼君はこのルール5に違反したという事か……



56 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 06:06:52.54LVsG1Z3A0 (2/21)

伊勢「さて……まずは今の状況を整理するとしようか」

僕の名前は伊勢実。

なぜかはわからないがこの希絶館でコロシアイとやらに巻き込まれる事になってしまった。

なおそれ以前の記憶は一切ない。

どんな家で育ったか、家族構成は、いったいどんな物を好み、どんな物を嫌っていたか……

名前以外のありとあらゆる記憶が抜け落ちている。

しかし読み書きや言葉を話す事に支障はない。

さらに他の皆についての情報は顔と名前を一致させた途端に頭に浮かんできた。

そして……この希絶館にいる者達からの推測だが……

僕も何かしらの【超高校球】の才能を持っている可能性がある。

この端末に記載されていればよかったのだが、どうやら把握していないのかわざとなのか僕の才能は【超高校級の???】となっていた。

しかしここから1つの推測も出来る。

この記憶喪失は、モノクマによって引き起こされた可能性があるという事だ。

伊勢「ふむ……しかし、そうだとすればなぜ僕の記憶を消したのだろうか?」

それを聞いて話すような相手ではない事はわかるため、ここからは推測にしかならない。

伊勢「ふむ、記憶に関しては一時保留とするべきか」

現状最大の問題はこのコロシアイをどう乗り切るか……もちろん殺人以外の方法でだ。

伊勢「ふむ……」

さて、どうしたものか…………



57 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 06:08:47.17LVsG1Z3A0 (3/21)







「希×のた×に」

「×望を」

「××を××を××を」

「××××××××××××」









58 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 06:15:27.15LVsG1Z3A0 (4/21)

ピンポーン

伊勢「……むっ?」

チャイムの音に僕の意識が覚醒する。

しまった。

どうやら考え込む内に寝てしまっていたようだ。

時間は……ふむ、6時50分か。

7時頃と時間指定したのは僕だ、誰かが呼びにきたのかもしれないな。

ガチャリ

奥寺「あっ、い、伊勢さん」

伊勢「奥寺君か。呼びに来てくれたのかね?」

奥寺「あう、は、はい」

伊勢「すぐ準備をする。少し待っていてくれるだろうか?」

奥寺「は、はい」

伊勢「……ふむ、どうやらそれはついでといったところか」

奥寺「ふえっ!?」

伊勢「僕に話があるのだろう?あまり時間もないが、それでもよければ聞こう」

奥寺「……あ、あの伊勢さん」

奥寺「食事会に、4人も呼べませんか……?」

伊勢「それは月ヶ瀬君、符流君、駆祭君、天童君の事かな?」

奥寺「は、はい。ぼく、皆さんも話せばきっとわかってくれると思うんです!」

奥寺「だから、あの……」

伊勢「ふむ」

あの4人も食事会に、か……天童君はともかく他の3人は未知数だが。

しかし様子を見る事もいずれしなければならない事。

ふむ、となれば答えは1つだな。


59 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 08:24:54.49LVsG1Z3A0 (5/21)

伊勢「わかった、声をかけてみよう」

奥寺「あっ……ありがとうございます!」

伊勢「気にしないでほしい。どのみち彼らとも話はしなければならないからな」

それではまずは……隣にいる天童君に声をかけるとしようか。

ピンポーン

天童「はい、どちら様でしょうか?」

伊勢「僕だ、天童君」

奥寺「こ、こんばんは」

天童「伊勢様、奥寺様。どうなさいましたか?」

伊勢「これから僕達は食事会を行う事になっているのだが……よかったら天童君と駆祭君も参加してもらえないだろうか」

天童「わたしとはやてお嬢様もですか?」

伊勢「どうだろうか?」

天童「……申し訳ありません、おそらく不可能です。はやてお嬢様はわたしの料理しか口になさらないでしょうから」

奥寺「だ、だったら駆祭さんの分だけ天童さんが作れば……」

天童「それに今お嬢様は気が立っていますので……皆様の空気を悪くするだけかと」

奥寺「そ、そんなぁ……」

伊勢「ふむ……仕方がない、か」

ここで天童君だけを招いてまたあんな事態になるのは避けたい……それに半ばわかりきっていた事だ。

食事会は安否確認だけではなく交流の側面もある……今の状況で彼女を招いたところでただ衝突がさらなる衝突を引き起こし険悪になるだけ。

まず、こちらの地盤を固めなくてはならないだろうな。

伊勢「すまない天童君。食事会はこれから毎日行う、また機会があれば」

天童「はい、ありがとうございます伊勢様」



60 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 08:31:01.85LVsG1Z3A0 (6/21)

奥寺「ううっ……」

伊勢「奥寺君、気を落とさないでくれ。いつか機会は来るだろう」

奥寺「はい……」

伊勢「次は符流君だ。行くとしよう」

ピンポーン

伊勢「……ふむ」

ピンポーン

奥寺「……留守なんですか?」

伊勢「……」

おそらく居留守だろうが……さて、ここは。

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

奥寺「い、伊勢さん!?」

バンッ!!

符流「貴様、何の嫌がらせだ!?」

伊勢「やはり居留守だったか、符流君」

符流「くっ…………ゴホン」

符流「何の用だ~♪」

伊勢「僕達はこれから食事会を行う。君にも来てほしいのだが」

符流「群れないと言ったはずだが~♪」

伊勢「君はわかっていない符流君。単独行動がこのコロシアイという環境においてどれだけ危険か」

符流「……どういう意味だ~♪」

伊勢「僕達は食事会を行う事になった。そして主従の駆祭君と天童君を除外して単独行動をしているのは月ヶ瀬君と君だけだ」

伊勢「さて、考えてみてほしい。コロシアイを行うと宣言した月ヶ瀬君が狙うとしたら、誰が一番可能性があるだろうか?」

伊勢「仮に僕なら単独行動している者は格好の獲物なのだが……」

符流「…………」

伊勢「しかし符流君がどうしても行かないと言うならば……」

符流「待て」

伊勢「なんだろうか」

符流「……食堂には一緒にいよう~♪」

奥寺「本当ですか符流さん!」

符流「……群れるわけではないからな~♪」

バタンッ

伊勢「うまくいったようだな」

奥寺「良かったぁ……」

伊勢「さて、それでは最後の目標の所に行くが……奥寺君は符流君をここで待っていてくれ」

奥寺「えっ?あっ、はいわかりました!」

わかりきっている結果をわざわざ見せる必要もないだろうからな……


61 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 10:01:50.01LVsG1Z3A0 (7/21)

月ヶ瀬「キハハ、お断りだ」

伊勢「だろうな」

予測通り月ヶ瀬君には即答で断られる結果となった。

元々彼が来る事は全く期待していなかったので驚きもない。

むしろ来ると答えたら何を企んでいるのかと警戒していただろう。

伊勢「しかしわかってはいたが、とりつく島すらないな」

月ヶ瀬「おあいにく様だなぁ、俺は島にとりつかせるなら蹴り落とすタイプだ」

伊勢「ふむ、上手い事を言っているつもりなのだろうが生憎僕には理解出来ないセンスのようだ」

月ヶ瀬「手厳しいねぇ。ああ、1つ頼みを聞いてくれたら行ってもいいぞ」

伊勢「ほう?聞くだけ聞こう、それは何かね?」


月ヶ瀬「2人ほど殺してから死んでくれないかぁ?」


伊勢「……」

月ヶ瀬「同一のクロは2人までしか殺せないだろう?」

月ヶ瀬「だけど13人相手に学級裁判はリスクが高い」

月ヶ瀬「だからお前が減らしてくれるなら食事会ぐらいは行ってもいいぞ?俺も労力が減って助かる」

3人の命を引き換えに食事会の参加か。

自分を随分と高く見積もったものだな……

伊勢「失礼した、月ヶ瀬君は不参加という事にしておく」

月ヶ瀬「残念。やっぱり13人相手にするしかないなぁ……キハハ!」

改めて危険人物だと理解できただけ、よしとしておこう。


62 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 13:01:06.21LVsG1Z3A0 (8/21)

伊勢「ふむ、符流君だけか……」

全滅も覚悟していた分最悪ではないのだろうが……

奥寺「あ、あの伊勢さん」

伊勢「なんだろうか?」

奥寺「ありがとうございます。ぼくの我が儘に付き合ってくれて……」

伊勢「結局1人しか成果はあげられなかったが……」

奥寺「でも、伊勢さんがいたから符流さんは来てくれる事になったと思いますから……!」

奥寺「だからありがとう、と言わせてください!」

伊勢「……ふむ、ならばどういたしましてと言っておこう」

奥寺「はい!」

符流「オレは食堂に行くだけだ~♪」



63 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 13:05:37.72LVsG1Z3A0 (9/21)

【大食堂】

伊勢「遅れてすまない」

奥寺「す、すみません!」

東「伊勢、奥寺。結構遅かったけど何かあったのか?」

中後「言い出しっぺが来ないから正直心配してしまったよ」

伊勢「それはすまない。彼を迎えに行っていた」

符流「……」

一里塚「符流君!まさか来てくれるなんて思わなかったよ!」

符流「……違う~♪」

甲羅「違うって何がだよ」

符流「オレは食事に来た~♪そうしたらオマエ達がいた~♪」

符流「それだけだ~♪」

百鬼「屁理屈じゃねえか!」

野場「野場は初めて素直じゃない人を見ました!」

符流「黙れ……!」

ダヴィデ「まあまあ、とりあえずご飯にしましょ!たくさんあるからケンくんも是非食べていってちょうだい!」

紫乃「はい、どうぞ」

そうして3人ほどいないが……僕達の食事会は始まった。



64 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 13:08:24.06LVsG1Z3A0 (10/21)

伊勢「ふむ……」

食事をした記憶も失っている状態だが……はっきり言える。

この食事は美味しいと。

ダヴィデ「ふふふ、気に入ったみたいね実君」

紫乃「良かったです。これだけの方々に食べていただくのは初めてでしたから」

伊勢「ダヴィデ君と紫乃君か。美味しくいただいているよ」

ダヴィデ「な、なんか出会った時からそうだけど堅いわね実君って」

伊勢「ふむ、おそらくこれが僕の性分なのだろう。気に障ったのなら謝罪するが……」

ダヴィデ「い、いいわよ!そんな事しなくても!」

紫乃「クスッ、実様は面白い方ですね」

伊勢「しかし随分と量を作ったようだが……」

ダヴィデ「ニコちゃんがなんか恐ろしく張り切ってねぇ。アタシ達もなんだか当てられちゃったのよ」

伊勢「一里塚君が?」

紫乃「はい。なんでも自分は夜行性だから夜になるに連れ気分が高揚すると……」

一里塚君にそんな一面があったとは……

ダヴィデ「だからケン君も来てくれて助かったわ~」

紫乃「一人当たりの量が減りましたからね。太らずに済みました」

ダヴィデ「あーら、美月ちゃんは全部胸にいくタイプみたいだからいいじゃないの」

紫乃「そ、そのような事は……」

ふむ、女子の会話というものはここまで居心地悪いものか……


65 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 13:16:54.05LVsG1Z3A0 (11/21)

夕食後、僕達は必要な事について話し合っていた。

現状の議題は……

紫乃「わざわざ分ける必要がありますか?いいじゃないですか、人類皆兄弟と言いますし」

一里塚「いやいや!いくらなんでもそれはおかしい!」

……大浴場の使用についてだった。

なぜかはわからないが、紫乃君が混浴に積極的であり、それに何人か同調している。

そしてそれに一里塚君が中心となって反対している……といった様相だ。

伊勢「ふむ……」

なぜだ。

既に1時間経つが、なぜこの議題にここまで時間がかかっているのだろうか。

ある意味では平和な事かもしれないがまだ決めるべき事はいくつもある、あまり時間をかけるのも問題だ。

……そして聞きたい。

符流「……」

なぜ君は賛成側にいる。



66 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 17:42:58.80LVsG1Z3A0 (12/21)

ダヴィデ「でもねぇ、男は獣。このアタシの美しい肌を見せたらきっととんでもない事になるわ」

君は女子として入る気かダヴィデ君……無理もないのだが、そうなるとまた色々と考えなければ。

野場「いいじゃないですか!山奥のとある部族なんて服を着ない風習ですし!」

ここは山奥では……いや、山奥に建っている可能性もないとは言えないのだがそういう問題ではないな。

奥寺「あう、あう……」

祭田「ふああ……」

奥寺君や祭田君は話し合いに参加出来そうにない……このまま続くなら眠そうな祭田君には途中で部屋に戻らせる必要があるかもしれない。

中後「ボクとしてはタダというわけにもね」

そういう問題なのだろうか。

そもそも今僕達は誰も財布を携帯していない……つまり中後君は反対という事か。

甲羅「いいんじゃねえの、別によ。ミノルならむしろチャンス……」

君は何をする気なのだろうか、洋子君。

百鬼「……てめえ、手が早いな」

誤解だ百鬼君、そのような事実は全くない。

全くこれでは話し合いにならないな……

東「なんというか、コロシアイしてるとは思えないな」

伊勢「全くだ……むっ?」

姫島「……」

伊勢「姫島君、君はどう思う?」

姫島「私は」

伊勢「脇役とは自身の意見さえ封殺しなければいけない、というものではないのでは?」

姫島「……時間で決めればいいと思う」

伊勢「僕も同意見だ」

さて、いつになったらこの提案が出来るのだろうか……


67 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 17:50:38.51LVsG1Z3A0 (13/21)

【伊勢の部屋】

あれから大浴場の使用時間と食事会の時刻、その他細部について話し合った。

コロシアイを起こさないための第一、それは他の事で思考を割く事。

少なくとも今の皆は状況を飲み込むために思考を割いているから何か起きる心配はないだろう。

問題はこの後……3日過ぎた辺りだろう。

そもそもモノクマがこのままおとなしく傍観するとも思えない。

伊勢「さらに問題なのは月ヶ瀬君と駆祭君だな……ふむ」

やらなければならない事、考えなければならない事……山のように積み上がった問題。

さて、どうするか……

ピンポーンパンポーン……

モノクマ「夜十時になりました!」

モノクマ「今から夜時間とさせていただきます」

モノクマ「うぷぷ、生きてたらまた明日」

伊勢「…………全く」

不安を煽る放送とは……悩みの種が増えてしまったな。

明日から、忙しくなりそうだ……


68 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 17:55:37.57LVsG1Z3A0 (14/21)

【2日目】

ピンポーンパンポーン…

モノクマ「7時です!7時です!」

モノクマ「生きてたらおはよう!死んでたらさようなら!」

モノクマ「オマエラはどうかなー?うぷぷぷぷぷぷぷぷぷ……」

伊勢「最低の放送だな」

倉庫の物をメモしながら僕は眠気覚ましの缶コーヒーを胃に流し込む。

時間だ、食堂に行くとしようか。

【大食堂】

伊勢「皆、おはよう」

符流君はきちんと来ているな……おや?

伊勢「紫乃君、ダヴィデ君。一里塚君はどうしたのだろうか」

紫乃「そういえば朝から見てませんね……」

ダヴィデ「ニコちゃんって遅刻癖とかそういう事なさそうなのにねぇ」

伊勢「……ふむ」

寝過ごしただけならばいいのだが、状況が状況だ。

様子を見に行くか……

伊勢「すまない、一里塚君の様子を見てくる」

そういえば彼女は自分が夜行性だと昨日話していたらしいが……まさか。


69 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 18:21:59.16LVsG1Z3A0 (15/21)

【女子側客室廊下】

伊勢「ふむ、こちらの部屋割りは手前右側から……」

・右側客室
1号室…野場
2号室…一里塚
3号室…中後
4号室…甲羅
・左側客室
5号室…姫島
6号室…紫乃
7号室…駆祭
8号室…祭田

一里塚君は2号室か……

ピンポーン

伊勢「一里塚君、朝だぞ。どうかしたのだろうか?」

ピンポーン

伊勢「一里塚君。まだ寝ているのか?」

ピンポーン

伊勢「……むっ?」

鍵が開いている?

伊勢「入るぞ、一里塚君」

扉を開けて中を覗く。

一里塚「んうっ……」

伊勢「……」

一里塚君はベッドで寝ていた。

着の身着のままといった様子だ、どうやら夜中まで起きていたようだな……

伊勢「鍵もかけずに不用心な……」

とりあえず起こすとしよう。

この様子ではすぐ起きるかわからないが……

伊勢「一里塚君、起きたまえ」

一里塚「んっ……」

伊勢「朝だぞ一里塚君。鍵をかけずに寝るのはどうかと思うのだが」

一里塚「んえっ……?」

伊勢「起きたようだな」

一里塚「…………」

伊勢「一里塚君?」

一里塚「きゃああああああああああっ!?」

バシーン!!



70 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 18:29:08.82LVsG1Z3A0 (16/21)

※※※※

伊勢「……」

一里塚「ご、ごめんね伊勢君!」

伊勢「いや、僕もあまり寝ていなかったから目が覚めた」

未だに頬が痛むが……男がいきなり部屋にいたら無理もないのかもしれない。

しかし扉を閉めたためか、あの悲鳴は食堂まで聞こえなかったようだ。

ふむ……あらぬ誤解をされなかったのは幸いだが、ここまで防音がしっかりしているのなら襲われてもわからないという事でもある。

となると……

一里塚「……伊勢君?」

伊勢「……ああ、すまない。少し考え事をしていた」

一里塚「急に黙っちゃったからやっぱり怒ってるのかと思ったよ……いや、私が悪いんだけど」

伊勢「僕も配慮が足らなかった。しかし夜中まで起きていたようだが……」

一里塚「あはは、私って昔から夜起きて昼間寝る生活で」

ダヴィデ君や紫乃君の話通り、というわけか。

伊勢「……ふむ、それでは朝の食事会は参加出来そうにないのでは?」

一里塚「うん……正直今も眠くて」

伊勢「わかった。その旨を2人には話しておこう」

一里塚「本当にごめんね」

伊勢「気にしなくていい。ただ鍵だけはしっかりかけるように」

一里塚「うん」

バタンッ

伊勢「さて、戻るとしよう」

この赤くなった頬をどう誤魔化したものか……


71 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 18:32:47.32LVsG1Z3A0 (17/21)

【伊勢の部屋】

伊勢「朝食についてはこれでいいとして……おや、もうこんな時間か」

探索も兼ねて少し外に出るとするか……

ガチャッ

甲羅「うおっ!?」

伊勢「おや?」

扉を開けると驚いたような声が聞こえた。

覗いてみると洋子君が頬をかきながら立っている。

甲羅「よ、ようミノル」

伊勢「洋子君、すまない。僕の部屋の前にいたとは気がつかなかった」

甲羅「いや、オレが突っ立てたのが悪いしよ……気にすんなって!」

伊勢「むっ?僕の部屋の前に立っていたのかね?」

甲羅「まあな!」

伊勢「ふむ……何か話したい事でもあるのだろうか?」

甲羅「いや、なんつうかさ……」

甲羅「ミノル、牛乳飲んでねえよな?」

伊勢「……」

洋子君はなぜ僕に牛乳を飲ませたくないのだろうか……

甲羅「ま、まさか飲んでんのか!?オレは許さねえぞ!?」

伊勢「……飲んでないから安心したまえ」

甲羅「そ、そうか!だったらいいんだよ」

伊勢「……まさかそれを聞くためにわざわざ?」

甲羅「あっ、それだけじゃねえよ!ミノル、ちょっと手出せ」

伊勢「またか……こうだろうか?」

甲羅「サンキュー」

……僕の手を握る洋子君の眼が少々濁っているように見えるのは気のせいだろうか?

甲羅「へ、へへっ……」

伊勢「……」

本人がこれで満足なら、まあそれもいいだろう……


72 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 18:49:22.37LVsG1Z3A0 (18/21)

満足した様子の洋子君と別れて大食堂に行くと天童君が厨房で料理をしていた。

ふむ、いい香りが漂っているな……

天童「あっ、伊勢様。よろしかったらコーヒーをお飲みになりませんか?」

伊勢「いいのだろうか?」

天童「少々作りすぎてしまったので」

伊勢「それならばありがたくいただくとしよう」

※※※※

伊勢「ふむ、いい味だ……天童君はコーヒーを入れる才能もあるのだな」

天童「いえ、わたしなどまだまだですよ」

そうは言うがどことなく嬉しそうな顔をしている。

天童君はコーヒーに相当な自信があるのだろうな。

伊勢「そういえばその包丁、ここで見なかった気がするのだが」

天童「ああ、これは私物です。いつでもはやてお嬢様の要望にお応え出来るように一通り持ち歩いていたので」

伊勢「道具からこだわるか……さすがだな」

やはり天童君が優秀な執事である事に疑いはない。

だからこそ……僕は彼が発したあの時の発言が今でも引っ掛かっていた。



73 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 18:56:08.21LVsG1Z3A0 (19/21)

伊勢「……天童君に1つ聞きたい事があるのだが」

天童「なんでしょうか?」

伊勢「君は僕を知っているのだろうか?」

天童「はい?」

伊勢「昨日君と出会った時……」

※※※※

天童「あの、少しいいですか?」

伊勢「僕か?」

天童「はい。わたしは天童昴と言います」

天童「伊勢様、わたしの主人を知りませんか?」

※※※※

伊勢「あの時君は僕が名乗る前に、僕を伊勢様と呼んだ」

伊勢「つまり君は僕を知っていたという事になる……どうなのだろうか?」

天童「……さすが伊勢様ですね」

天童「ですが残念ながら自分でもわからないのです」

伊勢「わからない?」

天童「わたしがなぜ伊勢様のお名前を知っていたか……自分自身も不思議なのです」

天童「わたしははやてお嬢様以外に仕えてはいないはずで、その関係者も全て把握していますから……」

ふむ……天童君自身もわからない繋がりが僕達の間にはあるのか?

もしくは天童君も記憶喪失か……

どちらにせよ、僕の記憶の手がかりも彼が持っているかもしれないな……



74 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 23:15:00.58LVsG1Z3A0 (20/21)

中後「この壺は……」

倉庫を見回っていると中後君が壺を虫眼鏡で見つめているところに出くわした。

ふむ、どうやら鑑定しているようだが……

中後「んっ?ああ、伊勢君。君もお宝を探しに来たのかい?」

伊勢「僕は見回りに。随分とその壺を見ていたようだが」

中後「そうなんだ!まだ確定は出来ないけどこの壺は数千万はする代物みたいなんだよ!」

伊勢「ほう」

乱雑に置いてある壺にそんな値打ちがあるとは……

中後「これは鑑定士としての血が騒いでしまうね……ここにあるもの全て鑑定してみたい!」

伊勢「ふむ、だいぶ数があるが大丈夫なのだろうか」

中後「ボクにとってはこれぐらいなんて事ないさ!さーて、次はどの壺を調べようかな……」

やはりこういう環境では才能を思うがままに使えるというのはストレスがたまらないためにも必要な事なのだろう。

その証拠に中後君の瞳はイキイキしていて眩しいくらいだ。

中後「ふふふ……一番高い物は慰謝料に……」

……いや、中後君の場合違うのかもしれない。


75 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/23(月) 23:22:24.47LVsG1Z3A0 (21/21)

祭田「んしょ、んしょ」

奥寺「祭田さん、ぼくも手伝いますよ!」

祭田「……大丈夫?転んでお花さんばらまいたりしない?」

奥寺「し、しません!」

祭田「だったら……はい」

奥寺「ありがとう!ぼく頑張ります!」

あれは奥寺君と祭田君か……ふむ、確かに微笑ましいな。

伊勢「何をしているのかね?」

祭田「ミノルだ。お花さんを飾ってるの」

奥寺「ぼくはそのお手伝いです」

伊勢「花か。なるほど、皆の気を落ち着かせるにはいい方法かもしれないな。どこに飾るのだろうか」

祭田「食堂にエントランスに……みんなの部屋にも飾りたいな」

奥寺「それいい考えです!」

伊勢「花瓶などは足りるかね?」

祭田「倉庫にたくさんあったよ?」

奥寺「えっ、あれ花瓶じゃなくて壺……しかも中後さんがかなりの値打ち物だって……」

中後君はまだやっていたのか……

祭田「お花さんが住めるならみんな花瓶だよ?」

伊勢「ふむ、花を飾るのに花瓶にこだわる必要はないか……」

奥寺「い、いいんでしょうか……」

伊勢「構わないだろう、あれだけ倉庫に置いてあるのだからな。僕が取ってこよう」

祭田「お花さんたくさん飾れるのがいいな」

伊勢「ああ、わかった」

奥寺「あっ、中後さん、慰謝料に持って帰るから1番大きな壺には誰にも触らせないようにって言ってましたけど……」

伊勢「……ふむ、ならば2番目に大きな物にしよう」

その後倉庫にあった壺に祭田君が花を飾り付けた。

中後君が悲鳴をあげていたような気がするが……気のせいだろう。


76 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/24(火) 00:18:11.29B63Ww6tA0 (1/2)

ダヴィデ「直巳ちゃんが悲鳴をあげてたけど、何かあったのかしら?」

伊勢「ふむ、なぜだろうな」

時刻はお昼前……僕は昼食を作るダヴィデ君と紫乃君を手伝っていた。

一里塚君も先ほどまで厨房にいたが、今は食堂の方で準備をしている。

紫乃「実様、手際がよろしいですね」

伊勢「そうだろうか?」

ダヴィデ「あら本当!実君包丁の扱い上手じゃない!」

ふむ、意識してはいなかったが、この2人が言うのであればそうなのだろうな。

伊勢「僕は日常的に料理をしていた可能性があるという事か」

ダヴィデ「だったら今度料理を作ってみたら?身体が覚えてるかもしれないわよ?」

伊勢「ふむ、それもいいかもしれないな……」

紫乃「実様の手料理、楽しみにしていますね」

伊勢「期待に応えられるよう努力しよう」

ダヴィデ「そんな硬くなくてもいいのよもう!」

伊勢「いや、やるからには……全力を尽くしたい」

ダヴィデ「本当に真面目ねぇ」

紫乃「うふふ、それがいいところなんでしょうね」

さて、どんなものを作るとしようか……


77 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/24(火) 00:18:42.23B63Ww6tA0 (2/2)

今回はここまで。


78 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/25(水) 22:35:24.19j925u4vA0 (1/2)

野場「おかわりください!」

ダヴィデ君、紫乃君、一里塚君の料理は昼食会でも好評のようだ。

特に野場君の消費ペースは早い……しかし少々食べ過ぎなのではないだろうか?

伊勢「野場君、そんなに食べて大丈夫なのかね?」

野場「大丈夫です!なぜなら野場は野場なので!」

伊勢「よくわからないが……限界は本人が一番よく知っているか」

野場「お気遣い感謝します伊勢隊長!」

伊勢「……隊長?」

野場「野場はそう判断しました!」

伊勢「ふむ、隊長か……」

数多くの危険地帯にも足を踏み入れたであろう野場君がそう言ってくれるのであれば……それに恥じないよう努力しなければならないな。

伊勢「感謝する野場君。これでますます気が引き締まった」

野場「どういたしまして!それよりおかわりはまだですか!野場はお腹が空きました!」

伊勢「……消化が早すぎるのではないだろうか?」


79 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/25(水) 22:49:18.65j925u4vA0 (2/2)

伊勢「ふむ……」

13人分となると皿洗いも一苦労だな。

東「伊勢、1人で皿洗いしてるのか?」

伊勢「3人は手伝いを申し出ていたが、夕食会もあるので休憩を優先してもらった」

東「だったら俺も手伝うよ。まかせっぱなしっていうのも居心地悪いしな」

伊勢「ああ、すまない」

東「そういう時は謝罪よりお礼の方が嬉しいぞ」

伊勢「むっ、そうか……感謝する」

東「はは、まあ堅いけどそれでいいか」

それから東君と皿洗いを行った。

やはり2人でやるとスムーズに進むな。

伊勢「ふむ、これで最後だな」

東「ようやく終わった……経験ないから結構疲れるなこれ」

伊勢「確かに……」

最も僕は経験があるかないかもわからないのだが。

東「じゃあ俺は部屋に戻るよ。じゃあな伊勢」

伊勢「ああ、ゆっくり休んでくれたまえ」

しかし東君にも手間をかけさせてしまった……いずれ何かで返すとしよう。


80 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/28(土) 21:58:29.73AgDQ0RIA0 (1/5)

伊勢「……むっ?」

百鬼「てめえ、よく出てこれやがったな」

月ヶ瀬「はぁ……」

昼食会の後見回りをしていると、百鬼君と月ヶ瀬君の姿を見かけた。

ふむ……どうやら出てきた月ヶ瀬君を百鬼君が見咎めたといったところか。

月ヶ瀬「俺はただ昼飯取りに行くだけだ。通してくれないかねぇ?」

百鬼「けっ、どうだか……出来ればこのまま餓死させてやりてえぐれえだ」

月ヶ瀬「キハハ、そしたらお前がクロで死ぬってわけだ?モノクマに歯向かったのといい自殺願望でもあるのかぁ?」

百鬼「んだとてめえ!!」

月ヶ瀬「図星を突かれたからってキレんなよ、キハハ!」

まずいな、そろそろ百鬼君が月ヶ瀬君を殴ってしまいそうだ。

伊勢「そこまでにしたまえ」

月ヶ瀬「また増えやがったなぁ……」

百鬼「ああ?なんか文句あんのか!!」

伊勢「百鬼君、月ヶ瀬君を餓死させてしまえば彼の言う通り君がクロにされてしまう可能性がある」

百鬼「てめえも俺が自殺願望あるとでも言いてえのか!?」

伊勢「そうではない。言い方は悪いが、こんな人間のために君が命を散らす必要などない」

百鬼「……!」

月ヶ瀬「キハハ、はっきり言いやがる」

伊勢「月ヶ瀬君、食事を取るのはいい。だが見張りはつけさせてもらう」

月ヶ瀬「息苦しいなぁ、ったく」

伊勢「君はその気になれば毒を混入出来るからな。諦めるのを推奨する」

彼は煙草を所持している……つまりニコチンでの毒殺が可能という事だ。

そんな彼を厨房に1人で置くわけにはいかない。

月ヶ瀬「へーへー、わかりましたよ」

伊勢「百鬼君、不満があるなら君も見張りに来たまえ」

百鬼「……ちっ、わかったよ」

その後月ヶ瀬君が食事を取るのを百鬼君と監視した……ふむ、次からは1人でこなせるようにしなくてはな。


81 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/28(土) 22:11:07.90AgDQ0RIA0 (2/5)

符流「……」

月ヶ瀬君が部屋に帰ったのを見届けた後、大浴場に向かうと脱衣場で符流君と出くわした。

ふむ、今は男子の入浴時間……1人で入りに来たのだろうな。

伊勢「符流君、入浴だろうか?」

符流「オレは脱衣場で料理をする趣味はない~♪」

伊勢「ふむ、料理をする環境でもないから妥当ではあるな」

符流「……」

伊勢「どうかしたのかね?」

符流「ふん、なんでもない~♪」

伊勢「ゆっくり入浴してくれたまえ。脱衣場と大浴場は殺人禁止……数少ない安全地帯なのだから」

符流「言われなくてもそのつもりだ~♪」

大浴場に入っていく符流君を見送る……さて、僕は見回りを再開するとしよう。

【数十分後】

伊勢「……何やら騒がしいな」

符流「……」

伊勢「符流君、その顔の怪我はいったいどうしたのだろうか」

符流「ふん、安全地帯から追い出されただけだ~♪」

……まさか今までずっと大浴場にいたのだろうか?


82 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/28(土) 23:24:33.24AgDQ0RIA0 (3/5)

伊勢「姫島君、調子はどうかね?」

姫島「……特に問題はない」

伊勢「そうか、ならばいいのだが」

姫島「……」

伊勢「……」

ふむ、姫島君と話す感覚をなかなか掴めないな……

姫島「……伊勢君」

伊勢「ふむ、なんだろうか?」

姫島「私と無理に話そうとしなくていい」

伊勢「むっ?」

姫島「私は脇役、置物みたいな物……だから放置してくれて構わない」

伊勢「……」

姫島君のプロ意識には頭が下がるが……

伊勢「それを聞くわけにはいかない」

姫島「……なぜ?」

伊勢「僕はこのコロシアイを乗り切りたいからだ」

伊勢「僕にとって主役も脇役も関係ない……誰も死なせたくないという気持ちの上では全員平等だ」

姫島「……」

伊勢「そのためにはまずコミュニケーションを取る事……故に君を放置するなど出来るはずもない」

姫島「……」

伊勢「理解してもらえただろうか?」

姫島「……好きにして」

伊勢「ああ、好きにさせてもらおう」

さて、次はどのような話題を話すべきか……


83 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/28(土) 23:34:50.93AgDQ0RIA0 (4/5)

伊勢「ふむ……」

先ほど天童君が料理をしに厨房に入っていった……彼が離れている今が駆祭君と話す絶好の機会か。

ピンポーン

伊勢「駆祭君、話があるのだがいいかね」

ガチャッ

駆祭「なに。下等と話す時間はないのよ」

伊勢「そう言わないでくれたまえ。僕としても君をこのままにするわけにはいかない」

駆祭「なぜ」

伊勢「ふむ、簡単に言ってしまえば君が孤立無援になるのを避ける意味合いがあるな」

駆祭「昴がいるから無用な心配ね。そもそも月ヶ瀬がいる時点でそんな詭弁に価値はない」

伊勢「これは手厳しいな。だが月ヶ瀬君に関してもこのままにしておくつもりはない」

駆祭「あらそう。どのみちワタシは昴がいればそれでいい。失せなさい」

伊勢「1つ聞きたいのだが、このまま籠もって君はどうする気なのかね?」

駆祭「愚問ね。待ってるだけよ」

伊勢「待つ?脱出出来る時をかね」

駆祭「事件が起きるのをよ」

伊勢「それは、君が月ヶ瀬君と同じ考えと判断していいのだろうか」

駆祭「あんなゴミと一緒にしないで。ワタシはお前達とは違うのよ」

駆祭「何もかもがね」

伊勢「……なるほど。主張は理解した」

伊勢「ただ忠告だけはしよう」

伊勢「このままだと破滅しか君には待っていない。気が変わったらいつでも出てきたまえ」

駆祭「破滅するのはお前達よ」

バタンッ!!

伊勢「ふむ」

困ったものだ。



84 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/28(土) 23:56:25.55AgDQ0RIA0 (5/5)

【大食堂】

一里塚「いや、本当に朝はごめんね!」

ダヴィデ「いいのよ。誰にでも得意な事と苦手な事があるわ」

紫乃「ニコ様の場合それが朝起きる事というだけですから」

一里塚「ありがとう、そう言ってもらえると助かるよ」

ダヴィデ「ちなみにアタシが苦手なのは鏡をずっと見る事よ!」

紫乃「そうなのですか?」

ダヴィデ「だって怖いじゃない……アタシの美しい顔をずっと見ていたら時間を忘れちゃうわ」

一里塚「本気……なんだろうなぁ」

野場「うまいうまい!」

符流「それはオレの分だ、箸を離せ……!」

百鬼「あっ、てめえ!俺の取るんじゃねえよ!」

伊勢「……ふむ」

賑やかでいいことだ。

東「……」

伊勢「むっ?どうしたのだろうか東君」

東「えっ、あっ、いや……実は1つ気になる事があってさ」

伊勢「何かね」


東「伊勢って……何の才能でスカウトされたんだ?」



85 ◆5IONXlxNzTMN2019/09/29(日) 00:02:12.87KgdEyI1A0 (1/1)

伊勢「僕の才能?」

東「他の皆は有名だけどさ、伊勢に関しては全く聞いた覚えがないんだよ」

東「だからどんな才能なのか気になってたんだ」

中後「それはボクも気になるね。何というか、君はつかみ所がなくて鑑定しようがない」

中後「せめて才能ぐらいは知りたいところだよ」

伊勢「ふむ」

いつの間にやら周りも僕に注目している。

隠す事でもないか……そもそも洋子君は知っているしな。

伊勢「わからない」

百鬼「わからないだぁ?」

伊勢「僕には記憶がないからな」

奥寺「え、ええっ!?」

野場「今明かされる衝撃の真実!なんという事でしょう!」

甲羅「なんだ、オマエラ知らなかったのかよ?」

ダヴィデ「洋子ちゃんは知ってたのね」

姫島「……私も聞いてた」

一里塚「えっと、それ本当なの?」

伊勢「名前以外はまるで覚えていない。皆のプロフィールについてはパッと頭に浮かんだが」

祭田「そうだったんだ……」

紫乃「そのわりには、あまり焦っていらっしゃらないのですね」

伊勢「名前は覚えていたんだ。いつか他の記憶についても思い出すだろう」

符流「前向きなのか~♪考えなしなのか~♪」

伊勢「そういう事だから才能については覚えていない。君達の中にいたのならおそらく何かの才能はあるのだろうが」

モノクマの用意周到さを考えれば、僕だけ巻き込まれたとは考えにくい。

唯一才能に関する記憶がない……おそらく記憶があると都合が悪かったと推察は出来る。

最も、全て推測でしかないのが歯がゆいが……


東「…………」



86 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/02(水) 21:53:59.91QsdTKGBA0 (1/1)

明日クエストと合わせて更新します。
ちなみに以前とは被害者、クロを全く同じにはしないつもりですので。


87 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/03(木) 23:59:56.85gTu9NrYA0 (1/1)

【伊勢の部屋】

ピンポーンパンポーン……

モノクマ「夜10時になりました!」

モノクマ「今から夜時間とさせていただきます」

モノクマ「うぷぷ、生きてたらまた明日」

伊勢「ふむ……もう夜時間か」

昨日は放送の後に眠ってしまった、今日は外に出てみよう。

1つ気になる事もあるからな……

【大食堂】

伊勢「ふむ、やはりか」

厨房への扉が閉まっていて、午前6時までは入れませんと札がかかっている。

食材補充の現場を見られたくないだろう事は予測していたが……

しかしもしも厨房にそのままいた場合はどうなるのか、気になる事も多い。

明日試してみるのも1つの手か……

伊勢「とにかく明日報告するとしよう……むっ?」

誰か来たようだ。

この時間にわざわざ現れた……ふむ、少し警戒が必要かもしれないな。


88 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/04(金) 00:07:48.44M/sdoW+A0 (1/5)

姫島「……」

あの影は姫島君か。

ふむ、ここは声をかけて様子を見るとしよう。

伊勢「姫島君」

姫島「っ!?」

誰かがいることをまるで考慮していなかったのか、姫島君の表情が驚愕に染まる。

ふむ、普段が無表情だけに新鮮ではあるな。

伊勢「そこまで驚く事もないと思うのだが……」

姫島「……こんな時間に何を」

伊勢「それについてはお互い様というものだ。僕は厨房に用があったのだが」

姫島「厨房……」

伊勢「食材補充の現場を押さえたかったのだが……見ての通り入れないようだ」

姫島「入れない……」

伊勢「もしかして姫島君も厨房に用があったのかね?」

姫島「……そんなところ」

伊勢「そうか……ふむ、保存食ならば倉庫にもあるはずだからそちらを当たるのはどうだろうか」

姫島「そうする」

伊勢「ただ月ヶ瀬君の部屋が近い。念のためについて行ってもいいが」

姫島「大丈夫。護身術ぐらいは心得てるから」

姫島君はそう言って食堂から出ていく。

様子を見てみると、彼女はそのまま女子側の個室エリアに戻っていった。

伊勢「ふむ……」

夜時間にわざわざ厨房に来たわりには倉庫には行かずか……

どうやら、また1つ考えるべき事が増えたようだ。

伊勢「倉庫を見てから、部屋に戻るとしよう」



89 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/04(金) 00:20:33.52M/sdoW+A0 (2/5)

【3日目】

ピンポーンパンポーン…

モノクマ「7時です!7時です!」

モノクマ「生きてたらおはよう!死んでたらさようなら!」

モノクマ「オマエラはどうかなー?うぷぷぷぷぷぷぷぷぷ……」

伊勢「さて朝の見回りも終わった……食堂に行くとしよう」

【大食堂】

伊勢「ふむ、一里塚君はやはりいないか」

夜行性と言うからには簡単にそのサイクルを直せはしないだろうが……どうしたものか。

伊勢「……今はそれについては保留か。たまには牛乳でも飲んで」

テーブルに置いてある牛乳に手を伸ばす。

しかしその手は牛乳に届く前に横から伸びた手に掴まれた。

甲羅「ダメだ」

伊勢「……目敏くないだろうか、洋子君」

甲羅「ミノルが悪いんだよ。オレの断りもなしに目を盗んで牛乳なんて」

伊勢「まさか許可がいるとは……」

ここまで頑なだと気になってしまうな……1つ聞いてみるとしよう。

伊勢「洋子君、1つ聞きたいのだがなぜ君はそこまで牛乳を飲ませたくないのだろうか」

甲羅「あん?なんでって、そりゃ……」

伊勢「……」

甲羅「そりゃ、まあ……」

伊勢「……」

甲羅「なん、つうか…………」カァァ

洋子君、なぜ頬を赤らめているのだ?

甲羅「あああっ!んな事女に言わせんじゃねえよこの変態野郎!」

……とんでもない濡れ衣を着せられた気がするのだが。

しかし周りは騒ぎの中心が僕と洋子君だとわかると途端に興味を失っているようだ……なぜなのだろう。

甲羅「とにかく牛乳はダメだからな!後食生活には気をつけやがれよ!!」

そう言って洋子君は離れていった……牛乳をしっかりと回収して。

伊勢「……」

洋子君は本当に謎だな……



90 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/04(金) 00:30:39.52M/sdoW+A0 (3/5)

伊勢「洋子君が牛乳を飲ませたくない理由は変態的な物……ふむ」

しかし牛乳を飲ませたくない変態的理由……思いつかないな。

伊勢「むっ?」

東「だから符流だって本当はさ……」

符流「訳の分からない事を言うな~♪」

洋子君の言う変態的理由を考えながら歩いていると、会話が聞こえてくる。

どうやら東君と符流君が言い争っているようだ……

東「でもだったらなんで……」

符流「それは違う……!」

ふむ、どうやら符流君が押され気味のようだが……話を聞いてみるとしよう。

東「あっ、伊勢。ちょうど良かった」

伊勢「どうしたのかね?」

東「いや、符流が本当はみんなと仲良くしたいんじゃないかって」

符流「そんなわけないだろう~♪」

伊勢「なるほど、それが話の内容だったか」

符流君が本当は仲良くしたいのかどうか、か……今までの彼を考慮すると。

伊勢「確かに東君の見解には頷ける物があるな」

符流「どいつもこいつも~♪勘違いするな~♪」

伊勢「そうでなければ大浴場の話し合いで混浴に賛成したりはしない」

符流「……!」

東「やっぱりそう思うよな?」

符流「だからそれは違う……!」

伊勢「違うとは?」

符流「……どうでもいいから賛成しただけだ~♪」

符流「断じて深い意味などない~♪」

符流「いいな、絶対に勘違いするな……!」

ここまで否定していると逆に肯定とも思えるが……それにあの時君は紫乃君をわりと援護していたはずだが。

東「そうか……ごめんな。そこまで否定されたらさすがに信じるよ」

符流「わかればいい~♪」

表情に安堵しているのがよく見える……どうやら符流君はかなりわかりやすい性格のようだ。



91 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/04(金) 00:37:38.53M/sdoW+A0 (4/5)

2人と別れて再び歩く。

しかし符流君は群れるのを嫌っているが東君は仲良くしたいと判断した……

伊勢「東君は周りをよく見ているのかもしれないな……むっ?」

この煙草の臭いは……

月ヶ瀬「キハハ、ヌルイ事してやがるみたいだなぁ」

伊勢「月ヶ瀬君か」

月ヶ瀬「全くこんな事してる暇があったらトリックの1つや2つ考えた方が有意義だろうに……」

月ヶ瀬「キハハ、俺からしたら大助かりだがなぁ」

伊勢「わざわざそんな事を言うために出てきたのか。ご苦労な事だが、君は暇なのかね?」

月ヶ瀬「ただ飯を取りに来ただけだぁ。すぐ部屋に戻る」

伊勢「ああ、ならば見張らなければな」

月ヶ瀬「……余計な事言っちまった」

伊勢「しかしそのような露骨な態度では、事件が起きたら間違いなく君が疑われると思うが」

月ヶ瀬「キハハ、そんな事は承知の上だぁ」

月ヶ瀬「だけどそう考えていると、いつか足元をすくわれる結果になるんじゃないか?」

月ヶ瀬「キハハ、その時お前がどうなるか楽しみだ……」

伊勢「挑発のつもりだろうが、何を言ったところで君が望む結果にはならないだろう」

月ヶ瀬「キハハ、言ってろ」

月ヶ瀬君が何を考えていようと、僕は僕のやるべき事をする。

それだけだ。



92 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/04(金) 00:38:20.94M/sdoW+A0 (5/5)

今回はここまで。


93 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/09(水) 22:39:28.87s+/u7QEA0 (1/4)

月ヶ瀬君はいずれ対処しないといけないが……どうしたものか。

伊勢「いざという時は手荒な手段も考える必要があるな……」

野場「姫島隊員!待ってください!」

姫島「……!」

伊勢「……」

ふむ、気の休まる暇がないとはこの事か。

逃げる姫島君、それを追いかける野場君をさらに追って僕は走り出した……

※※※※

姫島「はぁ、はぁ……」

野場「捕まえました!野場は野性動物にも勝ったので当たり前ですが!」

伊勢「……やっと追いついた」

野場「伊勢隊長!なぜここに!」

伊勢「君達がただならぬ様子だから追ってきたのだが……」

姫島「はぁ、はぁ……」

伊勢「姫島君は話せそうにないな……野場君、いったい何があったのかね」

野場「……?」

なぜ、野場君は首を傾げているのだろうか?

野場「……姫島隊員、何があったんでしょう?」

姫島「あなたが、はぁ、いきなり突撃してきたから、怖くなって、はぁ、逃げた……」

野場「……」

伊勢「……」

姫島「はぁ、はぁ……」

野場「……ああ、姫島隊員!奥寺隊員が呼んでました!」

姫島「…………それ、だけ?」

野場「はい!」

満面の笑みの野場君をしばし見つめて、姫島君が項垂れる。

気持ちは、よくわかるな……


94 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/09(水) 22:51:38.66s+/u7QEA0 (2/4)

伊勢「野場君は少し落ち着いた方がいいのではないだろうか……」

奥寺「あっ、伊勢さん!姫島さん見ませんでしたか?」

伊勢「知ってはいるが……急用ではないのなら、後にした方がいいと思う」

奥寺「へっ?まあ、それは構いませんけど……」

伊勢「感謝する。そういえば奥寺君はプロデューサーとの事だが……やはり姫島君ともその関係で?」

奥寺「はい、そうですよ!姫島さんは昔ぼくがプロデュースをした1人なんです!」

伊勢「その口ぶりでは他にもプロデュースしているようだが」

奥寺「そうですね。才能があってもそれだけじゃ、あの世界ではやっていけません」

奥寺「だからぼくは少しでも皆さんの力になりたくて手助けをしてるんです!」

奥寺「企画、キャスティング、資金やスケジュールの管理……」

奥寺「大変ですけどやりがいはありますよ」

伊勢「それだけ仕事があると大変ではないかね?」

奥寺「まあ、眠れない事もありますね。そういえば普通に眠れたの久しぶりかも……」

伊勢「それでもやりがいがあるか。奥寺君は真面目なのだな」

奥寺「そ、そんな事ありませんよぉ」

奥寺君がなぜ慕われているか、少しわかる気がするな……


95 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/09(水) 23:13:22.22s+/u7QEA0 (3/4)

中後「だからなぜあの壷を使ったんだい!」

祭田「お花さんが住めるからだよ?」

中後「それは散々聞いたよ!」

中後君と祭田君が何やら揉めているようだ。

しかし内容はだいたいわかるな……僕も関わっていたからには無視するわけにもいかないだろう。

伊勢「中後君、落ち着きたまえ」

中後「伊勢君か、聞いてくれ!ボクが目をつけていた壷を祭田君が花瓶に使ってしまったんだよ!」

祭田「お花さん飾りたかったから」

中後「それなら何もあの壷を使わなくても……!」

伊勢「祭田君を責めないでくれ、中後君。あの壷を彼女に渡したのは僕だ」

中後「なんだって!?君はあの壷にどれだけの価値があるのかわかっているのかい!」

伊勢「ふむ、一番大きな壷が数千万の値打ちがあるのは昨日君から聞いたな」

中後「だったら他の壷の値打ちも想像がつくだろう!」

伊勢「そうは言うが中後君、この館にあるものは君の所有物というわけでもない。そして僕と祭田君は花瓶にふさわしいと判断した」

祭田「お花さんたくさんだから寂しくないよ」

中後「ぐぐぐ……もういいよ!だけど一番大きな壷には触れないようにしてくれ!」

伊勢「ああ、それは約束しよう」

どこか疲れたような様子の中後君が去っていく……祭田君には悪い事をしたな。

祭田「お花さんにお水あげなきゃ」

伊勢「僕も手伝おう」

祭田「ありがとうミノル」

さほど気にしていない様子なのは、救いと言えるだろうか……


96 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/09(水) 23:31:11.85s+/u7QEA0 (4/4)

一里塚「ふあぁ……」

伊勢「眠そうだが、大丈夫なのかね」

一里塚「大丈夫大丈夫。ちょっとしたら完全に目覚めるから……」

しかしこれではいつ眠ってしまうかわからないな……ふむ、眠気覚ましにコーヒーでも入れるか。

百鬼「なんだそいつ、眠そうだな」

伊勢「百鬼君か。一里塚君は昼夜逆転の生活を送っていたらしいからな」

一里塚「ふあっ」

百鬼「危なっかしいな……ちっ、ちょっと待っとけ」

そう言って厨房に向かった百鬼君は、少ししてから皿を持って戻ってくる。

この匂いは、カレーだろうか?

百鬼「ほら、食ってみろ」

一里塚「あ、ありがと。いただきます……」

差し出されるまま寝ぼけ眼でカレーを食べる一里塚君。

しかしその表情は、一口食べた途端に一変した。

一里塚「甘っ!?いや辛っ!?えっ、何これ!なんか変な味するんだけど!?」

百鬼「んだよ、どんなもんかと思ったら外れかよ」

一里塚「人を毒味に使わないで!?」

ふむ、百鬼君なりに一里塚君を眠らせないようにしたのか……

伊勢「僕も困ったらそうするべきか」

一里塚「やめて!?」


97 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/16(水) 23:28:59.14YHIou58A0 (1/4)

紫乃「ふうっ」

伊勢「疲れているようだな、紫乃君」

紫乃「あっ、実様……はい、やはり環境がよくないんだと思います」

伊勢「ふむ、野場君のように振る舞えればいいのだろうが、あれは誰にでも出来る事ではないからな」

紫乃「夕貴様はまた特殊な気もいたします……」

伊勢「ふむ……紫乃君は何か趣味などはあるのだろうか?」

紫乃「趣味、ですか?」

伊勢「ストレス解消にそういう事をするのもいいだろうと思ったのだが」

紫乃「……そうですね、やはり」

伊勢「やはり?」

紫乃「……いえ、これは人がいる事なのでまだ簡単には出来ませんね」

伊勢「ふむ?」

紫乃「でもいずれ……ふふっ、その時は実様もよろしくお願いいたしますね」

伊勢「それが僕に出来る事なら、協力しよう」

紫乃「……ふふっ」

紫乃君の趣味か……いったいどんなことなのだろうな。


98 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/16(水) 23:43:43.44YHIou58A0 (2/4)

【大食堂】

中後「ふう」

ダヴィデ「どしたの直巳ちゃん」

中後「いや、もうここでの生活も3日目が終わるんだなと思ってね」

一里塚「そういえばそうだね……今頃外は大騒ぎしてるかも」

百鬼「ちくしょう!試合があるのにこのままじゃ不戦敗になっちまう!」

紫乃「わたくしも依頼人の方々が待っています……困りました」

奥寺「ううう、色々キャンセルだよね絶対……プロデューサーは信用第一なのに……!」

ふむ、やはり皆も不安を抱き始めたか……

このままいつになったら出られるかわからない……そんな漠然とした不安を。

これを放置すれば、不協和音を生み出しろくな展開にはならないだろう。

なんとか、しなくてはな。

伊勢「皆、落ち着きたまえ」

符流「これが落ち着いていられるか~♪」

伊勢「ならばモノクマの誘惑に乗るのだろうか。人を殺し、その血塗られた手で外に出ていくという誘いに」

姫島「それは……」

伊勢「モノクマがどこまで本気にせよ、最終的に無事に帰れたなら全てはチャラだ」

伊勢「人を殺す重み、それをわざわざ抱える必要などない」

伊勢「それに命あっての物種……そう言うだろう?」

祭田「物種ってどんな花が咲くの?」

伊勢「ふむ……僕も見てみたいな」

伊勢「そのためにも無事に脱出する事を考えていこう」

伊勢「後の事はそれから考えるべきだ」

皆も渋々ながら頷いている。

ひとまずこれで抑止になればいいのだが……ふむ、何か打開案を考えなければならないな。


99 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/16(水) 23:47:30.00YHIou58A0 (3/4)

伊勢「ふむ……」

さて、現状どうにかしなければならない人間は二人いる。

月ヶ瀬君と駆祭君だ。

月ヶ瀬君はともかくも駆祭君は部屋から全く外に出てこない。

それをこのままほうっているのはマズいだろう。

伊勢「ふむ」

これから駆祭君の部屋に行くとして……さて、1人で行くか、それとも。

ダヴィデ君に頼んでみるか……彼はなかなか冷静な判断が出来る人物だからな。

※※※※

ダヴィデ「いいわよ。アタシもあの子は気になってたから」

伊勢「助かる」

ダヴィデ「でも実君もすっかりリーダーね」

伊勢「僕がリーダー?野場君も僕を隊長と呼んでいたが……」

ダヴィデ「あら、みんなもうそのつもりよ?今日だって落ち着かせてくれたじゃない」

伊勢「みんなにもそんな風に見られていたのか僕は……着いたようだ」

ピンポーン

伊勢「駆祭君、ちょっといいかね?」

ピンポーン

ダヴィデ「はやてちゃん出てきなさい!」

伊勢「ふむ……出てこないな」

ダヴィデ「居留守ね!居留守なのね!」

伊勢「そうだろうな」

ダヴィデ「どうするの?」

伊勢「長期戦は覚悟の上だ。続けよう」

ピンポーン



100 ◆5IONXlxNzTMN2019/10/16(水) 23:49:07.82YHIou58A0 (4/4)

ピンポーン

ガチャッ

駆祭「何」

伊勢「ふむ、思ったより早かったな」

ダヴィデ「全くね。でも夜更かしせずに済んだわ」

駆祭「ワタシは何と聞いているのよ下等」

伊勢「この3日君は全く外に出ていない。それについて話をしたいと思ったのでね」

駆祭「話す事なんてない。ワタシは今忙しいのよ」

ダヴィデ「ひきこもってるだけじゃない。一体何が忙し……ってちょっと!?」

伊勢「むっ?どうしたダヴィデ君」

ダヴィデ「部屋の中、ちょっと見て!」

伊勢「……これは」

駆祭君の身体に遮られていたが、少しの隙間からダヴィデ君が見ただろうモノを僕も見た。

それは……

服を脱いだ状態で、ボロボロの身体をした天童君だった。