167 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:32:20.56gM5+0Wds0 (15/34)


ルビィ「あ、そうだ」

千歌「?」


突然何かを思い出したかのようにルビィちゃんが声をあげる。


ルビィ「善子ちゃんから千歌ちゃんに伝言があったんだ」

千歌「伝言?」

ルビィ「『水晶の湖に来い』って言ってた」

千歌「……それだけ?」

ルビィ「うん。会ったら伝えておいてって」

千歌「水晶の湖って……」

 「クリスタルレイクのことロトー」

千歌「うわぁっ!? ろ、ロトム!?」


急にロトムがルビィちゃんの背後から飛び出してくる。


千歌「あ、あれ……? 善子ちゃんと一緒に行ったんじゃ……」

ルビィ「大事な用事があるって、言ってたから……ルビィがロトムを一旦預かってるんだよ」

千歌「そうなんだ……」


でもロトムを置いていったってことは、捕獲とかじゃないんだよね……なんだろ?


千歌「……まあ、いいや。クリスタルレイクってここからすぐ近くの丘の上にあるおっきな湖だよね」

 「そうロトー」

千歌「行ってみれば、わかるよね。出てきて、ムクホーク」
 「ピィィ」

千歌「じゃ、クリスタルレイクに行ってみるね。ありがと、ルビィちゃん」

ルビィ「うん、またね! 千歌ちゃん!」


──手を振るルビィちゃんを尻目に、私はムクホークに乗って、クリスタルレイクへと飛び立ったのだった。





    *    *    *





──クリスタルレイク。

気付けば夕日が差し込む時間。

辺りに夕闇が迫ってくる。

辿り着いてから既に何時間か、善子ちゃんを探しているんだけど……。


千歌「善子ちゃん……どこだろう」


まるで見当たらない。

そろそろ西から差し込んでいる太陽が、山々の影に隠れようとしていた。

大きなオレンジ色の炎が、ゆっくりと大地に沈んでいく。

その光で辺りは燃えるように橙色に色づいていた。



168 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:33:42.01gM5+0Wds0 (16/34)


千歌「綺麗……」


善子ちゃんは見当たらないけど、この景色を見に来たというだけでも、一旦クリスタルレイクに訪れたのはよかったかもしれない。

そんなことを考えていたら──

──すんすんと、


千歌「? ……人の、声?」


女の人がすすり泣くような声が背後から聞こえてくる。

辺りを見回していると、今度は、


 「キィアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」

千歌「!!」


それは泣き叫ぶ声に変わる。


千歌「これって……」


私はこの声に心当たりがあった。

次の瞬間、突然──髪の毛を何かに引っ張られる。


千歌「わったた……」


少し後ろによろけたけど……私は自分の頭の後ろに手を回して、ソレを掴んで、自分の前に持ってくる。


千歌「──久しぶり、ムウマージ」

 「ムマァーージ♪」


そこに居たのはムウマージだった。

そして、それを見計らったかのように、空から声が降って来る。


 「──よくぞ見破ったわね!! とうっ!!」


声と共に、人影が飛び降りてくる。


 「シュタッ!!」


もう誰かなんて考えるまでもなかった。


千歌「善子ちゃん!」

善子「善子じゃないわよ!! ヨハネだって言ってんでしょ!?」


善子ちゃんは今日も絶好調のようだ。


善子「それよりも……よくぞ † 幽寂たる宵闇の魔女 † を察知したわね……さすが、リトルデーモン千歌……」


……一瞬なんの話かと思ったけど、たぶんムウマージのことだと思う。


千歌「そういえば、善子ちゃんと初めて出会ったときも、こんな感じの小高いところだったね」


あのときは見晴らしのいい流星山の頂上から、そして今度はクリスタルレイクのあるこの丘で。



169 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:35:57.00gM5+0Wds0 (17/34)


善子「……そうね。思えば、遠くまで来たもんね、お互い」

千歌「そうだね」


各地のジムを回って、山を越え、森を抜け、大地を駆けて、海を乗り越え、空を飛び……ここまで来た。

自分の旅を思い返しながら、


千歌「それで用事って?」


訊ねる。


善子「くっくっく……よくぞ聞いてくれたわ」


善子ちゃんは、近くを旋回していたドンカラスとムウマージをボールに戻し。

そのまま、一個のモンスターボールを手に持ったまま、私に突きつけてくる。


善子「千歌……バトルしましょう」

千歌「……!」

善子「流星山では結局、途中でうやむやになっちゃったけど、決着ついてないし。もちろん、断ったりしないわよね?」

千歌「うん! トレーナー同士、目が逢ったらバトルするのが礼儀だもんね!」


私も善子ちゃん同様に、ボールを構えた手を前に突き出す。


善子「……お互い手加減なし。ホンキの勝負をしましょう」

千歌「うん、望むところだよ」


お互い突き出したボールがぶつかり──コツンと音が鳴る。

そしてボールを持ったまま、お互いの腕を曲げて交差させる。

内向きになったボールのすぐ向こうに善子ちゃんの顔が見える。

インチキなしのホンキの決闘。この状態からボールを落として、ポケモンが飛び出した瞬間が真剣勝負の開始の合図だ。


善子「……さぁ、サバトを始めましょう……私と同じように † 叡智の端末を扱いし者 † よ……!」


二人同時にボールから手を放し──交差させた腕を解いた。

──バトル……スタート!!





    *    *    *





170 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:37:03.60gM5+0Wds0 (18/34)



──二つのボールが地面に着くと同時に開く。


善子「行くわよ!! † 激流の水蛙-スイア- † ゲッコウガ!!」
 「ゲコガァッ!!!!!」

千歌「バクフーン!!」
 「バクフーーッ!!!!!!」


飛び出したのはバクフーンとゲッコウガ。


善子「千歌なら最初はバクフーンで来ると思ってたわ!! “つじぎり”!!」
 「ゲコガァッ!!!!!」


ゲッコウガが水で作ったクナイを振るってくる。

バクフーンはそこに向かって拳を突き出す。


千歌「“かみなりパンチ”!!」
 「バクフーーーッ!!!!!!!」

 「ゲコガァッ!!!?」


クナイを通じて、バクフーンの拳から流れ出す電流がゲッコウガを襲う。

──と、思ったら、

ゲッコウガは──ボンと音と白煙を立て、気付けばバクフーンが殴ってるのは、可愛らしい人形のようなものに摩り替わっている。


千歌「っ!? “みがわり”!?」
 「バクフッ!!!?」

善子「そんな単調に行くわけないでしょ!! “ハイドロポンプ”!!」

 「ゲコガァッ!!!!!!」


上から鳴き声、と同時に“ハイドロポンプ”が降って来る。

──回避、ダメだ、間に合わない……!!

咄嗟に真上を指差し、


千歌「“かえんほうしゃ”!!」
 「バクフーーーンッ!!!!!!!!」


“かえんほうしゃ”が“ハイドロポンプ”と真っ向からぶつかり合う。

……だけど、炎と水。すぐに“ハイドロポンプ”の勢力が上回り、どんどんバクフーンに迫る。


千歌「フローゼル!!」
 「ゼルルッ!!!!!」


フローゼルを繰り出し、バクフーンの足元に。

フローゼルもバクフーン同様上を向き、


千歌「“ハイドロポンプ”!!!」
 「ゼルルッ!!!!!」


“ハイドロポンプ”で応戦する。


千歌「バクフーンは戻って!!」


そして、役割をフローゼルにタッチしたところで、バクフーンは一旦控えに戻す。


 「ゼルルルルルッ!!!!!!!!」



171 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:37:54.00gM5+0Wds0 (19/34)


次第に上から落ちてくる水が、押し上げられていく。


千歌「よし、押してる!! いけっ!!」
 「ゼルゥゥゥゥ!!!!!!!!」


そのまま、フローゼルの攻撃は降って来る水を完全に押しのけ──空を切った。


 「ゼルッ!!?」
千歌「!? ま、また消えた……!!」


またしても、ゲッコウガは身を隠してしまった。……というか──


千歌「善子ちゃんも消えた……!?」


慌てて周囲を見回す。

するとすぐ近くの湖の水面に──ポコポコと泡が立っている。


千歌「水の中!? フローゼル!!」
 「ゼルッ!!!!!」


水の中に逃げ込んだ善子ちゃんを追って、飛び出したフローゼル──その背後から、青白い炎が一閃して、フローゼルを吹き飛ばした。


 「ゼルゥッ!!!?」

千歌「……!?」


水の中の泡はブラフだ。

すぐさま気付いて、攻撃を仕掛けてきたであろう、シャンデラのいる方に振り返る──


 「──ムバァァアァァァァァ!!!!!!!」

千歌「わあぁぁっ!!!?」


──私のすぐ後ろには気付けば、ムウマージ。

目の前で“おどろかす”をされて、思わず足が縺れる。


善子「──ドンカラス!!」


善子ちゃんの声が──上から聞こえて来た。


千歌「!!?!?」

善子「“ふきとばし”!!!」
 「カァァァーーーー!!!!!!」


上を見上げると、脚に善子ちゃんをぶら下げたまま、ドンカラスが強風を叩き付けてくる。

ただでさえ脚が縺れていた私はそのまま、背後の湖へとお尻から飛び込む形で──


 「──ヒョォォ」

千歌「……っ!!」


これまた、聞き覚えのある鳴き声が背後からしてきて、

私の身体の一部が着水すると同時に、

──ピシリと、湖底の表面が氷漬けになる。



172 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:39:16.27gM5+0Wds0 (20/34)


千歌「ユキメノコ……!!」

善子「……私の方が読みは上手みたいね!!」

千歌「フローゼル!!!」

 「ゼルル!!!!」


先ほど吹っ飛ばされて、水中に飛び込んでいたフローゼルが、湖に張った氷の下を泳ぎながら、私の方に向かってくる。


善子「フローゼルのパワーですぐに壊せるかしらね!? ムウマージ!! “シャドーボール”!!」
 「ムーーマァーーージ!!!!!!!!!」


迫る“シャドーボール”。


千歌「壊せるよ!! やるのはフローゼルじゃないけど!!」
 「ゼルッ!!!」

善子「……!?」


凍ってるのは湖の表面10cmくらいだけ、

なら、下半身のほとんどは水の中だ、


 「ゼルッ!!!」


フローゼルが水中で私の腰についているボールの開閉スイッチを押し込む。


千歌「ルガルガン!! “ドリルライナー”!!」
 「ワォンッ!!!!!!」


ルガルガンが回転し、氷を掘削しながら、飛び出す。

自分の身体をホールドしていた氷が砕け、自由になったと同時に、私は氷の上を転がり、

そこに出来た穴から頭を出したフローゼルへの指示、


千歌「“ねっとう”!!」

 「ゼルルーーー!!!!!!」


フローゼルが口から噴き出した“ねっとう”が“シャドーボール”と衝突し蒸気が周囲を覆う。


千歌「……っ」


すぐに体勢を立て直して、上空の蒸気の先に居る善子ちゃんへと、視線を移す。


善子「上ばっか見てると、足元すくわれるわよ?」

 「──ゼルゥッ!!!!?」

千歌「……!?」


水上に顔を出していた、フローゼルが急に真上に吹き飛ばされる。

慌てて、視線を戻すと、波がうねる様にしてフローゼルを追い出していた。


千歌「“なみのり”!?」


波を発生させる攻撃──やっぱり、ゲッコウガは水の中に潜ってたんだ……!!



173 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:40:23.62gM5+0Wds0 (21/34)


善子「──今度は下ばっか見て、田舎者丸出しね」

 「ギャゥッ!!!?」

千歌「……っ!!」


今度は上から、シャンデラの炎がルガルガンに直撃する。

──不味い、翻弄されてる……!!


善子「早くもチェックかしらね……!!」


……善子ちゃんの言動に惑わされるな。

相手はこっちを翻弄するために、わざと声を掛けて視線を誘導してる。

なら……。


千歌「ルカリオ!!」
 「グゥォッ!!!!!」


ルカリオを繰り出し、私は──


千歌「……すぅ………………────はぁ……」


一旦、目を閉じて深呼吸。


善子「……っ!! 敵の目の前で目を瞑るって……舐めてるのっ!?」


集中しろ、感覚を研ぎ澄ませ、音をよく聴け──。

──ゴォォ。これは火炎の迫る音だ。

目を開くと同時に指差す。


千歌「そこ」
 「グゥォッ!!!!!!」


ルカリオが“しんくうは”を発生させて、シャンデラの炎を掻き消す。


善子「はぁ!?」


──まだ、気を抜くな。

全身の神経を集中しろ。

足元、氷の下から、僅かに振動を感じる。


千歌「そこの氷の下っ!! ルカリオ、“はっけい”!!」
 「グゥァッ!!!!!!!」


ルカリオが近くの氷の床に両手を付いて、水中に向かって衝撃を発生させる。

──数秒置いて、

──バキリッ、と音を立てて氷が割れる。


 「グゥォッ!!!!」


私はルカリオに抱えられたまま、割れた部分から、逃げるように離脱する。

そして、その直後、


 「ゲコ……ガ……」



174 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:41:16.62gM5+0Wds0 (22/34)


割れた氷の穴からゲッコウガが戦闘不能になって、浮かんでくる。


千歌「やった……!!」


氷の上から貫通する波導攻撃が成功したようだった。


善子「シャンデラ!! “れんごく”!! ユキメノコ!! “れいとうビーム”」

 「シャンデラァーーーーッ」 「──ヒョォォォ!!!!!」

千歌「……!!」


どうやら、休んでる暇はない。


千歌「バクフーン!!」
 「バクフッ!!!!!」


再びバクフーンを繰り出し、


千歌「“かえんほうしゃ”!! フローゼル!! “うずしお”!!」
 「バクフーッ!!!!!」 「ゼルルルッ!!!!!!」


バクフーンは後方のユキメノコへ、体勢を立て直したフローゼルは先ほどルカリオが割り砕いた穴から水を巻き上げて、“れんごく”に応戦する。


千歌「大丈夫!! この状況なら、打ち合える!!」


氷に炎、炎に水。

最初とは打って変わって有利な打ち合いに持ち込めた……!!

と思った瞬間──


 「────–ਊ‡å—å̷̶̷̧̢̛̖̺͈̖̫̗̘̙̤̙̆̊̌̉̊̈͝͡æ̬̬̩͈̜̓̓̅̊͡カ̧̛̩̹̫̺̩̓ͣ̕͡ァ̨̞̼̗̤̽̂̄Œ–ã '」

千歌「っ゛!!?」


突然、身の毛もよだつような、歌声が響いてきて、耳を塞ぐ。


千歌「な、に゛……この、う゛た……っ!?」


顔をあげると、ムウマージが楽しげに歌っている姿。


善子「仲良く滅びましょう」


善子ちゃんも同様に顔を顰めて、耳を塞ぎながら、言葉を投げかけてくる。

……もしかして、


千歌「“ほろびのうた”……っ゛……!?」


場に出ている全てのポケモンを数刻後に戦闘不能にする、道連れ技だ。


千歌「み、みんな!! 一旦ボールに……!!」

善子「させるか!! “くろいまなざし”!! “とうせんぼう”!! “ほのおのうず”!!」
  「────」「──ヒョォォオ!!!!!」 「シャンディィィィ!!!!!!!」

 「ワォンッ!!!?」 「ゼルッ!!!!」 「バクフーンッ!!!!!!」



175 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:48:17.91gM5+0Wds0 (23/34)


それぞれ、上空のドンカラスの“くろいまなざし”がルガルガンに、フローゼルにはユキメノコが抱きつくような形で動きを止める。バクフーンは周囲に炎が渦巻き、動きを制限される。

──全て交代を封じる技だ。


千歌「ルカリオだけでも、戻って!!」
 「グゥォ──」


不幸中の幸いか、私のすぐ傍に居たルカリオだけは、私自身が敵からの影になって、拘束技を受けずに済んだようだ。


善子「……っち、一匹逃がしたか」


善子ちゃんがそう言いながら、私の居る氷の上に飛び降りてくる。恐らくドンカラスが数刻後に戦闘不能になるからだろう。

その間も不気味な歌は響き続けているし、その行動は即ち、止める気がないということだ。


千歌「唄を止めればいいんでしょ……!! ムクホーク!!」
 「ピィィィ!!!!!!!」


ボールから飛び出したムクホークが、ムウマージに向かって一直線に突っ込む。


千歌「“ブレイブバード”!!!」
 「ピィィィィィ!!!!!!!!!!」


唄に夢中なムウマージは猛進するムクバードの攻撃を避けることは出来ない……!!


善子「……読み通り」

千歌「!?」


善子ちゃんがニヤっと笑った。

そして、ムウマージを見て、ゾッとする。

ムウマージは全身に黒い闇のようなものを背負っている状態で、攻撃を待ち構えている。それだけじゃない、ムウマージが──


千歌「──唄って、ない……!?」


でも、尚も不気味な唄は響いている。


 「ピィィィィィ!!!!!!!!!」


ムクバードの一撃がムウマージを捉える。

──と同時に、


 「ムマァ……」
 「ピッ……ッ!!!!!」


ムウマージの闇がムクホークを巻き込むようにして拡がり、二匹は同時に地に落ちた。


千歌「え、あ……え、え……!?」


倒したのはこっちのはずだった。なのにムクホークもダウンし、しかも唄ってたはずのムウマージを倒しても“ほろびのうた”が止まらない……。

…………?


千歌「──あ、ちが……!? “くろいまなざし”、標的!? え、バクフーン!?」


仕掛けはわかったが、突然のことに頭が追いつかず、完全にてんぱってしまう。

咄嗟に目線を配ったバクフーンは“ほのおのうず”を食らっている。



176 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:51:03.03gM5+0Wds0 (24/34)


千歌「ち、ちがっ──」

善子「残念、“くろいまなざし”を受けたのは……ルガルガンよ」

千歌「……ぁ」

 「ワゥ……」


ルガルガンが膝を折る。──時間だった。


善子「なんだかんだで気付いたのはさすが。でも、タッチの差だったわね」

 「バクフ……」 「ゼルゥ……ッ」

 「──ヒョォォ……」 「シャンディィ……」


そして、バクフーン、フローゼル。善子ちゃんのユキメノコ、シャンデラも倒れ。


 「カァカァ……ッ」


戦闘不能になったドンカラスも落ちてくる。

その際、ドンカラスは一瞬、私の方を見て、してやったりという顔をしていた。


千歌「……“ほろびのうた”を唄ってたのは……ムウマージじゃなかった。あれは……私を欺くための、口パク」

善子「ふふ、正解。本当に“ほろびのうた”を唄ってたのは、ドンカラスよ」


“くろいまなざし”も私が勝手に動けるドンカラスが使ったんだと思い込んでた……本当はムウマージが使っていたんだ。


善子「“くろいまなざし”のキャッチは使ってるポケモンが戦闘不能になったら、効果が切れちゃうから……もっと判断が早ければルガルガンは助かったかもしれないわね」

千歌「……っ」

善子「でも、わざわざムウマージをムクホークで狙ってくれたのは僥倖だったわ。“みちずれ”で更にもう一匹戦闘不能に出来た。……って言っても、他のポケモンたちは満足に身動きがとれなかったものね」

千歌「…………」


落ち着け……。善子ちゃんは元々トリックプレイを得意としている。

それはここまで一緒に戦ってきた中でも、ずっと見てきたことだ。

私を動揺させるために、わざわざ私のプレイミスを解説してるんだ。

実際、私は完全に善子ちゃんの発言に惑わされて、4匹を相討ちに持ち込まれた。

真っ向から、戦ってたら、また何を仕掛けられるか……。


善子「アブソル」
 「ソル…」


善子ちゃんは最後の手持ち──アブソルを繰り出す。


善子「千歌、ルカリオを出しなさい。最後はお互い、エースでぶつかり合いましょう」

千歌「…………」


どう考えても、この挑発には乗るべきじゃない。


千歌「行くよ、しいたけ!」
 「ワッフッ!!!!」

善子「……フラレちゃったわね。まあ、いいわ。……アブソル、メガシンカ!!」
 「ソルッ!!!!」


善子ちゃんのメガロザリオが光り輝き、呼応するようにアブソルが光に包まれる。



177 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:52:19.91gM5+0Wds0 (25/34)


千歌「しいたけ!! “ずつき”!!」
 「ワフッ!!!!」


メガシンカの一瞬の隙に倒しきるしかない……!!

私の指示でしいたけが飛び出して、アブソルに“ずつき”をかます。


 「ワフッ!!!!」


頭を前に突き出しての突撃。

──ガスッ

鈍い音、


千歌「ヒットした……!! 畳み掛けて、しいた──」

善子「“カウンター”!!」
 「ソォルッ!!!!」

千歌「!?」


アブソルは“ずつき”の衝撃の反動を利用して身を捻りながら、尻尾を叩き付けてくる。

綺麗な“カウンター”だった。


 「ワォッ!!!!!!?」


自分の攻撃を倍返しにされて、後ずさる。


千歌「い、いったん引いて……!!」

善子「“ダメおし”!!」
 「ソルッ!!!!」

千歌「……っ」


だが、善子ちゃんは逃げることを許さない。アブソルが追撃しに前に出てくる。

なら……!


千歌「ガード!! “まもる”!!」
 「ワフッ!!!」


しいたけは“ファーコート”で攻撃を受け止める姿勢を取る。

守りに徹した防御なら、確実にこっちに軍杯が挙がる。


 「ソォル!!!!」


アブソルの追撃の“ずつき”が──しいたけのすぐ目の前を空振る。


千歌「へ……?」


思わず間抜けな声が出た──が、

この攻撃はそもそも“ずつき”じゃなかった。


 「ギャゥッ!!?」

千歌「……!?」


アブソルの、頭が空振り──追いついてくるように振りかぶられた頭の刃がしいたけを一閃する。

──これは“フェイント”だ。



178 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:53:34.99gM5+0Wds0 (26/34)


善子「“まもる”対策くらいしてるわよ」

千歌「っ……!! しいたけ!!」


やっぱり、前に出るしか……!!


千歌「“かみつ──」

善子「“ふいうち”!!」
 「ソルッ!!!!!」

 「ワォンッ!!!!」
千歌「!!」


“かみつく”より前に決まる先制技、“ふいうち”。


千歌「ぐ……!! “つぶらなひとみ”!!」
 「クゥーン…」


なら、攻撃力を下げる先制補助技……!!


 「ワ、ワッフッ」


なのに、何故か逆にしいたけが怯まされる。


千歌「な!? なんで!?」

善子「メガアブソルの特性は“マジックミラー”よ。補助技は全て反射される」

千歌「っ……“コットンガード”!!」


苦し紛れの防御択。でも、時間稼ぎくらいには──


 「ワ、ワォ」


だが技が出ない。


千歌「!!?」

善子「“ちょうはつ”よ」

千歌「ぅ……」


また読まれてる。変化技を封じられた。

なら、防ぎようのない技で……!!


千歌「“ハイパーボ──」

善子「“さきどり”!!」
 「ソォォォォォォルッ!!!!!!!!」

千歌「うわっ!!!?」
 「ワォッ!!!!!」


私としいたけは“さきどり”で奪われた、“ハイパーボイス”の音圧で後ろに吹き飛ばされる。


千歌「くっそ……“とんぼがえり”!!」
 「ワゥッ!!!!」


しいたけじゃ、善子ちゃんのアブソルには対抗しきれない。

ここは一旦戻すしかない……。

しいたけは飛び掛かりはしたものの、



179 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:55:08.34gM5+0Wds0 (27/34)


 「ソルッ!!!!」


完全にペースを掴まれている今、アブソルには完全に攻撃を見切られていた。

爪を立てて、飛び掛かるしいたけを、アブソルは頭の刃で弾き返す。


 「ワフッ」


その反動でしいたけがボールに戻ってきて、吸い込まれ──ようとしたところに、


 「…ソル」

 「ワ、ワゥ…」


気付けば、アブソルの攻撃が突き刺さっていた。


千歌「……う、うそ……」

善子「“おいうち”。ボールに戻る相手を確実にしとめる技よ」

 「ワゥ……」


ボールに戻ることも許されずしいたけは崩れ落ちる。


千歌「っ……」

善子「さ、ルカリオを出しなさい」


善子ちゃんの言う通りにしたら、また足元を掬われる……だけど、


善子「出さないの? 降参?」

千歌「ル、ルカリオ!!」
 「──グゥォッ!!!!」


もう手持ちはルカリオのみ。出すしかない。


千歌「メガシンカ!!」
 「グゥォッ!!!!!」


ボールから出すと共に、私のメガバレッタの光と反応して、ルカリオがメガルカリオへと姿を変える。

……だけど、


千歌「……っ」

善子「……攻撃してこないの?」


──動けない。

ことごとく全ての攻撃を読まれて、反撃された経験が刷り込まれてしまっている。

考えても考えても、アブソルを倒せるビジョンが想像出来ない。


善子「……勝負あったわね」

千歌「……なっ」

善子「ルカリオ、どんどんオーラが小さくなっててるわよ」

千歌「……!」


言われてルカリオを見ると、ルカリオの周囲の波導のオーラがどんどん弱くなっていく。



180 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:56:16.71gM5+0Wds0 (28/34)


千歌「ル、ルカリオ、しっかりして──」

善子「──ルカリオは」


善子ちゃんが口を挟んでくる。


善子「トレーナーの戦意に呼応して、波導を増すんでしょ?」

千歌「……っ!!」


……つまり、


善子「ルカリオのせいじゃなくて……千歌、あんたが諦めてるだけよ」

千歌「……ぅ……」


図星だった。

いや、これも全て善子ちゃんの術中なのかもしれない。

どうにか考えろ、何か方法があるはずだ、何か……。

──でも、何を考えても、倒す術が思いつかない。


善子「……アブソル」
 「ソルッ」


アブソルの周囲に空気の渦が発生する。最大の攻撃の予兆。

避ける……? 無理だ、何度も見た技だけど、とてもじゃないけど、この距離で避けきれるスピードじゃない。


千歌「……一点読みきって、相殺するしかない……っ」
 「グゥォッ!!!!」


ルカリオが構える。

已然オーラは弱々しい。

でもやるしかない。


善子「……チェックメイトね。──“かまいたち”!!」
 「ソォォルッ!!!!!!」


アブソルが頭の刃を振るう。

巨大な空気の刃が飛んでくる。

── 一点!! 一点を見極めて──。


千歌「そ、そこ、いやちが……っ」


そこで気が付いた。

もう詰んでたんだと。

こんな気が動転した状態で、必殺の一撃が打てるような集中力を確保出来るはずもなかった。


千歌「……っ……ごめん、ルカリオ……っ」


私はもう……謝るしかなかった──。

巨大な空刃を真っ向から受けてルカリオは倒れて──。



181 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:58:26.96gM5+0Wds0 (29/34)


 「……グゥォッ!!!!!」

千歌「え……」

善子「な……」


──倒れていなかった。


千歌「…………」


これは善子ちゃんも予想外だったようだ。

……いや、私もだった。


 「グゥォッ!!!!!」

千歌「!!」


ルカリオが鳴き声をあげる。

ルカリオはもうボロボロだった。

普段はオーラの力で攻撃を受け流し、どんなに強大な攻撃も私と力を合わせて粉砕してきたが……。

私がオーラを弱めてしまったせいで、いつものような防御も出来ず、鋼鉄の爪も、今の一撃を受けて、折られてしまった。

……でも、


善子「なんで立ってるのよ……!!」


なんで? ……なんでって、


千歌「……そうだよね」
 「グゥォ」

千歌「ずっと一緒に戦ってきて……ルカリオも強くなってきたんだもんね」
 「グゥォ」


例え相手が自分より強大であっても、打ち負けないように、逞しく。


千歌「一緒に戦って、一緒に修行して、一緒に鍛えて、一緒に考えて、一緒に負けて……そして、一緒に勝って来た」
 「グゥォ!!!」


そうだ……ただ、それだけのことだったんだ。


善子「ア、アブソル!! もう一発よ!!」
 「ソルッ」

千歌「ずっと一緒に戦って、経験して……強くなったんだ、技も、体も、心も……!!」
 「グゥォッ!!!!!」


そうだ。

いくら、相手に先読みされて、技が潰されようが、

いくら、相手が強力な技を使ってこようが、


千歌「私たちが積み上げてきた、経験が……なくなるわけじゃない!!」
 「グゥォッ!!!!!!!!!!!」


ルカリオのオーラが一気に膨れ上がる。


善子「っ!?」

千歌「相手がどんなに強くても、自分より頭が良くても、私は──私たちは、自分たちが経験して、身に付けた技を、強さを信じて戦うだけなんだ!!! 自信なんて……それだけあれば十分だッ!!!!!」
 「グゥォッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



182 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 12:59:11.41gM5+0Wds0 (30/34)


更にオーラが膨れ上がる。


千歌「私たちはいつだって……そうしてきたっ!!!!」
 「グゥォッ!!!!!!!!!!!!!」


ルカリオが構える。

私も──構えた。


善子「っ……!! アブソル!!! “かまいたち”!!!」
 「ソォォォォォルッ!!!!!!!!!!!!!!!」


アブソルから、放たれた巨大な空刃が、迫る。


千歌「負けたら……また勝てるように頑張ればいい。負けたときのことなんて、今考えなくていいよね」
 「グゥォ」


ルカリオが頷く。


千歌「うん」


私も頷いた。


千歌「……波導の力を斬撃に──!!!」


気合いの掛け声と共に、


千歌「──“いあいぎり”!!!!!」
 「──グゥゥォッ!!!!!!!!!!!」


── 一閃した。





183 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 13:01:17.58gM5+0Wds0 (31/34)



    *    *    *





善子「──……月、綺麗ね」

千歌「……そうだね」


私たちは湖に浮かんだまま仰向けになって、月を眺めていた。

湖に張った氷が、真っ二つに割れ、私たちは辺りに氷の破片が浮かぶ湖を漂っていた。

そして、近くを漂う大人一人が乗れるくらいのやや大きめ氷の上で──


 「ソル……」


倒れているアブソルと、


 「グゥォッ」


未だ立ったままのルカリオが、居た。


善子「土壇場で自信取り戻してるんじゃないわよ……」

千歌「……なんというかさ」

善子「……なによ」

千歌「やっぱり、私たちって一人で戦ってるんじゃないんだなって」

善子「…………」

千歌「私たちがポケモンの目になって、的確に指示して、ポケモンたちを導くみたいにさ。……私たちが自信をなくしちゃったときは、ポケモンたちが大丈夫だよって、信じてくれって、そういう気持ちを伝えて、支えてくれるんだなって」

善子「…………あー、やっぱ千歌には勝てないわ」

千歌「やっと気付いた?」

善子「調子乗んじゃないわよ……さっきまで自信喪失してたくせに」

千歌「ふふ……善子ちゃん」

善子「……なに?」

千歌「ありがと」

善子「……なによ、勝者の余裕?」

千歌「私、ちょっと自信過剰なところあるからさ……このバトルで、なんかちょっと反省出来た気がする」

善子「……はぁー、もー……勘弁してよ……ここで反省とか、どこまで強くなる気なのよ……」

千歌「……どこまでも、かな。仲間と一緒に、どこまでも強くなるよ」

善子「……そっか」

千歌「うん」


──ちゃぷ。善子ちゃんの方から水音。



184 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 13:01:59.76gM5+0Wds0 (32/34)


善子「……千歌」


気付けば、善子ちゃんが近くまで泳いできていた。


千歌「んー……?」


そして、手を繋いでくる。

二人して、並んで月を見上げる。


善子「……一回しか言わないからね」


善子ちゃんは照れくさそうな声で、


善子「……私と出会って、旅して、戦ってくれて……ありがと。……本当に楽しかった」


そう言った。


善子「なんか負けたのに清々しい気持ちだわ……」

千歌「えへへ……うん。私も最高に楽しいバトルだったよ」

善子「そ……」


私たちは二人でぼんやりと、仰向けに湖に浮かびながら、空を仰ぐ。

満点の星空と、綺麗な月を眺め、光り輝く湖に浮かびながら。


千歌「月……綺麗だね」

善子「……ホントにね」


ただ、ぼんやり……。戦いの余韻に浸りながら、夜空を、眺めているのだった。





185 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 13:02:52.91gM5+0Wds0 (33/34)



>レポート

 ここまでの ぼうけんを
 レポートに きろくしますか?

 ポケモンレポートに かこんでいます
 でんげんを きらないでください...


【クリスタルレイク】
 口================= 口
  ||.  |⊂⊃                 _回../||
  ||.  |o|_____.    回     | ⊂⊃|  ||
  ||.  回____  |    | |     |__|  ̄   ||
  ||.  | |       回 __| |__/ :     ||
  ||. ⊂⊃      | ●        |‥・     ||
  ||.  | |.      | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\     ||
  ||.  | |.      | |           |     ||
  ||.  | |____| |____    /      ||
  ||.  | ____ 回__o_.回‥‥‥ :o  ||
  ||.  | |      | |  _.    /      :   ||
  ||.  回     . |_回o |     |        :   ||
  ||.  | |          ̄    |.       :  ||
  ||.  | |        .__    \      :  ||
  ||.  | ○._  __|⊂⊃|___|.    :  ||
  ||.  |___回○__.回_  _|‥‥‥:  ||
  ||.      /.         回 .|     回  ||
  ||.   _/       o‥| |  |        ||
  ||.  /             | |  |        ||
  ||./              o回/         ||
 口=================口

 主人公 千歌
 手持ち バクフーン♂ Lv.56  特性:もうか 性格:おくびょう 個性:のんびりするのがすき
      トリミアン♀ Lv.51 特性:ファーコート 性格:のうてんき 個性:ひるねをよくする
      ムクホーク♂ Lv.56 特性:すてみ 性格:いじっぱり 個性:あばれることがすき
      ルガルガン♂ Lv.53 特性:かたいツメ 性格:わんぱく 個性:こうきしんがつよい
      ルカリオ♂ Lv.61 特性:せいぎのこころ 性格:ようき 個性:ものおとにびんかん
      フローゼル♀ Lv.52 特性:すいすい 性格:ゆうかん 個性:ものおとにびんかん
 バッジ 7個 図鑑 見つけた数:164匹 捕まえた数:15匹

 主人公 善子
 手持ち ゲッコウガ♂ Lv.53 特性:げきりゅう 性格:しんちょう 個性:まけずぎらい
      ドンカラス♀ Lv.57 特性:じしんかじょう 性格:わんぱく 個性:まけんきがつよい
      ムウマージ♀ Lv.52 特性:ふゆう 性格:なまいき 個性:イタズラがすき
      シャンデラ♀ Lv.52 特性:もらいび 性格:れいせい 個性:ぬけめがない
      ユキメノコ♀ Lv.50 特性:ゆきがくれ 性格:おくびょう 個性:こうきしんがつよい
      アブソル♂ Lv.61 特性:せいぎのこころ 性格:ゆうかん 個性:ものおとにびんかん
 バッジ 1個 図鑑 見つけた数:178匹 捕まえた数:88匹


 千歌と 善子は
 レポートを しっかり かきのこした!

...To be continued.






186 ◆tdNJrUZxQg2019/05/14(火) 23:58:31.77gM5+0Wds0 (34/34)


■Chapter080 『開催! フソウうつくしさコンテスト!』 【SIDE You】





ことり「──飛行手段が欲しい?」


ことりさんは私の言葉に首を傾げる。


曜「うん。前々から思ってたんだけど……ずっと誰かに相乗りさせてもらうばっかじゃよくないなって思って」


──グレイブ団事変から、数週間。

やっと地方内も落ち着きを取り戻してきて、明日からフソウタウンにてうつくしさコンテストが再開する。

今はそんなフソウタウンに向かうための荷造りをしている真っ最中だ。


曜「せめて、普段の移動くらい自分で自由に出来た方がいいかなって……」

ことり「……確かにそれはそうだけど……。曜ちゃんの手持ちってもう6匹居るよね? 誰か控えに回すの?」

曜「う……確かに……」


私の手持ちはカメックス、ラプラス、ホエルオー、ダダリン、カイリキー、タマンタで6匹埋まっている。

誰かを控えに回そうにも、自分の中でこの6匹がしっくり来てるため、今更誰かを控えにと言われると少し困ってしまう。


曜「7匹持つとかは~……?」

ことり「……別にダメなわけじゃないけど……ことりはあんまり好きじゃないかなぁ」

曜「……そもそも、なんで持ち歩くポケモンって6匹なの……?」


慣習的に6匹を連れ歩くし、フルバトルと言えば6匹。リーグの公式戦でも6匹から3匹を選んだりと、何かと6匹と言うことにこだわりを感じる。

だけど、何故? と言うことを考えると、なんで6匹なのかはよくわからない。


ことり「んー……理由はいろいろあるんだけど……トレーナーが一度に把握出来る手持ちが大体6匹くらいだからかな」

曜「把握できる……?」

ことり「一度に指示が出来る限界点とか……あとはポケモンのコンディションに回せる気とかね。ボールの中はある程度快適だけど、やっぱり入れたまま連れ歩いてるのに外に出さないままって言うのはポケモンにとってすごいストレスだし……」

曜「言われてみれば……」


──外に出さないままなのはストレス。

そういえば、梨子ちゃんと戦ったときも、それがことりさんが難色を示してた原因の一つだったんだっけ……。


ことり「あとは、そうだね……やっぱりあんまり多く連れ歩くと、愛情を注ぎきれなくなっちゃうことが大きいと思うかな。ポケモンは道具じゃない。仲間だったり、友達だったり、家族だから……人それぞれではあるけど、利便の為に手持ちを決めるのはあんまり褒められたことじゃないかな」

曜「……まあ、そうだよね」


そうなると……やはり、誰かを控えに送るしかない。


曜「……むむむむ……」

ことり「……あ、そうだ!」

曜「?」


ことりさんは何かを思い出したかのように手を打って、部屋の中の棚を探り出す。


ことり「……えっと……確かここにあった気が……」

曜「……?」

ことり「……あ、あった!」



187 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:00:12.21YHpk3Rh50 (1/102)


そう言ってことりさんが取り出したものは──


曜「……笛?」


ことりさんが手に持っていたものは、少し不思議な形をした笛だった。


ことり「うん♪」





    *    *    *





──セキレイタウン東。9番道路。


ことり「それじゃ、教えた通りに吹いてみて」

曜「う、うん!」


私はことりさんから貰った笛に口を付けて──吹く。


──ミャーー。ミャーーー。


笛の音に似つかわしくない気の抜ける音が鳴る。

……が、しばらくすると、


 「ミャーー、ミャーー」「ミャーーー」「ミャーーー」

曜「……! 来た!」


キャモメたちの大群がその音を聞きつけて飛んで来る。


ことり「キャモメさんたち、こんにちは」

 「ミャーー」「ミャーーー」


キャモメたちは私たちの頭や肩に次々と留まって来る。

その際、ポケットから鳥ポケモン用の餌を取り出して、食べさせてあげる。


 「ミャーー」「ミャーーー」

曜「ちょっと……お手伝いしてもらってもいいかな?」
 「ミャーーー」「ミャーーーー」


キャモメたちが鳴きながら頭を縦に振る。


曜「それじゃ……ちょっとごめんね」


私はそういいながら、キャモメたちの脚に丈夫な紐を括り付ける。

その紐の逆端には、ハンモックのような構造で布で出来た腰をかけるスペースが作られている。


曜「……よっし。それじゃ……」



188 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:01:40.24YHpk3Rh50 (2/102)


私は再び、笛に口を付ける。

──ミャァーー。ミャァーーー。

気の抜ける音と共に……。

キャモメたちが空を飛び──身体が宙に浮き始める。


曜「わっ! ほ、ホントに飛んでる……!!」

ことり「えへへ、うまくいったね♪」

曜「うん!」


──ことりさんから渡されたものは、鳥笛だった。

鳥ポケモンの鳴き声を模した音が鳴り、鳥ポケモンとのコミュケーションが出来るというものだ。

今回ことりさんから貰ったのはキャモメの鳥笛。

野生のキャモメたちを集めて、餌をあげる。その代わりに運んでもらおうと言う話だった。


ことり「キャモメなら、地方中だいたいどこにでもいるし……餌はわたしが調合した特製のもの。あとで作り方教えるね」

曜「うん!」


あとは鳥笛を吹きながら、うまく指示を出して運んでもらう。

それなりに高度を増してくると、後ろからことりさんがいつものようにチルタリスと一緒に飛行して追いかけてくる。


ことり「これなら、手持ちの枠を圧迫せずに“そらをとぶ”が使えるね」

曜「うん! ことりさん、ありがとう!」

ことり「ふふ、どういたしまして♪」


一部地域では、このようにポケモンを呼び出して移動の手助けをしてもらう、ポケモンライドと言う文化があるらしい。

これはそれに近いことのようだ。

何はともあれ……これで、私も普段の移動に限り、自分だけで飛行する手段を得ることが出来た。


曜「よーーっし!! キャモメたち、全速前進!! ヨーソロー!!」
 「ミャーーー」「ミャーーー」「ミャァー」


私たちは、空を飛びながら、フソウタウンへ向かいます。





    *    *    *





──フソウタウン。

旅立ちの後、初めて訪れたこの町は、もはやなんだか懐かしいとさえ感じる。

私のコンテストの始まりの場所だ。


ことり「わたしが曜ちゃんと出会ったのも、この町だったね」

曜「うん。……なんかもうすごい前のことみたい」



189 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:03:44.79YHpk3Rh50 (3/102)


ことりさんと会話を交わしながら、会場に足を踏み入れる。

初めて来たとき、このエントランスであんじゅさんと偶然出会って。

会場の中で志満姉と遭遇して、絵里さんのパフォーマンスに魅了されて。

そして、ことりさんと出会ったんだ。

フソウでのビギナー大会から、コメコたくましさ大会、ダリアかしこさ大会、サニーかっこよさ大会、セキレイかわいさ大会を制覇して、


曜「……いよいよ、最後の部門だ」


ここ、フソウ会場に帰ってきた。フソウうつくしさ大会。

そして、今日この場で、私は乗り越えなくちゃいけない。

始まりのきっかけになった、壁を──。

受付に向かうと、そこには人だかりが出来ていた。

その中央に居るのは──金髪で長身の美女。


ことり「絵里ちゃん」

絵里「? あら、ことり。久しぶりね」


コンテストのスターが二人も同時に現われ、オーディエンスたちが少々ざわつく。


絵里「今日はどうしたの? あなたはもうグランドフェスティバル内定でしょ?」

ことり「うん。今日は私のお弟子さんの応援だよ」

絵里「弟子……?」


絵里さんはそう言って視線を揺らす。

すぐに、ことりさんの近くに居た私の姿を認めたようで、


絵里「あなた……もしかして、飛空挺に乗り込んでいた図鑑所有者の子?」

曜「! は、はい! 曜であります!」


思わず緊張して、背筋が伸びる。


絵里「曜さん……。そう、あなたが……。亜里沙から話を聞いたわ。妹がお世話になったみたいね」

曜「お、お世話なんてそんな……」

絵里「でも、私は亜里沙のようにはいかないからね」

曜「!」


……絵里さんは憧れの人だ。

だけど、同時に──今日はライバルなんだ。


絵里「あなた、ここまで4部門をストレートで制覇してきたと聞いてるわ。さすがことりの弟子……と言ったところだけど」

曜「……私は」

絵里「?」

曜「私はグランドフェスティバルに出場します。最後の一枠に入るのは、私です」


私は何故だか、そう口にしていた。


ことり「……!」


そんな私を見て、ことりさんが驚いたように目を見開く。



190 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:05:58.75YHpk3Rh50 (4/102)


絵里「……宣戦布告ってことね。まあ、私もこれから5回は連続で優勝しないといけないから──」

曜「今日勝ちます」

絵里「……! ……嫌いじゃないわ。そういう姿勢」


絵里さんはそう言って手を差し出してくる。


絵里「お互い、良いコンテストライブにしましょう」

曜「はい!」


私も答えるように、手を握り握手を交わす。

氷のように冷たい絵里さんの手だけど、籠められた力から熱意や闘志を感じた。


絵里「……それじゃ、私は先に楽屋に行ってるから」


そう言って絵里さんは受付の先に消えていった。

絵里さんがいなくなった会場内。

私の宣戦布告に周りの人たちがざわついていたが……。

しばらく固まったままだった私を見て、徐々にその場を離れて行く。

一方、私は──


曜「…………やってしまった……」


頭を抱えていた。

つい勢いで宣戦布告してしまった。

グランドフェスティバルに出場するのは自分だ。今日勝ちますって……。

失礼にも程があるでしょ……。


ことり「曜ちゃん」

曜「ぅ……ことりさん」

ことり「頭抱えてる場合じゃないよ? ノーマルランクのエントリー済ませて、優勝しないと」

曜「…………よーそろ」


ことりさんに言われて、受付でぱぱっとノーマルランクの受付を済ませてしまう。

まあ、しかし。毎度のことながら、ノーマルランクでてこずるわけにはいかない。

目的はこのランクの上なわけだし。

受付を終えて、戻ってきた私に、ことりさんがさっきの続きを話し始める。


ことり「……ホントは、絵里ちゃんの言う通り、これから数回のうちにどこかで勝ちの目を掴めればいいと思ってたんだけど……」


確かに、ことりさんのプランでは最初からそういう話だった。

ここで苦戦するだろうから、ここまでを最短で抜けてきたんだ。

でも……。


曜「うぅん……それじゃダメなんだ」

ことり「……どうして?」

曜「私、ことりさんとホンキで戦いたい」


私のことを、一番近くで見て、一番近くで鍛えて、一番近くで育ててくれた、この人と。



191 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:06:56.31YHpk3Rh50 (5/102)


曜「そのためには……真っ直ぐことりさんのところに追いつかなくちゃ」


足踏みしてる場合じゃないんだ。


ことり「ふふ、そっか」


ことりさんは笑いながら、私の背中をぽんぽんと叩く。


ことり「言うようになったね、曜ちゃん」


全力で駆け上がってきたステージ。

ことりさんが傍で見守って、鍛えてくれたから、ここまで来れた。

なら、その恩返しは──きっと、同じステージで戦うことだ。


ことり「なら……行っておいで。グランドフェスティバルで待ってるから」

曜「……勝ってくるね……!」


こうして私は、最後の部門──フソウうつくしさ大会へと臨む……。





    *    *    *





──数時間後、ウルトラランク会場内。


あんじゅ「ことり、来たわね」

ことり「あんじゅちゃん、久しぶり」

あんじゅ「……ホントにここまで一直線であがってくるとはね」


関係者席から、ステージを見つめるあんじゅちゃんはそう言う。


あんじゅ「ことりのプロデュース力には、脱帽ね……」

ことり「うぅん、違うよ。これは曜ちゃんの力だよ」

あんじゅ「……ふーん」

ことり「ステージを見てればわかるよ」

あんじゅ「……わたしたちと同じグランドフェスティバルに出場する人間に相応しいか、お手並み拝見といきましょうか」


徐々に会場が暗転していく……大会の始まりだ。





    *    *    *





192 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:07:48.24YHpk3Rh50 (6/102)



──大会開始直前。

舞台袖。

暗転が始まり、コンテストライブのステージが始まろうと言うとき、


絵里「……ふふ」


すぐ近くに居た絵里さんから笑い声が漏れる。


曜「……?」

絵里「曜さん、貴方可愛いわね」

曜「……はい?」


絵里さんは私たちを見ながらクスクス笑う。


絵里「綺麗に着飾るの……素敵だと思うわ」

曜「え……あ、ありがとうございます」


何故か急に褒められる。


絵里「まあ……でも、それはコンテストライブの結果にはあんまり影響はないと思うけど」

曜「……」


お礼を返してから、エントランスでのやり取りに対する仕返しのような皮肉だったと気付く。

意外と大人げないなとは思ったけど……まあ、失礼なことを先に言ったのは私だし、しょうがないか。

ただ……。


曜「そんなことないと思いますよ」


私はそう言葉を返す。


絵里「あら、そうかしら?」

曜「ポケモンを魅力的に見せるのには衣装の力も大事だと思います」

絵里「貴方、ことりみたいなことを言うのね。……やっぱり師匠の影響なのかしらね」


この人はあまりポケモンの衣装を重視していない。

二次審査でのアピールに絶対的な自信があるんだろう。


曜「それを今日ここで証明します」

絵里「……楽しみにしてるわ」


いよいようつくしさ大会の、幕が上がる──。





    *    *    *





193 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:09:43.06YHpk3Rh50 (7/102)



司会『レディース・アーンド・ジェントルメーン!! お待たせしました、コンテストの聖地、ここフソウタウンにて繰り広げられる、最もうつくしいポケモンを決めるコンテスト……フソウうつくしさコンテスト・ウルトラランクのお時間です!!』


毎度お馴染み眼鏡がトレードマークの司会のお姉さんの口上と共に、大会がスタートする。


司会『さて、早速出場ポケモンとコーディネーターの紹介です! エントリーNo.1……エーフィ&カズマ! エントリーNo.2……ミロカロス&コハル!』


今回の対戦相手は、エーフィ使いのエリートトレーナー。ミロカロス使いのおじょうさま。

ミロカロスが登場すると、早速会場が沸き立つ。

さすがミロカロス、うつくしさの代名詞とまで言われているポケモンなだけはある。

だが、その空気はすぐに一変する。


司会『エントリーNo.3……キュウコン&エリ!!』


司会の人の声と共に、絵里さんと真っ白なキュウコンにスポットライトが浴びせられると──会場は割れんばかりの声援に包まれる。

それだけ、ファンが多いのだ。

だけど──


司会『エントリーNo.4……ラプラス&ヨウ!!』


固定ファンの数で負けていても、構わない。

だって、それも含めて全てを魅了するためにここに来てるんだから……!!

ラプラスにスポットライトが浴びせられると──。

会場が逆に静まり返った。

──その、余りに儚く、うつくしい様相に、だと思う。

今回の衣装イメージは、ウェディングドレス。

真っ白なレースをベースとして、全身にあしらわれた生地が、スポットライトを反射して上品に光り輝いている。

頭にはマリアベール。そしてベールの内側にワンポイントで青い花を添えている。

首から上だけではなく、ラプラスの背中からも、だらしなくならない程度に生地を作り、ラプラスが僅かに身動ぎするだけで、軽いレース生地がふわふわと舞う。


司会『……はっ! 失礼しました。うつくしさの権現ことミロカロスが会場を魅了したかと思いきや、大人気コーディネーター・エリさんとキュウコンがその歓声を掻っ攫い、その後に現われた超新星コーディネーター・ヨウさんが気合いの入ったウェディングドレスによって、その歓声を静寂に変えてしまいました……!! かくいう私も見蕩れてしましましたね……』


好感触──いや、当然だ。

ことりさんと考えに考え抜いた、ラプラスのためだけに作られた衣装だ。

一次審査は絶対に貰う。そのつもりで来た。

もうすでに会場内はアナウンス前だというのに私の色の青があがり始めている。


絵里「…………」


一瞬、絵里さんが視界の端に入る。

腰に手をあてて余裕の表情だった。

……最初から一次審査には興味がないとでも言いたげだ。


司会『さあ、一次審査開始です! ミロカロスは赤、エーフィは紫、キュウコンは白、ラプラスは青でお願いします!』


司会のお姉さんの声と共に、会場は青く染まっていく。

白もそれなりに多く、次いで赤、紫が続く。

── 一次審査だけなら、私たちの圧勝だ。



194 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:11:18.22YHpk3Rh50 (8/102)


司会『さあ、そろそろ集計を締め切りますよ! 皆さん、投票の色はあげましたか~?』


一次審査の集計締め切りのための最後の確認。


司会『それでは、ここで一次審査終了です! このまま二次審査へ進みたいと思います!』





    *    *    *





ことり「やった……! 曜ちゃんが一次審査は圧勝……!」

あんじゅ「そうね……でも、勝負はここから。絵里さんには……アレがある」





    *    *    *





──今回の戦いにおいて、私はそもそも一次審査で負けているようじゃダメなんだ。

絵里さんには……Z技がある。

全てを魅了する、まさに規格外のアピールが。


司会『二次審査開始です! アピールはラプラス、キュウコン、ミロカロス、エーフィの順でお願いします』

曜「いくよ……! ラプラス!」
 「キュウーーーー」

曜「“いやしのすず”!!」
 「キュゥ~~~~~~」

 《 “いやしのすず” うつくしさ 〔 ほかの ポケモンに 驚かされても がまんできる 〕 ♡ ◆
   ラプラス◆ +♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆★★★★】 》


鈴の音が響き渡る。

今回の大会、絵里さんという優勝常連が居る以上、先手を取るとひたすら狙われやすい。

アピールを特化したいところではあるけど、攻撃が来るとわかっていて守らないのもそれはそれでおかしいことだ。

まずは防御技の“いやしのすず”から。


司会『うつくしい鈴の音が会場を包み込みます! ラプラスはこの鈴の音に守られて、後続のアピールに備えるようですね!』


絵里「キュウコン、“オーロラベール”!」
 「コーーーン」

 《 “オーロラベール” うつくしさ 〔 ほかの ポケモンに 驚かされても がまんできる 〕 ♡♡ ◆
   キュウコン◆ +♡♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆★★★】 》


鈴の音に被せるように会場にオーロラが広がっていく。

絵里さんも自分が狙われるのは百も承知のようだ。

最初は手堅く守りの技で来た。



195 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:14:20.27YHpk3Rh50 (9/102)


コハル「ミロカロス! “なみのり”!」
 「ミロォォ」

 《 “なみのり” うつくしさ 〔 アピールが 終わっている ポケモン みんなを 驚かす 〕 ♡♡ ♥♥
   ミロカロス +♡♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆★★】 》


ミロカロスの鳴く声と共に周囲に放たれた水のエネルギーが波となって押し寄せる。

自分より前のアピールを妨害する技だが……。


 「キュゥ」

 《 ラプラス◆
   Total [ ♡♡ ] 》


 「コーン」

 《 キュウコン◆
   Total [ ♡♡♡ ] 》


二匹のポケモンはしっかり守りを固めている。


カズマ「エーフィ!! “サイコショック”!!」
 「フィーーー!!!!!!」

 《 “サイコショック” うつくしさ 〔 自分の 前に アピールした ポケモンを かなり 驚かす 〕 ♡ ♥♥♥♥
   エーフィ +♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆★】 》


 「ミロッ!!?」

 《 ミロカロス -♥♥♥♥
   Total [ ♥ ] 》


逆にそこを付いたエーフィが“サイコショック”でミロカロスを驚かす。

ミロカロスは減点だ。


 《 1ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
   ラプラス   ♡♡  [ ♡♡  ]
   キュウコン  ♡♡♡ [ ♡♡♡ ]
   ミロカロス  ♥   [ ♥   ]
   エーフィ    ♡♡  [ ♡♡  ]                     》


そのままコンテストライブは2ターン目に進む──。





    *    *    *





あんじゅ「キュウコン♡3、ラプラス♡2、エーフィ♡2、ミロカロスは♡-1 エキサイトは4」


あんじゅちゃんはカウントを始める。


あんじゅ「まあ、初手はこんなものよね」

ことり「うん」





196 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:18:13.82YHpk3Rh50 (10/102)



    *    *    *





絵里「キュウコン! “あられ”!」
 「コーーーンッ」

 《 “あられ” うつくしさ 〔 アピールが 上手くいった ポケモン みんなを かなり 驚かす 〕 ♡♡ ♥
   キュウコン +♡♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆☆】 》


キュウコンが鳴くと会場内に“あられ”が降り始める。

本来は妨害技だが、このターン一番手のアピールのキュウコンには関係がない。


司会『さあ、ポケモンたちのうつくしい技の応酬に盛り上がる会場を更に幻想的な雰囲気へと誘います!!』


降り注ぐ氷の粒たちはスポットライトを照り返して、キラキラと光る。

その光景を見て、観客の人たちが息を呑むのがわかる。

確実に会場の空気が出来上がりつつある中、大技ではなく“あられ”を使ったのは、コンボのためだろう。

審査員席から注目の視線が飛んできているのがわかる。

更に高まったエキサイトから繰り出されるのはもちろん──


絵里「キュウコン! ライブアピール!! “ぐれーす☆ファンタジー”!!」
 「コォォーーーーンッ」

 《 “ぐれーす☆ファンタジー” うつくしさ 〔 うつくしさ部門 フェアリータイプの ライブアピール 〕 ♡♡♡♡♡
   キュウコン +♡♡♡♡♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆☆】⇒【★★★★★】 》


キュウコンがフェアリーのオーラを放つ。

そのオーラは会場の情景そのものをまるで違うファンタジーへと塗り替え──会場は月夜に包まれる。

そのまま、キュウコンはさらに大量のオーラを放ちながら、優雅に月夜を歩く。


司会『まるでその姿は月下美人……!! フェアリータイプ特有の妖艶な雰囲気が会場をうつくしく彩っています!!』


ライブアピールは大成功、キュウコンは周りにどんどん差をつけていくが──負けていられない。


曜「ラプラス! “こおりのいぶき”!!」
 「キュゥゥゥーーーー!!!!!!!」

 《 “こおりのいぶき” うつくしさ 〔 盛り上がらない アピールだったとき 会場が とても しらけてしまう 〕 ♡♡♡♡
   ラプラス +♡♡♡♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆★★★★】 》


ラプラスは辺りを凍て付かせる息吹を口から吹き出す。


司会『ラプラスは“こおりのいぶき”で対抗です! 吐息が凍りつき、これまたうつくしい光の反射で会場を魅了します!』


エキサイトに関してはタイミング運もある。

変に意識せずに自分のアピールを手堅くやらないと。



197 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:19:59.89YHpk3Rh50 (11/102)


カズマ「エーフィ! “にほんばれ”だ!」
 「フィィイイーーー!!!!!」

 《 “にほんばれ” うつくしさ 〔 会場が 盛り上がっている ほど アピールが 気に入られる 〕 ♡~♡♡♡♡♡♡
   エーフィ +♡♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆★★★】 》


そんな凍りの風景を掻き消すように日射が降り注ぐ。


司会『おっと、状況は一変!! エーフィも負けじとコンボのための“にほんばれ”を使います!』

コハル「ミロカロス、“みずのはどう”」
 「ミロォォーーー」

 《 “みずのはどう” うつくしさ 〔 観客の ほかの ポケモンへの 期待を なくすことが できる 〕 ♡♡♡
   ミロカロス +♡♡♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆★★】 》


そんな中ミロカロスの放った、“みずのはどう”が周囲の陽炎と霰を吹き飛ばした。

“みずのはどう”はコンボを掻き消す妨害技だ。


司会『そこにすかさず、コンボは許さないと言わんばかりの“みずのはどう”! 本日のウルトラランクは攻防が入り混じるレベルの高い戦いとなっております!』


絵里「──…………」


絵里さんを自由に動かさないのは、他の参加者全員の共通認識だ。

それでも、絵里さんは圧倒的にアピールが強い。だから、何度もこのランクで優勝している。

手堅く邪魔をされても、全く動揺を見せないのは、それくらいは絵里さん自身もわかっていると言うところだろう。


 《 2ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
   キュウコン ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡  ]
   ラプラス   ♡♡♡♡♡     [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡      ]
   エーフィ   ♡♡♡       [ ♡♡♡♡♡         ]
   ミロカロス  ♡♡♡♡     [ ♡♡♡           ]      》


司会『さあ、3ターン目です! キュウコン、ラプラス、ミロカロス、エーフィの順でお願いします!』


順番は相変わらずキュウコンが一番手。

どうにも大きな動きがないまま、進行しているが──。

前のターンの始めに会場のボルテージは一旦MAXに達し、次の波が来るのはこのまま行けばラプラスの手番になる。

これが好機だ──


絵里「……ふふ」


絵里さんが微かに笑うのが見えた。


絵里「キュウコン! “スイープビンタ”!」
 「コォーーンッ!!!!!」

 《 “スイープビンタ” かわいさ 〔 だすときに よって アピールの 出来具合が いろいろと 変わる 〕 ♡~♡♡♡♡♡♡♡♡
   キュウコン +♡♡♡♡♡♡♡♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆★★】 》


曜「!?」



198 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:21:12.07YHpk3Rh50 (12/102)


キュウコンが尻尾をかわいらしく振るう。

うつくしく、じゃない。かわいらしくだ。


司会『おっとぉ!? ここでキュウコン“かわいさ”アピールですっ! 部門こそ違いますが、技のキレはかなりのものです!』

曜「……っ やられた……」


エキサイト操作だ。

二番手につけている私が強力なアピールをすることを咎めるために、わざと“かわいさ”技を使ったんだ。

絵里さんはただ自分をアピールするだけでなく、自分のライバルと成り得る相手を素早く見抜いて、攻防を上手に切り替えるお手本のような対応型……。

……どうする?


曜「……ラプラス! “あられ”!」
 「キュゥゥーーー」

 《 “あられ” うつくしさ 〔 アピールが 上手くいった ポケモン みんなを かなり 驚かす 〕 ♡♡ ♥
   ラプラス +♡♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆★】 》


再び、会場内には“あられ”が舞い始める。

逃してしまったものは仕方ない。

私は次のターンへの布石を撒きながら、キュウコンのスイープビンタを妨害するように技を選択する。


 「コン…!!」

 《 キュウコン -♥♥♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡ ] 》


司会『さあ、ラプラスも負けていません! “あられ”でキュウコンの妨害をしながら、審査員の注目を集めます!』


コハル「ミロカロス、“アクアテール”!」
 「ミロォ」

 《 “アクアテール” うつくしさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡♡♡♡
   ミロカロス +♡♡♡♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆☆】 》


ミロカロスが優雅に尾ひれを振るうと、そこから水のエネルギーが漏れ出し、会場内に水しぶきが舞う。

細かい水の粒子は、これまた会場中の光を乱反射して、会場を沸き立たせる。

──私が逃した、ボルテージが最高潮に高まる瞬間。


コハル「“グレースブレッシングレイン”よ」

 《 “グレースブレッシングレイン” うつくしさ 〔 うつくしさ部門 みずタイプの ライブアピール 〕 ♡♡♡♡♡
   ミロカロス +♡♡♡♡♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆☆】⇒【★★★★★】 》


“アクアテール”で会場中に舞った水のエネルギーが、上空まで舞い上がり雨となって会場をうつくしく彩る、ライブアピール。

上手く技を披露し、会場は大いに盛り上がっている。

──だが、目立つと言うのはリスクでもある。


カズマ「エーフィ! “サイコショック”!」
 「フィーーーッ!!!!」



199 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:22:07.19YHpk3Rh50 (13/102)


 《 “サイコショック” うつくしさ 〔 自分の 前に アピールした ポケモンを かなり 驚かす 〕 ♡ ♥♥♥♥
   エーフィ +♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆★★★★】 》


 「ミロッ」

 《 ミロカロス -♥♥♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡ ] 》


ミロカロスは再びエーフィの“サイコショック”に怯まされる。

かなりアピールが上々だったため、減点を食らっても尚、ミロカロスの得点は大きいが……二匹がぶつかり合ってくれる分には助かる。

大会は後半戦へと突入する──。





    *    *    *





 《 3ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
   キュウコン ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡ ♥♥♥♥   [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡ ]
   ラプラス   ♡♡♡             [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡      ]
   ミロカロス  ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡ ♥♥♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡       ]
   エーフィ    ♡♡              [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡          ] 》


あんじゅ「キュウコン♡15、ラプラス♡10、ミロカロス♡9、エーフィ♡7……エキサイトは1」

ことり「曜ちゃん……!」





    *    *    *





コハル「ミロカロス、“りゅうのはどう”!」
 「ミロォーーー」

 《 “りゅうのはどう” うつくしさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡♡♡♡
   ミロカロス +♡♡♡♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆★★★】 》


ミロカロスが口から吹き出す波動がうねりながら会場の中空を舞う。

手堅いアピールから──


絵里「キュウコン! “でんこうせっか”!」
 「コーーンッ!!!」

 《 “でんこうせっか” かっこよさ 〔 この次の アピールを はじめの方に だすことが できる 〕 ♡♡♡ ①
   キュウコン① +♡♡♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆★★★】 》


キュウコンが身軽な身のこなしをアピールする。


曜「……っ!! ま、また……!!」



200 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:24:28.69YHpk3Rh50 (14/102)


今度は“かっこよさ”技の“でんこうせっか”を使ってくる。

しかも、この技は次回のアピールが一番先頭になる。

絵里さんの定石は最後のターンに大技を真っ先に決めて圧倒するために、先手を取れる技を使う。

しかも、ここでエキサイトの調整を行い、それを磐石なものにする。


司会『さあ、キュウコン! いつものように、最後のターンは頭に出てきました! また、あの大技で全てを押し切る作戦なんでしょうかっ!』

曜「……“こなゆき”!!」
 「キュウウーーー!!!!!」

 《 “こなゆき” うつくしさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡♡♡♡
   ラプラス +♡♡♡♡ CB+♡♡♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆★★】 》


“あられ”の舞うステージ上に、“こなゆき”を舞わせる。


司会『さあ、そんな中ラプラスはコンボを成功させます! “あられ”の中で舞い踊る“こなゆき”が綺麗ですね……!! これは高得点が期待できます!』


これで、ほぼキュウコンには追いついたはずだ……!

まだ、ステージは終わったわけじゃない……!!


カズマ「エーフィ! “マジカルシャイン”!!」
 「フィーーー!!!!」

 《 “マジカルシャイン” うつくしさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡♡♡♡
   エーフィ +♡♡♡♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆★】 》


エーフィが閃光を放ち、これまた手堅いアピールで点を稼ぐ。

そして、コンテストライブは最終ステージへ──。





    *    *    *





201 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:26:04.38YHpk3Rh50 (15/102)



 《 4ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
   ミロカロス   ♡♡♡♡♡     [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡     ]
   キュウコン① ♡♡♡       [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡ ]
   ラプラス     ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡ ]
   エーフィ     ♡♡♡♡♡     [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡        ] 》


あんじゅ「……勝負あった……かしらね」

ことり「…………」

あんじゅ「ことり、Z技の評価点って知ってる?」

ことり「……絵里ちゃんが使うまで前例がなかったから、新しく評定基準が作られたんだよね」

あんじゅ「そうよ。1回しか使えない大技だけど……アピールポイントは他の超大技以上の♡11ってことになってる。それに加えてエキサイトが次のターンの最初のアピールでMAXに到達する。……♡17」

ことり「……」

あんじゅ「確かに強敵相手に健闘したとは思う……だけど、この時点でキュウコン♡18、ラプラス♡18、ミロカロス♡15、エーフィ♡12……ここで同点じゃ、曜に勝ち目はない。それこそZ技を越えるアピールをしないと」

ことり「うぅん」

あんじゅ「?」

ことり「曜ちゃんはきっと負けないよ」

あんじゅ「……?」





    *    *    *





司会『さあ、最終ターンです!! アピール順はキュウコン、ラプラス、エーフィ、ミロカロスの順です!!』


ついに最終ターン。


絵里「キュウコン!! 行くわよ!!」


絵里さんの腕輪が光り輝く。

掛け声と共に、横に、縦に、素早く、両腕を真っ直ぐ伸ばす。前にも見た鋭利な刃物のようなジェスチャー、

そして、それと共に腕輪の光は大きくなり、そのオーラがキュウコンに宿る。


絵里「キュウコン!! 全力のZ技!! “レイジングジオフリーズ”!!!」
 「コォォォォォオーーーーーンッ!!!!!!!」

 《 “レイジングジオフリーズ” うつくしさ 〔 1度しか 使えないが すごくアピール できる 〕 ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
   キュウコン +♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ExB+♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆☆】 》


キュウコンは透き通るような雄叫びと共に、足元から迫りあがる巨大な氷柱と共にステージの高所まで上昇していく。


 「コォォォォーーーーンッ!!!!!!」


そして、そこからステージ上に向かって一気に冷気を放ち、

周囲の空気を一気に凍て付かせ──。

巨大な氷の結晶を作り上げる。


絵里「キュウコン、フィニッシュ」
 「コォーンッ」



202 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:27:05.38YHpk3Rh50 (16/102)


キュウコンが氷柱を駆け下りると同時に、氷の大結晶が砕け、大きな結晶が光を乱反射して会場を沸き立たせる。

そしてそこから、更に──


絵里「キュウコン、ライブアピール。“アイシクルグレース”……!」
 「コォーーーンッ」

 《 “アイシクルグレース” うつくしさ 〔 うつくしさ部門 こおりタイプの ライブアピール 〕 ♡♡♡♡♡
   キュウコン +♡♡♡♡♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【☆☆☆☆☆】⇒【★★★★★】 》


キュウコンが追加で放った冷気が、落ちてくる結晶たちを再び凍て付かせ、

それが先ほどとは違う形で結晶化し、さきほどとは違う輝きで会場中に光を落とす。


 「コォーーーンッ!!!!!!」


そして、次の瞬間、キュウコンの鳴き声と共に、その結晶たちは粉微塵に割れ砕け、その破片がダイヤモンドダストのようなうつくしい光の宝石となって会場中を踊る。


司会『美しい……本当に美しいです……!! 今回もしっかり決めてきました、Z技・レイジングジオフリーズ!! さらにそこから、“アイシクルグレース”を繋げました!! 素晴らしい……本当に素晴らしいアピールです!!』

絵里「……ふふ」


絵里さんが得意気に笑いを漏らす。

会場はその技の作り出す幻想的な氷の情景に目を奪われ。

他の参加者も、


カズマ「……」

コハル「……」


言葉を失っている。

もうこの会場はキュウコンと絵里さんのもの。

そう言わんばかりの空気の中──

──……再び巨大な氷柱が迫り出した。



203 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:28:39.47YHpk3Rh50 (17/102)


絵里「……!?」


今度はラプラスの真下に、


曜「ラプラスッ!!!」
 「キュゥゥゥーーーー!!!!!」


見よう見真似の刃物のようなジェスチャー、それに呼応するように光るラプラス。


絵里「そ、そんな!? まさか、Z技……い、いや違う、あれは……!!?」


そう、違う。この技はZ技ではない。

Z技の見よう見真似だ。


曜「“ものまね”!!」
 「キュゥゥゥゥゥーーーーー!!!!!!」

 《 “ものまね” かわいさ 〔 1つ前の ポケモンの アピールと 同じくらい 上手くできる 〕 ♡~
   ラプラス +♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ【★★★★★】 》


ラプラスの冷気が、再び大きな氷の結晶を形作り、


曜「ラプラス、フィニッシュ!!」
 「キュウッ」


ラプラスが氷柱を滑り降りる。

最初から最後まで見よう見真似で再現された技で。

──バキリ、

と音を立てて、再び大結晶が割れ砕け、会場に更なるダイヤモンドの輝きを散らせる。





    *    *    *





あんじゅ「……!!!」


あんじゅちゃんが目を見開いて立ち上がる。


ことり「絵里ちゃんは自分たちの技を過信してた」


唯一無二の個性であるZ技の存在。

だけど──


あんじゅ「“ものまね”なら直前のポケモンと全く同じアピールが出来る……!!」

ことり「そして、二次審査で追いついたっていうことは……」





    *    *    *





204 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:30:43.26YHpk3Rh50 (18/102)



 《 5ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
   キュウコン ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡  [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡   ]
   ラプラス   ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡ ]
   エーフィ    ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡            [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡                  ]
   ミロカロス  ♡♡♡♡                 [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡                      ] 》


司会『──これにて全てのアピールが終了……結果発表へと移りたいと思います!!』


司会の人の言葉と共にモニターに、得票を表すメーターが現われる。

二次審査の得票を表す青ゲージ── 一気に伸びる二本のゲージはキュウコンとラプラスのもの。

それは同時に伸びるのをやめる。

──だが、


絵里「……うそ」


 《   ポケモン    一次審査 | 二次審査
   【 エーフィ 】 〔 ♢♢♢♢ | ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡                                   〕
   【.ミロカロス】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ | ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡                               〕
   【キュウコン】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ | ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡             〕
  ✿【 ラプラス 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ | ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ 〕 》


── 一次審査の得票を表す赤いゲージは、ラプラスがぶっちぎりで1位の獲得していた。


司会『二次審査ではほぼ同率だった、キュウコンとラプラスですが── 一次審査の結果が明暗を分けました!! 今回のフソウうつくしさコンテスト・ウルトラランク優勝は──エントリーNo.4!! ラプラス&ヨウさんです!!!』


その言葉と共に会場が割れんばかりの歓声に包まれる。


曜「……っし!!!」
 「キュゥゥーーーー!!!!!」

曜「ラプラス……!! やったよ!!」
 「キュゥゥゥーーーー!!!!!!」


私たちはラプラスと抱擁を交わし、喜びを分かち合う。


司会『そして、同時に今回の優勝者であるヨウさんは5部門全てを制覇したため、規定通りウルトラランク全部門制覇による持ち点の倍増が行われます!!』


私も持ち点は今回この優勝を以って──60pt

その倍で──120ptだ。


司会『100ptを超えマスターランクへの昇格──現時点を以って、グランドフェスティバルへの出場権を獲得したことになります!!』


再びスポットライトが私たちに当たる。

それにあわせて大きな拍手と、歓声が私たちに浴びせられる。

ああなんか……こうして喝采を浴びるのはすごく、気分がいい。


司会『そして、この時点で現コンテストクイーンを含め、グランドフェスティバルへの出場権を得たコーディネーターが4人決定しました!! 2年振りに全てのコーディネーターの頂点を競う大会、グランドフェスティバルの開催が決定致しました!!』


本当に割れんばかりに拍手喝采が会場を包み込む。


司会『そんなグランドフェスティバルへの最後の切符を手に入れた曜さん!! 一言いただけますか!!』


そう言って、司会のお姉さんがマイクを向けてくる。

そのマイクを握って私は──



205 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:32:16.65YHpk3Rh50 (19/102)


曜「──ここまで来たら……グランドフェスティバル!! 優勝します!!」

司会『おお!? 優勝宣言です!! 曜さん、ここで優勝宣言!! これはグランドフェスティバルが本当に楽しみですね……!! ということで、今回のフソウ大会はこの辺で────』





    *    *    *





曜「──やってしまった……」


あんじゅさんの楽屋に行ったときも、今日の絵里さんとの邂逅のときも、

どうして私は、こうビッグマウスを叩いてしまうんだろうか。

今日の大会、どう考えても、現クイーンのあんじゅさんも、前クイーンのことりさんも、見てたのに。

大会後、戻ってきた楽屋で頭を抱える。

そんなところに、


絵里「曜さん、ちょっといい?」


絵里さんが声を掛けてきた。


曜「え、あ、はい!」


だいぶ生意気言ったし……怒ってるのかも。


絵里「……曜さん」


絵里さんは、私の名前を呼んでから──

手を差し出して、


絵里「私の完敗よ」

曜「え」


握手を求めてきていた。

応じて、絵里さんの手を握る。


絵里「私……慢心していたわ。自分にしかない特別な技を過信して、コンテストというものを侮っていたみたい」

曜「い、いや、そんなこと……!」

絵里「いいえ……確かに私は自分の技には自信があったけど……。それに慢心して、他の部分を磨くことを忘れていたみたいだわ。今は、あなたのお陰で目が覚めた気分よ」

曜「……!」

絵里「衣装……そうね、あんまり器用じゃないから、どこまで出来るかわからないけど……。私も次コンテストのステージに立つときは、キュウコンをもっと美しく魅せられるように、あの子の衣装を考えようと思うわ」


──伝わった。

私の伝えたかった、魅力が伝わって。

一人の人の気持ちを変えたんだ。

それがなんだか、溜まらなく嬉しかった。


曜「はい……!! 楽しみにしてます……!!」



206 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:33:16.84YHpk3Rh50 (20/102)


絵里さんと硬い握手をし、私のうつくしさ大会は幕を閉じたのでした。





    *    *    *





──エントランスホールに戻ると、


ことり「曜ちゃーん!!!」

曜「わわっ!?」


ことりさんが突進するように抱きついてくる。


ことり「信じてたよ! 曜ちゃん!!」

曜「わ、わー!! ことりさん、苦しいって!?」


ことりさんに抱きつかれて、ジタバタする私。


 「ことりちゃん、その辺にしてあげないと、曜ちゃんが困ってるわ」

曜「……!」


そして、そんなことりさんの背後から、聞き覚えのある幼馴染の姉の声。


曜「志満姉!」

志満「曜ちゃん、久しぶり。見てたわよ、素晴らしいコンテストライブだったわ」

曜「えへへ……照れちゃうよ」

ことり「とーぜんですっ!! ことりの自慢の弟子なんだから!」

あんじゅ「なんで、ことりが胸張るのよ……」


呆れながら、声を掛けてくるのはあんじゅさん。


曜「あ、あんじゅさんっ!」

あんじゅ「久しぶりね、未来のクイーンさん」

曜「ぅ……」


やっぱり、私の優勝宣言、聞かれてた。


曜「あ、あれはそのー……弾みというかー……テンションがあがりすぎてたというかー……」

あんじゅ「まあ……チャレンジャーはあれくらい元気がよくないと張り合いがないわ」


そう言って、あんじゅさんは手を差し出す。


曜「!」

あんじゅ「ようこそ……マスターランクのステージへ」

曜「……はい!」


あんじゅさんと握手を交わす。



207 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:34:50.45YHpk3Rh50 (21/102)


志満「それにしても……本当についこの間コンテストを知ったばっかりの曜ちゃんがここまで来るなんて……」

曜「えへへ……これも全部ことりさんのお陰だよ」

ことり「うぅん、曜ちゃんと──ポケモンたちが頑張ってきたお陰だよ」


ことりさんはそう言って私の頭を撫でる。


あんじゅ「ことり、その辺にしておきなさい? 今度はその子と戦うことになるんだから」

曜「……そっか」


そうだ、次のコンテストライブのステージで戦うのは、ここにいるあんじゅさんとことりさんなんだ。


ことり「ん……そうだね。ライバル同士が戦いの前に必要以上に仲良くしてるのもあんまり良くないもんね」

曜「ライバル……」


ことりさんにライバルと言って貰えるくらいのステージまで、私は登ってきたんだと実感が沸いてくる。


あんじゅ「やっとね」

志満「……そうね」

ことり「曜ちゃんともだけど……やっと、二人とも戦える」

曜「……ん?」


二人とも……?

……?

私は少し頭を捻る。

前々から気になっていたけど……どうして、志満姉はことりさんやあんじゅさんとこんなに仲が良いのだろうか。

あんじゅさんの楽屋へも顔パスだったし……。

──いや、その答えはここまでに出てきた情報を整理すると、自然と導き出された。


曜「まさか……グランドフェスティバルのもう一人の出場者って……!」

志満「……ええ、私よ」

あんじゅ「言ってなかったの?」

志満「わざわざ言う必要もないかなって……」

ことり「志満ちゃんは、たくましさ、かっこよさ大会だと上位常連なんだよ~」

曜「そっか……そうだったんだ……!」


どうりであんなにコンテストが詳しかったわけだ。

……というか、私は期せずしてとんでもない人たちに目を掛けて貰って、ここまで来たのかもしれない。


あんじゅ「出場枠が全て埋まった時点で、近日中にグランドフェスティバルが開催する運びになると思うわ。現クイーンとして、この戦いに臨めることを嬉しく思うわ」

ことり「うん!」

志満「グランドフェスティバル……楽しみね」

曜「よ、よろしくお願いします!」


かくして──私はついに、グランドフェスティバルへの出場権を手に入れ、この地方のコーディネーターの頂点を決める大会へと挑戦できることになったのでした。





208 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:35:42.10YHpk3Rh50 (22/102)



    *    *    *





──夜。

髪を拭きながら、ホテルのシャワールームから出てくると、


曜「あれ? ことりさん、どこかいくの?」


ことりさんが窓から、出掛けようとしているところだった。


ことり「あ、うん。ちょっとセキレイに用事があって、一旦戻るんだ」

曜「セキレイ……? グランドフェスティバルって、フソウの会場でやるんでしょ? しかも、近日中って言ってたし……」

ことり「まあ、そうなんだけど……ちょっと大事な用事だから。もちろん大会までには戻ってくるよ♪」

曜「そ、そうなんだ……」

ことり「この部屋は曜ちゃんが自由に使っていいからね。それじゃ」


そう言って、ことりさんは飛び出して行ってしまう。


曜「大事な用事……グランドフェスティバルの準備よりも……? ……なんだろう」


窓の外で、夜闇の中を飛んでいく、ことりさんの後姿をぼんやりと眺めながら、私はそんなことを呟くのだった。





209 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:36:09.28YHpk3Rh50 (23/102)



    *    *    *





──
────
──────





    *    *    *





210 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:36:57.93YHpk3Rh50 (24/102)



──セキレイシティ。


梨子「……戻ってきた」


私はセキレイジムに訪れていた。

旅の最中、ぶつかった大きな壁。

今回、オトノキ地方を旅して周って、自分を見直すきっかけになった、大きな壁のある場所に。


梨子「…………」


目を閉じる。

目を閉じて──自分の腰についているボールを順番に撫でる。


梨子「……ふぅ」


息を整えながら、


梨子「……ムーランド、メブキジカ、ネオラント、チェリム、ピジョット、メガニウム──」


仲間達の名前を確かめるように呼んでから、


梨子「……よし! 行こう、皆!」


私は、ジムの中へと踏み出す。


梨子「た、たのもぉーーーーっ!!!」


そして、慣れない感じの大きな声で、叫んでみる。

すると、奥で一人の女性が、待っていた。



211 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:38:00.75YHpk3Rh50 (25/102)


ことり「──梨子ちゃん。待ってたよ」

梨子「……ことりさん、セキレイジムに挑戦しに来ました」


私はバッジケースを開いて、7つのバッジを見せる。


ことり「バッジ7つ……確かに。じゃあ、これが最後のジムバトルだね」

梨子「はい!」

ことり「わかりました。使用ポケモンは5体。交換は自由。相手の全てのポケモンを戦闘不能にした方が勝利です」

梨子「ち、ちなみに……また全部モクローとかってことは……?」

ことり「今回はことりもホンキの手持ちで戦うから、モクローはいないよ」

梨子「ほ……」


何故か安心してしまう。


ことり「ただ……モクローとは比べ物にならないほど強いからね?」

梨子「……はい! 望むところです!!」

ことり「ふふ、良いお返事です♪ それじゃ──」


ことりさんがボールを構える。


ことり「セキレイジム・ジムリーダー『ゆるふわハミングバード』 ことり。全力で行きますっ!!」

梨子「よろしくお願いしますっ!!」


お互いのボールが宙を舞う──私の最後のジム戦の火蓋が、切って落とされたのだった。





212 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 00:39:12.69YHpk3Rh50 (26/102)



>レポート

 ここまでの ぼうけんを
 レポートに きろくしますか?

 ポケモンレポートに かこんでいます
 でんげんを きらないでください...


【フソウタウン】【セキレイシティ】
 口================= 口
  ||.  |⊂⊃                 _回../||
  ||.  |o|_____.    回     | ⊂⊃|  ||
  ||.  回____  |    | |     |__|  ̄   ||
  ||.  | |       回 __| |__/ :     ||
  ||. ⊂⊃      | ○        |‥・     ||
  ||.  | |.      | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\     ||
  ||.  | |.      | |           |     ||
  ||.  | |____| |____    /      ||
  ||.  | ____ ●__o_.回‥‥‥ :o  ||
  ||.  | |      | |  _.    /      :   ||
  ||.  回     . |_回o |     |        :   ||
  ||.  | |          ̄    |.       :  ||
  ||.  | |        .__    \      :  ||
  ||.  | ○._  __|⊂⊃|___|.    :  ||
  ||.  |___回○__.回_  _|‥‥‥:  ||
  ||.      /.         回 .|     ●  ||
  ||.   _/       o‥| |  |        ||
  ||.  /             | |  |        ||
  ||./              o回/         ||
 口=================口

 主人公 曜
 手持ち カメックス♀ Lv.53 ✿ 特性:げきりゅう 性格:まじめ 個性:まけんきがつよい
      ラプラス♀ Lv.47 ✿ 特性:ちょすい 性格:おだやか 個性:のんびりするのがすき
      ホエルオー♀ Lv.45 特性:プレッシャー 性格:ずぶとい 個性:うたれづよい
      ダダリン Lv.47 ✿ 特性:はがねつかい 性格:れいせい 個性:ちからがじまん
      カイリキー♂ Lv.44 ✿ 特性:ふくつのこころ 性格:まじめ 個性:ちからがじまん
      タマンタ♀ Lv.42 ✿ 特性:すいすい 性格:むじゃき 個性:こうきしんがつよい
 バッジ 2個 図鑑 見つけた数:161匹 捕まえた数:23匹 コンテストポイント:120pt

 主人公 梨子
 手持ち メガニウム♀ Lv.56 特性:しんりょく 性格:いじっぱり 個性:ちょっぴりみえっぱり
      チェリム♀ Lv.51 特性:フラワーギフト 性格:むじゃき 個性:おっちょこちょい
      ピジョット♀ Lv.50 特性:するどいめ 性格:ひかえめ 個性:ものおとにびんかん
      ネオラント♀ Lv.45 特性:すいすい 性格:わんぱく 個性:ちょっとおこりっぽい
      メブキジカ♂ Lv.55 特性:てんのめぐみ 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
      ムーランド♂ Lv.43 特性:きもったま 性格:ゆうかん 個性:しんぼうづよい
 バッジ 7個 図鑑 見つけた数:135匹 捕まえた数:14匹


 曜と 梨子は
 レポートを しっかり かきのこした!

...To be continued.






213 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 02:41:57.71YHpk3Rh50 (27/102)


■Chapter081 『見つけた答え』 【SIDE Riko】





──二つのボールが宙を舞う。


梨子「行くよ!! チェリム!!」
 「チェリー」

ことり「ケンホロウ! お願い!」
 「ケーーンッ!!!!!」


ことりさんの一番手はケンホロウ。


ことり「“エアスラッシュ”!!」
 「ケンホッ!!!!!」

梨子「! “ころがる”!」
 「チェリー」


開幕飛んで来る“エアスラッシュ”を全力で転がって回避する。

こちらは手持ちのタイプ的に相性が不利なのはどうにもならない。

となれば狙いうちをされないように、出来るだけ動き回る。


梨子「チェリム! “にほんばれ”!」
 「チェリー……チェリリーーーッ!!!!!」


“ころがる”で加速しながら、チェリムが天気を晴らす。

一番手のチェリムの役割は基本的には場作りだ。

そして、豊富な補助技による撹乱──。


梨子「“くさぶえ”!」
 「チェリーー♬♩♫」

 「ホ、ホロ……」


いくら鳥ポケモンが素早いとは言え、室内で音から逃げるのは難しいはず。

案の定ケンホロウはうとうとと、し始める。


梨子「“グラスフィールド”!!」
 「チェリリッ!!!!!」


辺りに草原が広がる。いい調子で場作りが出来ている。


梨子「よし、次は──」


次の指示を送ろうとした瞬間、


 「チェリッ!!!?」


転がるチェリムのすぐ横をとてつもない速度で空気が薙ぐ。


梨子「な、なに!?」


ケンホロウに視線を戻すと──ケンホロウの周囲に空気が渦巻いて、グラスフィールドを巻き上げている。これは……。


梨子「“かまいたち”!!?」



214 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 02:43:28.71YHpk3Rh50 (28/102)


善子ちゃんのアブソルが使っていたのと同じ技だ。

でも、ケンホロウは眠っているはず……。


 「ケンホロ……zzz」


たしかにケンホロウは、寝息を立てている。

つまり……。


梨子「“ねごと”……!!」

ことり「やっぱり“ねごと”だと技の精度が落ちちゃうね……」


初見を回避出来たのは不幸中の幸いだった。

ただ、眠らせても攻撃が出来るとわかった以上、場作りだけに集中している余裕がない。


梨子「“ウェザーボール”!!」
 「チェリリッ!!!!!!」


チェリムから太陽のような、炎の塊が打ち出される。

“ねごと”が使えると言っても、自由に飛び回ることが出来るわけじゃない。


 「ホロォ……ッ……zzz」


攻撃はケンホロウをしっかりと捉え、ダメージを与える。

“ウェザーボール”だけでは倒すまでには至っていないが……。

今畳み掛けておくに越したことはない。


梨子「“はなふぶき”!!」
 「チェリィィィーーー!!!!!!!」


チェリムの周囲に花が咲き誇り、それが吹雪のようにケンホロウを襲う。


 「ホロォ……ッ……zzz」


再び攻撃がぶつかり、ダメージを与えているが……。

……何か変だ。

眠っている状態とは言え、ことりさんが余りに手を出してこなさすぎる。


梨子「チェリム、一旦ストップ!」
 「チェリッ」


攻撃の手を止めて、一旦観察してみる。

──すると、

ケンホロウは確かに眠ってはいるが……。無抵抗なまま攻撃の直撃を受けたにも関わらず、あまりに足取りがしっかりしすぎている。

よく見ると、ケンホロウの鶏冠に当たりが僅かに光っているようにも見えるし……それだけじゃない、飛んで来る花びらはダメージを与えているように見えて──


梨子「……弾かれてる?」


ケンホロウにぶつかる──というより、弾かれているように見える。

弾かれてるのは……翼にぶつかっている花びら……?



215 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 02:44:51.22YHpk3Rh50 (29/102)


梨子「……! “はっぱカッター”!」
 「チェリッ!!!」


咄嗟に気付き、指差して“はっぱカッター”を飛ばす──ケンホロウの頭部に向かって、


ことり「ケンホロウ! ガード!」
 「ホ、ロォ……」


夢現の中、ケンホロウは翼で顔を庇う。すると──ガキンッと硬い音が鳴り響く。


梨子「や、やっぱり……!! “はがねのつばさ”で防御をあげてた……!!」

ことり「バレちゃったか……さすがに、顔は硬くできないからね……」


眠っているように見せかけて──実はずっと、止まったまま技を使っていた。

じゃあ、あの鶏冠の輝きは──回復技……?


梨子「“あさのひざし”か……!!」

ことり「む、そっちもばれちゃったか」


私が晴らせた太陽の光を使って回復をしていたようだ。

どうりでダメージの通りが悪い気がしたわけだ。

持久戦はダメそうだ。攻撃をしたところで回復されて受けきられてしまう。


梨子「チェリム! もどって!」
 「チェリ──」


なら一旦交代。


梨子「お願い、ピジョット!!」
 「ピジョットォォォォ!!!!!!」


ボールからピジョットが飛び出す。


 「ホロォ」

梨子「!」


交換のタイミングにあわせて飛んできたのは“エアカッター”。


梨子「ピジョット! “エアスラッシュ”!」
 「ピジョットォォォォ!!!!!!!」


それを同じような遠距離のひこう技で相殺する。

とにかく、一体……!


梨子「ピジョット! “ブレイブバード”!」
 「ピジョットォォォォ!!!!!」


── 一気に加速した、ピジョットの突進攻撃。


ことり「ケンホロウ!」
 「ホ、ホロォ……」


ケンホロウは再び“ねごと”によって、夢現のまま、翼を前に掲げる。

硬質化した翼で受け止めるつもりらしい。



216 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 02:45:52.24YHpk3Rh50 (30/102)


梨子「ピジョット!! メガシンカ!!」
 「ピジョットォォォォォ!!!!!!!」


前進するピジョットが私のメガブレスレットの光に呼応するように光り輝き──そのまま突き抜ける……!!

──ガキンッ!!

ピジョットの嘴と、ケンホロウの翼が真っ向からぶつかり合い、硬い音を響かせる。


 「ホ、ホロッ……!!」


その衝撃でさすがに目を覚ましたのか、ケンホロウが踏ん張りを利かせてくる。


梨子「ピジョット!! こじあけてっ!!」

 「ピジョットォォォ!!!!!!」


ピジョットは無理矢理、嘴を振るい、ケンホロウの片翼を弾く。

ただ、直線的だった攻撃から無理矢理シフトしたため、“ブレイブバード”の勢いがその時点で死んでしまう。


ことり「ケンホロウ!! “つじぎり”!!」
 「ホロッ!!!!」


その隙にケンホロウは鋭利な足の爪でピジョットを切り裂く。


 「ピジョォォォォ!!!!!!!」


だが、ピジョットの特性は“ノーガード”。

回避をする気なんてさらさらない。

攻撃を真っ向から受け止めて、至近距離のまま次の攻撃へと移行する。


梨子「“ぼうふう”!!」

 「ピジョットォォォォ!!!!!!!!」

 「ホロッ!!!!!?」


目の前で大きな翼を羽ばたかせ、それは強風となり、そのまま“ぼうふう”になり、そして“たつまき”になって、ケンホロウを飲み込み巻き上がる。


ことり「! ケンホロウ!」

 「ホ、ホロォォォォ」

梨子「いけぇぇ!!!!!」


“ぼうふう”はそのまま一気に上空に向かって巻き上がり──ケンホロウを天井に叩き付けた。


 「ホ、ホロ……」

ことり「……! 戻って、ケンホロウ!」


ことりさんが力尽きて、落ちてくるケンホロウをボールに戻す。


ことり「……やっぱり、メガシンカ相手だとパワーで競り負けちゃうね。なら、出番だよ、チルタリス」
 「チルゥ!!」

ことり「メガシンカ!!」

梨子「!」



217 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 02:47:11.87YHpk3Rh50 (31/102)


ことりさんのメガネックレスが光る。

そして、それと同じ光に包まれたチルタリスが、


 「チルゥーーー!!!!!」


メガチルタリスへと姿を変える。

ことりさんの使ってくるメガシンカがチルタリスだと言うのは聞いていた。

だから、この早いタイミングでチルタリスを引き摺りだせたのは却って僥倖だろう。


ことり「“りゅうのはどう”!!」
 「チィルゥゥゥゥゥーーー!!!!!!!」

梨子「“オウムがえし”!!」
 「ピジョットォォォォォ!!!!!!!」


逆にメガシンカ相手だと、メガシンカしているピジョット以外ではパワー負けするというのはこちらも同じだ。

そうなると、ピジョットで何がなんでもチルタリスを突破しなくてはいけない。


 「ピジョォォォォ!!!!!!!」

 「チィルゥゥゥゥ!!!!!!」


二匹の“りゅうのはどう”が相殺し合う。

波動が爆ぜて、フィールド内に青白いエネルギーが舞う中、


梨子「“ぼうふう”!!」
 「ピジョットォォォォ!!!!!!!」


畳み掛けるように、技を繰り出す。


 「チルッ!!!!!」


ケンホロウと同様に、チルタリスを飲み込み巻き上げようとした瞬間、


ことり「“ハイパーボイス”!!!」
 「チイイィィィィィィィィィルゥッ!!!!!!!!!!!!!!!!」

梨子「!!」


チルタリスから発された爆音のエネルギーが、“ぼうふう”を掻き消しながら、ピジョットを襲う。


 「ピジョォォォォッ!!!!!?」


そこに向かって畳み掛けるように突っ込んでくるチルタリス。


ことり「“ドラゴンダイブ”!!」
 「チルゥゥゥゥゥ!!!!!!!」


回避──いや、“ノーガード”の体勢からじゃ間に合わない。


梨子「“フェザーダンス”!!」
 「ピジョォッ!!!!!」


体勢を立て直しながら、ピジョットから大量の羽毛が舞う。

その羽ごと押し潰すように、チルタリスが迫る。



218 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 02:49:46.08YHpk3Rh50 (32/102)


 「チィルッ!!!!!!」

 「ピジョォォォォッ!!!!!!」


ピジョットはそのままプレスを食らって、チルタリス共々フィールド上の地面に叩き付けられる──が、


梨子「踏ん張って!!」
 「ピジョォォォォォ!!!!!!」


脚を踏ん張り、どうにか“こらえる”。


梨子「“つばさでうつ”!!」
 「ピジョォッ!!!!!」


無理矢理押しのけるように、翼を振るい、


 「チルッ」


その攻撃を回避して、後ろに下がったチルタリスに更に追撃、


梨子「“スピードスター”!!」
 「ピジョットォォッ!!!!!!」


ピジョットの振るった翼から、星型のエネルギー弾が飛んでいく。


ことり「“ムーンフォース”!!」
 「チルゥゥッ!!!!!」


それと相殺させるように再び攻撃が放たれる。

二つのエネルギーが爆ぜ散り、煙が巻き起こる。

視界は悪い──だからこそ、必中の“ノーガード”。


 「ピジョォォォォォ──!!!!」


ピジョットの周囲に光が収束していく。

煙の先──ピジョットが生来から持っている“するどいめ”でチルタリスを見据えながら、一気にエネルギーを解放……!!


梨子「“ゴッドバード”!!!」
 「ピジョォォォォォォォ!!!!!!!!」


ピジョットが一気に飛び出す。

煙を突っ切り、


 「チルッ!!?」


チルタリスを巻き込んでの最大級の攻撃、


梨子「いけえええーーーー!!!!!」

 「ピジョットォォォォォォ!!!!!!!」


ピジョットの突進をチルタリスに炸裂させながら、再び天井にたたきつけ──。

──ぼふっ


梨子「!」

ことり「……“コットンガード”」



219 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 02:59:12.11YHpk3Rh50 (33/102)


綿羽がもこもこと膨らみ、天井に叩き付けられる直前でクッションを作られた。


梨子「ピ、ピジョット!! 後退──」

ことり「“はかいこうせん”!!」
 「チィィィィィィィィィィィルゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!!!」


──破壊の閃光が上空からフィールド上に向かって、放たれる。


梨子「……くっ!!」


その余波から、トレーナーのスペースまで、強い風が巻き起こり、

そこから数テンポ遅れて──

大きな音を立てて、ピジョットが地面に叩き付けられる。


梨子「ピジョット!!」
 「ピ、ピジョォォォォォ!!!!!!!」


どうにか、まだ立っている。

でも、至近距離から“フェアリースキン”で強化された“はかいこうせん”を食らったのは余りにダメージが大きい。


梨子「一旦戻って!!」
 「ピジョッ──」


ピジョットを戻す。


梨子「チェリム!!」
 「チェリリッ!!!!!」


再びフィールドに顔を出したチェリムが“つよいひざし”を浴びて、花開く。


梨子「“ソーラービーム”!!」
 「チェリリッ!!!!!!!」


そして、ノータイムで光線をお返しする。


 「チル……!!」


“はかいこうせん”の反動で動けないチルタリスに最序盤で使った“グラスフィールド”によって強化された“ソーラービーム”が直撃する。


 「チルゥッ……!!!!!」


タイプ相性はイマイチだけど、効果は十分……!! よろける、チルタリス。


梨子「よし、このまま──!!」

ことり「“だいもんじ”!!」

梨子「!?」

 「チルゥゥゥゥ!!!!!!!!」


上空から、大の字の業炎が降って来た。

しかも、“にほんばれ”で強化されている。


梨子「“ウェザーボール”ッ!!」
 「チェリリィッ!!!!!!!」



220 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:01:07.76YHpk3Rh50 (34/102)


対抗するように、チェリムから打ち出される火の玉。

二つの炎技ぶつかり爆ぜる。

“だいもんじ”にぶつけるにはギリギリの火力──押し切れるかは僅かな差、

そう思った矢先──


 「チィィル!!!!!!」

梨子「!?」


そんな思考を無視するかのように、チルタリスが炎を突っ切って飛び込んでくる。


ことり「“ドラゴンダイブ”!!」

梨子「っく!! “はなふぶき”!!」
 「チェリリーーー!!!!!」


チェリムが大量の“はなふぶき”をぶつけるが、チルタリスの勢いは止まらない。


梨子「……っ!! “フラワーガード”!!」
 「チェリッ」


咲き誇る花びらたちが、今度はチェリムを守るために集まってくる。

それごと押し潰すように、


 「チルゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」


チルタリスがのしかかってくる。


 「チルゥゥゥゥ!!!!!」

 「チェ、チェリリーーー!!!!!」


チルタリスの重量と、花びらによるガードの力比べ。

だけど、優勢なのはチルタリス。徐々に推されて行く。


梨子「“やどりぎのタネ”!!」
 「チェ、チェリリッ!!!!!」


周囲にエネルギーを吸収する、タネをばら撒く。

だけど──間に合わない。


ことり「そのまま、いっけぇえーーーー!!!」

 「チィィィィルッ!!!!!!!」


このままじゃ推し負ける、そんなとき、


 「チェリリッ」
梨子「……!」


チェリムが一瞬目配せをしてきた。


梨子「……うん!! 後は任せて!!」
 「チェリ──」


私のその言葉に安心するように、チェリムは崩れ落ちた。

そして、すぐさま後続のボールを放る。



221 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:02:17.77YHpk3Rh50 (35/102)


梨子「ピジョット!!」
 「ピジョォォォォォ!!!!!!!」


再びフィールドに飛び出すのはピジョット。


ことり「な……!?」


強い輝きをその身に纏いながら、万全の体勢で──


梨子「“ぼうふう”!!」
 「ピジョットォォォォォォッ!!!!!!!!」


力の限り羽ばたいて、


 「チ、チルゥゥゥゥッ!!!!!!!」


至近距離のチルタリスを再び打ち上げる。


梨子「“はかいこうせん”!!」
 「ピジョォォォォォ!!!!!!!!」


そして、お返しの“はかいこうせん”を一閃。

中空で攻撃が直撃した、チルタリスは──


 「チ、チルゥゥゥ……」


ついに、力尽きて、戦闘不能になった。


梨子「……よしっ!!」

ことり「戻って!! チルタリス!!」

梨子「やった……チルタリスを倒した……!!」
 「ピジョォォォッ!!!!!」

ことり「……ピジョット、回復してるね。競り合いに推し負けたように見せて、チェリムが使ってたのは──」

梨子「はい。“いやしのねがい”です」


──“いやしのねがい”は自分の残りHP全てを捧げる代わりに、次に出てくるポケモンの体力を完全回復する技だ。

お陰でピジョットはフルコンディションに戻り、手負いのチルタリスを圧倒することが出来た。


ことり「……うーん……メガシンカしたポケモンをそのまま残しちゃったのはまずいなぁ」


ことりさんは困った顔をする。

どうにか、いいペースを作り出すことが出来ている。


ことり「……よし、次はこの子!」


そう言って、ことりさんが次に繰り出したのは──


 「カバシッ」
ことり「行くよ! ドデカバシ!!」


大きなクチバシを持った鳥ポケモン、ドデカバシ。

 『ドデカバシ おおづつポケモン 高さ:1.1m 重さ:26.0kg
  体内の ガスを クチバシの 中で 爆発させ 木のタネを
  発射。 そのパワーは 大岩も 粉々にする。 その際
  クチバシが 発熱し その温度は 100度を 優に 超える。』



222 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:03:29.52YHpk3Rh50 (36/102)


ことり「ドデカバシ!」
 「カバシッ」


ドデカバシがことりさんの声に反応して、クチバシをガバッと開ける。


ことり「“ロックブラスト”!!」
 「カバシィッ!!!!!」

梨子「!!」


ドデカバシから、岩のような大きさのタネが飛び出してくる。


梨子「“ぼうふう”!!」
 「ピジョットォォォ!!!!!!」


それを防ぐために、繰り出すのはまたしても“ぼうふう”。

巨大な“たつまき”となって目の前に旋風を起こすが──。

猛烈な勢いで飛んで来る、“ロックブラスト”は“ぼうふう”域に入っても全くそのスピードを衰えさせず。


 「ピ、ピジョォォォーーーーッ!!!!!」


ピジョットに続け様にヒットする。

いわ技はピジョットには効果は抜群だ。


梨子「遠距離で戦うのは不味い……!! “ブレイブバード”!!」
 「ピジョットォォォーーー!!!!!!!」


接近戦に持ち込む……!!

ピジョットが指示と共に一気に飛び出す。

一方ドデカバシは──


 「カバシィ……」


堂々と攻撃を待っている。

ただ、少しだけ様相が変わっていた。

──大きなクチバシが真っ赤に赤熱している。


 「ピジョットォォォォ!!!!!!!」


ピジョットの攻撃がインパクトした瞬間。

──ジュウウウウウウ!!!

と何かが焼け焦げる音。


 「ピ、ピジョォォォォォッ!!!!!!!」

梨子「……!?」


そして、苦しそうに鳴き声をあげながら、反射的に後ろに飛び退くピジョット。


ことり「加熱したクチバシ……触ると熱いよ!」

梨子「……っ!」


先ほど岩を撃ち出した熱によって、加熱されたクチバシ。それに驚き、ピジョットは怯んで後ずさってしまっている。

ことりさんは、その隙を見逃してはくれない。



223 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:04:47.01YHpk3Rh50 (37/102)


 「カバシィ」


再びクチバシを開くドデカバシ。


ことり「“くちばしキャノン”!!」
 「カバシッ!!!!!」


そこからさっきよりも大きく、更に真っ赤に赤熱した岩の弾が撃ち出されて飛んで来る。

怯んだ隙を突かれたため、回避も防御もままならないまま──


 「ピジョォォォォォォッ!!!!!!」


ピジョットに攻撃が直撃し、

後ろに吹っ飛ばされる。


梨子「ピ、ピジョット!!」

 「ピ、ピジョォォォォ……」


ピジョットは強烈な攻撃を正面から受けて、戦闘不能になってしまった。


梨子「……戻って、ピジョット」
 「ピジョ…」


ピジョットをボールに戻す。


梨子「ありがとう……ピジョット」


ボールに戻ったピジョットを労わりながら、腰に戻す。


梨子「……とにかく、あのクチバシをどうにかしなくちゃ……!!」


私は次のボールを投げる。


梨子「ネオラント!!」
 「ネオォォ~」


ネオラントは飛び出すと同時に全身を躍動させバネにして、“とびはねる”。


ことり「! ドデカバシ!」
 「カバシッ」


ドデカバシが中空のネオラントに視線を向け、再びクチバシを赤熱させ始める。

ネオラントは跳ねた勢いで回転しながら、大量の水を口から噴き出した。


梨子「“みずびたし”!!」

 「ネォォォォ~~~~」


その大量の水はドデカバシの全身を降りかかり、


 「カ、カバシッ」


──ジュウウウウウウと水が蒸発する音を立てながら、色が戻っていく。

そして、それと同時に、攻撃が中断される。


 「ネォォォ」



224 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:07:08.38YHpk3Rh50 (38/102)


そのまま、ネオラントが空中から突進する。


 「カ、カバシッ」


ネオラントの攻撃によって吹き飛ばされながら、ドデカバシはクチバシを開くが──。

弾は飛び出さない。


梨子「熱が保てなければ、ガスを引火できない……!! それなら、技は使えない!!」

ことり「ドデカバシ!! “ふるいたてる”!!」
 「カバシィッ!!!!!」


ドデカバシはことりさんの指示で、音を立てながらクチバシを素早く開閉する。

すると、再びクチバシが赤熱していくが──


梨子「“みずでっぽう”!!」

 「ネォォォ~~」


そのクチバシに水を噴き掛けて、それを許さない。

そして、追い討ちを掛けるように、


梨子「“れいとうビーム”!!」

 「ネォォッ!!!!」


クチバシ目掛けて“れいとうビーム”を放つ。


 「カ、カバシッ」


狙い通りクチバシが凍りついた。


梨子「これで、当分は何も発射できない!!」

ことり「……っ でも、発射するだけがクチバシの使い方じゃないよ!!」
 「カバシィッ」


目の前を“はねる”ネオラントに向かって、ドデカバシが走ってくる。

──凍ったままのクチバシを高速で回転させながら、


ことり「“ドリルくちばし”!!」

 「カバシィッ!!!!!!」

 「ネオォォッ!!!!?」


鋭いクチバシがネオラントを捉える。


 「ネォォ……」

梨子「戻って!! ネオラント!!」


ネオラントは強烈な攻撃を受けて、戦闘不能になってしまったが……十分仕事はした、


梨子「行くよ!! ムーランド!!」
 「ヴォッフッ!!!!!」


そして、飛び出すムーランド。

そのまま、ドデカバシに向かって一直線で近付き。



225 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:08:37.35YHpk3Rh50 (39/102)


梨子「“かたきうち”!!!」

 「ヴォッフッ!!!!!!!」


仲間のかたきを討つために、強力な体当たりをぶちかます。


 「カバシィィィッ!!!!!?」


体重を乗せた、苛烈な攻撃はドデカバシを一気にぶっ飛ばし、

ドデカバシはジム後方の壁に叩きつけられた後、


 「カ、カバシ……」


戦闘不能になった。


ことり「……戻れ、ドデカバシ」


さあ、残りの手持ちはお互い2匹。


ことり「お願い、バルジーナ!」
 「バルバァルッ」

梨子「バルジーナ……!」


 『バルジーナ ほねわしポケモン 高さ:1.2m 重さ:39.5kg
  骨を 拾い 集めて 巣を 作る。 空から 地上を 観察して
  弱った 獲物を 脚で つかみ 骨の 巣まで 軽々と 運ぶ。
  骨で 着飾る 習性を 持つ。 カラカラの 骨を 好む。』


ことり「バルジーナ! “ボーンラッシュ”!!」
 「バルジィーー!!!!!」


バルジーナが羽の中から器用に骨を取り出し向かってくる。

振り下ろされる、骨を──


 「ヴォッフッ!!!!」


ムーランドは噛み付いて受け止める。


梨子「“かみくだく”!!」
 「ヴォッフッ!!!!!」


──バキリッ

音を立てて武器にしていた骨を“かみくだく”。

次の攻撃移ろうとした、瞬間、


梨子「!? い、いない……!?」


バルジーナが視界からいつの間にか消えていることに気付く。


 「ヴォッフ」


辺りを見回しながら、鳴き声をあげるムーランドの頭上に──影が差した。


梨子「!! 上!!」

 「ヴォッフッ!!!!」



226 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:11:24.49YHpk3Rh50 (40/102)


頭上から飛来する影から、脚が伸びてくる、


ことり「“だましうち”!!」

 「バァーールバルッ!!!!!」


バルジーナは鋭い猛禽の脚で上から蹴りつけてくる。


 「ヴォッフッ…ッ!!!」


バルジーナはそのまま、すぐに離脱する、ヒットアンドアウェイの姿勢を取ろうとしてくるが、


梨子「逃がしちゃダメ!! “じゃれつく”!!」
 「ヴォッフッ!!!!」


ムーランドは絡め取るように、バルジーナの脚に“じゃれつく”。


 「バルバァルッ!!!!!」


バルジーナは振り払うように脚を振るうが、


 「ヴォフヴォッフ」


ムーランドは離れない。


ことり「“どくどく”!!」

 「バルバァルッ!!!!!」


咄嗟に離脱は無理と判断して、次の指示を飛ばすことりさん。バルジーナが、そのまま爪を突き刺し、もうどくを注入してくる。


 「ヴォッフッ!!!!」

梨子「!」


ムーランドが苦しげに表情を歪めるが──


梨子「ムーランド!! “からげんき”!!」

 「ヴァッフッ!!!!!!」

 「バルゥッ!!?」


思いっきり頭を振るって、渾身の“ずつき”でバルジーナを吹っ飛ばす。

ムーランドは更に畳み掛けるように、口を開き、牙を向いて突撃する。

パチパチと火花の爆ぜる牙で──


梨子「“かみなりのキバ”!!」

 「ヴォッフッ!!!!!!」

ことり「“そらをとぶ”!!」

 「バァルジッ!!!!!!」


だが、すんでの所で飛んで逃げられ、攻撃が空振る。


 「ヴォッフ……!!」



227 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:13:37.86YHpk3Rh50 (41/102)


ムーランドは再び苦しそうに顔を歪める。

もうどくが徐々に回って来ている。

一方バルジーナは空で旋回している。

このまま、ムーランドが力尽きるのを待っているようだ。

──パチ、


ことり「……?」


──パチパチ、バチ、


ことり「な、なんの音……?」


ただ、もちろんこのまま手をこまねいているつもりはない。

ムーランドが先ほど、空振りした“かみなりのキバ”が音を立て、大きな火花を立てる──


梨子「“そらをとぶ”をしている相手にも、当たる技がありますよ!!」

ことり「……!?」


全身の毛を逆立て、牙から電荷を大気に放出──そして、それを雷撃として撃ち落す大技。


梨子「“かみなり”!!」

 「ヴォッフッ!!!!!!」

 「バァァァァルゥゥゥゥゥッ!!!!!!!!?!?」

ことり「バルジーナ!!!?」


空中でバルジーナの絶叫があがる。

突然空中に現われた放電現象に為す術もなく、感電し、


 「バ、バルゥゥ……」


黒こげになったバルジーナは、気を失って落下。


ことり「戻って!!」


すかさずことりさんはバルジーナをボールに戻す。


梨子「残り……一匹……!!」


ついに、ことりさんを追い詰めた。


ことり「……すごいね、梨子ちゃん。本当に前戦ったときとは別人だね」

梨子「……ことりさんに気付かせてもらったお陰です。私たちはいつだって、一人で戦ってるわけじゃない」


ポケモンと一緒に歩んで、ポケモンと一緒に考えて、ポケモンと一緒に戦う。

そんな当たり前のこと。


梨子「──みんながいるから……戦える」

ことり「……うん、そうだね」


ことりさんは最後のボールを掲げる。



228 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:15:31.62YHpk3Rh50 (42/102)


ことり「……ことりの最後のポケモン──この子はわたしが旅に出るときに、最初に貰ったポケモン。一番大切なパートナーだよ」

梨子「……!」

ことり「行くよ!! ジュナイパー!!」


ボールが放られる。ボールからポケモンが飛び出した、と思ったら──


梨子「!?」


飛び出したポケモンの影が一瞬で掻き消える。


梨子「上!?」


先ほどのバルジーナ同様、一気に上昇したのかと思い上を見るが──

上空には文字通り、敵の影も形もない。

でも、なんらかの方法で姿を隠してるのは間違いないんだ。


梨子「“すなかけ”!!」

 「ヴォッフッ!!!!!」


フィールドを掘り、作り出した砂を辺りにばら撒く。

これで少しだけでも視界を奪って、次の攻撃に備える……!!


ことり「ジュナイパー、落ち着いて、“みやぶる”で狙いを定めて」


──ユラリ。

突然、ムーランドの足元の影が揺れた。


梨子「!? し、下!?」

ことり「“ゴーストダイブ”!!」

 「ジュナイッ!!!!!」

 「ヴォッフッ!!!?」


足元の影から飛び出してきたジュナイパーは、そのまま“リーフブレード”でムーランドを切り裂いて、そのまま上昇する。


梨子「……っ!! “10まんボルト”!!」

 「ヴォッフッ!!!!!」


まだ空気中に残った電荷を掻き集めて、空へ逃げるジュナイパーに向かって電撃を放つ。

──だが、攻撃が当たると共にジュナイパーが掻き消える。


梨子「!?」


気付けば、空には数体のジュナイパーの姿。


梨子「今度は“かげぶんしん”……!」

 「ヴォッフ……!!!」


ムーランドが膝を折る。

もうどく状態が長い、そろそろ限界が近い。



229 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:17:16.63YHpk3Rh50 (43/102)


梨子「狙いを定める……ムーランド! “かぎわける”!」

 「ヴォフ」


ムーランドが鼻を鳴らす。

すぐに、


 「ヴォッフヴォフッ!!!!」


宙を舞うジュナイパーのうち一匹を視線で追いかけ始める。


梨子「あれが本物……!!」

ことり「……!! 対応が早いね……!! なら、ジュナイパー!!」

 「ジュナイッ!!!!!」


ジュナイパーは逃げるのをやめて、元の一匹に戻り、羽から出した矢羽を番える。


梨子「ムーランド!! 攻撃来るよ!!」

 「ヴォッフッ」

ことり「ジュナイパー!! “かげぬい”!!」

 「ジュナイプッ!!!!!!!」


空中から矢が撃ち出される。

一直線に飛んで来る矢羽。

でも、正体を追いきった状態なら、一直線に飛んで来る矢は回避できる……!!


梨子「ムーランド!!」
 「ヴォッフッ!!!!」


ムーランドがすんでのところで、矢をかわす。

矢はムーランドの顔のすぐ横を掠めたが、

攻撃は完璧に回避できた。


梨子「よし……!!」


すぐに反撃へと移ろうとした瞬間、

異変に気付いた。


 「ヴォッ…フ」

梨子「……え?」


ムーランドの動きが固まっていた。


梨子「ム、ムーランド!? どうしたの!?」

 「ヴォッフ……」


ムーランドは苦しげな顔をして、その場に立ち尽くしている。

もうどくでもう動けない……? いや、そういう感じじゃない。


梨子「何かされた!?」



230 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:18:10.97YHpk3Rh50 (44/102)


すぐさま周囲を観察する。

だけど、異常らしい異常なんて見当たらない。

地面には先ほど、ムーランドが避けた矢羽くらいしか……。


梨子「……いや、それだ……!!」


矢羽は、ムーランドの影に刺さっていた。

ことりさんの指示した技は──“かげぬい”。


梨子「影に攻撃して、動きを止める技……!?」

ことり「正解!! でも、もう遅いよ!!」

 「ジュナイッ!!!!!!!」


ジュナイパーがムーランドの頭上から一気に下降してくる。

加速した上空からの一撃、


ことり「“ブレイブバード”!!」

 「ジュナイッ!!!!!!!」

 「ヴォッフッ!!!!!」


床に磔にされて、動けないムーランドは為す術もなく、その突進に吹っ飛ばされた。


梨子「ムーランド!」
 「ヴォフッ……」


……ムーランド、戦闘不能だ。


梨子「……戻って、ムーランド」
 「ヴォッフ…──」


私はムーランドをボールに戻し、

最後のボールを構えた。


梨子「……行こう!!」


ボールを放る。


 「ガニューーー!!!!!!」
梨子「メガニウム!!」


メガニウムは飛び出すと同時に“つるのムチ”を伸ばす。


ことり「! ジュナイパー!! 離脱!!」

 「ジュナイッ!!!!」


ジュナイパーがすぐさま上昇、“つるのムチ”はすんでのところでかわされる、が


梨子「空に逃がしちゃダメ!! “はなふぶき”!!」
 「ガニューーーー!!!!!」


逃げるジュナイパーに向かって、範囲攻撃を放つ。


 「ジュ、ジュナイッ!!!!!!」



231 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:19:29.02YHpk3Rh50 (45/102)


四方八方から、花びらが襲い掛かってきて、うまく空に飛び立てないジュナイパーに更に追撃、


梨子「“マジカルリーフ”!!」
 「ガニューーー!!!!!!!」


今度は必中の技。

最序盤で使った“グラスフィールド”による、くさタイプの強化の影響もあり、ジュナイパーをうまく翻弄できている。


ことり「あくまで逃がさないってことだね……なら、“ブレイブバード”!!」

 「ジュナイッ!!!!!」


ジュナイパーは再び“ブレイブバード”で一気に加速し、今度はメガニウムとの距離を一瞬で詰めてくる。


 「ガニュゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!」


メガニウムはそれに対して、地面に向かって足を打ち鳴らす。

任せろ──と言わんばかりに、


梨子「メガニウム!! 信じてるよ!!」

 「ガニュウウウウウウ!!!!!!!!!!」


雄叫びをあげる、メガニウムにジュナイパーの攻撃が突き刺さる。


 「ガ、ニュゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!」


激烈な突進、だけど、メガニウムは脚を踏ん張り耐える。


ことり「ジュナイパー!!」

 「ジュナイッ!!!!!!!!」


ジュナイパーは身を捻りながら、推進力を作り出し、押し切ろうとする。


梨子「“ねをはる”!!」

 「ガニュゥゥゥッ!!!!!!!!!」


メガニウムは足の裏から根っこを伸ばし、その場に自身に身体をホールドする。


ことり「……!!」


次第にジュナイパーは追加の推進力を得ることが限界に近付き。


 「ジュ、ジュナイ」


“ブレイブバード”の前進が止まる。


 「ガニュウッ!!!!!!」


すぐさま、メガニウムは再び“つるのムチ”を伸ばし、ジュナイパーを捕まえようとする。


ことり「ジュナイパー!!」

 「ジュナイッ!!!!!」



232 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:21:06.29YHpk3Rh50 (46/102)


だが、ジュナイパーもタダでは捕まらない。

目の前でサマーソルトキックをするように、丈夫な脚でメガニウムの顎を叩く。


 「ガニュッ!!!!」


一瞬、“つるのムチ”の勢いが弱まり、ジュナイパーは背後に向かって跳ぶ。


梨子「──“じしん”!!!」

ことり「“じしん”!?」

 「ガニュゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」


メガニウムが根っこと繋がった地面を大きく揺する。


 「ジュ、ジュナ!?」


ことりさんもジュナイパーも動揺している。

空に逃げようとしている相手に、何故“じしん”……? と言った顔だが、

私の狙いは“じしん”による攻撃じゃない……!!

──ボンッ!!


ことり「!?」

 「ジュナッ!!!?」


ジュナイパーの背後で何かが爆ぜる。

──ボンッ!!!

今度は前方で──いや、

──ボンッ!!! ボンッ!!! ボンッ!!!!

続け様に周囲が突然爆ぜる。


ことり「な!? こ、これ!?」

 「ジュ、ジュナッ!!!!?!?」


大きな音に驚いて怯んだジュナイパーを、今度こそ“つるのムチ”で捕まえる。


ことり「“タネばくだん”……!? まさか、“いやしのねがい”の直前に使った“やどりぎのタネ”は……!?」


──そうだ、あれはフェイクだ。

地面にばら撒かれた“タネばくだん”は、今“じしん”によって打ち上げられた衝撃で破裂し、ジュナイパーの不意をついて怯ませた。

メガニウムはそのまま、蔓で捕まえたジュナイパーを一気に自分の元へと引き寄せる。


ことり「っ!! ジュナイパー!! “リーフストーム”!!」

 「ジュナァァァァィッ!!!!!!!!!!」


蔓で引き寄せられながらも、ジュナイパーを中心にした草の嵐が吹き荒ぶ。

だけど、


 「ガニュゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!」


メガニウムは放さない。



233 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:22:00.09YHpk3Rh50 (47/102)


梨子「ここまで、いろんなことを考えながら旅をしてきました……」

ことり「……!」

梨子「これが……その中で、仲間たちと向き合って、見つけた答えです!!」

 「ガニュゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」


メガニウムが声をあげる。

引き寄せられたジュナイパーに向かって、繰り出す──この一撃。


梨子「──“おんがえし”!!!!!!」
 「ガッニュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


──全てを込めた、全力の一撃を、一発の頭突きに込めて、ジュナイパーにぶちかました。


 「ジュ……ナ……」


脳天に渾身の一撃を食らったジュナイパーは、白目を剥いて、崩れ落ちた。


 「ガニュゥゥ……!!!!」
梨子「……やった……。……やった……!!」


私はフィールドに走り出す。


梨子「メガニウム!!!!」
 「ガニュゥッ!!!!!!」


私はメガニウムに抱きつく。


梨子「やった!!!! 私たち、勝ったよ!!!!」
 「ガニュゥゥッ!!!!!!」

梨子「みんなの力で……勝てたよ……っ……」
 「ガニュゥッ」


なんだか、急に力が抜けて、もたれかかるようになりながら、何故だか涙が溢れてきた。


梨子「ありがとう……っ……みんな……っ……。……ここまで、わたしと一緒に、たたかってくれて……っ……ありがとう……」
 「ガニュ」


そんな私の頬をメガニウムが舐めてくる。


ことり「……ふふ、“おんがえし”か」

梨子「! あ、ご、ごめんなさい……!! まだ、決着宣言が……」


バトルが終わる前に飛び出すなんて、少しマナーが悪かった。


ことり「うぅん。正真正銘、梨子ちゃんの勝ちだよ」


ことりさんはジュナイパーをボールに戻しながら、そう言う。



234 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:23:33.55YHpk3Rh50 (48/102)


ことり「“おんがえし”はポケモンがトレーナーのことを信頼している程に威力を増す技……あれだけの威力を見せられたら、もう疑うことなんて出来ないね」

梨子「ことりさん……」

ことり「梨子ちゃんとポケモンたちの絆は……本物だよ」

梨子「……はい!」
 「ガニュッ!!」

ことり「ふふ、メガニウムもとっても幸せそうだね……」

 「ガニュッ」

ことり「梨子ちゃん」


ことりさんが私のことを真っ直ぐ見つめて名前を呼ぶ。


梨子「は、はい!!」

ことり「ここまで歩いてきた努力と、ポケモンたちとの揺るぎない信頼関係、そして疑いようのない実力を認め、あなたにこの──“ハミングバッジ”を進呈します」


ことりさんから差し出される、この地方での最後のバッジ。


梨子「はい!!」


私は力強く返事をしながら、そのバッジを受け取ったのだった。





    *    *    *





ことり「結局……全部ことりの取り越し苦労だったみたいだね」


ことりさんは恥ずかしそうに言う。


梨子「そんなことないです……あのとき、ことりさんに言われなかったら……私本当に大切なものを見落としたまま、この旅を終えていたと思います」


こんな素敵な景色に、世界に、経験に……そして、何よりも仲間たちにも気付かずに、だ。


梨子「今は……すごく素直に世界を見つめられてる気がします」

ことり「……そっか」

梨子「だから、ことりさん……!」


私はことりさんに礼を言おうと改めて向き直って──


ことり「梨子ちゃん」


──と、思ったらことりさんは私を抱きしめて、


ことり「ありがとう……」


そう言う。



235 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:24:08.58YHpk3Rh50 (49/102)


梨子「こ、ことりさん……? お礼を言うのはこっちの方で……」

ことり「うぅん……ことり、まだまだ未熟だから……梨子ちゃんにそう言ってもらえて、今すごくホッとしてる……」

梨子「ことりさん……」

ことり「ちゃんと答え……見せにきてくれてありがとう……」

梨子「……こちらこそ、最後まで見てくれて、ありがとうございます」


私はことりさんの抱擁に答えるように抱き返した。

こうして、私は……やっとあのときの失敗の答えを出すことが出来た──そんな充足感に包まれながら、この地方の全てのジムを制覇することが出来たのでした。





236 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 03:25:13.67YHpk3Rh50 (50/102)



>レポート

 ここまでの ぼうけんを
 レポートに きろくしますか?

 ポケモンレポートに かこんでいます
 でんげんを きらないでください...


【セキレイシティ】
 口================= 口
  ||.  |⊂⊃                 _回../||
  ||.  |o|_____.    回     | ⊂⊃|  ||
  ||.  回____  |    | |     |__|  ̄   ||
  ||.  | |       回 __| |__/ :     ||
  ||. ⊂⊃      | ○        |‥・     ||
  ||.  | |.      | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\     ||
  ||.  | |.      | |           |     ||
  ||.  | |____| |____    /      ||
  ||.  | ____ ●__o_.回‥‥‥ :o  ||
  ||.  | |      | |  _.    /      :   ||
  ||.  回     . |_回o |     |        :   ||
  ||.  | |          ̄    |.       :  ||
  ||.  | |        .__    \      :  ||
  ||.  | ○._  __|⊂⊃|___|.    :  ||
  ||.  |___回○__.回_  _|‥‥‥:  ||
  ||.      /.         回 .|     回  ||
  ||.   _/       o‥| |  |        ||
  ||.  /             | |  |        ||
  ||./              o回/         ||
 口=================口

 主人公 梨子
 手持ち メガニウム♀ Lv.58 特性:しんりょく 性格:いじっぱり 個性:ちょっぴりみえっぱり
      チェリム♀ Lv.53 特性:フラワーギフト 性格:むじゃき 個性:おっちょこちょい
      ピジョット♀ Lv.55 特性:するどいめ 性格:ひかえめ 個性:ものおとにびんかん
      ネオラント♀ Lv.48 特性:すいすい 性格:わんぱく 個性:ちょっとおこりっぽい
      メブキジカ♂ Lv.55 特性:てんのめぐみ 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
      ムーランド♂ Lv.49 特性:きもったま 性格:ゆうかん 個性:しんぼうづよい
 バッジ 8個 図鑑 見つけた数:146匹 捕まえた数:14匹


 梨子は
 レポートを しっかり かきのこした!

...To be continued.






237 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 13:41:56.53YHpk3Rh50 (51/102)


■Chapter082 『グランドフェスティバルに備えて』 【SIDE You】





──フソウタウン。ホテルの一室。


曜「……グランドフェスティバル評定基準一覧分厚い……」


私は来るグランドフェスティバルに備え、ルールの確認を行っているところだった。

グランドフェスティバルはここまでの部門ごとのコンテストと違い、かっこよさ、うつくしさ、かわいさ、かしこさ、たくましさの5つのコンディション全てが要求される。

そのため、基本は同じでも細かいルールがかなり異なるのだ。

ちなみに、ことりさんもセキレイシティから戻ってきたらしいが、今は別に部屋を取っている。

あんじゅさんも言っていたが、数日後に対等に戦う相手である以上、直近であまり一緒に行動しているのはお互いのためにもよくないからだ。


曜「えーっと……『グランドフェスティバルは5部門全てのコンディションがポイント化されます』……ふむふむ。『ただ、1匹のポケモンで全てのコンディションをまかなうことは難しいため、措置としてメインポケモン1匹の他に2匹のサポートポケモンの持ち込みが許可されています』」


サポートポケモン2体はメインポケモンのアピールの補助をする役割がある。

そうなると、自然とメインポケモンが弱い部門の補助をすることになると思うけど……。


曜「……と言っても私の手持ちはコンテスト要員じゃないホエルオー以外は全部部門が違うから、そこはあんまり考えなくてもいいかな……」


一応現時点ではメインはラプラス。サブにはカメックスとタマンタを置こうとは思っている。


曜「『一次審査……メインサブ含めた3匹の全てのコンディションを評価対象とし、部門ごとに客席からの投票を行います。』」


つまり、5部門それぞれの一次審査判定があるということだ。


曜「『一次審査の後、得票の合計点が発表され、得票率が高い順に二次審査の1ターン目のアピールをすることになります』……この得点は今までのコンテスト違って、可視化されるってことかな」


私はちょっとずつ内容を頭に入れながらコンテスト概要のページをめくる。


曜「『二次審査……二次審査は全6ターン。1~5ターンの間はかっこよさ、うつくしさ、かわいさ、かしこさ、たくましさの5部門のターンが順番に周って来ます。ただし、その順番はランダムでターンの開始時に発表されます。参加コーディネーターはターンのはじめにそのターンに使用する技をあらかじめポケモンに指示してください。他の参加者のアピールを見てからアピールする技を変えることは出来ません。』」


ターンの開始時に要求される部門が決定されるから、その場で素早く判断して、使う技を決めなくてはいけない。これは今まで通りだ。


曜「『また、全てのターンで全ての技が全ての部門コンディションごとに得票処理を行われます。オーディエンスのエキサイトは部門ごとに審査員が判定し、部門通りのアピールの場合に限り、倍に近いエキサイトが得られているものと判断します。またそのターンの部門に沿わないタイプのアピールをした場合、減少するエキサイトも倍下がるものと考えます。』……えーっと、つまり……」


常に使った技を全ての部門で計算して、それの合算値を得点として加算するということだ。

例を出すと、全ての部門エキサイトが1、ターン部門がうつくしさのときに“こなゆき”を使うとする。

この技は元々うつくしさタイプの♡4の技だ。

そうすると……。


かっこよさ:♡4 かっこよさエキサイト変動なし。Ex1のまま。 =♡4

うつくしさ:♡4 うつくしさエキサイト変動+2。Ex3。更にエキサイトボーナス点♡+2 =♡6

かわいさ:♡4 かわいさエキサイト変動なし。Ex1のまま。 =♡4

かしこさ:♡4 かしこさエキサイト1減少。Ex0。エキサイトの減少による減点で♡-1 =♡3

たくましさ:♡4 たくましさエキサイト1減少。Ex0。エキサイトの減少による減点で♡-1 =♡3

合計:♡4+6+4+3+3 = ♡20


ということになる。



238 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 13:45:37.10YHpk3Rh50 (52/102)


曜「うー……思ったより複雑だな……」


常に全ての技が全ての部門ごとの判定を行われるだけでなく、エキサイトも部門ごとに存在するため、考えて操作するとなると、かなり複雑になる。

ただ、逆にこのルールは今までのコンテストでは生かし辛かった技も使えることになる。

具体的に言うなら、“うずしお”のような、ターン中のエキサイトを固定する技。

使ったタイミングでの判定は変わらないけど、それ以降ターン中のエキサイトは全ての部門において、上昇も下降もしなくなる。


曜「この技のエキサイト操作への影響力は今までのコンテストとは比べ物にならない」


次に“ふいうち”や“つららおとし”のような使う順番によっては、大きくエキサイトを上昇させる技。

前者“ふいうち”は1番目のアピール時に、後者“つららおとし”は4番目のアピール時にエキサイト上昇が倍になる技だ。

ターン部門と一致させれば、倍の倍でエキサイトは一気に4上昇。加えて?4のボーナスも貰える。


曜「エキサイト0のとき以外は4つ上昇させたら、確実にボルテージMAXまで行くから……かなりの得票が期待出来る……」


逆に“うそなき”や“こごえるかぜ”のような、部門外だった場合エキサイトを2段階下げてしまう技は複数の部門のエキサイトを無理矢理リセット出来る技にもなる。

部門ごとアピールについてはまだまだ考えられることはたくさんありそうだけど……ひとまず次に進もうかな。


曜「『6ターン目は部門が存在しない、フリーアピールとなります。』……ここまで5ターンと違って、特定の部門に偏らない純粋なアピールタイムってことだよね。『また、フリーアピール時のアピール順は技による順番の操作を除き、1~5ターンの総合点の高い順番にアピールをすることになります。』」


本当に最後の最後にするアピールということだ。


曜「『二次審査6ターンのうち、2匹のサポートポケモンは2回ずつ……合計4回サポートアピールをすることが出来ます』」


さて、大きな変更点サポートポケモンに対する説明項目。


曜「『サポートアピールは基本評定基準自体は前述のものと変わりませんが、合計点は0.5倍(切り上げ)されたものが加算されることになります。またサポートアピールは必ずメインポケモンより前に使用し、一匹のサポートポケモンが1ターンの間に2回アピール機会を消費することは出来ません』」


サポートポケモンの技はあくまでサポート。メインポケモンに比べてアピール出来る量は少なくなるようだ。


曜「『メインポケモンとサポートポケモンのアピールは基本的に独立しています。ただし、場全体に掛かる技からコンボ待機~それに続く技による評定は、メインポケモン、サブポケモンで統一した判定を用います』……えーっと、つまり……」


サポートポケモンのタマンタが“あまごい”を発動した直後に、ラプラスが“かみなり”を使うとこれだけでコンボが成立したことになる、ということだ。

逆に言うならメインとサポートで統一……ということは、前のターンにラプラスが“あられ”を使って、次のターンのサポートアピールでカメックスが“ふぶき”を使う。みたいなことも出来るけど……。

ただ、サポートポケモンの得票は半分として扱われるから基本的にはラプラスがコンボを決める方が得点的にはおいしい。


曜「一匹のサポートポケモンが1ターンの間に2回アピールすることは出来ない……ってことは1ターンの間に2匹両方でサポートアピールすることは出来るってことだよね」


これも頭に入れておいた方がいいかもしれない。


曜「『またサポートポケモンの防御技は、広範囲を守れるものなら、メインポケモンも一緒に守ることが出来ます』……つまり、タマンタで“ワイドガード”を使えば、ラプラスも一緒にガードされるっと……」


サポートの役割として重要な部分になる気がする。


曜「『サポートポケモンは妨害を受けず、仮に他のポケモンのアピールで驚いたとしても減点の対象にはなりません』……あくまでアピールを邪魔されたときに減点されるのはメインポケモンだけってことだね」


サポートポケモンは防御を意識しなくてもいい、ということだ。


曜「『同様にサポートポケモンによる妨害技は全てメインポケモンへ行います。出場者のサポートポケモン同士のアピール妨害は減点の対象とはなりません。同様に他の参加ポケモンの技に依存するアピール技は、全てメインポケモンを前回の行動者として参照します。』」



239 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 13:48:27.14YHpk3Rh50 (53/102)


サポートポケモンでサポートポケモンを驚かしても意味ないよ、という話。ただ、低いリスクでメインポケモンのアピール妨害が出来ると言うのは頭に入れておこう。

ついでに“ものまね”のような他のポケモンの技を真似る技などを使ったときに、真似ることが出来る技はサポートポケモンのアピールを挟んでいても、メインポケモン同士で行われるということだ。

サポートポケモンで大技を出して、それを“ものまね”で繰り返すみたいな使い方は出来ないようだ。


曜「『調子をあげる技はメインポケモン、サポートポケモンは独立していて、お互いに作用することはありません』……まあ、そりゃサポートポケモンがビルドアップした能力が他のポケモンのものになるわけじゃないからね」


ただ、サポートポケモンが調子をあげて、次のサポートアピールに備えるということも出来なくはない。……えーと、次。


曜「『サポートポケモンのアピールによってもエキサイト評定は基本的に変動するものと考えます。ただし、ターン部門のタイプと一致していても、メインポケモンのように倍付けのエキサイト上下は起こらないと考えます』」


つまりうつくしさのターンのときに、うつくしさの技を使ってもサポートポケモンの技によって変動するエキサイトは1ということだ。


曜「『ターン中にエキサイトがMAXになったときに限り、メインポケモンがライブアピールを行うことが出来ます。ライブアピールは会場のボルテージが最も高い状態で行うことの出来る特別なアピールです。サポートポケモンのアピールでエキサイトがMAXになった場合、ライブアピールすることは出来ません。』」


サポートポケモンのときにエキサイトがMAXになってもライブアピールが出来ない……これは本当に頭に入れておかないといけない。

サポートポケモンのタイミングでエキサイトゲージを満タンにしたら、ライブアピールが不発して、そのままエキサイトゲージはリセットされてしまうのはかなり痛手になる。


曜「『ライブアピールは独立した技として判定せず、発動直前に使った部門技の該当部門点だけにボーナス点を追加します。他の部門点への追加ボーナスは発生しません。』」


ライブアピールは?5点分のアピールに相当する。

ただ、あくまで発動した部門アピール点が増すだけで、全部門点に5点ずつ追加されるということではないという注意だろう。


曜「『最終的に一次審査:二次審査=1:2の割合で最終ポイントが決定します。合計点が最も高かった出場者が優勝です。』……ここはだいたい今までのコンテストライブ通りかな」


大雑把なルールの把握はこんなもんかな……。

あとは……。


曜「同じコンテストライブで戦う相手のことか……」


現クイーンのあんじゅさん。

前クイーンのことりさん。

そして、私に最初にコンテストをレクチャーしてくれた志満姉。

三人とも実際にコンテストをしているところを見たことがないからなんとも言い辛いけど……。

性格や得意な部門から、ある程度の戦略は推測出来るかもしれない。


曜「まず志満姉……おっとりしたお姉さんだけど、得意部門はたくましさやかっこよさ……」


得意部門からすると妨害が強い技が多い。


曜「そういえば、昔は割とおてんばだったって、あんじゅさんが言ってたような……」


志満姉からの妨害は警戒した方がいいかもしれない。


曜「次はことりさん……」


ことりさんは私を教える間も常にアピール特化を強く教えてくれていたけど……。

あれは私の考えを尊重してくれていたからであって、ことりさん自体はバトルスタイルを見ていても……。


曜「ことりさんって基本的にまず相手が動いたのを見てから対応してるよね……。元々器用なオールラウンダーだし、対応型な気がする」


アピール妨害防御なんでもござれな対応型かな。



240 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 13:49:35.94YHpk3Rh50 (54/102)


曜「あんじゅさん……」


正直あんじゅさんのことはほとんどわからない。

だけど、自信満々の喋り方が割と印象に残っている。

そういう人は自分の覇道を往く、アピール特化な気もする。


曜「イメージの域は出ないけど、三人ともタイプが違う……」


かくいう私も一応アピール特化だけど……どの方向性でも極めれば頂点の大会まで辿り着く可能性を持っていると言うことだろうか。

そんなことを考えながら頭を捻っていると、

──prrrrrr.

ホテルの室内に備え付けてる電話が鳴る。


曜「ん? ご飯の時間かな?」


随分と考え事をしていたため、ディナーの時間を伝えるためのフロントからの内線かもしれない。

そんなことを考えながら、受話器を取る。


曜「もしもしー」

あんじゅ『こんばんは、曜。あんじゅだけど』

曜「……!?」


電話の主はなんとあんじゅさんだった。


曜「あ、あんじゅさん!? ど、どうかしたんですか……?」

あんじゅ『本番前にごめんなさいね。ただ、ちょっと話しておきたいことがあって……』

曜「……話しておきたいこと?」

あんじゅ『直接会って話したいし……渡したいものもあるから、ちょっと出てこれるかしら?』

曜「……?」





    *    *    *





曜「……うわ、オシャレなカフェ……」


──あんじゅさんに呼び出されたのはフソウタウンの大通りから少し小道に入ったところにある、オシャレなお店だった。

……というか、カフェというよりここは……。


バーテンダー「いらっしゃいませ、お客様」

曜「あ、えっと……」


入るや否や、バーテンダーさんに声を掛けられる。

こういう場所には慣れてないから、しどろもどろしていると……。


あんじゅ「その子、わたしの知り合いなのよ~」


あんじゅさんが店の奥から歩いてくる。



241 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 13:51:14.12YHpk3Rh50 (55/102)


バーテンダー「そうでしたか」

あんじゅ「カウンターの奥の席、使わせてもらっていい?」

バーテンダー「ええ、もちろんです」


バーテンダーさんは恭しく礼をすると、店の奥へと戻っていった。


あんじゅ「さ、こっちに来てくれる?」

曜「あ、はい……」


あんじゅさんに促されて、後ろをトコトコと付いていく。


曜「あのーあんじゅさん……」

あんじゅ「なにかしら?」

曜「ここ……バーですよね?」


通されたカウンター席の向こうでは、恐らくマスターらしき人がカクテルを作っているところだった。


あんじゅ「そうよ。行き着けの場所なの。落ち着いてお酒が飲めるから、つい足を運んじゃうのよ」

曜「……私、まだ未成年なんですけど」

あんじゅ「わかってるわ。別にお酒を飲ませるために呼んだわけじゃないから。マスター、この子にソフトドリンク貰える?」


あんじゅさんの言葉を聞くと、マスターと呼ばれた人が手際よく、ジュースを用意してくれる。


マスター「パイルの実をベースにした、きのみのブレンドジュースです」

曜「あ、ありがとうございます……」


一口飲んでみると──


曜「なにこれ!? おいしい……!!」


パイルの実の皮が持つ酸っぱい味のあとに、他のきのみの甘い味が口いっぱいに広がる。

でも、それでいてしつこくなくて、すごく飲みやすい。無限に飲んで居られそうな気がする。


マスター「ありがとうございます」

あんじゅ「マスターの作るカクテルやブレンドジュースは絶品なのよ。……っと、それはいいとして」


あんじゅさんはカバンから、封筒のようなものを取り出す。


あんじゅ「これを渡しておこうかなと思って」

曜「……? なんですか?」


封筒を受け取り、表を見ると、


曜「……え」


そこには『コンテスト運営委員会役員推薦状在中』と書かれていた。



242 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 13:53:16.23YHpk3Rh50 (56/102)


曜「コンテスト運営委員会役員……?」

あんじゅ「そ。グランドフェスティバルの直前に渡すのもどうかな……とは思ったんだけど、ここまで来たら勝っても負けても、これを渡すに足ると思ったし」

曜「どういうことですか?」

あんじゅ「グランドフェスティバルは知っての通り、この地方のコーディネーターの頂点を決める大会よ。つまり今現在あなたは低く見積もって地方で4番目以上に優秀なコーディネーターってこと。間違いなくトップクラスのコーディネーターよ」

曜「トップクラスのコーディネーター……」

あんじゅ「ま、最も役員の中にはすでに永世クイーンになって殿堂入りした人もいるけど……現役コーディネーターの中では間違いなく、上位中の上位よ」

曜「……それと私が役員の推薦状を貰ってるのと関係が……?」

あんじゅ「……これはあくまでわたしの考えなんだけど、わたしはコンテストと言うものがもっと多くの人に広がって欲しいと思ってる」


言われてみれば、あんじゅさんはクイーンでありながら、率先してアクセサリー入れを配ったり、コンテストの布教をしていたことを思い出す。


あんじゅ「まだまだ、ポケモンと一緒にやることと言えばバトル……と言うのが主流だけど、わたしはポケモンの魅力はそれだけじゃないと思ってる」

曜「わ、私もそう思います!」

あんじゅ「ふふ、ありがと。……だからわたしはね、もっといろんな人にコンテストの良さを知ってもらう方法をいつも考えてるの」

曜「……」

あんじゅ「でも、一人じゃ知恵が足りない……だから、コンテストに真っ直ぐ向き合って、実力で持って上まで駆け抜けて来た仲間たちと一緒に、もっとよりよいものが作れないかなと思って、本当に優秀なコーディネーターにはこうして声を掛けているの。その人選のラインがグランドフェスティバル出場経験者ってわけ」

曜「……なるほど」

あんじゅ「実際、この考えにはことりも同意してくれててね。実はあの子も役員なのよ──……ってさすがに知ってるかしら?」

曜「……直接ことりさんの口から聞いたことはないですけど、薄々そうなんだろうなとは……」


ことりさんは出場するわけでもないのに、頻繁にコンテスト会場に足を運んでいたし、運営側に関わっているんだろうなと言うことは、なんとなく気付いていた。


あんじゅ「そういうわけで……どうかしら?」

曜「……う、うーんと……」


私は急に言われて困惑してしまう。

もちろん、すごく名誉なことだと言うのはわかってはいるけど。


あんじゅ「……もちろん、すぐに答えて欲しいってわけじゃないわ。グランドフェスティバル本番もあるわけだし」

曜「……そうですね……。ちょっと、少し考えさせてください」

あんじゅ「ええ、わかったわ」


あんじゅさんはカクテルに軽く口を付けてから──


あんじゅ「曜」


訊ねて来る。


曜「なんですか?」

あんじゅ「コンテストは好き?」

曜「……はい! 大好きです!」

あんじゅ「そう……なら、あのときあなたに布教してよかった」

曜「こちらこそ……ありがとうございます。あんじゅさんのお陰でコンテストに出会えました」

あんじゅ「ふふ、でもあなたなら遅かれ早かれこの世界に来ていたと思うけどね」


あんじゅさんはそう言って笑う。



243 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 13:54:24.48YHpk3Rh50 (57/102)


あんじゅ「……ことりがね、言っていたの」

曜「?」

あんじゅ「まだコンテストライブは過渡期だって」

曜「過渡期……ですか」

あんじゅ「まだまだルールを洗練出来るし、もっともっとポケモンたちの魅力を伝えられる場として、もっともっと発展出来る可能性を秘めてる素敵な場所なんだって」

曜「ことりさんが……」

あんじゅ「ことりは、もっと多くの人が、ポケモンたちの魅力に気付ける場所にしたい、その機会と出会える場所にしたいって言っていた。それがあの子がコンテストに懸ける信念」


あんじゅさんは私の目を真っ直ぐ見つめながら、


あんじゅ「曜、あなたにとってコンテストは……どういう場所であってほしい?」


問うてくる。


曜「……私は──」


少し考える。

私にとってコンテストって、どんな場所だろう。

自分が考えた最高の衣装を皆に披露して、それを受け止めてもらって、認めてもらえる場所……。

……うぅん、ちょっと違うな。


曜「……笑顔になれる場所、かな」

あんじゅ「笑顔になれる場所?」

曜「……私がコンテスト会場に訪れた理由なんですけど……実は野生のポケモンとのバトルですごい怖い思いをして……バトルが怖くなって、この先どうしようか、すごく迷ってたんです」


スタービーチでのドヒドイデとのバトルで、本当に怖い思いをした。


曜「そんなときに、先輩トレーナーに薦められて、コンテスト会場を訪れて……そしたら、ポケモンもコーディネーターさんも……それだけじゃない、観客の皆もすごく楽しそうで、キラキラしてて……。気付いたら私もそのキラキラから目が離せなくなってて」


自分で言ってて、思い出して、気付く。



244 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 13:55:30.93YHpk3Rh50 (58/102)


曜「私……コンテストがあったから、また笑顔になれた。……怖い思いしたけど、ポケモンを嫌いにならずに居られた」

あんじゅ「……そっか」

曜「だから……皆がキラキラ眩しい笑顔で笑って、ポケモンと一緒に何かを表現するのって、素敵なんだなって、そう思える場所になってくれたら……うぅん、そうあり続けてくれたら……嬉しいです」

あんじゅ「……ふふ、やっぱり、わたしの目に狂いはなかった……すごく素敵な考えだと思うわ」


あんじゅさんはわたしの言葉を聞いて優しく微笑んでくれる。


曜「あ、ありがとうございます」


なんかちょっぴり恥ずかしい。


あんじゅ「ますます、一緒にコンテストを作って行く仲間に欲しくなっちゃったけど……それは、グランドフェスティバルが終わってからにするわ」


そう言ったあと、あんじゅさんは手を差し伸べてきた。


あんじゅ「……グランドフェスティバル。お互い全力で、訪れた誰もが笑顔になれるような、素敵なコンテストライブにしましょう」

曜「……はい!」


私はその手を強く握る。

このあと二人でゆっくり談笑をしながら過ごす。

コンテストについて語るたびに、あんじゅさんは嬉しそうに話を聞いてくれて──。

そんなあんじゅさんたちと戦う最後の決戦のステージが……いよいよ、始まるんだ。

コーディネーターの頂点を決める大会、グランドフェスティバルが──

そんなことを考えながら、フソウタウンでの夜は更けていくのでした……。





245 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 13:56:14.61YHpk3Rh50 (59/102)



>レポート

 ここまでの ぼうけんを
 レポートに きろくしますか?

 ポケモンレポートに かこんでいます
 でんげんを きらないでください...


【フソウタウン】
 口================= 口
  ||.  |⊂⊃                 _回../||
  ||.  |o|_____.    回     | ⊂⊃|  ||
  ||.  回____  |    | |     |__|  ̄   ||
  ||.  | |       回 __| |__/ :     ||
  ||. ⊂⊃      | ○        |‥・     ||
  ||.  | |.      | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\     ||
  ||.  | |.      | |           |     ||
  ||.  | |____| |____    /      ||
  ||.  | ____ 回__o_.回‥‥‥ :o  ||
  ||.  | |      | |  _.    /      :   ||
  ||.  回     . |_回o |     |        :   ||
  ||.  | |          ̄    |.       :  ||
  ||.  | |        .__    \      :  ||
  ||.  | ○._  __|⊂⊃|___|.    :  ||
  ||.  |___回○__.回_  _|‥‥‥:  ||
  ||.      /.         回 .|     ●  ||
  ||.   _/       o‥| |  |        ||
  ||.  /             | |  |        ||
  ||./              o回/         ||
 口=================口

 主人公 曜
 手持ち カメックス♀ Lv.53 ✿ 特性:げきりゅう 性格:まじめ 個性:まけんきがつよい
      ラプラス♀ Lv.47 ✿ 特性:ちょすい 性格:おだやか 個性:のんびりするのがすき
      ホエルオー♀ Lv.45 特性:プレッシャー 性格:ずぶとい 個性:うたれづよい
      ダダリン Lv.47 ✿ 特性:はがねつかい 性格:れいせい 個性:ちからがじまん
      カイリキー♂ Lv.44 ✿ 特性:ふくつのこころ 性格:まじめ 個性:ちからがじまん
      タマンタ♀ Lv.42 ✿ 特性:すいすい 性格:むじゃき 個性:こうきしんがつよい
 バッジ 2個 図鑑 見つけた数:161匹 捕まえた数:23匹 コンテストポイント:120pt


 曜は
 レポートを しっかり かきのこした!

...To be continued.






246 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:04:15.69YHpk3Rh50 (60/102)


■Chapter083 『開催! グランドフェスティバル!!』 【SIDE You】


司会『──レディーーース・アーーーンド・ジェントルメーーーンッ!!! 今宵、ついに……ついについに始まります!! ポケモンコンテストライブにおいて最強のコーディネーターの座を競い合う祭典──グランドフェスティバルのお時間です!!!!!!』


眼鏡がトレードマークの司会の声と共に、会場中は歓声と熱気に包まれ、最後の大会が幕を開ける。


司会『この栄誉ある大会にて、本日全てのコーディネーターたちの頂点を目指して競い合う、参加者たちとそのポケモンたちの紹介です!!!』


司会『エントリーNo.1!! もはやここに訪れている人間で、彼女とその相棒を知らない人は居ないと言っても過言ではないでしょう!!! 現クイーン!! 『うつくしさの覇者・ビューティフルバタフライ』──』


司会の声と共に、スポットライトが当てられる。


司会『──あんじゅ&ビビヨン!!!』

あんじゅ「はぁーーーい!!!! 皆ーー!! よろしくねーー!!!」
 「リィリリィ、リィリリリィ~」

司会『そして、サポートポケモン──バタフリー!! アゲハント!!』

 「フリーフリーー!!!」「ハーーーント」


紹介を受けた、三匹の蝶々があんじゅの周りを華麗に飛び回る。

──そのポケモンたちは小さな身体に美しいドレスを纏い、翅には“ぎんのこな”がライトを反射してキラキラと光っている。

頭には三匹おそろいの水色の小さなリボンを付けて飾っている。

それを見て、一気に盛り上がる会場内。


司会『あんじゅさんは今大会が三回目の防衛戦──即ち、今回優勝すれば、栄誉ある永世コンテストクイーンの称号が与えられます!!』


司会の言葉を聞き、会場が再び大きな歓声に包まれる。


司会『ですが、次の参加者もそんな、あんじゅさんに負けず劣らずな超実力派コーディネーター!!! エントリーNo.2!! バトルもコンテストも可憐にこなす前クイーン!! 『プリティー・ハミングバード』──』


現われた彼女がスポットライトに照らされ現われる。


司会『──ことり&チルタリス!!!』

ことり「みんなーーー!!! 今日は絶対に優勝するからーーー!!! 応援してねーーー!!!」
 「チィーーール」

司会『そして、サポートポケモンはジュナイパーとモクローです!!』

 「…ジュナッ」「ホーホー」


モクローはことりの頭の上で羽を開く。

天使のような真っ白な上着を羽織り、シンプルに着飾っている。

逆にジュナイパーは真っ黒なタキシードを象った姿。

メインポケモンであるチルタリスは頭に花冠を身に付け、真っ白な綿羽にあわせるような純白のドレスを身に纏っている。


司会『今回は花嫁をイメージした衣装で参戦!! 自前の衣装で着飾るという発想をコンテストに持ち込んだのは彼女とまで言われています!! 今回もその持ち味を存分に生かして、クイーン奪還を目指します!!』


会場中から黄色い歓声が飛んで来る。

彼女の作る衣装人気は、多くの女性ファンの心をわしづかみにしている。この歓声もそれゆえのものだ。


司会『さあ、エントリーNo.3!! この実力派の二人に長年喰らいつき、今回も再びこのグランドフェスティバルの場にて競い合います!! たくましさ・かっこよさコーディネーターと言えばこの人!! 『ジェノサイド・プリンセス』──』


──ズシン、ズシン。と重量感のある音とともに現われたのは、



247 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:05:56.69YHpk3Rh50 (61/102)


司会『──シマ&ギガイアス!!』

志満「さあ……行きましょう、皆!」
 「ギーーーガイァッ!!!!!!」


そして、そんなギガイアスは二匹のポケモンを背負っての入場。


司会『ギガイアスに背負われている二匹の大型ポケモンはサポート枠!! ゴローニャとトリデプスです!!』

 「ゴローーニャ」「リデプス……」

司会『担がれている二匹の総重量は約450kg!! 入場だけでそのたくましさを体現しています!!』

 「ギガイァッ!!!!」


ギガイアスが声をあげて、二匹を下ろすと、その重量で──ドズン! と重鈍な音と共にステージにヒビが入る。


司会『ジェノサイド・プリンセスの二つ名に相応しく、たくましさコンテストにおいて最強の名を欲しいままにしている彼女! さっそく会場にヒビが入ってしまいましたね!』


それを見て、雄々しい歓声が飛んで来る。

そのたくましさは男性コーディネーターたちからも一目置かれている。


司会『この三人と牙を交えて争うことになるのは──エントリーNo4!! 行く先々でオリジナルの衣装を披露し、全ての部門をストレートで突破した、新進気鋭の超新星!! 『ワンダフル・ファッションマスター』──』


最後に現われ、スポットライトの照らされるのは、


司会『──ヨウ&ラプラス!!』

曜「優勝に向かって全速前進ーー!!! ヨーーーソローーー!!!!」
 「キュウウーーーーー」


ラプラスもチルタリス同様、花嫁のような真っ白なドレスのような衣装を身に纏っている。

頭には青い花のコサージュ、首には真珠のネックレスを身につけ、飾っている。


司会『そして、サポートポケモンはカメックスとタマンタです!!』

 「ガァーーメッ」「タマ~」


カメックスは黒いタキシードで身を包み、タマンタは真っ白なコートから羽を生やした天使コーデ。

まるで先ほどのことりのポケモンと同じような組み合わせだ。


司会『えー予め調べた情報によりますと、ヨウさんは今回の出場者であることりさんとは師弟関係に当たるそうですね。最後の最後に同じテーマの衣装を持ってくるのは流石師弟と言ったところでしょうか』


ことり(ウェディングドレス……晴れ舞台に一番相応しいもんね)

曜(ことりさんもきっと私と同じ考えで、このテーマ衣装を選んだんだ……でも、だからこそ、この勝負──)

ことり(──わたしが勝つよ)
曜(──私が勝つ……!!)


ことりと曜、師弟の間で無言の火花が散る。


あんじゅ(バチバチじゃない……でも、わたしも現クイーンとして、負けるつもりはない……!!)

志満(今度こそ、私もクイーンに……! あんじゅちゃん、ことりちゃん……そして、曜ちゃん。勝負よ……!)


それぞれの想いを胸に── 一次審査が始まる。





248 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:07:36.04YHpk3Rh50 (62/102)



    *    *    *





司会『それでは一次審査に参りましょう!! お手元のパンフレットにもルールが記載されていると思いますが、グランドフェスティバルではかっこよさ・うつくしさ・かわいさ・かしこさ・たくましさ全てのコンディションを競い合います! オーディエンスの皆様には5つの部門ごとに一票ずつ投じていただきます! ご準備の程は宜しいでしょうか!!』


司会のその言葉に了解の意を示す歓声があがる。


司会『それでは……ビビヨン・バタフリー・アゲハントは赤、チルタリス・ジュナイパー・モクローは白、ギガイアス・ゴローニャ・トリデプスは黄色、ラプラス・カメックス・タマンタは青でお願いします!! まずはかっこよさから──』


司会の声と共に観客席からペンライトがあげられる。


曜(!? あ、圧倒的……!?)

あんじゅ(かっこよさは仕方ないか……)

ことり(やっぱり、そうなるよね……)


参加者全員が心の中でその様子に想いを描く。そんな中で唯一余裕の心持ちなのは──


志満(かっこよさとたくましさは譲らない……!!)


志満だ。

会場は黄色が6割近くを占めいている。

それに続く形で白→青→赤となっている。


司会『それでは、次はうつくしさです!! お願いします──』


会場の色が変わっていく。今度はうつくしさだ。


ことり(……これも予想通りかな)

志満(…………)

曜(うぐぐ……)


またしても、会場はある一色が大半を占めていた。


あんじゅ(──赤。当然よ。わたしはうつくしさで戦ってるんだから……!)


うつくしさ部門を得意とする、あんじゅの独擅場。

先ほどの志満の結果を上回って、7割ほどが赤色で染まっている。

引き離された形でそこに続くのは辛うじて青と白。黄色はほぼない状態だ。


司会『次はかわいさです!! 皆様、ご自分がかわいいと思ったポケモンに投票をお願いします──!』


次はかわいさ。


曜(! 割と多い!)

志満(三つの部門は仕方ないわね……)

あんじゅ(……流石と言ったところかしらね)


かわいさ部門で約半数の得票を得たのは──


ことり(やった! かわいさ部門なら負けないもん!)



249 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:08:47.50YHpk3Rh50 (63/102)


ことりカラーの白色が目立っている。

そして、それを追う形で青、赤の得票。再び黄色はほとんどない状態だ。


司会『続いて、かしこさ部門です!! 皆様どうぞ色変えをお願いします!』


かしこさ部門への投票で、変わる会場。


あんじゅ(……! なるほど、そうなるのね)

志満(……確かに、ポケモンのイメージが強く出るから)

ことり(……やっぱりかしこさ部門は苦手だなぁ)


やや驚いた心持ちの出場者たちの中、もっとも多くの支持を得たのは──


曜(……え!? わ、私たち!? ラプラスのかしこいイメージが生きた……!!)


曜だ。会場は青が過半数を占めている。

それに続くのがことりの白、あんじゅの赤、そして本当に僅かに見える志満の黄色。


司会『そして、最後はたくましさ部門です!! お願いします!!』


ラストたくましさ部門。その覇者は──


あんじゅ(……ま、そうなるわね)

ことり(これはさすがに……)

曜(……だよね)


会場を埋め尽くすのは黄色のペンライト。


志満(……よし)


ギガイアス・ゴローニャ・トリデプスとたくましさを重視したポケモンたちで固めている志満の圧勝だ。

7割に及ぶ支持を得ている。

それにかなり引き離される形で1割強ほど、青と白、それに少し劣る形で赤の色が見える。



250 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:14:32.26YHpk3Rh50 (64/102)


司会『ありがとうございます!! これにて一次審査を終了し、集計に移りたいと思います!! それではスクリーンに集計結果を表示します!!』


司会の声と共に、ドラムロールが鳴り響き──結果が一気に映し出される。


 《 かっこよさ
   【 ビビヨン 】 〔 ♢♢♢                   〕
   【チルタリス 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢                〕
   【ギガイアス】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢    〕
    【 ラプラス 】  〔 ♢♢♢♢                  〕

  うつくしさ
   【 ビビヨン 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ 〕
   【チルタリス 】 〔 ♢♢♢♢♢                 〕
   【ギガイアス】 〔                       〕
    【 ラプラス 】  〔 ♢♢♢♢♢♢                〕

  かわいさ
   【 ビビヨン 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢                〕
   【チルタリス 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢      〕
   【ギガイアス】 〔                       〕
    【 ラプラス 】  〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢             〕

  かしこさ
   【 ビビヨン 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢                 〕
   【チルタリス 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢              〕
   【ギガイアス】 〔 ♢                      〕
    【 ラプラス 】  〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢      〕

  たくましさ
   【 ビビヨン 】 〔 ♢♢♢                    〕
   【チルタリス 】 〔 ♢♢♢♢                   〕
   【ギガイアス】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢  〕
    【 ラプラス 】  〔 ♢♢♢♢♢                  〕 》


司会『格部門ごとに得票が偏っていますね。さて、これの総合点の発表に移ります! この点数順に一次審査の順位が決まり、二次審査のアピール順が決まります!! それでは、お願いします!!』


司会の声と共に総合点が映し出される。


 《 総合
   【 ビビヨン 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢  〕
   【チルタリス 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢  〕
   【ギガイアス】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢  〕
    【 ラプラス 】  〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢   〕 》


司会『おーーっと!? これはー!?』


ことり(……!)

志満(全員……!)

あんじゅ(ほぼ──)

曜(横並びだ!?)


司会『参加者4人がほぼ横並びです……!! 一次審査から、接戦になっております!! ……この場合、二次審査のアピール順は、小数点以下の数字で決まることになります!!』


司会の言葉と共にステージが一旦、暗転する。


司会『さあ……二次審査のアピール順を発表します……!! 二次審査最初にアピールをするのは──』


再び始まるドラムロール……そして

── 一筋のスポットライトが、



251 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:16:48.64YHpk3Rh50 (65/102)


志満「……よし……!」


志満に浴びせられた。


司会『一次審査を一位で抜けたのはエントリーNo.3! シマ&ギガイアスです!!』


あんじゅ(……く)

曜(し、志満姉が一位抜け……!)

ことり(……これはちょっと予想外かな……!)


司会『2番目以降のアピール順はビビヨン、チルタリス、ラプラスの順になります!!』


曜(く……さすが、グランドフェスティバル……一次審査が最下位なんて初めてだ……っ)


司会『それでは……二次審査、アピールタイムでございます!! 先ほども述べた通り、グランドフェスティバルは全てのコンディションを競い合います! そのため、今大会は全6ターンで1~5ターンの間はランダムでターンごとに部門が決まります!』


司会の説明と共にモニター上でルーレットが回り始める。


司会『さあ、1ターン目の部門は……!!?』


ルーレットが停止する。


曜(うわ……)

ことり(志満ちゃん……持ってるなぁ)

あんじゅ(展開的には最悪かしらね……)


司会『1ターン目はたくましさからスタートです!!』


志満「さあ……行くわよ!! ギガイアス!!」
 「ギガーーイァッ!!!!!!」


二次審査が開始した──。





    *    *    *





252 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:20:02.73YHpk3Rh50 (66/102)



1ターン目──たくましさ。


志満「サポートアピール……トリデプス! “ワイドガード”!」
 「リーデプスッ」

  《 Support “ワイドガード” たくましさ 〔 ほかの ポケモンに 驚かされても がまんできる 〕 ♡×5 ◆
          トリデプス +♡♡♡♡♡ ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡♡
          Total [ ♡♡ ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【☆★★★★】 》


トリデプスがギガイアスごと守る形でガードの体勢を取る。


司会『さあ、最初のアピールは一番手らしく、手堅い防御技です!』


あんじゅ(いや……でも、考えようによっては妨害技が使えない一番手に志満が回ったのは悪くないかもしれないわね)

ことり(むしろ、妨害を警戒しないといけない一番手だと、残りサポート回数を消費してでも守らないといけない……)

曜(ここで志満姉の得意部門を引いたのは逆にラッキーか……)


司会『続くメインアピールは……!?』


志満「ギガイアス、“のろい”」
 「ギーガ……」

 《 “のろい” たくましさ 〔 この次の アピールを 終わりの方に だすことが できる 〕 ♡×15 ④
   ギガイアス④ +♡×15 ExB+♡♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【☆☆☆★★】 》


ギガイアスの体からオーラのようなものが立ち上り、パワーを上昇させる。その代わり目に見えて動きが鈍くなる。


曜(次のターン、後攻に回る技……!)

あんじゅ(しょっぱなから次ターンを最後尾に付けるって、妨害で荒らす気満々じゃない……)

ことり(……でも、妨害特化タイプではある意味定石かな……)


司会『さあ、ギガイアスはパワーを蓄えています! メインアピールのため、いつもよりもたくましさのエキサイトが激しく上昇しているぞー!!』


あんじゅ(……まあ、どっちにしろここまでは読み通り)


あんじゅ「ビビヨン! “たいあたり”よ!!」
 「リィリィッ!!!」

 《 “たいあたり” たくましさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡×20
   ビビヨン +♡×20 ExB+♡♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【☆☆☆☆☆】 》


2番手、ビビヨンが翅をはばたかせながら、空に向かって突進のアピール。

加えて、たくましさのエキサイトは早くも最大値に達する。


あんじゅ「ライブアピール!! 行くわよ!」
 「リィリリリィッ!!!!!」

あんじゅ「“ハードトランスフォーム”!!」
 「リリリィッ!!!!!!」

 《 “ハードトランスフォーム” たくましさ 〔 たくましさ部門 むしタイプの ライブアピール 〕 ♡♡♡♡♡
   ビビヨン +♡♡♡♡♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【☆☆☆☆☆】⇒【★★★★★】 》



253 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:24:02.24YHpk3Rh50 (67/102)


ビビヨンが鳴き声をあげるとともに、ビビヨンが糸を吐き、自身の周囲に大きな繭を作り出す。

──そして、その繭が光り輝いたかと思った次の瞬間。

繭の内側から、煌くオーラを纏った巨大な翅がステージ上に大きく開かれた。


司会『繭の中から羽化をする瞬間、生命のたくましくを表現した技“ハードトランスフォーム”が決まりました!!! 1ターン目から、素晴らしいライブアピールです!』


曜(試合展開が普通のコンテストとは比べ物にならないほど早い……!)

ことり(あんじゅちゃんなら確実にエキサイトにあわせてくるのは、予想通り……!)


司会『さあ、次はチルタリスのアピールです!』


ことり(でも、わたしのアピールは、妨害やエキサイトの影響がなくても、ポケモンを信じてるから大丈夫……!)


ことり「チルタリス! “みだれづき”!!」
 「チールチルチルッ!!!!!」

 《 “みだれづき” かっこよさ 〔 だすときに よって アピールの 出来具合が いろいろと 変わる 〕 ♡×5~♡×40
   チルタリス +♡×40 ExB+♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【☆★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


チルタリスが素早くクチバシを突き出して、“みだれづき”を繰り出す。


司会『さあ、早くもターン部門以外の技が炸裂しています!! かっこよさ部門の“みだれづき”ですが、これはまた見事な技のキレです!!』


あんじゅ(いきなり博打技……でも、あの技のキレなら、最高得点ね)

曜(次は私たちのターン……!)


曜「行くよ! ラプラス!」
 「キュゥゥ~~~!!!!」


その直後、ラプラスも同じように、長い口を使って、空に向かって連続の突き──“みだれづき”を繰り出す素振り。


曜「“ものまね”!」

 《 “ものまね” かわいさ 〔 1つ前の ポケモンの アピールと 同じくらい 上手くできる 〕 ♡~
   ラプラス +♡×44 ExB+♡ ExP-♥♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【☆★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


司会『さあ、ヨウさんはうつくしさ大会にて勝敗を決めた必殺技“ものまね”を一発目に持ってきたぞー!!! アピールが非常にうまく行ったチルタリスに便乗する形で一気に得点1位に躍り出ます!』


曜(滑り出しは悪くない……!)

あんじゅ(ただ、コンテストライブは始まったばかりよ……!)


 《 1ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
   ギガイアス④ ♡×20 ♥♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡                              ]
   ビビヨン     ♡×22 ♥♥  [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡                     ]
   チルタリス   ♡×41 ♥♥   [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡     ]
   ラプラス     ♡×45 ♥♥♥  [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡ ] 》



254 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:24:50.68YHpk3Rh50 (68/102)


司会『さあ、1ターン目終了です!! 次の部門は──』


再びルーレットが回り出す。


ことり(ここで一番よくないのは妨害がしやすくなる部門……)

あんじゅ(かっこよさが来るとちょっとまずいわね……)

曜(かっこよさ以外……かっこよさ以外……!!)


だが、三人の祈りは虚しく。


司会『次のターンはかっこよさ部門です!』


志満「……ふふ」


かっこよさ部門に決定した。




    *    *    *





255 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:26:43.81YHpk3Rh50 (69/102)



2ターン目──かっこよさ。


司会『さあ、2ターン目、アピール一番手はラプラスからです!』


2ターン目は1ターン目とは真逆のアピール順。


曜(……さて、どうする……? 一番手のアピール……エキサイトをあげると、後続にライブアピールの機会を許す可能性が高い)

ことり(そもそも、曜ちゃんのラプラスはかっこよさ技はそんなに得意じゃないはず……)

あんじゅ(……三番手なら、狙いどころかしらね。……ただ)


志満「…………」


曜(志満姉が怖すぎる……)
ことり(志満ちゃんが怖すぎる……)
あんじゅ(志満が怖すぎるわね……)


妨害の主戦場の部門のターンで、最後尾につけた志満は全員警戒せざるを得ない。


曜「サポート! タマンタ、“ワイドガード”!」
 「タマ~~」

  《 Support “ワイドガード” たくましさ 〔 ほかの ポケモンに 驚かされても がまんできる 〕 ♡×5 ◆
          タマンタ +♡♡♡♡♡ ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡♡
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡ ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【☆★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【☆★★★★】 》


司会『さあ、このターンも一番最初はサポート枠によるガード技からです!』


曜「ラプラス! “サイコウェーブ”!!」
 「キュゥゥ~~~!!!」

 《 “サイコウェーブ” かしこさ 〔 だすときに よって アピールの 出来具合が いろいろと 変わる 〕 ♡×5~♡×40
   ラプラス◆ +♡×20 ExB+♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡                                            ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【★★★★★】 Ge【☆★★★★】 Po【☆★★★★】 》


ラプラスから変動する念波が撃ち出される。

アピールの出来は──。


曜(まずまずか……でも、このターンは欲張れないよね)


続いて、チルタリスが動く。


ことり「チルタリス、“いやしのすず”」
 「チルゥ~~」

 《 “いやしのすず” うつくしさ 〔 ほかの ポケモンに 驚かされても がまんできる 〕 ♡×5 ◆
   チルタリス◆ +♡♡♡♡♡ ExB+♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆☆★★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


チルタリスを心地のいい鈴の音が包み込む。


ことり(このターンは徹底して防御でいい……ほぼ確実に妨害が飛んで来る以上、サポート枠の技回数を消費するのももったいないし)


司会『さあ、またしても防御技です! 最後尾に回ったギガイアス、警戒されていますね! 次はビビヨンのターンです!』



256 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:28:34.42YHpk3Rh50 (70/102)


あんじゅ(二人とも、かっこよさ技を使わないか……これは読み外したわね。……まあ、結果論。言ってもしょうがないか)

あんじゅ「サポート。バタフリー、“しんぴのまもり”」
 「フリーフリー」

  《 Support “しんぴのまもり” うつくしさ 〔 ほかの ポケモンに 驚かされても 一回 くらいは がまんできる 〕 ♡×10 ◆
          バタフリー +♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡♡♡♡♡
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡ ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆☆☆★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


神秘のベールが出現し、バタフリーはビビヨンごと守る体勢に入る。

そして、そこから更にメインアピール。


あんじゅ「ビビヨン! “おいかぜ”!」
 「リィリィ!!!!!」

 《 “おいかぜ” かっこよさ 〔 この次の アピールを はじめの方に だすことが できる 〕 ♡×15 ①
   ビビヨン◆① +♡×15 ExB+♡♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡ ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【☆☆★★★】 Be【☆☆☆★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


ビビヨンが激しく翅をはばたかせ、“おいかぜ”を発生させる。


あんじゅ(どっちにしろ、こっちでもいいエキサイトにあわせられるわ)

曜(次のアピールが一番最初になる技だ……)


司会『さあ、三番目まで全員防御技を使った状態のまま、最後のアピール、ギガイアスの番です!』


志満(妨害はさすがに気取られてる。……でも、これは攻防一体技よ)

志満「サポート! トリデプス! “はかいこうせん”!!」
 「リーーーーーデプスッ!!!!!!!!!!!!!」

  《 Support “はかいこうせん” かっこよさ 〔 みんなの 邪魔を しまくって 次の アピールは 参加 しない 〕 ♡×20 ♥×20
          トリデプス +♡×20 ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡ ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【☆☆☆★★】 Be【☆☆★★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


トリデプスの口から、破壊のエネルギーが一気に撃ち出され、ステージ上を薙ぎ払う。

──が、

 「タマ~~」
 《 ラプラス ◆
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡                                            ] 》

 「チルゥ」
 《 チルタリス ◆
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡ ] 》

 「フリーフリー」
 《 ビビヨン① ◆
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡ ] 》


三匹ともガードを成功させ、妨害を防ぎ切る。


曜(……ほ)

あんじゅ(これは予想通り……)

ことり(でも、“はかいこうせん”の稼ぎはちょっと辛いかな……トリデプスはこれで、残りアピール回数がなくなっちゃったけど、まだゴローニャは何もしてないし)



257 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:31:14.90YHpk3Rh50 (71/102)


志満「更にサポート! ゴローニャ、“にほんばれ”!!」
 「ゴローーーニャッ!!!!」

  《 Support “にほんばれ” うつくしさ 〔 会場が 盛り上がっている ほど アピールが 気に入られる 〕 ♡×5~♡×30
          ゴローニャ +♡×12 ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡♡♡♡♡♡
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡ ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【☆☆☆★★】 Be【☆☆☆★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


ゴローニャが“にほんばれ”を使ったため、会場に強い日差しが差し込んでくる。


司会『シマさんは早くも三回目のサポートアピールの使用です!!』


志満「ギガイアス!! “ソーラービーム”!!」
 「ギガイァァァァッ!!!!!!!」

 《 “ソーラービーム” かっこよさ 〔 1つ前の ポケモンの アピールの 上手さに 影響される 〕 ♡×15~♡×30
   ギガイアス +♡×30 CB+♡×15 ExB+♡♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡                           ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【☆☆☆☆☆】 Be【☆☆☆★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


ギガイアスが太陽光を一気に集めて、発射する。

会場内に一閃する“ソーラービーム”に会場は一気に沸き立つ。


司会『直前のゴローニャの“にほんばれ”から、ノータイムでの“ソーラービーム”のコンボ!! 大技で大量に得点を稼ぎ、更にかっこよさのエキサイトがMAXへと達しました!!』


志満「ライブアピール!! “ブレイキングザコスモズ”!!」
 「ギガァァァァイァッ!!!!!!!!!」

 《 “ブレイキングザコスモズ” かっこよさ 〔 かっこよさ部門 いわタイプの ライブアピール 〕 ♡♡♡♡♡
   ギガイアス +♡♡♡♡♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡                     ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【☆☆☆☆☆】⇒【★★★★★】 Be【☆☆☆★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


ギガイアスが重鈍な体躯で足を打ち鳴らすと、巨大な岩石が足元から競りあがる。

高く持ち上げられた場所から、一気に岩を割り砕く、ライブアピールだ。



258 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:32:02.04YHpk3Rh50 (72/102)


司会『さあ、ギガイアス!! 大技コンボに加え“ブレイキングコスモズ”も決めて、大量得点です!!』


 《 2ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
   ラプラス    ♡×24 ♥♥♥   [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                      ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡                                            ]
   チルタリス  ♡×5 ♥♥    [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡
                                                                                ]
   ビビヨン①  ♡×23 ♥♥♥  [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡
                                                                                ]
   ギガイアス ♡×70 ♥♥♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                      ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡                      ] 》


司会『コンテストは中盤! 3ターン目に移ります! ルーレットスタート!』


司会の声と共にルーレットが回転を始める。


曜(次は“おいかぜ”の影響であんじゅさんが一番手……)

ことり(残りはうつくしさ、かわいさ、かしこさ……)

志満(ここでここでうつくしさはちょっと不味いかしらね……)

あんじゅ(……何が来てもやることは変わらないけどね)


──そして、ルーレットが止まる。


司会『決定しました!! 3ターン目は──かわいさ部門です!』





    *    *    *





259 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:32:54.47YHpk3Rh50 (73/102)



3ターン目──かわいさ。


司会『さあ、アピール順はビビヨン、ギガイアス、ラプラス、チルタリスの順です!』


あんじゅ「サポート! アゲハント! “しんぴのまもり”よ!」
 「ハーント」

  《 Support “しんぴのまもり” うつくしさ 〔 ほかの ポケモンに 驚かされても 一回 くらいは がまんできる 〕 ♡×10 ◆
          アゲハント +♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡♡♡♡♡
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰ ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆☆☆☆★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


今度はアゲハントが守りの技を繰り出す。


あんじゅ(かわいさターンだけど……うつくしさで稼ぐ)


あんじゅ「ビビヨン! “エナジーボール”!!」
 「リィリィーーー」

 《 “エナジーボール” うつくしさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡×20
   ビビヨン +♡x20 ExB+♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡                                     ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆☆☆☆☆】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


エネルギーの弾を打ち出し、それが空中で爆ぜてうつくしく光る。


あんじゅ「そのまま、ライブアピール!! “グレースインザスカイ”!!」
 「リィリリリィーーー」

 《 “グレースインザスカイ” うつくしさ 〔 うつくしさ部門 ひこうタイプの ライブアピール 〕 ♡♡♡♡♡
   ビビヨン +♡♡♡♡♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡                               ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆☆☆☆☆】⇒【★★★★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


間髪いれずにライブアピール。

空中を高速で飛び回りながら、僅かに残った“エナジーボール”の輝きを巻き込んで、会場を煌かせる。


司会『かわいさ部門ですが、ここでビビヨンがうつくしさのライブアピールを決めました!! ポイントを稼ぎます!!』


志満「ギガイアス、“のろい”」
 「ギガイァ」

 《 “のろい” たくましさ 〔 この次の アピールを 終わりの方に だすことが できる 〕 ♡×15 ④
   ギガイアス④ +♡×15 ExB+♡ ExP-♥♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡     ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【☆★★★★】 》


一方、志満は再び“のろい”を使う。


曜(また、最後尾に……!)

あんじゅ(ホント志満は敵に回すと、厄介ね……動きが制限される)


司会『さあ、ギガイアス再び妨害の準備でしょうか! 次のアピールはラプラスです!』



260 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:35:25.60YHpk3Rh50 (74/102)


曜「ラプラス! “みずでっぽう”!」
 「キュゥーーー」

 《 “みずでっぽう” かわいさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡×20
   ラプラス +♡x20 ExB+♡♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡                    ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【☆☆★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


ラプラスが口から水を噴き出す。

少量の水を一生懸命出すラプラスの姿に会場は癒やされる。


曜(ここは手堅くでいい……)


司会『かわいらしいアピールですねぇ……ラプラス堅実に点を稼ぎます。このターン最後のアピールはチルタリスです!』


ことり(タイミング……かみ合った!)


ことり「サポート! モクロー、“からげんき”!」
 「ホホー」

  《 Support “からげんき” かわいさ 〔 1番最後に アピールすると 会場が とても 盛り上がる 〕 ♡×10~♡×30
          モクロー +♡x30 ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡×15
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
               ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡                                                 ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【☆☆☆★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


ことり「更にサポート! ジュナイパー、“くさむすび”!」
 「ジュナ……!」

  《 Support “くさむすび” かわいさ 〔 みんなの あとで アピールするほど すごい アピールに みせられる 〕 ♡×5~♡x30
          ジュナイパー +♡x30 ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡×15
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
               ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡                               ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【☆☆☆☆★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


ことり「チルタリス! “なきごえ”!」
 「チルゥゥゥ~~」

 《 “なきごえ” かわいさ 〔 1番最後に アピールすると 会場が とても 盛り上がる 〕 ♡×10~♡x30
   チルタリス +♡x30 ExB+♡♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡                                                        ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【☆☆☆☆☆】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》



261 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:38:47.75YHpk3Rh50 (75/102)


ことりが立て続けにかわいさ技でアピールをする。

それによってかわいさエキサイトが一気のMAXまで達し──それと同時にことりのメガネックレスが光り輝く。


ことり「いくよー! “らぶりー☆ワンダリング”!」
 「チルゥゥゥゥ~~~」

 《 “らぶりー☆ワンダリング” かわいさ 〔 かわいさ部門 フェアリータイプの ライブアピール 〕 ♡♡♡♡♡
   チルタリス +♡♡♡♡♡ MEB+♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡                                     ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【☆☆☆☆☆】⇒【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


あふれ出るフェアリーのオーラと共に、チルタリスが一気に光に包まれ──


 「チルゥゥゥ~~~」


あふれ出るメルヘンなオーラと共に、大きく成長した綿雲を伸ばす。


司会『チルタリス!! ここでメガシンカです!! ライブアピールを成功させ、さらにメガシンカによるボーナスを得てトップへと躍り出ました!』


あんじゅ(タイミングが完璧ね……)

志満(一気にことりちゃんのペース……!)

曜(さ、さすがことりさん……!)

ことり(よっし……! かわいさ部門の間にアピールしないとだからね! 大成功!)



262 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:39:54.46YHpk3Rh50 (76/102)


 《 3ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
   ビビヨン     ♡×32 ♥♥♥  [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                       ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡
                                                                                   ]
   ギガイアス④ ♡×16 ♥♥♥  [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                       ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡
                                                                                   ]
   ラプラス     ♡×22 ♥♥    [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                       ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡
                                                                                   ]
   チルタリス   ♡×79 ♥♥♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                       ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
                       ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡                                      ] 》


司会『さあ、4ターン目に移ります! ルーレットスタート!』


4回目のルーレットが始まる。


志満(これで4つ目の部門だから……このターンに出た部門で、残りの最後の部門も決まる)

ことり(ここで組み立てきれるかの勝負……!)


司会『さて、4ターン目は──かしこさ部門です!』


曜(かしこさ……)

あんじゅ(うつくしさは最後……いい流れじゃない)





    *    *    *





263 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:40:53.39YHpk3Rh50 (77/102)



4ターン目──かしこさ。


ことり(かしこさは皆、比較的苦手なはず……)

あんじゅ(一次審査は曜のラプラスだったけど……あれも、イメージ先行よね)

曜「…………」


他の参加者がこのターンはうまく流そうと考える中、一人思案顔の曜。


志満(曜ちゃん、何か策があるのかしら……? でも、どっちにしろ最後尾につけてる私が、やることは一つ)


司会『さあ、4ターン目! アピール順番はチルタリス、ビビヨン、ラプラス、ギガイアスです!!』


ことり(ならここで強引に稼ぐのも手だよね……!)


ことり「サポート! モクロー、“にほんばれ”!! ジュナイパー、“こうごうせい”!!」
 「ホホーー」 「ジュナイッ」

  《 Support “にほんばれ” うつくしさ 〔 会場が 盛り上がっている ほど アピールが 気に入られる 〕 ♡×5~♡×30
          モクロー +♡♡♡♡♡ ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡♡
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
               ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
               ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰                                  ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆★★★★】 Cu【★★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


  《 Support “こうごうせい” かしこさ 〔 だすときに よって アピールの 出来具合が いろいろと 変わる 〕 ♡×5~♡×40
          ジュナイパー +♡×20 CB+♡×15 ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡×17
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
               ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
               ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡             ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【★★★★★】 Ge【☆★★★★】 Po【★★★★★】 》


モクローが天気を晴れにし、その陽光を使ってジュナイパーが回復をする。


司会『サポートポケモン同士でコンボを決めての点稼ぎです! ただ、“こうごうせい”自体のキレはまずまずと言ったところでしょうか』



264 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:41:34.06YHpk3Rh50 (78/102)


ことり「チルタリス! “コットンガード”!」
 「チルッ」

 《 “コットンガード” かわいさ 〔 ほかの ポケモンに 驚かされても がまんできる 〕 ♡×5 ◆
   チルタリス◆ +♡♡♡♡♡ ExB+♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡♡♡♡¹⁴⁰♡        ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【☆★★★★】 Ge【☆★★★★】 Po【★★★★★】 》


ことり(もちろん、防御もちゃんとする……! 志満ちゃんは絶対妨害してくるもんね!)


あんじゅ「サポート。アゲハント、“あさのひざし”!」
 「ハーントーー!!!!」

  《 Support “あさのひざし” うつくしさ 〔 だすときに よって アピールの 出来具合が いろいろと 変わる 〕 ♡×5~♡×40
          アゲハント +♡×40 ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡×20
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
               ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡        ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆★★★★】 Cu【☆★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


司会『さあ、こちらも部門を無視してのアピール! ですが、先ほどの“こうごうせい”よりも遥かにうまく行っていますね!!』


あんじゅ「さらにサポート! バタフリー“しんぴのまもり”!」
 「フリーフリー」

  《 Support “しんぴのまもり” うつくしさ 〔 ほかの ポケモンに 驚かされても 一回 くらいは がまんできる 〕 ♡×10 ◆
          バタフリー +♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡♡♡♡♡
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
               ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡  ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆☆★★★】 Cu【☆★★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


あんじゅ(防御も固めて──更に、アピール)



265 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:42:30.45YHpk3Rh50 (79/102)


あんじゅ「ビビヨン! “ふんじん”!」
 「リィリィ~」

 《 “ふんじん” かしこさ 〔 盛り上がらない アピールだったとき 会場が とても しらけてしまう 〕 ♡×20
   ビビヨン◆ +♡×20 ExB+♡♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡                                    ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆★★★★】 Cu【☆★★★★】 Ge【☆☆★★★】 Po【★★★★★】 》


ビビヨンが“りんぷん”をばら撒き、“ふんじん”が会場を舞う。

本来はバトルで相手のほのお技を誘って、粉塵爆発によって自滅させる技だ。


司会『ビビヨン、ここでトラップ技です! トラップを仕掛けるのは頭の良い証拠ですね。手堅く得点を得ます!』


曜「…………」


司会『さあ、次はラプラスの番です! お願いします』


曜「タマンタ、“てだすけ”!」
 「タマタマ~~」

  《 Support “てだすけ” かしこさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡×20
          タマンタ +♡×20 ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
               ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡         ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【☆★★★★】 Ge【☆☆☆★★】 Po【★★★★★】 》


タマンタが“てだすけ”の体勢に入る。


司会『これまたバトルで役に立つ、かしこい技です!』


あんじゅ(……このタイミングで?)

ことり(わざわざ、サポート回数を消費して“てだすけ”……?)



266 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:43:40.09YHpk3Rh50 (80/102)


曜「……カメックス、“あくび”!!」

志満「……え!? “あくび”!?」


志満が驚きの声をあげた。


 「ガメェ~~……」

  《 Support “あくび” かわいさ 〔 このあと アピールする ポケモン みんなを 緊張させる 〕 ♡×10
          カメックス +♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡♡♡♡♡
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
               ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡   ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【☆☆★★★】 Ge【☆☆☆★★】 Po【★★★★★】 》


 「ギガイ……」


司会『おっとぉ!? ギガイアス、“あくび”に眠気を誘われてしまいました!!』


志満(逆に妨害された……!?)

ことり(……緊張狙いで曜ちゃんは防御せずに得点を稼いだ……?)

あんじゅ(いや……それだけじゃない……“あくび”、その手があったか)


曜「ラプラス!! “ゆめくい”!!」
 「キュゥゥゥ~~~」

 《 “ゆめくい” かしこさ 〔 1つ前の ポケモンの アピールと タイプが 同じなら 気に入られる 〕 ♡×10~♡×30
   ラプラス +♡×30 CB+♡×15 ExB+♡♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡♡♡♡¹⁴⁰♡♡♡      ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【☆☆★★★】 Ge【☆☆☆☆☆】 Po【★★★★★】 》


ラプラスが夢現な状態のギガイアスから夢を食べてアピールをする。


司会『“あくび”で眠気を誘ってからの“ゆめくい”!! これはかしこいコンボです!! ラプラスここでカメックスとのコンビネーションで後続を緊張させつつコンボを成立させました!!』



267 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:44:19.42YHpk3Rh50 (81/102)


志満(し、しかも……)

あんじゅ(それだけじゃない……!)

ことり(かしこさエキサイトがMAXになった……!)


曜「“アブソリュートジニアス”!!!」
 「キュゥゥゥゥゥーーーーー!!!!!!」

 《 “アブソリュートジニアス” かしこさ 〔 かしこさ部門 こおりタイプの ライブアピール 〕 ♡♡♡♡♡
   ラプラス +♡♡♡♡♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡♡♡♡¹⁴⁰♡♡♡      ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【★★★★★】 Cu【☆☆★★★】 Ge【☆☆☆☆☆】⇒【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


ラプラスが周囲に冷気を放つ。

氷付いた周囲の空気が氷の結晶となり、会場のライトを反射して、煌いている。


司会『こおりタイプのエネルギーを利用した、光のイリュージョン!! ライブアピールを成功させ、ラプラス大量得点です!! トップを走っていたチルタリスを僅かに追い抜き、トップに躍り出ました!! 一方、ギガイアスは緊張してしまっております……!!』


志満「……っ……。サポート! ゴローニャ!! “だいばくはつ”!!」
 「ゴローーーーニャッ!!!!!!!!」

  《 Support “だいばくはつ” うつくしさ 〔 すごいアピールに なるが このあと 最後まで なにも できなくなる 〕 ♡×40
          ゴローニャ +♡×40 ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡×20
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
               ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
               ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡                                       ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆★★★★】 Cu【☆☆★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》



268 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:46:24.52YHpk3Rh50 (82/102)


サポート、ゴローニャは自爆技で得点を稼ぐが、

 「ギガイ……ァ……」
 《 ギガイアス 緊張して しまった
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡                                       ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆★★★★】 Cu【☆☆★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


カメックスからの妨害で動けなくなったギガイアスはこのターンは行動できずにターンが終了する。



269 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:48:48.80YHpk3Rh50 (83/102)


 《 4ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
   チルタリス  ♡×27 ♥♥♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                      ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
                      ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡♡♡♡¹⁴⁰♡         ]
   ビビヨン   ♡×49 ♥♥♥♥ [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                      ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
                      ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡                                     ]


270 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:49:31.52YHpk3Rh50 (84/102)

   ラプラス   ♡×69 ♥♥♥♥  [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                      ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
                      ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡♡♡♡¹⁴⁰♡♡♡        ]
   ギガイアス ♡×21 ♥    [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                      ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
                      ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡                                        ] 》


271 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:50:15.07YHpk3Rh50 (85/102)


司会『さあ、5ターン目は最後に残った部門! うつくしさです!!』


志満(最後尾につけてるから、まだ妨害は出来るけど……)

ことり(次のうつくしさターンは曜ちゃんから……!!)

あんじゅ(ここで、どうにかライブアピールを決めればまだチャンスはある……!! 曜の出方次第だけど)


曜「…………」





    *    *    *





272 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:51:11.67YHpk3Rh50 (86/102)



5ターン目──うつくしさ。


あんじゅ(このターン……)

ことり(ライブアピールを逃がしたら痛い……)

あんじゅ・ことり((ここはうつくしさ部門の技しかない……!))


曜「サポート。カメックス、“しおふき”!!」
 「ガメェーーー!!!!!!」

  《 Support “しおふき” うつくしさ 〔 とても アピール できるが このあと 驚きやすくなる 〕 ♡×30
          カメックス +♡×30 ExB+♡ ExP-♥♥ ──[x0.5]→ ♡×15
          Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
               ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
               ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡♡♡♡¹⁴⁰♡♡♡♡♡¹⁴⁵♡♡♡♡♡¹⁵⁰
               ♡♡♡♡♡¹⁵⁵♡♡♡♡♡¹⁶⁰♡♡♡                                              ] 》

        《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆☆★★★】 Cu【☆☆★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


カメックスが上空に向かって潮を噴き出す。


曜(驚きやすくなる技だけど、サポートポケモンなら、それは心配しなくていい……!)

あんじゅ(順当にうつくしさ技を使ってきた……!!)

ことり(アピール順はラプラス、ビビヨン、チルタリス、ギガイアスの順番。あんじゅちゃんは確実にうつくしさ技を選んでるはずだから、曜ちゃんとラプラスがうつくしさ技を使うかどうかで、あんじゅちゃんかわたしのどっちがライブアピール出来るかが決まる……!)


曜「ラプラス……!!」

あんじゅ・ことり「「…………!」」


あんじゅとことりは自分たちの行く末を決める曜の行動に固唾を呑む。



273 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:51:57.16YHpk3Rh50 (87/102)


曜「“うずしお”!!」

ことり「……あ」

あんじゅ(!? しまった!?)

 「キュゥーーー!!!!」

 《 “うずしお” うつくしさ 〔 このアピールの後 会場が しばらく 盛り上がらなくなる 〕 ♡×15
   ラプラス +♡×15 ExB+♡♡ ExP-♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡♡♡♡¹⁴⁰♡♡♡♡♡¹⁴⁵♡♡♡♡♡¹⁵⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁵⁵♡♡♡♡♡¹⁶⁰♡♡♡♡♡¹⁶⁵♡♡♡♡♡¹⁷⁰♡♡♡♡♡¹⁷⁵♡♡♡                            ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆☆☆☆★】 Cu【☆☆★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


曜(“うずしお”はこの状態のままエキサイトを固定する技!!)

ことり(エキサイトを固定されたら……!)

あんじゅ(このターンはライブアピールは出来ない……!!)

志満(しかも、現状で曜ちゃんはトップだから……)

あんじゅ(逃げ切られる……!!)


司会『さあ、“うずしお”によって、エキサイトが固定されてしまいました!! 次のアピールはビビヨンです!』


あんじゅ「“にほんばれ”!!」
 「リィリィーー」

 《 “にほんばれ” うつくしさ 〔 会場が 盛り上がっている ほど アピールが 気に入られる 〕 ♡×5~♡×30
   ビビヨン +♡×12
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡                     ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆☆☆☆★】 Cu【☆☆★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


あんじゅ(この時点で曜との得点差は50近い……サポートも残ってない)



274 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:52:42.81YHpk3Rh50 (88/102)


ことり「チルタリス! “りゅうのはどう”!!」
 「チリュゥゥゥーーー!!!!!!!!」

 《 “りゅうのはどう” うつくしさ 〔 たくさん アピール できる 〕 ♡×20
   チルタリス +♡×20
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡♡♡♡¹⁴⁰♡♡♡♡♡¹⁴⁵♡♡♡♡♡¹⁵⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁵⁵♡♡♡♡♡¹⁶⁰♡                                                ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆☆☆☆★】 Cu【☆☆★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》


ことり(曜ちゃんとの点差は17点……最後のアピール次第だけど……)


志満「ギガイアス!! “じわれ”!!」
 「ギーーガイアァッ!!!!!」

 《 “じわれ” たくましさ 〔 アピールが 上手くいった ポケモン みんなを かなり 驚かす 〕 ♡×10 ♥~
   ギガイアス +♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡                           ] 》

 《 エキサイトゲージ Co【★★★★★】 Be【☆☆☆☆★】 Cu【☆☆★★★】 Ge【★★★★★】 Po【★★★★★】 》



275 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:53:27.49YHpk3Rh50 (89/102)


 「キュウッ!!!!」
 《 ラプラス -♥♥♥♥♥♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡♡♡♡¹⁴⁰♡♡♡♡♡¹⁴⁵♡♡♡♡♡¹⁵⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁵⁵♡♡♡♡♡¹⁶⁰♡♡♡♡♡¹⁶⁵♡♡♡♡♡¹⁷⁰♡                                    ] 》

 「リリリッ!!!!!」
 《 ビビヨン -♥♥♥♥♥♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡                              ] 》

 「チリュゥッ!?」
 《 チルタリス -♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥
   Total [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
        ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
        ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡♡♡♡¹⁴⁰♡♡♡♡♡¹⁴⁵♡♡♡♡♡¹⁵⁰
        ♡                                                             ] 》


志満(妨害は成功したけど……点差がありすぎる……)



276 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:54:01.28YHpk3Rh50 (90/102)


 《 5ターン目結果 ([ ]内はこのターンまでに手に入れた♡合計)
   ラプラス    ♡×33 ♥×10 [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                      ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
                      ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡♡♡♡¹⁴⁰♡♡♡♡♡¹⁴⁵♡♡♡♡♡¹⁵⁰
                      ♡♡♡♡♡¹⁵⁵♡♡♡♡♡¹⁶⁰♡♡♡♡♡¹⁶⁵♡♡♡♡♡¹⁷⁰♡                                     ]
   ビビヨン   ♡×12 ♥×7  [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                      ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
                      ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡
                                                                                    ]


277 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:54:34.47YHpk3Rh50 (91/102)

   チルタリス  ♡×20 ♥×10 [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                      ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
                      ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡♡♡♡♡¹³⁰♡♡♡♡♡¹³⁵♡♡♡♡♡¹⁴⁰♡♡♡♡♡¹⁴⁵♡♡♡♡♡¹⁵⁰
                      ♡                                                              ]
   ギガイアス ♡×10      [ ♡♡♡♡♡⁵♡♡♡♡♡¹⁰♡♡♡♡♡¹⁵♡♡♡♡♡²⁰♡♡♡♡♡²⁵♡♡♡♡♡³⁰♡♡♡♡♡³⁵♡♡♡♡♡⁴⁰♡♡♡♡♡⁴⁵♡♡♡♡♡⁵⁰
                     ♡♡♡♡♡⁵⁵♡♡♡♡♡⁶⁰♡♡♡♡♡⁶⁵♡♡♡♡♡⁷⁰♡♡♡♡♡⁷⁵♡♡♡♡♡⁸⁰♡♡♡♡♡⁸⁵♡♡♡♡♡⁹⁰♡♡♡♡♡⁹⁵♡♡♡♡♡¹⁰⁰
                     ♡♡♡♡♡¹⁰⁵♡♡♡♡♡¹¹⁰♡♡♡♡♡¹¹⁵♡♡♡♡♡¹²⁰♡♡♡♡♡¹²⁵♡
                                                                                     ] 》



278 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:55:24.75YHpk3Rh50 (92/102)


司会『さあ、これにて5ターン目終了です!! 最終ターンは部門なしのアピールです!』


あんじゅ(次の技を手堅く決められたらゲームセット……)

志満(曜ちゃんの最後のアピールは……!?)

ことり「…………」


司会『さあ、最後のターン!! アピール順はラプラス、チルタリス、ビビヨン、ギガイアスです!!』





    *    *    *





279 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:57:10.57YHpk3Rh50 (93/102)



──この大会当日まで、ずっと考えていた。

皆が笑顔になれる……そんなコンテストライブにするにはどうすればいいだろうって。


司会『さあ、ヨウさん! 最後のアピールをお願いします!!』


曜「あの、司会のお姉さん」


司会『はい? なんでしょうか?』


曜「最後のアピールの前に……ちょっと、話をしてもいいですか?」

志満「……曜ちゃん?」

あんじゅ「……曜?」


司会『え、話ですか!? え、えーっと……コンテスト参加者がスピーチをするのは禁止……というわけではないですが……基本的にパフォーマンスはポケモンを通して行うので……』


ことり「いいんじゃないかな」


司会『え!?』


ことり「わたしは構わないよ。何か言いたいことがあるんだよね?」

曜「ことりさん……うん、伝えたいことがある」


司会『で、ですが……』


あんじゅ「いいんじゃないかしら」


司会『あんじゅさんまで!?』


志満「参加者全員が了承してるなら、問題はないと思うわ」


司会『シマさんも……まあ、そういうことでしたら』


曜「すいません!! ありがとうございます!!」


私は参加者、皆に礼を言って、ステージ前方に躍り出る。

会場内は私の行動にザワつき、騒然としていた。

コンテストライブの本番中にトレーナーが話をしたいなんて、前代未聞だろう。


曜「皆さん、今日はグランドフェスティバルのステージにお越しいただいて、本当にありがとうございます!!!」


まず挨拶。頭を下げる。

その様子にザワついていた会場は、少しずつ静かになる。


曜「わがままを承知で──皆さんにお願いがあります!!」


 「──お願い……?」「なにかしら……?」


あちこちから困惑した声が聞こえてくる。



280 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:59:08.05YHpk3Rh50 (94/102)


曜「──私は……コンテストが大好きなんです!!」


曜「ポケモンが……コーディネーターが……一緒に手を取り合って、魅力的なステージを作るために一緒に頑張る……ポケモンコンテストが大好きなんです!!」


曜「見てるだけで……気持ちがキラキラして、わくわくして、嬉しくて、楽しくて……そんなコンテストに魅せられて、私もステージの上で輝きたくて……ここまで駆け上って来ました!!」


曜「私は……コンテストを見て、心の底から笑顔になれました!!! だから、見てる人たち皆に、その気持ちを知って欲しい。共有したい。私はコンテストライブを最後は皆で、笑顔で締めくくれるステージにしたい……!!」


ことり「……曜ちゃん」

あんじゅ「……ふふ、そう」

志満「……あらあら、若いっていいわねぇ」


曜「だから、最後は……皆で一緒に歌って、踊りませんかーー!?」


 「キュゥ~~~♬」


ラプラスが歌いだす。


曜「皆もーーー……!! 一緒に歌おうーーーーっ!!」


ことり「チルタリス! 歌おっか♪」
 「チル~♫」


チルタリスが綺麗なソプラノでラプラスの歌声にハモる。


あんじゅ「ビビヨン、“ちょうのまい”」
 「リィリィ~~♪」


ビビヨンが綺麗な鳴き声を載せながら、会場を舞い踊る。


志満「ふふ……ギガイアス、“パワージェム”」
 「ギガイァ」


“パワージェム”の輝きが歌に踊りにあわせるように、光り輝く。


会場はその光景に最初はざわついて、動揺していたけど……。


 「トップコーディネーターとそのポケモンたちと一緒に歌えるなんて……素敵じゃない?」
 「あんじゅ様とビビヨンと一緒に踊れるなんて……一生に一度の経験かも」
 「ことりちゃんーー!!! チルタリスー!!!! わたしもいっしょにうたうねー!!!」
 「ガッハッハ!! いいじゃないか、俺たちも一緒に歌って踊ろうじゃないか!!!」


徐々に歌声が、笑顔が広がっていく。

──私はコンテストを、笑顔が溢れる幸せな場所にしたかった。

これが、私がコンテストライブの中に見つけた、道。


司会「ふふ……長年、司会をやってきたけど……こんなコンテストライブ初めてね」


──気付いたら、


ことり「~~~~♪」
 「チル~~~♫」

あんじゅ「~~~♩」
 「リィリィ~~♪」

志満「~~~♬」
 「ガィァーーー」



281 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 15:59:55.49YHpk3Rh50 (95/102)


 「~~~~♩」「~~♬」「~~♫」


参加者も会場中も、みんな声をあわせて、心を一つにして、大合唱をしていた。


曜「みんな……ありがとう……」
 「キュウ~~~~♪」


ラプラスが歌いながら、私に頬ずりをしてくる。


曜「……うん!! みんなーーーー!!! 最後まで、めいっぱいーーーー!! おっきな声でーーーーー!!! 歌おうーーーーーー!!!!!」


──名前も知らない人やポケモンが、集まったこの場所で、ただ歌を、踊りを通して、心を一つにする。

──噫、なんて……なんて、幸せなことなんだろう。

私は、皆と一緒に大合唱をしながら、

幸せを噛み締めながら、

ただ、笑顔で歌い続ける──





    *    *    *





282 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 16:01:02.48YHpk3Rh50 (96/102)



──カランカラン。

ドアを押し開けると、小気味の良いベルの音が自分の来店を知らせる。


 「いらっしゃいませ」


わたしはそのまま、奥に歩いて──カウンター席に腰を降ろす。


ことり「──こんばんは」

マスター「ことりさん……お久しぶりです」

ことり「お久しぶりです♪ ちょっと今日は酔いたい気分なんで……強めのカクテル作ってもらっていいですか?」

マスター「珍しいですね……畏まりました」


マスターにお願いをしてから、横を見ると──


あんじゅ「……ことりがここに来るなんて珍しいわね」


あんじゅちゃんが赤ワインを嗜んでいた。


ことり「そうだねぇ……前に一緒に飲んだのって、結構前かもね。あんじゅちゃんも今日はカクテルじゃないの珍しいね?」

あんじゅ「酔いたい気分だったのよ」

ことり「ふふ……そっか。志満ちゃんは?」

あんじゅ「あー……志満なら、そこ」

ことり「……そこ?」


言われて、あんじゅちゃんの向こう側を見ると、


志満「……うー……」


机に突っ伏している、志満ちゃんの姿があった。


ことり「気付かなかった……」

あんじゅ「ま、もう潰れてテーブルと同化してるからね。しょうがないわ」

ことり「あはは……」

マスター「──どうぞ」


そんな話をしていたら、マスターが出来上がったカクテルを出してくれる。


ことり「あ。ありがとうございます~」


カクテルグラスを持って、あんじゅちゃんの方に差し出す。


あんじゅ「……飲みかけだけど?」

ことり「まあ……細かいことは、今日はもういいかなって」

あんじゅ「……それもそうね」

ことり・あんじゅ「「乾杯」」



283 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 16:01:54.38YHpk3Rh50 (97/102)


二人でグラスを──チンとぶつける。

カクテルを煽ると、アルコールは感じるのに、とにかく飲みやすい。

これは本当にすぐ酔ってしまいそうだ。


あんじゅ「……それで?」

ことり「ん?」

あんじゅ「……新生クイーン様はどうしたの?」

ことり「ああ、うん」


──新生クイーン。

今宵誕生した、この地方の頂点のコーディネーター。


ことり「結果を友達に伝えるために、飛んで行っちゃったよ」

あんじゅ「クイーンになったって言うのに呑気なものね……全く、あの子には驚かされてばっかりよ」

ことり「そうだねぇ……」

あんじゅ「お客さんも巻き込んで皆で歌うなんて……あの大舞台でとんでもないことしてくれちゃって」

ことり「ふふ……わたしもびっくりしちゃった」


──でも。


ことり「楽しかったね……」

あんじゅ「……ええ」

ことり「あれが、曜ちゃんが見たかった景色だったんだね」

あんじゅ「そうね。……ことり」

ことり「ん?」

あんじゅ「コンテストは……まだまだ、進化出来るのね」

ことり「うん。会場に居るみんなが笑顔になれる……そんな舞台が作れると思う」

あんじゅ「……まだまだ、お互いやれることがありそうね」

ことり「ふふ……そうだね。今日は朝まで、コンテストの未来について、語り合おっか♪」

あんじゅ「ええ、そうしましょうか」

志満「ぐぅ……」





    *    *    *





284 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 16:02:22.35YHpk3Rh50 (98/102)



──14番水道上空。

呼び出したキャモメたちに揺られながら空を飛んでいる。


曜「優勝……か」


グランドフェスティバルは終わった。

──私とラプラスの優勝と言う形で。



285 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 16:02:52.12YHpk3Rh50 (99/102)


──最終結果
 《   ポケモン    一次審査 | 二次審査
   【 ビビヨン 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ ¹
              ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ | ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ²
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ³
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ⁴
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡                                     ⁵
                                                           ⁶〕

   【チルタリス 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ ¹
              ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ | ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ²
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ³
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ⁴
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡     ⁵
                                                           ⁶〕



286 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 16:03:49.24YHpk3Rh50 (100/102)


   【ギガイアス】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ ¹
              ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ | ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ²
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ³
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ⁴
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡                  ⁵
                                                           ⁶〕

  ✿【 ラプラス 】 〔 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ ¹
              ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢ | ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ²
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ³
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ⁴
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡ ⁵
              ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡                        ⁶〕 》



287 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 16:06:49.57YHpk3Rh50 (101/102)


しかし、今日から晴れて、コンテストクイーンと言われても……。


曜「なんか実感沸かないなぁ……」


気持ちがふわふわとしていて落ち着かなくて……。

でも、この結果を一番大切な友達に直接伝えたくて、飛び出してきてしまった。


曜「……ま、実感なんて、そのうちついてくるか!」


そんなことよりも。

私はボールを手に取る。


曜「皆……ここまで、ついてきてくれてありがとう」


そして、愛おしい気持ちで相棒たちのボールを撫でながら、


曜「皆が居たから……私、ここまで走ってこれたよ」


ホエルオー、ダダリン、カイリキー、タマンタ、カメックス……そして、ラプラス。


曜「それと……これからもよろしくね、皆」


私の言葉に応えるように、ボールたちがカタカタと揺れた。


曜「ふふ……」


その答えが幸せで、笑みが零れた。


曜「それにしても、素敵な景色だったなぁ……」


皆の笑顔が溢れるステージで──私は……ついに、コンテストの頂点に立った。

最高のステージで……。

さて、次はどんなステージにしようかな? どんな気持ちを届けようかな?

そんなことを考え、胸に抱きながら……私はこれからも羽ばたき続けるんだ──





288 ◆tdNJrUZxQg2019/05/15(水) 16:07:58.15YHpk3Rh50 (102/102)



>レポート

 ここまでの ぼうけんを
 レポートに きろくしますか?

 ポケモンレポートに かこんでいます
 でんげんを きらないでください...


【14番水道】
 口================= 口
  ||.  |⊂⊃                 _回../||
  ||.  |o|_____.    回     | ⊂⊃|  ||
  ||.  回____  |    | |     |__|  ̄   ||
  ||.  | |       回 __| |__/ :     ||
  ||. ⊂⊃      | ○        |‥・     ||
  ||.  | |.      | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\     ||
  ||.  | |.      | |           |     ||
  ||.  | |____| |____    /      ||
  ||.  | ____ 回__o_.回‥‥‥ :o  ||
  ||.  | |      | |  _.    /      :   ||
  ||.  回     . |_回o |     |        :   ||
  ||.  | |          ̄    |.       :  ||
  ||.  | |        .__    \      :  ||
  ||.  | ○._  __|⊂⊃|___|.    ●  ||
  ||.  |___回○__.回_  _|‥‥‥:  ||
  ||.      /.         回 .|     回  ||
  ||.   _/       o‥| |  |        ||
  ||.  /             | |  |        ||
  ||./              o回/         ||
 口=================口

 主人公 曜 ✿
 手持ち カメックス♀ Lv.53 ✿ 特性:げきりゅう 性格:まじめ 個性:まけんきがつよい
      ラプラス♀ Lv.47 ✿ 特性:ちょすい 性格:おだやか 個性:のんびりするのがすき
      ホエルオー♀ Lv.45 特性:プレッシャー 性格:ずぶとい 個性:うたれづよい
      ダダリン Lv.47 ✿ 特性:はがねつかい 性格:れいせい 個性:ちからがじまん
      カイリキー♂ Lv.44 ✿ 特性:ふくつのこころ 性格:まじめ 個性:ちからがじまん
      タマンタ♀ Lv.42 ✿ 特性:すいすい 性格:むじゃき 個性:こうきしんがつよい
 バッジ 2個 図鑑 見つけた数:166匹 捕まえた数:23匹 コンテストポイント:120pt


 曜は
 レポートを しっかり かきのこした!

...To be continued.






289 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:32:58.13E6ygtKl90 (1/23)


■Chapter084 『決戦! クロユリジム!』 【SIDE Chika】





千歌「──ふぅ、ようやく辿り着いたね!」

善子「ええ」


クリスタルレイクを東に抜けて──16番道路を途中で北上し、18番道路を行った先にある街。


千歌「クロユリシティ……!」

善子「……じゃ、私はそろそろ」

千歌「あれ? 善子ちゃんは街には入らないの?」

善子「別に私はこの街に用事とかないし……ってか、この街ジムしかないでしょ?」


言われて、街の方を見てみると、民家こそぽつぽつあるけど、確かに施設らしい施設はポケモンセンター、フレンドリィショップ……そして、ポケモンジムくらいしか見当たらない。


善子「私は千歌が途中まで一緒に行こうって言うから、図鑑埋めのついでについて来てただけよ」

千歌「そっかぁ……じゃあ、ここでお別れだね」

善子「ま……最後に一緒に過ごすのも悪くなかったわ」

千歌「……最後?」


私は首を傾げる。


善子「ここ1ヶ月くらいで地方は一通り回れたからね。私の旅はここで一旦終わりかなって」

千歌「そうなんだ……」

善子「何、暗い顔してんのよ」

千歌「いや、同じ図鑑所有者としてちょっと寂しいなって思って……」

善子「はぁ……別に地方から出ていくわけでもないし。いつでも会えるわよ」

千歌「……うん、それもそうだね。それじゃ──」


私は手を差し出す。


善子「……ん」


善子ちゃんはその手を見て、恥ずかしそうに頬を掻く。


千歌「握手」

善子「わ、わかってるわよ」


善子ちゃんは赤くなりながら、やや乱暴に私の手を握る。


千歌「ふふ……」


最後までちょっぴり恥ずかしがりやで、ぶっきらぼうな善子ちゃんに笑ってしまう。



290 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:33:42.71E6ygtKl90 (2/23)


善子「何笑ってんのよ!」

千歌「なんでもなーい」

善子「もう……何よ……」

千歌「ごめんごめん。……チカね、善子ちゃんが同じ図鑑所有者でよかったって思う」

善子「……褒めても何も出ないわよ」

千歌「そんなんじゃないよ。ホントにそう思ってる」

善子「…………ふーん」


善子ちゃんは目を逸らしながら、


善子「……ありがと。……私も……同じようなこと、思ってるわよ」


そう言ってくれた。


千歌「えへへ、うん!」


私ははにかんで頷いた。


善子「……千歌」

千歌「ん?」

善子「ここまで来たら……ジム制覇、ちゃんとしなさいよね。あんたはこの堕天使ヨハネを倒したトレーナーなんだから」

千歌「……うん!」





291 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:39:55.49E6ygtKl90 (3/23)



    *    *    *





──善子ちゃんからの激励を受け、その後私は……。

辿り着きました。


千歌「……ここが」


最後のジム──クロユリジムに。

私はドアの扉に手を掛けて、


千歌「たのもぉーーー!!!!」


声を張り上げながら、押し開ける。

ジムの奥には、赤紫のロングヘアーに、泣きボクロの印象的な女性が一人。目を瞑って、立っていた。


 「……ようこそ」


彼女は私が来たことに気付いたのか、目を開いて、そう言う。


千歌「ジム戦に来ました!! ウラノホシタウンの千歌です!!」

英玲奈「私は英玲奈。クロユリジムのジムリーダーだ。……とは言っても、ここまで来てバトルする以外に特に喋ることもないだろう」


そう言って英玲奈さんは、バトルスペースに歩いてくる。


英玲奈「バトルスペースに付くといい」

千歌「は、はい!!」


今までのジム戦の中で最もスムーズかもしれない。

すごく助かるけど……。


英玲奈「使用ポケモン5体。シンプルに相手のポケモンを全て戦闘不能にした方が勝ちだ。構わないかい?」

千歌「はい! よろしくお願いします!」

英玲奈「クロユリジム・ジムリーダー『壮烈たるキラーホーネット』 英玲奈。さあ、楽しい戦いにしようじゃないか」


二つのボールがフィールドに放られる。最後のジム戦、開始だ──





    *    *    *





292 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:41:06.10E6ygtKl90 (4/23)



千歌「行くよ、バクフーン!!」
 「バクフーー!!!!!」


こっちの一番手は、いつもの先発バクフーン。


英玲奈「行くぞ、ペンドラー!!」
 「ペンドォォォォ!!!!!!」


英玲奈さんの一匹目は毒々しい色の虫ポケモン、ペンドラー。

 『ペンドラー メガムカデポケモン 高さ:2.5m 重さ:200.5kg
  素早い 動きで 敵を 追い詰め 首のツメで 挟み込み
  身動きを とれなくしてから 猛毒を 与え 攻撃する。
  とても 攻撃的な 性格で とどめを 刺すまで 容赦しない。』


英玲奈「ペンドラー、“ハードローラー”!」
 「ペンドラァァ!!!!!」


バトル開幕と同時にペンドラーは身体を丸め、猛スピードで転がってくる。

直線的な攻撃──受けて立つ!!


千歌「“かえんぐるま”!!」
 「バクフーンッ!!!!!!」


こちらも回転しながら飛び出す。

二匹の回転突進が正面からぶつかって、お互いが弾かれる。

威力は同等……!!


英玲奈「“どくばり”!!」
 「ドラァーー!!!!!!」


弾かれた先で、体勢を立て直したペンドラーが即座に“どくばり”を飛ばしてくる。


千歌「“やきつくす”!!」
 「バクフーーンッ!!!!!」


すかさず、それを迎撃。


 「ドラァーーー!!!!!!」

千歌「!?」


だが、ペンドラーは迎撃の隙を突いて、火炎を迂回しながら猛スピードで距離を詰めてくる。


千歌「は、速い!?」

英玲奈「“ポイズンテール”!!」

 「ペンドラァァーーー!!!!!!」

 「バクフッ!!!!」


巨大な尻尾を横薙ぎに叩き付けられ、バクフーンが吹っ飛ばされた。


千歌「バクフーン!! 大丈夫!?」
 「バクフー!!!」


バクフーンはどうにか受身を取りながら、体勢を整える──が、



293 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:42:53.07E6ygtKl90 (5/23)


 「ドラァァ!!!!!」

千歌「っ!!」


ペンドラーは既に次の攻撃の為に距離を詰め終えていた。


英玲奈「“メガホーン”!!」

 「ドラァァァァ!!!!!!」

 「バクフゥッ!!!!!」


そのまま、頭の角で突き飛ばされ、バクフーンは地面を転がる。


千歌「バ、バクフーン!! 一旦距離を──」

英玲奈「“メガホーン”!!」

 「ペンドラァァァ!!!!!!!」

千歌「!!」


体勢を立て直す暇もなく、


 「バクフーーッ!!!?」


バクフーンに再び“メガホーン”が炸裂する。

──相手が速すぎる……!!

いや、というより……。


千歌「“かそく”してる!?」

英玲奈「……気付いたか、だが気付いても、もうこの速さには追いつけないだろう」


猛スピードでペンドラーが更なる追撃を迫ってくる。

どんどん“かそく”しているせいでもう手が付けられない。

……でも、


千歌「動きは読める!! バクフーン!!」
 「バクフッ!!!!」


逆に速すぎて曲がれないはずだ、


千歌「“ほのおのちかい”!!」
 「バクフーー!!!!!!」


バクフーンが地面を叩くと、目の前に火柱が発生する。

真正面から猛スピード突っ込んでくるなら、壁を作ってしまえばいい、


英玲奈「良い判断だ……だが」

 「ペンドラァァァァ!!!!!!」

千歌「……!!」


ペンドラーは雄叫びをあげながら、火柱の直前で直角に曲がって進路を逸らす。


英玲奈「速くなっても、回避くらい出来る」

千歌「……っ!!」



294 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:46:23.19E6ygtKl90 (6/23)


“ほのおのちかい”を避けて、コの字を描きながら、バクフーンの側面に迫るペンドラー。


英玲奈「終わりだ!! “すてみタックル”!!」

 「ペンドラァァァァァァ!!!!!!!!」


更にスピードを上げ、最後の一撃を叩き込みに来る、ペンドラー。


千歌「──足元!!」
 「バクフッ!!!!!」

英玲奈「!?」


私の指示で、バクフーンが前傾姿勢になる、

──最初から、炎の壁で倒すつもりだったわけじゃない。

一瞬、判断の時間を稼ぎたかっただけだ。


 「ドラァァァァ!!!!!!!」


迫るペンドラーに対して、掬い上げるように、前足を刺し込み、


千歌「“カウンター”!!!」
 「バクフッ!!!!!!」


ペンドラーを背後に向かって放り投げた。


英玲奈「何……!? ペンドラー!」

 「ドラァァァ!!!?」


とてつもないスピードのまま、背後に放り投げられたペンドラーは、

──ズドォン!! と大きな音を上げて、ジムの壁に激突した。


 「ド、ラァァ……」


ペンドラー、戦闘不能だ。


千歌「よしっ! ナイス、バクフーン!!」
 「フーンッ!!!」

英玲奈「……ふむ。ここまで勝ち抜いてきたトレーナーと言うだけはあるようだな。戻れ、ペンドラー」


英玲奈さんはペンドラーをボールに戻す。


英玲奈「次だ、行くぞ! オニシズクモ!」
 「シズ、ク」


二匹目はオニシズクモ。


 『オニシズクモ すいほうポケモン 高さ:1.8m 重さ:82.0kg
  普段は 水の中で 過ごす。 見かけに よらず 面倒見が
  良く 弱く 小さな 仲間を 見つけると 水泡の 中に 入れて
  守る。 水の 中でしか 呼吸できないので 水泡を 被っている。』


頭に大きな水の塊を被っているクモのようなポケモンだ。


英玲奈「オニシズクモ! “かみつく”だ!」
 「シズ、クモ」



295 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:48:09.23E6ygtKl90 (7/23)


指示を受けたオニシズクモが口を開けて、バクフーンに向かって前進してくるが、

さっきのペンドラーとは打って変わって、動きが遅い。


千歌「バクフーン!! “かえんほうしゃ”!!」
 「バクフーーッ!!!!!!!」


そこにすかさず攻撃を叩き込む。

動きの鈍いオニシズクモは一瞬で“かえんほうしゃ”に飲み込まれる。


千歌「……」


いや、いくらなんでもあっけなさすぎる。

警戒してよく見てみると──


 「シズ、クモ」

千歌「!?」


オニシズクモは“かえんほうしゃ”の中を全く怯まずに前進し続けている。


千歌「バクフーン!! 一旦後退!!」
 「バクッ!!!」


攻撃の手を止め、バクフーンは立ち上がり後ろに向かってステップを踏む。


英玲奈「“とびかかる”!!」
 「シズ…」


が、オニシズクモは今度は地面を踏み切って、跳び込んできた。


千歌「わ!? と、跳ぶの!? “だいもんじ”!!」
 「バックフーーーン!!!!!!!」


背中から爆炎を立てながら、バクフーンが最大級の火炎攻撃で迎撃する。

──が、


 「シズ、」


オニシズクモはまるで意に介さず、炎の中を一直線に突っ込んでくる。


千歌「炎が効いてない……!?」
 「バックフーーーーンッ!!!!!!」


バクフーンは雄叫びをあげながら、火力を増すが、

オニシズクモはその火力に押し負けることなく、どんどんこちらに接近してくる。


千歌「ま、まずい……!?」


もう離脱出来る距離感じゃない。


英玲奈「オニシズクモ!!」
 「シズ…」


炎を掻き分けながら、跳び込んで来たオニシズクモが至近距離で頭を振るう。


英玲奈「“アクアブレイク”!!」
 「クモ、」



296 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:50:05.16E6ygtKl90 (8/23)


攻撃はバクフーンに直撃すると共に、一気に水のエネルギーを膨らませ──


千歌「だわぁっ!!?」


とてつもない衝撃波になって、爆発する。


 「バクフッ!!!?」


バクフーンはその攻撃力で、バトルスペースから吹き飛ばされ、トレーナースペースにいた私のすぐ脇をすり抜け、ジムの背後まで吹っ飛ばされてしまった。


千歌「!! バクフーン!!」
 「バ、バクフー……」

千歌「……! 戻って、バクフーン」


戦闘不能だ。バクフーンをボールに戻す。

どう見ても、ただの頭突きだったのに……なんて威力だろう。


英玲奈「……オニシズクモの特性は“すいほう”。炎から受けるダメージを減らし、水の威力を倍増させる」

千歌「……っく……」


私の手持ちにはみずタイプに有利なポケモンが居ない。

……なら、


千歌「目には目をだよね! 水には水で! フローゼル!!」
 「ゼルルルッ!!!!!!」


フローゼルを繰り出す。


千歌「“ハイドロポンプ”!!!」
 「ゼーーールゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」


バクフーンを倒したばかりで、まだ距離の取れていないオニシズクモに向かって、フローゼルから強力な水流が放たれる。


英玲奈「“アクアブレイク”!!」

 「シズ、クモ」


だが、オニシズクモが再び水泡を被った頭を振るうと、


千歌「う、うそ!?」


大きな衝撃と共に、“ハイドロポンプ”を頭突きで消し飛ばす。


英玲奈「“とびかかる”!!」
 「シズ、ク」

千歌「……っ! “こうそくいどう”!!」
 「ゼルゥーー!!!!!」


跳びかかって来るオニシズクモの下をすり抜けるように、フローゼルがダッシュする。

さっきのペンドラーとは打って変わって、動きは遅いのに、こちらの攻撃がうまく通らない。


 「シズ、ク」


オニシズクモはフィールド中央に躍り出たフローゼルの方向へ、のそのそと振り返り、



297 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:51:46.14E6ygtKl90 (9/23)


英玲奈「“アクアブレイク”!!」

千歌「!?」

 「シズ、クモ」


その場で水泡を被った頭を地面に叩き付ける。

水泡から一気にエネルギーがあふれ出し、見た目からは想像の出来ないようなとてつもない衝撃波が放射状に広がり、ジム内の床ごと、巻き込んで──


 「ゼルゥッ!!!」


フローゼルを吹き飛ばした。


千歌「む、むちゃくちゃすぎる!?」


本当に冗談みたいな破壊力だ。

あんな破壊力の技、至近距離で食らったら、みずタイプのフローゼルでもひとたまりもない。


 「ゼ、ゼルゥッ!!!!!」


吹っ飛ばされながらも、どうにか体勢を立て直すフローゼルに向かって。


 「シズ、クモ」


オニシズクモが前進していく。

──どうする……?

動きは遅いが、火力が大きすぎて、避けることもままならない。

かといって、近接戦闘なんてもってのほかだ。


千歌「あの“すいほう”……厄介すぎる」


オニシズクモは頭に被った“すいほう”を自在に操って、攻防をこなしている。

あれがある限り、こちらは手も足も出ない。

……いや、


千歌「なら……“すいほう”を壊せばいいんじゃ」


フィールド中央で迫ってくるオニシズクモと対峙したままのフローゼルと目が逢う。


 「ゼルッ」


フローゼルは私の目を見ただけで、意を汲んでくれたのか、尻尾のスクリューを高速回転させ始める。


千歌「! わかった、やろう!!」

 「ゼルッ!!!!」


フローゼルは私の手持ちの中では、付き合いが一番短い。

海未師匠との修行にも参加してない分、必殺の一撃が使えるかの不安はあったが──


 「ゼルルルルッ!!!!!」


フローゼルの周囲で空気が渦巻く。



298 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:54:02.41E6ygtKl90 (10/23)


千歌「フローゼル!! キミのやる気を尊重するよ!」

 「ゼルルッ!!!!!」

千歌「……ふぅー……」


集中、位置関係を把握しろ。

オニシズクモは私とフローゼルに挟まれた立ち位置のまま、私に背を向けて、フローゼルにゆっくり迫っている。


英玲奈「……何かしようとしているな」


英玲奈さんが私たちの様子に何かを感づいたようだ。


英玲奈「だが、させんぞ……! オニシズクモ!! “アクアブレイク”!!」

 「シズク、モ」


オニシズクモが水泡を地面に向かって振り下ろす。

その瞬間、攻撃に移行しようとして、水泡内の水が一瞬だけ外に向かって溢れ出す──


千歌「──そこ!!! “かまいたち”!!」

 「ゼーールゥッ!!!!!!」


フローゼルの周囲の空気が刃となって飛び出した。


英玲奈「……!」


その刃はオニシズクモの“すいほう”の中に飛び込み、


 「シズ…」


水泡で守られていたオニシズクモの頭部を直接切り裂く。


 「シズ、ズ」

千歌「効いてる……!!」


やっぱり読みは外れてなかった。

攻撃の瞬間、あの水泡は外に向かってエネルギーを放出する。

その一瞬だけは、水泡の膜を通りぬけやすくなるんだ……!


英玲奈「なるほど、考えたな。だが」

 「シズ、クモ……」

英玲奈「威力不足だ」

 「クモ」


オニシズクモはそのまま、頭を振るって、


 「ゼルッ!!!」


“アクアブレイク”を地面に打ち付け、先ほど同様フィールドごと、フローゼルを吹き飛ばす。


千歌「……!!」

 「ゼルッ!!!!」



299 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:55:04.49E6ygtKl90 (11/23)


吹き飛ばされたフローゼルは地面に叩き付けられ、


 「ゼ、ゼル……!!!!」


もはや満身創痍だ。


英玲奈「……さあ、トドメだ、オニシズクモ!!」

 「ク、モ」


オニシズクモが再び、頭を揺らす──が、


 「ク、モモ」


オニシズクモの動きが止まった。


英玲奈「……!? どうした、オニシズクモ!?」

千歌「……ふっふっふ、さっきの“かまいたち”、ただ攻撃するためだけの技じゃないんですよ!」

英玲奈「なに……?」


気付けば、オニシズクモの“すいほう”の中に──


英玲奈「……気泡……まさか!?」

千歌「そう!! フローゼルがオニシズクモの“すいほう”の中に飛び込ませたのは──空気の渦です!!」


渦巻いた空気をそのまま、オニシズクモの“すいほう”に飛び込ませ、その暴れる空気は──


 「シズ、クゥゥモ」


オニシズクモの“すいほう”を内側から、破く……!!


英玲奈「!! オニシズクモ!!」

 「シズ、ク……」


内側から無理矢理“すいほう”の膜を破いた結果、針を刺された風船のように形を維持できず割れてしまう。

“すいほう”を失ったオニシズクモは、


 「シ、ズ……ク」


“すいほう”がなくなって呼吸が出来なくなったのが、その場に引っくり返ってしまった。


英玲奈「……戻れ」

千歌「……よし!!」

 「ゼルゥ……!!!」


二匹目、オニシズクモを突破。


英玲奈「……クワガノン!!」
 「クワガーーー」


英玲奈さんが次のボールを放る。


千歌「フローゼル!! 一旦戻っておいで!!」

 「ゼルッ」



300 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:56:08.28E6ygtKl90 (12/23)


息を切らしたフローゼルが、私の方へと走り出す。

だが、英玲奈さんはそれを許さない。


英玲奈「“エレキネット”!!」
 「クワガーーー」


クワガノンから、電撃を帯びたネットが発射され──


 「ゼ、ゼルゥッ!!!?」


上空で広がって、逃げるフローゼルを捉える。


千歌「フローゼル!! 尻尾のスクリューで吹っ飛ばして!!」

 「ゼ、ゼルゥゥゥゥ!!!!!」


電撃を食らいながらも、どうにか気合いで尻尾を振り回すが──


英玲奈「逃がすか……! クワガノン!」
 「クワガーーー」


クワガノンの突き出された顎の間にバチバチと火花が爆ぜ、エネルギーがチャージされていく。


英玲奈「“でんじほう”!!」
 「クワガーーー!!!!!!」


チャージされたエネルギーは電撃弾となって、ネットの中でもがく、フローゼルに向かって発射された。


 「ゼルゥゥゥゥゥ!!!!!?」

千歌「!! フローゼル!!」


強力な“でんじほう”を食らった、フローゼルは──


 「ゼ、ル……」


健闘虚しく戦闘不能だ。


千歌「……よく頑張ったね、フローゼル。ボールに戻って、休んで」


私はフローゼルをボールに戻した。

次のポケモンを繰り出す前に図鑑を開く。


 『クワガノン くわがたポケモン 高さ:1.5m 重さ:45.0kg
  腹部に 発電器官を 持ち 大アゴに エネルギーを 集め
  凄まじい 電気を 放つ。 アクロバティックな 飛行で 敵を
  撹乱しながら 放つ 電撃ビームは とりポケモンも 圧倒する。』


千歌「クワガノン……でんきタイプのポケモン」


英玲奈さんはここまでの手持ちを見る限り、どうやらむしタイプのジムリーダーのようだ。

だけど、むしタイプでありながらも、バクフーンにはみずタイプ、フローゼルにはでんきタイプと、もう一個のタイプで確実に弱点を突いてきている。

一匹一匹が純粋に強いだけじゃなく、手堅い指示と戦略で戦うトレーナーのようだ。

……さて、でんきタイプを無効化出来るじめんタイプの手持ちは持っていない。

なら、



301 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:57:06.10E6ygtKl90 (13/23)


千歌「ここからは切り札で圧倒する……!! ルカリオ!!」
 「グゥォッ!!!!!」


ルカリオを繰り出す。そして、頭の右側で自分の髪を留めている“メガバレッタ”に触れる。


千歌「メガシンカ!!」
 「──グゥォ……!!!」


メガバレッタと共にルカリオが光り輝き、メガルカリオに姿を変える。


英玲奈「メガシンカ……!! いいだろう、クワガノン!! “かみなり”だ!!」
 「クワガーーー……」


クワガノンのアゴがバチバチとスパークすると、それに反応するかのようにジムの天井に稲光が走る。

──雷の予兆。


千歌「ルカリオ!」
 「グゥァッ!!!!!」


ルカリオは“ボーンラッシュ”の要領で作り出した、骨状に固めた波導を、

床に突き刺す、

次の瞬間──落ちてきた、雷は、


英玲奈「! なるほど……よく考えている」


──その骨に向かって落ちてくる。


英玲奈「即席の避雷針というわけか! クワガノン、“アクロバット”!!」
 「クワガーーー!!!!!」


今度はクワガノンが高速で飛び周り撹乱するような動きで近付いてくる。


千歌「ルカリオ、落ち着いて」
 「グゥォ」

千歌「落ち着いて……狙いを定めて──」
 「グゥァ」

千歌「“はどうだん”!!」
 「グゥォッ!!!!」

 「クワガッ」


“はどうだん”は飛び回るクワガノンをしっかり捉え、迎撃する。


英玲奈「っく……“でんじほう”!!」
 「クワガーーー!!!!!」


再び撃ち出される強力な“でんじほう”


 「グゥァッ!!!!」


ルカリオは先ほど突きたて、避雷針にした骨を引き抜いて、そのまま上に振り抜く形で──

──バチン! “でんじほう”を上に向かって弾き飛ばす。


英玲奈「“ハサミギロチン”!!」
 「クワガーーーー!!!!!!」



302 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:58:25.75E6ygtKl90 (14/23)


一撃必殺のアゴを構え、飛び出してくる。

──落ち着いて。

攻撃の軌道を読め──


 「クワガーーー!!!!!」

千歌「ルカリオ!! そこ!!」
 「グゥォッ!!!!!」


開かれたハサミの丁度真ん中──


千歌「“はっけい”!!」
 「グゥォッ」


ルカリオの突き出した腕にぶつかると同時に、クワガノンはハサミを閉じ──る暇もなく、


 「ガーーーーッ!!!!!!」


波導のパワーによって、後ろの方に吹っ飛ばされたのだった。


英玲奈「クワガノン!」
 「クワ、ガーー……」


吹っ飛ばされ、ジムの壁に激突したクワガノン。戦闘不能だ。


英玲奈「……強力だな、メガシンカのパワーは」

千歌「私の自慢の手持ちです!」

英玲奈「……そうか、なら止むを得ない。だが、負けるつもりはない、行くぞシュバルゴ!!」
 「シュバーールゴッ!!!!!」


英玲奈さんの4匹目はシュバルゴ。

 『シュバルゴ きへいポケモン 高さ:1.0m 重さ:33.0kg
  高速で 飛び周り 鋭い 槍で 相手を 突く。 不利な
  相手にも 勇敢に 立ち向かう。 チョボマキから 奪った
  殻で 出来た 鋼鉄の よろいが 全身を ガードする。』


 「シュバルッ!!!!」


シュバルゴは図鑑通り、高速で飛びながら、ルカリオに迫ってくる。


英玲奈「“ダブルニードル”!!」
 「シュバルッ!!!!!」


シュバルゴは両手の槍を突き出しての刺突攻撃。


千歌「ルカリオ! 受け止めて!」
 「グゥォッ!!!!!」


それを真正面から、両の手で受け止める。

二本の槍はルカリオを刺すか刺されるかの競り合いになる。


 「シュバァァルッ!!!!!」


シュバルゴが気合いとパワーで一気に槍を前に突き出すが──


千歌「“アイアンヘッド”!!」
 「グゥォッ!!!!」



303 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 12:59:32.85E6ygtKl90 (15/23)


ルカリオは組み合った状態のまま、頭を使って、シュバルゴに頭突きをかます。


 「シュバッ……!!!」


相手が一瞬怯んだところに、


千歌「“ブレイズキック”!!」
 「グゥォッ!!!!!」


炎の蹴撃を踵落としの要領で振り下ろす。


英玲奈「“てっぺき”!!」

 「シュバルッ!!!!」


シュバルゴは咄嗟に身体をちぢこませ、鎧で攻撃をガードする。

──ガインッ!! と硬いガードで弾かれ、ルカリオの脚が浮く。

その隙にすかさず、


英玲奈「“ドリルライナー”!!」

 「シュバッ!!!!!」


回転させた一槍がルカリオを襲う。

体勢を崩したルカリオは回避が出来ない。


千歌「ルカリオ!! 掴め!!」
 「グゥォッ!!!!!」

英玲奈「なに!?」


回転しながら、突き出される槍を──無理矢理グリップする。

その勢いでルカリオの身体が回転槍に合わせて、振り回されるが──


 「グゥォッ!!!!!!!!!」


丁度一回転して、自分の足が地面を向くタイミングで無理矢理着地し、震脚しながら、地面を踏みしめる。

無理矢理槍を握力で止めたことによって回転したままの槍を持ったシュバルゴは──


 「シュ、シュバアアア」


今度は彼自身がその回転によって、槍以外の部分が振り回されることになる。


千歌「上に向かって、投げ飛ばせ!!」
 「グゥォッ!!!!!」


“かいりき”を使って、シュバルゴを無理矢理中空に放り投げる。


 「シュ、シュバァァァ」

英玲奈「シュバルゴ!! 落ち着け!!」


回転によって目を回し、更に空中に放り投げられ、体勢を整える余裕がないシュバルゴに向かって──


千歌「“スカイアッパー”!!」
 「グゥォッ!!!!!」


ルカリオが狙いを定めて飛び出し──鎧と鎧の間にアッパーを叩き込んだ。



304 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 13:01:11.55E6ygtKl90 (16/23)


 「シュ、バアアッ!!!!!」


攻撃がクリーンヒットしたシュバルゴは、回転しながら吹っ飛び、

──ズシン、と重鈍な音を立てながら、地面に墜落した。


英玲奈「……戻れ、シュバルゴ」

千歌「よっし!! ルカリオ!! 二匹抜き!!」
 「グゥォッ!!!!!」


ルカリオがクワガノンとシュバルゴを続けて倒したことによって、英玲奈さんの手持ちは残り一匹。


英玲奈「ふふ……君は強いトレーナーだな」


英玲奈さんは負けているのに何故だか楽しそうに笑う。


千歌「え? い、いやそれほどでも……」

英玲奈「なら……私も切り札を使わせてもらおう」

千歌「! 切り札……!」


英玲奈さんがボールを放る。


英玲奈「行くぞ、スピアー!!」
 「ブブブーン」

千歌「スピアー!?」


出てきた、英玲奈さん最後のポケモンはスピアー。

スピアーなら知っている。1番道路でもビードルの巣の近くだと稀に見るポケモンだ。


英玲奈「メガシンカだ!!」
 「ブブブーンッ」

千歌「!!」


英玲奈さんの腕にあるメガブレスレットが光り輝く。

そして、それに呼応するようにスピアーが光に包まれる。

光が晴れると──


 「ブブブーーンッ」


スピアーがメガシンカした姿。

丸っこい身体がスマートになり、硬く鋭いフォルムへと変貌し、

3本だった毒針は5本になる。


 『メガスピアー どくばちポケモン 高さ:1.4m 重さ:40.5kg
  メガシンカに よって 両手と お尻にあった 3本の 毒針が
  5本に なり さらに 強力な 毒素を 出すように なった。
  凶暴性が 更に 増し 相手が 動かなくなるまで 刺しまくる。』


千歌「メガシンカ……!!」

英玲奈「スピアー!! “ミサイルばり”!!」
 「ブブブーンッ」


スピアーがお尻と、真ん中の2本の腕──計3つの針先を撃ち出して飛ばしてくる。



305 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 13:02:25.15E6ygtKl90 (17/23)


千歌「ルカリオ!! 迎撃!!」
 「グゥォ!!!」


再び骨型波導の得物を手に持って、迎え撃つ。


千歌「“ボーンラッシュ”!!」
 「グォッ!!!!」


武器をブンブンと回転させ、飛んで来る針を撃ち落と──


 「グォァッ!!?」

千歌「!?」


──そうと思い、“ミサイルばり”を得物で弾いた瞬間、

思い描いていたような反射にならず、逆にその攻撃の威力に押され、得物を弾かれる。


千歌「ま、まずっ──!?」


そこに向かって、後続の針がルカリオに襲い掛かってくる。


 「グゥォッ!!!?」

千歌「ル、ルカリオ!!」


避けきれずに“ミサイルばり”が直撃し、吹っ飛ばされるルカリオに向かって、


 「ブブブーンッ」


スピアーが猛スピードで迫る。


 「グゥォッ!!!」


床を転がりながらも咄嗟に受身を取って、体勢を整える。


 「ブブーーーーンッ」


迫るスピアー。

逃げ場はない。


千歌「迎え撃て!! “はっけい”!!」
 「グゥォッ!!!!!」

英玲奈「“とどめばり”!!」
 「ブーーーーンッ」


スピアーがお尻の針を突き出してくる。

ルカリオは波導を腕に集中させ、構える。

──二匹の攻撃が交差した。

二匹がすれ違い、スピアーはルカリオの背後に飛び立ちながら、サマーソルトして英玲奈さんの前方辺りに戻って行く。

一方──


 「グゥ…ォ…」


ルカリオは膝から崩れ落ちた。


千歌「……ルカリオ!!」



306 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 13:04:05.31E6ygtKl90 (18/23)


咄嗟の指示でうまく相手の急所が見抜けなかった。

結果、逆に急所を晒し、スピアーに一方的に撃ち負けてしまったようだった。


千歌「……ごめんね、ルカリオ……私の判断ミスだ。戻って休んで」


ルカリオをボールに戻す。


英玲奈「……ルカリオが切り札だと言っていたな。切り札不在で私のスピアーを倒せるかな?」

千歌「……行くよ!! ムクホーク!!」
 「ピィィィィ!!!!!!」


ムクホークが私の元から飛び出す。


千歌「“すてみタックル”!!」
 「ピィィィ!!!!!!」


いつも通りムクホークが猛スピードで飛び出す。


英玲奈「スピアー!! “どくづき”!!」
 「ブブーーーンッ!!!!」


前方に突き出されるスピアーの毒針。

一直線に、ムクホークのクチバシとスピアーの毒針がぶつかり合い。

直後──ヒュン、と私のすぐ横を猛スピードで何かが通り過ぎた。


千歌「……え?」


目を見開く。

驚いたまま、振り返ると、


 「ピ、ピィィィ……」


ムクホークが倒れていた。


千歌「……え……え……?」


パワーが自慢のムクホークが、吹っ飛ばされていた。


千歌「完全に力負けした……? しかも、一撃で……?」


一瞬にして数の有利を詰められてしまった。


英玲奈「先ほどルカリオを倒した“とどめばり”という技を覚えているか?」

千歌「“とどめばり”……」

英玲奈「あの技は、相手にトドメをさせたとき、使ったポケモンの攻撃力を爆発的に上昇させる技だ」

千歌「……!」


ただでさえ、想像の何倍も上を行く攻撃力だったのに、それが更に上昇してしまったということだ。

だから、ムクホークのパワーでも歯が立たなかった。


英玲奈「……さあ、次が最後のポケモンだな」

千歌「……」



307 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 13:05:18.10E6ygtKl90 (19/23)


最後の最後で絶望的なパワーの差を見せ付けられる。

どうする……?

そのとき、

──カタカタと、腰のボールが震える。


千歌「……ルガルガン」


ルガルガンのボールだった。

戦いに出せと言っているのかもしれない。


千歌「……わかった、ルガルガン!! お願い!!」


私はルガルガンを繰り出す。

ボールから飛び出した、ルガルガンは──


 「……」


落ち着いていた。


千歌「ルガルガン……?」


戦闘に出ることを自ら望んでいたことから、勝手に戦意が高揚しているものだと思い込んでいたけど、


 「ワォン」

千歌「……」


ルガルガンは小さく鳴き声をあげながら、こちらに流し目を配らせてくる。

まるで、私に向かって「落ち着け」とでも言わんばかりに、


千歌「……そうだね。焦っても仕方ないもんね」


私は呼吸を落ち着けるために、


千歌「……すぅー…………はぁー…………」


いつものように深呼吸をする。

酸素が全身に巡ってきて、なんだか視界も思考も少しだけ、すっきりしてくる。

──相手の攻撃は猛スピードから繰り出される針による刺突攻撃。

避けるのは実際問題難しい。

なら受け止めるしかない。


英玲奈「……落ち着いているところ、悪いが、攻撃させて貰うぞ……!! “ミサイルばり”!!」
 「ブブブブーンッ!!!!!」


再び、“ミサイルばり”が飛んで来る。

私は目をしっかり開き、

真っ直ぐ指を指す。


千歌「……一発たりとも針を通さない」


飛んで来る針の先端に向かって──



308 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 13:06:10.56E6ygtKl90 (20/23)


千歌「“ストーンエッジ”!!」
 「ワゥッ!!!!」


ルガルガンが脚を踏み鳴らすと、フィールド上に鋭い岩が飛び出す。

その鋭い岩の頂点は──


英玲奈「……な!?」


“ミサイルばり”の頂点と完璧に頂点同士をぶつけ合い、威力を完璧に殺してみせる。

更に続け様に飛んで来る“ミサイルばり”に対しても、

同様に頂点を完璧にあわせて──


千歌「……これなら、いける!!」

英玲奈「完璧に見切ったということか……!! 面白い……!!」


“ミサイルばり”が通用しないとわかった瞬間、スピアーが突っ込んでくる。


英玲奈「“ダブルニードル”!!」
 「ブブブーンッ!!!!!」


スピアーは今度は両の腕の針で攻撃をしてくる。

……が、


千歌「ルガルガン……」
 「ワォンッ」


ルガルガンは自分の頭頂にある、長く鋭い岩のタテガミを構えて、

──コーンッ!!


英玲奈「……!!」


先ほど同様、完璧に真正面から頂点同士をぶつけると、小気味の良い音がフィールド上に響き渡る。

この音が、無駄なく刺突の威力を相殺できた証拠だ。


英玲奈「まだだ!!」


“ダブルニードル”の二撃目──

──コーンッ!!


千歌「……ふぅー……」


もっとだ──もっと集中しろ。

ルガルガンと息を合わせて、

相手の攻撃の軌道を見切れ、

一発でも食らったらダメなら、一発も食らわなければいいだけだ。


英玲奈「……そんなピンポイントな技が何度も続くわけないだろう……!! “みだれづき”!!」
 「ブブブブーンッ!!!!!」



309 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 13:07:42.50E6ygtKl90 (21/23)


スピアーが4本の腕を使って連続で突いてくる。

──そのとき、何故だか。

クリアな思考の中で、これからスピアーが攻撃してくる軌道が『わかる気がした』。

──コンッ、コンッ、コンッ、コーンッ!!!


英玲奈「な……!!」


──あぁ、この感じ、思い出した。

パルキアの攻撃を切り裂いたときと同じ感覚だ。

自分の集中が最大限まで高められて、

ポケモンと意識が同調している感じがする。

今なら──


千歌「……失敗する気がしない」

英玲奈「“ダブルニードル”!!」
 「ブーーーンッ!!!!!」


──コーンッ!! コーンッ!!

次の攻撃も綺麗に相殺し、


英玲奈「“とどめばり”!!!」
 「ブーーンッ!!!!!」


咄嗟に飛び出てきた、お尻の針に──


 「ワォン」


ルガルガンが綺麗に、一直線に、岩のタテガミをぶつけると、

──ピシリ、

スピアーのお尻の針にヒビが入る。

そして、そのまま──


 「ブゥ……ンッ……」


針の先から、身体の芯まで一直線に伝わる衝撃を全身に受けたスピアーは……静かに崩れ落ちた。


千歌「…………」

英玲奈「……なん……だと……」

千歌「……勝った」


勝利したという達成感か、安心したのか、急に足腰から力が抜けて、その場にへたり込む。


 「ワォン」


そんな私の元にルガルガンが駆け寄ってくる。


千歌「あはは、大丈夫だよ、ルガルガン。ちょっと安心したら、力が抜けちゃっただけだから……」
 「ワォン」


ルガルガンが身を寄せてくる。私は労うようにルガルガンを撫でてあげる。


英玲奈「……一つ聞きたい」



310 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 13:09:13.85E6ygtKl90 (22/23)


バトルフィールドを挟んで向かい側から、英玲奈さんがスピアーをボールに戻しながら訊ねて来る。


千歌「?」

英玲奈「どうして、キミは……あんなリスクのある技を何度も決められると思ったんだ? 本当に一発でも攻撃が通れば、こちらの勝ちは揺るぎなかった……」

千歌「どうして……か」

英玲奈「普通だったら……いかに選択肢を拡げて、どう対抗するかを考えるものだと思うのだが……」

千歌「……うーん」


そう言われて悩む。


千歌「……なんか、出来る気がしたから……?」


悩んだ末、私の中で出た結論はそれだった。

私の回答を聞いた英玲奈さんが、


英玲奈「……ふ──ふははははっ!! そうか、出来る気がしたのなら仕方ないな!」


頭に手を当てながら、可笑しそうに笑う。


英玲奈「キミは私が思った以上に強いトレーナーだったようだ」


英玲奈さんはそう言って、私の方に歩いてくる。

そして、上着のポケットから──ソレを取り出して、


英玲奈「千歌。キミをクロユリジム公認トレーナーとして、この──」


へたり込んだままの私の前で膝を折って、手渡してくれる。


英玲奈「──“スティングバッジ”を進呈しよう」

千歌「……はい!」


ハチの針を象ったような意匠のバッジを手渡される。


千歌「……これで、8つ目……!」


ついに、8つ目のバッジを手に入れた。


英玲奈「バッジを全てそろえたトレーナーとしての実力を認め、今後全てのポケモンがキミの言うことを聴くだろう。更に、その実力を認め、ここから東にあるウテナシティ、ポケモンリーグへの挑戦権が与えられる」

千歌「ポケモンリーグ……!」

英玲奈「ウテナシティは18番道路を戻り、16番道路を東に、そこから繋がる17番水道を北上した先、チャンピオンロードを言われる山道を抜けた先だ」

千歌「はい……!!」


ついに師匠が待つ、ポケモンリーグへと行くことが出来る……!


英玲奈「ポケモンリーグで四天王たちと……存分に覇を競うと良い」

千歌「はい!」


こうして、私はついに──オトノキ地方全てのポケモンジムを制覇し、全てのジムバッジを揃え……次の目的地、チャンピオンロードへと赴くのでした。






311 ◆tdNJrUZxQg2019/05/16(木) 13:10:13.67E6ygtKl90 (23/23)



>レポート

 ここまでの ぼうけんを
 レポートに きろくしますか?

 ポケモンレポートに かこんでいます
 でんげんを きらないでください...


【クロユリシティ】
 口================= 口
  ||.  |⊂⊃                 _回../||
  ||.  |o|_____.    ●     | ⊂⊃|  ||
  ||.  回____  |    | |     |__|  ̄   ||
  ||.  | |       回 __| |__/ :     ||
  ||. ⊂⊃      | ○        |‥・     ||
  ||.  | |.      | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\     ||
  ||.  | |.      | |           |     ||
  ||.  | |____| |____    /      ||
  ||.  | ____ 回__o_.回‥‥‥ :o  ||
  ||.  | |      | |  _.    /      :   ||
  ||.  回     . |_回o |     |        :   ||
  ||.  | |          ̄    |.       :  ||
  ||.  | |        .__    \      :  ||
  ||.  | ○._  __|⊂⊃|___|.    :  ||
  ||.  |___回○__.回_  _|‥‥‥:  ||
  ||.      /.         回 .|     回  ||
  ||.   _/       o‥| |  |        ||
  ||.  /             | |  |        ||
  ||./              o回/         ||
 口=================口

 主人公 千歌
 手持ち バクフーン♂ Lv.58  特性:もうか 性格:おくびょう 個性:のんびりするのがすき
      トリミアン♀ Lv.52 特性:ファーコート 性格:のうてんき 個性:ひるねをよくする
      ムクホーク♂ Lv.57 特性:すてみ 性格:いじっぱり 個性:あばれることがすき
      ルガルガン♂ Lv.56 特性:かたいツメ 性格:わんぱく 個性:こうきしんがつよい
      ルカリオ♂ Lv.61 特性:せいぎのこころ 性格:ようき 個性:ものおとにびんかん
      フローゼル♀ Lv.54 特性:すいすい 性格:ゆうかん 個性:ものおとにびんかん
 バッジ 8個 図鑑 見つけた数:169匹 捕まえた数:15匹


 千歌は
 レポートを しっかり かきのこした!

...To be continued.






312 ◆tdNJrUZxQg2019/05/17(金) 00:28:30.78dd6+2abs0 (1/111)


■Chapter085 『決戦! ライバル!』 【SIDE Chika】





──17番水道を北上していると……その先に見えてくる。


千歌「山……あれが、チャンピオンロード……!」
 「ゼル」


フローゼルの“なみのり”で移動しながら、やっと次なる目的地に辿り着く。

岸に着いた私はフローゼルをボールに戻しながら、思わず見上げてしまう。


千歌「おっきな山……!」


チャンピオンロードはポケモンリーグに挑むトレーナーたちの最後の壁として立ちはだかる険しい山だと聞いた。

確かに最後の壁と言うのに相応しい迫力がある。


千歌「……よし」


私は一人意気込んで、その山に向かって歩き出した。





    *    *    *





しばらく歩くと、大きな山の麓にぽっかりと大きな口が開けているのが見えてきた。

あの洞窟から入って、山道を抜けていくようだ。

山道らしく砂利の増えてきた道を踏みしめていると──


──pipipipipipipipi!!!!!


千歌「わ!? な、なに!?」


聞き覚えのある大きな音がポケットから聞こえてくる。

これって、確か……。


千歌「図鑑の共鳴音……?」


言いながら図鑑を取り出すと、確かにけたたましい音をあげて鳴っている。


千歌「……図鑑が共鳴音を鳴らしてる……ってことは……!」


私は自然と駆け足になる。

だんだんと近付いてくる洞窟の入口の前には──人影が二つ。


梨子「……やっときたね」

曜「千歌ちゃん、久しぶり!」

千歌「梨子ちゃん! 曜ちゃん!」



313 ◆tdNJrUZxQg2019/05/17(金) 00:30:06.75dd6+2abs0 (2/111)


他の誰でもない。

私と一緒に図鑑と最初のポケモンを貰った、梨子ちゃんと曜ちゃんの姿だった。


千歌「二人ともどうしてここに!?」

梨子「ふふ、千歌ちゃんが来るのを待ってたんだよね」

曜「うん!」

千歌「私を……?」


首を傾げていてると、


曜「千歌ちゃん……これ見て!」


曜ちゃんがバッグの中から──荘厳な雰囲気のあるリボンを取り出した。


千歌「なんか……すごいリボン……」

梨子「そのリボン、コンテストで優勝してもらえるリボンなんだって」

千歌「コンテスト……優勝……ものすごいリボン……まさか……!」

曜「うん!」


曜ちゃんが嬉しそうに頷く。


曜「私……グランドフェスティバルで優勝したんだよ!」


グランドフェスティバル……確か、一番優れたコーディネーターを決める大会のことだ。前に志満姉がそんなことを言っていた気がする。

つまり──


千歌「曜ちゃん……この地方で一番になっちゃったってこと!?」

曜「えへへ……そうであります! オトノキ地方のコンテストクイーンです!」

千歌「すごい!! ホントにすごいよ、曜ちゃん!!!」


驚きの声をあげながら、思わずぴょんぴょん跳ねてしまう。


曜「うん!! えへへ、千歌ちゃんに早く報告がしたくて……チャンピオンロードの入口で待ってたら来ると思ってたから。……そしたら、梨子ちゃんも居てね」

梨子「──私と同じこと考えてたみたいで、曜ちゃんと二人で千歌ちゃんのこと待ってたの」

千歌「そっかぁ……ここまで来たってことは、梨子ちゃんも……」

梨子「……うん!」


梨子ちゃんはバッグから、バッジケースを取り出し、開いて見せてくれる。

──そこには、輝く8つのバッジ。


梨子「ポケモンジム。全部制覇してきたよ」

千歌「そっか……!!」


……あれ、でも……。



314 ◆tdNJrUZxQg2019/05/17(金) 00:33:00.86dd6+2abs0 (3/111)


千歌「……? じゃあ、どうしてここで待ってたの? チャンピオンロードを越えないといけないのに……」

梨子「んっとね……それなんだけど」

千歌「?」

梨子「このチャンピオンロードを越えた先には、最後の街ウテナシティがあるって言うのは知ってるよね」

千歌「うん。そこにポケモンリーグがあるんだよね」

梨子「そうだね。そこで四天王と戦って……勝ち抜いたらチャンピオンになれる。……でも、私思ったの」

千歌「?」

梨子「チャンピオンになれるのって……一人だよね」

千歌「……まあ……そうなのかな……?」


チャンピオンってくらいだし……一人しかいない気がする。


梨子「それってつまり……私が先に四天王に挑戦して、仮に勝ち抜けたとしても、すぐに千歌ちゃんも挑戦に来るってことでしょ?」

千歌「……確かに」


お互い四天王に勝てるかはともかく、確かに最終的に行き着くのはチャンピオンの椅子だ。


梨子「だからさ……どうせなら、先にやっちゃってもいいかなって」

千歌「先に……?」

梨子「千歌ちゃんと私……どっちが強いかを」

千歌「……!」


……つまり……。


梨子「勝った方が四天王に挑戦する。……どうかな?」

千歌「……ふふ」

梨子「千歌ちゃん?」

千歌「チャンピオンってことは、この地方で一番強いトレーナーってことだもんね! ここで梨子ちゃんに負けるようじゃ、チャンピオンは名乗れないもん! いいよ! その話乗った!!」

梨子「ふふ、千歌ちゃんならそう言ってくれると思った」

千歌「でも、私。強いよ?」

梨子「あら? 1番道路で私にコテンパンにされたのは誰だったかしら?」

千歌「ふふ……あのときがもう随分昔な気がするね」

梨子「……そうだね」

千歌「……自分で言うのもなんだけど、あのときからは考えられないくらい強くなったよ」

梨子「うん。私も強くなった」


二人で自然とボールを腰から外して、お互いに突きつけるようなポーズを取る。


千歌「今回は負けないよ」
梨子「今回も負けないわ」


ここまで、一緒に旅に出て、ときに競い合い、ときに手を取り合い、一緒に戦った梨子ちゃん──ライバルとの最終戦。


曜「それじゃ、二人の最終戦はこの曜ちゃんが立会人になるよ!」

千歌「うん!」

梨子「お願いね」

曜「ルールはお互い手持ち6匹を自由に使って戦うフリーバトル! そして、バトルフィールドは──」



315 ◆tdNJrUZxQg2019/05/17(金) 00:34:34.11dd6+2abs0 (4/111)


曜ちゃんが目の前に拡がる、大きな山を示すように、バッと両手を広げる。


曜「このチャンピオンロード全域!」


戦いのステージはこの険しい山道と洞窟、全てだ。


曜「なんでもありのフリーバトル!! 最後に立っていた方が勝ち!! それでいい?」

梨子「ええ、問題ないわ」

千歌「それが一番シンプルだもんね!」

曜「何かあっても私が介抱してあげるから、二人とも全力で戦って大丈夫だからね!」


立会人がいるお陰で本気でぶつかり合える。


曜「ふふ♪ こうして千歌ちゃんと梨子ちゃんが戦って、私が立会人して……なんか、本当に1番道路のときみたいだね」

千歌「あはは、そうかも」

梨子「ふふ、そうだね」


なんだか、なつかしくて三人で顔を見合わせて笑ってしまう。


千歌「梨子ちゃん」

梨子「ん?」

千歌「ホンキで行くよ」

梨子「ええ、もちろん!」

曜「二人とも準備はいい!?」

千歌「うん!」

梨子「ええ!」


改めて、二人でボールを構える。


曜「それじゃ行くよーーー!!! レディーーーーGO!!!!」


曜ちゃんの掛け声と共に──二つのボールが放られた。





    *    *    *