355 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/05(月) 23:20:13.57mlfzM24X0 (21/23)

――大妖精の泉

魔法の大妖精「よくここまで来たわね、リンクル」
魔法の大妖精「ここではあなたに魔法のアイテムを授けるわ」

リンクル「ディンの炎、フロルの風に続く魔法のアイテムですね」

魔法の大妖精「さあ、受け取って」

リンクル「ありがとうございます」

魔法の大妖精「それはネールの愛。少しの間、敵の攻撃からあなたの身を護る魔法よ」
魔法の大妖精「どんな攻撃も弾き返せるけど、魔力の消費が激しいから、ここぞという時に使ってね」

リンクル「攻撃、ワープと来て、今度は防御ね」


356 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/05(月) 23:20:46.70mlfzM24X0 (22/23)

――巨大邪神像

リンクル「さて……取り敢えずここで暫く休憩するとして、次は魂の神殿だよね」
リンクル「もう一度あの砂嵐に入れば別の幽霊が居るのかなぁ」

ファイ「マスターに報告。あの像の内部には巨大な空間があると推測されます」
ファイ「ゲルド族とハイリア人ではこの像に対する認識が違う為、マスターの解釈には食い違いがある確率65%」

ナビィ「……あ、そっか。ゲルド族にとってはこれは“邪神”像じゃないんだ」
ナビィ「ハイリア人は邪神像って呼ぶけど、ゲルド族はもっと別の名前で呼んでる筈だよネ」

リンクル「あー……じゃあ、そうするとこれがゲルド族の言う魂の神殿かもしれない、ってこと?」

ファイ「イエス、マスター」

リンクル「んー、確かに入口っぽいのは見えるね」
リンクル「それじゃ、あの像の中入ってみよっか」

ナビィ「何か持って来いって言われてたんだったネ」
ナビィ「もしかしたらすごいお宝があったりして!」

リンクル「どうかなぁ……何か居るって話だったし」

ナビィ「あー……そうだね。用心はしとかないと」
ナビィ(……あれ? じゃあなんでリンクルにこんなことさせるんだろう、あの人達……?)

ナビィ(あの人達が言ってた“ツインローバ”って、多分ゲルド族の誰かよね?)
ナビィ(リンクルを確実に倒せるっていうよっぽどの自信がある? それともリンクルに倒してほしいとか?)

リンクル「ん、ここだここだ」
リンクル「よーし、行くぞー」

ナビィ(なんだかいつも以上に不安だなぁ……)


357 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/05(月) 23:22:03.56mlfzM24X0 (23/23)

取り敢えずここまで

めっちゃ眠かったのでどっか変なとこあるかもしんないけど質問等あればどうぞ


358以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/03/06(火) 00:46:44.21fkYYhAV/0 (1/1)




359以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/03/06(火) 09:28:47.94zQU10sBuo (1/1)

リンクルレズ尋問しないとかゲルドおめーら子宮付いてんのかおぉん?




360 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:10:32.78XhXxrjet0 (1/17)

なんか店長が娘との結婚を強力に勧めてくるけど、30一歩手前の腐女子と結婚とか怖すぎる


実は最初、ゲルドの砦で慰安婦として飼われるか砂漠に行くか選べとでも言わせようかと迷った


今日で完結まで持っていこうかなぁ



361 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:11:15.32XhXxrjet0 (2/17)

 ep.18 魂の賢者


――魂の神殿

ファイ「マスターの読み通り、この像の内部が魂の神殿である確率90%」

リンクル「へぇ……これ、石像の中が神殿なんだ……」

「今となってはツインローバの実験場だけどね」

リンクル「……シーク」
リンクル「あんたってどこにでも現れるんだね」

シーク「僕は旅の吟遊詩人。僕の行き先と君の行き先が偶々同じだけさ」

リンクル「ふーん……」
リンクル「ところでさ、あんたは幻影の砂漠をどうやって越えたの?」

リンクル「あたしはまことの眼鏡があったから来られたんだけどさ」
リンクル「あんたもそれと同じようなものがあるわけ?」

シーク「……」

リンクル「……」
リンクル「……まぁ、いいけど」

リンクル「……話変わるんだけど」
リンクル「シークさ、自分の姿を鏡で見たことある?」

シーク「……」

リンクル「……だんまり」
リンクル「答えたくないことだらけなんだね」

シーク「……リンクル、君は」

リンクル「いいよ、今は答えなくて」
リンクル「いつかあんたが教えたくなったら、教えてね」

シーク「……」

リンクル「それより、この神殿のこと教えて」


362 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:12:00.64XhXxrjet0 (3/17)

シーク「ツインローバは双子の魔法使いの婆さんだ」
シーク「ガノンドロフの教育係も務めたと聞く」

リンクル「ガノンドロフの……!」

シーク「この神殿は遥かな昔からここにあり、ある時代にゲルド族が今の形に造り替えたといわれている」
シーク「複雑な内部はゲルド族の要塞としても機能し、統一戦争時にはこの地で多くの血が流された」

シーク「ハイラル軍が撤退して久しい今となっても、ゲルド族はここを拠点の一つとしているらしい」
シーク「そしてガノンドロフ軍の大物である、ツインローバがここを護っている筈だ」

リンクル「そう……ありがと」

シーク「気をつけるんだリンクル。奴らの趣味は洗脳……」
シーク「君が捕まらないのは兎も角、ゲルド族には注意するんだ」パァン

リンクル「うっ……!」
リンクル「……消えた」

リンクル「もう、今度こそ一緒に来てくれるのかと思ったのに」
リンクル「……む」シャキンッ

ガチャン……ガチャン……


363 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:12:27.94XhXxrjet0 (4/17)

アイアンナック「……」ガチャン ガチャン

リンクル「……大きな斧を持った、鎧の戦士?」

アイアンナック「……オォン!」ブオンッ

リンクル「っ!」バッ

ナビィ「気をつけてリンクル! 今は盾がないから攻撃を防ぐには……」

ファイ「マスターに警告。あの敵の攻撃は斧自体の重量と機械の補助により、非常に威力が高いと思われます」
ファイ「盾があっても攻撃を防げない確率90%。受け止めたりせず、回避することを強く推奨します」

リンクル「確かにあんなのもらったら一撃で真っ二つにされそうだもんね……おっと!」バッ

アイアンナック「フンッ!」ドコッ

リンクル「……あの鎧、重そうだね」

アイアンナック「ハアッ!」ブオンッ

リンクル「よっ」バッ
リンクル「足元ががら空きよ!」ダッ

ガチャーン


364 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:13:16.90XhXxrjet0 (5/17)

アイアンナック「ウオォッ!」

ナビィ「鎧が少し剥がれた!」

アイアンナック「……!」ブオンッ ブオンッ

リンクル「うわっ!」バッ

ナビィ「Watch out! 敵の動きが素早くなったヨ!」

リンクル「このっ……!」タンッ

アイアンナック「……!」

リンクル「せいっ!」バキンッ

アイアンナック「グオアアッ!」

リンクル「っと」シュタッ

ナビィ「やった、兜を叩き割っちゃった!」

ガチャン ガチャガチャ……

アイアンナック「……」ドサッ

ナビィ「……?」
ナビィ「!」

ゲルド「」

ナビィ「Look! リンクル!」
ナビィ「あの鎧の中身、ゲルド族だったんだ!」

リンクル「え……」


365 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:13:49.33XhXxrjet0 (6/17)

リンクル「生きてるの?」

ナビィ「ううん……兜ごと頭を叩き割られちゃったみたい」

リンクル「……も少し加減して叩けば死ななかったかな」

ナビィ「……」

リンクル「……まぁ、いいや。気にしても仕方ないし」
リンクル「ゲルド族がこんな重苦しい鎧着込んで、重たい斧使ってくるなんて変だね」

ナビィ「そう?」

リンクル「城下町で見たゲルド族は2本の曲剣を使ってた」
リンクル「ゲルドの砦に居た人達もみんな曲剣か槍ばっかり。弓の人も居たけど、斧はなかった」

リンクル「多分、みんな軽い武器が得意なんだと思うけど……」
リンクル「なんでこの人だけこんなことしてるんだろ」

ファイ「マスターに報告。この鎧の内部の機械に使われている技術は古代の文明の技術と一致します」
ファイ「この鎧は古代の機械人形を復元したものと思われます」

リンクル「人形? このゲルドの人は生きた人間だった筈よ?」
リンクル「ほら、体温もまだ残ってる。さっきまで生きてたんだわ」ペタ

ファイ「イエス、マスター。しかし、この機械人形には動力に当たる部品が見受けられません」
ファイ「機械人形をそのまま動かすのではなく、あくまで人間の力を強化する為に使っているものと推測」

ナビィ「この鎧はあくまで兵士を強化する補助の道具ってことね」

ガチャン……ガチャン……

リンクル「げっ」

アイアンナックA「コォォォ……」ガチャン ガチャン

アイアンナックB「ヌゥゥ……」ガチャン ガチャン

リンクル「に、二体……!?」
リンクル「こんなの二体も同時に相手してらんないよ!」タタッ


366 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:14:16.63XhXxrjet0 (7/17)

アイアンナックA「……」ガチャン ガチャン

リンクル「……」コソコソ

ナビィ「……行ったみたい」

リンクル「……ふぅ」
リンクル「あれ……?」

ナビィ「わ、中にもあったんだ、この女神像」

リンクル「こっちは壊されなかったんだね」
リンクル「そこの扉、入ってみようか」


367 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:14:46.85XhXxrjet0 (8/17)

リンクル「……!」

「ホッホッホ……誰か来たようですよ、コウメさん……」

コウメ「ヒッヒッヒ……そのようですねぇ、コタケさん……」

コタケ「我らの神殿へ侵入するとは、恐れを知らない不届き者よのぉ、ホッホッホ……」フワリ

コウメ「では、その不届き者に罰を与えてやりましょうかねぇ、ヒッヒッヒ……」フワフワ

コタケ「我らの忠実な下僕よ……」

コウメ「我らに代わり、侵入者を殺せ!」

アイアンナック「……」ガチャン

リンクル「またあの鎧……!」


368 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:15:13.82XhXxrjet0 (9/17)

アイアンナック「……」スッ
アイアンナック「……?」ケンガナイ?

リンクル「……?」

アイアンナック「……」コノオノツカウンダッタ
アイアンナック「オォッ」ブオンッ

リンクル「っと……!」バッ
リンクル「最初の空振りは斧だとは思わせない為のフェイク? それとも……」

アイアンナック「フンッ!」ドコッ

リンクル「おっと!」バッ
リンクル「その鎧重いでしょ!」ダッ

ガチャーン

アイアンナック「オオオッ!」ブオンッ ブオンッ

リンクル「もう分かってるのよ!」バッ
リンクル「せぇぇいっ!」タンッ

バキンッ


369 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:16:17.95XhXxrjet0 (10/17)

リンクル「今度は……」シュタッ

アイアンナック「ウオォォ……」ドタッ
アイアンナック「う……!」

リンクル「……生きてるみたいね」

「あ、あたいは一体……?」
「……何者だ!?」ザッ

リンクル「……ただの旅人」

「何……?」
「そんなのあたいが信じると思って……」

リンクル「じゃあ時の勇者だって言ったら信じる?」チャキッ

「時の勇者……」
「……ガノンドロフを倒そうとしてるハイリア人とは聞くけど」

「あんたみたいな小娘だとは俄かには信じがたいね」
「ただまぁ、その剣見る限り、相当腕は立つってのは分かるよ」

「剣を下ろしてよ。あんたがガノンドロフを倒したいってんなら、あたいは敵じゃない」
「あたいもガノンドロフを何とかしたいんだ。手を組まないかい? 時の勇者」

リンクル「……」シャキン
リンクル「……リンクルって呼んで。あなたの名前は?」

ナボール「ナボールだよ。よろしくね」

リンクル「うん」
リンクル「ここで何があったの?」


370 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:17:14.66XhXxrjet0 (11/17)

ナボール「ここで何があったか……ね」
ナボール「色々だよ」

ナボール「10年かそこら前に、砂漠の古い遺跡から変なもんが出てきたんだってさ」
ナボール「ツインローバの婆さん達は古代の遺物、機械人形だって言ってたけど」

リンクル「ファイが言ってた古代文明の技術ね……」

ナボール「その研究の為に、婆さん達はこの神殿にそれを持ち込んで、ずっと研究してた」
ナボール「それで、ちょっと今どのくらい時間が経ったのか分かんないけど」

ナボール「あたいにとってはつい昨日のことだよ」
ナボール「ついに機械人形を復元したって言われて、そのお披露目にあたい達は集められた」

ナボール「変な甲冑だったけど、言われてみれば強そうだったかな。背丈もあたい達より一回りでかかったし」
ナボール「ただ、そこから記憶がちょっと曖昧でね……変な魔法をかけられたのは覚えてんだけど」

ナビィ「……話が見えてきたヨ……」

ナボール「あん?」

ナビィ「ナボール、あなたね、その機械人形の中に居たの」

ナボール「はっ!?」

ナビィ「多分、ファイが言ってた“動力に当たる部品がない”“人間の力を強化するだけ”っていうのは……」

ナボール「……あたい達を洗脳して、その動力代わりにしてたってわけか」
ナボール「クソッ、あの婆さん達絶対に許さねぇ!」


371 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:17:43.14XhXxrjet0 (12/17)

リンクル「取り敢えず、ツインローバを何とかしなきゃならないのね?」

ナボール「ああ。そうすりゃ魔力が途切れて仲間達の洗脳も解ける筈さ」
ナボール「ただ、連中は魔法使いだ。一筋縄じゃいかないよ」

ナボール「この神殿にはあの婆さん達の研究してる魔法の道具が沢山ある」
ナボール「その中にはあたいらにも使えるような道具もあってね」

ナボール「あたいの考えが正しければ、確実に奴らの優位に立てるものが一つある。秘策ってやつだね」
ナボール「あたいはそれを取ってくるから、あんたは奴らがどこに隠れてるかを見つけるんだ。いいね?」

リンクル「うん、分かった」
リンクル「じゃあ、また後で」

ナボール「ああ!」
ナボール「くれぐれもあんたが先に見つかんないようにね! 事が済んだらイイコトしてやるよ!」


372 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:18:30.40XhXxrjet0 (13/17)

リンクル「“イイコト”ってなんだろね」コソコソ

ナビィ「さ、さあ……?」

リンクル「……っと」ササッ

アイアンナックA「……」ガチャン ガチャン

リンクル「はぁーい、背中ががら空きよ!」ダッ

アイアンナックA「!」ブオンッ

リンクル「ほっ!」タンッ
リンクル「せぇいっ!」バキンッ

アイアンナックA「ウオオッ……」ガクッ

ナビィ「横に振られた斧を足場になんて、よく反応出来たネ……」

リンクル「何度も見てれば、どの辺りで動きが止まるか予測出来たからね」
リンクル「うわ!」バッ

アイアンナックB「フンッ」ドコッ

リンクル「案外近くにもう一体居たのね……」
リンクル「こっちまでおいで!」タタタタッ

アイアンナックB「コォォォ……!」ガチャン ガチャン

アイアンナックA「」ガチャガチャ……

ゲルドC「……う……」
ゲルドC「うぅ……ん?」


373 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:19:07.26XhXxrjet0 (14/17)

リンクル「振り切ったかな……?」コソコソ

アイアンナックB「……?」ガチャン ガチャン

リンクル「……よし」

「バカな子だねぇ、自分からガノンドロフ様に捧げる生贄になりにくるなんて……」

リンクル「なっ……!?」

コウメ「あたしの炎で骨まで焼いてやる……」フワフワ

コタケ「あたしの冷気で魂まで凍るがいい……」フワフワ

双生魔道師 ツインローバ

リンクル「し、しまった……まだ盾がないのに!」

コウメ「ヒッヒッヒ……炎を喰らえ!」ボウッ

リンクル「くっ!」バッ

コタケ「ホッホッホ……次は冷気だよ!」コオオッ

リンクル「ネールの愛!」パシュンッ

ナビィ「大妖精様からもらった魔法!」
ナビィ「このまま逃げましょ、リンクル!」

リンクル「うんっ……!」タタタタッ


374 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:20:01.72XhXxrjet0 (15/17)

ファイ「警告、間もなくネールの愛の効果が切れます」

コウメ「そろそろかねぇ、コタケさん」

コウメ「そろそろだろうねぇ、コウメさん」

リンクル「ちっ……さっきから分かってて攻撃してこなかったのね!」タタタタッ
リンクル「って、言ってたら効果が切れた!」シュゥン

コタケ「中々しぶとかったねぇ……」コオオッ

リンクル「えぇいっ!」バッ
リンクル「せめてクロスボウがあれば!」タタタタッ

コウメ「ヒッヒッヒ……そこは行き止まりだよ!」ボウッ

リンクル「うっ……!」
リンクル「ぉぉおおおおっ!!」バシュンッ

ファイ「魔法反射」

コウメ「何っ……!?」

リンクル「はぁ……はぁ……!」

ナビィ「す、すごい! 魔法を弾いちゃった!」

リンクル「まぐれだよ……!」
リンクル「次が来たら、確実に殺される……!」

コタケ「ホッホッホ、驚いたねぇ……」
コタケ「だけど、次で終わりだよ小娘」

リンクル「っ……!」

「待ちなっ!」

コウメ「おや……お前は」


375 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:22:44.42XhXxrjet0 (16/17)

ゲルドC「ナボール様から話は聞いたよ!」
ゲルドC「リンクル! こいつを使いな!」ビュンッ

リンクル「これは……!」パシッ

ゲルドC「銀のグローブだ! 重いものを易々動かせるようになるお宝さ!」

コタケ「ふん、そんなものが何になる!」コオオッ

リンクル「っ!」バッ
リンクル「こうすんのよ!」ボコッ

コタケ「なっ、タイルを剥がして……!」

リンクル「こ、れ、で、も」グルンッ
リンクル「喰らえっ!!」ブンッ

コウメ「おおっと!」バッ

コタケ「コウメさん!」

タタタタッ……

コウメ「ちぃっ……!」
コウメ「取り逃したか……!」


376 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/06(火) 21:24:40.38XhXxrjet0 (17/17)

リンクル「ありがとう、助かったわ……」

ゲルドC「いいってことよ」
ゲルドC「あんたもあたしを助け出してくれたんだろ?」

リンクル「それは……」

ガチャン……ガチャン……

リンクル「……!」

ゲルドC「こいつは……!」

アイアンナックB「コオオォォ……」ガチャン
アイアンナックB「フンッ!」ドコッ

リンクル「くっ!」バッ

ゲルドC「このっ!」ドカッ

アイアンナックB「ホアッ!」ブオンッ

ゲルドC「うっ!」バッ

リンクル「肩借りる!」タンッ

ゲルドC「あいよっ!」

リンクル「えぇーいっ!」バキンッ

アイアンナックB「オアアッ……!」ガクッ

ガチャガチャ……

ゲルドD「ぅ……」

リンクル「はぁ……ふぅ……!」

ゲルドC「兜だけ割るなんて器用な真似するね……頭ごとかち割っちまうかと思ったよ」

リンクル「そうしてたらあなた今頃死んでたわよ」


377 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 01:23:58.71E2VnydgG0 (1/7)

ゲルドC「取り敢えずこいつはあたしが面倒見とくよ」
ゲルドC「ナボール様、来ないね……」

リンクル「ほんとにね」
リンクル「このままじゃツインローバに見つかったら殺されちゃうわ」

ゲルドC「困ったね……」
ゲルドC「……後ろ!」

リンクル「!」バッ

コウメ「うるさい小娘だねぇ」ボウッ

ゲルドC「きゃああーっ!?」ボオオッ
ゲルドC「いやああああああっ!! ああああああっ!!」ゴロゴロゴロ

リンクル「そんなっ!」

ゲルドC「ああああ! あああぁぁぁ……!」ジタバタ

リンクル「ど、どうやって消せば……! ナビィ!」
リンクル「ナビィ!? どこに行ったの!?」

ゲルドC「あぁ……あぁぁぁ……」ズルズル
ゲルドC「」ガクッ

リンクル「あ、ああ……!」

コウメ「おやおや……小娘に火が移らないよう自分から反対方向へ行こうとするなんて見上げた根性だ」

コタケ「是非とも生かして手駒にしておきたかった逸材だったのにねぇ……」

コウメ「ヒッヒッヒ……まぁ、残念だけどあたし達の邪魔をするからそうなるんだよ」

コタケ「ホッホッホ……次はお前の番だ、小娘」コオオッ

リンクル「くっ!」バッ

ゲルドD「」パキパキパキ

リンクル「そんな、あなたまで!」
リンクル「うう……早く来てよ、ナボール!」タタタタッ


378 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 01:24:30.93E2VnydgG0 (2/7)

ナビィ「リンクル!」

リンクル「ナビィ! どこ行ってたの!?」

ナビィ「こっちヨ、ナボール!」

ナボール「悪い、あんたを探してた!」

リンクル「遅いよ! あんたの仲間みんな死んじゃったんだよ!?」

ナボール「何っ……! そいつは聞き捨てならないね、婆さん達!」

コウメ「ヒッヒッヒ、獲物が増えたねぇ、コタケさん」

コタケ「ホッホッホ、そのようですねぇ、コウメさん」

コウメ「だけど散々逃げ回ってあたし達を梃子摺らせてくれたお礼に」

コタケ「ちょいとばかしとっておきを見せてあげるよ」

リンクル「とっておき……!?」

コタケ&コウメ「コタケ&コウメの、セクシーダイナマイツアターック!」クルクルクルクル

ボンッ

リンクル「な……!?」

ナボール「え、ええー……」

ツインローバ「ウフフ、さぁとどめよぉ!」


379 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 01:25:11.36E2VnydgG0 (3/7)

ツインローバ「炎がお好みかしら? それとも冷気?」

ナボール「どっちもご遠慮願いたいねっ!」
ナボール「どうすんだい?」ヒソヒソ

リンクル「あたしも追いかけっこには疲れちゃってたとこよ!」
リンクル「どうするもこうするも、あんたの言う秘策しかないでしょ!」ヒソヒソ

ナボール「けどまさか合体するなんて思わなかったからさ……」ヒソヒソ

リンクル「はあ?」ヒソヒソ

ナボール「と、兎に角、やってみるしかないよ!」ヒソヒソ

ツインローバ「フフフ、作戦会議はお終いかしら?」
ツインローバ「それじゃ、死に方は選ばせてあげるわ。どちらがお好み?」

リンクル「……」コクリ
ナボール「……」コクリ

リンクル「炎!」
ナボール「冷気!」


380 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 01:25:39.62E2VnydgG0 (4/7)

ツインローバ「あらあら、分かれちゃったわねぇ……」
ツインローバ「まぁいいわ。同時に撃つことだって不可能じゃないしね」

ツインローバ「それじゃ、さようならよ」ヴゥン
ツインローバ「来世ではこんなことに巻き込まれない人に生まれるといいわねぇ!」ドオッ

ナボール「今だ!」っミラーシールド

リンクル「!」

カッ

ツインローバ「何っ!?」

バシュウゥゥッ

ツインローバ「ああぁぁぁんっ!!」ドオオオオッ


381 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 01:26:15.93E2VnydgG0 (5/7)

ナボール「上手く跳ね返せたね……!」

リンクル「あっ、ツインローバが元に戻った!」

コウメ「えぇい、ちょこざいな……今度こそ本気でいくぞい。のぉ、コタケさん!」フヨフヨ

コタケ「おや……? コウメさんや、その頭の上のわっかは何じゃ……?」フヨフヨ

コウメ「そーいうあんたの上にもあるぞ、コタケさん……?」フヨフヨ

リンクル「……あ、もしかして」

ナボール「お迎えが来てるぜ、婆さん達」

コウメ「あ、あたしゃまだ400年しか生きてないんだよ!?」フヨフヨ

コタケ「あたしなんて380年だよ!」フヨフヨ

コウメ「双子なのに20年もサバ読むんじゃないよ!」フヨフヨ

コタケ「あんたこそボケてんじゃないの!」フヨフヨ

コウメ「誰がボケてるって!? それが姉に対して言う言葉かい!?」フヨフヨ

コタケ「双子に姉も妹もあるかい!」フヨフヨ

コウメ「キィー! この薄情者ぉー!」フヨフヨ

コタケ「何だい、この恩知らず!」フヨフヨ

コウメ「薄情者!」フヨフヨ

コタケ「恩知らず!」フヨフヨ

パアアァー

コタケ&コウメ「化けて出てやるぅー!」


382 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 01:26:46.49E2VnydgG0 (6/7)

リンクル「……」

ナボール「……」
ナボール「なんつーか……」

ナボール「……やったな! うん、やったな、あたい達!」
ナボール「仲間達の敵も討ったし、ガノンドロフの有力な部下もやっつけた! やったよな!」

リンクル「あ、うん、そう! そうだね! やったね!」

ナビィ(なんだかなぁ……)

ナボール「……お」

リンクル「?」

ナボール「リンクル」
ナボール「仲間達のことは残念だったけど……」

ナボール「あんたにはまず礼を言わせてもらうよ」
ナボール「約束だし、イイコトしてやるからね」

ナボール「……と、言いたいとこだけど」
ナボール「あたいが魂の賢者だなんてね、驚いちまうよ」

リンクル「そうなんだ……」

ナボール「そんな顔すんなって。一緒にガノンドロフにひと泡吹かせてやろうじゃないか!」
ナボール「あーあ、こんなことならもっと早くにやっとくんだったね」ポゥ……

リンクル「ナボール……」
リンクル「……ありがとう」


383 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 01:27:36.95E2VnydgG0 (7/7)

取り敢えずここまで

途中で寝落ちてたすいません


384以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/03/07(水) 03:06:54.77LkZhs/Ipo (1/1)

乙乙
リンクルちゃん順調に病んでるね


385 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:39:46.42YAY4KVJ+0 (1/14)

どうやっても結局病んじゃうのが時の勇者


更新します



386 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:40:57.22YAY4KVJ+0 (2/14)

 ep.19 決戦の地へ


――巨大邪神像

『リンクル……リンクル、聞こえるか』

リンクル「?」

ラウル『ラウルじゃ……久しぶりじゃな』
ラウル『ついに我ら六賢者は復活した。魔王との対決の時がきたのじゃ』

ラウル『その前に、お前に会いたがっている者が居る』
ラウル『その者は時の神殿でお前を待っておる……』

リンクル「……分かった」

ナビィ「見て見て、砂嵐が晴れてる!」

リンクル「ほんとだ……ツインローバの魔法だったのかな」
リンクル「取り敢えず、ゲルドの砦に行って、装備返してもらわなきゃ」ザッザッザッザ


387 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:41:32.82YAY4KVJ+0 (3/14)

――ゲルドの砦

ゲルドA「も、戻って来られたのか!?」

リンクル「砂嵐晴れたからね」
リンクル「はい、ミラーシールドと銀のグローブ」

ゲルド幹部「本当に持ってくるとは……」
ゲルド幹部「……そうだ。魂の神殿は? 様子はどうだった?」

リンクル「それ、なんだけど……」
リンクル「まず、あんた達の仲間はみんな殺されちゃったわ」

ゲルドA「何!? 仲間達を殺したのか!?」チャキッ

リンクル「違う。ツインローバの実験よ。砂嵐の向こうで、古代文明の機械人形がどうこうって研究をしてたの」

ゲルド幹部「ああ、あの神殿はツインローバのお二人の研究所でもあったからな」

リンクル「あの神殿に居たゲルド族は機械人形に閉じ込められて、最終的にツインローバに殺された」
リンクル「あたしも殺されかけた。生き残ったのはあたしとナボールだけよ」

リンクル「……そのナボールも、魂の賢者として目覚めて、結局あたし一人で帰ってきたんだけどね」
リンクル「信じてもらえないのは分かってるけど、事実としてこう伝えるしかないわ」

ゲルド幹部「……」
ゲルド幹部「……いや、信じるよ」

ゲルド幹部「まさかとは思っていた……っていうか、思いたかった」
ゲルド幹部「ガノンドロフ様も、ツインローバのお二人も、あたいらを便利な駒くらいに思ってんじゃないか」

ゲルド幹部「神殿の仲間達はツインローバの実験の道具にされたんじゃないかとは、薄々思ってたよ」
ゲルド幹部「的中してほしくはなかったけどね……」

ゲルド幹部「元々あたいらゲルド族もガノンドロフ様に対する不信感が全くなかったわけじゃない」
ゲルド幹部「100年に一度生まれる男は族長になる……と言っても、何でもしていいわけじゃないからね」

ゲルド幹部「ご苦労だったな。持ち物は全部返してやるよ」
ゲルド幹部「ついでに部屋も貸してやるから、今夜はここでゆっくり休んでいきな」

リンクル「……ありがとう」


388 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:42:13.01YAY4KVJ+0 (4/14)

――翌朝 ゲルドの谷

イチロー「親方ぁー!」

親方「てやんでぃ、べらぼうめ! おめぇらどこほっつき歩いてやがったんだ!」

ジロー「それが酷いのよ! ゲルドの盗賊達ったら、あたし達が男だからってだけで牢に入れたんだもの!」

サブロー「もう盗賊なんてこりごりよ! やっぱり大工しかないのね、あたし達……」

親方「ったりめーだ、バーロー! さっさと仕事の準備しろぃ!」

シロー「はーい!」

リンクル「はぁー、やれやれね」

親方「ありがとな、嬢ちゃん。お前さんには助けられっぱなしだ」

リンクル「いいのよ、家に泊めてもらったしね」
リンクル「それじゃ、行くよエポナ!」

エポナ「ヒヒィーン!」

親方「気ぃつけてなぁー!」


389 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:43:02.68YAY4KVJ+0 (5/14)

――翌日 ロンロン牧場

ナビィ「丸一日走り通すなんて無茶しすぎだヨ……」

リンクル「ごめんね……」ナデナデ

エポナ「ブルルッ……フー」

マロン「あっ、リンクルー!」タタタタッ

リンクル「マロン!」

マロン「大丈夫? 怪我とかしてないよね?」

リンクル「平気」
リンクル「それより、明日城下町の方へ行くから、今夜はここに泊めてくれる?」

マロン「勿論よ! ここに住んでくれたっていいのよ!」

リンクル「考えとくわ」クスッ


390 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:44:08.86YAY4KVJ+0 (6/14)

マロン「そういえば砂漠に旅立つ前に渡したミルク、どうだった?///」

リンクル「あ、うん、あれね」
リンクル「すっごく美味しかったよ。いつもと違う感じだったけど、あれはあれで美味しかった」

マロン「そ、そう……///」
マロン「よ、良かったら、今度搾ってるとこ見てみる?///」

リンクル「ほんと!?」
リンクル「是非お願い! どうやって作ってるのか見てみたかったんだ!」

マロン「///」

ナビィ(……あっ、なんとなく何のミルクか分かっちゃった……)
ナビィ(でも子供とか居るようには見えないし、そういう体質なのかな……)

ナビィ(どっちにせよリンクルにそんなもの飲ませるなんて……)
ナビィ(マロンって結構変な子よネ……)


391 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:44:37.01YAY4KVJ+0 (7/14)

――翌日 ハイラル城下町

リンクル「相変わらず嫌な空気……」カツカツ

リーデッド「ウォォン……ォォォン……」

リンクル「……」カツカツ

リーデッド「キョォォッ!」ギロッ

リンクル「!」プイッ
リンクル「見ない見ない見ない!」タタタタッ

リーデッド「ォォォン……ウォォォン……」

ナビィ「すっごい雑な回避法ね……」


392 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:45:03.78YAY4KVJ+0 (8/14)

――時の神殿

リンクル「……誰か居るのかな」カツカツ

「待っていたよ、リンクル」

リンクル「……シーク」

シーク「時の勇者リンクル……」
シーク「君は数々の苦難を乗り越え、六賢者を目覚めさせてくれた……」

シーク「そして、今また魔王ガノンドロフとの対決の時を迎えようとしている……」
シーク「その前に、君だけに話しておきたいことがある」

リンクル「あたしだけに?」

シーク「闇の民、シーカー族に伝わる、トライフォースの知られざるもう一つの伝説だ……」
シーク「聖なる三角を求めるならば、心して聞け」

リンクル「……」


393 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:45:31.19YAY4KVJ+0 (9/14)

 聖なる三角の在るところ……聖地は己の心を映す鏡なり。
 そこに足踏み入れし者の心、邪悪なれば魔界と化し、清らかなれば楽園となる。

 トライフォース……聖なる三角。
 それは力、知恵、そして勇気……三つの心を量る天秤なり。

 聖三角に触れし者、三つの力を併せ持つならば万物を統べる真の力を得ん。
 しかし……その力なき者ならば聖三角は力、知恵、勇気の三つに砕け散るであろう。

 あとに残りしものは三つの内の一つのみ……それが、その者の信ずる心なり。
 もし、真の力を欲するならば失った二つの力を取り戻すべし。


 その二つの力……神により新たに選ばれし者の手に甲に宿るものなり。


394 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:46:05.68YAY4KVJ+0 (10/14)

シーク「ガノンドロフは七年前、君が開いた時の神殿の扉をくぐり、聖地へ到達した」
シーク「しかし、奴がトライフォースを手にした時、伝説は現実となった……」

シーク「トライフォースは三つに砕け、ガノンドロフの手に残ったのは力のトライフォースのみだった」
シーク「奴はトライフォースの力によって魔王となったが、その野望は果てることはなかった」

シーク「完全な支配の為、ガノンドロフは残る二つのトライフォースを持つ、神に選ばれし者を探し始めた」
シーク「その一人は、勇気のトライフォース宿りし者……時の勇者リンクル」

リンクル「……え」
リンクル「あ、あたし?」

シーク「そう、君だ」
シーク「そして、もう一人……知恵のトライフォース宿りし者。賢者の長となる、七人目の賢者……」カッ

リンクル「うっ……!?」

ポゥ……

ナビィ「……あっ!?」

ゼルダ「この私……ハイラル王女ゼルダです」


395 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:46:53.03YAY4KVJ+0 (11/14)

ゼルダ「魔王の追及を逃れる為とはいえ、シーカー族と偽り接してきたこと、どうか許してください……」

リンクル「……いいよ。実は、ゼルダ姫じゃないかって思ってた」

ゼルダ「え……?」

ナビィ「えっ、リンクル気付いてたの!?」

リンクル「まことの眼鏡。真実を見通す目なんでしょ?」
リンクル「シークを見た時、流石にゼルダ姫の姿が見えたわけじゃないけど、なんだか変な感じだったから」

ゼルダ「……流石リンクルですね」クスッ
ゼルダ「七年前のあの日……ハイラル城は、ガノンドロフの襲撃を受けました」

ゼルダ「覚えていますか……インパに連れられて逃げる私が、あなたに時のオカリナを託した時のこと」
ゼルダ「オカリナがあなたの手にある限り、ガノンドロフは聖地へは入れないと思ったのですが……」

リンクル「……結果として、あたしはマスターソードによって聖地に封印されちゃった」
リンクル「あたしが“時の扉”を開いたりしなければ……とは何度も思ったよ」

ゼルダ「ごめんなさい、私があんなことをあなたに提案したばっかりに……」

リンクル「ううん……まだこれからよ」
リンクル「賢者は揃った。今のあたしならマスターソードだって扱える」

ゼルダ「……ありがとう」

リンクル「そういうことは全部終わってからだよ」

ゼルダ「……そうですね」クスッ
ゼルダ「あなたが帰ってきた今、魔王ガノンドロフの支配する暗黒の時代は終わるのです」

ゼルダ「六賢者が開いた封印にガノンドロフを引き込み、私がこちらの世界から閉じる……」
ゼルダ「それで魔王ガノンドロフはこの世から居なくなるでしょう」

ゼルダ「リンクル……あなたの勇気が、今一度必要です」
ゼルダ「魔王の守りを破るもの……選ばれし者に神が与えたもう力、聖なる光の矢の力をあなたに差し上げます」

リンクル「光の矢……」


396 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:47:39.64YAY4KVJ+0 (12/14)

リンクル「ディンの炎で作る炎のボルトと同じ要領で撃てばいい?」

ゼルダ「はい。あなたの魔力を消費し、矢に光の力を纏わせることが出来る筈です」
ゼルダ「それに、それだけ沢山のボルトを用意したのですから、きっと矢が尽きて困ることもないでしょう」クスッ

リンクル「あいや、最後だし、流石に手強いだろうと思ってさ」クスクス

ゼルダ「フフ……久しぶりにあなたの笑顔を見ました。素敵な笑顔……」

リンクル「そ、そう? えーと……ありがとう、ゼルダ姫」
リンクル「一緒にガノンドロフを倒しましょ」スッ

ゼルダ「はいっ」スッ

ゴゴゴゴゴ……!

ゼルダ「……!?」

リンクル「な、何? この地鳴りは一体……!?」

シュウゥゥンッ パシュンッ

ゼルダ「!?」

リンクル「ゼルダ姫!」

ナビィ「ま、魔法の結晶! 術者が居る限りどうしたって割れないヨ!?」


397 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:48:20.82YAY4KVJ+0 (13/14)

『愚かなる反逆者……ゼルダ姫よ』
『七年もの長き年月……よくぞ俺から逃げおおせた』

ゼルダ「この声は……!」

リンクル「ガノンドロフ……!」

ガノンドロフ『だが……油断したな』
ガノンドロフ『この小娘を泳がせておけば、必ず現れると思うておったわ!』

ガノンドロフ『俺の唯一の誤算は、その小娘の力を少々甘く見ていたことだ』
ガノンドロフ『……いや、その小娘の力ではない。勇気のトライフォースの力だ』

リンクル「なっ……!」

ゼルダ「リンクル!」

ポウゥ……

ナビィ「つ、連れて行かれちゃう……!」

ガノンドロフ『ゼルダを助けたくば我が城まで来い!』
ガノンドロフ『その時こそ、お前の勇気とゼルダの知恵、二つのトライフォースを俺が手に入れる時だ!』

リンクル「……ガノンドロフ!」
リンクル「絶対に……絶対に、許さない!!」


398 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/07(水) 21:50:03.45YAY4KVJ+0 (14/14)

ちょい休憩

ここまでで一番今作のヒロインっぽいのって誰でしょうね


399以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/03/07(水) 22:03:20.27mm/tOvaT0 (1/1)




400 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:36:15.50Fx2YJsyH0 (1/13)

ちょい休憩(ガチ寝)


ちょっと更新



401 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:36:45.93Fx2YJsyH0 (2/13)

 ep.20 ガノン城


――ガノン城

ゴォォォォ……

リンクル「……これが……ハイラル城?」

ナビィ「うぅ……城下町より、更に邪悪な魔力が……」
ナビィ「ハイラル城を取り潰して、新たに城を建てたみたいネ……」

リンクル「綺麗だったお城が、こんなに禍々しく……」
リンクル「……あれ? あの城さ……」

ナビィ「うん?」

リンクル「宙に浮いてない……?」

ナビィ「……そうネ」

リンクル「どうやって入ればいいのよ……」
リンクル「誰も彼もが自由に空飛べるわけじゃないのよ……」

ラウル『勇者リンクルよ……聞こえるか、賢者ラウルじゃ……』
ラウル『我ら、六人の力を結集し、ガノンドロフの城へ橋を架ける』

ラウル『城へ突入した後じゃが……城の中心の塔は邪悪な結界によって守られておる』
ラウル『その結界を解き、ゼルダ姫を救うのじゃ!』

リンクル「……うんっ」

ラウル『うむ……良い返事だ』

パアァッ

リンクル「光の橋が……!」
リンクル「ありがとう、みんな……っ!」タタタタッ


402 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:37:21.12Fx2YJsyH0 (3/13)

――ガノン城 内部

リンクル「あれが中心の塔ね」
リンクル「確かに結界が張ってあって近づけないや」

ナビィ「Look! そっちの扉は入れるみたい!」

リンクル「結界を解けってことね」ガチャ

ウルフォス「アオォーン!」

リンクル「邪魔!」バシュッ

ウルフォス「キャインッ!」

リンクル「燭台が四つ……ディンの炎かしら」ドヒュンッ

ガコーン

ナビィ「扉が開いたヨ!」

リンクル「よしっ」タタッ


403 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:37:57.38Fx2YJsyH0 (4/13)

リンクル「うわっ、これ氷の洞窟……!?」

ナビィ「これまで冒険してきた場所を再現してきてるのね」
ナビィ「きっとさっきの部屋は森の神殿の再現よ……って危ない、リンクル!」

フリザド「コオオオォォォ」

リンクル「二度目はないわ」バシュッ

フリザド「ジュッ」

ナビィ「ふぅ……」
ナビィ「そこの氷のブロック、足場に出来そうじゃない?」

リンクル「それ名案」
リンクル「よいしょ、っと」ズズ


404 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:38:28.03Fx2YJsyH0 (5/13)

リンクル「この部屋は……」

ナビィ「えーと……何をイメージしてるのかしら?」
ナビィ「落ちたら助からないわね、この穴……」

リンクル「でも渡れるような橋も何も……」
リンクル「……あ、そっか」

ナビィ「?」

リンクル「よっ」タンッ

ナビィ「リ、リンクル、落ち……ない?」

リンクル「真実の目、ってこと」

ナビィ「……ああ、ここ闇の神殿の再現なんだ」


405 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:40:34.54Fx2YJsyH0 (6/13)

リンクル「ここは……」

ナビィ「溶岩だらけ……炎の神殿ネ……」

リンクル「熱いから長居は避けたいなぁ……」

赤バブル「ダガココニトドマッテモラウゼ」

リンクル「帰れ帰れ」バシュッ

赤バブル「ウボアー」

リンクル「足場が悪いだけで特に仕掛けとかはないのね」カツカツ

ナビィ「でも落ちたら死んじゃうから気をつけてね」


406 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:41:03.29Fx2YJsyH0 (7/13)

バシュンッ

ナビィ「魔法弾!」

リンクル「ええいっ!」バシンッ

ナビィ「魔法を跳ね返す、っていうのはきっとツインローバの再現ね」

リンクル「あのスイッチから飛んできたのね……」バシュッ

ナビィ「扉が開いたヨ」

リンクル「それで、これが結界?」

ナビィ「うん、多分ね」

リンクル「これを壊せばいいのね……」
リンクル「光の矢!」バシュッ

ドッ
ドオオオオオ


407 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:41:56.27Fx2YJsyH0 (8/13)

リンクル「結界が解けて、入れるようになってる」

ナビィ「いよいよだね、リンクル!」

リンクル「うん」
リンクル「ボルトよし、剣よし、盾よし、魔力よし……」

リンクル「さぁて、塔を登ろう!」
リンクル「待ってなさいよ、ガノンドロフ!」タッ


408 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:42:37.88Fx2YJsyH0 (9/13)

ダイナフォスA「グヘヘヘココヲカンタンニトオレルトオモウナヨ」

ダイナフォスB「トッツカマエテブチオカシテヤルゼェェ」

リンクル「邪魔っ!」バシュッ

ダイナフォスA「オオットアタラネェゼ」

ダイナフォスB「バカッ、ハナレロ!」

ダイナフォスA「ナニッ」

チュドーン

リンクル「ただのボルトだと思ったら大間違いよ」

ダイナフォスA「」ドサッ

ダイナフォスB「キサマァー!」ダンッ

リンクル「ほっ」タンッ

ダイナフォスB「バカナ、ケンヲフミダイニ!?」

リンクル「兜割り!」バキンッ

ダイナフォスB「グハアアアッ」ドサッ
ダイナフォスB「」

リンクル「よしっ」タタッ


409 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:43:51.95Fx2YJsyH0 (10/13)

スタルフォス「また会ったな小娘! ここで会ったが100年目!」
スタルフォス「今度こそこのマスター・スタルフォードが誇る剣の錆に……」

リンクル「うるさい」バシュッ

チュドーン

スタルフォス「ぬおおおおっ!!」
スタルフォス「ぐっ、ひ、卑怯なぁ……!」

リンクル「いちいち話が長いのよ!」ザンッ

スタルフォス「ぐあぁぁっ……!」バラバラバラ

リンクル「こっちは急いでるっていうのに、まったく!」
リンクル「行こう、ナビィ!」タタッ

ナビィ「あ、うん」
ナビィ「ていうかあのスタルフォス生きてたんだ……」


410 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:44:42.23Fx2YJsyH0 (11/13)

リンクル「そろそろ最上階も近いと思うけど……」

アイアンナック「オォォォ……」ガチャン ガチャン

リンクル「……悪いけど、今回は容赦なく殺すよ」

アイアンナック「フンッ!」ドコッ

リンクル「はっ!」バッ
リンクル「ていっ!」タンッ

アイアンナック「!!」

リンクル「はぁっ!」バキンッ

アイアンナック「グオォォ!」ガチャーン

リンクル「……」シュタッ

アイアンナック「ヌゥン!」ブオンッ

リンクル「!?」バッ

ナビィ「か、兜は割れてるのにまだ動くの……!?」
ナビィ「……! Look! この鎧、顔がないヨ!?」

リンクル「頭がないのに動いてる!?」


411 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:45:19.05Fx2YJsyH0 (12/13)

アイアンナック「フンッ! フオオッ!」ブオンッ ブオンッ

リンクル「くっ……!」バッ
リンクル「頭が駄目なら……背中よっ!」ダッ バキンッ

アイアンナック「グアアアッ!」ガチャーン

ナビィ「す、すごい動き……一瞬で後ろに回っちゃった」

アイアンナック「ウオォォ……」ガチャガチャ……

ナビィ「……あっ、見てリンクル」

リンクル「?」

アイアンナック「」

ナビィ「この鎧……中身がないヨ」

リンクル「空っぽだった……ってこと?」

ファイ「マスターに報告。この機械人形は動力が存在します」
ファイ「復元に成功したものか、発掘した段階で動力が残っていたものと推測されます」

リンクル「……そう」
リンクル「まぁ、後味悪くないからいいや」

リンクル「行こう、ナビィ!」
リンクル「ガノンドロフは目前よ!」タタッ

ナビィ「うんっ!」


412 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 07:59:48.87Fx2YJsyH0 (13/13)

次回、決戦

トライフォースに選ばれて強化された地力が既に人間離れしてた少女 vs トライフォースに触れて大魔王となった戦闘部族出身のおっさん



413以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/03/08(木) 09:14:14.31XQ+/q2B20 (1/1)




414 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:29:11.91qQvHz/ab0 (1/25)

今日でスレ畳みます
よろしいか



415 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:29:39.98qQvHz/ab0 (2/25)

 ep.21 決戦




リンクル「はっ……はっ……!」タタタタッ
リンクル「ゼルダ姫!」バンッ

ゼルダ「リンクル!」

ガノンドロフ「……」♪~ ♪♪~

リンクル「……!」
リンクル「ガノンドロフ! ゼルダ姫を帰してもらうわよ!」

ガノンドロフ「……」♪♪♪♪♪~

ゼルダ「……?」
ゼルダ「手が……?」キィィン


416 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:31:40.50qQvHz/ab0 (3/25)

リンクル「……!」
リンクル「これは……?」キィィン

ナビィ「左手、何か光ってる……?」

ゼルダ「……!」
ゼルダ「私の右手も……手の甲が……!」キィィン

ガノンドロフ「……」
ガノンドロフ「共鳴している……」

ガノンドロフ「トライフォースが再び一つに戻ろうとしている……」
ガノンドロフ「七年前のあの日……我が手に出来なかった二つのトライフォース……」

リンクル「……成程ね。これが勇気のトライフォース」

ガノンドロフ「そうだ……まさか貴様達二人に宿っていようとはな」
ガノンドロフ「だが……今、ついに全てのトライフォースがここに揃った!」

リンクル「……」ジリッ

ガノンドロフ「貴様らには過ぎた玩具だ……」クルッ
ガノンドロフ「返してもらうぞ!」キィィン

リンクル「そもそも、あんたのものじゃないわ!」

ガノンドロフ「ふん……お前の言葉が正しいか、俺の言葉が正しいか……」
ガノンドロフ「それも今日、この場で決まる!」ドオウッ

ナビィ「ご、ごめん、リンクル……! 闇の波動で、ナビィ近づけないヨ……!」

リンクル「いいよ、あたしが片を付ける!」チャキッ

ゼルダ「……!」ゾクッ
ゼルダ(殺気! リンクルも、ガノンドロフも、常人であれば切り刻まれそうな程の殺気をまとっている!)


417 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:32:19.31qQvHz/ab0 (4/25)

大魔王 ガノンドロフ

ガノンドロフ「はぁっ!!」ドゴォン

リンクル「っ、足場が……!」バッ

ガノンドロフ「どうした、小娘!」ドウッ

リンクル「ちっ……!」バシュッ バシュッ

ガノンドロフ「ふんっ! こんな小手先の技が俺に通用すると思うな!」バチバチッ

リンクル(そう、普通のボルト撃っても弾くよね、あんたなら)
リンクル「だけど、このボルトはどうかしら!」バシュッ バシュッ

ガノンドロフ「火矢だと? 小賢しい」
ガノンドロフ「無意味だ!」ドウッ

リンクル「まだまだ!」バシュッ バシュッ

ガノンドロフ「無意味だと言って……ぐっ!?」
ガノンドロフ「これは……光の力か! ちょこざいな真似を……」バリバリバリ

リンクル「弾くも避けるもあんたの自由」バシュッ バシュッ
リンクル「けれど、あたしは確実にあんたを仕留めるまで攻撃をやめない!」バシュッ バシュッ

ガノンドロフ「ちぃっ!」バチバチッ
ガノンドロフ「む!?」

チュドーン

ガノンドロフ「ぬぅ、爆弾を仕込んだ矢もあるな……!」
ガノンドロフ「えぇい、鬱陶しいわ!」バシュンッ

リンクル「しまっ……!」
リンクル「きゃああーっ!!」バリバリバリ


418 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:34:34.51qQvHz/ab0 (5/25)

リンクル「うぅ……!」
リンクル(魔法の威力……これまでの敵とは段違いだわ……!)

ガノンドロフ「はっ!」ドコッ

リンクル「ぐっ!」ガキンッ
リンクル(盾で防いだのに、なんて衝撃……なんて力!)ゴロゴロゴロ タンッ

ガノンドロフ「小細工はもう飽いた……」
ガノンドロフ「おおぉぉぉ……!」ゴゴゴゴゴゴ

リンクル(魔力を溜めている……? 一体何を……)

ガノンドロフ「はあぁっ!!」ドオオオオオッ

リンクル「っ!!」

ドオオオオオオオオン

ナビィ「リ、リンクル!」


419 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:35:42.70qQvHz/ab0 (6/25)

リンクル「っ……ぅ……」

ナビィ「リンクル! しっかりして!」

ガノンドロフ「ハッハッハ、流石に耐えられなかったようだな」
ガノンドロフ「これでとどめだ!」バシュンッ

リンクル「っ……! ……ぉぉおおおおっ!!」ムクッ

バシンッ

ガノンドロフ「!」
ガノンドロフ「剣で魔法弾を弾き返したか! やりおる!」バシンッ

リンクル「いっつ……もう一度お返しよ!」バシンッ

ガノンドロフ「ふん、他愛ない!」バシンッ

バシュッ

ガノンドロフ「ぐはっ!?」

リンクル「うあああああああっ!!」バリバリバリ
リンクル「くぅぅ……ぅぅ、ぁぁああああああっ!!」ググッ

ナビィ(吠えてる……獣みたいに吠えて、気力だけで立ち上がってる……!)

リンクル(頭がクラクラする……! 視界が、ぼやけてきちゃう……!)

ガノンドロフ(クソッ、体が動かん……光の矢か!)

リンクル「はぁー……はぁー……隙だらけよ、ガノンドロフ!」ダッ
リンクル「これで……とどめだぁぁぁぁ!」ザシュッ

ガノンドロフ「ぐぅっ!?」


420 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:36:24.83qQvHz/ab0 (7/25)

ガノンドロフ「コヒュー……この、俺が……魔王ガノンドロフが……コヒュー……」
ガノンドロフ「敗れるの……か? ……コヒュー……こんな、小娘に……!」

リンクル「はぁ……はぁ……!」

ガノンドロフ「ぐぉぅ……!」ビチャビチャビチャ
ガノンドロフ「リンクル……ぐぅぅ……おおおおおあああああああああっ!!」ドオオオオ

リンクル「うぅっ……!」

ドゴゴゴゴ……

ナビィ「へ、部屋が崩れちゃった……!」

ガノンドロフ「」バタリ

リンクル「はぁー……はぁー……」
リンクル「や、やった……!」ドタッ

パアアッ

ナビィ「……あっ! ゼルダが……!」

ゼルダ「あっ……」

リンクル「ゼ……ゼルダ、姫……!」
リンクル「良かった……無事で……」

ゼルダ「リンクル! しっかりしてください、リンクル!」

リンクル「大丈夫……少し……寝かせて……」カクン

ゼルダ「リンクル!」

ゴゴゴゴゴゴ

ゼルダ「っ……!」
ゼルダ「ガノンドロフ……最後の力を使って、私達を道連れにしようと言うのですね!」

ゼルダ「そんなこと……認めません!」
ゼルダ「リンクル、行きましょう、一緒に……っ!」ダキッ

ゴゴゴゴゴゴ……


421 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:38:23.63qQvHz/ab0 (8/25)

ゴォォォォ……

リンクル「ぅ……うぅん……!」

ナビィ「……! リンクル!」

ゼルダ「リンクル……! 目が覚めたのですね!」

リンクル「ああ、うん……気分は悪いけどね……」
リンクル「魔法の攻撃受けた後はいっつもこう……ああ、もう……」

ゼルダ「リンクル……」クスッ

リンクル「……この瓦礫の山は?」

ゼルダ「ガノン城……だった場所です」
ゼルダ「ガノンドロフは、最後の力で私達を道連れにしようとしたようです」

リンクル「そっか……」
リンクル「……終わったんだ、何もかも」

ゼルダ「……えぇ」
ゼルダ「ガノンドロフ……哀れな男です。強く正しい心を持たぬが故に、神の力を制御出来ずに……」

リンクル「……」

ナビィ「リンクル、さっきはゴメンネ、一緒に戦えなくて……」

リンクル「いいよ、ナビィ」
リンクル「……?」

ゼルダ「リンクル?」

リンクル「……今、確かに何か聞こえたような……」

ナビィ「え?」

ドコンッ

リンクル「!!」

ゼルダ「なっ……!」


422 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:39:00.48qQvHz/ab0 (9/25)

ガノンドロフ「ゼェー……ゼェー……!」
ガノンドロフ「フシュゥゥー……!」キィィン

ファイ「マスターに報告。ガノンドロフの生命活動が再開されています。トライフォースの力と推測」

ゼルダ「まさか……トライフォースが暴走している!?」

リンクル「そんな、まだ諦められないっていうの!?」

ガノンドロフ「うぅぅぅ……!!」
ガノンドロフ「うおおおおおおおおおおおっ!!」ズオオオッ

リンクル「ガノンドロフが……化物に……!?」

ガノン「グオオオオオッ!!」


423 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:39:55.02qQvHz/ab0 (10/25)

 ガノン

ナビィ「ガノンドロフはリンクルへの憎しみでいっぱいだヨ……!」

リンクル「憎しみ……」
リンクル「望むところよ! あたしもあんたには少なからず憎しみがあるんだから!」ダンッ

ガノン「グオオオオオッ!」ブオンッ

リンクル「っ!」ガキンッ
リンクル「いっ……! しまった! 剣が!」

ガツッ

ファイ「警告、マスターからファイが15m以上離れています。至急回収することを推奨」

ガノン「グオオッ! ウオオオオオッ!!」ブオンッ ブオンッ

リンクル「くっ……!」バッ
リンクル「駄目! ガノンが間に居て取りに行けない!」

ゼルダ「っ……! ならば私が!」ガシッ

ファイ「警告、契約したマスターと異なる為、マスターソード本来の力が発揮出来ません」

ゼルダ「構いません! 最終的にリンクルに渡りさえすれば……!」タタッ


424 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:41:03.53qQvHz/ab0 (11/25)

リンクル「これでも喰らえっ!」バシュッ バシュッ

ガノン「グオオオオッ!」ブオンッ

リンクル「爆発しない!?」
リンクル「くっ……爆弾ボルトが駄目になってる!」

ナビィ「えっ、なんで!?」

リンクル「分かんない……多分ガノンドロフの魔法の攻撃を受けた時にどこか壊れちゃったんだと思うけど……!」
リンクル「!!」

ガノン「オオオオオッ!!」ブオンッ

リンクル「っ!!」ガキンッ
リンクル「うあっ……!」ドサッ ゴロゴロゴロ

ナビィ「リ、リンクル! 盾で防いだのに……!」
ナビィ「リンクル! リンクル! しっかりして!」パタパタ

リンクル「……」

ガノン「グルルルルッ……!」

ナビィ「ガ、ガノン……!」
ナビィ「ナビィもう逃げない! 戦うっ!」シュ

ガノン「グオオッ!」ブオンッ

ナビィ「ぴぃ!」バッ

リンクル「ナビィ……」
リンクル「無茶しないで……あたしが……やっつけるから……!」ググッ


425 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:41:43.04qQvHz/ab0 (12/25)

ゼルダ「リンクル! これを!」タタタタッ

リンクル「っ……ゼルダ姫!」

ガノン「!」ギロッ

ゼルダ「……!」ゾクッ

ガノン「グルルルルッ……」ジリッ

ゼルダ「……」ジリッ

リンクル「しまった……! えぇい、この際剣鉈でいいや!」シャキンッ
リンクル「相手を間違えるなよ、ガノン!」ザシュッ

ガノン「グオオオオッ!?」ブオンッ ブオンッ

リンクル「うっ……!」バッ
リンクル「何……? 急に……痛がってる?」


426 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:44:47.71qQvHz/ab0 (13/25)

ナビィ「……! 尻尾だ! 尻尾が弱点なんだヨ!」

リンクル「尻尾……そっか、剣鉈刺したのが!」

ゼルダ「リンクル!」ブンッ

ガランガランッ

ファイ(ちょっと痛い)

リンクル「お帰り、ファイ」パシ
リンクル「行くよ!」

ガノン「グゥゥゥ……グオオオオッ!!」ブオンッ

リンクル「はっ!」バッ
リンクル「爆弾ボルトが駄目なら……光のボルトよ!」バシュッ バシュッ

ガノン「グアアアアアッ!?」バリバリバリ

リンクル「よしっ、怯んだ!」
リンクル「でやああああっ!!」ダンッ

ガノン「グオオオオオオオオッ!!」

ザンッ


427 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:45:19.74qQvHz/ab0 (14/25)

ガノン「オオオオオッ! グオオオオオオッ!!」ブオンッ ブオンッ
ガノン「グルルルゥゥゥ……!」ズズン……

リンクル「はぁ……はぁ……!」

ガノン「フシュー……フシュー……!」

リンクル「漸く、膝をついたわね……」

ファイ「マスターに報告。空を覆っていた黒雲の一部が晴れ、ここに光が差し込んできています」
ファイ「今こそが宿命の者にとどめを刺す時である確率100%。剣を天に掲げてください」

リンクル「……こう?」スッ
リンクル「……! 光が……!」キュィィ

ナビィ「剣に光が宿った……」
ナビィ「リンクル……とどめを!」

リンクル「うん……今度こそ……」
リンクル「これが、とどめよっ!」ダッ

ザシュッ

ガノン「グッ……グオオオオッ! グオオオオオッ! オオオォォォォッ……!!」

ゼルダ「六賢者達よ……今です!」カッ


428 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:46:36.64qQvHz/ab0 (15/25)

ラウル「ハイラルを創りたまいし古代の神々よ!」
ラウル「今こそ封印の扉開きて邪悪なる闇の化身を冥府の彼方へ葬りたまえ!」

ダルニア「いくぜ、キョーダイ!」

ルト「うむっ、参ろうか!」

ナボール「さぁ始めるよォ!」

インパ「いくぞ!」

サリア「リンクル……!」

ポゥ……

ゴオオオッ


おのれ……
おのれ……ゼルダ!
おのれ……賢者共!

おのれ……リンクル!!
いつの日か……この封印が解き放たれし時……
その時こそ貴様達の一族根絶やしにしてくれる!

我が手の内に力のトライフォースある限り……


429 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 19:47:08.24qQvHz/ab0 (16/25)

ちょっと休憩

漸くガノン倒すとこまで来たなって感じ


430以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/03/08(木) 20:13:03.61UX2emjBG0 (1/1)




431 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 20:30:44.98qQvHz/ab0 (17/25)

再開します


432 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 20:31:30.90qQvHz/ab0 (18/25)

 ep.22 伝説の分かれ目


ゼルダ「ありがとう、リンクル……」
ゼルダ「あなたの力でガノンドロフは闇の世界に封印されました」

ゼルダ「これでこの世界も再び平和な時を刻み始めるでしょう」
ゼルダ「これまでの悲劇は全て私の過ちです……」

リンクル「ゼルダ……」

ゼルダ「己の未熟さを顧みず聖地を制御しようとし、あなたまでこの争いに巻き込んでしまった」

リンクル「そ、そんなことないよ」
リンクル「あたしは自分の意思でガノンドロフと戦ったんだ」

ゼルダ「……」

リンクル「だから……」
リンクル「だから……その……」

ゼルダ「……」

リンクル「……ごめん」


433 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 20:32:07.61qQvHz/ab0 (19/25)

ゼルダ「……今こそ、私は私の過ちを正さねばなりません」
ゼルダ「マスターソードを眠りに就かせ、時の扉を閉ざすのです」

ゼルダ「けれど、そうすれば時を旅する道も閉ざされてしまいます」
ゼルダ「今なら、賢者として時のオカリナの力であなたを元の時代へ帰してあげられます」

リンクル「……」スッ

ゼルダ「……ハイラルに平和が戻る時……」
ゼルダ「それが……私達の別れの時なのですね……」スッ

リンクル「……うん」

ゼルダ「……」

リンクル「……」

ゼルダ「……」チュッ

リンクル「っ、ゼルダ!?」

ゼルダ「……さぁ、お帰りなさいリンクル」
ゼルダ「あなたが居るべきところへ、あなたがあるべき姿で……失われた時を取り戻すのです」

♪♪♪ ♪♪♪~ ♪♪♪~♪♪~


434 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 20:34:46.49qQvHz/ab0 (20/25)

――時の神殿

パアアアアアッ

リンクル「……あ」
リンクル「子供に戻ってる」

リンクル「マスターソード……」
リンクル「ファイ?」

ナビィ「……」

リンクル「……そっか、そうだよね」
リンクル「もうあたしはあなたのマスターじゃない」

リンクル「ただの子供だもんね……」クルッ
リンクル「旅も終わりかな……」カツカツ

ファイ「リンクル」

リンクル「え……!?」バッ

ファイ「マスターとの契約はこれを以て終了となります」ヒュリンッ
ファイ「リンクルとの旅は“つらい”こともあり、“苦しい”こともあり、しかし“楽しい”ものでした」

ファイ「かつて、マスターソードを作り上げたマスターとの旅が思い起こされます」
ファイ「あなたと旅した記録は、以前のマスターとの旅の記録と共に、ファイの中の最も重要な情報です」

ファイ「なので、以前のマスターにも贈った言葉ですが……」
ファイ「多くの人があなたに贈り、あなたも多くの人に贈った言葉を、あなたにも贈るべきと思いました」

ファイ「ありがとう、マイマスター、リンクル」
ファイ「もしも、また次にファイが……マスターソードが目覚める時が来たのであれば」

ファイ「その時も、リンクルの魂を受け継ぐ者がマスターとなることを、ファイは強く望みます」
ファイ「いつかまた……あなたの魂と共に」

リンクル「……こっちこそ、ありがとね」

ナビィ「……」


435 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 20:35:17.51qQvHz/ab0 (21/25)

リンクル「ナビィ? さっきからどうしちゃったのさ、黙りこくって」

ナビィ「……あのね、リンクル」

リンクル「うん」

ナビィ「リンクルとの旅、とっても大変だったヨ」
ナビィ「いっぱいつらい思いもして、苦しいことも多かった」

ナビィ「でも……さっきファイが言ったように」
ナビィ「あたしも、結構楽しかったんだ。リンクルと過ごす時間……」

ナビィ「もうすっかり立派な勇者だね、リンクル」
ナビィ「ナビィ、安心して森に帰れるヨ……」

リンクル「ナビィ……」
リンクル「……そっか。うん、ありがとう、ナビィ」

ナビィ「……ありがとう」
ナビィ「リンクル……大好きだヨ」シュ……

リンクル「……あたしも大好きだよ、ナビィ」


436 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 20:37:32.86qQvHz/ab0 (22/25)

――ハイラル城 中庭

ザッ

「ゼルダ姫」

ゼルダ「!」クルッ
ゼルダ「だ、誰っ? どうやってこんなところまで……」

リンクル「ちょっとね」
リンクル「森から……あなたにお話をしに来たの」

ゼルダ「森から……?」
ゼルダ「じゃあ、もしかして、あなたが夢のお告げに現れた、森からの使者?」

リンクル「うん、そういうことになるわね」クスッ

ゼルダ「……!」ドキッ

リンクル「リンクルよ。よろしくね、ゼルダ姫」

ゼルダ「リンクル……不思議……なんだか懐かしい響き……」
ゼルダ「それでは、リンクル。あなたのお話……聞かせていただける?」

リンクル「うん」
リンクル「今から、あたしだけが知ってる、聖地の秘密と聖三角の伝説を教えてあげる」


【ゼルダの伝説】リンクルが時の勇者になるようです
      fin


437 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 20:38:21.07qQvHz/ab0 (23/25)






―――――

リンクル「ガノンドロフ、処刑されるんだってね」

ゼルダ「えぇ……お父様が漸く認めてくださったの」
ゼルダ「あなたは、また旅に?」

リンクル「うん。なんていうか……」
リンクル「……居心地が悪くて。ごめんね」

ゼルダ「いいえ……空気が良くないのは分かります」
ゼルダ「殊に、あなたのような真っ直ぐな人は、城の雰囲気は決して心地良いものではないでしょう」

ゼルダ「それに……共に時を越えて旅をしたあの妖精……」
ゼルダ「ナビィを、探しに行くのでしょう?」

リンクル「……うん」
リンクル「ナビィは“森に帰る”って言ってた」

リンクル「だから、あれから何度か森に行ってみたけど……どこに居るのか分からないんだ……」
リンクル「また……会いたい。どうしても……会って、話がしたい」

ゼルダ「……」
ゼルダ「……リンクル、これを」スッ

リンクル「これは……時のオカリナ?」

ゼルダ「あなたが旅した“七年後”と、これからあなたが旅する“いま”は違う世界です」
ゼルダ「けれど、あなたの手には勇気のトライフォースが宿ったまま……」

リンクル「……うん」

ゼルダ「このままハイラルに留まるのは危険です。この時のオカリナもそうであるように」
ゼルダ「なので、ハイラルを離れるのであれば、このオカリナと共に……」

ゼルダ「身勝手なことは分かっています。ですが……」
ゼルダ「どうか……お願いします」ペコリ

リンクル「……頭を上げて」
リンクル「じゃあ、時のオカリナは、あたしが持ってくよ」

ゼルダ「ありがとう……」


438 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 20:39:57.88qQvHz/ab0 (24/25)

リンクル「エポナ、平気?」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ」

リンクル「そっか」
リンクル「んー……大分森の奥まで入ってきちゃったけど……」

リンクル「ナビィ、ほんとにどこ行っちゃったんだろ……」
リンクル「……オカリナ吹いたら、また来てくれたりしないかな」

♪♪♪~ ♪♪♪~

エポナ「フーッ」

リンクル「ふふっ、エポナはこの音色が大好きだもんね」

♪♪♪~ ♪♪♪~

「ケケケ、馬に乗った子供だ」

「ほんとだ……綺麗な音色」

「よし、お前ら少し驚かせてやれよ」
「なんかいいもん持ってそうだぞ」

「はいはい」
「行くよ、トレイル」

「あ、うん、待ってよ姉ちゃん」

「早くしないと行っちゃうわ」
「いい? せーの、であの馬を驚かすわよ?」

「うんっ」

シュ……

リンクル「……あれ?」
リンクル「今何か……」キョロキョロ


ホッホッホ、どうやらまだ一悶着ありそうですねぇ……
信じなさい……信じなさい……


 ほんとにおわり……?


439 ◆R/MMXv4xbuiy2018/03/08(木) 20:45:48.35qQvHz/ab0 (25/25)

くぅ疲くぅ疲

ひとまずこの「リンクルが時の勇者になるようです」はこれで完結になります
設定とか構成とか色々行き当たりばったり気味だったし、何より戦闘描写が難しかったしで、何かと変なとこ多かったかもしれないけど、とりま完結まで行けて良かった良かった

ここまで読んでくださった皆さん本当にありがとうございました
次ゼルダで何か書くとしたら、多分黄昏か風タクになると思います

尚、ムジュラの仮面は、エンディングで続編におわせておきながら、ムジュラ原作をプレイしたことがないので書く予定は今のところありません

ゼルダSSもっと増えればいいのになホント



440以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/03/08(木) 23:34:21.16twirdNKDo (1/1)

完走おつおつ
時オカがはじめてのゼルダの伝説だった俺にはすごい嬉しいSSだった
リンクル好きになったわ。ゼルダ無双かって使ってみる
とにかく滅茶苦茶楽しかったし面白かったし最高でした!


441以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/03/09(金) 00:01:36.50ivDGEITN0 (1/1)




442以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/03/09(金) 01:08:55.32K5AVo1UWo (1/1)

乙でした


443以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/03/09(金) 03:35:59.51sXr9wCsQO (1/1)



でもこれ速報Rじゃなくても良かったなべつに


444以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/03/09(金) 11:33:15.52WKbUhzIvo (1/1)

おつおつ


445以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/03/13(火) 01:11:30.95kLbeDVtPO (1/1)

おつ
r18板ならエロい番外編書いても……チラッ


446 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 01:28:08.73vh9dicXb0 (1/1)

ムジュラは書かないと言ったな

あれは嘘だ

クリアするのにかなり時間かけてしまった
日が昇ったらムジュラ編最初の更新します


>>440
このSSはリンクルのキャラが大分違うけど、無双のリンクルは普通に超可愛いので超お勧め
ありがとう

>>443
それな
でも>>445が良いこと言った



447以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/07(土) 07:57:50.62OPVT+arTo (1/1)

やたあああああああああ!
待っててよかったっ!


448 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:47:06.41XjSIQeNY0 (1/15)


 ハイラルに伝わる王家の伝説。
 そこに一人の少女が登場する。
 巨悪と戦いハイラルを救った後、彼女は伝説から姿を消した……

 時を越えた戦いを終え、彼女は人知れず旅に出た。
 冒険の終わりで別れた、かけがえのない友を探す旅に……



449 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:47:33.90XjSIQeNY0 (2/15)

 ep.23 事の始まり


リンクル「エポナ、平気?」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ」

リンクル「そっか」
リンクル「んー……大分森の奥まで入ってきちゃったけど……」

リンクル「ナビィ、ほんとにどこ行っちゃったんだろ……」
リンクル「……オカリナ吹いたら、また来てくれたりしないかな」

♪♪♪~ ♪♪♪~

エポナ「フーッ」

リンクル「ふふっ、エポナはこの音色が大好きだもんね」

♪♪♪~ ♪♪♪~

「ヒヒヒ、馬に乗った子供だ」

「ほんとだ……綺麗な音色」

「よし、お前ら少し驚かせてやれよ」
「なんかいいもん持ってそうだぞ」

「はいはい」
「行くよ、トレイル」

「あ、うん、待ってよ姉ちゃん」

「早くしないと行っちゃうわ」
「いい? せーの、であの馬を驚かすわよ?」

「うんっ」


450 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:48:10.37XjSIQeNY0 (3/15)

リンクル「……あれ?」
リンクル「今何か……」キョロキョロ

シュ……

リンクル「あっ、妖精!」
リンクル「……なんだ、ナビィじゃないんだ……」

「「ばあっ!!」」

エポナ「ヒヒィーン!?」ビクッ

リンクル「きゃっ!?」ドタッ
リンクル「きゅうぅ……」

「ヒヒッ、お前達上手くやったな」ザシッ ザシッ
「何か良いもの持ってそうか?」

「あれ……? こいつ……」
「……まぁいいか」

「起きないな」ゲシ
「さて……」ゴソゴソ

リンクル「ん……」

「!」バッ


451 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:48:47.65XjSIQeNY0 (4/15)

リンクル「……」

「……脅かすなよな」ゴソゴソ
「……おっ、これは……」っ時のオカリナ

「きっ……綺麗なオカリナ……ねぇ、スタルキッド、僕にも、触らせてっ」

「あんたは駄目よ、トレイル」リリリリン
「落として怪我でもしたらどうするの、危ないから触っちゃ駄目!」

トレイル「だけど姉ちゃん、ぼ、僕も触りたい……」

リンクル「うぅん……いたた……」ムクリ

「!!」リリリリン
トレイル「!!」リリリリン

スタルキッド「?」クルッ
スタルキッド「うわっ!!」ササッ

リンクル「スタルキッド……?」
リンクル「……あんた今、あたしのオカリナ……」

スタルキッド「……」フイッ

リンクル「……返して!」ダッ

スタルキッド「!」バッ

エポナ「ヒヒーン!」

リンクル「えっ、エポナ!?」

スタルキッド「走れっ!」

エポナ「ヒヒーン!」パカラッ パカラッ

リンクル「待ちなさい!」タタッ ガシッ


452 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:49:44.18XjSIQeNY0 (5/15)

スタルキッド「えぇい、離せ! 離せよ!」

リンクル「あんたこそエポナから降りなさいよ!」ズルズルズル
リンクル「エポナ! お願い! 止まって!」ズルズルズル

スタルキッド「このっ……」ゲシッ

リンクル「いっ……!」
リンクル「きゃっ!」ドタッ ゴロゴロゴロ

スタルキッド「ヒヒヒッ、やっと離れた!」

リンクル「っ……!」タンッ ザッザッザッザッ

トレイル「転がった勢いのまま立ち上がって走ってきたよ!」

「子供の癖にどういう運動能力持ってんのよあいつ!?」
「でもまぁ、こっちは馬だし流石に追いつけないわよね」

パカラッ パカラッ ……

リンクル「くっ……!」チャキッ
リンクル「……待ちなさい!」ザッザッザッザッ

リンクル「やっ、はっ、たぁっ!」タンッ タンッ タンッ
リンクル「あひっ!? 地面がないっ!?」ピタッ

リンクル「あっ、わっ、ひゃっ……!」ユラユラ
リンクル「きゃあああーっ!!」ズルッ

ヒュルルルッ……



453 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:50:22.27XjSIQeNY0 (6/15)

ボヨンッ

リンクル「きゃんっ!」
リンクル「いったぁ……何これ……」

リンクル「花……? これで助かったのかな……」
リンクル「随分高いところから落ちた気がするけど……」キョロキョロ

「しつこいな!」

リンクル「あっ! さっきのスタルキッド!」

スタルキッド「なんだあのバカ馬は! 全然言うことを聞かないじゃないか」

リンクル「当然よ! エポナは特定の人にしか懐かない難しい子なんだから!」

スタルキッド「ふん。あんなの乗ってても仕方ないから捨てといてやったよ、ヒヒッ」

リンクル「なっ……エポナを!?」

スタルキッド「……なんだその顔は」
スタルキッド「折角遊んでやろうと思ったのに……」

リンクル「冗談じゃないわ! あんたの遊びに付き合ってる場合じゃ……」チャキッ

スタルキッド「今のオイラに勝てると思ってるのか? 間抜けな奴め」

リンクル「……っ」ゾクッ
リンクル(何このスタルキッド……すごく……嫌な感じ。あの仮面は一体何なの?)

スタルキッド「お前の顔は見飽きたぞー……」ズズズズ

リンクル「……!」ジリッ
リンクル(“何か”が来る!)


454 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:51:18.40XjSIQeNY0 (7/15)

ヒヒヒヒヒッ……

リンクル「……え」
リンクル「何……真っ暗……?」

ガサッ ガサッ

デクナッツ「……」ジーッ

リンクル「……デクナッツ……?」

ガサッ ガサッ ガサッ

デクナッツ「……」ジリジリ

リンクル(囲まれてる……!?)
リンクル「……あっ!?」

デクナッツ「……」ジリジリ

リンクル(クロスボウも剣も盾もない!?)
リンクル「っ……逃げるしか……!」ダッ

デクナッツ「……」ズズズズズズ

リンクル「!!」ゾクッ
リンクル「嘘っ、あんな大きなデクナッツ……」

ズオオッ


455 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:52:21.53XjSIQeNY0 (8/15)

リンクル「いやあああああああああっ!?」バッ
リンクル「……えっ……何、今の……幻覚?」キョロキョロ

スタルキッド「ヒヒヒッ、中々ユニークな姿だ」

リンクル「姿……? あたし、一体どうなって……」
リンクル「……!?」

デクリンクル「うわああああああああっ!?」
デクリンクル「あ、あたし、デクナッツになっちゃったの!?」

スタルキッド「お前はずーっとその姿でここに居ろ!」フヨフヨ

デクリンクル「ま、待ちなさい!」ダッ

「だーめっ♪」ペシッ

デクリンクル「あいたっ」
デクリンクル「何すんのよ!」

「折角面白い姿になれたんだからここにずっと居なさいよ」ペシペシ

デクリンクル「いたっ、痛いって、言ってるじゃん!」クルンッ

「おっと」バッ
「へへーん、怖くもないわよ、そんな顔で何言ったって」リリリリン

デクリンクル「このーっ……妖精の癖に可愛くない……!」

トレイル「姉ちゃーん! 早く来ないと置いてかれちゃうよーっ!」

「へ?」

ガコーン

「ああっ!!」リリリリン


456 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:53:16.77XjSIQeNY0 (9/15)

「待ってよスタルキッド! 私がまだ居るのにー!」パタパタ
「トレイルー! 行っちゃ駄目よー!」パタパタ

デクリンクル「やっと離れてくれた……」
デクリンクル「それにしてもどうしようこの姿……」

「うう……開かない……」
「ちょっと!」

デクリンクル「背も大分縮んじゃった……ていうかデクナッツ自体が小柄なのかな……」
デクリンクル「……ん、何これ。泡? シャボン?」プクー

「ねぇ! 無視してんじゃないわよ!」リリリリン

デクリンクル「……何よ」

「あんたの相手してたら弟とはぐれちゃったじゃないの!」
「どうしてくれるのよ!」

デクリンクル「知らないわよ、んなこと!」

「何よ! 私が悪いっていうの!?」

デクリンクル「実際その通りじゃない!」

「うるさい!」
「兎に角、あの扉開けなさいよ! か弱い女の子が頼んでるのよ! 早くしてよ!」

デクリンクル(あたしも女の子なんだけどなぁ)

「あーん、トレイル! あの子一人で大丈夫かしら!」

デクリンクル「……はいはい、分かったよ」
デクリンクル(自分勝手というか、弟思いというか……)

デクリンクル「まぁ……あたしも他に行けるとこないし、いいか……」
デクリンクル「普通に開けられるし……」ガコン


457 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:54:07.20XjSIQeNY0 (10/15)

デクリンクル「足が短くて歩きにくい……」ザッザッザ

「待ってよー! 置いてかないでよー!」

デクリンクル「……まだついてきてたの?」

「うう……さっきのことは謝るからさ、一緒に連れてってよ」
「あんただってさっき逃げたスタルキッドのこと、知りたいでしょ?」

デクリンクル(なんて調子のいい……けど、まぁいっか。見当もつかないよりマシかな)
デクリンクル「……」コクリ

「はい決まり!」
「取り敢えずスタルキッドを捕まえるまで私があんたの相棒になってあげるわ!」

チャット「私チャット、よろしくね!」
チャット「あんたは?」

デクリンクル「妖精なのにコキリ族が分からないの?」

チャット「う、うるさいわね! いいから名乗りなさいよ!」

デクリンクル「……リンクル」

チャット「そう、リンクル! よろしくね!」
チャット(うう、やっぱり当たりが強い……使えそうだけど、どうにかして信頼を獲得しないと……!)

デクリンクル「はぁ……ナビィと同じ妖精なのに、ナビィとは大違いなのね……」ボソッ

チャット「何か言った?」

デクリンクル「なーんにも」フイッ


458 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:54:44.47XjSIQeNY0 (11/15)

デクリンクル「この花、中に入ると大ジャンプ出来るんだ」

チャット「デクナッツの連中はそれで高い所に移動するらしいわよ」

デクリンクル「へぇ……便利ね」ピョーン
デクリンクル「でも武器が使えないのはちょっとなぁ」バタバタバタ

チャット「デクの実使えば?」

デクリンクル「……あ、そっか」
デクリンクル「デクナッツっていえば口からデクの実飛ばしてくるのが普通だもんね」

チャット「あ、もう少しよ」

デクリンクル「あんたの心当たりが合ってるといいんだけど……」
デクリンクル「……何この木」

チャット「何よこれ……こんなのあったかしら」
チャット「……あんたのその姿、これに似てない?」

デクリンクル「そう? や、言われてみればデクナッツみたいには見えるけど……」

チャット「何か……今にも泣きそうな陰気な顔してるわよね……まぁどうでもいいけど」
チャット「さっさと行きましょ。なんか気味悪いし」

デクリンクル「あ、うん」
デクリンクル「うわっ、何この通路……なんだか気持ち悪い」

チャット「?」


459 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:55:27.35XjSIQeNY0 (12/15)

デクリンクル「何ここ……? 急に建物の中に出たけど」

チャット「時計塔よ」

デクリンクル「時計塔?」
デクリンクル「森の奥にこんな場所があったなんて……」

ガコーン

デクリンクル「あっ、閉まっちゃった」

チャット「これじゃ森に戻れないじゃない……」
チャット「まぁいいや、進みましょ」

デクリンクル「ああ、うん」


460 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:55:59.60XjSIQeNY0 (13/15)

デクリンクル「ほんとに機械仕掛けの塔みたいね……」

チャット「だから時計塔だって言ったじゃない」

「大変な目に遭いましたねぇ……」

チャット「……!!」ササッ

デクリンクル「……?」
デクリンクル「どこかで見たような……」

しあわせのお面屋「ワタクシはしあわせのお面屋」
しあわせのお面屋「古今東西、しあわせのお面を求める行商人です」

しあわせのお面屋「旅の途中、森で奇妙な子鬼に大切な仮面を盗まれ、途方に暮れていたところ……」
しあわせのお面屋「あなたを見つけまして、失礼と思いながらもずっと後をつけさせてもらいました」

デクリンクル「ずっとあたし達の後を……?」
デクリンクル(変ね……気配すら感じなかったけど)

しあわせのお面屋「実はワタクシ、あなたを元に戻す方法を知っているのです」

デクリンクル「ほんと!?」


461 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 08:56:53.96XjSIQeNY0 (14/15)

しあわせのお面屋「あなたが盗まれた大切なもの。それさえあれば元の姿に戻してあげますよ」
しあわせのお面屋「その代わり、序でにあの子鬼から、ワタクシの大切な仮面を取り返してもらえませんか」

デクリンクル「あのスタルキッドがつけてた仮面のこと?」

しあわせのお面屋「えぇ、そうです。なに、簡単なことじゃないですか」
しあわせのお面屋「あなたにとって決して悪い話ではないと思いますよ?」

デクリンクル「……」

しあわせのお面屋「ただ……生憎ワタクシも忙しい身でして」
しあわせのお面屋「あと三日でここを去らねばならないのです」

しあわせのお面屋「出来ればそれまでに取り返していただけるとありがたいのですが……」
しあわせのお面屋「大丈夫、あなたはお若いのに大層勇気のあるお方だ」

しあわせのお面屋「きっとすぐに見つかりますよ」
しあわせのお面屋「では、よろしく……」スッ

デクリンクル「……うん」
デクリンクル(動きが全然読めない……なんだろ、この変な感じ)

チャット「(早く行こうよ……)」リリリリン

デクリンクル「チャット?」
デクリンクル「……仕方ないなぁ。じゃ、行ってくるね、お面屋さん」ギィ

しあわせのお面屋「えぇ、お気をつけて」


462 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/07(土) 09:00:50.07XjSIQeNY0 (15/15)

取り敢えずここまで

ムジュラは友達からWii本体ごと借りてただ一周しただけで、今3DS版やってる最中だし、何よりシステムがかなり複雑で個々のイベントが入り組んでる上に多いから、SSにまとめる為に色々ゲームと違うことしたりオミットしたりすると思うけど、時のオカリナ編もオリジナル展開だらけだったし今更気にしないでくれると助かる



463以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/07(土) 16:48:13.00iDRqihoOO (1/1)

待ってましたぜ姉貴!


464以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/08(日) 17:53:50.29EfqWaQEEo (1/1)

おぉおおお!!
これは嬉しい!


465 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:37:06.61nmW98wPE0 (1/19)

本日の投下はァー……21時くらいを予定していましたがァー、今に変更になりましたァー



466 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:39:00.97nmW98wPE0 (2/19)

 ep.24 最初の三日間


最初の朝
残り72時間

――クロックタウン 南

トンカントンカン カンカンカン

デクリンクル「何この街……?」

チャット「ああ、ビックリした……あの時のお面屋だったんだ……」

デクリンクル「あの時の?」

チャット「あ、いや、こっちの話よ」
チャット「しっかし、三日だなんて、一睡もしなくても72時間しかないじゃない」

デクリンクル「72時間も一睡もせずに過ごしたら死んじゃいそうだけどね」

チャット「ほんと勝手なこと言ってくれるわよね」
チャット「それじゃ、スタルキッド探しに行きましょ。多分町の外よ」

デクリンクル「あそこの門?」

チャット「どこから出たってタルミナ平原でしょ」


467 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:39:54.93nmW98wPE0 (3/19)

大工「あー、違う違う! もう少し右!」

大工「これほんとに完成すんのかなぁ」

デクリンクル「それにしてもみんな忙しそうね」

チャット「お祭りがあるみたいよ」

デクリンクル「ふーん……」
デクリンクル「ん、妖精? まぁいいや連れて行こ」ヒョイッ

チャット「どうしたの?」

デクリンクル「妖精見つけたけど、やっぱりナビィじゃなかったわ」
デクリンクル「でも寂しそうだったからフードに入れちゃった」

チャット「あ、そう」

デクリンクル「それにしても、大切なものって何のことだろう」
デクリンクル「時のオカリナか、エポナか……スタルキッドに盗られたのってこれくらいよね」

チャット「馬は乗り捨てちゃったけど……」
チャット「オカリナはまだスタルキッドが持ってるんじゃない?」

デクリンクル「じゃあオカリナかなぁ……」

兵士「おっと、待ちたまえそこの君」

デクリンクル「あたし?」

兵士「そう、デクナッツのお嬢ちゃん。町の外は物騒だから、君のような子供を一人で出すわけにはいかないなぁ」
兵士「お母さんか、お父さんか、兎も角親御さんと一緒に来なさい」

デクリンクル「えー……」


468 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:40:25.26nmW98wPE0 (4/19)

デクリンクル「この姿じゃ兵隊さんに止められちゃうわ」

チャット「困ったわね……」
チャット「……そうだわ、大妖精様に会いに行きましょ」

デクリンクル「あ、大妖精様はここにも居るんだ」

チャット「勿論よ。大妖精様はスタルキッドの行動くらい全てお見通しなんだから!」
チャット「ここだけの話、あいつは大妖精様にだけは頭が上がらないの」

デクリンクル「そうなんだ……」
デクリンクル「で、どこに行けばいいのかな」

チャット「街の北門近くにある祠に行くのよ。大妖精様はそこにいらっしゃるわ」


469 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:41:00.03nmW98wPE0 (5/19)

――クロックタウン 妖精の泉

デクリンクル「ここの筈よね?」

チャット「……?」
チャット「ああ! 大妖精様が!?」

デクリンクル「普通の妖精しか居ないけど……」

「若者よ……私の願いを聞いてください」
「仮面をつけたスタルキッドにバラバラにされてしまいました」

デクリンクル「スタルキッドって大妖精様に頭上がらないんじゃなかったの?」

チャット「そ、その筈よ……どうしてこんな……」

「町ではぐれている妖精を一人捕まえてここに連れてきてください……」

デクリンクル「……」

チャット「どうしたの?」

デクリンクル「いや……もしかして、これかなって」

チャット「……あー! さっきの妖精!」

「おお、それこそまさに……!」

シュルルルルッ


470 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:41:32.41nmW98wPE0 (6/19)

「オーッホッホッホッホ!」

デクリンクル(うわぁ)

「チャット。そして姿を変えられた親切な若者よ」
「バラバラになった体を元に戻してくれてありがとう」

魔法の大妖精「私は魔法の大妖精」
魔法の大妖精「私としたことが、あの子だと思って油断をしてしまいました」

デクリンクル「普段はそんなことをする実力はない、ってこと?」

魔法の大妖精「はい。あれは、そう……」
魔法の大妖精「何か強大な力を突然手に入れたようでした」

デクリンクル「強大な力を、突然……?」
デクリンクル「スタルキッドは今どこに?」

魔法の大妖精「ごめんなさい……詳しくは分かりません」

デクリンクル「そっか……」

魔法の大妖精「ですが、恐らくこの町のどこかに居るものと思われます」
魔法の大妖精「町中を探しても見つからない時は、外から見てみるのもいいでしょう」

デクリンクル「外から、か……」
デクリンクル「ありがとうございます、大妖精様」

魔法の大妖精「いいえ……私こそ、力になれなくてごめんなさい」


471 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:42:22.33nmW98wPE0 (7/19)

――クロックタウン 北

デクリンクル「いよいよ困ったわね」
デクリンクル「大分町の中歩き回ったけど、一向に見つからないし、かと言って外は……」チラッ

兵士「ふあーあ……」

デクリンクル「……兵隊さんに止められちゃうし」

チャット「八方塞がりね……」
チャット「しっかし、ほんとどうしちゃったのかしらあいつ……」

デクリンクル「急に大きな力を手にしちゃったからかもね……」プクー

チャット「口から何か出てるわよ。何それ? シャボン玉?」

デクリンクル「分かんない。デクナッツになってから出来るようになったの」

チャット「ふーん……」

デクリンクル「……あ、撃てるんだこれ」ポンッ

パァン

チャット「ぴぃ!?」

「おおっ!?」
「今風船割ったのお前か!?」

デクリンクル「あ、ご、ごめん! 君の風船だったんだ……」

「いや、いいよ。元々割る為に用意したもんだしな」
「しかしお前、デクナッツの癖にやるなぁ」

デクリンクル「デクナッツの癖に、って……」


472 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:42:56.15nmW98wPE0 (8/19)

「お前にならボンバーズのアジトに行く暗号を特別に教えてやってもいいぞ」

デクリンクル「ボンバーズ?」

チャット「確か困ってる人を助ける正義の秘密結社……を名乗ってる少年団よ」

デクリンクル「ふーん……」
デクリンクル「じゃあ教えて。いい?」

「あ、テストは受けてもらうぞ!」
「覚悟はいいか?」

デクリンクル「テスト……って何するの?」

「ルールは簡単! ヤローども集まれぇーぃ!」

「「「「わぁー」」」」ドタドタドタ

「俺達5人を日が暮れるまでに全員捕まえることが出来たら暗号を教えてやる!」

デクリンクル「鬼ごっこ、ってことね」
デクリンクル「いいよ。いくつ数えればいい?」

「10秒だ!」
「いくぞ!」

「「「「わぁー」」」」ドタドタドタ


473 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:43:37.23nmW98wPE0 (9/19)

子供A「うわぁ、捕まった!」

デクリンクル「まずは一人目!」

子供A「どうして分かったんだ?」

デクリンクル「木の影に隠れてるの見えたもん」
デクリンクル「……おっ」タタッ

子供B「うわっ!」

デクリンクル「みーつけた!」

子供B「捕まえてみろー!」タタタタッ

デクリンクル「待ちなさーい!」タタタタッ

子供A「……あれ? あのデクナッツ女の子なのか?」

チャット「え、そうよ? 気付かなかった?」

子供A「分かりにくいんだもん」

子供B「捕まったぁー!」

デクリンクル「あと三人!」


474 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:44:09.40nmW98wPE0 (10/19)

デクリンクル「というわけで日が暮れる前に全員捕まえたわ」

子供C「あそこでああ来るとは思わなかったよ……」

子供D「まさか木箱を粉砕してくるとは思わなかったよ……」

「大分端折られた気がする……」
「それにしてもやるなぁ、お前」

「でも残念だな」
「お前が人間だったら正式に入団させてボンバーズのメンバーズ手帳渡すとこだったのに」

デクリンクル「……あ、そっか、デクナッツだっけ今」
デクリンクル「どうして駄目なの?」

「一度人間以外の奴を入れたことがあるけど、酷い目に遭ったからな……」

チャット「……」

「念のため聞いとくけど、こいつにメンバーズ手帳を渡すのは?」

子供A「ちょっとだけ可愛くたって駄目駄目」
子供B「そこそこ可愛くても駄目だ駄目だ」

子供C「いくら可愛くても駄目なもんは駄目」
子供D「可愛いけど駄目だったら駄目」

ジム「……とまぁ、こんな感じ」
ジム「ただまぁ、お前も困ったことがあったらこのボンバーズ団長のジム様に相談してもいいぜ!」

デクリンクル「うん、分かった」

ジム「あ、そうそう、約束通り暗号は教えてやるぜ」
ジム「暗号は15234だ。忘れるなよ!」

デクリンクル「ありがとね」


475 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:44:42.44nmW98wPE0 (11/19)

デクリンクル「……で、暗号ってどこで使えばいいんだろ?」

チャット「ああ、こっちよ、こっち」
チャット「ほら、そこの地下道」

デクリンクル「あの子に暗号を言えばいいのね」
デクリンクル「ねぇねぇ、そこ通してくれない?」

子供「ここを通りたければ暗号を言うでしゅ」

デクリンクル「15234。いい?」

子供「えぇと……暗号を知ってるってことは仲間でしゅね?」
子供「通っていいでしゅ」

デクリンクル「ありがとー」
デクリンクル「……チャット、やけにボンバーズのことに詳しいね」

チャット「あー、まぁね」


476 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:45:21.32nmW98wPE0 (12/19)

――天文観測所

「おやおや……今日は変わった子供のお出ましじゃな……」
「ボンバーズの新しい仲間かの? デクナッツの女の子とは……」

デクリンクル「一応……そうなのかな?」

「ふむ……この前の仲間よりは躾が良さそうじゃのう……」
「この間の悪ガキときたら、部屋の道具は壊すわ、月の涙は盗むわ……」

「ほとほと手に負えん奴じゃった」
「今も……ほれ、時計塔の辺りで悪戯をしておるだろう。望遠鏡を覗いてみなさい」

デクリンクル「はい」
デクリンクル「……えーと、時計塔は……あれかな」

デクリンクル「……」
デクリンクル「……チャット」

チャット「な、何よ」

デクリンクル「あんたがボンバーズにやけに詳しい理由が分かったわ」
デクリンクル「お爺さんの言う悪ガキ、ってスタルキッドのことだったのね」

チャット「……そうよ」

「あの子の知り合いか?」

デクリンクル「あー、まぁね……」
デクリンクル「ありがとう、お爺さん。行くところが出来たわ」


477 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:49:32.81nmW98wPE0 (13/19)

――クロックタウン南

チャット「時計塔の上?」

デクリンクル「っそ。時計塔のてっぺん」

チャット「まさか真上に居ただなんてねぇ……」

デクリンクル「……真上といえば」

チャット「どうしたの?」

デクリンクル「聞こうと思ってたんだけど、空のあれは何?」

チャット「あれ……って……」
チャット「……月、よね? なんか顔みたいなの見えるのは確かに変だけど……」

デクリンクル「……月にしてはやけに近くない?」

チャット「知らないわよそんなの」

デクリンクル「……あれ段々近付いてきてるみたいなんだよね」

チャット「近付いて……って」
チャット「何? ぶつかるのアレ!?」

デクリンクル「さぁ……そんな気はする」

チャット「なんであんたそんなに冷静なのよ!?」

「月を見てるの?」

デクリンクル「?」クルッ
チャット「?」


478 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:50:25.61nmW98wPE0 (14/19)

デクリンクル「……あっ!? コッコのお姉さん!?」

「え?」

デクリンクル「どうしてこんなところに……」
デクリンクル「あたし、リンクルだよ、覚えてない!? 今はこんな姿だけど……」

「うーん……ごめんなさい、ちょっと覚えがないわ……」
「リンクル、って名前も聞いたことがないわね……」

デクリンクル「そんな……」

アンジュ「ごめんね。その人と私がそっくりなだけかもしれないわ」
アンジュ「私、アンジュっていうの。よろしくね、リンクルちゃん」

デクリンクル「う、うん、よろしく」
デクリンクル「えっと……そう! あの空の大きなのは一体……?」

アンジュ「月よ。三日後の刻のカーニバルの日に落ちてくるって噂なの」
アンジュ「子鬼が呼んでるなんて噂もあるけど……」

デクリンクル「子鬼……まさか、スタルキッド!?」
デクリンクル「ありがとう、お姉さん! またね!」タタッ

アンジュ「あ、うん、また、ね……」


479 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:51:04.56nmW98wPE0 (15/19)

残り6時間

デクリンクル「とうとう何も出来ずに最後の日になっちゃったわ」
デクリンクル「あの時計塔、ほんとにどうやって上ったらいいのかしら」

チャット「中から上らないといけないけど、お面屋が居るとことは違う入口があるみたいね……」

デクリンクル「うーん、八方塞がりねぇ……」

ヒュルルルル バンッ ボンッ ボンッ バンッ

デクリンクル「……花火?」

チャット「……あっ、カーニバルが始まったんだわ!」

デクリンクル「お姉さんが言ってたあの……」

ガコーン ガコーン ガコーン ガコーン

デクリンクル「?」

チャット「時計塔の壁、新しい入口が開いたわね」

デクリンクル「行ってみましょ!」タタッ


480 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:52:02.87nmW98wPE0 (16/19)

――時計塔

デクリンクル「はっ……はっ……」
デクリンクル「見つけたわよ、スタルキッド!」

スタルキッド「……」フヨフヨ

トレイル「姉ちゃーん!」

チャット「あっ、トレイル! もう、探したわよ、あんた達!」
チャット「ねぇねぇ、スタルキッド! あんたの被ってる仮面、もう返してあげたら?」

スタルキッド「……」フヨフヨ

チャット「ねぇ! 聞いてる?」

トレイル「姉ちゃん! 沼・山・海・谷に居る4人の人達……早くここに連れてきて!」

スタルキッド「余計なこと言うな、バカ妖精!」バシッ

トレイル「ぴっ!」

チャット「ああっ! 弟になんてことすんのよ!」リリリリン
チャット「スタルキッド! あんたそれでも友達なの!?」

スタルキッド「まぁいいや……今更あいつらが来てもオイラに敵うわけないさ、ヒヒッ」
スタルキッド「上を見な! 止められるもんなら、止めてみろ!」

月「……」ゴゴゴゴゴ

デクリンクル「っ……!」
デクリンクル「取り敢えず、何でも試してみなきゃ!」プクー ポンッ

スタルキッド「おっ!?」バチンッ


481 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:53:02.47nmW98wPE0 (17/19)

スルッ
カツーン

デクリンクル「時のオカリナ!」タタタタッ

チャット「こんな時にオカリナなんかあったって、何の役にも立たないじゃない!」


ゼルダ『あなたが旅した“七年後”と、これからあなたが旅する“いま”は違う世界です』
ゼルダ『けれど、あなたの手には勇気のトライフォースが宿ったまま……』

リンクル『……うん』

ゼルダ『このままハイラルに留まるのは危険です。この時のオカリナもそうであるように』
ゼルダ『なので、ハイラルを離れるのであれば、このオカリナと共に……』

ゼルダ『身勝手なことは分かっています。ですが……』
ゼルダ『どうか……お願いします』ペコリ

リンクル『……頭を上げて』
リンクル『じゃあ、時のオカリナは、あたしが持ってくよ』

ゼルダ『ありがとう……』
ゼルダ『あなたの旅が無事であるよう、祈っています……』

ゼルダ『短い間でも、あなたとこのハイラルで過ごした時間は決して忘れません』
ゼルダ『そしてまたいつの日か、あなたと再び普通に過ごせる日が来ると私は信じています……』

ゼルダ『もしも、何か起こったら、あの歌を思い出して……』
ゼルダ『時の女神はあなたを見守っています。きっと力になってくれるでしょう』


デクリンクル「……!」
デクリンクル「……けど、どうすれば……」

チャット「あーん、神様! 時の女神様! 誰も良いから、いっそ時間を止めて!」

デクリンクル「っ……それよ!」スッ
デクリンクル「って、なんだこりゃ!?」ボンッ

チャット「えっ……!? オカリナが……デクラッパになった!?」

デクリンクル「えぇい、この際何でもいいや!」

♪♪♪♪♪♪~

カッ


482 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:53:44.01nmW98wPE0 (18/19)

デクリンクル「何……!?」
デクリンクル「あたし、落ちてるの!?」

デクリンクル「何この空間!?」
デクリンクル「一体何が……!」

チャット「ひゃああああっ、待って待って待って!」
チャット「こんなとこに飛ばされるなんて聞いてないわよー!」


スタルキッド『えぇい、離せ! 離せよ!』

リンクル『あんたこそエポナから降りなさいよ!』ズルズルズル

スタルキッド『このっ……』ゲシッ

リンクル『いっ……!』
リンクル『きゃっ!』ドタッ ゴロゴロゴロ


スタルキッド『今のオイラに勝てると思ってるのか? 間抜けな奴め』

リンクル『……っ』ゾクッ

スタルキッド『お前の顔は見飽きたぞー……』ズズズズ

リンクル『……!』ジリッ


しあわせのお面屋『ホッホッホ……』


ゴオオオオオッ


最初の朝
残り72時間


483 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/17(火) 19:56:51.03nmW98wPE0 (19/19)

取り敢えずここまで

無計画に書いてるから、ゴロンとかゾーラとかの仮面は一体どうしようとかいう問題が浮上してしまった



484以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/19(木) 12:43:04.35+WBgv8EbO (1/1)

ゾーラ族で百合展開もいいと思います


485以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/21(土) 14:37:01.39S5xNSYMFO (1/1)

何? ゴロン族が男しかいなくてこまる?
かまわん、やれ


486 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 17:57:32.63MjT3UpK/0 (1/18)

どうでもいいんだけど、64辺りのゼルダの登場人物って容姿は兎も角、言葉遣いが妙に独特なのが多い気がする
いや、~ゴロとか~ゾラとかじゃなくて

更新します



487 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:10:20.49MjT3UpK/0 (2/18)

 ep.25 繰り返される三日間


――クロックタウン 南

デクリンクル「……あれ?」

チャット「今のは一体なんだったの……?」
チャット「あれ……ここは……」

デクリンクル「時計塔の前ね……んん?」

チャット「……戻ってる」
チャット「月も……戻ってる」

チャット「あんた一体何者なの? 時間が戻ったわよ……?」
チャット「あの楽器といい、あの曲といい……」

デクリンクル「うん……前より、ずっと時のオカリナの力が強いような……」
デクリンクル「……もしかして、今もう一度時の歌吹いたらまた時間を戻せるのかな」

チャット「どうかしら……多分、そうだと思うわ」
チャット「どこまで戻れるのかは分かんないけど……」

デクリンクル「……」キョロキョロ

大工「あー、違う違う! もう少し右!」

大工「これほんとに完成すんのかなぁ」

デクリンクル「……」クルッ

妖精「ワタシハドコニ……」フヨフヨ

デクリンクル「……」

チャット「さっきから何キョロキョロしてんのよ?」
チャット「……って、あっ」

デクリンクル「……」スッ

♪♪♪♪♪♪~

カッ


488 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:11:08.38MjT3UpK/0 (3/18)

最初の朝
残り72時間

――クロックタウン 南

チャット「……」

デクリンクル「……」

チャット「……いきなりあれやるのやめて」

デクリンクル「……チャット?」

チャット「何よ?」

デクリンクル「そっか、チャットか……」

チャット「はあ? 何なのよ?」

デクリンクル「なんでもない」キョロキョロ

大工「あー、違う違う! もう少し右!」

大工「これほんとに完成すんのかなぁ」

デクリンクル「……」クルッ

妖精「ワタシハドコニ……」フヨフヨ

デクリンクル「……さっきと同じね」

チャット「何が?」

デクリンクル「時間は確かに戻せるけど、戻せるのはこの三日間……」
デクリンクル「お面屋さんと会って、この時計塔から出てきた直後までみたい」

チャット「……ああ、成程ね」
チャット「巻き戻しが出来るのはあの月が落ちる三日前の朝までってことね」

デクリンクル「別に半年前に戻れるわけじゃないんだ……」ボソッ

チャット「?」


489 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:11:51.61MjT3UpK/0 (4/18)

チャット「それより、あんた忘れてない?」

デクリンクル「何が?」

チャット「ほら、例のお面屋との約束よ」

デクリンクル「……そうだわ! オカリナ取り返したら、あのお面屋さんが元の姿に戻してくれるんだった!」

チャット「思い出したわね」
チャット「多分今はお面屋と話して時計塔出た直後よ。びっくりされるかもね」

デクリンクル「お面屋さんにとってはついさっき出てったばっかりだもんね」
デクリンクル「こんなにあっさり時のオカリナ取り返したのかって勘違いされそう」


490 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:12:50.47MjT3UpK/0 (5/18)

――時計塔

デクリンクル「お面屋さん!」

しあわせのお面屋「おや、あの子鬼からあなたの大切なものは取り返せましたか?」

デクリンクル「うん! オカリナでしょ!」

しあわせのお面屋「おおっ、取り戻せてるじゃないですか!」
しあわせのお面屋「ではどうぞ、ワタクシの奏でる曲を吹いて、覚えてください」

チャット「そのオルガンどっから出てきた」

しあわせのお面屋「私の後に続いて、どうぞ」

♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪♪♪~

デクリンクル「これは……」
デクリンクル「……!」ドクンッ


デクナッツ「……」ザッザッザッザ

リンクル「あの時のデクナッツ……」
リンクル「……」フリフリ

デクナッツ「……」ニコッ

リンクル「……うん、またね」


カランッ カランカランッ


491 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:13:35.80MjT3UpK/0 (6/18)

チャット「あ、あんた……」

リンクル「……元に、戻ってる」

しあわせのお面屋「この歌は邪悪な魔力や浮かばれぬ魂を癒し、仮面に変える曲」
しあわせのお面屋「この先きっと、お役に立つと思います」

リンクル「あ、ありがとう……」
リンクル「デクナッツの仮面……何か浮かばれないデクナッツだったのかしら」

しあわせのお面屋「どうでしょうね……記念にこの仮面はあなたに差し上げましょう」
しあわせのお面屋「安心してください、魔力は仮面に封じ込められています」

チャット「被っても何にもならない、ただの仮面ってこと?」

しあわせのお面屋「いいえ、まさか。被ればまたあの姿になります」
しあわせのお面屋「しかし、外せば元の姿に戻れますよ」

リンクル「いつでも自由にデクナッツになれるってことね」
リンクル「ありがとう」

しあわせのお面屋「いえいえ、これで約束は果たしました」
しあわせのお面屋「さ、約束のものをこちらへ……」

リンクル「……あっ」

しあわせのお面屋「……」

リンクル「……」

チャット「……」


492 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:14:26.30MjT3UpK/0 (7/18)

しあわせのお面屋「まさか」
しあわせのお面屋「あなた」

しあわせのお面屋「ワタクシの仮面を……」
しあわせのお面屋「取り返して、いないとか……?」

リンクル「……ご、ごめんなさい」

しあわせのお面屋「何てことをしてくれたんだ!」クワッ

リンクル「ひっ!?」
チャット「ぴぃっ!?」

しあわせのお面屋「このままあの仮面を野放しにしていたら大変なことになる!」ガシッ

リンクル「ごご、ごごごめんなさい!」
リンクル「そそそそんな大変なものなの!?」

しあわせのお面屋「それは……!」


493 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:15:06.25MjT3UpK/0 (8/18)

 実はワタクシの盗まれたあの仮面……ムジュラの仮面といって
 太古のとある民族が呪いの儀式で使っていたとされる伝説の呪物なのです

 その仮面を被った者には邪悪で凄まじい力が宿ると言い伝えられています

 伝説では……
 ムジュラの仮面が齎す災いのあまりの大きさに
 それを恐れた先人達が仮面を悪用されないよう、永遠の闇に封じ込めたといいます

 その力がどんな力なのか……
 伝説に記されたその民族が滅びた今では分かりません


494 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:15:46.41MjT3UpK/0 (9/18)

チャット「そんな大変なものだったんだ……」

しあわせのお面屋「……しかし、ワタクシは感じます」
しあわせのお面屋「苦労して手に入れた伝説の仮面……あれを手にした時感じた身の毛も弥立つ禍々しい力」

しあわせのお面屋「あれが今……あの子鬼の手にある……」
しあわせのお面屋「お願いです! 早くあの仮面を取り返せないと、とんでもないことが起きます!」フルフル

しあわせのお面屋「お願いです! お願いです! あなたなら!」ペコペコ
しあわせのお面屋「あなたなら出来る!」ペコペコ

リンクル「わ、分かった、分かりましたっ」

しあわせのお面屋「そうですか、やっていただけますか」ケロッ
しあわせのお面屋「そう言っていただけると確信しておりました」

リンクル「ふぇっ?」

しあわせのお面屋「大丈夫! あなたならきっと出来ます」
しあわせのお面屋「自分の力を、信じなさい……信じなさい……」

リンクル「……」ギィ


495 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:17:05.09MjT3UpK/0 (10/18)

――クロックタウン 南

リンクル「……」

チャット「まったく、情緒不安定っていうか、なんていうか……」
チャット「……どうしたの、らしくない神妙な顔して」

リンクル「いや……あんな大変なもの、なんであの人が持ってるのかなって」
リンクル「あたしに頼むのも妙だし……」

チャット「言われてみればそうね……?」

リンクル「……まぁ、いいや。取り敢えず元の姿に戻れたし、町の外にも出られるかな」
リンクル「あっ!」タタッ

チャット「あ、ちょっと!」

リンクル「お姉さん!」

アンジュ「え?」

リンクル「あたし、リンクルだよ! 覚えてない?」

アンジュ「うーん……ごめんなさい、ちょっと覚えがないわ」

リンクル「そっか……」
リンクル「じゃあさ、こんなフード被ったデクナッツの子供見なかった?」

アンジュ「えーと……うーん……」
アンジュ「ごめんなさい、それもちょっと……」

リンクル「そうなんだ……」
リンクル「ごめんね、急に変なこと言って。またね!」タタッ

アンジュ「え、ええ、またね……?」
アンジュ「なんだったのかしら……」クビカシゲ


496 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:18:01.50MjT3UpK/0 (11/18)

チャット「やっぱり三日前に戻るとなかったことになるみたいね」
チャット「あの人、あんたのこと全然覚えてなかったじゃない」

リンクル「だろうと思ってたけど、確かめたくてね」
リンクル「それにしても……」

リンクル「大工のみんなや親方はあたしの知ってる大工さん達とその親方にそっくりだし」
リンクル「宿屋のお姉さんとお婆さんはあたしの知ってるコッコのお姉さんとクスリ屋のお婆さんにそっくりだし」

リンクル「キングゾーラっぽいけど違う人、インゴーさんっぽいけど違う人……」
リンクル「みんなあたしの知ってる人とそっくりなのにみんな別人なんて、なんだか変な感じね」

チャット「……あんたがこれまでどんな人に出会ってきたのか知らないけど、そんなに多いの?」

リンクル「うん。顔どころか服装までそっくり」
リンクル「まるでハイラルの記憶を持ってないハイラルの人達がそのままここにいるみたい」

チャット「気持ち悪いこと言わないでよ」

リンクル「……あ、逆に全然見たことない人も居るよ?」
リンクル「例えば……」キョロキョロ

リンクル「あの子供達とか」
リンクル「そうだ、天文観測所もう一回行ってみない?」

チャット「なんで急にそんなこと?」

リンクル「ほら、ここからじゃ時計塔のてっぺんは見えないじゃない」

チャット「……本当に全部が巻き戻ったのか気になる、ってこと?」

リンクル「っそ。もしスタルキッドが三日前と違うことをしてたら……」

チャット「何らかの形でスタルキッドは時間にも干渉することが出来るかも……」
チャット「とか?」

リンクル「そんなとこ」


497 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:18:34.98MjT3UpK/0 (12/18)

――クロックタウン 東

リンクル「ねぇねぇ、そこ通してくれない?」

子供「ここを通りたければ暗号を言うでしゅ」

リンクル「……あっ、そっか。暗号か……」

チャット「時間が巻き戻ってるなら、案外変わってなかったりするんじゃない?」

リンクル「だといいけど……」
リンクル「15234。いい?」

子供「えぇと……暗号を知ってるってことは仲間でしゅね?」
子供「通っていいでしゅ」

リンクル「ありがとー」
リンクル「……ほんとに通れちゃった」

チャット「良かったじゃない」


498 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:19:16.16MjT3UpK/0 (13/18)

――天文観測所

「おやおや……今日は変わった子供のお出ましじゃな……」
「ボンバーズの新しい仲間かの? 女の子は初めてじゃが」

リンクル「一応……そうなのかな?」

「ふむ……この前の仲間よりは躾が良さそうじゃのう……」
「この間の悪ガキときたら、部屋の道具は壊すわ、月の涙は盗むわ……」

「ほとほと手に負えん奴じゃった」
「今も……ほれ、時計塔の辺りで悪戯をしておるだろう。望遠鏡を覗いてみなさい」

リンクル「はい」
リンクル「……えーと、時計塔は……あれかな」

チャット「どう? 居る?」

リンクル「うん、見える見える……」
リンクル「ほんとにあの時と同じことしてる」

チャット「流石に時間までは干渉できないみたいね」

リンクル「そうみたい」
リンクル「ありがとう、お爺さん。また来るね」

「うむ」


499 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:20:15.19MjT3UpK/0 (14/18)

――クロックタウン 東

「おーい、そこの姉ちゃん!」

リンクル「あたし?」

ジム「そう、お前!」
ジム「お前、俺達のテストに合格してないのに俺達の暗号知ってたらしいな?」

リンクル「……あっ」

チャット「そりゃそうよね……」

ジム「ボンバーズのメンバー以外誰も知らない筈なのに、どうやって知ったんだ?」

リンクル「あ、いや、えーと……」

ジム「お前、実はすごい奴なんだな!」

リンクル「へっ?」

ジム「俺達だけが知ってる暗号を知ることが出来たなんて凄ぇよ!」
ジム「気に入った! お前なんて名前なんだ?」

リンクル「リ、リンクル……」

ジム「そうか、リンクル!」
ジム「……ほんとはメンバー全員の承認が必要なんだけど……」

ジム「最近スタルキッドの奴が掟破って勝手なことしてるから、代わりにお前をボンバーズに入れてやる!」
ジム「ほら、団員手帳!」っボンバーズ団員手帳

リンクル「あ、ありがと」

ジム「ボンバーズよ、永遠に! だぜ!」
ジム「じゃな!」タタタタッ

リンクル「……」ポカーン

チャット「……」ポカーン
チャット「……ま、まぁ、良かったじゃない! それで三日間きっちりスケジュール管理が出来るわね!」


500 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:21:47.41MjT3UpK/0 (15/18)

リンクル「取り敢えず、三日が巻き戻されて、全部元の通りってのは分かったわ」
リンクル「それで、えーと……あんたの弟」

チャット「トレイル?」

リンクル「そ、トレイル」
リンクル「あの子が言ってた、四人の人達を探しに行きましょ」

チャット「沼、山、海、谷、だったっけ?」

リンクル「確かね」
リンクル「チャットはこの近辺詳しい?」

チャット「少なくともあんたよりは」

リンクル「じゃあそれらの場所に心当たりは?」

チャット「ないこともないけど……」
チャット「例えば山って言ったらスノーヘッドかしらね。町の北よ」

チャット「海は西のグレートベイかしら。そうすると沼は……南のウッドフォールかな」
チャット「沼っていうか森っていうか密林だけど。東のイカーナは沼っていうより谷だしね」

リンクル「兎も角、丁度町の四方なのね?」

チャット「そうね」

リンクル「じゃ、取り敢えず南に行ってみましょ」

チャット「……なんで南?」

リンクル「なんとなくよ、なんとなく」
リンクル(森、だしね)

リンクル「そこの門から出てみよっか」
リンクル「……と、その前に装具てんけーん」

チャット「何それ」

リンクル「兵隊さんの真似」


501 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:22:19.34MjT3UpK/0 (16/18)

リンクル「兵隊さーん、ここ通っていい?」

兵士「待ちたまえ、外は物騒だから君のような子供を一人で外に出すわけには……」
兵士「……剣? 盾に、クロスボウ?」

兵士「他にも剣鉈に皮袋に、フードの付いたローブ……」
兵士「ブーツも随分履き潰してるみたいだけど、もしかして君、旅をしてるのかい?」

リンクル「うん、そんなとこ」

兵士「そうか……あいや、失礼、子供扱いして悪かったね」
兵士「この先は沼のあるウッドフォールだ。気をつけてね」

リンクル「うん、ありがとう」


502 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:22:47.48MjT3UpK/0 (17/18)

――タルミナ平原

リンクル「ここが……」

チャット「タルミナ平原よ」

リンクル「森を抜けた先にあんな町があって、こんな平原があって……」
リンクル「……やっぱり変なの」

チャット「何ごちゃごちゃ言ってんのよ」
チャット「ほら、さっさと足を動かす!」

リンクル「はいはい」
リンクル「じゃ、沼地に行ってみますか!」ザッ


503 ◆R/MMXv4xbuiy2018/04/26(木) 18:29:35.55MjT3UpK/0 (18/18)

取り敢えずここまで

時のオカリナは妙にシリアスだった気がするので、ムジュラはギャグ強めにしていきたい(出来るとは言ってない)



504以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/04/27(金) 07:41:43.696K7kQMfSO (1/1)

平原に出たらまずバック走行だな(TAS脳)


505 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 20:53:09.22LHEyenNa0 (1/7)

接客業はGWみたいな大型連休の方が忙しいってそれ一番(ry

仕事辞めて一日中ゲームしたりSS書いたり絵描いたりするだけの生活送りたい

更新します



506 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 20:55:02.32LHEyenNa0 (2/7)

 ep.26 ウッドフォールの姫君


緑チュチュ「グジュルルルッ」

チャット「緑チュチュよ! 大した奴じゃないから、さっさとやっつけちゃいなさい!」

リンクル「よっ」ザンッ

緑チュチュ「ジェアアアッ」グチャッ

チャット「ま、このくらい余裕よね」
チャット「……あら」

リンクル「?」

チャット「ああ、これこれ、懐かしいなぁ」

リンクル「何その……落描き?」
リンクル「……スタルキッド?」

チャット「そうよ。あいつが描いたの」

リンクル「へぇ……結構上手ね」

チャット「ね……」
チャット「ここに初めてトレイルと来た時、あいつは友達と喧嘩して一人ぼっちだったって言ってた……」

リンクル「……」

チャット「そりゃあ、確かに悪戯ばかりして、みんなから相手にされないけど……」
チャット「だからと言って、あんな恐ろしいことするなんて……」

リンクル「……お面屋さんからムジュラの仮面を盗んだこと?」

チャット「……」
チャット「迂闊に、力を持ったばっかりに……」

リンクル「……」


507 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 20:56:02.96LHEyenNa0 (3/7)

――沼地

リンクル「沼の観光ガイド……」

チャット「そうだわ、あんたお金ある?」

リンクル「んー、そこそこ。40ルピーくらい」

チャット「マップ買って行きましょ」

リンクル「地図は重要だもんね」
リンクル「……ていうか、さっきからすっごい嫌な臭いがするんだけど、ここっていつもこうなの?」

チャット「いや……そういえば変ね……」
チャット「普段はこんなことないんだけど……」

リンクル「何かあったのかな……」ギィ


508 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 20:57:10.01LHEyenNa0 (4/7)

――沼の観光ガイド

リンクル「こんにちはー」

「ん、お客さんかい? いらっしゃい」

リンクル「マップが欲しいんだけど」

「マップかい? その辺でうちの倅が売ってるよ。見かけなかったかい?」

チャット「町からここまで、人間に会ったのはあんたが初めてよ」

「え?」

リンクル「そうね……確かに人は見かけなかったかも」

「ああー……ったく、あのドラ息子、またどこかでサボってやがるな!」
「いいトシこいて、妖精ごっこもないもんだ……!」

チャット「……あれ? もしかして、あんたのとこの息子って……」
チャット「あの、町で噂になってる、全身緑の中年男じゃ……」

「……」

チャット「……ごめん」
チャット「マップは諦めましょ……またの機会に」

「いや……こちらこそ悪いね……俺の教育が悪かったんかな……」

チャット「ボートクルーズは今日やってる?」

「悪いけどそっちも今休業中なんだ」
「コウメ婆さんが出勤してなくてさ。どうしちまったんだろうな」

チャット「じゃあ、探しに行ってみるわ」
チャット「行きましょ」

リンクル「あ、うん」


509 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 20:58:07.71LHEyenNa0 (5/7)

――魔法オババの薬屋

リンクル「こんにちはー」ギィ

コタケ「……zzz……」ウツラウツラ

リンクル「……あれ?」
リンクル「な、な、ツインローバ!? なんでこんなところに!?」

チャット「何言ってんの、あんた」
チャット「またハイラルに居た人にそっくりなんて言うんじゃないでしょうね」

リンクル「居た人っていうか、殺されかけたっていうか……!」

チャット「どんな壮絶な関係だったのよ……」
チャット「兎に角、この人は平気よ。ただの薬屋の魔法使いのお婆さんだから」

リンクル「……」ジトー

チャット「……もうっ」
チャット「っていうか、あんたはいつまで寝てんのよ!」リリリリン

コタケ「うんっ!?」パチリ
コタケ「おお、いらっしゃい……」

チャット「ったく……」


510 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 20:59:01.94LHEyenNa0 (6/7)

コタケ「お使いかい? 今時珍しいねぇ」
コタケ「あたしの薬はよーく効くよ。何が欲しいんだい?」

リンクル「ボートクルーズに乗りたいんだけど……」

コタケ「ありゃ、そっちかい」
コタケ「生憎、コウメさんなら裏の森へキノコを採りに行っとるよ……」

コタケ「……そういや、ちょっと帰ってくるのが遅すぎるねぇ!」
コタケ「あんた、序でに見に行ってくれないかい?」

リンクル「あたしが?」

コタケ「ボートクルーズ乗りたいんだろ? そんならそのくらいはしとくれよ」
コタケ「そうそう、森は迷いやすいからその辺に居る猿にでも聞きな!」

チャット「んな強引な……」

リンクル「……念のため聞いとくけど、どんな見た目の人なの?」

コタケ「あたしにそっくりだよ」

リンクル「……ありがと。それだけ分かればすぐだよ」


511 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:00:25.94LHEyenNa0 (7/7)

――不思議の森

チャット「猿に聞けったって……」
チャット「……居るし」

猿「えっと……ついてきて!」タタッ

リンクル「あ、うんっ」タタッ

チャット「ちょっと、置いてかないでよー!」シュ

スナッパー「ギャートルズ」グルグルグル

リンクル「邪魔っ」バシュッ

スナッパー「ゲロゲロー」ガキンッ

リンクル「効かない!?」

チャット「スナッパーの甲羅は生半可な攻撃じゃ通らないわ!」
チャット「別に相手する必要ないんだから、さっさと行きましょ!」

猿「早く早く!」


512 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:04:49.01vJUp1Gbe0 (1/13)

猿「ここだよ!」ガサッ

「あいたたたた……!」

リンクル「あれがコウメ……さんだね」
リンクル「大丈夫?」

コウメ「キノコ探しに気を取られてたらいきなりポカッとやられてこの様さ」
コウメ「忌々しいスタルキッドめ、顔を隠せばこのあたしが分からないとでも思ったのかい!」

リンクル「スタルキッド、こんなとこにも……」

コウメ「あいたたた、あんなに力があったなんて……!」
コウメ「お陰で腰が動かなくなっちまったよ!」

チャット「お年寄りにあの力は乱暴ね……」
チャット「あんた、何か持ってないの?」

リンクル「うーん……赤い薬ならあるけど」っ赤い薬

コウメ「あっ、その色、その香り……」
コウメ「……コタケ婆さんの薬に似てるけど、ちと配合率が違うね」

コウメ「まぁいいや、よこしな!」パシッ
コウメ「んくんく、んく……」ゴクゴク

コウメ「……おおっ!」
コウメ「この漲るパワー! コウメふっかぁーつ!」

リンクル「リンクル感激ぃ……」

チャット「何それ」

リンクル「“この漲るパワー”に続く言葉といえば……って」

コウメ「何だいそりゃ」


513 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:16:01.66vJUp1Gbe0 (2/13)

コウメ「兎も角、助かったよ!」
コウメ「あたしはこの沼地でボートクルーズをしてるんだけど」

コウメ「あんたが乗りたいならいつでもおいで、サービスするよ」
コウメ「ふんっ!」ボンッ

チャット「と、飛んだ!?」

コウメ「ヒッヒッヒ、魔法使いを舐めるんじゃないよ!」
コウメ「そいや!」ビューンッ

リンクル「あ、あっという間に見えなくなっちゃった……」


514 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:17:29.78vJUp1Gbe0 (3/13)

――沼地

コウメ『皆様、船長の“魔法使い”コウメです』
コウメ『当クルーズ船は全席禁煙の船です』

コウメ『本日の航行に参加の方にはマイレージを進呈』
コウメ『気分が悪くなった方は目の前の袋にどうぞ』

チャット「この船空飛びやしないでしょうね」

リンクル「何の話?」

ゴゴン……

リンクル「あ、動き出した」


515以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/09(水) 21:17:35.27VwfcKTzmo (1/1)

時オカはやったことあるけどムジュラはやったことないなあ
コタケとコウメ出てくるんだね、懐かしい名前だ


516 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:35:20.24vJUp1Gbe0 (4/13)

ゴォォォォォ

リンクル「えっ、ちょっ、ちょっ、ちょっ、速くない!?」

チャット「今日はコウメさんの機嫌が良いんでしょ」

リンクル「そんなもんなの!?」

コウメ『おおおおおおおおしっかりつかまってなあああああああああああ!!』
コウメ『右を! 右をご覧ください!!』

リンクル「み、右?」

コウメ『猿です!!』

猿「ウッキー」

リンクル「猿だね!」
リンクル「落ちる落ちる落ちる!」ガシッ

コウメ『左をご覧ください!!』

リンクル「?」

コウメ『猿です!!』

猿「キャッキャ」

リンクル「猿だね!!」

コウメ『トンネルに突入するよおおおおおおおお!!』

リンクル「何なのよこのテンション!」
リンクル「ていうかチャット冷静だね!?」

チャット「いつものことだし」

リンクル「ていうか、前! トンネルに何か居る!」

ダイオクタ「フアーキョウモイイテンキダァー」

ドコッ

ダイオクタ「アバーッ!?」


517 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:35:53.72vJUp1Gbe0 (5/13)

コウメ『デクナッツの城前ー、デクナッツの城前でございます』
コウメ『下船されるお客様はお忘れ物のないよう、また、足元の毒沼に気をつけてお降りください』

リンクル「なんか……疲れた……」

チャット「まぁ慣れないとねぇ……」
チャット「しっかし、ここら辺は更に臭いわね……」

リンクル「原因になってるとこが近いのかな」

「なぁなぁ!」

リンクル「うん?」
リンクル「あら、さっきのお猿さん」

猿「お前、変わった力持ってるだろ?」
猿「オイラ達、ずっと見てた!」

猿「この沼地、最近毒が広がって住めなくなってきた」
猿「滝の上の神殿、怪しい。オイラの兄弟、神殿に行った」

猿「だけど、神殿入口分からない。神殿、デクナッツのもの」
猿「兄弟、デクナッツ達に捕まって城の中。助けて!」

リンクル「助けて、ったって……」

チャット「デクナッツの城はすぐそこよ」

リンクル「……取り敢えず、入ってみよっか」


518 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:38:06.18vJUp1Gbe0 (6/13)

――デクナッツの城

門番デクナッツ「ここはデクナッツ王国のお城だっピ!」
門番デクナッツ「用のない奴は通さないっピ!」

リンクル「駄目?」

門番デクナッツ「用のないどころか他所者なんか以ての外だっピ! 帰れっピ!」

リンクル「駄目かぁ」

チャット「駄目ねぇ……」
チャット「やっぱりデクナッツの城だし、人間は……って」

リンクル「……そうだ、あたしデクナッツになれるじゃない!」


イヤーッ


519 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:39:07.48vJUp1Gbe0 (7/13)

デクリンクル「ここ通して」

門番デクナッツ「ピピッ!? ひ、姫様!?」

デクリンクル「姫様?」

門番デクナッツ「ご、ご無事でしたかっピ! いい、今すぐ国王の間にお戻りください!」
門番デクナッツ「姫様を誘拐したとされる猿がおしおきを……ん?」

デクリンクル「……」

門番デクナッツ「……姫様?」

デクリンクル「いや、人違い……デクナッツ違いです……」
デクリンクル「あたしはただの旅人……いや、旅デクナッツで……」

門番デクナッツ「……」

デクリンクル「……」

チャット「……」

門番デクナッツ「……なぁーんだ、驚かすんじゃねぇっピ!」
門番デクナッツ「姫様に似てるもんだから畏まっちまったっピ!」

デクリンクル「で、ここ通っていい?」

門番デクナッツ「ここはデクナッツ王国のお城、用のない奴は通さないっピ!」
門番デクナッツ「……でも今は特別に国王の怒りを買ったバカな猿を晒し者にしてるから見て行ってもいいっピ」

門番デクナッツ「ここを真っ直ぐ行くと国王の間だっピ。それ以外の場所には入るなっピ!」
門番デクナッツ「……まぁ、お嬢ちゃん可愛いからちょっとだけなら見てってもいいかもっピ」

デクリンクル「そう……ありがとね」

チャット「通れちゃった」


520 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:39:40.14vJUp1Gbe0 (8/13)

――デク王の間

デクリンクル「ここ、だよね」

猿「だからー! オイラの話を聞いてくれってばー!」ジタバタ

チャット「猿が縛られてるわね」

デクリンクル「あれが捕まった猿ね」

デク王「ひ、姫!?」

猿「えっ、姫さん抜け出せたのか!?」

デクリンクル「違いますっ!」

デク王「いやいや、お前は間違いなく……んん?」
デク王「……」ジーッ

デクリンクル「……」フンッ

デク王「……言われてみれば、確かに違うな。この辺では見かけない顔じゃ。旅の者か?」
デク王「本来なら、お前のような者が国王の間に入ることは許されんのじゃが、今日は特別じゃ!」

デク王「これから、我がデク国の姫を誘拐したバカザルをおしおきするところじゃ!」
デク王「王室の者にふざけたことをした奴がどうなるか……目に物見せてやる!」

猿「早くしないと姫さんはバケモノに食われちまうよー!」

デク王「まだそんな戯言を抜かすか! 聞く耳持たんわ!」
デク王「大釜を準備せい! このバカザルは釜茹での刑じゃ!」

デクリンクル「でも、あの猿何か言って……」

デク執事「ちょっとこちらへ」グイッ

デクリンクル「わっ」


521 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:40:36.09vJUp1Gbe0 (9/13)

デク執事「国王様は今、冷静さを欠いておられます……」
デク執事「愛娘のデク姫様のこととなるといつもああで……」

チャット「苦労してるわね……」

デク執事「えぇ、まぁ……」
デク執事「冷静に考えて、恐らくあの猿の言う通り、神殿で何らかのトラブルに巻き込まれたのでしょう」

デク執事「しかし、国王様があのご様子では、捜索に兵を出すことも出来ず……」
デク執事「そこで、あなたを見込んでお願いがあります」

デクリンクル「神殿に行ってお姫様探して来いって?」

デク執事「お察しの通りです」

デクリンクル「まぁね……ただ、神殿の入口はデクナッツ達が知ってるって」

デク執事「えぇ、姫様がご存知なのですが……」

チャット「……」
チャット「……もしかして、あんたも入口は知らない?」

デク執事「お恥ずかしながら……」
デク執事「ウッドフォールの祭壇で、あるメロディを奏でれば入れるのですが、そのメロディが……」

デクリンクル「ええー……困ったなぁ……」
デクリンクル「……そうだ、あのお猿さんに聞けない?」

デク執事「あの猿にですか?」
デク執事「ふむ……確かに、姫様が目の前で神殿の入口を開けたのですから、知っているかもしれませんね」

デク執事「……分かりました」
デク執事「少しだけですが、お話をする時間を設けましょう」


522 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:41:28.33vJUp1Gbe0 (10/13)

猿「全然信じてくんないんだな! もういいよ、お前らに言うことなんかないからな!」
猿「さっさとおしおきでも何でもしてくれよー!」

チャット「ん? 今、何でもって」

猿「!?」

デクリンクル「やぁ」

猿「さっきの姫さんによく似た旅デクナッツか……」

デクリンクル「流石に逃がすことは出来ないけど、お話聞かせて」
デクリンクル「あたしがお姫様探しに行くからさ、神殿の入り方教えてよ」

猿「ほんとか?」
猿「……でも、それには周りに響くような大きな楽器が要るんだ」

デクリンクル「これでいい?」ボンッ

デク執事「なっ……そ、そのラッパは……!」

猿「おおっ! それそれ、姫とおんなじデクラッパ!」
猿「それならきっと上手くいく!」


523 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:41:57.69vJUp1Gbe0 (11/13)

猿「よく聞いて、覚えてくれよ!」

♪♪♪♪ ♪~♪~ ♪~
♪♪♪♪ ♪~♪~ ♪~

デク執事「これは……まさしく、目覚めのソナタ!」
デク執事「王家に伝わる目覚めの歌……!」

猿「上手い! それをウッドフォールの祭壇の上で演奏するんだ!」
猿「そうすれば神殿の入口が開いて、中に入れる筈だよ!」

猿「早く神殿に行って姫さんを助け出して!」
猿「じゃないとバケモノどもの餌食になっちまうよ!」

デクリンクル「うんっ! 任せてっ!」
デクリンクル「ありがとね、執事さん」

デク執事「……いいえ」
デク執事「どうか、お気をつけて」


524 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:42:28.50vJUp1Gbe0 (12/13)

――ウッドフォール

デクリンクル「祭壇ってこれのことかな?」

チャット「沼のど真ん中にあるあれ神殿っぽいし、そうなんじゃない?」

デクリンクル「じゃあここでラッパ構えて……と」ボンッ

♪♪♪♪ ♪~♪~ ♪~

ゴゴン……

デクリンクル「お?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ザバァー

デクリンクル「おお……なんだろ、神殿が少し上がったのかな」

チャット「あそこに入口が見えるわね。行きましょ」

デクリンクル「うん」



525 ◆R/MMXv4xbuiy2018/05/09(水) 21:44:09.80vJUp1Gbe0 (13/13)

取り敢えずここまで

分かる人にしか分からないネタはちょくちょく挟んでいきたいと思う

次回、対決! 密林仮面戦士オドルワ!



526以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/05/31(木) 04:42:30.11BTu7pOb1o (1/1)

あいつなれるまで面倒だけど爆弾2~3発あてればぶちころがせるという
やっぱ火に弱いのかしら


527 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/01(日) 19:29:14.65dIW6YBUh0 (1/1)

ここ最近クソ暑いな
みんな熱中症には注意してな

大分間が空いちゃってすいません
本日22時頃更新の予定です



528以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/01(日) 19:44:03.65hRKjokDho (1/1)

お、待ってました!


529 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:49:00.87kQX3CcNZ0 (1/15)

大幅に遅れてすみません

これより更新します



530 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:49:49.12kQX3CcNZ0 (2/15)

 ep.27 対決! 密林仮面戦士オドルワ


――ウッドフォールの神殿

チャット「ううっ……くさーい……」

デクリンクル「やっぱりここから毒が溢れ出してるのね……」

チャット「原因はあの水かしら……」
チャット「泳いだりしたら死んじゃうわよ、あんた」

デクリンクル「でもそこの水通らないと向こう岸に行けないし……」
デクリンクル「あたしもチャットみたいに飛べたらなぁ」

チャット「飛べばいいじゃない」

デクリンクル「デク花があればね」

チャット「あ、そっか。うーん……」
チャット「そうだ、あんたデクナッツなんだし、水面跳ねられるんじゃない?」

デクリンクル「そうなの?」

チャット「デクナッツの連中はよくやってるみたいよ? そう何回も出来るわけじゃないらしいけど」
チャット「人間に比べて身体が軽いし、デク花で飛べるのと大して変わんないってさ」

デクリンクル「ふーん……」
デクリンクル「じゃあ、よっ!」タンッ

デクリンクル「ほっ!? おっ!? とっ、たっ、はっ!」ピョンッ ピョンッ ピョンッ ポーンッ
デクリンクル「つ、ついた……!」タンッ

チャット「ほら、出来るじゃない」


531 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:50:38.91kQX3CcNZ0 (3/15)

チャット「んー、ここの部屋が一番奥かしら」

リンクル「結構入り組んでるみたいだけど、振り返ってみれば一本道ね」
リンクル「でも魔物だらけだなぁ、やっぱり」

チャット「クロボーの大群が暗闇に潜んでた部屋なんかぞっとしたわ……」

リンクル「そう?」

チャット「あんたは平然とし過ぎなのよ!」

リンクル「そうかなぁ……」
リンクル「……ん? 何この虫……?」

チャット「蛾……?」

リンクル「……! 上っ!」

ヒュルルルッ ドシンッ

オドルワ「サアーコイッ! サァーコイッ!」ビュンッ ビュンッ

密林仮面戦士 オドルワ

リンクル「体格のいい剣士……!」シャキンッ


532 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:51:21.78kQX3CcNZ0 (4/15)

チャット「気をつけて! 図体がデカイ分、力も強い筈よ!」

オドルワ「サァーコイッ!」ビュンッ

リンクル「分かってる!」バッ
リンクル(まずは様子見から……!)ジリッ

オドルワ「サァーコイ! サァーコイ!」ブンブンッ

リンクル「……!」ジリジリ

オドルワ「サァーコイッ!」ビュンッ

リンクル「!」バッ
リンクル「……」ジリッ

チャット「な、何よ、あんた……熟練の剣士みたいな……」

リンクル「何の話?」

オドルワ「サァーコイッ!」ダンッ

リンクル「おっと!」バッ


533 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:52:13.71kQX3CcNZ0 (5/15)

リンクル(動き自体は人間の剣士と同じ……)
リンクル(……いや、ハイラル城の兵隊さんの方がもっと良い動きするかも)ジリジリ

オドルワ「モットコーイ! モットコーイッ!」ピョンピョン

リンクル「?」

ヒュルルー ヒュルルー

スカラベ「ギキキキキッ」カサカサカサカサ

リンクル「なっ……虫を呼んでるの!?」

チャット「気をつけて! 捕まったらタダじゃ済まないわよ!」

リンクル「見れば分かるわよ!」タタッ

スカラベ「ギキキキ」カサカサ

オドルワ「シューゴウ! シューゴウ!」ゲラゲラ

リンクル「残り少ないからあんまり使いたくなかったけど……!」バシュッ

チュドーン

スカラベ「ギッ」ジュッ

オドルワ「!」


534 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:52:46.49kQX3CcNZ0 (6/15)

チャット「な、何今の!? クロスボウの矢が爆発したわよ!?」

リンクル「爆弾ボルトよ。爆薬あんまり持ってないからあんまり使いたくなかったんだけど……」

オドルワ「サアーコイッ!」ダンッ

リンクル「はっ!」バッ
リンクル「あたしはもうあんたを知ってる!」ダッ

オドルワ「モットコーイ!」ガード

リンクル「それがどうした!」タンッ タンッ

チャット「敵が構えた盾を踏み台に……!」

リンクル「てやぁーっ!」バキンッ

オドルワ「ギャアアアーッ!」
オドルワ「」バタリ

チャット「……す、すごい……」

リンクル「動きが単調なのよ、他愛ない!」
リンクル「図体ばっかりの見かけ倒しじゃない!」

チャット「ええー……」


535 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:53:36.87kQX3CcNZ0 (7/15)

カラン カランカラン

リンクル「……何これ?」
リンクル「仮面? さっきの剣士が被ってたのかな」ヒョイッ

ポウッ

リンクル「きゃっ!?」
チャット「な、何っ!?」

キュイイィー


536 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:54:05.37kQX3CcNZ0 (8/15)

リンクル「こ、ここは……?」キョロキョロ

チャット「……何、アレ?」
チャット「正面! ちょっとぼやけて見えないけど……」

リンクル「……大きな……人?」

オオー オーオー オーオーオー……

チャット「……!」
チャット「ちょっと、何か言ってるみたいよ!」

オオー オーオー オーオーオー……

リンクル「……繰り返してるね」

チャット「もしかして、あの鳴き声何かの曲じゃないの?」
チャット「ほら、あの楽器出しなさいよ!」

リンクル「あ、うん」スッ

オオー オーオー オーオーオー……

♪♪~♪~♪~ ♪~♪~♪~

リンクル「こう……かな?」

チャット「うんうん、そんな感じね!」

オオオーオオー オオオー

リンクル「うん?」

オオオーオオー オオオー

チャット「……よ・ん・で、だって」

リンクル「呼んで……?」

キュイイィー


537 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:54:58.13kQX3CcNZ0 (9/15)

リンクル「……あれ?」

チャット「戻ってきたみたいね……」
チャット「トレイルの言ってた4人の人達って、もしかしたら……」

リンクル「さっきの仮面に封じ込められていた、あの巨人のこと?」

チャット「多分……ね」スーッ
チャット「それよりあんた、結構やるわね! なんか慣れてない?」ズイッ

リンクル「ひゃっ」
リンクル「あー……まぁ、ね」

チャット「この調子で残り3人も助けてあげなさいよ!」スーッ
チャット「ねえ! その……」ズイッ

リンクル「わっ」
リンクル「な、何?」

チャット「あんたに今までしたことと、馬のことは……謝るわ」スーッ
チャット「ごめん!」

リンクル「……うん」

チャット「ちゃんと謝ったからね! 根に持たないでよ!」ズイッ

リンクル「ん」チュッ

チャット「!?」ビクゥッ
チャット「なななななな何をっ!? ななななになになになにっ!!?」シュンシュンッ

リンクル「いや、仲直りってことで……」

チャット「ばばばばあばばばバカじゃないの!?」ブンブンブンッ
チャット「しし信じらんない! わ、わ、私初めてだったのにっ!!」クルクルクル

リンクル「そんなに気にすることかなぁ……」

チャット「初めては金髪碧眼で可愛さと凛々しさの同居した顔立ちの男の子って心に決めてたのに!」バッ バッ

リンクル「えらくピンポイントだね」


538 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:55:29.68kQX3CcNZ0 (10/15)

チャット「まったく……さっさと行きましょ! 次は山に行くわよ!」

リンクル「その心は?」

チャット「なんとなく!」

リンクル「あ、そ……」

ガサッ

リンクル「?」
リンクル「何これ……蔦が絡み付いてるけど」

チャット「蔦の向こうに空間があるみたいよ」

リンクル「切っちゃえ」ザンッ
リンクル「……お?」

「あなたは……誰なの?」

リンクル「リンクルだよ」

デク姫「リンクル様、ですか……?」
デク姫「初めまして、私はデク国の姫です」ツイッ

リンクル「ああ、これは失礼しました、お姫様」ペコリ

デク姫「あら、まるで騎士様のような振舞いも出来るのですね」クスッ

リンクル「えぇ、まぁ」ニコッ


539 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:56:00.97kQX3CcNZ0 (11/15)

リンクル「それにしても……本当に神殿の魔物に捕まってたんだね、お姫様」

チャット「どうやらあの猿が正しかったようね」

デク姫「あなた……もしかして、あのお猿さんに頼まれて私を助けに来てくれたのですか?」

リンクル「うん、そんなとこ」

デク姫「そうでしたか……あのお猿さん、無事だったのですね。良かった……」
デク姫「私の帰りが遅いので、心配性のお父様がお猿さんを誘拐犯と間違え、」

デク姫「まさか、おしおきでもしてるんじゃないかと心配してたのですよ、フフフ」クスクス
デク姫「……? どうしたのですか、そんな顔して……」

リンクル「……だって、ねぇ?」

チャット「おしおきどころか、処刑の準備始めちゃってたわよね」

デク姫「……」
デク姫「……マジ?」

リンクル「マジ」

デク姫「本当に、お父様がそんなことを!」
デク姫「お父様ったらまた早合点して!」

デク姫「と、兎に角時間がありません!」
デク姫「リンクル様、急いで私をデクナッツの城まで連れて行ってもらえないでしょうか?」

リンクル「勿論! 行くよ!」ダキッ

デク姫「ひゃっ!?」


540 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:56:31.94kQX3CcNZ0 (12/15)

――デク王の間

デクナッツ門番「王様ー! 大変だっピ!」ヒュルルルッ

デク王「どうした!」

デクナッツ門番「オイラ蹴られてここまで吹っ飛ばされましたっピ! いてぇっ!!」ドシャアーッ

デク王「何っ!?」

ダダダダダッ

リンクル「ついたっ!」ザザーッ
リンクル「デク王! お姫様を連れてきたわよ!」

デク姫「お父様っ!」

デク王「お、おお! 姫! 姫ではないか! 無事だったのか、心配したぞ!」

デク姫「わ、私のことより、お猿さんは……!」

デク王「お前を誘拐していたアホザルか? それなら今そこの大釜に……」

猿「姫さん! 無事だったんだね! 本当に助けてくれたんだ!」ブラーン

デク姫「この通りですわ! さぁ、お猿さんを降ろしてあげなさい!」

デクナッツ「了解ですっピ!」グイッ

ボチャン

猿「ばっ」

デク姫「」

リンクル「あ」

チャット「え」

デクナッツ「っピ?」


541 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:57:10.64kQX3CcNZ0 (13/15)

猿「あっちゃあっちあっばあぶぶぶぶぶばばばばばばっ」

デク姫「お猿さぁぁぁぁぁんっ!!?」

デクナッツ「え、下ろせって……」

チャット「そっちの意味じゃないわよ、このアホナッツ!」

デク姫「早く引き上げなさい! 早く!!」

デクナッツ「は、はいっピ!」

デク王「ひ、姫よ、何故あの猿の肩を持つのだ?」

デク姫「お父様のバカ!」ドカッ

デク王「ピピィッ!」

デク姫「また早とちりして!」ドカッ ドカッ
デク姫「国を担う王たる者、物事は慎重に考えてくださいって日頃から言っているではないですか!」ドカッ ドカッ

デク王「っピ! っピ!」ガクガク


542 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 00:57:38.41kQX3CcNZ0 (14/15)

猿「あー死ぬかと思った……」

デク姫「本当にごめんなさい、お父様が私を心配するあまり、このようなことに……」

猿「分かっているよ、姫さん」
猿「そんなことより、神殿は元通りになったのかい?」

デク姫「ええ、ここにいらっしゃるリンクル様のお陰で」
デク姫「本当にありがとうございました」

猿「そうか、お前がやってくれたのか……」
猿「ところでお前、緑のフード被ったデクナッツ見かけなかったか? 姫さんにそっくりな……」

リンクル「その子に頼んだんでしょ?」
リンクル「知ってるよ」

猿「じゃあ、あいつがお前に頼んだんだな?」
猿「兎も角、恩に着るよ。ありがとう」

リンクル「うん、どういたしまして」


543 ◆R/MMXv4xbuiy2018/07/02(月) 01:00:59.75kQX3CcNZ0 (15/15)

取り敢えずここまで

チャットかわいいよね



544以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/07/02(月) 22:43:04.56ot+68gMUo (1/1)

おつおつ



545以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/08/06(月) 00:06:57.157DCJrVtgo (1/1)

まつよ


546以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/08/13(月) 00:46:43.27+NA6iMOTo (1/1)

ゼルダ無双いまだにやってるけど全然終わらない
続き待ってる


547以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/08/27(月) 00:11:55.02Lz8/l/+ZO (1/1)

まつ


548以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/10/19(金) 22:48:29.68QbIn1QqZo (1/1)

まつまつ


5491 ◆R/MMXv4xbuiy2018/10/26(金) 12:49:07.62+uHmM6Dt0 (1/1)

おおおお繋がった!
表示できなくなった時はどうしたもんかと思ったけど!

遅くなって申し訳ない!
来週の金曜までに一度更新します!

……ところでトリップこれで合ってたっけ



550以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/10/26(金) 22:33:41.65ks/1nI6H0 (1/1)

おおっ!!お待ちしておりましたぁぁ!!


551以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/10/27(土) 04:21:24.71nl3kAe7Fo (1/1)

待ってた


552 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 06:56:42.71ekjw/kUP0 (1/17)

 ep.28 ロマニー牧場の決斗


――ミルクロード

チャット「そろそろ日が暮れちゃうわね」

リンクル「うん。夜の平原ってあんまり歩きたくないんだけどなぁ……」

作業員「俺ェが死んだァら、三途ゥのォ川ァで♪」カーン カーン
作業員「鬼を集めてネ、相撲取る、ダンチョネ~♪」カーン カーン

リンクル「……何してるの?」

作業員「おや、お嬢ちゃん、こんなとこ来ちゃ危ないよ」

リンクル「ここって道じゃないの?」

作業員「ああ、道だよ。ミルクロードっていってね」
作業員「この先にはロマニー牧場があって、あそこのミルクは最高に美味いらしいんだ」

作業員「クロックタウンのラッテって店で飲めるよ。オラは会員じゃないから飲んだことないけどね」
作業員「まぁ、その道にこーんなでっかい岩があるもんだから、仕入れが出来ない状態なんだ」

チャット「それで、あんたはこれを退かしてくれって言われたわけね」

作業員「そういうこと。明日には通れるようにしてくれって言われてるけど……」
作業員「何分こっちも人手不足でさぁ、オラ一人しか来れなかったんだよね」

作業員「オラ一人がツルハシ振ったって明日通れるようにするのは無理だろ、どう考えても」
作業員「やっぱ爆薬か何かで吹っ飛ばした方が良い気がするよ」

チャット「大変ね……」

リンクル「爆薬……」
リンクル「おじさん、離れてて!」チャキッ

作業員「は?」



553 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 06:57:19.53ekjw/kUP0 (2/17)

チュドーン チュドーン チュドーン
ガラガラガラ……

作業員「お、おお……!」

リンクル「よーしっ! これで通れるでしょ!」

作業員「す、すげぇなぁ……なんだい、その矢?」

リンクル「爆弾ボルト!」
リンクル「この先って牧場だったよね?」

作業員「あ、あぁ」

リンクル「ありがと! じゃあね、おじさん!」タタッ

作業員「……」
作業員「……給料出んのかな、これ」



554 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 06:58:12.38ekjw/kUP0 (3/17)

――ロマニー牧場

リンクル「……ん?」
リンクル「ねぇ、あれ!」

チャット「え?」

エポナ「ヒヒーン!」

リンクル「エポナ! こんなとこに居たんだ!」タタタタッ

チャット「あっ、ちょっと待ちなさいよ!」

エポナ「ヒヒィーン!」

リンクル「エポナ! 大丈夫? 元気だった!?」ナデナデ

「誰か居るの?」キィ

リンクル「?」クルッ

「……君、誰?」

リンクル「え……」
リンクル「マ……マロン……?」

ロマニー「マロン?」
ロマニー「私はロマニーよ。この牧場とおんなじ名前なの」

リンクル「……あ、そっか……みんな違うんだった……」

ロマニー「君は何て名前なの?」

リンクル「リンクルだよ」

ロマニー「リンクル? ふーん……」
ロマニー「良い名前だけど……なんだか言いづらいね」

リンクル「ええ……」

ロマニー「バッタちゃんって呼ばせてもらうね」

チャット「バッタって……」



555 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 06:59:00.33ekjw/kUP0 (4/17)

ロマニー「そういえばバッタちゃん、外から来たんだよね?」
ロマニー「ミルクロード通れるようになったの?」

リンクル「あ、岩は退かしたよ」

ロマニー「そうなの? お姉様に伝えなきゃ!」タタッ

リンクル「あ、ちょっと!」

バタン

リンクル「……ま、いいや。待っとこ」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ」

「ミルクロード通れるようになったってほんと!?」バンッ

リンクル「ひっ」ビクッ
リンクル「ほ、ほんとだよ!」

クリミア「良かったぁー、これでミルクが卸せるわ!」
クリミア「ん、君がバッタちゃんね! あたしクリミアよ!」

リンクル「あ、はい、よろしくお願いします」

クリミア「ちょっと今から忙しくなるから、用事はロマニーに言い付けて! ごめんね!」タタッ

リンクル「は、はあ」
リンクル「……」

チャット「あれがお姉さんかしら……結構年が離れてる感じなのにそっくりね……」

リンクル「……大人になったマロンにそっくり」ボソッ

チャット「何か言った?」

リンクル「ううん、なんでもない」



556 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 06:59:52.19ekjw/kUP0 (5/17)

ロマニー「バッタちゃん」

リンクル「ん、ロマニー」

ロマニー「バッタちゃん、クロスボウ使えるの?」

リンクル「あ……うん、まぁね」

ロマニー「ロマニーも弓の練習してたんだ」
ロマニー「今夜ね……今夜、あいつらが来るの……」

リンクル「あいつら?」

ロマニー「うん……あいつらはね、カーニバルが近くなった夜になると現れるんだ」
ロマニー「ぼうっと光る玉に乗ってきて、沢山降りてくるの……」

ロマニー「そして牛小屋に来て……牛を攫って行くの」
ロマニー「お姉様は信じてくれないから……ロマニーが牛達を守らなきゃ」

ロマニー「ねぇ、バッタちゃん。只今助っ人募集中なの」
ロマニー「もし良ければ、バッタちゃんやってみない?」

リンクル「……うん、いいよ。やったげる」

ロマニー「やった! 流石バッタちゃん!」

チャット(流石?)

ロマニー「あいつらは牧場のあちこちに現れるの」
ロマニー「それであの牛小屋にゆっくり近づいてくるから、入られないように撃つのよ!」

リンクル「シンプルだね」

ロマニー「シンプルな方がいいでしょ?」
ロマニー「……あ、でもその前にバッタちゃんがどのくらい出来るのか見せてもらっていい?」

リンクル「腕試しね。いいよ」
リンクル「何撃てばいい?」

ロマニー「練習用に放牧場のあちこちにオバケの風船を浮かべてあるの」
ロマニー「……バッタちゃん?」クルッ

チャット「あー、屋根の上よ」
チャット(壁に飛びついて上ってくなんて、どんな運動能力してんのよあいつ)


557 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 07:00:26.65ekjw/kUP0 (6/17)

リンクル「えーと……」キョロキョロ

ロマニー「バッタちゃーん! いつの間にそんなとこ上ったのー!?」

リンクル「高いとこからのが見やすいでしょー!」
リンクル「風船の数はー!?」

ロマニー「10個ー!」

リンクル「……2、3、4……」
リンクル「分かったー! 見ててねー!」

ロマニー「……あんなとこから当たるのかな……」

チャット「ちょっと、あんた」シュ
チャット「こんなとこから撃って当たるの?」

リンクル「当てるのよ」チャキッ

バシュッ

パァーン

ロマニー「へっ?」

チャット「ふぇ?」

リンクル「次いくよー!」バシュッ バシュッ

パァーン パァーン

ロマニー「え、ええー……!?」
ロマニー「あんなとこから、どうして当たるの……?」


558 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 07:01:16.97ekjw/kUP0 (7/17)

リンクル「見えるのはもう全部撃っちゃったけど、まだあるー?」

ロマニー「も、もうないよー!」

リンクル「りょーかーい!」タンッ

チャット「ちょっ」
ロマニー「ふぇっ」

リンクル「よっと」シュタッ
リンクル「どう? 合格?」

ロマニー「」ポカン

リンクル「……ロマニー?」

ロマニー「……あっ、う、うん! 合格!」
ロマニー「あんな遠くにある風船撃って、どうやったら当たるの!?」

リンクル「どうって……」
リンクル「クロスボウをきちんと両手で構えて、距離と重力を考えてよく狙うだけ」

リンクル「あと風向きと強さかな。今日は天気がいいからあんまり気にしてないけど、雨とか降ってたらそれも」
リンクル「特に風は遠いとこのもの撃つ時はかなり気を使うからね。場合によってはかなりずれるし」

チャット「……ロマニー、さっきの説明で分かった?」

ロマニー「分か……るけど、出来る気は全然……」

チャット「でしょうね……」


559 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 07:01:50.59ekjw/kUP0 (8/17)

最初の夜
残り60時間

ロマニー「バッタちゃん、どう? 美味しい?」

リンクル「うん! 晩御飯ご馳走してもらっちゃって、悪いわね」モグモグ

クリミア「いいのよ」
クリミア「そういえば明日の朝、一番で町に行くんだけど」

クリミア「どう? 一緒に行く?」
クリミア「あの……エポナって子、君の馬だったんでしょ?」

リンクル「あ、はい! お願いします!」
リンクル「エポナも見つけてくれて、本当にありがとうございました」

クリミア「いいのいいの、うちにも偶々迷い込んでただけだし」
クリミア「それじゃ、明日の朝、よろしくね」

リンクル「はいっ」
リンクル(ま、その前にやることがあるんだけどね)チラッ

ロマニー「?」
ロマニー「……!」ウィンク


560 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 07:02:30.08ekjw/kUP0 (9/17)

チャット「ねぇ、ねぇ!」リリリリン

リンクル「ん……」モゾ

チャット「そろそろ良い時間じゃない?」

リンクル「……そうね」ムクリ
リンクル「ロマニー、起きて」ツンツン

ロマニー「んん……」
ロマニー「ふぁ……もう朝……?」

リンクル「違うわよ。ほら、もう大分夜更けよ」

ロマニー「……あっ」
ロマニー「そうだ、そうだわ! ありがと、バッタちゃん」

リンクル「行きましょ」


561 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 07:03:04.69ekjw/kUP0 (10/17)

リンクル「んしょ、と……」

チャット「やっぱりここに上るのね」

リンクル「ここが一番視界が広いからね」キョロキョロ
リンクル「……んん?」

ヒュワンヒュワンヒュワンヒュワン……

ロマニー「来た……!」
ロマニー「バッタちゃん! 私は母屋側から見えないとこを護るから、バッタちゃんはそこから狙撃お願い!」

リンクル「おっけー……じゃ、始めようか!」チャキ

ロマニー「あいつらは夜明けになると帰るから、それまで頑張ろ!」


562 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 07:03:36.39ekjw/kUP0 (11/17)

フラット星人A「コウカカンリョウ! モクヒョウハアノコヤダ! イケイケイケ!」

ヒュンッ

フラット星人B「」バタッ

フラット星人A「!?」
フラット星人A「ナンダッ!? ソゲキカッ!?」

フラット星人C「ワカリマセン! コノホシデソンナブキガアルトハトウテイ……ギャアッ!」サクッ
フラット星人C「コ、コレハ……」バタリ

フラット星人A「……ヤカ!? マサカユミヤデ、コノキョリヲ!?」

フラット星人D「ウワアアッ、マタヤラレタ!」

フラット星人A「ク、クソッ! タダノチョウサノハズダッテノニ、ハナシガチガウジャネェカ!」


563 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 07:04:34.23ekjw/kUP0 (12/17)

リンクル「当たってる、当たってる」バシュッ

チャット「この暗い中、よく当てられるっていうか、よく見えるわね……」

リンクル「目が慣れれば簡単よ。あいつらうっすら光ってるから目立つし」バシュッ
リンクル「しっかし、数が多いなぁ。反対側からも来てるし」バシュッ バシュッ

チャット「爆弾ボルトは?」

リンクル「ミルクロードで使ったのが最後」
リンクル「ほんとはクロックタウンで爆薬買う予定だったんだけど……」バシュッ

リンクル「……段々近くなってきたね」バシュッ バシュッ
リンクル「下りよっかな」


564 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 07:05:05.97ekjw/kUP0 (13/17)

フラット星人A「ジワジワトダガ、ココマデチカヅイタゾ! モクヒョウマデモウスコシダ!」

フラット星人D「チリョウヲウケタハンガモドッテキマシタ!」

フラット星人A「ヨーシッ! ミタトコロテキノソゲキシュハヒトリ! コノママカズデオシツブスゾ!」

フラット星人B「ワレワレハカイシュウサエサレレバイクラデモフッカツデキルカラナ」

フラット星人C「……? タイチョウ! ソゲキガキマセン!」

フラット星人A「イヨイヨタマギレカ? フン、チョウドイイ!」
フラット星人A「ゼンソクゼンシンダッ!」


565 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 07:05:42.58ekjw/kUP0 (14/17)

リンクル「よっと」タンッ

ロマニー「あ、バッタちゃん! 下りてきたんだ」

リンクル「うん、上からだけじゃ厳しくてね」
リンクル「エポナ!」

エポナ「ヒヒーン!」

リンクル「行くよっ! はいやっ!」

チャット「ちょっと、待ってよー!」

パカラッ パカラッ ……

<ナ、ナンダアレハッ

<コッチニクルゾッ

<ハ、ハヤッ……

バシュッ バシュッ バシュッ バシュッ

<ギャアーッ

ロマニー「……かっこいい」


566 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 07:06:21.57ekjw/kUP0 (15/17)

フラット星人A「クソッ、イッペンニヤラレタ!」
フラット星人A「マタモクヒョウガトオノイタゾ!」

フラット星人B「カクタイサイドゼンシン! ヒルムナ!」

リンクル「……そろそろ夜が明ける」

チャット「夜が明けるとどうなるの?」

リンクル「知らないの?」
リンクル「日が昇る」

パアッ

フラット星人A「!?」
フラット星人A「シマッタ! モウソンナジカンカ!」

フラット星人B「テッタイ! テッターイ!」

リンクル「ロマニーが言ってた通り、夜明けになると帰るのね」

チャット「空から降りてくる癖に太陽が苦手なのね」

ロマニー「やったぁー! ありがとね、バッタちゃん!」


567 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 07:06:58.40ekjw/kUP0 (16/17)

クリミア「ふあーあ……」
クリミア「……ん、おはよ」

リンクル「おはよ、クリミアさん」

クリミア「早いわね……ロマニーはまだ寝てるし」

チャット「あー、昨夜遅くまで話し込んじゃったからね」

クリミア「そうなの……まぁ、年の近い子と話す機会なんて滅多にないからかしらねぇ……」
クリミア「朝ご飯食べたらすぐ出発よ、いい?」

リンクル「はいっ」



568 ◆R/MMXv4xbuiy2018/11/09(金) 07:08:08.65ekjw/kUP0 (17/17)

取り敢えずここまで

クリミアさんにぎゅっとされたい……されたくない?



569以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/11/10(土) 10:59:24.77BXBRRZOh0 (1/1)

来てたのか乙!
されたいです


570以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/11/12(月) 07:43:38.59rMavAjg4o (1/1)

リンクルなら大歓迎
おつ


571以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2018/12/24(月) 19:22:04.34wmBdI+MGo (1/1)

まだかしら


572以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2019/09/28(土) 09:28:56.33i84RFqVR0 (1/1)

そして時は過ぎた…


573以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/08/18(火) 00:55:21.75vMp8XP8FO (1/1)

松本匡生(布団ちゃん)の
『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』
その12


https://www.openrec.tv/live/em8xk051jz2


574以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/08/18(火) 22:53:58.71/5AvT9LuO (1/1)

布団ちゃん(松本匡生)の
「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド その13」
(21:59~放送開始)

https://www.openrec.tv/live/1o8q4neoyzk


575以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/08/29(土) 01:42:35.73LlzFru1b0 (1/1)

エタは残念だな


576以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2020/08/29(土) 09:11:56.83YaagmQ8zo (1/1)

時オカまでは完結したからよかった