1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:32:55.02:hLTkM85AO (1/14)
「おいてかないでぇぇええええっ!!!!」
アビスの深層に悲痛な叫びが響き渡る。
「リコォォォォォォオオオオオッ!!!!」
まだ声変わりもしていない、澄んだ声音。
彼は必死に少女の名を呼ぶが、返事はない。
少年の大切な宝物は沈黙したまま、動かない。
「うわぁあああああああああああん……!」
一緒にいこうと約束したのに。
リコは独り、先に行ってしまった。
取り残された自分は、独りぼっち。
寂しくて、悲しくて、怖くて。
「うわああああああああああああん!!!!」
広大な地下空間を震わせる、慟哭。
その嘆きがあまりにも、不憫で。
ポロポロと大粒の涙を流す少年が、可哀想で。
「……そいつ、まだいってないぜ?」
つい、声をかけてしまうのは、己の弱さか。
それとも、その身に残る人間性によるものか。
ナナチには、その感情すらも、罪に思えた。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1558963975
「おいてかないでぇぇええええっ!!!!」
アビスの深層に悲痛な叫びが響き渡る。
「リコォォォォォォオオオオオッ!!!!」
まだ声変わりもしていない、澄んだ声音。
彼は必死に少女の名を呼ぶが、返事はない。
少年の大切な宝物は沈黙したまま、動かない。
「うわぁあああああああああああん……!」
一緒にいこうと約束したのに。
リコは独り、先に行ってしまった。
取り残された自分は、独りぼっち。
寂しくて、悲しくて、怖くて。
「うわああああああああああああん!!!!」
広大な地下空間を震わせる、慟哭。
その嘆きがあまりにも、不憫で。
ポロポロと大粒の涙を流す少年が、可哀想で。
「……そいつ、まだいってないぜ?」
つい、声をかけてしまうのは、己の弱さか。
それとも、その身に残る人間性によるものか。
ナナチには、その感情すらも、罪に思えた。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1558963975
モバP「泰葉からチョコもらった時の話?」
絵里「なんとかストロガノフ!」穂乃果「そう、カレーです」
タマ「ニャー」タラオ「タマ口臭いですぅ!」タマ「!!!!!!!」
玲音「風邪を引いてしまったようだ…」
苗木「霧切さん、この蝶ネクタイつけてみてよ」
2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:35:09.51:hLTkM85AO (2/14)
「き、君は、誰だ……?」
「オイラはナナチ。成れ果てさ」
簡潔すぎる自己紹介。
しかし、それ以上でも以下でもない。
それに、事は一刻を争う。
「あー……こりゃひでぇ」
横たわる少女の真っ青な顔色。
目は固く閉じられていて、意識はない。
何より、パンパンに膨れた腹部が、痛ましい。
「お、お願いだ、リコを助けてくれ!」
「わ、わかったから、くっつくなよぅ」
縋りつく少年を押しやってから。
とりあえず、場所を変える必要があると判断。
少年に向けて、肉体労働の指示を出す。
「その子を助けたかったら、オイラのアジトまで運びな。信用出来ないって言うなら……」
「わかった! リコを運べばいいんだな!?」
少年は疑うことなく、少女を背負う。
その素直さに、半ば呆れながらも。
ナナチは自分の住処に、彼らを案内した。
「き、君は、誰だ……?」
「オイラはナナチ。成れ果てさ」
簡潔すぎる自己紹介。
しかし、それ以上でも以下でもない。
それに、事は一刻を争う。
「あー……こりゃひでぇ」
横たわる少女の真っ青な顔色。
目は固く閉じられていて、意識はない。
何より、パンパンに膨れた腹部が、痛ましい。
「お、お願いだ、リコを助けてくれ!」
「わ、わかったから、くっつくなよぅ」
縋りつく少年を押しやってから。
とりあえず、場所を変える必要があると判断。
少年に向けて、肉体労働の指示を出す。
「その子を助けたかったら、オイラのアジトまで運びな。信用出来ないって言うなら……」
「わかった! リコを運べばいいんだな!?」
少年は疑うことなく、少女を背負う。
その素直さに、半ば呆れながらも。
ナナチは自分の住処に、彼らを案内した。
3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:36:20.58:hLTkM85AO (3/14)
「そこに寝かせな」
「ああ、わかった」
ナナチのベッドに、少女を寝かせた。
すぐ隣に、座り込み、彼女の手を握る少年。
そんな彼に、処置の前にいくつか質問をする。
「どうしてこうなったか心当たりはあるか?」
「リコは、その……拾い食いする癖があって」
「ははぁん。なるほどなぁ」
1発でビンゴだ。
ナナチをニヤリと口の端を曲げた。
その表情は、少しばかり意地悪に見えた。
ここでようやく少年はナナチについて尋ねた。
「君は何者なんだ?」
「だから、ナナチだってば」
「成り果てとは、どういう意味だ?」
「見ての通りさ」
ナナチは、成り果て。
元は人間で、今は違う。
アビスの呪いによって、変質した。
「まあ、喋るぬいぐるみだと思ってくれ」
今のナナチは。
まるでふわふわした、ぬいぐるみのような。
元人間だった。
「そこに寝かせな」
「ああ、わかった」
ナナチのベッドに、少女を寝かせた。
すぐ隣に、座り込み、彼女の手を握る少年。
そんな彼に、処置の前にいくつか質問をする。
「どうしてこうなったか心当たりはあるか?」
「リコは、その……拾い食いする癖があって」
「ははぁん。なるほどなぁ」
1発でビンゴだ。
ナナチをニヤリと口の端を曲げた。
その表情は、少しばかり意地悪に見えた。
ここでようやく少年はナナチについて尋ねた。
「君は何者なんだ?」
「だから、ナナチだってば」
「成り果てとは、どういう意味だ?」
「見ての通りさ」
ナナチは、成り果て。
元は人間で、今は違う。
アビスの呪いによって、変質した。
「まあ、喋るぬいぐるみだと思ってくれ」
今のナナチは。
まるでふわふわした、ぬいぐるみのような。
元人間だった。
4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:38:23.87:hLTkM85AO (4/14)
「どうしてそんな姿に……?」
「それを知ったら、助けたくなるぜ?」
意味深な回答をして、茶を濁す。
そんなことよりも、するべきことがある。
目の前の少女に視線を向け、ナナチは命じる。
「お前、この子を助けたいんだろ?」
「あ、ああ! 助けたい!」
「その為なら、なんでもするか?」
「もちろん! なんでもする!!」
「よぉし。それなら……」
ナナチは少年に必要なものを説明した。
それをなるべく、急いで集めるように。
そうしなければ、少女は助からないと話した。
「わかったか?」
「了解した!」
「よし。なら、行ってこい」
「行ってくる!」
全速力で飛び出す少年。
その背に、今更ながら質問を投げかける。
この手のやり取りは、ナナチは経験が少ない。
「そういやお前、名前は?」
「僕はレグ! その子はリコだ!」
少年の名はレグ。
そして少女の名はリコ。
ナナチは久しぶりに、他人と知り合った。
「どうしてそんな姿に……?」
「それを知ったら、助けたくなるぜ?」
意味深な回答をして、茶を濁す。
そんなことよりも、するべきことがある。
目の前の少女に視線を向け、ナナチは命じる。
「お前、この子を助けたいんだろ?」
「あ、ああ! 助けたい!」
「その為なら、なんでもするか?」
「もちろん! なんでもする!!」
「よぉし。それなら……」
ナナチは少年に必要なものを説明した。
それをなるべく、急いで集めるように。
そうしなければ、少女は助からないと話した。
「わかったか?」
「了解した!」
「よし。なら、行ってこい」
「行ってくる!」
全速力で飛び出す少年。
その背に、今更ながら質問を投げかける。
この手のやり取りは、ナナチは経験が少ない。
「そういやお前、名前は?」
「僕はレグ! その子はリコだ!」
少年の名はレグ。
そして少女の名はリコ。
ナナチは久しぶりに、他人と知り合った。
5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:39:41.76:hLTkM85AO (5/14)
「これでいいか!?」
「おー……ごくろう」
出来る限り急いで、レグは戻った。
担いだ荷物をナナチは確認して頷く。
レグはほっと安堵してから、尋ねる。
「なあ、ナナチ」
「ん? なんだ?」
「魚とか、一体何に使うんだ?」
「そいつはオイラの晩飯だよ」
まるで当たり前のようにそう言われて。
レグはキョトンと、首を傾げた。
言ってる意味が理解出来なくて、困惑する。
「ナナチの晩飯?」
「そうだ」
「それがリコを助ける為に必要なもの?」
「だってよぅ、オイラ、腹減ったし」
悪びれた様子もなく、開き直るナナチ。
これには流石に温厚なレグもカチンときた。
人の気も知らないで、晩飯だなんて。
「僕はリコを……!」
「あーはいはい。わかってるっての。それ!」
「うわっ!? ナ、ナナチ、一体何を……!?」
レグの怒りを受け流して。
ナナチは処置に取り掛かる。
まずは、リコのズボンを下着ごと、脱がせた。
「助けたいんだろ?」
「た、助けたい!」
赤面して目を逸らしつつ、レグは何度も頷いた。
「これでいいか!?」
「おー……ごくろう」
出来る限り急いで、レグは戻った。
担いだ荷物をナナチは確認して頷く。
レグはほっと安堵してから、尋ねる。
「なあ、ナナチ」
「ん? なんだ?」
「魚とか、一体何に使うんだ?」
「そいつはオイラの晩飯だよ」
まるで当たり前のようにそう言われて。
レグはキョトンと、首を傾げた。
言ってる意味が理解出来なくて、困惑する。
「ナナチの晩飯?」
「そうだ」
「それがリコを助ける為に必要なもの?」
「だってよぅ、オイラ、腹減ったし」
悪びれた様子もなく、開き直るナナチ。
これには流石に温厚なレグもカチンときた。
人の気も知らないで、晩飯だなんて。
「僕はリコを……!」
「あーはいはい。わかってるっての。それ!」
「うわっ!? ナ、ナナチ、一体何を……!?」
レグの怒りを受け流して。
ナナチは処置に取り掛かる。
まずは、リコのズボンを下着ごと、脱がせた。
「助けたいんだろ?」
「た、助けたい!」
赤面して目を逸らしつつ、レグは何度も頷いた。
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:41:17.71:hLTkM85AO (6/14)
「いいか? オイラの言うことは絶対だぜ?」
「わ、わかった」
ナナチは言質を取った。
これで、あとから文句は言わせない。
その上で、処置の仕方を教えた。
「この薬を水と一緒に口に含め」
「了解した」
一切の逡巡もなく、薬と水を口に含むレグ。
内容物によってほっぺが膨らむ。
その顔がちょっと面白くて、ナナチは笑った。
「お前、いくらなんでも張り切りすぎだろ」
「むぅ!」
ケラケラ笑うナナチに腹を立てて。
抗議しようにも、言葉を発せない。
唸るレグを横目にナナチをひとしきり笑い。
「んじゃ、その薬をリコの尻にぶち込め」
「!」
あまりにも冷酷な、命令を下した。
「いいか? オイラの言うことは絶対だぜ?」
「わ、わかった」
ナナチは言質を取った。
これで、あとから文句は言わせない。
その上で、処置の仕方を教えた。
「この薬を水と一緒に口に含め」
「了解した」
一切の逡巡もなく、薬と水を口に含むレグ。
内容物によってほっぺが膨らむ。
その顔がちょっと面白くて、ナナチは笑った。
「お前、いくらなんでも張り切りすぎだろ」
「むぅ!」
ケラケラ笑うナナチに腹を立てて。
抗議しようにも、言葉を発せない。
唸るレグを横目にナナチをひとしきり笑い。
「んじゃ、その薬をリコの尻にぶち込め」
「!」
あまりにも冷酷な、命令を下した。
7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:42:43.40:hLTkM85AO (7/14)
「っ? っっ?? っ????」
レグは目を白黒させて。
円らな瞳を右に左に泳がせる。
状況がわからず、困惑していた。
だって意味がわからないよ。
薬は今、自分の口の中にあって。
それをリコのお尻に入れるなんて。
だいたい、どうやって、そんなこと。
「だから、口で尻に注入すんだよ」
「?」
「お前、ちゅうって知ってっか?」
「??」
「ちゅーって、尻にその薬を入れんだよ」
「????」
ナナチは口をすぼめて説明した。
レグはなんとなく、理解してきた。
要するに、自分の口から、リコの尻に。
度 し 難 い 。
「っ!? むー! むー!」
「なんだよぅ。出来ねぇのか?」
「むぅ! むぅ!」
「んじゃあ、リコは助からねぇな」
「ッ……!」
それは困る。
レグはリコを助けたい。
その為ならば、なんでもしてみせる。
「出来るか?」
「……ッ」
「よぉし。良い子だ」
頷いたレグの目から零れた涙は、美しかった。
「っ? っっ?? っ????」
レグは目を白黒させて。
円らな瞳を右に左に泳がせる。
状況がわからず、困惑していた。
だって意味がわからないよ。
薬は今、自分の口の中にあって。
それをリコのお尻に入れるなんて。
だいたい、どうやって、そんなこと。
「だから、口で尻に注入すんだよ」
「?」
「お前、ちゅうって知ってっか?」
「??」
「ちゅーって、尻にその薬を入れんだよ」
「????」
ナナチは口をすぼめて説明した。
レグはなんとなく、理解してきた。
要するに、自分の口から、リコの尻に。
度 し 難 い 。
「っ!? むー! むー!」
「なんだよぅ。出来ねぇのか?」
「むぅ! むぅ!」
「んじゃあ、リコは助からねぇな」
「ッ……!」
それは困る。
レグはリコを助けたい。
その為ならば、なんでもしてみせる。
「出来るか?」
「……ッ」
「よぉし。良い子だ」
頷いたレグの目から零れた涙は、美しかった。
8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:44:35.86:hLTkM85AO (8/14)
「いいか、レグ。これは必要なことなんだ」
ナナチはレグに噛んで含めるように説明した。
リコの腹が今にも破裂寸前なこと。
その為には、薬を注入しないといけないこと。
その手段として最も効果的なのはこの方法だ。
「要するに、今のリコは重度の便秘だ」
ナナチはわかりやすく便秘と称した。
詳しく説明すると、長くなる。
拾い食いした毒が、便を硬くしたことや。
溜まった便によって、他の臓器が圧迫されて、このままでは命に関わることは、省略した。
言ってもわからないだろうし、言わなくとも、苦悶に喘ぐリコを見ればわかるだろう。
ともあれ、レグには選択肢などない。
「悪いが、オイラは手伝えねぇ」
「むぅ……」
「初めてのちゅうは、特別らしいからな」
そう言われて、レグはハッとする。
そう、これは特別なこと。特別な、儀式。
リコの初めてであり、レグの初めてでもある。
自分以外に、任せられる者は、いない。
「……ちょれー」
使命感に燃えたレグの耳には。
ナナチの嘲笑は。
届かない。
「いいか、レグ。これは必要なことなんだ」
ナナチはレグに噛んで含めるように説明した。
リコの腹が今にも破裂寸前なこと。
その為には、薬を注入しないといけないこと。
その手段として最も効果的なのはこの方法だ。
「要するに、今のリコは重度の便秘だ」
ナナチはわかりやすく便秘と称した。
詳しく説明すると、長くなる。
拾い食いした毒が、便を硬くしたことや。
溜まった便によって、他の臓器が圧迫されて、このままでは命に関わることは、省略した。
言ってもわからないだろうし、言わなくとも、苦悶に喘ぐリコを見ればわかるだろう。
ともあれ、レグには選択肢などない。
「悪いが、オイラは手伝えねぇ」
「むぅ……」
「初めてのちゅうは、特別らしいからな」
そう言われて、レグはハッとする。
そう、これは特別なこと。特別な、儀式。
リコの初めてであり、レグの初めてでもある。
自分以外に、任せられる者は、いない。
「……ちょれー」
使命感に燃えたレグの耳には。
ナナチの嘲笑は。
届かない。
9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:46:57.61:hLTkM85AO (9/14)
「よし、そんじゃあ、やってみろ」
ナナチに促され、レグは一歩踏み出す。
正面には、意識のないリコ。
レグは彼女の尻穴を探すも、見当たらない。
当たり前だ。
尻穴は後ろについている。
このままでは、使命は果たせない。
「むぅ! むぅ!」
「なぁ~……わかったよぅ。しゃあねぇなぁ」
レグに催促されて、渋々ナナチは補助した。
リコをひっくり返して、尻を上に向ける。
ついでに腰を浮かせて突き出すような体勢に。
「よしっと。これでいいか?」
「ッ……!」
レグは驚愕していた。
白日の下に晒された、リコの尻穴。
その底知れぬ深淵は、まるで奈落。
極めて度し難い。度し難いのだが。
それはまさに、アヌ……もとい、アビスだった。
レグはこの美しい光景を一生忘れないと誓う。
「なあ、お前。さっきから見過ぎじゃね?」
「ッ!?」
「なにカチカチにしてんだよぅ」
ナナチはやはり、意地悪だと、レグは思った。
「よし、そんじゃあ、やってみろ」
ナナチに促され、レグは一歩踏み出す。
正面には、意識のないリコ。
レグは彼女の尻穴を探すも、見当たらない。
当たり前だ。
尻穴は後ろについている。
このままでは、使命は果たせない。
「むぅ! むぅ!」
「なぁ~……わかったよぅ。しゃあねぇなぁ」
レグに催促されて、渋々ナナチは補助した。
リコをひっくり返して、尻を上に向ける。
ついでに腰を浮かせて突き出すような体勢に。
「よしっと。これでいいか?」
「ッ……!」
レグは驚愕していた。
白日の下に晒された、リコの尻穴。
その底知れぬ深淵は、まるで奈落。
極めて度し難い。度し難いのだが。
それはまさに、アヌ……もとい、アビスだった。
レグはこの美しい光景を一生忘れないと誓う。
「なあ、お前。さっきから見過ぎじゃね?」
「ッ!?」
「なにカチカチにしてんだよぅ」
ナナチはやはり、意地悪だと、レグは思った。
10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:48:42.21:hLTkM85AO (10/14)
「ひと息に、思い切ってやれ」
「っ……!」
そっと、口を尻に寄せて。
言われた通りに、レグは薬を注入した。
ひと息に、思いっきり。
そうでなければ、入っていかない。
それほどまでに、リコの便は硬かった。
「よぉーし、全部入ったな。もういいぜ」
「ぷはっ!」
「お前、なかなかやるじゃん。見直したぜ」
ポンポン肩を叩いて労うナナチに、詰め寄る。
「リコは! リコはこれで助かるのか!?」
「あ、ああ、助かるから、ちょっと離れて」
「僕は出来る限りのことをした!」
「わ、わかったから、口を洗って来いって」
「断る!」
口を洗う?
何を馬鹿なことを。
レグはもう二度と口を洗わない。
あの特別な儀式をこの先ずっと忘れない為に。
「なぁ~……まあ、どうでもいいけどよぅ」
「どうでもいいとはなんだ!?」
「それよりも、お前、なんともないか?」
「は?」
なんともないのかと、ナナチは問う。
質問の意味がわからず、レグは困る。
そんな彼に、ナナチは説明した。
「さっきの薬をお前は口に含んだよな?」
「だから、どうしたんだ?」
「だから、お前もたぶん、すぐに……」
ぎゅるるるるるるるるるるるるるるるるぅ~!
レグの腹から、不吉な音色が、響き渡った。
「ひと息に、思い切ってやれ」
「っ……!」
そっと、口を尻に寄せて。
言われた通りに、レグは薬を注入した。
ひと息に、思いっきり。
そうでなければ、入っていかない。
それほどまでに、リコの便は硬かった。
「よぉーし、全部入ったな。もういいぜ」
「ぷはっ!」
「お前、なかなかやるじゃん。見直したぜ」
ポンポン肩を叩いて労うナナチに、詰め寄る。
「リコは! リコはこれで助かるのか!?」
「あ、ああ、助かるから、ちょっと離れて」
「僕は出来る限りのことをした!」
「わ、わかったから、口を洗って来いって」
「断る!」
口を洗う?
何を馬鹿なことを。
レグはもう二度と口を洗わない。
あの特別な儀式をこの先ずっと忘れない為に。
「なぁ~……まあ、どうでもいいけどよぅ」
「どうでもいいとはなんだ!?」
「それよりも、お前、なんともないか?」
「は?」
なんともないのかと、ナナチは問う。
質問の意味がわからず、レグは困る。
そんな彼に、ナナチは説明した。
「さっきの薬をお前は口に含んだよな?」
「だから、どうしたんだ?」
「だから、お前もたぶん、すぐに……」
ぎゅるるるるるるるるるるるるるるるるぅ~!
レグの腹から、不吉な音色が、響き渡った。
11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:50:05.96:hLTkM85AO (11/14)
「ぐっ……腹が……!」
「裏に河原があるから済ませてこいよ」
突然の腹痛に喘ぐレグ。
それもその筈、あの薬は強力な下剤だ。
リコの場合は便の硬化の為に浣腸として使用したが、内服薬としても充分な性能がある。
この世の全てを尻から吐き出す感覚。
下からだけでなく、上からも出そうだ。
それでもレグはえづきながらも、傍にいる。
リコの手を握り、その場を離れようとしない。
「おーい、そのままじゃ、漏れちまうぜ?」
「僕はどうなってもいい……!」
「いや、オイラの寝床がどうなるか考えろよ」
そんなことは、瑣末な問題だ。
大切なことは、リコの分娩に立ち会うこと。
その責任が、レグにはあった。
「なあ、頼むから漏らすなよぅ」
「おかまいなく」
「オイラが構うんだよぅ」
「間に合ってますので」
「間に合わなくなる前にしてこいよぅ」
ナナチが何を言っても、もはや無意味だった。
「ぐっ……腹が……!」
「裏に河原があるから済ませてこいよ」
突然の腹痛に喘ぐレグ。
それもその筈、あの薬は強力な下剤だ。
リコの場合は便の硬化の為に浣腸として使用したが、内服薬としても充分な性能がある。
この世の全てを尻から吐き出す感覚。
下からだけでなく、上からも出そうだ。
それでもレグはえづきながらも、傍にいる。
リコの手を握り、その場を離れようとしない。
「おーい、そのままじゃ、漏れちまうぜ?」
「僕はどうなってもいい……!」
「いや、オイラの寝床がどうなるか考えろよ」
そんなことは、瑣末な問題だ。
大切なことは、リコの分娩に立ち会うこと。
その責任が、レグにはあった。
「なあ、頼むから漏らすなよぅ」
「おかまいなく」
「オイラが構うんだよぅ」
「間に合ってますので」
「間に合わなくなる前にしてこいよぅ」
ナナチが何を言っても、もはや無意味だった。
12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:52:58.86:hLTkM85AO (12/14)
「ぐぅっ!?」
「リコ!?」
あれから、どれだけ経っただろう。
レグには、何ヶ月にも、何年にも感じる。
しかし、実際にはほんの数分のことだ。
薬が効いて、リコは便意に悶えていた。
「これが、便意の力……!」
便意には、不思議な力がある。
時の流れすら歪ませる、強大なエネルギー。
もしかすると、力場が発生しているのかも。
それに苛まれながら、レグとリコは耐えた。
そこでふと、気づく。
耐える必要なんて、ない。
そうさ。それはそうだろう。
当たり前のことだ。
だって、出す為に処置をしたんだ。
その為に、初めてを奪い、初めてを捧げた。
その時の感触は、未だに唇に残っている。
そう、全ては、出す為に、やったことだ。
ならば、憂うことは何ひとつとして、ない。
「リコ! 出せ! 全部出すんだ!!」
「なぁっ!?」
「僕も……僕も一緒に、出すからっ!!」
「んなぁ~っ!?」
レグの決意……もとい、ケツ意に。
涙目で抗議の悲鳴をあげる、ナナチ。
その切実な叫びは、誰にも、届かない。
「ぐぅっ!?」
「リコ!?」
あれから、どれだけ経っただろう。
レグには、何ヶ月にも、何年にも感じる。
しかし、実際にはほんの数分のことだ。
薬が効いて、リコは便意に悶えていた。
「これが、便意の力……!」
便意には、不思議な力がある。
時の流れすら歪ませる、強大なエネルギー。
もしかすると、力場が発生しているのかも。
それに苛まれながら、レグとリコは耐えた。
そこでふと、気づく。
耐える必要なんて、ない。
そうさ。それはそうだろう。
当たり前のことだ。
だって、出す為に処置をしたんだ。
その為に、初めてを奪い、初めてを捧げた。
その時の感触は、未だに唇に残っている。
そう、全ては、出す為に、やったことだ。
ならば、憂うことは何ひとつとして、ない。
「リコ! 出せ! 全部出すんだ!!」
「なぁっ!?」
「僕も……僕も一緒に、出すからっ!!」
「んなぁ~っ!?」
レグの決意……もとい、ケツ意に。
涙目で抗議の悲鳴をあげる、ナナチ。
その切実な叫びは、誰にも、届かない。
13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:55:47.32:hLTkM85AO (13/14)
「はぁ……はぁ……レグ……?」
「リコ! 僕はここだ! ここに居るよ!?」
まるで、悪夢にうなされているかのように。
リコはレグの名を呼び、その手を握る。
彼女の細い指を折らないように、優しく。
レグは握り返して、自分の存在を伝えた。
「レグ……私、もう……」
「大丈夫! 大丈夫だから!」
「レグ……怖いよ」
「大丈夫だ! 僕も一緒だから!」
今にも息を引き取るかのような状況。
しかし、既に命に別状はない状況だ。
そして、ナナチの住処は危機的状況だった。
「なあ! もういいだろ!? 河原に行けって!」
「おかまいなく」
「オイラが構うんだってばぁ!」
「間に合ってます」
「だから間に合わなくなるだろうがぁ~!」
うるさい外野はよそに、2人だけの世界に浸る。
「リコ、ずっと一緒だ」
「レグ……ありが、とう」
ぶりゅりゅりゅりゅりゅりゃりゅりゅぅ~!
「んなぁ~!」
便の音色と、ナナチの悲鳴が混ざり合う。
そのハーモニーを耳にして、自然と。
レグの広角が釣り上がり、愉悦が漏れ出た。
「フハッ!」
「なあああああああああああああっ!?!!」
「フハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
度し難いなと、レグは自嘲する。
ナナチの絶叫は、異質な嗤い声にかき消され。
住処は便で汚れて、使い物にならなくなった。
しかし、それによって、家を出る決心がつく。
「はぁ……はぁ……レグ……?」
「リコ! 僕はここだ! ここに居るよ!?」
まるで、悪夢にうなされているかのように。
リコはレグの名を呼び、その手を握る。
彼女の細い指を折らないように、優しく。
レグは握り返して、自分の存在を伝えた。
「レグ……私、もう……」
「大丈夫! 大丈夫だから!」
「レグ……怖いよ」
「大丈夫だ! 僕も一緒だから!」
今にも息を引き取るかのような状況。
しかし、既に命に別状はない状況だ。
そして、ナナチの住処は危機的状況だった。
「なあ! もういいだろ!? 河原に行けって!」
「おかまいなく」
「オイラが構うんだってばぁ!」
「間に合ってます」
「だから間に合わなくなるだろうがぁ~!」
うるさい外野はよそに、2人だけの世界に浸る。
「リコ、ずっと一緒だ」
「レグ……ありが、とう」
ぶりゅりゅりゅりゅりゅりゃりゅりゅぅ~!
「んなぁ~!」
便の音色と、ナナチの悲鳴が混ざり合う。
そのハーモニーを耳にして、自然と。
レグの広角が釣り上がり、愉悦が漏れ出た。
「フハッ!」
「なあああああああああああああっ!?!!」
「フハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
度し難いなと、レグは自嘲する。
ナナチの絶叫は、異質な嗤い声にかき消され。
住処は便で汚れて、使い物にならなくなった。
しかし、それによって、家を出る決心がつく。
14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/27(月) 22:57:45.70:hLTkM85AO (14/14)
「ナナチ、本当にありがとう」
「元気になって、良かったな」
「ナナチのおかげだよ! ありがとう!」
レグに改めて礼を言われて。
回復したリコに感謝された。
慣れないことにナナチは戸惑う。
そして、心が痛んだ。
「あのよ、実は頼みがあんだけどよぅ」
2人の感謝を利用するようで、申し訳ない。
せっかくのハッピーエンドを台無しにして。
酷い願いを口にすることが、心苦しかった。
「オイラの宝物を救ってやってくれねぇか?」
それでも、こうして頼める相手が出来た。
だからナナチは、2人を頼り、懇願した。
これまではそんな相手はいなかったけれど。
「わかったよ、ナナチ!」
「僕達に出来ることなら、なんでもするよ」
つくづく、チョロい。
安請け合いなんてするもんじゃない。
だけど、本当に有難いと思えた。
涙が出るほど嬉しくて、ナナチは開き直る。
助けた相手に、助けを求めて何が悪い、と。
『メイド・イン・ア○ス』
FIN
「ナナチ、本当にありがとう」
「元気になって、良かったな」
「ナナチのおかげだよ! ありがとう!」
レグに改めて礼を言われて。
回復したリコに感謝された。
慣れないことにナナチは戸惑う。
そして、心が痛んだ。
「あのよ、実は頼みがあんだけどよぅ」
2人の感謝を利用するようで、申し訳ない。
せっかくのハッピーエンドを台無しにして。
酷い願いを口にすることが、心苦しかった。
「オイラの宝物を救ってやってくれねぇか?」
それでも、こうして頼める相手が出来た。
だからナナチは、2人を頼り、懇願した。
これまではそんな相手はいなかったけれど。
「わかったよ、ナナチ!」
「僕達に出来ることなら、なんでもするよ」
つくづく、チョロい。
安請け合いなんてするもんじゃない。
だけど、本当に有難いと思えた。
涙が出るほど嬉しくて、ナナチは開き直る。
助けた相手に、助けを求めて何が悪い、と。
『メイド・イン・ア○ス』
FIN
15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/28(火) 07:05:03.70:xhwkUFEwO (1/1)
原作のネタバレあり?
原作のネタバレあり?
16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2019/05/29(水) 18:40:37.85:lAkGJSRQo (1/1)
またおまえか
面白かったぞ
おつおつ
またおまえか
面白かったぞ
おつおつ
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