391以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/04/21(日) 00:32:57.77toW7lYt4O (1/2)

乙です
まさか伊集院君が主役になるとは思わなんだ
ほむらの血は誰の反り血なのか気になるなぁ


392 ◆xjSC8AOvWI2019/04/21(日) 19:46:39.95CHMNJokl0 (4/7)

――――――



 『見滝原市内で落下事故か、被害者の消息不明』


 携帯の小さい画面の中の文字をじっと見つめる。

 見滝原という親しみのある土地での事故なら普段から目を通すこともある……か?

 あの奇妙な事件に遭遇した翌日、朝テレビでかかっていたニュースをわざわざ携帯で調べて、普段なら他人事のシリアスなニュースから目を離せないでいた。


伊集院(…………これ、あの場所の近くだな)


 記事に出ているのは現場の写真と血痕だ。やっぱりこれが昨日のことと無関係には思えない。

 穴が空くほど見つめても詳しいことはわからないまま校舎が見えて携帯をしまう。


 教室に向かって階段を上がる途中、廊下のほうを見る。その視線の先には生徒たちが行き交っている。

 その中に長い黒髪を揺らす女が居た。思わず反応したのは双方だ。昨日と同じきつい眼差しで忌々しそうな顔を向けられる。


 ここは――二年の廊下だ。同じ制服だったから、もしかしたら学校に行ったら会うかもしれないとは思っていた。

 自分とは無関係な生徒たちをいつもより注意深く見ていたのはそのせいだ。でも――これはおかしい。




393 ◆xjSC8AOvWI2019/04/21(日) 20:21:36.02CHMNJokl0 (5/7)



伊集院「昨日の人!? 怪我は!? 血はぁ!?」

「…………ッ!」



 思わず叫び出した俺に女はものすごい勢いで近づいてきて口を押さえる。

 ……そしてなかなか立ち寄らない教室の並ぶ廊下の先へと連行された。



「あのことは忘れてって……言ったはずよね」


 声が怒っている。怒りに震えている。


「貴方に見られたのは私の失態だわ。でも……」

伊集院「やっぱり昨日の人……ナンデスネ」

「!」

伊集院「墓穴?」


 ちょっとドヤ顔。しかし対する彼女の表情はさらにわなわなと険しくなる。

 なんかわからんが、これは弱みを握ったってことだ。うん。……しかし待てよ?


伊集院(今なんともないってことはやっぱり怪我してないってことだ。あの時フラついてたように思えたのも見間違え)

伊集院(じゃああの血はなんだ?隠したがる理由は?まさかこの人は裏の世界の人!ラノベでもホラーでもなくて本当は極道ものだった!?)

伊集院(見てはいけないものを見てしまった俺は、口止めにころされ……る?)


 持ち前の頭脳を活かして急速に思考を練り上げた。


伊集院「殺さないでぇー!」

「なんでそうなるの!?」




394 ◆xjSC8AOvWI2019/04/21(日) 21:22:00.18CHMNJokl0 (6/7)


伊集院「だだだってそういう世界の人なんだろ!事件にしてほしくないのはバレたらマズいことがあるからだー!」

「そういう世界って、何の世界だと思って……!?」

伊集院「もう俺は正体もわかったんだぞ!実はこう見えて今も拳銃とか隠し持ってるんだ!」

「!?」

伊集院「ホレミロあぁ図星って顔じゃねーか!それで目撃者もろとも標的を消すつもりなんだ!うわあああ極道女怖いよぉぉぉかあちゃーん」

「おっ落ち着きなさい!こんなところで変なこと騒がないでちょうだい!人が集まってきたらどうするの」

伊集院「よく考えたら黒髪ストレートはお嬢要素だったんだぁ!」

「あなたは、その……っ勘違いをしているわ!いや、あまり間違ってないかもしれないけど……とりあえずそう思うのなら黙ってて」


 素早く後ろに回り込まれたと思うと喉元に何かをつきつけられる。この黒いものは――拳銃だ。


「かくなる上は…………本当にここで殺されたくないのならね」

伊集院「ヒエッ」


 その凄みに押されて、とりあえず黙るしかなかった。




395以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/04/21(日) 21:43:12.33toW7lYt4O (2/2)

あまり間違ってないって……自覚はあるのかw


396 ◆xjSC8AOvWI2019/04/21(日) 23:23:26.19CHMNJokl0 (7/7)



(――――と、言ってみたはいいけれど……そういう勘違いをしたのなら話に乗って脅してみたほうが黙っててくれると思ったものの)

(この反応は困ったものね。それに中途半端に変な部分を知って追い詰められた人間がどういう行動に出るかはわからない)

(変な正義感を発揮されたり最悪言いふらされて変な噂が広まったら学校にいられなくなるわ)



 これから取って食われる小動物のような目で廊下の角に縮こまらせる図体のでかい男。

 黙らせたはいいが人気のない廊下では謎の膠着状態が続いていた。



「……貴方、どこのなんていう人?」

伊集院「個人情報っ!これから家族ごと組織に監視されるんですねわかります」


 はぁ、とため息をつく。


ほむら「私の名前は暁美ほむら。二年生よ。それになんの組織にも属してない」

伊集院「個人の殺し屋ってやつですか!?よほど腕に自信があるんだぁ……」

ほむら「殺し屋でもない」

ほむら「こう言って信じるかはわからないけど…………魔法少女よ。私は魔法が使えるの」

伊集院「……へ」



397 ◆xjSC8AOvWI2019/04/22(月) 00:24:42.927ay3jIz/0 (1/4)


伊集院「あっ!意外と見かけによらず“こっち側”の人だったんですね!」

伊集院「あの怪我やニュースのは血糊で、事件にされるとまずいのもただのおふざけだったからで、あとさっきの拳銃もオモチャ」


 肉付きの良い顔がだらしなくゆるんでへらっと笑った。……が、すぐに真顔に戻る。


伊集院「……本当にそうなのか?あの時の青ざめた顔も?大体、警察が偽物の血なんかに騙されるか?」

ほむら「怪我は魔法で治したの。全部じゃないわ、見えるところと出血だけ。得意じゃないから」


 ほむらが腕を捲る。布の下にはまだ痣があった。


伊集院「!」

ほむら「あの時はまだ戦いの最中だったのよ。貴方が来なければすぐに見つけ出せたかもしれないのに……!」



――――
――――



「聞きましたよ。あなたが私たちを追ってるって。大変お強いんだそうですねぇ。だから不意打ちを狙ってみましたぁ」

「私、あなたみたいな正攻法じゃ敵わない“強い人”を嵌めて打ち負かすのがだーいすきなんです」

ほむら「貴女は誰?また新しい人が出てくるなんて」


 私は目に見える範囲での魔法少女の動向は調べていたし、大抵の魔法少女が襲ってきても返り討ちにできる自信があった。

 けれど今まで出てこなかった、まったく知らない仲間が“彼女”にはいた。そして、その魔法も私のまったく知らない魔法だった。


 ――急に身体の動きが鈍くなるのを感じた。




398 ◆xjSC8AOvWI2019/04/22(月) 00:49:54.767ay3jIz/0 (2/4)



「“また”? 何言ってんのかわかりませんが、まあ仲良くしましょ?一人で来たのを恨むことですね」


 物理的な支配じゃない。精神的なものだろうか。意識に反して思考は霞んでいく。

 けど、ここで負けてはいけない。ひとまず盾に手をかけさえすれば後はどうにでもなる。


「……ッ!こいつ、洗脳に抗ってるのか」

「チィッ!」


 その時、盾を廻すよりも前に身体ごと後ろに倒れていくのを感じた。

 突き飛ばされたのだとわかったのはバランスが完全に後ろの下のほうへと崩れてから。


 そこからはまっ逆さま。周りの時間だけ止めても意味がない。






ほむら「――――余計なおせっかいだったのよ。痛覚を消すこともできる。魔力を通せば動くのにも問題はなかった」

ほむら「あの時もたついてなければ遠くに逃げないうちに探せたのに」

伊集院「あのー、暁美さん?」

ほむら「言ってみただけ。とりあえず勘違いされたままなのは勘弁して。……この話なら、他の人に話す気は起きないでしょう?」


 さすがにリアルには思いもしなかった話をどう受け取ったらいいか戸惑った。

 そりゃ俺が言ってもどうせ妄想って笑われるだけだろうだけど、話を聞く限り抗争には違いなかった。


伊集院「……言うほど余計なことしたのか?怪我は本当だったんだ」

伊集院「なにがそこまで動かしてんのかなーって……ていうか、身体張りすぎじゃないですかねーって思って」



399 ◆xjSC8AOvWI2019/04/22(月) 01:03:31.067ay3jIz/0 (3/4)


ほむら「私達にはそんなの関係ないのよ」

ほむら「はぁ……なんでこんな人に話してるのかしら。こんな間抜けな事態は初めてだわ……」


 チャイムが鳴りはじめる中ほむらは立ち上がり、教室のほうへと歩き出す。


ほむら「ついてこないで」

伊集院「いや、俺も教室そっちなんですけど……?ていうか三年生だから階も違う!遅刻する!」


 ご機嫌ななめだ。やっぱりこうして見ると綺麗な容姿をしている。

 ……これはどんな非王道の魔法少女ものなんだ?

 念願の非日常、しかも魔法少女、ヒロインとの出会いにしてはちょっと理想とは遠い…………ような気がした。



ほむら「…………私をただの被害者として見るなら、きっと幻滅することになるわよ」



 彼女は相変わらず早足ですたすたと歩いて行って、別れる間際に小さく忠告するような声が聞こえた気がした。




400 ◆xjSC8AOvWI2019/04/22(月) 01:04:50.187ay3jIz/0 (4/4)

----------------------
ここまで。次回は28日(日)の予定です


401以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/04/29(月) 20:50:13.299YSfir9j0 (1/1)

まだか


402以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/04/29(月) 21:06:07.067ew6/3zL0 (1/1)

昨日も来なかったしスレ主忙しいのかな?
あとsageようね?


403 ◆xjSC8AOvWI2019/05/02(木) 22:22:26.59dOj8ncsP0 (1/1)



 しかしなにはともあれ、今朝でそんな奇妙な縁も終わるだろうと思っていた。

 ちょっと惜しいなんて思っていない。断じて思っていない。

 ―――が、そんな予想を裏切るように昼休み廊下を歩いていた俺は彼女と目が合い、呼び止められて今目の前にいる。


伊集院「……今度はなんでしょうか」

ほむら「三年生だったと聞いたのを思い出して来たのよ。少し尋ねておこうと思ったのだけど……」

伊集院「なんかもう、開き直って利用しようとしてる?」

ほむら「軽くサインを送ってみたらついて来たんだもの。来ないなら諦めたわ」


 やっぱり鉢合わせたのは偶然ではなかった。そもそも彼女は二年生と言っていたから普通ならここにはいないはずだ。

 彼女には有無を言わせない迫力がある。まだ存在自体が不思議の塊だし。


伊集院「それで、聞きたい事とは?」

ほむら「三年生ということは、巴マミという生徒は知っている? 知っているなら、彼女をどう思う?」


 思いがけない質問に固まってしまった。

 巴“さん”といえば、去年同じクラスだった女子生徒だ。俺の知り合いの男のほうではない。

 けど、なんでその人の話? この人は一体何を聞きたいんだろうか?


伊集院「……どう、って」



1同じクラスだった、と話す
2知らないふりをする
3自由安価

 下2レス


404以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/03(金) 05:45:40.80fW4YkWk8O (1/1)

1+逆にマミの事を聞いてカマをかけてみる

悪い噂とかは聞かないなぁ
ただ放課後部活やってないのに付き合いが悪いって女子達が言ってたかな?
まぁ彼女も魔法少女みたいだから孤独っぽいのかな?
え、マジで……!?



405以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/03(金) 11:03:46.17+8Ys+dxU0 (1/2)

3何とも思ってないよ


406以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/03(金) 11:21:20.62OT5MJpxe0 (1/1)


ラノベとかアニメの展開みたいに答えを反したら正解だった、みたいな感じ?

あとスレ主さん、リアルがお忙しいのかもしれませんが始める前に告知して欲しかったです。



407 ◆xjSC8AOvWI2019/05/03(金) 20:16:28.33Z5juW/1O0 (1/3)



 去年の教室の風景を浮かべてみる。

 しかしそれは、確かにそこにいたけれどどこか遠巻きな景色でしかなかった。……思い返してみれば、直接話したことあったっけ?


伊集院「…………正直何とも思ってないっすよ。俺みたいのが手を出せるタイプじゃないし」

ほむら「そうでしょうね」

伊集院「ああーー!肯定シナイデ!自分で言っても悲しくなるなあ!」

ほむら「何とも思ってないってことは知ってはいるのね」

伊集院「強いて言うなら真面目そうな人って感じ?他は特には」


 ……けどそれは嘘です。

 どう思ってるかと言われれば、この間も野郎どもと巴さんの胸についてコソコソ語らってました。思いっきり下心だけの羨望を。

 クラスで見てるだけの女子だからこそ好き勝手に言えるんだろうな。もちろん女子相手にこの本音は話せない。

 そう思ってみればこの人は巴さんに比べればずいぶんと貧相な――。


ほむら「……何?」

伊集院「いいえ何でも!」

ほむら「でもやっぱりそうなのね。特に変わった様子も感じていなさそうだし」


 でもなんで巴さんの話なんてしたんだろう?


伊集院「もしかして……!」



1彼女を狙ってるとか?
2彼女に危険が迫ってるとか?
3彼女が危険な人だとか?
4彼女と敵対してるとか?
5彼女の胸に嫉妬してるとか?

 下2レス


408以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/03(金) 20:27:38.22Q/VjSxon0 (1/2)

2


409以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/03(金) 20:32:07.05+8Ys+dxU0 (2/2)

5


410以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/03(金) 20:33:58.514g0iNTyzO (1/2)

5のあと2

大丈夫ですよ!
とある少女も貧乳はステータスだ!と言ってましたし!


411 ◆xjSC8AOvWI2019/05/03(金) 21:48:05.91Z5juW/1O0 (2/3)


伊集院「彼女の胸に嫉妬してるとか!」

ほむら「黙りなさい」

伊集院「いやかのじょの胸に」

ほむら「いいから黙りなさい」

伊集院「……すいませんでした」


 ちょっと出来心でからかおうとしたが、予想以上に元から機嫌が良いとはいえなかった切れ長の目が鋭くなる。

 ……ほんの少しの静寂が流れていたたまれない雰囲気になる。


伊集院「で、でも大丈夫ですよ!とある少女も貧乳はステータスだって言ってましたし!」

伊集院「あ、俺も嫌いじゃないっすよ?大きな胸も控えめな胸もどっちにも良さってものが……」

ほむら「別に気にしてるわけじゃない。何故あなたなんかにフォローされているみたいになってるのよ。ふざけたことを言うのをやめなさい」

ほむら「……というか誰の言葉よ。貴方にそんなことを言える親密な女子がいるとは思えないわ」

伊集院「うっ図星……こことは次元を超えた世界にいる人でございます」



じゃなくて、
1彼女を狙ってるとか?
2彼女に危険が迫ってるとか?
3彼女が危険な人だとか?
4彼女と敵対してるとか?

 下2レス


412以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/03(金) 21:50:22.64Q/VjSxon0 (2/2)

2


413以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/03(金) 21:57:35.284g0iNTyzO (2/2)

2


414 ◆xjSC8AOvWI2019/05/03(金) 22:40:21.23Z5juW/1O0 (3/3)


伊集院「じゃなくて、もしかして巴さんに危険が迫ってるのかなーと思いまして」

ほむら「…………」


 暁美さんは少し真剣に考え込むように言葉に間を空けた。

 ふざけた話はやめろと言ったけど、実際にそうしてマジなテーマに踏み込むと少し躊躇ったようにする。


ほむら「……まあ間違ってはいないわね。彼女なら大丈夫だと思うけど」

伊集院「また暁美さんを襲った人が?」

ほむら「そうね。これで今までの争いは解決する。……表面上は」

ほむら「私はどうすればいいのかしら…………」


 何に悩んでいるのかはわからないが、どうやら暁美さん自身も色々考えている最中らしい。

 でも、てっきり関係者か何かかと思ったらこの回りくどい言い方。それがちょっと引っ掛かった。


伊集院「なーんだ、コソコソしてんのは同じってことか……」

ほむら「え?」

伊集院「俺のことを呼んだのは巴さんのことを聞くため?違うでしょ!それだけじゃ何の成果にもならない」

伊集院「積極的にアピールしてかないとフラグは立たないんですよ!この俺のように!」

ほむら「何の話?よくわからないけど一緒にしないでほしいのだけど」



415 ◆xjSC8AOvWI2019/05/04(土) 00:17:15.64wJQETklp0 (1/9)


伊集院「全貌はわからないけど目的はやっとわかったぞ。危険だから忠告がしたい。でも直接言って聞き入れてくれるほど仲が良くない」

伊集院「つまり、巴さんと友達になりたいんだ!そういうことならこの俺をもっとこき使えばいい!」

伊集院「元クラスメイトの俺だ。きっといいパイプ役になれるはずさ」


 こう言い出せば話すきっかけができるし、あわよくばこのチャンスに俺と巴さんも仲良くなれたら万々歳。……という下心は黙っておくとして。


伊集院「なかなか良いことを言えたと思う。どうだ。惚れてもいいんだぞ?」

ほむら「…………それで、どうやって魔法少女と無関係の、しかも話したことすらほとんどない貴方が仲を取り持ってくれるの?」

伊集院「それはー……これから考えるか」

ほむら「やっぱり愚か者だったわ」

伊集院「そんなぁ」


 まだこっちも状況を把握していないから、漠然としたことしか思い浮かばない。

 でも知り合いの名前まで出されて真剣な顔で話されて、魔法少女っていうのは大マジな話だったんだなぁとだけ思った。


伊集院「まず、巴さんと暁美さんの関係は?」

ほむら「同じ街にいる魔法少女……仲間とは思われていないでしょうね」

伊集院「危険だってそのまま伝えても警戒されるくらい仲が悪い?」

ほむら「忠告することはできるわ。けれど、私が本当に伝えたいことは伝わらない。言えないことがあるの。その場に居合わせることも多分出来ない」

伊集院「えーと、それはどういうことだ……?」

ほむら「私はほかにやることがあるの。そっちを離れることはしたくない」



1とりあえず巴さんに声をかけにいこう
2じゃあ、俺が代わりにそっちにいくことは?

 下2レス


416以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/04(土) 00:30:10.07UIaENF4gO (1/1)

ここは1かな?


417以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/04(土) 00:46:06.66gy/cmqDa0 (1/3)

2


418 ◆xjSC8AOvWI2019/05/04(土) 01:26:50.21wJQETklp0 (2/9)


伊集院「じゃあ、俺が代わりにそっちにいくことは?」

ほむら「ありえないわ。貴方がいたとして襲撃されても何も出来ないじゃない。第一、あの子に近寄らせるなんて……」

伊集院「ふむふむ、“あの子”……ということは、もしやあなたの任務は誰かの“護衛”ということですかな?」

ほむら「……まぁ、そういうことになるわね。護衛なんて厳めしい響きだけれど」


 ちょっとだけ話が見えてきた気がする。

 この人には誰か護らないといけない人がいて、それが第一の優先事項。


ほむら「そうだわ。それなら逆に、巴マミのほうをあなたが見ていればいいのね」

伊集院「えっ……それってもしかしなくても俺クッソ危険じゃない?」

ほむら「少し尾行をするだけでいいのよ」

ほむら「もしも『見失ったら』連絡して。どうせあなたは危険な場所には入れない。何かあったとしても巴マミがなんとかしてくれるわ」

伊集院「いやあ、紳士伊集院、いくら助けるためでも女の子をつけまわすのは……」

ほむら「こき使われると言ったじゃない。頼んだわね。連絡先だけ交換しておくから携帯を出して頂戴」


 俺が携帯を取り出すと、暁美さんは手に取って手際よく操作してから返した。

 ……追加された名前を眺める。

 こうして、俺の連絡帳に初めておかあちゃん以外の女性の名前が追加されたのだった。


――――
――――


419 ◆xjSC8AOvWI2019/05/04(土) 01:29:05.83wJQETklp0 (3/9)

--------------------
ここまで
GW前半は二日酔いだったり予定あったりでなんだかんだ更新できませんでした…。
次回は4日、多分夕方から


420 ◆xjSC8AOvWI2019/05/04(土) 18:27:01.83wJQETklp0 (4/9)

尾行実行日 放課後



 チャイムが鳴った後の教室は人の動きが不規則でまばらだ。

 自分のとは違う教室できょろきょろと辺りを見回す。


伊集院「………………ハァ」


マミ「あら?伊集院君だったかしら?どうしたの?」

伊集院「エッ!?いや、なんでもないっすよ!?ひさしぶりですねぇ!」

マミ「……久しぶりね。じゃあ、さようなら」

伊集院「ああ、さようなら……」


 声をかけられてびっくりしたものの、巴さんは何事もなかったように鞄を持って教室の外へ姿勢よく歩いていく。

 ……自分のとこでもない教室を覗いて『なんでもない』ってのは怪しかったか?

 ちょっと咄嗟に口から出た対応に後悔するも、やってしまったことは戻せない。気を取り直して彼女の後ろをついていった。


 学校の中や近くなら何も不自然じゃない。ただ他の生徒たちと同じように流れにのって歩いていればいいだけ。

 しかし、段々と学校から離れてほかに生徒たちがいなくなってくると浮いてくる。




421 ◆xjSC8AOvWI2019/05/04(土) 19:42:16.62wJQETklp0 (5/9)



伊集院(どこに向かおうとしてるんだ?……公園?)



 巴さんは公園に入って行くと、立ち止まってどこかの方向を見る。

 明るい時間の公園だけあってまだ人気は多い。入口の外に隠れて中の様子をうかがっていると、巴さんの視線の先から誰かが近づいてくる。

 誰かと待ち合わせているのか? 一人かと思ったが、小さな子供を連れている。赤髪の少女と緑髪の幼女だ。



「なんだよ。別に荒らしてねーよ」

「それならいいけれど。この前言ってたことはどうなったの?」

「『織莉子』のことはまだ手がかりなしだ。やっぱり名前だけじゃ厳しいか……けど、痕跡はあるはずだ」

「そうね。私も少し気になることがあるのよ。この街で起きた転落事故のニュース、魔女の仕業か、そうじゃなければ魔法少女の仕業じゃないかって」

「どうしてそう思ったんだ?」

「『痕跡』があるでしょう? 何かを起こしてる人が居る。犠牲者はもう出てる。それがあなたじゃないならね」

「むーっ!だからキョーコはあやしくないよ!」


伊集院(……別れた? 何の話をしてたんだ?)




422 ◆xjSC8AOvWI2019/05/04(土) 20:02:39.36wJQETklp0 (6/9)



 巴さんと話してた二人組がこっちに近づいてくる。こっちから外に出るらしい。

 あわてて公園から目を逸らして外の景色を見ているふりをする。


「ねーママ、あのひと何してるのー?」

「こら!」


伊集院「…………」


 通りがかりの幼女と夫人の痛い目が刺さりつつも必死にモブに徹していた。

 多分、この二人も暁美さんや巴さんの関係者だ。あの転落のニュースのことも話していた。

 襲撃のことは他の魔法少女にはまだ知られてないみたいだ。


伊集院(あぶねえええ!ヘタすりゃ不審者扱いで新聞出るぞ!)


「……?」


 二人が通り過ぎていって、また巴さんのほうに視線を向けてみる。


伊集院「……あっ」


 やべえ、見逃した。




423 ◆xjSC8AOvWI2019/05/04(土) 20:23:37.26wJQETklp0 (7/9)



 まだ公園の中にいる? 中央に開けた広場はあるけど、ここから端までは見渡せない。中に入って探ってたらこっちが見つかるかも。

 それとも別の出口から出て行ってしまったか。携帯を握りしめて、暁美さんの言葉を思い出す。

 ……『見失ったら』連絡してと言っていた。


 新しく記された番号にコールする。


ほむら『巴マミは?』

伊集院「多分見失った。学校から近い公園なんだけど……」

ほむら『そう、公園ね』

伊集院「それと、なんか幼女つれた私服の女と話してた。多分他の魔法少女?」

ほむら『巴マミと一緒にいるの?』

伊集院「いや、すぐ別れてった」


 そう言うと暁美さんは少し考えこみ、それから何かを思いついたように言った。


ほむら『……そうだわ。その二人がどこに行ったか分かる? 分かるならそっちを追って』

伊集院「えっ」

ほむら『巴マミが二人と一緒じゃないなら、これから問題に関わるのはそっちかもしれない』



 二人が行った方向を振り返ってみれば、ちょうど大きな交差点信号を待っている。

 お菓子を食べているようで、急いだ足取りではなさそうだ。



1巴さんに襲撃のことは言わないの?
2誰かを探している?
3自由安価

 下2レス


424以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/04(土) 20:33:58.937Ul2aunA0 (1/1)

1+2


425以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/04(土) 20:38:28.84+2lfAmLyO (1/1)


追加で3人の会話の内容を話す

織莉子って人の事を探してるみたいだ
暁美さんと昨日戦っ戦った人がその織莉子って人なのかな?
あと3人とも昨日の事件の事話してたから、当事者の暁美さんがその事を話すべきだと思うよ
知り合いになる良い機会だからね!


426以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/04(土) 20:41:33.93gy/cmqDa0 (2/3)




427 ◆xjSC8AOvWI2019/05/04(土) 22:15:17.88wJQETklp0 (8/9)



伊集院「誰かを探してる?」

ほむら『!』

伊集院「赤髪の子は織莉子って人を探してるみたいだ。あと、巴さんは転落事故が気になるって言ってた。襲撃のことは話さないの?」

伊集院「ほら、情報共有って大事っていうか、当事者が黙ってるのはよくないんじゃないですかねー……って?」

ほむら『……その二つは繋がっているわ』

伊集院「じゃあ暁美さんが戦った人が織莉子とか?」

ほむら『違う』

伊集院「……違うのか」

ほむら『仲間よ。でも、私は他の魔法少女に協力をしたいわけじゃない』

ほむら『私と彼女たちの目的は違う。それに、話せないことがある』


 話せない事? そういえば前にも聞いたっけ。

 暁美さんの目的は護衛だ。一見同じものを追ってるように見えて、その理由は違うのかもしれない。



伊集院(そういえば、暁美さんがやられたのは“知らない人”って言ってたっけ?)

伊集院(知らない人が赤髪の探してる人の仲間ってことは……――)



 ……信号が青になった。急いで後をついていって、今度こそ見失わないように二人の背を追いかけていく。

 二人で雑談しながら歩いているようだが、その行き先はわからない。


ほむら『……私はマミたちが戦いで負けるとは思ってない。それを知らないこと、そしてそれを知られることこそが危険なのよ』




428 ◆xjSC8AOvWI2019/05/04(土) 22:50:18.36wJQETklp0 (9/9)



 巴さんとは違って二人は途中でコンビニやらに寄ったりもしながら、かなりの距離を歩いてきた気がする。

 気付けば住宅街から景色は背の高いビル郡に変わっていた。

 ここは駅の近くだ。この通りなら人通りも多くて紛れやすいか?……その時、すれ違う人の中に暁美さんの姿を見た気がした。


伊集院(……えっ?)


 一瞬目が合って通り過ぎて行った。 三人? 制服を着た他の生徒とも一緒だった。

 でも今は護衛で手を放せないって言ってたはず。こんなところで遊んでるなんてどうしたんだろう。いや、それともこれが……――。


 そっちに少し視線を向けていると、二人は大きな通りを更にずんずんと進んでいく。

 そして、狭いビルの間の道に入っていった。


伊集院(うっ、ここに入るのか……)


 手入れの行き届いていない細い道だけあって、ゴミが散乱している。

 それを見て一瞬たじろいだ。とりあえずこっそり覗き込んでみると、赤髪の子は立ち止まった。


「……おーい、そこのストーカーさぁん?さっきから何の用だ?つけてきてんだろ?」

伊集院「ギクゥゥゥッ!」

「あ、ホントだ!おなか出てる!かくれんぼ?」


 怒りを孕んだ声に、幼女からの追い打ち。だらだら汗を流しながらしかたなく姿を現す。

 バレてた。そんな、いつから!?


「気づかないわけないだろ。あたしもそれなりに気配とかわかるほうなんだよね」

伊集院(それなりってレベルじゃねえ……)

「で、何が目的だ? そのカッコウ見滝原の生徒だろ?」

「おにいちゃんだあれー?」

伊集院「えーとですね……」


 襲撃より前に突然のピーンチ!



1怪しい者じゃないよと弁解
2これから危険なんだと得く
3暁美って人に頼まれたことなんだと弁解

 下2レス


429以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/04(土) 23:19:55.61ZdN/vRJD0 (1/1)

3

でもこれ以外は難しそう


430以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/04(土) 23:21:16.58gy/cmqDa0 (3/3)

2


431 ◆xjSC8AOvWI2019/05/05(日) 01:54:45.26R8tbqtOQ0 (1/2)



伊集院「危険なことが起こらないように見張ってんだ! これから危険なんだってぇ!」

「はぁ?……アンタ宗教家か何か?それともそれで口説いてるつもり?」

伊集院「いや根拠は一応あって……あなたたちの探してる人が多分なんかやばいアレ」


 とりあえずやましいことはしてないはずだから弁解しようとしてみる。

 しかしさっぱり言葉がまとまらない。そもそもこの人たちは暁美さんの思惑も知ったこっちゃないって感じだろう。

 暁美さん。そうだ、あの女あんなこと言って人に尾行なんて汚れ役押し付けて自分は遊んでたんじゃ……


「……アンタに構ってる暇もなかったわ。運がよかったな。痛い目見たくないならさっさとあっちに行きな」

伊集院「へぇ!?」


 すると突然、こっちを鋭く問い詰めていた少女は別のことに興味を移したように奥へと歩いて行った。

 そんな少女に幼女も慌ててついていく。俺もあぜんとしてた。

 というか、問い詰められたものの元々こっちにはそこまで興味なんてなかったんだろう。道の奥から向こうの通りが遠目に見える。


 しばらく立ち尽くす。俺もこれ以上ゴミだらけの場所にはいたくない。追うか、引き返すか。


 ――――あれ、どうしてだろう。こんなこと言われた気付いた時には前に向かって足を出していた。

 そこまで気になることでもあったのか。無駄に正義感でも発揮しちまったのか。…………奴隷根性染みつきすぎだ、俺。




 しかし、ちょうど一歩大通りへと踏み出した時、今まで見ていた景色がぐらりと暗転しはじめた。

 何が起きたのかわからない。

 ただ、最後に見た街の中で少女が焦った顔でこっちを見た気がした。


――――


432 ◆xjSC8AOvWI2019/05/05(日) 01:55:10.84R8tbqtOQ0 (2/2)

---------------
次回は5日夕方から。


433 ◆xjSC8AOvWI2019/05/05(日) 23:23:07.82nYGGPdOt0 (1/2)



「おい……アンタだよアンタ。ちょっといいか」

「…………何か?」

「アンタ魔法少女だろ?」

「さて、何のことか……先を急いでますので」

「とぼけるんじゃねえ。魔法使っただろ。わかるんだよ。魔法少女の魔力、アンタから発せられるソレでもう目星はついてたんだ」

「まずはあたしから名乗っとく。佐倉杏子だ。なぁ、新入りなら“自己紹介”してくれよ」


 それはある大通りでのやりとり。

 杏子と向かい合う少女は言い渋るように顔をしかめ汗を流す。

 その時視線が一瞬だけともにいる小さな姿のほうへそれたのを杏子は見逃さなかった。


杏子「やっぱり探せば『痕跡』はあった!名乗れない事情でもなきゃそんな顔しないよな?ちょっと場所を移そうか」


 探していたものを見つけたことを確信した。そうすれば、もう勝負はついたと思ってた。

 しかしその時予想していなかったことが起こった。


 戦いは今すぐに始まる。


杏子「…………!!」


 周りにいる人、大勢を巻き込んで。




434 ◆xjSC8AOvWI2019/05/05(日) 23:53:09.88nYGGPdOt0 (2/2)

――――



伊集院「ああああああ! なんだここはぁぁぁ!?」


 突然身体ごと異空間へと浚われてしまったかのように、360℃見回しても今までいた路地は見えない。

 現実味のない景色は高熱にうなされてる時見る夢のようだ。

 一緒に浚われた周りにいるほかの人たちも同じように慌てふためいていた。


伊集院「こんなところで異世界転生とか全然うれしくないからやめてぇぇ!せめて可愛いヒロインのいる世界に飛ばしてぇぇ!」


 さらに愕然とするしかなくなったのは、人々の奥に闊歩する怪物の姿を見てしまった時だった。

 ……あぁ、俺の世界は謎のバグにやられてしまったようだ。


「なにこれ嘘でしょ!?」

「夢でも見てるんだよね!?」

「きっと疲れてるんだろうな……」


 さまざまな反応をする人々の中で俺は震える太い指で携帯を取り出し操作する。

 たったさっきもかけたばかりの番号にコールし、そこに映る名前を必死に見つめていた。


伊集院(こんな世界、なんとかできるとしたらあの人しかいない……!)




435 ◆xjSC8AOvWI2019/05/06(月) 01:19:07.22Z1gCbz+z0 (1/12)



ほむら『今度もまた見失った?』

伊集院「違う!助けに来てくださぁぁい!今なんかすっごいヤバげなところに飛ばされてぇ!他にも同じような人がいっぱいいるんだ」

ほむら『ヤバげなところ?』

伊集院「あっ、また景色が変わった!?とにかく早く来て!俺のSAN値が限界を迎える前に!」


 街に居た人ごと包む異世界は目まぐるしく様子を変えてくる。

 一体それが何を意味してるのかも俺にはわからない。暁美さんには意味が通じたのかそうでないのか。

 しかし彼女も俺の説明したこの状況に驚いていることは電話越しでも感じられた。


ほむら『結界も最初からあったわけじゃない?あの魔法少女の罠……!』


 そういえば、巴さんを尾行するときに何かあっても巴さんが助けてくれるって言ってたっけ。けど、あの少女たちは?


「うわあああああ!!」


 その時そう遠くないところから悲鳴が上がる。

 まさに今ここにいる人のうちの一人が化け物に食われようとしているところだ。


伊集院「ぎゃあ、誰か捕まったぁー!もうおしまいだぁー」

ほむら『とにかくまず声を出さないで隠れられるところを探して』


 それもそうだと気づかされ口に手を当てて声を潜める。それから障害物を探してあたりを見回し始めた。


ほむら『出来るだけ早くそちらに向かう』

伊集院「出来るだけってどのくらい!?」




436 ◆xjSC8AOvWI2019/05/06(月) 01:20:03.24Z1gCbz+z0 (2/12)

------------------
ここまで さてどうなるんでしょう
次回は6日の予定、時間感覚がすっ飛んできたけど次こそ早めにやりたいなぁ


437 ◆xjSC8AOvWI2019/05/06(月) 16:23:10.02Z1gCbz+z0 (3/12)



 とにかくここにいればやられる。

 通路が伸びているのを発見し、怪物のいる広間からそこへ逃げこんだ。


 怪物はまだしばらく人の多い広間に留まるだろう。後ろからパニックに陥った人々の声を聞きながら……。


伊集院(――って、もしこっちに来たら逃げ場がなくね?)

伊集院(いや、どうせ見つかったら逃げられる気はしないし、考えても無駄だな)


 見殺しにするようないたたまれない気はしつつも、後ろをふりかえることはやめた。

 前の景色に注目してみると、通路の奥で何かが動いているのが見えた。



 あっちにも怪物がいるのか。

 ……いや、人の姿だ。二人。ただし、さっきとは随分違う格好をしていた。

 一言でいえば、コスプレ。『魔法少女』だ。怪物はいない。あの二人が倒した後なんだってことは直感でわかった。



杏子「倒しても倒しても沸いてくる。なにがどうなってんだ!」

「キョーコ!あっちにいったよ!」

杏子「わかってるよ。こんなの相手にするのはわけないが、全部倒してるヒマはないな」


 二人はそんな会話をしてさらに奥へと走っていく。

 その後をついていくことにした。後ろの怪物の居るの広間からは出来るだけ離れたかったし、それに……この二人の通った後にいればまだ安全な気がしたからだ。

 近づきすぎれば危ないのはわかる。恐らくその先には。




438 ◆xjSC8AOvWI2019/05/06(月) 17:17:06.11Z1gCbz+z0 (4/12)



杏子「追い詰めたぞ!魔女もろともお前をブッ潰す!」

「……私の名前は美国織莉子。何故私に敵意を向けるの?私はただの新人なのに」

杏子「そっちから仕掛けといて今更だな。この結界も偶然なんかじゃないだろ?」

杏子「どうしてゆまを契約させた。あたしが気に入らないのはそれだ。ゆまが言ってたんだ。“織莉子”ってヤツに吹きこまれたって」

織莉子「貴女たちが襲ってくる未来が見えたから。危険だとわかっているものに対処をして何が悪いの?」

織莉子「千歳ゆまの契約もそうだった」

織莉子「けれど……駄目ね。足を引っ張ったのもこの魔法か」


 前へと翳した手の先から光る水晶が飛ぶ。

 赤髪の少女は軽く槍を振り回して難なくそれを叩き割ると、素早く“織莉子”と呼ばれた人に切っ先を向けて踏み込む。


ゆま「ゆまは魔法少女になってよかったって思ってる!でもオリコはきらいだよ!わるい人だから!」


 幼女がハンマーをふりかぶる。するとそこから空気を裂くような衝撃波が直線に伸びていく。

 織莉子は幼女に向けて何も言わず闇のような冷たい目を返していた。



伊集院(た、戦ってる…………!)


 ……その光景を遠巻きに見ている俺。

 2対1だし、決着はすぐにつきそうだった。ちょっとだけ事情はわかったけど、暁美さんがあの二人に危険が迫ってると言った意味はわからなかった。

 あの二人が負けそうな気はしない。でも、たしか暁美さんも『戦いで負けるとは思ってない』って言ってたっけ。




439 ◆xjSC8AOvWI2019/05/06(月) 17:53:31.73Z1gCbz+z0 (5/12)



 瞬間、また景色は揺らめいた。

 まるで電子空間の中でノイズが入るように少しだけ構造が変わる。

 それを予期していたのか、織莉子はすかさず新しく出来た通路のほうへと逃げ込もうとする。


 しかし二人はそれを許さず。


 赤髪の投げた槍がハンマーの衝撃波で更に勢いを増し、織莉子の胴を深々と貫いて通路の奥へと消えていく。

 血を撒き散らした姿はピクリとも動かずに倒れ伏した。

 赤髪が幼女をその場に制し、一人近づいて身体を足元に見下ろす。刺さった箇所は正確には胴というより胸に近い。

 “即死”と判断したのか、それ以上は手を出さずに死体から離れた。


ゆま「キョーコ……」

杏子「見るな。魔女との戦いも魔法少女同士も同じだ。まだ戦いは終わってない。早くここの魔女も倒さないとな」

杏子「狙ってやったわけじゃない。本当はもっと聞きたいこともあったんだけどな……」

ゆま「そうだね」

伊集院「あっ、それならあっち!あっちにまだいっぱい人がいて大変だったんだぁぁ!」

ゆま「わっ!」


 戦いが終わったのを感じてすかさず出て行くと二人から驚かれた。


杏子「お、驚かすなよ!つーかお前生きてたんだな……」

伊集院「色々とSAN値直葬になりそうなところだけど頑張って生きてますよ!」



440以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/06(月) 18:05:58.16iXcUNJD30 (1/1)

SAN値直葬www
あー、織莉子さんは死んだふりかな?


441 ◆xjSC8AOvWI2019/05/06(月) 18:50:13.79Z1gCbz+z0 (6/12)



 こっちからも聞きたいことはいっぱいあったけど、ここでモタモタしている場合でもない。

 とりあえずあとのことは任せることにして二人を見送った。


 すると、今度は暁美さんが入れ違いに入ってくる。あの二人と同じく、やっぱりさっき見た制服とは違う服装だ。


伊集院「あ、待ってましたよ!ヒーローは遅れてやってくる!って、遅れすぎですよ。ここの戦いは終わったとこですって」

ほむら「終わっていない」


 暁美さんは一言だけそう言うと、腕につけた盾から拳銃を取り出す。

 死体に近づいていく。魔法のドレスアップは解けて、急所から血を流し、どう見ても死んでいる状態なのに。


 思い出したのは暁美さんと出会った時のこと。あの朝言っていた言葉。

 『痛覚を消すこともできる。魔力を通せば動くのにも問題はなかった』


 ――その瞬間織莉子は再び衣装を纏い、血塗れのまま立ち上がった。


ほむら「今度こそここで全てを終わらせる!」

織莉子「……全て? 私を殺したとしても全てなんて終わらせられない」

織莉子「鹿目まどかはワルプルギスの夜に契約する」

ほむら「!」


 織莉子は再び水晶をばら撒く。更に水晶が光を放ち、この場に網目状にレーザーを張り巡らせて暁美さんの動きを阻む。

 最初の水晶は広範囲に向けたもの、そして次に放たれる水晶はこちらに向いたものだとわかった。




442 ◆xjSC8AOvWI2019/05/06(月) 20:16:50.67Z1gCbz+z0 (7/12)



伊集院「ひょえ~!」

織莉子「やっぱり貴女は識っていた。それなのに何故まだ守ろうとする?」

織莉子「『今度こそ』、ね。失敗したことがあるの?それならこれまで何度失敗した?」

織莉子「私もビジョンの中で何度も貴女に阻まれた。今やっと正体を推測出来たわよ。……貴女、時間を繰り返しているんでしょう」

ほむら「!」

織莉子「貴女は目を耳を塞いで違う道に逃げ続けているだけ。私は違う。道が暗いのなら私が明かりを灯す」

織莉子「諦めなさい。貴女のエゴが……更なる犠牲を生むのよ。そこの知り合いみたいにね」

ほむら「黙りなさい」


 さすがにもう駄目だあああ!

 ――そう思った次の瞬間、レーザーの向こうで大爆発が起こる。大きな熱と音に目が眩む。耳がキンキンする。


 再び目を開けた時には水晶は消えていた。焦げた匂いが漂っている。


ほむら「その……無茶なことを言ってごめんなさい。私のせいで危険に巻きこんでしまった」

伊集院「いやあの人犠牲どうたらとか言ってたけど、自分が攻撃しようとしといて何言ってんだですし……で、どうなったの?」

ほむら「時間を止めて隙間から爆弾を投げ込んだ。ソウルジェムも爆発で割れている。これを砕かない限り私たちは死なない」

ほむら「それを杏子たちは知らなかった。杏子や巴マミが知らないことは他にもある」

ほむら「この戦いで負けることはないけれど、彼女たちだけに任せてはここで本当の決着を付けることはできなかった。だから私が向かう必要があった」




 「前の世界ではそれに気づかなかった。」



――――
――――
**通学路**


 ――その翌日、集団下校になった。繁華街で大勢の行方不明者が出たことを受けてのことらしい。

 全校生徒が体育館に集められ、先生とともにみんなの家を回りながら帰った。家の近い私とまどか、いつも一緒に居る友人たちは同じ地区にいた。

 大勢の行方不明者というのは魔女結界のことだろう。私は関わっていないが、私たちもそう遠くない距離にいた。相当強い魔女だったんだろうか。




443以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/06(月) 20:22:40.567xqRLGyRO (1/2)

今度こそ織莉子退場?
呆気ないなあ……


444 ◆xjSC8AOvWI2019/05/06(月) 21:01:41.05Z1gCbz+z0 (8/12)



 魔法少女の犠牲が出たかは知らないが、どの道まどかたちといるのだから関わりたくはない。

 まどかをもう魔法少女には関わらせない。


 途中の交差点から同じ地区を歩いていた中から更に地区が別れていく。少しの距離だけど、まどかとは別れてしまうことになる。

 この方面に魔法少女はいないけれど他にも人はいる。集団下校なら寄り道もしないし、変な道は歩かないだろう。

 いつもなら家まで送るところだけど、仕方がないので別れていった。



 ……それからまどかが学校に来ることはなかった。一つの地区の集団が被害に遭ったらしい。

 “ありえないもの”を見たようで、集団幻覚として扱われ、混乱を避けるためにあまり話を広めないようにしているようだった。



 納得がいかない。

 じきにそれは杏子たちが追っていた一人の魔法少女の仕業で、まどかを狙ったものだったことがわかった。

 魔女結界で戦った時に倒したと思っていたが、実は生き延びて息を潜めて機会を窺っていたらしい。


 私にとってはもうこの後のことなどどうでもよかったが、その後再び杏子たちは美国織莉子と戦い、私も今度はその場に現れて仕留めることができた。

 三人でワルプルギスの夜にも挑んだようだが、どうなったかはわからない。


 『美国織莉子』。その名前さえわかれば次の世界では失敗しない。




445 ◆xjSC8AOvWI2019/05/06(月) 21:42:03.12Z1gCbz+z0 (9/12)



伊集院「失敗しませんでしたか……?」

ほむら「…………魔法少女は魔女になる。貴女の見た怪物のように。美国織莉子がまどかを狙う理由もそれだった」

ほむら「その真実自体が危険につながる。それまで持っていた信念や思想を覆すことがある」

ほむら「美国織莉子に味方されるのも、もしくは受け入れられずに狂ってしまうのも、私にとってはどちらも……」


 ……さっき一緒にいた人たちが守りたい人だったんだ。

 今までの硬い雰囲気から任務とか護衛とか勝手に想像していたけど、暁美さんは思っていたよりも友達を守ろうとしているだけのただの少女だった。


 そのためにここまで出来てしまうのはすごいけど――。タイムリープとか過酷らしい過去があるのだからしょうがないのかもしれない。


 めちゃくちゃになっていた景色が消える。あの二人が魔女をどうにかしたんだろうか。

 暁美さんも紫の光を散らして一瞬で変身を解いた。負い目があるからか珍しくちょっと態度がしおらしい。



1あの二人は?
2一緒にいた友達は?
3襲撃してきた魔法少女は?
4この先も真実のことは伝えないの?
5自由安価

 下2レス


446以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/06(月) 21:49:48.39wfGaSOOZ0 (1/1)

3+4
ほむらからまどかが狙われる理由を詳しく聞く
理由が聞けたら彼女にはほむらが守る理由を話すべきだと告げる


447以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/06(月) 21:52:11.227xqRLGyRO (2/2)


魔法少女が魔女になるのを巴さん達は何で知らないのかその理由も聞く


448 ◆xjSC8AOvWI2019/05/06(月) 23:18:07.09Z1gCbz+z0 (10/12)


伊集院「この先も伝えないの?」

ほむら「そんな機会がなければ知らないほうが幸せよ。特に巴マミは。私もこれまでに失敗を見てきている」

伊集院「で、でももしこの先機会があったら?ていうかなんで知識に差があるんだよ!そんなの知ってたら最初から契約なんてしないだろJK!?」

ほむら「簡単なことよ。契約するときに教えられないからよ」

ほむら「魔女を倒して欲しいと言いつつやってることは魔女を生み出してる。そんな奴が私達の味方だと思う?」


 ……それもそうだ。マスコットですら味方じゃない。


伊集院「そうだ、暁美さんを襲撃してきた魔法少女は?」

ほむら「それなら恐らく……あの二人がなんとかしてくれているところでしょう」

ほむら「あいつもこの近くに居る。魔女結界を操っていたのは美国織莉子の魔法じゃない。そのせいで私も来るのに手間取った」


 そういえば景色が戻ってからさっきまであったはずの美国織莉子の死体がなくなっていた。

 あまり目に入れたくはなかったけど……。


伊集院「あいつ、まさかまた逃げだしたんじゃ……!」

ほむら「結界で死ねば死体もなくなる。あなたはそろそろ日常に戻って休んだほうがいい。顔色が悪いわよ」

ほむら「感謝はしている。貴方が知らせてくれたおかげでまどかを助けることが出来た」


 言われて気づく。……大丈夫だと思ってたけど、ちょっとショックなもの見すぎたかな。



449 ◆xjSC8AOvWI2019/05/06(月) 23:52:40.55Z1gCbz+z0 (11/12)


伊集院「これで俺の株も大幅アップした?好感度が上がった予感?」

伊集院「それなら暁美さんも今日は日常に戻りましょ。遊んでた途中だったんでしょ?一緒にいた子が待ってるよ。あと良かったら紹介して!なんなら今これからでも」

ほむら「調子に乗らないで。前の時も今日も手が汗ばんでるのよ!大体どこに行けばいいか知ってるの?」

伊集院「いててて知らないですスイマセン」


 ちょっと強引に手をつないでみると、爪を立てられる。


伊集院「今日みたいな思いするのはもうごめんだけど、またこき使ってもいいからさ。中途半端に関わった手前その後うまくいってるかは気になるからね」

伊集院「ワルプルギスの夜っていうのも……」

ほむら「貴方にはどうにもできないものよ。でも……もしもという時はあてに出来ないこともないかもね。まどかを見ているくらいなら出来るでしょう」

ほむら「やましい思いがあるのなら承知しないけど」

伊集院「心得ております」



 なんだかんだでちょっとは信頼を得ることができたようだ。

 最初に思ってた理想とは違うけどこういうのも悪くない。表の通りに出てみると、鮮やかな夕焼けが見え始めていた。




450 ◆xjSC8AOvWI2019/05/06(月) 23:56:45.73Z1gCbz+z0 (12/12)

-----------------------
ここまで
裏話ですが、織莉子が急所に攻撃を受けたのはわざとです。勝てないことを悟り、攻撃を予知で視て槍が胸に当たるように調整して動きました。
次回は7日(火)夜からの予定です。


451 ◆xjSC8AOvWI2019/05/07(火) 00:53:52.46/DZfvM8D0 (1/2)

--------------------------------------------------------
>>445 どうでもいいけど誤字発見。頭の中で変換しといてください。

ほむら「…………魔法少女は魔女になる。貴女の見た怪物のように」
伊集院君女の子説の伏線(大嘘)


452 ◆xjSC8AOvWI2019/05/07(火) 22:47:35.41/DZfvM8D0 (2/2)



・ここから交流パートになります。
 誰をメインに気にかける?


1まどか
2さやか
3ほむら
4次の日へ(省略)

 下2レス


453以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/07(火) 22:54:55.734etfbS950 (1/1)

3


454以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/07(火) 22:55:37.83ziPwyQ4b0 (1/1)

4


455以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/07(火) 22:55:39.61DI/NSPPsO (1/1)

ほむら


456 ◆xjSC8AOvWI2019/05/08(水) 00:39:42.70xjNBTYCI0 (1/3)

――――――
見滝原中学校
昼休み


伊集院「行方不明多数ってニュース出てたな……それにあんまりうれしくない集団下校イベント」

ほむら「美国織莉子のことは食い止められても、起きたことは変わらないのね」


 昼休みになるとなんとなくまた廊下の隅で作戦会議をしていた。

 大々的に取り上げられているのを見ると、自分は助かったけどやっぱり犠牲が出ていたことを改めて実感させられたし、

 それに一歩間違えば自分もその中に入っていたと思うとまた昨日のことを思い出してゾッとする。


伊集院「その後のことを防げたと思えば!」

伊集院「……美国織莉子が鹿目さんを狙ったのって、契約して魔女になったら困るからってことであってますかね?」

ほむら「ええ、まあそういうことね。魔女になれば世界を滅ぼすほどの素質があると言っていた」

ほむら「もちろん私はまどかに契約させる気はない。このまませめてワルプルギスの夜までは無事に迎えられるといいのだけど……」


 暁美さんはどこか曖昧に言う。失敗したといっても実際に魔女になったのを見たわけではないのだろうか。


伊集院「それはフラグってやつですぜ」

ほむら「?」



457 ◆xjSC8AOvWI2019/05/08(水) 01:19:43.61xjNBTYCI0 (2/3)


伊集院「けど未来がわかる?っていうあいつの言うとおりならワルプルギスの夜までは契約しないんじゃねえの?」

伊集院「変わるかもしれないしその後まで保障されてるわけじゃないだろうんだけど」

ほむら「……素質が高くても願いさえなければ契約しないと思うけど。魔法少女は願い事を叶えてもらう代わりに契約するのよ」

伊集院「よし!やっぱり仲良し作戦始動させましょう!巴さんには俺から話してみるよ。魔法少女の仲間もいたほうがいいでしょ」

伊集院「もうあの二人には姿を見られちゃったし立派な関係者ってことで……」

ほむら「駄目よ」


 すると暁美さんは被せるように言う。

 やや強い一言の否定の後に続けられたのは、思ったよりも弱気な言葉だ。


ほむら「……他の魔法少女のことは信じられない」



1まずは遊びに誘うことを提案する
2あの三人の関係性について質問する
3自由安価

 下2レス


458以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/08(水) 01:21:12.00CIqzSO860 (1/1)

2


459 ◆xjSC8AOvWI2019/05/08(水) 01:21:34.51xjNBTYCI0 (3/3)

--------------------------------------------
ここまで。次回は9日(木)夜からの予定です
例によってこのレスは「下2レス」に含めないでね
--------------------------------------------


460以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/08(水) 01:48:32.67NSTOS7QJ0 (1/1)

3ほむらがそういうんじゃしかたないので何もしない


461以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/09(木) 17:03:44.46hcAmp2Ds0 (1/1)




462 ◆xjSC8AOvWI2019/05/09(木) 22:34:15.06DZ1zY4b40 (1/1)



伊集院(そう言われると提案しづらくなるけどな)



 本当に何もしなくていい?
1まずは遊びに誘うことを提案する
2あの三人の関係性について質問する
3自由安価

 下3レス中多数決


463以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/09(木) 22:52:14.19V3bL3exWO (1/2)

1+まずは信じる事から始めないと!と提案

頑なになっても自分が損するだけだって
まずはお友達から始めようよ!
誰かを信じないと自分が信じてもらえなくなっちゃうよ?
あ、それならまずは俺の知り合いの巴ちゃんから会ってみない?



464以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/09(木) 23:56:50.19V3bL3exWO (2/2)

1時間経ってもレスないので連投

安価↑+2


465 ◆xjSC8AOvWI2019/05/10(金) 00:38:57.20Ffvwi2CJ0 (1/1)

------
次回は11日(土)18時頃からの予定


466 ◆xjSC8AOvWI2019/05/11(土) 22:42:24.60+Cw9MxVM0 (1/3)



伊集院(そう言われると提案しづらくなるけどな)


 暁美さんがそう言うのも多分根拠はあるんだろう。けど本気で邪魔だ嫌いだって思ってるのとは違うと思った。

 昨日の宿敵に対する暁美さんの雰囲気を見れば、もっと邪険にしたり切り捨ててもいいはずだ。


伊集院「あの三人の関係性は?」

ほむら「巴マミと佐倉杏子は元師弟、と聞いたわ。マミが師匠で杏子が弟子。仲たがいして離れたみたい」

ほむら「千歳ゆまのほうはなんで一緒に居るかわからない。私が見た最初の頃の世界にはいなかった。……美国織莉子もだけど。あいつが契約させたと言ってたわね」

伊集院「……あー、そうだな」


 そこからもとに考えてみる。

 もしかしたら色々とヤバい体験をしてきた暁美さんからしたらバカみてーに楽観的だと思われるかもしれない意見を。


伊集院「でも結局、信じられなくなるようなことがあっても、自分から信じないと相手も自分を信じないって言うじゃないか」

伊集院「それって俺が思うにバッドエンドルートだと思うんだよ。このまま何もしないっていう未来があいつが見た未来なんじゃないかってさ」

伊集院「だってもし美国とのことがなかったらこんな話もしてないだろ? これを作戦を立て直すチャンス、怪我の功名にするってことでさ」


 みんなとは対立して死んだ美国も恐ろしいことしてたけど、一応世界を救うっていう名義体分があったってことだ。

 未来を変えて世界も救ってやれれば報われるだろう。



467 ◆xjSC8AOvWI2019/05/11(土) 23:22:05.41+Cw9MxVM0 (2/3)


ほむら「……でもどうするというのよ」

伊集院「詳しいことは知らないけど状況によっても変わるんじゃね?」

伊集院「暁美さんが見てきたのが最悪パターンで、信じられる仲間がいたりすれば変わるかもよ」

伊集院「昔別れた仲間とか新しく出てきた幼女とか、まずはそいつらを信じてみるってことで」

ほむら「そんなことで……」

伊集院「まずは硬いコト抜きに、昨日みたいに遊びに誘ってみてお友達になるとこからはじめたらいいんじゃない?」

伊集院「あ、それともいきなり巴さんと話しづらいなら俺の知り合いの巴ちゃんから会うってのはどう?」

ほむら「巴……ちゃん?」


 と言っても暁美さんはあいつのことなんて知るはずもない。

 半分冗談めかして言ってみると暁美さんは神妙な表情をする。もしマジで会いたいって言ったらどうしようか。


伊集院「やっぱやめだやめだ!これ以上あいつにヒロイン取られてたまるかってんだ。俺のあわよくばハーレムになるやもしれん環境を…――」

ほむら「…………それは遠慮しておくわ。巴マミとももう少し話してみることにする」


 そんなことを話し合ってたら、今日の昼休みもそろそろ終わりだ。

 巴さんのことはあとにして一旦それぞれの教室に戻ろうと足を動かしはじめる。




468 ◆xjSC8AOvWI2019/05/11(土) 23:48:54.82+Cw9MxVM0 (3/3)



ほむら「……本当に、随分おせっかいな人たちがいたものね」



 ――――ほむらは人気のない廊下から戻る前、一度立ち止まってあるものを手にしていた。

 その表情は神妙で、少し懐かしむような。




伊集院「? なんか言った?」

ほむら「なんでもないわ」


 それを俺は知る由もない。




469以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/12(日) 00:02:44.41AEh2d1rmO (1/2)

もしかして巴が託した手紙?
このほむら何度もループしてるみたいだし


470 ◆xjSC8AOvWI2019/05/12(日) 22:46:29.01AWmVxsTx0 (1/4)




ほむら(……もう深く関わらせるべきじゃない。もちろんこの人もだけど、二人はこの世界では幸せを選んだんだもの)



キリカ「また放課後ね」

桐野「う、うん!」


 いそいそと歩いていく姿が遠目にある。

 意図せず、気づくこともなく、こっちでもたった今同じ会話をかわそうとしていた。


伊集院「じゃあ暁美さん、また後でってことで」

ほむら「……ええ」


 俺の教室はすぐそこだ。暁美さんは階段のほうへと廊下を歩いて行った。

 けど、また会うことになるだろう。せっかく支え合えたのだから。



―END―


471以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/12(日) 22:49:15.38/RBbJy3C0 (1/1)

終わったか


472 ◆xjSC8AOvWI2019/05/12(日) 22:54:07.22AWmVxsTx0 (2/4)

-------------------
一周目裏ルート追記版


日程表(キリカ・桐野ルート)

1日目 放課後変な場所に行くキリカを見つけ、お菓子をあげて連れ戻す。
    キリカの「空間が歪む呪い」の発言。主人公はまだなんのことかわからない。

2日目 昼休みにキリカにお菓子を渡す。呼び方が昔通りの「きりのん」になる。間宮のことについて話すが知らないと言うキリカに違和感。
    画材を買うためにデパートに向かい、結界に迷い込みマミに帰り道を示してもらう。主人公は夢か妄想かと信じていない。

3日目 昼休みに廊下でキリカと会い、放課後家に誘う。キリカをスケッチ。マミの絵を見られる(キリカがマミを魔法少女だと知る)。
    キリカの一部記憶喪失が判明し、主人公はキリカがいなくなってしまうのではないかと配する。

4日目 朝キリカと登校。キリカの指にぶどう色の指輪を発見。キリカの友達の分までお菓子を渡し、昼休みに女子たちがお礼に押しかける。
    この前のことが気になっていた主人公は昼休みが終わる前にマミにも1つお菓子を渡して話す。
    放課後はキリカと買い物デート。「心配するようなことはしない」と約束させた。

5日目 キリカと待ち合わせ。昼は屋上でキリカと食べるが、ハプニング発生。互いに意識して気まずくなる。
    放課後はキリカと会わないように違う道を通って帰ってしまうが、その途中でマミと出会う。キリカは夕方頃QBと話し、戦わないことを宣言。

6日目 朝待ち合わせに行こうか迷うが、キリカが待っていてくれたので合流して登校。マミが朝お礼にお菓子を作ってきたから昼は一緒にどうかと誘う。
    学校に着くと女子たちにキリカのことで問い詰められる。昼はマミと食べる。キリカはマミのことを何者かと怪しみつつこっそり見ていた。
    帰りもキリカと一緒。ふとタイムカプセルのことを思い出して掘りに行く。その際SGを外して離れたためキリカが不調になる。
    キリカが「違う自分になる願いで記憶を失い戦わされている」ことを告白。主人公は騙されていると強く言い、キリカは変わってないと諭す。

☆7日目 朝キリカと登校。キリカを利用しようとする人のことを聞き出そうとするがキリカは喋らず。
    昼はキリカの手作り弁当。放課後はショッピングデート。その帰りに繁華街で倒れている人を見つけ、再び結界に巻き込まれる。
    結界内で*杏子・ゆまと織莉子(とささ)の戦い。織莉子はわざと即死に運ぶことで戦いを収め、裏で魔女結界を操っていたささはその場で杏子に始末される。*
    桐野は暫く魅入られていたが、キリカがその場に居た杏子に助けを求め二人で逃げ出した。
    主人公も結界を空想じゃないと確信し、戻ろうと提案する。キリカはそんな主人公を強く心配して泣きながら強引に家に送って説得した。

8日目 朝キリカが家を訪ねてきて一緒に登校。ずっと手を握られていたが、伊集院に見られて勘違いされていることに気づく。
    自分を卑下するキリカに主人公はほぼ告白のようなことを言ってしまう。しかし返事は聞かないまま中断させて学校に向かう。
    昨日の結界のせいで大量の行方不明者が出たことからニュースになり、集団下校が実施される。
    昼には結界についてマミを問い詰め、キリカには内緒で連れて行ってくれるように頼む。断られたが写真を捕ってきてくれる約束をしてもらう。
    *まどかたちのルートで実は生きていた織莉子がほむらが離れた隙にまどかを殺害。
     学校側からは集団幻覚と片づけられ、混乱を押さえるために公表されることはなかった*



473 ◆xjSC8AOvWI2019/05/12(日) 22:54:39.40AWmVxsTx0 (3/4)


9日目 朝からキリカが迎えに来る。勘違いされてもいいと手を繋いで登校。
    昼にマミと会い写真をもらい、衣装を見せてくれるように頼み込む。その様子をキリカは外から見ていた。
    放課後には集団下校、その後こっそりとマミと公園で待ち合わせ写真とスケッチをさせてもらう。
    そこに杏子とゆまが来る。

 ここに1日くらいある。マミとお菓子の交換をしていたらしい。

10日目 休日になり、料理とお菓子を教えっこする。

11日目 日曜日。キリカに料理を教えてもらう。スイーツ大食いに挑戦。

12日目 月曜だがキリカが体調不良で学校を休んだ。放課後お見舞いに行き、指輪がくすんでいることを見かねて欲しがっていた新しい指輪を買いに行く。

13日目 キリカが病院で検査を受けるが、原因わからず。放課後のお見舞いで指輪を渡し告白し合う。
     まるで不治の病に倒れるような雰囲気だったが、指輪の汚れことを指摘されたことからSGが濁っていることに気づき、QBを呼び出して真実を聞く。
     荒んだ心のまま久しぶりに戦いに出て行ったキリカは、結界内で先客のマミを見つけて攻撃。
     しかし、*マミ・杏子・ゆまと織莉子の決戦中であり、*それを計らずとも織莉子に協力する形で邪魔することになってしまい、マミが怪我をおう。
     結界の消えた街の隅での戦いに主人公が気づき、そっちに向かうが、流れ弾で主人公まで怪我をしてしまう。
     *そこにほむらが現れて織莉子を倒す*
     ゆまが治したことで事なきを得る。その間に杏子とゆま以外は去って行った。キリカが主人公に全部を話す。

14日目 魔法少女をやめる方法についてマミに聞くが、わからないとのこと。事情に詳しそうなほむらを紹介してもらう。
     ほむらは「時間遡行」魔法について匂わせつつ、大切なものを失ってしまったことを言って去った。
     キリカの戦いに同行。真実を知らないマミはキリカに非常用くらいのGSならあげてもいいと言ったため、それを頼ろうと提案する。


474 ◆xjSC8AOvWI2019/05/12(日) 23:00:37.02AWmVxsTx0 (4/4)

--------------------------------------------------------------
一周目終了から結構経ちましたがこれで裏ネタは出しつくしました。

何をやるかは次回に。
次回は18日(土)18時くらいからの予定です


475以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/12(日) 23:10:22.73AEh2d1rmO (2/2)

乙です
桐野キリカルートの追記で色々わかりましたね
今回の伊集院君ルート(?)はほむらがループした時間軸だったみたいですね。
次はどうするかなぁ……かずみ編のその後も見たいし久しぶりに桐野とキリカのイチャイチャも見たいし迷うな





476 ◆xjSC8AOvWI2019/05/18(土) 18:43:57.24mXyfeelO0 (1/2)


*これから*

1新しい話
2続編とか


○セーブデータ

※こっちも完結した物語の小話は受け付けてます。

【未完結】
・かずみ編 【6日(水)朝 ヒュアデスの学校襲撃を翌日に予知】
・Homulilly編【二周目の世界】

【続編開始/指定場所からロード】
・ほむら編 【続編:After1後から再開。新展開】 [獲得補正:(料理)Lv2中級者 アルティメット炒め物]
・キリカ編1【続編:ワルプル後から再開。翌日へ】
・QB編【続編:ワルプル後から再開。翌日へ】  ※暫定END
・中沢編【続編:ワルプル後から再開。翌日へ】 [獲得補正:成績関係の結果+18]
・なぎさ編【続編:あすみ編後から再開。あすなろ編】
・杏子編【続編:あすなろか安価】
・キリカ編2【続編:小話・ワルプル後新展開】
・あすみ編【続編:小話・ワルプル後新展開】
 ・+かずみ編【続編:小話・ワルプル後新展開、エンディング分岐】
・桐野編【キリカルート続編:小話】


○新しい物語

・まどか☆マギカ登場キャラ
・おりこ☆マギカ登場キャラ
・かずみ☆マギカ登場キャラ
・上記作品中のモブ
・オリキャラ
・百江なぎさ
・神名あすみ

↑のキャラから一人選択。
同キャラ2回以上選択も可能。


下4レス中までで多数決


477以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/18(土) 19:07:08.54Gku1YMdY0 (1/1)

この間までやってたかずみ編の続きを


478以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/18(土) 19:08:12.21bmc6rryU0 (1/1)

ギャルゲーやろう


479以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/18(土) 19:10:47.54+a/U4Kw6O (1/1)

かずみ編の続きが気になるので↑↑



480以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/18(土) 19:13:51.17REVWMSvR0 (1/1)

ここでギャルゲーと言ったら再安価かな?
違うならかずみ編の続き


481以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/18(土) 19:17:38.89RXSti+eF0 (1/1)

かずみ編の続きで


482以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/18(土) 19:44:49.4702VMH5qx0 (1/1)

遅かったか・・・
沙々、主人公にしたかった・・・


483 ◆xjSC8AOvWI2019/05/18(土) 23:01:59.93mXyfeelO0 (2/2)

*かずみ後日談*


 ワルプルギスの夜も倒し、この間はあすなろに行った。

 いざとなったらいつでも居場所はあると言ってくれた。けどまだしばらくはこっちでマミと一緒だ。



 ――――ここは風見野。仮だけど、私達の暮らす家。



マミ「じゃあ、行ってくるわね」

かずみ「うん、いってらっしゃーい」

マミ「かずみさんは今日は何をするの?」

かずみ「そうだなあ、またちょっと勉強もしてみるよ。それから……――――」


 新しい学校への転入が終わり学校に行くようになったマミを見送る。

 わたしは相変わらず学校はない。その代わりマミの持っている教科書なんかはたまに見ている。


 転入してから新調された新品の教科書。今日持っていかなかった分のそれを一冊手に取ってページを眺めていた。

 その途中でふと手を止める。わたしが興味を持ったのは歴史の教科書に出てくる昔の人たちの建てていた家だった。


かずみ(……そろそろ外にいこうっ)


 家を出て、わたしは見滝原のほうへと歩いて行った。

 中心地にはバスも通ってないから歩くしかない。今は街のなくなったその場所。

 家だった瓦礫の前に立ち尽くす。


かずみ(わたしにはまだ再生成の力がある)

かずみ(これを集めて、わたしの力で街を『再生』できないかな……)


 さっき見た教科書を思い出す。この頃の家の構造はわりと簡単だけど、さすがに現代とは違う。

 魔法で物を作りなおすときはあまり構造なんて考えてなかったけど、複雑すぎる機能を持つものだと何も考えないと難しいかな?


 とにかく、せっかく魔力を気にしなくてよくなったんだ。なにかこの力で役に立つことがしたい。




484 ◆xjSC8AOvWI2019/05/19(日) 00:06:43.51KhFBd01S0 (1/7)



杏子「よーう、何やってんの?」

かずみ「杏子!こんなところで偶然だね。魔女狩りの途中?」

杏子「そりゃ、“こんなところ”なんてあたしたち魔法少女くらいしか通らないでしょ?」


 まだ瓦礫を見ながら、杏子に相談してみる。


かずみ「わたしの魔法でなにか役に立てないかなぁって」

杏子「魔女狩る以外で?」

かずみ「再生成で物をつくりなおしたり、傷ついた人がいたら治したり」

杏子「そっか。かずみの魔法は多彩だもんな」

かずみ「杏子とは一緒に訓練したことなかったね。杏子はなんの魔法を使えるんだっけ?」

杏子「…………槍だよ。見りゃわかんだろ」

かずみ「それはそうだけど……」

杏子「て言っても、マミに聞いたらすぐバレそうだから言っとく。ホントはさ、あたし魔法使えないんだよね」

杏子「あすなろで戦ったアイツが使ってた魔法……覚えてる?」


 カンナと戦った時のことを思い出してみる。

 カンナは今の私と同じように、魔力やその人自身に接続する魔法で色んな魔法を使って戦っていた。

 その時に杏子の魔法も使っていたんだ。




485以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/19(日) 00:17:51.16bXehy0S4O (1/4)

一緒に訓練すれば復活フラグ立つんだっけ?


486 ◆xjSC8AOvWI2019/05/19(日) 00:40:49.48KhFBd01S0 (2/7)



 カンナ『……残念、これもデコイラン。『再生成』じゃないぞ? お前の魔法だよ、佐倉ぁ!』


 杏子と織莉子の放った攻撃を受けたかのように見えたカンナ。

 しかし直後に背後からその姿はいくつも現れ、そして揺らめくようにして消えた。



かずみ「幻影……幻惑魔法…………」

杏子「正解だよ」

かずみ「なんで使えなくなっちゃったの?」

杏子「あたしがいらないと思ったんだって。魔法ってのも結構気持ちに左右されるモンらしくてね、契約した時の思いを否定したからだってキュゥべえが言ってた」


 マミから聞いた、杏子の契約した理由……その願いの末路を思い出す。

 どちらかといえば誰かの面倒を見ていることのほうが多い杏子だけど、思えばあの後から一人での訓練が増えたり、どこか思い悩むようにしていた気がする。

 ワルプルギスの夜の後には今までみたいな訓練もしないからわかんなかったけど、カンナのことで揺さぶられたのは杏子もだったんだ。


かずみ「じゃあ、またあの時みたいに一緒に魔法の訓練でもする?」

杏子「やだよめんどーくさい。魔法のことは今更だ。もう大きな戦いもないんだろ」

かずみ「えー」

かずみ「あ、実はわたし、最近学校に行けない代わりに勉強も始めたんだよ。これから勉強でも戦いでも杏子を追い抜かしてやるんだから!」

杏子「……はいはい」



1取り戻したくはないの?
2じゃあ魔法じゃなくて格闘を見てよ
3自由安価

 下2レス


487以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/19(日) 00:49:38.12oZfNnRVo0 (1/1)

1


488以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/19(日) 03:12:06.62bXehy0S4O (2/4)

1+2

杏子と格闘訓練する事になったら、ここぞという場面であえてロッソを使う


489 ◆xjSC8AOvWI2019/05/19(日) 18:43:24.19KhFBd01S0 (3/7)



かずみ「取り戻したくはないの?」

杏子「別に。……なくてもやっていけてるし」


 もう一回念を押すように聞いてみると、むすっとした表情のまま杏子は言う。

 取り戻せるのなら取り戻したくないはずはない。これは思った以上に重傷なのかもしれない。


かずみ「じゃあ魔法じゃなくて格闘を見てよ」

杏子「まーそれならかまわないけどさ。しょうがないからつきあってやるよ」



 いつもみたいに手頃な空き地を探して訓練の用意をはじめる。

 こうも街が荒れてしまったから、人気のない空き地なんて簡単に見つかる。場所と気持ちさえ整えば必要なのはこの身だけだ。


 杏子と話をつけるとわたしたちは適当な場所で隅に荷物を放って魔力を纏う。

 格闘じゃまだほとんど一方的に習ってるだけだけど、実力は伸びてる自信がある。たまに武器を持ち替えてみたり、戦い方の相談もしていた。

 ある程度身体を慣らすと、向かい合って実際に対戦する。やられて身体で覚えるのが一番いい、っていうのが杏子の持論だ。




490 ◆xjSC8AOvWI2019/05/19(日) 19:01:37.69KhFBd01S0 (4/7)



 これに勝てたことは一度もない。



かずみ「わわっ……今回も負けちゃうかな?」

杏子「かずみも武器の扱いはまだ甘いな。あたしに勝てるのはまだ先みたいだね」


 いくら魔力を気にしなくてよくなっても対人戦であまり派手な攻撃をするのは危ないから、魔力を使うことはほとんどない。

 純粋な格闘の訓練で、あくまで魔法を駆使した時とは別。……とはいってもそんなことも感じさせないくらい杏子の戦術も多彩だった。

 流れるような槍と多節棍の捌きで逃げ場をなくされじわじわと追い詰められる。杖を差し込む隙すら見つからない。

 思わず後ろを確認した。一歩下がると瓦礫につまづきそう。


杏子「後ろに何かあったか? 戦いの最中に後ろを気にするのは負けを確信したようなもんだよっ!」


 杏子がニヤリと笑う。自慢の格闘術を披露するときはちょっと得意げだ。

 わたしを追い詰めるトドメの一撃が伸びてきて、私は後ろに飛び退いた。


 ――――槍の柄が当たったのは身代わりだ。それはさっきまでわたしの退路を塞ぐ“瓦礫”だったもの。


杏子「!」


 鈴の音の残響がだだっぴろい空き地中での風に溶ける。おまけに周りを囲むのは数体の分身。


かずみ「『ネーロ・ファンタズマ』!……なんて」

かずみ「これなら危なくはないでしょ?」


 マミが名づけてくれて、ずっと使ってきた技。『合成魔法少女』として使える数ある魔法の中でもわたしの代表技のようなもの。

 使える魔法すべて使ったらさすがに卑怯だし訓練にもならないかもしれないけど、このくらいなら許されるんじゃないかって思ってた。

 けど、杏子との組手で使ったのははじめてだ。……あてつけになるかな。


 杏子は少し動揺をみせたものの再びさっきとは違う構えをして、さっきまでと同じ余裕の顔つきになる。


杏子「……面白い、そのまま相手してやるよっ!」




491 ◆xjSC8AOvWI2019/05/19(日) 20:53:14.47KhFBd01S0 (5/7)



 口の端は上がってるけどその瞳はいつもより真剣だ。

 杏子も負けたくないんだと思う。わたしに。そしてかつて自分が使っていたのと同じ名前、似たような技を相手にして。

 本体のわたしやほかの分身の動きまで注意して対処しながらも分身を一体一体強い一撃で薙ぎ払っている。


杏子「やっつけても消えないのか……!」


 分身は硬い瓦礫にも戻る。コンクリートの塊に戻った分身が粉かれその破片が舞った。

 わずかに槍を振るう勢いが打ち消されたその隙にわたしは一気に分身たちの前に出ていく。


かずみ「えいやぁー、どうだっ!」


 このくらいならって咄嗟に使ってみたけど、分身に頼り切るわけにもいかないのはわかってる。

 最後は自分の手で決めなくちゃ。分身で少し隙を作って勝負を仕掛けにいった。今回は結構自信ある。


 ――――けど、その攻撃は正面から槍の柄で弾かれた。


杏子「甘いっ!」

かずみ「ふげ」


 不意を突いたつもりなのに正面から防がれるってある!?わたしの攻撃なんて完全に読まれてたってことか。


杏子「あんたがホンモン……だよな?これもトラップだったら認めてやらないこともないけど」

かずみ「いてて、正真正銘本物だよ。分身を使い続ける気も決着つける気もなかったから」

杏子「そうか……」




492 ◆xjSC8AOvWI2019/05/19(日) 21:22:39.60KhFBd01S0 (6/7)



 わたしが負けたのに、杏子はちょっと浮かないような顔。


かずみ「やっぱ小細工しても格闘じゃ勝てないねえ」

杏子「ったりめーじゃん」

杏子「……でも分身をフルに使ってたらどうだったかな」

かずみ「ネーロ・ファンタズマ」

杏子「その恥ずかしい名前はどうでもいい」


 浮かない表情の理由はやっぱりそれなんだ。


かずみ「勝ったのに、杏子は完璧主義なんだね。それとも……」



1本当に魔法は諦めていいの?
2今日は訓練をやめる
3格闘もう一回戦!
4自由安価

 下2レス


493以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/19(日) 23:01:58.09bXehy0S4O (3/4)

1+3


494以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/19(日) 23:34:26.66bXehy0S4O (4/4)

あ、↑で再戦する場合は幻惑魔法をを使うで
かずみ本人もネーロ・ファンタズマに特別な思いもあるし負けん気が出始めた感じでお願いします


495 ◆xjSC8AOvWI2019/05/19(日) 23:57:27.52KhFBd01S0 (7/7)

-----------------------------
ここまで 次回は22日(水)夜からの予定

>>494は杏子に使うように言うってことですか?かずみは幻惑コピーしてないんで使えないす。


496以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/20(月) 00:09:11.61jd499IZ4O (1/1)

乙です
あ、幻惑ではなくネーロ・ファンタズマを使うって事です
ネーロ=幻惑とごっちゃになってました


497 ◆xjSC8AOvWI2019/05/22(水) 22:02:25.78Qk6HibRW0 (1/2)



 ……本当に魔法は諦めてよかったのかな。


かずみ「もう一回戦やろう!でも今度はわたしの魔法も見てほしいな」

杏子「魔法?」

かずみ「せっかくならフルで使って杏子に勝ってみたくて」

杏子「……そういうことならあたしもがっかりさせないように相手してやるよ」


 もういちど武器を構えて、もう一回戦はむしろ分身の方をメインに相手してもらった。

 ただ物量で責めるだけじゃなくて騙し方も考えたり、分身の操作が加わると格闘訓練とは違う感覚。



 ――……結果はほぼ引き分け。杏子も今までの訓練よりも本気でやってたように見えたけど、結構善戦できたと思う。

 使えるものが多い環境なのも手伝ったようだ。



かずみ「ゼェ、ハァ、おなかすいたー……っ」

杏子「そ、そうだな。なんか食うか。あたしも久しぶりに白熱したよ。ワルプルギスの時は対人戦とはまた違ったしな」


 昼食までの延命用に杏子が私服に戻ったパーカーのポケットからうんまい棒を取り出してくれた。

 二人でサクサクとうんまい棒を頬張りながらお昼の事を考えることにした。



1どこか食べに行く?
2なんか作ってあげようか
3自由安価

 下2レス


498以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/22(水) 22:20:10.16Z4od2ck90 (1/1)

2


499以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/22(水) 22:23:26.87NjlhNs+tO (1/1)

2
ウインナーとピーマンたっぷりのナポリタン10人前
デザートにアフォガート


500 ◆xjSC8AOvWI2019/05/22(水) 23:36:26.29Qk6HibRW0 (2/2)


かずみ「今ので生き返ったから、なんか作るよ。お肉と野菜がたっぷり摂れるナポリタン、10人前くらい作っちゃう!」

杏子「へー、いいじゃん。そうと決まったらさっそくアンタらの家行くか。風見野に移ったって言ってたね?」

かずみ「杏子は新しくなってからまだ来てなかったよね。案内したげる」


 杏子より少し先を歩いて案内しながら家に向かう。

 そういえば今の家になってから人を呼んでない。

 前よりも小さくて地味な家かもしれないけど、少しずつ愛着もわいてきたところだった。お披露目するにはいい頃かな。


 風見野の住宅街の中に入り、家の門を通っていく。


かずみ「ついたよ。どう?ここも悪くないでしょ」

杏子「前のとことはさすがに大分違うけどな」

かずみ「マミが今自分好みのインテリアを選んでる途中なんだ。じゃ、ごはん作ってくるから待ってて」

かずみ「ついでにデザートもつくろっか!アイスにかけるのは紅茶がいい?コーヒーがいい?」

杏子「苦いのはヤだから紅茶かな」

かずみ「わかった、紅茶だね!コーヒーもアイスと一緒だと美味しいから今度ためしてみて」


 わたしが大食いだからいつも食材は多めに用意してある。特にパスタなんかはそうだ。

 キッチンに立つと、腕まくりして料理にとりかかった。



501 ◆xjSC8AOvWI2019/05/23(木) 00:31:38.76IdjV2mUx0 (1/2)



かずみ「――――はい!テーブル空けて!でっかいフライパンが通るよー」

杏子「おお!来たか!」


 出来上がったナポリタンを大きなフライパンごと持っていく。

 イタリアンからは少しだけ離れた日本仕立てのパスタ。こういうのもこれはこれで大好きだ。


かずみ「味よし、量よし」

杏子「さすがに10人分はすごいねぇー。分けても五人分?」

杏子「こんなに大量のパスタはあたしもさすがに初めて見た。遠慮なく食える」


 杏子はパスタを豪快な音を立てて吸いこんでいる。

 そんな食べ方だから口の周りがケチャップで汚れていて、なんだか世話焼きのマミがいたら拭ってあげてるだろうなって想像もわく。


かずみ「……杏子、スプーンいる?」

杏子「いらないっしょ。ちまちま食ってたら冷める冷める」

かずみ「ま、それもそっか」


 フォークの使い方が上手じゃない杏子に提案してみたけど、考えてみればたしかに杏子には合わないかも。

 子供扱いしてるって思われちゃったかな。日本人だしうまく使えないのは仕方ないとは思うんだけど……



かずみ(それにしても口の周りが赤いなぁ……後でぬぐってあげよう)



1マミが帰ってくるまでいる?
2さっきの訓練の反省会
3自由安価

 下2レス


502以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/23(木) 00:40:29.40TIHBmm0lO (1/1)

1+2
ナポリタン食べ終わったら口元を拭ってあげる
食後に服にケチャップが付いてたら服全部ひんむいて洗濯


503以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/23(木) 20:00:49.68ZSsi77LB0 (1/1)


杏子に今日の食事の感想を聞いて、明日以降も模擬戦の相手を頼む


504 ◆xjSC8AOvWI2019/05/23(木) 23:38:27.04IdjV2mUx0 (2/2)

----------------------
次回は24日(金)夜からの予定


505 ◆xjSC8AOvWI2019/05/25(土) 00:27:16.77D7QSaakG0 (1/2)


かずみ「ねえ、さっきの訓練わたしどうだった?」

杏子「最初からしたら大分上達したよなー。上達も早い。『ミチル』の感覚が残ってるのか?」

かずみ「そうかも。でも実際にやってないからか最初は思った通りにはいかなくて。最近はうまくいくようになってきてけっこう自信あるんだよ?」

杏子「ま、あたしには敵わないけどな!」

杏子「……けど、分身だけでも同時期のあたしは超してるかもな」


 マミの弟子だったころのベテランじゃない杏子か。その時は杏子も分身の魔法を使ってたのかな。

 杏子は少しだけ悔しそうに言った。わたしの分身とは仕組みも使い勝手も違うんだろうけど……。

 ……やっぱり杏子は、ちょっととられたって思ってる。


杏子「アドバイスするなら?もっと格闘が上手くなったら分身の動きも手強くなるかもな」

杏子「それに戦い方は経験でしか身につかねえ。数をこなすしかないよ」

かずみ「明日も二人で模擬戦やろっか!明後日もやろう!マミが学校始まってから暇でしょうがないの!」

かずみ「それで、マミと次訓練するときにはあっと言わせるんだ」

杏子「はは、いいなその心意気。あたしも実はな、まだマミに勝ったことないんだよ。だからどうせ次戦うなら勝ってやる」

かずみ「うん!わたしは杏子、杏子はマミを倒すことが目標だね」

かずみ「それに、杏子のことも……また考えるから。前とは違っても心に決めた思いがあればそれはきっと力になるはずだから。杏子だけの魔法に」

かずみ「思い入れがある大事な技だけど、わたしのあの魔法もただの借り物なんだ」

杏子「…………」



506 ◆xjSC8AOvWI2019/05/25(土) 19:40:44.86D7QSaakG0 (2/2)



杏子「……そんな簡単に行くかよ」


 杏子がつぶやくのは諦めたような言葉。

 それから大きなフライパンの中のパスタも二人であっという間に平らげると、食べ終わったあとに口元をぬぐってあげた。


かずみ「ふぅ、おいしかったー」

杏子「死ぬほど食えると思ったけど、ぺろりといけちゃうもんだなー」

かずみ「この後はマミが帰ってくるまでいる?」

杏子「あぁ、そうしようかな。腹いっぱい食ったら眠くなってきた」

かずみ「その前に綺麗にしようね!もー服までケチャップ飛んでるんだから!」

杏子「その前にデザートだろ?出来てんの?アイスも作ってるんだろ?そんなに早く固まるか?」

かずみ「うん!裏ワザがあるんだよ」

杏子「魔法か?」

かずみ「魔法じゃないよ。塩と氷があればカンタン。その後は洗濯だからね」


 ……杏子ってたまに子供っぽい。

 冷凍庫に向かってみてアイスの出来上がりを確認する。

 アフォガート用の濃い紅茶を淹れると、口直しにデザートを食べてランチタイムを満喫した。



杏子「で、洗濯中の服はどうするのさ?」



1マミのを貸す
2かずみのを貸す
3再生成で作ってみようか?
4自由安価

 下2レス


507以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/25(土) 20:09:21.17QWZzbpKUo (1/1)




508以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/25(土) 20:14:45.3430affRAxO (1/1)

2


509 ◆xjSC8AOvWI2019/05/26(日) 16:27:03.6234LiO5T20 (1/5)



かずみ「わたしのなら貸せるよ」

杏子「マジで?サイズ合うかぁ?」


 じろっと見られる。


かずみ「たっ、ためしてみないとわからないじゃん!持ってくるから!」


 自分の服をとりに行ってきて杏子に押し付ける。

 ……それから暫くして杏子が着替えて出てきた。


杏子「…………」

かずみ「つ、つんつるてん……!」


 ちょっと吹きだした。貸してあげた服は少しきつそうで、腕やひざ下の裾が足りていない。

 ミニになったスカートの裾を抑えながら杏子は不機嫌そーな顔をしていた。


杏子「……寝る!」

かずみ「は、はーい、おやすみなさーい……」




510 ◆xjSC8AOvWI2019/05/26(日) 19:43:50.0034LiO5T20 (2/5)


 
 杏子を部屋に案内してあげると、洗濯機を回す。

 部屋のベッドで寝こけている杏子を隣に時間を潰すことにした。


かずみ(わたしは少し本でも見てようかなあ)


 
 ――――それから放課後の時間になるとマミが帰ってくる。

 玄関に増えてる靴で来客がわかったようだ。その頃には洗濯も終わって服も干していた。

 帰る前にドライヤーでもかければすぐに乾くだろう。



マミ「ただいま。佐倉さん来てるの?」

かずみ「おかえりマミ。杏子こっちにいるよ」

杏子「んあ?」

かずみ「あ、起きた」

杏子「んーよく寝た、マミ帰ってきたのか……」


 杏子が布団から出て伸びをする。ちょうどマミが部屋に来た。


マミ「その格好は!?」

杏子「あー、そうだった!もー早く乾かしてくれよ!」



 ……また布団をかぶってふて寝の体勢に入る杏子。


かずみ「杏子、マミが帰ってくるまで待つって言ってたんだよ。お昼寝がしたかったのかもしれないけど」

マミ「あら、そうだったの?私に何か用事が?」

杏子「……別に用事がなきゃ待ってちゃいけないわけでもないだろ」

かずみ「じゃあせっかくだから起きて起きて!寝てちゃもったいないよ」

マミ「紅茶でも淹れましょうか」


かずみ(ケンカしてた時から考えれば本当に仲良しになったね)





511 ◆xjSC8AOvWI2019/05/26(日) 20:46:28.0834LiO5T20 (3/5)




 それから数日、約束したとおり二人でまた昨日みたいに訓練をする。

 だんだんと、ちょっとずつだけどコツをつかんだ気がしていた。今では分身を使えばたまに杏子のこともヒヤッとさせられるくらい。


かずみ「ふわー、疲れたね。それにおなかすいた!またうちで食べてく?」

杏子「かずみの作る飯もいいけど今日はジャンキーなのが食いたい気分だな」

かずみ「あはは、そういうのもいいね」

杏子「今のあたしの思い……か」

かずみ「?」

杏子「かずみが言ってたことだよ。あたしにそんなのがあんのかと思ってさ」


 傍目から見てちょっと前より丸くなった杏子。

 わたしはその前は知らない。


かずみ「……それはわたしには答えられないよ。でも、今の杏子にも絶対に守りたいものとか譲れないものとかはあるんじゃない?」

杏子「守りたいものに、譲れないもの……か」



 昼食ついでに繁華街にまで出て行って遊んだりして時間を過ごすと、あっという間に放課後の時間が近づいてくる。

 もう帰ろうかな?


1家に戻る
2どこかに寄る
3まだ遊ぶ
4自由安価

 下2レス


512以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/26(日) 21:02:11.46Titln3PnO (1/3)

2
差し入れを買ってからいつもの訓練場所に行ってみる
行く途中杏子にキリカとの仲とか上達具合を聞いてみる


513以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/26(日) 21:18:40.73kmyeanfM0 (1/2)


差し入れはたい焼きとドリンク
あと杏子に例の納得クレープを買って渡す

はい、これ。私のお気に入りなの!
マミも悪くないって言ってたよ(美味しいとは言ってない)
あ、甘いモノ好きのキリカの分も買っていたらあげよ!


514以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/26(日) 21:20:00.18kmyeanfM0 (2/2)


納得ではなく納豆です、申し訳ない


515 ◆xjSC8AOvWI2019/05/26(日) 22:27:35.6834LiO5T20 (4/5)



 ……もうちょっと寄り道しよう。


かずみ「杏子、いつもの訓練場所も覗いてみない?」

杏子「いつもの? まぁいいけど」


 最近は秘密の特訓場所ばっかりにいて他のみんなの様子を見ていなかった。

 何か差し入れを買って持って行ってあげよう。


かずみ「じゃあついでに色々買ってってあげようか。あとね、杏子にはわたしのおすすめがあるんだ」

杏子「ん、なんだなんだ?」

かずみ「ここだよここ!ここの目玉メニューを見てみて」


 例のクレープ屋まで案内して看板を指さす。


杏子「なんだ、納豆クレープじゃん。あたしが知らないと思ったか?」

かずみ「えっ!知ってたの?」

杏子「繁華街はあたしの庭だぞ」

杏子「あたしなら生クリーム増量キャラメルソースがけの裏オーダーにするかな」

かずみ「……杏子センパイッ!」

杏子「なんだなんだ急に」


 杏子から教わったのを注文して二人で味わう。

 ……魔法少女とか格闘のこととは別に、杏子を先輩として一番に尊敬した日だった。




516以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/26(日) 22:30:50.09Titln3PnO (2/3)

杏子知ってたか


517 ◆xjSC8AOvWI2019/05/26(日) 23:29:40.8734LiO5T20 (5/5)



 差し入れ用にたい焼きとかドリンクとかをやや大人数向けの箱で買ってきた。

 訓練場所までの道中に杏子と雑談をする。


かずみ「そういえば杏子、キリカとは仲良く出来てる?」

杏子「なんであいつの名前が出てくんのさ?」

かずみ「前見た時ケンカしてたでしょ。どうなったのかなって」

杏子「……別にどうもなってねーし。あいつがたまにいらない意地張ってるだけだろ」


 意地張ってるのはおたがいさまなんじゃ……と思ったけど、また意地を張りそうなので口に出さないことにした。


杏子「けどまあ、あいつも出会ったころよりは素直になったんじゃない?」

杏子「なんか丸くなったっていうか、抱えてるものが軽くなったんだろ。なんだかんだ訓練もちゃんとやってるしな」

かずみ「…………」

杏子「どした?」


 やっぱりそういうとこは杏子も同じだ。だったら、これからもうまくやっていけるのかな?


かずみ「ううん。キリカ、来てるかな?」

杏子「さあね」


 話しながら歩いていく。

 みんなが訓練場所にしている空き地が見えると、そこにいる人に手を振った。




518以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/05/26(日) 23:35:31.33Titln3PnO (3/3)

杏子、自己紹介乙w


519 ◆xjSC8AOvWI2019/05/27(月) 00:01:24.97diop1Mpz0 (1/3)



かずみ「みんなー、お疲れさま。差し入れ持ってきたよ」

杏子「うっす」


 いるのはさっき話してたキリカと新人たち。

 それからマミもそこにいた。


かずみ「マミも来てたんだ。ちょうどよかった」

マミ「家に帰ったらかずみさんいなかったから、こっちに顔を出してみようかと思って」

*「マミさんが来てくれて助かってます!私たちも優しくてベテランの魔法少女に指導してもらえたほうが嬉しいし……」

マミ「誰と比べてるのかしら?」

*「それは、まあ。あはは」


かずみ(……あすみのことだろうな)


キリカ「ひさしぶり。歓迎するよ。で、ねえ、差し入れってなに?」

かずみ「じゃん、たい焼き!ドリンクも買ってきたよ。よかった、この人数なら足りるね」

マミ「むしろ少し余るわね」

かずみ「あっ、余りも仲良く分けてね!」


 途端に目の色を変えたのがキリカと杏子だから、あせって間に入った。


マミ「じゃあみんな少し休憩にしましょうか。差し入れ、ありがたくいただくわよ」


 わぁっと喜びの声が上がる。

 訓練はいったん中止にしてみんなでおやつタイムだ。




520 ◆xjSC8AOvWI2019/05/27(月) 00:16:44.12diop1Mpz0 (2/3)



キリカ「疲れた身体に甘いもの、生き返る~……♪」

マミ「美味しいもの食べてる時って幸せよね」

かずみ「うん、わかる!」

杏子「…………ねえ、マミ。これ食べ終わったら、このあとあたしと戦ってくれないか?」

かずみ「!」

マミ「模擬戦?いいわよ。どのくらいぶりかしら」

杏子「うん、久しぶりによろしく頼むよ」


 杏子、この前言ってたこと今実行するんだ。


かずみ「みんな、杏子とマミが模擬戦やるって!」

*「えー、どっちが勝つのかな?」

キリカ「マミのが長いんだっけ?じゃあマミのが有利?」

杏子「るせえっ!野次馬共はそこで観戦してな。年月だけじゃ決まらないってこと見せてやるよ」


 杏子がビシッと言い放つ。けど、マミも負ける気はなさそうだ。


マミ「いつになく気合い入ってるわね。やるならそうでなくちゃ」

マミ「負けてられないわね。今でも私が師匠なのは変わらないもの」



 本当にどうなるんだろう……?

 休憩のおやつタイムが終わると、わたしたちは固唾を飲んで見守っていた。





521 ◆xjSC8AOvWI2019/05/27(月) 00:17:17.08diop1Mpz0 (3/3)

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ここまで。次回は1日(土)夕方からの予定です


522 ◆xjSC8AOvWI2019/06/07(金) 00:32:05.56GiJO5Gbz0 (1/2)

次回、今週末はやれると思います。
金曜か土曜に。


523以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/07(金) 00:52:02.06CWeLO4gKo (1/1)

まってる


524 ◆xjSC8AOvWI2019/06/07(金) 23:40:19.80GiJO5Gbz0 (2/2)



 開けた場所に向かい合う二人。

 その傍には『観客たち』が揃っている。


杏子「いくよっ!」


 まず杏子が駆けだす。

 手に持った槍を素早く構え、無駄のない動作で相手に接近し突き出す。


マミ「闇雲に突っ込んじゃダメって前から言っていたでしょう?」


 マミは杏子の動きを予想していたかのようにリボンを展開する。


杏子「そうだな。でもこれがあたしの戦い方だ。近づかないと始まらないだろ?」

マミ「……」

杏子「それに、考えなしじゃないぜ?」


 杏子は槍の柄から鎖を伸ばし、マミのリボンごと絡め取ろうとする。テクニックはマミのが上でも、力の勝負になれば杏子のほうに分がある。

 引っ張り合いをする意味はマミにはない。マミはあえてリボンを脆く散らして銃撃での遠距離攻撃へと切り替える。




525 ◆xjSC8AOvWI2019/06/08(土) 00:38:15.62BrJeOcMP0 (1/7)



マミ「少し、成長したわね」

杏子「えー、これでも『少し』って言うか?厳しいなあマミさんは」


 銃弾の雨にも、杏子は避けるところと防ぐところ、捨てるところを見極めて的確に対応していく。涼しい顔とはいえないが苦い顔はしていない。

 威力は落としてるとはいえ当たれば痛いし、こんなの一斉に撃たれて怯まないことは難しい。

 自分の間合に攻め込もうとする杏子と、自分の間合いを守ろうとするマミ。戦場は他に使えるものもあまりない平地。二人の距離はほとんど動かない。


 慣れた二人の戦闘は読み合いが大きかった。

 とはいえ、自分のもとを離れていた時の杏子の成長をマミは知らないはずだけど……。


マミ(……多節棍が加わったことでリーチが伸びて、動きが複雑になったわね。攻撃のキレもどちらも前より上がってる)

マミ(けれど、もう見切った)


 数十分にわたる攻防の末、マミが死角から杏子の突き出した槍へと銃弾を当て、その攻撃の軌道を変えさせる。




526 ◆xjSC8AOvWI2019/06/08(土) 01:39:16.21BrJeOcMP0 (2/7)



杏子「!」

マミ「よく手から放さなかったわね。成長は認めてあげるわ」


 杏子の攻撃はそんなに単純なものじゃない。

 あの速さで襲ってくる槍に命中させるなんて、一体どれだけの観察眼と狙いの正確さを持てばできるんだろう。

 着弾してはじけた銃弾はたちまち細いリボンへと変わった。


 やっぱりマミには勝てないのかな。わたしもあれからマミに見てもらうことはあったけど、本当に強い。

 杏子との秘密の特訓でわたしは再生成での分身の使い方を鍛えられたけど、杏子は地道な格闘だけ。幻惑の魔法だって取り戻せないままだ。


 でも今は、今は杏子のほうを応援したい気分。


かずみ「杏子、がんばってー!」


 リボンが杏子の腕に食い込んでいく。


マミ「なかなかアウェイなのね。ちょっとショックかも。でもこれで決着よ!」


 杏子はさすがに負けを悟って、ヒヤッとした顔をしていた。悔しそうな。

 マミがさらにリボンを足して絡め取ろうとした時、マミの見えないところからマミに鎖が絡む。


 ……杏子はマミの背後にいた。


マミ「どうして?いつのまに背後にまで……! まさか幻惑!?」

杏子「……じゃないんだよな、これが」


 どういうわけか、その力を使った杏子まで驚いているような顔だった。

 しかし、この戦いはこれで決着した。



527 ◆xjSC8AOvWI2019/06/08(土) 01:39:45.32BrJeOcMP0 (3/7)

-------------
次回は8日(土)16時くらいからの予定です


528 ◆xjSC8AOvWI2019/06/08(土) 16:47:51.07BrJeOcMP0 (4/7)


――――


 『……なあ、その分身ってどうなってんだよ?』


 ある特訓の休憩時間。


かずみ「これ?材料はなんでもいいんだ。変えたいものを思って『ちちんぷりんっ!』ってやると、思ったものになるの」

杏子「……プリン?」

かずみ「魔法の呪文だよ」

杏子「でも瓦礫が人になって動くのはわかんないな」

かずみ「そういうものでしょ?魔法って。理屈なんかないよ。わたしもわかんないもん」

かずみ「気持ちに左右されるものだって、キュゥべえも言ってたじゃん」

杏子「まあ、良くも悪くもそうなのかもな。……帰りにプリンでも買ってくか」

かずみ「あ、それ賛成!」




529 ◆xjSC8AOvWI2019/06/08(土) 18:50:06.15BrJeOcMP0 (5/7)

――――
――――


 拘束が絡んだほうの杏子もまだそこにいる。

 幻影じゃない。もう一つの身体が身代になったかのようだった。


杏子「……あたしにもどういうことかわかんねーや!」

杏子「ただなんか、かずみの応援で力が湧いた気がしたんだ。もうちょっと頑張ろうってな」

杏子「あたしも強くなった、やっていけるんだって思わせたかったから」


 杏子のその思いは、ただの対抗心ってだけじゃない。

 生き方すら変えてしまうことが起きて、一度は一人で生きていく決意を固めて、魔法がなくなっても、

 『もう大丈夫だ』ってマミを安心させたかったから。


QB「なるほど、それがかずみの力なのかもしれないね」


 わたしたちと一緒にすみっこで観戦していたキュゥべえが珍しく口を挟む。

 キュゥべえはもうわたしたちを陥れたりはしない。わたしたちの仲間になってから、魔法少女たちの相談を受けたりアドバイス役として慎ましく溶け込んでいるようだ。


QB「かずみはその願いでボクたちにソウルジェムを浄化する『力』を与えた。といっても、元から備わっていたものを進化させて『引きだした』んだ」

QB「かずみの力は、人に力を与えて潜在能力を引きだすことができるのかもしれない」

かずみ「わたしが?」


 ワルプルギスの夜の時、ほむらが新しい武器を使った時のことを思い出した。


かずみ「だとしても、わたしは少し手を貸しただけだよ。意思があったから実現できたんだ」

かずみ「その『意思』も契約したころとは違ってしまってるのかもしれないけど……」



530 ◆xjSC8AOvWI2019/06/08(土) 20:22:06.61BrJeOcMP0 (6/7)


杏子「幻惑は取り戻せなかった。やっぱり、今のあたしには誰もかもを救う意思はない。ただ、そんなあたしにも守りたいものはまだあってさ」

杏子「まだ全部がなくなったわけじゃないみたいだ」


 杏子が魔法と武器を解除してマミを手放すと、マミも同じように武装を解除してゆっくりと杏子のほうに向き合った。


マミ「…………なるほど。見切っていたようだったけど、認めなきゃいけないわね。これは予想できなかったわ」

マミ「かずみさんの応援の力でも、負けは負けね」


 その顔はちょっと悔しそうだけど、うれしそうだ。


杏子「……ああ!」

かずみ「よかったね、杏子」

マミ「私もまた訓練しなおさないとかなぁ」

杏子「それ以上強くなるのかよ!もう魔女は増えないってのに」

マミ「倒しきるまではまだまだかかるわ。油断はできないわよ?」



 こうして、これまでにないほど白熱した模擬戦闘は幕を閉じた。

 みんなはまた訓練に戻るみたいだ。



かずみ「わたしたちはもう行く?」

杏子「まあそうだな。ちょっと差し入れに寄ろうって目的だったな。朝から訓練してたし、あたしもちょっと疲れた」

マミ「あら、もうお帰り?」

かずみ「うん!お邪魔しました!」

かずみ「わたしは先に帰るよ。マミが帰ってくるまでに美味しいごはんを作るから!」


 みんなに手を振る。訓練場所から離れていく頃には、空を見渡すともう夕焼けが降りはじめていた。




531 ◆xjSC8AOvWI2019/06/08(土) 23:17:38.55BrJeOcMP0 (7/7)



杏子「……勝ちだっつったけど、あたしは本当にマミに勝てたのかな?」

かずみ「勝ったんでしょ?」

杏子「もう一回やったら勝てる気がしねえ。新しい魔法があってもな」

かずみ「結局あれってどういう魔法だったの?」

杏子「分身というより身代……だな。一度はやられたと思ったけど気付いたら助かってた」

かずみ「一回勝てれば十分だよ。杏子なら、いざとなったらマミを守ることもできるよ」

杏子「それより、かずみ自身の魔法も……やっぱりあったんだな」

かずみ「潜在能力を引きだす力…………」


 最近杏子と訓練してた『再生成』は今は死んだプレイアデスの一人の魔法だ。

 わたし自身の魔法という言葉に誇りを感じた。


かずみ「よかったらこの後、また杏子もおいでよ!今日はたくさんつくるから!」

杏子「今日も、だろ?」

かずみ「えへへ、そうだね」



 わたしたちは夕焼けのしたを歩いて行った。

 たくさん頑張ったら、今日もおいしいものを食べよう。



―END―


532以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/08(土) 23:52:26.40ZcitA7l6O (1/1)

乙でした!

かずみの固有魔法は潜在能力を引き出す魔法でしたか
マミやキリカ、あすみのも引き出せたらすごいことになりそう



533 ◆xjSC8AOvWI2019/06/09(日) 00:11:19.48pjETBWLr0 (1/2)


後日談は一旦これで終了です。フラグ未回収だった杏子がメインでした。
まだ続きをやるなら他のキャラがメインの話になりそうですが、今のところあまり考えてません。

次やることきめますー


1新しい話
2何かの続き


○セーブデータ

※こっちも完結した物語の小話は受け付けてます。

【未完結】
・かずみ編 【6日(水)朝 ヒュアデスの学校襲撃を翌日に予知】
・Homulilly編【二周目の世界】

【続編開始/指定場所からロード】
・ほむら編 【続編:After1後から再開。新展開】 [獲得補正:(料理)Lv2中級者 アルティメット炒め物]
・キリカ編1【続編:ワルプル後から再開。翌日へ】
・QB編【続編:ワルプル後から再開。翌日へ】  ※暫定END
・中沢編【続編:ワルプル後から再開。翌日へ】 [獲得補正:成績関係の結果+18]
・なぎさ編【続編:あすみ編後から再開。あすなろ編】
・杏子編【続編:あすなろか安価】
・キリカ編2【続編:小話・ワルプル後新展開】
・あすみ編【続編:小話・ワルプル後新展開】
 ・+かずみ編【続編:小話・ワルプル後新展開、エンディング分岐】
・桐野編【キリカルート続編:小話】


○新しい物語

・まどか☆マギカ登場キャラ
・おりこ☆マギカ登場キャラ
・かずみ☆マギカ登場キャラ
・上記作品中のモブ
・オリキャラ
・百江なぎさ
・神名あすみ

↑のキャラから一人選択。
同キャラ2回以上選択も可能。


下4レス中までで多数決


534以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/09(日) 03:18:11.01VqUz67+0O (1/1)

桐野編の続き
あの二人のイチャイチャを久しぶりに読みたいので


535以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/09(日) 08:54:16.71zaOvcqfn0 (1/1)

2
あすみ編の続きをお願いします。


536以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/09(日) 09:43:52.42H4m75nqC0 (1/1)




537以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/09(日) 10:07:06.406eInYHXd0 (1/1)

>>534


538以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/09(日) 11:22:28.80WV6Yamdd0 (1/1)

あすみ編の続き
見滝原で裏番になってるあすみがみたい


539以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/09(日) 11:55:18.77ZbgdElEiO (1/1)

あすみ編の続きで決まりかな?

魔女になったあすみの話とかほむらが戻ってきたらとか上条の怪我は治ったのかとか色々気になるところが多々あるな


540 ◆xjSC8AOvWI2019/06/09(日) 21:53:11.78pjETBWLr0 (2/2)

★多数決で同数に意見が割れた場合は指定内の最後のレス内容を採用。
下4レスなので桐野編ですね
今までと同じく(https://engawa.open2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1539087062/)のほうに書いていきます


541 ◆xjSC8AOvWI2019/06/11(火) 00:32:21.42kepaUBsf0 (1/2)

---------------------------------------------------------
エンディング風味なのであまり長く綴ってないですが、続編投下しました。
感想等はあちらのスレのほうに書いてくれると嬉しいです。

次回は11日(火)夜からの予定。

あと>>533で次やること。下4レスの多数決で。


542以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/11(火) 00:48:15.84cIbW3DyT0 (1/1)

>>535


543以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/11(火) 17:56:41.82BGKkMLwK0 (1/1)




544以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/11(火) 18:41:56.28SrzfTPYnO (1/1)

あすみ編の続きで


545 ◆xjSC8AOvWI2019/06/11(火) 23:35:05.09kepaUBsf0 (2/2)


第三弾*夏休み編*



 いつのまにか外では、蝉がけたたましい鳴き声をあげ、じめじめとした湿気を纏った蒸されるような熱気が支配する頃になっていた。

 季節は夏。それは、見滝原を半壊させたあの大災害から数か月のことだった。

 学校は休みに入る。しかし私は前と変わらない制服を着て教室に来ていた。


まどか「そっかぁ、東京は楽しいイベントをいっぱいやってるんだね。わたしも今度いってみたいな」

ほむら「そうやって“家族団欒”をしているつもりなのよ」

まどか「家族の時間は大切にしなきゃだめだよ。なにか変わったことはあった?またこっちには一人で住むの?」

ほむら「いいえ、今度はついてくって。場所も変わるわね。本格的に長いこと住むことになりそうだから」

ほむら「……それと私自身のことだけど、なんだか雰囲気が変わったって」


 ちまちまと針を動かして布に糸を縫い付けながら、まどかのほうを見る。

 ここは家庭科室。夏休みまで部活動に参加する生徒は私たち以外に居なかった。

 といっても、まどかが熱心に通い始めたのも最近になってからだった。

 静かでほとんど人のいない家庭科室は良いたまり場になった。だから私も付き合って、ついでに帰りには園芸部の育てている植物も見にいっていた。


まどか「やっぱり、わたしを助けるために色々あったから?」

ほむら「……そう、ね。でも悪い変化ばかりではないのよ。前までだったらこんなに堂々と振舞ったりできなかった」

まどか「えぇー、その時のほむらちゃんも気になるけどなあ」

ほむら「今は私の楽なようにやるわ。少し前までの私も気を張りすぎていたから」



546 ◆xjSC8AOvWI2019/06/12(水) 00:19:24.590TRbh3fz0 (1/3)



 夏休みに蝉の声を聴きながら部活動にいそしむという『学生らしい』ことも悪くない。

 日照の長い夏の日だが、あまり遅くならないうちに作業を切り上げる。


ほむら「やっぱりまどかのが可愛いの作るわね」

まどか「そうかな。ほむらちゃんも器用だし、すごく上手になったと思うよ」

ほむら「そんな、あなたに比べたら……」

まどか「ほむらちゃんは今日は『訓練』に寄ってくの?」

ほむら「そうね。そろそろ顔を出してみてもいいわ」


 裁縫のやり方もすべて一からまどかが教えてくれた。そんな時間も幸福だった。

 さっきうっかり刺してしまった指を隠して、離れていくまどかには聞こえないくらいにつぶやく。


ほむら「…………上手になれたのもまどかのおかげよ」



―――――――


まどか「バイオリンの音……」


 一人になって、家に帰る途中で聞こえてきた音につい足を止める。

 このところずっと、通りがかるたびに聞こえてきてる。


さやか「まどか。そんなとこでどうしたの?」

まどか「さやかちゃん」

さやか「恭介、バイオリン弾いてるね。こんなところで立って聴かなくてもいいのに」

まどか「会いに行く?」

さやか「んー……でもそれもな。邪魔しちゃ悪いし」




547 ◆xjSC8AOvWI2019/06/12(水) 00:53:27.380TRbh3fz0 (2/3)



 結局二人でこの場に立っている。

 上条君が退院してからいつもこんな感じだ。さやかちゃんもどこか遠慮してるみたい。


まどか「さやかちゃんはなにをしてたの?どっかの帰り?」

さやか「ちょっとね。まどかは学校か」

まどか「うん。上条君、もう調子いいみたいだね。事故なんてなかったみたい……」

さやか「……これが魔法の力なんだろうね。あたしも急に言われた時はびっくりしたよ」

さやか「知らない子だったけど、聞いてみたらあの子から言われたって言うし」

まどか「あすみちゃん、あの子もさやかちゃんや上条君のこと気にかけてくれてたんだよ。じゃなきゃここまで」

さやか「どうだろ。あたしに契約させないため……とも思えるけどね」

さやか「どっちにしても、恭介が治ったのは嬉しいよ。恭介もすっごい喜んでる」


 さやかちゃんは聞こえてくるバイオリンの旋律に微笑む。

 さやかちゃんもずっと願っていたこと。でも治ってからのほうが二人が一緒にいることは少なくなったように思える。


 ……これでいいのかな。


 この場所はさやかちゃんの家もすぐ近くだ。

 わたしたちもここで別れることにした。




548 ◆xjSC8AOvWI2019/06/12(水) 00:54:25.350TRbh3fz0 (3/3)

----------------------------
今のところ主人公が出てこない。
次回は14日(金)夜からの予定です


549 ◆xjSC8AOvWI2019/06/15(土) 20:29:42.88k9MWHuRc0 (1/3)

――――――



 私がその場に足を踏み入れると、いくらかの人が気づいて手を止める。


「ほむら」


 そう言ったのは杏子と小巻。

 近づいてきてくれたのは二人だったけど、さらに奥で訓練していた集団を呼び寄せた。


小巻「アンタ戻ってきたのね」

杏子「久しぶりだな。他の奴にも挨拶してやんなよ。今はこいつがリーダーなんだ」

キリカ「いや、私はべつにあんまりそうやって仕切るって感じじゃ……」


 杏子がキリカの肩に両手を置く。

 見知った顔ぶれだ。でもそれだけじゃない。


*「誰だー?お前、もしかして新人か!弟子希望なら歓迎してやるぞ!」

*「千花ちゃん、そういうのは私達よりあすみさんのほうに言わないと……」

ほむら「そうだ、あすみは?」


 見たことのない魔法少女たちのほうが多かった。

 彼女たちの口から出た名前に反応して尋ねてみると、遠くのほうから声がする。ちょうど対峙してた相手を伸したところのようだ。


あすみ「ゴメンゴメーン、ちょっと対戦やってたら時間かかっちゃってさ」




550以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/15(土) 21:48:06.92VaAOACavO (1/1)

このほむらは時間停止がもう使えないからなぁ


551 ◆xjSC8AOvWI2019/06/15(土) 23:18:38.87k9MWHuRc0 (2/3)



あすみ「予想より少し遅かったわね。アンタの近況はまどかから聞いてたから」

ほむら「私もまだ色々とあって忙しいのよ。それよりキリカがリーダーって聞いたけど何が起きたの?あなたは?」

あすみ「何も起きてないよ。だたご覧のとおりこの街には故・ウシ乳AV女が契約させた魔法少女がいっぱいいるじゃん?」

あすみ「で、私はこいつらをみてやってる教官」

小巻「珍しくみんな揃ってる時に来たわね。普段だったらこんなにいないわよ」

あすみ「ほら、アンタたちは訓練に戻る!……あぁそうだ、どうせならそいつの面倒見てやってくれない?」

ほむら「え?」

あすみ「飛び道具教えられる人が元からつるんでた中にはいないでしょう?そういうこと」

*「……なんか知らないけど、新入りじゃないみたいだな。まだ先輩にはなれなかったか」

*「よろしくおねがいしますね!」


 顔の知らない二人があすみに言われて挨拶をする。

 ああ言うからには、彼女は銃か飛び道具系の武器なのだろう。


ほむら「……よろしく」




552以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/15(土) 23:36:58.287MIFGl1E0 (1/1)

このほむら、射撃武器どうするんだ?
BB弾のモデルガンがコスト的にも手っ取り早いかな?


553 ◆xjSC8AOvWI2019/06/15(土) 23:41:10.51k9MWHuRc0 (3/3)



 ――――
 ――――……ほむらは新人二人とともに訓練に行った。


あすみ(ついにほむらも戻ってきたか……これで元通りってわけね)


 あれからこの周辺に新しい契約者は出ていない。

 もう新人のこいつらもそろそろ契約したてとは言えなくなってきたが、それでも私達に比べれば経験が浅いのは変わらない。

 自分の魔法と付き合い始めて数か月。自分の腕にもそろそろ自信がついてくる頃で、新入りの弟子を欲しがっているみたいだけど。


あすみ(そういや私がこの街に来たのも今のあいつらと同じくらいの時だったか)

あすみ(そう考えると……)


 ……そう考えても、あいつらはまだまだって気がした。

 私は私であの頃は戦いをなによりも優先してたし、死にもの狂いでもなくて平和にやってるならこんなもんかな?

 指導があるだけ他の魔法少女よりは優遇されてるだろう。


 訓練やってるほむらたちを見つつ、私も見回りに戻ることにした。




554 ◆xjSC8AOvWI2019/06/16(日) 00:18:37.88zD8YrZ9t0 (1/9)



 一通り回って杏子や小巻と一戦を交え、それからほむらの様子を観察することにする。

 ……ほむらたちがやってるのは用意した的を撃ち抜く射撃の訓練だが、見ているとどっちのほうが教えられてるのかわからない。

 ほむらのほうがむしろ素人っぽくも感じる。


あすみ「なにそれ、よく見たらオモチャ?ていうか思ったよりへたっぴで肩すかし。命中率は『時間停止』任せ?」

ほむら「……それはあったかもしれないけど」


 せっかくだから覗き込んでつつきにいく。

 図星らしい。


ほむら「訓練したことはあるわ。少しの間だったけど、巴さんが見てくれた」

ほむら「私が銃を使い始めたのは最近だから。彼女は拳銃が紛れもなく自分に用意された武器よ」

*「じゃあやっぱりキミが弟子ね!」

あすみ「…………」


 よく考えれば銃がほむらの武器ってわけじゃない。

 実弾用の銃も火薬も今は簡単には取ってこられないのだからオモチャになるのはわかる。

 それで魔女を倒せるのかはわからないが。


あすみ「まぁいいや、どっちが弟子でも構わないから頑張って?」


 そう声をかけて一旦離れる。訓練を邪魔したら悪い。

 次にほむらを含めて会話したのは、訓練が終わって新人たちが帰りはじめてからだった。




555 ◆xjSC8AOvWI2019/06/16(日) 01:07:25.08zD8YrZ9t0 (2/9)



あすみ「――……アンタ、こっちを離れてから一体どうやって魔女と戦ってきたの?」

杏子「縄張りも移ってる間も魔女狩らないわけにはいかないだろ。トラブルとかなかったのか?」

ほむら「そこは少しの間だけということで納得してもらったわ」


 訓練で使っていたプラスチック製のオモチャをほむらはまだ手に持っている。


ほむら「銃はね、最初は爆弾を作ったみたいに銃弾も自分で作れないかと思ったけど、爆弾より難易度が高い上に不発と暴発が多くてすぐにやめたの」

あすみ「それでも作ろうとはしてたのかー怖」

キリカ「そんな簡単に作れるものなの?」

ほむら「材料と容器と簡単な化学の知識さえあれば。でも銃弾は形も規格があるしそう簡単にはいかないわよ。爆発すればいいってものじゃないし」

ほむら「それで一応似たようなオモチャのを買ってみたのだけどその名残ね。まだ盾に入りっぱなしだったのは」

あすみ「てことは、それで戦ってたわけじゃないのか」

ほむら「魔力を込めれば使えなくもないけど、厳しいわね。色々武器は入れてるわよ」


 残段に限りのある銃火器のほか、少し折れ曲がって使った形跡のあるゴルフクラブに、ドスやナイフなどの刃物類。

 そして前から使ってた爆弾。結局これが一番まともに戦力になりそうか?


杏子「やっべー、武器庫かよ」

キリカ「よくこれだけ集めたね……」

ほむら「前についでで盗んできたものが役に立ったわね」


 ほむらはケロっと言うが、みんなはドン引きだ。

 でも武器を集めるほむらより本当に恐ろしいのは無いところから作り出せる魔法だ。

 それがないからほむらも苦悩してるんだろう。



1ほむらも格闘のほう?
2さっきの子の弟子になる?
3自由安価

 下2レス


556以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/16(日) 06:40:17.12FUavVn2t0 (1/4)

1+2、ついでにほむらの銃というか飛び道具について提案


なんだかんだ言って爆弾以外だと銃で戦ってきたんでしょ?
だったら射撃の訓練は続けるべきだよね、継続の力も一歩からだっけ?(違
あんたもベテランの魔法少女だけど能力に頼りすぎた結果がそれだ、生き残るためにも基礎から訓練やりはじめなさい
拒否権はないからね、あんたが死ぬと面倒なことになるんだから死ぬ気でやんなさい

あと爆弾は自前なら、銃のほうは何とかしないとねー
もうアレ(時間停止)は使えないんでしょ?
だったら元から強めのモデルガンとかを改造して、それで打ち出す弾に魔力込めれば何とかなるんじゃね?
通用しない敵には爆弾使えばいいんだけど、生き残るためには基礎体力も格闘も底上げしとかないとね




557以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/16(日) 07:30:13.369VITDgp1O (1/1)

↑追加で上条の腕を直したひかりにご褒美
あればGS、なければコイバナ
コイバナの場合ひかりが頭から煙を出してショートして小巻達から怒られる

ありゃ?処女にはちょっと激しすぎたかなぁ
ただ将来役に立つ知識を経験者として教えて上げただけなんだけど?
男を悦ばせる方法とか


558 ◆xjSC8AOvWI2019/06/16(日) 20:51:44.55zD8YrZ9t0 (3/9)



あすみ「アレ、じゃあほむらも私達と同じほうかあ」

杏子「その華奢なあたしたちと同じ膂力が出るならな」

あすみ「あなただって十分に華奢よ?杏子ちゃん」

杏子「はあ……そりゃありがとうよ」ブルッ

キリカ「神妙な顔でお礼言いながら寒気に震えてるよ……まあ、杏子とまでいかなくてもね」

あすみ「アンタは色々たぷたぷしてるわね。食事量調整したら?」チッ

キリカ「おいなぜ舌打ち。そうやって人が気にするようなことをー!」


 話が逸れてわいのわいのじゃれあい始めるのを、ほむらが眺めていた。

 相変わらずこういうノリは苦手みたい。


ほむら「確かに私の身体は弱い。契約前からそうだった。契約して、魔力を使ってやっと人並み以上にはなれたけどね」

ほむら「でも体格じゃないのはあなた達が一番わかってるでしょ?」

杏子「あすみなんかチビだしな」

あすみ「……うるさい。それともさっきの子の弟子にでもなる?先輩のプライドが許すならね。爆弾以外で使ってたのは銃だったんでしょ」

ほむら「さすがに最初から爆弾作ったり盗んだりは考えないわよ……」

杏子「武器でもないゴルフクラブとか混じってるしな」

ほむら「なにも特別な武器はないけど戦いにいこうと思った時、戦いに使えてさらに殺傷能力のあるものを求めて調達していったらこうなったのよ」

ほむら「一度自分の武器を捨てて考えてみたら……あなたたちもわからないかしら」




559 ◆xjSC8AOvWI2019/06/16(日) 20:53:51.83zD8YrZ9t0 (4/9)

----------------------------------------------
>>558 【脱字】 「その華奢な身体で」が正しいです。


560 ◆xjSC8AOvWI2019/06/16(日) 21:48:00.63zD8YrZ9t0 (5/9)



 私だって契約前はそんなに身体は強くなかった。

 運動だって苦手なほうだったし、あの男の家に来てからはろくに食べさせてもらえないからいつも力がでなかった。

 そんな私が――――武器を取るとしたら、何を持って立ち向かう?


あすみ「…………たしかにね。まずは身近にあるもの、手に入れられるのなら殺傷能力があって遠くから攻撃できる武器がいいか」

あすみ「わかったわかった、アンタの感覚は私達より一般人寄りだった。で、結局どうすんの?本物の銃なんてもうそうそう手に入らないけど」

ほむら「代わりのもので戦うしかないと思う。刃物類は慣れないけど、敵を倒すのには使えるほうだったわよ」

あすみ「爆弾活かすためにもいきなり接近戦だけで戦うのは不安でしょ?モデルガンなら子供用のオモチャよりはマシか?アンタならちょっとくらい改造とかできるんじゃない?」

あすみ「でも確かに格闘もできたほうがいいね。魔法少女歴は私と同じくらいでもアンタは魔法に頼り切る以外ずっと迷走してたみたいだし……」

あすみ「どっちにしても基礎からやりはじめる必要が出てくるねぇー。アンタに死なれたら色々と厄介でしょ?」


 『まどかが悲しむ』なんて感情的な事は言わない。

 ただゆまとの暮らしを守る為、今面倒見てるこの街を勝手に荒らされないために必要な心配だ。


キリカ「幸い、一緒に戦える仲間はいっぱいいるよ。当分は一人で命懸けることにはならないと思う」

キリカ「みんなをまとめてるリーダーの私が言うんだから間違いないって!何かあったら言ってくれれば杏子あたりに言っておくし!」

杏子「それはただの責任転嫁じゃねぇか」

ほむら「ええ。一人じゃない…………か」


 ほむらはその言葉が気に入ったように殊勝に微笑む。


あすみ「なに?あっちで一人で寂しかったの?」

ほむら「……ずっと寂しかったんでしょうね」


 そう話して、残っていた面子もようやく解散になる。

 新しいことをやるとしたら次の訓練からだ。


あすみ(……あいつもなんかワルプルギスの時よりさらに雰囲気変わったな)




561 ◆xjSC8AOvWI2019/06/16(日) 22:48:57.05zD8YrZ9t0 (6/9)

――――――



 また次の日、日本風の大きい家からはバイオリンの音が聴こえていた。

 そして今日も家の前まで来て帰ろうとする姿があった。



杏子「おい」

さやか「……あんたは」


 振り向くとさやかにとっては久しぶりに見かけることになる人物が立っていた。

 接点はそこまででもない。前に話を聞かされた時にもほとんど直接会話はしなかった。


杏子「帰るのかよ。それともあんたはこの家の周りをうろつくストーカーかなんか?」

さやか「ストーカーじゃないし。幼馴染だよ?練習中じゃ悪いから今じゃなくてもいいやって思っただけ」

杏子「誘いたいなら事前に誘えばいいじゃないか。携帯とか持ってんだろ?」

さやか「別に、アンタには関係ないでしょ」

杏子「まあそうだけどな。……アンタはこの家の坊やのために契約まで考えてたんだろ?その程度なのかと思ってさ」

さやか「『その程度』って何?あたしたちのこと知らないくせにわかったようなこと言わないでよ」

さやか「アンタたちはあたしたちが契約しなければいいんでしょ。腕も治って、バイオリン弾けるようになったんだからもういいはずじゃん」

杏子「そうだな」


 あっさり引き下がる返事をしたことにさやかはわずかに訝しむように反応する。


杏子「……頼むから、男の気を向かせるため~とかで契約するなよ?」

さやか「……!!」

杏子「偽善者じみた願いよりは断然マシなのかもしれないけどな」


 さやかはその言葉に怒った。

 しかし、燃え上がるようなさやかとは反対に、杏子のさやかを見る眼は冷たかった。




562 ◆xjSC8AOvWI2019/06/16(日) 22:57:45.88zD8YrZ9t0 (7/9)

――――――
訓練場所



あすみ「ひーかり」

*「は、はい?」

あすみ「結構経っちゃったけど、この前はありがとうねぇ。ほら、上条とかいうナヨい男治したやつ」

*「あぁ、それは本人もお見舞いに来てた子も私の魔法を必要としてくれてたから……ていうかなよいって」

あすみ「私からもアンタにだけ特別にご褒美あげるよ。ちょっと耳貸してみ?」

*「?」


 新人ちゃんが素直に屈んで耳を傾ける。

 こういう扱いやすい子は私も好きだ。ただちょっと奥手そうなのが気になったからアドバイスをしてあげようか。


*「ッ!?」プシュー

小巻「ちょっと、なにやってんの!?」

あすみ「ちょっと働き者の兵士にご褒美を」

小巻「どこもご褒美に見えないんだけど?煙出してるじゃない」

あすみ「ありゃ?処女にはちょっと激しすぎたかなぁ」

あすみ「ただ将来役に立つ知識を経験者として教えて上げただけなんだけど? 男を悦ばせる方法とか」

小巻「おバカー!」


 ごちんという音とともに星が見える。

 ガサツなこまきちがお得意とする鉄拳制裁だ。


あすみ「あ、だからそれイタイ、痛いって!アンタはそのすぐゲンコツ振り抜く短気な癖やめなさいー!」

小巻「今のはアンタが悪い。その子はこっちで面倒みておくから他のとこ回んなさい」

あすみ「もうしょうがないなぁーまったく。……ほむらは今日は来てたっけ?」

小巻「そっちでさっき見たけど?」



 見回して探してみるが、今訓練中の魔法少女の中には姿がない。

 代わりにこれから魔女狩りに出かけようとしている魔法少女に一緒についていってるのを見た。





563 ◆xjSC8AOvWI2019/06/16(日) 23:14:59.77zD8YrZ9t0 (8/9)



あすみ「もう訓練は切り上げか。魔女狩りの分担決め直したの?」

キリカ「ほむらにも一応相性計るためにも悪くなさそうな子にくっつけて行ってもらう予定だったけど」

あすみ「せっかくだから私もついてっちゃおうかなー」


 あまりに人数が増えすぎているため、グリーフシードの調達も計画的にしないとすぐに足りなくなる。

 消耗を抑えられるようにバランスの良いチームを心掛けて、日や時間帯を決めて訓練組と分けて行かせていた。

 この頃はメンバーも安定してきている。……正直途中で脱落した人までは面倒見切れない。


あすみ「そこの、ちょっと私も混ぜてってよー!」


 グリーフシードがなくても困らない私は気まぐれだ。

 ほむらたちについていくと、そこのチームに加わって魔女狩りに出発する。




564以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/16(日) 23:19:38.66FUavVn2t0 (2/4)

ひかり南無…変な方向に振り切れたらあすみを特別な目で見るようになるかも?
あの年ですごい子なんだなぁとか

さて、ほむらの魔女狩りはどうなるかな?


565 ◆xjSC8AOvWI2019/06/16(日) 23:37:05.39zD8YrZ9t0 (9/9)



あすみ「で、どう?誰かと仲良くなれたの?」

ほむら「ワルプルギスの夜までに一緒にいた人以外とはまだそこまでは……」

あすみ「今日はなんの訓練やったのさ」

ほむら「格闘術は少し。あなたたちから教わってるだけあって、教えられる人は多いでしょう?」

ほむら「でも手持ちの武器の中でも何を使うのか決まってないわ。結局まだ迷走してるのよ。ある物を使うしかないのは変わらないけれけど」



 道中は質問攻め。

 でもそろそろ訓練の話ばっかりなのも真面目すぎて疲れるな。



1巴マミとやってた頃の訓練について
2ほむらから見てまどかたちはどうか
3自由安価

 下2レス


566以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/16(日) 23:41:46.44Do4MJwyq0 (1/1)

安価↓


567以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/16(日) 23:48:45.82FUavVn2t0 (3/4)

1+2
特にさやかの様子を墓の魔法少女たちに聞こえないようこっそり聞く

そういえばあのナヨい男に惚れてる方、美樹さやかって最近どうなの?
ひかりが怪我を治したんだからあいつが契約する必要はなくなったけど、ちゃんとナヨ男に惚れてるって伝えたの?
長い入院生活で溜まってるだろうから身体で攻めればイチコロだと思ったんだけどなー?

まさかあいつまだ契約しようとか考えてたりしないよね?なんか頑固で強情で向こう見ずで青くて魚臭そうだったし
ああいうタイプが一番絶望しやすいんだよね…
あんたが繰り返してる中で契約した場合、どういう末路を辿ったのか知ってたら教えなさい?


568以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/16(日) 23:51:05.24FUavVn2t0 (4/4)


墓の、じゃなくて他の、です
誤字すみません


569 ◆xjSC8AOvWI2019/06/17(月) 00:01:18.57QJnfx/yx0 (1/2)

--------------------------------
ここまで。
次回は17日(月)夜からの予定です


570以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/17(月) 00:10:54.73ZbZKGJQq0 (1/1)

乙です

なんかさやか関連でキナ臭くなってきましたね
さやかが不安定なるとまどかも不安定になるしなぁ…


571 ◆xjSC8AOvWI2019/06/17(月) 22:00:38.97QJnfx/yx0 (2/2)

----------------------
色々あって寝不足なので今日はやめときます。
次回は18日(火)夜からの予定。


572 ◆xjSC8AOvWI2019/06/18(火) 22:58:25.40lmhVXVaH0 (1/2)



あすみ「そうだ、巴マミと訓練してた時のこと教えてよ。面倒見の良い奴でしょ?今後の参考にしてやろ」

ほむら「巴さんと初めて訓練をしたのは二回目に会った時だった。その時私は鈍器を一つだけ用意していた。あのゴルフクラブをね」

あすみ「ゴルフクラブ振るう訓練でもしてたの?あんまり参考になんないな」


 棍棒系の打撃武器を使うヤツはいるけど大抵そういうのって私みたいなパワー型だったり、

 か弱くても回復や支援に特化してる『僧侶』みたいな魔法少女だからこいつとはちょっと違う。


ほむら「まあ……最初だけね。さすがにそれだけじゃ時間を止めても戦いづらいから爆弾を作ったけれど」

ほむら「爆弾はさすがに外では使えなかったから主にやってたのは魔力の扱いだった」

あすみ「へえ」


 なるほど、魔力の扱いか。

 体術と比べると教えにくいがそれも重要ではあるな――と考える。私達がやってるのは大体が格闘術だ。それ以外は自己学習になる。




573 ◆xjSC8AOvWI2019/06/18(火) 23:42:39.38lmhVXVaH0 (2/2)



ほむら「最後に巴さんと訓練をした時間軸では途中から銃を盗んできて、驚いてたけど自分と似た武器だって言って教えてくれた」

あすみ「ふーん、あいつが銃使いか」

ほむら「慣れるまでは時間がかかったわよ。使い方や構えるところから調べてやってみて、的を狙って撃つ練習はそれから」

ほむら「結局チームの関係が悪化してきて、何週間と続かなかったけど……それ以降は自主訓練もなにもやってない。素人同然なのは当然ね」

ほむら「今も別に、先輩としてのプライドなんてとくにないわよ。私が教えられることもない」

ほむら「いろんな武器を触ったけど、どれも少しずつしか訓練してなかったのだから経験なんてないようなものでしょ?」

あすみ「謙虚ね。最初アンタ見た時もっと頭が固くてスカした女王様タイプかと思ってた。まあ実際頭は固かったけど」

ほむら「……そう思われても仕方ないわ」


 ほむらのちょっとした過去語り。

 私は結局詳しく知ることのなかった巴マミの話とか、他の一緒にいる魔法少女たちも乗ってきて雑談になる。

 ……しかし、関係が悪化したというがその時には何がチームを瓦解させたんだ?


あすみ「ね、ちょっと。まどかからアンタの様子はメールで聞いたけどさ、アンタから見てあいつらはどうよ」

ほむら「どうと言われても……こっちに戻って来てからまどかは部活に誘ってくれるようになったわ。手芸を教えてくれた」

ほむら「ああ見えて面倒見いいのよ、まどか。今まで守るって気を張ってきたけど、教えてもらう立場になると昔見てたみたいな頼もしさも感じるの」

あすみ「それ聞いた。アンタといいあいつといい聞いてもないのにどうでもいい友情話なんか話してくるんだから」

あすみ「さやかの方もナヨ男が怪我治してもらってさ、どーせ今頃ヨロシクグチョグチョやってんでしょ?契約する必要はなくなってもノロケ話聞かされるのだけは勘弁ね」

ほむら「……え?」


 ほむらはちょっと困惑したように聞き返す。


あすみ「この程度で困惑しないでよ。恋に夢とか見るなよ?ナヨくたって男は男だ。これだから処女は」

ほむら「そういう意味じゃなくて、それはないわよ。そんな話は聞いていないし、それほど積極的に動く子でもないもの」




574 ◆xjSC8AOvWI2019/06/19(水) 00:15:29.73JuJjNm/s0 (1/4)



あすみ「男のほうから動くことだってあんでしょ?」

ほむら「それもない……と思う」

あすみ「なんでよ」

ほむら「おそらくだけど、さやかが契約してたこの前の時間軸ではさやかは告白を諦めてたもの。たしか、他の人と付き合ってた」

あすみ「入れ食いかよ腹立つな。ちょっと顔がいいからか?ソイツが他の人に気があるならお手上げだ」

あすみ「他の女どかしてぶんどりたいなら身体で攻めとけってアドバイスしとけばー?長い入院生活でまだ溜まってんでしょ。二股かけられたらそんときゃそん時」


 ふん、と鼻で笑って魔女結界を探すほうに意識を向け直す。

 ……しかし、契約してた時間軸で男取られたさやかはその後どうなったのか?

 あまり興味の沸かない話題だ。恋とやらの駆け引きなんてまともにアドバイス出来る気もしない。


 とりあえず身体で攻めろというのは割とマジな話ではあったが。残念ながらそれが私にできる唯一で最大のアドバイスだ。


あすみ(実行したらしたで『クソビッチ』の名を与えて蔑むけどねー)

あすみ(…………魔女になるよりはマシ?)



 先頭を歩いていた私が最初に魔力の気配を見つける。

 そして、魔女結界へと足を踏み入れて行った。




575 ◆xjSC8AOvWI2019/06/19(水) 00:39:20.47JuJjNm/s0 (2/4)



 ―――― 一歩マークの中に入っていくと、そこは海底のような結界だった。


あすみ「この結界、水みたいのに囲まれてるわりには走ったりできるね。武器も問題なく振るえるみたい」

ほむら「ええ」

あすみ「で、あんたはどっちで戦う?火薬はさすがに効きづらいか?」


 ほむらはすぐに武器を取り出せるように盾に手をかけたまま私の後ろにいる。

 まだ魔女の姿は見えない。キラキラと反射する小魚の形をした使い魔の群れがたまに突進してくるくらいだ。


ほむら「……改造したモデルガンは一つだけ用意してきたわよ」

あすみ「じゃあ、試し撃ちといきますか!やっぱり威力を計るには実戦じゃないとね」

ほむら「このくらいの大きさの敵なら当たれば倒せるでしょうけど……」

あすみ「的が小さすぎると当たりづらいか。なら一気に蹴散らしちゃえ」


 ほむらは一度取り出しかけた拳銃をしまって刀を取る。

 私が思うに、ほむらの他の魔法少女とは違う一番の利点は、無限に収納できて即座に召喚と持ち替えができるその盾だ。

 それさえ活かせれば用意した多彩な武器で意外とうまいこと立ち回れるかもしれない。調達や手入れにひたすら手間はかかるだろうが。




576 ◆xjSC8AOvWI2019/06/19(水) 00:49:36.91JuJjNm/s0 (3/4)



 この使い魔は素早いが動きは単純。向かってきたところを斬るだけだ。

 ほむらはなんともいえないへっぴりな動きで刀を振るう。次には私が直々にもっと特訓をしてやろう。

 そう思いながら突き出た尻をしれっと触る。


ほむら「なにするの!?」

あすみ「素人くさいなぁと思って。ちゃんと腰引いて」

ほむら「わ、わかったわ……他意はないのね?」

あすみ「どうかなー」


 ……しかしそれ以上にここでは浮き足立ってる人がいるからほむらの動きの下手さもあまり目立たなかった。


*「水の中なのに息ができる!カナヅチなのに泳げる!トラウマだったからよかったぁぁ」

あすみ「……それで克服したことにはならないよ?」


 幸い誰かが逃しても代わりに倒してくれるくらいチームメンバーはいる。

 しっかりと確実に倒していきながら海の中の結界を探索していった。




577 ◆xjSC8AOvWI2019/06/19(水) 00:50:42.16JuJjNm/s0 (4/4)

------------------------
ここまで
次回は20日(木)夜からの予定です


578 ◆xjSC8AOvWI2019/06/20(木) 21:33:05.206I7R0GCZ0 (1/5)



 洞窟のようだった道中を抜けると、空からの光が差し込む開けた場所に出る。

 そして、透き通る青い景色の中に大きな影を見つける。

 するとそれは瞬く間に大きくなり、輪郭がはっきりとしたと思うとこちらに向かってくる。


あすみ「!」


 あれはイルカの姿だ。

 妙に浮き足立っていた人のおかげで、走ったり歩いたりだけじゃなくて行きたい方向に簡単に泳ぐことができることがわかった。

 その場から飛び退くように斜め上へ跳ぶように泳いだ。


あすみ「誰かフッ飛ばされてない?」

*「ああっ! 一人体当たりで持ってかれてます!」


 本物の水中で泳ぐのとも違うが、ただのジャンプよりも遥かに大きく動ける。

 勢いよく上へ泳いだ後はややゆっくりと降りてくる。その前にさらに違う方向へと身体を向ける。


ほむら「こういう時……前だったら時間を止めて助けにいけたのに」


 ほむらはいつもの癖なのか盾に手を当てていた。

 中身の砂を止める代わりにさっきしまった拳銃を手にする。


ほむら「進行方向を変えさせるくらいの威力は出てほしいわね……!」


 ほむらが水中で二発三発と発砲する。これだけ大きければどこかには当たりやすい。

 しかし大きな身体の狙った箇所に当てられるかは別問題だ。加えてこの魔女の動きは速く捉えるのは困難だ。

 魔女は弧を描くように勢いよく海面へ向けて昇っていく。すると、まるでショーのように小気味良くザパァンと音を立ててジャンプして海中へと戻った。


あすみ「ちょっとあいつのこと見にいっといてよ」

*「はい!」




579 ◆xjSC8AOvWI2019/06/20(木) 21:33:45.856I7R0GCZ0 (2/5)


あすみ「当たったのは尻尾のヒレ、か。色々と足りないねぇ」

ほむら「うまくいかないわね……」


 イルカの薄いヒレがわずかに破けたのを確認した。

 さらに観察してみると、腹のヒレに何か小さいものがくっついているのが見える。


あすみ「ねえ、アンタあそこ……」

ほむら「えっ、何よまた下ネタ!?」

あすみ「私はアソコって言っただけだけどなぁ?それで下ネタ連想するのってやばくない?」

ほむら「うぅ」

あすみ「むっつりさん。じゃなくて、あそこのヒレ、なんかいるよね?アンタあれ狙えない?」

ほむら「ヒレ……?」


 ほむらも目を凝らしはじめる。よく見ると人型のようにも見えた。


あすみ「残念だけど真っ向から立ち向かってこの魔女に対抗できるほど速い人この中にいないと思うんだよね」

あすみ「遠くから狙い撃てたらいいんだけど」

ほむら「私がやるの……?」

あすみ「飛び道具使える人はほかにもいるっちゃいるけどね……」



1ほむらに狙わせて自分が補助に回る
2他の人に狙わせてほむらに補助につかせる
3自由安価

 下2レス


580以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/20(木) 21:45:01.83Ivd367ti0 (1/1)

2+ほむらに爆弾は使うなと言っておく
あといつでも自分がサポートに回れるよう気を配っておく(チェインバインドとか)

一応水の中(?)だからね、爆弾なんて爆発させたら衝撃とかヤバくない?
動き回れるのは厄介だな…いざとなったら結界はって動きを止めるか?
まぁ、これぐらい対処できるくらいじゃなきゃこの先生き残れないし経験はつませないとね



581以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/20(木) 22:02:39.18gpJ89ozCO (1/1)

安価↑


582 ◆xjSC8AOvWI2019/06/20(木) 22:53:04.216I7R0GCZ0 (3/5)


ほむら「この拳銃じゃあまり遠距離は狙えないわよ。距離が開くほど威力を失うわ……それでもヒレならある程度は大丈夫だとは思うけど」

あすみ「ふーん、一応水の中っぽいからさらに減速されそうだしねぇ。あと仲間居るところで爆弾は基本禁止ね。使うなら扱い気を付けて」

ほむら「ええ、わかってる……」

あすみ「おい、アンタ来いっ!出番よ。あのヒレの小人狙って。補助はほむらがやってくれるから」

*「OK!よろしく」

ほむら「補助ってなにすればいいの?」


 ほむらは躊躇ったように手元を見る。さっきもあのBB弾拳銃じゃ大した威力にはならなさそうだった。

 メインにつかせた魔法少女が魔女を狙ってスリングショットを引く。……だが、このままじゃ狙いを定めるのは難しい。目で追うだけでも精一杯だ。


あすみ「無駄撃ちは控えてよ」


 手あたり次第に撃とうとするのを一旦制しておく。

 ほむらと違って残りを自覚しづらいが確実に魔力を失うのだからこれも厄介だ。


あすみ「ほむらが狙いやすいようにさせるんだよ。ちょっとは動きを止めるとか」

ほむら「動きを……」




583 ◆xjSC8AOvWI2019/06/20(木) 23:47:25.076I7R0GCZ0 (4/5)



あすみ「また時間停止さえあればって思ったでしょ?」

あすみ「狙撃手が体当たりかまされそうになった時にゃ他の奴らの出番だ。残りだってボサッとするなよ!」

あすみ「無理にやり合おうとしなくていいけど対処できるようにしといて」


 回復が済んだ魔法少女と二人の軍隊式の揃った返事がかえってくる。

 にしても動き回れるのは厄介だ。いざとなったら網にかけて動きを止められるように、私も少々規模の大きい魔法の準備はしておく。


あすみ(……私の出番がないほうがいいけどね)


 ほむらを含め、この人数でこれぐらい対処できるようでなきゃこのさき生き残れない。

 気まぐれの魔女は出しゃばらずに経験つませるほうがいいんだろう。


 今もあまり悠長にはしてられない。ひとまずほむらがどうするのか見ていると、ついに動き出した。


あすみ「お?」

ほむら「とりあえず引きつければいいんでしょう?」


 ほむらはどこかを目指して泳ぎながら、手当たり次第に魔女のいる方向へと撃つ。

 たしかに威嚇射撃の効果も含めて無駄撃ちしてもいいのはほむらのほうだ。だが魔女は怯むどころかほぼ意に介さないようにほむらを狙って動き始めた。


 ほむらの向かうその先は小さな陸地があった。

 陸に上がって振り向くと、刀を半分抜いて両手で前面に掲げ、そこで迎え討とうとする。大分身体を張った足止めの仕方だ。

 他の魔法少女たちもそっちに向かっていく。魔女が陸地のほうへジャンプする。


ほむら「狙って!」


 ほむらの言葉とともにスリングショットの弾が放たれる。

 一発命中とはいかないが、近い位置を負傷させることはできた。次の弾を撃つ時には、ほむらを狙って跳んだのならすでに陸に打ち上げられた魚。

 そうなれば隙をついてほむらでも倒せる。




584 ◆xjSC8AOvWI2019/06/20(木) 23:55:01.536I7R0GCZ0 (5/5)



あすみ(なるほど、意外と狙い撃たせるまでもなかったかぁ?)


 しかしそう思った矢先、イルカの魔女はほむらの頭上へと高く跳んでいった。

 小さな陸地を超えるほどの大ジャンプをしたのだ。


ほむら「!」

あすみ「……引きつけること“しか”成功しなかったね」

*「で、でも傷はつけられたじゃん!もうみんなで囲んでやっちゃおうよ!」

あすみ「それが出来るならそれでもいいよ」


 海中に戻った魔女の動きは素早い。囲もうと集まった魔法少女たちを蹴散らして魔女は駆け抜けていった。


1助け舟(チェインバインド)
2まだ見守る
3自由安価

 下2レス


585以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/21(金) 00:14:09.10VQI8Ac/IO (1/1)

1


586以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/21(金) 00:15:28.65Un+vmOel0 (1/1)

魔法少女達の中で事態を打開できそうな能力(魔法)がある娘がいたら指示を出す
いないなら1


587 ◆xjSC8AOvWI2019/06/21(金) 00:38:09.083QKXwfuR0 (1/1)

------------------
ここまで
次回は22日(土)夜からの予定です


588以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/22(土) 22:51:24.246pp+NSRm0 (1/1)

来ないね


589以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/23(日) 23:09:18.33m8zDiipj0 (1/1)

今日も来ないのかな?
スレ主忙しいのかな


590 ◆xjSC8AOvWI2019/06/24(月) 01:23:15.61JCOtJWQo0 (1/1)

-------------------
休日更新できませんでした…
次回は24日(月)夕方~の予定です


591 ◆xjSC8AOvWI2019/06/24(月) 19:23:45.17tt5LAD9M0 (1/4)



あすみ(……もう私がやっちゃおうか?)

あすみ(でも、気まぐれでついてきただけの私がいなかったらこいつらどうなってた?)


 この場に居る魔法少女たちを注意深く見る。

 なんだかんだこれまで付き合ってきたんだ。みんなの特徴は知っていた。


あすみ(それで倒せないようじゃ――)


 隣で武器を構えながらオロオロしてた魔法少女の手を引く。


あすみ「助けに行くよ。やっぱ近距離だけでやりあうのは無謀だよ」

*「でもあんなに速いの狙えないよ!」

あすみ「足止めはあいつらがやってくれんでしょ?あいつももう負傷してるんだ」




592 ◆xjSC8AOvWI2019/06/24(月) 21:38:59.44tt5LAD9M0 (2/4)



あすみ「ヒレになんかあるとは思ったけど、このままじゃ狙いづらいね。ほら見て、負傷したヒレを庇ってるみたいよ」

あすみ「そんなら先に動きを止めさせてやれっ!」


 そして、ほむらの元まで一緒に海の中を泳いでいった。


あすみ「ほむら、爆弾貸してやってちょうだい。アンタの武器と爆弾を組み合わせるんだ。魔力の弾よか燃費はいいでしょ」

ほむら「それはいいけど、危険じゃないの?爆発のタイミングによってはうまく当たらずに誤爆してしまう」

あすみ「扱い気を付ければ便利なもんでしょ?狙うは口の奥だ。近接の奴らを囮にして誘導させる」

*「私達囮ですかーっ!?」

あすみ「大丈夫だよー、もしマジで食われちゃったらそんときこそ私がなんとかするしさ!こっちから待ち構える感じでいってこい!」

*「めちゃくちゃな!?」


 今までバラバラに追ったり逃げたりしてたからあんな速いだけのイルカ野郎なんかに翻弄されてたんだ。

 順番に囮として敵の前に出ていくが、なにかあったらあいつらだけでも助け合えるようにはしてるみたいだ。

 ほむらたちはつかず離れずの狙える距離で構えている。


*「……いくよ!」


 口が開いたタイミングで爆弾を放つ。

 ほむらだけでは強力な遠距離への攻撃手段はもうない。しかし砲台が用意できるなら爆弾もさらに使える武器になる。




593 ◆xjSC8AOvWI2019/06/24(月) 22:34:19.94tt5LAD9M0 (3/4)



 爆弾が魔女の体内で爆発する。


ほむら「命中した……!動きを止めたわ」

あすみ「よし、今!」


 続いて近くを囲んだ魔法少女の一人が全力でヒレの人型を剣で切り裂きにいく。

 するとたちまち海水がなくなり、気付いたら私たちは結界の外のアスファルトに立っていた。

 ……魔女の力が消えて結界が消滅したのだ。


ほむら「……あすみの読みが当たったのね。みんな無事で魔女を倒すことができた」

あすみ「意味ありげなものはとりあえず試してみる価値はあるからね。罠の時もあるけど。魔女の考えを読むのは慣れてたし」

*「やったよ!みんなの力だよ!ほむらもありがとうね」


 みんなさっきのことで楽しそうに話を弾ませている。ほむらも少し仲間として馴染んだみたいだ。

 しかし魔女を一匹倒した程度ではしゃぎすぎじゃないか。


あすみ「まあ、さっそく仲を深められたみたいだしよかったじゃない?」


 そう言うとほむらは控えめにほほ笑んだ。

 多少見ててやる必要はありそうだが、こいつらだけでももう十分だろう。




594以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/24(月) 22:46:39.24je5VUbkn0 (1/1)

あすみ、面倒見が良い先輩だな
一番年下だけどw


595 ◆xjSC8AOvWI2019/06/24(月) 23:48:29.04tt5LAD9M0 (4/4)



あすみ「――ただし、明日は私が特別訓練してやるから覚悟しなさい!」

ほむら「えっと?私なにかしたかしら……」

*「ほむらなにやらかしたの?隊長の特別特訓なんてそーとーだって。隊長の特訓はきびしいよ!」

あすみ「今日の格闘の腕が今まで見たこともないくらいの下手っぴぶりでびっくりしたのよ」

あすみ「なにあれ?マジメにあんな動き新人でも見ないよ?自分の武器じゃないとこうも似合わないモンかよ?」

ほむら「そ、そこまで言うほど?」

あすみ「うん。この私がじきじきに見てあげると言ってるんだから光栄に思ってよね?」

ほむら「…………お手柔らかに頼むわ」



 ほむらはちょっと落ちこんでしまったが、自覚は持ってもらいたいものだ。

 みんなは次の魔女を探して歩く。

 私はまた気まぐれに途中で抜けて帰っていった。



――――――

――――――


596 ◆xjSC8AOvWI2019/06/25(火) 00:56:33.88X7Xkvr/z0 (1/3)




 日が沈み、賑やかだった仲間たちと別れてひとりで帰り道を歩く。

 この帰り道ともそろそろお別れだ。退院してから今まで住んでたアパートは一人用の仮の住み処。

 家族がこっちに新しい家の準備をしたら、私も引っ越しの準備でまた忙しくなるだろう。


 久しぶりの仲間。力を合わせた戦い。

 まともに訓練をやっていたのも昔だ。時間を止めて倒していた頃には感じることのなかった疲労感があった。


ほむら「……電話?」


 着信音が鳴って手に取る。ディスプレイにはまどかの名前が映っていた。


ほむら「まどか、どうかしたの?」

まどか『ほむらちゃん、えっとね、明日久しぶりにみんなで遊びにいかないかってさやかちゃんから誘いが来てて』

まどか『わたしは行こうと思うんだけど、ほむらちゃんもどう?仁美ちゃんもいるよ』

ほむら「……」


ほむら(明日……特訓だって言ってたけれど)


ほむら「考えておくわね。もしかしたら途中参加になっちゃうかもしれないけど」

まどか『それでも全然かまわないよ。詳しいことはこれからメッセで決めるから』




597 ◆xjSC8AOvWI2019/06/25(火) 01:08:33.20X7Xkvr/z0 (2/3)



ほむら(……そういえば、今は学校がないから考えもしなかったけど、前の世界では上条君が退院してから動いたのよね)

ほむら(志筑さん。こっちに戻ってきてからは私も会っていない)

ほむら(まどかは会っていたのかしら?)


 だとしたら、退院したことを知って休みが明けたら同じ行動をとるのだろうか。

 それともその前に。


ほむら(でも、あの時と違って願いは叶ってるけどさやかには戦いもない。負い目もない)

ほむら(さやかはどうするのかしら? ……いや、そうじゃない)


 そう思いつつ、さやかの恋路を本気で心配してるわけじゃない。

 二人がどうするか。どちらかを応援して成就しても親友のどちらかは傷つくのだ。

 本当に心配になったのは別の、もっと漠然としたことだ。


ほむら(もう、あの時みたいにまずいことにはならないわよね)


――――――


598 ◆xjSC8AOvWI2019/06/25(火) 01:09:15.82X7Xkvr/z0 (3/3)

---------------------
ここまで
次回は26日(水)夜からの予定です


599以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/25(火) 15:05:02.80Ia+Fs8e60 (1/1)

乙です
次回、あすみんの特別特訓始まるよ!
いびりにならないか心配ですがw

さやかの件は不安しか沸かないな……


600 ◆xjSC8AOvWI2019/06/26(水) 23:13:31.69RR4BBLHK0 (1/2)

翌日 訓練場所



あすみ「みんなで『お遊び』ィーー?」

ほむら「ええ、久しぶりにさやかが私や仁美も一緒にどうかって」


 あの約束通り、私たちは一対一の特訓をしていた。

 ほむらにはまだ真剣は重い。

 普段より腕力を強化して使っているらしいが、それでも動きがぎこちないので、まずは訓練用に竹刀や模造刀などの偽物で慣れてもらうことになった。

 だがまだ準備が出来ないから、今のところは実際に使う武器でやっている。……というか、こいつはこのまま“剣術”を極める気はあるのだろうか?


あすみ「まあ訓練用の道具を買い揃える機会にはちょうどいいかもね」

ほむら「そういう目的じゃなくて、ショッピング中にそんなのを見てもみんなあまり興味を持たないと思うのだけど」

あすみ「じゃーなに、バカみたいにきゃぴきゃぴ騒ぐだけのために特訓すっぽかして行こうってわけ?」




601 ◆xjSC8AOvWI2019/06/26(水) 23:31:00.22RR4BBLHK0 (2/2)



 普段だったら絶対許さない。

 ……が、あの鹿目まどかと取り巻き共が絡んでくるとなると、あっちの世話は私じゃなくて全部コイツに任せたいとは思っていた。


ほむら「それと昨日言った、前の世界で上条君と付き合った子ってその仁美って子よ」

あすみ「フーン。あすみ色恋沙汰はよくワカンナイ」


 何やら久しぶりに会うみたいだし。


あすみ「……しょうがないなあ、行きたいなら行きなさい」

あすみ「ただし、この私を倒してからだッ!」

ほむら「悪役みたいなセリフで立ちふさがるのね……」


 一対一といってもやってることはほぼ素振りの指導だ。

 真剣だから危ないというより、振り回されても当たる気もしないが少しでもぎこちなさを減らすためだ。

 といってもそろそろ飽きた頃でしょう。

 私も棒術を嗜むようになったついでに、ほむらにもあのゴルフクラブをまた出してもらうことにした。格闘のセンス自体は武器を変えても応用が利く。


 剣に類似する武器を扱う魔法少女はたくさんいる。昨日のチームでもいたけれど、なにせ近接の中でもオーソドックスな武器だ。

 この前本人も言ってた通り、専用の武器を持ってる魔法少女にはそうそう敵わない。

 だからそこに関しては、ほむらはそこそこでいい。近接の動き全般に慣れてもらうのがよさそうだと判断した。




602以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/26(水) 23:33:37.780QHIH5ln0 (1/1)

ゴルフクラブで戦うクーほむって珍しいかも
ていうか、違和感しかないなw


603 ◆xjSC8AOvWI2019/06/27(木) 00:01:35.76RsExFzcO0 (1/4)




あすみ「――――……というわけで、ゴルフクラブが限界を迎えたから終わりにしまーす。残念だったわね。次は私を倒せるように頑張んなさい」

ほむら「と、当分勝てる気がしないわね……」


 曲がったゴルフクラブをこれまた力任せに直して直して、修復不可能な鉄くずと化したところで訓練は終わりになった。

 これも次の買い物で見てきてほしいところだ。


あすみ(これは新発見。専用の武器がないとお金がかかるんだ。アイツのお財布事情が豊かならいいけど……)


 なんならわざわざ高い買い物をしたり盗んだりしなくても、その辺にバールでも落ちていればそのほうが武器になりそうだ。これじゃ耐久性がなさすぎる。

 一撃ごとにもろに食らって後退させられていたから、途中から攻撃よりも回避や防御について重点的に特訓していた。

 ……ほむらは手を押さえている。貧弱そうな青白い手が赤くなっていた。


あすみ「ちょっとそれ見せてみ?血豆出来てるなぁ……治しとくよ。まどかに私がアンタをいじめてるって思われそうだし」

あすみ「……あ。あながち間違ってないかな?」


 その手をとって治癒の魔力を流す。すると、ほむらがポツリと話を始めた。


ほむら「巴マミは……」

あすみ「ん?」

ほむら「巴さんは銃使いだけど、最初から銃が自分の武器じゃなかったって聞いたことがある」

ほむら「なのに専用の武器で戦っている人と遜色なかったわね……。比べられるほど魔法少女を知ってるわけじゃないけれど、多分強いほうだったと思う」

あすみ「……へー」




604 ◆xjSC8AOvWI2019/06/27(木) 01:21:29.38RsExFzcO0 (2/4)



杏子「馬鹿ヤロウ、本当に魔法少女のことわかってないな。強いなんてもんじゃねーよあれは」


 近くで見ていた杏子まで会話に参加してきた。


杏子「あたしはマミさんに教わって、その後も色んな魔法少女は見てきた。銃使いに限らなくたってあんなに強い奴はいない」

杏子「でも……な」


 杏子は私の方を見る。

 ――『でも』、私にやられちゃったもんね。多分普通に戦闘の技術比べをしたら勝てるはずもなかっただろう私に。


杏子「魔法少女の強さは結局それだけじゃ決まらない。魔法だ」

杏子「アンタの魔法もそうだったんだろ?時間を止めればマミを一発で倒すこともできたはずだ」

杏子「そんなアンタを……マミはどう見てたのかね」

ほむら「……まさか、あの時に巴さんが私のことを恐れていたとでも?」

杏子「警戒くらいはしてたかもな。何かあったら封じ込められるように」


 ほむらは何も言わないが、何か思い当たるふしがあったような顔だ。

 まあ、こいつの過去のことはどうでもいい。もう巴マミもどうせ『いない人』だ。


あすみ「そういえば、アンタのほうは結局どうなったの?何か新しい踏ん切りはついた?」

杏子「いや……」

あすみ「とりあえずわかったのはマミがとんでもない努力の鬼だったってことだね。ほむらだって努力すればそうなれるんじゃない?」

ほむら「そういうものなのかしら……」

あすみ「そういうものなんだよ。だから言い訳したり他人を羨む暇があったら訓練してよね!」

あすみ「てことで、いってらっしゃい。あいつらの問題はアンタに全部任せるから」

ほむら「……ええ。行ってくるわ」


 怪我の治療が終わると、ほむらはこの場所から離れていった。




605 ◆xjSC8AOvWI2019/06/27(木) 01:22:26.92RsExFzcO0 (3/4)

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ここまで。深夜に電話がきてこんな時間に…
次回は29日(土)夕方からの予定です


606 ◆xjSC8AOvWI2019/06/27(木) 01:26:27.24RsExFzcO0 (4/4)

>>602
このほむらはループも浅く、ワル夜を越え、まどかもいて、メガほむに戻りつつあるクーほむって感じなのでセーフ…かな?
只今絶賛クールの化けの皮が剥がれまくり中です


607以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/29(土) 13:21:36.69E6BsbXfS0 (1/1)

クールのメッキがどんどん剥がれていくほむらですか
キリカ編の織莉子みたいにクーほむの姿で盛大なドジやらかしてほしいなw
当然あすみの目の前でwww


608 ◆xjSC8AOvWI2019/06/30(日) 00:44:42.11Qv2Wy0nE0 (1/7)

-----------------------
【都合により延期】
次回は30日(日)午前予定


609 ◆xjSC8AOvWI2019/06/30(日) 11:45:49.81Qv2Wy0nE0 (2/7)

――――――


ほむら(まどかにはメールもしたし、これでいいのよね)

ほむら(目印わかりにくくないかしら。ちゃんと合流できるといいけど……)


 スマホを握りしめて立っていると、遠くから知った声が聞こえてくる。


さやか「アレほむらじゃね? ……ほーむらっ!」

まどか「ほむらちゃん!」

さやか「ほむらの私服ってレア感あるなー。そんな感じなんだ?」

ほむら「……うっ、見たことがないわけじゃないでしょう」


 さやかが私に注目してくる。あまり注目されるとちょっと恥ずかしい。

 なにより家にあったものを適当に着てきたから自信がなかった。


仁美「少しイメージと違いますよね」

ほむら「……そう?」

さやか「服でも見に行くか!ほむらに似合うやつとか考えてみよー。ついでにあたしも新しいアクセとか欲しいし!」


 明るくこの場を仕切るさやかに連れられる形でみんな移動していくことになる。

 行先は服売り場が並ぶほうだ。




610 ◆xjSC8AOvWI2019/06/30(日) 12:05:31.83Qv2Wy0nE0 (3/7)



 ……さやかが私を巻き込むように話を振ってくれたから、久しぶりだけど溶け込むことはできた。

 しかし、魔法少女のことを明かして以来さやかは私に警戒心を向けていたはずだ。私も心を冷たくして接していた。

 『ただの友達』から変わってしまってからのぎこちなさが今は見えない。


ほむら(美樹さんも気を聞かせてくれているのかもしれない)

ほむら(……それとも、『取り繕うのがうまいのね』って思うべき?)


 私もこれからどう関わっていくか探ろうとしながらさやかを眺める。

 仲良くなれるように努力をするべきか。このまま冷たく一線を置くのがいいのか。だって、これからもまだ目を離したら問題を起こす可能性だってあるかもしれない。

 『ただの友達』に戻ったら距離感と温度がわからなくなってしまった。


さやか「おいほむら、どうした? そんなにあたしのこと見つめて」

仁美「あらあら、まさかお二人は?いけませんわ!思いが通じ合っているというのですか!?」

まどか「仁美ちゃん、通じ合ってはないんじゃ……」

さやか「そうだよ、何いってんのさ仁美は。通じ合ってないから聞いてるんだよ。さてはまた漫画の影響だな?今度はなんの漫画だ?」

仁美「違いましたのね。じゃあ、『この殺気に気づかぬとはおぬしもまだまだ……!』ということでしょうか?」

さやか「さりげなくあたしを殺そうとするなよおいっ!絶対漫画の影響じゃん!そういうのも読むんかい!」


ほむら(……志筑さんもこう見えて少し不思議で面白い人よね)


 視線ひとつで騒がれてはあれこれ悩むのも馬鹿らしく思えてくる。でもそれも二人の良いところだ。

 一旦難しいことは忘れることに決めて私もこの場を楽しむことにする。




611 ◆xjSC8AOvWI2019/06/30(日) 13:57:00.27Qv2Wy0nE0 (4/7)


――――
――――



 …………何事もなくいつもどおりに時間が過ぎて、手に新しい紙袋が増えた。

 これはこれで充実した時間だった。今日は難しいことも冷たいことも忘れて友達として楽しめた。

 でも、これでよかったんだろうか。これから仲良くなっていけるんだろうか。


さやか「薄暗くなってきちゃったね。もうこんな時間かー」

まどか「最近日が落ちるのが遅いもんね」

仁美「さやかさん、ちょっと」


 もう帰りの雰囲気になったところで、仁美がさやかを呼び止めた。


まどか「帰らないの?」

仁美「私たちは少しこの後話したいことがあって。まどかさんたちは気にせず先に帰ってくださいまし。……いいですよね?」

さやか「え?うん。あたしはかまわないけど?」

ほむら(この会話……)


 この流れには覚えがある。

 ワルプルギスの夜も超えて、ただの友達に戻って遊べたと思ったのに起きてしまうのか。

 そんな不安を感じ取ったのは当然ながら私だけだった。




612以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/30(日) 14:27:39.33UBf/kQE90 (1/1)

やはり仁美の告白宣言来るのか?


613 ◆xjSC8AOvWI2019/06/30(日) 15:17:08.74Qv2Wy0nE0 (5/7)



まどか「いいよ。ほむらちゃん、帰ろっか」

まどか「……ほむらちゃん?」


 さやかたちを気にして動こうとしない私にまどかが呼びかける。


ほむら「え、ええ」


 決断したのなら止めることはできないだろう。

 無理に割って入っても同じことが後に伸びるだけだ。なら、その伸びた時間で何かできることはあるの?


ほむら(腕も治ってる。私たちには出来る事はない……)


ほむら「まどか……!」

まどか「なに?どうしたの?ほむらちゃん」



 私の過去を話したのはまどかだけ。まどかなら私の話を聞いて理解してくれるはずだ。

 悩んでも一人じゃ何もできないことがわかって、まどかに相談しようと決める。

 それに、さやかのことを一番知っているのはまどかだ。




614 ◆xjSC8AOvWI2019/06/30(日) 16:53:36.77Qv2Wy0nE0 (6/7)



 ――――遊びが終わった後も、私たちは二人ずつに分かれて違う場所で話をしていた。

 その話の内容は私は知っている。もちろん全部じゃないけど、一番重要な目的だけは確信が出来た。


 志筑さんは上条君に告白する気だろう。それをさやかに今伝えるんだ。


まどか「……そっか、じゃあわたしもさやかちゃんと話してみる」

ほむら「何を話すの……?」

まどか「わたしたちが『応援』してあげないと。それが友達の役目だから」

ほむら「それでも、もしもまた上条君が志筑さんを選んだら?」

まどか「……なぐさめよう。仁美ちゃんもさやかちゃんのこと考えてるからそういう方法をとるんだよね」

まどか「わたしには特別な力はないけど、全部を解決してくれる魔法なんてものもきっとないんだと思う。それに、都合の良い『魔法』で解決しても意味なんてないから」

まどか「二人の友達として、わたしはさやかちゃんにちゃんと向き合ってほしい。結果がどうなっても、これからも二人には友達のままでいてほしいよ」

ほむら「…………」


 考えてみれば当たり前のことだ。さやかの心が動かない限り変わらない。

 前回のことで恐ろしく考えていたけれど、根本を考えてみればもっとカンタンな話……。


ほむら「うん……そうだね」


 私一人じゃなにもできない。まずは『友達として』出来ることをするしかない。


ほむら「ワルプルギスの夜の前も、今も…………結局私は誰かに頼りきりね。一人じゃなんにもできなかった」

まどか「いいんだよ、そんなこと」


 この世界が始まった時のあの覚悟さえ今となってはただの空回りだ。

 無力さでどうにかなってしまいそうだけど、今はまどかの笑顔に甘えることにした。


――――――


615 ◆xjSC8AOvWI2019/06/30(日) 16:54:02.27Qv2Wy0nE0 (7/7)

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ここまで
次回は1日(月)夜からの予定です。


616以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/06/30(日) 17:16:53.93xG31WR1WO (1/1)

乙です
ほむら、ワルプルギス倒した後だから精神的に余裕があるね
また1人で抱え込まなくてよかった



617 ◆xjSC8AOvWI2019/07/01(月) 23:43:51.137RneDfD70 (1/1)




 ――――夜、和風の大きな家を神妙な面持ちで見上げる一人の影があった。



さやか「…………」


 さっきまで一緒にいた親友とはもう別れた。

 彼女はきっとこうして悩んでなどいないのだろう。自分がまったく知らないうちに、いつのまにかしっかりと覚悟を決めていた。


さやか「なにやってんだろ……あたしが知らなかっただけできっと昨日までと何も変わってない」

さやか「それなのに知っただけでこんなに不安になる……自分のことなのに、誰にもどうしようもないのに、誰かに頼りたい……って思うなんてさ」


 誰に言うでもなく吐き出した言葉はまだ誰にも伝わらない。

 不安とともに他力本願な思いが渦巻いていた。するとあの魔法少女の言った言葉が浮かんで、そんな自分に嫌悪する。


さやか(……そうだ。告白自体を誰かに任せたってどうにもならないことはわかってる。結果なんてわかんないんだし)


さやか「――えい、弱気になるな!そこまで言うなら告白してやるしかない!」


 いまひとつ覚悟の定まらない不安を振り切るようにさやかは進んでいく。

 上条が退院してから実に久しぶりに、さやかはバイオリンの音の奏でられるほうへと歩いていった。



――――――
――――――


618 ◆xjSC8AOvWI2019/07/02(火) 00:26:13.58f2RDk2Ti0 (1/3)

翌日 訓練場所




あすみ「……来ねえ」

キリカ「来ないってだれが?相当熱心かヒマじゃないと毎日は来ない人いっぱいいるよ。小巻も来てないし」

あすみ「ほむほむだよ。昨日も特訓途中で抜けたくせに」

キリカ「引越しとかするらしいし準備あるんじゃない。……そのあだ名はマシなほうかもって思った私は毒されてるんだろうか」

あすみ「毒されてないよー。じゃあアンタは暇人なのね」


 一応わかってる。なんだかんだでこいつ、いざとなったら『リーダー』としてまとめろって言ったの、結構張り切ってるんだ。

 そういう立場を求められるのが珍しいからか、頼られたり期待かけられたりするのには弱いみたい。


キリカ「そう言うキミもほとんど顔は出してるじゃん。すぐ帰るけど」

あすみ「私にはゆまがいんの!……でも最近、遊びにいくって言ってすぐ帰ってこないことがあんのよ。いいことだけどさあ」

キリカ「さみしいんだ」

あすみ「うっさい」


 キリカが弱みを見つけたように嬉しそうな顔で見てくるから、咄嗟に天邪鬼な返事をかえしてしまった。

 本当はさみしくないわけない。

 ……それが私が呪いをかけて中心になっていじめてた奴がいなくなってからの話だと言うのだから尚更だ。




619 ◆xjSC8AOvWI2019/07/02(火) 00:52:10.33f2RDk2Ti0 (2/3)



 そんなに簡単に心を許していいのか? 今まで見て見ぬふりしてた奴らに。

 どうせそんな奴ら、いじめ以外でもまた都合が悪くなったら保身を優先してゆまを裏切るかもしれない。

 そしたら傷つくのはゆまだ。信じてたものからの裏切りというのは、単純な痛みや嫌がらせとはまた違う『絶望』を与えてくる。


あすみ(私だってそうだ。弱って暗くなるまでは普通に話してたし遊んだりもしてたんだ)

あすみ(なのに自分より弱い奴と思えばいじめた。そんな奴らに合わせて他の奴らも見捨てたじゃないか)



キリカ「……顔、怖い」


 はっとして、久しぶりに感じた黒い感情をため息にして吐き出した。強張っていた筋肉をほぐして飄々とした顔をつくる。

 そうして周りを見てみると、もう一人キゲン悪そうな人がいた。


杏子「……」

あすみ「アンタは最近むっつりしてるし」

杏子「最近、嫌なもんが気にかかったんだよ」

あすみ「嫌なもんって?」

杏子「ほむらの取り巻きの一人?」

あすみ「んー、それって」

杏子「まどかじゃないほうだ」


 なんかほむらとの会話でも上がってたやつ。

 まさか杏子がそっちを心配するなんて。


あすみ「なんか被るとこでもあった?」

杏子「……そういうのじゃない。ただ、ムカついたんだよ」

あすみ「へー、アンタが恋なんてする相手がいたとはねぇー」

杏子「ちがうっつってんだろ!そんでどういう意味だよ!」




620 ◆xjSC8AOvWI2019/07/02(火) 00:54:07.31f2RDk2Ti0 (3/3)

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ここまで
次回は6日(土)夕方からの予定です


621以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/07(日) 22:06:46.79iPjEu3gO0 (1/1)

昨日に続いて今日も来ない?
スレ主忙しいのかな?


622 ◆xjSC8AOvWI2019/07/08(月) 00:22:23.60y2+WHWFc0 (1/4)

――――
――――



 今日の訓練を適当に抜けて家路を歩く。

 夕飯の献立を考えながら、その途中で寄り道でもして食材を買って行こうかと考えていたところだった。


あすみ(あいつ……)


 偶然にも知っている姿と目が合った。

 話題の人物だ。どんな状況にあるかは大体はわかる。あえて無視しようとしていた。


さやか「……ねぇ、アンタってさ」


 しかし、声をかけられては素通りはできない。


あすみ「何? ……さやかサン」


 こんな返し方でよかったんだったか。こいつらへの接し方も久しぶりで忘れかかっていた。

 なにより演技がメンドクサイ。


さやか「あすみも魔法少女なんだよね。魔法使えるんだよね」

あすみ「……悪いけど、私利私欲のためには使わせないよ」

さやか「うん。じゃあ、どんな願いで契約したの?」




623 ◆xjSC8AOvWI2019/07/08(月) 00:57:46.37y2+WHWFc0 (2/4)



 自然と顔が強張る。このところ忘れかかっていた自分が魔法少女になった時の『契約理由』。

 魔女になった私にとってはもう過去の話だ。だが決して聞かせて良い印象を持たれる内容ではない。

 なぜこう地雷を踏んでくる。デリカシーがないのかこの魚女は。


 ……そう思っていると、さやかは勝手に話を続けてきた。


さやか「実はさ、昨日恭介に告白しようとしたんだ。でも勇気がなくてできなくてさ」

さやか「覚悟はあったはずなんだけどタイミングを逃しちゃったっていうの……?急にいろいろ不安になってきちゃって」


 いや、さっきは私利私欲に使わせないと言っておいたが、むしろさっさと魔法でも使って成就させてしまったほうが楽なんじゃないのか。

 とはいえ、『奇跡』でうまくいくのだろうか。0%を100%にするように、決まっているものを捻じ曲げることはできない。

 『恋のおまじない』などという馬鹿げたものはたまに耳にするが私の魔法はそんなものじゃない。

 人の心を変えるとしたらそれは奇跡でなく『洗脳』だ。


さやか「もちろん諦めたわけじゃないよ?まどかやほむらからも応援もらったし」

さやか「実は今からなんだ!今度こそ、今から告白しに行こうと思うの!」


 ほむらが今日来なかった理由を察する。そっちのフォローに行ってたのか。


あすみ「そんなこと私に言われてもな……」

さやか「……そんだけ。宣言したかっただけ。どうにかしてもらおうとかは期待してないよ」


 一応決意は決まっているらしい。だったら油売ってないでそうしてくればと言いたいところだが、ふとさやかが私にこんなことを話した意味に思い至った。

 ……まだ不安なんだ。決心しつつも、もし思い通りにいかなかった場合の保険を探してるんだ。

 そんなうじうじした心意気に気づいてしまったことにも苛立つ。


あすみ「じゃあさ、もしうまくいかなかったらどうするの?」




624 ◆xjSC8AOvWI2019/07/08(月) 01:27:53.10y2+WHWFc0 (3/4)



さやか「それ今聞いちゃう? ちょっと、不安にさせるようなこと言わないでよ……」

あすみ「契約はしないでよ」

さやか「みんながそう言うっていうのはわかってるよ」


 そういえば納得してないんだったか、こいつ。


さやか「……でもたとえばさ、あたしが『記憶を消す魔法』とかを手に入れたとして、誰にも心配させずに消えたとしたらそれはいいの?」

あすみ「はあ?」

さやか「世界が滅ぶからそうしろって、つまりそういうことでしょ?」

あすみ「あのさ…… アンタのことも大切だから自分を粗末にしないでー……とか言ってほしい流れ?」

あすみ「ほむらサンとかあれはあれで悲しむでしょ、多分」

さやか「ほむらが一番にまどかのためって言ってたよ。でも他の魔法少女もやっぱみんなそうなんだね。あと何?自分の後味が悪いから、とか?」

あすみ「本気じゃないよね」


 私はさやかのことはどうでもいいと思ってたし、正直あまり庇う気もない。

 でも、『自分にとって後味が悪いから』――そんな理由にこいつへの思いを少し言い当てられた気がした。心配しないより情はあるがそれも偽善だ。

 薄っぺらい言葉を言っても見透かされる。この話が続いてほしくはなかった。


あすみ「…………じゃあ、いい方法があるよ」

あすみ「『身体』を使えばいいんだ」




625 ◆xjSC8AOvWI2019/07/08(月) 01:29:27.46y2+WHWFc0 (4/4)

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ここまで。予定通りにいかないこと増えましたね…最近深夜化する
次回は8日(月)夜からの予定です


626 ◆xjSC8AOvWI2019/07/09(火) 00:14:39.71XPXT/gab0 (1/3)

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今日は時間がとれんかったです…
次回9日(火)夜からの予定で。


627 ◆xjSC8AOvWI2019/07/09(火) 21:28:12.65XPXT/gab0 (2/3)


あすみ「碌に片腕使えないままずっと入院してて、彼女もいなかったんでしょ?」

あすみ「さやかさんが近づくだけでも刺激になるよ。くだらない告白なんかより思わせぶりな懇願のほうが効くよ」

あすみ「それでもダメなら、距離をつめて、一回ヤってしまえば貴女のものだよ。その時だけは釘付けになって愛を捧げてくれるよ。多分ね」

さやか「……冗談だよね? それとも本気でそうしろっていうの」


 するすると自然に口から出ていた。今回ばかりはからかうつもりはなかった。

 ふと気づけば、向けられる目は冷たい軽蔑だ。

 不本意ながらも油断させやすいと自負していた幼い仮面も、少しは親しみやすくしていたはずの演技も、全部破れてその奥まで突き刺さってくる。


 小巻のようにぶん殴るだけの遠慮のなさはむしろ助かってたんだ。


さやか「あたしはもう行くから」


 さやかは関わりたくなさそうな態度のまま去っていく。

 他人にどう思われようと引かれようと関係ないはずだった。でも。



小巻『……ていうか、あんまりそういうの言わない方がいいんじゃないの?』



 前にあいつに言われた言葉を思い出す。

 人の心を見透かすのは得意だ。でも自分は。

 頭に手を当て、髪を鷲塚むようにかきあげる。


あすみ「クソ……やっぱりこんなことに関わるんじゃなかった」




628 ◆xjSC8AOvWI2019/07/09(火) 22:48:23.54XPXT/gab0 (3/3)



 思い返してみれば、アイツと上条とかいう男と関わるといつもろくなことがない。調子を狂わされるようだ。

 普段、魔法少女たちと接しながら過ごす分にはなんともないのに。


 アイツに関わると余計なことが意識に入るから。思い出してしまうのだ。


 そんな自分にも苛立ちを感じた。……多分むっつりしてた杏子とは違う意味の苛立ちだ。



――――――
――――――
上条邸 正門前



さやか「これからって時に…………」


 一方、あすみと別れた後のさやかも大事な約束を前に気持ちが落ち着かずに呟く。

 また今日もバイオリンの音が聴こえる。この日は予定はとりつけてきた。


さやか(妙な話してきちゃったせいで余計に緊張してくる)

さやか(とりあえず今は余計なことは考えないように……――!)


「……さやか、いらっしゃい。入っていいよ」


 さやかがそんなことを思っていると、上条恭介はまだ痛々しく杖をついた姿で目の前に現れる。

 いつのまにかバイオリンの音は止んでいた。




629以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/09(火) 23:01:02.54uolgd9Zf0 (1/1)

あすみの内面も変化が出てきてますよね、闇は決して無くなりそうにないけど……


630 ◆xjSC8AOvWI2019/07/10(水) 00:16:11.57j6/TDtyS0 (1/3)



恭介「今日もまた様子を見に来てくれたの?」

さやか「あー、うん、それもあるんだけど」


 部屋に通されると、すぐ見える位置にバイオリンと楽譜がかかっていた。

 今の今まで弾いていたことがわかる光景。昨日は一曲聴かせてもらってからそれだけで帰ってしまった。


恭介「……? 何か弾こうか。といっても練習だから同じ曲ばかりになっちゃうけど」

さやか「そんなこと気にしなくていいよ!あたし一人のためにコンサートするほどもう恭介の演奏は安くないでしょ?」

恭介「別に僕としてはさやか一人のためにコンサートしたっていいんだけどね。さやかもせっかく来てくれたんだし」

恭介「……まあでも、そう言ってくれると助かるよ。まだもうちょっとよくしたいところがあったんだ」


 また昨日を繰り返すように曲が終わる間中考え込む。


さやか(やっぱ我儘言ったほうがよかったかな。自分のために弾いてくれたと思ったらもっと勇気が出たかもしれないのに)


 タイミングをはかったらダメになる。曲がラストを迎えるとその次は分析タイムだ。

 その隙も挟ませず、今じゃなきゃ後がないんだと自分を奮起させてやっとさやかは口を開いた。


さやか「ねえ、あたしのことってどう思う?」

恭介「さやかのこと?もちろん大切な友達だよ。入院中もたくさんお見舞いにきてくれてたし」

さやか「そうだね、ありがとう。でもそうじゃなくてさ」


さやか(違う、この言い方じゃいけない)




631 ◆xjSC8AOvWI2019/07/10(水) 00:41:40.92j6/TDtyS0 (2/3)



さやか「たとえばあたしが付き合ってほしいって言ったらどう思う?」

恭介「もちろん付き合うよ」

さやか「えっ!!」

恭介「さやかはこうして僕の練習にも付き合ってくれてるんだ。多少の我儘には付き合ってあげないとフェアじゃないと思ってるよ」

さやか「それも違う!」

恭介「……なにか怒らせた?」


 また言い方を間違えたのか。

 でも、少し考えれば意味も通じそうな言葉にも気づかないなんて、本当に今言った言葉以上に見られてないってことなのかもしれない。

 そう考えるともやもやした気持ちが湧いて、さやかは一気に自信を失ってしまった。


 女としての魅力……――に。


さやか「怒ってない」

恭介「そう言うときのさやかは大体怒ってるじゃないか。小さい時からいっしょにいるんだからわかるよ」

さやか「……なにもわかってないじゃない。これまでだって」


 ……そうだ。幼馴染として、友達として付き合ってきたといったって、これまでだって近くにいたのに。

 それなら逆に、今ならなにもなかったことにして引き返すのにも間に合うということだ。でも、もし仁美にとられたら。

 ――――後になって思うと、思いきるならこの時ダメ元でも勘違いなんて絶対起こさせない言葉で伝えてみればよかったんだ。


恭介「……さやか?」

さやか「ねえ、これでもわからない?」


 さっきまで旋律に包まれていたこの部屋がやけに静かな無音になる。




632 ◆xjSC8AOvWI2019/07/10(水) 00:44:20.94j6/TDtyS0 (3/3)

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ここまで
次回は11日(木)夜からの予定です


633以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/12(金) 14:34:43.02Vm/feJcT0 (1/1)

スレ主さん、お忙しいなら平日とかは無理になさらなくても大丈夫ですよ?
私生活の方を優先なさってください。


634 ◆xjSC8AOvWI2019/07/14(日) 18:53:34.40QNoJY6fE0 (1/4)

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*そろそろハジメマス*
私生活はわりと落ち着いてるほうなんですけどね…今後予定ありの平日減るかもしれないです


635 ◆xjSC8AOvWI2019/07/14(日) 20:05:00.65QNoJY6fE0 (2/4)



 さやかは立ち上がると恭介に近づき、顔同士の触れそうな距離まで詰め寄っていく。

 ただの幼馴染には見せない表情だ。

 言葉なんかじゃ素っ気ない雰囲気を覆せる自信もなかった。



さやか「ねえ…………!」



 結論から言うと――恭介は拒絶はしなかった。

 旋律のなくなった部屋で二人の唇が重なり合う。でもさやかはその後の顔を見るのが怖くなってしまった。

 やがて恭介はさやかの行動への言葉を返した。


恭介「……ごめん」

さやか「!」


 一気に肝が冷えた気がした。一番聞きたくなかった言葉だ。




636 ◆xjSC8AOvWI2019/07/14(日) 20:46:06.01QNoJY6fE0 (3/4)



恭介「あんまりそういうの、考えてなかったんだ……さやかとはずっと一緒にいて、大事な友達で」

恭介「こんなことしてくるなんて全然思ってなかった」


 これ以上ここにいてはいけないと思った。一緒にいる資格まで失ったように思った。

 さやかは背を向けると来た時に部屋に置いた自分の荷物だけ持つ。


さやか「……そうだね。忘れて」

恭介「ちょっと、どこに!?」

さやか「もう、忘れてよ」


 恋人じゃなくても友達としての絆はあった。それも誰よりも長いって胸を張って言えるくらいに。

 でも、それだけだった。


 強引にでも流せるならそれでいいと思っているのか。相手が嫌がっても?まったくその気がなくっても?

 あの時軽蔑したはずの話を本気にしているのか。


さやか(……恭介はまだ怪我をしてる。拒まないんじゃなくて、できなかったのかもしれない)

さやか(あたしだって最初は同じように思ってた。変わりはじめたのはいつからだっけ……?)

さやか(友達として『大切』に思ってくれてるのだって嬉しかったのにな)




 逃げるように去っていった。





637 ◆xjSC8AOvWI2019/07/14(日) 23:24:15.55QNoJY6fE0 (4/4)

――――――
翌日 訓練場所




ほむら「……で、今日は?」

キリカ「あすみはいない。杏子もいない。小巻はまた忙しいって」

ほむら「指導者不足ね……この前は途中だったし、また訓練を頼もうと思っていたんだけど」

キリカ「まあでも他の人とも訓練はできるでしょ?それとも私とやる?」

ほむら「そう……ね。やれることはまだある。射撃のほうの訓練をしてもいいしね」


 ほむらはエアガンの状態を見回す。実銃よりよほど手入れは簡単だ。

 打撃用の武器もまた新しく手に入れてきたようだ。


キリカ「私もどっちでもかかってこいだよ?あすみや杏子にも負けないって見せてやる」

ほむら「あなたってあまり人に教えているイメージはないけど……」

キリカ「う。そのイメージも塗り替えてくよ!」




638以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/14(日) 23:32:29.985MSLTTP/0 (1/1)

キリカも変わったなぁ、もちろん良い意味で


639 ◆xjSC8AOvWI2019/07/15(月) 01:03:14.79qnMKeRX00 (1/4)

――――
ゆまの家



 昼飯を終えて、午後をゆまとゆったりとすごす。

 最近は前よりも貴重になってきた時間だ。訓練なんて行ってられない。


あすみ「今日はどこにも行く予定ないんだよね?なにかやりたいこととかある?家の中のことでもいいし、外に行ってもいいよ」

ゆま「あ、あのね……」

あすみ「何?」

ゆま「こんど、ここにお友達つれてきてもいい? この前カエデちゃんちにいったの」

ゆま「『らんぐしゃー』っていう、すごいおいしいおやつ食べさせてもらった」

あすみ「うちにはシャレたお菓子はないよ……」


 本当は、いざとなればそのくらい買ってきてもいい。今だったらお金は奪えるんだ。

 そのナントカっていうお菓子に見合うようなお菓子だって用意できる。

 でも前考えた通り、それよりもそんな信用ならない人たちを許して付き合ってることが気がかりになってった。


 ……嫌なことが過ぎってしまう。



1本当に許していいの?
2自由安価

 下2レス


640以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/15(月) 02:35:50.09DKpn+sid0 (1/2)

実際に自分がゆまのお友達に会って信用できそうか見極める
あとお菓子についてキリカに相談

そのカエデちゃんとやらがどんな奴か実際に会ってみないとね
取り違えるなよ、わたし。まず大事なのはわたしじゃない、ゆまだ。ゆま自身の意思だ
何でもかんでも否定して押し付けたら汚い大人そのものじゃないか、あいつらみたいになるなんて虫唾が走る
……まぁ、ゆまを傷つけたり裏切るような事をやったら容赦はしないけどね

らんぐしゃーって何だ?聞いたことないからあとで猫にでも聞いてみるか
作り方が簡単なら作ってみるか……面倒そうなところは猫に押し付けるけど


641以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/15(月) 08:10:01.68aOE1yrL50 (1/1)

1


642 ◆xjSC8AOvWI2019/07/15(月) 19:47:40.90qnMKeRX00 (2/4)


あすみ「そいつらのこと、本当に許していいの?」

ゆま「で、でもその子からはいやなことされてないよ」

あすみ「でも嫌な事されてる間、何もしないで見てたんでしょ」

あすみ「自分は近寄らず、関係ないって顔して、見えないふりをしてたんだ。……そんな人たちを本当に信じられるの?」

ゆま「でもゆまうれしかったんだもん!やっと“フツウ”みたいになれたって」


 ……ゆまはまだ普通を追い求めてるんだ。

 でも私はもう普通じゃなくなった。そんなもの欲しいとも思わなくなった。むしろ、馬鹿馬鹿しいって見下していた。


あすみ「……他の大勢に合わせていれば普通?」

あすみ「『友達』がいて、人に出すのに恥ずかしくないようなお菓子食べて、普通ならゆまは幸せになれる?」

あすみ「なれるんだったら私はそのくらいいいよ」

あすみ「普通じゃなくてもいいじゃない……幸せなら」


 それよりも私が一番嫌なのは、ゆまが幸せじゃなくなることだ。

 そして、多分私も。一度は諦めたけどやっぱりゆまと出会ってからは幸せを求めていた。



あすみ「…………ところで、ゆまが言ってたお菓子ってなんだろ? 今度こまきちにでも聞いてみるか」

あすみ「まあ、あいつなら良いお菓子とかいくらでも知ってるだろ」


――――
――――


643以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/15(月) 20:32:21.91DKpn+sid0 (2/2)

スレ主のIDがかっこいい…
RX00ってどんなガンダム?w



644 ◆xjSC8AOvWI2019/07/15(月) 21:10:53.99qnMKeRX00 (3/4)




杏子(ん、あいつ……)


 普通の人ならまず立ち入れないような場所に、下界を見下ろす影がある。

 バイオリンの音の聞こえる日本式の邸宅。その周りの屋根の上から杏子が見ていた。


杏子(珍しいな。さやか以外のヤツがここにくるなんて)

杏子(客人か。友達か?それとも…… いや、ただ遊びに来たって顔じゃないな)


 上条の家にウェーブがかった緑の髪の少女が訪れていた。

 少女は正門の前で一度立ち止まる。

 その表情はどこか思い悩むようだったが、何かを決意するような緊張した面持ちに変わる。


杏子(……入ってった)


 インターホンを押して家の人を呼び出し、少女はにこやかに話して家の中に入っていく。

 それを見届けると、杏子は場所を移した。




645 ◆xjSC8AOvWI2019/07/15(月) 22:33:07.39qnMKeRX00 (4/4)



さやか「もう全部忘れてほしい」

さやか「昨日のことも、あたしを応援して心配してたまどかも、ほむらも、あたしを見張ってる魔法少女たちにも」

さやか「……そんなこと、まだ昨日は本気で思ってたわけじゃなかったんだけどな」


 さやかはまだ復興が進んでいない見滝原の荒地を歩いていた。

 どこに行きたいわけでもない。ただ一人になりたかったのかもしれない。

 誰もいるはずのない場所。そこに現れる影にさやかは白い獣の姿を望んでいた。――しかしその期待は裏切られることとなる。


杏子「……なんでバンピーがこんなとこにいるんだよ」

さやか「……は? あんたこそ」

杏子「あんたは知らないだろうがあたしたちはこの奥で訓練してるんだよ。それよりなんかろくでもないことブツクサ言ってたな。一体誰に宛てたつもりだ?」

さやか「そこまで聞いててわからないの?キュゥべえだよ。あたし契約するの」

さやか「あたしだって馬鹿じゃないからまどかのこと知ってて地球滅ぼしたいわけじゃないよ。アンタ達には迷惑かけないんだからいいでしょ」

杏子「本当にちゃんと考えてるのか?」

さやか「考えてるよ」


 さやかの頑固な言い方に杏子は一旦言い合いを引く。しかしまったく不安がないわけじゃなかった。


杏子「……やっぱりあたしが言った通りになったか?」

杏子「好きな男を別の女にとられ、不都合から目をそらすために自分のために契約する」

さやか「そうだね……恭介を直接振り向かせるって手もあったね。でもそんなことして何になるの?」

杏子「偽りの愛じゃ嬉しくないってか?立派なことだな」



646 ◆xjSC8AOvWI2019/07/16(火) 00:59:23.43A4zeALlC0 (1/2)


杏子「とことん私利私欲のために契約するんならそれもアリだと思ってんだよ。自業自得だしな。もちろん世界が滅ばないって前提は含むけどさ?」

杏子「そんな立派な信条がありながら逃げるために契約するって情けないな」

さやか「他人のアンタから説教なんて聞きたくないよ。……あんたも偽善者なの?」

杏子「……は?」

さやか「だってそうでしょ?」


 杏子はなんで自分がこんなことを言っているのか、さやかに指摘されてはじめて気付いた。

 自分が苛立っていた本当の理由も。


杏子「…………あたしはあんたのことなんか知るか!だがあんたの友達には言うからな」

さやか「…………好きにすれば。どうせもう友達でもなくなるんだし」



 売り言葉に買い言葉で二人はすれちがいに去っていく。

 そしてさやかも、自分の口からそう言ってからはじめて自分のしようとしていることの意味に気づいた。



さやか「……そうか。あたしが契約したらまどかの中からあたしは消えるんだ」

さやか「でも心配させないためにはそれしかない」




647 ◆xjSC8AOvWI2019/07/16(火) 01:00:46.95A4zeALlC0 (2/2)

---------------
ここまで
次回は多分19日(金)


648 ◆xjSC8AOvWI2019/07/19(金) 19:56:07.03S+SpMiwJ0 (1/4)

――――
*前日*



仁美「それで、お二人から話とは……?」

まどか「急に呼び出してごめんね。じつは上条君とのこと、わたしたちもさやかちゃんから聞いちゃったんだ。それでお願いがあるの」

まどか「結果がどうなっても、さやかちゃんとは今までと変わらずに接してくれないかな?」

仁美「もしさやかさんが上条君とお付き合いをすることになっても、ですか……」

まどか「わたしたちはどっちも応援してる。でもそれ以上に、仁美ちゃんにもさやかちゃんにも不幸になってほしくない」

仁美「いえ、いいんです。私はさやかさんの気持ちに気づいていました。もし上条君が受け入れるのならしょうがないっていうのはもうわかってるんです」

まどか「仁美ちゃんは強いんだね……」

仁美「でも、もしそうなったらなぐさめてくださいますか?」




649 ◆xjSC8AOvWI2019/07/19(金) 21:07:54.92S+SpMiwJ0 (2/4)



まどか「うん。それともしそうならなかった時にも……」


 仁美の決意の固さは伝わってくる。今までどんな思いでさやかを見てきたのかも。

 まどかは少しだけ言いにくそうに切り出した。


ほむら「ええ……私からも。美樹さんは上条君を慕っているけれど、それ以前に友達なんでしょう。そしてあなたとも」

ほむら「私には恋愛経験はないけど大切な人はいる。美樹さんはもしかしたら『大切』を二つを同時に失ってしまうんじゃないかって」

仁美「は、はい……それはむしろ、向こうがよろしければ……ですわね」

仁美「私だってこのままさやかさんとの友情を終わりにしたくはありません。恋愛も友情も両立できるのがいいのは決まってます」

ほむら「……そうね。じゃあ、志筑さんも頑張って」



――――
――――





650 ◆xjSC8AOvWI2019/07/19(金) 21:54:02.90S+SpMiwJ0 (3/4)

訓練所



杏子「よう、やってるかアンタら」

キリカ「あ、やっとベテランがきた!前から一緒にいたメンバーで今日来てるの三人だけだよ。今ほむらとやってて……」

ほむら「キリカのやってるのってあなたの教えたことなんでしょう?」

杏子「相手してほしいなら見てやるよ。けど、一応伝えとくぞ。さやかのヤツが契約するんだと」

ほむら「!」

杏子「世界は滅ばないように考えてるらしいからあたしはそれ以上しらねー。でもなんかまどかともどうせ友達じゃなくなるとか言ってたぞ」

杏子「で、訓練やるか?」


 ここに来る時は今まで以上の不機嫌面をひっさげてきていた杏子だったが、今もわざとらしいくらいに興味なさげに話している。

 もちろん、ほむらの答えは予想した上でだ。


ほむら「い、いいえ……美樹さんを探しに行ってくるわ」

杏子「そうかよ」


 ほむらは素早くこの場を離れる準備をする。

 予想し期待しているからこんなことを言った。それを自覚すると杏子はさらに苛立った。


杏子「……で、アンタはやるだろ?」

キリカ「私たちはなにもしなくていいかな?」

杏子「はあ?むしろ何が出来るんだよ。興味ないっつの!大体、関係ないくせに心配してるみたいに口挟むとか偽善者かよ……」

キリカ「やらない善よりやる偽善って言葉もあるけど……」

杏子「その考え方自体が偽善だろ」

キリカ「そう言われたらそうかもしれないけどね」




651 ◆xjSC8AOvWI2019/07/19(金) 22:48:05.68S+SpMiwJ0 (4/4)


キリカ「……やっぱり私も探しに行こうかな」

杏子「どうせ聞く耳持っちゃくれない。そもそもあいつが決めたことだろうが。心配する義理なんてないのさ」

キリカ「口挟むのは難しくても探すくらいならできるよ。でも顔知らないんだよね。キミなら知ってるでしょ?」

杏子「あたしまでついてこいっていうのか!?顔も知らない奴心配してんじゃねーよ!」

キリカ「じゃあなんで伝えに来たんだよ……」

杏子「アンタに伝えたわけじゃないしなんとなくだよ。強いて言うなら……いっちょまえにわかった顔してなんとかなると思ってんのが腹立っただけ?」

キリカ「ぷふっ」

杏子「てめえ、なんで吹きだしてんだ!」

キリカ「偽善でも結果的に誰かが助かるならいいんじゃない? 私も苦しいときにそうやって救われたらやっぱ嬉しいし」

キリカ「その時はうざいとか、なんだこいつーって思うだろうけどさ」

キリカ「それに……結果的に助かった話でいえば、私は杏子に助けられてるんだよ?」


 キリカは笑いながら荷物をまとめに行く。

 ――小巻以上にわかりやすいツンデレだ、なんて思ったことは黙っておこう。と思った。




652 ◆xjSC8AOvWI2019/07/20(土) 00:42:37.32yme7gSOJ0 (1/2)


――――




まどか「さやかちゃん、本当にどこにいるんだろう? お家にもいなかったし、帰らないのかなあ」

ほむら「杏子が会った時には訓練場所付近にいた、ってキリカから連絡はきたけど……」

まどか「その人たちも探してくれてるんだ」

ほむら「訓練場所に来たときの話し方を考えたら、多分杏子は誘われてしぶしぶでしょうね。でもせめてそっちで見つけてくれれば……」

まどか「一応さやかちゃんのお母さんや仁美ちゃんにも連絡はしたし、わたしたちも見つけられるように頑張るしかないよ」

まどか「それにしても、さやかちゃんは一体どんな願いで契約するつもりなんだろ……?」

ほむら「杏子が言うには、美樹さんは『どうせまどかとも友達じゃなくなる』って言ってたみたい」

ほむら「もしかして……関係をリセットしようとしてるってこと? まどかやみんなに迷惑をかけないように?」

まどか「そんな、そんなのやだよ!」



 そんなとき、唐突に電子音が響いた。

 携帯が鳴ると二人して驚きと期待に跳びあがった。



『!』




653 ◆xjSC8AOvWI2019/07/20(土) 00:43:12.81yme7gSOJ0 (2/2)

--------------------------
ここまで
次回は21日(日)夕の予定です


654以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/20(土) 10:31:58.19MGYiIzjXO (1/1)

杏子、ツンデレ乙
悪態ついてる時点で気にしてるって白状してるもんだよなー
杏子の性格からして気にしてないなら最初から無視してるだろうから



655 ◆xjSC8AOvWI2019/07/21(日) 21:46:12.95qi+jqMPu0 (1/1)




仁美『まどかさん。……さやかさんと連絡がとれました。今は私の目の前に居ます』

まどか『本当!仁美ちゃん、今どこ!?』

仁美『はい。場所は――――……』




 耳に当てていた機器を置く。

 仁美の前にはふてくされたように顔を逸らしたさやかが座っている。この発端となる、告白を宣言した時にも訪れた場所だ。


さやか「……仁美も恭介にフラれたってホントなの?」

仁美「そんなこと嘘つけませんよ。私は正直な話しかしません」

仁美「だから、さやかさんの本当の気持ちも教えてください。さやかさんは何があったんですか?……後悔するような、逃げたくなることがあったんですか?」

さやか「……」

仁美「私達は同じなんです。私は友達として、何を話されてもさやかさんの味方でいますから」

さやか「本当?でもきっと、あたしと仁美は違うよ」



656 ◆xjSC8AOvWI2019/07/22(月) 00:54:26.92AOrPElkf0 (1/3)


仁美「どうしてですか……!」

さやか「だって、仁美はあんなことしないだろうし、もししたとして仁美が相手だったら……――」

仁美「……私が相手だったらどうにかなったと思いますか?」

仁美「なにがあったのかはわからないです。でも私、『付き合ったとしても志筑さんの気持ちには向き合えないと思う』って断られたんです」

仁美「自分の気持ちもよくわからないそうだったけど、はっきりと……。きっと彼の心は私にないんです」

さやか「そ、そう……だったんだ」

仁美「私はさっきも言いました。なにを話されても味方でいるって。……なにがあったか教えていただけませんか?」

さやか「あたし……恭介とキスしたんだ」

仁美「!」

さやか「あたしのこと友達以上に思ってくれてないのが悔しくて、焦って、でも恭介はやっぱり友達としてなかったからさ」

さやか「友達としか思ってなかったからこんなことしてくると思わなかった、って……」

さやか「それ聞いた瞬間、あたし何やってんだろって思って。すっごい後悔して、もう全部なかったことにしたくなって逃げてきちゃったんだ」

仁美「そうだったんですのね……でも少し意外でした。さやかさんがそこまで思い切った行動をとるなんて」

さやか「勝手な行動だよ。一方的でさ。相手からしたらいい迷惑だって」



657 ◆xjSC8AOvWI2019/07/22(月) 01:40:02.65AOrPElkf0 (2/3)


仁美「それは、上条君がそう言ったのですか?」

さやか「え? いや……でも絶対そう思ってるよ」

仁美「それは決めつけです。だって、さやかさんは上条君の言葉を“最後”まで聞かなかったのではないですか?」

仁美「『こんなことしてくると思わなかった』って言っただけなら、それ自体は拒絶の言葉じゃないですもの」


 さやかはその言葉にはっとしたように顔を上げる。自分の中で否定していた可能性。安易に期待はできなかった。

 それを仁美が言ったのだから複雑な気持ちだった。諦めてくれたほうが都合がいいはずなのに、敵に塩を送るようなもの。


仁美「私はまだ諦めてません。私の気持ちに応えられないと言ったのは『今』のことです」

仁美「さやかさんは『友達』として上条君に大切に思われているじゃないですか。友達を簡単に見放したりする人じゃないのでしょう?」

仁美「私からすればそれだって羨ましいです。できることなら代わって欲しいくらい! ……でもきっとそれじゃ違うのでしょうね」

さやか「羨ましい……?」

仁美「逃げなければ、きっとさやかさんは私よりチャンスはあるはずなんです。もうさやかさんの思いは伝わっているのですから」


 仁美は改めてさやかに宣戦布告をする。

 ……その時、バタバタとこの場に足音が近づいてきた。




658 ◆xjSC8AOvWI2019/07/22(月) 01:40:31.49AOrPElkf0 (3/3)

------------------------
ここまで


659以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/22(月) 20:29:01.30MAQxvCr60 (1/1)

仁美がさやかを見つけるとは思わなかった
いや、さやかの方から会いに来たのかな?


660 ◆xjSC8AOvWI2019/07/28(日) 21:07:19.30vsb4ViTh0 (1/6)



まどか「さやかちゃん!」

ほむら「美樹さん」


 まずは先に探し始めた二人が。


杏子「ホントにここで合ってるんだよな!?」

キリカ「たぶん間違いないって、ほらあっち!」


 それから続いてほむらたちの姿を追いかけるように杏子たちが来る。


さやか「まどか……ほむら。 と、だれ……?」

ほむら「魔法少女よ。私の仲間なの」

さやか「あぁ、そうだね。杏子ってやつもいるしそれ以外にないとは思った。でも」

杏子「来る理由がないっていうのか?まったくだ」

キリカ「違うでしょ!理由ならある!」

仁美「……?」


 一人事情のわからない仁美だけ少し置いて行かれたような反応をしている。

 しかし深くは追及することはない。




661 ◆xjSC8AOvWI2019/07/28(日) 21:57:57.11vsb4ViTh0 (2/6)



まどか「さやかちゃん。……無事でよかった。こんなに探してくれる人がいるんだよ。みんなさやかちゃんを心配してるの」

まどか「だから自分を粗末にしないでよ。友達じゃなくなってもいいなんて言わないで」

さやか「ち、ちがうよ。あたしの望みはあたしの勝手なわがままで……」

さやか「それこそ自分さえよければいいってくらい、私利私欲で、自業自得で」

ほむら「それでも誰かに心配してもらう権利はある……と思うの。現にあなたの周りにはこれだけ人が集まってる。ご両親だって心配してる」

ほむら「私もそうよ。……あなたとも、これからやっと本当の友達になれるはずなんだから」


 さやかはもう気づいていた。いや、最初から気づいていた。――杏子に指摘される前から。仁美と話す前から。

 さやかの反応から仁美が見透かして言う。


仁美「もう気づいてますよね?」

さやか「うん。あたしは自分のために何もかもから逃げようとした。『逃げ』だったんだ。でもあたし、やっぱり――」

さやか「もう一度恭介と向き合いたいよ! 続きの言葉を聞きたい」



 鼻をすする音が響く。下に向けた顔からテーブルに涙が零れ落ちていた。





662以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/28(日) 21:58:52.45iZRPIJkb0 (1/1)

キリカがさやかがここにいるって断言した理由は何だろう?


663 ◆xjSC8AOvWI2019/07/28(日) 22:04:58.92vsb4ViTh0 (3/6)

------------------------------------------------
店の場所はみんなに伝えられていた→ほむらの姿があったので寄って行った
って感じです。深い理由はないです。あとキリカはワル夜前に魔法少女たちと行動してなかったのでこの場に居たほむら以外の人の顔を知らないんですよね。


664以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/28(日) 22:31:23.48F/asNOn9O (1/1)

キリカ編の因果が巡りめぐって見つけたのかと思ったw


665以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/28(日) 22:39:29.09zrfk9Ygw0 (1/2)


キリカ編だとさやかと仲良いからなぁ


666 ◆xjSC8AOvWI2019/07/28(日) 22:51:23.78vsb4ViTh0 (4/6)



ほむら「志筑さん……ありがとう。あなたがいなかったら美樹さんの心は開けなかったと思う」

ほむら「でも、今日は先に帰ってもらってもいい? 私も少し二人で話したいことがあるの」

仁美「はい。私の言いたいことは伝えられましたし、そういうことなら……」

仁美「じつは私も習い事抜けてきちゃったんです。あとはお願いしますねっ」



 ……急いだ様子で去っていく仁美を見届けると、まどかは口を開いた。


まどか「ほむらちゃん、二人でって言ってたけど……」

ほむら「……嘘。ごまかしただけ」

ほむら「志筑さんには悪いけど、魔法少女のことを言いにくいと思って。杏子もなにか言いたそうな顔をしてるでしょう?」

杏子「アンタはガッコーの友達とあたしたちで態度に差があるよな」

ほむら「そうかしら?」

杏子「自覚なしか」

まどか「わたしたちとは別の意味でみんなには遠慮なく言うのに慣れたのかな。わたしたちにも遠慮しなくていいよ?」

ほむら「……」



667 ◆xjSC8AOvWI2019/07/28(日) 23:51:15.99vsb4ViTh0 (5/6)



 みんなが少し脇道逸れた話をしている間、さやかは何を言われるか身構えるように複雑な表情をしていた。

 杏子の物言いはきつい。この件でも何度も嫌味ともとれる忠告に反発したことがあった。……その結果がこの状況だ。


杏子「……まあ、向き合うならいいんじゃねーの?所詮アンタは本当の意味の自分勝手にはなれないってよくわかった」

杏子「けど気に入らないんだよ、どっちも。気に入らなかったから来た。意味合いは違ってもみんな案外そんなもんなんだよ。偽善も善悪もあるか」

キリカ「素直じゃない人は置いといて、うーんまあ突き詰めるとそんなもんなのかなあ」

キリカ「だって私もみんなも、世界が滅ぶとか関係なくキミの契約には反対だったんだよ。絶対後悔するだろうから。……今後もそうだよ」

キリカ「部外者かもしれないけどもし契約したら仲間になるんだから私にも言う権利はあるよ」

ほむら「私もさっき言った事は本当のことなの。前まではたしかに余裕がなかった。でも今はまどかだけじゃなくてみんな無事でいてほしいと思ってる」

ほむら「だから……私からも。契約はしないでほしい。こっちのことは私達に任せてほしい」

まどか「ね。……さやかちゃんは一人じゃないよ」


 みんなに囲まれ、さやかは再び何かが込み上げるのを――あるいは何か、温かいものに包まれている感覚を覚える。


さやか「さっきまで、関係がなくなってもいいって思ってたのにな。……なんだかそう言われるとすごく嬉しいよ。ありがとう」

杏子「腹減ったなぁー。どうせなら飯もここで食ってこうかな」

ほむら「もう、結局それなのね……」

キリカ「あっ期間限定のパフェでてる!夏だね」


 さやかの言葉を聞いたみんなは安堵し、一気に打ち解けた雰囲気へと変わる。

 ……しかし、一つだけ気にかかったことがあった。


ほむら(……あすみにも送ったけど来てないのね)

ほむら(小巻は返事をくれたけど…………)


 ほぼ無関係な魔法少女まで全員同じように情を抱いているわけではない。

 ほむらはしょうがないと思って諦める。


 数人が注文に席を離れていく中、もう一つの足音が近づいてきたのはその時だった。




668 ◆xjSC8AOvWI2019/07/28(日) 23:53:47.35vsb4ViTh0 (6/6)

---------------------
ここまで。


669以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/07/28(日) 23:59:46.84zrfk9Ygw0 (2/2)

乙です

最後の足音は誰かな?あすみか小巻か…大穴で上条かな?
一先ずさやかも落ち着いた感じですけど、あすみだとまたさやかが反発しそうだなぁ


670 ◆xjSC8AOvWI2019/08/04(日) 22:07:21.17yu7VvOcy0 (1/2)



あすみ「……何、この雰囲気?」


 あすみはここに来る前の杏子に勝るとも劣らずの不機嫌な様相で立っていた。


あすみ「茶番は終わったの? じゃあ今から私がぐちぐち説教垂れても逆効果だよね。本当プライベート削ってまできたのにさー」

あすみ「で、実際何をどこまでやらかしたのさ」


 さやかの向かい側にある空いている席に座り込み、テーブルに肘をつく。


さやか「……恭介とキスした」

あすみ「『キス』? はあ?ふざけてんの? そのくらいでここまでおーごとにしてさ、迷惑かけて悩んでたわけ?」

あすみ「アンタ、私の言葉に動かされて行動したんでしょ? 私のアドバイスを受けたくせにたったそれだけ?」

さやか「…………」


 軽口、いつもの光景のようにも思える。しかしどこかいつもとは違う棘のある雰囲気を纏っていた。

 一緒にいることの長かったみんなはそれに気づく。


 何より大事にしているプライベートを削ってまであすみがここに来た原動力は『怒り』だった。

 それをぶつけるためにここにきていた。




671以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/04(日) 22:20:35.51dyQvvBRY0 (1/1)

あすみん、おこ


672 ◆xjSC8AOvWI2019/08/04(日) 23:56:22.99yu7VvOcy0 (2/2)



ほむら「美樹さん、この子の話は話半分にして流しても……」


 ほむらはそれでも気づいてないようにいつも通りにあしらうのが一番と判断する。

 そうすればあすみもそれ以上には返すことはない。しかし気になることはあった。

 その言葉以上に、ほむらの中では散々に絶望した“前回”と比べて際立った不自然さも実感として引っ掛かっていた。


ほむら「……待って、あなたが唆したの?」

あすみ「ああ失言。その言い方は人聞き悪いな。だからアドバイスだって」

ほむら「でもそうなってるでしょう? それがなければ美樹さんはそんなこと……」

あすみ「チュートハンパだからいけないんじゃない? もっと堂々といけばうまくいったのに」

あすみ「でももうなんとかなったんだろ。この雰囲気を見る限りそうじゃん」

ほむら「そうかもしれないけど……誰でもあなたみたいに考えられるわけじゃない」


 言い合っていると食べ物を注文しに行った二人が戻ってくる。

 各々食べたい物をのせたトレーを運んできた。


キリカ「おまたせー……――って、あすみも来てたんだ?」

杏子「これからは腹ごしらえの時間だ。アンタも適当に食べたら?」


 あすみは二人のことも意に介さずに言う。




673以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/05(月) 00:03:21.711JkFZtmb0 (1/1)

あすみからしたらさやかが煮えきらず悩んだあげく契約なんかしたら不安要素が増えるだけだからね
あすみにはあんなアドバイスしか出来ないから誤解されるのはしょうがないけど、心配してるのは確かだからな


674 ◆xjSC8AOvWI2019/08/05(月) 00:46:08.40exVLuFx80 (1/3)


あすみ「私みたいにって何よ?」

あすみ「私の考えがおかしいってわけ?」

キリカ「え? 何?」

ほむら「…………え」


 状況が分かっていない二人と、戸惑うほむら。

 さっきまで当事者だったさやかとまどかはほむらの感じた違和感にも気づけないままただ見ているしかなかった。


杏子「喧嘩か? 珍しいな。アンタがそうやってマジになって怒るなんて」

あすみ「……うるさいな」

杏子「あぁ、悪かったよ」

ほむら「やっぱり普通とは違う……とは思う」

あすみ「ハァ…………そうだね。自分がおかしいのなんてわかりきってたことじゃん」

あすみ「普通の考えなんかできないんだよ。したくもないし」


 あすみはそう言うと席を立つ。

 ――そしてまた、興味をなくしたように、不機嫌そうに言って去っていった。


あすみ「……帰る。貴重な時間使って来るんじゃなかった」




675 ◆xjSC8AOvWI2019/08/05(月) 01:20:21.02exVLuFx80 (2/3)



「………………」


 この場に居たみんなが何も言えずにきょとんと見送る。

 あすみの姿がなくなってからまず興味本位が話題を蒸し返す。


キリカ「ねえ、何の話?やっぱなんか下ネタ言ったの?」

杏子「そりゃおかしいだろ。いつもふざけたこと言ってんのに今更怒ることあるか?」

ほむら「そうね…………でもさっきは」


 ほむらはいつもとは違う違和感を口にしようとする。

 しかしそれを具体的に説明することはできなかった。


まどか「あすみちゃん、どうしちゃったの……?前はあんなこと言う子じゃなかったのに」

キリカ「別にどうにもなってないよ。君の前じゃそうじゃなかったなら化けの皮が剥がれただけ」

さやか「……あたしはあすみの言ったとおりに丸め込めればいいとは思わない。そんなのって一時でしょ」

まどか「さやかちゃんはまだ自分のやったこと、後悔はしてる?」

ほむら「この前の世界では、上条君は志筑さんの告白を受け入れていた。今回そうならなかったのはきっと美樹さん自身の行動のおかげ」

ほむら「ちゃんと思いを伝えられたから――じゃないかな。だから、それは後悔しなくていいと思う」

さやか「そっか。……そうだね」

キリカ「それよりアイツだなあ……」


 キリカはあすみの去って行った方向を見る。もちろんとっくに姿はない。




676 ◆xjSC8AOvWI2019/08/05(月) 01:25:44.05exVLuFx80 (3/3)

---------------
ここまで


677以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/05(月) 23:28:55.76gCFFejId0 (1/1)

おつです

何気にキリカがあすみに毒吐いてるなぁ
キリカがあすみのことをアイツ呼ばわりしてるけど、表の顔も裏の顔も知っていて一番あすみのこと解ってるのキリカだし
何か意味があってそう呼んだのかな?



678 ◆xjSC8AOvWI2019/08/17(土) 15:21:12.24lE4b6Qcr0 (1/6)

お盆もラストですね…(休めたとは言ってない)
結構間空いちゃったけど人いるだろうか


679 ◆xjSC8AOvWI2019/08/17(土) 16:16:05.67lE4b6Qcr0 (2/6)



キリカ「なんか予想外なとこで面倒くさいことになっちゃったね」

杏子「あー、とにかくあと流れ解散でいいか?」

まどか「その……」

キリカ「ん?」

杏子「あ?」

まどか「あすみちゃんに何か言ったほうがいいかな……?」

杏子「心配すんな。それはアンタの役割じゃない。強いて言うならコイツのほうが仲いいんじゃないのか?」

キリカ「……私も何て言ったらいいかわかんないよ」

ほむら「とにかく、美樹さんのことは解決できたんだし、あとのことはまどかは気にしなくてもいいから……」

まどか「…………わかった。じゃあおまかせするね」

さやか「それうまそうっすね。あたしもおなかすいてきちゃったな」


 一通り話を終えると、停滞していた雰囲気は急激に緩んで戻る。

 それから腹を満たしたり雑談したりしながら残りもバラバラと解散していった。



ほむら「……とりあえずまた明日、ね。案外明日になったら忘れてるかもしれないし」



――――――
翌日



あすみ「……」


 その翌日も、訓練場所には人が集まっていた。

 魔法少女たちの様子をあすみは睨むように見ている。




680 ◆xjSC8AOvWI2019/08/17(土) 16:54:45.83lE4b6Qcr0 (3/6)



キリカ「うわぁ、まだぶすっとしてるよ……」

杏子「思ったより重症か? いや、いつもあんなんな気もしてきたな」

キリカ「そう言われたらどうだろ。厳しいのはいつもだしそんな気もするような?」

ほむら「あすみ、この前の続きを見てもらいたいのだけど……」

あすみ「あぁー……ハイハイ。そっちから私をご指名ね。で? なんか用意してきたの?」

ほむら「訓練用の模造刀は用意してきたの。あと鉄パイプを――」


 ほむらが話しかけると、少し開けたほうに移動していく。


キリカ「あと、いっこ違和感があるかな」

杏子「一個か。なんだ?」

キリカ「今日下ネタ言ってないなって」

杏子「そのほうがいいだろ……」



681 ◆xjSC8AOvWI2019/08/17(土) 19:00:02.64lE4b6Qcr0 (4/6)


杏子「でもさ、あたしだって……冷静じゃいられなくなる話題ってのはあるだろ」

キリカ「……」

杏子「一目見た時からわかった。あいつはあたしと同じ臭いがしたんだよ」

杏子「妹がいるらしいが、あいつどうせろくな家族いないだろ?本当の妹かも怪しいしな」

杏子「ガッコーいかずにこの世界で生きてる奴なんて大体ろくでもないんだよ」

キリカ「そうなのかなあ」


 キリカは考える。冷静じゃいられなくなる話題――自分にもあるかもしれないけど、そこまで大げさなことじゃない。

 真剣に言った杏子に、キリカはあすみのことを考える前にまず目の前の杏子のことを考える。

 そして、あすみについても杏子の言ったことに思い当たる節はあった。


キリカ「……つまりどうしたらいいんだ?」

杏子「つまりだなぁ、繊細な問題がありそうだから迂闊に触れてやるなってことだよ」




682以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 20:33:23.47VX8oAz8tO (1/1)

待ってたよ!


683 ◆xjSC8AOvWI2019/08/17(土) 22:56:17.14lE4b6Qcr0 (5/6)



あすみ「で、どんなの持ってきたの」

ほむら「これなんだけど……」


 ほむらが盾から模造刀を取り出す。

 顔をのぞかせた銀色の刃は一見切れ味の良い刃物のようにも見えるが、よく見ると紙を貼り付けただけのチャチな偽物であることがわかる。

 さしずめ演劇部の部室にでも眠ってそうな演出用のセットだ。


あすみ「あはは、まさかの自作とか?」

ほむら「たかが偽物って思ってたけど、模造刀も買うと意外と値が張るみたい。小さい子向けのおもちゃよりは練習道具になりそうでしょう?」


 前にあすみが考えた専用の武器がないとお金がかかると思ったのは正しかった。


あすみ「それならそれで魔力くらい通して強化しといてよ。すぐぶっ壊れそうじゃん。折角頑張って工作したんでしょ」

ほむら「ええ、わかったわ」

あすみ「……じゃあ、さっそく手合せすんの?」


 ほむらが模造刀に魔力を通すと、刀身は薄く紫色に光る。

 軽く武器を構えると、互いに相手を見据える。




684以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 23:08:38.97ta4C/1fw0 (1/2)

演劇用の小道具…
ここは高くてもちゃんとした模造刀の方がよかった気がするがw


685 ◆xjSC8AOvWI2019/08/17(土) 23:50:34.52lE4b6Qcr0 (6/6)



あすみ「構えがなってない。もう忘れてんの?」

ほむら「えっと……?」

あすみ「武器を腕だけで持ってると、すぐ……こうやって取られるんだよ」

ほむら「!」


 柄の部分への一撃で刀が手から離れて飛んでいく。


あすみ「はい一本。戦わないうちに決着つくとかつまんないことやめてよね」


 一旦手合せの形をやめ、まずはほむらのフォームから正していく。

 再び二人が向き合ったのは何回か素振りを繰りかえさせてからだった。


あすみ「アンタはただでさえ力が弱いんだから人一倍基本に気を配らないと。力任せになんてできないよ?」

ほむら「わかっているけど……!」

あすみ「わかってるけどまだ身体がついてかないのもわかってんだよ」


 それを慣れさせるための訓練なのだから。




686以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/17(土) 23:57:55.67ta4C/1fw0 (2/2)

あすみんコーチの指導は厳しいでぇ…


687 ◆xjSC8AOvWI2019/08/18(日) 19:43:38.980Cjgz/J40 (1/5)



 手合せの勝敗はすぐにつく。大体が一手か二手だ。

 何度やってもほむらの惨敗だった。


 手作りの模造刀は塗装が剥げてボロボロになっていた。ボッキリといかなかっただけマシだろうか。


あすみ「これで終了―。私からしたらまるで戦いがいがないね。久しぶりに杏子とでもやってこようかな」

あすみ「てか、それまた直して使うの?」

ほむら「材料はあるから気が向いたら。ベースは百均だし」

あすみ「へー。戦闘はともかく工作得意っぷりはすごいわね。ほかにも色々と武器作ってみたら?」

あすみ「魔力でうまいこと加工できればさらに幅が広がるかも――それには魔力の扱いをもっと鍛えないとか」


 いつもより無愛想だのと言われていたが、いつのまにかいつもの調子に戻っていた。

 ……あすみ自身にも一応、いつもより機嫌の悪い自覚はあったのだ。しかしそれで戦いの手まで乱されることはなかった。



 戦いやその技術は本領発揮できる分野、魔法少女の訓練自体ホームグラウンドのようなものだった。



あすみ(昨日からつまんないことで心動かされちゃって馬鹿らしい。私らしくもない)

あすみ(なんだよ、あのバカのせいで……とにかくもう終わったことだ。関係ない)

あすみ(この生活を送る分にはこれ以上ムカつくことなんてないんだから)




688 ◆xjSC8AOvWI2019/08/18(日) 20:17:18.180Cjgz/J40 (2/5)



 ほむらとの一対一の訓練が終わると、さっきの発言通り杏子のほうに行こうとする。

 その前に数日ぶりに見る目に入って声をかけに行く。


あすみ「おー、ひさしぶりのこまきち。アンタにちょっと聞きたいことがあるんだった」

小巻「なによ?機嫌は戻ったの? さっきはいつも以上に目つきが鋭くてみんなビクビクだったわよ」

あすみ「怒った時のこまきちほどじゃないよ。でさ、アンタなんとかってお菓子しってる?」

小巻「『ナントカ』でわかるわけないでしょ」

あすみ「そりゃそうだ。なんつってたかなー、グシャーとかドシャーとか言ってたかな」

小巻「……『ラング・ド・シャ』?」

あすみ「それかな。よくこれだけで通じたな。さっすがブルジョア。それなに?うまいの?」

小巻「薄くてサクサクしたサブレでしょ。別に安物でよければその辺にも売ってると思うけど」

あすみ「……アンタからしたらそうなんだろうけどさ。その安物すら買えない、縁がない人もいるんだよ」


 ぷいっと目を逸らす。

 小巻からしたら普通の市販品すら『普通』の基準から劣る安物扱いだ。

 ……相手がどういう人かはわかっていたけれど、金持ちの感覚を当たり前とした言い方にまた少し機嫌が悪くなった。


小巻「アンタってホントこう見えて気難しいわね。普段ヘラヘラしてるくせに」

小巻「はあ……食べたいなら今度持ってきてやろうか?」

あすみ「ほんの興味で聞いてみただけだし。そんな変な名前のお菓子のどうでもいいよ」

小巻「こうひねくれてるからアンタはもうー……」




689以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/18(日) 21:20:31.52dpCk5ttfO (1/3)

あすみはもうちょい素直になった方がいいと思うけど無理なんだろうな


690 ◆xjSC8AOvWI2019/08/18(日) 21:32:01.560Cjgz/J40 (3/5)



あすみ「で、本当は何しようとしてたんだっけな。あ、そうだ。手ごたえあるヤツと戦いたかったんだ」

あすみ「アンタじゃ力不足だからもう用はないよ?」

あすみ「あいたっ」


 私がいつものように軽口を叩いていると、斧の柄の部分を振り回した一撃が飛んでくる。


小巻「このー!随分言ってくれるわね!アンタとあたしにそこまでの差がある?」

あすみ「不意打ちはひどいよ!」

小巻「あたしを力不足だって言うなら不意打ちくらい軽々躱してみせなさいよね」

あすみ「いっとっけど、本気出したらマジで一捻りだからね?」

あすみ「ただ一度使ったら疲れる『本気』をアンタなんかに使うのがもったいないだけですー!」

小巻「そんなの実力としてあってないようなものじゃない」

あすみ「あーもう面倒だな!そんなに私と遊びたいか!なら相手してやるよ!なんなら今晩ベッドの上とかでも……」


 ふざけ合っているうちについいつもの調子で出たほとんど冗談のつもりの言葉。

 最近は本当にただの冗談が多かった。第一、相手がいないからすることがない。

 万一昔のようなことがあったとしても今なら力任せに破壊できる。


 ――と、いつになく複雑な考えを過ぎらせてしまっていると、鉄拳制裁の代わりに飛んできたのは次なる攻撃。




691以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/18(日) 21:51:15.41dpCk5ttfO (2/3)

鉄拳制裁w
小巻はほんと漢気があるな


692以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/18(日) 22:09:03.4891YFBvwT0 (1/1)

あすみと小巻の模擬戦闘って何気に初めてかな?
文章として書かれてないところでやってるかも知れないけど


693 ◆xjSC8AOvWI2019/08/18(日) 22:38:54.870Cjgz/J40 (4/5)



あすみ「っ……」


 身体が意図しない方向によろめき、遅れて鈍い痛覚に気づく。

 いつもだったらわざと大げさなリアクションをしてみせるか、手合せの最中と考えれば対処も出来たはずだった。

 そんな私に小巻も何か気づいたのか、一旦戦闘の構えをやめて覗きこんでくる。


小巻「……アンタどうしたの? 今朝といい」


 すると、そこにさっきまであっちで訓練してた二人組が駆け寄ってくる。

 一人が相方を支えるようにして来ていた。


*「ちょっといい? 訓練中っすか? 一段落したっぽいから声かけるけど!」

小巻「ん? あー、怪我したのね」

*「そーなんすよー、今日ひかりちゃんいないし先輩の魔法だけが頼りで!」

小巻「あたしはアンタと同じ学校じゃないけど?アンタみたいな後輩はどう見てもうちにはいないタイプよ」

*「むっ、白女と庶民のアタシを一緒にされちゃイヤ? 考えてみたらあすみサンでもいいなー……」

あすみ「はいはい。私が治してやってもいいよ。魔力はすぐ回復できるしね」


 歩きづらそうにしている足は見てみると打撲らしく、痛々しい色に変色していた。

 調子のいい怪我をしてないほうの魔法少女が元気に喋っていたが、もう一人のほうも礼を言った。




694以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/18(日) 22:49:05.05Ik/kO9Yx0 (1/2)

あすみん、どうした?


695以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/18(日) 22:59:01.25dpCk5ttfO (3/3)

なんか調子悪いっぽい?


696 ◆xjSC8AOvWI2019/08/18(日) 23:24:14.130Cjgz/J40 (5/5)



あすみ「アンタも気をつけろよ。この前もあっただろ」

*「いやー、サーセンサーセン」


 怪我させたほうの魔法少女はそれにも関わらず呑気に笑う。ノリの軽い奴だ。これだけいればこういうやつも一人くらいは居る。

 こいつは絶対年下にさん付けなんかしないタイプだが、私のことは一目置いてるようなので悪い気はしない。


*「よし、治ったね!よかった。この前なんてアタシ、でっかい青痣作ったのに気づかなくて彼氏に心配されちゃって」

小巻「そうなの?いつの話?見えるとこだったら普通気づくんじゃないの」

*「いや、それが服の下で」

小巻「へえ……もうそこまで進んでるんだ?」

*「みんなそんなもんでしょ。先輩も女子校だからって油断してると取り残されますよ!青春に」

*「いくら白女でお嬢様ったって絶対作ってる人は作ってると思いますし」

あすみ「…………」


 私が治し終えたが、怪我の話からいつのまにか目の前でガールズトークらしきものが弾んでいた。

 小巻も私の話す下ネタは汚いだのと嫌がってるくせに、何故かこういう話だと自分からノっている。

 こうして過ごしていればこれ以上視界に入らないはずだと思ったばかりなのに、不意打ちをくらった気分で気が悪くなった。




697以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/18(日) 23:33:04.24Ik/kO9Yx0 (2/2)

あすみは他人のコイバナは割り切るしかないと思うが、でもまぁあんな経験があるとなるとなぁ…


698 ◆xjSC8AOvWI2019/08/19(月) 00:03:27.32HchHmxcl0 (1/2)



あすみ「訓練中なんだけど?」

*「え?固い事言わずに! そういうあすみサンもあんなこと言ってるくらいだし彼氏いるでしょ?」

*「いやー、最近の小学生?は早いなぁ。下ネタきついのはともかくそういうのはちょっとソンケイしてるし!」

*「ほら、こまきち先輩も負けてらんないって!」

あすみ「……はぁ?」

小巻「ちょっと、それは……」


 何かを感じ取った小巻が止めに入った。それは、私の言い表しようもない不快感が爆発する寸前だった。

 馬鹿みたいなガールズトーク、だけならまだしも。いや、それだって我慢ならないのに。


*「…………え? 何この空気?」

あすみ「何勝手なこと言っちゃってくれてんの?」

あすみ「そんなのいなきゃオカシイの?いなきゃ普通じゃないっていうの?昨日といい――」

小巻「その話はまた後で聞いてあげるから、とりあえず今は訓練に戻って」


 ぺこりと頭を下げて二人は戻っていく。

 さっき以上にぎくしゃくとした空気になってしまったが、今は私はそれ以上に怒りが込み上げていた。




699 ◆xjSC8AOvWI2019/08/19(月) 00:04:50.92HchHmxcl0 (2/2)

---------------
ここまで


700以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/19(月) 00:11:04.83EeCbLy2r0 (1/1)

乙です

うーん、あすみにそのネタは禁句なんだよねぇ
とはいえ事情を知らないからそういう話を振っちゃうのはしょうがないよね


701 ◆xjSC8AOvWI2019/08/22(木) 22:13:00.84J+giDLA30 (1/1)



 私たちも訓練に戻ろう。身体を動かせば、戦いで力を示せばきっと晴れるだろう。

 ……さっきまではそれで気を紛らわせていたのに、そんな気分じゃない。

 頭ではこんなことで苛立つことが意味ないことはわかっているのにうまくいかなかった。


あすみ(なんだこの有様。ああ…………こんな自分も嫌だな)


 ここなら目に入らないと油断した矢先だ。

 でも私は考えないようにしていたんだ。

 大嫌いなコイバナというもの。昔の私なら中心にいたかもしれない――


あすみ(――――違う。そんなもの! ……あっちゃならない)



 一気にここも安心できない場所になった気がした。



小巻「昨日、なんかあった?」

あすみ「は? 昨日?」

小巻「アンタが言ったんでしょ。『昨日といい』……何?」


 そういえば昨日はこいつはあの場に来てなかったようだが。

 一応みんなと一緒に呼ばれてはいたのだろうか。




702 ◆xjSC8AOvWI2019/08/23(金) 00:09:38.199VMKDkg/0 (1/1)



あすみ「そんなこと言ってないし。変なこと言うのやめてよ」

小巻「言った」

あすみ「言ってないってば……」

小巻「言ったって」


 ごまかそうとしても駄目だ。

 単純で、まっすぐで、遠慮なんてものを知らない目。小巻は引いてくれない。


小巻「……じゃあそれより前に何があったかって、さすがにそれは言いたくないのかしら」

小巻「やっぱりさっきからおかしいのよ。薄々思ってたけど、いつも“コイバナ”とか称して変な話するアンタがノッてこないってのはそういうことでしょ」

小巻「でも普段がアレじゃ、そういう話も振られるわよ」

小巻「だからやめたほうがいいって言ったのに……それであの子もああやって話を振ったの」


 小巻が不意にそんなことを言い出して、見透かされた気分になった。

 瞬間、さっと身体が足の先からてっぺんまで熱くなったような、逆に冷たくなったような感覚に見舞われる。

 前から私、見透かされるのは嫌いなんだ。


あすみ「……なにそれ? 知ったような話し方するなよ」

小巻「あー……そうなるのね」

あすみ「だから――!」

小巻「熱くなったんならとりあえず、こっちの決着つけない? 今は訓練中でしょ」


 小巻が武器を構える。

 私もフレイルを構え、素早く鉄球を振れるように向ける。こいつの話に乗るわけじゃないが、溜まった熱を発散したい気分ではあった。

 もしくはこのまま動かないと凍えて動けなくなりそうな。




703 ◆xjSC8AOvWI2019/08/25(日) 19:22:02.68tiu/x6De0 (1/5)



 ――相手の動きにすかさず反応し、予測できる位置に鉄球を振るう。

 思考は必要ない。本能で出来る経験があった。加えて相手が持つのは動作の始めからヒットまでの時間が長い重い武器。


あすみ「おっそいこまきちの攻撃なんて当たるわけないじゃん!」

小巻「アンタだって同じようなもんでしょ!」

あすみ「私は予測して動いてんだよ」


 小巻は一旦体勢をグラつかせる。

 しかし、実際小巻の言ったとおり、鉄球のついた状態のままじゃ斧を対処してから攻撃にまで移れる余裕はない。

 こっちも一撃のインターバルは長い。次の一撃を繰り出す頃には小巻も再び体勢を戻していた。

 相手も似たタイプだけあって、武器を手から放したり破壊したりするには至らなかったらしい。


小巻「てか本気出したら一捻りなんじゃなかったっけ?」

あすみ「……そうしてもいいんだけどね」


 ……魔法を使って本気を出そうにも集中できない。


 さっきのことで学習したのか、次に小巻が放ったのは飛び道具だった。武器を投げたのだ。それも刃の部分だけ。

 それだけでは勢いを止めず、刃を切り離した棒で突きを放ってくる。

 こいつと私は少し前から棒術もやりはじめたんだった。


 だからって負けない。




704 ◆xjSC8AOvWI2019/08/25(日) 21:08:33.26tiu/x6De0 (2/5)



 ひさしぶりに訓練で闘志を燃やしていた。

 もやもやを抱えたまま。それをぶつけるように?


あすみ「……クッソ!」


 こっちは威力は減らさない。『奇跡』の代わりに私は魔力の消費を厭わず鎖をいくつか伸ばして武器を操る力任せな戦法に出る。

 たかが訓練とはいえ、勝ちたかった。

 さっきはそんな気分じゃないって思ってた。でも何故だろう。ここで負けてしまったら今の私が否定されそうな気さえして。


小巻「こうしたほうがアンタはノってくれるんじゃないかって思った。でも、ちょっとくらい教えてくれたっていいじゃない」

小巻「昨日といえば、美樹さやかのことでみんな騒いでた日でしょ」

あすみ「なにそれ、揺さぶってるつもり?」


 小巻がそう意図して話したのかはわからない。

 でも実際に私は動きが鈍ってしまったのを感じた。負けたくない。


あすみ「別に私は何もないから! あいつが勝手に契約するとか言ってただけ。それももう終わった話だし」

あすみ「それとも何!? アンタに言ったからってどうなるっていうんだよ! もう誰にもどうにも出来ないんだよ!」

小巻「さやかの問題は終わったとしても、影響受けた奴の――アンタのは終わってないんじゃないかって思ってさ」

小巻「あたしたちにはそりゃやれることしかできないわよ。でも、意地張ってるよりはちょっとは素直に甘えたほうが落ち着くんじゃないの」

小巻「別に……アンタが今更少し甘えたところで弱みを突いてくるような奴なんていないわよ。アンタが一番知ってんじゃないの」

あすみ「……」


 力任せに振るっていた武器を下ろす。……どうしてだろう。一気に力が抜けていくような感覚だ。

 すると、小巻のほうも武器を下ろした。




705以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/25(日) 21:13:12.564UZDQagxO (1/2)

小巻、頼りになるなぁ


706 ◆xjSC8AOvWI2019/08/25(日) 21:37:27.75tiu/x6De0 (3/5)



あすみ「安い言葉で……。何も知らない奴の言葉で、説得なんかできると思うなよ」

あすみ「甘える? なにそれ笑える。年上ぶるなよ」

あすみ「……私のために一生を棒に振るくらい無茶なこといっても受け入れてくれる?」

あすみ「私のことを普通だって言ってくれんの?」


 何を思ってこんなことを言ってしまったんだろう。でも、コイツがあまりにもしつこいから。

 ……返答がかえってくるまでの少しの間がとても長い時間に思えた。


小巻「え、ヤダ」

あすみ「……えっ」


 返ってきた答えがあまりにもあっさりと期待を裏切られる内容で、耳を疑う。


あすみ「ちょっと!どういうつもり!?私の甘えを返せコラ!やっぱりなにも出来ないんじゃない!」

小巻「言ったでしょ! あたしは出来る事しか出来ないって」

小巻「ただ、まぁ……何を言っても引きはしないわよ」



 小巻は私を甘やかしつつも自分を曲げることはしなかった。小巻は頑固でまっすぐな小巻のままだ。

 家でもここでも普段は私は頼られる側で、私は自らそうあろうとしてそうなっている。

 こんな経験も貴重だと思いつつ、あの時までずっと私を甘えさせてくれていたお母さんのことを少しだけ思い出した。




707 ◆xjSC8AOvWI2019/08/25(日) 22:12:57.06tiu/x6De0 (4/5)




 ――――今日の訓練が終わる。結局、今日は日が暮れてみんな帰っていく時間までここにいた。



 小巻との戦闘はただの組手を越えていて、いつのまにか観衆ができていた。

 ほかにも心配する人がいたみたいで、そいつらも巻き込んで、昔から一緒に居る人にだけ『少しだけ』私の過去を話した。

 もちろんざっくりと匂わせる程度だ。気持ちの悪くなる細部までは話していない。ただ、そのあたりの話は禁句にはなっただろう。


 ゆま以外には絶対誰にも話さないだろうと思っていたことをさらけ出してしまった。

 ゆまにだって、ゆまにわからないような部分は話していない。


 そわそわする。落ち着かない。


あすみ(……ゆま、もう家に帰ってるかな)


 私はゆまが『普通』になりたいと言っていたのを思い出した。

 結局私も普通になりたかったんだ。なにひとつ変わろうとはしなくても、『普通』だって認めてほしかったんだ。


あすみ「ゆまの件も認めてあげたほうがいいのかな」


 それでも私は、今ははびこっている『普通』がどれだけロクでもないものか知っている。

 そんなもの追い求めて傷つく必要なんてないんだ。そんなのおかしい。


あすみ「…………私は、」




708以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/25(日) 22:37:05.18KPnV/Q4W0 (1/1)

あすみが少しだけ素直になったか…心の傷は癒せなくても少しだけでも楽になってほしいなぁ


709 ◆xjSC8AOvWI2019/08/25(日) 23:03:24.95tiu/x6De0 (5/5)



 あれこれ考え悩んだまま帰り道を歩き、家に帰る。

 玄関の扉を開けるとゆまが飛びついてきた。


あすみ「ゆま」

ゆま「おねえちゃん!」

ゆま「まってたんだよ。きのうも途中でどっかいっちゃったし、かえってからキゲンわるかったもん」


 ……『昨日』のこと、ゆまにまでバレてたんだ。


ゆま「トモダチはできたけどさびしいよ。だって、ゆまのことわかってくれるのはおねえちゃんだけだから……」

あすみ「……遅くなってゴメン。友達のことだけどさ、ゆまはその子と友達になりたいから友達でいるの?」

あすみ「それとも、『普通』になるため?」

ゆま「えっと……――」

あすみ「合わせるために友達になるならやめておきなよ」

あすみ「でもそうじゃなくてもし、もしもソイツ自身を見てこの子とは仲良くなりたいって思える人がいるなら――――」


あすみ「私のところにソイツ連れてきてよ。私が面接してやるから」

ゆま「め、メンセツ??」

あすみ「そいつが悪い虫じゃないか見定めてやるって意味だよ」


 これが私がずっと考えて出した答えだ。

 やっぱり『普通』になりたいなんてロクなもんじゃない。全部の人間を拒絶する必要はないってことも認めてやる。でも最後のは譲れない。


 ……私が話すと、ゆまはあれこれうんうんと考え込んだすえに返事をする。


ゆま「うん、わかった」

あすみ「で、面接予定は?」

ゆま「……もうちょっとかんがえてみる」


 頼りなさげな返事だけど、真剣に考えてくれている証拠なんだろう。

 もしゆまが誰か連れてくるなら、取られてしまう気がして心配なのと裏腹、それはそれで楽しみな気持ちもわいてきていた。



――――――
――――――


710以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/25(日) 23:26:04.934UZDQagxO (2/2)

あすみもしっかりお姉ちゃんやってるなぁ


711 ◆xjSC8AOvWI2019/08/26(月) 00:06:12.46BRuBEOwI0 (1/1)

――――――
後日
見滝原中学校 家庭科室



ほむら「……それで、結局美樹さんとと上条君はつきあいはじめたの?」

まどか「どうなんだろう……上条君は受け入れはしたけどまだ意識は友達のままみたいで、見た目は今までのまんまみたいな」

ほむら「たぶんきっと、元通り以上にはなってるよ」

まどか「そうかな。そうだよね!」


 クーラーのまわる音くらいしか聞こえない静かな教室で私たちは今日も作業を続けていた。

 最後の糸を切ると、まどかの手元には小さな黒猫が転がる。

 まどかはぬいぐるみを完成させて微笑んだ。私は思わず覗きこんで感嘆の声をあげた。


まどか「できた!」

ほむら「わっ、すごい……! この子、私が見てない間にこんなにできてたなんて」

ほむら「私も本格的に訓練をやりはじめて最近こっちにこられなかったけど、頑張らないと。美樹さんともまた遊んでみたい……な」

まどか「うん。さやかちゃんだって今みたいなほむらちゃんを出していけばわかってくれるはずだよ」


 そろそろ時刻は昼になる。

 そろそろ部活動を終えて帰る支度をはじめる。


まどか「今日もこれから訓練いくの?」

ほむら「やっと引っ越しが終わったの。今日からは新しい家だよ」

ほむら「よければ……もしよければだけど、今度まどかも遊びにこない?」

まどか「うん!もちろんだよ。喜んで」



 空の教室をあとにして帰り道を歩いていく。

 夏休みも終わりが近づく頃、眩しい日差しの中に二つの姿が並んでいた。



―END―


712以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/26(月) 00:15:32.81cGXD+kyo0 (1/1)


何かほむらの口調が変じゃないですかね?
もしかしてのむらじゃなくてキリカの間違い?


713以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/26(月) 00:20:22.68tvH5L2+r0 (1/1)

次回こそギャルゲーやりたいな


714以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/26(月) 01:24:29.70ozqFkbDv0 (1/1)

まだ4週目時点のほむらだからややマイルドな感じなんだろうね


715 ◆xjSC8AOvWI2019/08/28(水) 19:37:31.45pk7fz0A10 (1/6)

>>712, >>714
この世界のほむらはまどかの前でだけ素に戻るのです……。

最近進行が遅すぎてワラエナイ。リアルで帰りが遅いってのと他作者様のSSに浮気してたりモチベが。
なんか斬新なのもやりたいなって思いつつ、意見聞いてきます。


【まいどおなじみ選択可能な主人公はこちら】

・まどか☆マギカに登場するキャラ
・おりこ☆マギカ(本編・新約含)に登場するキャラ
・かずみ☆マギカに登場するキャラ
・上記作品中のモブ視点
・オリキャラ
・百江なぎさ
・神名あすみ


誰が何をする話、とかざっくりでもOK
どっかの作品の設定借りるみたいのもOK(作者が知ってるネタだけになるけど)
ギャルゲもOK
※もしかしたらキャラの設定とか個性が原作から崩壊するかもしれないけど、性格そのものを大幅に変えてしまうことはしません
 あくまで持ち味を活かせる形で!

↓3~5程度来たらなんかかんがえる


716以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 20:45:14.89eHwEVejI0 (1/9)

安価範囲おかしくない


717 ◆xjSC8AOvWI2019/08/28(水) 20:53:05.05pk7fz0A10 (2/6)

明確に指定はしないけど三つから五つ程度いくつかレスきたら考えますって感じの意味です
意見バラバラならそこから選択肢、賛成多いのがあればそれで決定かも


718以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 21:16:45.416VCi3A1G0 (1/1)

ギャルゲ行ってみよー


719以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 21:19:41.81eHwEVejI0 (2/9)

ギャルゲやりたい


720以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 21:24:32.11ecoG55YQ0 (1/5)

ギャルゲいくか


721 ◆xjSC8AOvWI2019/08/28(水) 21:54:24.98pk7fz0A10 (3/6)

いくか!


オリキャラだよね?
設定まわりきめます

・まず立ち位置的なの

1学生(大体2年か3年かにしたほうが関わりやすいと思われるけど、1年なら先輩なまどかとか珍しいものも見られるかも?)
2飛び級とかで卒業済
3魔法少女を導くキュゥべえ的なポジションとか
4えっ既存男キャラ主人公…?
5他

 下3レス多数決


722以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 22:20:34.79eHwEVejI0 (3/9)

1


723以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 22:20:50.49ecoG55YQ0 (2/5)

1


724 ◆xjSC8AOvWI2019/08/28(水) 22:35:06.45pk7fz0A10 (4/6)


【貴方】
多分見滝原中の学生って立ち位置。


・何年生?まどかたちとの関係とかは?(クラスメイトで友達とか、同じ部活にいるとか)
あと名前はデフォルトで【貴方】で進めようと思ってるけど、名前いる?


(特記事項がある場合すべて記述式でおねがいします)

下2レス


725以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 22:37:49.47eHwEVejI0 (4/9)

2年名前はいらない


726以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 22:38:22.00eHwEVejI0 (5/9)

クラスメイトで友達


727 ◆xjSC8AOvWI2019/08/28(水) 22:54:25.00pk7fz0A10 (5/6)


【貴方】
見滝原中の学生。二年生。クラスメイトとは大体仲いい。


開始前に用意した質問はあと一項目だよ。
そこそこ重要ポイント。まどかたちは契約してる?

※さすがにギャルゲなので物語中に進行するシリアス要素は抑制したいけど、要素をなくしすぎると性格も維持できなくなるジレンマ…

1主要キャラ5人みんな契約済。サニーデイライフ的な時空。
2もしもまどマギが正統派な魔法少女だったら
3まどかとさやかは契約してない。これからもしない。
4まどかとさやかは契約してない。ループ開始直後みたいな感じ。
5みんな契約してないよ

 下2レス

あとなんか決めたいことがあれば3レス分くらい。なさそうだったらはじめるよ。



728以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 22:58:05.79ecoG55YQ0 (3/5)




729以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 22:58:24.42eHwEVejI0 (6/9)




730以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 23:16:32.791/nCTSyg0 (1/2)

ほむらはメガほむで


731以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 23:18:40.94ecoG55YQ0 (4/5)

寧ろ、めがね外すとか特定の条件でクーほむになる二重人格設定なら一人で二つ美味しい(冗談)


732以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 23:27:27.04eHwEVejI0 (7/9)

織莉子とキリカとゆまはどうなるのかな、キリカにはあの男がいるし、ゆまは恋愛対象じゃないし、織莉子と仲良くなってたらいいな、
なんなら織莉子は義理の姉とかでもいいぞ


733以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 23:28:06.184AhldAPvO (1/1)

マミさんはユウリ(本物)と友達


734以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 23:30:44.18eHwEVejI0 (8/9)

クーほむとメガほむは双子の姉妹とか?


735以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 23:36:54.191/nCTSyg0 (2/2)

双子だと名前がほむらとホムラか?w


736 ◆xjSC8AOvWI2019/08/28(水) 23:46:12.80pk7fz0A10 (6/6)

>>730 OK
>>731 そこまで発生しやすい条件にはしないけど特定条件でっていうのは考えておきます。
>>733 主要キャラ5人が攻略対象です。他は主人公可能なキャラなら追加要素としてフラグを建てればもしかしたら登場するかも、程度で。

---------------------------------------------

――――――――

貴方「安価でヒロインを攻略するまどか☆マギカ?」


【開始】

――――――――


 目を覚ますと、何の変哲もない天井が目に入る。

 身体を起こせば今まで寝そべっていたベッドが見える。


 そう、今日もまたいたって平常な朝がはじまったのだ。


 見滝原中学校に通う【貴方】は平凡な学生だ。

 どこにでもあるような一日の始まり。これから朝の支度をして、一学生らしく学校に向かう。

 天才的な能力もなければ、もちろん奇跡も魔法も特別な力なんて使えない。


 そういえば一時期平和を脅かすらしい影、災害の前兆というのやもしれない珍説を唱える学者が話題になっていたっけ。

 ――ワルプルギスの夜、だとかそんな呼び名にうっすらと聞き覚えがあるような気もするけれど、


 ……とにかくこの街は平和だ。そんな平和な朝が幕を開ける。




737以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 23:48:34.02eHwEVejI0 (9/9)

織莉子は義理の姉で


738以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/28(水) 23:53:22.79ecoG55YQ0 (5/5)

何かの因果でさやか攻略のために上条とのつながりは薄くなってそう


739 ◆xjSC8AOvWI2019/08/29(木) 00:07:34.83BM5m3mac0 (1/11)

>>737 あの家庭は闇が深いぞ… 主要キャラ5人が攻略対象っていうのと、すでに書いちゃった平凡と相反するから無理かな
>>738 さやかは失恋後吹っ切ったようです。むしろチャンスかも?原作通り仁美と付き合ったって設定で。ただしリセット時に変わる可能性アリ。
------------------------------

【貴方】 1日目

[知り合い]
・鹿目まどか・・・クラスメイト
・美樹さやか・・・クラスメイト
・志筑仁美・・・クラスメイト

[攻略済]
なし


*一定まで好感度を上げるとそのキャラは【攻略済】に。キャラの攻略が終わったらリセットか続行を選択。リセット時には設定変更ができるかも。
*たぶんそんなに長くはしない。周回前提で。
*恋愛要素、はもちろんあるのですが…関係を深めすぎると他ヒロイン攻略は難しくなるかもしれません。
*ハーレムは距離感が大切。あんまりなオイタをすると刺される可能性もありますよ?
*目的は【攻略済】のキャラをたくさん作ること。リセットしても記録は引き継がれます。


 それではよい学園生活を!


740以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 00:24:33.65BmxXxXwn0 (1/6)




741 ◆xjSC8AOvWI2019/08/29(木) 00:25:26.67BM5m3mac0 (2/11)

――――
見滝原中学校 教室



貴方「はよー」


 略した挨拶を口にしながら自分の席をセットして座る。

 床のボタンを押すと机とイスがワンタッチで立ち上がる仕組みだ。

 …眠い。


「なんだか朝から気の抜ける声してんなぁ」


 後ろから聞こえてきた声に振り返ると女子二人組がやってきていた。


さやか「よっ、おはようさん」

まどか「おはよう、【貴方】くん。眠そうだね?」


 クラスメイト、【美樹さやか】と【鹿目まどか】だ。

 二人はいつも一緒に登校している。仲の良い友達同士だ。



1実はハマった漫画があって
2そんなことない、元気だ
3お前は朝から元気だな
4そういえば志筑は?
5自由安価

 下2レス


742以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 00:26:48.23WocI6ChU0 (1/8)

3


743以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 00:29:52.42cy/OS3e80 (1/2)

1


744 ◆xjSC8AOvWI2019/08/29(木) 00:31:29.35BM5m3mac0 (3/11)

----------------------------------------------
安価把握したところで今日はおやすみなさい。
次回は時間がとれるときに。日曜はたぶんやる。


745以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 00:47:28.36cy/OS3e80 (2/2)

乙でした

いよいよ始まったギャルゲ、どうなるか楽しみです


746 ◆xjSC8AOvWI2019/08/29(木) 20:30:08.51BM5m3mac0 (4/11)


貴方「実はハマった漫画があって」

さやか「へー。どんなの?」


 HRが始まるまで美樹と漫画の話をして盛り上がった。

 こいつ、女らしくないってほどじゃないけど、男友達に話すような話題ふっても食いついてくるし話しやすいんだよな。

 時々女子ってことを忘れてしまう。……なんて、口に出したらしばかれそうだ。


 鹿目さんは途中で違う女子と話しに行った。一か月ほど前に転校してきた【暁美ほむら】って子だ。

 登校中も二人と一緒に来てるはずなんだけど、すぐに自分の席に行ってしまう。とはいえ仲が良いらしい鹿目とは席が近い。

 女子はともかく、男子とはほとんどしゃべらないしまだあまりよく知っていない。


 ――授業開始のチャイムが鳴る。



授業中は、
1真面目に取り組む
2誰かがわからないところを聞いてきた(クラスメイト指定)
3他の人を眺める(クラスメイト指定)
4ねむいからねる
5面倒だからバックれるか

 下2レス


747以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 20:34:49.24WocI6ChU0 (2/8)

3 ほむら


748以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 20:35:13.81BmxXxXwn0 (2/6)

2ほむら


749以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 20:38:32.04BmxXxXwn0 (3/6)

杏子は協会に行けば会えるだろうけどマミさんはどうすれば知り合えるかな


750以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 20:52:21.24WocI6ChU0 (3/8)

とりあえず屋上にいこう


751 ◆xjSC8AOvWI2019/08/29(木) 20:55:15.35BM5m3mac0 (5/11)



「すみません、あの、これ……」


 すると、横から控え目な声が聞こえてきてノートが差し出された。

 可愛らしい小さなイラストつきで記されたノートには、今やってる授業の設問が書きかけで書かれている。

 ……暁美さんだ。珍しいな。自分から話しかけてきたのははじめてかもしれない。


貴方「ん?」

ほむら「この問題が、わから、なくて…………」


 自信なさげに消え入りそうになる語尾。

 わからない問題、というまさに自信のない話題だから尚更なのかもしれない。

 すると、鹿目さんまで助け舟のように割り込んできた。


まどか「ごめんね、わたしがほむらちゃんに聞かれたんだけど、わたしじゃわからなくて」



 下1レスコンマ判定1ケタ 【貴方】の学力
0~9

※0が最大、1から9は大きいほど良い
※00はクリティカルだよ。天才かもしれない。


752以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 21:03:59.97WocI6ChU0 (4/8)




753 ◆xjSC8AOvWI2019/08/29(木) 21:25:57.51BM5m3mac0 (6/11)

【学力】
7 そこそこ良いほうみたいです。問題も解けました。



貴方「ああこれか」

まどか「【貴方】くんはもう解けてたり?」

貴方「そうだけど、答え見せるだけじゃわからないだろ? 一緒にといてくか」

ほむら「えっ、あの、ありがとうございます……!」

貴方「いいよ。クラスメイトなんだから」

まどか「わたしも聞いておこうかなぁ……あ、そうだ。どうせならわたしはほむらちゃんから教わろうかな?」

ほむら「え、どういうことですか? 私なんて全然わからないのに」

まどか「【貴方】くんから教えてもらったことを教えてくれればいいんだよ。そうしたら、確認にもなるでしょ?」

ほむら「そうですね……」


 鹿目さんは自分の席に戻っていく。

 暁美さんとノートを覗きこんだ。……こうして見てみると自分の質素なノートとは全然違うな。

 ノートに自分で考えた痕跡みたいな計算式は残っていて、どこからわからないのかは少しだけ予想がついた。


貴方「まず、自分も最初は引っ掛かったんだけどさ、難しく考えちゃダメなんだよ」

貴方「これってよく見てみるとこの問題と少し似てない? 少し考え方を変えればいけるんだよ。こっちは解けてるんだしいけるよ」

ほむら「で、でも、少しって……」

貴方「んーと、そうだなぁ……――――」


 計算問題を暁美さんに教えていく。

 暁美さんは終始控えめな態度だった。そういえば転入早々、数学で当てられて泣きそうになってたことがあったっけ。

 心臓が弱くてずっと病院にいたんだ。いきなり勉強なんてできないのは当たり前だ。




754 ◆xjSC8AOvWI2019/08/29(木) 21:40:16.37BM5m3mac0 (7/11)



ほむら「――……ありがとうございました。おかげで、解けて……」

貴方「鹿目さんにも説明できそう?」

ほむら「た、たぶん……でも私なんかが教えなくても鹿目さんはもう解いてるかも」

貴方「そうかな? まあそれでもいいじゃないか。さっき言ってたとおり、確認にはなるんだし」

ほむら「私、ずっと、今も苦手意識があるんです」

貴方「数学?」

ほむら「当てられた時わからなくて、みんなの前に出たのにどうしようって怖くて焦って……」

貴方「それからちゃんと鹿目さんたちに聞いてるじゃないか。もうまったくわからないわけじゃないんだろ?」

ほむら「でもよく当ててくるし……」


 まあその気持ちはわかる。わからない時に限って当てられたりするんだよな。



1難しく考えなくてもいいんじゃない?
2前より進んでるよ
3自由安価

 下2レス


755以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 21:45:59.14WocI6ChU0 (5/8)

1


756以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 21:46:13.65BmxXxXwn0 (4/6)

1


757 ◆xjSC8AOvWI2019/08/29(木) 22:21:06.99BM5m3mac0 (8/11)



貴方「難しく考えなくてもいいんじゃない? 間違ったからって誰も取って食いやしないんだし」

ほむら「で、でも……鹿目さんが教えてくれたからなんとかなってるだけなんです。あ、あと今日は【貴方】さんも……」

貴方「また聞きに来ていいよ」


 暁美さんはやっぱり少し卑屈に見えるくらい自分を卑下していたけど、

 そう言うと驚いたような表情をして、それから小さく返事をした。


ほむら「…………はい」


 ひとつ、暁美さんがどんな人か知ることができた。

 せっかく同じクラスになったのだから、よく知らないままなんてもったいない。



さて、午前の授業は滞りなく終わりました。
お昼休みは?

1屋上!屋上!
2購買に飯買いに行かなきゃ
3普通に教室で食べるぞ
4自由安価

 下2レス


758以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 22:22:03.71BmxXxXwn0 (5/6)

このほむらメガほむか


759以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 22:22:31.81WocI6ChU0 (6/8)

1


760 ◆xjSC8AOvWI2019/08/29(木) 22:57:12.36BM5m3mac0 (9/11)

――――
昼休み



 チャイムが鳴って、伸びをしながら窓の外に目をやる。良い天気だ。

 鞄から昼食を取り出しつつそんなことを思う。


 こんな日は、今日は屋上に出てみようか。屋上は特に鍵がかかってなかったはずだ。

 他にも使ってる人はいるかな。誰もいないのかな。まあどっちでもいい。

 ふとした思いつきで立ち上がると、その頃には美樹たちは教室から出ていた。

 前々から友達同士でどっかに食べに行っているらしい。



貴方「……あれ?」


 階段を登り切って屋上の扉を開くと、その奥についさっき考えたばかりの姿があった。

 美樹と鹿目さんと暁美さん。 


貴方(あいつらもここだったのか)


 女子グループに入るのも少し気が引けるけど、ここまで来て戻るのもなんだ。

 離れたところで食べてるのもおかしい。声をかけてみようか。

 そう思った時、後ろから誰かの声がした。


「ちょっとごめんなさいね」

貴方「あ、あぁ、すみません」


 こんなふうに道を塞いで立っていたからだ。

 一言謝ってよける。知らない金色の髪を巻いた女子生徒の姿が横を通り抜けていった。




761 ◆xjSC8AOvWI2019/08/29(木) 23:06:10.75BM5m3mac0 (10/11)



 ……同学年じゃないよな。先輩かな。

 女子生徒は屋上に入っていくと、美樹たちのほうに加わる。


貴方(知り合いか)


 どうするかな。さらに入りづらくなってしまった。

 知らない人が一緒だとさすがに気が引ける。


 しばらくこのままでいると、四人は話を始める。

 しかし、途中でさっきの女子生徒がこっちを振り返って話を中断した。



「……あなた、入るの? 入らないの?」



1入る
2入らない
3あなたたちがよければ
4自由安価

 下2レス


762以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 23:07:50.23WocI6ChU0 (7/8)

3


763以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 23:08:10.06BmxXxXwn0 (6/6)

3


764 ◆xjSC8AOvWI2019/08/29(木) 23:39:59.20BM5m3mac0 (11/11)



貴方「あなたたちがよければ」

「そうね……、私たちも『入るな』なんて言える権利なんてないのだけど」


 彼女は少し曖昧に言葉を濁す。

 ……まあ、言わんとすることはわかる。


さやか「あ、【貴方】じゃん。 なに、いたの?」

まどか「ああえっと、ごめんね。【貴方】くんのことイヤだってわけじゃないんだけど、わたしたちもちょっと話してて……」


 あれだよな。女の子だけでしたい話とかもあるよなたぶん。

 男同士でも女を混ぜるには忍びないような話をしたい時はそりゃあるし。


 それを盗み聞きするなんて男のすることじゃねえ。ってことで、しかたなく戻ってきた……。



*午後の授業が終わると待ちに待った放課後です。学校が終わった後どこへいく?
1帰宅
2部活(部を指定)
3委員会
4寄り道
 ※人物指定はできません。また、知らない個人宅等も無理です。

 下2レス


765以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 23:41:45.98WocI6ChU0 (8/8)

3


766以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/29(木) 23:44:11.55s0VNVlr80 (1/1)

4繁華街


767 ◆xjSC8AOvWI2019/08/30(金) 00:04:43.22cX5vjGrL0 (1/2)

――――
放課後


 学校が終わるとそそくさと校門を出て行く。

 今日は別に用事はない。少し寄り道していこうか。


 
 ――駅近くの繁華街を目指して歩いていった。



 人混みに紛れて歩く。ここに来ればなんでも揃うから、どの時間でもいつも賑わっている。

 でもまあ、夜に比べれば今はマシなもんか? 


1買いたい物がある(記述も可能)
2ゲーセンよってこ
3食い歩くぞ

 下2レス


768以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/30(金) 00:07:06.62TsGPLbbU0 (1/1)

2


769以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/30(金) 00:07:29.079h0NOwnD0 (1/1)

3


770 ◆xjSC8AOvWI2019/08/30(金) 00:14:49.59cX5vjGrL0 (2/2)

----------------
今日はここまで。


771以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/30(金) 18:23:11.50pRHh7kwv0 (1/1)

今更だけど幼馴染も設定できる?


772以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/08/31(土) 17:09:47.781FS1Ag6b0 (1/1)




773 ◆xjSC8AOvWI2019/09/01(日) 19:43:02.27F17OYohA0 (1/7)



 ――よっしゃ。食い歩くぞ。

 そろそろ腹もすいてくる時間だ。ちょうどこの辺にはうまいものがたくさんある。


 さっそく目を付けたたこ焼き屋の前に行ってみる。

 ほかほかと香りの高い湯気を放つたこ焼きの船を受け取ると、近くで食べ始めることにした。

 タピオカやらクレープやら食べてる女子もそのへんにいる。

 ああいうのもいいかもしれないな、とは思うが一人でそこにいくのも多少気が引けた。


貴方(女子の連れでも一緒にいればアリかもなあ……)


 そう思っていると、向かいの通りのクレープ屋に立ち寄っていく見知った女子の姿を見つける。

 だが、二人だ。もう一人は知らない。美樹はしらない私服の少女と一緒にいた。




774以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/01(日) 20:58:40.84ZBuET0G3O (1/1)

杏子かな?


775 ◆xjSC8AOvWI2019/09/01(日) 21:11:11.48F17OYohA0 (2/7)



 美樹のほうは制服だ。いつもだったら帰りも鹿目さんと一緒にいるのはたまに見かけたが、今はその姿はない。

 見知らぬ少女は先輩だろうか? それとも後輩? 違う学校の生徒?


貴方(ま、妄想膨らませてないで直接聞けばいいな。ちょうどいいタイミングだし)


 知り合いって感じで合流してついでに買ってけば自然なはずだ。

 6個入りのたこ焼きをちょうど食べ終わると美樹に声をかけた。


貴方「よう、そっちも買い食い?」

さやか「あれ、【貴方】もいたんだ。あーー……まあそうかな?こいつが食いたいって言うから」

「さやかだって食べるくせに」

さやか「むー、まあ食べるけど……」

貴方「へえ、じゃあ食べようかな」


 なんか仲良さそうな雰囲気。



1友達?
2同じ学年じゃないよね?
3自由安価

 下2レス


776以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/01(日) 21:15:36.74Ycq/eGiE0 (1/3)

1


777以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/01(日) 21:16:31.4169CohVci0 (1/3)

1


778 ◆xjSC8AOvWI2019/09/01(日) 22:03:19.61F17OYohA0 (3/7)



貴方「で、そっちは友達?」

「「友達じゃないし!!」」

貴方「お、息ぴったり」

さやか「それより何頼むか決めてんの?」

貴方「あぁ、なんか定番のでいいや。これがいいな」

「あたしのはクリームいっぱいで」

店員「200%でよろしいですか?」

貴方(200%…………)


 二人と一緒にクレープを頼んで近くに腰掛ける。

 パーカーの少女の持ってるクレープはもっこもこだ。


貴方「友達でいいじゃないか。友達じゃなかったら何でこんなとこ一緒にいるんだよ」

さやか「べっ、別に……なんていうの?ただの仲間?チームメイト?」

貴方「なんか習い事でもやってたっけ?」

さやか「あたしらのことはなんでもいいからさ!」



 少女は黙々と食べている。最初はもっこもこだったクレープがみるみるうちに小さくなっていた。



1食べるの早いですね
2甘党?
3二人を遊びに誘う
4自由安価

 下2レス


779以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/01(日) 22:04:46.83Ycq/eGiE0 (2/3)

3


780以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/01(日) 22:04:46.9869CohVci0 (2/3)

3


781以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/01(日) 22:05:27.13bD0/N2AZ0 (1/1)

1+2
もうちょっとじっくり味わって食べようよ?


782 ◆xjSC8AOvWI2019/09/01(日) 23:03:49.21F17OYohA0 (4/7)


貴方「美樹たちはこれからどうするんだ?遊びに行くなら混ぜてよ。こっちは暇だし」

さやか「ゴメン、まだ寄るとこあるからさ」

貴方「寄るところ?」


 パーカーの少女は僕らよりも一足先に食べ終わっていた。

 すると、包み紙を小さく手の中に丸めてその辺に捨てようとしてるところを見つけてしまう。



1注意する
2見なかったことにする
3ゴミはもらっとくよ

 下2レス


783以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/01(日) 23:04:51.86Ycq/eGiE0 (3/3)




784以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/01(日) 23:05:17.2669CohVci0 (3/3)

3


785 ◆xjSC8AOvWI2019/09/01(日) 23:33:40.54F17OYohA0 (5/7)



 捨てる前にすかさず声をかける。


貴方「ゴミはもらっとくよ」

「……ああ、どうも」

さやか「へえ、気が利くのね。あたしのも食べ終わったらお願いね?」

貴方「ああ」


 良い奴ぶりたいわけじゃないけど、一回で済むし。

 このほうが効率的ってやつだ。


さやか「遊ぶのはまた今度ね。その時にはコイツはいないと思うけど」

貴方「へ? いないのか?」

さやか「本人が良いって言うならいいけどさぁ……もしくは、【貴方】が一緒のがいいって言うなら来る気になるんじゃない?」

「あたしは別にどうでもいいよ。アンタの知り合いだろ」


 みんな食べ終わると席を立って二人はどこかへ旅立っていく。

 遠ざかっていく話し声を聞き取る。


さやか「もう、遊びに来てるんじゃないんだからね」

「あいつは誰だったんだ?新しい男でもできたか?」

さやか「んなわけないでしょ!クラスメイトだよ」

「でも“今度”行くんだろ?」

さやか「友達としてだよ。てかさっきアンタ、またポイ捨てしようとしてたでしょ!」

「ハイハイ。捨ててないんだからいいだろ」



 …………本当に遊びに来てたわけじゃないらしい。

 二人の背中を見送って、家路についた。





786 ◆xjSC8AOvWI2019/09/01(日) 23:45:15.12F17OYohA0 (6/7)



【貴方】 1日目終了

[知り合い]
・鹿目まどか・・・クラスメイト
・美樹さやか・・・気兼ねなく話せる
・志筑仁美・・・クラスメイト
・暁美ほむら・・・勉強教えてあげた

[顔見知り]
・巻き毛の女子生徒・・・美樹たちの先輩?
・パーカーの少女・・・さやかの友達

[攻略済]
なし




787 ◆xjSC8AOvWI2019/09/01(日) 23:46:06.43F17OYohA0 (7/7)

------------------------
今日はここまで。
次回もまた時間とれる時。休みはやる。


788以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/02(月) 00:26:11.0743hecip80 (1/1)

ラキスケ期待


789以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/04(水) 18:15:14.01Ds90W2R30 (1/1)

好感度上げやすくなるイベントないのかな


790 ◆xjSC8AOvWI2019/09/04(水) 22:38:01.64IafocQTh0 (1/2)

とりあえずヒロイン出しきったってところだからイベントはこれから考えます

あと学力良いと特別なイベントがない限り登校や授業をサボる選択肢がなくなります
変更したい場合はリセット時に
------------------------------------------------------------------------------

2日目 教室



 今朝も自席について鞄の中身を整えていると、色んな生徒が教室に入ってくる。


さやか「おはよー」

まどか「おはよう、【貴方】くん」


 まあ大体いつもとおんなじ。


ほむら「おはようござい……ます」


 ……それに控え目な暁美さんの挨拶が加わったくらいだ。

 いつもはさっさと席に行ってしまう暁美さんが小さく頭を下げてこっちに言っていた。



1体調についての無難な雑談をする
2漫画談義の続き
3超元気よく挨拶しかえす
4遊びに行く話について
5自由安価

 下2レス


791以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/04(水) 22:39:10.55wTu5RlAx0 (1/1)

2


792以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/04(水) 23:13:31.365lrRl92/0 (1/1)

1


793 ◆xjSC8AOvWI2019/09/04(水) 23:56:07.76IafocQTh0 (2/2)


まどか「今日は睡眠不足は解消できた?」

貴方「ぼちぼちかな。まあよく寝られたよ。あと昨日昼休みにぐっすり寝たら治った」

さやか「あー、あの後?」


 昨日は結局屋上から戻ってきて、教室で野郎共と昼食を食べて。

 それが終わったら自席で寝てしまったんだった。


貴方「みんなはずっと屋上で食ってんの? いいとこ見つけたなぁ」

さやか「早い者勝ちだよ。雨の日は困るけどね」

まどか「さやかちゃん、べつに競争してるわけじゃ……」

さやか「でも他の人こないほうがいいでしょ」


 美樹の様子は隠したい話をする時のそれだ。

 まあわざわざ突っ込んでいくようなことはしない。


貴方「そっちはどう?元気?」

まどか「うん。わたしは調子いいよ。ちゃんと朝ごはんも食べたし」


 授業が始まるまで、体調はどうかとか無難な雑談をして過ごした。

 今日は暁美さんも口数はなかったものの、一緒に話を聞いていたようだ。




794 ◆xjSC8AOvWI2019/09/05(木) 00:13:35.30Iy9xQskQ0 (1/1)



 ――――授業開始のチャイムが鳴る。


 本日最初の授業は世界史だった。教師が前でつらつらと話している。

 当てられたりすることはほぼないから楽だが、特別退屈だ。

 ……治ったはずの眠気がぶり返してきそう。



授業中
1ノートに専念して凌ぐ
2話しかける(クラスメイト指定)
3他の人を眺める(クラスメイト指定)
4窓の外を眺める
5自由安価

 下2レス


795以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/05(木) 00:23:15.845QbqPueO0 (1/1)

3ほむら


796以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/05(木) 06:47:31.19WMYblkF70 (1/1)

3ほむら


797以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/07(土) 09:38:51.31Sqd+oZRd0 (1/4)

更新ペース落ちた?


798 ◆xjSC8AOvWI2019/09/07(土) 21:15:41.50cEXOclIG0 (1/7)



 気分転換に教室の中に目を移してみる。みんなはどんな感じだろう。 

 ふとボードを眺める暁美さんの姿を眺めていた。


 前を向き、ボードに追加された文字をさらさらとノートに書き写している。

 昨日見たあの可愛らしいノートを思い出した。

 この中ではかなり真面目そうな態度だ。暁美さん、入院生活で後れを取っているみたいだけど、それさえなければ勉強できそうだもんな。

 自分やそのへんの生徒なんかよりも多分根は真面目だ。


ほむら「……?」


 途中で筆箱の中を探しはじめる。しかしなかなか目当てのものが見つからないのか、なかなかその手は止まらない。


ほむら「あっ……!」


 その拍子にペンを手から落としてしまった。

 偶然にもこっちのほうに転がってくるペンを拾ってあげると、暁美さんは小さく頭を下げた。


 ……あっ、やべえ。そんなことしてたら自分がノートとってねえ。


貴方「……あ、あのさ、後でノート見せてくれないかな?」

ほむら「は、はい……」


 ついでにそんな約束を取り付けておいた……。




799 ◆xjSC8AOvWI2019/09/07(土) 21:47:39.85cEXOclIG0 (2/7)



 ――――


 授業が終わると、さっき約束した暁美さんのノートを見ている。

 相変わらず内容を書き写しただけの質素な自分のノートとは違う雰囲気のノートだ。

 まずカラフルだし、小さい吹き出しでワンポイントのようなものが書かれている。

 ……これは、ボードの書き写しじゃなくて先生が言ってた内容か? そんなのまで一々メモしているのか。


貴方「ありがとう。助かったよ」

ほむら「いえ、あの、見づらくなかったですか……?」

貴方「全然。むしろわかりやすかった。テスト前とかまた見せてもらいたいくらい最高の教科書になってるよ」

ほむら「テスト前…………」


 こう言ったら本当に考えてくれそうなところも真面目というか。


ほむら「あ、い、いいですよ。では、また……」


 暁美さんはちょっと照れた様子で自分の席に戻っていった。




800 ◆xjSC8AOvWI2019/09/07(土) 21:53:18.73cEXOclIG0 (3/7)

昼休み



 午前の授業が終わり、昼休みになる。

 今日は外を見てみれば雨がぱらついている。

 さっきまではあんなに晴れていたのに、いつのまにか昼が近づいてくるにつれてみるみるうちに雲行きが怪しくなっていた。


 美樹たちも、こんな天気じゃ今日は屋上は無理かな。まだ動かず、何か教室で話してる様子だった。

 さて、自分はどうしようか。



1先手必勝で誰か誘ってみる(クラスメイト)
2購買に飯買いに行かなきゃ
3教室の外へ
4自由安価

 下2レス


801以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/07(土) 21:58:59.97G7d5oV5Y0 (1/3)

1 まどか さやか ほむら


802以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/07(土) 22:00:41.79Sqd+oZRd0 (2/4)




803 ◆xjSC8AOvWI2019/09/07(土) 22:53:44.84cEXOclIG0 (4/7)



貴方「ねえ、今日は一緒に食べない?」

さやか「四人でここで? どうする?」

まどか「わたしはいいけど……」

さやか「んー、たまにはいっか」


 話し中の三人を誘ってみると、少し仲間内で話し合った末に受け入れてくれた。

 机の上を片づけて弁当を広げられるようにする。

 机、少し窮屈なのが気になるな。自由に動かせればよかったけど。まあこれでも十分か。


まどか「いただきまーす」

さやか「まどかはいつも礼儀正しいなぁ」

ほむら「いただきます」


 こっちも挨拶して食べ始めるか。すると。


貴方「……?」


 ふと視線を感じた。なんか今、誰かこっちを見ていたような。

 あれは上条と志筑さんだ。上条は少し前に退院してきて、まだ杖をついている。交通事故に遭ったんだっけ。

 志筑さんに気遣うように寄り添われながら二人が教室から出て行くのが見えた。




804 ◆xjSC8AOvWI2019/09/07(土) 23:05:12.61cEXOclIG0 (5/7)



さやか「あっ、今日の弁当たこさんはいってるー。やったー」

まどか「よかったね、さやかちゃん」

さやか「んーでもまどかの弁当はさすがに豪華だな」

ほむら「本当にいつもおいしそう……」


 目の前ではみんな美味しい弁当について話し始めていたから、ひとまず忘れて近くのことに意識を向ける。



1鹿目さん自分で作ってるの?
2さやかの弁当について
3ほむらの食べているものについて
4自分の弁当について
5自由安価

 下2レス


805以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/07(土) 23:06:31.40G7d5oV5Y0 (2/3)

3

4選んだら貴方の料理判定とかさるのかな?


806以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/07(土) 23:09:44.60Sqd+oZRd0 (3/4)

3


807 ◆xjSC8AOvWI2019/09/07(土) 23:24:35.40cEXOclIG0 (6/7)



貴方「暁美さんはそれで足りるの……?」

ほむら「あ、はい。私はあまりたくさんは食べられない、ので……」


 みんなが弁当を広げる中、暁美さんはコンビニか購買で売ってるようなサンドイッチを両手で持って食べていた。

 ちまちまと食べる姿がリスかなにかのようだ。


さやか「さすがに毎日これじゃ心配にならない?【貴方】もなんか言ってやってよ」

貴方「えー?そうだな」


 鹿目さんの弁当を美味しそうだとは言ってたけど、そういえばそういうの自分では食べたいとは思わないのだろうか。



1栄養気遣ったほうがいいよ
2ひとり暮らし?
3実は自分も同じようなものだし…
4自由安価

 下2レス


808以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/07(土) 23:27:47.79G7d5oV5Y0 (3/3)

2


809以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/07(土) 23:28:46.37Sqd+oZRd0 (4/4)

2


810 ◆xjSC8AOvWI2019/09/07(土) 23:50:32.73cEXOclIG0 (7/7)



貴方「ひとり暮らし?」

ほむら「はい、じつは……」


 親が忙しいとか……と思ったけどさすがにそうは聞くのも気まずかったが、当たってしまったようだ。

 直接親の都合とか不幸を匂わせる理由じゃなかったのはよかった。

 でも寂しいことには変わりないだろう。


貴方「大変じゃないの? それなら一々弁当用意してられないのもわかるかな」

さやか「えー、同調しないでよ」

貴方「まあ、そりゃ自分で美味しいもの作れたほうがいいのはもちろんだけどさ」

貴方「美樹はこれからひとり暮らしするとして毎日弁当作ってもってこれんの?」

さやか「え、ムリ」

貴方「ほら」


 持ってこれるって言えば美樹の事もちょっとソンケイしたのに。

 みんなが笑っている。楽しい昼の時間を過ごした。



▼ほむらは【貴方】が味方してくれたことについてちょっと嬉しそうだ…!




811 ◆xjSC8AOvWI2019/09/08(日) 00:28:06.46n2dkYAPy0 (1/13)



 今日は雨だからか、ずっと教室にいる人が多い。

 午後の授業が始まる前、みんなが離れる前に外を見て話していた。


まどか「予報になかったよね? とおり雨かなあ」

さやか「急だねー。まあすぐ止むんじゃない?傘持ってきてないし」

まどか「あ、わたし折り畳みならいつも持ってるよ。止まなかったら貸してあげるね?」

さやか「まどかと相合傘だ!三人入るかな?」


貴方(雨、か。傘あったっけ?)




*午後の授業が終わると待ちに待った放課後です。
1帰宅
2部活(部を指定)
3委員会
4寄り道
 ※人物指定はできません。また、知らない個人宅等も無理です。

 下2レス


812以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/08(日) 00:31:43.11I+Mb1UHL0 (1/5)

4


813以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/08(日) 00:32:25.89ErkEoTbj0 (1/7)

2写真部


814 ◆xjSC8AOvWI2019/09/08(日) 00:44:13.49n2dkYAPy0 (2/13)

放課後



 放課後になっても雨は止むどころか、さらに勢いを増していた。

 まだ止まないようなので、今日は部活に顔を出してみることにする。


 見慣れた部室。写真部だ。


「おーす、お疲れ」


 先輩がこっちに声をかける。今まで撮った写真を整理しているところらしい。

 自分たちの活動は日常の風景を撮ることもそうだが、主に学校行事でも活躍している。

 そして今見ているのが体育祭の写真。


「これ、良く撮れてるだろ?」


 ……リレーで走っている生徒を写したものだった。まあ、先輩は明らかに邪な目でそれを見ていた。

 全力疾走。揺れるバスト。


貴方「どこ見てるんすか」

「お前こそどこみてんだよ!」

貴方(めんどくせえ)


 しかしこの人、どっかで見たような。



1写真を撮りに出かける
2先輩につきあう
3自由安価

 下2レス


815以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/08(日) 00:46:47.01I+Mb1UHL0 (2/5)

3 写真の人の顔をよく見て思い出してみる


816以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/09/08(日) 00:47:57.24ErkEoTbj0 (2/7)


追加で置き傘があったので下駄箱に戻ってみる


817 ◆xjSC8AOvWI2019/09/08(日) 01:11:08.24n2dkYAPy0 (3/13)



 ……誰だったかな?


「なんだ、まじまじ見てるのは顔か?」

貴方「どっかで見たなと思って」

「へえ?学年違うし部活違うし、どこだろうな?」

貴方「その言い方だと先輩は知ってるんすね」

「まあクラスメイトだからな」


 この人、クラスメイトの揺れる胸を凝視してたのか……。

 と、ちょっと引いたところで置き傘があったことを思い出す。下駄箱戻るか。


「おい、整理手伝えよー。いいもんも見られるぞ?」

貴方「あとで」


 部室を離れて階段を降りていく。

 すると、下駄箱付近にまだ美樹たちが残っていた。噂の先輩も一緒だ。


さやか「じゃあまどかしか傘ないんすねー」

「最悪、作ってしまってもいいのだけど」

さやか「おお、その手があったか!さっすが!」

「こういう日は仕方なくよ?」


 ……作る?なんの話してるのかわからない。



1声をかける
2傘を貸してあげる
3自由安価

 下2レス