486 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 20:44:17.6012JbVXjPo (20/25)


√ 11月04日目 昼(病院) ※水曜日

01~10 園子
11~20 
21~30 東郷
31~40 
41~50 夏凜
51~60 
61~70 九尾
71~80 
81~90 若葉
91~00 

↓1のコンマ 



487以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/03(日) 20:46:31.71YVqxaHZaO (3/3)




488 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 20:50:12.1112JbVXjPo (21/25)


では、少し中断します
再開は通常時間:22時ごろからを予定しています


489以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/03(日) 21:01:12.67Sapsy60TO (1/3)

一旦乙
お互いの優しさがぶつかり合ってて複雑だなぁ…


490 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 22:40:28.9212JbVXjPo (22/25)


ではもう少しだけ


491 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 22:51:00.8712JbVXjPo (23/25)


√ 11月04日目 昼(病院) ※木曜日


天乃「話しておくべき……ね」

千景と話し合って、確かにデメリットだけではないという言い分も分からなくはないと天乃も思った

だが、今の状況でさらに周りを心配事に引きずり込むというのは、気が引ける

大赦が行おうとしている作というのは重大だが、

千景達精霊を残そうかどうかというのもまた、友奈達にとっても重要な案件だ

大きな難題二つを同時に考えろというのは無茶であると

実際に考えさせられている天乃が思うのだから、出来るわけもなく

天乃「はぁ」

園子も東郷もリハビリへと向かい、

今朝言っていたように夏凜は瞳と共に調査

病室に1人きりの天乃はため息をついて枕へと頭を落とす

せめて、最初に話した大赦の件が片付いてからにするべきだろうか、

しかし、難題が済んだ瞬間に新たな難題

しかも最悪の可能性まで覚悟しなければいけないとなると

そこもまた簡単に決められないというのが正直なところだった

天乃「頭痛い」

ぶつけたわけでも熱があるわけでもなく

妄想的に痛みを感じた天乃は額に手を宛がって……またため息をついた


492 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 23:09:43.5012JbVXjPo (24/25)


夏凜達は神話の中の何かがもとになっているという結論に達し、

その情報を集めるべく奔走するということになったが、

神社の中で力を引き継いだ娘として、天乃にも多少の知識はある

しかし、ここで問題になってくるのが満開による影響

家族から教えて貰ったこと、あるいは家族とともに学んだことに関して

ボロボロに抜け落ちた記憶となってしまっていることだ

これに関しても曖昧だが、

学んだのは小さいころということもあって独学ではなかったらしく

今回の件に引っ掛かりそうな知識はない

だからといってみんなのように自由に動けるのかといえば……それも不可能

天乃「……厄介ごとを持ち込むだけなのは、ちょっと、精神的につらい」

8割の罪悪感と2割のもどかしさ

こんなことでさらなる厄介な難題を問いかけても良いのかと

天乃は余計な悩みを抱えて気落ちする

もちろん、子供が悪いというわけではないのだが、

どうしても今の自分の体が煩わしく思えてしまう



1、精霊組
2、夏凜の枕を盗み出してギュっとする
3、考えるのは止めて休息する
4、イベント判定


↓2


493以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/03(日) 23:12:27.03Sapsy60TO (2/3)

2


494以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/03(日) 23:18:08.464+TV0Elc0 (3/3)

2


495 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 23:23:48.9112JbVXjPo (25/25)


再開が遅くなってしまったので短くなりましたが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「………」チラッ

天乃「ん……っと」グイッ

天乃「…………」ギュッ

天乃「……夏凜の匂いがする」スンスン

若葉(わ、私というものがありながら……ぐぬぬっ)

若葉「実家に帰らせていただく!」バンッ

天乃「えっ!? わ……えっ!?」ビクッ


496以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/03(日) 23:32:18.67Sapsy60TO (3/3)


そろそろ久遠さんも覚悟を決めないといけない時が来たのだろうか…
その前に夏凜ちゃんの枕で心でも癒しておこう


497以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/04(月) 02:08:54.185Dgf12xsO (1/1)


ヒーリングアイテム夏凜の枕


498 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/04(月) 22:23:40.99kwC42lF8o (1/7)


では少しだけ


499以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/04(月) 22:24:25.48mdv5lH7HO (1/2)

あいよー


500 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/04(月) 22:36:28.01kwC42lF8o (2/7)


動かせない足を両手で無理やり動かして、隣のベッドへと目を向ける

綺麗にたたまれた布団の上、ポツンと置かれた枕に手を伸ばす

天乃「んっ……ぅ……」

普通の病室のベッドの間隔よりは近いとはいえ、

下半身が動かせない状況では果てなく遠く

指先が掠める事すら出来ない

ずりずりと足を引きずり身を投げ出すように手を伸ばして――

天乃「っ」

ようやく、爪先が掠る

天乃「…………」

布団がぐちゃぐちゃになる可能性

枕が床に落ちてしまう可能性

それらを踏まえたうえで、天乃は自分の枕を掴んで夏凜の枕を叩く

1回……2回……3回

バンッ、バンッ、バンッっと病室に音が響き、

夏凜のたたまれた布団が揺れて、枕が微妙にズレる

折り目をきっちり揃えられた布団も合わせて乱れ、

先端がずるりとはみ出し、枕を連れ出す

天乃「……んっ!」

絶対に落ちることがないように細心の注意を払って手を伸ばし、

数回空を切った指先で夏凜の枕の端を摘まん……で一気に引いた


501 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/04(月) 22:52:35.45kwC42lF8o (3/7)


天乃「はぁっ……は……ふぅ……んっ」

おかしな姿勢と大きな体のせいか

些細な運動でも息が上がって動悸が激しくなってしまう貧弱さが浮き彫りになったのを感じながらも

天乃はそれを考える余裕もなく呼吸を整えることに集中する

それでも、頑張って手に入れた夏凜の枕はしっかりと腕に抱く

天乃「…………」

日曜日に新しくされ、今日で約4日半

夏凜がしみ込んだ枕は存在を確かに感じて

満足げに横になって少しだけ強く抱いて顔を埋める

安心する匂いだった。

包まれているような気分になれて

一人ぼっちの寂しさも紛らわせることが出来た

天乃「……弱い」

心が弱い

体が弱い

何もかもが弱くて惨め

まるで創作物のヒロインのようだと天乃は自虐する

だとしたら、ヒーローを兼ねた主人公は夏凜になるのだろうかと考えて

ちょっとだけ想像する


502 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/04(月) 23:07:14.58kwC42lF8o (4/7)


白馬の王子様を夢に見る天乃ではないが、

いつもの勇者装束と装備から連想するに戦場に立つ武士のような格好の方がいいのだろうかと悩む

武士となるとやや渋さも感じるが、夏凜の凛々しさと愛らしさを隠しきることは出来なくて

颯爽と歩く姿は様になっているのに、格好いいというよりも可愛らしく感じてしまう

そして、通りすがりに笑ってしまうと不満げに「なによ」と足を止めるのだ

自分にはその恰好が似合っていないと考えていて

しかし、くノ一のようなものはより性に合わないと拒否する夏凜は馬鹿にするなら斬ると言う

天乃「う……ん……」

そんなことを言われる自分はヒロインなのだろうか

そこから好意に切り替わっていくようなことはあるのだろうか

もしかしたら、次に不敬を働いたら斬り捨てると見逃され

そこからしばらくして自分は何者かに襲われ……夏凜に救われるのだろうか

天乃「…………」

それはまさしく、弱者と強者の構図

今の自分たちのような状況

救われるだけの存在と、救う存在

それは、対等だと言えるのだろうか

天乃「ん……」

考えに没頭していくうちに閉じた瞼は開かなくなって

だんだんと意識が遠のいていく

ふと、遠くて近い曖昧などこかで「なにやってんのよ……」と誰かの声が聞こえた気がした


503 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/04(月) 23:13:12.38kwC42lF8o (5/7)


√ 11月04日目 夕(病院) ※木曜日

01~10 
11~20 A
21~30 
31~40 
41~50 B
51~60 
61~70 
71~80 A
81~90 
91~00 B

↓1のコンマ 

※別ルート、AorB 空白は無


504以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/04(月) 23:17:42.16mdv5lH7HO (2/2)




505以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/04(月) 23:30:43.091xSybnTvO (1/1)

A!


506 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/04(月) 23:31:59.63kwC42lF8o (6/7)


√ 11月04日目 朝(病院) ※木曜日


ほんの少し、声が聞こえる

照れくさそうで、怒っているようで、でも不満は感じない不思議な声

それに続く優しい感触

気遣いと愛情と、温もりを感じるそれは穏やかなリズムを刻んで触れてくる

天乃「ん……」

元々引き起こされつつあった意識はそれらに釣られるようにして覚醒に向かい、

小さな声を漏らして、天乃はゆっくりと目を開ける

すぐ近くゆえに大きく見える誰かの体

だから言ったのよ。と飛んでいく声と、囁く優しい謝罪の言葉

天乃「ん……ぅ」

別に。と声を発したつもりでも寝起きのせいか全く口は動かない

それでもぼんやりとした視界はだんだんと現実に近づいていき、

目の前にいるのが夏凜だという認識が出来るようになって。

夏凜「起こしたわよね……ごめん。もう少し寝てても良いわよ」

天乃「………」

夏凜「消灯までに枕を返してくれれば、それで」

天乃「っ!?」

夏凜の困った声と滲む羞恥心

天乃は自分が何を手にしたままなのかを思い出して、一気に目を覚ました


507 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/04(月) 23:47:41.98kwC42lF8o (7/7)


天乃「……ごめんなさい」

夏凜「いや、謝る事じゃないから」

天乃「でも」

夏凜「驚きはしたけど……まぁ……べつに」

ポリポリと頬を掻いて目を逸らす

他人の枕を抱きしめて何をしているのかと最初は驚いたが

東郷とは、違う

それに、安心しきった表情で寝息をたてられていては怒る気にも邪魔する気にもならない

それでも風に唆されて頭に触れた途端、これだ

自分には謝る理由があるが、天乃にはないと夏凜は繰り返し言って、ちらりと天乃を見る

夏凜「変なこと言うようだけど、嬉しかったわ」

天乃「え?」

夏凜「も、もちろん変な意味じゃないわよっ、誤解しないでよね」

天乃「うん……?」

夏凜「あんた、最近色々あって疲れてるくせに、それなのにあんま吐き出さないじゃない。だから、その……あれよ」

ちょっとだけ語気を強めた夏凜だったが、

すぐに声は収まって、優し気なものへと落ち着いていく

夏凜「形はどうであれ、あんたの意思でこういうことしてくれたってのは素直にうれしい」

天乃「…………」

夏凜「本当はもっと甘えたっていいのよ」


508 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/05(火) 00:00:29.099hRAZJVFo (1/6)


困った表情は相変わらず

けれど年相応に喜びを感じる笑みを浮かべる夏凜を見て、

天乃は自分が余計に枕を抱きしめていることに気づく

もっと甘えたって良いと夏凜は言ってくれているが

そんなことは許せないと思う反面、甘えたいと思う自分もいる

だから、枕を抱いたのだ

息切れする様な無茶をしてまでベッドから奪ってまで。

天乃「私は」

夏凜「前にも似たようなこと言ったと思うし、言われたとは思うけど。あんたはもう充分頑張ったのよ。休んだっていいのよ」

いつから勇者としての意識と志を持って取り組んできたのか正確な部分を夏凜は知らないが

それでも長く分厚いものであるということだけは分かる

どれだけ辛かったのか、苦しかったのか

少なくとも安易に同情して良い程度の話ではないと分かっている

夏凜「あんたはあんまりそういうことしてこなかったから、もしかしたら精神的に休むなんて弱いって思うのかもしんないけどさ」

寂しさが混じった

悲しさが混じった

そして、自分自身を皮肉るような笑みが夏凜から漏れる

夏凜「そんな、強がったりしなくたっていいんじゃないの? はっきり言って馬鹿みたいだし」


509 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/05(火) 00:17:10.889hRAZJVFo (2/6)


天乃「馬鹿みたい?」

夏凜「少なくとも私はそう思うって話」

弱いと思われるのが嫌だった。

低くみられるのが嫌だった。

優しさを捨てきれないくせに、強く当たったりもして

頼ること、甘えることは弱者だと考えることもあった

だから勇者部に思っていたことの一つを夏凜は笑い話の一つとして言う

夏凜「あんたにボコられてなかったらまぁ、私はまず鍛錬命、お役目命な感じだったわよ」

勇者部に関わらないことは不可避ゆえに繋がりは持っていたかもしれない

しかしあんな活動などくだらないままごとで、勇者とお役目には無関係で、無意味

そんなことしている暇があったら鍛錬しろ、自覚を持て。なんて

母親みたいなこと言い出してたかもね。と、夏凜は苦笑する

夏凜「本心のどこかでは、気になってるくせにね」

天乃「…………」

夏凜「私はその気になってたのに無視してた部分を選んだからここにいるし、それは結局間違いじゃなかった」

そんな道に進むのは弱いと思っていたのに、

そう思っていた自分など比ではないほどに強くなれたとさえ思う

夏凜「要するに、全力で頑張り続けるよりも休憩挟みつつ頑張った方が絶対に得られることはあるってことよ」


1、それは同意するけど、私は平気よ
2、何言ってるのよ。私は十分甘えさせてもらってるわ
3、私はヒロインになりたいわけじゃない。そんな、救われるだけなんて絶対に嫌
4、一緒にしないで
5、なら……今夜は一緒にいてくれるってことよね?
6、うん。ありがとう


↓2


510以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/05(火) 00:19:09.02UFIl9ekVO (1/2)

5


511以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/05(火) 00:21:22.20uCji2J4tO (1/3)

5


512 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/05(火) 00:37:32.719hRAZJVFo (3/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「私とは違う……?」

東郷「なにかおかしいような」

友奈「夏凜ちゃん的にはそういう風に思われてるってこと……じゃないかな……」

東郷「友奈ちゃん、どうして目を逸らすの?」

友奈「だ、大丈夫だよ東郷さんっ! 私は東郷さんが真面目にえっちになろうとしてるって解ってるから!」グッ

東郷「うん、何も大丈夫じゃないかな」ニコッ


513以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/05(火) 00:39:43.15UFIl9ekVO (2/2)


夏凜だってやるときはやるぞ!


514以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/05(火) 00:46:56.82uCji2J4tO (2/3)


夏凜ちゃんとの一夜って殆どが健全な感じがするよね
今の夏凜ちゃんのイケメンっぷりならここで久遠さんが否定したとしてもものともしないだろうなぁ…


515 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/05(火) 23:15:38.169hRAZJVFo (4/6)


では遅くなりましたが、少しだけ


516以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/05(火) 23:25:36.23uCji2J4tO (3/3)

来てたか


517 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/05(火) 23:32:21.009hRAZJVFo (5/6)


天乃「なら……」

考える。

どの程度の甘えなら、夏凜の許容範囲なのかどうか

冗談を言っていると思われたり、単純に拒否されてしまわないかどうか

文化祭一日目の夜、誘ってお断りを食らった天乃としては

今回は断られたくないと慎重で、抱きしめる夏凜の枕にも力が入る

天乃「なら……今夜は一緒にいてくれるってことよね?」

何をするとも言わず、ただ今のように傍にいてくれるのかと天乃は問う

気づけば目線は伏せがちで、心臓が高鳴る

夏凜の返事までの間が、少しだけ怖くて

夏凜「いっつもすぐ横にいるようなもんだとは思うけど……ま、いいわよ」

天乃「良いの?」

夏凜「ほんの数時間離れただけで枕抱きしめちゃうあんたの事、放っておけないし」

天乃「これは別に何でもないから」

夏凜「はいはい。分かってるわよ」

笑いながら言う夏凜だったが、馬鹿にしているような雰囲気は感じられなくて

天乃は怒るにも怒れずもどかしく顔を顰める

枕を抱きしめて、嗅いだ匂い

その時に感じた優しさと温もり、安心感がそこにはあったからだ


518 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/05(火) 23:57:30.009hRAZJVFo (6/6)


夏凜「で、少しは休めたの?」

天乃「ええ」

疲れによるものではないため、身体の重さが抜けるわけはないのだが、

少しだけ体が軽くなったようにも感じるし、

悩むべき多くの事、それによる不安も今は強く感じない

天乃「夏凜のおかげで落ち着けたわ……ありがとね」

夏凜「別に私は何もしてないわよ」

天乃「傍にいてくれたでしょ?」

夏凜「枕がね」

天乃「そのあと」

鮮明に覚えているわけではないが、

枕を抱きしめて意識が遠のいていく間にほんの少しだけ、夏凜を感じたのだ

枕を抱きしめている天乃を見つけてから、今この時までの数時間

触れることは控えていたにせよ、ずっとそばで見守ってくれていたのは枕ではなく、夏凜自身

天乃「いてくれたんでしょう?」

夏凜「………」

あえてしらを切っても天乃は流してくれるだろう

だが、ただ自分の僅かばかりの羞恥心が刺激されるくらいならと、

夏凜は「まぁね」と、苦笑いを浮かべて天乃の手元を見る

夏凜「枕取られてちゃ、寝れもしないし」

天乃「枕があったら寝てたの? 可愛い私が無防備に寝てるのに」

夏凜「ん? 襲ってやっても良いわよ? 私だって一応、そう言う部分もないわけじゃないんだから」


519 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/06(水) 00:20:26.65ODc6VB9Eo (1/8)


天乃「ふふふっ、何言ってるのよ」

可愛いと自称するいつも無防備な恋人は、

普段襲うことなんて絶対にない夏凜の冗談に楽しげに笑う

疲れ切っているときに見せる笑顔とは全然違う笑顔

夏凜が好きな、天乃の笑顔……だから夏凜も、笑って見せる

夏凜「可愛い女を放っておくほど、私もできた女じゃないってことよ」

天乃「何言ってるの、本当……沙織たちじゃあるまいし」

聞こえない程度の声だったはずなのだが、

少し離れたところから「どういう意味かな」と差し迫る声が聞こえて、天乃と夏凜は困ったように笑う

聞こえないと思ったのに

あんたに関しては地獄耳だから

そんな、冗談を繰り返して……ふと、夏凜の笑い声が途絶える

目の前から消えたわけではない

満開で声を奪われたわけでもない

ただ、夏凜は真剣な眼差しを天乃へと向けていて

天乃「夏――」

柔らかく接触して、言葉が消え失せた

驚きに戸惑いながらも心は状況を理解してドクンっと跳ねる

ほんの一瞬の接触から離れた夏凜は余韻を味わうように、どこか大人びた笑みを浮かべて

夏凜「ほら、甘く見てるから痛い目見たじゃない」

ほんの少しだけ頬を上気させながら、忠告した


520 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/06(水) 00:31:11.29ODc6VB9Eo (2/8)


√ 11月04日目 夜(病院) ※木曜日

01~10 
11~20 別室用意してもらうに決まってるでしょ?
21~30 
31~40 
41~50 何言ってるんです? して言い訳ないじゃないですか
51~60 
61~70 
71~80 まぁ、そうだよね。邪魔が入るよね
81~90 
91~00 

↓1のコンマ 


521以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/06(水) 00:31:30.13rqqhcxh0O (1/3)




522以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/06(水) 00:31:36.65LdDzP2v70 (1/1)




523 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/06(水) 00:41:16.06ODc6VB9Eo (3/8)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「夏凜ちゃんだけいつも恵まれてる気がするわ」

友奈「夏凜ちゃんはいつも譲ってくれるからだと思う」

樹「久遠先輩のこと、本当に大切に考えてますから」

風「まぁ、夏凜は大事にしすぎて結婚するまで処女のままとかしそうだけど」

沙織「それだけ恵まれてても、あんまり手を出さないのがまた……久遠さんを安心させるんだろうね」


524以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/06(水) 00:42:31.61rqqhcxh0O (2/3)


夏凜久遠さん別室ご案内か


525以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/06(水) 00:45:00.75AQKmP42dO (1/1)


珍しく特別に夏凜ちゃんとのお楽しみタイム来るかな?


526以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/06(水) 10:10:23.672zovfESaO (1/1)

久遠さん誕生日おめでとー
作中時間ではないけど二人っきりの夜がいいプレゼントになるといいな


527以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/06(水) 11:15:34.963mlP5bCCO (1/1)

久遠さんの誕生日に良いことあった記憶がない…


528 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/06(水) 22:44:04.86ODc6VB9Eo (4/8)


では少しだけ


529以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/06(水) 22:45:26.61O5alJE3xO (1/3)

よしきた


530 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/06(水) 22:58:08.55ODc6VB9Eo (5/8)


√ 11月04日目 夜(病院) ※木曜日


天乃「ねぇ、私は確かに夏凜に一緒にいて欲しいって言ったわ」

夏凜「言ったわね、うん」

天乃「でも……別室用意してなんて一言も言ってないわよ?」

夏凜「そりゃそうでしょ。これは私が勝手に用意したもんだし」

それはそうだ。そうしかない。だが天乃が言いたかったのはそれではない

夜になって、夏凜が行くわよ。といって車椅子を用意し始めたときは、

消灯が近いのにどこに行くんだろうとか、夜一緒に寝る前に軽いデートでもするのだろうかとか

少し心が躍った天乃だったのだが。

蓋―実際には扉―を開けてみれば視界に入ったのは大きなベッド

それも、天乃が普段使っているサイズよりも大きく作られたもので、天乃とほかに二人がいても問題なさそうなほど。

ベッド脇の呼吸器関連の装置などがいくつもあることから、

ここが本来は複数の入院患者が利用するための大部屋だということもすぐにわかった

それをわざわざ借り受けて、専用の大きなベッドを用意して

天乃「どうしたのよ。なんだか今日は気合入ってない?」

夏凜「別にそうでもないわよ。普段から向こうの病室で隣にいる私としては、こうするべきかと思っただけで」

天乃「つまり?」

夏凜「やらないならやらないで良いけど、やる場合は迷惑になるから場所変えとこうってだけ」


531 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/06(水) 23:12:43.03ODc6VB9Eo (6/8)


天乃「……そんなにうるさい?」

夏凜「向こうでやられてた時はほんと、怒鳴りつけてやろうかと少し思った」

我慢しているというのは精いっぱい伝わってきたが

紙に書いたようにギシギシと、ピチャリピチャリと、はぁはぁと。

心地よさに染まった桜色の声

思い出すだけでも鮮明に聞こえるそれらを感じる体は少しだけ震えて。

夏凜「あんた達は熱中してて気づかないかもしれないけど、さらに別の場所で盛り始める人だってたまにいんのよ? 分かる? そこに挟まれる気持ち」

天乃「えっと……誘った方がよかった?」

夏凜「そうじゃない」

困ったように答えた天乃に即否定する

分かっていてボケているならともかく、本気で誘えばよかったのかと考えるから責め立てにくい

夏凜「せめて場所くらい別に用意してやってくれって思うわけ。まぁ、別に行為に関係ないやつがいるわけじゃないし良いって言えば良いけど」

天乃「頑張って我慢してたんだけどね」

夏凜「あんた弱いのよ。すぐ責め負けて声上げるでしょ」

天乃「だって……気持ち良くしてくれるから」

ぎゅっと下腹部の辺りを手で押さえつけるようにした天乃は、

恥ずかしそうに身を縮めて、夏凜とは目が合わないように逃げる

聞かれていることは解っていたが、改まって言われると羞恥心も再燃してしまう

それで体が熱くなってくるのだから……救いようがないと天乃は思った


532 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/06(水) 23:31:03.48ODc6VB9Eo (7/8)


夏凜「ってわけで、まぁ一応用意したのよ」

天乃「そう……なのね。うん、納得はしたかな」

天乃の体の為に必要な行為であり、夏凜にとっても全く不要というわけではない行為

だからといっても今日も必ずしないというわけではないけれど、

するとなったら我慢する必要のないお膳立てを、夏凜はしてくれたのだ

夏凜「…………」

夏凜は黙々と天乃をベッドの上に座らせると、車椅子を折りたたんで端に避ける

広い部屋なら収納までする必要はないはずだが、

放っておくと天乃が勝手に車椅子を使うかもしれないという警戒ゆえだろう

そんな夏凜の姿をちらりと見つめた天乃は息を吐く

周りに誰もいない、本当の意味でに二人きり

広い部屋の中の一つのベッドというのはどこか寂しい気もするのに

不思議と……嫌な感じはしなかった

夏凜「さて、と……なにしてんの? 横になれない?」

天乃「え、あ……えっと……」


1、大丈夫よ
2、夏凜が押し倒すのかなぁって
3、ねぇ……夏凜はしなかったの? 私がエッチなことしてる隣で
4、ねえ、夏凜はしたいって思わないの?


↓2


533以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/06(水) 23:35:41.69P6rtNmiI0 (1/1)

4


534以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/06(水) 23:36:04.73O5alJE3xO (2/3)

3


535以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/06(水) 23:36:12.12rqqhcxh0O (3/3)

3


536 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/06(水) 23:43:02.93ODc6VB9Eo (8/8)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



「えっ、ベッドメイキングですか?」

「またあそこの……?」

「はぁ……なんなんですかもう、ここはラブホテルじゃないんですよ!?」

「いい加減にしてもらえないですかね」

「はぁ? 狐? 何言ってんのあん――」


ガチャ


「あれ? 主任? しゅにーん? おかしいなぁ、声が聞こえたんだけど」キョロキョロ


537以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/06(水) 23:52:22.25O5alJE3xO (3/3)


穢れ引き受けの件で大変だっただろうによく今まで耐えてこれたな夏凜ちゃん
しかもそれでも性欲よりも久遠さんのことを全力で気遣ってる辺り本当に優しい子や…


538以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/07(木) 00:15:17.05V3FQwaJpO (1/1)


素晴らしい誘い受け


539以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/07(木) 06:19:57.12R8GKf03eO (1/1)


夏凜ちゃんはハーレムの中でしっかりバランス考えてる感じするよね…みんなに任せる部分は任せて自分は必要な時だけって感じで

本当にただ幸せな久遠さんが好きなんだなって


540 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/07(木) 23:39:03.95Ffa9N5muo (1/1)


遅くなりましたが、少しだけ


541以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/07(木) 23:40:42.42EfHfyqLGO (1/1)

よっしゃ


542 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/08(金) 00:02:46.80fYt/Cxsyo (1/5)


天乃「か、夏凜はしなかったの……?」

夏凜「は?」

天乃「う」

夏凜「しなかったのって、アレ? あんた達が盛ってる隣でってこと?」

天乃「言葉っ」

普段の腹いせなのかもしれない

夏凜は天乃に遠慮することなくオブラートにも包んでいない率直な言葉を投げかける

そもそも聞く予定ではなかったのだが

聞いたら聞いたでもう少し優しい言い方をしてくれると思っていた天乃は

想像に易い光景を思い浮かべて、赤面する

それを横目に見る夏凜はため息をついて

夏凜「なんで私がそんなことすんのよ」

呆れたように、答えた

天乃「え?」

夏凜「え? って……いや、あんた、分かるでしょ」

天乃「……魅力がない?」

夏凜「はぁ?」


543 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/08(金) 00:16:25.00fYt/Cxsyo (2/5)


天乃「だって、夏凜っていっつもそうじゃない。あんまり構ってくれないし、エッチなことだってしようとしないし」

しょんぼりと、俯きがちに天乃は言うが

すぐにはっとして口をふさぐ

感情が考えよりも先に口を突いて出てしまっただけではあるけれど、

それではまるで、エッチなことがしたいみたいだと。

恐る恐る夏凜へと目を向けて息を呑む

天乃「今のは、違うの。ごめんなさい……勘違いしないで欲しいんだけど――」

夏凜「勘違いしないでって、どの部分が? 私が何を勘違いするって?」

天乃「な、なによ。怒ってるの?」

夏凜「怒ってない」

天乃「怒ってるでしょ、雰囲気でわかっ」

反論しようとして――言葉が潰された。

押し倒されたのだ

肩に強い力が加えられた天乃はなすすべなくベッドへと押し倒されて、

柔らかい布団の中に体が沈んだのを感じた

だけど、身体に痛みはないし、お腹に対しての圧迫感などの危機感もない

しかし、夏凜の雰囲気は怒っているように感じた

夏凜「雰囲気で分かる? あんた本気で言ってんの?」

天乃「う、うん……」

夏凜「今実際読み外してるんだけど、そのあたり分かったうえで言ってるわけ?」


544 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/08(金) 00:26:14.19fYt/Cxsyo (3/5)


天乃「怒って、ないの?」

夏凜「あんたねぇ……」

天乃「ほら、怒ってるじゃないっ」

明らかに怒った表情に、声と雰囲気

間違いなく怒っていると分かる夏凜を前に天乃は少しだけ不安そうな表情を浮かべる

暴力的なことをされるだなんて思ってはいないのだろうが、

何の抵抗もできない今の自分が夏凜を怒らせてしまったこと

何が引き金になったのかを分かっていないからだ

それを夏凜は察して、雰囲気を柔らかく持ち直しつつ……やはりため息をつく

数か月前までの癖が戻ってしまったように。

夏凜「そりゃ怒るわよ。あんたなんて言った?」

天乃「……えっちなことしようとしないとか、構ってくれない」

夏凜「その前」

天乃「魅力がない」

夏凜「さらにその前にあんた、自分たちがしてる横で夏凜はしなかったの? とか聞いたでしょうが」

天乃「それで怒ったの?」

夏凜「これだから空気読めないってのよ……ったく」


545 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/08(金) 00:36:17.09fYt/Cxsyo (4/5)


夏凜「あんたがやってる横で私がやってみなさいよ。間違いなく仲間入りさせられるじゃない」

天乃「それは……そうだと思うけど。嫌なの?」

夏凜「嫌って言うか、なんかこう……あれなのよ。関係を認めてるとはいえ、いや、だからこそ……」

言葉が消えていく。

言ったら引かれないだろうかと不安になる

だけど、どうせここまで言ってしまったんだからと、

夏凜は一度歯を食いしばって、天乃から目を逸らす

流石に、目を合わせるのは気まずかったのだ

夏凜「その……自分の彼女がほかの人とエロいことしてることが自分の快感ポイントって感じがすんのよ」

天乃「っ」

夏凜「も、もちろん違うわよ! あんたのエロい声って言うか、匂いっていうか……あーいや、これは何でもないっ」

天乃の体を抑え込む手を放して、頭をガシガシと乱れさせていく

余計なことを言った。わけわからないことを言った

そう言う自覚が中途半端にあって。

夏凜「と、とにかく! 変な趣味になりたくなかったのよ! それ以上でも以下でもないっ」

天乃「じゃぁ、魅力がないとか」

夏凜「思わないし、構うし、ヤっていいならヤってるから安心しろバカッ!」

もはややけくそになって、夏凜は真っ赤な表情で怒鳴った


546 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/08(金) 00:40:24.07fYt/Cxsyo (5/5)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
場合によってはお休みいただく可能性もあります



沙織「いいね、そこだよ、押し倒せ!」

園子「いったーっ!」

沙織「これは三好さんの強気責めが見られるかもっ?」

園子「いやいや、意外と天さんの逆転構ってあげるえっちがくるかもっ?」

ゴスッ、ゴスッ

風「はーい、2名様急患よー」ズルズル


547以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/08(金) 00:42:13.59M7fmnkBtO (1/1)


まさかの夏凜NTR性癖
今日は思う存分好きにしていいのよ


548以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/08(金) 06:48:16.44pJHK5AyyO (1/1)


てっきり興奮を抑えつつ夜な夜な自慰してたのかと…
いずれにしても夏凜ちゃんが変な性癖に目覚める前に気持ち良くさせてあげよう


549 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/09(土) 22:15:57.01k/uay15do (1/8)


では少しだけ


550以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/09(土) 22:20:25.26m1cOmDkFO (1/2)

よしきた


551 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/09(土) 22:28:13.51k/uay15do (2/8)


天乃「そ、そうなの?」

夏凜「そうよ……悪い?」

天乃「悪いとは言わないけど……恥ずかしい……かな」

夏凜のおかげで陰って見えるが、

それでも天乃が色濃く赤面してしまっているのは良く分かる

元々色白な肌というのも関係しているのかもしれないけれど

それを差し引いても、今回は特に強い

夏凜ではないが、東郷達からのセクハラのような発言、行為は良くあることで

以前に比べれば耐性がついてきているはずなのに

だが、それはきっと

天乃「でも……嬉しいわ」

夏凜「っ……」

桜色の長髪が鮮やかに彩ったベッドの上

母体として変化を続ける体は少しだらしなく……けれど、

その分の大人びた蠱惑的なものがそこにはあって

朱に染まった顔は困り果てているのに、幸せそうな笑みを浮かべている

それでいて、「嬉しい」と、呟くのだ

夏凜「……あんたは、ほんと。救いようもない大馬鹿だわ」


552 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/09(土) 22:38:49.60k/uay15do (3/8)


夏凜「今、あんたは抵抗できないのよ? 分かってるわけ?」

天乃「そうね。夏凜にされるがままね」

夏凜「……そ」

天乃が本当に分かっているかどうか、関係ないと夏凜は思ってしまった。

今の一言が、分かった上での冗談であるのだとしても、

もう、自分には関係ないと思った。

天乃の顔を真っ直ぐ見つめて、距離を詰めていく

夏凜。と、呼ぶ声が聞こえたが無視をする

夏凜「あんたが悪いんだから」

吐息が触れ合い、

心音さえも届きそうな距離で夏凜は囁き――口付けをする

天乃の答えなど待たない

どんな表情、感情。それも関係ない

目の前に、どうぞ。と、差し出されたのだ

夏凜「――っふ」

受け取らないはずがない

夏凜「んっ……っは……」

天乃の体、宿る命

それにだけは絶対に害がないようにという理性だけは残したまま

夏凜は天乃と唇を重ねる

何度も、何度も、繰り返し

息苦しくなっても、ならなくても

夏凜だけの勝手な判断で、キスをする

やがて、数分が経過したかというところで

夏凜は重ねるのを一度、止めた


553 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/09(土) 22:53:34.92k/uay15do (4/8)


天乃「っは……はぁ……」

夏凜「はっ……はぁ……」

近すぎる距離は二人の呼吸が重なる旅に、

僅かに互いの体を触れ合わせる

熱が重なって、艶やかな息が交わって

天乃「んっ」

夏凜「っふ……」

言葉は要らない

二人にとって、いま必要なのは言葉ではなく

それよりもずっと、心が分かる触れ合いだった

性的に刺激的なところに触れるわけでもない

ただただ、互いに焦らし合うように唇だけの感触を伝えていく

夏凜「はふ……」

天乃「……んくっ」

二人が交わった唾液が夏凜の唇から滴り落ちると、

天乃は挑発するように喉を鳴らして持ち去っていく

そしてまた、キスをする

体の昂ぶりは十分だった。

熱っぽさも極まっていて寝間着など邪魔で、息苦しさを感じつつあった

それでも、夏凜も天乃も脱ごうとはしない。

脱がせようとはしない

二人にとってはまだ、始まりでしかないのだ


554 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/09(土) 23:01:59.68k/uay15do (5/8)


夏凜「っは……ふ、ふふっ……あんた、いつもより頑丈じゃない」

天乃「夏凜が弱いって言うから本気を出してあげてるのよ」

夏凜「なるほど……じゃぁ、そろそろ本番に入っても平気ってわけだ」

にやりと笑って誘う夏凜を見つめて、天乃は笑みを浮かべる

正直なことを言って、受け側である天乃には夏凜の責めに耐えるすべがない

頑丈になったなんて大ウソだ

本気を出しているなんてはったりだ

体は愛情を強く求めてしまっている

キスするたびに、夏凜の本気なんだという心が伝わってきて、

一歩引いた時、次に進むんだろうなと感じたとき

心が躍った

胸が痛いほどに鳴って、下腹部が疼くのを感じた

それはもしかしたら、

共通する力を持つからこその共鳴なのかもしれない

けれど、天乃もまた、関係ないと思った

天乃「いいわ……夏凜。来て……ちょうだい」

両手を差し向けて、抱くように

天乃は夏凜のことを、求めた


555 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/09(土) 23:07:36.61k/uay15do (6/8)



1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(夏凜の枕、夜は付き合って、エッチな気分)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流有(高嶋さんがいないと)
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


11月04日目 終了時点

乃木園子との絆  72(高い)
犬吠埼風との絆  98(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  87(とても高い)
結城友奈との絆  106(かなり高い)
東郷美森との絆  118(かなり高い)
三好夏凜との絆  140(最高値)
乃木若葉との絆  96(かなり高い)
土居球子との絆  42(中々良い)
白鳥歌野との絆  42(中々良い)
藤森水都との絆  35(中々良い)
  郡千景との絆  42(中々良い)
   沙織との絆  117(かなり高い)
   九尾との絆  63(高い)
    神樹との絆   9(低い)


556 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/09(土) 23:09:15.58k/uay15do (7/8)


√ 11月05日目 朝(病院) ※金曜日

01~10 沙織
11~20 
21~30 
31~40 水都
41~50 
51~60 
61~70 九尾
71~80 
81~90 
91~00 若葉

↓1のコンマ 


557以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/09(土) 23:11:36.69R0PcImUpO (1/2)




558 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/09(土) 23:16:21.87k/uay15do (8/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

本番に入ると言いましたが、あれはウソです。


園子「ふーみん先輩のせいで続きが見れなかったよー」

風「ちょ、こらっ、アタシが悪いみたいに言うな!」

樹「夏凜さんの行為は規制が必要なほど激しいのかも」

東郷「はっ……そのための栄養剤!? そのためのつっこ――」ゴスッ

バタッ

風「ったく……おとなしくしてれば一番頼りになるって言うのに」


559以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/09(土) 23:28:22.58m1cOmDkFO (2/2)


なんてこったい!でもあまにぼのえっちもいつかは拝んで見たいなぁ



560以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/09(土) 23:29:53.73R0PcImUpO (2/2)


でもいちゃいちゃが見れたから満足です!
たまには甘々パートがないとね


561 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 16:44:54.46U8zAeMnXo (1/22)


では少しずつ


562 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 16:54:33.89U8zAeMnXo (2/22)


√ 11月05日目 朝(病院) ※金曜日


陽の光眩しく見える病室の中、

寂しく置かれたベッドの上には二人の少女

目を覚ました一人、天乃は小さく体を伸ばしてすぐ横を見る

昨日、散々エッチなことをしたのだ

夏凜も疲れ切っているのだろう、鍛錬の為に目を覚ます様子はない

けれど、顔つきは穏やかだった

天乃「なんで起こさなかったのって、言われそうね」

夏凜もいよいよ、来週から学校に戻っていく

それだけではなく、今日、明日、明後日

日に日にから次第に馴染んでいき、動かせるようになっていく東郷や園子も

もしかしたら、来週から学校に戻ってしまうかもしれない

そうしたら、天乃は病室で一人きりだ

もちろん、精霊はいるのだが

それでもやはり、一人きりになってしまうというのは変わらない

天乃「……少しでも長く一緒にいたい。そう言ったら、貴女は受け入れてくれるかしら」

起こさなかった理由

それを言えばどうなるのかと考えつつ、天乃は夏凜の頬を優しく撫でた


563 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 17:07:37.89U8zAeMnXo (3/22)


九尾「――病むでないぞ」

天乃「え? あ、九尾……いつ出てきたの?」

どこからともなく姿を現した九尾が声をかけた瞬間、

驚いて体を起こそうとした天乃を制すると、

九尾はどこか悲し気な表情で答える

九尾「先刻、のう。様子を見ておった」

天乃「ごめなさい、気づかなかったわ」

九尾「無理もあるまい。主様はもう、感じ取れなくなっておるのじゃからな」

樹海化にさえも気づかない

例えば、今瞬きした瞬間にも

隣にいる夏凜の姿は消えてしまうことだってあるのだ

それと同じように、

九尾達に声をかけて貰えなければ

天乃は出てきたことに気づくことができない

以前から続いてきていることだが、

天乃はもう、完全に普通の少女と変わりなくなってきていた

違うことと言えば、15歳で妊娠しているということくらいだ


564以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 17:15:27.29IHU1Giv2O (1/4)

元気な子供を産むまでは自身のメンタルとの戦いだな…


565 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 17:22:39.02U8zAeMnXo (4/22)


天乃「そうねぇ。もしかしたら精霊のみんなのことも見えなくなっちゃうかもしれないわね」

九尾「ふむ……」

ちょっとした冗談を呟いたつもりの天乃だったが、

九尾は存外真剣な表情を浮かべると、天乃へと目を向ける

九尾「主様の精霊は問題なかろう。最も、主様の体を借りている者達や妾は。という程度ではあるがのう」

天乃「例えば、義輝なんかは見えなくなっちゃうの?」

九尾「無論。その力が無くなったならば見えなくなるじゃろうな」

すぐそばにいる夏凜

その精霊である義輝や、友奈の牛鬼など

天乃の関与していない精霊はすべて見えなくなるという

しかし……だ

天乃「なら、大赦は私の事を天の神を攻める道具にはしないのね?」

九尾「そうじゃのう。役には立つまい」

天乃「つまり、みんなが戦いに出ていくということになるのね」

九尾「人間の考えていることは良く分からぬ。どこまで手を出そうというのか、妾のあずかり知れぬところじゃ」

正直に……というのかは断言できないが、

困った様子でそう零した九尾は、

夏凜達が戦いに行かない可能性がある。ということも含めて、推測に過ぎないという

それはそうだろう

九尾はあくまで過去から現在までのことを知り

そこから行うことを推測したり、感じ取ったりしているに過ぎない

神樹様や天の神が動いたのならいざ知らず、

大赦が独自に動いている部分に関してまで、熟知しているわけではないのだ


566 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 17:56:17.86U8zAeMnXo (5/22)


九尾「ただし、以前にも言うたが、贄としては有効じゃぞ」

天乃「贄ね……考えたくないことだわ」

九尾「主様が勇者部の連中に頼り切るならば、考える必要もなくなるのじゃがな」

天乃「そうは言われてもね」

自分のこともあれだが、

やはり、一番はみんなの事を考えてしまう

それが夏凜達にとって辛い方向の考えなのだとしても

今までの強い考え方はそう簡単に変わってくれるわけではない

一番いいのはこのまま天乃も、勇者部も誰も

戦いに戻ることなく、勝手に戦いが終わってしまうことだ

しかしもちろん、そんなことがあるはずもない

天乃「ねぇ九尾、少し聞いてもいいかしら」

九尾「昨日の主様の情事の内容の良し悪しかや?」

天乃「そんなわけないでしょ。茶化さないで」

くつくつくつと怪しげに笑う九尾を横目に、

天乃は「まったく……」と呆れたため息をついて


1、今回の大赦の作戦について
2、球子達精霊の処遇について
3、結婚式について
4、自分のこれからについて


↓2


567以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 17:58:08.04w3/sSlcX0 (1/3)

1


568以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 17:58:44.28IHU1Giv2O (2/4)

4


569 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 18:24:54.34U8zAeMnXo (6/22)


天乃「これからの事よ。色々と相談したいの」

九尾「妾よりも、適した娘がおるじゃろうに」

夏凜達の事を言っているのだろう、

九尾は天乃ではなく夏凜の方に目を向けて言うと、

それでも自分に聞くのかと言いたげに視線を移す

天乃のこれからに一番関わってくるのは夏凜達かもしれないが

その前に、天乃には不安が多いのだ

天乃「まずね。一番聞きたいのが、私がいつまで生きられるかよ」

九尾「…………」

天乃「私、以前に貴女に聞いたわよね? 私の寿命について」

九尾「うむ。聞かれたのう」

天乃「その時、貴女は私が死ぬ可能性について話してくれたけれど、寿命については全く話してくれなかったわ」

今さっき話したことと同じようなことを、

九尾は寿命に絡めて語っただけで

実際に天乃がいつまで生きていられるのかを語ってはいなかったのだ

友奈には言ったが、

実際、天乃は力が抜けたことによって日に日に弱って言っているのを感じている

鍛錬を出来なくなったというのも大きいかもしれない

だが、それだけではないと天乃は思う

天乃「ねぇ……私の体は、いつまで持つの?」

だからこそ、問うのだ


570 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 18:40:27.25U8zAeMnXo (7/22)


九尾「ふむ……」

天乃「誤魔化さないで、教えて」

そうでなければ、今後のことは何も決めることができない

進学するのかどうか

皆との結婚の話だってまだ完全に許可を貰えたわけでもない

やりたいことややるべきことはたくさんある

だからこそ、

自分がいつ死んでしまうのかを知る必要があった

1年か、3年か、5年か、10年か、

それとも、もっと長く生きていくことができるのか

九尾「そうじゃのう。子供産んだ時点で死ぬ可能性がある……というのは理解しておるかや?」

天乃「あまり考えたくはないけれど、それはね……仕方がないことだわ」

これは力を持っているいないにかかわらず、

普通の人間にも起こり得る話なのだ

出産によって憔悴し、そのまま亡くなってしまうというケース

天乃の場合はその可能性が非常に高い

というのも、まだ幼さの残る15歳の体で双子を出産しなければならないからだ

ただし、これに関しては帝王切開を行えばまだ……救いはある

問題は力が引き抜かれてしまうという点

これが他の人にはない、天乃のリスクであり、手術で取り出したとしても変わらないことだ


571 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 18:57:04.48U8zAeMnXo (8/22)


九尾「そして主様が聞きたいのは、それを乗り越えた後の話じゃろう?」

天乃「子供を無事に産んで、退院……そもそもできるのかどうかも知りたいけれど」

九尾「そこまで妾に分かるわけなかろう」

きっぱりと否定する九尾に、天乃は苦笑しながら「そうよね」と呟く

九尾とは言え、全知全能ではない

知っていること、分かる事を話してくれる

あるいは、そこから推測してくれるにすぎないのだから

ただでさえ不安定な天乃の未来など、そう簡単には分からない

九尾「主様の体の回復能力は極端に落ちるのはまず間違いない。おそらく、人間以下にまでなるはずじゃ」

天乃「それはまたどうして?」

九尾「力が抜かれるからじゃ。今まで依存していた分の力が無くなる以上、落ちることは必然じゃ」

天乃「なるほどね……子供を産んだ後も完全に無事とはいかないなんて」

酷い話ね。と天乃は失望して呟く

恵まれている人生だとは思っていなかったが、

とことん。それこそ死ぬまで呪われているという具合に

天乃は恵まれていなかった

いっそ、呪い続けるためにあえて死なせない方向性に固めて欲しいとさえ思う


572 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 19:08:29.73U8zAeMnXo (9/22)


天乃「それで? そう言うのを乗り越えたとして……私はどれだけ生きられるの?」

九尾「ふむ……そうじゃな」

久遠家の力の継承はしっかりと行われてきた

過去から現在へと、少なくなってしまった寿命はだんだんと延びてきて

天乃の祖母もまだ50代で健在

しかし、それはあくまで力を消費せず、なおかつ完全な適正体とならないままでの結果だ

天乃は先祖の久遠陽乃と同等熱いはそれ以上の力を持っていたと言っても良い

しかしそれはつまり、天乃もまた寿命が尽きるのが尋常ではなく早いということに他ならない

陽乃と違って双子を

それも、人と人とではない子供を産むのならば、なおさらのこと

九尾「のう、主様や」

天乃「ここにきて、実は分かりませんとか言うつもり?」

九尾「精霊の力を返還させるつもりはないかや? 力の適合が不安ならばそこの娘もおる。多少は安定もするじゃろう」

天乃「なんで今それを言うの? 私の寿命に関係していることよね? それなのに」

思わず、笑みがこぼれてしまう

何言ってるの? 冗談でしょ? と

あり得ないことを聞いて嘲笑しているかのような、笑みだった


573 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 19:20:15.54U8zAeMnXo (10/22)


天乃「おかしいじゃない、そんなの。それじゃまるで……」

九尾「うむ。主様の要望に反することじゃが、この際じゃ。はっきりと言わせてもらう」

九尾はそう言うと、静かに口を開いた。

真面目表情だった

だけれど、悲し気な表情にも見える

そして何より、苦しさを感じた

九尾「主様は数年のうちに死ぬ。それも、1年生き延びれば奇跡的じゃろうな」

天乃「1年……? 待って、待って……貴女、それは」

九尾「言うたであろう? 主様の体は回復する力を大幅に失うと」

それは、物理的な接触による怪我などもそうだが、

天乃が今まで体に負った通常では治すことのできない霊的な損傷も含まれる

天乃が血反吐を吐いたりするようになっていたのも

その部分の回復が間に合わなくなったことで、内側から蝕まれていった結果だ

九尾「戦わなくなったことで主様の体は落ち着きを取り戻し、少しずつ回復に向かっていたが……覚えておるじゃろう?」

天乃「穢れが酷いせいで私の体が蝕まれていた……そう言う話……あれは、そう言う話だったの?」

九尾は黙って頷く

九尾が寿命の件を誤魔化したのも、語らなかったのも

全ては真実を語らないためだった

九尾「少なくとも、子を産んで死ぬことがなければ暫くは生き長らえることができるはずじゃ。それまで、考えておくがよい」

呆然とする天乃を残していく

そのことに後ろめたさを感じながらも、九尾は姿をかき消した


574 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 19:26:01.16U8zAeMnXo (11/22)



01~10 
11~20 有
21~30 
31~40 
41~50 有
51~60 
61~70 
71~80 
81~90 有
91~00 

↓1のコンマ 

※有なら少し分岐


575以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 19:26:51.58IHU1Giv2O (3/4)




576 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 19:30:05.84U8zAeMnXo (12/22)



√ 11月05日目 昼(病院) ※金曜日

01~10 
11~20 夏凜
21~30 
31~40 
41~50 園子
51~60 
61~70 
71~80  若葉
81~90 
91~00 千景


↓2


577以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 19:31:34.18IHU1Giv2O (4/4)

ksk


578以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 19:33:53.84Qx8/qCw6O (1/1)




579 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 19:37:06.98U8zAeMnXo (13/22)


では、一旦ここまでとさせて戴出来ます
再開は21時頃を予定しています

コンマなのに↓2になったのはミスですが、そのままで進めていきます
失礼しました


580以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 19:46:00.72+azmdmUUO (1/2)

一旦乙
1週目でさえ5年間を幸せに生きたのに…
幾らなんでもあんまり過ぎないか…?


581以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 19:51:40.30WJcBnRqZO (1/3)

えぇなんで久遠さん死んでまうのん?


582以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 20:01:08.015LPBsoAbO (1/2)

ひっでぇ鬼過ぎる…確かに今までで一番ダメージ受けてるとは思うけどさぁ…
やっぱり若葉達を残してはおけないのか…


583以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 20:46:34.753LGOl9+nO (1/1)

久遠さん助けるために妊娠したんじゃないのか
よくわからん?


584以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 21:04:49.455LPBsoAbO (2/2)

それは樹海の穢れを肩代わりしすぎたからだったはず
それで穢れがヤバイから中和するために子供作ったけど
それまでのダメージが深刻すぎて精霊に力を譲渡したままじゃ体が治りきらないって話かと

つまり精霊を解放したら良いだけ…でも久遠さんはそれをどう思うかねぇ


585 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 21:11:29.06U8zAeMnXo (14/22)


ではもう少しだけ


586 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 21:16:26.63U8zAeMnXo (15/22)


√ 11月05日目 昼(病院) ※金曜日


あり得ないと思った

信じたくないと思った

けれど、これは紛れもなく……真実なのだ

もしかしたら、

あの時悪五郎との子供を為す前からこの運命は決まっていたのかもしれない

あるいは、もっと別の理由

神樹様からの干渉だったり、何か別の要因があるのかもしれない

けれど、

何もしなければ数年、あるいは1年

そんな短い命で終わってしまうのだ

天乃「でも……何が出来るの?」

こんな弱り切った体で

自分で歩くことの出来ない体で。

結局、夏凜達を頼らなければ問題の解決は出来ないのだ

精霊から力を返還してもらう以外では。


587 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 21:21:28.24U8zAeMnXo (16/22)


天乃「でも、まだ時間はある」

まず初めに、出産時の苦しみに耐え抜くというものがあるが

それは気合と根性で何とかできる分野だ

そこから先、疲弊しきった体は回復しきることが出来ずに

そのまま力尽きて死んでしまうというのが今回のケースだろう

なら、身体の霊的部分の回復が出来るようになりさえすれば、

この問題の解決できるのだ

その解決策の一つとして

最も手っ取り早く、確実なのが若葉達精霊による力の返還なのだろう

しかし、問題なのは

天乃が望まないであろうその選択を九尾があえて勧めて来たことだ

つまり、

九尾からしてみればそれ以上に安全かつ確実な回避方法がないということである

あるいは、

ここまで体がボロボロになってしまっていることも

九尾からしてみたら想定外だったという可能性もなくはない

天乃「どうしたら……良いのかしら」


588 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 21:29:53.59U8zAeMnXo (17/22)


風や友奈達は今いないが、

夏凜や東郷の入院組は今すぐ話をすることができる

せめて、みんなに声をかけて解決策を一緒に探してもらうというのが

天乃にとっての最善策だろうか

もしくは、

勝手に久遠家へと出向いて助けを乞うか

天乃「……勝手に出かけたら夏凜に怒られるわね」

おまけに、確実に何かがあったと悟られる

それでは詰みだ

何も良いことがない

それなら初めからみんなに話してしまった方がいい

あとは、夏凜や園子など

個人的に相談するにとどめるか。だ

皆に相談してもメリットはあるが、暴走しかねないというデメリットもある

一方で、個人的な相談なら暴走をする可能性は説得しやすいから収めやすい

天乃「今までで一番……自分のことで悩んでる気がするわ」


1、精霊組
2、勇者組
3、イベント判定
4、いや、ここはもう少し自分で考えよう

↓2


589以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 21:35:58.23w3/sSlcX0 (2/3)

2


590以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 21:37:41.04+azmdmUUO (2/2)

3


591 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 21:40:12.62U8zAeMnXo (18/22)



01~10 若葉
11~20 園子
21~30 球子
31~40 東郷
41~50 歌野
51~60 夏凜
61~70 千景
71~80 大赦
81~90 水都
91~00 夏凜

↓1


592以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 21:42:50.91VmRJEIOOO (1/4)




593 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 21:58:43.48U8zAeMnXo (19/22)


夏凜「なんだ、起きてんじゃない」

天乃「えっ、夏凜……? どうしたの? なにかあった?」

不意に声を掛けられて思わず驚いた反応を見する天乃に、

夏凜は楽し気に笑いながらそう言うわけじゃないけど。と答える

夏凜「昨日は枕取られちゃったから、とられないようにしたかったのよ」

天乃「なんだ、そんなこと」

もう取ったりしないと天乃は言う

夏凜の冗談に合わせてなのか、苦笑いを浮かべて

だから、夏凜は切なげに目を細めて

天乃の意識の外から頬に触れた

天乃「え……?」

夏凜「…………」

天乃「夏凜? どうしたの? また、したくなったの?」

何も答えない夏凜の反応に、少しだけ不安を覚える

何を言われるのか、何をされるのか

そんなことばかりが頭をめぐって、天乃は目を瞑る――が

夏凜「――それで、あんたは何があったのよ」

夏凜はやっぱり、そう問いかけるのだった


594以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 22:03:13.58VmRJEIOOO (2/4)

最早出かけるまでもなかったか…


595 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 22:15:09.67U8zAeMnXo (20/22)


天乃「どうしてそう思うの? そう見えるような態度取ったかしら?」

夏凜「そう聞く時点であったってことでしょうに……はぁ」

天乃の抱えている悩みを知らないからだろう

夏凜はいつものようにあからさまなため息をつくと

天乃の頬から手を離して、

すぐ正面、自分のベッドへと腰かけた

夏凜「私は100%あんたを理解してる自信はないけど、100%あんたのことを理解できるようになろうとは思ってるわけ」

天乃「そんなこと公言されても……」

夏凜「だから、少なくとも私が一番好きなものだけは絶対に見間違えたくないって思ってるわけ。それ見間違えたら死ぬ覚悟あるくらいに」

天乃「私の事?」

夏凜「さらっと言うわねあんた」

そこでさらに「違うの?」と捨てられる子犬のような瞳で言えるのだから

大したものだと夏凜は思う

普段なら茶目っ気のある事でも交えるが、今はそうはいかない

夏凜「あんたはあんたでも、あんたの笑ってるところよ。それさえ見間違えなければ、百発百中で悩みがあるかどうかわかるわ」

天乃「そんなに顔に出てるかしら?」

夏凜「そりゃ……あんた。自分が好きになった理由だし、あれは違うこれは違うってちょっとの変化でも気づくに決まってんじゃない」


596 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 22:29:08.45U8zAeMnXo (21/22)


勝ち誇ったように胸を張る夏凜だけれど

頬の紅潮は隠せていない

自分が思っていることを正直に。

それは夏凜が自分で掲げたポリシーだが、

やっぱり、恥ずかしいことは恥ずかしいのだ

天乃「似たようなこと繰り返してばっかりね……私」

夏凜「ま、あんたはそう言う性分だししゃーないんじゃないの?」

天乃「そうはっきり言われても困るんだけど、少なくとも貴女に隠し事は無理そうだわ」

夏凜「笑わなかったら私にも見破れないわよ? 私はせいぜい、あっこれ本当にうれしい笑顔じゃないって感じるだけだから」

天乃「それでも十分よ。まったく」

さも大したことがないように夏凜は言うけれど、

天乃はかなわないわね。と心に思って苦笑する

笑わなければ見破れないのだとしても、

その時その時に天乃が笑わないという時点で何かがあったのは確実だ

だからこそ、夏凜には嘘をつくことはできない

それは、天乃が顔に出やすいタイプかどうかではなく

嘘をつくことに後ろめたさを感じ、それが本心からの笑みをつぶしてしまうからだ

ただただ、天乃は優しすぎるのだ


1、九尾と話したことを話す
2、九尾と話したことを話し、球子達の件もすべて話す
3、でも、みんなを集めてからでいい?(夕方イベント固定)

↓2


597以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 22:31:55.08VmRJEIOOO (3/4)

3


598以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 22:32:25.22WJcBnRqZO (2/3)

2


599以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 22:32:29.65w3/sSlcX0 (3/3)

3


600 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/10(日) 22:39:43.49U8zAeMnXo (22/22)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


今回、久遠さんは頑張りすぎたので死にかけてますが
なんだかんだ夏凜が気づくようなのでなにも問題なく生き残ると思います


601以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 22:46:30.81WJcBnRqZO (3/3)


夏凜頼む…!


602以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 22:49:17.57VmRJEIOOO (4/4)


夏凜が正妻というか事実上の主人公してて格好いいなぁ
一方、11月は若葉達の命運を賭けた戦いになりそうだが…


603以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/10(日) 23:24:43.64/Y3HSFnFO (1/1)

終わってたかー乙
夏凜ちゃんのなにが凄いかってコンマで当たってくるところだよなぁ
是非とも救いが欲しい


604 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/11(月) 22:59:07.12ohgjMi5ro (1/5)


では少しだけ


605以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/11(月) 23:00:07.17GS6YCIuCO (1/3)

かもーん


606 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/11(月) 23:13:50.73ohgjMi5ro (2/5)


天乃「分かったわ。話す……どうせ、いつかは知られちゃうことだろうしね」

夏凜「悪いわね。急かしたみたいで」

天乃「ううん。夏凜が来てくれなかったらずっとどうするか迷ってるだけだったと思うわ」

天乃はそう言って薄く笑みを浮かべる

これがきっと、夏凜が好きに慣れない笑みなのだろうと窓を見ると

心の中で自分の表情を思う

天乃「私の体が弱って行ってるのは貴女も知ってるでしょう?」

夏凜「ええ。鍛錬してないって以上に衰えてるのは解ってる」

天乃「それは結局、子供の件もあるけど今までの無理が祟って霊的な部分のダメージが酷いかららしいのよ」

夏凜「つまりどういうことよ」

天乃「このままいくと、子供を産んで生き残れたとしても長くて数年それも、一年生きて要られたら奇跡的だって九尾に言われちゃったのよ」

夏凜「は……?」

一瞬、何を言われたのか分からなかった。

数年? 一年? 何が?

天乃「余命一年。それが私の一つ目の悩み」

呆然と、目の前の天乃を見つめる

切なさの滲む表情

散り逝くことが運命づけられた華のような儚い美しさ

ああ、そういうこと。と、夏凜は感じ取って、爪を立てた指で腕の皮膚を傷つける

ここで感情的な叫び声をあげるのが普通だろう

だが、だけど……それで何かを変えられるわけじゃない

樹が天乃の為に力強くあれる自分を生み出そうとしているように

三好夏凜もまた、天乃の為にあれる自分を生み出したいと思うのだ

夏凜「っ……一つ目ってことは、ほかにもあるってことよね? なんなのよ」

腕の傷を手で隠しながら、努めて冷静に天乃へと先を促す


607 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/11(月) 23:25:15.31ohgjMi5ro (3/5)


天乃「それを解決する方法が一つだけあるの」

夏凜「なるほど……大方、それでさらに問題が発生するってところか」

天乃「うん、大正解」

小さく笑い声をこぼす天乃は、楽し気に笑っているんだと分かる

けれど、本心からではないのだ

心の底から楽しいと思っているものではない

その、微かなズレが夏凜には痛々しく思えてしまう

もっと別の、嫌いなものを食べた。美味しくないものを食べた

でもせっかくだから美味しいと笑って見せた

そんな理由だったら夏凜も見逃すことを厭わない

けれど、これはそんなに可愛い理由ではないのだ

天乃「精霊による力の返還。それをすることで私は救われるかもしれないの」

夏凜「でも、若葉達がいなくなると」

天乃「ええ。それによって私の動かなくなった体の機能も返って来るらしいんだけどね」

夏凜「メリットの方が大きいように聞こえるんだけど?」

天乃「でしょ? でも、今の体に穢れを主とした力が帰ってくることがどういうことだかわかるでしょ?」

夏凜「また、あの苦しみを味わう……いや、私が感じたのなんかほんの一部。死ぬほどの苦しみをあんたは味わうことになるのか」

天乃「まぁね。でも、その問題も夏凜達の力を借りればもしかしたら解消できるかもしれないから、良いと言えばいいのよ」


608 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/11(月) 23:33:51.92ohgjMi5ro (4/5)


天乃は笑う。本心で喜んでいない笑みだ

それはそうだろう

若葉達のことを自分の為に消さなければならない

自分の為に、また夏凜達を傷つけなければいけない

それで自分が助かるのだと言っても

天乃が本気で喜べるような人間ではないと、夏凜は良く知っている

夏凜「若葉達は消えることに反対はしてないんでしょ?」

天乃「ええ……球子なんかはむしろ、過去のみんなに会えないことが寂しいって言っていたわ」

夏凜「だったら……って、まぁそうよね。友奈達は悲しむでしょうね」

事情を話せばみんな承諾してくれる

けれど、

天乃の体の為に。という、問答無用な理由で行うことになってしまう

夏凜「なら、私からあんたに一つ聞いても良い?」

天乃「……うん」

夏凜「あんたは球子達をどうしたい? このまま残したい? それとも、還してあげたい?」

天乃「それは」

夏凜「これはあんたが決める事よ。そして、あんたの悩みを解決するために重要な事でもある」

天乃「………」

夏凜「教えて、天乃」


1、残してあげたい
2、還してあげたい


↓2


※分岐点※


609以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/11(月) 23:35:08.12GS6YCIuCO (2/3)

2


610以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/11(月) 23:39:02.80QFM+ZOS+0 (1/1)

1


611以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/11(月) 23:39:15.300CKd5eoeO (1/1)

2


612 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/11(月) 23:51:20.30ohgjMi5ro (5/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


※以後、精霊組は残す方向で物語は進みます※



歌野「私はみーちゃんがいるからオールオッケーだけど、土居さんは辛いわね」

球子「でも、天乃が寂しいって言うなら仕方がないさ」

球子「それに、タマの魂が全部ここにあるわけでもないしな。きっと杏のところにもタマはいるから」

若葉「そうだな。私達は皆がいた意味を、守ったものを見守って生きて行こう」

千景「それが……SGの選択……ね」

園子「こおりん、こおりん。白衣着て白衣!」


613以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/11(月) 23:59:21.76GS6YCIuCO (3/3)


若葉達と一緒にいたい、でも自分も死にたくない
どっちの選択も久遠さんの本心だろうからちょっと迷ったが…

場合によっては茨の道も覚悟しないとな


614以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/12(火) 00:25:55.85hlOP2CGCO (1/1)


>>1のことだからルートは用意してるだろうけどなんかエグい内容な気がして怖いわ


615以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/12(火) 00:27:18.54iLal27RiO (1/1)


両方欲しいって言えるくらい欲張りなワガママ言えるようになってきたならむしろプラスだと思う
これでまあ自分のことはいいやって意味ならなんの成長もないけど


616以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/12(火) 12:29:24.86xLk8ALpEO (1/1)

流石に今更自分の命を投げ出そうするのは考えにくいと思うけどなぁ
五郎くんにも本心に嘘をつく決断はするなって言われてるし


617 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/12(火) 22:44:19.39RH026bz1o (1/6)


では少しだけ


618以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/12(火) 22:45:08.59kPZC/ksVO (1/3)

あいよ


619 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/12(火) 22:53:39.66RH026bz1o (2/6)


天乃「……残してあげたいって思ってるわ」

夏凜「球子達が寂しがっていても?」

天乃「我儘だっていうのは解ってるわ。でも、やっぱり、私達にとってはみんながいるのが日常なのよ」

球子達の気持ちが分からないわけではないけれど

しかし、西暦時代に苦しみを味わったからこそ、

報われる人生というものにも触れて欲しいとも思う

天乃「日常というものに触れて欲しい。自分たちが守ったものに触れて欲しい、命を懸けた意味があるんだっていうこと知ってほしいの」

夏凜「そう……それがあんたの答えなのね?」

夏凜の冷静な質問に対して、天乃は頷く

やっぱり考え直させてなんて言うことは二度と言えない

だけれど、天乃にとってみんなはかけがえのない存在だ

我儘が許されるのであれば、消えて欲しくない

それは、例え自分の体が治らないのだとしてもだ

天乃「でも、みんなを消さないと私の寿命は――」

夏凜「あんたは若葉達を消したくないんでしょ?」

天乃「え?」

夏凜「だったら、それでいいじゃない。あんたは若葉達を消したくない。でも死にたくない。そう言えばいいのよ」


620 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/12(火) 23:01:14.92RH026bz1o (3/6)


天乃「待って夏凜、貴女自分が何を言ってるか分かってるの?」

夏凜「馬鹿にしてんの?」

天乃「簡単な事じゃないのよ……? 方法も何も、全然わからないの!」

九尾が匙を投げるようなこと

それが、どれだけ難しいことかを夏凜だって分らないはずがないのに

なのに、夏凜は平然と言うのだ。「だから?」と

夏凜「難しかろうが何だろうが、それがあんたの望みなんでしょ?」

天乃「それはそうだけど……でも、だからって」

夏凜「だったら、あんたはお願いって言えばいいのよ」

夏凜は冗談っぽく笑いながら言って、

天乃の頬に手を触れる

キスするかのような仕草だが、天乃はまったく気にせず夏凜を見つめて

天乃「そんな簡単に言わないで!」

夏凜「なるべく諦めない!」

天乃「っ!?」

夏凜「成せばたいてい何とかなる。そう考えて今まで何とかなって来たんじゃない」

天乃「夏凜……」

夏凜「そうして頑張ってきたからこそ、私達勇者部がいるのよ」


621 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/12(火) 23:30:24.86RH026bz1o (4/6)


夏凜「あんた、言ったわよね? 自分の体が弱ってるのは今までの無理が祟ってるからだって」

天乃「ええ……そう言われたから」

夏凜「でも、その無理が今の私達の強さになったのよ。ただ無駄に消費しただけじゃないってことを、私達が証明してあげるわ」

天乃の体が弱った分、夏凜達は強くなった

その体を支えてあげられるように、その心に寄り添うことができるように

勇者としても、人間としても

みんながそれぞれの目的をもって成長を遂げてきたのだ

夏凜「勇者部全員でやれば、あんたの無茶な我儘の一つや二つ、簡単に解決して見せる」

天乃「見栄張っちゃって……出来なかったら死んじゃうわよ? 私」

夏凜「だからこそ出来るって自信があるのよ」

天乃が死ぬというリスクは誰にとっても見逃すことのできないリスクだ

だからこそ、勇者部は必至で模索することだろう

一つ一つの可能性に向かって全力で手を伸ばすことだろう

夏凜「……任せなさいよ。久遠先輩。あんたはもう、部活引退する時期なんだから」

そうっと身を乗り出した夏凜は、天乃の体を優しく抱き込んでいく

望みは叶える。絶対にだ

だからと言って、自分たちが死ぬようなこともしない

それはとても難しい道ではあるけれど……夏凜は少し悩まし気に笑う

夏凜「その望み……絶対、叶えてやるわ」

夏凜には一つ、心当たりがあったからだ


622 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/12(火) 23:35:41.21RH026bz1o (5/6)


√ 11月05日目 夕(病院) ※金曜日

01~10 風
11~20 
21~30 
31~40 東郷
41~50 
51~60 
61~70 友奈
71~80 
81~90 
91~00 樹

↓1のコンマ 


623以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/12(火) 23:37:13.31kPZC/ksVO (2/3)




624 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/12(火) 23:43:47.02RH026bz1o (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


夏凜「私に考えがあるわ」

天乃「何をするの?」

夏凜「バーテックスの刺身を食べる」

天乃「それは本気で言ってるの?」

夏凜「為せばたいてい――」

天乃「何にもならないわよ、馬鹿凜!」


625以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/12(火) 23:55:01.48kPZC/ksVO (3/3)


ここで生きる勇者部五箇条…
始まったばかりだけど諦めるような選択をしなくて良かった


626以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/13(水) 00:46:27.33s2rck5JHO (1/1)


頑張れ勇者部!


627 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/13(水) 22:50:34.44HMv1EkNzo (1/4)


では少しだけ


628以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/13(水) 22:52:20.72+ys2oWwaO (1/2)

おk


629 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/13(水) 23:22:01.50HMv1EkNzo (2/4)


√ 11月05日目 夕(病院) ※金曜日


東郷「久遠先輩、ちょっといいですか?」

天乃「どうしたの?」

松葉杖を使いながら歩いてくる東郷は、

以前に比べて問題なく足も動かせているようで、

時期に完治することも叶いそうな様子だった

東郷「実は、来週から投稿できるんじゃないかという話になりまして」

天乃「それで、私を寂しくさせるんじゃないかって?」

東郷「いえ、そう言うわけでは……」

困ったように笑った東郷は、

そう言うわけではないんですよ。と改めて言う

東郷「ただ、何と言うか……だらけすぎてしまったなって思うんです」

天乃「どういう意味?」

東郷「今までは日中でも久遠先輩にいつでも会うことができたじゃないですか。それが出来なくなるのは、こう、寂しいなと」

常に、気軽に

会いたいときに会えた入院生活から学校に戻るのは

少し億劫になると、東郷は呟く


630 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/13(水) 23:36:55.83HMv1EkNzo (3/4)


天乃「貴方にしては珍しいんじゃないの? そんなこというなんて」

東郷「そうでしょうか?」

いつもより元気のない、寂し気な声

東郷は天乃のすぐそばに座ると、

目を逸らし、少し悩んでから天乃へと目を向ける

東郷「いつでも手を伸ばせば届くところにあるというのは、存外特別なものなのだと気づいただけです」

天乃「私はいつでも、ここにいるけどね」

子供が生まれるまではもちろん

子供を産んだ後もしばらくは体調等のことを気遣って入院は長引くことだろう

最悪、生きていられる一年間の一部分が病院での入院生活になる事さえ、あり得る

天乃「部活がない日は今日みたいに夕方から会うことができるし、普段だってお昼はリハビリでいないでしょう?」

東郷「それはそうですが……同じ院内にいるのと学校と病院では話が違います」

天乃「端末があれば、連絡を取り合うことくらい出来るし」

とはいえ天乃の場合は、

常に病院内にいるということもあって、端末の支給がされていないので

大赦等に申請して、新しく用意してもらわなければならないのだが。

そのくらいの我儘くらいは、許してくれるだろう

天乃「大赦だって、その為の用意くらいはしてくれるはずだわ」


631 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/13(水) 23:52:26.29HMv1EkNzo (4/4)


東郷「それは、そうなのですが……」

天乃「………」

東郷は落ち込んだように呟く

普段の東郷なら、

こんな悩みを抱えたとしても

夜に誘ってくるか、夜に襲ってくるかで自己解決にもっていったり、

その時に、来週からは学校に行くので、堪能させてください。とでも言うものだと天乃は思う

鷲尾須美としての記憶を取り戻して自重を覚えてはいるはずだが、

天乃の体の負担軽減の方法と

一度、負担が重くなりすぎて大変なことになってしまった過去がある以上

東郷は積極的に近づいてきてもおかしくはないのだ

天乃「なにかあるの?」

東郷「その……」


少し後ろめたさがあるような雰囲気

言いたいけれど、言っていいのか迷っている表情

なにか、あったのかもしれない


1、夏凜から聞いたんでしょう? 別にいいのよ? どうせ私から話すつもりではあったんだから
2、全く……夏凜も口が軽いんだから。あとで叱っておかないとね
3、もしかして、エッチがしたいけど、私の体を気遣ってるの?
4、何よ。はっきりしないなんて貴女らしくないわね


↓2


632以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/13(水) 23:53:44.19MHSfLYES0 (1/1)

1


633以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/13(水) 23:54:07.33+ys2oWwaO (2/2)

1


634 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/14(木) 00:04:15.71WXINn6Z5o (1/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「夏凜から聞いたのね……」

東郷「はい……濃密な性の時間を過ごしたと!」

天乃「えっ」

東郷「夏凜ちゃんだけずるいわ! 私も一人で久遠先輩と濃密な時間を過ごしてみたいです!」

天乃「あの……」

東郷「今夜! 今夜から明日の朝にかけてまでの10時間みっちり私と付き合ってください」

天乃「じゅ、10時間……? え? 寿命の話は……?」


635以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/14(木) 00:09:29.85UXJqbUzvO (1/1)


んもー、東郷せんせーはすぐ性欲に走るー
それはともかく全員に話す機会はたしかにほしいな



636以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/14(木) 01:21:17.26xw0V3wDcO (1/1)


落ち着いたら10時間でも20時間でも


637 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/14(木) 23:01:55.11WXINn6Z5o (2/5)


では少しだけ


638以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/14(木) 23:02:24.13ERaJsuBWO (1/1)

ほいさ


639 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/14(木) 23:11:32.56WXINn6Z5o (3/5)


東郷の表情を見つめていた天乃は、不意に小さく笑い声を零して、

なるほど。と、聞こえるように呟く

東郷「え?」

天乃「夏凜から聞いたんでしょう?」

東郷「っ……すみません」

天乃「別にいいのよ。どうせ私から話すつもりではあったんだから」

もう少し、分からないように行動しようと考えていた東郷は、

その思いとは裏腹に体は解り易くなってしまった

天乃があと一年と少しで死んでしまうと聞かされてはどうしても、じっとしていられなかったのだ

天乃「それなら、若葉達に対してのことも……」

東郷「はい。伺いました」

天乃「東郷は反対?」

東郷「そうですね……やはり、還してあげて欲しいという気持ちがないと言えば嘘になりますが、寂しくないと言っても嘘になるので」

東郷は困った話ですね。と苦笑をこぼす

眠るべき魂だからという考えを持っていた東郷だが、

これまで仲間や友人として確かな関係を築き上げていたのだ

別れが惜しくないなどとは、本心から言える言葉ではない

東郷「久遠先輩の言葉を免罪符にする気はありませんが、それでよかったんだと思います」


640 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/14(木) 23:22:35.98WXINn6Z5o (4/5)


東郷「寿命の件に関しては、私達できっと何とかして見せます」

天乃「……うん。頼りにしてるわ」

天乃の穏やかな微笑みを目にした東郷は

嬉しさをかみしめるような笑みを浮かべて、目を伏せる

自分が照れくささに顔を染めているのが分かっているからだ

東郷「夏凜ちゃんから話を聞いた時は、本当に衝撃的でした」

天乃「でしょうね。だって、助けたと思ったらまだ死にかけてるんだもの」

東郷「笑い事じゃないんですよ。久遠先輩」

天乃「そうね、ごめんなさい」

まるで質の悪い冗談を言っただけのような雰囲気を感じさせる天乃だが

本当に冗談ではないのだから勘弁してほしいと東郷は思う

だが、逆にこんな雰囲気で天野がいるのも悪くはないと東郷は思っていた

東郷「久遠先輩が本当に頼ってくれているというのが分かるので、嫌ではないですが」

天乃「…………」

東郷「だから、こんなことを言うのは不謹慎だとは分かっていますが、あえて言うなら……嬉しかった」

天乃「あら酷い」

東郷「こんなにも、重要なことを私達に委ねてくれている。自分一人で背負おうとはしないでくれている。それが、何よりもうれしい」

そして。と、東郷は続ける

東郷「だからこそ、私達は何が何でも久遠先輩のことを助けたいと思う。たとえ選択の一つが、世界を敵に回すようなことになるのだとしても。絶対に」


641 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/14(木) 23:35:29.26WXINn6Z5o (5/5)


天乃「頼もしいとは思うけれど、でもね? あまり無理はして欲しくはないわ」

夏凜の時から感じる、無茶なことをしでかしそうな雰囲気

天乃の我儘であり、

それが無謀すぎる要求だからこそ

多少の無茶は覚悟しなければならないと分かっているが

それでも、天乃はそれを言わずにはいられなかった

天乃「私は貴女達に無理を知ろと命令した覚えはないんだから」

東郷「はい。それはもちろん、分かっているつもりです」

しかし、そもそも天乃の味方でいること自体

大赦からしてみれば敵対行為のようなものである以上

これ以上の無茶な行為は世界を敵に回す行為になってしまうというのも事実

東郷「出来得る限り穏便に済ませられるように、夏凜ちゃん達とはよく話し合っていますから」

天乃「神樹様を切り倒すとか、バーテックスの親玉を倒しに行くとか。そう言うのは止めてね?」

東郷「いえ、それも必要があれば行うかと」

天乃「東郷……」

東郷「もちろん、最終手段ですからご安心を」

天乃「最終手段でもだめ。こういう場合の最終手段は若葉達を諦めてしまうことだわ」


642 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/15(金) 00:19:13.00l6JjpQrNo (1/6)


天乃「出来れば、そうしたくはないけど……ね」

東郷「なら、責任重大ですね」

天乃「そうよ。だから、まだ時間はあると思って慎重にお願いね」

東郷「……はい」

東郷は軽く頷いて、息をつく

時間があると言ってもたった一年

しかも長くて一年だというのなら、半年や数ヶ月という可能性もあるのだ

あまり悠長なことは言っていられないと、東郷は思う

しかし、かといってむやみやたらと手を出していても正解にはたどり着けないのは事実

だからこそ、と。東郷は決心がついたような表情を浮かべて

天乃の手を握る

東郷「そのことは私達に任せて、久遠先輩は子供を無事に産むことだけを考えてください」

天乃「うん……ねぇ、東郷」

東郷「はい?」

天乃「無理はしちゃだめよ?」

東郷「分かってますよ」

不安気な表情を見せる天乃に、

東郷は笑みを浮かべて、答えた


643 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/15(金) 00:31:06.48l6JjpQrNo (2/6)


√ 11月05日目 夜(病院) ※金曜日

01~10 風
11~20 
21~30 友奈
31~40
41~50 樹 
51~60 
61~70 
71~80 千景
81~90 
91~00 若葉

↓1のコンマ 


644以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/15(金) 00:31:32.258VIia8mNO (1/2)




645 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/15(金) 00:35:24.34l6JjpQrNo (3/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


友奈交流


646以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/15(金) 00:40:36.298VIia8mNO (2/2)


友奈ちゃんか…もう少し釘でも刺しとかないと東郷さん以上に無茶しそうで心配だなぁ


647以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/15(金) 10:33:25.39xHkhdzgwO (1/1)

須美の記憶が良心となってて綺麗な東郷さんに戻りつつあるな
オマケでは相変わらずはっちゃけてるけどw


648 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/15(金) 23:12:52.50l6JjpQrNo (4/6)


では、少しだけ


649以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/15(金) 23:16:14.62WmzAlO7Y0 (1/1)

よしきた


650以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/15(金) 23:18:29.35tcHPqPTfO (1/1)

いえす


651 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/15(金) 23:26:07.49l6JjpQrNo (5/6)


√ 11月05日目 夜(病院) ※金曜日


消灯時間になって、明かりの消えた病室

白さゆえか少し発光しているようにも見えるカーテンから、友奈が顔を覗かせた

友奈「あの……少し良いですか?」

天乃「少しだけで良いの?」

友奈「…………」

天乃「大丈夫よ、こっちおいで」

リモコンを操作して上体を起こした天乃は、

カーテンから覗いたまま動こうとしない友奈に笑みを浮かべて、手招きする

それに安堵したのか、

友奈は枕を抱きながら、カーテンの中へと入ってきた

友奈「すみません」

天乃「良いのよ。まだ寝ていなかったし……寝苦しかったし」

友奈「っ! ま、また具合がっ」

天乃「大丈夫よ、ごめんなさい」

大慌てな反応を見せる友奈に、天乃は少し罪悪感を抱く

なぜここに来たのかわかっているのに、

体に関してのことを言ってしまったからだ

あと一年ということを知らされているのだ。友奈が慌てるのも無理はない


652 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/15(金) 23:40:37.15l6JjpQrNo (6/6)


友奈「でも、一応――」

天乃「本当に大丈夫だから、落ち着いて」

大丈夫と言ってもナースコールに手を伸ばそうとした友奈を制して

天乃はごめんね。と、声をかける

いくら友奈でも、心穏やかにいられる案件ではない

天乃「仰向けで寝てるとどうしても体に重みが来るの。ただそれだけだから」

友奈「……はい」

天乃「少なくとも、子供を産むまでは絶対に大丈夫だから安心して」

友奈「安心なんて出来ないです」

散々苦しむ天乃を見てきたのだ

辛い思いをし、不幸に見舞われてきた天乃を見てきたのだ

ほんの些細な事であっても、

安心することなんて不可能だった

友奈「すみません」

天乃「友奈……」

友奈「夏凜ちゃんから、聞いちゃって」

天乃「うん」

友奈「本当……なんですね」


653 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/16(土) 00:13:19.719PPWcQfmo (1/8)


元々、夏凜が天乃のことでそんな嘘をつくことはないと分かっていた

だから、天乃が冗談だと言ったり、否定したりしなかったとしても

仮に、そうしてくれたのだとしても、友奈の気持ちが変わることはない

天乃「友奈は、どっちにも属してなかったけど、やっぱり精霊を還した方がいいって思う?」

友奈「分かりません。久遠先輩の体は治してほしい。でも、だから若葉さん達を犠牲にするって言うのも違うような気がするんです」

天乃「…………」

友奈「はっきりしなくちゃいけないなって、思うんですけど、でも……上手く答えを出せなくて」

友奈は小さく笑みを浮かべる

葛藤し、それでも答えを見つけられない自分への苛立ちを誤魔化しているような

そんな、あまり良くないものを感じさせる笑み

友奈「あの……久遠先輩」

天乃「なぁに?」

友奈「もしも……もしもですけど、その……どうしても肉うどんが食べたくて、でもお肉がなくて」

天乃「?」

友奈「お店に行ったら別の人が買おうとしてたら、譲って貰いますか?」



1、そうね。お話はするかもしれないわね
2、どうかしら……そのお肉がどうしても必要ならすると思うわ
3、その人だって必要だから買うんでしょう? なら、諦めるわ
4、それは私がどうしたいかより、貴女がどうしたいかじゃないかしら。お肉の重要性は個人で違うもの
5、諦めて麻婆豆腐を食べるわね


↓2


654以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/16(土) 00:14:09.57i0xurD11O (1/2)

4


655以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/16(土) 00:18:18.93Dn43vindO (1/1)

5


656 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/16(土) 00:27:18.259PPWcQfmo (2/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日も出来れば通常時間から


千景「結城さんはかなり真面目に聞いたと思うのだけれど」

若葉「いや、あれはあれで天乃の真面目な答えだあろう」

沙織「そうだね。あれは真面目な時の久遠さんだから大丈夫だと思う」

千景「どうやって判断しているのよ」

沙織「匂い。かな」

千景「聞いた私が馬鹿だったわ」


657以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/16(土) 00:38:21.65i0xurD11O (2/2)


でもそこもかわいい!



658以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/16(土) 01:11:22.44LrP55ZU3O (1/1)


この久遠さんの冗談が吉と出るか凶と出るかだな


659以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/16(土) 11:37:45.45Mi+vhSXbO (1/1)

本編のアリさんとキリギリスさんのたとえに通じる友奈ちゃんの意味不話好き
そこに冗談(本気?)でまったく別のこと言う久遠さんも好き


660 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/16(土) 23:08:58.909PPWcQfmo (3/8)


では少しだけ


661以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/16(土) 23:12:26.06jfGll1MxO (1/1)

よっしゃ


662 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/16(土) 23:19:31.389PPWcQfmo (4/8)


天乃「なんだか不思議な問いかけね」

天乃が少し困った様子で笑みを浮かべると、

友奈はすみません。と小さく言って、部活のやつで似たようなのがあってと、嘯く

天乃「そう……」

部活に関係することだというのが嘘だというのはわかったが、

かといって、友奈が悪ふざけで聞いているわけではないというのも、天乃は分かる

そのくらいには見てきたつもりだし、曲がりなりにも恋人なのだ

天乃「そうねぇ、私なら諦めて麻婆豆腐を食べるわ」

友奈「えっ!?」

天乃「あら、別にそう言う選択が駄目だなんて言われてないわよ?」

友奈「そ、それはそうですけど……っ」

友奈は困り果てて、慌てる

そんな答えを返されるとは思っていなかったのだ

考えが甘かったと言われればそれまでかもしれないが

天乃なら真面目な答えを返してもらえると思っていたのだ

それなのに……

友奈「っ……」

天乃「あらあら……何も泣かなくたって」


663 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/16(土) 23:30:11.179PPWcQfmo (5/8)


友奈「すみませっ……っ……うぅ」

天乃「本当……分かりやすい子なんだから」

友奈「だ、だって」

天乃「…………」

泣きだしてしまった友奈の頬を拭いながら、

天乃はまるで自分と夏凜のようだと思って、苦笑する

夏凜は分かると言っていたが、まさかこんなにも分かりやすくはないよね。と

少しだけ不安にさえ感じてしまう

だが、今はそんな考えをする時間ではない

天乃「私は別に茶化すつもりはないのよ?」

友奈「え?」

天乃「だって、実際に貴女は答えに制限をつけなかったわ」

友奈「それはっ」

天乃「あのね友奈。現実の問題は学校のテストのように限られた答えではないのよ」

散々一つの選択のみに絞り続けていた自分が言うのは白々しいと思う天乃だが

その狭い選択のまま居続けていることが誤りだと勇者部が教えてくれたからこそ

今度は、自分が言うべきだとも思う

天乃「今見えている答えのほかにもきっと、答えはあるのよ。ただ、焦っているからそれしかないと考えてしまっているだけ」

友奈「うぅ……」

天乃「ゆっくり考えるの。ぎりぎりまで時間を使って誰も不幸にならないようなことがないかを考えてみるのよ。それが、貴女の理想でもあるんでしょう?」


664 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/16(土) 23:36:12.929PPWcQfmo (6/8)


天乃「大丈夫。きっと大丈夫だから」

友奈「久遠先輩……っ」

中々泣き止まない友奈のことを引き寄せて、抱き寄せて、

優しく、優しく、慰めるように頭に触れる

きっと、寿命に関しての悩みなのだろうと天乃は感じた

言われたわけではないがそうなのだろうと感じた

そしてそれはきっと、

友奈にとってあまり望まない方法をとるのだろうとも思った

だから、それ以外の可能性があるかもしれないと言う

天乃「……ごめんね」

もしかしたら、そんなものはないかもしれない

ぎりぎりまで考えても定まった答えしかないかもしれない

ある意味、天乃の問題はそのくらいに限定された条件の中にあるのだ

友奈「分かりました……頑張ってみます」

天乃「うん、頑張ってみて」

天乃から離れた友奈は、

少し泣きはらした顔を枕で隠して、ちらっと天乃を見る

友奈「あの……それで、あの……」

天乃「なぁに?」


665 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/16(土) 23:55:37.689PPWcQfmo (7/8)


何が言いたいのか分かりやすいのだが

友奈の恥じらっている姿が愛らしくて、

天乃はあえて、分からない素振りを見せた

友奈「……一緒に、寝ても良いですか?」

天乃「駄目って言ったら大人しく帰っちゃうの?」

友奈「迷惑は、かけたくないので」

天乃「ふふっ、なら良いわよ。おいで」

ベッドは少し狭くなるが、天乃のベッドは通常のベッドよりは広めに作られているため

あと一人一緒にいても何とかなる

特に友奈くらいの大きさ―どこがとは言わないが―なら

問題なく一緒にいられるだろう

友奈「失礼します」

天乃「うん。おいで」

ただし、忠告されてしまったので

夏凜の横ではエッチなことは出来ないけど。と

友奈に耳打ちすると、ただでさえ赤かった顔は真っ赤に染まった

天乃「可愛い」

友奈「っ!」

少しだけ、抱きしめた


666 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/16(土) 23:58:36.269PPWcQfmo (8/8)


√ 11月06日目 朝(病院) ※土曜日

01~10 園子
11~20 
21~30 友奈
31~40 
41~50 
51~60 千景
61~70 
71~80 
81~90 風
91~00 樹

↓1のコンマ 


667以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/17(日) 00:00:01.62cYyMI/MGO (1/1)




668以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/17(日) 00:00:12.26vsCSaa5kO (1/3)




669 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/17(日) 00:05:34.08bLpDnRWko (1/9)


ではここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから
まとめは明日、再開時



風「真面目な話を茶化された友奈は?」

東郷「泣きました」

風「真面目な話を茶化した天乃は?」

東郷「喘がせます」

夏凜「あんたほんとブレ無いわね」

東郷「だって、これが最後になる可能性があるんでしょう? 孕むわ」

夏凜「それは無理」


670以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/17(日) 00:06:31.82/T5NC4IPO (1/3)


実際友奈もそれなりに悶々としてそう


671以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/17(日) 00:12:38.27vsCSaa5kO (2/3)


久遠さんのために一生懸命な友奈ちゃん本当に可愛いなぁ
あとアニメの勇者の章に久遠さんがいたらこういう語りかけるような説得しそう


672 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/17(日) 20:45:46.85bLpDnRWko (2/9)


では少しずつ


673以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/17(日) 20:57:38.86vsCSaa5kO (3/3)

来てたか


674 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/17(日) 20:59:25.63bLpDnRWko (3/9)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(寿命一年、精霊残留)
・   犬吠埼風:交流有(寿命一年、精霊残留)
・   犬吠埼樹:交流有(寿命一年、精霊残留)
・   結城友奈:交流有(寿命一年、精霊残留、答えは複数)
・   東郷美森:交流有(寿命一年、精霊残留)
・   三好夏凜:交流有(寿命一年、精霊残留)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流有(天乃の体)
・      神樹:交流無()


11月05日目 終了時点

乃木園子との絆  72(高い)
犬吠埼風との絆  98(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  87(とても高い)
結城友奈との絆  108(かなり高い)
東郷美森との絆  118(かなり高い)
三好夏凜との絆  142(最高値)
乃木若葉との絆  96(かなり高い)
土居球子との絆  42(中々良い)
白鳥歌野との絆  42(中々良い)
藤森水都との絆  35(中々良い)
  郡千景との絆  42(中々良い)
   沙織との絆  117(かなり高い)
   九尾との絆  63(高い)
    神樹との絆   9(低い)


675 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/17(日) 21:30:16.57bLpDnRWko (4/9)


√ 11月06日目 朝(病院) ※土曜日


天乃「ん……」

友奈「すぅ……」

天乃「風邪ひくわよ」

いつもとは違って友奈の寝顔がすぐ真横に見えた天乃は、

自分の方に多く引き寄せられた布団を友奈の方にかけなおして、小さく笑みを浮かべる

寝相が悪いなんていうことはないのだが、

天乃の方が身長は低くても妊婦ということもあって幅をとってしまうのだ

その分布団は天乃の方に引っ張られていて

半身はみ出ていたせいか、友奈は可愛らしく、くしゃみをする

天乃「……もっと近づけばよかったのに」

天乃の体に負担をかけることを恐れて離れた結果、

天乃の周囲には一応、十分なスペースはあったけれど、友奈は落ちる寸前

寝返りを逆に打てば落ちるという場所でとどまっていられるのはむしろ、

起きているのではないかと思うほどに

天乃「無理させたわね」


676 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/17(日) 22:03:50.48bLpDnRWko (5/9)


友奈からのお願いではあったけれど

抱き寄せてあげるとか、少しくらい距離を詰めてあげるべきだったと天乃は思う

夏凜のせいにする気は毛頭ないが

エッチなことは出来ないという風に言ったのも少しは影響したかもしれない

天乃「あれで距離とったものね……」

可愛いと言って抱きしめた後、

駄目ですって言いながら友奈は距離を取ったのだ

ちょっぴり、残念そうに

あの仕草というべきか、表情は非常に愛らしかったが、

やっぱり、少しくらいなら許してあげるべきだったかもしれないと今は思う

天乃「…………」

友奈「すぅ……すー……」



1、勇者組
2、精霊組
3、友奈に悪戯
4、友奈を起こす
5、イベント判定
6、勇者部と話す

↓2


677以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/17(日) 22:08:09.11iclV8eGq0 (1/2)

6


678以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/17(日) 22:08:29.32/T5NC4IPO (2/3)

3


679以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/17(日) 22:08:35.84EGY+X9OjO (1/3)

6


680 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/17(日) 22:24:55.09bLpDnRWko (6/9)


友奈に悪戯する


1、頭を撫でる
2、頬むにむに
3、お目覚めのキス
4、欲求不満解消 ビギナー
5、欲求不満解消 プロフェッショナル
6、少し脱がしてみる


↓2

※3以外はコンマ70~00 で起床


681以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/17(日) 22:27:16.17EGY+X9OjO (2/3)

6


682以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/17(日) 22:28:41.10iclV8eGq0 (2/2)

5


683以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/17(日) 22:29:33.17/T5NC4IPO (3/3)

2


684 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/17(日) 22:55:11.54bLpDnRWko (7/9)


天乃「……さて、どうしたものかしらね」

友奈は良く寝ているし、夏凜はさっき起きた音がしたのでいないはず

昨日少しはやりたがっていた……かもしれない友奈の希望を叶えても

隣から怒られることはないだろう

天乃「なんて、言い訳しなくても……ね」

少しくらいなら悪戯しても許されるのではないかと、天乃は企む

普段、あまりその気を見せない天乃ではあるが

自覚した今となっては、人並みにそういう気分になることもあるのだ

ゆえに、

隣で自分の愛らしい嫁が無防備に寝ているのをじっと見ているのももどかしく感じてしまう

天乃「夏凜達が言うのって、こういう感じなのかしらね」

相手のことを考えれば駄目だと思うのに

手を出したいと思ってしまう

今日は土曜日だけれど、学校はない

だから、朝からエッチなことをして疲れたのだとしても許されるだろう

天乃「少しだけ、だからね」


685 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/17(日) 23:29:09.31bLpDnRWko (8/9)


基本的に受けに回っている天乃は、

どこまでが過剰なのかは知っているが、どの程度ならちょうどいいのかまでは知らない

だからこそ、自制は保つべきだと口にして布団を少しだけめくる

天乃「…………」

年相応の胸のふくらみは寝間着に隠れてしまっているけれど

可愛らしさのある体つきに目を向け

天乃はそうっと友奈の体に手を這わせていく

友奈「んっ……」

呼吸で動いている胸周りは触り方の強弱が難しいし

そこまで邪魔になることはないだろうが

呼吸の邪魔になりかねないので、スルーする

ではどこに触れるのか

天乃「普通に考えて、ここよね」

友奈の口から零れる小さな声に気を向けながら

わき腹の辺りをさっと通過して、お尻の辺りに手を回す

友奈「!」

天乃「……起きないでね」

友奈と東郷二人を相手にしたとき

沙織が寝ているときにやらかしてしまったことの記憶

それを教訓に、天乃は手を回していく


686 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/17(日) 23:43:21.55bLpDnRWko (9/9)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



天乃「もう少し、友奈を楽しませて貰うわ」

夏凜「あんた、やりすぎないようにしなさいよ?」

天乃「ふふっ、どこまで言ったらやりすぎなのか熟知してるから大丈夫よ」

天乃「もちろん、一番もどかしくなる部分もね」

東郷「あ、悪魔だわ……でも、味わいたい」ポッ

風「せんせー、頭の方で急患でーす!」


687以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/17(日) 23:51:41.93EGY+X9OjO (3/3)


どういう訳かくあゆシリーズでの友奈ちゃんはエロい目に合う率が高い気がするな


688以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/18(月) 00:33:51.67VMPgbwwPO (1/1)


小動物系だからいかしかたなし


689以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/18(月) 23:30:49.44kyVfJzTZO (1/1)

今日は休載?


690 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/18(月) 23:53:59.64hvUJEZTVo (1/1)


すみませんが、本日はお休みとなります
出来れば明日、早めに再開して二日分


691以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/19(火) 02:03:33.41+Ph9tmayO (1/2)


無理しなくていいよ


692以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/19(火) 06:41:36.42G+1jlcStO (1/1)

乙です


693 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/19(火) 22:30:55.88qCSx1Bilo (1/5)


遅くなりましたが、少しだけ


694以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/19(火) 22:32:01.03FyefVBP4O (1/2)

やったぜ!


695 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/19(火) 22:58:52.54qCSx1Bilo (2/5)


服を脱がすことなく友奈の臀部を優しく撫でながら

右手で友奈の体を少しずつ仰向けに変えていく

自分の方に向かれているのも嫌ではないが、

やるなら仰向けの方がやりやすい

もちろん、対面でも不可能ではないし、その方がお尻の方にも手が届くので

悪いというわけではないのだが……

天乃「私に体の自由は殆ど無いしね」

それがあれば……と、天乃は思いながら、

友奈の体が仰向けになるにつれて左手を引き抜く

天乃「……謝らないからね」

沙織の時は精神的にも色々あって我ながら大変なことになった、と

天乃は自分自身に悪態もつくが、

今回ばかりは色んな意味で許されると、自己弁護する

天乃「建前だけど……ふーっ」

自分の手に息を吹きかけて、自分の足と足の間に挟んで擦り合わせる

そのまま手で触って驚かすのも可愛らしい反応が見れていいのだが

今回の目的はそうではない

だから、素肌に触れるために温める必要があるのだ

天乃「……このくらい?」

自分の頬に充てて、確認

もう一度足で挟んで温めてから、友奈の寝間着の裾から静かに手を入れていく


696 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/19(火) 23:26:20.85qCSx1Bilo (3/5)


友奈「っ……」

友奈の体がピクリと反応する

だが、天乃は手を止めることなく裾から左手を差し入れていき、

右手で一番下のボタンをゆっくり、僅かな反動もないようにと外して左手で腹部を優しく撫でる

おへそを中心に、指先で擦るように

微妙なくすぐったさともどかしさを覚えるような感じで

天乃「患者衣だったら、もっと楽だったんだけどね」

あるいは、浴衣など。

違うのだから仕方がないと、

天乃は上半身を起こして、指先の触れるわき腹の辺りを刺激しすぎないように注意しながら

程よく鍛えられた腹筋を解すようにマッサージしていく

それでいて、呼吸の邪魔にはならないようにと、友奈の表情の変化を見つめる

苦しそうにしたら緩めて、優しく、

変化がないのなら、少しだけ力を入れて

友奈「っ……はっ……」

掌に感じる友奈の腹部がほんのり汗ばんで、

吐息が少し荒々しくなっていくのを見送る

天乃「そろそろ、ね」


697 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/19(火) 23:45:06.06qCSx1Bilo (4/5)


友奈の体温が上がり始めたら、肌になじませるようにゆっくりと布団をめくっていく

温まりすぎても寝苦しさで起きるが、

だからといって一気に冷めてしまうような空気に触れさせてしまっても起きやすい

だから、少しずつ、冷えた空気を友奈の温まった肌に馴染ませていくのだ

天乃「ここからは慎重に、ね」

左手を引き抜き、おへそが見える程度には寝間着をめくった天乃は

右手を友奈の胸に平行になるように浮かべて、少しずつおろしていく

友奈の胸の上下を阻まないように

天乃「まずは触れさせる」

友奈の胸が膨らんだ時に自分の手が当たるように調整して、

胸が下がっていくのに合わせて自分の手も下げる

そして、友奈の呼吸の上下だけで手が動くように乗せる

友奈「ん……」

天乃「………」

手を、布団のようなものだと勘違いさせていく

触れられること、動くこと

それが眠りを妨げるようなものではないと思わせていく

天乃「さて……」


1、悪戯はここまで、起こす
2、一回くらいお漏らしさせたい


↓2

※2はコンマ65~00だと失敗し(起き)ます


698以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/19(火) 23:48:30.90+Ph9tmayO (2/2)

2


699以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/19(火) 23:51:04.16FyefVBP4O (2/2)

2


700 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/19(火) 23:58:51.65qCSx1Bilo (5/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


久遠さんの容赦ない性的攻撃


701以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/20(水) 00:08:09.08OC+AN8SwO (1/1)


段々責めにも慣れてきた久遠さん
あと友奈ちゃんがえっちな事されてるとなぜかエロ担当の東郷さんよりも興奮する


702以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/20(水) 00:11:18.90AMi8fFIZO (1/1)


貴重な久遠さん攻め


703 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/20(水) 22:54:15.42EoNkJNPNo (1/3)


では少しだけ


704以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/20(水) 23:00:17.43PITvw09IO (1/1)

あいよ


705 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/20(水) 23:27:31.11EoNkJNPNo (2/3)


天乃「手を出したなら、引くも進むも結果は同じだわ」

最後までやってしまうというのは少しばかり罪悪感も感じるが、

事ここに至っては、もどかしいままで終わらせる方が可哀想だろう

現実でエッチなことをされている友奈はの夢は今、どうなっているのだろうか

乱されてしまっているのか、変わらないのか

そんなことを考えながら、天乃は友奈の慎ましやかな胸を愛撫する

呼吸の上下に合わせ、流れを阻まないように。

友奈「っ」

撫でるのではなく、揉むのではなく、滑らせる

呼吸でズレていく布団のように、

それでいて、身体にしっかりと感度を与えていく

友奈「っ……んっ」

声を聞く

吐息を左手で受けて、熱と早さを確かめる

熱っぽくなっていくまで胸に触れつつ、左手でお腹を撫でる

おへその辺りを重点的に、圧し揉むような感覚で。

友奈「は……ん……っ」


706 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/20(水) 23:54:12.35EoNkJNPNo (3/3)


元々可愛らしい声にちょっぴり熱が絡みついて色っぽさを増していき、

健康的な肌は心地よさゆえの紅色に染まりつつある

天乃「……本当なら、キスの一つでもするんだけどね」

天乃としては、それが性行為の始まりというイメージがあるし

スイッチの入れどころはどちらかと言えばそこだ

だから、少しだけ寂しさを感じてしまう唇を巻き込んで舌で舐める

天乃「その分、楽しませてもらうから」

そう呟いた天乃は、

もう一度友奈の呼吸を確かめ、まだ起きそうにないことを確認してから、

下腹部へと手を伸ばしていく

中心よりは、少し横

一番敏感な部分を極力避けて、寝間着の上から中指で触れる

友奈「っ!」

ぴくっと、身体が揺れる

小さな声が友奈の口から洩れる

天乃「おっと……もう少し慎重に」

自分の心臓の音がはっきりと聞こえるくらいに息を鎮めて

高鳴る心臓をそのままに心を落ち着けながら、友奈の胸を撫でて

そうっと、下腹部に中指を触れさせる

受け入れてくれる部分のすぐ横、足の付け根との一筋に挟み込むように


707 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/21(木) 00:21:49.87bbJ85gS/o (1/12)


友奈「っ……はっ……んっ」

天乃「……あまりやりすぎると起きちゃうわね」

足の付け根、僅かな窪みに中指を這わせながら、

人差し指で割れ目に沿って指を動かす

性体験は幾数回

けれど、まだまだ未成熟に感じる敏感な部分にはまだ、刺激のないような触れ方

天乃「…………」

友奈「んっ、っは……ぁっ」

ビクビクと、友奈が反応を見せる

少しずつ、感度が高まっていく

敏感な部分に触れて欲しいと体が疼く

自分だったらそうなっていると天乃は自分にあてはめながら

友奈の口元に垂れていく涎を右手で拭ってほほ笑む

天乃「……あと少し」

指で擦るペースをあえて落とし、力を籠める

早く浅く行っていたことを、遅く深くに変えていく

指が少しだけ沈む

耳をすませば焦らされている悲しさが聞こえてきそうなほどのすんなりとした指の動き

天乃「ふふっ」

撫でるように左手を離した天乃は、

自分の足に手を挟んでもう一度温めなおすと、今度は友奈のズボンの中に手を差し込む


708 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/21(木) 00:33:46.90bbJ85gS/o (2/12)


僅かに開いた隙間から逃げ出した淫靡な匂い

焦らされたもどかしさによる催促

天乃は少し悲し気に、

けれど、それ以上に楽しんでいるような笑みを浮かべると

下着の上から、指を触れさせる

友奈「!」

天乃「……うん、準備は良い」

まだ友奈は最高潮に達してはいないけれど

下着はもうしっとりとしていて、

十分に感じさせられているのが分かる

天乃「……一回だけね」

友奈の縦の割れ目に対し、天乃は人差し指をぐるり、ぐるりと円を描きながら

情欲の液漏れを起こしてしまった脆い部分に刺激を与えていく

友奈「っ、んっ……ぁっ」

漏れる声が入りっぽさを増す

体の僅かな動きが催促するようないやらしい動きに移ろっていく

けれど、天乃は小さな笑みを浮かべて首を振ると

友奈の割れ目に沿って指を這わせつつ、敏感な部分を爪弾く


709 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/21(木) 00:47:14.40bbJ85gS/o (3/12)


軽く強く、優しく淫らに

友奈の体を責めていた天乃は

友奈の表情が強く変化していくのを横目に頷く

あと少し。だから、最後の激しさを

そう考えた天乃は爪先が下着越しに隆起した部分を擦ったのをそのままに、

下着の中へと指を忍ばせる

手首によって開く隙間から聞こえる音、漂う匂い

あの時、あの部屋とは比べ物にはならないけれど、

それでも十分に感じさせてくれるにおいで

天乃「……少し、気持ちは分かるわ」

責め手であれる理由、自分よりも相手を優先させられる理由

それを察した天乃は忍ばせた指を一つ、友奈の奥へと忍ばせていく

友奈「ぁっ……」

天乃「友奈が好きなのは、ここよね」

飲み込まれた指先をくいっっと曲げて、擦る

削ってしまいそうな強さ

痒みを抑えるような穏やかさ

その接触は友奈の高ぶった体を大きく感じさせて

友奈「ぃぁっ……んっ!」

一際強く身悶えて、覚醒へと近づいた友奈の瞳が開く

天乃「……あら、起きちゃったのね」


710 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/21(木) 00:57:22.25bbJ85gS/o (4/12)


友奈「へ……え?」

まず見えた天乃の笑顔、ふわふわとしていてつかみどころのない体の感覚

上手く状況が判別できずに間の抜けた声を漏らした友奈は、

自分の寝間着が変にはだけていて、

天乃の手が逃げるように自分の下腹部から離れて行ったのに気づいて……見る見るうちに赤面する

友奈「あ……」

天乃「おはよう」

友奈「ぅ……く……久遠せんぱぁいっ!」

天乃「朝から元気ね」

友奈「げ、元気なのは久遠先輩じゃないですか……っ」

汗と淫らな液体にべっとりとした気持ち悪さを感じる友奈は、

閉じようにも閉じられない足を開いて、右手で触れる

友奈「うぅ……正夢……」

天乃「やっぱりエッチな夢を見たの?」

友奈「それは……っ、お、おしえませんっ!」

ふんっ。と、

可愛らしくむくれた友奈はベッドから降りると、

あからさまに何かあったのが分かる不自然な歩き方を誤魔化すように枕を抱きしめて

友奈「久遠先輩のえっち……駄目って言ってたのに」

文句を言いつつ少し嬉しそうな

ちょっぴり複雑な表情で、カーテンを開いて出て行った


711 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/21(木) 00:58:33.89bbJ85gS/o (5/12)

√ 11月06日目 昼(病院) ※土曜日

01~10 風
11~20 
21~30 夏凜
31~40 
41~50 樹
51~60 
61~70 千景
71~80 
81~90  若葉
91~00 

↓1のコンマ 


712以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/21(木) 00:59:08.37l99HajNTO (1/2)




713 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/21(木) 01:02:15.98bbJ85gS/o (6/12)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


友奈「………」テクテクテク

風(やられたわね)

夏凜(やられたんでしょうね)

東郷(喰われたわね)グッ

樹(なんでガッツポーズなんですか東郷先輩……)


714以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/21(木) 01:04:37.39l99HajNTO (2/2)


園子が羨ましそうに見てそう


715以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/21(木) 06:48:02.28IjJ/8DN/O (1/1)


友奈ちゃんにもするよりされたい願望があるのだろうか
どちらにしてもかわいいなぁ


716 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/21(木) 22:54:28.26bbJ85gS/o (7/12)


では少しだけ


717以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/21(木) 22:55:56.544o9dFWIEO (1/4)

よしきた


718 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/21(木) 22:58:36.34bbJ85gS/o (8/12)


√ 11月06日目 昼(病院) ※土曜日


今朝、友奈の寝込みを襲ったことに関しては、

むしろ襲っても良いと言わんばかりの人を除いても

特別、叱られるようなことはなかった

もちろん、相手がそれをされても平気なら。という条件だと風は言ったのだが

されて嫌な人は恐らくだが、この病室にはいないだろう

時と場合によって、風と夏凜が拒否するくらいで、

今まで自分から動くことが出来ず、そのせいで中々相手にしてもらえなかった園子なんかは

むしろ望むところ。といったことだろう

天乃「はぁ……」

ゆえに、その寝込みを襲われることや

隙をついた行いを警戒したわけではないのだろうが、

病室には、天乃一人しかいなかった

天乃「まぁ、混ぜられないというのも一理あるにはあるんだけどね」

リハビリの付き添いという建前で出て行った勇者部の面々

だが、天乃はもちろんそうだとは思ってない

天乃の寿命、それの対策についての話し合いだというのは言われるまでもなく察しが付く

なぜなら、

学校が休みだというのに、天乃一人を放ってみんなでいなくなるなど、大層な理由がない限りはまずありえないからだ


719 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/21(木) 23:07:56.24bbJ85gS/o (9/12)


天乃「散々我儘な条件を叩きつけた以上、文句を言えることではないって解ってはいるけど」

しかし、不安を感じずにはいられない

夏凜や友奈達を信頼していないわけではないが、

どうしても、切羽詰まっているように感じてしまうのだ

夕方に来た東郷、夜になって来た友奈

どちらも答えこそ変わっていたが、大元の問題は同じ

つまり、勇者部の中で迷っているか、あるいは意見が分かれているということになる

天乃「…………」

東郷はどちらかと言えばすでにある問題の解決方法を選択しようとしているように感じたが、

友奈はやっぱり、それでいいのかどうか躊躇いが生じていたように見えた

天乃「あの例え方からしてもそう……誰かを不幸にするとまではいかなくても、何かありそうなのよね」

友奈の肉うどん

少し分かりにくいたとえではあったが、

要約して考えればそう、解決の鍵を勇者部以外の誰かが握っており、

それを取るかどうか悩ましいというところだろう

天乃「さらに深読みするなら、その主婦役の人もお肉が必要だって話になるのよね」

それでもなお、先に手にしている人から受け取るべきかどうか

天乃「……交渉決裂なら、どうする気なのかしらね」


720 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/21(木) 23:27:50.49bbJ85gS/o (10/12)


天乃が不安に感じるのはそこなのだ

誰とどのような交渉をするつもりなのか

その交渉が決裂した場合には、どんな行動に移るつもりなのか

率直に聞いても、きっとはぐらかされるだけだろう

天乃「大丈夫だから。とかね」

友奈あたりに情に訴えて問いかければ

一番聞きたいところも聞き出すことはできるかもしれないが

やはり、我儘を言ってしまっているというのが大きい

もちろん、何か無関係な人を巻き込むことになるなら自分は望まないと天乃が言えば

多少、考え直してくれるはずだが……

天乃「若葉達の犠牲を望まない以上、その代償は必ずどこかに出てくる」

それは、天乃の体が満足に動かせないだけに留まってくれるかもしれないし

そこに留まることなく、犠牲を防ぐ代償の犠牲として誰かが選ばれてしまうかもしれない

勇者部、あるいは第三者

天乃「望まないとか、そう言うレベルの話ではないのだけど……」

少なくとも、勇者部の誰かが死んでしまったりするようなことはないはずだが

それ以下のなんらかの犠牲までも受け入れないというのは、流石に我儘かもしれないと天乃は思う

天乃「難しいわね……色々」


1、精霊組
2、イベント判定


↓2


721以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/21(木) 23:30:48.65ji416h66O (1/1)

2


722以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/21(木) 23:31:12.804o9dFWIEO (2/4)

2


723 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/21(木) 23:33:47.95bbJ85gS/o (11/12)


01~10 千景
11~20 園子
21~30 若葉
31~40 樹 
41~50 沙織
51~60 友奈
61~70 夏凜
71~80 球子
81~90 東郷
91~00 風

↓1のコンマ 



724以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/21(木) 23:35:28.444o9dFWIEO (3/4)




725 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/21(木) 23:45:49.16bbJ85gS/o (12/12)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


沙織「ねぇ、忘れてた?」

沙織「あたしがいること忘れてた?」

天乃「何言ってるのよ。三日前に話したばかりでしょ?」

沙織「いいや、一ヶ月前だよ」

風「実はゲームの世界なのよ。現実は十倍の速さで動いてるってわけ」

天乃「え……?」

夏凜「あんたまでボケるな、ツッコミに回れッ!」


726以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/21(木) 23:54:50.944o9dFWIEO (4/4)


久遠さんガチ勢の逆襲が始まる…?
そういえばさおりんって今も精霊側の扱いなのだろうか


727以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/22(金) 00:09:04.30Fe3RRdoJO (1/1)


さおりんは人間と精霊の融合体だからどちらでもなさそう


728以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/22(金) 23:33:25.552Zg1u9gIO (1/1)

お休み?


729 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/23(土) 00:00:25.64LdDhgZ1Zo (1/8)


遅くなりましたが、少しだけ
恐らく安価は明日になります


730以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/23(土) 00:03:24.31RugzzPVaO (1/2)

おお、来たか


731 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/23(土) 00:08:36.03LdDhgZ1Zo (2/8)


沙織「久遠さん、ずいぶんと悩んでるみたいだね」

天乃「沙織……話は終わったの?」

沙織「あたしからみんなに言えることは大してないからね」

忍ぶように病室へと入ってきた沙織は、

天乃に近づきつつ、苦笑いを浮かべる

何処か呆れたように見える表情ではあるが、

言っていることはどちらかと言えば信頼ゆえのものなのだろう

そこに文句をつけるつもりはないらしい

沙織「私が一番大事にしてるのは久遠さんのことだからね。それをみんながないがしろにするとは思えないよ」

天乃「でも、逆に自分たちの事を多少とも犠牲にするんじゃない?」

沙織「するだろうね」

沙織はオブラートに包むことなく

はっきりと断言して、笑う

沙織「そもそも、数人規模あるいは人一人の命を救うために傷つくようなことさえするなって言うのは無理な話だよ」

天乃「手厳しいわね……けど、間違ってないわ」

沙織「それが精神的なものであれ、身体的なものであれ。甘んじて受け入れる必要があるとあたしは思うんだよね」

天乃「……貴女がそうだったように?」

沙織「まぁ……ある意味ではあたし自身のことでもあるかな」


732 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/23(土) 00:17:47.22LdDhgZ1Zo (3/8)


沙織「久遠さんだって解ってるはずだよ」

天乃「…………」

沙織「十人十色の解釈があるとはいえ、勇者部が見てきたのは自分の背中なんだって」

あたしだってそうだからね。と、

内容に反して軽い口調で話す沙織は、

逡巡すると思い立ったように「そうだね」と呟く

沙織「それが反面にせよ、正面にせよ、久遠さんの生き方はみんなにとっての教師だったわけだからね」

天乃「その捉え方が、勇者部の中での対立だって言いたいの?」

沙織「……面白いよね」

天乃「うん?」

沙織「だって、今勇者部のみんながやっていることって今まで久遠さんが一人でやってきたことなんだよ?」

一人で抱え込んで、悩み、

猪突猛進に複数の道の中から立った一つだけを突き進んできた天乃

それと同じことを勇者部はしている。だから面白い

沙織はそう言って

沙織「どちらも久遠さんの生き方を反映したうえで議論してる。二人の久遠さんがいるみたいじゃない?」

天乃「貴女のその例え方の方が面白いけれど」

沙織「そうかな? 見てれば感じるんじゃないかな……あぁ、この子達は久遠さんの後輩なんだなぁって」


733 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/23(土) 00:32:27.37LdDhgZ1Zo (4/8)


沙織「だから、あたしも任せていいかなって思った」

笑顔を浮かべたまま言う沙織を一瞥した天乃は

何の気なしに真逆、窓側へと顔を背けると、小さくため息をつく

窓を通して、沙織と目が合う

天乃「やっぱり、貴女はみんなが何をしようとしているか把握しているのね」

沙織「うん」

天乃「そして、それを私に告げ口する気は――」

沙織「ないよ」

天乃「情報は通してくれるって言う話だったような気もするんだけどね……」

断言されてしまっては続ける言葉もない

困ったように呟くしかなかった天乃は窓に見える沙織の表情が変わらないのを見て、

またため息をつくと、沙織へと振り向く

天乃「友奈からの話で大体の内容は把握してるのよ」

沙織「あはは……結城さんは隠せないからね」

天乃「それでも頑張って例え話をしてくれたわよ?」

沙織「頑張りすぎたからこそ、余計に分かりやすかったのかな」

その光景を想像してか

沙織はくすくすと声に出して笑う

沙織「外面だけを取り繕いすぎて、本質を曝け出しちゃったんだね」


734 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/23(土) 00:49:22.11LdDhgZ1Zo (5/8)


沙織「そうだね、久遠さんが考えていることで間違いはないと思うよ」

天乃「私がどう考えてるって?」

沙織「結城さんが相談した内容なんて聞かなくてもわかるよ。そこから推測したなら間違いじゃない」

天乃の続けようとしている言葉を察しているかのように答えた沙織は、

友奈達の先輩としての優し気な笑みを浮かべて、天乃を見る

勇者部としての選択

それがたとえどんなものであろうとも

自分は受け入れる。そう言いたいように天乃には見えた

沙織「初めに言ったはずだよ。犠牲を出さないなんて無理な話だって」

天乃「その選択が第三者を傷つけるようなことだとしても?」

沙織「仮にそうなったとしても、それがどういうことの引き金になるか分かってないわけじゃないと思うよ」

少なからず感情で動いてしまう部分もあるとは思うが、

みんなで頭を悩ませている以上

必ず、ちゃんとした考えを持ち、その先のことまで考えているはずなのだ

それが誰に、どんな影響を与えてしまうのかということも

沙織「だからこそ、東郷さんは自分の覚悟を決めるために、結城さんは自分なりの答えを導くために。久遠さんに会いに来たんだから」

天乃「…………」

沙織「久遠さんに相談すれば気づかれるということも考慮の上でね……少なくとも、東郷さんはそのうえで声をかけたはずだよ」


735 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/23(土) 00:52:30.48LdDhgZ1Zo (6/8)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


若葉「……沙織が真面目、だと?」

千景「悪いものでも食べたのかもしれないわ」

歌野「バッドな状態ならむしろ悪化するはずじゃ……」

球子「いやいや、タマにならあるだろ。タマになら」

水都「久遠さんのことだから、当然だと思う」


736以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/23(土) 01:08:29.65IaDWafLkO (1/1)


心配だなぁ


737以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/23(土) 06:30:26.02RugzzPVaO (2/2)


勇者部はどんな辛い選択を迫られたのだろうか…


738以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/23(土) 11:55:44.11iguhXTn3O (1/1)

今回の件は我が儘が裏目に出てしまったか…?
久遠さんに知られたくない相談って余程のこと考えてそうだし


739 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/23(土) 23:21:51.58LdDhgZ1Zo (7/8)


では少しだけ


740以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/23(土) 23:29:19.02EpQt+p5QO (1/1)

よっしゃ


741 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/23(土) 23:48:44.86LdDhgZ1Zo (8/8)


天乃「なら、それこそ話してくれても良いと思うのよ。憶測だけじゃなくてね」

沙織「聞かれれば、きっとみんなは答えてくれるんじゃないかな」

もちろん、嘘をつかずにだよ。と沙織は優し気に答える

勇者部との関わりはまだ長いとは言えないが、短いとも言えない

そして、勇者部の考えを知り、思いを知っているから沙織は確信する

沙織「皆は久遠さんから言われることで、本当の意味で罪を背負えるんじゃないかな」

天乃「……それは、甘い話だわ」

沙織「…………」

天乃「私に言われなければどうするの? 私が気づかなければどうするの? なんの罪悪感も抱くことはないの?」

沙織「そんなわけないって解ってるくせに」

例え天乃からなにも言われなくとも、

勇者部が罪悪感を抱かないなんて言うことはない

自分の行いの一つ一つの責任から目を逸らすはずがない

沙織「言わないことが、一番苦しいことだと思うよ」

天乃が何も言わない、何も聞かない

そのままに行動を起こした結果、救うことができたとしても

天乃の姿を見るたびに、犠牲にしたものと隠し事をしてしまったことに戒められる

あれだけ、自分たちがいるのだと散々言いながら

大事なことを打ち明けなかったのだから

天乃「そう……でしょうね。やっぱり」


742 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 00:00:02.80rXj+7r0ko (1/13)


天乃「出来る限り巻き込みたくはない。でも、全く伝えないでいるなんて言うことも出来ない」

沙織「……だとしたら?」

天乃「考えが、甘いわね」

天乃は不服に感じる悲し気な表情を浮かべながら、呟く

完全に隠しきる事は出来ない

だけど、すべてを話すことが出来るわけでもない

本当に甘い、本当に浅い

まだ、覚悟が浮ついているという証拠だと天乃は思う

沙織はその考えが分かっていたのだろう

驚いた様子もなく、ただ笑みのままに「厳しいね」と零す

天乃「中途半端でいることが一番駄目なのよ」

沙織「どうして?」

天乃「あの時こうしておけばよかったって後悔が強くなるから」

確実に一つの道を選択したとしても

その先に失敗があった場合、人は過去を振り返り悔いることもあるだろう

けれど、しっかりとした芯のある答えの先にある失敗であるのならば

それを受け止めるくらいの強さがその人にはあるはずなのだ

あやふやだから、確かなものがそこにないから後悔によって挫折する

心が折れて歩みを止めてしまうことになる

自分は間違っていたのかもしれない、だけど、今はこうすべきだと次のことに目を向けることが出来なくなる

天乃「それは他人に委ねるべきことではないわ。自分たちで決めるべきことなのよ」

沙織「そうだね。そして、久遠さんにもそれはあるわけだね」


743 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 00:19:23.19rXj+7r0ko (2/13)


沙織「東郷さんたちに託される形で」

天乃「ええ、そのとおりよ」

気付いてしまったことを、友奈達に問うか否か

迷っていても答えは決まらない

もちろん、今目の前にいる沙織にどうするのが良いのかを聞き

そのうえで自分の行動を決めるというのは間違いではないが

考えたままあやふやになって聞くべきタイミングを見逃してしまっては、

今さっき自分で批判したことをそのまま行ってしまうことになる

沙織「今回はかなり難しい問題だもんね、口を挟むのも中々に出来る事じゃないよね」

天乃「そうなのよね。そんな問題と言うか、我儘を投げ渡した私が言うのも憚られるけれど」

今回の達成するべきことは、非常に難しい問題であり

沙織が何度か言ったように、犠牲を出さないことはまず不可能だと言っても良い

そして、天乃の深刻な問題を解決するのにはそこらの安っぽいものではまず不可能だ

天乃「……沙織」

沙織「うん? 内容は教えないよ?」


1、タイムリミットは?
2、貴女なら、どうする?
3、みんなを集めて貰えない?
4、貴女は私の為なら世界を捨てることはできる?
5、……そうね。こればかりは私は口を挟むのをやめるわ


↓2


744以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/24(日) 00:21:04.80QrKNKMmB0 (1/3)

1


745以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/24(日) 00:21:21.02XIxvjhwHO (1/2)

3


746以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/24(日) 00:21:37.82lug84IYBO (1/1)

2


747 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 00:26:42.57rXj+7r0ko (3/13)


ではここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼ごろから


皆を集めますが、みんなのリハビリの関係上夕方交流を消化します


748以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/24(日) 00:30:37.21XIxvjhwHO (2/2)


久遠さんも交えての相談、腹を割って話したいところだが…


749以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/24(日) 07:47:28.92d+6ZUHpDO (1/1)


ここまで来て犠牲なんか出したら本末転倒だよなぁ…


750 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 19:33:38.35rXj+7r0ko (4/13)


では少しずつ


751 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 19:53:39.03rXj+7r0ko (5/13)


天乃「ええ、内容は教えて貰わなくて良いわ……ただ、みんなを集めて貰えるかしら」

沙織「……なるほど、分かった」

至って穏やかな表情のまま頼み事をする天乃を一瞥した沙織は、

心の内を理解したように頷く

沙織「夕方で良いよね? ここに集まるように話しておくよ」

天乃「自分で動けたらその必要もないのだけど……悪いわね」

沙織「みんなのところに連れて行ってっていわない辺り、久遠さんは少し変わったなぁって、感じるよ」

沙織は嬉しそうに言うと、席を立つ

沙織「動けないのもあるかもしれないけど、みんながちゃんと集まってくれるって信じてるからかな?」

天乃「今も昔も信頼してるわよ。ただ、視野が広がっただけ」

沙織「それは……うん、良かったね」

天乃の表情は変わらない

沙織の表情も変わらない

視線を交わすことなく答え、満足したように沙織は踵を返す

目先の答えに飛びつき、ただただ自分がこうすべきという答えに駆け抜けていた天乃

その目に見えていた道が増えて悩むことも増え、重くもなった

けれど、だからこそ立ち止まることもできるようになったのだと、沙織は思う

沙織「今の久遠さんなら、もう無茶はしないって信じる気になれる気がするよ」


752以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/24(日) 19:58:37.64G/Xm89lOO (1/5)

来てたか


753 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 20:02:12.71rXj+7r0ko (6/13)


天乃「今までは信じられなかったのね」

沙織「信じられるわけがないよ。どこまでも、久遠さんは久遠さんだからね」

茶化すように呟き、笑う

沙織はそのまま歩き出して、病室の外へと向かう

本当に、信じられなかった

心から信じ、愛し、思いを寄せていたのだとしても

その一点だけは絶対に信じることは出来なかった

信じてるよ。と、嘘をついて

目の届かないどこかに消えてしまった後に、何度こぶしを握ったのか

沙織「…………」

今は精霊としての力も持ったことで、

そんな思いもあまりしなくなってきていたが、

この力を手放せばきっとまた、有事の際にその心は不安に満たされるだろう

沙織「……だとしても」

どれだけ不安になるのだとしても、

どれだけ恐怖に身を焦がしてしまうのだとしても

それが、可能性の一つになるのならば。

沙織「……ごめんね。はっきりとは言わなかったけど、あたしは賛成してるんだよね」

扉を背に、沙織は何げなく呟くと

数秒間身じろぎも瞬きもせずにとどまって……唐突に、また歩みを進めた


754 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 20:32:12.79rXj+7r0ko (7/13)


√ 11月06日目 夕(病院) ※土曜日


そして夕方、本来なら鍛錬だったりリハビリだったりを継続して行ったりもする時間だが

天乃からの呼び出しということもあり、みんなが病室に残っていた

朝、天乃から悪戯された友奈も

この時ばかりは恥じらいを感じさせる様子はなく、真剣だった

風「天乃、全員集まったわよ」

天乃「うん、ありがとう」

東郷「…………」

見渡せば見える勇者部の顔

周囲に集まった風達の表情には何処か不安を感じるものの

しっかりとした意志のようなものも感じられて

天乃は小さく、息をつく

天乃「集まってもらった理由は……解ってるのかしら?」

夏凜「……まぁ、友奈と東郷が会いに行ったって時点で察しはついてるわよ」

友奈「ごめんね」

夏凜「良いわよ別に。話されて困る事でもないし」

友奈の申し訳なさそうな言葉も気にせず、

夏凜は腕を組んだままちらりと天乃を見る

夏凜「私達が……というより、私が何を提案したのか。知りたいんでしょ?」


755 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 21:34:37.46rXj+7r0ko (8/13)


樹「話すんですか?」

夏凜「話す必要がありそうな感じでしょ、これは」

樹「でも……」

不安そうな表情を見せる樹に、風が首を横に振る

勇者部の中でも、

必ずしも話すべきである。。という意見ではないらしい

最も、天乃が来るか来ないか、声をかけるか否かに委ねられたのだと感づいた時点で

天乃としてはそのあたりも織り込み済みではあったが。

園子「いっつんの気持ちも分かるけど、こうなった以上は話す。そういう話だから」

天乃「せめて、私に委ねないでもらいたかったけれど」

東郷「……すみません。どうしても決められなかったので」

風、友奈、夏凜、東郷、樹、園子

沙織や精霊たちが内容を話すことについて賛否を拒否したのであれば、

以前、精霊達を返すか否かで話し合った時と同様に意見が分かれ決着がつかなくなってしまうのも想像に易い

東郷と友奈ですら、それぞれ分かれることもあり得なくない

天乃「…………」

少なくとも、その程度には悩むべき手段ということだ


1、さて、教えてもらうわよ。夏凜
2、勘違いしているようだから言うけれど、私は何も聞かない。そう伝えたかっただけよ
3、難しいお願いをしたのは自覚しているわ。だから、私は全部任せるわ


↓2


756以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/24(日) 21:39:07.83QrKNKMmB0 (2/3)

1


757以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/24(日) 21:40:08.15G/Xm89lOO (2/5)

1


758 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 21:58:15.87rXj+7r0ko (9/13)


天乃「さて、夏凜……話してもらうわよ?」

夏凜「…………」

周囲にいる大切な者達

その中でただ一人、夏凜へと目を向けた天乃は口を開く

天乃「何をしようとしてるのか」

夏凜「……ま、あんたは知らぬが仏とはいかないわよね」

むしろ、それこそ罪だとでも言うでしょうし。と

夏凜は呆れた物言いながら、

まったく雰囲気を変えずに閉じていた瞳を開くと

天乃を見つめ、静かに答える

夏凜「芽吹達から神樹様の種を奪うのよ」

天乃「……それがどういうことか分かってて言ってるの?」

夏凜「最悪、世界が滅ぶ可能性もある。分かってるわよそんなことは」

天乃の雰囲気が少しだけ揺れ動き

友奈達が畏怖を感じるようなものになったとしても、夏凜は動じない

真っ直ぐに天乃と向かい合う

夏凜「でもね。それは可能性があるだけでしかない。あんたは違う。死ぬ可能性があるんじゃない、死ぬのよ」

天乃「……つまり私を救う代償に、貴女達はこの世界を選んだって言うことなのね」

園子「それは少し違うよ天さん。世界を救う可能性の一つを借りるだけ。犠牲になるって決まったわけじゃない」


759以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/24(日) 22:02:45.87G/Xm89lOO (3/5)

ソレハアカン…


760 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 22:11:18.21rXj+7r0ko (10/13)


風「神樹様にも寿命があって、もうすぐ尽きるかもしれないってことも分かってる。だけど……」

夏凜「神樹の種なら、天乃の体を十分に癒すことができる可能性があるのよ」

天乃「私の体は穢れに冒されているのよ? 拒絶反応を起こすかもしれないわ」

夏凜「今の弱った状態ならそれを塗り潰すことだってできるかもしれない。本当の意味で、久遠家の呪縛からあんたを解放できるかもしれない」

代々呪われてきた久遠家の血

それが極限まで弱ってきている今こそ、

神樹様の力を蓄えた種を用いることでそれを完全に拭い去ることができるかもしれない

それは可能性だ

実験が出来なければ立証されているわけはなく、確証もない

成功の可能性があるように失敗の可能性もある

しかし、神樹様の寿命が尽きかけているからこそ

行わなければ次のチャンスというものは訪れない

夏凜「あんたはこの世界を守ってきた。そのために命を削ってきた……なら、少しくらいこの世界にも命を懸ける義務があるはずだわ」

天乃「関係ない一般の人たちの命まで懸けさせるの?」

夏凜「必要なら」

天乃「私がそんなことは望まないって解っていても?」

夏凜「……それでも」

夏凜の視線はぶれてはくれない

それは、確かな芯のある答えであるという証明

何があろうと譲る気はないという夏凜の意志

夏凜「私達はあんたのいる世界を守るために、あんたのいなくなる可能性がある世界を犠牲にするわ」

例え、その果てに滅びがあるのだとしても

大切な人たちさえいてくれるのであれば、その滅びにでさえも、抗うことは出来るから

覆すことのできる可能性が、生まれるから

夏凜「あんたが拒否しようと私はやるわ。それであんたに嫌われるのだとしてもね」


761 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 22:22:56.38rXj+7r0ko (11/13)


天乃「……楠さんたちは譲ってくれるの?」

夏凜「そんなわけがない」

天乃「…………」

友奈の話はつまり、そう言うことだったのだ

話して譲ってもらうのかどうか

本当に答えて欲しかったのは譲ってもらえなかった場合の話

奪うか否か、そのレベルの話なのだ

天乃「夏凜……」

夏凜「このまま野放しにして種を外で使わせたらあんたがまた引っ張り出される可能性だってあるんでしょ?」

天乃「なるほど……それもあって、あなたたちはそれに賛成してるってわけなのね……」

夏凜以外の勇者部部員

風達をめぐるように天乃が見渡すと、それぞれが思い思いの感情を滲ませた目を向ける

だが、誰も弱くはない

皆強い瞳をしている

それが世界にとっての悪であり、すべきことではない行いであると理解してなお

そんな瞳を見せている

東郷「世界の可能性を借りて久遠先輩の可能性とし、それをもって新たに世界の可能性を生み出すんです」

天乃「上手くいくと?」

樹「確証はないです……でも、踏み出さなければ運命を変えることは出来ないと思います」


762 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 22:39:02.66rXj+7r0ko (12/13)


天乃「それは確かにそうだけれど……」

死に至る運命に絡まれた久遠の人生

それを解消できる可能性があるのならば、

確かに、手を伸ばしたいという気持ちはある

しかし、夏凜達が行おうとしていることは極めてリスクが高い

神樹様や大赦等の関係者のみならず、

この世界に住まう一般の人たちを見危険に晒す行為

なおかつ、この世界を敵に回してしまうことに他ならない

夏凜達だけでなく、その両親、その関係者

どこまで敵であると判断されるのか分かったものではない

はっきり言ってしまえば

それはあまりにも【幼稚の考え】だと、天乃は思う

もちろん、みんな子供だ

自分たちで手一杯、自分が守りたいものを守るので限界

それが当然であり、むしろそれを子供の考えであると否定する天乃が異常なのだ

可能性を信じ、僅かな光を求めて奔走する少女たちは

ある意味では間違っているとは言い切ることはできない



1、それは駄目よ。許されないわ
2、考えが幼稚すぎるわ。貴方達だけの問題ではなくなるのよ?
3、そんなことをさせるくらいなら、私は精霊のみんなに頭を下げて力を返してもらうわ
4、楠さん達を説得して、なおかつ世界を確実に救うことができる? 誰一人欠けることなく、犠牲にせずに


↓2


763以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/24(日) 22:42:07.70G/Xm89lOO (4/5)

4


764以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/24(日) 22:46:50.34QrKNKMmB0 (3/3)

2


765 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/24(日) 22:59:04.83rXj+7r0ko (13/13)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


若葉「ここで幼稚だと批判されたら球子ならどうする?」

球子「だったらタマ達の命を代わりに賭けるっていうかもなぁ」

千景「私なら、幼稚で何が悪いって怒るかもしれないわ。全てを救いたい。その目標こそが最も子供らしい願いだから」

水都「三好さんは、なんていうんだろうね」


766以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/24(日) 23:11:46.57G/Xm89lOO (5/5)


今の久遠さんだったら大人び過ぎて夏凜ちゃん達みたいな発想は出来なかっただろうなぁ…
それにしてもくめゆの設定を物語に有効活用していくとは流石だ


767以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/25(月) 00:17:57.06alhgrjmUO (1/1)


思ったより悪くない案だな
賭けてみる価値はありそう


768以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/25(月) 07:14:54.53IekVxIByO (1/1)

確かに幼稚な考えだけどだからこそ希望に満ちてる
それを幼稚と言えてしまう久遠さんはもう子供とはいえないのかもしれない


769以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/25(月) 09:28:50.477fmEyu7ZO (1/1)

世界を救うための手段が最終的に久遠さんに集約されることを考えると、幼稚なそれを久遠さんが本当に信じられるかが鍵な気がする


770以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/25(月) 23:37:45.330kWC8XNLO (1/1)

多忙なのか最近遅いね


771以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/25(月) 23:40:53.10yykbYolOO (1/1)

そもそも毎日やってること自体がヤバイから


772 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/26(火) 23:01:04.738grp38Emo (1/3)


では、少しだけ


773 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/26(火) 23:24:29.058grp38Emo (2/3)


天乃「……はぁ」

緊張感をさらに増してしまうと分かっていながら深くため息をついて

天乃は夏凜へと目を向ける

見極めようとしている厳しい視線にも

夏凜は動じることはなかった――が

天乃「考えが幼稚すぎるわ」

夏凜「!」

その一言には、強く反応を見せた

天乃「貴方達だけの問題ではなくなるのよ? それを分かってるの?」

園子「幼稚って……天さ――」

夏凜「良いわよ。別に」

否定しようとした園子を制した夏凜は

ついさっき揺らいだ雰囲気をすでに持ち直していて

夏凜「確かに幼稚かもね。希望的観測に縋って、自分たち以外の誰かのことなんか後回し」

樹「夏凜さんっ」

夏凜は薄く笑う

その空気に何かを感じたのか樹は声を上げたが

夏凜は我関せずと、表情は変わらない

夏凜「親とか、クラスメイトとか、部活で関わった人とか全員を危険に晒すことも厭わない。自分勝手で我儘な作戦」

天乃「なら――」

夏凜「それのどこがいけないのよ。私達は大人じゃない、万能でも天才でも神様でも何でもない、ただ勇者になれるだけの子供」

友奈「…………」

夏凜「それでも、全部を救いたいってお願い一つの為に危険で残酷で、余裕のない綱渡りでも渡ってやろうって覚悟決めてんのよ」

それは。

その願いは、周囲の損害を考えずに望みへと直進する危険な考えよりもずっと

はるかな高望みをしてしまった子供の我儘

天乃「っ」

風「子供だからこそ自分たちで手一杯、それが終わってからじゃなきゃ周りのことなんか考えてられないのよ。天乃……悪いけど、アタシ達は天乃のように大人じゃない」


774 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/26(火) 23:56:32.248grp38Emo (3/3)


東郷「久遠先輩が言いたいことが間違っているなんて思いません」

むしろ、大小問わず言うのであれば正しいことなのかもしれません。と

東郷は切なげに答えて、首を振る

正しいと理解できるのと、この話は別なのだ

東郷「ですが、道をそれなければ得られないこともあるんです」

友奈「私は、やっぱり……芽吹ちゃん達と争うのは良くないと思うし、世界が大変ことになるのもできれば避けたいです」

樹「ですが、そこに手を伸ばさなければ二度と救うことは出来なくなってしまうかもしれないんです」

天乃の体を蝕んでいるのは、

形こそ穢れとなっているが、神聖なちからであることには変わりない

それゆえに、癒せるのはやはり同等の神聖な力のみ

神樹様の寿命が近づいており、攻勢に出るための力を削ぐのはご法度だとみんな理解していることだ

しかし、限界であるからこそ、

次のチャンスというものは望めないし、それを失すれば樹が言うように絶望的なのだ

友奈「やらないで後悔するより、やって挽回する方法を考えるべきだと思うんです」

天乃「…………」

風「だからアタシ達は夏凜の提案に賛成したのよ。あの時手に入れておけばよかった。そんなことにはなりたくないから」


775 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/27(水) 00:19:48.67LgJnLqnso (1/8)


夏凜「幼稚だって思われたって良い、嫌われようが、世界を敵に回そうが関係ない……まずは、一番救いたいものを救うために死力を尽くす」

天乃「園子、貴女もそういう考えなのね?」

夏凜から流れるように自分へと視線を向けられたのを感じた園子は、

しかし、いつものような緩い笑みを浮かべることなく、真剣な面持ちで頷く

園子「これ以上、失うのは嫌なんよ」

他にも方法があるのではないか。

そう思わないというわけではないけれど

しかし、悠長に考えていられるほど余裕のある話でもない

やはり、神樹様がネックなのだ

園子「それに、あれだけ尽くした久遠さんのことだよ? 神樹様だってきっと許してくれるんよ」

天乃「そう、上手くいくとは思えないわ」

夏凜「だからって諦めんの?」

天乃「そういうわけじゃないけれど……」

そう零した天乃を一瞥した沙織は、

小さくため息をついて、天乃を見つめる

夏凜はすでに言ったが、聞こえていなかったのか

それ以外の言葉に押し流されてしまったのか

一番受け取るべき大切な言葉を、沙織は紡ぐ

沙織「久遠さんがいてこそ、あたし達の日常、あたし達の世界だって言うことを忘れないで。他所の世界の為に自分たちの世界を犠牲になんてできないよ」

天乃「沙織……」



1、分かったわ……でも、世界を救えませんでしたじゃ許されないわよ
2、……それでも、やっぱり駄目だと思うわ


↓2


776以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/27(水) 00:28:36.82zoJhglKDO (1/3)

1


777以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/27(水) 00:31:29.40VTY0/qZSO (1/1)

1


778 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/27(水) 00:36:17.28LgJnLqnso (2/8)


ではここまでとさせていただきます
あすもできれば通常時間から
所用でお休みはありますが、可能な限りは通常通り行っていく予定です


勇者部の大反逆ルート


779以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/27(水) 00:45:22.86zoJhglKDO (2/3)


よし行け勇者部


780以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/27(水) 08:00:14.36Km0/A/B7O (1/1)


久遠さんを、そして巡りめぐって世界を守るための反逆か…
大赦も黙ってないと思うけど…さてどうなる


781 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/27(水) 22:45:26.68LgJnLqnso (3/8)


では少しだけ


782以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/27(水) 22:51:11.809FouPGE3O (1/1)

よしきた


783 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/27(水) 22:59:06.27LgJnLqnso (4/8)


天乃「…………」

それぞれ、僅かに違う考えを抱いてはいるのかもしれないが、

それを実行しようという意思に変わりはないのだろう

誰に目を向けても、この提案を取りやめようという姿勢を見せる者は一人もいない

そんな視線に囲まれる天乃は目線を手元へと移し替えて、目を瞑る

先ほども言ったように、天乃からしてみればこれは幼稚な作戦だ

自分の目的以外のものを排してしまう子供の考え

だが、その元凶たる天乃の我儘こそ、最も子供っぽい願いであることも事実

天乃「……ふぅ」

ため息をつき、ほんの少し強くこぶしを握り締めて

天乃「分かったわ」

夏凜の提案に頷く

天乃「でも、世界を救えませんでしたじゃ許されないわよ。それは肝に銘じておいて頂戴」

東郷「善処します」

園子「今までほとんど何もできなかったからね~、頑張るよ~」

天乃の許可を得ても大きく喜ぶような素振りを見せることはなく、

最低限度の嬉しさを感じさせる笑みをみんなは浮かべる

許可がなくてもやるつもりだった。けれど、貰えるのともらえないのとではわけが違う

それは当然、軽くなるわけではない

天乃に大罪を意識させた分だけ、重みが増すのだ


784 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/27(水) 23:16:07.86LgJnLqnso (5/8)


夏凜「それじゃ、予定通り行動は月曜日。異論は?」

樹「ありません」

風「オッケー……というか、その日に向こうさんが動くんだから異論も何もないわよー」

月曜日、つまり明後日が行動ということだろう

考えている時間などなかった

悠長に構えている暇などなかった

場合によっては、これは考えを誤った早とちりにもなる可能性があったのだが

それだけ期限が迫っていたのならば、ある意味では英断と言えるかもしれない。と

天乃はこっそり安堵の息をつく

友奈や東郷が話を聞いたそのすぐ後に接触を試みてきた時点で想定できたことかもしれないが。

夏凜「友奈、穏便に済ませられるかどうかはあんたにかかってるんだから、しっかりしなさいよ?」

友奈「うん……頑張る」

天乃「説得は友奈がするの?」

樹「一応……私達もいるんですが、夏凜さん的には、その……絶対に無理だからって」

夏凜「天乃と世界。芽吹が天秤にかけて選ぶのは世界の方に決まってるわよ。そこまでして救うほどの感情はないと思うし」

園子「そもそも、防人という役割についたのだってぶっきーなりの理由があってだもんね~……簡単に歪められることじゃないと思う」


785 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/27(水) 23:40:57.80LgJnLqnso (6/8)


それは例え短くとも付き合いがあったのだとしても

あの時、友人と呼ぶことのできる立場になっていたとしても

やはり、そう簡単に譲渡できる事柄ではない

だからこそ、互いの力をぶつけ合う必要があるのだと夏凜は思うのだ

夏凜「説得が出来なければ予定通り実力行使になるだけよ」

天乃「けど、今貴女達端末はないはずよね? どうするの?」

流石に大赦に問い合わせても渡して貰える可能性は極めて低い

そもそも、メンテナンスが終了しているかどうかでさえ、怪しいのだが

夏凜は余裕綽々といった様子で笑みを浮かべた

夏凜「その点に関してはもう手は打ってあるわ」

天乃「瞳に頼んだの?」

友奈「流石に瞳さんでもそこまでは出来なかったので……別の人に頼みました」

樹「それに瞳さん、仕事が首になっちゃいますのであんまり協力して貰うわけにもいきませんでしたし」

風「まぁ、そのあたりも問題なく整ってるから大丈夫よ」

樹と友奈を一瞥した風は遮るように入れ替わって答え、苦笑いを浮かべる

なにか良からぬ手を使ったのか

協力者が名前を出されることを嫌がったのか

すでに相当な案件を語り合っているために隠す必要はないと言ってもいいので、前者はない

では、後者ならばだれが協力者なのか……だが。

天乃「……まぁいいわ深くは聞かない。とにかく、くれぐれも忘れないでね」

夏凜「解ってるわよ。助けた後、結局世界が滅びました――なんて、そんなくだらない結末があっていいわけないっての」

夏凜の皮肉めいた物言いに、風達は苦笑いを浮かべて「それはそうだ」と、頷いた


786 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/27(水) 23:43:07.89LgJnLqnso (7/8)


√ 11月06日目 夜(病院) ※土曜日

01~10 九尾
11~20 若葉
21~30 
31~40 夏凜
41~50 
51~60 樹
61~70
71~80 風
81~90
91~00 千景

↓1のコンマ 


787以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/27(水) 23:43:19.52zoJhglKDO (3/3)




788 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/27(水) 23:59:01.29LgJnLqnso (8/8)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



瞳「私、名前だけですか?」

安芸「名前すら暫く出ていない人もいますし……仕方がないのでは?」

瞳「これが、モブの宿命……!」

安芸「実は、奉火祭によって消えてしまった。という流れでここはひとつ」

瞳「死んでるじゃないですか!」


789以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/28(木) 00:00:26.790WAZ86mDO (1/1)


月曜か楽しみだな


790以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/28(木) 00:05:40.81wSzzD1C+O (1/1)


今回の戦いは意外と早めに決着をつけるつもりなんだな
端末の手配は果たして誰なんだろうか


791 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/28(木) 23:29:56.42ubf4JdiDo (1/2)


では少しだけ


792以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/28(木) 23:31:35.487MLeAMTmO (1/1)

あいよー


793 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/28(木) 23:46:55.04ubf4JdiDo (2/2)


√ 11月06日目 夜(病院) ※土曜日


樹「あの、少し良いですか?」

天乃「あら……貴女も来たのね」

昨夜の友奈と似たような時間に尋ねてきた樹に目を向けた天乃は、

ベッドの右脇が少しだけ空くように体をずらして、手招きする

一緒に寝るかどうかはともかく、

椅子を出すよりはベッドに座らせてしまった方が色々な意味で楽なのだ

天乃「協力者のことでも話す気になったの?」

樹「それは……その、教えないことが条件というか、似たようなことがあるので駄目なんです」

天乃「私に知られたら困る人なのね……九尾かしら」

勝手に潜入して強奪。という話にせよ、なんにせよ

多方面に力を扱える九尾が一番有力だった

自分のことを離さないという条件に関しても

あんな話をしてしまった手前、協力しているということが知られるのは気まずいという可能性も無きにしも非ず。

樹「それより、身体の方は大丈夫そうですか? なにか変化とか、良いとか悪いとか」

天乃「以前に比べたらだいぶ調子良いわよ。時々、なんだか動いているような感じもするくらい」

樹「普通の妊娠に比べて、成長が早いんですよね……」

天乃の腹部をちらりと見た樹は以前の樹とは変わった少し大人びた笑みを浮かべて、

そうっと手を伸ばす

樹「触って良いですか?」

天乃「優しくね」

樹「はい」


794 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/29(金) 00:02:57.60veIRwww0o (1/7)


樹「…………」

破裂寸前の水風船に触れるような感覚で、

樹は慎重に手を触れさせる

ほんのわずかにでも圧迫しないように天乃の呼吸による動きを見極めて、

まずは重ねて、横に流すように触れる

人によっては禁止されることもあるのだが、

天乃の場合は禁止こそされなかったものの、

双子がいるということもあり、

押し出すような上下の撫で方や、左右から狭めるような撫で方はしないように言われているのだ

樹「……静かだと、少しだけいるように感じますね」

見えないけれど、重ねた手には天乃とは別の命を感じるのだと、

樹は幸せそうに笑みを浮かべる

そんな樹を見つめる天乃は過去の姿を思い浮かべて

天乃「変わったわね、樹」

樹「色々、大変だったからかもしれないですね」

そんなことないですよ~。と、

以前の樹なら恥ずかしそうにしながら否定していたかもしれない

けれど、少し前に自分の非力さを嘆いていた時に告げたように

樹はもう充分なほどに力を蓄えているのだ

勇者としても、そうではない部分であっても

だからこそ、自分自身のことも少しは認められるようになったのだろう


795 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/29(金) 00:26:02.20veIRwww0o (2/7)


樹「それに、久遠先輩の子供ということは私達の子供、つまり私の子供みたいなところもあるので、しっかりしなきゃなって」

天乃「なるほどね……子供が産まれたら樹も最年少じゃなくなるものね」

樹「そうなんですよ。なので勉強も次のテストではせめてクラスの中では上の方の成績になれたらなぁって思ってます」

それは難しいかもしれないですけど。と

ようやく普段の照れ笑いを見せた樹は、静かに笑い声を抑え込んで息を吐く

樹「……あの、久遠先輩」

天乃「うん? どうかしたの?」

樹「久遠先輩は子供が産まれた後も勇者になれるのなら、勇者になりますか?」

天乃「あまり、聞かれたくない質問だわ」

そう零した天乃は「答えにくいわけじゃなくてね」と、

自責してしまいそうな樹にフォローを入れて、唇を固く結ぶ

単なる質問でしかないのかもしれないが

その時になってもまだ、すべてが終わっていない可能性を彷彿とさせるので、

天乃としては、あまり関わりたくない話題だった

もっとも、神樹様の寿命が尽きかけている状況下で

そこからの逆転劇に出ようとしているその道の路上の石ころになろうとしてるのだ

終わっていると考える方が難しいだろう


1、必要ならね。当然よ
2、リハビリもあるし控えると思うわ。出来る限りはね
3、そもそも使えるようになるのか微妙なところだもの。心配しても仕方がないわ


↓2


796以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/29(金) 00:27:14.71dfkyt4WnO (1/2)

3


797以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/29(金) 00:28:00.487L1c7BqWO (1/1)

1


798 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/29(金) 00:40:10.10veIRwww0o (3/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


風「時期部長は悩みどころよねぇ……園子と東郷はあり得ないとして夏凜は悪くない」

東郷「風先輩?」

風「ん~……」

東郷「あの」

風「仕方がない。この戦いが終わったら、時期部長を決めるわ」

東郷「それは止めてください、死んでしまいます!」


799以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/29(金) 00:44:15.56dfkyt4WnO (2/2)


妹という手もあるぞ


800以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/29(金) 00:47:26.94VtOHvtcCO (1/1)


久遠さん前々からまた戦う気マンマンだったからなぁ
もっとも復帰しても今なら無茶せずみんなと足並み揃えてくれると信じたいが


801 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/29(金) 22:48:28.98veIRwww0o (4/7)


では少しだけ


802以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/29(金) 22:53:36.22v+7Sa5heO (1/1)

かもーん


803 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/29(金) 23:14:59.25veIRwww0o (5/7)


天乃「必要ならね。当然、なれるのなら勇者になるつもりよ」

樹「悩まないんですね」

天乃「悩む必要はないと思うの」

樹「それはそうかもしれないですけど……」

そう言われるのは分かっていた樹だったが、

全く悩むことなく言われたのは、少しばかり気になってしまう

今後もまだバーテックスの脅威に晒されることになるため、

必然的に勇者の力が必要となってくるのは分かるが、

天乃はもう、子持ちなのだ

樹「子供の為にもう戦わないという選択はないんですか?」

天乃「それを言われると弱いけれど……でも、必要になった場合は仕方がないわ」

天乃の力がどうしても必要

そんな状況ならば、子供やみんなの為に勇者の力を使う

それなら当たり前のことじゃない? と、天乃は笑みを浮かべる

樹「……それなら、私達で十分な場合は勇者の力を使わないってことですよね?」

天乃「そう……ね。そもそも産んだからってすぐに退院できるわけでもないから頼る方が多いと思うわ」


804 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/29(金) 23:42:24.30veIRwww0o (6/7)


樹「なら、もっと強くならないとだめですね」

樹は一瞬、とても嬉しそうな表情を見せたが、

すぐに取り乱しかけた雰囲気を整えて、小さく収まった考えを述べる

樹「バーテックスを一人で……なんて、出来たらいいんですが」

天乃「千景に手を借りれば何とかなるかもしれないわよ」

樹「千景さんがハードワークになりますよ、それだと」

完成されたバーテックスは各々が自然に治癒する能力を保有しており

そのため、倒すために破壊しなければならない御霊への到達が非常に困難なうえに

満開で強引に打ち破るという手もあるが、それでは体がもたない

かといって、基礎能力を上げたとしても限界がある

樹「せめて、二人一組で迎撃できるようになれるといいかもしれないですね」

天乃「ねぇ樹」

樹「はい?」

天乃「……私を戦わせないために無茶をする。というのだけは止めて頂戴ね?」

何度も話していること。

だから、本当に言いたかったのはそれではない

樹海で何かあったのではないか、実はもう、すでに樹海化したことがあるのではないか

だから、そんなことを言い出したのではないか

そんな不安があって、聞きたいと思った

けれど、ここまできてそのたぐいのことを言わないということは、きっとただ気になっただけ。なのだろう

天乃「皆が傷ついていくのを見るのは、嫌だわ」


805 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/29(金) 23:58:38.09veIRwww0o (7/7)


樹「もちろん、傷つかないためにも強くなるつもりですよ」

強ければ、天乃を戦いに出さなくてよくなる

強ければ、傷つくようなこともなくなる

強ければ、天乃を心配させるようなこともなくなる

樹「それに、強ければ久遠先輩も安心できると思うので」

樹海化していなくなってしまったり、

戦いに出て行くことになったとしても、

必ず帰ってきてくれる。という余裕くらいは心に与えられるだろうと樹は思う

樹「それと、強ければ無茶も減るので一石二鳥です」

天乃「けれど、強いからって慢心したら駄目なのよ? ろくなことにならないわ」

強くなったから

対抗できるようになってきたから

その余裕、油断が致命的な失敗につながることもある

それだけは、避けなければならない

樹「…………」

不安そうな表情

何を考えているのか、悲し気な雰囲気

握り合う天乃の両手

目を向けた樹は口を開くも声はなく、ゆっくりと閉じて首を振る

樹「大丈夫です。私達は勝つことを目的にしてるわけじゃないですから」


806 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/30(土) 00:30:26.52HDqSW13ho (1/6)


樹「久遠先輩のところに戻るために戦うんです。だから、それまでは道路の水たまり一つにも気を抜きません」

樹は本気でそう考えているのだと感じる笑みを浮かべる

些細な怪我の可能性一つにも細心の注意を払う

完全に倒しきるまで、

樹海化が解除されるまで

それまでは例え親玉を討伐したとしても、気を抜くことはない

死角からの一撃

それで昏睡状態にでもなろうものなら、最悪だからだ

樹「……久遠先輩」

小さく息を吐き、樹は口を開く

樹「きっと、私達が種を奪うことで勇者はまた戦うことになると思います」

もしかしたら今まで以上に辛い条件だったり、過酷な状況になるかもしれない

それでも、何かが失われることがないようにしたいと、樹は思う

今日、この時間に態々こんなことを聞きに来たのも、

問題の引き金となる日がもう目前まで差し迫っているからだ

分かり切った天乃の答え

だとしても、自分達の大小関わらないミスが、行いが

自分たちにとってどれだけの被害をもたらすのかを確認するために

樹「久遠先輩の傍からは誰一人として奪わせたりしません。たとえ、何かがあったとしても、私の力で繋ぎとめてみせます」

剣でも拳でも銃でも槍でも鎌でもなければ、歌野のような鞭とも少し違う光

それはきっと、繋ぎとめるためのもの。だから、樹は誓う

樹「だから、久遠先輩は心配せずに待っていてください」

天乃「そこまで仰々しく言われると、逆に不安になっちゃうんだけどね」

苦笑いを浮かべながらそう言った天乃は、それでも「解ってるわ」と、優しく答えた


807 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/30(土) 00:31:43.04HDqSW13ho (2/6)


√ 11月07日目 朝(病院) ※日曜日

01~10 夏凜
11~20 
21~30 風
31~40 
41~50 千景
51~60 
61~70 若葉
71~80 
81~90 園子
91~00 九尾

↓1のコンマ 



808以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/30(土) 00:32:47.58LWJQGJ1QO (1/2)




809 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/30(土) 00:40:10.86HDqSW13ho (3/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

一日のまとめは再開時に



奉火祭「奪わせたりしないって言われると奪いたくなる」


810以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/30(土) 00:48:52.797Xo1fnv5O (1/2)


安定のどう足掻いても久遠さんに地獄を見せつけていくスタイル


811以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/30(土) 00:52:40.18LWJQGJ1QO (2/2)


やめて…やめて


812以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/30(土) 11:08:21.55zogBkXyeO (1/1)

樹ちゃんの安心感と久遠さんの未亡人感と物語の不穏感


813 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/30(土) 23:29:47.36HDqSW13ho (4/6)


では少しだけ


814 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/30(土) 23:32:23.89HDqSW13ho (5/6)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(夏凜の提案、失敗は許されない)
・   犬吠埼風:交流有(夏凜の提案、失敗は許されない)
・   犬吠埼樹:交流有(夏凜の提案、失敗は許されない、戦えるのなら)
・   結城友奈:交流有(悪戯、夏凜の提案、失敗は許されない)
・   東郷美森:交流有(夏凜の提案、失敗は許されない)
・   三好夏凜:交流有(夏凜の提案、失敗は許されない)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流有(勇者部の考え、夏凜の提案、失敗は許されない)
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


11月06日目 終了時点

乃木園子との絆  74(高い)
犬吠埼風との絆  100(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  91(とても高い)
結城友奈との絆  110(かなり高い)
東郷美森との絆  120(かなり高い)
三好夏凜との絆  144(最高値)
乃木若葉との絆  96(かなり高い)
土居球子との絆  42(中々良い)
白鳥歌野との絆  42(中々良い)
藤森水都との絆  35(中々良い)
  郡千景との絆  42(中々良い)
   沙織との絆  120(かなり高い)
   九尾との絆  63(高い)
    神樹との絆   9(低い)


815以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/30(土) 23:36:51.267Xo1fnv5O (2/2)

きてたー


816 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/30(土) 23:44:45.18HDqSW13ho (6/6)


√ 11月07日目 朝(病院) ※日曜日


夏凜達との話し合いから一夜明けた、日曜日

周りから感じる空気は大切な事を話し合ったに関わらず、

何一つ変わったような感じは見受けられない

元から賛否問わず実行予定だったからなのかもしれないが

沙織が言っていたように、

話し合うことも視野に入れていたというのが大きいのだろう

天乃「……みんなは」

自力では開きにくいカーテンの向こう側の世界

皆の動きを天乃は耳で感じ取る

他愛もない話、今日の予定

そんな日常的な会話を繰り広げて、時間を消費していく

明日、世界を敵に回すことが嘘のような緩ささえ感じ、

あれが実はドッキリだったのではないかとさえ、思いそうなほどに。

天乃「あくまで、自分たちにとっての日常って言うことなのかしらね」


817 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/01(日) 00:22:10.613s7bS1Weo (1/4)


天乃の移動や、食事などの日常生活に加えて、

勇者として守り戦うこと

それがもしかしたら、勇者部にとっての日常になっているのかもしれない

だから、いつだって変わらない

もっとも、

あんな話をした後で弱っているような空気を感じさせたら

それこそ天乃を不安にさせてしまうだろうし

そんなところは見せられないというものもあるだろうが。

天乃「……本気だって言うのは、良く分かったわ」

昨日で十分に思ったことではあるものの

改めて、天乃はそう思ったのだ

そこまで想われているのは嬉しい反面、

少しだけ申し訳なくも思う

もちろん、そんな考えに苛まれるつもりはないが

天乃「明日、なのよね……」

心配には、なってしまう



1、勇者組
2、精霊組
3、イベント判定

↓2


818以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/01(日) 00:25:56.70dRSkMEpd0 (1/2)

3


819以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/01(日) 00:26:11.15fADDCJIyO (1/1)

1


820 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/01(日) 00:31:12.703s7bS1Weo (2/4)


1、風
2、友奈
3、樹
4、夏凜
5、東郷
6、園子


↓2


821以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/01(日) 00:33:15.050uDD27yvO (1/2)

6


822以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/01(日) 00:33:47.73dRSkMEpd0 (2/2)

6


823 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/01(日) 00:40:45.333s7bS1Weo (3/4)


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば昼頃から

園子と交流


園子(天さんから呼び出し……)

園子(きっと決戦前の願掛け的な事されちゃうんよ~)

園子(そして、最後の最後で天さんから受け取った何かで力を得て私は立ち上がるのさ)

園子(むふふ~自由になってきたこの体で、堪能させてもらうぜ~、天さん)


824以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/01(日) 00:44:10.340uDD27yvO (2/2)


そのっちもいよいよキス以外の行為も解禁されるのだろうか


825以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/01(日) 07:55:13.712+BTcCBbO (1/1)


願掛けされる(意味深)


826以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/01(日) 13:43:21.8590foaI//O (1/1)


なんか肩透かしくらいそうなフラグで笑う


827 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/01(日) 23:55:32.573s7bS1Weo (4/4)


すみませんが、本日は所用でお休みとなります
可能であれば、明日19時頃から今日の分含めて再開できればと思います


828以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/02(月) 00:01:52.60lt3VeN1cO (1/1)

あら、お休みだったのね
乙です


829以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/02(月) 00:41:19.40V2Jqg+2RO (1/3)

了解!
楽しみに待ってます


830 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/02(月) 20:42:21.962zwps5aWo (1/8)


では、少し遅くなりましたが少しだけ


831以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/02(月) 21:03:25.0194kA1fGvO (1/3)

来てたか


832 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/02(月) 21:05:01.742zwps5aWo (2/8)


天乃「園子」

園子「ん~? おぉっ」

目の前のベッドにいる園子に向けて手招きをすると

最初こそぼんやりとした反応を見せていた園子は嬉しそうに呼んでいた本を閉じて

素早くベッドから降りる

リハビリを頑張ったのか、神樹様の力ゆえか

少し前まで全身が動かせなかったなんて言うことが嘘のような滑らかな動きで

足取りも非常に軽やかだった

躓くことも、躊躇うこともなく、真っ直ぐ天乃の方へと近づいて、

園子「えっへへ~、ちゃんと歩けるんよ~」

天乃「立場が入れ替わっちゃったわね」

園子「私が自由で天さんが不自由……でも、前も天さんはそこまで自由じゃなかったから、一緒にはならないんよ」

自分の自由を喜ばしく思う反面、

不自由さの苦しさを痛いほどわかっている園子は悲し気に言うと、

でも。と呟いて

園子「子供の為だから、悪いことじゃないのは救いだよね」

天乃「……そうね」

園子「どっちも女の子だったっけ~?」

天乃「双子だからね。確か、二卵性とかなら話は別らしいけれど……まぁ、私に限っては女の子よ」


833 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/02(月) 21:14:16.742zwps5aWo (3/8)


園子「天さんの力を引き継いだ男の子とか、どこの小説だよ! って感じだからねぇ」

天乃「安倍晴明?」

園子「いやいや、ヤングだよ。ヤングカルチャー」

それじゃオールドだよ。化石だよ。と

困ったように言う園子は「カルチャーショックだ」と独り言ちる

天乃がそう言った本にあまり興味を示さないこと

そんな流行りなどに心から触れる時間などなかったこと

園子はそれを余計に感じて、おもむろに手を叩く

園子「そうなると、天さんの息子はハーレムを築くのさ。前作主人公のゆーゆ達ともくんずほぐれつの――」

天乃「親の妻を横取りする主人公が今の流行りなの……?」

園子「あくまで一例というか、ラッキーな展開があるっていうだけで、実際は同年代の女の子とするんよ」

天乃「そこはかとなく、嫌な感じのする物語ね。それ」

男の子が女の子。というだけであって、

それとあんまり変わらないところに到達しようとしている天乃の言えたことではないのだが、

園子は軽く笑うだけで話を流す

言えたことじゃないよね。とか言っても丁寧な説明をしないと気づいては貰えないからだ


834 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/02(月) 22:08:03.822zwps5aWo (4/8)


余計な話で気を紛らわせて、一息

ふんわりとした空気を取り払った園子は夏凜達の方を一瞥する

園子「……楠さんたちが気になる?」

短いとはいえ、関係のある芽吹達との取り合い

互いにとって譲れないものの取り合いである以上、

戦いの火蓋が切って落とされる可能性は極めて高い

その心配があって天乃は呼んだのかと園子は言いたいのだ

天乃「友奈が説得してくれるんでしょう?」

園子「うん」

天乃「……園子はどう思う? 上手くいかないと思う?」

園子「向こうも譲れないものだとおもんよ」

天乃「そうよね……」

夏凜と同様、園子も説得は失敗に終わること

その結果戦うことになるという方向になるとみているのだろう

少し、申し訳なさそうに眉をひそめた



1、出来る限り、優しくしてあげてね
2、でも、上手くやってくれるって信じてるからそれはいいの。それよりも、来週の銀の誕生日なんだけど……
3、ねぇ、園子はどう思うの? 種を奪ったあとの大赦の動きとか
4、端末の手配が出来るなら、種も持ってきてもらえばいいのに
5、この際だから無茶するなとは言わないけれど、無理はしないでね?


↓2


835以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/02(月) 22:11:44.87V2Jqg+2RO (2/3)

5


836以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/02(月) 22:12:50.1894kA1fGvO (2/3)

3


837 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/02(月) 22:31:27.052zwps5aWo (5/8)


天乃「でも、楠さんたちに対しては、みんなも上手くやってくれるだろうから……」

戦うことになったとしても。

完全な手抜きこそ出来ないかもしれないが、

命を奪ってしまうようなことや、

体が不自由になってしまうようなことにまではしないだろうと天乃は思う

いくら何でも、そこまで出来る子達ではないはずなのだ

天乃「それよりも、園子は大赦や神樹様がどう動くと思う?」

園子「樹海に入ってからの作戦になるから、防人の報告次第になると思うんよ」

天乃「なんかしらの方法で見られている可能性は?」

園子「それもあるね~」

二年前も、銀が撮影した写真は撮れていなかったにもかかわらず

大赦は戦闘時の映像などを記録することが出来ていたのだ

何かしらのそういった監視するような設備が整えられている可能性はなくはない

だとすれば。

園子「間違いなく、天さんに接触してくると思う」

天乃「検査っていう名目で連れ出されて尋問。とかね」

園子「あながち間違いじゃないと思う。天さんの場合、検査だったりなんだりで連れ出せるし、ここで話すのは難しいから」

天乃「そのあたりも考えておかないと、後々面倒なことになりそうなのよね」


838 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/02(月) 22:40:02.022zwps5aWo (6/8)


一番簡単なのは、自分には関係のないことだと言い

むしろ、その報告に驚いて見せて、作戦とは関わっていない素振りを見せたうえで、

自分の寿命が近いことを話したせいかもしれない。と嘯くことだ

以前、天乃が学校に長く通うことが出来なくなった際に、

勇者どころかクラスメイトが反旗を翻したのだ

その説得力はけして小さなものではないだろう

園子「最悪、逆に天さんを奪われる可能性もあり得るかな……」

天乃「みんなに対する人質……有効かしら」

園子「良し悪し問わなければ」

天乃「間違いなく、暴動を起こすわよねぇ」

自分が引き金になっていることではあるのだが、

天乃はたまらずため息をついて苦笑いを浮かべると、

頭を抱えるようなしぐさを見せる

実際問題、大赦にとっても重要なものを奪うのだから、変換要求は来るだろう

それが替えの効かないものであるならば、

形振りかまっていられず天乃を人質にする可能性は大いにあるのだ

そして、そんなことをしたが最後、勇者部は荒れるだろう

天乃「そうなった場合、種を返してあげてって言ったら返してくれる?」

園子「唯一の希望だから、難しいと思う」


839 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/02(月) 23:14:55.952zwps5aWo (7/8)


園子としてはそんな事態になってしまった場合は返還し、

まずは天乃の身の安全を確保するべきだと思うのだが

かといって、貴重なアイテムを手放してしまったらもう二度と救う手立ては見つからなくなってしまうかもしれない

何もかも可能性

それも、嫌な方向ばかりの可能性に満ち溢れた作戦

本来なら、こんな手を選ぶべきではないとも思う

しかし……現状で打てる手はそれ以外には見つからなかった

園子「出来れば、天さんは関わってないことにした方がいいと思う。じゃないと、天さんに危害が加えられる可能性もあるんよ」

天乃「まぁ、さすがの大赦も無関係ではない無関係な妊婦に危害を加えようとは考えないものね」

ただし、時と場合によっては。だ

それがそうせざるを得ない状況出れば話は別

そして、今回の話はそうせざるを得ない状況の可能性もある

天乃「最悪、今後私は監視され続けることになるのよね……」

園子「私の時と似たような状況になるのは子供に悪いけど」

天乃「……私も私で、説得を試みるべきかもしれないわね」

園子「天さんの寿命の件、信じて貰えるかどうか……かな」

天乃「それを信じて貰えればまだ……ううん、だとしても、世界と人ひとりの命……上手くはいかないでしょうね」


840 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/02(月) 23:17:33.002zwps5aWo (8/8)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


園子「最悪大赦を破壊するんよ」

風「破壊工作員1番!」

東郷「破壊工作員2番!」

友奈「止め――……ないよ?」

夏凜「止めろぉッ!」


841以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/02(月) 23:25:32.78V2Jqg+2RO (3/3)


1人護衛残せばいいんじゃない?


842以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/02(月) 23:28:09.6694kA1fGvO (3/3)


久遠さんに危害なんか加えたら誰よりも先に九尾が大暴れしそうだが…


843 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/04(水) 22:46:08.38xXq0rsh4o (1/4)


では少しだけ


844以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/04(水) 22:48:12.58glpMjhUyO (1/1)

やっとキター


845 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/04(水) 22:56:09.94xXq0rsh4o (2/4)


天乃「まぁ、なるようになるというか、出来るようにやるしかないってところよね」

流れに身を任せていたら、

天乃の寿命の一件のように最終的には絶望的な状況に陥ってしまっている。という可能性がある

ならば、問題が提起される前に出来る限り考え、行動しておくべきだろう

天乃「高校の受験と同じような感じね」

園子「天さん、進路決めてなかったような~」

天乃「それはそれ。これはこれ。まず目先の問題から片付けないと勉強なんてしてられないわ」

もちろん、ほぼ一日中暇を持て余している状態の天乃は、

みんなとかかわっていなかったり、空いた時間には一応勉強をしてもいるのだが。

受験するかどうかということに関してはまだ明確に決めていないというのが正直な話である

先月期限の進路希望調査を今月末まで延長してくれた先生には悪いと天乃も思うものの

寿命だったり勇者だったり子供だったり。

天乃もただの学生と比べてはるかに余裕がないのだ

天乃「とにかく、大赦の動向に関しては気を付けて欲しいわ」

園子「うん、目をぴかーんってさせておくんよ~」

天乃「バレるからやめなさい」

園子「ふっふっふ……ダンボールさえ被れば余裕だぜ」

天乃「監視とか盗聴とか、そう言うことにまで手を出してたら取り返しがつかないわ。必要以上にやらなくて良いのよ」

冗談だろうけどね。と天乃は苦笑して、園子の顔を見上げるように見つめた


846 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/04(水) 23:18:41.63xXq0rsh4o (3/4)


天乃「皆のことをよろしくね」

園子「……今回限りなんよ」

天乃「前にも、お願いしたことはあったけれど」

園子の容態が悪化する原因ともなったあの戦いだ

その時に比べて、勇者部のみんなも精神的・戦力的に飛躍的に強くなっているだろう

精霊がかなりの数いた園子は、

その分、そして、二年前からの経験というのもあって比較的能力は上だが

しかし、それでも勇者部全員の頂点に立てるのかと言えば、それは微妙なところだと園子は思う

それぞれに強みがある

園子は万能だが、一転特化させた部分を超えられるとは思わない

真面目に考えて、そう思う

園子「それはそれ。これはこれ」

にやりと言った園子は、小さな笑みを零して息をつく

園子「天さんのことは精霊のみんなが見てるから、誰もいないからって無理は禁物だからね?」

天乃「解ってる。そもそも、こんな体じゃ出歩こうにも出歩けないわ」

せめて足が動けば話は別なのだが、無いものねだりをしても意味はない

天乃「だから、無事に帰って来て頂戴。お腹の子供に悪いから」

園子「うん、約束~」

天乃のお腹を優しく撫でて、園子はにこやかに答えた


847 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/04(水) 23:32:34.79xXq0rsh4o (4/4)


√ 11月07日目 昼(病院) ※日曜日

01~10 風
11~20 
21~30 球子
31~40 
41~50 千景
51~60 
61~70 夏凜
71~80 
81~90 若葉
91~00 九尾

↓1のコンマ 


848以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/04(水) 23:33:42.47UnFWpdusO (1/1)




849 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/05(木) 00:03:35.64nSlCozoXo (1/4)


√ 11月07日目 昼(病院) ※日曜日


千景「難しいことを言ったわね」

天乃「千景……」

千景「確かに、上手くいけば得られるものは多いけれど……だからこそリスクもあるのに」

園子たちが、明日の為の最後のリハビリへと向かったのを見計らってか姿を現した千景は

少し厳しく言いつつも、強く言うつもりはないのだろう

語尾にため息一つ付け加える

千景「でも、よくそんなことを考えたとは、思うわ」

天乃「貴女達は誰も考えなかったの?」

千景「久遠さんの体に神樹様の力を加えるのはリスクが高いわ。分かるでしょ?」

天乃「…………」

千景「寿命が近いというのもあって私達の誰もまずリスクを背負わせるという考えは持たなかった」

ある意味では先入観にも似たようなものだ

それをしてしまったら天乃は助からないと、勝手に考えて怯えて竦んでしまう

千景「なんのリスクもない休載。そんなことがあり得るはずもないのに」

天乃「……みんなを残したいって願ったことに言いたいことがあるの?」

千景「任せると言ったのは私よ。貴女がどんな決定を下そうとそれを否定する気はない」

どんな答えであろうと受け入れる。それが委ねた者が背負う義務。と、

千景は答えて、窓際に腰かける

千景「ただ欲を言えば、自分の命がかかってるならそれこそささっと斬り捨てる思い切りの良さも欲しかったわ」


850 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/05(木) 00:20:05.96nSlCozoXo (2/4)


そうできない優しさも貴女の良さではあるけれど。

そう続けた千景は思い浮かんだ何かを払うように眼を閉じくすりと笑う

千景「乃木さん……園子が言っていたけれど、私達はここに残るから安心して良いわ」

天乃「大赦からの干渉に警戒するためよね。でも、みんなは樹海に出るんでしょう? 大丈夫なの?」

勇者部の力を信用していないわけではないが、

それ以上に心配にはなってしまうし、

バーテックスだって神の産物のようなものなのだ

今までの比にならないようなことをしてきてもおかしくはない

千景「戦力的には問題ないと思うわ。それに、万が一何かあっても防人と敵対行動を続けるような愚かな人はいないわ。私と違ってね」

天乃「自虐に使わないの」

千景「普通に思い出してもあれには苛立ちを禁じ得ないのよ。だから、笑い話にしておきたいわ」

笑顔を見せつつも真剣な語り口調を使う千景は、

それは別にいいから。と、自分のことをどこかへと放り投げる

千景「残る一番の理由は九尾よ」

天乃「なにかあったの?」

千景「何もない。けど、何かするかもしれない」

天乃を危険に晒すことになる種の強奪あるいは説得を行う勇者部に対してか、

または、それによって天乃の周囲に誰も居なくなったとことで接触を図ろうとする何かに対してか。

今回の一件に同行することはないらしい九尾が何をするか分からないというのも、

ここに精霊組が残る理由の一つでもあるのだ


851 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/05(木) 00:23:20.56nSlCozoXo (3/4)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



「そしてもう一つは、貴女も精霊組で美味しくいただくためよ」

千景「変なこと言わないで、乃木さん」

園子「違うの~? きもちいいよ~?」

千景「…………」

千景「……あぁ、園子だったわ」

若葉「聞き捨てならないんだが?」


852以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/05(木) 00:30:19.89gx0ab4YYO (1/1)


ここで前作の九尾みたいな神隠しをしでかしたら洒落にならないからなぁ…
あと作戦当日は勇者部視点になるのだろうか


853以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/05(木) 00:30:31.38FYjUGg4DO (1/1)


若葉はなんだかんだ言って嫁だからしゃーない
残ることになったし若葉も結婚式参加すんのかな


854 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/05(木) 23:25:10.24nSlCozoXo (4/4)


では少しだけ


855 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/06(金) 00:00:54.23h5R10QM8o (1/3)


天乃「体を気遣っている分、九尾も手段は選ばないのかしらね」

千景の言うことをうのみにするわけではないし、

九尾のことを完全に疑うわけでもないが、

九尾は妖怪の一種であり、温厚である面があれば冷酷な面がある

初めて出会ったときからその両面を併せ持っていた九尾

大切に思うであろう天乃の体の事ともなれば、

手段も結果も何も考えずただ障害を排除し続けることもあるだろう

天乃「あまり、危ないことはしてほしくないんだけど……」

千景「人に対して? それとも、九尾自身?」

天乃「両方よ。片方が無事なら良いってわけではないわ」

千景「そう言うと思ってたわ」

だからこそ、精霊組全員で残るのだ

九尾を止めるためというのもあるし、大赦を止めるためでもある

本来ならば、天乃側の人間として、

大赦側の人間のみを排除するだけでいいのだが。

千景「……私も甘くなったわね」

天乃「貴女は元々、けして悪い子ではないでしょう?」

天乃の考えをすんなりと受け入れている自分に対して、

思わずつぶやいたことに返された千景は、

少し驚いた反応を見せて、首を振る

千景「そうでもないわ。甘ければもう少し、頑張れたはずよ」


856 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/06(金) 00:20:48.45h5R10QM8o (2/3)


今更後悔する気はないし、

ぐちぐちと考えても仕方がないことだ

自分の過ちを笑い話として作り替えてしまうほどには、

もう離れていると千景自身も思う

だが、忘れるつもりも千景はない

その過ちがあるからこそ、自分がいるのだから

千景「…………」

小さく、息を吐く

背中の触れた窓が僅かに軋む

千景「……少しだけ、私は期待していたのかもしれないわ」

天乃「なにに?」

千景「貴女が、それでも精霊の存続を選ぶこと」

何も言わない、任せる

そうは言ったものの、やはり千景は口にする

千景「高嶋さん達が守った世界……あやふやなままでいなくなるのが気が引けるから」

バーテックスを完全に倒しきれていない以上、不安は残る

それは天乃がいても居なくても変わらないことだ



1、本当は勇者部に毒されたんでしょう……嬉しそうだもの
2、そうね……絶対に去らなくちゃいけないとしても、せめて救うまでは残りたいわよね
3、なら、全部終わった後に高嶋さんの守った世界をもっと見て回りましょうか
4、ほんとう……良い顔をするようになったわね



↓2


857以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/06(金) 00:21:52.84SoydrYdXO (1/2)

4


858以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/06(金) 00:28:25.38SoydrYdXO (2/2)

4


859 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/06(金) 00:53:30.97h5R10QM8o (3/3)


では短いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


860以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/06(金) 05:51:24.59QwnV0OftO (1/1)


西暦勇者の中では千景が一番成長してるよな


861以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/06(金) 08:11:56.56uKoRyG6KO (1/1)


もしも西暦勇者たちを還してたらどうなってたんだろう


862以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/06(金) 10:08:49.82vlC6qFWtO (1/1)


精霊組って今何人いるっけ?


863以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/06(金) 13:54:08.71UoKpqRMXO (1/1)

>>862
完全精霊状態のやつは出てこないから記憶から消えかけてるけどたしか沙織含めて7人+火明命(名前のみ登場)の8だったような気がする


864以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/06(金) 23:42:34.293YYEI6YCO (1/1)

休載?


865以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/07(土) 01:51:47.28DEW86EjrO (1/1)

最近忙しそうだししゃーない


866 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/07(土) 22:59:15.30ZxKSSi7oo (1/3)


では、遅くなりましたが、少しだけ


867以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/07(土) 23:01:06.86KrCRZjtFO (1/1)

やったぜ


868 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/07(土) 23:29:24.11ZxKSSi7oo (2/3)


天乃「……本当、良い顔をするようになったわね」

千景「…………」

満足げに、

そして感慨深く言う天乃へと目を向けた千景は、

ゆっくりと瞬きすると、笑みを浮かべる

天乃に対して……というよりは、

その言葉に対しての答えのような無声の表情

千景「そうさせたのは、貴女達だわ」

否定しない、意味はない

自分があの頃と比べて大幅に変わったのは事実

今もできるものがあればゲームに触れることもあるが、

他人との関わりを絶とうという考えはないし、周りを見ることも多くなった

それは間違いなく勇者部と天乃のせいであり、おかげだ

千景「嫌でも一人にはならない。必ず誰かがいる……そうなると、心にも余裕があるから」

天乃「……そうね」

千景「それでも、余裕が無くなる人もいるのだけど」


869 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/07(土) 23:39:35.53ZxKSSi7oo (3/3)


皮肉を呟く千景は天乃を横目に一瞥する

なにかあったの。という問いには答えず苦笑して

千景「最近は良く打ち明けるようになってくれたからよかったわ」

天乃「私?」

千景「さぁ、どうかしら」

茶化して、笑う

明日に迫っていること、

この世界に迫っていること

けして、余裕があるわけではないのだが、

それでも笑うくらいのことは出来る今の自分を確認して、

千景は首だけを動かして、窓に映る自分を見る

笑っている。本当に良い笑顔を見せている

あの頃、周りが見せてくれていた中に溶け込んでも違和感のない姿

千景「……前に」

天乃「うん?」

千景「一昨日くらいに寂しさもあると答えたけれど」

でも。

千景「それは西暦時代のことを考えればの話。この時代に関しては、十分満足しているわ」


870 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/08(日) 00:12:51.0914gnzFEto (1/10)


別に聞かれなかったから言わなかったことだけど。

そう後付けするように続けた千景は窓縁に預けていた体をぐっと起こしてスカートを叩く

あんまり長居していると、必要のないことまで言ってしまいそうで。

それは友奈達のような恋愛的なものではないけれど、

友人的な関係にしては、少しばかり親密が過ぎているような気がして。

千景「……だから、久遠さん」

それでもこれだけはと、千景は口を開く

千景「貴女には、貴女達には感謝しているわ……ありがとう」

天乃「私も感謝しているわ。ありがとね、千景」

千景「っ……」

お礼を言われ慣れていないのか

言うこと自体が恥ずかしかったのか、

千景は顔を仄かに赤く染め上げていくと、

首を横に振って天乃に背を向け――そのまま姿を消す

天乃「……照れるようなことじゃ、ないんだけどね」

その微笑ましさに笑みを浮かべた天乃は、

天乃「明日も、晴れればいいんだけど」

千景がいた窓際へと目を向けて息を吐いた


871 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/08(日) 00:31:03.9014gnzFEto (2/10)


√ 11月07日目 夕(病院) ※日曜日

01~10 九尾
11~20 
21~30 風
31~40 
41~50 若葉
51~60 
61~70 球子
71~80 
81~90 夏凜
91~00

↓1のコンマ 



872以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/08(日) 00:34:44.24L7Bblc5UO (1/2)




873 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/08(日) 00:50:35.9814gnzFEto (3/10)


ではここまでとさせて頂きます
明日は出来れば17時までには


風「……アタシか」

夏凜「…………」

夏凜「……風」

風「ん? どしたー?」

夏凜「いや……なんでもないわ。忘れて」

風「変な夏凜。じゃ、ちょっくらフラグ立ててくるかね!」グッ

千景「犬吠埼さん。今は貴女が戻らないフラグが立ってるわよ」

風「!?」


874以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/08(日) 00:54:54.84kHPCMysqO (1/1)


進行によっては千景も恋に落ちそう


875以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/08(日) 01:00:16.84L7Bblc5UO (2/2)


一応キスしてなかったっけ?千景


876 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/08(日) 20:01:12.9314gnzFEto (4/10)


遅くなりましたが、少しだけ


877以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/08(日) 20:04:28.62jpNl/r3BO (1/3)

よしきた


878 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/08(日) 20:32:12.9714gnzFEto (5/10)


√ 11月07日目 夕(病院) ※日曜日


夕方……と、言っても

もうすでにだいぶ日が落ちてしまっている時間

読みかけの本を閉じた天乃は、ふと息を吐いて来訪者の名前を呼ぶ

天乃「……どうかしたの? 風」

風「足音? 気配?」

天乃「匂い」

風「なんですと!?」

襟首を軽く引っ張って確かめつつ、

風は一歩後退りして左手で軽く自分を仰ぐ

鍛錬をしてきたわけではないし、夏場でもない

それでも防ぎきれないものもあるのかと、少し不安になって。

天乃の小さな笑い声が聞こえた

天乃「ふふふっ、ごめんね。冗談、冗談よ」

風「そーいう冗談はキツイからやめてよね。来年から高校生だから色々変わるだろうし」

天乃「別に悪い方の匂いとは言ってないのに。ただ、窓に映ったのが見えただけよ」

風「なら良いけど……」

冗談と言われてももう一度確かめて、一息つく

風「気配で感じ取るのは、やっぱり難しいのね」


879 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/08(日) 20:58:27.8414gnzFEto (6/10)


風「これを機に普通の母親になっちゃえば?」

天乃「樹ね?」

風「直接的に聞いたわけじゃないわよ? ただ、そう言う世界になったらいいねって言うもんだから」

ちょっぴり呆れたように

それでも嬉しそうに

風は苦笑いを浮かべながら軽く腕を組む

風「何か言われたってことくらいは分かるもんよ。これでも姉ですから」

天乃「私だって、似たような考えているわけだけどね……貴女達も普通の額k制に戻れないのかなって」

風「全部終わるか、光景が見つかるまでは無理だと思うわよ」

まぁ……と、

少し考えながら呟いた風は思いついたように笑みを浮かべる

風「テレビアニメの魔法少女的な感じで中学生まで。とか限定でもされてくれれば解放されるかもしれないけど」

天乃「あるいは母親になれば、ね」

風達とは状況が違うため一概には言えないが

天乃は母親になったことで力が使えなくなっていっている

ゆえにその可能性もないとは言い切れなかった

天乃「貴女も母親になってみる?」

風「天乃の子供なら産んであげても良いわよ~?」


880 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/08(日) 21:40:48.7214gnzFEto (7/10)


天乃「何言ってるのよ」

風「それは天乃でしょ。生えてるわけでもあるまいし」

天乃「生えてるって……」

風「じゃなきゃ天乃以外の誰かとやらなきゃいけないでしょ? それは中々ねぇ」

天乃がそれを……もちろん

天乃自身が望んで行ったことであり、

それを酷く言うつもりこそないが

しかし、出来得る限り避ける事であると風は思う

風「東郷が同性で云々とか凄いこと考えてはいるけど、そんなの今すぐ出来るわけじゃない」

だったら、今は全員が生き延びることを第一に

戦っていくべきだろう

風「なら、バーテックスとの戦いをどうやったら終わらせられるのかを考えるべきでしょ」

天乃「でしょうね。私は意外に強欲だから……ほかの人に貴女達をとられたら暴走しちゃうかもしれないし」

以前の天乃ならば、

それが風達の考え導き出した答えなら受け入れるという答えになるのだが……

その違いもまた、子供が出来たことに関係しているのかもしれない


1、楠さん達のこともちゃんと守ってあげてね?
2、もしも私が男の子だったら私と付き合ってた?
3、風は上手くいくと思ってる? 今回の作戦
4、それじゃ、風はどうすればバーテックスとの戦いが終わると思う?


↓2


881以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/08(日) 21:43:46.00dfM7RH1m0 (1/1)

1


882以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/08(日) 21:44:33.41jpNl/r3BO (2/3)

4


883 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/08(日) 22:34:45.2014gnzFEto (8/10)


天乃「さて、ここから真面目な話ね」

風「ん?」

天乃「貴女はどうしたらバーテックスとの戦いが終わると思う?」

風「また難しい話を持ってくるわねぇ……」

切り替わっていく空気に合わせるように息ついた風は、

天乃に背を向ける形でベッドに軽く腰かける

バーテックスとの戦いを終わらせる方法

そんな大赦が、自分たちが。

願って止まないそれを簡単に導き出せるのかどうか

風はそれを考え、首を振る

風「向かってくるバーテックスを打ち払うくらいしか考えつかないわ」

天乃「降りかかる火の粉を払うだけでは火が消えることはない……雨乞いをするのなら話は別だけれど」

風「雨乞い……雨乞いねぇ……」

バーテックスを生み出す親玉とされている天の神

それを淘汰することなど到底不可能な話だ

ましてや、何かしらの軌跡が起こる事だけを祈るなど無意味に等しい

行動しなければ何一つ変わることはない

風「今考えられてる対策は大赦のあれでしょ? 奇跡を起こすに足り得ると天乃は思う?」

天乃「それを判断できるのは、種を正しく扱えてからになるわね。それに対し相手がどう出てくるのか」

無視をするのなら脅威ではないだろうし、そこから不意を突くことができるようになる可能性も出てくる

それを無視することなく追い詰めてこようとするのであれば、

向こうにとって、目に余るなにかだということになる

それが打開策につながると言い切れるわけではないが……

天乃「それも今回の私達の行動で水の泡になるから、一応それ以外のお方法を考えなければいけないわ」


884 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/08(日) 23:00:54.9014gnzFEto (9/10)


風「……撃退し続ける以外なら、攻勢に出る以外ないわ」

撃退し続けるということは、神樹様の結界の中に引きこもって

向かってくる敵だけを相手にしていくということであり、

神樹様の寿命もつきかけている今、それは得策ではない

むしろ愚策と言えるだろう

ならば、反対に戦いに出ていくしかないだろう

かといって、無策で戦いに行くのも愚の骨頂というものだ

風「天乃はその辺り、何かいい作戦でもないの?」

天乃「人間様の魂ってやつを見せつけてやるとか?」

風「なにそれ」

天乃「例え天の神であろうと、ただでは済まないぞってことを見せつけてあげる的な?」

もちろん本気で言っているわけではないけれど

一つの策としては完全に捨てきれることではない

神とて、下手に火傷しようという考えは持たないはずだ

しかし、それも簡単なことではない

天乃「正直に言うとね、神を退ける一手なんて、どう打てばいいのかさっぱり分からないのよ」

風「人間の魂って言うけど、それだって全力で戦えばいいってだけなら先代が成し遂げてくれてるからね」

天乃「……ええ」

風「どう転んでも一筋縄ではいかないか」

天乃「転んだら絡まっちゃうから」

風「そう言う話じゃない」


885 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/08(日) 23:04:35.3514gnzFEto (10/10)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
諸事情で遅れたり休載もありますが、出来る限り三日に一回のお休みに抑えていく予定です



風「打開策……あっ」

天乃「なにかいい方法でもあった?」

風「ふふっ、聞いて驚かないでよ?」

風「天乃のハーレムの一員に加えちゃえばいいのよ! その神様ってやつを!」

天乃「うん、それは無理ね。却下で」

風「……ですよねー」


886以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/08(日) 23:28:57.63jpNl/r3BO (3/3)


やっぱりここ最近は忙しいようで…無理はなさらずに
あと本編は現状だと久遠さんの復活が大前提になりそうだな


887以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/09(月) 00:44:10.62CTQgViM7O (1/1)


ハーレムっていうか久遠さんが神樹様に嫁入りするみたいなバッドエンドのショートショートは読んでみたい


888 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/09(月) 23:45:50.59kHWAmZNbo (1/1)


遅くなりましたが、少しだけ


889以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/09(月) 23:50:52.07kaAW5AlFO (1/1)

あいよ


890 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/10(火) 00:16:50.49qExl7XY0o (1/6)


風「……なんにせよ。アタシ達の作戦行動は外に出てからになる。そこでバーテックスがどう出てくるかによるわね」

壁の外の状況は刻一刻と変化しており、

あまり良くはない状況であるという話は聞いている

大赦による作戦行動の影響と、風達の作戦行動による影響

それらが神々にとって、【人間の業】となるのであれば

事態は確実に推移することだろう

それが悪いことなのか、良いことなのか

それは起こってからでなければ分からない

天乃「推測は出来ても断定はできない、ましてや人とは違う思考をするのなら――」

風「推測は下手な考えに陥るだけって可能性も出てきちゃうか」

天乃「そもそも、中学生程度の頭で考えたところでどうなのという話でもあるけどね」

つんつんと自分の指で頭を突いた天乃は苦笑いを浮かべると、

ため息混じりに口を開く

天乃「大赦だってある程度のことは考えているはずだわ」

風「…………」

天乃「それも結局、あるいは所詮人の導き出したものであるけれど、私達よりは多くを考えていると思う。というより、そう信じたい」

大人である以上、ある程度の思考的な縛りがあるのは仕方がないことだけれど

個人個人のことを考慮しつつも、小を持って大を生かそうというある意味では合理的な考え方をしてくれている

それは、犠牲になる存在を除けば非常に有効的な生きるための戦略と言えるだろう

いつかは滅びることにつながるのかもしれない、破綻するのかもしれない

だが現状を維持すること、生き長らえることにおいては効力があるともいえる

天乃「私達はその大人たちの考えを、阻むのよ」


891 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/10(火) 00:27:56.75qExl7XY0o (2/6)


勇者部の皆が軽視しているとは言わないし

もちろん、そのことに関してもしっかり考えたうえでの行いであることも天乃は信じている

それrでも天乃は改めて、今回の作戦の重大さを告げる

それは、天乃の命がかかっているかどうかという小規模の話ではなく、

世界の存亡と、大人の考えた現実的な生存戦略を挫くという大規模な話なのだと。

天乃「私は別に自分の命を軽く見るつもりはないわ。だけどね、それでも天秤は傾くわ」

風「個人的な考えを置いておけば、ね」

天乃「ええ。私達は私達の身勝手な我儘で大人の希望を絶ち、世界の生命線を断つ」

風「……十分、理解してることよ」

天乃が続けて口を開くよりも先に答えた風は、

皆がいるであろう方向へと目を向けて、また天乃に戻す

風「今度は、自分たちからその責任を背負う」

天乃「…………」

まだあいまいだった、なし崩し的なものだった

はっきりとそうだと認識してのものではなかった

だが、これからはもうそんな軽んじた姿勢ではいられない

風「アタシ達が、この世界を救うんだってしっかりね」


892 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/10(火) 00:52:44.52qExl7XY0o (3/6)


天乃「……解ってるとは思うけど」

風「ん。死ぬほど無茶はしないわよ」

死ぬ気で無茶はするかもしれないが。

当たり前の話ではあるけれど、死ぬ気は毛頭ない

風「はぁ……なんかこう、肩こるわねぇ」

天乃「老けたわね」

風「真面目な話続きだから」

語気を強めて訂正を促した風は、

同年代の癖に。と、少し呆れたようにぼやいて、

伏し目がちに天乃を一瞥する

母親になった天乃と、なってはいない自分

同年代ではあるものの、年期は違って見えた

風「母親、ねぇ」

天乃「うん?」

風「……いや、せめて結婚式に招待されるべきだろうなぁってね」

成人した後、いつになるかは分からないが

天乃の子供にもそう言う時がきっと訪れる事だろう

その時に、母親の席が空席であるべきではない

風「世界を守るつもりではあるけど、大前提は天乃の生存だから。そのあたりは譲れないわよ」

早くに両親を失ってしまったからこそ、

親を失ってしまった子供の悲しさを、苦しさを、辛さを

風は痛いほどに理解しているから

風「天乃は生きるのよ。絶対にね」

改めて、そう言った


893 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/10(火) 00:53:50.07qExl7XY0o (4/6)


√ 11月07日目 夜(病院) ※日曜日

01~10 九尾
11~20 
21~30 樹
31~40 
41~50 球子
51~60  沙織
61~70 夏凜
71~80 
81~90 若葉
91~00

↓1のコンマ 


894以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/10(火) 00:55:07.14GYIdlD/NO (1/2)




895 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/10(火) 01:11:54.60qExl7XY0o (5/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


風「そう、何があってもあんたは生きないとダメ」

風「子供を残して母親が死ぬなんてのはアタシが絶対に許さない」

風「それは」

風「それだけは、何が何でも阻止して見せる」


896以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/10(火) 01:17:54.03GYIdlD/NO (2/2)


風の決意かっこいいな


897以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/10(火) 06:21:28.690XNpB2OsO (1/1)


風先輩だからこそのこの凄い説得力よ
お互いに無事生き延びてほしいな


898 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/10(火) 23:55:34.65qExl7XY0o (6/6)

遅くなりましたが、少しだけ


899 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/11(水) 00:01:28.00pTeio+goo (1/5)


√ 11月07日目 夜(病院) ※日曜日


天乃「……はぁ」

友奈が来たときもそうだったが、

寝苦しさゆえに目を閉じても一向に眠ることが出来そうにない天乃は、

下半身が動かないもどかしさにやや苛立ちを覚えながら、

傾く程度の寝返りを打って、背中の方に新鮮な空気を送る

少しばかりひんやりとした空気

カーテンを突き抜けて感じる仄かな月明かり

何となく耳を澄ましてみても

周りから話し声が聞こえたりする様子はない

明日に備えて早く寝よう。

夕食を終えた後に風がそう言ったとき

誰も反対しなかったし、頷いていたのだ

もう、眠ってしまったのかもしれない

天乃「…………」

自分勝手に眠らないわけではないが

けれど、みんなを起こすのはと躊躇う


900 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/11(水) 00:13:27.19pTeio+goo (2/5)


天乃「…………」

妊娠してるとは言っても、

下半身が自由に動かすことができるのであれば、

ほんの少し風にあたってくるだとか、水を飲むだとか

そう言ったことが普通に出来るのだが……

それも出来ないからこそ、苛立ってしまう

迷惑を極力かけたくないと思っても、迷惑をかけることになってしまう

天乃「っ……」

明日、みんなは大事なことがあるのだ

それも、天乃の為に世界に喧嘩を売るような大きなこと

なのに、

寝付けないというだけで眠りを妨げていいのだろうか

精霊のみんなならば答えてくれるだろうけれど、

それが結局、だれかを起こしてしまうのではないかと不安になる

天乃「……なんか、駄目ね」

悪い考え、嫌な方向での考えになってしまうのは、

一人きりの思考だからというだけではないだろう


901 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/11(水) 00:26:58.92pTeio+goo (3/5)


天乃「……寝ないと体にも悪いのだけど」

ごろん。っと

寝返りの一つでも打てれば少しは楽になれるのかもしれないけれど

そうするわけにもいかなくて。

天乃は一息つくと、

天井へと手を伸ばして、見つめる

少しやつれたようにも見えてしまう細くて小さな手

元々大きくはなかったが、鍛錬が出来なくなったこと

車椅子での移動も殆どできなくなってしまったこと

力が抜けてしまっていることなどによって

すっかり子供になってしまったのだ

握力を付けるための道具ですら、ろくに握れないのだからより酷いのかも知っれない

天乃「…………」

樹には戦うと言ったものの、

実際に戦場に出て戦えるのかどうかは、非常に怪しかった



1、精霊組
2、夏凜に声をかけてみる  ※隣限定
3、イベント判定
4、ハンドグリップでも使う


↓2


902以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/11(水) 00:28:26.33CIi3RdXO0 (1/2)

1


903以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/11(水) 00:28:51.98w+wavUPpO (1/1)

1


904 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/11(水) 00:38:22.58pTeio+goo (4/5)


1、沙織
2、九尾
3、千景
4、若葉
5、球子
6、歌野
7、水都

↓2


905以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/11(水) 00:40:55.92m1x+w/1aO (1/1)

2


906以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/11(水) 00:41:35.25CIi3RdXO0 (2/2)

5


907 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/11(水) 00:48:37.21pTeio+goo (5/5)


では、ここまでとさせて頂きます
明日もできるかぎり、通常時間から

あまりにも遅くなりそうな場合は、休載となります


908以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/11(水) 00:54:01.78ic6jLtpoO (1/1)


もし戦うにしても子供を産んだ後のリハビリ間に合うかな…


909以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/11(水) 08:02:14.41dUkHE96bO (1/1)


そういえばみんなの端末の仕様はアニメ一期の時のまま?


910以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/11(水) 14:20:41.27v5zyy8zUO (1/1)


まあ休み休みやってください


911 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/12(木) 23:03:36.59lqXdNtjTo (1/3)


では、少しだけ


912以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/12(木) 23:06:15.21f35ZOW8RO (1/1)

よしきた


913 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/12(木) 23:11:37.34lqXdNtjTo (2/3)


天乃「…………」

呼ぶかどうか迷った天乃はふと息を吐いて、目を瞑る

あんな話をして、結局その願いを聞き入れることはなかった

恨むだろうか、怒っているだろうか

それとも、もっと別の感情があるのだろうか。

そんなことを考えながら、目を開く

天乃「……球子」

静かに名前を呼んで、数舜

天乃「まだ起きているなら、出てきてもらえないかしら」

自分の我儘だから気にするな。

球子はそう言ってくれていたが、

それでも、思うところはあったはずで

呼ばれたからと出ていくか。そんな反応さえ身構える天乃の前に、彼女は姿を見せた

球子「…………」

天乃「…………」

球子「…………」

気まずそうに、口をつぐんで

ちらりと互いに目を向けてはいても中々前には進めなくて

暫くして、球子が口を開いた


914 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/12(木) 23:52:20.55lqXdNtjTo (3/3)


球子「あー……その、なんだ。タマは別に気にしてないぞ」

天乃「…………」

球子「言ったろ、我儘だって」

困った様子で

何もないと微笑みながら、球子は言う

本心と嘘の入り乱れた表情は

全く気にせずにいられているわけではないのだと、

そう、言っているのが分かるもので

天乃は少し口を開き、逡巡して、閉じる

球子も気遣って言ってくれているのだ

それを下手に崩していいのかどうか、躊躇うのだ

天乃「……ええ、貴女は我儘だって言ってくれたわね」

球子「そうだ。だから」

天乃「球子……」

自分一人の感情のこもった願い

それに強く左右されやすい性格であると知っているから

もちろん、それ以外にも理由はあるのかもしれないが、

殆どは、それがあるからこその、付け足したような一言だったはずで。


915 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/13(金) 00:21:27.63PGzX7y0bo (1/6)


天乃「今回は、私の我儘だわ」

球子「だから、なんでも言っていいって言うのか?」

天乃「言いたいことがあるなら」

球子「…………」

止める理由はないし、

むしろ聞く責任が自分にはあると天乃は思う

あれだけの想いを語られてなお、自分の我儘を貫いたのだから

球子がそう言う性格ではないことは承知の上だが

たとえ罵倒されるのだとしても、聞かなければならないのだと。

球子「それなら、朝に呼んで欲しかったぞ。こんな時間じゃ大声も出せない」

天乃「それは……そう、ね……ごめんなさい、気が回らなかったわ」

球子「って言っても、明日のこともあってか天乃も忙しかったからな。仕方ないけどな」

天乃自身がどうこうすることはなくても

周りから近づいてくることはあったのだから、仕方がない

そういう球子は笑顔だった

球子「なぁ、天乃は悪いと思ってるのか? 我儘を突き通して」


1、悪いとは思ってないわ。でも、選んだ責任があるから貴女の気持ちを聞いておきたいの
2、ええ。貴方の願いを聞かなかったんだもの。悪いと思っているわ


↓2


916以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/13(金) 00:23:03.23bL7K1mTp0 (1/1)

1


917以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/13(金) 00:24:03.54yCHxskHmO (1/1)

2


918以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/13(金) 00:26:03.99S1IBhSO4O (1/2)

1


919 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/13(金) 00:35:26.65PGzX7y0bo (2/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


自分の判断に対して罪悪感を抱いているのか、いないのか
それにたいしての球子の反応。


920以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/13(金) 00:43:49.61S1IBhSO4O (2/2)


久遠さん責任感強いからなあ


921以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/13(金) 00:44:15.94ui1pUD1mO (1/1)


ただでさえ久遠さんは我が儘を言いたがらないからなぁ


922 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/13(金) 22:49:03.62PGzX7y0bo (3/6)


では少しだけ


923以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/13(金) 22:52:26.21e5dOloXSO (1/1)

かもーん


924 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/13(金) 23:06:25.92PGzX7y0bo (4/6)


天乃は球子と視線を交わらせると、軽く頷く。

肯定だ

天乃「ええ、貴女の願いを聞かなかったんだもの。悪いと思っているわ」

むしろ、天乃からしてみれば悪いと思わない方がおかしかった

願いを聞いておきながら、踏みにじった

たとえ自分の我儘だから気にするなと言われていても

自分の好きなように決めていいのだと言われていても

それでも、無慈悲に押しのけたようなものなのだから。

球子「……タマは、あんまり難しい話は得意じゃないって、知ってるよな」

天乃「それは……頷いても良いことなの?」

球子「んー、まぁ、自覚はしてるからな」

聞き返されると思っていなかったのだろう

球子は真面目な面持ちを崩して苦笑いを見せると、

頭を軽くかいて、息を吐く

球子「だから、タマなりに考えてのことだから。天乃の答えも欲しい。いいか?」

天乃「ええ」

なら、聞くぞ。

あえてそう前置きをした球子の瞳は天乃を見る。

真っ直ぐ、自分なりに真偽を確かめようとしているような

見定める視線だった

球子「タマに悪いって思ってるってことは、その、なんだ……後悔、してるのか?」


925 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/13(金) 23:15:52.22PGzX7y0bo (5/6)


天乃「え?」

球子「だってそうだろ? やったことを悪いって思うのは後悔してるってことじゃないのか?」

天乃「それは……」

難しく考えるのは苦手、だからこそ単純な考え方をする

それはある意味では、難しく考える人よりも最も答えに近いことだって導き出せるということでもある

急がば回れとは言うが、常に迂回しろというわけではないのだから。

球子「だったら、タマ達は嫌だぞ」

天乃「…………」

球子「確かに、言いたいこと言いもしたけど、でも、みんな、天乃にどうするか決めて欲しいって丸投げしたんだ」

ここに来てからのことや、以前の自分たちのこと

その環境における違いと、それに対する自分たちの思い

それらを語ることで、多少なりと天乃の選択に影響を与えはしたかもしれないが

最終的な決定権は天乃に委ねた

つまり、その選択の責任のすべてを押し付けたようなものなのだ

球子「それは……いや、その、聞かれたからって正直に全部打ち明けたことが関係してるんだろうなーって言うのは分かるぞ」

でも。と、一瞬大きくなりかけた声に気づいた球子は踏みとどまって体をのけぞらせると、

首を横に振って、改めて口を開く

球子「それは、天乃に後悔してほしくなかったからだ」


926 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/13(金) 23:25:33.77PGzX7y0bo (6/6)


球子「タマ達の考えを知らないまま決めてたらきっと後悔する。そう思った。そう言われた」

俯きがちに零した球子は、

天乃を見ていることに耐え切れなかったのか、

窓の方へと顔を逸らす

まだ泣いてはいない、けれど、悲しさを含んだ表情だと

天乃は感じた

球子「考えも、思いも、悩みと変わらない。口にしなければただのブラックボックスでしかないんだからって」

天乃「……千景?」

球子「さぁなー」

飄々と嘯いた返事を返した球子の口元は柔らかく綻ぶ。

きっと、天乃の言った通りなのだろう

球子「天乃がそう言う責任とか人一倍大事にする奴だってのは分かるけど、でも、大事なことを決めたんなら、胸張ってこうしましたが何か? って感じの方がいい」

天乃「…………」

球子「天乃が楽しく、幸せに。そのためにタマ達は任せたんだからな。そうじゃなきゃタマ達も後悔するし、嫌だ」

天乃「なるほど……そういうことね」

難しいことはあんまり考えたくないし、良く分からない

だから、自分の言ってることはh間違っているかもしれないと思いながらも、言う

それは、自分の我儘を叶えて貰えなかった球子の、我儘だ

そう感じて、天乃は見えないほどのささやかな笑みを浮かべる


927 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/14(土) 00:07:05.98CNWdcmQQo (1/3)


球子「責任だのなんだの、前にも似たようなこと言ってるやつがいたなー」

思い出したように笑い声をこぼした球子は、

不意に警戒するそぶりを見せ、声を潜める

誰のことを言ってるのかは、非常にわかりやすかった

球子「まぁ、無理にとは言わないぞ。その責任感の強さだって天乃のいいところだと思うし」

天乃「強すぎるのも考えもの……ね」

球子「…………」

天乃「…………」

千景「だけど、最終的にはそうしてよかったって、言ってもらえると助かるわね」

黙り込んでしまった二人、

その中間のような位置に姿を見せた千景は、

半ば呆れたような笑みを浮かべながら、言う

千景「いつまでも悔やまれていたんじゃ、明日叩きのめされる土居さんがいたたまれないわ」

球子「なっ、聞いてたのか!?」

千景「声が大きい」

球子「ぐぬぬぅ……」

千景に掴みかかろうとしたものの、

撥ね退けられた球子は悔しがって、姿を消す

千景「貴女が人一倍の責任を抱えてくれるから、周りが抱え込まずに済む。分担する大切さを教えてくれる。いい反面教師ね。久遠さん」


928 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/14(土) 00:21:33.65CNWdcmQQo (2/3)


皮肉を言ったのだと。

そう告げるような笑みを浮かべた千景は軽く手を振って

千景「もう休みなさい。体に障るわ」

そう言って、球子を追うように姿をかき消す

皆の想いを委ねられ、

大切な選択権を委ねられ

そして、天乃はその意にそぐわないであろう選択をした

けれど。

それは、天乃がそう思っていただけなのかもしれない

確かに、最良の選択ではなく

本当に願っていたことではないのかもしれない

しかし、それもまた球子達にとっては悪いことではなくて

良かったと、言えることなのかもしれない

天乃「……私が、後悔をしなければ」

こうしておけばよかったと。

そんな後悔をしていては球子が言ったように、

委ねた球子たち自身まで後悔をすることになるのだから

天乃「…………」

ゆっくりと、目を瞑ると

漂うような微睡の中、身を委ねて落ちていく


929 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/14(土) 00:24:14.12CNWdcmQQo (3/3)


では、ここまでとさせていただきます
明日も出来れば通常時間から

一日のまとめは再開時


若葉「解ってるな?」

球子「な、何のことでしょうか」

若葉「たーまーこーッ!」

球子「ひぃっ! 和ませるための軽口じゃんかーっ! うわーんっ、歌野~っ!」

歌野「ソーリー、今手が離せないわ」フイッ

球子「裏切り者~ッ!」


930以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/14(土) 00:29:16.66DYCmv+6mO (1/1)


いよいよ決行日か


931以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/14(土) 03:49:39.59nfgVIKxGO (1/1)


球子たち本当に優しいなぁ…
久遠さんはもちろん残す以上西暦勇者たちもちゃんと幸せにしないとな


932 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/15(日) 22:50:08.02Bzadrys6o (1/4)


では少しだけ


933 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/15(日) 23:00:51.05Bzadrys6o (2/4)



1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(大赦について)
・   犬吠埼風:交流有(バーテックスとの戦い)
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流有(罪悪感)
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流有(良い顔をするようになったわね)
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


11月07日目 終了時点

乃木園子との絆  75(高い)
犬吠埼風との絆  101(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  91(とても高い)
結城友奈との絆  110(かなり高い)
東郷美森との絆  120(かなり高い)
三好夏凜との絆  144(最高値)
乃木若葉との絆  96(かなり高い)
土居球子との絆  43(中々良い)
白鳥歌野との絆  42(中々良い)
藤森水都との絆  35(中々良い)
  郡千景との絆  44(中々良い)
   沙織との絆  120(かなり高い)
   九尾との絆  63(高い)
    神樹との絆   9(低い)


934 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/15(日) 23:22:58.83Bzadrys6o (3/4)


√ 11月08日目 朝(病院) ※月曜日


夏凜「……………」

朝、天乃がベッドから起き上がるよりも早く夏凜達は準備を終えていた

大赦が行おうとしている作戦の内容の大体は把握しているが、

どの位置から、どの時間帯に行うかというのは、当日になるまで曖昧なのだ

それも、ただ考えが甘いわけではなく

外の世界が慌ただしくなってきているがゆえの影響

活性化した外の世界で場0-テックスが誕生しないとは言い切れず、

誕生し、対峙したならば少なからずの人的被害を覚悟しなければならないからだ

そこに慎重になるのは、

むざむざと死に追いやったことが天乃の耳に触れることを恐れている。というのも、

無い話ではないかもしれない

もちろん、そんなことなど関係なく慎重であるべきだとは思うが。

風「……準備は良い?」

夏凜「問題なし」

樹「うん」

東郷「問題ありません」

友奈「問題ない……ですけど、夏凜ちゃんは、良いの?」


935 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/15(日) 23:56:59.43Bzadrys6o (4/4)


夏凜「何が?」

友奈「夏凜ちゃんだけ、あんまり久遠先輩とお話してないから」

東郷「そう言えば、今回の件に入ってから夏凜ちゃんはあまり久遠先輩と二人きりになってないわね」

夏凜「最初に話したのは私だし、全員で話し合ったんだからその必要もないでしょ」

友奈「それはそうかもしれないけど……」

夏凜のすぐ横、

天乃の姿を覆い隠しているカーテンの方へとちらりと目を向けた友奈は、

夏凜のことを見つめなおす

だが、夏凜の表情は変わらなかった

話すことはないし、必要もない

そう思っていると言い現わす様子だった

夏凜「これでも緊張感は持ってるし、集中してんのよ。気を削がれたくないわ」

風「まぁ、下手なこと話してフラグ立てるのも問題よねぇ」

夏凜「フラグとかそう言うのは別にどうだっていいわよ」

そんなものは思い込みみたいなものだし、

その余計なことを考える気の緩みが隙を作ってるだけなんだから。と

夏凜は自論を述べて

夏凜「寝てるなら邪魔したくないし、起きてるなら起きてるで、行ってらっしゃい。とか見送ってくれるんだろうけど、あんま良い顔しそうないから」


936 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/16(月) 00:31:32.66c8AVQsW6o (1/2)


薄く、切なげな笑みを浮かべて天乃の方を一瞥すると

夏凜は「さて」と、極力抑えた声をあげベッドから降りる

夏凜「もう一度確認しておくけど、最悪防人との戦闘もあるわ。行ける?」

樹「拘束は任せてください」

東郷「撃つのは得意だから」

風「血の気が多いわねアンタたち……」

ちょっぴり呆れたように言いながら、頷く

普段からそれならば問題はあるが、

こういう必要な時に割り切って行動してくれるのは

普通の女の子から離れてしまっているのかもしれないけれど、

頼りになると、風は思う

それも、天乃とかかわったからか勇者になったからか、両方か

風「……起きてるんだか、寝てるんだか」

カーテンの奥にいる天乃へと、

返事を求めてないない声をかけてみる


1、答える
2、答えない


↓2


937以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/16(月) 00:33:36.54yBlMzgBnO (1/2)

1


938以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/16(月) 00:39:18.85OpGgH+EnO (1/1)

1


939 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/16(月) 00:51:08.44c8AVQsW6o (2/2)


では、ここまでとさせていただきます
明日はおそらく確実にお休みになって、明後日の再開になるかと思います
出来れば、来月からは通常運行の予定



夏凜(ま、どうせ起きてるんだろうけど)

夏凜(今のあんたを見ると、きっと早く帰らないとって焦りそうになる)

夏凜(遅くなればなるほど不安にさせるだろうから、早めに蹴りつける事には変わりないけど)

夏凜(友奈の説得で上手く終わってくれればいいんだけど……ま、無理な話か)


940以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/16(月) 01:00:09.58hw1VarX5O (1/1)


ついにメブたちの一行と激突か…
ここは勇者部視点に切り替わるのかな


941以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/16(月) 01:07:28.77yBlMzgBnO (2/2)


まあ気持ちよく送り出してくれればそれが一番だよな


942 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/17(火) 23:26:33.27PIfJPbiro (1/1)


では、遅くなりましたが少しだけ


943以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/17(火) 23:28:48.1331V1QfmCO (1/1)

あいよー


944 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/18(水) 00:03:13.84HkugcHdpo (1/6)


天乃「…………」

夏凜達が準備をしている段階ですでに目を覚ましていた天乃は、

ゆっくりと瞬きをする

風の声はもちろん聞こえた

だが、夏凜のあの言葉を聞いた今、

確かにと頷ける部分もあって、迷う

そして――

天乃「起きてるわ」

しっかりと呼吸を整えてから、声を返す

手元のリモコンでベッドを動かして体を起こしたのと同時に、

風がカーテンを開く

風「やっぱり起きてたわね」

天乃「おばあちゃんの朝は早いのよ」

風「何言ってるんだか」

適当な冗談を呟き、笑う

普段明るい友奈も、そしておふざけに加担する東郷も、

間を取り持つことが増えてきたような樹も

皆が、真剣な面持ちで。

夏凜だけは、そっぽを向いたように目を向けなかった


945 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/18(水) 00:11:30.41HkugcHdpo (2/6)


夏凜「なにもすることがないんだから寝てなさいよ」

天乃「することがなかったら、返事はしなかったかな」

夏凜「…………」

天乃「…………」

目を合わせようとしなかった夏凜は、

嫌味のような答えのあとに訪れた沈黙に流されるように、天乃へと目を向ける

何を言ってんのよ。と、言いたげな視線だと天乃は思って、にっこりとほほ笑むす

夏凜「何笑ってんのよ」

天乃「んー、嫌そうな顔してるなって」

夏凜「……起きてたなら、私が言ってたこと聞いてたはずなんだけど」

寝ているなら、寝させてあげたい

起きていたとしても、見送られても

その時の天乃はあまりいい表情していなさそうだから

その夏凜の言葉を思い返して、天乃は眉を顰める

天乃「ごめんね、聞いてなかった」

夏凜「聞いてたくせに」


946 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/18(水) 00:30:09.80HkugcHdpo (3/6)


小言の言い合い、喧嘩しそうな雰囲気

だけれど、周りの誰も止めに入るような素振りを見せず

それどころか、肌に感じる【日常】を貴く感じているように瞼を下ろし、息を顰める

喧嘩しそうでも、空気はピリピリとしていない

緊張感なんてどこにもない、どこかに走り抜けていく風のように柔軟だった

守るべきもの、見守るべきもの

これからもずっと、日々の中で感じていたいこと

友奈達はそれを改めて感じ、

これから自分たちが行おうとしていることの重要さを心の内に宿し、

それでも、微笑む

夏凜「あんたほんと自分勝手だわ」

天乃「我儘を言ってほしいってお願いされたもの」

夏凜「それは頼る頼らないの話でしょ。あんたはもともと自分勝手って言う意味では我儘だったでしょうが」

天乃「えっ……う、うん」

夏凜「そのわざとらしい驚いた顔やめろ」




1、だって、今は夏凜がそんな感じだったんだもの
2、いいじゃない別にお見送りしたって。世間一般では行ってきますのキスだってする時代なのよ?
3、どうしたの夏凜ちゃん、そんな不機嫌そうな顔して。えっちする?
4、まぁ、ね。冗談はともかく、肩の力を抜いて行ってきなさい。初めから臨戦態勢なんて高校の面接でだって落とされるわよ
5、無理はしないでね。体じゃなく、心でも


↓2


947以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/18(水) 00:32:32.13vHkTxYoN0 (1/1)

5


948以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/18(水) 00:32:57.80Y4t8SxfBO (1/2)

2


949以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/18(水) 00:33:21.54yBSRYkVgO (1/2)

5


950 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/18(水) 00:42:06.41HkugcHdpo (4/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

真面目なことを言うか、悪ふざけで通すか


天乃「世間一般では行ってきますのキスだってする時代なのよ?」

風「……」チラッ

東郷「…………」ウズウズ

東郷「それは下の――」

友奈「ゆうしゃぁぁぁぁぁぁパーンチ!」トウゴンッ

東郷「そんな……っ、壁は壊してないのにっ!」

樹「東郷先輩の常識の壁に穴が開いてるんです」


951以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/18(水) 00:47:37.85yBSRYkVgO (2/2)


もはや夏凜ちゃんはほぼ久遠さんの旦那扱いだな
そして久々のオマケの東郷さんの残念っぷりよ…w


952以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/18(水) 00:51:48.50Y4t8SxfBO (2/2)


発想が斜め上すぎて笑う


953以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/18(水) 09:46:40.40t7l1g8ICO (1/1)


行ってきますじゃなくてイってきますってことか
もしかして東郷さんは天才なのでは


954 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/18(水) 23:38:26.66HkugcHdpo (5/6)


では、遅くなりましたが少しだけ


955以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/18(水) 23:39:11.48Gkq/uhC3O (1/1)

よしきた


956 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/18(水) 23:56:14.98HkugcHdpo (6/6)


天乃は少し考える素振りを見せると、夏凜に向けて小さな笑みを浮かべる

からかおうとしているのだと、夏凜はすぐにわかった

天乃「いいじゃない別にお見送りしたって。世間一般では行ってきますのキスだってする時代なのよ?」

夏凜「どこの一般常識だっての、東郷か」

東郷「 まさか私が破廉恥なのは遺伝だったの?」

風「あ、自覚はしてるんだ」

夏凜「はぁ……」

あきれ果てたため息を吐く夏凜の一方、

友奈と樹は顔を見合わせて、同情するように苦笑いを浮かべた

夏凜「それとこれとは話が別だし関係ないわよ。あんただって本気で全員にして見送ろうってわけでもないんでしょ?」

天乃「それでみんなの運気が上がるなら、やぶさかでもないわ」

お守りだとか、おまじないだとか

そこまで効能のあるものだとは思えないが

しかし、気分的には高揚感も得られることだろう

そうすれば、何かがあった時の一瞬の判断を的確に行えるかもしれない

東郷「ちなみに、その接吻はどこからどこまでなら見送りの範疇に収まりますか?」

天乃「えっ?」


957 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/19(木) 00:10:22.15FaeHOsjYo (1/12)


東郷「特別気にするようなことではないかもしれませんが、しかし念のために線引きするべきだと思うんです」

数人いるということもあるが時間と密度、深さ……など

それは朝の挨拶ではなく、夜の方だろう。という異論も少なからず出てくる可能性はある

東郷「ほんの些細なことで夜の方だなんていう人もいるかと思いますから」

風「んー?」

東郷「少し舌を絡めるのも許されないなんて、中学生にお子様定食与えてどうするのかと――」

友奈「……東郷さんが本調子に戻っちゃった」

樹「喜ぶべきか悲しむべきか複雑ですね」

ぐっと握りこぶしを作り熱く語る東郷を横目に、園子は楽し気に笑う

内容に目を瞑りさえすれば、

その一瞬一瞬に心から触れ、楽しんでいるだけなのだ

それが出来なかった

それが許されないと思っていた側としては、喜ばしさが勝る

夏凜「深いも浅いも長いも短いもなしに決まってんでしょうが。これから何するか分かってんの?」

風「まぁ、夏凜の言い分も間違いじゃないし東郷は極端すぎるけど、肩の力は抜くべきだって思うわ。ちょっちピリピリしすぎてんじゃない?」

夏凜「…………」

東郷「抜くのはせ――」

樹「違うのでご静粛にお願いします」


958 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/19(木) 00:21:12.16FaeHOsjYo (2/12)


天乃「柔軟な発想力も大切だと思わない?」

夏凜「一理はあるわ。けど、だからって」

天乃「別に必ずキスしなくちゃいけないなんてわけでもないのよ」

それは一つの参考的なものでしかない

気を張りすぎず、かといって抜きすぎず

仲間であるみんなの事をちゃんと認識するためのことでしかない

良くある行動を例に挙げれば、別に円陣を組むだけでも良いのだ

天乃「目的とかける思いを再確認して、頼れる仲間を感じることができるなら、それで」

友奈「キスだと、帰るべき場所……ですね」

何が何でも目的を成し遂げようという意志を再燃させるが、

同時に、何が何でも戻らなければならないという思いも抱く

そして、そのためにどうすることが良いのかと考えれば、

自然と仲間のことも頭の中に戻ってくる

風「防人を相手にするのはあんただけじゃないのよ。夏凜」

夏凜「っ」

風「その覚悟は、もう出来てる」

夏凜を軽く小突いた風は優しくほほ笑む

立案者だからと言って、自分だけで責任を取るべきではないと


959 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/19(木) 00:32:52.25FaeHOsjYo (3/12)


夏凜「……そ」

そっけなくも感じるような短い一言を呟いた夏凜はぎゅっと唇を巻き込んで食いしばり、顔を伏せる

周りにいる風達には見えないが、天乃にはその表情が見えた

天乃「誰もが通る道だもの。恥じるようなことではないわ」

その責任を担うべきは自分であるとすること

深くかかわっているからと大部分を担おうとすること

それが正しい場面もあり、決して間違いではないのだから。

今回ばかりはそれではいけなかったのだと諭されたからと言って、

恥じる必要はないのだ

天乃「自分がその立場になると、案外。分からなくなっちゃうものだもの」

夏凜「あんたにだけは、言われたくなかった」

天乃「一番言われた私だからこそ、言えることもあるのよ」

皮肉っぽく自慢げな表情を見せることもできたが、

天乃は穏やかに笑みを浮かべるだけに留め、その目を向けられた夏凜はちらりと見返して

天乃「んっ……!」

手早く、天乃の頬に手をあてがって整えキスをする

ほんの一瞬、触れ合ったという程度の軽いキス。

驚きに目を見開く天乃の一方で、夏凜は自分の唇に指をあてて、笑う

夏凜「行ってくる」


960 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/19(木) 00:43:36.59FaeHOsjYo (4/12)


天乃「あ……うん。うん、行ってら――」

東郷「何言ってるんですか、まだ5回残ってますよ」

天乃「えっ」

園子「にぼっしーだけ特別扱いは許されることと許されないことがあるんよ~」

にっこりと。

明らかに普通の笑顔とは違う何かを含んだ満面の笑みを浮かべる東郷達から

夏凜へと天乃は目を向けたが

夏凜は「よろしく」というように手を振って歩き出す

夏凜がいた場所にはすぐさま東郷が入り込み、園子、風、樹と続く

天乃「…………」

風「口は災いの元……ってね」

東郷「風先輩はしないそうなので二人分でお願いします」

風「ちょっとぉっ!? 東郷美森さん!?」

東郷「口が災いなら接吻はしない方がいいのでは?」

風「それはそれ、これはこれ!」

友奈「……先にしちゃうね?」

隣で勝手に勃発した取り合いの傍ら、

友奈達はそれぞれ、おまじないを求めて天乃に触れる

とても大事なことを行うからこその、願掛け

神に願うわけではないけれど、だからこそのご利益があるような気がした


961 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/19(木) 00:50:55.87FaeHOsjYo (5/12)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



園子「キスは?」

東郷「挨拶」

園子「ディープキスは?」

東郷「お子様定食」

園子「貝合わせは?」

東郷「酔い覚まし」

風「え?」

東郷「え? 蜆汁が出――」

風「アウトォ!」


962以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/19(木) 00:52:01.519imxVsnyO (1/1)


しじみで笑ったから寝る


963以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/19(木) 01:08:41.05LsHnkfa7O (1/1)


酔い醒ましで止まってたらシジミ汁とか分からなかったわ…例えのセンスがもうプロじゃん


964以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/19(木) 08:02:18.14BzbtyRF0O (1/1)


東郷さん前作では勘違いで大恥かいて精神崩壊しかかったのに…
どうしてこうなった


965 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/19(木) 22:28:20.91FaeHOsjYo (6/12)


では、少しだけ


966 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/19(木) 22:38:05.02FaeHOsjYo (7/12)


分岐


1、久遠さんサイド
2、勇者部サイド


↓2


967以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/19(木) 22:39:33.19AHLWn3qmO (1/1)

2


968以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/19(木) 22:39:56.29EJatpLKL0 (1/1)

2


969以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/19(木) 22:41:44.70B5purqUAO (1/1)

分岐来たか


970 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/19(木) 23:01:10.49FaeHOsjYo (8/12)


√ 11月08日目 昼() ※月曜日


夏凜「……そろそろね」

大赦から支給されている普通の端末で時間を確かめた夏凜は辺りを見渡してポケットにしまうと、息をつく

勇者になることが出来るのであればすぐにたどり着くことが出来るが、

そうではない現状、壁までの道のりは遠い

それを埋めるために頼んであるのが、瞳の車だった

巻き込むことは少しためらったけれど、

時間も限られている今、背に腹は代えられなかった

風「来た」

いつもの天乃送迎用の車ではなく、普通のワゴン車

ガラスを通して見える運転席の瞳を確認した風が声をかけ、全員の目が向けられる

もともとそんなことをするつもりはないが、

これでもう、後戻りすることは出来なくなった

瞳「お待たせしました、勇者ご一行様」

夏凜「アレは?」

瞳「預かって来てる。中身も確認してあるから大丈夫」

ぐっと親指を立てて見せる瞳に頷き、

夏凜を含め、全員が後部座席の方へと乗り込んでいく


971 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/19(木) 23:10:34.80FaeHOsjYo (9/12)


後部座席に一つに置かれたアタッシュケース

その中に、みんなの端末が入っていた

瞳「動かしますよ」

友奈「お願いします」

瞳「はいはーい」

僅かに車が揺れてゆっくりと曲がっていき、

病院の指示に沿った流れで車道へと向かっていく

東郷「……また、手にすることになるなんて」

園子「でも、また必要になるとは思ってたんよ」

東郷「…………」

友奈「久遠先輩のことがなかったとしても、私達は多分、また勇者になってたと思う」

端末を手に複雑な表情で呟かれた東郷の言葉に、

園子たちも対する考えを述べる

天乃のことがなかったとしても、

バーテックスとの決着が完全についたわけではないのだから

結局似たようなことにはなっていただろうと思う

それはみんなが感じていたことであり、思っていたことだ

樹「早くなっちゃったか、遅くなっちゃったか。協力か反乱かみたいな違いはありますけど」

風「状況的には早まった感あるわよね。本来の流れが反乱かどうかは考えても仕方がないし」


972 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/19(木) 23:28:34.65FaeHOsjYo (10/12)


夏凜「天乃がいなくたって、誰かの犠牲は必要だったんじゃない?」

生贄として

あるいは、かつての勇者のような戦闘による死者として。

神という超常的な相手である以上、

何の被害もなくという結果はまず難しいだろう

夏凜達が今行おうとしていることだって、

何の被害もなく終えようとしているわけではない

その被害、その負担を全員で分け合って軽減しようというものでしかない

友奈「それでも、私達はこうしてたと思う」

園子「ふーみん先輩やにぼっしー、ゆーゆやいっつんにわっしー……誰がその役割になっても、きっと」

天乃がいない分、みんなの関係は今と少し違うかもしれないけれど、

それでも、この繋がりは損なわれることはなかったはずだ

東郷「そうね……でも、私達には久遠先輩がいるわ」

夏凜「確かに意味ないこと言ったわね、ごめん」

素直に謝罪を口にした夏凜にみんなが頷く

それはやっぱり、天乃がいたからこその変化であることは間違いなかった

後ろからの声が途切れたのを感じた瞳は、

小さく笑みを浮かべると、ミラー越しに夏凜達を確認する

瞳「みんなに注意があるからよく聞いてね」


973 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/19(木) 23:45:57.43FaeHOsjYo (11/12)


瞳「今回の勇者システムは新しく調整されたものだから以前のものとは少し勝手が変わってるんです」

ある意味では劣化であり、

ある意味では進化ともいえるの。と、前置きした瞳は、

信号が赤なのを確認してから説明を続ける

瞳「以前、満開を使うためにはそれなりに手順が必要だったのは覚えてます?」

夏凜「大赦は経験値って言ってたけど」

瞳「うん、今回はそれが必要なくなって初めから使うこともできるようになってるの」

風「それは……って、喜べるようなことじゃなさそうね」

初めから切り札を使うことができる

戦ううえでこれ以上にないほど安心できるものだが、

ポジティブに考える友奈ですら、嬉しそうな声を上げることはなかった

友奈「なにがあったんですか?」

瞳「詳しくは私にも分からないんですよ。すみません」

そう言った瞳は申し訳なさそうに苦笑いを浮かべると、

聞いた話ですが、と、車を動かしながら説明を続けた

瞳「以前はその都度神樹様から力をお借りするという形でしたが、今回は初めから一定量の力を借りた状態という形になるそうです」

東郷「つまり、分割払いから一括払いに切り替わったということですか?」

瞳「そうなります……ね。その結果、限度額を超えた利用ができなくなりました」

要するに、借金が百万円で満開が百万円必要だったとしたら、所持金は0円となって満開は出来なくなります。と続けた瞳は

さらに、と強調する

瞳「身を守るバリアも同じく力を消費するため、一回十万円のバリアだとしたら十回しか防げず、生身に傷を負うことになります」


974 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/19(木) 23:57:00.99FaeHOsjYo (12/12)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
設定は独自の解釈と久遠さん世界ということで変わっている場合もあります



瞳「ちなみに、満開費用は百万円ではなく、所持金全額です」

夏凜「……つまり、満開を正しく使うほどの力は貸せなかったってことじゃないのそれ」

園子「言い換えれば、神樹様のヘソクリだね~」

風「バリアは有限で満開は最初から使えるけど、使えばバリアが張れなくなる……か」

友奈「でも、前も久遠先輩の為に怪我を避けようって頑張ってたから」

友奈「満開が出来るようになっただけで、変わらないって考え方もできるんじゃないかな」


975以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/20(金) 00:00:25.23u2i2ofWqO (1/1)


開発費用高ぇ


976以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/20(金) 00:02:28.67HFuVrbGRO (1/1)


やはりここからは勇者の章仕様の端末だったか…
ゲームでの戦闘ルールにも反映されるなら久遠さんいても難易度跳ね上がりそうだな


977 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/20(金) 22:50:58.27bRIP9OVfo (1/1)


すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
出来れば明日、少し早い時間からの再開を予定しています


978以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/20(金) 22:51:53.12zM9NIgudO (1/1)

乙ですー


979 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/21(土) 23:42:38.31xZQ2WOoHo (1/1)


遅くなりましたが、少しだけ


980以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/21(土) 23:49:44.682kzcQMm2O (1/1)

来てたか


981 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/22(日) 00:29:56.08DednJTVDo (1/4)


園子「つまり、二年前の機能に回数限定の守護機能が付いた感じだよね~」

瞳「そうですね、園子様、久遠様、東郷様から見ればそのような形になります」

園子「……過去と現在のいい塩梅?」

友奈達の世代からしたら劣化しているように感じるが

園子たちの世代からしてみれば、十分に進化していると言える形だ

夏凜「で、満開を使った時の代償はあるの?」

瞳「生傷を負うことになりますが、前回のように体の一部を供物としてささげると言ったことは起こらないと聞いています」

詳しいことが判明しているわけではないが

全身が生粋の人間であったのに対し、

今は幸か不幸か体の一部が神樹様によって賄われている状態なのだ

おかげで、神樹様の力を用いることによるペナルティがない。らしい

樹「………」

東郷「あまり生傷を負うのも良くはないのよね……久遠先輩に見られたら心配させてしまうわ」

友奈「今までと同じでも、新しくなっても、簡単に使えないことには変わりないってことだね」

風「それどころか、アタシ達からしてみれば簡単に攻撃を受けることも許されなくなったってわけだ」


982 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/22(日) 00:39:30.54DednJTVDo (2/4)


園子たちの世代に比べれば生易しい話になってしまうかもしれないが、

正直に言えば、精霊に守られていたからこそ、命が助かったという場面は多々あった

それでなくとも生身の状態でバーテックス

それ以前に星屑の攻撃を受け得ようものなら、身体の一部を失ったり、

使い物にならなくなってしまう覚悟も必要だろう

芽吹との争いが起きても流石にそこまで凄惨な被害は出ないかもしれないが

万が一、バーテックスが襲ってきた場合には、それを踏まえたうえでの戦闘が必要になってくる

だが……

樹「でも、受けたら負け。だったよね」

夏凜「……ま、確かにね」

それを認めれば、今までの自分たちの戦いは敗北しかないことを認めることになるが、

試合に負けても勝負に勝つ。という言葉があるように

負けたわけではないのだから、問題はなかったと言えるかもしれない

東郷「でも、これからは被弾さえ許されないというのが辛いところだわ。もちろん、学んだことを活かせば良いだけですが」

そうはいっても一筋縄ではいかないだろうし、

今までと同様では、勝負に勝つことも出来なくなってしまう

ダメージを積み重ねればバリアは消滅し、

そして、本当に大事な場面でその効力がないばかりに命を落とす可能性もある


983 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/22(日) 00:48:31.00DednJTVDo (3/4)


皆が緊張に息を呑む

もっと酷い時代を経験している園子はともかく、

夏凜達は厳しい状況は覚悟の上だったが、それでも、想像以上に厳しい状況だった

瞳「こんなことを言うのもあれかもしれませんが、出来る限り戦わずに逃げて頂きたいと思います」

夏凜「バーテックスから逃げろって、そんなの……」

風「ただ壁の外に出たあとに襲撃されるって言うならまだ退くのも分からなくはないけど」

樹海化した状態で逃げ帰ったりなどしたら、

本末転倒という言葉ですら引き合わない残念な状況に陥ってしまう

樹「出来れば、逃げたくはないです」

友奈「壁の外でも、見逃したらそのバーテックスが襲ってきちゃうかもしれないから」

かもしれない。ではなく、確実だろう

バーテックスに士気というものが存在するのかは分からないが、

あるのだとしたら士気は上がるだろうし、その分勢いも増してくることだろう

夏凜「…………」


1、為せば成る。それも、みんなでなら、たいてい何とかなるんじゃないの?
2、怖いなら、退いても良いわよ。誰も責めたりしないでしょ
3、上等よ。そもそも、裏切る相手の力を借りるってんだから、守られるだけ儲けもんだわ


↓2


984以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/22(日) 00:51:57.615y9F+suRO (1/2)

1


985以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/22(日) 00:55:18.88F/LNvHT6O (1/1)




986以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/22(日) 00:56:22.03igCjUihbO (1/2)

3


987 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/22(日) 01:04:01.87DednJTVDo (4/4)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
場合によっては行えない可能性もあるのでその場合は少し早めに一報入れる予定になります


瞳(そうですよね)

瞳(逃げるわけがない……ですよね)

瞳(……勇敢と無謀は違う。けれど、みんなにとってこれは無謀ではない)

瞳(夏凜ちゃん……みんな……)


988以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/22(日) 01:12:35.36igCjUihbO (2/2)


久遠さんが今回の満開システムのこと聞いたら今まで以上に無理してでも止めにいきそう


989以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/22(日) 01:17:22.835y9F+suRO (2/2)


頑張れ勇者部!


990 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/23(月) 21:58:09.63eHh5cKvro (1/6)


昨日は失礼しました
本日は進めていきます


991以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/23(月) 22:07:29.66f/zE4YVAO (1/2)

久々に早いぜ!


992 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/23(月) 22:27:45.37eHh5cKvro (2/6)


夏凜「満開は一回限り? 守って貰えるのも回数制限? 上等じゃない」

皮肉を言うかのような笑みを浮かべながら零した夏凜へと、みんなが目を向ける

その視線を感じながら夏凜は委縮することなく、

はっきりと口を開いて考えを述べる

夏凜「そもそも裏切る相手の力を借りるってんだから、守られるだけ儲けもんだわ。違う?」

風「ん――」

友奈「夏凜ちゃんの言うとおりだと思う」

夏凜に目を向けられた風が答えるよりも早く、

近くにいた友奈が力強く答えて、ぐっと体に力を込めた

友奈「少ししか守って貰えないんじゃなくて、神樹様に悪いことするのに守って貰えるんだ……」

だからもしかしたら。と友奈は続けて

友奈「神樹様は久遠先輩と私達、それとこの世界……ううん、大赦と防人の人達を試してるのかもしれない」

樹「試してる……ですか?」

友奈「うんっ!」

東郷「人間同士互いに必要なものがあったとき、どのような行動をするのか。ね」

園子「話し合いで解決するのか、戦い奪い合うのか」

風「だとしたら、なおさら説得を上手くいかせる必要が出てくるわね」


993 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/23(月) 22:36:47.94eHh5cKvro (3/6)


風「ただ、楠さんの性格的に、はいどうぞってなる気がしないのよねぇ」

夏凜「まず間違いなく断るし、武器を向けてくるでしょ」

芽吹はそういうやつだから。と

夏凜は芽吹のことを良く知っているような口ぶりで答えながら、

そのことを悪く思っていないと感じる笑みを浮かべて見せた

園子「にぼっしーはなにか考えがあるの~?」

夏凜「向かってくるなら叩きのめす。そんな考えしかないわよ」

けど。と、首を振る

夏凜「冷静に考えてみれば、ぶつかることが必要なこともあるのかもしれない」

樹「夏凜さんも、一番初めはそうだったんですよね」

東郷「友奈ちゃんを襲って、久遠先輩を怒らせて……」

風「マジギレした天乃に体育館で徹底的に叩きのめされて」

友奈「でも、今はこうやって……久遠先輩のためにってみんなで協力してる」

園子「互いの思いをぶつけあってこそ、より濃厚なものが出来上がるんだよね~」

懐かしい思い出を語り合い、

楽し気な笑みを浮かべる者もいれば、苦笑いする者もいて

その傍らにいる園子だけは、また違った怪しい笑顔で呟いた


994 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/23(月) 22:58:13.49eHh5cKvro (4/6)


互いに嫌がらせをするつもりはない

ただ、互いの意思、守るべきものの為に力を尽くすだけだ

神様がそれを見て、何を思うのか感じるのか

それは分からないけれど

夏凜「芽吹は世界の為に、私達は私達の世界の為に為すべきことを為すだけよ」

恰好をつけたわけではないが

自分の考えを述べた夏凜をじっと見つめていた園子は不意に茶化すような笑い声をこぼす

園子「むふふ~」

夏凜「な、なによ。変な笑い方――」

園子「天さんっぽいな~って、思っただけだよ~」

夏凜「は?」

園子「天さんなら、きっとそう言うと思うんよ。ぶっきーと戦うことになったとき、天さんはきっとそう言って笑うと思うんだ~」

風「で、勝った後にこういうのよね。大丈夫よ楠さん、世界は私が守って見せる。それが、打ち勝った者の責任だもの。とか言って手を差し伸べる」

東郷「想像に易くて困りますね……」

樹「楠先輩まで嫁にする勢いなのに、久遠先輩には全くそんな考えないんですよね」

夏凜「芽吹がいなくなる時にもっと親密になりたかった的なこという奴だし、今更でしょ」


995 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/23(月) 23:16:15.13eHh5cKvro (5/6)


夏凜達は天乃がいないのをいいことに、呆れたように語る

もっとも、天乃がいても居なくても

似たようなことを話したりはするのだろうが。

風「アレには困ったもんよ。嫁代表三好さんはどう思います?」

夏凜「なによ代表って……言って治るようなもんじゃないでしょアレは」

そもそも悪いことをしているわけではないし、

樹が言ったように本人は口説いたりなんだりしているという自覚はなく、

ただ、負うべき責任、かけるべき言葉などを考えての言動でしかない

注意する様な部分が口説くような言動は控えろ。という

もはやヤキモチのような理由になってしまうので、言えるわけもない

東郷「久遠先輩は自由にしている時が一番輝いていると思うわ」

友奈「うんっ、だから好きなこと一杯させてあげたいなっ」

樹「そのために、これから頑張るんです」

風「ある意味不純かもしれないけど……アタシたちにとっては、これ以上ないほどに純粋な戦う理由よねぇ……」

園子「神樹様や天の神がそれをどう思うかなんて関係ない」

普段ののんびりとした口調を抑えた園子は、みんなの手が届く位置に手を伸ばして

園子「成し遂げるんよ、ここにいるみんなで」

それぞれの手が重なっていく

その力強さ、心強さを感じ、園子は自分のいなかった二年間の厚みをより重く感じた


996 ◆QhFDI08WfRWv2018/07/23(月) 23:22:26.80eHh5cKvro (6/6)


次スレ

【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1532355674/


コンマ判定のみになりますが、続きは次スレで行います


997以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/23(月) 23:26:04.49f/zE4YVAO (2/2)

了解


998以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/24(火) 00:15:05.94jw/NoKlYO (1/3)

埋めるでー


999以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/24(火) 00:15:40.36jw/NoKlYO (2/3)

埋め


1000以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/24(火) 00:16:11.84jw/NoKlYO (3/3)

では乙