1◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)21:11:02DRF (1/13)

※SS速報でやってた安価で主人公を決めて作る話、『オール安価でまどか☆マギカ』シリーズの番外的な話、もしかしたら続きなども書くかもしれない雑多なスレです。
※話の投下と一時的な目的以外に、「21.5避難所」の代わりのような扱いで今後何かあった時にもここで連絡をしていく予定です。

(SSまとめ速報)
http://ssmatomesokuho.com/thread/list?title=オール安価でまどか☆マギカ

(エイミー小話の本編にあたる番外スレ、安価成分はほぼなし)
まどか「野良猫が家族になった話」
http://engawa.open2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1536495113/


……一見さんお断りとは言いませんが、元スレを知らないと楽しめる部分は少ないかと思います。


2◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)21:24:52DRF (2/13)

とりあえず立ててみました。
html化が必須(ほぼ機能していなかったが)な速報より、長期保存の可能なこちらのほうが用途に向いていると思います。
上で出てた桐野編の小話も結構長くなってしまったのでこちらに投下していこうと思います。


3◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)21:28:43DRF (3/13)

*桐野編おまけ*


 部屋の中、僕は唸る。

 目の前の大きなキャンバスとにらめっこしているがどうもしっくりきていなかった。


桐野「違うなぁ……」

キリカ「何が違うの?」


 筆を走らせてから思った事を呟くと、キリカが後ろから覗いていた。

 そういえば来る約束だった。それまでの少しの時間に放置した絵の続きを描こうと思っていたんだけど、思わず忘れていた。


桐野「あぁ、いらっしゃい。何が違うって、この絵だよ」

キリカ「絵?」

桐野「キリカはどう思う?」

キリカ「うーーーん……」


 今度はキリカも唸った。



4◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)21:29:29DRF (4/13)


キリカ「いやでも、私は芸術のこととかはあんまりわかんないし」

桐野「……そう言うってことは、キリカもなんか違うって思ってるんだな」

桐野「うまく描けたと思える時は、芸術のこと知らなくたってキリカも良いって言ってくれるから」

桐野「何が悪いんだろうなぁ。この塗り方か、下描きから違うような気もする」

キリカ「あー……えぇと」


 キリカは少し気まずそうに目を逸らす。

 でも僕は、これに関してはあんまり気を使ってほしくはなかった。


桐野「コンクールも終わって、あれから結界を見ることもなくなったし、なんだか描きたい気持ちが刺激されないんだよ」

キリカ「きりのんが描いてるのって、風景画がメインだよね? たまには普段描かないもの描いてみたら?」

桐野「それならいっそキリカがヌードモデルでもやってくれたら…………なんて、さすがに冗談だけど」

キリカ「……わかった、いいよ。私に考えがある」

桐野「えっ!?」

キリカ「待ってて、準備してくるから」

桐野「……準備?」


 ……キリカの言う“準備”がなんなのか、僕はやきもきとしたまま過ごしていた。


5名無しさん@おーぷん18/10/09(火)21:31:12clH (1/4)

桐野とキリカのイチャイチャに期待
ブッラックコーヒーも準備万端


6◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)21:46:31DRF (5/13)




桐野「――――キリカ、こっち向いて」

キリカ「はーい」


 準備をしてくると言ってその日は帰っていったキリカだったが、今日は部屋に入るなり服を脱ぎ捨てた。


 そして出てきた姿は、一瞬ヌードに近くも見えるような――筋肉柄のTシャツだった。サイズが大きいのか、それをワンピースのように着ていた。

 見た目は男らしいムキムキなのに、胸が膨らんでいて線は細い。キリカの体格への似合わなさがとてつもないシュールさを放っている。

 ……冗談で言ったら、本当に冗談で返された。


 準備って、それだったのか。


キリカ「ガッカリした?でもこれ、我ながら名案だと思うよ。本当にやったらさすがに私も恥ずかしいからね」、

キリカ「なんか……別の刺激になりそうだし」

桐野「いや、まあ……想像力を鍛える分にはいいかも」

キリカ「えっ? ちょっと見せて!」


 キリカがキャンバスの表側に回り込む。

 僕が実際に描いている絵は、キリカのボディラインだけをなぞり、隠されている部分は妄想で補って曖昧にぼかして描いていた。


7◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)21:47:52DRF (6/13)


キリカ「……全然違うじゃないか。きりのんのえっち」

桐野「いや、ごめんって……でも本物の代案なんだからちょっとは。それにそんなに詳しく描いてないよ」

キリカ「それはわかるけど。本物の裸が載ってるデッサンの本とかって見てたりするの?」

桐野「ないよ。さすがにそういうのは手を出しづらいし」

キリカ「ホントに?部屋探っても出てこない?」

桐野「本当にないよ。……デ、デッサン用のは」

キリカ「…………前出てきたよね」


 ……そう言うキリカの表情は少し不機嫌そうだ。

 あの時はごまかすように『気にしない』って言ってたけど、キリカもやきもちを焼いていたりするんだろうか――?



8【22】18/10/09(火)21:48:32QGJ (1/3)

キリカって結構ヤキモチ焼きだからなー


9名無しさん@おーぷん18/10/09(火)21:51:44clH (2/4)

キリカのやきもちは猫っぽいよね、イメージ的に


10名無しさん@おーぷん18/10/09(火)21:53:27p2i (1/2)

スレ建て乙です
そういえば以前展開安価で桐野がキリカでしちゃった事がばれるってあったような?
この状況でばれたらどうなるんだろね


11◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)21:57:08DRF (7/13)


キリカ「別に探んないよ。写真相手に嫉妬なんてしないし」

桐野「そこは少し嫉妬してくれたほうが嬉しいかな……」

キリカ「嫉妬、されたいの? そりゃ私もできれば他の女の子でそういうコトは……されないほうがいいけど……」


 描いていた絵に目を移して、目の前に居るキリカと見比べる。

 これは本物じゃない。……でも、ただのTシャツ姿を見ながら妄想で描いてることももうバレちゃった。どうしよう。


 手が動かない。せっかく久しぶりに描けそうなのに。


桐野「じゃ、じゃあ……キリカならいいの?」


 鉛筆をテーブルに置いてキリカに聞いてみる。

 前はそれだって嫌がっていたはずだ。でも、もうあの時とは関係が違う。


キリカ「……そういうの、わざわざ聞くから恥ずかしいんだよ」

キリカ「あと、とりあえずいきなりトイレ行くのもさ…………あれ取り残されるとすごく寂しくなる。バレバレだから」


 僕は内心ヒヤヒヤしていた。同時に、申し訳なく思った。

 今まで良い雰囲気でいきなり席を立ったことは何度かあった。キリカは純粋に甘えてきてくれていたのに、僕のほうが恥ずかしくなったから逃げてしまった。

 キリカの顔は赤い。でも、逃げ場を失ったら僕はどうすればいいんだ?


12名無しさん@おーぷん18/10/09(火)21:59:30clH (3/4)

思春期特有の初々しい会話だなぁ(2828


13◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)22:11:33DRF (8/13)


キリカ「何言ってもこの格好じゃ雰囲気ぶち壊しだね。もう描かないなら着替えてくる」

桐野「ま、待って!」


 行こうとするキリカの腕を掴む。

 すると、引っ張ってしまったようでキリカがバランスを崩した。


キリカ「わっ……!?」


 怪我をさせないことを一番に、僕は咄嗟に受け止めようとする。

 でも僕もそんなに力が強いわけじゃないから、カーペットの上に尻餅をついてしまった。

 そんな僕と一緒に、キリカも抱きつくように僕の上に倒れ込んでくる。――少し抗議するような、くりっとした大きな蜂蜜色の瞳と近くで目が合う。


キリカ「もー、危ないって……続き描くの?」

桐野「…………描きたい」


 そう言いつつも離さない僕に疑問を抱いたような顔をしていたが、キリカはやがて顔を伏せた。

 ……今の体勢は押し倒されてるようなものだ。キリカの身体の熱や感触は伝わっている。僕のも伝わっているだろう。

 もともとワンピースにするには少し短い。腰回りの曲線や太ももまで覆っていたシャツの裾は、倒れた拍子にめくれている。

 ふざけた見た目に気を取られていたが、考えてみれば無防備な格好だ。この一枚の下が下着だけなんて――。


 後ろに手を回し、そこに手をかける。



14◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)22:20:32DRF (9/13)


*「巴ー、キリカちゃん、牡丹餅ができたっておばあちゃんが」


 その時、廊下から声がした。

 驚いて二人で慌てて離れる。……それから部屋の扉が開くと、母さんも驚いていた。


*「まあ!すごい格好!」

キリカ「いや、これはちょっとした余興?でして……」

*「余興? 出し物の練習でもしてたの?」

桐野「そ、そう、もう卒業も近づいてくるしね……」

桐野「と、とにかく、後で食べるから!」


 キリカのほうを見やる。

 ……いつものことを考えると、甘いものが大好きなキリカなら『すぐに食べたい』と言うかもしれない。


キリカ「……もう少ししたら行くよ。さすがにこの格好でみんなの前に出られないよ」

*「それもそうね。じゃあ待ってるわね」


 部屋の扉が閉まる。……それからキリカと向かい合う。



15◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)22:33:03DRF (10/13)



 まだドキドキしている。それはキリカも同じようだった。

 そういえばうちは大家族だった。扉を隔てて近くにみんなのいるリビングがあるのに、そんな大胆なことなんてできない。

 あの厳しいおじいちゃんだっているんだ。


キリカ「あ、あの……」

桐野「実は、準備っていってちょっと違うことを考えたりもしてたんだ……」

キリカ「あぁ……、『見せるための準備』みたいなのは本当に何もしてないよ。いつもと同じ手入れだけ」

桐野「いつも手入れしてるんだね」

キリカ「してるよー、女子はみんな頑張ってるの。きりのんと付き合い始めてから更にっていうのはあるけど……」

桐野「オレのために?」


 そう言ってもらえると嬉しかった。

 たしかにそう考えると髪や肌、指先、色んな部分が前より綺麗になっているようにも思える。

 ……でも、僕もまだ見ていないところがあるんだとしたら。


桐野「……本当は全部見たい。また落ち着ける時でいいから」

キリカ「じゃあ、後になって消極的に戻らないでね……私だってそんなの、苦手なんだから」



16【2】18/10/09(火)22:35:15QGJ (2/3)

本編のキリカはノリでやりかねないけどなw>好きな人の前でヌードになる


17◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)23:20:13DRF (11/13)


 ――――

 ――――キリカが帰った後になって、描いていた絵をまた見てみた。

 さすがに見られながら絵に描かれるのは恥ずかしいと言っていたし、本物を前にしたら僕も落ち着いて描いてる余裕なんてない。

 ここまで描けたのはキリカの代案のおかげだろう。


 鉛筆をとって、そこに手直しを加える。

 ……やっぱり妄想で補っただけのものとは違った。これは所詮ありもしない知識から生み出された偽物だ。


桐野(でもやっとまた描きたい絵が浮かぶようになったから、これは成功かな)



 キャンバスに向かうと色んな気持ちや思い出が沸いてくる。

 ……――――本当に、キリカに感謝しなければと思った。



―END―


18◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)23:24:02DRF (12/13)

----ひとまずここまで
…肝心なところを書いてないって声もありそうですが

>>16 本編に限れば「好き」の意味合いというか状態というかが違うからまあ仕方ない面があるかなぁ…洗脳されてやべー方向にぶっ壊されてでもなきゃ色々奥手な子よ

エリカとの再会は肝心の本人が覚えてないから別編とは違う形になりそうですね


19名無しさん@おーぷん18/10/09(火)23:27:42clH (4/4)

乙です

次は肝心なところまで描いて、いや書いてほしいですなw

エリカのことは覚えてないとキリカ本人も言ってましたが、今のキリカの原点とも言うべきトラウマですからね
会ったことで記憶がぶり返してきそうな気もしますね


20名無しさん@おーぷん18/10/09(火)23:32:29p2i (2/2)

乙です
やっぱりこの二人の話がシリーズ通して1番好きだな


21◆xjSC8AOvWI18/10/09(火)23:40:52DRF (13/13)

二人揃って奥手だからもどかしい感じですねー
あまりさくっと先に進ませるのもなんか違うような気がして


22【56】18/10/09(火)23:53:17QGJ (3/3)

>>20
自分も

出来たら続きが見たいけれど、それは難しいですかねー
桐野編3週目も見たかったけれど……


23名無しさん@おーぷん18/10/10(水)17:17:4854G (1/1)

貞操逆転世界とか美醜逆転させた世界とか面白そう


24名無しさん@おーぷん18/10/10(水)18:49:56VbZ (1/1)

かずみ編だけどもっとあすみに絡んで欲しいかな


25◆xjSC8AOvWI18/10/11(木)23:28:31hfl (1/1)

----ひとまず、24スレの現行あすみ編inかずみ展開安価の続きをここでとります。
あと6レス分。


24スレで今まで出てた分。992は採用済みです。↓


--------次スレへ続きます。
以下フリー
すでに起きることが大体決まってる分やりにくいですが、展開安価も拾えるものは拾います。


992 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2018年08月13日 (月) 07:58:16 ID: 93mUdUzgO

マミを元気づけようとはりきってスイーツを作るかずみ
さぁ食べようとした時に杏子がマミ宅に訪れる
993 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2018年08月14日 (火) 17:50:10 ID: +cvTu8WP0

約束をはたしにあすみのとこに行くとキリカがいたので一緒に料理することになった
994 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage saga 2018年08月18日 (土) 10:09:18 ID: u9AJoqnY0

かずみ・あすみ・キリカの3人でチーム黒い三連星結成


26名無しさん@おーぷん18/10/12(金)02:13:53L4C (1/1)

魔法少女織莉子の帽子を見てバケツ?バケツプリンを連想、食べに行くことになる。
他のメンバーはKOだが、かずみは完食。


27名無しさん@おーぷん18/10/12(金)19:08:22Uzh (1/1)

かずみが自身の生い立ち、正体をはっきりと自覚して自棄になる
マミのところにも戻らず彷徨ってるところをあすみに拾われる(2回目)


28名無しさん@おーぷん18/10/13(土)09:07:02Eyi (1/1)

かずみがテレポートの魔法!とかふざけて唱えたら本当に発動、テレポート先は入浴中のあすみのところ
怒りゲージMAXのあすみにボコボコにされる


29◆xjSC8AOvWI18/10/14(日)20:20:48ZcV (1/11)

-----------
桐野編、少し視点を変えた続きを。
なんかR-15みたいなの投下します。


30◆xjSC8AOvWI18/10/14(日)20:31:17ZcV (2/11)



 …………。


 家に帰ると、階段を上って部屋の扉を開く。

 見慣れた自室のベッドの上に寝転がると、ぼんやりと今日一日のことを思い出していた。


 一人になっても、今日は一日中落ち着けそうになかった。




キリカ「――……おやつ食べに行こっか? 着替えるからあっち向いてて」


 ……って、言ったらきっときりのんは言われた通りにするんだろうなあ。

 さっきまではそんな壁なんて軽く超えてしまいそうだったのに。



31◆xjSC8AOvWI18/10/14(日)20:35:00ZcV (3/11)



 振り返らないで脱いだ服の前までいって、もう使う必要のなくなったシャツを脱いでいく。

 下着だけの姿になって、そこで一旦手を止める。少しだけ後ろの様子をうかがってみた。


 きりのんはやっぱりこっちを見ないように背を向けたままじっと立ってる。


キリカ(そうやってちゃんと待ってくれるから好きなのかも。でも本当はガマンしてるんだろうな)


 二人とも背を向け合っている状態だ。覗き見ようとすれば見られるのに。ちょっと意地悪してる自覚はある。


 ……一番無防備なのは今なんだよ?

 伝わらないように心の中だけで言いながら服を手に取った。こっちの視線に気づく気配はなし。


32名無しさん@おーぷん18/10/14(日)20:37:13PnS (1/5)

何が起きるのか


33◆xjSC8AOvWI18/10/14(日)20:40:17ZcV (4/11)



 そのまま少しの間眺めていると、手を前にやってどこかもぞもぞと動き出すのに気づく。


キリカ「!」

 ――――私は慌てて後ろを向きなおした。

 思わず服を握りしめたままの手で口を塞ぐ。


キリカ(……は、早く着替えようか。しょうがないもんね。待たせちゃってるわけだし)

キリカ(さっき倒れてくっついてた時も……なんか、その、当たってた。硬いかんじの……)


 何考えてるんだと顔を覆う。

 ……服をそんなことに使ってる場合じゃない。さっさと着なおしてまた後ろをチラッと見た。


キリカ(なんて声かけようかな。終わったって言えば普通に返事してくれると思うけど……)


 やっぱり私の中ではなかったことにはできないもやもやがあった。


キリカ(二人で一緒に居るときとか。抱きついたりしたときとか。キスしたりとか……私はただいつも一緒にいるだけで幸せで)

キリカ(でもきりのんはやっぱそういうことしたいけど無理してるのかな?)


 俯いて目の前に見えるのは自分の身体。

 胸とか正直邪魔。見られるのも好きじゃないし。

 きりのんが甘いものをたくさんくれるから少し太ったかなあとか、私にはそこまで良いものには思えないけど……


 見られる相手がきりのんなら、他の人とは少し違う気持ちになる。 


34【87】18/10/14(日)20:45:24qXf (1/6)

Cまでいったらそれから毎日ヤリそうだな。このカップル


35名無しさん@おーぷん18/10/14(日)20:47:06DVW (1/7)

桐野が自分で妄想してあんなこととかしちゃったのを知ったらキリカはどうなるかな?


36名無しさん@おーぷん18/10/14(日)20:52:35DVW (2/7)

あとエヴァのアニメでもあった朝キリカが迎えに来たら、朝元気になってる桐野のアレをバッチリ見ちゃうとかw


37◆xjSC8AOvWI18/10/14(日)20:59:03ZcV (5/11)


キリカ(……私も、ちょっとだけ触ってみちゃおうかな…………)


 服の上から指を触れる。

 まったく触れたことがないわけじゃないし、まったく興味がないわけじゃない。

 私も何か刺激を受けてるのかな。――結局こんな時に自分から何かするなんてできないからこうなる。


桐野「……キリカ、もう着替え終わった?」

キリカ「! あっ、うん!大丈夫!」


 いきなり呼ばれて、ビクッと肩を揺らして慌てて振り向く。

 今しようとしてたことを自覚したら、恥ずかしすぎて今すぐ壁に頭を打ち付けたい衝動に駆られる。……心配されるからやらないけど。


 顔とか見えてないけど向こうも少し気まずそうにしている気がする。


キリカ(ああもう、私までなにやってるの? 二人で一緒にいながら)

キリカ(ヤバい、気づかれた、かも……でも向こうのも私は気づいてるしお互い様、なのかな)


 なんか余計に身体が熱くなる。

 きりのんが呼んだのも全部済んだわけじゃなくて、時間がかかってるから状況確認みたいな感じだった。


キリカ「……すぐには行けそうにない、ね」


 ……あれ、何言ってるんだろうな。どこ見てるんだろう。

 はしたない子って思われたらどうしよう。もうどこか隅っこに縮こまりたい。



38名無しさん@おーぷん18/10/14(日)21:07:16DVW (3/7)

こりゃ二人とも夜とかにやっちゃうだろうなぁ
思春期真っ盛り(ゲス顔)


39◆xjSC8AOvWI18/10/14(日)21:20:38ZcV (6/11)



 でも、きりのんのほうがもっと必死な顔してた。


桐野「キリカは嫌じゃない? キリカもオレのこと考えたら、そういう気持ちになるの?」

キリカ「えーと……私は……――興味持たれないよりは好きって言ってくれたほうがうれしいよ」

キリカ「キミにだけね」


 また離れていっちゃうのも嫌だし、逃げられるのも嫌だ。

 逃げずに近づいていって、『抱きしめてもいい?』も言えない奥手な二人は、まずそっと手を合わせてから少しずつ互いを抱き寄せた。


 近づいたって、どうしたらいいかわかんないから少しの間身を預けていることにする。

 胸の上を私のより大きい手がそっと包んでいく感触がした。


キリカ「……ッ!」

桐野「……冷めるものじゃないから、少しくらいなら大丈夫だよ…………多分」


 だからって、行くって言っていつまでも来なかったら心配する。


40名無しさん@おーぷん18/10/14(日)21:26:22CyD (1/6)

お、ついにBまでいったか


41【54】18/10/14(日)21:27:22qXf (2/6)

中学生でCまでいくことは変ではない
ものによっては小学生で行くものもある


42名無しさん@おーぷん18/10/14(日)21:32:13PnS (2/5)

あの世界の中学生の発育良すぎだろ


43名無しさん@おーぷん18/10/14(日)21:32:57CyD (2/6)

この2人だと一気にCまでは行かない気がするな
奥手な分ふんぎりがつかないでBを延々と続けそうw


44名無しさん@おーぷん18/10/14(日)21:35:01DVW (4/7)

互いの自慰行為を見せ合うとかそんな感じかねぇ


45名無しさん@おーぷん18/10/14(日)21:40:05PnS (3/5)

いっしょにお風呂に入るとかが限界かな


46【18】18/10/14(日)21:41:57qXf (3/6)

まあ、大人になったらいつかヤルだろうけど
そうじゃないと両親がいまで経っても孫の顔が見られない(笑)


47名無しさん@おーぷん18/10/14(日)21:42:31PnS (4/5)

避妊具を買えるようにならないとダメだな


48◆xjSC8AOvWI18/10/14(日)21:49:47ZcV (7/11)


桐野「見たとおりだけど、大きい……」


 きりのんがぼそりと言う。

 私の胸にじんわりとした温かさが伝わっている。顔が真っ赤になる。多分もとから赤かったけど、今は真っ赤だ。


 そこから襟元からブラウスのボタンに手をかけるのに気づいて、さすがにそれはちょっととめる。


キリカ「み、見たいならその続きは後……せっかく着たとこなんだから」

桐野「あっ、そ、そうだね!」


 相変わらずアレは触れてて、押し当たってくる。

 ……胸を触られた。けどそれ以上はしてこなくて、暫くこのままこうしていた。


 このままで大丈夫なのかな?私も触ったりしたほうがいいんじゃ……――。


 そう思って手を伸ばそうか迷った時、きりのんがいきなり腰を引いて私から離れた。


桐野「ちょっとトイレに!」

キリカ「えっ!」

桐野「今度は本当にすぐ戻ってくるから!ていうか先行ってていいよ!」


 …………不自然に浮いた手が宙にある。

 その手を戻して、取り残された私は暫くなにがおきたのか茫然としてからリビングに戻った。

 身体がまだ熱い。



 結局逃げられた――……いや、少し予想しないタイミングだったかもしれないけど、一応『済んだ』らしかった。



49名無しさん@おーぷん18/10/14(日)21:53:19CyD (3/6)

桐野、トイレで静めてくるのかw


50【32】18/10/14(日)21:54:26qXf (4/6)

これはAVかエロアニメをは偶然見てしまった二人の反応とか見てみたいわw


51名無しさん@おーぷん18/10/14(日)21:55:53DVW (5/7)

どうせならキリカにしてもらったらよかったのにw


52名無しさん@おーぷん18/10/14(日)22:01:41CyD (4/6)

桐野が芸術の面でキリカの裸体を描くとしたら
変身シーンをビデオに撮って、魔法少女の衣装と裸が半々なところを描いたりしそう
完成した絵の出来が良すぎて賞とかとって展示されたりしたら、キリカの反応がどうなるかw


53名無しさん@おーぷん18/10/14(日)22:05:23PnS (5/5)

公開処刑かよ


54名無しさん@おーぷん18/10/14(日)22:10:31DVW (6/7)

↑ ↑
それ良いねぇw
ビデオ撮ってるところから描写して欲しいなwww


55◆xjSC8AOvWI18/10/14(日)22:24:42ZcV (8/11)



 リビングでの一家団欒。

 牡丹餅を作ってくれたおばあちゃんとも話したりして、大勢での賑やかさもそれはそれで楽しんでいた。

 そうしているとすごく健全な雰囲気で、さっきまでみたいな雰囲気はどこかへいってしまったようだった。


 ……きりのん家は、良くも悪くもオープンすぎるんだ。



キリカ「おばあちゃんたちにも言ったけど、ごちそうさま。おいしかったよ」

桐野「そういえばまだ教えてないよね? 牡丹餅。今度おばあちゃんとも一緒に作ってみる?」

キリカ「それも楽しそうかもね」


 部屋に戻ってきてから二人で話す。

 ドアが閉まっていることを確認して、ベッドに腰掛ける。隣に並んで、お互い何を切り出すのか探り合っている。


 もう忘れてるかもしれないとか考えて。……忘れるわけないじゃん。


56◆xjSC8AOvWI18/10/14(日)22:34:03ZcV (9/11)



 ベッドについていた手に手が重なる。


キリカ「!」

桐野「その、今日は……ごめん。ありがとう」

キリカ「なんかゴメンされることあったっけ?」

桐野「いや、だってさ……」

キリカ「『仕方なく』みたいに思わないでよ。嫌なら嫌なまま受け入れたりしないでちゃんと抵抗するから」

キリカ「もうちょっと…………特別なんだって自覚を持ってほしい」


 言い終わると同時に顔を伏せる。

 ああ、今日は恥ずかしいことが続くなあ。


キリカ「私こそ、今日のは役に立てたの?」

桐野「もちろんだよ。まあ、筋肉Tシャツっていうのはちょっと残念だったけど……」



57名無しさん@おーぷん18/10/14(日)22:39:25CyD (5/6)

ここで今度こそキリカの裸を描きたい!とか言えればなぁ


58【62】18/10/14(日)22:41:02qXf (5/6)

ヘタレというか純情なのが桐野のいい所であるからなぁ……


59◆xjSC8AOvWI18/10/14(日)22:56:04ZcV (10/11)


キリカ「私の渾身の案なのに」

桐野「この日のためだけに買ったの? これからどうするんだよあれ」

キリカ「本当に何かのネタに使ってみたら? 今度はきりのんが着てよ」

桐野「え、オレが着たらキリカほどじゃないけどギャップが」


 ……今のきりのんの裸って、そういえば私も見たことないな。

 別にやましい意味じゃなくて気になった。腕とかは細いけど、身体はどうなってるんだろ?

 さっきみたいに抱きしめられた時の感じは――私からしたら頼もしく思えてた。


キリカ「ちょっと着てみて? 見てみたい。そしたら…………私も見せてもいいよ」

桐野「いいの!? ……って、そんなのとキリカのが釣り合うのか?」

キリカ「私もまあ気になったんだよ」


 きりのんは特に抵抗なく脱いでいったけど、たくましくないのは気にしてるみたい。


キリカ「……私からしたら十分なのになあ」



60◆xjSC8AOvWI18/10/14(日)23:24:16ZcV (11/11)

―――――

―――――


 ……結局絵はほとんど描けなかったっけ。

 私もきりのんのを見たから、少しだけ同じように『上』を見せたけど、私が恥ずかしすぎてすぐ終わりにした。


 もし続きをやるなら、ちゃんとした続きにしてほしいかな。

 スケッチでも見るだけでもなく。


 今日はすごいことをしちゃった気分だった。向こうだってそう思ってるだろう。けど――


キリカ(あれからむしろ、私はもやもやが残ってる気がする……)


 液体の乾いた部分に触れてみる。

 今まで一日に二回もこうして触れたことなんてない。ちょっと何かに影響されたりして、興味本位とかそのくらいだった。

 でもあの時は、きりのんだけじゃなくて私も熱くなってたから。


 これからは、もしかしたら私もこういうことが増えるのかも……なんて考えてしまった。



―1.END―


61名無しさん@おーぷん18/10/14(日)23:26:48CyD (6/6)

1.ENDということは続きを期待していいんですね!


62【74】18/10/14(日)23:27:27qXf (6/6)

続編希望!


63名無しさん@おーぷん18/10/14(日)23:30:14DVW (7/7)

読んでて2828が止まらなかったなw
この話の続きも読みたいしかずみ編の続きも読みたい……苦行だぁ


64名無しさん@おーぷん18/10/15(月)00:28:46V0n (1/1)

スレ主寝落ちかな?

次からでもいいので前みたいに次は○曜日の○時位からって告知が欲しい


65名無しさん@おーぷん18/10/15(月)02:41:58KZW (1/1)

キリカが彼女だったら我慢できないよな


66【38】18/10/15(月)02:43:52sKB (1/1)

原作を見ても好きになった相手にはとことん一途だからね


67名無しさん@おーぷん18/10/15(月)18:56:54TNQ (1/1)

速報復旧しましたね
スレ主はどうするのかな?


68◆xjSC8AOvWI18/10/15(月)21:30:14g9O (1/5)

---祝、速報ふっかつ!---
予告通り、復活後も避難スレはこっちを使いづつけます。
こっちで桐野続きをやりつつ元の場所でかずみやる、でよさそうですかね。メインは元スレのほうになりますが。

こっちの次回はまた次の休みにでも。


69◆xjSC8AOvWI18/10/15(月)21:56:53g9O (2/5)

予想外に続編と続編の間で流れぶったぎりになりますが、
落ちてる間に書いた1スレだけのネタがあったので投下します。

この人ならこの魔女倒せるんじゃね?っていうだけの思いつき。


70◆xjSC8AOvWI18/10/15(月)21:57:49g9O (3/5)

時系列は不明
-----------------------------------------------------------------

おまけ番外*『VS芸術家の魔女』


―芸術家の魔女結界



桐野「だだっぴろい空間、ありえない景色……また巻き込まれてしまったのか!?」

桐野「別に関わる気はなかったけど、これは不可抗力だから仕方ないな。少しの間だけ目に焼き付けておこうか……」


 恐怖がないわけではないが、今度もまた無意識に好奇心が勝っていた。

 ……彼の名は桐野巴。この少年はごく普通の目立たない男子生徒。なんの力も持たない一般人だが、その心の中はただものではなかった。


桐野「けど、どうしよう。どこに逃げたらいいんだ?じっとしてるのも危ないけど、下手に動くのも危険かもしれない」

桐野「――……いや待て、この景色、どこかで見たことがある気がするぞ? あれもこれも」


 目に焼き付けるため、そして出口を探すために辺りをきょろきょろと見回してみる。


桐野「床はピカソの『ゲルニカ』? 空はゴッホの雰囲気に似てる、というか似せてるように見える」

桐野「……おまけにどう見ても凱旋門」



71◆xjSC8AOvWI18/10/15(月)21:57:57g9O (4/5)


 突如目の前に現れた見覚えのある建造物にも、桐野は驚くどころか白けた目を向けただけだった。

 そして、呆れたように冷ややかな独り言を呟いた。


桐野「あの時と同じ“空間の歪み”なのに、こんなに感性を刺激されないなんてはじめてだ」

桐野「他の空間で感じたあの迫力と独創性がまるでない。何を伝えたいのかわからないし、これを作った人には『自分』がないんだろう」

桐野「贋作だ。まったく、芸術家としちゃプライドも感じられないな……今回は外れだ。興味が失せた。帰ろう、一刻も早く帰ろう」


 その時、なぜだか突如として悲鳴のような音を立てて門が爆発四散した。

 嘘のように周りの景色が元に戻ると、そこには黒い宝石だけがぽつんと残っていた――――。


桐野「あれ?戻れたぞ?この黒い宝石はなんだろう……」

桐野「まあいいや。今日はあんまり絵を描く気がしないし、帰って和菓子でも作ろう。キリカに渡せば喜ぶだろうな」


 そして、桐野はまたご機嫌な様子で帰り道を歩いていくのだった……。


―END―


72◆xjSC8AOvWI18/10/15(月)22:21:01g9O (5/5)

-------------------
>>69 ×1スレ→1レス
…改行制限で1レスで収まりきりませんでした。

2話目からがえりかとの再会の話を考えてます。


ただ…原作から『恋をするキリカ』はそこまで参考にできないかなーと。
ここでのキリカもとことん一途ってほどでもなく盲目的な感じでは書いてないです。
本編は言うまでもなく、友情の範囲としても別編もなんか違う感じ(まどかが魔女化しないとか変えられない前提が別編と同じなら同じ結果になるか?と考えると『ならない』のであてにならない)


73【9】18/10/15(月)23:03:18csx (1/1)

復帰したけどどないするん?


74名無しさん@おーぷん18/10/16(火)18:46:356JW (1/1)

乙です

芸術家の魔女をこき下ろして倒しちゃう桐野すごい
本人は何の自覚がないのがまたすごいw

展開安価はまだ大丈夫ですかね?
大丈夫ならかずみが街中でキリカと杏子を見つけて仲直りさせようとする
2人とも甘いもの好きだし話が合うと思うよ!
このチェロス、私の奢りだから半分こして仲直りして!


75◆xjSC8AOvWI18/10/21(日)23:04:11YWM (1/1)

---ちょっと土日は忙しかったんでこっちはまた書ける時に…
展開安価はまだ大丈夫ですよー


76◆xjSC8AOvWI18/10/26(金)19:14:07EQU (1/11)

**おまけ・2話


 ――色々と進展があったり絵に専念して過ごしていた休日が明けて、初日の授業が終わった。

 下校のチャイムが鳴ると教室を出て、真っ先にキリカのクラスの前まで迎えに行く。


*「あ、呉ちゃん。彼氏きたよ!」

桐野「お疲れ。キリカ、もう行ける?」

キリカ「ちょっと待って」


 キリカのほうが早く終わった時は来てくれることもある。いつからかそれが僕たちの当たり前になっていた。

 ……でも僕がこのクラスに来ると、周りの女子たちが騒がしくなる。


 まだ『ただの幼馴染』だった頃のような囃し立てる感じとは違う。どこかにやにやしたような落ち着かない雰囲気だ。

 前まではなんとなくそれが嫌でキリカが一人になるのを待ってたりしてたけど、見つかってしまってからは普通に声をかけることにしていた。


 最初は恥ずかしかったけど、そういう扱いも少しは慣れてきたのかな。


77◆xjSC8AOvWI18/10/26(金)19:19:11EQU (2/11)


キリカ「おまたせ。じゃあ私は行くよ」

*「おつかれー!」


 キリカがクラスメイトたちと手を振って別れる。

 みんな元気に振り返していたが、近くに居た子がこそっと僕に呟いてきた。


*「……先に進めるように頑張りなよ、きみも」

桐野「!?」


 振り返ってみると、なんともなかったように素知らぬ顔で手を振っていた。



78◆xjSC8AOvWI18/10/26(金)19:47:46EQU (3/11)



キリカ「さっきの、どうしたの?」

桐野「え、いや、まあ……少し……」


――――
――――
キリカのクラス HR前


*「……で、桐野君とはどこまでいったの?」

*「実はもうとっくにCとか? いやーん、不潔ー!」

キリカ「ふ、不潔じゃないよっ! そういうきみのほうが不潔でしょ!」

*「あぁ、たしかにねー。みぃちゃんすぐそーゆーこと考えるんだからー」

*「で、実際は?」

キリカ「……キスはしたし甘えたりはするけど、そんなすごいことしてないよ」

キリカ「身体だって少し触れるので精一杯」

*「あれだけ仲良くしてて肌もろくに見せたことないの!?」

*「だからそういうとこが不潔なんだってえ!」


79◆xjSC8AOvWI18/10/26(金)19:54:54EQU (4/11)


*「ま、そんな感じだもんねー、きりのん。でも、向こうがなにもしてこないならキリカのほうから少しは大胆にいってもいいんじゃない?」


 ……少し考え込んだけど、これだけは反論した。


キリカ「あと、その呼び方は私だけだから」

*「お、意外とそういうとこはしっかりアピールするんだね!」

*「でも結婚したらキリカも桐野でしょ?呉ちゃんって呼べなくなるねっ」


――――


キリカ(イヤなわけじゃないけど恥ずかしいんだよ……それになんか悪い気がする)

キリカ(でも次、いつかは全部見せることになるのかな?)

キリカ(…………桐野キリカ、なんか芸名みたいだなあ)



80◆xjSC8AOvWI18/10/26(金)20:11:20EQU (5/11)


桐野「あ、そうだ。絵を描いたからキリカにも見てほしくて」

キリカ「えっ。どれどれ?」


 僕の部屋に実物はあるけど、大きくて持ってこられないからまずは写真を見せてみる。

 廊下の隅に立ち止まって携帯を覗きこむキリカのことを僕は見つめる。


桐野(……この前はついにこの服や下着の下も見たんだよな)

桐野(せっかくあれほどくっついてなにも出来なかったのは悔やまれるけど)


キリカ「いいと思うよ!」

桐野「そっか。よかった」


 やっと本当の『いい』が聞けた。

 それがなによりうれしかった。それもやっぱり、ああやってキリカが付き合ってくれたおかげだった。


 ただ心残りなのはあの時のことで。


桐野(あれほど情けないことって、ないよなあ……)


 あの時は密着して身体に触れただけで限界で、汚すとか色んな事もよぎってその先にいく前に“処理”に行ってしまった。

 ……キリカ、どう思っただろうか。


桐野(……頑張れ、か)



81◆xjSC8AOvWI18/10/26(金)21:02:34EQU (6/11)



 学校を出て、一緒に帰り道を歩く。今日は特にこの後の予定は決めてなかった。


 前から歩いてくる人に道を譲ろうとした時、相手が立ち止まった。

 僕らを見て驚いたような顔をしている。……それは顔も名前も、僕からしても覚えのある人だった。


桐野「あっ……ええと」


 ――不自然な間が空く。

 僕はともかく、キリカとは何かなにかあったからじゃないかと思った。

 しかし、相手が何も言わなくて僕もどう声をかけようか言葉をつまらせていたら、キリカがすっと前に出ていった。


キリカ「えりかだったよね。久しぶり!」


 数年ぶりの友人に対する自然な挨拶。

 それに対して、『えりか』のほうは険しい表情をしていた。



82名無しさん@おーぷん18/10/26(金)21:10:17uYX (1/1)

えっ


83◆xjSC8AOvWI18/10/26(金)21:47:33EQU (7/11)


えりか「……久しぶり」

桐野「本当に久しぶりだ。小学生の時以来だね」


 みんなが挨拶したから、僕も普通に挨拶してみる。

 僕もキリカほどじゃないけど、同じクラスになって話したことも遊んだこともあった。


桐野「小さい頃は遊んだりしたよね。懐かしいな、転校してからは離れてしまったけど……」


 小さい頃、えりかの話すことはだいたいがキリカの話だった。中には愚痴や不満もあったけど、傍から見れば些細なことで、すぐに仲直りしてた。

 ……この二人はそれだけ仲が良かったんだ。

 でも、今は。


えりか「…………違う」


84◆xjSC8AOvWI18/10/26(金)22:01:39EQU (8/11)


キリカ「えっ……?」


 キリカは僕らの話に合わせるように頷きながら話を聞いていた。

 そんなキリカの目を、えりかはじっと探るように見つめてから言った。


キリカ「な、なんか間違ったかな?」

えりか「なにそれ。なんでそういうふうにできるの?」

えりか「最初は気にしてないようにわざと取り繕ってるのかと思った。けど、キリカそんなの得意じゃないもん」

えりか「……なのによそよそしくて、なんだか“あたしの知らない人”みたい」


 えりかは横を通り抜けていく。

 一緒に居た男の人が勝手に行ってしまった彼女を後ろから追いかけていった。


桐野(お父さんかな……? 見たことないけど)


*「本当にもういいのかい?」

えりか「いいよ。話したくない」


 ――通り過ぎて行った後から話し声が聞こえてきた。

 キリカはまだその場に固まっている。


85◆xjSC8AOvWI18/10/26(金)22:36:23EQU (9/11)



桐野「…………キリカ、大丈夫?」

キリカ「えっ、うん……大丈夫だよ」

キリカ「ほんとは知らないのに嘘ついちゃったから」


 キリカはえりかのことを覚えてないって言ってた。

 ……やっぱり、記憶はまだ戻っていなかったんだ。


 それが魔法少女の『契約』のせいだとしたら、一体どうしてそんなふうになってしまったんだろう?


 『少し一人で考えたい』と言って今日は家の前で別れたけど、キリカはまだどこか寂しそうにしていた。



86◆xjSC8AOvWI18/10/26(金)23:19:02EQU (10/11)

――――
――――


 自分の部屋に帰ると、また卒業アルバムを眺めていた。

 他の人たちとは一緒に顔写真が載ってないのは途中で転校したからなんだろう。

 でもたしかに一緒に過ごして仲良くしてたはずの人。


キリカ「間宮えりか……」

キリカ「思い出せない。なにがあった?」


 成長はしてるけど、前に確認した時に見た顔と同じ。それは合ってたのに。

 『昔の友人』としか聞いてなかったから、まさかあんなふうに言われるなんて思ってなかった。


 あんなこと言われるなんて尋常じゃない。


キリカ「…………私が何か、した?」



87◆xjSC8AOvWI18/10/26(金)23:47:21EQU (11/11)



 でもえりかは“上辺”だけだった私を見破ったんだ。仲は良かったんだろう。そんなのよく知らないと出来ない。

 きりのんは変わってないって言ってくれたけど、えりかにとっては私は『別の人』で――――


 本当のことなのかもしれないけど、そう言われたのはやっぱり寂しかった。


キリカ「次会ったら、いっそ本当のこと全部話してみようかなあ?」

キリカ「……でもやっぱりそんなことは話せないかも。話したってきっと納得してくれないだろうし」


 ……今思えば、えりかの私を見る目は最初からただの昔の友人なんかじゃなかった。

 それが、今日話したら『知らない人』を見る目に変わったのだけがわかった。


 まあ、でも、えりかのことがわからなくても今の私には友達はいるんだし、いーじゃん。今が幸せなら。


キリカ(……それじゃ、ダメなのかな)


 開き直ったように考えてみる。

 でも、私の知らないはずのその人の表情や言葉がなぜかずっと頭にこびりついていた。


――――


88名無しさん@おーぷん18/10/26(金)23:59:01qsB (1/1)

まさかこっちの方の更新が来てるとは・・・
キリカにとってある意味織莉子以上のキーマンともいうべきなキャラなんですよね、えりか


89◆xjSC8AOvWI18/10/27(土)00:17:06J17 (1/3)

――――――


 翌日、昼休みにキリカの教室に行ってみると、昨日までと一見変わらない様子の姿があった。

 朝もいつもより少し元気がなかったように見えたし、本当に大丈夫かな。キリカは何もないって言うけど……。


 事情は知ってる。それ以上は僕にはどうにもできない。それならしょうがないことなのか?


 教室を移動して、弁当を広げて食べはじめる。

 食後にはデザートも用意してあった。


桐野「今日の帰りはどうする?」

キリカ「買い物いこって誘われちゃった。だから今日は一緒に帰れないけど……きりのんも一緒にくる?」

桐野「え、あのメンバーか……」

キリカ「いやならいーけどさ。多分きりのんにはつまんないし」


 できることといえば一緒にいてあげること――

 にしたって、あの女子会のなかに放り込まれるのはやっぱりあんまり得意じゃない。最近はたまに話すようにはなったけど。



1行くよ
2昨日のことあんまり責めなくてもいいと思うよ
3自由安価

 下2レス


90【23】18/10/27(土)00:17:56SoI (1/2)

2
安価↓


91名無しさん@おーぷん18/10/27(土)00:23:25Bad (1/4)

1+キリカの友人の前でラッキスケベ発動


92◆xjSC8AOvWI18/10/27(土)00:45:28J17 (2/3)


桐野「行くよ。そういう場も人生経験だと思えば!」

キリカ「ホント? ……って、なんか意気込んでるね?」

キリカ「まあ、きりのんいたらちょっとはつまんなくないように気遣ってはくれると思うからさ」

桐野「いや、気を使わせるのも悪い気がするけどね……」



――――
その頃教室


*「……でさ、あの二人を進ませるのに必要なのってラッキースケベだと思うんやよね」

*「さっちんまたセンスがオヤジくさい」

*「定番は何? 後ろからちょっと押したら、彼の胸に倒れ込んでキャー抱きついちゃった!とか?」

*「そのくらいはしてるんじゃない? 無自覚ならともかく付き合ってるんだし。甘えることはあるって言ってたよ」

*「なら逆という手も。呉ちゃんの胸に倒れ込んだら……まあ大抵落ちないわけにいかないと思いますなあ」

*「うわあ、女子中学生の発言とは思えない……」


――――
――――


桐野(……なんか寒気がするような気もするけど、気のせいだよな)



93名無しさん@おーぷん18/10/27(土)00:48:53Bad (2/4)

女子勢が仕掛け人か


94名無しさん@おーぷん18/10/27(土)00:50:13Bad (3/4)

ていうか今気づいたけど、IDがBADだ
これBAD ENDフラグ?w


95名無しさん@おーぷん18/10/27(土)00:57:05hJ3 (1/2)

最近は胸あったから次はパンツでしょ!


96◆xjSC8AOvWI18/10/27(土)00:57:40J17 (3/3)

----
次回は28日(日)の夕方~夜あたりに開始予定

>>88
織莉子はキーマンっていうか、ループ外じゃ完全に他人ですしね。
本編の事情を知れば知るほど、巻き込まれただけというか、その後名前を知るほど関わるのも特殊な他人と思えてくる…。
そしてその他人に心に命に骨の髄まで搾り取られたキリカはまあ不幸というか……

>>94
たぶんここからバッドエンドはないはず…


97名無しさん@おーぷん18/10/27(土)01:02:07Bad (4/4)

乙です

仕掛け人がしかけたドッキリが、それどころかドキがムネムネになりそうな予感が


98【84】18/10/27(土)01:04:42SoI (2/2)


仕掛け人たちが壁殴りたくなったり、飲み物が甘く感じたりするんだろうかw


99名無しさん@おーぷん18/10/27(土)15:15:16pOp (1/1)

主人公がラブレター貰ったりしてキリカが嫉妬するとか


100名無しさん@おーぷん18/10/27(土)22:22:13hJ3 (2/2)

おっぱいは見たし触ったから次はパンツとその中身の方だな


101◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)18:04:17Uun (1/13)



 ――――放課後になると、その約束どおりいつもは帰る方向の違うみんなで家とは違う道を歩いていた。

 向かう先はいつもの駅前のほうだった。僕らが『買い物』と言う時は大体そこだ。

 みんなもそれは変わらないらしい。


桐野「そういえば、今日は何を買うの?」

キリカ「えー、まだわかんないよ! 気になったとこから見に行ってみるつもり」

キリカ「でも寄りたいところはあるんだ」

*「あーあ、あたしにもダブルデートの相手がいればなー」

*「そういえば気になる人がいるとか言ってなかったっけ? いっそ誘っちゃえばよかったのに!」

*「えー、まだはやいよぉー」


桐野(これ以上増えられるのは勘弁してくれ……)



102◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)18:55:19Uun (2/13)



 ……駅前に着くと、まずそこらへんの雑貨屋から商品を見始めていた。

 何が目的というより、気になる店があれば片っ端から見ているって感じだ。キリカの言っていたとおり、何を買うかは自分たちでもわからないらしい。


*「これ可愛い!」

*「見て、おもしろーい」

*「こんなのどう?」


桐野(悪いとは思わないけど……)


 盛り上がってるみんなを見ていると、少し蚊帳の外にいる気分だ。

 こんな時こういう付き合いの上手な男だったらどうしてるだろう。僕はその輪の中にはあまり入っていける気はしない。


*「ねえ! 桐野君見て!」

桐野「え?」

*「似合いそうなのあったから、そこで買ってみたの!」

*「キリカ少し髪伸びてきたから、ちょっとアレンジしてみようって思ったんだよ。似合ってるっしょ?」

*「あたし的には、ここちょっとカールさせてもいいと思うんだよねー」


 キリカは制服の時の手を加えていないシンプルな髪型から、いつもとは少し違う分け方で髪飾りでまとめた髪型になっていた。

 伸ばした姿も気になるって言ったけど、そんなキリカも新鮮で予想以上だった。



103◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)19:10:30Uun (3/13)


キリカ「……ど、どう? あんまり伸ばしたことないからそういうのわかんないよ」

桐野「すごく、いいと思う」

*「おー、よかったね!」


桐野(……やっぱり蚊帳の外なんて思っちゃダメだ。みんなは一緒に楽しもうとしてくれてるんだし)


 照れくさそうにしてるキリカや楽しそうなみんなを見て、僕はふと考える。

 僕も棚に置いてある雑貨に目を向けて手に取ってみた。小さくて可愛い感じの色のものだ。


桐野「これなんだろう?」

キリカ「わーっ、そっちのコーナーはダメ!」

桐野「えっ!」


 ……棚のある一角の前にあるマークと文字を見て僕もやっと察した。

 キリカに咄嗟に引っ張られて離れたけど、手に取ったままだ。

 改めてそれを見てみると何に使うものかもわかって、色の綺麗さでごまかしてるけどやらしく見えてきた。


104◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)19:42:05Uun (4/13)



*「なに? 桐野君が意外に大胆!?」

*「へー、そういうの使いたいんだ? キリカ、どうするー?」

桐野「ち、違うよ! ちょっと戻してくるから!」


 見つかったら怒られそうな冷や汗と、恥ずかしさ。

 すぐに棚に戻してみんなのほうに戻ってきた。


*「ね、そろそろおなかすかない? 最近出来たっていうパンケーキ食べに行きたいなって思うんだけど!」

キリカ「たべたーい!」

*「桐野君もずっと私達につきあわせちゃってたけど、食べ物なら一緒に楽しめるだろうし」

*「……私たちに合わせた食べ物になっちゃうのは許してね? でも和菓子作ってきてくれるし、甘いものは好きなんでしょ?」

桐野「あ、もちろん。そういう店は一人や男友達と一緒だと入りにくいから……」


105名無しさん@おーぷん18/10/28(日)19:48:18U8l (1/3)

桐野何を手に取ったんだ?


106◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)20:14:59Uun (5/13)


 今日は元気なさそうだったけど、こうしているキリカは楽しそうだ。

 やっぱりそんな顔を見てると一番安心するし、可愛いと思う。後ろから眺めていると、隣からこそっと声をかけられた。


*「ね、幼馴染のあなたに言うまでもないと思うけど、大切にしてあげてね?」

*「呉ちゃんほんっとーにいい子なんだから。不幸にしたら天罰が下るよ」

桐野「うん、大切にするよ。オレもキリカの笑ってる顔が一番好きだから」


 もちろん、無理をするような笑顔じゃない。

 今みたいな自然に出る笑顔……何か悲しくて苦しいことがあっても、ずっと傍で守っていきたいんだ。


*「呉ちゃん、ずっと一人でいたでしょ?」

*「……あたしもああいう子だってもっと早くに気づいてればなあって、それ後悔」

桐野「……」


 僕はキリカのことなら誰より知ってるつもりだったけど、僕は離れていた、知らない期間がある。

 そこの部分はこの子のほうが知っているのかもしれない。本人ですらその時のことは記憶が曖昧なんだ。


桐野(オレもキリカもえりかも、一緒にいたはずなのにな)


 ――昨日えりかが言った言葉を思い出す。

 でもやっぱり今もキリカは僕の知ってるキリカで、えりかにとって違ったのは、彼女との間にあった何か『大事な記憶』が抜けているからなんだろう。



107◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)20:33:29Uun (6/13)



 パンケーキ屋の店内はさすがに洒落た雰囲気だ。

 でも意外に男性客もいて、その中にはカップルらしき人たちもいた。


キリカ「さっき何話してたの? なんか私の話がきこえた」

*「んー、ちょっとね、呉ちゃんに見とれてた桐野君をからかいにいってた」

キリカ「あんまりからかっちゃダメだよ」

*「見とれてたのは本当でしょ?」

桐野「まあ……」


 照れ隠しに無意識に頭を掻く。

 そしたらキリカも顔を赤くして照れをごまかすように小さく笑った。




*(……あたしたちが進展させるのはいーけど、目の前で展開するこのラブコメ、なんか見てて無性に壁殴りたくなってこないかー?)

*(たしかに)

*(水が甘い)


 ……僕らはそんなみんなの思いには気づかなかった。


108【10】18/10/28(日)20:52:57Oux (1/1)

モブたちの内心がwwww


109◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)21:19:06Uun (7/13)



キリカ「このパンケーキ、ふわっふわー!」

*「相変わらず幸せそうに食べるんだから」

*「でもこれ本当にめちゃうまいよ!」

桐野「おいしいね。店のパンケーキって初めて食べたかも。普通のホットケーキなら家で作ることもあるんだけど……」


 でも基本的には僕もおばあちゃんも和菓子のほうをつくるから、あんまりその機会もなかった。

 今度、アレンジするレシピでも考えてみようか。


桐野「この後はまだ店回るの?」

*「ああ、次行くお店は考えてあるんだー」



110◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)21:37:37Uun (8/13)



 ――――それから向かった先は、服屋らしかった。

 冬物のコートなどが目立つところにピックアップされている。


キリカ「服かぁー。そろそろ厚着する季節になるし、新しいの見ておきたいかも」

*「キリカ、ちょっと」

キリカ「?」

*「こっち良いの見つけたから選んでくるね」

桐野「ああ、いってらっしゃい」


 キリカを連れ出していった子がこっちにいる子に合図のようなものを送る。

 僕はぼうっとその辺に並ぶ服を見ていた。


桐野(服か……オレもあんまり持ってるほうじゃないけどな)

桐野(まあ、ここならさすがにさっきみたいに間違ったコーナーに行ってしまうこともないだろう)

桐野(そもそも、あんなところに“オモチャ”がしれっと置いてあるのが悪いんだ。しかも一見可愛い感じの見た目して)


 使ったらどうなるのかは想像しなくはないけど。そもそもまだ下は見てすらいないわけで……

 僕らには決定的にまだ早い。


111◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)21:54:48Uun (9/13)



*「さて、ここで勝負を仕掛けるよ」

キリカ「え? しょーぶ?」

*「ちょっと大胆な姿を見せつけるのさー!」


 背中どころか胸元にまで穴の開いた、やや丈の長いワンピースのセーター。

 いかにもど直球すぎるデザインに、キリカはさすがに困惑した。


キリカ「これって中に何か着るものだよね? それにしても大胆だけど……」

*「いや、そこは頑張って大胆に!」

キリカ「……そんなの着たら寒いよう」

*「なーにも着て帰れって言ってるんじゃないよ? 誰にも見られない一番奥の試着室借りて、ちょっとだけでいいのさ」

*「あとはもし反応が良かったら買って帰って…………それからはもう二人だけでお好きなようにしていただくとして」



※イメージがわかない人は「童貞を殺すセーター」で検索だ!


112◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)22:19:59Uun (10/13)


キリカ「えー……」

*「ね! どう?」

キリカ「あんまりそうやって煽るのは」


*(む、キリカも結構ガード堅いな。まあこれも私らの遊び半分なんだけど)

*(だからこそギャップの力は大きいと思うんだけどねえ)


*「じゃあちょっと路線変えて、思いっきり上品さあふれる大人ちっくな雰囲気とか目指してみる?」

*「どっちにしろその髪型にしたって、普段着ないような服を着てみるのは良いアピールになると思うんだよね」

キリカ「んー、露出が多くないならまあ」

*「よし! 私が選ぶから着てみんさい!」


キリカ(……あれ見せられた後だと不安だなあ)



113名無しさん@おーぷん18/10/28(日)22:22:58U8l (2/3)

検索した!
何これ……?


114◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)23:00:28Uun (11/13)



 いくつか組み合わせられる服を選んでもらって、試着室に入る。

 最初の服のインパクトはすごかったが、その割には後から選んでもらったのはまともだった。

 コンセプトは合っている。自分が普段着ないような服。


キリカ(きりのん、なんて言ってくれるかな。ていうか私に似合うのかな?)


 リボンを外し、制服を脱ぎながらキリカはあれこれ考える。

 試着室にかけてあるこれから着る服のことも気になったが、さっき見た服のことも頭に残っていた。


キリカ(それにしても最初の、裸よりちょっとマシくらい? 後ろから見たらお尻まで見えちゃいそうだし、水着だってあんなに肌出してないよ……)

キリカ(でも、こんなところで着るのはヤだけど、二人きりだったら……あれもし着て見せたらなんて言うかな?)

キリカ(……なんて、途中で着替える場所もないな。まさか家から着ていけないし。だったら潔く全部脱いだ方がマシ――)


 ――その時、試着室のカーテンが開いた。


キリカ「きゃっ! えっ!?」

桐野「うわあ!?」


 桐野も服を持って試着しに来たはずだった。女子たちのセンスでアドバイスをもらってのことだった。

 しかし桐野は思った。ここに靴なんてなかった――――と。



115◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)23:02:34Uun (12/13)



*「あ、ごめん、試着のあとキリカの靴間違えて穿いちゃってたみたい。なんかこっちにずれてたから」

キリカ「あ、そうなんだ……」


*(成功? 成功!?)

*(完璧なタイミングだよ! あとは当人たちのリアクションでしょ!)


桐野「し、試着終わったら声かけて……」


 キリカはすぐに試着室を閉め切って篭もったまま、しばらく出てこなかった。

 それがただのアクシデントだったのか、二人にはわからなかった――――。



116名無しさん@おーぷん18/10/28(日)23:12:40U8l (3/3)

そうきたかw


117◆xjSC8AOvWI18/10/28(日)23:25:30Uun (13/13)



桐野「キリカがいるのわかってたなら言ってほしかったよ」

*「いやー、ごめんごめん……」


 買い物の帰り道、みんな満たされた様子で店を去ろうとしていた。

 ……ただあの事件のもやもやを除いては。


桐野(まあでも、他の人のじゃなくてよかったなあ。キリカだからまだ許されたようなものなんだ)


 みんなの前だから、大した反応はしないようにしていた。二人ともだった。

 そうなると、あれから少し気まずそうな雰囲気になったことを察して、悪ノリしていた女子たちにも少し反省のムードが漂っていた。


桐野「でもあの服はすごく素敵だったよ。また今度見せてほしいな」

キリカ「本当? うれしいな。似合うか不安だったから」


キリカ(…………)


 キリカは少し前の服屋でのやりとりを思い出す。


*『せっかくだったら、大胆すぎて着られない服よりも、少し大胆な下着を用意してみるのはどう?』

*『いつか見せる時のことを思ってさ』



118◆xjSC8AOvWI18/10/29(月)00:30:59Ej8 (1/3)



『スタイルいいから何着てもサマになるって!』


キリカ(まさかそれがあれからすぐになるとは思ってなかったし、何も準備なんてしてないけど)

キリカ(……この前、上は『可愛い』って言ってくれたもんね)

キリカ(急ぎすぎなくてもいいかな? でもいつか、少しは考えてみようかな)


*「あ、あの子……」


 隣から聞こえた言葉に、その視線の向いているほうへと意識を移す。

 彼女が指したのは、立ち並ぶ店の一つ、そこに並べられたものを手に取ってバッグに入れようとしている人の姿だった。


 それを見てキリカが足を踏み出す。しかし、その目の前まで来て立ち止まった。見知った人だからだった。


桐野「今何しようとしてた?」


 代わりに桐野が先に声をかける。


キリカ「……どうしてこんなことしようとしたの?」

えりか「ほら、あたし最低でしょ。返すからほっといて!」

*「あっ……」


 えりかは商品を戻して逃げていく。



119◆xjSC8AOvWI18/10/29(月)00:42:48Ej8 (2/3)



*「なに今の、知り合い?」

キリカ「……いや、知らないひと」


 今のキリカにはそうとしか言えなかった。『知っている』と言うにはあまりにわからないことが多すぎて。

 でも桐野にとっては知り合いだった。もう何年も会っていなかったとしても。


桐野「オレの知り合いだよ。小学校から同じ幼馴染なんだ」

*「え? てことはキリカもそうじゃないの?」

キリカ「うん……そうだけど、知らないんだ」


 女子たちはまだ疑問が残った様子だった。

 何も知らない。だからなんであんなことをしたのかもわからない。


120◆xjSC8AOvWI18/10/29(月)00:51:28Ej8 (3/3)

-------ここまで。次回は水曜あたりの夜に。


121◆xjSC8AOvWI18/10/31(水)20:59:10Lw5 (1/4)



 帰り道でみんなと別れると、またいつもの道を二人だけで歩く。



桐野「キリカ、さっきのこと気にしなくていいよ。オレもなんでえりかがあんなことしたのかはわからないけど……」

キリカ「でも、わからないのに本当に私のせいじゃないっていえるのかな?」

キリカ「……止めようと思ってたのに、さっきは目の前まで来たらどうすればいいか迷っちゃった」

キリカ「どうして私はすぐにえりかを止められなかったんだろ。悪いことだってわかってるのに」

キリカ「あんなのえりかのためにもならないよ」

桐野「……そうだね」


 えりかのことは、あれからキリカも気にしているようだった。

 でも、自分と関係があったといったって、本当にただの知らない人相手にそこまで悩むかな?


桐野(まあえりかが何があったのかはオレも気になるな。一応知り合いだし)

桐野(キリカがこのまま何もわからないまま自分を責めるのも見ていたくない)



1キリカのことが原因だとは決まったわけじゃない
2自由安価

 下2レス


122【5】18/10/31(水)21:05:14aJS (1/1)

1+2もしよかったら俺がえりかから何があったか聞いておこうか?


123名無しさん@おーぷん18/10/31(水)21:13:31e7h (1/2)


追加で今日食べたパンケーキ風のお菓子を作ってみる


124名無しさん@おーぷん18/10/31(水)21:18:14e7h (2/2)

パンケーキを使ったどら焼きみたいなのでお願いします


125◆xjSC8AOvWI18/10/31(水)22:22:22Lw5 (2/4)


桐野「キリカのことが原因だとは決まったわけじゃないよ」

桐野「えりかがいつまでこっちにいるのかわからないけど、オレも少し話を聞いて回ってみるから。何かわかったら伝えるよ」

キリカ「……うん」


 少し明るい表情になったかな?

 もっと元気づけてあげたくて、両手でキリカの手をとる。


桐野「キリカ! 何があったってオレは味方だよ」

桐野「また美味しいもの作るからさ」

キリカ「ありがと。私はきりのんが居てくれて本当によかった」


 キリカが笑うと僕も嬉しくなって、同時に笑う。顔が火照った。

 ――――ああ、やっぱり僕はキリカのこういう顔に弱い。




 ……しかし、その二人を見た通りすがりの通行人は内心毒づいていた。


*(……ケッ、リア充か。ああもう空気まで甘い!)

???


126◆xjSC8AOvWI18/10/31(水)22:56:34Lw5 (3/4)

――――――
見滝原中学校 翌日


桐野「ちょっといいかな? 小学校の時いた、間宮えりかって人のことを聞きたいんだけど……」

*「……間宮? 懐かしい名前だな。途中で転校した子か」


 あの翌日、昼休みになると僕たちと同じ小学校だった人に話を聞いてみていた。

 思えばキリカ以外の小学生の時のクラスメイトとも、昔はもう少し話していたのに歳が上がるにつれて話さなくなっていた。

 そんな人たちに声をかける良い機会にはなっただろうか。


*「でもあんまり知らないよ。その人のことだったら……呉さんとかに聞いたほうがわかるんじゃない?」

*「ほら、よく一緒にいたじゃん。それに桐野ともよく一緒にいた。今もだっけ?」

桐野「いや……そうだけど」


 一緒に話すと記憶の不確かな部分のあるキリカは怪しまれるかもしれない。僕一人で聞き込みをするのはそう思ったからだった。

 キリカの問題は僕たちだけの話にしておきたかった。
???


127◆xjSC8AOvWI18/10/31(水)23:42:10Lw5 (4/4)



 それから何人か聞いて回る。


*「――ああ、その子のこと?」

*「なんか家の都合で転校したとかじゃなかったっけ? わたしも遊んだことあるけど結構いきなりだったからさ」

桐野「そっか……」


 家の都合。なんかそんな話を聞いたのは覚えてる。

 えりかは当時、そのことで悩んでいたのか? 今は?

 けどどうしてキリカと拗れたのかはわからなかった。


桐野(やっぱり本人たちのことはえりかに聞かないとわからないか?)

桐野(もう一度会ったらその時は引きとめてでも話を聞こう)


 ……あっちだってやっぱり、悩んでるのは同じなんだ。


*「けどたしかあの頃、キリカちゃんのこともちょっと噂があったんだよね」
???


128◆xjSC8AOvWI18/11/01(木)00:18:32EGg (1/2)


桐野「え?」

*「万引きしたらしいとかって、学校で先生が話してるの聞いた人がいるってさ」

*「別に悪く言うつもりはないし、本当かどうか知らないよ? 悪ガキがからかいに来た時も本人は『やってない』の一点張りだったし」


 ――あの時のことを思い出してみる。

 たしかにキリカは、えりかが転校してから元気がなかった。それは親友のえりかがいなくなったからだと思っていた。

 でもキリカの元気は戻らなかった。


 万引きといえば昨日のえりかが浮かんで、同時に、それをキリカがやるわけないと思った。


桐野「…………やっぱりキリカはやってないよ」

*「どうしてそう言えるの? 何か知ってるの?」

桐野「事情は全部は知らないけど、キリカのことは知ってる」

桐野「やったなら嘘はつき続けられないし、理由もなくそんなことする人じゃないんだ」


 昨日は止めようとしてたから。――そして、止められなかった自分を責めてた。

 悪い事だってことはわかってる。キリカもえりかも、それは同じはずだった。


 じゃあ、えりかが昨日あんなことをした『理由』は――――?


――――
――――


129◆xjSC8AOvWI18/11/01(木)00:19:12EGg (2/2)

---ここまで。次回は3日(土)夕方あたりからの予定です---


130◆xjSC8AOvWI18/11/03(土)20:27:29yRN (1/7)

放課後



キリカ「なんか聞けた?」

桐野「まだ聞いてる途中だよ。でもえりかが悩む原因はわかったかもしれない。予想はついていたことだけど……」


 一番の原因は家のことなんだろう。

 そのせいで急な引っ越しをして、キリカや友達と別れなきゃいけなくなったことも負担になっているかもしれない。


 それ自体はどうしようもないことだけど、少しでも負担を解消することは僕たちでもできるかもしれない。


桐野「また何かあったら話すよ。えりかのことも助けたいし」

キリカ「ありがとう。きりのんもこんなに心配してるんだから、少しでも伝わるといいんだけどな……」


 けど、えりかがこっちにいるうちとなるともしかしたらあんまり時間はないのかもしれない。

 早いところ、また会って話をする機会がほしいところだけど……。


キリカ「今日はちょっとコンビニ寄ってもいい?」

桐野「いいよ。行こうか」



131◆xjSC8AOvWI18/11/03(土)20:48:08yRN (2/7)



 ――コンビニの中の背の高い棚を眺めていく。

 きりのんと一緒に帰るようになる前から、こうしてよく帰り道にコンビニに寄ることはあった。

 その癖は抜けないから、きっと前からこうだったんだろう。


 目当てのコーナーを一通り見て回っていると、その店の中をえりかが横切っていくのが見えた。


キリカ「え……?」


 その姿を注意して見ると、行動よりもまず気になるものがあった。

 えりかの首筋にあったマーク。


キリカ(ああいうの、なんて言ったっけな……――最初にあいつから聞いたと思うけど忘れた)


 本当に久しぶりだった。

 もうめっきり『それ』関連のものに触れることもなくなっていたけど、それがなんなのかは覚えていた。


桐野「キリカ?」

キリカ「ごめん、ちょっと行ってくる! これ戻しといて」


――――


132◆xjSC8AOvWI18/11/03(土)20:54:38yRN (3/7)



えりか「……やっぱりあたしって最低だ」


 コンビニの裏に出て、こっそり盗ってきたお菓子を見ていた。

 どれもせいぜい数百円程度、大して高くはないものだった。買えないわけじゃない。


えりか「本当はこんなものほしかったわけじゃないのに」

えりか「嫌なことがあったらまた繰り返して、子供の頃からなにも変わってない」



 ――その時、覗きこむ姿にえりかは慌ててお菓子を隠した。



133◆xjSC8AOvWI18/11/03(土)21:00:39yRN (4/7)



キリカ「……今なにを隠したの?」

えりか「なんだっていいでしょ! み、見てたの!?」


 えりかは罪について追及されるのを恐れていた。

 でも今はそれは後回しだ。


キリカ「どこに行こうとしてるの?」

えりか「!! な、なんの話!?」

キリカ「そっちに行っちゃダメだよ」

えりか「どうして? 関係ないでしょ。……もうどうせ“子供の頃”のことだもんね」

えりか「キリカはそのままあたしのことなんか忘れて楽しく過ごしてればいいじゃん。あたしは死ぬんだから」

キリカ「だからそんなのダメだってば!」



134名無しさん@おーぷん18/11/03(土)21:05:35oIJ (1/3)

これは別編の流れかな?


135◆xjSC8AOvWI18/11/03(土)21:12:07yRN (5/7)



 力づくで止めようとすると、えりかは抵抗した。


えりか「放して!あたしは死ぬの!」

キリカ「死ぬのわかってて離さないよ!」


 必死に暴れられると私の力じゃ留めておけなかった。こんなときは魔法の力にでも頼らないとやっぱ無理だ。

 えりかが結界に行ってしまう。無理にでも行ってほしくなくて、鞄から取り出したソウルジェムを久しぶりに握りしめて思わず足が先に出た。


キリカ「――――あっ」


 背中へのドロップキック。

 ……気づいたらえりかが伸びている。


桐野「いきなりどうしたの?」

キリカ「い、いやこれは違うんだよ!? あれ、生きてるよね!?」

桐野「……寝てるな」



136名無しさん@おーぷん18/11/03(土)21:16:30oIJ (2/3)

ドロップキックwww


137◆xjSC8AOvWI18/11/03(土)21:32:27yRN (6/7)



 そう言うと、ちょっとほっとした。

 きりのんが近寄って見てみてるけど、まだ顔色はよくない。マークもついたままだった


キリカ「……えりか、魔女にとり憑かれちゃったみたい。元を絶たないと意味ないよ」

桐野「魔女って、あの? ……また戦うのか?」

キリカ「誰かに頼んでる時間もないし、私がなんとかしないと…………」


 手に持ったソウルジェムのリングを丸い宝石の形に変える。


キリカ「結界を探してくるから、きりのんはえりかのこと見てて」

桐野「ああ、待ってるから無事に帰ってきてよ。危なかったら逃げても……」


 心配されてるのは伝わってくる。なにより久しぶりのことだし、魔女との戦いで絶対に勝てるって保障はない。

 でも、勝たなかったら助けられないんだ。きりのんに心配をかけないように、私は約束してから歩き出した。


キリカ「勝ってくるよ」


 結界を探しに向かう。



138名無しさん@おーぷん18/11/03(土)21:42:28oIJ (3/3)

久しぶりの魔女戦、キリカ大丈夫かな?


139名無しさん@おーぷん18/11/03(土)21:53:41ckn (1/1)

久しぶりってことで戦いの勘とか鈍ってそうだなぁ
実力的にも新人だしやられちゃったらどうにもならないんだから、戦って経験積まないとダメだな


140◆xjSC8AOvWI18/11/03(土)22:15:26yRN (7/7)


 ――――しばらく横で見ているとえりかが目を覚ます。

 魔女にとり憑かれたってことは、やっぱり付け入る隙があったってことなんだろうか。


 目を覚ますとえりかは驚いた顔をしていた。また逃げたり危ない場所へ行ったりしないように腕を掴む。


えりか「!」

桐野「少し話をしたいんだ。今度こそ逃げないで聞いてくれ」

えりか「……巴君もいたんだ。あんたたち二人揃ってなんなの?」

桐野「オレもキリカも心配してるんだよ。こんなことしてほしくないし、えりかも本当はしたくないんじゃないのか?」


 盗んできただろうお菓子を見る。

 問いかけるとえりかは黙りこくっていた。


桐野「まずキリカのことが聞きたい。 なにがあったんだ? 昔は仲良かったのに」

えりか「……全部あたしが悪いんだよ。あたしが『こんなこと』したからいけないんだ」


141名無しさん@おーぷん18/11/03(土)23:19:53Vy9 (1/1)

そのまま惚れさせてしまえ


142◆xjSC8AOvWI18/11/04(日)00:01:13KLQ (1/3)


えりか「親の再婚の話で転校が決まって、イライラしてたのがきっかけだった」

えりか「ほんのちょっと魔が差して、軽い気持ちで店に置いてあるものを盗もうとしたんだ」

えりか「そしたらキリカに見つかって、あたしを止めようとするキリカを突き飛ばして逃げちゃって……」

桐野「……そのまま離れちゃったのか」

えりか「キリカはあたしのことまだ怒ってると思ってた。なのにキリカは平気そうにしてて、あたしのが悪いのにあんなこと言って責めちゃったんだ」

えりか「本当最低だよ。みんなちゃんと成長して、みんな変わってるのにあたしだけが変わらない」



1キリカはえりかのことがどうでもいいわけじゃないと思うよ
2こっちにはいつまでいるんだ?
3自由安価

 下2レス


143【83】18/11/04(日)00:03:061tu (1/1)

1+3とりあえず、キリカに会ってくれないか?
キリカはどうしてあんな風でいたかきちんと理由などはっきり説明するよ

安価↓


144名無しさん@おーぷん18/11/04(日)00:06:48VKc (1/1)

↑+2


145◆xjSC8AOvWI18/11/04(日)00:50:21KLQ (2/3)


桐野「キリカはえりかのことがどうでもいいわけじゃないと思うよ。だって、どうでもよかったら今日も止めたりしなかっただろ?」

桐野「そのやり方はちょっと乱暴な気もするけどね……」

えりか「?? そういえば何があったんだっけ?」


 キリカのことは僕たちだけの話にしようと思ってた。

 話して伝わるかわからない。でもえりかの話を聞いてたら、勘違いされるより少しくらい事情を話しほうがいいんじゃないかと思った。


桐野「こっちにはいつまでいるんだ?」

えりか「もうそろそろ帰るよ。そしたらもう会わなくなるから」

桐野「その前に、とりあえずキリカとも話してみてよ。そしたら理由もはっきりすると思うし……!」

えりか「理由ってなに?」

桐野「それはあんまりオレの口からは言えないけど……キリカもえりかのこと心配して悩んでるから」

桐野「できればまた仲直りしてほしい。えりかには同じようには思えないかもしれないけど、このまままた離れてほしくないよ」

えりか「そんなの……できないよ。もうほっといて。今更キリカと顔合わせたくなんかない」

桐野「一緒に待っていよう。お願いだよ」



桐野(キリカ……まだ戦ってるのか?)

桐野(とにかく無事でいてくれ……――!)


 暗く考えてしまうのは『とり憑かれた』せいもあるんだろうか。

 今はとにかくキリカの帰りを祈って、待っていた。



146◆xjSC8AOvWI18/11/04(日)01:11:21KLQ (3/3)

----ここまで。次回は10日(土)夕方からの予定です


147◆xjSC8AOvWI18/11/10(土)18:39:43jA6 (1/12)




 そして、自分が悪い事したんじゃないかって思いこんでる彼女に一刻も早く伝えてあげたかった。

 ……キリカは悪くなかったんだって。



――――



 久しぶりの結界。戦いの空気。


 首筋とマークを見つけて入り込んだ矢先、私は深い谷底へと突き落とされた。

 地面は意外と柔らかくて痛くはなかったけど、初っ端から出鼻をくじかれたようだった。


キリカ「こいつもしかして硬い!? そもそもこんな始まり方なんて聞いてない!」


 『こんなの一秒でも早く倒してえりかたちのところに戻ってやる』

 そう思ってたけど、攻撃を避けて、爪を振るいにいって、それをどのくらい繰り返しただろう?

 私の戦いでの一番の味方、相手の動きを遅くする魔法は全開にして使ってる。なのに攻撃が効いているのかもわからないなんて。



148◆xjSC8AOvWI18/11/10(土)18:58:52jA6 (2/12)



キリカ「うっ……」


 正面から叩き付けられる攻撃を、両手を目の前に掲げ爪をクロスさせるようにして防ぐ。

 腕に伝わる重みに額から汗が垂れた。


 周りには無限に沸き続ける使い魔もいて、こっちは一発まともに食らったら死にかねないなんてほんとうに卑怯だ。

 ……でも死なないんだっけ。ソウルジェムが壊れない限りは。

 考えると今でもチクリと胸が痛む。


キリカ(そんなの身をもって確かめるようなことになんてなりたくないけどね……)


 今の私は多分、契約したばっかの新人と変わらない。

 もともと魔法少女として戦ってた期間は短かったし、その感覚ももう日常に忘れ去っていた。

 普通に暮らすのに必要な以上の力すら今まで使うことはなかったんだ。


 周りを囲む使い魔を薙ぎ払って、距離と取って、また準備を整えなおして両の目で正面に魔女を捉える。

 しかし、次第に心に沸いてくるのは敵に対する恐怖と諦めだった。



149名無しさん@おーぷん18/11/10(土)19:01:23X1m (1/2)

経験不足がモロに出てきたか
やっぱり魔法少女としてしっかり戦っていないとなぁ


150◆xjSC8AOvWI18/11/10(土)19:20:53jA6 (3/12)



キリカ(……こんなの勝てるの?)

キリカ(今までずっと戦いから逃げてきた。戦うのが怖かったし、傷つきたくなかったからだ)


 契約した理由も覚えてなくて、どうして自分が戦わなきゃいけないのかが分らなかったから。

 妙に攻撃的になって八つ当たりに怒りをぶつけるみたいに戦って、でも本当は戦いたくなんてないから戦うのをやめて誰かに頼って。


 もう昔のことにも思える今までの戦いのことが浮かんでくる。

 ――その時、死角からさっき倒し損ねた使い魔がぶつかってくるのが見えた。


キリカ「あ……っ!?」


 魔女に向けて全開にしたままの魔法に気を取られて、使い魔のいる後ろまで気が回ってなかった。

 そんなことすら気づかなかったのは感覚が鈍っていたからか。

 腰のあたりに感じた衝撃に体勢を崩されそうになりながらも、至近距離まで近づいた使い魔を咄嗟に拳を叩き付けて振り払う。


キリカ「こ、こらっ!あっちいけっ!」


 しかしそうしているうちに、今度は魔女のほうが前まで迫っていた。


キリカ「――――!」



151◆xjSC8AOvWI18/11/10(土)19:43:37jA6 (4/12)



 身体が地面に転がる。


キリカ「くっ……、うぅ……」


 目に入ったすりむいて傷ついた足と痛みに、過去の空想から現実に戻ると妙に冷静に考えていた。

 だって慌てたって勝てないじゃないか。


キリカ(勝てないなら逃げないと。きっと許してくれる)

キリカ(ここで諦めていいの?)


 二つの相反する言葉が同時に響いた。


キリカ(……私が勝てなかったらどうなる?)


 これ以上傷つくのは嫌だよ。死ぬのだって怖いよ。今の私は幸せだからなおさらそう思う。

 でも押し付けられた使命とか生きるためだけに戦ってた時とは今は違う。

 えりかを助けるために戦って、勝ちに来た。それに、悩みはなくても魔女の近くにいるきりのんだって危ないんだ。


 ――――今諦めたら本当に私の契約した意味がなくなってしまう。

 だって私が契約した本当の理由は――――。


キリカ(……理由は?)



152◆xjSC8AOvWI18/11/10(土)20:04:15jA6 (5/12)



キリカ「――痛い……っ」


 怪我とは別に眩暈のように頭が重くなる感覚がする。

 身体が鈍く痛む。今は深く考えている時間はない。


 弱音を捨て、決意を固めて身体を起こし、魔女に向けて手を翳す。


キリカ「勝つって約束したから!」


 両手の先に魔力の爪を携えて再び駆け出した。

 切り裂く黒色に滲む魔力の明るい光。それでも傷はほとんどつけられないけど。


キリカ「勝ってみせるよ。前とは違うんだ。……私にだって、一度くらい『ヒーロー』にならせてよ」


 装甲の表面を滑るように高速で掠っていく刃。

 そして、一際大きく手中に魔力を込めてぶつける。


 ――――幾重にも連なった刃が魔女を貫いた。



153名無しさん@おーぷん18/11/10(土)20:10:14X1m (2/2)

ヴァンパイア・ファング!


154◆xjSC8AOvWI18/11/10(土)20:39:40jA6 (6/12)






キリカ「おまたせ、二人とも!」


 待っていた聞きなれた声とともにキリカが駆け出してくると、僕は目を見開いた。

 キリカの腕や足にはところどころ擦ったような怪我や汚れがあったからだ。ここを離れる前と違って髪も乱れている。

 その身体や雰囲気には戦いの痕が残っていた。


えりか「なにその傷……アンタ何してきたの!?」

桐野「無事に勝ったんだな」


 それは今まで自分を責めて錯乱気味になっていたえりかの手から急に力が抜けたことでもわかっていた。

 キリカはえりかの問いには答えずに近づいて、昨日僕がしたようにえりかの手を両手で包み込むように掴む。


キリカ「えりか……私は勝ってきたよ」

えりか「はあ?」

キリカ「魔女だけじゃなくて、やっと自分に勝てたような気がするんだ。私だって逃げてたから」



155◆xjSC8AOvWI18/11/10(土)21:24:17jA6 (7/12)


キリカ「本当は私もね、気持ちはわかるんだよ。同じだったから」

えりか「気休めはやめてよ。同じじゃない。キリカにあたしの何がわかって……」

キリカ「悪いことしたくなる時っていうのは、誰かに助けてほしい時なんだ」

キリカ「心が荒んで、自分を見失って、やつあたりみたいに自分も人も粗末にしようとしてる時なんだ」

キリカ「でもそんなことしてたら、どんどん悪いほうにばっかり進んでいっちゃうんだよ」


 キリカはえりかの目の前で静かに優しく語りかける。

 そして、その手を一層強く握った。


キリカ「私はきりのんがいたから助かった。そんな時は誰かが掬い出してやらないといけないんだよ」

キリカ「今度は私が助けるから」

えりか「どうしてそこまでするの? あたしはキリカに対して“あんな最低なこと”をしたのに! 恨んでないなんておかしいよ!」


156◆xjSC8AOvWI18/11/10(土)21:50:21jA6 (8/12)



 そう言われるとキリカは困ったような顔をする。肝心の記憶はまだ戻っていない。


キリカ「うーん……わかんないけどさ」

キリカ「私がそうしたいって思った。同じだって思ったら見てられなくて、私は傷ついてでも助けたいって思ったんだ」


 えりかがキリカに縋りついて泣く。小さい頃は逆の光景も見覚えがあったっけ。

 そんな光景を見て僕は考えていた。


桐野(……記憶なんてあってもなくても、この二人は変わらなかったのかもしれないな)



 ――それからコンビニに盗んだものを返しにいって、僕たち三人は一応の仲直りを遂げる。

 ひどく怒られてたけど盗んできた時よりえりかの表情はマシだった。


 えりかは明日にはおじさんと一緒に帰ってしまうらしい。その前にえりかと連絡先を交換して別れた。



157◆xjSC8AOvWI18/11/10(土)21:59:46jA6 (9/12)



桐野「キリカ。えりかから過去のこと聞いたんだ。やっぱりキリカは悪くなかったよ」

キリカ「……!」


 隣を歩いているキリカの反応が伝わる。


桐野「記憶のこと言わないままでいいの?」

キリカ「うん。それは私の問題で、えりかが悪いわけじゃないから」

桐野「記憶が戻ってもえりかのことを同じように許せると思う?」

キリカ「……うん。友達だったんでしょ? 助けたいって思ったのも多分、私が望んだことだから」



1自由安価
2怪我大丈夫?

 下2レス


158【45】18/11/10(土)22:14:26hq9 (1/1)

1キリカは優しいね…僕にはできそうにないよ+2
安価↓


159名無しさん@おーぷん18/11/10(土)22:22:50glg (1/1)

傷付いてるけど・・・怪我は大丈夫?
魔法少女として戦うのは久しぶりだったんだよね?
苦戦したのなら、やっぱり誰かに訓練とか稽古をつけてもらった方が良くないかな?

戦ってキリカが傷つくのは嫌だけど、そうならないために強くならないといけないのかな?
矛盾してる事を言ってるのはわかってるんだけど


160◆xjSC8AOvWI18/11/10(土)23:09:17jA6 (10/12)



 キリカと話しながら、僕はまだキリカの血の滲んだ手足を見ていた。

 せめて最低限の処置をしないことには痛々しい。見えている部分以外にも怪我はあるかもしれない。


桐野「怪我は大丈夫?」

キリカ「痛くないって言ったら嘘になるけど、まあ勝った証だし。無意味に傷ついたわけじゃないから大丈夫だよ」

桐野「魔法少女として戦うのは久しぶりだったんだよね。また戦うなら、苦戦しないようにするには強くなるしかないのかな……」

キリカ「絶対なんて多分ないよ。強い人だって怪我するときは怪我するし、死ぬときは死ぬ」

桐野「でも可能性は少なくなるんじゃ」


 ……矛盾してる事を言っている。

 強いってことは戦い慣れてるってことだ。練習だって怪我をする。


キリカ「まだ知らない人のためにまで納得して戦える気はしないんだ」

桐野「契約した記憶がないから?」

キリカ「……いつかちゃんと思い出したら、その時はえりかにも『許す』って言おうと思う」



161◆xjSC8AOvWI18/11/10(土)23:31:23jA6 (11/12)



 キリカの手元を見る。今は珍しく例の紫色の指輪を手に嵌めたままだった。

 僕は確かにキリカが危ないことをせずに普通に暮らすのを望んでいた。

 戦いの使命なんて納得できないし、それが身に覚えのないことなら尚更だった。


桐野(……もうこんなことがないのが一番か)


桐野「手当をするよ。ちょっとうちに寄っていかない?」

キリカ「うん、いいよ。ありがとう」


 …………それから僕の家につくと、救急箱をとって処置をしていく。

 ――のだが、キリカは涙目になっていた。


162◆xjSC8AOvWI18/11/10(土)23:41:44jA6 (12/12)



キリカ「――――痛い痛いっ! もうちょっと優しく……」

桐野「ちゃんと傷口を洗い流して消毒しないと。後は包帯巻いて終わりだから」

キリカ「うぅ、早く終わらせてよ? あんまり痛くしないようにして!」


 戦って怪我を負った時のほうがよほど痛かっただろうに。

 傷を治す魔法とかもあるのかな。


桐野「包帯巻けたから、キリカはそこでゆっくりしてて」

桐野「……これはこれで『怪我をした』って感じで痛々しい気もするけど、血が流れてるよりはずっといいかな」


 キリカはベッドの上に座らせている。

 僕が部屋を出ようとすると、キリカが尋ねてきた。


キリカ「……どこいくの?」

桐野「おやつの準備! 今日はキリカをめいっぱい労いたい気分だから」



163◆xjSC8AOvWI18/11/11(日)00:06:3637X (1/7)



 キッチンに立つと、いつもとは少し違う材料を出して用意していく。

 いつも僕が作る和菓子との違いは、その材料が和洋入り混じっていることだった。

 今日は試したいものがあった。昨日のパンケーキから思いついたものだ。すでに一度帰ってから作って家族に振舞ってみてもいた。


 パンケーキ用の生地に抹茶を混ぜ、生地を小さ目の2つの円に分けて焼く。

 一番の問題はパンケーキの生地だ。家で食べたことのあるパンケーキは本当にスタンダードなものだけだった。

 どうしたらあんなふうにふわふわになるのかは研究していた。昨日はまだ納得のいくものは作れなかったけど……――。


桐野「よし…………部屋に運んでいってあげよう」


 パンケーキの生地の間にたっぷりと餡子を挟んで、生クリームをつければ完成。

 一見パンケーキのようなどら焼きのような見た目をしていた。


 いつもだったらリビングに呼ぶが、今はあまり歩かせるのも大変だろう。

 部屋に出来上がったばかりのパンケーキを持っていく。



164◆xjSC8AOvWI18/11/11(日)00:27:3637X (2/7)



 ――その頃キリカは、一人部屋の中でポツンと考えていた。

 座ったまま後ろに身体を寝せ、ベッドに身体を預ける。


キリカ(……あの時、なにか思い出しそうな感じはしたんだけどな)

キリカ(本当は全部知ってたっていうか。私の中から消えちゃったわけじゃない気がする)


 自分の部屋じゃない天井を見つめる。

 小さい頃から見てきた部屋。まだ思い出せないけれど、同じように昔はえりかも一緒にいたんだ。

 “仲直り”をしてえりかと友達になって、ぼんやりとそのことを考えていた。


 その時、トントンと扉をたたく音がする。


桐野「キリカ、おやつ持ってきたよ」

キリカ「きりのん。 おお――――それは!」



165◆xjSC8AOvWI18/11/11(日)00:38:0237X (3/7)



キリカ「パンケーキ? どら焼き?」

桐野「その中間かな。あのパンケーキを参考にしてオレなりにアレンジしてみたんだ」

キリカ「美味しそうだよ!」


 キリカが身体を起こす。

 身体は傷ついていても元気そうな姿を見ると安心した。



1自由安価
2今日はお疲れ様
3今度はえりかともこうして美味しいもの食べたりしようか

 下2レス


166【63】18/11/11(日)00:43:09BPU (1/1)

2+3
安価↓


167名無しさん@おーぷん18/11/11(日)00:49:09z1B (1/2)

↑+お菓子の感想を聞く
キリカが笑顔で美味しそうに食べてくれてたら頭をそっと撫でて愛でる



168名無しさん@おーぷん18/11/11(日)00:53:24z1B (2/2)

あ、キリカのほっぺか唇に付いたクリームを指で掬い取って口にするきりのんを追加で
さすがに舌で舐め取ったりは出来ないと思うのでw


169名無しさん@おーぷん18/11/11(日)01:03:14xKw (1/1)

↑また誰かが見たら壁を殴りたくなる甘々空間になるのか


170◆xjSC8AOvWI18/11/11(日)01:15:4537X (4/7)



桐野「今日はお疲れ様」

キリカ「うん! 私も今日は頑張った、みたいな」

キリカ「でもきりのんが居てくれなかったら困ってたよ。えりかをほっとくわけにはいかなかったし」


 キリカは自分で言いながらも少し照れくさそうだ。

 僕もそうやって感謝されたのは嬉しかった。


桐野「ところでこれ、昨日は家族にも食べさせたんだけど、どう? その時より上手く出来てると思うんだ」

キリカ「美味しいよ! 抹茶と餡子と生クリームって、どら焼きとパンケーキのいいところが混ざってるね」

キリカ「思ったとおり。本当にきりのんはいつもおいしいの作ってくれるなぁ」


 キリカは上機嫌だ。

 そうやって笑顔で美味しそうに食べてくれてるのが嬉しくて、一度名前を呼んでから頭に手を伸ばす。


キリカ「きりのん?」

桐野「……なんかこうしたい気分になったから」

キリカ「もう、仕方ないなぁ。でもそれ、なんか落ち着くから好きだよ」

桐野「本当に今日はお疲れ様。これからも美味しいものならたくさん作るよ」


 髪をそっと撫でると、まんざらでもない反応が返ってきた。

 ……可愛い、って思ったんだ。



171◆xjSC8AOvWI18/11/11(日)01:33:1837X (5/7)



 キリカを見ていると、あ、と気づく。


桐野「唇の下にクリームついてる」

キリカ「ん、どこ? 取れてる?」


 キリカは下唇を舐める。でも全然届いていない。

 僕は指摘するのと同時にそこに指を持っていくことにした。


桐野「もっと下だよ」

キリカ「あっ……取った!」


 クリームを掬い取って口にすると、キリカは抗議するように言った。


桐野「クリーム、欲しいならオレのも取っていいから」

キリカ「じゃあきりのんが同じようにつけてたら取ってくよ」



172◆xjSC8AOvWI18/11/11(日)01:44:3137X (6/7)



 甘いおやつを食べてキリカと笑い合いながら話す。


桐野「今度はえりかともこうして美味しいもの食べたりしようか」

桐野「その時はまた三人で笑えるといいな」

キリカ「そうだね。私もそう思う」

桐野「記憶はまだ戻らないんだよね……?」


 キリカは静かにうなずいた。

 記憶はないけど、キリカはえりかのことを友達だって認めている。


キリカ「えりか、もう万引きはしないかな?」

桐野「多分ね。転校するって時から癖になってたみたいだから」

桐野「不安がなくなったらもうやらないと思う」



173◆xjSC8AOvWI18/11/11(日)01:45:5337X (7/7)

---ここまで。次回はまた時間の取れる休みに。土曜の夕方あたりに待っててください。


174◆xjSC8AOvWI18/11/17(土)20:25:34c2u (1/9)



 ――――その夜、キリカは夢を見る。

 自分の知らない自分の夢。それが【現在】ではないことはなぜかわかっていた。

 しかし、それが【現実】であることも。


キリカ「えりか…………」


キリカ《なんで万引きなんてしたの? なんで私をおいて逃げたの?》

キリカ《わかんない、わかんないよ……!》


 名前が似ている。そんな些細なことで仲良くなって、無条件に信じていた友人から裏切られた瞬間。

 それでも私は誰にもえりかのことを言えなかった。それが更に捻くれた考えを助長する。


キリカ《……こんなことになるなら、もう友達なんていらない》


 ――そんなみんなから遠ざかろうとする態度とは裏腹に、この時の私は本当は寂しかったんだ。


 夢の中でも辛さはよみがえる。こんなのは見ていたくない。

 思わず今すぐ飛び起きてしまいたくなった時、頭に声が響いた。



175◆xjSC8AOvWI18/11/17(土)20:48:14c2u (2/9)



 ……でも、もう大丈夫だよね。

 ……もう許せるよね。


 あの日逃げていったえりかはもう捕まえることができたんだから。


キリカ(うん、もう寂しくない)

キリカ(それに、今も昔もきりのんは傍にいてくれてたのにな……)


 そう考えたら、過ぎ去った過去のことより今のことが気になった。

 えりかともっと話したい。クラスメイトに会いたい。きりのんにももっと甘えたい。

 見たくない過去から目を塞いだって、それはずっと私の中にあるんだから。



 ――――その瞬間、アラームとともに目が覚めた。

 いつもなら眠くて鬱陶しく思えるその音も、今は朝の始まる快活な音に思えた。

 簡単な朝ごはんを食べに下に向かって、制服に着替えて鞄を取る。



キリカ「学校にいこう!」



176◆xjSC8AOvWI18/11/17(土)21:43:28c2u (3/9)

――――――


 えりかのことを解決した翌朝、迎えに来てくれたキリカと一緒に家を出て通学路を歩きだす。

 手をつないで、キリカはいつもより近くにいた。


桐野「……なんか今日、距離近くない?」

キリカ「えーと、えーとね。ちょっと、甘えてみたいな……って思った」


 口に出してみると、キリカは少し俯いて顔を赤らめる。

 照れるようにたどたどしく言う姿を見ているとドキッとしてしまう。


桐野「あ、いや! 全然いいんだよ? むしろ嬉しいし――」

キリカ「ホント? じゃあもっと甘えちゃおっかな」


 キリカはそう言うと、更に半歩分こっちに寄って僕の腕を抱き寄せる。

 気づいているのかいないのか、胸の柔らかさが腕に当たっていた。


桐野(……イヤじゃないけど、このままだと色々まずいような気はするな)


 僕の腕に頭を寄せるキリカの顔を覗くと、どこか安心しているというか楽しそうな表情をしている。

 でも、いつもここまでべったりすることはなかったから違和感を覚えないことはない。



177◆xjSC8AOvWI18/11/17(土)22:25:54c2u (4/9)



桐野「嬉しいんだけど、何かあったのかなとは気になったかな」

キリカ「そりゃ今日からはニュー私だからね。朝から思いついたやりたいことがこれだったの」

キリカ「きりのんはずっと私の傍にいたのに、自分から遠ざけてた時があったでしょ?」

キリカ「……それって、すごくもったいないことだったんだなって」

桐野「『ニュー?』」

キリカ「そう。ニュー」


 キリカは自信に満ちた顔でそう言った。

 また話すようになってからも前と変わってないと思ってたけど、思えばこういう表情を見るのは久しぶりかもしれない。


178◆xjSC8AOvWI18/11/17(土)22:29:52c2u (5/9)



桐野「……オレからしたら、あの時はもっとこっちからキリカのことを見に行くべきだったって思ってるよ」

桐野「そしたらキリカにも寂しい思いはさせなかっただろ? それにやっぱりオレも、キリカがいないと寂しかったから」

キリカ「じゃあ、こうやって今気付けたのはよかったのかもね」


 キリカがくすっと笑う。

 その顔には幼い頃と同じ自信だけじゃなくて、どこか成長した彼女の表情があった。



 小さい頃から見てきた僕はそんな小さな変化に気づいて、後からキリカの抱えていた問題が解決していたことを知る。




179◆xjSC8AOvWI18/11/17(土)22:45:13c2u (6/9)

――――
――――


 えりかは数日間滞在した家に別れの挨拶をする。

 義理の父の実家、初対面の人たちにはやはり別れを惜しむ気持ちはさすがにわかなかった。

 しかし、ここに来た時と比べれば今は少しだけ拒む気持ちは減っていた。


 男が車の鍵を取ってえりかの手を引いた。


*「――――じゃあえりかちゃん、行こう」

えりか「……ゴメン、ここを出る前にどうしてもやりたいことやってきてもいいかな?」

えりか「会っておきたい友達がいるんだ」



180◆xjSC8AOvWI18/11/17(土)23:02:32c2u (7/9)



「えりか!」


 姿を見つけて、二人が名前を呼ぶ。まだ学校帰りの制服姿の二人。

 その声に反応してえりかが振り向く。


えりか「二人とも来てくれてありがとう」

桐野「いいよ。あんまり時間はないんだろ?」

キリカ「えりかが行っちゃう前に私がどうしても会いたかったんだ……」


*「……おじさんは少し席を外したほうがいいかな? 先に車に行ってるよ」


 そう言うと男は庭のほうに回っていく。


キリカ「えりか……また会えてよかった。これだけは伝えたくって」

キリカ「昔のことはもう怒ってないよ。私は変われたから」

えりか「知ってた。いつのまにか変わってたよ、キリカも巴くんも」

えりか「キリカはあたしみたいな弱い人の気持ちも受け止めてくれるほど頼もしくなってるし、巴くんもなんか昔より堂々としてる」



181◆xjSC8AOvWI18/11/17(土)23:17:39c2u (8/9)



キリカ「でも、やっと気付けたんだよ」

えりか「あたしも変わるよ。あたしも二人に会えたおかげで少しだけ気持ちに整理がつけられた」

えりか「心を閉ざすばっかじゃなくて、もうちょっと向き合うこと考えてもいいかなって」

えりか「……あの人たちもあたしのこと見ようとしてくれてるし、多分悪い人ってわけじゃないから」

キリカ「えりか……うん。頑張ってね」


 キリカは心の底からほっとした顔をする。

 ――――えりかの言う通り、キリカの願いはもう叶っていた。でも本当に全てが叶ったと思える瞬間はこの時だった。


えりか「ところで、二人って付き合ってるの?」

キリカ「えっ!?」


 感動の雰囲気から一転、思いもかけない問いに二人は驚きに顔を赤くする。

 その反応はほとんど答えを言っているようなものだったが。


桐野「わ、わかるの?」

えりか「なんとなく。最初は相変わらず仲いいなって思ってたけど」



182◆xjSC8AOvWI18/11/17(土)23:37:46c2u (9/9)


キリカ「傍から見たらわかるんだ……そういうの。今朝はちょっと大胆だったかもしんないけど……」

えりか「えっ、今朝なにしたの?」

桐野「それは、まあ……秘密だよ。えりかもあっちに戻っても頑張って」

えりか「……頑張るよ、色々と」


 また遠い地へ旅立つえりかを二人で元気づける。

 ……しかし、ぎこちない誤魔化し方からえりかの想像は膨らんでいくのだった。


キリカ「手紙書くよ!」

えりか「いいね。ひさしぶりに巴くんの絵も見たい」

桐野「うん、手紙と一緒に描いてみるよ」



 最後に挨拶を済ませると、三人で手を振り合う。

 ――――えりかが車のほうへと向かって行って、二人も帰路につくことにした。




183名無しさん@おーぷん18/11/17(土)23:53:49j33 (1/1)

キリカ、精神的に成長したか


184◆xjSC8AOvWI18/11/18(日)00:02:38mE1 (1/3)



キリカ「……行っちゃったね。またしばらくは会えないのかな」

桐野「一生会えないわけじゃないさ。仲直りできたんだから」

キリカ「うん。そうだね」


 いつもの通学路からは外れた道を二人でのんびりと歩く。

 今度は僕のほうからキリカの手を取った。


桐野「キリカ、朝みたいに甘えてもいいよ」

キリカ「もー、本当はきりのんが甘えたいんでしょ?」

桐野「……うん」


 えりかは僕たちのことを変わったって言った。

 そのことで、僕はキリカにありがとうって言いたかった。それもキリカのおかげだったから。


 ……でも、そう思ってたのはお互いに同じだった。

 僕もキリカもえりかも、一人じゃ成長なんてできなかったんだ。



―2.END―


185◆xjSC8AOvWI18/11/18(日)00:11:18mE1 (2/3)

-------2話目、えりかとの再会完結です。
あと本スレのほうの安価がまだなのでそちらもよろしくお願いします(宣伝)


186【11】18/11/18(日)00:14:32UAi (1/2)


いい感じに終えてよかった
個人的には、数年後の二人とか見てみたいけど……まあ欲張りは気を付ける


187◆xjSC8AOvWI18/11/18(日)01:13:34mE1 (3/3)

欲張ってくれてもいいですよー
本スレ外のは息抜きになりますし、ネタが増えるのは嬉しいですから


188【64】18/11/18(日)01:18:52UAi (2/2)

偶然、エッチの動画を見てしまって恥ずかしくなる二人とか


189名無しさん@おーぷん18/11/24(土)11:13:21bA6 (1/1)

↑の流れで元気になってしまったきりのんのアレをキリカが静めてくれるとか
あとキリカの魔法少女衣装をはだけさせてエロい格好にして絵に描くとか


190名無しさん@おーぷん18/11/25(日)10:39:13uYZ (1/2)

エロ関連も良いとして(中◯生でCまでいってほしい)
自信がついたキリカが魔法少女としての自覚を持って魔女狩りや訓練をするようになって欲しいかな
今後の幸せの為にもある程度は強くなってGSを自力でゲット出来るように


191名無しさん@おーぷん18/11/25(日)15:35:50uYZ (2/2)

キリカが魔女狩りを再開するなら結界の中で他の魔法少女に鉢合わせしてもらいたいかな
そろそろ見滝原の他の魔法少女にも登場して欲しい


192◆xjSC8AOvWI18/12/25(火)22:52:27776 (1/5)

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クリスマスっていったらついにうちにもロマンティックできる話ができました。
今年はそんなおまけと看病ネタ。
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クリスマス番外*『発熱色のクリスマス』



 部屋のベッドに寝転んだまま目を開いて見上げると、すぐそばに覗きこむ顔があった。

 ……普段だったらこんな時間の、しかもこんな時にベッドでなんて寝ていない。


キリカ「しかしタイミングが悪いっていうか、災難だよねー。まさかこんな日にお熱なんて」

キリカ「……具合はどう?」

桐野「うーん、まだ朝と変わらないかな……」


 キリカは隣に座って腕を組んでいる。

 世間の沸き立つクリスマス、僕はよりによってこの日に朝から熱を出して寝込んでいた。

 予兆かな?と思える風邪気味はあったものの、まさかこうなろうとは……――。


桐野「ごめんね。今年はパーティだって、ケーキも作ろうってあんなに楽しみにしてたのに」

桐野「それに――」


 今までよりも、この日を一緒に過ごせることにもっと特別な意味があるから。

 僕も『今年ではじめて』だったんだ。

 毎年家でケーキくらいは食べたけど、西洋のイベントに興味のないじいちゃんは無関心で、

 ばあちゃんもあまりピンとこないようだからなんだか全体的にノリは悪いし。


 小さい頃はキリカやえりかの家にクリスマスパーティに行ったことはあるけど、『今』はそれとも違う。

 特別な関係ができたのははじめてで――。



193◆xjSC8AOvWI18/12/25(火)22:53:51776 (2/5)



キリカ「そんな無理しないでもいいよ? ケーキは楽しみだったけど、いつでも食べられるんだから」

キリカ「……ホントはちょっと残念だけど」


 柔らかく笑うキリカの顔を見てると申し訳なく思ったが、優しい言葉に少しだけ元気も沸いた。

 ……こうしてキリカがいて、『一緒に過ごす』のは同じだもんな。

 こんなふうに看病してもらえるなら、今日という日はそれはそれで特別なのかもしれない。


キリカ「ていうか、クリスマスって言ったけどまだ『イブ』なんだよ?」

キリカ「明日までに治せば全然問題ないじゃん! よしっ、私も協力するからさ。欲しいものがあったら何でも言って?」


 キリカはころころと表情を変えて、自信満々に笑う。

 なんでも頼ってくれとばかりに胸を張るキリカにあれこれ考えるけど……浮かんだのはただ一つだった。


桐野「…………キリカ」

キリカ「……へ?」

桐野「いや、キリカが居てくれるならそれだけでいいかなって、さ……」



194◆xjSC8AOvWI18/12/25(火)22:57:28776 (3/5)



 言ってみて、なんだかキザったらしかったなと思うと急に恥ずかしくなる。

 でも、それよりもキリカのほうが顔を真っ赤にしてた。さっきの自信満々な表情なんてとっくに崩れるほど。


キリカ「な、何ってるのさ? 私まで熱でちゃいそうだよっ」

桐野「あ、でも近くにいると本当にキリカにもうつっちゃうかも……やっぱり、あんまり近づかないほうがいいよ」

キリカ「もう、どっちだよ」

桐野「いやごめん」

キリカ「心配してくれるのはいいけど、私だって出来ることはいろいろしたいって思ってるから聞いたんだよ?」

キリカ「……私が欲しいんでしょ? 今日は私も見てるから、出来るかぎりのことはするよ」

桐野「うん……ありがとう」

キリカ「……~~」

桐野「どうかしたの?」

キリカ「いや、なんていうか――自分で言っても、やっぱ恥ずかしいね…………」


 『キリカが欲しい』って、それが本心なんだから。その気持ちはお互いちゃんと伝わっている。


 ……普段はそんなにきざったらしいこと言えないけど、

 今日は特別だから、いいか……。



195◆xjSC8AOvWI18/12/25(火)23:18:50776 (4/5)



キリカ「いくら早く治すためにあったかくして寝るっていっても、それだけじゃやっぱり暇だよね?」

キリカ「なにか話す? 無理しない程度に」

桐野「そうだな……」

キリカ「学校のこととか? そっちのクラスはどう?」

桐野「少し話す人は増えたけど、基本的には変わらないよ。そっちは?」

キリカ「こっちもあんまり変わらないなぁ。なんかさっちんが妙に浮き足立ってたけどいつも通りだし」

キリカ「彼氏できたんだってー。それでクリスマスにどこいくとか何するとか言ってた」

桐野「へえ」


 他人事のように話す。僕もキリカも他人の恋愛事情を好んで噂するタイプではない。

 でも、前だったら自分とはまったく関係ないことだって思ってただろうけど、今は他の人がどうしてるのかは少し気になった。


キリカ「そうだ、ビデオでも見る? 何か借りてこようか?」

桐野「うちにもいくつかあるよ。そこに見ようと思っててまだ見てないのがあったはず……」

キリカ「ほう、ちょうどいいね」


 キリカがベッドサイドから立ち上がって、机の上に無造作に置かれた映画のDVDを手に取った。

 タイトルを聞いて内容を想像する。どうやら恋愛もののよう。面白いものだといいけど。



196◆xjSC8AOvWI18/12/25(火)23:37:10776 (5/5)



桐野「パソコン出すよ。ちょっと小さい画面になるけど」

キリカ「いいよ、リビングまで行くの大変だもんね。これで十分見えるよ」


 DVDをセットして、ベッドのほうまでノートパソコンを持ってきて準備する。

 二人で画面を覗きこむので丁度なくらいだ。こんな雰囲気も悪くないかもしれないな、なんて思う。


キリカ「あっ、はじまった」


 映像が始まってタイトルが出る。

 そうして映画の内容に見入っていった。


 映画の内容はそこそこ楽しめていて、キリカとも最初はあれこれ場面場面の感想を言い合ったりしてた。

 でも段々最初みたいな発言は減る。気まずい雰囲気を感じ取っていた。なぜなら……――。


桐野(なんかこれ……いや、話は面白いんだけど)

キリカ(……濡れ場多くない? えっ? そんなとこまで映しちゃうの?)


 家族で見るにはちょっとためらうような……。キリカは楽しめているのかな? それが不安になった。

 そういうシーンが映るたびにキリカは少し恥ずかしそうに画面から顔を逸らしている。

 画面の中の二人は恋人同士で――。自分たちだったら?ってことも、やっぱりちょっとは想像してしまう。



197◆xjSC8AOvWI18/12/26(水)00:00:49A6d (1/7)



 やがて映画の再生が終わる。


キリカ「片づけないの?」

桐野「……今は動けないっていうか」

キリカ「あ、もしかして身体しんどい? じゃあ私がやろうか?」

桐野「いや、そういう意味じゃなくて……でも」

桐野「キスは移っちゃうけど、キリカにしてもらえたら嬉しい、けど……」


 僕は曖昧に言う。いつもだったら逃げてた。でもこの前はそれも寂しいって言われて。

 すぐに逃げるって発想にならなかったのは熱があるからなのかな。まだ動きたくなかった。まだこのままでいたい。


キリカ「わ、わかったよ。何をしてほしいのかは、わかったから……」

キリカ「……今日は積極的だね。そういうふうに求めてきたのって、多分はじめてだったと思う」

桐野「それは……特別だから?」

キリカ「特別だからこそ大人しく寝てたほうがいいと思うんだけどなあ……」

キリカ「でもよかった。元気はありそうだね。きっとちゃんと食べて寝れば明日には治るよ」


 キリカが今度こそノートパソコンをどかして、そして布団に手をかける。

 互いの早くなる胸の音が響き合うのが聞こえるようだ。


 クリスマスイブ。聖なる日。その日をはじめて恋人と過ごした年。

 ――今年の今日という日は、僕にとって色んな意味で特別な日になっていた。



198◆xjSC8AOvWI18/12/26(水)00:14:12A6d (2/7)


――――
――――


キリカ「おかゆ作ってくるね」

桐野「ありがとう。そんで、もし治ったら明日は……」

キリカ「うん、パーティだね! ケーキも作ろう!」

桐野「キリカが言うと治るって気がしてきた」

キリカ「気じゃないよ。治すの」


 時刻が夜にさしかかった頃、キリカはおかゆを作りに行った。

 他の家族とは別に、僕の分はキリカが作るって張り切って申し出ていたんだ。


 明日のケーキもキリカと一緒に作る予定だった。

 和菓子以外は僕の専門外だ。料理もキリカのほうが頼りになる。だからクリスマスケーキはキリカと一緒に作ろうってことになって……。



 ――ともかく、今日はおかゆを食べて眠りについた。

 そして翌日、目を覚ます。



199名無しさん@おーぷん18/12/26(水)00:28:02fPv (1/3)

桐野、とうとうキリカに静めてもらったのか
一体何回静めてもらったのやらw
羨ましいぞ、こんちくしょーーーーー!(血涙)


200◆xjSC8AOvWI18/12/26(水)00:36:14A6d (3/7)



桐野(……身体がだるくない。熱い感じもしない)


 朝はすっきりと目を覚ますことができた。それから隣を見て、キリカが隣に寝ていることに気づく。


 食後もキリカと話していたのは覚えている。

 僕が眠った後もキリカは遅くまで看病してくれていたらしい。そのうちに寝てしまったんだろうか――?


桐野(キリカ……ありがとうな)


 寝顔を眺めていると、キリカがもぞりと動く。


キリカ「ん……」

桐野「キリカ、おはよう」

キリカ「おはよ……」

桐野「すっかり元気になったみたいで。一応熱は測ってみるけど、多分ないと思う」

桐野「ずっと看ててくれて本当にありがとう。これもキリカのおかげだよ」

キリカ「ほんとに? よかった……」


 キリカはだるそうに短く返事を返す。キリカの声はいつもより舌たらずに聞こえた。

 まだ寝ぼけているんだろうか? ……心なしか顔が赤い。


キリカ「……うーん、なんか頭がいたい」

桐野「ね、熱測って! オレは大丈夫だったけど、もしかして今度は……!」


 体温計を渡してみる。結果は……。


 …………――――昨日とは立場逆転だった。



201名無しさん@おーぷん18/12/26(水)00:39:23fPv (2/3)

やっぱり移ったか
ベタなオチだけどマスクしないで同じ部屋にいたらそら移るわな


202◆xjSC8AOvWI18/12/26(水)00:56:14A6d (4/7)





キリカ「…………う」

桐野「移しちゃったってことだよな……ごめん、こっちは治ったけど、これじゃ……キリカあんなに楽しみにしてたのに」

キリカ「楽しみにしてたのはきりのんもでしょ? 仕方ないよ」


 ――――こういう時、自分だけは大丈夫だと思ってしまうようで。

 でもそれも一緒にいて出来ることをした結果ならいいかな、なんてちょっと思ってるのが知れたらバカップルって言われちゃうだろうか。


桐野「おばさんにも連絡してみるよ」

キリカ「え?いいよ。そんなの私が自分で……」

桐野「いや、オレからするよ。謝らなきゃいけないかなって思ったし」


 きりのんは携帯を取り出すと私の家に電話をかけはじめた。

 私はまた重い身体を預けてベッドに横になりながら、その姿を見ていた。



203◆xjSC8AOvWI18/12/26(水)01:11:01A6d (5/7)



 それからとりあえず、今日は家に帰ることにした。


 そういえば、昨日は結局一日家を空けちゃったんだ。

 きりのんと私の家はそう遠い距離じゃない。こうして心配そうに隣について家まで見送ってくれるのって、なんだか――。


キリカ「なんか、こうしてると……」

桐野「ん?」

キリカ「付き合ったばっかのころ思い出すなって。私が魔法少女のことで死にかけてた時」

桐野「あぁ……そうだな。でも今回は違う。原因もわかるし、死んだりもしない」

桐野「まあ、その原因はオレにあるんだけど……」

キリカ「もうそれはいいよ。寝てれば治るならあの時よりずっとマシだし」

キリカ「あの時は原因も治るのかもわからなくて不安だったなあ。……きりのんはそんな時もずっと一緒にいてくれたから」


 話しているうちに私の家の前につく。


キリカ「送ってくれてありがとう」

桐野「まだ一緒にいるよ」

キリカ「また移らない?」

桐野「こっちから移ったんだから、もう移らないんじゃないか?」

キリカ「そういうものかな?」


 階段を上がって部屋に着くとすぐに寝転んだ。

 一日ぶりの自分のベッド。そういえばうちにきりのんを招いたことってあんまりない気がする。

 まあ、うちなんて大したものなにもないけど。



204◆xjSC8AOvWI18/12/26(水)01:19:42A6d (6/7)



桐野「そうだ、オレもおかゆ作るよ!」

桐野「キリカみたいにうまくは作れないかもしれないけど、おばさんに聞いてやってみるから!」

桐野「他にはなにか欲しいものはない?」


 きりのんは昨日私がしたのと同じ質問をする。


キリカ「……あなたが欲しい」

桐野「!」

キリカ「って答えるところだろうし、それもまあ……本心なんだけど、強いて言うならりんごとか甘い果物が食べたい、かな」

キリカ「定番でしょ?」

桐野「わかった。何か買ってくるよ」


 きりのんは意気揚々と出て行った。昨日まで寝込んでたなんて嘘みたい。

 ……でも治ったばっかなのに。本当に大丈夫かな?無茶とかさせてないかな?

 そんなふうに心配にもなった。



205◆xjSC8AOvWI18/12/26(水)01:23:19A6d (7/7)

---またあした
…定番ですよねー。次回、パーティ編


206名無しさん@おーぷん18/12/26(水)19:11:14fPv (3/3)

桐野はキリカにヤッてもらったのか
結構Cに近いBまでするとは…ホワイト(白濁)クリスマスだな!


207◆xjSC8AOvWI18/12/27(木)00:11:39h4P (1/9)

――――


桐野「りんごか……」


 近くのスーパーにキリカの希望の品を探しにきた。

 お見舞いのりんごといえばうさぎ。……僕が最後に作ってもらったのはいつだっけ。そういうのもやってみたらキリカは喜ぶかな?

 そんなことを考えながら果物の棚を見る。


「あら、こんなところで会うなんて奇遇ね」

桐野「マミさん」
 

 隣から声をかけられて横を見る。

 買い物かごを持ったマミさんと、偶然にもばったり会ってしまった。冬休み前最終日から数日ぶりに見る姿だ。


桐野「そっちも買い物?」

マミ「ええ。今日の分のご飯の材料買おうと思って。あと広告の品が目当て」


 マミさんは意外にも庶民的な一面を覗かせる。

 一人暮らしだから、こうしてスーパーに買い物をしにくるのは日常的なことなんだろう。


マミ「桐野君は?」

桐野「ちょっとお見舞いにね」

マミ「誰か身体を悪くしてるの? こんな日に災難ねぇ……」

桐野「ああ、それが……――」



208◆xjSC8AOvWI18/12/27(木)00:39:35h4P (2/9)



 キリカのことを話すと、マミさんも一緒にお見舞いに来てくれることになった。

 キリカの部屋に戻ったあと、僕がおかゆの作り方を聞きにいく間にマミさんはキリカと話していた。


――――
――――


マミ「……久しぶり。風邪ですって?」

キリカ「うん。グリーフシードのこと以外で話すのひさしぶりだね」


 布団を被って寝たままでマミと話す。

 きりのんがマミを連れてきた時は驚いた。普段はほとんど学校でしか会わないから。


209◆xjSC8AOvWI18/12/27(木)00:40:33h4P (3/9)


マミ「今は足りているの?」

キリカ「まだ大丈夫だよ。この前も自分で戦って手に入ったし……――」


 この前、操られたえりかを助けるために倒したのが魔女との最後の戦いだった。

 それからは戦ってないけど、使ってもないからそこまで減ってはいない。穏やかに過ごせてるってことだろう。


キリカ「でもまさかこんなとこまで来てくれるなんてね。気持ちは嬉しいけど、移ったら悪いから早く帰ったほうがいいよ?」


 そう言った矢先、マミが私のほうに手を伸ばす。

 何事かと身構えると、どこに触れてくることもなく私の前で手を止めた。


 ……よく見ると、手の中には金色のソウルジェムがあった。


キリカ「えぇっ!? あっ、魔法!」

マミ「気分は良くなった?」


 熱っぽくてだるかったのが驚くほどなんともなくなった。

 と同時に、目からウロコな思いだった…………



210◆xjSC8AOvWI18/12/27(木)01:18:28h4P (4/9)


キリカ「そういえばそんな手もあったんだ。昨日一日無駄にしたぁ~~……」

マミ「でも、無駄だとは思わないわよ?」

キリカ「え?」

マミ「桐野君に聞いてみたらいいんじゃないかしら」

キリカ「…………」

マミ「それに、あまり慣れない魔法使ったらむしろ危ないしね」

マミ「じゃあ、邪魔しちゃ悪いし私はこれで失礼するわ。クリスマス楽しんでね」


 マミは目的を達成したみたいに帰ろうとする。


キリカ「待って。もしかして、このためだけに?」

マミ「魔法少女が風邪で寝込んだって聞いて驚いたのよ」

マミ「私は体調崩してもすぐ魔法で治しちゃうから、その発想がないあたり本当に無駄遣いとかしてないんだなって」

マミ「……自分で戦ったって言ってたけど、本当に魔法少女はもうやる気はないの?」


 ――すぐには答えられなかった。

 前までだったらもうやる気はないって即答してたと思う。


 でも、私が願ったことも思い出して、願いは叶って…………。



211◆xjSC8AOvWI18/12/27(木)01:25:09h4P (5/9)



キリカ「きりのん、やっぱおかゆ作らなくていいよ!」

桐野「えっ?」


 キッチンに向かってみると、そこにいた二人が振り返る。

 まだきりのんがお母さんに作り方を教わっているところみたいだった。


キリカ「もう元気になったから! そんなのよりもっと美味しいもの食べよう? パーティなんだから!」

桐野「何が起きたの?」

キリカ「奇跡だよ奇跡」


 そう言うと、『魔法』のことを知っているきりのんは納得する。


 昨日は昨日で楽しかったけど、やっぱり元気に過ごしたい。

 だってせっかくのクリスマスなんだから。


桐野「そういえば、マミさんは?」

キリカ「もう帰っちゃった……。ありがとうって言えばよかったな」



212◆xjSC8AOvWI18/12/27(木)01:59:04h4P (6/9)




 おかゆをやめてケーキ作りにとりかかる。

 二人で手分けしながら生地を混ぜたりクリームを泡立てたりと大忙しだ。


 生地を焼いて冷ますと、スポンジにクリームをデコレーションしていく。

 本を見ながらやったけど目立った失敗はない。それどころか、こうして完成していくのを見るとなかなかの出来に見えてくる。


キリカ「さすがに手先が器用だからデコレーション上手だね。これだけでもう売り物みたい」

桐野「絵で塗るのは慣れてるからね。パレットナイフは使うことあるし」

桐野「洋菓子作るのは慣れないから大変だったけど」


 買ってきてくれたりんごはケーキに挟んで、余ったのはうさぎに切って横に並べていた。


キリカ「じゃーん、どう? うさぎ」

キリカ「……やっぱきりのんはうさぎも綺麗だなあ」

桐野「はい」

キリカ「お、私にくれるの? ……って、食べちゃうの?」


 りんごをつまようじで突き刺すと、キリカは少し残念そうな顔をする。僕が自分で食べると思ったんだろうか?

 最初からそんな気はない。キリカの口元に近づけると、キリカは少し驚いてから嬉しそうに口を開けた。

 ……眩しい笑顔を浮かべて横髪を耳にかけるしぐさが愛おしかった。


キリカ「……おいしい。私のもあげようか?」

桐野「欲しい」


 りんごを食べさせ合いっこして、それから少し途中で手伝ってくれたおばさんにもお披露目すると、

 まん丸いケーキのクリームで覆われた傷一つない表面にフォークを突き立てていく。



213◆xjSC8AOvWI18/12/27(木)02:17:36h4P (7/9)


キリカ「わぁ、やっぱりおいしい! 成功だよ!」

桐野「すごくおいしい。たまにはケーキ作りもいいね。キリカと一緒に作ったっていうのもすごい楽しかったし――」


 食べた途端に言う言葉はやっぱり同じだ。

 ふと今日のことを振り返る。朝は僕がやっと治ったと思ったらキリカが熱出してて、辛そうで、看病しなきゃって思って……

 でも今はこうして元気になって、一緒にケーキを作って、食べて、念願のパーティができてる。


桐野「そういえばあの言葉を言ってないね」

キリカ「?」

桐野「メリークリスマス」

キリカ「うん、メリークリスマス! あ、きりのんにプレゼント用意してたんだった。部屋にあるからちょっと待ってて?」


 キリカが一旦部屋に何かをとりにいって戻ってくる。

 手にクリスマスらしいラッピングの袋を持っていた。



214◆xjSC8AOvWI18/12/27(木)02:32:06h4P (8/9)



キリカ「……はい。開けてみてよ!」

桐野「おお、これ新しい筆と絵具? ありがとう!」

キリカ「私も買い物付き合ってるからね。たしかこれ欲しいって言ってたでしょ?」

桐野「うん、覚えててくれたんだ……」


 なによりそんな何気ない一言を覚えててくれたのが嬉しかった。

 やっぱり自分の趣味の買い物だと、相手には興味ないんじゃないかって思っちゃうから。


桐野「オレも実はあげたいものがあるんだ。っていっても手元にはなくって、家に帰ってもあるってわけでもないんだけど……」

桐野「こんなのでいいかわからないけど、キリカにその場で絵を描いて渡そうかなって思っててさ」

キリカ「いいと思う! だってそれって、世界に一つしかないプレゼントだよ」

キリカ「私のプレゼントも役に立ちそうだしね」



 …………キリカの家でケーキとパーティの雰囲気を堪能して、それからまたキャンバスのある僕の家に戻ってきた。

 昨日は寝込んでたせいで部屋がぐちゃぐちゃだ。

 それを簡単に片づけると、約束通り絵を描きはじめることにした。画用紙にまずは鉛筆を走らせていく。



・どんな絵を描こうか?

 下2レス


215◆xjSC8AOvWI18/12/27(木)02:35:29h4P (9/9)

------あんまり日付離れないうちにクリスマスな部分を消化できたので満足なので寝ます。
ちなみに去年はなんかサミシー感じの話書いてました。
地味にタイトルを『色』でかけてたりします。あっちの世界のみんなにもきっとすぐ春は訪れてる…はず。


216名無しさん@おーぷん18/12/27(木)02:49:47ZjT (1/1)

age


217名無しさん@おーぷん18/12/27(木)07:30:24zrU (1/1)

1枚目は昔オモチャの指輪をあげた時のキリカの笑顔
なんかプレゼント繋がりで思い出したら

2枚目もOKなら>>52でw


218◆xjSC8AOvWI18/12/29(土)20:54:50B5p (1/4)



キリカ「何を描くの?」

桐野「まあ見ててよ」


 大体の構図を決めると、鉛筆を持ったまま、キリカの顔を細部までゆっくりとなぞるように見ていく。

 蜂蜜色をした大きな瞳。今は穏やかな表情をしている。コロコロと表情を変えて輝く、一番好きなパーツだ。

 そこからすっと通った鼻の形。桜色の唇。ふっくらと柔らかそうな頬。色白であまり日に焼けてはいない、でも白すぎない健康的な肌の色。


 こうして見ていくとやっぱり整ってるって思った。……もちろん、補正はあるかもしれない。

 見つめているとキリカがキャンバスからこっちに視線を移して目が合った。キリカの頬に赤みが差してくる。


キリカ「私をモデルにしてるの? でもいつもこんな近くじゃないし、なんか恥ずかしいよ……モデルにするんだったら離れてポーズとるよ?」

桐野「もちろん参考にするためだよ。でも描くのは『今』じゃないんだ」

キリカ「??」


219◆xjSC8AOvWI18/12/29(土)21:21:09B5p (2/4)


 絵の中に描いていくものは、今見ているキリカよりも顎は丸く、面影を残しながらもかなり幼い顔立ちだった。

 あのタイムカプセルの中に入ってた、前に撮った写真。


キリカ「これって……昔の私?」

桐野「うん、そう。あの写真を思い出してさ。せっかくだから写真以外でも残しておこうって思ったんだ」


 撮影者は母さん。僕のあげたオモチャの指輪を持って笑ってた写真が浮かんだ。

 その代わりというのか、今のキリカの手には銀の指輪がある。もちろんなんの魔力もないただのアクセサリーだ。

 これが今の僕が買える中で最高のもの。……僕たちが大人になったら、その時はまた結婚指輪にでも変わるのかな。

 でも、この指輪だってオモチャの指輪だって、僕たちにとって思い出のこもった大切なものだってことは一生変わらない。


キリカ「……今の姿を見ながら描けるって、相変わらずすごいよね」

桐野「そう言ってくれると嬉しいな……。大切な思い出だからさ」

キリカ「ありがとう。一生大切にする!」


220◆xjSC8AOvWI18/12/29(土)22:28:54B5p (3/4)



 最後の一筆まで描き切って、完成した絵を眺める。

 まっさらだったキャンバスに色をつけていって完成させる心地よい達成感のあるこの瞬間も、僕が絵を好きな理由の一つだった。

 そばで喜んでくれる人がいるなら、なおさらやりがいがある。すると、キリカはこんなことを聞いてきた。


キリカ「高校はもう美術系で決めてるんだっけ?」

桐野「うん。そこは絶対押し通そうと思ってる。普通の高校に行っても画家になれないことはないけど、今まで独学だしちゃんと勉強する必要があると思うんだ」

桐野「その代わり、ちゃんと美術以外の勉強も頑張るよ」

キリカ「そこはきりのんなら心配なさそうだね」

桐野「本気で目指してるからさ。……心配かけないように。家族からも言われたし、そういう道を選ぶからにはやっぱり人一倍ちゃんとしてないと不安があるんだろ?」

桐野「オレさ、認めてもらいたいんだよ。キリカの両親にも。ちゃんと将来のパートナーとして心から」

桐野「今までは幼馴染とか友達とか、そういうのがあったから受け入れられてたんだろうなって思ってさ……」


 ……そう言うとキリカは驚いた表情をしていた。


キリカ「そこまで考えてることにちょっとビックリした」

キリカ「きりのんは将来のことも見据えてて大人だなあ。私もちょっとは成長した気でいたけどまだまだだよ」

桐野「そんなことないよ。キリカがいるからオレも頑張ろうって思えたんだ」


 過去のことはこうやって思い出から残せる。

 ……未来はまだわからないけど、これからのことは僕たちで描いていこう。



221◆xjSC8AOvWI18/12/29(土)23:30:48B5p (4/4)



キリカ「きりのんは、私が魔法少女として戦うことってどう思う?」

桐野「え……危ないよ。この前のことは仕方なかったし、誰かを助けるために戦うキリカも勇敢でカッコいいとは思った。けど進んでやる必要なんて」

キリカ「でも願いを叶えるために契約したんだよ。あの時は確かにそれでもいいって思ったんだ」

桐野「そんなの騙されてただけだ。だって、ソウルジェムのことも魔女になるなんてことも知らなかったじゃないか」

キリカ「たしかにそれを知ってたら契約しなかったかもしれない、けど……」


 キリカはまた戦おうとしているのだろうか?

 命を懸けてまで……誰かもわからない人のために。でもそんなの、死んでしまったらおしまいじゃないか。


桐野「……キリカは普通の女の子なんだから」

キリカ「……そうだね」


 魔女は人の命を奪う怪物。それにあの時の抗争も思い出す。

 魔法少女も良い人ばかりじゃない。争いの世界に巻き込まれればどうなるかなんてわからない。


 ……なら一番いいのは、関わらないことだ。



1他の未来を見てほしい
2キリカにも決心があるなら
3自由安価

 下2レス


222名無しさん@おーぷん18/12/29(土)23:57:38jOJ (1/1)

さっきも言ったけど、キリカには危険な事はしてほしくはない
でも、例のグリーフシードだっけ?あれがないとダメなんだよね?
もし手持ちがない時に戦って自力で確保できなかったら・・・

キリカは魔法少女としては新人なんだろ?
キリカにとって戦う決心があるのなら、ベテランの魔法少女に教えを請うべきだと思う
前に騙すみたいでって気負いがあるのなら、事実を知ってる暁美さんに頼んでみたらどうかな?
彼女なら力になってくれるかもしれないし、不安なら僕も一緒に話してみるよ


223名無しさん@おーぷん18/12/30(日)00:51:52s39 (1/8)

安価↑
追加で頼むベテランにマミを追加


224名無しさん@おーぷん18/12/30(日)01:05:04b7f (1/1)

ほむらはキリカを嫌っているはずだし既にループしてるかもしれないぞ


225◆xjSC8AOvWI18/12/30(日)01:33:02wIo (1/6)


キリカ「でももう目的は出来たから。たぶんもう、怖いけど辛くはないよ」

キリカ「今もマミに頼ってる状態だし、それだけでもなくそうかなって」


 魔法少女はグリーフシードがないと死んでしまう。それをあの時僕も嫌というほど思い知った。

 ……だからマミさんに頼った。でも、それも一生ってわけにはいかないかもしれない。


桐野「……さっきも言ったけど、もう危険なことしてほしくないんだよ」

桐野「でもキリカにも決心があるのなら…………まずはまたマミさんを頼ってみるのがいいと思う」

桐野「もしくは、他にも頼れそうな魔法少女を知ってるんだ。彼女もベテランだし真実を知ってるからそっちでもいいと思う」

キリカ「うん」


 キリカは穏やかだけど力強く頷いた。

 もうあの時みたいな不安定さはないってことか。


桐野(――――……あぁ、やっぱりキリカも強いな。成長してないなんてことないよ)



226名無しさん@おーぷん18/12/30(日)14:52:33s39 (2/8)

元気になった桐野のアレをキリカが静めてくれたんなら次は逆の立場でやって欲しいなー
キリカの家に遊びに行ったらキリカがやっちゃってるところに鉢合わせちゃうとか


227名無しさん@おーぷん18/12/30(日)18:53:294FA (1/7)

>>226
桐野ならこっそり開けたドアの隙間から覗いて自分を静めてそう
エロゲ主人公と違ってその場で襲ったりはしなさそう、ヘタレだしw

今回キリカに静めてもらったわけだからキリカのも見たい、触りたいとか考えて悶々
最後にお風呂に一緒に入った時のキリカの裸を思い出して今はどうなってるんだろうと考えて更に悶々
あの時はこんな感じだったかな?とスケッチして後日キリカに見られるとかw


228◆xjSC8AOvWI18/12/30(日)20:44:14wIo (2/6)



桐野「久しぶりにキリカの衣装見てみたい。また描かせてよ」

キリカ「見世物じゃないのに」

桐野「でもあの絵すっごく評判よかったんだよ。コンクールとかに出すかはわからないけど、また描いてみたいなって」

キリカ「もう、しょうがないなっ」


 キリカはポケットに手を突っ込むと、紫の光を散らして変身する。

 ……それは一瞬のことだった。


桐野「出来れば変身から撮らせてもらいたかった……」

キリカ「っていわれてもなにもないよ? …………あっ、スローで再生してもホントになにもないから!」

桐野「……本当に?」

キリカ「こどもの夢が壊れる。PTAから苦情がきちゃうよ」


 キリカは冗談めかして言う。

 それ以前に子供が泣きそうな事情ばかりな現実についてはスルーするらしい。


キリカ「でもまあ、きりのんしか見ないならちょっとはサービスしてもいいよ? 記録に残すのは禁止だけどね」



229名無しさん@おーぷん18/12/30(日)20:52:114FA (2/7)

子供の夢が壊れる・・・
ゴチバトルでデガチャンマンが岡村に覆面を取られて『子供達の夢が~!』って言ってたのを思い出すw


230名無しさん@おーぷん18/12/30(日)20:59:46s39 (3/8)

>>229
それリアルタイムで見たわw

>>227
お風呂ネタはラブコメの定番だな
小6の頃まで一緒にお風呂入ってたんだからその時の事を思い出してオカズにしてもおかしくはないな


231名無しさん@おーぷん18/12/30(日)21:02:464FA (3/7)

そういえばマギレコのキリカの変身シーン、狂気だけ前面に出てて全然変身してないんだよなぁ
魔法少女の変身シーンなのにあれはないだろ・・・


232名無しさん@おーぷん18/12/30(日)21:16:12s39 (4/8)

サービスって何をするのかな?
あすみがやったみたいに衣装剥ぐのかな~
是非桐野が自分の手で直接剥いでいって貰いたいな


233◆xjSC8AOvWI18/12/30(日)21:18:21wIo (3/6)


桐野「……サービス?」

キリカ「えっ、いや、何想像したの……? もう」


 キリカは失言したみたいに言葉を詰まらせて、衣装のままベッドのほうに深く腰掛けた。

 前に絵に描いた時以来、久しぶりに見るキリカの姿を眺める。日常の中に似合わないような非日常。

 僕も隣に腰掛けてその肩を抱き寄せてみる。横顔を見て、何にも隠されずに覗く瞳に違和感を覚えた。


桐野「……そういえば、眼帯つけなくなった?」

キリカ「この前の戦いの時から」

キリカ「前描いた時は最後の記録のつもりだったでしょ? これから変身するときは戦うためだから」

キリカ「もう目を背けないし偽らない。ちゃんと前を見て戦うよ」


 キリカが変身を解いてからも、僕たちは暫くそのままの体勢で一緒にいた。

 寄り添い合うキリカの頬は熱がある時と同じように赤かった。……そんな、発熱色のクリスマス。

 熱から始まった今年のクリスマスは、いつのまにか最高の日になっていた。



 僕たちは一つ一つ前を向いていく。

 未来を描いていくために。



―『発熱色のクリスマス』.END―


234名無しさん@おーぷん18/12/30(日)21:30:044FA (4/7)

乙です
今回のクリスマス編は桐野のアレをキリカが静めたっ点こそが重要ですねw
あとキリカの意識の成長も魔法少女の使命を受け入れた感じかな?
眼帯なくなったのも「目を背けたいもの」から向き合う事を決心したからでしょうね


235名無しさん@おーぷん18/12/30(日)21:39:45s39 (5/8)

最後はエロくなかったのは残念だけどこの二人のイチャイチャは本当に良いなぁ


236◆xjSC8AOvWI18/12/30(日)21:43:55wIo (4/6)

-----
ついにマミが登場したり、安価でほむらの名前が出てきましたが、
実はおまけ編からは厳密には『桐野編一周目のその後とは別の時間軸』です。
ほむらが最初に知ったキリカとは敵対してないので特に嫌っていませんが、
>>224の言う通り本来まどかはすでに殺されてしまっているのでループして二周目のほうにいっています。

詳細は…ざっくり考えてはいるもののまた別の話に。
(今までこっちの二人にスポット当てた話のほうが需要が高そうなので書く機会ありませんでした…)


237名無しさん@おーぷん18/12/30(日)21:48:024FA (5/7)

解説ありがとうございます
うーん、ほむらは既にループ後なのか・・・となるとマミさんに頼るほかないですね
桐野が巻き込まれて怪我をした時の詳しい状況とか、織莉子やワルプルがどうなったのとか今後明らかになって欲しいですね


238名無しさん@おーぷん18/12/30(日)21:51:32s39 (6/8)

オマケが桐野編1週目の続きではないというのにビックリ
かずみ編も気になるけどこっちの話も気になる


239◆xjSC8AOvWI18/12/30(日)22:07:42wIo (5/6)

>>231 マギレコは全体的に狂気が押し出されてますね。ちょっとそのイメージに囚われすぎな気も…
ストーリー上でそうなるのは仕方ないとして、そこの場面に特化しすぎてちょっと違うよなーとは自分も思ってます。
(ストーリー上といっても今のところストーリーと完全別枠扱いっぽいのでなんともいえないですが)

>一周目の話の筋
桐野編一周目は『キリカのハッピーエンド』であり、
終了後にモノローグの出たほむらや、核心に関わっていた魔法少女からしたら・・・とだけ。

そろそろ『今』につながる話も書きましょうかね? がっつり安価になると思います。


240名無しさん@おーぷん18/12/30(日)22:08:50okR (1/3)

ギャルゲーはこっちの方でやるのかな


241名無しさん@おーぷん18/12/30(日)22:19:364FA (6/7)

そもそもマギレコではおりマギイベントがまだやってませんからね
かずみもタルトもすずねもやったのになんで織莉子だけやってくれないのか・・・
キリカの変身シーンは顔芸だけで衣装の変わるシーンすらないのは魔法少女の変身シーンに喧嘩を売ってるとしか思えません
キリカの裸体や身体の輪郭が見たかったわけではない、決して

『今』につながる話も書いてほしいです!
ギャルゲー展開というかむしろ一部エロゲー展開もありでは?と思います
VIPと違いこっちはエロもありみたいなので


242名無しさん@おーぷん18/12/30(日)22:26:23okR (2/3)

エロゲーもありか


243名無しさん@おーぷん18/12/30(日)22:29:58s39 (7/8)

>>241
今さっき某動画サイトでキリカの変身シーン見たけどこれは酷い……

>>239
自分も今に繋がる話は読みたいですががっつり安価ならかずみ編が終わってからかな?
両方同時だとスレ主に負担がかかりそうだし
エロゲ展開はありだとは思うけどスレ主次第かな


244◆xjSC8AOvWI18/12/30(日)22:53:48wIo (6/6)

そもそもマギレコやるのやめたというか、公式として見なくていいやとなったのは忙しさもあるけどそこもあるというか
そうなった事情や痛々しさも描いてるけど、顔芸キャラにして「やべーヤツ」って言わせとけばいいっていう安易なキャラ作りが透けて見えて。
おりマギ自体ゆまでさえ顔芸あるくらいで特別なイメージないんだけどねぇ。
魔法少女らしさも元のキリカらしさもまるでないのはどうなんだろう。魔法少女らしい話もあるのにどうしてこうなった…

>今につながる話
時間とれそうなうちに書き出してもいいんですが、とりあえずかずみ編書いてきます。


245名無しさん@おーぷん18/12/30(日)23:03:40okR (3/3)

キャラが原作と違いすぎるのが駄目だよな


246名無しさん@おーぷん18/12/30(日)23:09:384FA (7/7)

マギレコはメガほむのバレンタインイベントの話とか、なぎさちゃんの話とか良いのもあるんですけどね・・・
おりマギ勢の話とかは力いれてないというか放置が酷すぎて何だかなーって感じです
そもそもキリカがディフェンスというのが良くわからん、ディフェンスなら小巻でしょ!
織莉子もキリカもゆまも初期キャラだからある意味他の外伝より優遇されてると思いきや、専用イベントが1年以上もスルーってのはねぇ・・・
リアルイベントでうめてんてーのガチパーティーにキリカがいて大活躍してたのが救いかな?


247名無しさん@おーぷん18/12/30(日)23:16:43s39 (8/8)

原作やマギレコのキリカよりスレ主の書くキリカの方が好き
自分からしたらこっちの方のキリカが正史になってるよ


248【86】18/12/30(日)23:21:481MZ (1/1)

ここのキリカは本編とは違う良さがあるからいい
例えるなら旧ブロリーと新ブロリーぐらい


249名無しさん@おーぷん18/12/31(月)08:42:43pE4 (1/1)

エロなしでも今後もキリカと桐野のイチャラブは見たいのは俺だけ?


250名無しさん@おーぷん19/01/25(金)23:12:32Dcz.ye.ag (1/1)

a


251名無しさん@おーぷん19/01/27(日)10:00:52A2V.vj.eg (1/1)

そろそろこっちも更新して欲しいな


252◆xjSC8AOvWI19/02/12(火)00:06:30afr.e4.33 (1/9)


*バレンタイン2019*『甘いものをきみに』


 木々が葉を散らした冬の街。雪が降りそうな寒い日。

 僕はそんな景色の中の更に寂しげな場所に立つ姿に駆け寄って行った。


桐野「キリカ!お疲れ。痛いとことかない?怪我とかしてない?」

キリカ「大丈夫だよ」

桐野「訓練ってこんな人気のないとこでやってるのか……仕方ないんだろうけどやっぱ心配になるな」


 生地の薄い魔法少女の衣装から、すっかり長いコートを着こんだ防寒装備に戻っているキリカの手を手袋の上から握る。

 吐き出す息は白い。鼻が少し赤く見えた。


 向かい合うと、顔を近づけ鼻の先にそっとキスをする。


キリカ「わっ……?」

桐野「人いないし、なんか寒そうだなって思ってつい……鼻赤いから」

キリカ「えっ!?私いま赤鼻のトナカイなの!?」


 キリカは鼻以外まで赤くして慌てていた。そんな様子がなんかおかしい。

 笑うとキリカは少しだけ拗ねてしまう。そんなところもなんだか、微笑ましかった。



253◆xjSC8AOvWI19/02/12(火)00:11:21afr.e4.33 (2/9)



 受験も終わり、最近キリカは放課後マミさんに見てもらって『訓練』してもらってたり、卒業する前にと部活のほうにも顔を出す日が増えた。

 ……今が一番時間があるときだろうから。これから新生活が始まったらマミさんとはどうなるんだろう。

 キリカも卒業は節目に考えているようだった。いつまでもマミさんに頼ることはできない。


キリカ「たしかに人気はないけど、もし変な人がきてもなんとかできるから!それに今日のはまだ訓練だよ? きりのんは過保護だよ」

桐野「訓練だって戦ったりするんだろ?女の子なんだし、やっぱりオレとしては心配でさ……」

キリカ「あんまり心配してたら戦えなくなっちゃうから……でも、うん。気をつけるよ」

桐野「今日はもう帰る?」

キリカ「んー。決めてない。気分に任せるよ」


 学校が終わった後すぐに合流することも減ってしまったが、やっぱり会いたくなって、こうして一緒に帰っていた。

 それに魔法少女関連のことはやっぱり心配だ。あの時からキリカが例の『真実』のことをどう思っているのかもわからない。

 今まで力を使わず関わらないことで忘れていた部分もあっただろうから。


 どうせ僕らの家は近い。

 寂しげだった景色が少しだけ賑やかな温かさのある街並みに変わっていくと、キリカがこっちを振り返った。



254◆xjSC8AOvWI19/02/12(火)00:15:48afr.e4.33 (3/9)



キリカ「ねえ、やっぱり甘いものがたべたい!今日のおやつはようかんがいいな」


 キリカの視線の先には和菓子屋があった。

 そこを見て思いついたようだ。ようかんも並んでいる。


桐野「買ってく?」

キリカ「ううん。買わなくたって作ってくれるでしょ?きりのんのも負けてないよ」

桐野「うん、一緒に作ろうか。じゃあ、そこで餡子だけ買っていくよ」


 とても高級そうで美味しそうな和菓子がいくつも置いてある。けど、僕も負けてる気はしなかったんだ。

 買い物袋を提げ、キリカがそう言ってくれたことになんとなく満足感を覚えながら帰路を歩いていった、



 ……ああ、それでなくともキリカが隣にいるだけで満たされた気持ちになるんだもんな。



255◆xjSC8AOvWI19/02/12(火)00:21:42afr.e4.33 (4/9)



 ――家の玄関の中へと入っていくと、外の寒さは消え一気にあたたかい空気に包まれる。

 リビングには人が集まっている。ソファではヒーターの前でエイミーが丸まって寝ていた。

 それを起こさないように眺めるキリカを見て、もう少し身体があったまるまでこうしてからでもいいかと思った。


キリカ「エイミーもう少しで一歳?」

桐野「そうだね。元が野良猫らしいから正確にはわからないんだけど、誕生日は決めてるんだ。おばあちゃんの次の日」

キリカ「じゃあ誕生日にはお祝いしよっか。どっちも」


 そんな会話を聞いていたおばあちゃんも会話に加わる。

 おばあちゃんは編み物をしていた。キリカが教えてもらいはじめてから、二人の作った編み物も何度かもらっている。

 気恥ずかしいけど嬉しいとは思う。ただ……おばあちゃんからもらった毛糸のパンツだけは、穿く機会は永遠にこないだろうと思いつつ部屋に眠らせたままだ。



 しばらくリビングでみんなと過ごしたあとでキッチンに向かう。

 鍋に湯を入れて火にかけると、沸騰するまでの間に待ち時間が出来る。



256◆xjSC8AOvWI19/02/12(火)00:27:41afr.e4.33 (5/9)


キリカ「今から出来上がりがたのしみだね。ようかん。失敗なしだもんね」

桐野「まあ小さい頃からおばあちゃんと作ってたからね」

キリカ「いいなあ、そういうの。私も今度なんかばあばに習ってみようかなぁ……。あ、ホントに私の家族のほうね。あんまり会わないけど」

桐野「そっか、キリカの家はおじいちゃんおばあちゃんは別なんだもんな。ていうか、そういう人のが多いのか」

キリカ「きりのんのおばあちゃんのほうがむしろ近い感じ」

桐野「そう言われると不思議な感じだけど……」

キリカ「……私にはこうやって日常に帰してくれるとこがあってよかったと思うよ」

キリカ「ずっとみんなと違うところに居続けるのはやっぱり辛いから。きりのんがいなかったら私、そのままどっか行っちゃってたかもしれないし」


 お湯の沸いた音が聞こえてくる。

 餡子や他の材料を鍋に溶かし入れていくと、甘い香りが漂ってきた。その香りを大きく吸い込みながら、かき混ぜて揺れる水面を見る。


桐野「……どこにも行ってほしくないよ。だからやっぱ、心配なんだ。今まで忘れてたものまで思い出しちゃうんじゃないかってさ」

キリカ「そう思ってくれるだけでも嬉しいよ」



257◆xjSC8AOvWI19/02/12(火)00:34:40afr.e4.33 (6/9)



 餡子を煮詰めて火を止めると、あとは冷ますだけだ。

 型に流し込んで一旦キッチンから離れようとすると、キリカの姿がなかった。

 ――あれ? ……と、心の中で疑問符を浮かべていると、キリカがどこかから戻ってきた。


キリカ「目をつむって」

桐野「え?」

キリカ「はやく!」


 言われた通りに目をつむると、唇になにか硬いものが触れた。

 甘い味と香りがする。次に触れるのは柔らかいものだ。柔らかくて、温かい――チョコレートの味のキスだった。


キリカ「ん……っ」


 口移しだけして離れようとしたキリカの背に手を回して抱きしめると、キリカの唇から少しだけ苦しげな声が漏れる。

 …………まだ。もっと。チョコレートよりも奥を求めたい。

 口の中でチョコレートが溶けだす。それからようやく顔を離した。



258◆xjSC8AOvWI19/02/12(火)00:41:11afr.e4.33 (7/9)


キリカ「……いつももらってるから、私からもきみに。溶かして冷やして固めるんだからようかんと一緒だね」

桐野「細かいところはちょっと違うような……?」

キリカ「こまかいとこはいいの!それより、味わってよ」 


 チョコレートの入ったラッピングを差し出される。


キリカ「学校で渡しそびれて、さっきマミにどうやって渡したらいいかって相談してさ……驚かせてみるのはどうかって」

桐野「驚いたよ。マミさんの入れ知恵か……あの人もなかなか大胆なこと考えるなぁ」

キリカ「マミは驚かせるとしか言ってないけどね? ……このくらいしないと驚かないでしょ?」


 ……このイベント、もちろん気にしてなかったわけじゃない。

 ただ、態度に出してしまうのは恥ずかしいし、厚かましい気もするから心の中で静かに期待をしていた。

 普段甘いものをあげるのは僕のほうだ。キリカは甘党だし喜ぶから。

 もしかしたらキリカも忘れてるかもしれない、そんなこともちょっと心配する矛盾と同時に戦いながら。


キリカ「……きりのんも意外と大胆で、私のほうが驚かされちゃったけど。これじゃすぐみんなの前なんて戻れないよ」


 仕掛けたキリカの顔も真っ赤だ。――――たしかに今日は皆浮き立つバレンタインデーだけど、完全に不意打ちだった。



259◆xjSC8AOvWI19/02/12(火)01:18:36afr.e4.33 (8/9)



 帰る時間になる前にみんなのいるリビングから少し離れた空間に寄っていた。

 綺麗に固まった念願のようかんを食べて、キリカは満足そうな顔で僕の隣にいた。


 ベッドに腰掛けながら手をつなぐと、キリカがぽつりと話し始める。……幸せそうな表情とは裏腹、少し真剣なトーンだ。


キリカ「……きりのんは私のこと心配してくれてたけど、私のほうがいいのかなってちょっと心配になることはあるよ」

キリカ「もう普通と違う身体なのにって」

桐野「普通と違うとこなんてないよ!……キリカのことはずっと見てきたんだから」

キリカ「そうだけど……普通には死なないし、ソウルジェムが離れただけで息も出来ないんだよ?それって普通じゃないじゃん」

桐野「それでも。それで変わることなんかないよ。温かくて柔らかくて、ドキドキと鼓動を早めたりもする。……それって、普通の人間と変わらないじゃないか?」

桐野「どこ見たって、触れたって同じこと言えるよ。それで十分だと思う。……むしろ、なんていうか、自信もっていいよ。キリカの身体はすごく綺麗だと思う」


 そんな言葉を僕もごく真剣に返すと、キリカはまた顔を赤くする。

 ……なんかもう、押し倒してしまえそうな雰囲気だ。

 でもこれから先どこまで行ったって、もちろん後悔はない。そんな理由で離れるつもりなんてないんだから。



260◆xjSC8AOvWI19/02/12(火)01:19:01afr.e4.33 (9/9)


キリカ「うん、そう言われるとなんか恥ずかしいね」

キリカ「でも、ありがとう。後ろめたさはなくなったかな。自信もっとく」


 起きてしまったものは戻せない。キリカは逃げずに向き合っている。

 僕に出来るのは少しでも幸せに、自信をもってもらうことだと思う。キリカが僕にそうしてくれてきたように。


 友達だから。幼馴染だから。……恋人だから。


 ――甘い味。甘い空気。

 そんなものを感じながら二人の時間を過ごしていた。



―『甘いものをきみに』.END―


261名無しさん@おーぷん19/02/16(土)09:03:04p4s.tn.xh (1/1)

チョコを口移しで渡すとか、キリカも大胆やね
桐野はお返しに口移しで渡す時ディープキスまでやって欲しいなー
ホワイトチョコを間に舌を絡め合うとかw


262名無しさん@おーぷん19/02/16(土)19:54:35yNO.jr.nu (1/1)




263名無しさん@おーぷん19/03/02(土)23:40:45Sbr.z5.uh (1/1)




264名無しさん@おーぷん19/03/16(土)18:22:20rH8.ui.8g (1/1)

ホワイトデーの小話はまだかにゃー?


265◆xjSC8AOvWI19/06/09(日)22:14:01hHg.oy.p6 (1/1)

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【予告】
本スレのほうで伊集院編(おまけ裏ルート)やりました。
桐野編1周~番外編の流れが一通り完結したので、次回は締めくくりとして要望に出ていた「数年後の二人」を書いてみようと思います。
もちろん小話は今までの時系列で続けられます。
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266◆xjSC8AOvWI19/06/10(月)00:11:11XvM.yb.af (1/4)

*ある世界の果ての未来*

 ―数年後の話―



 筆をもち、大きなキャンバスに色を走らせる。

 この現実とは違う世界、引きこまれるような青の世界が紙の中だけで完成しようとしていた。


 今は自分以外に誰もいない。一人で集中しているとまるで現実から遠ざかるようだ。

 自分の趣味の詰め込まれた自室は今まで以上にアトリエのようになっていた。



「きりのん」


 張りつめた空気の中に、キリカの明るい声が部屋が心地よく響く。

 部屋には二人になり、少しだけ現実に戻る。さっきまでが静かすぎた。


桐野「どうした?あれ?今何時?」

キリカ「もうお昼だよ。ご飯できたから食べてよ。今が出来たてだから!」

桐野「わかった、今行くよ」

キリカ「あ、その絵……」


 キリカがキャンバスに注目する。キリカも経過は見たことがあったはずだ。


キリカ「今度美術展に出すんだよね。すごく良いと思う!」

桐野「もうすぐ完成するんだ」


267◆xjSC8AOvWI19/06/10(月)01:07:35XvM.yb.af (2/4)


キリカ「まだ完成じゃなかったんだ」

桐野「仕上げが残ってるよ。ほら、こことかもっと深みを表現したいし……」

キリカ「へえ? 私には想像がつかないけど楽しみにしておく」

キリカ「展示が始まったらみんなで見にいこっか。お義父さんに、お義母さんに、おじいちゃんに、おばあちゃん、私のお母さんとお父さんも誘って」

桐野「大人数になるな」


 僕の家は大家族だ。おじいちゃんの頃からみんなはこの家に住んでいて、それから母さんが来て、僕が生まれて。

 だから、同じようにしたら僕は一度もこの家を出ることなくこれからもみんなと一緒に住むことになるんだろうか。

 キリカの家もすぐ近所だから、離れる理由もあまり見つけられない。

 今ではキリカとほぼ一緒に暮らすようになっていた。こうして料理を作ってもらったり……もうキリカも家族みたいなものだ。


キリカ「やっぱりみんなが出かけてると、家が大きく感じるね」

桐野「いつも昼間はオレたち以外に三人はいるからなぁ。キリカが家事やってくれるようになって、母さんは大分楽そうだよ」

キリカ「私はまだちょっと手伝いしてるみたいなものだよ。おやつはきりのんやおばあちゃんが作ってくれるし」

桐野「じゃあ今日もデザート作ろうか。何がいい?」

キリカ「羊羹がいいな。あ、でも、和菓子もいいけど生クリームとかもいっぱい食べたい!」

桐野「和洋折衷か。そういうのもいいね」


268◆xjSC8AOvWI19/06/10(月)20:44:04XvM.yb.af (3/4)



 キリカの作ってくれた昼食を完食し、それからデザートを用意する。

 こうしていると毎日のんびりしているようだけど、遊んでばかりいるわけじゃない。僕が目指す画家というのは大変な職業だ。

 やったらやるだけ金にもなるし力にもなる。ついこの間に念願の美術系の高校を卒業したばかりの今は、一番時間があった。

 普通よりもお金はかかったし、時間があるときこそ浪費はしていられなかった。


 とはいっても、せっかく愛しい人と一緒にいる時間だ。それも大切にしたい。


キリカ「おいしい!和洋折衷でも合うよこれ。クリームだけでも大好きだけど羊羹があってこそっていうか!」

キリカ「さすがおばあちゃんのレシピ。小さい頃から教えてもらってたんだもんね」


 生クリームをたっぷりと添えた羊羹がデザートだ。

 四角くカットした羊羹をフォークで突き刺してクリームをすくう。これはこれで合うし、見た目もお洒落だ。


桐野「そうだなぁ。おばあちゃんも昔ひいばあちゃんから教えてもらったんだって」

桐野「もしオレたちにも子供ができたら、次はオレたちも……」

キリカ「…………さすがにはやすぎるよ。でも、考えてみたらそんなに先のことでもないか」

キリカ「そうやって受け継いでくんだね。これから先にもきっと、色んなことを」



269◆xjSC8AOvWI19/06/10(月)23:17:55XvM.yb.af (4/4)



 まだ明るい時間の午後、ソファの上で二人並んで手を握る。


キリカ「このあとはまた絵を描きに戻るの?」

桐野「うん。もうすぐ完成だから」

キリカ「最近は街で似顔絵とかも描いてるんだよね」

桐野「今はとにかくたくさん描かないと。美術高校を出たからって、美大を出たからって、画家として成功するわけじゃない」

桐野「似顔絵はキリカが喜んでくれたのがきっかけだよ。人と関わるのとか苦手だけど、今は少しだけ克服できてきたし……」

桐野「でも……今はもう少しこのままでいいかな」

キリカ「!」

桐野「キリカと一緒にいるよ。家で二人きりってなかなかないからね」

キリカ「うん、私ももう少しこうしてたい」


 そう言うと、キリカが僕のほうにぎゅっとくっついてくる。

 隣で触れ合う柔らかさ、なんともいえない良い匂い。冬の肌寒い部屋には互いのぬくもりがちょうどよかった。


キリカ「……♪」


 二人で一緒に居る時、キリカが甘えてくる時の定番のスタイルだ。

 こうしているとひとりじめしているような気がするらしい。

 落ち着いた穏やかな表情を見せている。



270◆xjSC8AOvWI19/06/11(火)00:17:09CNx.c7.3f (1/2)



 なめらかな黒い髪を撫でる。少し前までは随分伸ばしてたっけ。

 けど、肩につくくらいの長さの髪のほうが小さい頃からよく見ていた『キリカ』って感じがする。


桐野「……なかなか二人きりになれないよね。キリカはこの家から出てみたいとは思う?」

キリカ「どこかに家を持つってこと?みんなきりのんのこと大事にしてるし、みんなやきりのんの意思に任せるけど」

桐野「もちろん今すぐにはちょっと厳しいんだけどさ。バイトくらいしか稼げてないし学費があるし……」

キリカ「でも今は二人だけだよ」


 手を髪からうなじへと下に這わせて撫でる。

 小さい頃から見てきた身体。最初会ったころは幼稚園。付き合いはじめたのが15の時。


桐野「……胸、また大きくなったよね」

キリカ「んもう、そんなとこばっかり見てるんだから。……そのほうが嬉しい?」

桐野「え、まあでもそれだけじゃないよ。全部好きだから」


 苦笑する。

 曲線を描くしなやかな身体。キリカの容姿はとても魅力的に映るし、スタイルは文句なしに良いと思う。



271◆xjSC8AOvWI19/06/11(火)00:26:24CNx.c7.3f (2/2)



 魔法少女とか魂がどうとかで悩んでたこともあったけど、それは関係ない。もうどちらも気にしてはいなかった。

 毎日顔を合わせているとわからないけど、今まで絵にしてきたキリカを見ると、少しずつやっぱり美しく成長しているのがわかる。


 写真で思い出を残すのもいいけど、絵にはそれ以上に筆に込めたその時の思いがある。

 そう思うと僕はこの特技を持っていてよかったと思う。


桐野「そうだ、今度はまた久しぶりにあの衣装を着た姿でも描かせてよ。前とは雰囲気変わるだろうから」

キリカ「えー、久しぶりだな。……いいよ、まだ着られるなら今度描かせてあげる」


 そういえば、さすがにもう魔法少女としては活動してないらしいけど……

 あのとき受賞した絵は思い出深い。あれなら今でも十分似合うと思う。



 これからも絵は増え続けるだろう。けれど、まずはそれより今目の前にいて触れ合えるキリカとの時間が大事だ。

 今は少しだけ筆休め。

 みんなが帰ってくるまでの間、二人で過ごすことにした。



―桐野編 END―


272名無しさん@おーぷん19/07/25(木)01:16:55Af.jc.L1 (1/1)




273名無しさん@おーぷん20/01/13(月)01:29:24vi.5y.L1 (1/1)