1 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/02(日) 17:37:00.428ClIDT+Io (1/10)


このスレは安価で

乃木若葉の章
鷲尾須美の章
結城友奈の章
  楠芽吹の章
―勇者の章―

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的

東郷家、犬吠埼家への挨拶と伊集院家の説得
元気な子供を産む
進路決定
結婚式
全員生存


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2
基本的には9月14日目が最終

※勇者の章に関しては、9月以降も続きます


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%
※ストーリーによってはHP0で死にます


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに

前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1464699221/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1468417496/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1472477551/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【四輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1477053722/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【五輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1481292024/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1484833454/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【七輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1488104860/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【八輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1491918867/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【九輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1495544664/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499086961/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1503148550/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1507900727/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1512897754/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十四輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1517577349/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十五輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1523885099/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1532355674/



2 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/02(日) 18:29:38.898ClIDT+Io (2/10)


√ 12月2日目 夜(病院) ※火曜日


01~10 友奈
11~20 
21~30 
31~40 園子
41~50 
51~60  おやすみ
61~70  沙織
71~80 
81~90 
91~00 夏凜

↓1のコンマ 

※おやすみはこのまま翌日に移行
 体調判定は飛ばします


3以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/02(日) 18:41:58.60nWK+Ps1IO (1/1)




4以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/02(日) 18:44:19.318Qqla1gWO (1/6)

オヤスミー


5 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/02(日) 19:19:39.678ClIDT+Io (3/10)


√ 12月2日目 夜(病院) ※火曜日


夏凜「…………」

樹「夏凜さん、寝ないんですか?」

夏凜「ん? 一応、隣のベッドだからもう少し見とく」

樹「そうですか……」

夏凜「何かあった?」

静かに寝息を立てる天乃、細く伸びた白い手を握る夏凜

呟きとともに流れるような視線を向けた樹の表情は影があって

夏凜はためらわずに声をかけた

樹「THE TOWER……塔の正位置です」

夏凜「それ、樹のタロットカードってやつよね?」

樹「はい。それで何気なく占ってみた結果、塔の正位置でした」

塔の正位置と言われても

タロットカードに詳しくない夏凜には何が言いたいのか分からない

樹も当然、それが分かっているからか、

引いたであろうカードを夏凜の前で取り出す

樹「塔の正位置は、急激な変化や人生に大きな影響を与えるような喪失など、あまり良くない意味を含んだものです」


6 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/02(日) 19:40:42.448ClIDT+Io (4/10)


夏凜「さっき何気なくって言ってたけど……」

樹「はい。一応、私達……久遠先輩達みんなの今後を占った結果です」

塔のカードは、

人間のエゴイズムのようなものを現し、

それを打ち砕く雷はまさしく勇者部が受ける可能性のある天罰とされている

これはいわゆる、バベルの塔。と呼ばれるものだ

それゆえに、悪くとらえられがちなカードではあるが、

これには決して悪くはない意味も含まれている

それは、この結果を与えられた者次第ではあるのだが。

樹「このカードには、さっき言った意味のほかに、人生に大きな影響を与える転機。ターニングポイントという意味もあります」

夏凜「まさしく私達ってわけだ」

樹「はい。ですが、きっとこのカードはそれ以上の意味を持つんじゃないかと私は思っています」

夏凜「それ以上の意味……?」

樹は軽くうなずくと、

塔のカードをもとに戻して、息を吐く

これは自分の考えだ

だから、言うべきではないという自分の一歩引いてしまう弱さ

その自分に、樹は心の中で「大丈夫」と声をかける

今はもう、自分が自分であることを誇りに思うことのできる心があるから

樹「もしかしたら、私たちは先に進むかどうかを考える必要があるんだと思います」

夏凜「先って、樹……まさかあんた」

夏凜の驚く表情にまっすぐ向き合い、樹は頷く

樹「神樹様に守られ、外に出ていくのを止めるか、加護を抜け、本当の意味で踏み出すか。決断する時が近いのかもしれません」


7 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/02(日) 19:50:19.998ClIDT+Io (5/10)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(神罰)
・   犬吠埼風:交流有(神罰)
・   犬吠埼樹:交流有(私たちの考え、神罰)
・   結城友奈:交流有(神罰)
・   東郷美森:交流有(神罰)
・   三好夏凜:交流有(神罰)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流有()
・   藤森水都:交流有()
・     郡千景:交流有(神罰)
・ 伊集院沙織:交流有(神罰)
・      九尾:交流有(神罰)
・      神樹:交流無()


12月02日目 終了時点

乃木園子との絆  86(高い)
犬吠埼風との絆  109(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  97(とても高い)
結城友奈との絆  116(かなり高い)
東郷美森との絆  128(かなり高い)
三好夏凜との絆  150(最高値)
乃木若葉との絆  99(かなり高い)
土居球子との絆  44(中々良い)
白鳥歌野との絆  44(中々良い)
藤森水都との絆  36(中々良い)
  郡千景との絆  46(中々良い)
   沙織との絆  128(かなり高い)
   九尾との絆  69(高い)
    神樹との絆   ??(低い)


8 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/02(日) 19:57:28.598ClIDT+Io (6/10)


√ 12月3日目 朝(病院) ※水曜日


01~10 園子
11~20 
21~30 
31~40  友奈
41~50 
51~60  夏凜
61~70  東郷
71~80 
81~90 
91~00  若葉

↓1のコンマ 


9以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/02(日) 20:00:23.298Qqla1gWO (2/6)




10 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/02(日) 20:22:06.108ClIDT+Io (7/10)


√ 12月3日目 朝(病院) ※水曜日


天乃「あ……頭が痛くない」

それもそうだ

夕方に眠ってから、夜に起きることもなく

そのまま朝を迎えてしまった

それでいつもより早く起きているとかならともかく

いつもの時間よりも遅いのだから、

それだけ、精神的にも疲弊していたということなのだろう

天乃「…………」

誰かに握られていた右手へと、目を向ける

布団の中に入っていた温かさもあるが

夜、誰かが握ってくれていた感触も確かにあって

天乃「……夏凜、かな」

ちょっぴりかさついた、努力を感じる夏凜の手

きっとそうだと、天乃は右手を左手で覆うように、胸元へと持っていく

天乃「ふふっ」

対処法があるとはいえ、

神罰……祟りがあるという不安はぬぐえていないし、

その先への不安もまだまだあるが、

少しだけ、心が安らぐような気がする


11 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/02(日) 20:35:06.148ClIDT+Io (8/10)


天乃「それにしても、私の血……ね」

それで誓約を行うと九尾は言っていた

どのように行うのかまで話してはいなかったけれど

説明を省いた辺り、

何か準備が必要なほどのものではないということだろう

もしくは、

一番重要なのは天乃の体調だったか。

天乃「なにをするのかしら」

誓約を行う。というのがヒントになるかもしれない

であれば……

そっと、唇に触れる

誓約、婚約どんな違いがあるのかまで、

天乃は細かく知っているわけではないが

昨日の友奈たちの反応の通りならば、そういうことなのかもしれない

天乃「なんかちょっと、ドキドキするわね」


1、勇者
2、精霊
3、イベント判定


↓2


12以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/02(日) 20:42:00.598Qqla1gWO (3/6)

3


13以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/02(日) 20:43:15.589RdkRxAM0 (1/1)

3


14 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/02(日) 20:55:04.798ClIDT+Io (9/10)


√ 12月3日目 朝(病院) ※水曜日


01~10 風
11~20 若葉
21~30 東郷
31~40 球子
41~50 友奈
51~60 夏凜
61~70 歌野
71~80 園子
81~90 沙織
91~00 樹

↓1のコンマ 


15以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/02(日) 21:09:24.848Qqla1gWO (4/6)




16以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/02(日) 21:10:15.168Qqla1gWO (5/6)




17 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/02(日) 21:30:29.918ClIDT+Io (10/10)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

・樹のタロット「塔の正位置」はワンオラクルで実際に引いたカードを採用
・クロススプレッドでは、最終結果「運命の輪の正位置」


夏凜「いうようになったじゃない、樹」

樹「それもこれも……久遠先輩がいたから。です」

夏凜「ほんと厄介だわ。天乃は」

樹「そうですね。でも、みんなのために一番つらい思いをしてくれたのも、久遠先輩ですから」

夏凜「知ってるわよ。だから付き合ってあげんのよ。どんだけ高い理想にだって天乃が望むなら」


18以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/02(日) 21:45:43.038Qqla1gWO (6/6)


原作の悪夢…ただでさえ見ててキツかったのにそれをさらに×6ってなんて鬼畜な…
久遠さんは出産に専念しないといけないとはいえ勇者部は大丈夫だろうか


19以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/03(月) 00:27:04.67yPWEij9+0 (1/2)


久遠さんが6人を一人ずつ救出するのも見たい気もするジレンマ


20以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/03(月) 07:01:25.94+SSbSYsPO (1/1)


手の感触だけで夏凜とわかる久遠さんの愛らしさ

クロススプレッドは最終結果が言葉通りならケルト十字ってやつかね10枚くらい使うやつ
それで運命の輪の正位置が事実ならタロットスゲーよ
他の結果も知りたいわ


21 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/03(月) 20:02:04.44L1iKrreco (1/5)


では、少しだけ


22 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/03(月) 20:26:47.80L1iKrreco (2/5)


√ 12月3日目 朝(病院) ※水曜日


沙織「良かった。元気そうだね」

天乃「沙織……私」

沙織「三好さんにお休みのキスされたと思えばすやすや寝ちゃって、朝まで起きないんだもん。心配したよ」

むしろさせすぎちゃったのかな。と

沙織は悪くはないのに、申し訳なさげな苦笑いを浮かべる

笑ってこそいるけれど、

昨日の夜起きなかったのは心配させたはずだ

また、穢れなどの影響で苦しんでいるんじゃないか

しばらく目を覚まさなくなってしまうんじゃないか。と

天乃「…………」

沙織「九尾さんが疲れがたまっていただけだから明日にでも起きるって言ってたからさすがにそこまで心配してなかったから平気だよ」

天乃「でも、夏凜はそばにいてくれたのよね?」

沙織「んー……結構遅くまでいたかな。そばにいるって言った手前離れたくなかったんだと思う」

天乃「やっぱり……」


23以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/03(月) 20:39:07.534uA4hnsvO (1/3)

さすが旦那や


24 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/03(月) 20:49:06.30L1iKrreco (3/5)


ぐっと手を握る天乃を一瞥した沙織は、

なぜだか嬉しそうに笑って、「分かるよね」とつぶやく

みんなも努力しているし鍛錬している

それでも、必死にがっばってきた期間の長い夏凜の手は、

みんなよりも努力の跡がある

それを分からない天乃ではない

沙織「久遠さんにもやることができたわけだから、ゆっくり体を休めてね」

天乃「やることができたって言っても、血を分けるだけでしょう?」

沙織「んー……そう簡単な話じゃないと思う」

天乃は出産で体力を持っていかれているか

出産間近の緊張感などで体力が削られていたりすることだろう

そんな状態で血を持っていかれる挙句、

恐らくだが、力も持っていかれることになるはずだ

出産と誓約による体力と力の消耗は

正直に言って致命的なことだろう

沙織「もしかしたら、一番つらいことになるかもしれない」

天乃「それでいいわ。ううん、そうじゃないと割に合わないと思う」


25 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/03(月) 21:14:41.68L1iKrreco (4/5)


沙織「また久遠さんはそういうこと言う」

天乃「だって――」

沙織「久遠さんは確かに寝てることが多いよ? ずっとベッドにいて無力に感じるかもしれないよ?」

でも、その分頑張ってたはずだ

自分が傷つくことも厭わずに、

世界のため、みんなのために尽くしてきたはずだ

それをさんざん、みんなで言ってきたというのに

沙織「休んでいいくらいに久遠さんは頑張ったんだから、つらいことはもうしなくていいんだよ。本当は」

しなくていいし、させたくない

けれど世界は理不尽だから

望みをかなえるためにはまだまだ苦しまなければならない

沙織「それに、そんなこと言ってると三好さんに怒られるよ?」

天乃「なんで夏凜が出てくるのよ」

沙織「一番、影響がありそうだから?」

楽しんでいるような表情で言う沙織をちょっぴりにらんで

天乃はため息をつく

こういう時の沙織は、茶化して返すだけだ


1、それで、天の神が出てきたときの勝算はあるの?
2、そういえば、沙織のお父さんは何も言ってきてないの?
3、みんなにだけ頑張らせているだけで、精神的には辛いのよ
4、全部終わったら何でもしてあげるから、ちゃんと、戻ってくるのよ?


↓2


26以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/03(月) 21:17:06.054uA4hnsvO (2/3)

4


27以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/03(月) 21:19:20.24aGh98Vtm0 (1/1)

1


28 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/03(月) 21:43:59.67L1iKrreco (5/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「勝算はあるの?」

沙織「え? だって戦い終えたら子供も生まれて心なくエッチし放題だよ?」

天乃「えっと……一応してる、わよね?」

沙織「まだ3割のエッチ力だよ。10割のエッチ力は妊娠するやつ」

天乃「もう産みたくないんだけど」

沙織「産まぬなら、孕ませてよね、久遠さん」ニコッ


夏凜「酷い、それはひどすぎるでしょ……あんた」


29以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/03(月) 21:58:31.714uA4hnsvO (3/3)


さおりんの変態トーク久々に見たw
戦いが終わったらしばらくイチャイチャしたりえっちしたりな平和な日常も見てみたいな


30以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/03(月) 23:03:45.49yPWEij9+0 (2/2)


ひと段落したらいちゃいちゃ三昧だな


31以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/04(火) 06:59:14.419dDv7RMsO (1/1)

確かにモチベーションは段違いだな
スパロボ的に言えば気力200で常時魂、不屈、根性、必中、閃きがかかりそう


32 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/04(火) 20:09:58.76DONV1PRxo (1/7)


では少しだけ


33 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/04(火) 20:30:35.26DONV1PRxo (2/7)


天乃「それで、天の神が出てきたときの勝算はあるの?」

沙織「みんなで協力すれば、大丈夫だよ」

思う。とは付け加えない

それは自分の考えを述べるとき使うし、思いを述べるときに使うものだが

今の答えは、確定させておくべきだ

いや、確定しているのだから、わざわざ不安要素を付け加える必要はないだろう

沙織「西暦の勇者、二年前の勇者、そして今の勇者。各世代の力を終結させるんだからね」

負けるわけがないよ。

たとえ、敵が神様であったとしても

畏れなければ、集った人の力は神にも匹敵させることができるはずだ

沙織「そもそも、神様っていうのは人の信仰心がなければその力を維持できないんだよ」

忘れ去られてしまったら終わってしまう。消えてしまう

だから、神様というのは人の信仰心―関心―によってな立っているという話が良くある

天の神の存在とその強さを前にすると、

そんなのは創作でしかないと言いたくなってしまうが

過去の人々の畏れ、それを知る大赦に畏れ

それが力を与えているのだと考えれば、多少は辻褄もあう

沙織「だから、畏れなき勇者たちの力は神を打ち破る。その手に希望がある限り、勇者は負けない」


34以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/04(火) 20:41:18.36sJV3YMngO (1/3)

かっこいい…


35 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/04(火) 21:17:02.94DONV1PRxo (3/7)


天乃「ずいぶんと、自信たっぷりに言うのね。私が心配するから?」

沙織「信じてるから。だよ。久遠さんだって、不安なのはみんなが無理をする事であって、負けることではないよね?」

天乃「……沙織とは違うわ」

本当に信じているのなら、

天の神に勝てるのか。なんて問いかけはしないだろう

それだけ、精神的に不安になってしまっているだけなのかもしれないが

信じ切れているのか、わからない

それがまた不安になりそうで

沙織「久遠さんは絶賛ネガティブ祭り開催中なんだね」

天乃「……そうね。考えること考えること、全部悪い方向に考えやすいみたいなのよ」

沙織「三好さんに一緒にいて貰ったほうが良いんじゃないかな? まぁ、あたしとかでもいいけどね」

天乃「そういうこと言わないで。足手まといになってるって、悩みそう」

沙織「そっか……」

天乃の状態を察してか沙織は悲しそうに言うと微笑む

自分の状況を掴めている辺り、

まだ完全に落ち切ってはいないという安心感があったからだ

沙織「不謹慎だけど、弱ってる久遠さん可愛いよね」

天乃「何言ってるのよ、貴女らしく……らしい、わね。うん」


36 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/04(火) 21:43:37.79DONV1PRxo (4/7)


沙織「こう……押し倒したらいつもと違って驚いたりしないんだけど、なんかこう、罪悪感がわきそうな顔しそう」

天乃「それを本人に言うの?」

沙織「えへへ」

困った表情こそするが、顔を赤くはしない

何言ってるのよ。と

ちょっぴり怒ったような反応はしなかった

沙織「あれだよね、したいならしたらいいじゃないって、ちょっと冷たい感じで言うの」

天乃「無理やりされるのは、嫌よ」

沙織「まぁ、したいって言えばさせてくれるもんね」

無理やりする理由がない

それに、無理やりするという部分に関しては、

天乃にも―自分にも悪い部分がないとは言えないとはいえ―思い出したくはないような経験がある

それを知っていて、強引な手を取るほど関係は悪くない

沙織「でも、元気になったらいろいろやってみたいことがあるんだよね」

天乃「そうね、ちゃんとお話もしないといけない相手がいるし、ちゃんと、やるべきこともあるから」

沙織「………うん、そうだね。そうだよ」


37 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/04(火) 22:10:05.14DONV1PRxo (5/7)


本当は違うことを考えていた。なんて言えない

ちゃんとわかってはいるけれど、

今はまた別の、ちょっとした特別なことを考えていたし、言おうとしていた

でも、ネガティブな考えばかりになってしまうと言っていたのに、

ちゃんと、ネガティブじゃないことを考えられているのだ

余計なことは言えなかった

沙織「やりたいことやろう。一杯やろう。そのために、みんなで頑張ろう」

ちょっとの無茶くらいなんてことはない

だからって、無理しすぎて深追いだけはしないように。

沙織「だから久遠さんも、ちゃんと療養してよね」

天乃「しないほうがよさそうな気がする」

沙織「……理解が早いね」

にやりと。笑って見せて沙織は言う

沙織「でも残念だけど、療養して貰っちゃうからね」

何なのよ。もう。と、天乃は困った表情で、

でも、嫌悪感は全く感じられなくて

一際嬉しそうな笑みを、沙織は浮かべた


38 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/04(火) 22:11:47.62DONV1PRxo (6/7)


√ 12月3日目 昼(病院) ※水曜日


01~10 
11~20 若葉
21~30 
31~40 
41~50  球子
51~60 
61~70 
71~80  歌野
81~90 
91~00  九尾

↓1のコンマ 


39以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/04(火) 22:14:02.51sJV3YMngO (2/3)




40 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/04(火) 22:25:58.10DONV1PRxo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「…………」

風「ん? 東郷、ぼーっとしてどしたー?」

友奈「東郷さん、新しいエッチなこと考えるよりも学校の準備したほうが良いよ」

東郷「違うの友奈ちゃん。ただ、久遠先輩に自分で満開してみてほ――痛っ」ベシッ

夏凜「今日体育あるらしいから体操服用意しておいたわよ」

東郷「体育倉庫……」フッ


樹(あぁ……東郷先輩の我慢が限界のようです)


41以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/04(火) 22:36:55.50sJV3YMngO (3/3)


天の神との決着の後も家の事とかでもう一悶着ありそうな予感


42以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/04(火) 23:11:11.117uRLL9/iO (1/1)


結婚式とかいろいろあるしな


43以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/05(水) 08:15:55.4449qnYZe5O (1/1)


久遠さんが自分で満開(意味深)したらヤバイわ
東郷達が頼めばしてくれるだろうけど…ヤバイわ


44 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/05(水) 20:24:42.38OpTLoZANo (1/6)


では少しだけ


45以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/05(水) 20:26:31.50zmZFEEN6O (1/4)

よしきた


46 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/05(水) 20:47:13.55OpTLoZANo (2/6)


√ 12月3日目 昼(病院) ※水曜日


天乃「感じ取れなくなるのも不憫なものだわ」

普通の子には、神樹さんの力などを感じ取ることができないとはいえ、

元々できていたことができなくなると、とても不憫に感じてしまう

みんなが戦う必要がなくても

精霊の姿を感知できないため、一人きりの寂しさが増す

今までは、部屋には自分一人でも

精霊の姿を感知出来ていたからこその安心感があったのだと

今更ながらに思う

天乃「奉火祭はみんなが阻止してくれる……お祖母ちゃんはどう思うのかしら」

天乃たちにとっては勝利を確信できる方法だが、

大赦にとっては不確かで、不安しかないものだろう

300年前だって、2年前だって

勇者は決して勝てたとは言い難い

むしろ、敗北した、見逃してもらった

そう言うほうが正しいだろう


47 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/05(水) 21:21:01.36OpTLoZANo (3/6)


天乃「お祖母ちゃんが何を言っても、奉火祭を阻止したことを後悔はしない」

でも、悪いことだとは思う

犠牲にしなければならないということは悪いことだと言えるが、

祖母の言った、子供の我儘で左右されていい世界ではないというのも理解出来る

銀や過去の勇者や巫女たちが命がけで守った世界を守るべきだ。という言い方ではなかった

それらの犠牲があったからこそ続けることのできた世界を

身勝手な理由で途絶えさせられないという責任感を感じるものだった

天乃「……怒るかしら」

祖母にとっての悪手であることは確かだが

九尾は、祖母のやり方を妨害できることを楽しんでいるように見えたし

九尾の反応を見れば怒りを通り越してあきれ果てるかもしれない

天乃「……はぁ」

胸元に手を当てながら、大きく息を吐く

あと半週ほどで奉火祭が行われ、

今まで以上にない神樹様と大赦に対しての反逆を行う

まだ在庫のあった神樹様の種とは違って、

奉火祭は妨害をすることになるため、取り返しがつかない

それを分かっていて行うため、成否にかかわらず立場が危うくなる

天乃「これで世界を救えなかったら、大変なことになるんでしょうね」


48 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/05(水) 21:42:43.37OpTLoZANo (4/6)


もちろん、みんながそんな結末を認めるわけがないことは分かっている

天乃だって、そんなことは認められない

自分の命を救うためである以上、

自分の我儘で乱した以上、

失敗してしまった。なんていう結果は絶対にダメだ

そんなことになるくらいなら……

天乃「……その力は、私にはないわ」

子供が産まれたとしても

しばらくは力が使えるようにはならない

それこそ、神樹様の種を使って体調を戻してからになることだろう

そうでなければ、無理やり力を使うことになるため

最悪の事態は避けられない

最も、そうしなければならない時点で最悪の事態なのだが

天乃「駄目ね、結局」

沙織はああいっていたが、心のどこかではやっぱり、不安なのだ


1、精霊
2、イベント判定


↓2


49以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/05(水) 21:48:06.80au7YpnifO (1/2)

2


50以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/05(水) 21:50:22.04zmZFEEN6O (2/4)

1


51 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/05(水) 21:52:20.06OpTLoZANo (5/6)


1、九尾
2、千景
3、球子
4、若葉
5、歌野
6、水都


↓2


52以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/05(水) 21:56:14.74zmZFEEN6O (3/4)

6


53以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/05(水) 21:56:39.59Qfk+R1QP0 (1/1)

5


54以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/05(水) 21:56:42.47au7YpnifO (2/2)

4



55 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/05(水) 22:14:05.32OpTLoZANo (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


歌野と交流


56以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/05(水) 22:24:07.90zmZFEEN6O (4/4)


久遠さん完全復活までの道のりは長いなぁ…
天の神との戦いには間に合うのだろうか


57以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/05(水) 22:28:51.34nCwxbxODO (1/1)


取り敢えずはみんなに頑張ってもらうしかないな


58 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/06(木) 20:16:20.34G84SdBlho (1/5)


では、少しずつ


59以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/06(木) 20:20:18.418lNLFCsjO (1/3)

かもーん


60 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/06(木) 20:51:14.99G84SdBlho (2/5)


天乃「ねえ、歌野。今平気?」

何もない空間に向かって、声をかける

いるかどうかわからないから

居なければただの独り言になってしまう

歌野「いるわよ、久遠さん」

呼びかけてから数分

どこからともなく姿を見せた歌野は、少し困った表情を浮かべていた

何か困ったことがあったから、出てくるのに時間がかかったらしい

歌野「……なんというか、樹ちゃんがあそこまで言うとはノーシンキングだったわ」

天乃「そうね。どんどん、しっかりした子になっていってると思う」

気づいてはいたし、時折そのしっかりした一面を見せてくれるから

もう、驚くほどのことではないけれど嬉しく思う

しかし、それと同時に

あの初々しい感じのままではいることができないような環境に引きずり込んでしまったのかもしれない。と

風が考えていそうなことを感じる

歌野「今思えばあんな諦めるようなこと、樹ちゃんが認めるわけがなかったわ」

天乃「そうなの?」

歌野「久遠さんは、どんとのう。だったかしら」


61 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/06(木) 21:13:58.16G84SdBlho (3/5)


あれは天乃が寝込んでいるときの話だったか

歌野自身が話したわけではないが、

樹は言ったのだ「頑張っている人の隣で、もう駄目だなんて口が裂けても言えない」と

樹たちにとっては、

消滅する可能性がありながら歌野達の力を使うなどというのは諦めたようなものだ

たとえ、歌野達がそんなつもりがなかったとしてもだ

結果的に天乃の願いをかなえられないのなら、ダメだ

歌野「樹ちゃんはベリーストロング。もちろん、単純なパワーじゃなくてね」

精神的な部分において、

勇者部の中でも随一な部分にまで成長しつつある

元々弱弱しいい部分の強かった樹が

天乃のために、歌野達のために、

自分に自信が持てるようになろうと頑張ってきたからこそだろう

歌野「本当に、樹ちゃんたちなら倒せるかもしれないわ」

天乃「天の神を?」

歌野「イエス。神様さえも」


62 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/06(木) 21:51:55.95G84SdBlho (4/5)


おだてているわけでもお世辞でもない

本当に、そう思えてくるのだ

こんなにも絶望的な状況なのに

奉火祭へと介入して巫女のみんなを救い、

神様相手には【なせば大抵なんとかなる】の精神で挑む

勇者部五箇条

ごく普通のことだったり

ちょっぴり適当なことを書いているように思えるけれど

でも、適度に抜けているような内容というのが

言葉通り適しているのかもしれないと歌野は思う

歌野「天の神を倒せたら、壁の外のヘルワールドも元通りになったりするかもしれないわね」

天乃「あぁ、そうね。確かに」

考えてはいなかったけれど

天の神はバーテックスの親玉であり、

外の世界を作り替えた張本人でもある

それを倒すことができれば元通りになるというのは、ない話ではない


1、外の世界が元通りになったら、諏訪に行きたい?
2、樹にあんなこと言わせたんだもの、頑張らないとね
3、ねぇ、水都さんは穢れの影響どう? 最近は問題ないように感じるけれど……
4、ねぇ歌野。陽乃さんがどうしてみんなの魂を込めたのか分かる?
5、ねぇ歌野。もう二度と自分たちが犠牲になるような提案はしないで

↓2


63以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/06(木) 21:53:53.508lNLFCsjO (2/3)

1


64以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/06(木) 21:58:08.63STWZz8KU0 (1/1)

1


65 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/06(木) 22:09:06.47G84SdBlho (5/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


運良くすべてがうまく終わった後のその後の話


66以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/06(木) 22:28:17.238lNLFCsjO (3/3)


うたのんも驚く樹ちゃんの成長
あと卒業旅行に諏訪に行く番外編とかも面白そう


67以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/06(木) 23:11:13.09t+CHw8vwO (1/1)


新婚旅行でもいいぞ


68以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/07(金) 13:02:07.35GfMSCdRuO (1/1)

外の世界滅んでるからそういう気分にはなれないのでは?
記念にいく場所ではないよ


69 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/07(金) 20:55:36.49e6mL/GNLo (1/6)


では、少しだけ


70以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/07(金) 21:11:52.666WCCScKaO (1/2)

はいよー


71 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/07(金) 21:32:03.41e6mL/GNLo (2/6)


天乃「外の世界……」

外の世界が元に戻ったなら、

どんな世界になっているのかは、わからないけれど

もしも元通り―死んでしまった人は戻らないだろうが―になったら

歌野は諏訪に戻ることを望むのだろうか

そんなことを思って、歌野を見る

天乃「外の世界が元通りになったら、諏訪に行きたい?」

歌野「えっ?」

天乃「歌野と水都の故郷でしょ? 諏訪は」

歌野「それは、そう。だけど……」

天乃「もしも世界が元に戻ったらの話よ」

歌野は諏訪で勇者として戦っていたのだ

その結果を知っているとはいえ、

さすがに、喜んで見に行きたいような光景が広がっているとは思えない

すべて元通り

でもそれは景色だけだろう

道行く人は一人もいない

天乃「もしかしたら、火が消えるだけかもしれないしね」


72 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/07(金) 22:08:16.38e6mL/GNLo (3/6)


火が消えるだけでは、記憶で見た崩壊した街並みは変わらない

あの惨状が広がっているだけかもしれないのだ

歌野も、本来そのつもりで言ったのだろう

少し表情を暗くしたものの

振り払うような仕草を見せて、困った笑みを浮かべる

歌野「そうね。リターンする必要があるわ。ゴーイングマイホーム」

いや、違う

歌野「マイ農場が待っているわ」

どうなってしまっているのか想像に易いが

歌野は努めて笑顔で言う

手入れのし甲斐がある

また、1から歩むと考えればいいスタートかもしれない

諏訪どころか、昔の武将のように一県の長になれるかもしれない

そこまで考えて、

歌野は「あれ……?」と、声を漏らす


73 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/07(金) 22:50:10.88e6mL/GNLo (4/6)


天乃「どうかしたの?」

歌野「もしかしたら、スペシャルに最高な方法を思いついたかもしれない……」

天乃「?」

天の神を倒す方法を今の話で思いついたのなら凄い

だが、違うだろう

では何を思いついたのか

天乃が問うよりも早く、

歌野は自分自身の頭の中で吟味を終えて、口を開く

歌野「もしも壁の外がクリーンになったら、建国するのはどう?」

天乃「えっ?」

歌野「そうすれば、何のしがらみもなくなるわ」

衣食住の問題が大きすぎる気がするのだが、

食に関しては、農業を発展させればなんとかなるだろう。という考えなのか

いずれにしても

天乃「それは……それこそ、最終手段じゃない?」

奉火祭を妨害したことで

世界をすくったとしても大赦からは嫌われてしまうかもしれないし

平和な世界を壊した―時間の問題だったが―として

一般の人々から忌み嫌われてしまうようになるかもしれない

そうなった場合の、逃げ道

天乃「本当、それは最終手段でお願いしたいわ」


74 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/07(金) 22:53:11.33e6mL/GNLo (5/6)


√ 12月3日目 夕(病院) ※水曜日


01~10 園子
11~20 
21~30 
31~40  友奈
41~50 
51~60 
61~70  九尾
71~80 
81~90 
91~00  夏凜

↓1のコンマ 



75以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/07(金) 22:57:30.02hfpN5xnG0 (1/1)




76 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/07(金) 23:18:42.26e6mL/GNLo (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


園子「建国?」

樹「国民全員に久遠先輩の血が流れてるのかな?」

夏凜「たしかに」

東郷「つまり、近親……」チラッ

風「こっちをみるなこっちを」


77以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/07(金) 23:29:44.066WCCScKaO (2/2)


久遠さんなら性格的に崇められたりされるのは嫌だろうし
小さな村とかで自由に暮らす方が向いてそう


78以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/07(金) 23:32:31.830hk4iSAWO (1/1)


崇められるのが嫌→身近な存在でいたい→つまり誰でも抱ける姫様(意味深)


79 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/08(土) 20:19:30.98Ouwni6xho (1/6)


では、少しだけ


80以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/08(土) 20:22:38.92TFbRU2p1O (1/2)

おk


81 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/08(土) 21:04:37.04Ouwni6xho (2/6)


√ 12月3日目 夕(病院) ※水曜日


園子「天さん、ぎゅー!」

天乃「ん、んん?」

園子「ぎゅー」

両手を差し出して、ニコニコと笑みを浮かべる園子は

学校から帰ってきた着の身着のまま

外の寒さを物語っている冷気が制服から感じられる

天乃「寒かったのね」

園子「えへへ」

手袋をしていたであろう手も、

部屋にいた天乃からしてみれば、触れると冷たい

天乃「おいで」

その手をきゅっっと握って、引く

優しくしようとしなくても

今の天乃には引き倒すほどの力はない

園子のもう片方の手が乗っかったベッドが軋りと音を立てる

近づく園子は天乃の体を押さないようにと気を付けながら

導きにしたがってぬくもりに触れる

園子「ゅー」

天乃の首元

体を冷やさないようにと少し厚みのある患者衣の中に

園子のくぐもった声が吸収されていく


82 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/08(土) 21:28:36.82Ouwni6xho (3/6)


天乃「外、寒そうね」

園子「んー外の熱に耐えるために、冷やす必要があるんよ」

結界の外

天の神による灼熱の地獄

それに耐え忍ぶために、冬の寒さがより厳しくなっていっているのかもしれないと園子は言う

冬場でなかったら、どうなっていたのだろうか

いや、夏場などであれば、神様の集合体ではあるが、大樹である神樹様の力が少しは強まっていたかもしれない

天乃「……なんて」

園子「ん~?」

天乃「なんでもないわ」

腕に抱かれ、密着したまま。

呆けたような反応を見せる園子に天乃は微笑みながら、答える

天乃「神樹様が頑張っていなかったrあ、今頃夏日になっていたかもしれないわね」

園子「そうなったら二回目の夏休みなんよ」

本来は冬休みになる部分を、夏休み

けれど、そんな異常気象になった場合、

恵を下さる神樹様に何かがあったのではないか。と

人々が不安になってしまうことだろう

大赦が頑張って隠ぺいを図ろうとしても、

自然の猛威はさすがにごまかすことはできないだろうから。

そう考えれば、冬というのは不幸中の幸いだったかもしれない


83 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/08(土) 21:50:54.75Ouwni6xho (4/6)


天乃「それで? 何かあったの?」

園子「ん~ん。ただ温まりたかっただけ」

天さんあったかいから。と、

園子はより密着するように、天乃の体へと腕を回す

それでも締め付けるような力が入ってこないのは、

園子が子供に負荷がかからないように気遣っているからだろう

子供がいるから。

遠慮がちになるのだろう

天乃「……それは、違う」

園子「え?」

天乃「あ、ううん。変なこと考えちゃって」

園子「大丈夫?」

天乃「大丈夫」

子供は天乃や園子たちだけじゃない

力を貸してくれた悪五郎達みんなの希望だ

それなのに、悪く思うわけにはいかない


84 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/08(土) 22:18:48.15Ouwni6xho (5/6)


しかし、子供がいることで園子たちが我慢しているのは事実だ

天乃自身も、出かけることや学校に行くこと

色々と我慢しなければならないことがあるのだから

関係的な意味ではなく、他者の体として扱わなければならない園子たちは

それ以上に我慢していることだろう

もっとも、性的なことに関しては、

そこまで我慢してはいなかったけれど。

それも、最近は控えめだ

出産が近づいているということもあって

体力を消耗させすぎないようにしてくれているのかもしれない

天乃「…………」

園子「天さん?」



1、エッチなこと、したくならないの?
2、我慢させてごめんね
3、全部終わったら、園子はどうしたい?
4、思ったけれど、私は結局みんなが助からなければ助からないのよね


↓2


85以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/08(土) 22:22:36.62EKwOIFIn0 (1/1)

1


86以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/08(土) 22:22:42.70SD81j4Pro (1/1)

2


87 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/08(土) 22:49:51.39Ouwni6xho (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から


園子「確かに、私だけじゃなくみんな我慢してるんよ。天さんを孕ませたいって!」

天乃「……えっ?」


夏凜「んな機能ないんだけど」

上里「大丈夫ですよ。IPS技術さえあれば同性であろうとも子供を作ることはできますから」

夏凜「は? え? 誰!?」

上里「ふふっ、通りすがりの巫女です」


88以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/08(土) 22:56:31.46TFbRU2p1O (2/2)


そのっちはタイミングの関係で唯一いまだにえっちできてないからなぁ
あと久遠さんの体力的にせめて孕ませる側にさせてあげて…


89以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 00:11:27.78NQbnSadQo (1/2)


産んだ後の初夜は回数的に園子が相手になるんだろうか


90以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 00:19:38.05YtzDXD690 (1/4)


まず種入れるうんぬんの関係の方が先になりそう


91 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 14:05:38.57wuDQwzd3o (1/16)


では少しずつ


92以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 14:06:17.82MVPVJhWdO (1/2)

よっしゃ


93 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 14:57:56.66wuDQwzd3o (2/16)


天乃「……我慢させてごめんね?」

園子「我慢?」

天乃「ほら、子供の件とかあるでしょ? だから園子にはいろいろ我慢させてるんじゃないかなって」

園子「確かに、わっしーたちが出来て、私ができてないコトもあるし、我慢してることはあるんよ」

出かけたいし、いちゃいちゃしたいし

まだできていないエッチなことだってしてみたいと思う

天乃の体のためにも必要なことだという話なのに

出来るようになったかと思えば、

今度は天乃ができなくなってしまった

園子「でも、こうして一緒にいられるだけで充分。満足してるんよ」

東郷……鷲尾須美と違って、

二年間の記憶を失くしたわけではない天乃は、

園子に会いに行こうと思えば会えないわけではなかった

それでも、やるべきことが多く、

触れ合う機会は極端に少なかった

だから友人たちと一緒にいることがあまりできなかった園子としては、

一緒にいることができるというだけでも満足できる

むしろ、普通の人にとっては当然なことが

園子にとっては貴重なものであり、これ以上を望んでいいものかと。迷ってしまいさえする


94 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 15:37:06.36wuDQwzd3o (3/16)


園子「それに、別にエッチなことがすべてじゃないんよ」

したいかしたくないかと言えばしたいけれど。

そういいつつ園子は目を逸らす

ゆっくりと息を吸い込んでいくと、温まった天乃の匂いがする

看護師による丁寧な介護のかいあって清潔な匂いなはずなのに

どこか、食欲に似たものを刺激する甘い匂いを感じる

それはきっと、好きだからだ

恋をしているからだ

それを感じるだけで、寂しさを感じなくなる

園子「むふー」

天乃「園子?」

園子「んふふ」

天乃「ちょ、ちょっと……?」

わざとらしい園子の鼻息が首元をくすぐる

満足げで、でもちょっぴりいたずら心が含まれていそうなくすぐったさ

天乃の困った反応にも、園子は「むふぅ」と変な声を返す


95 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 15:57:51.74wuDQwzd3o (4/16)


天乃「貴女が今してることは、エッチなことじゃないわけ?」

園子「匂いを嗅ぐくらいは、エッチじゃないんよ」

天乃「そうかしら……」

抱き合うくらいなら

嬉しい時や感情が高ぶったときなんかに

誰だってやることはあるだろう

けれど、抱きしめた相手の匂いを嗅ぐなんて言うことをするだろうか

いや、しないからと言って

それがエッチなことだと考えてしまうのは

早計というよりは、雑なかんがえかもしれない

ただ

天乃「んっ……ちょ、園子……」

もはや吸い付くような密着感で

すんすん。すんすん。と

鼻を鳴らすことが普通の行為だとは……いえない

天乃「くすぐったい、くすぐったいのっ!」

園子「もう少しだけ」

離れようとした天乃の体を抱きしめて、鼻を埋める

胸元に埋めないのは、園子に残ったたった一つの良心


96 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 16:41:08.60wuDQwzd3o (5/16)


園子「これでも、我慢してるんだけどなー」

天乃「うぅ」

園子「そういわれたら抵抗できない天さんは、やっぱり受けなんよ」

天乃「受け?」

園子「何でもない」

力を抜いて、されるがままを受け入れようとする天乃に

園子笑ってごまかす

本当に優しいし、甘い

なんでも好きなことをさせてくれる

だから、我慢をすることが難しいのだ

したいといえばさせてくれるから

してといえば、考えてくれるから

園子「だから、好きなことをするのは全部大丈夫になってからでいい」

天乃「良いのに、痛いことととかじゃなければだけど」

園子「フラグは立てたくないんよ」

少しはやり残したことがある方が、

生に執着できるだろうから

園子「……生よりも性かも」

ぼそりとつぶやいた園子の声は、天乃の耳には届かなかった


97 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 16:59:36.18wuDQwzd3o (6/16)


√ 12月3日目 夜(病院) ※水曜日


01~10 東郷
11~20 
21~30 
31~40  若葉
41~50 
51~60 
61~70  夏凜
71~80 
81~90 
91~00  園子

↓1のコンマ 



98以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 17:00:18.52P/QtxNDWo (1/3)

ほいさ


99 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 17:38:27.61wuDQwzd3o (7/16)


√ 12月3日目 夜(病院) ※水曜日


また一日が終わる

みんなに阻止してもらうことを決めたとはいえ

いや、そう決めてしまったからこそ、その日が来る怖さがある

みんななら大丈夫だろう。

そう思う気持ちと

万が一のことがあったらという不安

否応なく不安が増す今は、時間が過ぎるのが早い

天乃「学校に行くのが怖い、帰ってきてくれたのがうれしい」

完全に翻弄されてしまっている胸の内を呟きながら

天乃はゆっくりと瞬きをする

体が重く、眠気がある

このまま目をつむれば眠れるが

起きたときに、誰もいなくなっているのではという不安が募る

天乃「やってられないわ」

本当に、弱くなってしまっている


100 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 18:03:58.60wuDQwzd3o (8/16)


夕方、園子に触れてより強く実感することになったが、

戦いに出ていたころの力が全くない

いざという時は自分の力を使うだなんて言っているが

その力がどこにあるというのだろうか

樹海の根と根の間を飛んだだけで息切れを起こしてしまう

その間を飛びきることができずに落ちてしまう

そんなレベルの貧弱さを感じる

天乃「……筋力、落ちたかしら」

鍛錬を全くしていないせいで、

一次るしく衰えてしまったのは確かだし、

子供を作ったことによるつわりで酷く消耗したこともあり

天乃の体は限界に来てしまっているということだろう

はたして、すべてを終えた後で普通に生活することができるのだろうか

天乃「足も、耳も、味覚も……色々、無くなっちゃってるから」

神樹様の種ですべてが元通りになってくれればいいが

全部が元通りになる。というのはさすがに望みすぎていることだろう


1、眠る
2、イベント判定
3、勇者
4、精霊


↓2


101以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 18:12:40.56P/QtxNDWo (2/3)

2


102以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 18:29:26.64legxq+y5O (1/1)

1


103 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 18:43:02.79wuDQwzd3o (9/16)


では、少し中断します
再開時、40%イベント判定

再会は20時頃を予定しています


104以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 18:51:57.44MVPVJhWdO (2/2)

一旦乙
リハビリ間に合うかな…


105 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 20:40:38.36wuDQwzd3o (10/16)


では、また少しだけ


106 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 20:42:51.65wuDQwzd3o (11/16)


√ 12月3日目 夜(病院) ※水曜日


01~10 友奈
11~20 
21~30 
31~40 
41~50  園子
51~60 
61~70 
71~80  東郷
81~90 
91~00  夏凜

↓1のコンマ 



107以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 20:56:34.08YtzDXD690 (2/4)




108 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 21:12:08.87wuDQwzd3o (12/16)


友奈「…………」

みんなの眠るベッドを加工すべてのカーテンが閉め切られた病室は

昼間に見るときよりも狭く見え、

そのうえ、入ってくるのは月明りだけと暗く独特の雰囲気が感じられる

そんな中を、友奈はこっそりと忍び足で進む。

冬場の寒さも気にならないくらいに、温まった体の熱を吐き出すように息を吐く

友奈「はぁ……ふぅ」

それでも、収まらない胸に手を宛がって、足を止める

病室の一番奥、天乃のベッドの正面

遮るカーテンを掴もうと伸ばした手は、空中で止まった

友奈「く……」

声をかけるべきだ

その普段の考えが先に喉から出ていこうとしたのを、制止する

止まった手を動かしてカーテンを掴み、

天井の滑車が音をたてないようにと細心の注意を払いながら、顔を覗かせる

友奈「……ん」

ベッドの上で、静かに寝息を立てる天乃の姿を目視して頷き、

上を見てカーテンの根元を確認し、手前に引いていく

横に引けば音が鳴る、雑に引けば音が鳴る

だから、滑車を静かに淵へとひっかけて音を殺し、出来た隙間から、中へと入るのだ


109 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 21:42:53.57wuDQwzd3o (13/16)


友奈「えへへ……なんだか悪いことしてる気分」

親に黙って学校をさぼったような感覚

だが、ドキドキとしているのはそれが理由ではないだろう

友奈「……久遠先輩」

天乃「ん……っ……」

お腹が大きいからか、

時折、苦しそうな声を漏らしては、また普通に戻る

こんな姿を見せられては、

夜這いらしくエッチなことをする気分もそがれてしまう

もっとも、友奈は別にそれが目的で来たわけではないのだが。

友奈「……東郷さんは、どうするかな」

淫らなことと言えば東郷の名前が挙がる

そのレベルには知識がって手を出す東郷だけれど

さすがに、今の天乃の姿を見て襲うようなことはしない

友奈「よね?」

自信は、なかった


110 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 22:04:55.46wuDQwzd3o (14/16)


けれど、東郷だって別に性に乱れくるっているわけではない

そういう言動が激しいことは残念ながら友奈にも否定はできないけれど。

友奈「そのちゃんは、護国思想がそのまま久遠先輩に置き換わったようなもの。って言ってたけど」

東郷の護国への入れ込み具合はとても深いし強い

それを基準に考えれば、

天乃が必要だという性的な知識への深い入れ込み具合も納得できる

東郷はのめり込んでしまったらとことんはまっていってしまうタイプなのかもしれない

そう考えると。と、友奈は頬を掻く

友奈「久遠先輩が居なかったら、東郷さん……私、だったのかな?」

あの強い情熱というか、愛情を向けられるのは嫌ではないが

多少解るようになってくると

大変だろうなぁ。と、友奈は自分自身に思う

きっと、何も変わらないままの自分だったら

自分の一つ一つの言動が及ぼす影響など、考えも及ばなかったことだろう

友奈「……久遠先輩がいてくれたから、私は……私はネガティブなこともちゃんと考えたうえで考えられるようになったんです」

妊婦であること二よって、大きめのサイズである天乃のベッド

その使われていない部分が入れる大きさかを確認し、

友奈は布団をめくって潜り込む

冷気に冷えた体が温まっていく

天乃のまだしっかりと生きている熱を感じて

好きだと解る匂いを感じて

友奈は満足げな笑みを浮かべて、天乃の腕を胸に抱く

友奈「久遠先輩も同じ……だから、きっと、一人は嫌。だと思うから」

せめて一緒にいられる時くらいは、誰かがいる安心感を与えてあげたいと

そう、友奈は心に秘めて、目をつむる


111 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 22:06:16.73wuDQwzd3o (15/16)


√ 12月4日目 朝(病院) ※木曜日


01~10 東郷
11~20 
21~30 
31~40 
41~50  夏凜
51~60 
61~70 
71~80  園子
81~90 
91~00  風

↓1のコンマ 


※空欄は友奈


112以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 22:11:20.90P/QtxNDWo (3/3)

ほほ


113以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 22:12:08.20YtzDXD690 (3/4)




114 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/09(日) 22:23:03.99wuDQwzd3o (16/16)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「ふふっ、友奈ちゃん可愛い」

東郷「でも……」

東郷「淫乱だなんて……友奈ちゃん。あとで教育的指導が必要ね」

夏凜「やめ――」

東郷「もちろん、夏凜ちゃんもね」ニコッ

夏凜「ぃっ!?」


115以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 22:29:19.31YtzDXD690 (4/4)


久遠さんしんどそうだから早く子供産まれて欲しいなあ


116以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 22:31:06.36NQbnSadQo (2/2)


12月入ったしそろそろ陣痛始まりそう


117以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/09(日) 22:37:42.07yWPa4DWwO (1/1)


すごくヒロインしている友奈ちゃんかわいい


118 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/10(月) 20:20:38.529EyUnt38o (1/6)


では少しずつ


119以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/10(月) 20:26:37.19gVtrKDfEO (1/3)

いえす


120 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/10(月) 20:44:36.509EyUnt38o (2/6)


√ 12月4日目 朝(病院) ※木曜日


天乃「ん……ぅん?」

いつもとは違う、朝だった

暖房器具がお休み中の肌寒さはなく、むしろ、暑いくらいに感じる布団の中

昨日話していたことが現実となって

天候が急変したのかと体を起こそうとしたところで、

右腕がうまく動かせないことに気付く

機能を失うとか、悪い理由ではないことはすぐに分かった

友奈「ん……」

天乃「あら?」

枕に乗るか乗らないかのところに広がった赤い髪

静かに寝息を立てる愛らしい口元がかすかに動いて

腕にしがみ付いてくる

夜は一人だったはずなのに、いつの間にか潜り込んできていた友奈だ

制服に着替えた後、布団のぬくもりに引き寄せられた。というわけではないらしい

天乃「……まったく」


121 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/10(月) 21:05:54.779EyUnt38o (3/6)


言ってくれれば、普通に受け入れるのに

わざわざ寒い中夜這いしてくる友奈は、それほど我慢していたのだろうか

園子は満足してると言ってはいっていたけれど

友奈たちまでそうだとは限らない

天乃「そうよね……」

沢山頑張っているのに、

お触り厳禁だなんて、我慢ならない

食べるのが好きなのに、

食べないダイエットをしているような状態なら、なおさら

天乃「自分を食べ物に例えるのは、なんだか変な気分だけど」

性的な意味で……なんて

東郷みたいな言い方をするなら間違いではないかもしれない

だけど、友奈はそれが目的で来たわけではなさそうだった

服装は一切乱れていないし、そういったものは全く感じられない

天乃「一緒にいたかったのかしら」

園子と違い、友奈は二年間一緒にいることができた

けれど、それでも一緒にいられるだけで充分だと感じてくれているのだろうか


122 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/10(月) 21:32:00.869EyUnt38o (4/6)


天乃「……でも」

その気持ちが何であっても、

こうしてそばにいてくれることが天乃は嬉しかった

温かい、熱いほどに温かい

だからきっと、冷めてしまう寂しさは惨いほどに重い

天乃「友奈……」

今、この腕に感じる熱が

唐突に失われてしまうことがある

それが、今の世界

今まで天乃がいた世界であり、今はもう、踏み入ることのできない世界

友奈に抱かれていない左手が、震えているのが見える

天乃「っ」

それは、怖いからだ

一瞬のうちに奪われてしまうのが当たり前であることを

天乃は良く、知っているからだ


1、友奈を抱きしめる
2、友奈を起こす
3、イベント判定
4、嫌、だからね?


↓2


123以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/10(月) 21:33:40.67gVtrKDfEO (2/3)

1


124以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/10(月) 21:34:34.33tjBfyrzD0 (1/1)

4


125 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/10(月) 21:45:57.599EyUnt38o (5/6)



ぞろ目 または01~10

↓1のコンマ 


126以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/10(月) 21:48:04.76biOUFnrjO (1/1)

ぬぬ


127 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/10(月) 21:58:18.709EyUnt38o (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



東郷「久遠先輩も、女の子なんですよね」

風「………」

東郷「性的な意味ではないですよ? さすがにここでそんなことは言いません」

東郷「だから友奈ちゃん、お願いね」

夏凜「朝弱いんじゃなかったっけ。友奈」

東郷「あっ」


128以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/10(月) 22:10:50.90gVtrKDfEO (3/3)


出産近いのもあって久遠さんのそばに1人いてあげないと精神もたなくなってきたな…


129以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/11(火) 02:33:54.280mlkdbf00 (1/1)


添い寝ローテーション組まなきゃ


130 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/11(火) 20:09:03.82jQZL/ljxo (1/7)

では、少しだけ


131 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/11(火) 20:35:20.56jQZL/ljxo (2/7)


天乃「嫌、だからね?」

自分でも、情けないと感じてしまうほどに弱弱しい声だった

心が弱り切っている以前の問題だ

自分が請け負うことは多々あっても、

ここまで任せっきりになってしまう経験など希薄で、

任せていることの危険性を熟知しているからこそだというのもわかる

だけど、それ以前に天乃は弱かったのだ

天乃「友奈……」

友奈「ん……ぅ」

声をかければ反応する

しがみ付く胸がより密着してくる感覚が、

心臓が動いているのを伝えてくれる

あの日三田、もう二度と開くことのない閉じた瞳とは違う

だが、そうなる可能性は、ある

耐えきれない感情が瞳からあふれ出していくのを、震える左手で止める

こんな状態ではだめだ、

安心させられない、万全の状態にさせられない

心に隙を作らせてしまう

天乃「こんな、ボロボロだなんて……」

そんな思いもむなしく、溢れるものは溢れていく

止めたいと思う心以上に、流したいと思う気持ちの方が強いからだ


132以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/11(火) 20:40:22.96mNAL9phgO (1/3)

久遠さん…


133 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/11(火) 21:00:27.79jQZL/ljxo (3/7)


流れていく涙が、ぬぐった手によって弾かれて、

一滴だけが、友奈の頬に落ちていく

天乃「っ……」

頬に落ちたそれは拭うよりも早く流れ落ちて消えてしまう

まるで、瞬きした間に奪われてしまう命のように

ネガティブが過ぎているそんな考えが浮かび上がる最中、

右腕に抱き着く力が強くなった

友奈「……天乃先輩」

天乃「!」

友奈「……特別ぅ」

ぎゅぅぅっと、友奈の力が強くなっていく

大きくはない胸だけれど、その柔らかさがクッションになって痛みはない

どんな夢を見てるのか、天乃とは正反対に幸せそうな表情を浮かべる友奈は腕に頬をくっつける

天乃「…………」

友奈「んにゅ……ぇへ――っ!?」

すりすりと寄って来ていた友奈は、

袖に目元をかすめられてか不意に顔を上げて、辺りを見渡す

友奈「はぇ……天乃しぇんぱい?」

しがみ付いていた影響と、寝ぼけているせいで出てきた間の抜けた言葉

数秒間の呆然自失といった沈黙が流れ、

次第に定まっていなかった焦点が合い始めて、瞼が二度三度忙しなく動く

友奈「ぁ……あっ!」

夢……というよりは、

寝ぼけた自分の言葉を覚えているのだろう

瞬く間に真っ赤に染まった友奈はベッドの上に座り込んだまま、俯いてしまった


134 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/11(火) 21:19:47.37jQZL/ljxo (4/7)


友奈「ち、違います……違うんです!」

天乃「違う……?」

友奈「今のは、そのっ、なんというか、えっと、その、雨で洗濯物がぁって言っただけで!」

天乃「降ってないけれど」

友奈「あぅっ」

そもそも、友奈たちは洗濯物を干していない

干していないのだから、

今この段階で雨で洗濯物が。なんていう発言はそもそもおかしい

いや、夢の中でそういう場面に出くわしたというのなら話も変わるけれど。

天乃「……なんだって?」

友奈「それは、その……」

天乃「ん?」

友奈「……な、名前で呼びました……はい」

今まで久遠先輩。と、苗字で呼んでいた友奈にとっては、

名前で呼ぶという特別感は夢にまで見るものだったのかもしれない

あるいは、それに憧れているのかもしれない


135 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/11(火) 21:42:31.57jQZL/ljxo (5/7)


天乃「風のことは、風先輩のくせに」

友奈「風先輩は、その……」

違うのだと、友奈は言う

風のことを下に見てるとか、同類に見ているだとか

そういった分別をつけているわけではなく。

そう、同じくらいに長い付き合いであるはずなのに【久遠先輩】から変わることがなかったのは

初めからずっと、友奈にとっては特別だったからだろう

東郷と同じように車椅子で、家族の記憶もなく、耳だって片方聞こえない

そんな状態でも、天乃は明るさを損なってはいなかった

誰よりも明るく、何よりも力強く見えて、

隠れてしまっていた背中ははるかに大きく見えた

自分の手には届かないようなものにさえ思えた

悪と戦う正義の勇者というものではなない勇者のように感じていた

だがそれと同時に、踏み込むことへの怖さがあったのかもしれない

東郷の失われた二年間に対しても、友奈は触れようとはしなかった

東郷やその家族が「良いから」と言っても、

友奈の性格からすれば、頑張って手掛かりを探そう。そう、踏み出してもおかしくはないのに

それは、友奈がまだ東郷とも天乃とも出会っていなかった頃の、ほんの些細なケンカによるものだ

踏み込むことのできない一線、常に前を向く姿勢その両方ともがそれによるもので

だから、友奈は誰よりも近くにいながら車椅子の隔たりから先には進めなかった

友奈「……久遠先輩は、久遠先輩なんです。ずっと遠い、ずっと大きい。私には手の届かないような人なんです」


136 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/11(火) 22:05:16.48jQZL/ljxo (6/7)


その憧れであったからこそ、

特別であったからこそ、あの時に踏み出すことができたのだろう

天乃「でも、私達付き合っているのよ?」

友奈「そう、なんですけど……」

ちょっぴりシリアスな空気もつかの間

天乃のはっきりとした一言に友奈は身を縮めて、頬を掻く

恥ずかしさからかいた汗が指先に吸い付いた

友奈「その……す、する、じゃないですか」

天乃「なにを?」

友奈「っ……け……ん」

ぼそりと

天乃の耳でさえ聞き取れないほどの小声でつぶやいた友奈は、

きゅっと唇を結んで、天乃を見る

友奈「けっこん……したら苗字が変わるって、東郷さんが言ってたから……」

天乃「……あぁ」

友奈「それなら呼べる間は、久遠先輩って呼びたいなって……」

憧れであり、馴染んだ呼び名

だからこそ、それは友奈にとってとても、特別なものなのだ


1、じゃぁ、友奈とは結婚するのやめようかしら
2、そっか、じゃぁ私も結城さんって呼ぼうかしら
3、そっか。そうなのね……なら、仕方がないわね
4、別姓でもいいんじゃないかしら。呼び名くらい
5、そこまで特別な思い入れがあるなんて、恥ずかしいわね

↓2


137以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/11(火) 22:08:00.83mNAL9phgO (2/3)

3


138以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/11(火) 22:09:17.074m8XHXdP0 (1/1)

5


139 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/11(火) 22:18:25.80jQZL/ljxo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「そんな友奈ちゃんにいいお話があるわ」

友奈「え?」

東郷「えっちする時だけ下の名前で呼べばいいのよ!」

友奈「余計にエッチな感じになりそう///」カァァ

東郷(友奈ちゃん可愛い)


140以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/11(火) 22:38:05.92mNAL9phgO (3/3)


天乃先輩と聞くと一作目の友奈ちゃんを思い出した
アニメよりも先にヒロイン化した友奈ちゃんの話をやってたなぁ


141以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/11(火) 22:52:54.60jw+Vs2MsO (1/1)


結婚したら全員久遠さんに!
誰が一番ゴロ悪そうなのか


142以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/11(火) 23:10:24.01IKemdwpWo (1/1)


1周目のHAPPYENDはほんといい文章だったよなぁ
愛の伝達棒……


143以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/12(水) 13:23:46.54PPYwgN8GO (1/1)

久遠さんの境遇はヤバイけどな


144以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/12(水) 15:13:52.82w6oWctX5O (1/1)

最初の頃は九尾や西暦組の支援も死を回避する手段もないというハードモードだったというね
今も状況こそ深刻だけどまだ恵まれてる方じゃなかろうか


145 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/12(水) 20:23:16.49ACix+QkZo (1/6)


では少しだけ


146以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/12(水) 20:28:42.827WJzdYlXO (1/3)

あいよ


147 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/12(水) 20:56:33.58ACix+QkZo (2/6)


天乃「そこまで特別な思い入れがあるなんて、恥ずかしいわね」

天乃も、自分の名前に関しては嫌いなわけではない

むしろ与えられた立場として、好きではある

しかし、友奈はきっとそんな天乃よりもこの名前に思い入れがあって、好きなのだ

照れくさそうに笑みを浮かべる天乃だが、

その目元には涙の跡があって

友奈は、うれしい笑みを浮かべることはできなかった

今の天乃は嘘が付けるような状態ではないが

友奈に限ってはそもそも、嘘が付ける性格ではないからだ

友奈「……だから、そんな大好きな人を独りぼっちになんて絶対しません」

天乃「っ」

友奈「悲しませたりなんて、したくありません」

天乃の頬に手を触れさせ、指先で優しくなでる

もう流れていない涙を、さかのぼって拭うように

友奈「でも、久遠先輩が嫌なことを私たちはこれからするんですよね」

その、罰です。

友奈はつぶやいて、額と額をくっつける

天乃が悲しければ、友奈も悲しい

それが自分によるものであれば、胸もより強く痛む

だから、罰だ


148 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/12(水) 21:38:01.34ACix+QkZo (3/6)


友奈「でも、だから、だからこそ……」

これ以上に嫌な思いはさせたくないと思う

今でさえ痛い心がそれ以上に痛む苦しみ

自分の心の痛みでさえ、危ういのだ

それ以上に辛い思いをするであろう天乃はどれほどか

考えるだけで、絶対にダメだという思いが強くなる

友奈「私たちはやり遂げます。絶対です。絶対にです」

奉火祭を阻止するだけじゃない

その先のこと、すべてをだ

勇者部はもちろん、精霊たちも、この世界に生きるすべての人々も

すべてを、救って生きていく

友奈「だから、大丈夫です」

そこにある絶対的な自信は、

大赦や神樹様ですら認めるほどの絶対的な強さを持つ人が、

ずっと、自分たちのことを引っ張ってくれていたからこそ

その背中を追い求め、ひたすらに歩んできた努力があるからこそ

そんな人でさえ、自分たちと変わらない少女であると知ったからこそ。

友奈「後は、任せてください」

天乃「んっ」

軽く、唇を重ね合わせる

それは誓い……だから、確かめるように、離れてすぐに、もう一度紡ぐ

友奈「私たちは、久遠先輩と一緒に、ここまで来たんですから」


149 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/12(水) 22:00:57.66ACix+QkZo (4/6)


天乃「友奈……」

確かに、劣る部分があるだろう

完全に補えるほどの力はないかもしれない

けれど、それを補うためのチームだ

それができるほどの鍛錬はしてきた

友奈「だから、大丈夫なんです」

天乃「貴女も、変わったわね」

友奈「こんな私にしたのは久遠先輩ですから、責任……は、もう取ってくれてますよね」

どういう意味で言ったのか。

えへへっと無邪気に笑う友奈に聞く必要もなく

天乃は「変わったわね」と、苦笑する

でも、嫌な気はしなかった

暗い気持にはならなかった

変わったと感じるからこそ、

そこに秘めた可能性は、何よりも大きかったからだ


150 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/12(水) 22:02:13.52ACix+QkZo (5/6)


√ 12月4日目 昼(病院) ※木曜日


01~10 
11~20 若葉
21~30 
31~40 
41~50 千景
51~60 
61~70 
71~80 球子
81~90 
91~00  水都

↓1のコンマ


151以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/12(水) 22:03:06.137WJzdYlXO (2/3)




152 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/12(水) 22:18:18.78ACix+QkZo (6/6)

では、ここまでとさせていただきます
明日も出来れば通常時間から


東郷「責任……えっ、友奈ちゃんも子供が!?」

東郷「どうやったの! どうやって久遠先輩の子供をっ!」

東郷「私も孕みたいわっ!」

東郷「……為せば大抵何とかなる」

東郷「まさか!」


風「はいそこー! 五箇条を淫らなことに使わない!」


153以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/12(水) 22:28:27.477WJzdYlXO (3/3)


弱気な一面を見せる事が多かった分、久々に友奈ちゃんらしい友奈ちゃんを見れた気がする
あととーごーせんせー必死過ぎるw


154以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/12(水) 22:48:30.12zomSf7tjo (1/1)


何気若葉様との交流久しぶり……かな?


155以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/13(木) 01:29:34.52wiMIRxV50 (1/3)


若葉も嫁なのに最近は嫁らしい絡みがないからな


156以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/13(木) 06:57:34.63m8v1HBAYo (1/1)

コンマに恵まれて無かったからなぁ…
それはそうと来週末で4周年とか控えめに言って凄い

開始
1 ◆QhFDI08WfRWv 2014/12/22(月) 22:27:22.35 ID:ujzyfikCO

現行
152 ◆QhFDI08WfRWv saga 2018/12/12(水) 22:18:18.78 ID:ACix+QkZo


157 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/13(木) 20:15:13.8015SJArMBo (1/7)


では少しだけ


158 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/13(木) 20:41:20.7115SJArMBo (2/7)


√ 12月4日目 昼(病院) ※木曜日


勇者部のみんながいないお昼時

何を思っているのだろうか

じっと窓から外を眺め続ける天乃を、、若葉は陰の中から見守る

もの言いたげに動く唇

現実との境目たる境界線の上で踏みとどまってしまった足

行くか行かぬか

迷う若葉はふと、息を吐いて一歩踏み出す

天乃たちのいる現実と、若葉たちの潜む精霊の世界

領域の外から出てきた若葉の出現は唐突だったろうし

窓ガラスにその姿は映ったはずだ

けれど、天乃は眉一つ動かすことはなくて。

若葉「……天乃」

天乃「…………」

若葉「その――」

気まずさに忍び足な若葉の声を閉ざすように、天乃が振り向く

天乃「いまさら何よ、馬鹿葉」

若葉「なっ」

見えたのは、不満、聞こえた声は不機嫌だった


159以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/13(木) 20:58:45.26ywRMSmZdO (1/2)

来てたか


160 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/13(木) 21:00:25.2715SJArMBo (3/7)


若葉「出会い頭にそれはないだろうっ」

天乃「そう?」

そうなの? と

明らかに聞いてはいないトーンで口にした天乃は、

若葉から視線を流して、ため息をつく

何を考えているのか探るのが難しく感じそうなものだが

別段、隠そうとしていないらしい

天乃「精霊の力を使うのに賛同してたからあえて距離を置いたは良いけれど、樹達がみんなやる気になっちゃってどうしようもなくなったわけではないの?」

若葉「それは」

天乃「独りぼっちで寂しく震える子ウサギちゃんを見ていて自分たちは何をしようとしたのかと罪悪感に居た堪れなくなって学校に行かなかったんじゃないの?」

若葉「うっ」

天乃「いざ休んだは良いけれど合わせる顔がないだなんて出てくるのためらってたんじゃないの?」

若葉「せ、精霊のことを感知できるようになったのか!?」

天乃「やっぱりそうだったのね」

誘導された……と、若葉は頭の中で思って半歩退いたが、

天乃は「謀ってない」と断言する

天乃「だから馬鹿葉って言ったのよ。信じられない」


161 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/13(木) 21:07:37.5215SJArMBo (4/7)


若葉「す、すまない……だ、だが決して天乃に嫌な思いをさせたかったわけじゃないんだ!」

本心から、天乃を思っている

だからこそ、救いたいと思っているわけだし

だからこそ、つらい決断もするべきではないだろうかとも考えた

自分たちのことも残したい、守った世界の平和さを感じてほしい

その気持ちは嬉しいが、やはり、精霊だから

本来生きている人に比べれば、その存在は捧げるに易いと思ったから

けれど。

天乃「そんなこと、知ってるわよ」

若葉「…………」

天乃「みんなそうでしょ。みんな……貴女達も、友奈達も。一緒でしょ」

思う気持ちが強いからこそ

この身を捧げてでも……という考えに走りがちになってしまう

無謀な賭けに出ようとしたりもしてしまう

天乃「だから、質が悪いの」

自分がそういうことをやっていたから、良く分かる

理解ができる、気持ちがわかる

だから、強く否定をすることができない


162 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/13(木) 21:32:31.2915SJArMBo (5/7)


天乃「でも、何度も言っているけれどそんなことさせるつもりはないわ」

若葉「そう、だな……ここまで来ても私達の力を使うとは言わない以上、どこまで追い込まれても使わないだろう」

困った主人だ

本当に、大変な主人だ

若葉は二度ほど繰り返しながら、苦笑する

その在り方が、

勇者部に無茶をさせることに繋がっていることも理解している―友奈たちはそうと認めないが―から

反論の隙も無い

それが分かっているなら使うべきだと言ったら、

勇者部からも強くバッシングを受けることになるだろう

最終的には、力を使い果たして再び出会うであろうひなたにでさえ

きっと、「あれはさすがにないです。若葉ちゃん」と、呆れられてしまうことだろう

若葉「……天乃」

天乃「なに?」

若葉「もしも世界が元に戻って、でも、私たちが見たあの世界のままだったら……」



163 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/13(木) 21:42:48.5815SJArMBo (6/7)


少し、ためらう

精霊としての力を使い果たそうというものではない

だが、危険かもしれない、心配させるかもしれない

こんな場面で言うべきではないかもしれない

けれど、最終決戦を前にそれぞれが思いの丈を打ち明けていく中で

自分だけ隠しているというのは、聊か微妙な気分で。

若葉「酷なことを言うかもしれないが……私達西暦の勇者だけで世界を巡らせては貰えないだろうか」

天乃「え?」

若葉「本当なら、みんなで。と言いたいところだが現実問題そうはいかないだろう。だが、かといって、解放された土地を放置はできない」

だから、誰かが見に行く必要がある

そしてそれは、過去の世界を知る者として、自分たちがすべきであると、若葉は言う

若葉「それだけは、許して貰えないだろうか? 沙織を通じて連絡は怠らないし、ちゃんと帰ってくるつもりだ。だから、すべてが終わったら、そうさせて貰えないだろうか?」

平和な世界は土地の開放によって揺らぐだろう

だから出ていくというわけではない

これは、勇者として。若葉がやりたいことなのだ


1、それこそ、勇者部みんなで行けばいいじゃない
2、なによ。まさか歌野が言ってたみたいに国造りする?
3、……そっか。そう、それが、若葉のやりたいことなのね
4、平和を実感してほしいから……だったのだけど。貴女はそうしたいのね


↓2


164以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/13(木) 21:43:36.33wiMIRxV50 (2/3)

1


165以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/13(木) 21:45:47.740/Kr/MKuo (1/2)

2


166以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/13(木) 21:48:11.67ywRMSmZdO (2/2)

4


167 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/13(木) 21:54:25.1115SJArMBo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みになるかと思います
再会は明後日、できれば早い時間から



東郷「ウサギって、性欲が強いらしいわ」

夏凜「あっちはまじめな話をしてるんだけど?」

東郷「まじめな話、動物の中でウサギの性欲は随一らしいわ」

東郷「つまり、久遠先輩は兎少女という破廉恥な衣装が似合うと思うの」

東郷「兎は耳が敏感ですけど、久遠先輩はここが敏感なんですね。とか責めてみるのもいいわ」


友奈「すっごくまじめな顔でとってもえっちなこと言う東郷さんが一番似合うと思う」


168以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/13(木) 22:02:23.77wiMIRxV50 (3/3)


真面目な話(真面目な話とは言っていない)


169以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/13(木) 22:03:24.540/Kr/MKuo (2/2)


と、東郷さん的には真面目な話だから…


170以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/13(木) 22:16:13.26BUWUDD6cO (1/1)


破廉恥な衣装…とーごーせんせーにも似合うと思いますハイ


171以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/14(金) 13:14:09.72wOu/WgVZO (1/1)

久遠さんはただハレンチなだけって衣装はアンマッチだと思う


172 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/15(土) 20:53:00.19Qn6v1KkNo (1/7)


では、少しだけ


173以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/15(土) 20:57:14.79lRG4e7p7O (1/3)

よっしゃ


174 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/15(土) 21:40:24.50Qn6v1KkNo (2/7)


天乃「なによ。まさか歌野が言ってたみたいに国造りする?」

若葉「歌野が言ってたのは半分冗談みたいなものだろう……」

国造りなんてそう簡単にできることではないし、

やっていいことでもない

けれど、バーテックスから世界を解放するなんてことを成し遂げたのだ

放棄されてきた広大な地区の一角を戴いてしまう……なんてことも許されるかもしれない

もちろん、過去から今までのすべての勇者や巫女たちの尽力あってこそのものであり、

自分たちだけで取り戻したわけではないのだが。

若葉「出来ても、集落程度で収まるんじゃないか?」

自分たちだけで行くと考えれば、完全にその程度だ

もしも天乃や勇者部が外の世界での生活を呼び掛けたらどうなるだろうか

崩壊した外の世界と、まだ残っているこの世界

どちらを選ぶかはやってみなければ確証はないが、

さすがに、ついていく。という考えはなかなか出ないことだろう

天乃についていきたいと言い出すような若年層はいるかもしれないけれど

親の気持ちを考えれば、まず無理だ

若葉「それに、天乃の場合は国よりも子供を作ることになるんじゃないか?」

天乃「どうしてよ、この子たちを産んだらもう、そういうのを許す気は――」

若葉「東郷は……東郷は天乃が思っている以上に本気でその技術を復活? させようとしているんだが」


175 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/15(土) 21:51:54.04Qn6v1KkNo (3/7)


ただの研究者魂でなければ

たんなる破廉恥な思惑での本気さではない

それができることによって、

天乃や勇者部の交際やその先に進むことでの批判になりうる理由

その弊害を払拭できるようになるからこそ、本気で取り組もうというのだ

……下心も多少はあるのかもしれないが。

若葉「伊集院家とて、優秀な血を得られるなら文句は言わないだろう」

天乃「ここまで来たら、血筋なんて気にしてられないと思うけど」

若葉「いや、案外無視できなくなるかもしれない」

天乃「なぜ?」

若葉「世界を救った勇者の血。だからだ。私達の血族がいい例になるかもしれない」

崩壊した世界、消えてしまった神樹様

人々はきっと不安になることだろう、恐れを抱くことだろう

そこに、神樹様の御力を借りて世界をすくうことのできる勇者の子孫などが力の一旦を示しでもしたら、

不安をぬぐうために信仰の対象にだってなりかねない

最終的には、世界が元通りになっていくであろう数十、数百の年月の間に、

大赦のような大きなものにだってなることも夢ではないかもしれない

天乃「大赦が残っていれば、そうはならないと思うけれど……でも、そうね。沙織のお父さんはそういう考えも持ちそうだわ」


176 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/15(土) 22:06:22.28Qn6v1KkNo (4/7)


若葉「そう考えれば、天乃の国造りという歌野の話も冗談にはならないな」

やろうとするのなら。だ

天乃は神樹様の力で勇者になっていた勇者部と違って、

神樹様が力を使い果たしたりしてしまった後の世界でも力を行使できるだろう

そこで力を示したらどうなるか。

生き残るために踏みとどまるのではなく

生きるために前進しようと声をかけ、切り開くことのできる力を示したとしよう

守ることができる力があることを示したとしよう

ついてきてくれる人はきっと……

若葉「いや、やはりそれはダメだな」

天乃「それはそうでしょ」

若葉「そもそも、私は賛同はしてないからな?」

否定するように言う若葉は苦笑いの奥で、再度否定する

それは天乃の負担が大きすぎるのだ

体的にも、精神的にも

だから、国造りなんて言うのは冗談で終わらせてしまったほうが良い


177 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/15(土) 22:48:29.70Qn6v1KkNo (5/7)


若葉「それはそうと、冗談ではないんだ。私は」

天乃「やっぱり?」

若葉「必要なことだと思う。もちろん、天乃が言いたいだろう別に私達ではなくていいはず。というのも一理あるが……」

なにも、若葉たちが出ていかなくたって、

この世界には勇敢な人もいるし、

国が主導でそういった組織を再編成して何とかしてくれるかもしれない

だが、もしも倒したはずの天の神の力が残っていたら?

それによって星屑が存在している地域があったら?

それを考えると、やはり自分たちであるべきであるという考えは譲れない

もちろん、安全が確認できたら国に任せるつもりだ

若葉「一応、考えてみてくれないか? 別に深く悩まなくていいからな? ただ……そう……単身赴任するみたいなものだと思ってくれ」

天乃「……それ。結構悩むやつ」

実際にどうなのかはまだ、大人ではない天乃にはわからないけれど

相手をどれだけ思っているのかで変わるだろうが

天乃にとっては、深く悩まなくていいものではない。

残るか、ついていくか真剣に悩むものだ

若葉「すべてが終わったからってすぐにいくわけじゃない。落ち着くまではそばにいるから」

そういって若葉は笑みを見せた


178 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/15(土) 22:49:41.97Qn6v1KkNo (6/7)


√ 12月4日目 夕(病院) ※木曜日


01~10 沙織
11~20 
21~30 
31~40 夏凜
41~50 
51~60 
61~70 風
71~80 
81~90  東郷
91~00 

↓1のコンマ


179以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/15(土) 22:50:52.98lRG4e7p7O (2/3)




180 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/15(土) 23:19:16.60Qn6v1KkNo (7/7)


では、ここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から



若葉「東郷は別に、下心だけでやっているわけじゃないんだ」

風「えっ?」

東郷「何ですかその反応……心外です」

風「てっきり、下心しかないものだと」

東郷「下心じゃありません、本能です」

夏凜「煩悩でしょ」


181以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/15(土) 23:37:32.23lRG4e7p7O (3/3)


本当にIPS的な技術が復活したら今度は久遠さんが孕ませる番になるのだろうか…
天の神との戦い後は勇者の血を巡る物語に発展しそう


182以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/15(土) 23:37:59.68ZBjBl6150 (1/1)


久遠さん魅力的だからしょうがないね


183 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 13:18:13.15NDkYgzUco (1/19)


では、少しずつ


184以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 13:29:12.183H5IjlkGO (1/2)

かもーん


185 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 13:55:39.19NDkYgzUco (2/19)


√ 12月4日目 夕(病院) ※木曜日


天乃「……今日は、そんなに悪くない」

重い眠気もないし、体のだるさも軽い

布団から出した手を何度か握っては開いて、確かめる

込められる力はまだまだ弱い

悪くない状態でも貧弱なままの自分を実感して、息を吐く

今の自分にできるのは待つことだけ

若葉の望みに対してだってそうだ

二児……しかも双子の赤子の母親が、

壊れた世界に出ていくなど出来るはずがない

連れて行くなんて出来るわけがない

ただでさえ補助が必要なのに、外になんて

天乃「言えるわけ、ないよね」

連れて行ってほしいと。

精霊だけで行くなんて

それこそ、危険だなんて。

天乃を連れていく以上に危険なことはないのだから


186 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 14:27:22.15NDkYgzUco (3/19)


若葉はすべてが終わった後も、落ち着くまでは一緒にいると言っていた

だから、落ち着いた後

問題が無くなったら一緒に行くと言い出すのは、どうだろうか

とっさに。

そう、とっさにうまい返事をすることができなくて、

歌野の言葉を借りての冗談を述べて逃げたけれど

天乃「ダメね、まるで現実味がない」

いまだに、若葉の望みを叶えた上での言葉は見つからない

もっとも、若葉の望みのみを考えれば、

答えることはとても簡単なのに。

天乃「見送って、あげるべきなのかもしれないわね」

若葉達の望みは一度、断ち切った

それも、天乃の望みのためにだ

それにもかかわらず、

救い終えた後の世界での望みまで断ち切るなど

していいことではないのかもしれない

天乃「全部が終わった後のこと……ね」

みんな考えている

すべてが終わった後にどうしていたのか

何をしていたいのか

けれど、自分はまだ何も考えられてはいないのだと

まだ、手元に残っている白紙の進路希望調査票を見つめ、ため息をついた


187 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 14:27:51.65NDkYgzUco (4/19)


1、勇者
2、精霊
3、イベント判定

↓2


188以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 14:40:25.473H5IjlkGO (2/2)

3


189以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 14:41:59.55G5gxhuOeO (1/4)

3


190 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 14:50:39.15NDkYgzUco (5/19)

√ 12月4日目 夕(病院) ※木曜日


01~10 夏凜
11~20 風
21~30 友奈
31~40 樹
41~50 東郷
51~60 球子
61~70 沙織
71~80 園子
81~90 千景
91~00 九尾

↓1のコンマ


191以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 14:52:05.52G5gxhuOeO (2/4)




192 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 15:33:34.32NDkYgzUco (6/19)


√ 12月4日目 夕(病院) ※木曜日


球子「また、若葉に余計なこと言われたのか?」

天乃「球子……」

球子を一瞥した天乃は、

首を横に振ってそれを否定する

若葉が余計なことを言ったのではない

自分が余計なことを考えようとしてしまっているだけだ

天乃「若葉は自分が何をしたいのか。それを話してくれただけ」

球子「そっか」

天乃「…………」

球子「こういうとき……」

杏が居れば、何かいい言葉を投げかけられるはずだ

正しい行動を起こせるはずだ

そう考えて止まってしまった口を、堅く結ぶ

球子「だから悩んでるのか?」

天乃「うん」

球子「天乃が嫌だって言えば、若葉はいかないでくれると思うぞ」

天乃「そうね。そうでしょうね」


193 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 15:52:24.62NDkYgzUco (7/19)


若葉は自分の望みを語ったってくれたが

あれは天乃に対しての願いみたいなものだ

こうさせて欲しい、こうする許可が欲しい

そんな願いだ

だから、天乃が一言それはダメだと言ってしまえば、

そうか。と、受け入れてしまうだろう

これは自負ではなく、事実だ

だからこそ、悩む

天乃「でも、全部が終わったらそれこそみんなの自由であるべきだと思うのよ」

球子「…………」

天乃「若葉は私から離れるっていうけど、でも、それは精霊としてってわけじゃない」

以前話したように、

精霊としての力を返し、この世界から消えてしまうようなことは一言も言わなかった

ひなたに会いたい

その思いがあるはずなのに。

天乃「あくまで私の願いを聞いたうえでの願いなのに、付け加えて我儘を言うだなんて、最低だと思わない?」


194 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 16:53:47.66NDkYgzUco (8/19)


自嘲的な笑みを浮かべる天乃に、球子は口を閉ざす

球子にも、

ここで楽観的なことを言うことは間違いであることくらい、わかるからだ

そんな深く考えなくてもいい

そう言ったところで、ではどうしたらいいのか。という言葉は思いつかない

だから、球子も天乃の気持ちに同調して、自虐的な表情を浮かべてしまう

球子「天乃……」

天乃「球子?」

球子「出てきておいて、ごめんな。楽観的過ぎたかもしれない」

天乃「そんなことないわ」

球子「そんなことある。天乃にかけてやれるうまい言葉が、見つからない」

ただ出てきて、茶化して

無駄に深刻な表情をさせてしまっただけ

球子「タマは、ダメだな」


1、上手い言葉なんていらないわ。そばにいてくれるだけでいい
2、ねぇ、球子はどうするの? 若葉の誘いに乗っているの?
3、そんなことないわ。難しく考えないからこそ、浮かぶ答えもあるはずだわ
4、ううん。私も少しは球子みたいな考え方ができるようになるべきかもしれない

↓2


195以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 16:59:11.74G5gxhuOeO (3/4)

2


196以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 17:00:07.52VxuN/q0e0 (1/2)

4


197 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 17:40:41.03NDkYgzUco (9/19)


天乃「ううん、いい加減。私も少しは球子みたいな考え方ができるようになるべきかもしれない」

球子「タマみたいにか?」

天乃「ええ」

球子が常に楽観的な考え方しかしていないとは思っていない

けれど、深く悩むだけではない考え方を

いつかはそうしなければならないと思っていたそれを。

今度こそ。

それこそ、もう、戦いを終えるのだから

少しは子供みたいな考えができるようになっても、良いのではないのだろうか

一言一言に夢を込めて、希望を添えて

理屈や道理を蹴っ飛ばして理想を述べる

でも、それはもうやってるのよね。と、

天乃は苦笑して、球子へと目を向ける

球子のような考え方と、天乃が今やっているような我儘を述べるようなことはイコールではない

天乃「どうしたら、良いのかしらね」

球子「どうしたらって、なにを」

天乃「球子みたいに考える方法」

今まで生きてきた中で、

一度もしたことがないわけではないはずなのに

どうすればそうできるのか、天乃には考えつかなかった


198 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 18:17:53.45NDkYgzUco (10/19)


ただまっすぐに、ポジティブな考え方

かといって、悪い考えをしないわけでもない

そういう点で言えば、

球子の考え方と同じように、友奈の考え方も見習うべきだろう

天乃「私には、無邪気さがないのかもしれないわね。あるいは、無垢さ」

球子「無垢さで言ったら、勇者部はみんななくなりかけてるんじゃないか?」

天乃「……まぁ、そこは大人になっていくんだもの。仕方がないわ」

球子「ずいぶんと早送りだったけどな」

誰かさんのせいで。

そう呟きつつ天乃へと目を向けた球子だが、

そらされた視線は追わずに、笑う

けれど、もしかしたら今の天乃の言葉こそが真実なのではないかと、思う

大人になっていく

だから無邪気さが損なわれ、無垢さがかき消され

そういった考えを持てなくなってしまう

つまり、天乃はそうなってしまったのだ

本人が自覚するよりも先に

そんな考えが持てなくなってしまうほどに


199 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 18:37:03.88NDkYgzUco (11/19)


球子「そんな大人びた天乃がタマと同じ考え方がしたいなら、まずは……そう、元気になることだな!」

天乃「元気にって、今は――」

球子「そこだ、そういうところ」

今は何もできない

今は誰かの手を借りることでしかどうしようもない

足手まとい、迷惑

だからそんなことを考えてなんてられない

球子「そうじゃない」

そうじゃないんだ。と、球子は言う

自分に言えることなんて大した意味もない

もっといい考え、良い言葉

できる人、言える人なんてほかにいくらでもいることだろう

だが、今の天乃に声をかけてやれるのは自分なのだ

球子「だったら元気にならなきゃ。とか、言えばいいんだ」

天乃「…………」

球子「なんもかんも、元気が大事。元気がなければいい考えなんて浮かばない。だろっ?」

球子は笑顔で言う

それがあまりにも笑顔だから、

天乃は「そういうものなのね」と、受け入れたように、微笑んだ


200 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 19:05:46.45NDkYgzUco (12/19)


√ 12月4日目 夜(病院) ※木曜日


01~10 友奈
11~20 
21~30 
31~40 風
41~50 
51~60 
61~70  園子
71~80 
81~90 
91~00  夏凜

↓1のコンマ



201以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 19:27:12.78G5gxhuOeO (4/4)




202 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 20:15:21.74NDkYgzUco (13/19)


√ 12月4日目 夜(病院) ※木曜日


天乃「とりあえずは元気になること……確かにそうだわ」

正論だ

出産に備えなければいけないし、

元気がなければ何もできはしない

足が動くとしても、何ができるとしても。

元気の良さがなければ空回り

天乃「……そういう、考え方。かな」

元気があろうがなかろうが、

目の前の問題を何とかすべきだと考えて、猪突猛進

そんな考えしか持てていないから

浮かぶ考えも浮かんではくれない

天乃「まずは元気よく。そうね……元気に……」

ここでなれたらいいな。と、

考えてしまうのはきっと、大人になってしまったからかもしれない

天乃「でも、ここで落ち込んでいたらダメなのよね」

すべては子供のためなのだから

そう考えれば、この苦しみも耐えられるものだろう


203 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 20:39:56.37NDkYgzUco (14/19)


子供としての無邪気さがもう、取り戻せるものではないのなら、

せめて、大人としての無邪気さを手に入れるべきだ

天乃「まぁ、そんなものがどんなものかすらわかっていないのだけど」

またそんなことを言って。と

自分の無意識に呆れた想いを述べる

もはや反射的な考え方ということだろう

自分の意志でどうこうできる話ではない

もっと根本的なところで変えなければいけない

それをしてくれるのは、誰だろうか

天乃「なんて、こんなところまで誰かを頼ろうなんて」

それはさすがに甘えすぎというもの

大人になんてなれていない

でも、子供ではない

天乃「……子供でいられなかった、大人にもなりきれなかった、半端者ね」


1、勇者
2、精霊
3、イベント判定

↓2


204以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 20:51:08.526qumbtLCO (1/4)

3


205以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 20:52:22.22VxuN/q0e0 (2/2)

3


206 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 21:08:29.60NDkYgzUco (15/19)


01~10 園子
11~20 樹
21~30 水都 
31~40 千景
41~50  風
51~60  友奈
61~70  夏凜
71~80  東郷
81~90  九尾
91~00  沙織

↓1のコンマ



207以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 21:13:32.526qumbtLCO (2/4)




208 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 21:36:50.06NDkYgzUco (16/19)


友奈「久遠せんぱーい」

天乃「あら、どうかしたの?」

友奈「えへへ」

照れくさそうに笑う友奈は、

今日も来ちゃいました。と、無邪気な笑顔を浮かべて見せる

昨日の夜には夜這いして

今日の夜には、普通に姿を見せた

昨日の夜もこんな顔をしていたのだろうかと思うと、

淫らな行為を覚えてしまった勇者部にも

まだまだ無邪気さや無垢さが残っているのではないかと思う

いや、昨日の夜這いは決して淫らな思いはなかった。という話だったっけ

天乃「ふふっ」

友奈「な、なんで……顔に何かついてます? あれっ?」

天乃「ううん、そういうわけじゃないの。ただ、可愛くて」

友奈「ふぇっ!?」

天乃「ほんとう、可愛くてね」


209 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 21:59:27.44NDkYgzUco (17/19)


顔を真っ赤にして、じりじりと後退りする

でも、決して天乃の視界からは出ていかない

最後の一歩を後ろに下げることはない

褒められた嬉しさという羞恥心を感じながら、

友奈はきゅっと唇を結んで足早に天乃の領域内へと入り込む

友奈「ずっ、ずるくないですかっ!?」

天乃「なにが狡いのよ」

友奈「だって」

天乃「本当のことを言っただけでしょ?」

友奈「うっ」

ううぅ……と、文句を言おうにも言えない友奈の頑張ったうめき声が零れる

恥ずかしいけれど嬉しくて、嬉しいけれど、恥ずかしい

そんな様子の友奈はやっぱり、可愛らしいのだ

友奈「く、久遠先輩だってかわいいですよ! それに、きれいです!」

天乃「あら、嬉しい」

ふふふっと笑うと友奈は不満だったようで。

友奈「そ、それにっおっぱい大きいです!」

変な方向に全力疾走した


210 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 22:12:15.02NDkYgzUco (18/19)


天乃「友奈は胸も可愛らしいわよね」

友奈「あぅっ」

天乃「でも、私はそんな友奈のことも好きよ」

これからの未来、

成長期がやってきて、身長だけでなく胸が大きくなっても

天乃は友奈を好きだという気持ちに変わりはない

子供であろうと大人であろうと、大きかろうと小さかろうと。

好きになったのは友奈であって、その容姿だけではないのだから

天乃「それに、友奈は脱いだ姿は綺麗よね。筋肉の付き方とか、うどんを食べすぎたちよっぴりの柔らかさとか」

友奈「っ」

天乃「白いから、細いから、だから綺麗じゃなくて。外で遊ぶ活発さに色づいた肌だって、綺麗だと思う」

友奈「な、なんで……なんでこんな話になってるんですか……っ」

ギブアップとでも言いたげに

高ぶった感情からか涙を流しかけている友奈の訴えに、

天乃は「可愛いからでしょ?」と、止めを刺す


1、おいで、一緒に寝ましょ
2、ほんと、貴女が羨ましいわ
3、来てくれて嬉しいわ
4、それで、可愛い可愛い私のお嫁さんはどうしてここに来たの?


↓2


211以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 22:13:58.52xO1y4D37o (1/1)

4 なんで来たのかなぁ…?


212以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 22:14:28.106qumbtLCO (3/4)

4


213 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/16(日) 22:32:15.00NDkYgzUco (19/19)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「あとえっち」

東郷「胸が弱い」

東郷「髪がさらさら」

東郷「エッチよりもキスが好き」

東郷「実は抱きしめながらキスしてあげるともっと感じやすい」

風「まじで!?」


214以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/16(日) 22:39:34.186qumbtLCO (4/4)


ここの所落ち込みっぱなしな久遠さんだったけどポジティブに考える事で少し元気になったかな
あと久遠さんのおっぱいに興味津々な友奈ちゃんかわいい


215以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/17(月) 00:07:43.76z5FeavhrO (1/1)


毎日でも会いたくなるからねしょうがないね


216 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/17(月) 20:05:46.046yinSHbgo (1/7)


では、少しだけ


217以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/17(月) 20:13:14.03+jNxwtg4O (1/3)

おk


218 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/17(月) 20:29:49.916yinSHbgo (2/7)


天乃「それで、可愛い可愛い私のお嫁さんはどうしてここに来たの?」

友奈「もうっ、またっ」

天乃「言われるの嫌?」

友奈「嫌ではないですけど……」

恥ずかしいです。

ぼそっと呟く愛らしさに天乃は微笑む

弄っているつもりはない

本心で、可愛らしいと思う

だから……

天乃「ふふっ、それで? 本当にどうしたの?」

友奈「あっ、はっはい……」

ポリポリとほほを掻く。

話の前の戯れのせいか、目を合わせてくれない

そんな友奈は「えっとですね」と、切り出す

友奈「さ、寒い……じゃないですか」

天乃「そうね」

友奈「今朝は、あったかかったから……」

天乃「一緒に寝たいって?」

友奈「……はい」


219 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/17(月) 21:07:19.836yinSHbgo (3/7)


東郷もいるのに……なんて、言うのは友奈には悪いだろう

東郷がいるのは分かっている

解ったうえでここに来てくれたのだ

それは今朝にも話してくれたことが、理由

天乃「物好きね。今朝の今夜だなんて」

友奈「仕方ないじゃないですか」

仕方がないじゃないですか

そう繰り返しながら向けてきた目は、本気の瞳

照れくささこそ残っているが、

友奈の豊かな表情は心を現して微笑む

友奈「……知っちゃったんだから、仕方がないじゃないですか」

天乃「っ」

友奈「責任、取ってください」

自分で言いながら、だんだんと赤みがかっていく顔色は臨界点を超えて

ぅあぁぁぁっと、うめき声を漏らしながら友奈の体は崩れていく

友奈「なし、なしです! 今のは無しです!」

天乃「責任なら未来永劫取ってあげるわよ?」


220 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/17(月) 21:44:20.926yinSHbgo (4/7)


天乃「それとも、私じゃ不満?」

友奈「そ、そんなことないです」

天乃「なら、良いじゃない」

友奈「良いですけど……」

嬉しいですけど。

自分の発言を思い返せば、膨れ上がる恥じらいにどうにかなってしまいそうになる

それを隠せるのなら、

嬉しそうに次から次へと語ってくれる天乃の口をふさいでしまいたくなる

とても、温かくなれる方法で。

それはきっと、

明日かもしれない、明後日かもしれない

もしかしたら、今からかもしれないという緊張感を

解きほぐしてくれることだろう

友奈「あんまり言われると……エッチなことしたくなるので、やっぱり駄目です」

天乃「体的には、もう大人って感じなのね。友奈」

友奈「…………」


221 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/17(月) 22:12:16.036yinSHbgo (5/7)


友奈「ま、まだ……子供です」

エッチなことはしたけれど

その味を覚えてしまったけれど

まだ、残しているものがあるから子供だと

友奈は小さな声で否定する

友奈「……久遠先輩が、貰ってくれるまでは、子供です」

天乃「ふふっ、それは責任重大ね」

天乃の手で大人になりたい

そう宣言した友奈の向けられていない顔を見つめて、

天乃は笑みを浮かべる

天乃「そこで立っていたら寒いでしょ? 入ってきなさい」

友奈「えへへっ、お邪魔しますっ」

捲った布団、開けた隙間

入って来る嬉しそうな表情を見せる友奈に、天乃は何も言わなかった

やっぱり駄目です。ついさっきそういった友奈の表情が一瞬陰ったのを認めていたとしても。

そこを突くのは、無意味だ

頼りがいのある、立派に見えた友奈もまだ子供、そう、子供

まだまだ頼り頼られていかなければ、躓いてしまいそうなほどに危なっかしい

天乃「……似た者同士」

友奈「えっ?」

天乃「ふふっ、勇者になった友奈って、髪の色は私と同じよね」

勇者の時とは違う、

愛くるしい表情を見せてくれる友奈の優しさを受けて、天乃はそう、誤魔化した


222 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/17(月) 22:13:05.176yinSHbgo (6/7)

√ 12月5日目 朝(病院) ※金曜日


01~10 風
11~20 
21~30 
31~40 夏凜
41~50 
51~60 
61~70  沙織
71~80 
81~90 
91~00  園子

↓1のコンマ



223以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/17(月) 22:14:31.96wU7eFlJN0 (1/2)




224以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/17(月) 22:15:10.46+jNxwtg4O (2/3)




225 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/17(月) 22:29:08.316yinSHbgo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みをいただくことになるかと思います
所用でしばらく平日は厳しくなるかもしれません



東郷「私の方が大きいわ」

風「天乃はあの身長のくせにあの大きさっていうのが最高なのよ。大きさだけで語れるものじゃない」

東郷「万理あります」

園子「否定しないんだね……」

東郷「久遠先輩の良さを否定することに意味があるの? いえ、ないわ!」

東郷「言えないだけに!」


友奈「という経緯で」

天乃「何やってるのよ、本当に」


226以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/17(月) 22:48:13.27wU7eFlJN0 (2/2)


師走は忙しいよね


227以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/17(月) 22:54:50.28+jNxwtg4O (3/3)


言うて勇者としてはよろしくないのかも知れないけど友奈ちゃんレベルのえっちな事であれば年相応だと思うな
あ、とーごーせんせーは自重してください。


228 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/19(水) 20:36:17.41+hFUsdgYo (1/7)


では少しだけ


229以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/19(水) 20:38:04.35wHwg4c9/O (1/3)

やったぜ


230 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/19(水) 20:48:07.52+hFUsdgYo (2/7)

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流有(夜這い、嫌だ、可愛いお嫁さんの理由)
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流有(国造り?)
・   土居球子:交流有(球子のような考え方を)
・   白鳥歌野:交流有()
・   藤森水都:交流有()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


12月04日目 終了時点

乃木園子との絆  86(高い)
犬吠埼風との絆  109(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  97(とても高い)
結城友奈との絆  119(かなり高い)
東郷美森との絆  128(かなり高い)
三好夏凜との絆  150(最高値)
乃木若葉との絆  99(かなり高い)
土居球子との絆  46(中々良い)
白鳥歌野との絆  44(中々良い)
藤森水都との絆  36(中々良い)
  郡千景との絆  46(中々良い)
   沙織との絆  128(かなり高い)
   九尾との絆  69(高い)
    神樹との絆   ??(低い)



231 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/19(水) 21:05:49.80+hFUsdgYo (3/7)


√ 12月5日目 朝(病院) ※金曜日


園子「天さん……あ、起きてる」

天乃「起きてたらダメだった?」

園子「ううん、そんなことない」

ひょっこりとカーテンの隙間から顔を覗かせた園子は、

天乃のすぐ横でまだ寝息を立てている友奈を一瞥すると、

お邪魔だったかな~。と、笑みを含んで呟く

天乃「大丈夫よ。そろそろ、起きなくちゃいけない時間だろうし」

園子「……天さん、体の方は問題ない?」

天乃「それも大丈夫」

心配ないと笑みを送る

実際、妊娠中の体の重みや苦しさこそあるが、

それ以外の辛さは感じなくて、嘘のように快調だった

妊娠初期などであればまだそれも普通だったかもしれない

けれど、今は違う

それが分かっているから、それが心配だから

ここ最近の勇者のみんなはよくよく朝から姿を見せるのかもしれない


232 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/19(水) 21:16:23.50+hFUsdgYo (4/7)


園子「今月だよね? 大丈夫なのかな」

天乃「つわりのように重なったら悲惨なことになるかもしれないわね」

園子「冗談にならないんよ……」

天乃を襲ったつわりの症状は、

その期間を凝縮した殺意さえ感じられるようなものだった

それなのに、

つわりを超えるであろう痛みを与える陣痛の症状まで重なったら

あるいは、経産婦のようにその一つ一つのスパンが短く来てしまったら

初産の天乃にとっては耐え難い苦痛だろう

それはたとえ、勇者を経ていたとしてもだ

園子「わっしー曰く、夜から朝の時間帯が統計的に高いらしいって」

天乃「なるほど……友奈の二日連続の夜這いもそれが理由?」

園子「ゆーゆはまだそれを聞いてないと思うから、違うんじゃないかな~」

不安そうな表情から一転

ニコニコと、そしてなにより楽しそうな声色で言う園子は、

友奈の幸せそうな寝顔に指を伸ばして、引っ込める

園子「ゆーゆはただ、天さんと一緒にいたいだけだと思う」

寒いし、なにより……安心する

理由を舌の上で転がして、飲み込む

園子「私も夜這いしちゃおうかな~」


233 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/19(水) 21:38:56.92+hFUsdgYo (5/7)


天乃「夜這いなんてしなくても、断ったりしないわよ」

園子「のんのん! 夜這いはバレるかもしれない恋のスリルと、されると思ってない無防備な寝顔を楽しむものなのさ~」

受け入れられるかどうかは二の次なんだぜ!

そう、ビシッと決めて言い放つ園子の高いテンションに置き去りにされて、

天乃は思わず苦笑する

天乃「するって話したら無防備になんてなれないじゃない」

園子「ハッ!?」

天乃「ふふっ、もうすぐクリスマスだしサンタさんを待ってる必要がありそうね」

園子「間違っても脱ぎたてホヤホヤな靴下を置いといたらダメなんよ」

天乃「不衛生だものね」

園子「ちが……いや、そうなんよ。うん、そう」

天乃がサンタを信じていないことはともかくとして

天乃の脱ぎたての靴下など置いてあったら

我先にと手にしそうな人も中には居るから……とは言わずにさらりと流す

園子「それでね、天さん」

天乃「改まってなに? もしかして、誰かそばに置いておこうかって話でも始めるの?」


234 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/19(水) 22:10:55.77+hFUsdgYo (6/7)


園子「話が早くて助かっちゃうよ~」

天乃「精霊のみんながいるのに」

それでいて、園子たちには学校がある

在宅ならともかく病院にいるのだから

授業を犠牲にしてまでそばにいる必要はない

もちろん、うれしくはあるけれど。

天乃「陣痛のこととか、奉火祭の件とか色々あって心配してくれてるのは分かるけど、学校があるでしょ」

園子「私は勉強なら十分できてるんだぜ!」

天乃「でも、念願の学校生活。でしょ?」

園子「お願いっ、久遠せんぱ~いっ」

きらきらとした目で、訴える

ふざけているのか、求めているのか

分かりやすいものも

園子がやっていると不思議と曖昧で分かりにくくなる



1、だ~め。学校に行きなさい
2、あんまり関われなかったから寂しいの?
3、何が目的なの?

↓2


235以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/19(水) 22:11:47.52wHwg4c9/O (2/3)

3


236以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/19(水) 22:12:29.64c+3xK2ef0 (1/1)

2


237 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/19(水) 22:36:04.38+hFUsdgYo (7/7)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「久遠先輩の脱ぎたての靴下……?」

東郷「興味はあるけれど、そこまで争うようなことでもないわ」

東郷「純粋な気持ちで脱いだ靴下を性的に弄ぶなんて下劣にも程があると思うの」

東郷「そもそも、久遠先輩は黒タイツかスパッツ派よ」

園子「だからこそ、今の靴下は貴重なんじゃないかな~」

東郷「……さすがねそのっち。一理あるわ」

風「こら園子! なんで嗾けるかなぁっ」


238以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/19(水) 22:38:27.71IHUGHH7b0 (1/1)


もう産むまで秒読み感あるな


239以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/19(水) 22:46:43.55o+57xGa9o (1/1)


お嫁さんの出産には立ち会いたいよな
辛いときそばにいたいってのもあるんだろうが


240以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/19(水) 22:50:47.31wHwg4c9/O (3/3)


おねだりそのっち可愛い
それはそうとクリスマスも近いのか…産まれるとしたらその辺かな


241 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/20(木) 21:12:26.17FZFjPOGSo (1/5)


では、遅くなりましたが、少しだけ


242以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/20(木) 21:30:02.81rCxfRDlQO (1/3)

来てたか


243 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/20(木) 21:34:31.51FZFjPOGSo (2/5)


天乃「どうしたのよ……あまり関われなかったから寂しいの?」

園子「それは……」

少し、考える

考えてから、首を振った

園子「少しもないと言ったら嘘になる」

つい先日も甘えたばっかりだ

それで否定したって滑稽にしか感じない

やりようによっては……ツンデレの演出もできるだろうけれど。

園子「でも、そうじゃない。それだけじゃない」

天乃「……真剣な顔、するのね」

園子「天さんにとっては、ううん。天さんにとっても私達の学校生活や将来はとても大切なことだと思う」

自分の生活なんかよりよっぽど、大切にしてくれている

進学できるかどうかとかではなく

今、そうすることがどんな影響があるのかだったり、

障害に足を止められたなら進むことができる手助けをしてくれたりだとか。

たとえ自分の足を止めてでも助けようとしてくれる

園子「でも、それと同じくらい……もっと、も~っと天さんのことが大切なんだ」


244 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/20(木) 21:51:15.54FZFjPOGSo (3/5)


園子「それに、家族として付き合っていく中で子供が産まれる瞬間なんて、私たちにとっては貴重なんよ」

大切にしないわけにはいかない

何よりも優先しないわけにはいかない

いつか、本当に同性であっても子供が作れるようになるかもしれない

けれど、今はまだできない

だから、自分たちにとって唯一無二であるこの瞬間を、

これからも続いていく学校生活を優先して見逃すわけにはいかなかった

それに何より、精霊がいるとはいえ、一番つらいであろう時期にのんびりと学業にいそしむ気にはなれない

園子「だから、傍に居させて」

傍に居たい。ではなく、居させてと園子は求める

目を見ても、園子はそらさない

普段のほんわかとした空気は隠しきれていないけれど、

それでも本気であることだけは伝わってくる

園子「この二年間、頑張ってくれた分を返したい」

天乃「そんなこと言われても」

返してもらうようなことなんてしてはいない

あくまで、自分の責務としてやってきただけ

園子が感じるような恩を売った覚えはない

けれど、それを言ったところで押し問答は避けられないだろう


245 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/20(木) 22:03:32.10FZFjPOGSo (4/5)


天乃「…………」

そこに銀はいないけれど、

また、学校に行くことができるようになった

東郷や友奈、夏凜

樹に風と沙織……そして、ちょっぴり特別にご先祖様である若葉

みんなと一緒に通うことができるようになったのに

それを中断してまで、一緒にいてくれようとする

自分にはそこまでの価値はない……とは、口が裂けても言うことではない

待望の学校よりも、天乃のこと

出産といった特殊なことがあってこそかもしれないが

少なくとも今の園子にとっては揺るがない事実

天乃「どうしても?」

園子「どうしても」

天乃「…………」

ダメと言えば、渋々それを受け入れてくれるだろうけれど……


1、今日だけよ?
2、明日明後日お休みなんだから我慢しなさい


↓2


246以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/20(木) 22:07:03.96rCxfRDlQO (2/3)

1


247以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/20(木) 22:09:24.16hg5GMT510 (1/1)

1


248 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/20(木) 22:50:20.76FZFjPOGSo (5/5)


では、ここまでとさせていただきます
明日はお休みいただくと思います

再開は明後日、通常時間から


天乃「仕方がないわね……今日だけよ?」

園子「やったぜ!」

風(甘い)

樹(明日以降も断らなそう)

東郷(やっぱり、受けね)

友奈(ここで抱き着いたら私も残れるかな……?)


249以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/20(木) 23:01:42.64rCxfRDlQO (3/3)


そのっちと出産直前久遠さんのイチャイチャタイム来るか…?


250以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/20(木) 23:24:54.95bI4mnNhN0 (1/1)


押しに弱い久遠さん


251以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/22(土) 11:40:06.01WFeYUx7wO (1/1)

今日でくあゆシリーズ4周年おめー
ここまでずっとほぼ毎日投稿から感じる>>1の原作と久遠さんへの愛が凄いなぁ


252 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/22(土) 20:46:17.45f/ozvoZ4o (1/6)


でh、本日も変わらず進めていきます


253以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/22(土) 20:54:27.10bxK1TAFpO (1/1)

かもーん


254 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/22(土) 21:06:44.88f/ozvoZ4o (2/6)


天乃「はぁ……もう」

ため息をつくだけで、園子の目がきらめいたのが分かる

生真面目さを演出しようとしていた雰囲気が崩れ去って、

隠し切れていない嬉しさを感じる

それはみんなよりも長い付き合いだからこそ、かもしれない

天乃「仕方がないわね、今日だけよ?」

園子「今日だけ~今日だけ~」

ゆらゆらと体を揺らしながら真似て言う

今日だけでも許可がもらえれば、明日も明後日も休み

結局三連休……三連久だ

天乃「分かってるとは思うけど、今の私には貴女のそのテンションについていくだけの余裕はないからね?」

園子「付いて来させるつもりなんて毛頭ないんよ」

むしろ、自分が止まるのだ

寄り添うのだ

そのために、ここに残りたいといったのだから

無理させてしまったら本末転倒である

園子「天さんの傍に居られるだけで、そのっちは満足であります」

天乃「……友奈のこと、踏まないでよ?」

ぎしりとベッドに足をかけた園子に一言注意する

沈んだ方向へと傾く友奈を覆う陰の主は「大丈夫」と、笑って天乃の肩に触れた


255 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/22(土) 21:52:23.40f/ozvoZ4o (3/6)


園子「えへへ」

天乃「?」

限りなく近い距離にいるにもかかわらず、

園子はキスをするでもなく、怪しい笑い声をこぼすと

自分の下で寝息を立てる友奈を一瞥する

園子「なんだか、いけないことしてる感じがする」

天乃「確かに、園子との関係が違っていたならそうかもしれないわね」

園子「ゆーゆが寝ている隙に、その横でちゅーするシチュエーション。どう?」

天乃「どうって……なに?」

答えようがない

友奈とだけの関係だったらもちろん断るだろうけれど

それでも。と迫られて断れるのかどうか、今でこそ自信をもって断ると言えるが

以前の自分ならばどうだろうかと、天乃は考えて園子を見る

天乃「そういうのは、良くないわ」

園子「こうしたのは天さんなのに……とかいうと一回位は体許してくれそうな危うさがあるよね、天さん」

天乃「馬鹿なこと言わないの」

園子「そんなことは、誰にもさせるつもりはないけど」

関係を持ち合うと決めた仲以外の誰にも、絶対に

それはたとえ神様が相手であろうと変わらない

園子「天さんは私たちの……でも」

みんなのもの。ではないのだから


256 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/22(土) 22:16:33.71f/ozvoZ4o (4/6)


園子「にぼっしーが目を光らせてるだろうし」

天乃「起きてた?」

園子「起きてた」

園子は夏凜に対してのものなのか、

夏凜とを隔てるカーテンに目を向けながら耳元で囁く

一瞬視界の外へと消えて戻ってきた園子は満面の笑みを浮かべていて

そのまま、離れる

天乃「あら、しないの?」

園子「……誘うなよ。襲っちまうぜ?」

格好良さをイメージして、いつもよりも低めの声

きりっとした瞳と、斜めに駆け上がる眉

にやりと持ち上がる口元

けれども、園子は園子で

天乃「はいはい。可愛い可愛い」

園子「ゆーゆの時と露骨に態度が違うっ」

天乃「友奈は狙ってないもの」

貴女は狙いすぎ

はっきりとしたダメ出しに、園子はしょぼん。と、口に出した


257 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/22(土) 22:30:11.92f/ozvoZ4o (5/6)


√ 12月5日目 昼(病院) ※金曜日


01~10 
11~20  大赦
21~30 
31~40 
41~50 
51~60  夕海子
61~70 
71~80 
81~90  天さんは陣痛に苦しむ。しばらくお休み
91~00 

↓1のコンマ


258以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/22(土) 22:32:47.82MHVG3cm6O (1/3)




259以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/22(土) 22:34:32.82MHVG3cm6O (2/3)

アチャー…


260 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/22(土) 22:57:14.56f/ozvoZ4o (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から
【久遠天乃は勇者である】は気づけば四周年ですが、もうちょっとだけ続きますので、よろしくお願いします



陽乃「……ねぇ、高嶋さんは知ってる?」

陽乃「人っていう字はね? 手を取り合うから人という字になったわけではないの」

陽乃「天津飯の気功砲がナッパ……宇宙人に通じなくて、人の限界は気功砲なんだと感じたから」

陽乃「その手の形になったのよ」

友奈「えっ!?」

陽乃「って、郡さんが言ってたわ」

友奈「ぐんちゃんが!?」


261以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/22(土) 23:03:07.18br6Xh83Y0 (1/1)


ポジティブに考えれば陣痛がキツイのは出産が近い証拠!


262以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/22(土) 23:06:01.65MHVG3cm6O (3/3)


これからの展開もしっかりと見届けるべ
そしてこのタイミングで陣痛…出産が早まるか?



263以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/22(土) 23:43:51.57uyoyO07oo (1/1)


予定日とかって決まってたっけ?
あと4周年おめでとう


264以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/23(日) 15:29:46.06X9vRmawJO (1/1)

そもそも成長自体が普通のペースじゃないから予定は立ってなかった気がする


265 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/23(日) 17:36:34.40uuvJbFQxo (1/11)


では、遅くなりましたが少しだけ


266以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/23(日) 17:45:06.31I3V8K3uAO (1/3)

あいよ


267 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/23(日) 18:20:20.14uuvJbFQxo (2/11)


√ 12月5日目 昼(病院) ※金曜日


園子「天さんッ!」

天乃「痛っ……うぅぅっ」

笑っていた顔が、歪んだのは唐突だった

何の前触れもない

他愛もない話をしている最中、「痛い」と零した

少し顔をしかめて、ちょっとした筋肉痛だったかのような表情で。

それからはもう一瞬だったかもしれないし、

数分間程度経っていたかもしれない

体を起こしていた天乃は耐えきれなくなって体を丸め、

呼吸をするように、苦しみだした

血を吐くことはなかった

気を失いはしなかった

だからこそ、余計に苦しんでいるように見えてしまう

天乃「その……」

園子「ナースコール、ナースコールは押したっ!」

だから頑張って。

容易く、その言葉を吐くことはできなかった


268 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/23(日) 19:01:23.81uuvJbFQxo (3/11)


破瓜の痛みなど、じゃれ事だったかのような痛みだった

もちろん、男性器などといった―矮小というと失礼に当たるが―限度のある物の介入など、

子供二人がでてこようとしていることに比べれば些末なことだ

体の内側から引き裂かれるような鈍痛

当然ながら体を丸めるなんてことはできないし、

丸められたとしても、内側から生じる引き絞られる激痛は留まることを知らない

園子の名前を呼ぶ声、励ます声

それが、雑音にさえなりかねない、苦痛

痛みに声が掠れて、苦しみに視界が霞む

けれど、不定期に訪れる休息期間が、

意識が途切れることを許さない

痛みに備える休息期間だという人がいるという話ではあるけれど

天乃にとっては、ただのアメとムチだった

天乃「死ぬ……」

園子「しっ、しんじゃだめだよ天さんっ!」

天乃「うぅ……いっ………ぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

休み、激痛

叫んで、呼吸が整う前に、また叫ぶ

だが、それがまだ序の口であることを分かっているのは

陰に潜んでいる九尾だけだった


269 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/23(日) 19:39:33.51uuvJbFQxo (4/11)


園子「どうしよう……天さんが」

「大丈夫です、予定通り……とは言えませんが陣痛が始まっただけですから」

園子「でも……」

「しばらく、看護師が同席しますから」

直接的と言ってもいいほどに、園子は役には立たないと言われたのだと感じた

園子は。ではない、素人が。だ

本来なら、近親者や親しい間柄の人が傍に居てくれるなら、

それだけで頑張れるから。と、看護師も言うことだろう

しかし、天乃は状況が特殊すぎる

だから、園子や夏凜達が一緒にいるだけでは何にもならない

悔しいが、そうならざるを得ない

けれど、担当している看護師はそんな園子の感情をくみ取ったのだろう

今は落ち着いて寝息を立てる天乃の手に、園子の手を導く

「もちろん、乃木さんは傍に居てあげてくださいね?」

園子「っ」

「看護師や医師ができるのは医療サポートまで。生きて終えるという精神的サポートができるのは貴女達だけなの」

だから、傍に居てあげてね

そう繰り返す看護師に、園子は少し困った表情で、頷いた


270 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/23(日) 19:55:48.37uuvJbFQxo (5/11)


01~10 
11~20  夏凜
21~30 
31~40 
41~50  夕海子
51~60 
61~70 
71~80 九尾
81~90 
91~00  若葉

↓1のコンマ



271以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/23(日) 20:02:39.96I3V8K3uAO (2/3)




272 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/23(日) 20:51:06.82uuvJbFQxo (6/11)


若葉「心配するな」

どこからともなく姿を見せたご先祖様の優しい声に、

園子は浮かない顔を上げて、首を振る

園子「ご先祖様……」

若葉「天乃はいつだって、ちゃんと帰ってきてくれていただろう?」

無鉄砲になる前も、

無鉄砲になった後も

なんだかんだちゃんと帰ってきてくれていた

第一線で戦う最後の日

その時だって、天乃はとてつもない無理はしたけれど

やっぱり、戻ってきてくれた

子供ができて、つわりで酷く苦しんだ時も

ちゃんと、戻ってきてくれた

若葉「その要は、やはりお前たちだろう」

園子「私達……」

若葉「ああ、間違いない」


273 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/23(日) 21:40:27.06uuvJbFQxo (7/11)


天乃が苦しむだろうという覚悟はできていた

なのに取り乱してしまうような自分のことを、要として添えることができるだろうか

いや、出来ない

少なくとも自分なら難しいと、園子は妙に冷静な頭で考えて天乃を見る

だが、それでも天乃は任せてくる人だ

大きな失敗をしていようが、天乃は決して見捨てない断ち切らない

不信感を募らせて信用できないなどと口にすることはない

むしろこう言うだろう

大丈夫。失敗をした後悔があるのなら、貴方はそれを成し遂げられる心があるはず

絶対的な信頼で。

園子「天さんは、私の手を握ってくれているんよ」

若葉「天乃がどのような境遇にあるのかを考えれば、必然だろう」

誰よりも他人に優しく、誰よりも他人を思う

それは銀を失ったからだけでなく

天乃には何も残されたものはなかったからだ

園子は大赦に幽閉され、鷲尾須美は記憶を失って東郷美森となり、家族の記憶は失われた

そんな天乃にとって、今なお続く園子たちとのつながりは、絶対に断ち切りたくはないものだろう

だからこそ……

園子「天さんのチョロさは、そこが原因なのかな」


274 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/23(日) 21:53:51.42uuvJbFQxo (8/11)


ぼそっと出てきた園子のつぶやきに、

若葉は「そういう話だったか?」と、困惑気味に問いかける

園子「……そういう、話なんよ」

痛みと苦しさに喘ぎ疲れて眠るお姫様

力の抜けた手ではあるけれど

それでもしっかり握り返してくる天乃のことを、園子は優しい目で見つめる

こんな人だから、自分に自信が持てないなどと言っていられないのだ

いっつんもそういってたなぁ。と、思わず笑う

信頼に答えたい、思いを裏切りたくない

だから、自分で思う以上に頑張ることができるのだと

園子「頑張って、取り乱さないようにする」

若葉「これからはもっと厳しくなるかもしれない。血を吐くかもしれない。それでも、平気か?」

園子「一番頑張ってる人の隣で、諦めるような考えを持つわけにはいかない」

なるべく諦めない。

なせば大抵なんとかなる

それが、勇者部なのだから

園子「頼りないかもしれないけど、でも――」

若葉「いや、十分頼りにしている」


275 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/23(日) 22:50:10.91uuvJbFQxo (9/11)


眠る天乃の横に座る園子の頭を、軽く撫でる

姉ではないし、母でもない

そんなものを超越した遥か昔のご先祖様である若葉

だからといって、血のつながりを感じることは事実で

子孫が頑張り屋であることも同じくらいに事実だ

若葉「園子は……いや、この時代に生きる皆を頼りにしている」

心強く、頼もしい

自分たちの時代にいてくれたらと思うほどには、救われている

若葉「お前たちなら大丈夫だ。何も心配することはない」

園子「そう、かな」

若葉「ああ。ありがたいご先祖様の御言葉だぞ。信じておいて損はない」

我ながら適当な言い方だったと、若葉は苦笑する

でも、本音なのだから訂正する気はない

園子「ご先祖様かぁ……ご先祖様はどんな人と結婚したのかな~」

若葉「ん?」

園子「綺麗な人。だったかも~」

えへへ~となぜだか嬉しそうな笑顔を見せる園子

反応が遅れた若葉は不意に、「ちょっと待て!」と、声を荒げる

若葉「……乃木家なら家系図が……ま、待て、そんなはずが!」

真相は、園子の笑顔の中へと消えていく


276 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/23(日) 22:51:14.56uuvJbFQxo (10/11)


√ 12月5日目 夕(病院) ※金曜日


01~10 
11~20  夏凜
21~30 
31~40 
41~50  友奈
51~60 
61~70  風
71~80 
81~90  園子
91~00  東郷

↓1のコンマ


277以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/23(日) 22:52:40.18p09y6xH3o (1/1)

ふい


278 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/23(日) 23:19:42.08uuvJbFQxo (11/11)


ではここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から


夏凜「聞いたわよ、陣痛来たんだってね」

東郷(さすが夏凜ちゃん、行動が早い)

友奈(一直線に久遠先輩に話しかけに行ったね)

風(そりゃ、まぁ一番好きですから)

園子(ぐぬぬ……)


279以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/23(日) 23:31:27.084uvHtE1T0 (1/1)


4周年だったか
やっと追い付いた


280以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/23(日) 23:33:09.88I3V8K3uAO (3/3)


結果的に陣痛の時にそのっちが残ってて正解だったのかもね
そして本当にここぞってところで来る夏凜ちゃんのコンマ運よ


281以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/23(日) 23:42:33.71tYJPj9fVO (1/1)


しんどそうだな久遠さん


282以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/24(月) 00:29:53.70LwwF9wpJo (1/1)


今回の夏凜はほんとコンマに恵まれてるなぁ


283 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/24(月) 19:32:21.92pNnetdgxo (1/9)


では少しだけ


284以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/24(月) 19:34:27.74Cdyak6oCO (1/4)

やったぜ


285 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/24(月) 20:03:07.23pNnetdgxo (2/9)


√ 12月5日目 夕(病院) ※金曜日


天乃「ん……っ」

目を産すと同時に動いた手が、何かを握る

握れば握り返すそれは間違いなく誰かの手

良く知っている、男の子っぽい感触

天乃「夏凜……?」

ただの寝起きとは違う、

ぼうっとしてしまう頭でなんとか夏凜の輪郭を掴もうと伸ばした手は途中で捕まって、布団の中へと戻されてしまう

けれど、近づいてきてくれた姿は見間違えるはずもなく、夏凜だった

夏凜「下手に動かないの」

天乃「早退……してきたの?」

夏凜「普通に帰ってきただけ。もう夕方よ」

外の景色よりも先に、夏凜の端末に表示された時間が目に入る

最後に見た時間はお昼ごろ

今はもう、最終下校時刻すら過ぎてしまっていた

夏凜「園子には悪いことしたかも」

天乃「どうして?」

夏凜「さっきまでずっとあんたの傍に居たのよ。ま、これも私の日頃の行いってやつよね」


286 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/24(月) 20:11:24.35pNnetdgxo (3/9)


ふふふっと、夏凜は笑って見せると、

布団の中、握られたままの手を握り返しながら、額に別の手を宛がう

夏凜「少し体温は高いけど大丈夫ね」

天乃「……心配させちゃったわね……」

夏凜「別に心配なんざしてないわよ。むしろ、もうすぐ産まれる兆候なんだから喜ぶべきでしょ」

天乃「でも」

夏凜「そりゃ、苦しむあんたにとっては複雑かもしれないけどね」

母親というものは、そういうものだ

子供を産むということは、そういうことだ

一つ、二つ

小さいとはいえど、命を育むのだから

容易なことではないのは至極当然だと言えるだろうし

その苦しさがあるからこそ、母親はそれがどれだけの責任を負うことであるのかを実感する

夏凜「……けど、産むあんたと産まない私では感じ方も違うのよね」

夏凜は男ではなく、女だけれども

当事者ではないという差があるのは性別に関係なく同じだと言う

夏凜「無責任なこと言ったかも」

天乃「ううん、産まれてくるんだもの……その点を喜ばしく思うのは私も同じよ」


287 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/24(月) 20:30:08.10pNnetdgxo (4/9)


ただ、そこに不安があるだけで

痛みと苦しみへの恐怖があるだけで。

夏凜「だからこそ、出来る限り傍に居る必要があるのかもね」

天乃「うん」

夏凜「…………」

精神的な支えになるという目的もそうだけれど、

傍に寄り添い、その苦しみと痛みを追い続ける伴侶の姿をその目で見て、感じて

どれだけの責任が伴うことなのかを、客観的にでも感じるべきだから。と、夏凜は心の中で呟く

それができなければ、それをしなければ、伴侶という言葉は欠けてしまうことだろう

夏凜「看護師が常駐してくれるって話は聞いて……ないか」

天乃「そうなのね……みんなもいるのに」

夏凜「いるにはいるけど素人だから仕方がないんじゃない? あんたの場合は特殊だしね」

天乃「えっちなこと、出来なくなっちゃうわね」

夏凜「元々できないでしょ」

陣痛が始まったならなおのこと。

天乃に必要なことだと言っても、

それが結局天乃を苦しめるのだというのなら、無意味だ

夏凜「全部ちゃんと終わってから。存分にやれば良いんじゃないの?」

天乃「赤ちゃんがいるのに?」

夏凜「声出さないでやるしかないわね」


288 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/24(月) 21:04:50.47pNnetdgxo (5/9)


夏凜「今度、練習する?」

天乃「何言ってるのよ……えっち」

笑う夏凜の表情が冗談だと語る

だから、天乃も冗談めかして言い返す

笑って見せてはいるけれど、

きっと、疲れを感じる笑みになってしまっている

だけど、夏凜は何も言わない

そんな笑顔をするなとは言わない

疲れてはいるけれど、無理をしてはいないからだろう

それを感じ取ってくれる夏凜は

やっぱり、傍に居てくれるだけで安心する

天乃「……明日も、明後日も。学校は休みなのよね?」

夏凜「そ。だから全員ここにいるわよ。まぁ、何人か出かけることはあるかもしれないけど」

全員で払うなんてことは、

奉火祭が行われない限りしないと断言する



1、じゃぁ……隣にいて
2、ありがと
3、奉火祭、合わせて行ってくるなんてことは、ないわよね……
4、土日が終わったら、学校行くの?


↓2


289以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/24(月) 21:06:14.26Cdyak6oCO (2/4)

1


290以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/24(月) 21:08:17.37cQTjp7Ed0 (1/1)

1


291 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/24(月) 21:42:54.15pNnetdgxo (6/9)


天乃「じゃぁ……隣にいて」

布団の中の手を引く

意図せず懇願の瞳になってしまう自分の心に感じる羞恥を隠すように、布団が口元にまで登る

寝る前、絵本を求める子供のように

嫌な気になどならない

面倒だとも思わない

ただ、どうしようもなく緩んでしまう頬が心を自覚させる

夏凜「ったく……」

呆れた物言いも無駄

冗談なんて、添えたところで皿の上から零れ落ちていく

胸が躍る、想いが口をつく

飲み込むことなどさせるものかと舌がうるさい

夏凜「あんたはもう、ほんと」

天乃「っ」

夏凜「狡い女だわ」

あざとい

その言葉を言いたくはなるけれど、伝わりはしないだろう

本当に純粋な心でそういう言動をしてみせるのだから、やってられない

普段は大人びた言動を見せてくるのに。

夏凜「そんな顔で言われて……断れるかっての」


292 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/24(月) 22:05:49.82pNnetdgxo (7/9)


夏凜「あんたが満足するまで、ずっとそばにいるわ」

天乃「……わがままで、悪いわね」

夏凜「気にすんな。持ちつ持たれつ。そういうもんでしょ」

一生を尽くすと決めたのだから

一生支えてあげようと決めたのだから

我儘の百や二百、なんてことはない

夏凜「元気になってから、恩返しして貰えればそれで充分」

見返りがないのもあれだからと。

言わずとも返されるであろう恩を求めて苦笑する

夏凜「そもそも、今のあんたを放っておくなんて無理な話だし」

天乃「ありがと」

夏凜「ん」

本当はこっちこそありがとう。というべきだ

けれど、それを言うのは恥ずかしくて

きっと、それは必要ないと言われるから、

心のうちに、とどめておく

それは、すべてが円満に解決してから言えばいい

夏凜はその意を示すように、笑みを浮かべて頷いた


293 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/24(月) 22:08:10.74pNnetdgxo (8/9)


√ 12月5日目 夜(病院) ※金曜日


01~10 
11~20  東郷
21~30 
31~40 
41~50  九尾
51~60 
61~70 
71~80 
81~90  容赦のない苦痛が天乃を襲う
91~00 

↓1のコンマ


294以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/24(月) 22:09:15.72Cdyak6oCO (3/4)




295 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/24(月) 22:17:16.08pNnetdgxo (9/9)


ではここまでとさせていただきます
今週は平日に行うのが難しいと思いますが、
できれば21時ころから少しだけ



天乃「ところで、端末の待ち受け変えたほうが良いと思うの」

夏凜「気にいってるんだからいいでしょなんだって」

天乃「私が恥ずかしいのっ大体寝顔なんていつ撮ったのよ」

夏凜「いつだって撮れるわよ。あんた無防備だし」

夏凜「それに……子供が産まれたら変える予定なのよ。それまでなら良いでしょ?」

天乃「っ……夏凜の方が、狡い」フイッ


296以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/24(月) 22:25:44.62Cdyak6oCO (4/4)


久々の夏凜ちゃんとのイチャイチャ
なんかうまく表現できないけど夏凜ちゃんの時だけ次元が違う尊さを感じる…


297以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/25(火) 08:01:32.34EzXIv1LpO (1/1)


夏凜もすっかり大人っぽくなったなぁ


298以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/25(火) 13:02:53.4038A/ZZ4nO (1/1)

夏凜も色々あったからな…添い寝したら血反吐吐かれて血塗れになったりとか
夏凜だけじゃなくみんながすごく成長してるから安心感ある

なお難易度も上がってる模様


299 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/26(水) 20:10:05.35PkLSHO2Ho (1/8)


では、少しだけ


300以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/26(水) 20:31:05.82vm5K1zxiO (1/4)

きてたー


301 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/26(水) 20:31:32.08PkLSHO2Ho (2/8)


√ 12月5日目 夜(病院) ※金曜日


天乃「12月に入ってから、もう一週間経つのよね」

夏凜「急にどうしたのよ。鬱?」

天乃「違う」

夏凜「なら……来年の話?」

天乃「同じクラスになれるかしら」

夏凜「それはそれで、ちょっと面白そうではある」

何を言ってるのかと言わずに、話に乗って笑う

公欠扱いにされているし、

特例ということもあって、天乃が卒業できないなんてことは

天乃自身がそれを申し出ない限りおこらないことだろう

夏凜「確か、進路希望調査出してないんでしょ。あんた」

天乃「進路も何も生きるか死ぬかの状況だし、生きたい。としか書けそうにないもの」

夏凜「大丈夫よ。あんたは大丈夫」

夏凜はそういうと、

天乃が求めたわけでもなく天乃の手を優しく握る

二人で入る布団の中、

少しだけ、強い熱が加わった


302 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/26(水) 20:47:37.45PkLSHO2Ho (3/8)


夏凜「何があっても、私たちがあんたを守る」

天乃「……だからって、無理はして欲しくないわ」

夏凜「死ぬほどの無理はさすがにしないわよ。それじゃ、本末転倒だしね」

そこまでしないといけないようなことがあるかもしれない

けれど、出来得る限りではなく絶対にそんなことはしない

それでは意味がない、守りたいものを守れないし叶えたいことを叶えられないからだ

夏凜「失って悲しい明日を迎えるくらいなら、みんなで傷ついたとしても笑える明日を手に入れる。それが、私たちの在り方よ」

天乃「……なせば大抵なんとかなるじゃないのね」

夏凜「それもあるわよ。というか、それ前提みたいなところがあるわ」

なせば大抵なんとかなるだろう

だから、魂を燃やし尽くしてしまうようなことにまで手を出すのは控える

たとえそれで、みんなで傷を負うことになるのだとしても。

一人の命が、たった数人のけがで賄えるのなら、十分だろう

夏凜「……生きたい。ただ生きたいんじゃなく、一緒に生きたい」

天乃「夏凜……」

夏凜「あんたがそう思うように、みんなだってそう思ってる」

できるのなら、勇者のお役目をしっかりと終えて

ただの一人の少女として、人間として

寄り添いたい人とともに、老いていきたいと思う

夏凜「だから、大丈夫」


303 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/26(水) 21:04:33.34PkLSHO2Ho (4/8)


天乃が不安に思うようなことはない

言い聞かせるように言葉を紡いだ夏凜だったが、

だからと言って、天乃の不安のすべてが拭えるわけではないと分かっているからだろう

苦笑するように笑って、体を起こす

かかっていた布団がズレて、滑り込んでくる冷気に天乃の眉が少し動く

夏凜「大体、私たち全員がお預け食らってるってこと忘れてるわけじゃないでしょ?」

天乃「夏凜だけじゃなく、みんなが?」

多少なりと夏凜もしてくれているとはいえ、

エッチなことを我慢している夏凜が対象であれば、

そうなのだろうとすぐに口にできるが、

みんながお預け食らっているといわれて、逡巡する

けれど、考えてみれば出産が近づいてきたこともあって

みんなもそこまでやれていない

友奈なんて特に触れ合う機会が増えたのに

そういうことは、していない


1、デートのこと?
2、エッチなこと?
3、赤ちゃんのこと?
4、かめやに行くこと?
5、1~4のどれでもない

↓2


304以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/26(水) 21:05:20.32vm5K1zxiO (2/4)

1


305以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/26(水) 21:05:30.43At0L/Uz+O (1/1)

2


306以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/26(水) 21:06:05.57QWW2sjrc0 (1/1)

2


307 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/26(水) 21:38:52.14PkLSHO2Ho (5/8)


天乃「……エッチなこと?」

夏凜「否定しにくいけど、今回は違う」

確かに、それでお預けを食らっていることは否定しきれることではないので

完全に間違っているというわけではないのだが、

しかし、ここでは違うと夏凜は首を振る

夏凜「結婚式とか、盛大に楽しむことよ」

全部ちゃんと終わらせて、

みんなで、盛大にお祝いをするのだ

一生に一度、そして、女の子ならばきっと夢見る結婚式なんかは、一番だろう

人によっては別にそこまでではないというかもしれない

けれど、様々な苦難を乗り越えてきた勇者部にとっては、

できて当たり前の文化祭を欠けたまま終えることになってしまった勇者部は

日常の積み重ねである人生の中で一際華々しく映える分岐点だけは絶対にしっかりと行いたいと願っている

夏凜「ま、その前のご挨拶とかね。してない人もいるし」

天乃「……あいさつ回りくらいは、終わらせるべきだとは思ってたけど」

夏凜「夏休み前から激化したんだし仕方がないでしょ。だから」

最後に全員でめいいっぱい楽しめたのはいつだったろうか

夏休みの花火大会、文化祭の一日目……思えばまだ、数えるほどだ

夏凜「でも、エロいこともといえば、エロいこともよね……」

天乃「?」

言葉半ばに耳元へと夏凜は近づく

夏凜「まだ、私達は初めてだし」

天乃「っ!」

夏凜「……ね?」

最初こそ否定したけれど、

夏凜も溜まっていることは溜まっているのだとわかる、一言だった


308 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/26(水) 21:53:01.34PkLSHO2Ho (6/8)


天乃「初めてって言われても」

夏凜「なによ怖気づいた?」

天乃「そんなことないわ。ただ……私、夏凜と違って煮干し生えてないから」

夏凜「生えとらんわ!」

天乃「煮干しの食べ過ぎで生えてきたんじゃないの?」

夏凜「んなわけあるかっ」

天乃「私の剣舞見せてやるわとか言って襲うつもりなんでしょ?」

夏凜「健全な意味でなら、いつかのリベンジとして考えてる」

天乃の言葉を拾って、夏凜は優しく笑う

まだ、天乃には勝てていない

ここまで衰えてしまった天乃だけれど

もしも叶うのであれば、

また動けるようになった天乃と

ちゃんとした一騎打ちをしてみたい。そう、夏凜は思う

天乃「……それはいつか。ね」

結婚式を挙げるよりも、エッチなことをするよりも

それはずっと難しいことかもしれない

けれど、そう。いつかできるようになれた時は、と

天乃は頷く

天乃「でも……実際、どうやったらみんなを初めてではなくできるのかしら」

一つ、とても平和的な悩みができた瞬間だった


309 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/26(水) 21:54:19.96PkLSHO2Ho (7/8)


√ 12月6日目 朝(病院) ※土曜日


01~10 
11~20  千景
21~30 
31~40  陣痛
41~50  風
51~60 
61~70  陣痛
71~80 
81~90  東郷
91~00 

↓1のコンマ


310以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/26(水) 22:01:52.04vm5K1zxiO (3/4)




311 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/26(水) 22:22:48.91PkLSHO2Ho (8/8)


ではここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みになるかと思います


東郷「私の出番、ですね」

東郷「さて、同性同士での行い方ですが、様々な方法がありまして」

東郷「やはり道具を使うのが一般的だと思われますが、そんなことはありません」

東郷「やり方次第では久遠先輩の可愛らしいお手てですることもできるのよ」

東郷「そもそも、久遠先輩は意外と手が小さいので簡単です。そう簡単なんです」


風(早口すぎて何言ってるのか聞き取れなかったから何も言ってないってことでいいや)

樹「お姉ちゃん、それはダメだよ」


312以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/26(水) 22:27:22.39iyMxGbMPO (1/1)


知識いっぱい東郷さん


313以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/26(水) 22:33:12.54vm5K1zxiO (4/4)


平常運転のとーごーせんせーはともかく
夏凜ちゃんだと多少ムラムラしてることが分かると何故か安心する


314以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/28(金) 02:21:04.67DYGnaGsgO (1/1)

とーごーせんせーのネタがあるが、ぽわわはやってくれるんだろうか
久遠さんのぽわわとか絶対エ□い


315以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/28(金) 08:22:00.51C1O9h9yfO (1/1)

ぽわわって勇者部所属で牛鬼とぼた餅作ってるときのやつだっけ?
久遠さんは味覚無いから…


316以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/28(金) 23:15:04.20ksca3MJUO (1/1)

珍しく連続休載か


317以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/29(土) 02:19:27.30lnP5B8rQO (1/1)

しばらく平日無理って言ってましたし
まあ年末忙しいからな


318 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/29(土) 22:05:20.87EZsfBCDeo (1/3)


では、少しだけ


319以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/29(土) 22:12:27.93cTCc8k0MO (1/1)

待ちわびたぞ


320 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/29(土) 22:47:31.62EZsfBCDeo (2/3)


√ 12月6日目 朝(病院) ※土曜日


夏凜「んっ……っ……ふぅ……」

いつもと違う、温かい目覚め

すぐ横に目を向けると、愛おしい恋人が穏やかに眠っている

規則正しい生活の夏凜のしっかりと醒めた瞳に映る天乃の姿

夏凜「……ったく」

思わず、ほころぶ。

体だけでなく、心が温まる

このために頑張っているのだと

このために頑張ってきたのだと

夏凜「そういうのでいいのよ。そういうので」

起こさないようにと、優しく指で頬をつく

天乃「ん……」

夏凜「良い夢見てる?」

もう少し見てていいわよ

そうつぶやいて、夏凜は笑みを浮かべる

夏凜「私も、もう少し見てたいから」


321 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/29(土) 23:17:49.06EZsfBCDeo (3/3)


夏凜「さて」

昨日の夜に天乃が言っていたように、

12g津に入ってから一週間がたとうとしている

奉火祭を行うことは確実なのに、

いつ実行するのか。それを推測させる程度で断定させない辺り、

用意周到過ぎると夏凜は眉を顰める

もう知られてしまっているとはいえ、

時折沙織が潜り込んでいるというのに、正確な時間が特定できない

防人ならわかるのかもしれないが……残念ながら連絡は取れない

夏凜「まぁ、今日か明日か」

もしくは明後日か

その警戒のために、全員で傍に居てあげることはできない

天乃「ん……凜……?」

夏凜「おはよ」

天乃「ぁ……」

夏凜「そのままでいい。そのままにしておいて」

寝ている間もずっと握り合っていた手

離そうとする天乃を止めて、握る

まだ布団から出ていく気はない

傍に居たいのは、夏凜も一緒なのだ


322 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/30(日) 00:19:03.11526W/OKxo (1/7)


天乃「ずっと握っちゃってたのね」

夏凜「傍に居てって、言うほどだったしね」

天乃「……いちいち言わないの」

抗議をしているのに、きゅっと握る

顔を逸らしているのに、表情が分かる

夏凜「ふっ」

天乃「なに?」

夏凜「いや……」

振り向いて顔を見せてくれた天乃のちょっぴり膨らんだ表情に、笑みを向ける

ほんのりと、紅い

その赤さが自分の想像した顔つきが的中していたことを示してくれる

夏凜「くくっ……あんたって、ほんと」

攻められるのに弱いわよね。

そう、口にはしない

ちょっぴり怒った顔を見られるのは可愛らしいから好きだけれど。

からかいすぎても、あれだから

天乃「?」


1、何よ。はっきりして
2、それで、今日はどうするの?
3、このままだと……いいのにね
4、夏凜は別に一緒じゃなくてもいいんだ
5、イベント判定

↓2


323以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/30(日) 00:22:56.0026+9WDWqO (1/2)

3


324以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/30(日) 00:24:13.61JJO1xwnD0 (1/1)

3


325 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/30(日) 00:36:24.48526W/OKxo (2/7)


では、ここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から


東郷「夏凜ちゃんってホント久遠先輩好きよね」

夏凜「まぁ……」

東郷(単純な好きってものでもない感じだけれど)

夏凜「あいつが嬉しそうだと、こっちまで嬉しいのが、良いのよね」

東郷「ふふっ……そうね」

東郷(満面の笑み浮かべるんだもの。相当ね)


326以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/30(日) 00:42:58.6326+9WDWqO (2/2)


夏凜ちゃんの久遠さん思いに流石の東郷さんも下心無しで思わずニッコリ


327以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/30(日) 01:31:33.38PfJhyqJzO (1/1)


出産の時が近づいている……


328 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/30(日) 20:28:42.72526W/OKxo (3/7)


おそくなりましたが、少しだけ


329以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/30(日) 20:46:17.68gl4DOoNQO (1/1)

きてたか


330 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/30(日) 21:51:13.61526W/OKxo (4/7)


天乃「このままだと……いいのにね」

夏凜「そうねぇ……ま、多かれ少なかれ変わることはあるだろうけど」

今の平和な環境は必ず壊れる

神樹様の寿命が限界で

その恩恵が受けられなくなってしまう以上、

今まで通りというのは難しい

けれど、夏凜は天乃を見つめて微笑む

夏凜「私達は、いつも通りでいられるといいわよね」

天乃がいて、夏凜がいて、友奈がいて、

風がいて、樹がいて、東郷がいて、園子がいて、沙織がいて、

九尾達精霊がいて……

夏凜「まぁきっと、全部終わったら私たちは勇者じゃなくなると思うけどね」

天乃「そうね……そうでしょうね」

夏凜「そうしたら。いや、そうなったら、天乃も勇者としての資質無くなってくれると嬉しい」

天乃「私の力は久遠家由来のものだから、消えることはないわ」

だからこそ、重宝される

だからこそ、畏怖される

それが、神をも殺すことのできる物であれば、なおさら

天乃「でも、戦いからは……引退。かな」


331 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/30(日) 22:39:01.74526W/OKxo (5/7)


この力は子供たちに引き継がれていく

でも、出来るのならば子供たちが戦う必要のない世界であってほしい

そうなってほしい

それが叶うかどうかは誰にもわからないけれど。

夏凜「そのために、私たちが今頑張ってるのよ」

天乃「えっ?」

夏凜「アンタの顔見てれば、何を考えてるかくらいわかる」

神樹様の寿命の限界を知って

その対策であると知って

それでも、天乃のためにとそれを妨害したのだ

その責任はとると、ちゃんと約束したのだ

夏凜「大丈夫。向こう300年は、こんなことがないようにして見せる」

天乃「300年なんて謙遜せずに、一生って言ってもいいのよ?」

夏凜「一生じゃ、出来て100年でしょ」

天乃「確かに」

夏凜「だから、300年って欲張っておくのよ」

人の一生は100年程度、負える責任も100年程度

だから、300年と欲張ってみる

天乃の分と、自分の分と

そして……この力を振るうはずだった、三ノ輪銀の分だ



332 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/30(日) 23:25:11.65526W/OKxo (6/7)


夏凜「でも、正直な話このままでいるっていうのはさすがに嫌よね」

天乃「どうして? 胸が大きくなりたいとか?」

夏凜「んな願望無いわよ別に」

鍛錬するのに邪魔だし、

あったところで大して役には立たない脂肪の塊だから

そうじゃなくて。と、夏凜は天乃の足に触れる

夏凜「一緒に出掛けたいじゃない。何の気兼ねもなくね」

好きなこと、やりたいこと

足が動かないからとかそんなこと考えずに、

自由に楽しむことができるようになりたい

いや、なってほしい

夏凜「こんだけ頑張ったんだから、神樹様も最後にいいことしてほしいって思わない?」

天乃「……うん」

けれど。

それは副産物で良いと天乃は思う

それよりも、みんなに力を貸してほしい

みんなを守ってほしい

そう思ってしまうこともきっと夏凜には伝わっているのだろう

目を向けてみれば、やっぱり笑顔だった


333 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/30(日) 23:38:33.89526W/OKxo (7/7)


√ 12月6日目 昼(病院) ※土曜日


01~10  千景
11~20 
21~30 
31~40  陣痛
41~50 
51~60 
61~70  友奈
71~80 
81~90  陣痛
91~00  風

↓1のコンマ



334以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/30(日) 23:48:06.55zmyKVGzdo (1/1)




335 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/31(月) 00:02:09.18FZfFER+To (1/4)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「久遠先輩の足が動けば、いろいろできるものね」

友奈「手をつないだり」

樹「プールとか!」

風「キッチンで並んで料理とか」

夏凜「……鍛錬とか」

東郷「貝合わ――」

沙織「それもいいけど、壁ドンされたい。押し倒されたいよね」


336以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/31(月) 00:30:31.30p7yaO/zvO (1/1)


陣痛を避けるのいいぞ!


337以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/31(月) 03:47:36.54h5nFfZ0JO (1/1)


確かに復活して自由に動ける時間もほしいな…
そう考えるとできれば卒業までじっくり見届けたい


338 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/31(月) 22:36:48.61FZfFER+To (2/4)


では、今年も少しだけ


339以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/31(月) 22:45:47.17Uife0/sqO (1/1)

今年ラスト…!


340 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/31(月) 23:33:57.86FZfFER+To (3/4)


√ 12月6日目 昼(病院) ※土曜日


夏凜「大丈夫?」

天乃「ええ、大丈夫」

夏凜の気にかけた声に、笑みを返す

朝は順調、でも昼からは体調を崩す……

陣痛に襲われるなんて言うのはあり得る話

だから、片時も目を外すことは出来そうになかった

天乃「友奈達は? 連絡来てる?」

夏凜「特に変わった様子はないって」

天乃「そう……まだ先の話なのかしら」

夏凜「どうだか。そうだとありがたいんだけど……」

きっとそんなことはないという夏凜に、天乃は軽く頷く

神樹様的にもそんな余裕はないし、

さすがに延期することはないはずだ

だったら……

天乃「気づかれないように裏でやっているってことになるわよね」

例えば、夜中。などに


341 ◆QhFDI08WfRWv2018/12/31(月) 23:54:53.90FZfFER+To (4/4)


巫女である沙織達ですら、その情報を掴めないでいるのなら

ただ夜に準備しているというわけでもないはず

少なくとも、天乃やその関係者の誰一人として関わるようなやり方はしていないだろう

そう考えれば、国土亜耶を奉火祭の対象から省きそうなものだけれど

それはそれで動向を察知されかねないからと

省いていない可能性はある

そのうえで、亜耶とつながりのある防人組との連絡を完全に断たせる

そうすれば、情報が伝わってくることはない

天乃「夏凜的には、今日だと思う?」

夏凜「予想がつかないけど、今月中ってのは確実でしょうね」

そんなあいまいなままで放置はできない

だから、友奈と風と東郷

この三人で出かけているのだ

夏凜「兄貴と連絡が取れたらいいんだけどね」

天乃「瞳さんからも連絡は難しいんだっけ?」

夏凜「そっ。前はできたんだけど対策されちゃったらしいわ」

最も、夏凜の兄である以上、

情報が正しく伝わっているのかどうかは怪しいところではあるのだが


342 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/01(火) 00:16:22.39ADCscLXNo (1/3)


同じような理由で安芸先生もダメだろうと、天乃は思う

もしかしたら、ずっとかかわり続けているかもしれないが、

東郷たちから聞いた話が事実であるならば、

神樹様の種を奪うことを止めなかったということで、

協力者であるとみなされ、奉火祭からは外されているかもしれない

天乃「……九尾も、さすがに読み切れないらしいし」

夏凜「本当だと思う?」

天乃「協力してくれるって話なんだもの。さすがに嘘はつかないと思うわ」

奉火祭を終えさせてしまえばすんなりいく。のだが、

それでは天乃の望みを叶えられない

それを妥協してしまう九尾ではないはずだ

もちろん、最短で天乃のことだけを考える九尾のことだから

絶対に何もないとは言い切れないのが傷だけれど。

天乃「………」


1、ねぇ、もしも陣痛と奉火祭がかぶったらどうする?
2、ねぇ、夏凜……夏凜も私の力の一部。使えるのよね?
3、常に気を張ってるのって疲れない?
4、神様に呪われるの、本当に怖くないの?


↓2


343以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/01(火) 00:19:00.23L7qRQagUO (1/2)

2


344以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/01(火) 00:20:09.10r6DhrQ0G0 (1/1)

4


345 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/01(火) 00:27:41.08ADCscLXNo (2/3)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

この章に関してはもうしばらく続きますので、
これからもよろしくお願いします


346以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/01(火) 00:45:22.87L7qRQagUO (2/2)

乙、そしてあけおめですー
この先もまだまだ色々な要素がありそうで楽しみだな


347以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/01(火) 00:52:27.66gx7TQDUTO (1/1)


あけおめ、今年は勝負の年になりそうだな


348以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/01(火) 00:52:34.46rNMkCFwj0 (1/1)


今年もよろしくお願いします


349以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/01(火) 01:22:55.928iH4GEy90 (1/1)


まさか久遠さんで年越しするとは
あけおめ


350 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/01(火) 22:06:11.30ADCscLXNo (3/3)


すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
できれば明日、通常時間から


351以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/01(火) 22:12:50.49DvbOpZx6O (1/1)

連絡乙です



352 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/02(水) 21:22:42.02NEHGwuATo (1/6)


では、少しだけ


353以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/02(水) 21:49:25.69nC6lxQkVO (1/3)

きてたー


354 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/02(水) 21:52:23.06NEHGwuATo (2/6)


天乃「ねぇ、夏凜は神様に呪われるの、本当に怖くないの?」

夏凜「ん? あぁ……そんなこと」

天乃「そんなことじゃないでしょ」

天乃の力を借りれば何とか出来る。と、

九尾による補償がなされているとはいえど、

それが超常的に危険なことであることに変わりはない

同じく神である神樹様の守護があるとは言っても

それと対である神格級の呪いに襲われたら弱った神樹様の守護など軽々く貫いてくることだろう

それで、怖くないはずがない

なのに……夏凜は「そんなこと」と言う

夏凜「怖いか怖くないかだけで言えば、そりゃ、少しは怖い気持ちもあるわよ」

天乃「なら、どうしてそんな」

夏凜「平気そうなのかなんて、聞くまでもないって思わないの? あんた」

神の祟りを前にしてまるで緊張感を感じられない夏凜

その油断にもみられる姿にむっとした表情を天乃は見せるが、

夏凜の態度は変わらない

夏凜「私たちが一番恐れてるのは、アンタを失うことだからよ。あんたの願いが叶わなくなることだからよ」


355 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/02(水) 22:01:54.64NEHGwuATo (3/6)


神様に祟られてしまう

確かに、それ単体で考えれば非常に恐ろしいことかもしれない

しかし、それはあくまで過程なのだ

自分たちが望む、天乃が望む

全員が生き残っている未来に向かうための、困難の一つ

であるならば、畏れて竦む理由などない

慢心しないために恐れを捨てはしない

けれども、決して怯むことはない、緊張に震えることもない

生きていくうえで乗り越えなければならない難関なのだから、当然だ

夏凜「だから、神の祟りがあるからって奉火祭を止めない理由にはならない。私たちが私達であれない理由にはならない」

天乃「どうして……そう」

先んじた考え方をするのかと。

その言葉を言いかけた口を閉じる

そう変えたのは、自分だ

自分の生き方が、自分の存在が、みんなを変えたのだ

夏凜「……」

黙り込んでしまった天乃を一瞥し、夏凜は微笑む

夏凜「そもそも、私たちが自分で選んだ茨の道なのよ? 痛いから、怖いから。そんなことで、引き下がるわけないじゃない」


356 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/02(水) 22:17:06.50NEHGwuATo (4/6)


そんな痛みなど、そんな苦しみなど、そんな辛さなど

すべてを理解したうえでの選択、覚悟をしたうえでの一歩

茨に傷ついた足は血だらけで、道をかき分ける手は痛々しい

けれど。

夏凜「その先に自分たちの望んだものがある。それなら、痛みにも、苦しみにも、辛さにも勝る力が湧いてくるものよ」

天乃「…………」

天乃は無理をした、無茶をした

自分のことなんて全く考えることなく突き進んだ

それだって、そういう思いがあってこそ進める茨の道

夏凜「アンタの疑問にだけ答えるなら怖いものは怖い。でも、それとこれとは話は別ってこと」

天乃「馬鹿ね……ほんと。馬鹿だわ」

夏凜「そうかもね」

天乃のために淫らなことに全力になる勇者部

天乃のために神樹様に逆らうことも辞さない勇者部

バカばっかりだ。と夏凜は同意する

もちろん、自分のことを含めて

夏凜「けど。好きな奴のためにだからこそ、馬鹿になれるのよ」

天乃「っ」

夏凜「そうさせるだけ想われてること慕われてることを、天乃は誇ってりゃいいのよ」

悩んで、苦しむ

そんな天乃に、夏凜ははっきりと考えを打ち明けた


357 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/02(水) 22:18:03.36NEHGwuATo (5/6)


√ 12月6日目 夕(病院) ※土曜日


01~10  陣痛
11~20 
21~30 
31~40  東郷
41~50 
51~60 
61~70  大赦
71~80 
81~90  陣痛
91~00  樹

↓1のコンマ


358以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/02(水) 22:19:34.49nC6lxQkVO (2/3)




359 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/02(水) 22:31:29.15NEHGwuATo (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から


東郷「やだ、夏凜ちゃんったらそんなこと言っちゃって、恥ずかしい」

東郷「でも、そうよね……久遠先輩のためだからこそ、なんだってできる」

友奈「久遠先輩がいなかったらどうなってたのかな……」

風「樹のために大赦壊しに行ってたと思う」

東郷「友奈ちゃんのために壁を壊したりしてたかな」


園子(冗談かなー本気かなー……本気だね~)


360以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/02(水) 23:05:30.34nC6lxQkVO (3/3)


むしろ久遠さんの存在で勇者部の試練の難易度は原作以上に激増してるというね
それでもこれを乗り越えてこその勇者部だとも思う


361以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/03(木) 01:34:14.20Pfj7AFct0 (1/1)


そういやなんとか頑張るとして待機組って嫁じゃ沙織と若葉だけか?


362以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/03(木) 11:43:51.853vfyaYzjO (1/1)

呪いで勇者部全員ダウンしたらその二人にがんばって貰うことになるだろうね

そもそも今作での呪い自体原作仕様なのかどうかまだわからないからなぁ
友奈一人でもあれだけ精神ズタズタにされてたのに全員となると…


363 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/03(木) 19:11:51.42lYpOYhAPo (1/8)


では、少しだけ


364以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/03(木) 19:38:19.898sYbGH9rO (1/3)

かもーん


365 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/03(木) 19:57:01.00lYpOYhAPo (2/8)


√ 12月6日目 夕(病院) ※土曜日


天乃「……あら、夕方なのね」

夏凜「何言ってんのよ。ボケちゃったわけ? 若いのに」

天乃「すぐそうやっていうんだから」

酷い人ね。と

天乃は嫌味っぽく呟いて笑みを浮かべると、夏凜から窓へと目を逸らす

もう、日は暮れて暗く

夜に近づきつつある空には太陽と入れ替わろうとする月が見える

天乃「ずっと見えていたのに、見えていなかったってこと」

夏凜「あんたって、本読むの好きだったっけ?」

天乃「それなりには嗜んでいるつもりよ」

夏凜「そっ」

今のはどういう意味なのか。

聞くのは何か違う気がして、頷く

時間の経過を感じ取れてしまっている自分はきっと、

心の半分が、そこに囚われてしまっているのだろう

夏凜「その感じで、陣痛の痛みも忘れてくれればよかったんだけど」

天乃「幸か不幸か、今日はそう言う日じゃなかったみたい」

もしくは、

せっかく夏凜がいてくれるのだからと、

体が気を使ってくれたのかもしれない

だとしたら、迷惑……だと言いたい気持ちが少しだけわく


366 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/03(木) 20:17:50.98lYpOYhAPo (3/8)


夏凜「幸か不幸か……確かに、どちらとも言い難い話よね」

天乃が陣痛に苦しむことがなかったからこそ、

こうやって他愛もない話をすることが出来ているし、

勇者部の誰も、気を遣わずに済んでいる

だが、天乃が最もいて欲しい時に一緒にいてあげられない可能性が出てきてしまう

いや、出てくることになる

逆に陣痛に苦しむことになってしまった場合、

客観的に見ている事しかできなかった園子からも伝え聞いているが

その時の苦痛は二度目ということもあって、計り知れないものだろうから

それを味わわせたいなどとは口が裂けても言えない

例えその陣痛が子供を産むための物であるとしてもだ

天乃「夏凜には、そのあたりはっきりしてほしいかなって思うんだけどね」

夏凜「なんでよ」

天乃「だって、子供を産むときも辛いって聞くし」

夏凜「そこはあんたが決めるべきでしょ」

子供を産む痛み

それが来たときに幸とするか不幸とするか

二人は顔を見合わせて、苦笑する

それはもちろん、幸というべきだからだ


367 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/03(木) 20:50:28.33lYpOYhAPo (4/8)


夏凜「ま、もしもあんたの子供が産まれるってなったら壁の外であろうと地球の裏側だろうと飛んできてやるわよ」

天乃「軽口で言ったらだめよ? 本気にするから」

にやりと笑って見せる

閉じた瞼の裏にある瞳の本気度は夏凜には見えないけれど

それがただの冗談で言っているだなんて、夏凜は思わない

夏凜「しとけしとけ」

それで、少しでも天乃が安心できるのなら

それを裏切ったことで天乃が少しでも傷つくというのなら

夏凜「約束したら破る気はないわよ」

天乃「…………」

夏凜「どうする?」

まだ一方的な言葉で、約束ではない

けれど、もしも約束する気があるのなら

それを、【三好夏凜の誓い】とするのならば

夏凜は意地でもその約束を果たす

天乃「そうねぇ……」

布団の上、夏凜の手を優しく握って指を絡める

そのまま、流れるように小指だけを結ぶ

天乃「嘘ついたら何が飲みたい?」

夏凜「麻婆豆腐でも一気飲みしてやるわよ」

天乃「千人前だけど……平気?」

夏凜「平気だとでも思ってんの?」


368 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/03(木) 21:07:26.41lYpOYhAPo (5/8)


せめて二人前にしなさいよ

そう言う冗談に付き合う夏凜の優しい表情に

天乃はかつて見た、三ノ輪銀の無茶を思い出して苦笑する

あの時は本当に驚いた

勇者だからって何でもできるわけじゃない

なんでも耐えられるわけじゃない

天乃「冗談よ。分かって……一人前で良いわ。もう半分は私が食べるから」

夏凜「あんた、今の体で辛いものなんて」

天乃「産まれた後の話だもの。一人前くらいなら大丈夫でしょ」

でも。と、呟く

天乃「二人前は流石に体に悪いから、ね」

夏凜「……ん」

結んだ小指が、より強く結ばれる

約束、契約、結束

思いを込めて結んで、夏凜は頷く

夏凜「言い出しっぺの法則。そのお約束は運命レベルの決定事項だから、大丈夫」

天乃「何の保証なんだから」

夏凜「さぁ? でも、そう言うのってよくあるでしょ。じゃんけんで負けたら罰ゲームとかいうとその人がやる羽目になるやつ」

天乃「でも、この場合言い出したのって私じゃないの?」

夏凜「……罰ゲーム決めたのは私だし。ま、何とかなるでしょ」



1、友奈達を呼ぶ(外出組)
2、大赦について
3、夏凜の将来
4、約束だからね? ちゃんと、みんなで帰ってくるの
5、イベント判定

↓2


369以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/03(木) 21:10:15.58aZwnfXms0 (1/1)

4


370以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/03(木) 21:11:17.778sYbGH9rO (2/3)

2


371 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/03(木) 21:33:20.88lYpOYhAPo (6/8)


天乃「……はぁ」

他愛のない話も

愛を囁くような話も

心がとても温かくなれるから

不安を包み込んでくれるから

決して無駄では無いけれど、

これだけの時間があるならと、天乃は息を吐く

天乃「ところで、夏凜は大赦に関してはどう思ってるの?」

夏凜「だんまりな現状? それとも、奉火祭を終えた後のこと?」

天乃「全部ひっくるめて」

夏凜「あんまり広くしすぎるとそれはそれで答えが出しにくくなるっていうか、面倒なんだけど」

天乃「そういう、素直な話が聞きたいの」

素直さなら東郷たちの方が上だろうに

一瞬のうちに浮かんだ本音を押し隠して、素っ気なく返事を返す

もう東郷たちも帰ってきているけれど、

今ここにいるのは自分だし、天乃が効きたいのは夏凜の答え

それに、答えない理由は別にない

夏凜「だんまりな部分に関しては、見逃してあげるからこっちにもちょっかい出すな。的な考えもありそうな気がしなくもない」


372 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/03(木) 21:50:22.61lYpOYhAPo (7/8)


夏凜「考えてみれば、私達を封殺するのなんて向こうには簡単な話でしょ?」

天乃「精霊も――」

夏凜「アンタをとっ捕まえて隔離すりゃいいだけって話」

天乃「っ」

夏凜はわざとらしく両手を広げて肩をすくめて見せる

それでも一応、ちゃんとした医療機関に移されるだけで

決して危害を加えるとかぞんざいな扱いを受けるとかいうわけではないと思うが

夏凜達から隔離し、監禁し、居場所も何も一切の情報を渡さず

ひとたび邪魔をすれば二度と会えないようにする。とでも脅しをかければ

夏凜達は手出しができなくなる

この世界中に大赦の息のかかった場所はいくらでもある、資金もある

ありえないような場所に医療施設を隠し持つことだって不可能じゃない

そうなったら、本当に会うことは不可能になるからだ

もっとも、そうしないというよりもそうするほどの悪心はないだけかもしれないが。

夏凜「満開の件を黙ってたり、ダメと言われても奉火祭を行うってことは必要ならそういうことだって大赦はできるはず」

天乃「じゃぁ、大赦はあえてそうしないって?」

夏凜「学校の暴動があったからかもね。自棄になって大暴れされちゃ堪らないし」

だから、こちらは手を出さないのでそっちも大人しくしていてほしい

と、考えている可能性は無きにしも非ずだと夏凜は答えた


373 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/03(木) 22:00:18.43lYpOYhAPo (8/8)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「ですが実際、もしも世界を取り戻した場合大赦はどうなると思いますか?」

風「さぁねぇ……多かれ少なかれ説明責任は問われるんじゃないの?」

樹「状態にもよりますが、西暦時代に襲撃されたままの世界なら滅んでいることは事実なので……」

園子「そもそも、世界を覆う壁が消えることになるのなら人間である大赦だけに責任の追及はされないと思うんよ」

友奈「多分、神樹様に最も近かった人たちだからそう言う意味では変わることはないんじゃないかな」



374以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/03(木) 22:14:55.188sYbGH9rO (3/3)


久遠さんに何かしようものなら九ちゃんがもれなく神隠ししそう…


375以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/03(木) 22:39:52.12jMHMQTk/O (1/1)


いろいろ気になることが多いな


376以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/04(金) 13:17:41.75l54rEysAO (1/1)


夏凜ちゃんに夢中で時間が気にならなかった久遠さん可愛い

奉火祭ってたしか全員で行くんじゃなかったか?
樹が残るのはまだ満開が犠牲有りの時だったような…違うっけ


377 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/04(金) 23:38:31.073BKVaYHHo (1/1)


すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日、出来れば17時ころから


378以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/05(土) 06:49:38.00NgE5QI8YO (1/1)




379 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/05(土) 18:07:19.54Vw5JGiYIo (1/11)


遅くなりましたが、少しずつ


380以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/05(土) 18:16:50.11t3tyRT3WO (1/4)

あいよー


381 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/05(土) 18:35:56.51Vw5JGiYIo (2/11)


夏凜の考えは、確かにありえない話じゃなかった

いや、むしろそれが正しいのかもしれない

祖母の話が事実なのなら、

その思いを信じてもいいのなら、

奉火祭によって犠牲になる巫女の命も大赦は軽んじているわけではない

これしか現状を打破する道はないのだろうかと考え、

そのうえで下した苦渋の決断であるのならば、

これは、絶対に阻まれるわけにはいかないことだろう

そのためなら、天乃を人質として扱うことも大赦は……祖母は厭わなかったはずだ

なのに、今も天乃はこうしてみんなと、なんの邪魔建もされずに過ごすことができている

考えてみれば余りにも、平和すぎる

天乃「……なるほどね、そうね。そうかしれないわね」

夏凜「ネガティブな考えとは言え、ありえないって一概に言えないのが問題なのよね。こういうのって」

天乃「でしょうね……手が出しにくくなっちゃうものね」

それが大切な者であれば、なおのこと。

考えすぎだと言われても、大事な人のことなら念には念を入れたいと思うのが情だ


382 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/05(土) 19:21:07.85Vw5JGiYIo (3/11)


ただ、さっきも言っていたように

天乃を人質に取ったことで勇者部が敵に回ることは確実なうえに自棄になって反抗してくる可能性があるほか、

それが以前暴動を起こしたクラスメイト達にまで伝わりなんてした暁には

大変なことになりました。なんて一言で片づけるのは難しい事態に陥るだろう

神樹様の寿命が尽きるまであと僅か

天の神による侵攻も行われるかもしれない

そんな状況下での内乱など、馬鹿でもやらない……はずだ

もちろん、本当なら勇者部だって大赦の邪魔をするべきではないのだが

それがだれかを犠牲にするやり方なのだから、止めるしかない

邪魔をするしかない

夏凜「奉火祭の後に関しては、知ったことじゃないわね。やらせるつもりなんてないわけだし」

天乃「阻止された後は?」

夏凜「そりゃ、責任はどうとるんだ。なんて詰め寄ってくるかもね」

後はもう勇者がどうにかするしかない。とか言って

残念ながら、単純な話ならそうなるというだけで

実際にはそうなってくれないだろうけれど

夏凜「もしもそうなったとしても、守るわよ。絶対に」

天乃「うん……」

守って貰えるだろうことは天乃も疑っていない

でも、その結果勇者部に何かがあるのではないかと、天乃は少し眉をひそめた


383 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/05(土) 19:23:04.12Vw5JGiYIo (4/11)


√ 12月6日目 夜(病院) ※土曜日


01~10  風
11~20 
21~30  陣痛
31~40  沙織
41~50 
51~60 
61~70  園子
71~80 
81~90 
91~00  陣痛

↓1のコンマ



384以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/05(土) 19:32:16.59t3tyRT3WO (2/4)




385 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/05(土) 20:00:34.69Vw5JGiYIo (5/11)


√ 12月6日目 夜(病院) ※土曜日


天乃「日曜日……」

気づけばもう、夜になっている

土曜日が終われば日曜日がやってくるのは必然

12月に入って初めての週末、あるいは週初

終わりでありながら始まりであるその日に、大赦は動くのだろうか

天乃は考え、息を吐く

祖母は大人だ

天乃たちよりもはるかに多くのことを経験している

そのうえ、大赦にはほかにも知識が集っている

きっと、天の神に対する対策は考えつかなくとも

子供たちの我儘に対する対策くらいは、何か用意されていることだろう

天乃「普通なら、みんなが出払う平日なのよね」

普通は。

だが、その裏をかいて日曜日に行ってくる可能性もゼロではない

しかし、それを読んだ勇者部の裏をさらに書いてくる可能性もあるわけで。

天乃「後手に回るのは、辛いことが多いわね」

それが有利に働くこともあることにはあるのだが。


386 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/05(土) 20:37:00.08Vw5JGiYIo (6/11)


夏凜「もう21時になのに起きてていいの? あんた」

天乃「そんなに早く寝なくても平気よ」

夏凜「7時間程度寝たほうが良いって話だし、天乃の場合は14時間必要でしょ」

天乃「そんなに寝られるから出してないわよ」

そもそも14時間寝るのならば、

21時に寝ても起きるのは正午手前になってしまう

それはさすがに、体がもたない

天乃「それとも、夏凜が早く私と寝たいの?」

夏凜「言うじゃない、天乃」

ぎしり……と、夏凜の手がベッドをきしませて距離が近づく

天乃の誘うような言葉にも夏凜は余裕の表情で

むしろ、天乃を挑発するように、天乃を見上げるまでに視線を低くする

夏凜「……天乃先輩、そんな余裕がありますか?」

天乃「っ」

びくっと反応する天乃に、夏凜は苦笑する

夏凜「なんて、冗談よ。冗談」

天乃「鳥肌立った」

夏凜「おい」

せめて似合わない。で良いでしょうよ……と、夏凜はぼやく


1、ねぇ夏凜。大赦にはきっと、奉火祭以外の手段がある……気を付けて
2、夏凜は、みんなは私の王子さまだもの。見上げるのは私の役目だわ
3、今日は、一緒に寝てくれるのよね?
4、子供が産まれたら、名前はどうしようかしら

↓2


387以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/05(土) 20:41:24.50t3tyRT3WO (3/4)

1


388以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/05(土) 20:42:17.52Z1xe1fho0 (1/1)

1


389 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/05(土) 21:50:20.66Vw5JGiYIo (7/11)


むっとした、怒った表情

けれど、本気ではないとわかる優しい雰囲気

失いたくない、大切なもの

天乃は夏凜に気取られないよう、笑みを浮かべる

天乃「ねぇ夏凜。大赦にはきっと、奉火祭以外の手段がある……気を付けて」

夏凜「奉火祭以外の手段……ねぇ。前にも言って無かったっけ。そんな感じのこと」

天乃「ええ。でも、今回は確信があるというか……でも、嫌な予感というか……」

憶測でしか語ることができないのが無念だが、

奉火祭が失敗した場合、大赦は確実にそれを行おうとするだろう

問題は、【それ】が何かわからないという点だ

天乃「ごめんなさい。うまくは言えないけど、嫌なことだとは思う」

夏凜「なにその脅ししかないセリフ」

天乃「…………」

夏凜「……巫女としての勘。みたいなやつ?」

茶化すための言葉にも反応せず黙り込む天乃をじっと見つめ、

夏凜は小さく問いかける

天乃にというより、久遠家には元々巫女としての力が備わっている

それが、天乃によからぬ何かを感じさせている可能性があるのだ


390 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/05(土) 22:12:56.26Vw5JGiYIo (8/11)


夏凜「嫌な予感ね……まぁ、そりゃ……」

奉火祭だって、何人もの巫女を犠牲にしなければならない嫌な手段だ

それでも、奉火祭を選んだということは

もう一つの手段は奉火祭以上に選ぶべきではない何かである可能性が高い

もちろん、奉火祭は何らかの反逆手段の下準備というだけで

その先があるかもしれないけれど。

夏凜「奉火祭が頓挫した場合、取れる手段は強硬手段だけになると思う?」

天乃「多分……勇者の力で押し切るか、神樹様の何かで押し切るか」

あるいは……と

口にした天乃を夏凜は一瞥する

それはない、それはあってはいけない

だが、力さえとりもどせれば勇者のごり押し以上に確実な手段

もしも、神樹様の種の件がその布石だとしたら……

夏凜「ない、それはない」

天乃「でも」

夏凜「無理をしたらアンタが死ぬわ」

天乃「子供が産まれる」

夏凜「っ……でも、それでも、普通……」

産まれたばかりの赤子から母親を奪う

さんざん奪われてきた天乃から命まで奪う

そんなことをさせるような鬼が、いていいわけがない


391 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/05(土) 22:39:44.79Vw5JGiYIo (9/11)


夏凜「ない。あり得ないわよそんなの。考えていいことじゃない」

天乃「だと、良いのだけど……それに私が一番心配してるのは夏凜達なのよ?」

夏凜「私達より、アンタの方が――」

天乃「今回の件で、物は違うとはいえ神様の影響を大きく受けることになるのよ? 分かるでしょう?」

それによって苦しめられることはもちろん、

神の祟りを受け、天乃との誓約を結ぶことになっている

その結果、久遠家の力と神の力

両方に大きく近づくことになる

場合によっては、天乃よりも利用価値があるかもしれないのだ

天乃「死ぬ可能性があるのは、みんなの方よ」

夏凜「だとい……良いわけではないか」

まだ普通に動くことのできる自分たちのほうが良いと、夏凜は思う

しかし、そう単純な話ではない

夏凜「でも、少なくとも確実に死ぬ可能性のある天乃よりはましだわ」

天乃「…………」

夏凜「痛っ! 痛いっ痛いってのっ!」

ふふん。と

すました顔を見せる夏凜の腕を、天乃はぎゅぅぅぅぅっと摘まんだ


392 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/05(土) 22:40:50.06Vw5JGiYIo (10/11)


√ 12月7日目 朝(病院) ※日曜日


01~10 九尾
11~20 
21~30 
31~40  千景
41~50 
51~60  陣痛
61~70  夕海子
71~80 
81~90 
91~00  陣痛

↓1のコンマ 


393以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/05(土) 22:41:44.59eglGvjc80 (1/2)




394 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/05(土) 22:52:41.39Vw5JGiYIo (11/11)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできればお昼ごろから


天乃「っ……ぅ……」

夏凜「なるほど……嫌な予感ってのはこういうことか」

夏凜「天乃」ギュッ

夏凜「大丈夫、私が……ここにいてあげるから」


395以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/05(土) 22:57:25.07eglGvjc80 (2/2)


しんどそう


396以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/05(土) 23:01:26.51t3tyRT3WO (4/4)


ここで二回目の陣痛、それも今度はみんなの前で来たか…
そして余裕がないとはいえ大赦は本当に外道と化してしまうのだろうか


397 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 15:16:35.07V4Pm01/eo (1/16)


では、少しずつ


398以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/06(日) 15:46:14.06Bc2SgvMkO (1/4)

はいよ


399 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 16:27:58.69V4Pm01/eo (2/16)


√ 12月7日目 朝(病院) ※日曜日


二度目の陣痛は、まだみんなが寝静まっている早朝に起こった

刺し貫かれるような鋭い痛み

飛び上がりかけた体の強い圧迫感に押し出された吐き気

意志に関係なく目元からあふれる涙と、言葉にならないうめき声

天乃「ぁ……かっ……」

死ぬ。と、思った

体の内側から引き裂かれて、子供だけが残る

そんな、ありえない出産になるのではないかと思うほどに、

陣痛による激痛は異常だった

天乃「い゛っ痛っ!」

夏凜「ッ」

僅かに浮いた体がベッドを揺らし、かろうじて動いた天乃の手が夏凜の腕を鷲掴む

その瞬間、夏凜は飛び起きそうになって半身がベッドから落ちていく

夏凜「看護師ッ!」

滑り落ちた右足から左足へと組み換え、床を踏み飛ばしてナースコールを握るように押してすぐに、

病室内に常駐している看護師へと大声で呼びかける

園子たちが目を覚ますだのなんだのは、関係無かった


400 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 16:45:40.35V4Pm01/eo (3/16)


天乃「あっあ゛ぅ……うぅぅっ」

夏凜「天乃、大丈夫。大丈夫だか――」

宥めるような夏凜の声を遮るように、天乃の悲鳴が轟く

戦いに明け暮れた天乃でも、耐えがたい痛み

我慢するなんて出来ない苦痛

それを、すぐそばで見守る看護師は腕時計の時間を険しく見つめ、天乃を一瞥する

東郷「何か気になることでもありますか?」

「いえ……今は後にしましょう」

看護師はそういうと、どうしても仰向けになってしまう天乃の体をゆっくりと横向きにさせていく

普通の妊婦なら、腰回りの手当のためにも必要な動作だが、

天乃相手には正しいかどうかわからない

その緊張感からか、看護師の息を飲む音が夏凜の耳に届いた

夏凜「どうすんのよ」

「腰を優しく擦っていてあげてください。それと、仰向けにならないように擦ってあげてください」

ボール状のものでも置いて形作るというのも手ではあるが……

今の体にそれをやってはむしろ悪影響でしかないような気がするので。と、看護師は院内連絡用の端末を手に取る

「久遠さんです……はい、はい……陣痛は……ええ……そうですね」

連絡を取る看護師の表情は、終始険しいままだった


401 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 17:09:18.45V4Pm01/eo (4/16)


専属としている医師たちが病室へと駆け付けたのを見送った看護師は、

夏凜と東郷を天乃の傍に残し、ほかの勇者部メンバーを連れ出す

念のため、説明する必要があるからだ

「陣痛の時間が長すぎます」

風「双子だからですか?」

「いえ、双子なら本来は……もちろん、これにも特殊な部分はあるのですが……」

まだ中学生の小さな体ということは、子宮もそれに合わせた大きさなはずだ

そこで双子が誕生したとなると、子宮自体の広がりは腹部を見ても明らかに限界を超えている

そうなっている場合、陣痛自体が通常とは異なって微弱なものとなる可能性が高い

むしろ、天乃の場合はそうならざるを得ないようなコンディションだったはずだ

にもかかわらず、陣痛は普通に起こっていて、破水していない

加えて、陣痛の継続時間が数十秒ではなく数分間と非常に長い

稀にみる……なんて話ではなかった

樹「帝王切開……するんですか?」

「それも視野に入れる必要がありますが、何分特殊で……おそらく、麻酔が使えません」

風「麻酔無し!?」

「ええ。久遠さんの場合、麻酔を使うことで急激に衰弱する可能性があります」

そもそも、元々は元気だったという言葉が嘘のように病弱な体質になってしまっている

そこで、帝王切開のためにと麻酔を投与したら子供しか助からない可能性が非常に高い

だが、それはかねてからのみんなの要望にはそぐわない

だから、麻酔が使えない。と、看護師は言う

無論、現代において麻酔なしでの帝王切開など御法度もいいところなのだが。


402 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 17:24:54.90V4Pm01/eo (5/16)


「ですので、出来る限り自然分娩でと……ですが……」

今なお続く天乃の苦痛の叫び

だんだんと叫ぶ声も弱って、枯れて

悲鳴に交じって咳き込んでいる音までも聞こえてくる

友奈「久遠先輩は、助からないんですか?」

「帝王切開を行う場合は、まず助からないと考えていただくことになるかと思います」

園子「今の陣痛を耐えきったら、大丈夫?」

「……先生の診断によりけりですが、今日一日は陣痛に苦しめられる可能性もあります」

もしかしたら、日を跨いでも続くかもしれない

明日も明後日も続くかもしれない

友奈「……久遠先輩に必要なことはありますか?」

園子「ゆーゆ?」

友奈「久遠先輩が少しでも楽になれること。どんなことでもいいです。教えて貰えませんか?」

樹「久遠先輩を死なせたくないんです。ただ、辛い姿を見ているだけなんて嫌なんです」

できることがあるとかないとか、そんなことは関係ない

今の天乃にとって必要なことがあるのなら、それをやるのだ

「そうですね……では、ケアをしてあげてください」

楽な姿勢を取らせたり、マッサージをしたり、汗を拭いてあげたり

水分を取らせたりなど、一通りの介護をしてあげる必要がある

「それと、慌てないことです。皆さんが慌てていたら久遠さんまで余裕がなくなってしまいますからね」


403 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 17:50:48.15V4Pm01/eo (6/16)


√ 12月7日目 昼(病院) ※日曜日


01~10 九尾
11~20 
21~30  陣痛
31~40 
41~50  夏凜
51~60 
61~70  陣痛
71~80 
81~90  陣痛
91~00  陣痛

↓1のコンマ 


※陣痛以外は少し話せる。という程度


404以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/06(日) 17:55:14.98Bc2SgvMkO (2/4)




405 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 18:30:59.62V4Pm01/eo (7/16)


√ 12月7日目 昼(病院) ※日曜日


友奈「久遠先輩、体拭きますね」

横になった天乃の裾をめくって、腹部から脇腹、背中へと

友奈はできる限り優しい力でタオルを流していく

大きく膨らんだお腹が動く、胸が動く

そのたびに苦痛に身をよじろうとする天乃を、樹たちが支える

陣痛が始まってからも軽い運動などはすべきだが

それもやはり、天乃には辛いうえに下手に動けば悪化してしまう

何もさせてあげられない残酷さに友奈は表情を険しくさせて、息を吐く

東郷「夏凜ちゃん、平気?」

夏凜「このくらい、なんてことないわよ」

昼になっても、以前のように陣痛が収まってくれる……などということはなく

ひっきりなしに襲う激痛に、天乃はずっと夏凜の腕を握りしめたままで

食い込んだ部分からは少しだけ、血が滲んできていた

夏凜「そんなことより、陣痛の時間少しは短くなったんじゃない?」

風「いや、全然誤差の範囲よ。でも、陣痛の間隔は狭まってきてくれてる……はず」


406 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 18:51:53.48V4Pm01/eo (8/16)


樹「本来なら、1~2分間隔になったらもう十分らしいよ」

沙織「というより、まだ破水もしてないんだよね……」

通常の妊婦にもそれはあることで

そういう場合には、少しだけ穴をあけるといった、

人工破水。というものを行うこともある

だが、天乃の場合は先ほど行った検査結果ではまだ6cmほどしか子宮口が開いていないため、

均衡が崩れた悔過一気に流れ出してしまうかもしれない

それでは、子供が危ない

かといって……

東郷「このままだと、過強陣痛を引き起こす可能性もあるって」

園子「でもわっしー帝王切開はできないよ」

もし、麻酔なしでの帝王切開をやったとして

それが、運よく成功したとして

それで万事解決になるわけではない

沙織「それはそれで、別の症状を引き起こす可能性が高いからね。特に、久遠さんの場合は」


407 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 19:12:06.73V4Pm01/eo (9/16)


焦るなと友奈たちは心の中で繰り返す

自分たちが焦っていても何も変りはしない

天乃が救われるわけではないのだから。

天乃「はっはっはっ……はぐっ……ぅっ!」

ぎりっ……と、噛みしめられた歯が音を立てる

呼吸を整えるので精いっぱいで

少しだけ落ち着いた痛みを踏み潰す勢いで猛烈な痛みが襲う

腰から折れてしまいそうな気がする

股が裂けてしまいそうな気がする

このまま、子供が産まれ落ちるのとともに自分の命までも落としてしまいそうな気になる

そんな考えを持つべきではないと

それは分かっているはずなのに、限界だった

でも

天乃「ぐっぅ゛ぅぅぅぅぅぅ」

夏凜「天乃……」

ぐっと、歯を噛みしめる

ぎゅっと、夏凜の腕を掴む

それは天乃にとっての、命綱だった


408 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 19:41:33.99V4Pm01/eo (10/16)


風「腰のあたり少しマッサージでも――」

友奈「それなら私がやりますっ」

東郷「友奈ちゃんは、ちょっと」

友奈「えっ」

体を拭いてあげてね。と

東郷は友奈を引き下がらせて、腰に手を触れさせる

友奈は確かにマッサージが上手なのだが

聊か、今の天乃にはそぐわないのだ

東郷「久遠先輩、少しずつマッサージしていきますね」

まずは一声かけて、撫でる

どこを揉むか、押すか

合図をしながら、進めていく

樹「園子さん、飲み物を買いに行きませんか?」

園子「そうだねぇ~冷蔵庫に水しかないもんね」

沙織「あっ、それならあたしもいくよ。精霊でつながってるから何かあったときにすぐ戻れるから」

天乃のためにとそれぞれで役割を決めて、分担する

少しでも楽になるようにと、願って


409 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 19:48:34.98V4Pm01/eo (11/16)


√ 12月7日目 昼(病院) ※日曜日


01~10 破水
11~20 
21~30 陣痛
31~40 
41~50 破水
51~60 陣痛
61~70 
71~80 九尾
81~90 
91~00 千景

↓1のコンマ 

※空白以外なら本日中 確定


410以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/06(日) 19:52:59.28WJyRFiHGO (1/1)

うおおお


411以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/06(日) 19:57:09.15Bc2SgvMkO (3/4)

ついに出産来るか…!?


412 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 20:56:50.68V4Pm01/eo (12/16)


√ 12月7日目 夕(病院) ※日曜日


天乃「はぁ……はっ……はっ……ぁぅ……」

夏凜「頑張りなさい、あともう少しだから」

朝からずっと、苦しめられていて息も絶え絶えの厳しい状況の中

樹たちが買ってきた飲み物を、むせないようにストローで飲ませる

陣痛に苦しむ時間は相変わらず長いが

陣痛の感覚もゆっくりとだが縮まってきている

この調子なら、今日中に生まれる可能性は高い

正直なところ、ここまでひどく衰弱した状態での出産など考えたくはないが

そうならざるを得ないだろう

風「なんていうか、出産ってここまで大変なことだったのね」

樹「久遠先輩は本当に特殊なんだとは思うけど、でも、きっとそうなんだと思う」

人一人、二人

そんなとても大きなことをするのだから

簡単なことではないのは当たり前のことだろう

風「樹ったら知ったようなこと言っちゃって……どこまで先を行くんだか」


413 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 21:17:46.86V4Pm01/eo (13/16)


自分が知っているよりもどんどん大人になっていく

そんな樹を横目に、風は深く息を吐き出すと

樹と一緒に、天乃たちを覆うカーテンから出ていく

全員でずっと見ていても仕方がない

それよりも交代制にして長丁場にも耐えられるようにしましょう。という東郷の提案に乗ったのだが

すぐそこで苦痛に呻いているのを知っていて休むのも難しかった

「本当は私達が手を貸すべきなのですが……」

風「いえ、出来ることをやらせてくださいって言ったのはあたしたちですから」

看護師の困った表情に、風は笑みを返す

もちろん、専門的なことはお任せする

何か変化があった場合も交代する

でも、体のケアや寄り添うこと

それくらいのことであれば自分たちがやってあげたいというのが勇者部の意志だった

風「でも、本当に今日産まれるんですか?」

樹「陣痛の感覚は短くなってきてるんですけど……」

「そうですね。陣痛の間隔の短縮に比べて、陣痛継続時間が比例していないので断言は難しいですが」

産婦人科の先生ですら、頭を悩ませています。と、看護師は言う

実際、双子で、過強陣痛気味で、中学生で、妊娠周期も何もめちゃくちゃな妊婦など扱ったことはまずないだろうし

そんな前例は恐らくだが、ない


414 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 21:29:02.80V4Pm01/eo (14/16)


樹「……そうですか」

勇者としての力が、複雑にしてしまっている

とはいえ、神樹様の力です。だの、穢れの影響です。だの

大赦所属の霊的医療班ですら半分―もちろん穢れの方―は良く分かっていないのだ

看護師に話したところでどうにもならない

「でも、大丈夫だと思いますよ。この調子で進んでいるなら子供が今日中に産まれる可能性は十分にあります」

問題は、産むための体力が天乃に残るかどうかだと看護師は眉を顰める

これまでの入院生活で天乃は体力が落ちてしまっていて

朝からの陣痛の激痛に耐えた後の出産は本当に命がけになってしまう

しかし、今日は疲れているからまた明日ね。なんて

赤ちゃんには通用しない

「皆さんには、非常に申し上げにくいことなのですが……」

風「そんなことっ」

樹「久遠先輩なら、大丈夫です」

大丈夫なんです。と

樹は天乃たちには聞こえないほどの声で力強く言う

それは確信しているというよりも、そうであってほしいと願っているような声だった


415 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 21:56:34.77V4Pm01/eo (15/16)


風「そうね樹……大丈夫」

「……みんなのサポートがあれば大丈夫ね」

看護師は笑みを浮かべて、頷く

だが、現実は甘くない

手厚いサポートがあって、生きて欲しいと願う家族がいて

生きたいというお母さんの願いがあってなお、命を落としてしまう母親もいる

それほどに、過酷なことなのだから

だけれど、無理だというわけにはいかない

死んでしまうと首を振るわけにはいかない

まだ若いからこそ過酷

だけれども生命力はあるはずなのだから

東郷「ふぅ……」

樹「東郷先輩っ」

風「手は大丈夫なの?」

手洗い場から戻ってきた東郷は苦笑いを浮かべながら、手を振る

東郷「まだ疲労感は残ってますが、久遠先輩に比べればこの程度何ともありません」

「あまり、無理はしないでくださいね」

東郷「はい」

きっと、この戦いは夜通し続く

そのために、交代制にしてまで休憩をとることにしたのだ

寝る間を惜しむ程度の無茶はしても、無理はしない

それでは本末転倒だと、東郷は頷いた


416 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/06(日) 22:00:06.43V4Pm01/eo (16/16)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から

ここから夜にシフト、出産までノンストップ
ただし久遠さんの体調に関しては判定


九尾「ふむ……産まれるかや」

九尾「難産になるじゃろう」

九尾「これから困難が待ち受けていることじゃろう」

九尾「それでも決めたのは主様らなのじゃ。精進するがよい」

九尾「少しなら、妾も手を貸してやろうぞ」


417以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/06(日) 22:15:01.53Bc2SgvMkO (4/4)


一気に出産まで物語が動き始めたか…
陣痛のシーンが凄く生々しい描写だったなぁ

ところで双子ちゃんの名前は募集するのかな?それとも自動で決まってる?


418以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/06(日) 22:55:13.66J96XamO80 (1/1)


穢れもそうだしそもそもが人間と妖怪のハーフだもんなあ
わからないことだらけで難しいね


419以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/07(月) 12:25:08.43VLBDs57XO (1/1)

何気に双子の誕生日が12/7で樹と一緒になるんだな


420以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/07(月) 17:53:25.27fBLk8fCGO (1/1)

陣痛描写でも手を抜かない謎のこだわり
そして忘れ去られているいっつんの誕生日


421 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/07(月) 20:37:47.07AHDigxajo (1/8)


では少しだけ


422以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/07(月) 20:45:12.119QcBwNv1O (1/2)

よしきた


423 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/07(月) 21:09:37.35AHDigxajo (2/8)


√ 12月7日目 夜(病院) ※日曜日


天乃「はっはっはぁぅ……ぅぅ……」

夏凜「………」

ひと呼吸にも呻き声の混じる天乃の額に落ちた髪を指で払うと、

ジトっとした汗が指に張り付いてくる

友奈や樹が交代交代で汗を拭いてくれているが、

拭いても吹いても、脱水症状になってしまうのではないかと不安になるくらいに、汗だくになってしまう

沙織「久遠さん、口開けて」

天乃「んっ」

沙織「怖いのは分かるけど、水分は取らないとダメだよ」

少し前に、飲み物を飲んでいる最中に咳き込んで息ができなくなってしまったからか、

天乃は唇を結んで拒否する仕草を見せるが、

沙織はペットボトルに直接差し込んだストローの口を、天乃の方へと向ける

辛くても、苦しくても飲まなければだめだ

朝から食事も何もできていないのに、

水分まで取らなくなってしまったら大変なことになる

夏凜「少しでもいいから飲みなさいよ。子供もアンタも、無事でいるために」


424 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/07(月) 21:49:01.20AHDigxajo (3/8)


天乃「ぅ……」

沙織「あ……ごめんね。ちょっと待って」

震える唇で、ストローを挟む

けれどペットボトルの中身は微動だにせず、ストローの中を這い上がっていくような様子もなくて

沙織ははっとしたように謝って一度ストローを加えてごくりと喉を鳴らす

本当はあまりしないほうが良いのだけれど

天乃の体の反応に関係なく流し込むのはさすがに危険すぎる

かといって、飲ませないわけにもいかないのだから、仕方がない

誰に言われたわけでもなく言い訳を心に描いてもう一度天乃にストローを咥えさせる

沙織「そうっとね。ゆっくりだよ」

天乃「ん……ぅ゛っぇっ」

園子「っ! 天さんっ」

こくり、こくり……と

僅かに飲んだところで、また陣痛の痛みが訪れて息が詰まる

飲み切れなかった液体が気管に流れようとして、咳き込む

園子「落ち着いて、落ち着いてね」

園子はすぐに体を横にして、そこからさらに45度ほど傾けて、吐き出せる

天乃「げほけほっぅ゛ぅぅっ」

園子「大丈夫、大丈夫だよ~」


425以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/07(月) 21:59:06.44velSnFRgo (1/1)

みんなに母性を感じちゃう


426 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/07(月) 22:04:57.35AHDigxajo (4/8)


夏凜「…………」

天乃の視界の外にいる園子を一瞥した夏凜は、

言うか迷った口を開いて、優しく声をかける

夏凜「……休んでてもいいのよ。園子」

園子「平気なんよ。全然」

気丈な返事

それとは裏腹に、辛そうな表情

疲れているからじゃない

天乃の姿があまりにも痛々しくて、心が苦しくなってくるからだ

夏凜「それなら良いけど、無理はするんじゃないわよ」

沙織「我慢しないで出しちゃっていいからね……」

飲み込めずに出てくる唾液を、タオルで拭いながら声をかける

遠慮しなくていい

迷惑だなんて考えなくていい

頼り切っていいからね。と、微笑む

友奈「沙織さん、代わります」

沙織「うん、お願い」

綺麗なタオルをもってカーテンを開いた友奈と沙織が入れ替わる

陣痛に苦しめられてからすでに十数時間

半日以上、途切れることなく続く陣痛の疲労を隠し切れない天乃の姿に、友奈は唇を一度噛んで笑みを作る

これがすべて穢れだったら笑顔にはなれない

でも、これは違う。子供が産まれるのだ

だから……と、友奈はできる限りの笑みを浮かべた


427 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/07(月) 22:15:28.81AHDigxajo (5/8)


天乃「はぁっはっ……ぁ……っぐ!」

夏凜「……っ」

天乃の疲弊、憔悴、衰弱

それを直接感じている夏凜は爪痕さえつけることができなくなりつつある天乃の手に手を重ねる

自分の腕から滑り落ちるようなことだけは、させない

天乃「ひぐっ……うぅぅあ゛ぅっ」

友奈「もう少しです。もう少しですよ、久遠先輩……」

嗚咽交じりのうめき声

汗に隠れて流れていく涙をぬぐって声をかける

看護師から聞いた話で、確証がある。とは言われていないが

本来の陣痛の流れにのっとって考えるのならば

陣痛の間隔がしっかりと短くなりつつあるのはもうすぐ子供が産まれる兆候

本来ならいいことなのだが、

天乃の場合は陣痛に苦しめられる時間が長すぎるため

休息時間がほとんど削られてしまっており、厳しさは増すばかりで。

友奈「あともう少しですよ。可愛い子供が産まれてくるんですっ」

それでも、友奈は明るく声をかける

それが一番元気づけられると信じて


428 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/07(月) 22:27:59.97AHDigxajo (6/8)


本来なら、陣痛の合間に検査をしたりするべきなのだが、

苦しめられている時間が長すぎて、検査どころではない

調べるべき子宮口の広がりもそうであってくれと願うばかり

さすがの産婦人科の医師も、いざというときのバックアップ体制を念入りに備えるのが限度だった

「……これ以上はお母さんも子供も危険だわ」

沙織「でも、帝王切開するわけにはいかないんですよね?」

「ううん、それはあくまで久遠さんや貴女達の要望に沿うならの話よ。子供だけでも……という話なら別」

酷な話だけどね。と、

悲し気に漏らした産婦人科医を、沙織は見開きかけた瞳で捉える

医師だから、患者の願いを出来る限り叶えてあげたいと思ってくれているのだろうか

少し考え、息を吐く

沙織「すみません」

園子「謝ることじゃないんよ」

沙織「園子ちゃん……もういいの?」

園子「風先輩が代われって」

しっしっという手ぶりをしながら、園子は苦笑いを浮かべる

身体的疲労はないが、精神的な疲れを感じる笑みだった

園子「天さんは頑張ってきたんよ。だから、少しくらい我儘も許されていいと思う」

「赤ちゃんにとって、お母さんは重要よ。ううん、子供にとってお母さんはとっても重要なの……だから、出来る限りどちらも救ってあげたい」

産婦人科医の女性は言いながらカーテンを見つめて、険しい表情を見せる

今のままではそれが難しい。というような表情だ


429 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/07(月) 22:44:03.98AHDigxajo (7/8)


産婦人科医の女性は、きゅっと唇を固く結ぶ

その瞬間、何かを覚悟したのだと察して園子が目を見開く

園子「ダメなんよっそれはっ」

「…………」

東郷「そのっち……?」

園子「っ」

園子たちのいる出入り口付近のベッドに座っていた東郷の心配そうな声に、園子は乗り出しかけた体を抑える

天乃たちの意思を尊重したい

そう考えている医師が険しい表情で決断することなど、悪いことでしかない

園子の考えを察しているかのように、産婦人科医の女性は園子を見る

「申し訳ないけれど、母子ともに失うわけにはいかないの。分かって」

ごめんね。と

女性は言いながら伸ばした手を、引っ込める

嫌なことを言っている自分には、悲しそうな園子の頭を撫でてあげるわけにはいかないと思ったからだろう

東郷「するつもりなんですか? 帝王切開」

「このまま、陣痛だけが続くようなら麻酔を使って行うことも検討するわ。親御さんにも連絡は取ってあります」

園子「許可、したんですか?」

「……子供たちが望んでいないのなら同意は出来かねます。と、ですから、ここにいる貴女達の同意があるかどうか。なのよ」


430 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/07(月) 22:46:31.81AHDigxajo (8/8)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


もうちょっと苦しみます……


431以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/07(月) 23:00:47.339QcBwNv1O (2/2)


中学生には重たすぎる決断
久遠さんはもちろん勇者部も辛いよな…


432以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/08(火) 04:23:49.31KIKesf5h0 (1/2)


ここまで難産になるとは


433以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/08(火) 08:24:20.56cbDkhBThO (1/1)


久遠家と普通に連絡とれるんだ…って思ったけど連絡くらいはとれるよな
問題は会いに来ないことだ


434 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/08(火) 20:44:25.50AkijykZ3o (1/6)


では、少しだけ


435以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/08(火) 21:04:36.80jLpMAnBqO (1/3)

あいよ


436 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/08(火) 21:23:41.21AkijykZ3o (2/6)


沙織「あたし達の同意……」

園子「…………」

本来なら、真っ先に否定すべきことだろう

だが、天乃までも危険なら

そう考えて、園子は首を振る

だめだ、それはダメだ

それでは今までと変わらない

勇者部の誰かが犠牲になって、天乃が助かる

そんな、天乃が一番望んでいないことと変わらない

固く唇を結んで、園子は一歩踏み込む

園子「それは、出来かねるんよ」

「久遠さん自身も危険なんですよ?」

園子「それでも……それでも、私たちは夢を掴むと決めた」

だから、止まらない

この不安に、負けるわけにはいかない

園子「久遠先輩は大丈夫」

そう信じてる。

いつだって、どんなに困難な状況だって

天乃は何とか成し遂げてきたのだから

東郷「なせば大抵なんとかなる。それが、勇者部五箇条の一つです」


437 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/08(火) 22:10:14.62AkijykZ3o (3/6)


そうは言えども、怖いのだろう

東郷の表情は不安を隠しきれていない

園子も、沙織もだ

何とも言えない複雑な表情だった

沙織「……久遠さん、このままだと死ぬ可能性。あるんですよね?」

「そうねぇ……貴女達には、ちゃんと話しておくべきことよね」

悩ましげな息を吐きながら言う女医は、

ちらりと天乃を囲うカーテンの方へと目を向けて、眉を顰める

不意にぐっと下がった目線は園子達を一周した

「さっきも言ったように、母子ともに失う可能性があるの。つまり、久遠さんも亡くなってしまうということよ」

東郷「…………」

「医者である私の口からそれを言ってしまうのは、貴方達には悪いことだと思うけれど」

帝王切開を行うか否か

その判断をゆだねられてる以上、現実を突きつける必要があった

「このままだと、万が一に自然分娩できたとしても母体への影響は計り知れないものになるわ」


438 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/08(火) 22:37:27.73AkijykZ3o (4/6)


ただでさえ、予想がつかない体調の変化と胎内の動きに翻弄されているのに

女医がはっきりと言えてしまうのはきっと、この体調の変化が天乃にとって辛いものばかりだからだ

産後は体を悪くしがちで、場合によっては病気にもなってしまう

そこで悪い状況に転がると言ったらもう、それ以外にはない

「みんなが、久遠さんも子供もちゃんと助けたいって思っているのはね。良く分かっているのよ」

でも。と、女医は口にする

できるのなら付け加えたくない否定

だが、そうならざるを得ないのが今の天乃の状況だった

「……もし、その理想を抱き続けるというのなら、失う覚悟をしてください」

園子「久遠先輩は……天さんは……」

話し声が途切れると、

天乃の苦しみに満ちたうめき声が病室に木霊する

沙織「………」

園子「天さんは……大丈夫なんよ……」

沙織はそうっと、園子を抱き寄せて頭を撫でる

沙織「……分かってるよ。大丈夫だよ……大丈夫」

そう、囁いて心を寄せた


439 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/08(火) 22:43:56.87AkijykZ3o (5/6)


√ 12月7日目 夜(病院) ※日曜日


天乃の容態判定


↓1のコンマ 一桁

※1~0の10段階
※1が最低値  0が最大値
※0に近いほど悪い


440以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/08(火) 22:44:54.11jLpMAnBqO (2/3)

たのむ


441 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/08(火) 22:52:43.06AkijykZ3o (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みになるかと思います
再開は明後日、出来れば通常時間から


ぞろ目ですが、ボーナスはありません


442以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/08(火) 22:59:32.96jLpMAnBqO (3/3)


これは奇跡が起きてなんとかなるか…!?
明後日の続きが待ち遠しいなぁ


443以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/08(火) 23:00:38.60KIKesf5h0 (2/2)


これが信頼の力か


444 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/10(木) 21:41:56.63Bs9VRvXko (1/5)


では、少しだけ


445以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/10(木) 21:45:43.37q0uKUYY2O (1/2)

よっしゃー


446 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/10(木) 22:21:58.28Bs9VRvXko (2/5)


もうすぐ日付が変わろうかという、夜遅い時間だった

交代交代で休憩をとっているとは言っても

不安で眠るなんてことはできなかった勇者部の面々にも疲れが見え始める中、

天乃の苦しい声に覆いかぶさるように、何かが噴き出すような音が病室に響いた

夏凜「!」

樹「あっ、ぇっ!?」

周囲に立ち込めるさっきまで感じることのなかった刺激的なにおい

飛び出し続けるウォシュレットに蓋をしたような音

察知した樹が布団をめくってようやく、その正体に気付いた

東郷「破水しました!」

消灯時間もとうに過ぎているなどお構いなしに声を張り上げた東郷は、

自分の手元にあるタオルを一瞥して、カーテンをめくり、

駆け寄ってくる看護師と沙織の姿を認めて、出ていく

東郷「伊集院先輩、お願いします。私は新しく拭きものを用意してきます」

沙織「お願い!」

「犬吠埼さん、ナースコール」

風「とっくに!」

「なら良いわ、待機してるはずだからすぐに来るはず――頑張って」



447 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/10(木) 22:39:40.34Bs9VRvXko (3/5)


友奈「破水したって言うことは、もう産まれてくるんですか?」

「破水かどうかは、一応検査してから判断するわ」

ほとんど確定と言ってもいいけどね。と、

女医は少し安心したように答えながらも、落ち着いた様子で応急処置を行っていく

漏れてくる羊水―破水なら―をタオルに吸収させつつ、

東郷の用意したタオルを惜しむことなく使って下腹部の清潔さを保つ

そして、それから5分もしないうちに看護師数人が病室へと入ってきた

「先生!」

「遅い、ストレッチャー用意は!」

「出来てます!」

「恐らく破水してる……完全だけど勢いが強すぎるから注意して!」

数人の看護師で天乃の体をストレッチャーへと移していく

本職の人たちということもあってその手際の良さは流石のもので、

手数が足りていることもあって、友奈たちにはただ見ていることしかできない

ベッドからストレッチャーへと移された天乃は、

もはや掴むほどの力がなかったのだろう、ずっとつかんでいた夏凜の腕を手放す


448 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/10(木) 22:55:13.50Bs9VRvXko (4/5)


園子「にぼっしー! ぼうっとしない!」

夏凜「っ!」

気が抜けていたわけじゃない

寝ていたわけでもない

けれど、うまく反応することができなかったのだろう

天乃の手が離れても身じろぎしなかった夏凜へと、園子が強い声を叩きつけた

東郷「立ち合い、誰がするかなんて話し合ってなかったけど、分かるでしょう?」

陣痛の時はまだ、

天乃が夏凜の腕を強く掴んでいたこともあって、広い病室のまま行われた

けれど、分娩に関してはもう、それ専用の分娩室に行かなければならない

当然、そのための医療設備や付き添っていた医師はもちろんのこと、

さらに助産師や看護師など複数人が入ってくるため、勇者部のみんなが来るなんて言うことはできない

だからこそ、みんなは夏凜を見る

天乃がずっと縋っていたのは夏凜だ

きっと、こういう時に一番一緒にいて欲しいのは夏凜だ

そう、思って

「来るなら早く! 置いていくわよ」

言いながらも全く待たずに天乃を連れていく医師

その姿を見て、みんなを見て

困った表情を見せた夏凜は息を吐く

夏凜「あぁもう、分かってる。分かってるわよ! 腕の一本くらいくれてやればいいんでしょ! アンタたちは休んでなさい」

まだ痕の残る腕を一瞥して、夏凜は天乃の後を追う


449 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/10(木) 23:11:08.68Bs9VRvXko (5/5)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日は所用でできない場合がありますが
その場合、明後日土曜日は少し早い時間から

最初の方は恐らく、安価なしでの進行になるかと思います


※本来、立ち合い出産は任意ですが、
  久遠さんの場合は心身共に支えが必要なため夏凜の立ち合いは強制です


450以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/10(木) 23:15:00.16q0uKUYY2O (2/2)


ついに、久遠さん出産の時が来たか
もしコンマで体調最悪を引き当ててたらどうなってた事やら…


451以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/10(木) 23:48:13.25rXTgeE5C0 (1/1)


正念場だな


452以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/11(金) 19:15:10.52ya5z5TKsO (1/1)

妊娠と出産にリソース割きすぎてない?
医療系SSだっけ?


453以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/11(金) 21:47:34.30wJYO54cw0 (1/1)

一大イベントだし緊張感あるからOKOK


454 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/12(土) 20:49:09.673X7C/Fi5o (1/4)


では少しだけ


455以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/12(土) 20:55:59.14qD6Ri7L3O (1/1)

ばっちこい


456 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/12(土) 21:36:18.083X7C/Fi5o (2/4)


天乃「ふくっぅ……うぅぅぅ!」

「いきんじゃダメよ……まだ、落ち着いて」

天乃「うぅぅっ!」

夏凜「ほら……落ち着けって」

いきむなと。

そういわれてもどうしようもなく力が入ってしまう天乃の手を、夏凜が優しく握る

握られれば無意識にでも感覚が繋がる

力を入れたいという衝動は、綺麗に夏凜の手を握った

夏凜「それでいい。それでいいわよ天乃」

天乃「かっ……っ」

夏凜「痛いときは手を握る。落ち着いたら、私を見て……そう」

大丈夫よ。と

夏凜は開いている方の手で、分娩台からわずかに浮いた背中をさする

夏凜「無理に息を飲まないで、のまないようにしっかり吐いて」

妊娠とはという本を読んだ

出産とはという本を読んだ

樹や東郷たちと一緒に、

インターネットで出産に立ち会うときにすべきことを調べこんだ

それでも9割は役に立たない

慌ただしさを見せる看護師たちの立ち回り、苦しむ天乃

自分があまりにも部外者に思えてならない


457 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/12(土) 23:03:26.303X7C/Fi5o (3/4)


夏凜「……いいわ。その調子」

天乃の瞳が自分を見てくれる

無意識に力が入ってきていた手に、

意識的な緩い力が加わるのを感じる

少しずつ、自分の感覚を取り戻していってくれているのが分かる

夏凜「が……いや、私はここにちゃんといるから安心しなさい」

天乃「はっはっ……ぅっ」

「っ――いきんで! もう少しよ!」

助産師の声に従って、いきむ

天乃の手が、力を入れるために握られる

分娩室全体に響き渡る天乃の絶叫は、

陣痛の苦痛以上に凄まじい

だから、頑張れ。とは言わなかった

天乃なら言わない

自分はその立場にないからと、勝手に言えないと考えるはずだから

夏凜「……天乃」

もう少し。

その思いを、手を握り返すことで伝える


458 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/12(土) 23:54:57.243X7C/Fi5o (4/4)


分娩室の外、

出入り口の前に置かれたベンチに座る子、

壁に寄り掛かる子

集まる勇者部の面々は、

時折聞こえる大きな声に、目を瞑る

もう日は跨いだ

それでも、誰一人としてあくびの一つもしていない

疲れは感じていても、疲れたとは言葉にならない

風「……あぁ、そういえば、ごめんね樹」

樹「なにが?」

風「誕生日……今日……いや、もう昨日か」

誕生日だったのに。と、繰り返す風に、樹は笑みを浮かべる

樹「誕生日は、明日でも平気、来年だってある。でも、久遠先輩の子供が産まれる瞬間は今しかないよ」

だから、気にしない

悪いと思う必要なんてない

やるべきことをやったのだ

優先すべきことを優先しただけなのだ

それに文句を言うほど、樹だってもう、子供ではなかった


459 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/13(日) 00:08:07.38t2iC3JIwo (1/12)


東郷「久遠先輩も、誕生日をつぶしちゃったわねって言いそう」

友奈「あはは……」

困ったように、申し訳なさそうに言う姿が目に浮かぶ

でも、妊娠と出産の痛みからは解放され

可愛い子供も……もしかしたら抱くことができているかもしれない

その喜びは隠しきれていないという表情だ

樹「その時は久遠先輩に一つだけ何でもお願叶えて貰えそうなので、アリです」

東郷「!」

園子「狡くないよ?」

東郷「何も言ってないわ」

沙織「それにしても、みんな良く平気だね。休んでてもいいのに」

風「まぁ、天乃はもちろんだけど夏凜にも頑張らせちゃってるからね。悠長に寝ていられるような状況でもないし」

風の言葉に、みんなが頷く

子供は無事か、天乃は無事か

ベッドに横になったところで気が気じゃないだろう

だから、みんなでこうして集まって

天乃の無事を、願っていた

園子「ミノさん……天さんのことを、見守っていてあげてね」


460 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/13(日) 00:21:28.32t2iC3JIwo (2/12)


では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から

恐らく、明日でひと段落つくかと思います


友奈「子供の名前ってどうなるのかな?」

沙織「久遠家の伝統的には、天地創造に由来する言葉が付けられたりするけど」

樹「双子だから二人とも女の子だったよね?」

風「天地創造ねぇ……」

園子「天の次、朝と夕かな?」

東郷「朝潮と夕雲……!」

友奈「それは東郷さんの趣味だよね……?」


461以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/13(日) 00:33:42.48CxCiDMLnO (1/1)


天、地、海それに陽(太陽?)と久遠家の名前は中々スケール大きいよな
前者三人は募集してたけど双子ちゃんはどんな名前になるんだろうか


462以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/13(日) 03:29:01.22GzVLRzwQ0 (1/2)


無事に生まれそうでよかった


463 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/13(日) 18:46:09.93t2iC3JIwo (3/12)


では、遅くなりましたが少しずつ


464以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/13(日) 19:16:27.43bIulnuyEO (1/3)

来てたか


465 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/13(日) 19:57:54.92t2iC3JIwo (4/12)


「運がいいわね……」

じっとりとした汗を看護師に拭われながら、

女医はかみしめる様に呟く

まだ子供が産まれているわけでもないのに何が運が良いのか

夏凜の疑問に応えるように、助産師が笑みを浮かべる

「頭が見えてきてる……もう少しだからね。でも、慎重に」

天乃「っ……うぅ」

一人だけなら、頭が見えてきたのなら緊張感とともに安堵感も増すものだが

双子だとそうはいかない

片方は普通に生まれてきても

もう一人は逆子になってしまう可能性も少なくはない

それに、一人目が産まれたらまた、二人目を産むための陣痛が訪れる

傷ついた子宮をさらに傷つける、苦痛が始まる

夏凜「天乃、天乃……軽く、軽く」

天乃「はっはっ、はっはっ」

夏凜「そう、そう。それでいい」

天乃「んっ……っうぐ!」

「まだいきんじゃダメ! もう少し待って、待って……」

今!

医師の合図に従い、いきむ

ぐじゅりと、聞けばグロテスクな音が聞こえてくる

本当なら聞かれたくないだろう音だって聞こえてくる

でも、夏凜は顔を背けない、耳をふさがない

これは、しっかりと受け止めるべきことだからだ


466 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/13(日) 20:35:30.69t2iC3JIwo (5/12)


「いいわ、うん。その調子」

天乃「っ……」

分娩室に入ってからどれだけの時間が経過したのか

少しずつ、本当に少しずつの動きで、

でも、時間は確実に経過していく

子供は確実に出てこようとしてきている

でも、小さな体に二つの命はあまりにも大きくて、難航してしまう

夏凜「天乃……しっかり……」

長引けば長引くほど、天乃は疲弊する

憔悴しきって……

夏凜「っ」

首を振る

考えるな、思うな、想像するな

そう、心に強く杭を打つ

「大丈夫、大丈夫よ。ゆっくり、ゆっくりね」

看護師たちも、疲れの色が目に見える

医師も、助産師も、みんな疲れが見え始めている

「………っ」

勇者部の面々と病室にいた女医は、

設置された時計を横目に見て、唇を噛む

分娩室に入ってからもう、3時間が経とうとしていた


467 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/13(日) 21:01:50.34t2iC3JIwo (6/12)


「…………」

帝王切開ができたら……と、女医は思う

いや、この場にいる医療関係者の皆が思う

天乃の体に双子はあまりにも負担が大きい

一人が頭からしっかり出てきたとして、もう一人はどうなる

時間がかかりすぎたせいで死産になるリスク

狭い胎内環境によって絡まったへその緒で首を絞められてしまうリスク

度重なる子宮の収縮、押し出そうとする力によって窒息してしまうリスク

だが、ほかでもない天乃たちの要望での自然分娩

であるならば、出来る限りのことは――

天乃「ふくっ……うっっあっあぁぁぁああああああっ!」

「!」

「もういっそ、滑り出てくることができたらいいのだけど」

呼吸は夏凜が導いてくれている

故に、医師である自分たちができることは

子供たちが出て来ようとする動きに合わせていきむようにすること

そのタイミングを確実に合わせていくこと

「久遠さん、いきんで、いきんで! もっと、もっと!」

全力で、声をかける

天乃の意識が途切れないように

少しでも、確実なものとするために


468 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/13(日) 22:31:32.32t2iC3JIwo (7/12)


「もう少し……そう、そう……我慢して」

少しずつ、少しずつ出てくる赤子

母親である天乃と、出てこようとしている小さな命に、頑張れと祈りながら招く

分娩室に入ってから約4時間

ようやく、その時が来た

天乃「っあぁぁぁぁあああっ!」

夏凜「痛ッ!」

一際強く、手が握りしめられる

台座についていた腰が大きく浮き上がる

打たないようにと手を差し込み、

手助けのために、腰の少し上のあたりを圧迫する

痛みに苦しむ天乃の声も、より大きくて

でも、助産師たちの頑張れ。という励ましの声

表情に見える祈りと、喜びがつい先ほどまでとは違うと物語る

「頑張れ! あとちょっと――そう、そう、良い子、良い子ね!」

「良い子よ、良い子」

それは長かった時間が嘘のように、一瞬だった

これまでが何の苦労もなかったかのように、軽やかだった


469 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/13(日) 22:42:11.11t2iC3JIwo (8/12)


「ぁ……」

それは、とても小さな声

けれど、それはとても大きな声

いや、これからきっと……とても大きくなっていく命の声

「ぁ……ぁあ……」

「良かった、ちゃんと声をあげられる……お願い!」

医師から助産師へと

血濡れの赤子が手渡される

優しいタオルに包まれて

何度も入れ替えられた人肌ほどのお湯へと触れる

夏凜「っ……」

ドラマのように、いきなり大きな産声は挙げなかった

でも、元気な子供が産まれたのよ。と

夏凜は天乃へと目を向ける

天乃「はっはっ……はぁ……んっ」

夏凜「あと一人……やっちゃいましょう?」

天乃「か……っぁ……」

簡単に言ってくれるわね

そう、文句を言われた気がして、夏凜は満面の笑みを浮かべて頷く

二人目の子が産まれたのは、それから約二時間後のことだった


470 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/13(日) 23:08:17.00t2iC3JIwo (9/12)


東郷「そのっち! そのっち!」

園子「ふぇ……ふぁっ!?」

東郷「痛っ」

ベンチから飛び起きた園子と起こそうとしていた東郷の額がぶつかり合って鈍い音が響く

自分が眠ってしまっていたことと、打った額とおしりの痛み

戸惑う園子は何度か瞬きをして、目を見開く

園子「てっ、天さんは!」

風「……お疲れ。今はぐっすり眠ってるわよ」

沙織「2人とも……違うか。4人とも今はゆっくり休んでるよ」

風と沙織

年長組二人の安堵した表情に、園子の瞳がゆっくりと開いていく

園子「天さんっ」

東郷「うん……産まれたのよ。ちゃんと」

園子の頭突きで一緒に尻もちをついていた東郷が、園子を抱く

あふれ出ていく感情を抱き合わせるようにして、互いの体に預ける

悲しいからじゃない

嬉しいからこその嗚咽をこぼす二人を風と沙織は見つめ、互いの顔を見合わせて笑った


471 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/13(日) 23:22:41.54t2iC3JIwo (10/12)


樹「友奈さん、久遠先輩の子供が産まれましたよ」

友奈「はっ、わ、私寝ちゃっ――」

樹「大丈夫です。大丈夫ですよ、友奈さん」

友奈「っ」

眠っていたことに焦った友奈は、

樹の優しい声、嬉しそうな表情に頷く

友奈「良かった! 良かったねっ、樹ちゃん!」

ふいに抱き着かれた樹は、

友奈のことを抱きしめ返そうとして、まだ中身の残るコーヒー缶を握る

樹「はい……良かったです」

無理に無理を積み重ねた夜更かしで痛みさえ伴う中

樹はしっかりと、笑みを見せた

若葉「……流石だな」

樹「若葉さん……」

若葉「すまない。任せてしまって」

樹「私たちが頑張るっていたんですし、仕方がないですよ」

むしろ、大赦がこちら側に何かしてこないかどうか

ずっと警戒していてくれたのだ

それを任せてしまったのだ

樹「若葉さん達こそ、ありがとうございました」


472 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/13(日) 23:27:42.31t2iC3JIwo (11/12)


コンマ判定経過日数

1 最小  0 最大


↓1のコンマ 


473以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/13(日) 23:29:58.74bIulnuyEO (2/3)




474 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/13(日) 23:38:52.02t2iC3JIwo (12/12)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から


日を跨ぐ出産から早くも四日後
なお、容態判定で「1」だったので追加判定はありません


475以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/13(日) 23:41:01.23+wc/1bbho (1/1)

容態判定ナイスすぎる おつおつ


476以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/13(日) 23:45:54.67bIulnuyEO (3/3)


ようやく険しい道のりを乗り越えたか…出産おめでとう
四日間じゃ足りないぐらいだけどとりあえず久遠さんはゆっくり休んでくれ…


477以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/13(日) 23:52:07.94GzVLRzwQ0 (2/2)


よかったなあホント


478 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/14(月) 20:46:35.63yY2VYrXAo (1/6)


では、少しだけ


479以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/14(月) 20:48:14.82H+0wspV/O (1/3)

よっしゃ


480 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/14(月) 21:27:09.05yY2VYrXAo (2/6)


√ 12月12日目 朝(病院) ※金曜日


天乃「ん……」

ゆっくりと、目を開く

口元につけられたマスクとくぐもった感覚

耳に馴染んだ一定のリズムを刻む電子音

自分がいるのが一般の病室ではないというのはすぐに分かった

天乃「っ」

一日半近くかかった出産

その疲労感に加えて、穢れなどの力が一気に持っていかれた天乃はその後に気を失い、

集中治療室へと運ばれたのだ

天乃「………」

あれからどれだけの時間が経ったのか

ろくに動かすことのできない体を起こすのを諦めて、頭を傾ける

天乃「はぁ……ふぅ……」

誰もいない

当然だ

集中治療室は立ち入りさえも容易じゃない

ずっと一緒にいることなんてできない


481 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/14(月) 21:54:04.91yY2VYrXAo (3/6)


天乃「っ……」

あと少し

何とか手を動かして、

ギリギリ見える位置にあるナースコールのコードからボタンまで辿り着く

天乃「…………」

ナースコールを押すだけで手が震えるほどの衰弱

でも、意識も記憶もはっきりとしていて

手が動かせるというだけでもまだ運がいい方なのだろうと天乃は思う

最悪の場合、死んでいただろうから

じっと天井を見つめながら、

握りしめていた夏凜の手の感触を思い出す

相当強く握った

死に物狂いで頼った

痛い思いをさせちゃっただろうな。と、

天乃は何を言おうかと、苦笑する

乾ききった喉が、痛む


482 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/14(月) 21:59:16.77yY2VYrXAo (4/6)


01~10 
11~20 夏凜
21~30 
31~40 沙織
41~50 東郷
51~60 風
61~70 
71~80 樹
81~90 園子
91~00 友奈

↓1のコンマ 


483以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/14(月) 22:05:34.33mlobiDV10 (1/1)




484 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/14(月) 22:33:32.81yY2VYrXAo (5/6)


沙織「おはよう、天さん」

天乃「ぁ……」

沙織「無理に喋らなくていいよ。喉を慣らさないと怪我しちゃう」

天乃「ん……」

看護師に用意して貰った温かい飲み物を口に含む

熱すぎず、冷たすぎず

喉に不用意な刺激を与えない適温

残念ながら、味はないが

沙織「あれから四日間だよ」

小さく切り出した沙織は、

天乃が目を覚ました喜びの滲んだ瞳を向ける

沙織「四日間も、経ったんだよ」

天乃「…………」

沙織「起きてくれて、良かった」

抱きしめたい

でも、今の天乃は幼子よりも傷つきやすくて、

感情のままに触れるなんてことは出来ない

沙織「良かった」

だから、沙織は一杯一杯の嬉しさを込めて、笑顔を見せた


1、ごめんね、心配かけて
2、赤ちゃんは?
3、まだ、子供がいるような違和感があるわ
4、ふふっ、ほんとにね。でも、もう大丈夫よ

↓2


485以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/14(月) 22:39:02.13H+0wspV/O (2/3)

1


486以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/14(月) 22:40:10.591VnHHPS60 (1/1)

2


487 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/14(月) 22:46:59.04yY2VYrXAo (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「赤ちゃんは?」

東郷「……ばぶぅ」

天乃「う、うん?」

東郷「……あの、母乳はまだですかばぶぅ?」


風「だめだ! 一週間近く真面目だったせいで東郷が壊れた!」

友奈「そ、そうですね」チラッ

風「友奈、お前もか!」


488以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/14(月) 22:54:37.14H+0wspV/O (3/3)


コンマ次第で久遠さん死亡も有り得たかも知れないという恐怖…本当に無事で良かった

あと出産によりついにさおりん待望の母乳久遠さん解禁か
…ゴクリ


489以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/14(月) 23:57:14.33j5lbsrKfO (1/1)


次は種使うのか


490以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/15(火) 08:14:22.49j29M9/g7O (1/1)


ところで最近一日のまとめ見てないけど今どうなってるんだろう?


491 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/15(火) 20:15:07.33OZ7PMRZpo (1/6)


では、少しだけ


492 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/15(火) 20:36:35.69OZ7PMRZpo (2/6)


天乃「……ねぇ、赤ちゃんは?」

沙織「二人とも元気だよ」

ただ、ベビールームに預けられることになってしまったと、沙織は答える

天乃の小さな体に収まっていた双子は、

残念ながら、普通の赤子に比べて小さいのだ

もちろん体はしっかりしているけれど、

体重は2kg弱、身長は40cm弱と非常に小さい

天乃の体で考えればそれでも十分に成長したと言える

しかし、念のためにとベビールームにて看護師が常に気を配ってくれているのだ

沙織「抱きたかった?」

天乃「うん……それに、一緒にいるものだと思ってたから」

沙織「でも、ついさっきまで眠ったままだったってことも考えてよね」

天乃「ええ、そうね」

赤ちゃんが居たら親心としては嬉しいだろうけれど

でも、夜泣きなどで身体的には非常に負荷がかかる

そもそも、今は集中治療室

赤ちゃん同室はせめて夏凜達のいる一般病棟レベルにまで落ちつけてからだ


493以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/15(火) 20:46:53.25CoslaPO+O (1/2)

きてたー


494 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/15(火) 21:07:21.91OZ7PMRZpo (3/6)


沙織「女の子の双子、可愛いよぉ」

天乃「嫌味?」

沙織「激励だよ。早く会いたければ早く元気になってねって」

根っからの本心での言葉だろう

沙織はニコニコと満面の笑みを浮かべる

いち早く会うには確かにそう、元気になるしかない

だが……万全の状態になるには大分時間がかかる

天乃「種は、使えないの?」

沙織「流石にそんな超回復機能はないよ」

霊的な回復はできる

でも、体まで完治してくれるかどうかは可能性の話

機能を失った両足なども含めれば可能性は低いと言わざるを得ない

沙織「それに、久遠さんの調子が戻ってからじゃないと神樹様の種は使えないよ。覚えてるよね?」

天乃「…………」

沙織「ここまで、来たんだよ」

あと少しなんだよ

そう声をかけながら、身を寄せる

沙織「もう少し、頑張ろう? もうちょっとだけ、我慢しよう?」

お願いだから。

絞りだされた願いに、天乃は小さく笑みを浮かべて「ごめんね」と、答えた


495 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/15(火) 21:34:12.41OZ7PMRZpo (4/6)


天乃「我儘、言いすぎちゃったわね」

今はゆっくり休むべきだ

夏凜達がダメなわけではないけれど

専門としている看護師たちが見てくれている

久遠家だからこその部分もあるかもしれないが

手厚く看てくれている

なら、赤ちゃんは安心だ

早く見たい

早く会いたい

早く抱きたい

そう思うなればこそ

今は母親である自分が健康になることを一番に考える

天乃「母乳をあげるにしても、健康な方が絶対に良いものね」

沙織「そうだよ久遠さんっ、健康なお乳が良いと思う。うん、良いと思うっ!」

きらきらと輝く瞳

待っていましたと言わんばかりの、よだれの滴りそうな口

天乃は思わず身を引いて、苦笑いを浮かべた

天乃「沙織のでは……ないからね?」

沙織「それは分かってるよ。でも、知ってる? 母乳って出そうと思って出せるものじゃないらしいよ」

アタシたちが手伝ったほうが良いと思うよ。と

沙織は表情を全く変えることなく言うのだった


496 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/15(火) 21:47:39.55OZ7PMRZpo (5/6)


√ 12月12日目 昼(病院) ※金曜日

01~10 風
11~20 東郷
21~30 
31~40 夏凜
41~50 
51~60 友奈
61~70 
71~80 樹
81~90 
91~00  園子

↓1のコンマ 


497以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/15(火) 21:57:51.43CoslaPO+O (2/2)




498 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/15(火) 22:07:16.23OZ7PMRZpo (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日は所用でお休みになるかもしれませんが、
出来れば、1日のまとめの方だけ仕上げられればと思います


1日のまとめに関しては抜けていました、すみません


499以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/15(火) 23:18:39.07gTzTcTz7O (1/1)


まあ何はともあれゆっくり休憩だな


500以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/15(火) 23:53:56.56L/JgVNit0 (1/1)

乙乙
まだ全然問題残ってるけど今のところ3周の中で一番良い感じなのでは?


501以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/16(水) 13:05:13.17eWOaDKpEO (1/1)


ここから一気に絶望させにくるんだろ知ってる


502 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/17(木) 20:52:06.36NNWzvBMBo (1/7)

1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(寂しいの? 今日だけ、陣痛、)
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(隣にいて、エッチなこと?)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


12月05日目 終了時点

乃木園子との絆  89(高い)
犬吠埼風との絆  109(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  97(とても高い)
結城友奈との絆  119(かなり高い)
東郷美森との絆  128(かなり高い)
三好夏凜との絆  152(最高値)
乃木若葉との絆  99(かなり高い)
土居球子との絆  46(中々良い)
白鳥歌野との絆  44(中々良い)
藤森水都との絆  36(中々良い)
  郡千景との絆  46(中々良い)
   沙織との絆  128(かなり高い)
   九尾との絆  69(高い)
    神樹との絆   ??(低い)


503 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/17(木) 20:57:11.54NNWzvBMBo (2/7)

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(このままだといいのにね、神罰への畏れはないの?、大赦について、気を付けて)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


12月06日目 終了時点

乃木園子との絆  89(高い)
犬吠埼風との絆  109(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  97(とても高い)
結城友奈との絆  124(かなり高い)
東郷美森との絆  128(かなり高い)
三好夏凜との絆  152(最高値)
乃木若葉との絆  99(かなり高い)
土居球子との絆  46(中々良い)
白鳥歌野との絆  44(中々良い)
藤森水都との絆  36(中々良い)
  郡千景との絆  46(中々良い)
   沙織との絆  128(かなり高い)
   九尾との絆  69(高い)
    神樹との絆   ??(低い)


504以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/17(木) 21:01:21.72JZvJmZKuO (1/4)

まとめキター


505 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/17(木) 21:01:29.48NNWzvBMBo (3/7)

1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(陣痛、出産)
・   犬吠埼風:交流有(陣痛、出産)
・   犬吠埼樹:交流有(陣痛、出産)
・   結城友奈:交流有(陣痛、出産)
・   東郷美森:交流有(陣痛、出産)
・   三好夏凜:交流有(陣痛、出産)
・   乃木若葉:交流有(陣痛、出産)
・   土居球子:交流有(陣痛、出産)
・   白鳥歌野:交流有(陣痛、出産)
・   藤森水都:交流有(陣痛、出産)
・     郡千景:交流有(陣痛、出産)
・ 伊集院沙織:交流有(陣痛、出産)
・      九尾:交流有(陣痛、出産)
・      神樹:交流無()


12月07日目 終了時点
※12日目に移行

乃木園子との絆  94(高い)
犬吠埼風との絆  114(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  102(とても高い)
結城友奈との絆  129(かなり高い)
東郷美森との絆  133(かなり高い)
三好夏凜との絆  157(最高値)
乃木若葉との絆  104(かなり高い)
土居球子との絆  51(中々良い)
白鳥歌野との絆  49(中々良い)
藤森水都との絆  41(中々良い)
  郡千景との絆  51(中々良い)
   沙織との絆  133(かなり高い)
   九尾との絆  74(高い)
    神樹との絆   ??(低い)


506 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/17(木) 21:38:07.26NNWzvBMBo (4/7)


√ 12月12日目 昼(病院) ※金曜日


もう12月も半ばに差し掛かろうかという日

お昼であっても、室内であっても

布団の外に出ている肌は、肌寒さをどうしても感じてしまう

ここが一般病棟だったらもっと寒さが厳しかったのか

それとも、暖房はご自由に。として貰えていたのか

天乃はそんな他愛もないことを考えながら目を瞑る

暇なことを退屈に感じられるのは

今が幸せだからこそだろう

子供ができてからは本当につらいことばかりだった

産まれるときも、とても辛くて苦しい思いをさせられた

けれど、だからこそ

こういった時間の尊さを、大切さを、有難みを

より強く感じられるのだ

天乃「……はぁ」

とはいえ、誰も来ないのはいささか寂しかった


507 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/17(木) 21:45:46.08NNWzvBMBo (5/7)


陣痛に苦しめられているときは、園子がいてくれた

夏凜が傍に居てくれた

その二人以外にも、勇者部のみんながいてくれる病室に居られた

なのに、

子供が産まれてすぐに意識を失って、四日間も眠って

そのせいで集中治療室入院となり、

簡単に会うことは出来なくなってしまった

もっとも、このまま安静にしていて

体調も回復に向かっていくなら、

ほんの二、三日でここから出られるだろう。という話ではあるけれど。

天乃「九尾達なら、呼べるかしら?」

勇者部のみんなはまず無理だが、

精霊である九尾達ならば、

この部屋に出てくることは出来るはずだ


1、精霊を呼ぶ
2、イベント判定
3、母乳が出るかどうか念のため確かめておく


↓2


508以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/17(木) 21:50:26.59OQo8f1cI0 (1/1)

3


509以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/17(木) 21:51:03.01JZvJmZKuO (2/4)

3


510 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/17(木) 22:03:03.48NNWzvBMBo (6/7)



01~10  勇者
61~70  見られちゃいけない人に見られる
91~00  看護師

↓1のコンマ 

それ以外は、問題なし


511以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/17(木) 22:04:32.02JZvJmZKuO (3/4)




512 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/17(木) 22:18:17.84NNWzvBMBo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「……はっ!」ガタッ

友奈「どうしたの?」

東郷「久遠先輩のところに行けというお告げがきたわ!」

友奈「沙織さんから話を聞いて夏凜ちゃんが行ってるから大丈夫だよ」

東郷「……ところで友奈ちゃん、久遠先輩の練習としておっぱい揉む?」

友奈「ん~……今は良いかなぁ」


樹(……今は?)


513以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/17(木) 22:26:26.51JZvJmZKuO (4/4)


久々に久遠さんのちょっとえっちな展開になりそうで期待
あと見られちゃいけない人って誰だったんだろうか…


514以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/17(木) 22:32:43.07WH5OpgCiO (1/1)


巫女を救う方で勇者部の方はそのうち忙しくなるのかな?


515 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/18(金) 22:00:10.05kwd0Gn1vo (1/5)


遅くなりましたが少しだけ


516以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/18(金) 22:04:48.12krpldFZXO (1/2)

かもーん


517 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/18(金) 22:36:52.95kwd0Gn1vo (2/5)


天乃「……そういえば、沙織は出そうと思って出せるわけじゃないって言ってたわよね」

とても乗り気な沙織は協力的なところはとても助かるのだが

何をされるのか分からないところが、少し困ったもので。

天乃「悪い子ではないのだけど……」

東郷とは別のベクトルで一生懸命なところがある

そもそもの原因は中に入っている猿猴だけれども……

もしも猿猴がいなくなったら興味が無くなるのだろうか

性的欲求はなくなるが、好意はあるのか

好意さえもなくなってしまうのか

一人で考えると不毛になりそうな考えに流れていく頭を振って、息を吐く

まだ力のそこまで入らない腕を上げて、服の上から胸に触れる

天乃「……確か、揉むと良いのよね」

優しくと意識しなくても優しすぎる手の力では

揉むというよりも摘まむというレベルの貧弱な感覚しかない

加えて、東郷達曰く性的感度の高い部位の一つであるため、

それによって下腹部に熱がこもってしまうのではないかという怖さが、さらにやり辛さを増す


518 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/18(金) 22:58:20.34kwd0Gn1vo (3/5)


天乃「っ……」

脇腹の方で結ばれている紐をほどき、

薄いシャツに包まれた胸を露出させる

子供ができる前からも体つきに対して大きく豊満さのあった胸は

終盤に差し掛かりつつあったとはいえ、胸の成長時期を直撃した妊娠だったためか

二回りかそれ以上に膨らんでしまったようにも見える

もちろん、母乳が抜けきれば小さくなってくれるはずなのだが

成長期にかぶってしまった以上、元通りになることはないだろう

天乃「えっと」

薄いシャツも捲って、素のままの乳房をさらす

空気に触れて肌寒さに固くなった乳頭は母乳を出してくれるような気配はない

出そうと思って出せるものではないという沙織の言葉は嘘ではなかったのだと、

天乃は今更ながらに思って――

夏凜「何してんの?」

天乃「っ!」

誰かが来るかもしれないということを、完全に失念していた


519 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/18(金) 23:39:02.95kwd0Gn1vo (4/5)


天乃「えっ、あっ、これはっ」

慌てて下ろそうとしたシャツは胸につっかえて、落ちない

二度三度ぐいっ、ぐいっと引っ張って

近づいてきた足音に諦めたともいえる落ち着いた心でシャツを下ろしきる

隠したところでもはや弁解の余地はあまりない

天乃「……違うの」

夏凜「別に隠すようなことでもないでしょ。見慣れたもんだし」

天乃「それとこれとは違うのっ」

紅い顔でちょっぴり怒ったように言う

そんな、愛らしく思ってしまう天乃を一瞥した夏凜は

「確かに違うわね」と同意して、天乃の着る患者衣を引く

夏凜「あんた、そこ弱いんだから止めておきなさいよ」

子供を産んでからまだ四日しかたっていない

体の感覚……特に、腹部以降安定していない天乃は、

性的興奮を覚えてしまったら大変なことになってしまう

せめて、カテーテルが必要なくなってから。と、注意する

天乃「でも、母乳が出ないと困るでしょ?」

夏凜「それで体削ってたら元も子もないっての」


520 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/18(金) 23:49:49.71kwd0Gn1vo (5/5)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から


樹「……妊娠すると大きくなる?」

風「樹、それはちょっと」

東郷「任せて樹ちゃん。1年……いえ、2年で何とかして見せるわ!」グッ

沙織(久遠家の血ってだけならお兄さんでもいいけど)

沙織(それとこれとはまた別の話だしね)


521以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/18(金) 23:56:58.95krpldFZXO (2/2)


久遠さんがさらに巨乳化しても動じない夏凜ちゃんマジイケメン


522以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/19(土) 01:17:41.16UT5HTCYfO (1/1)


つっかえて降りないTシャツで笑った


523 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/19(土) 20:23:20.22/fll5Loso (1/6)


では少しだけ


524以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/19(土) 20:25:32.5142aG6jELO (1/3)

あいよ


525 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/19(土) 21:21:15.49/fll5Loso (2/6)


夏凜「とにかく、暫くは大人しくしておくこと」

天乃「でも、私の子供の場合私の母乳じゃないと危険じゃない?」

夏凜「今のところは大丈夫」

そう言った夏凜は少しだけ眉を顰める

病院であることも幸いして、

生後間もない赤ちゃん用のミルクも用意することはできているし

一応、それを飲んでくれている

だが、それでいいのか悪いかは何ともいえなかった

夏凜「でも、そこは確認しておくべきだったわ。ごめん」

天乃「ううん。九尾は何も言ってないんでしょ?」

夏凜「言われてみれば、最近見てないわ」

何やってんだかね。と夏凜は不思議そうに呟く

天乃「九尾のことだから、私の子供について何か言ってきそうなのに」

夏凜「そう? 九尾の場合あえて何も言わないで何か起きてから干渉してきそうだけど」

天乃「……そうかしら?」


526 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/19(土) 21:48:29.22/fll5Loso (3/6)


天乃が関わっていなければ傍観者に徹することも解るけれど

天乃が深く関わっている以上、

最初から強く干渉してくる可能性の方が高い

けれど……

天乃「私が寝込んでいたから、九尾は傍に居てくれたのかもしれないわ」

夏凜「……なるほど」

軽く笑った夏凜は、

何もない空間を誰かがいるかのように叩く

夏凜の手は空気を払うだけ

天乃の目にも誰にもいない

でも、何となく、本当にいるような気もした

夏凜「赤ちゃんは看護師も医師もいる。でも、あんたは独りぼっちになるしかなかったし、そりゃそうか」

天乃「私の母乳は普通だと思う?」

夏凜「なにそれ……味見でもして欲しいの?」

天乃「そういうわけじゃないけど」

天乃の膨らんだ乳房

興味を待たざるを得ないものを前にして、

夏凜は「冗談よ」と、頭を振る

夏凜「ま、なんにせよ。私たちにとっては普通なんじゃないの?」


527 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/19(土) 22:09:55.53/fll5Loso (4/6)


天乃「夏凜ってば、またそういうこと言ってくれるのね」

優しいというべきか、卑怯だというべきか

少なくとも夏凜に謀った考えはないだろうと苦笑する

夏凜が卑怯なら、

自分に好意が向けられることなど……と

今までのほとんどの好意を無碍にしてきた自分は何なのかと。

天乃「双子だから、余らないかもしれないけど余ったら分けてあげてもいいわよ?」

夏凜「何言ってんのよ、ほんと」

欲求不満なの?

困ったというより、

本気で心配そうにする夏凜に、

天乃はそうなのかな。と曖昧に答えて胸に触れる

そうじゃない

きっと不安なのだ

夏凜には酷い姿を見せてしまったから

自分は今もなお、夏凜にとっての女で居られているのかと

天乃「夏凜……」

夏凜「なにそんな変な声出してんのよ、今、不安になるような話してた?」


528 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/19(土) 22:21:53.18/fll5Loso (5/6)


そんな、変な声が出ていただろうか

不安に見える表情をしてしまっているだろうか

天乃は考えて、苦笑する

天乃「沙織は喜んでたのよ? 母乳が出るって」

夏凜「母乳母乳って、簡単に言うけど簡単じゃないのよ?」

天乃「流石、夏凜も調べてくれてるのね」

夏凜「ついでよ。ついで」

別に下心とかじゃないからね! と、

知ってか知らずか、夏凜は照れくさそうな表情で否定する

でもきっと。

天乃「私のためであることには、変わりなかったり?」

夏凜「あんた……事実じゃなかったら自意識過剰よ。それ」

天乃「ふふっ。沢山いるもの。少しくらいは自信があってもいいでしょ?」

夏凜の好意は変わらない

淫らな思いを抱くことがないのだとしても、そこは変わらない

そう、天乃は思って笑みを浮かべる


1、ねぇ夏凜。今も私のことを女として見れる?
2、夏凜はもう少し、エッチなことを求めてもいいと思うの
3、調べたなら、何も知らない私を手伝ってくれるのよね?
4、やっぱり……夏凜がいてくれてよかったわ


↓2


529以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/19(土) 22:26:34.5242aG6jELO (2/3)

1


530以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/19(土) 22:27:03.21F1IqvPy50 (1/1)

2


531 ◆QhFDI08WfRWv2019/01/19(土) 22:37:03.25/fll5Loso (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば昼過ぎ位から



東郷「久遠先輩のお誘いよ、夏凜ちゃん!」

友奈「……? 何言ってるの?」

東郷「な、何でもないわ! 気にしないで友奈ちゃん」

樹「……黙っておくので、全部取り外してくださいね?」ボソッ

東郷「……はい」


532以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/19(土) 22:39:09.192CIK/pWD0 (1/1)




533以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/01/19(土) 22:43:53.331fOY/TElO (1/1)


体力がそれなりに戻ったらすぐ誘い受けしてしまう久遠さん