1 ◆z.6vDABEMI2019/05/16(木) 00:39:15.55jG093XTQo (1/7)

明転。
舞台上手にスーツ姿で教卓のような台に両手を付く酒井、下手にパイプ椅子に座った平子、板付き。
何かの会見のようだ。
平子は何かメモを熱心に取っている。


酒井「……先ほどの質問に回答しますと、以上のようになります。諸外国との貿易摩擦が発生しないよう、これからも充分に配慮していきます」

酒井「また、隣国との関係性についても、現在は各国担当との会談に向けコンタクトを取っている最中でして、」

酒井「詳しいことはお答えいたしかねます」


メモを取る平子。


酒井「これで回答とさせていただきますが、宜しいですか?」

酒井「……宜しいですね。他、何か質問がある記者は」


すさまじい勢いで手をあげる平子。

酒井「はい、そこの……貴方、あまり見ない顔ですね」

平子「初めてこちらにお邪魔させていただきました。記者の顔を覚えてらっしゃるのですか?」

酒井「この手の会見に来るメディアは比較的決まった人ですからね」

平子「ああ、なるほど」

酒井「それで、ええと………貴方、どこの会社のなんと言う方ですか?」

平子「はい、『クレイジーピーポージャパン』の平子、と申します」

酒井「なんか突然ヤバい人来たな」


※相変わらず書きためは、無いです
※誤字脱字は見逃してくださいお願いします
※ラジオ聴いてないお茶の間ニワカどすえ

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2 ◆z.6vDABEMI2019/05/16(木) 00:44:32.21jG093XTQo (2/7)

平子「え?」

酒井「え?」

一瞬の沈黙。

平子「………」

酒井「あ、ああ、ええと、すみません。クレイジー……?」

平子「クレイジーピーポージャパンです」

酒井「海外展開してるのかな?」

平子「いえ、日本だけです」

酒井「でしょうね!海外にいたらヤベェと思われるでしょうからね!」

平子「え?」

酒井「その『え?』止めてもらえますかね!」

平子「すみません、つい……緊張していて」

酒井「まあいいか……ええと、平子さん、どう言った質問でしょうか」

平子「はい。先ほどのお話をお伺いさせていただいた限り、外交官の働きや我が国の対応方針などを明確に打ち出してきたと感じました」

平子「また、大臣のご活躍の影響も徐々に出始めていると思います。特に中東の国々との会談が連続で達成できているのは、大きな成果です」

酒井「ありがとうございます」

平子「そこでお伺いしたいのですが」

酒井「はい」

平子「大臣、我が家の猫が出産しました」

一瞬の沈黙。
酒井は数回の瞬きののち、首をひねったり平子の方を見たりして考えあぐねる。
一方で、真顔の平子。

酒井「………ん?」

平子「え?」

酒井「その『え?』って言うの止めてもらえねえかなぁ!」


3 ◆z.6vDABEMI2019/05/16(木) 00:47:58.49jG093XTQo (3/7)

平子「すみません、つい。緊張」

酒井「緊張関係ねえし!猫の話、緊張ぜんぜん関係ねえし!」

平子「ですが大臣!」

酒井「なんだよ、なんだおい、きみ、ええとクレイジー……」

平子「クレイジーピーポージャパンの平子です」

酒井「二度とこの会見場には入れねえけどなクレイジーピーポージャパン!なんだよ!」

平子「落ち着いてください大臣」

酒井「お前のせいだよ怒ってんのは!」

平子「いえ、落ち着いて聞いてください!」

酒井「なんだよ、ええ?なんですか……」はぁ

平子「いいですか?猫ですよ」

酒井「……」

平子「大臣、我が家の猫が出産したんです」

酒井「……はい、それはさっき聞きました」

平子「猫が出産した、つまり子猫が増えたんです」

酒井「それで?」

平子「子猫は世界平和に使えると思いませんか?」

酒井「はあ!?」


4 ◆z.6vDABEMI2019/05/16(木) 00:52:21.68jG093XTQo (4/7)

平子「よく考えてください、大臣」

酒井「今必死に考えてるけど意味が分かんねえわ」

平子「可愛いは文化を越えたものです」

酒井「説得力は欠片もねえけどな」

平子「子猫は可愛い、可愛いは文化を、そして国境すら越える」

平子「つまり、子猫外交を行えば、全世界が平和になるのではないでしょうか」

酒井「さっきから一字一句何言ってんのお前?」

平子「え?」

酒井「はあ?」

平子「え?大臣、子猫は可愛いと思いませんか?」

酒井「ああ!?」

平子「大臣!」

会場全体からシャッター音が飛び交う。フラッシュがめちゃくちゃ眩しい。

平子「大臣!子猫は可愛いですよね?」

酒井「なんだよ何でカメラめちゃくちゃ撮ってんの!?眩しい眩しいフラッシュ焚きすぎだわバカが」

平子「大臣、答えてください」

酒井「なんでこんな意味分かんねえこと答える必要があんの!?」

平子「大臣!」

酒井「うるせえし眩しいわ!止めろ止めて!答えるから!」

一旦止むカメラとライト。

平子「……それで、子猫は」

酒井「子猫は可愛いよ!」

再び連続したシャッター音とフラッシュ。

酒井「眩しいんだよ至近距離で!フラッシュ止めろ!」


5 ◆z.6vDABEMI2019/05/16(木) 00:57:46.75jG093XTQo (5/7)

怒鳴り声で止むシャッターとライト。

平子「それで、我が家の猫が子猫を産んだのですが、どう思いますか?」

酒井「……はぁー……それ答えなきゃだめ?」

どよめく会場。

酒井「あー、はいはい、おめでとう、おめでとう平子さん家!あと猫!」

平子「ありがとうございます。」

酒井「なんだこの会話!」

平子「それで、先程の話に戻るのですが」

酒井「まだこの話続けんの?」

平子「子猫外交をしてはいかがかという話です」

酒井「やんねえよ!?」

平子「ですが、先程は子猫が可愛いと認めましたよね?」

酒井「子猫は!確かに可愛いよ」

平子「でしたら、その可愛さは国境を越えるのでは?」

酒井「……」

平子「外交にも非常に役立つ、有能な外交官として猫を採用する手段もあるのでは……」

酒井「犬派だから!」

平子「……え?」

酒井「俺さぁ!犬派だからさぁ!」

突然の発表にどよめく記者達と、いくつかのシャッター音。

酒井「きみのね?きみの、その子猫外交?いや、実にいい案かもしんないよ?」

酒井「でもまず俺犬派だから、子猫を外交官とかあり得ねーし!」

酒井「あと、仮に可愛い子猫だとしても大人になったらクールビューティーになるからそれはそれでイメージ変わるし!」

平子「なるほど……確かにそうだ」

メモを取る平子。

酒井「なんのメモ取ってんだよ」


6 ◆z.6vDABEMI2019/05/16(木) 01:03:07.98jG093XTQo (6/7)

平子「では、子犬外交だったらあり得ると?」

酒井「いやねーよ!」

平子「!?」

酒井「何驚いてんだ!そんなもんで外交出来んなら最初っからやってんだよ」

平子「ええ……」

酒井「あとあの、あれ、仮に子犬で外交したとして誰が得すんだって話だしね?」

平子「主に大臣が?」

酒井「俺別に犬大好きっこじゃねぇから職場に犬いなくてもいいんだわ!」

平子「なるほど、犬だけに」

酒井「つまんねーこと言ってんじゃねぇぞ!おい、誰か!」

袖の方に叫ぶ酒井。

酒井「誰かこいつつまみ出せ!」

平子「大臣、大臣!どうかもうすこしお話を!」

酒井「うるせぇよ!お前出禁だかんな、二度と来んなよクレイジーピーポー」

平子「クレイジーピーポージャパンです」

酒井「ジャパンの部分にこだわり出してんじゃねーわ!」


すごすごと引き下がり下手にハケる平子。
一瞬の静寂ののち、酒井がけほんと咳払い。


酒井「……えー……すみません、お見苦しいところをお見せしました」

酒井「……」

酒井「……ちなみに、今の子猫外交。うまく行くと思う記者の方は何名ほどいらっしゃいますか?手を挙げてください」

酒井「……」

酒井「……」

酒井「……そうですか、全員ですか……」


暗転。


7 ◆z.6vDABEMI2019/05/16(木) 01:04:38.27jG093XTQo (7/7)

いつかアルピーは政治風刺ネタを作ってくれるんだと信じている(願望)
ちなみにこれは『こういうネタやってくんねえかなぁ』と言う妄想により作られた嘘ネタなので、よろしくでーす

いつのか覚えてないやつ
ロッチ中岡「UFO?何?」

次は……そうね、またなんか思いついた時に。それではララバイ