797以下、名無しが深夜にお送りします2019/03/04(月) 23:54:36P90oUCa. (2/2)

書くの速すぎるやろどないなっとんねん


798以下、名無しが深夜にお送りします2019/03/04(月) 23:58:58S7r49ddE (1/1)

おつつつ
貧乳こそ正義だからね仕方ないね


799以下、名無しが深夜にお送りします2019/03/05(火) 01:56:19.MzTiMTw (1/1)

おつ!


800以下、名無しが深夜にお送りします2019/03/05(火) 12:40:26ql06vZe2 (1/1)

シエンタ


801以下、名無しが深夜にお送りします2019/03/11(月) 21:35:04G9YothrM (1/1)

もうこのスレも終わりがちかいな
1が話せる範囲で今まで書いたSS教えてくれないか?
というか酉つけてくれると嬉しいな


802以下、名無しが深夜にお送りします2019/03/12(火) 19:56:44985VJ0cQ (1/1)

ノベライズ発売されるらしいがはてさて


803以下、名無しが深夜にお送りします2019/03/13(水) 09:48:21PSvgZInc (1/1)

>>802
正直このスレ大好きだからここより面白い話かどうか比べてしまうと思う


804以下、名無しが深夜にお送りします2019/03/31(日) 23:54:21BS7lMF5o (1/1)

来年度はぼく勉ss増えたらいいな!


805以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 12:10:23NVPBQoOk (1/1)

エイプリルフールssはよはよ


806以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:24:11X1SsLnS2 (1/15)

>>1です。
投下します。

オチなしヤマなしイミなしで自分で書いていて笑ってしまいました。
>>805さんのエイプリルフールネタです。

時系列おかしくなりますがコミックスのオマケ漫画のようなものだと思っていたければ幸いです。



【ぼく勉】 成幸 「最近女子たちの絡みを見るとドキドキしちゃってさ」 陽真 「なんて?」


807以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:24:47X1SsLnS2 (2/15)

………………

陽真 「いきなり何を言い出すの成ちゃん……」

成幸 「おい、そんなにドン引きするなよ。ウソだよウソ。エイプリルフール」

陽真 「なんだ、びっくりした……」

ホッ

陽真 「成ちゃん、前々からそのケがあったらからとうとう目覚めたのかと思ったよ」

成幸 「そのケって何だそのケって……」

陽真 「成ちゃんも、ソッチに興味があるのかな、ってさ……」

ギュッ

成幸 「!? な……なんで手を握るんだ、小林……?」

陽真 「成ちゃんが先に振ったんじゃないか。同性愛の話……」

クイッ

陽真 「俺をその気にさせた責任くらいは取ってくれてもいいんじゃない?」

陽真 「だって俺、ずっと、成ちゃんのこと……」

成幸 「こ、小林……? いや、その、えっと……」


808以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:25:40X1SsLnS2 (3/15)

陽真 「………………」

クスッ

陽真 「なーんて、ね」

成幸 「へ?」

陽真 「ウソのお返しだよ。成ちゃん顔真っ赤にしちゃって、かわいいなぁ」

成幸 「お、お前なぁ! 腕掴んであごをクイって、それ冗談でも何でもなくないか!?」

陽真 「やりすぎちゃったかな。ごめんごめん」

成幸 「まったく……」

成幸 「………………」

ドキドキドキドキ……

成幸 (男とはいえ、イケメンに迫られるとドキドキするのは、普通の反応だよな……)


809以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:26:12X1SsLnS2 (4/15)

陽真 「………………」

クスッ

陽真 「なーんて、ね」

成幸 「へ?」

陽真 「ウソのお返しだよ。成ちゃん顔真っ赤にしちゃって、かわいいなぁ」

成幸 「お、お前なぁ! 腕掴んであごをクイって、それ冗談でも何でもなくないか!?」

陽真 「やりすぎちゃったかな。ごめんごめん」

成幸 「まったく……」

成幸 「………………」

ドキドキドキドキ……

成幸 (男とはいえ、イケメンに迫られるとドキドキするのは、普通の反応だよな……)


810以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:27:02X1SsLnS2 (5/15)

………………

理珠&文乃&うるか 「「「………………」」」

文乃 「す、すごいものを見てしまったね……」

うるか 「ど、ドキドキしたよぅ。こばやんはすごい迫り方するねぇ……」

理珠 (なぜこんなに動悸が激しくなるのでしょう……)

理珠 (いや、今はそんなことはどうでもいいんです。いいことを思いつきました)

理珠 「文乃、うるかさん、協力してもらいたいことがあるのですが……」

うるか 「? 協力?」

理珠 「ええ。成幸さんにゲームで勝つ算段がついたので、その協力をしていただけたら、と」 ニヤリ

文乃 (ああ、またよからぬことを考えてるなぁ、この顔は……)


811以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:28:19X1SsLnS2 (6/15)

………………ファミレス

成幸 「……んー、せっかくの勉強会なのに、あいつら遅いなぁ。メッセージも来てないし……」

成幸 「何かあったのかな……――」

「――成幸!」  「成幸くん!」

成幸 「ん、うるかと古橋か? まったく、遅い、ぞ、って……」

成幸 「……え?」

文乃 「えへへ……///」 うるか 「はは……///」

ギュッ……!!!

成幸 「え、えっと……///」 プイッ 「な、なんで、ふたりは……腕を、組んでるんだ……?」

成幸 (めちゃくちゃ密着してる……)

文乃 「う、うん。あのね。実は……」

うるか 「えへへ、あたしたちね、実は付き合ってるんだ。ね、ふみのん」

文乃 「う、うん! うるたん!」

成幸 「……!?」

成幸 (付き合ってる!? ふみのん!? うるたん!?)


812以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:29:05X1SsLnS2 (7/15)

成幸 「………………」

成幸 「……いや、えっと」

成幸 「エイプリルフールのウソだろ?」

うるか&文乃 「「!?」」

うるか 「なんで分かったの成幸!?」

成幸 「わからいでか! 最初は少しびっくりしたけどよく考えたらわかるわ!」

文乃 「ん……まぁ、そうだよね。さすがにバレるよね……」

成幸 (まぁめっちゃドキドキしたけど!!)

成幸 「……っていうか、ふたりとも」

うるか&文乃 「「?」」

成幸 「い……いつまで、くっついてるんだ……?///」

うるか 「あっ……」 文乃 「はわっ!」

シュババッ

うるか (ふ、文乃っちいいにおいだったなぁ……) ドキドキドキドキ……

文乃 (うるかちゃん、やっぱりかわいいよなぁ……) ドキドキドキドキ……


813以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:29:40X1SsLnS2 (8/15)

………………物陰

理珠 「むぅ……。どうやら文乃とうるかさんはすぐに看破されたようですね」

紗和子 「まぁ、そりゃそうよね」

理珠 「そうなると、我々が同じ手段で行っても、やはりすぐ看破されるでしょうか……」

理珠 「せっかくエイプリルフールのウソで成幸さんを騙して、成幸さんに勝つチャンスだったというのに……」

紗和子 「!?」

紗和子 (ま、まずいわ! せっかく緒方理珠と合法的にくっつけるチャンスを棒に振るわけにはいかな――)

紗和子 (――じゃなくて! 緒方理珠の勝利への情熱を無駄にするわけにはいかないわ!)

紗和子 「い、いきましょう、緒方理珠! やってみないとわからないわ!」

ガシッ

理珠 「へ? ちょっ、せ、関城さん、あぶなっ……!!」

ドタドタドタッ

ムギュッ

成幸 「!? な、なんだ!?」


814以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:30:19X1SsLnS2 (9/15)

紗和子 「いててて……」 ハッ 「あっ」

理珠 「もう、関城さん、急に動くから……って……」

成幸 「………………」

成幸 (……ファミレスの床に倒れる緒方の胸元とスカートの裾が危ういところまで開いている)

成幸 (そして、そんな緒方の上に、関城がのしかかっている。まるで、押し倒したかのように……)

成幸 (その手は当然のように緒方の胸の上だ。口と口は今にも接触しそうなくらい、近い)

紗和子 「くわっ……」 ブシュッ

成幸 (その上鼻血を噴き出した……)

成幸 (これはもう、疑う余地はないだろう……)

成幸 「………………」

ピッピッ……

紗和子 「ゆ、唯我成幸? 一体どこへ電話をかけようとしているのかしら?」

成幸 「警察だよ。決まってるだろ」

紗和子 「随分と問答無用ね!? 早まらないでちょうだい!」


815以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:30:58X1SsLnS2 (10/15)

理珠 「成幸さん、感謝します。早く通報してください」

紗和子 「緒方理珠まで!?」

紗和子 「誤解よ、唯我成幸! これはウソよ! エイプリルフールのウソなのよ!」

成幸 「ウソだろうが何だろうが嫌がってる女子の胸を揉むのは犯罪だよ」

紗和子 「はっ!? 魔性の魅力ね。知らず知らずのうちに揉みしだいていたわ」

文乃 (成幸くんは冗談のつもりなんだろうけど、紗和子ちゃんは一度本当に通報された方がいいと思う)

うるか 「………………」

ドキドキドキドキ……

うるか (文乃っち、本当にきれいだよね……。えへへ、なんか、不思議な気持ち……)

うるか (こ、今度ふたりで出かけるとき、手とかつないでもいいかな……?)

うるか (とっ、友達だったら、手をつなぐくらいフツーだよね?)

文乃 「……!?」 ゾワッ (な、なんだろう、今の寒気……どこから……!?)


816以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:31:42X1SsLnS2 (11/15)

………………

紗和子 「まったく、唯我成幸。通報の真似をするなんて、冗談じゃすまないわよ!」

成幸 「誰がそれをさせたんだ、誰が。まったく……」

成幸 「さっさと勉強会始めるぞ。お前たちがアホなことするから時間使ったじゃないか……」

文乃 「ごめんごめん。ちょっとしたお茶目だよ」

理珠 「………………」

ドキドキドキドキ……

理珠 (……さっき、一瞬、関城さんにキスをされるのかと思いました)

理珠 (なぜ……)

紗和子 「? 緒方理珠、どうかした?」

理珠 「!? い、いえ……」

理珠 (……なぜ、それを思い出して、私は、)

理珠 (こんなにも、ドキドキしているのでしょう……)

おわり


817以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:32:25X1SsLnS2 (12/15)

………………幕間1 「たぎる」

ワイワイガヤガヤ……

四方谷真子 「………………」

ドキドキオロオロ

真子 (NLGL五角関係……!?)

真子 (めっちゃ修羅場だわ。どうしよう。たぎりすぎてヤバい……)

真子 (関係が複雑すぎてよく分からないけど、とりあえず……)

真子 (あのメガネ男子は絶対総受けね!)


818以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:32:58X1SsLnS2 (13/15)

………………幕間2 「二段構えは基本」

あすみ 「こ・う・はーい♪ 愛してるぞー?」 ムギュッ

成幸 「はいはい。エイプリルフールのウソですよね」

あすみ 「むっ……なんだよ。少しは慌てろよ。つまんねーの」

成幸 「お店のエイプリルフールフェアとかじゃないんですか?」

成幸 「お客さんみんなに愛してるって言ってるとか……――」

あすみ 「――なっ!」 カァアアアア…… 「い、言うわけねーだろそんなこと!!!!」

あすみ 「げ、ゲームでもなしに、愛してるなんて、そんなの……」

あすみ 「お、お前以外に言うわけ……ねーだろ……」

成幸 「せ、先輩、それって……///」

あすみ 「……うん。まぁ二段構えは基本だよな。ウソに決まってるだろ」

成幸 「結局やられたー!!」

あすみ (……ん、まぁ)

あすみ (ゲームでもないのに “愛してる" なんて言うのは、ほんとにお前だけだけどな)


819以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:33:43X1SsLnS2 (14/15)

………………幕間3 「午後」

マチコ 「ん、いけないなぁ、あしゅみー。エイプリルフールは午前中だけだよ?」

あすみ 「へ?」

マチコ 「ウソをついていいのは四月一日の午前中だけ。だから、今のウソ……」

ニヤリ

マチコ 「ホント、ってことになっちゃうねぇ?」

あすみ 「っ……///」

マチコ 「ねぇねぇ、あしゅみーは、唯我クンのことが大好きなんだねぇ?」 ニヤニヤニヤ

成幸 (マチコさんがすごく良い笑顔で先輩を攻めている……)

成幸 (……日本では午前中に限らず午後もウソをついていいって説もあるけど、)

あすみ 「う、うるせーぞマチコ! ちょっと間違えただけだろ!」

成幸 (めずらしくうろたえてる先輩が面白いから、言わないでおこう)

おわり


820以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 21:39:56X1SsLnS2 (15/15)

>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

お題の桐須先生ネタはもうちょっと待っていただけると助かります。ごめんなさい。

リアルで疲れていてもお題をいただけると不思議と書く元気がもらえます。
書いた結果がこれだからなんとも言えませんが。
申し訳ないことです。

>>801
酉はつけません。ごめんなさい。
SSも、ジャンルがまったく違うので貼るのはためらわれます。ごめんなさい。



また投下します。


821以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/01(月) 22:15:12aJNucWtY (1/1)

おつつ
陽真で分かるやつおる?ww


822以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 01:20:576ear/QuY (1/1)

乙やで


823以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 01:35:04qZKgFeuA (1/1)

おつでした。
>>1の暇な時で大丈夫だよ(先生ネタ)
ところで四方谷真子って誰だっけ?


824以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:46:44QUrQhu/g (1/37)

>>1です。投下します。
タイトル詐欺ですがあすみさんメインです。


【ぼく勉】 紗和子 「とんでもないものを見てしまったわ……」


825以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:48:27QUrQhu/g (2/37)

………………メイド喫茶 High Stage

あすみ 「制服イベントだぁ?」

マチコ 「そうなの。この前コスプレイベントやったじゃない? あれが好評だったみたいでさ」

店長 「お客様にアンケートをとったところ、次はぜひ制服姿を見たいとのことでな」

あすみ 「……ったく。うちはメイド喫茶であってコスプレ喫茶じゃねーはずだけどな」

ミクニ 「まぁまぁ、あしゅみー。合法的に制服を着られる機会なんてめったにないしさ」

ヒムラ 「コスプレイベントも楽しかったしね。制服着たら、きっと高校の文化祭みたいで楽しいよ」

あすみ 「アタシはつい去年まで制服着て高校通ってたんだけどな……」

あすみ 「ま、別に断る理由はねーし、いいよ。どんな制服を着るんだ?」

店長 「差し支えないなら、高校時代に着ていた制服を持ってきてくれると助かる。リアリティの問題でな」

店長 「もちろん店での使用後にクリーニング代は出す」

あすみ (この店長、コワモテで良い人だけど、マジモンだよな……)

あすみ 「わかった。じゃ、イベントの日に制服持ってくよ」

店長 「そうか。助かる」 ニコッ 「ローファーも忘れずにな」

あすみ (ほんとヤベー人だよなこの人)


826以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:49:17QUrQhu/g (3/37)

………………小美浪家

あすみ 「………………」

あすみ (……実際、卒業してから半年とはいえ、制服を着るのはやっぱり抵抗あるな)

あすみ 「えーい、ままよ」

スルスルスル……キュッ……シュッ……

あすみ 「……んっ」 (よかった。太ってはないみたいだな)

あすみ (姿見みるのは怖いけど……)

あすみ 「……うん」 クルッ……フワッ

あすみ 「……まぁ、悪くはないよな」 ニヤリ 「むしろ相当イケてんじゃねーか?」

あすみ 「ふふん、この格好を後輩に見せたら、また顔真っ赤にするかもな。にひひ」

コンコン

あすみ 「………………」 (って、なんでアタシはあいつに見せることなんて考えてんだ)

コンコンコンコン

あすみ (でも……) ドキドキドキドキ…… (……この格好、後輩が見たら、可愛いって言ってくれるかな?)


827以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:49:50QUrQhu/g (4/37)

ガチャッ

あすみ 「……!?」

小美浪父 「あすみー、来週の往診なんだが、付き添いを……」

小美浪父 「……あすみ? なんだその格好は」

あすみ 「ち、ちがっ! 違う! 違うからな!」

あすみ 「べつに、制服コスプレをしてたわけじゃなくて、これは……!」

ハッ

あすみ (バイトのことナイショにしてるのに “店で使うため” なんて言えるかー!)

小美浪父 「……皆まで言うな、あすみ。分かっている」

ニコッ

小美浪父 「今度、唯我くんと制服デートでもするんだろう?」

あすみ 「……は?」

小美浪父 「そう照れなくてもいい。私は理解ある父親を目指しているからな」

小美浪父 「高校を卒業をした後でも、“制服ディ○ニー” なることをするのは普通らしいじゃないか」


828以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:50:47QUrQhu/g (5/37)

あすみ 「……あー、うん」

あすみ (なんか勘違いしてるけど、否定するの必要もなさそうだしいいか)

小美浪父 「……それにしても、コスプレ好きの彼氏のために自ら制服を着るとは、」

小美浪父 「我が娘ながらいじらしい……。唯我くんが喜んでくれるといいな!」

あすみ 「……ん、まぁ、そうだな」

ハッ

あすみ 「っつーか親父! 年頃の娘の部屋にノックなしで入ってくるんじゃねーよ!」

小美浪父 「……いや、ノックはしたんだがな」

小美浪父 「唯我くんにその格好を見せることを考えて聞こえていなかっただけだろう?」

あすみ 「なっ……! そんなわけねーだろ! っていうか、話あったんじゃねーのかよ! なんだよ!」

小美浪父 「ふふ、照れるな照れるな。話は着替えてからでいい。着替えたら居間に来なさい」

あすみ 「……っ、わーったよ」

あすみ 「……ったく、親父の奴」 ドキドキドキドキ……

あすみ (……制服イベントの日、後輩、バイト入ってるかな)

あすみ 「………………」 ニヘラ 「……えへへ」


829以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:51:19QUrQhu/g (6/37)

………………制服イベントデー 当日

マチコ&ミクニ&ヒムラ 「「「うー……」」」

あすみ 「? おい、三人ともどうしたんだよ。早く準備しないと開店に間に合わねーぞ」

マチコ 「わ、分かってるけどさ……」 カァアアアア……

ミクニ 「やっぱり、昔着てた制服を着るのはちょっと恥ずかしいね」

ヒムラ 「これお客様に見せるのかぁ……。万が一同級生とか来たらどうしよう」

あすみ 「なんだよ、みんなそんなこと気にしてたのかよ」

あすみ 「お客様は御主人様、だろ? せっかく来てくれるお客さんのためにも恥ずかしがってなんかいらんないだろ」

マチコ 「さすがはあしゅみー。一本筋が通ってるね……」

ミクニ 「そりゃ、あしゅみーは去年まで高校生だったんだから余裕だろうけどね」

ヒムラ 「でも、あしゅみーの言うとおりだね。恥ずかしがってらんないよね」

ワイワイワイワイ

店長 「………………」 (うむ……)

店長 (妙齢のメイドたちが高校の制服を身につけ、恥じらう……)

店長 (いい光景だ……) グッ


830以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:51:55QUrQhu/g (7/37)

………………休憩室

成幸 「こんにちはー」

ヒムラ 「おお、唯我クンじゃないか」

マチコ 「わっ、唯我クン。さすがに知り合いにこの姿を見られるのは恥ずかしいね」

成幸 (話には聞いてたけど、ほんとに制服着てる……)

成幸 (でも、皆さん若々しいから違和感は少ないなぁ)

成幸 (……でも、ヘンなこと言ったらセクハラになっちゃうから、言うのはやめておこう)

成幸 「じゃあ俺着替えてきますね」

マチコ 「……む。いや、ちょっと待って唯我クン」

成幸 「?」

マチコ 「制服のまま、エプロン締めて……と」

マチコ 「……うんうん。さすがは現役男子高校生。制服エプロン姿も様になってるね」

成幸 「意味が分からないんですが……」

マチコ 「いやいや、実は最近、唯我クン目当てで来てる妙齢のお嬢様方も少なくなくてさ」

マチコ 「……そんなお客様方に喜んでもらえるかな、って」 ニヤリ


831以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:52:36QUrQhu/g (8/37)

成幸 「!? このまま店に出るんですか!? 制服で!?」

マチコ 「お願い。だってみんな制服着てるのに、唯我クンだけ制服じゃないのも変じゃない?」

成幸 「いやいや、マスターや他の皆さんだって制服じゃないじゃないですか」

マチコ 「ははっ、さすがにみんなが制服着たら地獄絵図だよ」 ケラケラ

マチコ 「おねがい、唯我クン。お店のためだと思って、さ」

コソッ

マチコ 「制服のクリーニング代だすからさっ」

成幸 「……むっ。むむむ……」

ヒムラ (クリーニング代に心が揺らぎ始めている……)

成幸 「……わかりました。制服のまま店に出ます」

マチコ 「おおっ。それでこそ唯我クン! そういうところダイスキー!」

成幸 (制服のクリーニング代はバカにならないから、それが手に入るなら御の字!)


832以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:53:08QUrQhu/g (9/37)

………………

あすみ 「……で、お前も制服なのか。まったく、マチコの奴」

成幸 「はい。なんだかうまく丸めこまれた気もしますけど、クリーニング代にはかえられません」

あすみ 「まぁいい。お前は普段通り接客してくれりゃいいよ」

成幸 「はい、分かりました!」

女性客1 「あ……ボーイさん! 注文お願いしまーす!」

成幸 「はい、いま行きます! じゃあ、先輩、また後で!」

女性客2 「制服着てるー! チェキいいのかな!?」

成幸 「え? あ、いや、俺――私はそういうサービスは……」

女性客3 「君にケチャップ文字書いてもらいたーい!」

成幸 「いえ、ですから、その……」

あすみ 「……ほーう」 (モテモテじゃねーかあの野郎)

成幸 「いや、あの……お、お嬢様方!? ちょっ、いや、あの……!」

あすみ 「………………」

あすみ (……アタシの制服姿にはなんの感想もなし、か)


833以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:53:44QUrQhu/g (10/37)

………………退勤時刻

あすみ 「ふー、さすがにイベントデーは忙しくて勉強どころじゃなかったな」

成幸 「忙しかったですね。俺もなんか今日はよく呼ばれた気がします」

あすみ (女性客が興奮しきりだったからな)

あすみ 「この後暇か? ファミレスで勉強でもしていかねーか? 教えてもらいたいとこがあるんだよ」

成幸 「いいですね。行きましょう」

あすみ 「おう、助かる。サンキュな」

あすみ 「……じゃ、マチコ。今日は先上がるぞ。おつかれー」

マチコ 「あ、あしゅみーと唯我クン。お疲れ様。またね」

マチコ 「……あれ?」

あすみ 「? どうかしたか?」

マチコ 「ん、なんか蛇口から水が出なくてさ。なんだろ。なんか詰まってるのかな?」

あすみ 「水が出ない? ちょっと見せてみろ」


834以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:54:14QUrQhu/g (11/37)

あすみ 「……ふんふん。水がチョロチョロとしか出ないな。こういうときは、っと」

キュッキュッキュッ

あすみ 「一気に水圧をかけてやれば、大体直るもんだ」

グググッ……ググッ……

成幸 「せ、先輩? なんか蛇口から不穏な音が……」

あすみ 「へ……――」

――――ブッシャァアアアアアアアア!!!!

マチコ 「!? あ、あしゅみー!?」

あすみ 「………………」

ポタポタポタ……

あすみ 「……へくしっ」

マチコ 「大変! 早くタオル持ってこなくちゃ!」


835以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:55:03QUrQhu/g (12/37)

………………店の外

成幸 (……先輩、びしょ濡れだったけど大丈夫かな)

成幸 (そりゃ、ものが詰まってる蛇口に一気に水圧かけたらつまりは取れるかもしれないけど……)

成幸 (……その水圧の分、水が一気に吹き出るよ)

成幸 (先輩が理科系科目を苦手とする理由が少し分かった気がするぞ)

カツッカツッカツッ……

成幸 「あっ……先輩! 大丈夫でしたか……って……」

あすみ 「おう。大丈夫なように見えるか?」

成幸 「……な……何で制服着てるんですか!?」

あすみ 「仕方ねーだろ。服はびしょ濡れだし、他に着るものなんてコレしかねーし」

ニヤリ

あすみ 「それとも、メイド大好き後輩的にはメイド服を着た方が良かったか?」

成幸 「ち、違いますよ! 何言ってるんですか!」


836以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:56:27QUrQhu/g (13/37)

あすみ 「ま、べつにいいだろ? それとも何だ?」

ドキドキドキドキ……

あすみ 「に、似合ってねーか? 浪人生のアタシじゃ、女子高生に見えないか?」

成幸 「えっ……いや、その……見えますし、似合ってるとは思いますけど……」

あすみ 「……そ、そうか」 ホッ

あすみ 「このリボンの色、今はたぶん一年生が使ってるんだろ?」

成幸 「そうですね」

あすみ 「……ってことは、今アタシはお前の二つ下の後輩だな? “唯我センパイ” ?」

成幸 「っ……///」

あすみ 「お? 何照れてんだ? さてはお前、年下好きだな?」

成幸 「だ、だからまたそういうこと言ってからかわないでください!」

あすみ 「あ、間違えた」

あすみ 「……先輩って、年下好きなんですか?」 キャルーン

成幸 「だーかーらー! もー!」

あすみ 「にひひ、ほんとにからかい甲斐がある奴だなぁ、後輩は」


837以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:57:01QUrQhu/g (14/37)

成幸 「まったくもう……」 プンプン

あすみ 「………………」


―――― 『えっ……いや、その……見えますし、似合ってるとは思いますけど……』


あすみ (……えへへ。似合ってる、か)


―――― 『今度、唯我くんと制服デートでもするんだろう?』


あすみ 「……なぁ、後輩」

成幸 「? はい?」

あすみ 「勉強の前に、制服デートでも、どうだ?」

成幸 「へ……?」


838以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:57:38QUrQhu/g (15/37)

………………街中

「まいどありー!」

紗和子 (ふふふ、とうとう手に入れたわよ、地域限定数量限定釜玉うどん専用醤油!)

紗和子 (緒方理珠、喜んでくれるかしら……) ポワアアアアア……

紗和子 「ん……?」

成幸 「あ、あんまりくっつかないでくださいよ! 恥ずかしいですよ……」

あすみ 「にしし、顔真っ赤ですよー、先輩?」

あすみ 「可愛い後輩が腕組んであげてるんだから、もっと嬉しそうな顔してくれてもいいじゃないですかー」

成幸 「可愛い後輩は人を困らせるようなことしませんよ!」

あすみ 「何で困るんですー? にひひ、先輩のえっちー」

成幸 「だー! もうー!」

紗和子 (あ、あれは唯我成幸! と……どこかで見たことあるような女子生徒……)

紗和子 (仲睦まじく腕を組みながら歩いている……)

ガタガタガタガタガタガタ

紗和子 「と、とと、とんでもないものを見てしまったわ……」


839以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:58:36QUrQhu/g (16/37)

………………

成幸 「……」  あすみ 「……」 ケラケラケラケラ

紗和子 「………………」 (思わず後をつけてしまっているけど……)

紗和子 (唯我成幸と後輩と覚しき女の子は、楽しそうに話をしながら歩いている……)

紗和子 (まるで、彼氏彼女といった雰囲気だわ……)

紗和子 (こんな場面を緒方理珠が見ようものなら……)


―――― 理珠 『成幸さん……ぐすっ……ひどいです……』


紗和子 (……だ、だめよ! 緒方理珠に涙を流させるわけにはいかないわ!)

紗和子 (緒方理珠の大親友、関城紗和子。この名にかけて、あのふたりのことを探ってやるわ!)


840以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:59:14QUrQhu/g (17/37)

………………ゲームセンター

成幸 「制服デートとか言ってましたけど……」

成幸 「ゲームセンターで一体何をするんです?」

あすみ 「何するんですかって、ゲームセンターなんだから遊ぶに決まってるだろ」

あすみ 「ま、お前あんまりゲーセンとか行かなそうだもんなぁ」

成幸 「……あんまりそういうことに使えるお金はなかったので」

あすみ 「……そっか」 ニッ 「じゃあ、今日はアタシがおごっちゃるから、遊んでみようぜ」

成幸 「えっ、あ、でも……――」

あすみ 「――でもも何もねーだろ。ほら、行こうぜ」 ギュッ

成幸 「のわっ! だ、だからあんまりくっつかないでくださいってば……///」

あすみ 「じゃ、とりあえず音ゲーでもやろうぜ。何クレかやらしてやるから」

成幸 「クレ???」

あすみ 「……はぁ。そんなんじゃほんとに彼女ができたときに困っちまうぞ」


841以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 20:59:49QUrQhu/g (18/37)

………………

紗和子 「………………」 ジーーーッ

紗和子 (楽しそうにダンスゲームを始めたわね……)

紗和子 (軽快に踊る後輩の子と、珍妙なダンスを繰り広げる唯我成幸……)

ハラハラハラ

紗和子 (あっ……唯我成幸、こけたわね。大丈夫かしら……)

紗和子 (唯我成幸は運動が苦手なのだから、あんなことやらせたらダメでしょうに……)

紗和子 (後輩の子はこけた唯我成幸を見てケラケラ笑ってるし……)

ムカムカ

紗和子 (まったく、唯我成幸の奴! 一年生の女子に手玉に取られちゃって!)

紗和子 (緒方理珠ならまじめだから、あなたに恥をかかせるようなことはしないわよ!)

紗和子 (目を覚ましなさい唯我成幸! あなたには緒方理珠っていう、魅力的な相手がいるのよ!)


842以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:00:50QUrQhu/g (19/37)

………………

成幸 「………………」 ボロボロボロ

あすみ 「お前、運動音痴なのは察しがついてたけど、まさかリズム感もないとはな」

あすみ 「太○の達人であんな低いスコア初めて見たぞ」

成幸 「……悪かったですね。ああいうのは苦手なんですよ」

あすみ 「あー、もう。冗談ですよー、先輩。むくれないでくださいよっ」

ムギュッ

成幸 「なっ……ま、また……!」

あすみ 「じゃあ、最後に、アレ、行きましょ?」

成幸 「アレって……プリクラ?」


843以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:01:27QUrQhu/g (20/37)

………………

成幸 (プリクラの中って、予想以上に狭いな……)

あすみ 「……ふふーん」 ニィ

あすみ 「せーんぱいっ。もっとくっついてくださいよー」

ギュッ

成幸 「あ……う……///」 カァアアアア…… 「なんで、くっつくんですか……」

あすみ 「このプリクラ、親父に見せるつもりだからさ、恋人っぽく撮った方がいいだろ?」

成幸 「あんた制服姿で撮ったプリクラを父親に見せるつもりですか!?」

あすみ 「……まぁ、親父はお前のことをコスプレ大好き男だと思い込んでるからなぁ」

あすみ 「どっちかっていうと、恥ずかしい思いをするのはお前だと思う」

成幸 「淡々とすごく怖いことを言わんでください!」

あすみ 「ほらほら、そんなこと言ってると、撮られちまうぞ。ほら、前向け」

成幸 「あ、は、はい……」

あすみ 「……ってことで、じゃあ、恋人らしく、」

チュッ


844以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:01:57QUrQhu/g (21/37)

成幸 「へ……!?」

パシャッ

成幸 「のわっ!? と、撮られた!?」

成幸 「えっ、いま、えっ!? ほっぺ!?」

あすみ 「お前動揺しすぎだろー。ちょっとほっぺにチューしただけだろうが」

成幸 「ちょっとって! いや、いやいやいや……!」

あすみ 「ん、もう二枚目の撮影だな。ほら、前向けよ」

成幸 「その手には乗りませんよ! 前向いたらまた……――」

あすみ 「――まったく、先輩は欲しがりサンですねーっ。お口とお口のチューがいいなんて」

成幸 「そういうことじゃないです! ……わ、わかりましたごめんなさい! 前向きます!」

あすみ 「にひひ。かわいい奴め」

ムギュッ

あすみ 「密室で先輩に迫られるのは好きらしいですけどが、後輩に迫られるのはどうですか?」

あすみ 「……せんぱいっ?」

成幸 「あ、あんまりくっつかないでくださいよっ」


845以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:02:54QUrQhu/g (22/37)

………………外

紗和子 (……プリクラの中に消えてからしばらく経ったわね) ドキドキドキドキ……

紗和子 (ゆ、唯我成幸の奴、まさかいかがわしいことでもしてるんじゃないでしょうね……)

紗和子 (後輩の、しかもあんなに背がちっちゃい子と、そんな……そんなの……)

ブシュッ

紗和子 (はっ、犯罪よ! あなたは犯罪者だわ、唯我成幸!)

店員 「!?」

店員 (あの白衣の人、鼻血をボタボタ垂らしてるけど大丈夫かな……)

紗和子 (なんとか中の会話を聞くことはできないかしら……)

シャッ

あすみ 「せーんぱいっ、顔真っ赤ですよー? どんだけ照れてるんですかもー」

紗和子 「!?」 サササッ

成幸 「誰のせいですか誰の! まったくもう!」

あすみ 「アタシなんにもしてないのになー」 ニヤニヤ 「せんぱいのえっち」

紗和子 (あ、危なかったわ! 危うく見つかるところだった……!)


846以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:03:39QUrQhu/g (23/37)

あすみ 「ほら、先輩。ペンでプリクラにお絵描きしましょー?」

成幸 「? どういうことです?」

あすみ 「……あー、先輩って、ほんとにしらないことばっかりですねーっ」

ニコッ

あすみ 「仕方ないですねー。先輩の将来の彼女のために、アタシが色々教えてあげないとですねっ」

成幸 「……彼女なんて、そんなの、べつに……」

あすみ 「えへへっ、ま、そうですよね。今の先輩の彼女はアタシですもんね!」 ギュッ

紗和子 「!?」 (か、彼女!? 唯我成幸、あの子とお付き合いしているってこと!?)

成幸 「あっ、ま、またくっついて……! もうっ!」

あすみ 「ほら、先輩もペン持って、色々書き込めるんですよ。スタンプとかも押せますよ?」

ムギュムギュッ

成幸 「わ、わかりました! やりますから! だからあんまりくっつかないでください!」

紗和子 (と、ととと……) ガタガタガタ (とんでもないことを聞いてしまったわ……!)


847以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:04:24QUrQhu/g (24/37)

紗和子 (私ひとりじゃもう処理しきれないわ! 誰か呼ばないと……)

紗和子 (……呼ぶとしたら、あの子しかいないわよね)

ピッピッ……prrrr  ガチャッ

?? 『もしもし、紗和子ちゃん? どうかしたの?」

紗和子 「よく出てくれたわ! 助けてほしいの!」

?? 『助けてほしい? 何かあったの!?』

紗和子 「そうなの! 大変なのよ!」

紗和子 「唯我成幸の貞操の危機なのよ!!!」

?? 『!? へ? 貞操? いや、いきなり何を……――』

紗和子 「話してる時間すら惜しいわ! いますぐ来てちょうだい!」

紗和子 「唯我成幸が後輩の女子生徒にたぶらかされてるのよ!!」

?? 『後輩の女の子……!?』

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

?? 『成幸くん、また新しい女とゆきずりにフラグを立てたのかな……』

?? 『わかったよ、紗和子ちゃん。すぐ行くよ。場所を教えて』


848以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:05:18QUrQhu/g (25/37)

………………ファミレス

あすみ 「………………」

成幸 「………………」

カリカリカリ……

成幸 (ほっ。勉強中もヘンなことするんじゃないかとヒヤヒヤしたけど、大丈夫そうだ)

成幸 (さすが先輩。ふざけるときとまじめなときのメリハリがきいててすごいなぁ)

成幸 (……いやまぁ、いつもまじめな方が良いに決まってるけど)

あすみ 「ん? なんだ、後輩? アタシの顔になんかついてるか?」

成幸 「へっ!? あ、いや、なんでもないです。すみません……」

あすみ 「んー?」 ニヤァ 「なんですかー、せんぱいっ。アタシの顔に見惚れてたとか?」

成幸 「あー、まったくもう! またそうやってふざけだすんだから!」

あすみ 「顔真っ赤にしちゃってかわいいなぁ、後輩は」

クスクスクス

あすみ 「ま、おかげさまで勉強も結構進んだし、少し休憩しようぜ。甘いものでもおごっちゃるよ」

成幸 「ほんとですか!?」 キラキラキラ


849以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:05:51QUrQhu/g (26/37)

あすみ 「む……」

あすみ (なんだ、後輩のやつ。アタシに密着されてるときよりいい顔しやがって。花より団子ってことか?)

ムカムカムカムカ

あすみ (アタシより甘いものの方がいいってか? ふーん……)

成幸 「うーん、どれにしようかな。どれも美味しそうだな……」

あすみ 「………………」 ニィ

あすみ 「すみません、店員さーん」

真子 「あ、はーい! ご注文ですか?」

成幸 「へ? 先輩? いや、まだ俺決めてな――」

あすみ 「――はい。このパフェ、お願いします。スプーンはひとつでいいんで」

真子 「特大パフェですね。かしこまりました」 (このパフェって……)

真子 (カップル御用達のやつ。しかも、スプーンはひとつって……///)

成幸 「せ、先輩……?」

あすみ (にしし。勉強中にふざけるのはよくないが、休憩中ならいいだろ?)

あすみ (覚悟しろよ……いや) ニヤリ (覚悟してくださいね、唯我センパイっ)


850以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:07:16QUrQhu/g (27/37)

………………

バーーーーン!!!

成幸 「うわぁ……」

あすみ 「うおお……」 (こりゃ想像以上だな……)

成幸 (これ、この前、古橋がひとりで食べきったやつだ。先輩もこれをひとりで食べるつもりなのかな)

あすみ 「……ふふん。じゃ、先輩っ。はい、あーん」 スッ

成幸 「へっ? あーん、って……」

あすみ 「ほら、唯我センパイっ。早く口開けてくださいよ。それともぉ……」

グスッ

あすみ 「アタシのパフェ、食べられないんですか?」

成幸 「いや、そんなことは……」

成幸 (っ……!! 嘘泣きだって……嘘泣きだって分かってるのに……!!)

成幸 (泣き真似には抗えない……!!!)

成幸 「あ……あーん……――」


   「――何をしてるんですか? 先輩? 成幸くん?」


851以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:07:47QUrQhu/g (28/37)

成幸 「へ……?」

あすみ 「あっ、古橋……」

文乃 「………………」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

文乃 「……あれぇ? おかしいなぁ。わたし、何をしてるんですか、って聞いたはずだけどなぁ?」

成幸 「ひっ……」 (こ、怖っ……!! 何で怒ってるんだ古橋!?)

文乃 「……はぁ。ま、べつに怒ってるわけじゃないですけど」

文乃 「紗和子ちゃん。安心していいよ。この人、得体の知れない後輩なんかじゃないから」

紗和子 「……? どういうこと?」 ヒョコッ

成幸 「関城も!? 何でここに……?」

文乃 「今から説明するよ。だからちょっと勉強会に混ぜてね?」

文乃 「こっちも説明を聞かなくちゃだから、ね」

あすみ 「説明?」

文乃 「やだなぁ、先輩ったらとぼけちゃって」 ニコッ

文乃 「…… “唯我センパイ” って何かなぁ? 教えてほしいなぁ?」

あすみ 「!?」 (やっぱり怒ってるだろこいつ!?)


852以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:08:26QUrQhu/g (29/37)

………………

成幸 「……と、いうわけです」

文乃 「なるほどなるほど。ふんふん……」

文乃 「つまり、先輩が久々の制服にテンションが上がって先輩後輩ごっこに熱が入っちゃった、と?」

あすみ 「あっ、改めて言うな! 恥ずかしいだろ!」

あすみ 「……悪かったよ。ちょっとはしゃぎすぎたよ」

あすみ 「まさか誰かに見られてるとは思ってなくてさ」

文乃 「ってことで紗和子ちゃん、この人は先輩だよ。文化祭の後夜祭で一度会ったことあるんじゃない?」

紗和子 「ん……あ、ひょっとして、あのバンギャっぽい格好をしてた人かしら?」

あすみ 「バンギャて……。まぁ間違いじゃねーけどさ」

あすみ 「小美浪あすみだ。こいつらの一個上で、一ノ瀬のOGだよ。なんか勘違いさせたみたいで悪かったな」

紗和子 「せ、先輩だったんですか。こちらこそ失礼しました……」

紗和子 「関城紗和子です。唯我成幸の同級生です」

紗和子 (身長が身長だから絶対後輩だと思いこんでいたわ……)

あすみ (なんか失礼なことを考えてるなこいつ……)


853以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:09:12QUrQhu/g (30/37)

紗和子 「……つまり、彼女云々の話も、ただのごっこあそび、ってことかしら?」

成幸 「ん、まぁそうなるかな」 (まぁ、恋人役の話はわざわざしなくていいだろう……)

紗和子 「そう……」

紗和子 (……よ、よよよ、よかったわぁ……!! これで緒方理珠が悲しむ姿を見なくて済むわ!)

ニコニコニコニコ

あすみ (? この子、急に笑顔になったな……)

あすみ (……まさかとは思うが、こいつ、後輩のこと……)

紗和子 (でも、そもそもよく考えたら……)

あすみ (……うーん、でも、よく考えてみりゃ……)

紗和子 (こんな美人な人が唯我成幸のことを好きになるはずないものね)

あすみ (こんなオトナっぽい同級生が、後輩を好きになるはずねーよな)

成幸 (このふたり、なんかとんでもなく失礼なことを考えている気がするぞ……)

文乃 (……胃が痛い) キリキリキリ……


854以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:09:48QUrQhu/g (31/37)

あすみ 「………………」 ジトッ

成幸 「? 何です、先輩?」

あすみ 「……いつも思うけどさ、お前って……」

成幸 「?」

あすみ 「ほんっっっっとうに、女たらしだよなぁ」

成幸 「しみじみとひどいことを言わないでくれますか!?」

文乃&紗和子 「「………………」」 コクコクコク

成幸 「お前たちもうなずかなくていいよ!!」


855以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:10:22QUrQhu/g (32/37)

あすみ 「でもまぁ、お前たちが来てくれてちょうどよかったよ」

あすみ 「これ、勢いで頼んじまったけど、どう考えてもふたりじゃ食べきらないからさ」

紗和子 「このパフェ、四人でもギリギリじゃないかしら……」

文乃 「? やだなぁ、先輩も紗和子ちゃんも。これくらいならふたりいれば余裕じゃないですか」

あすみ&紗和子 「「!?」」

文乃 「でもせっかくだし、お言葉に甘えていただきまーすっ」 ムシャムシャムシャムシャムシャムシャ

文乃 「んーっ♪ 甘くておいしーい!」

成幸 (まぁ、古橋はその気になればあのパフェひとりで食い切るしな……) ゲッソリ

成幸 「俺、ちょっと飲み物とりにいってきますね」

文乃 「あ、わたしも行くよ。甘い物にはお茶が必要だよね」

あすみ 「んー、じゃ、アタシもなんか取りに行こうかな」

紗和子 「じゃあ、私は待ってるわ。いってらっしゃい」

あすみ 「おう、頼むなー」

ピラッ…………

紗和子 「ん……?」 (なんか、紙が落ちた……?)


856以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:10:52QUrQhu/g (33/37)

ヒョイッ

紗和子 「……!?」

紗和子 (こ、これは、プリクラ……。せ、先輩と、唯我成幸の、ツーショット……)

紗和子 (きっ……キスしてるプリクラまであるじゃない……!!)

紗和子 (こんなこと、さっきの説明では言ってなかったわよね!?)

紗和子 (まさかあの先輩、本当に唯我成幸のことを……!?)

紗和子 「………………」

ガタガタガタ

紗和子 「とっ……とんでもないものを見てしまったわ……!!」

※その後、誤解は解けました。

おわり


857以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:12:46QUrQhu/g (34/37)

………………幕間1 「小美浪家」


―――― 『……先輩って、年下好きなんですか?』

―――― 『まったく、先輩は欲しがりサンですねーっ。お口とお口のチューがいいなんて』

―――― 『……ふふん。じゃ、先輩っ。はい、あーん』


あすみ 「……っ」 ボフッ!!!!! (よ、よくよく思い返してみると、今日のアタシはほんとどうかしてるぞ!)

あすみ (恥ずかしいとかそういうレベルじゃない! 制服を着た程度であんなにはしゃぎ回るなんて……)

あすみ (は、恥っず……)

ピラッ

あすみ (……まぁ、でも、後輩と制服でデートして、プリクラも撮れたのは、少し、嬉しいかな、なんて)

あすみ 「えへへ……」

………………ドアの外

小美浪父 (高校の制服で帰宅したときは度肝を抜かれたが、本当に唯我くんと制服デートをしたのだな……)

小美浪父 (今日のデートのことを思いだしながらニヤニヤするとは……。あの子にあんな乙女な一面があるとはな)


858以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:13:25QUrQhu/g (35/37)

………………幕間2 「唯我家」

成幸 (はぁ、今日は疲れたな……)

成幸 「ただいまー」

水希 「おかえりなさい、お兄ちゃんっ!」

成幸 「ああ――……って、なんだその格好は」

水希 「あっ、そうだ。間違えた……えっと……」

水希 「……おかえりなさい、せんぱいっ」

成幸 「……うん。とりあえずその一ノ瀬の制服は盗品じゃないよな?」

水希 「卒業生の人にもらったんだ。えへへ。似合う?」

成幸 「ならよし」

花枝 (高校の制服でお出迎えだとかせんぱい呼びだとかはスルーなのね……)

おわり


859以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:13:58QUrQhu/g (36/37)

………………幕間3 「古橋家」

文乃 「よ、四人で……」

文乃 「四人でわけっこしたはずなのに……」

ガーーーーン!!!!

文乃 「何でこんなに体重が増えてるの!?」

おわり


860以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 21:20:22QUrQhu/g (37/37)

>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

どうでもいい話ですが、今のところ
理珠さんメイン 6つ
文乃さんメイン 13つ
うるかさんメイン 5つ
真冬先生メイン 8つ
あすみさんメイン 11つ
その他 11つ(内紗和子さんメイン4つ)
という数のSSを書いたようです。

理珠さんとうるかさんのSSはなかなかむつかしいですが、もっと書きたいと思います。

また投下します。また読んでくれたら嬉しいです。


861以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/02(火) 22:37:06agL9V37M (1/1)

おつおつ


862以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:17:14hgNnmgHA (1/18)

>>1です。
書き上がってしまったので投下します。


【ぼく勉】 理珠 「あの日、手を貸してくれたのは」 紗和子 「あの時、背中を押してくれたのは」


863以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:18:06hgNnmgHA (2/18)

………………休日

理珠 「……うぅ」

ゼェゼェゼェ……

理珠 「う、うどん屋はまだですか……」

紗和子 「マップによるとあと2キロね」

理珠 「うぅ……。なぜこんな山道にうどん屋を作るのか、理解に苦しみます……」

紗和子 (山道だからこそドライブインが必要なんだと思うんだけど……)

紗和子 (というかこの店、徒歩で向かう店ではないと思うけど……)


―――― 理珠 『関城さん、次の休日にうどん屋巡りに行くのですが一緒にどうですか?』

―――― 紗和子 『デートのお誘い!? 行くわ行くわ行くわー!!』


紗和子 (……安易に飛びつくものではないわね。まったく。こんなの軽い登山だわ)

理珠 「まったく……」 ブツブツブツ

紗和子 「……ふふ」 (まぁ、緒方理珠と一緒なら、何でも楽しいのだけれどね)


864以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:18:46hgNnmgHA (3/18)

理珠 「……これもうどんを楽しむためうどんを楽しむため……」 ブツブツブツ

紗和子 「本当にうどんが好きねぇ」 クスクス

紗和子 「そういえば、一年の最初の登山でも、山頂の鍋焼きうどんのためにがんばってたわね」

理珠 「え?」

理珠 「……? 私、あのとき、鍋焼きうどんのこと、誰にも話してないような……」

紗和子 「へ?」 ハッ 「……あっ」

理珠 「……ん、でも、たしか、ひとりだけその話をした相手がいたような……」

理珠 (……あれは、そうです。二年前、まだ入学した頃のオリエンテーリングのとき、)

理珠 (私は、誰かとうどんの話をした……)

理珠 (……そう。あの登山で、私は……)

理珠 (誰かに、助けてもらって……)

………………

……………………

…………………………


865以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:19:23hgNnmgHA (4/18)

…………………………

……………………

………………二年前 春 緒方家

理珠 (明日は一ノ瀬学園入学直後のオリエンテーリングで山登り……)

ハァ

理珠 (正直、とても憂鬱です。休みたいくらいですが……)

理珠 (学校行事を休むと内申点にも響きますし、進路のことを考えると参加するしかないでしょうか)

理珠 (はぁ、本当に憂鬱です……)

親父さん 「あっ、リズたま! 明日は山登りだろう? がんばってな!」

理珠 「お父さん……」 (人の気もしらないで、まったく……)

親父さん 「明日登るのは鍋○山だろう? あそこの山頂で食べられる鍋焼きうどんは絶品だからぜひ食べておいで」

理珠 「……!? うどんが食べられるのですか!?」

理珠 「………………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

理珠 (……俄然やる気が湧いてきました!)


866以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:20:00hgNnmgHA (5/18)

………………関城家

紗和子 (明日はオリエンテーリングで登山……)

紗和子 (友達を作るためのイベントなんでしょうけど、私は……)

紗和子 (どうせ、中学のときと同じ。うまく友達なんか作れるわけもないし)

紗和子 (休みたい。休みたい、けど……)


―――― 『終わりました』

―――― 『おそらく全問合ってると思いますので 帰ってもいいですか』

―――― 『私 あの人と同じ高校に行く!』


紗和子 (……ひょっとしたら、あの子と友達になれるかもしれない)

紗和子 (なら……)

グッ

紗和子 「……行くしか、ないじゃない」


867以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:20:44hgNnmgHA (6/18)

………………オリエンテーリング当日 麓

先生 「じゃあ、今から本格的な登山道に入るぞー」

先生 「事前に伝えた通り、このオリエンテーリングは水の運び上げの奉仕活動も兼ねている」

先生 「各自、ここで最低2Lペットボトル一本以上は運び上げるように」

先生 「体調不良やケガ、その他不測の事態があった場合はすぐに教員に伝えること。以上だ」

先生 「では、楽しい登山にしよう。出発するぞ」

理珠 「………………」 (冗談でしょう?)

理珠 (駅からここまでのハイキングコースだけでもうヘトヘトだと言うのに……)

理珠 (この後に水を2Lも運ばなければならないなんて……)


―――― 『あそこの山頂で食べられる鍋焼きうどんは絶品だからぜひ食べておいで』


理珠 「っ……」 (でも、負けるわけにはいきません……!)

理珠 (鍋焼きうどんが待っているのですから!!!)


868以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:22:25hgNnmgHA (7/18)

………………

「でさー……」  「えーっ、わかるー!」  「……ねぇねぇ、メッセ交換しよ?」

紗和子 「………………」 (周囲では着々と仲良しグループができはじめている……)

紗和子 (そんな輪の中に、もちろん私が易々と入れるわけもない……)

グスッ

紗和子 (……やっぱり、こなければよかっ――――)


理珠 「――……んっ……んんんん……!!!」


紗和子 「あっ……」 (緒方理珠、さん……?)

紗和子 (顔を真っ赤にして、リュックを背負い直しているけど……)

紗和子 (ああ、ペットボトルを積んだのね。重そうだわ)

紗和子 (……っていうか、あの体格で2kgの重量増はきついんじゃ……)

紗和子 「………………」

紗和子 (……負けてられないわ。あの子があんなにがんばっているのだから)

紗和子 (私も、がんばらないと……!!)


869以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:23:08hgNnmgHA (8/18)

………………

理珠 「………………」

ゼェゼェゼェゼェ……

理珠 (つ、つらい、です……)

理珠 (リュックがとても重たいですし、山道は想像以上にデコボコです……)

理珠 (何度も何度もこけそうになって……――)

――――カツッ

理珠 「はうあっ……!!」

理珠 (あ、危ない……! またこけるところでした……!)


………………物陰

紗和子 (だ、大丈夫かしら、緒方理珠さん……) ハラハラハラ (こけて山道をころげ落ちたりしないかしら……)

紗和子 (本当に体力がないのね。心配で目が離せないわ……)


870以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:23:39hgNnmgHA (9/18)

………………

理珠 「………………」

クタァ……

理珠 (も、もう動けません……)

理珠 (少しの休憩のつもりが、もう足が動かない、です……)

理珠 (……でも)

理珠 (鍋焼きうどんの、ために……) スッ……

フラッ……

理珠 「あっ……」

ドシャアアアッ!!

理珠 「痛っ……」

理珠 (うぅ……足に全然力が入りませんでした……)

理珠 (とにかく、立ち上がらないと……ん? あれ……?)

ハッ

理珠 (め、めがねがない!?)


871以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:24:13hgNnmgHA (10/18)

………………物陰

紗和子 「あっ……」

紗和子 (緒方理珠さん、派手にこけてしまったわ……)

紗和子 (近くに先生はいないし、生徒の姿もないわ……)

紗和子 (ど、どどど、どうしたら……)

紗和子 「………………」

紗和子 (わ、私が……出て行っても、いいのかしら……?)

紗和子 (あの人の……緒方理珠さんに手を貸してあげても、いいのかしら……?)

紗和子 (できるのかしら。私に、そんなことが……)


―――― 『空気を読むとはどういうことですか?』

―――― 『できたのにできないフリをしろということですか? どうなのですか?』


ギリッ

紗和子 (……行かなきゃ)

紗和子 (あのとき背中を押してくれたあの人のために、行かなくちゃ……!)


872以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:24:53hgNnmgHA (11/18)

………………

理珠 (困りました……) ズーン (メガネが見当たりません)

理珠 (メガネがないと、鍋焼きうどんどころの話ではありません。下山もままならないですね……)

理珠 (さて、どうしたものか……――)

?? 「――これ、あなたのメガネでしょう?」

理珠 「へ……?」 (人……? クラスメイトでしょうか?)

理珠 (メガネがないから、顔も何も見えませんが……)

?? 「とりあえず、へたり込んだままじゃ何だから、立ち上がりなさい。ほら」

スッ

理珠 「あっ……ありがとうございます」

?? 「はい、メガネ」

理珠 「助かりました。これがないと何も見えないので……」

?? 「あっ、メガネをかけるのはちょっと待ってちょうだい」

?? 「まだ面と向かって話すのは恥ずかしいから……」

理珠 「……?」


873以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:25:30hgNnmgHA (12/18)

?? 「私は、実は、あなたのことを中学のときから知っているの」

?? 「……そして、私はあなたに、とても感謝しているの。だから……」


?? 「……あのとき、背中を押してくれて、ありがとう」


理珠 「……? すみません、顔も見えないので、あなたのことを思い出せないのですが……」

?? 「当然だわ。あなたは私のことを知らないでしょうから」

?? 「……それだけよ。時間を取らせて悪かったわね」

?? 「あと少しで頂上みたいだから、がんばりなさい」

理珠 「本当ですか!? ということは、あとすこしで鍋焼きうどんですね!!」

?? 「……ふふっ、あなたうどんが好きなのね。覚えておくわ」

理珠 「はい、家がうどん屋なのでうどんは大好きです。それから、この山の頂上の鍋焼きうどんも絶品だそうですよ?」

?? 「へぇ、そうなのね。じゃあ、私も後でいただこうかしら」

?? 「それじゃ、先に頂上で待っているわ。もうメガネをかけてもいいわよ」

理珠 「……?」 スッ 「あれ……?」

理珠 「誰もいない……?」


874以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:26:26hgNnmgHA (13/18)

理珠 (……一体、今の方はどなただったのでしょう?)

理珠 (一方的にお礼だけ言って去ってしまいましたが……)

理珠 (正直、改めてお礼を言いたいのはこちらなのですが……)

理珠 「………………」

ギュッ

理珠 (……温かい手と、温かい言葉)

クスッ

理珠 「……ヘンな人です。でも……」

理珠 「きっと、すごく良い人なんでしょうね」

………………

……………………

…………………………


875以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:26:56hgNnmgHA (14/18)

…………………………

……………………

………………現在

理珠 「………………」

紗和子 「………………」 ダラダラダラ……

理珠 「……関城さんだったんですね」

紗和子 「な、何の話かしら? 全然分からないわねー?」

理珠 「………………」 クスッ 「……今思い返してみれば、声もそっくりです。シルエットも」

理珠 「髪も今日みたいなお団子でしたね」

紗和子 「……し、知らないわっ」

紗和子 (……は、恥ずかしくて、今さら 『実は私でした』 なんて言えないわよ!)

理珠 「そうですか……」 クスッ 「じゃあ、これならいいですか?」

スッ

紗和子 「へ……? めがね、どうして外して……?」


876以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:27:41hgNnmgHA (15/18)

理珠 「今は何も見えません。目の前のあなたの顔も、見えません。だから、聞いてくれますよね?」


理珠 「……あの日、手を貸してくれてありがとうございました」


紗和子 「あっ……」

カァアアアア……

紗和子 「……どっ……どういたし、まして……」

理珠 「はい」

理珠 「……では、今日も手を貸してもらえますか?」

紗和子 「?」

理珠 「手、引いてください。疲れちゃいました」

紗和子 「っ……」 ボフッ 「しっ、仕方ないわね……!!///」

ギュッ

紗和子 (お、緒方理珠と、手を繋いでいる……///)

理珠 (……あのときと同じ、温かい手。私の想像通りでした)

理珠 (やっぱり、すごく良い人でした)


877以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:28:27hgNnmgHA (16/18)

理珠 (……あの日、この人が手を貸してくれたから、私は山頂のうどんを味わえました)

紗和子 (……あの時、この子が私の背中を押してくれたから、私は今ここにいられるわ)

理珠 (そして今も、私の手を引いてくれています)

紗和子 (今だって、あなたがいるから、私はこうやって笑うことができるのよ)

理珠&紗和子 ((だから……))

理珠 「……なっ、なんですか。関城さん。顔がニヤけてますよ?」

紗和子 「そういう緒方理珠こそ。ちょっと顔が赤いんじゃないかしら?」

紗和子 「ほら、あと1キロよ! あと1キロで念願のうどんよ!」

理珠 「自動車がないから諦めていたドライブインの激うまうどん……! 楽しみです!」

理珠 (……だから、これからもどうか、ずっと、友達でいてくださいね)

紗和子 (だから、これからも、この子の友達でいられたら、私は満足だわ)

おわり


878以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:29:12hgNnmgHA (17/18)

………………幕間 「問103の大判写真についての考察」

先生 「おお、緒方もしっかりと水を運んでくれたんだな。ご苦労ご苦労」

理珠 「……はい。がんばりました」 ズルズルズルズル……

先生 (すごい勢いで名物の鍋焼きうどんをすすっている……)

先生 「そうだ。緒方、あんまり写真に写ってなかっただろう?」

先生 「販売用の写真を撮るから、うどん食べながらでいいからこっちに目線をくれないか?」

理珠 「……わかりました」 ズルズルズル……

先生 「じゃあ、撮るぞー? 3,2,1……」

紗和子 「………………」 ピース

カシャッ

先生 「ん……?」 (奥の木立から突然女子生徒が現われてピースサインをしたが……)

先生 (……まぁ、いいか)

おわり


879以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 00:31:35hgNnmgHA (18/18)

>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

実は鍋割山の鍋焼きうどんネタは一度やりたかったのですが、
問103で遠足と覚しき写真が出てきたことで、勝手に頭の中ですべてが繋がりました。

久しぶりに気持ち良くお話が書けた気がしますが、ラブコメ漫画のSSだというのに
ラブコメのラの字もないのはどうかと思います。申し訳ないことです。

自分語りが長くなりました。
申し訳ないことです。

また投下します。


880以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 07:55:54G7mSOgZU (1/1)

乙やで


881以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 12:09:33tRAL6jPo (1/1)

やっぱり先輩なんだよなぁ


882以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/03(水) 21:20:54SfbK2b9Q (1/1)

おつ!


883以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 17:53:15MOT0E4vs (1/33)

>>1です。投下します。
>>715さんのお題です。ご期待に沿えているかどうか未知数ですが。

【ぼく勉】 真冬 「彼は教え子につき」


884以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 17:53:54MOT0E4vs (2/33)

………………週休日 水泳部 部室

うるか 「さー、今日は息抜きがてら、久々に泳ぐぞーっ!」

智波 「あはは、元気だねー、うるか」

あゆ子 「少しわけてもらいたいくらいだよ、まったく」

池田 「あ、先輩! こんにちは!」

池田 「今日は先輩たちも練習に参加してくれるんですか?」

うるか 「うん! 池田っちたちの邪魔にならないようにするからレーン貸してねっ」

池田 「邪魔だなんてそんな! 来てくれて嬉しいです!」

池田 「皆さんに久しぶりにフォーム見てもらいたいです!」

智波 「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいね」

あゆ子 「ほんとに可愛い後輩だなぁ、池田はー」

池田 「可愛いだなんて、そんな……っ」


885以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 17:54:25MOT0E4vs (3/33)

うるか 「あっ、そうだ。池田っち、これ貸してくれてありがとね」

池田 「あっ! 先輩、カレエゴ一巻読み終わったんですね!」

うるか 「めっちゃ面白かったよ! 続きが気になるよ~!」

あゆ子 「? なんだそれ? 漫画?」

うるか 「うん。池田っちが貸してくれたんだ。めっちゃ面白かったよ」

あゆ子 「池田ー? うるかはただでさえおバカなんだから、漫画なんか貸すんじゃないよ」

あゆ子 「せっかく最近まぁまぁになってきた英語がまたぱっぱらぱーになっちゃうだろ」

池田 「うっ……。たしかに、先輩たち受験生ですもんね……」

うるか 「ちょっと、川っち! ぱっぱらぱーってなにー!」

あゆ子 「そのまんまでしょうが。まったくもう……」

智波 「まぁ、息抜きも大事だよね。でも、続きは受験が終わったらにしたら?」

うるか 「うぅ……。海っちの正論が心に刺さるよぅ……」

池田 「あ……じゃあ、受験が終わったら、二巻以降も貸しますね!」

うるか 「うん! 早く借りられるようにがんばるね!」


886以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 17:54:59MOT0E4vs (4/33)

あゆ子 「そんなに面白いのか、その漫画……」

あゆ子 「………………」

コソッ

あゆ子 「なぁ、池田。それ、私が借りてもいいか?」

池田 「!? もちろんです! どうぞ!」

あゆ子 「ん、ありがとう。読ませてもらうな」

池田 「いえいえ、カレエゴファンが増えてすごく嬉しいですから!」

池田 (……あっ、そういえば、)


―――― 『とりあえず10巻まで……』


池田 (桐須先生、カレエゴ買ってたよね……)

池田 (ひょっとして、先生もカレエゴファンになってたりなんて……)

池田 「………………」

クスッ

池田 (まさか、そんなわけないよね)


887以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 17:55:53MOT0E4vs (5/33)

………………真冬の家

真冬 「………………」

バーン!!!

真冬 (……驚愕。まさか私の家に漫画本が並ぶことになるとは)

真冬 (結局最新刊まで買いそろえて読み込んでしまったわ……)

真冬 (まぁ、これは学校現場の物語なのだから、これからの仕事に役立たないこともないでしょう)

ペラッ……ペラッ……

真冬 (……中身は、荒唐無稽としか言いようのないようなシチュエーションばかりだけれど)

真冬 (でも、どこかリアリティを感じてしまうのは、私が似たような経験をしているからかしら)


―――― 『たいした傷じゃないですし もう……』

―――― 『だめよ! 化膿でもしたら……』


真冬 「っ……」


888以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 17:57:25MOT0E4vs (6/33)

真冬 (……まったく、本当に、)


―――― 『先生危ない!』

―――― ((ここで唯我君に受け止められてしまったら……))


真冬 (私は、彼の前だとどうしても、醜態ばかり晒してしまう……)


―――― 『先生 目つぶって……』

―――― 『だ……っ だだ だめよ唯我君……! 私とあなたは教師と生徒!!』

―――― 『でも……っ』


真冬 (……それが、この作品と重なることが多いのね)

真冬 (この作品の主人公、クリスも生徒の結人に助けられることが多いし……)

真冬 (……いえ、もちろん私はこんな生徒にときめくようなダメ教員ではないけれど)


889以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 17:58:29MOT0E4vs (7/33)

真冬 (でも、そんなダメなところばかりのクリスの働きかけで、結人はどんどん成長している……)

真冬 (……実際、これだけリアリティのある描写を描くためにかなりの取材をしたのではないかしら)
※真冬先生個人の感想です。

真冬 (だとすれば、この本を参考にすれば、生徒の教育の一助になる可能性もある……?)

真冬 「………………」

ピンポーン

真冬 (? 新聞の勧誘? それとも通販でも頼んでいたかしら?)

ガチャッ

成幸 「こんばんは、先生」

真冬 「あら、唯我くん。こんばんは。何か用かしら?」

成幸 「おでん作り過ぎちゃって。もしよかったらもらってくれませんか?

成幸 「あと、ついでに……」 ニコッ 「そろそろ掃除が必要かな、と」


890以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 17:59:11MOT0E4vs (8/33)

………………少し前 唯我家

葉月 「ねー兄ちゃん、遊んで遊んでー」

和樹 「遊んでー!」

成幸 「だー! 後で遊んであげるから、今は勉強させてくれー!」

葉月 「だってー! 母ちゃんも姉ちゃんもお台所で忙しそうなんだもん!」

和樹 「兄ちゃんが一番暇そうだもん!」

成幸 「ひどい言い草だなお前たち……」

水希 「こら、葉月、和樹。お兄ちゃんを困らせないの」

水希 「そろそろご飯だから居間においで。お兄ちゃんも、区切りがいいところで来てね」

成幸 「ああ、ちょうどいいから行くよ」

成幸 「……ん、今日の晩ご飯はおでんかな?」

水希 「うん! 大根練り物こんにゃくたまごも特売だったから、たくさんあるよ!」

成幸 「おお、そりゃ楽しみだ」


891以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 17:59:46MOT0E4vs (9/33)

花枝 「……とはいえ、」

ドーーーーーン!!!

花枝 「いくら何でも作りすぎたわね」

成幸 「お、おお……」 (大きめの鍋ふたつにおでんタネがてんこもりだ……)

葉月&和樹 「「山盛りおでんだー!!!」」 キラキラキラ……!!!

花枝 「この分じゃ、丸三日はおでんね。もちろんお弁当もおでんよ」

成幸 「そ、それはちょっときつそうだな……」

花枝 「ま、さすがにそれは冗談よ。あとでご近所さんにでもお裾分けするわ」

成幸 「ん……」 (お裾分け、か……)


―――― 『不覚……! 家にエプロンがないんだったわ……!!』

―――― 『不味…… 何かしらコレ 圧倒的に苦くて硬くてしょっぱいわ……』


成幸 (先生、またろくなもの食べてないだろうし、持って行ってあげようかな。ついでに掃除とか……)


892以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:00:27MOT0E4vs (10/33)

成幸 (……って、俺とは生徒と教師。あんまりこういうのはよくないよな)


 『それでは、次の特集です。テーマは「若者の孤独死」です』

 『近年、若くして孤独死をするひとり暮らしの若者が増えています』

 『中には、ゴミ屋敷のような部屋でゴミに埋もれて栄養失調で亡くなるようなケースもあるようです』


花枝 「……あら、暗い話題の特集ね。でも、うちとは縁遠い話ね、成幸」

成幸 「………………」

花枝 「……成幸?」

成幸 (……ま、まずい)

ダラダラダラ……

成幸 (桐須先生がそうなる未来が容易に想像できる……!)


893以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:01:56MOT0E4vs (11/33)

成幸 (やっぱり今日、様子見がてらおでんをお裾分けに行こう。ついでに掃除もしてあげよう……)

成幸 (でも俺も来年には高校を卒業するわけだし、いつまでも先生のお世話をできるわけじゃない)

成幸 (先生には、最低限の自活ができるようにしておいてもらわないと……)

成幸 (最悪、栄養失調で死ぬことはないとしても、入院なんてことはありえるもんな……)

成幸 「………………」

グッ

成幸 (よし! 決めた! 俺が卒業するまでの間に、先生に家事のノウハウをたたき込むぞ!)

成幸 (俺がいなくなっても、家事で困らないように!!)

成幸 (とりあえず今日は掃除からだな! よーし!)


894以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:02:46MOT0E4vs (12/33)

………………現在

成幸 「……まぁ、わかっていましたけど、こうなりますよね」

グッチャアアアァアアアア……

真冬 「……きれいな方だと思っていたのだけれど」

成幸 (先生の場合は、まずこの常人とかけ離れた感覚を矯正する必要があるな)

成幸 (よし。ここは心を鬼にして……)

成幸 「先生。失礼かもしれませんが、ひとつ言わせてください」

真冬 「い、いきなり何かしら?」

成幸 「これできれいと思えるその感覚は、どうにかしたほうがいいと思います」

真冬 「し、辛辣……。もう少し歯に衣着せてほしいわ……」 シュン

成幸 (あっ……し、しまった。今日は厳しく行こうと思ってたけど、さすがに言いすぎか……?)

成幸 (……いや、でも、このままじゃ先生がダメダメな大人になってしまう)

成幸 (最悪、ゴミに埋もれて栄養失調でしんでしまうかもしれない!!)

成幸 (ここは心を鬼にしなければ……!!)


895以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:03:38MOT0E4vs (13/33)

成幸 「先生だって言って聞かない生徒には言葉を厳しくしたりするでしょう?」

真冬 「それはそうだけど……」

成幸 「ほら、先生。晩ご飯の前にまず掃除ですよ。今日は先生にもしっかりやってもらいますからね」

ガサゴソガサゴソ……

真冬 (なんだか、今日は唯我くんが刺々しい気がするわ)

ハッ

真冬 (こ、これはカレエゴ5巻で、結人がクリスに反抗するシーンに似てる……!)

真冬 (言葉もどこか刺々しい気がするし、このままでは……)

真冬 (良い子で優しい唯我くんが不良になってしまうかもしれない……)


―――― 成幸 『勉強なんかやってられっかよー! やめだやめだー!』

―――― 成幸 『酒と煙草もってこーい!』


真冬 (なんてこと……!!)


896以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:06:05MOT0E4vs (14/33)

真冬 (だっ、だめよ! 良い子の彼がそんな風になるなんて、考えたくもないわ!)

ハッ

真冬 (そういえば、カレエゴでも……)


―――― クリス 『結人君、きみはどうしていつもそう……』

―――― 結人 『うるせーな。あんたには関係ないだろ』


真冬 (そんな風にクリスに心を開こうとしなかった結人に対して……)


―――― クリス 『彼が何を考えているのか分からない。でも、放っておくわけにも……』

―――― クリス 『彼の抱える孤独、悩み……すべて知りたい……』

―――― クリス 『そっか……。私の方から心を開かない限り、彼の心の中なんて分かるはずもないんだわ』

―――― クリス 『なら、彼が私に心を開いてくれるまで……私は彼に、心を開いて声をかけ続けるだけよ』


真冬 (クリスは彼を気にかけ続けた……)


897以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:07:08MOT0E4vs (15/33)

真冬 (そして……)

―――― クリス 『ダメよ! ケガをしているじゃない!』

―――― 結人 『だから、うるせーって言ってんだよ! あんたには関係ないだろ!』

―――― クリス 『関係なくなんてないわ! 私はあなたの先生だもの!』

―――― 結人 『先生……』


真冬 (結人はクリスのことを信頼するようになったのだったわね……)

真冬 「………………」

真冬 (……私にもできるかしら)

真冬 (クリスのように、素直に、生徒のために、心を開いて……)

成幸 「……?」 (先生、ボーッとしてどうしたんだろ?)


―――― 『これできれいと思えるその感覚は、どうにかしたほうがいいと思います』


成幸 (ひょっとして、さっき言い過ぎちゃったせいかな……。謝らないと)


898以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:07:48MOT0E4vs (16/33)

成幸 「あの、先生」

真冬 (大丈夫。私は教師だもの。できるはずよ)

真冬 (彼に道を誤らせてしまったら、“あの人” に申し訳が立たないわ)

真冬 (素直に。変に強がらず。見栄を張らず。虚飾を排して)

真冬 (できるかどうかじゃないわ。やらなければならないのよ。唯我くんのために!)

成幸 「先生?」

真冬 「………………」

ニコッ

真冬 「……あら? どうしたの、唯我くん?」

成幸 「……!?」 ビクッ

成幸 (なっ……何が起きているんだ、一体……)

真冬 「ん?」 ニコニコニコ

成幸 (あの “氷の女王” 桐須先生が、未だかつて見たことのないような笑顔を浮かべている!?)


899以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:09:08MOT0E4vs (17/33)

成幸 「あ……えっと、あの……」

真冬 「ふふ、変な唯我くん。一体どうしたというの?」

スッ

成幸 (うおっ!? ち、近っ!?)

成幸 「な……ななな、なんでもありません! 掃除を始めましょう!」

真冬 「あっ……」

真冬 (やはり、そうすぐにはいかないわね……)

真冬 (焦ってはダメね。ゆっくり、少しずつ進めていくことにしましょう)


900以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:09:56MOT0E4vs (18/33)

………………

成幸 「ということで、今日は掃除の基礎をひとつひとつ教えていきます」

真冬 「まぁ、本当に?」 ニコニコ 「助かるわ。ありがとう」

成幸 「っ……」 (調子狂うなぁ……)

真冬 (やっぱり様子が変ね。非行の前兆かしら……) ハラハラ

成幸 「まず、水回りをきれいに保つのは基本です。食器をため込むのをやめてください」

成幸 「キッチンを使ったらすぐに食器を洗う癖をつけてください」

真冬 (キッチンを使ったらすぐ……!? なかなか大変なことを言ってくれるわね……)

真冬 (忙しいとついつい洗い物をためてしまうのだけれど……)

成幸 (心を鬼にして心を鬼にして……) ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

真冬 (……そんなことを言える状況ではないわね。これも唯我くんのためよ、真冬)

真冬 「わかったわ。これからはそうするって、約束するわ」 ニコッ

成幸 (っ……) ドキッ (聞き分けがいいのは助かるけど……)

真冬 「では、早速食器を洗ってしまうわね」

成幸 (拗ねたような顔もしないし、まるでまともな大人みたいだぞ!? 一体どうしたんだ!?)


901以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:10:44MOT0E4vs (19/33)

………………トイレ

成幸 「次はトイレです! ここも汚れがちですから、少なくとも一月に一回は掃除しましょう!」

真冬 「分かったわ。掃除の仕方も教えてくれると助かるのだけど……」

成幸 「わ、分かりました。今から一緒に掃除しましょう」

真冬 「ありがとう。本当に助かるわ」

成幸 (桐須先生が自分から掃除を教えてくれと言い出すとは……)

………………浴室

成幸 「あー、もう。せっかくきれいなおフロにまたピンクカビが……」

真冬 「ごめんなさい……。水が流れていればきれいになると思ってしまって……」

成幸 「流れがあるうちはいいですけどね、残った水に汚れがつくんですよ」

成幸 「おフロの後に、軽くスポンジで水気を取るだけできれいが長続きしますよ」

真冬 (ちょっと……いえ、かなり面倒だけど……これも、唯我くんのため……)

真冬 「……こっ、これからはそうするわ。約束します」 ニコッ

成幸 (素直すぎて怖い……!!)


902以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:11:39MOT0E4vs (20/33)

………………リビング

成幸 「で、やっと部屋の掃除に入れるわけですが……」

グチャア……

成幸 「まず、掃除の基礎とかそういう話の前に、ゴミは定期的に出してください」

成幸 「うちの地区は週に二回は燃えるゴミの収集があるんですから、せめてどちらかだけでも出すようにしてください」

真冬 (ゴミ出し、ついつい面倒になってまた今度、また今度とため込んでしまうのだけど……)

真冬 (まったくもって唯我くんの言うとおりだわ。しっかりしないと……)

成幸 「それから、床に物を放置しないでください。それを徹底するだけで部屋は汚れませんよ」

真冬 (……床に物を放置しない!? そんな生活ができるの!?) ※できます

真冬 (うっ、でも……)

成幸 「………………」 ジーーーッ

真冬 「……わ、わかったわ。約束するわ。物はできるだけ床に置きません」

成幸 (できるだけ、っていうのが不安だけど……)

成幸 (素直に約束してくれてるんだから、信じてあげた方がいいよな)


903以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:12:21MOT0E4vs (21/33)

成幸 「それから、使った物はすぐに片付けるくせをつけましょう」

真冬 「わかったわ」

成幸 「週に一度は掃除機をかける癖をつけてください」

成幸 「そうすればホコリもたまらないし、物を片付ける癖もつきますから」

真冬 「……うっ、ぜ、善処するわ」

成幸 「……?」 (色々言いすぎたからかな。段々いつもの桐須先生っぽくなってきたな)

成幸 (よかった。一時は何が起きたのかってくらい別人だったけど)

成幸 (笑顔もいいけど、やっぱりいつもの桐須先生の方が落ち着くな) クスッ

真冬 「あっ……」 (唯我くん、やっと笑ってくれたわ)

真冬 (今日は妙に刺々しくて戸惑ったけど、『カレエゴ』 を参考にしたおかげで元の彼に戻ったみたいだわ)

成幸 「……さ、じゃあ、実際に片付けをやっていきましょう。今日は先生中心ですからね」

真冬 「わ、わかっているわ。しっかりとやってみせるわ」


904以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:13:07MOT0E4vs (22/33)

………………

成幸 「あらかた終わりましたね」

真冬 「ええ。いつも本当にありがとう。あなたのおかげで助かっているわ」

ニコッ

真冬 「今日あなたに教わったことをしっかりと実践していくように、がんばるわね」

成幸 「あ……は、はいっ」

成幸 (うぅ……。また笑顔だ……。今日の先生は妙に素直で、緊張するなぁ……)


―――― 『中には、ゴミ屋敷のような部屋でゴミに埋もれて栄養失調で亡くなるようなケースもあるようです』


成幸 (はっ! い、いかん! 緊張している場合じゃない! 厳しく、心を鬼にして……)

成幸 「で、でも、まだまだですからね! 先生は他の家事もダメダメなんですから!」

成幸 「掃除だけじゃなくて、家事全般、しっかりできるようになってもらいますからね!」

真冬 「………………」

成幸 「……あ」 ハッ (しまった。さすがに言いすぎだろうか……)

成幸 (これ、絶対怒られるやつだ……) ガタガタブルブル (とんでもなく失礼なことを言ってしまった)


905以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:13:42MOT0E4vs (23/33)

真冬 「………………」

真冬 (唯我くん、また刺々しい感じだわ……。やはりこれは、非行の兆候かしら……)

真冬 (唯我くんがどうして刺々しいのか、まったく分からないわ……) シュン


―――― 『なら、彼が私に心を開いてくれるまで……私は彼に、心を開いて声をかけ続けるだけよ』


真冬 (……そう。そうよね、クリス。私には、彼に心を開いて、接することしかできないわね)

成幸 「あ、あの、先生? す、すみません。さすがに言いすぎ……――」

真冬 「――……ごめんなさい。私、まだまだよね。いつも君に迷惑をかけてばかりだわ」

成幸 「!?」 (あ……あれだけ言ったのに!? 先生がむくれてもいない!?)

成幸 (それどころか、しおらしい顔をしている!?)

真冬 (素直に。本当に、思っていることを……)

真冬 「君がいなかったらどうしようもなかったことも、今まで何度もあったわね」

真冬 「虫が出たときとか、海でのこととか、美春のことだって……」

真冬 「今だって、こうやって私に掃除を教えてくれたし……」

真冬 「だから、本当に君には感謝しているのよ」


906以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:14:32MOT0E4vs (24/33)

成幸 (い、一体何が起きているんだ……)

真冬 (恥ずかしい、けど……)

真冬 (決して、嫌な気持ちではない……)

真冬 「……厚かましいお願いだとは思うけど、君がいいのなら、今後もよろしくお願いします」

真冬 「私に、色々と教えてくれると助かるわ」

真冬 (……そう。素直に。心の中で思っていることを、そのまま、)


真冬 「……これからも、ずっと。私のそばにいて、私が知らない色んなことを、教えて」


成幸 「っ……///」

成幸 「ず、ずっと、ですか……?」

成幸 (あっ……でも、そっか……)

成幸 (俺が、高校を卒業してもずっと先生のそばにいて、先生の代わりに家事をしてあげれば、全部解決じゃないか?)

ハッ

成幸 (い、いやいやいや……/// 何考えてるんだ、俺……)


907以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:15:12MOT0E4vs (25/33)

成幸 「だ、ダメですよ、先生。俺がずっと先生のそばにいられるわけじゃないんですから」

成幸 「先生が自分で家事を覚えないと……」

真冬 「ダメ……」 シュン 「そうよね。あなたは、私のそばにはいたくないわよね……」

真冬 「こんなダメダメな私なんかのそばには……」

成幸 (なんでそんな悲しそうな顔をするんだー!?)

成幸 「いや、そういう問題じゃなくて……っていうか、そもそも先生が嫌でしょう?」

成幸 「俺が、高校を卒業した後もずっと、先生の家にお邪魔することになるんですよ?」

真冬 「私は全然構わないわ。むしろ……それは、とても嬉しいと思うもの」

成幸 「っ……」

真冬 (素直に……素直に……)

真冬 「あなたみたいな素敵な男の子に助けてもらえるって、とても幸せなことだと思うの」

成幸 「あっ……/// い、いや、俺は……その……」

成幸 (な、なんだ? 今日の桐須先生はやっぱりヘンだぞ? で、でも……)

成幸 「……お、俺は……俺も……――――」

――――prrrrrr!!!!!


908以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:15:57MOT0E4vs (26/33)

成幸&真冬 「「!?」」 ビクッ

成幸 「あっ……で、電話……。すみません、出ます……」 ピッ

成幸 「もしもし? 水希? あ、ああ、もう帰るよ」

成幸 「ごめんごめん、ちょっと話し込んじゃってさ……。すぐ帰るよ」

成幸 「……ん、悪かったって。じゃ、切るな」 ピッ

成幸 「……すみません」

真冬 「……べつに」

成幸 「………………」 (……改めて冷静になると、)

真冬 「………………」 (なっ、何を……)


―――― 『あなたみたいな素敵な男の子に助けてもらえるって、とても幸せなことだと思うの』

―――― 『……お、俺は……俺も……――――』


真冬 (一体何を口走っていたのかしら私はーーーー!?)

成幸 (一体何を口走ろうとしていたんだ俺はーーーー!?)


909以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:16:43MOT0E4vs (27/33)

………………

成幸 「な、なるほど。俺が刺々しいからグレたのかと思って……」

成幸 「それで、優しくすれば元の俺に戻るのかと思った、と?」

真冬 「あなたは、私がゴミに埋もれて孤独死を遂げるのではないかと心配になり……」

真冬 「私に家事を習慣づけさせるために厳しく接した、と……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

真冬 「へぇ……なるほどね……?」

成幸 (あ、完全にいつもの桐須先生だ)

成幸 「失礼なことを考えてしまったのは、本当にすみません。でも……」

成幸 「心配だったんです……」

真冬 「……はぁ。分かっているわよ、そんなこと」

真冬 「あなたが善意しか持ち合わせていないことなんて、ずっと前から知っていますからね」

真冬 「私の普段の生活が、あなたにそれを想起させるに足るだけのものだということでしょう?」

真冬 「それは私の責任だわ」


910以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:17:31MOT0E4vs (28/33)

真冬 「ごめんなさい、受験生に無為に時間を使わせてしまったわね」

真冬 「さっきの電話、ご家族からでしょう? もう遅いし、早く帰りなさい」

成幸 「そうですね。そうします。長々と居座ってしまってごめんなさい」

真冬 「私の部屋の掃除に付き合わせてしまったのだから、謝る必要はないわ。ありがとう」

成幸 「あっ……」 クスッ 「ふふ……」

真冬 「? 何か可笑しなことを言ったかしら?」

成幸 「あ、すみません。そうじゃなくて……」

成幸 「さっきの先生を思い出してしまって、つい……」

真冬 「っ……」 カァアアアア…… 「わ、忘れなさい。あんな姿……」

成幸 「でも、お世辞って分かってても嬉しかったですよ? 先生が褒めてくれて、俺はとても」

真冬 「……べつに、お世辞ではないわ。全部本心よ」

真冬 「普段なら絶対に言わないけれど、君に助けられているのは事実ですからね」

成幸 「えっ……」 ボフッ 「あっ……そ、そうですか……///」

真冬 「?」


911以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:18:52MOT0E4vs (29/33)

成幸 (全部、本心……? ってことは……)


―――― 『……厚かましいお願いだとは思うけど、君がいいのなら、今後もよろしくお願いします』

―――― 『……これからも、ずっと。私のそばにいて、私が知らない色んなことを、教えて』

―――― 『そうよね。あなたは、私のそばにはいたくないわよね……』

―――― 『私は全然構わないわ。むしろ……それは、とても嬉しいと思うもの』


成幸 (あれも、本心ってことか……?)

成幸 (“ずっと私のそばにいて” って言葉も……?)

成幸 (い、いやいや、そんなわけない。あれはさすがに、本心じゃないはずだ)

成幸 (……それに、俺も人のことは言えないよな。だって、)

真冬 「?」


―――― ((俺が、高校を卒業してもずっと先生のそばにいて、先生の代わりに家事をしてあげれば、全部解決じゃないか?))


成幸 (……それもアリかな、なんて思っているんだから)

おわり


912以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:19:47MOT0E4vs (30/33)

………………幕間1 「彼女は妹につき」

水希 「………………」 (お兄ちゃん、帰ってくるの遅いなぁ……)

ピキューン!!!!

水希 「はっ!? お兄ちゃんが大人の女性にプロポーズされた気がする!?」

葉月 「和樹」

和樹 「ほいさ」


913以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:20:22MOT0E4vs (31/33)

………………幕間2 「彼女はミーハーにつき」

池田 (川瀬先輩、『カレエゴ』 気に入ってくれたかな……)

池田 (まぁ、先輩も受験生で忙しいだろうし、まだ読んでないかな)

あゆ子 「あ、いたいた。池田ー!」

池田 「川瀬先輩……?」

あゆ子 「これ面白かったよ! 二巻貸してくれ! 頼む!」

池田 「もう読んだんですか!?」

池田 (……まぁ、川瀬先輩結構ミーハーなところあるからなぁ)


914以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:20:59MOT0E4vs (32/33)

………………幕間3 「彼は律儀につき」

成幸 (……いや、でもよくよく考えてみたら、)

うるか 「ん? どったの、成幸?」 ←勉強と部活の頑張りすぎでぶっ倒れた奴

理珠 「成幸さん?」 ←うどんばっかり食べていて将来生活習慣病になりそうな奴

文乃 (成幸くんまたろくでもないこと考えてるね) ←超料理下手で食べるの大好きな奴

成幸 「………………」

成幸 (……桐須先生に限らず、こいつら全員のマネジメントをする必要があるな)

おわり


915以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 18:22:09MOT0E4vs (33/33)

>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

要素を増やしすぎて話がとっちらかってしまった気がします。
ツギハギのあとが見えてしまうかもしれません。
申し訳ないことです。

また投下します。


916以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 20:25:03G2BsidGg (1/1)

おつです。
リクエストの話、ありがとうございました!。
先生からのプロポーズもありだな!


917以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/04(木) 20:41:308RN6x6aE (1/1)

乙です


918以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/05(金) 00:00:26kmfpT3V. (1/1)

相変わらず早えわ


919以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/05(金) 12:58:53F2hru5As (1/1)

>>824
このssすき


920以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 01:48:46to7lUyVg (1/1)

先生ぐうかわ


921以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:11:060O24lWYM (1/47)

>>1です。投下します。


【ぼく勉】 あすみ 「キスは催眠術の後で」


922以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:12:100O24lWYM (2/47)

………………

あすみ 「はー……」 ノビー

あすみ (今日は捗ったな……。我ながらがんばったぞ)

あすみ (この前の模試の結果もなかなかだし、最近調子いいぞ。にしし……)

あすみ (この調子で、国立医学部確実に合格してやるからな、見てろよ親父)

あすみ 「………………」

あすみ (……もし、もしも)

あすみ (合格できたら……いや、できなくても、)

あすみ (後輩に、なんかお礼してやらないとな)

あすみ (そんときは、もっと素直に、しっかりとお礼を言わないとな……)

グゥゥ……

あすみ 「ん……しかし腹減ったな」

あすみ 「……寒いし、なんか温かいモンでも食ってから帰るか」


923以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:14:250O24lWYM (3/47)

………………緒方うどん

理珠 「……まったく、私には理解できないことです」

成幸 「いや、うん。まぁ、気持ちは分かるけどさ」

成幸 「そうやって意固地になってると、心情理解なんかできないぞ?」

理珠 「この物語はできなくていい気がします……」

理珠 「なぜこの少女は、意中の相手をからかって遊ぶのです?」

理珠 「その心情が理解できるのですか、成幸さんは」

成幸 「……うん。緒方の気持ちはわかるぞ? でも、そうじゃなくてだな……」

理珠 「恋愛とは、相手をからかって遊ぶのが主目的なのでしょうか……」

理珠 「好きなら好きとはっきり言うべきです。相手をからかっていたら、嫌われてしまうと思います」

成幸 (まずい。緒方の思考が受験勉強とはかけ離れたところに行きつつある……)

成幸 (どうしたものか……) ハァ

理珠 「……!?」

理珠 (成幸さんがため息を……!? まさかまた、何か、進路について悩み事が……?)

理珠 (こういうときはやはり……) スッ


924以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:15:040O24lWYM (4/47)

成幸 「……おい、緒方。それは何だ?」

理珠 「? それ、とは何ですか?」

成幸 「五円玉を糸で吊したそれだよ」

理珠 「成幸さんは何も気にしなくていいんです。ただ、この五円玉を見つめていてもらえれば」 フンスフンス

成幸 「鼻息荒くソレを構えるな! やめろ! ぶらぶら揺らすんじゃない!」

理珠 「む……」

ブスゥ

理珠 「なぜ邪魔をするのですか。私は成幸さんのためを思ってしているというのに」

成幸 「俺のためを思ってなぜ俺に催眠術をかけようとするんだ!?」

ガラッ

あすみ 「こんちゃーす。緒方いるかー?」

あすみ 「……って、何してんだお前ら?」

成幸 「あ、先輩……」


925以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:16:000O24lWYM (5/47)

………………

あすみ 「……はぁ? 催眠術だぁ?」 ズルズルズル……

成幸 「はい。実は以前、緒方の催眠術にかかってすごいことになりまして……」


―――― 『ええと…… 私が頭をなでると あなたはだんだん心地よくなって どんどん私に甘えたくなっていきます』

―――― 『よしよしよしよしよしよし いい子いい子です』 ぼたゅん

―――― 『今 ものすごく…… 成幸さんに甘えたい…… です』

―――― 『ひざまくらしてください』 『いい子いい子してください』 『あーんしてください』

―――― 『名前で呼んでください』


理珠 「はうっ……///」

成幸 「っ……///」

あすみ 「……あん? すごいことってなんだ?」

成幸 「い、いや、それは、その、大したことじゃ……」

あすみ 「ふーん。でも眉唾だなぁ。催眠術なんてそう簡単にかかるもんじゃねーぞ?」

理珠 「む……」 プクゥ 「疑われるとは心外です」


926以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:18:030O24lWYM (6/47)

あすみ 「そう怒るなよ。こちとら医学部目指してがんばってるんだ」

あすみ 「医学界でも精神療法で催眠術を用いる場面はままあるが、テレビみたいな催眠術ってのはなぁ……」

理珠 「………………」 スッ

成幸 「緒方? おい、緒方? 五円玉を構えてどうするつもりだ!?」

理珠 「先輩。なら、試しにやってみますか?」

あすみ 「お、面白そうじゃん。アタシはそんなの絶対かかんねーからな」

理珠 「わかりました……。じゃあ、やらせてもらいます」

成幸 「いや、まずいですって先輩。本当に、絶対ろくでもないことに……」

あすみ 「何心配してんだ後輩。アタシが催眠術なんかにかかるように見えるかよ」

成幸 「……んー、まぁ確かに、先輩が催眠術にかかってる姿は想像できないですね」

あすみ 「だろ?」

成幸 (……ま、先輩のことだし。大丈夫だろう。俺は絶対あの五円玉を見ないようにしないと)

理珠 「では、始めます。小美浪先輩。五円玉をよく見つめてください」

あすみ 「はいはい、っと……」


927以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:18:410O24lWYM (7/47)

理珠 (さて、どういう暗示をかけましょうかね。以前成幸さんには “甘える” という暗示をかけましたが……)


―――― 『なぜこの少女は、意中の相手をからかって遊ぶのです?』


理珠 (そういえば、小美浪先輩もよく成幸さんをからかって遊んでいますね)

理珠 (……小美浪先輩はややあまのじゃくですからね。“素直になる” という暗示はどうでしょうか)

理珠 「小美浪あすみさん」

あすみ 「はいよー」

理珠 「あなたは、この五円玉を見つめていると、だんだんとボーッと心地よい気分になっていきます」

あすみ 「ふんふん」

理珠 「そして、あなたはだんだんと、意識が遠のいていきます」

理珠 「次に目が覚めたとき、あなたはとても素直になっています」

あすみ 「……ふーん」

理珠 「心地よくなってきましたね。意識が浮かんでいきます。少しずつ、身体が浮かぶような気持ちで……」

あすみ 「………………」

………………


928以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:19:360O24lWYM (8/47)

………………

あすみ 「………………」 ポーーーーー

成幸 「………………」

成幸 (……ほんとにかかっちゃったじゃないかー!)

理珠 「ふふふ、成功です。やはり私の催眠術の腕は確かなようですね!」

成幸 「言ってる場合か! どうするんだよ、これ!」

理珠 「安心してください。ちゃんと解き方も勉強してありますから」 ドヤッ

理珠 「……まぁ、その前に一度目覚めてもらわないといけないですね」

パン!!!

あすみ 「んっ……あれ、アタシ……」

成幸 「あ、先輩、どうですか? 気分は悪くないですか?」

あすみ 「こう、はい……?」

ギュッ

あすみ 「後輩だぁーっ♪」

成幸&理珠 「「!?」」


929以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:20:310O24lWYM (9/47)

あすみ 「えへへっ、こうはいっ、こうはいっ」 ムギューーーッ

成幸 「先輩!? な、なんでくっつくんですか!?」

あすみ 「何でって、そんなの決まってるだろー?」

あすみ 「後輩にぃ、くっつきたいからだー!」 ムギュムギュムギュッ

成幸 「っ……///」 (せ、先輩の……色々なブブンが、めっちゃ当たって……///)

理珠 「むぅ……」 プクゥ 「……随分と嬉しそうですね、成幸さん?」

成幸 「何でお前が怒ってんだ!? いいから早く催眠を解いてくれよ!」

理珠 「あっ、そ、そうですね」 オホン 「では、小美浪先輩、こっちを向いてください」

あすみ 「やっ」 プイッ

理珠 「……いや、“やっ” ではなく……」

あすみ 「やっ!」 プイプイッ 「後輩をたぶらかすGカップは、やっ!」

理珠 「じ、Gカップって……! 私が胸だけみたいなこと言うのはやめてください!」

あすみ 「やーん、Gカップが怒った。こうはーい、怖いよー」 ムギュゥッ

成幸 (ほぼ抱きつかれてるような姿勢になってるぞ!?)


930以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:21:340O24lWYM (10/47)

理珠 「むぅ……」

理珠 「いいから、こっちを向いてください! いい子ですから!」

あすみ 「アタシいい子じゃないしー」 プイッ

理珠 「ムキー!!」

理珠 「………………」

成幸 「……お、おい、緒方?」

理珠 「……先輩がこっちを向いてくれない限り、私にはどうすることもできません」

成幸 「へ?」

あすみ 「……えへへ、こうはーい♪」

理珠 「まぁ、催眠術は数時間で解けますから」 ムスッ

理珠 「先輩は、成幸さんが責任を持ってお家に届けてあげてください」 ムスムスッ

成幸 「ちょっと待て! 本当に何でお前が怒ってるんだ!?」


931以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:22:230O24lWYM (11/47)

………………帰路

あすみ 「わーい、後輩のおんぶーっ♪ ラクチン~!」

成幸 「わ、わかりましたから、あんまり騒がないでください、先輩」 フラフラフラ……

成幸 (いつもの先輩からは想像できない姿だ……)

あすみ 「えへー、ありがとなー、こうはいっ!」

ハムッ

成幸 「はうあっ!?」 ビクッ

成幸 「みっ、耳をはみはみしないでください……! あっ……ダメですって!」

あすみ 「お礼なのに……」 シューン

成幸 (こ、このままじゃ身が保たない……。早く家に送り届けないと……)


932以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:23:100O24lWYM (12/47)

………………小美浪家

成幸 「ごめんくださーい! 小美浪さん、いらっしゃいますかー?」

シーーーン

成幸 「あれ……?」

成幸 「先輩、お父さんは……?」

あすみ 「親父? 親父は今日は往診なんだ」

成幸 「……ってことは、家にはいないんですか?」

あすみ 「ん! だからふたりっきりだぜ、成くん?」 ムギュッ

成幸 「……!? な、成くんって……」

あすみ 「えへへー、今考えたんだ! ほら、アタシたち恋人同士だろ?」

成幸 「えっ」

あすみ 「なのにいつまでも先輩後輩呼びは変だろ。だから、成くん」

成幸 「い、いやいやいや、恋人同士って、それはあくまでお父さんを誤魔化すためのフリで……」

あすみ 「………………」 ウルッ

成幸 「!?」


933以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:24:010O24lWYM (13/47)

あすみ 「……成くんは、アタシが恋人じゃ、イヤってことか?」 ウルウルウル

成幸 「えっ!? いや、そういう問題じゃ……っていうか、何で泣きそうになってるんです!?」

成幸 (っていうか、これが素直な先輩って……) ボフッ (これじゃまるで、先輩が俺のこと好きみたいじゃないか……)

成幸 (いや、いやいや……いくらなんでもそれは自意識過剰すぎるな)

成幸 (先輩はきっと、俺への感謝の気持ちを “素直に” 表現してるだけだ。うん。絶対そうだ……)

あすみ 「だって……だってぇ……」 ブワッ 「成くんにフラれる~~~~!!!」

成幸 「わーー! 泣き出さないでください! ごめんなさい! 俺が悪かったですから!」

成幸 「嫌じゃないです! 先輩の恋人になれてすごく嬉しいですから!」

あすみ 「………………」 ピタッ 「……えへ~」 ニコッ

成幸 (めっちゃすぐ泣き止んだ。このあたりはいつもの先輩と一緒だ……)

あすみ 「じゃあ、成くんは、アタシのことなんて呼んでくれるんだ?」

成幸 「え……!? えっと……あー……」

成幸 (……いつもの先輩に知られたらめちゃくちゃ怒られそうだけど)

成幸 (また泣かせるわけにもいかないし……)


934以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:24:400O24lWYM (14/47)

成幸 「あっ……」 カァアアアア…… 「“あーちゃん” ……とか?」

あすみ 「………………」

成幸 (……し、しまった。気に入らなかったか?)

ニヘラ

あすみ 「……えへっ。すごくいい。ね、呼んでみてくれよ、成くん」

成幸 「あ、はい……。えっと……あーちゃん?」

あすみ 「うん。成くん。えへへ……」 ギュッ

成幸 「……っ///」 (うー、恥ずかしい、けど……)

あすみ 「?」

成幸 (やっぱり素直な先輩はめちゃくちゃ可愛い……)

ハッ

成幸 (って、何考えてんだ俺は! 催眠術にかかってる相手にそんな……)

あすみ 「ほら、成くん! アタシの部屋行って勉強しよ!」 ギュッ

成幸 「わっ、せ、先輩……じゃなくて、あーちゃん! 引っ張らないでくださいよー!」


935以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:26:050O24lWYM (15/47)

………………あすみの部屋

あすみ 「………………」

成幸 「………………」

カリカリカリ……

成幸 (ほっ。幸い、部屋についた途端、勉強モードに入ってくれた)

成幸 (先輩は根がまじめだもんな。“勉強したい” って気持ちも素直のうちなんだろ)

あすみ 「ねー、成くん。一問解けた! 解けたよ!」

成幸 「あ、はい。よくできましたね」

ナデナデナデ

あすみ 「えへへー♪」

成幸 (……まぁ、問題を解くたびに色々と要求されるけど、これくらいで済むならいいよな)

あすみ 「次の問題解けたらひざまくらしてくれるか?」

成幸 「……いや、それじゃ勉強できないじゃないですか」

あすみ 「……だめ?」 ウルウルウル

成幸 (こうやって感情に揺さぶりをかけてくるあたりはいつもの先輩と一緒だ……)


936以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:26:450O24lWYM (16/47)

成幸 「……じゃあ、一分だけですよ?」

あすみ 「! わかった!」

成幸 (……うん。まぁ、これくらいで済んで僥倖と言うべきだろう)

成幸 (緒方のときは最終的に永久機関ができあがったからな……)

成幸 (……いかんいかん。俺も勉強に集中しないと)

あすみ 「………………」

カリカリカリカリカリカリカリ……

あすみ 「……できた!」

あすみ 「えーい!」 ゴローン

成幸 「わっ……ととと……」

成幸 「もう、あーちゃん? いきなり寝転んでこないでくださいよ」

あすみ 「だって早く成くんに膝枕してもらいたかったんだもん!」

成幸 「まったく……。一分だけですからね?」

あすみ 「はーい」


937以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:27:310O24lWYM (17/47)

成幸 「………………」

カリカリカリ……

あすみ 「………………」 (……真剣な顔して勉強してる成くん、かっこいいなぁ)

あすみ (こんないい人の恋人になれて、アタシは幸せ者だなぁ……)

あすみ (……もっと、成くんと距離を縮めたいな)

成幸 「……ん。そろそろ一分ですよ、先輩。勉強を再開してください」

あすみ 「……んー、もうちょっとー!」

成幸 「約束を破るのはダメですよ。ほら、起き上がってください」 スッ……

あすみ 「はうっ……!?」

成幸 「あっ……///」

成幸 「す、すみません。先輩を起こそうと思ったけど、近づきすぎました……」

あすみ (きっ……) ボフッ (キスされるかと思った……///)

あすみ (……ん、キス?)

あすみ (キス……かぁ)


938以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:28:100O24lWYM (18/47)

成幸 「? あーちゃん?」

あすみ 「……ねえ、成くん。今から小テストやるから、終わったら採点お願いしてもいい?」

成幸 「もちろんです。がんばってくださいね、先輩」

あすみ 「………………」 ジーーーッ

成幸 「あっ……。あーちゃん……」

あすみ 「……うん!」 パァアアアアアア……!!

あすみ 「ねえねえ成くん。もうひとつお願いがあるんだけど、」

成幸 「何です?」

あすみ 「この小テスト、満点取れたらゴホービちょうだい?」

成幸 「ご褒美? また膝枕ですか?」

あすみ 「ううん。今度は……その……、……ゥ、して、ほしい……」

成幸 「?」

あすみ 「……だから……チューして、ほしい」

成幸 「へ……?」

成幸 「……い、いやいやいや! それはさすがにまずいでしょう!?」


939以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:29:040O24lWYM (19/47)

あすみ 「まずいって、どうして?」

成幸 「いや、だって、あーちゃんはいま、催眠術にかかって……」

あすみ 「催眠術にかかってると、チューしちゃいけないのか?」

成幸 「そ、そりゃそうですよ。前後不覚の女性に、そんなこと……」

あすみ 「……むぅ。そんなにアタシとチューするのイヤかよ」

成幸 「むくれてもダメですよ。さすがに、こればっかりは……」

あすみ 「……イヤなんだ」

成幸 「嫌とかそういう問題じゃなくて……」

あすみ 「成くんがイヤじゃないならいいだろ? アタシがしたいって言ってるんだぞ?」

成幸 「………………」

ハァ

成幸 「……分かりました。満点取れたらですからね」

あすみ 「!」 パァアアアアアア……!!! 「うん、がんばる!」

成幸 (……まぁ、大丈夫だろ。先輩がいまやってる問題集、かなり難しいやつだし)


940以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:29:500O24lWYM (20/47)

………………

成幸 「……!?」 (ま、満点……!?)

あすみ 「よっしゃー! 全問正解!」

成幸 「す、すごい。先輩、着実に基礎が身についてるってことですよ!」

成幸 「国立医学部、かなり現実味を帯びてきたんじゃないですか!?」

あすみ 「えへへ。ありがとな、後輩」

あすみ 「……ってことで、ゴホービ、だよな?」

成幸 「あっ……」 (わ、忘れてた……)

成幸 「いや、えっと、その……」 テヘッ 「ご褒美って何でしたっけ?」

あすみ 「あん? それでごまかせると思ってるのか、お前は?」

成幸 「……ですよね」

成幸 「いや、でも、やっぱりキスは……」

あすみ 「………………」 プクゥ 「……やっぱり、アタシとキスすんのイヤなだけじゃねーか」

成幸 「そうは言ってないですけど……」


941以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:30:260O24lWYM (21/47)

あすみ 「ならいいじゃねーか」

スッ……

成幸 「あ、あーちゃん……」

成幸 (目を閉じて、唇を尖らせて……これって……)

成幸 (俺のキスを、待ってるってこと、だよな……)

ドキドキドキドキ……

成幸 (キス……)

成幸 「………………」 グッ 「……先輩」

あすみ 「こう、はい……?」


成幸 「――……やっぱり、ダメです」


あすみ 「……っ」 プイッ 「そんなに、イヤかよ。アタシとキスするの……」

成幸 「違います。いま、先輩は催眠術にかかってるんです。だから、そんな先輩にキスをするのは、卑怯なんです」

成幸 「だから、ダメなんです。分かってください。先輩……いや、あーちゃん」

あすみ 「………………」


942以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:30:590O24lWYM (22/47)

あすみ 「……なぁ、こうは――成くん?」

あすみ 「でも、さっき言ってたよな? 約束を破るのはダメだって」

成幸 「ん……」


―――― 『約束を破るのはダメですよ。ほら、起き上がってください』


成幸 「まぁ、確かに言いましたけど……」

成幸 「でも、やっぱり……」

あすみ 「……それに、さっきの言い回しだと、アタシの催眠術が解けたら、チューしてもいいってことだな?」

成幸 「へ? いや、そういうことじゃ……なくは、ないのかな?」

成幸 「で、でも、催眠術が解けたら、そもそも先輩はべつに俺とキスなんか……――」

――ギュッ……スッ……

成幸 「へ……――」


――――――チュッ……


成幸 「……!?」


943以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:31:460O24lWYM (23/47)

あすみ 「………………」

成幸 「………………」

ッ……

あすみ 「……約束は、約束だからな。恨むなよ」

成幸 「……は? えっ? いや……えっ」

あすみ 「……お茶でもいれてくる」

トトトト……バタン

成幸 「………………」

カァアアアア……

成幸 「い、いま……き、キス……? 口に? えっ? ええっ!?」

成幸 (い、いやいやいやいやいやいやいや、お、おおおお落ち着け、俺)

成幸 (先輩は、催眠術にかかってたんだ。だから、べつに、他意はなくて、そんな大したことじゃ……)

成幸 「………………」

成幸 (……大したことじゃないわけあるかーーーー!!!)

成幸 (せ、先輩にどんな顔して会えばいいんだ? ど、どど、どうしたら……///)


944以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:32:350O24lWYM (24/47)

………………ドアの外

あすみ 「………………」

スッ……

あすみ (……チューって、結構ドキドキするもんなんだな)

あすみ (唇が熱い……気がする)


―――― 『……それに、さっきの言い回しだと、アタシの催眠術が解けたら、チューしてもいいってことだな?』

―――― 『へ? いや、そういうことじゃ……なくは、ないのかな?』


あすみ 「……おまえが悪いんだぞ、後輩」

ドキドキドキドキ……

あすみ 「催眠術が解けているなら、キスしてもいいって、言ったのはお前なんだから」

おわり


945以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:35:280O24lWYM (25/47)

………………幕間1 「あきらめた」

水希 「………………」

ピキューン!!!

水希 「お兄ちゃんがまた女とキスした気がする!!」

花枝 「………………」

和樹 「? 母ちゃん何か言わないの?」

花枝 「もうあきらめたわ」


946以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:36:060O24lWYM (26/47)

………………幕間2 「また」

文乃 「また相談したいことがあるって……何かあったの?」

クスッ

文乃 (……なんて、どうせりっちゃんかうるかちゃんのことだろうけど)

成幸 「……うん。実は、これはあくまで友達の話なんだけど……」

文乃 「うんうん」

成幸 「その友達が、知り合いの女の先輩とキスしちゃってさ……」

文乃 「うんう――うん?」

成幸 「……どうしたらいいかな?」

文乃 「………………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

成幸 「……? 古橋?」

文乃 (この男……)

文乃 (またゆきずりの女とフラグを……!!!)

おわり


947以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 15:36:530O24lWYM (27/47)

>>1です。読んでくださった方、ありがとうございました。

このスレにあと一つくらい投下できると思います。
また投下します。


948以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 19:04:08gGGRcViI (1/1)

先輩の話甘いわ
それがいいんだけどな!!


949以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:44:580O24lWYM (28/47)

>>1です。投下します。

【ぼく勉】 成幸 「結局あの後、緒方の家に泊まることになってさ」 文乃 「ちょっと待って」


950以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:45:420O24lWYM (29/47)

………………問36後 夜 ラーメンうめえん

ズルズルズル……

うるか 「んーっ! やっぱりこの時間のラーメンは最高だね、文乃っち」

文乃 「ほんとだねぇ……」 ズルズルズル……

文乃 (うぅ……また太っちゃう……)

文乃 (でも美味しいよぅ……)

文乃 「あ、すみません。替え玉お願いします」

店員 「かしこまりましたー!」

文乃 (ああもう、太っちゃうなぁ……困るなぁ……)

うるか 「でも、リズりんほんとにダイジョーブだったの?」

文乃 「えっ……あ、う、うん。大丈夫。問題なかったよ」


951以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:46:120O24lWYM (30/47)

うるか 「ふーん、そっか。“タスケテ” なんてメール送ってきたから心配しちゃったね」

文乃 「あはは……」


―――― [えっと唯我君…… これは一体全体どういうことなのか 説明してくれるかなこの野郎]

―――― [ち 違う! これはかくかくしかじかで……]

―――― [ホラー映画? ああ…… たしかにりっちゃん苦手だもんねぇ……]

―――― [………… ドサクサに紛れて変なこと……してないよね……?]

―――― [しっ してません!! 神に誓って!!]

―――― [……もう しょうがないなぁ…… これは貸しにしておくからね!]


文乃 (……まぁ、唯我くんのことだから全部本当のことだろうし、大丈夫だよね)

文乃 「そんなことより、夜はこれからだよ、うるかちゃん」 ズルズルズル……

うるか 「? 夜はこれから?」

文乃 「あ、すみません! チャーハン大盛り追加お願いします!」

店員 「かしこまりましたー!」

うるか 「ほへー、たくさん食べるねぇ、文乃っち。よーし、あたしも負けないよー!」


952以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:46:540O24lWYM (31/47)

………………翌日 夏期講習 昼休み

文乃 「うぅ……」

ボロボロ

文乃 「今日の講習も散々だったよ。進むのが早いよぅ……」

成幸 「まぁ、しょうがない。寝なかっただけ偉いぞ、古橋」

成幸 「さて、じゃあ今日の範囲の復習からだな。お昼食べながらやるぞ」

文乃 「はーい……」

ジーーーッ

文乃 (……特に何も言ってこないから、わたしの方から聞くのもはばかられるけど)

文乃 (昨日は結局、あの後どうなったんだろう)


953以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:47:330O24lWYM (32/47)

文乃 (りっちゃんのことだから一晩中怖かっただろうし、ヘタしたら唯我くんにずっとそばにいてもらったりして……)

クスッ

文乃 (……なんて、そんなわけないか。唯我くんは紳士だし、りっちゃんもその辺はわきまえてるもんね)

成幸 「あ、そういやさ、昨日の話だけど、」

文乃 「うん? あの後のこと?」

成幸 「うん。まったく、ひどい目にあったよ」



成幸 「結局あの後、緒方の家に泊まることになってさ」



文乃 「ちょっと待って」


954以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:48:330O24lWYM (33/47)

成幸 「? どうかしたか?」

文乃 「いや、“どうかしたか?” じゃないよ!?」

文乃 「何 “コンビニ行ってきた” みたいな軽い感じでとんでもないこと言ってるの!?」

文乃 「泊まったの!? りっちゃん家に!?」

成幸 「いや、まぁ……泊まったって言っても一晩中起きてたし……」

成幸 「何も問題はないと思うけど」

文乃 「むしろ余計に問題が増えたんだけど!? ずっと起きてたの!?」

成幸 「なんで起きてたら問題なんだ?」

文乃 「むしろそれで問題ないと思っている方が疑問なんだけど!?」


955以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:49:210O24lWYM (34/47)

成幸 「お、落ち着けよ。いきなりどうしたんだ、古橋」

成幸 「近いから。な? 少し離れようか」

文乃 「なんでわたしがなだめられてる感じを出すのかな!?」

文乃 (い、いけない。とんでもないことを言われたからつい取り乱してしまった)

文乃 (落ちつかないと。うん。落ち着いて……落ち着いて……)

成幸 「いや、それにしても、緒方って寝相悪いのな」

成幸 「抱きつかれたときはどうなるかと思ったよ。ははは」

文乃 「なんで笑ってられるのかなきみは!?」

文乃 「りっちゃんの部屋でりっちゃんに抱きつかれたの!?」

成幸 「あ、いや、ちょっと語弊があったか。抱きつかれたって言うと、あいつの名誉にかかわるもんな」

文乃 (ほっ……。言葉の綾だったみたいだ。よかったよかった……――)

成幸 「――正確に言うと、急に布団から飛び起きて腰に手を回されてのしかかられたって言うべきか?」

文乃 「わたしに聞かれても知らないし余計まずい感じになってることに気づかないのかなきみは!?」

文乃 (わたしとうるかちゃんが呑気にラーメン食べてる間にきみは一体何をやってたのかな!?)


956以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:49:520O24lWYM (35/47)

文乃 「……ねぇ、唯我くん」

成幸 「?」

文乃 「聞いたよね、わたし。それに答えたよね、きみ」


―――― [………… ドサクサに紛れて変なこと……してないよね……?]

―――― [しっ してません!! 神に誓って!!]


成幸 「あ、ああ……。まぁ、言ったというか、アイコンタクトだったけど、まぁ……」

文乃 「あれはその後なら変なことしていいって意味じゃないからね?」

成幸 「当たり前だろ!? 変なことなんてしてねーよ!」

成幸 「ちょっと朝まで(親父さんと)激しい運動してただけだよ!」

文乃 「おいちょっと待てコラ唯我くん」

文乃 「はぁああああああああ!? ほんとに何やってたのきみたちは!?」

成幸 「うーん……いや、あれは運動というよりは戦いだったな……」

文乃 「やかましいよ! 余計生々しくしてどうするのかな!?」


957以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:50:250O24lWYM (36/47)

………………帰り道

文乃 「りっちゃんを寝かしつけてたら驚異的な寝相の悪さでのしかかかられ、」

文乃 「折悪く帰宅したりっちゃんのお父さんに見つかって一晩中戦っていた、と……」

文乃 「……なんだ。そういうことだったのね」

成幸 「いや、だから最初からそう言ってただろ……」

文乃 (きみがまぎらわしい言い方をするから誤解が広がったんだけどね)

文乃 (……まぁいいや。早とちりして疑ってしまったわたしも悪いし)

ジトーーーッ

成幸 「な、なんだよ。その目は」

文乃 「……ほんとにりっちゃんに何もしてないんだよね?」

成幸 「してないよ!」

文乃 「ほんとに? 抱きつかれたときに唯我くんもこっそり腰に手を回したりしてない?」

成幸 「してないよ! するわけないだろそんなこと!」

文乃 「どさくさにまぎれてあの暴力的なおっぱいを揉んだりとかは?」

成幸 「お前は俺のことを何だと思ってるんだ!?」


958以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:51:010O24lWYM (37/47)

文乃 「……ま、いいや。信じてあげる」

クスッ

文乃 「でも、寝相だったとしても、りっちゃんに抱きつかれて少しはドキッとしてたりして」

成幸 「そ、それは……」

プイッ

成幸 「仕方ないだろ。俺だって男だし、緒方は……ほら、客観的に言ってかわいいし……」


―――― ((普段は小動物みたいな奴だけど……))

―――― ((こうして改めて見るとやっぱり すげぇ美少女だな……))


文乃 (おや……? おやおや?)

文乃 (これは意外と、りっちゃんのことをちゃんと意識してるのかな?)

文乃 「へー」 ニヤニヤ 「つまりきみは、寝ているりっちゃんに欲情した、と?」

成幸 「他にもっと言い方ないかな古橋さん!!」


959以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:51:450O24lWYM (38/47)

文乃 「………………」

ホッ

文乃 (ま、いいや。何もなかったのは本当のことみたいだし)

文乃 (結果的に、唯我くんがりっちゃんのことを意識するきっかけになってくれれば悪くもないし)

文乃 (……ただひとつ、明確に言えること)

文乃 「……ねぇ、唯我くん」

成幸 「ん?」

文乃 「りっちゃん家で一夜を明かしたこと、絶対に他の人に喋っちゃだめだからね」

成幸 「? まぁ、男子たちに話したらどう思われるか分かったもんじゃないし話すつもりはないけど」

成幸 「武元は? あいつになら笑い話として話せるかなー、なんて――」



文乃 「――バカなの?」



成幸 「辛辣すぎません!?」


960以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:52:170O24lWYM (39/47)

文乃 (なんでそこでよりによって一番話しちゃいけない相手にならいいとか思っちゃうのかな!?)

文乃 (……まったくもう)

文乃 「いい? 誰にも話しちゃダメだからね? うるかちゃんにも!」

成幸 「そ、そういうもんか。俺にはまったくわからん……」

文乃 (……本当に、唯我くんは手がかかるなぁ)

文乃 (ま、念も押したし、大丈夫だよね。間違ってもうるかちゃんの耳にこのことが届くことはないだろう)

文乃 「………………」


―――― 『タスケテ』


文乃 (……あのメールを見て、唯我くんは誰より早くりっちゃんの家に駆けつけたんだよね)

文乃 (もしわたしが同じようなメールを出したら、唯我くんは……)

文乃 「……ねえ、唯我くん」

成幸 「ん?」

文乃 「もしわたしがりっちゃんと同じように困っていたら、わたしのことも助けてくれる?」

成幸 「えっ……?」


961以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:52:470O24lWYM (40/47)

文乃 「………………」

ハッ

文乃 (わ、わたし一体何を聞いてるの!? なんでそんなこと、唯我くんに……) カァアアアア……

文乃 「ご、ごめん! 唯我くん! 変なこと聞いちゃったけど、忘れて――」

成幸 「――そんなの、当たり前だろ」

文乃 「へ……?」

成幸 「俺はお前たちの 『教育係』 だからな。当然、お前の家にも行くよ」

文乃 「そ、そっか……」 (唯我くん……)

文乃 (わたしのところにも、来てくれるんだ……)

成幸 「ま、夜に急に呼び出すのは、本当の緊急時に限ってほしいけどな」

文乃 「……だ、大丈夫だよ。わたしホラー映画怖くない人だし!」

成幸 「そういう問題かよ」 クスッ 「じゃ、俺こっちだから。また明日、古橋」

文乃 「……うん。また明日ね。唯我くん」


962以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:53:350O24lWYM (41/47)

………………数ヶ月後 問89後 いつもの場所

文乃 「………………」

成幸 「………………」

カリカリカリ……

文乃 (……なつかしいこと思い出しちゃったな)

チラッ

文乃 (あのとき言ってくれた通りだね。成幸くん、君は、本当にわたしを助けてくれたんだ)

成幸 「ん……? どうかしたか、古橋?」

文乃 「へっ? う、ううん。なんでもない」

文乃 (……そう。なんでもない)

文乃 (なんでもないんだよ、成幸くん)


963以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:54:120O24lWYM (42/47)

成幸 「……大丈夫か、古橋?」

成幸 「仲直りはしたみたいだけど、やっぱりまだお父さんと顔を合わせるのは怖いか?」

文乃 「……えっ?」

カァアアアア……

文乃 「あっ……そ、そうだね……」

成幸 「?」

文乃 (な、なんて不謹慎なのわたし!? 成幸くんはわたしのこと心配してくれてるのに……)

文乃 (わたし、全然べつのこと考えてた……)

文乃 「………………」 (そっか……)

文乃 (わたし、この人の隣にいると、辛かったこと全部、忘れちゃうんだ……)


964以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:55:240O24lWYM (43/47)

成幸 「古橋……?」

文乃 「……ねえ、成幸くん。わたし、本当にきみがいてくれてよかった」

成幸 「へ……?」

文乃 「ううん。違うな。君が変わらず君でいてくれてよかった、って言うべきかな」

成幸 「えっと……? それは、どういう意味だ?」

文乃 「……ううん。なんでもない」 クスッ 「ごめんね、ヘンなこと言って」

文乃 「勉強、もどろ?」

成幸 「ん……ああ……」

文乃 (……君は、りっちゃんだから家に駆けつけたわけじゃない)

文乃 (そして、わたしだから家に泊めてくれているわけでもない)

文乃 (わかってる。だから、これは君の優しさに甘えているだけのこと)


965以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:56:250O24lWYM (44/47)

文乃 (……ねぇ、成幸くん)

文乃 (君は約束通り、わたしを助けてくれた)

文乃 (でもね、わたし、わがままだ)

文乃 (りっちゃんと同じように助けてもらうだけじゃ、満足できないみたい)

成幸 「………………」


―――― 『起きてる』

―――― 『だから…… あとほんのちょっとだけ…… このままでもいい……?』


文乃 (成幸くん、ねえ、気づいてる? わたし、もう “起きてる” んだよ?)

文乃 (だから、わたし……)

文乃 (君を……)

ギュッ……

文乃 (君を、好きになっても、いいのかな……)

おわり


966以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:57:170O24lWYM (45/47)

………………幕間 「死屍累々」

うるか 「よー、リズりん。今日も勉強がんばろーねー!」

理珠 「はい。今日もしっかりと励みましょう」

うるか 「……ん?」

鹿島&猪森&蝶野 「「「………………」」」 ピクピクピク……

うるか 「!? A組のみんな!? どうしたの!?」

鹿島 「あ……た、武元さん~……」

鹿島 「我々は~、もうだめです~……」

猪森 「と、文x成の尊みが強すぎて……」 ゴフッ

蝶野 「我が人生に一片の悔いなし……」 ガクッ

おわり


967以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 21:59:210O24lWYM (46/47)

>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

時系列が途中で飛ぶのはあまり好ましくないかもしれません。
申し訳ないことです。


968以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 22:05:030O24lWYM (47/47)

>>1です。
連投失礼します。


もう一つ投下できるかなーと書いていたのですが、このスレに収まらない気がするのでやめておきます。
このスレにはもうSSは投下しません。長らくお付き合いありがとうございました。
アニメが始まる直前ではありますが、2つめのスレも無事埋められて良かったなと思います。

感想をくれた方、乙をくれた方、本当にありがとうございました。
最初のスレと比べて、書きたいものがどんどんマニアックになっていく上に、
わたし独自の解釈も増えていき、大層読みにくかったと思います。申し訳ないことです。


厚かましいお願いではありますが、読んでいただいた方、
最後に感想などを残していただければすごく嬉しいです。
一番面白かったSSなど教えていただければ、今後の参考にさせていただきます。


次のスレを立てるかどうかは分かりません。
もし立てるとすれば、前回今回と同様、完成したSSのタイトルをスレタイにすると思います。
そのときは、また読みに来ていただけると嬉しいです。


969以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/06(土) 22:19:54z6KGdkt. (1/1)

乙です

真冬 「それがあなたの長所でしょう?」
真冬 「彼は教え子につき」

かな。真冬先生最高です


970以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/07(日) 03:01:36zDD9eezY (1/1)

おつんこここ

このスレだと
【ぼく勉】 成幸 「クリスマス、うちに来ないか?」
が印象深い
時間軸超えてるとか知ったことではないわ!


971以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/07(日) 03:24:48joDA48Cc (1/1)

おつでした
毎日更新楽しみしてました!次スレも期待してます!
難しいけど、成幸 「キスと呼べない何か」が一番好き


972以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/07(日) 15:05:35OwNsG45g (1/1)

おつ
アニメ思ったより出来良いな


973以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/08(月) 23:42:36BbthHg3s (1/1)

2スレも乙
タイトル覚えてないが文系ちゃんとプラネタリウム見に行く話が記憶に残ってる


974以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/09(火) 18:21:06FxYd1ccA (1/1)

おつつ

個人的には1スレ目にあったこれ
【ぼく勉】桐須先生 「不可解。どうしたというの、唯我くん」

原作とごっちゃになった(いい意味で)
しばらく経って読み返すまでこの話は原作の話だと勘違いしてたレベル


975以下、名無しが深夜にお送りします2019/04/16(火) 02:14:50iXFEFCac (1/1)

いま、【ぼく勉】文乃 「なんてベタな……」まで読んだ
どれも面白い


976以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:41:32UawLMgbI (1/23)

たくさんの感想、ありがとうございます。
励みになります。参考にもなります。
さて、投下しないと言っておきながら、
スレにあそびがあるのももったいないので、短く書き上がったものを投下します。
大してみじかくなっていないので、ギリギリですが。
全キャラの“今週末シリーズ”は新しいスレの方に投下しますので、
今回はシーズンネタを投下します。
ギリギリになってしまいましたが、母の日です。


【ぼく勉】 文乃 「そっか。今週末は母の日だね」


977以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:42:08UawLMgbI (2/23)

文乃 (だからこんなに街中赤いカーネーションだらけなんだね)

「パパ! これあげたらお母さん喜ぶかなー!」

「きっと大喜びだよ。一緒にプレゼントしようね」

「うん!」

文乃 (ふふ。お父さんと娘さんかな。何をプレゼントするんだろ)

文乃 (微笑ましいなぁ……)


―――― 『だから文乃もね もし今後何かカベにぶつかったとしても それでいいの』

―――― 『「できない子」代表のお母さんが許す!』

―――― 『好きなことを全力で 好きにやりなさい』


文乃 (……うん。大丈夫。悲しいとか、辛いとかは、ない)

文乃 (お母さんの言葉は、わたしの中で生きている)

文乃 (そのお母さんの言葉で、わたしはやりたいことを目指して、今もがんばっている)

文乃 (だから、大丈夫) グッ (さびしくなんか、ない)

文乃 「……ん?」


978以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:42:43UawLMgbI (3/23)

………………

成幸 「………………」

成幸 「うーーーーーーん……どうしたもんかな……」

成幸 「これは……いやいや、高すぎるな。絶対嫌がるよな……」

成幸 「これか……? いやしかし、あまり家事を連想させるものを贈るのはよくないし……」

成幸 「これか? いや、でも前新しいの買ってたし……」

成幸 「……うーむ。どうしたもんか……――」


文乃 「――成幸くん? こんなところで何やってるの?」


成幸 「のわっ!? ふ、古橋!?」

文乃 「やっ。一週間ぶりくらいかな。元気にしてたようで何より何より」

成幸 「そりゃ当たり前だろ。体調崩してたらこんなとこうろついてないよ」

文乃 「はは、それもそうだね」

文乃 「……で? 今日は一体どうしたの?」

成幸 「う゛ぇっ!? あ、いや……」


979以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:43:25UawLMgbI (4/23)

成幸 「た……大したことじゃ、ないんだけど……」

文乃 「へぇ~?」 ニンマリ 「母の日のプレゼント選び、そんなに大したことじゃないかなぁ?」

成幸 「なっ……ば、バレてたのかよ……」

文乃 「そりゃ、母の日ギフトのコーナーで右往左往してれば誰だって分かるって」

文乃 「……まったく、君は高校を卒業しても相変わらず優しいね」

文乃 「わたしが傷つかないように、母の日のプレゼント選びしてたって言わなかったんでしょ?」

成幸 「い、いや、そんな……」 カァアアアア…… 「……ことは、なくは、ないけど」

文乃 「ふふ。だと思った。ほんと……」

文乃 (……ほんと、優しいんだから)

文乃 (まぁ、そういうところが……ゴニョゴニョ……なんだけどさ……///)

成幸 「……? どうした? 顔赤いぞ?」

文乃 「な、なんでもないよ」

オホン

文乃 「ところで、悩める若人に、この古橋文乃が力を貸してしんぜようか?」

成幸 「へ?」


980以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:43:56UawLMgbI (5/23)

文乃 「だから、」 ニコッ 「プレゼント選び、付き合ってあげよっか? って言ってるの」

成幸 「本当か!? 助かるよ!」

文乃 「ふふん。まぁ、わたしは君のお姉ちゃんでもあるからね。それくらいお安いご用だよ」

成幸 「さすが、頼りになるよ。文乃姉ちゃん」

文乃 「……とはいえ、成幸くんが贈りたいものを贈るのが、一番いいと思うけどね」

成幸 「お、おいおい、身もふたもないこと言い出すなよ」

成幸 「……っていうか、欲しいもの聞いたとき、母さんにも同じようなこと言われたぞ」

成幸 「だからプレゼントを決められなくて困ってるんだよ……」

文乃 「ああ、なるほど……」

文乃 「ちなみに、水希ちゃんたちは何をあげるの?」

成幸 「ああ、水希はご馳走用意するって言ってたな。はりきって下ごしらえしてるぞ」

文乃 「も、もうお料理を始めてるんだ……。すごいね」

成幸 「葉月と和樹は、絵をプレゼントするって。大作を鋭意製作中だよ」

文乃 「いいねぇ。微笑ましいねぇ」


981以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:44:42UawLMgbI (6/23)

成幸 「……で、俺は何も決まらず悩んでるんだけど、」

成幸 「俺、進路を決めるとき母さんに迷惑かけたし、貯金も使わせてもらったし……」

成幸 「母さんのおかげでここまで大きくなれた。母さんのおかげで希望の進路を目指せる」

成幸 「バイト代も結構貯まったしさ、今まで俺を育ててくれた母さんに、いいプレゼントをあげたくてさ」

文乃 「成幸くん……」

成幸 「……でもそうやって気負うとまた迷うんだよ」

文乃 「………………」

文乃 「……ふふ、腕が鳴るよ」

成幸 「古橋……?」

文乃 「成幸くんのお母さんへの想い、心に響いたよ!」

文乃 「よーし、文乃お姉ちゃんが、はりきってお手伝いするよ!」

成幸 「……おう。ありがとな、古橋。よろしく頼むよ」

文乃 「うん! がんばって最高のプレゼントを見つけようね!」


982以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:45:15UawLMgbI (7/23)

………………

文乃 「装飾品とかどうかな? ブローチとか」

成幸 「俺もそういうの考えたんだけどさ……」

成幸 「ほら、結構値段が張るだろ?」

文乃 「? うん」

成幸 「俺はいいんだけど、母さんが絶対嫌がるんだよ」

成幸 「“そんな大金私のために使うくらいなら貯金しろー!” ってさ」

文乃 「ああ……」 (成幸くんのお母さん、たしかに言いそう……)

文乃 「じゃあ、普段の家事で使うようなものは? かわいいミトンとか菜箸とか……」

成幸 「うん。それも考えたんだけど、昨日テレビでやっててさ……」

成幸 「“家事を連想させるものを贈るのは、もっと家事をしろ、と受け止められる場合があります” って」

文乃 「ああ……」 (余計なことを言うテレビ番組だなぁ……)

文乃 「じゃあこっちはどうかな。かわいい文房具とか……」

成幸 「文房具、この前一式新しいの買ってたんだよな……」

文乃 「ああ……」


983以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:45:49UawLMgbI (8/23)

………………

文乃 「じゃあ、基本に立ち返ってカーネーションとかは?」

成幸 「“生花は手間がかかるため嫌がられることがあります” ってテレビで……」

………………

文乃 「じゃあ布とか買って手作りで何か作ったらどうかな」

成幸 「うーん、普段から服とか作りすぎて、そもそも俺の手作り品が結構家に溢れてるからな……」

………………

文乃 「お高めのスイーツとかどう?」

成幸 「水希が洋菓子店顔負けのケーキも作るって息巻いてるから、悪いし……」

………………

文乃 「商品券!」

成幸 「うちの母親のことだから、商品券とか現金くれるくらいなら何もくれるな貯金しろ、って言うと思う……」

………………

………………………………

………………………………………………


984以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:46:29UawLMgbI (9/23)

………………

文乃 「………………」

成幸 「………………」

グッタリ……

成幸 「……なんかすまん。俺のワガママに付き合わせてるみたいだな」

文乃 「う、ううん。わたしが自分から言い出したことだから、大丈夫だよ……」

文乃 (……うーん、これは想像以上だよ。NG要素が多すぎる……)

文乃 (成幸くんが気にしすぎとも思うけど、でも……)

成幸 「うーん、母さんに何をプレゼントしたら、一番いいか……」 ブツブツ……

文乃 (成幸くんは本当に、心の底からお母さんに感謝してて、だからこそ喜んでもらいたいんだよね……)

成幸 「ちなみに、参考までに聞きたいんだけど、」

文乃 「うん?」

成幸 「……もし古橋がお母さんになったとして、母の日のプレゼントに何をもらったら嬉しいと思う?」

文乃 「えー……想像もつかないけど……」


985以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:47:20UawLMgbI (10/23)

文乃 (わたしがお母さんで、もらって嬉しいプレゼント、かぁ……)

文乃 「………………」

文乃 「……あくまで、今の想像だけどさ、」

文乃 「わたしは、手作りのものをもらったら、すごく嬉しいと思うよ」

文乃 「だから成幸くんの服飾テクニックとか、すごくいいと思うんだけど……」

成幸 「……んー、母さんの部屋着とか、俺が作ったのも結構あるからなぁ」

文乃 「成幸くんの家はそうだよね……」

成幸 「悪いな、変なこと聞いて」

文乃 「ううん。参考にならなくてごめんね」

文乃 (なんかいいものないかなぁ……)

キョロキョロキョロ

文乃 「……ん?」 ハッ 「わっ……わわっ……」

トトトトト……

成幸 「? 古橋?」


986以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:48:04UawLMgbI (11/23)

文乃 「こっ、このぬいぐるみ……かわいい……」

パァアアアアアア……!!!

文乃 「さ、触り心地も気持ちいい……」

文乃 「ふおお……」

成幸 「………………」

成幸 「あ、えっと……古橋、さん……?」

文乃 「……!?」 ハッ 「ご、ごめん、成幸くん。あんまりにも好みの顔のぬいぐるみがあったから、つい」

文乃 「真剣にプレゼント選びをしてるのに、ごめんね……」

成幸 「いや、いいよ。お前も買い物とかあったらしていいからな?」

文乃 「ううん。大丈夫。ありがと」

文乃 「さ、もうひと頑張り、いってみよー!」

成幸 「おう!」


987以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:48:38UawLMgbI (12/23)

………………

成幸 「……ありがとな、古橋。おかげでちゃんと考えて選べたよ」

文乃 「どういたしまして。お母さん、喜んでくれるといいね」

成幸 「おう。本当にありがとな」

文乃 (結局、あれから、悩んで悩んで悩んだ末、無難にハンカチをプレゼントすることになった)

文乃 (たくさんあって困るものではないし、オシャレで上等なものが見つかったというのもある)

成幸 「散々悩んで振り回して悪かったな。その割にはハンカチって、何の意外性もないし……」

文乃 「ううん。そんなのいいんだよ」

文乃 「それにわたしも楽しかったよ。自分がプレゼント選んでるみたいで」

文乃 「わたしのお母さんはもういないから、ひとりじゃこんなことできないしね」

成幸 「ん……」

文乃 「あっ、ごめんね。変なこと言って。忘れて忘れて」

文乃 「とにかく、ちゃんと選べて何よりだよ」

成幸 「……おう」


988以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:49:42UawLMgbI (13/23)

成幸 「あっ、ヤバい。もうこんな時間か」

成幸 「すまん、古橋。この後バイトの予定なんだ」

成幸 「散々振り回したお詫び、今度必ずするから。また連絡するな」

文乃 「そんなの気にしなくていいってば」

文乃 「バイトがんばってね。いってらっしゃい」

成幸 「ああ、ありがとう。でもお礼はさせてくれ」

成幸 「またな、古橋」

文乃 「うん。じゃあね、成幸くん」

ニコッ

文乃 「また今度」

文乃 「………………」

文乃 「……わたしも、」

文乃 「カーネーションでも一本、買って帰ろうかな」


989以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:50:22UawLMgbI (14/23)

………………母の日

文乃 「………………」

文乃 (……成幸くん、ちゃんとプレゼント渡せたかな)

クスッ

文乃 (なんて、子どもじゃないんだから大丈夫に決まってるよね)

文乃 (ふふ。本当に “弟” みたいなところあるからなぁ、成幸くんって)

文乃 (いけないいけない。いつまでも姉弟ごっこなんてしていられないよね)

ピンポーン

文乃 「……? インターフォン、誰だろ……」

トトトトト……

文乃 「……へ?」

 『あ、どうも、こんにちは。唯我と申します……』

文乃 「成幸くん……?」


990以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:51:20UawLMgbI (15/23)

………………

文乃 「ど、どうしたの、成幸くん。突然家に来るなんてびっくりしたよ」

成幸 「いや、悪い。連絡しようかとも思ったんだが……」

成幸 「……あのさ、これ」 スッ 「良かったら、もらってくれないか?」

文乃 「へ?」

キョトン

文乃 「ラッピング……? ぷ、プレゼント!? 何で!?」

成幸 「いや、えっと……この前のお礼、というか、なんというか……」

文乃 「……ああ、母の日のプレゼント選びのお礼?」

成幸 「まぁ、そうなるのかな……」

成幸 「ただ、それプラス、なんというか、その……」

文乃 「?」

成幸 「……お前にはいつも色んな相談に乗ってもらったりとか、お世話になってるし、」

成幸 「母の日のプレゼント的な意味合いも、あるんだけど……」

文乃 「へぇ?」 ジトーーーッ 「わたし、きみを産んだ憶えはないんだけど……」


991以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:51:54UawLMgbI (16/23)

成幸 「い、いや、悪い。そういうことじゃなくて、えっと……」

ハッ

成幸 「ほ、ほら! 母の日、お父さんがお母さんにプレゼント贈ったりってあるだろ」

文乃 「……まぁ、たしかに。旦那さんが奥さんにプレゼント、とかよく聞くね」

成幸 「そうそう。だから、まったく変な意味はなくて、」


成幸 「夫から妻に贈る母の日ギフトみたいなものだと思ってくれ!」


文乃 「………………」

文乃 「へ……?」

成幸 「あっ……」

成幸 「……い、いや、それもまた、ちょっと、語弊があるな……///」

文乃 「そ、そうだね……///」

文乃 「……じ、じゃあ、とにかく、いただくね。ありがとう」

文乃 「開けても、いい?」

成幸 「お、おう」


992以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:52:27UawLMgbI (17/23)

ガサゴソガサガサ……

文乃 「これって……」


―――― 『こっ、このぬいぐるみ……かわいい……』


文乃 「あ……あのときのぬいぐるみ……?」

文乃 「でも、あれ? なんか違うような……?」

成幸 「ん、さすがにバレるか」

成幸 「それ、俺が作ったんだ。あのぬいぐるみを思い出しながら作ったんだけど、やっぱり変か」

文乃 「……!? これ手作りなの!? 全然見えないよ!?」

成幸 「ぬいぐるみ用の生地とか買ってみたからな。縫い方とかも勉強したし」

成幸 「……本物を買おうかなとも思ったんだけどさ、」


―――― 『わたしは、手作りのものをもらったら、すごく嬉しいと思うよ』

―――― 『だから成幸くんの服飾テクニックとか、すごくいいと思うんだけど……』


成幸 「あのとき、ああ言ってくれたのがすごく嬉しくてさ……」


993以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:52:58UawLMgbI (18/23)

文乃 「あっ……ありがとう! すごく嬉しいよ!」

文乃 「えへへ……」

ムギュッ……

文乃 「……かわいい。すごくかわいいよ」

文乃 「抱き心地も最高……」

成幸 「そうか。それなら良かったよ」

成幸 「……で、古橋。ひとつ相談なんだが、この後空いてるか?」

文乃 「この後? うん、特に用事はないけど、どうかしたの?」

成幸 「ああ、実はこの後うちで水希が用意したごちそうをみんなで食べることになってるんだけど……」

成幸 「もし良かったらなんだけど、うちに来て一緒に食べないか?」

文乃 「へ……?」


994以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:53:49UawLMgbI (19/23)

成幸 「実は、母さんにプレゼント渡して、古橋と一緒に選んだって言ったら……」


―――― 花枝 『文ちゃんも一緒にプレゼント選んでくれたの!?』

―――― 花枝 『よくやったわ成幸! それならもう文ちゃんは名実ともに私の娘も同然ね!』

―――― 花枝 『今すぐ文ちゃんの家に行って今日の母の日パーティに誘ってきなさい!』


成幸 「……って」

文乃 「………………」

成幸 「なんか、すまん、古橋……」

文乃 「……ううん」 フルフル


―――― 『それはそれとして私の可愛い文ちゃんにひどいこと言ってから!!!』

―――― 『オッケー文ちゃん!! 向こうの頭が冷えるまでいくらでもウチにいなさい!!』


文乃 「……成幸くんのお母さん、あのとき、そう言って、わたしを家に置いてくれて」

文乃 「すごく頼もしくて、嬉しくて……本当に、ふたりめのお母さんみたいだって……」

文乃 「……わたしも、思ってるから」 ニコッ


995以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:55:13UawLMgbI (20/23)

文乃 「………………」

文乃 「……ねぇ、成幸くん。わたし、お邪魔してもいいのかな?」

成幸 「へ? 無理しなくていいぞ? 嫌だったら嫌って……――」

文乃 「――行ってもいいのか聞いてるんだけど?」 ジトッ

成幸 「いや、そりゃ、まぁ……来てくれれば、母さんは喜ぶだろうし、葉月と和樹も喜ぶだろうし……」

成幸 「水希はツンケンするかもしれないけど、あいつなんだかんだお前がご飯食べるの見るの好きみたいだし……」

文乃 「………………」 ジーーーーッ

成幸 「……えっと、その……俺も……お前が来てくれれば、嬉しい、かな……」

文乃 「……よろしい」 クスッ 「じゃあ、お言葉に甘えて、お邪魔しちゃおうかな」

文乃 「水希ちゃんのご飯食べたいし、葉月ちゃんと和樹くんとも遊びたいし」

文乃 「ちょっと待っててね。すぐ準備してくるから!」

成幸 「おう、急がなくていいぞ。ゆっくり待ってるから」

文乃 「ありがと! じゃ、準備してくるね!」

トトトトト……


996以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:55:48UawLMgbI (21/23)

……パタン

文乃 「………………」

カァアアアア……

文乃 「ま、まったくもう、成幸くんったら、分かってるのかな……」


―――― 『夫から妻に贈る母の日ギフトみたいなものだと思ってくれ!』

―――― 『よくやったわ成幸! それならもう文ちゃんは名実ともに私の娘も同然ね!』


文乃 「成幸くんも、お母さんも、まったく……」


―――― 『天文学の前は…… 幸せなお嫁さんになるのも夢だったから!!』


文乃 「………………」

ムギュッ

文乃 「……もう、母の日のプレゼントももらっちゃったし」

文乃 「わたしのもうひとつの夢、結構早く、叶っちゃうかも……なんて。えへへ……」

おわり


997以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:56:30UawLMgbI (22/23)

………………幕間 「唯我水希」

水希 (まったくもう! お母さんのために作った料理を、どうして古橋さんに……)

文乃 「ふわぁ~~、これ美味しい~~~~。とろける~~~~!!」

ムシャムシャムシャムシャムシャムシャ

文乃 「あれも、これも……ふわぁ……全部美味しい……」

パクパクパクパクパクパク

水希 「………………」

水希 「……古橋さん」

文乃 「!?」 ハッ 「ご、ごめん、水希ちゃん。お母さんのお祝いなのに、調子に乗って食べ過ぎ……――」

水希 「……次は、このソースにつけて食べてみてください」 コトッ

文乃 「わぁ……」 パァアアアアアア……!!! 「美味しい!! 味が少し変わったよ!!」

水希 「……えへへ」

花枝 (……水希はほんと、文ちゃんが食べるの見るの好きよねぇ)

葉月 「水希姉ちゃんは」 和樹 「ツンデレだなー」

おわり


998以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/11(土) 22:58:00UawLMgbI (23/23)

読んでくださった方ありがとうございました。

受験が終わって新生活に突入してすぐくらいの話でしょうか。
完結してもいない作品の先を描くなんて野暮なことはしたくないのですが、
日常回程度なので許していただけると嬉しいです。
今度こそこのスレは終わりだと思います。
ありがとうございました。


999以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/12(日) 08:44:21IovkaPpE (1/1)

乙ですわ!


1000以下、名無しが深夜にお送りします2019/05/12(日) 12:43:13w25gqWi. (1/1)

乙神