1 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/19(土) 22:15:50.559Vo8LsBZo (1/9)

このスレは安価で

久遠天乃は勇者である
結城友奈は勇者である
鷲尾須美は勇者である
乃木若葉は勇者である
久遠陽乃は……である?

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的


・戦わない

安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡(鷲尾、乃木) 友奈世代のHP最低値は基本10
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる

※HPに関しては鷲尾ストーリーでは0=死になります


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに

前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1464699221/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1468417496/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1472477551/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【四輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1477053722/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【五輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1481292024/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1484833454/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【七輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1488104860/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【八輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1491918867/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【九輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1495544664/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499086961/




2以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/19(土) 22:19:43.19GQjMtetEO (1/1)

立て乙


3以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/19(土) 22:26:53.919Vo8LsBZo (2/9)


天乃「あ、貴女って人は……」

沙織「あたしがこういう人だって、久遠さんは良く分かってるはずだよ」

左手を天乃の頬に宛がって、右手を左肩へと滑らせて

沙織は微笑を含めながら囁きかける

沙織「少し意地悪だって……特に、こういうことに関しては」

天乃「…………」

確かに天乃は沙織の性格を良く分かっている

時折悪戯を含めてくること

その悪戯がとても意地悪なこともあること

自分優位な立場が確定しているときは、尚更

それでも天乃は――

沙織「それでも、久遠さんはあたしに頼んだ」

するりと下って行った沙織の右手が天乃の左手を握る

一方的に、けれど。

天乃が振りほどく余地と、握り返す余裕をしっかりと与えて。

天乃「っ」

沙織「少し、意地悪されたいんじゃないのかな?」

沙織は耳元で囁く

逃れようとする天乃の頭を無理に抑え込まず、

染まっていく頬、泳ぐ視線

それらさえも行為における一つの醍醐味であると沙織は思っているから


4 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/19(土) 22:37:26.089Vo8LsBZo (3/9)


天乃「そ、そんなことっ」

沙織「ない?」

天乃「な、ない……」

沙織「そっか」

赤い顔、視線を逸らした否定

それは一部嘘が紛れていると言っているようなものなのだが

この追い込まれている状況においては、そうとも言い切れない

だが、沙織にはそんなことはどうでも良かったのだ

天乃が嘘をついていようが、いまいが関係ない

沙織「じゃぁ……こっち向いて」

天乃「さお――んっ」

宛がった手に力を少しだけいれて天乃の顔を固定して、唇を重ねる

いつものように軽く、重ねるだけの弱弱しいキス

潤っていて柔さのある唇は重ねれば簡単に圧し潰すことが出来るのに

しっかりとした反発をする弾力と厚みがあって

天乃「っは……んんっ」

沙織「ん……」

何かをする暇も与えずに二度目のキス

同じく弱く、同じく軽く

一方的に握るだけだった右手に少しずつ、何かが絡もうとする


5 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/19(土) 22:55:33.149Vo8LsBZo (4/9)


沙織「こんな軽いキスだけで満足?」

天乃「え……?」

沙織「ねぇ、久遠さん。あたしは久遠さんがしたい事ならどこまでだってしても良いんだよ?」

どこまでだって、なんだって

沙織のそんな言葉が心に沁みこむ

ドキドキと、高鳴る胸が痛みを覚える

天乃「さ、沙織……っ」

一人でしているところを見られたことは分かっているし

それはどうしようもなかったことなのだから批判するつもりはない

しかし、恥ずかしさがこみあげてくる

唇に触れてくれるものがなくて寂しかった。切なかった

どうしようもなくて、自分の指を咥えていた

それでも全然……その場しのぎにも至らなかった

天乃「んっ」

ごくりと、喉が鳴る

答えない合間も触れてくる沙織の唇

それをもっと深く、もっと強く

受け入れてしまえば……良いのにと、疼く


6 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/19(土) 23:02:16.639Vo8LsBZo (5/9)


唇がふれあうたびに体の熱は増して、

下腹部の疼きはより強くなっていく

行為をしているのに、まったく解消されてはくれない

それは焼け石に水のような、ささやかな行いだけ……だから?

天乃「さ、おり」

沙織「ん?」

天乃「っ」

意地悪しないで。

そう言えば十分だろうか?

いや、きっと沙織はこう言うのだろう

何が意地悪なのか。と

体の疼き、その意味とその理由

それがどうすれば解消されてくれるのか

そこまでの全てを分かっているはずなのに

沙織はそんな意地悪なことを、言うのだ


7 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/19(土) 23:12:34.559Vo8LsBZo (6/9)


沙織「なぁに?」

天乃「ぅ……」

動こうとした唇が震える

恥ずかしい、言いたいけれど言いたくない

沙織は受け止めてくれる。言わなくても分かっているから

それが分かっていても、どうしようもなく心拍数は跳ね上がる

沙織「仕方ないね」

天乃「――んっ!」

沙織「んっ……っ、は……」

不意打ちに唇を重ねた沙織は少しだけ離れて笑みを浮かべると、

唇ではなく、天乃の首筋にキスをする

天乃「ひゃっ」

キスというよりは咥えるような、吸い付くような感覚で

ほんのりと汗ばんだ味のする首に唇を滑らせて、味見をしてから

すーっと舌を這わせて

天乃「やっ、ちょっ……んっ」

沙織「んー」

普段誰かにキスをされるようなことなんてない所

不慣れな感覚は天乃の体を混乱させて

少しずつ、何度も塗り重ねていくように、ざらりとした感覚が首を滑っていくむず痒さに、

天乃は少しだけ抵抗の意思を示そうと、沙織の方に手を宛がう

けれども、押しのけるほどの力は出なかった


8 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/19(土) 23:28:52.709Vo8LsBZo (7/9)


沙織「どうしたの? や?」

天乃「く、くすぐったい……」

沙織「大丈夫、すぐに気持ち良く慣れるよ」

そう答えた沙織はまた、天乃の首筋に舌を触れさせて

天乃「やんっ!」

天乃は思わず声を上げる

完全に沙織のものとなってしまったかのようにぬるりとしていた首が空気に触れることで、

ほんの少しだけ、感覚が鋭敏になったのかもしれない

そこに重なる何かが来ると分かっていても

その覚悟を押しのけてしまいそうな、沙織の力強さと妙な優しさ

天乃「んっ、っ……」

くすぐったいのに、むずむずするのに心地良いと思ってしまう

押さえ込んだ声が小さく零れる。体の熱が高まっていく

淫らさが、増していく

天乃「っは……はっ」

沙織「まだ首だけだよ」

そこから顔を上げた沙織はわざとらしく覗かせた舌をちろりと揺らし

天乃を責めるような声色で囁く

沙織はわざと耳元で言うのだ

ほんの少し熱気の感じる、誘うような声で

ゾクリとさせることがある、ドキリとさせることがある、沙織の声

沙織「なのに……そんなエッチな声、しちゃって」

それは天乃の羞恥心を強く震わせるには十分な妖艶さを持ち合わせていた


9 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/19(土) 23:42:22.329Vo8LsBZo (8/9)


天乃「だって……」

沙織「気持ちがいい?」

天乃「っ……」

沙織「…………」

問いかけに対して口ごもる天乃の逸らした瞳、紅潮した肌

並以上に早くなっている呼吸の上下

焦らすように見渡した沙織はうすく、笑みを浮かべて

沙織「良いよ。そのままでも」

天乃「え――んっ!」

ぱくりと首筋を咥え込み、

わざとらしくジュるジュると音を立てながら吸い上げていく

天乃「っ、く……んっ」

吸っているんだよ。と

吸われているんだよ。と

それを体と心にしみこませていくようにして――離れる

舌先から首元へと唾液を伝い落としながら、

沙織は天乃へと笑みを浮かべてみせる

沙織「普段は唇のキスから入っていくけど……こういう入り方もあるって言うことを教えてあげる」

天乃「ぅ」

沙織「おっと」


10 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/19(土) 23:55:05.849Vo8LsBZo (9/9)


首元に触れようとした天乃の手を慌てて掴み取って

ダメだよーと、優しく言いつつ首を振る

濡れたせいでスースーとするのだろう

殺気まで這わせていた舌、吸い上げていた唇

その残留感が気になってしまうのだろう

だけど、触れられたらそれは壊れてしまう

だから、とめるのだ

沙織「久遠さんの全身……あたしが同じようにしてあげる」

天乃「ちょ、と、待って沙織。それはっ」

沙織「あたし達を呼ばないで一人エッチに縋ろうとする悪い子は……もう二度と、出来ない体にしてあげる」

天乃「縋ったわけじゃ、ない、からっ……ただ、なんか、体が、それでっ」

沙織が相手だから

結局は優しくしてくれるから

そんな頭は働いているのに、言葉は変に途切れてしまう


11 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 00:07:54.15uZOQXbNXo (1/26)


沙織「そんな風に焦ってる久遠さんも可愛いよ」

天乃「待って、お願い沙織私は別に満足なんて――」

沙織「出来なかったよね。知ってる」

天乃の言葉を途中で遮りながら返した沙織は、

冷や汗の浮かぶ天乃の頬の横、耳元に口を近づけて

沙織「だけど……さ」

こそばゆく囁く。

互いの呼吸が合わさると、胸と胸が触れ合って

ほんの少しだけ潰しあう

微かに感じる熱、聞こえないけれど感じる動悸

それさえも、沙織は愉しんで

沙織「見せられたあたし達だって。凄くエッチな気分になっちゃったんだ」

天乃「そ、れは……」

沙織「責任とって、貰わなきゃね」

キスをするかのような位置にまで近付きながら、キスはせず

悪戯に微笑みを向けて、天乃の腹部を服の上から撫でて裾から捲り上げていく

天乃「や……お願い、優しく……」

ぎゅっと目を瞑る天乃の仕草がまた、一段と愛らしくて

けれどもふつふつと湧き出す罪悪感に沙織は眉を潜めて、息をつく

沙織「するから安心してよ。好きな人だもん、本当に酷いことはしないって」

天乃が初心だからこそ、まだまだ純粋だからこそ

まだ自分がやりたいような行為―プレイ―はできないだろうなぁ。と

半ばやりかけていた計画を改めることにして

けれど、それはそれで、沙織は喜ばしく思う

天乃とこういうことが出来ること、それだけで十分満たされていたからだ


12 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 00:25:41.11uZOQXbNXo (2/26)


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼頃から

再開時1日のまとめ



園子「ここから先はプレミアム会員様限定となってまーす」

杏「払います!」

ひなた「大社宛に請求しておいてください」

園子「キャッシュのみの対応だよ~」

杏「そ、そんな……!」


夏凜「いや、まずあんた誰よ……」



13以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 00:26:49.56JHUCo2EpO (1/1)


俺もプレミアム入りたい


14以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 00:28:52.426vJnXN39O (1/1)


Wikiに…!続きはwikiに来ると信じたい…!


15以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 07:58:16.14im1UZSfRO (1/2)




16以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 10:41:25.824Lj/TbZgO (1/1)

さおりんキスだけでこのエロさとは…本番どんだけヤバいのか

そういや今作は日数的に恒例の夏合宿イベントはないのかな?
さおりんも大分前に許嫁にまた会うとか言ってたし


17 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 14:28:50.84uZOQXbNXo (3/26)


では、少しずつ


18 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 14:43:20.33uZOQXbNXo (4/26)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流有(巫女の話について、ごめん)
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流有(えっちなこと)
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()



8月11日目 終了時点

乃木園子との絆 54(高い)
犬吠埼風との絆 70(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 56(とても高い)
結城友奈との絆 76(かなり高い)
東郷美森との絆 80(かなり高い)
三好夏凜との絆 99(かなり高い)
乃木若葉との絆 72(かなり高い)
土居球子との絆 31(中々良い)
白鳥歌野との絆 29(中々良い)
藤森水都との絆 21(中々良い)
  郡千景との絆 22(中々良い)
   沙織との絆 81(かなり高い)
   九尾との絆 52(高い)
    神樹との絆 9(低い)

汚染度???%


19 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 14:56:54.64uZOQXbNXo (5/26)

√ 8月12日目 朝(特別病棟) ※金曜日

01~10 
11~20 大赦
21~30 
31~40 
41~50 沙織
51~60 
61~70 樹海化
71~80 夏凜
81~90 
91~00 九尾

↓1のコンマ  


20以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 14:57:40.51tIbSHN5HO (1/2)




21 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 15:21:26.29uZOQXbNXo (6/26)


√ 8月12日目 朝(特別病棟) ※金曜日


天乃「金曜日……でも、お昼が少し近いのね」

端末が手に入り、自分の体内時計にすべてを委ねる必要が無くなって

天乃は朝起きてからすぐに精神的に病んでしまうような思いはしなくなった

その解放された気分に小さく息をついて、

昨夜の気怠さがまだ少しだけ残る体を感じ、首元に手を宛がう

舐めまわされ、触れられ続けた体は一晩休んでだいぶ落ち着いたと言えば落ち着いてはいるが

まだ少し、思考に割り込みやすくて

天乃「しっ……しないしないっ」

一人で触れてしまいそうな手を抑え込んで首を振る

やはり、少し淫らな子になってしまったのではないかと、天乃は思う

天乃「ん……あれ?」

時間を見ていた天乃はふと、声を漏らす

天乃「今日が金曜日で……っていうことは、明日夏祭り?」

沙織がまた男の子と会う日

今度は……何もできない

天乃「それどころか、私……夏凜達と夏祭りいけないのよね……」

嫌な事ばかりだった


22 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 15:56:38.45uZOQXbNXo (7/26)


天乃「…………」

端末が手に入って

皆に連絡を取ったりすることは出来るようになったけれど

それ以外のことは、出来ないのだ

心配だからと会うことも

何かをしたいからと出かけることも、何も

天乃「…………」

改めて考えれば、不自由で

天乃は気落ちしてしまいそうな自分を戒めるように唇を噛む


1、精霊組
2、勇者組
3、端末関係


↓2


23以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 15:58:26.85PeGgiNUD0 (1/7)

3


24以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 15:58:41.03tIbSHN5HO (2/2)

3


25 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 16:22:58.90uZOQXbNXo (8/26)


1、勇者部HP
2、ネット掲示板
3、エッチな動画
4、エッチな方のネット掲示板
5、大赦にクラスメイトを装って電話


↓2


26以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 16:24:51.51UTql99JvO (1/1)

1


27以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 16:25:07.37PeGgiNUD0 (2/7)

2


28 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 16:43:07.13uZOQXbNXo (9/26)


天乃「んー……」

勇者部のHPにいって、依頼で何かすることも考えた天乃だったが

勇者部の活動をまじめにやっているみんなの邪魔になるのは……と

その悪戯心を抑え込んで、ブラウザを開く

天乃はあまりこういうことはやらないが、話に聞いた事くらいはある

ネット掲示板

嘘と真実が住みついているその空間では、

本当に相手を傷つける暴力的な言葉こそ扱われることはないが

ほんの些細な嘘や、言葉などが所々に見られる

沙織曰く「久遠さん見たな純粋な子は見るべきじゃないよー」らしい

とはいえ、

そう言われたら見たくなるものだし、興味は沸く

何よりも……暇だった


29 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 17:03:04.30uZOQXbNXo (10/26)


天乃「こうなってるのね」

色々なタイトルの掲示板……というよりはスレッドというものがあり

一覧を見れrば画面を埋め尽くしてしまいそうなほどに

沢山の交流の場があった

天乃「えっと……」

タイトルを見ていくと

放送中のアニメやドラマなどだったり、

有名人に対してだったり、お祭りなどの行事から、夏休みの内容

またはその課題についてなど、たくさんのスレッドが並んでいる

天乃「ん?」

とりわけ気になるのは………



1、この前勇者部とかいうボランティア部を見かけたんだけど……
2、スレッド作成
3、妹だけど愛さえあれば関係ないよね
4、勇者部部室前立寄所
5、大赦ってさ
6、神樹様ぁぁぁぁぁ、オラにヨメをくれぇぇぇぇぇ


↓2


30以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 17:04:28.97PeGgiNUD0 (3/7)

ksk


31以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 17:04:49.482ltuClbWO (1/2)

5


32 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 17:42:33.46uZOQXbNXo (11/26)


天乃「これ……大赦について書かれてるのかしら」

恐らくは大赦も監視しているであろう掲示板で

堂々と大赦の名前を出しているスレッド

そこには何が書かれているんだろうと興味本位で開く

天乃「あー……うん?」

序盤から良く分からない事ばかりで

無関係な噂だったり、顔面偏差値だのなんだのと

天乃が興味がわくようなものは見られなかったけれど

最新のレスのあたりで、気になるようなものが見えた

――けれど

天乃「シスコン? ゲーム?」

またわけのわからない会話に流れていく

前に中学校で暴動が起きた。という言葉

それは間違いなく自分たちのことだと天乃は思う

流石にそこまで公になるような規模ではなかったはず。とは思っていたけれど

意外と広まっているのかもしれない


1、全て記入・その暴動の件、知ってるわ
2、名前記入・その暴動の件、知ってるわ
3、全て記入・その話詳しく聞かせて
4、名前記入・その話詳しく聞かせて
5、静観する


↓2

http://i.imgur.com/xyXiVpN.png


33以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 17:50:04.192ltuClbWO (2/2)

5


34以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 17:50:48.36PeGgiNUD0 (4/7)

3


35 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 18:46:36.82uZOQXbNXo (12/26)


天乃「えっと……」

書き込みをする為の部分を探した天乃は、

名前欄、メール欄、本文というスペースを最下部に見つけて、選択

画面に出てきたキーパットを操作して、入力していく

天乃「全部入力した方が良いのよね?」

名前欄に久遠天乃と入力して、

メール欄には(省略可)とあるならと、@以降の書かなくてよさそうな所を省略して

端末のアドレスを入力する

天乃「一々書き込むときにこんなの打つなんて、面倒くさいことをするのね」

それでも、それが掲示板内で何かの保証にでもなるのだろうと、

天乃は特に考え込むことなく、詳しく話を聞かせて欲しい。と入力する

天乃「詳しく話が聞け……あ、あれ?」

恐らくは自分のことに関しての話題に切り替わったものの

天乃が聞きたいことに関しては触れて貰えず

むしろ、馬鹿にされているような文章が目立つ


36 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 18:53:51.42uZOQXbNXo (13/26)


そして……端末が震えた

天乃「メール? え、だれ?」

夏凜達ではない、知らない誰かからのメール

掲示板を更新してみれば、メールを送ってみるかと悪戯宣言が来ていて

天乃「きゃぁっ」

一気に10通程度、知らない誰かから、どこかから

慌ててどうしたら良いのかを書き込む

けれども……返って来たのは「もう遅いのでは?」という非情な返しだった

天乃「えっ、だって名前とかメールって」

少し進むと、これは違う、これも違うと言う返しが繋がって

すぐに省略した部分を追加したアドレスまでがスレッドに書かれて

天乃「なんで、意味わからない、またメールっ!」

続々とメールが届く

勇者部のサイトから引っ張ってきたであろう天乃の画像まで添付して

本人かどうか、とか

天乃「も、もうやだっ!」

一つを拒否しても二つ三つと送られてくるメールアドレスの種類は変化して

止まる気配がなかった



http://i.imgur.com/6gXaU5A.png


37 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 19:11:17.78uZOQXbNXo (14/26)


千景「ちょっと貸しなさい」

天乃「えっ、あっ」

不意に現れた千景は天乃から端末を奪い取ると

何かを軽く操作してから、どこかへと電話をかけて

千景「違うわ。兄さん。私よ」

少し……どころではなく不快感を滲ませた表情ながら

声色だけは普段の千景のままで。

恐らくはあの変態こと兄に電話をしているのだろうと

天乃は思いながら、目元を拭う

なにをするのか、どうするのか

全く分からないけれど

少なくとも天乃にはどうしようもなく、縋るしかなくて

千景「……お願い。兄さん」

天乃「千景……?」

千景「はぁ……」

少し話して電話を終えた千景は疲れ切った様子でため息をつくと

端末を天乃へと差し出す

千景「アドレスは変えたわ。スレの書き込みに関しては兄さんが何とかしてくれるはず」

天乃「ありがとう」

千景「馬鹿正直に名前もアドレスも晒すなんて」

天乃「だ、だって書き込みのところに書いてあったんだもん……」

千景「だもんじゃないわ。まったく」

天乃「ごめんなさい」


38以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 19:15:23.00ScRKRqo7O (1/4)

久遠さんドジっ子かわいい


39 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 19:39:48.63uZOQXbNXo (15/26)


千景「せめて他の人みたいに名前欄を名無しの――というものにするでしょう?」

天乃「うっ」

千景「ありえないわ」

天乃「っ……」

自分で失敗してしまったことだということも

千景が怒っているのは自分の為だということも

全部分かってはいるのだ

いるけれど……天乃は、耐えられなくて

ポロリと零れた涙が布団を濡らす

千景「えっ」

天乃「ご、めんなさい……別に、千景の……」

端末の震えが止まらなかった

送られてくるメールは捨てても捨てても増えて

拒否しても拒否しても増えて

もうどうしようもない。という返答が――恐ろしくて

天乃「うっ、ぅぅぅっ」

千景「あ、え、あ、えっと……だ、誰か」

天乃は思わず……泣き出してしまう

大赦に対して、バーテックスに対して

とても強い女の子であっても、そう言うことに関しては疎く、弱く

ただの純粋で、無垢な、女の子だった


40 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 19:41:37.68uZOQXbNXo (16/26)

√ 8月12日目 昼(特別病棟) ※金曜日

01~10 
11~20 夏凜
21~30 
31~40 
41~50 オニイチャン
51~60 若葉
61~70 
71~80 樹海化
81~90 
91~00 大赦

↓1のコンマ  


41以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 19:42:06.35ScRKRqo7O (2/4)




42以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 19:42:15.665BSo0yKbO (1/2)




43 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 20:02:06.30uZOQXbNXo (17/26)


√ 8月12日目 昼(特別病棟) ※金曜日


千景「落ち着いた?」

天乃「ごめんね」

千景「……別に」

急に泣き出すとは思っていなかったし

まさか誰の助け舟も得られないとは思っていなかったが

傍にいるだけで落ち着いてくれたことに感謝しつつ

千景は無力感から目を背けるように呟いて、息をつく

天乃「千景がいてくれてよかったわ。若葉も……きっと私と同じだろうし」

千景「流石に貴女と同じはないと思うけれど」

天乃「うーっ」

千景「はいはい、もう言わないわ」

唸る天乃の頭をぽんぽんっと叩くように撫でて

千景は思わず、苦笑する

天乃と居ると少し疲れるが、その分何かと楽しい気分になれるからだ

千景「それじゃ、私は離れるから」



1、精霊組
2、勇者組
3、千景交流継続
4、イベント判定


↓2


44以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 20:02:31.895BSo0yKbO (2/2)

4


45以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 20:02:48.94ScRKRqo7O (3/4)

4


46 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 20:16:41.31uZOQXbNXo (18/26)


√ 8月12日目 昼(特別病棟) ※金曜日

01~10 若葉
11~20 夏凜
21~30 友奈
31~40 東郷
41~50 変態
51~60 風
61~70 樹
71~80 大赦
81~90 沙織
91~00 樹海化

↓1のコンマ  

ぞろ目、特殊


47以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 20:29:12.03PeGgiNUD0 (5/7)




48 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 21:04:52.70uZOQXbNXo (19/26)


若葉「大丈夫か?」

天乃「うん」

若葉「すまない、鍛錬に出ていてな」

千景が姿を消してから少しして姿を現した若葉は

不安そうな表情を浮かべながらも天乃に身を寄せて

苦笑交じりの小さな肯定に笑みを浮かべる

何があったのか、聞いた

しかし、自分がその場にいても何も出来なかっただろうな。と

若葉は過ぎたことだから

それは、あまりシリアスに持ち込んではいけないからと

冗談のように笑って、息をつく

若葉「しかし、大量のメールを送られて泣き出したとは、見たかったな」

天乃「むぅっ!」

若葉「ぬあっ!?」

脇腹をボコりと殴られ、思わず間の抜けた声を漏らした若葉は

すまんすまん。と、笑って天乃のちょっぴり怒った表情に笑みを見せる

天乃「そこはもう弄らないでっ」

若葉「ふふっ、怒った表情も愛らしい……なんて、言うとまるで沙織のようだ。止めておこう」


49 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 21:30:26.88uZOQXbNXo (20/26)


天乃「本気で怒るわよ?」

若葉「そんなに怒らないでくれ、すまなかった」

沙織に毒されたつもりはなかったが

若葉は本心でその怒りの表情を愛らしく思ってしまった

もちろん、天乃が本気で怒っておらず

ちょっとむくれた感じの、

所謂女の子っぽいというか、子供っぽい仕草が

なんとも、愛らしい……

若葉「いやいやいや!」

逸れていきそうな思考を拭おうと首を振り、「大丈夫?」と

心配までしてくれる天乃になお気持ちを寄せて、若葉は嬉しそうな笑みを浮かべる

若葉「何か駄目だ……あれか。昨日の夜の――」

天乃「見てたの!?」

若葉「しまった」

天乃「しまった。じゃないわよ……眼を逸らさない」

若葉「あ、ああ」


1、心配してきてくれたんじゃないの?
2、なに? エッチしたくてきたの?
3、ねぇ……貴女は分からない? 私がえっちになっちゃった理由
4、ねぇ、明日。私を夏祭りに連れていく気はない?


↓2


50以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 21:31:49.78NSpHDWymO (1/2)

4


51以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 21:32:07.10PeGgiNUD0 (6/7)

4


52 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 22:04:02.70uZOQXbNXo (21/26)


天乃「……ねぇ、そんな破廉恥な乃木さんちのご先祖様に聞きたいことがあるのだけど」

若葉「やめてくれ」

天乃「明日、私を夏祭りに連れ去るつもりはないかしら?」

若葉「夏祭り……?」

ここから抜け出すことはあまり許されたことではないと

天乃自身良く分かっているのだが

それでも、出ていきたかった

だから、求める

若葉「行きたいのか?」

天乃「うん……」

若葉「九尾、問題はないか?」

若葉は一旦考え込むように目を瞑って

どこかに目を向けることもなく、目には見えない九尾に問う

そして、九尾が姿を表す

九尾「問題は大有りじゃろう。妾に代役をしろと?」

若葉「天乃の要求、叶えられるのは九尾しかいない」

九尾「ふむ……」


53 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 22:36:49.60uZOQXbNXo (22/26)


九尾「そうじゃのう」

天乃をじっくりと見つめた九尾は

深々とため息をついて、若葉へと目を向ける

その表情は少しばかり、悩ましげだった

九尾「まあ、よかろう。幾日もこのような場所にいては辛かろう」

天乃「良いの?」

九尾「構わぬ。主様の苦しみの片鱗でも、肩代わりしてやろう」

呆れたような言い方

しかし、何か考えていそうな表情

けれども、九尾はそれを問うよりもはやく姿を消す

若葉「ということだ。明日は昼で良いか?」

天乃「え、ええ……」

若葉「何かあったか?」

天乃「ううん……多分、平気」

九尾は良く思わせぶりなことをする

……ただの気のせいだったのだろうか

それが少し不安で

けれど、せっかく夏祭りに行けるのだからと

今は、天乃は何も言わなかった


54 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 22:47:56.90uZOQXbNXo (23/26)


√ 8月12日目 夕(特別病棟) ※金曜日

01~10 
11~20 九尾
21~30 
31~40 
41~50 大赦
51~60 
61~70 
71~80 樹海化
81~90 
91~00 沙織

↓1のコンマ  

ぞろ目、特殊



55以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 22:49:36.53NSpHDWymO (2/2)




56 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 23:16:29.51uZOQXbNXo (24/26)

√ 8月12日目 夕(特別病棟) ※金曜日


何か楽しみなことがあると、時間が経つのが遅く感じる

何か嫌なことがると、時間が経つのが早く感じる

天乃「…………」

しかし、楽しみなことがあるというのに

時間の流れはいつもよりも早く感じてしまう

九尾が上手くやってくれると言っていたけれど

はたして、何をどううまくやってくれるというのだろうか

天乃「まさか……危ないことはしないわよね?」

例えば来る人来る人を惑わすとか、操るとか

あるいは……殺してしまうとか

天乃「流石に……ないわよね」

少しばかり、九尾に関わるのが怖いと感じてしまう

もしかしたら、心が本当に弱くなっているかもしれない



1、精霊組
2、勇者組
3、端末関係
4、イベント判定

↓2


57以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 23:17:27.36k59/QyYUO (1/1)

4


58以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 23:21:20.96im1UZSfRO (2/2)

1


59 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 23:23:30.55uZOQXbNXo (25/26)


1、九尾
2、千景
3、若葉
4、球子
5、歌野
6、水都


↓2


60以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 23:25:54.64LrDE18u5O (1/1)

3


61以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 23:26:10.92PeGgiNUD0 (7/7)

4


62 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/20(日) 23:35:11.78uZOQXbNXo (26/26)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



九尾「……夏祭り」

九尾「聞こえる声は誰の声か」

九尾「歩みを阻むは誰が影か」

九尾「天に舞う美しき焔は――誰が命か」


63以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 23:37:02.84QJE5B+z7O (1/1)


楽しみだな夏祭り


64以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/20(日) 23:37:38.03ScRKRqo7O (4/4)


九尾さん、いくら久遠さんの為とはいえ不穏過ぎませんかねぇ…


65以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/21(月) 12:40:28.46RbjtVju3O (1/1)


次はタマっち先輩か
なんか最近影が薄いけどなにかあったのだろうか


66 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/21(月) 21:45:29.845zWVwNCho (1/6)


では、少しだけ


67以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/21(月) 21:48:24.05tpz1SWODO (1/3)

やったぜ


68 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/21(月) 21:53:47.635zWVwNCho (2/6)


√8月12日目 夕(特別病棟) ※金曜日


天乃「ねぇ、球子。いる?」

一人ぼっちは心細くて、嫌な考えに満たされてしまいそうで

天乃は不安になりそうな頭をふって枕にぽすんっと寝かせると

小さく、名前を呼ぶ

聞こえなかったのか、いないのか

すぐには姿を現さなかった球子だが、

天乃が目を瞑ろうとした瞬間にこっそりと姿を見せた

球子「よ、呼んだか?」

天乃「呼んだけど……どうかしたの?」

千景や九尾たちと違って、

球子は天乃から距離を保ったままで少し遠い

そんな状況から声を投げる球子は、

天乃の困った表情に、困った表情を見せる

それはどこか、不安と恐怖に満ちているようにさえ感じられた


69 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/21(月) 22:04:53.575zWVwNCho (3/6)


球子「い、いっておくけど!」

唐突に声を張り上げた球子に思わずビクッとした天乃は

急にどうしたの? と不安そうに問いかける

しかし、球子その調子を崩さないままに、

覚悟を決めたかのような表情で、天乃を指差す

球子「タマは屈しないぞ! 来るならこいっ!」

天乃「えっ?」

球子「だから……えと。簡単に喰われてはやらないぞ!」

天乃「喰われる……?」

言葉の意味が分からない

喰われないぞといわれても、屈しないといわれても

天乃には球子を襲う理由も、

ましてや喰らいつくなんてことはするつもりはないし――

球子「どうせえっちなことするために呼んだんだろ?」

天乃「え……ち、違うわよっ!」

まったく考えていなかったことなのに

ほんの少しだけ、体は反応して天乃は思わず怒鳴った


70 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/21(月) 22:17:43.135zWVwNCho (4/6)


球子「うぅぅ……頭が痛い」

天乃「変なこというからよ」

球子「悪かったってぇ……」

怒られバシリと頭を叩かれた球子は、

本当はまったくもって痛みの無い頭を撫でながら、演技をしつつ苦笑する

なんだかんだ怒りながらも本気で手を上げてこない天乃の甘さには

寧ろ罪悪感が沸いてきてしまうもので。

球子「昨日の件もあったからなぁ。そう思うのもやむなしだろ~?」

天乃「それは分かるけど……前にもやらなかった? こんな感じの事」

確かに以前と比べてえっちをしたいと思うことは増えてきたし

そう言う気分になってしまう頻度は格段に増えたと天乃自身感じている

しかし、誰かを襲うというような

野蛮な考えにまではまだ、至りそうもない

球子「天乃はその気にさせるのが上手いからな」

天乃「その気にって、貴女ね」

球子「誘惑するだろ。すぐ、というか……時々息遣いとか仕草がえっちだ」

ふいっと目を逸らした球子は

ほんのりと赤みがかった頬をかいて、そのままに苦笑する

球子「千景に怒られて泣いてるのはかわいか――」

天乃「本気で殴るわよ、球子」

球子「わー冗談だーっ!」


71 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/21(月) 22:31:26.795zWVwNCho (5/6)


天乃「まったくもう……」

球子「呼ばれたが最後、えっちをさせられるって噂があるんだ」

天乃「何を言ってるのよ。一部始終見ているくせに」

球子「そうなんだけどな。ついにタマもやるのかもしれないとか、思っちゃったり」

冗談だと表すように笑って見せた球子は、

切り替えるようにため息をついて、天乃へと目を向ける

その瞳は天乃の記憶にある、土居球子の真剣な表情そのものだった

球子「それで、タマを呼んだからにはなにかあるんだろ?」

天乃「うん」

球子「夏祭りか? 大赦か? えっちか?」

天乃「ちょっと歯を食い縛りなさい」



1、大赦について
2、夏祭り、行く?
3、九尾が何考えてるか分からない?
4、でも、そうね。えっちがしたいのは間違ってないわ


↓2


72以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/21(月) 22:34:08.86jgTjcbQS0 (1/1)

3


73以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/21(月) 22:34:18.16tpz1SWODO (2/3)

1


74 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/21(月) 22:49:21.985zWVwNCho (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「ちょっと歯を食いしばりなさい」

球子「チューか!?」

天乃「そうよ」

球子「えっ? な、なん……」ギュッ

天乃「何を驚いてるのよ……期待していたくせに」ボソッ

球子「にゃぁっ!?」ゾクッ




75以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/21(月) 22:56:17.79tpz1SWODO (3/3)


球子もしかしてえっちなことに警戒してただけ?w
まあ若葉の淫乱っぷりを見たら分からんでもないけどさ


76以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/21(月) 22:58:58.20Z2lUJP61O (1/1)


どうせいざとなったらヘタれるくせに


77以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/21(月) 23:08:18.27XWgS0qNnO (1/1)

沙織に舐められただけでイっちゃうような淫乱娘がなにをほざくか
ちょっと沙織さん呼ぼうぜ


78以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/22(火) 14:53:40.146VwjYAzLO (1/1)




79以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/22(火) 19:58:43.03gMjXA5Tpo (1/1)




80 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/22(火) 22:20:37.82r9a6SCURo (1/8)


では、少しだけ


81以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/22(火) 22:23:19.87zAZ0g+TbO (1/3)

かもん


82 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/22(火) 22:25:40.13r9a6SCURo (2/8)


天乃「今の大赦についての意見を聞かせて欲しいの」

球子のちょっと意地悪な言葉には目を瞑りながら、

天乃は優しい声で、けれど不安の見え隠れする声で訊ねる

しかし、当の球子は少し困った様子で笑う

球子「って言われてもなー」

球子は大社がなぜ大赦になったのか、千景に対してどういう扱いをしたのか等

悪い一面の殆どを見たことがないのだ

ゆえに、公平な判断は出来はしないし

言ってしまうのならば

球子「過去のと比べて良くないなーとは思うぞ。ただ、やってることは分からなくもない」

天乃「…………」

球子「だって、そりゃ、タマ達にとって大赦のしてることは嫌なことだし、悪いことだけど、でも。怖いものは怖いんだろうとは思う」


83 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/22(火) 22:32:18.20r9a6SCURo (3/8)


天乃を閉じ込めてしまうこと

天乃を敵視して少し手荒い態度になってしまうこと

その気持ちを完全に理解できるとはいえないけれど、

それでも、球子は少しなら分からなくはないと答える

球子「何かを言わなかったことだって、当事者からして見ればふざけんなってことだけどさ」

それだって、大赦にとっても、子を提供する親にとっても苦渋の決断だったに違いない

世界を守るために、生きていくために、勇者には戦ってもらわなければならない

いや、勇者になってもらわなければならない

それを、その心をへし折ってしまいそうな【真実】は、語れなかったのだろう

球子「なんて、これはタマがそうであって欲しいだけかもしれない」

天乃「意外と考えてるのね、球子」

球子「そんな意外そうな顔するな、傷つくぞ!」

あらごめんなさい。そう言って苦笑する天乃に球子は優しい目を向けてため息をつく

少し前は暗かった、寂しそうで悲しそうで、辛そうで

けれども笑えるようになった、茶化せるようになった

それは、球子にとっても温かいことで

球子「これからも、大赦は変わってくだろ」


84 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/22(火) 22:40:58.68r9a6SCURo (4/8)


天乃「え?」

球子「良くも悪くも、きっと大赦は変わってく。今は少し【タマ達にとっては悪い】けど、良くなるかもしれない。なってくれると思う」

天乃「どうして?」

球子「だって、天乃に敵対したら勇者全員、あの学校の何人もの生徒が敵に回るんだぞ? どうにも出来ないに決まってるからな!」

天乃「結局私? 力任せ?」

ちょっぴり意地悪な気配を込めて問いかけると

球子はそう言うの考えるの苦手だし。と、苦笑する

深く考えて仕方が無いと言いたいのだろう

球子「変えたいなら、タマ達が何とかするしかないだろ。多分なっ」

天乃「……そうね」

変わるのだろうか、変えられるのだろうか

でもきっと、変えようとする人間がいなければ

変わろうとする人間がいなければこのままずっと、続いていく


85 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/22(火) 23:00:52.80r9a6SCURo (5/8)


誰かが犠牲になってしまうこと

誰かが嫌な思いをして、誰かが良い思いをする

それはきっと当たり前のことで、それはきっと変えることの出来ないことで。

球子「本当にそう思ったのかは分からないけど、大赦は信じられなかったのかもしれない。知った上で戦えるんだって」

天乃「知った上で、理解したうえで、覚悟を決めたい。当事者にならなきゃ、そう思えないのは無理も無いけれど」

球子「いっそ、天乃が大赦のトップを目指せば良いんじゃないか?」

天乃「やめてよ、大赦からは誰もついてこないし、私はリーダーシップに欠けるもの」

低い自己評価を笑いながらする天乃に、

球子はそんなことないと思うけどなーと、呟く

確かに大赦からついてくるような物好きは少ないかもしれないけれど

でも、リーダーとしてやろうと思えば出来るはずだと、球子は思う

球子「親衛隊はタマ達だぞ」

天乃「夏凜に友奈に、東郷に、風に樹、若葉に千景に歌野に球子に沙織に水都。参謀は九尾?」

球子「おっかないなー」

天乃「ふふっ、誰も逆らえないわね」

未来のこと、話せるだろうか

来年のこと、高校、就職、いろんなこと

3年生になって、悩むべきことを普通じゃなかった天乃はあまり考えてはいなかったけれど

みんなで悩んで考えて、挑戦して。それが出来るだろうかと……


86 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/22(火) 23:05:36.89r9a6SCURo (6/8)


天乃「ねぇ、球子」

球子「頑張るさ」

名前を呼ばれただけでも、何を言われるのか何を願われるのか

天乃の表情から察した球子はしっかりと覚悟を決めている表情を見せる

球子「頑張るさ、大丈夫」

無い胸を張って見せて、どんっと叩く

自分自身を信じて

周りを信じて

自分の強い誇りを、その胸に

球子「今度は誰も失わせない。タマに――任せタマえ!」

二度と破らぬのだと、破らせぬのだと

先代勇者、土居球子は高らかに宣言する


87 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/22(火) 23:09:22.15r9a6SCURo (7/8)


√8月12日目 夜(特別病棟) ※金曜日


01~10 夏凜
11~20
21~30 
31~40  九尾
41~50 
51~60 歌野
61~70 特殊
71~80 
81~90  沙織
91~00 若葉

↓1のコンマ 


88以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/22(火) 23:11:28.81zAZ0g+TbO (2/3)




89 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/22(火) 23:24:26.15r9a6SCURo (8/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


沙織「そろそろだよ」

天乃「え?」

沙織「あたし達にとっての大切で、大きな戦い」

天乃「……そっか、もう。来るのね」

沙織「うん。皆で挑む一糸纏わない大乱戦。あたし、負けないよ」

天乃「うん……うん? 何かおかしくない?」

沙織「あはは、気のせいじゃなーいっかなー」


90以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/22(火) 23:29:50.36FZbdYG37O (1/1)


久遠さん争奪杯か


91以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/22(火) 23:33:37.24zAZ0g+TbO (3/3)


以前球子の心を救ったことがここで活きてきたな

そしてすっかり久遠さんの夜の担当(意味深)と化したさおりん…w


92以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/23(水) 18:01:29.52bSK7aySjO (1/2)




93 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/23(水) 22:11:09.41eB9aK3yYo (1/7)


では、少しずつ


94以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/23(水) 22:12:56.92yoezGIgWO (1/3)

よっしゃ


95 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/23(水) 22:16:53.52eB9aK3yYo (2/7)


√8月12日目 夜(特別病棟) ※金曜日


気づけば、夜になっている

と言っても天乃には外が見えないから、

端末の時間から今は朝だ、昼だ、夕方だ、夜だ。と

知ることができているだけ

明日は夏祭りがある。沙織が婚約者……までは行かないのだろうけど

お見合い相手と会うのも、明日だ

天乃「…………」

そっと胸に手を宛がう。以前、天乃は沙織がその相手とどうしてもデートをしなければならなかったとき、

落ち着いていることも待っていることもできずに後をつけ、

挙句の果てには飛び出して沙織に迫ってしまった

天乃であって天乃では無い、穢れの塊が原因だったその暴走

子供の影響で普段の力ごと穢れも移ろう現状、同じことが起きてしまう可能性は低いはずだ

けれど、天乃は少し不安になる

天乃「沙織……」

沙織は決して靡かないといった

しかし、そうなれば伊集院家は血を失うことになる。

だからと欲される可能性はあるし、現にお見合いをさせられているのはそう言うことでもある

だから、もしかしたらという思いが無いわけではないのだ

もちろん、そう選択するのであれば天乃は認めるつもりではある

沙織が悩んで決めたことだから

自分との付き合いと、相手との付き合いと

それを考え、悩んで、それで決めたことだから


96 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/23(水) 22:36:02.63eB9aK3yYo (3/7)


けれど、仕方が無いと思いたくない自分もいるのだ

わがままだとは思うのだが、それでも苦楽ではなく苦を共にした間柄だから

天乃「そうじゃ、ない……かな」

ぐっと胸を押さえるように手を握り締めていく

離れてしまうことを考えると、少し痛む

沙織からの一方的な気持ちを受け取っていたのなら、

それが離れたとて、天乃が心に思うのは

やっぱりね。といった白けた感情のみだっただろう

だが、違う

天乃自身も好意を抱いている

それを偽ろうとしていたから、あの【影】は余計なことをしにきたのだ

沙織が決めたことなら、なんて逃げようとしたから。

沙織「あたしのことで悩んでたら嬉しいなぁ」

天乃「っ!」

なんの前触れも無く囁かれた声にビクリとした天乃は掛け布団を目元まで引き上げて、そうっと様子を見る

満面の笑みが見えた。照れくささの無い、自信に満ちた沙織の表情

わざとらしく唇に人差し指を当てた沙織は「んふふー」と、

明らかに察したように息づく

沙織「そんな慌てなくても襲ったりはしないよ。して良いならするけどね」


97 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/23(水) 22:51:17.77eB9aK3yYo (4/7)


沙織はいつもの定位置であるベッド脇に腰掛けると、

ちらりと天乃へと目を向けて、しばしの沈黙を挟んで口を開く

沙織「明日のこと、覚えてたんだね」

天乃「……うん」

沙織「デート面倒くさいなぁ」

天乃「でも、行くんでしょう?」

沙織「行かなきゃお父さんが面倒だからね……猿猴は殺すことも視野に入れるべきだって言うし」

もちろん、そんなことするつもりは無いけどね。と

沙織ははっきりと答えてから少し笑う

その笑い声は楽しさ半分のまま、消え入るように薄くなって

深い、ため息が続いた

沙織「久遠さんは多分、傷つくと思うけど、ダメだっていうと思うけど。言って良いかな」

天乃「なにを?」

沙織「あたしね、その人の子供を産んでも良いかなとか、思っていたりもする」

予想していなかった

考えようとしていなかった

そんな言葉を、沙織はそんな雰囲気の無い空間に放り投げた

驚きゆえに言葉を失った天乃に、沙織が振り返る

困った表情、悲しげな笑み

沙織「伊集院家に子供残して、綺麗さっぱり出来たら良いなって」


98 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/23(水) 23:05:37.20eB9aK3yYo (5/7)


パッパッと手で払うような素振りを見せた沙織は、すぐにその手をベッドに落として首を振る

自分で言っておきながら、自分でありえないことを言っているのだと解っている様子だった

沙織は笑う。笑いながら、どこかを見ていた

沙織「そうすれば、久遠さんの気持ちも少しはわかるかもしれないし」

天乃「本気で言ってるの?」

沙織「半分、本気かな」

天乃「私のこと、驚かそうとしてる?」

沙織「こんな嘘はつかないよ。久遠さんが何にも無いならつくこともあるだろうけど、今の久遠さんにはね」

そっと天乃の腹部に触れた沙織は、面倒くさそうに息づいて天乃の手を握る

その表情に浮かぶ感情は複雑に入り乱れていて

笑顔であるはずなのに、笑顔らしさを感じない

沙織「でも、そう言う解決って許されないんだよね。周りからも、あたし自身からも」

沙織は自分の体を抱きしめると、空想上の嫌悪感からか

ブルブルと身震いをして目を瞑る

沙織「あたし、実は男の子と付き合うとか生理的に無理かなーって」

天乃「何かあったの?」

沙織「特にはね。ただ、想像してみてぞわぞわ~って……多分、エッチしちゃったからかな」


99 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/23(水) 23:17:15.91eB9aK3yYo (6/7)


まるでくだらないことを言うかのように沙織は笑うと、

天乃の肢体を隠す掛け布団の端を抓んで、捲る

沙織「偏見かもしれないけど、綺麗と汚いって感じかな。男の子には失礼かもしれないけどね」

天乃「深刻なの?」

沙織「想像しただけでぞわぞわーだもん。いや、過剰な想像が含まれてるかもしれないけど?」

天乃「…………」

それは悩むべきことであるはずだ

しかし、沙織はどこか冗談めかした表情で両の手を降参とばかりに上げて

ひらひらと振って呆れたようなため息をつく

沙織「それでどうやって男の子と付き合っていくんだろうって考えて、明らかに無理だなぁって」

天乃「それは……だけど、それでどうして子供が作れるって言うの? 沙織は知らな――」

沙織「知ってるよ」

実体験をすでに経ている天乃の重みのある言葉を

沙織は冷たさを感じるような平坦な声で遮ると

もう一度「知ってるよ」と、繰り返す

二度目の声が普段と変わらない分、一度目の感情を損なった声が天乃の耳に嫌に残る

沙織「一度くらいはしてあげてもいいよ。その一度ですべてが終わるなら、全然かまわないやって。怖くないと言えば嘘になるけどね」

天乃「沙織……」

沙織「ねぇ、久遠さんは男の子に抱かれちゃったあたしでも、抱いてくれる?」


1、……解らない
2、嫌よ
3、男の子を愛せるのなら、愛したらいいわ
4、貴女の好きにして。戻ってくるなら、私は受け入れるから
5、誰かのために抱かれるだけなら、そんな捨てたような体を抱きたくないわ
6、私が抱くの? 貴女が抱くんじゃなくて?
7、うん? 男の子に抱きしめられたくらいでどうして抱けなくなるの? そんな深刻? 病気でも移る?


↓2


100以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/23(水) 23:17:41.544TqlsocOO (1/1)

6


101以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/23(水) 23:19:04.20bSK7aySjO (2/2)

4


102以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/23(水) 23:19:10.00yoezGIgWO (2/3)

6


103以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/23(水) 23:20:10.53uQwJvhUb0 (1/1)

4


104 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/23(水) 23:35:13.99eB9aK3yYo (7/7)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


九尾「……はぁ」

九尾「お主の仕業じゃな? 猿猴」

猿猴「いや、私はどちらかと言えば女に化けて男を誘惑する妖怪だよ」

猿猴「つまり、これが私……じゃなく、伊集院沙織の本質だね」

「本質より……遺伝。かしら。沙織は私の娘だもの。実は面目の為にパパは女から男になって貰ったのよ」

九尾「なん……だと……!?」

夏凜「はいそこー、でたらめなことは言わないように!」


105以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/23(水) 23:43:19.32yoezGIgWO (3/3)


さおりんにとってはかなり辛い決断なんだろうな…
久遠さんも早めに五郎くんとえっちしちゃったし夏祭りで覚悟決めてヤるのだろうか


106以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/23(水) 23:47:43.16wZN/SxXvO (1/1)


微NTRか……


107以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/24(木) 15:03:55.74HA6H5OtAO (1/1)

そろそろさおりんの初めてを受け取ってもいいんじゃないかな


108以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/24(木) 17:45:36.14k1c2EjX9O (1/1)




109 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/24(木) 22:19:03.249c4ntxCOo (1/10)


では、少しだけ


110以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/24(木) 22:24:22.27LkrZTa/oO (1/2)

あいよ


111 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/24(木) 22:26:13.059c4ntxCOo (2/10)


沙織は冗談のように話してはいるけれど

それはしっかりと考え、悩んだ上の物なのだと天乃は思う

同じく悩んで考えた天乃はその心も多少なら理解できると言えるけれど

相談を一足飛びに行為へと至ってしまった分、

その悩みを相談してくるという心持まで理解できるとは言えないし、分かっているとも言ってあげられなくて

天乃はすこし唇を噛み絞めて、息をつく

天乃「私は、みんなに受け入れてもらってるわ。もちろん、貴女にも」

相談をせずに、するべきことだと言って行為をして

ただ事後報告しただけの自分

それを受け入れて貰っている天乃としては、沙織を受け入れない理由がなかった

握り合う自分の手から沙織へと目を向けて、天乃は笑みを浮かべる

温かさを感じる柔らかい笑み

不安にまみれた心を癒してくれる、天乃の表情

天乃「貴女の好きにしていいわ。戻ってきてくれるなら、私は受け入れるから」

沙織「……………」


112 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/24(木) 22:37:51.669c4ntxCOo (3/10)


いまにでも泣いてしまうそうな沙織の表情

行為をすることに対して嫌悪感を示して、男の子との関りということに不快感を露にして

天乃を見つめる瞳が、揺らぐ

天乃「ただ、勘違いしないでね」

沙織「え?」

天乃「貴女に強制するつもりはないから。戻ってくることも、男の子に抱かれることも。嫌なら嫌でいい、やらなくたっていい」

それはきっと天乃の本心

天乃は本人の意思を尊重したいという考えを持っているから

自分の言葉が沙織に強制力を働かせてはいけないと、かんがえて……いや、果たして沙織の為だけだったのだろうか

沙織に無理強いしない為に、そんな言葉を使ったのだろうか

握りしめる手に力が籠る。チクリと、胸が痛む

変な緊張感に、心音が耳障りなほどに大きくなる

男の子に抱かれることで汚れてしまうなんて考えは持たないし、

沙織が居なくなってしまうかもしれないなんて心配はしていない

けれど、自分以外の、そう自分の触れることが出来ないところに別の誰かが

それも、【異性】だからというだけで触れることが出来てしまうというのが、なんだか嫌で

そんな独占欲にも似た卑しい考えを持ってしまう自分が、天乃は嫌だった

自分がやらなくて良いと言えば、やらないと言ってくれるのではないかと考える自分に嫌気がさす

そんなことを思うなら、願うなら、かんがえるなら

はっきりと嫌だって言えば良いのに


113 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/24(木) 22:55:08.859c4ntxCOo (4/10)


沙織「久遠さん?」

天乃「へ? え?」

声をかけられ、ハッとする

ほんの数分とはいえ無意識だったのだと、沙織に握られる手の感覚が戻るにつれて実感する

ずっと現実にいたはずなのに、どこか夢の中にいたような感覚

どこまでが現実だったのだろう、もしかして――

そう、現実逃避しようとする頭を振って痛む胸に手を宛がう

全部現実だった、ただ考えることに没頭してしまっただけで

何一つ、悪夢ではないのだと

沙織「久遠さんが嫌なら、嫌って言ってくれたら嬉しいな」

天乃の左手を握りながら、胸元に宛がわれた右手に重ねるように頭を委ねて、

沙織は静かに切り出す

安堵交じりの穏やかな声は、茶化そうとしているような声色で

天乃「……言えないわ。沙織が困るから」

沙織「良いよ。困っても。久遠さんが望むなら、子宮だって摘出しても良い。子供なんて産めなくなっても良い」

天乃「馬鹿なこと言わないで」

沙織「本気なんだけどな……」


114 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/24(木) 23:06:51.979c4ntxCOo (5/10)


天乃がそうしろと言わないことくらい、沙織は分かっている

いや、きっと誰にだってわかることだとは思う

だけど、それを言ってくれたら何も悩まずに済むからなぁ。と

苦笑しながら天乃の胸に顔を埋める

形を保つ下着の固さが少し煩わしく、壊れてしまえというようにぐりぐりと押し込む

天乃「ちょ、ちょっと――んっ」

沙織「ん」

何か文句を言おうとした口を唇でふさぎこんで

ゆっくりと布団の上に押し倒していく

重なる唇、開いた口、右往左往する舌と舌が一瞬触れ合って沙織が離れる

零れた吐息がぶつかり、また唇を重ねる

今度は舌がふれあっても離れない

試すように一度二度、つつき合ってにゅるりと絡んで

少しだけ交わってから離れると、どちらかの糸がつぅっと伸びて途切れる


115 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/24(木) 23:16:44.439c4ntxCOo (6/10)


顔の距離はほんの数センチにも満たない

天乃が意図せず閉じていた瞼を開けると、目の前に見えた沙織は少し紅潮した頬を動かして笑みを浮かべる

そしてまた――キスをする

舌のみならず、唇も絡ませ合うような熱のあるキス

胸と胸が押し付け合うように触れ合って

零れ出す吐息は徐々に熱っぽさを帯び始める

羞恥心ではなく、火照り始めた天乃の赤みがかった顔に手を宛がって軽いキス

沙織「キス、好き?」

天乃「それは……」

沙織「ないと一人エッチも満足できないもんね、好きだよね、久遠さん」

天乃「沙織が、みんながするから……」

顔を逸らしながらも言った天乃は、ちらりと横目で沙織を見る

天乃のことを小ばかにしているようにも見えるにやにやを見せる沙織は

うんうん。と、肯定して頷くと自分の唇に指を押し当てて、その指を天乃の唇に当てる

沙織「女の子って柔らかいよね、特別味があるわけじゃないけど美味しいし、クセになっちゃうよね」

天乃「本番まで、するの?」

沙織「ふふっ」

天乃の伺うような声、表情に

沙織は悪戯っぽく笑うと、耳元に口を近づけて

沙織「久遠さんが気持ちよくしてって言ったら……し・て・あ・げ・る」

天乃「っ! ば、馬鹿じゃないの……言わない、からっ」

顔を真っ赤にして声を上げた天乃の手をぐっと抑え込んで唇を重ね、舌を絡めた沙織は、

ゆっくりと離れながら怪しく笑みを浮かべて、

沙織「違うよ久遠さん、こういうのはね? 言わせるんだよ」

まるで明日が来ることを少しでも先送りにしようとしているかのように

二人は眠ることをしなかった

一人は寝させて貰えなかった。というのが正しいかもしれないが。


116 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/24(木) 23:22:49.289c4ntxCOo (7/10)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流有(夏祭りに連れて行って)
・   土居球子:交流有(大赦について)
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流有(ネット初心者)
・ 伊集院沙織:交流有(男の子との関係、戻ってきたなら)
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()



8月12日目 終了時点

乃木園子との絆 54(高い)
犬吠埼風との絆 70(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 56(とても高い)
結城友奈との絆 76(かなり高い)
東郷美森との絆 80(かなり高い)
三好夏凜との絆 99(かなり高い)
乃木若葉との絆 73(かなり高い)
土居球子との絆 32(中々良い)
白鳥歌野との絆 29(中々良い)
藤森水都との絆 21(中々良い)
  郡千景との絆 24(中々良い)
   沙織との絆 83(かなり高い)
   九尾との絆 52(高い)
    神樹との絆 9(低い)

汚染度???%


117 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/24(木) 23:27:02.899c4ntxCOo (8/10)


√8月13日目 朝(特別病棟) ※土曜日


01~10 東郷
11~20 
21~30 
31~40 友奈
41~50 
51~60 樹海化
61~70 樹
71~80 
81~90 
91~00 夏凜

↓1のコンマ 


118以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/24(木) 23:27:34.53i54rRoVLO (1/4)




119以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/24(木) 23:30:53.82LkrZTa/oO (2/2)

ここで来るのか…


120以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/24(木) 23:31:50.99i54rRoVLO (2/4)

満開の予感…


121 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/24(木) 23:34:55.089c4ntxCOo (9/10)


戦闘難易度判定

↓1

※一桁
※補正無し 1最低0最大


122以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/24(木) 23:35:58.82i54rRoVLO (3/4)




123 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/24(木) 23:45:51.699c4ntxCOo (10/10)


■難易度
2 判定有り 満開無し ダメージ有(小)


戦闘をスキップしますか?


1、はい
2、いいえ
3、バーテックスに怒り狂う勇者たちが見たいです


↓2


124以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/24(木) 23:46:57.08i54rRoVLO (4/4)

1


125以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/24(木) 23:49:01.0793teGth30 (1/1)

3


126 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/25(金) 00:15:09.33ec4h28Qpo (1/10)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


難易度的に満開は必要ないとは思いますが
自軍戦闘の場合は最適戦闘ではないので多少怪我が増える場合もあります


127以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 00:20:17.84rPjtIen9O (1/1)


出来ればみんなで夏祭りに行きたかったが…さてどうなる


128以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 00:30:11.81ZXDTn3ooO (1/1)


まあ難易度2だし若葉夏祭りデートには間に合うでしょう


129以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 18:57:19.65Gl5SvGHcO (1/1)




130 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/25(金) 22:02:49.21ec4h28Qpo (2/10)


では少しだけ


131以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 22:05:02.806BjVHgWKO (1/8)

よしきた


132 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/25(金) 22:13:41.25ec4h28Qpo (3/10)


√8月13日目朝(樹海化) ※土曜日


夏凜「……ん」

これじゃないなと候補から取り去った服がベッドの上で宙に浮いたまま

その脇で充電器に差さった端末からけたたましい警告音が鳴り響く

いつも、こうだ

何かありそうな頃にこうやって妨害をしてくる

まるで自分達がバーテックスに全てを見られているのではないか

そんな感覚にでさえ陥ってしまいそうなほどの偶然

夏凜「今日は夏祭りだってのに……」

ため息混じりに呟き、端末を手に取る

その瞬間には、世界はその姿を光に包み込んで、瞬く間に姿を一新する

見慣れてしまった禍々しささえ感じる神秘的な樹海の世界

マップを確認仕様としたところで、着信のコールが鳴る

相手は、風だ

風『おはよー、起きてるー?』

夏凜「当たり前でしょ、起きてるわよ」

風『いつもの鍛錬?』

夏凜「ん……まぁ」


133 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/25(金) 22:26:41.80ec4h28Qpo (4/10)


適当に言葉を返したけれど、本当は鍛錬には出かけていなかった

いつもなら確かに鍛錬に出ている時間ではあるが、

それに集中できないならと、外出用の服装を選ぼうと思っていたのだ

特に気を張る必要は無いし

どんな服装だって彼女であれば文句の一つも言わないとは思うが

久しぶりに会うのならよさげな服装。と、ある人に言われては、

少し頑張ってしまうのも無理は無いのである

そして、それを邪魔されたのだ

風『あーその反応は違うでしょ?』

夏凜「なんでも良いでしょ。どうでも良い話なら切るわよ」

風『あんまり気を立たせるもんじゃ――』

夏凜「天乃は樹海化したことくらいは感じ取れんのよ」

時間は一瞬に感じるのか

戦っている間ずっとその感覚を感じ続けているのかは解らないけれど

それは天乃を不安にさせるし、怖い思いをさせる

今日は夏祭りに出かけるというのに。だ

夏凜「あんたは、うどん食べようって時に横から焼きそば大盛り食べさせられて平気なわけ?」

風『たとえのセンスが無いけど、そうねぇ……空気読んでとは思うかも』

もちろん、状況等にもよるけれど

あまり嬉しいことではないのは確かだった


134 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/25(金) 22:34:15.02ec4h28Qpo (5/10)


風『とにかく若葉もちょっとピリピリしてるみたいだから、2人で暴れてきなさい』

夏凜「暴れてって……」

風『若葉も夏凜も、どうせ言っても聞かないでしょ。天乃のことになると、ほんっと』

呆れたような声色ながら、嬉しさを滲ませながらいう風は、

電話の奥でため息をついて、樹と何か言葉を交わす

風『それに、すばしっこいやつもいるみたいだから。それ優先で2人にふっとばしてもらっとこうかなって』

夏凜「それが目的か」

風『まぁね。でも無理すんじゃないわよ~? 病み上がりさんっ』

夏凜「ただの経過観察だってのっ」

茶化して通話を一方的に終了させた風に軽い怒りを投げ込んで、息をつく

慌てるな、落ち着け、冷静になれ。と

燃え上がりそうな怒りを押さえ込んで、静かに怒りを溜め込む

若葉「待たせたか?」

夏凜「平気」

若葉「少々気が立っている……が、それで怪我をしては」

夏凜「天乃に余計な心配させる。でしょ? わかってるってのしゃーない」


135 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/25(金) 22:45:09.71ec4h28Qpo (6/10)


今回の敵の数が少ないだとか、戦力的に今までと比べて劣っているとか

そう言った油断無しに、2人は軽口を叩くように笑みを浮かべて、刀を握る

天乃が見ていなくても、天乃に伝わるのだ

みんなのためにと、力を切り離す決断をしてくれた彼女に

若葉「信頼に報いるべきだからな」

夏凜「……ふぅ」

両刀を軽く振って復帰の感触を確かめながら、ゆっくりと姿勢を低く、低く

足が地面にめり込んでいくような感覚が伝わってきて――蹴り出す

夏凜「若葉、遅れんじゃないわよ」

若葉「心配するな、先代勇者の肩書きが伊達ではないことを示そう!」

赤と青。

二色の勇者、生きた時を違えた二人、しかしながら抱く思いは同じく一つ

ただただ、己が想い人のために。



MAP→http://i.imgur.com/Is0XWKa.png


136 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/25(金) 23:02:37.26ec4h28Qpo (7/10)


移動キャラクターは夏凜です
移動先を選択してください


↓2

http://i.imgur.com/LBHvrq2.png


137以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 23:03:44.396BjVHgWKO (2/8)

K7


138以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 23:03:49.12eGvrTNR1O (1/1)

k7


139 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/25(金) 23:21:24.37ec4h28Qpo (8/10)


夏凜→双子座 封印判定↓1  ぞろ目または 23~32 89~98


140以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 23:23:04.716BjVHgWKO (3/8)




141 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/25(金) 23:30:45.78ec4h28Qpo (9/10)


双子→夏凜 命中判定 ↓1  01~97 回避  25~34 カウンター

夏凜→双子 命中判定 ↓2  01~90 回避  ぞろ目CRT 

若葉→双子 命中判定 ↓3  01~90 回避  ぞろ目CRT 


蠍座→風 命中判定 ↓4  01~81 命中  56~64 カウンター

風→蠍座 命中判定 ↓5  01~55 命中  ぞろ目CRT 

樹→蠍座 命中判定 ↓6  01~80 命中  ぞろ目CRT


※判定が多いので連取可です


142以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 23:36:16.206etH71bc0 (1/2)




143以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 23:36:50.746BjVHgWKO (4/8)




144以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 23:37:41.066BjVHgWKO (5/8)




145以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 23:38:29.336BjVHgWKO (6/8)

あい


146以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 23:38:54.836etH71bc0 (2/2)




147以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 23:39:56.666BjVHgWKO (7/8)




148 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/25(金) 23:50:28.37ec4h28Qpo (10/10)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


樹のみCRT。他、敵味方含め全回避


149以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/25(金) 23:55:49.006BjVHgWKO (8/8)


久々に勇者部のみんなに会えて嬉しい
早く敵を片付けてしまいたいところだな


150以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/26(土) 00:01:46.51PJT0se3sO (1/1)


まあ余裕だな


151以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/26(土) 16:53:22.47wTaVv/+pO (1/1)

最近少し影薄い樹ちゃんがクリティカルで久々の魅せ場きたな


152 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/26(土) 22:00:27.69tQm67jEco (1/9)


では、少しだけ


153以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/26(土) 22:02:34.23dbEuML14O (1/2)

おk


154 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/26(土) 22:15:57.42tQm67jEco (2/9)


樹→蠍座 命中CRT 734ダメージ

蠍座→風 142ダメージ


夏凜「っ」

目の前から迫ってくる双子座は、土煙を上げるほどに素早く駆ける

下手な動きでは捉えることはできないし、下手な攻撃では弾かれてしまうだけ

何度か現れてはいるけれど、それでも合わせることは難しく――

夏凜「このッ!」

封印の為に放った刀はうまく双子座の手前に突き刺さったものの、

双子座はそれを軽やかに躱して抜け出していく

封印できなければ、双子座どころかバーテックス自体が討伐困難となる

ゆえに、封印できないのであれば、と夏凜は身構え、ゆらりと姿勢を前のめりに変えていく

真っ向勝負でぶつかって、足止め

速さに対して速さでぶつかる。それしかないと

夏凜「好き勝手させないわよッ!」

全力で地を蹴り出すと爆発的な加速に髪が靡き、身体が押し込まれそうな重圧を感じて、歯を食いしばる

早ければ早いほど、身体には重みがのしかかる

走る疲労感、感じる重圧

体力が一気に奪われていく中で、右手に握る刀に力を込めて

速さと速さが衝突するように肉薄――そして

夏凜「はぁッ!」

――一閃

抵抗はあった。けれどもそれは、空気の抵抗

振り抜いた刀は空を切る


155 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/26(土) 22:29:49.95tQm67jEco (3/9)


夏凜「!」

それを感じ取った瞬間、ゾワリと悪寒を覚えて頭を下げる

刹那――頭上を何かが掠めて残った髪が数本、引き裂かれて舞う

だが、終わらない

目の前で双子座の足が素早く持ち上がっていく

夏凜「っ!」

速い。何もかもが速い

夏凜は自分が最速であると自負しているわけではないが

それでも、まったく自信がないわけではなかったし

その速度を信じているからこそ、風は双子座を任せてくれたのだと思う

けれども、バーテックスの速度はそれを上回る

現れるたびに凶悪な速度を持って樹海を縦断していく異形

それはまさしく、化け物――

夏凜「ぐっ!」

躱しきれないと斜めに構えた刀に強烈な一撃

ビキリとひびが入ったような音が響き、砕け散る

あと一撃来るのが分かって、けれども防ぎきれない

それならと砕けた刀の柄を投げ捨て――目を瞑る

風が鳴く。破裂したような音


156 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/26(土) 22:42:43.36tQm67jEco (4/9)



夏凜「…………」

鍛錬で散々学んだこと

学ばされたこと

完全に覚えられたとは言えないし、

何度も何度も蹴飛ばされ、殴られて、今でもそれは防ぎきれていない

けれども、少しは覚えているつもりだから

夏凜「ここかぁッ!」

叫び、目を見開き、自分の体を守るように掌底を放つ

それは、確かな重みを感じ取って弾き飛ばす

夏凜「防御はするな、するなら攻撃……悔しいけど、そのとおりね」

弾き飛ばされ後退し立ち止まった双子座と対峙しながら、夏凜は薄く笑みを浮かべて息を吐く

実戦で上手くいった。けれども偶然

だからこそ夏凜は満足しない、信じ切らない

まだまだだと、自分を叱る

夏凜「さっさと、ぶっ飛ばしてやるわ」

新しく刀を作り出し、双子座へと差し向ける


157 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/26(土) 22:53:00.24tQm67jEco (5/9)


夏凜達の戦闘が始まったのを感じ取った風と樹は、

双子座よりも何倍も大きく、目に見えてしまう蠍座に向かって樹海を駆け抜けていく

二人で倒しきれるとは思えない

そもそも、天乃と違って回復阻害の効果を持っていない風たちでは、圧倒的に火力が足りないのだ

それでも、今ここで足止めをしておかなければいけない

風「樹、歌野がいないけど平気?」

樹「うん、どこまでやれるかは……解らないけど、大丈夫」

そう呟いて、胸に手を宛がう

自信を持ってと歌野さんは言った。

信じて良いと歌野さんは言った。

それが全てじゃないけれど、少しずつ、やっていけるって思えるようになったから

怖いけど、嫌だけど、それでも仕方が無いから。なんて曖昧な考え方じゃなくて

怖くても、嫌でも、それでも、自分でやり遂げたいと思えるようになったから

樹「大丈夫だよ、お姉ちゃん。私は大丈夫」

風「よろしい。行くわよ!」


158 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/26(土) 23:05:41.62tQm67jEco (6/9)


大剣を担いだ風は樹よりも少しだけ先に突出すると、ぐるりと体を半転

振り回された剣を巨躯から伸びる尾へと振り落とす……が

風「!」

寸前のところで飛び跳ねるように動いて斬撃を回避

一息つく間もなく横薙ぎの一閃が風の腹部めがけて地を走る

風「このっ!」

とっさに大剣を地面に突き刺そうとするが、

蠍座の素早さには間に合わずに衝突、体が浮く

その瞬間には、目の前に針が見えた

刺されば即死させられてしまいそうな蠍の尾

バチリと閃光迸った瞬間、姿を現した犬神がそれを防ぎ――緑色の光が見えた

樹「せぇーのっ!」

風と同じく体を回転させ、勢いのついた鞭のような光が蠍座の体を穿つ

だが、止まらない

降り抜いたそれが地に足着く寸前逆に体を回転させた樹は、

もう一度振り上げて同じ場所へと攻撃を仕掛け、着地

その瞬間に地面を蹴って肉薄し――

樹「アンコールするよッ!」

素早く上下に腕を振るって傷ついた箇所に連撃を打ち込んで、飛びのく


159 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/26(土) 23:15:10.35tQm67jEco (7/9)


樹「…………」

蠍座の尾が蠢いて退き、その目が自分へと向けられたように感じた樹は

しかし、恐怖に立ちすくむことなく、緊張感に満ちた表情のまま息を吐いて身構える

歌野さんなら、若葉さんなら、友奈さんなら、東郷先輩なら、夏凜さんなら

千景さんなら、球子先輩なら、お姉ちゃんなら……久遠先輩なら

怯えない、逃げない、気を抜かない

風「樹、ナイス!」

樹「うん、時間を稼ごう」

風「そうね……千景が着てくれるみたいだし。それなら樹のことはあたしが守る」

樹「じゃぁ、お姉ちゃんは私が守るね」

風「ん、よろしく」

いつまでも後ろにいるわけではないのだと

隣でも、前でも、もう歩くことは出来るのだと

信頼を寄せて、風は笑みを浮かべて剣を握る

小さいけれど、大きな背中に見えるいつ着の姿は、確かな成長を感じさせた


160 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/26(土) 23:45:01.98tQm67jEco (8/9)


ターン経過 1→2
http://i.imgur.com/n96iwgx.png



若葉「あいつはすばしっこいな……」

夏凜「どーしたのよ、先代様」

若葉「撤回したくなるから止めてくれ」

夏凜の皮肉に困って答えた若葉は、ふと息を吐いて刀の感触を確かめる

先代の力を示すと言った手前、ただ素早いというだけで退くわけにはいかない

若葉「なぁ、夏凜。九尾が言っていたこと……確かめてみるか?」

夏凜「悪いけど、今日は出かける予定があんのよ。あんたも、私も。だから、どれだけ負荷がかかるのか分からないことはやれない」

若葉「それもそうか、余計なことを言ったな」

以外にも、と言ったらきっと失礼だし

怒られてしまうのだろうが、冷静に物事を考えている夏凜に感心しつつ、

近づいてくる同族の気配を感じとる

若葉「千景は樹達の援護……だな。こっちには友奈達が向かってきているみたいだ」

だとしたら、歌野と球子は巫女組の警護だろうか

真ん中に突然姿を見せることはまずないだろうけれど

それでも、最悪を想定しての布陣は決して悪くはない

けれど、思う

やはり、主の驚異的な力は攻撃の要であったのだと。

若葉「夏凜、私から確実に一撃決めて足止めする。封印を頼めるか?」

夏凜「任せるから、任せなさい」

若葉「では、行こうか」


161 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/26(土) 23:48:03.45tQm67jEco (9/9)


若葉&夏凜→双子 CRT判定 ↓1  23~32 45~54  ぞろ目CRT 

風→蠍座 封印判定 ↓2  01~55 封印  ぞろ目 封印 


162以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/26(土) 23:48:28.88dbEuML14O (2/2)




163以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/26(土) 23:49:45.29KOmeGB+b0 (1/1)




164 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 00:04:25.74ZY68aMCxo (1/18)


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば昼頃から


若葉夏凜 CRT
風封印成功

双子座は恐らく落ちます


165以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 00:06:13.95/wcYW3iPO (1/1)


勝ったな


166以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 00:11:27.06ic413XvyO (1/1)


今回は絶好調だな
低難易度なのもあるけど久遠さん不在がみんなを確実に成長させてる気がする



167 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 14:18:21.54ZY68aMCxo (2/18)


では少しずつ




168 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 15:13:09.33ZY68aMCxo (3/18)

夏凜&若葉→双子座 CRT4942


若葉「私の全力を持ってお前を討つ……躱して見せろ」

自分の足が速いという自負はない。。だが、自分の剣速だけは何よりも速いという自負がある

いや、単純に負けるわけにはいかないのだ

誰にも、何にも遅れをとるわけにはいかないのだ

これは守るための力だから

じりじりと地を踏みしめながら、距離を詰める

柄を握る右手により力を込めて、その一瞬に爆発させるための火薬を詰め込んで

若葉「行くぞバーテックス……ッ!」

身動きせず警戒しているように見える双子座目がけ、目いっぱいの力で踏み出す

砂埃が舞い、びくりとバーテックスが動く

それは早かった。一瞬にも劣らない素早さだった

けれども、若葉にはそれがとてもゆっくりに見える

若葉「ふ――っ!」

カチャリ。と、鞘が鳴く

ヒュンッ。と、風が逃げ惑う

刀を握る右手に、速度の上乗せされた重みが重なる

若葉「まだだッ!」

その力ごと全力で、切り払う


169 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 16:05:25.77ZY68aMCxo (4/18)


若葉「その足、奪わせてもらう!」

振り抜いた一閃は双子座の体を弾き飛ばし、双子座が持つ驚異的な速度を削ぎ落す

その瞬間、数本の刀が双子座の周囲に突き刺さって柄の蕾が花開く

夏凜「さっさと潰させてもらうわ!」

夏凜の叫びに続いて光が巻き起こって双子座を包み、御霊を引きずり出して

刀がそれを穿つ……が

一つが砕けた瞬間に無数の御霊があふれ出して増殖していく

若葉「なにっ!?」

夏凜「双子座の御霊……天乃がいれば増えることも……っ」

考えて、歯を食いしばる

そんなことを思ってどうする

天乃だったら、天乃がいたら

そんなことを考えてどうするのだと

夏凜「邪魔なのよっ!」

切り払う。そして増えて、切り払う

振るう刀が強度に負けて砕け散り、新しい刀を作り出して握りしめる

一つ一つ消しても無駄だ。無尽蔵に湧き出してくる

夏凜「この……っ」

諦める気はない、逃げる気もない絶望に浸る気もない

そう、強く持った心で刀を握りしめた瞬間、夏凜を飲み込もうとさえする御霊を一閃が切り開く

若葉「今のままじゃ遅いぞ夏凜! その程度で終わりか!」

夏凜「はっ……先代様について行かせていただくわよ! 抜いてやってもいいけど!」


170 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 16:33:21.60ZY68aMCxo (5/18)


声が違う、雰囲気が違う

けれども煽るような言葉は彼女のそれによく似ているように思えた

だから、自然に言葉が飛び出した

それと同時に無意識に感じていた焦りが抜けていく気がして、

夏凜は薄く笑みを浮かべる

夏凜「ペットは飼い主に似るって言うけど、本当の事なのね」

若葉「そのペットとは私のことか?」

夏凜「さぁ?」

恍けて見せる

刻一刻とと制限時間が近づく中で

夏凜と若葉は平常心を保ち

焦りも何もなく、ただ、【普段通り】であり続ける

そう、いつもの訓練通り

夏凜「行くわよ若葉!」

若葉「遅れてくれるな!」

声をあ張り上げた二人は屈み合わせに向かい合って刀を握り、

無数に湧き出す御霊を片っ端から穿ち抜いて潰していく

一つ、二つ、三つ

夏凜「早く、早く、早く……もっと早く!」

御霊が増えるよりもなお早く、全てを消すために全力で刀を振るって

ガチリと、刀と刀がふれあう

増え続けた御霊が消えたのだ

若葉「!」

夏凜「っ」

若葉「そこかッ!」

視野の広がった瞬間に刀を納めた若葉が視界から消えてしまう速度で地を駆け抜ける

たった一つ、逃げるように地を滑る御霊目がけて一閃

跳ね飛ばされた御霊が破片を散らしながら夏凜の元へと向かって――

夏凜「はぁッ!」

二刀を一刀へと切り替え、若葉と同じように前傾姿勢に身構える

鞘はなく、まだ抜刀術を習得したとは言えないけれど、それでも、少しは学び取れてきている

それを示すために、夏凜は抜く

夏凜「砕け散れぇッ!」

振り抜いた一閃は双子座の御霊を確実にとらえて破壊する

その瞬間、佇んでいた双子座の体は砂となって吹き飛び、封印の光が途絶えて――どこかで光が舞う

若葉「向こうも始まったか」


171 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 16:48:07.21ZY68aMCxo (6/18)


風&樹→蠍座 CRT判定 ↓1  78~87 34~43  ぞろ目CRT 


172以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 16:49:38.43MOwIOiiaO (1/1)




173以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 16:54:09.34QDfY+jRBO (1/5)

これが勇者部の本気か…!


174以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 17:12:31.17pIAw/Ll9O (1/1)

勝ったぞ(慢心)


175 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 17:52:51.50ZY68aMCxo (7/18)

風&樹→蠍座 CRT4650


風「封印開始!」

少々癪ではあるが、大赦によってシステム更新された端末は

夏凜と同様に個人での封印を可能としている

もちろん、その分効果時間は短くなってしまうが……

風「樹、いける!?」

樹「任せて!」

風と樹では、武装ゆえにその速度には差が出る

風は力に秀でており、一撃一撃に重みがあるが

その分速度に難があるのだ

ゆえに、火力がなくとも速度のある樹がその隙間を埋める

樹「全力で行きます!」

いつもなら歌野がいる

その背中を追えば間違えることはなかった、信じられる強い背中がいつも前にあった

お姉ちゃんの背中、久遠先輩の背中、歌野さんの背中

でも、今はそれがない

けれど、それでも樹はしっかりと地面を踏み込む

力強く、確かな自分の一歩を感じ取って

樹「鍬を振り下ろすような勢いで!」

光の蔓を勢いよく振り下ろす


176 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 18:21:55.54ZY68aMCxo (8/18)


弾かれて地に落ちた御霊は軽く跳ねて浮遊するが、その側面を大剣が叩き切る――が

風「んなっ!」

硬い。バーテックスの魂のようなものというだけあり

それが強固なものであることは風も良く分かっているし、戦ううえで感じたことではあったが、

それでも固く砕くことは容易ではないのだと、焦りを孕ませようとする

けれど、風は驚きに開いた口を閉じて、笑う

樹「お姉ちゃん、いけるよ!」

風「オーケー全力でやっちゃいなさい!」

そう叫んだ瞬間、緑色の光が風の腰回りを掴みとり、ぐるりと回転

そして上空へと放り投げる

その瞬間、その空白

御霊はそのままでも意志を持っているかのように動き出して――

樹「絶対に逃がさない!」

固い外郭を樹の足が蹴飛ばす

足りない、弱い、止まらない

顔があれば焦りから安堵へと目まぐるしく表所yが変化しているであろう御霊は

しかし、動こうとして……止まる

いや、止められた

樹「捕まえたッ!」

纏わりつく緑の光

それは御霊がもがこうと逃すまいと取りつき、固定する


177 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 18:54:11.36ZY68aMCxo (9/18)


風「……さすが、あたしの妹」

眼下で繰り広げられる狭くも激しいせめぎ合い

遥か上空から見守る風は嬉しそうん位笑みを浮かべて、大剣を握りしめる

何も言わなくても、動いてくれている。自分でどうするべきかを考え

戦闘においてしっかりと貢献してくれている

まるで、自分が導かれているようにさえ感じてしまうくらいに。

風「それはちょっと、あれだけど」

笑う。笑うことが出来る

気tン長官を保つべき場で、心にはこんなにもゆとりがある

それは少し危なくて、けれどとても大切なことで

風「あたしももうちょっと、努力しないとね」

姉なのだから、導くべきなのだから

本来部長であるべき人から、部長の座を委ねられたのだから

そしてなにより、数いる恋人の一人として

情けない姿を見せたくはないから

風「傷つかないほどの固さなら、打ち砕く力でたたっ斬る!」

力強く叫び、ぐるりと体を回転させて御霊へと切っ先叩きつける

その瞬間、傷さえつかなかった御霊にはビキリとひびが入っていく

だが、勢いを使い切った風にはこれ以上のダメージは難しく

けれども、風は安心して、信じて、飛び退く

樹「これで終わらせます!」

樹が入れ替わって拳を打ち付ける

傷はつかない、皹は広がらない、ダメージもない

けれど

樹「やっちゃえっ!」

御霊の中から、樹の作り出す蔓が四方に飛び出して御霊を内側から粉々に破壊する

全てが光と砂になって消滅していく中

そのあまりにもな―場合によっては惨劇―終わりに呆然としていた風は

ハッとしたように樹へと近づく

風「い、樹……? 今のは?」

樹「えっと……お兄ちゃん直伝、解剖拳……だったかな。傷口から蔓を忍び込ませて、全力全開で展開する最終奥義だって」

風「へ、へぇ……」

光りに包まれ戻り始める樹海の中で、

かなりえぐい技を平然と教える【お兄ちゃん】にこんど一発殴らせてもらおうかなと、風はひきつった笑みを浮かべていた


178 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 18:55:22.85ZY68aMCxo (10/18)


戦闘終了

侵食率は軽微だったため、問題なく継続していきます


179 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 19:43:42.05ZY68aMCxo (11/18)


√8月13日目 昼(特別病棟) ※土曜日


01~10 
11~20 有
21~30 
31~40 
41~50 
51~60 有
61~70 
71~80 
81~90 有
91~00 

↓1のコンマ  


180以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 19:47:04.90QDfY+jRBO (2/5)




181 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 20:33:30.94ZY68aMCxo (12/18)


√8月13日目 昼(特別病棟) ※土曜日


天乃「やっぱり、また樹海化が起きてたのね」

若葉「ああ、だが被害はなかったし大した怪我も無かったから心配は要らないぞ」

天乃「うん……良かった」

そう言って、天乃は笑みを見せる

けれど、心配しないなんて出来ていないことも

不安をぬぐい切れていないことも、

若葉には良く分かってしまう

浮かべる笑みは悲し気で、ベッドの上の手は布団を握りしめていて

見ていることが出来ない間

ずっと怖い思いをしていたのだと分かるから

若葉「天乃」

天乃「ん? もう夏祭りに行く?」

若葉「それもそうだが……」

天乃「なに?」

若葉「…………」


182 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 21:03:57.12ZY68aMCxo (13/18)


これから夏祭りに行く

それを楽しみにしていたのに

なのに、樹海化を感じ取れるという無駄な力が

それをなぎ倒してしまった

若葉「いや……」

天乃「……良いのよ。別に」

天乃は笑う

笑って、ゆっくりと若葉へと目を向ける

あんまり見たくはない表情ではあったけれど

目を背けるのは、余計に天乃を傷つけてしまう気がして、

小さく、息を飲む

天乃「私には感じ取れる力がある。それは、みんなが頑張ってるんだってことを忘れない為にあるんだと思うから」

若葉「……だが」

天乃「…………」

強く、拳を握る

その渦中にいるわけじゃない

その当事者になったこともない

だから、なんて言葉をかけていいのかが分らなくて

無力さに、唇を噛む


183 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 21:12:35.27ZY68aMCxo (14/18)


√ 8月13日目 昼(特別病棟) ※土曜日

01~10 
11~20 1
21~30 
31~40 2
41~50 
51~60 
61~70 1
71~80 
81~90 2
91~00 

↓1のコンマ  

ぞろ目、特殊


184以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 21:16:28.441sZvyERj0 (1/1)




185以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 21:19:44.01QDfY+jRBO (3/5)

今日は当たりをよく引くなぁ


186以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 21:21:29.423GQPs+7PO (1/1)

徳の高さのおかげだな


187 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 21:51:07.28ZY68aMCxo (15/18)


若葉「…………」

ふと、息をついて

震えている自分の手を胸元まで引き上げていく

辛い思いをしていたのだ、

嫌な思いをしていたのだ

苦しい思いをしていたのだ

それを、目の当たりにして……

天乃「若葉……?」

若葉「無理はするな」

何もしないなんて出来ない

何も言わないなんて出来ない

だから、若葉は天乃を抱きしめる

若葉「無理はするな……怖かったのだろう? 辛かったのだろう? 」

天乃「ちょ、ちょっと……若葉、私は」

若葉「良いから、しばらくこのままでいてくれ」

天乃「なによ……私は、平気だって」

ただ一方的に抱きしめるだけだった体が

ゆっくりと抱きしめ返してくれるのを感じて、頭を抱き込むように撫でる

若葉「平気だなんて嘘は、つかなくて良い」

天乃「だって……だってっ」

若葉「いいんだ。いいんだよ……天乃」


188 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 22:13:01.65ZY68aMCxo (16/18)


天乃「信じて、るんだけど……っ、大丈夫だって、思ってるんだけど……」

若葉「…………」

この前話したことだろう

天乃は信じてくれているのだ

無事に戻ってくると、必ず帰って来てくれると

けれど……それでも、不安にならないわけではないのだ

九尾に話は聞いた

体はもちろんのこと、

精神的にも徐々に弱くなっていっているのだと

些細なことで泣いてしまう死、

些細なことに恐怖を感じてしまう

それこそ、純粋無垢な少女のように

曰く、それはしばらくしたら元に戻るという話だが

少なくとも、今年一杯戻ることはないだろうと若葉は見ている

なぜなら、子供の件が誘因であり、その解決は来年に持ち越される可能性が高いからだ

若葉「気にするな。怖ければ怖いと言えば良い、泣きたければ泣けばいい。私達に罪悪感を抱く必要はない」

そんなことで、信じて貰えてないなどとは言わない

見捨てられただとか、頼りにされていないだとか

訳の分からないことを考えたりもしない

若葉「みんな、分かっている。分かっているんだからな……」

固く閉じられた唇に唇を重ねて……優しく額と額をぶつける

驚いたように向けられた瞳に、笑顔を見せて

若葉「言っただろう? 君はもう、普通の少女だ。と」

ゆえに、当然なのだ

怖いのも、不安なのも、辛いのも、苦しいのも

それを誰に咎められるというのだろうか

いるのだとしたら、それは若葉が触れさせない

若葉「祭りまではまだ時間がある。少し落ち着こう。少しこうしていよう……夏凜に、笑顔を見せてやりたいだろう?」


189 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 22:57:43.76ZY68aMCxo (17/18)

√ 8月13日目 昼(特別病棟) ※土曜日


天乃「ほんの、一瞬でしかないのにね」

戦っていた時は普通に時間が流れているように感じるが、

戦えず、しかし樹海化を感じ取れるようになってしまうと

何かが起きた。ということだけが分かって時間が止まることもなく

気のせいだったかのように普通に時間が過ぎていく

世界が滅ぶ大きな変化がない限り

誰かが傷ついたことも、何も

だからとても不安になってしまう

それは天乃自身も分かるのだ

けれど、耐え切れず泣いてしまうのが、分からない

天乃「ごめんね、若葉」

若葉「気にするな」

天乃「うん……ちょっと、弱くなりすぎちゃったかな」

自分ではどうしようもない極端な心身の弱体化に

困ったように笑って、息をつく

天乃「もうホラー映画とかでも大泣きしちゃうかもしれない」

若葉「……観るか?」

天乃「止めてね?」

笑顔で断って、端末の時間を見てもうすぐ出ていく時間だと気づいた天乃は

若葉に目を向けて、頷く

若葉「行くか……そう言えば、服装はその制服で良いのか?」

天乃「んー……」


1、制服で
2、私服で
3、浴衣で


↓2


190以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 22:58:01.14tlHvXRokO (1/2)

3


191以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 22:58:51.12QDfY+jRBO (4/5)

3


192 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/27(日) 23:17:32.11ZY68aMCxo (18/18)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



沙織「ねぇ知ってる? 浴衣の下には下着を付けないんだってー」

天乃「さすがに馬鹿にし過ぎてない? 私のこと」

沙織「あははーだよねー」

友奈「…………」ギュッ

東郷「友奈ちゃん、どうかしたの?」

友奈「え? あ、ううん……大丈夫……」

友奈(お兄ちゃんに騙された……っ!?)


193以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 23:24:52.13QDfY+jRBO (5/5)


さあ、夏祭りでみんなと存分にイチャイチャしようか


194以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/27(日) 23:29:26.97tlHvXRokO (2/2)


ぽろりもあるよ!!


195以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/28(月) 08:59:44.52QKhZ/EWCO (1/1)

ポロリはないよ
女の子しかいないからナンパはあるけど!
助けてくれた五郎くんはいないし今の久遠さんはただの女の子だからヤバそう


196以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/28(月) 15:05:18.38wMrWPziNO (1/1)




197 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/28(月) 21:58:31.84vJ0znCsio (1/7)


では少しずつ


198 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/28(月) 22:03:38.94vJ0znCsio (2/7)



天乃「浴衣……かな」

若葉「浴衣か。ふふっ……普通に私服で来ると思っている夏凜への良いドッキリになるぞ」

天乃「だと良いわね。でも、ごめんね? ちょっと手を貸して貰うことになる」

若葉「気にするな。頼られるのは悪くない」

天乃の笑みに若葉も笑みを浮かべて体に触れる

好きな人のためになることなら、頼られても全くもって苦にはならない

それが、少しばかり大変な事であるのだとしても

やりがいというものが存在する以上は、構わないし、嬉しいことだと若葉は思う

だが、天乃がされていたように

見返りは何もなく、ただただ頼りっぱなしにされるのは苦しいだろう、辛いだろう

そう考えて、沈みそうな表情になるのをぐっとこらえて天乃の体を抱き上げる

天乃「きゃぁっ」

その瞬間、悲鳴が上がった

体には触れていたが、考え事のせいで声掛けを忘れたのだ

慌てて落とさないようにとしながら、首元に手を回してきた天乃に目を向ける

若葉「す、すまない。先に声をかけ忘れた!」

天乃「お、驚くんだからっ」


199以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/28(月) 22:06:25.52eEp6zBx2O (1/3)

かわいい


200 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/28(月) 22:14:46.25vJ0znCsio (3/7)


落ちないようにと堪えている天乃のむっとした声に

若葉は焦り交じりに「すまない」ともう一言付け加える

今の天乃は、ただの少女なのだ

筋肉質な体つきではありながら、穢れなどの影響によってその力はだいぶ弱ってしまっているし

精神的な部分も以前と比べて非常に脆さが表に出て来てしまっている

天乃「変な声出ちゃったじゃない」

若葉「淫らなことをしている声よりもか?」

天乃「……耳を齧ってあげてもいいのよ? 知ってるんだから」

若葉「なっ!?」

耳元でぼそぼそと囁かれ、「落とすから止めてくれ!」と

慌てて叫んで首を振る

あの時代の若葉の記憶を共有しているということはつまり、

ひなたがやっていたことも分かっているということになる

天乃「お客様、耳かきもサービスしますよ~?」

若葉「や、やめろっ。耳元で言うな! 私が悪かった」

苦笑が耳元で弾ける

ごめんね。と、楽しげな声が通り抜けていく

それはまさしく日常の中の瞬間で

若葉は自分たちが守れたのだと言う実感が湧いて、嬉しそうに笑みを見せた


201 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/28(月) 22:21:22.27vJ0znCsio (4/7)


√8月13日目昼() ※土曜日


若葉「ここか」

若葉達がみんなに会うよりも先に向かったのは、浴衣を貸し出しているお店

大赦に通じているようなところではないし、天乃は勇者部としてここの手伝いもしたことがあるために

店主とは知り合いだからだ

「おー君か」

天乃「浴衣を借りたくて……良いですか?」

「良いよ。好きに着て行きな」

店主の明るい返事に感謝を述べて、たくさん並ぶ色々な柄と色の浴衣を見渡して、息をつく

最後に浴衣を着たのは、2年前だ

須美と園子と3人でお祭りに行った時以来

それ以降はお祭りに行くとしても私服だったし、

何かと理由をつけていくのは避けてきた

というのも、天乃は車椅子だったから

浴衣を着るのも脱ぐのも手を貸して貰わなければいけないし

混雑する道中、車椅子を押して貰わなければいけないし、邪魔になってしまうからだ

だから、久しぶりに浴衣を着れるというのが嬉しい


202 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/28(月) 22:36:08.32vJ0znCsio (5/7)


天乃「これなんてどうかしら?」

桜色を基調として、蝶が描かれた柄の浴衣

光の当て方によっては桜色が白に見えるような色合いで

強すぎない色な分、柔らかさがあるようにも見えるが……

若葉「髪色と同色は避けた方が良いのではないか? 天乃ならばなにを着ても似合うとは思うが」

天乃「んーじゃぁ黒?」

若葉「ふむ……」

適当な黒色の浴衣を手に取り、天乃に重ねてみる

素材……というのは失礼だが、天乃自身大人びたイメージがあるため

同年代の少女と比べてみると、大人が着るような色合いを選んだ方が良いのではないかと若葉は思う

こんな時にひなたがいてくれれば。と

少し頼りたくなってしまうが、居ないのだから無理だ

せめて沙織に頼むべきだったのではないかと、考えてしまう

だが、彼女は彼女で今は近くにいない

若葉「黒に赤となると、どこか千景よりのイメージがあるな」

天乃「だったら、これが定番かしら?」

若葉「椿か……桜よりは天乃に似合うか?」

天乃「友奈が泣くわよ?」


203 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/28(月) 22:47:25.04vJ0znCsio (6/7)


そんなつもりは無いぞ。と、

困ったように言う若葉に、天乃は冗談よ。と、苦笑する

とはいえ、確かに自分にはどちらかと言えば椿なのかもしれないと天乃も思うのだ

桜が悪いわけではないが

桜はどちらかと言えば可愛らしさがあるような気がして、

どうにも。と、天乃は首を振る

若葉「水仙なんかも似合うと思うが、どうする?」

天乃「う~ん……」

みんなは違うというかもしれないが

可愛らしさのある浴衣は似合わないというのが天乃の感想だ

2年前なんかは小学校時代の浴衣が胸以外は問題ない見事な子供っぽい浴衣が着れた覚えがある

それが自分にはどうも似合わなく思えて、可愛らしいのはダメだと思ったのだ

もちろん、実際に行く際は違うのを新調した。

そのときは……確か、薄紫に朝顔の浴衣だったか。


1、若葉様、いかがいたしましょう?
2、黒に赤などの椿柄
3、紫紺に白っぽい水仙柄
4、夏凜ちゃんカラー ※赤白牡丹
5、若葉様カラー    ※青を基調とした生地にトンボ柄


↓2


204以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/28(月) 22:49:28.09eEp6zBx2O (2/3)

4


205以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/28(月) 22:49:40.39vg27xigVO (1/2)

1


206 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/28(月) 23:00:56.34vJ0znCsio (7/7)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


若葉「実はここに可愛い人には見えない特殊な浴衣があるんだが」

天乃「あらほんと? 着てみて良い?」

若葉「ああ、いいぞ」

天乃「あ……でも」

若葉「?」

天乃「若葉達に見えないんじゃ、着ても意味ないわね」

若葉(信じたのか、からかってるのか読めない……が、私の負けだな)


207以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/28(月) 23:04:44.00vg27xigVO (2/2)


エロ浴衣着せられるのか


208以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/28(月) 23:15:34.44eEp6zBx2O (3/3)


はたして若葉様の選ぶ浴衣のセンスやいかに…


209以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/29(火) 20:14:07.97U0ysmTQ2O (1/1)




210以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/29(火) 20:49:24.37oZkMwV69O (1/1)

意外とちゃんとした浴衣選びしてるのね
ところでイラストはどこですかイラストがないからこの安価は若葉任せだったんだと思うんだよね

ほら出し惜しみせずに出すんだよ


211 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 21:58:50.315/UyKN36o (1/16)


では、少しだけ


212以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/29(火) 22:03:09.32trTe0GyRO (1/1)

あいよー


213 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 22:06:15.475/UyKN36o (2/16)


天乃「そうねぇ……」

色々な浴衣をじっくりと見つめた天乃は、

ぱんっっと手と手を合わせて若葉へとほほ笑みかける

何か悪戯が来るのだろうかと若葉は一瞬身構えて

天乃「若葉様、いかがいたしましょう?」

若葉「そう来るか」

天乃「だめ?」

若葉「いや、そう言うわけではないが、私はそんなにセンスがあるわけではないぞ」

女の子ではあるのだが、西暦時代は居合道などに入れ込んでいたし、そもそも小学生だったがために

周りはともかく、若葉自身は―ひなたのせいもあるが―ファッションに関してそこまで入れ込む時期に突入していなかった

そのあとにはバーテックスの襲来もあって、おしゃれ。なんて言うものを気にすることはなかったのである

それゆえに、ファッションセンスというものは同年代に比べて著しく低いという自負があるし

言ってしまえば300年前の古臭いセンスだと若葉は思う


214 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 22:14:53.855/UyKN36o (3/16)


天乃「良いわよ。私だってそう言うこと気にしたことはないし」

若葉「…………」

普通の女の子としての生活をほとんどしたことが無いという天乃は

そのことに関して悲観する様子もなく、笑って見せる

バーテックスと戦うために、生き残るために時間をかけ

足の自由を失って、また気にすることは出来なくなって

若葉「そうか。なら私のセンスが悪くても天乃ならと気にされないか」

……笑って言う。

お茶らけたように、少しは気にするべきことを冗談事で触れて

天乃「もうっ、それは困るわっ」

若葉「分っているさ」

苦笑して天乃に目を向けた若葉は、観察するようにじっと一通り体つきを見つめて、

沢山の浴衣が並ぶ店内をゆっくりと歩き回っていく

一つを手に取っては立ち止まって唸り、首を振ったり頷いたり

少しだけ長く考え込んだり、若葉はかなり真剣に悩んでいるようで……


215 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 22:20:47.155/UyKN36o (4/16)


天乃「……そんな真剣にならなくても良いんだけどな」

真剣に考えてくれていることが嫌なわけではないし

当然ながら、むしろ嬉しいのだが、ただ、若葉が着て欲しい浴衣でよかったのだ

極端に過激だったり、子供っぽいものでなければ。という条件はあるのだが。

天乃「でも、若葉はこんなことでも真剣になるわよね」

きっと、沙織も夏凜達も、真剣に考えてくれる

愛して貰えているのだと実感できるのが、嬉しくて

天乃「あ……もう、なんなの……」

目頭の熱、ぽつりと膝上に落ちた雫

目元を拭った天乃は困り果てたようにため息交じりに呟いて、拭ってもまたあふれ出てくるそれに、

ハンカチを押し当てる

出来れば若葉には見られないようにと、若葉がいない方向に目を向けて、拭って、拭って、唇を噛む

天乃「そう言う時じゃ……ないのに」

悲しいわけじゃない、嬉しいだけ

嬉しいからこそ、温かいからこそ、弱り切った天乃にとっては刺激が強くて、感激に浸ってしまう

しばらくして、若葉が「待たせたな」と、戻ってくる頃には何とか笑みを見せることが出来た


216 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 22:27:37.775/UyKN36o (5/16)


天乃「遅いわ。待ちくたびれた」

若葉「ついつい、悩みすぎてしまってな」

天乃「そんな真剣に考えなくても良かったのよ?」

若葉「私が悩みたかったんだ。自分の中でも一番綺麗で一番愛らしいと思える天乃にしたかった」

天乃は自分ひとりの恋人ではないし、

独占欲というものも若葉にはそこまでない

けれども、見せつけてみたいとは思ってしまった

自分がこんなに綺麗にしたんだぞ。と

自分がこんなに愛らしくしたんだぞ。と

若葉「天乃はあまり好みではないと言っていたが……やはり、これだっ!」

天乃「これって」

薄い桃色を基調として、牡丹が少し大きめに描かれた浴衣

髪と同じ色は……と、最初に言っていたのは若葉なのに

天乃「若葉、駄目って言わなかった?」

疑問に思って聞くと、若葉は確かにそうなんだが……と、困ったように答えて、

照れくさそうに頬を掻く


217 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 22:38:15.905/UyKN36o (6/16)


最初の否定はただ色合いを見ただけで、深くは考えていなかった。ということだろうか

それはそれでちょっぴり悲しくなりそうな天乃だったが

真剣に悩んでくれた十数分で帳消しにして、「そっか」と、ほほ笑む

天乃「若葉はこれが似合うと思ったのね?」

若葉「あ、ああ。黒や紺も天乃は似合うと思うし、綺麗に見えると思う。大人びて見えると思う」

天乃「純粋に褒められると恥ずかしいわね……」

若葉「だけど……年相応の少女にしたかった。綺麗な大人ではなく、可愛らしい少女の天乃が見たかった」

天乃「え?」

恥ずかし気に頬をそめながら、真剣な口調で若葉は語る

本気だった、真面目だった

視界に映る若葉の表情は、本心しか口にはしていないという自信に満ちていた

天乃「っ」

顔が熱くて、若葉を直視できなくなって、顔を伏せる

嫌なわけがない、ただただ、嬉しいのだ。

誰かの前で平然と語られるのが恥ずかしいのだ

若葉「そう考えたら、これしかないと思ったんだ。天乃」

天乃「な、なに……?」

恐る恐ると若葉に目を向けて、震える声を投げかける

ドキドキと強く胸が鳴る。キスをする寸前のような

緊張感にも似た、恋し雰囲気

若葉「なってくれるか? 大人びて強い久遠天乃ではなく、少女らしく弱さもある久遠天乃に」

天乃「……なんか、受け取りたくない」


218 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 22:45:04.485/UyKN36o (7/16)


差し出された桃色の浴衣

それを受け取るということはつまり、自身が弱くなっていくことを受け入れるということでもある

そこから逃げることなく、強がることなく

みんなに甘えていくことになる

それは、迷惑ではないだろうか。お荷物ではないだろうか

死と隣りあわせで戦ってくれているみんなに、そこから退いた自分が支えて貰うというのは

天乃「畳み掛けてくるのね……最近。ずっとそんなことばっかり」

若葉「そうだな」

天乃「夏祭りで、楽しい気分になれそうだったのに」

若葉「すまない」

天乃「私、きっとすぐ泣くし、凄く甘えるし、凄く意地悪で、凄く面倒くさいわ」

若葉が差し出すままの一方で、天乃は自分の右手を強く握り締めて、俯いて

膝上の手は心なしか震えていて、スカートにシワが寄っていく

若葉「泣いても良いじゃないか。可愛いぞ。甘えたって良いじゃないか。嬉しいぞ。意地悪だって良いじゃないか。結局優しいからな」

天乃「…………」

若葉「面倒でも良いじゃないか」

若葉はそっと天乃の手に手を重ねて、膝を折って姿勢を低く目線を合わせる

今にでも泣きそうな顔が見えた

すでに泣いたと解る目元が見えた

やっぱり、少女なのだ

誰かが求める【勇者】であり続けただけで

そうあろうと、強く、強く、地を踏み締めていただけで

若葉「今まで、その面倒ごとの全てを背負ってきてくれたのは天乃なのだから」


219 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 22:53:32.865/UyKN36o (8/16)


天乃「……ずるい」

若葉「西暦時代はな、狡賢くないと生き残れなかったんだ」

天乃「何それ、嘘つき」

若葉「ああ、嘘だよ」

借り物である浴衣を汚さないように、崩さないように

優しく天乃を抱いて耳元で囁く

小さな嗚咽が胸にうずまって消えていく

それで良い、これで良い

天乃は畳み掛けるように……と言ったが、まさにその通りだ

畳み掛けた。それは嫌われても良いと言う覚悟の上で若葉が強行したこと

戦いから戻るたびに、震えているのだ

戦いから戻るたびに、泣きはらした顔を見せられるのだ

自分がそれを見るだけなら、味わうだけなら耐え忍ぶことも厭わない

けれども、不安に震え、恐怖に泣いている精神が長く持つとは思えない

いつかきっと、壊れてしまう。だから、強引にでも抱きしめてやりたいと思った

体ではなく、心も一緒に

いまならそれが、出来る気がした

若葉「私は馬鹿みたいに頑固で、正直者だ。狡賢いのはひなたの専売特許でな……ふふっ、こんなことを言ったら怒られるか」

天乃「っ、ぅ……」

若葉「もう一度問おう。我が主、久遠天乃。君は、これを受け取ってくれるか?」

そうっと体を離して、向かい合いもう一度浴衣を差し出す

泣いて崩れても愛らしいと感じられるのはやはり、自分の心故なのだろうか

そう考える若葉の目前、天乃は潤んだ瞳に微かで優しい怒りを含めて若葉を見る

こんなのはずるいと、そう、怒っているのだろう


220 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 23:03:02.965/UyKN36o (9/16)


天乃「……覚悟はできてるのね」

若葉「もちろんだ」

浴衣の上から若葉の手に手を重ねて、天乃は怒りを込めた目を一度閉じて

今度は普段とそう変わらない瞳で若葉を見る

天乃「私は面倒で、意地悪だから。怪我して帰ってきたら傷を抉ってやるわ」

若葉「気をつけないとな」

天乃「少しでも遅く帰ってきたら泣き喚いて絞め技をかけてやるわ」

若葉「残業をする気は無いな」

天乃「……私を若葉たちの好みの女の子にするのは、誰か一人ではなくみんなであることを忘れたら、死ぬわよ」

若葉「肝に銘じておく」

誰か一人でも深く傷ついてしまったら

誰か一人でも欠けてしまったら

天乃はもう二度と【無力】を受け入れることはできなくなる

日常という持つべきものをかなぐり捨てて、目を背けてしまうようになる

それは、若葉だけではなく全員が分かっていることだ

だから誰一人として本心では死ぬ気など無い

ただただ、足掻くこともできないような絶望の淵では生を諦めるほかないと覚悟を決めているだけで

元からそんな状況に陥る気など、皆無なのだ

天乃「解ったわ。それを着たい……着せてくれる? 若葉」

若葉「着付けはひなたに習ったからな。任せておけ。天乃」

着付けに少し時間はかかったが、

店主の助力を得て、天乃とついでのように若葉の着付けを終え、2人は夏祭りの会場へと向かうことにした


221 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 23:10:59.605/UyKN36o (10/16)


√8月13日目夕(夏祭り) ※土曜日


風「おーこっちこっちー!」

天乃達が到着して、あたりを見渡していると、そんな声がどこからとも無く聞こえてきて、目を向ける

夏祭りに訪れた人でごった返す道中を少し外れた入り口の脇

そこに風達勇者部が勢ぞろいしていた

風「いやー入らなくて良かったー」

樹「入ってたら合流だけで時間取られちゃいそうだったもんね」

風のほうは控えめな黄色を基調に花火のような色取り取りの花柄の浴衣

樹は白を基調にして黄緑色の小さな花が散りばめられた浴衣を着ていて

風は普段の男勝り―言うと少しむくれる―な部分はなりを潜めて女性らしさが出てきていた

樹は、いつもどおり愛らしさがある

風「そしたら暫く若葉と天乃が2人きりだしぃ? んなの許せるかーって――」

夏凜「んなこと言ってないわよ」

待っていてくれた理由を脚色しようとした風から少し離れた林の方でそんな声がはじける

見なくても解った

端末を通してではなく、生の声を聞くことができただけで、

再会する事ができた実感が沸いてきて、泣きそうになる天乃の目元を若葉が拭う

天乃「若葉?」

若葉「それはここじゃないと、私は思うぞ。必要なら、車椅子を押すが」

自分の手元から離れていく

2人きりの時間が終わるその寂しさも物足りなさも何も無く

満足げな笑みを浮かべて送り出してくれる若葉に、天乃は「ありがと」と呟いて

自分の手で車椅子の車輪を回す

逃げ出したせいで手動の車椅子は少しだけ大変で

けれど、手を貸そうとした樹を風は止めて見送る


222 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 23:19:07.915/UyKN36o (11/16)


風「少し、我慢ね」

樹「うん……」

キュルキュルと車輪が回って、回ってがたりと揺れる

ブレーキをかけて……車椅子の足置きがぶつかった

夏凜「……痛いんだけど」

天乃「私はもっと痛かった」

夏凜「…………」

車椅子に座って項垂れている状態の天乃の顔は夏凜には見えない

だから、何を考えているのか、何を思っているのか、何を浮かべているのか

夏凜には解らないはずなのに、少しの沈黙をおいて息づく

足を車椅子の足置きに押し付けるようにして

裾の上から食い込んでいくのを感じながら

夏凜は天乃との距離を詰めていく

夏凜「じゃ、もうちょっと痛くしなさいよ。その分だけ、あんたに優しくしてやるから」

鮮やかな赤色に橙と白の芍薬柄の浴衣を着込み

夏凜は袖を軽く引き上げながら、天乃の頬に手をあてがって上を向かせる

夏凜「なんて……ま、無事でよかったわ」

天乃「うん……夏凜も」

自分で言ったことに恥ずかしそうにしながら、

夏凜は天乃の無事に笑みを浮かべて、頬をかく

会いたくて、会いたくて、ようやく出会えて

言いたいことは沢山あったけれど、言うことができたのはたったそれだけの短い言葉

けれども、2人は恥ずかしそうに満足そうに、笑みを浮かべる

目の前で笑みを浮かべて貰えることが、100を語るよりも大事なことだったからだ


223 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 23:25:16.385/UyKN36o (12/16)


夏凜「それにしても、あんたが浴衣着てくるとは思わなかったわ」

天乃「嬉しい?」

夏凜「驚いたかどうかでしょ、普通」

夏凜は困ったようにそう言うと、

気恥ずかし気に眼を逸らして、ちらりと天乃を観察する

距離が近いからか、天乃には浴衣の赤色よりも頬が赤く見えるような気がした

夏凜「そりゃ、まぁ……あんたは服のバリエーションないし。新鮮で、嬉しかったわよ」

天乃「ふふっ、良かった」

夏凜「っ……」

心の底から嬉しそうな笑顔を見せる

そんな顔が見たかった。そんな顔をさせたかった

そんな感情を抱き続けて欲しかった

心の中で沸き立つ感情を吐き出しそうになって、夏凜はごくりと喉を鳴らして息をついて――

天乃「夏凜も意外だったわ。夏凜らしい可愛くて格好良くも見える浴衣……好きよ」

夏凜「う、あ、ありがと……」

出鼻をくじかれた


224 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 23:35:22.995/UyKN36o (13/16)


天乃「瞳が選んだの?」

夏凜「良く分かったわね……瞳も寂しがってたわよ。最近送迎できてないって」

天乃「学校もないし、閉じ込められてるからね」

苦笑しながら天乃は言うが、精神的には辛いことのはずで

けれどその素振りはあまり見せずに、若葉へと目を向ける

天乃「向こうでも精霊のみんながいてくれるから寂しくはないわ。大丈夫よ」

夏凜「…………」

雰囲気が揺らがない。感情の弱さも感じない

だから、本心で語っているのだろうと判断して、夏凜は小さく笑みを浮かべる

夏凜「そっ。なら平気か」

天乃「何が?」

夏凜「あんたが寂しがってたりするなら、若葉には決闘を申し込まなくちゃいけなかったのよ。この役立たずめ。って」

天乃「なら、夏凜は役立たずね」

夏凜「は?」

想定していなかった返しに素の声を返して、困惑した表情を見せる夏凜に

天乃は静かに目を向けて

天乃「皆がいても、そこに夏凜はいないもの。貴女に対する寂しさだけは、誰も埋めてはくれないわ」

夏凜「……悪かったわよ。でも、あんただって大赦に捕まったんだからお相子ってことにしてよね」

仕方がない。しょーがない

そう言い合って、苦笑して、そっと身を寄せて

手を握り合わせる

人目につくこの場所では、これが限度

でも触れ合えるというだけで、意外に満たされるものだった


225 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 23:40:47.135/UyKN36o (14/16)


若葉「友奈と東郷は何かあったのか?」

風「ちょっと遅れるって言ってたわよ。バーテックスで調子狂って浴衣の準備忘れたって」

若葉「何も無理に着てくるこ――っぅわっ!?」

言いかけた瞬間後ろからぐっと押さえ込むような力に襲われ、思わず声を上げると

おんぶしろと言わんばかりにのりかかっていた歌野が「ソーリー」と悪びれも無く謝って、背中から飛び退く

若葉「急に現れたかと思えば……」

歌野「それは言っちゃノーだよ。乃木さん。好きな子の前では、良く見せたいものだからね」

びしりと言って決めて見せた歌野に、若葉は確かにと感心して息づく

若葉も少しはそう思うことはある

遠慮したものの貸し出されて着てしまった浴衣ではあるものの、

天乃に「うん、似合ってる。瑠璃色はなんだかきりっとしてて若葉らしい」と嬉しそうに言われたときは

自分も嬉しく思ってしまった

若葉「そ――」

千景「ついさっき藤森さんに聞いたばかりでしょう。白鳥さん」

若葉「え?」

良いことを言うなと感心して称えかけたところで、

すぐ後ろから聞きなれた声が聞こえて振り向くと、呆れた様子の千景が姿を見せていた

残念ながら、浴衣は着ていないようだ

歌野「ワット!? 裏切り!?」

千景「私は言わない約束してないわ」

歌野「ぐぬぬっ」

球子「千景に焼きそば奢る約束しないからだぞー」

千景「土居さんやめて……まるで私が食い意地はってるみたいに聞こえるから」

球子「冗談冗談!」


226 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 23:47:37.215/UyKN36o (15/16)


そう言って苦笑する球子から若葉へと目を向けた千景は、上下に視線移動させて、頷く

千景「似合っているわ。乃木さん」

若葉「そ、そうか? なんだか千景に褒められると照れくさいな……」

千景「その堅苦しい口調でさえなければ、良い女性だと思うわ」

若葉「な、なんなんだ。そんな褒めても私はなにも――」

いつも違って積極的に声をかけ

優しく明るい声で褒めてくる千景の言葉がこそばゆくて

耐え切れずに赤面して退くと、千景は悪戯っぽく笑みを浮かべて若葉を見る

千景「純粋な感想よ。綺麗は綺麗。可愛らしいは可愛らしい。こういう時くらい、素直に感想を言っても罰は当たらないでしょう?」

若葉「……それなら千景も浴衣を着ればよかっただろう。きっと似合ったぞ」

千景「着替えるのが億劫だったのよ。私の過去を知る貴女なら理由もわかるかもしれないけれど、綺麗な体ではないから」

若葉「そうか」

きっとそれは誰も気にしないことだろうけれど

本人が見せたがらないのなら、無理強いはするべきではない。と、口を噤む

記憶の中の千景とはまったく違う郡千景という少女

だが、やはり、それは間違いなく千景本人で

仲良く出来なかった分、仲良くできていることが若葉は嬉しかった


227 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/29(火) 23:57:15.915/UyKN36o (16/16)


風「それにしても、これだけ揃って男が0って結構あれよねぇ」

樹「お兄ちゃん呼ぶ?」

夏凜「カメラマンとしては優秀そうね……」

困ったように切り出した樹の傍ら、疲れを感じさせる声色で呟いた夏凜は

どこかにいる可能性すらあるけど。と

怖いことを言い出して、「まさかねー」という言葉が木霊する

けれども実際にはありえるんじゃないかなと、天乃は思い、見渡せば

みんなも周囲を警戒するように見て、一息つく

友奈「ごめんなさーい!」

天乃「あら」

車ではなく、徒歩で車椅子を押しながら近付いてきた友奈は

合流すると大きく息をついて「お待たせしました」と会釈する

東郷も申し訳なさそうに「ごめんね友奈ちゃん」と言いながら、みんなに謝ったけれど

仕方が無いことだと、みんな解っているから責めることはない

浴衣の準備が滞ってしまったのもそうだが、

ここまで車で来ると、送迎は大赦が手配するために天乃が見つかる可能性が高く

途中下車してここまで来る必要があったからだ

途中で水を差される可能性があるにしても

最初から再会さえ頓挫させられるのは誰も望まない


228 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 00:05:42.97N5g6xkSvo (1/16)


風「さて、それじゃ張り切って食べるわよー!」

友奈「おーっ!」

歌野「部長らしいわね。さすがリーダー!」

手を叩き合わせて注意を引いた風の元気の良い声に、

友奈や歌野が賛同して

千景「食べる以外にもすることはないの……?」

千景がやや呆れたように呟くと、隣に並ぶ樹が少し考え込んで屋台を指差す

樹「金魚すくいとか、射的とかもありますよ」

総勢10人の大所帯での夏祭り

騒がしくなりそうではあるけれど、お祭りなのだから多少騒いでも問題はないだろうし

それぞれのやり取りを見ていても、幸せな気分になれる

天乃「千景と樹って、意外に仲が良いの?」

比較的仲良く見える千景と樹の後姿を見つめながら、問いかけると

すぐ後ろ、車椅子を押す夏凜から答えが転がり落ちてくる

夏凜「樹があんたみたいに放っておくのが不安なタイプだから鍛錬の時良く見てるのは見るわ」

天乃「私のようにって何よ。私のようにって」

夏凜「そのままだっての」

茶化すような、笑い声。

懐かしい場所からの聞きたかった声に、天乃はむっとしながらも笑って頷く

天乃「今日は夏凜のおごりね?」

夏凜「はいはい。お任せ下さいお嬢様」

天乃「もうっ、馬鹿にしてるでしょ」

夏凜「そりゃするわよ。憂さ晴らしで」

苦笑しながら言うと「もうっ!」と一際大きな声が上がったけれど

夏凜は気にせずに笑いながら「ごめんごめん」と謝る

悪戯をしたくなる、意地悪を言ってみたくなる

本心を隠すつもりは無いけれど、そのほうが面白おかしくお祭り気分のような気がして。

なにより、本気じゃなく怒った天乃の表情は

笑顔の次くらいには好きだったから

夏凜「食べに行くか、ゲームするか。どうする?」


1、チョコバナナ
2、たこやき
3、焼きソ……うどん
4、射的
5、金魚すくい
6、水風船
7、りんご飴
8、仮面売り場
9、輪投げ
0、夏凜にお任せ


↓2


229以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/30(水) 00:06:04.24Uytg39GpO (1/2)

7


230以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/30(水) 00:08:14.78KtN3tvccO (1/1)




231 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 00:15:53.61N5g6xkSvo (2/16)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
安価スレじゃなくなりかける日常回は危険です



天乃「夏凜に任せるわ」

夏凜「そっか……」

夏凜「じゃぁ、あそこによさげな城っぽい建物あるんだけど行ってみる?」

天乃「あら、ほんと。洋風だけどキラキラしててお祭り会場の一つみたい。どんなところなの?」

夏凜「い、行けば分るから」



杏「とか!」

千景「貴女……なぜ出てきているの?」

杏「決まってるじゃないですか。そこに愛すべきものがあるからです」


232以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/30(水) 00:19:02.46Uytg39GpO (2/2)


別に祭りの帰り泊まってもいいのよ?


233以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/30(水) 00:33:07.30ibohnhPOo (1/1)


ホテルなんか行ったら沙織のNTRシーンに遭遇しそう
いや祭りでも危ないけど


234以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/30(水) 00:37:07.15PIt48fwmO (1/1)


安価スレなのに十数レス安価が無い異常事態
日常回書きたかったんだろうなって
それよか樹と千景とかヤバくない?夢広がるんだけど


235以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/30(水) 12:31:31.412kZVW/HuO (1/1)


平日で久々に長く読めて嬉しい
久遠さんと夏凜ちゃんがようやく再会できたり若葉と千景が大分打ち解けてたりで見所満載だな


236以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/30(水) 14:27:38.53kTCUtGSN0 (1/1)

乙なのです
そうかこれ安価スレだったな


237以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/30(水) 18:18:43.83KBovo4koO (1/1)




238 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 21:31:56.12N5g6xkSvo (3/16)


では、少しだけ


239以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/30(水) 21:42:26.571tzGYaWnO (1/1)

きてたか


240 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 21:43:18.10N5g6xkSvo (4/16)


天乃「そうねぇ……」

夏凜「なんか嫌な予感がする」

天乃が考え込むようにぼそりと漏らした段階で、夏凜は何かを察して呆れたように溢す

あら何の事かしらと恍けて見せた天乃は楽し気に笑みを浮かべていて

ほらやっぱり、と、夏凜は息づく

もちろん、そこには嫌悪感も不快感もない、ただのため息だ

夏凜「私に任せるとか、そう言うやつでしょ?」

天乃「流石夏凜、分かってるっ」

夏凜「はぁ」

嬉しそうに、楽しそうに、子供のように

今まで感じる事の出来なかった事

心の底から触れることが出来なかったことに触れられた喜びを表現して見せる天乃の無邪気な笑み

そこには心配させないように。という無理はなかった

本当に楽しもうとしていると分かる。自分の今までの日常から、非日常への切り替わりを受け入れようとしている

それが、夏凜にははっきりとわかる

夏凜「私より年下に見えるわ、あんた」

天乃「そうですか? 夏凜先輩」

夏凜「そーいうところがよ」

茶化して言う、子供っぽい笑み

年相応という丁度良い感覚が分からないのかもしれない

もしかしたら、天乃の楽しむ部分はその子供っぽいところで止まったままだったのかもしれない

そんな余計なことを考えそうな頭を振るようにあたりを見渡して、足を向ける

夏凜「良いのあった。とりあえずあれ買うわよ」


241 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 21:56:03.20N5g6xkSvo (5/16)


天乃「お祭り始まった瞬間に買うのがこれなの?」

夏凜「店主が怒るわよ。そんなこと言うと」

店内―と言っても野ざらし―に並ぶ商品一覧をじっくりと眺めながら、

横から飛んできた言葉に適当に答えて、ちらりと目を向ける

夏凜が初めに立ち寄ったのは、お祭りでよくよく見かけるお面を売っているお店だ

確かにお祭りに来てすぐに来るようなお店ではないのはそうなのだが

夏凜としては、真っ先に来ておくべきだったと今更ながらに思う

夏凜「これで良いか」

定番……と言っても良いのだろうか

九尾がいれば若干喜びそうな狐のお面

それを手に取った夏凜は店主にお金を渡すと、天乃の頭に付けて少し顔を覆う

夏凜「付けてなさい」

天乃「見えにくいんだけど……」

夏凜「どこにあいつらが居るか分からないから仕方ないでしょ。予防よ。予防」


242 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 22:05:36.76N5g6xkSvo (6/16)


一旦頭から外してお面をまじまじと見つめた天乃は

それもそうね。と夏凜の申し出を受け入れて――

夏凜「お金は要らないわよ。奢るって言ったでしょ」

天乃「そう……? ありがと」

財布を取り出しかけた手を制され、大人しくお礼を述べる

奢って貰うというのは本気ではなかったのだが

本当に奢って貰えたことが……いや、違う。と天乃は仮面をつけて、素顔を隠す

天乃「…………」

ちょっと、体が熱い。きっと顔が赤い

嬉しさに心が躍って、火照っているのだろう

百円程度の【プレゼント】だとしても、夏凜からのものだと思うとお金をかけたプレゼントよりも嬉しいと思えたのだ

天乃「似合ってる?」

夏凜「顔全部隠した似合ってる? ほど答えにくいものはなさそうだわ」

狐に浴衣が似合うかどうかが聞きたいのかと

少し呆れたように言った夏凜はお面を斜めにずらして素顔半分、晒させる


243 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 22:24:01.23N5g6xkSvo (7/16)


天乃「っ……」

ほんのり赤みがかった頬、光りを嫌う生き物のように、

視界が開けた瞬間から横へ逃げ出す天乃の瞳

ちらりと夏凜を見て、また逃げる

そんな愛おしさを覚える姿は、夏凜から何もかもを奪い取って……

夏凜「……可愛い」

無意識に言葉を引っ張り出す

天乃「!」

夏凜「あ、え、あ、いやっ! 」

天乃「ちが、に、似合うとか! そういうっ!」

夏凜「そーっ! そーよね。そう。あー」

無意識に近づいていた距離を弾けたように引き離して、

夏凜と天乃は互いに別方向に顔を背けて、天乃はお面をかぶる

夏凜「…………っ」

何をいまさら焦る必要があるのだろう

何をいまさら恥ずかしがる必要があるのだろう

何で今更、こんなにも……


244 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 22:33:24.64N5g6xkSvo (8/16)


戸惑う夏凜は自分の胸元に手を宛がって、息をつく

全く落ち着く気配がない

無意識だったのだ。何かを考えるようなことさえできずに

まるで呼吸をしただけのように「可愛い」と零してしまったのだ

それが、無性に恥ずかしかった

恥ずかしがる必要はないというのに。

もし仮に焦るのだとしても、それは天乃だけで良いはずなのに

夏凜「はぁ……ぁー……」

天乃「ね、ねぇ。夏凜。私、今とても気になることがあるんだけど」

夏凜「ん?」

付けたお面を少しだけ捲って夏凜へと振り向く天乃は、

夏凜の視線を感じてから、周りを見渡して夏凜へと視線を戻す

天乃「皆は?」

夏凜「私達が勝手に外れたから……ってわけないか」

連絡を取ろうと取り出した端末には風からの連絡が回ってきており

花火の時間までは自由行動にしよう。という提案がでかでかと表示される

気を利かせたわけではない……と、思うけど。


245 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 22:47:01.27N5g6xkSvo (9/16)


夏凜「ま、しょーがない。こんな祭り会場だし、各々好きに歩くのも良いんじゃないの?」

天乃「そうね」

全員で固まって歩くのも良かったけれど、勝手にはぐれたのは自分達で、

そもそも、夏凜も言ったが各々行きたい場所はあるはずだから

単独行動ならともかく、少なくとも2人以上で固まって歩いているなら、問題はないだろう

天乃「ねぇ、夏凜。次はどこに行く?」

夏凜「次か……」

人ごみで遠くまで見渡すことのできない祭り会場

よくよく見えるのは食べ物が売っているところだが……

天乃とて、空腹になることはある

けれど、何を食べても天乃には何も感じ取れない

ただ食感が伝わるのみで、その味覚は……

しかし、それは友奈も一緒だ

風と一緒に愉しむ素振りを見せてはいたけれど、食べるたびに自分の喪失を実感する

その辛さを分かち合うことは出来ない夏凜は

少しばかり罪悪感を感じて、首を振る

そんなこと、天乃は望んでいない

夏凜「射的でも行くか」

天乃「あら、夏凜先輩の手腕の見せ所ねっ!」

夏凜「どちらかと言えば東郷の見せ場だけど、やってやるわ」

そんなことを考えるくらいなら、楽しもう

勇者であることなんて、忘れて楽しんでしまえば良い

そうすれば、天乃も楽しませることが出来るのだから


246 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 22:58:26.83N5g6xkSvo (10/16)


天乃「あらっ、千景に樹じゃない」

千景「静かにして、集中しているの」

天乃「うん?」

射的の屋台に向かうと、人ごみで見えなかった二人の姿が見えて、

こんなところで。と声をかけた天乃のことを横目に、千景が冷たく言い放つ

狙っているのは屋台にあるぬいぐるみだ

その傍らでは樹が少し申し訳なさそうにごめんなさい。と呟く

夏凜「どうかしたわけ?」

樹「それが――」

身を寄せて囁く夏凜に対し、樹も近付いて事の顛末を話す

自由行動をして良いといわれた樹は、すぐ傍にいた千景と行動することにしたのだが、

何をしようかと考えている最中に、この射的の屋台を見つけたのだという

そして、千景が現在進行形で狙っているぬいぐるみを見つけた樹が、

あんなの取れるんですか? と千景に聞いたところ

屋台のおじさんが「そう簡単には取れないぞ。やめときな」と煽って

千景「その言葉、買ってあげるわ」

と、見事に乗ってしまったらしい


247 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 23:07:24.70N5g6xkSvo (11/16)


夏凜「これから?」

樹「いえ、すでに1回分の6発は使ってます」

天乃「ぬいぐるみを狙ったんじゃないの?」

樹が差し出した3つのお菓子をひとつ手にとって天乃が言うと

樹は「銃の試し撃ちです」と千景を見て言う

どうやら、本命を狙う前にどれだけ狙いとずれるのか、

火力というべきか、威力はどのようなものか

それを図るために、お菓子を三段階で狙って落としたらしい

千景「ぬいぐるみ自体に触れれば、落とし方も模索しやすいのだけど」

夏凜「……遊び、よね?」

千景「馬鹿なこといわないで三好さん。落とせないだろう。とこの人は言ったのよ。そのまま見下されて終わるなんて絶対に許せない。本気でやるに決まっているわ」

夏凜「わ、悪かったわ」

人さえも殺すような勢いで見つめられた夏凜は、怯えることはしなかった―トラウマにある本気の殺意よりは軽い―ものの

呆れ混じりに謝って、行く末を見守る


248 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 23:18:51.24N5g6xkSvo (12/16)


千景「いくわ」

小さく呟いてコルクの弾を一つ手に取り、指で遊び感触を確かめてから銃口に詰めると

千景はゆっくりと姿勢を屈める

弾をおいてある机の中央に引いたラインを肘が超えてはいけない

どこまで突っ伏していいのかはすでに警告を受けており、罰則は受けていないが

それで撃ち落としても景品は貰えない為、超えないように確認して、身構える

千景「――ふぅ」

普通の小さな景品ならば左下などを狙うのが鉄板ではあるが、ぬいぐるみとなれば話は別だ

左下に当てたところで、びくともしない

もちろん、そんなものはどこを狙ってもほぼ共通だろうけれど。

体の中を巡っていた空気を吐き出して、狙いたい場所から僅かに右下を狙う

そうしないと狙った位置よりも左上に行ってしまうため、撃ち損じる

これがこの銃の特徴だ

使い古されたせいか、打ち出す勢いが一部死んでいる

ほかの銃も試そうとは思ったが、手に取った相方はこれなのだから、これで行く

千景「まずは、鼻よ」

狙いを定めて、深呼吸。息を止めて数秒……

そして――引き金を引く

千景の醸し出す雰囲気、真剣さには見合わない軽い音がぽこんっと鳴って

吸い込まれたようにクマのぬいぐるみの鼻先に命中する……が、びくともしない

夏凜「全然動かないじゃない」

千景「想定内よ。三好さん。これで照準の設定が完璧だと解った。あとは弱点を見つけて当てるだけ」


249 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 23:29:04.71N5g6xkSvo (13/16)


撃った側の千景は冷静に答えてコルクをもう一つ抓んでころころと指で遊ぶと

別のコルクを抓んで玩び、それを銃口に詰め込む

千景「これは取り替えて。側面が削れているから空気が抜けるわ」

「お、おう……」

天乃「凄い真剣ね」

西暦時代の千景もきっと、あんな問題が無ければみんなとこうして楽しんでいたはずだ

そう思うと、少しだけ切ない気分に浸りそうにもなるし

西暦時代のみんなを呼ぶほどの余力を残せなかったことが、少しだけ悔やまれるが

今、こうしていられるのを見るとその分温かい気持ちにもなる

千景「体は弾かれる。手は太いけれど下に重い。顔に撃ってもびくともしない」

銃を構えることなくクマのぬいぐるみを隅々まで見定める千景はぼそぼそと呟きながら

少し試してみるほうが良いわね。と、呟くや否や身構えて――即射

放ったコルクは熊のぬいぐるみの耳の付け根に直撃して、ミリ単位で動いたように見えた

千景「その耳は柔らかくないのね……流石クマ。めり込むよりも抵抗感が欲しかったのよ」


250 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 23:40:25.21N5g6xkSvo (14/16)


満足げに言う千景だが、その表情は浮かない

というのも、ねらい目が見つかったとしても圧倒的に火力が足りないのだ

一人で二丁も不可能ではないが、その場合は照準が合わせ辛くなる

千景「三好さん。貴女、射的の経験は?」

夏凜「無いけど」

千景「話にならないわ」

夏凜「ちょ――」

千景「久遠さんは?」

天乃「多少なら。でも、千景の足を引っ張ると思うわ」

声をかける理由を察した天乃は、申しわけないけれどと辞退する

もちろん、言ったように出来ないわけではないが千景と釣り合うとはとても思えないのだ

単なる勝負事なら受けて立つ所存ではあるが、景品を落とす真剣勝負ならば――

「すみません、私にも一回分」

すらりと白い手が挙がって、呆然とする店主の目の前の机に200円が置かれ

机の上の一丁が借主の手に落ちて、コルク弾一つがキュキュッっと詰め込まれていく

友奈「東郷さん、頑張ってー」

東郷「ええ、もちろん」

友奈の可愛らしい声援を受けて、闖入者の東郷美森は試射といわんばかりに構えると

手ごろなお菓子を撃ち落して、横に並ぶ千景を見上げる

東郷「実力はこの程度で十分かしら?」

千景「……流石ね」


251 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 23:51:01.76N5g6xkSvo (15/16)


声には出さなかった

けれど、千景は確実に笑みを浮かべて頷きターゲットであるクマのぬいぐるみを指差す

東郷は千景の言葉を聞きうけて、これはどうかと聞いて、考えて

確実にクマを撃ち落とす方法を思案していく

友奈「あ、久遠先輩。これ食べますか?」

天乃「色々買ったのね」

わたあめ、りんご飴、たこ焼き

色々と手首にぶら下げる友奈はその中からわたあめを取り出して差し向ける

天乃「……ありがとう、貰うわ」

友奈「はいっ、どうぞ。あーん」

樹「友奈さっ」

天乃「あむっ」

友奈の手から受け取ることなく一口咥えて、溶かしていく

甘い匂いだけのわたあめは味を感じないが、溶けきらなかった砂糖のざらついた食感は確かに感じて

天乃「あら、美味しい」

友奈「えへへっ、このざらってする部分が良いんですよ」

無理をしていた頃とは違って、本当に、ただ、美味しいと感じた

友奈も味覚がなくなってしまっているのに、楽しそうで、おいしそうで

自分だけじゃないという救われた部分があるのかもしれないが

それはやっぱり、誰かと一緒に居られるからだと、天乃は思う


252 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/30(水) 23:59:23.63N5g6xkSvo (16/16)


樹「うむむっ」

夏凜「張り合うな張り合うな」

餌づけというと聞こえが悪いかもしれないが、友奈が天乃に食べさせることができたのが羨ましいのだろう

自分もと考えているだろう樹に声をかけて夏凜は息づく

友奈も天乃もいろんな意味で子供なのだ

だから、大人では少し恥らうようなことも、この2人の間では特に気にすることも無く行えてしまう

もっとも、天乃のことだから誰が相手でも平然と出来てしまいそうではあるのだが。

その一方、裏側で力を合わせてクマを撃ち落そうとしている2人はどう撃つのかを決め終えて、身構えると

射的をしにきた子供達の「がんばれー!」という声にみんなが振り返って2人を見守る

たかが遊び、たかが射的

そうと言わせない真剣な雰囲気を醸し出す2人の一息が零れて、店主が息を飲む

千景「……行くわ」

東郷「了解」

すでに構えた2人は声を掛け合って――一つ目が放たれた

変わらない乾いた音ではあったけれど、その開始の合図がみんなの視線をひきつける

飛び出したコルクは寸分違わず耳の根元にぶつかって勢いを吸収させて

そこから秒単位遅れることなく二発目―東郷の一発目―が同じ場所に直撃する


253 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 00:06:01.38rT2/y7Wwo (1/21)


「おぉっ!」

「すげぇ!」

2回の直撃はクマのぬいぐるみを僅かではあるが、動かし、その隙を逃すことなく千景の2回目が放たれて、

今度は逆サイドの耳の根元に直撃し――また続けて東郷の二発目が同じところに着弾

クマのぬいぐるみの耳の根元は勢いを殺すことなく受け止めてくれるため、

上手く力を加えることができさえすれば僅かではあるが動かすことができるのである

そして、それを立て続けに、それも動く瞬間を逃さずに狙えば、倒せるほどに浮かなくても浮かせることは出来る

もちろん、それには2人の精密射撃と、弾を詰める速度、照準速度

様々なものが合わさっていなければいけないのだが……

東郷「切り込むわ」

5発撃った東郷は千景の4発目がぬいぐるみを浮かせたのを確認する前に、足元めがけて撃つ

これは賭けだ

千景が上手く当てることが前提

ぬいぐるみの下部がつるつるとしていないこと前提

微かな浮遊感が最高潮に達したタイミングで着弾してくれること前提

そして――銃口の大きさが浮かせた分よりも小さいこと前提

野次馬のみんなが、黙り込む

ただただ、2人の弾の行く末を見守って……東郷の小さな笑みが響く

千景「貰ったわ」

さっきまでのリズムを崩し、千景の【5発目】が東郷の弾を追いかけ、

東郷の弾がぬいぐるみの隙間に弾かれる瞬間に重ねて着弾

僅かに押し込まれたコルクはほんの一瞬ぬいぐるみに傾きを加える

東郷「郡さん、決めて」

千景「任せなさい」

東郷の銃、千景の弾、周囲の期待

様々なものを纏め上げて、千景の精密な一撃がクマのぬいぐるみの眉間を撃ちぬく

傾きを超え、足元に潜り込んだコルクが転がり落ちて重なるように、鈍く重い音がどさりと響いた



254 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 00:10:34.82rT2/y7Wwo (2/21)


東郷「おめでとう、郡さん」

野次馬と化していた子供達の大歓声が上がる中で、東郷は嬉しそうに千景を称える

距離が遠かったわけではないが、決して近くも無かった

言ってしまえば、友人の友人。そんな感覚でさえあった東郷との協力

その完璧な仕上がりに、千景は首を横に振って東郷を見つめる

千景「千景で良いわ……ありがとう。あなたのおかげよ。東郷さん」

東郷「郡さん……ううん、千景さんの実力あってこそよ。最後の精密射撃。完璧だったわ」

称え合い、互いの協力の感謝を込めて手と手を合わせる

ただのお祭りだと、千景は舐めていたわけではない

けれど、別に参加する必要も無いのではないか。と思ってもいた

しかし、来て良かった。と、今は思う

「お嬢ちゃん、負けたよ」

普通のお店では1000円以上はするであろうぬいぐるみを店主から受け取った千景は、

少し困ったようにぬいぐるみを見つめて、東郷へと差し出す

千景「貴女はもしかしたら必要ないかもしれないけれど、受け取って貰えるかしら」

東郷「樹ちゃんのじゃないの?」

樹「いえ、私は大丈夫ですっ」

樹のために取ろうとしているのだと思っていた東郷としては、意外なプレゼントではあったけれど

東郷は「ありがたく頂くわね」と、千景から受け取ってぬいぐるみの頭を撫でる

2年前のあの日のことを彷彿とさせるようなクマのぬいぐるみ、

園子は今どうしているのだろうかと東郷は考えて、抱きしめる

ものはきっと違うだろうが、それでも、園子が欲しがって、有り金を使い果たして手に入れたぬいぐるみ

会いに行くことができたら、これを渡そう。思い出すことができたよと。忘れてごめんねと……

千景「……何があったのかは知らないけれど、使いなさい。せっかく取ったぬいぐるみが汚れるわ」

東郷「え、あ……ありがとう」

揺らぐ視界の中で遮るように渡された優しさ

それを目元に宛がって、悲しい思いを全てそこに注ぎ込んでいく


255 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 00:18:44.88rT2/y7Wwo (3/21)


樹「嬉しかった……ワケじゃなさそうですけど」

天乃「色々とあるのよ。昔取り損ねた因縁のぬいぐるみ。とか」

夏凜「はいはい」

急に泣きだしたのだから、何かがあったのだろうとは思うが、

天乃がそこに触れずに冗談を言ったのにも理由があるのだろうと

天乃の誇張すると宣言しているかのような茶化した言葉を夏凜はさらりと流す

友奈「それにしても、東郷さんも千景さんも凄かったなー、私には多分出来なかったと思う」

夏凜「そりゃ、殆どの人が出来ないわよあんなの」

同じ場所に連続で当てたり、もう一人が撃つ間に弾を詰め込んで身構えたり

着弾のタイミングを見計らって後ろから当てたり

勇者として銃を扱っている東郷はまだしも、千景が出来たことが驚きだった

もっとも、千景は千景でこういったゲームには手馴れていたのかもしれないが。

天乃「夏凜ちゃん」

夏凜「ん?」

ニャーとでもいいそうな甘えた声に目を向けると

物乞いをするような手皿と満面の笑みが見えて

夏凜は「あー」と屋台をちらりと見て頬をかく

夏凜「残念、順番待ちだわ」

天乃「もうっ」

夏凜「しょーが無いでしょうが、見入っちゃってたんだから」

天乃「夏凜ちゃんの格好いいところ見てみたかったのにっ」

夏凜「人も多い負い無理だっての……とりあえず、時間はかかるだろうし射的は諦めて金魚すくいで見せてやるわ」

東郷と千景のパフォーマンスもあって人だかりが出来てしまっていた射的は、

やろうとしていた人が多く固まってしまったため、暫く空きそうには無いのだ

天乃「お菓子が食べたかったのになー」

夏凜「あーもぅっ! 解った、解ったわよっ! ちょっと待ってなさい」

友奈「あっ、夏凜ちゃ」

東郷「夏凜ちゃん、本当に久遠先輩には弱いのね」

樹「あんな甘えかたされたら、多分みんなしちゃうと……あ、戻ってきました」

割り込む勢いで射的の屋台へと戻っていった夏凜だったが

当然のごとく順番待ちするべきだと子供に言われ、不戦敗での凱旋となった



256 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 00:21:43.28rT2/y7Wwo (4/21)


夏凜  判定↓1 

天乃 判定↓2


※0最低9最高
※左から-3
※右から-1
※左と右合計値
※ぞろ目はマイナス補正無し


257以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/31(木) 00:22:16.29gNI5wBAqO (1/1)




258以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/31(木) 00:24:38.37/QPuLX50O (1/1)

ほい


259 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 00:30:28.29rT2/y7Wwo (5/21)

夏凜 左:右=0:8 天乃 左:右=0:6

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


すみませんが安価を出す機会が失踪しているので
しばらくえっち回のような非安価が続くかもしれません
出せそうなところがあれば差し込んでいきます


260以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/31(木) 00:33:52.73V8NC9kEDO (1/1)


別に一本道でもいいんだよ(グリーンダヨ
これ自体がひとつのイベみたいなもんだし


261以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/31(木) 01:07:23.77Sig18L30o (1/1)


いちゃラブがあるならなんでもいい


262以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/31(木) 08:00:06.80tAuhjwOOO (1/1)


ぐんちゃんめっちゃ輝いてる…
できることなら生前も助けてやりたかったなぁ


263以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/31(木) 08:23:30.55CmZqGP8eO (1/1)


ゆゆゆいで見たかったのはこういうのなんだなって
友奈ちゃんのあーんにあーんする久遠さんとか最高かよ


264以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/31(木) 19:24:15.04w5VGRFkio (1/1)

安価スレなのに安価なしで許されるとかマジか
普通荒れると思うが


265 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 21:37:45.06rT2/y7Wwo (6/21)


では、少しだけ


266以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/31(木) 21:43:51.58IB4phjz5O (1/1)

やったぜ


267 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 21:47:21.68rT2/y7Wwo (7/21)


友奈「自由行動とは言われたけど、結局集まっちゃったね」

樹「久遠先輩ある所に勇者部アリ。ですね」

天乃「そんな私は夏凜のいるところにいるわよ」

夏凜「今日は、でしょ」

責任があるわけではないけれど

たらい回しにされてきた何かをそのまま受け止めて、息づく

天乃は車椅子だから、人ごみに紛れていてもどうしても空間が出来てくる

それが目立ってしまうというのもあるのだろうが、

一度合流してしまったら離れたくないというのが本音だと夏凜は思う

夏休みになる前は、平日は毎日会うことが出来ていたけれど、

夏休みに入ってただでさえ会えなくなったにもかかわらず、

大赦に捕まって連絡さえ取りづらくなってしまったのだから

会える時に会いたい、出来るだけ長くと求めてしまうのだろう

天乃「夏凜が堂々と私を捨てる発言を……」

東郷「当家はバリアフリー等行き届いておりますので、ぜひ」

天乃「東郷……っ!」

ぐすりと嘘泣きをして見せた天乃の手を掴んで誘う東郷の言葉に、

天乃は告白を受けてうれし泣きをしたかのような雰囲気で、名前を呼ぶ

天乃「嫁ぐわ」

友奈「わーい、私も嫁ぐー!」

東郷「ふふっ」

夏凜「なにその顔煽ってんの?」

ドヤッと漫画的な効果音でも付きそうな東郷の自慢気な表情に、

夏凜は本気ではなく怒りをにじませた呆れ顔で呟いて、付いて歩く樹は千景へと目を向ける

けれど、千景は見ていなかった

目を逸らしていた……茶番から。


268 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 21:58:22.95rT2/y7Wwo (8/21)


樹「良いんですか?」

千景「真面目に付き合うと疲れるわ……毎日見てる私としては、だけど」

付き合うことも吝かではないし、

疲れると言っても嫌な疲れではなく、

休日を満喫した後の満足が出来る、納得できる疲れではあるけれど

どちらかと言えば、千景は見ている側の方がなんとなく好きだった

当然、淫らな行為の最中を見るのは遠慮するけれど。

樹「私は羨ましいです。久遠先輩と中々会えないので」

千景「…………」

少し寂しげにいいながら、樹は天乃の背中を目で追って、

それを見る千景は2人を交互に見ながらため息をつく

特に姉から任されたわけではないし

これと言って世話をかけなければいけないというものも千景には無い

けれど、放っておくのは気が引ける

過去の自分もそう言う人間だったのかと、気にはなってしまうが……

千景「なら、今行って来ると良いわ。久遠さんなら受け入れてくれること。私よりも樹のほうが解っているはずでしょう?」

樹「……はいっ」


269 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 22:12:39.28rT2/y7Wwo (9/21)


満面の笑みを浮かべて、タタタッと子供らしく駆けていく

ほんの短い距離を詰めた樹は夏凜と話す天乃の隣からぐっと身を寄せて声をかける

傍から見れば夏凜と天乃の邪魔を知ったようにも見えるけれど

その場の誰も、邪魔だとは思っていない

だから、険悪な雰囲気にならないし夏凜も天乃も樹も、話し声は弾んで笑みが零れる

夏凜「天乃、こっち」

樹「あっ、金魚すくいですか?」

夏凜が足を止めて、少し遅れて足を止めた樹たち

子供が奮闘する金魚すくいの屋台を前に袖をまくった夏凜は、

樹に天乃を委ねて店主に声をかける

夏凜「一回分」

器とポイと呼ばれるすくう道具を受け取り、子供達に混じって金魚の泳ぐ簡易水槽を覗き込む

小さな赤い金魚が数十匹泳ぎ回り、その中に混じって大きな金魚。出目金と呼ばれるのが赤と黒の十数匹泳いでいて

夏凜の影が入り込んできたからか、四方に逃げ惑う

夏凜「見てなさい、私の力ぁっ!」

太鼓を打つように右腕を振り上げた夏凜は、勢い良く振り下ろす

友奈「それじゃ――」

千景「違うわ結城さん、あれは……ただ適当な動作じゃない」

水に入ったとたんに敗れてしまいそうな速さ

それじゃダメだよと言いかけた友奈の傍ら、千景だけは理由を悟ったように割って入る

千景「見てなさい」

千景に言われ目を無得たのと同時に、夏凜は水面に対して斜めにカットを入れ、衝突の勢いを軽減

かつ、その速度を残したまま水面に近いところを泳いでいた小さな金魚を器へと弾くように招く

その時間、5秒にも満たない神速のテクニック

喜ぶよりも驚いた表情を見せる友奈に千景は笑みを浮かべて「言ったでしょう」と呟く


270 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 22:24:29.49rT2/y7Wwo (10/21)


千景「ただゆっくり入れるだけでは、金魚の泳ぐ水の動き、設置されたポンプによる酸素の流れに左右されやすい紙は簡単にダメージを追うのよ」

けれど、夏凜はいきおいをつけながら斜めに切込みを入れて

一部を水につけるだけではなく、全体をほんの一瞬で水中に差し込んですれ違うように金魚を掬い取った

そのおかげで紙には大した負担も無く1匹目の獲得に至ったのだ

千景「射的ではダメだと思ったけれど……見直したわ」

天乃「なんか良く解らないけど千景が意外とお祭り好きなのは伝わってきた」

千景「そんなことは、ないけれど……」

天乃「あるわよ。良く笑っているし」

思わず語ってしまった千景は天乃の嬉しそうな笑みが自分に向けられていることに気づいて、ふいっと目を逸らす

ときめいてしまったわけではない、と、千景は思っているが気恥ずかしさは感じてしまう

若葉と違って、天乃の笑顔のためにと奮闘してるつもりは無いが

それでも、自分の言動に喜んでもらえるのは、嬉しくて

友奈「千景さんもどうぞっ」

千景「?」

友奈の持つ小さな箱―射的で東郷が落としたお菓子―から転げ落ちた一粒

鮮やかな紫色のそれを見つめていると、

友奈が「フーセンガムです」と、笑みを見せる

鍛錬に対して真剣に打ち込んでいる姿を知っている分、

無邪気な笑顔を見せる友奈の姿はどこか、安心できるような気がして

千景は「ありがとう」と、口に含む


271 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 22:34:46.47rT2/y7Wwo (11/21)


安いお菓子特有の初めの濃さと後味の薄さ

少しは大人の千景の口には美味しいと言えるようなお菓子ではなかったけれど

それでも、美味しいと思うことが出来てしまう――

天乃「ほら、また笑ってる」

千景「っ!」

天乃「いいのよ。笑っても。私は好きだしもっと見たいわ」

天乃は微笑む。嬉しそうに

自分のことではないのに自分のことのように

いや、きっと自分のことなのだ

天乃にとっては、みんなの喜びが自分の喜びなのだ

そう、解っていたはずなのに。

夏凜「なーにくどいてんのよ!」

天乃「ひゃぁっ!」

金魚入りの袋を頬にぶつけられた天乃が悲鳴を上げて

少し怒った様子の夏凜が眉を引きつかせながら、不敵な笑みを浮かべる


272 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 22:47:58.71rT2/y7Wwo (12/21)


夏凜「なーにが見たいってぇ?」

天乃「え? えーっと……千景の、笑顔?」

東郷「夏凜ちゃんの格好いいところは良かったんですか?」

天乃「あっ、あー……それはいつも見てるからっ」

手を合わせてにっこりと笑みを浮かべる天乃の目の前

袋を持つ夏凜はぽりぽりと頬をかいてはにかむ

傍から見れば、満更でもなさそうな様子だが。

夏凜「そ、そう……」

天乃「うん、そうなの」

夏凜「――っで、言うことある?」

天乃「……ごめんねっ」

夏凜「許すかっ!」

ぺろりと舌を出す天乃の頬をぎゅっとつまんで、もにゅもにゅと玩びながら

夏凜はふざけたこと言うのはこの口か! と、ちょっぴり怒る

もちろん本気ではないのは丸解りなのだが。

樹「夏凜さん頑張って出目金獲ったんですけどね」

東郷「ふふっ、どうだ見たか!って振り返ったときに見てなかったからもう……ふふふっ 」

取れるとは思っていなかった大きな金魚が取れて自慢げな顔をして見せたのに

見るべき相手が見ていなかったせいで羞恥心で顔を真っ赤にしていたのを見ていた東郷は、

思い出して笑うと、ゆらりと影が迫って隣の樹が「と、東郷先輩」と怯えた声を出す

恐る恐ると見上げれば、天乃を弄り倒した手をわきわきと動かす夏凜が、見下ろしていて

夏凜「なに笑ってるのよ、東郷」

東郷「夏凜ちゃん……い、いつもと雰囲気違うような……」

夏凜「はっ、笑わせるんじゃないわよ東郷。赤っ恥かいたままで私が終わると思ってんの?」

東郷「ゆ、友奈ちゃ」

とっさに助けを呼ぼうとしたが、視界の端に映った友奈は「ごめんね」と手を合わせていて

夏凜「諦めろ!」

東郷「ひゃあん!」

無防備な首筋にペタリと冷えた手が触れて、東郷は思わず悲鳴を上げてしまった


273 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 22:55:39.19rT2/y7Wwo (13/21)


千景「助けなくて良かったの?」

友奈「夏凜ちゃんも東郷さんも遊びなのは解ってますから」

助けなくても何か変なことが起きたりするわけでもなくむしろ、楽しくなれるだろう

そう考えたからこそ、友奈は助けを断ったのだろう

夏凜の攻撃に悲鳴を上げて少し恥らう東郷の姿を友奈は見つめて、笑みを浮かべる

友奈「……良かった」

千景「…………」

さっき泣いていたから

だから、東郷のことを心配していたし、笑えるのかどうか心配にもなっていたのかもしれない

そう思いながら、千景は友奈に声をかけることなく、納得したように息づいて第一の被害者の天乃へと声をかける

千景「久遠さん、金魚すくいやるなら手を貸すけれど?」

天乃「あら、良いの?」

千景「久遠さんが望むなら」

天乃は車椅子だから、

射的はともかく金魚すくいなどのしゃがまなければいけないような遊びは誰かの手を借りたりしなければ出来ない

だから遠慮しているだけで

本心では天乃もお祭りのゲームには参加したいのだろうと千景は思ったのだ

天乃「じゃあ、お願いして良い?」

千景「ええ」


274 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 23:02:49.20rT2/y7Wwo (14/21)


迷惑ではないのかどうか、

今までは聞いてきたその言葉を天乃は使わずに、

ただ、千景の申し出を嬉しそうに受け取ってお願いすると

両手を差し出して、笑みを浮かべる

だが、千景はすぐには動けなかった

千景「…………」

天乃「千景?」

千景「え?」

天乃「だっこして? じゃないと車椅子からも降りられないから」

千景「そ、そう……ね。解ったわ。抱き上げるから気をつけて」

そんな当たり前のことは解っていたはずで

困惑する理由などどこにも無かったはずなのに、

一瞬躊躇ったことにおどろきながら天乃の体に触れると、

耳元に差し掛かった天乃の唇が小さく息を吐く

天乃「……見惚れちゃった?」

千景「っ!?」

天乃「きゃぁっ」

ほんの十数センチ浮いていただけではあるが、

耳元でぼそりと囁かれた千景が抱き損ねた天乃は

車椅子に尻餅をついて、ガタンッと傾いた勢いに思わず悲鳴を上げる


275 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 23:12:59.97rT2/y7Wwo (15/21)


千景「み、見惚れたなんて……貴女は、なにを言って……」

天乃「じょ……冗談のつもりだったんだけど」

涙を目元に溜め込んだ天乃は困った表情で言って、ごめんねと続けるが、

動揺する必要も無いことで抱き損ねたのは自分だと千景はそれを拒絶して、「悪かったわ」と、呟く

夏凜「何してんのよ」

千景「わた――っ!」

怪訝そうな顔つきで近付いてきた夏凜は千景の顔を覗きこむや否や、

少し心配そうに千景の前髪を掻きあげて額に手を宛がう

良くある、熱があるのではないか。という状況だと理解するのは早かったが、

驚きこそすれ、すぐには動けなくて

夏凜「熱は無いわね……まったく。天乃が口説くから」

樹「また口説いたんですか?」

東郷「千景さん、大丈夫ですか?」

天乃「え、私が悪――」

夏凜「どう考えてもあんたよ。違うと証明したいなら、勝負よ天乃!」

刀を抜くかのように、ポイを天乃へと差し出して夏凜は笑う

夏凜「今までいろんなもので負けてきたけど……今度は勝たせてもらうわ」

天乃「夏凜との勝敗関係なくない?」

もう……と少しばかり呆れたように漏らした天乃だったが、

すぐに苦笑して千景へと目を向けると、「ごめんね」と言う


276 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 23:20:28.04rT2/y7Wwo (16/21)


千景「…………」

恋愛対象ではない。それは確実だと千景は思う

けれど、笑顔を見るとドキドキとしてしまう

温かくて、優しくて……そう、嬉しくなってしまう

悩む千景の視線の先には、敷物の上に膝を付く天乃の姿があって

水都「どうかしたんですか?」

千景「!?」

不意に声をかけられてビクリと飛びかけると、

震えた肩を押さえ込むように誰かの手がかけられて、顔が伸びる

歌野「そんなに驚かなくても」

千景「気にしてなかったのよ」

歌野「それはアウトオブ眼中。的な?」

歌野と話していると千景の心は落ち着いて、じわじわと上りつつあった体温も平常へと引き下がっていく

見惚れたというのは案外図星だったのではないかと、千景は思う

無邪気な笑顔が可愛らしくて、心が温かくなって、嬉しくなって

だから動きが鈍って……見惚れたの? という冗談にあんなにも驚いてしまったのだ

けれど、それが解っても疑問が残る

解決しなくても良いようなことではあるのかもしれないが、千景はどうせならと

歌野へと振り向いて

千景「白鳥さん、聞いても良いかしら」

歌野「ん? オーケーどんとこーい!」

大げさな態度

つまらない質問で申しわけないと思いながら、歌野を真っ直ぐ見て

千景「……恋をするって、どんな感じなの?」

水都「え゛っ」

歌野ではなく水都から本人とは思えないような声が漏れて

固まったように動かなくなった歌野は泳ぎだしそうな瞳を逸らして苦笑した


277 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 23:29:01.62rT2/y7Wwo (17/21)


天乃「うーん……」

両足に力が入れられない天乃は、殆ど片手で自重を支えているため

適度に引き返さないとすぐに腕が疲れてしまう

どこを攻めるべきかと覗いては引き返し、視線を感じて顔を上げると

店主のおじさんと目が合う

天乃「どこか狙い目ありますか?」

「え、あ、お、おー……そ、そうだなぁ」

非常に不自然に目を逸らした店主はこのあたり。と、水面近くにまで金魚が近付いてきている部分を指差す

ありがとう御座います。と素直にお礼を述べて、さっき千景が言ったことを意識しながら身構える

素早く、斜めに、一部ではなく全体を浸す

天乃「えいっ」

斜めに切り込んだ網は水面に近付いていた二匹の金魚を確実に受け止めて、

ピシャリと跳ねるよりも早く持ち上がり、

なぜか、おじさんが押さえていてくれた器の中にしっかりと納まる

天乃「やったっ、二匹よ、二匹。ありがとう」

「お、おう……すごいな」

天乃は二匹だけでも嬉しそうに笑ってはしゃぐと、

パシッと店主と手を叩き合わせて、「見た見た~?」と友奈たちに話しかける


278 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 23:36:27.01rT2/y7Wwo (18/21)


友奈「二匹って凄いよねっ夏凜ちゃん」

夏凜「はっ、こっちは出目金二匹取ってやるわよ」

樹「それは流石に……」

天乃の器にはまだ二匹だが、すでに8匹も捕まえている夏凜は、

堅実に積み重ねることを捨てて、出目金を狙いに行く

出目金を追い立てるように水面に浮かべた器を動かして、

段々と二匹の出目金の距離が近付き始めたところで、右袖をもう一度捲くり上げ

網を持ち、ゆっくりと肘を引いていく

夏凜「見てなさい樹、これが三好夏凜の実力ッ!」

樹「夏凜さんがお姉ちゃん みたいになってる……」

天乃「ほら、2人とも負けず嫌いだから」

夏凜「だから見てなさいよ、天乃っ!」

格好良く決めてやるからと宣言する夏凜に、天乃は嬉しそうに頑張れーと声をかける

そして――夏凜の口元がにやりと、動く

風を切って素早く動いた夏凜の腕。

元々網に付いていた雫が空中に取り残されて落ちていく中

ピシャリと微かな接触音が水面に跳ねて網が潜り込んでいく

その入り方は、今までに無く完璧だったと言っても過言ではない


279 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 23:37:26.24rT2/y7Wwo (19/21)


いち早く察したのは網側にいる黒い出目金だった

直進しようとしていた出目金は真横の水が揺らぎ、切り込んできた網が視界に入った瞬間、

方向を無理矢理に捻じ曲げて半転する……が、

すぐそこにいた赤い出目金は接敵に気づいておらず接触

しまった。と思う間もなくうろこに覆われた肌に強引な力が加わって

そのまま押し込まれ、赤い出目金と再び接触し、なお弾かれることなく押し込まれて――

夏凜「なっ!?」

だが、運は出目金に味方した

とっさの判断で動かしたヒレが赤い出目金を刺激したために、赤い出目金が暴れだしたのだ

その瞬間、網側に押し込まれるように潰された黒い出目金のもう片方のヒレが

散々金魚を攫ってのけていた網の弱った部分を直撃し、貫通

そこでさらに味方したのが、赤い出目金の重さだった。

黒い出目金は水槽内の出目金の中で標準的な大きさであり、重さだったが、

赤い出目金は標準よりも大きく。そして重かった

その夏凜には致命的で、押しつぶされる黒い出目金には致死的で、

枝分かれする延命を大きく左右する差は、出目金に微笑んだのである

突き抜けたヒレを動かした瞬間、重みが一気にその穴へと落ち込んで網を突き破ったのだ

ヒレから先、出目金の体が。だ

そして、

浮かぶ器の縁を掠めて水面へと戻った出目金は急いで戻って、呆然とする夏凜を見上げる

その横で、天乃がふと息を吐いて

天乃「見たか、これが金魚の代表格。出目金の力だっ」

夏凜「うぐぐぐぐっ」

天乃「ふふっ」

夏凜「笑うなっ」


280 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 23:48:23.25rT2/y7Wwo (20/21)


格好良く決めようとした分、恥ずかしい思いをした夏凜は結局、小さな金魚8匹

堅実に積み重ねようとした天乃は、夏凜ほど上手くいかず、6匹という結果に終わった

数字的に言えば夏凜の勝利だったのだが、夏凜としては納得がいかないらしい

夏凜「いけたと思ったのに……」

天乃「そういうときもあるわよ。楽しかったんだし良いじゃない」

優しくそう言う天乃は、しょんぼりと肩を落とす夏凜の横で、

手持ち袋に入れられかけた自分の金魚を水槽の中へと逃がして、器を返す

水都「せっかく取れたのに」

天乃「良いのよ。私は育てて上げられないし」

惜しむことも無く笑う天乃はちらりと夏凜を見て、そっと身を寄せる

夏凜「ちょっ」

天乃「腕が痛いから自力じゃ戻れないのよ」

夏凜「はぁ……ったく」

落ち込む暇もくれない天乃に呆れたようなため息を付きながら、

満更でもない様子で笑った夏凜は、天乃を抱きかかえて車椅子へと座らせる

その離れかけた手を、天乃は掴んで引く

夏凜「なっ」

体制が崩れて、天乃の肩のすぐ横にドンッと手ついたけれど

天乃は予め予想していた分、驚くことなく微笑んで耳元に口を近づける

天乃「……十分、格好良かったわ」

夏凜「っ」


281 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/31(木) 23:58:53.82rT2/y7Wwo (21/21)


これは慰めでも、お世辞でも、茶化したわけでもない

天乃が本当に思ったことだった

射的に真剣になっている千景や東郷にも格好良さを感じていた天乃としては、

たかが金魚すくいなれど、その一度の行動に対して本気で、真剣になっていた夏凜の姿は

とても格好よく思えたのだ

そして本心だからこそ、想いを抱く夏凜の心はしっかりと揺れるし、悔しさを包み込むことが出来る

夏凜「失敗、したんだけど」

天乃「うん、面白かったし、可愛かった」

夏凜「うぐっ」

天乃「でも、真剣な夏凜は十分、格好良く見えたわよ」

夏凜「……あっそ」

振りほどく前にするりと力が抜けていく天乃の手から逃れ、距離を開いた夏凜は

ほんのりと赤みがかった顔を隠すように背けて、横目に天乃を見る

夏凜「それなら、ま……しゃーない」

歌野「三好さん顔真っ赤でさっきの郡さんみたいね」

千景「私は違うわ……色々と」

そう呟いて話を終わらせた千景の横で、そういえば。と

思い出したように樹が天乃へと近付く

樹「久遠先輩無防備すぎですよっ、気をつけないと危ないです」

天乃「え?」

水都「屋台の人、胸見てたし……喜んでるとき揺れてたし、普通にタッチしてるし……」

歌野「あんなの年齢関係なしにドキドキするわ。かく言う私も、久遠さんの喜んでる姿は来るものがあったし」

指折りで罪状……のようなものを羅列する水都に目を向けた天乃は、

みんなのことを見渡して「そうなの?」と問う

無防備が本当に無意識で、天然であるのだと解るきょとんとした表情には、

流石の千景もお手上げのようで……

天乃「なんでため息つくのよ」

千景「察して、久遠さん」

いくつものため息が、重なった


282 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 00:09:04.39DTstJHFlo (1/14)

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間からですが、出来ない可能性もあります
何事もなければ明日で通常に戻る予定



店主「……ふう…………」シュルッ

大地「ばれずに済んだか。カメラは上手く撮れて……おぉっ、天乃がしっかりと写っ」

ヒュンッ!

大地「おっと、危ない」

若葉「おい店主、我が主をそのような邪まな考えで穢すことないよう……その記憶。掬わせてもらうぞ」

大地「ヤなこった!」ダッ

若葉「待て、兄上! 成敗してくれる!」ダダダッ


283以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/01(金) 00:11:35.54alj1FTm9O (1/1)


あまちか良いよ良いよ


284以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/01(金) 00:19:23.90Gsj2xVGOO (1/1)


兄貴は本当に化けていそうだから困るわw
夏凜ちゃんたちとの日常がマジ尊い


285以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/01(金) 06:32:26.75rhIqNlYhO (1/1)


安価スレとは(困惑)
みんなの関係の掘り下げ回だな…つまりそして地獄が訪れるんや


286以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/01(金) 17:33:04.569t5PK628O (1/1)




287 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 21:38:41.39DTstJHFlo (2/14)


では、すこしだけ


288以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/01(金) 21:44:41.32nW1zRqR2O (1/1)

よしきた


289 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 21:46:08.45DTstJHFlo (3/14)


天乃「花火の時間って、まだ大丈夫?」

夏凜「まだ時間はある……わね」

言いながら端末で時間を確認した夏凜は、

もう一度「大丈夫そう」と改めて言って辺りを見渡す

花火の時間が近づいてきたからか、来た当初よりも人の数が増えているようにも見える雑踏の揺らぎ

不意に立ち止まると、後ろから来た誰かの肩が体にぶつかる

歌野「少し外れた方が良いわね。休憩休憩」

野外であっても夏場と人の量ということも相極まって蒸し暑い空気を手で払いながら、

歌野がかき分けるようにして通る道に、みんなでついていき

ぞろぞろと歩く人波から、人影のまばらな屋台外れの空間へとたどり着いて、一息つく

東郷「水都さん、平気?」

水都「うん。平気」

天乃「樹も平気?」

樹「まだまだ大丈夫ですっ」

車椅子を押して貰う二人の心配そうな表情に、

代役で押していた二人は問題ないと答えて笑みを見せる

今までしてきたことと比べれば、

群衆をかき分けながら車椅子を押すことなんて、何の苦でも無かった

特に、樹なんかは天乃に好意がある分

むしろ満足感さえあった


290 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 21:55:05.38DTstJHFlo (4/14)


千景「貴女達は何をしていたの?」

歌野「気ままにウォーキング!」

千景の問いに元気よく答えた歌野は、東郷や友奈と親し気に話す水都を眺めて、

嬉しさをかみしめるような笑みを浮かべて見せる

自分たちが頑張っていたあの時代、お祭りなんて余裕はなくて一度もやったことはなかった

いつかまたやりたいと思いながらどこかもう無理だと思っていた

だから、こうして参加することが出来ただけでも嬉しくて

何かをやらなくても、何かを買わなくても、十分楽しいと思えたのだ

歌野「100歳が3回。そう考えると、意外と短いけど」

でも、300年は長かったと歌野は呟く

忘れてしまったのか、隠されたのか

歌野はまだそのあたりを詳しくは知らないけれど

でも、そのおかげで平穏な暮らしが出来ている

それが、歌野には尊く思えた

絶望しきった人々の表情を、声を、言葉を

聞いたことのある歌野にとっては、それはとても大切な事だったから


291 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 22:04:23.07DTstJHFlo (5/14)


歌野「郡さんもハッピー? 良くスマイル見せるようになったし」

千景「……騒がしいのも悪くはないと思ってはいるわ」

樹「久遠さんも本当に楽しんでるみたいですし、来れてよかったです」

樹の嬉しさの染み込んだ声に、千景は小さな笑みを浮かべて「そうね」と、答える

元々感情を押し殺すつもりは無かった千景だが、

精霊らしくあるべきだという考えに基づいて、控えめになっていることも多々あったのだ

けれど、それをもう押し隠す必要がなくなったから

天乃がごく普通の少女のように生きていくことを決めたから

だから、もう千景も普通に笑い、楽しみ、喜ぶ

それこそ、久遠天乃の精霊ではなく久遠天乃の友人の一人として

歌野「そういえば、焼きそばじゃなくて焼きうどんがメインだったの! ちーちゃんどう思う!?」

千景「ちーちゃん……?」

歌野「……ダメか」

ちぇっと小さく舌打ちをした歌野は、口が滑った。と取り繕って苦笑して

もう一度どう思う? と、問いかける

歌野「お祭りといえば焼きそば! イズ、ジャスティス!」

千景「え?」

歌野「リピートアフターミー、お祭りといえば~!」

友奈「焼きうどん! いず、じゃすてぇす!」

歌野「ほぉぉぅ?」

友奈「わぁぁぁっ、ごめんなさーい!」


292 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 22:14:28.56DTstJHFlo (6/14)


どこからとも無く現れた友奈の挑発的な言葉に歌野が振り向いて

友奈は一目散にごめんなさいと駆け出す

夏凜「あーあ、友奈じゃ逃げられないわよ。アレ」

天乃「まさか本当にやるとは思わなくて」

くすくすと笑う天乃は、友奈に聞こえないと解っていながら、ごめんね。と手合わせ謝罪する

歌野も本気で起こっているわけではないから、

特に止める必要も無いのだろうが、友奈は浴衣で歌野は私服

すぐにでも捕まらないなら転ぶかもしれないと警戒して

歌野「悪いこと言うのはこのマウスね! ジャッジメントを受けて貰うわ!」

友奈「わーっ!」

当たり前のようにがっしりと友奈がホールドされたのを見届けて、息をつく

天乃「元気ねぇ」

東郷「久遠先輩、年老いて見えちゃいますよ」

天乃「あらやだ……しっかりとお化粧をしているのだけど……奥様のようにはいかないわねぇ」

東郷「ふふふっ、何言ってるんですか。お若いですよ。いえ、まだまだ瑞々しいわ。私達の妻は」


293 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 22:24:31.73DTstJHFlo (7/14)


天乃の茶目っ気な言葉にも冷静に対応しながら、

友奈を弄くる歌野と、それを止めに入った水都

そこから少し遅れて、呆れたようにため息を付きながらも足を向ける千景へと目を向けて

すぐ横にいる天乃へと目を向ける

東郷「久遠先輩」

天乃「うん?」

東郷「本当に、適正の年齢で。その言葉を言い合いたいです」

天乃「……流石に適正年齢でのその若々しいやり取りはちょっと」

東郷「そう返してきますか」

えー。と、若干引いたような仕草で言う天乃に東郷は笑みを浮かべて首を振る

確かに、実年齢がそのあたりになったときでもまだ、

大人びたものではなく、いちゃついているのが良く解るようなやり取りをしていたとしたら

確かに、少し見苦しいかもしれないと東郷は思う

夏凜「東郷、心配しなくても天乃の成長は止まってるから」

天乃「ちょっと」

東郷「そうね、良かった」

天乃「良くないわよ!」



294 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 22:34:30.92DTstJHFlo (8/14)


「だから私は――」

そんな他愛のない会話する天乃たちから少し離れた場所で、

その場にいるみんなが聞き覚えのある声が人ごみの中から姿を見せた

しかも、男性二人を率いて

天乃「?」

夏凜「若葉?」

瑠璃色の浴衣を着込み、普段よりもさらに大人びていて

そして女性らしく綺麗な姿をしている若葉は見間違えるわけも無く

夏凜の呟きみんなの視線が向かう

千景「乃木さんね……なにをして」

歌野「意外と遊んでたり?」

水都「違うようたのん、アレ多分ナンパされてるんじゃないかな」

樹「私もそう見えます」

友奈「若葉さん凄い……」

東郷「友奈ちゃんも一人でいたらされるかもしれないわ」

ナンパされるのが嬉しいことなのかどうかはともかく

ある意味、それは異性から容姿が認められているということだとも考えられるからか

羨望の眼差しを向ける友奈に、東郷は優しく囁く

もちろん、不埒な輩にそんなことをさせる人が周囲にいるとは限らないが。

されるかどうかだけなら間違いなくされるだろうと東郷は思う


295 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 22:43:37.54DTstJHFlo (9/14)


若葉「だから私は連れがいると言っているだろう……申しわけないが、付き合えない」

声をかけられるのはこれで何度目だ。と

若葉は自分の不運さに呆れながら、人ごみから抜けてなお着いてくる男性陣に振り向く

風と球子がどちらが早く食べられるか。なんていう勝負を始めるものだから、

2人から離れて他と合流しようと思ったのが運のつきだったのかもしれない

雑踏の中からは中々抜け出せない、みんなは見つからない

挙句の果てには手を引かれて人ごみから抜かれたかと思えば

見知らぬ男性からの善意を着込んだナンパ

そこから逃げ出して、また別の人に声をかけられて

少し必死になってしまったら、これだ

若葉「それに私は中学生だ。そちらは見たところ大学生……低く見ても高校生だ。釣り合わない」

「連れがいるっていっても、迷子だったみたいだけど」

若葉「迷子ではないぞ。別行動をして、これから合流する予定だったんだ」

「迷子がよく言う奴じゃん。それ」

若葉の言い分は若葉にとっては真実なのだが、

相手にとっては迷子を認めたくない子供の言い訳のように思えたのだろう

面白そうに笑って

「とにかく、さ。別行動してるってことはいても居なくても良いってことだろうし、一緒に楽しもうよ」


296 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 22:59:36.05DTstJHFlo (10/14)


若葉「居ても居なくても一緒……か」

「そうそう。だから――」

若葉「ふふっ、そんな薄情な人間だったなら。私達は祭りにくるような感情さえなかったかもしれないな」

ただただ、バーテックスと戦うための道具

久遠天乃と言う勇者の代用品

その程度の存在でしかなく、日常に干渉するようなことなんて無かっただろう

そう考えて、若葉は笑う

目の前の男性陣が驚こうが、関係ない

若葉「すまない、驚かせてしまったな。つい、くだらないことを考えてしまった」

「お、おう」

その可能性は微塵もないし、そんな世界ではなかった

だから、もしかしたら、なんて考える必要は無いのだ

そして、この場のことも考える必要は無い

もちろん、初めからだが。

若葉「残念ながら、私には私が居なければ悲しむ人が居る。ほんのひと時の離別でさえ、場合によっては嘆いてしまう人が居るんだ」

思いを馳せて、嬉しそうに、切なげに

優しい声色で語る若葉を、背の低い方の男性は困った表情で見つめると

隣の友人に肘をぶつけて笑う「ダメなやつに捕まってるんじゃないか」と

そしてその友人も困り果てた表情で、恐らくは善意なのだろうが

そういう奴は後々頼り切ってくるから分かれたほうが良いかもしれないぞ。と声をかける


297 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 23:13:11.86DTstJHFlo (11/14)


若葉「そうか……知らない人にはそう思えるのか」

言い方が悪かったのかもしれないと、思う

だが何かがあったとも考えずに、ただ駄目な奴だと

頼り切ってくるから分かれたほうが良いと

そう言うことが出来る現代の若者の【贅沢な無知】に、若葉は失笑を禁じえなかった

若葉「散々頑張ったんだ。その人は。沢山のものに頼られながら、沢山のものに嫌われて、壊れる寸前にまで自分を追いやって」

「は……?」

若葉「それでも、つい最近までは決して頼ってくれなかったんだ。頼らないくせに、頼って良いんだと手を差し伸べていたんだ」

馬鹿だろう。愚かだろう

普通に考えたらありえないだろう

そういいながら、若葉は言うだけ無駄だと知りながら、続ける

何もしらない彼らが、少しでも感じ取ってくれれば。と

若葉「解るか? 解らないだろう……? 何もかもを頼り切る、君達に言わせればダメな奴。それが許される。そうであれと願われる人が居るなんてことは」

「なに言ってんだ……?」

「さすがに付き合いきれないって」

ナンパをしに来た二人が逃げるように立ち去っていくのを見送って

若葉は満足げに息づいて空を見上げる

夕焼けのオレンジ色がしっかりと見える夕空は着実に夜へと近付いていく


298 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 23:28:17.03DTstJHFlo (12/14)


本当に幸せだと、若葉は思う

こんなお祭りごとに現を抜かしていられる

暴力沙汰や、犯罪など起きずに、

ナンパだなんて可愛らしくさえ思えてしまうようなことができている

若葉「恵まれてるな……」

300年の歳月が齎した忘却

それは人々を無知の幸福に導いているのだと若葉は思う

大社が大赦へと変化する際、バーテックスへの露見を恐れて隠蔽をし始め

世界からバーテックスの恐怖を消し去った

それは仕方がないことだったとここにいたってもなお思う

きっと、それをしていなければ

どこかで人類は殺されていたと思うからだ

「若葉、貴女にとって、久遠さんは駄目な人?」

若葉「……駄目な人じゃないわけが無い。壊れかけるまで頑張るなんて――ん?」

周囲に人は居ないはずだった

そして、聞き馴染みある声だった

最後まで言いかけてそのことに気づいた若葉が恐る恐る目を向けると

車椅子に乗った少女が満面の笑みを浮かべる

天乃「ふふっ」

若葉「あ、天乃!?」

天乃「私はヒモになる気は無いわよ?」

若葉「それは解ってる。知らないことが多すぎて少し驚いただけだ」


299 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 23:35:20.85DTstJHFlo (13/14)


どこか悲しげに言う若葉をちらりと見た天乃は、何も持てていない若葉の手を手をぎゅっと掴む

若葉の少し驚いた声が上がり、視線を感じたけれど

天乃は関係ないと若葉の手に手を合わせて指と指を絡めて握る

所謂、恋人繋ぎだった

天乃「仕方ないわ。知らない方が良いこともある。まさに知らぬが仏」

若葉「そうだな……」

優しくて、聞いていると安心する声

眠るようにゆっくりと目を瞑って

手に感じる天乃のぬくもりをより強く感じようとしてしまう

「久遠さん、その迷子の子を早く係のところに連れて行くべきだわ」

そんな落ち着いた空気を壊す一声

天乃「そうねっ、すぐにお母さんに合わせてあげるから、勇者部に任せて!」

若葉「だから迷子じゃないっ……って、今のは千景か!?」

千景「似合わないかしら……たまには、こういうのも悪くないと思ったのよ」

若葉から向けられた驚愕の視線に、千景は少し気恥ずかしそうに顔を背けて答える

本来なら歌野たちの役目だったのかもしれないが

お祭りの最中だから。と、少しだけ加わってみようと思ったのだ

不慣れで、自分に似合わないと思っていたことだからか、

冷静になってみると恥ずかしいけれど、気分的には悪くないと千景は思う


300 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/01(金) 23:57:48.96DTstJHFlo (14/14)


夏凜「良かったじゃない、ナンパされて」

若葉「夏凜まで言うか……されてみろ、疲れるぞ」

心底疲れたようにため息を付いてみせる若葉に、夏凜は冗談よ。と

心配そうに苦笑して、手をひらひらと振る

自分にはそう言うのは向いていないというような態度だ

天乃「疲れたなら膝の上に座る?」

若葉「枕としてなら借りたいが」

天乃「車椅子から下りなくて良いなら貸すわよ?」

若葉「ふふっ、まったく」

そんなことを言いながらも、もう一度貸してほしいと言えば本当に膝枕をしてくれる

それが分かっているから若葉は思わず笑みをこぼして、頭に触れる

天乃「ちょ、なっ」

若葉「今度、してくれ」

天乃「若――」

天乃がもう一度声をかけるよりも早く

若葉は歌野達がいる方へと近づいて行って

樹「膝枕……私も……ダメ、ですか?」

天乃「えっ?」

止まった車椅子、かけられた声

天乃はすこし困ったように首を傾げて、笑みを浮かべる

天乃「そんな遠慮がちにならなくても、全然平気よ」

若葉の願いは伝播していく

そしてきっと、そのほかの誰かの願いもみんなへと伝播して天乃に求められていくのだろう

多くと付き合うということは、つまり、それだけ求められることも増えていくからだ


301 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/02(土) 00:00:39.750yn0/Ya0o (1/10)


01~10 夏凜
11~20 若葉
21~30 風
31~40 球子
41~50 樹
51~60 千景
61~70 友奈
71~80 歌野
81~90 東郷
91~00 水都

ぞろ目    

↓1のコンマ 


302以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/02(土) 00:02:03.98gu1V1x+mO (1/2)




303 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/02(土) 00:13:50.320yn0/Ya0o (2/10)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



一方その頃、九尾ふんする特別病棟の久遠さん。

九尾「ふふっ、呼んだ理由……解るじゃろう?」

「く、久遠様……」グイッ

九尾「妾は退屈しておる。楽しませよ」

「で、では、その……手を……っ」ビクッ

九尾「何を言うておる。お主の体を愉しませよと、言う意味じゃ」ボソッ

「ぁっ……」


304以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/02(土) 00:15:05.11OIKoT1CCO (1/1)


帰ったら誤解されそう


305以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/02(土) 00:29:39.11gu1V1x+mO (2/2)


九尾に大赦中の女性を骨抜きにしてもらえばいざとなったら脱出しやすくなるかな?


306以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/02(土) 17:16:20.03k/jM7e4wO (1/1)




307以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/02(土) 19:46:43.82Ore4+sRCo (1/1)

日常回出来なかった不満を大爆発させたせいで非安価スレに成り下がったと聞いて

その不満が出ないのはみんなも望んでいたからか?


308 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/02(土) 22:12:52.760yn0/Ya0o (3/10)


では、少しだけ


309以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/02(土) 22:14:44.13jdP4zX1oO (1/1)

かもん


310 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/02(土) 22:20:48.910yn0/Ya0o (4/10)


「負けるなー!」

「嬢ちゃんも頑張れー!」

若葉に連れられる形で食べ物の屋台が並ぶ一角へと向かった天乃達の目の前に現れたのは、

良くある行列や雑踏ではなく、何かの催し物に群がる観客

あるいは、何らかの事象に対する野次馬の集団

聞こえる言葉は声援ばかりで、若葉へと目を向けると

若葉は小さく息づいて眼を逸らす

天乃「……なにあれ」

若葉「お察しの通りだ」

夏凜「ってことは……風と球子か」

何やっているのかと言う夏凜に樹はお姉ちゃんですから。と

笑いながら答える

若葉と天乃も、風と球子がそれ以外の誰の隔たりもなしに、

一緒に行動していたのだとしたら、こうなるのも仕方がないと思う

どちらも活発で、ちょっぴり負けず嫌いで

勝負事に興味を示すから。


311 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/02(土) 22:31:00.710yn0/Ya0o (5/10)


水都「私には無理だな……あんな注目されるの」

友奈「水都さんもやりますか?」

水都「や、やらないやらない! というより……やれないよ」

今行われてる早食いや大食いは水都にはやれそうもないし

そもそも、目立つような行動をするのは苦手なのだ

勇者部と関わり合いを持つのだって、決して簡単ではなかったのだから

見知らぬ誰かの前でパフォーマンスなど、出来る出来ない以前に不可能だと水都は思う

歌野「みんなー、カモンカモン!」

そんなことを考えていると、歌野の声が聞こえてみんなの視線が群衆に向かう

いつ離れたのか、一足先に観客の中に紛れ込んでいた歌野は手招きをしていて

千景が少し呆れたように息づく

千景「いつの間に……」

水都「……うたのんってば」

自分たちとは正反対に行動力のある歌野の姿

その無理のない明るさに水都は笑みを浮かべて、千景へと目を向ける

水都「千景さん、行きませんか?」

千景「ああいうのは苦手だけど……はぁ」

カモンカモンと手招きする姿は視界の端

完全に眼を逸らしてもその声は聞こえてきて

千景は呆れつつも楽しんでいるように息づいて首を振ると、

仕方ないわね……と、答える

千景「久遠さんと同じように拗ねられたら面倒だから、行くわ」


312 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/02(土) 22:49:23.590yn0/Ya0o (6/10)


友奈「凄いよ東郷さん、見てみて!」

東郷「ふふっ、ほんとね。友奈ちゃん」

天乃「誰か止める人はいなかったの?」

夏凜「逃げたから」

若葉「……返す言葉もない」

袖口緒で顔を覆って若葉は雰囲気的に逃げ出す

群衆の輪に加わった天乃達の目の前、

机のようなところには、積み重なった容器が二つ置かれていて

二人の知り合いが、向かい合って座り、焼……うどんをかき込むように食べて

風「ごち!」

球子「終わった!」

二人が同時に声を上げて容器を机にたたきつけるように置く

一瞬の沈黙、そしてジャッジらしき店主風の男性が目を瞑る

どこかでごくりと喉が鳴る

この会場以外の喧騒がじわじわとどこか空虚に響く……そして

「……引き分けだ」

ジャッジが下ったのだった


313 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/02(土) 23:00:27.100yn0/Ya0o (7/10)


球子「普通のうどんだったらタマの勝ちだったな!」

風「ふふんっ、そう簡単にはいかないわ。アタシの女子力に敗北の二文字は無い!」

互いに結果に文句を付けたりはしなかったものの、

引き分けであることには満足いっていないのだろう、

どちらが勝てるのかと言い合って、にやりと笑う

風「お疲れ様」

球子「良い、戦いだった」

パシンッっと手を叩き合わせ、試合を終える

なぜだか盛り上がり、戦いを賞賛する大多数の野次馬の中、

風の妹である樹の「だからされないんじゃないかなぁ……」という寂しげな呟きが

妙に、天乃の耳に残る

けれど、ああいう活発というか、大胆というか

男勝りな一面に好意を抱く人が居ないとは限らない

料理人なんかは、ああやって美味しく食べてくれるような人にこそ、好意を抱く可能性もあるのだろうから

若葉「終わったか?」

風「あ、逃げた人」

球子「敵前逃亡した人」

若葉「付き合えるわけ無いだろうっ」

千景「まったくだわ。土居さんも犬吠埼さんも、周囲の目というものを考えるべきね」

球子「千景が若葉の味方になってる!?」


314 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/02(土) 23:15:10.690yn0/Ya0o (8/10)


天乃「2人ともアレだけ食べても元気なんて凄いわね」

風「うどんだから」

球子「うどんだから」

天乃「ほんと元気ね」

呆れ混じりに笑いながら、もうすでに容器の片付けられてしまった机を一瞥する

ついさっきまでは、そこに一人につき10皿

合計20人前分の容器が積み重なっていたのだから、恐ろしい

一つ一つの量は標準より少なくなっていると思いたいけれど。

歌野「それにしても、フリータイムにしてたのにあっさりと揃ったわね」

東郷「そうですね、早かったわ」

冗談で言われた天乃が居るところにみんなが来る。というのも

間違っているわけではないと東郷は思う

もちろん、自分達からも探しにいったから、絶対とはいえないけれど

きっと、じっとしていても結局集まったはずだと東郷は天乃を見つめた

天乃「ん?」

東郷「いえ……来てくれてよかった。と」

天乃「ふふっ、九尾が快くお留守番を引き受けてくれたからね」

それが無ければ、ここに来ることはまず出来なかっただろう

九尾が向こうで何をしているのか気がかりではあるけれど

きっと、大きなことはしていないだろうと信頼を寄せて、ため息一つ

すると、友奈と樹が一つのお店を指差す

友奈「久遠先輩、アレやってみませんか?」


315 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/02(土) 23:35:26.500yn0/Ya0o (9/10)


天乃「?」

夏凜「うどん占い?」

怪訝そうに店名を呟いた夏凜は、その付近にある看板を見つめて「はぁ?」と零す

ため息というよりは半ば呆れたような声

きっと無意識にもれたものだから、本心だろう

水都「……良く考えたね」

千景「需要がある……のね」

説明を読んだ千景も周囲を見て、何人か試している人を見て

呆れたように首を振る

とはいえ、そこまで否定的でもないのか、「イロモノも悪くは無いだろうし」と呟く

うどん占いの内容は簡単だった。

両端から先端が飛び出す穴のある特殊な蓋を用いた容器を使い

10本程度のうどんを入れ、両端から先端を出す

占いたい人は向かい合って適当なうどんを咥えて、蓋を外す

そのまま切れないように食べて、繋がっていれば運命……という

なんともくだらないものではあるけれど

お祭りということもあって、運試しに。等々楽しむ人も居るらしい


316 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/02(土) 23:40:29.770yn0/Ya0o (10/10)


天乃「そしたら、グループ分け――」

歌野「ノープロブレム! 久遠さん、その必要は無いわ!」

天乃「えっ?」

風「天乃対全員で良いんじゃない? ほら、そう言うアレだし」

天乃「そんな大勢できるの?」

みんなと自分というところには余計な突込みを入れずに、店主へと声をかける

穴こそ十本ほどの数はあるけれど、それはもちろん、

一人か2人かがその中のいずれかを選ぶ。というだけであって

その数と同じ人数でやるようなものではない

けれど、店主は「もんだいないんじゃねぇか?」と、がさつと言うと言い方が悪いかもしれないが

大げさに笑いながら言い放って、ちょっと待ってな、と調理に入る

女の子同士でやるというのに何も言わないのは、

そういうものだと疑っていないのか

それとも、そういうものだとしても別にいいという考え方だからなのか

それとも、ただの同性の友人同士に見えるのか

天乃「根本的にそう言うものだろうと考えるわけじゃないだけだとは思うけど」

なんとなく気になったこと

だけれど聞くようなことでもないと飲み込んで、息をつく



317 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 00:03:16.10IVGmRguBo (1/29)


夏凜「さて、あんたの運命の相手は誰なんだか」

天乃「こういうの、結果を気にするタイプ?」

夏凜「別に」

夏凜は嘲笑するように笑いながら、首を振る

本心だ

結果に対して無感情で居るということは無いが、それでも

その結果次第で自分のあり方を不自然に変えたり、付き合うのは無理だなんだと諦めるようなこともない

夏凜はいつも、そういう生き方をしてきたからだ

周りから、運命から、ダメだと、無理だと

突き放されるようなことがあっても、夏凜はそんなことは知ったことか。と

なら、それが必ずしも正しくないことを証明してみせる。と努力を積み重ねて、この場に居るのだ

夏凜「今更アンタと運命の赤い糸が繋がってないからって焦る気はさらさら無い」

天乃「…………」

夏凜「運命が誰を引き寄せたとしても、私はアンタとそいつの間に割り込んで、そんな糸断ち切ってやるわよ」

天乃「白い糸、だけどね」

夏凜「なら、喰ってやるわ」

天乃「!」

バッっと、浴衣の振袖部分を広げた夏凜は

天乃の顔を覆った瞬間に唇を重ねて、すぐに離れる

驚きに戸惑って、されたことに気づいて染め上がっていく天乃の瞳には涙がたまっていく

その一方、夏凜はぺろりと指を舐めて、笑う

唇と唇の間に、指を挟んだからだ


318 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 00:15:03.14IVGmRguBo (2/29)


夏凜「甘い……わたあめね」

天乃「かっ、か……」

夏凜「落ち着けっての、今更恥ずかしがるようなことじゃないでしょ」

名前を叫びそうになった天乃の頭をぽんっと叩いてお面を付けさせると

夏凜は少し困ったように囁いて、天乃の手を握る

周りに人はいるけれど、なにかをしたと気づいた人は居るかもしれないけれど

その誰も、何をしたのかは気づいていないだろう

夏凜「ちょっと余裕そうなのが、意地悪したくなった」

天乃「…………」

夏凜「元に戻せそう?」

夏凜の問いに、天乃はお面を手で押さえ込むと首を縦に振って、深々とため息をつく

顔を隠していても、真っ赤な耳が見える

少し時間はかかるかと思いながら、

調理中の店主へと目を向けると、「あと少しだからな」と明るく声をかけられた

夏凜「あと少しだって」

天乃「きこ、聞こえたから」

夏凜「……本当にした方が良かった?」

天乃「ばか」

ばしりと、まったく痛くも無いぶつかったような平手が頬に当たって、

お面の隙間から羞恥心に塗れた天乃の瞳が夏凜を見る

それはとても可愛らしくて

唇でしっかりとしておけばよかったと、夏凜を後悔させる

けれど、もう一度の時間は無く

風「出来たわよー!」

運命の白い糸選びが始まった


319 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 00:32:23.50IVGmRguBo (3/29)


友奈「あれ? 久遠先輩どうかしたんですか?」

風「どうせ夏凜が余計なことやったんじゃないのー?」

若葉「節操が無いな」

夏凜「若葉には言われたくないんだけど……」

天乃「い、良いからっ。やるんでしょう? 冷めちゃうわ」

まだほんのりと赤みがかった顔色の天乃は、下手に触れられるのもいやだからと

さっさと自分の分を選んで、それに続いて、夏凜達も自分のうどんを選んでいき、

一つの器を十数人が囲んでいるという奇妙な状況が出来上がった

樹「それじゃ、蓋を外しますね」

箸でうどんを抓みながら樹が声をかけ、蓋を外す

綺麗に色づいたつゆの中、うどんが入り乱れるように入っていて、

それぞれの方向へと先端が延びる

ほんのお遊びだということは解ってはいるのだが、なぜだかドキドキとしてしまう

樹「ま、まずは私が吸いますね」

左端を選んだ樹はそう言って、一度息を呑む

うどんを啜ると、決まってしまう

自分が運命の相手なのかどうか

軽はずみな気持ちでこれをしてみようと言った樹だが、いざ結果発表ともなると

どうしても、尻込みしてしまうのだ


320 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 00:53:24.40IVGmRguBo (4/29)


樹はこういった占いごとに目が無い

だからこそ、夏凜とは違って結果に関しては少し気にしてしまうのだろう

樹「…………」

自分が一番手、そうでなくても確率は一緒

そう考えて、意を決して吸い込むと、するすると、一本のうどんが抜けて……

樹「外れです」

残念そうな声が漂う

結果は結果、仕方が無い

そうは思っても、付き合えてはいても

残念な気持ちを押し隠すことのできない樹に若葉は目を向けて

若葉「次は、私だな」

少しだけ力を込めて言う

別に運命ではなくても良いとは思う

けれど、出来れば、叶うなら、そう言うものであると嬉しいなと若葉は思い、

意に反して強く感じる緊張感に身を包まれて、目を閉じる

戦うときよりも緊張するとは何事か……ただの、お遊びなんだぞ……


321 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 00:54:39.53IVGmRguBo (5/29)


落ち着かない心を叱りながら、「ままよ」と勢いを付けて啜る

だが、天乃の口元から器の中へと垂れるうどんにはまったく影響を及ぼすことなく

若葉は一本のうどんを啜り終えて、ため息一つ

若葉「私も外れだな。惜しい」

右端の若葉が終えて、左端の友奈が啜る

左右交互に啜る運命のお相手選びは、意外な場所で決着がついた

友奈の後に歌野が啜って、風が啜って、水都が啜ったときだった

段々と減ってきていたうどんの中の一本はゆっくりと水面にまで上り、

たるんだままだった天乃の咥えたうどんをピンッと張らせたのだ

水都「!?」

天乃「ん」

ちゅるちゅると、まるでポッキーゲームを行うように左右から食べていく

そして、あわやキスをするのではないか

そんな気さえしてくる数センチの距離で水都が食いちぎって距離を置いた

水都「く、久遠さんっ!?」

天乃「ごめんなさい、つい」

水都「危なかった……」

無意識か悪戯か、本当にキスしていたかもしれないと思う水都は自分の唇を指でなぞると

天乃を一瞥して、頬を染める

まったくもって恋愛対象などではないが

普段、天乃のえっちな姿だったり、キスしている姿だったりを見ている水都は、

意識していなくてもその光景を思い出してしまう


322 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 01:07:47.57IVGmRguBo (6/29)


歌野「みーちゃん?」

水都「はっ、あ、えっ? な、なにうたのん!」

歌野「大丈夫?」

水都「な、何が? 全然平気、うん、大丈夫、したわけじゃないし!」

慌てすぎていた

いつもらしくなかった

顔の赤さを自覚させようとする体の熱が、めまいがしそうな感じだった

水都「…………」

恋愛対象ではないはずだと、水都は思う

だけど、キスくらいならしても良かったかもしれないと

食いちぎって逃げていなければ、

それが出来たんじゃないだろうかと思ってしまう

天乃「ごめんね?」

水都「あ、い、いえ」

目を向けた視線に気づかれて、視線を向けられて、

紡がれる罪悪感の言葉に水都は作り笑いで返して首を振る

してみたかった。なんていえない

みんながしているのを見て

自分もしてみたくなったのだと

そんなこと、いえるわけが無いのだと

風「我慢しちゃって」

水都「し、してません。ただ、ちょっとドキッとしただけで」

若葉「ふふっ、天乃は見つめ合うと危険だぞ。特に、【そういうこと】を知っているとな」


323以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 01:18:54.75JYMG2jdwO (1/1)

前回のコンマここかあ久遠さんラヴァーズオンリーでもう一回見たいイベだな


324 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 01:20:04.69IVGmRguBo (7/29)


経験者のように語る若葉の言葉に、千景たちは同意するように頷くが

天乃だけは、別にそう言うつもりじゃないんだけど。と

言葉の意味を理解して、困ったように頬を掻く

普段は悪戯心、今回は若干上の空で

それはもう天性の才能のような気がしたが、水都は何も言わずに苦笑して、息をつく

千景「好奇心は猫を殺すというけれど……死にはしないわ」

天乃「なんで怖いこというの? 私って劇物指定でもされてるの?」

友奈「それは……」

樹「だ、大丈夫です! ちょっと我を失うくらいだと思うので」

天乃「何も良くないじゃないっ」

聞いた瞬簡に目を逸らした2人にちょっぴりむくれて言う

どこかからそう言う仕草を見せるから……と呆れた声が飛んできて

天乃は「もう、じゃぁどうすれば良いのよ」と落ち込む

けれども、それさえも……と夏凜は思う

結局、好意がある相手の仕草なら、基本的にはどんなものでも好ましいのだ

歌野「久遠さんはデンジャラス?」

東郷「性的な意味で」

天乃「東郷っ」

東郷「事実ですので」

天乃「もうっ!」

車椅子同士が軽くぶつかって、天乃はぐぐっと手を伸ばすが、

東郷の手には届かず、さわれるのは足くらいのもので。

天乃「東郷暫くお触り禁止!」

東郷「そんな殺生なこと……」

夏凜「余計なこというから」

その感情入り乱れる空気を客観的に見守る球子は、

決して消えない楽しく、幸せな雰囲気に笑みを浮かべて

球子「平和だなぁ……」

感慨深そうな球子の声が、妙に空気に馴染んで溶けていった


325 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 01:24:57.72IVGmRguBo (8/29)


では、長くなりましたがここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼頃から


夏祭りイベントは残り花火のみ


326以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 01:26:29.68j+f7ss/TO (1/1)


夏満喫してるなあ


327以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 01:41:30.797r/mbsEA0 (1/1)




328以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 10:02:56.91ZEoazb+CO (1/1)


今ごろさおりんは何をしてるのだろうか…
もう許嫁に抱かれてるかな?


329以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 12:22:35.993jk+BHMxO (1/1)




330 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 12:42:34.77IVGmRguBo (9/29)


では少しずつ


331 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 13:10:12.53IVGmRguBo (10/29)


√8月13日目夜(夏祭り) ※土曜日


歌野「そろそろ移動した方がよさそうね」

水都「そうだね」

周りを見れば、ちらほらと移動を始めていて

端末で時間をチェックしてみると、花火を打ち上げるような時間が近づいていた

とはいえ、天乃はふと疑問に思って

すぐそばにいる風へと目を向ける

天乃「ところで、見る場所は平気なの? 場所取りとか、そういうのは」

風「あーそれなら、特等席があるから」

天乃「特等席?」

若葉「まさか、本気でやるのか?」

球子「少しくらい平気だって……多分」

若葉達もどうするのかは聞いているみたいだが、

それには賛成なチームと、否定的なチームで二分されてしまっていたらしい

しかし、それが一番いい。という風の言葉に、

若葉はため息をつきながら「仕方がないか」と天乃を一瞥する

何も聞かされていなかった天乃だけが取り残されて

天乃「何の話? 何するの?」

夏凜「ちょっとお手を拝借」

天乃「え? はい……っ、きゃぁっ!」

夏凜に言われ、手を貸した瞬間に急速的な体の浮遊感

一気に近づいた夏凜の体に体がぶつかって、止まった

夏凜「少し我慢して」

天乃「が、我慢って、なんで……車椅子は?」

樹「それも持っていきますけど、とりあえずこの方が移動しやすいので」

天乃「移動って――っゃんっ」

がくんっと体が落ちたかと思えば、膝裏と背中に支えが入り込んで

夏凜「それじゃ、行くわよお姫様」

夏凜の顔が真っ直ぐ見えて、お姫様抱っこされているのだとすぐに分かった


332 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 13:30:51.36IVGmRguBo (11/29)


天乃「な、なんかみられてる気がするんだけど」

夏凜「そりゃ、こんな抱え方してたら見られるでしょ」

天乃「じゃ、じゃぁ」

夏凜「あんた、そこまで力入らないんでしょ? おんぶして頭から落ちられたら怖いのよ」

夏凜も視線を感じているはずだが、恥ずかしいことをしているという感覚は全く持っていないからか、

平常心で答えると、人ごみを丁寧に避けて道を進んでいく

その後ろでは、若葉が東郷を同じように抱えながら、あとを追う

一人だけしているよりも、二人でしている方が

まだ、そう言うものだと思わせやすいからだろう

東郷「あの……若葉さん、大丈夫ですか?」

若葉「この程度造作もない。心配するな」

東郷「……やっぱり」

若葉「ん?」

東郷「ふふっ、いえ。なんでも」

若葉「なんだ、気になるな」

含みを持たせて笑う東郷に、若葉も微笑みかける

やはり乃木家の人間なのだと

園子の御先祖様なのだと

真剣なまなざしに園子に通じたものを、東郷は感じた

次は、来年は

彼女もいっしょに連れて来たい。そう思った瞬間だった


333 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 14:31:33.59IVGmRguBo (12/29)


花火を打ち上げる会場から少し離れた建物の前で立ち止まった夏凜は、

他のみんなに目を向けると、軽く頷いて端末を取り出す

何をしようとしているのか察した天乃は夏凜へと目を向けたが、

夏凜は「大丈夫だから」と、言うだけで

天乃「ちょっと、夏凜……?」

夏凜「行くわよ!」

天乃「あんまり無茶しないでっ」

全員が一斉に姿を勇者へと切り替えて、夏凜が意気込んだ瞬間、天乃は夏凜の体にぎゅっと捕まる

そして、夏凜が小さく笑った

仕方がないなと、言うように

夏凜「支えとくから、暴れんじゃないわよ」

しっかりと天乃に告げてから

地面を強く踏みしめて――跳躍

建物の屋上へと一気に登っていく

お祭りの明かりが眼下に遠く、遠くなっていく中

天乃はずっと夏凜にしがみついていた

体に感じる優しく力強いものがあっても、

天乃は自分の体から力を抜くというのが怖かった

そのまま柔らかいゼリーのように、

夏凜の腕からすり抜けて、落ちて行ってしまいそうに思えたからだ


334 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 15:40:26.06IVGmRguBo (13/29)


夏凜「ついたわよ」

天乃「へ……ぇ? あ……うん……」

夏凜の優しい声に揺らされて目を開けると、

みんなはすでに勇者服を解除して浴衣や私服に戻っていた

お祭りの会場、もうすぐ花火が打ちあがる側へと目を向けていた樹は、

気づいたように振り返えると

樹「久遠先輩、こっちです」

笑みを浮かべながら手招きして、車椅子を天乃へと向ける

天乃「………あ、あ、うん、車椅子」

夏凜「大丈夫なの?」

勇者になることが出来ていた時は、建物の高さなどどうとも思わない高さに上ったこともあるし

同等の高さの化け物を相手に戦ったことだってある

だから、何も怖いことなんてなかったはずなのに、

体はまだ、ドキドキとしていて

思わず乱れてしまう天乃の言葉を気にしてか、夏凜の心配そうな声が、上から下りる



1、大丈夫
2、もう少し、このままが良い


↓2


335以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 15:42:28.32j5UIcVGSO (1/1)

2


336以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 15:45:31.57YPD6Z+H0O (1/1)

2


337以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 15:45:33.86aEhu+yCpo (1/2)

2


338 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 16:36:06.49IVGmRguBo (14/29)


天乃「ううん、このままがいい」

天乃は夏凜が急に手を放さないことは分かっていたが、

自分は離れたくないという意思を示すように、

夏凜に触れる手に力を入れて、より体を寄せていく

夏凜「…………」

天乃の力は、今だけの話ではあるが強くない

夏凜でも振り払うことはできるし、手を離せば簡単に床に落ちて倒れるだろう

けれど、夏凜はため息をつきながら支える力だけは強くして、

夏凜「っと」

天乃「っ!」

一瞬の浮遊感

僅かにずれていた手が入れなおされて、ただでさえ近い距離がさらに近づく

夏凜「言っておくけど、今日だけだから」

天乃「……うん」

夏凜「久しぶりなのと、祭りなのと……無茶しながらだけど、来たから」

天乃「うん……」

夏凜「少しだけ、我儘聞いてあげるわよ」


339 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 17:31:37.04IVGmRguBo (15/29)


後から思い出して、きっと赤くなってしまうのだろう

向こうに戻ったら

枕を抱えて、あるいは枕に顔を埋めて悶えるのかもしれない

それでも、天乃は今はこうしていたいと思ったのだ

夏凜の肩に耳を付けて、聞こえそうで聞こえない心臓の音に寄り添う

夏凜「……今日は珍しく、よくよく甘えるじゃない」

天乃「いや?」

夏凜「そんなことはないけど……」

言葉を区切った夏凜の顔を見上げると

夏凜は何かを言いたげに唇を噛み締めていて

視線に気づいたのか、偶然か

視線が交錯して、夏凜の唇が動いた

夏凜「なんていうか、最後のあんたと印象が違うからちょっと複雑ではあるけど、嬉しいわよ」

天乃「…………」

夏凜「したいこと、やりたい事、して欲しいこと。それを全部隠し持って、誰かに付き合うのが久遠天乃って馬鹿の生き方だったから」

天乃「馬鹿は流石に酷いわ」

夏凜「口が滑っただけだっての。気にすんな」

天乃「今のどこが滑ったのよ、どう聞いても言いたくて言ったようにしか聞こえなかったわよ?」


340 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 17:52:58.51IVGmRguBo (16/29)


もうっ !と、腕の中で怒鳴る声

夏凜が動かなくても腕の中で動きがあるから、夏凜の体は微かに揺れる

その、自分の意思に反する揺れを心地よく思いながら夏凜は笑みを浮かべて、息をつく

天乃「聞いてるのっ?」

夏凜「聞いてるわよ。ほんと、あんたは変わったわ」

あんなにも大人びて見えていたのが

今はお姫様抱っこを自分から願い出るようになって

ほんの些細なことに、踏み込んでくる

全てが変わったわけではないし

根本的な部分はきっと変わり切れていないのだろうが

それでも、明確に変わった部分も確かにあって

夏凜「結構甘えるようになった」

年相応の女の子のような

ちょっぴりの面倒くささのある甘え方をするようになった

夏凜「すぐに泣くようになった」

子供のように、

何かに怯えるようになった、泣くようになった

天乃「夏凜……?」

それでも自分の気持ちが一切揺らがないのは

大人びた天乃だから、好きだったわけではないからだと夏凜は思う

夏凜「でも、それに応えてあげるとあんたは嬉しそうに笑う」

少し遠くで、一際甲高く、空気が抜けていくような音が響いた

夏凜「そんなあんたが、久遠天乃が……私は好きよ」

どれだけ大きな音が轟いても、その言葉は確かに心に届く

白く染め上げるような閃光が瞬いても、その表情は確かに記憶に残る

天乃「っ」

だから、その時唇に触れた感触は心でも記憶でもなく、身体に刻み込まれてしまう


341 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 18:26:15.70IVGmRguBo (17/29)


夏凜「っは……ん、花火、始まったわね」

天乃「ぁ……う……か、夏凜っ」

夏凜「…………」

暗くなった空に、様々な色を持った輝く光が散っていく

大きく、小さく、時には誰かと一緒に龍のように昇りつめて花開く

そんな空を夏凜はすがすがしい表情で見つめていた

腕に抱く天乃が真っ赤な顔をして「なんで、ちょっ、ばかっ」と

もがいたり、怒鳴ったりしていても

ただ、落とすことは無いようにと腕には力を込めて、目を向けることはしなかった

天乃「っ!」

そんな余裕を見せる夏凜が、憎たらしかった

誰も見ていなかったとはいえ

自分だけ言いたいことを言って、やりたいことをやって

天乃「……それは、して欲しい、とは、思……ったけど……」

自由な右手で唇に触れて、夏凜を見る

天乃「馬鹿……っ、花火に来たのに……味気なくなっちゃったじゃない……」

花火なんて見ていられなかった

何よりも大きくうるさい音はどこか遠く、一線を敷いた別次元で行われているかのように聞こえなかった


342 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 18:34:38.90IVGmRguBo (18/29)


√ 8月13日目 夜(夏祭り) ※土曜日

01~10 
11~20 継続
21~30 
31~40 沙織
41~50 ん? まだ花火(勇者)が散ってないよ?
51~60 
61~70 
71~80 継続
81~90 
91~00 沙織

↓1のコンマ  

ぞろ目……


343以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 18:37:16.25ZNDksDmFO (1/5)




344 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 19:11:29.39IVGmRguBo (19/29)


√ 8月13日目 夜(夏祭り) ※土曜日


東郷「終わっちゃったね」

友奈「うん……でも、楽しかったね!」

花火の余韻が残り、祭りあと

屋上に残った天乃達の中、悲し気な空気が漂いそうになったのを感じたのか

友奈が明るく声を張り上げる

若葉「ふふっ」

球子「…………」

その姿が、その声が

どうしいても、自分たちの知っている【友奈】と似通っているから

若葉は思わず笑みをこぼし、球子も声には出さずに笑みを浮かべて、首を振る

若葉「そうだな。そうだ。楽しかった。早かったが……それでも楽しめた。違うか?」

歌野「私はベリーハッピー。不満はないわ」

樹「そうですね、楽しかったです」

風「だからこそ、こんなにも名残惜しくもあるんだけどね……」


345 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 19:20:07.92IVGmRguBo (20/29)


笑みを浮かべながら、風はそんなことを言って首を振ると

降参だというように両手を上げて「やめだ、やめ」と、手を叩く

風「辛気臭い顔しないの。余韻が台無しになるわよー」

千景「貴女の一言が余計だった気がするけど」

風「なにおう!」

夏凜「犬先輩うるさい」

和ませる為に頑張っていると分かっていても

騒がしすぎるのもどうかと夏凜は止めに入って、ため息をつく

夏凜「大体、変に取り繕ったって天乃にはバレるんだから、正直に言えば良いじゃない」

友奈「でも」

夏凜「……離れたくない、手放したくない。このまま車椅子なんかに座らせないで、どこかに連れ去りたい」

天乃「夏凜……?」

夏凜「私はね。そう思ってるわよ」

冗談にもとれる笑みを浮かべる夏凜の言葉に天乃はすこし驚いて、その目を見つめる

冗談ではないと、その目は語る

だって、手放せばまた……会うことは出来なくなるのだから

水都「三好さん、そんなことっ」

若葉「いや……待ってくれ。藤森さん。私達精霊は傍にいることが出来るが、夏凜達はそれが出来ないんだ。咎める事なんて出来ない」

水都「………」

千景「立場が違いすぎるわね……」


346 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 19:44:53.94IVGmRguBo (21/29)


夏凜「もちろん、そんなことはしないけど」

東郷「夏凜ちゃん、目が本気だったわ」

歌野「と言っても、本当に連れ去ったらステイしてる九尾さんが何するか」

本気でやったと仮定して考えた歌野は、

それによる被害を思って困り果てた表情で息づく

少しばかり甘く見た想像をしたはずなのに

全く、何も甘さなど感じなかったからだ

友奈「久遠先輩、戻り……ますよね」

天乃「友奈まで、そんな」

寂しそうな顔をされると困るのだ

天乃も寂しいと思うから

一緒に居たいと願うから

夏凜「……ったく」

夏悪態をつきながら、天乃の頬と目元をハンカチで拭って苦笑する

夏凜「ほんとによく泣くわね、あんた」

球子「一日遅くなるって言っても平気だとは思うけどなー」

若葉「そんな保証はどこにもないが」

歌野「それはそうじ――」

水都「うたのんそれ禁止」

歌野「そーりーっ」


1、おとなしく帰る
2、沙織を探したいという
3、沙織について聞く
4、夏凜、私を連れてって


↓2


347以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 19:46:34.33ZNDksDmFO (2/5)

4


348以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 19:46:50.85UtD3DvHW0 (1/1)

3


349 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 19:52:22.56IVGmRguBo (22/29)



01~10 見てない
11~20 A
21~30 B
31~40 C
41~50 見てない
51~60 A
61~70 C
71~80 D
81~90 B
91~00 見てない

↓1のコンマ  



350以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 19:54:04.49ZNDksDmFO (3/5)




351 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 19:59:44.13IVGmRguBo (23/29)


では、いったん中断します。22時頃には再開予定です
見ていないルート



花火は夏凜ではなく車椅子ならはっきりと見ることが出来ました


352以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 20:01:15.52b8V0saIUO (1/1)

一旦乙
誰も知らないなら探すか?


353以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 20:05:07.63ZNDksDmFO (4/5)

一旦乙
見ていないのか…さおりん大丈夫かな


354以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 20:27:17.96vXiBk/guO (1/1)

たんおつ
裏のメインイベントみたいなもんか


355以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 20:47:53.14aEhu+yCpo (2/2)


さおりんの運命や如何に


356 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 21:54:35.02IVGmRguBo (24/29)

ではもう少しだけ


357 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 22:30:33.51IVGmRguBo (25/29)


天乃「ねぇ、みんなは沙織を見なかった?」

帰る前に。と、天乃は問う

天乃自身、探さないようにとしてはいたけれど

やはり、気になってはいたのだ

風「沙織? あたしは見てないけど……」

困ったように言った風は、

他のみんなを見渡したけれど、

その誰一人として、沙織の姿を見てはいないと首を振る

若葉「沙織か……」

天乃「なに?」

若葉「私も確認したわけではないが、そんな気配に近いものは感じたぞ」

千景「……向こうも私達を感じ取れたはず。なら」

球子「わざと避けてたってことか?」

球子のあたり間の一言に

全員が言葉を飲み込んで、天乃を見る

けれど、

天乃は「そっか……」と呟くだけで

友奈「沙織さん、用事があるって」

夏凜「……ま、影から盗撮しようとするような兄貴もいるし。沙織だって、ここには来るけど言えないような事情があったってことでしょ」


358 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 22:59:16.40IVGmRguBo (26/29)


歌野「それだけ聞くと結構危ないけど、伊集院さんが久遠さんと一緒にいられないのは相当な理由だよね」

樹「そうですね、それなら……変に触れない方が良いですよね」

知っている精霊組と、知らない勇者達

若葉達はまるで理由を知らないように話しながら、

底には深く突っ込まないようにと誘導して、息をつく

もしかしたら沙織が自分で話ことがあるのかもしれないが

それは、沙織が話すから良いのであって、部外者が勝手に告げて良いことではないと思うからだ

水都「そ、それじゃみなさん、今日は解散。ですね」

天乃「そうね、名残惜しいけど」

夏凜「なんならも――」

天乃「そ、それはもう良いから」

花火の盛大な音さえも塗り替える自分の心臓の音

眩い光を浴びた瞼裏のように長々と続く唇の余韻

思わず赤くなる顔を覆うように首を振って、夏凜を睨む

あれほど、記憶に残ってしまうものはない

若葉「それでは、解散するとしようか」

東郷「久遠先輩、また」

樹「また、きっと」

友奈「また遊びたいです」

風「天乃、いつでも呼びなさいよ。アタシたちは勇者。でも、それ以前に天乃の友人……じゃなかった。恋人なんだから」

別れを、告げる

次はまたいつ会えるか分からないけれど、端末さえあれば連絡をすることはできる

夏凜「泣くなっての……ほらこれを貸しておいてあげるから」

そう言って、夏凜は自分のハンカチを天乃に握らせて笑みを見せる

夏凜「安静にしてなさい、あんたと、私達と、いつか出てくるその子のために」

天乃「……うん、また。絶対……ねっ?」


359 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 23:15:19.79IVGmRguBo (27/29)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流有(浴衣、夏祭り)
・   犬吠埼樹:交流有(浴衣、夏祭り)
・   結城友奈:交流有(浴衣、夏祭り)
・   東郷美森:交流有(浴衣、夏祭り)
・   三好夏凜:交流有(浴衣、夏祭り、お任せ、このままで)
・   乃木若葉:交流有(浴衣、夏祭り)
・   土居球子:交流有(浴衣、夏祭り)
・   白鳥歌野:交流有(浴衣、夏祭り)
・   藤森水都:交流有(浴衣、夏祭り)
・     郡千景:交流有(浴衣、夏祭り)
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()



8月13日目 終了時点

乃木園子との絆 54(高い)
犬吠埼風との絆 76(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 62(とても高い)
結城友奈との絆 82(かなり高い)
東郷美森との絆 86(かなり高い)
三好夏凜との絆 108(最高値)
乃木若葉との絆 79(かなり高い)
土居球子との絆 38(中々良い)
白鳥歌野との絆 35(中々良い)
藤森水都との絆 27(中々良い)
  郡千景との絆 30(中々良い)
   沙織との絆 83(かなり高い)
   九尾との絆 52(高い)
    神樹との絆 9(低い)

汚染度???%


360 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 23:21:25.26IVGmRguBo (28/29)



√ 8月14日目 昼(特別病棟) ※日曜日

01~10 沙織
11~20 
21~30 
31~40 ばてくす
41~50 
51~60 九尾
61~70 
71~80 
81~90 若葉
91~00 夏凜

↓1のコンマ  



361以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 23:21:41.89YVFx2sNYO (1/1)




362 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/03(日) 23:28:29.22IVGmRguBo (29/29)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間か少し早めから

若葉交流スタート



「知ってるかい?」

「家畜―勇者―は」

「肥えさせて―日常を楽しませて―から」

「食べる―殺してしまう―のが一番美味しいんだ」


363以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 23:31:18.06pfCqVjT2O (1/1)


さおりんは…さおりんはどうなったんだ…?


364以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/03(日) 23:40:01.01ZNDksDmFO (5/5)


あと一ヶ月で絶望に叩き落とすつもりか…
というか今作では9月は何日分の予定なんだろ?


365以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/04(月) 00:13:01.526vfs0f450 (1/1)


魔女の捕食理論はいやーキツいっす


366以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/04(月) 17:40:06.62q0ssuNEfO (1/1)




367 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/04(月) 21:34:06.372SfLF3Gxo (1/9)


では、すこしだけ


368以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/04(月) 21:42:18.49KVGRmFRcO (1/4)

きてた


369 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/04(月) 21:48:00.882SfLF3Gxo (2/9)


√8月14日目朝(特別病棟) ※日曜日


若葉「おはよう、天乃。身体の方は問題ないか?」

天乃「ん……うん……」

昨日は昼からずっと夏祭りに出ていた分の疲労感は感じるものの

自分で歩いたりしていたわけではないからだろう、

後を引くような疲労感は感じなかった

そう頷くと、若葉は安堵したようにため息をついてほほ笑む

若葉「そうか、なら良いが……まぁ、起きていても大して出来る事はないからな、まだ眠いのなら、眠っていても良いぞ」

天乃「ううん、大丈夫」

やることも、出来る事も

ほとんど何もないが、寝てしまっては時間を無駄にするだけになってしまう

それに、端末は手元にあるのだ

それさえあれば、天乃は出来ないことの多い中で、出来る事が増えていくから

天乃「若葉あは沙織に会えた?」

若葉「いや、昨日から戻ってきてはいないな。気配も感じないからこの建物自体に来ていないと思う」

天乃「……そう」


370 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/04(月) 22:01:46.732SfLF3Gxo (3/9)


寂しそうに呟く天乃は、手をきゅっと握り絞めて首を振る

沙織は自分でそれを選んだ。

天乃はそれを阻むことはしないと決めた

だから、ここに戻ってこないのだとしても

責めることなんて出来はしない

若葉「昨日は確か、伊集院家に用意された見合いの相手に会っていたんだったな」

天乃「うん」

若葉「…………」

ならばなぜ戻ってこないのか

それを考えた若葉は、真っ先に考え付いた答えを喉元でとどめて、

首を横に振る

それはない。それはない

それだけは……そう、考えて

けれど、沙織が言っていた言葉を思い出せば、

それが一番、可能性が高かった

若葉「伊集院家に戻っているのかもしれないな」

天乃「……若葉は優しいのね」


371 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/04(月) 22:34:45.232SfLF3Gxo (4/9)


天乃「少し考えれば、一番の可能性がそれとは違うことくらい分かるわよ」

若葉「…………」

沙織は子供を作ることも……と言っていたし

いきなりそういうことをする可能性こそ低いとは思うが

距離を詰めるためにも、一晩くらいは付き合おうとするかもしれない

例えば、彼の家に行く……とか

親が決めた相手なのだから

彼の親も沙織について知っていることだろう

なら、その挨拶。ということも大いに可能性はある

天乃「……若葉は、それで悩むかもしれないと思ったから朝からいてくれるんでしょう?」

若葉「あのな、天乃。沙織は――」

天乃「知ってる。貴女が聞いたなら、私も聞いてる。あの子は私に正直に話してくれたから」

若葉「…………」

心が強く穢れる感覚はない

あの日のような……けれど、心に痛みはある

若葉「……そうだ。私は沙織について考えると思ったから。ここにいる」

天乃「…………」

天乃の俯きがちな頬に手を宛がって、優しく支えて前を向かせる

目線をじっと合わせて……息づく

若葉「本当に、君は待てるのか? 沙織が戻るかもわからないのに」


1、沈黙
2、待てる
3、待てない
4、分からない

↓2



372以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/04(月) 22:36:47.801f6Cd0RBO (1/1)

4


373以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/04(月) 22:36:55.18BOWszATi0 (1/1)

4


374以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/04(月) 22:37:09.38KVGRmFRcO (2/4)

3


375 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/04(月) 22:58:24.002SfLF3Gxo (5/9)


天乃「……解らない」

沙織には、沙織が誰かに強制されたのではなく、

自分の意思でそうするのなら阻むことはしないし、

戻って来てくれるのなら、それも受け入れるという話をした

けれど、どうだろう

昨日沙織が避けているのではないか、という話になった時

今日、沙織がまだ帰ってきていないと聞いた時

平常心でいることが出来ていただろうか

天乃「分からない……」

天乃が強く手を握りしめるとその上から若葉は手を重ねて、

天乃が驚いたように目を向けると、若葉は首を横に振る

若葉「それ以上力を入れると怪我をするぞ」

天乃「……」

若葉「……もしかしたら、沙織はすべてを終えてから帰ってくるつもりなのかもしれない」

男性との交際

男性との行為

男性との子供

何もかもを終えてから、しっかりと区切りをつけて……

いや、もしかしたら

若葉「もしかしたら、このまま帰らないつもりなのかもしれない」


376 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/04(月) 23:11:44.132SfLF3Gxo (6/9)


沙織は嫌なら嫌と言ってくれれば嬉しいと言っていた

天乃の想いでなら困ってもいいとも言っていた

そんな沙織に、天乃は好きにしていいと言ってしまったのだ

戻るにしろ、戻らないにしろ、沙織が決めたことならそれでいいのだと

自分の意思を押し隠して、すべてを沙織に委ねてしまった

その我儘が、沙織を困らせてはいけないと思ったから。

天乃「解ってる……から。その可能性がある事くらい、分かってるから、言わないで」

若葉「…………」

天乃「私は沙織に好きにしていいって言ったの……だから、沙織は自分の意思に従ってる、だけだから」

若葉「天乃はそれが辛いのだろう? 苦しいのだろう?」

首を横に振る

けれど、若葉は嘘は付かなくて良いと言う

沙織の全てを支配したいと思うわけではない

けれど【同性】という変えようのない絶対的な敗北に屈するというのが、嫌なのだ

沙織が本当に、本心で天乃よりもその人を愛しているのではないと分かってしまうから

自分が沙織に愛されて、愛してしまったからこその

嫌な離別だということが分かってしまっているから苦しむのだろう

その沙織の意思が、想いではなく、決意だとそう。知っているから……


377 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/04(月) 23:32:09.322SfLF3Gxo (7/9)


天乃「……独占欲が強いのよ、私」

若葉「そうか? むしろ沙織やみんなの方が独占欲強い気がするが」

もちろん、勇者部や精霊組の輪の中でならそんなことはないと思うが

それ以外の他人。それこそ異性に対しては、

天乃のことになると激しく欲が出てくるだろうと若葉は思う

若葉「天乃が子供を作るという話になったことだってそうだ」

あれは天乃の精霊である、悪五郎が相手になったからなんの騒動もなかったというだけで会って

それ以外の男性ということになっていたら

皆はそう簡単に受け容れることはなかっただろうし

強攻した時なんかは……きっと

大変なことになっていたはずだ

若葉「天乃は沙織が好きなんだろ?」

天乃「うん……」

若葉「なら異性との関係に不安になったり、不快感を感じるのなんて普通のことだ」

天乃「そう……かしら」

若葉「そうだ」

天乃は沙織を待つことが出来るのかどうか分からないというけれど

それだって、別に不思議な事でもない

天乃はそういったことを今まで感じたことが無いから、どうしたら良いか分からないだけで。

若葉「沙織を連れ帰ってくる」

天乃「え?」

若葉「それで、もう一度しっかり話をしよう。しっかりと」

若葉はそう言い残して、姿を消す

残された天乃は、温もりの薄れていく手を胸元に当てがって抱きしめる

天乃「……わがまま」

怖かった

ただただ、怖かった

沙織がどう過ごしたのか、それを聞く事になりそうで

若葉が連れて来てしまうことが、天乃は怖くて仕方がなかった


378 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/04(月) 23:37:13.612SfLF3Gxo (8/9)


√8月14日目 昼(特別病棟) ※日曜日


01~10 沙織
11~20 
21~30 
31~40 
41~50 沙織
51~60 九尾
61~70 
71~80 
81~90 夏凜
91~00 大赦

↓1のコンマ 

※ぞろ目 沙織


379以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/04(月) 23:38:16.97feDXNu1dO (1/1)




380以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/04(月) 23:38:24.87KVGRmFRcO (3/4)




381 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/04(月) 23:55:47.062SfLF3Gxo (9/9)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



天乃「……何しに来たの?」

大赦「あ、いえ……その」モジモジ

大赦「わ、私の……負けです。久遠様の言う通りでした……」ギュッ

天乃「え?」

大赦「我慢……出来ないんです。昨日のように抱いて……いただけませんか?」

天乃「九尾! 何したのか説明しなさい!」


382以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/04(月) 23:58:45.07KVGRmFRcO (4/4)


久遠さんが何かするとすぐ嗅ぎ付けてくるな大赦は…
事件発生の予感が


383以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/05(火) 00:07:39.06ozs2C5fEO (1/1)


大赦の追い討ちかな?


384以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/05(火) 19:43:08.79sz01J46UO (1/1)

大赦「バテクス!沙織の婚約者!久遠さんにジェットストリームアタックをかけるぞ!」


385 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/05(火) 21:46:33.47rxWjK9vro (1/11)


では少しだけ


386以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/05(火) 21:53:03.45CAKkxeHoO (1/4)

あいよ


387 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/05(火) 21:55:57.48rxWjK9vro (2/11)


√8月14日目昼(特別病棟) ※日曜日


「久遠様、お話がございます」

昼食を片付ける為の係との入れ替わりにやってきた神官は

会釈一つですぐにそう切り出した

機械人形にも思えてしまうような無感情な声は

今まで相手してきた人との差が激しいからか、

やはりまだ、受け入れることはできなのだろう

天乃はすこし不快そうに目を向けて

天乃「話って?」

「昨日のお話の続きになります。ご指摘頂いた点を考慮したうえで、お話してまいりました」

天乃「……そう」

昨日の話。となると天乃ではなく九尾が聞いた話だろう

それに関して何も聞いていない天乃はとりあえず。と

知っているような素振りで返して、息をつく

けれども内心、動揺はしていた


388 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/05(火) 22:09:57.29rxWjK9vro (3/11)


「久遠様が仰られたように、形式的に転校のみを行わせても、クラスメイトや勇者は久遠様を諦めることはないと思われます」

天乃「……でしょうね」

「また、入院という手段を講じたとしても、前回の件もありますので同様に問題が生じる可能性は極めて高いと思われます」

神官の何を考えているのか分からない声を聴きながら、

天乃は昨日の話を頭の中で組み立てていく

時期的に、通学の件に関して九尾は大赦の人間と話したのだろう

そして、天乃が転校する意思はここにきても全くないこと

形式的に天候手続きを行い、ここで引き続き保護観察することの問題

長期入院という手段を持って隔離し、ここで引き続き保護観察することの問題

九尾はそれを告げて、また考えてくるようにと言ったのだ

その件を話してくれなかったことに関して何か言うべきかとも思ったが、

昨日は戻ってすぐ休んでしまったのだ。仕方がないと言えば仕方がない


389 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/05(火) 22:18:40.67rxWjK9vro (4/11)


「いくつか問題点は散見されますが、久遠様にはまたご通学いただきます」

天乃「自由に。とはいかないんでしょう?」

またみんなに会えるということに関しては喜びたい思いもある

けれど、今までのようになんの縛りもなく、というわけにはいかないはずだと

天乃は警戒しながら問いかけると、神官は「はい」と、正直に答える

「大赦から一人、久遠様の世話係として改めて派遣させていただきます」

天乃「瞳や夏凜達ではなく?」

「はい。夢路さんに関しては、今まで通り送迎を行っていただきますがそれ以外にもう一人派遣させていただきます」

そう言った神官は、

学校における行動は彼女の指示にすべて従ってください。と続けて

「なお、部活動に関しては申し訳ありませんが行わずに帰宅いただくことになります」

天乃「……学校には行かせるけど、自由はないってことね?」

「何が起きるか分からない以上、久遠様を自由にしておくわけにはいきませんので」

天乃「大赦にとっての私は、相も変わらず化け物なわけ? 臆病ね」

皮肉も込めてそう言ったが神官は何一つ動じることはなく、

仮面をつけたまま天乃をじっと見つめて、会釈をする

何に対する会釈なのだろうか

まるで、神に対しての畏敬のような……

そう思うと、天乃は逆に悲しささえ感じてしまう

気丈に振舞おうとする気持ちに応えて、手と手が強く握りあっていく


390 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/05(火) 22:27:37.62rxWjK9vro (5/11)


「久遠様の世話係に関してですが、適正な同学年の女性徒は見当たりませんでしたので、一学年下の女性徒になります」

天乃「夏凜達と同じクラス?」

「そうなります」

天乃「それ、夏凜達には話してあるの?」

そう伺うと、神官は微動だにすることなく一拍置いて「いえ……」と呟くように答える

「勇者への追加要因では御座いませんので、世話係に関する通告は行っておりません」

仮面が神官の表情を隠し、感情を覆う

それが天乃には煩わしいと思えた

顔さえ見ることができれば、その鉄壁も崩すことができるかもれないし

有利に物事を運ぶこともできる可能性が出てくるのだが、これではそれが出来ないからだ

天乃「つまり、学校内で私と夏凜達の接触は制限されるのね?」

「過剰な接触は制限させていただく可能性が御座いますが、基本的には問題なく」

天乃「その過剰かどうかは誰が決めるの?」

「世話係の者に一任することになります。彼女は優秀ですから、久遠様の護衛も問題なく行えることでしょう」

天乃「それは……どういう意味合いでの言葉なのか聞かせてくれる?」

どこか皮肉交じりにも思えた言葉に天乃は喰いかかったが、

神官は一礼をすると「用件は以上です」とさらりと流して部屋から出て行く


391 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/05(火) 22:35:43.09rxWjK9vro (6/11)


天乃「……なんなのよ」

触れることすらおぞましいというかのような態度だ

世話係がどのような対応をするのかはわからないが

もしも今の神官のような態度なのだとしたらと思うと、天乃は堪えられる気がまるでしなかった

苛立ちも、悲しみも。

天乃「私は……人間……なんだから」

弱い。

脆い。

儚い。

たったこれだけのことで布団を握り締め、あろうことかその手の甲を濡らすほどに

天乃は力を失った。

大赦はもう、天乃に力を求めることはないかもしれない

しかし、彼らは天乃の脅威が薄れたことを喜ぶと同時に、まだ未知数なのだと恐れている

身体に宿したと思われる命が彼らにとっては【化物の子】であるがゆえに。

九尾「……ふむ、そうなったか」

天乃「九尾……!」

報告を怠った―といっても天乃にも落ち度はある―九尾は、

前触れ無く姿を現して、不快そうに扉を眺めて息づく


392 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/05(火) 22:42:12.71rxWjK9vro (7/11)


九尾「昨日、妾は少々気になってな。とある手を使って主様の学校の件を聞きだしてのう」

天乃「…………」

九尾「主様をこのまま通学させるのは難しいからと彼奴らは転校手続きを偽装し、このままここで監視する手筈だったと言うから、少し話を聞くことにしたのじゃ」

子供に童話を聞かせるかのように、九尾は言葉の一つ一つに感情を込めて

呆れ果てたため息を交えて話を進める

九尾は妖怪だが、神官よりもよほど人間らしく思えた

九尾「妾にとって、主様の学友の意思などどうでも良かったが、そもそも主様は長々とここに閉じ込められていては精神を病むと思うてな。思惑を砕いたのが、昨日の妾じゃな」

誇ることも無く、昨日報告するべきだったことを今更報告した九尾は、

天乃が疲れていたとはいえ、後日に回したことを軽率だったと考えたのだろう

罪悪感を感じる表情で天乃の頬に触れると、指で涙を拭って首を振る

九尾「報告したところで結果は変わらぬと思うておったが、覚悟はすべきことやったかもしれぬ。許せ、主様」

天乃「別に……怒ってないから。私が、我慢できないのも……そういうことじゃ……」

九尾「そうじゃな。主様はもうただの学友と身も心も変わらぬ。じゃからこそ、耐え切れぬと妾は侮った」

天乃「侮ったなんていわないで……正しいわ。間違ってない。私……きっと」

九尾「良い、良いぞ。濁流を無闇に塞ぐ必要など無い。氾濫させるくらいなら、流して流して出し尽くしてしまえ。その全ては妾らがしかと受け止めよう」

優しい九尾の言葉はまるで母親のようで

天乃は縋るようにその温もりを求めて抱きつくと、九尾も応じて優しく包み込む


393 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/05(火) 22:49:58.24rxWjK9vro (8/11)


√8月14日目 夕(特別病棟) ※日曜日


01~10 大赦
11~20 
21~30 
31~40 沙織
41~50 
51~60 
61~70 夏凜
71~80 沙織
81~90 
91~00 友奈

↓1のコンマ 

※ぞろ目沙織


394以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/05(火) 22:50:25.17zERYl6MEO (1/3)




395以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/05(火) 22:50:41.50CAKkxeHoO (2/4)




396 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/05(火) 23:01:59.33rxWjK9vro (9/11)


√8月14日目 夕(特別病棟) ※日曜日


1、精霊
2、勇者
3、端末関係
4、イベント判定

↓2


397以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/05(火) 23:02:44.65zERYl6MEO (2/3)

4


398以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/05(火) 23:03:10.01gOX2cISR0 (1/1)

4


399 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/05(火) 23:09:15.93rxWjK9vro (10/11)


01~10 沙織
11~20 友奈
21~30 夏凜
31~40 九尾
41~50 千景
51~60 沙織
61~70 大赦
71~80 風
81~90 樹
91~00 若葉

↓1のコンマ 

※ぞろ目沙織



400以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/05(火) 23:10:00.19CAKkxeHoO (3/4)




401以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/05(火) 23:10:35.05zERYl6MEO (3/3)




402 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/05(火) 23:25:40.74rxWjK9vro (11/11)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



友奈「久遠先輩、大変なんです!」

天乃「友奈?」

友奈「東郷さんが……」

天乃「何があったの?」

友奈「東郷さんが……千景さんと一緒にゲームで徹夜するようになっちゃったんです!」

天乃「……平和ね」


403以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/05(火) 23:27:03.99FntSzZIwO (1/1)


不良かな


404以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/05(火) 23:31:11.91CAKkxeHoO (4/4)


久々の友奈ちゃんとの交流か

あとさおりんは精霊として呼び出せないのかな


405以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/06(水) 08:04:33.67EUyMb57jO (1/1)

無理じゃない?久遠さんは今そういう系で完全に無力だったはず


406以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/06(水) 15:34:47.59G3n9A84GO (1/1)




407 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/06(水) 21:27:20.29Ou9EZTrgo (1/6)


では少しずつ


408以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/06(水) 21:32:21.36wjW/BoPFO (1/3)

やったぜ


409 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/06(水) 21:40:20.13Ou9EZTrgo (2/6)


√8月14日目夕(特別病棟) ※日曜日


気配を感じ取ることは出来ないが、

理由あって出て言った若葉が黙って戻ってきてこっそりと隠れていると思えない天乃は

端末を手に、小さく息をつく

天乃「……見て、くれるかしら」

電話をすることはできない為、メールでの連絡になってしまうけれど

端末を持っているはずだから、気づかないなんてことはないはずなのだ

そのはず……なのだが。

若葉は沙織を連れ戻してくる問いって出て行ったきり

つまり、沙織の居場所がまだつかめていないか

沙織が戻ることを拒んでいる可能性がある

もちろん、ただ用事があってそれを済ませようとしているだけの可能性もあるが。

天乃「無視……されたりとか……」

沙織のことだから、きっとそれはないはず

そう思っても

喧嘩別れとかでもなく、こんなにも拒絶を感じたのは初めてで

どうなるのかが怖くて、天乃が連絡できずに居ると

先に、端末がメールの受信を知らせた


410 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/06(水) 21:52:35.09Ou9EZTrgo (3/6)


天乃「友奈……から?」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 昨日は楽しかったです
 
 着てくれて本当にありがとう御座いました、嬉しかったです

 東郷さんも千景さんから貰ったクマのぬいぐるみ大事に部屋に飾ってて、

 なんだか凄い新鮮で

 東郷さんはいつも綺麗で大人っぽくて、可愛いけど

 でも、ぬいぐるみをぎゅーってしてる東郷さんは

 いつもより子供みたいだけど、可愛くて

 そう言うのが見られたのも

 きっと、昨日久遠先輩が来てくれたからこそだと思います

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

天乃「お礼なんて、私こそ……」

移動したりなんだり、手を借りなければいけなかったのだから

散々迷惑をかけてしまっただろうし、楽しませてもらった

そう思いながら友奈の感謝の文面に困ったように笑みを浮かべたときだった

ほのぼのとしいた文面からいくつか改行が続いて、

書くかどうか迷ったのかもしれない【沙織さんについてなんですけど……】と

見るだけでも友奈のおどおどとした姿が想像できてしまう続きに気づく

天乃「沙織について?」

昨日、友奈は知らないといっていた

お祭りでは見ていないと言っていた

なら、嘘をついたということだろうか?

碇にも似た感情がわきあがりそうな自分の危うさを制して、一息

まずは最後まで読むべきだ


411 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/06(水) 22:04:15.73Ou9EZTrgo (4/6)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 沙織さんについてなんですけど……実は、お昼に会ったんです

 家に来たとかじゃなくて

 ただいつもみたいに走ってるときにたまたま歩いてて

 久遠先輩が探してましたって言ったら「知ってるよ」って

 なんだかちょっと、上手くいえないですけど悲しそうな感じで

 何かあったんですかって、勇者部は力になりますよって

 そう言ったんですけど、沙織さんは「これは流石に無理じゃないかな」って

 ごめんねって

 今は会いたくないから、今は話したくないから

 そうしたら、逃げちゃうからって

 本当は、これも言わないで欲しいって、言われたんですけど

 でも、久遠先輩心配そうだったから

 沙織さん辛そうだったから

 あの……私じゃ力になれませんか?

 もうすぐ、学校が始まりますし、学校でならきっと沙織さんと会えるから

 ダメ、ですか?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

天乃「…………」

友奈はどういう心境でこのメールを打ち込んだのだろうか

自分がまったく蚊帳の外である話に触れかけて

言わないで欲しいといわれたことを告げ口して

自分は力になれませんか。と

蚊帳の外である時点で友奈はある程度の想像をしてしまったはずなのに。

だから、天乃はそう思った


412 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/06(水) 22:15:42.42Ou9EZTrgo (5/6)


天乃「……返信、怖いでしょうね」

こういうとき、大丈夫。といわれるのが怖いと天乃は思う

そう返されたということは、つまり”力になれない”といわれているようなものでもあるからだ

もちろん、相手がその意味で使っていないのだとしても

その言葉を返された側はどうしてもそう錯覚してしまいかねない

端末を握り締めて、祈るように待っているかもしれない

端末を放り出して耳を塞いでいるかもしれない

いや、友奈の場合は後者はない

天乃「ふぅ」

とはいえ、友奈が言う学校の始まりには天乃も通学できる

つまり、

縛りはあるけれど、沙織が欠席しない限りは会うことが出来るわけで

友奈が深く考え込んでしまっていることには罪悪感を覚えるけれど

お願いした後に実は学校行けるのよね。というのも少し気が引ける

別に口止めされていない―大赦が端末の存在に気づいていない―のだから

伝えても問題は無いかもしれないが。


1、実はね。沙織……子供を作るらしいの
2、大丈夫よ。ありがとう
3、大丈夫、新学期からは私も学校行けるから
4、そうね……学校が始まったら私も行けるから。そのときにみんなで話しましょうか
5、それなりの秘密だし……友奈もなにか秘密教えてくれたら……良いわよ?


↓2


413以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/06(水) 22:16:13.23IiARHMc0O (1/2)

5


414以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/06(水) 22:19:43.44wjW/BoPFO (2/3)

4


415 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/06(水) 22:39:59.85Ou9EZTrgo (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば通常時間からとなりますが
恐らくおやすみいただくかと思います


友奈「……久遠先輩」ゴロゴロ

友奈「返事……来る、かなぁ?」ギュッ

ヴィーヴィー

友奈「あ……メール見るだけなのに……凄い、緊張する」トンッ

お兄ちゃん『ランニングしてきたならいっしょにお風呂入ろう。兄妹なら普通だから』

友奈「色々普通じゃないよっ!?」


416以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/06(水) 22:43:10.56IiARHMc0O (2/2)


ゴロゴロでお腹壊してんのかと思ったww


417以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/06(水) 22:54:00.20wjW/BoPFO (3/3)


まだ決まった訳ではないけどこの様子だとさおりんもとうとう大人の階段のぼってしまったのかな…


418以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/07(木) 18:10:11.09CszLmD2UO (1/1)




419 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/08(金) 22:02:09.22/PtlehWwo (1/8)


では少しずつ


420以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/08(金) 22:06:18.688WlxFnjyO (1/3)

待っていたぞ


421 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/08(金) 22:14:40.09/PtlehWwo (2/8)


確かに、こればかりは友奈たちに相談しても仕方が無いのではないだろうか。と

天乃も沙織と同様に思ってしまう

しかし、だからと言って自分達だけで悩めば解決するのか。といわれれば

間違いなく、それはノーと答えることになるだろう

そもそも、解決できるのならば、今こうして離れ離れになっているはずが無いからだ

それに、話を聞いてもらうだけでも

自分の悩みを外に出すだけでも意味はあるとも思うから

天乃「まぁ、断ったら空元気な友奈を見ることにもなるだろうし」

それは見たくないから……ずるいなぁ。と、天乃はぼやきながらメールを打っていく

伝えてはいけないと聞いていない通学の件

そして、そのときにはみんなを集めて。と文章を添えて送る

天乃「…………」

端末を枕元に置いて、一息

友奈が沙織に会ったのは昼頃、恐らくは一人で歩いていたのだろう

なら、若葉はどうしたのだろうか……いや、若葉が向かったから沙織が出ていた可能性は大いにある

連れ戻されないようにと逃げ出した。とか

友奈が沙織に言われた言葉から察するに、そうだろう


422 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/08(金) 22:42:41.56/PtlehWwo (3/8)


メールを送ってからすぐに、友奈からの返事が返ってきた

解りました。と、良かったです。と、嬉しいです。と

色々と続いていく友奈からの喜びを感じるメール

短くも無いが長くも無い

しかしながら送ったメールに対しては比較的―その対象があるかは別として―長いと天乃は思いながら

文章に目を滑らせて、笑みを浮かべる

縛りはあるけれど、学校には行けるのだ

世話係を任命されたのが誰かはわからないが

恐らく、天乃に対して好意的な人物ではないことだけは想像に易い

好意的=監視が甘いということだし

付け加えて言えば、夏凜のように厳しく見えて内面では優しいような子も、きっと

天乃「……夏凜と喧嘩にならなければ良いけど」

正直な話、今の天乃には当たりの強い相手と関わる上で泣かないという自信がまったく無かった

堪えようとは思うのだが、その上限値が極めて低い

天乃が泣いたともなれば、夏凜のことだ一触即発はほぼ免れない

そして夏凜どころか、東郷たちもその可能性は無きにしも非ず。と言ったところだ

異常なほどに精神が脆くなったのは、力と同様に穢れが抜けていく影響だというが、

一番は、天乃の【強くいなければいけない】という縛りが解けた為だろう

となると、それが天乃の素の姿となってしまうのだが。


423 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/08(金) 22:59:42.30/PtlehWwo (4/8)


天乃「はぁ……」

ため息をつく

誰の気配も感じ取れない一人きりの空間

あと半日ほどでこの部屋から出て行くことが出来るという嬉しさはあるものの

色々と不安はあるのだ

多少勉強はしているけれど

抜けている部分もあるから、ついていけるのかどうか

そもそも、追いつくことが出来るのかどうか。とか

天乃「頑張ろう……今まで頑張って来たことよりは、ずっと」

ずっと楽だから。ずっと簡単だから

死ぬかもしれない戦いに身を投じるのと、ただの勉強

それは比べるまでも無い

天乃「もうすぐ卒業だし、進路も……考えなきゃ」

基本的には高校への進学だろうが

天乃の場合、子供のこともあってみんなと同時に入学というのは難しいかもしれないし

このまま大赦預かりになる可能性も否定は出来ない

一時的に力も何もかもを損なってはいるが、久遠家が元来持っている巫女の力は完全に失われるわけではないからだ

天乃「……進学が、良いな」

大赦預かりなどという窮屈な進路はごめんだと天乃は思う

けれど、その可能性の高さを示すような現状の扱いに

天乃はまた、深々とため息を突いた


424 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/08(金) 23:06:59.11/PtlehWwo (5/8)


√8月14日目 夜(特別病棟) ※日曜日


01~10 若葉
11~20 
21~30 九尾
31~40 
41~50 
51~60 若葉
61~70 
71~80 大赦
81~90 
91~00 千景

↓1のコンマ 

※ぞろ目 大赦


425以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/08(金) 23:07:15.32aERvRGynO (1/2)




426 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/08(金) 23:18:28.21/PtlehWwo (6/8)


√8月14日目 夜(特別病棟) ※日曜日

1、精霊組
2、勇者組
3、端末関係
4、イベント判定


↓2


427以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/08(金) 23:19:14.05aERvRGynO (2/2)

4


428以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/08(金) 23:19:26.85OppqzZFU0 (1/1)

3


429 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/08(金) 23:27:15.66/PtlehWwo (7/8)


1、インターネット掲示板
2、勇者部サイト
3、ギャラリー
4、えっちなサイト

↓2


430以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/08(金) 23:28:05.14hkyUycL0O (1/2)

4


431以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/08(金) 23:29:38.548WlxFnjyO (2/3)

4


432 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/08(金) 23:52:04.19/PtlehWwo (8/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「女の子同士……えっちな動画……見れ――」ピコンッ

天乃「えっ!? 100万!? 登録!? まだなにもしてなっ」ピコンッ

天乃「やっ、ちょ、待って……違約金って、なんでっ、私っ」グスッ

千景(またか……はぁ……動画なんて見なくても乃木さん達がいるのに……あ、今いない……わ)

千景(私が……相手、してあげた方が良い? そう、よね。仕方がない……久遠さん精霊だから、仕方がない)

千景(別に私がしたいわけじゃない。わけじゃないけど、精霊だから、仕方がないから、する……仕方がない)


433以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/08(金) 23:58:51.58hkyUycL0O (2/2)


久遠さんの欲求が解放されてしまう


434以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/08(金) 23:59:50.318WlxFnjyO (3/3)


久遠さんネットに弱すぎるw
しかもさおりん達ともしといてまだ女の子同士に餓えてるのか…


435以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/09(土) 06:53:22.00Yx7Zbvu/O (1/1)

久遠さんはネットに関しては掲示板に実名とアドレス書き込む時点でお察しでしょ
他がほぼ完璧少女だから逆に良い

まぁ多分今まではインターネットを楽しむ余裕がなかったんだろうね


436以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/09(土) 21:09:46.07MNjeDWZNO (1/1)

一週目では掲示板で神樹disって即BANされるくらい尖ってたのに、随分可愛くなったよね(しみじみ)


437以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/09(土) 21:29:13.19Fog2TecUO (1/1)

昔の久遠さんのツン要素は陽乃さんに引き継がれてる気がする
いつか陽乃さん編もやってみたいなあ


438 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/09(土) 21:49:40.2515XZvM49o (1/10)


では少しだけ


439以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/09(土) 21:51:53.941vzdXRfQO (1/1)

ほいさ


440 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/09(土) 21:56:02.6815XZvM49o (2/10)


夜の帳が下りた……と言っても部屋の明かりの有無でしかないのだが

夜になった天乃のいる部屋で、人工的な眩い光が存在感を主張していた

天乃「……駄目ね、ほんと」

日中にもあるのだが、夜になると性的な欲求がより強くなって

どうしても、淫らなことをしてしまいたくなるのだ

もちろん、なにか優先すべきことがあるのならば抑え込むことも出来なくはないのだろうが、

若葉が戻ってこない、沙織が戻ってこない

その寂しさ、その切なさは情欲の裾をグイグイと引いてくるため、天乃は耐え切れそうになくて

駄目だとは思うのだけれど、疼きを誤魔化せなくて。

少しでも。と、端末を使ってそういった何かを見ようと思ったのだ

天乃「良く分からないサイトは開かないべきよね……」

もちろん、インターネットが無法地帯なんていうことは

大赦のおかげで。というべきだろう、まったくない

どこかのサイトを開いたからといって画面いっぱいに警告文が現れたり、

心臓に悪いドッキリ映像や画像がでてくることもない

いたって健全な状況なのだ

しかし、それは同時に過度な性描写等が封殺されているということでもあるわけで。

天乃「……やっぱり、男の子じゃなくて男性になるとそれなりになるのね」

もちろん、加工が施されていてはっきりと見ることができるわけではないが

悪五郎のそれとはまるで違うのがモザイクの上からでも解ってしまった天乃は

その異様な姿を前にぼそりと呟く

一般的な思考で言えば本来自分が体を許すべき相手が持ちえるであろう生殖器は

サイト上に掲載されている画像では赤っぽく、大きく、加工を付加してなお異形で

天乃はもしかして大人のそれはバーテックスなのではないのかとさえ、思う


441 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/09(土) 22:10:54.3515XZvM49o (3/10)


もちろん、そんなわけが無いとは思うが……しかし

天乃「あまり、見たいものじゃないわね」

自分にはそれが無いからと言うわけではないし、

それを持つ異性全体を馬鹿にしたり蔑んだりするつもりは無いが

天乃の性的経験上にあるのは綺麗なものばかりで、どうしても抵抗があるのだ

唇でのかかわりであれば全員だが、

肉体的な意味では沙織、友奈、東郷、夏凜、若葉……そして悪五郎の6人との交わり

悪五郎のみが異性―妖怪―だが、それも子供と言うだけあって汚れは感じさせない容姿で

女性陣は肌の白さや肉付きの違いこそあるものの、やはり綺麗に整った体付きで汚れは無かった

天乃「沙織は、これ……なのよね」

決して画像の男性がみな不衛生にしているわけではないと思う

いや、そうであると信じたいと天乃は願いながら、沙織の相手になるであろう男性の姿を思い浮かべて

天乃「なんか……嫌ね」

ぼそりと呟く

沙織の相手がこのサイト上のもののように歪と言うべきか、グロテスクだというべきか

そういったものではないのだとしても、それが沙織に触れたりするのはなんだか気味悪く思えたのだ

もちろん、沙織が受け入れるといったのなら、天乃は何も言わないつもりではいるのだが……

ふつふつと沸き立つ感情は、はたして何も言わずにいられるのだろうか

何もせずにいられるのだろうか

天乃「……若葉はこの感情、あって当然だと言うけれど」


442以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/09(土) 22:13:18.058zND/AB/O (1/1)

この反応を見るに五郎くんのそれは年齢相応だったのか


443 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/09(土) 22:22:10.2215XZvM49o (4/10)


あまりそうは思えずに息をついた天乃は、

画面をスクロールして、サイドにある一覧へと目を通す

行為……所謂プレイと呼ばれるものだったり、性別や担当した女優や男優のものだろうか

いくつもの名前が書かれたその一覧には、やはり、女の子同士のものもある

もっとも、ここで見ることができるものに関しては女の子というより女性同士だろうけれど。

天乃「こういうのも……あるのね」

恐らくは天乃のことを気遣っているのだとは思うが、

先を行く東郷や沙織がいてもまだされたことのない行為はいくつもあって、

元々疼いていた下腹部は刺激を求めて天乃の体内で小さく鳴く

例えば、男性器を模したものから小さな球状のものなど

幅広い形を持つ性業界の二十面相

普通の健康器具でさえ、紛れ込んでいるそれの振動を利用して、下腹部を刺激したり

物によっては挿入してしまったり

天乃「……こんなことに使ったら、怒る。よね」

端末の画面を閉じて、バイブレーションを設定して振るわせる

目先での振動はそこまで強く感じない一定のリズム

でも、敏感な部分に当てたらどうなるんだろうと、天乃は思う

思い、求める天乃はアラームで設定して、深呼吸

ゆっくりと、淫欲の窓口に宛がう

そして――


444 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/09(土) 22:50:12.1015XZvM49o (5/10)


天乃「っ!」

時間を確認できなかった数秒間あるいは数分間

ドキドキと激しかった心臓の音を弾き飛ばすかのように不意に訪れた刺激は、

まさしく、痺れたような衝撃だった

ヴィーっと間延びするような振動が下着の上から、下腹部から、敏感な部分から

並のように全身へと響き渡って、共鳴するように振動は強さを増していく

天乃「はっ……ぁっ」

口から掠れた声が零れ出る天乃は離さなきゃ。と思いながら、

震える手はなおも押さえ込んだまま離れない

気持ちが良かった、初めて感じる感覚だった

温かくて、優しい沙織たちの手の感触ではなく

無機質で、乱れの無い器械の刺激

その経験がなく耐性のまったく無い天乃には猛毒にも似て

天乃「ぁっ、っ……んっ!」

昨日の夏祭りのキスだけのもどかしさも相極まって敏感になっていた天乃は

端末を押さえるのとは逆の手で口を押さえて

天乃「んんっ!」

小さく呻くのと同時に、果てを感じて

淫らな湧き水はじわじわと下着に染み込み、横になった天乃の臀部のほうへと流れ出す

天乃「ぅ……っは、はっぁ……」

ズボンから端末を引き抜くと、熱気に包まれた淫猥な匂いが立ち込めて、天乃は唇を引き締めた

まだまだ足りない、もっとしたい。もっと強く……と果ての無い性欲は貪欲に貪ろうとしているけれど、

素材ゆえではなく、染みて濡れた手と端末に目が行く天乃は罪悪感を覚えていたからだ

手はともかく、端末は若葉が心配して申請してくれたもので

兄が妹のためにとたった一日で用意してくれたもので

決して、こんなことのために使うべきではなかったはずなのに

天乃「使っちゃった……私……でもっ」


445 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/09(土) 23:02:38.6615XZvM49o (6/10)


蚊に刺された部分に触れまいとすればするほどに痒みが増していくように下腹部は疼いて

リピートで震えだす端末をじっと見つめて、息を呑む

ほんのりと淫らなにおいのする手と端末

ドキドキトする胸は期待を示していて……

天乃「我慢、出来ないから」

どうしようもなく欲しくて、抗えない

エッチな子だと、淫らな子だと天乃自身も思うし、ダメだと思うのだが

それでも触れようとする手は止められない

一度口火を切ってしまった以上は、最後までするしかなかった

天乃「っはっ、あっ……んっ!」

それでも、端末だけは使うまいと手から取り除いて指で擦る

恋人と兄の思いが込められたものだから

それをこれ以上汚すのは嫌だったから

なのに

天乃「っはっ……ぁ……っ」

物足りなかった

いや、物足りなくなってしまった

あの不意を突いた痺れるような快感が、欲しくて堪らなかった

天乃「やっ……だめっ」

端末に伸びかけた手を止めて、呻いて、それでも端末に指が触れるとスリープ状態に変わっていた端末は光を取り戻して

アラーム設定画面が表示されたのを確認した天乃はダメだと思いながら設定をして、閉じた足で挟む

情欲に負けた、快楽に落ちた。天乃は自分がそんなみっともない人間になってしまったのだと

今まで以上に強く感じて、見せ付けられて、唇を噛む


446 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/09(土) 23:19:57.6315XZvM49o (7/10)


天乃「それでも……我慢できないんだから……」

救いようが無いわね。と、天乃は諦めたように呟く。股に挟んだ端末を抜こうと思えない

それどころか、いつ快楽の濁流が流れ込んでくるのかと心は躍って

子供はまだ出来ていないはずの下腹部に心臓が移動したかのような脈動を感じて

汗か涎か判らない水分がズボンの中、下着の中で蒸発して、押さえ込むことのできない匂いが部屋に漏れ出して充満していき――そして

一拍の空白を置いて、予め用意されていた刺激がはじけるように天乃を襲う

天乃「ひぁっ!?」

時間がわからないという付加効果によって、

自分が設定したアラーム時間なのにも関わらず気を抜いた一瞬の隙を突かれてしまった天乃は

情けない悲鳴を上げて身悶えて、下半身全体が震えるような悦楽に心を齧られて

焼き尽くすような快感のゆっくりとじっくりと下腹部から遡る焦らすような鈍足さに身体はより疼いて

天乃「っはっ……はっ、ん……ぁっ、お兄ちゃ……んっ!」

端末を用意してくれたのは兄だから。その兄にされているような妄想が脳裏に浮かぶ。

優しい笑みを浮かべ、温かい言葉をかけながらぐっと股座にそれを押し込んでくるのだ

天乃「んっ!」

天乃が身悶えていても関係なく、寧ろより強く感じるようにと押し込み、

空いた手で優しく包むように、押し伸ばすように胸に触れながら、

ぷくりと存在感を見せる乳頭を指と指の間で挟み込んで、きゅっと締める


447 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/09(土) 23:31:33.9115XZvM49o (8/10)


天乃「っんんっ、ぁっんんっ!」

敏感な部分の振動と弱い胸部の刺激に挟まれた天乃は、耐え切れないと口を塞ぎ――押し殺した嬌声を上げて

ビクビクと体を震わせながら、 息をつく

天乃「……はぁ」

端末のアラームが止まったことに気づいた天乃は小さく呟き、

口に触れた手には少しだけ自分の淫らなものがついていることにも遅れて気づく

味覚は感じないが、ねっとりとしていて、淫らな水。

それがにゅるりと口の中に入っていく―自分絵入れているのだが―せいで自分の手なのに兄のもののように思えた瞬間、空想上の兄がにやりと笑った

天乃「やっ、待っ」

兄は「まだ終わってないぞ」と言いながら、天乃の下腹部から離していた手を再び近づけて――

天乃「あぁぁっ……ぁんんっ!」

大きな振動だった。今まで感じた振動よりも強い振動

天乃は自分で設定した覚えは無いが、設定したのだから今こうして襲ってきているのだろう

果てにたどり着いたばかりで敏感な部分がより敏感になっており、

脳へと直通で繋がってしまっている状態で伝わってきた激しい悦楽は天乃の心も身体も侵して突き抜けていく

天乃「んんぅぅっ!!」

目元に涙を溜め込みながら、叫びそうな口を必死に押さえ込んで、巡る快楽に悶えて呻き、飲み込めない涎を上からも下からも垂れ流して、一瞬、放心してはっとする

天乃「や……ちゃった……」

何もかもが淫らに乱れ、びしゃびしゃで。淫猥な匂いの立ち込める空間はまるでそのための部屋のようで

様々な感情に押しつぶされてしまいそうな天乃は自然と流れ出す涙を拭うことすらできなくて。

千景「……様子を見るべきじゃなかったわ。悪かったわね」

不意に現れた千景の優しい抱擁、誘うような声

天乃はそれが何かと気づくことすらできずにしがみついて――気を失ってしまった


448 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/09(土) 23:37:07.9215XZvM49o (9/10)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流有(学校が始まったら)
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流有(分からない)
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()



8月14日目 終了時点

乃木園子との絆 54(高い)
犬吠埼風との絆 76(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 62(とても高い)
結城友奈との絆 84(かなり高い)
東郷美森との絆 86(かなり高い)
三好夏凜との絆 108(最高値)
乃木若葉との絆 80(かなり高い)
土居球子との絆 38(中々良い)
白鳥歌野との絆 35(中々良い)
藤森水都との絆 27(中々良い)
  郡千景との絆 30(中々良い)
   沙織との絆 83(かなり高い)
   九尾との絆 52(高い)
    神樹との絆 9(低い)

汚染度???%


449 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/09(土) 23:47:10.8815XZvM49o (10/10)


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば昼頃から

9月突入、朝一で世話係と接触



千景「すっかり性に魅了されてるわね……平気なの?」

九尾「ふむ……まぁ、何かあればなんとかしようぞ」

千景「……あのまま学校に行くのは、危険じゃないかしら」

九尾「不安ならば行けばよい」

千景「?」

九尾「お主も生徒として、行けばよい」


450以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/09(土) 23:50:01.86sfpY4AzKO (1/1)


千景が治めてくれもいいんだよ?


451以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 00:09:13.52hd/r0cVCO (1/1)


女の子のみならず異性も気になる久遠さん
まあ元々はノンケだったからかも知れないが…

あとさおりんの心配してるときに嫌々ながらも挿入されてしまうさおりんを想像してしまったわ



452以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/09/10(日) 01:06:01.56J6VhKacBO (1/2)


性業界の二十面相とかいうセンスの塊なんなの?
それに妄想から察するに久遠さんはあれかM気質か


453 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 13:38:10.52HGwD3/gVo (1/17)


では、少しずつ


454 ◆QhFDI08WfRWv2017/09/10(日) 14:07:08.80HGwD3/gVo (2/17)


√9月1日目朝(特別病棟) ※月曜日


「…………」

この扉の先に、世話を任された人がいる

貴女の協力が必要になりました。そう言われたとき、

不快感もあったが、若しかしたら。という思いもあった

それは勝手に抱いた希望で、願望で

それが打ち砕かれたからと、文句を言える立場ではないと少女は思う

思うが、不快だった。気に入らなかった

何かを守るためではない、

培った経験や力を必要としているものではない

だから、不愉快だった。納得がいかなかった

過去の努力、そのすべては必要ないのだと、そう言われたようで。

「っ」

しかし、少女は引き受けた

何もない学校に通うくらいならと。

勇者としてではなくとも、【役目】に触れることで

自分を切り捨てたすべてに、見返すことが出来るかもしれない。と

「はぁ……」

憎悪に歪みそうな表情を整えて首を振り扉を叩くと、

のんびりとした返事が聞こえた