1:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 15:55:43.494:x5DtFTam0.net (1/13)
書いてたら支離滅裂になった。せっかく書いたんだからお前らにバカにしてほしい。
少しずつ貼ってく。暇な方と叩きたい人見てください。
本当に反省しました。ごめんなさい。
書いてたら支離滅裂になった。せっかく書いたんだからお前らにバカにしてほしい。
少しずつ貼ってく。暇な方と叩きたい人見てください。
本当に反省しました。ごめんなさい。
モバP「泰葉からチョコもらった時の話?」
絵里「なんとかストロガノフ!」穂乃果「そう、カレーです」
タマ「ニャー」タラオ「タマ口臭いですぅ!」タマ「!!!!!!!」
玲音「風邪を引いてしまったようだ…」
苗木「霧切さん、この蝶ネクタイつけてみてよ」
2:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 15:56:25.547:U6Rz9jdU0.net (1/1)
そして誰もいなくなった
そして誰もいなくなった
3:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 15:57:05.331:x5DtFTam0.net (2/13)
――――速報です。逃亡を続けている連続殺人犯「藤崎勤」容疑者のがこのN市内に潜伏している可能性があると発表されました。
それに対し県警は「早急な対応を――――
ニュースには、8年間逃亡を続ける連続殺人犯の顔が映されている。
犯人は現場に戻ってくるものだとは言うが、8年越しに戻ってくるとはまめな犯人である。
自己紹介から始めよう。僕の名前は「橘正一」、「たちばなせいいち」だ。健全な男子高校生である。
夏休み終盤、カラカラの喉を潤すために自販機の前に立っていた。4段に仕切られたラインナップを眺めながら、僕は一枚ずつ、小さな穴に硬貨を入れる。そしてすべて入れ切る。
「えいっ!」
後ろから唐突に声がした。瞬間――――――ピッ、ゴトンッ。
どうやら僕の代わりに自販機のボタンを押してくれた親切な人がいただけだったらしかった。僕はその親切な人に礼を言う前に自販機から吐き出された飲み物を手に取る。
・・・ああ、やっぱりはずれだな
「ねねっ、どうだった??」
「ああ、はずれだ」
聞きなれた無邪気でかわいらしい声にいつもの調子でぼくは返事をする。このレベルならもう慣れっこだった。
「あーん、ざんねーん・・・」
「この暑い日にブラックコーヒー飲めってのか、こら」
「いてっ」
悪びれも知れない女にかるくげんこつをくらわす。
彼女は幼馴染の「桜こはる」。顔はかわいいし、こう見えて案外、頭もいい。僕の好きな人だ。もちろんチキンな僕は付き合ってなどいないが。
――――速報です。逃亡を続けている連続殺人犯「藤崎勤」容疑者のがこのN市内に潜伏している可能性があると発表されました。
それに対し県警は「早急な対応を――――
ニュースには、8年間逃亡を続ける連続殺人犯の顔が映されている。
犯人は現場に戻ってくるものだとは言うが、8年越しに戻ってくるとはまめな犯人である。
自己紹介から始めよう。僕の名前は「橘正一」、「たちばなせいいち」だ。健全な男子高校生である。
夏休み終盤、カラカラの喉を潤すために自販機の前に立っていた。4段に仕切られたラインナップを眺めながら、僕は一枚ずつ、小さな穴に硬貨を入れる。そしてすべて入れ切る。
「えいっ!」
後ろから唐突に声がした。瞬間――――――ピッ、ゴトンッ。
どうやら僕の代わりに自販機のボタンを押してくれた親切な人がいただけだったらしかった。僕はその親切な人に礼を言う前に自販機から吐き出された飲み物を手に取る。
・・・ああ、やっぱりはずれだな
「ねねっ、どうだった??」
「ああ、はずれだ」
聞きなれた無邪気でかわいらしい声にいつもの調子でぼくは返事をする。このレベルならもう慣れっこだった。
「あーん、ざんねーん・・・」
「この暑い日にブラックコーヒー飲めってのか、こら」
「いてっ」
悪びれも知れない女にかるくげんこつをくらわす。
彼女は幼馴染の「桜こはる」。顔はかわいいし、こう見えて案外、頭もいい。僕の好きな人だ。もちろんチキンな僕は付き合ってなどいないが。
4:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 15:57:39.936:xHAS4x73M.net (1/1)
すごいどんでん返しでしたね!!!!!!!!!!!!!!!!
伏線で感動しました伏線で!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
すごいどんでん返しでしたね!!!!!!!!!!!!!!!!
伏線で感動しました伏線で!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
5:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 15:58:59.531:NMVnrd9z0.net (1/1)
いきなり犯人なのか容疑者なのか明らかじゃないところが
ミステリアスですね
いきなり犯人なのか容疑者なのか明らかじゃないところが
ミステリアスですね
6:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 15:59:53.937:x5DtFTam0.net (3/13)
「ふっふっふ、男はそうやって大人の階段を上っていくのだよ」
「うら若きJKが男を語るな」
そうして彼女は無理して渋い声を繕ってかっこをつける。僕はしぶしぶ缶コーヒーを開ける。『つめた~い』でよかった。
「この暑いのになんで長袖なんだ?」
「はあ・・・男子はいいよねえ。日焼けしたくないんだもん」
「へえ、お前でも気にするんだな」
「ちょっ、どゆことー!?てか・・・ゃんが色白が好きって言・・・じゃん」
「んえ?なんかいった??」
「なんでもないっ!せいちゃんのばか!」
暑さのせいだろうか、彼女は真っ赤な顔をしてそっぽを向く。すると向こうから30代くらいだろうか男がこちらに向かって歩いてくる。
そして僕らに向かって話しかけてきた。
「あのー、ごめんね。道を聞いてもいいかな?」
「ん、あ、いいですよ。」
ジンベイを着こなし、暑苦しい長髪を後ろにまとめた男は、顔はまとまっていて、いかにも怪しげな格好がむしろ味になっていた。
すると幼馴染のこはるが何かを思い出したように耳元で僕に伝える。
「ごめん、部活だからあたしもう行くね。」
「お、おう」
彼女は話しかけてきた男に一礼すると、走り去ってしまった。
「邪魔、しちゃったかな?」
「いえ!そんなことないっすよ!」
「君の彼女じゃないのかい??」
「かか、か、彼女なんて、滅相もないでございます!!」
「ははは!君、面白いねえ」
男に冗談っぽい調子で聞かれ、真に受けてしまった僕は顔を真っ赤にして答えてしまった。おかげで男には笑われる始末だ。
まあ、威圧感のない人でよかった。
「え、えっと道案内でしたよね?どこに行きたいんです??」
「ああ、ちょっと今日泊まる宿を探していてね」
「んー、それならここから・・・」
そういって僕は口頭で説明し始めるのだが、こういうのに慣れていないぼくの説明はうまく伝わらないようだった。
結局、ひまだったので一緒に同行することにしたのだった。
道中、社交辞令だろう。彼のほうから自己紹介をしてもらった。名前は「東条信介(とうじょうしんすけ)」。探偵をしているんだとか。なんとなく胡散臭い。
近くの旅館に案内し終わると、東条さんが一杯おごるよ、といって近くの喫茶店に入店した。
なかはクーラーが効いていて快適そのものだ。僕たちはおしゃれなテーブルをはさんで席に着く。
さっきのコーヒーのせいで口が苦いままだった僕は、本命だった炭酸を食い気味に頼んだのだった。
「さっきも言ったが、私は探偵をしていてね」
そういって背負っていた小さなバッグから皮のパスケースのようなものを取り出す。そして、そこから手のひらサイズの紙きれを外に出すと、テーブルの上を滑らせてこちらによこす。
「名刺は初めてかい?高校生だものね」
「ええ、はじめてもらいました」
人生初名刺を僕は東条さんにもらう。そこには「東条探偵事務所」と東条さんの名前が印刷されている。僕がまじまじとその名刺を眺めていると、東条さんが話し始める。
「ここには調査に来ていてね。君にも良ければ協力してほしいんだ。だめかな?」
「え?僕にですか?」
「そうそう、どうやら君は小さいころからここに住んでいるようだしね、重要参考人というやつだね」
「僕にできることなら・・・」
「本当かい?ありがとう!助かるよ!」
僕は探偵という名の物珍しさと夏休みの暇への恐怖心で首を縦に振ってしまった。好奇心とは恐ろしいものだ。振ってしまった後に僕は思い出す。
テレビとかでやっている探偵ってのは浮気調査がメインで、イメージしてるようなものじゃないことを。
「ふっふっふ、男はそうやって大人の階段を上っていくのだよ」
「うら若きJKが男を語るな」
そうして彼女は無理して渋い声を繕ってかっこをつける。僕はしぶしぶ缶コーヒーを開ける。『つめた~い』でよかった。
「この暑いのになんで長袖なんだ?」
「はあ・・・男子はいいよねえ。日焼けしたくないんだもん」
「へえ、お前でも気にするんだな」
「ちょっ、どゆことー!?てか・・・ゃんが色白が好きって言・・・じゃん」
「んえ?なんかいった??」
「なんでもないっ!せいちゃんのばか!」
暑さのせいだろうか、彼女は真っ赤な顔をしてそっぽを向く。すると向こうから30代くらいだろうか男がこちらに向かって歩いてくる。
そして僕らに向かって話しかけてきた。
「あのー、ごめんね。道を聞いてもいいかな?」
「ん、あ、いいですよ。」
ジンベイを着こなし、暑苦しい長髪を後ろにまとめた男は、顔はまとまっていて、いかにも怪しげな格好がむしろ味になっていた。
すると幼馴染のこはるが何かを思い出したように耳元で僕に伝える。
「ごめん、部活だからあたしもう行くね。」
「お、おう」
彼女は話しかけてきた男に一礼すると、走り去ってしまった。
「邪魔、しちゃったかな?」
「いえ!そんなことないっすよ!」
「君の彼女じゃないのかい??」
「かか、か、彼女なんて、滅相もないでございます!!」
「ははは!君、面白いねえ」
男に冗談っぽい調子で聞かれ、真に受けてしまった僕は顔を真っ赤にして答えてしまった。おかげで男には笑われる始末だ。
まあ、威圧感のない人でよかった。
「え、えっと道案内でしたよね?どこに行きたいんです??」
「ああ、ちょっと今日泊まる宿を探していてね」
「んー、それならここから・・・」
そういって僕は口頭で説明し始めるのだが、こういうのに慣れていないぼくの説明はうまく伝わらないようだった。
結局、ひまだったので一緒に同行することにしたのだった。
道中、社交辞令だろう。彼のほうから自己紹介をしてもらった。名前は「東条信介(とうじょうしんすけ)」。探偵をしているんだとか。なんとなく胡散臭い。
近くの旅館に案内し終わると、東条さんが一杯おごるよ、といって近くの喫茶店に入店した。
なかはクーラーが効いていて快適そのものだ。僕たちはおしゃれなテーブルをはさんで席に着く。
さっきのコーヒーのせいで口が苦いままだった僕は、本命だった炭酸を食い気味に頼んだのだった。
「さっきも言ったが、私は探偵をしていてね」
そういって背負っていた小さなバッグから皮のパスケースのようなものを取り出す。そして、そこから手のひらサイズの紙きれを外に出すと、テーブルの上を滑らせてこちらによこす。
「名刺は初めてかい?高校生だものね」
「ええ、はじめてもらいました」
人生初名刺を僕は東条さんにもらう。そこには「東条探偵事務所」と東条さんの名前が印刷されている。僕がまじまじとその名刺を眺めていると、東条さんが話し始める。
「ここには調査に来ていてね。君にも良ければ協力してほしいんだ。だめかな?」
「え?僕にですか?」
「そうそう、どうやら君は小さいころからここに住んでいるようだしね、重要参考人というやつだね」
「僕にできることなら・・・」
「本当かい?ありがとう!助かるよ!」
僕は探偵という名の物珍しさと夏休みの暇への恐怖心で首を縦に振ってしまった。好奇心とは恐ろしいものだ。振ってしまった後に僕は思い出す。
テレビとかでやっている探偵ってのは浮気調査がメインで、イメージしてるようなものじゃないことを。
7:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:01:31.030:x5DtFTam0.net (4/13)
「あっ、でももしかして浮気調査・・・とかじゃ・・・?」
「んにゃ、今回は違うんだよねえ。もちろんそういうのもやるけど、そっちがいいのかい?」
ぶるぶると僕は大きく首を振る。それを見て東条さんは笑っている。
どうやら話を聞く限り、8年前の殺人事件を調査しているらしい。おそらくまだ捕まっていない連続殺人犯の情報を集めているのだろうか。
「カウボーイみたいなこともするんですね」
「ん?・・・っはは!ちがうちがう!そんな危険なことはしないさっ」
「え?ち、ちがうんですか」
「そういうのは警察の仕事。私たちはあくまで個人の依頼をこなすんだ」
どうやら的を大きく外れた質問をしてしまったようだ。しかし、普段は平和そのもののこの町で、8年前に起きた事件といえば連続殺人の最初の犯行くらいなものだった。
「でも殺人事件の調査って・・・」
「調査だからね、調査。犯人を見つけ出して現行犯逮捕、は目的じゃないんだ」
「あ、そうなんですね」
「うん。そこで君には町の案内を頼みたい。何せ土地勘がないのでね」
「わかりまs・・・え、お話だけじゃないんですか?」
「もちろん。あ、バイト代も出すよ。貴重な時間をいただくんだからね」
「え、ええ・・・」
なんやかんやで僕は協力することにした。
浮気調査じゃないならおもしろそうだし、なんだかシャーロック・ホームズの助手、ワトソンになった気分だ。
調査対象はかなり危険な気もするが、男はスリルを求めてしまう生き物なのである。それにバイト代もうまうまだったので、首を縦に振らない理由はなかった。
かくして、流れの探偵とただの高校生の事件簿が始まったのだった。
「あっ、でももしかして浮気調査・・・とかじゃ・・・?」
「んにゃ、今回は違うんだよねえ。もちろんそういうのもやるけど、そっちがいいのかい?」
ぶるぶると僕は大きく首を振る。それを見て東条さんは笑っている。
どうやら話を聞く限り、8年前の殺人事件を調査しているらしい。おそらくまだ捕まっていない連続殺人犯の情報を集めているのだろうか。
「カウボーイみたいなこともするんですね」
「ん?・・・っはは!ちがうちがう!そんな危険なことはしないさっ」
「え?ち、ちがうんですか」
「そういうのは警察の仕事。私たちはあくまで個人の依頼をこなすんだ」
どうやら的を大きく外れた質問をしてしまったようだ。しかし、普段は平和そのもののこの町で、8年前に起きた事件といえば連続殺人の最初の犯行くらいなものだった。
「でも殺人事件の調査って・・・」
「調査だからね、調査。犯人を見つけ出して現行犯逮捕、は目的じゃないんだ」
「あ、そうなんですね」
「うん。そこで君には町の案内を頼みたい。何せ土地勘がないのでね」
「わかりまs・・・え、お話だけじゃないんですか?」
「もちろん。あ、バイト代も出すよ。貴重な時間をいただくんだからね」
「え、ええ・・・」
なんやかんやで僕は協力することにした。
浮気調査じゃないならおもしろそうだし、なんだかシャーロック・ホームズの助手、ワトソンになった気分だ。
調査対象はかなり危険な気もするが、男はスリルを求めてしまう生き物なのである。それにバイト代もうまうまだったので、首を縦に振らない理由はなかった。
かくして、流れの探偵とただの高校生の事件簿が始まったのだった。
8:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:03:07.633:GTSChbVS0.net (1/1)
読む気おきないからあらすじだけ教えてよ
読む気おきないからあらすじだけ教えてよ
9:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:03:34.544:x5DtFTam0.net (5/13)
翌日、僕は東条さんと昨日と同じ喫茶店で待ち合わせをした。僕が5分ほど遅れて少しばかり焦って入店する。
店員に確認するも東条さんはまだ来ていないようだった。涼しい店内で今度はしっかりとコーヒーを頼み、なんとなく持ってきていた推理小説を読みながら雰囲気を楽しんでいた。
すると約10分後くらいに東条さんは現れた。
「ああ、すまない、正一くん」
「遅いですよ!東条さん!」
自分が5分遅刻したのを棚に上げて東条さんを叱責する。
「ごめんごめん。ものすごい風でねえ」
この町は夏の終わりのこの時期に毎年、強い風が一定方向に吹くのだ。おかげで今日は過ごしやすい体感温度である。
まず最初に始まったのは僕への事情聴取だった。当時の僕なんてまだ小学生で、まともな情報にならないというのに、東条さんはそれっぽいことを言って聞いてきた。
「子供の証言をないがしろにする奴は捜査に向いてない。子供の証言は最も信用できる。覚えておくように」
とまるで先生気取りだ。
「さて本題に移る。君は事件直後、といっても警察の調査も落ち着いてきたころに現場に忍び込むような悪ガキだったと」
「はい。てか悪ガキ言わないでください。子供の好奇心に悪意なんてないですよ」
「なにか、見たかい?」
「いや、特になかったと思いますよ。物はほとんど焼け焦げてましたし」
よく覚えてませんが、と付け足すと僕の証言をしっかりと手帳にメモしている。おー探偵してるなあ、なんて感心しながら眺めていると、東条さんはもう一つ質問する。
「君は犬を飼っているのかい?」
「え?まあ・・・なんでわかったんですか?」
「私は猫アレルギーでね。君の衣服についてる毛にむずがゆくならないもんで」
「ああ、なるほど」
ただの興味本位の質問だったらしい。
「さて、そろそろ街を案内してもらおうかな」
「わかりました」
翌日、僕は東条さんと昨日と同じ喫茶店で待ち合わせをした。僕が5分ほど遅れて少しばかり焦って入店する。
店員に確認するも東条さんはまだ来ていないようだった。涼しい店内で今度はしっかりとコーヒーを頼み、なんとなく持ってきていた推理小説を読みながら雰囲気を楽しんでいた。
すると約10分後くらいに東条さんは現れた。
「ああ、すまない、正一くん」
「遅いですよ!東条さん!」
自分が5分遅刻したのを棚に上げて東条さんを叱責する。
「ごめんごめん。ものすごい風でねえ」
この町は夏の終わりのこの時期に毎年、強い風が一定方向に吹くのだ。おかげで今日は過ごしやすい体感温度である。
まず最初に始まったのは僕への事情聴取だった。当時の僕なんてまだ小学生で、まともな情報にならないというのに、東条さんはそれっぽいことを言って聞いてきた。
「子供の証言をないがしろにする奴は捜査に向いてない。子供の証言は最も信用できる。覚えておくように」
とまるで先生気取りだ。
「さて本題に移る。君は事件直後、といっても警察の調査も落ち着いてきたころに現場に忍び込むような悪ガキだったと」
「はい。てか悪ガキ言わないでください。子供の好奇心に悪意なんてないですよ」
「なにか、見たかい?」
「いや、特になかったと思いますよ。物はほとんど焼け焦げてましたし」
よく覚えてませんが、と付け足すと僕の証言をしっかりと手帳にメモしている。おー探偵してるなあ、なんて感心しながら眺めていると、東条さんはもう一つ質問する。
「君は犬を飼っているのかい?」
「え?まあ・・・なんでわかったんですか?」
「私は猫アレルギーでね。君の衣服についてる毛にむずがゆくならないもんで」
「ああ、なるほど」
ただの興味本位の質問だったらしい。
「さて、そろそろ街を案内してもらおうかな」
「わかりました」
10:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:05:00.665:x5DtFTam0.net (6/13)
僕たちは喫茶店から出ると事件現場に向かうようにして街を案内する。
すると僕の幼馴染「桜こはる」が自慢の飼い犬と向こうから歩いてくる。
「あー、せいちゃん!昨日ぶりだねぇ!」
「おー、散歩か」
「そうだよお!今日は暑さもそこまでじゃないし、ロロも歩きたいっていうからー!」
ロロとはこの大型犬の名前である。
「いつもはおばさんまかせだけど今日はえらいでしょー!えへへー」
「おー、えらいえらい」
と、軽く話して東条さんのことをひそひそと聞かれる。
「え、しりあいだったの?」
「ん、いや。わけあってな」
二人だけで話していると東条さんが何かをたくらんだような顔で口をはさむ。
「昨日は悪いことしたね。正一くんの彼女さん」
「ふぇっ!?か、彼女なんて・・・///」
「東条さんっ!からかわないでくださいっ!!」
「ふはは!ごめんごめん。君たちは面白いなあ」
まったく、この人は。と軽くからかった後、東条さんがこはるに話しかける。
「ごめんね。私は東条信介、探偵をしてるんだ」
「た、たんていさん!?」
「うん。8年前の事件について調べててね。君もよかったら調査に協力してくれないか?」
「え、えっと調査って・・・」
驚いた。だれかれ構わずか、この人は。内容が危険を伴いそうなので僕が東条さんを制止する。
「ちょっと、東条さん。こはるに危険なことは」
「おっとこれは失敬。彼氏くんに怒られてしまった」
「彼氏じゃないですって」
「うーん、そういうことなら仕方ない。すまないね。」
そういって東条さんはあきらめたようだ。こはると別れた僕は案内を再開することにした。
僕たちは喫茶店から出ると事件現場に向かうようにして街を案内する。
すると僕の幼馴染「桜こはる」が自慢の飼い犬と向こうから歩いてくる。
「あー、せいちゃん!昨日ぶりだねぇ!」
「おー、散歩か」
「そうだよお!今日は暑さもそこまでじゃないし、ロロも歩きたいっていうからー!」
ロロとはこの大型犬の名前である。
「いつもはおばさんまかせだけど今日はえらいでしょー!えへへー」
「おー、えらいえらい」
と、軽く話して東条さんのことをひそひそと聞かれる。
「え、しりあいだったの?」
「ん、いや。わけあってな」
二人だけで話していると東条さんが何かをたくらんだような顔で口をはさむ。
「昨日は悪いことしたね。正一くんの彼女さん」
「ふぇっ!?か、彼女なんて・・・///」
「東条さんっ!からかわないでくださいっ!!」
「ふはは!ごめんごめん。君たちは面白いなあ」
まったく、この人は。と軽くからかった後、東条さんがこはるに話しかける。
「ごめんね。私は東条信介、探偵をしてるんだ」
「た、たんていさん!?」
「うん。8年前の事件について調べててね。君もよかったら調査に協力してくれないか?」
「え、えっと調査って・・・」
驚いた。だれかれ構わずか、この人は。内容が危険を伴いそうなので僕が東条さんを制止する。
「ちょっと、東条さん。こはるに危険なことは」
「おっとこれは失敬。彼氏くんに怒られてしまった」
「彼氏じゃないですって」
「うーん、そういうことなら仕方ない。すまないね。」
そういって東条さんはあきらめたようだ。こはると別れた僕は案内を再開することにした。
11:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:05:02.154:ZOCLWB8f0.net (1/1)
読んでないけど名作の予感する
読んでないけど名作の予感する
12:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:09:10.911:x5DtFTam0.net (7/13)
「ん?あのお店けっこう新しめだね」
東条さんは案内途中にあるペットショップを指さす。看板には「ゴー!ゴー!アニマルズ」。たしか8年前に移転・改装したペットショップだ。
僕が今の犬を買わせてもらったところでもある。
「8年前に移転して新しく建てたんですよ。なんでも事件現場の近くにあったもんで客足が事件後に激減しちゃったとか」
「へえ・・・少し寄っていこうか」
「え?あ、はい」
僕らはペットショップのほうに足を向ける。
「ごめんくだs・・・へっくしょんっ!!」
「こんにちはー」
東条さんの猫アレルギーは本当らしかった。「ゴー!ゴー!アニマルズ」の看板猫「クウ」ちゃんに僕らは出迎えられた。
すると店の裏側から、店主さんの大きな声がする。
「いらっしゃいませー!少々お待ちくださーい!!」
ドタバタと焦りをあらわにして、40代くらいの男が出てくる。「犬山八郎」、ここの店長である。
「あれ?正一くんじゃないか。いつものご飯かい??」
うちの飼い犬のご飯をいつもここで購入しているので、犬山さんから行きつけバーのマスターのような気軽さで質問される。
「あ、いえ。今日はこっちの人の案内で・・・」
「はじめまして、私は東条信介。探偵をやってるものです」
東条さんは鼻のむずがゆさを必死でこらえながら、東条さんは何とも言えない顔で自己紹介する。
それを見た犬山さんは何かに気付いたように、店の裏からちょっと高そうなマスクを持ってくる。
「アレルギーですか。これ、ちょっと楽になるかと」
「ああ、すみません」
東条さんがマスクをかけるとくしゃみも徐々に少なくなっていった。
「いやあ、助かります。このお店きれいですねえ。何年前からされてらっしゃるんですか?」
「んー、こっちに建てたのは八年前ですかね。ニュースでやってるでしょう。あれの事件があったせいで、前のところではお客がめっきり減っちゃって。」
「そうなんですねえ。事件の被害者はどんな方だったんですか?」
なんでこんな質問をするんだろう。はっきり言って失礼極まりない。犬山さんは怪訝そうな顔をして答えた。
「えーと・・・被害者の方はよく存じ上げないですけど、そのお子さんならよくうちに来てましたよ。自慢のワンちゃんと一緒に。」
「ほお・・・」
「・・・あくまで私の推察ですけど、あんまりいい親でなかったと思いますよ。
「?それはどうして?」
「あきらかに子供が遊んでできるようなものでないあざが目立っていました。本人は子供ながらに隠そうとしていたので、あまり強く言及できませんでしたが」
犬山さんは痛ましそうに語ってくれた。
「そういう子にも寄り添ってあげられるんですよ、動物っての言うのは」
と付け足し、犬山さんは看板猫のクウちゃんを撫でる。しかし、いつも落ち着いている犬山さんの表情には、どこか隠し切れない怒りを感じ取ることができた。
東条さんは質問を終えると、ガラスの中の柴犬を夢中になって見ているかと思えば、すぐに一礼して「ゴー!ゴー!アニマルズ」を後にしたのだった。
「なぜあんな質問を?」
「うん?殺人には三つの重要なファクターがあるんだ」
「はい?」
「一つ、動機。二つ、方法。三つ、アリバイ」
「えっと・・・まるで真犯人がいるみたいな口ぶりですね」
「そうだね、『いる』と推察しているよ」
「は?」
ああ、この人頭おかしいかもしれない。失礼な話だが、僕は初めて会った時の警戒レベルを再度、引き上げることにした。
「ははっ。ど、ドラマの見過ぎですよー」
「正一くん。真実を遠ざけるのは周知だ、覚えておくように」
冗談交じりにカマをかけてみると、まじめな顔をしてまた先生気取りに僕に伝える。
ああ、やっぱり変な人だ、この人。確信してしまった。
「ん?あのお店けっこう新しめだね」
東条さんは案内途中にあるペットショップを指さす。看板には「ゴー!ゴー!アニマルズ」。たしか8年前に移転・改装したペットショップだ。
僕が今の犬を買わせてもらったところでもある。
「8年前に移転して新しく建てたんですよ。なんでも事件現場の近くにあったもんで客足が事件後に激減しちゃったとか」
「へえ・・・少し寄っていこうか」
「え?あ、はい」
僕らはペットショップのほうに足を向ける。
「ごめんくだs・・・へっくしょんっ!!」
「こんにちはー」
東条さんの猫アレルギーは本当らしかった。「ゴー!ゴー!アニマルズ」の看板猫「クウ」ちゃんに僕らは出迎えられた。
すると店の裏側から、店主さんの大きな声がする。
「いらっしゃいませー!少々お待ちくださーい!!」
ドタバタと焦りをあらわにして、40代くらいの男が出てくる。「犬山八郎」、ここの店長である。
「あれ?正一くんじゃないか。いつものご飯かい??」
うちの飼い犬のご飯をいつもここで購入しているので、犬山さんから行きつけバーのマスターのような気軽さで質問される。
「あ、いえ。今日はこっちの人の案内で・・・」
「はじめまして、私は東条信介。探偵をやってるものです」
東条さんは鼻のむずがゆさを必死でこらえながら、東条さんは何とも言えない顔で自己紹介する。
それを見た犬山さんは何かに気付いたように、店の裏からちょっと高そうなマスクを持ってくる。
「アレルギーですか。これ、ちょっと楽になるかと」
「ああ、すみません」
東条さんがマスクをかけるとくしゃみも徐々に少なくなっていった。
「いやあ、助かります。このお店きれいですねえ。何年前からされてらっしゃるんですか?」
「んー、こっちに建てたのは八年前ですかね。ニュースでやってるでしょう。あれの事件があったせいで、前のところではお客がめっきり減っちゃって。」
「そうなんですねえ。事件の被害者はどんな方だったんですか?」
なんでこんな質問をするんだろう。はっきり言って失礼極まりない。犬山さんは怪訝そうな顔をして答えた。
「えーと・・・被害者の方はよく存じ上げないですけど、そのお子さんならよくうちに来てましたよ。自慢のワンちゃんと一緒に。」
「ほお・・・」
「・・・あくまで私の推察ですけど、あんまりいい親でなかったと思いますよ。
「?それはどうして?」
「あきらかに子供が遊んでできるようなものでないあざが目立っていました。本人は子供ながらに隠そうとしていたので、あまり強く言及できませんでしたが」
犬山さんは痛ましそうに語ってくれた。
「そういう子にも寄り添ってあげられるんですよ、動物っての言うのは」
と付け足し、犬山さんは看板猫のクウちゃんを撫でる。しかし、いつも落ち着いている犬山さんの表情には、どこか隠し切れない怒りを感じ取ることができた。
東条さんは質問を終えると、ガラスの中の柴犬を夢中になって見ているかと思えば、すぐに一礼して「ゴー!ゴー!アニマルズ」を後にしたのだった。
「なぜあんな質問を?」
「うん?殺人には三つの重要なファクターがあるんだ」
「はい?」
「一つ、動機。二つ、方法。三つ、アリバイ」
「えっと・・・まるで真犯人がいるみたいな口ぶりですね」
「そうだね、『いる』と推察しているよ」
「は?」
ああ、この人頭おかしいかもしれない。失礼な話だが、僕は初めて会った時の警戒レベルを再度、引き上げることにした。
「ははっ。ど、ドラマの見過ぎですよー」
「正一くん。真実を遠ざけるのは周知だ、覚えておくように」
冗談交じりにカマをかけてみると、まじめな顔をしてまた先生気取りに僕に伝える。
ああ、やっぱり変な人だ、この人。確信してしまった。
13:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:10:07.655:x5DtFTam0.net (8/13)
しばらく歩いていくと、疲れを感じ始めたのだろう。東条さんが目的地までの距離を聞いてきた。
「正一くん、あとどれくらいだい?」
「うーん20分くらいですかね」
「そ、そんなにかかるのかい!?」
「歩きですからねえ。この時期は風が吹いて涼しいですし、ちょうどいい散歩になりますよ」
「若いっていいなあ・・・」
東条さんはだいぶ疲れているようで。近くの蕎麦屋を指さして、逃げ込もうとする。
東条さんのおごりということなので、僕は喜んで足を運ぶのだった。
「あら、いらっしゃい!」
40代後半くらいだろうか、元気なマダムにニコニコと出迎えられる。席に案内されると、東条さんはへとへとになりながら、食い気味にお冷を要求する。平日のお昼時もちょうど過ぎたころだったためか、店内は僕ら二人の貸し切り状態だった。
―――――逃走中の「藤崎勤」容疑者はいまだこのN市内に潜伏中の可能性が高いとみられ、近隣住民の方にはよりいっそう警戒を強めて――――――
「はあ、怖いわねえ」
僕らの注文を厨房でせっせと仕事をしている男に伝えると、ゆったりとテレビに映されたニュースを眺めている。すると、お冷を勢いよく飲み干し、回復した東条さんが質問する。
「奥さんは、昔からここで働いてるんですか?」
「そうよお、あそこの旦那に嫁いでからずっと!」
といって厨房で僕らの注文を一生懸命作ってくれている男を指さす。どうやら夫婦で営んでいるらしい。
「すると、10年ぐらいですか?」
「んもうっ、いやあねえ!その2倍!まったく、うまいんだからあ」
東条さんの世渡り術に奥さんは冗談っぽく返答する。二人の名前は「北城幸三(きたしろこうぞう)」とその奥さん、「清美(きよみ)」という名前らしい。続けて東条さんがまた失礼な質問を始める。
「8年前の事件の被害者の方ってどんな方だったんですか?」
「はんっ!あんなやつぁ、死んで当然よ!」
「ちょっと!あんた!!」
今度は奥さんでなく、厨房の方から怒りを露わにして旦那さんが返答する。お客さんの前でしょっ、と奥さんが焦り交じりに注意する。
うわあ、気まずくなっちゃったよ・・・
僕はいたたまれなくなった空気に首を絞められるような気持だったが、東条さんはここぞとばかりに質問を重ねる。
「旦那さん、それはどうして?」
「あいつあ、クズだったよ!生粋のクズさ!」
旦那さんが吐き捨てる。
「うちの店にも来たことあるが、まずいだなんだといちゃもんつけやがって、金も払わず帰りやがったんだ!」
「ほお・・・」
「それだけならまだ俺の腕が悪いとか、愛想の悪い客で許せたがね」
そう言うと、出来上った肉そばを、旦那さんが僕らの目の前に言葉の怒気とは裏腹に優しく突き出す。うまそうだ。
「あろうことかそいつは残ったそばをうちの女房に投げつけやがってね。俺はたまらず手をあげちまったのさ」
「それはひどい」
「おかげでほかの客はびびって来なくなる始末だ。商売あがったりってわけだ」
「こんなにおいしいの残念ですねえ」
東条さんは旦那さんの話を聞きながらのんきにそばをすすっている。
「今じゃ、なんとか持ち直せたがね」
「それはよかった。」
「殺人犯はいけ好かないが、あんときばかりは天罰が下ったんだと思ったね」
そんな話を聞いた後、僕らは蕎麦屋を後にするのだった。
「ごめんなさいねえ、うちの主人カッとなるとべらべら話しちゃって」
帰り際、申し訳なさそうに奥さんが言う。はい、アメちゃんね、と言って飴玉を渡された後、目的地への案内を再開する。
しばらく歩いていくと、疲れを感じ始めたのだろう。東条さんが目的地までの距離を聞いてきた。
「正一くん、あとどれくらいだい?」
「うーん20分くらいですかね」
「そ、そんなにかかるのかい!?」
「歩きですからねえ。この時期は風が吹いて涼しいですし、ちょうどいい散歩になりますよ」
「若いっていいなあ・・・」
東条さんはだいぶ疲れているようで。近くの蕎麦屋を指さして、逃げ込もうとする。
東条さんのおごりということなので、僕は喜んで足を運ぶのだった。
「あら、いらっしゃい!」
40代後半くらいだろうか、元気なマダムにニコニコと出迎えられる。席に案内されると、東条さんはへとへとになりながら、食い気味にお冷を要求する。平日のお昼時もちょうど過ぎたころだったためか、店内は僕ら二人の貸し切り状態だった。
―――――逃走中の「藤崎勤」容疑者はいまだこのN市内に潜伏中の可能性が高いとみられ、近隣住民の方にはよりいっそう警戒を強めて――――――
「はあ、怖いわねえ」
僕らの注文を厨房でせっせと仕事をしている男に伝えると、ゆったりとテレビに映されたニュースを眺めている。すると、お冷を勢いよく飲み干し、回復した東条さんが質問する。
「奥さんは、昔からここで働いてるんですか?」
「そうよお、あそこの旦那に嫁いでからずっと!」
といって厨房で僕らの注文を一生懸命作ってくれている男を指さす。どうやら夫婦で営んでいるらしい。
「すると、10年ぐらいですか?」
「んもうっ、いやあねえ!その2倍!まったく、うまいんだからあ」
東条さんの世渡り術に奥さんは冗談っぽく返答する。二人の名前は「北城幸三(きたしろこうぞう)」とその奥さん、「清美(きよみ)」という名前らしい。続けて東条さんがまた失礼な質問を始める。
「8年前の事件の被害者の方ってどんな方だったんですか?」
「はんっ!あんなやつぁ、死んで当然よ!」
「ちょっと!あんた!!」
今度は奥さんでなく、厨房の方から怒りを露わにして旦那さんが返答する。お客さんの前でしょっ、と奥さんが焦り交じりに注意する。
うわあ、気まずくなっちゃったよ・・・
僕はいたたまれなくなった空気に首を絞められるような気持だったが、東条さんはここぞとばかりに質問を重ねる。
「旦那さん、それはどうして?」
「あいつあ、クズだったよ!生粋のクズさ!」
旦那さんが吐き捨てる。
「うちの店にも来たことあるが、まずいだなんだといちゃもんつけやがって、金も払わず帰りやがったんだ!」
「ほお・・・」
「それだけならまだ俺の腕が悪いとか、愛想の悪い客で許せたがね」
そう言うと、出来上った肉そばを、旦那さんが僕らの目の前に言葉の怒気とは裏腹に優しく突き出す。うまそうだ。
「あろうことかそいつは残ったそばをうちの女房に投げつけやがってね。俺はたまらず手をあげちまったのさ」
「それはひどい」
「おかげでほかの客はびびって来なくなる始末だ。商売あがったりってわけだ」
「こんなにおいしいの残念ですねえ」
東条さんは旦那さんの話を聞きながらのんきにそばをすすっている。
「今じゃ、なんとか持ち直せたがね」
「それはよかった。」
「殺人犯はいけ好かないが、あんときばかりは天罰が下ったんだと思ったね」
そんな話を聞いた後、僕らは蕎麦屋を後にするのだった。
「ごめんなさいねえ、うちの主人カッとなるとべらべら話しちゃって」
帰り際、申し訳なさそうに奥さんが言う。はい、アメちゃんね、と言って飴玉を渡された後、目的地への案内を再開する。
14:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:10:37.210:x5DtFTam0.net (9/13)
「ここからは建物がないみたいだけど・・・」
「ええ、この商店街を過ぎたら、事件現場の家以外ないはずですよ」
東条さんの疑問を僕が素早く解決する。
「少し寄って行ってもいいかな?」
「・・・いいですけど」
正直行くとこ先々であんな質問するもんだから行きたくはない。
「8年前にあった店はどれかな?」
「たしか、ここだけだったと思いますよ」
あいまいな記憶のまま、僕はぼろぼろののれんをぶら下げた八百屋を指さす。東条さんはずかずかと店内に上がり込む。
「らっしゃい」
不愛想な50過ぎくらいのおやじが店の奥でひまそうに座っている。
「初めまして。私、東条信介と申します。探偵をしています。」
「おらあ、『野山まさる』だ。」
いつもの口上なのだろう、軽い自己紹介をして名刺を手渡す。とたんに店主は、客じゃないのか、と言わんばかりに嫌な顔をするのだった。
「8年前の殺人事件を調べていましてね」
「はあ?」
8年前の事件と聞くと、さらに嫌そうな顔をし、怪しんでいるようだった。しかし不愛想なおやじさんはすぐに続ける。
「何が聞きたいの」
「被害者はどんな方だったのかを」
「君の悪い夫婦だったよ。仕事してんのかもあやしかったね。夜中に出歩いてるかと思えば日中からふらふらしてたり・・・」
どうやら被害者の行動パターンはかなり不規則なようだった。納得したように東条さんは引き下がる。
「そうですか・・・ありがとうございました」
東条さんのその言葉の後、僕らはすぐに店を出た。
「収穫ゼロでしたね」
僕が嫌味っぽく言うと東条さんはそれを否定した。
「そうでもないさ。人はよく見ることだよ、正一くん?」
「はい?」
「ここからは建物がないみたいだけど・・・」
「ええ、この商店街を過ぎたら、事件現場の家以外ないはずですよ」
東条さんの疑問を僕が素早く解決する。
「少し寄って行ってもいいかな?」
「・・・いいですけど」
正直行くとこ先々であんな質問するもんだから行きたくはない。
「8年前にあった店はどれかな?」
「たしか、ここだけだったと思いますよ」
あいまいな記憶のまま、僕はぼろぼろののれんをぶら下げた八百屋を指さす。東条さんはずかずかと店内に上がり込む。
「らっしゃい」
不愛想な50過ぎくらいのおやじが店の奥でひまそうに座っている。
「初めまして。私、東条信介と申します。探偵をしています。」
「おらあ、『野山まさる』だ。」
いつもの口上なのだろう、軽い自己紹介をして名刺を手渡す。とたんに店主は、客じゃないのか、と言わんばかりに嫌な顔をするのだった。
「8年前の殺人事件を調べていましてね」
「はあ?」
8年前の事件と聞くと、さらに嫌そうな顔をし、怪しんでいるようだった。しかし不愛想なおやじさんはすぐに続ける。
「何が聞きたいの」
「被害者はどんな方だったのかを」
「君の悪い夫婦だったよ。仕事してんのかもあやしかったね。夜中に出歩いてるかと思えば日中からふらふらしてたり・・・」
どうやら被害者の行動パターンはかなり不規則なようだった。納得したように東条さんは引き下がる。
「そうですか・・・ありがとうございました」
東条さんのその言葉の後、僕らはすぐに店を出た。
「収穫ゼロでしたね」
僕が嫌味っぽく言うと東条さんはそれを否定した。
「そうでもないさ。人はよく見ることだよ、正一くん?」
「はい?」
15:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:11:00.910:x5DtFTam0.net (10/13)
そんなこんなで僕らは目的地に到着したのだった。いまだに立ち入り禁止と書かれたテープが張り巡らされている。8年前と同じようにまっくろに焼け焦げた家屋は、物々しい雰囲気をまとっているのだった。
「一番ラッキーなのは、これが残されているってことだね」
東条さんが軽く家の周りを確認する。二階建ての木造建築で家をはさみ道路の向こうには物置、手前には小さな犬小屋がある。
「さて、答え合わせだ」
「え??」
「正一くんが出会った人物の中に真犯人はいた。当ててごらん?」
東条さんに言われると僕は気づく。やっと、ようやく、遅すぎる理解だった。
ああ、犯人は・・・
そんなこんなで僕らは目的地に到着したのだった。いまだに立ち入り禁止と書かれたテープが張り巡らされている。8年前と同じようにまっくろに焼け焦げた家屋は、物々しい雰囲気をまとっているのだった。
「一番ラッキーなのは、これが残されているってことだね」
東条さんが軽く家の周りを確認する。二階建ての木造建築で家をはさみ道路の向こうには物置、手前には小さな犬小屋がある。
「さて、答え合わせだ」
「え??」
「正一くんが出会った人物の中に真犯人はいた。当ててごらん?」
東条さんに言われると僕は気づく。やっと、ようやく、遅すぎる理解だった。
ああ、犯人は・・・
16:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:13:37.288:x5DtFTam0.net (11/13)
おしまい
おしまい
17:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:13:51.413:6dC7BkgQ0.net (1/1)
書くなと言ったはずだ
書くなと言ったはずだ
18:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:15:43.471:x5DtFTam0.net (12/13)
ほんとうにごめんなしゃい・・・調子に乗ってたんでしゅ・・・
これからは小説読むよお( ´:ω:` )
ほんとうにごめんなしゃい・・・調子に乗ってたんでしゅ・・・
これからは小説読むよお( ´:ω:` )
19:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:18:14.395:GzAZc2aNd.net (1/1)
書ききるのが大事なんだよなぁ
書ききるのが大事なんだよなぁ
20:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:20:02.996:cBfxWqAk0.net (1/1)
おつかれ
読んでないけど
おつかれ
読んでないけど
21:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:25:36.963:ARLnYy4a0.net (1/1)
問題編で終わってるけど、最後までちゃんと書けて偉いねって感じ。
問題編で終わってるけど、最後までちゃんと書けて偉いねって感じ。
22:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:27:26.632:8S+oPjd50.net (1/1)
犯人は東條さんでいいの?
犯人は東條さんでいいの?
23:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:30:17.902:x5DtFTam0.net (13/13)
>>22
真犯人はヒロインの予定だった。
書き終わったらなぜか殺人犯が東条になった
>>22
真犯人はヒロインの予定だった。
書き終わったらなぜか殺人犯が東条になった
24:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/08/22(木) 16:36:20.738:V00nnpUe0.net (1/1)
>容疑者のがこのN市内に
いきなり誤字ってる
>容疑者のがこのN市内に
いきなり誤字ってる
コメント 0