1 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/16(月) 22:24:59.913asXnbEXo (1/7)

このスレは安価で

乃木若葉の章
鷲尾須美の章
結城友奈の章
―勇者の章―

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的

東郷家、犬吠埼家への挨拶
伊集院家の説得
勇者部による演劇(文化祭)
元気な子供
進路決定



安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2
基本的には9月14日目が最終


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%
※ストーリーによってはHP0で死にます


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに

前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1464699221/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1468417496/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1472477551/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【四輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1477053722/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【五輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1481292024/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1484833454/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【七輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1488104860/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【八輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1491918867/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【九輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1495544664/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499086961/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1503148550/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1507900727/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1512897754/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十四輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1517577349/



2以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/16(月) 22:30:36.541Mjd3BeFO (1/2)

立て乙


3 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/16(月) 22:31:58.043asXnbEXo (2/7)


天乃「それならぜひ参加させてもらうわ」

「良かったぁ、天乃ちゃんは子供にも好かれやすそうだから助かるわ」

天乃「スタッフとしては働かないわよ?」

「大丈夫大丈夫、いてくれるだけで多分大丈夫だから」

頼りにされてしまっているのは気のせいではないだろう。

自分ではほとんど何もできないからと否定する天乃だったが、

看護師としては天乃の存在がそこにあるだけで充分らしく

子供たちにとっての保育士のような存在足り得るとでも考えているのかもしれない

天乃「私、そこまでの母性はないと思うわ」

「天乃ちゃんは天乃ちゃんが思うよりも魅力十分よ。少しは自信持つべきだと思うの」

天乃「自身がないとは言わないけど……」

「私って魅力的な女よ。とか言っても嫌味にはならなそうな感じあるし」

天乃「夏凜に言ったら呆れられるわね」

魅力的な女を自称していないが、

似たようなことを自慢げに言う勇者部の某部長

それに対する夏凜の対応を思い出した天乃は笑みを浮かべて首を振る

天乃「それで、私は何に参加するの?」

「一通り参加できるわよ」

天乃「お菓子とかお話とか、勇者部でよくやっていることね」

「そうなの? そう言えば、勇者部の話を聞いたことあるかも……」


4 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/16(月) 22:46:34.223asXnbEXo (3/7)


思い返そうと唸った女性看護師は、

そうそう。小さい子が特にね。と笑顔を浮かべて切り出す

「勇者部のおねーちゃん達はいないのー? って」

天乃「そこまで人気があるとは思わなかったわ」

小さい子供……特に幼稚園などで演劇や本の読み聞かせ、紙芝居を行ったり、

人通りの多い商店街などでの掃除の手伝いや、個人店の軽いお手伝い

猫や犬などの探しやお祭りなどのイベントのお手伝いなど多岐にわたって出向いているため顔が知られているのは当然だが……

「子供は基本的に遊んでくれる人が好きだからねぇ」

天乃「友奈が人気ありそうだわ。あと、風」

もちろん、樹たちもだが

特に同年代のようにはしゃいで遊びまわってくれそうな二人に対しては

より一層の好意が向けられているのだろうと天乃は思う

「勇者部って凄いわねぇ」

天乃「ええ。勇者だもの」

最近は依頼を行うこともほとんどできなくなってしまっており

たくさんの人を不安にさせてしまっているのかもしれないと考え、天乃は少し困った表情を浮かべる

元々車椅子の自分や東郷が出張れないのは仕方がないと割り切られるとしても

快活な友奈達がまったく出てこないというのがより不安をあおってしまっているだろう

天乃「……年末年始は巫女さんの真似事でもするしかないかしら」

「え?」

天乃「こっちの話」


5 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/16(月) 22:53:46.763asXnbEXo (4/7)


「それじゃぁ、お昼ごろになったら迎えに来るわね」

天乃「ごめんなさい、よろしくお願いします」

「いいのよ。誘ったのは私だもの」

病室のドアが閉じ、一人が減った瞬間、一人が増える

若葉「……ハロウィンか」

女性看護師が病室を出て行ったのと入れ替わるようにして

どこからともなく姿を現した若葉は安堵したような

しかし、どこか申し訳なさを感じる表情を浮かべていた

天乃「若葉たちもこっそり参加する?」

若葉「そうだな……問題なければ紛れ込もうか……ふふっ、一種の怪談話だな」

いないはずの人がいる。10人しかいないのに数えると11人いる

そんなよくある怪談話のようだと苦笑する若葉は、

不意に笑みをかき消して「天乃」と名を呼ぶ

若葉「すまないな、本当は別の――」

天乃「良いわよ。もとはと言えば私が原因なんだもの」

ハロウィンのイベントを勇者部で行って楽しもう

そんな話も今の状況ではなかったことにするしかない

文化祭も、ハロウィンも

次から次へと楽しむはずの行事の約束を反故にしてしまうことを詫びる若葉に

天乃は優しく笑みを浮かべる

天乃「否定は、しないでね」

若葉「……嫌な命令だな」

天乃「じゃないと貴女、自分の力不足だって言い出すでしょう?」

優しい笑みから困った表情へ

緩やかに切り替えた天乃はふとため息をついて

天乃「そういうのって、結構面倒なのよ」

若葉「天乃が言うべきことじゃないぞ。まったく」

天乃「ふふっ、自覚したんだな? と、言いなさい」

若葉「威張るところじゃないな」


6 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/16(月) 23:12:05.333asXnbEXo (5/7)


茶化すように威張って見せる天乃の笑みに若葉は手を焼かせる子供へと向けるような

呆れつつも元気のよさを喜ぶ笑みを浮かべて、考えを切り替える

ハロウィンを行おうという約束

それを反故にしてしまった罪悪感を持ち出しすぎると

かえって天乃に嫌な思いをさせてしまうからだ

若葉「大分調子も良さそうで何よりだ。一時はどうなることかと思ったが……」

天乃「夏凜たちのおかげでね」

若葉「ああ、彼女たちには本当感謝しているよ」

千景の暴走を止めてくれたり、

万事休すな状況でも諦めない心を持っていてくれて

若葉たちが消えることで天乃の体の不可を取り除くという、

ハイリスクハイリターンな方法をとらずに、自分たちを賭けてくれた

感謝してもしきれないと若葉は心の中に思って

若葉「夏凜達だが、順調に穢れが抜けてきているから11月上旬にも元通りになれるはずだ」

天乃「本当?」

若葉「順調に行けばだが……戦いは行っていないし、問題ないだろう」

推測ではあるがほぼ断定しても良いという若葉に

天乃は少しだけ期待しておくわね。と

少しではない満面の笑みを浮かべていて

若葉「少しだけだぞ」

若葉は祈る

彼女達に何も起こらないようにと

入れ替わるように、天乃へと不幸が訪れないようにと。


7 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/16(月) 23:13:30.813asXnbEXo (6/7)


√ 10月14日目 昼(病院) ※日曜日

01~10 
11~20 友奈
21~30 
31~40 
41~50 千景
51~60 
61~70 風
71~80 
81~90 九尾
91~00 

↓1のコンマ 



8以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/16(月) 23:13:43.56p4UHI+VfO (1/2)




9 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/16(月) 23:21:44.023asXnbEXo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


ちょっとしたハロウィンイベント


10以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/16(月) 23:23:24.49p4UHI+VfO (2/2)


もうそろそろ久遠さんも元気になるかな


11以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/16(月) 23:27:02.581Mjd3BeFO (2/2)


シリアス展開が長かった分みんなで楽しめるイベントにしたいな
あと11月になったらいよいよ完全体の園子様とか解禁されるのだろうか


12以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/17(火) 19:44:41.314KJgfLw5O (1/3)

よく考えたら園子完治してもえっち出来ないのか
普通に不憫


13以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/17(火) 20:48:20.31DaDVhS+YO (1/1)

友奈と東郷さんの時みたいに園子が受けならまだいけるのでは


14 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/17(火) 22:12:47.929Sk08Heoo (1/7)


では少しだけ


15以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/17(火) 22:16:43.83vlKgfkPYO (1/3)

かもん


16 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/17(火) 22:20:39.349Sk08Heoo (2/7)


√ 10月14日目 昼(病院) ※日曜日


病院で行われるハロウィンの催しは

外などで行われているものよりも規模は小さい

だが、子供たちにとってはそれでも退屈な入院生活を楽しませてくれる一つの催しなのだろう

会場となっている広い部屋ではたくさんの子供たちが集まっていた

天乃「賑やかね」

「子供たちはこういう催し物は好きなんですよ」

天乃「ふふっ、確かにね」

幼稚園などで演劇を行う際も

テレビでやるようなヒーローもののものではなくても

子供たちはとても楽しんでくれる

男の子だけでなく、女の子もだ

樹「あっ、久遠先輩っ」

天乃「あらっ」

かけられた声に目を向けると、

帽子だけのものではあるが、細やかな仮装をした樹がタロットカードを片手に近づいてきた

樹「来てくれたんですね」

天乃「ええ、身体の調子も良いし。せっかくのお誘いだもの」

樹「良かったです。元気になってくれて」

嬉しそうに言う樹は昨夜に見せていた影のない笑みを浮かべていて

天乃もつられて笑みを浮かべる


17 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/17(火) 22:38:22.269Sk08Heoo (3/7)


天乃「樹は魔女の仮装よね? 全身じゃないのは残念だけど……かわいいわ」

樹「えへへ……」

照れ臭そうに頬を染めて幅広の唾を摘まんで深めに被った樹は

帽子の影から目を覗かせて、それでですね。と口を開く

樹「私は占いをやってるんですっ」

天乃「樹の占いは良く当たるって人気だものね」

樹「それほどでもないですけど」

そう答える樹の背後、

樹がさっきまで占いをやっていたであろう場所では何人かの子供―全員女の子―が集まっていて

その内容は聞くまでもなく、明白だった

天乃「恋占いね……ふふつ、私の運命の相手も占ってもらっちゃおうかしら」

樹「久遠先輩にはもういますよ?」

天乃「そうね。そうだけど……」

楽し気に笑った天乃は「そうなんだけど」ともう一度繰り返して、

帽子の隠れた樹の顔をしたから見上げて

天乃「私がいるじゃないですかって、言わないのね」

樹「っ!」

天乃「ふふっ、かわいい」

樹「か、からかわないでくださいっ」

飛ぶように後ろへと引き下がって声を上げる樹

その愛らしさを喜ばしそうに言う天乃へと樹はちょっぴり目を細める

天乃の運命の相手は自分ではなく夏凜だと思っているのだ

しかし、天乃はその視線に気づいていないのか笑顔で

天乃「私としては、貴女達みんなが運命の相手だと思ってるのよ?」


18 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/17(火) 22:50:15.789Sk08Heoo (4/7)


誰か一人欠けていてはここまでこれなかったかもしれない

ここまで来れていたとしても、誰かが欠けていたかもしれない

あるいは、ここまで生きていたいと

そんな願いを持つことはなかったかもしれない

だからこそ、天乃は思う

天乃「勝手に。だけどね」

樹「やっぱり、久遠先輩は久遠先輩ですね」

天乃「どういう意味か気になるんだけど――」

「お姉ちゃんお姉ちゃん、まだー?」

天乃「樹お姉ちゃんはまず、その子たちの相手をしてあげないとね」

樹「久遠先輩にお姉ちゃんって呼ばれるとなんだか照れちゃいます」

かわいらしく照れ笑いを浮かべる樹が子供たちに引っ張られ、占いへと戻っていくのを見送った天乃は

部屋の片隅で男の子を集める女性へと目を向ける

樹の占いや、折り紙でのかぼちゃやお化けなどの折り方など

いくつかの催しがある中の一つ

樹とは違って完全に魔女の衣装を着こんだ女性

光をきれいに反射させる輝きは美しく

魔女と言われても信じられるような姿

その女の人は子供たちに一定以上離れるように言うと、両手を合わせて離す

その瞬間――ボッっと小さな爆発のような音が鳴り、

女の人の手と手の中心に赤い光が輝いていた

子供たちの歓声と称賛

手品だなんだと楽しそうに聞こえる声を向けられる女性は

浮かぶ火の玉を右手の平に乗せて、くくくっと、悪戯っぽく笑う

九尾「南瓜提灯というものを知っておるじゃろう? これはそれの元になった光。どうじゃ、美しかろう?」


19 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/17(火) 23:12:31.329Sk08Heoo (5/7)


「すげーっ、どうやったの!」

「手品だよ手品」

「糸でつるしてるんだよ」

「でも糸なら燃えちゃうよー?」

九尾「くふふっ、妾は魔女じゃ。魔法を使ったのじゃよ」

そう言った九尾は

掌の上で踊る火の玉を手で包むと、ぎゅっと握り込んで

「やけどしちゃう!」

九尾「普通ならするが、魔法ではせぬ」

傷一つない掌を子供たちへと見せた九尾は

その手のひらを握ったりもんだり突いたり

何か隠しているのではないかと調べる子供たちの背後から感じる視線に気づき、

にこやかに笑う

九尾「眠り姫ではないか」

天乃「何してるの……貴女」

天乃が近づくと子供たちは九尾から離れ

九尾が出した火の謎について話し合いを始める

手品説を押す者

魔法を信じる者

子供たちにとっては楽しい催し物のようで

九尾はそんな子供たちを横目に答える

九尾「催し物には派手さが足りぬと思うてのう。ちょいと協力してやっているだけじゃ」

天乃「協力って……」

九尾「狐火を見せるだけじゃ。危害はない」


20 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/17(火) 23:33:21.549Sk08Heoo (6/7)


念のために離れるようにと指示していたし、

火力は最小限ですぐに消したことからも

それは解ってはいるのだが

九尾が自発的に行っているのが少し、気掛かりなのだ

九尾「何もせぬ。安心しておれ」

天乃「それは良いのよ。それは……」

気にはなるが

天乃が無意味な犠牲を好まない以上

天乃が元気になっている今余計なことはしないはずだ

それを天乃も分かっているからか、

悩まし気な表情を浮かべながら頷く

天乃「それで? なんで狐火なの? 南瓜提灯の元の光って言ってたけど」

九尾「正しくはあの光を現したのが南瓜提灯じゃな」

そう言った九尾はもう一度狐火を出すと、

狐火を代替として見せつつウィルオウィスプとジャック・オー・ランタンについての話をする

謎の光について話し合っていた子供たちも

九尾の披露する怪談にも似たお話は好みだったらしく、静かに耳を傾けていた

九尾「だから、これがもとになった。というように話したわけじゃ」

最後の最後でもう一度小さな火を出して、かき消す

九尾のパフォーマンスに子供たちは大喜びだった



1、風を探す
2、ねぇ、どうして貴女が西洋の文化に詳しいの?
3、あまりやりすぎないようにね?
4、友奈達のところに行く
5、夏凜のところに行く


↓2


21以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/17(火) 23:34:22.304KJgfLw5O (2/3)

4


22以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/17(火) 23:34:49.59n2SwkBQy0 (1/1)

4


23以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/17(火) 23:35:17.67vlKgfkPYO (2/3)

5


24 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/17(火) 23:49:00.469Sk08Heoo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「トリッ――」

東郷「お菓子はありません!」バンッ

天乃「っ!?」

友奈「えっと、あ……えーっと……にょ、女体盛り? ならここに!」

天乃「東郷」チラッ

東郷「え、冤罪です!」

樹(この前パソコンで見つけたやつだ……)


25以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/17(火) 23:49:36.864KJgfLw5O (3/3)


アリだな


26以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/17(火) 23:55:03.41vlKgfkPYO (3/3)


魔女っ子いっつんかわいい
あとなんだかんだ言って九尾もハロウィンをエンジョイしてるな


27以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/18(水) 09:19:51.25+yLrHe9AO (1/1)


久遠さんは平気で運命の相手と言えてしまうから久遠さんなんだよなぁ
嬉しいに決まってるじゃんこんなの


28以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/18(水) 14:31:22.11VEc1A2YIo (1/1)

友奈達の部屋に行くなんて…お菓子(て)貰いに行くのかな?


29 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/18(水) 22:28:04.68hO1hKVbZo (1/7)


では少しだけ


30以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/18(水) 22:29:24.25QGdSxFExO (1/3)

ほいさ


31 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/18(水) 22:36:47.81hO1hKVbZo (2/7)


天乃「友奈達は……来てないのね」

「そのようですね。やはり、身体の症状的に出歩くのは難しいのかもしれません」

いつ、どこで、

何が起きてしまうのか、何をしてしまうのか

自分の理性だけではどうしようもない状況の友奈達は

病室から出ることは出来るかもしれないが、出てくる気にはなれないのだろう

見知らぬ人の前で高ぶって淫らな行為に没頭してしまう。

そんなことになったら、友奈達は二度と表を歩けないと思うかもしれない

それなら……と

天乃は考えて看護師の女性へと声をかける

天乃「友奈達のところに行きましょう」

「え……本気ですか?」

天乃「大丈夫よ。襲われたりするわけではないし……」

「ですが」

天乃「あのお菓子も持って行ってあげたいわ」

「…………」

忠告しようとしても受けようとしない天乃を見つめていた女性は、

どうしても行くのだろうと半ば諦めた様子で肩を落とし、お菓子を配る同僚のもとへと天乃を連れていく


32 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/18(水) 22:44:08.05hO1hKVbZo (3/7)


天乃「あと二人分頂けないかしら」

「二人分?」

天乃「病室から出られない二人にも渡してあげたいのよ。駄目かしら?」

車椅子の少女の必然的な上目遣いを前に、

パンプキンパイを配る女性看護師は困ったように天乃の担当看護師へと目を向けて、

特に遮る様子もなくお願いします。と、むしろ求めてくるのを確認して笑みを浮かべる

子供に対しての、優しい笑顔だ

「お友達の分ね、はい。どうぞ」

子供に対するようなゆったりとした明るい言い方と、渡し方

この場での儀礼のようなものなのだろうが、

天乃は受け取ったお菓子の包みをじっと見つめてから、

渡す係の女性へと目を向ける

天乃「友達じゃないわ。恋人よ」

「えっ?」

天乃「恋人」

最初こそ驚いた女性だったが、

天乃の平常な物言いに冗談だと考えたのか、

ただ好意があるだけの相手だと考えたのか

冗談に乗っかったような笑みをこぼして「そうなのね」とつぶやく

「貴女みたいな子に好かれるくらいなんだから凄くいい子なのね」

天乃「ええ」

きっとよく分かっていないだろう女性に天乃は満面の笑みを浮かべて首肯すると

天乃「とても可愛い女の子よ」

「!?」

驚く女性を横目に、天乃は看護師の女性にお願いして

友奈達の病室へと向かうことにした



33 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/18(水) 22:55:16.41hO1hKVbZo (4/7)


「あの、本当に行くの?」

天乃「デジャヴュを感じるわね」

「……………」

もうすでにハロウィンの会場を出て友奈達の病室へと向かって数分

あと少しでたどり着くというところになって、女性看護師は引き止めるような言葉をまた切り出す

前回、粗相をしてしまったということもあって、

やはり、心のどこかで怯えてしまうのだ

冗談でいざというときは天乃に責任を取ってもらうなどということを言ったが……

流石にそれを本当のことにするわけにはいかない

「天乃ちゃん、エッチな事をする為に行くの?」

天乃「それも半分くらい目的ではあるわ。もちろん、場合によってだけど」

看護師は知らないが、

友奈達が淫らな行為を行いたい衝動に駆られてしまう原因は穢れにあり、

それを早急に消してしまうために天乃は淫らな行為を行う

だからこそ、友奈達が昨日のような状態ではないのならば行う必要はない

天乃は会場でもらったパンプキンパイの入った包みを掲げて見せると

せっかくのハロウィンだから。と、笑みを浮かべる

天乃「少しでも共有したいって気持ちの方が強いわ」

文化祭を一緒にできなかったからこそ

その気持ちも余計に強いのかもしれない


34 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/18(水) 23:05:13.32hO1hKVbZo (5/7)


天乃は全く戻ってきていないが、

友奈に関しては味覚の回復も少しずつではあるが順調に進んでいるだろうし、

味の感じられるお菓子を食べさせてあげたいという気持ちもある

本来なら、東郷の牡丹餅が優先的なのかもしれないが。

今はこの状況だ、ないものは出せない

いっそ作ってあげてもいいけれど。と思いつつ

味覚のない自分にはそれは無理だと考え直して、

天乃「貴女がどうしても駄目だというのなら、引き返しても良いわ」

「いいの?」

天乃「これは私の我儘だもの。ある意味で、貴女は被害者だから」

無理強いはしない

どうしても駄目、どうしてもいやだというのなら仕方がない

そう割り切って言う天乃の声に耳を傾け、足を止めた看護師の女性は

少しだけ躊躇いながら……また足を前へへと進めて

「するときは、部屋から出ていくからね」

天乃「……混ざっても良いのよ?」

「だーめ。中学生の女の子とエッチで盛り上がれるようになっちゃったら結婚できなくなっちゃう」

なるようになれ

そう言いたげな声色で適当に笑って見せる看護師は、

責任を取ってもらえるならそれでもいいけど。と、冗談ぽく、半分の本気を呟いた


35 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/18(水) 23:07:16.74hO1hKVbZo (6/7)


01~10 
11~20 白熱中
21~30 
31~40 
41~50 ガンガン行こうぜ
51~60 
61~70
71~80 くんずほぐれつ 
81~90
91~00 たのしいぷろれす 

↓1のコンマ 


※空白は通常


36以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/18(水) 23:09:38.52UPYxhXaxO (1/1)




37以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/18(水) 23:09:41.49QGdSxFExO (2/3)




38 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/18(水) 23:15:44.75hO1hKVbZo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から行う予定ですが
もしかしたらお休みになるかもしれません



友奈「とりっくおあとりーと!」

天乃「はいどうぞ。じゃぁ、友奈」

友奈「はい?」

天乃「トリックオアトリート!」

友奈「ええっ!?」

東郷(子供が二人に見えるわ)


39以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/18(水) 23:20:07.133uSBw7SMO (1/1)


かわいい


40以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/18(水) 23:26:08.32QGdSxFExO (3/3)


友奈ちゃんたちがそんなに発情しやすいことを考えると襲うことを踏みとどまった夏凜ちゃんの精神力って相当凄かったんだな


41以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/19(木) 06:49:48.45ThpC6YesO (1/1)


陽乃さんの血を引いてるからな
久遠さんが楽しんでるだけで日常は尊いわ


42以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/19(木) 19:32:51.433agj7SemO (1/1)

夏凜に関しては軽めの友奈たちがアレなの考えると適度に汚れ抜けてくるこれからなんじゃないの?


43 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/20(金) 21:35:47.84W5MFq/zzo (1/6)


では少しだけ


44 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/20(金) 21:39:36.82W5MFq/zzo (2/6)


天乃「友奈ー? 東郷ー?」

病室の扉を軽く叩いて、まずは声をかける

もしも万が一淫らな行為をしていた場合、大きなノックは驚かせてしまうし

訪問者がだれか分からないとどうするべきかに迷いが生じてしまうからだ

もちろん、

天乃だから関係なく没頭してても良いとは考えないだろうが。

天乃「は――」

返事がなく、もう一度声をかけようとしたところで扉が開いて

風を巻き起こしながら、何か白い物体が飛び出す

友奈「ばあっ!」

「っ」

驚いた……わけではなく。

おそらくは病室内の白いカーテンを被っただけのオバケに車椅子がぶつからないようにと身を引いたのだろう

車椅子が揺れたのを体に感じて言葉が一歩後退りした隙に、

オバケ―明らかに友奈―は白い手を差し出す

友奈「トリックオアトリートっ!」

天乃「あるわよ」

友奈「とりーと?」

天乃「ええ」

明らかに友奈だと

そう確信してにやりと笑みを浮かべた天乃は、

パンプキンパイの入った包みをちらつかせながら、口を開く

天乃「でも、幽霊はお菓子を食べられないから駄目よ。食べ物を粗末には出来ないわ」

友奈「食べられますっ」

案の定、自分でずるりと布を引きずり剥いで勢い有り余る様子で宣言する友奈が姿を現して

天乃はより一層悪戯っ子の笑みへと深めていく


45 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/20(金) 21:43:52.38W5MFq/zzo (3/6)


天乃「知ってる? ハロウィンでは仮装をしないでお菓子を食べると自分自身がオバケのお菓子にされちゃうらしいわ」

友奈「えぇっ!?」

天乃「嘘よ」

友奈「久遠先輩っ」

本気にしちゃったじゃないですか。と

本気には見えない可愛らしい抗議の声を耳にして天乃は苦笑する

完全に穢れが抜けきったわけではないが、

若葉が言ったように本当に問題ないのだろう

顔色も、声色も何も問題なさそうな友奈を認めた天乃は貰ってきた包みを差し出す

天乃「はい。パンプキンパイよ」

友奈「わーい」

昨日の件に関しての負い目も抱えている可能性が少なからずあったが、その心配は要らないらしい

天乃はおばけの仮装を忘れて喜ぶ友奈をほほえましく見つめて、小さく息をつく

天乃「友奈、中に入ってもいい?」

友奈「あ、はいっ。大丈夫です」

受け取った包みの中をまじまじと眺める友奈に声をかけ、病室の中へと入っていくと、

昨日のような淫猥なにおいは微塵も感じなかった

ただ、窓が開いているというだけではない

おそらくだが、朝からさほど没頭することがなかったがゆえだろう

東郷「友奈ちゃん、仮装はやめちゃったのね」

友奈「幽霊だとお菓子は食べられないって久遠先輩が……」

東郷「そういう時は悪戯するって、言ってなかった?」

友奈「あっ……」

東郷「もう、友奈ちゃんったら」

友奈「えへへ」


46 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/20(金) 22:06:06.93W5MFq/zzo (4/6)


天乃「調子は良さそうね」

東郷「昨日、久遠先輩お相手して貰えたからだと思います」

天乃「あながち冗談とも言えないのよね、それ」

力を有している天乃が行うことで、

東郷達の体に宿った穢れが多少なりにも天乃の方に引き寄せられるような形で

通常よりも多く抜けた。という可能性もあり得なくはない

もちろん、正確なことは不明だが。

天乃「ところで、座敷童さんは洋菓子でも大丈夫かしら?」

東郷「仮装しているつもりはないんですが……快く頂きます」

天乃「艶がかった長い黒髪に、陶器みたいに白く神々しい肌の日本人形の方がよかったかしら」

東郷「久遠先輩だって髪色以外は同じですよ……南瓜包みですか」

天乃の冗談に苦笑いを浮かべながら、東郷は差し出された包みを受け取って開封する

東郷は和食を好み、お菓子に関しても和菓子を好むという徹底ぶりを見せているが、

だからと言って一切口にしないというわけでもない

東郷「ん……おいしい。南瓜がまったりとした甘さで程よく溶けてくれてしつこくないのがありがたいわ」

天乃「喉にも配慮してあるんでしょうね。きっと」

東郷「病院で出されるものですから、そうかもしれません……ところで久遠先輩」

天乃「なに?」

呼びかけ、天乃のことを調べるように見つめた東郷は、

わざとらしく人差し指を立てて

東郷「久遠先輩は西洋版座敷童とかどうでしょう?」

天乃「私の身長的な意味で? うん? トリックしちゃう?」

東郷「そ、そこまでは言っていませんが」

半ば本気で悪戯を仕掛けようとしているように身を乗り出す天乃に、

東郷は慌てて答えを返して、否定する

……身長的に。と思ったのは事実だったが。


47 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/20(金) 22:24:23.21W5MFq/zzo (5/6)


友奈「このパンプキンパイおいしいですっ」

天乃「そう。良かった」

一時は味覚が完全になくなってしまっていたからか、

味覚はむしろ敏感に反応しているのだろう。

入院患者に合わせて控えめに味付けされているであろうパンプキンパイも

友奈はとてもうれしそうに、美味しそうに頬張る

天乃「ふふっ」

天乃は味覚がない

だから食べてもなにも感じない

しかし、友奈が美味しそうに食べているのを見ていると

美味しいのだろう。ということだけは解るし

何となくではあるが、味が感じられるような気分に浸ることができる

まだみんなに味覚のことを秘密にしていた際に、

とても重宝していた日常の要素だ

天乃「あら」

友奈「?」

天乃「…………」

美味しそうに食べる分、口元についてしまったパイのひと欠片に気づく


1、教えてあげる
2、とってあげる
3、トリック・オア・トリートする

↓2


48以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/20(金) 22:33:22.53AvqZFRL0O (1/2)

今日早いな
安価なら3で


49以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/20(金) 22:39:21.34hSVqUCE+O (1/2)

3


50 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/20(金) 22:46:34.91W5MFq/zzo (6/6)


中途半端になるので、本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「トリックオアトリート!」

友奈「!?」

東郷「久遠先輩の悪戯、私、気になります!」

風「嫌な予感しかしない」

樹「占いの結果は……うん、なんでもない」


51以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/20(金) 22:52:12.69sXx3KpcVO (1/1)


トリックオアトリートするとかいう謎の動詞
私、気になります!


52以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/20(金) 22:55:45.37hSVqUCE+O (2/2)


数日前まで生きるか死ぬかの瀬戸際だったとは思えないぐらい平和だなぁ…


53以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/20(金) 23:45:41.17AvqZFRL0O (2/2)


久遠さんは清涼剤だからね
久遠さんが元気だと空気が全然違う


54以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/21(土) 09:34:23.73vq/dQIO3O (1/1)

友奈ちゃんかわ
日常描写を大切にしてた一期みたいな感じで尊い
二期は尺があれとはいえ終始追い込まれててなぁ…


55 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/21(土) 22:00:27.74cIp87YE+o (1/6)


では少しだけ


56以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/21(土) 22:02:37.457heUg+/UO (1/2)

よしきた


57 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/21(土) 22:03:03.47cIp87YE+o (2/6)


天乃「そう言えば、オバケの仮装をしていたんだもの。友奈は当然ハロウィンだってわかっていたのよね?」

友奈「はいっ、本当はもうちょっと色んなこともしたかったんですけど……出来なくて」

天乃「それでカーテンを使って仮装してたのね」

友奈「えへへ……だから前が見えなくてちょっと危なかったです」

パンプキンパイを美味しそうに食べる友奈はちょっとだけ手を休めて

少し困ったように笑みを浮かべる

ドアの直前ではなく、ベッドからかぶっていったのだろう

それは確かに危ないと注意して

天乃「それなら、友奈」

友奈「はい?」

天乃「トリック・オア・トリート」

友奈「えっ」

天乃「お菓子がないなら悪戯させて貰うわ」

嘘をついたり隠し事が苦手な友奈が驚きを露わにしたことにお菓子がないことを確信して

にっこりと。

天乃はちょっぴりの悪戯心を含んだ笑みを浮かべる

友奈「う……」

天乃「ハロウィンだって分っていたんだもの。あるでしょう?」

友奈「それは……その~」

ちらりと自分の手元、

天乃が渡したパンプキンパイへと友奈が目を向けた瞬間に

天乃は「あら?」と、わざとらしく声を漏らす

天乃「私があげたお菓子をそのままというのは、無しよ?」

友奈「うぅ……」

小さく声を漏らした友奈は残念そうに口をすぼめて、

観念したのだろう「持ってないです」と答える


58 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/21(土) 22:24:55.48cIp87YE+o (3/6)



友奈「……優しい悪戯にしてください」

天乃「そう求められると、少し優しくない悪戯をしたくなっちゃうわね」

友奈「そ、それならきつい悪戯をお願いしますっ」

天乃「言質を取ったわ」

友奈「あぅっ」

やってしまったと友奈が悲し気に声を漏らしたのを一瞥して、

天乃は「もちろん優しくするわよ」とほほ笑む

悪戯と言っても、流石に嫌がるようなことをする気はない

ハロウィンという楽しいイベントを壊すようなことはしたくないのだ

友奈「うぅ……どんとこいですっ!」

覚悟を決め、宣言する

そんな友奈に酷いことをすることはないだろうと、

隣のベッドに横になっている東郷はほのぼのとした笑みを浮かべながら見守る

その、前で。

天乃「ん」

友奈「っ!」

友奈の頬に、キスをする。

ついてしまった小さなお菓子の欠片を吸い取るように

優しくふわりと触れ合うような感覚で。

天乃「頬にお菓子がついてたから……ちょっとした悪戯よ? 優しかったでしょ?」


59 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/21(土) 22:45:34.38cIp87YE+o (4/6)


友奈「あっ、えっ」

本人にとっては

そう、【天乃にとっては】ほんの些細な悪戯が成功したことを喜ぶ無邪気な笑みの傍ら

呆然と声を漏らした友奈は見る見るうちに顔を赤く染め上げて行って、

パンプキンパイを食べるための小さなフォークを手から落とす

友奈「く、久遠先輩……っ!?」

天乃「うん?」

友奈「え、あ、い、今……今ッ!」

天乃「ほっぺにお菓子がついてたから取ってあげたのよ。口で」

にっこりと。

それはもう、悪意も悪戯心もない純真無垢な笑みを浮かべる天乃に

友奈は言うべき言葉を見失って「うーっ」と声を漏らして触れられた頬に手を宛がう

まったく意識していなかった不意を突いた頬へのキス

それが悪戯だというのなら、確かに大成功だったのだ

友奈「そんなのずるいです……」

天乃「嫌だった?」

友奈「そういうわけじゃ! た、ただ……ただ、その、全然そう言うつもりなかったので」

天乃が感じていないのに自分だけ感じている気恥ずかしさという温度差

その気にさせるだけさせてくるという天乃の本質を感じさせられた気がして

友奈は高鳴る胸に手を宛がう

友奈「……凄く、驚いちゃって」


60 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/21(土) 22:59:52.45cIp87YE+o (5/6)


東郷「……久遠先輩」

天乃「なに?」

東郷「私の頬にも――」

天乃「唇しかついてないじゃない」

東郷「唇がついていますが」

それじゃただのキスになるじゃない。

そう困ったように言う天乃に、東郷は「つければいいんですか?」と

食い下がって問う

もちろん、わざとつけても意味はない

無意識に付けてしまっていた友奈だからこそ

天乃も悪戯としてそれを行ったのだから

天乃「解ってたら悪戯にならないわ。残念ね」

東郷「つまり後ろから押し倒さないと驚かないってことですね」

天乃「それは前からでも十分なサプライズだわ」

友奈「……ん」

友奈はさっきまでとは打って変わって小さく切り出して丁寧に口へと運ぶ

零れないよう、落とさないよう、口周りに付かないよう気を付けて。

そんな友奈を認めて、天乃はちょっぴり申し訳なさげに眉を顰める

天乃「ちょっと驚かせすぎちゃったわね。ごめんね」

友奈「いえ、その、なんというか……」

いうべきかと悩んだ友奈は、

どうせ黙っていても仕方がないのだからと考えたのだろう

天乃を真っ直ぐ見つめて、答える

友奈「さっきので、ちょっとだけスイッチ入っちゃったかな~……なんて」


61 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/21(土) 23:04:29.03cIp87YE+o (6/6)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


風「あーそうだった。こういうやつだったーっ!」

沙織「最近、色々あって忘れてたけど久遠さんはこういうところあるよね」

園子「私のことも忘れてるよね~」

園子「あれ~? お嫁さんじゃなかったかなぁ~?」

園子「ん~? 病んじゃっても良いかな? そろそろ」ニコッ

夏凜「少し落ち着きなさい。ね?」


62以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/21(土) 23:09:55.787heUg+/UO (2/2)


久遠さんの悪戯好きなところを久々に見れて嬉しい
そしてそのっちは治ったら久遠さんに激しいこと要求しそうだ…


63以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/21(土) 23:16:20.40hssURrNV0 (1/1)


ええい!園子のいちゃいちゃはまだか!


64以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/22(日) 08:45:36.02JHPxQ7DnO (1/1)

その気にさせるだけさせる天乃の本質とかいう誘い受けの鑑
そういえば久遠さんってこういう子だったわ


65 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/22(日) 22:04:34.03ZAVZ6+Qco (1/6)


では少しだけ


66以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/22(日) 22:07:23.56hrYBnCP7O (1/2)

おk


67 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/22(日) 22:08:25.72ZAVZ6+Qco (2/6)


天乃「それは……ちょっと軽率だったわね」

友奈「い、いえっ、そんな。多分、穢れが関係なくてもドキドキしちゃってたと思うので」

意識的に行っていても恥ずかしいと思うことはあるが、

ある程度心の準備が出来ている分、余裕はあるのだ

だが、さっきみたいに不意を突かれてしまうと

心に余裕はないし、動揺もより酷く

そしてなにより、それに対しての本当の意味での素の部分が垣間見えてしまう

穢れによる影響で多少なりと誇張されてしまうが、根本的な部分は何も変わらない

友奈「……柔らかくて、ちょっとだけ潤ってて、久遠先輩の匂いがして」

天乃「そんな感想言わなくて良いからっ」

友奈「無意識だったから、じわじわ感じて、キスされたんだって思ったら熱くなっちゃって」

天乃「うん、うんっ、分かった。分かったからっ」

ちょっとやめて。と、制止する天乃に構わず友奈は呟く

吐露して熱を吐き出していかないと、

真っ赤な茹でダコになってしまいそうで

唇の触れた頬を手で押さえながら、友奈は言う

友奈「好きな人と握った手を洗いたくないって言う気持ちが少しだけ分かった気がします」

天乃「お願いだからちゃんと洗ってね?」

友奈「えへへ、久遠先輩とはいつも出来るのでちゃんと洗いますけど、でも、この感覚が無くなってほしくないなぁって思うんですよ」

東郷「洗っても思い出は消えないのに、消えちゃう気がするのね。解るわ友奈ちゃん」


68 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/22(日) 22:19:13.41ZAVZ6+Qco (3/6)


天乃「そういうものなのねぇ」

東郷「見事な悪戯だったと思います。友奈ちゃんの可愛さも割り増しだったわ」

友奈「うぅ……」

東郷「私の可愛いところも見てみたくないですか?」

天乃「貴女も十分可愛いわよ。下手なことしなくても」

東郷「率直に褒められると純粋に気恥ずかしさを覚えますね……」

冗談に対して本心の笑みで答えられてはどうしようもないと

東郷はほんのりと赤みがかった表情で頷いて呟く

天乃は責められることに弱いが、

こと攻めることに関しては、意識的よりも無意識的にする方が強かったりもするのだ

もちろん無意識、ゆえに無自覚で本人はそうと思っていないのだが。

友奈「恋愛は羞恥心が無くては成り立たない。けれど、無いほうが良い時もある……」

東郷さん言ってたよね。と

友奈はいつかの東郷との会話を思い出して、

初耳である天乃は困惑したように東郷へと目を向ける

東郷「確かに言ったわね。多少の恥じらいがあってこそ一つ一つの仕草により愛らしさが芽生える」

けれど。と、続けて

東郷「羞恥心だけでは、想い一つも伝えることが出来なくなってしまうから」

恋をしている中で、そう思ったんですと語った東郷は

改めて自論を語るのはなんだかむず痒く感じますねと気恥ずかしげな笑みを浮かべる

天乃「でも解らなくは無いわよ? 恥ずかしがって口にしなかったり行動しなかったりすると何も出来ない何にもならないもの」

東郷の意見に同調して見せた天乃は、それにね? と、まだ頬の赤い友奈を一瞥しながら微笑んでみせる

それに気づいた友奈はまた、頬を赤らめて目を逸らす

その仕草に、天乃はより一層深い笑みを浮かべて

天乃「恥らう姿って、可愛くてドキドキするわよね」

友奈「からかってる笑い方じゃないですかっ!」


69 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/22(日) 22:44:16.10ZAVZ6+Qco (4/6)


小さく笑い声を零した瞬間、少しだけムッとした友奈が抗議の声を上げる

ちょっぴり怒った―可愛らしさしかないが―というアクセントに天乃は驚いたふりをしてみせながら、

解ってきてるじゃない。と、茶化したように笑う

友奈「えへへ、そうです……じゃないですっ。ごまかされないですっ」

天乃「あら残念」

友奈「むぅっ」

断固講義しますとでも言いたげに頬を膨らませる友奈を一瞥した天乃は、

困ったものだわ。と、残念そうに息をつく。

それだけで友奈が不安そうにするのを視界の端に捉えて、やっぱり友奈は友奈なのだと思う

天乃「友奈をからかったのは本当だけど、謝るのは嫌だわ」

だって。と続ける

天乃「友奈を可愛いと思ったことは事実だもの」

友奈「久遠先輩は……」

天乃「なあに?」

友奈「っ」

目を向けられて、目を逸らす

淫らな行為をしているわけではないのに

それ以上に感じる胸の高鳴り

それはきっと純粋に天乃に好意があって、その天乃から心が弾むことを言われたからだ

冗談と本心の入り混じる天乃の言葉

けれど不思議と、疑うような気持ちはどこにもなかった

友奈「……やっぱり、ずるいです」


70 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/22(日) 22:45:43.72ZAVZ6+Qco (5/6)


√ 10月14日目 夕(病院) ※日曜日

01~10 
11~20 風
21~30 
31~40 夏凜
41~50 若葉
51~60 
61~70
71~80 千景
81~90
91~00 園子

↓1のコンマ 


71以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/22(日) 22:45:58.62XRAqFbX4O (1/2)




72 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/22(日) 22:58:25.95ZAVZ6+Qco (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「……」カタカタカタ

【急募】彼女に可愛いと言われる方法【言われたい】

園子「……」カタカタカタ

【会いたい】彼女に会いに来てもらう方法【入院中】

風「あんたら何やってんの?」


73以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/22(日) 23:02:48.31XRAqFbX4O (2/2)


かわいい


74以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/22(日) 23:05:29.05hrYBnCP7O (2/2)


年上の余裕を見せつけていく久遠さん
そんな久遠さんにムラムラしている鷲尾組…というかよく見たら園子様体治ってるじゃないかw


75以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/23(月) 06:30:49.25oiarvp57O (1/1)


可愛い尊い
もうずっとこんな感じで日常続けて年越しして結婚ENDで良くない?


76 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/23(月) 22:11:12.04SoxxUxIoo (1/6)


では少しだけ


77以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/23(月) 22:12:08.11VOG6PdmoO (1/3)

あいよー


78 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/23(月) 22:22:02.94SoxxUxIoo (2/6)


√ 10月14日目 夕(病院) ※日曜日


楽しかった時間も過ぎていき、夕方になった病室

まだ一人部屋の天乃は、

少し前まで聞こえていた友奈達の声に浸るように目を瞑る

明るい声、元気な声

喜んだり、ちょっぴり怒ったり

感情の注がれた愛おしい音色

味わったからこそ失ったときの寂しさが増してしまう

もちろん、聞こうと思えば聞くことができるのだ

尾を引くようなことでもないのだが。

天乃「……んー」

来月になればまた、みんながだんだんと集まっていく

そう考え、ふと思い出したように引き出しから一枚の紙を取り出す

第一希望から第三希望までの空欄のある学校への提出物

天乃「進路希望調査票……来月末だったわよね」

本来なら10月末に提出の予定を、

天乃の身体的問題等を考慮したうえで11月末で構わないと言われたものだ

しかし……

天乃「私、来月に登校できる保証ないのよね」

それならそれでまた担任の先生が来てくれるのだろうが、

本当の問題は全く考えられていないということだ

天乃「全部結婚で埋めたら怒られるかしら?」


79 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/23(月) 22:36:41.15SoxxUxIoo (3/6)


1に結婚、2に永久就職、3に主婦

指で文字をなぞって書いていく

沙織はきっと「真面目だね」と、大真面目にふざけたことを言うだろうし、

風はきっと、手伝うから高校行かない? と誘ってくる

担任ももう少ししっかり考えるべきだというはずだ

体のことを考えて進学を辞退するのは勿体ないと。

だが、天乃には子供もいる。

それを踏まえて考えるのならば、

数少ないものではあるが、通信制の高校という手段もなくはない

やはり、天乃とは状況が変わってくるが、

四肢のどこかが不自由であったり、

皮膚などの病気等で外出を控えるべきだと判断されている子供、

それ以外にも多岐にわたって様々な理由が感がえられるが、

そういう子供が利用する高校だ

天乃「車椅子に、子供。悪くない判断ではあるのよね」

みんなも否定はしないだろうし、

進学し、学生を続けることを喜ぶ声は多いだろう

だからといって、そうするとはまだ決めきれない

体の調子が良くなったとはいえ、

いつ崩れてしまうのかが分からない現状、簡単には決められないのだ

天乃「難しいわよね……」

子供を産んでからどうなるのかが、問題だろう



80 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/23(月) 22:52:49.77SoxxUxIoo (4/6)


本格的に相談するべきだと天乃は考えて、思わず苦笑する

夏凜にしたところで、

あんたの進路なんだから好きにしなさいよ。と、言われてしまう姿があまりにも容易に想像できてしまったからだ

そしてきっと、こういうのだろうと。

あんたはあんたがしたいことをしたら良い。私達はどうせ、好き好んでそれを追っかけるんだから

天乃「……したいこと、ね」

では沙織に聞いたらどうだろうか?

そう思い、出てくる答えは身を乗り出しての「結婚しよう」だったが、

そういいつつも真剣に考えてくれるのだと天乃は思う

夏凜が考えてくれないというわけではないけれど

夏凜とはまた別の寄り添い方で考えてくれるのだ

天乃「来月末だからまだ、考える時間はあるけど」

だからと言って後回しにし続けていい話題ではない

ほかにも考えるべきことがある以上

考える時間があるのならばさっさと考えてしまうべきだろう

進路希望調査に関して言えば

とりあえずの予定を書けば良いだけなのだから


81 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/23(月) 23:09:19.01SoxxUxIoo (5/6)


天乃「正直、進路よりも悩むべき若葉たちのこともあるし……」

それを除けば、子供の名前を考えるべきというのもある

考えることはたくさんあるのだと一人、病室でため息を吐いた天乃は

進路希望調査票をすぐ横の棚へと置き、

ベッドのリモコンを使って起こしていた体を寝かせて、布団を少しだけ引き上げる

ベッドの力なしには体を起こすのも寝かせるのも多少の労力を必要とする今

人の手の借りられない状況を選ぶということに、

天乃は少しだけ、抵抗を感じていた

天乃「甘えすぎるのが毒だと分かってはいるんだけどね」

そう簡単に捨てられることでもないと、天乃は困ったように苦笑いを浮かべる


1、九尾を呼ぶ
2、若葉を呼ぶ
3、沙織を呼ぶ
4、夏凜に会いに行く
5、風達に会いに行く(園子同中)
6、千景を呼ぶ

↓2


82以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/23(月) 23:10:02.83+QgtIKoZO (1/2)

3


83以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/23(月) 23:11:36.05VOG6PdmoO (2/3)

3


84 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/23(月) 23:21:16.07SoxxUxIoo (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


沙織「久遠さん一人きりの部屋に呼ばれた!」

千景「そう」

沙織「二人きりになる状況に呼ばれた!」

千景「そう」

沙織「これはもうセッ――」

千景「さっさと行きなさい」


85以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/23(月) 23:23:57.74+QgtIKoZO (2/2)


さおりんキスくらいならいいのよ?


86以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/23(月) 23:28:46.29VOG6PdmoO (3/3)


さおりん久々に出番がきたな
久遠さんに寝込みを襲われた時の分を発散するチャンスでは?


87 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/24(火) 22:04:45.73E/cz96w9o (1/5)


では少しだけ


88以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/24(火) 22:06:42.20falV9X6SO (1/2)

かもん


89 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/24(火) 22:24:07.46E/cz96w9o (2/5)


沙織「ご指名いただきました、沙織です」

天乃「何のおふざけなの? それは」

他人行儀……というよりは、

何処か営業めいた会釈をして姿勢正しく近くの椅子に腰かけた沙織に、

天乃は怪訝そうな表情で問う

仮装をしているわけではない沙織がハロウィンをしているとも思えない

ならば、何なのか。

気遣っているのか。

その考えを遮るように、沙織が答える

沙織「久遠さんの病室に呼ばれたから、こうした方がいいと思って」

天乃「どうして?」

沙織「どうしてって……これは所謂あれだよね? デリヘルだよね?」

天乃「うん、意味は分からないけど絶対に違うとだけは断言できると思う」

体もきれいにして準備満タンなのにーと、

悲し気に呟く沙織を一瞥して、ため息をつく

変わらない沙織の平常運転

呆れるべきか喜ぶべきか、持て余した言葉を飲み込む


90 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/24(火) 22:49:43.40E/cz96w9o (3/5)


沙織「だったら、それのこと?」

そう言い、指さされた棚の上

名前しか記入されていな進路希望調査票へと目を向ける

風もそうだが、

沙織も同学年というだけでなく、同じクラスの一人

当然同じ教師から同じ紙を貰っているだろうし

一番の親友―言われたかは定かではないが―の立場として

担任から何かを託されている可能性も無きにしも非ずだったのだが。

ちらりと目を向けて見えた沙織は言伝を思い出すようなそぶりなどみじんも見せずに「そうだねぇ」と呟く

沙織「久遠さんの好きでいいんじゃないかなって思うよ。もちろん、進学にせよ就職にせよ、主婦にせよ。ね」

天乃「そうはいっても」

沙織「誰かに迷惑をかけちゃうかもしれない?」

まだ何も言いきってはいない

だが、沙織は天乃が何を言うのかわかり切っているかのように遮って

沙織「それならこうしよう。久遠さんはあたし達と結婚して主婦になる。そして家でのんびり子育てする」

天乃「……家事のほとんどできないわよ?」

沙織「でも久遠さん中華料理だけは問題なく作れなかったっけ?」

掃除はあれでも洗濯は出来る

念願のマイホームは東郷邸のようなバリアフリー重視の家にしたらいい

沙織は次から次へと、語っていく


91 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/24(火) 23:20:03.42E/cz96w9o (4/5)


沙織「あたし的には、久遠さんさえよければそれで行きたいと思ってる」

むしろ個人的にはその路線しか考えていなかった。と

沙織はお茶らけた笑みを浮かべながら言う

……嘘だ

天乃が真剣な悩みを抱えているとき

沙織は真面目な時もふざけている時もあるが

必ず、真剣に考えてくれているのだ

だから、嘘だと天乃は思う

結婚して主婦のような立場で生活するという天乃の生き方を考えたことがではなく、

それしか考えていなかった。という点だ

沙織はほかのことも考えている

だが、天乃が誰かの迷惑になるだろうからと考えているから

それ以外のことを言わないのだ

天乃「…………」


1、進路のことは後でも良いわ。それより若葉たちのことなんだけど
2、沙織のご両親は? 経歴に厳しいんじゃない?
3、学校に関しては通信制も視野に入れてるわ。その場合、沙織とは別になっちゃうけど
4、本当はどう考えてるの?


↓2


92以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/24(火) 23:21:03.07pawLkJ1PO (1/2)

4


93以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/24(火) 23:21:50.83gJRY9Q5B0 (1/1)

4


94 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/24(火) 23:34:28.80E/cz96w9o (5/5)


ではここまでとさせていただきます
明日はおそらくですがお休みを頂くことになるかと思います


沙織「あたしの本心? それはもちろん、久遠さんの嫁かな」

沙織「別に夫役に不満があるわけじゃないんだけど」

沙織「でもやっぱり女の子として好きな人の子供が産みたいなぁって言う欲望があるわけで」

沙織「そこで思ったんだけど、敏感なところを擦り合わせて気持ち良くなれば」

沙織「久遠さんの甘い蜜が掛かって受精できたりしないかな。愛があれば出来そうじゃないかな?」

天乃「沙織、貴女疲れてるのよ」


95以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/24(火) 23:37:21.84pawLkJ1PO (2/2)


新婚初夜はどうなるんだろう
8人相手は無理だな


96以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/24(火) 23:42:27.46falV9X6SO (2/2)


本編とは裏腹に東郷せんせー並にレベル高いさおりん
この際だからえっちさせて落ち着かせてもいいんじゃないかな


97以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/25(水) 06:35:47.82Wz9iUNTlO (1/1)


新婚初夜8人相手とかリンカーンじゃないか…
そしてさおりんと東郷せんせーのレベル=>>1という事実


98以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/25(水) 14:27:07.66POigZEQBo (1/1)

あれだけエッチ描写書いても色々出てくるんだから二人以上だよ


99 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/26(木) 22:31:57.71Fb1cLYZRo (1/5)


では少しだけ


100以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/26(木) 22:32:47.424+f46IK5O (1/1)

やったぜ


101 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/26(木) 22:42:49.03Fb1cLYZRo (2/5)


天乃「本当は、どう考えているの?」

沙織は本当の考えを隠した。

だからそれは聞かないべきなのかもしれないが、

天乃は関せずに問う

沙織が本来の考えを話さなかったのは、

結局、天乃の為に話さない方がいいと考えたと思うからだ

沙織の視線が天乃へと向く

何も言わない無言の視線

天乃もまた、促すように黙ったまま目を向けると

沙織は「そうだなぁ」と諦めたように呟く

沙織「本当のことを言うと、久遠さんには進学してほしいって思うよ」

周りへの迷惑を考えて進学しない。

そう考えている天乃をよけいに考えさせるかもしれないと思ったのだろう

沙織は我儘だけどね。と前置きして

沙織「久遠さん、人とかかわるの好きだよね。というか、人が好きだよね」

天乃「それは」

沙織「でも、勇者としての責務とかで久遠さんって中学校生活のほとんどを満足に楽しめなかったでしょ?」

今月に行われた文化祭だってそうだ

結局、一番大切な日に体調を崩して参加できずに終わってしまった

沙織「だから、楽しんでもらいたいなぁって思うんだ」

天乃「……でも、私はこんな体だから」

沙織「だから周りの負担になる。そう考えると思ったから、そう考えてるだろうから、あまり言わない方がいいかなとも思ったんだけどね」

沙織はちょっぴり悲し気に言うと、

でも聞かれたからには本当に考えたことを全部言っちゃうからね

後から文句言われても何も聞かないし知らないからね。

聞いたのは久遠さんなんだからね。と

言葉のバリケードを瞬時に組み立てて天乃に押し迫っていく


102 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/26(木) 23:00:12.50Fb1cLYZRo (3/5)


沙織「こほんっ。久遠さんは誰かの負担になるのが嫌だって考えてるけど、そんな人はまず出てこないから大丈夫だよ」

天乃「どうして?」

沙織「あたしが久遠さんと同じ学校に行くからだよ。むしろその他の高校に興味はないね。ノー久遠さんノーライフ」

もちろん冗談じゃないよ? と天乃が何も言わずとも答えた沙織は、

だから誰の負担にもなることはないんだよ。と、飄々とした笑みを浮かべる

一見ふざけているようにも思えるが、表情は至って真面目なもので。

沙織「だって、やりたくないなら久遠さんに力を貸す必要はないんだもん。おい、クラス委員長。久遠の世話をやれ。なんていう指示なんてまずない」

天乃「…………」

沙織「そう。だから久遠さんに近づいてくるというか、その手を貸してくれるのは負担と思わない人達。あたし達のように好意ある人だけ」

もちろん、場合によってはあたしが引き剥がすこともあり得るけれど。と

こればかりは冗談だったのだろう、

苦笑をこぼした沙織はすぐにそれはともかくと切り上げた

沙織「もしあたし一人じゃ人数的に不安だって言うなら、話せば乃木さんたちも入学させてくれるんじゃないかな」

天乃「九尾が?」

沙織「大赦が。多少反感は買うかもしれないけど、今以上に買うこともないだろうし」

天乃「……自覚はしてるつもりだったのだけど」

精霊。

それも西暦の勇者を学校に入学させるという我侭を通してなお

これ以上反感を買うことがないという久遠天乃の評価に

天乃は思わず顔をしかめたが、大して、沙織はそれはそうだよ。と笑う

沙織「今を生きてる子で数えれば、巫女1人に勇者7人も1人で囲ってるんだよ? 将来を考えればふざけんなって言いたいんだと思う」


103 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/26(木) 23:18:45.81Fb1cLYZRo (4/5)


沙織「だから東郷さんが……あれも本気みたいだけど。東郷さんが女の子同士での子供云々言ってるの聞いてるよね?」

天乃「え、ええ。少しは」

沙織「それを大赦でもどうにかしようと研究してるって噂だよ」

天乃「……本気?」

沙織「三好さんが力を引き継いでいたっていう前例があるからね」

久遠家という神樹様さえ屠ることのできる力を敵に回すよりは、

敵に回さずに要望を叶えた上で、天乃の強力な力を多くの人が手にすることが出来た方が良い

当然ながらリスクはあるが、リターンもあるからだ

沙織「残念ながら、実現するまでこの世界が保たれてるって保障はないけど」

天乃「外、何か起きてるの?」

沙織「久遠さん覚えてるかな。外の灼熱地獄」

天乃「ええ。もちろんよ」

肌に感じたあの熱量、目に見えた真っ赤に燃え盛る世界

一瞬たりとも忘れきれたことのない光景を思い浮かべ、天乃は頷く

バーテックスから世界を開放するためには、

いずれ、何とかしなければいけなかった問題だ

沙織「ちょっと、気になるところがあるって話が大赦では出てるみたいなんだ」

天乃「皆には?」

沙織「お呼びはかかってないし、かからないと思う」

現在、

星屑の存在は確認されているがバーテックスの存在までは確認されておらず、

星屑ならば対応できる芽吹達防人の存在もあるために、夏凜達勇者を無理に連れ出す必要はないと考えられているのだ

そもそも、今のボロボロな状況ではまともに戦えるかどうかも怪しい

沙織「だから、これは内密に。ね?」


104 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/26(木) 23:42:52.62Fb1cLYZRo (5/5)


唇に人差し指を充てる仕草をして見せた沙織に対して、

天乃は内緒ならどうして。と、問う

内緒ならば無理に言う必要はなかったはずで、

言われることがなければ何かが起こる不安を抱く必要もなかった

そう疑問に思った天乃に、沙織は困った表情を見せる

沙織「きっと、久遠さんに情報が流れることはない」

それが意味することは解るよね? と、沙織は疑問の矛先を捻じ曲げる

天乃に情報が流れることはない

だが、勇者部に情報は流れる事だろう

そして、それはやはり【天乃に情報が流れることはない】のだ

天乃を不安にさせないために

天乃を巻き込まないように

皆は内々に事を済ませようとする

あるいは、そこに首を突っ込んでいくことだろう

そうなった際に、蚊帳の外の不安にさいなまれるのは天乃なのだ

沙織「だからあたしは久遠さんに一つ先の情報を渡しておこうと思っただけ」

天乃「…………」

沙織「最も、あたしも伝え聞いた話でしかないから最新の情報というわけでもないんだけど……少なくとも今はまだ動いてないから平気だよ」


105 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/27(金) 00:20:31.94qFvl7KV/o (1/9)


しかしだからと言って安心出来るわけではない

いずれ何かが起きることは確実だろう

バーテックスは完全に消え去ったわけではない

外の世界が解放されたわけでもない

だから、必ず。

それは今年かもしれないし、来年かもしれない

天乃の子供が成長した数年後かもしれない

いずれにしても、いつかきっと。

増えてしまう悩みに天乃が深く息を吐くと

沙織は「進路の話に戻るけど」と言う

沙織「ああは言ったけど、久遠さんが考えてなお進学しない道を選んでも否定はしないからね」

天乃「……その場合は、、沙織はどうするの?」

沙織「その時はその時でまた考えるよ。進路希望はあくまで希望だからね。変えられるから」

そう言った沙織は、

だから久遠さんもとりあえずで良いんだよーと、

軽い声で笑って見せた


106 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/27(金) 00:24:45.84qFvl7KV/o (2/9)


√ 10月14日目 夜(病院) ※日曜日

01~10 水都
11~20 若葉
21~30 
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70
71~80 九尾
81~90
91~00  千景

↓1のコンマ 



107以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/27(金) 00:25:12.07d15c7sn+O (1/1)




108以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/27(金) 00:25:20.11+LjaUs5q0 (1/1)




109 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/27(金) 00:49:30.41qFvl7KV/o (3/9)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



園子「わ~っ、天さんに孕ませられちゃう~」

風「こらぁっ! そんな言葉どこから仕入れた!」

園子「……」チラッ

東郷「……」フイッ

夏凜「壁見てどうすんのよ」

東郷「ごめんなさい、夏凜ちゃんと見間違えたわ」

夏凜「よーし表でろッ!」


110以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/27(金) 00:57:47.12VYARqoz5O (1/1)


久遠さんに情報を流さないのはかえって悪手になりそうだよなぁ
さおりんの情報で負のスパイラルを阻止できるといいけど…


111以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/27(金) 08:12:24.14YFiz2LK0O (1/1)


子供を産んだ後も色んな意味で忙しくなりそうだな


112 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/27(金) 22:06:56.68qFvl7KV/o (4/9)


では少しだけ


113以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/27(金) 22:32:49.46qs+v28lpO (1/3)

来てたか


114 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/27(金) 22:39:35.18qFvl7KV/o (5/9)


√ 10月14日目 夜(病院) ※日曜日


水都「伊集院さんが言っていたようにバーテックスの気配は全く感じられないですね」

沙織が天乃へと話をしていたのを聞いていたのだと隠さずに告白した水都は

少し考えてから、言う

水都「ただ、少しですけど活性化してるんです。それが熱くなっている原因で……」

そこまでは伊集院さんから聞いてますよね。と

確認の意味で繰り返した水都は、どうやら未完成型は出てきているみたいなんです。と、続けた

天乃「未完成型って御霊がないタイプのよね?」

水都「私達の中では旧型バーテックスって印象ですけど、その通りです」

天乃「それ、沙織には伝わってないのね」

水都「伊集院さんは目立っちゃうので、どうしても気づかれちゃうみたいで」

水都は苦笑して、

その点、私は目立たないのでと自虐意味に言ってパーカーの帽子をかぶるような仕草をして見せる

水都「潜入には向いてるんです」

天乃「無茶するわね」

水都「……少し、気になることがあったので」


115 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/27(金) 23:02:31.33qFvl7KV/o (6/9)


水都「久遠さんは羽衣伝説と言うのをご存知ですか?」

天乃「羽衣伝説……? まぁ、良く聞く程度の知識ならあるわ」

羽衣伝説。

水浴びをしていた天女に魅了されてしまった人間が、天に戻るために必要な羽衣を奪ってしまう

地上に残った天女は知らずにその人間と結婚して子を生すが、

暫くして羽衣を盗んだのがその夫であることを知り、子と夫を残して天に帰ってしまうという話だ

水都「実は、その物語に登場する羽衣を用いての任務が防人に与えられるそうなんです」

天乃「羽衣を作って言うことは、天に……まさか生贄とか言わないわよね?」

水都「巫女が……あ、もちろん私や伊集院さんではないんですけど」

そう前置きしてから「巫女が外に出るということ自体は生贄と同等です」と、言う

もちろん、防人が護衛として傍にいるし、

巫女を外に放置したり、炎の中に身投げさせるといった作戦がとられるわけではないと水都は続ける

水都「実はこの羽衣伝説に登場する天女は、私達がもととなっている稲荷神の一部でもあるんです」

天乃「……トヨウゲヒメ。だったかしら」

水都「流石ですね。その通りです」




116 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/27(金) 23:26:59.81qFvl7KV/o (7/9)


良くある話しか知らないと答えながら、

自分が言おうとしていた名前を言い当てられたことに感心したように笑みを浮かべた水都は

知識の差で少し優越感に浸ろうとしていたのかもしれないと

照れ臭そうに咳ばらいをする

なぜ天の神がバーテックスを作り出していると言われる中、巫女の装束に羽衣という名がつけられたのか

それが気になるという話を聞いたので、私も気になって考えたんです。と、水都は神妙な表情を浮かべる

天の神が敵だとするのなら、

天に帰るための羽衣という装束は不吉な印象を受けてしまう

にもかかわらず付けられた理由

それは確かに自分でも気になるかなと、天乃も頷く

水都「トヨウゲヒメは神饌の神として、天の神……天照大神に安らぎを与えるために御傍に呼ばれたという話があります」

なので。と、水都は続けて

水都「自分達には害がないことを知らせるための作戦。つまり、天の神の目を欺こうとしている可能性が一つ」

天乃「一つ。と言うことはもう一つあるのね?」

水都は静かに頷く

水都「もう一つは人類が天女と人間の間に生まれた子のように神と共に在るものであり、正当に神々に認められるべきであるとの主張」

天乃「……天の神がそれを認めると?」

水都「思えない」


117 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/27(金) 23:40:46.98qFvl7KV/o (8/9)


水都にしては珍しくきっぱりと言い切ったのに驚く天乃の傍ら、

殆ど無意識な断言だったのだろう。

水都は付け加えるように思います。と小声で呟く

神の考えなど理解できるはずがないし、

想像の範疇に収まっているとも思えない

だからこそ、考えは断定すべきではない

水都「あとは単純に、トヨウゲヒメの力の一部としてそれを模している可能性があります」

むしろ作戦的にはその可能性が一番高いかもしれないですよと水都は誤魔化した笑みを浮かべる

いや、本当は……

そこまで考えを持った水都は、やはり、首を振って改める

生真面目に話題へと入ったは良いものの、

どれもこれも推測の域を出てくれてはいない

天乃と話せばその答えも搾れるかもしれないと思ったが、

思えば大赦中枢どころか、

だんだんと蚊帳の外にされ始めているのだ

重要な情報が伝わっていることはまずなかったのである

天乃「なるほどね……それで、貴女は私に気になる点を突いてほしいのね」

水都「え?」

天乃「違うの? 藤森さんの話し方的に、久遠さんはどう思いますか? って、続くとばかり」

水都「……それは」


1、詳しくは聞かない
2、作戦について聞く
3、大赦は何というか、もう少しろくでもないことを考えていそうだけどね
4、天の神をだましたりしたら今度こそ人類は滅ぼされるでしょうね
5、正直、私としては余計なことはしてほしくないわね


↓2


118以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/27(金) 23:43:24.90hcVI4vcZ0 (1/1)

2


119以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/27(金) 23:43:39.39qs+v28lpO (2/3)

2


120 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/27(金) 23:52:56.00qFvl7KV/o (9/9)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



沙織「天女が人類とか何言ってるのかわからないよ」

東郷「同感です」

沙織「でも、男の人が羽衣盗む気持ちには、ちょっとなってみたいよね」

東郷「久遠先輩、ちょっと露しゅ……水浴びに行きませんか?」

天乃「うん、貴女達は頭を冷やした方がいいわ」


121以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/27(金) 23:59:27.09qs+v28lpO (3/3)


月の終わりに新たな物語の幕開けの予感
エロや戦闘のみならず設定も相当よく練られてるよなぁ


122以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/27(金) 23:59:36.22Mkylp1e0O (1/1)


海!は今の時期無理だな…


123以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/28(土) 09:48:27.10iF/WRTZdo (1/1)


そういえばあれが羽衣だった理由は作中じゃ描写なかったよね
オリジナルでいくのかな


124 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/28(土) 22:17:05.27nAE3oRUpo (1/7)


では少しだけ


125以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/28(土) 22:18:10.91IUGCS3WVO (1/2)

よしきた


126 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/28(土) 22:27:03.23nAE3oRUpo (2/7)


天乃「それで、藤森さんその作戦っていうのはどういったものなの?」

水都「作戦自体は、近畿地方に向かうといったものです」

天乃「近畿地方……? あれよね? たしか、西暦時代の地方名」

授業で学んだ程度の知識しかない天乃は、

どうしてそんなところに行くのかと不思議そうに首をかしげる

西暦時代が終わってから300年

バーテックスの脅威を悟らせないために湾曲されたり省略されてきた外の世界の情報には

危険を冒してまで近畿地方へと理由がないのだ

水都「そうです。そこに陣地を築くために、羽衣をまとった巫女が道筋を作るんです」

手元にはないんですがといった水都は、

代わりの植物の為―歌野持参―を掌で転がし、力を宿した同様の種を植えていくのだと言う

巫女が道筋を作り、近畿地方にて陣地を築く。それが作戦なのだと水都は改めて要約する

天乃「近畿地方に、種を植えて……羽衣……?」

水都「流石にこれだけじゃ、何もわからないですよね」

天乃「情報がまばらと言うか、私が近畿地方について知らなすぎるだけだとは思うのだけど……」

考え込むように息を吐いた天乃は、もどかしそうに眉を顰める

決してつながりのない話ではないはずなのだ

必ず、理由があってそうなっている

それだけは確定しているからこそ、天乃はもどかしく思う

情報さえ出そろえば、何か答えを見出せそうなものなのだが


127 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/28(土) 22:55:08.23nAE3oRUpo (3/7)


水都「伊集院さんも流石に近畿地方についての詳しい知識はなかったみたいで」

もちろん、一般人に比べて多くの情報を所持してはいるが

それでもある程度の隠ぺいは行われているのだろう

神世紀を生きる天乃達ではこの問題の答えにたどり着くことは難しいかもしれない

天乃「となると、あとは若葉達西暦のみんなに話を聞いてみるしかなさそうね」

水都「そうですね……ただ、うたのんはちょっと力になれないかもです」

そう言った知識に乏しいので。と、水都は冗談めかしたように笑う

勉強が完全にできないというわけではないのだが、

そういった神話に通じるマニアックな話となると難しい

だが、それを言ったら西暦世代も殆どが力になれないだろう

勉強が出来るから神話を知っているというわけではない

その特定の分野に興味を持って突き詰めてこそ得られる知識だからだ

天乃「近畿地方ねぇ……有名どころで何か知ってることはある?」

水都「そうですね……」

うーんとうなって長考した水都はおもむろにそういえば。と手を叩く

水都「天橋立という観光名所があったはずです。確か、有名なパワースポット」

天乃「パワースポットって言うことは何らかの力があるかそういった繋がりを持たせられる場所って事なんだろうけど……」

水都「西暦時代は結構無理やりな繋がりというか、爪先引っかかればコラボOKみたいな風潮もあったので微妙なところですけど」

そう苦笑いを浮かべながら頬を掻くと、

田舎者にはそんなに関係ない話なんですけどね。と自嘲する

水都「でも、天橋立はちゃんとした名所だった記憶があります」


128 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/28(土) 23:20:57.43nAE3oRUpo (4/7)


長野にいた水都にとって、

東京といった都会や、そういった離れにある場所というのは興味があったのだ

弱い自分を変えたいと思っていた水都はなおさら、

そういったパワースポットという不思議な場所には惹かれたのである

水都「もう少し詳しく調べておけばよかったですね……」

天乃「まさかこんな知識が必要になるだなんて思わないもの、仕方がないわ」

水都「それはそうですけど、うたのんみたいに突き詰める根気があれば……」

天乃「歌野は歌野。藤森さんは藤森さんよ」

水都「そうですね」

あこがれる相手の全てを完璧に模倣することは出来ない

それを認めるように頷いた水都は天乃をじっと見つめる

その典型的なパターンが天乃だからだ

もちろん、天乃が超人的といってしまえばそれまでだが、

天乃の言動や人に対する接し方は模倣するだけでは上手くいかない

彼女の人柄でこそ、成立するものなのだ

天乃「……? どうかした?」

じっと見つめていると、不思議そうに小首を傾げて聞いてくる

心の優しさと、それゆえの辛苦を感じる大きな瞳

数々の想いを紡ぎ、紡がれた程よくふっくらとした唇

身体の不満足さを露にし、今は見つめられることに恥らってか赤くなっている白い肌

天乃「藤森さん?」

水都「あっ……い、いえ」

唇が動き、名前を呼ばれ

思いのほかまじまじと観察してしまっていたことに気付いた水都は慌てて目を逸らす


129 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/28(土) 23:44:58.59nAE3oRUpo (5/7)


天乃「何かあった?」

水都「いえ、なんでもないです」

天乃「でも」

水都「ほんと、大したことじゃないので」

本当に大したことではないし、

今話していたことにも関係がない

だから、水都は手を振りつつ否定する

少し気になってしまったことがあるだけで

今までと何の変りもないことだったから

水都「それより、久遠さんも早く休んだ方がいいと思いますよ」

天乃「何か誤魔化したわね」

水都「言わないと寝ないとか言われても困りますよ」

ぐっと天乃の体を押してベッドへと寝かせて、冗談めかして呟く

大したことではないからと。

もう一度繰り返して、気にしないようにと忠告するように言い残して

水都は姿を消した


130 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/28(土) 23:46:42.67nAE3oRUpo (6/7)


√ 11月01日目 朝(病院) ※月曜日

01~10 
11~20 夏凜
21~30 
31~40 樹
41~50 千景
51~60 
61~70 東郷
71~80 友奈
81~90
91~00 風

↓1のコンマ 


131以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/28(土) 23:47:01.92YrDx7esM0 (1/1)




132以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/28(土) 23:47:21.09g8TSFXknO (1/2)




133 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/28(土) 23:53:11.51nAE3oRUpo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
10月14日目まとめは明日


……11月の始まり。


134以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/28(土) 23:57:38.96g8TSFXknO (2/2)


11月に一体何が……


135以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/28(土) 23:58:03.91IUGCS3WVO (2/2)


長かった10月が終わり、いよいよ11月突入か…
そのっちの体は良くなってるかな?


136 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/29(日) 22:13:38.26fFOI0sjKo (1/5)

では少しだけ


137以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/29(日) 22:19:24.67NQfhNPLEO (1/2)

あいあいさ


138 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/29(日) 22:25:30.24fFOI0sjKo (2/5)


√ 11月01日目 朝(病院) ※月曜日


振り返れば辛苦に満ち満ちていた10月

乗り越え月の変わった11月が始まって、勇者部の面々にも少しずつ変化が起きていた

満開の後遺症によって失っていた味覚を取り戻しつつある友奈は穢れの影響も薄まっており、

風に関してはまだ完全に握力が戻ってきていたわけではないが、今月中の回復も可能であると判断され

友奈と樹、沙織と共に登校を再開する

東郷に関しては両足の機能および右腕の機能も回復に近づいてきており、リハビリを開始

松葉杖を用いてのリハビリを兼ねた登校を申請したが、

右腕に不安があること、両足の機能もまだ不安があるということで却下され、

病院でのリハビリを継続

夏凜に関しては発症直後に比べてかなり落ち着きを取り戻しているが、

時折、少しだけ体調を崩すような天乃と比較的近い状態であるため入院は継続

病室は勇者部共同の部屋へと戻っている

園子についても動くことのなかった心臓が動き、

皮膚上の問題や身体的機能も回復に向かい、

簡単な手作業程度なら少しずつ行えるようになってきており、

座りながら足を動かすリハビリなども行うなど順調ではあるが、やはり、入院は継続している

そして、天乃だが。

看護師に言われたように穢れによる影響も収まり、つわりによる体調の変化も落ち着いたことで安定期に入ったと判断され、

みんなの病室へと戻ってきていた

一ヶ月近く経ってようやく、また、普通に会話が出来る所まで戻ってこれたのだ

天乃「長かったわね」

風「長いどころの話じゃなかったわよ、ホント」

ちょくちょく体調を崩していた期間も含めれば、天乃の体調不良の期間は長い

その間の精神的な疲労感を吐き出すように風は溜息をつく

妊婦として体調を崩すことはなくなったという安心感

元勇者として、久遠家の人間としての不安

間に挟まれるような感覚を風は感じてm、苦笑いを浮かべる

少なくとも、今は安堵してもいいのだと。

風「あとは天乃が元気な双子を産めば終わりでしょ?」

天乃「そのあとまた子育て期間があるけどね」

有名な話、夜泣きというものがあるのだと話すと

元気な証拠だし別にいいっての。と風は笑いながら一蹴する


139 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/29(日) 22:49:50.74fFOI0sjKo (3/5)


赤ちゃんの夜泣きがストレスになってしまうという話は耳にするが、

そんなことよりも神経を使わなければいけないことが多々あったのだ

風としても、勇者部としても、沢山。

だからこそ、夜中や早朝に赤ちゃんが大泣きしようが、

それはむしろ元気であり、何の変哲もない日常の一風景なのだ

喜びこそすれ、煩わしく思うことなどありえない

風「とにかく、元気な子供を産むために暫く登校できないからって、ハメを外さないようにすること」

特にそこで寝てる人。と、ベッドで横になっている夏凜を指した風は、

あとそっち。と、園子の方に目を向ける

園子「そのっちで~す」

風「そのっちじゃなくてそっち。溜まってるからって天乃の事襲わないように」

園子「……ちなみに襲うの範囲はどの辺りからでしょうか、わっしー先生」

東郷「合意じゃないと発覚したらダメよそのっち」

園子「つまりバレなきゃセーフだね」

風「アウトにきまってるでしょーが!」

不安だと愚痴る風は無造作に天を仰いで溜息をつくと天乃へと振り返る

どうすべきかと迷っている表情、不安な表情

だが決して切羽詰っているわけではないという日常的な不安を抱いている姿に、

天乃は苦笑して

天乃「大丈夫よ。園子だって優しい子だもの」

風「それは解ってるけど」

零しつつ、風の瞳はちらりと東郷を一瞥する

風「不安しかない」

夏凜は抑制が効くだろうという安心感―襲いかけたことを知らないため―があるが

東郷とずっとじらされ続けていた園子に関してはやや不安が残る

園子の身体機能は回復途中であり、まだまだ非力

しかし、東郷は違う。

風「やっぱ、あたし残ろうか?」

天乃「大丈夫だから学校行って。みんなだって心配してるんだから」


140 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/29(日) 23:21:37.24fFOI0sjKo (4/5)


天乃「風は三年生組の中では友奈的な立ち位置なんだから」

風「友奈の?」

天乃「馬鹿は風邪引かない的な」

風「はぁ……風だけに?」

天乃「……あ、うん」

風「やめて! そんな目で見ないで!」

どこか呆れたような表情で、

仕方がなくそのノリに乗ってやろうという仕草で言う風に冷ややかな視線を浴びせた天乃は、

そんな冗談のつもりはなかったのだが、

思いのほか和んでくれた空気を含んで照れ隠しに顔を覆う風へと微笑む

天乃「私達の代わりに宜しくね?」

風「はいはい。解った。その代わり天乃は安静にしておくこと。東郷と園子もよ。特に東郷」

東郷「少しは信頼してください、風先輩」

風「むしろ信頼してるから言うのよ」

東郷「酷い話です……」


1、風は進路希望調査票書いたの?
2、風、悪いけれどみんなによろしくね
3、勇者部の活動はどうするの?
4、東郷なら大丈夫よ、きっと
5、気を付けてね

↓2


141以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/29(日) 23:21:58.66fTyxqF/qO (1/1)

1


142以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/29(日) 23:23:37.47NQfhNPLEO (2/2)

3


143 ◆QhFDI08WfRWv2018/04/29(日) 23:55:06.68fFOI0sjKo (5/5)

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
もしかしたらお休みいただく可能性があります


友奈「でも、東郷さんがえっちなことしようとするって言うことは久遠先輩が健康ってことだから。そういうところは信頼できるよ」

東郷「友奈ちゃん!」

樹「えっちな人って部分の否定はしないんですね……」

東郷「人が必ず持つ欲求の一つで秀でていることを恥じてしまったら、それはもう人間であることを否定したことになってしまうわ」

風「樹に変な事覚えさせるなーっ!」


144以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/30(月) 00:00:55.43yOsgie25O (1/1)


風先輩の心労が…w
あとこの時期までみんなの体の治りが遅いのはやっぱり原作以上に神樹様が弱ってるからなのかな?


145以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/30(月) 01:37:25.21iVH074toO (1/1)


最近元気ないせいかいちゃいちゃパートも減ったからなあ


146以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/30(月) 08:32:34.85rhZs4jOIO (1/1)

公式の特典ゲームの実況で一瞬だけとーごーせんせーが出没した件


147以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/30(月) 15:53:59.84y1aVhVZgO (1/1)

とーごーせんせーは娘太丸の4コマで既出では…?
いずれにせよ穢れの件とか先出ししたりするスレだからな今更だわ


148 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/01(火) 23:02:25.44QZOcPKDyo (1/2)


では少しだけ


149以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/01(火) 23:06:11.02jF/LiW9L0 (1/1)

よしきた


150以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/01(火) 23:07:06.41V1rOpQRdO (1/1)

やったぜ


151 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/01(火) 23:21:29.02QZOcPKDyo (2/2)


天乃「それで風、勇者部の活動のほうはどうするの?」

風「あー……」

考えてはいた。

だが、勇者部の事を考え、

依頼に来るみんなの事を考え、

中々答えを出すことは出来ていなかったのだ

風「それ悩んでたのよねぇ」

みんながどうにも出来ない状況ならば迷いもなく拒否できるが、

樹や友奈は活動自体の支障はない

勇者部が健在であるというアピールによる周囲への安心感を考えれば

活動すべきではないか。という考えも生まれてしまう

しかし……

風「友奈と樹は身体的には問題が無いといってもいいでしょ?」

天乃「そうね」

風「だから多少は部活も再開して良いのかなぁとは思うんだけど」

天乃「何か問題があるの?」

風「何があるか分からないでしょ? 友奈の体もそうだけど、樹海の方で」


152 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/02(水) 00:14:11.10ko8t3oWTo (1/7)


天乃「もしも樹海化したらっていうところが心配なのね……」

風「そういうこと」

天乃「でも、今は勇者に変身する機能のない端末じゃないの?」

風「天乃が端末要らない変身できるから、あたし達も必ずしも必要ない可能性もあるし」

天乃が特例なだけ。と言う可能性が非常に高いけれど、

万に一つと言うものもある上に

友奈に至っては天乃から穢れを請け負った体なのだ

樹海化した場合、引きずり込まれてしまう可能性は十分ある

そうなった時に、

皆との距離が離れてしまっていることが不安なのだ

今のこの集まりもまたばらけない為。というものがあるのも理由の一つ

風「考えすぎかもしれないけど、やっぱりね」

天乃「…………」

風は困ったように笑みを浮かべて

解るでしょ? と言いたげな笑みを浮かべる

風もまた、全部終わったとは思えていないのだ


153 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/02(水) 00:52:51.36ko8t3oWTo (2/7)


風「友奈達はどう思う?」

友奈「やりたいです。みんなあまり会えなくて心配してると思いますから」

樹「出来ることは限られるけど、勇者部としてしっかりやりたい」

友奈と樹

今勇者部として活動できる二人はそろって臨む

運動部系、文化部系、商店街などの一般からくる依頼

その一つ一つを少しずつ行っていくことで

勇者部の健在をアピールしたいと樹は言う

自分と似たような考えを持つ樹へと

風は嬉しいような、困ったような

少し複雑な笑みを浮かべて

東郷「こちら側に来てる依頼の内容は私が確認と管理できますし、無理させる心配はないですよ」

風「んー……」

樹「大丈夫だよ、お姉ちゃん」

風「樹」

樹「もしも樹海化したとしても私と友奈さんの二人なら、そうじゃなくて一人だったとしても、みんなのところに行くまでの力はちゃんとあるよ」

誰かの力に頼り切らなくても

自分には出来ることがあるのだという樹の表情に

風は認めるように頷いた


154 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/02(水) 00:54:19.50ko8t3oWTo (3/7)


√ 11月01日目 昼(病院) ※月曜日

01~10 
11~20 夏凜
21~30 
31~40 東郷
41~50 
51~60 千景
61~70 
71~80 園子
81~90
91~00 若葉

↓1のコンマ 


155以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/02(水) 00:57:14.54BZ0fUBRDO (1/2)




156 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/02(水) 01:05:09.74ko8t3oWTo (4/7)


遅くなってしまいましたが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


樹「料理だって、お姉ちゃんが教えてくれたから一人でできるようになってきた」

風「樹……」

樹「えっちだって東郷先輩のおかげで上達した」

風「樹……?」

樹「だから久遠先輩をあえg――」

夏凜「やめろ! 風の精神はもう死んでる!」



157以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/02(水) 01:10:01.89jlzFJfPQO (1/1)


樹ちゃんいいぞ!


158以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/02(水) 01:13:59.83BZ0fUBRDO (2/2)


樹ちゃん、派手な活躍は少な目だけど成長は確実にしててどんどん頼もしさが増してくるなぁ


159 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/02(水) 22:41:43.09ko8t3oWTo (5/7)


では少しだけ


160以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/02(水) 22:43:09.03TH5pv9HJO (1/1)

かもん


161 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/02(水) 23:24:30.48ko8t3oWTo (6/7)


√ 11月01日目 昼(病院) ※月曜日


友奈や風達が学校に行き、

東郷と夏凜がリハビリのために病室を出て行ってしまった病室

残ったのは天乃と園子の二人

その静かな空間に割って入ったのは、千景だった

千景「久遠さん、少し良いかしら」

天乃「? どうかしたの?」

千景「この前の大赦の件で話があるのよ」

天乃「聞いてたの……?」

先月の話だ

樹海に起きている異変

大赦がとろうとしている作戦

沙織や水都から聞いた話の続き

千景「藤森さんから話を聞いただけよ。一応、藤森さんには話したけれど、私から伝えた方が分かりやすいだろうからって」

任されてしまったのよ。と

どこか困ったように言う千景の一方、

天乃は千景の陰に隠れるようになってしまっている園子へと目を向ける

天乃「園子はいても平気なの?」

千景「彼女知っている人間は多い方がいいと思うわ。強力な力を持っているのなら、なおさら」


162 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/02(水) 23:59:27.63ko8t3oWTo (7/7)


千景「それに、久遠さん一人に教えておくと後々問題がおこりそうだわ」

天乃「そんなことはないけど……」

千景「その冗談は面白くないわ」

天乃だけをのけ者にするという情報のやり取りにも千景は異を唱えるつもりだが

だからと言って、天乃だけに重要な情報が伝わっていくというのも

それはそれで否定したいと千景は思う

少なくとも、今までの天乃の生き方的に

それは確実に間違った流れのはずだからだ

千景「それに、藤森さんたちは同意してくれているのよ」

天乃「私の事を信用してないのね」

千景「信じてるからこそ、嫌なのよ」

天乃が無茶するという信頼と言う皮肉ではなく

天乃ならばなんとかできてしまうという信頼

それがあるからこそ、集中させてしまうことを恐れる

今の勇者部にとって、

天乃が【妊婦】であり、病室で横になっていることは日常の象徴

それが壊れる可能性は一つでも多く排除したいのだ

千景「だから、園子にも聞いて貰うわ」


163 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/03(木) 00:34:59.67Qr5sl5nbo (1/7)


天乃「…………」

千景「……なに?」

じっと見つめる視線に怪訝な目を向けた千景は問う

不思議そうで、どこか残念そうな天乃の表情が気になって

もしかしたら、園子を巻き込むという話に異論があるのかもしれないとさえ思って

けれど、天乃の吐息交じりの答えに千景はその考えを瞬時に捨てた

天乃「園子は園子なのね。乃木さんは?」

千景「乃木さんはもう一人いるわ。二人を混同するのは面倒よ」

樹と風に対するのと同じだ

沙織だって、二人で使い分けているのだ、千景がしていてもおかしいところなど一つもない

しかし、天乃は「それなら」と言う

天乃「陽乃さんと私がいるでしょ? 久遠さんで混ざらない?」

千景「彼女はここにいないわ」

首を振り、悲し気に零す。

若葉や球子と語ることができたように、

陽乃も居れば過去の過ちに向かい合うことができたかもしれないと考えていたからだ

それが望みすぎていることだと分かっていても、

後悔する記憶のある千景は少しだけ悔やんで、息を吐く

千景「だから久遠さんは久遠さん。そう呼ぶだけだわ」

天乃「そう……」


1、いつか名前で呼んでくれると嬉しいわ
2、名前で呼んでくれてもいいのに
3、じゃぁ、私はちーちゃんと呼ぶわね
4、話がそれてごめんね。続けましょうか
5、恋愛ゲームならこういうときって、じゃぁ呼んでやろうか? とか選択肢出てくるものじゃないの?
6、……ねぇ、できれば園子は巻き込みたくないわ


↓2


164以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/03(木) 00:36:14.81QFkOd+NzO (1/2)

3


165以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/03(木) 00:36:44.38xxsqKsQrO (1/2)

4


166以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/03(木) 00:37:10.74nHQLeTvg0 (1/1)

6


167 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/03(木) 00:58:46.59Qr5sl5nbo (2/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



千景(自分はそういう疑問があるのに)

千景(藤森さんがその疑問を抱いているってなぜ思わないのかしら)

千景(久遠さん、身近な人で唯一彼女だけ苗字呼びだって気づいてないの……?)

千景(もしかして……性的な対象だけ名前呼び……?)チラッ

天乃「?」

千景(……ないわね。そんな考え持てそうな人じゃないわ。モテるけれど)


168以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/03(木) 01:04:49.79QFkOd+NzO (2/2)


謎のジンクス


169以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/03(木) 07:16:46.60xxsqKsQrO (2/2)


あれ、もしそうだと千景や球子とかも性的対象になるんじゃ…?


170以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/03(木) 09:51:38.07jPE4CtBoO (1/1)

乙最近時間が遅いね

最初の頃みーちゃんが引きぎみだったから押し寄らない距離感保ってると思ってた


171以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/03(木) 14:00:32.456Tmh11g7O (1/1)

久遠さんに黙っておく→精神にダメージ+身を削ってみんなを助けにいく
久遠さんにだけ伝える→みんなに気付かれる前に身を削って何とかする

内容にもよるけど久遠さんクオリティだとどっちに転んでも自己犠牲しかねないイメージが…


172 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/03(木) 22:24:02.69Qr5sl5nbo (3/7)


では少しだけ


173以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/03(木) 22:25:31.45e6JLFh3iO (1/1)

あいよー


174 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/03(木) 22:41:21.39Qr5sl5nbo (4/7)


天乃「話を逸らしちゃってごめんね? 続けましょうか」

千景「園子に話す件については了承と取っていいのね?」

天乃「今更よ」

すでに興味深々な視線は千景に注がれているし、

ぜひとも。と言いたげな雰囲気をびしびしと感じる天乃は諦めて頷く

それに千景が言うことにも一理ないとは言えない

一人で無理をしないという約束は出来るが

その約束を破らないという約束は出来ないからだ

園子「天さんは人を巻き込むことを覚えたのです」

天乃「外に投げ出しても良いのよ?」

園子「ふっふっふ……動けるようになった完成型そのっちに勝てるかな~?」

手をワキワキと動かして襲うようなそぶりをして見せた園子は、

千景の不機嫌そうな視線に委縮したのだろう

苦笑いを浮かべながら「ごめんなさ~い」と身を縮める

千景「別に怒ったわけじゃ……ただ、貴女が乃木さんの子孫とはとても思えなかっただけよ。気にしないで」

園子「気になるよ~」

千景「あとでにして。話が進まないわ」

ぴしゃりと言い切った千景

余計な言葉を慎み頷く園子

黙って見つめる天乃

ふざけてるときは賑やかな二人の厳粛な雰囲気に挟まれた千景は

初めからそうしてくれればと息を呑む

もちろん、あの空気も嫌いではないのけれど。

千景「まず園子にはどこまで話が進んでいるのかだけ、伝えておくわ」


175 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/03(木) 23:01:05.22Qr5sl5nbo (5/7)


園子「ふむふむ~なるほどなるほど~」

千景「ここまでが、今久遠さんに伝わっている状況」

千景は沙織や水都から天乃へと伝わった外や大赦の情報を分かりやすく掻い摘んで説明した。

園子は特に質問なく首肯を重ねて説明を聞き終えて

園子「ちかっちはその近畿地方の天橋立ってところを目指す理由が分かるんだよね?」

千景「ちかっ……ちかっちは止めて」

不意に聞き馴染みのない呼ばれ方をされた千景は驚きに頬を赤くしたが

照れ隠しに悶えることなく冷ややかな目を園子へと向ける

園子「え~かわいいのに~」

千景「可愛くないわ」

園子「じゃぁ、シンプルにちーちゃん?」

無邪気に。

若葉の子孫とは思えないような軽快さで接してくる園子の姿勢

耐えかねた千景は震える手に戦うための大鎌を出現させ、振りかぶる

その一太刀は普通の人間には効果の薄い代物で、

血が出るような大けがを負うどころかかすり傷もつかないが

園子ほど体の供物をささげてしまった場合にはかなりの致命傷にもなり得る

千景「……神殺しの一振りを――」

園子「わーっ! 千景さん、郡様~っ!」

ぱんぱんっと手を合わせて祈るように頭を下げる園子を見てなお、

千景は鎌を振り下ろすようにして――鎌を消す

園子「っ……うぅ……怖かったよ~」

天乃「そんなに嫌がらなくてもいいじゃない。可愛いわよ? ちかっち」

千景「そういう呼ばれ方は好きじゃないの……似合わないから」


176 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/03(木) 23:23:50.25Qr5sl5nbo (6/7)


千景のあだ名は西暦時代にもあった。

憎たらしい、忌まわしい

思い出したくもないような時期につけられた虐めるためのあだ名

そして、唯一心を許せると思った彼女が勘違いゆえに呼ぶあだ名

その彼女のことを想起して、彼女の声が紡いだ自分の名を心に震わせて

園子の申し訳なさそうな声に、我に返った

園子「あ~……ごめんね。えっと……郡、さん。話を戻ろう?」

千景「……ええ」

言いにくそうに、残念そうに。

それが分かりやすい園子の表情を横目に捉えた千景は、

園子のその気遣いを受け取って一息つく

今は昔のことを思い出している時ではない

千景「この天橋立というのは天に続く橋とされていたのよ。イザナギやイザナミが降り立つために用いられたともいわれていたわ」

そしてなぜ、大赦は近畿地方へと向かわせる巫女に羽衣を纏わせたのかについても

千景はおそらくだけれど。と、続ける

千景「一説では、羽衣は天への道を開くためのものとされているのよ」

天にある国で作られたその羽衣を身に纏うことで、

自らは天の国の存在であるということの証しとして天への道、天橋立が立て掛けられるという説

ゆえに、天への帰還という不吉にさえ思える羽衣を纏わなければいけない

それがなければ、近畿地方にたどり着いたとしても、道が開かれることはないのだ

千景「大赦はそこを通過点として、天の神への攻撃へと転じようとしている可能性が高いわ」


177 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/03(木) 23:51:52.98Qr5sl5nbo (7/7)


天乃「園子。貴女はどう思う?」

園子「……想像の域を出ない。でも、このままだとじり貧なのは確かだから……」

天乃「攻めに転じようとしているってところは合ってる?」

園子の首肯に天乃も同意見だと頷いて目を瞑る

聞いた話を整理してみれば、殆どが想像での語りだ

しかし、現状得られている情報

確実だと分かっている状況

それらを加味して考えれば、向かう近畿にて天橋立を通り天へと攻め入る可能性は非常に高い

このまま待っていても神樹様の力が尽きて人々は敗北するのならば

勝利を掴みに行くしかないのだから

園子「また、わっしーやゆーゆ達が戦うことになるかもしれない」

千景「防人では手に余ると思うわ……その場合、勇者が出されることは確実でしょうね」

天乃「……私もね」

千景「…………」

園子「そうだね……むしろ、天さんを放り込もうとする可能性が一番高いかも」

妊娠していることで力を使うことが出来なくなってしまっている天乃だが、

子供が産まれれば多少なりと髪を殺すことのできる力が使えるようになるだろう。

その力は人類に問って最高峰の力

本来ならば温存するべきそれも、時間がないとなっては即日投入での即時終戦を望まれるのが道理

もしそれで、天を討ちきれなくとも、疲弊した天の神に勇者をぶつければ勝率は非常に高い

なら逆でも良いのではと思うが

万全である神と勇者では弱らせるまで行けない可能性

天乃が終戦まで持っていけない可能性

ゆえに半ばで折れてしまう可能性があるために、難しい


178 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/04(金) 00:15:56.84fP64jANGo (1/7)


そして何より……と

千景と園子が二人そろって命の宿る場所へと目を向けて、天乃の手が優しく撫でる

天乃「力の継承者は産まれてくる。残りかすは使い捨てても構わない」

園子「天さん……」

天乃「もちろん、そんなのは極端な言い方だって分ってるわ。大赦だって根っからの悪いところではないし……」

でも散々たてついたから、厄介払いが出来る上に人類解放が出来るのなら

それほど喜ばしいこともないでしょうねと、天乃はわざとらしく笑う

千景「……もちろん、そんなことは私達がさせないわ」

園子「そうだね……天さんの子供が出来たから天さんを犠牲にするなんてそんなのあんまりだよ」

天乃「解ってるわ、冗談よ」

二人の優しいフォローに天乃は笑みを浮かべて、

ありがとうね。と、言う

だが、自分がそこで無理をしなければいけない可能性は捨てきれない

むしろ、何もなくこのまま進んでしまったらきっと、そうなることは免れないと天乃は思う

神をも穢す力。それをここで用いないなど、ありえないからだ

千景「ただ、今防人が行っている作戦がうまくいけばの話だから、そうならない可能性もあるわ」

園子「樹海が今活性化してるって話だよね……少し力を借りてると言っても防人には荷が重い可能性もある……か」

活性化した樹海化

そこで生まれる星屑やバーテックスモドキによって

防人が負傷、あるいは……

そう言ったことの重なりによって作戦そのものがとん挫することもあり得るだろう

天乃「いずれにしても、覚悟はしておいた方がいいんでしょうね」

園子「……私も、リハビリ頑張らなきゃ。だね」

千景「経過から察するに今月半ばには確実に普通に動けるはずよ。無理はしない方がいいわ」


179 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/04(金) 00:26:37.32fP64jANGo (2/7)


園子「お医者様はまだまだかかるかもしれない~って言ってたよ~?」

千景「医学的にはそうでしょうね。でも、神樹……様の力を借りている貴女達には適応されない」

園子「じゃぁ、頑張りしだいでは?」

千景「場合にもよるけれど、登校できる可能性もあるわ」

最初のうちは松葉杖を使う必要があるかもしれないが、

時期にそれも必要なくなるだろうと千景は言う

これも憶測ではあるが、神樹様の力を感じ取ることのできる九尾達での考えだ

確実とは言い切れなくとも信ぴょう性は高い

園子「わーい頑張ろ~」

天乃「そんなに学校行きたいなんて、園子は勤勉ね」

園子「……学校よりも行きたい場所があるんよ~」

天乃「そうね……銀のお墓参りとか」

園子「そうだね~、今月だもんね~」

切なげに言う天乃に頷いた園子は、

今は亡き銀の姿を思い出して笑みを浮かべると、言葉を飲む

園子「……でもそうじゃなかったんだけどなぁ」

天乃「ほかに行きたい場所があるの? イネス?」

園子「糠にくぎを打ち込むとはこのことだよ~」


180 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/04(金) 00:47:10.30fP64jANGo (3/7)


残念そうに俯いてぼやく園子を困ったように見つめた天乃は、

ご両親にも会いたいわよね。と、大真面目な言葉を返して

園子「それもあるよ、あるけど、天さん……」

天乃「あ……ごめんね、私もご挨拶に行かなきゃ」

園子「娘さんをくださいっていうやつだね、結婚には必要だからね」

確かにそれも必要だよね。

一緒にあいさつに言ってどうしても結婚がしたいんですって思いを語って

思いをはせる乙女のように頬を赤らめながら語った園子は

緩んだ頬を引き締めるように首を振って、でもね。でもでもだよ~? と呟く

園子「それ以外にもあるんよ~」

天乃「それよりも大事なところ……?」

銀のお墓参り、実家、学校

それらと同じくらいに行きたいところがあるという園子をじっと見つめた天乃は

考えて、考えて

天乃「そっか……忘れてたわ……」

園子「うんうん!」

天乃「美味しいおうどんが食べたいわよね」

園子「襲っちまうぞこのやろ~っ!」

天乃「えぇっ!?」

千景「今のは久遠さんが悪いわね。ずっと相手にしてあげられなかったでしょう」

周りから話を聞くだけ、聞かされるだけ

自分で慰めることもできない苦痛の日々

それを生きてきたのだ、めったに聞くことのない声を上げるのも仕方がない

園子「目の前のベッドに行きたいんよ。限りなく近く限りなく遠いその場所に行きたいんよ~」

天乃「園子……」

園子「そして溜まりに溜まった性欲のすべてを一夜にしてぶちまけるんだぜ」

天乃「そこまでとは……ごめんなさい、思ってなかったわ」

園子「あはは……本気にされても困るんよ~」

でも、少しは私もいちゃいちゃしたいな~って。

そう気恥ずかしそうに言った園子は、照れ隠しの笑みを浮かべていた


181 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/04(金) 00:50:43.50fP64jANGo (4/7)


√ 11月01日目 夕(病院) ※月曜日

01~10 
11~20 夏凜
21~30 
31~40 
41~50 東郷
51~60 
61~70 
71~80 園子
81~90
91~00 若葉

↓1のコンマ 


182以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/04(金) 00:52:26.75cvlrZm7g0 (1/1)

はい


183 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/04(金) 01:16:27.31fP64jANGo (5/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



園子「お話と書いて」

東郷「猥談」

園子「お遊びは」

東郷「性行為」

園子「真面目な時は」

東郷「子作り」


夏凜「頭散華してんじゃないの?」

千景「残念ね、正常よ」


184以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/04(金) 01:21:53.63Wk/m3vRJO (1/1)


久遠さんや勇者部の運命は芽吹たちにかかっているな
そして次は待ち焦がれていたであろうそのっちのターン…後々溜まってた分を吐き出す時は来るのだろうか



185以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/04(金) 03:15:23.81fZkJubJWO (1/1)


冗談に見せかけて割と本当に悶々としてそうな園子


186 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/04(金) 23:09:41.85fP64jANGo (6/7)


では少しだけ


187以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/04(金) 23:11:55.18pMQ5xp32O (1/1)

やったぜ


188 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/04(金) 23:38:28.57fP64jANGo (7/7)


√ 11月01日目 夕(病院) ※月曜日


園子「天さん」

天乃「なに?」

園子「ん~……天さん」

天乃「どうかしたの?」

園子「えへへ」

何かをしたわけでもなく、

ただ名前を呼部だけで満足気な笑みを浮かべる園子は

緩む頬をムニムニと自分で押さえて

園子「動けないのはもどかしいけど、声をかけることが出来て、答えて貰えるっていいよね」

天乃「……そうね。その気持ちは私も解るわ」

園子「天さんも一人になっちゃうことが多かったもんね」

天乃がそうだったことで、

園子もまた呼ぶことも答えて貰うこともできなかったのだ

もっとも、

そもそも眠っていることの多かった園子は呼ぶこと自体が出来なかったのだが。

天乃「でも、これからはちゃんと答えてあげられるし、話すこともできるわね」


189 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/05(土) 00:11:31.031hy7kFt/o (1/9)


園子「でも、天さんは学校……あと2か月くらいしか通えないんだよね?」

天乃「場合によってはむしろ短くなるまであるわね」

早くて12月の出産、

遅ければ1月に入ってからの出産となっており、

出産してすぐの登校と言うのは体の関係上出来ないため、

早くて1月中旬、遅ければ2月に入ってからの登校となる

となれば、卒業する3月まではほんの1か月程度しか時間はないのだ

園子「残念だなぁ……天さんと一緒の学校生活を過ごすの、楽しみにしてたのに」

天乃「そうだったの」

園子「うん。おんなじ部活に入ったり、先輩だから勉強教えて貰ったりとか……」

わっしーは絶対にありえないって言ってたけど。と、

ベッドで眠る東郷へと目を向けて、園子は苦笑いを浮かべる

園子「生徒会、とか、やっちゃったりして」

天乃「…………」

園子「文化祭とか、体育祭とか、いろんなこと。一緒にしたかったんよ~」

やりたいことが沢山あったのだ

してみたいことが沢山あったのだ

そのすべてが、

もう、通り過ぎてしまったのだと今更ながら実感する


190 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/05(土) 00:33:03.341hy7kFt/o (2/9)


園子「天さん、浪人生になったりする?」

天乃「留年ではないのね」

園子「そうだったら嬉しいけど、天さんの休みは免除されるし学力は問題ないから」

天乃「それで浪人なのね」

産んだ子供と健康のことを考え、

高校に入るのは1年遅らせるという流れ。

1年もたてば子供のお世話に関して少しは安心できる部分も出てくるだろう

園子「でもそうしたら先輩ではなくなちゃうね」

天乃「そうねぇ、園子も敬語をやめなくちゃいけなくなるわね」

園子「天さんじゃなくて、くーちゃんとか、あまのんとか?」

天乃「ふふっ、そうね」

園子「それはそれで嬉しいかもしれない……」

悩むなぁ。と呟く園子は、

その状況を想像しているのか嬉しそうに笑みを浮かべながら、

一人、楽し気な雰囲気を醸し出す

園子「えへへ、そうしたら授業中も一緒にいられるんよ~」

天乃「一緒なら、授業も寝ないでいられるかしら?」

園子「努力しまーす」


1、でも残念、私は浪人する気はないわ
2、園子は、私が高校には通わないって決めてたらどうする?
3、私もね、みんなでの学校生活は楽しみにしてたのよ
4、園子は、今ある問題が解決してもみんなが無事だって自信があるのね


↓2


191以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/05(土) 00:35:41.41oVQ3OXMQ0 (1/1)

3


192以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/05(土) 00:36:11.20Koe4it9mO (1/2)

4


193 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/05(土) 00:51:44.691hy7kFt/o (3/9)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


園子「ほかにもいろいろしたいことがあったんよ」

東郷「夕暮れの教室、風邪に揺れるカーテンを纏った接吻」

東郷「体育倉庫での秘め事」

東郷「人気者の久遠先輩へとどうお菓子を渡すか胸を高鳴らせる2月14日……!」

夏凜「一つだけ普通で逆になんかこわいんだけど」

風「なんか入ってそうよね」


194以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/05(土) 00:52:54.24nWuUwSqKO (1/1)


上もマイルドで普通だろ!


195以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/05(土) 01:03:46.16Koe4it9mO (2/2)


考えてみたら久遠さんはこれから出産関係で身動き取れなくなる時期があって中々日常回がしにくくなるのか…
東郷さんの暴走阻止で展開が変わってる可能性があるなら今作の最終回はあわよくば卒業までがいいなあ


196 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/05(土) 21:55:45.581hy7kFt/o (4/9)


では少しだけ


197以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/05(土) 22:02:09.78ShTt3wYGO (1/3)

よしきた


198 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/05(土) 22:14:56.901hy7kFt/o (5/9)


天乃「そこはしっかりしますって言ってくれないと不安だわ」

とはいっても、

授業態度的な意味で不安があるだけで、

園子自身の学力に不安はなかった

ぼんやりしてはいるが、

園子は十分できる子だと天乃は良く知っているからだ

天乃「……でも、貴女は今ある問題が解決してもみんなが無事だって自信があるのね」

園子「それ以外なんて、嫌だからねぇ」

そうなる確証なんてどこにもない

天乃が言うように自信があるわけでもない

ただ、そうなってほしいという願いがあるだけだ

それ以外は嫌だという思いがあるだけだ

しかし、状況は刻一刻と悪い方向へと進んでいく一方で

園子「ミノさんを失っちゃったけど、だからこそ、残ったみんなはちゃんと無事でいたいって思うんよ」

天乃「…………」

園子「さっき、天さん言ったよね。お墓参りにもいかないと~って」

天乃「ええ」

園子「そこでね、ミノさんが守ってくれたからって、報告したいんだ」

ミノさんのおかげで。

あの時、身を挺して守ってくれたから

みんなは今も無事なんだと

尊い日常を生きていけるんだと、報告したいと園子は思う


199 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/05(土) 22:31:13.881hy7kFt/o (6/9)


天乃「そうね……銀に良い報告できないのは嫌だわ」

園子「だから、誰かを犠牲にしないといけないなんて考えたくない」

笑みを浮かべ、そう言った園子はゆっくりと口を閉ざして首を振る

そのために自分が思っていること

それを口にしてしまうべきかと悩んだからだ

そして、園子は意を決して口を開く

園子「だから、防人さん達には酷いって解ってても、成功してほしくないな~って思うんよ」

天乃「園子……」

園子「だって、そうなったら郡さんが言ってた流れになるのはほぼ確実だもん」

守ってばかりではじり貧

そんな状況を打破する行動と言えば、攻めに出るくらいだろう

そして、攻めに出るために必要なのは勇者だ

園子「勇者部の誰かがいなくなっちゃったら、天さんにとっての日常はもうなくなっちゃうよね」

天乃「それはもちろん、そうね」

園子「だけど、天さんがいなくなっちゃうのも、みんなにとっては許せないことだから」

攻勢に出た際に出る被害の一つも許容できない

だが、被害を出さないということは不可能

そんな状況になりつつあり、

そこにもっていきかねないのが、大赦の作戦なのだ

だから、園子は失敗してほしいと思ってしまう


200 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/05(土) 22:42:04.821hy7kFt/o (7/9)


それは決して、大赦が間違っているわけではないこと

個人ではなく、全体として見るならば

自分たちの願っていることこそが悪手であり我儘であることくらい分かっている

それでもだ

それでも、嫌だと思ってしまう

失敗してほしいと望んでしまう

お役目だから仕方がない。二年前は思えていたことも

今は思えなくなってしまっていた

園子「……もっと別の方法があるんじゃないかなって思うんよ」

本当にあるかもわからない答えを求める希望的観測でしかない言葉

自分が間違っていると分かっている考え

だが、世界にとって間違いであっても

自分が信じる者にとっては間違いではないと園子は信じる

園子「それはもしかしたら、誰か一人じゃなくて、みんなが辛い思いするものかもしれない」

でも、だけど。

それでもだ

園子「100の辛いをみんなで分けることができれば、ただ、大変だったね。で、終われるんじゃないかなって思うんだ」

天乃「貴女、まさか必要ならまた勇者になるって言いたいの?」

園子「えへへ~子供がいながらまた戦いに行きそうな天さんには、批難する権利はないのです」

浮かべる笑みは一見、ふざけているものだが園子は本気だった

本気で、また自分の命を懸けようとしているのだと

天乃は察して、首を振る

だが、園子と同じことを

いや、むしろ園子よりも負担の大きいながら命を懸けることも厭わない天乃は、

全員で負担を軽減するという園子の案を容易に批難できなかった


201 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/05(土) 22:52:35.741hy7kFt/o (8/9)


√ 11月01日目 夜(病院) ※月曜日

01~10 
11~20 夏凜
21~30 
31~40 
41~50 友奈
51~60 沙織
61~70 
71~80 園子
81~90
91~00 若葉

↓1のコンマ 




202以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/05(土) 22:54:36.79ShTt3wYGO (2/3)




203以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/05(土) 22:56:14.648c6biRJM0 (1/1)

そのっちフィーバー中


204以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/05(土) 23:00:10.49PSYCCm0JO (1/2)

久遠さんと一緒に居たいという鉄の意志を感じる


205 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/05(土) 23:12:34.021hy7kFt/o (9/9)


ではここまでとさせていただきます
明日は出来れば昼頃から


園子「お昼は真面目な話」

園子「そして」

園子「夜にも真面目な話」

天乃「何を話すの……?」

園子「天さんがMって話、ほんと~?」ニコッ

天乃「えっ? なにそれ?」


206以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/05(土) 23:17:51.97PSYCCm0JO (2/2)


ずっと園子のターン!


207以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/05(土) 23:25:15.13ShTt3wYGO (3/3)


久々の昼投稿に期待

できれば病み上がりの園子様には無理させたくないけど久遠さんも現状何もできないからなぁ…



208 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 14:02:37.78OdVT7cXSo (1/15)


では少しずつ


209以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/06(日) 14:05:45.90yJD6OnQyO (1/2)

かもーん


210 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 14:52:32.18OdVT7cXSo (2/15)


√ 11月01日目 夜(病院) ※月曜日


天乃「今日1日ずっと園子と関わってる気がするわ」

園子「今日は園子づくしだよ~」

弱弱しい力で触れてくる園子に笑みを見せた天乃は、

その手に優しく触れて、握る

一度は、天乃の家で一緒に過ごす可能性もあったがすぐに話はご破算となり、

そのせいもあって、この病室に来るまでずっと

同年代の誰かと一緒にいられる機会は本当にまれだっただろうし、

ここに来てからも、みんなの体調のこともあって、園子は一人になることが多かった

天乃との関係に限って言えばもっと少なかったことだろう

その抑圧もあってか

園子は少しだけ甘えるように、身を寄せてくる

園子「ぽかぽかする~」

天乃「まだ少し体温が高いからかしらね」

園子「お母さんだねぇ」

天乃「園子は妹を待つ長女みたいだわ」

妹がいる母親のお腹に触れながら、

まだかまだかと期待と不安に揺れる笑みを浮かべる長女のような園子の姿

そんな想像を口にすると、

園子は少しだけ複雑そうな表情を見せた

園子「天さんの子供は嬉しいような悲しいような……うーん」

天乃「あら、どうして?」

園子「他人じゃないと出来ないことがあるし、子供じゃないと出来ないこともあるから」


211 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 15:41:00.55OdVT7cXSo (3/15)


園子「もちろん、どっちも嫌じゃないよ」

産まれたときから家族だったら。

妹だったら、姉だったら。娘だったら

まだ銀が生きていたころにも、考えたことがある

いつも遅刻してきたりすることの多い銀のことを不審に思った須美が、

こっそり見に行こうという提案をして見に行った時の話だ

弟がいる銀を見て、

自分たちには兄弟も姉妹もいないから

誰かをお姉さんと考えてみようという話になって

園子「わっしーはねぇ、天さんがお姉さんだったら心労で大変だって言ってたんよ」

天乃「そんなに心配かけてたかしら……あの頃は普通だったと思うけど」

園子「天さん悪戯好きだから」

天乃「あぁ……」

園子「わっしーが良く怒ってたの今でも私は覚えてるよ」

話をしているときに余計な茶々を入れて

イネスでちょっとしたものを食べているときに横からつまみ食いをして

園子「でもね。一緒だったらきっと、飽きないだろうなぁって、退屈はしないだろうなぁって。そう言ってた」


212 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 16:50:06.91OdVT7cXSo (4/15)


園子「その時から、あ~わっしーはそうなんだ~って、なんとなく思ってた」

天乃「それ、勝手に言っちゃっていいの?」

園子「今のわっしーはもう天さんの傍にいるから」

きっと、望んでいたよりもずっと近くにいるから

そう言った園子は自分の事のようにうれしそうな笑みを浮かべながら、

天乃の体を変に刺激しないよう気遣った距離感で寄り添う

本当はお腹の大きくなっている天乃の体を考えれば、

添い寝しているような状況は避けるべきではあるのだが……

園子「そして私も傍にいるんよ~」

天乃「体大丈夫なの? 一人用じゃなくて平気?」

園子「天さんは小さいから平気だよ。えへへ」

天乃「横幅の問題よ」

園子「こうしてれば、関係ないよ」

横になっている天乃に対して、左半身を寝かして寄り添う園子は笑う

その姿勢が体の負担になっていないのかと、聞いているのに


1、学校行けるようになったら、園子は学校に行く?
2、園子のご両親は私達の事、なんていうかしら
3、園子も普通にしていたら、私より大きいのよね
4、貴方、そんなに甘える子だったかしら
5、園子はどうなの? お母さん? お姉さん? それとも、妹?


↓2


213以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/06(日) 16:55:20.42yJD6OnQyO (2/2)

3


214以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/06(日) 16:57:10.09FHDlPglG0 (1/2)

3


215 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 17:28:27.68OdVT7cXSo (5/15)


天乃「園子も普通にしてたら、私より大きいのよね」

園子「小学生のころから少しだけ大きかったけどね~」

天乃「……それは言わないで」

園子「わっしーも大きかったから、ミノさんと天さんの背比べで」

天乃「みんなが大きかったのよ」

園子「そうかなぁ」

小学校高学年にもなれば、

男の子はもちろん、女の子も身長は伸びてきている子は伸びてきており

天乃よりも背の高い子はいたと、園子は思う

園子「天さん、今でも身長変わってないんだよね?」

天乃「なに、馬鹿にしたいの?」

園子「ううん、私との約束」

天乃「園子との約束……?」

園子「ほら、一番最後の戦いの前にした約束、覚えてない?」

人差し指を立てて言う園子は、

天乃の困惑した様子に笑みを浮かべて「ほらほら~」と言う

園子「無事戦い終えたら、神樹館の制服でもなんでも着てくれるって話だよ~」


216 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 18:31:01.10OdVT7cXSo (6/15)


天乃「そんな約束したかしら……」

園子「天さんに一度着てみて欲しいってミノさんも言ってたよ?」

天乃「それはまぁ、確かに銀が言ってたのは覚えてるけれど」

園子「……クラスの子だって、なんで制服着てないの~って」

天乃「あれはただの勘違いでしょっ」

天乃が初めて神樹館の前まで一緒に行った時のことだ

登校する小学生達に同年代だと思われ

持っているカバンの違い、服装の違いから転校生かとまで言われたのだ

天乃「そんなくだらないことまで覚えてたのね。忘れていいのに」

園子「えへへ~忘れないよ」

自分より年下の子

その悪意のない勘違いからの言葉にどう言おうかと迷い

小学生に間違われた気恥ずかしさから赤い顔をして

少し、おろおろとしていた姿

園子「……からかわれ慣れてない天さんは、すごくかわいいな~って思ったんよ」


217 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 19:15:30.30OdVT7cXSo (7/15)


天乃「可愛いって……あの時そんなこと考えてたの?」

そんな素振りも見せず、

ただ、違うよと否定して、付き添いで来てくれただけだと説明していた園子

そんなに小学生に見えると聞いた時

そんなことないよ~と、いつもの笑顔を浮かべていたのに

天乃「園子も、私のこと小学生みたいだって思う?」

園子「ううん。そんなこと思わない」

天乃「でも、ほとんどの人がそう見るのよ?」

園子「天さんは可愛いけど、かっこいいから。見た目だけじゃないよ」

本心を語っているのだと言いたげな幸せを感じる笑みで言う園子は、

頬をすりすりと天乃の体に寄せて、「むふふ~」と怪しげな声を漏らす

エッチなことをしようとはしない

けれど、その存在を少しでも身近に感じようとしているのだろう

少し厚めの布団を扱っているが、

11月の気温などものともしない人肌の暖かさを感じて、ほんのりと汗ばむ

園子「私は、天さんが血の繋がった誰かならお姉さんが良いな~って思ってた」

背が低くても、小学生みたいに見えても

男の子のように悪戯が好きでも

園子「私にとって、天さんはずっと憧れの先輩だったから」


218 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 19:38:04.03OdVT7cXSo (8/15)


優しいだけでも、厳しいだけでもなく

優しい時もあれば厳しい時もあって、

それでいてとても楽しませてくれる理想の姉

想像するしかない園子にとっては、

天乃はそんな空想の姉にベストマッチな存在だった

園子「ずっと好きだった」

先輩として、女性として

友人とは違う、憧れからくる好意

この人がいてくれたらという安心感

いなくなってしまった不安と焦燥感

園子「……やっと、触れることができた」

失ってしまった2年前

自分からは何もできなかった2年間

求めて止まなかった感覚に、園子は悲し気な笑みを浮かべて

園子「久遠先輩」

天乃「園子……?」

ずっと、やや強引に体を持ち上げる園子の顔は、

見覚えのある、近さだった


1、頭を撫でる
2、抱きしめる
3、あえて何もしない

↓2


219以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/06(日) 19:52:48.91FHDlPglG0 (2/2)

2


220以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/06(日) 19:53:58.212eacqNgWO (1/3)

2


221 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 21:08:41.14OdVT7cXSo (9/15)


自分よりも大きくとも華奢に感じる園子の体を出来る限りの力で抱きしめる

大した力の入らない腕では満足いく抱擁感もないかもしれないが

少しでも、感じられるようにと。

園子「天さん……」

もぞもぞと園子の手が動き、

視界の端で躊躇うように留まって天乃の体に絡んでいく

園子「天さんの匂いがする」

天乃「……今日だけ許してあげる」

園子「うん……」

体を縛る園子の腕に力がこもる

再会を喜ぶ抱擁感は2年間を取り戻すかのような力強さがあった

園子「前は、何言ってるのって許してくれなかったけど」

天乃「また拒否するわよ」

園子「今は、私の方が力があるんよ」

少しだけ押せば、しがみつく

そんなじゃれ合いにも満たないやり取りの中

園子は唇を少しだけ引き締めた

園子「……好き」

この感触が、この匂いが

この確かな命を感じられることが。

思いを込めて、園子は呟く


222 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 21:32:34.31OdVT7cXSo (10/15)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(大赦の作戦、すべてが終わっても、普通にしていたら、抱きしめる)
・   犬吠埼風:交流有(勇者部の活動)
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流有(大赦の作戦)
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


11月01日目 終了時点

乃木園子との絆  70(高い)
犬吠埼風との絆  97(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  86(とても高い)
結城友奈との絆  105(かなり高い)
東郷美森との絆  115(かなり高い)
三好夏凜との絆  135(最高値)
乃木若葉との絆  94(かなり高い)
土居球子との絆  40(中々良い)
白鳥歌野との絆  42(中々良い)
藤森水都との絆  35(中々良い)
  郡千景との絆  41(中々良い)
   沙織との絆  115(かなり高い)
   九尾との絆  63(高い)
    神樹との絆   9(低い)


223 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 21:42:58.59OdVT7cXSo (11/15)


√ 11月02日目 朝(病院) ※火曜日

01~10 夏凜
11~20 
21~30 友奈
31~40 
41~50 園子
51~60 樹
61~70 
71~80 沙織
81~90
91~00 若葉

↓1のコンマ 


224以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/06(日) 21:44:03.082eacqNgWO (2/3)




225 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 22:24:44.31OdVT7cXSo (12/15)


√ 11月02日目 朝(病院) ※火曜日


夏凜「あんた、もう完全に調子は良さそうね」

天乃「そう見える?」

夏凜「そりゃ、まぁね」

何処か呆れたような笑みを浮かべる夏凜の視線の先にいるのは

天乃に抱き着くようにして寝息を立てている園子

園子と密に触れ合っていても体調を崩さずに目を覚ませたのだ

多少の外部干渉で体調を崩さなくなってきたのかもしれないと、

夏凜は考えつつ呟く

夏凜「来月か再来月だったっけ? 出産予定日」

天乃「そんな範囲になると、予定日と言うよりは予定期間ね」

ひと月半ほどの期間、その間に生まれるかどうか

その我が子を撫でた天乃は流れるように園子の頭を撫でる

園子「んふふ……」

天乃「園子も元気そう……貴女も、東郷のリハビリに付き合っているけど、どう?」

夏凜「ガチの戦闘はまだ少し不安はあるけど、ぼちぼち鍛錬再開する予定よ」

病院のリハビリとは別に、夏凜独自の基礎鍛錬

勇者としての役目があろうとなかろうと

それは続けていくつもりだと夏凜はにやりと笑う

夏凜「何があっても平気なようにね」


226 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 22:47:23.24OdVT7cXSo (13/15)


天乃「勇者として戦う必要が無くなったら、鍛える意味もなくなっていくんじゃない?」

夏凜「いやいや、十分必要でしょ」

例えば。

夏凜はそう続けて何かを言おうとしたが、

天乃と抱き着く園子を一瞥すると、諦めたようにため息をつく

夏凜「あんたの為によ。日常的に力必要でしょ?」

天乃「それは……」

夏凜「それに、女の子とはいえ子供と遊ぶってなったら多少体力必要になってくるだろうし」

天乃「そういうものかしら……?」

天乃や夏凜

先代である園子たちは鍛錬してきたこともあり

そういった体力が必要な子供時代だったが、

普通の家庭で育つ女の子が必要なのだろうか。

そう考え、否定する

この双子もまた、脅威に対抗すべく多少の鍛錬が必要なのだと。

天乃「そういうものよね……時が来たらきっと、この子たちも戦う日が来る」

夏凜「出来れば、そんな日なんて来ないでほしいけど」

それとは別に運動能力は高めてやりたいのよと、

夏凜は楽し気な笑みを浮かべる


227 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 23:19:43.68OdVT7cXSo (14/15)


夏凜「あんたの子供とか、巻き込まれ体質と言うか何でもかんでも首突っ込んでいくだろうし」

天乃「そんなことないわよ」

夏凜「いやいやいや」

天乃「必ずしも私と同じ性格になるとは限らないし」

夏凜「あんたの周りにいる人間考えてみなさいよ」

解んないの? と呆れながら言った夏凜の視線につられて辺りを見渡すと

制服に着替え終えた友奈達が目に入って

夏凜「お母さん達はどんな人?」

天乃「…………」

夏凜「私達も人助けするーっ! 勇者になーる!」

どうせそう言い出すに決まってるでしょ。と

夏凜は決めつけて言うと、友奈を指さす

夏凜「特に遊び相手になりそうな友奈。触発されて絶対に勇者目指すわよ」

天乃「それは否定できない……」

夏凜「ま、そういう汗臭いの嫌。とか言ってくれたらそれはそれで面白いけどね」

そうならないだろうと夏凜は思う

母親である天乃がこんな状態なのだ

きっと、手助けしたいと頑張る事だろう

心優しい子供になる事だろうから

夏凜「っ絶対、あんたみたいなやつになるわよ。そこは保証するわ」


1、……そこまで考えてくれているなら、万が一のことがあっても安心ね
2、遊び相手なら風もなりそうだわ。樹も……今は鍛錬とか興味あるだろうし
3、親の責任は、親がしっかりと解決するべきよね
4、ねえ夏凜、後で話があるの。付き合ってくれる?(昼:大赦の作戦について)
5、夏凜は本当にもう勇者としてのお役目がないと思ってる?


↓2


228以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/06(日) 23:24:54.311TML7RdbO (1/2)

4


229以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/06(日) 23:25:26.982eacqNgWO (3/3)

1


230 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/06(日) 23:44:58.85OdVT7cXSo (15/15)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



東郷「護国思想を――」

夏凜「無しで」

東郷「では保健体育を」

風「あんたは親戚のおっさんか!」

東郷「なら私は一体何を教えてあげればいいんですか!」

友奈「大丈夫だよ東郷さん、いるだけで立派な反面教師だよ」

樹「ついに友奈さんが辛辣に!?」


231以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/06(日) 23:56:15.431TML7RdbO (2/2)


東郷先生なのに教える科目がない…


232以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/06(日) 23:58:03.70Ni8W9+LRO (1/1)


スーパー園子様タイムからの旦那様の如く余裕な夏凜ちゃん
そしてとうとう本家の友奈ちゃんならありえないこと言われ始めた東郷せんせーェ…



233 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/07(月) 22:28:32.19Zj0R4e+Bo (1/4)


では少しだけ


234以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/07(月) 22:35:24.99YybOzDkSO (1/1)

あいよー


235 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/07(月) 22:39:12.25Zj0R4e+Bo (2/4)


天乃「……そこまで考えてくれているなら、万が一のことがあっても安心ね」

夏凜「万が一?」

天乃「世界とか、私とか」

夏凜「世界は良いわよ。守ってやるから。でも、あんたの体に起こることは私達には対処しきれないことが多い」

陽乃が想定しておいてくれたおかげか、

それとも単なる偶然か

今回天乃の体に起きた異常は夏凜達で何とかすることができたが、

毎回、今回のようにうまく事が進むとは限らない

だからこそ、

なせば大抵なんとかなるこの世界のことよりも、

天乃の事の方が、不安は大きかった

夏凜「なによ、あんた何かあんの?」

天乃「ここまで色々大変だったから、出産もきっと大変でしょ?」

夏凜「そりゃ、初出産はどこの誰も大変って聞くわよ」

天乃「でも、私はこんなだからね」

それにもやはり個人差があり、

辛く苦しい人と、意外とすんなり行ける人とがいるのだが……

境遇的にも条件的にもすんなりいくことはないだろうという天乃の考えに、

夏凜は頷いて答える

夏凜「確かに、あんたの体に双子の出産は過負荷だわ」

天乃「でしょ? だから万が一のことも――」

夏凜「嫌よ」


236 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/07(月) 23:17:18.14Zj0R4e+Bo (3/4)


天乃「え?」

夏凜「嫌っつったのよ。そんなこと考えさせるんじゃないわよ」

天乃「だけど、今回凄く困ったでしょう? やっぱり、ある程度は最悪のパターンも考えておくべきだと思うの」

夏凜「そりゃ、あんたが言うことが正しいってのは解るわよ。けど……」

そこまでの最悪のパターンをまた考えなければいけないのかと思う

握りしめ、爪の食い込む掌の痛みが噛みきった唇の痛みを彷彿とさせて……

夏凜は天乃の瞳を見つめる

そんなことを考えさせることを悔いている目だ

罪悪感を抱いている目だ

夏凜「気持ちで負けてちゃ、どうしようもない」

天乃「……夏凜らしいわね」

夏凜「…………」

天乃「迷惑かけてる私自身がこんなこと言うなんて不躾だって分ってはいるのよ」

でも。と、繋ぐ

天乃「思ってた通り、言わなきゃ考えようとしてくれないでしょう?」

夏凜「考えたい話じゃない」

天乃「それでも」

夏凜「……ここまで頑張ってきたあんたが、それでも結局居なくなるってのは、考えられない」

天乃「子供を産んで死ぬのなら、それは日常に起こり得る一つの出来事のはずだわ」


237 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/07(月) 23:47:47.32Zj0R4e+Bo (4/4)


夏凜「あんたね……」

天乃「例えの一つよ」

夏凜「あんたが死ぬ可能性の一つでもあるんでしょ。どうせ」

ため息をつきながら言う夏凜は、

問のような投げかけをしたにもかかわらず、

答えを待たずに口を開く

開いた瞳はどこか、怒りを感じるもので

夏凜「生きることを諦めないって考えるようになったのに、出産が辛くて死ぬかもしれないなんて悲観する? その妄想を押し付けようとする?」

天乃「だから、子供が」

夏凜「ありえない」

天乃「っ」

夏凜「少し前のあんたなら、そんなこと考えてても私が否定したらそうね。頑張れば大丈夫よね。とか言ってたわよ」

天乃「それは、もちろんそう思いもするけど、こんなこともあったわけだから」

夏凜「そう簡単には割り切れないって言いたいの?」

つわりが酷くなった原因である穢れも関わってくるのはほとんど確実であり

それでなくとも中学生の体に双子の出産と辛い条件が重なってきているのだ

その考えも分からなくはないかもしれない

夏凜「…………」

考える為に口を閉ざし、

怪訝そうな厳しい視線を天乃へと向けていた夏凜は、

おもむろに深く息を吐いて、眉間を指でつまむ


238 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/08(火) 00:30:55.811feJNMa9o (1/3)


夏凜「あんた、またなんかやろうとしてるわけじゃないわよね?」

天乃「こんな状態じゃ出来ることはないわ。力もないし」

すぐそばにある夏凜の手を全力で握りしめて、

こんなものよ。と苦笑する

身長と同様、小学生と同程度の握力

ふざけているのかと言いたくもなるが、

これが本当に今の天乃の全力なのだ

天乃「力が子供に持っていかれちゃってるのよ。貴女も知ってるでしょ?」

夏凜「知ってるけど……まぁ、力が使えないってことは九尾も若葉達もはっきり言ってたし……」

嘘ではないって信じてはいるから。と、言った夏凜は、

それでも不安そうな視線を天乃へと向ける

夏凜「あんたの出来る限りって無理ではないけど無茶ではあるから怖いのよ」

天乃「この体じゃ無茶もできないわよ。今はね」

夏凜「後でするみたいな言い方止めなさいよ。不安になるから」

天乃「ふふっ、確かにね」

夏凜「天乃……なにかあるなら言いなさいよ? 私達に何かあるとかそういうのは考えなくて良いから」

天乃「またそういうこと言って……私が苦手だって、分かってるのに」

呆れたため息とともにそう言うと、

夏凜は少しだけ笑みを浮かべて「だから言ってんのよ」と、言い放った


239 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/08(火) 00:32:06.701feJNMa9o (2/3)


√ 11月02日目 昼(病院) ※火曜日

01~10 東郷
11~20 
21~30 
31~40 園子
41~50 
51~60 
61~70 若葉
71~80 
81~90
91~00 九尾

↓1のコンマ 


240以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/08(火) 00:32:21.67neXtSit3O (1/2)




241 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/08(火) 00:40:11.221feJNMa9o (3/3)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
もしかしたらお休みを頂く可能性もあります



夏凜(ま、とか言ってどうせ嫌なこと考えてんでしょ)

夏凜(ったく……こういう時って大体、なんか隠してんのよね)

夏凜(天乃が死ぬ可能性……考えたくはないけど考えるしかない)

夏凜(もちろんそうなった場合じゃなくて、そうならないためにだけど)

夏凜(はぁ……だから首突っ込むような子供が産まれてくんのよ)


242以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/08(火) 00:41:23.93neXtSit3O (2/2)


ファイト夏凜


243以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/08(火) 00:45:32.26JEeMqcl+O (1/1)


久遠さん子供を出産したらすぐ復帰する気マンマンだしなぁ…
あのつわりの一件で自信をなくしてきてるのもあるかも


244以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/08(火) 12:24:01.92PyCivPxNO (1/1)

以前のような力強さがなくなりつつあるせいか中学生にして段々悟りを開き始めてきたな


245 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/09(水) 21:51:38.06Jw57a+5ko (1/5)


では少しだけ


246以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/09(水) 21:54:58.23V7HOLqFgO (1/1)

やったぜ


247 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/09(水) 22:06:21.67Jw57a+5ko (2/5)


√ 11月02日目 昼(病院) ※火曜日


若葉「天乃はどう思う? 園子は私の子孫に見えるか?」

天乃「……? どうしたの急に」

若葉「昨日からさっきまで。ずっと甘えきりだっただろう?」

天乃「そうね」

若葉「千景はどうも、私とは似ても似つかないと言っていてな」

球子も同じ意見だったと困ったように漏らす。

それで何か弊害があるわけではないはずなのだが。

同じ乃木の名を持つものとして

子孫である可能性がある子が自分とは全く違うというのは

何となく、思うところがあるらしい

若葉「天乃も園子は私とは似ていないと思うか?」

天乃「そうねぇ……」

この場合、

似てると言えば若葉も甘えん坊だということになってしまう

それが分かっているのだろうかと様子をうかがった天乃は、

考え込むようにゆったりとした瞬きをする

天乃「若葉は似ていないと嫌?」

若葉「いや、園子にも園子の人生があったんだ。私とは違う性格になるのが道理だろう」

天乃「ならそれでは駄目なの?」

若葉「駄目ではない。駄目ではないが……その、やはり全く似ていないと言われるとなんだかこう、もどかしいじゃないか」


248 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/09(水) 22:16:25.84Jw57a+5ko (3/5)


若葉「それでなにかがあるわけでもないんだが……」

天乃「自分たちが本当に生き残れたかどうかが不安になる?」

若葉「そんなことはない……といえば、嘘になるかもしれない」

九尾から記憶を得ている為、自分たちの戦いの結果は解っている

だが、それが本物なのか疑わしく思ってしまうのだ

そんなことがないと信じていても

心のどこかで、疑いを持ちかけてしまう

だが、若葉はそんな考えを振り払うように首を振って、苦笑する

若葉「そんな重い話じゃないんだ。ただ単純に園子と私は似ているかどうかを聞きたくてな」

天乃は園子とかかわりが深いだろう?

そう言った夏凜は軽い検査として連れ出されていない園子のベッドを一瞥して、

照れ臭そうに頬を描く

若葉「やっぱり子供と自分が似ていると血のつながりが感じられて嬉しいじゃないか。自分の生きた証と言うか。そういうのがあって」

天乃「そういうこと言うと、私は嘘でも似てるって言うけど」

若葉「なっ」

天乃「ふふっ、久遠天乃っていう人間をもう少し勉強した方がいいわ」

切羽詰まった重い話ではないという前置きはされていても

皆に似ていないと言われた後で、似ていると言われるとうれしいと気持ちを説明されてしまっては

その気持ちを汲んで似ていると言ってあげたくなるのだ

もちろん、相手がものすごく真剣な悩みを抱えており

それに対してのアドバイスと言うのならば、容赦はしないが。


249 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/09(水) 22:46:03.68Jw57a+5ko (4/5)


天乃「ちなみに貴女はどう思うの? 園子を見てみて」

若葉「そうだな。まぁ、話し方や性格的に言えば似ていないな。どちらかと言えばひなたの方が近い」

ふんわりとした口調と穏やかさのある性格

かつての親友を思い浮かべた若葉はそう答えて、苦笑いを浮かべる

若葉「移っていく中で、いつしかひなたの子孫と私の子孫が交わった可能性もあるな」

天乃「そうね。300年間も続いているんだもの。ないとは言い切れないわ」

巫女であるひなたの家系を易々と絶やしてしまうことは考え難いため、

乃木の一族に加わってもなお上里が存続できる状況に限られるが、

兄弟姉妹、子供が二人いる世代ならば不可能ではない

少なくとも、久遠家が現存するよりははるかに容易い条件ではあったはずだと天乃は思う

久遠家は基本十数年で死ぬため、天乃と同様かそれ以上に早くに子供を求められる

例えその年齢に達していても、子を産める体になっていなければ残すことが出来ないため

色々と条件が厳しいからだ

若葉「だから正直なところを言えば……あまり似ていないと自分でも思うな」

天乃「あら」

若葉「だが、園子を良く知り私のことも良く知る天乃ならば別の答えになるかもしれないだろう? どうだろうか」

天乃「そうねぇ」


1、似てるんじゃないかしら
2、あまり似てるとは言い難いかもしれないわね
3、確かに似てないわね
4、逆に私と陽乃さんはどう思う?

↓2


250以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/09(水) 22:46:26.45W3+AhiJnO (1/1)

1


251以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/09(水) 22:47:42.12efJa6E0B0 (1/1)

4


252 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/09(水) 23:32:41.85Jw57a+5ko (5/5)


天乃「じゃぁ、逆に私と陽乃さんはどう思うの?」

若葉「急だな……」

天乃「質問で返すのはあれかもしれないけど、似た問題でしょう?」

若葉「ふむ」

園子と若葉を知る天乃と、天乃と陽乃を知る若葉

確かに条件は同じだと頷いた若葉は、

天乃の伺うような笑みに押し負けて考え込む

目の前にいる天乃と、かつて前にいた久遠陽乃と言う人物

二人を比べて子孫だと言える共通点はあるのかどうか。

能力などを上げてしまえば共通点ばかりだが、

それを除いてあるのかどうか。

若葉「すでに証明されきってるというのは悪条件だな」

天乃「能力とかの話でしょう? 性格的には? 容姿的には?」

若葉「容姿は髪や顔つきを抜けば殆ど似てないぞ?」

解ってはいると思うが。と付けたす若葉に、天乃はそれは解ってるけど。と

ちょっぴり膨れて零す

天乃と違い、陽乃の身長は普通に高かった

記憶で見て、写真で見てはっきりと分かる違いだ


253 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/10(木) 00:14:39.32Zq1e0HPbo (1/12)


若葉「だが、性格は……半々だろうな」

皆からはもう聞いているだろうし知っているかもしれないがと前置きした若葉は、

懐かしむ笑みを浮かべながら言う

陽乃は天乃のように常に優しい態度ではなかったし、

母親のような慈愛に満ちた言動も殆どない

千景にかかわることは多かったが、天乃のように上手く接することは出来なかった

そして、と一緒にいる事よりも、一人でいることの方が多かった

けれど、優しい人ではあったのだ

相手を想う気持ちのある少女ではあったのだ

若葉「陽乃は人とかかわるが、奥に入り込もうとはしないタイプだった。自分の内面に触れられたくなかったんだと思う」

その一方で

天乃のように人に対する愛情が抜けきれなかったから、関わってしまう

その中途半端さが、千景を救いきれなかった要因でもだろう

若葉「最初の反抗期の強さは……ふふっ、いや、似ているかどうかの話だったな」

道がそれそうだと首を振り、笑みを浮かべながら頷く

辛い過去でも一部は楽しいものだったと受け入れている笑みだ

若葉「どちらかと言えば似ている。だが、似ていない部分もあるというのが私の答えだな」

天乃「答えのようで答えじゃないわね」

若葉「なら似ていると答えよう。陽乃も心優しい人だったからな」


254 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/10(木) 00:57:02.32Zq1e0HPbo (2/12)


若葉「それで、私達はどうだ?」

天乃「そうね……似ている部分はあるわ」

若葉「そ、そうか?」

天乃「ええ」

満面の笑みで答える

若葉が嬉しそうだから。

からかうことが出来そうだから。

天乃「若葉、最初に甘えきりだって言ってたじゃない?」

若葉「ああ、言ったな」

天乃「若葉も上里さんに対して凄く甘えてたでしょう?」

若葉「……はっ!?」

天乃「大丈夫、似てるわ」

唖然としている若葉に囁くように言うと、

いやいやいやと慌ただしく首を振る

素直に認める園子とはやはり反応に差はあるが、

その愛らしさは似ていると天乃は思う

若葉「ま、待ってくれ! それは違う」

天乃「違わないでしょ? 若葉だって……ね?」

ポンポンっと足を叩く

かつて、上里ひなたがそうして見せたように


255 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/10(木) 01:02:05.11Zq1e0HPbo (3/12)


では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「膝枕、してあげようか?」

園子「え? 良いの~? わ~い!」

ひなた「若葉ちゃん、どうぞ」

若葉「ああ、ありがとう」


千景「……ほら」

若葉「い、いや待て! これは何かの間違いだ!」

千景「まるで浮気した旦那のような言い草ね」


256以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/10(木) 04:50:57.82LlPYkFOKO (1/1)


若葉も西暦時代の陽乃さんと仲良くなることは大分苦労しただろうなぁ


257以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/10(木) 08:13:59.65jEDFCa2yO (1/1)


この場にひなたがいないのが惜しまれるシチュだな
できればやっぱり西暦組の全員を復活させてあげたい気がする


258 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/10(木) 21:37:06.07Zq1e0HPbo (4/12)


ではすこしだけ


259以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/10(木) 21:49:52.97bcyUIy5RO (1/5)

お、来てたか


260 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/10(木) 22:02:14.24Zq1e0HPbo (5/12)


若葉「それは……」

天乃「する?」

若葉「……いや、今の天乃には負担が大きいだろう」

天乃「負担がなかったらする?」

若葉「意地が悪いな」

苦笑いを浮かべる若葉は軽く頷いて天乃を見つめる

子供を宿していても、華奢に見える母体

だが、力はしっかりと秘めている少女の体

若葉「そうだな、恋人なんだ。そのくらいは求めても問題ないだろう?」

天乃「ええ、えっちなことするよりもずっと健全だわ」

若葉「…………」

小さく、息を吐いて。

若葉「天乃の言う通り、私もひなたに甘えている節があった。その点では似ていると言えるな」

天乃「でしょう? やっぱり、園子と若葉は子孫と先祖だわ。私と陽乃さんのようにね」

似ていない部分があるからと、

似ている部分があるからと

そこに繋がりがあるとは言えないし、ないとも言えない

天乃「どうしても心配ならDNA検査でもして貰うといいんじゃないかしら?」

若葉「精霊の私からDNAが検出できるわけないだろう。髪の毛を抜いたとしても消滅するだけだ」

天乃「ふふっ、冗談よ」


261 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/10(木) 22:17:42.02Zq1e0HPbo (6/12)


天乃「そこまで細かいことしなくても、感じるものがあるはずだもの」

若葉「そうだな」

天乃「球には二人で外にでも行ったらいいんじゃない? リハビリにもなるはずだわ」

若葉「……あまり、親密になるのはな」

天乃「…………」

天乃が黙り込むのを横目に若葉は「すまない」と呟く

若葉に落ち度はなかった。

だが、その一言が天乃を黙らせることになったのは事実で

若葉「失言だった。これは私個人の考えだ……別に、天乃の選択に余計な迷いを生じさせるつもりはない」

天乃「でも」

若葉「確かに私が残るか否かが不確かである以上、園子と親密になりすぎるのは互いに困ると思っているのは事実だ」

しかしだ。と、若葉は首を振る

若葉「それで天乃自身の考えをゆがめる事だけはしないで欲しい。君自身の体にも関わる事なんだ、君の為の選択をしてくれ」

天乃「私の体……? 待って、貴女」

若葉は知らなかったはずの事を知っているのかと聞こうとした天乃に、

若葉は少し困った笑みを浮かべながら首肯する

若葉「天乃の穢れへの対策として力の返還をしようかと議題に上がったときにな……だから、安心して決めて欲しい」

天乃「安心してって……そんな」

これ以上話になるのを避けようとしたのだろう

顔を上げたときにはもう、若葉の姿はそこになかった


262 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/10(木) 22:19:31.94Zq1e0HPbo (7/12)


√ 11月02日目 夕(病院) ※火曜日

01~10 東郷
11~20 
21~30 風
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 樹
71~80 
81~90 沙織
91~00 

↓1のコンマ 


263以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/10(木) 22:21:42.80bcyUIy5RO (2/5)




264 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/10(木) 22:37:38.48Zq1e0HPbo (8/12)


√ 11月02日目 夕(病院) ※火曜日


夕方になると、リハビリに行っていた東郷が戻ってきて、

勇者部の部活動としてボランティアを行う風達

そのサポートとしていないみんなの分を補う沙織からは

少しだけ帰りが遅くなるという連絡が届く

学校のみんなの不安を完全に払拭できたわけではないだろうが

少しずつ日常が取り戻せているのだという実感がわいてきて、

天乃は少しうれしそうな笑みを浮かべる

だが同時に感じるのだ

それを失う可能性の非常に高いことがこれから起こってしまう予感を。

それを止めるには自分の体を張るしかないというのも

天乃「…………」

首を振って考えを振り払う

ここにはみんながいるのだ。

下手に顔や言葉にしてしまうと、みんなには気づかれてしまう

夏凜には特に

天乃「まぁ、もう気づかれてそうな感じはしたけど」

朝話した感じでは、

少なくとも何かあるというのは解っていた

そしてきっと、隠し事をしているということも夏凜は気づいていただろうと天乃は思う

天乃「不器用なくせに、鋭いんだから……」

惚れた女の強さと言うものなのかと、冗談めかして苦笑する


265 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/10(木) 22:54:26.76Zq1e0HPbo (9/12)


そして、若葉達のことも考えなければいけない

天乃の体どころか命にまで関わることとなっては流石に黙っていられなかったのだろう

千景は若葉達が借り受けている力を返還することで天乃の身体機能は戻るということを話したらしい

それでもなお、強要することなく安心して考えて欲しいと言ってくれたのには感謝すべきかもしれないが

園子との関係を前に親密になるのは……と。

そう零した若葉の寂し気な表情を見せられては易々と頷けるものではない

みんなの幸せが自分の幸せであると今でも思う

だが、自分の体が九尾の力を借りる以外でもう完全に動かせなくなってしまうのだ

もちろんそんなことを口にしたら最後、袋叩きにされるだろうが

自分のことを二の次にしてしまうのは天乃の専売特許、ある意味代名詞ともいえる

ゆえに、若葉達を残した結果強い後悔が残ることはないだろう

しかし、若葉達を納得させる理由がなければいけない

天乃「難しいものね……どれもこれも」

まだ不確定な壁の外のことにしてもそうだ

相談したとしたら最後、天乃は徹底隔離されていき、

問題解決はやはり、勇者部が行おうとすることだろう

天乃「でも、それは……」

認めていいことでは、ない


266 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/10(木) 23:05:27.75Zq1e0HPbo (10/12)


園子たちが天乃をこれ以上傷つけさせたくない、苦しめたくないと思うのと同じように

天乃もまた、みんなの事をこれ以上苦しめたくないと思うからだ

だから、そうなってしまう可能性のある選択は極力したくないというのが事実

でも、相談せずにこのまま進むのは非常にリスクがあるともいえる

そう考えて、園子もこの話題に組み込んだのだが。

天乃「……誤った。可能性もある」

園子も結局は夏凜達側の人間なのだ

天乃以上に満開を繰り返して体をボロボロにしてしまったにもかかわらず、

また、苦しむ戦いに手を出そうとしているのだから。

天乃「…………」

夏凜はひとまず、余計な踏み込みをする素振りはない

園子も周りに広めるような様子はない

天乃「ふぅ……」

下手に考えこもうとすると、

お腹の痛みがまた増幅されてしまいそうな気がして、息をつく


1、園子
2、東郷
3、夏凜
4、精霊組(再安価)
5、イベント判定


↓2


267以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/10(木) 23:08:24.28FNOxHJoTO (1/1)

1


268以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/10(木) 23:09:11.08bcyUIy5RO (3/5)

4


269以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/10(木) 23:09:57.14PJLBXPz00 (1/2)

5


270 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/10(木) 23:15:25.98Zq1e0HPbo (11/12)


1、若葉
2、千景
3、球子
4、歌野
5、水都
6、九尾


↓2


271以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/10(木) 23:19:06.20bcyUIy5RO (4/5)

6


272以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/10(木) 23:19:16.75PJLBXPz00 (2/2)

3


273 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/10(木) 23:31:11.32Zq1e0HPbo (12/12)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



球子「つ、ついに……ついにこの時が来たのか」

球子「前はそんなことしないと言ってたけど」

球子「女の子を食い漁ると噂の――」

天乃「だからそんなことしないって言ったでしょう」

天乃「貴女に聞きたいのよ。これからについてね」


274以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/10(木) 23:40:17.29bcyUIy5RO (5/5)


タマっち先輩シリアス回の出番殆どなかったからなあ
果たして何を語るのだろうか…


275以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/11(金) 08:05:10.09M/llN+HmO (1/1)


お互いに無理をさせないための駆け引きが続くな


276 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/11(金) 22:21:23.61UmKSyoO0o (1/5)


では少しだけ


277 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/11(金) 22:23:06.65UmKSyoO0o (2/5)


√ 11月02日目 夕(病院) ※火曜日


天乃「ねぇ、球子。貴女私の事避けてない?」

球子「さ、避けてなんてないぞ」

天乃「じゃぁなに? 単純に嫌いなの?」

球子「そんなわけないだろっ!」

天乃「なら、どうしてそんなに離れようとするの?」

そもそも。だ

水都の件もあって姿を見せにくい歌野はともかく、

球子が姿を見せる頻度は極めて少ない

関わりの深いみんなに遠慮していると言われればそれまでだが

きっと、それだけが理由ではないのだろう

天乃「私が何話したいのか分かってるのね」

球子「それは……」

天乃「だから、その話をしないために避けてるんでしょ?」

球子「…………」

だまり込んだ球子は言い淀む言葉をかみ砕くように口元を動かして、天乃から目を逸らす。

図星だったのだ

球子「に、苦手なんだっ……そういう、シリアスな話」


278以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/11(金) 22:26:06.05OgBBpgFdO (1/3)

きてたー


279 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/11(金) 22:55:55.33UmKSyoO0o (3/5)


球子「それに、まともな話は若葉達がするだろ? タマが話すことなんてないじゃないか」

天乃「貴女の思いは貴女にしか語れないわ」

球子「……それは、そうだけど」

天乃「参考までに聞かせてくれない?」

願うように見上げる視線に極力目を合わせないようにと抗う

合わせてしまったら最後、折れてしまうと球子自身自覚があるからだ

しかし、逃げて、避けて数分間

そう……と、寂し気な一言が鼓膜を震わせて

球子「あーもう、分かった! 分ったから!」

叫ぶように声を上げる

皆の目が天乃と球子へと向けられ、

球子は何でもないと取り繕って、天乃を連れ出す

別にこれと言って連れ出す意味はないが、

球子としては、生真面目に話す自分と言うのはあまり見られたくないらしい

天乃「真面目な球子はかっこいいと思うわよ?」

球子「そーいう問題じゃないっ」

天乃「伊予島さんなら放っておかないんじゃない?」

球子「話すの止めるぞ」

天乃「ふふっ、ごめんなさい」


280 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/11(金) 23:34:32.24UmKSyoO0o (4/5)


球子「こ、ここならだれも聞いてないな?」

天乃「別に聞いてても良いけど……神経質になりすぎよ」

球子「タマはスパーポジティブシンガーで通ってるんだ。太陽の子なんだ」

天乃「うん……?」

歌野あたりから言われたのだろうか

どちらにせよ少し間違っているきがするし、曲解していそうな気もするが。

気に入っているならいいだろうと考えを振り払う

天乃「それで、ここまで来たのだから話してくれるのよね?」

球子「うー……ま、まぁ、そうだな」

ここまで来ちゃったしな。と

球子は気恥ずかしそうに頬をポリポリと掻いて、息をつく

球子「それで、聞きたいのはなんなんだ。タマが一応、居なくなることに賛成してるって言うのは、もう聞いてるよな?」

天乃「ええ」

球子「なんでいなくなることに賛成したのかか? それとも、タマ達を残した時の言い訳づくりか?」

天乃「……聞いてたの?」

球子「だから逃げたかったんだ」

天乃「まったく」


1、賛成理由
2、残したいと言ったら、貴女はどう思う?
3、私がもし、自分のことよりも貴女達のことだけを考えて選択したら、どうする?
4、でもね。それよりも聞いておきたいの。私が今後命を懸けることになった時、手を貸してくれるかどうか


↓2


281以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/11(金) 23:35:39.16OgBBpgFdO (2/3)

4


282以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/11(金) 23:37:32.00rRtayk+Z0 (1/1)

1


283以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/11(金) 23:38:22.47qDCw/JVMO (1/1)

2


284 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/11(金) 23:47:34.55UmKSyoO0o (5/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「土居さんが久遠先輩を連れ出した」

東郷「でも、その寸前に土居さんは久遠先輩に分かった。と声を荒げていた」

東郷「そこから導ける答え。それは。土居さんもついにせ――」

夏凜「てぇがすべたぁぁぁぁぁぁぁッ!」ヒュンッ

東郷「ぐふっ」

樹「凄い勢いで枕が東郷先輩を撲殺した……」


285以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/11(金) 23:53:12.75OgBBpgFdO (3/3)


まじめな話をするタマっち先輩のギャップも中々ええなぁ


286以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/12(土) 00:12:44.102nSxydyjO (1/1)




287以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/12(土) 00:24:28.15hSO4z71WO (1/1)


言わせねーよ!


288 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/12(土) 21:17:54.76vyPd5Z2vo (1/9)


では少しだけ


289 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/12(土) 21:30:56.95vyPd5Z2vo (2/9)


ふっっと息を吐いて、気持ちを切り替える

今からするのは真面目な話

球子のペースというわけでもないが茶目っ気のある空気になるのはあれだろうと思ったからだ

天乃「そうね、私が聞きたいのは貴女が消滅することに賛成した理由よ」

球子「だよなぁ……やっぱり、それ聞くよなぁ」

天乃「言えないような理由なの?」

球子「そういうわけじゃない。ただ、うまく言える気がしないんだ。タマはこういうの、キャラじゃないからなっ」

困った困ったと言いながら後ろ髪を掻く球子は、

救いを求めるように笑い声をあげる

だが、天乃がつられないと分かったからだろう

渇いた笑い声を小さく零して、ため息をついた

球子「詳しく聞くなよっ、説明できる自信ないからなっ」

天乃「貴方自身の考えなのに?」

球子「全部が全部説明できるとは限らないだろ? 色々あるんだ」

天乃「…………」

球子「タマは、天乃や若葉達のように賢くはないからな……」


290 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/12(土) 21:40:56.59vyPd5Z2vo (3/9)


冗談で言ったわけではない

逃げるつもりがあるわけでもない

ただ、本当に自信がないのだ

自分の気持ちは球子自身にとっても複雑で。

球子「……天乃。タマは別に、今の暮らしがな。嫌いなわけじゃない」

これだけは説明しておこうと、言葉を紡ぐ

球子にしてはたどたどしい口調

本当に考えながら話そうとしているのが分かる困った表情

天乃は挟もうとした口をつぐみ、球子を真っ直ぐ見つめる

球子「でも、時々あるんだ。こう、なんていうか……」

天乃「嫌になる事?」

球子「ううん、そうじゃない。そうじゃない……えっと」

自信なさげに話す自分をみじめに思ってか、

悲し気な笑みを浮かべる球子は天乃から目を逸らして

誰かがいるようで、誰もいない

窓の縁をじっと見つめる

球子「時々、感じるんだ。杏はここにいないんだよなって」


291以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/12(土) 21:42:56.09TlsdYSZNO (1/3)

あっ……


292 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/12(土) 21:55:14.12vyPd5Z2vo (4/9)


球子「勇者部は賑やかなんだ。それはすっごく良いんだ。でも、だから……思うんだ」

ここに杏もいたらよかったのに。と

戦いばかりの西暦時代

戦いのない時間も確かにあった

けれど、ここまで強く安らげるような時代ではなかった。

周りがとても暖かい。そんな、平和と自信をもって言い切れるようなものではなかった

球子「一緒に、こんな賑やかな場所にいたかったなって」

天乃「…………」

球子「……天乃は何も悪くない。みんなが嫌いなわけでもないんだ」

賑やかで好きだ

優しくて好きだ

暖かくて好きだ

安心できるから好きだ

でも、それでもだ

球子「……すごく辛いんだ。この場所がタマにとって大切で、幸せで、大好きであればあるほど」

強く、こぶしを握り締める

みっともなく泣いてしまいそうなのを堪えるために唇を噛み、瞼を強く閉じる

それでも、滲むものはあった

球子「杏の傍にいてやれないことが。杏子に感じさせてやれないことが……どうしようもなく」


293 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/12(土) 22:12:28.53vyPd5Z2vo (5/9)


球子「それはきっと、若葉も一緒なんだ。千景だって、きっと」

人の深層心理まで理解できるわけがない。

それは自信をもって言える。

しかし、感じるのだ

同じく西暦時代を生き

同じく大切な存在をあの時代に持ち

同じく、その大切な存在を置いてきてしまったからこそ。

球子「みんな、この時代が嫌いじゃない。みんなのことだって好きだ。好きなんだ。大好きなんだっ」

天乃「球子……っ」

球子「でも、タマは杏が大切だ。大好きだった。守ってやりたかった。ずっと、死ぬまで一緒にいてやりたかったんだ」

天乃「っ」

球子「この世界に呼んだ天乃は悪くない。本当だ。むしろ感謝してる。でも、役目が終わったら……自分と同じくらいに大切だって、好きだって言ってくれた……」

言葉に詰まる

泣いているのだと分かる

天乃が答えを躊躇っているのが分かる

困らせることになると分かっていた

だから言いたくはなかった。

けれど、もう口火は切られてしまったのだ

球子「タマ達には……夏凜達にとって天乃が帰るべき場所なように、タマ達にも……一緒にいてやらなくちゃいけない大切な仲間がいるんだ」

だから。

球子「役目が終わったら、タマ達は帰るべき場所に帰りたい。そう思った……だから、賛成した」


294 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/12(土) 22:20:22.12vyPd5Z2vo (6/9)


天乃「……使って」

球子「…………」

天乃は車椅子に常備されているハンカチを球子へと差し出す

紡ぐべき言葉が見つからなかったというのも、あった。

球子は冗談で太陽の子だなんだと言っていたが

とてもポジティブで明るい子であることは事実だった

だからと言って、思慮の浅い子だと軽視していたわけではない

しかし、ここまで深く思いを抱えているとは思っていなかった

だが、分からないわけではない

天乃にだって大切な人たちがいる。

もしも自分が西暦時代にタイムスリップしてしまったら

あるいは、どこか別の世界に呼び出されてしまったら

役目を終えた後には元の場所に戻ることを望む

天乃「だって、そこには私と同じくらいに私を愛してくれている人たちがいるから」

それは、例え死んだ後でもそうだ

今の西暦組のように数百年後の未来に呼ばれたとしても、

そこでだれかに愛されるようなことがあっても

自分には帰るべき場所があるのだと、そう口にしたことだろう

天乃「ああ……」

そう、つまりだ。

みんなの立場に自分を当てはめて考えてしまえば

この答えなど考えるまでもなかったことなのだ


295 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/12(土) 22:32:34.47vyPd5Z2vo (7/9)


球子「ごめんな、困るよな……」

天乃「ううん、そんなことないわ」

球子「でも、タマ達を消滅させて力を返還することは天乃にもデメリットがあるだろ」

戦力として純粋なことを言えば、

単純に戦闘メンバーが大きく削がれることになる

千景や若葉、球子に歌野

巫女としての力を含めれば水都に沙織

現在の約半数が損なわれることになる

そして、最も大きな弊害が

返却した力が天乃へと与える影響だ

球子「天乃がまだ苦しんでるときに聞いた話だけどな、力を返した場合、天乃がそれに耐えられない可能性があるんだ」

天乃「……そう」

球子「力を手放して長い。そのうえ子供に持っていかれて抵抗力は極限まで下がってる……そんな時に戻されたら体、どうなるか分からないんだ」

天乃「…………」

黙り込む天乃を見つめた球子は悲し気に目を細めて、首を振る

追い詰めてしまうのが嫌だった

困らせるのが、悲しませるのが嫌だった

でももう、遅い

球子「タマのは我儘だからなっ、気にするなっ……なっ!」

カラ元気だと分かる

それでも球子は無駄に元気よく声を上げて

天乃の車椅子を押して、病室を目指した


296 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/12(土) 22:34:23.30vyPd5Z2vo (8/9)


√ 11月02日目 夜(病院) ※火曜日

01~10 友奈
11~20 
21~30 夏凜
31~40 
41~50 沙織
51~60 
61~70 
71~80 千景
81~90 
91~00 樹

↓1のコンマ 


297以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/12(土) 22:35:16.19TlsdYSZNO (2/3)




298 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/12(土) 22:43:19.74vyPd5Z2vo (9/9)


では少し早いですがここまでとさせていただきます
明日はもしかしたらお休みを頂くかもしれません

大事な場面での誤字……


千景「話したのね」

球子「ああ」

球子「怒るか?」

千景「土居さんは聞かれたことに対して自分の気持ちを語っただけ」

千景「たとえそれが久遠さんの選択に大きな影響を与えるのだとしても……決めるのは、久遠さんだわ」


299以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/12(土) 22:52:25.47TlsdYSZNO (3/3)


この時代に残すことは球子たちにとっては凄い残酷な選択をすることになるのか…
かといって久遠さんの体の関係で迂闊に戻せないという…どうすれば


300以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/12(土) 22:58:04.23NHumf2hc0 (1/1)


球子...


301以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/12(土) 23:42:47.43DVHjywViO (1/1)


いないことの辛さか…そうだよな辛いよな…これを球子が言うっていうのも…
酷い設定にしてくれるじゃんかよ…


302以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/13(日) 10:39:03.49P9iHJ1MWO (1/1)

守りたかった人を守れずに自分ごと死んでしまった上に未来の戦いのために自分だけ蘇ってしまうという絶望
なんだか罪悪感半端ないな…


303以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/13(日) 23:02:15.89+D56wCZio (1/1)

絶望というより喪失感じゃない?別れた恋人とか生易しい話じゃなくて死に別れ的なやつ


304 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/14(月) 22:37:05.071kj/ybcjo (1/6)


では少しだけ


305以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/14(月) 22:38:02.610t5OYWuPO (1/4)

よっしゃ


306 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/14(月) 22:44:35.251kj/ybcjo (2/6)


√ 11月02日目 夜(病院) ※火曜日


球子から自分たちの存在を消してしまうことに賛成していた理由を聞いた。

……聞いてしまった。

それは考える前から分かっていなければいけないことなのに

考えていなかったこと。

大切な人の、喪失感

それを天乃は良く分かっていたはずなのに

天乃「っ……」

天乃は過去、三ノ輪銀という大切な人を失った。

それが自分にとってどれほど大きな喪失だったのか

精神だけでなく人格にどれほどの影響を与えたのか

天乃「忘れて良いはずがなかったのに……っ」

両手で顔を覆うと、滲むような熱さが手頸にまで流れていく

自分だけが幸せであっていいはずがない

大切な人を犠牲にして生きたのなら、

その人の分まで全力で命を懸けるべきであると。

その考えを天乃は持っていたはずなのだ

いつから、考えなくなってしまったのかと天乃は歯を食いしばる

夏凜達勇者部と、沙織

皆とかかわっていくうちに酷く甘い考えを持つようになってしまったのだろうか

戒めるべき自分を許し、許されたと勘違いして、

甘えて、我儘を言って幸せになっていいなどと……

天乃「私は……」

最低だと、呪詛が心に突き刺さる


307 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/14(月) 22:59:57.711kj/ybcjo (3/6)


大切な存在が欠けてしまった喪失感を覚えていたのならば、

球子たちがその喪失感によって苦しむことは解っていたはずだし、気づいていたはずだ

この平和な世界にいていいと言われてなお、

自分たちの存在を消してしまおうと考える理由を悟り、認めてあげるべきだったのだ

それなのに、残すかどうかなどと悩んで答えを先延ばしにして

余計に球子達を苦しめてしまった

故意に考えなかったのなら最低だ

けれど、考え付くことすらなかったのはもっと酷い

それだけ、相手の理解がなかったということなのだから

少なくとも、天乃はそう思ってしまう

そう考えてしまう

きっと、それを球子は避けたかったのだ

天乃が優しい子だと分かっているから

人一倍傷つきやすい子だと分かっているから

天乃「…………」

ぽたりぽたりと、布団が水玉模様に湿っていく

罪悪感と、嫌悪感に心が蝕まれる

誰かを失う悲しみ

二度と感じさせたくないと思っていたことを

感じさせてしまっていたことを恨む

球子は天乃は悪くないといった。

呼んでくれたことに感謝しているとも言った

だが、それでも天乃は許せなかった

素直に言葉を受け止めたくなかった

球子が気をきかせてそう取り繕ったのではなく、

喪失感を抱えているという真実と同様に本心を語ったのだと分かっていても

それ以上の後ろめたさが天乃にはあったからだ


308 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/14(月) 23:21:11.171kj/ybcjo (4/6)


ごめんなさい。そう謝って許されることではない

若葉も、千景も、球子も、歌野も

西暦に生きたみんなはきっと、謝る必要はないというだろうし、

天乃が悪いわけではないと笑ってくれるだろう

それでも天乃は自分が間違っていたという考えを改めようとは思えない

その強い喪失感を経験したことがあるからこそあってはならないことだったと、

天乃は思うからだ

天乃「……でも」

球子が言ったことが確かならば

球子達を解放することで天乃は出産後も死ぬほどの苦しみを味わうことになるし

最悪、死ぬ可能性もある

もちろん、そんなことしなくても死ぬ可能性は十分にあるのが現実なのだが。

天乃「私が死んだら、若葉達も消えるのよね……」

答えを決めずにうやむやなままで終わらせて死に至り、

若葉達を消してしまうのだけは避けるべきだろう

天乃の体が酷く傷つくことになると勇者部が知ったら、どう答えるだろうか

夏凜や樹は元から反対していたため、より一層反対するだけに留まるかもしれないが

東郷や風、揺らいでいた友奈の答えはどうなるのか

天乃「みんなには……」

相談しない方がいいかもしれない

球子達の考えを聞く前の相談ではあったが、

すでに相談はしてあるのだから、この後に相談せずに決めてもおかしくはない

仮に相談するとしても、

少なくとも命が危険にさらされるということは伝えない方がいいはずだ



1、勇者組
2、精霊組
3、若葉達の消滅を承諾する
4、若葉達の消滅を拒否する
5、イベント判定
6、考えるのをやめる


↓2


309以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/14(月) 23:23:15.650t5OYWuPO (2/4)

5


310以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/14(月) 23:25:21.62dY9qbro90 (1/1)

5


311 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/14(月) 23:38:30.141kj/ybcjo (5/6)


√ 11月02日目 夜(病院) ※火曜日

01~10 風
11~20 友奈
21~30 沙織
31~40 夏凜
41~50 樹
51~60 東郷
61~70 若葉
71~80 千景
81~90 九尾
91~00 園子

↓1のコンマ 


312以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/14(月) 23:40:36.580t5OYWuPO (3/4)




313 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/14(月) 23:49:29.661kj/ybcjo (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日は出来れば通常時間から


東郷「傷心中、ベッドの上」

東郷「何もしないわけがなく――」

風「起きる起きないじゃなくてするしないなのね、東郷……」

東郷「はい……? 当事者が語るのなら当たり前では?」

風「何その常識ですけど? みたいな顔。殴りたい」


314以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/14(月) 23:57:33.380t5OYWuPO (4/4)


今回ばかりはむしろ東郷せんせーの快楽に浸からせてやるのもひとつの手かも知れん
こんなに精神が疲弊してたら身体も持たないし…


315以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/15(火) 06:08:07.14oG8kOe5LO (1/1)


一難去ってまた一難って所か


316 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/15(火) 21:56:17.76Gsj8V5/io (1/5)


では少しだけ


317以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/15(火) 22:02:37.29E2Fvanu1O (1/3)

かもん


318 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/15(火) 22:09:32.74Gsj8V5/io (2/5)


√ 11月02日目 夜(病院) ※火曜日


東郷「……久遠先輩」

夜這いを仕掛けようと思ったわけではない

ただ、少しだけ気になってしまったから。

勇者部にはあまり関係ないことだが、

入院患者同士のプライベートも若干だが守ってくれるカーテンを開いて、東郷は声をかけた。

天乃「!」

驚いた表情を見せ、はっと気づいたように布団をかき寄せる天乃

普段なら欲求不満の可能性も視野に入れる仕草だが、

今回ばかりは絶対に違うと、東郷は余計な思考を即遮断して息を呑む

東郷「どうか、したんですか?」

天乃「別に……」

東郷「土居さんとの話……ですよね?」

天乃「球子は関係ないわ」

東郷「…………」

はっきりとした返事は本当に無関係に思わせてくる

しかし、それは嘘だと東郷は思っていた

夕方の球子の反応

二人で出ていき、戻ってきたときの様子

そして……今目の前の天乃の様子

明らかに無関係ではない


319 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/15(火) 22:19:25.87Gsj8V5/io (3/5)


天乃「貴女、車椅子は?」

東郷「この程度の距離であれば松葉杖でもなんとかなりますし、軽い訓練にもなるんです」

自分が車椅子に座らずに松葉杖を支えにしていること、

その状態でここまで来ている理由

聞かれそうなことも含めて答えた東郷は、

それより。と、続けて

東郷「顔を見せてください」

天乃「嫌よ。不意を突いてキスだなんてされたら困るもの」

東郷「それは……確かに、私なら可能性は否定できませんが」

思ったより淫らな好意の印象があるのかと苦笑いを浮かべ、

すぐさま息を吐いて感情を整える

冗談めかした空気に持っていかれてはいけないのだ

東郷「しないと誓います」

天乃「そう言われると余計――」

東郷「心配させるから見せられないんですか?」

天乃「…………」

東郷「正直に話しますが、顔を見せない時点で何かあるということくらい分かっているんです」


320 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/15(火) 22:32:03.61Gsj8V5/io (4/5)


泣いているのかどうか

その断定は東郷には出来ないが

不意を突いて声をかけた後に顔を上げないままでいるのは天乃にしては不自然だったのだ

ゆえに、どちらかと言えば泣いているのではないかと東郷は傾く。

あるいは、泣いていたのではないか。と

天乃「せめてカーテン開ける前に一声欲しかったわ」

薄く笑みを浮かべながら上がった顔

涙の跡がある頬は僅かな光のせいで良く目立ち、

東郷の余計な手出しへの困った表情は悲しげだった

東郷「やはり……」

天乃「急に来るからどうしようもなかったのよ。ずるいわね、貴女」

東郷「それに関してはすみません。でも、どうにかされたら誤魔化されると思ったので」

素を見ておきたかったのだと、東郷は改めて口にする

東郷「それで久遠先輩……何があったんですか?」


1、球子もね、残る意思がないって強く言われちゃって
2、ちょっと、嫌な夢を見ちゃって
3、また少し痛みがあって、球子に連れ出してもらったのよ……見られたくなかったわ
4、正直に話す


↓2


321以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/15(火) 22:34:19.75HN3h5IlB0 (1/2)

4


322以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/15(火) 22:37:15.80E2Fvanu1O (2/3)

4


323 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/15(火) 22:48:56.30Gsj8V5/io (5/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から、公共回線使用中につき出来ない場合もあります
※返還時の生命危機は話しません。


天乃「――かったの」

東郷「え?」

天乃「……自分で触っても気持ち良くなかったの!」

天乃「ばかっ、東郷のばかっ! 言わせるなんて最低だわ!」フイッ


東郷「この可能性も!?」

風「ねーよ」


324以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/15(火) 22:54:29.68E2Fvanu1O (3/3)


真面目な時ととーごーせんせー時との落差が激しいこと激しいことw
それはともかく弱った久遠さんをどうか励ましてやってくれ…


325以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/15(火) 23:00:54.96HN3h5IlB0 (2/2)




326以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/16(水) 08:02:23.55o8/2IM6cO (1/1)

東郷せんせーが真面目過ぎて違和感が…そして自慰下手な久遠さん

可愛すぎか


327 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/16(水) 22:06:31.69oO0kdcuBo (1/6)


では少しだけ


328以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/16(水) 22:08:34.26hgo/pHUJO (1/2)

おk


329 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/16(水) 22:22:15.93oO0kdcuBo (2/6)


天乃「分かったわ……でも、あまり大きな声を出さないでね?」

東郷「はい」

天乃「じゃぁ、ベッド座って。こっちに来て」

東郷「分りました」

素直に頷き、従ってベッドへと腰かける

頼りにしていた松葉杖をベッドわきに立て掛けて天乃との距離を詰めていく

出来る限り小声で、ひそかに。

そうしなければならないような話なのかと東郷は息を呑む

天乃「球子に言われたのよ。自分が西暦時代大切に思っていた人がそばにいないのが辛いって、寂しいって」

東郷「それは……」

天乃「貴女も分かるでしょう? 銀のことを思い出した貴女なら」

そう言われた東郷は大きく目を見開き、絶句する

東郷は元々球子達の意思を酌むべきであると考えていた側ではあるが、

しかし、

天乃が今言ったような考えを持っていたかと言われれば、話は別だ

銀のことも考えた

だが、それはあくまで復活させたのが銀だったら。

という個人的なものでしかなかった

意思を酌むべきだと言いながら

その本質までは考えられていなかったのだ

東郷「今なら……わかります」


330 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/16(水) 22:40:02.95oO0kdcuBo (3/6)


東郷「それで、久遠先輩は……」

続ける言葉を模索するように詰まらせた東郷は、

悲し気な表情のままの天乃を一瞥して、少しだけ目線を逸らす

東郷「考えてあげられなかったから、罪悪感をかんじているんですね……」

原因さえ聞いてしまえば、推測は簡単だった

天乃は非常に優しい性格で

自分よりも他人を優先してしまうような人で

なにかがあったとき、人一倍傷つきやすい人だから。

そんな天乃のことを知っていれば、

どんなにお茶らけた性格していてもわかるだろうとさえ、東郷は思う

東郷「泣いてしまう、ほどに」

天乃「……馬鹿みたいだって思う?」

東郷「優しすぎるというか、自分に厳しすぎるのでは……とは思います」

けれど、馬鹿みたいだとは思いません。と、東郷はっきりと明言する

天乃「ずいぶんとオブラートに包んでくれるのね」

東郷「あまり卑下しないでください」

天乃「球子達のことを何もわかってなかったのよ? 銀のことがあるのに、気持ちは嫌と言うほど味わったのに」


331 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/16(水) 22:50:35.44oO0kdcuBo (4/6)


天乃「それがどういう意味か分かる?」

東郷「……っ」

天乃「自分で言えば、銀のことをきれいさっぱり忘れていたようなものなのよ」

天乃が浮かべる薄い笑みには感情が宿っているようで、宿っていないようで

そこはかとない恐怖を感じる東郷は一目向けてしまった自分を食い止めるように手に力を込めていく

気圧されてはいけない

受け止めきってはいけない

かといって、流されるわけにもいかない

東郷「それは、それは久遠先輩……言い過ぎでは」

天乃「ううん、そんなことない。だって、覚えていたのならちゃんとそのことも考えられるはずだもの」

東郷「心身共に限界が近い身の上ででも……ですか?」

多少の猶予はあったとはいえ、

自分のことで殆ど手一杯だったはずだし、

戦いを終えているのだとしても、

自分の代わりに過熱する戦いへと赴いていた勇者部のことで心労は増す一方だったはずだ

それでなお、考えが足りないことを責めるのであれば……

東郷「それでも。と言うのなら、久遠先輩」

天乃「なに?」

東郷「私のことを叩いてください。罪の重さに比例する力で」


332 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/16(水) 23:07:28.30oO0kdcuBo (5/6)


天乃「何言ってるの?」

東郷「さっき、言いましたよね? 貴女も分かるでしょう? と」

天乃の言い方に極力寄せて聞き返した東郷は、

天乃が答えるよりも先に口を開く

反論を聞くのは無駄だ

東郷「分かります。分かっています」

いえ、そうではなく

あえて区切り、強調し、気を引いて

視線がより強く注がれていくのを感じ取る

東郷「分かっていなければいけなかったんです。久遠先輩と一緒に」

天乃「…………」

東郷「自分のことがひと段落して若干の余裕があったのならなおさら」

そう言い、東郷は笑う

自分のことを馬鹿にするような、嘲笑的な笑顔

東郷「あの時の私が何を言ったか覚えてますか? 意思を尊重したい。ですよ? その気持ちも分かっていなかったのに」

戯言にもほどがあるとは思いませんか?

不適切極まりないとは思いませんか?

続けざまに自分を罵倒し、天乃を圧倒して

東郷「分かったような口を利くなど言語道断、厚顔無恥も甚だしい。ただ気づかなかったよりも重罪です。切腹すべきだわ」

天乃「と――」

東郷「止めないでください。心身疲労の著しい久遠先輩が悪なら私は最悪です。情状酌量の余地は皆無のはず……違いますか?」


333 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/16(水) 23:13:19.41oO0kdcuBo (6/6)


では途中ですがここまでとさせていただきます
今月中はしばらく休みの日が増えることになるかと思います。



東郷「叩いてください」

天乃「ちょ、ちょっとま――」

東郷「お尻を」ズパァァァァァァァン

東郷「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

風「まだ満開残してるんだけど? ん? ほら、出しなさいよ」

東郷「もっ、申し訳ありませんでした。自重します!」


334以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/16(水) 23:20:21.01ETW6zSdmO (1/1)


新手のプレイかな?


335以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/16(水) 23:23:20.27hgo/pHUJO (2/2)


東郷さんが久遠さん以上に自分を追い詰めだしてしまうとは…
せんせーモードの時とは別人みたいに真面目だな


336 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/17(木) 22:23:51.48vfrODEelo (1/1)


すみませんが本日はお休みとなります
可能であれば明日、通常時間から行う予定ですが、
場合によっては出来ない可能性もあります


337以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/17(木) 22:28:15.76w64tiqY8O (1/1)

了解ー
いつもながら連絡乙です


338以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/18(金) 17:35:36.53PEHz65GzO (1/1)

乙やでー


339以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/18(金) 23:03:52.25RTIcA5hIO (1/1)

今日もお休み?


340 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/18(金) 23:36:26.56mmNi+Ldvo (1/2)


では少しだけ


341以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/18(金) 23:39:00.92hnFyu5aWO (1/1)

おお、待ってた


342 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/18(金) 23:43:26.74mmNi+Ldvo (2/2)


天乃「やめて」

東郷「嫌です」

天乃「東郷」

東郷「嫌です」

天乃「……東郷ッ」

少しばかり、語感が強まる

だが、東郷は全く動じなかった。

睨むような視線を浴びせられても関係ない

苛立ちにすり替わりつつある悲しさを感じる声

それを受けてなお、東郷の口はゆっくりと動く

東郷「嫌です」

あくまで、東郷は冷静だった

自分のことを責めたい気持ちがないと言えば嘘になる

だが、それで冷静さを失ったわけではないのだ

天乃「東郷、いい加減に――」

東郷「久遠先輩」

小さく、強く、確実に

そこからにじみ出ていくような恐ろしさを含ませて

東郷「また全部、自分の責任にしようとすることはいい加減しなくていいんですか?」

東郷は酷く落胆したように問う


343 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/19(土) 00:01:26.75DDdOr4Yso (1/8)


東郷「久遠先輩は銀のことを忘れてしまっていたと言いますが、本当に忘れているのはそれだけですか?」

嫌なことが沢山あった

辛いこと、苦しいこともたくさんあって

それはやっぱり、忘れたくなるようなものだっただろう

けれど、忘れていいことではなかったはずだ

それがどういう影響を及ぼしたのか

天乃と勇者部、東郷には何があったのか。

東郷「…………」

過去、自分が知らずに苦しめていたことを思い出して

噛み切れてしまいそうなほどに強く唇を噛む

東郷「支え合うのはもう、やめたんですか?」

天乃「忘れては、ないけれど……」

東郷「それなら、久遠先輩の責任の半分を私に下さい」

もしもそれでも重いというのならば

それでも抱えきれないというのならば

きっと、同じ喪失感を味わったかつての仲間である園子も共に支えてくれるだろうと東郷は思い、

距離の近い天乃の手に手を重ねて優しく握っていき、

指を絡めていく

東郷「自分が負うべき責任を負わせてしまう悔しい気持ちは……もう嫌なんです」


344 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/19(土) 00:18:25.29DDdOr4Yso (2/8)


いわれなければ銀を失った悲しみと似た思いが球子達にあるとは気づかなかった。

理解できるはずのことを理解できなかったという恥ずべき考えをしていたと、

悔やむことも何もなかったはずだ

それは、東郷の心にもわずかながら傷をつけることになったが、

しかし、東郷は【言わなくてよかったのに】とは思わない

むしろ、そのリスクがあってなお話してくれたことに感謝さえする

東郷「あの時もそうだった……良かれと思っていた牡丹餅が酷く久遠先輩を苦しめていたのを教えてくれた時です」

言われた後ならどこかしらに怪しむ点はあったように思えるが

いわれなければ気づくことはなかった。

ずっとずっと、悪意なき善意による拷問を続けていただろう

天乃には言わなかった罪があり、東郷には気づかなかった罪がある

それとこれとは、東郷にとっては似たようなものなのだ

東郷「久遠先輩は全部自分で抱えようとした。今もそう」

天乃「…………」

東郷「良いんですか? それで」

間違ってないですか?

正しいと思いますか?

勇者部の存続さえ危ぶまれるような状況にまで発展してしまったその選択

東郷「本当に、それでいいんですか?」

努めて優しく、東郷は訊ねる

天乃の心が疲弊しきっているのは解っているし

ここで突き放してしまっては余計辛い思いをさせてしまうだけであることも理解しているのだ

東郷「久遠先輩……妻だけが子供の責任を負うべきだと思いますか? あるいは、夫だけが子供の責任を負うべきだと思いますか?」


1、それとこれとは話が違うわ
2、答えない
3、……それは
4、でも、実父ではなかったらどう? 再婚……だったかしら。そういう立場で、子供の過去の責任だったら?

↓2


345以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/19(土) 00:22:14.6263g1T8sM0 (1/1)

1


346以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/19(土) 00:23:06.60df42CKSeO (1/2)

3


347 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/19(土) 00:31:04.26DDdOr4Yso (3/8)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


風「ねー東郷。この勇者の章見てどう思う?」

東郷「……………」

東郷「それとこれとは話が別です。そもそも私が神樹様に存在を概念と呼べるほどの範囲での消滅を望んだ証拠はないので」

夏凜「つまり神樹様には全責任負わせるのね、あんた」


東郷「物事は常に臨機応変に対応するべきよ。夏凜ちゃん」


348以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/19(土) 00:38:48.18df42CKSeO (2/2)


そう言えばぼた餅の下りはまさにこの状況に近いものがあったな
あと久遠さんに原作の勇者の章を見せたらどうなるか気になる


349以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/19(土) 00:41:24.64+o+Ews+qO (1/1)


くあゆでも神樹様が助かるビジョンが見えない


350 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/19(土) 22:31:48.58DDdOr4Yso (4/8)


では少しだけ


351以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/19(土) 22:37:47.49XS0lcpvHO (1/2)

よしきた


352 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/19(土) 23:05:34.36DDdOr4Yso (5/8)


天乃「……それは」

それは、そう思わない

子供に関しては二人が担うべきで、支え合うべきで

どちらか一方に押し付けるのも、

どちらか一方のみが全てを持っていくのも、違う

天乃「それは、でも。東郷……」

東郷「多少話は変わるかもしれませんが、似たような話です」

互いに関わっている事柄に対しての責任

それは誰が負うべきなのか

そもそも、【誰が】の時点で違うのだが。

東郷「それとも、そんなに勇者部は……私は……頼りないですか?」

天乃「そんなことないわ。ただ、根本的な責任は私にあると思うだけ」

東郷「安易な考えで決められるようなことではないのに、考える場を用意できなかった私達も少なからず原因では?」

そして

東郷「やはり、同じく喪失感に関して気づくことのできなかった私は同様に背負うべきだと思います」

天乃「…………」

東郷「否定は、させません」


353 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/19(土) 23:29:01.51DDdOr4Yso (6/8)


天乃「………」

東郷「………」

黙り込む天乃をじっと見つめる

以前は何を考えているのかわからないというより、あまり表に出してこなかったのだが

最近はそこまでの余裕がないのだろう

黙っていても何を考えているのかは分かりやすくて

顔に書いてあるという表現がどのようなものなのかよくわかったと、

東郷はひそかに思って笑みを浮かべる

困った人だ

東郷「いわなければよかったとか考えるのは止めて貰っていいですか?」

天乃「考えてないわ」

東郷「今の久遠先輩では、嘘はついても騙せないですよ」

天乃「……そんなことない」

東郷「別に、このまま押し倒して何も考えられなくなるくらいに朝まで乱れさせても良いんですよ?」

どうせ登校するわけではないし、リハビリは努めるべき事であって義務ではない

多少復帰が遅れることにはなるかもしれないが

天乃に悪いことを考えさせ続けないようにすることができるのならば正しい選択だろう

東郷「時間があればあるほど念入りに、広く、深く、解けていくようにすることができるので」

天乃「分かった。考えないようにしておくわ」

東郷「……それは残念です」


354 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/19(土) 23:49:01.60DDdOr4Yso (7/8)


残念だといいつつ、東郷は嬉しそうに笑みを浮かべながら

ゆっくりと天乃から離れていく

ずっとそばにいたいと思うし、抱きしめてしまいたいとも思うが

それでは天乃が休めない

母体にも子供にもあまり良くはない

だから。

東郷「…………」

離した手を、そうっと天乃の頬にあてがい、

撫でるようにしながら持ち上げて目線を絡めて

優しく唇を触れさせる

性的な気持ちのない、ただの接触

優しさと、温もりと

自分の思いを伝えるためだけの接吻

天乃「…………」

今度こそ離れる東郷を真っ直ぐ見つめ続ける天乃は、

自分の唇に触れ、息を吐く

天乃「これだけでいいの?」

東郷「それが目的だったわけではないので……それに、少し自粛します」

球子達の件もある

天乃の体のこともある

それゆえに身を引いた東郷は少し考えて

東郷「久遠先輩。明日はもう、泣かないでくださいね」

小さく願った


355 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/19(土) 23:57:10.24DDdOr4Yso (8/8)


√ 11月03日目 朝(病院) ※水曜日

01~10 
11~20 風
21~30 
31~40 樹
41~50 
51~60 若葉
61~70 友奈
71~80 
81~90 夏凜
91~00 千景

↓1のコンマ


356以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/19(土) 23:58:21.74XS0lcpvHO (2/2)




357 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/20(日) 00:11:45.71tmdbRP83o (1/1)


ではここまでとさせていただきます
明日はおそらくお休みとなります
一日のまとめは再開時


風「とっ……東郷が自粛ぅ!?」

樹「そんな驚かなくても……」

夏凜「とはいえ、あの東郷が自粛ってのはなんか違和感あるわね……」

東郷「ふふっ、みんな正座して?」ニコッ

東郷(決意を鈍らせたくない……私が行かないと沢山の生贄が必要になってしまうから)


358以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/20(日) 00:14:08.61yBG9VgZxO (1/1)


東郷さん!?


359以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/20(日) 00:15:59.10da6P4otOO (1/1)


最後まで綺麗な東郷さんだった…
だがオマケに原作再現という名の悪夢の予感がががが


360以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/21(月) 11:37:20.49uQ6vbm8IO (1/1)

東郷さんは真面目だとほんといい子だから…


361 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/21(月) 22:00:21.71qnc05aG3o (1/2)


すみませんが、
本日は再開予定でしたが、諸事情によりお休みとさせていただきます
明日は出来る限り再開予定ですが、今月中は再開できない日が多いかと思います

一日のまとめのみ、出します


362 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/21(月) 22:04:05.36qnc05aG3o (2/2)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流有(正直に話す、罪の在処)
・   三好夏凜:交流有(万が一があったとしても)
・   乃木若葉:交流有(園子と若葉、天乃と陽乃)
・   土居球子:交流有(消える理由)
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


11月02日目 終了時点

乃木園子との絆  70(高い)
犬吠埼風との絆  97(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  86(とても高い)
結城友奈との絆  105(かなり高い)
東郷美森との絆  115(かなり高い)
三好夏凜との絆  135(最高値)
乃木若葉との絆  94(かなり高い)
土居球子との絆  40(中々良い)
白鳥歌野との絆  42(中々良い)
藤森水都との絆  35(中々良い)
  郡千景との絆  41(中々良い)
   沙織との絆  115(かなり高い)
   九尾との絆  63(高い)
    神樹との絆   9(低い)


363以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/21(月) 22:06:32.65BVWfyE7vO (1/1)

あらら、連休とは珍しい
乙です



364以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/21(月) 23:06:45.15hJIpC5850 (1/1)




365以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/22(火) 12:22:51.606tLyK08XO (1/1)

あれ、前日と絆値が変わってない気が…仕様?


366以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/22(火) 13:12:37.07b0+V4T8CO (1/1)

ミスじゃない?2連休とか普通にご多忙っぽいし


367 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/22(火) 22:13:05.87VbKyebOco (1/6)


失礼しました。こちらですね


1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流有(正直に話す、罪の在処)
・   三好夏凜:交流有(万が一があったとしても)
・   乃木若葉:交流有(園子と若葉、天乃と陽乃)
・   土居球子:交流有(消える理由)
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


11月02日目 終了時点

乃木園子との絆  70(高い)
犬吠埼風との絆  97(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  86(とても高い)
結城友奈との絆  105(かなり高い)
東郷美森との絆  117(かなり高い)
三好夏凜との絆  135(最高値)
乃木若葉との絆  96(かなり高い)
土居球子との絆  42(中々良い)
白鳥歌野との絆  42(中々良い)
藤森水都との絆  35(中々良い)
  郡千景との絆  41(中々良い)
   沙織との絆  115(かなり高い)
   九尾との絆  63(高い)
    神樹との絆   9(低い)


※夏凜は変わりません


368以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/22(火) 22:18:39.93VyRAP+yqO (1/3)

夏凜ちゃんはまさかのカンストか


369 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/22(火) 22:27:16.24VbKyebOco (2/6)


√ 11月03日目 朝(病院) ※水曜日


天乃「夏凜も学校行くの?」

夏凜「ん? いや、今日のところはまだ行かないわよ……あんたと一緒ね」

そう言った夏凜はいたって健康そうにえみを浮かべて

手を軽く振る

天乃の穢れを背負ったおかげで体調を崩した夏凜だが、

それ以外の体の問題はないのだ

明日か明後日になっても体の調子が悪くならないのであれば、

通常通り登校できるようになるかもしれない

東郷にしても天乃のもとへ松葉杖で近づいていくことが出来るくらいには歩けるようになっているし、

両腕が自重を支えられるようになってきているため、

先日聞いたように園子が今月半ばにでも動けるようになるというのは間違いないし

東郷はもう週末辺りにはもう満足に動けるようになっているかもしれない

夏凜「なによ。寂しい?」

天乃「別に、貴女には貴女のするべきことがあるもの。寂しいだなんて思わないわ」

そもそも朝は病院、夜も病院

夕方も部活がなければ病院と基本的には天乃と一緒にいるのだ

寂しいだなんてないはずなのだ

天乃「ただ、このまま戻って勉強大丈夫なのかなって」

夏凜「余計なお世話だっての」


370 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/22(火) 22:45:48.13VbKyebOco (3/6)


夏凜「そりゃまぁ、多少遅れてるって自覚はあるけど」

色んなことがありすぎて

授業的な遅れはもちろんのこと

少し前の勉強内容がちょっぴりあやふやな感覚もあるが

それでも取り戻せないレベルではないと夏凜は言う

東郷「そうですね……幸い、学校の授業の遅れは同級生がある程度教えてくれているみたいですし……」

友奈「そこまでで少し分からないこともあるけどね」

風「それは友奈の勉強不足でしょー? 勉強しなさーい」

友奈「えへへ……」

勇者としての問題や、天乃の事

色々抱えていた問題も少しずつ解消されていき、

学生としての部分を多く持ちことが出来るようになってきたのだろう

勇者と言うよりもそんな一面を強く感じる夏凜達

天乃「確かに二年生だものねぇ……まだまだ余地はあるわよね」

天乃はどこか遠くに感じてしまう心を隠すように笑みを浮かべて

天乃「進級できる?」

夏凜「中学で留年とかあんの?」

風「あたしなら経験してるだろう的な目で見んのやめて貰っていい?」

夏凜「悪かったわ」

風「そ――」

夏凜「風は浪人だった」

風「んー? 夏凜ちゃーん?」


371 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/22(火) 23:03:13.69VbKyebOco (4/6)


樹「あはは……あ、あのっ。勉強なら園子さんはどうですか?」

園子「ん~?」

会話が流れてきたのだと気づいた園子は、

ゆったりと間延びした様子で考え込むそぶりを見せると

少しは動かせる手でぐっと親指を立てる

園子「ばっちぐーだぜー」

暇すぎてやることなかったんよーと

壮絶だったであろう日々を何気ない入院生活だったかのように笑い飛ばす

天乃達のことも気にかけていた園子だが

毎日毎日そこで気を張っていたわけでもない

いつかきっと。という考えを捨て去ることが出来なかったからこそ、

勉強をしていたのだ

それに、このままでは小学校中退で人生が終わってしまう

園子「なんならふーみん先輩に勉強を教えることだって……!」

風「あーいや、それは大丈夫……うん、大丈夫、問題ない」

天乃「目を逸らしながら言われても、不安になるわ」

風「まだ11月だから! そう、まだ11月だから大丈夫!」

断ち切る勢いで言い放った風に目を向け、天乃は少しばかり困ったように苦笑する

風は元々勉強が出来なかったわけではないのだ

まだ11月だからというのが冗談ではないならいざ知らず

冗談で言えているうちはまだ平気かもしれない

そして、このまま勇者としての活動もなくなれば……

天乃「…………」


372 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/22(火) 23:07:07.48VbKyebOco (5/6)


1、勇者組
2、精霊組
3、ねぇ、みんなは勇者関連についてなにも聞いてないわよね?
4、ねぇ、もしも勇者関係でなにかあったら教えてね?
5、このまま……このまま日常に戻れるといいわね
6、球子達の想いについて話す
7、イベント判定


↓2


373以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/22(火) 23:11:03.85VyRAP+yqO (2/3)

5


374以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/22(火) 23:12:13.88padNFleX0 (1/1)

3


375 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/22(火) 23:22:43.96VbKyebOco (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「教えると言えば、久遠先輩には先生……特に家庭教師してほしいわ」

東郷「それっぽいからとかける伊達眼鏡! 無意識に近い距離感!」

東郷「あまりにもできない時にはご褒美に何でもしてあげるという約束……あざとい、あざといわ!」

天乃「えっと……そういうプレイ……? だったかしら、あるの?」

東郷「お教えしま――」バコンッ

夏凜「させるかッ!」


376以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/22(火) 23:31:32.55VyRAP+yqO (3/3)


もしもこれから新たな戦いがあったら久遠さんに戦う以外でできることはあるのだろうか

あと折角の綺麗な東郷さんがせんせーに戻ってしまわれた…



377以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/23(水) 00:18:10.31/kOHjPY2O (1/1)


東郷さんカムバック


378以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/23(水) 07:42:30.24boGzIQAEO (1/1)

ほ…ほら!ムードメーカー的なあれだよ!東郷さんはわざとやってるんだ!


379 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/23(水) 22:26:05.95p0O1tWX3o (1/5)

では少しだけ


380以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/23(水) 22:34:16.23Q3l1WmlYO (1/2)

かもーん


381 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/23(水) 22:47:17.72p0O1tWX3o (2/5)


天乃「ねぇ、みんなは勇者関連についてなにも聞いてないわよね?」

友奈「勇者関連ですか……?」

そんなことは頭になかったのが良く分かる友奈の反応に続き、

なぜそんなことを言うのかと言いたげに風は顔を顰めた

妙な勘繰りと言われればそれまでになってしまうかもしれないが、

受け取り方次第では【自分は聞いたが、みんなは聞いていないか?】というようにも取れてしまう

対面に近い位置にいる夏凜がその表情、考えを巡らせているのを横目に、

風は「んーと」と、少し大きな声で呟く

風「それはどういう意味で? なにか不安な事でもあるわけ?」

天乃「勇者として役に立たない私には通ってこない話があるんじゃないかなって思っただけよ」

沙織「あえて付け加えるなら、危険であれば危険であるほどみんなは久遠さんに伝えないだろうなーってやつだね」

天乃「そうね」

友奈「でも、出来る事はないかなぁ」

東郷「端末が手元にないという点を除いたとしても今の私達の状態では出来ることは非常に限られるかと」

夏凜「その限られた出来る事をやらされるんじゃないかって話じゃないの?」

それが危険にしろ、安全にしろ

関係なくやらされる―秘密裏に行う時点で前者だが―のではないか

天乃はそう聞きたいのではと夏凜は探るように天乃へと目を向けて

夏凜「そうなると、あんたにはその程度の話が伝わってるってことになるわけだけど」


382 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/23(水) 23:27:29.33p0O1tWX3o (3/5)


樹「でも、出来る事なんてあるんでしょうか?」

夏凜「戦力として数えられるだけでも十分じゃない?」

風「そりゃねぇ。樹はもうちょっと自信もっていいのよ?」

樹「えへへ……嬉しいけど、そうじゃなくて」

樹は無傷ゆえに満開しても後遺症の被害はみんなと比べれば少ないし

端末が返却された場合に最も自分本来の戦いがしやすいのは間違いない

だが、今のところ防人での対処に問題はなく

勇者の力を借りなければいけないほど切迫した状況ではないはずなのだ

もしもまた勇者部の力が戦力として必要になってきているのだとしたら

当然、樹海化が起きるはずだしその予兆を感じていてもおかしくない

それらのないまま、力を貸してほしいと来るのなら

それは想像もつかないような特殊な事例の可能性が高い

樹「なんというか、あのね? えっと、勇者として戦うようなことじゃないと思う……欲しいのは」

東郷「つまり……そうね……」

樹が悩みながら絞り出した言葉を受けた考え込む

樹自身、自分が伝えたい言葉を完全に言葉には出来ていないのか渋い表情を浮かべていて

完璧に考えが読めたわけではないと、東郷は自分を抑えて口を開く

東郷「樹ちゃんが言いたいのは、力としての私達は求められていないんじゃないかって言うこと? 極端に言えば数合わせ的なもの?」

樹「そんな感じ……かもしれないです」


383 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/23(水) 23:46:39.67p0O1tWX3o (4/5)


風「自分が出来ないような部分に代理として置かれるか……うーん……」

友奈「でも、久遠先輩や勇者部がどうなるのかなって大赦の人たちも考えてくれると思う」

そんな意味不明な助力を求めたら

そんな自力で危機回避できるかも分からないような状況に引きずり出して

なにか、良くないことが起きてしまったら

その場合、天乃が巻き込まれたら勇者部が黙っていないし、

勇者部が巻き込まれたらほかのほかの友奈達勇者部や天乃が黙っているはずがない

沙織「それでもなお招集かけてきたときは、要注意なんだろうね」

そう言った沙織は、

皆も分かってるだろうけど。と、繋いで

沙織「みんなといないところで協力を求められたらまず良くないことだって考えた方がいいと思う」

朝や夕方、夜といった一日の大半をみんなで過ごす勇者部だが

一人の時間がないわけではない

その時間に出会い、話を持ち掛けられる

そんなことがあったとしたら、それは悪いこと―天乃達にとってはだが―だろう

沙織「皆は、言われてないんだよね?」

夏凜「なんにも」

やや呆れ交じりに言い放った夏凜は東郷へと目を向けて頷く。

東郷も夏凜も学校に行かない分リハビリを行っており、基本的に一緒なのだ

そんな密談をする余裕はなかったのは確実といっても良い


384 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/23(水) 23:47:32.89p0O1tWX3o (5/5)


ではとちゅうですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

可能であれば切りのいい部分までは先行して行う可能性もあります


385以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/23(水) 23:48:22.70ySxW/kPnO (1/1)





386以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/23(水) 23:54:05.73Q3l1WmlYO (2/2)


万が一の事が起こったら樹ちゃんが一番巻き込まれやすいか…?


387 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/24(木) 22:49:41.82lLWi52aJo (1/4)


では少しだけ


388以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/24(木) 22:51:06.443xqYgnyEO (1/3)

あいよ


389 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/24(木) 23:13:52.48lLWi52aJo (2/4)


沙織「つまり今のところは……心配はないわけだ」

東郷「そう、ですね。現状では大きな問題は、ないかと」

沙織はきっと天乃がまだ何か言いたいのではと考えて目を向けたのだろうが、

東郷は昨日の件もあってだろう

球子から言われたことを言わないのかと言いたげな視線を感じた天乃はちらりと目を向けただけで

苦笑いを浮かべた

天乃「そう。ならいいのよ。ごめんなさい」

夏凜「そういうあんたはどうなのよ」

天乃「こんな状況……というより、誰かと常に一緒にいる以外ない私に秘密があるって?」

夏凜「ありそうなもんだけど」

訝し気に

やや冗談めいた声色で答えた夏凜は小さく肩をすくめて

夏凜「で、学校は?」

風「がっ……あーっ!」

樹「あっ、瞳さんが待ってますっ!」

友奈「わーっ!」

バタバタと。

騒がしい朝の一風景だった


390 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/24(木) 23:33:10.98lLWi52aJo (3/4)


√ 11月03日目 昼(病院) ※水曜日

01~10 
11~20 夏凜
21~30 
31~40 東郷
41~50 
51~60 若葉
61~70 
71~80 千景
81~90 
91~00 園子

↓1のコンマ 


391以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/24(木) 23:34:12.253xqYgnyEO (2/3)




392以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/24(木) 23:34:20.59YB4m5PeR0 (1/1)




393 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/24(木) 23:54:41.19lLWi52aJo (4/4)


すみませんが昨日の続きだったので今日はここまでとなります
明日は出来れば少し早め再開、今日分と合わせて進行できれば。

少なくとも来月からは通常運行可能かと思います


交流無し、天乃単独、


394以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/24(木) 23:59:06.103xqYgnyEO (3/3)


球子のこともみんなに話しとくべきだったか…?


395以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/25(金) 00:55:11.23wMpCg/P40 (1/1)


単独とな?


396以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/25(金) 08:29:12.86vAYgZvsnO (1/1)

天涯孤独(ボソッ


397 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/25(金) 22:17:25.95oUQoY8W0o (1/5)


では少しだけ


398以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/25(金) 22:20:24.75HZzIRCWTO (1/2)

よしきた


399 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/25(金) 22:43:07.09oUQoY8W0o (2/5)


√ 11月03日目 昼(病院) ※水曜日


下手な事は言うべきではないと、今更思う

昨日夏凜と話した時もそうだ。

夏凜がよくよく子供のことを考えてくれているからと、

自分に何かがあっても安心だなどと、言ってしまった

元々体が弱ってきていることもあったが、

大赦がやろうとしていること、

天乃がやらされる可能性のある事

それを知ってしまったからこその発言は夏凜に不信感を抱かせた

天乃「……なにかあるって絶対思ってるわよね」

昨日の時点で感じていたことだろうが、

今さっきのことでもう、確信に変わったと言っても語弊は生じないだろう

検査やリハビリのために自分以外いない病室を見渡して、

今にも破裂してしまいそうな自分の腹部を優しく撫でる

天乃「っ……」

本来なら軽く歩いたりするべきだが、両足の動かない天乃には当然できるわけはなく

腰にかかる負担、その痛みは尋常ではない

天乃「はぁ……っ」

精神的にも身体的にも痛みのある今は

ただただ、辛いものばかりだと心は沈む一方だった


400 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/25(金) 23:07:17.72oUQoY8W0o (3/5)


天乃「一人で考えてるせいではあるんだろうけど……」

気落ちするのも、良い考えにならないのも。

状況が悪化の一途をたどるばかりだったり、

好転する兆しが見えないという状況であることも一因ではあるのだろうが、

やはり、その状況下でありながら一人きりで思い悩んでしまうからだろうと天乃は思う

だが、それが分かっていても簡単に口にしていいことではないのだ

皆が天乃を巻き込まないために勇者としてのことに口を閉ざそうとするのと同じように、

天乃が抱えていることは簡単に口にしていいことではないのだ

西暦勇者から力が返還されることの利害

天乃が持つ、勇者が関わってくるであろう大赦の作戦

主要な問題といえるそれらはどちらも天乃にとって害あることだからだ

天乃「痛っ……ぅ……はぁ……体が砕けそう」

枕元のリモコンを操作して、身体ごとベッドを横にしていく

その比較的体への負担が少ない動きでも痛みを訴えてくる体に、

天乃はたまらずため息をついて、目を閉じる

出来る限り悪いことは考えないようにしたい

球子の件を話した東郷、大赦が行おうとしている件を共有した園子の二人はともかく、

夏凜にまで悟られてきているのだ

ほんの些細な変化にでも、きっと気を使わせてしまう

天乃「なら話せばいいじゃない……」

そう呟いて

天乃「それが出来たら苦労しないのよ……馬鹿ね」

自分自身に吐き捨てた


401 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/25(金) 23:29:28.57oUQoY8W0o (4/5)


1、精霊組
2、ゆっくり休む
3、大赦
4、イベント判定


↓2


402以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/25(金) 23:30:24.97p6o2yQUi0 (1/1)

3


403以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/25(金) 23:31:12.44HZzIRCWTO (2/2)

3


404 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/25(金) 23:56:24.63oUQoY8W0o (5/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

大赦呼び出し、交流


東郷「私達にも子供が出来ないのは、今後においてやや問題になってくるわ」

東郷「両親が認めてくれているとはいえ、それはやっぱり勇者として戦っているからこそ」

東郷「普通なら血が絶たれることに非難が集まり反対させるのは必然……はっ!」

東郷「そうだわ! 久遠先輩のお兄さんの種を頂いて射精機能付き疑似男性器で久遠先輩に妊娠させて貰えばいいのよ!」

東郷「それなら久遠先輩との子供も作れて処女も捧げられて周りの反対理由も解消出来て問題が起こらないわ」

夏凜「いきなり何言ってんのあんた」


405以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/26(土) 00:05:42.99z/ZqdGg3O (1/1)


久遠さんとの子供ほしさにとうとう兄貴まで狙い始めるとはw
ほぼ兄貴とえっちしてるのと変わらない気がするけどそれでいいのか東郷さん


406以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/26(土) 00:22:07.15clgMuxhPO (1/1)


やはり久遠さんに棒は必要


407以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/26(土) 08:40:56.51q7zONC5jO (1/1)

兄貴とするんじゃなくて兄貴から搾り取ったやつを射精機能付きディルドに装填して久遠さんに妊娠させて貰うとかある意味天才の発想だろww
夏凜ちゃんのツッコミに全力で同意だわ


408以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/26(土) 13:47:13.641Lc5abo2O (1/1)

兄貴といえば彼は今頃何してるんだろうか
晴海さんにいたっては鍛練記録以降音沙汰ないし


409 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/26(土) 22:45:20.44QBF/86ono (1/3)


では少しだけ


410以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/26(土) 22:46:52.70E3CCJvYEO (1/1)

おk


411 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/26(土) 23:02:37.20QBF/86ono (2/3)


天乃「呼び出してごめんなさいね。でも、どうしても気になったのよ」

「……そうですね。私達としても、聊か気になるところです」

検査という名目で病室を離れた天乃は大赦が行おうとしていることについて。と、

やや伏せた文言で連絡を取り、大赦を呼び出したのだ

ここ最近の情報はあまり共有していないが、

以前に協力を要請したこともあってか、大赦にも思うところはあるのだろう

久方ぶりの仮面の奥、探るような視線を感じて天乃は顔を顰める

天乃「私がどうして貴女達が行おうとしてることを知っているのか気になるの?」

「いえ。なぜ、そのようなことを言われたのかと」

天乃「そういう疑問を抱いてる視線じゃなかったわ」

天乃はもう、大赦が秘密裏に行おうとしていることを知っているが、

大赦は天乃がそれを知っていることは知らない

だから、行おうとしていることについて。といわれたからと

なぜそれを知っているのかなんて聞くわけにはいかなかった

言えば、何かあるのだと教えることになる

そして、それを知られればさらに根元まで聞かれることになると思ったからだ

天乃「別に隠すことないじゃない。私だって勇者は勇者よ? それに壁の外のことだって知ってるんだから」

「防人の件……ですか。それは久遠様には関係のないことです」


412 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/26(土) 23:22:45.74QBF/86ono (3/3)


天乃「防人に加わった楠さんは元お世話係なのに」

「その件とこの件は話が別です」

天乃「楠さんが関わっていることに違いはないわ」

「彼女については、今現在も問題なく防人としての役目を全うしております」

そう答えた大赦の遣いは少し考えようとしたのだろう

数秒だけ黙り込んで「そうですね……」と小さな声で言う

天乃に向けたものではないのか

それとも無意識な発言なのか

仮面の奥の口は続けて言葉を紡ぐ

「彼女は私達が想像していた以上に良い働きをしてくれています」

天乃「でしょうね。真面目な子だもの」

「それも関係しているとは思いますが……やはり、久遠様方と接したことが大きいのかもしれません」

天乃「あら」

思わぬ称賛―皮肉ではない―に思わず声を上げた天乃は

子供っぽく笑みを浮かべて珍しいと呟く

自分と関わるのは毒に触れるような行いであるとまで警戒されていると思っていた天乃としては、

芽吹に僅かにでも反抗心を抱かせた関わり合った時間に意味があったと言われるとは考えていなかったのだ

むしろ

余計なことをさせなければよかったと憎まれることさえ視野に入れていたほどに。


413 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/27(日) 00:06:10.95vXgwgzd0o (1/2)


「元々、彼女は成績こそ優秀ではありましたが、我が強く惜しい存在でした」

だからこそ、天乃と接触させても変に歪になることなく

また、ほだされることもないだろうと世話係に任命されたのだが。

しかし、我が強いからこそ天乃との相性は色々な意味で悪かった

「今もその名残は失せていませんが、勇者よりも力が劣る分、連携を要とする防人での隊長としての彼女は非常に頼りにされているようです」

天乃「…………」

「本来、防人は入れ替わりが激しいものだと想定されていました。しかし……」

それは星屑との戦いによる負傷等の離脱だったり

精神的なものであったりと理由は様々だが、

楠芽吹率いる防人は負傷することはあっても死者はなく、精神的な離脱も起こってはいない

「彼女の存在によって離脱は最小限に留められ、団体としての能力は非常に優秀です」

ゆえにチームワークは向上し

各個人は経験を重ねて能力の向上もしていくという好循環

大赦としてはとてもありがたいことだった

「彼女は着任した当初、こう言ったそうです。私は隊長には向いていない。少なくとも、彼女のような存在にはなりえない」

そして、こう続けたのだ

「それでも、任命された以上は隊長として貴女達を精一杯サポートする。だから、貴女達は私をサポートしてほしい。と」

天乃「そう……あの子がそんなこと……」

天乃はそう呟くと、意地っ張りなわが子の優しい一面を垣間見た母親のような穏やかな笑みを浮かべる

心から嬉しそうに、喜んでいる表情

仲良くしきれなかったはずなのに、懐柔しきれなかったはずなのに、大赦が用意した第三者としての存在であったはずなのに。

「……やはり、彼女にとって久遠様との接触は正しかったようですね」

活躍を聞いて喜び

成長していると褒められて嬉しそうにする

偽りではない天乃の芽吹への愛情を感じて、大赦の遣いは関わらせたのが正しかったと再度思い、そして

「とても、非道だった」

そう、確信した


414 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/27(日) 00:20:18.41vXgwgzd0o (2/2)


では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はおそらくお休みをいただきます


夕海子「久遠さんという方はとても愛されていますのね。そして芽吹さんはお慕いしていると」

芽吹「彼女は色々な意味で尊敬できる人だとは思います」

夕海子「本心は?」

芽吹「それ以上も以下もありません。彼女はただの……そう、ただの友人です」

雀「め、メブーがデレてるーっ!?」

芽吹「はぁ……そう思いたければ勝手に思ってていいわ。もう」


415以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/27(日) 00:21:30.15TRk2l2LQO (1/1)


芽吹デレ


416以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/27(日) 00:24:44.98KEma/EQLO (1/1)


後々あるであろう久遠さんとくめゆ勢との絡みも楽しみだな


417以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/27(日) 08:01:21.500xCK/Q7/O (1/1)


芽吹「彼女は私の母親になってくれたかもしれない女性よ」

冗談はともかく友人だって天乃には言ってないのがデレポイント高いよね


418以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/28(月) 12:23:19.74itqWTGHxO (1/1)

それ以上も以下もない…ただしそれ意外はある


419 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/28(月) 21:57:00.62vcfko6AAo (1/2)


では少しだけ


420以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/28(月) 21:59:27.07a8BgfuPIO (1/2)

やったぜ


421 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/28(月) 22:29:43.12vcfko6AAo (2/2)


天乃「非道……? どういうこと?」

「あ、いえ……」

天乃に問われ、否定しようかと考えた遣いだったが、

聞き間違い、言い間違いでは逃れられないだろうと天乃の視線で察し、逡巡する。

そして

「久遠様はお優しい方ですから。傷つきやすい、失われやすい防人に友人を持たせてしまったことは非道ではないか。と」

天乃「そうねぇ……」

少し困ったような反応だった。

やり過ごせたのかと大赦の遣いが思ってしまうような薄い笑み

だが、天乃は考えつつ言葉を選ぶように緩やかに使いへと目を向けて。

天乃「それだとまるで、大赦は元々そうする予定だったみたいね」

「え……あ、はい。そのとおりでございます」

すでに告げていたように、

芽吹は戦闘技術ならば夏凜にも劣らない好成績だったのだ。

防人という役割を考えられた時から、そのメンバーの一人として候補に挙がっていたし、

それは天乃とかかわらせるよりも先に考慮していた部分だ

「楠芽吹が防人に加わることはあらかじめ予定されていました」

天乃「うん、それはそうなんだけど」

「なにか気になることでもございますか?」

天乃「楠さんが危険になれば、私達が力を貸すだろうとか考えていたりするのかしらって、思ったの」


422以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/28(月) 23:54:58.02a8BgfuPIO (2/2)

もしや寝落ち?


423以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/29(火) 07:17:21.93j7X8h/AxO (1/1)

とりあえず乙


424 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/29(火) 21:39:54.23k/3hEzB3o (1/7)


すみません、まぎれもなく寝落ちしました
本日も少しだけやっていきます



425 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/29(火) 21:47:54.87k/3hEzB3o (2/7)


まさかね。と、

自己否定するかのように笑みを浮かべる天乃は「流石にないわね」と呟く

独り言のはずなのに、問われている気がして

しかし、まともに答えれば認めてしまうのではないかと、大赦の遣いは苦笑に留める

仮面の奥に隠した素顔が湿気に蒸れる

緊張感に浮かんだ冷や汗が伝う

その狭い視界に見える少女は真っ直ぐ、見つめて

天乃「ねぇ」

「は、はい」

思わず声が震える

威圧されているわけではないのに、

なにかが天乃を恐れて震えさせるのだ

天乃「そんなに怖がらなくても良いんじゃない?」

「恐れているわけでは……」

天乃「そう?」

天乃にはもう、戦う力はないと聞いている

神への冒涜、穢らわしい力はないはずだ

だとしても、収まらない

例え、目の前の少女が笑みを浮かべていようと。


1、近畿地方の件、うまくいったらどうするの?
2、近畿地方の件、うまくいかなかったらどうするの?
3、防人はこれからどうするの?
4、貴方達、私に言うこととか、ない?

↓2


426以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/29(火) 21:50:25.64twR2G9I0O (1/3)

2


427以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/29(火) 21:51:09.683Kebu6sB0 (1/1)

4


428 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/29(火) 22:08:26.78k/3hEzB3o (3/7)


天乃「それなら本題に入っても平気そうね」

「っ」

変わらない笑顔を浮かべたまま手をパンっと叩いた天乃は、

聞きたかったことがあったのよ。と、最初と同じことを繰り返す

天乃「貴方達、私に言うこととかない?」

「い、言うことなど……」

天乃「そうなの?」

「………」

大赦からの遣い―声色からして女性―は息を呑んで黙り込む

本当に言うことがないのかもしれないが、

言うことはあるが、言えることではないのだろうと天乃は思う

最も、大赦が隠していることを知っているからこそそう思うのかもしれないが。

天乃「何もないの? 勇者に関して、防人に関して、私の力に関して、私の交際関係に関しても……なんにも?」

不思議そうに問う天乃の声

不思議がっているようで、どこか煽るような空気を含んでいるようにも感じてしまうのはきっと、

後ろめたさがあるからだろう

「は、はい」

天乃「そう……」


429 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/29(火) 22:34:33.79k/3hEzB3o (4/7)


それはあまりにも失望した声だった。

浮かんでいた笑みも急激に沈んでいく太陽のように陰っていく

自分の発言が軽率だったのではないかと、一瞬でも思わせる天乃の素振り

「ぁ……」

だが、女性は自分のさらなる軽率な発言をすることはなかった

言葉を飲み、息を止め、

落ち着いてと自分の胸元に手をあてがって、ため息をつく

天乃は色々な意味で要注意すべき人間だと伝えられているが、

こういった点においても、忠告は受けているのだ

気を引いたり、情に訴えかけるような言動

少女ゆえに強い説得力のあるそれらに騙されてはいけないと。

「現状では……特に久遠様にご報告するような案件はございません」

天乃「まぁ、私は力が使えないものね。何かあっても役立たずよね」

むしろ。と、続けて

天乃「夏凜達勇者の力を借るようものなら余計な口挟むし、邪魔よね」

「じゃ、邪魔などと……そんな恐れ多いことなど思いません」

天乃「別に思ってても怒ったりしないわよ? 貴方達の立場で言えばそうだろうとは思うもの」


430 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/29(火) 23:01:01.23k/3hEzB3o (5/7)


他愛ない話をしている女学生の雰囲気に戻った天乃の笑みに、

大赦の遣いは安どの息をついて胸をなでおろすと、

仮面の奥で苦笑いを浮かべて、ぎゅっと握りこぶしを作る

仮面がなければハンカチででも顔を拭きたい

そんなことを考えて。

「久遠様は、確かに、大赦からは要注意人物とされておりますが、そのようなことまで思いません」

天乃「ふふっ、そうなの」

「え、あっ、よ、要注意人物というのは」

天乃「ええ、ええ。良く分かっているから良いわ」

天乃は笑う。

大赦が隠していることを分かっていながら。

女性は笑う。

天乃が怒っていないと本気で信じて。

天乃「私には神様さえも傷つける力があるんだもの。仕方がないわ」

「申し訳ございません。何かございましたらご報告いたします」

お話は無事に、終わった


431 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/29(火) 23:04:33.39k/3hEzB3o (6/7)


√ 11月03日目 夕(病院) ※水曜日

01~10 夏凜
11~20 
21~30 友奈
31~40 
41~50 東郷
51~60 
61~70 千景
71~80 
81~90 若葉
91~00 風

↓1のコンマ 



432以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/29(火) 23:05:08.00twR2G9I0O (2/3)




433 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/29(火) 23:20:42.50k/3hEzB3o (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「そう言えば、久遠先輩は壁……ドン? なるものをされたら靡いてしまうのかしら?」

風「いやぁ……天乃の場合、相手がイケメンでもどうしたの? とか心配するだけだわ」

樹「でも、夏凜さんがしたら喜びそうじゃないですか? 真剣な顔でしたらもうドキドキです」

夏凜「つっても、天乃なんて今ほぼ寝たきりでしょ?」

園子「ひらめいた! ねたきりならあれだよ~、ベッドン」

友奈「ゼットン?」

夏凜「ピポポポポ……ってアホか!」バンッ


434以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/29(火) 23:28:03.62twR2G9I0O (3/3)


久遠さんに壁ドンしたらイケメンだろうが女の子だろうが結局勢いで流される未来しか見えない件



435以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/29(火) 23:41:50.98sHfuSmRSO (1/1)


久遠さんはそこまでちょろくないだろ…ないよな…?


436以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/30(水) 17:19:40.84K3vg2njxO (1/1)

いろんな条件が重なって久遠さんに見えてきて困る…
やっぱ久遠さんって儚いんだなって←
https://i.imgur.com/XyNPpzQ.jpg


437 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/30(水) 21:53:52.63TAAezEflo (1/5)


では少しだけ


438以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/30(水) 21:59:28.97zy/UzDwxO (1/3)

かもん


439 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/30(水) 22:16:06.04TAAezEflo (2/5)


√ 11月03日目 夕(病院) ※水曜日


風「ただいまーのん、お帰りのハグぅ」

帰ってくるや否や、疲れ切った様子で天乃のベッドへと近づいてきた風は、

天乃に抱き着くようなそぶりを見せながら寸前で膝から崩れ落ちて、ベッドに肘をつく

明らかに何かあった様子に、天乃は心配そうに問う

天乃「……どうしたの?」

風「あたしだって……あたしだってやればできる子なのよ……」

天乃「うん?」

風「この封印されし右手さえ解放出来れば……」

的を射ることができない風の呟き

どういうことなのと言いたげに天乃が眉を顰めると、

一緒に学校に行っていた友奈が笑みを浮かべて

友奈「剣道部の助っ人があったんですけど、風先輩……夏凜ちゃんの方が強いって言われちゃったみたいで」

天乃「あらら」

風「本気を出せば夏凜になんて勝てるんだからーっ! このっ」

夏凜「いや、そんな睨まれても困るんだけど」


440 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/30(水) 22:49:23.20TAAezEflo (3/5)


風「うぅ……」

天乃「まぁまぁ、誰にでも向き不向きはあるわよ」

風「つまり夏凜には勝てないって?」

天乃「剣道では難しいんじゃないかしら」

二刀流で戦っている夏凜だが、そもそも得物が剣道部が使う竹刀と同系統のもので

扱い方に関してははるかに分があるし、技能面でも夏凜は上だ

比べること自体が間違っているかもしれないと天乃は思うが、

風自身、それは解っているはずで。

天乃「調理部とかなら、風に分があるでしょう? それと一緒よ経験の差があるんだもの、仕方がないわ」

風「それはそうだけど、なんか悔しいのよねぇ。三好さんの方が手ごわかったみたいなこと言われたりすると」

夏凜「そこで私を睨まないでもらいたいんだけど?」

風「全快したらどっちが上か決着をつけるわよ夏凜!」

夏凜「剣道で?」

風「料理で」

夏凜「おいこら」

冗談冗談と笑う風は、

落ち込んでいたこと自体が冗談だというかのように明るい笑みを浮かべて、天乃の手に触れる


441 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/30(水) 23:06:25.81TAAezEflo (4/5)


風「それで……天乃はどうだったの?」

楽し気な日常

他愛もない喧嘩のような情景

その空気を割くような風の声に、天乃は目を向けた。

天乃「どうだったって何? 検査の事?」

風「それ以外にないでしょ?」

学校に行っていたはずの風が検査を知っている辺り、

夏凜達のうちの誰かから連絡がいったのだろう

下手に恍け通さない方をえらんだ自分にちょっぴり感謝して、天乃は苦笑する

今日は別に検査をしたわけではなく、大赦の人を呼び出して話をしただけだ

聞きたいことはほとんど聞けなかったが、芽吹の事は聞くことが出来た

しかし、それを風達に言うべきなのかどうかと、迷う

本当は検査ではなく大赦の人たちに話を聞きに行ったと言っても内容的にさほど怒られることはないはずで、

そこは正直に話しても問題はないだろう

ただ、なぜ話をする必要があったのか、序盤に嘘をつく必要があったのか

そう問われたとき、大赦がしようとしていることを話しても良いのだろうか?

何もないと白を切るか、芽吹達が健闘しているという話を聞いたと答えるか、大赦の作戦含めて話してしまうか。


1、それなんだけど、風。少し場所を変えない?(後ほど再安価)
2、何もないと白を切る
3、芽吹達の話をする
4、大赦が行おうとしていることを話す


↓2


442以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/30(水) 23:09:51.51zy/UzDwxO (2/3)

4


443以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/30(水) 23:11:17.613E/d/zH70 (1/1)

4


444 ◆QhFDI08WfRWv2018/05/30(水) 23:24:34.28TAAezEflo (5/5)


ではここまでとさせていただきます
あすもできれば通常時間からですが、お休みの場合もあります

一応、オマケページに犬吠埼姉妹と天乃のものを追加しました
練習のものになりますので、クオリティは低めです


天乃「実は――」

友奈「そんなっ」

樹「どうしてまた……」

東郷「よろしい、ならば戦争よ!」ガチャッ

園子「わ~車いすから武器が出てきた」

風「あれはまさか! ストライk――」

夏凜「やめろッ」


445以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/30(水) 23:31:41.67zy/UzDwxO (3/3)


原作と展開が異なってるとはいえみんなは大赦の作戦にどんな反応するのだろうか…

あと久々のオマケページ公更新とは嬉しい誤算、さっそく読んでくるわ


446以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/31(木) 07:11:43.01n7F6BMb4o (1/1)


樹ちゃんが積極的すぎて久遠さんの体がヤバい…ん? クオリティ低め? もっと上があるって期待して良いんです?


447以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/31(木) 08:06:46.030BqR91CdO (1/1)

本番くるのが楽しみなレベルの安定感だった、中学生って成長早いなぁ

そして三周目の2周年おめ


448以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/31(木) 09:38:39.38LSASUtBNO (1/1)

おまけが流石のクオリティ
ありがとうございます


449 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/01(金) 22:36:46.37ZgN1Hd0jo (1/5)


では少しだけ


450以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/01(金) 22:38:23.11MC5jWoX8O (1/2)

あいあいさ


451 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/01(金) 22:51:02.93ZgN1Hd0jo (2/5)


天乃「ちょっと……ね。大切な話があったのよ」

もっとも、大赦から遣わされた人自身から直接その話を聞くことは出来なかったのだが、

それでも、天乃は「その話がしたかったのよ」と前置きを付け加えて

天乃「どうやらね、大赦がまた新しい作戦を考えているらしいの」

風「新しい作戦?」

天乃「そう。今のままでは神樹様が弱り切って人類が敗北することになるというのは、みんなも分かってるわよね?」

そう問いかけ辺りを見回す

最も近くにいる風はもちろん、夏凜達も不安気な表情を浮かべながら、頷く

神樹様の寿命が尽きてしまう日は近い

それはみんなも分かっているが、勇者としての力を一時的に喪失している現状

勇者部には出来ることなどないのだ

そのうえでの作戦というのが、不気味だった

友奈「また、私達が勇者として戦う……とかですか?」

天乃「ううん。まず確定しているのは、楠さん達防人が壁外へと出て近畿地方のある場所に行き、そこから攻めに出る。というところね」

東郷「近畿地方……ですか」

樹「そこに何かあるんですか?」


452 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/01(金) 23:08:56.74ZgN1Hd0jo (3/5)


天乃「これは推測だけど、展開に通じるとされる天橋立と呼ばれるものが昔にあったらしいのよ」

夏凜「そこからバーテックスの基礎って話の天の神を討つってわけ? 防人が?」

夏凜は嘲笑するかのような苦笑いを浮かべながら言うが、

防人達の力を低く見ているわけではない

しかし、それでも勇者に満たない力しか与えられていない防人には無謀だと夏凜は思う

本丸ともなればその守りは強固かつ、相手陣地ゆえに強化も施されている可能性がある

そのうえ、神樹様からの力が弱まる可能性もあるのだ

無謀を通り越して自滅に近い

風「そこから先は勇者様がよろしくってやつじゃないの?」

樹「でも、なにも話は聞いてないよ……?」

東郷「まさか、断れない段階に来てから話に来るつもりでは?」

東郷の冗談ともとれるが取りにくい発言に、

病室の空気は急速に沈み込んでいき、そして

夏凜「あんただけがこの話を聞かされたわけじゃないでしょうね?」

天乃「ええ。そもそも、大赦情報じゃないからそこは嘘偽りないわ」


453 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/01(金) 23:29:30.41ZgN1Hd0jo (4/5)


夏凜「でもそれにしては最近様子おかしいわよね、あんた」

天乃「それは……」

球子達の件。

だが、今言うべきはそれではないし、

それに関しては少なくとも今しばらくはしないと決めたのだ

口をついて出そうになった言葉を飲み込み、天乃は代わりに息を吐く

天乃「これは大赦が確実に行うといったことじゃないわ。あくまで推測。それを踏まえたうえで聞いてくれる?」

樹「なんだか怖いです……」

友奈「嫌な予感がする……久遠先輩に関係すること、かな」

不安を口にする友奈達の一方、

考え込んでいた東郷がおもむろに口を開いて

東郷「流れ的に、久遠先輩が戦いに行かされるのでは?」

風「いや、まさかっ」

夏凜「神樹の力を必要としない、それに再生力をものともしない神に通じる破壊の力」

風「……マジ?」

恐る恐る訪ねてくる風に、天乃は静かにうなずいてから、

もう一度「推測だけどね」と、念押しした


454 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/01(金) 23:36:40.21ZgN1Hd0jo (5/5)


では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

このあと勇者部対策会議


東郷「天橋立……」

風「なにか気になる事でもあった?」

東郷「いえ、天橋立って久遠先輩の名前が入っているじゃないですか」

東郷「なので、もしかしたら起動……といいますか、道を開く鍵は久遠先輩なのではないかと思いまして」

樹「それを言う場合、天の神も久遠先輩が――」

夏凜「だからこそ天乃なんでしょ。通じるどうこうじゃなくて、対等な存在になることができるから」

夏凜「天乃は天乃なのよ。力的な意味でも、そうじゃなくてもね」


455以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/01(金) 23:47:21.86MC5jWoX8O (2/2)


またしても久遠さんに死亡フラグが…?
あと久遠さんって結構隠し事するの下手なところあるよね


456以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/01(金) 23:56:43.11om1j1r0kO (1/1)


最初の頃隠し事で勇者部解散危機とかいうトラウマあるし迷っちゃうんじゃない?
あとは夏凜ちゃんが察し良すぎて騙せない感ある


457 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/02(土) 21:54:19.61CCr0xoX2o (1/1)


すみませんが、諸事情で本日はお休みとさせていただきます
明日可能であれば昼頃から


458以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/02(土) 21:58:04.32mk+yduKiO (1/1)

乙です
久々の日曜昼に期待


459以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/02(土) 22:44:20.15nhH0Zsb2O (1/1)

乙です


460 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 13:04:19.3412JbVXjPo (1/25)


では少しずつ


461以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/03(日) 13:05:11.53WAzADFedO (1/2)

よしきた


462 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 13:18:43.0812JbVXjPo (2/25)


東郷「あり得ません」

凍り付いたような空気の中、真っ先に口を開いたのは東郷だった。

大赦に対する怒りを感じさせる瞳、鋭くとがった刃のような声

傍から見ても激昂していると分かる東郷を横目に、

友奈は小さく息を呑んで、手を上げる

友奈「で、でも! でも、推測……なんですよね?」

天乃「うん。確証があるわけではないわ。そもそも、天橋立に向かっているというところも私達の推測でしかないもの」

夏凜「要するに、まぁ……私が言ったのが悪いっちゃ悪いけど、最悪の可能性としてそれがあるかもってだけよ。東郷」

暗に落ち着けと言われたのだと察したのだろう

東郷はなおも不安げな表情を見せながら目を伏せ、頷く

東郷「そうね……早計だったわ」

風「とはいえ、最悪の可能性だとしてもそれがあるってのちょっと問題よねぇ」

樹「私達がまた勇者として戦うことになる……という程度で終わってくれる話ではないんですよね?」

園子「そうだねぇ~……神樹様の寿命の件を考えると大きな手を打つ必要があるのは間違いないんよ」

友奈「それが。久遠先輩が戦うこと。なんですか?」

東郷「そこに関しては夏凜ちゃんが挙げた利点のとおりね。久遠先輩は神の国に対して言えば対国兵器のようなもの。絶大だわ」

園子「今の天さんでは分からないけど……多分、全盛期の天さんが本気で満開したら消えてなくなるんじゃないかなぁ」

天乃「そんなことしたら私の命まで消えてなくなるんだけどね」

樹「それは、絶対に阻止しないといけないですね」


463 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 13:34:39.7912JbVXjPo (3/25)


冗談めかして言ったことに対し、

樹でさえ思いのほか真面目に返してきたことに内心躓いた天乃は苦笑して誤魔化す

もちろん、詰みの詰みになるまでそんな盤を引っ繰り返すようなことをする気はないが

そんな気持ちが欠片でもあると知られれば確実に大騒ぎになるだろう

樹「えっと、まず確実なのは楠先輩……防人が近畿地方に行くって言うことなんですよね?」

東郷「近畿地方……当然ながら。というと寂しい気持ちはありますが、軽く検索するぐらいでめぼしい情報は得られないわね」

夏凜「気になるのは、大赦が本当にやろうとしてることよね」

友奈「それは、バーテックスに大ダメージを与えるってことじゃないのかな」

風「それはそうだけど、夏凜が言いたいのはうどんを茹でるのは良いけど、作りたい料理は何なの? って話だと思うわ」

夏凜「合ってるけどうどんで例えるか普通ッ」

園子「それなら、スパイスは近畿地方、神樹様の寿命、大打撃、種を植える、羽衣、天の神というあたりかな?」

夏凜「それで続けんの……? まぁ、良いわ」

一人疲れたようにため息をついた夏凜は、布団の上に指で何かを書いていく

それらが繋がっていることは間違いないが、確実に答えにたどり着くには決定的な情報が足りない

そんな穴を感じて夏凜が握りこぶしを作る隣で、樹が口を開いた

樹「料理なら大赦の人達にも参考にしてるレシピがあるんじゃないでしょうか」

東郷「なるほど、創作料理にせよ、原型となった料理があるということね」

友奈「スペシャルミックスジュースも元々はちゃんとした飲み物だもんね」

夏凜「原型……って言うと、安易かもしんないけど神様ならやっぱり神話がもとになってるんじゃない?」


464 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 14:10:39.3412JbVXjPo (4/25)


園子「神話……そうだね。そうだよ! にぼっし~! 神様だもん、ないはずがないんよ~!」

夏凜「でしょ! 絶対……! ぁ……こほんっ」

風の茶化すような視線、樹や友奈達の嬉しそうな表情を感じて、

夏凜は知らず知らずのうちに声高になっていたことに気づき、目を逸らす

一息ついて呼吸を整え、頬が上気する程度の熱は残して――

風「べっつに恥ずかしがらなくたっていいじゃない」

夏凜「うっさい、余計な話はしなくて良いわよっ!」

天乃「可愛いのに」

夏凜「あんたの為に話し合ってんだけどッ!?」

東郷「夏凜ちゃん、落ち着いて」

怒鳴る夏凜を一瞥した東郷は冷静に手を叩いて場を鎮める

普段なら止めずにいるが今回ばかりはと首を振る

東郷「とにかくまずは大打撃等や寿命等は抜きにして、向かう方角と天の神が関係する原型を探し出しましょう」

風「異議なし、学校の図書館や街の図書館はアタシたちで回るわ」

友奈「あと、おじいちゃんおばあちゃんにも話を聞いてみる!」

東郷「では……PC上の情報は私と樹ちゃんで探ります」

樹「頑張って探します」

園子「大赦が答えてくれるかは別にして、探ってみるんよ~」

夏凜「私も読書は趣味の一つだし、瞳の手も借りて調査するわ」

勇者部は誰一人として、諦めるつもりはないのだ

そう言うものだと受け入れるつもりもないのだ

最後の最後で悪あがきだったと嘲笑されるのだとしても、

結果が出ていなければ過程の中に可能性は必ずあると信じているからだ

天乃「……貴女達は」

風「なせば大抵なんとかなる。それが勇者部のモットー。でしょ?」

天乃の困った表情に気づいた風は、

にこやかな笑みを浮かべながら、胸を張って言い切った


465 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 14:21:49.6112JbVXjPo (5/25)


√ 11月03日目 夜(病院) ※水曜日

01~10 夏凜
11~20 
21~30 若葉
31~40 
41~50 友奈
51~60 
61~70 千景
71~80 
81~90 九尾
91~00 

↓1のコンマ 


466以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/03(日) 14:23:54.49WAzADFedO (2/2)




467 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 15:21:08.6512JbVXjPo (6/25)


√ 11月03日目 夜(病院) ※水曜日


友奈「久遠先輩、まだ……起きてますか?」

こっそりと忍び込んできた友奈は、大きくなりすぎないようにと慎重な声をかける

皆のベッドの周囲のカーテンは閉められており、

寝ているのか起きているのか確証は持てないが、一応、起こさないようにと気を使ったのだ

天乃「……どうしたの? えっちがしたくなった?」

友奈「いえ……その、そう言うわけじゃないんですけど」

先刻の話の延長線上であり、緊急性のある話ではないし、

天乃が言ったように体が疼いてしまったから解消したいという話でもない

言ってしまえば、明日になってからでも済む話と言えば、そうなのだ

しかし、今言わなければいうことが出来ないような気がして、

友奈はそっと、天乃の傍に近づく

友奈「話してくれて、ありがとうございました」

天乃「感謝するのは――」

友奈「違うんです。えっと……久遠先輩は、私達がああいうことにかかわるのはすごく嫌がると思ってたから……」

だから。と、友奈は小さく呟く

幼さと、精神的な成長ゆえの大人びた雰囲気の重なった表情は整っていて、綺麗で

思わず目をそむけたくなる友奈だったが、

しっかりと見定めてくる天乃の視線を前に、逃げるわけにはいかないと見返して

友奈「久遠先輩が相談してくれて嬉しかったんです」


468 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 15:59:32.0712JbVXjPo (7/25)


ましてや、友奈や夏凜達が無茶をしたばかりで

皆が今回の件の一部でも知らされているならともかく、

何も知らされていないということを確認したうえで、話してくれたのだ

断言はできないが、

以前なら、もう少し先になるか誰かに悟られるまで言わなかったかもしれない

だからこそ、友奈は嬉しそうに笑みを浮かべつつも

本当に喜ぶべきかを迷った複雑な表情を見せた

友奈「本当に頼って貰えたんだなって……その、失礼かもしれないですけど、思って」

天乃「……結構、頼り切りになっちゃってると思うんだけどね」

友奈「もちろん久遠先輩は頼ってくれてますけど、危ないことは頼ってくれないから……」

天乃「出来得る限り巻き込みたくはないのよ……私の体の件もそうだけど、貴女達平気で無茶するじゃない」

友奈「それはそうですけど」

天乃「だから怖いし巻き込みたくない。なんでもしてくれるから、諦めないで立ち向かおうとしてしまうから」

それはとても勇敢で、間違っていないことなのかもしれないけれど。と

天乃は話を続けて

天乃「引き際というものを貴女達は考えてない。結果が見えるまでやり尽くそうとする。その結果、失わなくて良いものまで失いそうだから嫌なのよ」

友奈「久遠先輩が助かるのが引き際……だと思います。それが一番大事で、頑張った意味になるんです」

救えなければ頑張った意味などない

救えないまま諦めて島あたら、これからの意味がなくなる。これまでの意味もなくなる

だからこそ、

友奈達にとって天乃の存命こそが最低ライン、引き際なのだ


1、二兎を追う者は一兎をも得ずということわざを知らないの? まずは自分たちを一番に考えなさい
2、そう……でもお願いだから自分のことも大切にしてね? 私は嫌よ?
3、でも、貴女達の誰かが欠けてしまったら、私を助けた意味はなくなるわよ?
4、それじゃ、私も貴女達の存命を最低条件として奮闘しようかしら
5、ふふっ……ほんと。貴女達は優しい子ね


↓2


469以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/03(日) 16:05:03.704+TV0Elc0 (1/3)

2


470以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/03(日) 16:06:17.69Nsl7rV50O (1/1)

1


471 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 16:41:02.4012JbVXjPo (8/25)


天乃「…………」

そういった考え方をしている天乃は友奈達のその気持ちが分からないわけではない

しかし、その考えを持っているからこそ、誤りだとも思ってしまう

どこまでも優しい勇者部だからこそ、深追いしてしまうから

天乃「二兎を追う者は一兎をも得ずということわざを知らないの? まずは自分たちを一番に考えなさい」

友奈「か、考えてますっ」

天乃「そうね。私がいないと幸せとは言えない。とか?」

友奈「う……」

天乃「私が一番最初に考えた言い訳よ。その人がいなくなった後のことを考えられない。そのあと幸せになれる気がしない。だから本心で言える事よね」

友奈が軽く頷くだけで答えたのを見て

少し酷いことをしてしまったかなと、天乃はちょっとだけ悔いて息をつく

今も自分はその考えを持っている

これだけ言っているのに、みんなを止めて、みんなに止められているのに

それでもなお、その考えを捨てきれずにいる

そんな自分が言うなど、酷いにもほどがあるだろう

天乃「でも、私は何度も死にかけたし、いつ死んでもおかしくないような存在なのよ。そこまで尽くすのは駄目だわ」

友奈「それは、おかしいです」

天乃「ううん。私の死は力を使うことによる疲弊と考えればある意味寿命のようなものだもの。老衰の邪魔はしちゃいけないわ」


472 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 17:02:47.2312JbVXjPo (9/25)


友奈「違う。違います……っ、そんなの全然違います」

力を使うことによる疲弊だから、老衰?

そんなことは絶対にないと友奈は否定する

難しい考えなんて苦手だ。あれやこれやと複雑な解決方法だってすぐには思い浮かばない

今回の相談事だってそうだ

自分だけだったらあんなにスムーズに考えていけなかったと友奈は思う

だが、だからこそ友奈は率直に言い返すこともできるのだ

友奈「そんなの全然寿命なんかじゃないです」

難しく考えられないからこそ単純な答え

難しく考えすぎて、絡まってしまう思考を解く素直な意見

友奈「普通なら力なんて使わなくて良いじゃないですか。普通だったらこんな、こんなことになんてなってないじゃないですか」

天乃「この世界にとっては、これが普通なのよ」

友奈「普通じゃない世界を基準にしないでくださいっ」

天乃「…………」

我慢しきれず、怒ったような表情

けれど、高ぶってしまったことに罪悪感を抱いているのだろう

申し訳なさと悲しさの入り混じった驚きはとても複雑に歪む

友奈「すみません……でも、普通じゃないと思います。普通だったら……きっと」


473 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 17:15:49.5012JbVXjPo (10/25)


きっと。そう言って、友奈は言葉を止める

その先は言いたくなかった。

考えに追いついてしまった友奈の口が次に紡ぐのは

今、自分たちはこうしていないはずだということ。

それはつまり、天乃達は入院などしていないし

当然、天乃に子供なんているはずがなくて

体の穢れが強くなって体調を崩すようなことも一切なくて、肉体関係が必要になることもなく、

友奈はもちろん、勇者部の面々と交際するようなこともきっとなくて、

もしかしたら、勇者部なんていう存在そのものが必要とされなかったかもしれなくて

友奈「普通に、中学生だったと思います」

天乃「…………」

友奈「でも、きっと久遠先輩は優しいからどこかで人助けをして、私達の誰かがそれを見て手伝って……最初は人が足りないからボランティア同好会みたいなのが出来たりするんです」

今の勇者部ような状態にはなることが出来ないかもしれないが、

それでもきっと、みんながそれぞれ引き込まれていくんだと友奈は笑みを浮かべる

友奈や樹は天乃のその姿に憧れて

夏凜は剣道部か何かで戦って、強さの究明をしようとか考えて

風や東郷は樹や友奈からの繋がりで興味を持って

園子はボランティア部なんていう一風変わった名前に興味を持ったりして

友奈「とにかく、きっとみんな集まってたと思います……関係は違うけど、きっと、みんな今くらいに仲良しになれてたと思います」

それが普通なのだと、友奈は呟く


474 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 17:27:42.3512JbVXjPo (11/25)


天乃「そんな世界だったら、よかったんだけどね」

残念ながら、そうではない

友奈が言う普通の世界

それは神樹様に頼り切っていたり、勇者という存在が必要のない世界のことだ

今ある世界とは全く別種のお話

ゆえに、やはり普通なのはこの世界だと天乃は揺るがない

それがどれだけ歪であろうと、

現実はその歪曲あってこそ普通の世界としているのだから

天乃「……でも、本当の意味で普通ではないってことまでは否定しないわ。別に、貴女が間違ったことを言っているとも思わない」

友奈「それなら」

天乃「だけど、やっぱり現実は現実なのよ。その普通の世界は夢物語」

これはきっと理想と現実の平行線

だからこれ以上続けてもどちらかに統一することはないだろう

そう考えて、天乃は友奈に目を向ける

天乃「友奈が私の寿命を寿命と思わないのは良いわ。でも、その為に貴女や夏凜達が命を削ろうというのなら、私は許さないわ」

消えてしかるべき命

それを延命させるためだけに本来生きられた者が潰えるのは許されないし許していいことではないと、

天乃は思うからだ


475 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 17:54:17.1412JbVXjPo (12/25)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(大赦からの通達、大赦の作戦)
・   犬吠埼風:交流有(大赦からの通達、大赦の作戦)
・   犬吠埼樹:交流有(大赦からの通達、大赦の作戦)
・   結城友奈:交流有(大赦からの通達、大赦の作戦、頼ったこと、無理をしないで)
・   東郷美森:交流有(大赦からの通達、大赦の作戦)
・   三好夏凜:交流有(大赦からの通達、大赦の作戦)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流有(大赦からの通達、大赦の作戦)
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


11月03日目 終了時点

乃木園子との絆  72(高い)
犬吠埼風との絆  98(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  87(とても高い)
結城友奈との絆  106(かなり高い)
東郷美森との絆  118(かなり高い)
三好夏凜との絆  136(最高値)
乃木若葉との絆  96(かなり高い)
土居球子との絆  42(中々良い)
白鳥歌野との絆  42(中々良い)
藤森水都との絆  35(中々良い)
  郡千景との絆  41(中々良い)
   沙織との絆  117(かなり高い)
   九尾との絆  63(高い)
    神樹との絆   9(低い)


476 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 17:59:17.3712JbVXjPo (13/25)


√ 11月04日目 朝(病院) ※水曜日

01~10 九尾
11~20 
21~30 千景
31~40 
41~50 若葉
51~60 
61~70 東郷
71~80 
81~90 夏凜
91~00 

↓1のコンマ 


477以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/03(日) 18:02:18.23YVqxaHZaO (1/3)




478 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 18:41:02.9012JbVXjPo (14/25)


※曜日ミス、木曜日です

√ 11月04日目 朝(病院) ※木曜日


千景「……大丈夫なの?」

天乃「うん? 何の話?」

どこからともなく姿を見せた千景の唐突な問いに天乃は驚く事もなく平然と答える

話が分かっているはずなのに白々しい対応

だが、そんな態度はいつものことで

千景は呆れた息を吐き捨てて横目に見つめる

千景「貴女、もう一つ大切なことを話していないでしょう?」

天乃「……話さなくて良いことよ」

千景「なら、精霊は存在させたままにするということでいいの?」

天乃「それはまだ答えを出せてないわ」

千景「土居さんの一件で簡単に答えを出せなくなったのは解るわ。けれど、だからといってデメリットを語らなくて良い理由にはならないはずよ」

天乃「語ることでデメリットしかないのよ? 昨日の話とはわけが違うの」

千景「だから黙って苦しもうと言うの?」

球子の気持ちをみんなに知らせれば、

当然、答えは球子達の魂を開放する方に動くことだろう

そうなった場合、天乃は戻ってくる力に苦しむことになるし

その結果死に至る可能性もなくはないのだ

千景「呆れた話だわ。結城さんが聞いたら本当に怒りそうね」


479 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 19:02:00.6212JbVXjPo (15/25)


千景「仮に魂を解放したとして、貴女が死ななかったとして……でも、苦しんだことに対して結城さんたちはどんな反応をするのかしら」

人生で換算すればまだ長い時間とも言い切れない機関ではあるが、

その濃密さを考えれば容易く想像できるはずだと千景は言う

自分たちが勧めた選択

その結果が天乃が苦しむことになったのだと知った時の友奈たちの反応

それはきっと、とても悲しいものだろうと千景でさえ思うのだ

天乃が分からないはずがない

天乃「言われなくてもそのくらい分かってるけど……」

千景「…………」

言っても言わなくても、結局デメリットしかないのだ

それが、友奈達に対してのデメリットなのか

球子達に対してのデメリットなのか。というだけ

良い意味での救いはない

天乃「私が死ぬかも。とか言えばみんなは反対するわよ? でも、言わなければみんな辛い思いをする」

しかし、天乃が苦しむ可能性を話せば皆は無理強いを避けて天乃に託し、

穢れによる影響を少しでも軽減する方法を模索するだろう

そして、今回天乃の穢れを軽減したのと同じ方法を試そうとすることだろう

天乃「その結果はどうなると思う?」

千景「……結城さんや東郷さんは体内での消化をし耐性がついたとはいえ、食い破られて脆くなった部分もある。五分五分といったところね」

天乃「夏凜は?」

千景「三好さんに関しては……どうかしら。元々持っている部分が再度刺激されたら大変なことになるとは思うわ」


480 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 19:29:36.6012JbVXjPo (16/25)


天乃「ね? 分るでしょう?」

千景「…………」

要するに、八方塞がり

デメリットのスパイラル

嘲笑するように笑いながら肩をすくめて見せた天乃は、

ふと息をついて首を振る

苦笑いを浮かべる表情は寂し気で

どうしようもなく慰めの言葉を投げかけたくなる

だが安易な慰めなど、気休めにすらなり得ない

天乃「昨日友奈にあんなこと言われちゃったから……こういうとあれだけど、余計にどうしようかなって考えちゃうわ」

相談して貰えてうれしい

そう言ってくれた友奈に対し、相談するだけで悩ませ、苦しませるようなことを言っても良いのかどうか

気軽に相談してねと言ってくれた友人に対して

貴女の恋人に恋をしました。というほどの―事の重大さは除いて―ものだと天乃は思う

天乃「千景も当事者の一人だから、こんな優柔不断でふわふわしたままの私に苛立つ気持ちもわかるんだけどね」

千景「苛立っているわけではないわ……ただ、いえ……確かに、冷静なつもりなだけかもしれないわ」


1、ごめんなさい。でも、ちゃんと決めるから
2、ちなみにあなたはどっちがいいと思うの? やっぱり、話した方がいい?
3、言っても言わなくても解放するなら苦しむ。解放しないなら球子達が苦しむ……嫌な話ね
4、貴女はどうなの? やっぱり、高嶋さんがいないのは寂しい?
5、やっぱり、いるべき場所に還してあげるべきよね……


↓2


481以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/03(日) 19:31:35.43YVqxaHZaO (2/3)

4


482以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/06/03(日) 19:35:12.094+TV0Elc0 (2/3)

4


483 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 19:50:37.4212JbVXjPo (17/25)


天乃「ねぇ、意地悪なことを聞いてもいいかしら?」

千景「好きにしなさい」

少し突き放すような言い方ではあるが、

本心では受け入れているのが分かる表情に天乃は小さく笑みを浮かべて飲み込む

茶化すことよりも、今は質問するのが先だ

聞いたところで答えが大きく変わるわけではない

しかし、当事者の一人としての答えは聞いておくべきなのだ

天乃「貴女はどうなの? 高嶋さんがいないのは寂しい?」

千景「…………」

一瞬、驚いた表情を見せて

次に躊躇い、考え込んで、息を吐く

天乃から目を逸らした千景は心なしか、自分の体を抱きしめるように腕を組んで

千景「本心を言えば、イエス。結城さんがいるとはいえ、やっぱり高嶋さんと結城さんは違うから」

むしろ、ほとんどの部分が似ていて

友奈の一挙一動に高嶋友奈の姿を感じてしまうのだから

傍にいないと空虚に感じる球子よりも、千景は思う部分が多かった

事あるごとに、高嶋友奈の影を見る

ほんの些細なことで、やはりいないのだと感じる

結城友奈の優しさに触れ、その空間になじむ自分を見つめるたびに、

どうしてあの時こうすることが出来なかったのかと悔いてしまう

千景「……結城さんと触れ合うたびに、勇者部の暖かさに触れるたびに精神が削られていく気分だわ」


484 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 20:20:35.9112JbVXjPo (18/25)


薄く笑みを浮かべる千景は悲しんでいる様子はなく、

むしろ日々感じるその辛さを受け入れているような瞳だった

千景「でも、それが私自身の戒めになるとも思っているわ」

天乃「千景……」

千景「あの時自分が愚かにも損なったのは、台無しにしてしまったのは、壊してしまったのは何なのかを知らしめるのよ」

天乃「なら、貴女にとってこの世界は……そういうことなの?」

千景「ある意味ではそうね……けど、同時に天国のようだとも思う。大罪を犯した私に償う機会を与えてくれた世界だもの」

天乃「貴女は強いのね」

千景「一度折れて短くなっただけで、強くはないわ」

自分に対する皮肉としてそう言った千景は笑みを浮かべて天乃を見つめる

この世界に残ることは辛い分、喜ばしいこともあって

この世界から解放されることは戒めから解かれるということであり

救われる部分があれば救われない部分も千景にはあるのだ

千景「だから、私に関しては貴女に委ねるという部分は何も変わらないわ。どちらでも私は救われる。毒にも薬にもならない回答で悪いわね」

天乃「ううん、そう言ってもらえただけ救いだわ」

語弊が生じることを覚悟で言えば、

どちらを選択したとしても、一人は必ず救われる人がいる

それは選択する天乃にとって、確かな救いだった


485 ◆QhFDI08WfRWv2018/06/03(日) 20:34:50.0212JbVXjPo (19/25)


千景「きっと」

天乃「?」

千景「きっと、結城さんたちにデメリットを離してもデメリットにはなりきらないと思うわ」

天乃「どうして?」

千景「結城さんたちはそれに対しての話し合いをすることができる。そして、仮に打つ手がないのだとしても……覚悟を決めることができる」

これはあくまで千景の意見だ

自分だったらどうなのかを考えただけで、

友奈達が本当にそれで留まるかどうか確証があるわけではない

しかし、デメリットに対する覚悟が出来る事

それについてタイムリミットまでしっかりと考え続けることができるというのは

やはり、メリットがあると言っても過言ではないと千景は言う

千景「だから私はやっぱり、言うべきだと思うわ」

天乃「…………」

千景「問題が積み重なっている現状、無理に今すぐ言えとは言わないけれど」

天乃「考えておくわ」

千景「悩ませてばかりで申し訳ないとは思っているわ。でも、一つ一つ丁寧に考えていくなんて悠長なことは多分、言っていられないでしょう?」

天乃の体の事、神樹様の寿命の事、この世界のこれからの事

並行して考えていかなければ時間が足りないかもしれないのだ

千景は罪悪感を感じながらも「頼むわね」と、もう一度囁いた