455 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 14:39:10.94HGwD3/gVo (3/17)


「失礼します」

天乃「そんなに畏まらなくても平気よ」

「いえ、一応先輩ですので」

久遠天乃

目の前のベッドに座る一学年上の先輩の名前を思い浮かべて、

世話係の女性とは目を細めた

大赦曰く、彼女はとても危険な人物で

危害を加えるようなことは一切してはならないと再三にわたって忠告をされるほど。

だが、少女の目に映る天乃はただの女の子だった

両足が不自由で、誰かの手を借りなければならない、弱者

天乃「ごめんなさい、手を借りて良い?」

「え、ええ」

そっと手を差し出すと、強くもない力で握られて僅かに体の重みが流れ込んだが、

天乃が車椅子に座ったのと同時に、重みは抜けて

天乃「ありがとう。それと、聞いているだろうけど。私は久遠天乃よ。よろしくね」

「…………」

手を借りなくても車椅子に移ることが出来た

そんな余裕のある表情を見せる天乃を、少女はじっと眺めて、首を振る

何か企んでいるなどと考えたら、そもそも笑顔すら怪しいからだ

全てに対し疑心暗鬼に陥ることは得策ではない

「今日から貴女の世話係を請け負うことになりました。楠芽吹です」

だが、信じ委ねることは許されない

世話係になった少女は固い意志を胸に、その手を振り払った


456以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 14:42:14.057zE4UBD+O (1/3)

ここにきてついに芽吹が参戦か…


457 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 15:31:01.62HGwD3/gVo (4/17)


天乃「あら、手厳しいのね」

弾かれたように戻ってきた自分の手を優しく撫でながら、天乃は小さく呟く

あくまで、余裕を持たせた笑みを浮かべて。

しかし、天乃の心中は全くもって穏やかではない

ただ手を握り、挨拶を交わす

たったそれだけで、この反応なのだから

大赦の英才教育の賜物なのかもしれないし

どこかの夏凜ちゃんのように、人を寄せ付けない生き方をしようとしているのかもしれないが

いずれにしても、久遠さんちの夏凜ちゃんのように、そう易々と覆せるタイプではないと天乃は直感で思う

天乃「心配しなくても、私は危害を加えたりはしないわ」

「ある程度、反撃の手段は持ち合わせています」

天乃「……そう。無茶はしないでね」

若葉達ならばまだ自制心があるが、九尾はあるようでない

ゆえに、天乃の害になると判断した瞬間に、若葉達……いや

天乃の介入なしには、処分を免れない可能性さえあるのだ

天乃「楠さん」

「なに?」

天乃「せめて、クラスメイトとは仲良くね」

「……善処は、します」


458 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 15:37:14.87HGwD3/gVo (5/17)


√9月1日目 朝(学校) ※月曜日


01~10 全員
11~20 
21~30 沙織
31~40 
41~50 
51~60 クラスメイト
61~70 
71~80 友奈
81~90 
91~00 千景

↓1のコンマ 

※ぞろ目 全員


459以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 15:39:00.767zE4UBD+O (2/3)




460 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 16:10:51.98HGwD3/gVo (6/17)


√9月1日目 朝(学校) ※月曜日


新垣が始まり、

いやいやながらに校門を通る生徒、

友人と会って夏休みの思い出を話す生徒

感情色取り取りな景色の前で車が止まり、

車椅子に乗せられた天乃が揺られながら、おろされると

瞳「では、久遠さん。楠さん。行ってらっしゃい」

久しく会えていなかった瞳は満面の笑みで、手を振る

本当は色々と話したいことがあったのかもしれないが、

監視があっては、それも出来なかった

天乃「行ってくるわ」

「……行ってきます」

瞳の優しい言葉にも冷たさを持って答える世話係の少女には

まったく馴染む様子は見られなくて、天乃は少し困ったように笑う

これは、夏凜達も苦労するかもしれない

天乃「楠さ――」

友奈「久遠せんぱーい!」

天乃「友奈?」

もう少し忠告でもしておくべきかと口を開こうとした瞬間

友奈の元気な声が、跳んできて

天乃「ちょ、あぶな――きゃぁっ!」

友奈の体が天乃に覆いかぶさるのと同時に、

車椅子が今までになく仰け反って、悲鳴が上がった


461 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 16:25:19.83HGwD3/gVo (7/17)


友奈「ごめんなさい」

天乃から離れた友奈は、罪悪感に満ちてしょんぼりと頭を下げる

学校に通うことが出来るということは伝えてあったけれど

また、普通に会うことが出来るという嬉しさは抑えきれなかったのだろう

それはそれで愛らしいと、天乃はほほ笑んで

天乃「東郷は?」

友奈「東郷さんは車なんですけど……迎えの時間がまだで。そしたら、先に行ってていいよって」

本当は一緒に着たかったんですけど、と友奈は少し寂しそうに言う

天乃「そう……」

車の時間がまだ先だということは、

友奈は相当早くに学校に来た。ということだろうか

そんなに会いたかったのか。というのは、もはや考えるまでもなくて

天乃が友奈に目を向けると、友奈は「えっと……?」と

困惑した様子で、世話係の少女へと目を向けた

大赦はもちろんのことだが、天乃も話していなかったために、

興奮が冷めるにつれて、周りが見えてきたのだろう

「……貴女は、結城友奈さん?」

友奈「は、はい……そう。ですけど」

ちらりと天乃を一瞥し、友奈は不安そうに答えた

友奈「誰……ですか?」

「今回から久遠先輩のお世話係として派遣されてきました、楠芽吹です」


462 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 16:39:51.66HGwD3/gVo (8/17)


出だしは全く好調とは言えなかった

世話係の少女の雰囲気は相変わらず突き放すようなもので

そう言った雰囲気を容易く吹き飛ばしてくれそうな友奈ではあるが、

その態度には少しばかり物怖じしていて。

天乃「……もう少し、愛想よくとか」

「問題ありません」

天乃「そう……かしら」

どう考えても問題あるような気がすると天乃は思ったが

恐らく、何を言っても改善することはないだろう

少なくとも、今の自分と彼女の関係では確実に

そう考えて、口を閉ざす

現状の余計な一言は崩れかけのジェンガへの一突きに等しい

そんな運任せの交友関係は、お断りしたかったのだ

友奈「あ、えっと。それで久遠先輩……お昼は、部室でとか、どうですか?」

天乃「部室……ねぇ、楠さんは」

「無論、私も同席します」

天乃「……でしょうね」


1、大事な話があるの。席をはずしては貰えない?
2、仕方がないわね。楠さんにも巻き込まれて貰いましょうか
3、そうね、友奈。普通に食事をしましょうか。楠さんの件もあるし
4、ごめんね? 今日はちょっと

↓2


463以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 16:44:17.59VF9sin6h0 (1/1)

1


464以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 16:44:28.267zE4UBD+O (3/3)

1


465 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 17:11:56.48HGwD3/gVo (9/17)


天乃「ねぇ、楠さん。大事な話があるの。席を外して貰えない?」

「できません」

考える事さえなく、彼女は首を横に振る

想像通りの反応に、天乃は文句の一つさえ浮かばずに、

ただ、小さく笑みを浮かべて「そうよね」と呟く

頭が固いとか、そう言う話ではない

彼女はその役目を請け負った

なにかやむを得ない事情を除いて常に、久遠天乃を監視していろ。というものを。

もちろん、監視というワードは天乃の想像でしかないが

あの大赦が登校を許可したのだ

ただの【世話係】で終わるわけが無いのは百も承知

天乃「どうしても?」

「はい」

天乃「お手洗いでも?」

「はい」

天乃「……えっちなことをする時も?」

「えっ……は? えっち……?」

初めて同様の色を見せた少女だったが

何を考えたのが、赤面した頬はそのままに

努力を感じるきりっとした表情で一息つく

「そ、そう言う類のことはさせません」

目を合わせないのは、もしかして本当にするのかという疑いがあるから。だろうか


466 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 17:22:42.81HGwD3/gVo (10/17)


天乃「そう……つまらないわね。ということだから、ごめんね、友奈」

友奈「あ、いえ……でも、みんなで食べるくらいなら平気ですよね?」

「私も同席することになるけれど」

そう言った世話係は、訝し気な視線を天のjへと向けてから

友奈へと目を向ける

自分を除かなければいけない大事な話

それが不快だったのだろう

言わない方が良かったかもしれない

天乃「はぁ……」

もっとも、大事な話の内容は大赦や神樹様に対する反乱等ではなく

ただ単に、沙織のことについてでしかないのだけれど。

それはブラフと考えて何か企んでいると考えてくるに違いない

疑われたところで、るボロはないけれど、少し面倒だと天乃は思う

天乃「仲良く出来るの? 楠さん」

「必要最低限は、善処します」

友奈「もっとこう、なんというか、ぱーってした方が良いと思うよ?」

「……はい?」

友奈「だ、だから。えっと楠、さん? は、カチカチというか、そういうアレだから。ひろーく感じられた方が」

「何が言いたいの?」

全く、善処するような様子ではなかった


467 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 17:28:11.75HGwD3/gVo (11/17)


では、だいぶ早いですが
一旦中断して、早ければ19時頃から再開します


468以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 17:36:27.22ZRZVhtRXO (1/5)

一旦乙
メブは中々手強そうだな…あと一ヶ月でどこまで仲良くなれるか


469 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 19:53:07.60HGwD3/gVo (12/17)


では、もう少しだけ


470 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 20:16:47.88HGwD3/gVo (13/17)


「では久遠先輩、こちらを」

天乃「端末?」

「はい。私、送迎係の夢路さんの連絡先が入った端末です」

天乃「…………」

芽吹に渡された端末には言われたように、

楠芽吹、夢路瞳

この二人の連絡先しか入っていない

何らかの特殊な設定を施してあるのか、

電話帳の追加を選択すると、【これ以上は追加できません】と、注意文が表示される

インターネットに関しても、規制されていて検索さえできない

完全な連絡帳の端末

そして、操作は画面に触れるのではなくボタンをカチカチと押すようなもので

なによりも特殊なのは、パカパカと閉じたり開いたりできるタイプだという点だ

折りたためるくせに、以前までの端末よりも厚みがあるというのはあえて触れない

天乃「……新作?」

「詳しくは何も。ただ、久遠先輩の連絡用と」

天乃「そう……」

大赦なのだから、流石に新作ということはないだろうと天乃は考えを訂正して、息をつく

であれば、また細工した端末の可能性は高くて

天乃は出来れば持ちたくないと思うのだが、断れるはずもなく

「休み時間には必ず来ます。が、授業中にお手洗いに行く必要が出来たなどの際は呼んでください」

天乃「そのくらい、我慢できるから」


471 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 20:56:57.61HGwD3/gVo (14/17)


心配してくれていると分かるような言い方なら天乃も冗談めかして言うこともできるのだが、

芽吹の言い方はあまり、そう言った雰囲気を持っていないから

照れるようなことも、照れられない

「では、久遠先輩。また」

天乃「ええ」

一礼して去っていく芽吹が完全に視界の外へと消えていったのを確認してから、

胸をなでおろすようにため息一つ

すると、すぐ後ろからふわりと風が流れ込んできて

「久しぶりだね、久遠さん」

天乃「久しぶり」

「さっきのは、新しい女の子?」

天乃「女の子って……」

特別な意味を含ませていそうな赤らんだ表情

冗談なのかもしれないが、

心の内を見透かされたようで

天乃は思わず苦笑いを浮かべて、首を振る

天乃「二年生の子よ。こんなだから……手伝いに来てくれてるの」

「それなら私達が手を貸すのにね」

天乃「そうね」

それなら変な拘束もしてこないから、気が楽なのに

そう思った天乃は、「でも駄目なの」と困ったように呟く

……沙織は、欠席だった


472 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 21:15:02.34HGwD3/gVo (15/17)


√9月1日目 昼(学校) ※月曜日


01~10 
11~20  千景
21~30 
31~40 
41~50 若葉
51~60 
61~70 
71~80 樹海化
81~90 
91~00 風

↓1のコンマ 

※ぞろ目 

空白は世話係


473以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 21:16:07.44ZRZVhtRXO (2/5)




474以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 21:16:17.14OMJHp5mHO (1/1)




475以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 21:18:11.92ZRZVhtRXO (3/5)

ぞろ目だ、何が起こる…?


476 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 21:49:57.53HGwD3/gVo (16/17)


ぞろ目。生徒に紛れてくる子


1、若葉
2、千景
3、九尾


↓2



477以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 21:50:32.32uMiUdIZxO (1/2)

1


478以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 21:53:03.82ZRZVhtRXO (4/5)

1


479 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 22:12:09.68HGwD3/gVo (17/17)


では、少し早いですがここまでとさせていただきます
明日も出来れば通常時間から
もしかしたら、お休みをいただく場合もあります
なお、土曜日は高確率でお休みになります



若葉「天乃」

天乃「え? 若……えっ?」

若葉「何かおかしいか?」

天乃「何かって……若葉、なんで男装してるの?」

若葉「それはな、天乃」ギュッ

天乃「!?」

若葉「皆の前で気にせず身を寄せる為だ」


480以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 22:13:18.53uMiUdIZxO (2/2)


やだロマンチスト…


481以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 22:24:32.32ZRZVhtRXO (5/5)


展開次第では原作のくめゆみたいな話に繋げれるのかな?

それにしてもさおりん欠席とか凄く心配だ…


482以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 22:41:05.36CecfmzQmO (1/1)


…ん?ここにメブがいるって事は、讃州中学制服だよね?
かなり貴重なのでは


483以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 23:03:44.17J6VhKacBO (2/2)


原作ではやれないやらないを突き進むのがこのスレだし巻き卵
大赦を見返すために尽くす芽吹の懐柔は難しいだろうしこれは名采配
3年の弥勒寺さんは…ありゃ堕ちるからムリダナ


484以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/11(月) 17:33:44.17Ksbg63vD0 (1/1)


みんなさおりんが一線超えたのではと言っている中、相手の男をコロコロしちゃったんじゃとか思ってたから全然さおりん出てこなくて怖い


485以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/11(月) 19:11:49.45c50gvmrqO (1/1)




486 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/11(月) 21:44:00.35uJ2amxsSo (1/6)


では、少しだけ


487以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/11(月) 21:54:23.23PB1Bwvk/O (1/3)

きてたか


488 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/11(月) 22:02:57.69uJ2amxsSo (2/6)

√9月1日目昼(学校) ※月曜日


天乃「はぁ……」

少し大きめなため息をついた天乃は胸から上だけを机に乗せるようにうつ伏せる

ほんの五分程度の休憩時間あるいは授業準備時間にも、芽吹は宣言通りに天乃の所へと来たし、

2年の転入生と言う特殊な立場でありながら天乃へと近付く姿はより周囲の目を引き付けるものに他ならないにも関わらず

芽吹は近付くものは寄せ付けないといった態度をとるために、周りの好奇心は天乃への問いに切り替わって

休み休みに繰り返し聞かれては、お世話担当。と繰り返さなくてはいけなくて疲れたのだ

天乃「…………」

夏凜が担当ならまだからかったりもできたし、疲れるとしてもその分楽しめたのだが

芽吹きそうは行かない

お手洗いに行った時だってそう。中に入ろうとした―もちろん全力で拒絶した―し、

最終的には扉の前での待機が譲歩の限界だった

どれだけ厳しく監視しろといわれているのかはわからないし

どこからが芽吹自身の考えによるものなのかは不確かだが

現状、ろくでもない監視であることだけは、間違いなかった

風「お疲れ」

天乃「風……」

声に導かれて顔を上げると、一つ前の席には風が座り込んでいた

本来なら座席は離れているのだが、不在だからと借りたのだろう

天乃「ほんと、もう……疲れ果てたわよ。逃げたい……」

風「あたしも逃がしてあげたい気持ちは山々なんだけどねぇ……」


489 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/11(月) 22:16:06.29uJ2amxsSo (3/6)


天乃「はぁ」

また、ため息。

風とて天乃を苛めるために気持ちを語ったわけではない

実際に、ここで今すぐに天乃に手を貸したいと風は思ってはいたが

手を貸せば芽吹から大赦に伝わり、何らかのペナルティが課せられるからどうしようもないのだ

しかし、本当にそんなことで風たちが何も出来ないのか。といえばそうでもない

芽吹の件に関しては、天乃が本当に追い詰められているわけでもなく、

半ば日常の一コマのように疲労感を見せているだけだから、何もしないのだ

本当に必要なときは大赦など平然と裏切るし、神樹様さえも切り倒す可能性は大いにある

風「それにしても――」

「久遠さん、お呼びだよ~」

風の声を遮るように飛んできたクラスメイトの声に、

天乃は机に伏せったまま言葉を投げ返す

天乃「居ないことにしておいて」

風「こらこら」

天乃の適当な態度に苦笑する風の一方、

声をかけたクラスメイトは「お世話の子じゃないよ」と、告げて

若葉「居留守を使うのは家にしておくべきだぞ。見なくても判るが、覗けば一目瞭然だ」

馴染み深い困った声が聞こえた

振り向けば、天乃達が着ているのと同じ讃州中学の制服に身を包み、

光を受けて美しく、風に容易く靡く金糸のような髪を後ろで一つに纏めた姿が見えた

天乃「何してるのよ……若葉」

若葉「様子を見に着たんだ。活動するにはこの方が色々と面倒が無くていいだろう?」


490 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/11(月) 22:29:27.11uJ2amxsSo (4/6)


風「いや、戸籍と言うか。色々問題あるんじゃないの?」

若葉「その辺りは九尾が手引きしてくれたからな。問題はない」

天乃からしてみれば、九尾に手引きしてもらう方が危ない気がしなくも無いが

行き過ぎた行為こそあるけれど、それは確かに天乃の為で。

若葉の介入もあったのならば、それも抑制されているだろうし。と、天乃は目を瞑る

天乃「それで? 沙織の件もあるんでしょう?」

若葉「……言いにくいが」

天乃の問いに、若葉は言葉以上に苦しそうな表情を浮かべながら、

唇を固く結んで、首を横に振る

何を見たのか、聞いたのか

その全てを語るのかは判らないが、少なくとも良い話は聞けそうには無い

若葉「とりあえず場所を変えたい。あまり聞かせる話ではないからな」

天乃「そう……」

風「アタシは部室でみんなと――」

「久遠先輩、勝手な行動は慎んでください」

風「みんなと、食べるから」

ドアの傍から言葉を投げ込まれ遮られながらも続けて、弁当を手に持つ

自分達は部室に居るから、聞かせたくなければそれ以外の場所で。と言うことだろう

とはいえ、どこに行こうと芽吹は天乃に付いて来る


491 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/11(月) 22:52:56.55uJ2amxsSo (5/6)


天乃「まだ行動も何もしてないわ」

「今朝、結城さんに言っていた件ですよね? 同行します」

天乃「だから、まだ何も考えてないって」

「…………」

完全に疑いを持っている表情で天乃を一瞥した芽吹は、

すぐ横に控える若葉へと目を向けて、眉を潜める

「貴女は?」

若葉「若葉だ。九重若葉」

天乃「え?」

「?」

天乃「いや、なんでも」

乃木若葉であるはずなのに、九重若葉とつけたのは九尾だろうか

だとすれば恐らく、【乃木】と名乗ることによる注目等を避けるためだろう

そんな警戒をするくらいなら、

若葉ではなく千景のほうが良かった気もするけれど……

天乃「まさか、ね」

若葉のみならず、千景たちも登校させようとしているのかもしれない

そう考えた天乃は苦笑一蹴して芽吹へと目を向ける


1、良いわ。部室に行きましょう
2、別にその話はしないけど、部室には行きたいわ
3、仕方が無いわね……また後でね。風
4、じゃぁ、楠さん。食事にしましょうか


↓2


492以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/11(月) 22:55:30.611MZZANGV0 (1/1)

1


493以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/11(月) 22:55:37.94PB1Bwvk/O (2/3)

1


494 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/11(月) 23:13:18.70uJ2amxsSo (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


樹「……邪魔、ですね」

芽吹「……え?」

風「あー……ははっ。まぁ、そのあれよ」

友奈「見逃す予定だったんだけどね、芽吹ちゃん。どこまでもついてきそうだから。消えて貰おうかなーって」

東郷「大丈夫、貴女が消えても【隠蔽】は簡単だから。気にせず――ね」

樹「なーんて! えへへっ、冗談ですっ!」

東郷(1割くらいは)


495以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/11(月) 23:18:30.48PB1Bwvk/O (3/3)


若葉からの報告は勿論、メブと夏凜ちゃんの再会にも注目だな


496以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/11(月) 23:46:30.83Rj8qUOeWO (1/1)


怖いよ!


497以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/12(火) 17:51:38.98yooek86zO (1/1)




498 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/12(火) 22:34:27.945fFozoMbo (1/1)


今日は少し厳しいのでお休みとさせていただきます
再開は明日の通常時間から


499以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/12(火) 22:37:05.79W0wrBazZO (1/1)

あら珍しい、乙です


500以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/12(火) 22:47:59.80QciNsAydO (1/1)


思えばあと3ヶ月程度で3年目だけど日刊でほぼ無休なんだよな
金にもならないことを良くもまぁ…


501以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/13(水) 05:15:32.81RMwUArLHO (1/1)


ゆっくり休んでください


502以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/13(水) 16:58:13.42K99oGvxnO (1/1)




503 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/13(水) 22:08:02.85LEEILXo8o (1/9)


では少しだけ


504以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/13(水) 22:11:22.040FdWfdXEO (1/3)

やったぜ


505 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/13(水) 22:12:26.88LEEILXo8o (2/9)


友奈「あっ、久遠先輩来てくれたんですね!」

天乃「ええ、連れてきちゃったけど」

友奈「大丈夫です、全然」

部室に入るや否や待っていましたと歓喜の声を上げた友奈に、

天乃は笑みを浮かべながら後ろの付き添いのことを告げると、首を振る

友奈の笑顔も崩れないのは、すでに同じクラスになったということもあって会話したのもあるだろうが、

一番は【その程度で】天乃が来てくれるからだろう

樹「えっと、楠先輩……で良いですか?」

「構わないわ。別に気にする必要も無い」

それには声をかけなくても良いという意味合いが含まれていたのかもしれないが

樹は困った笑みを浮かべて「それはダメですよ」と呟く

とはいえ、出来るならばこの場に居て欲しくないという思いが樹にはあるのだと

天乃はなんとなく感じ取っていた

それは樹だけでなく、この場に居る全員にある思いだとも。

言ってしまえば、勇者部にとって芽吹の存在は【腫物】でしかないのだ

世話係とは上手い言い方で、実際は勇者部の動向を監視する大赦からの刺客

しかも、それを公言こそしてはいないが、あからさまにそう言った行動をさせるのだから

どうしようもなく苛立ちは募る

もちろん、それを表には出さないけれど。


506 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/13(水) 22:22:29.95LEEILXo8o (3/9)


夏凜「天乃はどうだった?」

「どうと言われても、困るわ。特に何かをしたわけでもない」

東郷「久遠先輩は何も無ければ何もしないのよ。普通に過ごして、溶け込んで。優しい先輩だもの」

勇者としての力を失うよりも前から、

天乃は特異な力を持っているからといって、何か騒ぎを起こしたりするようなタイプではなかった

もちろん、なにかがあればどこかの完成型勇者さんの暴挙鎮圧のように

たとえ車椅子の状態であっても全力を持って対処に当たるが。

下手なことさえしなければ、慕われているだけの3年生

そして、それは勇者部もそう。

何かが無ければ讃州中学に通うただの生徒でしかない

東郷「だからこそ、気に入らないこともあるの。久遠先輩を未だ警戒して、監視して……せっかくお役目から解放されたのに、今度は」

風「東郷」

東郷「風先――」

風「東郷、良いから」

言わせて下さいと言い掛けた東郷を遮って、風は首を横に振る

言うだけ無駄だと解っているし、その無駄なことで昼休みの空気が悪くなるのは避けたいからだ

ただ、風もいいたくなる気持ちはわかる。痛いほどに

せっかく神樹様から解放されたのに、今度は大赦に拘束されるのか。と

頑張って、頑張って、頑張って、尽くした結果が自由の無い生活と言うのは、あまりにも酷な話だから

風「お昼にしましょ。若葉の話もあるんでしょ?」

若葉「ああ、そうだな……いささか空気を悪くするかもしれないが」

風「そ……ま、必要な話ならしかたが無い」


507 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/13(水) 22:37:15.18LEEILXo8o (4/9)


若葉の言葉にしにくそうな表情から勇者部の面々は決して良い話ではないことを察して、息をつく

封を解かれたお弁当の匂いも、食欲をそそるものではあるが、

誰かが口にしたわけでもなく、誰もが箸をおいたままで

若葉「沙織に関してだが、実は今回の欠席に関して学校側は【公欠】扱いなんだ。天乃にも経験がある言い方をすればお役目ということだな」

天乃「つまり、何らかの――」

若葉「いや。お役目と言っても伊集院家の……いや、これは遠回りだな。逃げているわけではないが」

若葉は自分で自分を戒めるように握りこぶしを作ると、続けようとした言葉を振り払うように首を振って天乃を見る

哀れみを微かに含んだ表情だが、それはきっと若葉の意思ではないのだろう

気づいていなさそうだった

若葉「沙織は暫く戻るつもりが無いと……このまま暫く彼と生活を共にして、少しでも距離を詰めるそうだ」

樹「暫くって、いつまでなんですか?」

若葉「明言はしなかった。ただ、確実にいえるのは、沙織は進学を考えていないということだ」

友奈「進学……なら、就職ですか? でも、就職は」

東郷「……若葉さん、その就職と言うのは、結婚する。と言うことですか?」

友奈が言おうとした言葉を引き継ぐように東郷は問いかける

まさか、そんなことはしませんよね。という

願望のようなものが紛れているように天乃は感じた

若葉「順調に進めばそうなるだろう。もちろん、家系として優秀な伊集院家の長女が嫁ぐのではなく、婿取婚となるだろうな」


508 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/13(水) 22:45:18.25LEEILXo8o (5/9)


風「…………」

その場の誰もが口を閉ざし、息を呑んだ

東郷はまさか。という願望を込めたのかもしれないが

その東郷自身もそのまさかであることくらいは承知の上だった

伊集院の家には沙織しかいないから。むしろ、それ以外に無いと。

だが、それでも口を挟んだのは伊集院家の娘が沙織だからだ

天乃に憧れ、天乃に好意を抱き、誰よりも天乃に尽くそうとする、伊集院沙織だからだ

風「それ、沙織が言ったの? それとも、若葉の憶測?」

若葉「……結婚する。と言うのは沙織本人の言葉だ」

天乃「誰かに強制されたりとか」

若葉「それは無い……それは無い。あれは沙織の意思だ」

言葉の力こそ弱かったが、

二回繰り返されたそれは確かな力を持ってその場の全員の言葉を、疑いを、握り潰してしまう

天乃は小さく「そう……」と

無表情にも思える感情の不確かな顔色で呟くと、箱を開けたかのように笑う

天乃「沙織本人の意思、なのね」

樹「で、でも……でもっ」

夏凜「疑問があるんだけど、いい?」

ここが会議の場であるかのように、正しく挙手をして、夏凜が注目を一身に集める

話についていけていなそうな芽吹に対しては、一瞥をするのみで

夏凜「結婚した後について、沙織は何も言わなかったわけ?」


509 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/13(水) 22:58:05.32LEEILXo8o (6/9)


誰もが思う疑問だった

けれど、誰もいえなかった禁句

それを夏凜はさも当たり前のように

客人に向けて飲み物の有無を問うかのように自然と口に出した

若葉「それに関しては答えて貰えなかった。ただ……私の憶測で語るなら。戻ってこない可能性はきわめて高いだろう」

もちろん、樹海化したときは戦力の一つ―穢れに対してのみ―として参戦するだろうが

普段から天乃の傍にいるなどと言うことは無くなるというのが、若葉の憶測だった

東郷「そんなこと……」

風「確かに、結婚したら戻ってくるなんて出来ないわよね……それこそ、離婚とかしないと」

しかし、伊集院家にとってそれは致命的とまでは行かないにしても、汚点になることは間違いない

沙織が伊集院家を大赦内部から蹴落とすつもりならばともかく

そうでないならば、言葉通り取るべきだろう

夏凜「で、天乃はそれでも良いわけ?」

天乃「それは……」

夏凜「まぁ、あんたのことだから沙織に任せる。とでも言ったんでしょうけど」

夏凜は天乃が口篭ったにも拘らず、知ったように呟く

それは聞いていなかったはずの夏凜ではありえないほどに、的中していて

若葉は少し驚いた表情を見せたが、天乃は俯きがちに目を逸らす

天乃「話を聞いたの?」


510 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/13(水) 23:07:38.80LEEILXo8o (7/9)


夏凜「あんたの性格上、それは止めろだなんて言えないし。ましてや勧めるなんて無理でしょ」

天乃「……良く解ってるのね」

夏凜「付き合いは短いけど、密度は濃いって自負はあるから」

だからと言って、天乃の事に関して100%の自信があるかどうかといわれれば

それは微妙な話だと夏凜は思う

そして、夏凜の言った言葉は間違いが無かった

天乃は以前、そう。夏祭りの直前に沙織と話して、男性との付き合いについて話を振られて、

体を男性に許した後も自分のことを抱いてくれるか。と言う話に、

好きにして良いと、戻ってくるなら受け入れると答えた

今思えば、それは逃げの選択だったと天乃は改める

どちらにせよ強制することになるから、沙織が自由に選択できるように

そう考えての言葉だったが、結局。それは天乃自身の―本当の―気持ちを何一つ語ってはいないからだ

それが許せるか。許せないのかを。

「本人が受け入れていることなら、部外者が口を挟むことではないのでは?」

東郷や友奈、樹の目が芽吹へと向く

友人と言う立場でありながら、結婚に関して口を挟む

ああだこうだと語り合う

それは当人が嫌がっていることであるならばいざ知らず

納得した上で、意思あってのことなら口を挟むべきではないと思ったのだろう

しかし、東郷は不快感を滲ませて

友奈と樹は悲しそうに眉を潜めて首を振る

東郷「なら、部外者は口を挟まないべきだわ」


511 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/13(水) 23:21:20.08LEEILXo8o (8/9)


「……友人。という――」

風「楠さん。沙織が結婚するかどうかはアタシ達にとっては他人事ではないし、部外者の話でもないのよ」

「…………」

芽吹は風の不快な表情、冷めた言葉に緊張しながら息を呑む

大赦が把握していないわけではないが、芽吹の行動等に支障がある可能性もあるとして伝えなかったために

芽吹は勇者部の内輪の関係に関してはまったく持って無知なのだ

だから、友奈たちが当人同士で納得しているであろう結婚に関して意見を述べようとしている姿勢が理解できなかった

悲しそうにしている理由がわからなかった

もっとも、芽吹では無かったとしても、この場にいる全員が―沙織含め―天乃と交際しているなどと想像することはできないだろう

今この場にいない乃木家の勇者ならば話は変わるが。

友奈「久遠先輩、良いんですか?」

天乃「沙織が、決めたことなら」

若葉「……そうか」

若葉の失望した―ように聞こえた―声に、天乃は強く唇を噛む

本当にそれで良いのだろうか

いや、それで良いから見送ったはずだ

けれど……沙織が戻ってこないことまで考えていた?

どこかで、沙織なら戻ってくるからと慢心していたのでは?

考えれば考えるほど、迷いと躊躇いと後悔が浮かび上がってくる

天乃「っ……」


1、どうしたらよかったの?
2、嫌だって言ったら。沙織に無理強いすることになるじゃない
3、ねぇ、若葉。今からでも会えないの?
4、ねぇ、若葉。連れて行って。沙織のところに
5、なにも言わない


↓2


512以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/13(水) 23:22:56.21B3fQ/m5gO (1/2)

3


513以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/13(水) 23:24:19.540FdWfdXEO (2/3)

4


514 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/13(水) 23:35:12.21LEEILXo8o (9/9)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「連れてって。沙織のところに」

若葉「任せろ」

………。

若葉「……ここだ」

天乃「ここ……? このお城みたいなところに住んでいるの?」

若葉「ああ、そうだ。部屋で待っていてくれ。呼んでくる……っと、喉が渇いただろう。このジュースを飲むと良い」

天乃「ええ。ありがとう……ぇ?ぁ……」ドサッ

若葉「悪いな……連れていくのは良いが。報酬は前払いで貰おうか」




515以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/13(水) 23:40:06.01B3fQ/m5gO (2/2)


沙織はどこまで婚約者と進んだんだろ
もう妊娠してるのかな?してないにしてももうキスくらいは夏祭り以降にされちゃったんだろうか

妄想が捗る


516以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/13(水) 23:42:29.180FdWfdXEO (3/3)


てっきりさおりんがもう許嫁に初めてを捧げたのかとヒヤヒヤしたわ
ここからさおりん奪還なるか


517以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/14(木) 00:13:21.99/7q5GLlvo (1/1)


初デートからここまでの経緯を沙織視点で見てみたいなあ
3周目で一番ドキドキワクワクする展開だわ


518以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/14(木) 10:37:56.55KR7AUUGqO (1/1)

15日も空いてるのが色々と想像の余地を生む
ここに至るまでのさおりんの描写が読みたい


519以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/14(木) 12:26:05.92jiBWUztJO (1/1)

意外にも久遠さんのおねショタの時よりも需要ある感じでワロタ
さおりんの場合は何か生々しさがあるんだよな…性的知識の差だろうか?


520以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/14(木) 15:02:16.90QwBd26nvO (1/1)

久遠さんが受け入れての行為と
沙織の本心では嫌がりながらの行為の差では?
行為描写もだけど心理描写が巧みだから後者の怖いもの見たさが刺激されるやつ

でもリアルが忙しい(休みが増えてる)っぽいからやらなそう


521以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/14(木) 16:07:40.52ottl53/+O (1/1)

たまには胸がキュッってなる話もいいよね


522以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/14(木) 21:32:46.14WTh6oigxO (1/2)

3


523以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/14(木) 21:34:10.71WTh6oigxO (2/2)

誤爆ごめんなさい


524 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/14(木) 22:15:59.50zQB6ke91o (1/9)


では少しだけ


525以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/14(木) 22:24:20.47O7ql4uCwO (1/3)

きてた


526 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/14(木) 22:25:10.91zQB6ke91o (2/9)


なんて答えれば良いのか、何を言えばいいのか

どんな行動を起こせばいいのか天乃には分からなかった

分からないそのもどかしさが嫌で、強く握りこぶしを作って

戻ってきても抱いてくれるかと沙織は言った

それは、戻ってくるつもりがあるから言ったのではないかと天乃は思う

戻るつもりが無いなら、初めからあん会話なんて必要なかった

沙織に嗜虐趣味が無い限り

天乃を絶望させて、苦しめて、辛い思いをさせる積もりも無い限り

戻らない予定だったのなら、あんな話はしなかったはずだ

なら、それなら……

天乃「っ」

それを言うこと正しいのかと自分に訪ねた天乃は

かき乱そうとしていそうな内心の不適な笑みに目を瞑って首を振る

天乃「私が納得できてないから」

若葉「……なら、どうする」

一時は引いたように見せていた若葉の瞳はまだ、天乃を見ていて

天乃は友奈を見る。風を見る。東郷を見る。樹を見る。若葉を見る

そして……夏凜を見る

夏凜「……好きにしなさいよ」


527 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/14(木) 22:33:38.60zQB6ke91o (3/9)


何も言っていないのに、

夏凜は嬉しそうな笑みを浮かべ、半ば呆れたように言って目を伏せる

後ろめたいことがあるからじゃない。ただ、天乃の瞳を見て認めたからだ

天乃「若葉、沙織のところに連れて行って」

「な――」

若葉「承知した」

「待ちなさい! 久遠先輩……いえ、久遠天乃! 勝手な行動は許されません」

監視の目前で勝手に話を進め、勝手な行動をしようとしている

そんな身勝手を許せるはずが無い

そして、たとえ大赦に通したとしても、許可されるはずがないことは明白

だからこそ、芽吹は自分自身の役割にしたがって天乃の肩を掴み、車椅子のブレーキをかけて押し留める

「身勝手な行動は慎んでください」

若葉「私の主がそれを望んでいる……阻むなら。人間とて斬り伏せるが?」

「っ!」

一見して。

いや、立ち居振る舞いはまさしく正しく生きている女性のような姿だった若葉が、

敵意をむき出しにしながら自分へと視線を向けてきたことに驚いて、芽吹は心音が緊張によって大きく跳ね上がったのを感じた

若葉「私は世界を護るべきだと考えてはいるが、別に……大赦まで護る気はない」

そう言う若葉の表情には後悔の念が感じられたが

その理由を知っている天乃は何も言わずに目を瞑る


528 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/14(木) 22:40:51.82zQB6ke91o (4/9)


自分達が作り上げた大赦と言う組織

それがいつ、どのような形で歪んでいってしまったのかは知らないが

当初、望んでいたようなものとはまるで違う

歪な形になって、見方によっては酷く冷酷にでさえ思えてしまうような

そんな、とてもではないが手放しで認められるような存在ではなくなってしまった

その変革の責任が自分には無いのだとしても

切っ掛けに加担している若葉は、後悔の念を抱かずにはいられない

しかい、それが無くとも若葉は天乃の味方だ

つまり、いずれにしても大赦の出方次第で若葉たちは反旗を翻す

「その言葉、直接伝えます」

若葉「好きにしたらいい。私達がそう言う側の立ち位置だということ、大赦は良く分かっているはずだからな」

夏凜「そんなこと、何の脅しにもなりゃしないっての」

呆れたように言った夏凜の視線に、芽吹は睨むように見返して首を振る

まったく理解できないというその素振りに、

友奈は険悪になりそうな雰囲気を感じたのか、困ったように見渡して

風のため息が少し大きく聞こえた

風「アタシ達は天乃を沙織のところに行かせてあげたいって思ってる。もちろん、邪魔は無しで」

「…………」

風「だけど大赦はもちろん、楠さんも天乃を沙織に会わせたくないし、そもそも自由行動なんてさせたくない」

それで間違いない? と訊ねる風は若葉とは違って落ち着いていて

風にまで攻められると警戒していた芽吹は―警戒を解いてはいないが―安堵の息をついて肯定する

だが――

風「なら仕方が無いわね。力ずくで通して貰いましょ」

風は困り果てた表情で、はっきりと宣戦布告を口にした


529 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/14(木) 22:50:40.70zQB6ke91o (5/9)


「……勇者の力でねじ伏せよう。と言うわけですか」

動揺に揺れそうな心身を留めるように力強く拳を握り締めて息をついた芽吹は、

普段の―多少の牽制を含めた―声色で問いかけて風を見つめる

勇者の力を使われれば、自分の負けは確定していると芽吹は分かっているが

しかし、それでも引くことは許されないと覚悟を決めて苦笑する。勇者部の面々を見渡しながら、

宣戦布告をされた立場でありながら、「やれるのなら」と煽るように

「どうぞご自由に。その代わり勇者の権利の剥奪及び久遠先輩の拘束は覚悟していただきます」

樹「えっと……楠先輩」

困惑の色を浮かべる樹の弱弱しさを感じる声に触れ、

芽吹は少しばかり不快な表情を見せつつ「なに?」と強い口調で問う

風や若葉、夏凜の力ありそうな人ならともかく、

どちらかと言えば弱者の立場にありそうな樹が妬ましく、苛立たしくて。

だが、その感情には気づいていないのか、樹は顔色を変えずに

樹「お姉ちゃんは勇者の力を使う気はないと思います。特別な力を使っても何の意味も無いと思いますから」

風「それでアタシが使う気だったら凄い恥ずかしいけど……ま、樹の言うとおり」

笑みを浮かべながら樹の頭に撫でるように触れた風は、

腰元にあてがっていた手を芽吹へと向けてにやりと笑う

風「もちろん、全員で一人を叩く気も無いわ。この中から一人だけ選んで楠さんと戦う。それで、押し通させてもらうわ」

友奈「話し合いじゃ、ダメ……なんだよね?」


530 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/14(木) 23:03:15.42zQB6ke91o (6/9)


やる気に満ち満ちている風から芽吹へと視線を移した友奈は、

戦うということには否定的だが、そうするしかないのかと悲しそうに呟く

答えは分かっているからか、芽吹が答えるよりも先に友奈は首を振って

友奈「勝った人が上だとか正しいとかは何か違うかなって思う。でも、芽吹ちゃんや大赦の人たちが久遠先輩と沙織さんの邪魔になるなら。私も戦うよ」

「……なぜ? 貴女にメリットはあるの?」

東郷「損するか、得するか。私達にあるのはそんなものじゃないの。ただ、大切に思う人の力になりたい。それだけよ楠さん」

戦うことは絶対に避けられないだろう。

勇者の力を用いない純粋な力での戦いと言う以上、多少の自信はあるのだろう

芽吹はそう思いながら、天乃を押さえつける手を離して、見つめる

「くだらない」

樹「……」

「とてもくだらないわね。東郷さん」

誰かの為だなんて行動する時間があるのなら、少しでも自己鍛錬に勤しむべきだと芽吹は思う

それが、なんらかの規定を破るような愚かしいことなら、なおさら

たった一人のためになるためにそれ以外の全てを犠牲にする行為など、無駄でしかない

そんな愚かなことをしている連中の自負など打ち砕けると芽吹は東郷を見つめ、風を見つめ、夏凜を見る

「良いでしょう。叩かなければ引かない。と言うのでしたらお相手します」

夏凜「先に言っておくけど、慢心してたら痛いどころじゃすまないわよ」

風「と、経験者は語る」

冗談っぽく言葉を続けた風をひと睨みした夏凜は

ふとため息をついて苦笑すると、天乃へと目を向ける

今でこそ笑い話に出来そうなものだが、アレは酷かった。と、夏凜は腹部を撫でて

夏凜「楠さんは幸運ね」

「なぜ?」

夏凜「そりゃ、天乃本人を相手にしなくて済むからよ」


531 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/14(木) 23:13:07.16zQB6ke91o (7/9)


本調子―車椅子は変わらない―の天乃は動きのレベルが違うのだ

もちろん、慢心さえしていなければもう少し健闘できるとは思うが、

それでも確実に勝てる保証は無いと夏凜は思う

五体満足だったらどれほどのものか

夏凜「で? 風。誰が相手すんのよ」

風「ん~楠さんに選んでもらう方が公平?」

東郷「近接戦闘で対等に戦うべきだと思うので、私は辞退します。そもそも、私が代用できる武器がありませんから」

正直に言えば弓矢を使えば良いのだが

殺傷性を抑えなければいけないし、そんなものを用意するのには時間がかかってしまう

ゆえに、それではダメなのだ

友奈「あの、風先輩」

風「どしたー?」

友奈「久遠先輩のお願いなので久遠先輩が決めたほうがいいんじゃないかな……って」

友奈の消極的にも思える小さな提案に、

風はなるほどーと呟く

樹「確かに、久遠先輩が託したい人がいいと思います」

天乃「えーっと……」


532 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/14(木) 23:14:09.01zQB6ke91o (8/9)


戦うのはちょっと……と言えば、みんなは控えてくれるだろうが

それはあまりいいことではないと天乃は思う

正直に言えば、鍛錬でもないのに、ましてや自分のために。

戦おうとするのはやめて欲しいのだが

みんなはみんなで本当に天乃のことを想って行動しようとしてくれている

勇者の力を使えば容易く―本当の意味で力ずくで―押し通せるのに

わざわざ、勇者の力を使わないで一騎打ちしようとしているのが、良い証拠だろう

若葉「すまないが、私も候補から外してくれ」

天乃「ええ、分かってる」

若葉は精霊だから、どうしても力を行使した状況になるからだ

だから、風、樹、友奈、夏凜

この四人の中から、託したい相手を選ばないといけない

そう考えて夏凜に目を向けると、夏凜は笑みを浮かべながら頷いて

夏凜「あんたに任せるわ。好きに選びなさいよ」


1、夏凜
2、樹
3、友奈
4、風


↓2


533以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/14(木) 23:15:38.75YvhgAAWH0 (1/1)

1


534以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/14(木) 23:15:49.10O7ql4uCwO (2/3)

1


535 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/14(木) 23:38:06.47zQB6ke91o (9/9)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




芽吹「久遠先輩はいかせないわ」

夏凜「いや、いかせる」

芽吹「……解ってない。妊婦の体に貴女の性欲は強すぎる!」

夏凜「私達の女を勝手に侮ってんじゃないわよ……強いわよ。性欲」フッ


杏「という裏のバトルが」

千景「ないわ」


536以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/14(木) 23:39:20.41fJIgwUvvO (1/1)


芽吹と夏凜ってある意味因縁の対決になるのか


537以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/14(木) 23:44:21.27O7ql4uCwO (3/3)


とうとう大赦との全面対決となったか
勇者部のみんな格好いい


538以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/15(金) 11:21:31.20xa8FlkM+o (1/1)

メブ達がいるから、最悪の場合は勇者部の首をすげ替える判断も有り得るだろうな。


539以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/15(金) 18:03:07.14hp5tgPRCO (1/1)




540 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/15(金) 22:29:28.61ZWDBFfVyo (1/9)


では、少しだけ


541以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/15(金) 22:30:39.51qG4tv7uBO (1/1)

あいあいさ


542 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/15(金) 22:37:51.93ZWDBFfVyo (2/9)


天乃は、この場にいる―芽吹を除いて―全員のことを信頼している

だから、信頼できる相手といわれれば誰だって良いのだ

けれどなぜか

しかし当然に、天乃は夏凜へと目を向けて、小さく頷く

それが氏名であると察した夏凜は小さく笑って

天乃「夏凜、お願い」

夏凜「りょーかい」

些細なお願いを引き受けたかのような軽い言葉で

とても容易だと侮るかのような仕草で、

夏凜は芽吹へと目を向ける

だが、その瞳は笑ってはいても力強い意思が込められていて

その身体は、鍛錬をしっかりと積み上げた戦う者のもの

だからこそ―芽吹なら関係ないかもしれないが―芽吹はその挑発にも似た姿勢に文句を言わずに

ただ、呆れたようにため息をついて、目を向け視線を交錯させる

「倒すわ。全力で」

互いに手加減をする気もさせる気も無いと、芽吹は睨む


543 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/15(金) 22:47:14.87ZWDBFfVyo (3/9)


確かに自分は勇者選定から落ち零れた人間だが

しかし、夏凜に劣っていたことはないと芽吹は思っているのだ

戦闘の成績は互角

いや、誰かに構う夏凜と、己を鍛えることに特化した自分とでは

そこにはしっかりとした差があったと芽吹は思っていて

今でも、あの決定は何らかの間違いではなかったのだろうかという疑いは晴れていない

「感謝するわ。久遠先輩」

その過去を知っていたのかは解らないが、

三好夏凜という最も叩きのめし、己の実力を自他共に示したい相手はいなかったし

自分の相手になれる―勇者の力無しに―のは夏凜しかいないと思っていたから

夏凜「風、体育館借りられる? ギャラリーは面倒だからいないほうがいいんだけど」

風「あー……ちょっと話してみる。今すぐは無理かもしれないけど、部活を速めに切り上げて貰うくらいは出来ると思う」

少し困ったように言った風は、参謀ということなのか東郷を連れて部室を出て行く

残された天乃たちは険悪では無いがいいとは言えない空気感を払拭するように、

ため息をついて「さて」と、天乃が声を出す

天乃「2人は武器の使用は?」

夏凜「どっちも双剣での戦闘訓練を積んでるからそのままで行く」

天乃「楠さん」

「異論はありません」

天乃「なら、夏凜。木刀は4本あるかしら」

夏凜「鍛錬用に持ち歩いてるのがあるから問題なし」


544 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/15(金) 22:56:14.87ZWDBFfVyo (4/9)


夏凜が使うのは2本の木刀だが、

友奈や若葉、千景など適正に無い勇者にも貸し出すことがあるほか

折れたりすることもある為に夏凜は木刀を常に4本用意しているのだ

使い慣れている分、多少は有利に働く可能性も無いとはいえないが

芽吹はそれに関しても文句はないのだろう、何も言わずに

ただ、夏凜を真っ直ぐ見つめる

その瞳には敵意が強く宿っていて

「こんな場所で、こんなことで。また三好さんと争うことになるとは思わなかったわ」

夏凜「楠さん……ってことを除けば。私は解ってたわよ」

たとえ芽吹ではなかったとしても。

天乃の望みが大赦にとって不都合である以上阻まれることは免れることができないことだし

それを突き通すために争わなければいけないのも確実だと夏凜は思っていたからだ

そこに裏切る覚悟。は存在しない

あるのは自分の意志を貫き通そうという決意だけ

天乃と自分達のために。という思いだけ

樹「本当は私が立候補したかったですけど、夏凜さんよろしくお願いします」

夏凜「解ってるわよ。言われなくても」

突っ撥ねるような言い方ではあったが、樹は安心したように笑みを浮かべて、頷く

夏凜は解ってる。夏凜も思っている

たった一言、たった一見

それだけで樹は夏凜が自分の示そうとしたものを本当に解ってくれていると感じたから

暫くして戻ってきた風は「交渉成立!」と、勝ち誇ったような笑みで言い放って

讃州中学の体育館にて三好夏凜と楠芽吹の試合が行われることが決定した


545 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/15(金) 23:09:07.14ZWDBFfVyo (5/9)


先生に呼び出された風が、「準備が終わったわよ」と戻ってきたのに続いて体育館へと移動すると

本来ならまだ部活中の体育館は静まり返っていた

普通なら、私達が使いたいので。と申請したところで通るはずが無いが

勇者部が少し利用したい。と言うのならと

今回だけは特別、事前申請無しに借りられたのだという

東郷「夏凜ちゃん、楠さん、準備はいいかしら」

その空間に東郷の静かな声が響くと、夏凜と芽吹は同時に頷きながら

互いの手にある二本の木刀を軽く振るう

使い古されたものではあるが、まだ実用性は十分にある木刀

その傷が気になったのか、芽吹は軽く指で撫でて、ため息をつく

夏凜「始める前に、一つ聞いていいかしら」

「答える保障はないけれど」

我関せずと言いたげに目もくれず答えた芽吹は挑発しているようにも見えたが、

夏凜は気にせずに木刀を一本、芽吹へと差し向けて

夏凜「これ、何に見える?」

「?」

最初、何を言っているのかと困惑した表情を浮かべた芽吹は、

何か仕込んでいたりしないなら、と訝しげに呟いて首を振る

「ただの木刀よ」

夏凜「そ……ま、そうよね」

「何が言いたいの?」

夏凜「いや、ただ。あの頃の私と今の楠さん。それが同じかどうかを確かめたかっただけ」


546 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/15(金) 23:18:09.09ZWDBFfVyo (6/9)


まるで理解の出来ない、

迷わせることが目的のようなことをいう夏凜を疑おうとした芽吹だったが

その策略にははまるまいと考えを払拭して自分の木刀を握り締める

夏凜はといえば、何か思うところがあるのか木刀を優しく眺めて――一振り

夏凜「そろそろ始めるわ」

「いつでもどうぞ」

友奈「えっと……ルールは審判がこれ以上は危険だと判断したら……本当に良い?」

夏凜「問題ないわ」

「私も構わないわ。そう言うものよ結城さん」

夏凜のことも、芽吹のことも

心配そうに見つめた友奈は絶対に俺はしないのだろう。と

少し残念そうに「解った」と呟いて

風や樹、東郷、若葉

それぞれ四方で待機して審判の役割を担うみんなを見渡す

樹「大丈夫です、ちゃんと見てますから」

風「任せておきなさい」

東郷「大丈夫」

若葉「いざという時は止める。安心してくれ」

それぞれが不安を抱く友奈に優しく声をかけたのと同時に

夏凜と芽吹がそれぞれの位置に立つ

友奈「…………」

自分の笛のひと吹きで試合が始まってしまうことに緊張しながら、息を吸って

ぱくりと笛を咥えて目を瞑り、そして――甲高い音が体育館に響く


547 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/15(金) 23:34:07.53ZWDBFfVyo (7/9)


夏凜「…………」

「…………」

芽吹と夏凜はすぐに動くことはなく

互いに見詰め合ったまま、ただすぐにでも動けるようにと姿勢は低く、身構えて――

夏凜「――ふっ」

動いたのは夏凜だ

小さな吐息と共に全力で床を踏み飛ばした夏凜は滑るように芽吹へと接近すると、

右足が着地した瞬間に左の木刀を振り下ろし、芽吹が後ろへと引き下がったのを確認することなく

左足の遅れた到着に合わせ――右の木刀を振り上げる

「!」

軽く予想できた一撃目に続いた二撃目

初撃で後ろに飛びのいた芽吹の身体は軸足などなく普通に行けば直撃コース――だが

芽吹はとっさに木刀を衝突させると反動を用いて回避

そして、着地と共に蹴りだして肉薄すると下段からの斬り払いを放つが、

夏凜は回避せずに木刀を衝突させて防ぎ、横薙ぎの一閃

回避しきれないと判断した芽吹は木刀を構えて受け止めようとして

「っ!」

――力強く弾かれた


548 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/15(金) 23:48:46.52ZWDBFfVyo (8/9)


夏凜「せァッ!」

芽吹が耐性を崩していても、関係ないと木刀を振り下ろした夏凜をひと睨みして

「く……っ」

体制を崩した芽吹はとっさに木刀を地面に叩きつけると

それを支えの一つとして体重を預け、床を滑った木刀と共に急降下

床に倒れるか否かの瀬戸際、拳を打ち付けて横飛びに転がって距離を置き、立ち上がって木刀を構える

まだ決定的な一打はどちらにも決まっていないが、平常の呼吸に重ねて深呼吸をする夏凜の一方

芽吹は苛立ちと動揺、自ら打ち付けた拳の痛みと転がった身体のじんわりと広がる痛みに眉を潜める

芽吹は微かに。とはいえ、少しずつダメージを負っているのだ

それも、このほんの数分間で。

夏凜「楠さん……いや、今の芽吹には私の攻撃を防ぎきるなんて出来やしないわよ」

「……何を言うかと思えば」

無駄話。

だが、一切の隙もない夏凜を睨みつつ、深く呼吸をして落ち着けていく芽吹は

ごくりと飲み下して、ため息をつく

夏凜「聞いたじゃない。あんたにはこれがどう見えるかって」

「…………」

夏凜「これはね、天乃の希望であり、勇者部の総意」

「意味が解らない」

夏凜「そりゃそうでしょ。誰かのために何かを背負って戦うようになって初めて、自分の握ってるものがなんなのか解るんだから」

いや、そうじゃないか。と

夏凜は懐かしむように薄く笑みを浮かべながら、

天乃をちらりと見て、首を振る


549 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/15(金) 23:57:16.98ZWDBFfVyo (9/9)


夏凜「そうするようになって初めて、ここに意味が出来る。理由が出来る」

だから、

だから……そう

夏凜の一打一打を容易く防ぎきることなんてできはしない

夏凜「あんたのそれは誰のため? なんのため? あんたが今握ってるのはなんなのよ。あんたは今、何のために戦ってんのよ」

「…………」

夏凜「そんなことも分からないあんたに、私達の生き方をくだらないなんて言う資格なんてないっての!」

精神を責める姑息な手だと、芽吹は苛立ちを募らせて

しかし、動揺する自分がいるからこそ苛立ち、姑息な手だと侮蔑するのだと思って

強く、唇を噛んで夏凜を睨む

何を握っているのか――任された仕事の責任

何のために戦っているのか――大赦の規定のため? 自分の力の誇示?

それは。

それは……

「――黙りなさい!」

夏凜の問いに答えず、考えようとする頭を振り乱して

一心不乱に接近して木刀を振るう

上下左右縦横無尽に

型にはまったものではなく、感情的な粗雑さのある連撃だが、

一つ一つは素早く風を切り開いていく

だが、そのどれも夏凜には掠ることさえしない


550 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/16(土) 00:04:05.30cvgtRI/mo (1/4)


夏凜「……悪かったわよ」

「!」

申し訳なさそうな夏凜の謝罪

それは決定的に芽吹の精神を引っ叩き、その苛立ちゆえの一振りが芽吹の手をすり抜け夏凜の額に直撃する

友奈「夏凜ちゃ――」

天乃「大丈夫」

不安に声を上げた友奈を制するように手を出し、天乃は夏凜から目を離すことなく言う

死ぬようなダメージではないし、予め邪魔はしないようにと言う言いつけ通りに精霊が現れなかった夏凜の額からは、

赤く滲み始めて、少しだけ血が流れ出ていく

「馬鹿にしないで!」

夏凜「馬鹿にはしてないわよ。別に」

戦いの手が止まり、叫んだ芽吹に対して夏凜は困ったように言うと、

額の血を拭って息をつき、木刀を強く握り締める

そして――

夏凜「ふ――っ!」

前触れ無く刀を振るい、芽吹のもう一つの木刀を叩き折って踏み込んで押し倒す

「っぁ!」

小さくあがった芽吹の悲鳴も気にすることなく

まるで人間同士の殺し合いだとでも言うかのように、目に向かって切先を差し向ける

夏凜「――審判」

若葉「…………」

「……まだ全然出来るわ。突き刺すなら刺したら良い。その代わり――」

若葉「いや、ここまでだ」


551 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/16(土) 00:18:09.67cvgtRI/mo (2/4)


夏凜に声をかけられ、芽吹を見つめていた若葉はふと息を吐くと

響くような声で終了を宣言する

ふざけるなと、認められないと

抗議をする芽吹の視線に、若葉は悲しそうな……哀れむ目を向けて

若葉「忘れたのか? これは傷つけあうための試合じゃないはずだ」

「っ……」

若葉「夏凜の問いも戦いではなかったが、それに答えられなかった時点で君の負けだった」

劣るとは言い切れないにしても、自分の敗北したと言う事実を払拭したいと言ったのであればまだ、

強い信念があると言えたかもしれない

この戦いが天乃の行動を阻むか否かの戦いでなければ、きっとその思いで戦うことができたかもしれない

だが、ここにいるのも、阻んだのも

その根本が自分の意志ではなかったために、芽吹は取り乱した

芽吹自身が望んでいること、成し遂げたいこと

その何ものにも、今の自分がやろうとしていることは貢献できないと知って

自分の手にしているものは何も無い空っぽなのだと知って

夏凜「…………」

つい先ほどの謝罪の言葉が精神的に揺らす言葉を投げたと自覚しているからなのだと察して

夏凜はきっと、芽吹を無意味に傷つけたくないと思ったからこそなのだと、天乃は思う

夏凜「勝ちは勝ちだから、行かせて貰うわ。文句があるなら大赦に言えばいいし、また戦いを挑んできても良い」

認めたわけではないのだろう

しかし、動くことのない芽吹を置いて、若葉は天乃を連れ去っていき

残った勇者部の面々は声をかけ辛い芽吹を残し―友奈はかけようとした―体育館を後にする

「……このままでは、尊敬されるような何かなんて」

呻くような芽吹の呟きは誰かに届くことも無く、空気に溶け込んでいった


552 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/16(土) 00:24:14.24cvgtRI/mo (3/4)


√9月1日目 夜(伊集院家) ※月曜日


01~10 沙織
11~20 門前払い
21~30 男性
31~40 沙織
41~50 また明日
51~60 門前払い
61~70 不在
71~80 男性
81~90 沙織
91~00 また明日

↓1のコンマ 


553以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/16(土) 00:25:09.8520LRdQJ6O (1/2)




554以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/16(土) 00:28:42.31ddJtnNFoO (1/2)

サッオリーン


555 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/16(土) 00:33:44.04cvgtRI/mo (4/4)


では、ここまでとさせていただきます
明日は所用でお休みとなるので
再開は明後日日曜日、出来れば昼頃からとなります



夏凜「他人に甘い奴なんて馬鹿らしいと思った」

夏凜「自分よりも他人を優先するなんて無駄だと思った」

夏凜「けど」

夏凜「そんな馬鹿で、無駄な事ばかりする奴はそれが出来るだけの強さを見せつけてきた」

夏凜「抱えるものがあるからこその強さがあるのだと教えてくれた」

夏凜「だから、自分よりも他人を取る馬鹿を取ることが出来る人でありたいと思った」


556以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/16(土) 00:37:56.2020LRdQJ6O (2/2)


夏凜かっこよかった


557以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/16(土) 00:41:20.21ddJtnNFoO (2/2)


夏凜ちゃん最初の頃では考えられない位成長したなあ…
あとメブの葛藤は後々原作でもやりそう


558以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/16(土) 00:49:16.42yt2n8eY6O (1/1)


原作も似たような悩み抱えそう
夏凜の言葉は格好良いな…すげ―や


559以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/16(土) 13:50:56.47wixSy3OMO (1/1)




560 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 13:00:57.73nUizF5Aco (1/16)


では、少しずつ


561 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 13:22:47.41nUizF5Aco (2/16)

√9月1日目夜() ※月曜日


天乃達が通う讃州中学から遠く離れた住宅街の一角

周辺の建物に比べ、一回りか一回り半大きな土地を持つ豪邸と呼べそうな所に、沙織はいた

伊集院家―と言っても父親―の薦めで出会った青年も一緒にいる

というのも、沙織にとって出会ってからの体感時間はだいぶ長いものだが

実際の時間は渋々付き合ったデートから会ってない日数も含めなければひと月にも満たないちっぽけなもので

それゆえ距離感は遠く、互いのことも理解できていないからと

少しでも分かり合えるように、近づけるように。と、二人で暮らすことにしたからだ

しかし、完全な二人きりということもない

沙織は生け花等の所謂絵に描いたようなお嬢様の習い事に関しては、

巫女の件もあるからと習ってはいなかったが、

炊事洗濯等の一般的な技量に関しては―良家の娘として―しっかりと学んでいるけれど

当然、全てを担う余裕があるのかと言われればそうでもない

それゆえに、家政婦もこの家にはいるのだ

もちろん、常駐しているわけではないが。

沙織「…………」

「何か悩み事かい?」

沙織「……いえ、そういうわけでは」


562 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 13:42:41.59nUizF5Aco (3/16)


ぼーっと黒染めされていく外の景色を眺めていた沙織は、

すぐそばからかけられた声にいつものように笑みを浮かべて首を振る

彼は優しい人だ

何かを無理矢理に推し進めるような人間ではないし

ほんの少し無防備な姿を見せても強引に圧しかかるようなこともしない

沙織は一度一緒に入浴するかと訊ね、逃げるように断られたりもしており、

ただ奥手な可能性もあると考えているが……

時と場合によってはしっかりと攻めてくるのだから、やっぱり男なのだろう

しかしいずれにしろ

悪い人間ではないにしても、好青年であるとしても

誰かほかの女性―若い家政婦―が彼の立ち振る舞いに見惚れていても

沙織は一切感情を揺らがせることは出来なかった

人間としてはどちらかと言えば好感は持てるが

異性として考えた途端に急転直下、不快感が上回る

沙織「……仕方がない、よね」

その自分の感覚を沙織は自分で肯定する

好きなものは好きで、嫌いなものは嫌いなのだ


563 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 14:28:57.28nUizF5Aco (4/16)


沙織「ん……」

考えても無駄な事

きっと矯正することは出来ないことを考えていた沙織は

鋭敏な感覚に確かに割り込んでくるものを感じて、小さく声を漏らす

少し呆れた声

でも、分かっていたのだと諦めるような声

沙織「これから友達が来るみたい……ごめんなさい。軽くで良いから準備出来る?」

「準備……というのは」

沙織「うん、貴方を紹介しないと。多分……納得とか、して貰えないだろうけど」

「納得してもらえない……か。伊集院さんのことをよく考えてるお友達なんだね……もしかして男の子かい?」

沙織「まさか。あたしには……私には男の子の友達なんていません。女の子だよ」

沙織の困った表情の中に、身を顰める嬉しさを感じて

青年は合うのが正しいのだろうかと迷うが

沙織の「あって貰わないと困るの」という言葉に頷いて、迎え入れるための簡単な服に着替えなおす

時間も時間だが、

沙織の友人というのであれば無下には出来ない

そして警戒され、拒絶され、

まず【認めないことが前提】であろうその女性をどう説得するべきか

その人にどう認めさせるのか、何が認めさせるに足るのか

青年は考えに考え、息づく

だが

天乃「……夜分にすみません。でも、【私の】沙織がお邪魔していると。聞いたものですから」

その社交辞令的な満面の笑みを前に

天乃「お邪魔、しても?」

青年は美しいと、可愛らしいと思うよりも遥か以前に――頬から伝い落ちる冷汗を感じ取っていた


564 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 15:16:00.00nUizF5Aco (5/16)


沙織は天乃と若葉の目前に普通に姿を表した

客間の明らかな贅沢品と言えそうな立派な机を挟んで、天乃の向かいに座った沙織は

天乃が来たことに動じる様子はない

天乃自身も、沙織が驚かないことに対して特に言うことは無かった

というのも天乃は道中、若葉に「気付かれた」とすでに報告を受けていたからだ

精霊同士でもそうだが、

天乃は力を一時的に喪失しているとはいっても

若葉や沙織の中にいる猿猴との精霊の契りは切れていない為

天乃からは不可能でも、沙織から感知することはできるのである

沙織「夜分にすみません。って言うのは全くだよ、久遠さん」

天乃「…………」

沙織「確かにまだ寝る時間じゃないよ? 良い子がいたらねんねの時間かもしれないけど」

天乃「…………」

沙織「でも、もしかしたらお腹の中に――って、ごめん。冗談だからそんな怖い顔しないで」

天乃は終始笑みを浮かべているだけだったのだが

怯え切った青年を一瞥した沙織は仕方がないと言いたげに息づいて軽く頭を下げる

沙織としては耐えることなど容易だが、隣の彼は無理だという判断だ

笑顔まで崩れたら本気で怒っている証明になるのだが

その前段階、笑顔の静かなる怒りは笑顔の崩れた怒り以上に怖いのだ

沙織「来た理由は分かってるよ。あたしが彼と結婚するつもりだって言ったからだよね」

天乃「……ええ」

沙織「乃木さんの言葉が信じられなかった? 頼んだ伝言に嘘も偽りもないよ。乃木さんが脚色してなければだけど」

平然とそう言った沙織は若葉を一瞥すると

小さく息をついて目線を下げると、首を横に振って

沙織「あたしは結婚する……そう決めたんだ。誰かに言われたわけでも無い。あたしが、あたし自身で考えて決めたことなんだ」


565 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 16:04:38.48nUizF5Aco (6/16)


天乃「…………」

沙織の瞳に嘘の揺れはない

少なくとも、沙織自身の意思で決めたということに関しては

天乃の人を見る目まで損なわれていない限り、本当に嘘ではないということになってしまう

そう考えながら、天乃は自分の掌に爪痕を残すことで心を落ち着けて、一息

脅したわけではないのに、青年は不安げに体を震わせる

天乃「この前は、そこまで話は進んでなかったじゃない」

沙織「でも、久遠さんは言ったよね。好きにしていいって」

天乃「それは」

沙織「だからだよ。だから、あたしは好きにしようって決めたんだ」

沙織の言葉遣いははっきりとしていて

あらかじめ用意しておいたことなのか、考えるようなそぶりも見せない

それは場合によっては言わされているようにも感じるだろうが

沙織の声、表情

そこに含まれる偽りは一切存在していない

天乃「た、確かに。確かに好きにしていいと……でも」

沙織「……泣いても。あたしは他の人のように揺さぶられたりはしないよ」

天乃「泣くつもりなんてない。そんな、同情で貴女に動いてもらおうなんて浅ましい女にまで落ちぶれたつもりはないわ」

そう言いながら、天乃は目元を拭う

そんなつもりはないとしても、泣いてしまう

それは、不可抗力なのだから仕方がない



1、どうして? 何がいけなかったの?
2、あの時はまだ一度抱かれるかどうかだったのに
3、貴女はそれで後悔しないの? 本気でそれで良いって思ってるの?
4、戻るつもりもないの?

↓2


566以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/17(日) 16:06:13.01p/xSOWFRO (1/1)

4


567以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/17(日) 16:08:45.80oFP54fZ7O (1/1)

3


568 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 17:19:22.98nUizF5Aco (7/16)


天乃「貴女は後悔しないの?本気でそれで良いって思ってるの?」

沙織「後悔するかもしれない。でも、今はそれでいいと思ってる」

天乃「後悔するって、なら……」

沙織「するかもしれない。だもん」

沙織は繰り返しそうになると判断したのか

天乃が言葉の繋ぎを躊躇っているうちに沙織は答える

浮かべているのは笑顔だ

崩れることのない笑顔

沙織「そもそも、どんな選択にだって必ず後悔するポイントは存在すると思うんだよね」

天乃「私と一緒にいても?」

沙織「……そう、だね。うん、すると思う」

初めて

そう、天乃がここに来て初めて沙織が言葉に詰まった瞬間だった

余裕を表す笑みが崩れた瞬間だった

困ったような笑みを浮かべる沙織は首を振って

沙織「凄く優しくて、凄く丁寧で、凄く大切にしてくれるんだ。大赦に背いたことをしてるあたしをね。それでもって迎え入れてくれたんだ」

天乃「だから? それだから、彼が良いの? 彼を選ぶの?」

「伊集院さんとの出会いは確かに親に紡がれたものです。ですが、僕は本気で彼女を幸せにしたいと。そう思っています」

天乃「…………」

目を向けられた青年は、

天乃のことを沙織の両親と同等―沙織を想う強さ―と考えてっ丁寧に言葉を紡ぐ

沙織の両親に使うはずだったが、もはや不要とされた覚悟の言葉だ


569 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 17:44:41.38nUizF5Aco (8/16)


天乃「それを、貴女は受け入れたの?」

沙織「うん」

しかし、それでもやはりまだ出会ってからの時間は心許ない

もちろん、青年は沙織を信頼しているし、好意もあるが

だから良いかと言われればそうでもないのだ

両親が構わないと言っていても、

やはり沙織の年齢もあるし、段階をしっかりと踏んでいきたいというものもあるのだ

その点で言えば、同棲というのは聊か性急すぎるものがあるのだが

これはこの際仕方がないことだと青年は思う

「えっと……久遠さんが伊集院さんを大切に思う気持ちは――」

天乃「そんな軽い気持ちでわかるだなんて言ったら、ただじゃ済まさないわ」

「っ」

沙織「久遠さん、止めて」

天乃「……貴女は酷い人だわ。最低よ。沙織」

誰がこうしたのか、誰が変えたのか

天乃は自分の体を強く抱き締めて唇を噛む

気を抜けば呪詛をも呟きそうな、そんな精神状態

天乃「彼は実際に私の気持ちなんて分かるはずがない。なのに、思う気持ちは分かるけどどうかお願いします。だなんて言おうと」

若葉「少し落ち着け」

天乃「私は冷静よ。ええ、大丈夫……平気。だって、冷静じゃなかったら彼の考えなんて読んでられない……でしょう? 違う?」


570 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 18:46:16.73nUizF5Aco (9/16)


若葉「……まったく」

若葉は呆れたように言うと、優しく手を覆うように手を重ねた

天乃の強く握りしめられた拳を解くように

隙間のない指の間に少しずつ指を潜り込ませて

籠城する怒気を解放していく

無血開城とは、行かなかったが。

若葉「君の……いや、貴方の思いを悪いとは言わない。軽いとも言わない。だが、勘違いしないで欲しい。天乃の抱いているものが解るなどと」

「も、申し訳ない……」

若葉「沙織、君もだ」

沙織「…………」

若葉「私の知っている沙織は簡単に離れられる人間か? 私は否だと思う。もちろん、今までの君が偽りであるならその限りではないが」

自分の手がぬるりとした触れたくないもので濡れていく中

若葉は冷静さを保ちながら、問いかける

本当ならここから天乃を連れ出したいと内心思ってはいるのだが

それは何も解決できないとおもうから。

沙織「久遠さんは……ねぇ、久遠さんは結局どうなの? 好きにしていいって言ったのに、こうやって押しかけてきてっ!」

天乃「っ」

沙織は怒っているかのような声色で

叫ぶように天乃へと問う

結局どうしてほしいのか、どう思っているのか、どうなのか


1、一緒にいて欲しい
2、あれは……子供を作るってだけの話だったから
3、だって……私が嫌だって言ったら貴女は従うじゃない。私のお願いに、背こうとしないじゃない
4、嫌よ。彼がどれだけ良い人だとしても。私は嫌。
5、戻ってくるって、戻ってきてくれるって……そう、信じてた
6、沙織こそどうなのよ! 私の身体を好きに弄んで、えっちな体にして、えっちが好きな子にして……満足した? だから捨てるの!?

↓2


571以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/17(日) 18:49:03.08s9rl0ztTO (1/1)

2


572以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/17(日) 18:51:35.108PsyrEUko (1/1)

3


573以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/17(日) 18:52:07.617sCWPUqtO (1/1)

1


574以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/17(日) 18:53:18.17CgKGGE1tO (1/3)

6


575 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 20:45:17.22nUizF5Aco (10/16)


天乃「っ……」

握りしめようとした拳は若葉によって遮られて

天乃はその代わりに唇を固く縛って首を横に振ると、一息

声を荒げたい気持ちはあるし

急く部分はあるが、そうしても何も変わらないと思うから

だから、天乃は一度落ち着いて

自分の拳を握るのではなく、包み込む若葉の手を受け入れて、握る

天乃「だって……私が嫌だって言ったら貴女は従うでしょう? 背こうとしないじゃない」

沙織「……久遠さんの言葉には私への強制力があるって?」

天乃「ええ。そうでしょう?」

沙織の言葉に多少の違和感を感じながら天乃が肯定すると、

沙織は少し残念そうに笑みを浮かべて、首を振る

それはそう、否定だ

沙織「それは違うよ」

天乃「違うの?」

沙織「あたしはただ……ううん、久遠さんはただあたしが否定するようなことを言わなかったししなかっただけだよ」

天乃「でも、この前のは」

沙織「この前の話だって変わらないよ。そうするのも一つの選択だって思ってた。そうするのも悪くないと思ってた」


576 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 21:21:38.21nUizF5Aco (11/16)


沙織は自分の腹部―子宮の位置―を撫でると

天乃へと笑みを浮かべて、首を振る

沙織「でも、流石に言い過ぎたとも思ってる」

天乃「本気だって、貴女は言ってたけど……」

沙織「うん、本気だった」

満面の笑み

沙織の言葉が嘘でも冗談でもないと示すその表情に

天乃は「馬鹿なことを……」と

繰り返しそうになった言葉を飲み込み若葉へと目を向ける

若葉「私を見られても困るんだがな――あ、あぁ、いや分かった、分かったから」

天乃は何か言ったわけではないが、

若葉は一人困った顔、照れくさい顔と

切り替えて、ためいきをつく

その顔はずるい。と、呟かれた気がしたが、

天乃ははっきりとは聞こえずに首を傾げて

若葉「つまり、天乃は沙織に強制するのが嫌で、嫌だと言えなかったんだ」

沙織「……本当に?」


577 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 21:40:07.15nUizF5Aco (12/16)


若葉が言葉を肩代わりしたからか、

沙織は深い疑いの目こそ向けてはこなかったが、聞き返して

天乃はその目を見据えて。

天乃「それは……」

一度、口を閉じる

自分の言葉には強制力はない

それを踏まえて

それを嘘ではないと信じて

若葉「あとは、天乃次第だな」

天乃「……うん」

耳元で囁かれた優しい声に、答えて

落ちついて。と、ため息一つ


1、本当よ。本当は嫌だって。そう、言いたかった
2、あの時嫌だと言っていたら沙織は今ここにはいなかったの?


↓2


578以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/17(日) 21:41:51.99U3qSGSGcO (1/2)

2


579以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/17(日) 21:43:01.05CgKGGE1tO (2/3)

1


580 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 22:19:21.13nUizF5Aco (13/16)


天乃「本当よ。本当は嫌だって……そう、言いたかった」

沙織「……そっか」

沙織は天乃の言葉に喜ぶことなく

むしろ切なそうに呟いて青年へと目を向けると

ごめんね。席、外してくれないかな。と

優しく。しかし強制的に退席を求めて

彼の姿が室内から出て行って数分

沈黙した沙織はふと息をつく

沙織「あたしが子供の件を話した理由はね。お父さんから伊集院家はどうなるんだと、どうするんだと詰め寄られたからなんだ」

天乃「……うん」

沙織「なら、子供を産めばいいの? 後継さえ残せばあたしはどうでも良いの?って」

分ってはいたことだけど。と

沙織は寂しそうに呟いて喜楽の微塵もない笑みを浮かべる

沙織「お父さんにとって伊集院沙織は伊集院家の過去と未来を紡ぐ紐のようなものでしかないんだ」

若葉「そんなこと」

沙織「だから、たった一回抱かれればいいんじゃないかって、子供作って産んでさようならしたらいいんだって」

そう思ったんだけどね。と沙織は続ける

沙織「お父さんも最初はそれを認めた。それでも構わないと」

天乃「なら……」

沙織「でもね、聞いちゃったんだよ。ほら、猿猴の力もあるあたしって感覚が普通の人よりも凄いから」

天乃「何を聞いたの? 嫌がってた貴女が結婚を――」

沙織「あたしを前例として、三好さん達にも優秀な次世代を産んで貰うって話」

沙織が苦笑交じりに言った瞬間、天乃の背後でバキリ。と、嫌な音が響いて

何かが床へと散らばっていく


581 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 22:43:28.35nUizF5Aco (14/16)


若葉「――滅ぼすか?」

音の発生源は若葉の左手だった

天乃に握られた手の分まで力を込めた左手は

木製の椅子の木でできた部分を容易く握り砕いたのだ

そのうえで冷めた声、鋭い瞳で言う若葉に

沙織は「まぁまぁ」とまるで他人事のように歯止めをかけて

沙織「久遠さんも聞いたんだったよね。壁外調査の話」

天乃「ええ」

沙織「ということなんだよ。大きな戦い以降は壁外調査へとシフト。同時に勇者部世代の時に用意されていた候補者に端末を譲渡して勇者も総入れ替え」

天乃「……なるほど」

沙織「勇者部の皆さんにはもう手出ししません、援助もします。ただし優秀な後継をどうぞ授かり下さいませ」

若葉「それは……それは、大赦の計画か? 流石に……いや、流石に、だな。さすがに……ッ」

怒りを堪えきれないと言った苦悶の表情を見せる若葉に

沙織は「一部だけどそうだよ」と困り果てたように答える

沙織の父親も一応は大赦に携わっている人間なのだから

彼のみの計画であっても、肯定するが。

沙織「その迷惑の発端になるくらいなら、あたし一人が久遠さんとの関係を断ち切ればいいのなら。気持ちが悪くてもいいやって、思ったんだ」

確かに、伊集院家以外の家に関しては大赦に深く根付いているわけではないからか

もうすでに挨拶なしに天乃との交際を認めてくれている

沙織が離れれば問題なくなるというのも、事実ではあるが……

天乃「そんなの、駄目よ」

沙織「そうだよね」


582 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 23:06:10.33nUizF5Aco (15/16)


沙織「なら、久遠さんはあたしのお父さんを説得できる?」

天乃「やっぱり、最終的にはそこなのね」

いつかはやらなければいけないと思っていたこと

しなければいけないと思っていたこと

改めて示されたそれに、天乃は苦笑をする

勇者としての戦いから

人間として、誰かを愛し欲するものとしての当たり前の戦いへと変わったのだ

沙織「前に話して分かったと思うけど、難しいよ?」

天乃「ええ」

沙織「凄く面倒だよ?」

天乃「うん」

沙織「もしかしたら見捨てた方が良かったなんて――」

天乃「後悔はしないわ」

沙織「そっか……そっか。あたしは後悔するよ」

沙織は皮肉のように呟いて、笑みを浮かべる

沙織「こんな面倒ごとがあっても追いかけて来てくれる人を、あたしは裏切ったんだって思い続けるから」

天乃「そうやって後悔をした後に膝を抱えるか先に進もうとするか。人の成否はそこにあるのよ」

諭すような一言に沙織と若葉は頷く

天乃も後悔したことはたくさんある

その中には膝を抱えたこともあるし、突き進もうとしたことだってある

今だって後悔した後に膝を抱えるのを止めた結果だ

だからこその言葉を受けて

沙織「もう少し後悔してくるよ。またね……ちゃんと。久遠さんのところに戻るから」

沙織はそう言って、青青年の元へと向かったのだった


583 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/17(日) 23:13:54.43nUizF5Aco (16/16)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


開始直後に一日のまとめ
2日目開始直後は大赦交流


大赦「ということで、優秀な遺伝子ということで選ばれた春信くんだ」

大赦「君には勇者の少女たち全員と肉体関係を持って貰う。確実に子供を作り給え」

大赦「心配することはない、生まれた赤子の世話は我々が行う。君はただ少女を犯し孕ませれば良い」

春信「や、止めてくれないか?」

園子「駄目だよ~私を自由にしない代わりに何でもするって言ったのは誰だったかな~」

春信「だ、だが演技とはいえ……中学生を……あまつさえ実妹の相手をした脚本は……」

園子「そう言うこともあるよ~」

夏凜「あってたまるか!」


584以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/17(日) 23:17:36.97U3qSGSGcO (2/2)


さおりん救出作戦開始だな


585以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/17(日) 23:29:27.88CgKGGE1tO (3/3)


春信さん前作では本当に中学生(久遠さん)を孕ませてたな
その反動か今作は凄く出番が少ないからそろそろ活躍がみたい

そしてさおりん父の凄まじいゲスっぷりよ


586以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/18(月) 00:27:36.24jgRiv7uh0 (1/1)


伊集院がどの辺から大赦に食い込んでるのかわからんがちょっと大赦中枢ガバガバすぎない?


587以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/18(月) 06:01:58.86zwF7C/GbO (1/1)

伊集院は結構上じゃないの?
まぁ力の強い子の後継が出来ないってのは人類存続させる上では致命的だしその為なら…てのはあるんじゃない?

大赦は良かれと満開の後遺症を黙秘し防人を道具扱いするからなぁ…(原作)


588以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/18(月) 12:28:46.474f9B7wuR0 (1/1)

乙乙
大祓ぁ…(呆れ)


589以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/18(月) 16:38:25.80k+lJjRaXO (1/1)




590以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/18(月) 20:10:48.20qkeOTzCN0 (1/1)


それで結局さおりんはどこまで行ったんですか!?


591 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/18(月) 22:20:22.32WgUB06eMo (1/6)


では少しだけ


592以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/18(月) 22:22:03.742UYklkhDO (1/3)

よしきた


593 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/18(月) 22:27:16.96WgUB06eMo (2/6)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流有(沙織について)
・   犬吠埼樹:交流有(沙織について)
・   結城友奈:交流有(交流)
・   東郷美森:交流有(沙織について)
・   三好夏凜:交流有(沙織について、お願い)
・   乃木若葉:交流有(生徒、連れて行って)
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流有(再会、拒絶)
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()



9月1日目 終了時点

乃木園子との絆 54(高い)
犬吠埼風との絆 77(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 63(とても高い)
結城友奈との絆 85(かなり高い)
東郷美森との絆 87(かなり高い)
三好夏凜との絆 111(最高値)
乃木若葉との絆 83(かなり高い)
土居球子との絆 38(中々良い)
白鳥歌野との絆 35(中々良い)
藤森水都との絆 27(中々良い)
  郡千景との絆 30(中々良い)
   沙織との絆 86(かなり高い)
   九尾との絆 52(高い)
    神樹との絆 9(低い)

汚染度???%


594 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/18(月) 22:37:31.23WgUB06eMo (3/6)

√9月2日目朝(特別病棟) ※火曜日


朝になって目を覚ました天乃の視界に映るのは、もはや見慣れた特別病棟の天井だった

昨夜天乃が帰宅―どちらかと言えば連れ戻された―したのは病棟の方で

自分の家に戻ることは許されなかったのだ

芽吹の制止を振り切って沙織の元に向かうことを強行したのだから

それも止むなしというところではあるため、天乃は不快感を飲み込んでため息をつくと

軽く寝返りを打って――

「――お目覚めですか」

天乃「きゃぁっ!? えっ? な、なに、だれ!?」

寝ぼけ眼に映った大赦の仮面をつけた神官は恐ろしく不気味で

天乃は妖怪に怯えた少女のように悲鳴を上げて、布団をかき集めて抱きしめる

布団を抱くのは少しでも何かに包まれていたいから。だろうか

「ご安心下さい」

天乃「はぁ……な、何が安心……出来るのよ」

「私は久遠様に何も行ってはおりません」

天乃「そう言う問題じゃないわ」

大赦の言葉はそう易々と信じることができないということは置いておいたとしても

眠っている間傍に立たれていたというのは恐ろしくて、不安だった


595 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/18(月) 22:52:09.80WgUB06eMo (4/6)


天乃「それで……なんで、居るの」

まだ動揺する心を落ち着けるために深く息をしながら抱いた疑問を神官へと向けると

神官は軽く一礼してから「昨日のことですが……」と切り出す

「あのような行動はお控えいただきますよう、願います」

天乃「……それ、だけ?」

「久遠様は真実だとすれば、妖怪との子を身籠っていることになります。それに対し、あるいはそれ以外に対し影響を及ぼす可能性があります」

天乃「沙織に会う程度じゃ――」

「前例がありませんので、断定は出来かねます。ゆえに世話係の指示にはしっかりと従っていただきたいのです」

要するに「勝手な行動はするな」ということである

悪影響があるなどと言う心配など、周りに対してはともかく

天乃の身体に関しては社交辞令に等しい心配である可能性さえある

もちろん、それは邪推が過ぎるかもしれないが……

天乃の力が損なわれたのは検査で把握できているからそれを疑っていることはないだろうが

いつ取り戻せるのか不確かな以上

下手に自由にしておくのは……と言うところだろう


596 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/18(月) 23:07:12.57WgUB06eMo (5/6)


天乃「ねぇ、それを断ったらどうなるの?」

「久遠様のお世話係を追加で用意することになるかと」

天乃「そう……それだけの人材がいるの?」

「少々不安は残りますが、いないことはありません」

天乃「なるほど……ぅん?」

問いかけるだけだった天乃は考え込むように頷いて、ふと気づく

自然な会話だったから気に留めるほどではなく素通りしていたが、

思えば

大赦の神官が【当然のように】疑問に答えるのは明らかにおかしいのだ

天乃「その情報……流して平気なの?」

「え、あ……は、はいっ久遠様でしたら」

ある女性神官のような無感情、無機質ではなく

好きな芸能人に出会えた少女のような上ずった声で答える神官の仕草を見て

天乃は困惑した様子で首を傾げる

――明らかに、おかしい

天乃「でも、私への対策なのよね?」

「はい、その通りです」

天乃「……?」

堂々とした態度でいうのだから問題ないのだろうか

それとも天乃の知らないところで何かがあったのか

天乃は少しの違和感を感じたまま、じっと神官を見つめて


1、寝ているときに何かしたの?
2、なぜ私に話しても平気なの?
3、ねぇ、追加で派遣させる世話係ってどんな人?
4、沙織や友奈たちの子孫に関する問題、貴女は聞いてないの?

↓2


597以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/18(月) 23:07:54.497XUfY+dZO (1/2)

1


598以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/18(月) 23:08:21.022UYklkhDO (2/3)

1


599 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/18(月) 23:21:20.40WgUB06eMo (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


千景「あれは……」

九尾「知らんぞ」

千景「まだ何も言っていないわ」

九尾「見たじゃろ?」

千景「ええ、貴女しかいないから」


600以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/18(月) 23:24:36.422UYklkhDO (3/3)


瞳さんではないのか…この人は一体何者なんだろう?


601以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/18(月) 23:24:40.537XUfY+dZO (2/2)


久遠さんかっこいいから仕方ないね


602以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/19(火) 00:39:41.67VwZuzXVP0 (1/1)


仮面に変声機が付いている可能性もまだ...


603以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/19(火) 15:54:10.9171P6XGLBO (1/1)




604 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/19(火) 21:49:52.88Lc/CteBio (1/8)


では、少しだけ


605以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/19(火) 21:58:24.57Xaq4Ki+MO (1/3)

きてたー


606 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/19(火) 22:03:56.52Lc/CteBio (2/8)


天乃「寝ているときに何かしたの?」

「そ、そんな恐れ多いことなど……」

天乃「本当に?」

何もかもに対して疑いをかけているわけではない

ただ、女性神官の動揺があからさまだから

これは何かしているのだろう。と、そう考えているだけだ

それに加えて包み隠さずに―秘匿命令は受けていないのかもしれないが―話してくれるのだから

疑われても仕方がない

仮面をつけているために表情をうかがうことはできないが

その奥で息を飲んだのを感じた天乃は目を細めて睨むように神官を見る

沙織達ではないのだから、寝ている間に淫らなことをされたなんていうことはないと天乃は思うが

しかし、自分の知らない間に何かされていたかと思うと、

不安で恐ろしくて全身が粟立っていくのを感じる

素肌に触れる一切を剥ぎ取って不安の全てを拭いたいとさえ思うくらいに。

「ただ久遠様があまりにも無防備にお休みになられていましたのでご鑑しょ……いえ、見守らせて頂いていただけです」

天乃「何を言いかけたのよ」

「い、意味は変わりませんが、言葉がすぐに浮かびませんでしたのでご鑑賞と言う言葉を使おうかと」

天乃「……意味、変わらない?」


607 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/19(火) 22:17:34.44Lc/CteBio (3/8)


鑑賞と見守るでは意味が色んな意味で変わってくる気がする上に

そこまで震えてはいないが、動揺と嘘の色が混じっていると天乃は感じて

疑いの目を向けたまま脅しをかけるようにため息をつくと

神官の方から恐怖に竦んで息を飲む音が微かに空気に交じる

そして

「ほ、本当に久遠様のお体には何も……そんな不敬なことは一切しておりません!」

天乃「は? えっ?」

感情を大きく震わせながらの神官の仕草に天乃は驚いて間の抜けた声を漏らす

理由としては疑いを拭い去ることができなければ罰せられる可能性もあるという恐怖ゆえに。だろうか

女性神官はその場に跪いたのだ

「確かに、そのような劣情を抱かなかったといえば嘘になります。ですが、なにもしておりません」

天乃「劣情って……貴女、いや、えっと……待って」

激流に流されそうな感覚を覚えた天乃はいずれ痛むであろう頭に手を宛がいながら、

女性神官に待ったをかけて一息つく

劣情とはつまりそう言う気持ちを抱きながら

自分の寝顔を見ていたということになる

その時点で身を引きたい気持ちがある天乃だが、

残念ながら自力では逃げ切れないし、酷いことをされる可能性まで出てくる

最悪、精霊を呼べば―現時点で居ないのが不穏だが―なんとかなるだろう


608 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/19(火) 22:37:12.57Lc/CteBio (4/8)


天乃「貴女が嘘を語っていた場合、貴女も聞いたことはあるだろうけれど精霊が貴女を断罪する。解ってるわね?」

「はい」

天乃「その上でもう一度聞くわ。本当に何もしてない?」

「誓って」

そう言った神官はもう一度額を床につける

こういう場合は謝罪というよりも信じて欲しいからだろうが

自身の権力を振るおうという気の無い天乃にしてみれば

ただただ仰々しくて恐れてさえしまいそうなものだった

「年齢に見合った愛嬌のある寝顔でした。一定のリズムで呼吸をして時々小さく声を漏らしては優しく微笑んで。
 話に聞くような他人に厳しい恐ろしさなんて微塵も感じない少女の穏やかな寝息で
 何か急用があったとしても憚られるといいますか、確実に躊躇うような……しかし、
 頬には指を突いてみたいという好奇心を抱かせる柔軟性を感じる膨らみがあって――」

天乃「う、うん。解った。解ったわ。貴女が語りたいのは良く解ったから要約してくれる?」

聞いていないのに長々と語る神官

その全てが自分の寝顔に関してもので

天乃は恥ずかしさに頬を染め、手で顔を覆うようにしながら促すと

神官はすみません。と謝罪を口にして

「久遠様の安眠を妨げるなど言語道断だと思います!」

天乃「そ、そう」

力強く答えた神官に天乃は困り果てた様子でため息をつくと

首を横に振って目を逸らす

何が起きたのかまったく解らない

しかしながら、彼女になにかがあったのは確実だった


609 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/19(火) 22:47:32.41Lc/CteBio (5/8)


天乃「何があったのかしら……」

深く聞きたい気持ちと、深く入り込まない方がいい恐怖心

挟まれた天乃は結局神官に大本のことを聞くことはできなかった

ただ、天乃に対して害意―劣情はともかく―はなかったのだから

このまま放置してもいいかもしれないと天乃は思う

大赦の情報を流すだけなら、いってしまえば夢路瞳のようなもの

下手に突っ込んで余計なことになるのは避けるべきかもしれない

天乃「とはいえ、気にはなるのよね」

仮面をつけている以上どんな人物か不鮮明ゆえに断定は出来ないが

天乃が仮面をつけていない神官になにかした可能性もある

それ次第では、もうすでに面倒なことになっている可能性も否定できない

天乃「あーもう……なんなの。なんなのよあの人。気になるじゃない……というか、怖いわよ」

自分が寝ているすぐ横で

知らない人が劣情を抱きながら佇んでいたのだから

そもそも聞かなければ良かったという後悔に身震いして、

天乃は抱き寄せていた布団を手放して、身体に触れる

天乃「ま、まぁ……何かしてたらみんなが助けてくれる。わよね?」


610 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/19(火) 22:51:11.24Lc/CteBio (6/8)


√9月2日目 朝() ※火曜日


01~10 
11~20 若葉
21~30 
31~40 男子
41~50 
51~60 沙織
61~70 
71~80 樹海化
81~90 
91~00 芽吹

↓1のコンマ 


611以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/19(火) 22:51:46.30RDYiLcAwO (1/2)




612 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/19(火) 22:58:21.28Lc/CteBio (7/8)


では、朝の追加交流を飛ばして昼に移ります


√9月2日目 昼() ※火曜日


01~10 風
11~20 
21~30 若葉
31~40 
41~50 沙織
51~60 
61~70 芽吹
71~80 
81~90 夏凜
91~00 

↓1のコンマ 



613以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/19(火) 22:59:03.50Xaq4Ki+MO (2/3)




614 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/19(火) 23:12:08.68Lc/CteBio (8/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


芽吹「駄目です。久遠様は規定違反によりしばらく接触は――ひゃあっ!?」

沙織「邪魔……しないでよ」

芽吹「やっ、ちょ、どこを……やめ、いい加減にっ……んっ!」

沙織「楠さんに鋼の意思があるというのなら、それを持って邪魔をするのなら」

沙織「あたしがこの手で溶かしてあげる。心も体も、ぐちゃぐちゃにかき乱してあげる……さぁ、楠さんの大好きな戦いを始めよう」

芽吹「ふ、ふざけないで……こんなことで。私は折れたりしないわ!」


615以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/19(火) 23:19:04.84Xaq4Ki+MO (3/3)


メブは夏凜ちゃん以上にくっころ向きな性格してるなw

それにしても大赦の人はなんだったんだ…正体が本気で謎なんだが


616以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/19(火) 23:19:55.00RDYiLcAwO (2/2)


女騎士かな?


617以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/19(火) 23:20:13.96JeNhMnPaO (1/1)


これは良いくっころ…
しかしあの大赦の人は何者なんだろ


618以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/19(火) 23:26:12.50STGKXCt0O (1/1)


完璧なくっころや…
大赦の人は九尾になにかされたんやないの?九尾が情報源手に入れた的なことどっかで言ってたし


619以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/20(水) 16:25:58.56SNVDnLnfO (1/2)




620 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/20(水) 21:52:49.684/cAQpeVo (1/7)


では少しだけ


621以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/20(水) 21:54:11.70E+WXqCpmO (1/3)

あいよ


622 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/20(水) 22:11:24.914/cAQpeVo (2/7)

√9月2日目昼(学校) ※火曜日


朝から来ていた沙織だったが、若葉の言っていた公欠という特別な欠席の件もあって

落ち着くことが出来るのは昼休みからだった

授業中に天乃にちょっかい出すことも不可能ではないが、それは何か違う

沙織「くっおっんっさーん!」

天乃「ちょ、ちょっと!」

前のドアから出て後ろに回り、呼びかけながら抱き着くと

もう当たり前になった可愛らしい悲鳴と動揺に震える声

ちょっぴり怒ったような表情に迎え入れられて

沙織「すりすり~」

天乃「さ、沙織っ」

沙織は堪えきれない嬉しさを表すように頬擦りする

場所は教室、昼休みの真っただ中

風はともかくクラスメイトの目もあるというのに、沙織は容赦なくて

皆が見てるからと焦る天乃だが、周りと言えば二人の関係を疑ったりするどころか

満場一致で【沙織なら仕方がない】と言いたげに呆れ顔で笑みを浮かべていた

沙織の天乃に対する好感度が振り切れていることなど、すでに周知の事実だったのだ

「……私もやりに行っていいかな、柔そう」

「こらこら」

そして、そのクラスメイトもやりに行こうとする始末で。

一時期の壊れた姿、大赦によるお役目

色んな事を知らないが、知ってもいるクラスメイトにとっては

天乃が当たり前のように教室にいて、楽し気に過ごしているというだけで満足だった



623 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/20(水) 22:25:13.634/cAQpeVo (3/7)


天乃「もうっ……少し離れて」

沙織「まだ5%しか補給できてないんだけど……」

天乃「はいはい」

引っ付いてくる沙織に手を押し当てて引き離すと、乱れた制服を軽く正して一息

困ったように沙織へと目を向けた天乃は小さく笑う

昨日はいなかった。その前もいなかった

でも、今日はいるのだ

ようやく戻ってきたと実感が沸いてきて、天乃は目を逸らす

天乃「公欠の件は問題なかったの?」

沙織「大丈夫だよ。大赦の根回しに関しては解除すると向こうに伝わっちゃうくらいだからね」

公欠の取り消しは認められません。なんてわけの分からないことは出来ないだろうし

仮に出来たとしても沙織自身を通わせないことはできないのだから

これで伊集院家は動くだろうし、天乃に手を出す可能性も低くは無いが

そこはもう、天乃も覚悟の上だ

天乃「何か言われたりは?」

沙織「してないよ。まぁ、本当に大丈夫なのか? って不安そうではあったけど」

天乃「でしょうね」


624 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/20(水) 22:42:28.694/cAQpeVo (4/7)


天乃「あの人は、大丈夫?」

沙織「どうかな……ショックは受けてたけど」

沙織は彼との結婚の話を完全に白紙に戻した

青年からの反対も覚悟をしていたし

承諾しておきながら無かった事にするというのは裏切り以外の何ものでもないからと

彼との肉体的な交わりをすることも視野に入れていた

だが、青年は残念そうではあったものの抵抗無くそれを受け入れた

できることの全てを行ったとは言いがたい

だが、自分の思いの丈を伝えて、距離の詰まっている間に出来るだけ行動に移し

それでもなお天乃を認めさせられなかったし、沙織の心を動かすことはできなかったから

自分の傍に寄り添ってくれているのが何よりも嬉しい

だが、それが幸せでないのなら意味が無いから。と

沙織「ううん……大丈夫だと思う」

異性に対しての不快感は拭えない

しかし、それでも数人は認めても平気だと沙織は思う

もちろん、天乃との関係を認めるのかは……別だが


625 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/20(水) 22:51:54.584/cAQpeVo (5/7)


「久遠さ……久遠先輩」

天乃「ん」

沙織「連れて行かせないよ?」

「傍にいなければいけないので」

沙織の反抗心ある視線を受けても、芽吹は気にすることなく平坦に答えて天乃を見る

役目を全うできなかったことへの自責の念に駆られている様子は見受けられないが

どこか、不安定にも見えて

天乃は手を伸ばそうとしたが、沙織の手がそれを掴む

そうなる根本的な原因は天乃にある

だが、それはただ沙織に会いたいというだけの極当たり前の願い

それを勝手に阻害して、打ち砕かれた芽吹に対して責任を感じる必要など無い

天乃「えっと……」

「役目に変更はありません。継続して私が世話係の任につきます。異論は?」

天乃「ないけど……」

あってもどうせ認められないが。

「あのような行動は控えて下さい。学校に通いたいのであれば」

沙織「脅してるの?」

「忠告です。そう伝えろと」


626 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/20(水) 23:05:35.954/cAQpeVo (6/7)


淡々とした口調で述べる芽吹は、天乃のクラスメイトであり、上級生である周囲の視線を感じながら

我関せずと天乃の正面の空席を借り受けて、手持ちの弁当を机に置く

と言っても、栄養面重視で味や見た目を度外視したチキン類―コンビニ商品―とかで

昼食……特に成長期に食べるような昼食ではない

天乃「それが、楠さんのお昼?」

「はい」

天乃「そう……なんだ」

同じくストイックな感じで生きていただろう夏凜は

瞳が一緒に生活しているおかげで

栄養面に加えて見た目と味にもしっかりと拘ったお弁当を持参していたが、

芽吹にはそう言う相手がいないのかもしれない

それは寂しいのではと、天乃は思う

天乃自身が一人きりと言う孤独が苦手なのもあるが。

沙織「あたしのおかずを――」

「結構です」

沙織「そう」

最初こそ明るく声を出した沙織は芽吹の態度に適してか

興味を失った冷めた声で呟き笑みを浮かべる

内心では不快感が募っているだろうと、天乃はなんとなくだが感じた


1、一人は寂しくないの?
2、私はただ出来て当たり前のことを求めただけ。悪いことをしたなんて思わない
3、ねぇ、どうして誰かのためにあろうとすることがくだらないと思うの?
4、貴女は勇者になりたかったの?
5、ねぇ、ところで沙織はあの男の人とどこまでしたの?


↓2


627以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/20(水) 23:06:55.64lSbRXjHJO (1/2)

5


628以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/20(水) 23:07:46.42SNVDnLnfO (2/2)

5


629以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/20(水) 23:09:51.92E+WXqCpmO (2/3)

3


630 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/20(水) 23:19:29.714/cAQpeVo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「ねぇ、彼とはどこまでしたの?」

沙織「えっ、あー……それは」

ダンッ

沙織「わっ」ビクッ

天乃「……どこまでしたのって、聞いたのだけど」

沙織「ぁ、う……い、いや、べ、別にどこまでも……」

天乃「嘘だ!」ダンッ

沙織「ひぃっ!?」


杏「という流れが……」

夏凜「いや、今の天乃には無理でしょ。せいぜい沙織に体に教えてあげる。とか言われて押し倒されるくらいだわ」


631以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/20(水) 23:21:29.60lSbRXjHJO (2/2)


逆ならあるな


632以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/20(水) 23:26:29.65E+WXqCpmO (3/3)


立場逆転か…なにそれ超見たい

もしも肉体関係になってたらクラスが大騒ぎになりそう


633以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/21(木) 17:05:23.17JrB/czA5O (1/1)




634 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/21(木) 22:11:57.76prumo4dbo (1/9)


では、少しずつ


635以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/21(木) 22:12:54.80Djvu8hKtO (1/4)

いえす


636 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/21(木) 22:20:46.51prumo4dbo (2/9)


触れても突っぱねられてしまいそうな世話係から沙織へと目を向けた天乃は

小さく息をついて、味のしない食事を一口噛み締める

沙織には聞きたいことがある。とても気になることがある

けれど、それを聞くのは互いにとって嫌なことを掘り返すことになるし

その答え次第では大小の差はあるだろうが、傷つくことにもなるだろう

そう思う天乃は無心で一口分に切った卵焼きを口に運ぶ

天乃の弁当を用意したのは九尾ではなく大赦側の誰かだ

天乃の味覚がないことを把握しており、

加護のない天乃の体に支障が無いようにと栄養を考えられて作られた弁当は見た目こそしっかりとした弁当だが

その味はどうなのか分かったものではない

もちろん、不味かろうが上手かろうが、じゃりじゃり、がりがりと言うような失敗作でない限り

天乃にはどちらも大差のないものだが。

天乃「……ねぇ、沙織」

そんな味気ない食事を中断して、天乃はやっぱり。と思いを決めて目を向ける

声をかけられた沙織は「どうしたの?」と食事の手を休めることなく問う

しかし、その声は何かを悟っているかのようだった

天乃「あの男の人とはどこまでしたの?」


637 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/21(木) 22:33:57.45prumo4dbo (3/9)


沙織「ん……」

ピクリと。

注視していなければ気づかないほど微かに体を揺らした沙織は、

止まった箸を動かしておかずを口に入れると、「そうだなぁ」と茶化すように呟く

沙織「気になるんだ」

天乃「気になるっていうか……」

沙織「うん?」

天乃「っ……」

問い質したわけでもない沙織の仕草に天乃は頬を赤く染めて目を逸らすと

弁当の上に乗せていた箸を掴んでご飯を一つまみ口に運ぶ

食べながらと言うのはあまり褒められたことではないのだが

何かと分散していないと、話し難くて

沙織「普通、前に付き合ってた人とどこまで行ったのか。なんて聞かないよ?」

天乃「それは……知ってるけど」

沙織「じゃぁ、どうして聞いたの?」

天乃「……気になったから。とかじゃ、だめ?」

天乃が言うと、沙織は「んー」と考えるそぶりを見せて

沙織「理由としては弱いかな」

苦笑を浮かべる

考えたのは見せかけだとそれが示していて

天乃は少し、怒ったように唸る


638 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/21(木) 22:45:44.54prumo4dbo (4/9)


沙織「もしかしたら嫌なことまでしてるかもしれない。それをね、興味本位で聞かれるのは嫌なことなんだよ」

それは恋愛に限らないけど。と沙織は言う

誰かが何かを抱えているとして、そこに手を差し伸べること自体が間違ってるわけではないが

その何かを開示することを強要するのは結局、相手のストレスにしかなっていないのだと

沙織「だから、久遠さんが興味しかないなら話したくない」

天乃「…………」

沙織は笑みこそ浮かべているが、語ったことは本心なのだろう

茶化すような色も、冗談にするような雰囲気も無い

しかし、同時に罪悪感が顔を覗かせていて

天乃は唇を一旦引き締めると、箸をもう一度弁当の上に乗せて、息をつく

目は真っ直ぐ、沙織へと向けて

天乃「沙織は、あの人との付き合いは嫌なことだったんでしょう?」

沙織「……そうだね。自分で選んでおきながら、なにを言ってるんだろうとはおもうけど」

天乃「だから、私は沙織のそれを知りたいのよ。その傷は私のせいでもある。私の責任でもある。私以外の誰かに、それを癒す役目を投げたく無い」

天乃は先ほどまでの押し隠し、照れくささを滲ませた表情を一新させていて

その、自分が心奪われたものの姿に、沙織は笑みを浮かべる

天乃「ましてや、現実逃避をして時間が癒してくれるなんて考えに甘えたくない。貴女の覚悟を奪い取ったのだから……貴女の分まで背負うのが私の責任でしょう」

沙織「……そっか、試すようなことしてごめんね」

沙織に見えた罪悪感はそれなのかもしれない

申し訳なさそうに一言謝った沙織は、自分の唇に触れる

沙織「一緒にお風呂に入った、エッチなことはしてないけど、一緒にも寝たよ。それと……キスもした」


639 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/21(木) 22:58:02.45prumo4dbo (5/9)


後からやっぱり嫌だとならないように

自分の覚悟をしっかりとしたものにするために

決別の意味も込めて、沙織はあの青年と唇を合わせた

それから積極的に触れ合うようにした

不快感も嫌悪感も全てを上塗りするために、頑張ったのだ

天乃「……馬鹿ね」

沙織「…………」

天乃「ううん……ごめんね」

自分が不甲斐ないばかりに、負担をかけてしまったのだと

天乃は一度戒めの意味も込めて唇を噛み、沙織の頬を拭う

天乃「でも、もう大丈夫」

沙織「……うん」

頬に触れる天乃の手に自分の手を重ねて……沙織は微笑む

学校じゃなければ

教室じゃなければ

2人きりだったのなら

そう思いながら、顔を近づけて、額と額を軽くぶつけた

天乃「今度、ね」


640 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/21(木) 22:59:25.73prumo4dbo (6/9)


√9月2日目 夕(学校) ※火曜日


01~10 
11~20 クラスメイト
21~30 
31~40 若葉
41~50 
51~60 芽吹
61~70 風
71~80 樹海化
81~90 
91~00 夏凜

↓1のコンマ 


641以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/21(木) 22:59:55.28Djvu8hKtO (2/4)




642 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/21(木) 23:09:31.50prumo4dbo (7/9)

√9月2日目 夕(学校) ※火曜日



芽吹「昨日の今日です。寄り道せずにまっすぐ戻ることを推奨しますが」



1、部室へ
2、大人しく帰る
3、沙織
4、若葉
5、九尾
6、イベント判定

↓2


643以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/21(木) 23:11:02.06eTR74oF/0 (1/1)

1


644以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/21(木) 23:11:23.02Djvu8hKtO (3/4)

6


645以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/21(木) 23:11:24.86Qq7KeXOUO (1/3)

3


646 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/21(木) 23:23:02.46prumo4dbo (8/9)


01~10 沙織
11~20 九尾
21~30 クラスメイト
31~40 風
41~50 友奈
51~60 芽吹
61~70 若葉
71~80 千景
81~90 樹海化
91~00 大赦

↓1のコンマ 


647以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/21(木) 23:23:47.45Qq7KeXOUO (2/3)




648 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/21(木) 23:35:04.67prumo4dbo (9/9)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



天乃「沙織……」

沙織「久遠さん……」

女子(するのかな、するのかなっ、するのかな!?)

男子(前々から怪しいって思ってたけどやっぱりか!)

女子(いけっ、やっちゃえさおりん!)

男子(あれくらいならまぁ……って感じだけど、なんかえろいよな。あの二人がやってると)


649以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/21(木) 23:37:17.76Qq7KeXOUO (3/3)


言ってもなんにもないだろと思ってたからちょっと衝撃だった
ますます沙織帰省編を沙織視点で見たくなっちゃった


650以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/21(木) 23:47:08.80Djvu8hKtO (4/4)


一緒にお風呂に寝てキスもしてるとかえっち一歩手前までしてたのか…ほっといたらそのまま子作りまでいってたのだろうか

メブには悪いけどさおりんと二人っきりの時間が欲しいなあ


651以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/21(木) 23:53:13.941/bd086fo (1/1)


むしろよくそこまでやって青年の方が我慢できたなと、鉄の精神だぞ
ただ伝聞じゃどんな状態だったのかうよくわかんないなー
すごい好物なんで時間あったらちょっと描写してくれください(チラッ


652 ◆BT63SEH4KsDo2017/09/22(金) 00:16:56.48nUoJaVzN0 (1/2)


こうなったら上書きのために久遠さんもさおりんと一緒にお風呂入るしかないな!なんか介護っぽくなっちゃうけどさおりんなら問題ないはず!


653以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/22(金) 00:17:30.00nUoJaVzN0 (2/2)

すまんsage忘れた


654以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/22(金) 17:55:10.95sapnvrKCO (1/1)




655 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/22(金) 21:55:53.11TfzDG2KCo (1/6)


では少しだけ


656 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/22(金) 22:02:54.37TfzDG2KCo (2/6)

√9月2日目夕(学校) ※火曜日


天乃「はぁ」

HRが終わって、開放感に満ちた教室のわっと広がる喧騒の中、

天乃は小さくため息をついて風に手を振る

残念ながら、部室に行けるかどうかわからないし

行けるのだとしても、遅れてくる世話係の芽吹を待たなければいけない

それでも風は待ってくれようとするけれど

待たせた結果行けない。というのは申し訳なくて。

風「ま、あとで連絡するわ」

天乃「うん……勇者の件もあるんだから。無理しすぎないようにね」

風「解ってる」

いつ来るか分からない最大級の襲来

それに備えて勇者部を休んでもいいのではと思うが

しかし、勇者部こそがみんなの日常なのだから。

天乃「行ってらっしゃい」

風「な、なんかいいわね」

笑顔で送り出すと、風は少し照れくさそうに

嬉しそうにはにかみながら手を振り返す

行ってきますが言えるのなら

いつか、ただいまを言いたいと風は思う

行ってらっしゃいと送り出すのだから

お帰りなさいと言わせてほしいと天乃は思う

風「じゃ、行ってきます」

天乃「ん、またね」


657 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/22(金) 22:22:04.67TfzDG2KCo (3/6)


沙織「久遠さん、あたしに行ってらっしゃいは?」

天乃「それって求めるようなことなの?」

沙織「だって、犬吠埼さんばっかりなんだもん」

むっと膨れる沙織に微笑みを向けて

天乃はちゃんと見てるわよ。と囁いて

天乃「ごめんね、迷惑かけて」

沙織「良いよ。こうなることが分かってても、あたしは久遠さんを選んだんだから」

昨日の一件はすぐに沙織の両親へと伝わり、すぐに来るようにと呼ばれているのだ

本当は朝から行くべきだったのだが公欠の話もあって学校を優先しており

母親はともかく、父親は厳しく言ってくるだろうが

それは初めから厳しいのだから、いまさら気にするようなことでもない

そもそもの話、父親か天乃

どちらを優先するかと言われれば、沙織は迷わず天乃を選ぶからだ

沙織「それに、責任……取ってくれるんだよね?」

天乃「ええ、当然」

昼に語ったのは方便ではなく天乃の本心だ

だから、沙織の問いかけに天乃は迷い無く首肯する

沙織自身も「疑って無いよー」と、苦笑して

沙織「多分、今度久遠さんも来るようにって言われると思う。そのときはよろしくね」

天乃「正直に言えば、まだ納得させられるような言葉は浮かんでいないんだけど」


658 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/22(金) 22:36:27.57TfzDG2KCo (4/6)


沙織「2人で頑張ろう」

天乃「根性で語れることじゃないんだけどね」

沙織の冗談なのか本気なのか分からない言葉を見送って

一人になった途端、寂しくさせないようにと気遣ったかのように、2人が姿を見せる

「久遠せ――」

友奈「久遠せんぱーい!」

放課後と言ってもまだ人の多い教室に、快活な声が響く

その少し前にかき消された声の主は上級生の目もあってか控えめだが

友奈は気にせずに教室の入り口から顔を覗かせて天乃に向かって手を振る

上級生である天乃のクラスメイト達だが、

勇者部に関しては基本、妹のような扱いをしているために

入りにくい空気は一切無い

だから、芽吹も平気なはずなのだが……そこは芽吹自身の問題だろうか

天乃「あら、珍しい組み合わせね」

友奈「夏凜ちゃんと東郷さんはすでに依頼があったので優先して向かっちゃって」

天乃「じゃぁ……貴女は役無しと」

天乃が冗談っぽく言うと

友奈は何もなかったので。と少し残念そうに

けれど嬉しそうに笑顔を見せて

友奈「えへへっ、久遠先輩のお世話係二号ですっ」

ビシッと決めて見せた友奈だが

そこには格好良さも凛々しさも無く、ただ愛らしさしかない


659 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/22(金) 22:47:32.39TfzDG2KCo (5/6)


友奈「でも、本当は久遠先輩にお話があったんですけど、芽吹ちゃんが2人きりはダメだーって」

天乃「でしょうね」

「規則です」

一度破られたからと、それを破棄するわけには行かないのだろう

芽吹は極めて落ち着いた声で呟き、首を振る

天乃が規則で縛るのが難しい人間だと聞いてはいたが

勇者部自体があそこまで【魅了】されているとなると、手のつけようが無いと、呆れて

「結城さんの用件、私も聞かせてもらいます」

天乃「そんな勝手なこと」

そういいながら友奈に目を向けると、

友奈は少し困った様子ではあったけれど

別に変な話ではないので平気ですよ。と笑う

友奈「実は、お母さんが久遠先輩連れてって」

天乃「えっ?」

友奈「えへへっ、ちゃんとしたお話がしたいって」

友奈は照れくさそうにいいながら、大丈夫ですよ。と言う

確かに、以前夏凜の兄から友奈たちの両親は天乃との交際を認めている。と言っていたが……


1、もちろん、行く
2、楠さんがいるから……ダメね
3、楠さん、こういうのも貴女はついてくるの?


↓2


660以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/22(金) 22:48:50.02nILnUZVhO (1/2)

1


661以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/22(金) 22:49:50.52maHAK7DoO (1/2)

3


662 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/22(金) 23:00:43.00TfzDG2KCo (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


芽吹「当然です」

友奈「そっか……なら、仕方がないですね」ニコッ

天乃「……友奈?」

友奈「芽吹ちゃんに教えてあげるよ。【天乃先輩】を手中に収めた私、久遠友奈の神の手ってやつを!」

芽吹「!」

天乃「えっ?」


663以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/22(金) 23:01:44.84nILnUZVhO (2/2)


えっ


664以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/22(金) 23:09:08.74maHAK7DoO (2/2)


ご挨拶も大事だけどメブを余りないがしろにしない方がいいかもな

そして一周目の友奈ちゃん久々に見たわ


665以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/23(土) 17:37:21.39e7iFfBuTO (1/1)




666 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/23(土) 22:05:28.44VF8Xw3xGo (1/5)


では、少しだけ



667以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/23(土) 22:08:41.58DVAm8vRsO (1/3)

よしきた


668 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/23(土) 22:27:32.79VF8Xw3xGo (2/5)


天乃「…………」

友奈からの誘いの言葉を聞いた天乃は考え込むようにゆっくりと目を閉じ、一息

空気を吸うのに合わせて瞼を開いて芽吹を見据える

悪く言えば図々しい世話係は、少し動じたように体を揺らしたが

眼を逸らすことなく見返して来ていた

天乃「こういうのも、楠さんはついてくるの?」

「当然です。久遠先輩から眼を離すことは原則禁じられているので」

天乃「友奈とその両親との大事な話があっても?」

「むしろ、その話を聞いて報告するのも私の役目の一つなので」

隠し立てするのは無意味だと判断したのか

それとも、天乃への牽制のつもりなのか

世話係の枠を超えた役目であることを自白する

友奈「報告するようなことあるかなぁ……」

友奈は自分の両親が求める話、しようとしている話を想像して

少し困ったように呟く

恐らく、芽吹に対して言ったのではなく

ただ、考えているうちに零れてしまったのだろう

取り繕うように「芽吹ちゃんが駄目って話じゃないよっ」と続ける


669 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/23(土) 22:41:20.02VF8Xw3xGo (3/5)


「結城さんの意見は関係ないわ」

友奈「そ、そうだよね……」

厳しく否定され、思わずへこんだ友奈は苦笑しながら眼を逸らして天乃へと目を向けると

どうしますか? と、困ったように言う

友奈としては、聞かれて困るような話はしないつもりだろうし

天乃と友奈が交際していることも

結城家がその件に関して肯定的であることも大赦はすでに知っていることだ

だから、結婚云々、身体の関係云々

聞かれるのも話すのもやや恥ずかしいことではあるが

報告されてはいけないようなことは何一つとしてないだろう

友奈「お母さん達は全然、来れる時で良いよって言ってますけど」

天乃「そう……」

友奈の両親のことだから

それはそれでもすぐに行くかどうか試しているのではなく

本当に来ることが出来る時で良いと思っているのだろうけど……


670 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/23(土) 23:02:16.58VF8Xw3xGo (4/5)


「私は話を聞くだけで、口を挟むつもりはありませんので妨害される。という警戒は必要ありませんよ」

天乃「問題は楠さんがまったくの部外者ってことなんだけどね」

これが沙織や夏凜達であるのなら、

すでに複数人と交際していることは知られているため、

友奈以外に交際している人を紹介するという事もできるので

連れていくことに問題はないのだが、

全くの無関係である芽吹がいるというのが少し問題なのだ

天乃「楠さんはただの監視……じゃなかった世話係って言えば良いのかしら」

「それで構いません」

友奈「もしかしたら変なこと言うかもしれないけど、良い?」

「変な事……?」

友奈「えっと、お母さん達ってこう……グイグイッってするから」

友奈の困った表情と、押し出すような仕草に困惑する芽吹だったが、

だからと2人だけを行かせるわけには行かない。と、覚悟を決めて息を呑み頷く

「そこまで問題のある話もしないでしょう。大丈夫です。久遠先輩と結城さんだけを行かせる方が良くないので」

昨日の失態もあってか、引くわけには行かないらしい

天乃「そう……どうしようかしら」

友奈も両親も芽吹も構わないのなら

あとは天乃次第だが……


1、行く
2、行かない


↓2



671以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/23(土) 23:02:31.64fqNqpWz8O (1/2)

1


672以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/23(土) 23:03:14.41DVAm8vRsO (2/3)

1


673 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/23(土) 23:23:46.79VF8Xw3xGo (5/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「行くって……友奈の家ではないの?」

友奈「? そんなこと言ってないですよ」

天乃「でも、ここって……」

友奈「はいっ、結婚式会場の下見ですっ!」

天乃「まだ早いから!」

友奈「大丈夫です、お母さんたちの希望ですから」

天乃「そう言う問題じゃないのよ」


674以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/23(土) 23:30:23.75DVAm8vRsO (3/3)


メブ同行でOKなら東郷さんの家にも挨拶いきたいな


675以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/23(土) 23:30:56.06fqNqpWz8O (2/2)


結婚式場はほかの娘の意見もあるから…


676以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 11:58:37.399MK9gIZZO (1/2)




677 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 13:32:56.00aHYRkLfio (1/17)


では、少しずつ


678 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 14:03:59.69aHYRkLfio (2/17)


天乃「なら、行きましょう」

少しの不安―芽吹―はあるが、

芽吹を抜いて二人きりで行くのは現状できないし

それが出来るようになるのもいつになるか分からない

しかしかといって、両親へのあいさつを後回しにし過ぎるのは、と天乃は思って

芽吹を含めて友奈の家に行くことを決めた

友奈「えへへっ、じゃぁ瞳さんに連絡お願いしていいですか?」

「その必要はありません」

自分の端末を確認した芽吹は、端末から友奈へと視線を移して

「迎えはもう下に来ています。そこで伝えれば問題ないですから」

天乃「なら行きましょ。瞳を長く待たせておくのも可愛そうだわ」

友奈「そうですね、なら――」

「結城さんはそのままで大丈夫です」

そう言って天乃の後ろに回ろうとした友奈を遮って

芽吹が天乃の車椅子の持ち手を掴む

「これは私の役目なので」

友奈「そっか……よろしくね!」

少し残念そうに呟いて、

友奈はすぐに笑みを浮かべて天乃を託す

余計なことを言っても何にもならない。そう、、思ったのだろう


679 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 15:00:21.69aHYRkLfio (3/17)


瞳「友奈ちゃ……結城様の家ですか?」

友奈「はいっ、ちょっと用事があるんです」

瞳「解りました、お送りします」

芽吹のいる手前、今までのような付き合い方をまた改める必要のある瞳は

まだ少しやりにくそうに言葉に詰まって、答える

本当なら芽吹とももう少し友好的に接したいのだろうが

夏凜のようには上手くいっていないらしい

「そう言えば、久遠様」

天乃「うん?」

「そろそろ文化祭の時期ではありませんか? 買い出し等ありましたらお連れしますよ」

天乃「そっか、もうそういう時期なのね」

瞳に言われてようやく。と反応を示した天乃に

友奈は勇者部では演劇の予定なんですけど、まだ何も。と

困ったように笑う

天乃の件や、入院、そもそものバーテックスの襲来もあって

まだ何も準備が出来ていないのだ

天乃「私のクラスも何か決めた様子はないのよね。一応、3年だから参加不参加は自由に決められるらしいけど」

友奈「参加しないんですか?」

天乃「どうするべきかしらね」


680 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 15:19:10.21aHYRkLfio (4/17)


天乃は1年、2年と文化祭に参加した記憶がない

というのも、勇者としての戦いがあって、

銀を失ったことがあって

何かを楽しむ。というような精神的な余裕は全くなかったし

そんなつもりが全くなかったから

そもそも、参加自体していなかったのだ

そして、今回は……

天乃「私は自由に動けないし、こんな状況でしょう? なんか、手伝うことも出来なそうだから」

目と耳を指さして苦笑する天乃に、

友奈は悲しそうな顔をして「そんなことないですよ」と、言う

友奈も満開による後遺症はあるが、それは味覚のみで

けっして、安易なことは言えないが。

友奈「久遠先輩のクラスの先輩たちは、そんな久遠先輩も一緒に楽しめることをやると思います」

天乃「…………」

友奈「むしろ、久遠先輩が参加しないと、みんな参加しないかもしれません」

天乃「それはありえそうで困るわね」

自由参加

だからこその、全員不参加……クラスメイトならば、やりかねない


681 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 15:49:55.91aHYRkLfio (5/17)


天乃「まぁ、せっかくの文化祭だもの、参加しないとよね」

皆が不参加と言い出すのもあれだが、

天乃自身、、まだ楽しんだことのない文化祭を楽しんでみたいという気持ちはある

もちろん、クラスメイトに気遣われ過ぎたりしない

迷惑になりすぎない程度で、だが。

天乃「友奈のクラスは出し物を決めたりは?」

友奈「まだです。多分、今週中にはそう言う話があると思います」

「…………」

こういう会話には口を挟まない

天乃達にだけでなく

文化祭そのものに自分は無関係だと思っているような芽吹に、天乃は目を向けて

瞳「もうすぐ着きますよ」

天乃「あら、そうなの?」

ひとまず、芽吹の件は置いておくことにした


682 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 16:17:33.64aHYRkLfio (6/17)


√9月2日目 夕() ※火曜日


01~10 
11~20 有
21~30 
31~40 
41~50 有
51~60 
61~70 
71~80 
81~90 有
91~00 

↓1のコンマ 



683以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 16:17:50.17tSB3vM4pO (1/1)




684以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 16:20:55.47OEfXyfLEO (1/4)

お、有り引いたか


685 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 17:25:14.13aHYRkLfio (7/17)


√9月2日目 夕() ※火曜日


友奈「ただい……って、あれ?」

大きくただいまと言おうとした友奈だったが、

すぐに言葉を中断すると、

玄関に並ぶ見覚えのない靴を見つめて、首を傾げる

新しいのなら、新品の靴を買ったという話もあるが、それにはそんな様子はなくて

友奈「お客さん……かな?」

天乃「あら、それならまた今度にした方が良いかしら?」

友奈「あ、いえ。ちょっと様子を……でも、先に私の部屋に連れて行きます」

すぐに客間に連れていくのは、と

友奈は少し考えたから、天乃を自室へと連れていくことを決める

客が誰かは分からないが

せっかく来てもらって、やっぱり帰ってください。というのは

他人だろうが知り合いだろうが恋人だろうが、酷い話だと思うからだ

そうでなくても、少しは……一緒に居たいと思う


686 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 18:21:59.09aHYRkLfio (8/17)


友奈らしい、というか

女の子らしい明るい色合いの友奈の部屋

窓から見える隣家の窓は、東郷の家の窓だ

友奈「じゃぁ、少し待っててください」

天乃「ええ」

友奈「もしもあれなら、その……ベッド使っても平気なので」

天乃「うん、ありがとう」

気遣う友奈を見送った天乃は、

部屋を見渡し、自分以外の人物

世話係の芽吹へと目を向ける

芽吹は興味も何もないようで、

天乃を逃がさないようにするためか、出口の傍の壁に寄りかかるようにして、待機している

友奈のベッドを使って休むのもアリだと天乃は思うが

それはそれで、芽吹に無防備な姿をさらすことになるから

少し……怖いが



1、友奈のベッドを使う
2、ねぇ、楠さんは文化祭に興味はないの?
3、楠さん、皆とは仲良く出来てる?
4、楠さんは讃州にくるまで何していたの?
5、友奈視点


↓2


687以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 18:22:39.03fuiJrFNpO (1/2)

1


688以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 18:23:20.359MK9gIZZO (2/2)

5


689 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 19:14:11.36aHYRkLfio (9/17)


side:Y


友奈「…………」

勢いで久遠先輩を部屋に連れて行っちゃったけど……大丈夫かな

芽吹ちゃんが何かしたりはしないと思うけど

久遠先輩は多分、平気だけど

芽吹ちゃんがあんまり関わりたがらないからなぁ……

教室でも、私達だけじゃなく

クラスメイトのみんなに対して冷たいし……何とかしたいけど

友奈「……今は、とりあえずお母さんに帰ってきたことを伝えよう」

考えても私では何とかできなさそうな事

それを考えるのを止めて、今へのドアを開けると

丁度、お客さんが帰ろうとしているところだった

「あら……貴女が友奈ちゃん?」

女の人だった

背が低くて、髪は久遠先輩よりも濃い桃色

目の色は少し暗い……

「うん?」

友奈「ぇ、あっ、はっ、はいっ!」

思わず見惚れていた耳に聞こえる鈴の音よりも気持ちがいい声

慌てて返事をして、眼を逸らす

綺麗な人だった

まるで、久遠先輩が大人になったみたいな人

でも、胸がだいぶ足りないような。気もする


690 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 19:58:08.46aHYRkLfio (10/17)


「そう……貴女が友奈ちゃんね」

母「今帰ったの?」

友奈「う、うん……えっと」

この人は? と、聞こうとした私の視線に気づいてか、

お母さんはああ。と声を漏らして笑う

「この人は貴女の言う天乃さんのお母さんよ」

友奈「あ……」

言われてみれば……というより

久遠先輩のお姉さんではないのだから、久遠先輩に似てるなら

大人っぽいなら、そう……だよね

友奈「そうだったんですね」

「うん、そうよ」

大人でも私と変わらない身長のお母さんは

嬉しそうに私の頭に触れる

久遠先輩のようで、でも。撫でることに慣れて良そうな優しい手つき

「ちょっとお話があってきたの」

友奈「もう帰っちゃうんですか?」

「ええ。私がいたら、天乃ちゃんは話しにくいだろうし」

友奈「え?」

「ふふっ、分かるのよ。あの子がすぐ近くに居るって」


691 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 20:14:04.51aHYRkLfio (11/17)


大人びた雰囲気とは逆に、なんだか子供っぽい感じのする久遠先輩のお母さんは

私を見て、私のお母さんに振り返ると

軽く頭を下げて「宜しくお願いします」と、言う

「……本当に良いんですか?」

お母さんのあまり見ない、聞かない

真剣な声と顔

話していた内容は分からないけれど

それはきっと、大切な事だったんだと思う

久遠先輩のお母さんは、「今はまだ。どうしようもないことだから」と、部屋を出ていく

友奈「っ」

咄嗟に後を追いかけて、玄関へ

久遠先輩のお母さんは私に振り返って、笑う

「色々と面倒くさい子だけど、よろしくね」

友奈「あ、あの……」

久遠先輩には家族の記憶がない

当然。お母さんの記憶も

だから、会わない。だから、何も言わない

久遠先輩にとって、他人になっちゃってるから

だから、私も何も言えなくて

でも、久遠先輩のお母さんは、満足そうな笑顔を浮かべていた

「良いのよ。あの子が今幸せなら、お母さんはそれで良いの。私も、友奈ちゃんのお母さんも。みんなのご両親も」

友奈「…………」

「またいつか、会うこともある。その時にまた話しましょう。友奈ちゃん」


692 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 20:14:31.19aHYRkLfio (12/17)


では、少し中断します
再開は21時半ごろを予定しています


693以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 20:22:12.46OEfXyfLEO (2/4)

一旦乙
珍しい視点変更でまさかのお母様再登場か…
友奈ちゃんって結構重要そうな場面に出くわすことが多いな


694以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 20:40:21.91fuiJrFNpO (2/2)

一旦乙
次は結婚式だな


695 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 21:52:29.39aHYRkLfio (13/17)


ではもう少しだけ


696 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 22:16:25.85aHYRkLfio (14/17)


side:A


友奈「戻りましたー」

天乃「あら……何かあった?」

友奈「えっ?」

天乃「なんか、そんな気がしたから」

驚いた顔を見せた友奈に、天乃は「ないならいいけれど」と、

前言を撤回するように言葉を並べて、笑みを浮かべる

だが、違和感を覚えたのは嘘ではない

友奈が驚いた顔を見せたその一瞬

自分の感覚が間違っていなかったと確信もした

しかし、天乃は深くを聞かずに笑みを見せる

なにか、相当な問題ならば動くことも吝かではない

けれども、そこまでの深刻な問題ではないと、思ったからだ

「それで、行きますか?」

友奈「うん、お客さんも帰ったみたいだから」

天乃「さて、楠さんは何と言われるのやら」

「私はただの世話係です」

大した反応も見せない芽吹の姿に

天乃はつまらなそうな表情で「もう……」とぼやく

友奈は部屋で二人きりになっても

関係は微塵も良くならなかったのだと察して、小さく笑うだけにした


697 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 23:00:17.36aHYRkLfio (15/17)


「呼び出しちゃってごめんなさいね」

天乃「いえ」

友奈の両親と、天乃は初対面ということはない

むしろ2年間のかかわりがある分、それなりの親交はあるのだ

しかし、唯一知り合いではない芽吹に気づいた友奈の母親は

天乃と友奈

そして芽吹へと目を向けて、納得したように頷く

「あら、その子も天乃さんの恋人?」

「はっ!?」

これまで動じることのなかった芽吹は、

照れるような素振りなく、ただ嫌悪感のみを感じる驚愕の表情を見せて、首を振る

あからさまな不快感だ

「私は久遠先輩の世話係です。それ以上でも以下でもなく、ただの世話係です!」

芽吹の怒り交じりの否定に

天乃はそんな強く否定しなくても。と

少し寂しそうに呟き、友奈の母親は

それならなぜいるのか……と言いたげな表情を浮かべて

「そうなのね、ごめんね……それなら少し席を外してた方が良いと思うわ」

「いえ、それには及びません」

友奈「えっと、芽吹ちゃんも聞いた方が良いんだって」

「そう……なの?」


698 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 23:19:07.72aHYRkLfio (16/17)


芽吹の存在にはやや疑問を示す母親だったけれど

天乃と友奈が問題ないのなら、と承諾する

「それにしても、言った当日に連れてくるだなんて思わなかったわ」

友奈「え?」

「天乃さんにも用事とかはあるだろうし、数日開けてくるものじゃない?」

やや申し訳なさそうに

けれど怒った様子のない笑みを浮かべて言う母親の言葉に、友奈は今気づいたかのように驚いて

ゆっくりと天乃へと目を向ける

それはたしかに……そうだ

天乃「大丈夫だから、ね」

友奈「ごめんなさい」

天乃「大丈夫だから」

大丈夫だと言っても謝ってくる友奈の頭を優しく撫でて、一息つく

さて、どちらから話を切り出すべきか

話すことは間違いなく、交際についてだろう

友奈の母親から言われるのを待つか

自分から、語るか



1、待つ
2、友奈とは、結婚を前提にお付き合いさせていただいています
3、お義母様は、私が複数の女性とお付き合いするのは許せませんか?
4、私は友奈を幸せにします。もちろん、友奈以外のみんなも。誰一人老いていくことなく、愛します
5、やっぱり、お義母様も、子供が出来ないことは問題だと思いますか?


↓2


699以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 23:20:32.29xG1Y3w5iO (1/2)

4


700以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 23:24:36.91jIGVz+5a0 (1/2)

3


701以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 23:25:02.86OEfXyfLEO (3/4)

4


702 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/24(日) 23:31:47.30aHYRkLfio (17/17)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


「ええ……許せないわ」

「だって、天乃さんはまだ私を抱いてくれていないじゃない」

天乃「えっ?」

「最近、夫とはご無沙汰で……だから、聞けば母娘丼と呼ばれるものがあるらしいじゃない?」

天乃「あの、いや……えっと」

「うちの子を抱くなら一緒に抱いて!」

友奈「お母さん!?」


九尾「ありえ――」

夏凜「ないっての」


703以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 23:36:38.43xG1Y3w5iO (2/2)


姉妹丼なら予定してるんですよねえ


704以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 23:47:06.77OEfXyfLEO (4/4)


あまり交流してないのもあってかメブのガードが固いこと固いこと
そういやメブはまだ大赦側の人間だからか名前表記がないな


705以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/24(日) 23:48:57.38jIGVz+5a0 (2/2)


これには流石の久遠さんも困惑である


706以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/25(月) 08:28:16.721iNDtHyRO (1/1)

>>1のことだからメブーもちょろりんだと思っていた時期が私にもありました

あと流石に母娘百合丼とかいうのは新ジャンル過ぎるんじゃないっすかねぇ


707以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/25(月) 17:15:29.49ORwS1MvHO (1/1)




708 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/25(月) 21:58:59.17CG0KKvEzo (1/5)


では少しだけ


709以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/25(月) 22:00:37.89suZqDfOeO (1/3)

あいよ


710 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/25(月) 22:11:35.18CG0KKvEzo (2/5)

√9月2日目夕(結城家) ※火曜日


どうするべきかと考えて、間を置いた天乃は

友奈の母親がまだ口を開かないのを確認してから、一息

慌てる必要はないと、ただ想うこと

言わなければいかないこと、聞いておくべきこと

それを言えば良いのだと心を抑えて

天乃「お義母様は、私が複数の女性とお付き合いするのは許せませんか?」

「そうね……許せる許せないというのは、少し判断しにくいわ」

少し考えながら答えた母親は困ったように眉を顰めて

苦笑いを浮かべて、首を振る

「例えば、天乃さんが女の子で友奈や美森ちゃん達が男の子だったら、許せないと思う」

天乃「…………」

「例えば、天乃さんが男の子で友奈や美森ちゃん達が女の子だったら、許せないと思う」

そう語った母親は、偏見かもしれないけどね。と

少し申し訳なさそうに前置きする

天乃と友奈達のように同性同士ではなく、

異性同士であるだけで、語ろうとしているからだろう

「なんとなく、そういうのって風紀が乱れているというか、不純な感じがしてしまうの」

必ずしもそれがあるわけではないと分かってはいるけれど

でもね。やっぱりそう言ったことをせずにはいられないと思うから。と

母親は言って、友奈に目を向けると苦笑する

「この子も経験をしたでしょう? だから、天乃さん達にそう言うことが無いわけではない」

友奈「えっ……ぁ、ぅ」


711 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/25(月) 22:26:07.19CG0KKvEzo (3/5)


天乃「そうですね……あります」

主に、天乃がするのではなく

天乃がされる側なのだが、あえてそれは語らない

一夫多妻というものは、男性が主導権を握っていることが多い

というのも、その強力な権力等に惹かれていたり、それによって連れられる側室という存在によって

その関係が形成されるからだ

だが、天乃に限ってはそれがない

友奈達を力などで縛り付けているわけではない

家柄等の力があるが、それを行使しての関係ではないということが、

友奈の母親にも分かっているからこそ、許せるかどうか。と言う疑問への答えが難しいのだろう

「……でも、この子も。お隣の美森ちゃんもみんながそれを望んでいて、その関係になっているのよね?」

経験……濁したそれで意味を察して恥らう我が子を見る母親は

それが決して、何らかの強制力によって望まないものだったなどと言うことはないことは

もう、十二分に分かっている

だからこそ、大赦からの娘達の関係への口出しに関して、

自分達は娘が幸せならばそれで構わない。という返答をしたのだ

「だったら、お母さんはただ天乃さん。貴女に聞きたいの」

天乃「はい」

「貴女はこの子を。みんなを、幸せにすることができますか? 誰か一人特別に扱わずに、平等に分け隔てることなく」

天乃「はい。絶対に」


712 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/25(月) 22:47:06.91CG0KKvEzo (4/5)


友奈の母親からの言葉に、天乃ははっきりと強い意志を持たせた短い言葉で答えて、首肯する

もしかしたら、みんなを幸せにするのではなく、みんなに幸せにしてもらう方が強いかもしれないが

天乃は天乃で、みんなを幸せにしたいという意思は固い

そして、それは誰かが飛びぬけたものではなく、みんな平等でなければいけないとも思っている

誰か一人を選ばず、みんなを愛したいといった

みんなが欲しいといった

そんな愚かしい自分の責任であると、天乃は思うからだ

「……そうですか」

友奈「おかあさ――」

天乃「友奈、待って」

真面目な雰囲気の母親に、友奈が口を開こうとしたのを止めて

天乃は母親を見つめる

まだダメなのだ

このままでも交際の許可はもらえる

けれど、ダメなのだ

ましてや、友奈に何かを言わせるのではいけないのだ


1、絶対に手放しません。……なにがあっても。たとえどれほど傷つくことがあっても
2、子供を残すことは出来ないかもしれませんが、その分、それ以上に預けた後悔はさせないと誓います
3、必ず幸せにします。お役目で味わう全てを癒してなお、有り余る幸福と喜びを友奈に、みんなに。
4、幸せにします。何があっても手放したりしません。ですから、お義母様、友奈さんを私に下さい


↓2


713以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/25(月) 22:50:53.541loKIR6xO (1/2)

3


714以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/25(月) 22:51:11.97suZqDfOeO (2/3)

3


715 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/25(月) 23:08:06.21CG0KKvEzo (5/5)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


友奈(むしろ久遠先輩がされる方なんだけどな……)スッ

天乃「んっ!」ビクッ

「どうかしたの?」

天乃「い、いえっ……」

友奈(……これが東郷さんの見せてくれた痴漢プレイってやつだよね?)サワサワ

天乃「んぅ!」ビクンッ

「大丈夫……? ベット、あるわよ?」ニヤリ


芽吹(これは……これは、私が何とかしないといけないの……?)


716以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/25(月) 23:14:56.821loKIR6xO (2/2)


芽吹がひたすら困惑してるw


717以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/25(月) 23:20:42.33suZqDfOeO (3/3)


友奈ちゃんがされるんじゃなくてする側ってのはなかなか斬新だなw

あと久遠さんのハーレムって実際には愛されつつもみんなが夏凜ちゃんの背中を押してるようにも見えたがあくまで平等路線でいくのだろうか


718以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/25(月) 23:26:07.01zHP1WMW2O (1/1)


流石のオマケ

>>717
夏祭り回みる限り夏凜といるときは夏凜優先だけどそうじゃないなら自由ってスタンスじゃないかな


719以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/26(火) 16:45:52.86z8HsA0jkO (1/1)




720 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/26(火) 22:06:10.95tF2y3JNIo (1/10)


では少しだけ


721以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/26(火) 22:12:06.63N5rf66BwO (1/3)

よっしゃ


722 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/26(火) 22:15:55.72tF2y3JNIo (2/10)


友奈「久遠先輩……?」

自分を止めた天乃の真剣な眼差しを受けて、友奈は少し驚いたようにぽつりと呟く

同じく目を向けられたのだと感じる母親はその目に慣れているわけではないが

しかし、以前その目をしたしていた人を知っているから、まっすぐ向き合う

無駄な言葉は紡がずに、天乃の言葉を待つ

天乃「お義母様、必ず幸せにします。お役目で味わうすべてを癒してなお、有り余る幸福と喜びを友奈に、みんなに」

「…………」

友奈の母親のみならず、皆の両親は友奈達がお役目―勇者としての戦い―で何をしているのか

どうなるのか、何があるのか……知っている

だからこそ、子供たちがしたいように、幸せになれるようにと許してくれているのもあるだろう

だから、その言葉は絶対に必要だったのだ

誰かから言われたわけではないが、天乃はお役目に関して確実に告げるべきだと思った

天乃「ですから、どうか。結城さんを……友奈を。私にください」

「…………」

母親は頭を下げる天乃から友奈へと目を向ける

慣れていないせいもあるのだろう

天乃の横でおろおろとする友奈は、まるで過去の自分のようにも見えて微笑ましい

だが、今は保たなければいけないと口を固く結ぶ

友奈「ぁ、え、えっと……お願いお母さんっ!」


723 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/26(火) 22:37:46.69tF2y3JNIo (3/10)


机に頭をぶつけるのではないか

そう思うほどの勢いで友奈が頭を下げる

友奈は緊張感からか身体はちょっぴり揺れているが、

一方で天乃の体は微動だにしない

本当にしっかりしているのだと、何も恐れてはいないのだと

そう分かる小さな力強さに、母親は笑みを浮かべて

「良いわ、顔を上げて。天乃さん。友奈」

天乃「…………」

「色々と、まだ。子供でしかないけれど……友奈のこと。お願いね?」

天乃「……はい。ありがとうございます」

友奈の母親にも、色々と思うことはある

だが、それはこの会話において蛇足でしかない

娘を託せるか、託せないか

それ以外に必要なことはないのだ

「本当はお父さんが言うことなんだろうけど、あの人は男相手じゃないならお前に任せるって、ね」

友奈「それで……」

「でもあの人は元々、友奈が幸せならそれで構わないって言っていたし、天乃さんも少しは知っているでしょう?」

声をかけられた天乃は、首を縦に振って頷く

本当に知っているのは少しだけれど、

友奈の父親が厳格な人ではないことは天乃も分かっている

むしろ、自分のことも多少は娘のような存在としてみてくれていた


724 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/26(火) 22:54:06.46tF2y3JNIo (4/10)


天乃「なら……改めて挨拶に来た方がいいですね」

「大丈夫だろうけど……あっ」

天乃「?」

良いことを思いついたと言いたげに目を光らせた母親に3人の注目が集まって

「どうせなら、今日は泊まっていっても――」

「すみませんが、それは出来かねます」

母親の言葉を遮った芽吹は、一礼をして母親から天乃へと目線を下げて一息つくと、

またすぐに母親の方に戻して、すみませんが。と、繰り返す

「久遠さ……先輩には現在そのようなことは許可されておりません」

「それは……どういう意味で、かしら」

大赦側ではなく、あくまで友奈たち勇者サイドの立場に当たるであろう母親の疑問を受けて

芽吹は唇を噛む

ここにいるのは全員自分の敵。そう示すように危うさを感じる雰囲気を放ち、全員へと目を向ける

「久遠先輩は現在、特殊な障害を持っており大赦が保護し治療を行っています。ですので、病院に戻らなければいけないのです」

天乃「どうしても?」

「どうしてもです」

天乃の問いかけに対する芽吹の声は冷たい

機械染みているわけではないし、そうしようと取り繕っている感はあるが、

それでもやはり、天乃は少し寂しく思う

夏凜と比べるのは失礼だろうが、やはり。相手をしにくいのだ

夏凜は寄せ付けないような様子ではあったが、実際は少し隙を見せればそれに触れてくるのに対して

芽吹は同じく寄せ付けようとはせず、隙を見せても、触れられるようにしても

それを突っ撥ねるか無視をするかばかりで

沙織のように少し強引な手法が取れれば、それもまた変わるのかもしれないが。


725 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/26(火) 23:02:28.31tF2y3JNIo (5/10)


「結城さんには申し訳ありませんが、連れ帰らせていただきます」

天乃「……本当は泊まっていきたいけれど。すみません」

「ううん、良いのよ。大丈夫なときにいつでも」

天乃「ありがとうございます」

母親の心配そうな表情に、

天乃は出来る限り安心できるような笑みを浮かべて、友奈へと目を向ける

友奈も少し残念そうだったが、視線に気づいて、笑みを見せて

友奈「そしたらまた明日ですね」

天乃「ええ」

結城一家―父親を除く―見送りを受けて、天乃と芽吹は車に乗り込む

ここにきてから、芽吹は殆ど言葉を発していない

天乃と友奈の部屋で2人きりになったときもだ

天乃を監視すること、天乃の許可されていない行動の抑圧以外、

自分は何もしないと態度で示すように。

その間、芽吹きは殆ど無表情だったが、天乃の横にいる今は、あからさまに不快そうな表情を浮かべていた

もしかしたら、天乃の恋人かと母親に言われたとき以上に不機嫌に。

「……失望しました」

天乃「え?」

「世界を救わなければいけない立場にある勇者が、色恋沙汰に現を抜かしていたなんて」


726 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/26(火) 23:13:40.76tF2y3JNIo (6/10)


静かに、しかし厳しく切り出した芽吹は、切り開くような鋭い視線を天乃へと向けて、さらに強く睨む

お前の存在が不快だと、不愉快だと、目障りだと

そう言うような視線だった

「それも同性間の恋愛……半信半疑ではありましたが、今回で確信しました」

天乃「……なにを?」

「久遠先輩、貴女は毒だわ。勇者を腐らせ使い物にならなくする毒」

瞳「楠さん!」

運転中ゆえに目を話せない瞳が、ミラー越しに芽吹を見ながら珍しく強い口調で名前を呼ぶが

芽吹は関係ないといわんばかりに続ける

「久遠先輩の力は注意せよ。と、伺っていましたが……なるほど。バーテックスに作られた人型の存在だと言われるのも納得です」

天乃「まだ、そんなこと言う人たちがいるのね……」

「以前起きた讃州中学の抗議。あれによって、久遠天乃は人類を分断させるための呪われた存在ではないか。という話も出ています」

もちろん、それに関しては私も極論であり結果論のようなものしかないと思いますが。と

芽吹は続けて、天乃を見る

「とにかく、勇者があのような体たらくでは人類の望みは薄い……さっさと身を引いてお役目を譲り、勝手に過ごして欲しいものだわ」

天乃「あな――」

天乃が口を開こうとした瞬間、ブレーキが踏まれて車が止まり、運転手である瞳が芽吹へと振り返る

その表情は普段の温厚さを保とうとしているが、怒りが滲み出ているのだと天乃は気づく

瞳「楠さん……それ以上は許されませんよ。大赦としても、私個人としても」

「……失礼しました」


727 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/26(火) 23:27:14.45tF2y3JNIo (7/10)


全てを知っている人、全てを知らない人、中途半端に知っている人

一番厄介なのは中途半端にしか知らない人だ

何も知らなければ、自分は何もわからないから。と

全てを知ろうとしてくれるかもしれないし

そもそも、何か余計なことはすべきではないと自制してくれるかもしれない

だが、中途半端にしか知らない人は、

その知識だけで決め付ける。その知識だけでこうすればいいと発言する

試して無駄だったこと、試してなにか嫌なことが起きたこと

それを何も知らずに口にする

そもそも、出来もしないようなことを口にする

もちろん、それだけが全てではないけれど……今の芽吹のように

苛立ちに委ねて発言してしまうことは無いとは言えない

天乃「……別に平気だけど」

瞳「いえ」

天乃の呟きに、瞳は小さく答えてまた車を動かす

目的地に着くまで車内は沈黙に包まれていた


728 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/26(火) 23:28:45.45tF2y3JNIo (8/10)


√9月2日目 夜(特別病棟) ※火曜日


01~10 若葉
11~20
21~30
31~40 九尾
41~50 大赦
51~60
61~70 沙織 
71~80
81~90 千景
91~00

↓1のコンマ 



729以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/26(火) 23:30:33.56bQDsM01o0 (1/1)




730以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/26(火) 23:30:43.78meQfkOtmO (1/3)




731 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/26(火) 23:31:59.28tF2y3JNIo (9/10)


√9月2日目 夜(特別病棟) ※火曜日


1、九尾
2、若葉
3、千景
4、球子
5、歌野
6、水都
7、イベント判定

↓2


732以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/26(火) 23:34:07.62EjeOCVB90 (1/1)

7


733以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/26(火) 23:34:22.45N5rf66BwO (2/3)

3


734以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/26(火) 23:34:33.55meQfkOtmO (2/3)

7


735 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/26(火) 23:40:24.58tF2y3JNIo (10/10)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


千景(ここで私を呼ぶのね……あの人を殺せとでもいうかしら……いや、久遠さんはそう言う人ではないわ)

千景「どうかしたの?」

天乃「お願い……楠さんとの嫌な言葉を忘れられるくらいに、私を滅茶苦茶にして」

千景「はっ? な、えっ……? ま、待ちなさい。それは乃木さんに――」

天乃「若葉は優しいからダメ。でも、千景なら……乱暴にしてくれるでしょう?」ギュッ

千景(そんな……そんな顔をされて……そんなことを言われて……誰が、出来るのよ)ナデナデ


736以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/26(火) 23:53:09.95oWvKY3VzO (1/1)


芽吹が硬すぎてヤベェ…交流不足だろうけどここまでか


737以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/26(火) 23:54:46.94N5rf66BwO (3/3)


今までは比較的セリフでのみ出てた久遠さんを敵視する勢力がようやく出てきた感じだな
メブの誤解を解くのは相当骨が折れそうだ…


738以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/26(火) 23:59:03.86meQfkOtmO (3/3)


まあなにも無理に仲良くしなくてもいいしね


739以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/27(水) 12:50:49.38QjXv3E1X0 (1/1)

乙乙
中途半端な知識しか持ってない人はめんどくさいってどこの世界でも言えるんだね


740以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/27(水) 18:39:50.56J+t1m/ReO (1/1)




741 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/27(水) 22:05:51.96G13Ej9rno (1/5)


では少しだけ


742以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/27(水) 22:07:35.88dWZg9SGfO (1/3)

かもん


743 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/27(水) 22:20:40.55G13Ej9rno (2/5)

√9月2日目夜(特別病棟) ※火曜日


天乃「…………」

呪われた存在ではないか。ということに関しては

天乃はもともと言われることもあったし、傷ついたりはしない

そもそも、天乃の誕生日とその能力によって

一部には【悪魔の子】とさえ言われたこともあるのだ

そのような中傷にはもう、慣れている

しかし、天乃が原因で友奈達がうつつを抜かしていると

体たらくだと、失望したと

そう言われてしまったのが、悲しかった

友奈達はとても頑張っているし、

頑張っているからこそ、息抜きできる瞬間があるべきなのに

天乃「ねぇ、千景。いる?」

おもむろにそう呼んだ天乃の前に、

闇に溶け込む漆黒を身に纏った千景がゆらりと姿を表す

髪の色まで黒く、衣服に走る微かな赤色と頬の薄い色だけが

そこに千景がいることを証明する

千景「どうしたの?」

天乃「……千景見えにくい。白いワンピースとかどう?」

千景「嫌よ」

天乃「残念」


744 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/27(水) 22:32:24.01G13Ej9rno (3/5)


あっさりと断られ、苦笑した天乃は

ふっと息を吐いて、千景の方へと手を伸ばす

そして

人肌ほどの温かい何かがその手をそうっと包み込んで

連鎖的に、千景が困ったように顔を顰める

千景「気にすることはないわ」

天乃「あら……何の話?」

千景「惚けなくてもいいわ。久遠さんが彼女の言葉で傷つかないような人ではないって分かっているから」

天乃「…………」

千景「久遠さんは悪くない。結城さん達も悪くない。世界のために辛い思いだけをしていろと言うほうがおかしいのよ」

千景は努めて優しい声をかける

芽吹の冷たい言葉を覆い隠して無かった事にするかのように

優しく、温もりのある子守唄のように。

千景は天乃達がどうして来たのかを知っている

どれだけ我慢をして、どれだけ頑張って

それでも中々報われることがなかったことを知っている

だから、何も知らない人の失望など

何も知らない人の勝手な決めつけなど

千景は何一つ気にするべきではないと言う

千景「……気を抜くことができるからこそ、必要なときに気を張れる。強く、強靭な心でいられるのだから」

天乃「うん」


745 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/27(水) 22:47:23.24G13Ej9rno (4/5)


千景の思った以上に優しい言葉に、天乃は笑みを浮かべながら首肯して

穏やかな千景の視線に、目を向ける

天乃「でも、楠さんの言葉だって全てが間違っていたわけじゃないと思うの」

千景「どこが?」

天乃「私には毒があるとか」

千景「久遠さ――」

天乃「だってほら、私がいたから友奈も東郷もあんなえっちな子になっちゃったわけだし」

そのせいで天乃もまたえっちな身体にさせられているのだが。

苦笑をしながら言う天乃の言葉は想定していたような悪い話ではなく、

意表を突かれた千景は一瞬驚いたように目を見開いて、

またすぐ、呆れたようにため息を付く

千景「そこなの……?」

天乃「そうじゃない? 実際問題、風は最初男の子が好きだったはずだし」

まぁ私もだけど。と

ぼそりと呟く天乃は少し落ち着いたようにも見えるが……



1、一緒に寝てくれる?
2、千景はどう? 男の子と女の子どっちが好き?
3、けどね? あの呪われた子というのも間違いではないの
4、どうやったら楠さんと仲良く慣れると思う?


↓2


746以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/27(水) 22:47:55.43NlUe0KqQO (1/1)

1


747以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/27(水) 22:48:34.26dWZg9SGfO (2/3)

4


748 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/27(水) 23:20:20.85G13Ej9rno (5/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


千景「どうしてそれを私に……伊集院さんや白鳥さん達の方が向いていると思うけれど」

天乃「二人の根性論が通用しない可能性もあるから……特に、嫌われているし」

千景「……はぁ。なら、まずはコレとコレ」ガサッ

天乃「……? 生意気な後輩を黙らせる格好いい壁ドン術? 上の口が堅いなら下の口を緩ませろ?」

天乃「なにこれ」

千景「私の最近買ったギャルゲー(R18)と参考書(R18)よ」

天乃「えっと……チェンジで」


749以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/27(水) 23:33:12.41dWZg9SGfO (3/3)


久遠さん思ったより落ち込んではなさそうで良かった…
他の精霊はメブの話を聞いて何を思ったんだろうか



750以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/27(水) 23:49:39.72IUAq40Os0 (1/1)


千景もだんだん染まってきてるなw


751以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/28(木) 09:10:29.09NaFWmaPMO (1/1)


友奈×久遠さんのオマケをまた見てるけどいつ見ても素晴らしいな
PDF16ページとか最初は「は!?」って感じだったけど気づいたら読み終わってる

…ところでおねショタはまだですか?(チラッ


752以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/28(木) 11:15:53.42PkWzuVt4o (1/1)

天乃の周囲が大分歪んでいるとは、最初から読んでても思うからなぁ。
メブから見たら余計に……だな。


753以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/28(木) 12:34:46.82nyjKm/NdO (1/1)

思えば今作はそういう目線で切り込む人物が基本的に不在だったしな
その立ち位置に芽吹はかなりの適任かもしれん


754以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/28(木) 13:29:16.17HWZj25IMo (1/1)

その歪みが気になって見返して気づいたんだけど問題が山積みになって魅了の力について解決できてなくない?

今はもう力がないけどそれまで周囲は影響を受けた可能性が大きいよね
特に暴動?の辺りとか


755以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/28(木) 20:29:57.69FNSZT0pSO (1/1)




756 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/28(木) 21:56:02.317ZiFp+bCo (1/8)


では少しだけ


757以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/28(木) 22:03:20.10Ww5yzAAmO (1/3)

はいよー


758 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/28(木) 22:08:36.607ZiFp+bCo (2/8)


天乃「ところで、千景」

天乃は包まれつつあった呑気な空気を払拭するように切り替えて千景へと目を向ける

男女のどちらが好きなのかとか

それはただの繋ぎ文句でしかなかったのだと察した千景は

何を言われても良いようにと息を飲み「何?」と、努めて平静を保ちつつ問う

天乃「どうしたら楠さんと仲良くなれると思う?」

千景「どうして私に……白鳥さんや伊集院さんは良いのかしら?」

少し呆れたような千景の声

多少予想していた天乃は想定通りだったのがちょっぴり嬉しくて楽しげに笑うと

小首をかしげる千景に「ごめんね」と呟いて

天乃「二人は根性論というか、多分積極的に行けば大丈夫。みたいな話になるだろうからね」

千景「久遠さんはそれではだめと思うのね」

天乃「結構嫌われちゃってるから」

車の中の反応からして、

むしろそれどころではないと天乃は思うし、千景にも思う所はあるのだろう

納得したようにため息をついて「確かに」と、呟くと

千景「正直に言えば、私は別に無理に仲良くしなくても良いと思うわ」

天乃「なぜ?」

千景「あんなことを平気で言えてしまうのは、そもそも好意的な相手ではないと思うから」


759 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/28(木) 22:19:10.867ZiFp+bCo (3/8)


仄かな怒りを示すように拳を強く握りしめた千景は

その振り下ろす先を探すことなくため息とともに吐き出して首を振ると

困ったように天乃を見る

なぜ仲良くしたいなどと思うのか。と言いたげに。

千景「久遠さんこそ、なぜ仲良くなりたいと……?」

千景としては、ついさっき言った通り

あんなことを言うような人と仲良くする必要はないと思っているから

そんなことを言うのだろう

きっと、それは間違いではないし、

むしろ、あんなにも嫌われてしまっているのに

仲良くなろうと考えている天乃の方が特殊なのかもしれない

自分でそれを分かっている天乃は思わず苦笑して千景から眼を逸らす

別に、後ろめたいことがあるわけではないが。

天乃「全部わかったうえであんなことを言うなら救いようがないけれど、知らないだけなら教えてあげれば良いだけじゃない?」

千景「……だけど」

天乃「解ってるわ。根本的に嫌われているって……でも、もしかしたら分かって貰えるかもしれないじゃない」


760 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/28(木) 22:35:19.377ZiFp+bCo (4/8)


笑みを浮かべてはいるが、

どこか寂し気な雰囲気で、悲しそうな面持ちで

微かな笑みを吐き出した天乃は優しい瞳を千景へと向けて。

千景は「あぁ……」と思わず零す

千景「貴女は本当に愚かね」

天乃「ふふっ、ごめんなさい」

お茶目に見せた笑みを浮かべる天乃にむけて千景はあからさまにため息をつく

もう分り切っていたことではあるが、

天乃は甘すぎるのだ。優しすぎるのだ

だから、とてつもなく愚かなのだ

良いことかもしれないが、悪いことでもある

しかし、だからこそ救われたことがあり、救われたものを知っている千景は強くいうことも出来なくて

厄介な人だと顔を顰めて、またため息。

こんなある意味聖人君子を地で行くような大馬鹿者を化け物だの悪魔だの言う考え方を知りたいと思って

しかし、そんな生き方をしているからこそ恐ろしく思うのかもしれないと千景は思う

千景「なら、まずは楠さんについて知る努力をするべきだと思うわ」


761 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/28(木) 22:46:33.957ZiFp+bCo (5/8)


千景「久遠さんも良く分かっていると思うけれど、歩み寄っても突き返されるなら彼女の立場に回りこむべきよ」

天乃「……それが中々上手くいきそうにないのだけど」

天乃は推測でしかないと分かっているが

しかし、芽吹に対して芽吹のことを聞いても、答えは得られないと思う

あのレベルでの嫌悪感、不快感を示しているのだから

当然といえば当然なのだが。

千景「外堀から埋めればいいわ。例えば、三好さんとか」

天乃「確かに、ある程度は知ってそうよね。後は瞳……はあまり知らないかしら。あの大赦の人からも話が聞けると良いけど」

千景「…………」

手段を思いついて嬉しそうにする天乃の一方、千景は浮かない表情で首を振る

千景「あまり無理はしないで」

天乃「無理なんてしないわよ?」

千景「楠さんと仲良くなる前に、きっと嫌なことがあるわ。ストレスは胎児にも悪影響があると聞いたから、無理はしないほうが良い」

改めて言う千景の優しい忠告

天乃は嬉しそうに笑みを浮かべて「ありがとうね、千景」と言って

千景は少し照れくさそうにそっぽを向いて「当然のことだから」と返す

天乃「うん、気をつける」

千景「……そうして頂戴」


762 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/28(木) 22:51:31.527ZiFp+bCo (6/8)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流有(結城家ご挨拶、芽吹と一緒、幸せにする)
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流有(芽吹と仲良く)
・ 伊集院沙織:交流有(青年との関係)
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()



9月2日目 終了時点

乃木園子との絆 54(高い)
犬吠埼風との絆 77(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 63(とても高い)
結城友奈との絆 90(かなり高い)
東郷美森との絆 87(かなり高い)
三好夏凜との絆 111(最高値)
乃木若葉との絆 83(かなり高い)
土居球子との絆 38(中々良い)
白鳥歌野との絆 35(中々良い)
藤森水都との絆 29(中々良い)
  郡千景との絆 30(中々良い)
   沙織との絆 88(かなり高い)
   九尾との絆 52(高い)
    神樹との絆 9(低い)

汚染度???%



763 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/28(木) 22:57:33.907ZiFp+bCo (7/8)


√9月3日目 朝(特別病棟) ※水曜日


01~10 大赦
11~20 
21~30 芽吹
31~40 
41~50 樹海化
51~60 九尾
61~70 
71~80 
81~90 沙織
91~00 

↓1のコンマ 



764以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/28(木) 22:58:02.821e3t8arkO (1/2)




765以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/28(木) 22:59:55.41Ww5yzAAmO (2/3)

サッオリーン


766 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/28(木) 23:12:29.747ZiFp+bCo (8/8)


ではここまでとさせていただきます
明日は所用でお休みの予定です


沙織「ねぇ、久遠さん」

天乃「どうかした?」

沙織「学校でするえっちって、とても魅力的だと思うの」

天乃「……何の話?」

沙織「人が来るかもしれないトイレの個室でこっそりと、声を押し殺しながらまぐわって……ふふっ、やりたいな」

天乃「やらないわよっ」



767以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/28(木) 23:15:49.941e3t8arkO (2/2)


さおりん遭遇多くて笑う
婚約者関連でストレス貯まってたのか


768以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/28(木) 23:18:39.25Ww5yzAAmO (3/3)


結果的に一番冷静な千景に相談して正解だったかもしれんな
メブと打ち解ける日ははたして来るのだろうか


769以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/29(金) 20:05:57.84SpegcZZMO (1/1)




770以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/30(土) 18:38:29.84AWYlTC9LO (1/1)




771以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/30(土) 20:09:10.26UYbiMh3sO (1/1)

今更だけど芽吹が出てきたってことはもしかして最終決戦の後もくめゆやゆゆゆ二期の辺りまで日数延長するのだろうか?


772 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/30(土) 22:28:35.67pTuIX/Udo (1/5)


では少しだけ


773以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/30(土) 22:32:56.8641/n82LbO (1/2)

やったぜ


774 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/30(土) 22:44:12.78pTuIX/Udo (2/5)

√9月3日目朝(特別病棟) ※水曜日


天乃「ん……ぅ?」

心地の良い微睡の中で、ふにゅりと優しい圧力を唇に感じた天乃は

寝言のような微かな声を漏らしながらゆっくりと瞼を開いていく

しかし、すぐそばの何かはまだ気づいていないのか、

投げ出すようにしていた手を、愛おしそうに握ろうとしていて

天乃「……ぁ、り?」

沙織「あ、起こしちゃった?」

名前を呼んだつもりの天乃だったが、

まだぼんやりとする頭では上手く口を動かせなくて

しかし、起きたことだけは伝わったのだろう

天乃にちょっかいを出していた沙織は申し訳なさそうに眉を顰めて、笑みを浮かべる

沙織「おはよう、久遠さん」

天乃「ん……」

沙織「まだ寝ぼけてるね」

沙織のすこし大きな手が頭を撫でて、頬へと滑ると

揉むようで撫でるような手つきで柔肌を弄って、天乃はくすぐったそうな表情を見せたが

沙織は幸せそうな表情で、無関係だというように続ける


775 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/30(土) 22:56:19.38pTuIX/Udo (3/5)


自分よりも大きな手

女の子らしい、手入れをしっかりとされたかさつきのない手

人肌の温もりのある心地の良い手

その包み込んでいくような感覚に意識が溶け込んでいくのを感じて、目を瞑る

けれど、また寝るのはダメだと沙織の手に手を重ねると、

沙織はふふっと笑って「まだ時間はあるよ」と言う

天乃「ダメよ。ちゃんと時間に余裕を持たないと」

沙織「久遠さんは真面目だなぁ」

天乃「私だけに負担がかかるならいいけど、他の人にも負担がかかっちゃうから」

沙織「そっか、じゃぁ起きないとだね」

恋人のように―恋人なのだが―優しく微笑みかけながら、

沙織は天乃の額に伸びる前髪を指で払い除けて

沙織「昨日話してきたよ。やっぱり違うと思うって」

天乃「……それで?」

沙織「伊集院家の顔に泥を塗ったのだぞ! だって」

沙織はさも自分は関係ないことであるかのように、

呆れたため息をつきながら、零す

少し前の沙織だったらしなかったかもしれないが……

猿猴を身に宿しているが故、だろう


776 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/30(土) 23:09:39.02pTuIX/Udo (4/5)


大人としては自分の家が許婚を中途半端に進めながらも破綻させたというのは

やはり、許しがたいものがあるだろう

それは当事者同士の家の信頼関係のみならず、

それ以外から向けられるものにも少なからず影響が出てくるからだ

もちろん、沙織もそれは分かっている

自分が伊集院家の看板の一部を担っていると理解している

だが、沙織は思う

誰かが気に食わないからというだけの理由で

何も知らないが故の恐怖心があるというだけで

子供が出来ないというだけで

同性との、天乃との交際を認めないのはおかしいと

時代錯誤の政略結婚染みたことをしなければいけないのは、おかしいと

沙織「彼と彼の家族に頭を下げて、やり直してもらえるよう努めろって」

天乃「沙織はどうしたの?」

沙織「まぁ……家出するよね」

天乃「こら」


777 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/30(土) 23:41:41.54pTuIX/Udo (5/5)


さらりと言って見せた沙織は、「あんなところにはいられないし」と

困ったように続けて、ため息一つ

失望感を滲ませた表情を浮かべ、天乃を見る

沙織「でも、あたしもただ嫌だから家出したわけじゃないよ」

天乃「あなたにできることがあるの?」

沙織「とりあえず、今まで溜めた貯金を使いつつ、中学生でもやらせてくれるバイトを探して、勉強頑張って特待で高校に通う」

天乃「それで?」

沙織「バイトを増やして払わない学費分お金を溜めつつ、家に今までの学費とかを返納していく」

理想論、夢物語

しかしながら、沙織の表情は本気以外の何ものでもない

まるで、予め計画していたかのようにはっきりと意思が直立していた

沙織「育ててくれた恩は忘れないよ。でも、縛られた生き方は嫌だから。出来ないと言われた一人立ちをしてみせて、あたしがどれだけ本気か分かって貰うつもりだよ」

天乃「仕事は見つかるの? 住む場所は?」

沙織「大分前から準備してたから大丈夫。親のコネも使ってないから平気」

天乃「……そう」


1、私のところにこれたら来てた?
2、ごめんね、迷惑かけて
3、ありがとう。そこまでしてくれて
4、なら、私も誠意を見せないといけないわね
5、ちなみに、どこ?
6、本当にそれで良いの? 間違ってはない?

↓2


778以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/30(土) 23:43:42.34MunAcFJiO (1/1)

1


779以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/30(土) 23:43:53.4541/n82LbO (2/2)

1


780 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 00:07:24.59gYPwzmgmo (1/19)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば昼頃から


沙織「それでね、それに関しての相談なんだけど」

天乃「うん」

沙織「とりあえずあたしの体を買ってくれない? 言い値で良いから」

天乃「その仕事は辞めてお願い!」

沙織「じゃぁ……久遠さんがかうしかないよね?」



東郷「押し売り……なるほど。とりあえず勇者の剣(非殺傷)はいかがですか?」

夏凜「やめなさい」


781以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 00:14:34.10+k1aVWhoO (1/1)


さおりんの行動力半端ないな…
だが父親も家のためなら手段を選ばなさそうなのが怖い



782以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 00:17:21.27MMhVZ/gOO (1/1)


もう婚約者おらんし
キスだけだからセーフ


783以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 00:43:16.83iCFx681rO (1/1)


言い値を買う側につけさせるのはダメでは


784以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 12:04:55.70ESNVZjzEO (1/1)




785以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 12:32:31.11L/d0/d26O (1/1)

くめゆで大赦が冷酷っていうか理由があるとはいえきつく押し付けてくる組織だって解ったし
久遠さんに対する当たりの強さも誇張では無さそうなのがまた…救いがないな


786 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 14:32:55.13gYPwzmgmo (2/19)


では少しずつ


787以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 15:34:39.30BTmugsn+O (1/1)




788 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 15:34:52.41gYPwzmgmo (3/19)


天乃「ねぇ沙織」

沙織「うん?」

天乃「もしも私のところに来ることが出来たら、来てた?」

沙織「それはもちろん」

驚きもせず、考えもせず

沙織はにこやかな笑みを浮かべながら肯定する

沙織「そもそも、それが出来るのは一番いいんだよ。あたしが一緒に暮らしたいのは、生きていたいのは久遠さん達なんだから」

天乃と一緒に生活して

問題なく生きていくことが出来るということが証明できるのが一番いいことだからだ

しかし、そんな理由があるからと

天乃のことを病棟から解放することはまずない

それが分かっているからか、

沙織は呆れたため息をついて首を振る

沙織「でも、それは出来ないよね」

天乃「ええ」

沙織「おはようからお休みまでの久遠さんを独占できるのに」

天乃「それもいつかできるわよ。このまま、何事もなく良ければ」


789 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 16:11:23.72gYPwzmgmo (4/19)


天乃は切なそうな表情で呟く

このまま何事もないなんて優しい世界ではない

見逃してくれる周囲ではない

それが分かっている天乃のその呟きはある意味では、祈りであり願いだ

自分の役目も含めて預けてしまった勇者部と精霊たちが

このまま無事に生きて行けるようにと。

沙織「何事もなく……何事も……うん。そうなると良いね」

天乃「……他人事なのね」

沙織「被害次第では、この世界に軽症を残しても消滅する可能性はあるからね」

天乃「…………」

沙織「でも、次で一旦お休みできるはずだから。あたし達は自由になれるはずだから。きっと大丈夫」

ヒトガタだらけの天井を見上げて、沙織は優しく言う

大丈夫だと、なんとかなると

そう微笑みかけて、天乃の頬に触れる

柔らかくて、温かい

すべすべしていて、むにりと抓める

吸い付いてみたい、愛らしい頬

今は一筋の流れが出来ていて……悲しげだ

沙織「信じよう。祈ろう。久遠さんが出来るのはそれだけしかない。でもきっと、それがみんなを強くする」


790 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 16:34:22.28gYPwzmgmo (5/19)


沙織は天乃の頬を指で拭いながら、囁いて唇を重ねる

普段の沙織が醸し出す淫猥な雰囲気などなかった

ただ優しく愛おしく、愛してくれていることだけが分かる唇同士の触れ合い

驚きに戸惑う天乃の前で、離れた沙織はにこっと笑って唇に指を宛がう

天乃「な、なんでっ」

沙織「恋人だからね……それに、寝込みを襲うのも良いけど。寝起きにキスってなんだか自然体じゃないかな?」

少し不衛生な感じはするけどねーと

冗談めかして笑った沙織は、怪しげな表情で「もう一回する?」と問う

すると言っても沙織は喜んでするだろうし、しないと言ってもそうだよね。と笑うだけ

勝敗などないけれど、天乃の負けは確定だ

天乃「……貴女のそう言う所。ちょっと分からない」

そっと唇に手を当てがい顔を逸らす

そんな天乃の仕草に、沙織は押し倒したい衝動を覚えて――……


791 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 16:45:59.56gYPwzmgmo (6/19)

√ 9月3日目 朝() ※水曜日

01~10 
11~20 
21~30 大赦
31~40 
41~50 
51~60 
61~70 芽吹と
71~80 
81~90 
91~00 九尾

↓1のコンマ  

空白は昼に移行


792以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 16:47:25.50b29npqT6O (1/1)




793 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 17:02:51.95gYPwzmgmo (7/19)

√ 9月3日目 昼(学校) ※水曜日

01~10 
11~20 クラス
21~30 
31~40 芽吹
41~50 
51~60  2年組
61~70 
71~80  勇者部
81~90 
91~00  風

↓1のコンマ  



794以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 17:04:32.34pz8NanefO (1/1)




795以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 17:13:26.21MPzmoJGqO (1/6)

打ち解けるきっかけを作れるかな


796 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 17:38:00.78gYPwzmgmo (8/19)


√ 9月3日目 昼(学校) ※水曜日


芽吹「久遠先輩、お昼を食べましょう」

芽吹は今朝合流した時点でも、今までと何も変わらない接し方で来ていて

昼になっても、それは変わらなかった

いつものように半ば不快そうに天乃の元にやってきて

お役目という強制力の元に、芽吹は天乃と昼食をとる

そのはずだった

けれど、珍しくしっかりとした包みの弁当を持参した芽吹は

困ったように天乃を呼んだのだ

天乃「食べるならそこの席を――」

芽吹「いえ、ここではなく別のところを用意しているので」

天乃「……?」

つまり、別の場所に食べに行こうという誘いだ

そう気づいた天乃の傍ら、沙織は怪訝そうな目で芽吹を見つめ、息をつく

沙織「どういうつもり?」

芽吹「不本意ながら、久遠先輩との付き合いはもう少し改善すべきだと思うので」

沙織「………」

芽吹「そんなに疑われても、私は本心でしか語っていません」


797 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 18:03:39.11gYPwzmgmo (9/19)


沙織「……お役目だから?」

芽吹「端的にいってしまえばそうです」

芽吹と沙織は一触即発と言った雰囲気で向かい合う。

身動きせずただ見つめ合うだけの離れた距離感

しかし、それは何よりも近いように見えて……

昼休みの喧騒に包まれていた教室がふっと、灯を吹き消されたろうそくのようになって

沙織の長い髪が、それそのものに意思があるように蠢いてみた

沙織「楠さんは真面目だね」

芽吹「……いえ」

沙織「それ、あたしも一緒じゃダメかな」

芽吹「…………」

少し考え込んだ芽吹は、あからさまに顔を顰めてため息一つ

すでに遅い表情を切り替えて天乃を見る

芽吹「私と久遠先輩の壁になると思われるので、遠慮していただきたいのですが」

沙織「……なるほど」

かたりと沙織の座る椅子が動く

どうなるのかと不安そうな周囲の中、風だけは緊迫感に満ちた表情でいつでも止めに入れるようにと身構えていた


1、風、どうかしたの?
2、大丈夫。邪魔はさせない。でも二人きりは駄目よ。沙織も一緒
3、沙織、平気だから心配しないで。何かあるとしてもみんながいるから

↓2



798以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 18:05:21.21MPzmoJGqO (2/6)

1


799以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 18:07:25.940j5+wThrO (1/1)

1


800以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 18:08:11.03SSx2jDnu0 (1/2)

2


801 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 18:36:18.99gYPwzmgmo (10/19)


天乃「ねぇ、風」

風「ちょっと待って今は話してる場合じゃない」

風は頬を伝う汗を気にも留めずにごくりと喉を鳴らして、息を吐く

天乃の声にもやや冷たく返して、自分の机の中の教科書を手に取る

天乃「話してる場合じゃないってどうして?」

天乃の不思議そうな声が聞こえて初めて

天乃が分かっていて声をかけたのではなく

全く気付いていないから声をかけたのだと分かったのだろう

風は驚いたように目を見開いて、沙織を見つめる

風「見えてないのね……沙織から妙な何かが飛び出してんのよ」

天乃「沙織から……?」

風「良く分からないけど、多分猿猴ってやつ。にょきって飛び出てるのよ。手が……肩のあたりから」

天乃「…………」

目を凝らしても擦っても、沙織の体に異常はない

精神を集中させても何か特別なものを感じることもない

それはそうだ

今の天乃にその類の力は何一つ残されていないのだから


802 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 18:50:01.69gYPwzmgmo (11/19)


天乃「でも、流石に楠さんに手を出すことはないんじゃないの?」

風「沙織がそうでも、精霊の方は分からないから……怖いのよ」

天乃「…………」

沙織には芽吹を傷つけようという意思がないはずだと天乃は思うが

しかし、今の二人を包む空気感を思うとそれも絶対とは言えなくて、唇を噛む

天乃に危害を加えようという魂胆があるとは思わない。が

もしかしたらそうなる可能性があるから

沙織は……いや、猿猴はそれを危惧して

先に芽吹を黙らせようと考えている可能性は薄くない

天乃「沙織?」

沙織「うん? なぁに?」

天乃「………」

普通だ

返事も、その高さのない落ち着いた段位の声も

振り向いた時に見せる、笑顔も

けれど風はまだ警戒を解かない

だからきっと――見えている世界は違うのだろう


1、駄目よ。楠さんを傷つけないで
2、大丈夫、楠さんと二人で食事にするわ
3、沙織も一緒で良いでしょう?


↓2


803以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 18:55:36.37nAcFOr6fO (1/1)

1


804以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 19:07:22.98SSx2jDnu0 (2/2)

1


805 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 19:46:43.12gYPwzmgmo (12/19)


天乃「駄目よ。楠さんを傷つけないで」

天乃の目に見える沙織は何を言っているんだろうと言いたげに首を傾げたが

天乃の表情が複雑に見えたのだろう

困ったように「分ったよ」と答えて、芽吹に優しい視線を送る

少なくとも【沙織】が抱いていた敵意だけは薄れているのを確認した天乃は、

すぐ隣にいた風へと目を向けて

風「……大丈夫」

その一言に安堵の息をつく

芽吹は猿猴の気配に気づいていたのかは分からないが、

沙織の敵意が消えたのと同時に警戒心を解いて

芽吹「仕方がありません。お話はまた今度にします」

天乃「至急の要件ではないの?」

芽吹「急ぐようなことでもありませんので」

芽吹はいつもと変わらない態度で天乃のすぐ近くの空席を借りて、弁当を机に置く


806 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 20:14:36.23gYPwzmgmo (13/19)


天乃「それにしても、楠さんがお弁当だなんて……自分で?」

「いえ、久遠先輩の送迎係にぜひ。と」

天乃「……その時私もいなかった?」

「見つからないように渡されたので気づかなかったのかと。夢路さん曰く、久遠先輩との距離を詰めるための物。だと」

芽吹は少しばかり迷惑そうに包みを解いて弁当箱のふたを開けたが……

中身のラインナップを見て、「なるほど」と、呟く

変に偏るわけでも無く、栄養を考えられた中身で

年相応に少なすぎず多すぎもしない品数

天乃は、夏凜のために作っているからだろうとすぐに分かったが、

芽吹はあの人も鍛えているのかしら。と

少し外れた解釈をして「頂きます」と一言

天乃「……………」

芽吹も意外に普通の少女なのだ

大赦に関わった分、一部歪んでしまったことはあるかもしれないが、

それでも、壊れきっていない少女なのだと天乃は思った


807 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 20:20:48.12gYPwzmgmo (14/19)


√ 9月3日目 夕() ※水曜日

01~10 友奈
11~20 
21~30 
31~40 東郷
41~50 勇者部
51~60 
61~70 夏凜
71~80 
81~90 樹
91~00 クラス

↓1のコンマ  


808以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 20:22:28.61MPzmoJGqO (3/6)




809 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 21:35:57.20gYPwzmgmo (15/19)


√ 9月3日目 夕(学校) ※水曜日


天乃が下校の準備をしていると、

昨日と同じように、しかしメンバーだけは入れ替わった二人が教室のドアから様子を覗いて

その中の一人、夏凜は天乃の姿を迷うことなく見つめて声をかける

夏凜「今日はどうする? 部活」

「三好さん、久遠先輩は連れ帰らないと……」

夏凜「大赦の都合は良いわよ。別に」

天乃が沙織に会いに行くことですら、

許可が出来ないということが不快だったのだろう

芽吹に対して沙織ほどの敵意こそ感じることはないが

不快感というべきか、嫌悪感は強く感じる

夏凜「邪魔をすんなら突っぱねるわよ」

「……三好さんまで、捕まることになるけど」

夏凜「はっ、だから何だってのよ」

芽吹の忠告に対して、

夏凜は強い不快感を含んだ声で答えると、

ぐっと距離を詰めて、睨むように目を細める

夏凜「やれるもんならやってみなさいよ……大赦と勇者部で争うってんなら受けて立ってやるわ」

「……なぜ、貴女を神樹様が選んだのか余計に分からないわ」


810 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 21:55:37.50gYPwzmgmo (16/19)


天乃「二人ともやめなさい、一応教室なのよ」

夏凜「……悪かったわ」

天乃の一声でハッとした夏凜は、

周囲の天乃のクラスメイトからの視線を受けてbつが悪そうに顔を顰めて

芽吹にではなく、天乃に向かって謝罪を述べて一息つく

呆れたりなんだりというよりは、

自分の中の空気を一新するためだったのだろう

張りつめる空気のひとかけらが晴れていくのを天乃は感じた

夏凜「部活くらい出ても良いんじゃないの?」

「つい最近のことも忘れたなんて言わないで」

夏凜「でも、昨日は友奈と一緒だったって聞いたけど?」

「内容が内容だから。部活なんて……それもボランティアなんて無意味な時間を許可する必要はないわ」

夏凜「……無意味?」

ピクリと反応した夏凜だったが、争うのは……と、思ったのだろう

すぐに息を吐いて脱力すると呆れたように芽吹を見て

夏凜「やってみなくちゃ分からないじゃない。あんたも参加すれば?」

「私は結構よ。久遠先輩、下校の時間です」


1、ごめんね夏凜。帰らないと
2、顔を出すくらいいいじゃない
3、良いじゃない、楠さん。やってみましょう?


↓2


811以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 21:56:03.27uXR+BckZO (1/2)

3


812以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 21:56:48.82MPzmoJGqO (4/6)

3


813 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 22:33:21.51gYPwzmgmo (17/19)


やや無理矢理に車椅子の持ち手を掴まれてぐらりと揺れる

意図しない揺さぶりに天乃は悲鳴を上げかけたが

それをぐっとこらえてた天乃が持ち手に伸びる芽吹の腕に触れると

芽吹は「何か?」と不快そうに天乃を見る

その不快感がそっくりそのまま勇者部からの不快感になっていることを芽吹はまだ気づいていないのか

それとも知ったうえでまだ毛嫌いしているのか

睨むような視線を浴びせてくる芽吹に、天乃は苦笑する

天乃「良いじゃない、楠さん。やってみましょう?」

「は……?」

天乃「勇者部の部活動。体験してみましょう?」

「いえ、必要ありません」

天乃「けど……」

最初こそ驚きを見せた芽吹だったが、すぐに呆れ切った表情になって

はっきりと拒絶を口にすると

それでも食い下がってきそうな天乃の残念そうな瞳に、深々とため息をつく

「……はぁ」

天乃「ダメ?」

「しなければ素直に下校しないでしょう? 下手に争っても害のみなので少しだけ……参加します」

天乃「ということで夏凜、体験入部!」

夏凜「あんた……よくやるわね」

明らかに褒めていない素振りだったが、しかし

天乃は「そういう人間だもの」と、嬉しそうに笑って見せる

芽吹が完全に乗り気ではなく

楠芽吹に対しての選択としてはほぼ不正解だったと感じたからこその、笑みではあるが。


814 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 22:46:43.19gYPwzmgmo (18/19)


√ 9月3日目 夕(学校) ※水曜日

01~10 剣道部
11~20 文化部
21~30 清掃活動
31~40 猫探し
41~50 陸上部
51~60 演劇部
61~70 文化部
71~80 清掃活動
81~90 猫探し
91~00 なんにもないよー

↓1のコンマ  



815以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 22:48:07.73MPzmoJGqO (5/6)




816 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/01(日) 23:00:55.07gYPwzmgmo (19/19)


ではここまでとさせていただきます
明日も出来れば通常時間から



夕海子「ボランティアの皆々様、ご苦労様」

夕海子「今回の依頼はこのわたくし、弥勒夕海子の通学路の一角があまりにもみすぼ――」

夏凜「えーっと……」チラッ

芽吹「私を見ないで。記憶にないわ」

夕海子「なんなんですの!お二方は……っ! 記憶にないだなんて 失礼ではありませんか!」

天乃「ごめんなさいね、こういう子達なの」

夕海子「はぁ……二人と違う柔らかな笑顔」

天乃「えっ?」

夕海子「貴女だけが、この場の救いですわ」ダキッ


817以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 23:08:53.30MPzmoJGqO (6/6)


夕海子さんオマケで早速堕ちてるw
まあ、くめゆ勢では久遠さんと一番ウマが合いそうなのはあるけど


818以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/01(日) 23:17:41.41uXR+BckZO (2/2)


活動内容無難なのでよかった


819以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/02(月) 18:52:58.090bedqLYWO (1/1)




820 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/02(月) 21:47:00.56qGwbIpUDo (1/8)


では、少しだけ


821以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/02(月) 21:48:18.9987pQ4eOvO (1/3)

よしきた


822 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/02(月) 21:55:58.33qGwbIpUDo (2/8)

√9月3日目夕() ※水曜日


「……はぁ」

天乃の世話係を大赦から言い渡された、夏凜と勇者の座を競った経験のある楠芽吹は、

武器の代わりに竹箒を手に、深々とため息をつく

コンクリートの上では掃き溜めたごみが風に吹かれてカタカタと揺れる

樹「楠先輩、これも大事な仕事ですよ」

「……勇者の仕事ではないわ」

一つ下の勇者、犬吠埼風の妹である樹の言葉に、

芽吹はいつもと変わらない冷めきった言葉と視線を向けるが

樹は怯えた様子もなく苦笑いを浮かべて

勇者部の仕事です。と言う

弱弱しそうな外見と雰囲気ではあるが、しかししっかりとして見える

大人や先輩なら、良く出来た子だとほめるのかもしれないが

芽吹は【勇者ならば当たり前だ】と、何も言わずに手を動かす

不愉快ではあるが、参加してしまった以上やるのが芽吹だ

そんな芽吹の姿を見守る天乃は

やっぱり失敗だったかな。と困った様子でゴミ袋の縁を掴んで広げる


823 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/02(月) 22:06:18.53qGwbIpUDo (3/8)


東郷「気になりますか?」

友奈「芽吹ちゃん……あんまり楽しくなさそうだもんね……」

並んでいた東郷に続いて寂しく呟いた友奈はどうしたら良いんだろうと芽吹を見る

友奈はあくまで敵対せずに友好的にいきたいと考えているのだろう

天乃としても友奈と同じように友好的に良ければと考えてはいるし

そのために千景にも相談をしたが、しかし……どうもうまくいく気がしないのだ

勇者部の体験入部を強行したは良いが

それも恐らくは悪い結果にしかなっていなさそうに思えてならない

もっとも、現状でマイナスか0だったために、大した変化はないのだが。

友奈「芽吹ちゃん、何が好きなのかとか聞いても何にも答えてくれないんだよね」

東郷「関わる事さえ嫌そうだったわね」

そう言って考え込むように顎に手を宛がった東郷は、

打開策を見いだせなかったのかため息をついて首を振る

天乃「夏凜のようにちょろければ良かったんだけ――痛っ」

ぺしりと頭を叩いた張本人は、「誰がちょろいって?」とちょっぴりお怒りな雰囲気で天乃を見つめる

天乃「冗談なのに」

夏凜「ちょろいあんたが言うからよ。私達が離れただけで、あんた寂しくなって泣くでしょ」


824 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/02(月) 22:21:33.55qGwbIpUDo (4/8)


夏凜の軽い煽り文句に、天乃は目元に涙をにじませていく

勿論、冗談だが。

しかし、夏凜は「ちょっ、まっ」と焦って、、困って

東郷は冗談だと見抜いたのか困った様子を見せるが、夏凜の動揺は友奈にも伝播して……

友奈「久遠せんぱ――」

天乃「冗談よ。冗談だから、ねっ?」

落ち着いてもらおうと涙を拭って明るく言う

しかし、夏凜に言われたことも否定はできない

皆が離れて行ってしまったら確実に泣くだろうし、寂しさに負けて死んでしまうかもしれない

いつぞやの孤独感を思い出して認めた天乃がむっとして夏凜の手を掴むと

夏凜は何を思ったのかその手を包んで笑う

夏凜「私も悪かったわよ……あんたを一人にしないわ。絶対に」

友奈「私もですっ」

東郷「当然よ……久遠先輩を一人になんてしない。させられない。私達もね」



825 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/02(月) 22:35:03.55qGwbIpUDo (5/8)


天乃「う、うん」

恋人たちの優しい声に天乃は思わず赤面して頷く

そういう反応をするから愛らしいのだと、悪戯がやめられないのだと

東郷は困ったように眉を顰めるが、しかし言わない

東郷もまた、そういう反応が見たいからだ

夏凜「まぁ……芽吹は色んな意味でストイックなやつだから。正直そっとしておくべきだと思うわよ」

天乃「でも……」

夏凜「勇者とはかくあるべきだ……って。私もここに来た頃思ったことを芽吹は本気で思っているしそれが正しいと信じきってる」

夏凜もそれが間違いだと思ってはいない

むしろ、考え方や在り方としては正しいのかもしれないとも思う

だが、勇者部に合っているのはそんな生き方ではない

当たり前の日常を享受し、それを守り生きていくために努力をする

そして、守りたいもののためにより強く自分の力を引き出す

そんなもので良いのだと

夏凜「私達には私達の生き方、芽吹には芽吹の生き方がある」

天乃「…………」

夏凜「……ま、あんたがそれで止まるとも思えないけど」


1、芽吹の近くへ
2、夏凜と話す
3、友奈と話す
4、東郷と話す
5、風と話す
6、樹と話す
7、イベント判定

↓2


826以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/02(月) 22:35:26.9347V2RTa8O (1/2)

7


827以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/02(月) 22:39:17.80YDzAZotSo (1/1)

7


828以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/02(月) 22:39:55.9287pQ4eOvO (2/3)

4


829 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/02(月) 22:44:10.86qGwbIpUDo (6/8)


√9月3日目 夕() ※水曜日


01~10 樹
11~20 芽吹
21~30 通り過がりの変質者
31~40 風
41~50 友奈
51~60 夕海子
61~70 東郷
71~80 夏凜
81~90 九尾
91~00 若葉

↓1のコンマ 


830以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/02(月) 22:45:26.89pgWyq6JhO (1/1)

これは


831 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/02(月) 22:53:04.97qGwbIpUDo (7/8)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


九尾「ほれ」ペシッ

芽吹「きゃぁ!?」

九尾「ほれほれほれほれ!」

芽吹「っ……く……わ、私にあんなみっともない声を――」

九尾「くふふふっ」ペシンッ

芽吹「ゃぁっ!」ビクンッ

芽吹「こ……殺すッ!」


832以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/02(月) 22:53:52.8547V2RTa8O (2/2)


つよい


833 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/02(月) 22:59:45.75qGwbIpUDo (8/8)


なお、ハーレム久遠さんの五郎くんルート
【明日への希望を託して】
トゥルーエンド版が出来たので、オマケページに掲載しました

ただ、自分の趣味と書きたいように書きなぐったせいでPDFでも24ページの冗長なオマケになっている上に
所詮素人の理想に届かなかったオマケなので
暇がないのと文を読むのがそこまで好きではない人は読まない方が良いかもしれません


834以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/02(月) 23:02:17.3687pQ4eOvO (3/3)


そういや猿猴が何しようとしてたか九尾は分かるかな?
昼間のことはみんなにも伝えておきたいところだが…


835以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/02(月) 23:13:04.16QKznFdeyO (1/1)


九尾△

そしてついにおねショタ来たのって…ん?ちょっと待ってPDF24頁ってまじでなに言ってんの?


836以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/02(月) 23:33:12.14Bk1w0z7E0 (1/1)

乙乙
24項?…ちょっと何言ってるのかわからないですね(混乱)


837以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/03(火) 00:32:21.25ReighPikO (1/1)

終わったと思って風呂から出たら素晴らしいものが
こうやってwikiで補完してくれるのにはただただ感謝しかないし頭が下がる思い


838以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/03(火) 06:45:51.74BoiJ+TVPO (1/1)

冗長(めっちゃ丁寧に心理描写と前戯を重ねただけ)
いつものエロスクオリティに加えて心にくる最期
五郎くんの久遠さんへの愛がもうね…

オマケとか言いつついつもガチでやってるよね…同人誌と違って金になるわけでもないのに


839以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/03(火) 08:09:47.55IIH/XHBOO (1/1)

本当に待ってて良かった、道理でカットしてまで時間かけた訳だよ
しかもストーリー上でもかなり重要な場面だったとは…
久遠さんもまたひとつ重いものを背負ったんだなあ


840以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/03(火) 12:24:38.36iejU/nReo (1/1)

ぶっちゃけ昨今のアニメ化してるなろう作家をプロと呼ぶのなら
内容(文章)と取り組む本気度的に>>1をプロと呼んでも差し支えない気がするけどな

取り分け今回のくめゆを読んだ感じ戦闘とエロに関してはくめゆより上だと感じた


841以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/03(火) 17:59:47.232WGVl/QjO (1/1)

サービスページの圧倒的クオリティで笑った
wikiで話を掘り下げてくれるのはほんとに嬉しい


842 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/03(火) 22:08:34.56/+dmSzXfo (1/7)


では少しだけ


843以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/03(火) 22:11:29.22xJ+cSGBuO (1/2)

あいよ


844 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/03(火) 22:16:35.29/+dmSzXfo (2/7)


友奈達の明るさと、積極的な姿勢に触れてもなお

芽吹の他人を寄せ付けないような姿勢は相変わらずだった

ここにいるのは天乃の世話係というお役目の最中だからでしかないが

そのお役目の最中という縛りが、芽吹の私情を抑圧する一つの要因になっているのかもしれない

天乃「……難しいわね」

九尾「それはそうじゃろう。あの娘には勇者はかくあるべきという強い信念があるが、主様たちは全くもってそれに適して居らぬのだから」

天乃「…………」

九尾「それを理解しているからこそ、娘たちは無理に関係を紡ぐ必要はないと言うておるのじゃろうがな」

天乃のすぐ横に突如として現れた女性、精霊の中の一人である九尾は、

少しばかり呆れたようなため息と笑みを見せながら囁く

周りが止めるべきと言っても、本当にやめなければいけないということが無い限り止めようとしない天乃の頑固さを

九尾は良く良く分かっているからだ

九尾「主様の行おうとしていることは、あの小娘にとっては悪やもしれぬぞ」

天乃「……うん、分かってる」


845 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/03(火) 22:25:42.25/+dmSzXfo (3/7)


悲しそうにつぶやき、芽吹へと目を向けた天乃は、

膝上の自分の手と手を握り合わせて、小さく息をつく

九尾が言うこと、夏凜が言うこと、千景に言われたこと

天乃とて分からないわけではないが、しかしすでに言ったように

もしかしたら分かってくれるかもしれないからだ

話を聞いて、理解して、それでもなお受け入れられないというのなら諦めるべきだと天乃も思う

しかし、まだ話を聞かせていないし、理解もして貰えていない段階で

彼女には分らない、言っても無駄だ

そう決めつけて切り捨ててしまうのは何か違うと天乃は思う

天乃「自分が傲慢な事くらい言われなくても分かってるけど……でも、寂しいじゃない」

九尾「…………」

天乃「何かがありそうなのに、関わることになったのに、それに対して何もしてあげられないなんて」

九尾「まさしく、主様は傲慢な女じゃな」

天乃「……嫌われるタイプの女よね。楠さんがあんなにも嫌悪感を示すのも分かっちゃうわ」

冗談めかして言う天乃に

分っているなら……とぼやいた九尾は口を閉ざして首を振る

言っても無駄なのは、明白だからだ

天乃「それでも私は最善を尽くしたい。私は私が思う正しさで楠さんにぶつかって、それでもどうしても嫌だというのなら引く」


846 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/03(火) 22:40:14.11/+dmSzXfo (4/7)


九尾「関わる以上は、首を挟む以上は最後まで行く覚悟はあると」

天乃「……ええ。だって、そうしなきゃおかしいじゃない。中途半端に首を突っ込んでかき回すだけでさようなら。だなんて、間違ってるもの」

九尾「…………」

天乃の世話係として入ってきた芽吹は天乃に対してかなりの嫌悪感を示し、

勇者部のあり方を否定した

専守防衛と言うのは語弊があるかもしれないが

生き方に先に首を突っ込んだのは楠芽吹

であれば、やり返されても文句は言えない

九尾「薮蛇……と言うものじゃな。小娘は面倒なものにちょっかいを出しおった。くふふっ」

天乃「……面倒なものって」

自分のことだと察した天乃は困ったように笑う

だが、九尾は関せずと苦笑いを浮かべながら、ふと、芽吹を見ると

冗談のような空気を払拭する真面目な表情で「しかし」と呟いて

九尾「伊集院の小娘にはきつく言うておけ」

天乃「え?」

九尾「娘は楠芽吹に対してあまり良く思って居らぬが、その影響を猿めが強く受けておる。最悪消すぞ」

天乃「消すって……」


847 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/03(火) 22:52:21.62/+dmSzXfo (5/7)


それはつまり、芽吹を殺してしまう可能性があるということだ

猿猴が、沙織が。

天乃「冗談じゃない……のよね?」

天乃は何も感じることができなかったが、

風は強く警戒していたし、猿猴の手がはみ出ているとも言っていた

あの場面でそんな冗談を言うわけもない

九尾「猿はともかく、娘ならば主様の話をしっかりと聞くじゃろう」

天乃「……うん、分かった」

九尾「時期も近い、空気が張り詰めているのも原因じゃ。もうしばしの辛抱じゃろうて」

天乃に言ったのか、自分に言ったのか

虚空を見るような九尾の瞳は遥か先の壁を見ているようで

天乃「…………」

近いのだと、思った

何も感じない

何も分からない

しかしながら、それだけは確実だと……天乃は思った


848 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/03(火) 23:01:30.98/+dmSzXfo (6/7)


√9月3日目 夜(特別病棟) ※水曜日


01~10
11~20 沙織
21~30 九尾
31~40
41~50 千景
51~60
61~70 若葉
71~80 
81~90 大赦
91~00

↓1のコンマ 


849以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/03(火) 23:01:51.67VlLRxxKcO (1/2)




850 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/03(火) 23:19:24.20/+dmSzXfo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


若葉「……この戦いが終わったら、文化祭を楽しもう」

若葉「天乃の出し物を見て、他クラスの喫茶店とかを回って」

若葉「命一杯普通の学生を楽しんで」

若葉「それで、来年は高校での文化祭を楽しもうなって、思いを馳せるんだ」


851以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/03(火) 23:22:37.396niYnUErO (1/1)


極めてテクニカルなデスポエムだ…


852以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/03(火) 23:25:38.40VlLRxxKcO (2/2)


若葉かわいい


853以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/03(火) 23:25:38.40xJ+cSGBuO (2/2)


猿猴のやつ本気で[ピーーー]つもりだったんか…
メブの言うことに素直にしたがうべきなのかな


854以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/04(水) 08:56:38.61QpQUyAHBO (1/1)

時期が近いってことは9月中かな
7日目か14日目…たぶん14だろうな
ここから怒濤のフラグ乱立パーティだ


855以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/04(水) 16:46:17.89cMo7lRx9O (1/2)




856以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/04(水) 17:37:09.195jCYHXxHO (1/1)

ってことはやっぱり10月以降も続く感じか?
久遠さん達の供物がどうなるか気になるが…


857 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/04(水) 22:26:37.16caID/Q+ho (1/6)


では少しだけ


858以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/04(水) 22:29:34.17dSZZGlCRO (1/3)

かもん


859 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/04(水) 22:34:30.03caID/Q+ho (2/6)

√9月3日目 夜(特別病棟) ※水曜日


また、一人きりの特別な病室に戻された天乃は、寝返りを打つようにして天井の禍々しいヒトガタ達から眼を逸らすと

九尾の時期が近付いているという言葉を思い出して、手と手を握り合わせる

少し前は樹海化した。という現象自体の感知は可能だったが、

今も出来るとは限らない。だから、少しだけでも祈っておこうと考えたのだ

けれど、ふと空気が揺れたのを感じて目を向けると、普通に若葉が姿を見せていた

若葉「もう寝るところだったか?」

天乃「ううん。まだ」

若葉「そうか……」

天乃「?」

若葉の控えめな態度、

天乃がまだ起きていると分かってずれた視線が気になって首を傾げると

若葉は「大したことではないんだが」と、前置きする

若葉「天乃は分かっていると思うが、私は本来天乃の一つしたの年齢。つまりは中学2年なんだ」

天乃「そうね……それがなにかあったの?」

若葉「何というか、楠さんや千景が久遠先輩と呼んでいるのを聞くと、やはり私もそう呼ぶべきなのではないかと思えてな」

天乃「気にしなくて良いんじゃない? 夏凜だって普通に天乃って呼ぶし」


860 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/04(水) 22:51:26.18caID/Q+ho (3/6)


本当に大したことのない若葉の疑問に、天乃は苦笑しながら答える

天乃は別に上下関係を気にするような人間ではない

もちろん、自分から目上の人に話すときなどは礼節を欠かないようにと注意をすることはあるが

学校生活するうえで、自分の方が上だから必ず先輩と呼べと強制するほど

ちっぽけな人間ではないからだ

言い換えれば、その辺りに関して無頓着なだけなのだが。

若葉「久遠先輩、天乃先輩、久遠さん、天乃さん……下の名前で呼ぶよりも久遠先輩や久遠さんの方がしっくりくるのはなんなのだろうな」

天乃「当人に聞かれてもちょっと」

若葉「それもそうか」

天乃「でも、私はどちらかといえば久遠さんや久遠先輩と呼ばれることが多いから、馴染んでいるのかもしれないわね」

ちょっと考えて、そうなのかもしれないと若葉は言う。

他愛も無い……そう、本当にくだらない会話

芽吹が聞けばなんて時間の無駄を。と激高さえしそうな……いや、流石にそこまで短気ではないだろうが

少しでも鍛錬に時間を割いたり、時間が時間なのだから休むべきだとは言ってきそうだ

そんなことを考えて、天乃はクスクスと笑う

夏凜ならば、そこで笑うと「なに笑ってんのよ!」と突っかかってくる分接し易くからかい易いのだが

芽吹にはそれが一切無い

良く言えば隙が無く、悪く言えばつまらない


861 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/04(水) 23:03:53.21caID/Q+ho (4/6)


若葉「ところで、沙織の件だが」

天乃「……若葉も気になるの?」

若葉「いや、一応警戒しているというだけの話なんだが……九尾から話を聞いていただろう?」

そう言った若葉は、天乃のことを真っ直ぐ見ると

切り替えるように周囲を見渡して、ふと息をつく

相変わらずの、嫌な意味で、悪い意味で、皮肉で言えば、超高待遇の室内

いい加減窓のある普通の部屋に移動させるくらい許可してもいいはずだが

やはり、悪五郎―妖怪―との子を宿している可能性があるというのが恐ろしいのだろう

若葉「今みたいな待遇を受けている中、さらに一つ一つを監視し、禁止する楠さんの存在は沙織にとって不愉快以外の何ものでもないんだ」

天乃「…………」

若葉「しかし天乃の立場を悪くするのはと沙織が押さえ込んだ感情が累積していった結果だな。あれは」

若葉は困ったように言うと、首を振る

若葉「九尾が言ったように時間をとって話すべきだな。沙織はともかく、猿猴の不満が大きい」

天乃「ええ、そのつもりよ」

天乃の答えにひとまずの息をついた若葉は

一応私も少しは話しておくからな。と、天乃の抱く不安を払拭するように言って笑みを見せる

若葉「寝る前に不安にさせるようなことを言ってすまないな」

天乃「ううん、こんな部屋だもの。元々不安しかないわ」


862 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/04(水) 23:16:55.20caID/Q+ho (5/6)


もはや諦めたといった感じで、自分の境遇を笑う天乃に合わせて

若葉は「それもそうかもな」と笑う

千景の時もそうだった

今も昔も、勇者に対する扱いの心得が無いなと、若葉は思ってため息をつく

もはやそれは大赦に運命付けられたコミュニケーション能力の欠如なのかもしれない。と

若葉「……せっかくだ、一緒に寝るか?」

天乃「えっ?」

若葉「冗談だ」

天乃の驚いた声、愛らしい表情を見れて若葉は満足したのだろう

そう言って笑って――



1、良いわ。寝ましょう
2、手を引く
3、どうせなら、しましょう?
4、それよりも、情報をくれるあの大赦の人について知らない?


↓2



863以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/04(水) 23:17:31.308dA+zHDLO (1/1)

1


864以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/04(水) 23:17:52.07cMo7lRx9O (2/2)

3


865以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/04(水) 23:18:56.04dSZZGlCRO (2/3)

4


866 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/04(水) 23:23:19.49caID/Q+ho (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日も出来れば通常時間から




水都「大丈夫だよ」

水都「もう、私は何もできない巫女じゃないから」

水都「見ているだけ、祈るだけ、守られるだけじゃないから」

水都「だから」

水都「全部終わったら畑を耕して、種を植えて、野菜を育てようね……うたのん」


867以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/04(水) 23:28:44.05dSZZGlCRO (3/3)


まるで遺言みたいじゃないか
どんだけ激しい戦いになるんだ…


868以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/04(水) 23:44:47.04oTP21hn1O (1/1)


とりあえず沙織と話さないと


869以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/05(木) 08:13:01.62/XJose9tO (1/1)

とりあえず沙織と肉体言語しよう
体に教えてあげれば嫌でも解るっしょ

…なお久遠さ(ry


870以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/05(木) 15:17:24.824wky+/cFo (1/1)

くめゆも追加されるのは確定として
データはリセットされるんじゃないの?

勇者部との関係を適度に押さえて久遠さん合流とか
多分>>1ならわすゆ設定みたいにするかと


871以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/05(木) 18:15:26.622XvN2w4MO (1/1)




872 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/05(木) 22:10:23.54TU4YJxcAo (1/7)


では少しだけ


873以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/05(木) 22:14:47.07NAJExzcQO (1/3)

おk


874 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/05(木) 22:19:43.25TU4YJxcAo (2/7)


天乃はそのまま姿をかき消そうとした若葉の手をとっさに掴んで

驚きを見せるその瞳を真っ直ぐ見上げる

若葉「……天乃?」

天乃「あ、えっと……」

言おうとした言葉はすでに用意が出来ていたけれど

手を掴んだ瞬間、ドキリと跳ね上がるものがあって

疼き、求めて、天乃は一度きゅっと胸元で握りこぶしを作って意を決する

天乃「どうせなら、しましょう?」

若葉「するって、まさかアレか?」

天乃「うん……ダメ?」

若葉「駄目ってことはないが……明日も学校がある。妊娠している可能性もあるんだ。身体に障らないか?」

若葉は傾いていた体をしっかりと天乃に向け直して

ぐっと身を屈めて天乃の頬に触れる

手に感じる肌の熱は、普段よりも少しだけ火照っているように思えた

天乃「…………」

頬に触れられた途端に唇をきゅっと締めて、瞼を閉じる

そんな誘うような仕草をする天乃はとても愛おしいと若葉は思う

思って……少しだけ距離を詰める

若葉「でも、仕方が無いか。天乃の体のことだしな……」


875 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/05(木) 22:28:53.31TU4YJxcAo (3/7)


天乃「え?」

若葉「……その反応から察するに、沙織にも聞いていないのか?」

目を開くと、若葉の不思議そうで心配そうな表情が見えて

天乃はどうしたのかと少し不安を覚えて首を傾げると若葉は笑みを浮かべて頭を撫でた

若葉「最近、そういう気分になることが多くはないか?」

天乃「……少し」

若葉「それに関してだ」

そこに誰かがいるのか、

若葉は天乃ではないどこかへと目を向けると

少しだけ考えるように眉を顰め、何事かを呟いて首を振る

そして

若葉「天乃がそういう気分になるのは、力がその部分に集まっていってるからなんだ」

天乃「……どういうこと?」

若葉「力を使えない理由がそのまま天乃がいん……じゃなかった性的になった理由ということだよ」

若葉は天乃を優しく撫でていた手を、天乃の下腹部に宛がう

ドキドキとしながら、それでも何かしてくれるのではという期待が大きく

奥底で体は疼き始めていて、嫌がろうという様子は微塵も感じられない

つまり、そう言うことなのだと天乃は理解した

一人でやろうとしたり、誰かとこういうことがしたくなるのは、

単純に自分がそう言う人間になったのではなく

力が下腹部に集中することで感覚が鋭敏になる上に、疼くことによる錯覚に似たものなのだと


876 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/05(木) 22:48:56.79TU4YJxcAo (4/7)


天乃「……じゃぁ、今も?」

若葉「恐らくは、な」

天乃「…………」

掴んでいた若葉の手をそっと離して「ごめんね」と言う

自分が元からそうしたいと思っていてのものでも少々アレではあるが

しかし、そうではなく何か別種の勘違いによって引き起こされている性的衝動ならば

余計に、若葉を利用しているようで嫌だったから

だから、天乃は若葉を手放したのだが……

若葉「まぁ、待て」

若葉はそう言って天乃の手を掴んで引く

その表情は崩れない

嫌悪感なんて無い

それでも構わない、そう言われているような感じで

若葉「私はただ天乃自身がそう言う人間になったわけじゃないから安心してくれ。ということだ」

天乃「どういう……」

どういうことなのか

そう聞こうとした天乃の唇は柔らかいものに包まれ、押し込まれていく

ほんのりかさつきかけていた唇が急激に潤っていく

体の仄かな熱がはっきりと感じられた

二つの吐息がふっと漏れて距離が開く

若葉「こういうことだ」

天乃「若葉……」

若葉「私は構わない……むしろ、天乃の相手は他にもいる中で私と言うのは幸運に思う」

若葉の瞳に迷いは無い

それは、若葉が何らかの抑圧でも強制によってでもなく

自分自身の意思で応じてくれていると感じさせるには十分な優しい瞳だった

若葉「ただ、体と天乃が自分のことを勘違いしないかが心配でな」

天乃「……でも、若葉のキスが私の体に余計な火をつけたのよ?」

そういいながらぐっと身を寄せると

若葉は苦笑しながら「それなら仕方がないな」と零して天乃の体を抱く

少しだけ長い夜

2人は精霊の力を用いて隠蔽しながら、影を重ねて溶け合っていく


877 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/05(木) 23:03:42.40TU4YJxcAo (5/7)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流有(部活)
・   犬吠埼樹:交流有(部活)
・   結城友奈:交流有(部活)
・   東郷美森:交流有(部活)
・   三好夏凜:交流有(部活)
・   乃木若葉:交流有(どうせならえっち)
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流有(家出、私のところに来られたら、芽吹を傷つけないで)
・      九尾:交流有()
・      神樹:交流無()



9月3日目 終了時点

乃木園子との絆 54(高い)
犬吠埼風との絆 78(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 64(とても高い)
結城友奈との絆 91(かなり高い)
東郷美森との絆 88(かなり高い)
三好夏凜との絆 112(最高値)
乃木若葉との絆 85(かなり高い)
土居球子との絆 38(中々良い)
白鳥歌野との絆 35(中々良い)
藤森水都との絆 29(中々良い)
  郡千景との絆 30(中々良い)
   沙織との絆 89(かなり高い)
   九尾との絆 53(高い)
    神樹との絆 9(低い)

汚染度???%


878 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/05(木) 23:06:27.04TU4YJxcAo (6/7)


√9月4日目 朝(特別病棟) ※木曜日


01~10 
11~20 東郷
21~30 
31~40 芽吹
41~50 九尾
51~60 若葉
61~70 
71~80 千景
81~90 
91~00 大赦

↓1のコンマ 



879以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/05(木) 23:06:45.16NAJExzcQO (2/3)




880以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/05(木) 23:07:39.533hGKA8fRO (1/3)




881以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/05(木) 23:11:42.443hGKA8fRO (2/3)

みんな監視がつかない朝に甘えに来るなwww


882 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/05(木) 23:23:38.68TU4YJxcAo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

この場合はお電話です



千景「……心配はいらないわ」

千景「私はミスを繰り返さない」

千景「最後まで、勇者として、精霊として尽くすから」

千景「ふふ……私は幸せよ。久遠さんと乃木っさんと、みんなのおかげ」

千景「戦いが終わったらゲームをしましょう……二人で出来る、良い新作が出たから」

千景「約束……よ」


883以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/05(木) 23:25:09.493hGKA8fRO (3/3)


お電話かー
残念


884以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/05(木) 23:28:55.12NAJExzcQO (3/3)


そういや電話ってあんまり使ってなかった気がする
せっかくだしたまには須美としてのお話も聞きたいな


885以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/06(金) 00:00:52.80YNyUR/aco (1/1)


そういや東郷さんの初恋の話って天乃にもうしたっけ?


886 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/06(金) 22:13:26.36hg5Yk7EQo (1/5)

では少しだけ


887以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/06(金) 22:18:18.76BYi+WFdoO (1/3)

よっしゃ


888 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/06(金) 22:23:49.96hg5Yk7EQo (2/5)

√9月4日目 朝(特別病棟) ※木曜日


天乃「……大丈夫」

目を覚まして早々に身体の重みや痛みがないことを確認した天乃は、

襟ぐりを軽く引っ張ってにおいを嗅ぐ

若葉と少しだけやった後にしっかりとケアを行いはしたが

自宅にいるわけではない為、当然ながら入浴などできているわけもなく

天乃「流石に若葉の匂いというか……そういう匂いが少しあるわね」

知らない人が嗅げば大丈夫。なんて言う保証はないし

沙織ならば一瞬で気が付くことだろう

もちろん、朝の準備の段階で入浴はさせてもらうから平気だとは思うけれど。

それでも気づきそうなのが、沙織だ

そう考え、苦笑する天乃の枕の下、

隠し持っていた天乃本来の端末が震えて着信を知らせる

天乃「あら、珍しい」

かけてきたのは東郷だった


889 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/06(金) 22:39:44.40hg5Yk7EQo (3/5)


東郷『おはようございます、久遠先輩』

躊躇う理由もなく電話を取ると、

すぐに東郷の穏やかな声が耳を通り抜けていく

時間的にはまだ早い部類―以前よりはだいぶ遅いが―だが

東郷の声は寝起きでもまだ眠気を感じさせるようなものでもなくて

天乃は流石ね。と感心しつつ「おはよう」と返す

天乃「どうかしたの? 学校では駄目な話?」

東郷『特別そういうわけではないのですが……その、友奈ちゃんのお母さんから話を聞いたので』

天乃「あぁ……本当かどうかって?」

友奈の母親からと切り出されて、真っ先に挨拶の件だと気づいて聞き返す

東郷の声は嬉しさ交じりの不安な声

自分の家には来てくれないのかと思っているわけではないだろうが……と

天乃は考えながら、小さく笑みを浮かべる

天乃「大丈夫よ? 東郷の家にもちゃんと――」

東郷『は、はい。それは大丈夫だと思うんですが、その。それに関してお願いがあって』


890 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/06(金) 22:54:22.35hg5Yk7EQo (4/5)


中々切り出し難そうな、考えながら一つ一つを紡いでいっているような東郷の声

面と向かって会って話すことが出来るのが一番いい内容だと思いながら

しかし、それは芽吹の関係上難しいのかなと考えて息をつく

殺したいとまでは思わないけれど

やはり、監視として存在するのは少しばかり煩わしいと思ってしまう

せめて友人になれればと、天乃は思って

東郷『いずれ、私のところにも挨拶をすると思うんですけど、出来たら。可能なら、鷲尾家の方にも報告だけでも出来たら……と』

天乃「……そういうこと」

東郷が鷲尾須美に関しての記憶を取り戻したことは大赦の知らない事実だ

しかしそれに関しては、天乃や他が教えたことにすればひと悶着ある可能性もあるけれど

きっとそこまで大きなことにはならないと思う

しかし、今はもう関係が途切れている上に、大赦内で多少なりと力を得た鷲尾家に接触したいという要望は

とくに天乃が会うという要望は、なにか裏があるのではと警戒されるだろうし、当然却下される

そこからさらに以降の接触がしにくくなる可能性もある

だから、東郷はあえてこうして電話をしてきたのだろう

天乃「そうね……一時期とはいえ、貴女の両親だったのだから」

東郷「それに、記憶を失っているからと接触も控えていると思いますし、元気にやっていると、色んなことがあって、それでも幸せですと」

そう、伝えたいんです。と

東郷は思いを馳せているような優しい声で言う

電話越しではあるが、穏やかな笑みを浮かべているのだろうな。と、天乃は感じる


1、是非行きましょう
2、九尾にまた手伝ってもらっていきましょうか。今日とか
3、そうね……なら、余計なお役目が片付いて落ち着いたら行きましょうか
4、でも結婚の報告で良いの? 須美の時って羨望っていうだけでそう言った想いは無かったんじゃないの?


↓2


891以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/06(金) 22:55:07.19kX2V849aO (1/2)

4


892以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/06(金) 22:56:39.33BYi+WFdoO (2/3)

2


893 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/06(金) 23:12:17.36hg5Yk7EQo (5/5)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「そうね、九尾に――ぁっ!?」ギュッ

東郷『久遠先輩――ピッ』

須美「……良いんですよ? 電話、続けても」ペロッ

天乃「っ! んっ……九……」

須美「まぁいいです。では、鷲尾家への粗品(ビデオレター)の準備を始めましょう、久遠先輩」ニコッ


894以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/06(金) 23:18:21.48kX2V849aO (2/2)


そのビデオレターはいくら出せば売ってもらえますか?


895以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/06(金) 23:26:29.47BYi+WFdoO (3/3)


とうとう須美までもが…

それはともかく久遠さんとの最初の出会いはどんな感じだったんだろう?


896以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/07(土) 16:13:46.98L9GUhkP3O (1/2)




897 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/07(土) 22:07:27.91U5zBkTYEo (1/6)


では、少しだけ


898 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/07(土) 22:20:47.76U5zBkTYEo (2/6)


天乃「ん~……」

東郷の願いを叶えられるのは、芽吹の監視が外れるか

天乃のことが大赦内部で許される存在になるか……くらいだろうが

しかし、近々起こるであろう大きな戦いを経てもなおそれらが解消される可能性は極めて低い

というのも、彼らが天乃を監視する理由は、

天乃が悪五郎との行為によって

穢れを持った子供を―まだ不確定だが―宿しているからだ

つまり、天乃が子供を産むまで監視は外れないし、

産まれても世話をするのは天乃になるのならば、

それ以降もずっと監視が外れることはない

天乃「そうねぇ」

考えに考えた天乃は、どこかの空間を見つめて

そうだわ。と、楽し気につぶやく

天乃「九尾にまた手伝ってもらっていきましょうか。今日とか」

東郷『九尾さん……ですか?』

天乃「ええ、夏祭りの時みたいに」

東郷『ですが、協力してくれるのでしょうか?』

天乃「そこは交渉次第、かしらね」


899 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/07(土) 22:29:35.94U5zBkTYEo (3/6)


天乃は断られる可能性も考慮しながらも

大丈夫だろうという安心感を含んだ笑みを浮かべながら、言う

九尾は口では訳の分からない協力の代価を要求してくるが

結局やってくれるし、大したことはさせない

もちろん、時と場合によっては……その限りではないけれど。

天乃「一応、話をしてみるから」

東郷『……分かりました』

九尾のことを信用していないわけではないのだろうが

東郷は少しばかり不安そうに答えて、沈黙

少し間をおいてから「久遠先輩」と、割り込ませて

東郷『へんな要望とかは飲まないで下さいね? 特別、急ぎと言うわけではないので』

天乃「分かってるわ」

東郷『絶対ですよ?』

天乃「うん、大丈夫」

強くはないが、念を押してくるあたりが東郷らしく須美らしいと天乃は思って笑うと

笑い事じゃないんですよ。と

少しばかり怒ったような声が端末から零れ落ちていく

東郷『では、すみません。お願いします』

天乃「ええ」

そう答えて通話を終えて、一息ついた瞬間――ぐにゅりと脇腹がつままれて

天乃「ひゃぁっ!?」

天乃は思わず大きな声を上げて、犯人の方へと目を向ける


900 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/07(土) 22:40:46.16U5zBkTYEo (4/6)


天乃「きゅ、九尾っ!」

九尾「勝手なことを抜かしおって、妾が協力するとは限らぬぞ?」

天乃「それっは、分かってるわ。あくまでもしてもらえれば嬉しいというだけ」

つままれた脇腹の感覚の癒えない天乃は

くすぐったさに半分、呻きながら呟いて息をつく

呼吸に重なる感覚が、くすぐったい

九尾「ふむ……」

天乃「貴女も聞いていたと思うけど別に何か裏があるわけではないし、ダメかしら?」

九尾「確かに、一応はあの娘の親でもある。報告とやらをするのは何にも間違ってはおらぬ」

天乃「何か不安なことでも?」

少し気になることがある。と言うような九尾の含みのある言葉遣いに

天乃が怪訝そうに問いかけると

九尾はこれと言ってあるわけではないが。と、前置きして

九尾「楠芽吹という小娘の相手をするのが不快じゃ。多少手を加えても良いと言うのなら、考える」

天乃「手を加えるって、何するの? 操ったりするの?」

九尾「そこまではせん。久遠天乃という人間の範囲でしかせぬ。もっとも、小娘の出方次第じゃからなにも考えてはおらぬが」


901 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/07(土) 22:56:41.50U5zBkTYEo (5/6)


夏祭りの時に任せて以降、女性神官が一人明らかにおかしい態度になっているし

九尾のすることに不安がないといえば嘘になる

以前言っていた情報源が彼女のことなのは予想が付くけれど

問題は彼女を手玉にした方法だ

九尾はそう言った―といっても男性を対象としてだが―ことは得意な妖怪だろうから

そこまでおかしなことはしていないと信じたいが。

でも、何をするのか聞いてもまだ考えてはいないだろし

神官になにをしたのか聞いたら、それはそれで不信感があるのなら。と

協力を断られてしまう可能性がある

さて……



1、分かったわ。協力して
2、あまり過激なことはしないでね
3、ねぇ、神官がおかしいのは貴女が何かしたからよね?


↓2



902以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/07(土) 22:57:03.06RU8KZ9GEO (1/2)

2


903以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/07(土) 22:57:23.78L9GUhkP3O (2/2)

1


904 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/07(土) 23:13:05.64U5zBkTYEo (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




須美「この手が届くから、誰かを助けているだけ。届かないものにまで手は伸ばせない。久遠先輩はそう言っていました」

須美「でも、銀を失ってから久遠先輩は自分の手を引き千切ってでも、足が壊れるとしても誰かのために傷つくようになって」

須美「ずっと不安だった、ずっと心配だった。久遠先輩までいなくなっちゃうんじゃないかって」

須美「でも……もう。そんな心配はしなくて良いんですね。久遠先輩は幸せになれるんですね」

須美「それだけで、私は……須美は、満足です」

東郷(なんて言える時代が私にもあったのよね……)

東郷「んっ……はぁ……っ」ビクッ

東郷(友奈ちゃんも、今頃一人でしてたりするのかしら)チラッ


905以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/07(土) 23:15:13.61RU8KZ9GEO (2/2)


東郷さんも成長したなあ(意味深)


906以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/07(土) 23:21:02.65SopzXp8tO (1/1)


ちょうどアニメも鷲尾編だし須美や銀との思い出にも触れてみたいなあ


907以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/08(日) 11:13:45.379AQEpUFZO (1/1)




908 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 17:55:21.94RhoOqzuCo (1/16)


では、少しずつ


909以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/08(日) 18:02:13.98pVfLzoPzO (1/4)

待ってたぞ


910 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 18:10:02.34RhoOqzuCo (2/16)


天乃「分ったわ。協力して」

不安がないと言えば嘘になるけれど、

天乃は神官の真相を聞くこともなく頷いて、求める

芽吹の言動次第ではあるが、それでも相当な酷いことはしないというのだから

今はそれを信じて委ねるべきだろう

でなければ、いつ東郷の望みを叶えてあげられるのかも分からないから

天乃「夕方から……でいいかしら?」

九尾「うむ」

天乃「どうしたら良い?」

九尾「厠……ではなく、手洗い場か。そこに行けばよい。個室に入った後に妾が主様の代理となろう」

九尾に指示に頷いて、天乃は一息つく

九尾扮する天乃と、芽吹がどうなるかはもう委ねるほかない

考えるべきは鷲尾家に対する話だ

もちろん、結城家に話したことから大幅に変えるつもりはない

手を抜くわけでも無く、あそこで語ったことが本心で、全てだから

問題は女の子同士……というのをどう説得するかだろう

天乃「うーん……」

九尾「そこまで悩まなくても良かろう」


911 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 18:25:29.25RhoOqzuCo (3/16)


天乃「え?」

九尾「鷲尾家は子を生せぬ苦しみを知っておるが、子を生すことだけが人間の価値ではないと、それ以外の幸があると、知っておろう」

天乃「…………」

九尾「そして、主様らが、娘たちがどのような思いを味わっているのかも知っておろう」

例え、同性での付き合いが異常だと考えているのだとしても

それを補って余るほど天乃達の置かれている状況が異常であることも分かっているはずだから

そこで見つけた幸せを、生き方を、否定し拒絶するような人間ではないはずなのだと、九尾は思う

九尾「率直に向き合え。主様に必要なのはそれのみじゃ」

薄い妖艶な笑みを浮かべる九尾は、

さらりと天乃の髪を撫でて、姿をかき消す

普段は子供よりも質の悪い悪戯好きで、適当な九尾ではあるが、

時々年長者であることを感じさせる

ようするに掴みどころがあるのに、掴みどころがないのだ


912 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 18:47:36.73RhoOqzuCo (4/16)


天乃「……率直に、ね」

しかし、九尾が言うことは正しい

変にひねくれたり、捩じれていたりしたら、

逆に受け容れて貰えなくなるだろう

天乃「まぁ、私は私の想いをぶつけるだけよ」

考えすぎても、意味がない

ある意味では友奈のようにいればいいのだ

そう考えて、天乃は苦笑する

そう言ったら友奈はなんて言うだろうかと考えて

くだらないこと、他愛ないこと

それを考えられる日常というものを目を瞑って、感じる

視界に映るのは邪悪な非日常だから

いつか、目を見開いて感じられるようにと、願う

天乃「……さて」

失礼します。という声が聞こえて、天乃は頭を切り替える

さっさと準備をして、学校に行こう


913 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 18:55:28.59RhoOqzuCo (5/16)


√9月4日目 昼() ※木曜日


01~10 
11~20 沙織
21~30 
31~40
41~50 若葉
51~60
61~70 クラスメイト
71~80 
81~90 風
91~00

↓1のコンマ 


914以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/08(日) 18:56:30.58pVfLzoPzO (2/4)




915 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 19:38:20.34RhoOqzuCo (6/16)


√9月4日目 昼(学校) ※木曜日


「久遠先輩、何か企んでいますか?」

天乃「なんなの? 藪から棒に」

昼休み、いつものように芽吹を加えての昼食をとっていると

芽吹は食事をしながら、唐突にそんなことを呟いて

演技ではなく、問い返す天乃をじっと見つめた芽吹は

いえ……と、言って食事に戻る

天乃「何かあるんじゃないの?」

「ただ気になっただけです」

沙織「久遠さんはどうやったら楠さんを手籠めに出来るか考えてるんだよ」

天乃「ちょっ――」

「……されるつもりはありません」

沙織の衝撃的な……と言っても

悪戯のような感情が強く含まれているのは分かるけれど

そんな発言に対しても、

芽吹は動じる事さえなく、冷静に拒絶する


916 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 19:53:13.57RhoOqzuCo (7/16)


でも、沙織はそういう態度が気に入らなくて

その中にいる猿猴は、そういう態度への不満が積もり積もって

芽吹を殺してしまおうと考えるのだろう

天乃や沙織達への害悪でしかないのなら

ストレスを与えるだけの存在なら……

そう考えるのは、妖怪ならば至極当然の事だろう

天乃「沙織」

沙織「うん?」

天乃「…………」

声色に変化はなくて普通に明るい声

しかし、猿猴の手が伸びている可能性は否定できない

風がいれば、その確認もできるのだろうが……


1、やったれ壁ドン
2、沙織、楠さんにも事情があるだろうから……ね?
3、ねぇ、楠さん。少しは譲歩とかできない?
4、手籠めにするつもりはないわ。でも、少しくらい仲良くしましょう?
5、そのお弁当。美味しい?

↓2


917以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/08(日) 19:54:55.87pVfLzoPzO (3/4)

4


918以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/08(日) 19:55:15.68H7sjPTo90 (1/1)

2


919 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 20:25:18.05RhoOqzuCo (8/16)


天乃「楠さんにも事情があるから……ね?」

沙織の周囲に猿猴の影も気配も全く感じられてはいないが

天乃が念のためにとそう言うと、

沙織は少し不満そうにうなずいて

沙織「それは分かってるけど……」

天乃「お願い」

沙織「……うん」

事情があるのだとしても

どんなに優しく接しようとしても

根本から突っぱねようとする芽吹の態度は

沙織の許せる範疇をギリギリ掠めるかどうか。というものなのだろう

天乃が言うならば仕方がないというような反応だ

「むしろ、久遠先輩は誰かれ構わず接しすぎかと思います」

天乃「そうかしら」

「ご自分がどのような存在なのか……ちゃんとわかっていますか?」


920 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 21:03:32.40RhoOqzuCo (9/16)


天乃「私の存在……?」

「久遠先輩は大赦の中で乃木に並んで位の高い家名です。それが、そんな」

会話に気づいていない周囲の天乃のクラスメイトを一瞥した芽吹は

天乃へと目を戻して、息をつく

天乃の生き方が、芽吹は気に入らないのだろう

友奈の家から帰るときに言っていたように

「もう少し、久遠家としての自覚を持って威厳ある態度で――」

沙織「久遠さんはこのままで良いんだよ」

芽吹の言葉を遮って、沙織は言う

芽吹に対しての強い拒絶がある、声で

沙織「久遠さんはこのままで良い」

天乃「沙織……?」

沙織「久遠さんは必要な時はちゃんと、威厳があって、格好良くて、優しくて、強くて、凄いから」

「…………」

沙織「勇者部のみんなをまとめてるあたし達の久遠さんは……伊達じゃない」


921 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 21:33:36.41RhoOqzuCo (10/16)


何を言うかと思えば、天乃をほめたたえるような言葉で

ハッとした天乃が止めに入るよりも早く、

沙織は「だから」と、身を乗り出して芽吹に詰め寄っていく

その表情は、悲しそうで

沙織「だから、良いんだよ」

辛そうで、苦しそうで

沙織「久遠さんはのんびりしてていいんだ。優しくて、適当で……頑張らなくて良いんだよ。もう、二度と」

「……そうですか」

沙織の訴えのような言葉に、

芽吹きは少し驚いたような反応を見せはしたけれど

しかし、相変わらずの冷たい返しをして、芽吹は食べ終えた弁当をしまう

「だからこそ、私は気に入らない」

沙織「……なんで?」

「世界の真実を知りながら、それでもなお、そのようなことを言える気楽さが気に入らないから」

そう言った芽吹は、

沙織と天乃を睨むように見つめて

「……本当、その無神経さが。うらやましくさえ思う」

不機嫌そうにそう言った


922 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 21:57:58.53RhoOqzuCo (11/16)


√9月4日目 夕(学校) ※木曜日


天乃「…………」

どこまでもついてくる芽吹は、トイレにまでついてくるが、

流石に個室の中にまで入ってくることは無くなった

と言っても、扉のすぐ向こうにいるのだから質が悪い

九尾「……さて」

便座に待機する天乃のすぐ横で姿を現した九尾は、

そのまま姿を天乃の姿に変えて、車椅子へと座る

九尾「くふふっ、似合ってる?」

天乃「私、そんな笑い方しない」

目の前でかなりの悪だくみを感じさせるに焼けた笑みを浮かべる九尾は、

今、天乃とうり二つの容姿で

その何とも言えない違和感に天乃は苦笑いを浮かべて、首を振る

九尾「主様、夜はこの姿で妾が相手してやろう」

天乃「は、ちょ――」

九尾「静かに」


923 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 22:12:01.95RhoOqzuCo (12/16)


声を言上げようとした天乃の口を手でふさぎ、

しーっと、悪い笑みを浮かべた九尾は、

見つかりたくないなら少し静かにするように、と告げると

堂々と扉を開けて

「……誰かと話してませんでしたか?」

九尾「あら、気のせいじゃないかしら」

「…………」

九尾「人が入ったトイレをそうやってまじまじと見つめるのは、人としてどうかと思うけど」

疑わしそうに天乃のいるトイレの個室を覗く芽吹に、

九尾は明らかな嫌悪感と不快感を示して

「……そうですね」

目の前にいるはずの本当の天乃に気づいた様子はなく

芽吹は九尾を連れてトイレから出ていく

天乃「……なるほど、だから」

見つかりたくないなら黙っていろと言った九尾の言葉の意味を理解して

けれど、忘れていないわよ。と、天乃は呻く

天乃「自分自身との夜なんて、誰がするものですか」

それを今回の件の供物として求められたら

避けようはないのだが……


924 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 22:24:26.75RhoOqzuCo (13/16)


√9月4日目 夕() ※木曜日

01~10 
11~20 友奈
21~30 
31~40 
41~50 イベント
51~60 
61~70 
71~80 夏凜
81~90 
91~00 

↓1のコンマ 

※ぞろ目 特殊


925以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/08(日) 22:24:45.85pXN/drJIO (1/1)




926 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 22:36:04.17RhoOqzuCo (14/16)


√9月4日目 夕(鷲尾家) ※木曜日


瞳「久遠様を送ったはずなのに、また久遠様から迎えに来てほしいと言われるなんて、驚きました」

天乃「ごめんなさい」

瞳「ううん、全然」

そう言った瞳は、天乃と東郷を車から降ろすと、

天乃の髪を嬉しそうに撫でて

まるで、近親者であるかのように優しい表情で送り出す

瞳「最近、楠さんにべったりされているから、羽を伸ばしたいと思いますので。どうぞごゆっくり」

天乃「それ、大赦に聞かれたりしたら怒られるんじゃないかしら?」

瞳「構いませんよ。私は、久遠様方々の味方ですから」

東郷「すみません、有難うございます」

東郷の御礼にも、送迎係である瞳は「大丈夫」と答えて

車を止めておくと不審に思われるから。と

必要になったらまた連絡をと言い残して去っていく

天乃「それじゃぁ、入る?」

東郷「……そうですね」


927 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 22:55:58.79RhoOqzuCo (15/16)


東郷は緊張した様子で、鷲尾家のインターホンを見つめる

以前ここに来ていた時よりも少しだけ視線が低い

東郷「…………」

今の姿を知らされていないわけではないはずだ

記憶を失ったこと

足が動かせなくなってしまったこと

もしかしたら、また戦うことになったことは知らないかもしれないけれど

それだけは知っているはずで

東郷「……久遠先輩」

天乃「うん?」

東郷「なんて、言えば良いんでしょうか」

天乃「……」

東郷は複雑な心情をうかがわせる笑みを浮かべて、

天乃を見る

東郷「東郷美森を名乗れば良いのか、鷲尾須美を名乗れば良いのか。私は……」

天乃「……」


1、今の名前を名乗ればいいわ
2、二つとも名乗ればいいのよ
3、須美でも良いんじゃない?
4、名乗る必要なんてないわ。貴女はこの家に帰ってきた。ただ、それだけでしょう?


↓2


928以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/08(日) 22:56:17.46b6UQEvuzO (1/2)

2


929以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/08(日) 22:58:13.11xoXo1AlI0 (1/1)

2


930 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/08(日) 23:00:40.34RhoOqzuCo (16/16)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「名乗る必要はないわ」

東郷「でも……」

天乃「貴女はこの家に帰ってきた。ただ、それだけでしょう?」

東郷「…………」

天乃「だから貴女は、一言……ただいまって言ってあげればそれで良いのよ」


931以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/08(日) 23:04:48.35b6UQEvuzO (2/2)


このあと東郷さんの家にも行くのかな?


932以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/08(日) 23:07:56.59pVfLzoPzO (4/4)


やっと本当の実家に帰ってきた東郷さん…
もしもこの場面でメブも連れてたら少しは認識が変わってたかな?


933以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/09(月) 08:19:25.48/6qR5GgvO (1/1)

本当の実家は東郷だぞい
東郷→鷲尾→東郷→久遠(予定)
こういう流れだから


934以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/09(月) 18:52:39.96NsVFuZgTO (1/1)




935 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/09(月) 22:08:17.64HXx/NdsPo (1/6)


では少しだけ


936 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/09(月) 22:15:20.15HXx/NdsPo (2/6)


東郷美森としてあるべきか

鷲尾須美としてあるべきか

迷いを生じさせた少女に、天乃は優しい目を向けて

小さく「良いんじゃない?」と、呟いて

天乃「二つとも名乗れば良いんじゃない?」

ほほ笑むように言う天乃は瞳を閉じていて

何を見ているのか、何を考えているのか、分からない

けれど東郷は思う

天乃の言葉はきっと、導いてくれるものなのだと

天乃「だって、貴女はいつか3つ目の名前を持つのよ? その時、また同じように悩む?」

東郷「3つ目……3つ目……ですか」

改めて言われると、無意識に受け容れていたものが意識的になって

東郷は言葉にし難い気恥ずかしさを感じて手と手を握り合う

そう、そうだ

名前を手に入れるのだ、3つ目の

もしそうではないのなら、今目の前にいる人がたくさんの名前を持つのだ

東郷「私は久遠を名乗るんですね……」


937以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/09(月) 22:24:24.10zu2vo52lO (1/2)

久遠三森か…


938 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/09(月) 22:30:37.11HXx/NdsPo (3/6)


久遠美森、まだなじみの薄いその言葉は少しだけ違和感を覚える

格好いいと言われた東郷というなじみ深い名前では呼ばれなくなる……いや

そう呼ばれても良いのだ

久遠であって、鷲尾であって、東郷

それが、今ここにいる自分なのだから

その全てであって、どれか一つではないのだから

東郷「……ありがとうございます、久遠先輩」

東郷は落ち着いた様子で天乃へと礼を述べると、

呼び鈴を鳴らして、聞こえてきた懐かしい声に笑みを浮かべて

東郷「須美です。お母様……東郷美森が、鷲尾須美が、今、帰りました」

天乃「…………」

驚いた声を上げる鷲尾須美としての母の声が聞こえて

微笑む東郷の「落ち着いてください」という嬉しそうな表情が見られて

天乃は一歩下がった立ち位置から全てを見守り笑みを浮かべる

本当は、体の自由も取り戻しての再会が良かった……と

望んでしまいたくもなるけれど

過ぎた欲は身を滅ぼすことになりかねない

天乃「まぁ……」

もう大分滅びているけど。と、天乃は思って苦笑する


939 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/09(月) 22:44:44.56HXx/NdsPo (4/6)


「お帰りなさい……」

出迎えはこの家に雇われているメイドではなく、

須美の母親自身だった

驚いた様子で、どこか悲しげに

しかし、再会を喜んでいるような……

そう、複雑な表情で

東郷「……ただいま、帰りました」

「お帰りなさい……お帰りなさい……っ」

愛しい我が子を抱くように、

母親は東郷の体を車椅子など気にせずに抱きしめる

強く、限りない優しさと愛情を持って抱く

「……貴女も、久遠さん」

天乃「お久しぶりです。お変わりなく……何よりです」

須美のことで気を病んだりしている可能性も考えてはいたが

そんな様子は無く、天乃は安堵の笑みを浮かべて、言う

須美たちが護ってくれた日常を生きるのに、

やつれていたり疲れ果てているのは違うと、そう思って強く生きているのだろう。


940 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/09(月) 23:02:04.08HXx/NdsPo (5/6)


こんなところではと客間へと招かれた天乃たちは、

出されたお茶を一口のみ、喉を癒す

以前……と言っても二年近く前のことになるが

そのときとあまり変わりない景色の中には

所々、洋に紛れた和が感じられる

「事前に連絡もらえていたら、もっと歓迎の準備も出来たのだけど……」

天乃「大赦には極秘の訪問なので……すみません」

「やっぱり、久遠さんへの風当たりは強いのね?」

天乃「はい。今は友人の力を借りて誤魔化していますが、監視が付いているんです」

「そう……何とかして上げられたら良いのだけど」

自分達の力ではどうしようもない領域

それが、天乃に対する扱い

その無力さを感じた母親は辛そうに顔をしかめたが、

すぐにそれを振り払って

「でも、そんな無理を通してきたということは、何か大切が話があるのよね?」

東郷「……はい」

東郷は少しまた緊張を感じる表情を見せたが、

しかし、その瞳はしっかりと意思があって



1、お母様……私は鷲尾須美さんと、東郷美森さんと……みんなと、結婚をするつもりです
2、東郷に任せる
3、彼女のことも、みんなのことも必ず幸せにすると誓います。ですから……須美さんを私に下さい
4、出来れば、お父様もいたほうが良い話なのですが……


↓2



941以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/09(月) 23:02:35.29J8VTollbO (1/2)

3


942以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/09(月) 23:05:10.37YG5yVXSX0 (1/1)

2


943 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/09(月) 23:16:12.07HXx/NdsPo (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「………」

天乃(東郷に任せ――)

東郷「実は、久遠先輩と子供を作りたいんです」

天乃「うん!?」

東郷「IPS細胞という素晴らしい技術があるそうなのですが、私には力不足で……探し出していただけませんか!」

天乃「貴女ちょっと待っ――」

「ふふっ……実は結城さんから話は聞いていたから準備は出来ているわ」

天乃「お義母様!?」


944以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/09(月) 23:20:21.70J8VTollbO (2/2)


久遠さんにips棒がついたら跡継ぎ問題オールクリアだね!


945以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/09(月) 23:35:49.97zu2vo52lO (2/2)


何気に鷲尾家は大赦の久遠さんへの仕打ちを知ってたのか…
須美なら園子や銀以上に激怒してそう


946以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/10(火) 06:56:42.370ezNu+y6O (1/1)

久遠さんに生えたら搾り取られてみんなに生えたら輪姦されるでしょ?
久遠さんに救いがないじゃん


947以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/10(火) 17:34:57.23XQTFXA+qO (1/2)




948 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/10(火) 22:13:10.26hmV3ku7To (1/7)


では少しだけ


949 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/10(火) 22:19:42.27hmV3ku7To (2/7)


天乃は自分が話すべきかとも思ったけれど

東郷の決意に満ちた表情を見て、口を閉ざす

報告をしたいと言ったのは、東郷だ

天乃もするべきだということに変わりはないが

しかし、この場は譲るべきだろう

東郷「私は、久遠先輩に恋をしました。この人と一緒に居たいと。幸せにしたいと、幸せにされたいと、そう思いました」

「…………」

東郷「私も、久遠先輩もこんな体です。女の子同士です……それでも、好きです」

好きなんです。

半ば祈るように声を絞り出した東郷は、母親へと頭を下げて

東郷「子供は出来ません。世間的には間違っているかもしれません。それでも――私は久遠先輩と一緒になりたいと思います」

母親は東郷が話している間、何も言わなかった

ただ黙って聞き手に徹し、

天乃を見るでもなく東郷のみを見つめていて

話し終えたのだと感じたのか、小さく息をつく

「身体に関しては致し方ないことですから、二人がそのような体だからと否定することはしません」

東郷「…………」

「しかし、同性同士であるということに関しては確かに異質だと言えるでしょうね」


950以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/10(火) 22:20:33.58eyIorfOqO (1/3)

きてた


951 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/10(火) 22:29:11.44hmV3ku7To (3/7)


母親は同性であることに関しては異論があるかのような口ぶりで

東郷の体がピクリと反応したのが天乃は横目に見えたが、

けれど、まだ何も言わない

今はまだ、母親の話が終わっていない。そう思うからだ

「でも、私達はそれ以上に異質な世界に貴女達を送り出しました。いえ、今もなお送り出している。人によってはそうであることすら知らない世界に」

東郷「…………」

母親は悲しそうに言う、辛そうに言う

目の前に、送り出したがゆえの悲しみと痛みを背負った子供達がいるからだ

「その中で見つけた幸せを、どうして非難できるのでしょうね……」

そこまで言った母親は、

それも言葉としては誤りだわ。と、自分に自分で否定を入れて首を振る

母親が今言ったことはつまり、

異常な世界に送ったのだから、異常な想いを抱いても仕方が無い。ということだからだ

母親自身もそう言っているのだと感じたのだろう


952 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/10(火) 22:41:25.09hmV3ku7To (4/7)


「子供が出来ないということが、どういうことだかわかってる?」

東郷「……分かってます。お母様とお父様がどのような思いを抱いていたか。全てとはいえません。ですが、ここで過ごした分だけの理解はしているつもりです」

「……そう」

東郷美森は鷲尾須美として、

多大な愛情を受け取った。広い優しさに包まれた。

それこそ、本当の我が子であるかのように。

いや、寧ろ、それ以上にだ。

だからこそ感じたこともある。思ったこともある

全てではなくとも、その片鱗を感じ取ることはできた

「貴女達には、もはや聞くまでもないことかもしれないけれど」

母親はそういいながら、薄く笑みを浮かべる

自分の問いに対して、天乃達がなんていうのかを分かっているから

「貴女達のその幸福は世界にとって異常です。辛いこともあるでしょう。苦しいこともあるでしょう。悲しいこともあるでしょう。それでも、貫き通すことが出来る?」

確かに聞くまでもないことだった

しかし、聞かなければいけないことだった

だから、東郷は答えは一つですね。と、言いたげに天乃へと目を向けて

優しく、笑みを浮かべてみせる

天乃「ここまで沢山打たれました。折れたこと、挫けたこと、壊れかけたこと、沢山……本当に色々なことがありました」

「…………」

天乃「だから私は歪です。お世辞にも綺麗とは言えないほどに」


953 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/10(火) 22:56:26.22hmV3ku7To (5/7)


天乃「でもそんな私を支えてくれたのが、鷲尾さんであり、東郷さんであり、勇者部のみんなでした」

一度は関係が壊れそうになったこともある

自分から突き放そうとしたこともあった

でも、それでも、繋がることを選んだ

辛いことがある。嫌なことがある。苦しいことがある。悲しいことがある

それを理解しながら、味わいながら

それでも、その先で得ることのできる幸福を手にしたいと思った。願った

だからこそだ

天乃「私は貫き通します。幸せにするために、幸せになるために。何かに歪められるのだとしても、また歪めて戻って一つに向かって貫き通す。それが久遠天乃の生き方ですから」

天乃の言葉の間、東郷も母親も閉口して言葉を聞く

天乃の言葉の端はしに辛さと、苦しさと、痛み……色々なものがあって

とても強く、重いから

天乃「……信頼は求めるものではなく、させるもの。だから信じて欲しいとは言いません」

「そうですね……」

天乃「ですが、後悔させません。お義母様、お義父様。みんなの家々にも。もちろん、みんなにも。ですから、どうか、娘さんを私に下さい」

お願いします

そう頭を下げる天乃の横で、東郷もまた頭を下げる

母親は少し考え込むように沈黙して、

ふと、息をつく


954 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/10(火) 23:11:31.46hmV3ku7To (6/7)


「久遠さんは信頼に足る人だと分かっています。美森ちゃんが信頼しているのだから、想いを抱いたのだから」

母親は満足げな笑みを浮かべて頷くと

頭を下げる二人に顔を上げてと言って、2人の顔が見えるとまた笑顔を見せる

「でも、後悔するかどうかは分からない。誰にもさせないように、頑張ることが出来るわね?」

天乃「はい」

東郷「……はいっ」

東郷の震えた返事に、母親は困ったように笑って

天乃へと目を向けると、落ち着いた声で問う

「久遠さんは今日、こちらに滞在することはできる?」

天乃「滞在、ですか?」

「ええ。難しいとは思うのだけど……出来ればちゃんと挨拶できた方がいいでしょう?」

天乃「そうですね……」

可能だろうか?

九尾は言えばやってくれるかもしれないが

不安は残る……というより募るけれど


1、大丈夫です
2、少し相談してみます
3、すみません、挨拶したい気持ちは山々なんですが……


↓2


955以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/10(火) 23:12:36.89JfjWzYQIO (1/2)

2


956以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/10(火) 23:13:56.09eyIorfOqO (2/3)

2


957以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/10(火) 23:14:16.74XQTFXA+qO (2/2)

1


958 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/10(火) 23:31:16.20hmV3ku7To (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「久遠先輩の良いところはあの柔らかさね。固い筋肉とは裏腹に触れるものを包み込むあの包容力」

夏凜「強いけれど弱いところ……なんていうか、まぁ……アレよ」

風「あの年齢にそぐわない妹みたいな笑顔でしょ」

樹「ふざける時は全力で、でも必要な時には頼れる背中です」

友奈「いくらでも頑張る力をくれる……きっと大丈夫だと思わせてくれる、あの雰囲気」

沙織「えっちが苦手ですぐ漏らしちゃうところ」


若葉「沙織ィ!」バンッ




959以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/10(火) 23:36:09.81JfjWzYQIO (2/2)


安定のさおりん


960以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/10(火) 23:38:59.22eyIorfOqO (3/3)


勇者部とさおりんのセリフの落差がw

九尾が今ごろ何してるか気になるし若葉たちとも相談してみるか


961以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/11(水) 17:47:23.34jW/DLH15O (1/1)




962 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/11(水) 22:11:41.95eeCg8d1uo (1/5)


では、少しだけ


963以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/10/11(水) 22:14:12.67yMB0aEaAO (1/3)

かもん


964 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/11(水) 22:16:31.88eeCg8d1uo (2/5)


少し考え込んだ天乃だったが、

いい案が浮かばなかったのだと分かる表情で首を振ると

少し相談してみます。と言った

天乃「友人のこともあるので」

「ええ……でも、無理にとは言わないからね?」

あの人もそのあたりはちゃんと理解しているし、

そもそも、本当は挨拶はこなければいけないようなものでもなかったのだから。と

須美の母親は少しだけ申し訳なさそうに笑う

もちろん、来てくれたことは嬉しいだろうし

挨拶に来てくれるということは、鷲尾須美としての母親であることを認めてくれているようなもの

それが喜ばしいというのもあるだろう。

けれど、本来、鷲尾須美は居らず、東郷美森でしかなかった

そして、今も東郷美森に戻った。記憶だって、無くなっていた

そうである以上、この家に挨拶に来なければいけない。という決まりなどないはずで

だからこそ、無理を言う必要はないし無理をさせたくもないのだ

今この場で対面できるのは、少女たちの想いの計らいなのだから。


965 ◆QhFDI08WfRWv2017/10/11(水) 22:29:18.89eeCg8d1uo (3/5)


母親が席を外したのを見送ってから、

東郷は緊張感にため込まれた息を吐いて、天乃へと目を向ける

東郷「久遠先輩、帰る方が良いのでは?」

天乃「九尾に任せるのは貴女も不安?」

東郷「信用は出来ます……でも、やっぱり」

何かしそうで少し怖いので。と東郷は素直に答える

確かに、東郷が言うように不安はあるのだ

天乃も、そう感じたからこそ

委ねることなく相談すると言ったのだから

天乃「でも、ちゃんと話はしておきたいわよね」

東郷「それは、そうなのですが……」

天乃「楠さんは普段なら送り届けてからは別れるから被害に遭うことはないはずだけど……」

九尾がそう簡単に見逃すのか。という問題もあるのだ