517 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/05(土) 19:25:18.88S2GRSQ1T0 (6/8)

ユウギリ(……ふふっ、本当にあなたは面白いことを言いますわね)

ユウギリ「まったく、面白くありませんわ。敵であるあなたに、そのようなことを言われるのは……」タッ

マークス「!」チャキッ

ユウギリ「勘違いしないでください……。あなた方と争うつもりはもうありませんわ。私は、私の信じるヒノカ様に尽くすだけ、私が支えたかったヒノカ様をお守りすることが戦う理由なのですから。そして、これが私の答えですわ」

 パッ カランカラカランッ……

マークス「そうか……」

ピエリ「うん、とっても素敵だと思うの!」

ユウギリ「武器を捨てて素敵だといわれるのは複雑ですね。そうでした、あなたとの手合わせはとても胸が躍りました。あなたが地獄に来たらもう一度手合わせ願いたいものですわ」

ピエリ「別にかまわないの! ピエリもあなたともう一度手合わせしたいのよ」

ユウギリ「うふふっ、そういうわけです。もう行ってください、私の気が変わらないうちに……」

マークス「ああ、そうさせてもらうおう。だがいいのか、この行為は――」

ユウギリ「いいのです。私が守りたいものは、弱弱しくてもまだ小さく残っているようですから。だから、私たちはまだこうして自由を得ていられるのです。だから約束してください」

マークス「なんだ?」

ユウギリ「ヒノカ様を……止めると」

マークス「ああ、約束しよう。お前の主君を必ず止めてみせよう……。その行為が無駄でないと示してみせよう」

ユウギリ「ええ……」


518 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/05(土) 19:30:26.76S2GRSQ1T0 (7/8)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇◇◇◇◇◇
―シラサギ城・玉座へと続く道―

オロチ「……はぁ、最後の最後で押し切られるような形になってしまったのう……」

オロチ(わらわの自責の念など知らんと言わんばかりに押し負けてしまった。カザハナは、真っ直ぐすぎてこういうことでは懐柔出来るように思えんのう)

オロチ「……絆か」

オロチ(ヒノカ様に呼ばれ、敵を倒してからすぐにヒノカ様の中から消えていったのはそれだったのかもしれん。まだかすかにつながりは感じられるが、それももう弱々しくなっておる)

オロチ「消え去ってほしくないのう……」

 ヒタッ ヒタッ

オロチ「む?」

ユウギリ「ここにいましたか」

オロチ「うぷぷ、誰かと思えば、ユウギリか。どうやら派手に負けたようじゃのう」

ユウギリ「ええ、あなたも見事な負けっぷりですね」

オロチ「そなたこそ、そんなに大きな穴をこさえておるではないか」

ユウギリ「そうですね、私も完敗でしたもので。隣、失礼いたしますわ」

オロチ「うむ、もうここからは動けぬし、動くつもりもない、ゆったりするといい」

ユウギリ「ふふっ、奇遇ですね。私もそのつもりでした」

オロチ「……うぷぷ」

ユウギリ「……ふふ」

オロチ「しかし、ヒノカ様の力になりたかったのに、これがその終わりとはのう」

ユウギリ「ええ、でも後悔はしていません。私たちが守るべきものを守るには、これしかありませんので、これ以降は従う事も出来ませんから」

オロチ「まぁ、従ったとしても、この体ではそう役には立たんからのう……。這いずり回りながら後を追いかけても格好がつかぬ」

ユウギリ「それに、この状況がヒノカ様にとって一番役に立っている事かもしれません。どうやら、ヒノカ様の心は一度、救われていたようですから」

オロチ「そうじゃな……。ヒノカ様がカムイ様の手を取った時、確かに見えたからのう」

オロチ(あれはたしかに、わらわが守りたかったヒノカ様の顔じゃ。わらわたちが命を賭けて守りたかったものは、確かに、ここにあったのじゃ……)

オロチ「今ならいい夢が見られる気がするのう、どうじゃユウギリ?」

ユウギリ「ええ、私もそう思ったところです」

オロチ「うぷぷ、戦場にいながら眠りこけるなど、前代未聞の珍事じゃのう」

オロチ(もう、わらわは戦うことはできない。それは体が動かないからでもなく、敵が強いからでもない。ただ、ただ守るべき主君との絆が確かにあるからじゃ。それがたとえ、もう小さくなっていたとしても……)

「わらわは絆を結んだヒノカ様を守りたいのじゃ……」





519 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/05(土) 19:32:41.25S2GRSQ1T0 (8/8)

今日はここまで

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。


520以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/01/11(金) 07:04:34.64g2JgcPbzO (1/1)


今年中に完結しそうで寂しいな


521 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/14(月) 21:12:16.78sBrnyF2e0 (1/10)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『玉座へと至る道』―

カミラ「……そう、そんなことがあったのね」

マークス「ああ、彼女らは武器を置いた。もう従うことは出来ないとな……」

ヒノカ『嘘だ……。そんなことがあるものか、オロチもユウギリも私とまた共にいることを望んでくれた……。さぁ、私の下に戻って来てくれ。私の声に応えてくれ。お前たちは倒れてもまた戻ってこれるはずだろう? なのになぜ、応えてくれないんだ……」

マークス「すでに理解しているはずだ」

ヒノカ『え?』

マークス「もう、お前の願いは失われつつある。この先、何千何万という敵を倒しても、その心が満ちることが無いとわかっているのだろう? そして、守るべき物さえ失いつつあるということもな……」

ヒノカ『っ、そんなことはない! 私はすべての敵を倒して、皆と共にいられることこそが――』

マークス「その皆とはなんだ?」

ヒノカ『?』

マークス「お前が命を賭け、守ろうとしたものは何処にある? そこにいる者たちは守りたい者のようには思えん。お前はわかっているのだ、もう、それらはただの駒であり、守りたかった者たちではなくなってしまったということを」

ヒノカ『何を根拠にそんな出まかせを口にする! 私は――』

マークス「……ならば、なぜその兵士たちは私の眼前にあるお前を守ろうとしない? なぜ、お前はその者たちを守るために陣を敷かない?」

ヒノカ『そ、それは……』

マークス「単純な答えだ。もう、それらに気を配る理由が無いとわかっているからだろう、ヒノカ王女……」



522 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/14(月) 21:18:56.10sBrnyF2e0 (2/10)

ヒノカ『そ、そんなことはない。私は……私は……』

マークス「失われることが無いのならば、それを守る必要などない。だが、同時にそこに尊さなどありはしない。ヒノカ王女が最も失うことを恐れた人との絆など、存在するわけがないのだ!」

ヒノカ『!!!!』

マークス「ヒノカ王女、今すぐ武器を置け。このままでは、すべてを失う事になるぞ!」

ヒノカ『うるさい、私は失った。もう失ってしまったんだ! だからこそ、私は望んだ。そして目の前にあるこれらは私が守るべきものだ! 守りたかったものだ! それは変わらない、ここにいるのは皆、私の手からこぼれ落ちてしまった者たちだ。それと共にあろうとする私の意思を、貴様に否定される筋合いはない!』

マークス「そうだな。たが未だ紡がれた絆を信じ、主君に背いて剣を置いた者たちの思いを私は見捨てるわけにはいかない。そして何よりも、ヒノカ王女を救うと決めたカムイの力になる以上、お前のその意思を砕く以外に道は無い!」

 タタタタタタッ

ヒノカ「!!!!」

エリーゼ「マークスおにいちゃん!」

マークス「うむ、全員準備はいいか?」

ピエリ「任せてなの!」

ギュンター「準備は整っております、マークス様」

カザハナ「うん! ここが正念場だから、気合入れていくよ!」

ニュクス「ええ、手早く済ませちゃいましょう。敵の事情は分からないけど、今なら一気に押し切れるはず」

マークス「よし、これより攻撃を開始する。進め!」

 ダダダダダダッ!



523 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/14(月) 21:26:23.15sBrnyF2e0 (3/10)

ヒノカ『っ! アサマとセツナは私と共に来い! 残りは奴らを止めろ!』バサバサッ

カミラ「ライナロック!」シュオンッ

 ドゴンッ!

ヒノカ『っ!』

セツナ「……」チャキッ

アサマ「……」シャンッ

カミラ「残念だけど、ここは通さないわ」

ヒノカ『貴様は何処まで私の邪魔をすれば気が済む』

カミラ「それは愚問ね。私はカムイのお姉さんなの、なら邪魔する理由も簡単に理解できるでしょう? カムイの本当のお姉さんならね?」

ヒノカ『貴様ぁ!』

セツナ「……」チャキッ パシュッ!

ブノワ「カミラ様!」ダッ

 キキィンッ

カミラ「ありがとう、ブノワ」

ブノワ「大丈夫だ。それよりも、カミラ様は呪いを受けているのだろう……。先頭に出るべきではないと思う……」

スズカゼ「はい、ブノワさんの言う通りです。ここは後方で援護に徹してください。あなたの身に万が一のことがあっては、カムイ様が悲しまれます」

カミラ「ありがとう。でも、こればっかりはきっちりと決着を付けないといけないの。カムイのお姉さんとして、そしてあの子の場所を結果的に奪ったのは私だから。あの子の底にある物の相手は、私がしないといけないのよ」

ヒノカ『……』


524 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/14(月) 21:36:59.22sBrnyF2e0 (4/10)

スズカゼ「……わかりました。では、ヒノカ様のお相手はカミラ王女にお任せいたします。セツナさんとアサマさんは私とブノワさんで何とかしましょう」

カミラ「ええ、お願い。あの二人、他のとは格が違うから、気を抜かないようにしなさい」

スズカゼ「もちろんです。状況は少なくとも私たちに味方をしてくれているようですから」

ブノワ「ああ、なぜかわからないがピタリと敵の増援が止んだ…。今しかないだろう…」

カミラ「そうね、これなら邪魔は入らないもの。そうでしょう、ヒノカ王女」

ヒノカ『ああ、いいだろう。お前だけは今すぐ殺してやる。殺すだけじゃ済まさない、バラバラにしてあの裏切り者の前に無残な姿をばら撒いてやる!』

カミラ「威勢がいいわね。戦う前から勝ったつもりかしら?」

ヒノカ『ああ、今の貴様が満足に戦えるとは思えない。そんな状態で私を倒そうなどと言ってくれるのだからな……』

カミラ「ええ、そうね。でも、大切な妹のために強くいられるなら、お姉さん冥利に尽きるという物でしょうし、少なくともその点であなたに負けるつもりはないわ」チャキンッ

カミラ(そう、だからあなたに負けるわけにはいかないの。あなたが望んでいた本当の居場所が、そんな無様な場所であっていいはずがないのだから)

カミラ「さぁ、来なさい。相手をしてあげるわ」

ヒノカ『その余裕が何時まで続くか見せてみろ! お前たちもいけっ!』

アサマ「……」ダッ!

セツナ「……」ダッ!

ブノワ「いくぞ!」

スズカゼ「はい!」


525 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/14(月) 21:38:54.67sBrnyF2e0 (5/10)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―シラサギ城『玉座・前』―

カムイ「はっ、せやっ!!!」ブンッ ザシュウウッ

謎の兵士「……」ドサリッ

アクア「やっ、はああっ!」ドスッ ズシャンッ!

謎の兵士「……」ドサリッ

 タッ
  タタッ

カムイ「はぁはぁ……。アクアさん、大丈夫ですか?」

アクア「ええ、大丈夫よ。それより、ヒノカを守る兵が多くなっているわ。それに、あなたの傷も……」

カムイ「これくらい、なんてことはありません。しかし、このままではどうにもならないのも確かですね」

カムイ(私たちでは向かってくる敵を倒すので手一杯です。悪いことが起きないことを祈りたいですが、それは無理な話でしょうね……)

アクア「! カムイ、悪い知らせよ」

カムイ「もしかして、敵の援軍ですか?」

アクア「ええ、後方から新手が来ているわ」チャキッ

 タタタタタタッ

謎の兵士たち『……』

カムイ「ヒノカさんを目の前にして、手をこまねいているわけにはいかないというのに」

カムイ(なにか手を考えないと……)


526 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/14(月) 21:44:23.06sBrnyF2e0 (6/10)

アクア「……」

アクア(カムイはもう大丈夫、だけどヒノカはわからない……)

ヒノカ「ぐうっ、ううっ……」

アクア(奴の力が高まっている。カムイの言葉がまだ理解できているということは、少なくともまだヒノカの意思はあるはずだけど、このままじゃそれは擦り消えてしまう。そうなってしまったら、もう……)

アクア「まずいわね……」

カムイ「ええ、防戦一方ではどうにもなりません。こちらからも打って出ましょう」

アクア「そうしたいところだけれど、四方を敵に囲まれているのよ。飛び出しても、すぐに包囲されかねないわ」

カムイ(それにもし突撃がうまくいって、この敵を掻い潜ってヒノカさんの下に辿り着いたとしても、激しく抵抗してくるでしょう。そこを敵に追いつかれたらそれまで、八方塞がりですか……)

アクア「……カムイ、敵の増援が更に来るわ!」

カムイ「仕方ありません。癪ですが、まずは後方から現れた敵増援を何とかしましょう」

カムイ(後方の増援を手早く片づけて、再度攻撃を仕掛けるしかありませんか……)

アクア「先の増援よりも動きが早いようね、まっすぐこっちに向かって来て……え?」

カムイ「どうしたんですか?」

アクア「こっちに向かってる。さっきの敵増援を吹き飛ばしながらだけどね」

カムイ「敵増援を吹き飛ばしながらって……! まさか、その増援というのは――」

アクア「ええ、私たちにとっての増援よ」



527 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/14(月) 21:45:38.92sBrnyF2e0 (7/10)

レオン「ブリュンヒルデ!」シュオンッ ドガンッ

サクラ「ごめんなさい、通してください!」チャキッ パシュッ!

ハロルド「さぁ道を開けたまえ! 正義の使者のお通りだ!」タタタッ

ドササッ!

サクラ「レオンさん、あそこに姉様たちが!」

レオン「わかった。敵の数はそれほど多くない。一気に蹴散らして合流するよ」

サクラ「はい、少しだけ距離を取りつつ援護します!」タッ チャキッ

 パシュンッ!

ハロルド「了解した! ふっ、後ろから敵が来ないと思ったのが君たちの運の尽きだ! これでも喰らいたまえ!」ブンッ ドゴンッ!

 ドササッ

謎の兵士「……」ダッ 

レオン「おっと、近接に持ち込むつもりはないからね。ファイア!」シュオンッ ボオオオッ!

 ドサリッ

レオン「よし、片付いた。姉さん、大丈夫かい!?」パカラパカラッ

ハロルド「後方は片付きましたのでご安心ください、カムイ様」タタタッ

サクラ「カムイ姉様、やっと追いつけました」タタタッ

カムイ「レオンさん、サクラさんにハロルドさんまで」

サクラ「あ、カムイ姉様怪我をして、すぐに治療しますね。それっ!」カラランッ

カムイ「サクラさん、ありがとうございます。そして来てくれてありがとうございました。正直、私とアクアさんだけではどうにもできないところでしたので……」

レオン「そう言ってもらえると、飛んできた甲斐があったよ。だけど、こっちにいる敵の数もそれほど多いっていうわけじゃないみたいだね」



528 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/14(月) 21:48:03.14sBrnyF2e0 (8/10)

カムイ「向こうには、それほど敵がいないのですか?」

レオン「ああ、敵の増援がピタリと止んでね」

レオン(てっきり、自身を守るために兵力を集中しているのかと思ったけど、違うのか?)

アクア「それの影響かもしれないけれど、奴の力はヒノカの中で高まりつつある。何かの前触れかもしれないわ」

カムイ「どちらにしても、その隙が今しかないのなら、それを突き崩すしかありません。ヒノカさんを助け出すために……」

ヒノカ「ううっ、なぜだ。なぜ、お前たちは、そんなに、私を……。うううっ……」

サクラ「ヒノカ姉様!」

ヒノカ「ぐっ、うああっ。ううっ……」

カムイ「もう時間はあまり残されていません。レオンさん、サクラさん、ハロルドさんは周囲の敵の相手をお願いします。その隙を突いて、私とアクアさんはヒノカさんに接近します」

レオン「わかった。敵を絶対に姉さんに近づけさせたりしないから、二人はヒノカ王女にだけ専念して。僕たちは先に仕掛けさせてもうよ!」パカラパカラッ!

カムイ「ええ、お願いします」

ハロルド「うむ、ここが最後の踏ん張りどころ。力の出し惜しみをするつもりはない!いくぞっ!」

サクラ「カムイ姉様、ヒノカ姉様をお願いします」タタタタタッ

カムイ「任せてください」

カムイ(ヒノカさん、きっと助け出してみせます! だから、もう少しだけ待っていてください)



529 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/14(月) 21:57:41.60sBrnyF2e0 (9/10)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇◇◇◇◇◇
―シラサギ城・王の間『玉座前』―

ヒノカ「ううっ、ぐっ、うううっ……」

 ピチャン……
  ピチャンッ……

ヒノカ(どうして、お前はそんなにも私を救おうと必死になれる? 私の中にある留まることを知らないこの憎しみや恨みは、お前が向けてくれる思いとは釣り合わないほどに醜悪だというのに……)

ヒノカ(もう、この憎しみが何なのかさえ分からない。私の意思と関係ないものだとわかってしまうほどの邪悪、それが私の中から溢れ続けている)

 ピチャンッ……

ヒノカ(………もう、私にはこれが抑えられないんだろう。あの時、奴に言われるがままに望んでしまった時のように…、もう私には抑えることが出来ない。私の中は、この憎しみだけになりつつあるのか……)

ヒノカ(ここにあった心の底で望んでいた抑えられない大切だったものは何処に行ってしまったんだろう……)

ヒノカ(セツナもアサマもユウギリもオロチも……もうどこにもいないのに、私は何のためにこの奇跡を願ったんだろう……)

ヒノカ(………)

ヒノカ(……)

 ピチャンッ……

ヒノカ(もう、わからない……)

ヒノカ(大切だったものへの渇望が消えて、今あるのは沸々と湧き上がり続ける憎しみだけ……。個人的な誰かに向けたいわけでもない、ただひたすらに憎いと心が叫んでいる。思考は墨を掛けられたみたいに……黒くて、何もわからない……)

ヒノカ(もう理由なんていらない……。探す必要もない……)

ヒノカ(ただ、すべてが憎い……)

 ピチャン……
  ピチャンッ……

ヒノカ(すべてを壊してしまいたいほどに……憎い……)

ヒノカ(……生きているということが…こんなにも憎いと思ってしまう……)

 ピチャンッ……

ヒノカ(あれほど、生きていてほしかったと願った生が……)

(どうして、こんなにも憎くてたまらなくなってしまうんだ……)


530 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/14(月) 22:02:51.19sBrnyF2e0 (10/10)

今日はここまで


531 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 16:15:13.62s6JCfj7M0 (1/15)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城・王の間『玉座へと至る道』―

ヒノカ『当たれえ!』チャキッ パシュッ

 サッ

カミラ「どうしたのかしら? そんな攻撃じゃ私は倒せないわよ?」

ヒノカ『この、舐めるな!』

カミラ「そこよ、ムーンライト!」ヒュオオンッ!

 ザンッ!

ヒノカ『ぐっ……!!!』

カミラ「はああああっ!!!」バサバサッ ブンッ

ヒノカ『上がれ!!!』バサバサッ!

カミラ「上に逃げることは織り込み済みよ。先手を取らせてもらうわ」ペラッ

 シュオンッ

カミラ「ムーンライト!」ヒュオンッ ヒュオオンッ!

ヒノカ『そう来るだろうと思っていた、暗夜の女狐!』チャキッ ググッ

 シュパッ!
 ザシュンッ!

カミラ「くっ……」ポタタッ

 ザシュシュンッ!

ヒノカ『ぐ、攻撃は貰ったがこの程度の攻撃、どうということはない。それより貴様の傷は思いのほか深いようだな、女狐……』


532 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 16:20:06.98s6JCfj7M0 (2/15)

カミラ「……っ」ポタタタッ

カミラ(こっちの攻撃を受け止めるとは思っていなかったわ。だけど攻撃を避けなかった分、向こうにもそんなに余裕はないはず……。私にとっては悪くない状況よ)

ヒノカ『ふふっ。動かなければ眉間を狙って楽に死なせてやろう。生きたままバラバラにされるよりはマシだろう?』

カミラ「面白い冗談ね。今からひれ伏すことになるのはあなただっていうのに」

ヒノカ『そうか……。これでも寛大な提案だと思ったのだが、受け入れられなくて残念だ。それじゃ、望み通りに生きたままバラバラにしてやる!』チャキッ パシュンッ!

カミラ「!」サッ

 バサバサッ

ヒノカ『はっ、いつまで逃げていられるか見物だな!』チャキッ パシュッ!

 ヒュンッ! カキィンッ キィンッ!

カミラ(中央に陣取って狙撃を続けるつもりみたいね。追いかけてこない以上、こちらから勝負に出ないといけないなんて…)

カミラ「まぁ、元々危ない橋だもの覚悟はできているわ」

カミラ(橋の板が折れるよりも先に、渡り切ってみせればいいだけの事よ!)バササッ



533 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 16:24:09.04s6JCfj7M0 (3/15)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

セツナ「……」チャキッ グググッ

 ヒュンッ! ガッ!

セツナ「!」

スズカゼ「主君をお守りしたいというその意思はわかりますが、そうさせるわけには参りません」

セツナ「……」サッ

アサマ「……」チャキッ ダッ!

ブノワ「はああああっ!!!」ダッ 

 ガキィンッ

ブノワ「こいつは俺に任せろ…。スズカゼは弓兵の方を頼む…」

スズカゼ「はい、アサマさんをお願いします」タッ

アサマ「……」チャキッ

ブノワ「うおおおっ!」チャキッ ブンッ!

 ガキィンッ カランカランッ……

アサマ「!」タッ

ブノワ「その変な呪術を使わせたりはしない…。戦うことは怖いが仲間が死ぬのはもっと怖いことだ…。そうならないためにも、俺はお前を倒す…」

アサマ「……」チャキッ ダッ!



534 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 16:27:47.07s6JCfj7M0 (4/15)

セツナ「……」サッ ササッ

スズカゼ「はっ、せやっ!」バシュンッ!

 ザシュシュッ

セツナ「……」チャキッ パシュンッ!

 ガキィンッ

スズカゼ「っ、こちらの絡繰を狙っているようですね。いやはや、その腕の良さには本当に感服いたします。出来ることなら、それを生きているあなたに見せていただきたかったものです」

セツナ「……」チャッ スッ

スズカゼ(セツナさんの腕は確かなものです、このまま距離を置いて闘い続けるのは難しいでしょう。ならば、一気に畳みかけて勝負を決する以外に道はありません)

 シュオンッ

スズカゼ『……』カランコロンッ

スズカゼ「一気に行かせていただきますよ、セツナさん」

セツナ「……」

 パシュッ!

スズカゼ『……』チャキッ バシュンッ

 カキィンッ!

スズカゼ「はああっ!!!」ダッ

セツナ「……」パシュンッ!

 ザシュンッ!

スズカゼ「ぐっ……」



535 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 16:31:40.07s6JCfj7M0 (5/15)

 ポタタッ
  ポタタタタタッ

スズカゼ「ぐっ、はぁはぁ……」

スズカゼ(なんとか急所は外せましたが、思った以上に深く刺さってしまいましたか。ですが、これで私の写し身を送り込むのには成功です。これで準備は整いました)

 ガタンッ

スズカゼ『……』チャキッ

セツナ「……」サッ

スズカゼ「捉えましたよ、セツナさん」チャキッ

セツナ「!」チャキッ キリリッ

スズカゼ「ここまでです!」グッ

セツナ「……」パシュンッ

スズカゼ「はあっ!」バシュンッ

 ドスリッ!

スズカゼ「……」ポタタッ……

セツナ「……」

 カランカランッ……

 ブシャアアッ……
   ドサリッ……

セツナ「」

スズカゼ「はぁ……はぁ……。私の勝ちですね、セツナさん」



536 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 16:37:28.13s6JCfj7M0 (6/15)

アサマ「……」チャッ ブンッ ブブンッ!

 キィン ガキィンッ!

アサマ「……」タッ チャキッ

ブノワ「そこだ! うおおっ!」グッ ダッ!

 ドゴンッ!

アサマ「!!!」タタッ ポタタッ

ブノワ「はぁはぁ、ぐっ……」

 グラグラ……

ブノワ(強力な攻撃ばかりで、盾の持ち手が壊れかけている…。次が最後のチャンスになりそうだ…)

ブノワ「……」ガサゴソガサゴソ

 ギュッ

ブノワ(……よし、これで大丈夫だ。こんな時にお守りを握りしめてしまうのはどうかと思うが……)

 ザンッ

ブノワ「これで覚悟は決まった……」ガシャンッ!




537 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 16:39:39.39s6JCfj7M0 (7/15)

アサマ「……」ジリッ チャキンッ

ブノワ「……」

アサマ「……」タタタタタッ

ブノワ「……」ググッ

アサマ「……!」ダッ チャキッ ググッ

 ブンッ!

ブノワ「……そこだ!」グッ ブンッ

 ガキィンッ シュパンッ!

アサマ「!!!」

 ヒュンヒュンヒュンッ ガキィンッ!
 バキッ ドスンッ

ブノワ(盾の持ち手が壊れたか…。だが、この距離でなら!)

 ガシャンッ!ガシャンッ ズザザーッ

アサマ「!」グッ

ブノワ「でりゃあああああああっ」ブンッ

 ザシュンッ!‼‼‼ 
  ドゴンッ ズササーーッ

アサマ「」

ブノワ「……勝てたか…。ふぅ……」


538 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 16:42:52.42s6JCfj7M0 (8/15)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カミラ「さぁ、そろそろいくわよ。準備はいい?」

 グオオオンッ

カミラ「いい返事ね。スサノオ長城の時より、激しい動きになるから覚悟しておきなさい!」バササッ!

ヒノカ『は、観念して真っ向からくるか。望み通り叩き落としてやる』チャキッ

カミラ「それっ!」パシンッ

 グオオォォンッ
  バサササッ

ヒノカ『急上昇? ふん、そんな動きで逃げ切れると思っているのなら大間違いだ。喰らえ!』パシュンッ

カミラ「そこよ!」

 グオンッ バサバサッ

ヒノカ『な、その状況から方角を変えるだと!?』

カミラ「残念だけど、この子はそこら辺にいる子たちとはわけが違うのよ、っ……」

カミラ(はぁ、思った通り無理な方向転換で傷口が悪化してる。でも、あとちょっとで手が届く距離。そこが最後の勝負よ!)バサバサッ

ヒノカ『くっ、ちょこまかと! 目障りなんだ、貴様は!』パシュンッ

 ヒュン ヒュンッ!

ヒノカ『なぜだ、なぜだ! なんでお前に私は勝てない!? お前は得てばかりで何も辛い思いなどしていない、私の苦しみや恨みはどうして、お前に届かない!!!!』パシュッ!

 ヒュンッ……

ヒノカ『どうしてなんだ!!!』


539 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 17:00:39.13s6JCfj7M0 (9/15)

カミラ(それはね、ヒノカ王女。どんなにその苦しみが辛かったとしても、それを受け入れて染まってしまったら、それがすべてになってしまうからよ)

カミラ(お父様がカムイから光を奪った本人であったことも、そしてそのお父様がすでにこの世にいないことも、私にとってそれらはとても辛いことだった。だけど、それをカムイは受け入れて前に進むことを決めたわ。その姿が私をここまで歩ませてくれたと言ってもいいでしょうね)

カミラ「あなたの言う通り、私は恵まれているわ。だから今のあなたに負けるわけにはいかないのよ」

カミラ(あとわずかでヒノカ王女の頭上を通過する、それであなたの戦いは終わりよ、ヒノカ王女)

ヒノカ『頭上をちょこまかと、だがもう動きは捉えたぞ、女狐!!!!』チャキッ

カミラ「……」

ヒノカ『これで終わりだ!!!』パシュンッ!

 ヒュンッ!

カミラ「……はっ!」バッ

ヒノカ『え!?』

カミラ(矢は的確ね、だけど――)ブンッ

カキィンッ!

ヒノカ『なに!?』

カミラ「さぁ、痛いから覚悟しておきなさい」



540 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 17:03:35.03s6JCfj7M0 (10/15)

ヒノカ『っ! と、飛べ! 早――』

 グオオオオッ!!!

ヒノカ『頭上に奴の竜が――』

カミラ「ただ飛び降りただけじゃないわ。あなたを逃がさないためにはこれくらいのことはしないとね?」チャキンッ

ヒノカ『!』

カミラ「さぁ、終わりにしてあげるわ」ググッ

ヒノカ『くそっ、女狐があああ!!!!』チャッ

カミラ「ひれ伏しなさい! はあああっ!」ブンッ

 ドゴンッ!

ヒノカ『がっ……』ドスンッ

カミラ「はぁ……はぁ……」

ヒノカ『ぐっ、うそだ……。こんな、こんなこと、私は……私は……』ググッ

カミラ「……その武器を取らせるわけにはいかないわ」ガシッ

ヒノカ『あ……ああ……』

カミラ「ヒノカ王女、あなたの負けよ」


541 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 17:06:22.10s6JCfj7M0 (11/15)

ヒノカ『嫌だ……、嫌だ……。こんなこと、私は認めないぞ。アサマ、セツナ、早くこの女狐を殺せ、早くしろ。今なら――』

スズカゼ「アサマさんもセツナさんも、もうあなたの元には戻りませんよ」

ヒノカ『え?』

ブノワ「ああ、スズカゼの言う通りだ。あの二人は、俺たちが倒した…」

スズカゼ「そして、マークス王子の部隊がここ周辺の敵の掃討を終えつつあります、もうあなたに戦力は残っていないということです、ヒノカ様」

ヒノカ『な、んだと……』

カミラ「二人とも無事だったのね」

スズカゼ「はい、どうにか。敵の掃討は済みつつあります、あとはヒノカ様の本体だけでしょう」

ヒノカ『馬鹿な、彼らは戻ってきてくれるはずだ。戻ってきてくれるはずなんだ……。私が呼べば、ちゃんと戻ってきて……。早く、私の下に、お願いだ……私を、私を一人にしないでくれ……』

カミラ「ヒノカ王女……」

ヒノカ『誰か、誰か……』

ヒノカ『なんで、なんでなんだ……』

カミラ「もう、居ないのよ、あなたの臣下は――」

ヒノカ『なんで……なんでわからないんだ……。私と一緒に戦ってくれたのは一体誰だったんだ?』

カミラ「え?」



542 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 17:07:28.00s6JCfj7M0 (12/15)

ヒノカ『誰を呼べばいいんだ。私は、私はなにを望んだんだ。何もわからない……、私は、私は何を望んだんだ?』

ヒノカ『わからない、わからない……。なんで何も思い浮かばないんだ、私は守ろうとしていたはずなのに、なんでそれが分からなくなっているんだ』

 ガクガクッ

ヒノカ『いやだ、いやだ!!!!』

カミラ「ヒノカ王女!?」ダッ

ヒノカ『私は、私は望んだんだ。望んだから私は存在しているんだ! なのに、なぜ思い出せないんだ。私が守りたかったものがどうして、どうして……』

ヒノカ『やめろ、やめてくれ! 私は、私はそんなことそんなこと望んでいない。私は守りたかったものと一緒にいられるだけでよかった。邪魔する敵を殺せるだけで良かった。なのに、なんで、なんでこんなに……』

ヒノカ『殺したいという思いだけが渦巻いてしまうんだ……』





543 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 17:11:44.81s6JCfj7M0 (13/15)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
―白夜王国・王都『中央広場』―

 キィン! カキィンッ!

謎の白夜兵「……」チャキッ

白夜兵A「くっ、これもユキムラの差し金だというのか!?」

白夜兵B「そんなことを今は考えなくてもいい! 今は彼らを守ることだけを考えるんだ!」

白夜兵A「!」

市民「大丈夫、お侍さんたちがきっと、きっと守ってくれるわ、だから安心して。きっと、大丈夫だから」

子供たち「う、うん……」

白夜兵B「彼らを守れるのは今いる我々だけだ。それにこの殺気、とてもではないが話が通じる相手ではない」

白夜兵A「は、はい!」

白夜兵D「くそっ、なぜ同胞相手にこうも簡単に剣を向けられる!? 貴様らには白夜の侍としての誇りはないというのか!」

 ダッ ダッ

謎の白夜兵たち「……」チャキッ

白夜兵A「何も答えないか……」

白夜兵B「ああ、だがそれほど強い連中ではないようだからな。ユキムラの恩恵にあずかり悠々と過ごして来た身で、我々をどうにかできるとは思わないことだ」

白夜兵C「ああ、それじゃ行かせてもらうぜ! うおおおおっ!!!!」ダッ

 ブンッ ザシュンッ

謎の白夜兵「……」ドサッ

白夜兵C「へっ、こんな相手いくら来ようが何の問題もねえ。このまま一人残らず、倒して――」

 ピチャン……


544 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 17:15:20.70s6JCfj7M0 (14/15)

白夜兵A「な、なんだ、この音? 水面に何かが落ちたような……」

白夜兵C「さぁな、わからねえけど。特に気にする必要は――」

 ピチャンッ
  シュオオンッ

 ドスリッ

白夜兵C「……あ?」

 ポタタッ ポタタタッ

謎の白夜兵「……」

白夜兵C「……てめえ、いつからそこに――」

 ズシャンッ ブシャアアアッ!‼‼
  ドサリッ

白夜兵B「!!!!」

白夜兵A「貴様!!! っ!」ダッ シュキンッ

 ザシュンッ ドササッ

白夜兵A「ど、どうなってるんだ。真横に敵なんていなかったはずなのに!」

白夜兵B「わからん、わからないが、この術、白夜が使える術ではないのは確かだ。いったい何が起こって……」

 ドドドドドッ

白夜兵D「しょ、正面から軍勢が来ます!」

白夜兵B「くそっ、規模はどれほどのものだ?」

白夜兵D「はい、ざっと見ても二十以上……え?」

 ザッ

謎の白夜兵たち『……』チャキッ

謎の暗夜兵たち『……』チャキンッ

白夜兵B「な、何が起こっている!? 暗夜と白夜の兵がなぜ、徒党を組んでいる……」

白夜兵A「何だよ、これ……。なんで暗夜の連中はユキムラ達を倒しに向かったんじゃないのか? まさかこいつらとユキムラは裏で繋がっていたっていうのか!?」

謎の暗夜兵たち『……』ダッ

白夜兵D「て、敵が来ます!」

白夜兵B「民を中心に囲むように陣を取れ! 手を出させるな!」

白夜兵一同『はい!!!!』タタタタッ

白夜兵B(くっ、リョウマ様に民を託されたというのに――)

(何一つ、守り切ることはできないというのか……)




545 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/23(水) 17:19:08.09s6JCfj7M0 (15/15)

今日はここまで

 ハイドラの悪意の象徴は、死体を操って作り上げた白夜と暗夜の混成部隊だと思っている。


546 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/31(木) 22:24:35.30F32KPjsE0 (1/10)

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城・王の間『玉座前』―

謎の兵士「……」タタタタッ

レオン「行くよ、サクラ王女!」

サクラ「はい! ハロルドさん、すみませんが先頭をお願いできますか?」

ハロルド「ああ、任せてくれたまえ! さぁ、悪党ども私が相手だ!」

 ドゴンッ!

レオン「よし、道が開けた。姉さんたちはこの隙に進むんだ!」

カムイ「ありがとうございます! アクアさん、私の後に付いて――」

アクア「いいえ、あなたが私の後に続きなさい」チャキッ

謎の兵士「……」タタタッ

アクア「悪いけど、今は手加減をしている暇はないの。さっさと退きなさい!」ダッ

 ググッ

アクア「はああああっ!」ブンッ

 ドゴンッ ドササッ!

カムイ「凄いですね、アクアさん」

アクア「こんなの何でもないわ。ヒノカはすぐそこよ、急ぎましょう」

カムイ「はい!」

 タタタタッ 


547 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/31(木) 22:31:27.05F32KPjsE0 (2/10)

ヒノカ「……」

 タタタタタッ

カムイ「……ヒノカさん」

ヒノカ「……カムイか……」

カムイ「もう終わりにしましょう、これはあなたが守りたかったものではないのですから」

ヒノカ「ああ、そうだな。こんなものを守る必要もないとようやく気づいたよ……」

カムイ「そうです、あなたが守るべきものは――」

ヒノカ「そうだな、もうそんなものは無いのだから、守る必要もなかったんだ」

カムイ「……え?」

ヒノカ「そうだろう、だって今の私は守りたいのではなく、ただ純粋に生きている者を殺したいと願っているのだから」スチャッ

カムイ「な、何を言っているんですかヒノカさん。あなたには守りたかったものが――」

ヒノカ「あったのだろう。でも、もう何も思い浮かばないんだ。今は人を殺すこと以外に、思い浮かぶことなど何もない。生への妬みや恨みしかない私に、一体どんな守りたい物があったというんだ?」

アクア「ヒノカ、目を覚まして。それはあなたの感情じゃない。その願い、感情はあいつがあなたの心に入り込ませた偽りの感情に過ぎないわ。あなたの本当の願いを忘れては駄目よ!」

ヒノカ「……私の本当の願い、それを思い出して何か意味があるのか? 思い出せたのなら、この湧き上がり続けるこの欲望が収まるのか? そんなことあるわけない、収まる答えは一つだけ、この世に存在する人間を一人残らず殺すこと、それが一番簡単で分かりやすい答えだ……」



548 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/31(木) 22:42:59.48F32KPjsE0 (3/10)

カムイ「ヒノカさん……」

ヒノカ「お前たちを殺し、その後に白夜の民も暗夜の民も同じように殺していけばいい。赤子だろうが老人だろうが関係ない。一人残らず殺してしまえば、私のこの湧き上がり続ける思いも消えるはずだ。人間など死んでしまえばいい、そうすれば自ずと平穏な世界になるそう思った」

アクア「!!!!」

ヒノカ「そうと決まれば括る必要もない。人を殺めだけなら武器を選ぶ必要が無いように、従ってくれるのなら駒を選ぶ必要もなかったのだからな……」

 ドクンッ!
  ドクンッ!

アクア「っ!!!」

カムイ「アクアさん!? 大丈夫ですか」

アクア「っ、ヒノカに集中していた力が広がっている。前とは比べ物にならないほどの力よ」

 ピチャン……
  ピチャンッ…… シュオンッ

カムイ「くっ、また現れたみたいですね。アクアさん気を付けてください」

アクア「ええ、わかってる。だけど、この人たちは……」

カムイ「どうしたんですか?」

アクア「彼らは白夜兵じゃないわ。おそらく戦死した暗夜の兵士たちよ」

カムイ「え?」

謎の暗夜兵「……」チャキッ

ヒノカ「白夜も暗夜も関係ない。生きているものを殺せればそれでいいのだからな……」



549 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/31(木) 22:46:44.46F32KPjsE0 (4/10)

カムイ「白夜の方たちだけではなく、暗夜の方たちまで……」

ヒノカ「ふふ、先ほど命を奪っておけばこうならなかったというのに、な。本当にお前は甘い存在だ」

カムイ「……」

ヒノカ「お前の甘さで私はこうして願いを叶えられる。お前の戦ってきた意味もすべて水泡に帰した」

カムイ「それはまだわかりませんよ」

アクア「カムイ」

カムイ「まだ、私は諦めていません。あなたがどのような御託を並べたとしても、最後の希望が残されている以上、折れるわけにはいかないんです」

ヒノカ「ははっ、あははははははっ。その最後の希望に手が届くと思っているのか?」

カムイ「ええ、届くと思っています。だからこそ、私はここにいるのですから!」ダッ

ヒノカ「……そうか、ならここがその終わりだ。死ね、カムイ」スッ

謎の暗夜兵「……」ダッ

カムイ「アクアさん、援護をお願いします!」

カムイ(諦めるなんて言葉はもういりません。元から悪い賭けをしているのです。そんな中で事態が好転する事なんてそう簡単にあり得ません。だからこそ、その希望がある限り、私は戦い続ける!)

カムイ「はああああああっ!」



550 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/31(木) 22:48:29.33F32KPjsE0 (5/10)

謎の暗夜兵「……」チャキッ ブンッ
 
 カキィンッ!

カムイ「邪魔をしないでください! せやあああっ!」ブンッ

 ザシュンッ!
ドサリッ

カムイ(ヒノカさんの前方に気配はない。今なら!!!)

ヒノカ「!」

カムイ「捉えましたよ、ヒノカさん!」チャキッ

 ブンッ
  ドゴンッ!

ヒノカ「がっ……ぐっ」ズザザーッ

カムイ「っ、浅かったみたいですね。ならもう一度――!」

謎の暗夜兵「……」ブンッ

 サッ

カムイ「っ、そうはいきませんか……」

ヒノカ「ふふっ、懐に入ってきておきながら刃は使わないか。どこまでも甘いな……。今の攻撃で殺せていればと、いずれ後悔することになるというのに」

カムイ「後悔などしません。私の目的はあなたを救う事であって、命を奪う事ではありません。何度も言ったはずです」

ヒノカ「そうか、なら白夜の民の命は救わないということか。私をお前が捉えるまでに、何十人何百人が殺されるのだろうな?」

アクア「やっぱり、この力の広がりは……」

ヒノカ「そうだ、すでに王都に手は回っている。もう被害は広がっているだろう。次々に人が死んでいくのを知りながらも、その願いに固執するお前の姿はとても滑稽だぞ、カムイ」

カムイ「……」



551 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/31(木) 22:52:59.54F32KPjsE0 (6/10)

アクア(そんなことさせないわ。私の力を使って少しでも、力の広がりを――)

 スッ

アクア「……カムイ?」

カムイ「大丈夫ですアクアさん。それにあなたに力を使わせるわけにはいきません」

アクア「カムイ……。だけど今の状況で白夜の人々を救うためには……」

カムイ「いいえ、まだ私たちには信じられるものがあります」

アクア「え?」

ヒノカ「ふふっ、何もしないのか? なら白夜の人間を殺しつくした後に、お前と共に歩んで来た者たちもすべて皆殺しにしてやろう。この状況では誰が敵なのかもわからなくなっているだろう」

カムイ「いいえ、そんなことはありません。私たちにとっての敵、それはその偽りの心を作り上げた存在に他なりません。そして、私たちはその闇を払うために私たちはここに来ました」

ヒノカ「そうか。だが、結局お前は私を救うという選択をして、残りを闇に沈めているだろう?」

カムイ「そうですね。私はあなたを救うという選択を選びました。だからこうして、あなたの前に立ち続けている。ですが、残った白夜の人々も同じように救いたいのも確かです」

ヒノカ「そうか、ならわかるだろう。さっき止めを刺せたときに止めを刺さなかったことがどれほどの痛手か……。私の駒はどんどん人を殺していく、ここにいるお前が止めるまでどれだけの数が死ぬのだろうな? お前が守ると決めたのなら、救われた者たちもいたはずなのに……。お前の手は、結局何も救えないままに終わる」

カムイ「……私の手で救えるものがあるとするなら、今はあなただけです。それは間違いありません。私は多くの白夜の民を直接救うことを放棄した。でも、ヒノカさんは知らないだけです」

ヒノカ「なに?」

カムイ「この戦争を終わらせるために戦うことを選び、白夜を救うために戦うことを選んでくれた人は私の他にもいるということをです」



552 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/31(木) 22:54:25.51F32KPjsE0 (7/10)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇◇◇◇◇◇
―白夜王国・王都『中央広場』―

 ザシュンッ キィンカキィンッ!

白夜兵A「くそ、倒しても倒してもキリがない!」

白夜兵B「諦めるな! ここで我々が折れたら、ここにいる者たちを誰が守れる!?」

白夜兵D「敵、西から接近、弓兵隊は側面から迫る奴らの相手をしろ!」

白夜弓兵隊『はい!』タタタタッ

白夜兵B(このままではじり貧だ。幾ら相手の腕が劣るとしても、この物量の前では後どれほど耐えきれるか……)

謎の暗夜兵「……」タタタタッ

白夜兵D「このぉ。でりゃああああ!」チャキッ ブンッ

 ザシュリッ! ドササッ

白夜兵D「はぁはぁ……。どうすればいい、こんな無秩序にやって来る者たち、どう相手にすればいいんだ!」

白夜市民「このまま嬲り殺されるくらいなら、いっそのこと自決したほうがマシだ!」チャキンッ

白夜兵B「お前何をする気だ。止めろ、その男を止めるんだ! 早くしろ!」

白夜兵E「は、はい! 落ち着いてください!」

白夜市民「放せ、放せ。もう、こんなの抑えられるわけがない! あんたたちが頑張ってるのはわかるけどよ、こんなの無理に決まってる! こんな奴らに捕まって酷い目に合うくらいなら、今死んだほうがましだ!」

白夜兵B(くっ、敵の猛攻でもう民も限界だ。このままでは……)


553 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/31(木) 22:57:18.25F32KPjsE0 (8/10)

白夜兵A「隊長、み、南の方角、空に影在り! あ、暗夜の竜騎兵部隊です!」

白夜兵B「なに!?」

白夜兵A「真っ直ぐこちらに向かって来ます!」

白夜兵B「くそ、弓兵隊で対処を――」

白夜兵D「だ、駄目だ。こっちの手を割いてしまったら、すぐに押し込まれかねない!」

白夜兵B「くそっ」タタタタタッ

 バサバサバサッ!

白夜兵B(な、何て数だ。こんなもの、今襲い掛かってきている者たちの比ではない。我々を嘲笑っているかのようではないか……)

白夜市民「く、来る。もう、もうおしまいだ……」ヘタリッ

白夜市民「ううっ、ごめんね。ごめんね」

子供たち「うええんっ」

白夜兵B(……なんと情けないことだ。このような時に私は、何一つ守れる術を持てないというのか)

白夜兵B「……来るなら来い! 私が相手をしてやる!」

白夜兵A「隊長、何をして――」

白夜兵B「お前は持ち場を維持しろ。弓兵が来るまで私が維持してみせる」

白夜の子供「お、お侍さん……」

白夜兵B「大丈夫だ、何も恐れることは無い。守り切ってみせるからな」

白夜の子供「う、うん……がんばって」

白夜兵B「……ああ」

白夜兵B(何体だろうとさっさとかかってくるといい。この命が尽きるまで、多くを倒してみせる)

白夜兵B「さぁ、来い!」

謎の竜騎兵「……」スッ

 バサバサッ!

白夜兵B「うおおおおおおっ!」チャキッ ブンッ!

 スカッ

白夜兵B(く、最後に空振りか。くそっ、こんな形で終わることになるとは……)

白夜兵「申し訳ありません、リョウマ様……」


554 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/31(木) 23:01:40.53F32KPjsE0 (9/10)

謎の竜騎兵「奴らが敵だ。仕掛けろ!」

  ビュン!
   ビュンッ!

白夜兵B「え?」

カムイ軍竜騎兵「それぞれの方面から迫る奴らを抑える。全員、死力を尽くせ!」

カムイ軍兵士たち『おーーーーっ!』

 バサバサバサッ
  スタッ スタタッ
   タタタタッ!

カムイ軍兵士「侍さん、ちょっと横失礼するぞ!」ダッ

白夜兵A「は?」

謎の暗夜兵「……」ザッ

カムイ軍兵士「おそい! てりゃあああっ!」ザシュンッ

 ドゴンッ!

カムイ軍兵士「よし、一気に陣を敷け!」

カムイ軍ジェネラル部隊長「任せろ! 敵の攻撃が白夜の民に届かぬように細心の注意を払うこと、よいな!」

ジェネラル部隊『はっ!』ザッ!

白夜兵E「え、て、敵じゃないの?」

カムイ軍ジェネラル部隊長「ここは我々が抑える。市民の中に居る怪我人の治療はそちらにお願いしたいのだが、いいだろうか?」

白夜兵E「は、はい。すみませんがお願いいたします!」タタタタッ

カムイ軍ジェネラル部隊長「うむ、こちらは陣を作り上げた。向かってくる敵を掃討しつつ、現状の維持に努めるとする」

カムイ軍竜騎兵「よし、残りの者たちは他の生存者たちを探しに迎え!」

カムイ軍兵士たち『はっ!』タタタタッ

白夜兵B「い、一体何が起きて……」

カムイ軍竜騎兵「危ないところだったが、どうにか間に合ったようだな。そこの白夜兵、立てるか?」

白夜兵B「あ、ああ。……なぜ我々を助けた?」

カムイ軍竜騎兵「?」

白夜兵B「暗夜はユキムラと協力して我々を排除しようとしているのではなかったのか?」

カムイ軍竜騎兵「ユキムラと協力? 一体何の話か知らないが。我々の主はマークス王子以外に存在しないし、その様な命令に覚えはない。……だが、そう勘ぐっても仕方のない状況ではあるようだな……」

謎の暗夜兵「……」チャキッ

謎の白夜兵「……」チャキッ

カムイ軍竜騎兵「貴様らが何者かは知らないが、これ以上の戦火の拡大をマークス王子は望んでいない。だが、それを妨害し、刃を向けるのならば――」

「こちらも白夜の民を守るという義務を果たさせてもらう」




555 ◆P2J2qxwRPm2A2019/01/31(木) 23:02:30.98F32KPjsE0 (10/10)

今日はここまで

 長々になってしまって申し訳ない。あともう少しでこの章は終わります


556以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/02/08(金) 09:32:26.17J4nFf91DO (1/1)

乙 ヒノカ、よく頑張ったがとうとう終わりの時が来たようだな


557 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/08(金) 22:23:17.05K2+bzrpg0 (1/10)

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『王の間・玉座前』―

ヒノカ「……なるほど、これがお前と同じように戦う者たちだという事か。白夜を助けることなど無視していれば、もう少し長く生きられたかもしれないというのに、自分たちから飛び込んでくるとは、な……」

カムイ「それが皆さんの選んだ道です。白夜の人々を一人でも多く救い、そして戦いを終結させること。あの日、旧暗夜を討ち倒すために立ち上がった人たちが望んだのは二国間の戦争を終わらせることなのですから」

ヒノカ「ふん、小賢しいことだ。そんな上辺だけの理想など、現実の前に崩れるしかないことを教えてやればいいだけのこと、私がいる限りお前たちの理想に手が届くわけがない。なぜなら、お前は私を殺そうとしていないのだからな。止められるわけもないだろう?」

カムイ「ええ、命は奪いません。ですが、その偽りの悪意を払う事が出来れば止められると信じています」ダッ

ヒノカ「そうか、なら私は容赦なくお前の命を奪わせてもらうだけの事だ。その願いが叶わないことを刻みながら死ね、カムイ!」バサバサッ

カムイ「はあああっ!」ブンッ

ヒノカ「はっ!」キィンッ

アクア「カムイ、援護を――!」サッ

 ブンッ!

謎の兵士「……」チャキッ

アクア「邪魔をしないでちょうだい、あなた達に構っている時間は無いのよ!」チャキッ ダッ

謎の兵士「……」ダッ!



558 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/08(金) 22:26:45.67K2+bzrpg0 (2/10)

 キィン! 
  カキィンッ!

カムイ「はっ、やああっ!」ブンッ ブンッ

ヒノカ「ふっ、どうした、その程度か?」

カムイ「くっ……」

カムイ(どうにかして天馬から引きずり降ろさないと、勝機がありません。ですが、こんな上を取られて戦い続けるのにも限界があります。どうにかして、天馬をどうにかできる距離まで近づければ………)

ヒノカ「私とだけ戦うのでは退屈だろう? さぁ、相手をしてやれ」

 シュオンッ

謎の兵士「……」チャキンッ ダッ

カムイ「っ! 退いてください!」ダッ ブンッ

 ザシュリッ

ヒノカ「はああっ!」バサバサッ! ググッ

カムイ「!」チャキッ

ヒノカ「てやあああああっ!」ブンッ

 ドゴンッ!

カムイ「ぐっ!!!!」ズザザーーッ

カムイ(っ、上空からの振り下ろしですか。どうにか受け切れましたが、こんなものが連続で来てしまったら……)

ヒノカ「休む暇はないぞ、いけっ」シュオンッ

謎の兵士「……」チャキッ



559 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/08(金) 22:30:45.60K2+bzrpg0 (3/10)

カムイ「っ!」タッ チャキッ

謎の兵士「……」ブンッ

 ガキィンッ

カムイ(くっ、どうすれば……)

ヒノカ「ふっ、受け止めるか。さっきと同じように切り倒して来ると思ったが、そうするのであればこちらもこう動くだけだ」バサバサッ

カムイ(ヒノカさんの気配が背後に!?)

ヒノカ「……ふふ」ググッ バササッ

カムイ「!」サッ 

ヒノカ「死ね!」ブンッ!

 ザシュンッ! ビチャアアアアッ
  ドサリッ

謎の兵士「」

ヒノカ「ちっ、抑えられないとは使えないな。お前だけ真っ二つになってどうするというのだ?」

カムイ「はぁ……はぁ……」チャキッ

ヒノカ「なんだ、もう疲れているのか? 大口を叩いておいても、結局お前に私は止められない。救う事なんて出来はしない。だからさっさと殺してしまえばよかったんだ。そうすれば、お前が死ぬこともなかったというのに」

カムイ「私は死にません。いえ、まだ死ぬわけにはいかないんです」

ヒノカ「ふふっ、そうか。なら尚更、お前のことを殺したくなる。死を覚悟して諦めたような者より、そういう希望を抱いている者を殺すことの方がいい。そのほうが、とても気持ちがいい。ああ、殺したくてたまらない、堪らないんだ、カムイ!」

カムイ「……」
ヒノカ「安心しろ。殺すのは一瞬だけだ、嬲り殺したりなんてしない、まだまだ殺さないといけない者たちが溢れている。そして、お前もその中の一つに過ぎない。ただ、殺した時の喜びは大きいだけのことだ」

カムイ「いいえ、その喜びを貴女が感じることはありません」

ヒノカ「……?」

カムイ「今のあなたに……いいえ。その偽りの心に負けることなどありません。あなたの思いがどんな形であろうとも、それはただの偽りなのですから。そんな衝動に負けるわけにはいかないんです!」チャキッ




560 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/08(金) 22:37:48.05K2+bzrpg0 (4/10)

ヒノカ「そうか。なら試してみればいい」シュオンッ

謎の兵士たち『……』ダッ

ヒノカ「望み通り、打ち勝って私を倒せばいい。もっとも、死に様を晒して倒れるのはお前の方になるだろうが……」

カムイ「ええ、出来るものならやってみてください……」

ヒノカ「……」チャキッ

カムイ「……」チャッ

ヒノカ「……やれ!」バサバサッ

謎の兵士たち『……』ダッ!

カムイ「!」ダッ

 キィンッ ザシュッ!ドサッ

 ガキィンッ ギチギチッ キンッ ドスリッ!

カムイ(これで二人、残りは一人!)

謎の兵士「……」ダッ

カムイ「はあああっ!」チャキッ

 バサバサッ!

ヒノカ「もらったぞ、カムイ……」


561 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/08(金) 22:56:43.10K2+bzrpg0 (5/10)

◇◇◇◇◇◇
―白夜王国・シラサギ城『王の間・玉座前』―

ヒノカ(あれほどの大口を叩くのだから、何か手があるのかと思ったが。順当に相手をするばかりか。まあ、そうだろう。この状態で私にだけ気を配るなんてことは出来るわけもないのだから)

ヒノカ(死の間際にお前は何を思うんだろうな? 成し得なかったことを悔やむのか、それとも無様に生きようともがくのか。いや、もがく暇など与えるつもりはない、胴体を切り離してしまえば、痛みはあろうとも動けなくなるのは間違いないのだからな)

ヒノカ(この距離、もう避けられる距離ではない。目の前の敵に対処しているお前に、私に手を回す余裕はない、これがお前の最後だ)

ヒノカ「ふふっ……」

ヒノカ(心の中に渦巻いていた殺意が喜んでいる。目の前の命を奪う事もそうだが、ずっと心の中にあった蟠りをここで消し去ることができる。私の今渦巻く感情を刺激する、不愉快な棘はカムイが齎しているものに違いない。なら、カムイを殺せばこの棘も無くなるはずだ)

 ズキン……

ヒノカ(そうだ、この痛みだ。不純物が混じっている気がしてならないこの痛み。不愉快だ、不愉快にも私の思考の邪魔をしてくる。まるで、殺したくないと願っているかのように)

ヒノカ「……」

ヒノカ(何を馬鹿なことを、もう私には何も残っていないというのに、何をここにきてこんなわずかな不愉快さに揺らいでいる? こんなよくわからない心の動きに、気にしなければいい事だ、そうだ、もう気にしないでよくなる。さっさとこの棘は抜いてしまおう)

ヒノカ「……」チャキッ

バサバサッ!

ヒノカ(最後まで私を救う、そんなことを考えていた愚か者とも、これでさよならだ)

 バサバサッ


ヒノカ(背中を完全に取った。もう外さない……。誰のものかわからないこの武器も、誰の者だったかもわからないこの天馬も、誰のために願ったのかも私にはもう無い。今あるこの感情だけが全ての私には、この棘は必要ない……)

 ズキン……

ヒノカ「ぐっ……。鬱陶しい……」

ヒノカ(なぜだ。なぜ、こんなにもこれだけは居残り続ける? カムイ、お前だけはどうして、私の中であり続ける? こんなにも黒い感情の渦の中で、どうしてお前は道標のように……)

ヒノカ(光を持っているんだ……)



562 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/08(金) 23:02:54.65K2+bzrpg0 (6/10)

アクア「はああっ!」ドゴンッ!

謎の兵士「」ドサッ!

アクア「はぁはぁ、これで――!」

ヒノカ「……」チャキッ

アクア「カムイ、後ろよ!」

カムイ「!」

ヒノカ(もう光は要らない。私の中にあるのは、この暗闇だけになってしまった。誰の者かなんてどうでもいい、でないと私は何のためにここまで戦ってきたのかさえ、わからなくなってしまう!)

ヒノカ「これで終わりだ!」

アクア「ヒノカ、やめて!!!!」

ヒノカ「死ね……」ググッ

アクア「カムイ!!!」

ヒノカ「はあああああっ!!!!!」

カムイ「!!!!!」チャッ!

 ブンッ
  ズシャリッ……

 ポタタッ ポタタタッ

ヒノカ「……!?」

 キンッ ギギギッ

カムイ「っ……。どうにかなったみたいですね、ヒノカさん」

ヒノカ「な、なにをした……」

カムイ「理解する必要はありませんよ、さぁ覚悟してください、かなり手痛いお返しをしますからね」チャキッ



563 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/08(金) 23:12:18.24K2+bzrpg0 (7/10)

ヒノカ「は、離れ――」

 ザンッ! ビシャアアッ! ゴトリッ!

ヒノカ(天馬が――くっ、離脱して態勢を――)ダッ

カムイ「逃がしません、はああああっ!!!!」ダッ ブンッ!

 ドゴンッ!

ヒノカ「がっ……ぐっ、ううっ……」ズササーッ

ヒノカ(な、何が起きた……。私の攻撃は確かに入ったはずなのに……。どうして、奴は……)

カムイ「っ、うううっ……」ポタタッ ポタタタッ カランカランッ……

ヒノカ(私の得物の攻撃は入っていた。だが、これが意図的に入るようにされたとするなら……)

ヒノカ「あえて避けなかったというのか……」

カムイ「ええ、このままでは、ずっと仕切り直しになってしまいますからね……。一か八かでしたが何とかうまくいって良かったです……。ううっ……」ポタタッ

ヒノカ「っ、だが私の勝ちのようだ。こうして倒したとしても……命までは奪っていないのだからな」

 ピチャン……
  シュオォォンッ

謎の兵士たち『……』

カムイ「っ……」

ヒノカ「逃げ場などない。最後に目に物を見せてくれたが、その馬鹿げた願いがお前の命を奪うことになったな、カムイ?」

カムイ「……」



564 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/08(金) 23:20:05.55K2+bzrpg0 (8/10)

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『王の間・玉座前』―

カムイ「……」

カムイ(もう、ヒノカさんは力を使う事しか出来ることは無いはず、どうにかしてあの玉座に連れて行くことが出来れば……)

カムイ「っ……」

カムイ(さすがに先ほどの攻撃は応えましたか。どうにか剣で受けて勢いを殺せましたが、かなり深く受けてしまいました。剣がこれほど重く感じるなんて……)

 ガシャンッ……

カムイ「ぐっ、ううううっ……」ガクッ

ヒノカ「ふふっ、もう、何もできないだろう? さぁ、後悔するといい。私を殺しておけばよかったと……」

カムイ「いいえ、そんなものはごめんですよ。私は……あなたを救うために戦うことを選んだのです。だから……後悔なんてしません。そして、まだ死ぬわけにもいきません……」ググッ チャキンッ

 ポタタタッ

ヒノカ「なら、その愚かな夢を抱いて死んでいけばいい……」

謎の兵士たち『……』チャキンッ

カムイ(くっ、痛みばかりで感覚が鈍くなっています。今、私の周囲にどれだけの敵がいるのかも、わからない……)

 タタタタタッ

カムイ「足音?」

アクア「カムイ! 待っていて、今助けに向かうわ!」

カムイ(アクアさんの声……。やっぱり頼もしく聞こえます。でも、多分間に合わないでしょうね……)

ヒノカ「ふふっ、さぁ、やってしまえ」

謎の兵士たち『……』ダッ

アクア「待ちなさい、絶対にカムイの下へは行かせないわ!」ダッ ブンッ

 ドゴンッ

カムイ(アクアさんが一人倒してくれたみたいですね。あとはわたしがどうにかできれば……。ですが、何人いるのでしょうか。気配がようやく感じられる。四方八方から迫ってきているみたいです。どこかを一点だけ倒したいところですが、この痛みでは動けません。でも、ここで折れるわけにはいきません)

カムイ「私はあなたを救うと決めて、ここまで来たんです。だから、負けられません!」

 グッ ポタタタッ

カムイ「はあああっ!」ザンッ

 ブシャリッ! ドサッ

ヒノカ「一人倒したか、だがそこまでさ」

謎の兵士たち『……』チャキッ ググッ

ヒノカ「死ね!」

謎の兵士『……』ブンッ!

カムイ「!!!!!」

 シュオンッ
  ガキィンッ!

カムイ「……え?」

カムイ(敵の攻撃を誰かが受け止めてくれている? だけど、アクアさんはまだ私に辿り着いていません、それでは一体誰が?)



565 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/08(金) 23:24:48.29K2+bzrpg0 (9/10)

謎の兵士「……」ダッ 

 パシュンッ!
  ドスリッ! ドササ……


ヒノカ「な……」

???「……」スタッ

ヒノカ「お前たち、一体何をしているんだ。私の駒ならば、カムイを殺せ。なぜ殺さないで、守ろうとしている?」

???「それが…ヒノカ様の命令だから…」

ヒノカ「そんな命令、私は出していない」

???「ええ、そうですね。あなたからそんな命令は受けておりませんし、お受けするつもりもありませんよ。なにせ、私たちが従っている人は私たちの知るヒノカ様だけですからねぇ」

ヒノカ「なんだと……?」

カムイ「あ、あなたたちは一体……」

???「えっと、ヒノカ様の臣下…」

???「そうですね、ただそれだけの存在です。こうして、もう一度主に仕えること許されたのであれば、その命令に従うことは道理でしょう」

カムイ「まさか……あなた達は……」

ヒノカ「何故だ、なぜ私の命令を聞けない。私が呼び出した者たちのはずなのに、なぜだ」

セツナ「違うよ、私たちを呼んでくれたのはヒノカ様…」

アサマ「そういうことです。ですから、あなたのご命令を聞くことはできません」

ヒノカ「では、お前たちは誰の命令で動いているというんだ……」

セツナ「アサマ…、私の説明、駄目だったかな?」

アサマ「いいえ、本当に分かっていないだけですよ。ですから、わかるまで言ってやればいいだけのことです」

「私たちの主はヒノカ様しかいません、と」



566 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/08(金) 23:26:40.21K2+bzrpg0 (10/10)

今日はここまで
 
 次回かその次でこの章は終わりになります。


567 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/14(木) 21:09:11.81wGAjbhBY0 (1/9)

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『王の間・玉座前』―

アサマ「……」

セツナ「……」

ヒノカ「何を言い出すかと思えば。主は私だ、お前たちを呼び、駒として扱うことにしたのは私だろう。主の命に従うというのなら、今の言葉は――」

アサマ「物分かりが悪いようですね。確かにヒノカ様は物分かりの悪い部分もありましたが、これほどではありませんでしたよ」

セツナ「うん…。私もそう思う…」

ヒノカ「貴様ら……、そうか、ならこのまま共に死ね!」スッ

謎の兵士たち『……』ダッ

アサマ「セツナさん、援護をお願いしますね」ダッ

セツナ「うん、任せて……」チャキッ パシュンッ!

 キィン! カキィンッ!

カムイ(一体何が起きたというのですか? それにヒノカさんの命令というのは一体……)

 タタタタタッ

カムイ「ん?」

 タタタタタッ

アクア「カムイ!」

カムイ「アクアさん!。っ……」

アクア「大丈夫? 今すぐ手当てをしないと……」

カムイ「いいえ、今はヒノカさんを玉座に……連れていくことが先です……ぐっ!」フラッ ググッ ポタタタッ

アクア「そんな傷で何を言っているの? サクラがもう少しで駆けつけてくれるわ。それまで待って――」

アサマ「いいえ、そう悠長に構えられては困ります」スッ

アクア「!」チャキッ


568 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/14(木) 21:20:41.14wGAjbhBY0 (2/9)

アサマ「おやおや、武器を向けないでくれませんか? 今の私は敵ではありませんので」

アクア「いいえ、奴の力が生み出した存在である以上、あなた達は敵よ。どんなに意思を持っていたとしても警戒するに越したことはないわ」

アサマ「ふむ、あなたも思ったよりも頑固な方のようですね」

アクア「放っておいてちょうだい」

アサマ「そうですか。しかし残念ですが、そういうわけにいきません」シュオンッ

アクア「! 何を――」

アサマ「それっ」ブンッ

 ホワンッ

カムイ「っ……え?」

カムイ(体の痛みが和らいで……傷も塞がっている?)

アクア「カムイ、大丈夫なの?」

カムイ「はい」

アサマ「はぁ、貴重な杖を使ってしまいましたね。こんなことに使うとは思ってもいませんでしたよ」ポイッ カランカランッ

カムイ「どうして私の治療を?」

アサマ「私たちの役目はあなたを守ることです」

アクア「カムイを守る事……」

セツナ「うん…。私とアサマでカムイ様をお守りすることが、ヒノカ様からの最後の命令…」

カムイ「でも、ヒノカさんはここにいます。その命令を出したヒノカさんというのは……」

アクア「……まさか、あの武器の力で現れたヒノカが……」

アクア(カムイを助けることを選んだというの?)


569 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/14(木) 21:23:45.31wGAjbhBY0 (3/9)

◇◇◇◇◇◇
―白夜王国・シラサギ城『王の間・玉座へと至る道』―

 ~少し前~

ヒノカ『……ううっ、……ううううっ』.

ヒノカ『やめてくれ。これ以上、何を奪うというんだ……。私は、私が守りたかったものを守るために戦うと決めただけなのに、なんで……』

ヒノカ(私は、私の心の中にあった恨みや憎しみそのものだ。希望を求めればその希望を上塗りするほどの絶望に苛まれた。奪われる度に募った怨恨がこの私の姿のはずなのに、もう怨恨の理由が分からなくなってしまっている。あれほど敵となるものを殺して守ろうとした者や何を恨んでいたのかさえも、霧が掛かったように忽然と姿を消していく。私が私でなくなってしまうかのようだ……)

ヒノカ『返して……返してくれ。それが無くなってしまったら、私は……私は……』

ヒノカ(この心に渦巻く私の物じゃない何かに飲み込まれてしまう……)

ヒノカ『うっ、ううっ……誰か……。誰か……』

ヒノカ(手を伸ばしても誰も戻ってこない、誰も私の傍にいてくれない。だって、私はもう何も思い出せないんだ。私が私たる由縁は深い闇に噛み砕かれてしまって、もうこれに飲み込まれる。これが、私の……思いの終わりだというのか……)

ヒノカ『っ……。すまない、みんな……』

ヒノカ(もう何も見ることなんてない。私のものかもわからない意識が……入り込んでくる。私が溶ける……意識が混ざって……も…う…なにも……)

 パシッ

ヒノカ『……誰だ?』


570 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/14(木) 21:28:51.81wGAjbhBY0 (4/9)

ヒノカ(誰かが、私の手を取ってくれている? でも誰だ、こんな私の手を取ってくれるのは――)

カミラ「……」

ヒノカ『……お前は……女狐……』

カミラ「ずいぶんな挨拶ね。私にはちゃんとカミラって名前があるのだから、そう呼んでちょうだい」

ヒノカ『カミラ……』

カミラ「はい、よく言えました。ようやくちゃんとお話が出来そうね、ヒノカ王女?」

ヒノカ『……話すことなど何もない。私にはもうなにもない。私はこのまま消えてなくなるだけだ……』

カミラ「そう? 何もないなら私を女狐なんて呼ばないし、すでに私は死んでいると思うわ。だけどそうしなかったのは、少なくともまだあなたがあなたである証明だと思うけど?」

ヒノカ『なら、私はすぐにでもお前を殺さないといけないはずだ……。私はお前を……恨んでいたんだろう?』

カミラ「ふふっ……それもそうね」

ヒノカ『……助けに向かわないのか? この先にはお前が信じる者がいる、そうだろう? 私に時間を割いている暇などないはずだ』

カミラ「あの子は大丈夫。どんなことがあっても負けたりなんてしない、そう信じているのよ」

ヒノカ『……どうしてそう易々と信じられる? 信じた先が絶望的な結末だったなら、それは徒労に終わり、大きな恨みにしかならないだろう?』

カミラ「たとえ徒労だとしても、誰かを信じることに意味はあるわ。それがどう芽吹くのかはさておいて、あの子が戦い続ける限り、私はあの子を信じ続ける」

ヒノカ『そうか……。もう何も無い私には信じるものもなくなってしまったがな……』

カミラ「ヒノカ王女……」



571 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/14(木) 21:40:34.47wGAjbhBY0 (5/9)

ヒノカ『もうわからないんだ。私がどうしてこれほどの事を望んだのかも、共に闘ってきた者たちの事も……。様々な思いがあったはずなのに、私には何一つ……残っていない』

ヒノカ『私の正体が本心からあふれ出た憎悪の塊だったとしても……。その憎悪は私のすべてだったはず……。なのに、それすらも思い出すことができないというのか……』

ヒノカ(恨んだ理由も憎悪の理由も、黒い墨で塗りつぶされてしまったように何一つ思い出せない。殺意という墨で上塗りされて、もう何が何なのかもわからない。こうして、今私を見ているこの女狐のことさえも、もうすぐ忘れていくのだろうか?)

ヒノカ『……っ』

ヒノカ(私は……いったい何のために……)

 スッ ピトッ

ヒノカ『なにを……する?』

カミラ「怯えているのね」

ヒノカ『そ、そんなこと……』

カミラ「今にも泣き出しそうな顔をして何を言っているの?」

ヒノカ『……』

カミラ「思ったことを話していいのよ。心に閉じ込めていても、解消できないのならそれは毒にしかならないわ」

ヒノカ『……』

ヒノカ(確かにそうなのかもしれない。私の中に広がる歪な闇はどんどん私の思考を食い殺していく。考えれば考える程、闇が広がっていく気がする。この女狐にそれを話すのは癪だ、癪だけども、今は……少しでも私であり続けたい……)

ヒノカ『…………、私は何のために戦ってきたのだろうって……』

カミラ「それを私に聞いても答えは出ないわ。私はあなたじゃないもの」


572 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/14(木) 21:44:40.16wGAjbhBY0 (6/9)

ヒノカ『……そうか』

カミラ「ふふっ、そんな拗ねた顔をしないでちょうだい、例え話くらいはしてあげるわ。そうね、もしもあなたと私が逆の立場だったとするなら、私の戦う理由は一つしかなかったかもしれないわね」

ヒノカ『それは……なんだ?』

カミラ「愛しい妹を取り返して、唯一のおねえちゃんになる事よ」

ヒノカ『……』

カミラ「あの日、あの平原でカムイが白夜に付く選択をしてしまう、そんな可能性を私は考えていなかった。帰ってきてくれたのをどこか当然のように思っていた。だけど、そうならなかった可能性がないわけじゃないわ。そして、そうなってしまったら、私はあなたを殺すことを第一の目標としたでしょうね」

ヒノカ『……私を殺す? どうしてだ?』

カミラ「だって、あなたはカムイのおねえちゃんだもの。この世に二人もおねえちゃんは要らない、私だけがおねえちゃんであればいいって、そんな考えを持つようになったかもしれない。でも、そうならなかったのは私が恵まれていただけのこと。奪われたあなたがカムイの事をどれほど大切に思っているのかなんて考えようと思わなかった。カムイの戦いを支えると言いながら、結局カムイを取られない様にしていたというのが本当の事なのかもしれないわね」

ヒノカ『……私は、執拗にカムイを取り戻そうとしていたのか?』

カミラ「ええ、すごい執念だったわ。だけど、それはもう折り合いが付いたことのはずよ。だって、あなたがこうして戦う理由にカムイは含まれていなかった。あなたは守りたかったものを守るために私たちと戦う道を選んだ、そうでしょう?」

ヒノカ『守りたかったもの……。だが、それはもう忘れてしまったことだ。そして、私だったことさえ忘れていくんだろう……』

カミラ「それは違うわ、ヒノカ王女」



573 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/14(木) 21:49:22.42wGAjbhBY0 (7/9)

ヒノカ『なに?』

カミラ「あなたが忘れつつあると思えるのは、その守りたかった何かがまだちゃんと残っているからだと私は思う。私があなたにとって特別な存在だった出来事は、もう終わってしまったこと……。だけど覚えているっていうことは、あなたはまだ思い出せる場所にいるのよ」

ヒノカ『私は思い出せる……のか?』

ヒノカ(こんな闇の中で一体何を思い出せというのだろう。私の中にあるこの闇は、どんどん広がっていて、もう何が何だか分からなくなってきているというのに、この中でまだ私の思考が残っていることが不思議なくらいなのに、もう感じるのはこの広がり膨らみ続ける闇ばかりだ。だけど……)

ヒノカ(なんでそれが広がっているなんて思えるのだろう)

ヒノカ『……』

ヒノカ(とうに混ざり合ってしまってわからなくなってしまっているはずの私という意識なら、それはわからなくなっているはずなのに、どうして広がりの中心を感じられる?)

カミラ「ヒノカ王女、あなたは奪われないために戦っていると言っていたわ。それほど強い思いを忘れるなんてことはないわ。それはあなたの心にちゃんと今もあるはずよ」

ヒノカ『……忘れることはない……か』

ヒノカ(この渦巻く憎悪の中心は、まだ揺らぐことが無いものだ。それを忘れ無いように抗っているのだとしたら……)

ヒノカ(そこに私が共にありたかった思いが、まだあるのだとするなら……)

ヒノカ『……』

ヒノカ(奪われて、唆されて、そして塗りつぶされるばかりの私の憎悪、だけどそれの元はとても暖かいもの…)

ヒノカ『……ああ、そうか……』

ヒノカ(この暗闇の中でも、まばゆい光を放ってちゃんとここにあったんだ……)


574 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/14(木) 21:50:46.10wGAjbhBY0 (8/9)

ヒノカ『……女狐』

カミラ「……なにかしら、ヒノカ王女」

ヒノカ『……ありがとう』

カミラ「……ええ、どういたしまして。それで何をするつもりかしら?」チャキッ

ヒノカ『大丈夫だ。もう、お前達を殺す通りは無い。私の敵は、私のこの思いを奪おうとする者だけになった』

カミラ「……信じていいのかしら?」

ヒノカ『信じられないなら、ここで首を跳ねればいい。そうすれば私は溶け落ち、ただの憎悪になり果てるだろう』

カミラ「……」

ヒノカ『……』

カミラ「……ふふっ」

 カチャンッ

カミラ「信じてあげる。きっと、あの子もそうするはずだから」

ヒノカ『ふっ、カムイは本当に甘いな。あの時、私の本体を殺してしまえばこんなことになる事もなかったというのに。それを救うためにもがき苦しむことを選ぶなんて……』

ヒノカ(だが、それが私をこの行動に駆り立てるのかもしれない。きっと、本体の私にも、まだ……それがあるはずだと信じることができるから……)

ヒノカ『……アサマ、セツナ』

 シュオンッ……

アサマ「はい、ここにいますよ」

セツナ「なに? ヒノカ様…」

ヒノカ『ふふっ、さっきまでは来てくれなかったのに、今になってきてくれるのだな』

アサマ「ええ、ヒノカ様の命令ですから」

セツナ「うん、ヒノカ様の命令だから…。私に出来る事、何でもするよ…」

ヒノカ『二人とも……。これが最後の命令になる、聞いてくれるか?』

アサマ&セツナ『………』コクリッ

ヒノカ『……アサマ、セツナ……』

『ありがとう……』



575 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/14(木) 21:51:37.00wGAjbhBY0 (9/9)

今日はここまで

 次で終わる予定です。
 
 新作、楽しみですねぇ


576以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/02/16(土) 11:47:08.36bVk5kYA7o (1/1)

そっちが味方してくれるとは
>>574の通りは道理?


577以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/02/21(木) 19:03:55.00zF07isGDO (1/1)

新作は顔を触れるパルレはないのかな?


578 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 19:26:32.20zXuUfhy20 (1/21)

>>576さん

 道理ですね。誤字とか脱字が多くて申し訳ない。


579 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 19:34:13.31zXuUfhy20 (2/21)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『王の間・玉座前』―

アクア「……」

アサマ「信用できないという顔ですね」

アクア「いきなり信用しろというのは無理というものでしょう? さっきまであなたたちに命を狙われていた側なんだから…」

アサマ「まぁ、普通そうでしょう。私たちはヒノカ様の命令でここにいる、それだけの説明しかしていませんので」

アクア「なら、どうしてそんなに自信を持っていられるの?」

アサマ「それは、ここにとびっきりのお人好しがいるからです。その方には今の説明だけでも十分だと思いますから」

アクア「お人好し……」チラッ

アサマ「はい、お人好しです」チラッ

セツナ「私もそう思う…」チラッ

カムイ「?」

アクア「……はぁ。確かにあなた達の言う通りよ、すごいお人好しがいるのは間違いないわ」

アサマ「そうでしょう。まぁ、おふざけはここまでにして、ヒノカ様をお願いしますね、カムイ様」

カムイ「はい、もちろんです。アクアさん、ヒノカさんを玉座まで連れていきます、手伝ってください」タタタッ

アクア「……あなたたちに背中は預けるわ。ヒノカの事はこっちに任せて」タタタタッ

アサマ「ええ、よろしくお願いしますよ。さぁ、セツナさん、ここからは全力で行くとしましょうか」チャキッ

セツナ「ん、まかせて…」チャキッ


580 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 19:40:28.23zXuUfhy20 (3/21)

ヒノカ「……なぜだ。なぜ私の命令を聞かない者が存在している? これは私の力のはずだ、なのになぜ……」

カムイ「それはあなたがヒノカさんであって、ヒノカさんではないという証明です」

ヒノカ「私がなんであろうと関係ないはずだ。私はこの力で……」

カムイ「少なくともあなたの成したかったことはこんなことではなかったはずです。それを思い出させてみせます」ドゴンッ

ヒノカ「ぐっ……」

カムイ「少しだけ、眠っていてください」

ヒノカ「ふふっ……玉座に連れて行ったところで、どうにかなると思っているのか?」

カムイ「やってみなければわかりません。私は、あなたを救うことをあきらめないと決めた。ただ、それだけです」

ヒノカ「そうか、ふふっ、無駄足になった時にお前がどれほど絶望するのか、とても楽しみだ……ううっ……」ガクッ

カムイ「あとはヒノカさんを玉座に座らせることが出来れば……ぐっ」

ポタタッ

カムイ(さすがに治療でどうにかなるわけではないようですね……。傷口がまた開きましたか……)

アクア「カムイ!」タタタタッ

カムイ「ア、アクアさん……」

アクア「一人で運ぼうなんてしないで、私も手伝うわ」

カムイ「はい、おねがいします」

カムイ「はぁ……、はぁ……」ポタタッ

カムイ(傷など気にしていられません。あと少しなんですから……)

カムイ「……あと少しですからね、ヒノカさん」

 タッ タッ


581 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 19:51:33.35zXuUfhy20 (4/21)

アクア「カムイ、玉座よ!」

カムイ「ようやくですね。アクアさん、ヒノカさんを」

アクア「わかってる、手をこっちに貸してちょうだい」

カムイ「はい。ヒノカさん、待たせてしまってごめんなさい。きっとこれで……」

スッ ポスンッ……

ヒノカ「………」

カムイ(ヒノカさん……)

 シュオオンッ

カムイ「!」

アクア「玉座が輝いてる……」

カムイ(それにとても暖かいものを感じます。これが、玉座が持つ真実を見せる力だというのでしょうか)

カムイ「?」

謎の兵士たち「……ぐぉぉぉっ……」ボチャリッ……ドサッ

アクア「力が分離し始めた影響で、奴らが倒れ始めてる」

カムイ「じゃあ、ヒノカさんの心は……」

ヒノカ「………うっ……ううっ」

カムイ「ヒノカさん!」

ヒノカ「カ……ムイ?」

カムイ「ヒノカさん、よかった。今すぐ手当を――」

ヒノカ「………な」

カムイ「え、なんですか? ヒノカさん」

ヒノカ「来るな……カムイ。私に近づいては駄目だ……」


582 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 20:01:33.73zXuUfhy20 (5/21)

カムイ「何を言っているんですか? ヒノカさ――」

アクア「カムイ、ヒノカに近づいては駄目!」

カムイ「どうしてですか!? ヒノカさんの心は生きているのに、なぜ?」

アクア「奴の力が更に強くなっているの」

カムイ「強くなっているって、さっき分離し始めているって――」

アクア「おそらく、もう根付いているわ。ヒノカの中で際限なく膨れ上がり続けるほどに……、もうヒノカの心の一部になってしまっているのよ」

カムイ「そんな……、そんなことって……」

ヒノカ「ぐっ、はぁ……はぁ……。カムイ……うううっ、早く私に止めを……」

カムイ「何を言って……」

ヒノカ「今なら抑えられる。だから――。ううっ、頼む、私を殺してくれ……。お前たちを、これ以上……傷つけたくないんだ……」ポタタッ

アクア「ヒノカ……」

ヒノカ「カムイ、もう私は自分が何だったのかもわからなくなっている。いったい何を呪ったのかもわからない。ただの殺意だけが蠢いていて、頭が壊れてしまいそうになる。だから、まだ私が私でいられる内に、私を……」

カムイ「……」

アクア「カムイ……もう……」

カムイ「アクアさん、すみませんがこれを持っていてください」チャッ

アクア「え、夜刀神? いったい何をするつもりなの?」

カムイ「……私はヒノカさんを救うと決めたんです。だから、それは必要ないんです」

 タッ タッ タッ



583 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 20:11:53.23zXuUfhy20 (6/21)

ヒノカ「はぁ……はぁ……。ううっ……」

カムイ「ヒノカさん……」

ヒノカ「カ……ムイ? 何をしているんだ、早く私に止めを……。そうしないと、私はお前たちを……」

カムイ「……」ギュウッ

ヒノカ「な、何をする……離れるんだ……」

カムイ「いいえ、離れません」

ヒノカ「どうしてだ……」

カムイ「私はあなたを救うためにここに来たと言ったじゃないですか。あなたが何と言おうとも、私はあなたを殺したりしません。あなたを救う事、それが私の一つの希望だから……」

ヒノカ「カムイ……。ぐっ、うううっ!!!! 止めろ、ううっ、うあああああっ!!!」

カムイ「ヒノカさ――!」

 グッ! ガシッ ギュウウッ

カムイ「がっ――ぐっ、ううううっ」

ヒノカ「ふーっ! うううっ!!!!」ググググググッ

カムイ「ごほっ……ヒ……ノカさ…ん……ううっ……」

ヒノカ「ぐっ、ううっ、カ……ムイ……。……私を……捨ててくれ……。私は何も救えない……殺し壊すだけの存在に……なってしまう」

カムイ「そんなことは……ありません……。あなたが生きていることが……私にとっての希望だから……」

ヒノカ「カムイ……私は……」



584 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 20:21:31.70zXuUfhy20 (7/21)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇◇◇◇◇◇

ヒノカ(玉座に私がいるのを感じられる。どうやら、座らせることには成功したようだな。もっとも、そのためにアサマとセツナに命令を出したんだ。そうなってくれないと困る)

ヒノカ(しかし、そううまくはいかなかったか。まぁ当然だろう。あの大きな殺意と憎悪に一度飲まれてしまったんだ。私は戻らないといけないんだろう……)スッ

カミラ「……?」

ヒノカ『……カミラ。ひとつ頼みたいことがある』

カミラ「なにかしら?」

ヒノカ『その武器を……』

カミラ「武器?」チラッ

ヒノカ(そう、その武器だ。私を生み出し、そして思考を飲み込もうとしていた憎悪の元……。私が与えられた力の一つ……)

カミラ「……これをどうするつもり?」スッ

ヒノカ『触れないほうがいい、私のようになりたくないだろう?』

カミラ「……そうね。それで、そんな危ないものをどうしようっていうの?」

ヒノカ『……私が何かするわけじゃない。言っただろうお前に頼みたいことがあると』

カミラ「そうだったわね。それで一体何を――」

ヒノカ『それを壊してほしい』

カミラ「え?」



585 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 20:27:57.01zXuUfhy20 (8/21)

カミラ「これを壊す?」

ヒノカ『ああ。所詮それも道具だ、人間の手でも壊せる。それが壊れてしまえば、この混乱も収まるだろう』

カミラ「これを壊した後、あなたはどうなるのかしら?」

ヒノカ『私はその武器によってこうして形を得ているに過ぎない……。それが壊されるのだから答えはわかるだろう?』

カミラ「……消え去る、とか?」

ヒノカ『そういうことだ』

カミラ「……」

ヒノカ『失った物はもう戻らないこと、だからこそ大切だったことを思い出した。もはや、力を振るってまで叶えたい願いなどありはしない。もう、私の存在する意味はなくなったんだ……』

カミラ「だけど、消え去ったあなたは何処に行くの?」

ヒノカ『そんなことを知ってどうする?』

カミラ「教えなさい、教えないなら協力は出来ないわ」

ヒノカ『……』

カミラ「考えてみなさい、今あなたの願いを聞いてあげられるのは私だけだし、それに手を貸すのかどうかを決めるのも私だけ。わかるかしら?」

ヒノカ『……ふん、やはりお前は女狐だな。こちらの要求に黙って従うわけもないか』

カミラ「……それで?」

ヒノカ『……おそらく、私は私の元に戻る。今こうしてお前と話をしている意識も溶けて無くなるだろう。私はヒノカが心に貯めていた憎悪そのものとして、元の場所に収まるだけだ』

カミラ「戻った瞬間に希望を叶えるために力を使うなんてことにならないのかしら?」



586 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 21:28:14.75zXuUfhy20 (9/21)

ヒノカ『それはわからない。私は結局、黒い感情でしかない。その元がどのようなものであったとしても、見た目は黒く禍々しいものだ。その内部に手を伸ばせるかどうかは、本当の私次第だ。だが……』

カミラ「?」

ヒノカ『きっと手を伸ばしてくれる気がする。私自身だからかもしれないが、きっとこの思いを私は見つけてくれる。偽りに溺れているのなら、きっと……』

カミラ「……」

ヒノカ『まぁ、お前が協力しないというのならそれまでの事だ。私はここで終わりが来るのを――』

 チャキンッ

ヒノカ『?』

カミラ「本当に壊していいのね?」

ヒノカ『ああ、思いっきり振り下ろしてくれればいい。だが、合図をしてからだぞ?』

カミラ「タイミングが大事なのね?」

ヒノカ『いや、心の準備が出来ていないだけだ……』

カミラ「……」



587 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 21:32:07.75zXuUfhy20 (10/21)

ヒノカ『なんだ、その顔は?』

カミラ「ふふっ、思ったより可愛らしいって思っただけよ。そうね、この戦いが終わったらゆっくりお茶会でもしましょう? あなたに一番おいしい紅茶をご馳走してあげるわ」

ヒノカ『……そうか、覚えていたら参加しよう。覚えていたら、な……』

カミラ「覚えていなくても参加させるから安心しなさい」

ヒノカ『ふっ……』

ヒノカ(……。大丈夫だ、もう私の心にあの憎悪が入り込んでくることは無い。私は私の中にある憎悪と一番の願いに戻る。ただ、あるべき姿に……)

ヒノカ『……』

ヒノカ(さぁ、私があるべき元の場所へ向かおう)

ヒノカ『……やれ』

カミラ「!」グッ
 
 ブンッ!
  ガシャンッ! バキンッ

 シュオオオオンッ

ヒノカ『……っ』

ヒノカ(ああ……薄まる、薄まっていく。思考の渦、その中心が閉じる。ここが閉じてしまえば、もう黒い暗闇だけになる。これが私という闇、私にとっての憎悪という希望に変わっていく……)

 ピキンッ……

ヒノ?(ああ、痛みも何も無くなっていく。私の意識も消え去っていく、だけど行くべき場所がどこなのかはわかる。そこに私は勝手に戻っていけるだろう)

 ピキキンッ……

ヒ??(ああ、今戻ろう。お前が忘れかけた思いと希望があれば大丈夫だろう?)

???『だって、私はカムイの姉なんだから……)

 パキンッ



588 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 21:36:26.46zXuUfhy20 (11/21)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇◇◇◇◇◇
―王の間『玉座前』―

 ググググッ……

カムイ「ううっ、くっ、ぐうううっ、ヒノカ……さん……」

ヒノカ「……」

ヒノカ(心が大きな悲鳴を上げているのが聴こえる。体の動きを止める様に意識を集中しているのに、体はちっとも言う事を聞いてくれない。見ること、そして意識を喰い散らかされることだけが今の私に許された自由なのだろう)

カムイ「っ、ああ……」

ヒノカ(目の前で苦痛に歪む妹、あと少しで事切れてしまう。私が最初に求め、そして今も残る私の希望……、それが目の前で私の手で壊されようとしている。やめろと叫んでも、私の手は意識に反してさらに力を強めていく。私は何も守れないのだと、見せつけるように手の力はどんどん強くなる。その度に心の奥に傷が付き、それはどんどん深さを増して、そこに憎悪が入り込んでくる……)

ヒノカ(おそらくカムイが死んだとき、私の心は本当の意味で死んでしまうのだろう。こうして、私を助けるためにカムイが奮闘した姿は覚えている。偽りの悪意に苛まれても、私の心は確かにそれを覚えていた。正直に言えばうれしかった、私を助けるためにあえて危険を冒してくれたことも、そして今も最後まで私を救うことを諦めないでいてくれること……。だからこそ、それが目の前で潰えた時、私はきっとそれに耐えることが出来ない、そういった希望を砕かれる現実に耐えられないからこそ、私はこうなってしまったのだから……)

ヒノカ(元々私にあった憎悪はどこにもない、今あるのはその跡地に住みついてきた誰かの憎悪だ。それは私の心の傷を埋める様にどんどん大きくなっていく。空っぽの私はこれに抗うことなどできはしない。私は憎悪の鬼になり果てる。だからこそ、命を奪ってほしかった)



589 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 21:38:32.40zXuUfhy20 (12/21)

ヒノカ(私は私のまま終われるだけでよかった。失った物は多くあったのかもしれない、だけどこれ以上失う必要はない。特に私を救うためにここまで戦ってくれたお前が死ぬ必要なんてどこにもないんだ)

ヒノカ(だけど、お前は私が生きているという希望がある限り、私を救うことを諦めない。それが希望ではなく絶望であることを私は知っている。私の中に入り込んだ憎悪はその到来を、指を咥えて待っている。私が砕け、そしてすべてが憎悪に染まる瞬間を待っている。私はそのために踊らされてきただけに過ぎない)

ヒノカ「……」ポタッ ポタタッ

ヒノカ(踊らされ続けたこと、それが私の生きた意味だというのか?)

ヒノカ「……っ」ポタタタタッ

ヒノカ(誰かに救われ続け、そして奪われていくだけの日々)

ヒノカ「……ううっ……」

ヒノカ(何一つ救うことのできない無力感に打ちのめされるだけの日々が……)

ヒノカ(私の生きてきた意味だと受け入れるしかないというのか?) 



590 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 21:45:43.94zXuUfhy20 (13/21)

ヒノカ「あああっ!」グウウウッ!

カムイ「がっ!……っ、ヒノカさん……」

アクア「カムイ、今助けに――」

カムイ「アクアさん、だめ……です。ヒノカさんは…まだ…」

アクア「でも、もう、ヒノカは……」

ヒノカ(アクアの声が聞こえる。アクアはわかっているんだろう……。私が戻れないことを…)

ヒノカ(満たされていく。音もなく私の心に憎悪が入り込んでくる……。まるで浸透する雨水のようだ。そして、雨漏りするように零れ落ちていくのは私の心で、残った偽りの憎悪が私のすべてになる)

ヒノカ「ううううっ!」ガシッ ググググッ

ヒノカ(カムイは助からない。私はもう止められない。希望を目の前で奪われて私は消え去る。私のために命を賭してくれた妹を殺して、私は死んでいく。それが私の終わり……)

ヒノカ「カム……イ……」

ヒノカ(すまない……)




 シュオンッ……



591 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 21:47:31.73zXuUfhy20 (14/21)

ヒノカ(何か音が聞こえた……)

 ポチャンッ……

ヒノカ(心の底、動かなくなった水面に何かが落ちたような音、さっきまで静かだった精神が揺れるほどの大きなものが入り込んで来た気がする……)

ヒノカ(これはなんだろう? この闇の中で同じ色であるはずなのに……仄かに暖かさを持ったこの黒い淀みは……)スッ

 ピチャンッ……

ヒノカ(暖かい……。それに偽りの闇と違って、私にとって本当の闇のように感じられる。この中心の温かさ、今もあるカムイへの思いと同じくらいに愛おしい。私はこの闇と暖かさを知っている気がする。これは……)スッ

ヒノカ「……ああ」

ヒノカ(そうだ、これは私が手放してしまったものだ。アサマやセツナ、そしてユウギリにオロチ、そして多くの兵たちと共に過ごし戦ってきた記憶。カムイに救われた私が、本当に守りたかった者たちとの絆……。そして奪われたことで変質した私自身の闇)

ヒノカ(奪わせない、奪われたくない、奪う者は誰であろうと殺す。そして、戻ってきてくれたみんなとずっと一緒に……。そんな幻想に浸って手放した私の思いだ。さっきまでそれは失われていたはずの思い、それがどうして今ここにあるのかはわからない。分からないが、それを考えている時間は無い)

ヒノカ(……もう一度私の中に、戻ってきてくれるか?)スッ

 シュオンッ…… ゴオオオッ

ヒノカ(さっきまで穏やかだった水面が、新しい水面に包まれ始める。黒く暖かいこの闇が私を包んでくれる。隙間に入り込んだ泥を掻き出して、失ったはずの絆が傷口を埋めてくれる。溢れるのは悲しみと憎悪、だけどそれはこの絆があってこそ生まれた物、私が一度失ったもの……)

ヒノカの臣下たち『……』

ヒノカ(みんな、すまなかった……)

ヒノカ(……私が守るべきものはこれだったんだ……。こんな回り道と時間を掛けて、ようやく気づくなんて馬鹿じゃないか……。私にはこれだけあればよかった。たとえそれがどれほどの憎悪であったとしても、私はお前たちを覚えていることが何よりも尊い願いだった……。だからこそ、私は今この中に渦巻く、この憎悪を許すわけにはいかない。私の願いだけじゃない、ここまで命を賭して私を救おうと戦い続ける妹のためにも……)

ヒノカ(そもそも、私がここまで戦ってきた理由、それはカムイ、お前のためだった。お前を救い出すことが私の原動力、そして今がその時なんだろう)

ヒノカ(……待っていてくれ)

ヒノカ(もう心は侵されることはない、偽りの誘惑に負けることもない。今はただ、私の望む最初の願いのために立ち向かおう。そう――)

ヒノカ「カムイ、お前のために……」


592 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 21:50:48.53zXuUfhy20 (15/21)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『王の間・玉座前』―

カムイ「っ……が……」ギリッ ギリギリッ

アクア「カムイ!」ダッ

ヒノカ「……」

カムイ「ヒノカ……さん、ぐっ、うあああっ……」

カムイ(もう、これ以上耐え切れない……。意識が……もう……)

カムイ「ヒノカさん、ごめんなさい……。私はあなたを……」

ヒノカ「……大丈夫だ、カムイ」

カムイ「え?」

ヒノカ「……はああっ」ブンッ

カムイ「あ……」フワッ

アクア「カムイ!? っ!」ダッ

ダキッ ズササーッ

アクア「っ、ううっ! カムイ、大丈夫!?」

カムイ「……ううっ、アクアさん? ごほっ、ごほごほっ……」

アクア「動かないで。とても動ける状況じゃないのよ」

カムイ「はい、ごほごほっ。それより、一体何が起きて……」

アクア「それが、ヒノカがあなたを放り投げて……え!?」

カムイ「アクアさん?」

アクア「広がっていた奴の力が段々弱くなって……。いえ、これは――」

ヒノカ「……」



593 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 21:52:20.04zXuUfhy20 (16/21)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
―白夜王国・王都『中央広場』―

謎の兵士たち『……』ドドドドドドドドッ

暗夜兵「次の連中が来るぞ。戦いが終わるまで我らのするべきことは決まっている。剣を抜け!」

暗夜兵たち『おおおーーっ!』シャキンッ

白夜兵「はぁ……はぁ……」

暗夜兵「白夜兵よ、もう戦えないのならば下がれ。お前たちが抜けたくらいで我々の隊列が崩れることはない」

白夜兵「……ふん、ここには我々が守るべき民がいる。尻尾を巻いて逃げることなどできるはずがないだろう」

暗夜兵「ならば、準備をしろ。次の戦列は一筋縄ではいかないぞ」

白夜兵「心配は無用だ。民を守る準備は元から出来ている」

暗夜兵「そうか。では何も言うまい、このまま共に敵を討ち倒すまでだ」

謎の兵士たち『……』ドドドドドドドッ

暗夜兵「全員、構え!」

暗夜兵たち『!!!』チャキンッ!

白夜兵「各自、抜刀せよ!」

白夜兵たち『!!!!』シュキンッ!

謎の兵士たち『……』ドドドドドドドドッ

 チャキッ カチャンッ!

謎の兵士たち『……』ドドドドドドドドドッ!




 ピチャン……




謎の兵士たち『……』タタタッ タッ タッ……

暗夜兵「む?」

白夜兵「な、なんだ?」

謎の兵士たち『……』

暗夜兵(敵が動きを止めた?)

 ボタッ……ボチャンッ

暗夜兵「!?」

謎の兵士「……」ググッ ビチャンッ 

 ドサリッ ドプンッ……

白夜兵「き、消えていく?」

暗夜兵「これは一体……」


594 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 22:02:16.19zXuUfhy20 (17/21)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇◇◇◇◇◇

 シュオオオンッ ポタッ ポタタタッ

オロチ「……ふむ、わらわ達の意識が消えるよりも先に決着が付いたようじゃのう」

ユウギリ「そのようですわ。ふふっ、約束通り、ヒノカ様を止めて下さったと考えていいのでしょうね」

オロチ「うぷぷぷっ、そうじゃのう……。まったく本当におかしな話じゃ。こうして敵国だった者を信じ、そしてそれがわらわ達との約束を確かに守っておるとはのう……。退屈を潰す暇もなかったではないか」

ユウギリ「ええ、、オロチにとってこの方がよろしかったでしょう?」

オロチ「あはははは、その通りじゃ。本当に最後の最後にやってくれるとは、これで思い残すことは何もなくなったからのう」

ユウギリ「ええ、それに体がもう持ちませんわね」

 ドロリッ……

ユウギリ「これで終わりですね……」

オロチ「うむ……そうじゃな……」

 ボタリッ……

ユウギリ(先に待っていますね……)

オロチ(ヒノカ様……)

 ドプンッ……


595 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 22:08:36.91zXuUfhy20 (18/21)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ポタリッ……

セツナ「あ……」

アサマ「おやおや、もう時間のようですね」

セツナ「ん……あっという間だった……」

アサマ「ええ、楽しい時間というのは早く過ぎ去ってしまうものなのでしょう。しかし、まさかヒノカ様のために動けたことに感動を覚える日が来るとは思ってもいませんでしたが」

セツナ「ふふ…、アサマ嬉しそう…」

アサマ「……ええ、うれしいですとも」

セツナ「アサマ…、とっても素直…」

アサマ「そういうあなたはどうなのですか?」

セツナ「うん、うれしいよ。ヒノカ様、最後にちゃんと戻ってきてくれたから…。私、前に進むヒノカ様が好き…」

アサマ「そうですね。結局、私もあの人の真っ直ぐであり、悪く言えば愚直で他人のために苦悩する姿に惹かれたのかもしれません」

セツナ「うん、私もそう思う……あれ?」ポタリッ

 ドサッ

アサマ「おや、セツナさん?」

セツナ「……足、取れちゃった……」

 ドサッ!

セツナ「アサマ?」

アサマ「ふむ、私も同じようです。足が取れてしまいました」

セツナ「ふふ、同じだね…」

アサマ「ええ、同じですねぇ」

セツナ「私、疲れちゃった…」

アサマ「そうですね、確かにとても疲れました。あとは口うるさい主が起こしに来るまでサボってしまいましょう」

セツナ「うん、今ならヒノカ様が起こしに来てくれる気がする……。どんなに時間が経っても、私とアサマの事ちゃんと起こしに来てくれる気がする……」

アサマ「それでは、それを信じて眠るとしましょう……。最後の最後、私たちはヒノカ様に尽くせたはずです」

セツナ「えへへ…そうならとっても嬉しい…。それじゃ、おやすみなさい……」

アサマ「ええ、おやすみなさい」

アサマ(ヒノカ様、私もお先に失礼させていただきますね……)

アサマ「」

セツナ「」

 ドプンッ……



596 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 22:19:50.88zXuUfhy20 (19/21)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―王の間・玉座前―

アクア「これは……」

カムイ「アクアさん、一体何が起きて――」

アクア「広がったはずの力がヒノカに集まってる。でも、集まっているだけで広がる気配が無いの。まるで、ヒノカがそれを貯め込んでいるみたいに……」

カムイ「貯め込んでいるって……」

カムイ(これは一体……)

ヒノカ「カムイ……」

カムイ「ヒノカさん……」

ヒノカ「本当にお前は大した奴だよ。こんな状況にあっても諦めず、私を救うために苦しむ道を選べるのだから………」

カムイ「そんなことありません、私は……」

ヒノカ「謙遜しないでくれ、お前は私にとって自慢の妹だ。お前が私のことを姉と呼んでくれなくても、私はお前の姉であることを誇りに思うよ」

カムイ「ヒノカ……さん」

ヒノカ「だから、そんなお前の灯をここで終わらせたりはしない」

 シュオオオンッ

ヒノカ「私が戦うことを決めたこと、ここまで思いや日々に意味があったとするなら、それはお前を守ることのはずだからな」


597 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 22:24:43.23zXuUfhy20 (20/21)

 シュオオオオオオンッ!

カムイ「ヒノカさん! 待ってください、私はあなたを――」

ヒノカ「大丈夫だ。私の思いはもうこんな偽りの闇に負けたりはしない。大切な物は取り戻した。お前が救ってくれたんだ」

カムイ「え……」

ヒノカ「……お前がもしもここにいなかったら、そして私を助けるために戦ってくれなかったら、私は大切な物を思い出せなかった。何もわからないままに消え去ることを、お前は止めてくれた。そして、お前のために戦う機会をくれた。それだけで、私は救われている。もう、これ以上ないほどにな……」

カムイ「ヒノカさん……」

ヒノカ「……うれしいよ。お前が私にそんな顔をしてくれることが、心配してくれることが、悲しんでくれることが、とてもうれしいんだ」

カムイ「当たり前です、だってあなたは……私の……」

ヒノカ「ふふっ、それ以上は言わなくていい。もう、それ以上の言葉は持って行けそうにないからな」

カムイ「ヒノカさん……」

ヒノカ「カムイ……、私を救ってくれてありがとう……」

シュオオオオオオオンッ

カムイ「!!」ダッ

カムイ(やめてください、そんなさよならみたいな言葉。私は、あなたを……)

カムイ「ヒノカさん!!!!」

ヒノカ「……」ニコツ

カムイ(……見えない瞼に感じた光の波動はとても暖かくて、とても優しくて、そしてどこまで強く気高いものに感じた)

カムイ(だけど、その優しさの中で大きな音がした……)

(それは耳に残り、重く体に響き渡った……)

―第二十五章 終わり―



598 ◆P2J2qxwRPm2A2019/02/28(木) 22:28:30.34zXuUfhy20 (21/21)

今日はここまで

 二十五章はこれにて終わりです。
 
 キャラ同士の支援に関する安価を後日上げようと思うので、よろしければご参加いただけると幸いです。



599 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/01(金) 22:05:48.2845G67xdf0 (1/4)

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターA
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB++
(カムイに従者として頼りにされたい)
フローラA
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドA
(あなたを守るといわれています)
マークスB++
(何か兄らしいことをしたいと考えています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)

―暗夜第二王子レオン―
オーディンA
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンA
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカB++
(生きてきた世界の壁について話をしています)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼA
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB+
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィB++
(一緒に訓練をしました)

―白夜第二王女サクラ―
サクラA
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
カザハナA
(素ぶりを一緒にする約束をしています)
ツバキB
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテA
(返り討ちにあっています)
フランネルB+
(宝物を見せることになっています)
サイラスB+
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB++
(許されることとはどういうことなのかを考えています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
モズメB++
(時々料理を食べさせてもらう約束をしています)
リンカB+
(過去の雪辱を晴らそうとしています)
ブノワC+
(イベントは起きていません)
アシュラB
(暗夜での生活について話をしています)


600 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/01(金) 22:08:13.1245G67xdf0 (2/4)

 仲間間支援の状況-1-

●異性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・レオン×カザハナ
 C[本篇の流れ] B[3スレ目・300] A[3スレ目・339]
・ジョーカー×フローラ
 C[1スレ目・713~715] B[1スレ目・928~929] A[2スレ目・286]
・レオン×サクラ
 C[1スレ目・511~513] B[2スレ目・297~299] A[3スレ目・797]
・ラズワルド×ルーナ
 C[1スレ目・710~712] B[2スレ目・477] A[4スレ目・177]
・アクア×オーディン
 C[3スレ目・337] B[3スレ目・376] A[4スレ目・353]
・ルーナ×オーディン
 C[4スレ目・352] B[4スレ目・411] A[4スレ目・460]
・ラズワルド×エリーゼ
 C[1スレ目・602~606] B[3スレ目・253] A[4スレ目・812]
・ベルカ×スズカゼ
 C[3スレ目・252] B[3スレ目・315] A[5スレ目・57]
・オーディン×ニュクス
 C[1スレ目・839~840] B[3スレ目・284] A[5スレ目・362]
・サクラ×ラズワルド
 C[5スレ目・303] B[5スレ目・337] A[5スレ目・361]
・アクア×ゼロ
 C[1スレ目・866~867] B[4スレ目・438] A[5スレ目・456]
・ラズワルド×ピエリ
 C[5スレ目・823] B[5スレ目・862] A[5スレ目・890]
・マークス×リンカ
 C[5スレ目・888] B[5スレ目・920] A[6スレ目・6]
・ブノワ×フローラ
 C[2スレ目・283] B[2スレ目・512] A[6スレ目・31]
・レオン×エルフィ
 C[3スレ目・251] B[4スレ目・437] A[6スレ目・49]

【支援Bの組み合わせ】
・エリーゼ×ハロルド
 C[2スレ目・511] B[2スレ目・540]
・アシュラ×サクラ
 C[3スレ目・773] B[5スレ目・106]
・ギュンター×ニュクス
 C[3スレ目・246] B[5スレ目・480]
・ブノワ×エルフィ
 C[5スレ目・822] B[6スレ目・77]
・レオン×ピエリ
 C[6スレ目・76] B[6スレ目・107]
・ツバキ×モズメ
 C[5スレ目・15] B[6スレ目・317]

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
 C[1スレ目・377~380]
・モズメ×ハロルド
 C[1スレ目・514~515]
・ルーナ×ハロルド
 C[3スレ目・375]
・カザハナ×ツバキ
 C[3スレ目・772]
・ラズワルド×シャーロッテ
 C[5スレ目・479]


601 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/01(金) 22:09:06.3845G67xdf0 (3/4)

仲間間支援の状況-2-

●同性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・リンカ×アクア
 C[1スレ目・888~889] B[2スレ目・285] A[3スレ目・254]
・ピエリ×カミラ
 C[1スレ目・752~753] B[2スレ目・478] A[2スレ目・513]
・フェリシア×ルーナ
 C[1スレ目・864~865] B[1スレ目・890~891] A[1スレ目・930~931]
・フローラ×エルフィ
 C[1スレ目・471~472] B[3スレ目・338] A[3スレ目・377]
・レオン×ツバキ
 C[1スレ目・492~493] B[1スレ目・870] A[3スレ目・798]
・ベルカ×エリーゼ
 C[2スレ目・284] B[3スレ目・301] A[4スレ目・354]
・ピエリ×ルーナ
 C[3スレ目・249] B[4スレ目・317] A[4スレ目・412]
・アクア×ルーナ
 C[3スレ目・283] B[4スレ目・461] A[4スレ目・813]
・カミラ×サクラ
 C[4スレ目・175] B[5スレ目・58] A[5スレ目・107]
・ギュンター×サイラス
 C[1スレ目・926~927] B[3スレ目・316] A[5スレ目・363]
・シャーロッテ×カミラ
 C[2スレ目・476] B[4スレ目・439] A[5スレ目・436]
・ラズワルド×オーディン
 C[4スレ目・459] B[5スレ目・338] A[5スレ目・457]
・フェリシア×エルフィ
 C[1スレ目・367~368] B[2スレ目・541] A[5スレ目・481]
・サクラ×ニュクス
 C[5スレ目・860] B[5スレ目・889] A[5スレ目・919]
・エリーゼ×カザハナ
 C[5スレ目・14] B[5スレ目・921] A[6スレ目・7]
・ルーナ×カザハナ
 C[4スレ目・780] B[5スレ目・861] A[6スレ目・32]
・ルーナ×フローラ
 C[4スレ目・781]  B[6スレ目・50] A[6スレ目・78]

【支援Bの組み合わせ】
・シャーロッテ×モズメ
 C[3スレ目・248] B[3スレ目・285]
・ベルカ×ニュクス
 C[4スレ目・176] B[4スレ目・410]
・ジョーカー×ハロルド
 C[1スレ目・426~429] B[5スレ目・336]
・サクラ×エルフィ
 C[3スレ目・774] B[6スレ目・108]

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
 C[1スレ目・423~425]
・ピエリ×リンカ
 C[3スレ目・247]
・ピエリ×フェリシア
 C[3スレ目・250]
・フローラ×エリーゼ
 C[4スレ目・178]
・エルフィ×ピエリ
 C[3スレ目・771]
・スズカゼ×オーディン
 C[4スレ目・318]
・ハロルド×ツバキ
 C[5スレ目・56]
・アシュラ×ジョーカー
 C[5スレ目・105]
・マークス×ギュンター
 C[5スレ目・302]
・ラズワルド×ブノワ
 C[5スレ目・435]
・シャーロッテ×サクラ
 C[6スレ目・30]
・カミラ×アクア
 C[6スレ目・106]
・シャーロッテ×カザハナ
 C[6スレ目・314]
・エリーゼ×カミラ
 C[6スレ目・315]


602 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/01(金) 22:21:14.9945G67xdf0 (4/4)

 今日は現状支援の確認だけです。
 少し間に話を入れてから、二十六章に入ろうと思います。

 この先の展開を安価で決めたいと思います、参加していただけると幸いです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 前回の戦闘に参加したキャラクター同士の支援の安価をしたいと思います。
 まずは二組で、次の時にもう二組の安価を取る形でお願いいたします。

◆◇◆◇◆◇
 一組目
―ハロルドと支援を組む相手―
・レオン
・サクラ
(サクラとレオンの組み合わせは支援Aのため選択できません)

 >>603

◆◇◆◇◆◇
二組目
・カミラ
・スズカゼ
・ブノワ

 >>604と>>605

 このような形ですが、よろしくお願いいたします。


603以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/02(土) 01:15:27.78DkK5NwjIO (1/1)

レオン


604以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/02(土) 23:11:19.15uovsNDumO (1/1)

スズカゼ


605以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/03(日) 09:41:46.92bcBPngue0 (1/1)

ブノワでお願いします


606 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/04(月) 22:26:43.58c2GxProO0 (1/3)

◆◇◆◇◆◇
―暗夜王国・王都『王城クラーケンシュタイン・書物庫』―

レオン「ん、ハロルド?」

ハロルド「レオン様、こんにちは」

レオン「ああ、こんにちは。こんなところで何をしているんだ? 正直、君が来るような場所だには思えないんだけど」

ハロルド「はい、先ほど廊下で溜息を吐いている人がいまして、近くには大量の書物が積み上げられていたのです。話を聞くと、すべてここに運ぶようにと頼まれてしまったということでした。居ても立ってもいられず、そのお手伝いをしていた次第です」

レオン「エリーゼや他のみんなから聞いてた通り、君はお人好しなんだね。そんなことに手を貸す必要なんてないと思うけど」

ハロルド「ははっ、困っている人を助けるのは私の生き甲斐ですから」

レオン「そうかい。それじゃ用事が済んだのなら持ち場に戻ってくれ」

ハロルド「はい、わかりました。それではレオン様、失礼いたします」

レオン「さてと、次の軍議に使う資料は……これと、あれと……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

レオン「ふぅ、ざっとこんなものかな」

レオン「……はぁ、思ったより多いけど仕方ないか。大切な資料だし、一気に持っていって落とすのもまずいからここは往復して――」

ハロルド「何かお困りですか?」

レオン「うわっ、ハロルド!? 持ち場に戻ったんじゃ」

ハロルド「いえ、困った溜息が聞こえたので。レオン様、何かお困りですか?」

レオン「いや、それほど困ってはいないよ」

ハロルド「そうですか。む、そこに置いてある書物の山、運ぶのでしたら私がお手伝いいたしましょう」

レオン「いや、これは僕が運ぶよ。それなりに貴重な資料だからね」

ハロルド「そうですか、わかりました。ですが、何かお困りのことがありましたらお声がけください、いつでもお手をお貸しいたしますので」

レオン「ああ、機会があったらお願いするよ」

『レオンとハロルドの支援がCになりました』



607 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/04(月) 22:43:03.73c2GxProO0 (2/3)

◆◇◆◇◆◇
―暗夜王国・王都『近隣の森』―

ブノワ「もうないか…。ここ一帯もノスフェラトゥが増えて荒らされてしまったから仕方ないか…」

スズカゼ「おや、ブノワさん。どうしたのですか、こんなところに」

ブノワ「スズカゼか…。少し探しものをしていた…」

スズカゼ「ふむ、ここは先日ノスフェラトゥが現れた場所ですね。もしや、何か落としてしまったのですか?」

ブノワ「いや、何も落としてはいない…。ここに元からあったものを探していた…」

スズカゼ「元からあった物ですか? そういえば、ここは木々が多かった場所ですね」

ブノワ「ああ…。ある樹木を探している…。どうやら前の戦闘で破壊されてしまったようでな…。新しいのを見つけなくてはいけない様だ…」

スズカゼ「ブノワさん、よろしければその樹木探し、私も手伝いましょう」

ブノワ「い、いいのか…?」

スズカゼ「はい、こうしてブノワさんとお会いしたのも何かの縁でしょう。それにその様子では中々珍しい樹木であると推察できます」

ブノワ「ああ、だから手伝ってもらうのは悪い気がする…」

スズカゼ「いいえ、見つかり辛いのなら尚更です。ブノワさん一人で探すより、私もご一緒したほうが早く見つかるかもしれませんので」

ブノワ「そうか、それじゃお願いできるか…」

スズカゼ「はい、お任せください」

『ブノワとスズカゼの支援がCになりました』


608 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/04(月) 23:07:41.76c2GxProO0 (3/3)

今日は支援だけで。

 スズカゼの支援を改めてみると、ほとんど女子との支援しかないなって思った


609 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/07(木) 22:13:46.49I1LaIrqq0 (1/6)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『対談室』―
~白夜王都決戦から五日後~

レオン「――以上が今の状況だよ、マークス兄さん」

マークス「ありがとう、レオン。白夜の兵力は七割壊滅していたとは……。あの白夜平原での開戦からとはいえ、兵力がそこまで壊滅的な被害を受けていたのか」

レオン「一番の犠牲者が出たのはスサノオ長城での戦いみたいだ。ミタマから話を聞いたけど、スサノオ長城から脱出して王都に辿り着けたのは、全体の二割以下だったらしい」

マークス「その結果、王都防衛に民が駆り出される形になったというのか……。今回の戦闘で民間人の犠牲は多かったようだ……」

レオン「僕たちとの戦闘での民間人の犠牲者はほぼいなかったみたいだ。マークス兄さんの指示通り、王都正門の部隊は攻撃を抑えてくれたみたいだね」

マークス「ああ、目的はユキムラが率いていた強行派を抑え込むことだったからな……。できれば、リョウマ王子も救い出せればよかったのだが……。それは叶わなかったな」

レオン「うん……」

マークス「どうした、レオン?」

レオン「……ねぇ、兄さん一つだけ聞いてもいいかな?」

マークス「なんだ?」

レオン「リョウマ王子にとっての正義は報われると思うかい?」

マークス「リョウマ王子の正義?」

レオン「うん、リョウマ王子は信じた正義を清算することを選んで、それと共に消えることを選んだ。それが本当に望んでいた白夜の再建、かつての優しい白夜へ繋がると信じてね」

マークス「それがリョウマ王子の正義……ということか」

レオン「それで、兄さんから見てその思いは報われると思うかい?」



610 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/07(木) 22:32:10.51I1LaIrqq0 (2/6)

マークス「お前が求めている答えが、報われるであることは察している。だが、今の状況で答えは出ないだろう。正義のすべてが報われるのであれば、どこにも争いは生まれず、そもそも正義と呼ばれるものも存在しないだろう。そして、絶対的な正義などありはしないことを、われわれはもう知っているはずだ」

レオン「……」

マークス「だが、その貫いた正義が間違えであったと決めつけるのは早い。私が新生暗夜を率いて革命を起こしたことも、それが最善の選択であったのかを決めるのは当事者であるわれわれではない。この先、それを客観的に見ることができるようになった者たちだけだろう。ただ……」

レオン「?」

マークス「リョウマ王子が民を思い、闘ったことを多くの者が理解している。それはこの先どんなことがあっても変わらない。そして、われわれも知っている。そんな人々がこの先も生きていくと考えれば、希望が持てるだろう?」

レオン「そうだね……。ありがとう兄さん、少しだけ心の整理が付いたよ」

マークス「そうか、それはよかった」

レオン「さてと、これで報告は終わりだね……ん?」

サクラ「し、失礼します。マークスさん、少しお話が……」

レオン「サクラ王女?」



611 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/07(木) 22:35:25.53I1LaIrqq0 (3/6)

サクラ「あ、す、すみません。お話し中でしたか?」

レオン「いや、大丈夫だよ。丁度終わったところだからね」

マークス「ああ、レオンからの報告はもう終わっている。それで何かあったか?」

サクラ「はい、その、怪我をした人たちの中でも特に重症の方々をお城の方に移動させられないかと思って、部屋の方はすでに目星を付けてみたんですけど、どうでしょうか?」

マークス「重症患者の移送の件か。わかった、本日中に後続の部隊が到着する予定だ。明日にでも患者の移送は行えるように手筈を整えて置こう」

サクラ「ありがとうございます、マークスさん」

マークス「いや、礼を言うのはわれわれの方だ。負傷者などへの医療支援についてはサクラ王女に任せてしまっている部分がある。本来ならば、こちらが何とかしなくてはならないことなのだが……」

サクラ「い、いえ。私がやりたいからやっているんです。それにマークスさんもレオンさんも他にやらなくてはいけないことがあるはずだから……」

マークス「いや、自分で選択しそれを成すことはなかなかできる事ではない。サクラ王女は見た目と違って強い女性なのだな」

レオン「たしかにね。華奢な見た目だけど、実際カザハナと同じくらい体力あるからさ」

サクラ「そ、そうでしょうか……」


612 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/07(木) 22:39:09.64I1LaIrqq0 (4/6)

レオン「あんまり自覚は無いんだね。まぁ、カザハナはそれに我侭が入るから手に負えない部分もあるんだけど――」

カザハナ『誰が我侭ですって!?』

ツバキ『カザハナ、大声出さないでくれるかなー』

サクラ「わっ! カザハナさん!?」

レオン「カザハナとツバキが廊下にいたのか……」

サクラ「は、はい。その、これから城下町の広場に向かうつもりだったので」

レオン「広場に?」

サクラ「はい、ようやく火災も収まったので、倒壊した建物の片づけのお手伝いに行こうと思ってたんです」

マークス「なるほど、それで重症患者の移動も考えていたと言う事か。明日から本格的な撤去も始まる以上、重傷者には出来る限り配慮したいところだからな」

カザハナ「そういうわけだから、レオン王子も手伝ってよ」

レオン「そういうわけってなに?」


613 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/07(木) 22:43:37.54I1LaIrqq0 (5/6)

カザハナ「どうせこの後の予定はないんでしょ? だったら手伝ってもいいじゃん」

レオン「はぁ、本当に我侭だね、カザハナは……。兄さん、資料はここに置いておくよ。ちょっと、城下町の様子を見てくるよ」

マークス「ああ、資料には目を通して置こう。それと、戦闘が終わって間もないから、サクラ王女の護衛を頼む。ユキムラの率いた強行派は抑えているが、何が起きるかはまだ分からない。用心に越したことはないだろう」

カザハナ「うん、そうだよ。レオン王子はあたしたちのこと、まだ白夜に返したって言ってないんだから」
レオン「……そうだね。まだ、君たちをちゃんと白夜に返してあげたって状況とは言い辛いし、こっちも出来る限りの事を白夜の人たちにしてあげたいからね」

サクラ「レオンさん……。ありがとうございます」

カザハナ「そうと決まればさっさといこ!」タタタタタッ

レオン「わかったから、そう急かさないで。それじゃ、兄さん。ちょっと行ってくるよ」

マークス「ああ、気を付けてな」

 タッ タッ タッ 

マークス「しかし、多くの民間人が、先の戦闘で犠牲になってしまったか……」

マークス(少しでも早く、戦闘の終結を城下町の白夜兵や民間人に伝えることが出来たのならば、これほどの犠牲を出さずに済んだかもしれない……)

『民間人の死者は全体の三割に達する可能性あり。城下町の至る所に戦闘の形跡が見つかったが、死体は一人たりとも見つかっていない。おそらく奴らが回収していったと思われる』

マークス「まだ戦いは終わらない。そういうことだろう……

「異形神……」



614 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/07(木) 22:47:55.57I1LaIrqq0 (6/6)

今日はここまでで

 ついにFEifのビジュアル資料集が発売されますね。
 幻のペガサスナイトリリスとか、ニンジャマスタースズカゼのラフ絵とかあったらいいな。

 次の展開を安価で決めたいと思います、参加していただけると幸いです
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
 
 前回の戦闘でチームを組んだキャラ同士の支援を決めたいと思います。

◆◇◆◇◆◇
 三組目
・カザハナ
・ギュンター
・ニュクス

>>615と>>616

◆◇◆◇◆◇
 四組目
・マークス
・ピエリ
・エリーゼ

>>617と>>618

すみませんがこのような形でよろしくお願いいたします。




615以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/08(金) 05:59:02.05VGyIwVOdO (1/1)

ニュクス


616以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/09(土) 21:05:18.80A3yAI1mW0 (1/1)

ギュンター


617以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/09(土) 22:16:51.36CIuLuRv8o (1/1)

エリーゼ


618以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/10(日) 15:59:09.69GzdRClCx0 (1/1)

マークス


619 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/12(火) 22:23:04.40VwYZi0ET0 (1/11)

◆◇◆◇◆◇
―暗夜王国・北の城塞『書物庫』―

ニュクス「ギュンター、ちょっといいかしら?」

ギュンター「どうかしましたか、ニュクス様?」

ニュクス「あなたに声を掛ける事情なんてあまりないのに、改めて聞くこともないでしょう? これよ、丁度読み終わったの」

ギュンター「そうでしたか。中々に読み応えのある量だとは思いましたが、これほど早く読了するとは……」

ニュクス「そ、そんなことはどうでもいいでしょう?」

ギュンター「ふっ、そうですな。では、次巻の方を……」

ニュクス「その前に、こういった本があまり手が届きにくい場所にある理由を教えてほしいのだけれど」

ギュンター「ほう。ニュクス様も不思議なことを気にされますな」

ニュクス「はぐらかさないでちょうだい。それとその様付けはいいわ。私は御客じゃないの呼び捨てで構わないわ。さすがにあなたの方が私よりも歳が上でしょうし」

ギュンター「そうか、ではニュクスと。うむ、それで本が上段にある事情について聞きたかったのだな?」

ニュクス「ええ、わざわざ恋愛小説ばかりを高い所に保管している理由、気になるには気になるのよ」

ギュンター「このようにしているの理由は、カムイ様に関係があります」

ニュクス「カムイ……。そういえば、昔はよく話を読み聞かせていたとか言っていたわね」

ギュンター「はい。基本的にカムイ様は無差別に本を選ばれます、その本を私が読み聞かせていたのです。そんなある日、カムイ様は恋愛小説『恋するリザイア』をお持ちになられました」

ニュクス「………なるほどね。理解したわ」

ギュンター「はっはっは、あれは中々に厳しい戦いでしたな。幾ら歳を重ねようと……いえ、ちがいますな。正確には重ねたからこそ、文書を口に出して読む行為が辛かった」

ニュクス「……冒頭のリザイアの独白、あれも読んだのよね?」

ギュンター「私はもう二度とそんなことが無いようにと、恋愛小説に連なる類の書物は出来る限り高い段にあげたというわけです」

ニュクス「そう、ギュンターも苦労しているのね。さすがに私もこの歳になってあんな本を声に出して読めと言われたら、死を覚悟するもの……」

ギュンター「だが、ニュクスはその本が気に入っているのだろう? 次で最終巻だが、どうする?」

ニュクス「ええ、貸してちょうだい。まさか二巻のラストで想い人まで本になるとは思ってなかったから、正直続きが気になっているの」

ギュンター「そうか、わかった」

ニュクス「あと、それを読み終わった後も、時々本を取ってもらってもいいかしら? その私じゃ……わかるでしょう?」

ギュンター「わかっている。その時は声を掛けるといい」

ニュクス「ええ、そうさせてもらうわね、ギュンター」

『ギュンターとニュクスの支援がAになりました』



620 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/12(火) 22:31:14.99VwYZi0ET0 (2/11)

◆◇◆◇◆◇
―暗夜王国・王都『王城クラーケンシュタイン・談話室』―

エリーゼ「……んー、これって……そういうことなのかな?」

マークス「む、エリーゼ、何を読んでいるんだ?」

エリーゼ「わっ、マークスおにいちゃん!? いつからそこにいたの!?」

マークス「今来たところだ。なにやら難しい顔をしているから何を読んでいるのか気になってな」

エリーゼ「あ、うん……。これなんだけど」

マークス「む、政治学の本か。あまりエリーゼが読む本とは思えないが、一体どうしたんだ?」

エリーゼ「えっとね、そろそろあたしもそういうのに触れた方がいいって言われて……」

マークス「そうか。エリーゼは、その本の内容をどう思う?」

エリーゼ「うーん、よくわからない……かな?」

マークス「ふっ、エリーゼらしい答えだな。正直、まだまだエリーゼには難しい本ではあるはずだ。ゆっくり理解していけばいい」

エリーゼ「うん……だけどこの本に書いてあること……」

マークス「?」

エリーゼ「う、ううん、何でもない。ねぇねぇ、マークスおにいちゃん、こういうのが分かるようになれたら、あたしも立派なレディになれるかな?」

マークス「ふむ。これが全てではないが、何かを得ることは成長の役に立つはずだ」

エリーゼ「そうなんだ。うん、あたし頑張るね、マークスおにいちゃん」

マークス「ああ」

『マークスとエリーゼの支援がCになりました』



621 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/12(火) 22:46:38.58VwYZi0ET0 (3/11)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『廊下』―

 タッ タッ タッ

アクア「ここをこうして歩くのも久しぶりね。だけど、少し前まではここに住んでいたというのに、今は全く別の場所のように感じてしまうなんてね……」

アクア(多分、思い出せる雰囲気と全く違う場所になってしまっているからかもしれない。幾月も戦いに身を置いていた空間は、異質に変わってしまう物なのかもしれないわね……」

アクア「……ん?」

サクラ「あ、アクア姉様」

アクア「サクラ、それにレオン?」

レオン「アクア、何をしているんだい?」

アクア「ちょっと気晴らしに城内を歩いているだけよ。あなた達は今から外に?」

サクラ「はい、城下町に。中央広場で瓦礫の片付けが行われるので、そのお手伝いに行こうと思っているんです」

アクア「中央広場に?」

サクラ「はい。少しでも何かお手伝いがしたいんです。私が白夜を離れている間、大変だった人たちのためにも何か出来ることがあるならって……」

アクア「ふふっ、サクラは強いのね」

サクラ「そんなことありません。私は……ただ何もしていないのが不安なだけで……。それに私は皆さんに助けられたからこそ、ここに戻って来れたわけですから……」

アクア「いいえ、そんなことないわ。あなたがちゃんと生きて白夜へ戻って来れたのは、あなた自身が強かったから。私たちはその手助けをしたに過ぎないわ。本当に白夜を思っているからこそ、テンジン砦での出来事であなたは立ち止まらずにここまで来れた。自信を持ちなさい、サクラ」

サクラ「アクア姉様……。ありがとうございます」



622 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/12(火) 22:53:34.74VwYZi0ET0 (4/11)

レオン「そういえば、カムイ姉さんは一緒じゃないのかい?」

アクア「カムイはヒノカの部屋にいるわ。たしかカミラも一緒のはずよ」

レオン「そうか……。カミラ姉さんもやっぱり気にしているんだね。サクラ王女は顔を出さなくていいのかい?」

サクラ「はい、朝に様子を見に行きましたから。カムイ姉様とカミラさん、それにミタマさんが傍にいてくれるので大丈夫だと思います」

アクア「ええ、大きな問題は無いわ。だけど……」

レオン「その様子だと、やっぱり芳しくないのかい?」

アクア「……ええ、目を覚ます気配が無いの。静かに眠っているけれど、それがいい事なのかどうかもわからないわ」

レオン「そうか、もう戦いが終わって五日が経つのか……」

アクア「あの戦闘で体を酷使していたのは間違いないわ。治療はほぼ済んだけれど、体全体の負担が抜けきっていないのかもしれない、どちらにしても後は待つしかない状態ね」

サクラ「目を覚ましてくれますよね……」

アクア「大丈夫。きっとヒノカは目を覚ましてくれるわ」


623 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/12(火) 23:04:15.95VwYZi0ET0 (5/11)

レオン「アクア、奴の力が残っている影響とかはありえないのかい? 玉座の力で奴の力が解き放たれたとはいうけれど、奴の力が少なからず残っていて、それがヒノカ王女を昏睡状態にしているとか……」

アクア「最初は私も考えたわ。だけど、奴の力はこの白夜王都から無くなっていた。あの時、この王都に広がっていた悪しき力のすべてをヒノカが集めて、玉座の力で浄化したんだと思う。そのおかげね、王都全域に奴の力は感じられないわ」

レオン「それじゃ、奴がこちらの隙を縫って攻撃を加えている可能性は?」

アクア「可能性が無いわけじゃない。だけど、そんな力の動きは感じられないの。仮に奴の眷属や力の流れがあったのなら、さすがに気づいているわ」

レオン「そうか。アクアがそういうなら間違いないんだろうね。そうなると、もう自然に目覚めるのを待つしかないって言う事か……」

サクラ「レオンさん、きっと大丈夫です。だって、ヒノカ姉様を助けられたんですから、私たちが落ち込むわけにはいきません」

アクア「サクラ……。ふふっ、そうね」

レオン「たしかにサクラ王女の言う通りだね。アクア、僕も後で顔を出すよ。これからの事をカムイ姉さんと話さないといけないだろうから」

アクア「ええ、今は混乱も収まっているけれど、誰かが白夜を引っ張っていく必要がある。マークスは白夜に支援はするけれど、属国にするつもりはないのでしょう?」

レオン「ああ、僕たちは支配するために戦ってきたわけじゃない。白夜と暗夜が手を取り合っていける、そんな未来を目指しているんだから」

サクラ「はい。きっと、そんな世の中になってくれるはずです」



624 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/12(火) 23:15:50.75VwYZi0ET0 (6/11)

アクア「それじゃ、私はヒノカの下に戻るわ。あなた達は待ってくれてる人がいるんだから、早く行ってあげなさい」

レオン&サクラ『……あ』チラッ

ツバキ&カザハナ『……』

レオン「立ち話ですっかり忘れてた。二人とも、今行くよ」

サクラ「ご、ごめんなさい。今行きます、それじゃアクア姉様、また」

アクア「ええ、がんばってきてね」

 タタタタタタタッ

アクア「……」

アクア(そう、五日間も過ぎてしまった。若干だけど、みんなの中に焦りが生まれてる。白夜の支援もそうだけど、何よりヒノカが生きていたことが大きかった分、目を覚まさないこの状況に不安が大きくなってる。先行きが分からない不安はどんどん膨らみつづけている。少しでも明るい話題があったらと、マークスが救援物資を持った後続の到着を急がせたりと色々してくれているわ)

アクア「だけど、白夜の人々は疲れ果てているみたい……」

アクア(多くの人が犠牲になった。そこにはリョウマが守ろうとした人たちもいる、そしてリョウマの最後の命令を全うしようとした人もいた。だけど、それに応えられたのかどうかわからずに苦悩している人もいる。だからヒノカには目を覚ましてほしい、それだけでも白夜の人々にとっては救いになりえるはずだから。それに……)

アクア「カムイにとっても……きっと……」

 タッタッタッ



625 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/12(火) 23:22:42.95VwYZi0ET0 (7/11)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―シラサギ城・城内『ヒノカの部屋』―

ヒノカ「スー スー」

 ポワンッ

ミタマ「はい、これで今日一日は大丈夫です。ふぅ、疲れましたわ」

カムイ「ありがとうございます、ミタマさん」

ミタマ「お礼など よしてください カムイ様 。主に尽くすのは臣下の務めですし、こうしてヒノカ様が存命されているという事実だけでもうれしいです、本当に感謝しきれませんわ」

カムイ「それは私も同じです、ヒノカさんが生きていてくれて本当にうれしかった。あの時、救う事が出来なかったんじゃないかと思って……。本当によかった……」

カミラ「ふふっ、それにしても穏やかな寝顔ね。ツンツンしたくなっちゃうわ」

ミタマ「気持ちはわかりますけど、今はおやめください。そういったことは、目覚めた後にしてくださいまし」

カミラ「わかっているわ。ふふっ、起きたらすぐにお茶会を開かないといけないわね」

カムイ「お茶会ですか?」

カミラ「ええ、ヒノカ王女と約束したのよ。無理にでもお茶会へ招待してあげるって」

カムイ「え、そんな約束をしていたんですか?」

カミラ「ええ、あの戦いの最中にね。それにカムイのことをもっと教えてもらえそうな気がするの。あなたが白夜で暮らしていた時の事とか、そういった話が聞きたいわね」

カムイ「白夜で暮らしていた頃ですか……。あまり思い出せそうにありません、私が思い出せた記憶と言えば、光を失った時の記憶くらいです」

ミタマ「光、その目のことですか?」

カムイ「ええ……」

カミラ「その話はやめましょう? あまりしていい話でもないもの。それより、少しだけ外を歩いてきたらどう? 朝からヒノカ王女の傍にいたんだから、少しは気分転換しないとだめよ」

カムイ「ですが、私は……」

カミラ「ヒノカ王女が心配なのはわかるけど、根を詰めすぎているわ。少しは息抜きもしないとだめよ」

ミタマ「カムイ様が倒れてしまわれては、手間が増えてしまいますもの。ここは少し休んでください」

カムイ「……わかりました。少しだけ席を外します。その……」

ヒノカ「……スースー」

カムイ「ヒノカさんのこと、お願いします」

ミタマ「はい、お任せをカムイ様」

カミラ「カムイ、いってらっしゃい」

 タッ タッ タッ

カムイ「……」

カムイ(あの戦いで響いたあの音は何だったんでしょうか? あのとても大きな音、今でも心の中に焼き付いているあの音は……)

カムイ「……いいんです。こうして、ヒノカさんはちゃんと生きていてくれたんですから」

カムイ(いつ目覚めるのかはまったくわかりません。でも、ヒノカさんがこうして生きていたんですから……。ならどうして、未だにあの音が焼き付いて離れないのですか、これでは――)

カムイ「……いいえ。考えなくていいんです。少し根を詰めていたのは間違いないみたいですね。悪いことばかり考えてしまいます……」

カムイ(少しだけ気分を変えた方がいいでしょう。そうでないと――)

(悪いことばかりが頭を過ってしかたありませんから……)




626 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/12(火) 23:24:22.50VwYZi0ET0 (8/11)

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターA
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB++
(カムイに従者として頼りにされたい)
フローラA
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドA
(あなたを守るといわれています)
マークスB++
(何か兄らしいことをしたいと考えています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)

―暗夜第二王子レオン―
オーディンA
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンA
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカB++
(生きてきた世界の壁について話をしています)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼA
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB+
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィB++
(一緒に訓練をしました)

―白夜第二王女サクラ―
サクラA
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
カザハナA
(素ぶりを一緒にする約束をしています)
ツバキB
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテA
(返り討ちにあっています)
フランネルB+
(宝物を見せることになっています)
サイラスB+
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB++
(許されることとはどういうことなのかを考えています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
モズメB++
(時々料理を食べさせてもらう約束をしています)
リンカB+
(過去の雪辱を晴らそうとしています)
ブノワC+
(イベントは起きていません)
アシュラB
(暗夜での生活について話をしています)


627 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/12(火) 23:26:48.04VwYZi0ET0 (9/11)

●異性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・レオン×カザハナ
 C[本篇の流れ] B[3スレ目・300] A[3スレ目・339]
・ジョーカー×フローラ
 C[1スレ目・713~715] B[1スレ目・928~929] A[2スレ目・286]
・レオン×サクラ
 C[1スレ目・511~513] B[2スレ目・297~299] A[3スレ目・797]
・ラズワルド×ルーナ
 C[1スレ目・710~712] B[2スレ目・477] A[4スレ目・177]
・アクア×オーディン
 C[3スレ目・337] B[3スレ目・376] A[4スレ目・353]
・ルーナ×オーディン
 C[4スレ目・352] B[4スレ目・411] A[4スレ目・460]
・ラズワルド×エリーゼ
 C[1スレ目・602~606] B[3スレ目・253] A[4スレ目・812]
・ベルカ×スズカゼ
 C[3スレ目・252] B[3スレ目・315] A[5スレ目・57]
・オーディン×ニュクス
 C[1スレ目・839~840] B[3スレ目・284] A[5スレ目・362]
・サクラ×ラズワルド
 C[5スレ目・303] B[5スレ目・337] A[5スレ目・361]
・アクア×ゼロ
 C[1スレ目・866~867] B[4スレ目・438] A[5スレ目・456]
・ラズワルド×ピエリ
 C[5スレ目・823] B[5スレ目・862] A[5スレ目・890]
・マークス×リンカ
 C[5スレ目・888] B[5スレ目・920] A[6スレ目・6]
・ブノワ×フローラ
 C[2スレ目・283] B[2スレ目・512] A[6スレ目・31]
・レオン×エルフィ
 C[3スレ目・251] B[4スレ目・437] A[6スレ目・49]
・ギュンター×ニュクス
 C[3スレ目・246] B[5スレ目・480] A[6スレ目・619]←NEW

【支援Bの組み合わせ】
・エリーゼ×ハロルド
 C[2スレ目・511] B[2スレ目・540]
・アシュラ×サクラ
 C[3スレ目・773] B[5スレ目・106]
・ブノワ×エルフィ
 C[5スレ目・822] B[6スレ目・77]
・レオン×ピエリ
 C[6スレ目・76] B[6スレ目・107]
・ツバキ×モズメ
 C[5スレ目・15] B[6スレ目・317]

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
 C[1スレ目・377~380]
・モズメ×ハロルド
 C[1スレ目・514~515]
・ルーナ×ハロルド
 C[3スレ目・375]
・カザハナ×ツバキ
 C[3スレ目・772]
・ラズワルド×シャーロッテ
 C[5スレ目・479]
・マークス×エリーゼ
 C[6スレ目・620]←NEW


628 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/12(火) 23:28:19.40VwYZi0ET0 (10/11)

●同性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・リンカ×アクア
 C[1スレ目・888~889] B[2スレ目・285] A[3スレ目・254]
・ピエリ×カミラ
 C[1スレ目・752~753] B[2スレ目・478] A[2スレ目・513]
・フェリシア×ルーナ
 C[1スレ目・864~865] B[1スレ目・890~891] A[1スレ目・930~931]
・フローラ×エルフィ
 C[1スレ目・471~472] B[3スレ目・338] A[3スレ目・377]
・レオン×ツバキ
 C[1スレ目・492~493] B[1スレ目・870] A[3スレ目・798]
・ベルカ×エリーゼ
 C[2スレ目・284] B[3スレ目・301] A[4スレ目・354]
・ピエリ×ルーナ
 C[3スレ目・249] B[4スレ目・317] A[4スレ目・412]
・アクア×ルーナ
 C[3スレ目・283] B[4スレ目・461] A[4スレ目・813]
・カミラ×サクラ
 C[4スレ目・175] B[5スレ目・58] A[5スレ目・107]
・ギュンター×サイラス
 C[1スレ目・926~927] B[3スレ目・316] A[5スレ目・363]
・シャーロッテ×カミラ
 C[2スレ目・476] B[4スレ目・439] A[5スレ目・436]
・ラズワルド×オーディン
 C[4スレ目・459] B[5スレ目・338] A[5スレ目・457]
・フェリシア×エルフィ
 C[1スレ目・367~368] B[2スレ目・541] A[5スレ目・481]
・サクラ×ニュクス
 C[5スレ目・860] B[5スレ目・889] A[5スレ目・919]
・エリーゼ×カザハナ
 C[5スレ目・14] B[5スレ目・921] A[6スレ目・7]
・ルーナ×カザハナ
 C[4スレ目・780] B[5スレ目・861] A[6スレ目・32]
・ルーナ×フローラ
 C[4スレ目・781]  B[6スレ目・50] A[6スレ目・78]

【支援Bの組み合わせ】
・シャーロッテ×モズメ
 C[3スレ目・248] B[3スレ目・285]
・ベルカ×ニュクス
 C[4スレ目・176] B[4スレ目・410]
・ジョーカー×ハロルド
 C[1スレ目・426~429] B[5スレ目・336]
・サクラ×エルフィ
 C[3スレ目・774] B[6スレ目・108]

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
 C[1スレ目・423~425]
・ピエリ×リンカ
 C[3スレ目・247]
・ピエリ×フェリシア
 C[3スレ目・250]
・フローラ×エリーゼ
 C[4スレ目・178]
・エルフィ×ピエリ
 C[3スレ目・771]
・スズカゼ×オーディン
 C[4スレ目・318]
・ハロルド×ツバキ
 C[5スレ目・56]
・アシュラ×ジョーカー
 C[5スレ目・105]
・マークス×ギュンター
 C[5スレ目・302]
・ラズワルド×ブノワ
 C[5スレ目・435]
・シャーロッテ×サクラ
 C[6スレ目・30]
・カミラ×アクア
 C[6スレ目・106]
・シャーロッテ×カザハナ
 C[6スレ目・314]
・エリーゼ×カミラ
 C[6スレ目・315]
・レオン×ハロルド
 C[6スレ目・606]←NEW
・スズカゼ×ブノワ
 C[6スレ目・607]←NEW


629 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/12(火) 23:36:01.66VwYZi0ET0 (11/11)

今日はここまで

 ニュクスとギュンターはこんな感じの生活を送っていたらなって思う。

 次の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
 カムイと話をする人物(支援Bまで)

 ジョーカー
 フェリシア
 マークス
 ピエリ
 ゼロ
 ベルカ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 モズメ
 リンカ
 ツバキ
 スズカゼ
 アシュラ
 フランネル

 この中から1人
 
 >>630

◆◇◆◇◆◇
○支援イベントのキャラクターを決めたいと思います。

 アクア
 ジョーカー
 ギュンター
 フェリシア
 フローラ
 マークス
 ラズワルド
 ピエリ
 レオン
 ゼロ
 オーディン
 カミラ
 ベルカ
 ルーナ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ
 サクラ
 カザハナ
 ツバキ
 スズカゼ
 アシュラ
 フランネル

 >>631と>>632

(すでにイベントが発生しているキャラクター同士が選ばれた場合はイベントが進行、支援状況がAになっている組み合わせの場合は[631]で選ばれたキャラクターと次レスのキャラクターとの支援になります)

 このような形ですみませんが、よろしくお願いいたします。


630以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/12(火) 23:53:43.94rfNMnmDR0 (1/1)

おつですー
ニュクスとギュンターは爺孫っぽい見た目だけど
会話内容が落ち着いた感じギャップがあって好きだわ

安価ならブノワで


631以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/13(水) 13:04:29.642vTvlMsDO (1/1)


エルフィ


632以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/14(木) 14:30:47.48mPGbTeLFO (1/1)

サクラ


633 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/16(土) 22:04:33.63itRx4aNn0 (1/2)

◆◇◆◇◆◇
―白夜王国・イズモ公国『あてがわれた部屋』―

エルフィ「サクラ様、今日はありがとうございます」

サクラ「いいえ、そんなお礼なんていいですよ。それで白夜のお菓子はどうでしたか?」

エルフィ「ええ、とってもおいしかった。暗夜のお菓子とは違ってて、新鮮でとてもよかったわ…」

サクラ「ふふっ、そう言ってもらえるととっても嬉しいです。でも、ちょっと食べ過ぎちゃいましたね……」

エルフィ「そうですか?」

サクラ「はい。甘い物ってついつい食べちゃうんですけど、やっぱり体重とかを考えるとしばらくお預けかなって……。エルフィさんはすごい量食べてましたけど、平気なんですか?」

エルフィ「わたし、そんなに食べてた?」

サクラ「え、大皿一杯にお饅頭を食べてたじゃないですか。もしかして、まだ食べられるんですか?」

エルフィ「ええ……。お饅頭、予想以上においしかったから…。もう一皿は行けそうね…」

サクラ「す、すごい……」

エルフィ「それに栄養価の高い物だから、食べて訓練すればもっともっと強くなれるはず…。もっと強くなれればエリーゼ様をもっと守ってあげられる……」

サクラ「ふふっ、エルフィさんに守ってもらえて、エリーゼさんも感謝していると思いますよ」

エルフィ「あと、サクラ様もです…」

サクラ「え、私ですか?」

エルフィ「はい、サクラ様はエリーゼ様のご友人で、仲間ですから…」

サクラ「エルフィさん……ありがとうございます」

エルフィ「また機会があったらおいしい和菓子を教えてほしいわ。サクラ様と一緒なら色々と知ることが出来そうだもの」

サクラ「はい、わかりました。今度は季節の和菓子などはどうでしょうか? 美味しいのは当たり前ですけど、見た目がとってもきれいなんですよ」

エルフィ「そう、楽しみにしてるわ」

サクラ「はい、私もです!」

【サクラとエルフィの支援がAになりました】


634 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/16(土) 22:50:11.62itRx4aNn0 (2/2)

今日は支援だけ、本編は明日です


635 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 20:29:37.03+l5xgYbw0 (1/15)

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・王都『シラサギ城』―

カムイ「……ふむ」

カムイ(しかし、何処に行きましょうか。さすがに私が城下町に行くのは色々と問題がありますし……)

 ガシャンガシャンッ

カムイ「?」

ブノワ「む、カムイ様」

カムイ「ブノワさん?」

ブノワ「そうだ……。どうしたんだ、こんなところで?」

カムイ「少し気分転換をするように言われたのですが、城下町に行くわけにもいかなかったので、こうして城内を歩いていたんです。ブノワさんは?」

ブノワ「庭園に用があった。丁度休憩の時間で……」

カムイ「そうですか……」タッ

ブノワ「――!」グッ

カムイ「えっ、どうしましたか? そのなんだか身構えているようですけど」

ブノワ「いや、また触られるのかと思ってしまった……」

カムイ「触られる…。ああ、ブノワさんのヒヨコの事ですね」

ブノワ「そ、それを言うのはやめてくれないか…。恥ずかしいんだ…///」

カムイ「ふふっ、大丈夫ですよ。今はそういう気分ではありませんから……」

ブノワ「そ、そうか…。安心した」

カムイ「そういえば庭園に用事があると言っていましたけど、何かあったんですか?」

ブノワ「大丈夫だ、事件や事故があったわけじゃない…。個人的に用があるだけだ…」

カムイ「個人的な用事ですか……」

ブノワ「?」

カムイ「あの、迷惑でなければ一緒に行ってもいいですか?」

ブノワ「別にかまわない…」

カムイ「ありがとうございます。それじゃ行きましょう」

ブノワ「ああ」



636 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 20:49:52.30+l5xgYbw0 (2/15)

ブノワ「カムイ様はこの白夜の城に住んでいたのか?」

カムイ「ええ、と言ってもその頃の記憶に覚えはほとんどありません。実際、白夜の方々に助けていただいて訪れたのが最初と言った方がいいと思います」

ブノワ「そうか、白夜の城は緑が多い。暗夜の王城より暖かい感じがする…」

カムイ「ブノワさんは緑が好きなんですか?」

ブノワ「昔、よく森で遊んでいたからかもしれない…。人が多い場所よりも、人気のない森の方が好きではあるな…

カムイ「ふふっ、ブノワさんほどの体格だと森のくまさんと間違えられてしまってそうですね」

ブノワ「……よく間違えられる」

カムイ「え?」

ブノワ「皆、人間だと気付くと謝って来る…。俺としては気にしていないんだが、少しすると食べないで殺さないで、そんなことを言って逃げられる…」

カムイ「どうしてでしょうか? ブノワさんはとても優しい人だと思いますけど」

ブノワ「カムイ様は目が見えない。だから、俺を見ても怯えないんだと思う。大抵の人間は俺の顔を見ると怯えることが多い…」

カムイ「ふふっ、そんなことありませんよ。私は一度あなたの顔を触っているんですから、ちゃんとどんな顔なのかわかっているつもりです。ブノワさんはとても優しい人ですよ。私なんかと違って、とても優しい人だと思いますよ」

ブノワ「そ、そうだろうか?」

カムイ「ふふっ、照れてるんですね」

ブノワ「うう…/////」


637 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 20:59:49.06+l5xgYbw0 (3/15)

ブノワ「む、着いたようだ」

カムイ「そうみたいですね。でも、誰か他に人がいるような気配はありませんけど」

ブノワ「人に用があったわけじゃない…。来たか…」

カムイ「?」

 ガサガサッ

カムイ「この気配、動物みたいですね。えーっと、一匹ではないようですが――」タッ

 ガサンッ!

カムイ「あ……」

ブノワ「俺以外の人間がいることで警戒しているみたいだ。すまないがカムイ様は、ここで待っていてくれ…」

カムイ「は、はい」

 ガシャン ガシャンッ

ブノワ「……どうだ、うまいか? そうか、それはよかった……」

カムイ(ブノワさん、動物と話をしているみたいですね)

ブノワ「ああ、気を付けて帰るんだぞ…」

 ガササッ

カムイ「終わりましたか?」

ブノワ「ああ、戦争の影響で山に被害が出てるらしい。出来れば安全な山に避難したいが、それぞれの縄張りもあって困っているそうだ…」

カムイ「ふふっ、ブノワさん、詳しいんですね」

ブノワ「ああ、教えてもらったからな…」

カムイ「ほ、本当に話していたんですか、すごいですね」


638 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 21:06:53.95+l5xgYbw0 (4/15)

カムイ「それにしても、ブノワさんにこういった趣味があるなんて思いませんでした」

ブノワ「おかしいだろう。俺みたいなのが、動物を好きなこと……」

カムイ「いいえ、そんなことありませんよ。むしろ、しっくりきます。ブノワさんらしいって思いますから」

ブノワ「そうか……」

カムイ「出来ればブノワさんのお手伝いが出来たらと思いましたが、私では怯えさせてしまうだけのようですし」

ブノワ「最初はどんな動物も警戒する…。だが、時間を掛ければ近づいて逃げるようなことは無くなるはずだ」

カムイ「本当ですか?」

ブノワ「ああ」

カムイ「それじゃ、時々でいいのでブノワさんの餌上げにご一緒してもいいですか? その、私では動物がすぐに逃げてしまう気がするので…」

ブノワ「別にかまわない…。興味があったら声を掛けてくれ…。ちゃんとカムイ様の分の餌も準備しておく」

カムイ「はい、ありがとうございます、ブノワさん」

ブノワ「それじゃ、俺は作業に戻る…。カムイ様、色々大変だとは思うがそちらも頑張ってくれ…」

カムイ「はい、ブノワさんも頑張ってきてくださいね」

ブノワ「ああ……」


639 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 21:13:06.51+l5xgYbw0 (5/15)

~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『ヒノカの部屋』―

カムイ「すみません、戻りました。カミラ姉さん、ミタマさん、ヒノカさんの様子は……」

アクア「あ、カムイ。戻ったのね」

カムイ「あれ、アクアさん? カミラ姉さんとミタマさんは?」

アクア「二人ともずっと様子を見ていてくれたから、入れ違いで休んでもらっているの。ヒノカの容体は安定しているから心配はいらないわ」

カムイ「そうですか」

ヒノカ「すぅ……すぅ……」

カムイ「……」

アクア「とりあえず座ったらどう? どこを歩いていたかは知らないけれど、ここで立ち尽くしていても意味は無いわ」

カムイ「そうですね。隣、いいですか?」

アクア「ええ」

カムイ「それじゃ……失礼しますね。ふふっ、アクアさんの隣はやっぱり落ち着きます」

アクア「そ、そう?」

カムイ「はい、私のことを支えてくれる人がちゃんといるってわかりますから」

アクア「私以外にもあなたを支えている人はいるでしょう?」

カムイ「そうですね。だけど、今はアクアさんしかここにはいません。だから間違ってはいないと思います」

アクア「ふふっ、それじゃそういう事にしてあげるわ」


640 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 21:16:17.48+l5xgYbw0 (6/15)

カムイ「やっぱり、ヒノカさんが目を覚まさないことに、奴の力は関係がないんですね」

アクア「ええ。もう自然に目覚めるのを待つしかないわ」

カムイ「そうですか……」

アクア「ごめんなさい、力になれなくて……」

カムイ「アクアさんが謝ることはありませんよ。それにある意味いい事だと思えますから」

アクア「どうして?」

カムイ「だって、奴の力が未だにヒノカさんを苦しめているのなら、アクアさんは力を使ってしまうような気がしますから」

アクア「……そうね、恐らく使っていたわ。だってヒノカを助けることは、あなたが望んだことだもの……。出来るなら、それを実現させたいから」

カムイ「でも、それであなたが苦しむことになってほしくはありません。あなたは私の守りたい大切な人なんですから」

アクア「カムイ……」

カムイ「だけど、このところは支えられてばかりで格好がつきませんね。リョウマさんの時もヒノカさんの時も、そしてテンジン砦の時だってそうです。あなたに助けてもらえなければ、私はここにいなかったはずです」

アクア「いいえ、支えられていたのは、私の方よ。あなたがいなかったら、私はこの世から消え去ってしまっているはずだもの……」


641 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 21:28:22.52+l5xgYbw0 (7/15)

カムイ「縁起の悪いことを言わないでください」

アクア「いいえ、事実よ。おそらくあなたがいなかったら、あなたに力の事を知られていなかったら、この歌の力を最大限に利用していた。そして、私はヒノカとの戦いで命を落していた。この世から消えてなくなっていたはずよ」

カムイ「どうして、そう言い切れるんですか?」

アクア「奴の野望を挫くこと、それが私にとって一番重要な事だったからよ。そのためには犠牲も厭わないつもりだった。あなたが私の力の秘密を知らなかったのなら、ヒノカは恐らく生きていなかった……」

カムイ「アクアさん……」

アクア「あなたは私が選べなかったことを選んだの。それが結果的に私の命を支えてくれた、こうしてまだ生きていられる理由なのよ」

カムイ「それは私も同じですよ。だって、私とアクアさんは運命共同体ですからね」

アクア「運命共同体ね……。もう少し、その、違う言い方があってもいいと思うのだけど?」

カムイ「違う言い方ですか?」

アクア「ええ、ほら、あるでしょう? こういう私とあなたの間柄に似合っている言い方が」

カムイ「そうですね。私とアクアさんの間柄で似合っている言い方ですか……」

アクア「……」

カムイ「……相棒ですかね?」

アクア「相棒……」

カムイ「はい、アクアさんといるととてもホッとできますし、なによりとても頼りになりますから」

アクア「そう……。相棒ね……。ふふっ、相棒ねぇ……」ニコニコ

カムイ「えっと、なんか怒ってませんか、アクアさん?」



642 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 21:31:48.47+l5xgYbw0 (8/15)

 コンコンッ

カムイ「?」

レオン「カムイ姉さん、居るかい?」

カムイ「レオンさん、どうしたんですか?」

レオン「よかった、違う場所にいたらまた探しに回らないといけなかったからね。ちょっと話があるんだけど……そのいいかな?」

カムイ「ええ、いいですけど。どうしたんですか、何か遠慮しているみたいですけど」

レオン「う、うん」チラッ

アクア「………」

レオン(どうしよう、何かよくわからないけど、アクアの機嫌がものすごく悪い。僕か、それとも姉さんか? どちらにしても手早く済ませた方が良さそうだ)

レオン「アクア、え、えっとカムイ姉さんを借りて行ってもいいかな?」

アクア「ええ、構わないわ」

レオン(そんな刃物みたいな視線で構わないと言われても……)

レオン「えっと、ここで話すのもあれだから、廊下でもいいかな?」

カムイ「は、はい。アクアさん、私はちょっと出てきますので、ヒノカさんのことよろしくお願いします」

アクア「ええ、相棒に任せておいて、相棒にね?」

カムイ「は、はい、お願いします」

アクア「……ふん」



643 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 21:35:08.18+l5xgYbw0 (9/15)

レオン「姉さん、アクアと何かあったのかい?」

カムイ「いえ、その、確かに怒らせてしまったのかもしれませんが……」

レオン「何を言ったんだい? あんなアクアを見るのは初めてなんだけど……」

カムイ「えっと、私とアクアさんの間柄で運命共同体以外の言い方は無いかと聞かれまして……。アクアさんはとても頼りになって信頼できる人で、アクアさんも私の事を信頼してくれている気がしたので、相棒と……」

レオン「……あー。うん、その、なんだろう。これは姉さんが悪いのかなぁ……」

カムイ「何が悪かったのでしょうか……。レオンさん、何か違う言い方はありますか?」

レオン「思い当たらないわけじゃないけど、それは教えられそうにない」

カムイ「どうしてですか?」

レオン「そういうのは、自分で考えることに意味があるからだよ。僕の意見は僕の意見だってことくらい姉さんはわかると思うけど、影響はあるだろうからね」

カムイ「なるほど……」

レオン(実際は何かしら口にして、それを姉さんがアクアに僕から聞いたなんて零した結果、こっちに火の粉が掛かるかもしれないからだよ……)

カムイ「はぁ……そういうものですか。わかりました、色々と考えてみます」

レオン「うん、頑張ってね……」



644 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 21:40:21.38+l5xgYbw0 (10/15)

カムイ「それで話というのは何でしょうか?」

レオン「ああ、今日の夕方に後続部隊も到着することになっているけど、それは知っているよね?」

カムイ「はい、マークス兄さんが到着を繰り上げる様に指示を出してくれたと。これで白夜の人たちも安心できると思います」

レオン「うん、だけど終わったのは白夜との戦いだけだ。まだ戦いが終わったわけじゃない」

カムイ「ええ、奴の本体が未だにガロン王を根城にしているのなら、こちらから仕掛けないといけません。直接戦いを挑んでくるとは思えませんから」

レオン「だろうね、ゼロが指揮する視察部隊の報告ではテンジン砦の一件以後、旧暗夜軍は姿を見せてないらしいからね。テンジン砦の爆発で向こうの兵力もかなり消耗しているだろうから、迂闊に行動できないのか。それとも、旧暗夜軍の兵たちの動きを見て楽しんでいるのか……。どっちにしても、奴が直接来ることはもう無いとは思う。だけど、向こうから仕掛けてくる可能性もある以上、悠長にことを構えているのは難しいだろうね」

カムイ「……すぐにでもここを立つべき、という事ですね?」

レオン「……ああ。ヒノカ王女の事が心配なのはわかる。僕も出来るならヒノカ王女の無事を確認してから行動するべきだとは思う。だけど……、このまま奴を野放しにしておくことは出来ない、絶対にね……」

カムイ「レオンさん。わかりました、今日の夜、後続部隊を指揮する方たちと話の場を設けて今後のことを話し合いましょう。レオンさんも参加していただけますか?」

レオン「もちろんだよ。後続部隊の指揮官にはこちらから話をしておくし、マークス兄さんやサクラ王女にも話はつけておくよ」

カムイ「はい、すみませんがお願いいたしますね、レオンさん」

レオン「うん、それじゃ」

タッタッタッ

カムイ「……そうでしたね。まだ戦いは終わっていないんですよね」

カムイ(でも、出来るなら。ヒノカさんが目覚めるまで、ここを離れたくはありません。ヒノカさんが無事だったということを見届けてからでないと……)

(この音は収まってくれそうにありません……)


645 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 21:41:20.11+l5xgYbw0 (11/15)

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターA
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB++
(カムイに従者として頼りにされたい)
フローラA
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドA
(あなたを守るといわれています)
マークスB++
(何か兄らしいことをしたいと考えています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)

―暗夜第二王子レオン―
オーディンA
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンA
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカB++
(生きてきた世界の壁について話をしています)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼA
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB+
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィB++
(一緒に訓練をしました)

―白夜第二王女サクラ―
サクラA
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
カザハナA
(素ぶりを一緒にする約束をしています)
ツバキB
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテA
(返り討ちにあっています)
フランネルB+
(宝物を見せることになっています)
サイラスB+
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB++
(許されることとはどういうことなのかを考えています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
モズメB++
(時々料理を食べさせてもらう約束をしています)
リンカB+
(過去の雪辱を晴らそうとしています)
ブノワC+→B ←NEW
(動物の餌やりを一緒にやることになっています)
アシュラB
(暗夜での生活について話をしています)


646 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 21:47:08.05+l5xgYbw0 (12/15)

●異性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・レオン×カザハナ
 C[本篇の流れ] B[3スレ目・300] A[3スレ目・339]
・ジョーカー×フローラ
 C[1スレ目・713~715] B[1スレ目・928~929] A[2スレ目・286]
・レオン×サクラ
 C[1スレ目・511~513] B[2スレ目・297~299] A[3スレ目・797]
・ラズワルド×ルーナ
 C[1スレ目・710~712] B[2スレ目・477] A[4スレ目・177]
・アクア×オーディン
 C[3スレ目・337] B[3スレ目・376] A[4スレ目・353]
・ルーナ×オーディン
 C[4スレ目・352] B[4スレ目・411] A[4スレ目・460]
・ラズワルド×エリーゼ
 C[1スレ目・602~606] B[3スレ目・253] A[4スレ目・812]
・ベルカ×スズカゼ
 C[3スレ目・252] B[3スレ目・315] A[5スレ目・57]
・オーディン×ニュクス
 C[1スレ目・839~840] B[3スレ目・284] A[5スレ目・362]
・サクラ×ラズワルド
 C[5スレ目・303] B[5スレ目・337] A[5スレ目・361]
・アクア×ゼロ
 C[1スレ目・866~867] B[4スレ目・438] A[5スレ目・456]
・ラズワルド×ピエリ
 C[5スレ目・823] B[5スレ目・862] A[5スレ目・890]
・マークス×リンカ
 C[5スレ目・888] B[5スレ目・920] A[6スレ目・6]
・ブノワ×フローラ
 C[2スレ目・283] B[2スレ目・512] A[6スレ目・31]
・レオン×エルフィ
 C[3スレ目・251] B[4スレ目・437] A[6スレ目・49]
・ギュンター×ニュクス
 C[3スレ目・246] B[5スレ目・480] A[6スレ目・619]

【支援Bの組み合わせ】
・エリーゼ×ハロルド
 C[2スレ目・511] B[2スレ目・540]
・アシュラ×サクラ
 C[3スレ目・773] B[5スレ目・106]
・ブノワ×エルフィ
 C[5スレ目・822] B[6スレ目・77]
・レオン×ピエリ
 C[6スレ目・76] B[6スレ目・107]
・ツバキ×モズメ
 C[5スレ目・15] B[6スレ目・317]

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
 C[1スレ目・377~380]
・モズメ×ハロルド
 C[1スレ目・514~515]
・ルーナ×ハロルド
 C[3スレ目・375]
・カザハナ×ツバキ
 C[3スレ目・772]
・ラズワルド×シャーロッテ
 C[5スレ目・479]
・マークス×エリーゼ
 C[6スレ目・620]


647 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 21:47:55.42+l5xgYbw0 (13/15)

●同性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・リンカ×アクア
 C[1スレ目・888~889] B[2スレ目・285] A[3スレ目・254]
・ピエリ×カミラ
 C[1スレ目・752~753] B[2スレ目・478] A[2スレ目・513]
・フェリシア×ルーナ
 C[1スレ目・864~865] B[1スレ目・890~891] A[1スレ目・930~931]
・フローラ×エルフィ
 C[1スレ目・471~472] B[3スレ目・338] A[3スレ目・377]
・レオン×ツバキ
 C[1スレ目・492~493] B[1スレ目・870] A[3スレ目・798]
・ベルカ×エリーゼ
 C[2スレ目・284] B[3スレ目・301] A[4スレ目・354]
・ピエリ×ルーナ
 C[3スレ目・249] B[4スレ目・317] A[4スレ目・412]
・アクア×ルーナ
 C[3スレ目・283] B[4スレ目・461] A[4スレ目・813]
・カミラ×サクラ
 C[4スレ目・175] B[5スレ目・58] A[5スレ目・107]
・ギュンター×サイラス
 C[1スレ目・926~927] B[3スレ目・316] A[5スレ目・363]
・シャーロッテ×カミラ
 C[2スレ目・476] B[4スレ目・439] A[5スレ目・436]
・ラズワルド×オーディン
 C[4スレ目・459] B[5スレ目・338] A[5スレ目・457]
・フェリシア×エルフィ
 C[1スレ目・367~368] B[2スレ目・541] A[5スレ目・481]
・サクラ×ニュクス
 C[5スレ目・860] B[5スレ目・889] A[5スレ目・919]
・エリーゼ×カザハナ
 C[5スレ目・14] B[5スレ目・921] A[6スレ目・7]
・ルーナ×カザハナ
 C[4スレ目・780] B[5スレ目・861] A[6スレ目・32]
・ルーナ×フローラ
 C[4スレ目・781]  B[6スレ目・50] A[6スレ目・78]
・サクラ×エルフィ
 C[3スレ目・774] B[6スレ目・108] A[6スレ目・633]←NEW

【支援Bの組み合わせ】
・シャーロッテ×モズメ
 C[3スレ目・248] B[3スレ目・285]
・ベルカ×ニュクス
 C[4スレ目・176] B[4スレ目・410]
・ジョーカー×ハロルド
 C[1スレ目・426~429] B[5スレ目・336]

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
 C[1スレ目・423~425]
・ピエリ×リンカ
 C[3スレ目・247]
・ピエリ×フェリシア
 C[3スレ目・250]
・フローラ×エリーゼ
 C[4スレ目・178]
・エルフィ×ピエリ
 C[3スレ目・771]
・スズカゼ×オーディン
 C[4スレ目・318]
・ハロルド×ツバキ
 C[5スレ目・56]
・アシュラ×ジョーカー
 C[5スレ目・105]
・マークス×ギュンター
 C[5スレ目・302]
・ラズワルド×ブノワ
 C[5スレ目・435]
・シャーロッテ×サクラ
 C[6スレ目・30]
・カミラ×アクア
 C[6スレ目・106]
・シャーロッテ×カザハナ
 C[6スレ目・314]
・エリーゼ×カミラ
 C[6スレ目・315]
・レオン×ハロルド
 C[6スレ目・606]
・スズカゼ×ブノワ
 C[6スレ目・607]


648 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 21:52:15.56+l5xgYbw0 (14/15)

今日はここまで
  
 エルフィとサクラは一緒においしいものを食べる友達的な感じになる気がする。
 アクアは拗ねたりするとこんな感じになる気がする。

 この先の展開を安価で決めたいと思います、参加していただけると幸いです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
○カムイと話をする人物(支援Aとブノワ以外)

 ジョーカー
 フェリシア
 マークス
 ピエリ
 ゼロ
 ベルカ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 モズメ
 リンカ
 ツバキ
 スズカゼ
 アシュラ
 フランネル

 >>650

 次に続きます。


649 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/17(日) 21:53:30.67+l5xgYbw0 (15/15)

 安価続き
◇◆◇◆◇
○進行する異性間支援の状況

【支援Bの組み合わせ】
・エリーゼ×ハロルド
・アシュラ×サクラ
・ブノワ×エルフィ
・レオン×ピエリ
・ツバキ×モズメ

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
・モズメ×ハロルド
・ルーナ×ハロルド
・カザハナ×ツバキ
・ラズワルド×シャーロッテ
・マークス×エリーゼ

 この中から一つ>>651
 
◇◆◇◆◇
○進行する同性間支援

【支援Bの組み合わせ】
・シャーロッテ×モズメ
・ベルカ×ニュクス
・ジョーカー×ハロルド

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
・ピエリ×リンカ
・ピエリ×フェリシア
・フローラ×エリーゼ
・エルフィ×ピエリ
・スズカゼ×オーディン
・ハロルド×ツバキ
・アシュラ×ジョーカー
・マークス×ギュンター
・ラズワルド×ブノワ
・シャーロッテ×サクラ
・カミラ×アクア
・シャーロッテ×カザハナ
・エリーゼ×カミラ
・レオン×ハロルド
・スズカゼ×ブノワ

 この中から一つ>>652

 このような形ですみませんがよろしくお願いいたします。


650以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/17(日) 22:30:30.27nJbn3XLb0 (1/1)

ハロルド


651以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/19(火) 08:59:55.92N2hZUupEO (1/1)

ラズワルド×シャーロッテ


652 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 19:12:51.83u/EuGT6v0 (1/15)

 >>652が埋まりそうにないので、『ギュンター×マークス』の支援を書くことにします。すみませんが、よろしくお願いいたします。

 >>650、>>651の安価に参加してくれた方、ありがとうございました。


653 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 19:19:48.52u/EuGT6v0 (2/15)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
―暗夜王国・王都ウィンダム『城下町・町外れの路地』―

ラズワルド「はぁ、今日も駄目だったか……。こんな時間だかし、もう兵舎に戻らないと……ん?」

男「てめえ、女だからって調子に乗ってんじゃねえぞ!?」

???「女だからって舐めてるのてめーのほうだっつーの!」

男「へっ、そのデカい態度後悔させてや――イテテテテ!!!」

ラズワルド「はいそこ、女の子に手を上げるなんて捨て置けないね」

男「な、なにしやが――いでぇ!」

ラズワルド「ここは見なかったことにしてあげるからさっさと消えた方がいい、じゃないと君を婦女暴行の容疑で処罰しないといけなくなっちゃうからさ」

男「ちっ……お、覚えてやがれ!」タタタタッ

ラズワルド「はぁ、やっぱりこの時間になるとああいうのが歩いてるのか。駄目だよ、こんな時間に女の子が一人で出歩くなんてさ」

???「別に助けなんて頼んでないんだけど……」

ラズワルド「いやいや、困ってる女の子がいたら助けるのが当たり前だから……あれ? もしかして君、シャーロッテ?」

シャーロッテ「なんで私の名前を知――、げっ、ラズワルド……さん」

ラズワルド「ちょっとまって、げっ、て何!? それよりも、さっきまでのしゃべり方って……」

シャーロッテ「……そうよ、これが私の素よ。文句ある?」

ラズワルド「いや、文句も何もないけど……。それより今のは?」

シャーロッテ「ああ、あいつね。ちょっと優しくしたら勘違いして、私の体を触ってきたからビンタしたのよ。そしたら因縁つけられたの」

ラズワルド「ビンタって豪快だね……。それより大丈夫だった? 怪我とかしてない?」

シャーロッテ「どこか怪我してるように見える? 見えないでしょ? つまり大丈夫ってことよ。だけど、あんたには私の素がバレちゃったみたいね……」

ラズワルド「あはは、そうだね。素のシャーロッテはこんな感じなんだ」

シャーロッテ「言っとくけど、もしもこの事をばらしたらただじゃ置かないからね」

ラズワルド「言いふらしたりするつもりはないよ。それより、まだ時間あるかな? これからお茶でも飲みに行かない?」

シャーロッテ「なに、脅してるわけ?」

ラズワルド「いやいや、そんなつもり全然ないから……。ただ、リフレッシュにどうかなって思ってさ、素の君のままでかまわないしね」

シャーロッテ「え、なにそれ、今の私を見ても平気なの? 幻滅したんじゃないの?」

ラズワルド「確かに驚いたけど、シャーロッテが可愛いことに変わりはないからさ。僕は可愛いシャーロッテとお茶がしたいだけだしね」

シャーロッテ「そう……。ふふっ、変な奴ね。だけど今日は無しよ、あんなあとに気乗りなんてしないっつーの」

ラズワルド「そっか、それじゃ兵舎まで送るよ。僕の用事も無いからさ」

シャーロッテ「はいはい、勝手にしてよ。言っとくけど、もうあんたの前で猫被ったりしないから」

ラズワルド「別にかまわないよ、そのままのシャーロッテも可愛いからね」

シャーロッテ「……はいはい、ありがとね」

『ラズワルドとシャーロッテの支援がBになりました』


654 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 19:22:29.17u/EuGT6v0 (3/15)

◆◇◆◇◆◇
―暗夜王国・王城クラーケンシュタイン『訓練場』―

ギュンター「マークス様、演習の準備が整いました」

マークス「ああ、わかった。今回、ギュンターには防衛部隊の指揮を務めてもらう」

ギュンター「わかりました。今回の演習、どうやら今後を担う若手の育成が目的と見えます」

マークス「その通りだ。成績と実力に自信のある者たちばかりを集めている。経験者を相手に演習をすることで、更に各個人の能力を高められるはずだ」

ギュンター「なるほど。して、どういった戦況を想定して行うのですかな?」

マークス「うむ、敵が前面から攻めてきている状況を想定している。騎馬隊などは存在しない突発的な防衛戦だが、若手に与える兵力はわれわれよりも多い形になっている」

ギュンター「数では敵が上というわけですな。分かりました、それを時間まで守り切ればよい、そういう事でよろしいですかな?」

マークス「ああ、そういう事になる。地理的には防衛側が有利だが、兵力では攻める方に分があるという形を取った。一応、敵指揮官を倒せばその時点で勝利という特殊なルールも設けているが、中々そううまくはいかないだろう」

ギュンター「ふっ、わかりました」

マークス「ギュンター、お前が指揮を執るところをこの目で見たことは無いから楽しみにしているぞ」

ギュンター「このおいぼれに出来る事がそれほど目新しいとは思えませんが、ご期待に添えられるよう頑張りましょう」

マークス「ああ、よろしく頼む」

ギュンター「御意」

『マークスとギュンターの支援がBになりました』


655 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 19:52:03.30u/EuGT6v0 (4/15)

~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『廊下』―

カムイ「夜から話し合いですか……」

カムイ(おそらく、早くて明後日にはテンジン砦まで戻ることになるでしょう。白夜での支援活動は後続の方々にお任せしたほうがいいでしょうし、奴を止めることが重要なことですから……)

カムイ「でも、出来ればヒノカさんが目覚めるまで、ここにいたい」

カムイ(一度でいいから無事な姿を見せてほしい。あの玉座で感じた、あなたの気配、感覚が分かればそれでいいんです……)

カムイ「ヒノカさん、目を覚ましてくれますよね……」

カムイ(もしも目を覚まさなかったら、このまま眠り続けるだけになってしまったら……。私は……)

 ……リィン……

カムイ「駄目ですね、すぐにこんなことばかり考えてしまう。ここでそんな弱気になってしまっては駄目じゃないですか……」

カムイ(ここは絶望の場所なんかじゃありません。奴の力はこの王都から消え去って、白夜と暗夜の争いは終わりを迎えたのですから)

カムイ「リョウマさん……、私はヒノカさんを、救えたんですよね……」

カムイ(私は、その場所に辿り着けたはずですよね?)


656 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 20:11:37.86u/EuGT6v0 (5/15)

カムイ「……」

???「おや、カムイ様? どうかしましたか?」

カムイ「その声はハロルドさん?」

ハロルド「はい、なにやら落ち込まれているようですが……。体調を崩されているのですか?」

カムイ「いいえ、大丈夫です。このところはずっと城内にいますし、そんな体調を崩すような作業もしていませんから」

ハロルド「そうですか。あなたがそういうのでしたら大丈夫なのでしょう」

カムイ「はい。ハロルドさんは何を?」

ハロルド「さっきまで城下町で瓦礫の撤去などを手伝いに。瓦礫を一つ抜くたびに私の方いる場所が崩れるので少々作業に手こずりましたが、何とか一段落しましたよ」

カムイ「ふふっ、ハロルドさんは相変わらずですね。城下町の方は大丈夫なんですか?」

ハロルド「まだまだ被害状況の全容はわかりません。いったいどれほどの罪の無い人々が犠牲になったのか……」

カムイ「そうですか…」

ハロルド「ですが、今生きている人々はその分も生きて行かなくてはいけません。私はその人々が前を向いて歩めるようにと手助けして回っています」

カムイ「手助けですか?」

ハロルド「はい、東に泣いている子がいれば一緒に泣いてあげ、西にお腹を空かせた人がいれば食料を手渡しにいく。些細な事でも手助けすることが、この場所に必要な事だと私は思うのです」



657 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 20:24:14.90u/EuGT6v0 (6/15)

カムイ「ハロルドさんはすごいですね」

ハロルド「いいえ、私はしたいことをしているだけです。子供の頃からずっとそうありたかったように、誰かが助けを求めているのならそれに応えたい。私は私にとっての正義を行っているだけですから」

カムイ「だとしても、誰かのためにそうできることは素晴らしいことだと思います」

ハロルド「ありがとう、カムイ様。そう言ってもらえることは私にとってとても励みになります」

カムイ「ふふっ。でも、私の言葉では少々力不足な気もします」

ハロルド「……どうしてそう思われるのですか?」

カムイ「私は戦いが終わってから、何もしていません。ずっとヒノカさんの回復を待つばかりで、城下町の様子を見に行くこともしていない。私は、ただ戦うことだけしかしていなかった」

ハロルド「……」

カムイ「出来る事なら私も城下町に赴いて、何かを手伝いたいとは思います。けれど、私は白夜にとって裏切り者です。そんな人間を白夜の人々は見たくないでしょう。いきなり手伝いを申し出ても不安を煽るだけです……」

ハロルド「いいえ、そんなことはありません。手伝いを申し出たところで、大きな問題は起きないでしょう」

カムイ「どうしてそう思えるんですか?」

ハロルド「それは、カムイ様に正義があるからです」

カムイ「正義……ですか?」



658 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 20:47:58.23u/EuGT6v0 (7/15)

ハロルド「はい。カムイ様は生き残った白夜の人々に危害を加えるわけではないのですから。誰かを助けたいという気持ち、私はそれを正義だと思います。それに、最初私たちが行ったとき、多くの白夜の人々は怯えていました」

カムイ「……そうだったんですか」

ハロルド「ええ、あの戦いで共闘したとしても、私たちが白夜を侵略したのは間違いありません。私たちは白夜の人々にとって敵であるのは変わらない事実です。ですが、その事実を前に助けることを放棄するのは正義とは言えない。私は一歩を踏み出して何か困っている事は無いか聞きました」

カムイ「……」

ハロルド「その方は足に怪我をされていた。そのことを私に言っていいか迷っていました。そこで私はもう一歩踏み出して、力になりたいと告げました。そうしなければここで、つながりが絶たれてしまうと思ってしまったからです」

カムイ「つながりが絶たれてしまう……ですか」

ハロルド「はい。私たちの助けたいという思い、その正義は間違いではありません。そして、それを繋げられるのも私たちだけなのです。この正義は恩を売るための物ではなく、この先を生きていけるようにという願いを込めたものであり、この戦いを生き抜いた人々が絶望しないように支える力だと私は思っています」

カムイ「……支える力ですか」

ハロルド「はい。まぁ、支えると言いながら人々の前で壮大に転んでしまったり、崩れた瓦礫に埋もれてしまったりとあまり格好がつかないことが多かったのですが……」

カムイ「え、瓦礫に埋もれるって大丈夫だったんですか?」

ハロルド「ええ、大丈夫でしたよ。それに白夜の人々も最後には笑っていました。少なくともその笑みは心の底からの笑顔だと思えました」

カムイ「ふふっ、ハロルドさんは人を笑顔にする天才なのかもしれませんね」



659 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 21:03:32.76u/EuGT6v0 (8/15)

ハロルド「カムイ様、よろしければ一度城下町の手伝いに来てください。大丈夫、きっと多くの人々はあなたのその正義を受け入れてくれるはずです」

カムイ「……受け入れてくれるでしょうか?」

ハロルド「受け入れてくれますよ。誰かを助けたいという気持ちに嘘はありません。ですから、怖がることはありません」

カムイ「ハロルドさん……、ありがとうございます。すごく励みになりました」

ハロルド「いえいえ、どういたしまして。ではカムイ様、私は城下町に戻ります。まだまだ、助けを求めている人々は大勢いますので」

カムイ「はい、頑張ってきてください」

ハロルド「それでは!」タタタタタッ

カムイ「…誰かを助けたいという気持ちに嘘はない……ですか」

カムイ(私はヒノカさんを助けたかった。そしてリョウマさんも助けたかった。その気持ちに嘘はありません。それは今でも、ちゃんと心にあります。そして、白夜を助けたいという思いもこうしてあるのですから……)

カムイ「待っているだけではいけませんよね……」


660 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 21:21:12.57u/EuGT6v0 (9/15)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
~白夜王国・シラサギ城『ヒノカの部屋の前』―

カムイ(そうですよね、こうして待っている間でも出来ることはあるのですから。ヒノカさんはいつか目覚めてくれるはずですし、私も出来る限りの事をやるべきですよね)

カムイ「まずは今日の夜の会合で、色々と今後の事を決めないといけませんね」

 コンコンッ

カムイ「すみませんアクアさん、今戻りました」

アクア「……」

カムイ「あれ、アクアさん?」

アクア「すぅ……すぅ……」

カムイ「眠られているんですね。えっと、どうしましょうか。流石にここを空けるわけにはいきませんし……ん?」

カミラ「失礼するわね。あら、カムイ。気分転換は出来たのかしら?」

カムイ「カミラ姉さん、ええ、それなりにですけど」

カミラ「ふふ、そうみたいね。朝より顔色が良くなっているわ。そういえば、アクアはどうしたの?」

カムイ「それが……」

カミラ「あらあら、眠っちゃったのね。本当はアクアの方が休むべきなのに、無理をさせちゃったみたいね」

カムイ「はい」


661 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 21:24:27.78u/EuGT6v0 (10/15)

カミラ「このままでいいのかもしれないけれど、日が落ちてもこのままじゃ寝冷えしちゃうわ。どこかに運んであげないと」

カムイ「そうですね。何処かいい場所があればいいんですけど、そんな場所は……」

ミタマ「それなら、カムイ様のお部屋がいいと思います」

カミラ「あら、ミタマ。ゆっくり眠れたのかしら?」

ミタマ「ええ。ぽかぽかに つつまれながら ゆめごこち。アクア様の計らいでたっぷり惰眠を貪れましたわ」

カミラ「そう、それでカムイの部屋っていうのは?」

ミタマ「そのままの通りですわ」

カムイ「私の部屋、まだ残っているのですか?」

ミタマ「はい、リョウマ様とヒノカ様の計らいで残っています。もしかして、確認されていなかったのですか?」

カムイ「え、ええ。流石にもう無くなっていると思っていたので……」

ミタマ「そうですか。色々と使える様に準備をしたのですが、使われていませんでしたか。では、この機会にお使いください。部屋までの道案内は必要ですか?」

カムイ「いいえ、城の構造は覚えていますから大丈夫です。それじゃ、よっと」

アクア「ん、んん……」

カムイ「少し揺れますが、我慢してくださいね。アクアさん」

カミラ「ヒノカ王女のことは私とミタマに任せて、あなたはアクアの事をお願いね?」

カムイ「わかっています。それじゃ、すみませんがちょっと行ってきますね」タッタッ



662 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 21:33:01.08u/EuGT6v0 (11/15)

アクア「すぅ……すぅ……」

カムイ「えっと、確かここでしたね……よっと」

 スーッ……

カムイ「……そうでしたね。ここが……私の部屋なんですね」

カムイ(ここだけ、何も変わっていないように感じる。多分、リョウマさんやヒノカさんが誰も近づけなかったのかもしれません。いつか私がここに戻ってくると信じてくれていた……)

カムイ「……」

カムイ(でも、私はここに戻ってきたわけじゃない。だから、その言葉を言う資格はありません……)

カムイ「えっと、布団はこれですね。アクアさん、ちょっと待っててくださいね」

アクア「……」

 バサッ……

カムイ「よし、これで大丈夫でしょう」

アクア「すぅ……すぅ……」

カムイ「私がしっかりしないといけないのに、色々と右往左往してごめんなさい。アクアさんは色々と私を気に掛けてくれているのに、すぐにそれに応えられなくて。あなたに色々と負担を掛けてばかりですね」

 ナデナデ

アクア「ん……」

カムイ「今はゆっくり休んでくださいね」

 スーッ ピシャンッ

カムイ(まだ希望は続いているんです。その希望は向かってきてはくれません、私から向かっていかないといけないものですから)

カムイ「……負けません。絶対に――」

「負けたりしませんから……」



663 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 21:34:27.85u/EuGT6v0 (12/15)

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターA
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB++
(カムイに従者として頼りにされたい)
フローラA
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドA
(あなたを守るといわれています)
マークスB++
(何か兄らしいことをしたいと考えています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)

―暗夜第二王子レオン―
オーディンA
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンA
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカB++
(生きてきた世界の壁について話をしています)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼA
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB+→B+ ←NEW
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィB++
(一緒に訓練をしました)

―白夜第二王女サクラ―
サクラA
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
カザハナA
(素ぶりを一緒にする約束をしています)
ツバキB
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテA
(返り討ちにあっています)
フランネルB+
(宝物を見せることになっています)
サイラスB+
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB++
(許されることとはどういうことなのかを考えています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
モズメB++
(時々料理を食べさせてもらう約束をしています)
リンカB+
(過去の雪辱を晴らそうとしています)
ブノワB
(動物の餌やりを一緒にやることになっています)
アシュラB
(暗夜での生活について話をしています)


664 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 21:36:36.09u/EuGT6v0 (13/15)

●異性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・レオン×カザハナ
 C[本篇の流れ] B[3スレ目・300] A[3スレ目・339]
・ジョーカー×フローラ
 C[1スレ目・713~715] B[1スレ目・928~929] A[2スレ目・286]
・レオン×サクラ
 C[1スレ目・511~513] B[2スレ目・297~299] A[3スレ目・797]
・ラズワルド×ルーナ
 C[1スレ目・710~712] B[2スレ目・477] A[4スレ目・177]
・アクア×オーディン
 C[3スレ目・337] B[3スレ目・376] A[4スレ目・353]
・ルーナ×オーディン
 C[4スレ目・352] B[4スレ目・411] A[4スレ目・460]
・ラズワルド×エリーゼ
 C[1スレ目・602~606] B[3スレ目・253] A[4スレ目・812]
・ベルカ×スズカゼ
 C[3スレ目・252] B[3スレ目・315] A[5スレ目・57]
・オーディン×ニュクス
 C[1スレ目・839~840] B[3スレ目・284] A[5スレ目・362]
・サクラ×ラズワルド
 C[5スレ目・303] B[5スレ目・337] A[5スレ目・361]
・アクア×ゼロ
 C[1スレ目・866~867] B[4スレ目・438] A[5スレ目・456]
・ラズワルド×ピエリ
 C[5スレ目・823] B[5スレ目・862] A[5スレ目・890]
・マークス×リンカ
 C[5スレ目・888] B[5スレ目・920] A[6スレ目・6]
・ブノワ×フローラ
 C[2スレ目・283] B[2スレ目・512] A[6スレ目・31]
・レオン×エルフィ
 C[3スレ目・251] B[4スレ目・437] A[6スレ目・49]
・ギュンター×ニュクス
 C[3スレ目・246] B[5スレ目・480] A[6スレ目・619]

【支援Bの組み合わせ】
・エリーゼ×ハロルド
 C[2スレ目・511] B[2スレ目・540]
・アシュラ×サクラ
 C[3スレ目・773] B[5スレ目・106]
・ブノワ×エルフィ
 C[5スレ目・822] B[6スレ目・77]
・レオン×ピエリ
 C[6スレ目・76] B[6スレ目・107]
・ツバキ×モズメ
 C[5スレ目・15] B[6スレ目・317]
・ラズワルド×シャーロッテ
 C[5スレ目・479] B[6スレ目・653]←NEW

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
 C[1スレ目・377~380]
・モズメ×ハロルド
 C[1スレ目・514~515]
・ルーナ×ハロルド
 C[3スレ目・375]
・カザハナ×ツバキ
 C[3スレ目・772]
・マークス×エリーゼ
 C[6スレ目・620]


665 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 21:38:26.81u/EuGT6v0 (14/15)

●同性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・リンカ×アクア
 C[1スレ目・888~889] B[2スレ目・285] A[3スレ目・254]
・ピエリ×カミラ
 C[1スレ目・752~753] B[2スレ目・478] A[2スレ目・513]
・フェリシア×ルーナ
 C[1スレ目・864~865] B[1スレ目・890~891] A[1スレ目・930~931]
・フローラ×エルフィ
 C[1スレ目・471~472] B[3スレ目・338] A[3スレ目・377]
・レオン×ツバキ
 C[1スレ目・492~493] B[1スレ目・870] A[3スレ目・798]
・ベルカ×エリーゼ
 C[2スレ目・284] B[3スレ目・301] A[4スレ目・354]
・ピエリ×ルーナ
 C[3スレ目・249] B[4スレ目・317] A[4スレ目・412]
・アクア×ルーナ
 C[3スレ目・283] B[4スレ目・461] A[4スレ目・813]
・カミラ×サクラ
 C[4スレ目・175] B[5スレ目・58] A[5スレ目・107]
・ギュンター×サイラス
 C[1スレ目・926~927] B[3スレ目・316] A[5スレ目・363]
・シャーロッテ×カミラ
 C[2スレ目・476] B[4スレ目・439] A[5スレ目・436]
・ラズワルド×オーディン
 C[4スレ目・459] B[5スレ目・338] A[5スレ目・457]
・フェリシア×エルフィ
 C[1スレ目・367~368] B[2スレ目・541] A[5スレ目・481]
・サクラ×ニュクス
 C[5スレ目・860] B[5スレ目・889] A[5スレ目・919]
・エリーゼ×カザハナ
 C[5スレ目・14] B[5スレ目・921] A[6スレ目・7]
・ルーナ×カザハナ
 C[4スレ目・780] B[5スレ目・861] A[6スレ目・32]
・ルーナ×フローラ
 C[4スレ目・781]  B[6スレ目・50] A[6スレ目・78]
・サクラ×エルフィ
 C[3スレ目・774] B[6スレ目・108] A[6スレ目・633]

【支援Bの組み合わせ】
・シャーロッテ×モズメ
 C[3スレ目・248] B[3スレ目・285]
・ベルカ×ニュクス
 C[4スレ目・176] B[4スレ目・410]
・ジョーカー×ハロルド
 C[1スレ目・426~429] B[5スレ目・336]
・マークス×ギュンター
 C[5スレ目・302] B[6スレ目・654]←NEW

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
 C[1スレ目・423~425]
・ピエリ×リンカ
 C[3スレ目・247]
・ピエリ×フェリシア
 C[3スレ目・250]
・フローラ×エリーゼ
 C[4スレ目・178]
・エルフィ×ピエリ
 C[3スレ目・771]
・スズカゼ×オーディン
 C[4スレ目・318]
・ハロルド×ツバキ
 C[5スレ目・56]
・アシュラ×ジョーカー
 C[5スレ目・105]
・ラズワルド×ブノワ
 C[5スレ目・435]
・シャーロッテ×サクラ
 C[6スレ目・30]
・カミラ×アクア
 C[6スレ目・106]
・シャーロッテ×カザハナ
 C[6スレ目・314]
・エリーゼ×カミラ
 C[6スレ目・315]
・レオン×ハロルド
 C[6スレ目・606]
・スズカゼ×ブノワ
 C[6スレ目・607]


666 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/22(金) 21:44:11.56u/EuGT6v0 (15/15)

今日はここまで
 
 暗夜編のカムイは、戦争終結後も白夜でその言葉を言う事は決してなかったと思う。

 更新が不定期で申し訳ないです。安価はまだ続けていきますので、参加していただけると幸いです。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◇◆◇◆◇
〇カムイを呼びに行くキャラクター(カムイとの支援がAでアクア以外)

 ギュンター
 フローラ
 ラズワルド
 オーディン
 レオン
 ルーナ
 カミラ
 エリーゼ
 サクラ
 カザハナ
 シャーロッテ

 この中から一人
 >>667

◆◇◆◇◆◇
○支援イベントのキャラクターを決めたいと思います。

 アクア
 ジョーカー
 ギュンター
 フェリシア
 フローラ
 マークス
 ラズワルド
 ピエリ
 レオン
 ゼロ
 オーディン
 カミラ
 ベルカ
 ルーナ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ
 サクラ
 カザハナ
 ツバキ
 スズカゼ
 アシュラ
 フランネル

 >>668と>>669

(すでにイベントが発生しているキャラクター同士が選ばれた場合はイベントが進行、支援状況がAになっている組み合わせの場合は次レスのキャラクターとの支援になります)

 このような形ですみませんが、よろしくお願いいたします。



667以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/22(金) 22:06:02.56YoamoxXJO (1/1)

サクラ


668以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/23(土) 08:02:19.98l9pWsTcTO (1/1)

ジョーカー


669以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/24(日) 01:08:40.56EX5JY7Qb0 (1/1)

カミラ


670以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/28(木) 17:25:37.88MrerFhuDO (1/1)


戻る部屋はメイド×2がいるお城の中
同様に白夜編も、暗夜の城には戻りづらそう、メイド一人焼死したし


671 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 09:29:50.48UUdKgmS+0 (1/23)

◆◇◆◇◆◇
―暗夜王国・北の城塞『廊下』―

カミラ「ジョーカー、ちょっといいかしら?」

ジョーカー「はい、何でしょうカミラ様」

カミラ「今度、の方々を招いての会合があるの。そこであなたに場の給仕をお願いしたいのだけれど?」

ジョーカー「私にですか?」

カミラ「ええ、あなたの腕を見込んでいるのよ。それに場が場だもの、生半可な能力の人間に任せられないわ」

ジョーカー「そうだですか」

カミラ「それで、引き受けてくれるかしら?」

ジョーカー「問題ありません。それにカミラ様から御指名ですので、その役目引き受けましょう」

カミラ「ありがとう、快諾してくれてうれしいわ。日時は追って連絡するわね」

ジョーカー「わかりました。連絡をお待ちしております、カミラ様。お話は以上でしょうか?」

カミラ「ええ、時間を取らせちゃったわね」

ジョーカー「いいえ。そういえば、そろそろ午後の休憩の時間です。カムイ様も戻られますが、如何されますか?」

カミラ「そうね……。いいえ、今回はやめておくわ」

ジョーカー「珍しいですね」

カミラ「そういうこともあるの。ふふっ、気まぐれな所も女性の魅力だと思っておいてちょうだい」

ジョーカー「そうですか。それでは失礼いたします、カミラ様」

カミラ「ええ、それじゃね」

ジョーカー「……カムイ様とのお茶を断るのはカミラ様らしくないな」

ジョーカー「……」

ジョーカー「今回の件、少し探ってみるか……」

『カミラとジョーカーの支援がCになりました』


672 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 09:41:49.92UUdKgmS+0 (2/23)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『城内・廊下』―

カムイ(ヒノカさんはきっと目を覚ましてくれます、ならその間に私にも出来ることをしないと……)

カムイ「しかし、今から何が出来るのでしょうか?」

カムイ(目が見えない分、何かを撤去するといった作業には向いていませんし、それに今ここに至って色々と人に聞いて迷惑を掛けるわけにも……)

カムイ「うーん……」

 タタタタタッ

カムイ「?」

サクラ「あ、カムイ姉様」

カムイ「サクラさん、どうしたんですか?」

サクラ「はい、レオンさんから夜の会合に関して伝えて来てほしいと頼まれたので、探していたんです」

カムイ「もしかしてもう到着したんですか?」

サクラ「いいえ、その伝令を出したって聞いてます。それで答えが来たから伝えてほしいと」

カムイ「そうですか。わざわざありがとうございます、サクラさん」

サクラ「いいえ、いいんです。私もお城に用事がありましたから。色々と足りないものが多くて……」

カムイ「足りないもの、今その手に持っている袋の事ですか?」

サクラ「あ、はい、お水と包帯、それとお薬とかですね。中央広場の撤去作業も落ち着いたので、今から仮設の医療天幕へ行くところです。出来ればもう少し持っていきたいんですけど……」

カムイ「なら、私もご一緒します」


673 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 09:46:41.98UUdKgmS+0 (3/23)

サクラ「そ、そんな大丈夫です。私が往復すればいいだけですから」

カムイ「いいえ、私が手伝えば一回で済みますし、何より物資を待っている方たちを待たせるわけにはいきませんから」

サクラ「でも、カムイ姉様は大丈夫なんですか。白夜の方たちはカムイ姉様のこと……」

カムイ「そうですね、私が白夜の方たちから敵意を向けられるのは間違いないでしょう」

サクラ「でしたら……」

カムイ「でも、それから逃げていても何も変わりません。私はただ誰かを救いたいと願って、この道を歩んできました。それから逃げるわけにはいかないんです」

サクラ「カムイ姉様……」

カムイ「サクラさんが私の事を心配してくれるのはうれしいです。でも、これは私が望んでやりたいこと。これが誰かの助けになるなら、私はその役に立ちたいんです」

サクラ「ふふっ」

カムイ「え、サクラさん? どうして笑うんですか?」

サクラ「いいえ、さっきカミラさんが言っていたんです。今の姉様なら大丈夫って、私も今そう思ってしまって」

カムイ「たしかに心配ばかりかけてしまいましたからね。そう思われても仕方ありませんか」

サクラ「ふふっ、それじゃ一度物資を取りに行きましょう。付いてきてください」

カムイ「はい」



674 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 09:53:02.03UUdKgmS+0 (4/23)

◆◆◆◆◆◆
―白夜王都・城下町『臨時医療区域・中央天幕付近』―

カムイ「大きく迂回するんですね」

サクラ「はい、本当はまっすぐに伸びた道があるんですけど、倒れた建物があって使えないんです」

カムイ「そうなんですね」

サクラ「レオンさん、応援が来たらすぐにでもここの道を使えるようにしないといけないって張り切っていました」

カムイ「ふふっ、レオンさんも色々と白夜の人々のために考えてくれているんですね」

サクラ「はい! いつか、私たちが知っている白夜の光景を見てみたいって言ってくれたんです」

カムイ「きっと叶いますよ。……ん?」

カムイ軍救護兵「よし、こっちは大丈夫だ。そっちから包帯の代えを出してくれるか」

カムイ軍救護兵「わかりました。それと薬品の残りが少なくなっています。使い過ぎに気を付けてください」

カムイ「ここですか?」

サクラ「はい、ここです。お疲れ様です、お薬とかを持ってきました」

カムイ軍救護兵「おお、とても助かります。備蓄がそこを尽きかけていましたが、これで夕刻までは耐えられそうです」

サクラ「本当ですか、よかった……」

カムイ「よかったですね、サクラさん」


675 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 10:04:14.20UUdKgmS+0 (5/23)

カムイ軍救護兵「すみません、サクラ様やカムイ様に運んでいただいてしまって」

カムイ「いいえ、私に出来ることはこれくらいですから。ここにいる方々は大丈夫なのですか?」

カムイ軍救護兵「白夜の人々と共に最善を尽くしてはいます。ようやく多くの方は落ち着き始めていますが、すべての人の容態が落ち着いたとは言えない状態ですね」

カムイ「そうですか……」

カムイ軍救護兵「応援が到着次第、重傷者の移送を順次行う事にはなっていますから、それまでは耐えてもらうしかないでしょう」

サクラ「すみません、環境の改善について早く気づけたらよかったんですけど……」

カムイ軍救護兵「いいえ、サクラ様の所為ではありません。皆、目の前で苦しんでいる人を助けることを優先していたのですから。それに次にするべきことが環境の改善であることを私たちは気づけませんでした。ありがとうございます、サクラ様」

サクラ「そんな、お礼なんていいですよ。皆さんが早く回復されることが第一ですから。移送が開始できるまで時間が掛かります、私もお手伝いできることはお手伝いしますので」

カムイ軍救護兵「わかりました。頼りにしていますよ」

サクラ「はい。あ、包帯やお薬とかはこちらでいいですか?」

カムイ軍救護兵「ええ、そこに置いてください。後は私たちにまかせて……ん?」

白夜の民「ううっ……誰か……み、水を……くれないか……」

カムイ軍救護兵「あ、ああ、待っていてくれ、すぐに向かおう。物資の仕分けはそれからでも……」

カムイ「あの、よろしければ私があの方にお水を持っていきましょう」

カムイ軍救護兵「え?」

カムイ「物資の仕分けは私には難しいですが、お水を持って行って飲ませてあげることは出来ますから」

カムイ軍救護兵「ですが……」

カムイ「いいんです。今の私に出来ることはこれくらいですし、物資の仕分けが終わることで医療活動が早く再開されるならそれが一番の事ですから」

カムイ軍救護兵「わかりました。すみませんがよろしくお願いいたします」

カムイ「はい。サクラさんも物資の仕分けの手伝いをお願いできますか? すぐに戻りますので」

サクラ「わかりました。患者さんのことお願いしますね」

カムイ「はい」




676 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 10:09:18.61UUdKgmS+0 (6/23)

白夜の民「う……ううっ……あ……」

カムイ「大丈夫ですか? お水を持ってきましたので、ゆっくり飲んでください」 

白夜の民「あ、ああ、んっ、んっ……。はぁ……、はぁ……」

カムイ「まだ飲みますか?」

白夜の民「あ、ああ……んっ、んっ……。ありがとう…、助かったよ……」

カムイ「ふふっ、ゆっくり休んでいてください。今日の夕刻までの辛抱ですから」

白夜の民「……すぅ……すぅ……」

カムイ「このような人が、まだ大勢いるんですよね……」

カムイ(これが私の選んだ一つの結果、私がヒノカさんを助けるために戦った結果なんですね……)

 タッ タッ

???「おい」

カムイ「ん?」

負傷した白夜兵「あんた……カムイ王女か? カムイ王女だろう?」

カムイ「……はい、そうです。あなたは?」

負傷した白夜兵「俺の事なんてどうでもいいだろう。それより、裏切り者が今さらなんのようだ。ここはお前が来ていいような場所じゃないってわからないのか?」

カムイ「……」


677 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 10:20:38.24UUdKgmS+0 (7/23)

負傷した白夜兵「あんたがしたことは誰もが覚えている。ミコト様が亡くなった直後に暗夜へ寝返ったあんたがこの地に足を踏み入れ、民に触れていいとでも思っているのか?」

カムイ「私は……」

負傷した白夜兵「弁解など要らない。今さら罪滅ぼしのつもりか知らないが、そんな優しくしたところであんたの立場は変わらない。この機に乗じてすり寄ってくるなど、人間としての底が知れるというものだ、そうだろう?」

カムイ「……」

負傷した白夜兵「それともなんだ? 光を失って周りが見えないから、こうやってのこのことやって来れるということか? あの後の白夜がどんなものだったのかもしらないでよくもそんなことができる。あんたに介抱されて喜ぶものなどいない、余計なことはしないで、俺たちの前から姿を――」

サクラ「やめてください!」

カムイ「サクラさん……」

負傷した白夜兵「サ、サクラ様……」

サクラ「カムイ姉様は、ただ水を求めている人に水を上げただけです。ただ困っている人がいたから手を差し伸べただけなのに、どうしてそのような事が言えるんですか!」

負傷した白夜兵「で、ですが、カムイ王女は白夜を裏切り、混乱に陥れた元凶で――」

サクラ「それなら私も同じです。あの日、多くの人々が暗夜に送られた原因に、私が勝手な真似をして捕まったことも関係しているはずです!」

負傷した白夜兵「それは違います。あなたは暗夜に捕らわれていた身ではありませんか。カムイ王女とは違う、こんな裏切り者とサクラ王女が一緒なわけがありません。こいつが我々を裏切らなければ、このようなことには――」

???「そこまでにしておけ」




678 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 10:25:58.47UUdKgmS+0 (8/23)

 ドゴッ

負傷した白夜兵「がっ、ううっ、何をするんですか、隊長……」

白夜兵「馬鹿者、このようなところで騒ぎを起こすな。ここは傷を癒す場所だ。大きな声を上げ、他者を罵倒する場所ではないのだぞ」

負傷した白夜兵「ぐっ、しかし、こいつが、こいつが――」

カムイ「……」

白夜兵「その思考はいずれリョウマ様を奪ったユキムラと同じ道に堕ちることになる。これ以上、リョウマ様の意思を穢すのであれば、リョウマ様の敵としてお前を斬るしかなくなる」チャキッ

負傷した白夜兵「!」

カムイ「待ってください、その人が言っている事は――」

白夜兵「ああ、そうだな。でもそれは別の問題だ。発言の真意はどうでもいい、だがその言葉はここで休む者たちには聊か耳に残りすぎる言葉だ。見ろ、多くの者が目を覚ましてしまった」

負傷した人々『……カムイ王女?』

 ザワザワ……

サクラ「あ……」

カムイ「……」

負傷した白夜兵「……み、みんな――」

白夜兵「その先を口にしたらもう容赦はしない。その覚悟があるのなら続けるといい」

負傷した白夜兵「!」



679 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 10:33:08.72UUdKgmS+0 (9/23)

白夜兵「なぁ、こんな公衆の面前で部下であるお前を斬りたくなどない。せっかく生き残ったというのに、そんなことを私にさせないでくれないか?」

負傷した白夜兵「……っ、なんでだよ……。なんで……なんで俺たちがこんな目にあってるのに、こいつは生きて戻ってくるんだよ……」ポタタッ

カムイ「……」

負傷した白夜兵「くそ、くそおおおおっ!!!」タタタタタッ

カムイ「……」

サクラ「カムイ姉様……」

カムイ「……」

白夜兵「……」スッ

サクラ「……あ」

白夜兵「サクラ様、カムイ王女、部下が失礼した。此度の戦いで多くの戦友とリョウマ様を失ったばかりで、まだ気持ちの整理が付いていなかったのだ。すまないが、許してやってくれないか」

カムイ「いいえ、あの人の言っている事は間違っていません。私が裏切り者であることは事実なのですから……」

白夜兵「そうか……」

カムイ「私の方こそ、邪魔をしてすみません。サクラさん、行きましょう」

サクラ「は、はい……」

白夜兵「カムイ王女」

カムイ「はい?」

白夜兵「そなたに聞きたいことがあるのだが、少し付き合ってくれるか?」

カムイ「構いませんよ。サクラさんは先に戻られますか?」

サクラ「いいえ、カムイ姉様と一緒にいます、その私もご一緒してよろしいでしょうか?」

白夜兵「ふっ、思ったよりも強気な申し出だな。別にかまわない。構わないが、ここで話すのは負傷者の迷惑になる。外で話そう」

カムイ「はい……」



680 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 10:38:43.99UUdKgmS+0 (10/23)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

白夜兵「すまないな、結構歩かせてしまった。だがここなら、誰も寄りはしないだろう」

カムイ「私に聞きたいのは、そういう話と言う事ですよね?」

白夜兵「……ああ、サクラ様がいる前で聞くべきかどうかはわからないが、今はどんなことがあってもカムイ王女から離れてくれそうにない。ならば単刀直入に聞く以外に術はない。大丈夫だ、罵倒しようってわけではない」

サクラ「……ほ、本当ですか?」ギュッ

白夜兵「ああ、罵倒するのなら奴と一緒に私も罵倒を始めていたさ」

カムイ「そうですか、それで私に聞きたいことというのは……」

白夜兵「ああ……。そなたがリョウマ様を討ったのか?」

カムイ「!」

サクラ「!」

白夜兵「……どうなのだ? そなたが我々の主であるリョウマ様を討ったのか?」

カムイ「……」

白夜兵「……」

カムイ「……」

カムイ「はい、私が討ちました」

サクラ「カムイ姉様……」



681 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 10:44:49.84UUdKgmS+0 (11/23)

白夜兵「誤魔化さないのだな?」

カムイ「はい、私がリョウマさんを殺してしまったんです」

白夜兵「そうか、亡骸が出ないことに関しては城下町の犠牲者と同じで攫われてしまったからなのだろう。一部の者はその事実に希望を抱いているようだが、それはあるまい。そうか、やはりそなたが殺したのか……」

サクラ「カムイ姉様はリョウマ兄様を助けようとしたんです。でも、でも……」

カムイ「サクラさん……」

サクラ「だから、だから……」

白夜兵「ふむ、サクラ様が何を弁解しているのかはわからないが、リョウマ様はカムイ王女と決着をつけることを望まれていた。万が一、ユキムラに命を奪われていたとなれば、正直どうしたものかと思っていたところで、ある意味安心したのだよ」

サクラ「え、安心したって……」

カムイ「あなたは私が憎くないのですか?」

白夜兵「おかしなことを聞く、憎いに決まっているだろう? そなたが暗夜へと寝返ったことは周知の事実、それは今後覆ることはない。しかし、この一件についてそなたを憎く思う理由は無い」

カムイ「なぜですか、私はリョウマさんの命を奪ったのですよ……。本当なら生きているかもしれなかったのですよ?」

白夜兵「カムイ王女、それはリョウマ様が生きているならば、そなたは死んでいたという意味であることも分かって言っているのか?」

カムイ「それは……」



682 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 10:48:52.68UUdKgmS+0 (12/23)

白夜兵「カムイ王女、これは戦いだ。命を奪い合うという単純な殺し合いに過ぎない。政治的要因は先や後に付くものだが、戦いはその場にいる者たちにとって命を賭した場であるに過ぎない。そして、そこで命を落す可能性は誰もが持っている。武器を持たない民、暗夜兵、我々白夜兵、そなたもそうであり、そしてリョウマ様とて例外ではない。そなたにリョウマ様が敗れたことは、そのうちの一つに過ぎない」

カムイ「ですが……」

白夜兵「ふむ、どうやらそなたは誰かに恨まれたいという気質があるようだ。いや、違うか恨まれることで安心したいのかもしれないな」

カムイ「!」

サクラ「恨まれることで安心する人なんて……」

白夜兵「これでもそれなりに長く生きている。そして、そういう者たちを見たことがある。規模は違え、カムイ王女も同じように恨まれることで安心する性質なのだろう。先ほど、部下がそなたに向けて罵声を浴びせた時に比べ、今の方がよほどうろたえているように見える」

カムイ「わ、私は……」

白夜兵「カムイ王女、先に断っておくが、今後どのようなことがあろうともそなたを同胞として見ることは私もないだろう。このすべての原因がそなたの離反によるものとまとめ上げることは可能だ。しかし、そなたにすべての責任を押し付けることに意味などありはしない」

カムイ「どうしてですか?」



683 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 10:50:25.46UUdKgmS+0 (13/23)

白夜兵「ユキムラのような強硬派の台頭を許したのも、そしてリョウマ様が幽閉されてしまったことも、これらは白夜を離れたそなたに止められることではなかったからだ。我々は強硬派に圧され、多くの罪なき民を死地へと追いやった。そして侵攻作戦が悉く失敗し続ける中で民の混乱や不安は増えているの手を差し伸べることは無かった。その結果、強硬派が牛耳る事態に至った。だが、暗夜に属するそなたがそれを防げるわけはないだろう?」

カムイ「それは……そうかもしれませんが」

白夜兵「しれないではない、そなたに出来るわけはないのだ。そなたの離反によって秩序が崩れたとしても、それを修復するのはその場にいる者たち、我々が成すべきことであった。確かにこれも暗夜にいたそなたの計略故に起きた事態ならば驚きに値するが、そなたがそのような悪逆に走れるとは思えない」

カムイ「どうして、そう言えるのですか? 私は裏切り者です、そんな人間を評価する理由なんて……」

白夜兵「あるさ、そなたはヒノカ様を助け出してくれただろう」


684 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 10:56:38.91UUdKgmS+0 (14/23)

白夜兵「もしも、そなたに助けるという気持ちが無ければ、ヒノカ様は助かっていなかったと思っている。あの戦場の中で助ける事は殺すよりも難しいことだ。それをそなたはやってのけた。その場にいなかった我々では救えなかったものを、そなたは救ってくれたのだ」

カムイ「でも、まだヒノカさんは目覚めていないんです……。ずっと眠り続けたままで……」

白夜兵「だとしても、目覚める可能性は十分にあると聞いている。それにミタマ様からそなたがヒノカ様にここ数日は付きりであったことも聞いた」

サクラ「はい、カムイ姉様はずっとヒノカ姉様のそばにいてくれたんです。私もその姿を見ていましたから」

白夜兵「そなたの行いすべてが正しいとは言わない。だが、ヒノカ様への献身に嘘偽りはないはずだ。先に重傷者へ水を与えてくれたのも打算あっての事ではあるまい。ただ、そこで苦しんでいる者がいるからそなたは水を与えに行った、ただそれだけの事であろう? だからこそだ、そなたに聞いたのだ、リョウマ様を討ったのかどうか……。そなたならば嘘偽りなく答えてくれるだろうと思って聞いたのだ」

白夜兵「ありがとう、答えてくれて」

カムイ「……」


685 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 10:59:09.67UUdKgmS+0 (15/23)

白夜兵「さて、長い話に付き合わせてしまってすまなかった」

カムイ「そんなことはありません。何か手伝えることがあったら言ってください。私もできうる限り協力していきますから」

白夜兵「ああ、何かあったら手伝いを頼むことにするさ。今は猫の手も借りたいくらいではあるからな」

カムイ「はい」

白夜兵「それではな」

 タッタッタッ

カムイ「……恨まれることで安心している、ですか」

カムイ(私はそうあることで安心しているのかもしれません。誰かに恨まれることで、私は心の中にある何かを和らげているのかもしれない。もし、こうであったならと望む本当の理由に、何か違う物があるのだとすれば…)

カムイ「……」




686 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 11:04:07.59UUdKgmS+0 (16/23)

サクラ「行ってしまいましたね」

カムイ「ええ……」

サクラ「でも、よかったです。カムイ様の事をわかってくれる人がいるって、もしかしたら、また何かを言われてしまうんじゃないかって思っていたから……」

カムイ「ですが、そんなことになってたとしても大丈夫だったと思います」

サクラ「どうしてですか?」

カムイ「それは、サクラさんが一緒にいてくれたからですよ。話している間、ずっと私の手を握ってくれましたからね。いえ、今も握ってくれてます」

サクラ「あ、……そ、そうですね」

カムイ「サクラさん?」

サクラ「あ、あの嫌でなければ、お城まで手を握っていてもらってもいいでしょうか」

カムイ「別にかまいませんよ。離れない様にギュッと握ってあげますね」

サクラ「ありがとうございます」

カムイ「ん、サクラさんの手はとても暖かいですね」

サクラ「カムイ姉様の手も暖かいです」

カムイ「ふふっ」

サクラ「えへへ」


687 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 11:14:29.83UUdKgmS+0 (17/23)

サクラ「日が暮れそうです。そろそろ応援が到着する頃でしょうか?」

カムイ「予定ではそうでしたね、到着すれば色々と忙しくなるのは間違いありません。皆さんの作業がスムーズに行えるように、今日の夜のうちに色々と決めないといけませんね」

サクラ「はい。……えいっ」ギュウッ

カムイ「わっ、どうしたんですかサクラさん、いきなり抱き着いたりして」

サクラ「……なんだか夢を見ているような気持ちになるんです。こんなに大変な事ばっかり起きたけど、今だけはずっと夢見た日がここにあるから……」

カムイ「……それはどんな夢なんですか、サクラさん」

サクラ「こうやってカムイ姉様とシラサギ城に戻る、ただそれだけの事です。ずっと、ずっと会ったことのない姉様と一緒にお家に帰れる日が来たらいいなって、そう思っていたんです」

カムイ「サクラさん……」

サクラ「わかってます、カムイ姉様は、ここに帰って来たって思う事が出来ないって。だけど、今だけは一緒にお家に帰ってくれませんか?」

カムイ「……ええ、いいですよ、サクラさん」

サクラ「ありがとうございます、カムイ姉様。それと今だけは甘えさせてください」

カムイ「はい。シラサギ城に着くまでいっぱい甘えてくださいね。サクラさん」


688 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 11:21:32.12UUdKgmS+0 (18/23)

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・白夜王都『正面正門』―

 ザッザッザッザッ

カムイ軍兵士「すまないが道を開けてくれ、物資を乗せた荷車が通る。ああ、そこの車輪に巻き込まれると危険だ、あまり近寄らないでくれ」

 ゴトンゴトンッ ゴトンゴトンッ

レオン「出来る限りの支援物資とは伝えていたけど、これほどの量が来るなんて思ってもいなかったよ」

カムイ軍兵士「はい、これだけあれば色々なことに着手できるでしょう」

レオン「ああ、明日から忙しくなりそうだ。中央広場を基軸として物資の保管用の天幕を作り上げてほしい。今日は物資の仕分けを終えて、明日からの作業を手早く始められるようにしておくんだ」

カムイ軍兵士「はい、わかりました。よし、お前たちさっさと仕分けに向かうぞ」

カムイ軍兵士たち『おーーっ!』タタタタタタッ

レオン「……ふふっ」

???「何やらうれしそうな顔をされていますね、レオン殿」

レオン「いや、白夜の支援活動をすることに消極的な者たちも少なからずいた。でも、今はこの活動を真摯に行ってくれている。それに安心しただけだよ。それより、到着を早めてくれて助かったよ、クーリア」

クーリア「いいえ、出来ることに全力で取り組んだだけの事です。思ったよりも、白夜での戦いは熾烈を極めたようですね」

レオン「ああ、だからこそこんなに早く駆けつけてくれて助かった。それにしてもこれだけの物資、本国からの輸送だけで良く集められたね」

クーリア「いいえ、この中で本国から手に入れられたものは三割ほどです。流石に行路を持ってしても、これほどの量は準備できませんでした」

レオン「じゃあ、これは一体?」

クーリア「そのお話は後で、まずは会合の場に向かうとしましょう」

レオン「ああ、わかったよ……。で、そっちの姿を隠している布の塊は何だい?」

布の塊「……」


689 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 11:26:19.69UUdKgmS+0 (19/23)

クーリア「その……今日の会合に参加する者の一人です」

レオン「そう……。出来れば素性を明かしてもらいたいんだけど」

布の塊「……」

レオン「クーリア……」

クーリア「すみません、何度も言っているのですが、素性を明かすのは会合の場だけにしたいと聞かないもので、それにその約束あってのこの状況でもありますので……」

レオン「この状況……ね」

レオン(多分、この大量の物資と関係があることだろう。これほどの物資を提供できるということは、それなりの見返りを求めていると考えて間違いない。新生暗夜と白夜の復興に関して、有利な立場を築こうとしているのか? だとしたら牽制したいところだけど、癇癪を起して物資を引き上げられたりすれば混乱は避けられない。一応、クーリアが大丈夫だと踏んだ人間だから、そこを信頼するしかないか……)

レオン「わかった、君を信じるよ。君が大丈夫と思った相手なんだからね」

クーリア「ありがとうございます、レオン殿」

布の塊「……」ペコリッ

レオン「素直に礼をしてくれるなら、その格好を改めてもらいたいんだけどさ。それじゃ、シラサギ城に向かう、付いてきて」

 タッタッタッ

クーリア「……レオン殿、さすがに警戒していましたよ」

布の塊「逆に警戒されなかったらどうしようかと思ったよ~。うん、これはこれで安心できる対応だね~」

クーリア「はぁ」

布の塊「それじゃ、レオン王子の後を追うよ~」

「カムイ王女も待ってるみたいだからね~」

休息時間1 終わり


690 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 11:28:29.97UUdKgmS+0 (20/23)

●異性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・レオン×カザハナ
 C[本篇の流れ] B[3スレ目・300] A[3スレ目・339]
・ジョーカー×フローラ
 C[1スレ目・713~715] B[1スレ目・928~929] A[2スレ目・286]
・レオン×サクラ
 C[1スレ目・511~513] B[2スレ目・297~299] A[3スレ目・797]
・ラズワルド×ルーナ
 C[1スレ目・710~712] B[2スレ目・477] A[4スレ目・177]
・アクア×オーディン
 C[3スレ目・337] B[3スレ目・376] A[4スレ目・353]
・ルーナ×オーディン
 C[4スレ目・352] B[4スレ目・411] A[4スレ目・460]
・ラズワルド×エリーゼ
 C[1スレ目・602~606] B[3スレ目・253] A[4スレ目・812]
・ベルカ×スズカゼ
 C[3スレ目・252] B[3スレ目・315] A[5スレ目・57]
・オーディン×ニュクス
 C[1スレ目・839~840] B[3スレ目・284] A[5スレ目・362]
・サクラ×ラズワルド
 C[5スレ目・303] B[5スレ目・337] A[5スレ目・361]
・アクア×ゼロ
 C[1スレ目・866~867] B[4スレ目・438] A[5スレ目・456]
・ラズワルド×ピエリ
 C[5スレ目・823] B[5スレ目・862] A[5スレ目・890]
・マークス×リンカ
 C[5スレ目・888] B[5スレ目・920] A[6スレ目・6]
・ブノワ×フローラ
 C[2スレ目・283] B[2スレ目・512] A[6スレ目・31]
・レオン×エルフィ
 C[3スレ目・251] B[4スレ目・437] A[6スレ目・49]
・ギュンター×ニュクス
 C[3スレ目・246] B[5スレ目・480] A[6スレ目・619]

【支援Bの組み合わせ】
・エリーゼ×ハロルド
 C[2スレ目・511] B[2スレ目・540]
・アシュラ×サクラ
 C[3スレ目・773] B[5スレ目・106]
・ブノワ×エルフィ
 C[5スレ目・822] B[6スレ目・77]
・レオン×ピエリ
 C[6スレ目・76] B[6スレ目・107]
・ツバキ×モズメ
 C[5スレ目・15] B[6スレ目・317]
・ラズワルド×シャーロッテ
 C[5スレ目・479] B[6スレ目・653]

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
 C[1スレ目・377~380]
・モズメ×ハロルド
 C[1スレ目・514~515]
・ルーナ×ハロルド
 C[3スレ目・375]
・カザハナ×ツバキ
 C[3スレ目・772]
・マークス×エリーゼ
 C[6スレ目・620]
・カミラ×ジョーカー
 C[6スレ目・671]←NEW


691 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 11:29:16.74UUdKgmS+0 (21/23)

●同性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・リンカ×アクア
 C[1スレ目・888~889] B[2スレ目・285] A[3スレ目・254]
・ピエリ×カミラ
 C[1スレ目・752~753] B[2スレ目・478] A[2スレ目・513]
・フェリシア×ルーナ
 C[1スレ目・864~865] B[1スレ目・890~891] A[1スレ目・930~931]
・フローラ×エルフィ
 C[1スレ目・471~472] B[3スレ目・338] A[3スレ目・377]
・レオン×ツバキ
 C[1スレ目・492~493] B[1スレ目・870] A[3スレ目・798]
・ベルカ×エリーゼ
 C[2スレ目・284] B[3スレ目・301] A[4スレ目・354]
・ピエリ×ルーナ
 C[3スレ目・249] B[4スレ目・317] A[4スレ目・412]
・アクア×ルーナ
 C[3スレ目・283] B[4スレ目・461] A[4スレ目・813]
・カミラ×サクラ
 C[4スレ目・175] B[5スレ目・58] A[5スレ目・107]
・ギュンター×サイラス
 C[1スレ目・926~927] B[3スレ目・316] A[5スレ目・363]
・シャーロッテ×カミラ
 C[2スレ目・476] B[4スレ目・439] A[5スレ目・436]
・ラズワルド×オーディン
 C[4スレ目・459] B[5スレ目・338] A[5スレ目・457]
・フェリシア×エルフィ
 C[1スレ目・367~368] B[2スレ目・541] A[5スレ目・481]
・サクラ×ニュクス
 C[5スレ目・860] B[5スレ目・889] A[5スレ目・919]
・エリーゼ×カザハナ
 C[5スレ目・14] B[5スレ目・921] A[6スレ目・7]
・ルーナ×カザハナ
 C[4スレ目・780] B[5スレ目・861] A[6スレ目・32]
・ルーナ×フローラ
 C[4スレ目・781]  B[6スレ目・50] A[6スレ目・78]
・サクラ×エルフィ
 C[3スレ目・774] B[6スレ目・108] A[6スレ目・633]

【支援Bの組み合わせ】
・シャーロッテ×モズメ
 C[3スレ目・248] B[3スレ目・285]
・ベルカ×ニュクス
 C[4スレ目・176] B[4スレ目・410]
・ジョーカー×ハロルド
 C[1スレ目・426~429] B[5スレ目・336]
・マークス×ギュンター
 C[5スレ目・302] B[6スレ目・654]

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
 C[1スレ目・423~425]
・ピエリ×リンカ
 C[3スレ目・247]
・ピエリ×フェリシア
 C[3スレ目・250]
・フローラ×エリーゼ
 C[4スレ目・178]
・エルフィ×ピエリ
 C[3スレ目・771]
・スズカゼ×オーディン
 C[4スレ目・318]
・ハロルド×ツバキ
 C[5スレ目・56]
・アシュラ×ジョーカー
 C[5スレ目・105]
・ラズワルド×ブノワ
 C[5スレ目・435]
・シャーロッテ×サクラ
 C[6スレ目・30]
・カミラ×アクア
 C[6スレ目・106]
・シャーロッテ×カザハナ
 C[6スレ目・314]
・エリーゼ×カミラ
 C[6スレ目・315]
・レオン×ハロルド
 C[6スレ目・606]
・スズカゼ×ブノワ
 C[6スレ目・607]


692 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 11:33:12.50UUdKgmS+0 (22/23)

今日はここまで

 どんなことがあっても、サクラはカムイの事を姉様と慕ってくれる気がするのです。

 今後の展開を安価で決めたいと思います。参加していただけると幸いです。

◆◇◆◇◆◇
○支援イベントのキャラクターを決めたいと思います。

 アクア
 ジョーカー
 ギュンター
 フェリシア
 フローラ
 マークス
 ラズワルド
 ピエリ
 レオン
 ゼロ
 オーディン
 カミラ
 ベルカ
 ルーナ
 エリーゼ
 ハロルド
 エルフィ
 サイラス
 ニュクス
 ブノワ
 シャーロッテ
 モズメ
 リンカ
 サクラ
 カザハナ
 ツバキ
 スズカゼ
 アシュラ
 フランネル

 >>694と>>695

(すでにイベントが発生しているキャラクター同士が選ばれた場合はイベントが進行、支援状況がAになっている組み合わせの場合は次レスのキャラクターとの支援になります)


693 ◆P2J2qxwRPm2A2019/03/30(土) 11:34:15.58UUdKgmS+0 (23/23)

◇◆◇◆◇
○進行する異性間支援の状況

【支援Bの組み合わせ】
・エリーゼ×ハロルド
・アシュラ×サクラ
・ブノワ×エルフィ
・レオン×ピエリ
・ツバキ×モズメ

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
・モズメ×ハロルド
・ルーナ×ハロルド
・カザハナ×ツバキ
・ラズワルド×シャーロッテ
・マークス×エリーゼ
・ジョーカー×カミラ

 この中から一つ>>696

(会話しているキャラクターの組み合わせと被ってしまった場合は、その次の安価になります)
 
◇◆◇◆◇
○進行する同性間支援

【支援Bの組み合わせ】
・シャーロッテ×モズメ
・ベルカ×ニュクス
・ジョーカー×ハロルド

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
・ピエリ×リンカ
・ピエリ×フェリシア
・フローラ×エリーゼ
・エルフィ×ピエリ
・スズカゼ×オーディン
・ハロルド×ツバキ
・アシュラ×ジョーカー
・マークス×ギュンター
・ラズワルド×ブノワ
・シャーロッテ×サクラ
・カミラ×アクア
・シャーロッテ×カザハナ
・エリーゼ×カミラ
・レオン×ハロルド
・スズカゼ×ブノワ

 この中から一つ>>697

 このような形ですみませんが、よろしくお願いいたします。


694以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/30(土) 17:29:06.73TcUDtVvDO (1/1)

エルフィ


695以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/03/30(土) 18:17:04.15nbLBNhOkO (1/1)

スズカゼ


696sage2019/03/31(日) 22:48:54.99N+vwl+EJ0 (1/1)

エリーゼ×ハロルドでお願いします

ところで同性支援のマークスとギュンターは支援CじゃなくてBでは?


697以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/04/02(火) 13:32:55.24vOEEkhE+O (1/1)

ピエリ×フェリシア


698 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/06(土) 10:50:50.69dP9L4SA70 (1/4)

◆◇◆◇◆◇
―暗夜王国・王城クラーケンシュタイン『兵舎』―

エルフィ「スズカゼ、少しいいかしら?」

スズカゼ「エルフィさん、どうかされましたか?」

エルフィ「この後の訓練の相手をお願いしたいのだけど」

スズカゼ「この後ですか? 確か実戦を想定した模擬戦闘ですね」

エルフィ「ええ、どうかしら?」

スズカゼ「構いませんよ。しかし、どうして私を指名されたのですか?」

エルフィ「あなた、この前の模擬訓練でわたしの攻撃を全部避けたでしょう」

スズカゼ「前の訓練ですか……。たしかに私はエルフィさんの攻撃を全て避けました。正直、真っ向から当たれるほど私は力強いというわけではありませんので」

エルフィ「そう、それが今わたしに足りないことだと思うの」

スズカゼ「足りないこと、ですか?」

エルフィ「ええ、あなたのように素早く動く相手にも対処できるようになれればもっと強くなれる。だからあなたに相手をお願いしているの」

スズカゼ「なるほど、自身のさらなる成長のためということですね。わかりました、このスズカゼ微力ながらエルフィさんの力になりましょう」

エルフィ「ありがとう、それじゃよろしくおねがいね」

スズカゼ「はい」

【スズカゼとエルフィの支援がCになりました】


699 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/06(土) 10:53:08.84dP9L4SA70 (2/4)

◆◇◆◇◆◇
―暗夜王国・王都ウィンダム『エリーゼ邸』―

エリーゼ「えっと、こ、これでいいよね。額が曲がってるとか、そんなことになってないよね……」

 コンコンコン

ハロルド「エリーゼ様、ハロルドです」

エリーゼ「ハロルド? もう来ちゃったの!?」

ハロルド「はい、エリーゼ様がお呼びになられたのです。すぐに駆けつけるのが臣下である私の務めですから。エルフィくんももうじき来るはずですよ」

エリーゼ「そ、そうなんだ……。えっとね、その今はまだ扉を開けちゃだめだからね。絶対だめだからね!」

ハロルド「ご安心ください、そんなずるい真似はいたしません。正義の味方である前に、私はエリーゼ様の臣下なのですから」

エリーゼ「ハロルド……。ごめんね、ほんとはここまで何も知らないままでいてほしかったのに、その色々と手伝わせちゃって……」

ハロルド「いいえ、そんなことはありません。むしろ、知らなかった以上に今私はドキドキしています」

エリーゼ「え、どうして? だって、あたしが買ったのが絵画だってわかっちゃったんだよ?」

ハロルド「確かにエリーゼ様が絵画を購入されたことはわかりましたが、それ何の絵であるのかはまだわかりません。そして今、私はその絵が一体なんの絵なのかを考えてワクワクとドキドキに包まれているのです」

エリーゼ「ワクワクもドキドキもしてくれるの?」

ハロルド「ええ、もちろんです。なにより、エリーゼ様が私とエルフィくんのために準備してくれたもの、期待しないというのは無理な話というものです」

エリーゼ「ハロルド……」

ハロルド「それに、こうして私が探し出したこの場所に絵画を飾っていただけたのはとてもうれしいことです。私の不運をあなたは幸運に変えてくれたのですから」

エリーゼ「……そうかな?」

ハロルド「そうですよ、自身を持ってください、エリーゼ様」

エリーゼ「うん、ありがと。よーし、それじゃエルフィが来たら、扉を開けるからね! 絶対に二人が気に入ってくれるとびっきりの絵を準備したんだから、もしかしたら心臓が止まっちゃうかもしれないよ」

ハロルド「むむ、それは覚悟しないといけません」

エリーゼ「えへへ」

ハロルド「はっはっは」

【エリーゼとハロルドの支援がAになりました】


700 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/06(土) 10:57:17.28dP9L4SA70 (3/4)

◆◇◆◇◆◇
―暗夜王国・北の城塞『食堂・キッチン』―

フェリシア「……おかしいです。どうしてこうなっちゃうんでしょうか?」

ピエリ「なんだか焦げ臭いの。あれ、フェリシアなの。もしかして火事なの?」

フェリシア「あ、ピエリさん……」

ピエリ「ん、このフライパン真っ黒になってるの。ここが火元なの?」

フェリシア「ち、ちがいます。これは目玉焼きとベーコンの炒め物をですね……」

ピエリ「どこに目玉焼きとベーコンがあるの? 真っ黒になったフライパンしか見えないの」

フェリシア「はうう……」

ピエリ「もしかしてフェリシア、お料理も苦手なの?」

フェリシア「は、はい……。その何度もやってるんですけどうまくいかなくて……何がいけないんでしょうか?」

ピエリ「ならピエリがお手本見せてあげるの。よく見てるのよ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ピエリ「完成なの!」

フェリシア「わ、とってもおいしそうです」

ピエリ「ピエリ、お料理は得意なの」

フェリシア「そうなんですね。はぁ、私もこんな料理が作れたらいいんですけど」

ピエリ「お掃除も駄目でお料理も駄目……。フェリシア、使用人に向いてない気がするの」

フェリシア「そんなこと言わないでくださいよ」

ピエリ「ピエリにはそうとしか思えないの。フェリシアがピエリの家でお仕事してたら、何回えいってするのかわからないの」

フェリシア「うう……」

ピエリ「うーん、こんなにおっちょこちょいだと戦いでも心配なの。そうなの、今度の出撃はピエリが一緒にいてあげるの!」

フェリシア「そ、それは悪いですよ」

ピエリ「大丈夫なの。ピエリ、戦うの上手なの。もしも断ったらえいってするのよ?」

フェリシア「わ、わかりました、今度の出撃はご一緒しますね」

ピエリ「わーい。ピエリのお手本、ちゃんと見てるのよ」

フェリシア「は、はい……」

【ピエリとフェリシアの支援がBになりました】


701 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/06(土) 10:58:10.16dP9L4SA70 (4/4)

今日は支援だけで

 マークス×ギュンターはCではなくBでした。表記ミスもうしわけありませんでした。


702以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2019/04/09(火) 18:55:34.76GvEuqgpDO (1/1)


スズカゼの守備ではエルフィの攻撃を受け止めきれなーい!


703 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 21:43:47.08Q8iwt46F0 (1/16)

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『大広間に至る廊下』―

マークス「到着早々にすまないな、クーリア」

クーリア「いいえ、構いませんよマークス殿。事前に都の状況は聞かされていましたので、到着後にするべきことはわかっています。今重要なのは、今後どう動くべきかでしょう」

マークス「そう言ってもらえると助かる。……しかし、後ろにいる……それは何だ?」

布の塊「……」

レオン「今回の物資の量に関係のある客人らしい」

マークス「顔を出せない理由があると言う事か……」

クーリア「ええ、説得はしたのですが。あまり聞かない方でしたので」

マークス「まあ、いいだろう。レオンがここまで連れてきたと言う事は、少なくとも信用するに値する根拠があっての事だ。会合の席に入ることを許可しよう」

布の塊「……」ペコリッ

マークス「礼義はいいのだな。行こう、すでにこちらの出席者は待っている」タッタッタッ


704 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 21:52:12.39Q8iwt46F0 (2/16)

カムイ「到着した応援部隊、クーリアさん達が指揮をされているんですか」

カミラ「ええ。それにしても最初は反乱の鎮圧なんていう形での出会いだったのに、こうなるなんて予想できないものね。これもカムイが結んだ絆なのかもしれないわ」

カムイ「いいえ、私だけの力ではこうはなりませんでした。きっと、みんなのおかげでもあるはずです」

カミラ「ふふっ、謙遜しちゃって可愛いわね。これで白夜の事はどうにかなるかもしれないわ」

カムイ「はい、クーリアさん達になら白夜の王都への支援を任せても大丈夫でしょう」

アクア「ええ。それに予想以上に物資が多く到着したらしいから、都の人たちも安心できるはずよ」

サクラ「はい、これで多くの方々が辛い思いをしないで済みます」

カムイ「ええ、お会いしたら、まずお礼を言わないといけませんね」

 コンコンッ

マークス「よし、みんな揃っているな」

カミラ「マークスお兄様、ええもう準備は整っているわよ。そっちはどうかしら?」

レオン「ああ、クーリア達を連れてきたよ」

クーリア「お久しぶりです、カムイ殿。それに皆さん」

カムイ「クーリアさん、お久しぶりです。大量の物資、ありがとうございます、何とお礼を言えばいいのか、ありがとうございます」ペコリッ

サクラ「はい、本当にありがとうございます」ペコリッ


705 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:03:46.14Q8iwt46F0 (3/16)

クーリア「ああ、物資の件ですか。それは私ではなくこちらの方に礼をお願いいたします」

サクラ「こちらの方?」チラッ

布の塊「……」

サクラ「え?」

エリーゼ「えっと、どちら様?」

カミラ「真面目な話をする場でするにしては、中々斬新な格好ね」

アクア「怪しいというのを目に見える形にしたらこうなるのかしら? こんなのを参加させて大丈夫なの?」

マークス「……うむ、私も考えたが物資を援助してくれた人物でもある」

レオン「そういうことだから……」

アクア(無償で物資を援助するとは思えない。暗夜と白夜の間に入り込んで何かをしようと企んでいるのかもしれないわ)

アクア「カムイ、あいつの言動には気を配った方がいいかもしれない。マークスもレオンも注意はするだろうけど……」

カムイ「……いえ、その必要は無いと思いますよ」

アクア「カムイ?」


706 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:10:11.79Q8iwt46F0 (4/16)

カムイ「大丈夫です、クーリアさんがその人を信頼したのかわかりました。その場に私がいても同じように信頼したと思います。だって信頼できる人であるのは間違いありませんから」

エリーゼ「え、カムイおねえちゃん、この人が誰だかわかるの?」

カムイ「ええ、気配を読むのはそれなりに心得ていますからね。私たちは一度お会いしたことのある方ですよ」

アクア「私たちが会ったことのある人?」

布の塊「……」

カムイ「ずっと被っていてもいいですが、いつまでもその格好では熱くてたまらないと思いますよ?」

布の塊「そうだね……。白夜王都に入る前からこれだったから、正直熱くてたまらなかったんだよ。よっと!」

 バサッ!

マークス「なっ!?」

レオン「君は……」

カムイ「やっぱり、あなただったんですね。イザナさん」

イザナ「うん! 久しぶりだね、カムイ王女!」


707 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:14:45.64Q8iwt46F0 (5/16)

クーリア「テンジン砦で暗夜本国からの補給物資を待っていたところ、イザナ殿が大量の物資を持って現れまして、それで白夜王都にこれと自分自身を連れて行ってほしいと」

イザナ「さすがに手ぶらで行ける場所じゃないからね。冷やかしはお断りっていうのはどこでも変わらないことだよ~」

レオン「だったらさっきまでの布を体に巻き付けた格好もやめてほしかったんだけど。少しましな格好をしてくれないかな?」

イザナ「みんなを驚かしてあげたかったんだよ~。でも、カムイ王女にはすぐ見破られちゃったからちょっと残念だったかな」

カムイ「ふふっ、イザナさんらしいですね」

レオン「それで僕たちに何か願いがあって物資を持ってきたんだよね?」

イザナ「そうだね。ボクからのお願いはこの持ってきた物資を使ってもらう事だけかな?」

レオン「本当にそれだけかい? なにか他に交渉することがあったりはしないのかい?」

イザナ「うん、ないよ。いずれイズモ公国は元の中立国家としての立ち振る舞いに戻るだけだからね。暗夜と白夜、どちらかに強い繋がりを求めているわけじゃない。イズモは戦争が終わったら元に戻ることを望んでいる、だからボクらイズモが準備をした物資については君たちが準備したものとして処理をしてもらいたいんだ」

レオン「……それでいいのかい?」

イザナ「ああ、人を助けることに損得はいらない、そう信じて戦っている人をボクは信じているからね~。だから、この物資を受け取ってほしいんだ、戦争が終わろうとしている今、必要なのは今を生きる人たちを助けることだけだからね」

レオン「マークス兄さん……」

マークス「わかった、イザナ公王。そちらの物資、ありがたく使わせてもらうとする」

イザナ「ありがとうマークス王子、断られたらどうしようかと思ってたから、これで安心だよ」


708 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:20:21.89Q8iwt46F0 (6/16)

イザナ「それじゃ、ボクの話はこれで終わりだから、早く次に行こっか。時間は有効に使っていかないとね~。そうでしょ、レオン王子?」

レオン「はぁ、癪だけどその通りだよ。まだ父上が率いる旧暗夜の軍勢は残っている以上、気は抜けないからね」

マークス「うむ、報告では大きな動きは見られないとある。実際のところはどうだ、クーリア」

クーリア「はい、時々偵察だと思われる少人数の部隊を見ることはあります。ですが、こちらに攻撃を仕掛けてくる気配はありません。それに旧暗夜の物資は底を尽きかけているでしょうから、こちらの準備が整えば一網打尽にすることも可能と思っています」

カミラ「普通ならそうね。でも、今は普通じゃないことも起きているわ」

クーリア「ああ、例の見えない兵のことですね」

レオン「ああ、すでに警戒するように指示は出していると思うけど」

クーリア「はい、報告は受けています、ですが実際は半信半疑です。なにせ、私たちはその集団と接触したことがありません。ただ白夜とカムイ殿の軍勢に攻撃を仕掛けてきた以上、おそらくガロン王が使役する何かなのだとは予想できます。今回の白夜王都の惨状の殆どもそれらの襲撃があったからだと聞いていましたので」

レオン「ああ、奴らの襲撃があった。今回は状況が違ってはいたけど……」

クーリア「白夜兵、暗夜兵の姿で現れた。これでは誰が敵で味方なのか区別もつきません。その使役している謎の兵が何であるのかはわかりませんが、各所に警戒するように通達は出してあります」

マークス「ああ、最悪の可能性を考えるならば暗夜王都でも同様の出来事が起きる可能性もある。早くにも動かなくてはいけないだろう」

レオン「そうだ、暗夜王国の現状はどうなっているんだい?」


709 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:24:49.02Q8iwt46F0 (7/16)

クーリア「はい。国民の総意は旧暗夜、ガロン王の軍勢を倒すことに向けられています。それもあってか現状は落ち着いていると言ったところでしょう。ウィンダムの復興も着々と進んでいます。ノートルディア公国を補給の中継地点として運用出来ているおかげで、物資と兵員は充実しています。現在、テンジン砦、風の部族村、イズモ公国を中心に離散している白夜の民の捜索と保護を行っています」

マークス「白夜の民は保護できているのか?」

クーリア「それなりにはというところです。村の焼き討ちなどの影響で白夜に恨みを持ってしまった者たちや、山賊などの共同体を組んでどうにか暮らしていた者たちも多いようです。衝突し、鎮圧せざるを得ない事態も度々起きています」

エリーゼ「そんな……。やっと白夜と暗夜の戦いは終わったのに」

クーリア「そう簡単に納得できない方々も多いと言う事でしょう。私も、未だにスズメたちを奪った強硬派に対してすべてに整理が付けられているわけではありません」

サクラ「クーリアさん……」

クーリア「スズメたちがそのようなことを望んでいるとは思ってはいません。ですが、これはずっと胸の中に残り続けるものです。テンジン砦で彼女らが命を奪われたという事実は消えないものなのですから」

レオン「……」

クーリア「話を戻しましょう。次に無限渓谷の事です」

マークス「む、何かあったのか?」

クーリア「はい、無限渓谷に架かっている全ての橋が落とされていたという報告が上がっています」


710 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:28:00.09Q8iwt46F0 (8/16)

レオン「橋が全て落とされていたのかい?」

クーリア「はい。おそらく旧暗夜の仕業でしょう。物資の補給も出来ず、退路としても使えないのであれば必要ないということなのかもしれません。ですが、一番の理由は離反者への措置とみるべきでしょう」

マークス「やはり、旧暗夜からの離反者がいるのか?」

クーリア「ええ、もっとも戦いが終わるまで離反者を受け入れることはありません。それが本当に離反者なのかを見極める術はありませんので。旧暗夜としてもそうした動きをされるのは溜まった物では無いでしょう、ですから先手を打って離反者が暗夜王国に逃れないように橋を落としたのではないかと」

レオン「無限渓谷を通らずに迂回していくこともできるけど、かなり過酷な道のりだ。離反の意思を削ぐには有効かもしれない」

カミラ「あとは暗夜王国側から白夜平原へ攻勢を掛けることが出来なくなったのも大きいわね」

マークス「ああ、それも橋を落とした理由の一つだろう。おそらく、最後の攻勢に向けての準備をしているのかもしれん」

カムイ「相手が例の見えない兵という武器を持っている以上、まだ勝負は決したというわけにはいかないようですね」

アクア「ええ……。まだ、戦いが終わったと思う事は出来ないみたい……」

カムイ「はい」



711 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:29:56.16Q8iwt46F0 (9/16)

クーリア「以上が私からの報告になります」

マークス「ありがとう、クーリア。それで今後についての話なのだが――」

イザナ「あー、その前にちょっとだけいいかな?」

マークス「イザナ公王、まだ何かあるのか?」

イザナ「うんうん、もう一つだけ話があってね」

レオン「なんだい? まだ何か要望があるってことかな?」

イザナ「うん、そうなるね。だけど、その要望に応えるかどうかはキミたちに任せるよ」

マークス「確約してほしい約束事ではないと言う事か?」

イザナ「それが先方のお願いだからね」

サクラ「先方ということは、イザナさん自身のお願いではないと言う事ですか?」

イザナ「そうそう、実は風の部族村で一日滞在した時にお願いされてね~」

レオン「風の部族村で?」

カムイ「もしかして、フウガさんからですか?」

イザナ「いいや、違うよ~」

アクア「フウガじゃないとなると一体誰?」

イザナ「こればっかりは隠していても仕方ないから言うけど、タクミ王子からのお願いだ」

一同『!!!』

イナザ「タクミ王子からの伝言を伝えるよ。『まだ時間があるのなら、白夜王都に行くまで留まっていてほしい。時間が無いのなら出発してもらって構わない』……以上だね」


712 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:33:40.73Q8iwt46F0 (10/16)

サクラ「……あの、タクミ兄様は白夜の現状を知っているんですよね?」

イザナ「ああ、知っているよ。白夜王都の陥落にリョウマ王子の死、ヒノカ王女が眠ったままのこと、そして多大な犠牲が出たこともね。だけど、そう言った白夜の現状についてじゃなくて、実際はカムイ王女と話がしたいというのが本当のところだろうね」

カムイ「……」

カムイ(私はタクミさんとの約束を果たすことが出来ませんでした。リョウマさんを助けることは叶わず、今もヒノカさんは眠ったままなのですから)

マークス「カムイ、私はお前の判断に委ねることにする」

カムイ「マークス兄さん……。ですが、旧暗夜のことは……」

マークス「旧暗夜の動向は気になるところではある。だが、今はお前にとって成したいことを選んでもらいたい。こうして白夜との戦いを終えることが出来たのはお前のおかげだ」

カムイ「そんな……、この戦いは私が始めたものです。最初から私が成したかったことを皆さんに手伝ってもらっただけです」

マークス「ああ、そうだ。だからこそ、今おまえが望むことに従うと言っているのだ」

レオン「僕も兄さんの意見に賛成だよ。姉さんがいなかったらもっと悪い形で戦争が続いていたかもしれない。そうならなかったのは、姉さんが僕たちを導いてくれたからだ。だから、僕は姉さんの意見に従うよ」

カムイ「……」

カムイ(私が成したいこと……。その終わりは戦いを終わらせることです。白夜王都はクーリアさん達に任せて、奴を倒すために白夜平原へと進むことがその終わりに近づける手だとは思います。奴がいなくなれば、この戦いに終止符を打つことができるはずですから……)

カムイ(そう、戦いの終わりを求めるのなら白夜平原へと急いだ方がいい。それが多分、正しい道だとは思います)


713 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:39:08.04Q8iwt46F0 (11/16)

カムイ(だけど、それが出来ないから、私はヒノカさんを助けることが出来たんです。戦いを終わらせるためだけに駆け抜けたくなかった、大切な人を救うために私は戦いたかった。そして、そんな私を信じてくれた人がいる。なら私が成したいことは、一つしかありません)

カムイ「タクミさんの到着は何時頃になりますか?」

イザナ「ボクが村を出る辺りでその話が上がったからね。少なくとももう出発はしているはずだから、明後日くらいには到着するかもしれない。大雑把な予想だけどね?」

カムイ「そうですか。ありがとうございます」

カムイ(私は信じてくれた人にきちんと向かい合わなければいけません。それが、どんなに辛いことであったとしても……)

カムイ「マークス兄さん、タクミさんの到着まで出発を待つことはできますか?」

マークス「ああ、問題は無い。レオン、対応できるか?」

レオン「元々それも想定して予定を二つ組みあげておいたから問題は無いよ」

カムイ「レオンさん、ありがとうございます」

レオン「別に気にしないでいいよ。だけど、あくまでも待てるのはタクミ王子がここに来るまでだ。さすがにヒノカ王女が目覚めるまで待つことはできないよ」

カムイ「はい、大丈夫です」

イザナ「いいのかい? タクミ王子が何を話しに来るのかはわかっていないよ?」

カムイ「どんなことであっても、私は逃げるわけにはいきません。それが約束を引き受けた私のけじめなんです」

イザナ「そうか……。やっぱりキミは強くて優しいね」

カムイ「いいえ、強くも優しくもありませんよ。ただ、それ以外に出来ることが無いだけです」

イザナ「そんなことないさ。それが出来ずに逃げ出す人もいる。それを選ばないからこそ、ボクはキミを強い人だって思うんだ。だから謙遜しないでいいんだよ」

カムイ「イザナさん……。ありがとうございます」



714 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:43:33.14Q8iwt46F0 (12/16)

イザナ「それじゃ、ボクからの要望はこれで本当に終わりだよ。さぁ、今後について話し合わないとね!」

マークス「そうだな。明日から行われる救援活動の項目は概ね決まっている。本来ならば明日から出立の下準備を始める予定ではあったが、それはタクミ王子が到着してからになるだろう。それまでは各員白夜のために出来ることをしてほしい」

クーリア「わかりました。明日から本格的に復興のために活動させていただきます」

カミラ「クーリア、何か大きなものを運ぶ必要があるなら私に言って、飛竜部隊で運んであげるわ」

クーリア「ありがとうございます、カミラ殿」

エリーゼ「それじゃ、あたしとサクラは怪我をした人たちの看病とかを頑張るよ」

サクラ「は、はい、頑張ります!」

アクア「サクラ、エリーゼ、やる気があるのはいいけれど、まずは今何が必要とされているのかを理解してからにしたほうがいいわ」

レオン「それじゃ具体的な復興支援の案だけど、初めに手を付けないといけないのは――」

 ガヤガヤ
  ガヤガヤ

カムイ「ふふっ……」

アクア「カムイ?」

カムイ「すみません、こうやってみんなと誰かのために協力し合えることが嬉しくて……。もしも間違ってしまったらと考えてしまいますが、今この瞬間だけは、うれしく思えてしまうんです」

アクア「カムイ」

 スッ ギュッ

カムイ「アクアさん?」

アクア「大丈夫、あなたの選択は間違ってなんていないわ。だって、あなたがそうやって笑顔を見せているんだもの。それがあるから、みんな迷うことなくあなたを信じていられるのよ」

カムイ「私の笑顔ですか。うーん、それを基準で物事を考えるのはどうなのでしょうか?」

アクア「そうね、少し不安な部分もあるのは確かね?」

カムイ「むっ、アクアさん」

アクア「ふふっ、冗談よ。タクミが到着するまでの間、一緒に頑張りましょう、カムイ」

カムイ「はい、アクアさん」

カムイ(ヒノカさんの回復を待つだけで、何もせずに待っているわけにはいきません。誰かに罵声や敵意の目を向けられても、それは受け入れるしかありません。だって――)

(そうであったとしても、私は誰かを助けたい、そう思い続けているのですから……)

 休息時間2 終わり



715 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:45:12.17Q8iwt46F0 (13/16)

○カムイの支援現在状況●

―対の存在―
アクアA
(カムイからの信頼を得て、その心の内を知りたい)

―城塞の人々―
ギュンターA
(恋愛小説の朗読を頼まれています) 
フェリシアB++
(カムイに従者として頼りにされたい)
フローラA
(すこしは他人に甘えてもいいんじゃないかと言われています)
ジョーカーC+
(イベントは起きていません)
リリス(消滅)
(主君を守り通した)

―暗夜第一王子マークス―
ラズワルドA
(あなたを守るといわれています)
マークスB++
(何か兄らしいことをしたいと考えています)
ピエリB
(弱点を見つけると息巻いています)

―暗夜第二王子レオン―
オーディンA
(二人で何かの名前を考えることになってます)
ゼロB+
(互いに興味を持てるように頑張っています)
レオンA
(カムイに甘えてほしいと言われて、いろいろと考えています)

―暗夜第一王女カミラ―
ルーナA
(目を失ったことに関する話をしています)
カミラA
(白夜の大きい人に関して話が上がっています)
ベルカB++
(生きてきた世界の壁について話をしています)

―暗夜第二王女エリーゼ―
エリーゼA
(昔、初めて出会った時のことについて話しています)
ハロルドB++
(ハロルドと一緒にいるのは楽しい)
エルフィB++
(一緒に訓練をしました)

―白夜第二王女サクラ―
サクラA
(カムイと二人きりの時間が欲しいと考えています)
カザハナA
(素ぶりを一緒にする約束をしています)
ツバキB
(イベントは起きていません)

―カムイに力を貸すもの―
シャーロッテA
(返り討ちにあっています)
フランネルB+
(宝物を見せることになっています)
サイラスB+
(もっと頼って欲しいと思っています)
ニュクスB++
(許されることとはどういうことなのかを考えています)
スズカゼB
(おさわりの虜になったようです)
モズメB++
(時々料理を食べさせてもらう約束をしています)
リンカB+
(過去の雪辱を晴らそうとしています)
ブノワB
(動物の餌やりを一緒にやることになっています)
アシュラB
(暗夜での生活について話をしています)


716 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:45:57.45Q8iwt46F0 (14/16)

●異性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・レオン×カザハナ
 C[本篇の流れ] B[3スレ目・300] A[3スレ目・339]
・ジョーカー×フローラ
 C[1スレ目・713~715] B[1スレ目・928~929] A[2スレ目・286]
・レオン×サクラ
 C[1スレ目・511~513] B[2スレ目・297~299] A[3スレ目・797]
・ラズワルド×ルーナ
 C[1スレ目・710~712] B[2スレ目・477] A[4スレ目・177]
・アクア×オーディン
 C[3スレ目・337] B[3スレ目・376] A[4スレ目・353]
・ルーナ×オーディン
 C[4スレ目・352] B[4スレ目・411] A[4スレ目・460]
・ラズワルド×エリーゼ
 C[1スレ目・602~606] B[3スレ目・253] A[4スレ目・812]
・ベルカ×スズカゼ
 C[3スレ目・252] B[3スレ目・315] A[5スレ目・57]
・オーディン×ニュクス
 C[1スレ目・839~840] B[3スレ目・284] A[5スレ目・362]
・サクラ×ラズワルド
 C[5スレ目・303] B[5スレ目・337] A[5スレ目・361]
・アクア×ゼロ
 C[1スレ目・866~867] B[4スレ目・438] A[5スレ目・456]
・ラズワルド×ピエリ
 C[5スレ目・823] B[5スレ目・862] A[5スレ目・890]
・マークス×リンカ
 C[5スレ目・888] B[5スレ目・920] A[6スレ目・6]
・ブノワ×フローラ
 C[2スレ目・283] B[2スレ目・512] A[6スレ目・31]
・レオン×エルフィ
 C[3スレ目・251] B[4スレ目・437] A[6スレ目・49]
・ギュンター×ニュクス
 C[3スレ目・246] B[5スレ目・480] A[6スレ目・619]
・エリーゼ×ハロルド
 C[2スレ目・511] B[2スレ目・540] A[6スレ目・699]←NEW

【支援Bの組み合わせ】
・アシュラ×サクラ
 C[3スレ目・773] B[5スレ目・106]
・ブノワ×エルフィ
 C[5スレ目・822] B[6スレ目・77]
・レオン×ピエリ
 C[6スレ目・76] B[6スレ目・107]
・ツバキ×モズメ
 C[5スレ目・15] B[6スレ目・317]
・ラズワルド×シャーロッテ
 C[5スレ目・479] B[6スレ目・653]

【支援Cの組み合わせ】
・サイラス×エルフィ
 C[1スレ目・377~380]
・モズメ×ハロルド
 C[1スレ目・514~515]
・ルーナ×ハロルド
 C[3スレ目・375]
・カザハナ×ツバキ
 C[3スレ目・772]
・マークス×エリーゼ
 C[6スレ目・620]
・カミラ×ジョーカー
 C[6スレ目・671]
・エルフィ×スズカゼ
 C[6スレ目・698]←NEW


717 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:46:30.48Q8iwt46F0 (15/16)

●同性間支援の状況
【支援Aの組み合わせ】
・リンカ×アクア
 C[1スレ目・888~889] B[2スレ目・285] A[3スレ目・254]
・ピエリ×カミラ
 C[1スレ目・752~753] B[2スレ目・478] A[2スレ目・513]
・フェリシア×ルーナ
 C[1スレ目・864~865] B[1スレ目・890~891] A[1スレ目・930~931]
・フローラ×エルフィ
 C[1スレ目・471~472] B[3スレ目・338] A[3スレ目・377]
・レオン×ツバキ
 C[1スレ目・492~493] B[1スレ目・870] A[3スレ目・798]
・ベルカ×エリーゼ
 C[2スレ目・284] B[3スレ目・301] A[4スレ目・354]
・ピエリ×ルーナ
 C[3スレ目・249] B[4スレ目・317] A[4スレ目・412]
・アクア×ルーナ
 C[3スレ目・283] B[4スレ目・461] A[4スレ目・813]
・カミラ×サクラ
 C[4スレ目・175] B[5スレ目・58] A[5スレ目・107]
・ギュンター×サイラス
 C[1スレ目・926~927] B[3スレ目・316] A[5スレ目・363]
・シャーロッテ×カミラ
 C[2スレ目・476] B[4スレ目・439] A[5スレ目・436]
・ラズワルド×オーディン
 C[4スレ目・459] B[5スレ目・338] A[5スレ目・457]
・フェリシア×エルフィ
 C[1スレ目・367~368] B[2スレ目・541] A[5スレ目・481]
・サクラ×ニュクス
 C[5スレ目・860] B[5スレ目・889] A[5スレ目・919]
・エリーゼ×カザハナ
 C[5スレ目・14] B[5スレ目・921] A[6スレ目・7]
・ルーナ×カザハナ
 C[4スレ目・780] B[5スレ目・861] A[6スレ目・32]
・ルーナ×フローラ
 C[4スレ目・781]  B[6スレ目・50] A[6スレ目・78]
・サクラ×エルフィ
 C[3スレ目・774] B[6スレ目・108] A[6スレ目・633]

【支援Bの組み合わせ】
・シャーロッテ×モズメ
 C[3スレ目・248] B[3スレ目・285]
・ベルカ×ニュクス
 C[4スレ目・176] B[4スレ目・410]
・ジョーカー×ハロルド
 C[1スレ目・426~429] B[5スレ目・336]
・マークス×ギュンター
 C[5スレ目・302] B[6スレ目・654]
・ピエリ×フェリシア
 C[3スレ目・250] B[6スレ目・700]←NEW

【支援Cの組み合わせ】
・エルフィ×モズメ
 C[1スレ目・423~425]
・ピエリ×リンカ
 C[3スレ目・247]
・フローラ×エリーゼ
 C[4スレ目・178]
・エルフィ×ピエリ
 C[3スレ目・771]
・スズカゼ×オーディン
 C[4スレ目・318]
・ハロルド×ツバキ
 C[5スレ目・56]
・アシュラ×ジョーカー
 C[5スレ目・105]
・ラズワルド×ブノワ
 C[5スレ目・435]
・シャーロッテ×サクラ
 C[6スレ目・30]
・カミラ×アクア
 C[6スレ目・106]
・シャーロッテ×カザハナ
 C[6スレ目・314]
・エリーゼ×カミラ
 C[6スレ目・315]
・レオン×ハロルド
 C[6スレ目・606]
・スズカゼ×ブノワ
 C[6スレ目・607]


718 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/11(木) 22:53:46.70Q8iwt46F0 (16/16)

今日はここまで

 イズモ公国は戦争後にまた中立国家に戻っていくのではないかと思う。
 
 >>711でイザナをイナザと書いてしまっている部分がありました。申し訳ありませんでした。


719 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/18(木) 22:06:37.74B6cmo4/U0 (1/10)

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『ヒノカの部屋』―

ミタマ「何と言いますか、自分から面倒に足を踏み入れるその性分に言葉がでませんわ」

カムイ「ミタマさんが思っている事はもっともだと思います。でも、何もせずにここで待っているわけにもいきません。少しでも生き残った人たちの助けになる事を私はしていきたいんです」

ミタマ「はぁ、何を言ってもお手伝いに行くのは止められそうにもありませんね。わかりましたわ、ヒノカ様の事はわたくしにお任せください」

カムイ「ミタマさん、ありがとうございます。時間が空いたら様子を見に来ますね」

 コンコン スーッ

アクア「カムイ、そろそろ行きましょう?」

カムイ「はい。ミタマさん、ヒノカさんの事をよろしくお願いします」

ミタマ「ええ、お気を付けて」

 タッタッタッ

カムイ「それじゃ、行きましょうか、アクアさん」

アクア「ええ、タクミが訪れるまでにヒノカが目覚めるといいわね」

カムイ「はい、出来ればタクミさんにもヒノカさんの元気な姿を見せてあげたいです。それに、ヒノカさんが目覚めることは白夜の人たちにもいい知らせになるはずですから」

アクア「そうね。物資の配給で白夜の人々に余裕が生まれてくるはずよ。それと合わされば白夜の人々にも希望が芽生えていくと思うわ」

カムイ「ええ、そのために私たちも色々と頑張らないといけません。といっても、私に出来るのは簡単な事しかありませんけど」

アクア「だとしても、あなたに出来ることを精いっぱいやればいいだけの事よ。そこに物事の大きさは関係ないはずよ」

カムイ「ありがとうございます、アクアさん」

アクア「それじゃ、まずは城下町の中央広場に行きましょう」

カムイ「はい」タタタタッ



720 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/18(木) 22:10:36.09B6cmo4/U0 (2/10)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―白夜王国・王都『城下町・中央広場』―

カムイ軍兵士「大丈夫だ、そんなに押さないでも配給物資はある。慌てないで、受取口は多くあるから」

カムイ軍兵士「医療品はここで渡すことは出来ない。怪我人や病人がいるのであれば声を掛けてほしい。こちらから医師を派遣し、必要なら医療天幕に案内しよう」

カムイ軍兵士「よし、ここにもう一つの受付天幕を建てるぞ。そっちを手伝ってくれ!」

 ガヤガヤ ワーワー

カムイ「すごいですね。昨日到着したばかりだというのに、これほど準備が整っているなんて」

アクア「夜の内に物資の仕分けと区分移送を終えていたみたいだから、朝からスムーズに準備が出来たみたいね」

カムイ「そうなんですね。クーリアさんと一緒に来た方々に感謝しないといけません」

アクア「ええ」

カムイ「確か中央広場でレオンさんが支援活動の指揮を取っているという話でしたが……」

アクア「一体どこに……ん?」 

 ドスンドスンッ

カムイ「何か重い物を運んでいる音のようですが……。ん、あちらからですね」

アクア「……あれはエルフィとレオン?」


721 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/18(木) 22:17:05.35B6cmo4/U0 (3/10)

エルフィ「レオン様、これはどこに置けばいい?」

レオン「ああ、それは向こうの天幕にお願いするよ。重そうだけど何人か回そうか?」

エルフィ「いいえ、これくらいなら一人でも運べる。それにいい訓練になります」

レオン「そうかい、助かるよ。こういった力仕事だと僕の出番はないからね」

エルフィ「そんなことありません。こうしてわたしの質問にレオン様は答えてくれますから。これをどこに置けばいいのかまではわかりませんし、レオン様が指揮をしてくれるおかげで天幕の設置はスムーズに進んでいると思います」

レオン「ありがとう。そうだ、支援物資の中にトマトがあるらしいけど、いるかい?」

エルフィ「はい、頂けるのでしたら」

レオン「わかった、ちょっと掛け合ってみるよ」

エルフィ「ありがとうございます、レオン様」

アクア「レオン」

レオン「ん、アクアと姉さん?」

カムイ「レオンさん、こんにちは、朝からお疲れ様です」

レオン「ああ、滞在期間が伸びた以上、出来る限りの支援は行っておきたいからね。クーリアたちも準備が可能ならすぐに物資の配給を行いたいって言っていたこともあったし、なにより白夜の人々も物資の配給を待っていたみたいだからさ」


722 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/18(木) 22:20:14.63B6cmo4/U0 (4/10)

カムイ「そうだったんですね。エルフィさんも朝から手伝いをされていたんですか?」

エルフィ「はい、わたしは日課の朝練をしていたところで、大きな天幕の設置を手伝ってほしいと言われて、重い物を持って設置するのはいい訓練になるからこうして手伝いをしているんです…」

レオン「ああ、エルフィがいてくれたおかげで天幕の設置はそれほど時間が掛からなくて助かったよ」

アクア「そう、トマトのことを話していたから、一体なんの事かと思ったけど」

レオン「うっ、聞こえていたのかい?」

エルフィ「そうですね、アクア様はレオン様のすぐそばに立っていたみたいですから」

アクア「あれ、食べられるものなの?」

レオン「そう聞いて来るってことは食べたことが無いってことだね。それは損しているから食べることをお勧めするよ。あれはとっても食べやすいものだからね、瑞々しさと程よい酸味が――」

 クゥウ

エルフィ「レオン様、トマトの話をされるとお腹が空いてしまいます」

レオン「あ、ごめん」

カムイ「ふふっ、エルフィさんがお腹を鳴らすと言う事は、きっとおいしい物なんでしょう」

アクア「そうね、いずれ食べてみるのも悪くなさそうね」


723 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/18(木) 22:23:47.94B6cmo4/U0 (5/10)

レオン「僕の味覚はあんまり信用してないんだね。まぁいい、それで二人はどうしてここに?」

カムイ「そうでした。何か手伝えることは無いかと思いまして……」

レオン「手伝いか、今の中央広場は人数に問題は無いからね。ここの手伝いは大丈夫かな」

カムイ「そうですか……」

レオン「そうだね、医療天幕のある場所にサクラ王女がいるから、そこを訪ねてみるのがいいかもしれないよ」

カムイ「わかりました、サクラさんを訪ねてみますね。それと何か持っていったほうがいい物はありますか?」

レオン「持って行ってもらいたい物か……。ああ、わずかだけどあまりの医療物資がある。これを持って行ってくれないかな?」

アクア「わかったわ。そういえば、ここで医療品の配給はしていないとさっき兵士が言っていたわね」

レオン「ああ、適正適量での運用をしないといけないし、食料品と違って扱いが難しいものだからね。ある程度はルールを設けていないといくらあっても足りなくなる」

アクア「そういうことだったのね」

カムイ「色々と考えているんですね。それじゃ、その物資を持って医療天幕へ向かいます。ここで話し続けているわけにはいきませんから」

アクア「そうね」

レオン「うん、よろしくたのむよ、姉さん、アクア」

カムイ「はい」タッタッタッ

エルフィ「レオン様、この物資は何処に置けばいいでしょうか?」

レオン「ああ、それは向こうの天幕だね」

エルフィ「はい、ありがとうございます。それでは行ってきますね」

レオン「あ、エルフィ、一ついいかな?」

エルフィ「何でしょうか?」

レオン「そのトマトが手に入ったらなんだけど、あのトマトジュースを作ってもらえるかい? その、久しぶりに飲みたいんだ」

エルフィ「はい、任せてください」

レオン「ありがとう、それじゃ仕事を続けようか」

エルフィ「はい。ふふっ、トマトが楽しみです」


724 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/18(木) 22:29:09.80B6cmo4/U0 (6/10)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
―白夜王国・王都『城下町西区域・医療天幕周辺』―

カムイ軍兵士「すみません、カムイ様。先日だけではなく今日もこうして物資を持ってきていただいてしまって」

カムイ「いいえ、お役に立てて何よりです。状況はどうですか?」

カムイ軍兵士「物資の量が多かったおかげで患者の皆さんへの支援は滞りなく行えています。クーリア様たちには感謝の言葉しかありません」

カムイ「そうですか。それは良かったです」

アクア「ここはサクラが担当していると聞いたのだけど……」

カムイ軍兵士「ああ、サクラ王女様でしたらあちらの天幕で薬の準備をされております」

アクア「わかったわ。カムイ、行きましょう?」

カムイ「はい。では物資をよろしくお願いしますね」

カムイ軍兵士「はい!」

カムイ「サクラさん、皆さんに信頼されているみたいですね」

アクア「そうね。私もそうだけれど、白夜の人間がこれだけ信頼されるなんて思ってもいなかったから」

カムイ「白夜や暗夜を気にすることなく、サクラさんとしてみんなが信頼してくれていると言う事なんでしょう。アクアさんも多くの人から信頼されているみたいですから」

アクア「そうかしらね……ん?」

カムイ「どうしたんですか、アクアさん」

アクア「カムイ、ちょっと先に行っててちょうだい。すぐに合流するわ」

カムイ「わかりました、先にサクラさんのいる天幕に向かっていますね」タッタッタッ

アクア「ええ」



725 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/18(木) 22:33:50.56B6cmo4/U0 (7/10)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

サクラ「これくらいで大丈夫でしょうか?」

ニュクス「ちょっと待って……、ええ、これくらいで問題ないわ。中々うまく出来ているわよ」

サクラ「ありがとうございます、ニュクスさんがいてくれるおかげで薬の調合がとってもうまくいきます」

ニュクス「そう、それはよかったわ。でも私が手伝わなくても、サクラ王女にならどんどんこういったことをこなせるようになっていったと思うのだけれど?」

サクラ「そんなことありません。私が知っている知識とニュクスさんの知っている知識では量も経験も違います。それにこの物資のほとんどは暗夜王国の物で、白夜の薬師としての知識で調合しても失敗してしまうかもしれませんし、なにより患者さんたちやこの物資を準備してくれた人たちに悪いって思ってしまって……」

ニュクス「サクラ王女は慎重なのね。でも、その心掛けは持っていて正解よ」

サクラ「正解でしょうか……」

ニュクス「ええ、あなた位の時、私にもそんな心掛けがあったらこんな姿にはなっていなかったかもしれないから。自分勝手で残虐な過ちを犯したというこの姿には、ね?」

サクラ「でも、私の知っているニュクスさんは、今のニュクスさんだけです」

ニュクス「わかっているわ。だけど、少し思うこともあるのよ。もしも、今ここにいる私が順調に成長していたらどんな姿だったのかって」

サクラ「うーん、そうですね。すらっとしてカッコいい女性な気がしますよ」

ニュクス「ふふっ、お世辞がうまいのね」

サクラ「お世辞じゃありません。ニュクスさんは大人の女性ですから、きっと大人の女性になっているはずです」



726 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/18(木) 22:35:43.51B6cmo4/U0 (8/10)

ニュクス「まったく、お世辞だけは達者になって、いつになったら成長した大人の姿を見せてくれるのかしら?」

サクラ「そ、それは。その、もっと長い目線で待っていてほしいです……」

ニュクス「ふふっ、冗談よ。ゆっくり待つっていう約束だったじゃない。だから急がなくても大丈夫よ。それに今もこうしてあなたは大人の女性として成長しているじゃない」

サクラ「そうでしょうか?」

ニュクス「ええ、わからないことや不安なことをちゃんと聞いて、聞いた通りにそれを実践できる。分からないことをわからないままにして、不安と向き合わないで先延ばしにする人もいる中で、あなたは立ち向かう意思を見せているもの。それは大人として成長している一部だと私は思うわ。だから、その調子で色々と成長するあなたを私に見せてちょうだい」

サクラ「はい、ニュクスさん。それじゃ、この薬はこの配分で作り続けますね」

ニュクス「ええ、私も手伝うわ……ん?」

 バサッ

カムイ「失礼します、サクラさんはいますか?」

サクラ「あ、カムイ姉様」

カムイ「こんにちは、サクラさん。それにニュクスさんもいらっしゃったんですね」

ニュクス「ええ、サクラ王女に薬の調合を教えているところ、あなたはどうしたの?」

カムイ「中央広場で物資を頂いて届けに来たところです。ついでに何か手伝えることがあるならと思っているのですが」


727 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/18(木) 22:39:42.62B6cmo4/U0 (9/10)

サクラ「そうだったんですね。えっと今手伝えることですか……」

カムイ「なさそうですか?」

サクラ「ごめんなさい、カムイ姉様。今はそれほど人手に困っていなくて、患者さんたちへの看護も問題なく行えているから今は大丈夫です」

カムイ「そうですか……」

ニュクス「他にあるとすれば子供たちの面倒を見る事だけど……」

カムイ「子供、ですか?」

サクラ「はい。この戦いで親を失ってしまった子が殆どです。今まで物資などもあまり受け取りに来ることが出来なかったみたいで、医療処理は済んでいるんですけど、その……」

ニュクス「みんな、あまり元気が無いの。塞ぎこんでしまっているというわけじゃないけれど、色々と辛い思いをしてきたのかもしれないわ」

カムイ「そうだったんですね……」

ニュクス「で、それを元気にして見せるって数人飛び出して行っちゃってね。まぁ、特に問題は無いと思うけれど……」

カムイ「元気にして見せるですか。ちなみにその飛び出していった数人っていうのは……」

ニュクス「えっと覚えている限りだと兵士が数人と――」

「オーディンにラズワルド、それとエリーゼ王女だったわね」


728 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/18(木) 22:40:47.37B6cmo4/U0 (10/10)

今日はここまで

 少しの間は仲間同士支援でAになった方々の話が大半になると思います。


729 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/25(木) 15:05:45.63AOVZyjQR0 (1/9)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・王都『城下町西側』―

 ガヤガヤ

白夜の子供「……お腹空いた」

白夜の子供(ここに来れば、食べ物がもらえるって聞いたけど、こんなにいっぱい人がいる……)

 ガヤガヤ ワーワー
  ガヤガヤ ワーワー

白夜の子供「……」

 クゥゥゥ

白夜の子供「うう、あたしの前で無くなったらどうしよう……」

エリーゼ「無くなったりしないから、大丈夫だよ!」

白夜の子供「!?」

エリーゼ「あ、ごめんね。驚かせちゃったかな?」

白夜の子供「う、ううん。えっと、あの……本当になくなったりしない? あたしもちゃんともらえる?」

エリーゼ「大丈夫! 今ね、いっぱいいーっぱい作ってるんだ。もうね、一人じゃ食べきれないくらい!」

白夜の子供「そんなに作ってるの?」

エリーゼ「うん! だから、そんなに心配しないで大丈夫だよ。ちゃんとあなたの分も残ってるから、もう少しだけ待ってて」


730 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/25(木) 15:09:14.11AOVZyjQR0 (2/9)

白夜の子供「うん、ちゃんと待ってる……」

エリーゼ「ありがとう。ん?」

カザハナ「あ、エリーゼ王女。どう、みんなきちんと並んでる?」

エリーゼ「うん、みんなちゃんと並んでくれてるよ」

カザハナ「うんうん、エリーゼ王女が先頭に立って子供たちに声を掛けてくれたおかげだよ、ありがとね」

エリーゼ「そ、そうかな?」

カザハナ「そうだよ。それに最初の配給食をただ配って終わり、そんな流れだったのを変えてくれたのはエリーゼ王女だもん。エリーゼ王女が提案してくれなかったら、こんなに賑やかにはならなかったと思うわ」

エリーゼ「食事って暖かい方がいいと思うんだ。暖かい食事って、それだけでもうれしくなれる気がするの」

カザハナ「ふふっ、その通りみたい。ほら見て、あそこでもらった子たち食べながら笑顔になってる。エリーゼ王女の笑顔大作戦は大成功ね」

エリーゼ「えへへ。でも、まだまだ頑張らないとだめだよね。あたし、向こうのお手伝いしてくるよ!」

カザハナ「わかったわ。ここはあたしに任せて!」

エリーゼ「ありがとう、カザハナ」タタタタッ

カザハナ「さてと、ほら、ちゃんと並ぶ! あ、そこ割り込まない! ちゃんと後ろに回る!ちょっと、列抜けて割りこまない、そういう子は一番後ろに送っちゃうからね!」

 ガヤガヤ
  ガヤガヤ

カザハナ「それにしても、こんなにいっぱいかぁ。厨房の方もこれは戦争だよね、きっと……」



731 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/25(木) 15:12:54.92AOVZyjQR0 (3/9)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ラズワルド「よし、ジャガイモの皮むきは終わったよ、オーディン、細かく切ってくれるかな? 子供たちが食べるから大きさも調整してね」

オーディン「ふん、任せろ。この俺の妙技の前には、何者であろうと別たれる運命から逃れることなど――」

白夜兵士「そこ、早く切ってください。まだまだお腹空かせた子供たちがいるんだから!」

オーディン「あ、はい……。くそぉ、少しくらい格好つけさせてくれてもいいじゃんかよぉ」トントントンッ

ラズワルド「はははっ、怒られちゃったね」

白夜兵士「そっちも、さっさと皮むきを続けてください」

ラズワルド「あ、はい」シャッ シャッ

オーディン「それにしても、エリーゼ様には驚かされるぜ。ただ、配給するだけじゃ駄目だって言い出してさ」

ラズワルド「そうだね。でも、それがエリーゼ様の良い所だと思う。それにこれは間違ったことじゃないはずだよ。ほら、そこから見えるでしょ?」

オーディン「ん?」

ラズワルド「スープを受け取った子供たち、みんな嬉しそうにしてる。一工夫するだけでも、結果は違ってくるはずだからね」


732 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/25(木) 15:15:07.89AOVZyjQR0 (4/9)

オーディン「そうだな。誰かに作ってもらったご飯はおいしいからな。笑顔になるのもわかるぜ」

ラズワルド「それほど大きなことじゃないけど、この思いやりが少しでも明日の笑顔に繋がっていくんだと思う。今こうしてやっていることに意味はあるはずだからね」

オーディン「俺も賛成だ。それに一緒に戦ってきた親友の手助けが出来るっていうのも、悪くない」

ラズワルド「オーディン、ありがとう」

オーディン「ふっ。よし、全部切り終えたぞ。さぁ受け取れ、この俺が切り揃えた幼き命に見合うこの――」

白夜兵士「何言ってるのかわからないけど、切れたならさっさと寄越して。で、次はこれ!」ドスンッ

オーディン「え、まだ切るの!?」

白夜兵士「まだまだ、お腹空かした子がいるんだから当たり前でしょ。で、新しいスープが出来たから、表にもっていってほしいんだけど」

ラズワルド「はい、わかりました。オーディン、ここは少し任せるよ」

オーディン「え、ちょっと待て、この量を俺一人でやれっていうのか!? それはいくら何でも――」

ラズワルド「それじゃ、僕はスープを届けてくるから!」タタタタッ

オーディン「ちょ、待てラズワ――」

白夜兵士「そこ、口じゃなくて手を動かす!」

オーディン「……は、はい」


733 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/25(木) 15:18:03.38AOVZyjQR0 (5/9)

ラズワルド「よいしょっと……。出来上がったスープを持ってきたよ」

カムイ軍兵士「おお、ありがとう。これで、まだまだ腹いっぱい食べさせてやれそうだ。ああ、すまないが、器を出す手伝いをお願いできるか? このままじゃ数が足りなくなる」

ラズワルド「わかったよ、奥の箱だよね?」

カムイ軍兵士「ああ、よろしく頼む! おお、また来たのか。いいぞ、腹いっぱい食べて元気になってくれよな」

白夜の子供「うん、ありがと!」

ラズワルド「うん、元気なのはいい事だね。よし、僕も頑張らないと。えっと、確かこの箱だったはずだけど……」

エリーゼ「えーっと、確かここの箱に食器が入ってたはずだよね、あれラズワルド?」

ラズワルド「あ、エリーゼ様」

エリーゼ「ラズワルドも食器を探しに来たの?」

ラズワルド「も、っていうことはエリーゼ様も?」

エリーゼ「うん、そうだよ。いっぱい子供たちが並んでるから食器の補充まで手が回らないみたいだったから」

ラズワルド「そうみたいですね。ははっ、ここまで賑やかになるなんて思ってもいませんでしたよ」

エリーゼ「えへへ、なんだかすごく忙しくなっちゃったね」

ラズワルド「はい。でも、なんだかやる気が出てきますよ。あんなふうに笑ってる子供たちを見ていると、もっと笑顔にしてあげたいって思いますから」

エリーゼ「あたしも、あたしも!」

ラズワルド「よし、それじゃ食器を持って戻りましょう。まだまだいっぱい必要なはずですから」

エリーゼ「うん! そういえば、オーディンって今一人なんだよね? 大丈夫かな?」

ラズワルド「大丈夫だと思いますよ……多分」


734 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/25(木) 15:20:58.65AOVZyjQR0 (6/9)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

オーディン「はぁはぁ……お、終わりました」

白夜兵士「ありがと、それじゃ次もお願い」ドスンッ

オーディン「ちょ……」

オーディン(さ、さすがにこんな量を切り続けるのは想定外だ。手がプルプル震えて動かなくなってきたぞ……)

オーディン「っていうか、ラズワルドはいつ戻って来るんだよ。早く戻ってきてくれよぉ」トントントンッ

アクア「……オーディンの後姿が見えたから何をしているのか気になって追いかけてきたけれど、思ったより真面目な事をしているわね」

アクア(あれだけの量を一人でこなすのは骨が折れそうだから、手伝ってあげないと……。でも、カムイにはすぐに合流すると言ってしまったから、手伝って遅れるのも悪い気がするし……)

アクア「……やっぱり、ここは――」

カムイ「お手伝いしましょう。アクアさん」

アクア「え、カムイ? どうしてここに……」

カムイ「先ほどサクラさんとニュクスさんから子供たちの話を聞いて、もしかしたらと思って来てみたんです。大勢並んでいるみたいです」

アクア「え、ええ……。なんだか忙しくしていたから何かと思って」

カムイ「さすがはアクアさんです。私は何か出来ることがあるか聞いて来ますね」

アクア「わかったわ。……今出来る事、ね」チラッ


735 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/25(木) 15:23:37.37AOVZyjQR0 (7/9)

オーディン「ううっ、手が攣りそうだ……」プルプル

アクア「そんな持ち方だと怪我をするわ」

オーディン「え? アクア様、どうしてここに?」

アクア「ここに私がいることはどうでもいいことよ。それより疲れているのも分かるけど、スピードを無理に維持しても怪我をするだけよ。少し休みなさい」

オーディン「でも、これを切らないことにはスープの具材が出来上がりませんよ。それに、今切ってるのは俺一人だけですし」

アクア「何を言っているのかしら。今ここに私がいるでしょう? ただ煽って帰る程、暇じゃないの、わかるかしら?」

オーディン「へ?」

アクア「前にあなたが言っていたでしょう? 一人で遊んでいる気にならないでと、状況は違うけどこれもそれと同じよ。私にも何か手伝いをさせてちょうだい、それが一緒に何かをするって言う事なんだから」

オーディン「アクア様……」

アクア「それで、どれくらいの大きさに切ればいいの? 大きすぎると子供たちが食べ辛いだろうし、小さすぎてもあれでしょう?」

オーディン「……」

アクア「オーディン?」

オーディン「ふっ、師にこうして何かを教えるというのは、何とも言えない高揚感があるな。スプラッシュプリンセス・アクアよ、その腹を満たす食物の切り方、今ここに――」

アクア「御託はいいから早く教えなさい」

オーディン「あ、はい」



736 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/25(木) 15:30:30.28AOVZyjQR0 (8/9)

 コレデイイワネ
  エ、モウオワリデスカ!?

カムイ「ふふっ、もう手伝う事の目星は付けていたんですね」

カムイ(私も頑張らないとだめですよね。よし!)

カムイ「出来上がったスープを持っていきますね」

白夜軍兵士「カムイ王女、本当に大丈夫なのですか。その目では……」

カムイ「大丈夫です、目は見えなくても、ちゃんと何があるかは理解していますから。それに、私ではスープを作ることはできませんので」

白夜軍兵士「わかりました。よろしくお願いしますね。くれぐれも零さないようにお願いしますよ?」

カムイ「はい、任せてください」タッ タッ タッ

カムイ(大勢の人の気配がありますね。ほとんどが子供のようです。ん?」

子供たち「えへへ、おいしいね」

カムイ軍兵士「おお、そうか! もっと食べて元気になるんだぞ」

子供たち「うん! ありがとう暗夜の兵隊さん!」

カムイ軍兵士「ありがとう。だがな、これを作ってくれてるのは白夜の兵隊さんだ。あとでちゃんとお礼を言うんだぞ」

子供たち「うん、ちゃんとお礼を言うね!」

カムイ軍兵士「よーしよし!」

 ガヤガヤ
  ガヤガヤ

カムイ(ここに広がる声はどれもこれも優しく、そして楽しいという思いが感じられる。とても暖かい場所ですね)

カムイ「ふふっ……ん?」

ラズワルド「あれ、カムイ様?」

カムイ「ああ、ラズワルドさん、エリーゼさんも一緒なんですね」

エリーゼ「あ、カムイおねえちゃんだ。もしかして、カムイおねえちゃんも手伝ってくれるの?」

カムイ「はい。今はスープを運んでいるところなんです。これはどちらに運べばいいでしょうか?」

ラズワルド「こっちですよ。僕が案内します」

エリーゼ「あ、ラズワルドずるい! あたしもおねえちゃんを案内したいよ!」

カムイ「二人ともありがとうございます。でも、まだまだ忙しいみたいですから、場所だけ教えていただければ大丈夫ですよ」

ラズワルド「そうですか、わかりました。スープを配っている天幕はこの先にあるので、そこの方々に渡してください」

エリーゼ「うん、あとは配る係の人に任せて大丈夫だよ」

カムイ「はい、ありがとうございます。まだ並んでいる子供たちがいますから、頑張りましょう」

ラズワルド「はい! 子供たちをもっと笑顔にしてあげないとね」

エリーゼ「うん! いっぱい頑張っちゃうよ、せーの、えいえいおー!」

カムイ「ふふっ」


737 ◆P2J2qxwRPm2A2019/04/25(木) 15:32:56.59AOVZyjQR0 (9/9)

今日はここまで

 ペルシード地元何処にもなかった。

 ここで出てくる支援のAの組み合わせは、テンジン砦でにレオン一行が向かった後からAになったペアを中心に書いています。



738 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/04(土) 10:18:53.25VW2eXoS80 (1/8)

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『城下町西側』―

エリーゼ「はぁ、やっと終わったよ~」

カムイ「お疲れ様です、エリ―ゼさん」

エリーゼ「うん。でもよかったー、みんな喜んでくれて」

カムイ「はい、子供たちも手伝ってくれた人もみんな笑っていたと思います。エリーゼさんのおかげですね」

エリーゼ「ううん、あたしはやってみようって言っただけだから……」

カムイ「いいえ、エリーゼさんがやろうと思わなかったら、こんな風に賑やかで温かい空気にはならなかったはずです。だから謙遜しないでください」

エリーゼ「カムイおねえちゃん……。えへへ、ありがとう」

カムイ「ふふっ」

 タッタッタッ

アクア「カムイ、待たせたわね」

エリーゼ「あれ、アクアおねえちゃん?」

カムイ「アクアさんは食材の準備を手伝ってくれたんですよ」

エリーゼ「ありがとう、アクアおねえちゃん」

アクア「気にしないで。ちょっと弟子が不甲斐なさそうにしていたから手を貸しただけだから」

カムイ「弟子ってオーディンさんの事ですよね……。アクアさんは一体何の師匠なんですか?」


739 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/04(土) 10:26:11.94VW2eXoS80 (2/8)

アクア「ふふっ、それは秘密よ。話は聞いたわ、エリーゼがこの炊き出しを提案してくれたんですってね」

エリーゼ「うん! こっちのほうが暖かくていいかなって思ったから」

アクア「食事を貰った子供たちは、みんなとてもうれしそうにしている。エリーゼの提案は大成功したみたいね」

エリーゼ「えへへ~。ほんとはね、ちょっとだけ不安だったのもしかしたら暗夜のごはんなんていらないとか、そういうこと言われるかと思ってたから……。どんな理由があってもあたしたちと白夜が戦争してたことは消えないことだから……」

カムイ「エリーゼさん……」

エリーゼ「だからね、ありがとうって言ってもらえた時、すっごく嬉しかった。ちゃんとみんなのためになる事が出来たって思えて、やってよかったってホッとしちゃった」

アクア「ふふっ、エリーゼの思いはちゃんと子供たちに伝わっているわ。いいえ、子供たちだけじゃない。手伝ってくれた白夜の人たちもそうだし、もちろん私たちにもね」

カムイ「ですから、配しなくても大丈夫です。エリーゼさんは誰かのために何かをする。そんな尊い行為を行ったのですから」ナデナデ

エリーゼ「えへへ」

カムイ「ふふっ」


740 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/04(土) 10:35:10.14VW2eXoS80 (3/8)

エリーゼ「それじゃ、あたしは天幕に戻るね。後片付けが残ってるから、それもきちんと終わらせないと」

カムイ「あ、私たちも手伝いますよ」

エリーゼ「ううん、大丈夫。おねえちゃんたちは途中から手伝ってくれたんだから、それだけで十分だと。あとはあたしたちに任せて。おとなの女性は自分の仕事をきっちりとこなせないとね!」

カムイ「エリーゼさん……。わかりました、片付け頑張ってください」

アクア「頑張ってね」

エリーゼ「うん! それじゃね!」タタタタッ

アクア「ふふっ、走る姿はとてもかわいらしいけど、もう立派な大人ね」

カムイ「はい。それにエリーゼさんの優しさは白夜も暗夜も関係ありませんから」

アクア「国に縛られない優しさがあるのだとするなら、エリーゼのような子が持っているものなのかもしれないわ」

カムイ「多くの人にその優しさが伝わってくれるといいですね。長く続いた戦いの傷をゆっくりと癒すのは、こういったもののはずです。戦うことで切り拓くものより、ずっと尊いものであるべきですから……」

アクア「カムイ……」

カムイ「少し休憩しましょうか。体を少しは休めないと作業に支障が出てしまいます」

アクア「……そうね。少し休みましょう」



741 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/04(土) 10:42:54.41VW2eXoS80 (4/8)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アクア「はい、水よ」

カムイ「ありがとうございます。それにしても数日前と比べて多くの音が聞こえる様になりましたね」

アクア「ええ。でも、多くなったのが明るい音なのはいい事ね。暗い音をかき消すくらいに徐々に大きくなっている気がするわ」

カムイ「明るい音ですか?」

アクア「ええ、気分が良くなったり、うれしくなったりする、そういう音のことよ。炊き出しの場所はその音で満ちていたもの。前までは暗い音ばかりで満ちていた場所だったけど、まるで生まれ変わっている最中のように感じるわ」

カムイ「暗い音が無くなって、明るい音だけになる日が来るといいですね」

アクア「いいえ、私は同じくらい暗い音も必要だと思っているわ。どちらかだけになってしまうことはあってはならないの。悲しいこともうれしいことも同じよ。今は悲しいことに溢れているから、それを補うほどにうれしいことが起きてくれたらいいと思う。そして二つのバランスがとれるようになって、穏やかになるのが一番理想なことだと思うわ。激しいだけの音楽だと飽きてしまうのと同じね」

カムイ「なるほど、中々に興味深いですね。音楽で例える辺りは歌姫のアクアさんらしい発想だと思います」

アクア「ふふっ、ありがとう」

カムイ「でも、そうですね。そうなるのが一番なのかもしれません。悲しい事もうれしいことも、多く起こってしまっては困りますから」

アクア「そうね……。でも、今は良いことが起きた方がいいわ。それがあなたにとって……」

カムイ「?」

アクア「……ここを発つまでに、復興が進むといいわね」

カムイ「はい、そうですね」


742 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/04(土) 10:48:29.83VW2eXoS80 (5/8)

 ガタンッ ガタンッ……

カムイ「この音は」

アクア「どうやら、向こうで何かを運んでいるみたいね」

カムイ「そうなんですね。……ん?」

???「ちょっと、こんなに持っていくわけ?」

???「仕方ありません、思ったよりも量が必要なのですから。物資が多く入ったので、消費も激しくなった故でしょう」

???「今まで抑えて使っていた反動か……。しかし、荷車で入れるのは入り口まで……。これを内部に運ぶのは骨が折れそうだ…」

カムイ「この声は……」タッ

アクア「カムイ?」タタタッ

ルーナ「はぁ、入り口に着いたらこれを三人で何十往復とか、もう少し人数回してくれてもいいのに」

フローラ「重症患者の皆さんの移送とお世話に比べれば、こちらの方が単純で楽な仕事です」

ルーナ「だとしてもこの量よ? フローラだって思うところあるでしょう?」

フローラ「いいえ、あなたの買い物に付き合うのに比べればまだマシだと思います」

ルーナ「なんですって!?」

ブノワ「二人とも…、喧嘩はよくない…」

フローラ「ブノワさん、大丈夫よ、いつもこんな感じですから。それとごめんなさい、手伝いをお願いしてしまって」

ブノワ「別にかまわない…。困っている時は支え合うべきだからな…」


743 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/04(土) 10:49:23.19VW2eXoS80 (6/8)

ルーナ「顔に似合わず、いいこと言うじゃないの」

フローラ「ブノワさんは優しい方ですからね」

ルーナ「見た目と違いすぎて信じがたいわ。あれ、カムイ様?」

カムイ「やっぱり、ルーナさんでしたか。それにフローラさんにブノワさんまで」

フローラ「カムイ様、こんにちは。それにアクア様もご一緒でしたか」

アクア「ええ、こんにちは。それにしてもなんだか不思議な組み合わせね。特にルーナとフローラが話しているのは意外だわ」

ルーナ「ちょっと、それってどういう意味?」

アクア「そのままの意味よ。だって、あなたって、その……」

ルーナ「その、ってなによ。その、って!?」

フローラ「そうですね、色々とありまして。アクア様も苦労されていらっしゃるようですね」

アクア「あなたも私とは違う方面で苦労したのね。大丈夫、今の言葉だけでも大体は察せたわ」

フローラ「私も同じです、アクア様」

ルーナ「ううっ、なんでこんなにボコボコにされなきゃいけないのよ……」

 スッ ナデナデ

ルーナ「え?」

カムイ「落ち込まなくても大丈夫ですよ、ルーナさんの素敵な所、私は良く知ってますから。大丈夫です」

ルーナ「う、うん。ありがと/////」


744 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/04(土) 10:51:16.30VW2eXoS80 (7/8)

カムイ「そういえば皆さんは何運んでいるのですか? かなりの大荷物のようですけど」

ブノワ「医療物資を運んでいるところだ…」

カムイ「医療物資ですか。でも、運ぶならサクラさんやニュクスさんの作業している天幕の方が正しいのでは?」

フローラ「シラサギ城にいる重傷者の方々用の物です。予想以上に下準備で運んだものが消費されているようで、手の空いている私たちが運ぶことになった次第です」

ルーナ「そういうこと。でも、量がとてつもなく多くて……」

アクア「そうね。運ぶのは馬に任せているといしても、これをシラサギ城内部までとなると」

ルーナ「そう。それに入れるのは入り口までで、中には持てるだけしか持っていけないから。これを持って何度も往復とか、考えるだけでも嫌になりそう」

フローラ「予想通りに事が運んでいれば人手は足りていたのですが、そうは言えない状況ですので」

カムイ「なるほど、そういうことですか。それじゃ、私たちも手伝いましょう。丁度、手伝っていたことも終わりましたので」

フローラ「いいのですか?」

カムイ「はい。ブノワさんも言っていたじゃないですか、困った時は支え合うべきだと。私もそう思いますから」

ブノワ「き、聞こえてたのか……////」

フローラ「ふふっ、ブノワさん照れてらっしゃるんですね」

ブノワ「あ、ああ……。こういうのは、やはり慣れない……」

フローラ「でも、それがあなたの良い所だと私は思いますよ」

ブノワ「ありがとう……」

フローラ「ふふっ。それではカムイ様、お手伝いをお願いできますか?」

カムイ「はい、任せてください。アクアさんもいいですよね」

アクア「構わないわ。それに、フローラからルーナの事を聞いておくのも悪くないと思うしね?」

フローラ「私も色々とお聞きしておきましょう。今後、何かしらの役に立つかもしれませんから」

ルーナ「え、なんで意気投合してるの?」

カムイ「ふふっ、それでは行きましょうか」タッタッタッ

ブノワ「ああ……」

 ガタンッ ガタンッ……


745 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/04(土) 10:56:06.93VW2eXoS80 (8/8)

今日はこれだけ

 フローラは仲良くなった同性友人はさん付けをしないで呼ぶ気がする。

 ビジュアル資料集のボスエネミーに星竜の成体絵があったけど、とても強そうでした


746 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/08(水) 16:05:23.19wwGvfTI70 (1/9)

~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『城内・癒しの間』―

カムイ「この物資はこちらで大丈夫ですか?」

フローラ「はい、そちらにお願いいたします。アクア様の物資もこちらへ」

アクア「わかったわ」

フローラ「ブノワさんは奥の部屋へお願いいたします」

ブノワ「ああ、わかった…」

フローラ「それから……」チラッ

ルーナ「ふふん、あたしはもう運んでおいたわよ」

フローラ「でしたら、すぐに入り口に戻って荷物を持ってきてください。まだ、あと二往復はしないといけませんから」

ルーナ「ちょっと、ここは仕事が早いとか言うところでしょ?」

フローラ「……はいはい」ナデナデ

ルーナ「あ、頭は撫でなくていいわよ」

アクア「その割には嫌がらないのね」

ルーナ「あ、アクア!? こ、これは違うわ、フローラが頭を撫でたいから撫でさせてあげてるだけで」

カムイ「私には褒めてもらいたそうにフローラさんに報告していた気がしますけど」

ルーナ「カムイ様まで何言ってんの!?」


747 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/08(水) 16:08:52.87wwGvfTI70 (2/9)

フローラ「すみません、頑固で意地っ張りな子ですから」

アクア「わかるわ。その癖、負けず嫌いな所もあるし」

カムイ「そうですね。だけど、このような公衆の面前で素直に褒めてもらいたいと迫られるなんて、フローラさんが羨ましいです。私に甘えてくれるのは二人きりの時だけだというのに」

ルーナ「そ、それは色々と事情があるからで……あ」

アクア「……え、カムイ。ルーナと甘えているって……」

フローラ「ルーナ、どういうことなのか説明してくれますね?」

ルーナ「ちょ、変な意味じゃないから! そうでしょ、カムイ様」

カムイ「そうですね。色々と触ったり、慰めたりとかそんな感じ、でしょうか」

ルーナ「その説明はおかしいでしょ? なんで、疑惑が深まるような答えしか出せないのよ」

カムイ「深まるというか、実際そういう事だったわけですし」

ルーナ「そ、そういうところ何とかしてよ。これじゃ、まるでその…あたしとカムイ様が、その……////」ゴニョゴニョ

カムイ「?」

 ガシャン ガシャン

ブノワ「すまない、少し遅れた……」

ルーナ「ナイスタイミングよ、ブノワ! さぁさぁ、まだ後二往復はするんだからさっさと戻るわよ」タタタタッ

ブノワ「?」



748 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/08(水) 16:12:35.45wwGvfTI70 (3/9)

フローラ「カムイ様たちが手伝ってくれるおかげで、予定より早く終わりそうです」

アクア「残っている物資の量を考えるとあと二往復というところかしらね。看護に従事している人たちの役に立っているといいのだけれど」

ブノワ「ああ、おかげで看護に集中できるからありがたいと、ここにいる者たちは言っていた……」

カムイ「それは良かったです。ん?」

 ……ホッ……ゴ……

アクア「カムイ、どうかしたの?」

カムイ「あちらの部屋から何か聞こえて……」

重傷者「ゴホゴホッ、ううっ……、うううっ!!!」

カムイ「大丈夫ですか!?」

重傷者「ぐぅっ、ううっ……」

フローラ「ルーナ薬を持ってきて、ブノワは水をお願い」

ルーナ「わかったわ」

ブノワ「ああ…」

フローラ「カムイ様、その方の手を握って声を掛けてもらえますか。不安にならない様にしてあげてほしいんです」

カムイ「わ、わかりました」



749 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/08(水) 16:17:51.24wwGvfTI70 (4/9)

重傷者「ぐっ、誰か、誰か……」

カムイ「大丈夫、私が傍にいますから安心してください」

重傷者「あ、ああ……はぁ……はぁ……」

カムイ「もう少しだけ待っていてください。すぐに良くなりますから」

ルーナ「フローラ、持ってきたわよ」

フローラ「ありがとう。そこに置いておいて、ブノワ水の準備は」

ブノワ「大丈夫だ…」

フローラ「まずは治癒魔術で処置を……はっ」シュオンッ

重傷者「はぁ……、はぁ……。う、ううっ」

フローラ「ゆっくりでいいです、口を開けてください。痛み止めです、これで少しは痛みが和らぐはずですよ」

重傷者「んっ、んっ、はぁ……はぁ……。ありがとう…」

フローラ「ゆっくり休んでくださいね」

重傷者「……すぅ……すぅ……」

カムイ「もう大丈夫でしょうか?」

フローラ「はい、どうにか落ち着いたみたいです」

カムイ「よかったです。しかし、物資があるからといってすぐに解決するわけではないのですね」


750 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/08(水) 16:19:34.35wwGvfTI70 (5/9)

フローラ「はい、こうして大きな部屋を準備できたことで環境は整っていますが、やっている事は前までいた場所と変わりません。魔術や祈祷で治療をして痛みを和らげ、薬を処方する以外に出来ることはありませんから」

アクア「魔術や祈祷を用いて傷を癒したとしても、それで完治というわけにはいかないのね…」

フローラ「はい。でもよかったです、カムイ様が気づいてくれなかったら、辛い思いをさせてしまったでしょうから」

カムイ「そんな、私はただ気づいただけです。必要な処置を行ってくれたのはフローラさん達です。私はただ声を掛けていただけで、それ以外の事は……」

フローラ「それだけでも十分です。それに、あの方の不安をやわらげたのは薬でも治癒魔術でもありません。カムイ様が手を取って声を掛けたことなんですから」

カムイ「そうでしょうか?」」

ブノワ「ああ、カムイ様が声を掛けてから表情が柔らかくなっていた…」

ルーナ「それに辛い時、誰かがいてくれると安心できるでしょ。それと同じよ」

フローラ「そういうわけですから、そんなに謙遜しないでください」

カムイ「ありがとうございます、皆さん。それでは、残りの荷物を運びましょうか」

フローラ「はい。あと二往復くらいなので、よろしくお願いします、カムイ様、アクア様」

アクア「ええ」



751 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/08(水) 16:24:26.97wwGvfTI70 (6/9)

◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『城内・ヒノカの部屋』―

 コンコン

ミタマ「……ん? 誰ですか?」

カムイ「私です、今入っても大丈夫ですか?」

ミタマ「はい、大丈夫ですよ」

カムイ「失礼しますね」

アクア「ミタマ、お疲れさま。ここからは私とカムイに任せても大丈夫よ」

ミタマ「アクア様、ですが……」

カムイ「朝からずっと様子を見ていてくれたんですから、あとは私たちに任せてください。サクラさんとカミラ姉さんも見に来てくれます。だから心配いりませんよ」

ミタマ「わかりました。少しの間、お休みさせていただきますわ。何かあったら起こしに来てくださいまし」

カムイ「はい」

ミタマ「それでは、ヒノカ様の事よろしくお願いいたします」
 
 タタタタッ

アクア「ミタマにずっとまかせっきりにするわけにもいかないものね」

カムイ「はい。それに出来ればヒノカさんの傍にいたいんです」

アクア「カムイ……」


752 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/08(水) 16:26:29.56wwGvfTI70 (7/9)

カムイ「それにしても、皆さん色々な事をしていましたね。エリーゼさん達は炊き出しの手伝い、レオンさんとエルフィさんは中央広場の設営、サクラさんとニュクスさんは薬剤の準備、フローラさん達は医療物資の輸送と看護。みんな、自分に出来ることを頑張っていました」

アクア「それはあなたも同じよ」

カムイ「そうでしょうか?」

アクア「ええ、出来る事を精一杯に頑張るという点では、他のみんなと何も変わらないでしょう?」

カムイ「それはそうかもしれませんが……」

アクア「大丈夫。思っているよりもあなたはきちんとしているわ。出来ることを探して、出来ることをしているでしょう?」

カムイ「誰かのために出来ること……。それがきちんと出来ているといいんですが、あんまり自身は無いですね」

アクア「私もがそうよ。自分が行ったことが誰かのためになっているなんて胸を張って言えないわ」

カムイ「だけど、アクアさんのしている事は役に立っていますよ」

アクア「え?」

カムイ「今日は私と一緒に来てくれましたし、こうして私の話を聞いて意見も述べてくれる。私はそれに助けられていますから」

アクア「それならカムイも私の役に立っているわ。こうして、一緒にいてくれるもの」

カムイ「それだけでいいんですか?」

アクア「それだけでいいわ。あなたが一緒にいてくれることが、私にはとてもうれしいことだもの」

カムイ「アクアさん……」


753 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/08(水) 16:28:30.36wwGvfTI70 (8/9)

アクア「え、えっと、今の言葉に深い意味は無いわ。えっと、ルーナが言っていたことと同じよ。辛い時に誰かがいてくれると安心できるって。今はまだ戦いは終わっていないから、その……」

カムイ「ふふっ、わかっていますから。そんなに早口にならなくても大丈夫ですよ。ヒノカさん、早く目覚めてくれるといいですね」

アクア「そうね。でも大丈夫よ、あいつの力はもう無くて、ヒノカはこうして生きているんだから」

カムイ「……はい」

カムイ(アクアさんの言葉を聞いてとても安心している私がいる。それは未だに心に残るあの音が不安を煽り続けているから、それを打ち消す何かを得たいからなのかもしれません)

カムイ(ヒノカさんとの戦いで聞いた音。私の頭の中にこびりついたあの大きな音……。それは今も、まだ……)

カムイ「……っ」ギュウッ




(私の中を動き回っている……)



 休息時間3 終わり



754 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/08(水) 16:29:36.94wwGvfTI70 (9/9)

今日はこれだけ


755 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/15(水) 19:29:35.63CeobMKZW0 (1/13)

◆◆◆◆◆◆
―???―

タッタッタッ

カムイ「ここは……一体?」

カムイ(確か、アクアさんと一緒にヒノカさんの様子を見に行ったはずなのですが……)

カムイ「……アクアさん、アクアさん?」

カムイ(アクアさんはどこへ……。いえ、そもそもここはどこなんでしょうか? 周りに気配が感じられませんし、一体……)

 ……パキッ

カムイ「ん?」

 パキンッ……
  ピシィ…… 

カムイ「なんでしょうか、この音は……」

 パキッ……ピキッ……

カムイ(だんだんと近づいている。一体どこか……)

 スッ

カムイ(気配を探れば、何処からしているのかわかるはずです。もしかしたらこの耳に響く音の正体がわかるかもしれません)



756 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/15(水) 19:33:09.43CeobMKZW0 (2/13)

 ピシッ……

カムイ(右、違いますね。それでは左から近づいている?)

 ピキッ……
  パキンッ……

カムイ(違う、それではこっち? いえ、反対側ですか)?)スッ

 パキンッ
  ピキキッ……

カムイ(だめです、何も気配を感じません。なのに、どうしてこの音だけは聞こえてくるのですか)

 パキンッ……

 ジリッ

カムイ(わ、わかりません。でも、これに捕まってはいけない。そんな気がします)ダッ
 
 ピキンッ
  パキンッ

カムイ「っ!」

カムイ(離れているはずなのに、音が近づいてくる……。このままじゃ、追いつかれて――)

 ピキッ……キキッ……

カムイ「がっ!」

カムイ(体が……動かない……)

 パキッ……
  ピキキッ……
   バリンッ……


757 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/15(水) 19:36:20.61CeobMKZW0 (3/13)

カムイ「がっ、ううっ……」

カムイ(胸が苦しい。音が響くたびに、体の中が壊れそうになる。この音は……)

 バリッ……バリッ……
  ザシュンッ!!!!!

カムイ「!」

 ピキンッ……ドクンッ……
  ドクンッ……パキンッ……

カムイ(な、なんですか今の音……それにこの増えた音……)

 ドクンッ……ドクンッ……

カムイ(これは心音? でも、どうしてこんなに鮮明に音が聞こえるのですか? 何も妨げるものがないみたいに……)

 スッ スッ
  ズリュッ……

カムイ(何もない? 心臓が手に感じられる。これは……私の胸に大きな穴が開いているということなんですか?)

 ピキッ……パキンッ……
  ガシャンッ…………ボロボロ……

カムイ(穴の縁から崩れて……。私が、崩れて――)

 ガシャンッ……ゴトンッ

  パラッ……パラッ……

 ドクンッ……ドクンッ……


758 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/15(水) 19:39:13.67CeobMKZW0 (4/13)

カムイ「っ!!!!」ガバッ

カムイ「はぁ、はぁ……はぁ……。はぁ……」

カムイ(今のは一体……そうだ)スッ

 ペタペタッ

カムイ「胸に穴は……開いていません、よね……。体も崩れていませんし、心臓の音だって……」

 ドクンッ……ドクンッ……

カムイ(大丈夫、ちゃんと私の中から聞こえます)

カムイ「そうですよね。胸にあんな大きな穴が開いて、生きていられるなんてことがあるわけないですから。悪い夢ですね……」

カムイ(それより、ここはどこでしょうか? 夢から覚めたのならここは、私の知るどこかのはずです……)スッ

カムイ「……私の部屋みたいですね」

カムイ(確か私はヒノカさんのお部屋で様子を見ていたはずだったのですが、どうしてここに……。たしか、アクアさんと話をしていてそれから……)

カムイ「駄目です、思い出せません。でも、ここにいるということは誰かが運んでくれたということですよね……」

カムイ(やはりアクアさんでしょうか。どちらにしても、一度ヒノカさんの部屋に戻ってみましょう。今が朝なのかまだ夜なのかわかりませんけど、ここで待っていても何もできませんから……)スタッ

 シャン……



759 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/15(水) 19:42:51.11CeobMKZW0 (5/13)

カムイ「っ!」

 シャン……
  シャンッ…

カムイ「夢から覚めたというのに、その音は消えてくれないんですね」

カムイ(これを聞き続けていると夢のように自分が崩れてしまう気がします。そんなことあるわけがないとはわかっていますけど、あのようなものを見てしまったあとだと、漠然と不安が大きくなってしまいます)

 ガサゴソ ガサゴソッ

カムイ「……行かないと」

カムイ(はやく、誰かがいる場所に……)

 パタンッ



760 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/15(水) 19:46:21.09CeobMKZW0 (6/13)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・シラサギ城『ヒノカの部屋前の廊下』―

カムイ「ここまで誰ともすれ違いませんでしたね」

カムイ(となると、まだ陽は上がっていないのかもしれません。確か、ヒノカさんの部屋にいた時は夕方くらいだったはずですから、もうかなり時間が過ぎていることになりますね)

カムイ「うーん、だとしてもどうして私は部屋に戻っていたんでしょうか。誰か事情を知っている人がいればいいのですが……。あ、着きましたね」

カムイ(ですが、今が真夜中ならもう誰もいないかも。返事が無かったら、違う場所に行くとしましょう)

 コンコンッ

???『? こんなに早くから誰でしょうか?』

???『私が出てくるから。サクラ王女は待っていて』

サクラ『はい』

カムイ(サクラさんともう一人いるみたいですね。この話し方、カザハナさんではないようですけど……)

 タッタッタッ

 スーッ

???「はい。あら、誰かと思ったらカムイじゃない」

カムイ「その声、カミラ姉さんですか?」


761 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/15(水) 19:50:32.38CeobMKZW0 (7/13)

カミラ「ええ、おはようカムイ。まだ朝日が出るには早い時間よ」

カムイ「は、はい。その目が覚めてしまって……」

カミラ「そう。たしかに昨日は早めに眠ったから、この時間に起きちゃうのも仕方ないかもしれないわね」

カムイ「というと、やっぱり私は……」

カミラ「概ね予想してる通りかしら、さぁ話の続きは中に入ってからにしましょう」

カムイ「はい、失礼しますね」タッ

 ピシャッ

サクラ「あ、カムイ姉様だったんですね。おはようございます……、いえ、こんばんはと言えばいいのでしょうか」

カムイ「どちらでも大丈夫ですよ」

サクラ「えっと、ではおはようございます、姉様。その、大丈夫ですか?」

カムイ「大丈夫、といいますと?」

サクラ「昨日、ここで疲れて眠ってしまわれていたんです。覚えていないんですか?」

カムイ「そ、そうだったんですか……」

カミラ「眠っちゃったあなたをアクアが部屋まで運んでくれたそうよ。あとでお礼をいわないとね?」

カムイ「はい。やっぱり、アクアさんが運んでくれたんですね。予想通りではありましたが、なんだか面目ない気持ちになります」

カムイ(小さなことでも迷惑を掛けてばかりですね、私は……)ズキンッ


762 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/15(水) 19:52:00.76CeobMKZW0 (8/13)

カミラ「ふふっ、でも仕方無いわ。広場での炊き出し、医療物資の運搬を手伝っていたんだから、疲れてしまうのも仕方のないことよ」

カムイ「そんな……。私がしたことなんてそれほど大きなことじゃありませんよ。むしろ、皆さんに比べたらたかが知れています」

サクラ「そんなことありません。カムイ姉様は誰かのためになることを進んでやってくれているんですから」

カミラ「サクラ王女の言う通りね。カムイが誰かのために何かをしたことが重要なの。だから、そんなに卑屈にならないで」

カムイ「カミラ姉さん、サクラさん……。はい、ありがとうございます」

カミラ「ふふっ。あ、そろそろ頃合いね。サクラ王女、大丈夫かしら?」

サクラ「はい、お湯も丁度いいくらいになりましたから、大丈夫ですよ」

カムイ「えっと、お二人は何をされるんですか?」

カミラ「今からヒノカ王女の体を清めるところよ。女の子だもの、体は奇麗にしてあげないと」

カムイ「それじゃ、私も手伝いますよ」

カミラ「ありがとう。御湯に付けた布を絞ってサクラ王女に渡して頂戴」

カムイ「わかりました。サクラさん、必要になったら言ってくださいね」

サクラ「はい、カムイ姉様」


763 ◆P2J2qxwRPm2A2019/05/15(水) 20:00:10.77CeobMKZW0 (9/13)

サクラ「えっと、まずはカミラさん、ヒノカ姉様の服をゆっくりと脱がしてあげてください」

カミラ「ええ。ヒノカ王女、失礼するわね」ガサゴソッ ガサゴソッ

 シュルルッ バサッ……

カミラ「上半身はこれで全部ね。サクラ王女」

サクラ「はい、それじゃ……」

カムイ「布ですね。んっ、はい、どうぞ」

サクラ「ありがとうございます。ヒノカ姉様、失礼しますね」フキフキッ

カムイ(サクラさん、流石は治療などをこなしてきただけあって斑がありませんね)

カミラ「……」スッ

サクラ「あ、ありがとうございます」

カミラ「気にしないでいいわ。さぁ、早く拭いてあげて。大丈夫、あなたの動きに合わせてヒノカ王女を支えてあげるから」

サクラ「はい、カミラさん。えいしょ、えいしょ」フキフキッ

カムイ(それに、なんだか二人の息がとても合っていて、それだけで互いに信頼しているのが伝わってきます)

カムイ「……なんだかいいですね」

サクラ「姉様?」

カミラ「何がいいのかしら?」

カムイ「いいえ、こちらの話なので気にしないでください」