1以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 14:47:27.11jjEApu5so (1/15)

奏「えっ? するの?」

武内P「はい」

奏「へぇ……相手がアイドルでも?」

武内P「ええ」


武内P「速水さんが仰った条件――」

武内P「――キスしなければ、十秒以内に爆発して死ぬ」

武内P「……そこまで言われては、さすがに」


奏「ふぅん……貴方も男、って事なのかな?」クスッ!


武内P「人として、ですね」

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2以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 14:51:11.37jjEApu5so (2/15)

奏「それじゃあ、どういう風にキスするつもり?」

武内P「えっ?」

奏「真面目に聞いてるの、答えて」

武内P「はあ……」


武内P「急いで駆け寄って……キスします」

武内P「……そして、すぐに離れますね」


奏「すぐに離れるの?」

奏「余韻を楽しむ時間も与えないなんて、つれない人ね」


武内P「爆発の危険性がありますから」


3以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 14:58:25.82jjEApu5so (3/15)

奏「そのキス、唇が触れるだけ?」

武内P「はい」

奏「……それじゃあ、面白くないわね」

武内P「えっ?」


奏「――身も心も溶けてしまうような甘い大人のキス」

奏「それを一分間しなければ、爆発して死んでしまう……」

奏「……制限時間は五分間、どうする?」クスッ!


武内P「……」

武内P「命を盾に、キスに関する質問をするのはやめてください


4以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 15:02:11.52jjEApu5so (4/15)

奏「だって、そうでもしないと乗ってこないでしょう?」

武内P「それは……」

奏「貴方って、ずるい人だから」

武内P「……」

奏「でも、そうね……それじゃあ――」


奏「――キスしなければ、笑顔が出来ない」

奏「もしも、アイドルがそんな魔法にかけられてしまったら……」

奏「……貴方は、どうする?」クスッ!


武内P「……」


5以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 15:05:55.77jjEApu5so (5/15)

奏「どう? そういう状況なら、貴方はどうする?」

武内P「……そう、ですね」

奏「ふふっ! 聞かせてもらおうかな」

武内P「まずは……」

奏「まずは?」


武内P「――親御さんに、連絡をします」


奏「……」

奏「待って、そこまで現実的な話はしてないから」


6以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 15:10:48.36jjEApu5so (6/15)

奏「親に連絡って……」

武内P「重要なことです」

奏「そりゃ、そうかも知れないけど……」

武内P「はい」


武内P「私達は、アイドルの皆さんをお預かりしている身です」

武内P「笑顔のためとは言え、キスするのであれば……」

武内P「……保護者の方の同意が必要だ、と」

武内P「……そう、思います」


奏「……」


7以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 15:16:36.73jjEApu5so (7/15)

奏「……相手が、大人だった場合は?」

武内P「その場合は、また話が違ってきますね」

奏「相手が子供だった場合、親に連絡する、って事ね……」

武内P「はい、その通りです」

奏「……」


奏「……もし、私が魔法にかけられたら?」

奏「キスしなければ、笑顔が出来なくなってしまったら?」


武内P「専務に報告します」


奏「待って」


8以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 15:20:51.32jjEApu5so (8/15)

奏「なんで? どうしてそうなるのかな?」

武内P「えっ?」

奏「えっ、じゃなくて」

武内P「そう言われましても……」


武内P「……速水さんは、プロジェクトクローネに所属しています」

武内P「なので、専務が直々に対応をするでしょうから……」

武内P「……私が出来るのは、そこまでですね」


奏「……」

奏「ねえ、つれないにも程があるんじゃない?」


9以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 15:28:18.18jjEApu5so (9/15)

奏「他に、何か出来る事はあると思わないの?」

武内P「……激励の言葉をかける、等でしょうか?」

奏「そういうのじゃなくて」

武内P「そう言われましても……」

奏「……良いわ、条件を追加するから」


奏「――貴方がキスしないと、私にかけられた魔法はとけない」

奏「……これなら、どうする?」ニコリ!


武内P「例え話ですが、速水さんに魔法をかけた人物は……」

武内P「……私に、何の恨みがあるのでしょうか?」


10以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 15:34:34.61jjEApu5so (10/15)

奏「ほら、どうするの?」クスクスッ!

武内P「……」

奏「ふふっ! 貴方って、困った顔もチャーミングね」ニコリ!

武内P「……」

奏「キス、する?」ニコッ!

武内P「……」


武内P「――キスします」

武内P「当然、それまでに色々な手順を踏みますが……」

武内P「……速水さんの笑顔は、とても魅力的ですから」


奏「……待って」

奏「その、急に言われると……さすがに照れるんだけど」


11以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 15:41:13.83jjEApu5so (11/15)

奏「ふぅん……でも、キスするんだ?」

武内P「はい」

奏「へぇ~……ふ~ん……」ニマニマ!

武内P「……」


武内P「貴女の、輝くような笑顔の助けになるならば」

武内P「私は、出来る事ならば何でもしよう……と」

武内P「……そう、考えています」


奏「…………待って」

奏「ちょっと……急に、キュンとするような事言わないで」


12以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 15:47:45.55jjEApu5so (12/15)

奏「大人っぽいとは言われるけど、まだ十七歳なのよ?」

武内P「えっ? ええ……」

奏「そんな女の子相手に、言って良い台詞?」

武内P「す、すみません……」

奏「もう……本当に、仕方のない人なんだから」クスクスッ!

武内P「……」


武内P「では、先程の言葉は取り消します」


奏「取り消さないで良いわよ!」

奏「あぁ、もう……貴方って本当に……!」


13以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 15:52:10.63jjEApu5so (13/15)

奏「……ふぅ、大きな声を出してごめんなさい」

武内P「いえ、お気になさらず」

奏「貴方は気にして頂戴」

武内P「……」


奏「でも……私の笑顔の助けになるなら」

奏「貴方って、出来ることなら何でもする覚悟があるんだ」

奏「……ふふっ!」

奏「思いもかけず、良い事を聞いちゃったわね」ニコッ!


武内P「そう……ですね」

武内P「プロデューサーとして、当然の事です」


14以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 16:02:15.85jjEApu5so (14/15)

奏「それじゃあ……早速、お願いしちゃおうかな」

武内P「えっ?」

奏「私の笑顔の助けになる事」

武内P「それは……一体?」


奏「――今まで頑張った、ご褒美のキス」

奏「それが貰えたら、これからも良い笑顔が出来ると思うの」

奏「ううん……今までよりも良い笑顔が、ね」ニコッ!


武内P「……お話はわかりました」

武内P「私に出来る限りの事は、させて頂きます」


奏「ふふっ! ちょっとからかいすぎ……」

奏「……」

奏「えっ!? するの!?」


15以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 16:10:12.41jjEApu5so (15/15)

奏「えっ、待って? 冗談でしょう?」

武内P「えっ?」

奏「……貴方、本気?」

武内P「はい」


武内P「……今までよりも良い笑顔」

武内P「速水さん、貴女がそれが出来るようになるのならば」

武内P「……プロデューサーの立場としては、はい」


奏「待って……待って待って」

奏「ちょっと待って……えっ?」

奏「そんな急に、えっ? キス? 本当に?」