318以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/06(木) 22:23:57.31DUSa38EM0 (1/3)




319 ◆C9vIqtyVF22018/12/06(木) 22:40:28.79YC5x4Bb7O (4/5)

#

部屋に入ると既に布団は敷いてあった。普通に2枚が並んでいる。まあ、そりゃそうだよね。

「何か、修学旅行以来ですね。和室に布団」

「そうなんだ。あたしは高校出るまで布団だったよ」

身体はまだ少し火照っている。寝るのは、それが冷めてから、かな。
時間もまだ21時半ぐらいだ。寝るには、まだちょっと早い。

※アユが振る話題を選んでください。

1 コナンの昔の彼女について
2 古畑について
3 あたしのこと、どう思う?
4 互いの家族について
5 自由安価

※2票先取
※自由安価は歓迎です。柔らかめの話なら、コナンは乗ってくるでしょう。



320以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/06(木) 22:47:44.47Gkjf+uyeO (2/2)

2


321以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/06(木) 22:56:34.62DUSa38EM0 (2/3)

2


322 ◆C9vIqtyVF22018/12/06(木) 23:04:58.40YC5x4Bb7O (5/5)

今日はここまで。特殊イベントは、上の布団の下りから察してください。


323以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/06(木) 23:34:30.21DUSa38EM0 (3/3)


察しました


324 ◆C9vIqtyVF22018/12/07(金) 11:53:14.53SKVoirG9O (1/4)

「ちょっと、湯冷まししましょうか。ほら、夜景がきれいですよ」

高台にあるこのホテルからは、伊香保温泉が一望できる。遥か遠くには、渋川市の灯りもチラチラと見えていた。

あたしたちは窓側の椅子に座る。

「お茶、淹れてこようか?」

「あ、ありがとうございます」

コナン君は、何かを考えているように外を見ていた。あたしは湯呑みを置き、向かいに座った。

「そういえば……古畑って刑事。コナン君、昔から知ってたの?」

あたしが訊くと、少し驚いたようにコナン君があたしを見た。

「あっ……はい。今、ちょうどそのことを考えてたんで」

「ここに来てたよね。あたしたち、気付かれたかな」

「ひょっとしたら。ただ、確信は持ってないと思います。アユさんについても、僕との繋がりまでは考えないでしょう。もしそうなら、とっくにここに来てる」

あたしは少し安心した。これ以上追ってくる人間が増えるのは、さすがにごめんだ。

「そっか。じゃあ明日は」

「普通に帰って大丈夫だと思います。奴も、若葉の逮捕には面食らってるでしょうから。ただ、アユさんと奴が次に会ったら、確実に疑ってくるでしょうね」

あたしは唾を飲み込んだ。やはり警戒はしなくちゃいけないみたいだ。

「どうすればいいの?」

「しばらく、佐倉の出方待ちですからあまり気にしなくていいです。秋山をなんとかしなきゃいけませんしね。
ただ、奴も奴で佐倉を追っていると思います。もしアユさんが動くなら、気を付けて」

「……分かった。何か、因縁ありそうだね」

「因縁、ですか」

コナン君はお茶を飲んで外を見た。

「……『昔』から、何度か仕事で関わりはあります。ああ見えて、内面はとても頑固だ。考えを曲げない、そして執念深い。
だから、僕らとは相容れないんです。歴史を変えて世界を正そうとする僕らと、その前に秩序を守ろうとする古畑とでは」

「でも、若葉を殺そうとしてたんじゃないかって……秩序を守るなら、法律は守るんじゃない?」

「ははっ、そうだと思いますよ。普通は。ただ、彼は『覚醒者』の逸脱行為を許しはしない。歴史は変えられるべきものではなく、予測可能なものであるべきだ。そう考えてる。
それは古畑の信念であり、その上の考えでもある。『秩序の守護者』が、公安なんです」

「よく知ってるね。……どうしてそこまで?」

※コンマ下が75未満ならはぐらかす


325以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/07(金) 12:11:16.92BtOJGbEDO (1/1)




326 ◆C9vIqtyVF22018/12/07(金) 22:23:08.04SKVoirG9O (2/4)

「……奴とは色々因縁があるんです。あまり、未来のことを話しすぎるのはよくないんですが……もう随分話しちゃってるか」

彼が苦笑する。

「優先順位、って少し言いましたよね。僕らは犯罪者なら誰でも消す訳じゃない。未来に与える影響が大きいのを優先的に消している。佐倉たちは、筆頭格の一人です。
同じようなランクのは、何人もいないんですが……そのうちの一人を巡って、『昔』僕と奴は対立した。
僕は、いや警視庁は『そいつ』を何がなんでも捕まえようとした。しかし、逃げ切られた。その原因となったのが古畑です」

「犯罪者を、同じ警察が逃がしたの?」

「公安は、『そいつ』を監視下に置いて、コントロールしようとしたんです。結果から言えば、それは失敗だった。それが後の破滅に繋がったんですが、多分古畑はそれを認めてない。
同じ過ちは繰り返されてはいけないんですが……公安は、『より精緻なやり方なら上手くいくと思ってる』。秩序を守るだけでは救えないと、奴らは分かってない」

話がよく分からなくなってきた。ただ分かるのは、警察も一枚岩ではなかった、ってことぐらいだ。

……一つ、疑問が浮かんだ。

「優先順位って言ったけど、片っ端からやるってわけじゃないの?その、『そいつ』とか」

「ルールを決めてるんです。『確実に救えない犯罪者となるか、その手前になるまで手は出さない』。
佐倉たちは、既に最低一人は殺しています。僕の知る歴史の通りなら、熊谷大虐殺の実行犯は、全員複数人をあの前に殺してる。
それをネタに、佐倉は城や鶴岡を掌握している、と僕は踏んでいます。とにかく、彼らはもう、人として踏み越えてはいけない線を越えてしまった連中です」

コナン君がお茶を飲んで、一息ついた。

「逆に言えば、優先順位が高くても、人として救えない存在であると確認できるまでは、手を出さない。殺さずに改心できるなら、それに越したことはないですから」

「うーん、あたしバカだからよく分かんないけど、要は『確実に犯罪を起こす』のが分かってから動いてるってこと?」

「そうです」

なかなかややこしいルールだ。網笠さんという偉い政治家さんもいたみたいだけど、色々事情があるというのだけは分かった。

※コンマ下65以上で会話続行、話題選択へ


327以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/07(金) 22:31:14.50mkZKcoYy0 (1/1)




328 ◆C9vIqtyVF22018/12/07(金) 22:38:21.43SKVoirG9O (3/4)

急にガクッと、コナン君の首が落ち込んだ。

「……やっぱり緊張の反動が来たみたいですね。この身体と、『もう一人の僕』には堪える」

「もう一人のコナン君?」

ハハハとコナン君が笑った。

「単純に、子供の身体で夜更かしはキツいってだけですよ。……そろそろ寝ましょうか」

「う、うん。そうだね」

あたしたちは布団に潜り込んだ。すぐに、隣からすうすうと寝息が聞こえる。もう寝ちゃったんだ。

あたしはそれを可愛く思いながら、目を閉じた。

今日は色々あったけど、上手く行ってよかった。コナン君のことも、色々聞けた。


でも、今のコナン君の中身が29歳なら、「9歳のコナン君」はどこに行っちゃったんだろう?


少し引っ掛かるものを感じながら、あたしにも睡魔が襲ってきた。


329 ◆C9vIqtyVF22018/12/07(金) 22:39:30.44SKVoirG9O (4/4)

今日はここまで。来週木曜までスローペースです。
次回は仁パートから。


330 ◆C9vIqtyVF22018/12/08(土) 21:58:43.66Ok1IGt8uO (1/5)

【6月12日、18時23分】


「うーっす。青と白は?」

「伊香保に行くとか言ってましたよ。若葉課長の情報が入ったとかで」

4係の緑山巡査部長が言った。赤木警部が眉に皴を寄せる。

「若葉の?聞いてねえぞ」

「何でも念のためってことらしいです。どうせガセでしょうけど」

俺は赤木警部を見た。青葉は確かに前のめりな方だが、相応に鼻は利く。

「青さんのことですから、それなりの自信があったんでしょうかね?電話しましょうか」

「おう、頼む。しかし伊香保とは随分遠いな」

俺はスマホを手に取る。すぐに青葉の野太い声が聞こえてきた。

『おう、仁か?今移動中だが』

「若葉の情報が入ったそうですね。何か感じる所が?」
 
『うーん、随分変な電話だったんでな。『身元は明かせないが、龍山荘に若葉課長がいる』『急がないと殺されるかもしれない』と」

「具体的ですね。しかも『殺されるかもしれない』と」

『身元は明かさねえわ若い女の声だわで怪しいんだが、一応裏だけ取ろうとな。
んで宿に連絡取ったら、一昨日から若葉と同じ特徴の男が一人で泊まっているときた。
これはマジネタか、と思って今伊香保に急いでる。あと1時間ぐらいで着く』

赤木警部は木暮管理官と何か話している。これは確かにかなり怪しい。

※コンマ下80以上で追加イベント


331以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/08(土) 21:59:27.77Qy7FBC7DO (1/2)

はい


332 ◆C9vIqtyVF22018/12/08(土) 22:37:07.58Ok1IGt8uO (2/5)

#

「赤さん、龍山荘に若葉がいると思います?」

「お前はどうだ、仁」

「直観ですが、9割」

俺はクラウンのハンドルを軽く切りながら答えた。車は関越自動車道に入った。
赤木警部が満足そうに頷く。

「同感だね。4係の奴は、目が腐ってるのかね」

「若葉派でしたからね。後ろ暗いことでもあるんでしょう。……ただ、2つ疑問が」

「ほう?」

「まず、電話してきたのが誰か、ということです。若い女らしいですから、普通に考えれば若葉の女でしょうが」

「……金路栞とは別れて長いし、女がいても不思議じゃねえ。ただ、白島の内偵では、それらしき女はいなかった」

そう。若葉は好色ではない。結構なグルメだったとは聞いているが、それ以外は禁欲的とすら言える人間だ。
とすると、金路栞がらみ?しかし、身内の裏切りを金路が許すだろうか?

「……ちょっと読めないですね。調べていくうちに分かるかもしれないですけど。
そしてもう一つ分からないのは、若葉が殺されるかもしれないと言っていたことです。誰が殺すんでしょう?」

「そりゃあ……佐倉とかの一派じゃねえか?自分にとって都合の悪い情報を持っているかもしれねえからな」

「確かに。ただ、若葉は逃げてるだけで捜査資料を持っているとは限らない。
もうとっくに破棄しているかもしれない。そもそも、佐倉が若葉の動向まで把握しているもんですかね」

「……まあそうだな。とにかく、伊香保に着けば分かるか。あー、飯買ってくるんだったぜ」

「伊香保で一泊できりゃいいんですがね。ま、SAで適当に詰め込んどきますか」

不可解なことは、相変わらず多い。ともあれ、着けば分かることだ。


333 ◆C9vIqtyVF22018/12/08(土) 22:45:52.19Ok1IGt8uO (3/5)

【6月12日、19時45分】


上里SAで軽く菓子パンを買い込み、乗り込もうとしたその時だった。

……ブルルルル

俺のスマホが震える。青葉からだ。

「もしもし」

『見付かったぞ。今、確保した。これから渋川署に移動して、取り調べする』

「本当ですか!!?今、上里SAです。あと1時間足らずで着きます」

『そうか、了解。赤さんに代わってくれ』

赤木警部が興奮気味に俺のスマホをひったくった。……やはりマジネタだったか。
彼は「よっしゃ!!」と快哉をあげた後、すぐに深刻そうな顔になった。

※コンマ下

01~20 見つかったのは若葉のみ、資料なし
21~90 若葉と資料発見
91~00 上+特殊イベント



334以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/08(土) 22:48:01.775mJ6WUVm0 (1/1)




335 ◆C9vIqtyVF22018/12/08(土) 23:06:21.68Ok1IGt8uO (4/5)

しばらくした後、ふうと息をついて赤木警部がスマホを返した。

「若葉はいくつか資料を持っていたそうだ。中身は後で精査、ということだ」

「資料持っていたんですか。……何でまた」

「そりゃあこれからだな。まあ、これで例の荒川の件とか話が進めばいいけどな」

俺は菓子パンをかじった。若葉は何を語るのだろう。

#

【6月12日、21時03分】


渋川署の駐車場には、既に青葉が待っていた。

「赤さん、お疲れっす。仁もお疲れ」

「取り調べはまだだよな?俺がやる。渋川署と群馬県警への根回しは」

「済んでます。まあ、警察内の不祥事ですからね。完全に『お客様』ということで、外部には決して漏らさないと」

「おっし。白は?」

「今、資料をチェックしてます。いくつかの調書、それとフラッシュメモリ。中には、画像データが」

赤木警部がニヤリと笑った。

「荒川のか。しかしとっとと捨てりゃいいのに、馬鹿なことをしてんな」

青葉のスマホが鳴った。軽い応対の後、青葉が電話を切る。

「白島からです。確認終了したと……」

※コンマ下
01~85 通常ルート
86~97 上+追加情報
98~00 上+追加情報(状況が激変します)


336 ◆C9vIqtyVF22018/12/08(土) 23:15:35.51Ok1IGt8uO (5/5)

なお、全体的にコンマ判定を辛くしているのは仕様です。
通常ルートでも問題なく話は進んでいきます。


337以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/08(土) 23:22:44.48Qy7FBC7DO (2/2)

はい


338 ◆C9vIqtyVF22018/12/08(土) 23:24:29.40lzfhz/1uO (1/1)

今日はここまで。


339 ◆C9vIqtyVF22018/12/10(月) 12:41:19.19tHPa4Kw6O (1/1)

#

「で、何が見つかったんだ?」

青葉は調書とフラッシュメモリを赤木警部に手渡した。

「少ねえな」

「それでも収穫ありです。調書は金路アゲハが白馬伸の死亡現場にいたというもの。これ自体はさして新しくはないです。
問題は、こちら。ちょっと、見てみましょうか」

フラッシュメモリをノートPCに繋ぐといくつかの画像データがあった。……これは。

「……金路アゲハが歩いているな。場所は河川敷か?」

「多分。不鮮明ですが、アゲハらしい人物がいます。後ろには見切れていますが他の人物も。
そして、ここ。右下の日付、時間がミソです」

赤木警部が目を見開いた。俺も思わず声をあげる。

「3月27日……荒川のホームレスが射殺された日だっ」

「そう。これは消えていたとされる監視カメラのデータが基になってる。時間も死亡推定時刻と重なる。
アゲハたちがあの事件に関わっていたという疑いは極めて強い。この写真にはアゲハしか全身は映ってないけど」

青葉の言葉に、俺は写真をよく見た。

「後ろの男、指輪つけてますね」

「……本当だ。しかしこれだけじゃなあ」

※コンマ下60以上なら手掛かりあり


340以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/10(月) 12:42:53.05J6bx+6Zs0 (1/1)

えいや


341 ◆C9vIqtyVF22018/12/10(月) 12:54:22.46w+0v2QpPO (1/1)

「ともあれ、これでアゲハの事件への関与は濃厚になったな。任意で城と鶴岡には聴取しよう」

「ですね。ただ、あのボディーガードをどうするか」

俺は増田警部補の忠告を思い出していた。「迂闊に手を出したら死ぬ」。奴らは警察すら恐れないのか。
それに任取は拒否されればそこまでだ。もちろん監視対象としてウオッチはするが、それ以上はできない。
上手く引き剥がす方法があればいいのだが……

※行動選択です。

1 城の母親を当たる
2 鶴岡の兄を当たる
3 伊香保に行く
4 その他自由安価

※2票先取

※どれも多少の運は絡みます。失敗時は、時間が少し飛びます。


342以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/10(月) 13:07:23.43ONPBLljDO (1/2)




343以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/10(月) 13:18:58.70bPwRPhyS0 (1/1)

1


344 ◆C9vIqtyVF22018/12/10(月) 20:47:58.31XgdaodTGO (1/7)

俺は少し考えた。将を射んとすれば馬から、だ。

「……やはり、家族からですかね。城寿美子。厚生労働省審議官で、城隆一郎の母親でもある」

「母親から揺さぶるか。しかし、城は放任じゃ」

「小学生の時に徹底して教育させたらしいと、薬師丸英華が。父親は早いうちに死別と聞いてます」

「……母親、仕事と出世の鬼と聞いてるがな」

城の「身体検査」は、ある程度済んでいる。親子の関係は今は希薄という近所の評判だった。
それでも、城寿美子が真っ当な人間なら、彼の疑惑に心を揺らがさずにはいられないはずだ。家庭内から揺らしていけば、あるいは。

「とにかく、厚生労働省前で張ってみます。ツラP(顔写真)はあったはずですから」

#

【6月13日】


梅雨とは思えない、蒸し暑い朝だ。早朝から張っているが、なかなか体力を削られる。
時計は午前6時半。城寿美子は始発で出て終電で帰るのが日課と聞いている。確かに相当なワーカホリックらしい。

視線を上げると、宝塚にいた某女優を倍くらい険しくした顔付きの女性がひどい早足で歩いてきた。城寿美子だ。

「すみません、ちょっと……」

俺を一瞥だにせず通りすぎようとる彼女の肩を、後ろから掴んだ。

「……邪魔よ。警察を呼ばせていただくわ」

「その警察です。息子さんのことで、お話が」

警察手帳を見せると、彼女は顔を一瞬しかめた。

※コンマ下

01~40 面会は広報を通して
41~80 ……隆一郎のことで?
81~00 12時、10分だけ時間があるわ


345以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/10(月) 20:50:07.12NFdAMnXCo (1/1)

はい


346 ◆C9vIqtyVF22018/12/10(月) 21:06:11.21XgdaodTGO (2/7)

「面会は広報を通して。以上」

そう言うと城寿美子は足早にビルに入ってしまった。これはとりつく島もない。
どうやら子供のことには無関心であるらしい。揺さぶるとしても、かなり骨だ。

俺は赤木警部にメッセージを入れた。「接触失敗、継続的に接触を試みる」。1分後、「了解」とだけ返ってきた。
これは今日も現場を洗い出すしかなさそうだ。

#

【6月13日、10:26】

「キツいな、これは」

赤木警部が苦笑いした。金路アゲハの殺害現場周辺の聞き込みは、今日も収穫に乏しい。

「お宮(迷宮入り)だけは断じて勘弁ですがね。若葉の件は」

「なかなか悲しい事情があったらしいな。奴さん、離婚後ろくにアゲハに会わせてもらってなかったらしい。
そのくせ、離婚後も栞とアゲハを捨てきれず、言うなりに証拠隠滅、だそうだ。
その中でアゲハが生きていた証を……とあの画像データと最後の証拠だけ持ってたらしい。
同情はしねえが、娘はちゃんと愛していたらしいな。歪んでるが」

「それでも許されることじゃないですがね。金路栞は」

「証言ベースに出頭要請かけてる。ただ、栞から若葉へという命令の証拠が若葉の証言だけだからな。これだけじゃしょっぴけない。
アゲハの携帯が見つかればいいが、それはきっちりなくなってる。頭の回るヤツだ」

俺は現場周辺の床にしゃがみこんだ。何か見落としているものはないのか。

……

#コンマ下
01~75 通常ルート、日曜までスキップ
76~90 これは……
91~00 上+赤木警部の電話が鳴った


347以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/10(月) 21:08:36.45iKY3ZwkH0 (1/2)




348 ◆C9vIqtyVF22018/12/10(月) 21:15:11.11XgdaodTGO (3/7)

……特になし、か。これは持久戦になりそうだ。

「まあ、地道に足使うのが俺たちの仕事だ。少しずつ外堀を慎重に埋めていくしかねえな」

赤木警部が溜め息混じりで言う。若葉は落ちても、そこから城や鶴岡、佐倉に繋げられないなら意味はない。
雨の滴は、何年も何十年もかければ岩をも穿つ。城寿美子に地道に当たり続けて、軟化を待つより他なさそうだ。

そう言えば、日曜にはSHELLYから連絡があるという。本当だろうか?

その時、俺の携帯が震えた。……また、SHELLYからのメールだ。


349 ◆C9vIqtyVF22018/12/10(月) 21:19:50.04XgdaodTGO (4/7)

#

毛利仁様

お仕事中失礼します。SHELLYです。
先日お話しした件、場所を指定いたします。熊谷駅前のサイゼリヤにてお待ちしております。
時間は1200です。よろしくお願いします。

SHELLY




350 ◆C9vIqtyVF22018/12/10(月) 21:21:41.88XgdaodTGO (5/7)

※次回の視点を決めます。どれも【6月17日】です。

1 仁パート
2 コナンパート
3 ジョーパート

※2票先取


351以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/10(月) 21:22:53.76ONPBLljDO (2/2)

3


352以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/10(月) 21:48:08.71iKY3ZwkH0 (2/2)

2


353以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/10(月) 21:57:33.05F2so4rmC0 (1/1)

3


354 ◆C9vIqtyVF22018/12/10(月) 22:17:10.62XgdaodTGO (6/7)

では3からとします。今日はここまで。
コンマによってはR15展開になります。


355 ◆C9vIqtyVF22018/12/10(月) 22:17:38.42XgdaodTGO (7/7)

なお、選ばれなかった2つも順次進めていきます。


356 ◆C9vIqtyVF22018/12/11(火) 12:28:43.43CmfylZpuO (1/1)

【6月17日、7時21分】


ついに待っていた日が来た。

僕は目覚めると、1分1秒も無駄にしないよう急いで着替え、髪をセットする。8時には、矢向さんが迎えに来るはずだ。
そして、ホテルに着いたら……「サクラ」が待っている。翔一のことは、正直好きになれないが、「彼女」は別だ。
アイスキャンディを舐め、好きなだけセックスする。今日は僕も「女の子」にしてくれるという。どんな感じなんだろう?

この日があるから、僕は息苦しい毎日を耐えられた。ヤクが声をかけなくなって、見放されても我慢できた。


全ては今日の「サクラ」との逢瀬のため。


頬が緩むのが自分でも分かる。すごく久し振りに表情筋が動いた気がする。
下半身はもうカチカチで、先っぽからはヌルヌルが出始めている。今日のために、オナニーも我慢したのだ。

準備ができた。少し早いけど、家を出よう。勤勉な矢向さんは、大体時間より大分前に来ている。とにかく、時間が惜しかった。

母親は、どうせいつも通りベッドから動かないだろう。休日は、ほとんど寝たまま動かない。それが母親の行動パターンだ。
起こさないよう、慎重に階段を下りる。

※コンマ下
01~80 通常進行
81~95 どこに行くの
96~00 行かせないわよ


357以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/11(火) 13:02:04.143o3uKZjDO (1/2)

はい


358 ◆C9vIqtyVF22018/12/11(火) 20:46:12.54Wy79HoDHO (1/4)

玄関を開けると、いつものように矢向さんが待っていた。

「お待ちしておりました。どうぞ」

どうにも下半身が落ち着かない気分で、僕は後部座席に座る。……矢向さんの目が険しい。

「どうしたんです?」

「いえ、鼠が何匹か。ちょっと急ぎましょうか」

ギュルギュルとタイヤが道路と摩擦する音が響くと、車は急発進した。僕は思わず背もたれにぶつかる。

「ええっ??きゅ、急にどうしたんですか」

「鼠を撒くためですよ。まあ、大雑把な場所は特定されるかもしれませんがね」

後ろを振り向くと、大型バイクが追ってきていた。ただ、こちらの方が速い。

「カーチェイスに付き合うつもりはないのですが、ね」

ギャルギャルギャルッ!!

激しい摩擦音と共に矢向さんは急に車線変更し、大きくUターンした。その信号でバイクを振り切り、車は高速に入る。

……あれは、まさか。体温が急に下がった気がした。

「……僕らを狙っている連中ですか」

「どうでしょうね。どれかは判別が付きませぬが。その点、翔一様から連絡があるかと」

「……連絡?」

どういうことだろうか。どうも、状況は悪い方へ転がっている。
下半身の昂りは、すっかり治まってしまった。……それどころじゃないのかもしれない。

#

車は新宿ではなく、日比谷に向かっていた。定期的に居場所を変えている、と矢向さんは言う。
しかし、翔一のどこにそんなお金があるんだろうか。彼の素性は詮索しないのがルールだったが、気になる。

日比谷の帝国ホテルの駐車場に入る。こんな高級ホテル、来たことがない。
エレベーターで上層階に行くと、また豪華な雰囲気の廊下に出た。インペリアルスイートのフロアであるらしい。

※重厚なドアの先には……
01~30 鶴岡もいる
31~95 通常進行
96~00 ネグリジェ姿の「サクラ」がいる


359以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/11(火) 20:49:20.53lueneQsB0 (1/1)




360 ◆C9vIqtyVF22018/12/11(火) 21:30:58.52Wy79HoDHO (2/4)

重厚なドアの先には、「サクラ」……ではなく正装姿の翔一がいた。僕は唾を飲み込む。

「『あの方』は帰られたのですか?」

「うん。まあ上々だった。で、ジョー。おはよう、こっちに座って」

僕は勧められるままソファーに座る。テーブルには、飲み掛けの紅茶が入ったティーカップがあった。

「誰か先に?」

「まあね。君が知らなくていいことだよ」

穏やかな笑みを浮かべて、翔一も僕の向かいに座った。

「さて……矢向から報告は聞いてるよ。一週間、お疲れさま。で、しばらくはこんな感じの生活になる」

「警察と、アゲハたちを殺した犯人から逃げるため?」

翔一が一瞬黙った。

「普通の警察は、然程問題じゃない。彼らに僕らは捕まえられない。問題は、アゲハたちを殺した……多分『バッドエンド・ブレイカー』と、公安だ」

「バ、バッドエンド・ブレイカー??」

僕は唖然とした。ネットで噂になっている、凶悪犯罪予備軍を消す「害虫駆除者」。そのターゲットに、僕らがなっていると??
確かに、「計画」は作り始めていた。でも、実行なんて誰も言ってない。

翔一が真剣な表情で頷いた。

「そう。手口は違うけど、これはもうそう考えた方がいい。だから、極力矢向の側を離れず、単独行動は厳に控えてほしい。僕もこうやって、ホテルを転々としなきゃいけないんだ。
窮屈かもしれないけど、それが君のためだ。ストレスは、一緒に解消しよう」

「で、でも……いつまで?」

「僕らが奴らを見つけ、始末するまでだ。これは、戦争だ。君は矢向が守ってくれるけど、君自身にも戦ってもらわなきゃいけないかもしれない」

顔から血の気が引いたのが分かった。

「でもっ!!僕は翔一のように金持ちでもないし、和人のように強くもな……」

そっと、錠剤が入ったアルミシートを翔一が出した。

「新型のアイスキャンディ。本当にヤバくなったら、これを飲んで」

「新型?」

「そう。人間の脳は、95%が使われていない。それを引き出す薬だ。大丈夫、心配はいらないよ」

彼が静かに微笑んだ。

「あ、ありがとう……でもどうやって戦うの?」

「殺しに来たところを返り討ち。それが一番いい。ただ、向こうも相当慎重みたいで、彼らについての手持ちの情報はほとんどない。だから、まずは出方を探ってる状況だ。
和人にも言おうと思ったけど、彼は人の話を聞かないからね。唐川さん経由で伝えることになる」

そうなのか。しばらくは待つしかないのか。……心配とストレスで、額から汗が滲んできた。

翔一が紅茶を口にした。

「むしろ問題は……多分公安が、僕らをマークしてる。理由は知らない。彼らの打つ手が読めない」

「公安って、警察の秘密組織みたいな、あれ?」

「まあそのぐらいでいいよ。普通の警察じゃないから、何をして来るか……。
一応、僕の方で上位から圧力をかけてる。金路栞はもうダメだけど、チャネルはまだ他にもある。それで沈黙してくれれば、越したことはないけど」

翔一がカップを置いた。

「とにかく、君にできることは矢向と一緒にできるだけ動かないことだ。今度は和人もここに来ると思うけど、そこで善後策を改めて考えよう。
幸い、普通の警察のターゲットはバッドエンド・ブレイカーの方だ。そっちを潰しきれば、何とでもなる」

翔一は冷静そのものだ。立場のことなる3者から追われているのに、焦りも何もない。僕だったら確実にパニックになっているところだ。

「あっ」と彼が声をあげた。


「君の幼馴染み。……確か、薬師丸英華さん、だっけ?今度、会わせてくれない?」


純真そうな微笑みに、僕は恐怖した。


361 ◆C9vIqtyVF22018/12/11(火) 21:38:38.25Wy79HoDHO (3/4)

「それだけはダメだっ!!ヤクを、こんなことに巻き込んじゃいけないっ!!!」

叫ぶ僕に、翔一はやれやれと首を振る。

「警察、多分彼女に接触してるよ?もう無関係じゃないんだよ。
警察だけならいい。バッドエンド・ブレイカーの連中が、彼女を人質に取らない保証はないよ?公安も何してくるか分からない。
だったら、僕らに引き込んだ方が、安全じゃない?」

……ダメだ。ヤクは、普通の女の子だ。こんな汚れた僕に、もう関わっちゃいけない。普通に生きていてほしい。

でも、翔一の言うことももっともだった。もう、ヤクは巻き込まれているのかもしれない。だったら、僕がそばにいて、守ってあげた方がいいんじゃないか??

汗を流して黙る僕を、翔一はニコニコと笑って見ている。



僕の選択は…………



※重大選択です。
1 ……分かった
2 やっぱり、ダメだ

※安価下5多数決


362以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/11(火) 21:43:34.373o3uKZjDO (2/2)

2


363 ◆C9vIqtyVF22018/12/11(火) 22:09:56.87Wy79HoDHO (4/4)

上げます。


364以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/11(火) 22:20:09.23H2WCiDF/0 (1/1)

2


365以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/11(火) 22:23:40.62JR/35gu3o (1/1)

2


366以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/12(水) 09:02:56.72OLNHhNLK0 (1/1)

1


367以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/12(水) 12:14:38.7543En3KxDO (1/1)

2


368 ◆C9vIqtyVF22018/12/12(水) 12:33:21.04NT5VBS+/O (1/1)

「……やっぱり、ダメだ」

僕は声を絞り出した。翔一は……「ふぅん」と表情を消している。

「そんなに大切な子なの?惚れてるの?」

「……そんなんじゃない。あいつは、日の当たる場所で生きていくべき人間なんだ。ひょっとしたら4年後、オリンピックで日本中の注目の的になるかもしれない。
僕はもう、どうなってもいい。でも、あいつは……ヤクは僕から離れて生きるべきなんだ」

「バッドエンド・ブレイカーや公安が利用するかもよ?君が守らないせいで、彼女がどうなってもいいって?」

……翔一の言う通りだ。でも、これだけは譲れない。

「……あいつは、そこまでヤワじゃない。僕はそう信じている」


ニタァ……


翔一が、見たこともないような気持ち悪い笑いを一瞬見せた。僕は本能的に、思わず引いた。

……怖い。

その笑みはすぐ消え、いつも通りの微笑みに戻っていた。

「……そっか。なら僕は何も言わない。さて……と」

翔一が席を立った。

※コンマ下
01~20 これ、使ってみる?
21~95 通常進行
96~00 その時、翔一のスマホが鳴った


369以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/12(水) 12:34:10.91xphvaYXI0 (1/1)

00


370 ◆C9vIqtyVF22018/12/12(水) 20:25:46.120stCA8MKO (1/3)

「息苦しい話にも疲れたし、楽しもうか」

翔一が微笑みながら振り返る。ドクン、と下半身に血が流れるのを感じた。

さっきまで恐怖すら抱いていた相手なのに。とてもそんな気にならないような、キツい話を聞いた後なのに。
その笑みは、僕の本能を蕩けさせる何かを持っていた。

「矢向、席を外してくれ。連絡があるまで待機を」

「畏まりました」

恭しく一礼をし、矢向さんが去っていく。翔一が僕の手を取った。

「ほら、行こ?ベッドルームに行く前に、まずはバスルームかな」

僕は急いで服を脱ごうとした。その間に、翔一が「サクラ」に変わる。恐怖の対象は、どの本当の女の子より妖艶な、性愛の対象になる。

逸る気持ちでシャツに手をかけたその手を、翔一が軽く止めた。

「んふふ。ちょっと待って。シャワーじゃなくって、こっち」

バスルームには大きな化粧台があった。座るよう促される。

「今日はジョーにもちゃんと『女の子』になってもらうよ。ウィッグや下着だけじゃなく、ちゃんとお化粧も、ね」

髪をヘアバンドで止められ、顔を洗うよう言われた。翔一は、僕の後ろにいる。とても近くにいる気配がした。

「……ひゃっ!?」

「ほら、ちゃんと洗って。タオルで拭いたら、本格的に始めるから」

胸の辺りを、翔一がシャツ越しに軽く触れた気がした。触るか触らないか、微妙な感じだ。くすぐったいような、何か鋭い痺れのようなものがあそこの下辺りを流れたような……。
それが何回か繰り返され、僕が顔を吹くと、翔一が濡れたガーゼで僕の顔をゆっくりと撫でた。

「く、くすぐったいよ」

「化粧水だよ。これがあると大分違うんだ。肌はきれいだから、コンシーラーとかは必要ないね」

「コンシーラーって……ひうっ!!?」

今度はスポンジで、何かを薄く塗っている。……また、胸の辺りをもう片方の手で触っている。今度は、さっきよりもう少し強い。
下半身に、さらに血が流れた。前にした時もおっぱいは責められたけど、こんなに感じたっけ?

「ふふふ、女の子みたいな声だね。ジョーはまだ声変わりしてないから……僕も興奮してきちゃったな」

そう言いながら、翔一のメイクは進んでいく。眉毛、マスカラ、アイライン。軽く眉も整えられた。
その間、翔一の手は乳首やぺニスの辺りをごく軽く服越しに愛撫していく。気持ちいい。でも、物足りない。もっと触ってほしいけど、化粧中の僕は動けない。

全てが終わる頃には、僕のパンツは先から出た液で、もうグショグショになっていた。

「あとはウイッグを乗せて……と。できたよ」

僕は鏡の向こうの自分を見た。…………えっ???

「……こ、これは?」

そこにいたのは、黒髪の清楚な少女だった。地味そうだけど、とてもかわいい眼鏡の女の子。これが……僕??


371 ◆C9vIqtyVF22018/12/12(水) 20:47:29.730stCA8MKO (2/3)

翔一が満足そうに頷く。

「うん、やっぱりかわいいね。すごく……いいよ。
ベッドルームに行って、下着を着替えてきて。僕も準備するから」

ベッドルームには、黒い下着があった。もちろん、男物じゃない。ショーツとブラジャーだ。
ブラジャーをどうやって付けるか少し迷ったけど、ホックを前で止めればいいと気付いた。ブラジャーには、ごくわずかだけどパッドがもう準備されてて、ぴったり収まった。
ショーツははくのに手こずった。何より、固く反り返った僕のものがどうしてもはみ出してしまう。これはもう、どうしようもないみたいだ。

ベッドの脇を見る。……アイスキャンディの錠剤が、2錠。僕は我慢できず、その1つを舐めた。

「……ふ、ふぁあ……!!」

何とも言えないエグい甘みの後、僕の乳首とぺニスが一段と固くなった。視界は鮮やかに広がり、空気が性器と触れているだけですごい感じてしまう。
ダメだ、触っちゃ。楽しいことは、これからなんだから。

「あ、もう舐めちゃったんだ。せっかちだなあ」

部屋に「サクラ」が入ってきた。僕は「彼女」を抱こうと立ち上がったけど、その前に唇を塞がれた。

「……焦らないの。時間はたくさんあるし、いっぱい楽しも?」

「サクラ」は、ショーツからはみ出した彼のそれを僕のに擦り合わせた。ヌチャ……という粘液の音と、熱くて固い肉の感触と共に、凄まじい快感が僕の身体に走った。

「い、いいいいぃぃ!!?」

「出ちゃうの?まだだーめ。まず、これを入れようね」

イルカのような形のものに弦がついたものに、サクラがローションを垂らした。

「それって……?」

「んふ、アネロス。とても気持ちよくなれるよ。
今日は二人で、いっぱい、いーっぱい気持ちよくなろうね」

彼女はアイスキャンディを舐めると、粘液まみれの「アネロス」というものを僕のお尻に近付けていった。

#

その日、家に帰ったのは23時だった。細かい記憶はないけど、とても、とても気持ちよかった。それだけは間違いなかった。


そして、アゲハとした時に必ずといっていいほどしていた懺悔を、その日の僕はしなかったんだ。


※コンマ下95以上なら追加イベント(未満で通常ルート)
※通常ルートだから悪いというわけではありません。


372以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/12(水) 20:53:30.07rD2ariyDO (1/2)

はい


373 ◆C9vIqtyVF22018/12/12(水) 21:00:27.030stCA8MKO (3/3)

※通常ルートのためジョーパートは終了

次のパートを選択します。

1 仁パート
2 コナンパート

※2票先取


374以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/12(水) 21:06:41.25ErO3TU8E0 (1/1)

2


375以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/12(水) 21:44:57.69rD2ariyDO (2/2)

2


376 ◆C9vIqtyVF22018/12/13(木) 10:25:19.81KvFsWdiMO (1/1)

【6月14日】


起きたのは昼を過ぎてからだった。昨日は伊香保から帰ると、すぐに眠り込んでしまった。旅の疲れなのか、それとも緊張から解放されたからだろうか。
リビングを見ると、コナン君は……まだ起きていない。珍しいこともあるんだな。

客間を覗くと、コナン君が薄く目を開けた。

「あ、アユさん。おはようございます……えっ、もうこんな時間」

「うん、おはよ。珍しいね、大体あたしより早いのに」

「まあ……大分疲れてましたしね。随分無理をさせてしまった」

「無理?どういうこと」

コナン君は起き上がり、大きく伸びをした。

「身体と心の年齢が違うと、随分負担がかかるんです。特に過度の緊張下においては。
昨日も古畑をずっと警戒していましたしね。家に帰ってから、寝付くまで早かったでしょう?」

そう言えばそうだった。お風呂に入ってすぐに、コナン君は寝ている。帰りの車でも、ずっと寝ていた。

「確かに……普段から負担かかってるの?」

「日常生活+α程度ではさほど。ただ、アユさんが働いてた時は、家に帰るまで大体寝てましたよ。稼働限界があるんです」

「……そっか、じゃああまり無理はできないんだね」

コナン君は立ち上がり、腕のストレッチをし始めた。

「ま、そうも言ってられないですけどね。佐倉たちの始末に、秋山の件もある。
夜にミーティングがあります。父さんも含めた、関東支部の人間が参加する予定です」

「……って、あたしも参加するの?」

彼は苦笑した。

「若葉の件では協力してもらいましたしね。頭数にはもちろん入ってます」

軽い緊張を感じた。あたしは、ただの女だ。取り柄もさほどない。
「警察」の、それも多分エリート集団の中に混じって浮かないだろうか?

「緊張することはないですよ。これからの流れを把握してもらうだけで結構です。
それに、アユさんがもう会ったことのある人ばかりですし。まだ面識がないのは……2人ですかね」

「その人たちも夜に来るのかな?」

「一人は間違いなく。もう一人はどうでしょう。多忙ですから」

前に来なかった「おやっさん」という人だろうか。
コナン君は話を続ける。

「とにかく、夜に六本木のミッドタウンに。ただ、尾行されてたら即中止です。ないとは思いますが」

※05以上なら通常ルート、95以上で「おやっさん」登場(00のみ特殊)


377以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/13(木) 10:29:00.54CQD/uEB20 (1/1)

コンマの神よ!


378 ◆C9vIqtyVF22018/12/13(木) 18:57:00.31mzRc4FLgO (1/1)

#

「……ここだったの?あたしが前、連れてこられたの」

「いえ、いくつかあるんですよ。あそこは、その一つに過ぎない」

あたしたちは六本木ミッドタウン近くのタワーマンションにいた。エレベーターは静かに上昇していく。

そして、その一室のチャイムをコナン君が押した。

「……マティーニ」

「オーケー、入って」

由依ちゃんはドアを開けると、あたしをチラッと見た。

「足引っ張らないでよ」

少しむっとしたが、それは胸のうちで抑えた。確かに、素人のあたしが彼らに加わるのは、大きなリスクでもあった。
コナン君は、彼女を「仕事人だ」と言っていた。元々ハッカーらしいけど、そういう仕事は確かに職人芸な気はする。

広いリビングには、興也さんと由依ちゃんがいた。興也さんはスマホを弄っている。

「他の皆は?」

「網笠『総理』と藤原先生は後で。『おやっさん』は、今日も欠席らしいですね。それと小峰君はそろそろ……」

ピンポーン

チャイムが鳴った。由依ちゃんが、あからさまに渋い顔をする。

「コナン、行って」

「……上司を顎で使います?」

苦笑するコナン君に、由依ちゃんが少し語気を強めた。

「知ってるでしょ、私たちの関係。……苦手なのよね」

興也さんがこちらを向いた。

「その塩対応はかわいそうでは?『夫婦』でしょう」

「元、ね。しかもこの時代じゃ夫婦じゃない。一緒にしないで」

コナン君がふうと息をついた。

「仕方ない、僕が行こう」

コナン君が玄関に行くと、ドスドスという音が聞こえた。そして……

「ゆいぃぃぃ!元気だっ……ぐはっ」

学ランの大柄な少年が、由依ちゃんに抱き付こうとした。それに彼女は肘鉄を食らわす。

「馴れ馴れしい。てか暑苦しい。学習能力ないのアンタ」

「てて……いいじゃんかよ。ほとんど会えないんだし。それに、この時代ならやり直せ……」

「ない。そういう空気の読めてないとこ、ホント嫌い」

「そんなあ」と少年は肩を落とした。コナン君がこほんと咳払いする。

「源さん、静かに。痴話喧嘩しててもしょうがないでしょう。こちらが、吉岡愛結さん。今回から加わってもらうことになった」

「ああ、あなたが!!お噂はかねがね」

「……噂?」

「はいっ、警視殿の、大切な方だと」

コナン君の顔が赤くなった。……あたしもか。

「……由依さん、どういう伝え方したんですか」

「どうって、その通りよ。そういう気配を察するのは得意なのよね。それに彼女、前の子にそっくりだし。思い入れがないわけがないじゃん」

コナン君が盛大な溜め息をついた。

「誤解だ、といっても君は聞かんだろうね。アユさん、彼は小峰源。うちの荒事担当だ」


379 ◆C9vIqtyVF22018/12/13(木) 20:20:16.72UHfWcW2UO (1/1)

「荒事?」

「ああ、警察、特に捜査一課や二課には犯罪者とやりあわなきゃいけないことがたまにある。
その時に頼りになるのが、源さんだ」

「光栄でありますっ」

源さんと呼ばれた少年が胸を張った。見た目は中学生ぐらいだけど、身長は180cm以上はありそうだ。

「でも、この前はいなかったよね?」

「基本、隠密行動が原則ですから。できるだけ騒ぎにせずに仕留める必要がある。それには、彼は少々目立ちすぎるんです」

源君がしょぼんとした。コナン君は励ますように、彼の背中をポンポンと叩く。

「だから佐倉の件では後方支援に回っててもらってました。ただ、これからは彼の力がいる。例えば、鶴岡を処理する時」

「汚い手段さえ取られなければ、鶴岡和人なんて屁でもないですよ。……話は聞いてますよ。城隆一郎と鶴岡和人に、その筋の人間が」

由依ちゃんが首を振った。

「厄介ね。名前は知らないけど……ちょっと近寄れる感じじゃない。
そのうち一人が鶴岡のジム前にいたのを見たけど、剥がすのは大変そう」

「僕も同感です。もう一人が城隆一郎の送り迎えを始めたようですが、かなり『使う』。源は後のゴールドメダリストですけど、あれとやり合うのは覚悟が必要そうです」

興也さんも険しい表情だ。源君も状況を察したのか、「むぅ……」と唸った。

コナン君がパンパンと手を叩く。

「それはまた後だね。警察が若葉捜査一課課長の件で佐倉たちを揺さぶってきてない以上、僕たちにできるのは、しばらく待つことしかない。
今日の議題は、アキヤマ電気の秋山社長をどう仕留めるか。『Aランク』の案件だけに、確実に仕留めないといけない」

「『Aランク』って?」

コナン君があたしの方を向いた。

「前にも言ったと思いますが、仕事の優先順位ですよ。Aは被疑者死刑相当の中でも特に悪質なものです。
S、つまり佐倉たちの一件は、事件発生が社会のトラウマとなり、後世に極めて強い悪影響を及ぼすようなものですね」


380 ◆C9vIqtyVF22018/12/13(木) 22:07:59.31Vs4c5tVUO (1/3)

その時、チャイムが鳴った。由依ちゃんが玄関に行くと、それまでとは違った真剣な表情になった。
網笠さんとコナン君のお父さんが来たのだ。

「皆、来ているようだな。始めるぞ。まずは藤原君、伊香保での顛末を」

二人がソファーに座ると、コナン君が一昨日の出来事を話し始めた。古畑という男の下りになると、網笠さんの表情が曇った。

「……警察内で、こちらの対策組織が組まれたか?それも、公安主導で」

「濃厚ですね。どうやら、城と鶴岡にも張り付いてるのがいます。迂闊に動けない。
ただ、若葉を埼玉県警が確保したのは朗報です。今すぐにかどうかは分からないですが、城と鶴岡を搦め手なしの『表玄関』から揺さぶってくれる。
二人と一緒にいる男たちも、さすがに県警と正面からは戦わないでしょう。事故に見せ掛けて消そうとはするかもしれませんが、それをやれば弔い合戦になる」

「だな。とにかく、本丸の佐倉を引っ張り出さないことには始まらない。それは県警にやってもらおう。
さて……こうやって正面から話すのは初めてだな。網笠博だ。伊香保では危険な橋を渡ったようだな、協力に感謝しよう」

あたしは差し出された手を握った。数秒握られた後、網笠さんは仏頂面で手を離す。

「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」

「愛想がないのは生まれつきだ。子供たちにもよく怖がられる。
……さて、吉岡さん。あなたは本来、Aランク処理対象の秋山雄一の手にかかっていたはずの人だ。本来の歴史では、既に死んでいる。
さもさりながら、歴史にはある程度の修正力が働く。あなたが死ななくても、代わりに誰かが死ぬ。
彼が10人殺したという結果は、形を変えて起こるだろう」

あたしは、ゴクリと唾を飲んだ。

「……そんなっ」

「そう。だから我々の出番だ。いくつか、プランを考えている。雄作君、説明を」

コナン君のお父さんが頷いた。

「プランは3通り。まず、吉岡愛結さんに囮になってもらうというものだ。我々は他人を装い、周辺を守る。そして、下っ端を確保した後に彼を脅迫。秋山雄一を呼び出す。
ただ、個人的にこの案は反対だ。吉岡さんを危険にさらしかねない。秋山への忠誠心が高い場合、素直に呼び出さない可能性もある。
第二が、強襲だ。毎週末、秋山はゴルフに行く。相手は政治家だったり、取引先だったり、愛人だったり色々だ。尾行の上場所を特定、殺すチャンスをうかがう。恐らく毒殺になる。
しかしこれも足が付きそうだ。キャディになりすませるスキルのあるのは、関西の京極君くらいだろう」

コナン君のお父さんが、一拍間を置いた。

「最後が、寝込みを襲う。奴は女好きだ。女を侍らせ薬を打ち、玩具のように扱って『壊す』……それが奴の手口だ。本来、吉岡さんの件以降その傾向が激しくなるはずだった。
とにかく、奴は絶えず獲物となる女を探している。吉岡さんの場合は出会い系だったようだが、あるいはその筋からの紹介を使っているかもしれない」

「……それを使って接触すると?しかし、どうやって襲うんです」

「そこが問題だな。ハニートラップを仕掛けるわけだが、吉岡さんにやってもらうわけにもいかない。浅賀君も嫌だろう」

由依ちゃんが肩をすくめた。

「そりゃそうだよ、パパさん。やっぱり、これまで通り上手く一人になる状況を作って、通り魔的にやるしかないんじゃない?」

「今回ばかりは難しいね。あまりに地位が高すぎる。手段を選ばないなら、人質を取る手もなくはない。確か、小学生の子供がいるからな。
しかし、悪手だ。バレやすく、しかも動く保証がない。警察も躍起になるだろう」

※コンマ下70以上で打開策あり


381以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/13(木) 22:13:58.23t/A+VUEQ0 (1/2)




382 ◆C9vIqtyVF22018/12/13(木) 22:25:45.73Vs4c5tVUO (2/3)

皆黙り込んでしまった。そう、秋山は地位が高い。しかも猜疑心が強い。常に誰かしらそばにいるのだ。
現状で出た案には、どれも穴がある。素人のあたしでも、それは分かった。

コナン君が口を開く。

「今方針を決めなくてもいいんじゃないかな、父さん。まず、秋山の行動パターンを洗い直そう。
会社にいる時、休日の時。どう動いているか細かく分かれば、攻め方も分かるはずだ」

「しかし、それでは調べている間に、愛結さんに代わる犠牲者が出るかもしれないぞ?それは好ましいことではない」

コナン君のお父さんが、静かに、しかし重く言った。

※アユの選択は?(重要選択)

1 コナンに同意する(確率で犠牲者が出ます。低リスクですが解決は遅くなる可能性があります)
2 コナン父に同意する(アユが囮を買って出ます。リスクはありますが最速ルートで)

※3票先取
※質問受け付けます。また、作戦案の提案は歓迎です。


383 ◆C9vIqtyVF22018/12/13(木) 22:50:14.30Vs4c5tVUO (3/3)

例によって一応0000までです。有効得票に達しない場合はやり直しになります。


384以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/13(木) 23:19:45.067/ujk0FDO (1/1)

2


385以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/13(木) 23:22:24.91t/A+VUEQ0 (2/2)

2


386以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/13(木) 23:48:03.01co43NCCDO (1/1)

2


387 ◆C9vIqtyVF22018/12/14(金) 12:29:53.00B3+5BTkZO (1/1)

……あたしは、考えた。このままでいいの?

前に決めたじゃない。守られるだけで、動かないのはもう嫌って。コナン君のために、できるだけのことはするって。
……まして、これは自分のことだ。あたしが撒いた種だ。


今動かなくてどうするの??


あたしは、手を挙げた。

「あたし、やります」

皆の視線が、あたしに向いた。コナン君は「えっ」と驚いている。

「でもそれじゃ……!?」

「いいの。昔の自分がやらかしたことの結果だし。何より、できるだけのことはしたいの。君のためにも」

あたしは微笑み、視線を網笠さんとコナン君のお父さんに向ける。

「あたしがやります。さっきの、藤原さんの意見だと……誰か、女性が必要な案は2つありましたよね。私が餌になって下っ端を捕まえ、秋山を誘き寄せる。あるいは、ハニートラップ」

「……そうだ。しかし、君にできるのか」

「できるかじゃなく、やるしかないんです。犠牲者を増やさないためにも」

コナン君のお父さんが、驚きを隠さず網笠さんを見た。網笠さんは、表情を変えない。

「……意外と肚が座ってるな。いいだろう。私が責任を持つ。後は、君がどうしたいかだ。
自分の手で殺すか、それとも我々に託すか」

1 自分で殺す(ハニートラップ)
2 コナンたちに仕上げは任せる(囮)

※3票先取
(再開は夕方以降予定)


388以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/14(金) 13:38:06.88LqSafUfM0 (1/1)

1


389以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/14(金) 13:52:59.269DUou+C50 (1/1)

1


390以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/14(金) 16:24:56.81bL2Rip660 (1/1)

1


391 ◆C9vIqtyVF22018/12/14(金) 20:19:09.255rhDX8uiO (1/2)

あたしは……どうしたい?辱しめを受けたあの男を、自分の手でと思わないではない。
でも……それをやったら、二度と戻れない。あたしも立派な人殺しだ。

あたしはコナン君を見た。

「一つ、聞いていい?あたし以外の9人は、それで助かるの?」

「8人は。一人は、随分前に亡くなってます。彼の妻だった女性です。揉み消されていて、立件できませんでしたが」

そうか。既にあいつは、手を汚してたんだ。


なら、迷うことはない。


「あたしが、自分でやる。……どうすればいいか、教えて」

「……本当にやるんですか。危険な目に遭うかもしれない。
それに、手をかけた瞬間アユさんも犯罪者です。もう、後戻りはできなくなりますよ」

「……いいの。それに、金路アゲハの時に、もう戻れなくなってる。そうでしょ?」

コナン君は少し固まった後、溜め息をついた。

「まさかこういう所も歩美と同じとは……不思議ですね。分かりました、じゃあそういう方向で行きましょう。父さん、プランの説明を」

「分かった」

コナン君のお父さんが、タブレットを取り出した。

「一応、下調べはしてある。彼は群馬県の大誠会傘下の山本組の若頭、和田と付き合いがある。
彼が管理しているキャバクラから、何人かが秋山の所に行った、らしい。ただ、これは『未来』の情報だ」

「『未来』の?」

「そう。奴が大量殺戮に走った未来においては、このルートだった。ただ、今このルートを使っているかは分からない。別の誰かかもしれない。
だから、さっきは曖昧な表現を使った。確証はない」

※20以上で通常ルート


392以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/14(金) 20:21:31.997xJcsh6v0 (1/1)




393 ◆C9vIqtyVF22018/12/14(金) 20:47:14.295rhDX8uiO (2/2)

「いえ、それで合ってます。あたしの時も、そうだったから。
あそこは『売り』ありのキャバクラなんです。だから、あたしみたいな小金を稼ぎたい女の子が、パートタイムで行ってた」

コナン君のお父さんがあたしを見つめた。

「本当にいいんだね?」

「はい。毎週末、破格の案件が来るはずです。それに乗ればいい」

「……分かった。ただ、君であることがバレると良くない。少しばかり、簡単に変装してもらえると助かる。
それと、発信器を付けてもらう。盗聴機付きだから、何かあった場合は我々が突入する。リスクは大きいが、それでも君の命には代えられない」

あたしは頷いた。

「でも、どうやって殺すんですか」

「君は看護士資格を持っていたはずだ。コナンと同じことをやってくれればいい。テーザーガンと注射器を、君に渡す。隙を見て、やってくれ。
決行までは、使い方含め練習してもらうが、いいかな?」

「……分かりました」

「いいですか、『総理』」

網笠さんはあたしをじっと見た。

「秋山を殺す、ということは君もバッドエンド・ブレイカーとなるという意味だ。もう普通の生活は送れない。それでいいな」

「……死んでいたはずの命です。彼のためにも、あたし自身のためにも……やります」

コナン君は喜びと悲しみが入り交じった、複雑な表情をした。胸にチクリとした、痛みがあった。


でも、もう止まれない。


網笠さんが初めて、少しだけ笑った。

「よろしい。これからよろしく頼む。まずは、『初仕事』だな」

彼が手を差し出してきた。握った手は思っていたより、ずっと強かった。


394 ◆C9vIqtyVF22018/12/14(金) 23:23:16.64OhiIB+BjO (1/2)

明日は更新がないかもしれません。
(某所を更新します)


395 ◆C9vIqtyVF22018/12/14(金) 23:26:23.24OhiIB+BjO (2/2)

なお、次回が6月17日分になります。
これを終えた後に仁パートです。


396 ◆C9vIqtyVF22018/12/15(土) 23:19:10.1053C+iwYXO (1/1)

【6月17日、10時02分】


玄関のチャイムが鳴ると、由依ちゃんと興也さん、それと源君がいた。

「おはよ。朝弱いイメージがあったけど、ちゃんと起きてるね。OK。コナンは?」

「今、リビングの方に。網笠さんと、最後の打ち合わせをしているようです」

彼らをリビング案内すると、コナン君がちょうど会話を終えた所だった。

「皆来たね。じゃあ、始めようか。まず、今日の最終確認だ」

あたしに緊張が走った。……もう嫌でも引き返せない。

「アユさんに、由依さんがメイクを施す。彼女はハッカーとして優秀だが、隠蔽工作も強い。
その中には変装も含まれている。ぱっと見でアユさんとは、まず分からないようになるはずだ」

「まあ、正直素材はいいからね。いくらでも手のつけようはある。
差し当たりその長い黒髪は目立つから、軽く脱色しよう。
これでカラコンつけて、少し目鼻立ちをはっきりさせるようにしてハーフか外国人を装うのが良さそうだけど……。
多分あんた、英語はできないよね」

あたしは小さく頷いた。

「まあそりゃそうだ。とりあえず、ハーフ設定で押し切ろう。
生まれは群馬の大泉、ブラジル人かフィリピン人のハーフってことにするから、そこのところよろしく。
ああ、メイクでそれっぽく見えるようにするから安心して。元がいいと、何とでも誤魔化せるのよ」

「……そうなのかな」

自分自身、そんなに見た目に恵まれているとは思ったことがない。
男好きする身体と見た目だとは、昔よく言われた。
ただ、単に自分に自信がないからなのかもしれないけど、未だにしっくりこない。

コナン君が苦笑した。

「大丈夫です。由依さんは、思いもしないことはしゃべりませんから」

「そこが由依の良い所だよね」

由依ちゃんが源君を一瞥した。

「あんたは黙ってて。……まあ、正直アユにそんな度胸があるとは思わなかったからね。
最初に会った時は何こいつと思ったけど、今はちょっと見直してる。ただ、失敗はできないからね。そのつもりで」

「……もちろん」

コナン君が興也さんを見た。

「興也さんと源さんにはサポートに回ってもらう。僕も勿論待機するが、アユさんに何かあった場合は突入することになる。
ただ、秋山がどこを使うか次第で難易度は激変する。ホテル、それもラブホだと僕や源さんは動きにくい。
セキュリティのキツいマンションはなおさらだ。
ただ、誰かを連れ込んだ証拠が残りやすいそういう場所は彼は使わないとみている。本命はウィークリーマンションだろう。
……そうだったよね、アユさん」

「え、ええ。彼が『ヤリ部屋』に使うのは、大体ウィークリーマンションだった。それが今でも変わってるとは思えない」

「了解です。とにかく、これから高崎に向かいます。そこで和田が運営するキャバクラ『スターゲイザー』に興也さんとアユさんで行く。
多分、目的を言えば秋山の所まではたどり着けるはずです。そこからは……」

あたしはコナン君の目を見た。

「あたし次第、ということね」


397 ◆C9vIqtyVF22018/12/16(日) 21:12:46.44vaKfVoFRO (1/4)

【6月17日、15時41分】


「よろしいですか」

「おう、入れや」

キャバクラの裏口の奥から、少ししわがれた声が聞こえた。
ここに前に来たのは半年以上前だけど、随分昔のように思える。

黒服に身を包み、サングラスで変装した興也さんが言う。

「極力声は出さないように。声で分かると厄介です」

あたしは頷き、奥に向かった。事務所の黒いソファには、オーナーの和田がどかっと座っていた。
派手なアロハシャツと、派手な金髪が目を引く。眼鏡の奥からは、剣呑そうな視線が覗いていた。

「おう、『本部』の長沼さんからの紹介らしいな。初めてだが」

「恐縮です。いい女の子をご所望とのことで、選りすぐりのを」

「半端なのだったら承知せえへんぞ。……」

和田があたしを上から下まで舐めるように見た。背中に冷たい汗が流れる。……ばれたらそこまでだ。

※コンマ下10以上で通常進行


398以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/16(日) 21:16:06.66b6iDcsAk0 (1/1)




399 ◆C9vIqtyVF22018/12/16(日) 21:41:39.18vaKfVoFRO (2/4)

ニヤリ、と和田が好色そうな笑みを浮かべた。

「兄さん、なかなか見る目あるやんか。いかにも旨そうな身体や。ハーフか」

「ええ。生まれは大泉、ブラジルの日系3世です。と言っても日本語は上手くないですけど」

ペコリ、と頭を下げる。

「それでええ。むしろ下手に知恵回る方が困るからな、今日の客さんは」

和田がセブンスターに火を付けた。

「ワンショット50万、取り分は7:3で俺や。それと、プレイ内容は決して口外しないこと。ええな」

「オーケーです。いいな、『アリーナ』」

あたしは小さく頷いた。7:3というのは相当きつい取り分だけど、1晩で15万円というのはそれでも破格だ。
その代わり、秋山のプレイは苛烈だ。お尻の穴を使われたり、放尿を強いられたりするのはまだいい方だ。
拘束や首絞め、薬を使われたことも1度だけある。しかも服従しないと酷いことになる。
秋山に逆らった女の子がソープに沈められたという話は、いくらでも聞いたことがあった。

「それじゃ15分後メドに移動するぞ」

「随分早いですね」

「大将、ヤると決めたらぶっ通しだからな。あの絶倫っぷりは真似できんわ」

あたしはほっとした。あまり待たされると、和田に気付かれる確率はそれだけ上がる。

「了解です。じゃあ、明日の朝ピックアップしにきますんで。よろしく頼みますよ」

「おう」

興也さんが去り際にあたしを数秒見つめた。「後は任せた」とその目は言っていた。







400 ◆C9vIqtyVF22018/12/16(日) 23:11:15.77vaKfVoFRO (3/4)

【6月17日、16時08分】


「ここだ」

ワンボックスカーが停まった先は、高崎の郊外にある普通のマンションだ。
多分、コナン君たちが近くにいるはずだ。まだ夕方前だから、小学生や中学生がそこらをうろついていても不自然じゃない。

いざという時は彼らが助けてくれる。それだけが支えだ。

和田の部下がエントランスのインターフォンを鳴らす。

『入って』

甲高い声とともにドアが開いた。いよいよだ。和田の部下がマンションを出ていく。
エレベーター上がる十数秒間が、酷く長く感じた。

そして、部屋の前に着く。ドアノブを握る手が震えた。

ドアを開けた先から感じたのは、饐えた空気。精液と愛液と、それと微かな血の匂い。
前に来た時にも感じたけど、さらに濃くなっている。

胃の奥から何か酸っぱいものがこみあげてくるのを感じた。それをギリギリでこらえる。

「来ないのかなぁ」

間延びした声が部屋の奥から聞こえる。あたしは何とか意志の力で足を前に進めた。

「こ、こんにちは」

太った半裸の中年男が、ベッドに腰かけている。口にはニヤニヤとした笑いが浮かんでいる。


この男が、秋山雄一だ。アキヤマ電気の御曹司にして専務。
愚鈍そうに見えるが、頭は回る。力も強い。ただ、性根と性癖が異常にひん曲がっている。


奴はあたしをじっと見つめた。

※コンマ下

01~30 見たこと、あったかなあ
31~90 通常ルート
91~00 いいねぇ……





401以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/16(日) 23:17:58.31Arb5lWRDO (1/1)

はい


402 ◆C9vIqtyVF22018/12/16(日) 23:19:24.14vaKfVoFRO (4/4)

今日はここまで。


403 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 13:02:29.41f9wnzpKuO (1/1)

秋山はねっとりとした目線であたしを見つめた。下卑た笑いが、顔に張り付いている。

「んー、実にいいねぇ。巨乳過ぎず、小さすぎず。エキゾチックな感じもあって、とてもそそる。名前は、アリーナちゃんでいいのかなぁ」

「……はい」

あたしはできるだけ、声を低くして言った。声からバレてはいけない。
うんうんと満足そうに、秋山は頷いた。

「じゃあ早速即尺と行きたいが……その前に、君に渡しておくものがあってねぇ」

渡すもの?……秋山は後ろを向いている。今がチャンスと思った次の瞬間、奴は錠剤をあたしに差し出していた。

「……これは?」

「いいから、飲みなよぉ。とーっても気持ちよくなれるよぉ」

口は笑っているが、目は笑ってない。拒絶すれば、無理矢理にでも飲ませようとするだろう。

※コンマ下、40以上で追加情報


404以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/17(月) 13:39:34.56IVRD3OjE0 (1/1)

ほい


405 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 19:20:50.19s8JNKPp3O (1/8)

「これは……秋山様もお飲みに?」

にちゃあ……と秋山が大きな口を開けた。

「もちろん!最新の薬で、しかも合法。そしてとっても気持ちよくなれる、最高のドラッグだよ。ものすっごく高価だけどねぇ」

嫌な予感がした。あたしは焦りを無理矢理に押し殺す。

「……薬の、名前は」

「ああ、『アイスキャンディ』だよ。君もどうだいぃ?」

あたしは思わず固まった。コナン君が、微かに懸念していたことだった。


406 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 19:47:29.42s8JNKPp3O (2/8)

【6月17日、14時41分】


「アユさん、一つ注意が」

隣に座るコナン君が、あたしを見つめた。かなり真剣な表情だ。

「……何?」

「『アイスキャンディ』の流通が、始まっているかもしれません。アゲハに殺された白馬は、それを売り捌こうとしていました。
ひょっとしたら……既に佐倉は動いているかもしれない」

関越を走る車内の空気が、一気に重くなった。

「アイスキャンディって前にも聞いたけど、どんな薬なの?」

「人間の感覚を、ありとあらゆる感覚を倍加・加速する効能があります。快楽も思考速度も肉体能力も……そして、苦痛も。
元は認知症の治療薬、と言いましたね。認知症には、グルタミン酸が関与している。
そこで、グルタミン酸の異性体を脳内に送り込むことで、脳を活性化する、というコンセプトだったわけです」

「でも、麻薬なんでしょ?」

コナン君が顔をしかめた。

「麻薬、で済めばいいんですけどね。あれには習慣性はない。ただ、常用すると、極めて深刻な作用が生じる。
あれは、人間の未来を先食いする薬なんですよ。脳の眠っている能力を引き出す……それがどういうことか、分かりますか?」

あたしにはさっぱり分からない。無言で首を振った。

助手席に座る由依ちゃんが、忌々しそうに言う。

「ぶっちゃけちゃうと、物凄い早い時期に痴呆になるのよ。認知症の、先の長くないお年寄りに使う分にはまだいい。副作用が出る頃には、大体老衰に近い年だから。
でも、若い子が使うと……その先は悲惨よ。数年とたたないうちに廃人になる。若くて代謝のいい人間には、副作用が早く訪れる、てわけ」

コナン君が頷いた。

「そう。だから佐倉は、何がなんでも止めなきゃいけない。あれが流行した未来は……実に悲惨でした。二度と繰り返してはいけないんです。
秋山がアイスキャンディを持ってる可能性はゼロじゃない。末端価格は、まだ1錠数千万円でしょうが、秋山なら買える。
そして、奴がアイスキャンディを持っていた場合……極力早く、テーザーガンを撃って下さい。1錠でも飲めば……アユさんの未来は、10年は縮まってしまう」


407 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 19:56:40.15s8JNKPp3O (3/8)

【6月17日、16時10分】


そして今。目の前にはアイスキャンディを飲んだ秋山がいる。

これは好機だ。しかし、危機でもある。

今もし、首尾よくテーザーガンを秋山に当てられたなら、それで全ては終わるだろう。あとはコナン君の言う通り、注射をしてそれで終わりだ。

しかし、もし撃てなかったら。あるいは、外したなら。
肉体能力が上がった秋山は、躊躇わずあたしを殺しにくるだろう。それも、酷く残酷で、苦痛を伴うやり方で。
そこから逃げるのは、とても難しく思えた。

選択肢は3つだ。ここでテーザーガンを抜いて、一か八かの勝負に出る。
あるいはコナン君たちを呼んでみる。しかし、これは彼らが目撃されるリスクがある。できれば、あたし自身が決着をつけるのが理想的だ。
3つ目は、時間を稼ぎ、確実に秋山を殺せる状況を作る。この問題は、どうやってそれを実現するか、だ。

※コンマ下60以上で思い付く、未満で選択肢へ


408以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/17(月) 20:14:47.24jnL3C42m0 (1/1)

60


409 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 20:17:03.46s8JNKPp3O (4/8)

※選択肢へ

1 この場でテーザーガンを抜く
2 コナンたちを呼ぶ
3 何とかして時間を稼ぐ

※3票先取、ただ3の場合はできれば具体的に方法を書いてください。


410 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 20:19:29.29s8JNKPp3O (5/8)

4にその他の自由安価も追加します。


411 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 20:26:01.99s8JNKPp3O (6/8)

一応のヒントを。

1は丁半博打です。決まればいいですが……
2もリスクがあります。仁や古畑の警戒が高まるでしょう。
3は適切なもの(上のコンマ判定で成功した場合の行動)ならかなりの確率で仕留められます。
4はある行動をとる場合は確実に殺せます。ただし……

なお、アユと秋山との距離は2m、秋山は腰にタオルを巻いただけです。テーザーガンはハンドバッグに入っていますが、抜き打ちで反応されたら叩き落とされるかと思われます。


412 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 20:27:38.18s8JNKPp3O (7/8)

なお、3には2、3正答があると思います。上の記述にそれとないヒントは忍ばせています。


413 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 20:40:39.65s8JNKPp3O (8/8)

一応締め切りは0000までです。質問などあれば受け付けます。


414以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/17(月) 21:30:15.93WOY+vYa1o (1/3)

・アユの格好(裸?)と銃の位置(ズボンのポケットに入ってるとか)
・アユに[ピーーー]覚悟は出来てる?(いざというとき尻込みしないよね?って意味)


415 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 21:58:04.72HBuufsewO (1/3)

>>414
アユはまだ服を着ています。テーザーガンはハンドバッグの中です(肩にぶら下げている状態)。
殺す覚悟は決めているでしょう。もっとも、一線を越える時はある判定と描写を入れますが(殺す殺さないではなく、もっと別のものです)。


416以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/17(月) 22:14:54.17WOY+vYa1o (2/3)

テーザーガンは片手で容易に撃てる?


417 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 22:33:30.32HBuufsewO (2/3)

>>416
問題なく打てます。通常拳銃は片手では撃てませんが、テーザーガンはスタンガンの一種ですので軽量なのが普通です。
秋山はアイスキャンディを服用しているため、当たればアゲハ同様に確実に昏倒します。


418以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/17(月) 22:52:44.88WOY+vYa1o (3/3)

おk
唇にアイスキャンディを咥え、口を突き出し「キスで飲ませて」とおねだり
ハンドバッグを後ろに回しつつ手を後ろで組み、見えないように銃を取り出す
相手が至近距離まで寄ってきたら見えないように銃を構え横からバチィッ!
クスリ使用なしならこんなとこかなぁ


419 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 22:57:57.70HBuufsewO (3/3)

>>418
了解です。案として採用します。

まだ募集中です。


420 ◆C9vIqtyVF22018/12/17(月) 23:35:30.01RqYrsU/1O (1/1)

上げておきます。


421 ◆C9vIqtyVF22018/12/18(火) 00:00:58.51POGvT0MqO (1/1)

0000になりましたが有効得票数に達しないため延長します。
0800までに最も意見が多かったものを採用します(仮に投票がない場合は418さんの意見を採用します)。


422 ◆C9vIqtyVF22018/12/18(火) 09:39:00.46gv2ZDFz3O (1/2)

では418さんの意見を採用します。
こちらの想定とはやや異なりますが、文脈的にはOKです。


423 ◆C9vIqtyVF22018/12/18(火) 09:55:48.73gv2ZDFz3O (2/2)

あたしは必死に考えた。今ここでテーザーガンを抜く?
テーザーガンは肩に下げたハンドバッグの中にある。右手で抜き撃てる状況だ。
ただ……あたしはプロじゃない。コナン君なら、簡単に仕留められるだろう。でも、あたしは数日練習しただけの、素人だ。

まして、秋山はアイスキャンディを飲んでいる。コナン君の言う通りなら、反応速度も常人より遥かに高まっているだろう。
撃とうとしたところを押さえられたら……その後のことは、考えたくもない。


確実に当てられる方法……


……これならいけるかもしれない。


あたしはできるだけの作り笑いをした。

「ねえ、そのお薬ちょうだい?キスしながら、口で溶かしたいの」

秋山が「うほっ」と声をあげた。

「いいねぇ、積極的な子は実にいいよぉ。ほら、これ」

錠剤を手渡されると、あたしはそれを唇に挟んだ。秋山の醜悪な顔が近づいてくる。

……むちゅっ

生暖かい、どこか生臭い肉があたしの唇を割った。錠剤が、あたしの中に入ってくる。


……??


最初に感じたのは、異常なほどの甘さ。そして、口の中が酷く敏感になった。

「……はうっ!?」

キスだけなのに、錠剤が少し溶けただけなのに……身体の芯に甘い熱が生じ始めた。
これは、マズい!!このままでは……秋山の好きなようにされてしまう!!

快感で遠退く意識を何とか耐え、あたしは秋山を見る。奴はキスに夢中だ。
まだ、ハンドバッグは肩にかかっている。今撃たなければ、奴を殺す機会は、永久に失われる。

あたしは理性をフル動員し、右手をハンドバッグに伸ばした。秋山はあたしを押し倒そうと肩に手を当てている。


今しか、チャンスはないっ!!


※コンマ下10以上で成功


424以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/18(火) 10:09:50.10NrmfrbaDO (1/2)




425以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/18(火) 10:18:58.32pLvmbz6/0 (1/1)

成功判定が大きいのにこの数値
ギリギリだわ


426以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/18(火) 12:29:44.18LsYojXYio (1/1)

危ねぇw


427 ◆C9vIqtyVF22018/12/18(火) 13:25:55.11Dhdm8iHFO (1/1)

再開は夜です。

なおこちらが想定していたのは以下のパターンでした。

・即尺(すぐにフェ○)に応じ、舐めると見せ掛け噛み付く→激痛(アイスキャンディの効果で痛みが倍増)に怯んだところでテーザーガン
(傷口から警察が追求する懸念あり)

・シャワーを浴びると洗面所に引きこもる(シャワーは浴びるふりで、実際にはテーザーガンを構えている)→なかなか出ないでおいて、秋山がドアを開けたところで撃つ
(一緒に入ろうと言われると厳しい、判定あり。これが判定成功時の行動)

・自分もアイスキャンディを飲み、肉体能力を高めておいてテーザーガン
(後の展開に重大な影響あり)

・アイスキャンディをもう1錠飲むよう促す→オーバードーズで殺す
(秋山が知っていたらアウト)

キスの最中に狙うのはなかなか面白いアイデアでした。ただ、幾ばくか摂取しているかもしれませんが(後で判定あり)。


428 ◆C9vIqtyVF22018/12/18(火) 19:36:39.57xbJ74vjoO (1/6)

あたしは震える手でテーザーガンを握った。快感で蕩けそうになる意識を何とか保つ。

そして、右人差し指が引き金にかかった。全ての意思の力を使って、一気にテーザーガンを引き抜く。
それを秋山の腹に付けた感触と共に、あたしは引き金を引いた。


……シュバッ


「ぎゃああああああああっっ!!!!!」


秋山は、絶叫と共に白目を剥いて倒れ込む。あたしは、口に残ったアイスキャンディを吐き出した。

※コンマ下
01~25 半分ぐらい溶けている
26~85 4分の1ぐらい溶けている
86~00 ほとんどそのまま


429以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/18(火) 19:39:49.08lIc/HQML0 (1/1)




430 ◆C9vIqtyVF22018/12/18(火) 19:51:51.68xbJ74vjoO (2/6)

錠剤は半分ぐらい溶けていた。……あたしはその事実に、戦慄した。
たった半錠の摂取が、どれほどの影響を与えるかは分からない。でも……それは、決してあたしにとって良いことじゃない。

その場に崩れ落ちたくなったが、秋山はまだ、生きている。涙が溢れてくるけど、あたしの仕事は、まだ終わってない。

ハンドバッグをまさぐると、小さな注射器が見付かった。その中は、透明の液体で満たされている。
これを秋山に射てば、それで全ては終わりだ。

「……ヒューッ、ヒューッ……」

掠れた息の音が、やけに大きく聞こえる。情欲の残り火と、アイスキャンディを摂取してしまったことの絶望が、あたしの手をまた震えさせた。

コナン君の言っていたことを思い出す。「極力自然死に見えるように、できるだけ注射は一刺しで決めてほしい」と。
あたしは秋山の腕に集中する。薬のせいか、血管が随分とはっきり見えた。

注射器のキャップを外し、その先端を秋山のぶよぶよとした腕に近付ける。

…………

……

※コンマ下
01~10 何刺しも刺してしまった
11~20 3刺しほどで終わった
21~00 一刺しで終わった


431以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/18(火) 19:53:05.14lzNolr0DO (1/1)

はい


432 ◆C9vIqtyVF22018/12/18(火) 20:09:08.67xbJ74vjoO (3/6)

最初の一刺しは、震えから血管に刺さらなかった。二刺し目は、刺した瞬間に秋山が意識のないまま少し暴れ、上手く行かなかった。
三刺し目でやっと血管に針が刺さった。ゆっくり、ゆっくりとシリンダーを押す。

注射器の中の液体を全て注入すると、秋山の動きが一瞬止まった。

……そして。


「あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁぁぁぁぁ!!!!!」


奴は、獣のような咆哮と共に急に飛び起きた。そして顔を真っ赤にして、バタンッバタンッとベッドを激しく2、3回叩いた。

そして、白目を剥きながらあたしの方を見たかと思うと……糸の切れたマリオネットのように、バタリと倒れた。

「はあっ、はあっ……」

……死んだの?

脈を取ると、それはとてもとても微弱なものになっていた。そしてすぐに、それは止まった。

「……お、終わった……」

あたしは、秋山の遺体が乗るベッドの側にしゃがみこんだ。目と鼻から、色々な液体が流れていた。

それは、秋山から解放された喜び?それとも、遂に人殺しになったことへの後悔?
命を大幅に縮めかねない薬を、半分とはいえ飲んでしまったことへの後悔?あるいは、最後の最後に失敗してしまった、自責の念?


……分からない。分からないよ。


「う……ううっ……うわああああああ!!!!」

部屋には、あたしの慟哭だけが響いていた。


433 ◆C9vIqtyVF22018/12/18(火) 20:36:12.92xbJ74vjoO (4/6)

【6月17日、16時25分】


すすり泣くあたしの懐で、何かが震えた。

「コナン君」と、スマホは表示している。どんな顔で彼に会ったらいいか、あたしには分からなかった。

ただ、出ないわけにもいかない。

『……アユさん』

スマホの向こうから聞こえた彼の声は、思いの外穏やかだった。

「ごっ、ごめんねっ……あたし、あたしっ……!」

『いいんです。状況は、発信器から大体察しました。……あなたに無理をさせてしまった。謝るのは、僕の方だ』

「そんなことないっ!……あたしが、もう少し落ち着いてたらっ……」

『それでも、あなたは一応無事で、秋山は死んだ。十分な成果です。……お疲れ様でした。
少し、今の状況を整理して話してくれますか?』

あたしは、泣きながらこの部屋であったことを話した。
秋山にテーザーガンを当てるために、アイスキャンディを口移しで飲もうと偽装したこと。その結果、半分ぐらいを飲んでしまったこと。
混乱と恐怖から、上手く注射できなかったことも話した。

全てを言い終わった後、コナン君は少し黙った。

『状況は分かりました。……プランBで行きましょう。
まず、アユさんが触った場所は、敢えてそのままにしてください。指紋を全て拭くには、ちょっと無理がある。
多分、少し髪の毛も落ちてると思いますが、それもそのままで』

「……えっ?そ、そんなことしたら、証拠が……」

『敢えて残すんです。本当は、証拠ゼロの自然死を装えれば良かった。でも、それはもう難しい。
だから、ヤク中の秋山が、オーバードーズで死んだという立て付けにするんです。
アユさんが半分飲んでしまったアイスキャンディ。これを注射器の中に入れて、水で少し溶かしてください。そして、それを捨てる。
これで、注射器の中にあったのは、アイスキャンディの水溶液と偽装できる。
3刺しの刺し傷も、オーバードーズを偽装するなら逆に好都合です。普通、何回も服用しないとオーバードーズにはなりませんから』

コナン君は、それがまるで予定されていたかのように、淀みなく指示を伝える。あたしは、ただ唖然とするばかりだ。

「う、うん。分かった」

『重要なのは、注射器の指紋だけはちゃんと拭き取ることです。そして、秋山の手にしっかり握らせてください。
そこまで済んだら、帽子を被って顔を見えないようにそっと出てください。
大丈夫、多分あそこは完全防音ですから、秋山の死体が見付かるのは多分明日の午前から昼です。すぐに騒がれることはない』

「あたしはどこに行けば?」

『高崎駅まではすぐです。そこのロータリーに、僕らはいます。
適当なコンビニのトイレで、ウイッグを外し、化粧を落としてください。そうしたら、僕らが拾います』

「うん、分かった」と言うと、『では、また』と電話が切れた。

あたしは涙と鼻水を拭う。今あたしにできることは、コナン君が言ったことをしっかりやるだけだ。

腰をあげ、秋山の死体を見る。醜悪な肉の塊。……こいつのせいで、どれだけの女の子が不幸になり、あるいは間接的に命を落としたのだろう。

でも、もう犠牲者は出ない。……それだけが、救いだった。


434 ◆C9vIqtyVF22018/12/18(火) 21:14:31.10xbJ74vjoO (5/6)

【6月17日、17時07分】



「……ごめんなさ……」

車に辿り着いたあたしを待っていたのは、コナン君の抱擁だった。

「……それは僕の台詞です。よく……よく戻ってきてくれました」

「えっ……?」

車はゆっくり走り始める。源君が苦笑した。

「大変だったんですよ、『警視』。突入かやめるか、凄く悩んでいたんですから」

「……そうなの?」

助手席から由依ちゃんが振り向いた。

「そうそう。秋山がアイスキャンディ服用してると知った瞬間、顔が真っ赤になって。あんなにあたふたしたコナンは、そう見れないわね」

「まあ、でも判断は難しかったですよ。僕でも相当悩んだ。結果的に、アユさんが自力で殺してくれたのは悪くない。
あとは、群馬県警の捜査能力次第ですかね。オーバードーズの事故死ではないと見抜いても、僕らにはまず辿り着けない。
マンションの防犯カメラに映るのは、あくまで金髪のハーフ風の女性ですからね」

静かに興也さんが言った。……それならいいのだけど。

コナン君は、あたしの手を握っている。

「……怖い思いをさせてしまいましたね。もっと上手いやり方もあったかもしれないのに」

「……ううん。あたしがダメだっただけ。やっぱり、所詮素人、だよね」

コナン君が強く首を振った。

「いえっ、そんなことはないです。アイスキャンディを服用していた秋山は、明らかに危険でした。……あなたの、勇気の勝利です。普通じゃできない」

「……そうなの、かな……」

薄曇りの夕暮れを、車が走っていく。不安と後悔と、幾ばくかの達成感が入り交じった気持ちで、あたしは流れる風景を見ていた。

「すぅ……すぅ……」

ふと横を見ると、コナン君が寝息を立てている。……心労からだろうか。

#

※コンマ下、20以上で追加イベント、80以上で……


435以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/18(火) 21:49:56.67NrmfrbaDO (2/2)

えい


436 ◆C9vIqtyVF22018/12/18(火) 22:09:19.65xbJ74vjoO (6/6)

今日はここまで。次回R15表現がある可能性があります。


437 ◆C9vIqtyVF22018/12/19(水) 09:51:38.45uFv90MPNO (1/1)

【6月17日、20時33分】


「ごちそうさま。ごめんね、作らせちゃって」

「いいんですよ。今日はアユさんはゆっくりしててください」

チャカチャカと、食器同士が当たる音がする。

「それにしても美味しかった。あんな美味しかったんだね、ペペロンチーノって」

「……?そんなに、ですか?普通のペペロンチーノにネギとキノコを散らしただけですが」

「なんか、とってもコクがあった気がする。気のせいかな」

不思議そうな顔をしながら、コナン君がキッチンに向かった。あたしも洗い物の手伝いをしに立ち上がる。

「ちょっと、聞いていい?……あたし、アイスキャンディ半分飲んじゃったけど……どうなるのかな」

スポンジに洗剤を付けながら、あたしは訊いた。食事中には、ご飯がまずくなるような気がして言えなかった。

コナン君は、少し険しい顔になる。

「1錠の摂取だと別ですが……半錠なら、まだ影響は少ないはずです。多分、秋山も粘膜摂取してますし、アユさんが飲んだのは半分以下でしょう。
ただ、アイスキャンディには習慣性がないとはいっても、再使用率は極めて高い。メリットが大きすぎるんです。
だから、繰り返し使いたくなる。特にセックス時の使用においては覚醒剤なんて目じゃないほどの効果がある」

あたしは、秋山とのキスを思い出していた。あいつのテクニックも何もない乱暴な愛撫ですら、全身が蕩けてしまうと思うくらい感じていた。
キスであの程度なのだ。セックスなんてしたら……


あたしは恐怖と期待が混ざった震えを感じた。


コナン君が、あたしを見て話を続ける。

「アユさんも体験したはずです。だから、アイスキャンディの誘惑に打ち克つのはかなり大変だ。
そして、もう一つ。1錠以上を『累計で』摂取した場合、認知症の進行は加速度的に進む。前に話した通り、例外を除いては10年、人としての寿命が縮むと見た方がいいんです」

「……例外?」

「特殊な酵素を体内に持つ人間は、影響をあまり受けないと聞きました。1万人に1人らしいですが。ただ、そのメカニズムは20年後ですらよく分かってない。
だから、アイスキャンディに触れる機会が万一あった場合、最大限の警戒をしてください。……アユさんのためです」

コナン君はあたしが洗ったお皿を拭き始めた。

あたしは、ふと気付く。

「……そう言えば、アイスキャンディの効き目ってどのぐらい続くの?」

「1日弱。つまり、まだアユさんにはあれの影響が残ってる。そういうことです」

あたしは口に微かに残るペペロンチーノの味を感じ、戦慄した。
……これは、アイスキャンディの効き目のせいだったんだ。


438 ◆C9vIqtyVF22018/12/19(水) 12:19:34.01RdK76bEjO (1/6)

#

「……ふぅ」

肩までお湯に浸かる。多分、秋山の死体は見付かるだろう。しばらくは、警察に怯えないといけない。
ただコナン君は、あたしに疑いはまずすぐにはかからないと言った。警察だった彼が言うのだから、多分そうなのだろう。今はそれを信じるしかない。

あたしは、お風呂のお湯をすくった。この手は、完全に汚れてしまった。それは、あたしが望んだことだ。

あたしは昔、勇気がなくて友人を死に追いやった。もし、あたしが勇気を出して止めれば……彼女は生きていたかもしれない。

「……皮肉なものね」

昔は勇気がなくて人を「殺し」、今日は勇気をもって人を殺した。
もし、あの時に戻って今の勇気があったなら……ズキンと、胸の奥が鈍く痛んだ。

風呂から上がり、身体を洗い始める。腕から脇、そして乳房。


ビリッッ


「ひあっ!??」

身体の芯に、鋭く甘い電流が走った。スポンジは、あたしの乳首に軽く触れている。……この程度で??

アイスキャンディの効き目は、まだ続いている。しかも、秋山によって付けられた情欲の火は、燻ったままあたしの中に残っていたのだ。

……じゅんと、下半身の奥から何かが溢れた音が聞こえた気がした。

……耐えなくちゃ。

※コンマ下
01~30 あたしの理性は負けた
31~95 通常ルート
96~00 アユさん、大丈夫、ですか?


439以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/19(水) 12:32:12.23Vl2BT5AE0 (1/1)

ほい


440 ◆C9vIqtyVF22018/12/19(水) 17:38:05.77RdK76bEjO (2/6)

あたしはスポンジを下半身に向けた。一番感じやすいところだけど、手早くやれば問題ないはずだ。

そう思っていたあたしは、甘かった。


「ひぎぃっ!??」


スポンジが内股に当たった時、さっきとは比べ物にならないくらいの快感が走った。そんな。
思わず、スポンジを置き指でそっと触ってみる。


くちゅり。


「ひあああっっ!!!」


そんな。少し触っただけなのに。何で?


あたしのそこは、すっかりぬるぬるになっていた。こんなに濡れるなんて……ほとんど記憶にない。
小さな芽が、堅く、鋭く尖っているのが見えた。ぬらぬらと、泡ではない透明な何かで濡れている。


……ここを擦ったら、どうなっちゃうんだろう。


それはダメだと、理性が叫ぶ。それをしたら、きっとここで満足するまで弄ってしまう。

それをコナン君に見られたら?……考えたくもなかった。
淫乱なあたしの本性を、彼には見せたくなかった。大切な人になりかけているからこそ、見せたくなかった。

しかし、身体の甘い疼きは、それを触れと急かせていた。
少しだけ。少しだけなら……


ちゅくっ


!!!!!!!


気持ちいいっ!!!気持ちいいよぉ!!!!

全身が下半身を中心に、甘い何かに溶けていく。溶けていっちゃう。
口からは声にならない叫びが出た。もう、何を言ってるか、自分でも分からない。

親指で芽を擦り、中指を中に入れる。すんなり入っていく。

もう、とろとろだ。目から出た涙で、視界もハッキリしない。


微かに残った理性が、最後に叫んだ。


441 ◆C9vIqtyVF22018/12/19(水) 17:38:47.10RdK76bEjO (3/6)





「こ、コナン君……助けてよぉ……」






442 ◆C9vIqtyVF22018/12/19(水) 17:39:18.86RdK76bEjO (4/6)

※コンマ下20以上で???


443以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/19(水) 17:40:53.167yOpIHs20 (1/1)

さて


444 ◆C9vIqtyVF22018/12/19(水) 17:53:42.68RdK76bEjO (5/6)

※20以上で目撃ルートでした

#

…………

……

気が付くと、あたしは布団の上にいた。服は……着てる。パジャマみたいだ。

あの後、どうなったんだっけ。記憶が、ない。

「気が付きましたか」

枕元にはコナン君がいた。心配そうな顔であたしを見ている。

「……えっ……ど、どうなったの、あたし」

「アユさんがなかなか上がってこないから、風呂場に行ってみたんです。そうしたら、アユさんが意識を失ってた」

「そ、そうなんだ……」

良かった、じゃああの現場は、見られてなかったってことか。
とすると……あたしはオナニーに熱中するあまりに暑さで失神したのか、あるいは強すぎる快感に耐えられなかったのか……

そこまで考えて、ハッと気付いた。

コナン君は、意識のないあたしの身体を拭き、着替えさせて、ここまで運んだ?あの小さな身体で?

ということは……頭の回る彼のことだ。どうしてそうなったか、理解してないはずもない。

あたしは愕然とした。まだ、見られてた方が良かったかもしれない。

目から涙が溢れてきた。

「ご、ごめんね……こんな、はしたない女で……」

※コンマ下
01~10 どういうことです?
11~90 通常ルート
91~00 コナン君は「困ったな……」と呟いた。


445以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/19(水) 17:58:44.87mCdBjocDO (1/1)

はい


446 ◆C9vIqtyVF22018/12/19(水) 18:57:34.59RdK76bEjO (6/6)

コナン君は、静かに首を横に振った。

「いえ……こうなることは、予想しておくべきでした。謝るのは、僕の方です」

「幻滅、したでしょ?」

「アイスキャンディを摂取して、唇での愛撫を受けたら普通の人間は理性が飛びます。むしろ、アユさんはよく耐えた。
その反動が出てしまったのは……仕方ないことです」

「……あたしを、責めないんだ」

「責める理由はないですよ。ほら、今はゆっくり休んで」

コナン君が微笑んだ。あたしは申し訳なさと情けなさで、また泣いた。

「……えぐっ、本当に、ごめんね……何であたし、こんなダメなんだろ……」

「……自分を責めても始まらないのは、僕が一番よく知ってますから」

コナン君がそっと、頭を撫でる。……とても、安心する。

※コンマ下
01~20 あたしはそのまま、眠りについた(仁パートへ移行)
21~90 通常ルート
91~00 ずくん。身体の奥で、何かが疼いた。


447以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/19(水) 19:02:14.57T/3NdciDO (1/2)

はい


448 ◆C9vIqtyVF22018/12/19(水) 22:22:37.56Tv9iZD1HO (1/2)

「……ねえ、一つ訊いていい?」

「ええ、どうぞ」

「コナン君、どうしてそんなに優しいの?……こんなあたしなのに」

コナン君は、少し黙った。

「優しい……というのとは、少し違いますね。さっきも言いましたけど、自分を責めても仕方ないというのを、分かってもらいたいんです」

「……どういうこと?」

「アユさん、人生をやり直したい、と思ったことはありますか?」

あたしの心の古傷が痛んだ。

「……ある。それがどうかしたの?」

「僕にも、そう思うことはありました。あの時、ああしていれば。そう、何度思ったことか。ずっと、ずっと苦しんでました。
でも、ある人が僕に言ったんです。『人生はやり直せない。だから、とにかく前に進め』って。
過去から学ぶことはある。だけど、それに縛られ先に進まないのは愚かだと。
後悔より先にやることはある。繰り返し失敗しながら、それでも乗り越えていく。人生はその積み重ねなんだって、その人は言ったんです」

「先生か誰か、なの?」

「師匠の師匠、ですかね。……とにかく、済んでしまったことは済んでしまったことです。
それにアユさんは無事ですし、秋山以外は誰も傷付けてない。それで、いいんじゃないですか」

コナン君は、静かに頭を撫でていた。……そう、なのかな。

※コンマ下30以上で会話続行


449以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/19(水) 22:26:58.26T/3NdciDO (2/2)




450 ◆C9vIqtyVF22018/12/19(水) 22:27:53.63Tv9iZD1HO (2/2)

※コナンパート終了

次回から仁パートに入ります。


451 ◆C9vIqtyVF22018/12/20(木) 13:38:05.71WXep7BpSO (1/1)

【6月17日】


俺は熊谷駅前のパーキングに、年季の入ったフィットを止めた。警察の車はクラウンだが、私用はこんなものだ。
美和と一緒になるなら、こいつも買い換えないといけない。

腕時計は11時53分を示していた。約束の時間まではそろそろだ。

SHELLYの件は、赤木警部に報告する手筈になっている。本来は誰か別の人間も連れてくるのが普通だが、俺一人で来いとの、SHELLYが強く要求してきたのだ。

#

俺はサイゼリヤの店舗入り口に立つ。今日が薄曇りで、暑さは然程でもないのが救いだった。

「あれっ、仁さん??」

スマホを見ていると、急に後ろから声をかけられた。……美和とその娘の……亜衣だったか。

「あ、ああ。美和さんですか。偶然ですね」

「ビックリしたよー。最近仕事忙しいって言ってたから、ちょっと寂しかったんだよね。この前も途中で抜けちゃってたし。今日もお仕事?」

「え、ええ。そんなところです。捜査協力者との、待ち合わせを」

美和が来るとは、一瞬驚いた。確かに、日曜は熊谷にいるとは聞いていたが。
彼女と話したい気持ちがないわけではないが、今はSHELLYが優先だ。

「ああ……そうだよね。お邪魔しちゃ悪いから、お店入るね」

残念そうに笑い、美和は娘の手を引いて店内へと消えた。時計は、12時を5分ほど回っている。

まだ来ないのか。軽い苛立ちを感じ始めたその時、スマホが震えた。メールだ。
そこには「店内に入って、奥の窓側の席に座ってください」とある。差出人は。SHELLYだ。


452 ◆C9vIqtyVF22018/12/20(木) 20:57:35.14YmUC/3wXO (1/7)

「あれっ、仁さん。一人なの?」

指定された席に行こうとすると、その近くには美和母子がいた。必然的に、隣同士になる。

「あ、ですね。どうも、これから来るらしいです」

ホールスタッフが、美和の席にパスタとキッズセットを置いた。亜衣ちゃんは、無表情で向こうを見ている。前にちらっと会った時もそうだが、少し人見知りするのだろうか。

「こらっ、美和。お兄さんに挨拶は?」

彼女はペコリ、と軽く頭を下げた。美和が母親の顔になる。

「ったく、いつもはいい子なのに……困っちゃうよね」

「はは、そのうち慣れますよ。これからも会うことだし」

亜衣ちゃんはクルクルとフォークでパスタを巻いている。しかし食べる気配はない。

俺も注文することにした。昼飯もまだだ。手早く食べてしまおう。SHELLYはまだ現れる気配がない。

「何の事件……かは聞いちゃいけないんだったよね。お邪魔だろうから、早く退散するね」

「この埋め合わせは必ず。とりあえず、親子の時間を楽しんで」

「そうする。あ、ちょっとトイレ行くね。亜衣はいい子だけど、少し見ててくれると助かるかな」

俺は微笑んで頷いた。美和の姿が向こうに消える。


その時、亜衣ちゃんが俺に一礼した。



「毛利仁さん、ですね。『はじめまして』。私が、SHELLYです」






453 ◆C9vIqtyVF22018/12/20(木) 21:02:07.60YmUC/3wXO (2/7)

俺は一瞬、フリーズした。……何を言ってるんだこの子は??

彼女は懐からスマホを取り出した。

「連絡先の交換を。早くしないと、母が戻ってしまう」

「本当に、君がSHELLYなのか?」

静かに亜衣ちゃんは頷く。……そんな、馬鹿な??


…………ジジジッ…………


頭に、またあのノイズのような音が響いた。


※コンマ下(重要分岐)
01~50 それはすぐに止んだ
51~90 ……何?
91~99 ……君はッ……!!?
00 特殊ルート確定


454以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/20(木) 21:04:47.91w4YiLpTDO (1/1)

はい


455 ◆C9vIqtyVF22018/12/20(木) 21:15:40.66YmUC/3wXO (3/7)

ジジ

……ジジジジ

…………ジジジジジジィィ………!!


「ああ"っ!!!!!」


俺は徐々に大きくなるノイズに耐えきれず、思わず叫んだ。周囲の目が、一斉にこちらに向かう。
亜衣ちゃんは、驚いたように目を丸くしている。

「……仁さん、一体……?」

俺は息を何とか整えようとした。ノイズは、もう消えている。
ふと、亜衣ちゃんを見た。そこに、見慣れた誰かの顔が重なる。美和ではない。よく似ているが、別の誰かの顔だ。

「……君はッ……??」

「まさか、『思い出した』んですか?」

思い出した?何をだ?俺は脳内を探る。


そこにあったのは、薄い何かの記憶。決して思い出したくない、しかし決して消えない記憶。


それは。



腹部から激しく出血し、事切れた美和を俺と亜衣ちゃんが抱き、泣き叫んでいる光景だった。






456 ◆C9vIqtyVF22018/12/20(木) 21:29:18.77YmUC/3wXO (4/7)

俺は戦慄した。こんなことは、実際にはない。美和は、今トイレにいるはずだ。当然、生きている。
しかし、この記憶は……随分と現実味があった。それは、今の俺にとって消えないトラウマである、妹の百合の死と同じかそれ以上の重みを持っていた。


これは何だ?


「……どういうことだ……?」

頭の中には、靄がかかった他の記憶もあった。俺はそれを「知らない」。
もう一度頭を振った。気味が悪い何かを、振り払うように。

※85未満で通常ルート、99か00で特殊ルート


457以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/20(木) 21:30:38.50GlvyktODO (1/1)




458 ◆C9vIqtyVF22018/12/20(木) 21:32:46.89YmUC/3wXO (5/7)

向こうから美和が戻ってきてるのが見えた。俺は慌てて座る。

亜衣ちゃん……いや、「亜衣」が小さく言った。

「この続きは、メールで」

#

あの後、美和と亜衣はすぐに帰った。俺は来るはずのない待ち人を待つふりをして、天井を眺めた。

あのノイズは。そして、あの記憶は……一体何だったのか。

ドリンクバーのエスプレッソを一口飲んだ。亜衣の件といい、整理が追い付かない。
そもそも、なぜ俺は亜衣を「知っていた」のか。あの時、幼い彼女の顔に重なったのは、成長した彼女の顔だ。

メールが再び届いた。


459 ◆C9vIqtyVF22018/12/20(木) 21:54:32.40YmUC/3wXO (6/7)

#

毛利仁様

驚かれたことと思います。しかし、これは悪い冗談ではありません。
私、宮原亜衣がSHELLYです。子供の悪戯ではありません。賢明なあなたなら理解してもらえるはずです。

信じるか否か、その判断はお任せします。しかし、以下のことは、事実です。


私、宮原亜衣は20年後から精神だけがタイムスリップした存在です。


来年4月28日に、熊谷リバーサイドモールで大虐殺が起きます。その加害者こそが、鶴岡和人であり、練川瑠偉でした。恐らく、金路アゲハもそうでしょう。
私はそれを止めたい。私は、そして母さんも被害者だから、です。
母さんはあれで命を落とした。あなたも、その現場にいたのです。

できうれば、事前に止めた上で法によって裁ければ、と思っていました。だから、あなたにメールで情報提供をしたのです。
私の知る「未来の記憶」――虐殺の練習であったホームレス殺害に、少なくともあの二人が関わっていたことは伝えました。それが、打開の切り札になると考えたからです。

しかし、バッドエンド・ブレイカーがここに関わってきました。彼らも、あるいは私同様、未来から来たのかもしれませんが……状況は大きく変わりました。

私は、警察こそこの事件を解決すべき主体だと信じています。しかし、普通にしていてはそれはもはや不可能に近い。
ですから、敢えて名乗り出ました。あなたに、今後はより濃度の濃い情報を伝えるためです。あるいは、私を捜査に使ってくれても構いません。
これでも警察の端くれでした。最初の2年という、ごく限られた期間でしたが、あなたの薫陶を受けた者として、恥じない動きはできます。

もしそのおつもりがあるのでしたら、以下の番号をワンギリして下さい。追ってご連絡します。

埼玉県警捜査一課
宮原亜衣 巡査


460 ◆C9vIqtyVF22018/12/20(木) 21:55:01.62YmUC/3wXO (7/7)

今日はここまで。しばらくは仁パートです。


461 ◆C9vIqtyVF22018/12/21(金) 21:20:15.55UdG0D9fXO (1/8)

捜査一課?……SHELLY、いや宮原亜衣が?
この書き方から察するに、彼女は俺の部下だったのだ。だからメールアドレスも知っていた。

バラバラになっていたピースが、一気にまとまっていく。

俺は慌てて電話を掛けた。ワンギリ、ということは向こうからかかってくるということだ。

果たして数分後、俺のスマホが震えた。

「俺だ。……メールは読んだ」

『……ご連絡下さり、光栄です。私を捜査に?』

「いや、決めてない。お前は俺の下にいた。違うかっ」

しばらく返答がなかった。掠れた声が聞こえる。

『……はい。あなたのことは、忘れたことがなかった。もう一度あなたと働ける機会が来るなんて、思いもしませんでした』

……泣いているのか?俺と彼女は、どういった関係だったんだ?
しかし、その記憶はない。いくつか、断片のように浮かんだ記憶や情報があるだけだ。

「随分と慕われていたんだな。未来の俺は」

『……未来のあなたは、犯罪解決のためなら全てを犠牲にする『鬼』でした。
ただ、部下には本当に優しかった。刑事の手本ですらあったかもしれない』

「……面倒見のいいタイプじゃ、ないんだがな」

『熊谷大虐殺から、変わったって聞いてます。その分だと、記憶は』

俺は首を振った。

「……まだら模様だ。お前が俺の部下だったらしいことは分かった。だが、未来の俺がどうだったかは、よく分からんままだ。お前は、ハッキリと覚えているんだな」

『私も、完全じゃないです。そもそも、『表に出ていられる』時間が短いので……。誰が熊谷大虐殺の犯人なのか、その記憶もおぼろげです。ただ、少しずつ戻っては来てます』

「そうか。しかし、何で未来から精神だけが今の時代に?」

『……そこの記憶も曖昧で。すみません』

俺は軽く息をついた。自分の記憶も探ったが、これ以上は分からない。

しかし、聞きたいことは他に山ほどある。

※安価下、2票先取(最初の質問は無条件で可能)

1 今電話して大丈夫なのか?そもそも、どうやって電話を
2 美和が死んだ後の俺を、知ってるのか
3 佐倉翔一。この名は思い出せるか
4 バッドエンド・ブレイカーの正体に、心当たりは
5 自由安価(基本何でもOKです)


462以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/21(金) 21:21:04.55uO2aL19F0 (1/1)

3


463以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/21(金) 21:23:47.13jy7VymNDO (1/3)

4


464以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/21(金) 21:27:40.765TB6SJuDO (1/3)

4


465 ◆C9vIqtyVF22018/12/21(金) 21:29:58.23UdG0D9fXO (2/8)

「佐倉翔一。この名は思い出せるか?恐らく、熊谷大虐殺の主犯だ」

亜衣が少し黙った。

※30以上なら覚えている、85以上ならかなり正確に覚えている


466以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/21(金) 21:37:06.095TB6SJuDO (2/3)

3ではなく4では?


467 ◆C9vIqtyVF22018/12/21(金) 21:49:18.07UdG0D9fXO (3/8)

>>466
失礼しました。やり直します。


468 ◆C9vIqtyVF22018/12/21(金) 21:53:36.79UdG0D9fXO (4/8)

「バッドエンド・ブレイカーは未来から来たかもしれないと言ったな。それはつまり、お前と同じような存在なのか」

『恐らくは。彼に殺された被害者は、軒並み後の凶悪犯です。手口は違いますが、練川や金路を殺したのも、多分。
そして、間違いなくプロの手口です。目撃者も、証拠らしい証拠も、一切ないんでしょう?』

「そうだ。金路アゲハら3人についても、手掛かりらしいものは一切ない。心当たりはあるか?」

※60以上ならある、90以上ならかなり詳細にある




469以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/21(金) 21:55:21.020FxIcqgD0 (1/1)




470 ◆C9vIqtyVF22018/12/21(金) 22:03:43.59UdG0D9fXO (5/8)

『いえ、全く。ただ、仁さんを向こうが認識していたら、厄介かもしれません』

「というと?」

『20年後のあなたは、警察を辞めるまで捜査の鬼でした。特に、殺人事件をはじめとした凶悪犯罪については。
埼玉県警だけでなく、他の県警からも知られてましたから……マークされてても不思議じゃないです』

俺は一瞬言葉に詰まった。俺自身が狙われている可能性も、なくはないのか。

「……そうなると、迂闊に動けないということか」

『ええ。だから私が使えるんです。見た目は幼女ですし、私のツラも割れてない。元から下っ端でしたし、まして今の私から『宮原亜衣巡査』は連想されないはずです』

一理はある。しかし、恋人の連れ子を危険な目に遭わせるわけにもいかない。
亜衣は優秀な刑事だったが、それでもなお、だ。

※コンマ下30以上で次の質問へ


471以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/21(金) 22:04:34.555TB6SJuDO (3/3)




472 ◆C9vIqtyVF22018/12/21(金) 22:06:06.73UdG0D9fXO (6/8)

※次の質問選択
2票先取

1 今電話して大丈夫なのか?そもそも、どうやって電話を
2 美和が死んだ後の俺を、知ってるのか
3 佐倉翔一。この名は思い出せるか
4 お前を利用するとして、どう使う
5 自由安価(基本何でもOKです)



473以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/21(金) 22:10:40.91gYPzUrz/o (1/1)

3


474以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/21(金) 22:14:14.27yh+owmjbO (1/1)

3


475 ◆C9vIqtyVF22018/12/21(金) 22:27:15.98UdG0D9fXO (7/8)

亜衣をどうするかは考えねばならない。問題は、彼女が対峙する相手をどれだけ知っているか、だ。

「そうか。だが俺たちが追っているのは、バッドエンド・ブレイカーだけじゃない。
佐倉翔一。この名は思い出せるか?恐らく、熊谷大虐殺の主犯だ。そして、俺たちが今捜査している荒川のホームレス殺害にも関与している可能性が高い」

亜衣が少し黙った。

※30以上なら覚えている、85以上ならかなり正確に覚えている


476以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/21(金) 22:33:29.34u7Z4s+cm0 (1/1)

せい


477以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/21(金) 22:35:16.77jy7VymNDO (2/3)




478 ◆C9vIqtyVF22018/12/21(金) 22:38:02.29UdG0D9fXO (8/8)

今日はここまで。


479以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/21(金) 22:39:26.16jy7VymNDO (3/3)

乙です


480 ◆C9vIqtyVF22018/12/22(土) 09:22:42.83gKyoX1BzO (1/6)

『あっ……!佐倉翔一、今思い出しました。熊谷大虐殺の実行犯で、主犯格の城隆一郎に脅されていたと』

城に佐倉が脅されていた?……何かがおかしい。彼女の知る「未来」は、そんなことになっていたのか?

「俺の認識とは随分違うな。俺の認識では、あくまで主犯格は佐倉の方だ。
バッドエンド・ブレイカーの存在で、『未来』が変わったのか?」

『分かりません。私が知るのは、あくまで表向きの話ですから。
その佐倉がどうかしたんですか』

「さっき言った通り、俺は荒川の一件のホンボシ(主犯)は佐倉と踏んでいる。
奴が主導して犯行グループ『勉強会』を形成した。これはかなり確かだ。
ただ、佐倉のガードは極端に硬い。ヤサも転々としているようだ。
中学生のガキのどこにそんな資金力があるのか全く分からないが……。
さらに言えば、『アイスキャンディ』というヤクにも手を出している可能性も高い。
奴を捕まえないと始まらないが、手掛かりがつかめない」

電話の向こうで、亜衣が「えっ」と声をあげた。

『『アイスキャンディ』……もう流通しているんですか』

「死んだ金路アゲハが手を出していた、らしい。ただ、それがどんなヤクであるかは不明だ。
元締めも分からない。佐倉が関係している可能性が高いとも思うが」

『アイスキャンディは、相当危険な薬物です。人間の感覚を一時的に倍化させる代わりに、認知症の進行を極度に早める……。
常用すれば、1年で廃人です。熊谷大虐殺の際にも、城が服用していたとか』

俺は息を飲んだ。これは、相当に危険なヤマだ。
バッドエンド・ブレイカーが佐倉たちを狙うのも分かる気がする。


しかし、罪人を裁くのは暴力ではない。あくまで法だ。


奴らより先に、俺たちが佐倉を捕まえねばならない。
亜衣は警察だ。その原理を、ちゃんと彼女も認識しているらしい。


481 ◆C9vIqtyVF22018/12/22(土) 09:35:59.29gKyoX1BzO (2/6)

「問題は、佐倉にどう迫るかだ。それ以前の問題、城や鶴岡にすらろくに接触できてない。
奴らには明らかにプロと思われるボディーガードがついている。
ある人物からは、警察も殺しかねない人物だと聞いた。こちらは慎重に動かざるを得ない状況だ」

『私なら……多少は接近できるかもしれません。
『表』に出れる時間は限られていますが、この姿であればまず警戒しないはずです』

「……何をするつもりだ?」

『内偵に私を使ってほしい、ということです。城でも鶴岡でも構いません。
少なくとも、あなたよりは彼らに近付けるはずです』

「近付いてどうする?」

亜衣が少し考えているようだ。

『理想は発信機を付けることです。ただ、20年後ならともかく現在でそこまで小型の発信機はない。
あるいは、私が囮になってボディーガードを引きはがす。その間に、城か鶴岡に接触すればいいのでは?』

※80以上なら発信機あり



482以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/22(土) 09:41:13.045zdEj51m0 (1/1)

ほい


483 ◆C9vIqtyVF22018/12/22(土) 09:56:47.96gKyoX1BzO (3/6)

確かに、そんな発信機はない。そうなると、彼女の言う通りの話になるのか。
しかし、本当に囮にすることに危険はないのか。もし女子供でも手を出すような相手なら、亜衣の提案は無意味だ。

「リスキー、だな。そもそも、熊谷から5歳児が一人で東京まで出てくるというのは、現実的じゃない」

『そこは私が上手くやります。仁さんの協力も得てもらいますけど』

「……?とにかく、今は結論は出さない。状況を見て、どうするかは考える。それでいいか」

『了解です。何かあったら連絡を』

※60以上で追加質問可


484以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/22(土) 10:08:09.49J3C1Xx7DO (1/3)

はい


485 ◆C9vIqtyVF22018/12/22(土) 10:26:55.79gKyoX1BzO (4/6)

『ふぁああ。……限界が来ましたね』

大きなあくびの音が、向こうから聞こえた。

「限界?」

『ええ。本来の精神の持ち主である『5歳の私』が表に出ようとしているんです。
『25歳の私』が連続して出れるのは、せいぜい2時間。どうも、それ以上は負荷がかかるみたいです』

もう一度、あくびが聞こえた。

「そうか。了解した」

『連絡は基本メールで。私が表に出ている時に、拝見させていただきます。それでは』

電話が切れた。聞きたいことはまだあったが、やむを得ない。


……しかし、俺の中にも「未来の記憶」があるようだ。
一体なぜそれがあるのか。そして、亜衣のような存在は、他にたくさんいるのか。
もやもやした気分を抱えながら、俺は席を立った。





486 ◆C9vIqtyVF22018/12/22(土) 10:32:02.65gKyoX1BzO (5/6)

※18日のイベント判定です。

01~25 特に何もなし
26~75 秋山死亡のニュースに仁が反応
76~00 群馬県警から連絡


487以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/22(土) 10:32:51.70nnSkrFiDO (1/1)

よし


488 ◆C9vIqtyVF22018/12/22(土) 10:40:21.86gKyoX1BzO (6/6)

少し中断します。



489 ◆C9vIqtyVF22018/12/22(土) 21:53:49.35fEkSkMQWO (1/4)

【6月18日、11時12分】


「今日も収穫なしか」

俺はハンドバッグをデスクに置いて、赤木警部に首を振った。

「城の母親、難航不落ですね。取り付く島もない。青さん、鶴岡の方は?」

「こっちもきついね。ただでさえ警戒がキツいのに、ボディガードが隙を見せない。
兄の方を当たってるけど、長男の光輝は海外出稽古とかで不明。次男の大は引きこもってる」

「そういや、次男は世界挑戦に失敗して以降表舞台にほとんど出てなかったんでしたね。
金路アゲハの関与までは分かっても、そこから残り3人はなかなか難しいですね……」

赤木警部が溜め息を付いた。

「ったくだな。そういや、昨日SHELLYには会ったのか?」

俺は言葉に窮した。本当のことを言っても、恐らくは信じてくれまい。
かといって、誤魔化すのもなかなか難しい。
亜衣の言ったことは、恐らくは真実だろう。それを説明するためには、俺の中に「未来の記憶」があると言わないと難しい。

さて、どうしたものか。

1 本当のことを話す
2 警察関係者でした。が、身元はどうしても明かせないと
3 狂言でした。どうも、踊らされていたようです

※2票先取


490以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/22(土) 22:07:31.43J3C1Xx7DO (2/3)

2


491以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/22(土) 22:10:25.9724MuMqHf0 (1/1)

2


492 ◆C9vIqtyVF22018/12/22(土) 22:28:25.77fEkSkMQWO (2/4)

「警察関係者でした。ただ、身元はどうしても明かせないようです」

「……やはりか。しかし、何故お前に会ってもなお身元は明かせないとか言う?
お前自身は知っているのか。警察である証拠は」

赤木警部が険しい顔になった。ここから先は、嘘をつくことになる。

「警察であるのは確かです。ただ、身元を明かすと身内に危害が及ぶかもしれないと」

「……どういうことだ?佐倉に近い人物か」

「それも含め、一切言えないと」

※30以上で通常ルート


493以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/22(土) 22:31:33.35cTiLg1swO (1/1)

ソイヤ!ソイヤ!


494 ◆C9vIqtyVF22018/12/22(土) 22:44:59.77fEkSkMQWO (3/4)

「……まあお前を信用することにするか。俺にも抱えている『S』(スパイ)はいるしな」

赤木警部が息を付いた。俺はふと、テレビを見る。
そこから流れる、民放のニュースを見て、俺は固まった。


「本日9時頃、群馬県高崎市のマンションで、家電量販店『アキヤマ電気』の専務である秋山雄一さんが心肺停止の状態で発見されました。
病院に運ばれましたが、死亡が確認されました。群馬県警によると薬物摂取による中毒死である可能性が高く、
県警では事故死と殺人の両面から捜査を進めているようです」


秋山雄一??


ジジッ……


「っつ!?」


脳内に眠っていた「記憶」が呼び覚まされた。


495 ◆C9vIqtyVF22018/12/22(土) 22:56:10.06fEkSkMQWO (4/4)

秋山雄一。高崎市を中心に若い女性ばかり10人を殺害した殺人鬼。
手口は薬物の過剰摂取による中毒死、あるいは絞殺が中心。
2019年初春に犯行が発覚。逮捕されるも立件されたのは1件のみ。
残りは全て、証拠不十分とされた。……が、それはアキヤマ電気が組織的に揉み消した結果との、もっぱらの噂だ。


つまり、2018年6月に死ぬはずがない。


額に汗が流れるのを感じた。これは、間違いなく……バッドエンド・ブレイカーの仕業だ。
しかも、手口からして金路アゲハらを殺したのと、同じ人間。

この二つの事件に、一体何の繋がりがある??

「どうした仁、顔色が悪いぞ」

赤木警部が声をかけた。

「あ、ああ。いえ、こちらのことです」

秋山の死がバッドエンド・ブレイカーによるものと言っても、信じてくれるかは不明だ。
それには、秋山の「未来の殺人」について言わねばならない。

群馬県警に連絡をしてみるか?しかし、基本的に警察は縄張り意識が強い。
金路アゲハと秋山雄一を結びつけるものがない限り、群馬県警は捜査に俺たちの介入を許しはしないだろう。

どうする?

1 赤木らに、本当のことを全て話す
2 群馬県警に一応連絡してみる
3 亜衣に連絡する(ただし、レスポンスは遅い)
4 増田警部補に連絡してみる
5 その他自由安価

※3票先取


496以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/22(土) 23:11:03.41zllgRLRo0 (1/1)

4


497以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/22(土) 23:30:00.99J3C1Xx7DO (3/3)

4


498以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/22(土) 23:45:15.457VtxeXc90 (1/1)

4


499 ◆C9vIqtyVF22018/12/23(日) 13:53:03.35V/RcWG0zO (1/3)

俺は名刺入れの中にあるものを思い出した。増田清良。察庁の警部補で、堺警視正の部下だ。
そして、バッドエンド・ブレイカー専門の捜査に従事しているという。彼女に連絡すれば、何かしら動いてもらえるのではないか。

俺は部屋を出て、人気のない場所に行く。

「埼玉県警の毛利だ。今、少しいいか」

「へえ」と驚きとも笑いともつかない声が聞こえた。

『何のようだい?ボクには、あまりいい印象を持ってなさそうだったけど』

「さっき、ニュースでアキヤマ電気の秋山雄一が死んだというのがあった。あれはひょっとしたら、バッドエンド・ブレイカーの仕業じゃないのか」

『どうしてそう思うんだい?』

俺は躊躇した。本当のことを話しても、まず信じまい。

「……勘だ。それ以上では、ない」

『嘘だね』

即答された。フフフ、と増田が笑う。

『君は知ってたんだよ。『秋山がここで死ぬはずがない』って。やはり、当初の見立ては正しかった。君も『覚醒』しつつあるわけだ』

「『覚醒』?……何だそれは」

未来の記憶のことを言っているのか。その言葉を俺は飲み込んだ。

こいつは、間違いなくただの警官じゃない。俺は電話したことを、後悔し始めていた。

『それを知りたいなら、17時に警察庁に来てボクを訪ねてくれ。会わせたい人がいる』


500 ◆C9vIqtyVF22018/12/23(日) 14:18:35.53V/RcWG0zO (2/3)

【6月18日、16時52分】


警察庁は警視庁の隣にある。よく混同されるが、警視庁はあくまで東京を管轄する一地方警察に過ぎない。
これに対し、警察庁は警察政策を司る官庁の一つだ。だから、一警官がここを訪れることは、ほとんどない。

俺は警察庁が入っている合同庁舎の前に立った。一体この中に、誰が待つというのか。

上層階へと案内される。会議室で待つこと数分、増田が現れた。

「やあ、毛利警部補。こんなに早く会えるとは思わなかったよ」

「……まるで再会を確信していたようだな。会わせたい人物とはどこだ」

「ああ、そうそう。この上の階にいるよ。ついてきて」

エレベーターで、さらに一つ上の階に向かう。……警視総監をはじめとした幹部たちがいるフロアだ。
増田はまっすぐに、重厚な扉の前に来た。

「会わせたいというのは、まさか警視総監か」

「それはその一人。何人かいるんだ。2人ほど、驚く人がいるから心の準備だけしておいて」

コンコン、と彼女がノックする。

「増田警部補、入ります」

「よろしい」と重い声が聞こえた。中に入ると、そこには長いテーブル。3人の人物が、向かいに座っていた。
左に座る一人は那珂川警視総監……だったか。右には堺警視正?そのことに俺は軽い驚きを覚えた。
しかし、中央に座る人物を見た時、俺は目を見開いた。

「朝尾副総理?」

間違いなく大物だ。総理経験もある、日本政府の元老。こんなのが俺にわざわざ会うのだろうか?

俺は部屋を見渡した。いや、もう一人、人物がいる。その男を見た時、俺は心底仰天した。


「……ヤス、か?」


その男はバツが悪そうな笑いを浮かべた。


「仁さん、悪いっすね。ちょっと、話聞かせてもらいますよ」


501 ◆C9vIqtyVF22018/12/23(日) 14:30:04.64V/RcWG0zO (3/3)

「ちょいと座りな」

朝尾副総理が、立ち尽くす俺を促した。俺は革張りの椅子に座る。酷く、自分が場違いな気がした。

「何の、ご用でしょう」

「平たく結論から言っちまうか。お前をヘッドハンティングしたい。なあ、堺」

「いや、その節は済まなかったな。やはり、君も『覚醒者』だったか。私の顔を知らなかったから、そうではないと判断したが……まだあの時は未覚醒だっただけだったか」

「覚醒者とは、なんですか」

堺警視正の目線がヤスの方に動いた。

「20年後の未来から、精神だけがこの時代の飛ばされてきた人間のことっす。この世界にはそういうのが、何人かいる」

ジジッ……

まただ。また頭にノイズが走る。

※85以上で特殊ルート


502以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/23(日) 14:33:26.90s9fU18aT0 (1/1)




503以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/23(日) 19:22:29.17GMQKyBFp0 (1/1)

特殊ルート楽しみ…!


504 ◆C9vIqtyVF22018/12/23(日) 23:11:49.65qJ9aOIbwO (1/4)

頭に鮮明なヴィジョンが描かれた。



荒れ果てる街。


武器を持ち、殺しあう人々。


そして、燃え盛る炎と、衝撃波。


これは、一体何だ?これも、俺の未来の記憶とでもいうのか??








505 ◆C9vIqtyVF22018/12/23(日) 23:21:27.23qJ9aOIbwO (2/4)

頭を押さえていると、ノイズは遠い彼方へと消えた。代わりに、目の前にいる男の正体を悟る。


「……『思い出した』よ。堺『警視総監』」


那珂川警視総監の表情が固まり、堺警視正が「ニィッ……」と笑った。


「やはりな。久し振り、というべきか。お帰り、というべきか。毛利警部補……いや『デッドマン』」

「その名は今の俺には相応しくない。まだ絶望する時ではないし、いくらでも立て直せる。それに、俺の記憶は、完全には戻ってない」

「とはいえ、覚醒レベル2はクリアしている。完全に未来の記憶を取り戻したレベル3に、限りなく近付いている。そうだろう?」

俺は首を振った。今の俺は未来の俺とは違う。そう思いたかった。


全てに絶望し、警察を辞め、フリーであらゆる事件の処理を法を越えて行う男。
手段を選ばず、特に殺人事件には異常な執着を示す「闇の刑事」――「デッドマン」。

それが、未来の俺の名だった。






506 ◆C9vIqtyVF22018/12/23(日) 23:46:43.33qJ9aOIbwO (3/4)

俺は、混乱する内心を表に出さないように努めながら、もう一度部屋にいる人間を眺めた。
ヤスと増田には、会った記憶がない。ただ、ヤスは――別の名だったはずだ。堺の腹心といえば、奴しかいない。

そして、奇妙なことに気付いた。……なぜここに朝尾がいるのだろう?

俺は息をついて、朝尾に訊いた。

「なぜあなたがここに?あなたと堺らの『西日本政府』は、対立していたとばかり思ってました」

「……今堺が言ったように、かなり思い出したようだな。まあ、説明するとめんどくせえんだが……煙草、吸っていいか」

「御随意に」

朝尾は特注品と思われる長い紙巻き煙草を懐から取り出すと、慣れた手付きでジッポーのライターで火を付けた。芳ばしい香りが広がる。

「まあ、ぶっちゃけちまうとだ。俺も覚醒者なんだよ。レベルは2止まりだがな。どっから説明するのが早いかね。堺、任せる」

堺がにやついた顔で俺を見た。……この顔は、好きにはなれない。

「まず、『未来』の確認をさせてもらおうか。20年後の日本は東西に分裂して、内線状態にある。
それはどうやら覚えているね」

「ああ。政治的混乱が長年続いた後、日本崩壊は2033年の『東京大震災』で決定的になった。
米中の介入を受けて日本は左右に割れ、左派政権の西日本政府、右派政権の東日本政府に割れた。東日本政府の源流である、民自党の長老だったのが、朝尾さん、あなただ」

朝尾は肩を竦めた。

「とは言っても、2023年に俺が『犯したとされている』毎朝新聞記者の殺害以降、俺は塀の中だがな。ほぼ廃人状態のまま、日本が壊れていくのを知って、心底絶望したもんだぜ」

「そう。それが西の警察トップ、それも公安畑の堺と組んだのは、なぜです」

「まあ……細かいことは言えねえ。だが、世界をやり直したいという点で、俺とはこいつは一致した。そもそも、西日本といっても一枚岩じゃなかったからな。なあ、堺」

堺はふふっと笑った。

「まあ、逆らうチャンスはずっと探ってはいましたがね。こうして2018年に戻ったのはチャンスだった。
しかし、私たちと同じように20年後から『帰還した』奴は少なくない。暗黒の日本を、そして世界を変えるには、変えるべき点は極力少なくすべきだ。
だから、私は『特務調査室』を立ち上げた。未来の記憶に目覚めた人間の行動を監視し、正し、犯罪があれば地方警察に代わって調査・処罰する……それが私たちの仕事だ」


507 ◆C9vIqtyVF22018/12/23(日) 23:56:52.49qJ9aOIbwO (4/4)

今日はここまで。



508 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 08:56:21.642fmFPEgqO (1/6)

朝尾が頷いた。

「そういうこった。特務捜査室の室長は那珂川警視総監だが、実質は俺だ。
歴史の流れを変えるには、大筋はそのままの方がいい。変えすぎると、記憶通りにならなくなって、対応しきれなくなるからな。
だから、バッドエンド・ブレイカーは邪魔だ。正義感からやっていることなんだろうが、はっきりありがた迷惑だ。そもそも、法を逸脱してやがる。
恐らく、相手も覚醒者、それもプロだろう。『旧東』の連中かもしれん。だから、堺を中心に動いてもらっている。そういうこったな」

「……というわけだ。私の狙いが、見えてきたんじゃないか?」

なるほど、そういうことか。

「ここにいるのは、那珂川警視総監以外は皆覚醒者だ。なあ、ヤス……もとい、古畑玲」

ヤス――いや、古畑が苦笑した。

「御名答っす。……多少は、俺に裏切られたとかショックがあると思ってたんすけどね。さすが『デッドマン』、揺らがない」

「俺にその名で呼ばれていた頃の精神は宿ってない。だから、ただ痩せ我慢で怒りと戸惑いを圧し殺しているだけだ。
お前とは、未来では面識がない。だが、噂には聞いている」

「ろくな噂じゃないでしょ?まあいいや、それはここで言うことじゃない」

古畑が「西」の凄腕とは聞いていた。手段を選ばず、確実に目的を遂行する、忠実な政府の犬。
俺とも比べられることがあったという。未来の俺は、そんなことには無関心であったようだが。

「お前が埼玉県警に派遣されていたのは、初めから俺目当てだった。そうだな」

「仁さんが『覚醒者』かもしれないというのは、前から話に上がってましたからね。『グラウンド・ゼロ』周辺にいた人間なんて、そう多くはない。
あんたは多分、その一人だ。だから最初から狙っていたのは確かっす」

「『グラウンド・ゼロ』?」

何だそれは。そんな記憶は、ない。そもそもどうして、俺らの精神は20年前に飛ばされた??
そこの記憶は、今のところすっぽり抜け落ちている。

「おっと」と古畑が口を手で覆った。

「そこまでは『思い出して』なかったっすか。忘れてください。
とにかく、仁さんが覚醒者なら、俺たちに手を貸してくれるはずだ。あの未来を、繰り返してはいけない。それは分かるでしょう」

古畑が真顔になり、俺をじっと見た。

朝尾がそれに続ける。

「俺らの目的は、覚醒者の管理、そして場合によっては処理だ。バッドエンド・ブレイカーはその最右翼だが、佐倉翔一にもその疑いが濃くなっている。
両方に対応しなきゃいけないが、いかんせん人手は足りない」

佐倉も?……いや、そういえば金路アゲハが扱っていたアイスキャンディ。あれは、まだ流通しているはずのないヤクだ。可能性は、ある。

「俺の力が必要、ということですか。しかし処理とは……殺しも視野に入れるということですか」

堺がふうと息をついた。

「手段はあまり選べない。拘束しどこかに半永久的に監禁するのが筋だが、場合によってはそういうこともある」

「歴史はもう、かなり変わっているぞ?」

「それでもだ。熊谷大虐殺は止めた方がいいが、城と鶴岡が適当に暴発する程度なら止めはしない。歴史の流れは、変えすぎない方がいい。
決定的な転換点だけ、しっかり修正すれば、悪夢の未来は変えられる。それに導くのが、私たちの役目だ」


509 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 10:06:48.242fmFPEgqO (2/6)

朝尾が煙草を灰皿に押し付けた。

「まあ、無理にとは言わねえ。もしこれに応じたなら、お前さんにゃ埼玉県警から警察庁に転属してもらうことになる。
んで、秋山の件を追ってもらうことになるな。あれは間違いなくバッドエンド・ブレイカーの仕業だ。
とはいえ、人生の大きな決断の一つだ。ここで答えを出すのは、酷ってもんだろう」

俺の脳裏に、美和と亜衣の顔がよぎった。朝尾の下に就くということは、普通の刑事ではいられないということでもある。
そして、亜衣。……20年後の彼女は、警察を辞める直前まで俺を慕っていた。
それは、「どんな状況でも、警察は警察でなければならない」という俺の主義に賛同していたからだ。……結局、現状に絶望した俺はそれを捨てたのだが。


ならば、出す答えは一つだ。


「せっかくのお申し出ですが、断ります。俺は、埼玉県警のままでいい。あくまで一刑事として、このヤマを追う」

「即答だなおい。それでいいのか?警察庁キャリアに準じた扱いになるんだぜ?」

「地位や給与は問題じゃない。俺は、どこまで行っても刑事だ。未来の俺は、それを捨てたみたいですが……今の俺は、そこまで現実に絶望はしていない。
であるなら、一人の刑事としてバッドエンド・ブレイカーや佐倉翔一を逮捕する。それもまた、世界を変えることにつながる。違いますか」

「法の外にいる人間に法で立ち向かうことは難しいぜ。だから、俺たちは 『特捜』を立ち上げた。バッドエンド・ブレイカーも、やり方は相容れないが大元の発想は同じだ。
一刑事ができることなんて、たかが知れてる。それは分かってんだろうな?」

朝尾が俺を睨んだ。俺はそれを正面から見据える。

「覚悟の上です」

「……噂通りの頑固な男だな。まあ、しゃあねえか」

朝尾は軽く溜め息をつき、なぜか笑った。

「いいんですか?『デッドマン』を野に放したら……」

「こいつはお前らの知る男じゃねえよ。言ってたろ?こいつには2038年の精神は宿ってない。覚醒レベルは3じゃねえんだ。
未来の記憶こそあるが、中身は2018年のままだ。なら、こいつがどこまでできるか見てやろうじゃねえか。俺らの邪魔さえしなければそれでいい」

堺が渋い顔になった。

「……そうならいいんですが。毛利、一つだけ言っておく。今日あったことは、決して口外するな。破った場合は、お前も敵対者とみなす」

「構わない」

この言葉を、堺はどれだけ信用するだろうか。だが、当座を切り抜けるには仕方ない。

「じゃあ、交渉は決裂だな。帰って構わねえぞ。古畑、増田。送ってやれ」

#

「古畑、一つ聞いていいか」

下りのエレベーターの中で、俺は訊いた。古畑が無表情にチラリと俺を見る。

「何っすか」

「お前にとって、3係での日々は何だった?」

奴が少しだけ目をつぶった。

「……悪くはなかったっす。あんたが思っていたような、冷酷無情の男とは大分違っていたのも意外でしたけどね。
何かに罪悪感を感じることは、あまりなかったんすけどね」

「……そうか」

再びエレベーターが静寂に包まれた。増田が、少し驚いたように古畑を見ている。


少しだけ、俺はほっとした。





510 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 10:10:15.282fmFPEgqO (3/6)

※この出来事を誰に伝えますか?

1 小暮管理官
2 亜衣
3 3係全員
4 美和と亜衣
5 その他自由安価

※3票先取


511 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 10:12:49.942fmFPEgqO (4/6)

また、展開が入り組んできたため適宜質問は受け付けます。
(当初設定からぶれてはいないはずです)


512 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 10:17:11.622fmFPEgqO (5/6)

なお、再開は(あるとするなら)夜になります。


513 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 10:36:20.762fmFPEgqO (6/6)

6に「黙っている」を追加。失礼しました。


514 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 12:24:19.24wQSHrXGVO (1/1)

一応参考までに。仁本人が言っている通り、あまり多人数に伝えるのはお勧めしません。


515以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/24(月) 13:06:52.14qlN7xthDO (1/2)

2


516以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/24(月) 13:18:14.99510uuHQB0 (1/1)

2


517 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 15:31:54.15iF5coYH+O (1/1)

上げます。


518以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/24(月) 17:10:16.137IsIFWEo0 (1/1)

2


519 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 22:40:07.05sHb2HjdJO (1/8)

【6月18日、19時26分】


「仁、察庁からの呼び出しだったらしいな。用件は何だった」

赤木警部が訊いてきた。……あまり口外するような話ではない。そもそも、信じてもらえるかも分からない。

「人事関連ですよ。交流人事で、向こうに来ないかと。断りましたが」

「ほぉ。随分もったいないことをしたな。何でまた」

「現場から離れることになりそうでしたから。それはゴメンです」

俺は半分だけ本当のことを言った。ヘッドハンティング自体は、嘘ではない。理由は全く違うが。
赤木警部が笑いながら肩をすくめた。

「まあお前っちゃお前らしいがな。察庁から来た堺ってのがお前を呼んだことがあったが、そういうことだったか」

「らしいですね。木暮管理官は」

「木暮さんは食事だそうだ。警察のOBとだとか」

珍しいな。木暮管理官が3係以外の誰かと飲むのは、あまり聞かない。
となると、警察庁での出来事を彼に話すのは、今は難しい。

……となると。

俺は日本茶のペットボトルをデスクに置き、PCのメールボックスを開いた。
赤木警部は自分のデスクで資料に目を通している。青葉と白島は、恐らくは城と鶴岡の所か。
多分、メールの内容を見られることはないだろう。






520 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 22:48:14.63sHb2HjdJO (2/8)

メールの内容は、極力簡潔なものにした。警察内での検閲に引っかかる恐れがあったからだ。

#

AI

至急連絡乞う。電話でが望ましい。



#

すぐに連絡が来るかは、自信がなかった。「表に出れる時間は限られている」と、亜衣も言っていたからだ。
美和と同居してはいないとはいえ、彼女の祖父母の目を掻い潜っての電話はなかなか難しいだろう。

それでも、善後策を彼女に相談する必要があった。現状では、ヤス……いや、古畑らに先んじられる可能性が高い。

※コンマ下

01~40 この日の電話はなし
41~70 深夜に電話あり
71~95 すぐに電話あり
96~00 こちらから電話しようかと思っていました



521 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 23:01:32.07sHb2HjdJO (3/8)

上げます。


522以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/24(月) 23:01:39.34OWYaVW9DO (1/3)

はい


523 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 23:09:39.68sHb2HjdJO (4/8)

#

結局、その日亜衣からの連絡はなかった。やはり、平日での連絡は難しいものらしい。

#

【6月19日】


翌朝。俺はいつも通りコーヒーを淹れ、NHKのニュースを確認する。
世間はワールドカップの話題で持ちきりだ。日本は負けるとの見方が大勢だし俺もそう思っていたが、今となってはさして関心がない。
日本は今日のコロンビア戦に勝ち、ベスト16でベルギーに劇的な敗退をすることになる。
結果が分かっているスポーツなど、熱心に見る気にもなれない。

……どうやら、「未来の記憶」があることは、人生をかなりつまらなくしてしまうようだった。

俺はブラジルのブレンドを飲みながら、職務の準備を進めていた。

※コンマ下
01~60 秋山の事件の続報あり
61~80 特になにもなし
81~00 電話が鳴った


524以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/24(月) 23:19:09.29+zLZBWlG0 (1/3)




525 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 23:32:36.05sHb2HjdJO (5/8)

TVからは秋山の事件の続報があった。

「先日遺体で発見されました、アキヤマ電機専務の秋山雄一さんについて、群馬県警は殺人との見方を固めました……」

やはり、か。この分だと、警察庁から群馬県警に何らかの指示があったかもしれない。
俺は溜め息をついた。出遅れたか。

亜衣からの連絡はまだない。出社すれば、何かあるだろうか。

#

PCを立ち上げ、メールボックスを確認する。新着メールは……あった。

#

毛利仁様

昨日はご連絡できず申し訳ありません。平日は、「表」に出るのがなかなか難しいです。
至急の案件とありましたが、どのような要件でしょうか?
こちらも可及的速やかに対処いたします。恐縮ですが、よろしくお願いします。

亜衣

#

やはり、か。どうにも機動的に連絡を取る相手としては、彼女は不向きのようだ。
俺は昨日のことをかいつまんでメールした。早く動きたいところだが、現状では限界がある。

どうしたものだろうか。

※2票先取

1 木暮管理官にも話す
2 亜衣の連絡を待つ(コンマ次第、ただし中確率)
3 城の通う学園大付属中学に行く
4 群馬県警にコンタクトを取る
5 その他自由安価





526以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/24(月) 23:39:25.85+zLZBWlG0 (2/3)

3


527以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/24(月) 23:46:37.33OWYaVW9DO (2/3)

2


528 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 23:50:44.98sHb2HjdJO (6/8)

0000までに決まらない場合はリセットします。


529以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/24(月) 23:53:24.81+zLZBWlG0 (3/3)

3


530以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/24(月) 23:53:29.05qlN7xthDO (2/2)

2


531 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 23:54:54.37sHb2HjdJO (7/8)

>>529は多重投票なので2とします。


532 ◆C9vIqtyVF22018/12/24(月) 23:56:41.82sHb2HjdJO (8/8)

※コンマ下

01~45 連絡は夕方になってから
46~95 連絡は10時頃
96~00 上+イベント


533以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/24(月) 23:58:03.82OWYaVW9DO (3/3)

はい


534 ◆C9vIqtyVF22018/12/25(火) 00:11:00.24nF6pZ+2tO (1/2)

【6月19日、10時02分】


川口付近で不毛な聞き込みをやっている時、スマホが震えた。……亜衣からだ。

「遅かったな」

『……すみません、自由の利かない身体でして。『思い出された』んですね』

「相当程度な。……秋山の件、察庁の部隊が先行している。バッドエンド・ブレイカーの犯行と、決め打ちされているな。
佐倉の件含め、こっちは出遅れている。お前の協力が欲しい」

『ありがとうございます。……しかし、難しい局面ですね。秋山の死因、薬物中毒死ってありましたけど、何の薬物かまでは分からない。アイスキャンディだとしたら……』

「佐倉にも繋がるな。俺の中での優先順位は、むしろこっちだ」

亜衣が何か考えている様子だ。

※コンマ下40以上で妙案あり、95以上だと?




535以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/25(火) 00:12:07.88Vozpcz0e0 (1/1)

えい


536 ◆C9vIqtyVF22018/12/25(火) 00:14:36.47nF6pZ+2tO (2/2)

今日はここまで。


537以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/25(火) 00:25:04.56gIT/MCEDO (1/3)




538 ◆C9vIqtyVF22018/12/25(火) 14:32:30.21AMAiBwXqO (1/3)

『同じ手段を使いましょう』

「同じ手段?」

『ええ。仁さんにメールを送ったように、群馬県警にもメールするんです。
仁さんから直接金路アゲハの件と秋山の件が結び付いていると指摘しても、反応は鈍いでしょう。
しかし、匿名の第三者なら?それも、関係者しか知り得ないことが、そのメールに書かれていたとしたら?』

あっ、と俺は声を出した。第三者の情報提供なら、群馬県警も動きやすい。
ただ、このやり方には問題もある。

「なるほど、面白い案だ。ただ、警察庁がこの事件のハンドリングを既にしていたら厳しいな。お前が警戒対象になるだけになる」

『……それは否定できないです。古畑は私の存在に感付いてましたか?』

「奴もお前のメールは見ている。ただ、それが宮原亜衣とは知らないはずだ」

『なら、試してみる価値はありますね。親しい群馬県警の友人は?』

「親しくはないが、借りのある刑事はいる。彼のメアドを、後で送ろう」

俺は渋川署のベテラン刑事、石塚を思い出した。若葉の件ではいきなり押し掛けたにもかかわらず、融通の効いた対応をした男だ。名刺も交換している。
彼経由で、話を動かすことができればいいが。

※コンマ下
01~10 石塚から連絡はない
11~30 参るんだぁ、そりゃ
31~95 どした?
96~00 面白れえ話あるぞ


539以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/25(火) 14:37:14.23a6sqrh8V0 (1/1)

そいや


540 ◆C9vIqtyVF22018/12/25(火) 14:50:25.54AMAiBwXqO (2/3)

#

亜衣との電話から30分後。俺のスマホが再び震えた。この市外局番は、恐らく石塚だ。

「もしもし、毛利です」

『おお、やっぱりあんたかぁ。その節は世話になったなぁ。若葉とかいう課長、どうなった』

上州弁なまりの、陽気そうな声が聞こえてきた。やはり石塚だ。

「職を解かれ、捜査中です。金路アゲハが犯した殺人のうち、一件の証拠隠滅に関わっていたのは立件できそうです」

『そりゃ何よりだぁ。……しかし、さっき届いたメール。参るんだぁ、そりゃ』

「といいますと?」

『昨日東京から偉い人さ来てなあ。重大事件につき警察庁で預かる言われたって、県警本部の友人が怒ってたさぁ。こちらでできることはぁ、なさそうだぞ』

危惧していた通りになったか。これでは秋山の事件から手掛かりを得るのは難しい。亜衣は骨折り損になってしなったか。

『しっかし、あのメールの差出人。警察関係者だべか?お前さんとも面識が?』

「ディープスロート(秘密の情報提供者)のうちの一人ですよ。信頼は置けます」

『んだかぁ。……アイスキャンディ、なぁ。そんな薬、初耳だべども』

……これは厳しいな。地道にやり直すより他ないか。

※50以上で別の情報提供あり(再判定あります)


541以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/25(火) 14:57:04.92gIT/MCEDO (2/3)

はい


542 ◆C9vIqtyVF22018/12/25(火) 15:50:07.68AMAiBwXqO (3/3)

『ただ、伊香保でちょっと面白ぇ話あんだば、聞ぐか?』

「面白い話?」

『んだ。……』

※コンマ下
01~70 若い女と男の子が平日に旅館に泊まってた
71~95 若い女と男の子が平日に旅館に泊まってたんだが……妙でなぁ
96~00 上+二人の名まで判明


543以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/25(火) 16:02:42.859ihpNx4DO (1/1)

ほい


544 ◆C9vIqtyVF22018/12/25(火) 22:10:27.95otT5Q04BO (1/5)

『若葉の捜査、伊香保周辺の聞き込みは渋川署が協力しとったろ?
んで、タレコミが誰かという話さぁ。これは後で赤木さんにも伝える予定だったげども、実ぅに興味深いんだぁ。
あのメールが来て、渡りに船だったさぁ』

「誰か分かったんですか」

若葉の話を知っている人間は、埼玉県警の内部者以外にはいない。しかし該当者は、今の所いなかった。
……つまり、情報が洩れていて、なおかつこちらに協力しようとする人間がいる。

『いや、確信はねえよ。ただ、ちょっと不自然な話があったんでねぇ。
『伊香保桐香ホテル』に、変わった客が泊ってたんだそうだ。どんな客と思う?』

「見当もつきませんが。まさか、それが通報者?」

『いんや、分がんね。ただ、俺の勘は何かあるとみてる。
若い、30前ぐらいの女と10歳ぐらいの小学生っぽい2人組の客だ』

少し考え、引っかかるものを感じた。平日に泊まりで、しかも2人組で旅行??

「確か、若葉の逮捕は6月13日。平日ですよね?母子という可能性は?」

『ホテルの従業員は、そりゃまずないと言ってる。まず、女が若過ぎる。
結構な別嬪さんだったらしいが、あれで40ということはまずねえなぁ。
姉と弟ってことで泊まったらしいんだが……面白れぇこと、その従業員が言ってたんだよ』

くっくっく、と石塚が笑った。

『風呂行くのに、2人して手を握ってたんだと。ありゃ肉親というより、恋人同士に見えたとさ』

「恋人……?そりゃないでしょう、だって大人と子供……」

そう言いながらも、俺の頭はフル回転していた。まず、本当に大人と子供の恋人同士という可能性。
親や世間に反対され、禁断の逃避行……というのはなくはない。しかし、不自然だ。
二つ目は、女が子供を誘拐している可能性。ただ、にしてはホテルの従業員の反応が変だ。


……ジジィッ


頭にノイズが走る。ある考えが、俺に浮かんだ。それは……「子供が子供ではない可能性」。


しかし、そんなことがあるのか?子供が、そんなことをできるのか??


『……どした?』

黙っている俺に、石塚が訊く。俺は、「いえ、貴重な情報、ありがとうございました」と会話を打ち切った。


そうだ。バッドエンド・ブレイカーが、「未来の記憶」を持つのであれば……。


「見た目は子供、頭脳は大人」の犯罪者だって、いても不思議ではないはずだ。


545 ◆C9vIqtyVF22018/12/25(火) 22:21:12.68otT5Q04BO (2/5)

俺は今までの捜査を思い出した。鬼束、練川、金路。その全てで、「まともな不審者は見当たらなかった」。
勿論、物証もろくにない。だからこそ、これほど捜査が難航している。

しかし、「不審者」の対象を広げるのであれば?

小学校中学年の子供が犯行現場近くを歩いていたとして、そいつが犯人とは、まず普通は思わない。
それに、今回は手口が毒殺だ。極めて的確に静脈注射を行っていたという倫先生の指摘からして、子供は当然犯人の対象から外れる。


だが、その前提が今、崩れた。


俺は赤木警部の電話番号を探した。もう一度、捜査をやり直す必要がある。


バッドエンド・ブレイカーは、ひょっとしたら……「子供」だ。


※80以上でイベント発生、未満なら視点が切り替わります





546以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/25(火) 22:21:44.10cUxfQBpA0 (1/2)




547 ◆C9vIqtyVF22018/12/25(火) 22:23:48.49otT5Q04BO (3/5)

※視点を切り替えます。どちらを先にやりますか?

1 コナン側
2 ジョー側

※2票先取


548 ◆C9vIqtyVF22018/12/25(火) 22:24:38.05otT5Q04BO (4/5)

なお、赤木警部に対し仁は真実を話さず「女をマークしてほしい」ぐらいに伝えます。
後で描写は入れますが、念のためです。


549以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/25(火) 22:25:23.42gIT/MCEDO (3/3)

2


550以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/25(火) 22:26:13.64cUxfQBpA0 (2/2)

2


551 ◆C9vIqtyVF22018/12/25(火) 22:33:16.69otT5Q04BO (5/5)

今日はここまで。

読んでいただければ分かると思いますが、ここから展開次第でちょっとキツい描写が出る可能性があります。


552 ◆C9vIqtyVF22018/12/26(水) 09:56:21.14Gt0KN1sSO (1/1)

【6月21日】


この日も空をどんよりとした雲が覆っていた。梅雨だから仕方ないけど、やはり気分は晴れない。
僕の日々は、すっかり色が褪せていた。行動に自由はなく、ただ家と学校を往復するだけ。ヤクが離れ、会話する相手もいなくなった。

時折、心配そうに彼女が僕を遠くから見ているのは知っている。心が痛まないわけではない。
でも、それが徐々に薄らいでいるのも分かっていた。


週末に「サクラ」に会えるからだ。


それが恋とかそういうのじゃないのは、理解している。ただ、「彼女」を抱き、そして抱かれている時は全てを忘れられた。
圧倒的な快楽。下半身が蕩けてなくなってしまうほどの愉悦。
いつまでこの日々が続くかは分からない。でも、できれば一日中、ずっと「彼女」とのセックスに浸っていたかった。思い出しただけで「ドライ」でイキそうになる。

僕は頭を振る。いけない、また勃ってきた。日曜まで、オナニーは禁止だったんだ。前立腺の疼きを、僕は無理矢理押し込めた。
正直、かなり辛い。こっそり抜こうと思ったのも、一度や二度じゃない。
ただ、「舐めれば分かる」んだそうだ。そして、約束を破ったら厳しい罰が下されるとも。それが怖くて、僕は何とか耐えていた。


アイスキャンディを高頻度で舐め始めて、分かったことがある。

まず、味覚が鋭敏になったこと。コンビニのご飯が、薬物まみれで食べられたもんじゃないのが分かり、閉口した。
次に、今みたいに性欲が強くなったこと。多分、その気になれば想像だけでも絶頂に達することができそうだった。
運動能力も上がった。体育の授業で、運動部の連中より100mが速かったのには、自分でも驚いた。

多分、あれの中身に含まれている成分が影響しているんだろう。本当に、夢のような薬だ。

※30以下で異変あり


553以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/26(水) 10:09:49.69x6npOl6DO (1/3)




554 ◆C9vIqtyVF22018/12/26(水) 13:34:59.74f+KCzff+O (1/1)

あの薬が広がったら、どんな世界になるんだろう。僕はそれを考えて、少し震えた。

#

図書館で勉強していて、下校は少し遅くなった。正門には、いつも通り矢向さんがいる。
無言で後部座席のドアを開けた彼が、少し止まった。

「どうしました?」

「……いえ、ちょっと」

※コンマ下
01~15 そろそろ「駆除」の時間ですかな
16~40 気のせいのようですね
41~60 ジョー、ちょっといい?
61~75 泣いている女の子がいる
76~90 おにーさん、ちょっといい?
91~00 ジョー、面貸せや



555以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/26(水) 13:42:55.5921SWYrM70 (1/1)




556 ◆C9vIqtyVF22018/12/26(水) 20:23:09.39BGCnwovjO (1/2)

車の前方には……ヤクがいた。まるで通せんぼをするように、手を大きく広げている。

「ジョー、ちょっといい?」

「……関係ないだろ、ヤクには」

矢向さんが彼女の方に向かう。僕は微かに恐怖を感じた。
彼は物腰こそ柔らかいけど、何か凄く危険なものを中に持っているような気がする。それがヤクに向けられたのなら……。

その時。

※コンマ下
01~30 もうやめてよ!
31~90 やっと捕まえたぞ
91~00 矢向さんが険しい顔で立ち止まった


557以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/26(水) 20:24:03.87/6Jqpwc70 (1/1)

ほい


558 ◆C9vIqtyVF22018/12/26(水) 20:35:31.84BGCnwovjO (2/2)

「やっと捕まえたぞ」

僕の背後に、短い髪の男が立っていた。矢向さんが見たこともない険しい顔になる。僕でも分かる。これは殺気だ。

そして、この男には会ったことがある。

「失礼。埼玉県警捜査一課、強行3係の毛利です。城隆一郎君に、話がある」

「……話、とは」

「彼の生命に関わる話です。あなたも聞いておいた方がいいかと」

「……いえ、遠慮しておきましょう。金路様らの件と、関係が」

毛利刑事は静かに頷いた。

「捜査が進むかもしれません。それには、彼の協力が必要だ。時間は取らせません。県警本部まで、彼に来てもらいたいのですが」

刑事の目が僕を見た。

「断っても構わない。ただ、君の身の安全がどうなるかは知らないが」

僕は迷った。多分、これは名目だ。本丸は、翔一らとの関係を聞き出す点にある。
ただ、この刑事の言うことがハッタリでないとしたら?

※2票先取
1 仁についていく
2 断る


559以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/26(水) 20:58:40.81x6npOl6DO (2/3)

1


560以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/26(水) 21:02:28.60ETH2byA60 (1/1)

1


561 ◆C9vIqtyVF22018/12/26(水) 21:45:06.61zeNgB8oYO (1/1)

僕は言葉を絞り出した。

「……分かりました。行きます」

「そうか。ご協力、感謝する」

刑事の視線がヤクに向いた。彼女は小さく頷き、その場を離れる。
ヤクは、この刑事に協力してたんだ。矢向さんから、一瞬でも僕を遠ざけるために。

その事実に、僕は苦いものを感じていた。

【6月21日、18時43分】


僕は小さな会議室に通された。てっきり、薄暗い取り調べ部屋みたいな所に連れていかれるのかと思ってたけど。

「腹、減ってねえか。何なら出前でも取るぞ」

ニヤリ、と赤木という刑事が笑った。

「……カツ丼でも取らせるつもりですか」

「ご所望ならな。旨いぞ、『やぶ八』のカツ丼は。というか、自分が犯人扱いされるとでも思ってんのか」

僕はゴクリと、唾を飲み込んだ。新型のアイスキャンディは……鞄の中だ。これを飲んで、無理矢理逃げる……?
いや、それはできない。どれだけの効果があるのかは分からないけど、きっとここからは脱出できない。
普通にしらを切り通すしかない。僕は大きく深呼吸した。

「荒川のことなら、弁護士を呼んでください。僕から話すことは、何も」

「そうかい。こういう時に駆け付けてくれる弁護士がいるたあ、違うねえ。
いや、真面目な話だ。それも訊きたいが、それ以上に訊きたいことがある。お前らを狙っている奴のことだ」

毛利刑事が少し身を乗り出した。

「さっきも言ったけど、君の生命に関わる話だ。君の証言が、大きく事態を動かすかもしれない。
まず質問だ。この春から、身の回りで不審な20代後半の女は見たか?こんな顔らしいが」

彼は似顔絵を僕に見せた。どこかのモデルだろうか?

「綺麗な人、ですね。彼女が、何か」

「いや、君の友人の殺害に関わっている可能性がある。どうかな」

「見たことがないです」

赤木警部が肩をすくめた。

「やっぱちげえんじゃねえのか?」

「……どうでしょう。じゃあ、これは」

子供の顔?名探偵コナンのコナンを、少しだけ大人にしたような顔だ。

……

※コンマ下(重要分岐です)
01~85 知りません
86~95 ……ん?
96~00 ……彼は


562以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/26(水) 21:48:11.43HXpjbKFDO (1/1)

はい


563以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/26(水) 21:48:45.63x6npOl6DO (3/3)

さて


564 ◆C9vIqtyVF22018/12/26(水) 22:23:00.15SF2OqmGZO (1/1)

今日はここまで。


565 ◆C9vIqtyVF22018/12/27(木) 10:06:59.34wLCtAfouO (1/1)

「知りません」

「やはりそうか。……まあ、そうだろうな」

毛利刑事が溜め息をついた。

「ガキも一枚噛んでるってのは、さすがに考えすぎだろうよ」

「……そうかもしれないですね。城君、悪かったな。ただ、一応彼らの顔を見たら連絡してくれ。万一ということもある」

「は、はあ」

僕はもう一度、似顔絵を見た。……子供が、僕を?

「君を呼んだ要件は、基本的にはここまでだ。送っていこう。飯はどうする?俺のポケットマネーで奢ってもいいが」

「……いえ、結構です」

#

「ヤクを、使ったんですか」

帰りの車内で、僕は毛利刑事に訊いた。彼は前を見たまま、表情を変えない。

「君に話すことじゃない」

「でもっ……!」

「君が立ち入る話じゃない。彼女の意思だ、とだけは言っておく」

ヤクが、僕を止めようと?……何でそ
んな、危険なことを。

毛利刑事が続けた。

「君らの間に何があったか、俺は預かり知らない。ただ、君のことを彼女は強く思っている。君が思うよりも。
子供の恋愛感情とか、そういう甘い次元ではない。君は、それをもう少し考えるべきじゃないのか」

僕は黙った。何を言っても、言い訳にしかならない気がした。

毛利刑事が、チラリと僕を見る。

「佐倉翔一からは、離れるべきだ。一刻も早く。……手遅れになる前に」

「どういう、ことですか」

嫌な予感がした。

※60以上でイベント発生


566以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/27(木) 10:15:05.65er5WqumN0 (1/1)

イベント


567以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/27(木) 10:16:35.03tG2k2fJM0 (1/1)

きた……!


568 ◆C9vIqtyVF22018/12/27(木) 13:19:48.96I16gRWOlO (1/1)

毛利刑事は、少し言い淀んだ。言うべきか否か、迷っているようだった。
車は大通りを逸れ、住宅地に入る。僕の家の方向ではない。

そして、公園の横で車が止まった。

「……どうしたんですか、急に」

「覚悟、をしてもらう話になる。君にとっては、残酷かもしれない。しかし、言わねばならない。君のためにも」

毛利刑事が僕を見た。その鋭い眼光に、僕は気圧された。

「な、何だっていうんです」

「『アイスキャンディ』。持っているんだろ」

僕の身体が一瞬飛び跳ねた。……そんな、馬鹿なっ!?

「な、そ……そんなの、知りませんっ!」

「しらを切っても無駄だ。俺は『知っている』。それがどんな薬で、どんな結末をもたらすかも」

「なっ……??」

僕は逃げ出すかどうか、暫し考えた。しかし、毛利刑事の目は僕を責める目でない。どういうことだろう?

「アイスキャンディを持っていたとしても、それだけで君はしょっぴけない。あれは『まだ』合法だ。脱法、というべきか。麻薬取締法で、君を逮捕や補導はできない。
むしろ、俺がしたいのは、忠告だ。心からの」

「……忠告?」

彼が頷いた。外では小雨が降り始めている。

「まず聞こう。アイスキャンディを飲み始めて、どれぐらいだ」

「……それが何か、関係が」

あれを飲み始めたのは……昨年の年末だ。「勉強会」が結成された、最初だったと思う。

「ある。俺の読みだと、君に残された時間は、あまりない。
アイスキャンディが本来どういう薬かは、知らないだろうな」

「えっ」

「だろうな。当然だ。ただの合法ドラッグとしか、教えられてないだろうから。
あれは認知症の治療薬、それも試験段階のものだ。人間の脳の働きを活性化することでボケを治す。しかし、それが引き起こす副作用は、あまりに深刻だ」

副作用??そんなの、聞いてない!

毛利刑事は話し続ける。

「大方、脳の眠っている力を呼び起こすとか言われたんだろう。アレの謳い文句だ。しかし、現実は違う。
脳の将来使われる部分を先食いし、殺していく薬なんだよ。つまり」


背筋が一気に冷たくなった。


……嫌だ、やめてくれ。





569 ◆C9vIqtyVF22018/12/27(木) 15:22:18.81H17Vy1M/O (1/1)

毛利刑事が、目を閉じ、そして口を開いた。

「……つまり、アイスキャンディは君の将来を食う薬だ。10年単位で脳の『余命』は削られ、やがては痴呆になり、廃人になる。
摂取の頻度にもよるが……飲み続ければ、1年もしないうちに壊れるだろう」


僕の座るシートが、地面に沈んでいくかのような錯覚があった。


「嘘だっ!!それに、何でそんなことをっ!!」

「俺は警官だ。君が考えるより、ずっと警察は優れている。隠せていると思っていることも、大体は分かる。
だからこそ、俺は佐倉を止めねばならない。被害がこれ以上拡がらないうちに。……取り返しがつかなくなりかねん」

毛利刑事が、まっすぐに僕を見た。僕の視界は、滲み始める。

「……ぼ、僕に何を……」

「それを今、考えている。副作用の進行次第だ。いつから飲み始めた」

「……きょ、去年の、年末です……」

胸の奥から、熱い何かが込み上げてくる。ただ、泣きじゃくりたかった。

※コンマ下
01~20 毛利刑事は目を見開いた
21~60 そうか……あと、1年といった所だな
61~90 そうか……あと、3年といった所だな
91~99 そうか……まだ君には、時間があるな
00 毛利刑事は目を見開いた(超特殊ルート)


570以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/27(木) 15:23:26.267WYvnjNm0 (1/1)

ジョーの寿命は何年かな?


571以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/27(木) 15:35:14.86oaZ4REnd0 (1/1)

今北


572 ◆C9vIqtyVF22018/12/27(木) 20:43:25.41NML7Dt61O (1/5)

「そうか……やはりあと1年といったところか。自覚症状は」

僕は泣きながら首をブンブンと振った。ない。……ないはずだ。


「あと1年」。刑事の言った言葉が、まるで錐のように僕の脳内に刺さった。
そんなのはデタラメだ。そうに決まってる。


しかし、歪む視界の向こうにいる彼の顔は、哀れみで揺れていた。


僕は……僕は、あと1年しか生きられないのか??





573 ◆C9vIqtyVF22018/12/27(木) 21:00:32.98NML7Dt61O (2/5)

「……う……ううっ……そ、それって、避けようが、ないんです、か……?」

毛利刑事は軽く息を吐いた。

「1年、というのは一般論だ。飲むのを今すぐやめれば残りが3年になるかもしれないし、飲み続ければ来月かもしれない。
……あるいは、もっと長く生きられる可能性も、なくはない」

「……どういう、こと、ですか」

「鍵は佐倉翔一が握っている。多分、奴はそれを知っているはずだ。だから」

彼は僕をじっと見た。

「……君の協力が必要だ。君がまだ動けるうちに、正気を保っているうちに、君の力で奴を逮捕したい」

「……翔一を、裏切れと」

「そうだ。奴は君を駒ぐらいにしか考えていないだろう。既に君は、裏切られている。
ならば、それを逆手に取る。簡単なことではないし、君も危険を冒すことになる。こちらも最大限のサポートはするが」

僕は、絶望しそうな思考を押さえ付けて考えた。この刑事は、随分と確信を持って喋っている。騙しているのかもと思ったが、そうじゃないらしい。
なら、翔一をこのまま裏切るとどうなる?……彼だけならともかく、矢向さんや唐川さん相手に、僕が勝てるわけがない。


何より、ヤクが危険に晒されるかもしれない。いや、既にそうなっているかもしれない。
心臓の音が、さらに速くなった。


「どう、裏切るんですか」

「それは、君からの情報提供次第だ。できるだけ、君には負担がかからないようにしたい。
佐倉と次会うのは、いつだ」

1 言う
2 言わない

※安価下3多数決

※仁への協力をし過ぎると、城への危険は高まります


574以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/27(木) 21:02:55.32MfZRl+M30 (1/1)

2


575以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/27(木) 21:14:54.06nP14EjCuO (1/1)

1


576以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/27(木) 21:27:44.93mKyMvvvDO (1/1)

1


577 ◆C9vIqtyVF22018/12/27(木) 22:06:45.96NML7Dt61O (3/5)

「……次の、日曜です」

僕は悩んだ挙げ句に、小さく言った。

「やはり、定期的に会っていたか」

毛利刑事の手が胸ポケットにあるタバコの箱に伸び、止まった。

「……しかし、難しいな」

大きな溜め息をついて、彼が黙った。

「何が、難しいんです」

「君の処遇だ。君は多分、佐倉からのボディガードに守られている。あれは、堅気ではない。裏を返せば、君が態度を豹変させたら、躊躇いなく君に牙を剥く。
さりとて、君が日曜に佐倉に会えば、多分アイスキャンディを服用させられるだろう。君にとっては、寿命を縮める行為だ。
あるいは、佐倉が勘のいい男なら……俺の『知る』佐倉なら……君の変化を見抜くだろう。そうなったら、君もただでは済まない。
……タバコを一本いいか。未成年者の前で吸うのは本来まずいんだが」

僕が小さく頷くと、「助かる」と彼はタバコに火を付けた。白い煙が立ち上る。

「……選択肢は、いくつかある。まず、君がこのまま、佐倉との付き合いを続けていくことだ。動きがあるまでは、現状維持でいい。ただ、時折情報を流すだけでいい。
その時になれば、俺たちが動く。君がすべきは、『何も知らないふり』だけだ。
ただ、繰り返すがこれは君の命に関わることだ。アイスキャンディのこれ以上の服用は、短い命をただ削るだけに過ぎない。
2つ目は、勝負をかけてしまうことだ。君に発信器を渡し、日曜かどこかの早い時期に、機を見て俺たちが現場に乗り込む。
ただ、佐倉翔一は現状、殺人の容疑者でも重要参考人でもない。決定的な何かが出ない限り、彼は無罪放免だろう。その後どうなるかは、全く分からない。
それに、発信器がバレたら一巻の終わりだ。君にはかなり負担を強いることになる」

毛利刑事がタバコを大きく吸った。

「3つ目は、君が失踪することだ。君は埼玉県警の保護下に置かれ、守られる。荒川の件も不問にしよう。
その代わり、君が知り得る全ての情報を吐いてもらう。一種の司法取引だ。
これにも難点がある。君の保護者、城寿美子の承諾がなければ意味がない。それに、君の大切な人――薬師丸英華さんに危害が加わる可能性は否定できない。
どれにもリスクはある。勿論、君は俺の提案を蹴ってくれてもいい。その場合は、俺は別のルートを探すだけだ」

再び白煙が、彼の口から吐き出された。

「決めるのは君だ。俺からは強いない」

静かだが鋭い目線が、僕を貫く。


僕の選択は……





578 ◆C9vIqtyVF22018/12/27(木) 22:10:13.18NML7Dt61O (4/5)

※最重要選択肢です。

1 現状維持
2 発信器を持つ
3 埼玉県警に逃げ込む
4 仁の提案を蹴る
5 その他自由安価

※3票先取

※上記のように、どれにもリスクがあります。
※自由安価はあれば歓迎です。

※質問は随時受け付けます。


579 ◆C9vIqtyVF22018/12/27(木) 22:11:38.88NML7Dt61O (5/5)

なお、「アイスキャンディを服用した上で佐倉を捕らえる」のはほぼ不可能です。


580 ◆C9vIqtyVF22018/12/27(木) 22:51:53.23HcadJm1fO (1/2)

上げます。0000までに有効得票数に達しない場合はリセットです。


581以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/27(木) 22:56:04.75MpAz+SdDO (1/1)

1


582 ◆C9vIqtyVF22018/12/27(木) 23:27:05.34HcadJm1fO (2/2)

もう一度上げます。


583 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 00:03:26.32MHc6E5ImO (1/2)

0000になりましたのでリセットします。

一応言いますと、どれを選んでも薬師丸英華が拉致されている可能性はあります。その場合は、城はある決断を迫られることになります。
ただ、選択肢によって助けるのがほぼ絶望的になるものと、そうでないものがあります。

引き続き質問は受付中です。よろしくお願いします。


584 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 00:55:22.55MHc6E5ImO (2/2)

寝る前に上げておきます。


585 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 07:09:45.50FJmokdpxO (1/1)

もう一度上げます。

昼頃再開予定です。


586以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 07:41:16.08NwA/wwA0O (1/1)

4


587以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 07:56:55.37OM9lVAfy0 (1/1)

4


588以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 08:16:38.91JTISf47/0 (1/1)

怖いね


589 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 09:54:23.656LxeVuDjO (1/5)

もう一度上げておきます。

協力しない場合は、城がどう動くかでかなり変わります。
このまま駒として使い捨てられるかもしれませんし、上手く立ち回れば別のルートに入るかもしれません。


590以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 10:40:52.69iuWERmGS0 (1/1)

2

城の勇気ある行動が自体を好転させることを信じて…!!ご愛読ありがとうございました!


591 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 10:59:35.576LxeVuDjO (2/5)

とりあえずヒントを。

1はローリスクローリターンです。ただ、有事には対応しやすいでしょう。

2は逆にハイリスクハイリターンです。ジョーのパートが早々に終わる可能性もそれなりに高いでしょう。

3は上手くすれば最大の果実が得られますが、ヤクが拐われたりもっと酷いことになる可能性も相当あります。

4はコンマ次第です。仁の捜査は遅れます。ジョーがこのまま佐倉に弄ばれる可能性はありますが、ヤクは比較的安全です(ただ、ジョーがどうなるかは別ですが)。


592以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 11:47:29.96ppR+8k/DO (1/5)




593以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 13:36:23.95wNkri7Oy0 (1/1)

1


594以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 13:41:22.38JpwWKE7DO (1/2)

1


595 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 14:48:08.266LxeVuDjO (3/5)

「……僕の身の安全は」

「俺たちが保護するのでなければ、最終的には君自身が守るしかない。だから今はまだ、派手に動くのは避けるべきというのが俺の判断だ。
そう望まないなら、君には多くは求めない。君の安全のためにも」

毛利刑事が、車の灰皿にタバコを押し付けた。

「その代わり、君の命は削られることになる。俺たちの言葉で言えば、君は『泳がされている』状況だ。
『S』――スパイとして何かを積極的に行ってくれなくてもいい。何かしら異変があった時だけ、連絡をくれればいい。どうする」

僕は目を堅くつぶった。涙が絞り出される。


もう、残り少ない命なら。


脳裏に浮かんだのは、ヤクの笑顔だった。
彼女を守れる可能性が高いのは……多分、これだ。


僕は顔を挙げる。

「毛利さん、あなたの提案に……乗ります。いつも通りにして、翔一を観察すればいいんですね」

彼は小さく首を縦に振った。

「……ありがとう。心より感謝する。まず、連絡は極力、SMSかLINEで頼む。君の家に、盗聴機がないとも限らない。
それと……努めて『普段通り』にしてくれ。難しいのは分かっている。が、それが一番重要だ」

ゴクリ、と僕は唾を飲んだ。

「……どういう時に、連絡を」

「君を狙う人間が現れた時。そして、佐倉が何らかの動き――特に、アイスキャンディを広げようとした時だ。殺人など、重大犯罪に動こうとした時も含まれる。
いつ連絡するかは、君次第だ。だが連絡する時は決定的な局面の方がいい。俺たちも、できれば一発で決めたい」


毛利刑事の目が、僕のそれを見た。

「できるな」

「……はい」




596 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 14:50:15.196LxeVuDjO (4/5)

※コンマ下
01~30 再判定
31~95 通常ルート(コナンパートへ移行)
96~00 特殊ルート


597以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 14:54:34.60ppR+8k/DO (2/5)

はい


598 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 15:00:10.486LxeVuDjO (5/5)

再開は夜です。

なお、上の判定は有効にしますが一つだけ追加の判定を入れます。

※50以下で追加パートあり


599以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 15:02:44.07RdaLa/Rw0 (1/1)

何だろ


600 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 20:21:19.16h9vDqhdLO (1/7)

「さて………」

イグニッションボタンを押し掛けた毛利刑事が、直前で何かを思い出したかのように手を止めた。

「ちょっと待て。今、アイスキャンディを持っているな」

「……え?」

彼の目が、再び鋭くなった。

「念のため、こちらに渡してもらおう。解析などをする必要がある。これをもって君を罪に問うことはない」

今、僕の手元にあるのは……緊急時に飲むよう言われた、新型だ。
本当に危機が迫った時に飲めば、人の脳をフル活用できる……と翔一は言っていた。
だけど、これを手放したなら……僕を狙う奴に対抗できない。どうしよう。

※2票先取

1 渡す
2 渡さない


601以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 20:28:53.66JpwWKE7DO (2/2)

1


602以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 20:31:15.51ppR+8k/DO (3/5)

1


603 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 20:41:27.20h9vDqhdLO (2/7)

僕は鞄を見た。この奥に、それはある。強く目をつぶり、そして決心した。

「……これです」

たった一つの錠剤。アルミみたいな包みで覆われている。

「助かる。こちらで、慎重に取り扱おう」

毛利刑事は、それを懐に入れた。僕を守る切り札は、もうない。

車はゆっくりと走り始めた。翔一に会うのは、日曜。その時、僕は自然にしていられるだろうか?


刑事と会う前に感じていた下半身の疼きは、とうに消えていた。





604 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 21:04:11.69h9vDqhdLO (3/7)

【6月19日、13時41分】


あれから、あたしとコナン君との間は、少しギクシャクしていた。……というより、あたしが一方的に意識してしまっているだけかもしれないけど。

あたしは、アイスキャンディの効果で肉欲に流された。それを直接見られはしなかったけど、それでもコナン君に気付かれた。
それがたまらなく恥ずかしくて、悔しかった。秋山の件も、最後にしくじってしまった。

自分を責めるな、とコナン君は言った。それはそうかもしれない。
ただ、あたしがコナン君に見合う人間なのか。……それは全く、自信がなかった。




605 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 21:09:18.35h9vDqhdLO (4/7)

#

秋山を殺した後、あたしたちはしばらくの自宅待機を命じられていた。
佐倉をどうするかは、落ち着いてから話し合う感じであるらしい。
家にいるだけだから、基本的には暇だ。コナン君はどこから持ってきたか、大量の本を読んでいる。
あたしもそのうちの一つを読もうと思ったけど、難しくてよく分からない。結局、スマホを弄るだけになる。

あたしは、窓の外を見た。今年は空梅雨だけど、晴れているわけでもない。薄暗い曇り空が、あたしを憂鬱にさせた。


その時、コナン君の電話が鳴った。


「はい。……え」

コナン君の表情が、たちまち厳しくなる。何回かやり取りがあり、彼は険しい表情で電話を切った。

「どうしたの?」

「……厄介なことになりました。埼玉県警が、僕らのことに気付き始めたかもしれない」

「……えっ!?」

私のドジのせいだ。秋山の件が、明るみになってしまったんだ。
あたしは、その場に崩れ落ちた。目には涙が浮かぶ。

「ご……ごめんなさいっ……!!あたしの、あたしのせいだっ……」

あたしの頭を、コナン君がそっと抱きかかえた。

「……自分を責めないでください。僕の責任でもある。それに、これはちょっと変だ」

「……変?」

コナン君が頷いた。何が変なんだろう?

「秋山の件は、多分僕らの犯行と勘づかれてます。捜査を主導しているのは、多分警察庁でしょう。
ただ、それなら群馬県警が僕らに気付いているはず。埼玉県警がというのは、どうにも妙だ」

「彼らが追っているのは、アゲハの件、なの?」

「らしいです。しかし、いきなり捜査方針が変わったとか。若い女と子供を調べろ、という話になっているそうです」

「……あたしが、見られたのかな」

コナン君が、強く首を横に振った。

「いえ、ならもっとずっと早く動いてるはずです。ひょっとしたら……」

何かをコナン君は考えているようだった。

「ひょっとしたらって、どういう……」

「……僕らの正体に、気付き始めている人間が、あの中にいる可能性がある。そして、その人間は僕と同じ存在かもしれない」

「同じ存在って、まさか」

彼は頷いた。額から汗が、一筋流れている。


「僕と同じ、覚醒者ですよ」






606 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 21:13:37.29h9vDqhdLO (5/7)

覚醒者?未来から精神だけがこの時代に飛んだとかいう人、だっけ。でも……。

「覚醒者って、そんなにごろごろいるの?」

「分かりません。あの時、少なからぬ人が、『グラウンド・ゼロ』にいましたから。
ただ、そう多くもないはず、と勝手に思ってました」

※70以上でコナンに心当たりがある


607以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 21:17:26.04TpxCKyLP0 (1/1)

えい


608 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 21:25:54.35h9vDqhdLO (6/7)

コナン君が腕を組んだ。

「しかし、一体誰が……一つ言えるのは、とても動きにくくなったということですね。しばらくは、興也さんや由依さん、源さんに頼るしかない」

「……そんな」

「アユさんのせいじゃないです。こんな事態は、完全に想定外だ。しばらくは、城や鶴岡の監視を地道に続けるより外なさそうです」

コナン君も、窓の外を見た。彼が抱えている感情も、あたしと同じなんだろうか。晴れない気分は、しばらく続きそうだった。

※80以上で追加イベント


609以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 21:30:32.61ppR+8k/DO (4/5)

はい


610 ◆C9vIqtyVF22018/12/28(金) 21:44:27.78h9vDqhdLO (7/7)

今日はここまで。


611以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/28(金) 21:47:19.89ppR+8k/DO (5/5)




612 ◆C9vIqtyVF22018/12/29(土) 12:18:48.047jCpdRkoO (1/1)

【6月22日、9時31分】


「……えっ?」

遅めの朝ご飯を食べていたあたしたちの時間は、コナン君のスマホの着信音で破られた。
電話に出るなり、コナン君の表情が変わる。驚きと喜びが混じったような感じだ。
コナン君が素直に喜んでいるのを見るのは、とても久し振りな気がする。

「はい。……なるほど、そうですか。今日、ミーティングですね。了解です」

電話を切ると、コナン君はふーっと長い息を漏らした。

「どうしたの?」

「朗報です。埼玉県警と城隆一郎が、接触しました。アイスキャンディも押収したと」

「えっ??それって、ひょっとしてかなり良いことなんじゃ?」

コナン君が笑みを押さえきれずに頷いた。

「埼玉県警がやっと動き始めたようですね。これで、こちらも仕掛けやすくなる」

「城って子、逮捕されたの?」

「そうとは聞いてないです。『エス』として使うつもりでしょう。向こうも本丸の佐倉翔一が狙いでしょうから。
これから、実際に会ってのミーティングです。父さんは本業で来れないですけど、後は大体来ます」

やっとこのもやもやした日々から抜け出せるようだ。あたしはホッとした。コナン君との関係も、もう少し近くなるといいのだけど。

※70以上で追加イベント


613以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/29(土) 12:36:51.08KgFQly2uO (1/1)




614 ◆C9vIqtyVF22018/12/29(土) 14:00:38.17shzIicN+O (1/5)

※追加キャラの登場はなし

「今日のミーティングは横浜だそうです。ちょっと遠いですが、いいですか?」

「横浜……行ったことあったかな……」

「意外ですね。僕の家からは近いですが」

「そうなの?」

コナン君が頷いた。そういえば、コナン君の家庭のことは、ほとんど聞いてない。

「母さんと妹で住んでるはずです。もちろん、僕らが何をしているかは知らないでしょう。一応、僕は父さんとアメリカにいることになっていますし」

「……そうなんだ」

あたしは、彼のことをあまり知らないのに気付いた。聞いてはいけないという感じがしていたからだ。それは、彼の正体を知った今でもそうだ。
でも、そろそろ知っておくべきなんだろうか。あたしが、コナン君と向き合うのなら。

#

「変わった形のビルだね。あれは何?」

「ホテルですよ。船の帆をイメージしたとか。……ここに入ります」

大きな、テレビドラマでよく見る観覧車を背にしてあたしはハンドルを切った。
ホテルに入り、上層階に向かう。いつも通りの合い言葉で、あたしたちは部屋に入った。

網笠さんが、一人海を見ている。コナン君が呼び掛けた。

「どうかされました」

「いや……感傷にふけっていただけだ。まだ、海がこんなに『綺麗』だとはね」

海がキレイ?東京湾の海だなんて、たかが知れてるのに。未来はそんなにひどいのだろうか。

網笠さんは、ふっと笑った。

「ともあれ、事態は動いた。埼玉県警は時期を見て動こうとするだろう。機先を制することが重要だ。
……にしても、埼玉県警の覚醒者とは……何者だ?藤原君、心当たりは」

「いえ。……『彼』も知らないようでした」

「……そうか。あの時、あの場所にいたのは限られている。埼玉県警の人間がいたかどうか」

※コンマ下
01~80 通常ルート
81~95 亜衣のことは知っている
96~00 仁の存在に気付かれる


615以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/29(土) 14:08:43.24EqZkC+Gc0 (1/1)




616 ◆C9vIqtyVF22018/12/29(土) 14:39:44.32shzIicN+O (2/5)

「可能性はあります。青山憲剛の件を追っていたのは、僕ら『東』の警視庁だけではなかったですから。古畑ら『西』の公安もいましたし、埼玉県警がいても不思議ではない。
ただ、それが誰かまでは。網笠さんは分かりますか」

「私にそこまでは分からんよ。せいぜい、警視庁の君たちと、『西』の連中までだ」

青山憲剛?……誰だろう。

インターフォンの音がした。興也さんが入ってくる。

「やっとですね。埼玉県警が藤原さんのことを勘付いたと知らされた時には、ヒヤッとしました」

「ただ、依然僕とアユさんは動きにくい。色々お願いすることになりそうです」

「了解です、と言いたいですが……僕や浅賀君、小峰君の面まで割れてたら厳しいですね。誰が『覚醒者』か、特定したいところですね」

またインターフォンが鳴る。ミーティングが、始まろうとしていた。

#

「……現況は以上だ。まず、厄介な埼玉県警の覚醒者が誰かだが。私と藤原君には心当たりがないが、君たちはどうか」

網笠さんが、興也さんたちに呼び掛けた。

※85以上で源が知っている、再判定


617以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/29(土) 14:42:59.09dahSrmVDO (1/1)

はい


618 ◆C9vIqtyVF22018/12/29(土) 23:10:08.46shzIicN+O (3/5)

「いや、ちょっと分からないです。あんたはどうなの」

「……俺に訊かれてもなあ」

源君の言葉に、由依ちゃんが大きな溜め息をついた。

「だと思ったわ。基本、あんとき皆安田講堂の方ばっかり気にしてたしね……」

安田講堂?東大で何かあったのだろうか。

「……ちょっといい?青山憲豪って、何者なの?」

あたしの質問に、コナン君がスマホを弄って画面を見せた。

「日本が誇る天才医学者にして物理学者、ということになってます。現在35歳。
この若さで東大教授というのは、まずあり得ない。ただ、奇人でも知られていますが。この時代においても」

「その人が、何かしたの?」

皆険しい顔になって黙った。どうやら、未来に関わる重要な話であるらしい。

コナン君が、沈黙を破った。

「あまり、詳しい話は言えないんです。ただ、僕らがここに来た理由を作り出したと思われる人物でもある。
アイスキャンディの元になる技術も、彼の発案です。とはいえ、彼は研究内容が何に使われるかに、酷く無頓着な人間ですが。
一つ言えるのは、彼の狂気が多分、僕らの世界を壊したということでしょうか」

「世界を壊した?」

コナン君が首を振った。どうにも物騒な話だけど、彼はコナン君たちの標的にならないのだろうか。

「現時点では、アユさんに言えるのはここまでです。
ただ、彼を殺していいものかは、まだ結論が出てない。彼の研究が、世の中を劇的に良くした面もあるからです。
まあ、今回の件とは、多分無関係でしょう」

そう言えば、どうして20年後からこんなにたくさんの人が「未来の記憶」を持っているのか謎だった。
いつかあたしも知る日が来るのだろうか。

コホン、と網笠さんが咳払いをした。

「話を元に戻そう。差し当たり、城の監視に誰か付いてもらおう。須田君、いつも通り頼めるか」

興也さんが難しい表情になっている。どういうことだろう。

「……城のボディーガードに気付かれているかもしれません。かなり遠間からの観察ですが、あいつはかなり勘が鋭い。
一度誰かに切り替えた方がいいかもしれません」

「そうか。なら小峰君。どうだ」

「了解です。ただ、平日に動けるのは今日ぐらいですね。一応これでも学生なので、ブッチ(ずる休み)は月2が限界です」

「私も同じ。てか、公安の増田もいるっぽいんでしょ?埼玉県警、増田、そしてあの男。結構ハードル高いね」

ふむ、と網笠さんが唸った。

「本来なら藤原君を使いたいが、誰が埼玉県警の『覚醒者』か分からないことにはリスクがあるな。
一応、『彼』に調査は依頼しよう。ただ、『彼』も心当たりがないというのは厳しいが」

「彼って誰ですか?」

あたしの問いに、網笠さんは短く「警察内部者だよ」と返した。だからここまで内情が筒抜けなのか。

「とにかく、藤原君と吉岡君は当面はフリーでいい。外出はしてもいいが、極力埼玉県外が望ましいな。
無論、城や鶴岡が寄りそうな場所は除外だ」

「了解です」

コナン君が鋭い目で返す。……どんなことになるんだろう。あたしの心のもやもやが、また増した気がした。


619 ◆C9vIqtyVF22018/12/29(土) 23:12:25.75shzIicN+O (4/5)

※コンマ下

01~10 ?????
11~20 特に何もなし(仁パートへ移行)
21~80 追加イベント(箸休め的なモノ)
81~00 重要イベント

(特に99、00は今回のみ優遇します)


620以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/29(土) 23:17:40.606CWT7tql0 (1/1)




621 ◆C9vIqtyVF22018/12/29(土) 23:19:03.90shzIicN+O (5/5)

今日はこれまで。年末年始は更新遅めになります。



622 ◆C9vIqtyVF22018/12/30(日) 09:20:20.96yM4GtFTPO (1/1)

【6月22日、14時21分】


あの後、細かい動き方などの打ち合わせをして解散になった。基本的に、この後の行動は自由という。完全にプライベートの外出は、池袋の時以来かな。
あれから随分たった気がする。あたしの立場も、コナン君との関係も変わった。

「そういえば、ご飯まだでしたね。どこかで軽く食べましょうか」

コナン君が呼び掛ける。

「……あたしたち、出歩いてて大丈夫なのかな」

「僕らは指名手配犯でも、何でもないですからね。埼玉だと県警がマークしてるかもですけど、それにしても多分小規模です。
まして、横浜は神奈川県警の管轄ですから。警察の縄張り意識の高さからして、疑われることはまずないですよ」

「そんなもの、なのかな」

あたしたちはホテルを出る。横浜なんて、ちゃんと来たことはない。群馬の田舎者にとっては、まるで未知の街だ。

「せっかくだからさ、コナン君少し案内してくれない?あたし、横浜はほんと知らなくて」

「あっ、そうなんですか?……そうだな……」

1 みなとみらい、少し歩いてみます?
2 中華街まで行ってみましょうか
3 山下公園行きますか?
4 ちょっと方向違いますけど、ラーメン博物館行きます?

※2票先取
※コンマ次第でそれぞれ偶発イベントがあります


623以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/30(日) 09:23:53.17asbz8IrDO (1/3)

4


624以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/30(日) 09:43:04.62um8Al+hh0 (1/1)

3


625以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/30(日) 12:01:43.00MUwGhYsFO (1/1)

4


626 ◆C9vIqtyVF22018/12/30(日) 21:53:27.18AmnL17/IO (1/4)

「ちょっとここから距離はありますけど、新横浜のラーメン博物館行きますか?」

「えっ、ラーメン?」

「ええ。平日ですし、もうご飯時ではないですから空いてると思いますよ。昼ご飯ついでに、どうです?」

ちょっと意外だった。中華街とか、普通の観光名所を案内されるとばかり思ってたからだ。

「うん、いいけど。ラーメン、好きなの?」

「まあ好きなのもあるんですけどね。……『昔』、よく行ってたんです。懐かしくなって」

ああ、そうか。20年後は、ラーメン博物館もなくなっているのかもしれない。
そういうことなら、喜んで行こう。あたし自身、ラーメンはそんなに詳しくないけど。

「分かった。道はカーナビ入れれば大丈夫かな」

「ここからなら僕が案内できますよ。行きましょうか」

#

車は東神奈川の駅を通り過ぎた。コナン君が、遠い目で車外の風景を見ている。

「どうしたの?……ひょっとして、家ってこの近くなのかな」

コナン君が少し驚いたようにあたしを見た。

「……!そうです。母さんも妹も、まだこの近所に住んでるはずです」

「そうか……ここから新横浜って、近いのかな」

「車で10分もかからないですかね。よく、家族でラー博には行ってました。
年間パスポートも取ってましたね」

「年パス?そんなに好きなんだ、ラーメン」

バツが悪そうに、コナン君が頭をかいた。

「ま、まあ……父さんと母さんが好きなんで、その影響ですけどね。
アユさんは、ラーメンは?」

「群馬はあまりラーメンが美味しいとこって聞いたことないから……。
栃木だと佐野ラーメンとかあるけど」

「確か、アユさんの出身は高崎でしたよね。『なかじま』とか『くろ松』とか、結構美味しい所ありますよ」

あたしはビックリした。コナン君がそこまで詳しいとは思わなかったからだ。

「えっ、知らない。……落ち着いたら行きたいね」

「……そうですね」

あたしはそこまで言って思った。「落ち着いたら」ってどうなればいいんだろう。佐倉を殺したら?
でも、彼の仕事には終わりがあるとは思えない。お母さんや妹さんの元に帰る日は、来るんだろうか。


627 ◆C9vIqtyVF22018/12/30(日) 22:10:42.20AmnL17/IO (2/4)

#

新横浜の駅近くに、ラーメン博物館はある。ビル内の駐車場は平日だからか随分と空いていた。
入口で大人一人と子供一人分の入場券を買う。2人で410円か、以外としないんだな。

一階は土産物売り場みたいだ。奥の方に何か遊ぶところがあるみたいだけど、とりあえずお腹が空いた。

「お店は地下ですね。何か食べたいのありますか?」

「うーん……横浜って確か、家系が有名なんだよね。食べたことないんだけど」

コナン君が唸った。

「実は家系そのものは、ラー博にはないんですよね。近いのならありますけど、そこにしますか」

地下に行くと古い昭和の街並みのようなセットがあった。この中に、お店があるという感じらしい。

「やっぱり平日だからそんなに人いないね。休日は凄いの?」

「1時間とか待ちますね。今から行くところは、休みの日だと結構待つはずですよ」

※95以上で追加イベント



628以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/30(日) 22:11:17.86asbz8IrDO (2/3)

はい


629 ◆C9vIqtyVF22018/12/30(日) 22:58:38.17AmnL17/IO (3/4)

※コナン母との遭遇はなし

店の名は「無垢 ツヴァイテ」というらしい。変わった名前だな。

「『ツヴァイテ』?何語だろ」

「ドイツ語ですよ。ここ、本店はドイツなんです。
最近は、こういう『逆輸入ラーメン』が増えてるみたいですね」

コナン君は、慣れた感じで「無垢ツヴァイテラーメン」の食券を買う。
……1200円??ラーメンって、こんなに高かったっけ。

「あ、値段は気にしなくていいですよ。僕が出しますから」

「う、うん。でも結構高いね」

「まあ、元々ラー博は少しお高めですから。それに、食べてみれば値段の意味も分かりますよ」

客はあたしたちだけだ。食券を渡すと、店員が黙々と調理をする。
5分ほどして、丼が出てきた。スープが茶色くて、見るからに濃厚そうだ。上には野菜と、よく分からない茶色の個体が浮かんでいる。

「これが家系なの?」

「んー、スープの構成とかはかなり違いますけどね。ただ、味は比較的近いと言えば近いでしょうか」

麺は少し太めだ。スープの色に染まっている。啜ると……あれれ?

「……こ、これって。パスタっぽい、よね」

「そうですよ。ピザ用の小麦粉と、パスタに使うデュラム・セリモナ粉をブレンドしてるんです。面白いでしょ」

こんなラーメンは食べたことがない。それに、とても濃厚だ。豚骨醤油?

「うん、美味しい。それにしても、ちょっと変わった味……この固体が、またコクがあって」

「背脂をハーブとかに漬け込んだ、『スペック』ってドイツの食材ですね。上の白いのは、キャベツの酢漬け『ザワークラフト』。
ドイツにある食材を使ってラーメンを作ろうとしたら、こんな家系風の味になったみたいです」

コナン君は楽しそうに話し、麺を啜っている。こんな彼の顔を見るのは、初めてかもしれない。
あたしは、ひょっとしたら「本当のコナン君」をほとんど知らなかったのだろうか。

スープをレンゲですくって飲むと、複雑だけどどことなく懐かしい味がした。
これが、コナン君が家族と食べた味、なのかな。

#

「美味しかったね。今度は、本物の家系ラーメン食べたいな」

「そうですね。埼玉じゃちゃんとしたのないですから、やっぱり横浜になっちゃいますけど」

あたしは結局、スープまで全部飲み干した。こんな美味しいラーメンは、初めてだった。
カロリーはちょっと気になるけど。家に閉じこもってるから、少し運動しなきゃ。

少し1階奥にある、昔のミニ四駆――スロットカーというらしいけど――で遊んで、家で食べる用のラーメンをいくつか買った。
料理が上手いコナン君だけど、さすがにラーメンは難しいらしい。
「せいぜいチャーシューまでですかね」というけど、チャーシューを作れる時点で凄いと思う。

※80以上で特殊イベント



630以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/30(日) 22:59:49.02Yk1d3ycv0 (1/2)

特殊


631 ◆C9vIqtyVF22018/12/30(日) 23:12:49.31AmnL17/IO (4/4)

※横浜アリーナでイベントはなし

今日はここまで。少し進めてから仁パートになります。


632以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/30(日) 23:19:22.68asbz8IrDO (3/3)

乙です


633以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/30(日) 23:35:22.87Yk1d3ycv0 (2/2)

乙乙


634 ◆C9vIqtyVF22018/12/31(月) 09:58:16.39d1DgvRZ9O (1/3)

#

車に乗ると、コナン君はすぐ眠ってしまった。「表」に出るのは負担がかかるって言ってたけど、今日はずっと起きてたから大変だったのかもしれない。

助手席の寝顔を見ていると、本当に普通の小学生にしか見えない。あどけなくて、純真そうな寝顔だ。
あたしは信号待ちの間、彼の髪にそっと触れた。何か、不思議な気分だ。

その時、彼が小さく何かを呟いた。寝言かな。


「……お母さん……」


それが今のコナン君が言ったのか、それとも「9歳のコナン君」が言ったのか、あたしには判断がつかなかった。
ただ、胸がきゅっと締め付けられる感じがした。


635 ◆C9vIqtyVF22018/12/31(月) 10:10:55.15d1DgvRZ9O (2/3)

【6月23日、8時14分】


俺は淹れたてのマンダリンを、一口飲んだ。深いコクが、俺の喉を通り抜ける。ふうと息をつき、天井を何ともなしに見た。
今日は久々の、フルの非番だ。ゆっくりと時間を過ごすことができる。

城からの連絡は、今のところない。明日会うということだが、俺との接触を見破られなければいいのだが。
押収したアイスキャンディの解析結果は月曜だ。伊香保で目撃された、若い女と子供の目撃証言も、今はまだない。
現状できるのは、ただ待つことだけだ。

そういえば、美和とちゃんと会えていなかったな。少し早いかもしれないが、電話でもしてみるか。

※25以上なら出る


636以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/31(月) 10:15:27.60Yzc98xR90 (1/1)




637 ◆C9vIqtyVF22018/12/31(月) 10:32:57.56d1DgvRZ9O (3/3)

『あ、仁さん?久し振り……ってわけでもないか。日曜に熊谷で会ったもんね』

「すみません、朝早くに。何か、声が聞きたくなって」

ふふっと美和が笑った。

『珍しいね。仁さんからそう言ってくるの。私もちょっと寂しかったし。今日は非番なの?』

「ええ。会えませんか?」

『そだね。明日は亜衣と会わなきゃだけど、今日は大丈夫。どこに行こうか?』

1 カフェ・ドゥ・ポワロに行きますか?
2 ラーメンでも食べに行きますか?
3 うちに来ませんか?

※2票先取


638以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/31(月) 10:43:41.76xiI9JEzDO (1/1)

1


639以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/31(月) 11:10:49.71t5ZnuTT40 (1/1)

1


640 ◆C9vIqtyVF22018/12/31(月) 14:19:16.54zreXmyImO (1/3)

「カフェ・ドゥ・ポワロに行きますか?コーヒー教室以外で行ったこと、確かあまりなかったはずですし」

『いいね!でも混んでないかな』

兵さんの店は中年女性を中心に人気だ。シフォンケーキを目当てに長蛇の列ができていることも少なくない。
ただ、いい店なのも確かだ。慣れた場所でゆっくりするのもいいだろう。

「まあ、早めに行けば大丈夫でしょう。待ち合わせは?」

『そうだねぇ。川越駅でいい?』

「いや、大宮まで迎えに行きますよ。川越だと、電車代かかるでしょう」

『いいのいいの、そこは気にしないってことで。じゃあ10時半で』

「了解しました。では」

電話を切り、俺はふうと息を吐いた。どうにもここしばらく、張り詰めた日々が続いていた。たまには、羽根を伸ばしてもバチは当たるまい。

#

「お待たせ。雨降らなくて良かったねぇ」

美和はキャミソールの上に薄手のピンクのブラウスを羽織っている。これで5歳の子供がいるとは、あまり思えないだろう。

「ですね。行きましょうか」

俺はフィットのキーを回した。ここから兵さんの店までは20分もかからない。

「そういえば、この前はすみませんでした。途中で帰っちゃって」

「事件でしょ?しょうがないよ。私こそごめん。亜衣がいたから、あまり相手できなかったし。結局、待ち合わせは?」

俺は一瞬言葉に詰まった。本当のことを言っても、信じてはくれまい。仮に信じたとしたら、それはそれでショックだろう。
娘が本当は25歳で、しかも自分は来年4月に死ぬはずだと知ったら……俺なら卒倒するな。


そうはさせない。そのために、俺はいる。


「……仁さん?」

「あ、いや……空振りでした。そういうこともあります」

※90以下で通常ルート


641以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/31(月) 14:49:56.92evaLNjSB0 (1/1)

ほい


642以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/31(月) 21:11:27.58KBqX1UMZo (1/1)

期待


643 ◆C9vIqtyVF22018/12/31(月) 23:07:16.97zreXmyImO (2/3)

しばらく、妙な沈黙が流れる。それを破ったのは、美和だった。

「……本当?それ」

一瞬、俺の背中に電流が走った。まさか。

「……どういうことですか」

「私、仁さんと亜衣が何か話してるのを見ちゃったの。あれは、大人が子供に話してるのとは、違った」

美和が帰ってくる前に会話を打ち切ったつもりだったが、少し聞かれていたのか?

「気のせいじゃないですか」

「……そうかな。亜衣、あれから様子が変だったもの。妙に子供っぽいわがままを言ったりして。
まるで、何かを隠そうとしているかのように思った。仁さん、心当たりある?」

これは……真実を語るべきなのだろう。俺は溜め息をつきたい衝動に駆られた。

「……とても言いにくい話です。できれば、誰もいない場所で、腰を据えて話したい」

「言いにくい話?」

怪訝そうな表情の美和の目を見た。そうだ。俺がこの後も彼女と生きていこうとするなら、誤魔化すことはできない。

「ええ。そもそもの問題、信じてくれるか、正直に言って自信がない。
それに、受け入れがたい話でもある。できれば、亜衣ちゃんも交えて話したいですが……」

「亜衣も?……ちょっと話が見えてこないけど。じゃあ、予定変更する?
亜衣なら、熊谷の両親のとこにいるけど」

※85以上で白田の店の個室を借りれる



644以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/12/31(月) 23:07:59.005L9eDS0D0 (1/1)




645 ◆C9vIqtyVF22018/12/31(月) 23:38:40.31zreXmyImO (3/3)

※00のためある修正を入れます

「そうですね……。ただ、その場所は兵さんの店のままでいいですか。ちょっと時間はかかりますが。
頼めば、兵さんは個室を貸してくれるでしょう」

「え、あそこ個室なんてあったんだ」

「普段は解放してないんですけどね。ちょっと訊いてみます」

俺はコンビニの駐車場にフィットを入れ、兵さんの携帯に連絡する。まだ開店前だから、電話に出る余裕はあるはずだ。
果たして、すぐに彼は出てきた。

『おう、仁か。どうした急に』

「ちょっと個室を借りたいんですが。可能ですか」

『……また随分急な話だな。ただ、今日は予約も入っていない。
いいぜ。捜査に関わる、機密の話なんだろう』

「助かります。じゃあ……12時半、いや13時過ぎに伺います」

俺は電話を切り、美和を見た。

「OKだそうです」

「そう。……でも、そこで大丈夫なの」

「兵さんが警察用に、完全防音の部屋を作ってるんです。相手の情報が絶対漏れてはいけない事情聴取限定で使われる、シークレットルームです。
元々、捜査一課の刑事が使うことを想定してた店ですからね。こんなに繁盛するとは、本人も思ってなかったみたいですから」

あっと美和が声をあげた。

「そっか、兵さんって元刑事だもんね。でもそんな部屋があったなんて」

「でも、こういう話をするにはうってつけです。まず、亜衣ちゃんを拾いに行きましょうか」

#

美和の実家に行くと、不思議そうな顔の亜衣が出てきた。

「あれ、おかあさん?これからどこかにおでかけ?」

「そうよ。このお兄さんと一緒に、ご飯食べに行くの」

俺は亜衣の顔を見た。きょとんとして、首をひねっている。
そう言えば、「表」に出れるのは2時間が限界ということだったか。その時が来るまで、引っ込んでいるつもりなのだろう。

「うん、わかった。このおじちゃん、まえにあったよね」

「そう。新しいパパになるかもしれないの。仲良くしてね」

戸惑いがちに亜衣が頷いた。熊谷から鶴ヶ島までは1時間ほどかかる。妙な空気のまま向かうのも、ちょっと居心地が悪い。
俺はカーナビにCDを入れた。亜衣「ちゃん」には少し早いが、沈黙を消すにはいいだろう。

「Is this the real life?
Is this just fantasy?
Caught in a landslide
No escape from reality……」

「あ、『ボヘミアンラプソディー』。仁さんもQUEEN好きなんだ」

「ええ。流行り歌はついて行けなくて。美和さんも?」

「うん。父が好きで、その影響で聴くようになったんだ。凄い曲だよね」

「全くです。こんな展開の曲、何をどうやったら作れたんだか……」

今年の秋にQUEENの映画が大ブレイクするのは言わないでおこう。全てが終わったら、美和と一緒に「また」見に行きたいものだ。
ミラー越しに亜衣を見ると、すうすうと寝ている。


QUEENのベストアルバムが一通り終わった頃、「カフェ・ドゥ・ポワロ」に着いた。






646 ◆C9vIqtyVF22019/01/01(火) 00:15:18.99c0Q37NFbO (1/2)

店の前には、既に行列ができ始めている。俺たちは断りを入れながら店内に入る。

「おう、来たか。……って美和ちゃんもか??まさか、プロポーズか」

大仰におどけながら兵さんが出迎えた。俺は苦笑する。

「残念ながら。それにそんなことで部屋は取りませんよ。いいですか?」

「……どうやら、マジな話らしいな。俺は引っ込んでるから、注文だけしてくれ」

「助かります」

店の奥に、その個室はある。分厚い扉を開けると、窓のない部屋があった。観葉植物が飾られ、テーブルには花が活けてある。
使われることはほとんどないはずだが、掃除は随分と行き届いているようだった。

「……で、話って?」

亜衣を見ると、寝起きだからか目を少しこすっている。

「ええ。亜衣、いいか」

目をぱちくりさせた後、亜衣の表情が変わった。

「……え?どうしたのおかあさん」

「演技はいい。気付かれていた。下手に隠すより、全部話そう。いつかは言わなければいけないことだった」

「……正気ですか」

俺は頷いた。美和が「えっ……」と絶句している。

「美和さん。これは嘘ではない。本当の話です。
俺と亜衣には『20年後の記憶』がある。亜衣の場合、時間限定でその頃の人格も」

#

説明には大分時間がかかった。美和は外資系運用機関の広報というエリートだけに、事あるごとに鋭い質問をしてきた。
途中で運ばれてきたカルボナーラがすっかり冷める頃になって、やっと美和の質問攻めは終わった。

「……信じられない。けど、信じないといけないみたい、ね」

「申し訳ない。俺に『未来の記憶』が『戻った』のはつい最近です。
亜衣は大分前からのようですが」

「……そうなの?」

こくん、と亜衣が頷いた。

「ごめんなさい。……1年前からです。でも、こんなこと言えないから……。
この状態の私が出れるのは1日2時間だけだし、お母さんと会っている時に出ることもほとんどなかった。
でも、仁さんの言う通りです。隠し事は、そうそう続かない」

「そんなに前から?……そっか、時々妙に賢いと思ってたけど」

美和が冷めてしまったコーヒーを飲む。

「で、私は来年4月に死ぬ。そして、仁さんと亜衣はそれを止めようとしている。
問題は、その容疑者が次々と誰かに殺されている。……そういうことね」

「ええ。それと付け加えるなら、その容疑者の一人もまた『未来の記憶』があるかもしれないということです。
非常に危険な麻薬を撒き散らそうとしている。それも止めなきゃいけない」

長い溜め息を美和がついた。

「何か、びっくりだなあ。……こんなSF小説みたいなことが、実際にあるなんて。
ケン・グリムウッドの『リプレイ』みたい」

「リプレイ?」

「そう。記憶を持ったまま過去に戻って、それを何度も繰り返してしまう男の話。
仁さんと亜衣はまだ1回目だけど、案外何周もしている人がいるのかもしれないわね」

そんな小説があるのか。……ん?


何周もしている人間がいる?そんなことがあるのか?


酷く引っかかった。しかし、そうであるなら何が起こる?





647 ◆C9vIqtyVF22019/01/01(火) 00:16:20.75c0Q37NFbO (2/2)

今日はここまで。今年もよろしくお願いします。



648 ◆C9vIqtyVF22019/01/01(火) 11:11:26.34cj1Rmeo+O (1/1)

「亜衣、繰り返されてる可能性は?」

亜衣も気付いたようだった。「あっ」と言ったまま絶句している。

「……なくはないかも……です。私も、なぜこの時代に飛ばされたか、細かい記憶まではありません。
ただ、ある事件の捜査で東大に行っていたことまで覚えてます」

「ある事件?」

亜衣が頷いた。

「東大教授にしてノーベル物理学賞と生理学・医学賞を受賞した、青山憲剛博士。彼が大規模テロを画策しているのではとの情報があったのを受け、警察が動いていたはずです。
私も、独自に動いていました。そのテロの内容如何では……それが何度も繰り返されているのかも」

「……それはあり得ることなのか?」

「私の妄想です。何せ、どういうテロだったのか覚えてないんですから。……仁さんは」

※95以上で記憶うっすらとあり。00のみ詳細あり


649以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/01(火) 11:20:47.37VlJwKz8DO (1/2)

はい


650以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/01(火) 11:20:50.71710RUUiDO (1/2)

ううむ


651 ◆C9vIqtyVF22019/01/01(火) 20:57:21.21QKVXf9DaO (1/7)

今日はここまで。今年もよろしくお願いします。



652 ◆C9vIqtyVF22019/01/01(火) 20:59:23.98QKVXf9DaO (2/7)

ミスタイプです。失礼しました。本編を再開します。


653 ◆C9vIqtyVF22019/01/01(火) 21:21:35.49QKVXf9DaO (3/7)

テロ?そもそも、俺の「未来の記憶」はまだ相当あやふやだ。
亜衣が覚えていないことを、俺が覚えているはずもない。

「いや。青山博士、か……バッドエンド・ブレイカーは彼を狙わないのか」

少し考え、亜衣が首を振った。

「……彼は世の中への貢献も大きいですから。
彼らがどういう基準で標的を決めているかは知りませんが、罪を犯したからすぐ殺すわけでは、どうもなさそうです」

「なるほど、な。……まあ、差し当たりは佐倉だな」

美和がぽかんとしている。彼女を置いてけぼりにしてしまったようだ。

「あっ、すみません。つい……」

「いいのいいの。気にしないで。仕事モードの仁さん、結構珍しいし。
それに、亜衣が将来こんな感じになるんだって思ったら、ちょっと感慨深くて。
父さんと母さんが、しっかり育ててくれたのね」

亜衣の顔が、少し赤くなる。

「いえ、その……。この状態で母さんと話すのは、何か照れくさいというか。
変な感じですね。『本当の私』と今の母さんとは、そう歳も離れてないですし」

「4歳違い、か。こういう部下、欲しかったわあ。
今度、ゆっくり話しましょ。明日実家に戻るし」

「……ありがとうございます。で、これからの方針は」

亜衣が俺を見た。

「大きくは変わらない。少し話したが、城とは接触できた。後は、彼からの連絡待ちだ。
もちろん、その過程でバッドエンド・ブレイカーの件を詰められればベストだが。
……あ、美和さん。言うまでもないですが、今日の件は内密に」

「勿論よ。こんな話、誰に話しても信じてもらえそうもないし。
私はいつも通り。そういうことよね」

「助かります。……妙なことになって、すみません」

「大丈夫。それに、私は仁さんと亜衣が守ってくれるのよね。うん、大丈夫」

美和が自分に言い聞かせるように言った。死の運命を教えられたのだから、内心穏やかであるはずがない。
それでも努めて明るく振舞う彼女は、強い人だ。俺はそのことに、心から感謝した。

※70以上で追加イベント


654以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/01(火) 21:23:03.76m91+/LEw0 (1/1)

はい


655 ◆C9vIqtyVF22019/01/01(火) 21:47:58.53QKVXf9DaO (4/7)

「兵さん、混んでいるのに長居してすみませんでした」

ハハッと兵さんは笑う。時刻は16時近くになっている。「限界が来た」という亜衣は、目がとろんとして眠そうだ。
店は混雑のピークを過ぎたらしく、数人の客がいるだけになっている。

「構わんよ。問題は解決したか?」

「ええ、おかげさまで。今度は3人で、教室の方に来ます」

「おう。来月だな」

俺は一礼して、駐車場に向かおうとした。……その時。


ジジジジジッ…………


「っ!?」


脳内に、再びノイズが走る。……何だこれは。
と同時に、強烈な違和感を覚えた。

「仁さん、どうしたの?」

「いや……これはっ……!?」


白田兵次郎は、「前の週」でも「カフェ・ドゥ・ポワロ」を開いていた。
しかし、今思い出した。現状と違う点が、1つだけある。



「俺の記憶」にあるカフェ・ドゥ・ポワロには、こんな個室はなかった。






656 ◆C9vIqtyVF22019/01/01(火) 21:59:14.79QKVXf9DaO (5/7)

未来が変わったからか?それとも、まさか。

20年後の白田兵次郎は、もう老齢だ。青山博士の件に関わっているとも思えない。
だが、もし万一彼も「覚醒者」としたら。

俺は踵を返した。

「えっ、仁さん忘れ物?」

「……のようなものです。亜衣と一緒に、先に車に行っててください。すぐに戻ります。多分」

兵さんはカウンターでコーヒーを淹れていた。サイフォンを器用に操っている。

「ん、どうした?」

俺は一瞬止まった。本当のことをストレートに言っても、白を切られるのが落ちだろう。
肚の底を読ませずに容疑者をはめるのは、兵さんの得意技だ。
……とすれば。

「いや、忘れ物です。ちょっといいですか」

「ん?構わんが」

俺は個室へと向かう。もし彼が覚醒者なら。そして、それが……警察に仇なす存在なら。
そこには、あるものがあるはずだ。

※75以上で発見


657以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/01(火) 22:01:17.70710RUUiDO (2/2)

はい


658 ◆C9vIqtyVF22019/01/01(火) 22:12:06.78QKVXf9DaO (6/7)

盗聴器があるならば、コンセント周り、観葉植物近辺、花瓶。手早くそれらを確認する。

……しかし、どこにも異常はない。取り越し苦労だったか。
俺は首を振った。どうにも考え過ぎている。

兵さんは変わらずカウンターにいる。

「失礼しました。どうも勘違いだったみたいです」

「そうか。まあ、どこかで見付かるだろ」

一礼して、店外に出る。個室があったのは、未来が変わったからか。
……それでも引っかかるものは残る。

昔の兵さんの教えだ。「引っかかるものがあれば、その裏には何かが必ずある」と。
彼が「覚醒者」である可能性は、切らない方がよさそうだ。

※50以下でコナンパートへ移行


659以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/01(火) 22:18:24.71VlJwKz8DO (2/2)

はい


660 ◆C9vIqtyVF22019/01/01(火) 22:21:19.60QKVXf9DaO (7/7)

今日はここまで。

明日は仁のデート編延長戦です。


661以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/02(水) 00:08:11.52onYERUwDO (1/2)

乙です


662 ◆C9vIqtyVF22019/01/02(水) 13:33:37.90BS/FkQ3bO (1/5)

#

「亜衣、すっかり熟睡してましたね」

「そうだね。やっぱり、疲れるのかな」

亜衣を美和の実家に送り、俺たちは帰路についた。実家にそのまま泊まらないのかと美和に訊いたが、「今日はいいかな」ということだった。

車は花園インターに入る。美和の自宅まで彼女を送って、今日は終わりだ。
羽根を伸ばすつもりが、こんな重たい日になるとは。ただ、いつかは話さねばならないことでもあった。先伸ばしにするよりは良かったのだろう。

車内にはQUEENのUNDER PRESSUREが流れている。俺も美和も、何を話せばいいのか分からなかった。

「あのさ……ちょっといい?」

沈黙を破ったのは美和だった。

「どうしました」

「言いたいことが色々あって、何から話せばいいか分からないんだけど……仁さんや亜衣みたいな『覚醒者』は、結構いるものなのかな」

「俺の知っている限り、亜衣以外にも何人か。バッドエンド・ブレイカーもそうらしいです。それと、あなたが死ぬはずの『熊谷大虐殺』の主犯格もその可能性が高いと」

「そっか……。ちょっと思ったんだけど。皆が未来を変えたがってるのかな」

「……多分。その向かう方向は、随分違いますが」

俺はヤス……もとい、古畑のことを思い出していた。あいつは、本当はどういう考えなのだろうか。
そして、佐倉。奴は未来を変えようとしているのか、あるいは元の歴史を再現しようとしているのか。それはまだ、分からないことだった。

「仁さんは、どうするつもりなの」

「俺は……警察です。法を犯した者を取り締まる。その積み重ねによってしか、この世界は保たれませんから。
結果として未来が変わることはあっても、未来そのものをどうこうすることはないです。自分のやるべきことを、するだけですよ」

「フフッ」と美和が笑った。

「仁さんらしいね。本当、亡くなった旦那に似てるなあ」

そう言えば、美和の亡くなった夫の話はあまりしてこなかった。男のつまらない嫉妬からかもしれないが。
「本来の歴史」でも、意識的にその話は避けてきた気がする。

「どんな人だったんですか」

「馬鹿真面目でね、仕事ばっかりだったけど優しい人だったなあ。……いい父親になれたと思うけど」

美和が寂しそうに窓の外を見た。

「……ねえ」

※コンマ下

01~45 私の家に来る?
46~85 今日、泊まっていい?
86~00 ちょっと寄りたいとこがあるんだけど


663以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/02(水) 13:45:01.22onYERUwDO (2/2)

はい


664 ◆C9vIqtyVF22019/01/02(水) 22:00:36.47BS/FkQ3bO (2/5)

「これから、私の家に来る?」

彼女が俺の方を向いた。薄曇りから除いた夕日に、横顔が照らされている。
俺は思わず、それに見とれそうになった。

「いいんですか」

「……ええ。見せたいものもあるし」

車は川越インターに差し掛かる。車内にはSOMEBODY TO LOVEが流れていた。

#

美和の家は、大宮駅から徒歩5分ほどのマンションだ。
家賃は決して安くはなさそうだが、彼女の給料は俺の倍ぐらいはあるはずだからこれでも大丈夫なのだろう。

「ただいまっと」

「……お邪魔します」

部屋は1LDKだが、かなりリビングは広めだ。うっすらと、何かの香料の香りがする。
年頃の女性の部屋に上がり込むのは、仕事以外では相当久し振りだ。年甲斐もなく心拍数が高まる。

「前の周」では、美和と付き合いだしたのはもう少し先のことだ。確か、亜衣を紹介されたすぐ後に、あの事件が起きたはずだ。
だから、美和の部屋には「前の周」含めて上がったことがない。こういう辺りも、未来が少し変わっている影響かもしれない。

「仁さんはちょっと座ってて。お茶の準備してくる。お酒といいたいけど、車運転してるもんね」

「助かります」

俺は部屋を軽く見渡した。本棚には難しそうな金融関係の本が目立つが、漫画本やファッション誌もあるようだ。
そう言えば、結構美和は漫画を読むのだったな。俺はそんなに詳しくないが、その記憶はうっすらとあった。

美和がお盆にコーヒーとお茶菓子を乗せてくる。

「お待たせ。って、本棚見てた?……ちょっと引いちゃったかな」

「いえ、漫画は俺も読みますから。『三月のライオン』、いいですよね」

俺は「未来の記憶」を引っ張り出してみた。美和の顔がぱあっと明るくなる。

「だよね!なんか、繊細な心理描写がいいんだよね。『はちみつとクローバー』もそうだったけど」

「ですね。そうそう、スピンオフの『灼熱の時代』もいいですよ。テイストは大分違いますが」

「そんなのあるんだ。今度買ってみるね」

俺はコーヒーを飲んだ。これはモカ・マタリか。丁寧に淹れてある。

「旨いですね。さすが」

「あはは、褒めても何も出ないよ。見せたいものというのは、これ」

彼女が出したのは、一枚の写真だった。美和と、体格のがっしりとした男が笑顔でピースサインをしている。

※50以上で見覚えがある





665以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/02(水) 22:14:10.71kZj1psB20 (1/1)




666 ◆C9vIqtyVF22019/01/02(水) 23:00:35.27BS/FkQ3bO (3/5)

「……彼は」

「死んじゃった旦那。木崎小五郎っていうの。仁さんにも、少し知っておいてほしくて」


木崎……この顔には見覚えがある。ラガーマンのようながっしりとした身体と無精髭。
11年前の池袋での無差別通り魔事件。そこで遺族対応をした警視庁の警官に、彼によく似た男がいた気がする。
俺の妹百合は、その事件で18年の生涯を閉じたのだった。


その警官と、俺の記憶の中の男が同一人物かは知らない。ただ、随分情に脆い男だった気はする。
当時大学4年だった取り乱している俺と、一緒になって泣いたのはあの男だけだった。それにどれだけ救われたか。
犯人は責任能力なしということで無罪になってしまったが、警察が遺族と泣いてくれる存在と知ったことは、俺にとってとても大きかった。

もし同一人物なら、随分因果なものだ。
当時大手メーカーに内定が決まっていた俺が一転、警官への道を志した理由は……百合の死と、あの男の涙だったのだから。


「……どうしたの?じっと写真見ているけど」

「いや……少し、知り合い……というほどでもないですけど見覚えがある顔だったもので。
ご主人、情に厚い人だったんじゃないかなと」

「……えっ。た、確かにそうだったけど……小五郎君と、一緒に仕事したことが?」

「いえ。ただ、俺の人生を変えた人によく似てたんで。それで」

俺は百合の事件と警官の話をした。美和の顔は驚きへと変わり、そして涙目になる。

「そう……それ、やっぱり小五郎君だと思う。警視庁に最初配属されてたし。彼が仁さんと引き合わせてくれたのかな」

「かもしれませんね」

美和が木崎の昔話を始めた。彼は美和の幼馴染で、近所のお兄さん的な存在だったこと。
憧れは恋愛感情へと変わり、色々あった末に結ばれたこと。そして……亜衣の出産直前に殉死したこと。
彼が死んだ時の事件には聞き覚えがあった。大誠会絡みの強制捜査で、情報提供者が裏切り銃弾を至近距離から受けた……と聞いている。

美和が話し終わると、俺は大きく息をついた。

「……やはり、立派な男だったんですね。生きていれば、俺と同じ年ですか」

「……だね。ちょっと前まで、あの時小五郎君を無理矢理にでも引き留めてたらと思うことがあったの。
そうしてたら、彼は死なずに済んだのかなって。でも、後悔してもしょうがないと、最近思えるようになったの。
それは亜衣と、あなたのおかげ。やっと、本当の意味で前を向いて歩けるようになったのかもしれない」

コーヒーが入ったマグカップを、美和が少し揺らした。
俺もそうかもしれない。百合の死を、彼女に会ったことで10年以上かけてやっと消化できたのだろう。


俺はその時、気付いた。
この状況で、美和を失ったなら……多分、俺のどこかは壊れてしまうだろう、と。


「デッドマン」――「死人」が俺の未来での異名であるらしい。
俺の心は、「熊谷大虐殺」で死んでしまったのだろう。だから、苛烈な捜査を行うようになっていったのだろう。
今の俺の心は、幸いまだ死んではいない。そのためには……あの事件は起こしてはいけないし、美和を死なせるわけにもいかない。




667 ◆C9vIqtyVF22019/01/02(水) 23:18:51.69BS/FkQ3bO (4/5)

「……美和さん。それは俺も同じです。妹の死の傷は消えませんが、やっと誰かと生きていきたいと、思うようになった」

「……えっ」

少し驚いた表情になった彼女の後ろに俺は移り、そっと後ろから抱いた。

「こんな所で言うのも何ですが……今夜、あなたを抱きたい。無性に、そんな気分になった」

愛おしさが溢れてくる。少し固くなっていた美和の身体が、ふっと柔らかくなったかと思うと、彼女が振り向いた。そして。


チュッ


唇に柔らかいものが一瞬触れる。そして、照れくさそうに美和が笑った。

「ありがと。……何か、仁さんがずっと近くに来てくれた気がして嬉しい。
凄く久し振りだから上手くできないかもしれないけど……いいかな」

「それは俺も同じですよ。……シャワー、浴びます?」

返事の代わりに、再び唇が俺に触れた。そして、今度は暖かい舌がゆっくりと挿し入れられる。俺はそれを迎え、自分のそれと絡めた。

「……んんっ……ちゅっ……っ!ぷはっ。……何か、時間がもったいないかも。しよ?」

「……分かりました。寝室は?」

「向こう。……あ、一つだけ。これから敬語禁止ね。何か、距離感じちゃうから」

俺は苦笑した。どうにも、人と距離を取る癖が抜けてないらしい。

俺は椅子に座ったままの彼女を抱きかかえる。いわゆる、お姫様抱っこの状態だ。
ふふっと、互いに笑う。そしてどちらともなく、再び唇を合わせた。


668 ◆C9vIqtyVF22019/01/02(水) 23:19:32.12BS/FkQ3bO (5/5)

今日はここまで。次回からコナンパートです。その後ジョーパートになります。


669以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/03(木) 08:00:57.64azyIpt890 (1/1)

乙乙


670 ◆C9vIqtyVF22019/01/03(木) 17:28:53.23UvQ/Ah5vO (1/5)

【6月23日】


「これ、肉ってどう縛るの?」

「適当にぐるぐる巻きでいいですよ。後は僕がやります」

コナン君がキッチンで青ネギを切りながら言った。あたしは豚バラ肉のブロックに、太めのタコ糸を巻いていく。
昨日、コナン君がチャーシューを作れると言っていたので、さっそくやってみることにしたのだ。

肉はネットスーパーで調達した。最近は家から出ずとも買い物ができる。こんなにAIスピーカーが便利とは知らなかった。

「アユさんは丼の準備を。お湯を入れて暖めとくといいですよ」

「分かった」

昨日のことがあったからか、少し会話が増えた気がする。それが少し嬉しかった。

コナン君はフライパンに油を敷き、肉に焦げ目を付け始めた。どことなく楽しげに見える。

「しかし本当に料理好きなんだねえ。どこで覚えてきたの?」

「……趣味と必然性ですよ。父さんと二人で生きていかなくちゃいけなくなったんで」

ああ、そうか。ラーメンが好きなお父さんのために、チャーシューを作るようになったんだ。
そう思うと、ちょっと胸がじんと痛んだ。

#

「あっ、これ美味しい!市販のラーメンでも、こんなに美味しくできるんだ」

コナン君が笑った。

「チャーシューのタレを混ぜると、市販のスープでもコクが出るんです。麺だけはどうしようもないですけどね」

「チャーシューも柔らかくていいね。今度また作ろうかな」

「ですね。薫製にするとか、他のバリエーションもありますよ」

「ふふっ、楽しみ」

あたしは麺を啜った。昨日のも美味しかったけど、今日の方が良かった気がする。

※80以下で通常ルート


671以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/03(木) 17:30:26.74vSmxm0EX0 (1/1)




672 ◆C9vIqtyVF22019/01/03(木) 22:40:00.45UvQ/Ah5vO (2/5)

#

コナン君は、かなり長い昼寝をする。あたしの前にいる時の彼は、常に「29歳の藤原湖南」だ。
その分、消耗は激しいらしい。「9歳の彼」が下手に出てくるとパニックになるからそうしているという。

ラーメンを食べた後、彼はすぐに眠りについた。3時間ぐらいしてからだろうか。
スマホが鳴ると、彼は飛び起きた。

「はいっ、僕です。……え?」

また真剣な表情で話している。1分ほど話すと、彼は深い息をついて電話を切った。

「誰から?また、警察内部の人?」

「ええ。僕らを疑っている男が分かりました。ちょっと緊急で会議をやります」

「えっ?随分早いね」

確か、覚醒者ってのが埼玉県警にいるかもしれないという話が出たのはつい数日前だ。

「彼も幸運だったと言ってます。それだけじゃなく、他の覚醒者の存在も分かったと」

それにしては、コナン君の表情があまり冴えない。

※コンマ下

01~70 仁の名前は知っている
71~95 仁と面識がある
96~00 仁とはかなり近い関係だった


673以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/03(木) 22:41:17.81VY6zk1FDO (1/1)

はい


674 ◆C9vIqtyVF22019/01/03(木) 22:58:57.78UvQ/Ah5vO (3/5)

「……どうしたの?」

「いや、彼は知っているので。何回か会ったこともある。
敵に回すと極めて厄介です。獰猛で、食らいついたら話さない。手段も選ばない。……少なくとも20年後は」

あたしの背中に冷たいものが走った。そんな刑事がいるんだ。

「それって……マズいんじゃ」

「味方に引き込めればこれ以上心強い男もいないですが。
ただ、そう簡単に転ぶ相手とも思えない。向こうが僕を見て反応しないことを祈りますが」

コナン君が珍しく落ち着かない様子だ。どんな男なんだろう?

#

【6月23日、18時00分】


「皆さん、大丈夫ですか」

コナン君がタブレット越しに呼びかける。興也さんと由依ちゃん、そして源君が出てくる。

『オーケー。網笠『総理』は欠席ね』

「彼も多忙ですからね。メッセージで連絡だけはしています。
あなたたちの所にも、『おやっさん』からの連絡が来てるはずです」

『うん、来てる。さすがだね。しかし土曜の今日に来るとは思わなかった』

由依ちゃんが険しい表情で言う。興也さんが頷いた。

『彼が昨日『仕掛けた』と言ってましたからね。思いの外餌に食いつくのが早かった、ということでしょうか』

『しかし驚きましたね。あの『デッドマン』とは……。まあ、彼は確かに『グラウンド・ゼロ』にいても不思議じゃないですが』

「デッドマン?」

あたしの問いにコナン君がこちらを見た。

「『死人のような眼をしている』というのと、『ゾンビのようにしぶとい』という点、
そして何より『殺人事件に異常な執着を示す』ことから付けられた異名です。
元埼玉県警捜査一課刑事、毛利仁。今は当然現役ですけど」

『そうそう。少しでも隙を見せたら食いちぎられるよ。
『おやっさん』が言うには、覚醒レベル2らしいけど。……さらに注目すべきは、他に覚醒者がいるという点だね。それも複数』

『複数?由依、それって本当か?』

由依ちゃんがやれやれと首を振った。

『あんた、ほんっとに人の話聞いてないのね。一人の覚醒者は毛利仁の恋人の娘。『亜衣』って言われてた。
どうも、20年後は警察やってるみたいね。この子のことは、私は知らない』

※90以上なら亜衣のことも知っている


675以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/03(木) 23:01:08.01RSw+rVvDO (1/1)

はい


676 ◆C9vIqtyVF22019/01/03(木) 23:19:58.46UvQ/Ah5vO (4/5)

「僕も彼女は初耳です。正直、どういう人物かは不明ですが……。
多分、僕より年下です。『表に出れる時間が2時間』と言ってましたから」

『じゃあ警戒しなくていいかな?』

『いや、恐らく幼い女の子でしょう。とすると、一番警戒しえない存在でもある。
気が付いたら何かされているという可能性も否定できない。要注意です』

興也さんが静かに否定する。

『……むしろ、もう一人の覚醒者が問題です。彼も確信を持てているわけではなさそうだった。
ただ、こちらはフリーにしているとマズい気がする。正体が分からないですから」

「正体不明、なの?」

あたしの問いに、コナン君がふうと息を吐いた。

「彼は『もう一人いるかもしれない』程度の話しぶりでしたからね。
最悪、毛利仁を中心とした別の覚醒者のグループがいるのかもしれない。警戒すべき相手が、また増えたということです。
……ただ、逆に言えば相手が誰か分かったのは大きい。彼の顔は分かります。その分、立ち回りやすくなった。
それに、やるべきことも変わらない。明日、多分城が動きます。その動向から、佐倉の居所を突き止める。
そうなれば、今回のミッションの達成も視野に入ってくる」

タブレット越しに、全員が同意した。

「とりあえず、明日の予定です。朝、城を迎えに来る車のナンバーだけ確認する。
直接尾行は、先週みたいに振り切られそうだ。だから、Nシステムで大雑把な滞在場所まで押さえる。ここまでいいですね」

『了解。今までの行動パターンからして、佐倉は都内の高級ホテルを転々としているわ。
だから、目星をつけて興也さんと源で洗いざらいチェックする。滞在ホテルが分かれば、後はいくらでもやりようがある』

「そうです。警察より先に佐倉の居場所を特定でき、かつ彼らがまだ動いてない場合は、僕も満を持して動きます。
勿論、城が警察と接触したことで、彼が危険な目に遭う可能性も否定しない。
その場合は、彼の『利用』も含め臨機応変に対応しましょう。よろしいですか」

『了解』

『大丈夫です』

『分かりました』

コナン君がゆっくりと首を縦に振った。

「では、作戦開始と行きましょう。とにかく、深追いせず、かつ臨機応変に。頑張りましょう」



677 ◆C9vIqtyVF22019/01/03(木) 23:20:57.89UvQ/Ah5vO (5/5)

明日はジョーパートです。ただ、視点がちょくちょく切り替わるかもしれません。
できるだけ分かりやすく動かすつもりですが、よろしくお願いします。


678以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/04(金) 00:20:20.68QdhxKqFe0 (1/1)




679 ◆C9vIqtyVF22019/01/04(金) 09:43:45.07lPgcq2iMO (1/1)

【6月24日、6時16分】


酷く寝苦しい夜だった。寝ようとすると、心拍数が異常に上がった。おかげで、ほぼ一睡もしていない。

今日は翔一と会う日だ。どう立ち回ればいいのか、僕にはまるで分からなかった。

#

毛利刑事と会ってからの数日間は、とりあえず無難に過ぎていった。
矢向さんの目が心なしか厳しくなっていた気はしたけど、表面上はこれまで通りの生活を送れていた。

ただ、心の中はぐちゃぐちゃだった。アイスキャンディの正体。翔一の意図。そして……僕に残された時間は、もうあまりないという宣告。
バッドエンド・ブレイカーが僕を襲ってきたとしても、身を守る術はもうない。何を信じていいか、よく分からなくなっていた。

学校の小テストも、まるで解答が浮かばなかった。こんなはずじゃないのに。
それが僕の中の混乱によるものなのか、それともアイスキャンディの副作用が表れ始めたのか、僕には分からなかった。

ただ、金曜日は家に帰って、泣いた。ただひたすら、泣いた。
昨日も部屋に閉じこもり、勉強と称して塞ぎ込んでいた。何かを手につける、気力は微塵もなかった。

※85以上で追加イベント


680以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/04(金) 09:58:01.80de5IBYoC0 (1/1)

ほい


681 ◆C9vIqtyVF22019/01/04(金) 12:50:11.76lMixMAVeO (1/2)

※母親の干渉なし

母親は相変わらず何も言ってこなかった。そもそも家にすらいなかったけど。
ただ、こういう時不干渉というのは、かえってありがたかった。今は、ただ一人になりたかったから。


そして、時間がたつにつれ湧いてきたのは……恐怖。


翔一は、まず僕を疑うだろう。警察に何か吹き込まれてはいないかと。
その時、平静でいる自信は、僕にはない。先週までのようにできるわけがない。矢向さんらを使って、僕を痛めつけるかもしれない。
それだけならまだいい。ヤクに手を出してこない保証はない。無関係の彼女に累が及ぶのは、何としても避けたかった。

眠気は吹き飛び、焦りと恐怖と混乱と、そして絶望が僕を苛む。
しかし、逃げ出せない。そんなことができないのも、また明らかだった。


僕は、歪む視界の中、机の引き出しを見る。鍵がかけられたそこには、翔一からもらったアイスキャンディが何錠かある。
あれを飲めば、少しはこの感情も収まるだろうか。しかし、それは僕の命を削るだろう。

僕は……

※3票先取

1 飲む
2 飲まない

※飲む場合は城が覚悟を決めます。今後の判定に大幅なプラスが付きますが、副作用の進行も早まります。
飲まない場合は副作用の進行はありません。ただ、判定にペナルティが付く可能性があります。



682 ◆C9vIqtyVF22019/01/04(金) 13:16:30.77lMixMAVeO (2/2)

再開は夜に少しの予定です。


683以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/04(金) 17:39:22.209dtdA9Tm0 (1/1)

2


684 ◆C9vIqtyVF22019/01/04(金) 18:07:29.14zr7X5+GAO (1/3)

上げます。


685 ◆C9vIqtyVF22019/01/04(金) 20:57:28.87zr7X5+GAO (2/3)

もう一度上げます。2130前後から再開可能ですが、決まるまで待ちます。


686 ◆C9vIqtyVF22019/01/04(金) 21:47:14.25zr7X5+GAO (3/3)

とりあえず0000までをデッドラインとします。


687以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/04(金) 21:48:40.76/uIHiM+DO (1/1)

2


688以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/04(金) 21:49:43.63DRjjfAKDO (1/1)

1


689 ◆C9vIqtyVF22019/01/05(土) 01:47:32.18Iy5kuTBZO (1/1)

2で決定とします。続きは恐らく明日。


690 ◆C9vIqtyVF22019/01/05(土) 23:15:11.59u3lSHmGbO (1/4)

僕は、引き出しから目を背けた。……飲めばその場は乗り切れるかもしれない。でも、僕の命は……確実に削られる。

毛利刑事は、あと1年と言った。認知症が発症するのは、多分そのずっと前だろう。
つまり、僕が僕でいられるのは、もう本当に長くはない。

そのことが、たまらなく怖い。今はまだいい。でも明日は?明後日は?
ひょっとしたら、もう発症しているのかもしれない。


……僕の脳裏に、ヤクの笑顔が浮かんだ。


ごめん。僕は、君よりずっと早く逝く。ならば……せめて、君だけはちゃんと守らせてくれ。2年前と、同じように。


691 ◆C9vIqtyVF22019/01/05(土) 23:30:25.78u3lSHmGbO (2/4)

僕は、急いで顔を洗った。目に隈ができてて、酷い顔だ。
母親の化粧道具が洗面所にあったのを思い出し、先週「サクラ」に教わったのと同じやり方でメイクしていく。
適当にやっただけだけど、それでも大分ましにはなった。……後は、何とかするしかない。

冷蔵庫からウイダーを取り出すと、一気にそれを胃に流し込んだ。時間は7時31分。ベッドでうなされているうちに、結構時間がたっていたらしい。
矢向さんが来るのは8時頃だ。僕は身支度を整える。

……覚悟を決めなきゃいけない。恐怖心に打ち克たなきゃいけない。
そんな思いが、僕の中をグルグルまわっていた。

#

「どうぞ」

矢向さんはいつも通り恭しく後部座席のドアを開けた。僕は小さく頷くと、そこに滑り込む。

エンジンの重く鈍い音が響いた。

※コンマ下
01~80 通常ルート
81~95 ……しつこい鼠だ
96~00 矢向与一。任意同行願う


692以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/05(土) 23:32:14.37CAiNMbn/0 (1/1)




693 ◆C9vIqtyVF22019/01/05(土) 23:41:10.38u3lSHmGbO (3/4)

先週と違い、追ってくる奴はいないようだった。僕はかすかに安堵する。
ミラー越しに、矢向さんが僕を見た。

「……よく眠れましたかな」

僕は心臓を握られた気分になった。あの程度のメイクでは、やはり隠し通せなかったのだ。
でも、嘘が明らかであっても、動揺は見せられない。

「い……え、ええ。大丈夫です」

「……そうですか。それならそれで」

矢向さんは黙った。車の向かう先に何が待つのか。……何事もなければいいんだけど。

※コンマ下、車の向かう先は……

01~25 軽井沢方面
26~75 東京、赤坂方面
76~00 上+α




694以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/05(土) 23:42:30.56ecOdik+DO (1/1)

はい


695 ◆C9vIqtyVF22019/01/05(土) 23:59:18.38u3lSHmGbO (4/4)

【6月24日、8時42分】


着いた先は赤坂だった。上に丸い展望台のようなものがあるビルに、車は入っていく。ここもホテルなんだろうか。
駐車場を出ると、重厚な設えのエレベーターがあった。上層階に昇ると、見るからに特別そうな赤い絨毯が廊下に敷かれていた。

そのうちの一室で、矢向さんが立ち止まる。

「城様がおいでに」

その部屋で僕が目にしたものは。

※重要コンマにつきコンマ下3

01~05 翔一と、その横にいる全裸の女性……いや、あれは……
06~20 翔一、そして……
21~40 翔一と……「ジョー?」
41~65 翔一と、鶴岡だ
65~90 翔一がコーヒーを飲んでいる
91~00 「サクラ」が待っていた

※99、00は特殊ルートへ


696以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/06(日) 00:01:23.37quJAXyCR0 (1/1)

ksk


697以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/06(日) 00:07:45.981kwR84lV0 (1/1)




698以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/06(日) 00:21:35.33Sf6hYDDDO (1/2)

高コンマ来て


699 ◆C9vIqtyVF22019/01/06(日) 09:16:07.23SXifGXd3O (1/1)

そこで僕が目にしたものは……ソファに悠然と座る翔一と、その向かいで震えている薄褐色の少女だった。

それを見た瞬間、僕の背中から何かが抜け落ちたような強烈な虚脱感を覚えた。

……まさかっ……!!

「ジョー!!」

ヤクの叫び声で、何とか僕の意識は現実に戻った。でも、頭はぐちゃぐちゃだ。視界が急速に歪む。

「……ヤク……どうして、ここに……」

「この人に変な薬をかがさ……むぐっ!!」

屈強な男の人――唐川さんだったか――が、ヤクの後ろから彼女の口を塞いだ。
翔一は愉快そうに笑っている。

「唐川さん、勢い余って殺さないように。彼女が今日のゲストなんだから。
それと、薬師丸さん、だったかな。大人しくしていれば君に悪いようにはしない。後でとても気持ちよくなれるから。
……さて、と」

翔一が口の端を歪めて、僕を見た。

「警察で事情聴取を受けたそうだね。……何を話した」

「……何も話してないっ!!ただ……僕らを追っているかもしれない二人組の似顔絵を見せられただけだっ!!
だからすぐにヤクを離せっ!!すぐにだっ!!!」

「ほう」と、翔一が微かに驚きの表情を見せた。

「アゲハの父親が死んで多少は動きがあると思ったが、バッドエンド・ブレイカーの正体にまで迫れるとは。……驚いたよ。
……で、どんな顔だった」

コーヒーを一口飲み、彼が身を乗り出してくる。

「そんなことよりヤクを……」

「ぐぐっ……!」

凄く苦しそうなヤクの呻き声が聞こえた。唐川さんが、力を強めたんだ。
翔一がカラカラと笑う。

「忘れてやしないか?君の大切で大切で仕方がない幼馴染みの生殺与奪の権利は、僕が握っている。君は僕に従うしかない。賢明な君なら、分かるだろう?」

僕は絶望でその場に崩れ落ちそうになった。ヤクを助ける方法は……今の僕には、ない。
この後のことを考えると、さらに無力感が増してきた。僕はどうなってもいい。でも……ヤクが汚されるのは……耐えがたい。


それでも、僕に選択肢はなかった。涙で視界が歪む。


「……子供と、若い女の人だっ。女の人の顔は……そんなにちゃんとは覚えてない……。でも、子供は分かる。
……名探偵コナンの、コナンを少し大きくしたような、そんな感じだっ……」

※コンマ下
01~65 子供?
66~85 コナン?
86~00 翔一の顔が険しくなった


700以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/06(日) 10:06:22.78VP2Mwxpb0 (1/1)

えい


701 ◆C9vIqtyVF22019/01/06(日) 13:11:35.31PGbUV137O (1/1)

「コナン?」

翔一の表情が、一瞬止まった。

「どうしました、翔一様」

「いや……まさかね。……でも、あり得なくはないのか」

しばし、翔一が口をつぐんだ。

「……ここに長居するのは危険かもしれない。今日でここを引き払おう。思っているより、相手は厄介な気がしてきた」

「と言いますと?」

「バッドエンド・ブレイカーがプロだとは思っていた。ただ、僕の想像通りならかなり強敵だ。他の皆が殺されたのも当然と言える。
ここを突き止められるのも時間の問題だろう。とりあえず都内は危険だ。人気の少ない所に移ろう」

「……かしこまりました」

矢向さんが深く一礼した。翔一が僕の方を向いて笑う。

「……警察に僕を売ったかと思ったが、いい仕事をしたみたいじゃないか。とても、とても参考になる情報だったよ。
……まあ、それでも君が裏切らないよう牽制はしなきゃいけないが。唐川さん、あれを」

唐川さんがポケットから銀色の包みを取り出した。……まさかっ!!

「待てっ!!それは……それだけはっ……!!!」

「へぇ」と翔一が声を出した。ヤクは口を塞がれたままもがいている。

「もちろんアイスキャンディだよ。これを薬師丸さんに飲んでもらう。その素晴らしさを実感できるはずだ。
何分こっちも駒が減ってきちゃったしね。和人はお兄さんの海外遠征を口実に顔も出しゃしない。まあ、近いうちに彼を『仕付けて』やらないといけないけど」

「だからヤクを巻き込むのは、やめてくれっ!!汚れるのは僕だけで……」

ふふん、と翔一が嘲笑した。

「今更戻れるとでも?まあ君にも後で飲んでもらうよ。最高の快楽に浸れば、君も彼女も考えが変わる……」

彼が言葉を止めた。

※コンマ下
75以下で通常ルート


702以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/06(日) 13:55:14.85Sf6hYDDDO (2/2)

はい


703 ◆C9vIqtyVF22019/01/06(日) 17:36:13.182NeMg7nrO (1/9)

一瞬の間に、僕は心底恐怖した。僕がアイスキャンディの正体を知っていることを悟られたのなら……ただじゃ済まない。

しかし、翔一はすぐに笑顔を取り戻した。

「……まあ、いいや。じゃあ唐川さん、よろしく頼むね。ジョーには特別な趣向を用意してあるから、薬を飲んだ上で向こうの部屋に」

ぽい、と僕に錠剤が放り投げられた。これを飲まないという選択肢は……多分ない。
ただ、最悪の事態だけは避けられた。毛利刑事との会話の内容は、決して吐けない。

問題はヤクだ。このままだと、アイスキャンディを無理矢理にでも飲まされる。そうなると……良くて寿命が大幅に縮んでしまう。
翔一のことだ。もっと厳しいことにもなるだろう。彼はヤクを「駒」として使うつもりだ。


僕のために、彼女の人生が台無しになっていいはずがない。


僕は意を決してアイスキャンディを舐めた。不自然な甘さと共に、五感が急速に鋭敏になるのを感じる。
それと共に感じたのは、強い喪失感。僕の命が、また削られた。でも、今はそれどころじゃない。

ヤクは唐川さんの腕の中で、ぐったりしかけていた。息はある。ただ、抵抗する力はなさそうだ。
唐川さんが無表情に錠剤の封を切った。……猶予はない。

※50以上でイベント発生、90以上なら特殊イベント、50未満なら安価選択へ


704以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/06(日) 17:51:18.87wAGXMs+DO (1/4)




705 ◆C9vIqtyVF22019/01/06(日) 18:22:32.452NeMg7nrO (2/9)

「……唐川さん、ちょっと」

僕は涙を拭って、彼を見た。瞬間、刺さるような殺気が僕の前後から浴びせられた。

「……何だ」

「ヤクへのアイスキャンディの投与、待ってもらえますか。僕が自分でやります」

「何故だ」

「……ヤクはパニック状態です。少しでも落ち着かせた方が、飲ませやすいですし。何より効き目が出るんじゃないかと」

唐川さんがじっと僕を見た。これは賭けだ。ほんの少ししか時間は稼げない。ただ、考える時間はできる。それだけでも、相当大きい。

「クロックアップ」。アイスキャンディの効果の一つだ。いや、これがむしろ本当の効果なのかもしれない。
あれは五感を鋭敏にするだけではない。短時間で超高速での思考を可能にする。
本来十番中になんて入れるはずがない和人が、あそこでトップというのはこの効果によるものだった。
わずかな時間で常人の10倍、いやそれ以上の思考を展開できる。

問題は、その時間を唐川さんがくれるかどうかだ。

「……いいだろう。必ず飲ませろ」

僕は頷いた。再びアイスキャンディが投げられる。

「ゲホッゲホッ!!ジョ、ジョー……!?」

涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で、ヤクが僕を見た。ゆっくり近付き、彼女の肩を抱く。

「……ごめん。こんな目に遭わせて。少し、待ってくれ」

「……え」

視線を上げる。唐川さんは無表情のまま、僕を見下ろしていた。矢向さんも同じだ。

「……説得する時間を下さい。3……いや、2分」

「いいだろう」

※コンマ下70以上で洗面所へ退避、未満ならその場で行動
(洗面所へ退避した場合、この後の選択の幅が広がります)
※ゾロ目か90以上で特殊イベント開始


706以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/06(日) 18:24:41.71qiLSdXp80 (1/1)




707 ◆C9vIqtyVF22019/01/06(日) 18:37:32.792NeMg7nrO (3/9)

僕はヤクの腕を引いた。洗面所なら、ある程度自由に話ができる。
呼び止められると思ったが、二人は止めなかった。……まだツキはある。

広めの洗面所のドアを閉め、鍵をかけた。

「ジョー!助けてよ……!」

「静かに」

指を唇に当てる。ゴクリ、とヤクが息を飲んだのが分かった。

「君にこの件には巻き込ませない。薬も飲ませない。こいつは、強力な麻薬で、毒薬だ。飲めば良くて寿命が大幅に縮む」

「……え、だってジョーも飲んだ……」

「僕にはどのみち未来がないからいい。ただ、君だけは守る。それが僕の誓いだ。
詳しいことは、ここを脱出できたらゆっくり話す。まず、これからどうするかだ」


さあ考えろ。考えるんだ、城隆一郎。


思考を全力で回転させる。時間が止まったかのような錯覚があった。







708 ◆C9vIqtyVF22019/01/06(日) 18:51:33.432NeMg7nrO (4/9)

まず、ここから普通に脱出するのはまず無理だ。僕がアイスキャンディを飲んだとはいえ、矢向さんと唐川さん二人を相手に正攻法で逃げるのは不可能といっていい。
まして、ヤクがいる。二人一緒に逃げるのは、諦めた方がよさそうだった。

自分が犠牲になるか。命を捨てるなら、ヤクだけは何とか逃がせるかもしれない。
しかし、それが正しいのかどうかは僕には分からない。残り少ない命だけど、まだ生きていたかった。

なら、奇策を打つか?洗面所の鍵はかけている。ここに立てこもるのは、一つの手だ。
正面からは戦えない。ただ、洗面所の側にはシャワーがある。こいつの温度を最大にすれば、怯ませるくらいは可能だ。
もちろん、その後勝てる保証はない。ただ、この場所に混乱を起こすことはできる。……僕がどうなるかは、やっぱり難しいのだけど。

あるいは、飲ませたふりをして乗り切る手はある。アイスキャンディの廃棄は可能だ。途中までヤクには演技をしてもらい、隙を見て逃げ出す。
ただ、演技がバレたら……全ては終わる。

どれも一長一短ある。もっといい方法はないのか?

※50以上で特殊イベントへ


709以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/06(日) 18:56:32.79wAGXMs+DO (2/4)

はい


710 ◆C9vIqtyVF22019/01/06(日) 20:32:44.282NeMg7nrO (5/9)



……チリリリリリ……!!



遠くで何かが鳴る音がした。……これは?


「ホテル地下駐車場で火災が発生しました。宿泊客の皆さんは、念のためホテル外かホテル庭園へと避難お願いします。繰り返します、ホテル地下駐車場で……」

今度はハッキリと、部屋にホテルからの放送が聞こえた。これはっ!?

「ヤク、逃げるチャンスかもしれない。僕の指示に従って。大丈夫、何とかする」

「……分かった」

僕の袖を握りながら、ヤクが小さく首を縦に振った。
洗面所から出ると、怪訝そうな顔で翔一が待っていた。

「……火事、だそうだ。一度室外に退避しよう。話はそれからだ」

「分かった。……痛っ!!」

僕とヤクは、手首を唐川さん、そして矢向さんにガッシリ握られた。手首が砕けるような痛みを感じる。
アイスキャンディの効果で、痛みも倍増しているんだ。……これは辛い。

非常階段には宿泊客が殺到していた。外国人、品の良さそうな老婦人、少しガラの悪そうな男の人……酷い混雑の中を、僕らはゆっくり下っていく。
火の熱はもちろん、煙も特に感じない。本当に火事があったんだろうか。

「ジョー……怖いよ」

「大丈夫。僕が守るから」

小声で、震えているヤクに呟く。やっと1階だ。ここから外に出るらしい。
入口前には、何台もの消防車とパトカーが既に来ていた。野次馬もたくさん集まっている。

※コンマ下
01~20 何もなし
21~40 一人の男が、にやけながら野次馬の中から歩いてきた
41~85 一人の青年がゆっくりと野次馬の中から歩いてきた
86~00 よう、いつかの坊主


711以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/06(日) 20:36:23.73lVP8Y0puO (1/1)

ソイヤ!ソイヤ!


712 ◆C9vIqtyVF22019/01/06(日) 20:54:02.932NeMg7nrO (6/9)

その時だ。

「すみません、警察です。通してください」

一人の若い男の人が、野次馬をかき分けて現れた。何かを探しているようだ。

そして、僕と目が合うと……歩くペースを早めた!?

「ジョー!逃げろっ!!」

翔一の声が響く。後退した翔一を守るように、矢向さんと唐川さんが壁のように立ちはだかった。

手首を持っていた唐川さんの手が振りほどかれる。今だっ!!

「ヤクっ!!走るぞっ!!」

僕はヤクの手を握り、野次馬の方へと走り出した!唐川さんが捕まえようとしたのと、男の人が何かを取り出したのがほぼ同時だった。


ビシュッ


「うぐおおおおお!!」

唐川さんの叫び声が聞こえる。僕は振り返らない。ただひたすら、手に感じるヤクの掌の感触を忘れないように走った。
驚く野次馬と警官の間を、僕は無理矢理にすり抜ける。アイスキャンディのおかげで、走力も腕力も増している。大丈夫。このまま行けば、大丈夫だ。

赤坂見附に向かう橋の入口まで、なんとか辿り着いた。はあはあと息をつき、僕は振り返る。

「ヤク、大丈夫?」

「うん、何とか……」

※コンマ下50以上で?


713以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/06(日) 20:56:52.45wAGXMs+DO (3/4)

さて


714 ◆C9vIqtyVF22019/01/06(日) 21:17:12.822NeMg7nrO (7/9)

※コナンたちは現れず

追ってくる人は、誰もいない。……逃げ切れたみたいだ。
心臓が、破裂しそうなほど早く脈打っている。これは多分、全速力で走ったからだけじゃない。

「はあ、はあ……よかった。本当に、よかった……」

僕はその場に泣きながら崩れ落ちた。ホテルから聞こえる消防車とタクシーのサイレンが、どこかとても心安らぐものに聞こえたんだ。

道行く人が、好奇の目で僕たちをチラリと見る。……いつまでも泣いていられない。

「……行こう。うちに、帰ろう」

「……うん」

お金なら、多少はある。赤坂見附から新座なら、二人でも問題なく帰れるだろう。
僕はスマホを取り出し、メッセージを打った。宛先は、毛利刑事だ。

#

ホテルニューオータニで、ヤクが拉致されました。自力で僕と脱出に成功。詳しい話をしたいので、連絡下さい

#

2分ほどして、返信が来た。

#

了解した。最寄りは和光市駅だな。迎えに行く

#


715 ◆C9vIqtyVF22019/01/06(日) 21:18:13.372NeMg7nrO (8/9)

※視点が切り替わります。2票先取

1 コナンパート
2 仁パート


716以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/06(日) 21:19:26.59wAGXMs+DO (4/4)

2


717以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/06(日) 21:24:34.92m5IUSRkr0 (1/1)

2


718 ◆C9vIqtyVF22019/01/06(日) 22:03:01.932NeMg7nrO (9/9)

今日はここまで。


719 ◆C9vIqtyVF22019/01/07(月) 09:37:54.89fmJv9w1rO (1/1)

【6月24日、9時12分】


「んっ……」

背中の暖かな感触で、俺は目を覚ました。少し部屋に湿気を感じる。
後ろを振り向くと、美和が幸せそうな寝息を立てていた。
そっと髪を撫で、俺は身体を起こして軽く伸びをした。腰の辺りに、軽い怠さを感じる。
昨晩のことを思い返す。……3回、いや4回は射精しただろうか。お互い久しぶりだからというのもあるが、随分したものだ。
しかし、10代のガキのような激しいセックスをするには、やはり年齢が堪えているらしい。俺はそれを思い、苦笑した。

壁にかかった時計を見ると、もう9時を過ぎている。外が曇天ということもあって、時間に気付かなかったようだ。

「美和さん、起きてください。もう9時過ぎてますよ」

「ん……敬語禁止て言わなかったっけ……って本当だ!しまったなあ、お昼には熊谷行かなきゃいけないのに」

「間に合いま……じゃなかった、間に合う?」

「んっと、シャワー浴びてメイクして……まあ間に合うかな。仁さんは、今日はオフ?」

「一応……あ」

今日は城が佐倉と会う日だ。何もなければいいが、一応動ける態勢にはなっておいた方がいい、か。

「すまない、俺も昼には家に戻った方がいいかもしれない。シャワー、美和が使った後でいいから貸してくれないか?」

「ん、分かった。……スマホ鳴ってない?」

枕元のスマホがヴーヴーと震えている。そこにあったメッセージを見た瞬間、俺の気だるさは吹き飛んだ。

「……美和、ちょっと俺が先に出ることになりそうだ。シャワー、俺が先でいいか」


720 ◆C9vIqtyVF22019/01/07(月) 12:46:50.15UUshZFR5O (1/1)

【6月24日、10時01分】


待ち合わせの和光市駅改札に行くと、既に城と薬師丸がいた。二人が深く頭を下げる。

「すみません、呼び出してしまって」

「構わない。人払いをした方がよさそうだな。最寄りの署に向かうか、ここだと朝霞だな」

私用のフィットに二人を乗せる。城の目の下には隈ができ、薬師丸も酷く疲れた様子だ。

「自力で脱出とは、無茶をしたな。アイスキャンディの服用は」

小さく城が首を縦に振った。

「……それは、避けられませんでした。でも、ヤクを救えただけで十分です」

「あのボディーガードは」

少しの沈黙の後、戸惑い気味に城が口を開く。

「それが……話すと少々長くなりますが」

城が説明を始めた。アイスキャンディの効果なのか、随分と落ち着いているように見える。ずっと黙ったままの薬師丸とは、大分違う。
いくつか疑問が生じたが、俺は黙って聞いていた。特に最後、唐川という男に攻撃した青年。ひどく引っ掛かる。

……ひょっとしたら、バッドエンド・ブレイカーは組織なのか?しかし、そうすると色々な疑問が氷解する。
全国各地で犯行があること。手掛かりをほぼ残していないこと。そして、今回だけ手口が違うこと。
複数犯、それも相当規律だった組織なら分からなくもない。そして、彼らも城が今日佐倉と会うことを知っていたということになる。

警察内部に内通者がいた、ということなのだろうか。今日、城をマークしていたのは赤木警部だ。だが、彼ではあり得ない。性格上、最もあり得なさそうな人物だ。

……とすれば誰が?

スマホが震えた。赤木警部も、朝霞署に向かっているという。話さねばならないことは、多い。

#

城の説明が終わる頃、俺たちは朝霞署に着いた。当直の署員に簡単に事情を説明した後、小さめの会議室に入る。

「よう。悪かったな、休みのところ」

「いえ、職務ですから。赤さんもお疲れ様です」

「おう。……しかししくったぜ。赤坂近辺とNシステムが言うからオークラから先に行っちまった。ニューオータニだったか。
まあ、それでも収穫は十分だ。坊主、嬢ちゃん、座んな」

二人が緊張した様子で席に着いた。

「話は大体聞いた。まず、薬師丸さん。誘拐された時の状況を」

ビクッと、彼女の身体が跳ねた。そして、急に震えだす。恐怖が蘇ったのだろう。

「あ……あの……」

「無理はしなくていい。実行犯が唐川という男というのは分かっている。身柄確保に向け、動いているはずだ」

唐川は野次馬から現れた青年に、何かで攻撃されたという。ただ、その続報は今のところない。
赤木警部が、警視庁に連絡を取っているはずだ。唐川、ないしは奴を攻撃した青年の身柄を押さえられていれば、話は早いのだが。

薬師丸が、しゃくりあげるように泣き出した。

「あ……あのっ……あ、あたし、日課のランニングをしようとしてたんです。……そうしたら、後ろからハンカチのようなものを押し当てられて……。
気付いたら、ホテルで。何がなんだか分からないうちにジョーが来て……えっ、えぐっ…………」

「……無理はしなくていい。気付いたことは」

※80以上である


721以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/07(月) 12:48:53.92Ww8zDho80 (1/1)

ほい


722 ◆C9vIqtyVF22019/01/07(月) 20:58:21.50e0sYD8SwO (1/4)

「き、気付いたことですか……?気をすぐ失って……あ」

薬師丸が数秒黙った。

「……あたしが起きて、唐川って人が暴れてたんです。『薬の効きが悪い、早くくれ』って。あれも、アイスキャンディとかいうやつなんですか」

俺は赤木警部を見た。

「やはりそうです」

「そうか。唐川にせよ矢向せよ、『前』(前科)はなかったからな。
アイスキャンディには、ドーピングの効果でもあんのか」

「肉体の反応速度は倍加するはずです。あるいは、城からもらった改良型かも」

「解析結果は明日だったな。やっぱり、皆ヤク中ってことか……ん?」

赤木警部が身を乗り出した。

「おいっ、佐倉もアイスキャンディを飲んでたんだよな?あいつに異変はないのか?」

「いえ、今のところは……翔一も、副作用のことは知らない?」

俺は首を横に振った。佐倉翔一は、20年後も健在だ。「前の周」でアイスキャンディを服用してたかは知らないが、副作用について知らないはずがない。

とすれば奇妙だ。城と少なくとも同じペースで飲んでいたはずだ。なぜ副作用を躊躇しないのか?噂に聞く、特殊酵素の持ち主なのか?
どうも、まだアイスキャンディには何かが……20年後でも分からなかった何かがある。

俺は城の目を見据えた。

「佐倉は、どのくらいの頻度で飲んでた?」

「……僕より多かったはずです。知り合う前から持ってたみたいですし……翔一も、もうすぐ死ぬんですか」

やはりか。佐倉は何かをまだ隠し持っている。奴を捕まえねば。

「いや、多分それはない。俺の読みでは、副作用を知っててなお敢えて飲んでいる。つまり、今後も生きていく自信があるということだ。
赤さん、その後ニューオータニの火災の情報は?」

赤木警部がスマホを弄り、大きく溜め息をついた。

「や……地下駐車場が火元で、テロの可能性があるって点程度までしか報じられてないな。
唐川の話や、その後犯人が捕まったという話もない。佐倉は、多分逃げたな。……とすれば唐川はどこに消えた?」

「警視庁に聞きましょうか」

俺はスマホを握った。

※コンマ下
01~75 情報なし(通常ルート)
76~95 ……おたくが逮捕したと聞きましたよ?
96~00 今、こちらです。


723以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/07(月) 21:01:16.59R8bkdZCm0 (1/1)




724 ◆C9vIqtyVF22019/01/07(月) 21:20:15.33e0sYD8SwO (2/4)

#

「……やはり知らない、か」

警視庁の捜1と連絡を取ったが、「初耳だ」との反応だった。唐川への急襲は、混乱の中で消えてしまったらしい。

「まずいな。となると……襲ったのがバッドエンド・ブレイカーとすると、唐川はその手の内に落ちたのか」

「かもしれないですね……」

唐川という男を、俺は知らない。ただ、城らの話から察するに相応の巨体だ。男一人でどこかに運べるものだろうか。
共犯者が、まだあそこにいたはずだ。それが誰かは分からない。だが、間違いなくいたはずだ。

そしてもう一つ、訊かねばならないことがある。

「城、それとは別に一つ質問だ。佐倉の行き先に心当たりはあるか?」

※コンマ下95以上である


725以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/07(月) 21:26:20.02TufsumsDO (1/3)

いけ


726 ◆C9vIqtyVF22019/01/07(月) 21:34:40.23e0sYD8SwO (3/4)

「……いえ。ただ、都内は危険だ、人気の少ない所に行かないとみたいなことは言ってました」

「都内は危険?」

「ええ。毛利さんが見せてくれた、似顔絵の子供に心当たりがあるみたいで。翔一は、かなり警戒してました。……何者なんですか」

佐倉があのコナン似の子供を知っている?しかも、急に警戒させる程度には恐れている。
俺は20年後の記憶を探った。……あの顔に、俺は見覚えがない。だが、成長した姿なら?

※コンマ下70以上で思い出す


727以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/07(月) 21:38:13.61j04H1RZDO (1/2)

はい


728以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/07(月) 21:39:16.74TufsumsDO (2/3)

ほい


729 ◆C9vIqtyVF22019/01/07(月) 21:44:52.08e0sYD8SwO (4/4)

今日はここまで。

なお、仁が思い出すタイミングはまだあります。また、思い出すことでコナンには不利になります。


730以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/07(月) 21:46:29.31TufsumsDO (3/3)

乙でした


731以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/07(月) 21:48:37.69j04H1RZDO (2/2)




732 ◆C9vIqtyVF22019/01/08(火) 09:11:41.94Xml5UqmGO (1/2)

……やはり思い出せない。ただ、間違いないことが二つある。

あの少年が事件に関与しているであろうことと、彼が危険な存在であるということだ。
未来から来た覚醒者であるなら、見た目の幼さは問題にはならない。それは亜衣でよく分かっている。

「……いや、俺も知らない。ただ、君も警戒はしてくれ」

「ちょっと待て仁。あの似顔絵のガキが、バッドエンド・ブレイカーだなんて言いやしねえよな?」

「しかし否定する要素もありません。確実に言えるのは、佐倉があの少年を知っていて、しかも恐れていることだけです」

赤木警部が「んな馬鹿な」と息をついた。

「30前後の医療資格者というプロファイリングの結果ともあまりにかけ離れるぜ?第一、ガキが自分の意思で殺すとでも?」

「注射ならあの女性が手を貸しているかもしれません。一応、所轄にマーク対象として投げておきますか?」

「……まあお前のこった、それなりに自信はあるんだろうが……一応、言うだけ言ってみるか」

目の前の二人は、かなり消耗している。薬師丸はもちろんだが、城も元から疲労があったらしい。あまり拘束するのも辛いだろう。

「じゃあ、とりあえず今日はここまでとしておこうか。他に気付いた点があるなら聞くが」

※コンマ下30以上で追加


733以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/08(火) 09:17:31.40YAqI9eIDO (1/2)

はい


734 ◆C9vIqtyVF22019/01/08(火) 09:31:46.72Xml5UqmGO (2/2)

「……あっ」

城の顔色が変わった。

「翔一は、和人……鶴岡和人に手を出すかもしれません。『仕付ける』とか言ってましたから……」

「仕付ける?」

城が頷く。額から汗が、一筋流れた。

「和人は、翔一と距離を取りたがってました。理由はよく分かりません。ただ、僕も最近は彼を見てない。
確か、今はお兄さんたちのトレーニングに付き合う形で海外にいるはずです。日本にいつ帰るかまでは知りませんが」

赤木警部が険しい顔になった。

「ということは、帰国次第そこの嬢ちゃんみたいに拉致られるかもしれねえってことか。
仕付けるってことだが、内容は?」

「……分かりません。ただ、僕もあの火災がなかったら、それを受けていたはずです。『特別な趣向』とか言ってましたから……。
殺すまでは、きっとしないと思います。駒が足りないと言ってましたし。ただ、和人が危うい目に遭うのだけは、間違いないかと」

「鶴岡の保護が必要だな。とはいえ、どこの国にいていつ帰るか分からねえことには、打つ手がないが。心当たりは」

※コンマ下
01~80 知らない(通常ルート)
81~95 行き先は知っている
96~00 帰国日も知っている


735以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/08(火) 09:48:50.50+xcMCRBn0 (1/1)

和美ちゃん爆誕!


736 ◆C9vIqtyVF22019/01/08(火) 12:41:33.50TkAmtD2lO (1/1)

「いえ……和人とは、仲がいいわけじゃなかったので」

「なるほどな。まあ、長男の光輝はインスタやってるはずだから、本当に海外に行ってるならそれで分かるが。……どうだ」

俺はスマホを操作する。光輝は確かにフィリピンにいるようだが、画像には次男の大和はいても和人の姿はない。

「分からんですね。海外に行ってること自体がフェイクかもしれない。たまたま写ってないだけならいいですが」

「参ったね。とりあえず、身柄を押さえたいもんだが。……アイコス、いいか」

「ええ」

加熱式タバコを懐から取り出すと、首を振りながら赤木警部がそれを吸った。軽くコーンが焦げたような香りがする。

「とりあえず、唐川がいなくなったことで鶴岡には接触しやすくはなったな。しばらく、青か白をそっちに張らせる。お前は、城の方を見てくれ。俺は佐倉を追う」

「了解です」

俺は城と薬師丸を見た。

「すまなかったな。今日は帰って結構だ。送ろうか」

「ありがとうございます。……これからどうすれば」

「いつも通りでいい。ただ、身辺警護は俺が中心になってやる。薬師丸さん、君も警護対象だ。
当面は、佐倉を警戒した方がいい。こちらもできるだけはやる」

薬師丸の表情が強ばった。いきなり命の危険に晒されたのだ。無理もない。

「分かりました。じゃあヤク、行こうか」

「……うん」

二人が立ち上がる。……俺は一つ、伝え忘れていた。

「ああ、すまない。5分ほど、エレベーターの前で待っていてくれ。少し赤木警部と話さなきゃいけない」

「……?分かりました」

二人を追い出した後、俺は赤木警部と向き合った。

「……どうした、真剣な顔で」

「警察内部に、内通者がいます。バッドエンド・ブレイカーに繋がっているはずです」

「……お前もそう見たか」

白い煙が立ち上る。

「変だとは思ってた。Nシステムを使って追尾してたが、俺より先に、しかも正確に城の居場所を突き止めている。
しかも、もしあの女とガキがバッドエンド・ブレイカーだとすれば……若葉の証拠隠滅を何故か知っていた。内部者でなければ、分からないはずだ」

「そうです。少なくとも、埼玉県警捜査一課か、それにかなり近い人物がバッドエンド・ブレイカーにいます。心当たりは?」

※コンマ下85以上である



737以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/08(火) 13:15:05.80JoA8Y4hiO (1/1)




738 ◆C9vIqtyVF22019/01/08(火) 20:40:01.626CEoSO+7O (1/5)

「……いや、ねえな。お前は?」

「同じく……」

俺の脳裏に、一人の男の顔が浮かんだ。白田兵次郎。元捜査一課の刑事である彼ならば?
しかし、今でも捜査一課にパイプがあるとは考えにくかった。城がどこに向かったかなどの情報は、現役の警察でないとまず手に入らない。退職後の彼では、無理なはずだ。

……一度、行ってみるか。

「とにかく、捜査一課内をそれとなく探ってみます。赤さんも頼みます」

「おう。悟さんにも、伝えた方がいいか?」

俺は一瞬躊躇した。木暮管理官が内通者とは考えにくい。ただ、万一ということもある。

1 伝える
2 伝えない

※安価下3多数決


739以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/08(火) 21:00:35.04FBbFcrpDO (1/1)

1


740以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/08(火) 21:02:25.63+bK8RZe90 (1/1)




741 ◆C9vIqtyVF22019/01/08(火) 21:40:13.866CEoSO+7O (2/5)

「……そうですね。お願いします」

「了解だ。悟さんがどう炙り出すかな」

赤木警部がにやりと笑う。もし、木暮管理官が内通者なら、俺たちの立場は危うくなる。これは賭けだ。ただ、分のいい賭けだではあるが。

#

「Mama, just killed a man
Put a gun against his head
Pulled my trigger, now he's dead……」

城と薬師丸を新座の自宅まで送る車内には、ボヘミアンラプソディーだけが響いていた。
薬師丸はすうすうと眠り、城は車外を眺めている。

荒川のホームレス射殺犯である彼に、この曲は酷か。俺はカーステレオを弄ろうとした。

「変えるが、いいか」

「……いえ、このままで。どうせすぐ着きますし。……翔一は、何者なんでしょう」

「……俺も分からない。ただ、あれは普通の中学2年生じゃない。それだけは断言できる」

嘘は言っていない。ただ、彼に俺が未来の記憶を持つ覚醒者であると、伝える必要もない。
未来における奴は、実業家だ。名前も顔も変えたが、あれは間違いなく熊谷大虐殺の犯人の一人、佐倉翔一だ。
だが、それを伝えて何の意味になるか。俺にとって、そして彼にとって重要なのは、今の奴だ。

城が軽く息をついた。

「結局、誰も分からないんですね」

「君はどう思う」

「……分からない、としか言いようがないんです。まるで、名前のない怪物みたいな……」

その寂しげな顔に、俺は城が佐倉のことを恨みきれてないのではと直感した。理由はなんであれ、惹かれる部分はあったということか。

「理解したいのか」

「そういうんじゃないんです。ただ……本当にあいつは、人を駒としか思わない人間なのかなって。もしそうだとしたら……どうやって、あいつは生きてきたんでしょう」

「……さあな。着いたぞ、薬師丸さんを起こしてやれ。親御さんには、俺が説明する。立派な、未成年者誘拐事件だからな。君も被害者ということにしておこう」

城が静かに首を縦に振った。これが済んだら……鶴ヶ島に向かおう。


742 ◆C9vIqtyVF22019/01/08(火) 21:52:28.076CEoSO+7O (3/5)

#

状況説明には、小一時間かかった。薬師丸の両親は号泣し、娘の無事を喜んだ。
ただ、まだ狙われるかもしれないと伝えると表情は凍りついた。彼女の一家に平穏が訪れるのは、まだ先だろう。

城の母親、寿美子は現れなかった。「休日でも仕事ですから」という。薄情な親だ。

「繰り返すが、俺たち警察は君らを完璧に守れるわけじゃない。だから君ら自身も、警戒してくれ。
身を守るのは、究極的には君ら自身しかいない」

去り際にそう告げると、二人が固い表情で頷いた。佐倉は、恐らくはまた二人の前に現れるだろう。根拠はないが、俺はそう感じた。


その前に、捕まえられるだろうか。


【6月24日、14時32分】


俺は城たちと別れると、車を一路鶴ヶ島へと飛ばした。「カフェ・ドゥ・ポワロ」は……

※コンマ下
01~20 休んでいる?
21~65 かなり混んでいるようだ
66~85 そこそこ空き始めている
86~00 休んでいる?……いや、カウンターには兵さんがいる


743以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/08(火) 21:55:57.31Mk/iYbBl0 (1/1)




744 ◆C9vIqtyVF22019/01/08(火) 22:12:09.836CEoSO+7O (4/5)

「カフェ・ドゥ・ポワロ」はかなり混んでいるようだ。兵さんと学生バイトで回しているようだが、ここで俺が行っても兵さんとは話せまい。
落ち着いた頃に、もう一度来るか。2時間もすれば、多少は空くだろう。

しかし、2時間という時間は中途半端だ。自宅に帰ろうにも落ち着かない。
さて、どうしたものか。

1 美和に連絡、合流する
2 入間西警察署に行って調べものをする
3 射手矢記者に連絡を取る
4 その他自由安価

※2票先取
※自由安価は歓迎です


745以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/08(火) 22:41:41.05grK5SwSzO (1/1)

2


746 ◆C9vIqtyVF22019/01/08(火) 22:53:19.516CEoSO+7O (5/5)

一応地理が分からない人のために説明します。

1 片道1時間弱かかります。時間は3時間は最低要します。戻ったら閉店しているかもしれません。
2 片道10分程度です。何を調べるか次第(それとコンマ次第)です。
3 川越で落ち合うため片道30分程度です。会話の内容次第ですが、2時間はかかりません。
4 行動次第では劇的に話が進む可能性があります。


747以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/08(火) 23:22:16.23YAqI9eIDO (2/2)

2


748 ◆C9vIqtyVF22019/01/08(火) 23:33:43.72v78sDDVMO (1/1)

今日はここまで。仁パートが終わり次第コナンパートになります。


749 ◆C9vIqtyVF22019/01/09(水) 08:51:12.42OZSA/1pkO (1/1)

確か、近くに入間西警察署があったはずだ。休日だが、時間は潰せるだろう。

だが、本庁の刑事が所轄に出向くには相応の理由がいる。
入間西は坂戸や鶴ヶ島一帯を管轄しているが、川越北部の事件まではタッチすることが多い。
とすると、今回の発端である鬼束の死について、何か情報があるかもしれない。行ってみる価値はありそうだ。

#

「本庁の、毛利刑事ですか」

当直の若い刑事が怪訝な顔をした。

「済まない。川越で5月7日に起きた、鬼束直哉少年の変死についてだ。何か資料が残ってないか」

「あれは川越署の担当ですが……一応、うちにもあったかな。しかし、あれは自然死ということだったのでは?」

「話が変わってきていてな。金路アゲハの殺人と絡んでいる可能性が高い。連続殺人として捜査規模を拡大したいが、なかなか裏が取れない。
担当として少しの間調べたいのだが、いいだろうか」

「……俺の独断じゃ無理ですね。一応、あなたが本当に本庁の人か調べますんでちょっと待っててください」

刑事はどこかに電話している。

※15以上で閲覧可能


750以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 09:04:23.77/u0KL4wG0 (1/1)

ほい


751 ◆C9vIqtyVF22019/01/09(水) 12:05:21.30jHAniu7aO (1/3)

「……なるほど、了解です。毛利警部補、失礼しました。どうぞ」

若い刑事が書庫へと案内した。埃と紙の入り交じった匂いがする。

「鬼束少年のは……あった、これだ。資料は元に戻してください。しかし、休日に仕事熱心ですね」

「たまたま近所に来たから寄ったまでだ。……薄いな」

「急性心不全による病死の線で早々に固まりましたから。目撃証言もほぼなかったですし」

俺は数枚の資料をパラパラとめくる。

※コンマ下75以上で情報あり




752以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 12:09:43.02R1oQNFNtO (1/1)




753 ◆C9vIqtyVF22019/01/09(水) 12:16:37.37jHAniu7aO (2/3)

資料は淡々と、事実の羅列に終わっている。手口上仕方ないが、殺人の線を強く疑わなかったのは初動の遅れの原因でもある。
グレーな案件はできるだけ「白」にしようとする警察官は少なくない。なかったことにすれば、仕事量は減り楽ができる。
殺人の捜査は手間も体力もかかる。それを避けたいというのは、あり得る心理だ。

しかし、それで事件が隠れてしまったなら意味がない。まして、これは連続殺人だ。
事件担当の刑事を呼びつけ、一通り怒りをぶちまけたい衝動に駆られた。ここで恐らく無関係の、この若い刑事に当たっても意味がないのだが。

「収穫、ありましたか?」

「……いや。邪魔したな」

俺は資料を戻した。

※コンマ下50以上で追加イベント


754以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 12:21:23.09JmbKEQHP0 (1/1)

ふむ


755 ◆C9vIqtyVF22019/01/09(水) 12:44:01.02jHAniu7aO (3/3)

※追加イベントなし(コナンパートでは有利になります)

#

早々に入間西警察署を出た俺は、軽く本屋で時間を潰した後で兵さんの店に向かった。店はまだ空いている。
客はそこそこいるようだが、これなら話はできるかもしれない。

「いらっしゃ……仁か?どうした、連日。しかもスーツ姿で」

「いえ、兵さんに聞きたいことがあって。後で少し、時間いいですか」

「おいおい、俺を取り調べるつもりかよ……どうやらマジなようだな」

俺の目を見た兵さんは真顔になった。

「美樹ちゃん、今日は5時上がりでいいぞ。店も閉める」

「マスター、本当ですか?」

「ちょい急用ができた。美樹ちゃんも適当に上がってくれ。……さて仁。案件は」

「昨日、美和たちとここを訪れたことに関連することです。言いづらいので、人払いを」

「……なるほど、な」

兵さんはカウンターに向かった。

「時間まではまだある。それまでコーヒーでも飲んでくれ」

サイフォンがポコポコと泡をたてている。……白田兵次郎は、覚醒者なのか。どう切り出すべきか、俺は悩んでいた。

#

※コンマ下60以上で重要イベント開始


756以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 12:52:22.68sJmOBBaDO (1/4)

はい


757 ◆C9vIqtyVF22019/01/09(水) 18:50:36.39lE789N4kO (1/2)

「待たせたな」

コーヒーがすっかり冷めた頃に、兵さんが俺のいる窓際のテーブルに来た。店内に残るのは、俺たち2人だけだ。

「いえ。あの部屋でいいですか」

「おう。コーヒー淹れ直すから、ちょっと待ってろ」

また、防音室に通された。昨日来た時はそうでもなかったが、無機質で落ち着かない。
しばらくすると、マグカップを持った兵さんがやってきた。

「そら。長い話になると思って、多めに淹れておいた。うちの自慢のブレンドだ、旨いぞ」

口にすると、ダークチョコレートのような甘い香りが拡がった。深いコクも感じる。ローストは深め、フレンチローストに近いか。

「さすがですね」

「お世辞を言っても何も出ねえよ。……疑ってるんだろ、俺を」

電流が走り抜けた気がした。……悟られていたか。

「どうして、それを」

「簡単なことだ。昨日、一度戻ってたな。忘れ物と言ったが、ありゃ口実だ。
盗聴機が仕掛けてありそうな鉢やコンセントの辺りに、お前のものらしき指紋べったりと、な。
つまり、俺を何かの理由で疑っている。違うか」

兵さんはニヤニヤと笑みを浮かべている。この人に、嘘は通じない。

「……ええ。信じてくれるか分かりませんし、理解してくれるかも分かりませんが、率直に言います。
未来の記憶、ありますか」

「ある、と言ったら?」

「あなたに次の質問をすることになりなす」

兵さんがマグカップに口を付けた。

「何の質問だ」

「それはまだ。ただ、今追っている事件に関わる……」

「バッドエンド・ブレイカー」

俺は目を見開いた。……やはり彼も、覚醒者か。

「その分だと、お前もだな。20年後のお前は噂でしか知らんが、今のお前はそれとは違うようだ」

「……そこまで……なら、俺の言いたいことも、分かるんじゃないですか」

「内通者じゃないか、ってことだな。答えはノーだ。俺は、傍観者を決め打ちしている」

本当だろうか。兵さんは、海千山千の兵だ。犯罪者を落とす話術で、彼以上は見たことがない。
それはつまり、嘘をつく達人ということでもある。

※2票先取

1 傍観者って、どういうことですか
2 なら、なぜこの部屋を
3 内通者の心当たりは?
4 コナン似の少年、知りませんか
5 なぜ、この時代に
6 その他自由安価

※質問回数はコンマ次第です


758 ◆C9vIqtyVF22019/01/09(水) 19:46:08.69lE789N4kO (2/2)

上げます。2200までは多分更新なしです。


759以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 19:50:46.05sJmOBBaDO (2/4)

4


760以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 20:22:06.393tUp7iVu0 (1/2)

2


761 ◆C9vIqtyVF22019/01/09(水) 21:43:38.00uIzQl40OO (1/3)

上げます。


762以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 21:47:27.42j98XyqjO0 (1/2)

4


763 ◆C9vIqtyVF22019/01/09(水) 22:09:33.42uIzQl40OO (2/3)

訊きたいことは色々ある。だが、今一番知りたいのは、この情報だ。

「そうですか。それはそうと、名探偵コナン似の少年、ご存知ですか。彼が、バッドエンド・ブレイカーに関わっている可能性が高い。
あなたが覚醒者なら、ひょっとしたら知っているのでは?」

※コンマ下
01~75 知らんな
76~90 ……知らんな
91~00 そこまで知っているか


764以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 22:32:54.31j98XyqjO0 (2/2)

知ってる


765 ◆C9vIqtyVF22019/01/09(水) 22:41:08.92uIzQl40OO (3/3)

「知らんな」

兵さんは即答した。内通者なら知っていたとしても答えられるはずもない。あるいは、本当に知らないのかもしれない。

「……そうですか。あるいは、と思ってましたが」

「まあ、繰り返すが俺は傍観者だ。世間のことには積極的には、関わらないようにしている。
仮にバッドエンド・ブレイカーが俺に接触したとしても、断る以外の選択はないな」

傍観者という点を随分と強調する。何かあったのだろうか。

※2票先取

1 傍観者って、どういうことですか
2 なら、なぜこの部屋を
3 内通者の心当たりは?
4 なぜ、この時代に
5 その他自由安価

※質問が確定しているのはここまでです。3問目以降からはコンマ次第になります。



766以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 22:56:37.12sJmOBBaDO (3/4)

2


767以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 23:05:33.83GAc6m/ad0 (1/1)

1


768以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 23:19:28.36Kyr6osxDO (1/1)

1


769 ◆C9vIqtyVF22019/01/09(水) 23:19:38.63ng4JTAWlO (1/2)

上げます。


770 ◆C9vIqtyVF22019/01/09(水) 23:20:05.66ng4JTAWlO (2/2)

1で決定します。今日はここまで。


771以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 23:20:07.233tUp7iVu0 (2/2)

2


772以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/09(水) 23:23:32.41sJmOBBaDO (4/4)

乙です


773 ◆C9vIqtyVF22019/01/10(木) 09:20:18.29xhkmgwWPO (1/2)

「傍観者って、どういうことですか」

俺の問いに、兵さんは無言でコーヒーを飲んだ。

「さっき言った通りだ。俺は歴史改変には関わらない。ただ機を待つだけだ」

妙だった。兵さんは、明らかに何かを知っていて、敢えて黙っている。

俺は美和の言葉を思い出した。……まさか。

「兵さん、ひょっとして『何周かしてますか』?」

「……どうしてそう思う」

兵さんの手が止まった。

「勘です。それと、一度歴史改変をしたことがあるような……そんな口振りでした」

「……さすが、優秀な生徒だよ。御名答だ」

ふっと彼が笑った。

「何周目なんです。この世界は」

「少なく見積もって4周。もっとかもしれん。ただ歴史には修正力がある。未来を変えたつもりでも、大体はどこかで帳尻が合ってしまう。
Aという事件を解決したら、Bという別の――大体はより大きな惨事が世界のどこかで起きる。そういうようになっている。
2周目で俺は失敗し、3周目では裏方に回ったが無駄だった。なら、今回は勝負どころまで極力動かずにいた方がいいと思った。それが、傍観者という言葉の意味だ」

「……4周も??」

兵さんは頷いた。そんなに繰り返されていたのか?
俺の記憶は、当然「前の周」しかない。それ以前の記憶は、全くなかった。

「まあ、俺みたいに何周もしている奴が他にどれぐらいいるかは知らない。一応言うなら、バッドエンド・ブレイカーはこの周になって初めて現れた存在だ。
ああいう強行手段で未来を変えようとする発想は、俺にはない。その影響がどんな形になるか読めないからな」

「……そうですか。佐倉の存在も?」

※コンマ下
01~75 気になったのは前の周からだ
76~95 特殊イベント
96~99 特殊イベント(真相が見え始めます)


774以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/10(木) 09:41:59.06ENiLqpVDO (1/1)

それ