538以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/27(木) 20:17:38.37hl5iW0dPO (1/1)

そりゃ未来の為に子作りしたけどその未来には想い人居ませんってなったら振り切って今を取るでしょ


539以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/27(木) 21:50:25.72h1IBpHtIO (2/3)

東郷さんの初恋って久遠さんだっけ?
記憶戻ったしリアクション楽しみだな


540 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/27(木) 22:11:26.52nLHTo/RHo (1/9)


では、少しだけ


541 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/27(木) 22:18:20.08nLHTo/RHo (2/9)

√8月8日目 (自宅)朝 ※月曜日


押し付けられているような体の重み、ぐちゃぐちゃにかき乱されているような頭の痛み

じりじりと痛む瞼を強引に押し開いて、天乃は目を覚ます

目覚めの悪い、朝だった

照りつける日差しはカーテンに遮られてはいるものの、

その熱は確かに室内へと通り、少女を蒸し焼きにしようと湿度を上げていて

若葉「目が覚めたか」

天乃「!」

額に張り付く前髪がさっと払われ、

ひんやりとした何かが肌を拭って、若葉の顔が視界に入る

若葉「体を起こせるか? 無理なら横にするだけで良いが」

天乃「……若葉」

若葉「大丈夫だ。樹海化は起きたが、みんな問題ない。怪我も被害もない完勝だ」

嬉々として報告した若葉は、「動かすぞ」と声をかけながら天乃の体を横にして、

患者衣をはだけさせて、背中を拭う

若葉「唯一問題があったといえば、夏凜の経過観察が一日伸びたことだな」

天乃「何かしたの?」

若葉「いや、樹海化したことには変わりないからと、そうなったようだ。夏凜自身は戦闘で問題なく戦えていたし、過剰な力の使用もしていなかったから安心してくれ」

天乃「そう……」


542以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/27(木) 22:19:32.67ReXhgcmtO (1/3)

夏凜も戦ってたのか…


543 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/27(木) 22:26:33.31nLHTo/RHo (3/9)


少し安心したように、天乃の口からはため息が零れて

若葉は何も言わず、ただ薄く笑みを浮かべながら息をついて天乃の白い肌に触れる

じっとりとした汗をかいていた

目を覚ます前、苦しそうで、辛そうで

疲れ切った表情は泣いたのだと示して

寝たのではなく眠ってしまった。あるいは落ちてしまった

そんな状態だとわかりやすかった

若葉「すまない」

天乃「……どうして、謝るの?」

若葉「不安だったろう……確認も含めて、戻るのが遅くなった」

天乃「…………」

背中に向けた言葉は、返事を持ち帰れずに消息を絶つ

故意だったわけではないけれど

それでも、心配をかけてしまったことに罪悪感を感じていて

若葉「任意で、向こうと行き来できたら良いのにな」

天乃「死神さんは出来たわ。千景は……どうかしら。神的部分が取り除かれてるのなら無理よね」

若葉「ああ、千景は難しいそうだ」


544 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/27(木) 22:38:14.18nLHTo/RHo (4/9)


試そうとはしたのだ。けれど、出来なかった

それは天乃が言うように、死神の力の一部を引き継いだだけで

そう言った神聖な部分に関しては引き継がれなかった可能性もあるし

あるいは、天乃が現状では干渉する能力を失っているため、

力が足りずに行えなかったか……

天乃「だったら仕方がないわよ……それに」

窓を向いていた体を若葉の方へと傾けながら

天乃は少し寂しさを感じさせる笑みを浮かべて、タオルを握る若葉の手を掴む

天乃「無事に帰ってきてくれたなら。それで良いから」

若葉「…………」

儚さを帯びた瞳、切なさを携えた口元

不可抗力とはいえ、それは自分たちが関わることで浮かべさせる笑み

意志があろうとなかろうと、バーテックスのせいで生まれる感情

若葉「……ああ」

静かに呟いて、天乃が握っていない手を強く握りしめていく

若葉「ああ……そう、だな。無事が一番だな」


545 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/27(木) 22:46:38.16nLHTo/RHo (5/9)


若葉の笑みに、天乃は「うん」と、呟く

握る手は天乃よりも少し大きくて

精霊ゆえに傷のない手は綺麗で

汗を拭ったタオルは、少し湿っていて

天乃「タオル、貸して」

若葉「ん?ああ」

天乃「……それとも、前も貴女が拭きたかった?」

若葉「な、何言ってるんだっ」

茶化す言葉、楽しそうに見える笑み

天乃が見せるそれらに対して、若葉は中途半端に赤く塗られた頬を掻き、息をつく

若葉「こ、困るだろう……?」

天乃「あら、私は別に構わないわよ。えっちはまだ、あれだけれど。そういう意図がないなら全然」

若葉「私が困るんだ。最初はそんな気がなくても、そういう気になるかもしれない」

初心ね。と、小さく呟いた天乃は少し嬉しそうな笑みを浮かべていて

からかわれているのだとわかってはいても、若葉は少しばかり反抗心が芽生えるのを感じた

若葉「な、なら、天乃が拭いているのをじっと見ていてやる。どうだっ」

天乃「どうだってなにがなの? もう……それはそれで恥ずかしくもあるけど。でも、私は今まで介護されてきたのよ?」


546 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/27(木) 22:58:24.67nLHTo/RHo (6/9)


天乃はこの二年間、入浴等を他人に委ねた経験がある

むしろそれが多い生活を送ってきているがゆえに、

何かしらの手を借りなければならないような状況であるのならば

人に肌を晒すということに関しては、エッチなことをするときのような恥ずかしさはないのだ

若葉「それもそうか……い、いやまて。だからと言って安易に肌を晒すのは――」

天乃「そんなに慌てなくても貴女達くらいにしか晒さないわよ」

若葉「う……」

天乃「ふふっ」

日常だった

若葉が精霊だということを除けば

天乃の体が病気や事故でなく不自由である事を除けば

それは仲の良い少女達の、ちょっぴり大人の世界に踏み込んだ会話だった

若葉「…………」

好きだと感じた。守りたいと思った

この時間を、自分にとっては非日常であるこの日常を

天乃「!」

無意識に、抱きしめる。

強く、強く、誰にも奪われるものかと、強欲に

天乃「……汗くさいのに」

若葉「そんなことないさ。私は好きだ」

天乃「……馬鹿ね」

若葉「恋は盲目……なのだろう?」

生きているのだと実感できる一つ一つ、それが若葉は心から好きだった


547 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/27(木) 23:05:22.13nLHTo/RHo (7/9)


√8月8日目 (自宅)朝 ※月曜日

1、九尾
2、千景
3、若葉 ※継続
4、歌野
5、水都
6、球子
7、沙織
8、勇者部に連絡※再安価
0、イベント判定 ※再安価

↓2


548以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/27(木) 23:05:41.046t2yNmC8O (1/1)

8


549以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/27(木) 23:05:55.89ReXhgcmtO (2/3)

8


550以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/27(木) 23:06:09.67mDqzcYXu0 (1/2)

8


551 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/27(木) 23:10:22.00nLHTo/RHo (8/9)


1、風
2、東郷
3、友奈
4、東郷
5、樹


↓2


552以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/27(木) 23:11:21.80/ard4bEMO (1/1)

4


553以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/27(木) 23:11:35.76h1IBpHtIO (3/3)

4


554以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/27(木) 23:11:54.91mDqzcYXu0 (2/2)

4


555 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/27(木) 23:21:19.29nLHTo/RHo (9/9)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



天乃「そうだわ」

天乃(確か東郷は記憶を戻したのよね……連絡してみようかしら)

ベッド下「ピリリリリリ……」

天乃「!?」

ベッド下「ガタッ……ピッ」

天乃「……東郷?」

「……にゃぁお」

天乃「こらっ!」


556以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/27(木) 23:22:29.29ivOIJLCUO (1/1)


さす東


557以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/27(木) 23:25:37.01ReXhgcmtO (3/3)


東郷さんの変態超人化が止まらないぜ


558以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/28(金) 00:10:29.00idQZobYX0 (1/1)


東郷さんがやってること、もはやどっかのシスコン兄貴と変わらない...


559以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/28(金) 19:48:57.58QjIfB2lIO (1/1)




560 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/28(金) 21:47:59.36CvwABsngo (1/7)


では少しだけ


561以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/28(金) 21:52:51.87Ixho8PpGO (1/3)

どんとこい


562 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/28(金) 21:55:40.09CvwABsngo (2/7)

8月8日目 (自宅)朝 ※月曜日


結局逃げてしまった……と言っていいのかは解らないけれど

若葉が居なくなってから体を拭き終えた天乃は、一息ついて、端末に視線を落とす

夏凜は一日経過観察が伸びたからまだ病院で、端末に触れられる機会は少ないだろうけれど

それ以外のみんなはもう、自宅に戻っているし、端末もすぐ傍にあるだろう

天乃「…………」

おもむろに端末を手にとって、クラスメイトや商店街関係

部活で必要になった連絡先で溢れる中、勇者部の名簿を見つけ出して東郷を選ぶ

そういった相談は受けては居ないけれど

東郷は自分で考えて、悩んで、九尾から失った二年間の記憶を得ることを選んだ

それに関して、天乃は九尾に言ったように注意等する気は無いが

それでも、気にはなるもので……

天乃「出られるかしら」

昼に入る少し前の時間であることを確認してから、電話をかける

普段、東郷は早ければコール1回で出るし、遅くても3回くらいなればお待たせしました。と出てくれる

しかし、今日に限っては5回鳴っても、電話は繋がらなければ切れもしないし留守電にもならなくて

近くには居ないのではときりかけた瞬間、繋がった……けれど

東郷「……ぁ」

天乃「東郷?」

言葉は中々続かなかった



563 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/28(金) 22:07:04.47CvwABsngo (3/7)


天乃「東郷?」

もう一度名前を呼ぶと、端末の奥、東郷の居るどこかではごそごそと音がして、ため息の音が混ざる

そしてもう一度、東郷の声が近付いて

東郷「お、おはよう……ございます。すみません、本当なら会いに行くべきなのに」

天乃「ううん、いいわよ。むしろ私が会いに行くべきだわ」

自由なら、きっとそうしていたしそうすべきだった

退院したのは天乃藻含めて夏凜以外のみんなだけれど

本当に必要で入退院したのは東郷達だからだ

天乃「体の方はどう? 若葉は問題ないって言っていたけど、本人としては」

東郷「特筆すべき問題は……私は遠距離なので、若葉さん達と比べれば安全圏ですから」

天乃「そう……ねぇ、東郷」

東郷「はい」

天乃「なんか、他人行儀というか、ぎこちなくない? 貴女」

どう考えても記憶を戻した影響……なのだが

居心地の悪さを感じた天乃は耐え切れず問いかけて、東郷は口を閉ざす

どこか遠くではなく、端末自体が軋んだかのような音が零れ落ち

微かな布擦れの音が聞こえ、その奥では蝉の大きな鳴き声まで届く


564 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/28(金) 22:17:02.20CvwABsngo (4/7)


東郷「そう、かもしれません」

天乃「……………」

東郷「本当は出るかどうかも迷ったんです。かける言葉が見つかりそうになくて、心の整理がつかなそうで」

東郷の声は落ち着いているようで、揺れている

恐怖ではない何かの緊張感に揺さぶられて、言葉が上手く結びついていない

そんな感覚が、天乃には伝わってきて

東郷「もう、伝わっているかもしれませんが……2年間の記憶を九尾さんに戻してもらって……」

あれは記憶を取り戻すといっても半分、追体験のような感覚に近い

美味しいものを食べれば美味しいと思うし、怖い思いをすれば恐怖に心乱れ

悲しければ涙を零し、嬉しければ心が温まるような……だから、東郷は

東郷「少し、複雑なんです。今の自分と2年間の自分。それがあまりにも違えていて」

天乃「それは」

東郷「解ってはいるんです。人は成長するものだって。だから、自分が今のようになったこと、それもまた一つの成長なのだと」

けれど、東郷が複雑な心境になってしまっているのはそれだけが理由ではないのだ

寧ろそれならば楽だった、かも知れない

天乃「……………」

声だけしか聞くことが出来ないこと、

目の前には居ないこと

感じるもどかしさに天乃は眉を潜めて

東郷「でも、過去の自分が抱いていたものとはまったく違うなと思わずには居られなくて、どう接したら良いのか。解らなくなってしまったんです」


565 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/28(金) 22:29:24.67CvwABsngo (5/7)


迷いの言葉、躊躇いの言葉

それに続いて東郷の息を呑む音が聞こえて

東郷「彼女はただ、久遠先輩の傍に居ることが出来れば良かったんです。手を繋ぐことにすら心迷わせて、触れただけでドキリとして」

少しずつ、物語を語る語り部のように穏やかな口調で、東郷美森は語る

自分が失った2年間、得た2年間

東郷美森ではなく、彼女――鷲尾須美がどのような心だったのかを

東郷「鷲尾須美は、久遠先輩の子供のような明るさに煩わしさを感じて、その余裕に苛立ちを覚えて、けれど、その変わらない光に憧れていた」

天乃は黙って端末を耳に押し当てて、体を動かさず雑音の一切を排除して聞き込む

しとしとと雨が降っているような空気は、簡単に壊せるだろうけれど。

今は、その必要がないと思った。

どんよりとした曇天でも、荒れていなければ心地が良い時もあるのだ

東郷「今更ながらその気持ちを思い出して、感じて……本当、猫を被る。というものに近いかもしれませんが、純真再発、まるで病気のようです」

苦笑しながら呟いた東郷は、深く息をついて

しばらく、何もなかった

キスをした後の余韻に浸るのに似た雰囲気

懐かしんで、回帰して

そこには居ないけれど居るように感じる

東郷「……でも、だからこそ。私はより強く意思を保つことができる気がします」


566 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/28(金) 22:40:33.01CvwABsngo (6/7)


失ってしまったのだと聞いてはいても覚えていなかったのが

失ってしまったことを思い出し、失う怖さを思い出せた。

そして、失う怖さを改めて自覚できたからこそ意思はより強く、決意は固く。想いは募る

東郷「久遠先輩が生きていく決意をしてくれたのなら、私達は。それを守るための決意を」

天乃「……私がそうした意味、私が求めてる生きていたい世界。解らないとは言わせないわ」

東郷「解ってます、ちゃんと」

園子を含めたとしても、一緒に居た期間は誰よりも長いと自負できるから。と

東郷は心の中で思い、笑みを浮かべて目を瞑る

どんな顔をしているだろうか

怒っているか、悲しんでいるか、それとも……

東郷「久遠先輩は死んででも誰かを守ろうとする人だって、彼女も私も、良く解っていますから」

天乃「そうね、私はそういう人よ」

沙織は約束をしてくれなかった

そしてきっと、東郷も約束してはくれない

その決意は固いのだと、目で見ていなくても声で解ってしまうから



1、子供を作った事に関して
2、銀のお墓
3、園子に会う
4、大赦
5、交際に関して、東郷家



↓2


567以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/28(金) 22:42:09.222L7FnmpgO (1/2)

5


568以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/28(金) 22:42:47.24Ixho8PpGO (2/3)

3


569以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/28(金) 22:43:03.75of8CaB6R0 (1/1)

4


570 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/28(金) 23:02:26.44CvwABsngo (7/7)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



プルルルルルッ

東郷「!」

東郷(く、久遠先輩から……出るべきだろうけど)

東郷(で、でもなんて言えば良いのか……記憶がまさかこんな影響があるなんて)チラッ

東郷(なせば成る……なんとかっ)ピッ

大地「天乃だと思った? お兄ちゃんでーす」

東郷「……満開ッ!」イラッ


571以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/28(金) 23:06:08.232L7FnmpgO (2/2)


東郷さんの明日はどっちだ


572以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/28(金) 23:08:51.14Ixho8PpGO (3/3)


せっかくだからわすゆ時代の話とかも見てみたいな

そういや今作の兄貴ってタイツ事件以来音沙汰ないけどなにしてんだろう?


573以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/29(土) 06:50:31.15Y0clGxQ5O (1/1)

オマケの鍛錬記録だと勇者部の鍛錬に兄貴呼ぶって話だったな


574以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/29(土) 17:16:25.87Pg4XR2RIO (1/2)




575 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/29(土) 22:10:12.84GDYuILKuo (1/8)


では、少しだけ


576 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/29(土) 22:16:51.56GDYuILKuo (2/8)


天乃「ねぇ、東郷。園子に会ってみる気は無い?」

せっかく記憶を元に戻したのだから改めて話すこともあるだろうと声をかけると

東郷は「そうですね……」と、静かに答える

東郷「以前、共に戦って以降会うことが出来ていないので、叶うのなら」

失ってしまった2年間のこと、

天乃の居なくなってしまったあの戦いで、尽力し守ってくれたこと

話すこと、謝ること、お礼すること

色々あるからと、東郷は望みを託すように呟く

東郷「久遠先輩なら、会わせて貰えるんですか?」

天乃「どうかしら、園子の体調次第なのよ」

東郷「やはり……」

東郷自身も会いたいと願い出たことはあったのだ

けれど、園子の体調不良を理由に会うことはできなくて

それ以降も、まだ会うことは出来ていなくて

東郷「久遠先輩なら、強権使えるのでしょうか……」

天乃「少なくとも嘘はつかせないわよ」

冗談めかして笑いながら言うと、東郷は「笑顔が見えます」と、笑う

今まで通りというには少しぎこちなくて

けれど、決して悪い空気にはならなくて

ぎこちなさの割には居心地のいい雰囲気に浸りながら、

東郷はふと息をついて

東郷「そのっちも、いつかこの輪に加われるのでしょうか」


577以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/29(土) 22:21:31.285rRm5THlO (1/3)

すぐには無理か


578 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/29(土) 22:38:21.58GDYuILKuo (3/8)


天乃よりも酷く傷ついて

自分ひとりでは本当に、何一つ出来るような状態ではなくなってしまった子

それはやはり、みんなを守るためで

大切な人たちを守るためで

報われるべきなのだ、救われるべきなのだ

そう思い、強く握りこぶしを作る東郷の耳元で

僅かな電子音が乱れて

天乃「それを決めるのは、私達よ。東郷」

東郷「私達……ですか?」

天乃「あの子が居場所を作れる場所なのか、あの子のために居場所を作って上げられる人達なのか」

小さく笑う

電話相手である東郷には聞こえないような、自己満足の笑み

それは、勇者部への信頼だ

きっと問題ない、きっと大丈夫

ひねくれそうだった自分が大丈夫だったのだから

天乃「でも、きっと大丈夫」

東郷「そう、ですね。そうですよね」

東郷の安堵した声に、

天乃もまた楽しげな笑みを零して

天乃「とりあえず大赦に掛け合ってみるわ」

東郷「お願いします」


579 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/29(土) 22:44:53.81GDYuILKuo (4/8)


01~10
11~20 許可
21~30
31~40
41~50 許可
51~60
61~70
71~80 許可
81~90
91~00

↓1のコンマ 


※ぞろ目特殊


580以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/29(土) 22:45:52.51uR6BQDu2O (1/1)




581 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/29(土) 23:01:11.21GDYuILKuo (5/8)


√8月8日目 (自宅)昼  ※月曜日


天乃「……はぁ」

夏を象徴する虫のけたたましい声が窓を突き抜ける部屋の中に

すぐにかき消されてしまいそうなため息が混じる

解ってはいたことだが、やはり、却下されたのだ

有無を言わせることなく。

体調がすぐれていないとの理由で、また後日。と

電話ではなく直接話したのに、大赦からの返事は機械のように精確無二で

録音したテープを流しているような感覚には

流石の天乃も何も言えなかったのだ

天乃「本当に体調不良ならいいけど……いや、良くはないけど。でも」

何か隠しごとをしていて

園子に何かしているというのよりはまだ良いのかもしれないと

天乃は考え、またため息をつく

園子の周りにはちゃんとおつきの人がいるし

瞳や春信さんもいる為、ひとりぼっちということはないだろうが……

やはり、心配にはなってしまう


582 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/29(土) 23:22:32.56GDYuILKuo (6/8)


安易に寝返りもうてない体を少し無理矢理に動かして、出入り口の方へと体を傾ける

東郷に関しては、鷲尾須美の記憶との激しい混濁は見られなかったし

恐らく、接し方に多少の変化はあるかもしれないが、問題はないと言ってもいいだろう

悪五郎との子供の件に関しても

九尾が上手く話を付けてくれたのか動揺も何もなく

追及されたり責めたりされることもなかった

天乃「みんなも……そんな風に納得してくれたのかしら」

なぜ行動に移したのか

その理由、その意味を理解して、認めて

自分たちなりの努力をしようとしてくれているのか

それとも……

天乃「…………」

ちらりと見る端末は、反応しない



1、九尾
2、球子
3、千景
4、歌野
5、若葉
6、水都
7、沙織
8、勇者部連絡
9、イベント判定


↓2


583以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/29(土) 23:23:40.52tK15jPJRO (1/2)

8


584以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/29(土) 23:23:46.385rRm5THlO (2/3)

8


585以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/29(土) 23:23:56.39Cux76Csb0 (1/3)

8


586 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/29(土) 23:31:03.88GDYuILKuo (7/8)


1、風
2、樹
3、友奈
4、東郷


↓2
※夏凜は入院中の為出来ません


587以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/29(土) 23:31:43.13tK15jPJRO (2/2)

2


588以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/29(土) 23:31:58.15Pg4XR2RIO (2/2)

1


589以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/29(土) 23:31:59.44Cux76Csb0 (2/3)

1


590 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/29(土) 23:38:25.08GDYuILKuo (8/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば昼ごろから


プルルルルルッ

風「ん? あーちょっとー樹ー?」プルルルルルッ……プルルルルルッ

風「今洗い物……っていうか着信長い、樹ー?」プルルルルルッ

風「あーもー、天乃から? おまちーっ!」ダダダッガチャッ

天乃「ねぇ、なんですぐにでないのなんでなにしてたのだれかいるのねぇわたしからのでんわなのにこんなにわた――」

風「怖いわッ!」ピッ

プルルルルッ

風「んー? また天乃? はいはい。ちょっとわるふざ――」

天乃「話し中長かったわね……大赦から連絡でもあった?」

風「は……えっ?」


591以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/29(土) 23:43:57.185rRm5THlO (3/3)


なにそれこわい

久遠さんが子作りしたと聞いて風先輩が一番驚いてそう


592以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/29(土) 23:56:32.65Cux76Csb0 (3/3)


なかなかそのっちに会えない...


593以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 00:12:32.41grZtP6N8O (1/1)


ホラーかな?


594以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 11:37:22.01T1zS76lXO (1/1)




595 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/30(日) 17:23:49.15PNLkzC9Wo (1/12)


では、遅くなりましたが
少しずつ


596以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 17:30:14.33VSb/EJDjO (1/1)

やったぜ


597 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/30(日) 17:55:12.01PNLkzC9Wo (2/12)


√8月8日目 (自宅)昼  ※月曜日


電話をかけると、少し時間はかかったが

風は少し慌てた様子で、電話に出てきた

風「ごめん、今洗い物してて……どしたー?」

天乃「意外と普通の対応なのね」

風「ん? あぁ……」

いつもの犬吠埼風

それと何も変わらないことに疑問も違和感も不満も無かったが、

何気なく天乃が零した言葉に、

風は察したように語尾を伸ばす

風「天乃が男の子と寝たって話でしょー?」

天乃「言い方……でも、そうね。そうよ」

風「その理由は聞いたからねぇ。そりゃ、思うことが無いって言えば嘘になるけど」

でも。と

風は少し含みのある笑みの吐息を漏らして

風「納得はしてるし、理解もしてるつもりよ。あの天乃が戦えなくなることを選んだって時点でね」



598以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 19:57:00.62s5b7+OcGO (1/4)

寝落ち?


599 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/30(日) 21:02:04.19PNLkzC9Wo (3/12)


電話の奥でカチャリと音が鳴って

限りなく近かった声が少しだけ遠くなる

普段の年代関係なく子供っぽい姉としてではなく

一段上の姉のような余裕を感じさせる、空気

風「だから、あたしはそれに対して特に言えることが無い」

本当は言えることはある

けれどそれは天乃が言われたくない事だろう

ごめんなさいとか、そういうものだから

天乃「貴女は話が早くて助かるわ」

風「他に面倒な人でもいた? 男子ならともかく、みんな女の子だから大した文句は出ないと思うけど」

天乃の純粋な体が穢されたと言うような人は、もしかしたらいるかもしれないけれど

天乃が戦いから退くことになると言う話を聞いてなお

しつこく食い下がってくるような人は、少なくとも勇者部にはいないはずだと風は言う

確かにそうだろう。風の言うとおりだ

一々こうやって電話してくる必要なんて

正直に言ってしまえば必要はないのだ


600 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/30(日) 21:30:00.40PNLkzC9Wo (4/12)


天乃「実のところ、まだ東郷にしか連絡は入れてないのよね。沙織にはもう、話はしたけれど」

風「そか、でも東郷も平気だったでしょ?」

天乃「ええ」

東郷に関しては、悪五郎との件は天乃から聞かなければ話題にさえ出さなかったほどで

聞いても理解はしていると、すぐに答えてくれて

風が小さく笑ったのが、聞こえた

安心したと言うよりも、分かっていたことを言われて「でしょうね」とでも言うような

少し、自慢交じりの音

風「あ、そうそう。若葉から聞いた? 戦いの件」

天乃「朝のうちに」

風「場合によってはあたし達から連絡居れることもあるけど、基本的には若葉に報告してもらうようにしたのよ」

天乃「怒られるから?」

風「違う違う」

茶化して言うと、風は困ったように笑いながら否定して

電話の奥でぱたぱたと手を仰ぐのが目に浮かぶ

風「一番早くそっちに戻れるから。千景や歌野達も時々は報告になるかな。ま、精霊組ね」


601 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/30(日) 21:46:38.73PNLkzC9Wo (5/12)


風「それで? 戦いの事は聞いてるみたいだし、子供の件だって伝わってることは知ってたでしょ?」

九尾に伝えるようにと願い出たのは天乃だ

風が初めて聞く相手なら、

九尾がまだ伝えていない可能性も考えてのことだと思えるけれど

東郷に連絡したうえで、連絡を入れてきたのだ

風「それ以外に何かあるから連絡してきたんでしょ?」

天乃「それは」


1、五郎くんの件でショックを受ける人もいるのかと思って
2、私の行動の意味、ちゃんとわかってるのかなって思って
3、だって、一人ぼっちは寂しいもん
4、例の約束の件もあるから


↓2


602以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 21:47:36.624UkPpdX+O (1/4)

3


603以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 21:48:55.34s5b7+OcGO (2/4)

1


604 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/30(日) 22:15:03.01PNLkzC9Wo (6/12)


天乃「五郎くんの件でショックを受ける人もいるかなぁって」

風「ん~……男の子だったらショックだったかもしれないけど……」

自分でもすることが出来るのだ

なら、自分を選んでもらえなかったことのショックはあって然るべきだが

それが出来ない風としては

その行為の相手に選んでもらえなかったことは必然であり、当然で

とはいえ。と、風は思う

まだ未経験な状態での天乃と淫らな事が出来なかった事

それは少しばかり、惜しい気がしなくもなかった

風「…………」

けれども、きっとこの電話の相手は

男の子と一回淫らなことをした程度では何も変わらないだろう

無垢なままとはもう、いかないかもしれないけれど

いつもと変わらない久遠天乃なのだと、風は思う

風「みんな女の子だから平気でしょ。きっと」

天乃「そうかしら?」

風「それに、天乃はどれだけえっちしても、処女みたいなもんだから」

天乃「そんなことはないと思うけど……」


605 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/30(日) 22:32:38.06PNLkzC9Wo (7/12)


それがあるから困るのだ

東郷や沙織、夏凜達と行為を重ねても

初々しさは結局変わらないままだったと聞いている風としては

また誰かのことを―本人がする気があるかは別として―誘惑するのだろうと

むしろ心配そうにため息をついて「あのね」と、風は呟く

風「あたしとしては、経験済みでちょっぴりエロい天乃も見てみたい気もするのよ」

天乃「そんなこと言われたって」

風「でしょうね」

そこで困ってしまうから

もはや永遠の処女だと言ってもいいのだと、風は苦笑する

もちろん、本当にそうなのかは別だが。

風「ねぇ、天乃」

天乃「うん?」

風「例の約束だけどさ、子供の件もあるし全部滞りなく済んでからってことでどう?」

天乃「それって、バーテックスの件も?」


606 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/30(日) 22:41:31.85PNLkzC9Wo (8/12)


そう問いかけると、

風は「もちろんっ」と、少しだけ大声で、明るく、強く

はっきりとした意思を示すように言って

風「来るかもしれない大きな戦い。それが終わって、天乃がちゃんと子供を産めて、そしたらさ……しようよ」

天乃「……その時はもう、私忙しいかもしれないわ」

そもそも、身体が無事であるかどうかの保証もない

けれどきっと、風はそれを分かったうえで言っているのだ

自分たちも無事でいるから

天乃もまた、無事でいて欲しいと

風「解ってる。でもさ、なんというか……鎖ってわけでもないけど。不安なのよ」

天乃「不安?」

風「そう言う約束しとかないと天乃はどこか行っちゃうんじゃないかって」

天乃「…………」

絶対的な約束をすることはできない

けれど、そんな約束があれば破るわけにはいかないと強く意志を持てるかもしれないと天乃は思って、苦笑する

天乃「大丈夫よ。私はね。むしろ貴女達が心配だわ」

風「あたし達だって、平気だから」

約束をしようとしない沙織達とは違う風の言葉、風の想い

それにこたえるべきなのだと、天乃は強く――思った


607 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/30(日) 22:50:16.95PNLkzC9Wo (9/12)

√ 8月8日目  夕(自宅) ※月曜日


01~10 友奈 
11~20 
21~30 千景
31~40 
41~50 大赦
51~60 
61~70 
71~80 樹
81~90 
91~00 

↓1のコンマ 


608以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 22:53:12.93Oux6Pblz0 (1/2)




609 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/30(日) 23:05:26.74PNLkzC9Wo (10/12)

√ 8月8日目  夕(自宅) ※月曜日

1、九尾
2、球子
3、千景
4、歌野
5、若葉
6、水都
7、沙織
8、勇者部連絡
9、イベント判定


↓2



610以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 23:14:23.854UkPpdX+O (2/4)

9


611以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 23:14:33.76s5b7+OcGO (3/4)

9


612以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 23:14:52.20Oux6Pblz0 (2/2)

7


613 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/30(日) 23:22:04.39PNLkzC9Wo (11/12)


01~10 友奈
11~20 樹
21~30 九尾
31~40 千景
41~50 大赦
51~60 歌野
61~70 水都
71~80 沙織
81~90  大赦
91~00 球子

↓1のコンマ 



614以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 23:23:56.894UkPpdX+O (3/4)




615 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/30(日) 23:49:29.56PNLkzC9Wo (12/12)

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



大赦「いけませんなぁ。許可されていない少年と事に至るとは」グィッ

天乃「っ……私が誰としようが、貴方達には関係のないことよ」

大赦「いや、あるさ!」

シュバッ

大地「ある時は卑劣な大赦仮面、またある時は卑猥なくそ兄貴」

大地「その名は――お兄ちゃんであるッ!」

天乃「ひっ」


616以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 23:56:26.85s5b7+OcGO (4/4)


勝手に五郎くんとえっちしたことで大赦からの扱いがさらに悪化するのか否か…


617以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/30(日) 23:57:31.804UkPpdX+O (4/4)


妊婦には大赦も優しいから……


618以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/31(月) 00:35:48.90y1W1WY15O (1/1)


どう考えても妖怪となんて穢らわしいからと神官に暴行(意味深)される流れでしょ


619以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/31(月) 08:05:22.03hR/OazNHO (1/1)


そもそも中出しされただけで厳密にはまだ妊娠してないと思うぞ
味方である春信さんや瞳さん辺りには事情説明したいところだけど…


620以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/31(月) 12:29:51.97QMK/7coqO (1/1)




621 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/31(月) 21:56:54.39EObUlAq7o (1/9)


では、少しだけ


622以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/31(月) 22:00:04.62nmx4rBvYO (1/4)

おk


623 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/31(月) 22:03:52.89EObUlAq7o (2/9)


√8月8日目 (自宅)夕  ※月曜日


天乃「何しに来たの?」

夕方になって訪れた大赦の職員に向かって、天乃は冷たく言い放つ

園子の体調が優れなかったからという理由はあれど、

まったく会わせてくれないという部分には、不満があったからだ

「久遠様が自身の精霊と性的な行為を行ったと報告を受けたのですが、事実ですか?」

天乃「……プライベートも何もなし。筒抜けってこと? 一応、そういう対策はしたはずなんだけど」

若葉にも言ったが、

介護という名目であれば、肌を晒すことに恥を覚えることもない。けれど

性的な行為を、それをしている相手以外に見られる聞かれるというのは不快で

悪五郎との行為の際にも、誰か似見られる聞かれることがないようにと対策はしておいたはずなのだ

そしてもちろん、九尾が大赦に赴いて伝えたとは思えない

天乃「夏凜達のことを監視してたりしないわよね?」

「私のあずかり知らないところです。久遠様」

天乃「ずいぶんと……歪んだものね」

今回訪れたのは大赦の仮面をつけた神官の立ち位置にいる大赦関係者だ

それゆえに深い部分を知らないというのは、いささか妙な話で。

天乃は不快感を露わにしながらも

どこか寂しげに、悲しそうに呟いて握りこぶしを作る

巻き込まれた敷布がギリギリと音を立ててしわを寄せていく


624 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/31(月) 22:14:38.69EObUlAq7o (3/9)


天乃「園子は本当に面会謝絶?」

「……………」

女性神官は何も言わずに佇んだまま、

見えているのかどうか不確かな仮面を天乃へと向ける

答える気は無い

けれども答えてくれるまではここにいる

そんな気色悪くさえ思えてくる雰囲気が漂う

天乃「私は私のプライベート。それも、性体験の有無を答えろと言われてるのよ? なのに、友人の体調さえ答えられないの?」

「行った可能性が高いことは確認済みです。これはあくまで、それを確定させるための問いです」

天乃「……そう」

「お答え頂けないのであれば、行ったと仮定して事を進めさせていただきます」

女性神官はあくまで情報の提供はしない。というスタンスなのだろう

ただ冷たく、ただ無感情に

自分が与えられたことをこなそうとしているだけ

天乃「恥ずかしいとか、どうとかいう話じゃないわね……不愉快極まってもう何もいえないわ」

「……では久遠様。申し訳有りませんが特別病棟へと移送させていただきます」


625 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/31(月) 22:32:04.83EObUlAq7o (4/9)


どこにその申しわけなさがあるのかと疑問に思いながら、

天乃は不快感を露わにした鋭い目つきで神官を睨む

天乃「お断りよ」

「久遠様が行ったのは前代未聞の行為です。然るべき機関で保護し、経過をしっかり把握しなければなりません」

天乃「もっともらしいことを言ってるけど、それって結局信用できないだけでしょう? 私達のことを」

天乃の指摘に、神官は一旦言葉を止めて

沈黙ゆえに流れる空気は不快感と、緊張感に溢れて

天乃「私も貴女と同じ道を辿ろうと考えたわ」

「……………」

天乃「でもね、そんなことで救えるものなんてないのよ。救われるものなんてないのよ」

睨むように見つめていた視線を穏やかに、優しく

ゆるりと切り替えた天乃は小さく息をついて、目を逸らす

天乃「自分自身の心でさえも……ね。そうでしょう? 先生」

「機関にて保護させていただきます」

彼女は何も言わない

そんな言葉への答えはプログラムされていないというような一貫した対応

それはある意味で立派であると。天乃は寂しく思う




1、お断りすると、言ったわよ
2、若葉、外まで送ってあげて
3、勝手にしなさい。それが正しいと思うのなら
4、悪いけれど、私は産むわよ。彼が私の為にくれた大切な命だから


↓2


626以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/31(月) 22:33:19.64g80mvIivO (1/2)

4


627以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/31(月) 22:33:37.80nmx4rBvYO (2/4)

4


628以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/31(月) 22:33:55.81htTfggQ40 (1/1)

1


629 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/31(月) 22:56:39.96EObUlAq7o (5/9)


天乃「……先生」

仮面の奥でどんな顔をしているのかは分からない

けれど、なんとなく想像は出来ていて

天乃は切なく息をつく

今は一応、二人きりのような状況なのだ

それでも機械的な対応なのだから

色々あるのだろう

天乃「悪いけれど、私は産むわよ。彼が私の為にくれた大切な命だから」

「…………」

天乃「貴女達にこの体を好きに弄らせるつもりはない」

「そのようなことは致しません。どのような影響が出るか分からない以上、可能性を踏まえて保護観察とさせていただくのみです」

女性神官は一貫して自分の目的のみを告げると、

ベッドに横になっている天乃から顔を背けて入口の方を見る

「迎えは来ています。すぐにお呼びいたしますので、そのままお待ちください」

天乃「私が素直に待っているとでも?」

「逃げても、勇者部を警護しているうちに久遠様にたどり着けると思います」

天乃「……なるほど」


630 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/31(月) 23:08:15.79EObUlAq7o (6/9)


元から、有無を言わせずにつれていくつもりだったのだ

天乃は樹海の穢れを引き受けることが出来る力を持っているし

なにより、今でこそ子供の影響か抑えられているが、強力な力を保持している

そして、勇者部やクラスメイト達を繋ぎとめる重要な支柱

放置して置けるような存在ではないのだ

そこに、妖怪との子供という理由が出来れば

保護という名目で捕まえに来るのは、当たり前だったかもしれない

「では、失礼――」

天乃「そうやって仮面をつけている時点で、貴女は昔と何も変われていないわ」

「…………」

天乃「ただ蓋をして、見えていないふりをしているだけ。変わることが出来ないから。仮面をつけるのよ」

「失礼します」

女性神官は天乃の言葉にはやはり、何も返さず

ただ一礼のみを遺して去っていき

そしてすぐ、彼女の言った迎えが天乃を連れ出しに部屋へと集まる

皆には伝わっているだろうか

勝手な行為ではないだろうか

そんな聞いても無駄なことを思い、天乃はため息をつく

天乃「ちゃんとみんなには話をつけておきなさい。取り返しのつかないことになっても。私は責任なんて取ってあげないからね」


631 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/31(月) 23:15:32.00EObUlAq7o (7/9)


√ 8月8日目  (特別病棟) ※月曜日


01~10 
11~20 有り
21~30
31~40 
41~50 あり
51~60
61~70 
71~80 あり
81~90 
91~00

↓1のコンマ 

ぞろ目特殊

※特殊判定


632以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/31(月) 23:16:55.98nmx4rBvYO (3/4)




633 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/31(月) 23:20:20.20EObUlAq7o (8/9)


√ 8月8日目 夜(特別病棟) ※月曜日


01~10 
11~20 若葉
21~30
31~40 千景 
41~50 瞳
51~60
61~70 春信 
71~80
81~90 沙織 
91~00

↓1のコンマ 


634以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/31(月) 23:21:54.14KdMBiXL50 (1/1)




635 ◆QhFDI08WfRWv2017/07/31(月) 23:26:48.39EObUlAq7o (9/9)

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




若葉「天乃、あとは任せてくれ」

若葉「…………」

若葉「とりあえず……大赦を撤退赦!」

千景「妊婦に冷房の効き過ぎは良くないわ」

若葉「ふむ……ダメか。もう少し良い言葉を選ばねばならんな」

千景「諦めると言う言葉を学んで。切にお願いするわ」


636以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/31(月) 23:27:37.82g80mvIivO (2/2)


若葉怒涛のアプローチ


637以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/07/31(月) 23:30:16.48nmx4rBvYO (4/4)


久遠さん大赦に拉致られてもうた…
もし追い返してたらどうなってたんだろうか


638以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/01(火) 06:45:12.881m1ZRv9VO (1/1)

この先生ってまさか安芸先生…?
それにしても相変わらず久遠さんはガチな時に大人びた事を言うなぁ


639以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/01(火) 14:50:26.89E5ob3gGcO (1/2)





640 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/01(火) 21:45:20.83lqVfYdTOo (1/6)

では、少しだけ


641 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/01(火) 21:59:07.06lqVfYdTOo (2/6)


√8月8日目 夜(特別病棟) ※月曜日


天乃が連れてこられた特別病棟は、

天乃が逃げることを想定しているためか、窓がなかった

真っ白な壁、純白の天井

医療目的ですよ。とでも言いたげな医療機器が申し訳程度に設置され、

統率の取れた泣き声を上げる

天乃「……お豆腐みたい」

もっとも、その白さは良く見れば一つ一つが人型を模した紙で埋め尽くされているだけで

実際は真っ白な天井でも壁でもないが。

若葉「主様」

天乃「出てこられるのね」

若葉「問題はない。薄気味悪さは……まぁ、これはこの場に来る誰もが感じることか」

あたりを見渡して嫌悪感たっぷりの表情を見せた若葉は、

ため息をついて、天乃へと目を向ける

若葉「天乃の自室には監視しているような機材は確認できなかった」

天乃「そう……じゃぁ、私が普段必ず持ってる端末が怪しいわね」

若葉「そのことだが、今回の入院中に預けていただろう? そのときに改良された可能性がある」

天乃「……そっか」


642以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/01(火) 22:04:00.89ulDyBOCxO (1/3)

常に盗聴されてたとか…


643 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/01(火) 22:07:44.32lqVfYdTOo (3/6)


淫らなことをしている姿がどこの誰かも解らない相手に筒抜けで、

恐らくは、記録として残されていて

恥ずかしいと思うよりもただただ、言葉にし難い何かが湧き上がってくるだけで

若葉「……大丈夫か?」

天乃「体は、ね。でも……自分でもなんて言えば良いのか分からないけど、多分、悲しい、のかな」

そっと体を抱きしめて、笑みを浮かべる

分からないのだ、複雑で

けれども悲しいという感情があるのだけは分かって

包み込むように覆い被さって来る温もりに、身を委ねていく

若葉「端末に関しては、新しいのを知り合いに新調してもらうことにしよう」

天乃「知り合い?」

若葉「ああ、鍛錬で知り合った人なのだが、これが色々と凄い人でな。機械関係に詳しいそうだから、任せて問題ないだろう」

嬉しそうに語る若葉の声

鍛錬での知り合いなのだから、夏凜達の関係者か誰かだろうか

けれど、きっとこんなにも楽しげに言うのだから、心配は必要ないはずだ


644 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/01(火) 22:35:08.33lqVfYdTOo (4/6)


天乃「男の人?」

若葉「そうだな」

天乃「好きになっちゃった?」

若葉「人として……は、少し微妙なところがあるが鍛錬相手、所謂武人としては尊敬に値する……か?」

曖昧で、はっきりとしない言い方をする若葉は

明らかに困った様子で、苦笑する

若葉「それも微妙なところだな。だが、愉快な人物であることには変わりがないな。変わり者ではあるが」

天乃「貴女がそう言うのだから、きっと良い人なのね」

若葉「ああ、とはいえ……出来れば会わせたくないけどな」

若葉の抱く力が少しだけ強くなったのを感じて

天乃は「どうしたの?」と、問いかける

外敵から守るようなその仕草は、

若葉が見せる明るい喜ばしさとは擦れ違っていて、少し不安だった


645 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/01(火) 22:48:26.42lqVfYdTOo (5/6)


若葉「彼は少し特殊なんだ。屈折させずに言えば性癖……がな。ある一定の条件下では、彼はあまりにも危険だ」

天乃「若葉は平気なの?」

若葉「私は問題なかったが……その、友奈が少し被害に遭ったんだ」

罪悪感を滲ませながら答えた若葉は、

もちろん、友奈自身もそうなることは分かっていたんだが。と

その謎の変人を庇うように続けて、ため息をつく

天乃「友奈も問題ない?」

若葉「心配するな、何かあろうものなら、強力な助っ人が手を貸してくれるからな」

相変わらず抽象的というべきか具体的な言い方をしてくれない若葉だが、

恐らくは、それについては言えない理由があるのだろう

天乃「そっか、なら良い……の?」


1、ねぇ、しばらく一緒にいてくれない?
2、大赦に来たのに、干渉はしないの?
3、園子がどこかにいるかも知れなんだけど……探せない?
4、何かがありそうなら、助けてね

↓2


646以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/01(火) 22:49:38.64w3YVylbeO (1/1)

3


647以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/01(火) 22:49:50.83E5ob3gGcO (2/2)

1


648以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/01(火) 22:50:11.77ulDyBOCxO (2/3)

3


649 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/01(火) 23:15:31.82lqVfYdTOo (6/6)


ではここまでとさせていただきます
明日は出来れば少し早めから



天乃「一緒にいてくれない?」

若葉「ああ、いいぞ」

グイッ……ドサッ

天乃「っ」

若葉「では、もういっそ見せつけてやろう」

若葉「大赦が目を背けたくなるほどに熱烈に、耳を塞ぎたくなるほどに淫靡に。私達のまぐわいを」


650以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/01(火) 23:27:46.25ulDyBOCxO (3/3)


一体奴がなにをしでかしたのか鍛練記録で見てみたいな

あと若葉様もとうとう変態に…


651以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/01(火) 23:34:04.79O281EhXp0 (1/1)




652以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/02(水) 00:05:06.29nSA2If0bO (1/1)


若葉がそばにいてくろれば安心安全


653以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/02(水) 14:07:21.33pdPX5/4+O (1/1)




654 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/02(水) 20:05:11.24ltS57wsBo (1/11)


では、少しずつ


655 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/02(水) 20:26:39.77ltS57wsBo (2/11)


どちらかと言えば良いと言えるだろうな、と

苦笑する若葉を横目に、天乃は燻る恐怖を掴むように胸元に手を宛がう

窓さえもないヒトガタに囲まれた部屋の中、

監視されていることさえわかる状況で、たった一人

その心細さがあって

ぐっと、若葉の服の裾を掴む

若葉「? どうした?」

天乃「……しばらく、一緒にいてくれない?」

若葉「天乃……」

掴まれた裾に感じる微かな震え

今は抵抗力が皆無と等しい天乃には、この状況はつらくて

若葉は優しく、その手を包む

若葉「言われなくてもいるさ。一緒に」

天乃「我儘でごめんね」

若葉「気にするな。天乃はむしろわがままで良いのだからな」


656 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/02(水) 21:17:23.26ltS57wsBo (3/11)


そっと体を寄せる

何かをするわけでもなく、若葉は天乃の体を預かって

互いの存在を感じ合う

手の触れ合いはない。ただ、肩に肩が触れるだけ

若葉の体に、天乃が身を寄せているだけ

それでも、静かな部屋で不気味な空間は二人きりの場所になる

それでよかった

それだけでよかった

一人ぼっちではないのだと、感じられるから

天乃「……一人はね、怖いの」

若葉「ああ」

天乃「一人はね、寂しいの」

若葉「解ってる」

少し前にも聞いた感情、聞いた弱音

それを繰り返してしまうほどの状況を見渡して、若葉は息をつく

若葉「叶うなら、ここから君を連れ出したい。だが、それはきっと、私達の今後にとっては悪いことになる」

天乃「……………」

若葉「だから、傍にいる。戦いが起きた時以外は、ずっとだ」







657以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/02(水) 21:20:30.255ShDD0UEO (1/4)

現状脱出は厳しいか


658 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/02(水) 21:51:16.31ltS57wsBo (4/11)


天乃「……捕らわれのお姫様みたい」

若葉「ふふっ、そうだな」

まさにその通りでしかないと若葉は思いながら、

それを言葉にしないようにと笑みを浮かべる

助けたくても助けられない

時は車ではそのままでいなければならない

嫌な思い、辛い思い、寂しい思いをさせてしまう

若葉「天乃は私の……いや、私達の可愛いお姫様だ」

次から次へと出てくる自分の非力さの証明

だが、若葉はその全てに対して力を尽くすと決めた

だから、卑屈にならない

天乃「何言ってるのよ……」

若葉「せっかくだ。どちらが妻か夫かこの際激しく論じるのはどうだ?」

天乃「とはいっても……今の状況だと、私が妻よね」


659 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/02(水) 22:01:54.31ltS57wsBo (5/11)


天乃がまだ不確かな胎児を愛でるように腹部を撫でると

若葉は確かにそうだな。と愛おしそうに答えてほほ笑む

いつかきっと、必ず生まれる子供

その母親が天乃なのだ

であれば、夫役というものは必然で

若葉「なんだか、似たような会話を繰り返してしまうな」

天乃「……うん」

若葉「…………」

天乃「でもね。それがきっと日常なのよ。話すようなことなんてほとんどなくて、くだらなくて他愛ない話をする。それが、そういうものなのよ」

きっとね? と、自信を持たずに天乃は言う

天乃は本当に、心から日常というものを味わった経験がない

だからこそ不確かで

その未だ報われていない心に寄り添うように

若葉は体を寄せ、天乃を抱く

若葉「全てが終わったら、そんな……くだらなくて他愛ない話で、どれだけ時間が潰せるのか。楽しんで生きよう」


660 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/02(水) 22:11:04.49ltS57wsBo (6/11)


↓1コンマ

一桁+二桁+5

※ぞろ目特殊
※わっしー


661以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/02(水) 22:11:18.445ShDD0UEO (2/4)




662以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/02(水) 22:12:04.31gPEcPfpkO (1/1)

わっしー先生!?わっしー先生じゃないか!?


663 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/02(水) 22:17:30.69ltS57wsBo (7/11)


4+4+4+4+5=21
東郷さんわっしー記憶補正

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流有(悪五郎との件)
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流有(二年間の記憶)
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流有(戦闘報告、一緒にいて欲しい)
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()



8月8日目 終了時点

乃木園子との絆 54(高い)
犬吠埼風との絆 67(とても高い)
犬吠埼樹との絆 56(とても高い)
結城友奈との絆 76(かなり高い)
東郷美森との絆 80(かなり高い)
三好夏凜との絆 96(かなり高い)
乃木若葉との絆 69(とても高い)
土居球子との絆 31(中々良い)
白鳥歌野との絆 26(中々良い)
藤森水都との絆 19(中々良い)
  郡千景との絆 20(中々良い)
   沙織との絆 79(かなり高い)
   九尾との絆 50(高い)
    神樹との絆 9(低い)

汚染度???%


664 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/02(水) 22:24:25.72ltS57wsBo (8/11)



√ 8月9日目 朝(特別病棟) ※火曜日

01~10 
11~20 若葉
21~30 
31~40 
41~50 千景
51~60 大赦
61~70 
71~80 瞳
81~90 
91~00 変な人

↓1のコンマ  


665以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/02(水) 22:25:17.62N6Hy1hVuO (1/3)




666 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/02(水) 22:36:13.14ltS57wsBo (9/11)

√ 8月9日目 朝(特別病棟) ※火曜日

1、九尾
2、千景
3、若葉
4、球子
5、歌野
6、水都
7、大赦
8、イベント判定

↓2


667以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/02(水) 22:37:33.80N6Hy1hVuO (2/3)

8


668以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/02(水) 22:39:44.075ShDD0UEO (3/4)

8


669 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/02(水) 22:54:25.27ltS57wsBo (10/11)

01~10 水都
11~20 若葉
21~30 沙織
31~40 春信
41~50 千景
51~60 大赦
61~70 特殊
71~80 瞳
81~90 久遠
91~00 変な人

↓1のコンマ  



670以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/02(水) 22:57:21.42TLmO+uun0 (1/1)




671 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/02(水) 23:06:04.65ltS57wsBo (11/11)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


千景「私は乃木さんとは違うわ……」

千景「貴女を……ここから誘拐する……!」


672以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/02(水) 23:14:37.375ShDD0UEO (4/4)


若葉を止めた時の千景は何処へ…
確かに早く外に出たいけど


673以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/02(水) 23:24:37.20N6Hy1hVuO (3/3)


勇者部のメンバーが全然訪ねてくれなくて心細いな


674以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/03(木) 14:45:50.54Xl2CmVjtO (1/1)




675以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/03(木) 14:46:29.45Yap4KzhXO (1/1)

判定に無い辺り会いに来るのは不可能なんじゃないか?

久遠さんの考える日常…一理ある


676 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/03(木) 22:01:12.194tum2GMxo (1/7)


では、少しだけ


677以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/03(木) 22:02:18.020QuwG93hO (1/3)

よしきた


678 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/03(木) 22:14:44.084tum2GMxo (2/7)


√8月9日目 朝(特別病棟) ※火曜日


いつもと違う、歪んだ天井

目を覚ませば見えるそれが嫌で横に体を傾けると、

若葉ではない手が見えて、上へと視線を上げていく

千景「遅くもなく早くもない時間ね……おはよう、久遠さん」

天乃「千景……?」

千景「乃木さんなら鍛錬に出ているわ。私では、不満かしら」

そっけなくも思えるような単調な声色

けれど、嫌われていると思わずに済む優しい瞳に、

天乃は小さく息をついて、首を振る

天乃「そんなことないわ。ただ、千景がいてくれるのが、ちょっと。不思議で」

千景「……そうね。私もそう思うわ」

以前、天乃が一緒に居てほしいと頼んだときは

精霊とはかくあるべきだと拒絶していた

だから、天乃は不思議だったのだ

若葉が鍛錬に出ると言っても、

歌野たちではなく、千景であることが。

天乃「何か、迷ってるの?」

千景「……っ」


679 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/03(木) 22:30:38.944tum2GMxo (3/7)


千景は一瞬驚き、視線を彷徨わせたが

天乃を一瞥すると落ち着きを取り戻して、首を振る

吐き出されたため息が、緊張しかけた空気を絶つ

千景「少し前に、三好さんに言われたわ。私が貴女に求めたことは、結局貴女を傷つけるだけでしかないと」

天乃「それって、千景達の事は人間ではなく、精霊としてみるべきだって話のこと?」

千景「そうよ」

頷いて答える千景の手が、ゆっくりと握り締められていく

握り締められているのは、なんなのだろうかと。

思い、動いた天乃の視線の先で千景は悲しげな表情を浮かべていて

千景「私達は精霊であるべき存在よ……むしろ、現存していてはいけない存在でさえある」

天乃「…………」

千景「だから、私達は戦いが終わったら消えるべきだと思う。貴女は私達を精霊として扱うべきだと思う」

前にも言ったことを繰り返し告げた千景は

だけど。と、小さく呟いて続けて

千景「三好さんに言われて解らなくなってしまったのよ……久遠さんが厄介なせいで」

天乃「それを本人に言う?」


680 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/03(木) 22:42:36.374tum2GMxo (4/7)


千景の容赦ない一言

どう反応すべきかと困りながら苦笑する天乃に向けて、

千景は「事実よ」と、追撃を加えて

千景「精霊扱いしてもしなくても、久遠さんは辛い思い、苦しい思い、嫌な思いをする」

呆れたように、千景は言う

握り締めていた拳はいつの間にか解かれて

悲しげだった表情は苦笑いを浮かべる

天乃「…………」

天乃が持つ若葉の記憶の中の郡千景のそれとはまったく違う

良く変わる少女の姿

天乃「ふふっ」

千景「……なぜ、笑うの」

天乃「ちょっと、思うことがあって」

本当はこんな少女であるのだと

こんなにも感情を持っているのだと

分かること、見られること、それが儚く切なく嬉しくて

天乃「……ごめんね、面倒くさい性格で」

千景「そうね」


681 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/03(木) 22:52:44.424tum2GMxo (5/7)


違うと否定しない

そんなことはないと取り繕うことはない

千景は若葉とは違うのだ

千景「…………」

少しの沈黙、以前は聞こえた虫の声もない本当の沈黙

おもむろに天井を見上げた千景は、

敷き詰めるように貼り付けられたようなヒトガタから目を逸らし、

床の一枚を剥ぎ取って握りつぶす

千景「けれど、それが久遠さんなのでしょう……?」

自分の言葉は決して間違いではないのだと自信はある

精霊がどうあるべきか、その考えも変えるつもりはない

けれど天乃の考え方を否定して、強制するのは誤りだと千景は思ったのだ

千景「だから、それで良いわ」

天乃「千景……」

千景「貴女が決めたことに対してどう進んでいくのか。その覚悟、その強さ、その意志は見せて貰ったから」


682 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/03(木) 23:05:38.054tum2GMxo (6/7)


自分が保険として戦場にいること、そのバーテックスとの戦いにおける利点

みんなが危なくなった際に力を使って助けることができる、自分のための現状維持

天乃はみんなとのこれからのために、それを捨てた

みんなを信じて、自分はこうすべきなのだと決意し、貫いた

それは決して簡単な選択ではなかったはずだ

それは決して天乃にとって容易い道ではないはずだ

それでも目的のために決行するその意志、揺らがせられるとは思えなくて。

千景「だから、決めたわ。私達精霊は精霊としてではなく久遠天乃の精霊として生きると」

天乃「……貴女はそれで良いの?」

千景「良いのよ。それに、私があのままで居続けても、無駄に長引くでしょう?」

天乃「そう、だったかもしれないわね」

否定しない天乃に、千景は解っていたというようにため息をつく

千景はきっと、若葉たちのように完全に心を許してくれたわけではないだろう

しかし、良き友人として傍にいてくれるその有り難味に、感謝を述べる



1、貴女は優しい子ね
2、東郷も、若葉も、歌野たちも記憶を戻したわ。貴女は本当に、良いの?
3、なら、千景。今度はもう、添い寝してくれるのよね?
4、ねぇ、この病棟のどこかに園子がいたりしない?
5、若葉が言ってた変な人って、千景は解る?


↓2


683以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/03(木) 23:06:55.51zE5fDzlcO (1/2)

1


684以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/03(木) 23:07:11.630QuwG93hO (2/3)

2


685以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/03(木) 23:07:41.76fl9Hel2s0 (1/1)

4


686 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/03(木) 23:16:05.644tum2GMxo (7/7)


では、ここまでとさせていただきます
明日も出来れば通常時間から


天乃「記憶は、良いの?」

千景「ええ、構わないわ」

千景「だって……」グイッ

天乃「!」

千景「そこに、貴女との記憶はないのだから」



杏「これです、これですよっ!」

園子「良いよね~」

杏「はいっ!」


687以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/03(木) 23:20:21.46zE5fDzlcO (2/2)


監督と化した園子


688以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/03(木) 23:21:06.280QuwG93hO (3/3)


今の千景なら辛い記憶も乗り越えていけると信じたいな

そして本編に出番がない分ノリノリな杏に笑った


689以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/04(金) 13:34:28.65RrUgUtGSO (1/1)




690 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/04(金) 22:05:31.45vWOcBN05o (1/9)


では、少しだけ


691以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/04(金) 22:11:47.82X7hqsPIlO (1/3)

かもん


692 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/04(金) 22:14:48.74vWOcBN05o (2/9)


千景には記憶を戻してはいないけれど、

何も覚えていない千景に口頭で話して聞かせたことがあった

死神が力を譲渡し、生まれた郡千景がまだ敬語を使っていた頃だ

それを思い出した天乃は思わず笑みを浮かべながら、

自分の手を見下ろして、そっと千景へと目を向ける

なぜ笑うのかと言いたげな表情に、また、微笑んで

天乃「東郷達は記憶を戻したわ。貴女は良いの?」

千景「……必要だと、思ったことはないわ」

天乃「どうして?」

千景「300年も昔のことを思い出したところで、今の私がその過去に対してどうする事もできないから」

嘲笑するように笑って見せた千景は、

自分の手を強く握り締めて、ため息をつく

その姿は切なそうで、悲しそうで

何よりも悔しさが感じられるもので

千景「それに、私が犯した過ちはもう知ったから。誰かのために生きること、そして抗わずに消えてしまうこと。それが私の生き方で良いと思った」


693 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/04(金) 22:28:06.82vWOcBN05o (3/9)


思いを馳せるような言葉が、空気のように薄く溢れて溶け込んでいく

穏やかな声は、天乃の記憶の中の千景が犯した過ちとは通じるものがなくて

あの頃の千景とは記憶だけの違いのはずなのに、

どこか、大人びたようにも見えた

千景「なんて、きっと言い訳だわ……私は自分が過去の過ちを繰り返さないという自信がないのよ」

天乃「記憶が戻ったって……いや……そっか」

千景「解るでしょう? 普通の記憶回復とは違って、九尾が行う方法は追体験に近いから……」

だから、絶対に精神に影響がないとは、言えない

実際に東郷は良いとも悪いとも言えない特殊な状態ではあるけれど

精神的な影響を受けてしまっていた

自分にそれがないかどうか、それが心配で、不安で

千景は記憶を戻すことを避けているのだ

もちろん、そうする必要がないと思っているというのも、完全な嘘ではないが。

天乃「……今の貴女は過去の貴女とは違うわ」

千景「それでも、私には抗えるなんて自信を持つことが出来ない……弱いのよ。私は」


694 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/04(金) 22:38:37.95vWOcBN05o (4/9)


薄く笑みを浮かべた千景は

明らかに自分のことを下に見ていて、嘲笑していて

けれど、そんな自分であることを悔いているように、悲しく思っているように

不快感を感じる表情を一瞬だけ見せる

千景「一度屈した以上……簡単には戻せない」

天乃「私が信じていても?」

千景「それは逆効果だわ……久遠さん」

その信頼、その純真な思いを裏切りたくないがゆえに努力する人もいるだろうが、

逆にそれゆえに物怖じしてしまう人も少なからずいるのだ

そして、今の千景は……後者

せっかく見つけた居場所

せっかく出会えた人々

精霊として散り去っていくわけではないのならば

失う理由が、必ずしも必要なものではないのならば。

千景にとって、それはとても惜しいものだった……けれど。


695 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/04(金) 22:46:49.00vWOcBN05o (5/9)


千景「……私は大切に思うあまり過ちを犯した。でも、それを知りながら、私は久遠さんの精霊になると決めたわ」

天乃「ちか――」

守りたいもの、大切に思う存在

それを千景は強く抱きしめて、思い、願う

天乃「千景……?」

叶うならば強くあれるようにと。

千景「だから、もう少し考えさせて。記憶を戻すかどうか」

天乃「…………」

千景「少しずつ、進んでいくべきことだと思うから」

若葉や歌野、東郷とは違って、千景の過去には闇がある

それゆえの受け入れがたさ

千景は儚げな笑みを浮かべながら天のを手放して

急に悪かったわ。と、冷静に告げて、息をつく

若葉のように寄り添っている千景の距離は

まだ少し、若葉よりも遠い気がした


696 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/04(金) 22:52:15.85vWOcBN05o (6/9)



√8月9日目 昼(特別病棟) ※火曜日


01~10 変質者
11~20 
21~30 九尾
31~40 
41~50 
51~60 歌野
61~70 
71~80 
81~90  水都
91~00  大赦

↓1のコンマ 



697以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/04(金) 22:53:21.33L0r2ArkVO (1/3)




698 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/04(金) 23:07:16.88vWOcBN05o (7/9)


√8月9日目 昼(特別病棟) ※火曜日

1、九尾
2、千景
3、若葉
4、球子
5、歌野
6、水都
7、大赦
8、イベント判定

↓2


699以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/04(金) 23:08:04.07L0r2ArkVO (2/3)

8


700以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/04(金) 23:10:55.51X7hqsPIlO (2/3)

8


701 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/04(金) 23:14:30.91vWOcBN05o (8/9)

01~10 沙織
11~20 水都
21~30 若葉
31~40 歌野
41~50 九尾
51~60 大赦
61~70 変な人
71~80 久遠
81~90 瞳
91~00 特殊

↓1のコンマ  



702以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/04(金) 23:15:42.34wz7UTjn70 (1/1)




703 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/04(金) 23:23:45.91vWOcBN05o (9/9)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


大赦「昼食をお持ち――」

歌野「ちょーっとまったぁーっ!」

大赦「!?」

歌野「うどんなんて許さん……蕎麦を食え、蕎麦!」

水都「うたのんってば……もう……」


704以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/04(金) 23:28:08.30L0r2ArkVO (3/3)


うどんそば戦争勃発


705以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/04(金) 23:30:06.43X7hqsPIlO (3/3)


勇者部が来ない分、しばらくはのわゆ勢との絆を深めていくかな


706以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/05(土) 16:06:27.05LxskefGkO (1/1)




707 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/05(土) 22:12:29.40kCDRi6ICo (1/8)

では、少しだけ


708以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/05(土) 22:13:10.39lsStUY6jO (1/3)

あいよ


709 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/05(土) 22:21:16.74kCDRi6ICo (2/8)


√8月9日目 昼(特別病棟) ※火曜日


歌野「実際に見るとホラーだわ」

お昼になって姿を見せた歌野は床にまで敷き詰められたヒトガタを避けるようと、

わざわざつま先立ちで踊るようにしながら、呆れたように零す

歌野「でも、みっちゃん曰く身代わりなのよねぇ……ここまでいくと。って言うのもあるけど」

天乃の近くにまで歩み寄り、ベッドの端に腰掛けた歌野は「知ってる?」と、

少しばかり自慢げに笑う

快活な笑みは友奈に通じるものがあるが

それはやはり、歌野独特の雰囲気があって

天乃は停滞する息苦しい雰囲気が乱れていくのを感じた

天乃「……知ってる。穢れを祓うためにも用いるヒトガタの人形……それ以外にも用途はあるけど残念ながら、私には無意味だった」

歌野「なら、こんな部屋にしなくたって良いんじゃないかしら」

天乃「保険だと思うわ。誰に対してか、なにに対してかは不確かだけど」


710 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/05(土) 22:34:14.01kCDRi6ICo (3/8)


思い返せば、園子も似たような部屋に入れられていたのだ

園子は天乃以上に身体機能を損なっており、穢れなどが園子に影響を及ぼさないようにと

正しく身代わりのために置かれていた可能性がある

もしくは、この人形によって、樹海化による影響を受けずに済むか……

天乃「それは、ないわね……」

それなら、知らないうちに消えてしまって、死んでしまっているのではないか。

巫女がそんな恐怖に駆られることはないはずなのだから。

天乃「それにしても、貴女達入れ替わり立ち代りで忙しないわね」

歌野「ん~マンネリ回避? 久遠さんはノーサンキュー?」

天乃「ううん、ただ……」

歌野の笑みに小さく零した天乃は、

薄く笑みを浮かべながら視線を下げると、首を横に振る

天乃「大変じゃないかなって、思――痛っ」

ベチッっと、中々に良い音を響かせた額を押さえ、天乃が顔を上げると

少年にも似た、無邪気な笑みを歌野は見せた


711 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/05(土) 22:43:24.10kCDRi6ICo (4/8)


歌野「ノープロブレム! 誰もそんなことは思ってないわ!」

天乃の額を打った右手の中指で何度も素振りを繰り返しながら、

歌野は高らかに声を上げて、明るい笑みから一転

優しげな表情へと転化する

歌野「みんな久遠さんが好き。だから、乃木さんも郡さんも私も……みんながこうして傍に来る」

天乃「……嫌なこと、言って良い?」

歌野「うーん……あんまり良くはないなぁ」

それはそうだろう。嫌なことを聞きたいか聞きたくないかといわれれば、

それが知りたい事ではないのだとしたら、聞きたいというはずがないわけで。

だから結局、歌野は「おーけー、良いよ」と続ける

歌野「その悩み、聞こう!」

天乃「もう……」

歌野のその明るさは、元気のよさは天乃が持つ雰囲気を悉く打ち砕く

どうしてもシリアスになりきれない、真剣になりきれない

ある意味では話しやすく、ある意味では話しにくい姿勢

天乃は呆れたため息をついて、苦笑する

天乃「それは私の精霊としての義務とかだったりはしないの?」

歌野「それは、私以外には言ったら駄目なことだね」

天乃「うん……でも、なんというか」

歌野「不安に、なるのよね」


712 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/05(土) 22:58:12.02kCDRi6ICo (5/8)


空気を沈ませるような天乃の浮かない表情に、歌野は言葉を合わせる

その気持ちを完全に理解できるとはいえない

けれど、見ていて分かる。感じる

天乃がどんな状態に陥ってしまうのか

無用な心配だと心では分かっていても、頭は考えてしまうのだ

こんな自分、こんな状況。そんな自分に付き添うのは……と。

歌野「まるで、出かけた後にガス栓を気にするみたいね」

天乃「そうかしら」

歌野「そうでしょ。だって、気になったらもう気にせずにはいられない」

冗談を語るように苦笑して見せた歌野は、

自分も農作業しているときに~と、過去に感じた不安を話して手を上げる

歌野「それも必要かもしれないわ。でも、自分がしっかりしてるって、みんなが思ってくれているって、信じることも必要なんじゃない?」

天乃「信じる……?」

歌野「ノーポジティブ、ノーライフ! 温かいのも、優しいのもいつだって明るいところにあるものだっ」

ビシッと決めて見せた歌野はどこか冗談めかしているけれど

それ以上に真剣味に溢れていて、浮かべる笑みには自信をひしひしと感じる


713 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/05(土) 23:10:38.82kCDRi6ICo (6/8)


歌野「大体、義務でやるならそこ譲れ! な、アイラブユーさんがいるじゃない?」

天乃「アイラブユーって……」

歌野「違う?」

天乃「ちがわ……ない?」

どこかで誰かが何か文句を言ったのか

一瞬、震えた空気を歌野は吸い込んで、笑みを浮かべる

終始笑顔だ

自分が語っていること、それは嘘じゃないよと、言うように

アイラブユーさんこと、自称乃木若葉さんは確かにそう言う人だ

義務感ゆえに不本意な形で寄り添うのなら、

自分にその席を譲れときっと彼女は言うだろう

歌野「だから、私達は自分の意志でここにくるのよ」

天乃「そう……よね。そうよね……ごめんなさい」

歌野「それこそノーサンキューよ。久遠さん」


714 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/05(土) 23:22:50.19kCDRi6ICo (7/8)


求めていないのに、望まれていないのに謝罪を口にしてしまう

そんな心の疲弊を感じさせる天乃に、

歌野は優しく声をかけて、そっと肩を叩く

歌野「みんな好きでやってる。だから平気。オーケー?」

天乃「う、うん」

歌野「ノンノン、オーケー?」

天乃「オーケー?」

明るく求めてくる姿勢に少し戸惑いながら続けて頷く

歌野はそれでも少し不服そうではあったけれど、「良ってことで!」と、笑う

歌野「久遠さんは我らが姫君だからね、ご贔屓するわ」

天乃「貴女までそう言うの?」

歌野「否定する?」

天乃「ううん、多分出来ないし無駄よ。聞いてた、だろうけどね」

天乃の浮かべる困った笑み

それは見ていて心配になるようなものではなくて

ようやくだと、歌野は満足げに息を付く

歌野「そのスマイルで良いのよ。久遠さん」

それこそが日常的なものだと、歌野は思うからだ


1、水都はどう? 戦闘後とか、大丈夫そう?
2、ねぇ歌野。貴女達も消えないでね……?
3、歌野も若葉が言う変な人を知ってるの?
4、歌野は大赦に関してどう思う?


↓2


715以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/05(土) 23:23:38.23azFX8+VwO (1/2)

2


716以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/05(土) 23:23:52.87lsStUY6jO (2/3)

2


717以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/05(土) 23:24:09.458cXrM5z20 (1/1)

2


718 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/05(土) 23:40:45.64kCDRi6ICo (8/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできればお昼頃から



歌野「ノンノン」

天乃「うたのん」

歌野「あまのん」

天乃「うたのんのん」

歌野「あまのんのん」

沙織「さおりんりんっ!」

園子「そのこけこっこーっ」

杏「あんZUNZUN」




719以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/05(土) 23:43:17.60azFX8+VwO (2/2)


勢いで笑った


720以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/05(土) 23:47:00.49lsStUY6jO (3/3)


改めてうたのんって久遠さんとは別方向に超人だなあ
みーちゃんに余程のことがないかぎり絶望する顔が想像できないや


721以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 01:32:40.04DP27nnsYO (1/1)


夜勤テンションの俺にこのオマケは効果抜群だわww
そのこけこっこーあんZUNZUNが完璧すぎる


722以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 11:36:06.78Aa++o56yO (1/1)




723 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 13:45:42.15x9yLb7EKo (1/22)


では、少しずつ



724以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 14:00:52.03EoL9MrY9O (1/6)

きてた


725 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 14:19:31.81x9yLb7EKo (2/22)


その明るさはとても大切で、損なわれてはいけないもの

目を向ければ見せてくれる笑みに、

天乃はいつかの日の、居なくなってしまった彼女に通じるものがあるような気がして

ベッドの上、暇を持て余している手を掴む

歌野「? どうかした?」

天乃「歌野……貴女達も消えないでね……?」

歌野「…………」

切なそうな声

寂しそうな雰囲気

歌野「……それは、約束できないなぁ」

その気持ちに答えてあげたいと思った

けれど、ほかの誰かが言うように

その約束はどうしても出来ないのだ

自分は精霊であって人間ではない

戦いが終わった後、天乃が本当に力を失った後

存在を残しておけるという保証はない

戦いで力を使い果たした後、消えないと言う保証はない

歌野「でも、出来るだけ頑張るわ。必死に、本気で、全力で、生き残れるよう努力はする」


726 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 14:55:30.78x9yLb7EKo (3/22)


精霊である歌野達は戦いによって傷つき、存在が消えても

しばらくすれば戻ってくることが出来る

しかし、それは天乃の力がしっかりと存在していた時で

天乃が力を損ない、存在の感知さえ鈍ってしまった現状

戦いによる傷の治癒は出来るだろうが、

消失した存在が戻ってくるのかは分からない

いや、きっと戻ってくることはできないだろう

歌野「ほんと、久遠さんはエクセレントよりもパーフェクトを求めるわね」

天乃「……ごめんね」

歌野「あーっ、ドンクライ、ドントクライ!」

天乃「泣いてなんか」

歌野「……弱ったなぁ」

こんなときどうしたら良いのか、十分な知識はなくて

見て来てはいたけれど、思った以上に天乃の心は傷ついていて

歌野は思わずそう溢しながら、天乃の頭に触れる

自分がその役目を負って良いのかは分からない

けれど、この場にいるのは自分だからと、かんがえて。

歌野「当然私達もパーフェクトを求めてる。だけど、犠牲なしに何かを成し遂げるなんてきっと無理」

天乃「……………」

歌野「でも、それがせめて最小限であるように頑張るから。だから、久遠さんはスマイルスマイル」

ぐっと天乃の口元を指で押し伸ばして、無理矢理に笑みを作らせ、歌野は笑う

歌野「そのために、そして久遠さんのハッピーエンドの為に。私達は戦うんだから」


727 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 15:17:24.24x9yLb7EKo (4/22)


その形がどのようなものであれ、

皆が天乃に好意を抱いていることは間違いのない事実

そして、みんなが天乃の幸せのために力を尽くすつもりなのも事実

だから、歌野の声は力強い

天乃「……ごめん、なんか、泣きそう」

歌野「えっ、あー……あー、うん」

手を掴んでいた天乃の手が腕へと昇って、

俯きがちだった頭が胸元へと倒れ込んできて

歌野は優しく抱きしめると、長く伸びるさらりとした髪に顔を埋める

歌野「嬉しい方なら、許可する」

天乃「私の方が、主人なんだから」

歌野「メイドに甘えるご主人様もいるって、伊集院さんは言ってたわ」

その良く分からない言葉はきっと、不要な知識で

天乃は顔を埋めたまま「あの子はもう……」と

呆れたように呟いた


728 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 15:25:54.42x9yLb7EKo (5/22)


√8月9日目 夕(特別病棟) ※火曜日


01~10 園子
11~20 
21~30 
31~40 水都
41~50 毒
51~60 
61~70 大赦
71~80 
81~90 
91~00  九尾

↓1のコンマ 


729以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 15:26:40.71EoL9MrY9O (2/6)




730 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 15:48:54.24x9yLb7EKo (6/22)


√8月9日目 夕(特別病棟) ※火曜日


窓がなければ、端末も時計もない部屋は

今が昼なのか夕方なのか、夜なのか

自分の感覚で判断するしかない

部屋に来るのは、天乃の精霊を除けば大赦の職員

それも神官の装いの人たちばかりで、生真面目で

冗談も何もなく、

ただ与えられた仕事をこなすだけの、つまらない人たちばかり

天乃にとってそれは、ただただ。退屈なだけだった


1、九尾
2、千景
3、若葉
4、球子
5、歌野
6、水都
7、大赦
8、イベント判定

↓2


731以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 15:50:05.36NnJKJDG6O (1/1)

8


732以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 15:50:49.65M5OZQiKj0 (1/5)

8


733 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 16:08:14.42x9yLb7EKo (7/22)


01~10 大赦
11~20 水都
21~30 若葉
31~40 沙織
41~50 九尾
51~60 こっそり
61~70 変な人
71~80 久遠
81~90 瞳
91~00 特殊

↓1のコンマ  



734以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 16:08:55.14EoL9MrY9O (3/6)




735以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 16:09:41.79FH/fh0Mf0 (1/1)

ほい


736 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 16:43:25.22x9yLb7EKo (8/22)


√8月9日目 夕(特別病棟) ※火曜日


水都「体の方は……問題なさそうですね」

天乃「ええ、大丈夫」

水都「それは良かったです」

天乃の落ち着いた様子に安堵の息を漏らした水都は、

少しかりますね。と、天乃の手を握って、瞳を覗く

穢れによって光を失った左目はまだ赤色で視力も戻っていない

水都「穢れの進行は確認できないので、今のところは停滞している……見たいですね」

天乃「停滞……じゃぁ、回復は?」

水都「それはまだ……悪五郎さんとの一件よりは退いてはいるけど、それ以上は」

天乃の状態を確認した水都は不安げに零し、天乃の手を離す

天乃は水都の浮かない表情には希望を感じることは出来なくて

そっか……と、辛いため息をついてしまう

水都「あ、えっと、でも、だ、大丈夫!」

天乃「そう、なの?」

水都「まだ子供が出来たわけじゃないから、穢れの抜けていく道がないの」

それゆえに停滞しているままなのだと水都は必死に説明する

歌野のようにはできない。そんな自分の不甲斐なさをまた、苦に思う


737 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 16:55:48.03x9yLb7EKo (9/22)


天乃「出来る……のよね?」

不安そうに、心配そうに天乃が自分の腹部を撫でる

歌野が何とかしてくれたものをすぐにまた壊してしまった自分を戒めるようにした唇を噛み締めた水都は、

きっと出来るから。と、

少しばかり不安に濡れた声で返して、笑みを見せる

それはとても、ひとを安心させられるような笑みではなくて

けれど、天乃は「ならよかった」と、笑う

落ち着けようと一生懸命

それが、分かってしまう人だから

水都「……………」

天乃「……………」

水都「……あ」

天乃「? なに?」

水都「えと……」

吹く風になびく砂粒のように零れた声

目を向けてきた天乃から、水都は逃れるように眼を逸らす


738 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 17:05:31.37x9yLb7EKo (10/22)


何でもないと言ってしまえば話は終わる

それを真っ先に考えてしまいそうな頭を横に振って、

水都は小さく息をつく

まだドキドキと緊張感に体は揺れてはいるが、

いつまでも、こんな調子ではいられないと思うからだ

水都「巫女として、色々とみてきたんだ」

天乃「大赦の……?」

水都「うん、変装とか潜入とか、そう言うのは苦手で誰かに話を聞くとかは出来なかったけど、出来る範囲でこの施設を見て回ったの」

何もできないままは嫌だった

何かを変えたかった

だから、頑張って、行動して

水都「乃木さん、見つけたよ」

天乃「……やっぱり、いたのね」

水都「うん、部屋を覗いてきたけど寝てたから話は出来なかった。多分、体調が優れない面会謝絶は決して嘘ではないと思う」


739 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 17:35:42.76x9yLb7EKo (11/22)


天乃「貴女から見て、園子はどうだった? 治りそうなの?」

水都「解らない」

園子に関しては、天乃とはその状態に陥った理由等相違があって

水都は困ったように首を振る

水都「神樹様の力を借りた結果、供物として捧げたのなら……真珠様次第だから」

天乃「……そうよね」

水都「ねぇ、久遠さんは乃木さんに会いたいと思う?」

天乃「それは、まぁ」

けれど、誰かの手を借りなければいけない以上、

ここから抜け出して会いに行くというのは難しい

真っ当な手段で大赦に許可をもらわなければいけない

そしておそらく、勇者部のみんなも、同じだ

何らかの理由を付けられて、面会謝絶中だろう

水都「私……なんとか、頑張ってみる」

天乃「えっ?」

水都「力に、なりたいから」



1、無理はしちゃだめよ
2、ううん、大丈夫よ。そんなことしなくたって
3、……解った。お願い


↓2


740以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 17:43:51.54M5OZQiKj0 (2/5)

3


741以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 17:44:05.81EoL9MrY9O (4/6)

3


742 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 18:09:13.87x9yLb7EKo (12/22)


天乃「……解った。お願い」

それはきっと簡単なことではないけれど

水都が自分から言い出したことだから

天乃は何か、その気持ちを止めてしまうような言葉の一切を排除して、頷く

本人がやると言ったのだ

して貰う側であるのならば、ただ、願う他ない

水都「うん、頑張ってみる」

胸元に手を宛がい、より強くなった緊張感を感じながら水都は答える

出来るかどうかわからない

もしかしたら失敗してしまうかもしれない

けれど、自分から何かを変えようとしていかなければ、きっと何も変わらない

変わるきっかけが自分以外の何かだとしても

それで変わるのは自分しかいないのだと

そう教えてくれた千景の言葉を思い出して、息をつく

水都「乃木さんもきっと会いたがってる。だから……行ってくるね」

天乃「うん、気を付けて」

水都は笑みを携え、姿を消す

不安がある、心配がある。けれど、少しだけの自信を感じる笑みだった


743 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 18:28:12.02x9yLb7EKo (13/22)


√8月9日目 夜(特別病棟) ※火曜日


01~10 園子 (精霊)
11~20 
21~30 
31~40 毒
41~50 
51~60 九尾
61~70 大赦
71~80 
81~90 
91~00  変な人

↓1のコンマ 



744以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 18:28:30.25M5OZQiKj0 (3/5)




745 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 18:36:27.61x9yLb7EKo (14/22)


√8月9日目 夜(特別病棟) ※火曜日

1、九尾
2、千景
3、若葉
4、球子
5、歌野
6、大赦
7、イベント判定

↓2



746以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 18:39:33.86EoL9MrY9O (5/6)

7


747以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 18:40:20.07M5OZQiKj0 (4/5)

1


748 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 19:00:01.08x9yLb7EKo (15/22)


言葉通り味気のない夕食を終えてから、しばらく時間が経って、

神官による就寝用の明かりへと切り替えられた部屋で、天乃は眠れずに目を開いて、息をつく

天乃「……九尾、いる?」

静寂に包まれた部屋の中に小さな声が響く

けれど、返事はない

いつもそばにいるはずの九尾からの返しがないことに不安を覚えながら

もう一度「ねぇ、九尾」と声をかけると

すぐそばに気配を感じて目を向けると、女性の姿をした九尾が佇んでいた

九尾「そう不安そうにするでない」

天乃「いたなら、すぐに来て」

九尾「善処しよう」

無表情にも見える表情で答えた九尾が近づく

暗い部屋の中、心許ない明かりに照らされる九尾の金色の髪、白い肌は宝石のように煌めき、

天乃の瞳に映る

九尾「勇者部が恋しいかえ?」

天乃「恋しくないと言えば、嘘になるけど……でも。みんながいてくれるから」


749 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 19:30:18.25x9yLb7EKo (16/22)


九尾「そうか」

ほんの少し安心したように言う九尾だが、

表情は相変わらず固定されたままで

何を考えているのか読みにくい様子に天乃は喉元まで来た言葉を飲み込む

何を企んでいるのか。

それを聞いても、九尾は何もないと誤魔化すか、適当な言葉で茶化すだけだと思うからだ

九尾「娘らに泣きついていたのは妾の夢かや?」

天乃「……見てたのね」

九尾「くふふっ、見ておるぞ。他の精霊ものう」

少し前なら感じ取れたこと

それが出来なくなっていることをわざと茶化すように言う九尾は

にやりと笑みを浮かべて

九尾「ごく普通の少女のようじゃった」

天乃「普通の女の子でももう少し強いわよ」

九尾「普通の小娘がここに連れてこられて、強く居れるわけがなかろう」


750 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 19:52:20.11x9yLb7EKo (17/22)


天乃の卑屈にも思える物言いに、九尾は不満げに言葉を投げてベッドに腰を下ろす

成人女性の重さが加わっても、ベッドは軋むことさえしない

九尾「して、主様はなぜ妾を呼んだ」

天乃「それは――」

九尾「淫行の手ほどきかえ?」

天乃「ヒトガタ使って封印するわよ、貴女」

もちろん、そんな事は出来ないし

それを分かっていながら、九尾は怖い怖いと茶化して笑うと

一息ついて、一転して表情を整える

妖怪ゆえか、切り替えが早いのだ

九尾「特別妾に要件などあるまい? 今の主様など、力はないのじゃから」

天乃「…………」



1、悪五郎との子供の件
2、本当に戦えないの?
3、園子の体……というより、満開の供物はどうなるの?
4、戦いは……いつ来るの?
5、ここに連れてきたときの巫女、連れてこられる?


↓2


751以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 19:56:33.67M5OZQiKj0 (5/5)

ksk


752以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 19:56:53.43EoL9MrY9O (6/6)

2


753 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 20:16:50.79x9yLb7EKo (18/22)


では、いったんここまでとさせていただきます
出来れば、22時頃に再開しますが
出来なければこのまま終了となります


754以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/06(日) 20:17:40.77zV7CmRfFO (1/1)

一旦乙


755 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 22:06:19.06x9yLb7EKo (19/22)


では、また少しだけ


756 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 22:37:20.02x9yLb7EKo (20/22)


天乃「そのことについて疑問があるのよ」

九尾「そのこと。とはなんじゃ?」

天乃「私の力について」

恍けるような九尾の態度に、

天乃はすこしだけ語気を強めて言うと

九尾はくくくっといつもの調子で笑って見せて

九尾「主様は出来るかもしれないと言う可能性のみの状況であろうと、可に懸けて力を使う女じゃろう?」

天乃「え?」

聞いたこととは違う答えに戸惑い間の抜けた声を溢すと、

九尾は嫌悪感のにじむ表情を浮かべた

九尾「正直に言おう。主様の力は現状ではまだ行使可能じゃ」

天乃「なら、どうして私はみんなを感知できなくなっちゃったの?」

九尾「主様の中に入り込んだ小僧の力と結びつき、流出。つまり、力の放出が出来なくなっておるからじゃ」

例えば、と

九尾はいいながら自分の髪を数本引き抜くと、

結び合わせて、引き合う

結び目が締まっている髪はどちらにも抜けずに留まる

九尾「主様の力は現状、こうなっておる」


757 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 23:07:22.74x9yLb7EKo (21/22)


天乃「でも、それだと力は完全に使えないんじゃないの?」

九尾「普通ならば、な」

天乃「普通なら?」

九尾「うむ。普通ならば、ここで思いとどまるだろう? 解くこともできない糸。なれば仕方がないと」

けれど、と

九尾は含みを持たせるように言葉を区切り、

少しの間をおいて、「力を使う方法はある」と、続ける

天乃「今さっきも行使可能と言ったわよね? でも、力を使えないと……」

九尾の手元、

結び付けられ、引っ張られていく髪へと視線を移した天乃は

もしかしてと、口を閉ざす

その驚き、その悟りに九尾は悲しげな表情を向けて

ブチリと、音がした

左右数本ずつ、しっかりと結ばれていた髪は長さもまばらに引きちぎれて

九尾の手に張り付くように垂れ下がっていく

九尾「そうじゃ。強硬手段を取れば力は無理矢理に扱うことが出来るようになるじゃろう」

天乃「でも」

九尾「……間違いなく、主様と悪五郎の子は産まれぬ」


758 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/06(日) 23:36:03.14x9yLb7EKo (22/22)


子供を形成していくために流れている力

それを無理やり切断してしまうのだから、当然だろう

天乃「…………」

九尾「主様がそれでもなお力を使うべきと思うのならば、使えばよい」

天乃「そんなの……」

出来るわけがない

けれど、本当に出来ないのかとも思う

夏凜達が満開を使い、

それでもなお勝つことが出来ず、死んでしまうかもしれない

そんな状況はないとは思う。だが、あったとしたら……

天乃「っ」

首を横に振って考えを取り消し、

ネガティブに染まり始めた頭の中身をぐちゃぐちゃにして、息をつく

天乃「夏凜達は大丈夫……だから」

九尾「絶対という保証はないぞ」

天乃「解ってる。けど」

でも、信じるべきなのだと、天乃は思う

歌野にも言われたこと。だから

天乃「私はみんなを信じるわ。みんななら大丈夫だって」

自分の腹部に手を宛がい、天乃は願うようにそう言った


759 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 00:14:54.49Q6/adNNno (1/15)


九尾「ならば、信じてやるがよい」

さっきまでとは違う優しい声色で言った九尾は、

天乃の腹部にある手に手を重ねて、目を閉じる

まだ鼓動はない

そこに命は存在していない

だが、少しずつ絡み合って一つになろうとしている力を感じる

九尾「案ずるな」

天乃「九尾……?」

九尾「主様が無茶さえしなければ、必ず子は生まれてくる」

男の子か、女の子か

一人か二人かは分からないが

かならず子供が生まれてくるだろうと

九尾は予言のように告げて天乃の腹部から頬へと手を移す

九尾「我らが愛しい主様、子と共に生きよ。主様は充分頑張った。もう休め」

天乃「どうしたの……?」

九尾「……いや、それが娘共の願い。というだけじゃ」

そう言って、九尾は笑みを見せる

愁いを帯びた、どこか遠くを見ているような……笑みだった


760 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 00:26:05.73Q6/adNNno (2/15)


1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流有(消えないで)
・   藤森水都:交流有(頑張って)
・     郡千景:交流有(過去の記憶)
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流有(力について)
・      神樹:交流無()



8月9日目 終了時点

乃木園子との絆 54(高い)
犬吠埼風との絆 67(とても高い)
犬吠埼樹との絆 56(とても高い)
結城友奈との絆 76(かなり高い)
東郷美森との絆 80(かなり高い)
三好夏凜との絆 96(かなり高い)
乃木若葉との絆 69(とても高い)
土居球子との絆 31(中々良い)
白鳥歌野との絆 29(中々良い)
藤森水都との絆 21(中々良い)
  郡千景との絆 22(中々良い)
   沙織との絆 79(かなり高い)
   九尾との絆 52(高い)
    神樹との絆 9(低い)

汚染度???%


761 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 00:33:23.33Q6/adNNno (3/15)


√8月10日目 朝(特別病棟) ※水曜日


01~10 園子 (精霊)
11~20 
21~30 
31~40 特殊
41~50 
51~60 
61~70 大赦
71~80 
81~90 
91~00  変な人

↓1のコンマ

ぞろ目特殊 


762以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 00:34:35.79GzjTAhI8O (1/2)




763 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 00:43:53.77Q6/adNNno (4/15)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早めから




九尾「…………」

千景「言わなくてもいいの?」

九尾「いう必要など、あるまい」

千景「……そう」

九尾「妾の事より、お主は問題なかろうな? 妾の力、扱えぬでは許さぬぞ」

千景「問題ないわ。私の力はずっと貴女達と共にあった力。貴女も私も。変わらない」


764以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 00:48:52.87GzjTAhI8O (2/2)


仲間を取るか子供を取るかって相変わらず久遠さんは辛い選択をせまられるなぁ

そしてオマケの方でも意味深なセリフが…?


765以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 02:48:54.30juIbpeoRO (1/1)


さすがに流産アタックはバッドエンド一直線な気がするぞ……


766以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 07:10:28.96lqGh0QsUO (1/1)


流産アタックとかぜってぇするなよ?マジで許されんぞ
…力を使うと破水みたいにぶっしゃーするなら見たい


767以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 18:33:11.19MlQDl7cWO (1/2)




768 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 19:59:20.95Q6/adNNno (5/15)


では、少しずつ


769以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 20:07:48.82pEk9dLycO (1/5)

りょーかい


770 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 20:22:00.24Q6/adNNno (6/15)


√8月10日目 朝(特別病棟) ※水曜日


目を覚ます。相変わらず時間も陽の明かりも解らない部屋では

今が朝かどうかですら分からないけれど

きっと朝だと信じて、股閉じてしまいそうな瞼を開いて息をつく

誰もいない部屋は静かで

特別で、けれど、有難みのない病床でしか聞けないリズムが聞こえる

天乃「夏凜は……まだ病院かしら」

若葉は一昨日、夏凜の退院までは一日延びた。と言っていた

つまり、昨日あるいは今日が退院の期日

今日ならば、退院はしても昼過ぎの可能性が高い

とはいっても、迎えに行くことや、会いに来てもらうこと

何もできはしないのだが。

天乃「皆は、きっとみんな一緒」

大赦に天乃の事を訪ね、激高……はしないと信じたいが

何らかの反抗あるいは、怒りをため込んでしまっている可能性が高い

しかしそれに対しても、

天乃自身が出来る事はなかった


771 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 20:49:01.51Q6/adNNno (7/15)


何もできない

何もさせて貰えない

出来る事は限られてしまったけれど、

それでもこの一瞬の間にも戦っているかもしれない大切な子達

皆にしてあげたいこと、させてあげたいことはあるのに

天乃「……無力ね」

自分の小さな白い手を見つめて握り、息をつく

天乃「駄目ね。まだ、名残がある……すぐ、悪い考えに流れちゃう」

穢れによって押し流されてしまう考え、心

それを抑えて、天乃は扉側へと目を向ける

誰か居るのだろうか

存在を感じ取れなくなってしまった精霊の、誰かが。


1、九尾
2、千景
3、若葉
4、球子
5、歌野
6、大赦
7、沙織
8、水都
9、イベント判定
0、

↓2


772以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 20:55:17.85pEk9dLycO (2/5)

9


773以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 20:55:39.401Pbpvyo90 (1/1)

9


774 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 21:12:07.02Q6/adNNno (8/15)


01~10 沙織
11~20 特殊
21~30 若葉
31~40 大赦
41~50 春信
51~60 瞳
61~70 特殊②
71~80 変な人
81~90 久遠
91~00 球子

↓1のコンマ

ぞろ目特殊 



775以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 21:13:22.75ZCesblRnO (1/2)




776以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 21:18:17.33pEk9dLycO (3/5)

!?


777 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 21:44:37.67Q6/adNNno (9/15)


こんこんっと扉がたたかれて

天乃は思わず身構える

しかし、いつもなら―天乃にとっては―無意味な前口上もなく扉が開き

神官と思しき人が、部屋へと入ってきた

天乃「貴方……なに?」

どれだけ言っても、神官たちは言葉遣いを直そうとはしない

それはすべきことだと言い張り、機械的にこなそうとするからだ

だが、この神官は違う

前口上はなく

歩き方も礼儀なんて感じないどかどかとしたもので

ヒトガタのいくつかが怯えて蹲るように倒れてしまう

「久遠様、本日は汗もかかれたことでしょう。禊の準備が整っております。御召し物をお持ちしましたので、着替えましょう」

天乃「……それは良いけど、なぜ貴方なの? 普通は巫女が来るはずよ」

「巫女は久遠様に触れることで穢れる事を気にしているので、私が指示を受けた次第です」

天乃「男性なのに?」

「良いではありませんか。男性経験もお済でしょう?」

天乃「は?」

明らかによろしくはない

明らかに怪しい

そんな神官をよくよく見れば、仮面は正しく作られたものではなく

ただの、紙だった


778 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 21:56:36.40Q6/adNNno (10/15)


天乃「……誰?」

近づいて来た男性はベッドの隣で立ち止まると

仮面の奥からじっと天乃を見下ろす

問いかけても、何も言わない

天乃「誰なの……?」

九尾の悪戯ではない

若葉達の身長でもない

つまり、精霊たちによる退屈を紛らわすためのドッキリ大成功ではない

では、なんなのか

力を喪失した状態であり、ベッドの上で逃げることが出来ないと言う状況

完全に追い詰められた天乃は恐怖に叫ぶ心臓を抑えるように胸元に手を宛がう

睨もうとしても、恐怖が勝る

力では勝てないと、分かっているからだ

「心配は要らないよ」

天乃「っ……」

どこか差しさを感じる声

それとは逆に大きな手が天乃の体目がけて伸びていく――


1、助けてみんな!
2、若葉!
3、千景!
4、手を弾く
5、無抵抗
6、自分で脱ぐ


↓2


779以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 21:56:54.95ZCesblRnO (2/2)

1


780以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 21:57:01.788TgdLpCJ0 (1/1)

魔翌力


781以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 21:57:08.36MlQDl7cWO (2/2)

2


782 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 22:18:19.91Q6/adNNno (11/15)


天乃「若葉っ!」

思わず目を瞑り、背中を丸めて名前を叫ぶ

触れる寸前だった男性の手がびくりと止まる

どこからともなく風が吹き、金色の髪が靡いて煌めきの一閃が天乃と男性の間に割り込む

若葉「――退けッ!」

「!」

若葉が叫んだ瞬間に閃光瞬き、男性が服装に似合わず後ろに飛び退く

紙一重――いや

「お見舞いの方ですか? 刀は持ち込み禁止ですよ」

彼にとって、それは全く恐れることも慌てる必要もないことだったらしい

仮面の奥で少しだけ困った声が漏れる

若葉「我が主に許可なく触れることは許さん。もう二度と、見逃すものか」

刀を構え、若葉はふっと息を吐き。そして――神官が動く

ヒトガタの首が飛ぶほどに強く床を踏み、蹴り飛ばした男性は神官装束をバタバタと小うるさく靡かせながら若葉へと肉薄

若葉の刀の腹を右手の甲で弾くと、下顎に左手を押し付ける……が

若葉「ッ!」

弾かれ、交差する左右の腕

斬り返す時間はないと瞬時に諦めた若葉は左手で鍔ごと右手を撃ち抜き、

男性の喉元目がけて肘打ちを仕掛けて

「おっ」

男性が回避し、距離を置いたのを見計らい、距離を試算

二歩瞬時に踏み込んで、右に振り抜いた状態の刀の刃をカチャリと切り替え――一閃

だが、それもまた男性は危なげなく回避して「怖い怖い」と、心にもない声で呟く


783 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 22:43:45.02Q6/adNNno (12/15)


若葉「……速いな。その格好で」

「職業柄、手と足だけは速いんだ。悪いな」

手の平を上に向け、お茶ら桁ように言った男性は

さてさて、と、袖を無理矢理にめくると仮面に手をかけ、姿勢を低くする

獲物を狙う獣のように

前傾姿勢になって、右手が床につく――瞬間

若葉「なっ」

一瞬だった

人形の形をしていた紙が舞う中、

瞬きする暇さえなく距離を詰めた男性が若葉の右手を左に弾き飛ばし、

地面スレスレを這わせていた右手を伸ばして足を掴んで引き倒す

若葉「うわぁっ!?」

若葉が天乃の視界から消え、ゴツンッと鈍い音がしてすぐ男性は後ろに飛び退く

若葉は気を失ったわけではないが、

ぶつけた頭を痛そうに撫でながらよろよろと立ち上がって

若葉「な、なっ、な……なにをするッ! 返せっ!」

何かに気づいて顔を真っ赤に染め、涙を浮かべた瞳で彼を睨む


784 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 23:17:01.58Q6/adNNno (13/15)


「もう襲わないなら」

若葉「ぐっ……」

ひらひらと、白い布を揺らして見せる男性に対し、

若葉は強く唇を噛んで、深く息をつく

心を落ち着かせるように姿勢を正し、刀を強く握る

若葉「解った。なら、それはくれてやる」

「…………」

若葉「好きなだけ私を辱めたらいい……だが、私の後ろには一歩も行かせない。天乃には指一本触れさせない!」

もう一度切っ先を向けた若葉はもう、顔色は元に戻っていて

スカートを抑えていた手も離れている

自分を考えず、ただ、守るべきものに尽くそうとするその姿に

男性は剥ぎ取った下着を投げ渡して仮面を外す

大地「解らなかったか? 俺だ」

若葉「大……じゃなかった。兄様だったのか」

大地「いかにも、兄様であるぞ!」

若干どころかかなり引き気味に後退りした若葉は、

下着を履きなおして、刀を納める

若葉「なぜここに来たんだ。兄様」

大地「つかまってると聞いてな、来るしかないと思った。ただそれだけだ。隠しておくのも酷だろうからな」


785 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 23:28:52.20Q6/adNNno (14/15)


若葉の言う兄様という言葉

それは信じてあげるべきことだが、しかしそれはあり得ないと天乃は首を振る

なにせ、若葉は300年前の人間で

若葉の記憶の中には兄なんて存在していなかった

仮にしているのだとしても

この世界に召喚していない以上、若葉の兄などいるはずがないのだ

天乃「……若葉にそんな呼び方を強要するなんて、最低だわ」

大地「そのヒンヤリ感、気持ちがいいぞ」

天乃「ひっ」

近づいてくる色んな意味で化け物の男性は、

頭を覆うフード状のものを外して、天乃へと見せる

短く切られた桃色の髪と、少し暗めの橙色の瞳

それは、まるで天乃のようで

天乃「なっ、え……」

大地「初めまして……と、言うべきだろうな。我が義妹たちの鍛錬にも付き合ってる優しいお兄ちゃんこと久遠大地だ。気軽にお兄ちゃんと呼んでくれ」

天乃「は?」



1、信じる
2、な、なに言ってるのよ……ふざけないで
3、若葉、どういうこと?
4、気軽にって、嫌よ……怖い
5、鍛錬……? まさか、友奈に変なことしたのも貴方なの?


↓2


786以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 23:29:57.133LYHnRglO (1/1)

5


787以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 23:31:19.74pEk9dLycO (4/5)

5


788 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/07(月) 23:39:33.58Q6/adNNno (15/15)

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




天乃「そんな……嘘よ……」

天乃「こんな人が私の兄だなんて」

天乃「嘘よ……ッ!」

若葉「それが……現実なんだ。兄様は、天乃の兄だ」ギュッ


789以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 23:41:30.452UdahThiO (1/1)


義妹増え過ぎィ!


790以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/07(月) 23:46:57.92pEk9dLycO (5/5)


最強のシリアスブレイカーがようやくまとも(?)に登場したか
そして若葉はくっころが凄い似合うなあw


791以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/08(火) 12:47:33.96YlAj6Z+WO (1/1)




792 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/08(火) 22:03:21.40cDD6asBdo (1/9)


では、少しだけ


793以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/08(火) 22:05:35.22En6Fl5Y/O (1/3)

よしきた


794 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/08(火) 22:08:22.12cDD6asBdo (2/9)


√8月10日目 朝(特別病棟) ※水曜日


彼はお兄ちゃんだと言った。そして若葉たちに対しても兄であると

つまり、みんなとしては義兄義妹の関係で、天乃とは本当の兄妹だと言いたいのだろう

そこまで頭は回っているし、理解も出来てはいるのだが

天乃の口からはこんな人が兄? と驚嘆の声が零れ落ちていく

天乃「…………」

若葉との戦いを見るに戦闘能力は人のそれを超えているだろうが

下着を剥ぎ取ったり、兄と呼ばせるなどと危ない意味でも超越している残念な自称兄へと目を向けた天乃は

ふと、若葉との会話を思い出して、向ける視線を鋭くする

天乃「……鍛錬って、言ったわよね」

大地「言ったぞ。若葉含め何人かの可愛い妹達の相手をしてる」

天乃「なら……友奈に変なことをしたのも貴方なの?」

大地「変なこと? ふむ?」

対して驚くようなことのない兄は眉を潜めながら考え込み、

ちらりと若葉へと目を向けて、察したように苦笑する

大地「若葉、人を勝手に変なお兄さんにしないでくれ」

若葉「わ、私は嘘は言っていないぞ。兄様が――」

大地「はいはい。それと、若葉は兄様ではなく兄上だぞ。千景に頼まれたな?」

若葉「ぐ……」



795 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/08(火) 22:17:27.92cDD6asBdo (3/9)


強く出て行く素振りを見せたものの、

動じない大地の姿勢、困った表情に身を引き、

若葉は悔しそうに自分の手首を握り締める

大地「好きに呼びたければお兄ちゃんに勝つのです」

若葉「わ、分かっているが、だが……いや、良い。すまない兄上」

大地「よろしい」

天乃「…………」

若葉があまりにも不快感を滲ませながら兄上と呼んだのに対し、

大地は上機嫌な笑みを見せ、天乃は思わず「き」で初めて「い」で終わる3字短縮可能な言葉を紡ぎかけたが、

無力な身の上、本気を出されてはと落ち着い息をつく

天乃「どうなの? 友奈になにかしたの?」

大地「お兄ちゃん教えてって言ったら教えてあげるぞ」

天乃「え……はぁ……?」

大地「さぁ、どうぞ」


796以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/08(火) 22:18:37.34DKlOMF0co (1/2)

ブレねえなぁ兄ちゃんwwwwww


797 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/08(火) 22:28:02.37cDD6asBdo (4/9)


にっこりと。

そんな表現の良く似合う子供のような笑みを浮かべる自称兄

もちろん気が向くわけがなく呆然としていると、

若葉が庇うように前に出て「兄上」と呼ぶ

若葉「今の天乃はただの女の子なんだ。酷いことはしないであげて欲しい」

大地「酷いこととは心外だな。お兄ちゃんはお兄ちゃんと愛おしい妹に呼ばれたいだけなんだが……」

心から残念そうに、悲しそうにぼやいた大地は

明らかに気力を損なった覚束無い足取りで適当なところに腰掛けると

はぁ……と、ため息をついて項垂れる

大地「お兄ちゃんは友奈ちゃんに酷いことはしてないぞ。それは約束する……というより誓えるぞ」

若葉「それは兄上基準だろう。私達からしたら酷い有様だったんだ」

天乃「何をしたの?」

大地「何をしたか。というのに答えるなら、俺はただ友奈ちゃんにお兄ちゃんと呼ばせただけだ」

さも当然のように自称兄は答え、何が問題なのかと言いたげな目を若葉へと向けため息一つ

大地「そのときにちょーっとお兄ちゃん呼称の素晴らしさについて説いたけど」

若葉「それが問題だったんだっ、知ってるだろう、そのせいでしばらくお兄ちゃんお姉ちゃんと付けて呼ぶ癖がついたんだぞ!」


798以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/08(火) 22:31:09.71DKlOMF0co (2/2)

さすおに!


799 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/08(火) 22:35:11.03cDD6asBdo (5/9)


憤りを見せる若葉の前で、しかし余裕綽々と言った様子で瞬きする自称兄は、

それが問題だとまったく理解していないといった様子で「はぁ……」とほうけた声を漏らして首を傾げる

大地「いいじゃん」

若葉「良いものかッ! コンビニ店員にありがとうお兄ちゃんっと言ってしまう友奈の気持ちになってみろっ!」

大地「お兄ちゃん…………」

言われ、理解できたのだろうか

眉を潜めて不快そうな表情を浮かべた自称兄に向けてため息をつくと

若葉は飛びかかろうとしているような体勢を控えて、首を振る

若葉「分かったか」

大地「ああ……良く分かった」

若葉「それなら――」

大地「若葉にはお兄ちゃん呼びは似合わないなっ」

若葉「そこじゃないだろっ!」

ああもうなんなんだ、なんなんだ助けてくれ教官……と

苦しそうに悶えた若葉は激しく頭を振って項垂れて、頭を抱えたままベッドへと腰掛ける

天乃「……大丈夫? 若葉」

返事はない。ただの抜け殻のようだ


800 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/08(火) 22:48:39.39cDD6asBdo (6/9)


大地「さて、友奈ちゃんにしたのはそれくらいで、後は正しく鍛錬に付き合った。へんなことはしてないぞ」

天乃「……若葉の時みたいに下着を剥ぎ取ったりは?」

大地「勇者状態で鍛錬してるからな。余計なことしようとすると弾かれる」

なら出来るならするのかと。

聞きたいと思う反面、聞いたら後戻りできない気がして口を閉ざし、

天乃は若葉の力ない手を握って、自称兄を見る

天乃「若葉が言ってた友奈に対する仕打ち、貴方との考えが違うということで解決したわ」

大地「そうか」

天乃「それで、貴方は本当に私の……兄。なの?」

大地「兄じゃない。お兄ちゃんだ」

天乃「うん、どっちも変わらな――」

大地「なんだとっ!」

天乃「ひぃっ!?」

ぐっと瞬間的に近付いてきた変態の挙動、見開かれた瞳に

天乃は耐え切れず悲鳴を上げて若葉の体に隠れる

大地「同じなものかいいか良く聞けお兄ちゃん兄上兄様お兄さん兄さん兄ちゃんと呼び方は多種ありそれは当然ながら一緒くたにすべきではない」

天乃「うぅ」

大地「例えばこのお兄ちゃんと兄ちゃんだが、一聞ではまったく同じようにも思えるがそう言う奴はまるで分かっていない。いいかお兄ちゃんというのは、【お】が付くか付かないで――」

天乃「分かった分かりましたごめんなさい。許して許してくださ――」

大地「いいや何も分かってないぞ良いかこれから大事なことをだな」

若葉「止めろ兄上!」


801 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/08(火) 23:06:07.34cDD6asBdo (7/9)


大地「むぅ」

若葉「天乃を泣かせるな」

大地「……そうか、すまん。あとでお兄ちゃん広辞苑を持ってきてやるからな。それを読んでくれ」

天乃「っ」

一転して穏やかな声色で話しかけた大地だったが、

これまでの態度でそう簡単に心を許すわけはなく

天乃は涙を浮かべながら睨むと、さっと若葉の影に隠れる

大地「昔はお兄ちゃんと結婚するって言って離れてさえくれなかったのになぁ」

天乃「…………」

大地「時間の流れは残酷だなぁ……」

しみじみと呟く大地の態度に天乃と若葉は警戒を怠らずに身構えて

しかし、大地は何をするでもなく、端末を取り出すと操作して

『私ねっ、私ねっ、お兄ちゃんのお嫁さんになるーっ! えへへっ』

可愛らしい女の子の元気な声が流れた

天乃「えっ?」

大地「これが証拠だ。可愛いだろ?」

若葉「兄上、最初から思っていたが流石に酷だと言わなかったことを言わせてくれ」

大地「ん?」

若葉「その、なんだ……気味が悪いぞ」

大地「……なら可愛い義妹である若葉にも理解できるようにお兄ちゃん広辞苑をプレゼントしよう。今度テストするからな?」

若葉「やめてくれ、私が悪かった」


802 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/08(火) 23:18:38.96cDD6asBdo (8/9)


大地「まぁまぁ、落ち着け」

散々茶化して満足したのか、大地はこれが本題なんだ。と

自分の端末とは別の端末を取り出して、天乃へと手渡す――のは無理だったので

若葉に渡し、天乃がそれを受け取る

大地「頼まれた端末だ。許可されていない端末からのアクセス等は出来ないよう設定しておいたから安心してもっておくといい」

若葉「頼んだのは昨日だったはずだが……」

大地「大事な義妹からの大好きな妹のための端末だぞ。何よりも早く願いをかなえてやるのがお兄ちゃんって奴だろ」

さっきまでの変な人と同一人物ではあるのだが、

それが嘘だったのではないかと思ってしまいそうなほど、優しい兄らしい笑みだった

大地「大赦には見つからないようにな? 多分回収されるだろうから」

されても下手な改造で気やしないだろうが。と

自慢げに言った大地は、まだ怯える天乃に少し切なげな息をつく

それは優しく、どこか嬉しそうで

大地「幸せになれ。お兄ちゃんからのお願いはそれだけだ」

そういうと、さっと立ち上がって「またな」と、手を振り去っていく



1、ありがとう
2、……ありがと、お兄ちゃん
3、ごめんね

↓2


803以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/08(火) 23:20:26.667zLFYgYeO (1/2)

1


804以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/08(火) 23:20:36.25En6Fl5Y/O (2/3)

2


805 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/08(火) 23:32:39.07cDD6asBdo (9/9)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



「600円になりまーす」

友奈「1100円でお願いします」

「あーい、500円のお返しでーす」

友奈「ありがとう、お兄ちゃんっ」

「あり……えっ?」

友奈「あ……な、何でもないですごめんなさいっ!」ダダッ


806以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/08(火) 23:34:33.857zLFYgYeO (2/2)


友奈かわかわ


807以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/08(火) 23:41:20.37En6Fl5Y/O (3/3)


今作の友奈ちゃんはえっちな子になったりお兄ちゃん指導されたりで大変だなw

あとは久遠さんが久遠家の家族として戻ってこれるのはいつの日になるのだろうか…


808以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/09(水) 09:27:11.33HiVZfmMrO (1/1)


クソ兄貴はクソ兄貴だったな

お兄ちゃん呼びってそんな深い話じゃないだろうに


809以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/09(水) 09:27:45.349YyvVqNlO (1/1)




810以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/09(水) 11:20:02.27IMiOEgT2o (1/1)

>>808
お兄ちゃん広辞苑を読まねばならないようだ
wikiに追加されないだろうか


811 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/09(水) 21:59:47.36zTRlFVwTo (1/11)


では、少しだけ


812以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/09(水) 22:03:38.87fUx5AOImO (1/4)

あいよ


813 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/09(水) 22:07:19.78zTRlFVwTo (2/11)


正直に言えば、怖い

兄に対する呼称についてあまりにも熱が入っていて

本当の本当に変質者そのもので

天乃「…………」

けれど。

そうっと若葉の背中から顔を覗かせて、自称兄の背中を見つめる

容姿は身長こそ大差あるが、髪の色や瞳の色はまさしく天乃の血縁者

大分前に沙織に聞いた兄の存在

そして、記憶にはなくとも感じる何かは、彼を認めている

……あまり、認めたくはないけれど。

若葉「大丈夫か?」

天乃「ん」

握った手の力が想像以上だったのか、若葉が少し心配そうに聞いてきて

天乃は小さく頷いて口を開く

天乃「あ……ありがと、お兄ちゃん」


814 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/09(水) 22:26:23.41zTRlFVwTo (3/11)


自分に対して行ってくれたこと―もちろん端末の件―への感謝を込めて

望みに応じて、言葉を投げかける

意識してというものはなんだか気恥ずかしく、むず痒く

顔は赤いし、声は小さなものになってしまったけれどしっかりと届いたはずだ

しかし

大地「えっ? なんだって?」

彼は振り返る。満足げなニヤついた笑みを浮かべながら

耳元に手を当て、聞き耳を立てるように天乃へと向ける

天乃「っ、き、聞こえたはずよ」

大地「すまん聞こえなかった。で、なんだって?」

天乃「だ、だからっ、その……」

大地「聞こえないぞー?」

天乃「~~~~~っ」

明らかにわざとらしくて、聞こえていたのは確実で

それでも求めてくる姿勢を続ける大地に天乃は苛立ちと恥ずかしさを湧き上がらせて、歯を食い縛る

動けるのなら、引っ叩いていただろう

天乃「もう二度と呼ばないっ!」

大地「悪かった悪かった! だから呼んで、お兄ちゃんと呼んで、我が愛しの妹、あまのん!」

天乃「絶対に言わないわよっ、もう、ばかっ! 帰って!」


815 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/09(水) 22:37:05.13zTRlFVwTo (4/11)


思わずそう怒鳴りつけると、

大地は「わーすまんすまん」と罪悪感など微塵も感じられない謝罪を述べて、

嫌味のない満足そうな笑みを見せる

大地「どうだ。兄ちゃんといるときは退屈しなかっただろ?」

天乃「っ」

大地「お前は笑ってるほうが絶対に良い。今みたいに怒ってる顔も良いけどな……だから、今朝みたいな顔はするな。しそうになったら兄ちゃんを呼べ」

いつだって、どんなときだって、どんなところにいたって、笑わせてやるからな。と、

大地は天乃へと、若葉へと、みんなへと告げて踵を返したが

すぐに振り返って、思い出したように口元に人差し指を立てる

大地「あ、若葉。ここに来たこと晴海には内緒だぞ。ダメ、絶対」

そんなしまりのない様子で、大地は部屋から抜け出していく

荒らすだけ荒らして、兄が消えて

取り残された二人は脱力感に襲われて大きくため息をつく

若葉「疲れるんだ……あれの相手は」

天乃「心中お察しするわ……」

いたのはほんの数分程度だが、

それでも面倒くささと煩わしさ忙しなさは十分に感じた。味わわされた


816 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/09(水) 22:44:05.80zTRlFVwTo (5/11)


天乃「でも、退屈は……しなそう」

相手するのは大変だが、それでも退屈はしない

寂しい思いなんて当然しないだろうし

きっと、悲しいことがあっても包み込んでくれるだろう

天乃「面倒だけどね」

直前のことを思い出し、笑みを浮かべた天乃は

彼から受け取った端末を大事に握り締める

若葉が言うように変な人だった

けれど、嫌いになりきれない人だった

何かがあったら、呼んでもいいのかもしれないと思う

若葉「正気か?」

天乃「そのときは若葉も一緒にね?」

若葉「やめてくれっ、千景だ。千景がいるぞ!」

千景「乃木さん!?」

天乃「あら、いたのね」

若葉「いいや、さっきまで逃げ――」

千景「その口を閉じなさい!」


817 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/09(水) 22:55:01.54zTRlFVwTo (6/11)


千景を身代わりにしようとする若葉と、それを押さえ込もうとする千景

300年前ではありえなかった光景を前に、天乃は小さく笑う

これも、彼が引き起こしたこと

若葉「兄上が来た途端に逃げただろうに!」

千景「それは……乃木さんに任せて平気だと思ったからよ」

ふいっと目を逸らした千景に、若葉は「なぜ目を逸らすッ」と、

追い討ちをかけるように言って

千景は気恥ずかしそうに頬を染めて、ため息をつく

千景「苦手……なのよ。生理的に……兄さん。なんて」

若葉「私も少し苦手だが……強くなるためだ。我慢するしかない」

千景「それは、分かっているけれど」

濁すように言う千景の目が向けられたのを感じて、

天乃は笑みを浮かべて、千景を見る

天乃「大丈夫よ。私もお兄ちゃんって呼ぶことになったから」

千景「そういう問題じゃ……いえ、良いわ。我慢すると決めたものね」


818 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/09(水) 23:02:56.65zTRlFVwTo (7/11)


千景は何か反論しようとしたが、

すぐに首を横に振って取り消すと、諦めの滲んだ笑みを浮かべて呟く

けれども、天乃は思う

千景に姉さん。と、呼ばれるのはどんなものなのだろうかと

お姉ちゃんでも、姉ちゃんでも、姉様でも姉上でもなく姉貴でもなく……

それはそう、千景が呼ぶべき呼称のような気がして――

天乃「ばかーっ!」

千景「!?」

呻いて枕へと顔を叩きつける

アレの妹の血が騒いだのか、アレの病気か何かが感染してしまったのか

とにもかくにも危うい考えをぺしゃんこにすべく、天乃はしばらく枕を抱え込んでいた


819 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/09(水) 23:08:25.98zTRlFVwTo (8/11)


√8月10日目 昼(特別病棟) ※水曜日


01~10 夏凜
11~20 
21~30 
31~40  友奈
41~50
51~60 東郷
61~70 
71~80 特殊
81~90 
91~00 大赦

↓1のコンマ 


820以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/09(水) 23:10:01.22fUx5AOImO (2/4)




821 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/09(水) 23:12:12.37zTRlFVwTo (9/11)


1、精霊組 ※再安価
2、勇者組 ※再安価
0、イベント判定

↓2


822以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/09(水) 23:15:04.08fUx5AOImO (3/4)

2


823以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/09(水) 23:15:26.72I7p39PS30 (1/1)

2


824 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/09(水) 23:18:14.16zTRlFVwTo (10/11)


1、夏凜
2、友奈
3、東郷
4、風
5、樹


↓2

※全てメール
※ナルコは念のため不使用


825以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/09(水) 23:20:26.53fUx5AOImO (4/4)

1


826以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/09(水) 23:25:11.379uYcBnjcO (1/1)

1


827 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/09(水) 23:31:54.98zTRlFVwTo (11/11)


ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



大地「ほら、どうした。簡単だろう? 御願いするんだ。ちゃんと」

千景「くっ……わ、私は……」

大地「俺は別に構わないぞ? 君が欲しいか欲しくないか。だからな」

千景「っ……私……」

千景「私に……教えて……に、兄さん」フイッ

大地「よしきた!」




828以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/09(水) 23:40:31.29lkUi+j5uO (1/1)


兄貴が久遠さん以外の子たちにもいかがわしい事してるように見えるぞw


829以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/09(水) 23:43:07.499VdTHHzUO (1/1)


こっちには来てもらえないのかな


830以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/10(木) 20:59:37.680jRlBOH2O (1/1)




831 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/10(木) 22:20:48.60RRw0E7bao (1/8)


では少しだけ


832以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/10(木) 22:27:33.92ygwqV54XO (1/3)

おっしゃ


833 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/10(木) 22:28:43.72RRw0E7bao (2/8)


√8月10日目 昼(特別病棟) ※水曜日


若葉「世話係は少し警戒していたようだな」

天乃「そうね……」

天乃に対して、というよりは

散ったヒトガタの無残さに怯えていたのだけれども。

天乃が自力の移動がほぼ不可能なのに対し、床のヒトガタが散っていたのが

より、不気味に思えたに違いない

若葉は申し訳なさそうに眉を潜めて、すまない。と呟く

若葉「兄上と無用な争いをしてしまったせいだ」

天乃「それ以前に千景が握り潰してもいたし、別に良いわよ。元々恐れられて嫌われているのは解っていた事だし」

ある意味で爆発物のようなものだと思われてると、天乃は自分への評価を思う

利用価値はあるが、危険物。取り扱い注意の代物

若葉「天乃……」

天乃「これまでと何も変わりはしないわ。きっとね」

若葉「……たとえ何かが変わっても、変わらなくても、全てが変わっても。私達は天乃の味方であり続ける」

若葉はそういいながら、世話係から隠し通した端末を天乃へと手渡す


834 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/10(木) 22:36:09.33RRw0E7bao (3/8)


若葉たちに預けて一緒に消えていて貰うだけだが、

それこそ誰にも見つかることのない絶好の隠し場所なのだ

天乃「ありがと」

若葉「気にするな。何かあったら呼んでくれ。すぐ傍にいるから」

天乃「うん」

優しく声をかけて姿を消した若葉を見送り、

天乃はふと息をついて端末の電源を入れる

ホーム画面は例の不審者が結婚届のサインをせがんでいるシチュエーションだったため

とりあえずはと、画像をデフォルトに切り替えて、アプリ一覧を見る

入っているアプリは勇者部と共通のもので、勇者専用のものもしっかりと入っているが、

その中の一つ、連絡用として用いることのできるアプリはサーバー側の監視の可能性も考えて試用を控える

なら。と、天乃は電話帳を開く

兄、姉、伊集院沙織、犬吠埼樹、犬吠埼風、東郷美森、三好夏凜、結城友奈、夢路瞳……クラスメイト数人

記憶には薄いが、天乃が元々持っていた端末との差異は殆どない

もっとも、兄と姉が追加されてはいるが。

天乃「……自分を先頭にするため、でしょうね」

名前ではなく兄、姉となっているのは、カナ順でトップに来させる為だろうと読んでため息をつく


835 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/10(木) 22:42:18.53RRw0E7bao (4/8)


天乃「とりあえず……」

アドレス一覧から夏凜のみを選択し、

退院に関してと、自分が今どうなっているのか

それを完結に文章化させて送信する

みんなにも知らせるべきではあるのだが

複数人とのやり取りになるとその分対応が増え

手放す―隠す―動作が手遅れになることを考慮して、夏凜一人

一応はみんなにも伝えてとの一文を入れてあるため、問題はないだろう

天乃「夏凜……怒ってるかしら」

こうなったのは不可抗力だ

しかし、その根本はといえば、天乃が相談せずに悪五郎との一件を行ったせいだ

それに対する答えも聞けていないのが

天乃は少しばかり、不安で

少ししてから、端末が受信を知らせる光を放つ


836 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/10(木) 22:52:33.45RRw0E7bao (5/8)


天乃「えーっと……」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 別にたいしたことはなかったわよ
 聞いてるとは思うけど、バーテックスの追撃のせいで
 無駄に検査入院期間が延長されただけだし…

 それよりもアンタでしょ
 あんたがするべきと思ったことだから、あんたが信じた相手だから
 私が信じるあんたの頼った相手だから、私には出来ないことだったから
 あんたの為になることだったから
 あんたがしたことに対して、文句はないし責めるつもりもない

 そもそも、そうすることであんたが避けたいってゴネ続けた力の無力化が起こるし
 私としては…まぁ、友奈達もか。そうしてくれてよかったと思う

 でもあんたは辛いはず、苦しいはず、嫌だろうし、怖いはず
 そんなストレスを溜めさせるような状況で、私達はあんたの傍にいられない
 それが、私は不安よ。

 あんた、寂しがり屋だし、じつは結構臆病で、怖がりで
 甘えん坊で、泣き虫だから
 それなのに誰からも頼られて、
 誰よりも強くて、誰よりも頑張って、誰よりも優しいから
 
 良い? 一人で抱え込むんじゃないわよ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


837 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/10(木) 23:02:48.75RRw0E7bao (6/8)


夏凜にしては長いメールだった

ほんの少しツンツンとしていて、けれども優しさのある文章

天乃「分かったようなこと言っちゃって」

寂しがりや、臆病、怖がり、甘えん坊、泣き虫

羅列された決め付けの文字列を視線でなぞりながら、天乃は笑み交じりのため息をつく

そんなことはないはずだと天乃は思って

スリープの真っ黒な画面に映った自分を見る

寂しそうで、不安そうで、誰かに……

天乃「そんなことはないと思うけど」

人差し指を口元に当て、にぃっと伸ばす

それでも瞳に変わりはなくて

結局、メールが出来ようが電話が出来ようが

それは一時凌ぎにしかならないのだと察する


838 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/10(木) 23:11:29.55RRw0E7bao (7/8)


天乃「……甘えん坊、かな」

できるのならば会いたいと

音だけでなく、寄り添う温もりを求めるというのは望みすぎだろうかと考えて

天乃は端末を握りながら、ため息をつく

何もないときは仕方がないと諦めがついたのに

こうして連絡手段が手に入った途端に頑張ればもしかして。と望みが顔を覗かせる自分に

天乃は少しだけ失望したのだ

それでは寂しがり屋ではないか。と

天乃「……ばーか」

指が触れて、夏凜からのメールが表示されて

天乃は冗談でも言うかのような軽い口調で呟き、返信を選ぶ

天乃「夏凜が変なこというから、変に考えちゃうじゃない」


1、私のこと何も分かってないわ。寂しがり屋とか、甘えん坊とか全然違うわよ
2、そんな寂しがり屋な女の子に会いたいとか思わないのね。夏凜は
3、それ全部夏凜のことじゃない。なに? どうしたの? 会いたいの?
4、じゃぁ、そんな寂しがり屋で甘えん坊で泣き虫で臆病で怖がりな女の子が嫌なこと、しないでね?
5、ねぇ、夏凜は自分が女の子じゃなく男の子だったら良かったなーとか、思わないの?



↓2


839以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/10(木) 23:14:34.17KKng0JLC0 (1/1)

4


840以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/10(木) 23:14:35.90wPkIrQO0O (1/2)

3


841以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/10(木) 23:14:50.92ygwqV54XO (2/3)

2


842 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/10(木) 23:24:08.44RRw0E7bao (8/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



夏凜「……メール。か」

風「ん? どしたー?」

夏凜「天乃からメール来たのよ。なんていうか、会いに行ってやれたらと思って」

風「ならどうよ、ちょっと大赦潰しに行かない?」

夏凜「馬鹿言うなっての」

東郷「私の弾丸は仮面ごとき撃ち抜きますよ」

樹「拘束くらいなら」

夏凜「やめろーっ!」


843以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/10(木) 23:28:09.28wPkIrQO0O (2/2)


アカン大赦消滅してまう


844以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/10(木) 23:35:05.08ygwqV54XO (3/3)


でも実際勇者部みんなが大赦に対してそれぐらい反感買ってそうだしな…
勇者部サイドの視点も見てみたいな



845以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/11(金) 14:54:14.017+03Y/uIO (1/2)




846 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/11(金) 22:09:30.24BSenjXHbo (1/7)


では、少しだけ


847以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/11(金) 22:12:28.69lb2+g9g2O (1/3)

かもーん


848 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/11(金) 22:16:15.21BSenjXHbo (2/7)


少しむくれながら、メールの文章を簡単に入力していく

夏凜のメールが思いのほか長くて

自分のメールが短いのはどうなのかなと思い悩んで

出来るだけ長くと文字を羅列していって消す

長く書けばいいというものでもないのだ

天乃「っ……こんな、別に悩むようなことでも」

普通に思ったこと

聞きたいこと、いいたこと

それをただ文字にしてしまえばいいだけなのに

それが中々上手くいかない

天乃「…………」

端末を握ったまま、ぐるっと寝返りを打って画面を見つめる

タイトルには何もなく、本文にもない

天乃「夏凜が変なこというからいけないのよ……」

ぶつぶつと文句をいいながら、

夏凜が抱く天乃の印象その全ては自分のことではないのかと、

会いたいのかと、ちょっぴり煽り文句の売り言葉で紡ぎ、メールを送った


849 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/11(金) 22:26:28.79BSenjXHbo (3/7)


送ってすぐに返事が来ることはないだろうと端末を枕元に置き、深く息をつく

見えないだけでどこかに若葉たちがいてくれている

呼べば出てきてくれるだろうし、寂しいということはない

けれど、呼ぶ時点で寂しいのではといわれれば、負ける

天乃「負けるって……」

数日前に会ったばかりで若葉たちだっているのに

天乃は言葉にし難い寂しさを感じて端末を握る

機械的な熱が肌を暖めて、すぐに冷めてしまうそれがまた、切なさを孕む

天乃「臆病、寂しがり屋……私が? そんなの……」

どうだろうかと思う

一人ぼっちになったとき、自分は寂しいと思わなかっただろうか

何かを恐れたりすることなく、強くいられただろうか

自分のいない戦いがあった日は、どうだったのか

天乃「……良く、見てる」

ぼそりと呟き、端末を握る手を額に宛がう

色々と相談事をした、後輩なのに頼ることもあった

それを思い出し、天乃は儚げに笑みを浮かべる

臆病で、寂しがり屋それはきっと嘘じゃない間違いでもない、まさしく自分のことであると

チカチカと点滅する端末のランプを見て苦笑し、スリープを解除する


850 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/11(金) 22:41:28.53BSenjXHbo (4/7)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 はぁ?私が寂しがり屋で臆病で甘えん坊で泣き虫で怖がり?なに言ってんのあんた
 私は別に怖いものとかないし泣き虫じゃないし甘えたりしないし泣いたりもしないわよ
 あんたとは違うっての
 
 けど、

 家に戻った時、あんたの姿が見えない、あんたの声が聞こえない
 それは少し、物足りないと思う

 だから、

 会いたいとは思ってるわよ。本当に
 あんたのためにも、私達の為にもきっと会うべきだと思うし、
 そうじゃなくても、私はあんたの顔が見たい

 あんたはいつも頑張ってるから、無茶ばかりするから
 傍にいないと、いつも見ておかないと、どうにかなるんじゃないかって
 ほんの少し不安で、怖くもあるから

 なんて…

 結局、私もアンタと同じなのかもね
 

 大赦は私達をあわせようとはしてないわ。理由を付けて接触を阻んできてる
 大赦は心身への穢れの影響が不安定なためって言ってる

 あんたが悪五郎としたのは、精神的に狂って
 悪い妖怪でもあった悪五郎にそそのかされてしまったって考えてるのかもって
 瞳は言ってた

 でも、あんたのそれは私達にとって守るべきもの
 私達が残していかなければいけないもの
 兄貴にも言っておいたけど……何かあったらすぐに知らせなさいよ

 空メールでもいい

 そうしたら――私達が何が何でもアンタを取り戻しに行くから


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

天乃「また、ちょっと長い」

長さに思いは関係ないと天乃は思うが、

いつも短く終わる夏凜のメールが長く続くというのは嬉しくて、幸せで

天乃はメールに目を通しながら小さく笑みを浮かべた


851 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/11(金) 22:55:52.92BSenjXHbo (5/7)


天乃「何が何でも……か」

その気持ちは嬉しかった

その優しさはありがたかった

けれど、それは最後の最後の本当に最悪な手段

夏凜達もそれが分かっているからこそ、何かがあったらと言った

天乃「無茶は、しないでね。無理もしないでね。夏凜……貴女は良く、分かっているだろうけど」

お前が言うなと夏凜は言うと思う

けれどそれでも願い、祈り、求める

自分が散々して来たことだとしても……

聞こえないことを承知の上で呟きながら、文章を打つ

きっと、夏凜はメールを見たら笑うはず

何を言ってるんだかと、分かってるわよと

呆れ混じりに笑いながら、当然。と、返してくる

天乃「でもね……言葉が欲しい」

メールを送信し、胸に端末を抱いてふっと一息

夏凜は会いたいと言った

なら自分はと、考えて

熱を帯びる目元を覆い隠すように手の甲を当てる

天乃「……私も会いたい」

今いる場所は久遠天乃にとって日常だ

けれど、それは少女にとっての日常とは大きくかけ離れていた



852 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/11(金) 23:07:13.65BSenjXHbo (6/7)


√8月10日目 夕(特別病棟) ※水曜日


01~10 
11~20 大赦
21~30 
31~40  特殊
41~50 
51~60  友奈
61~70 
71~80 
81~90  樹海化
91~00 

↓1のコンマ 

※ぞろ目特殊


853以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/11(金) 23:07:22.44ZwR1tsadO (1/2)

1


854以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/11(金) 23:08:46.06lb2+g9g2O (2/3)

ここで特殊きたか


855以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/11(金) 23:09:02.937+03Y/uIO (2/2)

!?


856 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/11(金) 23:15:11.97BSenjXHbo (7/7)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




バーテックス「本気出す」

鎮魂歌「特殊樹海化で出陣する!」


857以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/11(金) 23:15:48.65ZwR1tsadO (2/2)


ええええええええ


858以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/11(金) 23:22:11.17lb2+g9g2O (3/3)


まさかの樹海化の特殊だと…!?
夏凜ちゃんとやっと連絡できた矢先にとは容赦ないな


859以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/12(土) 21:22:49.45oPHTfC53O (1/1)




860 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/12(土) 22:18:41.82ooxsX3+ao (1/7)


では、少しずつ


861 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/12(土) 22:28:19.13ooxsX3+ao (2/7)


√8月10日目 夕(特別病棟) ※水曜日


お初にお目にかかります。国土亜耶と言います

夕食をとらされている時間に訪れた訪問者は、丁寧に頭を下げてそう切り出した

聞いたことのない名前ではあるが、

彼女は天乃のことを知っているのだろう

天乃が名乗るよりも先に、少しだけ近付く

天乃「食事中よ」

「すみません。ですが、通しておきたいお話があるんです」

天乃の突き放すような言葉にもめげることなく、

巫女装束を着込んだ少女は話がしやすい距離にまで近付くと

また、一礼をして

「そう遠くない未来に、私達は外の世界に向かわなければなりません」

天乃「だから、なに? その許可を出せとでも言うの?」

「いえ、久遠様には浄化の力が――」

天乃「ないわよ。無い。今の私にはね」


862以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/12(土) 22:33:19.08vBoQagpJO (1/1)

まさかの出演


863 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/12(土) 22:56:13.60ooxsX3+ao (3/7)


頼りたい部分にしか頼らない姿勢には苛立ちを覚えるが、

そんな感情を押し隠すように箸をおき、答えた天乃は、

巫女の少女の顔をまっすぐ見つめて繰り返す

天乃「今の私には勇者になる力さえないのよ。いわなかったかしら」

「……伺っておりません」

天乃「なら、そういうこと」

突き放すように言葉を投げて、目を背ける

今は力になることなんて出来はしない

精霊に頼んでその力を使ってもらうことはできるが

それをすれば精霊であるみんなが背負うことになる

なら、本当に必要だと判断できるまでは頼むことはしない

天乃「それにしても、よくそんな考えが出来たものね。策はあるの?」

「神樹様もいつまで持つのか定かでは有りません。ですので、人類が生き延びるにはしなければならないことなのです」

天乃「……それもまた、勇者にやらせるつもり?」

「それに関してはまだ確定してはいませんので」


864 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/12(土) 23:09:08.47ooxsX3+ao (4/7)


天乃「……あら」

嘘だと、天乃は気づく

極めて無感情なように言葉を並べている少女ではあるが

所々に感情が滲んでいるし

嘘をつくのは不得手なのか、表情が変わったからだ

しかし、ここで追求してもこの少女が答えるとは限らないし

ただ困らせ、苦しませるだけになる

それに、勇者がやると限った話でもない

もちろん、その可能性もあるがそれはそれで今までと大きな変化は無い

天乃「そう」

「……はい」

天乃「で? 私に力があるならどうして欲しかったの?」

「外に出た調査隊の影響を抑制する方法を探るためにご協力いただければと……」

そう言った巫女は、力が使えないのであれば。と

一礼して出口へと向かっていく

外へ出る必要があることは天乃も分かっているのだ

しかし、今はまだバーテックスが結界の外にはいる

星屑ならばまだしも、バーテックスが出現する今は無理なはずで

そんなことはいくら大赦でも分かっているだろうし、無謀であると控えてくれるはずなのだ

天乃「……でも、私に会いに来た。私の力を借りに来た」


865 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/12(土) 23:26:21.66ooxsX3+ao (5/7)


それが、天乃には疑問だった

まだまだ先のことなのなら、こうして会いに来る必要は無いはずだし

多少、情報を集めてから交渉に来るはずだ

けれど、それを怠った状態で大赦からの使いがやってきたのが

天乃には不可解で、しかし、だからこそ思う

近いうちに大きな戦いが確定していて、

その結果次第では調査隊を派遣しようと考えているのではないか。と

天乃「…………」

夏凜達にはその神託が伝わっているのか

それが気になって、隠していた端末を握る

勇者に行わせるかどうかが不確定というのも

その考えに対しては……不穏だった


866 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/12(土) 23:42:32.01ooxsX3+ao (6/7)


√8月10日目 夜(特別病棟) ※水曜日


01~10 沙織
11~20 夏凜
21~30 
31~40 
41~50 友奈
51~60 大赦
61~70 
71~80 東郷
81~90 
91~00 風

↓1のコンマ 


867以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/12(土) 23:43:05.001Nk+VfSTO (1/1)




868 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/12(土) 23:56:28.09ooxsX3+ao (7/7)


では、風先輩からの連絡を着信スルーしてここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼頃から


亜耶「失礼しました」テクテクテク……

亜耶「…………」

亜耶(優しい人って聞いたのですが)

亜耶(優しい人って聞いたのですが!)

亜耶「人を……殺せる目をしていました……」グスッ

九尾「おやおや、そこのお嬢さん。どうされました?」クフフ


869以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/12(土) 23:57:04.62DDb1W6I4O (1/1)


風か、なにかな?


870以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 00:01:38.6615vGFYzlO (1/1)


亜耶ちゃんは神樹と関わり深いんだっけか
久遠家とはお互いに誤解してそうだ


871以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 12:34:12.90tHWRZzp0O (1/1)




872 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 15:26:39.84On5GPx40o (1/21)


では、少しずつ


873 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 15:51:19.98On5GPx40o (2/21)


√8月10日目 夜(特別病棟) ※水曜日


夜になって、風からのメールが届いた

とはいっても、内容はそこまで緊迫したものではなく、

ただ、端末を取り戻したみたいだから連絡してみたよ。という

夜にしなくてもいいような、メールで

天乃「……何よ」

そこには夏凜と同じように天乃は寂しがり屋だからと記されていて、

天乃はすこし膨れた様子で文句を呟く

返信せずに放置してあげようか

そんなことを考えて、息をつく

風は夏凜と並んで大赦に繋がりのある勇者部員

であれば、さっきの話を聞いている可能性もあるのだ

しかし、あれが内密な情報である可能性は高く―むしろ確定的―それを風に知らせるのは

風を危険に晒すのではないかと、天乃は思う



874 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 16:11:59.24On5GPx40o (3/21)


天乃「どうするべきかしら」

一人で抱え込まないようにと夏凜には言われたし

今の天乃には特殊な物事を解決できるほどの力はない

しかし、殆ど確定となった大きな戦いと

勇者ではない何かによる結界外の調査

明るい話題など一つもないものを

風に伝えても良いのだろうか

天乃「……風もきっとそんな相談されるなんて考えてないわよね」

普通の友人のように

端末が戻ったから、寂しいだろうから

そんな気遣いでくれたメールなのだから



1、大きな戦い、殆ど確実みたいよ
2、壁外調査を行う可能性があるみたいよ
3、別に寂しくはないわよ。平気
4、何なのよ貴女まで……夏凜も寂しがり屋だなんて言ってきたわ
5、寂しいって言ったら。会いに来てくれるの?
6、みんなはどう? 大丈夫そう?



↓2


875以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 16:14:18.15yrbxZbcy0 (1/4)

2


876以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 16:14:41.49EL3mh0EJO (1/1)

6


877 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 16:38:02.43On5GPx40o (4/21)


天乃「…………」

少し考えてから、

みんなが不安そうにしていないか、元気にやっているか

ごくありふれた質問を並べたメールを返す

大赦もさすがに、襲来の神託を受け取っておきながら

それをみんなに知らせないと言うことはないはずだと思ったし

それならむしろ、勇者―自分たち―以外を使っての調査計画という

今後のみんなの安否が不安になったり、大赦に対してより憎しみに似た感情を持たせてしまうようなことは

極力避けるべきだと考えて。

天乃「風……一応、私達約束しているのよ?」

にも拘らず悪五郎と行為をして遥かに延期したのは自分だけど。と

皮肉を思い浮かべて苦笑する

天乃「溜まった性的欲求が悪い方向に流れていなければいいけど」

それは少しだけ、心配になってしまう


878 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 17:20:29.41On5GPx40o (5/21)


色々なことを考えていると、風からのメールが返ってきた

勇者部の活動は可能な限りに手を付けているようで、

町内会の手伝いや、ごみ拾い等の掃除に着手しながら

自分たちが本来いるべき日常を忘れないようにしていると、風は綴る

樹に関しては、今までと変わらず友奈と一緒に鍛錬へと出かけているようで

風と東郷もそれに付き合って鍛錬をするようになったことも合わせて報告が来た

天乃「みんな頑張って……えっ?」

ほのぼのとした内容が続く風からの活動報告だったが

それが終わるかというところで、見つけた一文に思わず声を漏らす

天乃「…………」

鍛錬ではお兄ちゃん呼びが強制されるのは何とかしたいわね。と

困り顔の絵文字のようなものが添えられた一文

確実に、あの変質者―兄―のことだろう

天乃「風にまで強制……って言うことは、東郷もよね……」

記憶を戻した東郷であれば、

天乃の兄が妹に対して異常なまでの執着を持っていることも思い出してしまったはずだ

天乃「……確か須美はお兄ちゃんの事、物凄く苦手だった気がするんだけど」

抜けた記憶では不確かではあるが、覚えている限りの須美の言動から察するに

それは間違いないと、天乃は息づく

天乃「大丈夫かしら?」


879 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 18:10:59.80On5GPx40o (6/21)


風からの報告にそのあたりのことは記載されていなくて

ほんの少し不安にもなるけれど

でも、特に明記しないと言うことは風が見ている限りでは問題なかったと言うことにもなる

天乃「……どうしようかしら」

深く聞くべきか、それとも聞かずにいるべきか

今でも兄の印象は天乃にとって庁がつくほどのシスコンさんになり果てており

それ以下になる事はないかもしれないが

それでも、好奇心が芽生えるのは少し難しい

天乃「…………」

端末を握りしめていると、

時間が経ちすぎたのかスリープモードへと移行して画面が真っ暗になる

それと同時に部屋の明かりも大きく損なわれて

一人ぼっちという感覚がより色濃くなっていく


1、東郷は大丈夫だった?
2、これからも、メールちょうだいね
3、エッチは、平気?
4、鍛錬で無茶しすぎないようにね?


↓2


880以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 18:16:45.90IwOQGZJTO (1/1)

2


881以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 18:17:13.420X5eM55YO (1/5)

3


882 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 18:41:33.64On5GPx40o (7/21)


子供が無事に生まれて、いろんなことが問題なく終わることが出来たら

風とはそう言う約束をしたけれど

それでも人間には欲求というものがあって、

理性緒で押さえつけることもできるが、出来ないことだってあるわけで。

天乃は本当に送っていいのかどうか

メールの文章をうち終えた後に悩んで、送信を選ぶ

天乃「……えっちは、出来ないけど」

天乃が受けることはできないし

出来たとしても今は監禁されている状態ゆえに、することはできない

それでも話を聞いて、天乃にはおもい浮かばないような

天乃がここにいてもしてあげられることを

風が求めてくるのではないかと

それで力になってあげられるのではないかと

そう考えたからだ

天乃「……なんでも、言ってね。風。出来る事なら、するから」


883 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 18:59:09.81On5GPx40o (8/21)


01~10 
11~20 にゃんにゃん
21~30 
31~40 
41~50 わんわん
51~60 
61~70 
71~80 あの子のスカートの中
81~90 
91~00 

↓1のコンマ 

※ぞろ目特殊風先輩ストレス大の可能性


884以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 19:02:42.240X5eM55YO (2/5)




885 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 19:11:42.60On5GPx40o (9/21)


天乃「……あら」

風からのメールは変身までの時間が長かった割には

とても短く、しかしながらとても不自然な改行の多いものだった

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   大丈夫だから、気にしなくて良いから。平気






━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

その明らかな違和感は文章を何度も書いて、消して

考えて悩んでやっぱりやめた

風の苦悩が透けて見える気がして

天乃は困ったように笑みを浮かべる

天乃「無理しちゃって……」

そうしてしまったのは自分だから

少しばかりの罪悪感を抱く天乃は

合流することが出来たら

何かしてあげるべきだろうなと思い、何が出来るのだろうかと

考えておくことにした


886 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 19:38:45.18On5GPx40o (10/21)

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流有(日常報告、えっちについて)
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(メール、会いたいの?)
・   乃木若葉:交流有(助けて)
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()



8月10日目 終了時点

乃木園子との絆 54(高い)
犬吠埼風との絆 70(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 56(とても高い)
結城友奈との絆 76(かなり高い)
東郷美森との絆 80(かなり高い)
三好夏凜との絆 99(かなり高い)
乃木若葉との絆 70(かなり高い)
土居球子との絆 31(中々良い)
白鳥歌野との絆 29(中々良い)
藤森水都との絆 21(中々良い)
  郡千景との絆 22(中々良い)
   沙織との絆 79(かなり高い)
   九尾との絆 52(高い)
    神樹との絆 9(低い)

汚染度???%


887 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 19:40:28.99On5GPx40o (11/21)


では、少し中断します
21時には再開予定ですが
もしかしたらこのまま終了、明日の通常時間再開の可能性もあります


888以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 19:42:49.79K1lYqHUqO (1/4)

一旦乙


889以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 19:47:45.740X5eM55YO (3/5)

一旦乙
早くみんなに会いたいな


890 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 21:16:35.40On5GPx40o (12/21)


では、再開します


891 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 21:20:08.56On5GPx40o (13/21)


√ 8月11日目 朝(特別病棟) ※木曜日

01~10 樹
11~20 
21~30 
31~40 友奈
41~50 
51~60 バテクス
61~70 東郷
71~80 
81~90 
91~00 大赦

↓1のコンマ  


892以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 21:21:19.30K1lYqHUqO (2/4)




893 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 21:39:46.31On5GPx40o (14/21)


√ 8月11日目 朝(特別病棟) ※木曜日


天乃「………」

皆からの連絡や、大赦からの接触がない限り

天乃は手持無沙汰で空虚な時間を強制されてしまう

いまでこそ兄が持ち込んでくれた端末があるため

気が狂いそうな自由とまではいかなくて済むのだが。

天乃「東郷……」

昨日少し気になった東郷と兄の件

それを聞くか、風にもう一度話をするか

まだ連絡を取れてない友奈達と話をするのも良いし

勇者部の依頼に何かを書き込むとかでもいい

あるいは……ネットのサイトを見てみるか


1、勇者組
2、精霊組
3、端末関連 ※ネット、勇者HP
4、イベント判定

↓2


894以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 21:40:53.05K1lYqHUqO (3/4)

3


895以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 21:41:06.18yrbxZbcy0 (2/4)

3


896 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 22:02:43.36On5GPx40o (15/21)


天乃「………」

大赦の誰かが来ないか耳を澄ませて、

警戒をしつつ端末を取り出して電源を入れる

天乃「そう言えば……充電」

充電器等何も預かっていないし

預かっていてもこの部屋に充電するための場所は見当たらない

どうすればいいのだろうかと考えながら

メールやSNSを避け、ブラウザを開いてネットにつなぐ

天乃「さて」

どうしようか


1、勇者部HP
2、どこかのネット掲示板
3、えっちいことについて


↓2


897以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 22:04:47.230X5eM55YO (4/5)

3


898以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 22:08:09.98K1lYqHUqO (4/4)

3


899 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 22:29:41.95On5GPx40o (16/21)


天乃「えっと……」

こんな検索をしていいものかと迷いながらも

天乃は文字を打ち込んで……指が止まる

後一回操作すれば検索が開始されるけれど

それを押すのが何だか気恥ずかしかったのだ

天乃「うぅ……お勉強だからっ!」

躊躇いを抱え、半ば眼を逸らすようにしながら検索する

【女の子同士 えっち】

なんとも直接的な検索だったにもかかわらず

以外にも検索結果にはしっかりと出て来てくれて

一番望んだ答えが得られそうな、

女の子同士のえっちのやり方というものが出て来ていた

天乃「……東郷たちも、こういうの見たのかしら。見たのよね……?」

そうであってほしいと願いながら

そのページを開いてみた


900以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 22:54:26.586Ik32n83o (1/2)

これで調べてる途中に誰かとばったり会ったらめちゃくちゃ恥ずかしいな


901 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 23:04:49.53On5GPx40o (17/21)


天乃「あっ……っ」

ページを開くと、現実の女性では問題があったのかイラストが書かれていて

項目ごとに参考イラストが描かれている

舌を使う、手を使う

道具を使う、下腹部同士を……

天乃「っ……!」

最後まで見てしまった天乃は、顔を真っ赤に染め上げて体を丸める

文章が生々しく書かれていたわけではないけれど、

一部は東郷たちにされたことだったせいか

読んでいる間にその光景、その感覚が鮮明に思い出せて来てしまったからだ

天乃「うぅぅっ」

覆うように顔に触れた手が、熱を感じる

じわじわとした、恥ずかしさゆえの熱

口の中が嫌に潤って、衣服の中をすり抜けていく微かな空気が肌を撫でる感覚に

淫らな意思が引き出されてしまうようで……

天乃「な、こ、こんな、のっ……」

ブラウザを閉じて、端末を隠す

けれど……変な気分は収まらない


902 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 23:10:48.61On5GPx40o (18/21)


天乃「……………」

凄く、ドキドキとしていた

張り裂けそうなほど強く脈打って、

体の熱がどんどん上がっていく

天乃「んっ……っ、ぁっ」

落ち着けようと、胸に触れる

触れる柔肌を優しく掴んで、傷つけないように一つ一つの指に気を配って――

天乃「やっ……違っ……」

慌てて手を離して、驚きに見開いた眼をゆっくりと閉じて

枕に顔を埋める

何をしてるの……何をしようとしたの

駄目よ、こんなところで、そんな……えっちなことっ

欲求を感じさせる心音を抑える為に心の中でしかりつける

でも、少しだけ心地良い感覚だった

中途半端に切り上げた虚しさが、切なさが、物足りなさが、渦巻く

天乃「だ……め……っ」

唇を噛む

自分がエッチな子であるのだとしても

こんなところでするわけにはいかないと、強く。そう、身体を縛り付けた


903 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 23:19:01.70On5GPx40o (19/21)


√ 8月11日目 昼(特別病棟) ※木曜日

01~10 夏凜
11~20 
21~30 九尾
31~40 東郷
41~50 
51~60 若葉
61~70 大赦
71~80 
81~90 
91~00 沙織

↓1のコンマ  


904以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 23:19:59.45XnVASFbdO (1/2)




905 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 23:26:29.54On5GPx40o (20/21)


√ 8月11日目 昼(特別病棟) ※木曜日


1、精霊組
2、勇者組
3、端末関係
4、えっちなこと……?
5、イベント判定


↓2


906以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 23:28:39.74yrbxZbcy0 (3/4)

2


907以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 23:29:04.286Ik32n83o (2/2)

4


908以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 23:29:28.84XnVASFbdO (2/2)

5


909 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/13(日) 23:38:49.86On5GPx40o (21/21)


ではここまでとさせていただ来ます
明日もできれば通常時間から



沙織「見られるかもしれないドキドキの一人エッチゲーム開幕!」

沙織「見るよ!」

天乃「やらないし見せないからっ!」


910以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 23:41:12.48FcnScdxAO (1/1)


見られるかもしれないもクソもよく考えたら若葉沙織の精霊組には筒抜けなんだよなあ
誘爆形式で悶々とさせてそう


911以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 23:45:06.330X5eM55YO (5/5)


久遠さん、再び欲求不満になるの巻
五郎くんで男との快楽を知ってもえっちな事を求めてしまうとは…


912以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/13(日) 23:47:21.37yrbxZbcy0 (4/4)


そこはむしろさおりん達も巻き込む勢いで


913以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/14(月) 18:32:57.18xU2xcfqaO (1/1)




914 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/14(月) 22:16:12.91hf0Zh/9co (1/9)


では、少しだけ


915以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/14(月) 22:17:48.500fMGor+QO (1/3)

あいよー


916 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/14(月) 22:32:46.31hf0Zh/9co (2/9)


√8月11日目 昼(特別病棟) ※木曜日


天乃「何でこんな……もう……」

ドキドキとした感覚は収まりを知らず、

体の熱はまったく薄れることがないまま、気づけば昼食後

何をしていてもみんなとの交わりの光景が端々に浮かんできてしまう

目を瞑ってもそれが鮮明になるばかりで

どうしようも無いのかと、諦めて

天乃「んっ……」

さっき触れたように、みんながしてくれたように、自分の胸に触れる

服の上から鷲掴みにするような荒っぽさで

けれど、傷は付けないような優しさを忘れずに

左手で絞るように揉みながら、右手で自分の腹部に触れる

天乃「っは……ん……」

元々熱が溜まり、昂ぶりが残っていたからか、

零れる吐息は妙に艶っぽくて、羞恥心を刺激する

けれど、それがまたドキドキトして

もう少し、もう少しと体が疼いてしまう

天乃「はぁ、はぁ……ぁ、んっ」

胸の側面を撫でるようにしながら手を撫で下ろし、

裾から手を忍び込ませてブラの上から胸に触れる

地肌に近付いた分感じる熱はより強い


917 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/14(月) 22:42:42.55hf0Zh/9co (3/9)


駄目なことをしているという自覚はあった

淫らなことをしているという後ろめたさがあった

けれど、どうしても……触れたい

誰かの手、誰かの温もり、誰かの優しさ、誰かの欲求

体がそれを求めて止まず、疼いてしまうから

天乃「っは……ぁっ、んっ」

自分の体ゆえにどこをどう触れれば一番気持ち良くなることが出来るのか

それが分かっているせいか、刺激は一際強くて、我慢しきれない強制が零れ落ちる

キスしてもらえない口元は寂しく、

開くたびにねっとりとした熱と、ぬちゅりとした艶かしさの増した音がする

天乃「はっ……は……んっ!」

ついにブラの中にまで手を忍ばせた天乃は、人差し指で目に見えない乳頭を押しつぶすと

その周囲の乳房を他の指で掴み、めり込んでいく人差し指を少しだけ上下させる

傷つくような鋭さは無い。けれど刺激を与えるには十分なつめ先が押し込んだ芽側面を擦りあげて、

激しい感覚は疼く下腹部へと急降下して――

天乃「はうぅっ」

――弾かれたように飛びあがって頭を穿つ


918 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/14(月) 22:55:14.80hf0Zh/9co (4/9)


ビリビリとした感覚が体内を駆け巡る一方で、

じわじわと何かが広がっていくのを感じて、下腹部に手を伸ばす

天乃「ぁ……」

下着の中にまで入れた手は蒸れた空気を感じて

指先には、ねっとりとした液体が付着する

天乃「や……はっ、んっ!」

そのまま手を引き抜くべきだった。なのに、我慢できなくて触れる

みんながしてくれるように、入り口の周囲を指でなぞり、隆起した性感帯を爪で仰け反らせて指の腹で擦る

胸に触れていた手を出し、口元に触れさせてぱくりと噛む

下腹部を直接玩ぶ感覚は、胸を弄ったりするものとは違って、

背筋をなぞるようにしながら駆け上がってくるのだ

全身系を束ねて快楽へと直結さえるようなそれによる快感は声を押し殺す余裕さえくれないから

だから、指を咥えて堪える

天乃「んっ、くっ、っぁ……」

足が動かない。だからこその密閉空間

感じる熱気、感じる淫靡な空気がより濃さを増し、どこからか漏れ出して鼻を突く


919 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/14(月) 23:12:47.23hf0Zh/9co (5/9)


鋭敏になった耳には指先に刺激される情欲の出入口から発せられるぬちゅり、くちゅりという音が鮮明に聞こえて

その恥ずかしさに身悶えるのと同時に、迸る快楽に体が仰け反る

天乃「んっ、っ……ぁっ、んんっ!」

人差し指から、中指へ

触れる指を切り替えて、小さな小さな子供が出て行くための穴にキスのような優しさで触れてから

そうっと、押し込んでいく

ぬりゅりと言う感覚が指から伝わる

じわじわと染み込む心地よさが体に広がっていく

それ以上はダメだと思った

けれど、生殺しになってしまう中途半端な行為は、堪えられそうもなくて

夏凜や東郷、沙織

みんながしていたように、指を曲げて――

天乃「んんくぅぅぅっ!!!」

大きすぎる淫猥な衝撃に天乃は大きく呻き、迸るものを右手で受け止める

けれどもその肉欲の湧き水はべっとりと流れ落ちて下着をぬらし、シミを大きく広げていく

天乃「はっ、はっぁ……ぁ、んっ」

ゆっくりと熱が下がっていく体

荒々しく整わない呼吸

その呆然とした状況で、取り残された右手の指がまた動く

天乃「だ、め……もう……」


920 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/14(月) 23:30:10.67hf0Zh/9co (6/9)


誰かにしてもらうことを経験していた天乃にとって

一人でするというのは余りにも物足りなかったのだ

初めから一人エッチの経験があったのなら、それが最低限の快楽だと分かるし、諦めもつく

けれど天乃はこれが初めてだったのだ

だから……みんなによってあたえられた感覚、気持ちよさ

それとの相違に満足がいかなかった

天乃「あっ、んっ……」

だから、手が止められない

もう少し、もう少し欲しいと気持ち良くなろうとしてしまう

天乃「ひゃっぁっ……んっ!」

左手で胸を弄り、右手の中指を膣口に挿入して、

親指で陰核を潰すようにクニクニと刺激を加えていく

天乃「んっ……ぁ……」

嬌声に開かされた口元を空気が撫でる

相手がいたら、みんながいたら、口元が寂しさに寄り添われることはない

天乃「んんっ!」

その寂しさから逃れようと……また、刺激は強くなろうとしていく


921 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/14(月) 23:36:03.82hf0Zh/9co (7/9)


√8月11日目 昼(特別病棟) ※木曜日


01~10 
11~20 沙織
21~30 
31~40  夏凜
41~50 若葉
51~60 
61~70 大赦
71~80 
81~90 
91~00 九尾

↓1のコンマ 

※ぞろ目特殊


922以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/14(月) 23:36:19.85kJ7NNqVVO (1/3)




923 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/14(月) 23:46:24.63hf0Zh/9co (8/9)


昼の継続回避、夕方に移行

√8月11日目 夕(特別病棟) ※木曜日


01~10 若葉
11~20
21~30 
31~40  九尾
41~50 友奈
51~60 
61~70 沙織
71~80 
81~90  千景
91~00 

↓1のコンマ 

※ぞろ目特殊


924以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/14(月) 23:46:58.130fMGor+QO (2/3)




925以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/14(月) 23:47:08.10kJ7NNqVVO (2/3)




926 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/14(月) 23:53:14.15hf0Zh/9co (9/9)


1、精霊組
2、勇者組
3、イベント判定

↓2


927以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/14(月) 23:53:26.38kJ7NNqVVO (3/3)

1


928以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/14(月) 23:53:48.850fMGor+QO (3/3)

1


929 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/15(火) 00:02:07.26bxoxcSRPo (1/8)


1、九尾
2、球子
3、若葉
4、千景
5、水都
6、歌野
7、沙織

↓2



930以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 00:02:18.20/1gt1hbqO (1/2)

1


931以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 00:02:25.42AjvN0IgkO (1/1)

3


932以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 00:04:13.37E+nY5uV+O (1/2)

7


933 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/15(火) 00:12:49.92bxoxcSRPo (2/8)


では、ここまでとさせていただきいます
明日もできれば通常時間から


九尾「行きたいかえ? 行きたいじゃろう?」

九尾「じゃが残念じゃなぁ? お主は主様が一人乱れているのを見ているしか出来ん」

九尾「所謂生殺しというやつじゃ、くふふふふっ」

若葉(これはこれで……良いな)


杏「とかですね?」

若葉「……成仏して貰おうか、杏」

杏「成仏……では、えっちい姿を見せてくれたら昇天ペガサスM――」ギュッギュッ

若葉「違う、その昇天じゃない」


934以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 00:19:02.28E+nY5uV+O (2/2)


久遠さん相変わらずエロい…けど自慰しないと精神的に限界がきてるのかも知れないな


935以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 00:24:41.80/1gt1hbqO (2/2)


若葉も出来上がってそう


936以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 08:08:02.44Kk6Dw55nO (1/1)


こんなエロいやつどうやって書いてるのか凄い気になる
本気で書いてるんだろうけどレベルが違うよね

公式薄い本過ぎて同人が手を出せない感ある


937以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 20:10:47.16klqodxcBO (1/2)




938 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/15(火) 22:14:54.21bxoxcSRPo (3/8)


では、少しだけ


939以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 22:15:21.10edllL36cO (1/3)

よしきた


940 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/15(火) 22:25:22.50bxoxcSRPo (4/8)

√8月11日目 夕(特別病棟) ※木曜日


天乃「……はぁ」

淫らなことをしたせいで色々と乱れてしまい

世話係に後片付けしてもらうことになってしまった天乃は

その羞恥心ゆえに頬を染めながら、大きくため息をつく

結局、数十分くらい自慰をしてしまった

我慢できなかったし、してもしても満たされることが無くて

むしろ、空しさと切なさが増すばかりで……

天乃「…………」

今もまだ、体の奥底で触れてしまいたい熱が燻っているのを感じる

整えて貰った清潔感が抑圧するけれど、夏場ゆえの―そうであると思いたい―じっとりとした生温い暑さが

ほんの少し、そちら側へと流そうとするのだ

天乃「見なければ良かった」

女の子同士のえっちなこと

そんなものを調べた結果、こんなことになってしまったからか

天乃は自分の軽はずみな行いを悔いて、僅かに寝返りを打って出入り口のほうを見る

誰かがくるような気配は無い


941 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/15(火) 22:39:20.67bxoxcSRPo (5/8)


天乃「若葉、ちょっといい?」

呼べばいつでも傍にいてくれる

そう言ってくれた若葉の名前を呼ぶと

いつもよりも少しだけ間が空いて、若葉がこっそりと姿を現した

傍にいたからこそ、若葉はあの情欲に溺れてしまう天乃の姿を見てしまっていたのだろう

その恥ずかしさからか、顔色は少し赤みがかっていた

若葉「その……なんだ。わ、私は、責めたりはしないぞ」

天乃「うん……」

若葉「…………」

険悪さゆえの空気の悪さではないけれど

あまり良くなりそうも無い気まずい空気の中、

若葉はさまよわせていた視線を天乃へと向けて、頬をかく

さっきまでのみだらな光景が鮮明に思い浮かんでくる

劣情を抱かせるような甘い声がどこからとも無く聞こえてくる

そんな、気がして

若葉「ど、どうしたんだ?」

天乃「…………」


942 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/15(火) 22:54:57.41bxoxcSRPo (6/8)


天乃「私の……見てた、のよね?」

若葉「あ、ああ」

天乃「どう思った?」

若葉「どうって……それは」

天乃はきっと汚らわしいとかいやらしいだとか、

そういう否定的な意見をもったのではないか。と、聞きたいのだろう

そう言われたわけではないが、少しばかり不安そうな瞳が、そうなのだといっているように感じて

若葉は困って、目を伏せる

どう感じただろうか、どう思っただろうか

そんなものは悩むまでも無い

若葉「手を出したいと、思ったよ」

だって、天乃は若葉の大切な人で、恋人なのだから

そういった行為をしているのを目の当たりにして情欲をそそられないといえば、嘘になってしまう

しかし、それは自分でいいのかとも思った

その寂しさ、その切なさ、その物足りなさ

それを埋めてあげるのに、自分の力量は果たして申し分ないのだろうかと。


943 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/15(火) 23:07:12.70bxoxcSRPo (7/8)


若葉「……っ」

天乃「!」

物憂げな表情を浮かべる天乃の体を、

何も告げずにベッドへと押し倒し、馬乗りになって見下ろす

広がる髪と艶のある唇、

そうされるとどこかで分かっていたのだと分かる瞳

少しだけはだけてシワの寄った服が、妙に艶かしい

若葉「……天乃はどうして、私を呼んだんだ?」

天乃「…………」

何か話したいことがあったのか

何か聴きたいことがあったのか

それとも、さっき解消できなかったことを解消して欲しいのか

果たして、自分はどれであって欲しいと願っているのだろうかと、

天乃のことを真っ直ぐ見つめて答えを待つ


1、して……くれる?
2、あの巫女の話について、聞こうと思ったの
3、園子がこの病棟にいるらしいから、会いに行かないのかなって
4、キスをする
5、あんなことしちゃったから、引かれてないかなって……少し、心配になったの



↓2


944以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 23:08:25.99ae/6s+8sO (1/1)

1


945以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 23:08:32.41edllL36cO (2/3)

2


946以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 23:08:33.34klqodxcBO (2/2)

4


947以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 23:22:19.10aRIF2Pby0 (1/1)

3


948 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/15(火) 23:28:27.33bxoxcSRPo (8/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



天乃「ば、ばかっ」フイッ

天乃「私はただ……あの巫女の話について……聞きたかっただけ、なのに」

若葉「!」

若葉「あ……」

若葉(は、早まってしまった……ッ!)

若葉「す、すまない」

天乃「う、うん……」


949以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/15(火) 23:37:04.91edllL36cO (3/3)


夏凜ちゃんが来れない分、若葉がすっかり理解者ポジションになってきたな

あと久遠さんの自慰行為で千景たちも欲情してたのだろうか


950以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/16(水) 08:04:57.850T8gBd+CO (1/1)


そういや裏久遠さん最近出て来ないな、克服したのか?


951以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/16(水) 11:24:04.47ic4RMk20O (1/1)




952 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/16(水) 22:22:32.30jNYPUt8wo (1/6)


では、少しだけ


953以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/16(水) 22:24:56.81ijT1fhJuO (1/3)

おk


954 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/16(水) 22:33:54.02jNYPUt8wo (2/6)


天乃「ごめんなさい……あの巫女の話について聞こうと思っただけなの」

若葉「あ……そ、そう、だよな」

思っていたことと違って落ち込んだ。というよりは、

自分のしたこと、しようとしていたことが的外れで

天乃をただ傷つけてしまうようなことだったというのが、ショックで

若葉「本当にすまない」

覆いかぶさるような体勢からぐっと体を引き起こして、天乃に背中を向ける

罪悪感を感じるその背中に、天乃は小さく笑みを浮かべて

そっと上体を起こして、身だしなみを整える

天乃「いいのよ。へんなこと聞いたのは私だから」

若葉「し、しかし……それで早とちりしたのは、私だ」

天乃「アレを見てたんでしょ? 仕方が無いわよ」

若葉「…………」

気にしないでという天乃、自分が悪いという若葉

そのままではすれ違うままなのだろうとどちらからとも無くため息が零れて

不意に、笑いが空気を振るわせる


955 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/16(水) 22:43:36.71jNYPUt8wo (3/6)


天乃「ふふっ、真似した?」

若葉「そ、そんなつもりは、ないが……」

天乃「もう、若葉もお茶目なんだから」

向けられた背中に手を宛がい、重さを感じない程度に体を預けてみる

精霊でも、どこかに人肌を感じるようで

骨と筋肉を感じるあまり柔らかさの無い背中ではあったけれど

天乃にとっては、心地が良かった

若葉「天乃……?」

天乃「どう思った? 壁外調査の件」

若葉「……現状では無謀だといわざるを得ないだろうな」

若葉の時代でも、神樹様が永遠に存続できるなんて保証は無かったし

いつかは出て行かなければいけないのだと、いつかは出向いて取り戻すのだと、そう意気込んでいた

けれど今はまだ理想でしかない。夢でしかない

若葉「バーテックスは確実に強くなってきている。それをどうにかしなければ……」

天乃「近いうちに大きな戦いがあるなら、どう?」

若葉「ふむ……そこでバーテックスが大きく磨り減れば、あるいは」


956 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/16(水) 23:00:15.56jNYPUt8wo (4/6)


若葉は考え込みながらそう言うと、

それなら無謀とはいえなくなるかもしれないが、と続けて

若葉「天乃が聞いていたが、勇者かそれ以外かが気になるところだ」

天乃「そうね……若葉は何か聞いていたりしないの?」

若葉「いや、何も。ただ、私達を鍛えてくれている人たちは、今後忙しくなるかもしれないといっていたからな」

ということは、これから鍛えなければいけない人

あるいは鍛えなければいけないチームのようなものがあるということだろう

つまり、壁外調査は現在の勇者チームではない可能性が非常に高いということだ

その考えには若葉も同意のようで、「恐らくはな……」と、神妙な面持ちで切り出す

若葉「だが、みんなを使い捨てにするつもりは無いだろう」

天乃「…………」

若葉「大きな戦いがあってきっと大小問わず傷を負うだろう。だから、壁外調査のような仕事は他に任せるのかもしれない」

天乃「……そうね」


957 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/16(水) 23:15:15.77jNYPUt8wo (5/6)


若葉のような考え方は、別にポジティブすぎる考え方ではない

寧ろ、そう言った考えを持つのが当たり前で

そう思うからこそ、天乃は若葉に押し付けた頭、見せない表情を曇らせる

自分の考え方が少し、いやらしくて。

若葉「彼女達の受けた神託、その結果が怖いのか?」

天乃「…………」

言葉にしない

でも、少しだけ強く若葉の服を握り締める

シワが寄って若葉の体に衣服がきつく纏わりついていく

それでも若葉は動じることなくどこか遠くを見るように白いヒトガタを見下ろす

若葉「私も、それを考えないわけじゃない。恐れないわけじゃない。けど、天乃。私はな? 私は……」

すっと、言葉が途切れる

余韻を残すように静かに流れてく若葉の言葉

追うように目を上げると、横目に天乃を見ようとしている若葉の視線とぶつかって

若葉「私は、信じて欲しいと思う。怖いかもしれないが、辛いかもしれないが、己の愛を受けるみなが無事乗り越えてくれる者達であると信じて欲しいと思う」

天乃「それは……」

若葉「難しいか?」



1、……ごめん
2、信じたら、帰ってきてくれるの?
3、なんか、信じたら帰ってこなそうで……嫌
4、わかった
5、無言で服を握り締める


↓2


958以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/16(水) 23:15:32.899xyNpSl1O (1/2)

5


959以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/16(水) 23:17:44.11ijT1fhJuO (2/3)

1


960 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/16(水) 23:24:33.75jNYPUt8wo (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


友奈「ヒロインです」

風「ヒロインだわ」

東郷「ヒロインですね」

樹「ヒロインですよ」

沙織「ヒロインでしょ」

夏凜「ヒロインね」

若葉「ヒロインだ」

天乃「私は主人公だってば!」


961以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/16(水) 23:29:36.789xyNpSl1O (2/2)


総受けだからな


962以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/16(水) 23:34:43.04ijT1fhJuO (3/3)


思えば今の久遠さんって一周目の友奈ちゃんと似たような状態になってるだよな
ただ頼りになる分メンタルが脆いところがあるから耐え忍ぶのは友奈ちゃん以上に大変そうだな…


963以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/17(木) 18:03:55.00qxkpidGSO (1/1)




964 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/17(木) 22:25:06.17gOL6TWMBo (1/8)


では、少しだけ


965以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/17(木) 22:27:43.13cLYpn3v1O (1/3)

よっしゃ


966 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/17(木) 22:33:01.22gOL6TWMBo (2/8)


天乃「……ごめん」

呟く。とても小さく、聞こえないほど声で

ほんの軽いそよ風にでさえ、かき消されてしまいそうなそれは

しかし、若葉の耳に届いた

信じていないわけじゃない

信じることが出来ないわけでも無い

だけど、それでも

もしかしたらということを考えてしまうのだ

みんながみんな、確約は出来ないという

だから、勝つことはできると信じられても

戻って来てくれるとまでは信じられない

信じたくても信じられなかった

若葉「……………」

強く握りしめられていく服が背中に伸びていく

ぐっと押し付けられるようにして、天乃の頭が体にぶつかる

若葉「……天乃」

今は少女なのだ

少女なのに、まだ……肩の荷を下ろすことさえできていないのだ

そう、若葉は思った


967 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/17(木) 22:51:41.57gOL6TWMBo (3/8)


若葉「天乃……みんなだって死にたいわけじゃないんだ」

この世界に生きていて、勇者をやっているみんなはもちろんのこと

この世界に生きているわけではないけれど

この世界にかりそめの命をもらい受ける事の出来た自分たち

その誰もが死にたいわけではないのだと、若葉は語る

若葉「生きたくて、生きていて欲しくて、戦うんだ。私達、天乃達。みんながいる時間を守りたくて、戦うんだ」

そこに自分が居なくてもいい

そう考えないのかと言われれば、考えていると言う

けれども、出来るならばいたいという【理想】は抱く

若葉「惚れた女に寄り添いたい、叶うならば自分が。そう思うのは当たり前のことだ」

天乃「…………っ」

天乃の手を一度は自分から引きはがして

すぐに振り向いて引き留める

若葉「叶うなら自分が一番幸せにできるものでありたいと【野望】を抱くのは当たり前のことだ」

それは、自分がいなくなったら叶わないことで

逆に悲しませて、永遠にとは言わずとも不幸にさせてしまうことになる

だから。と、若葉は紡ぐ

若葉「死にたいやつなどいるものか……我々には欲がある。しかも我欲だ! 性欲にだって通ずるはしたない欲だ!」

引き留めて、驚きに戸惑う天乃の小さな体

重荷を背負わされてきたとは思えないほど、華奢に思えてしまうそれを抱きしめる

若葉「私達の性欲の強さは身に染みているだろう……? だから、信じてくれ。信じて待っていてくれ」


968 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/17(木) 23:09:16.13gOL6TWMBo (4/8)


天乃「なにそれ……意味わからない……」

抱きしめている天乃のもっともな言葉に、

若葉はぐうの音も出なかった

自分でも良く分かっていないし

はしたないとか性欲とか何を言っているんだろうかと

冷静になってしまったら頭を抱えて壁に頭突きするのではないか

そんな風に思ってさえいて。

天乃「でも、確かにみんなえっちよね……私のことまで、あんな体にして……」

若葉「え、な……いや、それは……」

それは果たして自分たちの責任なのだろうか

などと考えつつも、言葉にはせず

ゆっくりと抱きしめていた天乃を手放していく

天乃「じゃあ……今度から若葉には一人でエッチしてるところを見てるだけでいて貰おうかしら」

若葉「はっ!?」

天乃「無事に帰ってこれたら、好きにさせてあげるって条件で」

若葉「い、いや、待ってくれ。それは何かおかしい! 私もだが天乃だって恥ず――」

天乃「みんなが帰ってこられるなら……どんなにエッチなことだってして見せるわ」

強く意志の込められた瞳

羞恥心に歪むことのない表情

それは本気の言葉

だから、若葉は諦めて、笑みをこぼす

若葉「解った……解った……私の負けだ。絶対に帰ってこさせて見せる。だから心配するな」

若葉はそう、誓う


969 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/17(木) 23:16:57.78gOL6TWMBo (5/8)

√8月11日目 夜(特別病棟) ※木曜日


01~10 九尾
11~20
21~30  夏凜
31~40 
41~50 
51~60 友奈
61~70 
71~80  沙織
81~90 
91~00  千景

↓1のコンマ 

※ぞろ目特殊


970以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/17(木) 23:17:53.42x5SNYtjY0 (1/1)




971 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/17(木) 23:23:09.71gOL6TWMBo (6/8)


√ 8月11日目 夜(特別病棟) ※木曜日


1、精霊組
2、勇者組
3、端末関係
4、一人エッチ
5、イベント判定


↓2


972以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/17(木) 23:23:49.39nvOskce4O (1/2)

1


973以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/17(木) 23:24:13.83wuGvhPik0 (1/1)

1


974 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/17(木) 23:29:38.92gOL6TWMBo (7/8)


1、九尾
2、球子
3、若葉
4、千景
5、水都
6、歌野
7、沙織

↓2


975以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/17(木) 23:30:42.38nvOskce4O (2/2)

7


976以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/17(木) 23:30:47.25cLYpn3v1O (2/3)

7


977 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/17(木) 23:39:16.24gOL6TWMBo (8/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


沙織「ん? えっちがしたいって? 違う? 性欲の強さ?」

沙織「あたしの性頭力は53万です」

夏凜「ただのエロい人かッ!」

沙織「やめて三好さん」

夏凜「!?」

沙織「あたしは突っ込まれるより久遠さんにツッ――」

夏凜「やめろぉっ!」バンッ




978以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/17(木) 23:40:17.49K93UpcyaO (1/1)


さおりんも昼間見せつけられたせいでハァハァしてそう


979以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/17(木) 23:44:44.45cLYpn3v1O (3/3)


久遠さんにえっちなことを教えた張本人だもんな
さおりんもいっしょに乱れてもええんやで


980以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/18(金) 16:47:28.42IkN2r+blO (1/2)




981 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/18(金) 22:11:07.75tf8rFcZEo (1/8)


では少しだけ


982以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/18(金) 22:12:02.42tGG0liw6O (1/3)

かもん


983 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/18(金) 22:19:13.84tf8rFcZEo (2/8)

√8月11日目 夜(特別病棟) ※木曜日


天乃「…………」

8月も段々と終わりに近付きつつあるけれど

夏の暑さというものは薄れることを知らないらしく夜でもまだ蒸し暑さを感じる

寝返りを打って、一息

前髪が張り付きそうな額を手の甲で拭い、

目の前に見えるヒトガタばかりの天井から逃れるように目を瞑る

天乃「……眠れない」

昼間のような感覚に苛まれているわけではないけれど

それでも、誘ってくれる睡魔も襲ってきてはくれない

むしろ、それ自体が先に眠ってしまっているかのように。

天乃「……沙織、いる?」

精霊全員がいるとは限らないが、

ここで少しは付き合ってくれそうな沙織の名前を呼ぶ

沙織「寝られない?」

囁くような声とふわりと触れる手に目を向けると、

いつもと変わらない笑みが、見えた


984 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/18(金) 22:29:21.30tf8rFcZEo (3/8)


沙織「いろいろあったからね」

天乃「ん……」

天乃自身に関してもそうだが、巫女から聞かされたこともあって

不安だったり、恐怖だったり、性的なことだったり

心にも体にも負担ばかりで、逆に眠れなくなってしまっているのかもしれない

沙織「普段、神託は抽象的なもので表されるんだよ」

そう切り出した沙織は、ジェスチャーを交えながら、

どんなものが夢に現れ、どんな風になるのかをを説明すると

雰囲気に似合わず、困ったように笑ってみせる

沙織「今回はソレが大きかったんだ。それも、一つじゃ無くて、いくつも」

天乃「…………」

沙織「大きさのせいでいつも以上に、その襲来がいつ起こるのかが予想できないんだ」

だから大赦も把握しかねているし、対応に追われている

そして、そんな大きな戦いが起こるのであればと、いつかするべきと考えられていた壁外調査

それの準備もし始めるべきだろうとされているのだと、沙織は言う


985 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/18(金) 22:41:03.31tf8rFcZEo (4/8)


沙織「…………」

沙織は長く語った後に言葉を止め、ぐっと唇を噛むと

天乃を一瞥して、その頬に手を伸ばす

天乃「なに? するの?」

沙織「……慣れたね」

キスをしようとしたわけではないけれど、

自分からソレを言い出し、平然としている姿には

少しだけ嬉しくも、寂しく感じて、沙織は笑みを浮かべる

沙織「……でも、一人エッチは初めてで混乱しちゃうの、可愛かった」

天乃「っ!」

沙織「ビクッってした……ふふふっ、目を逸らすのも可愛い」

天乃「さ、沙織……」

冗談なのか本気なのか掴みにくい、沙織の動き

天乃の口元を親指でなぞり、喉元を指でカリカリと掻く

まるで子猫のような対応だった


986 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/18(金) 22:58:04.39tf8rFcZEo (5/8)


天乃「なによ……」

沙織「んーん。乃木さんが言ってたでしょ? あたし達は我欲が強い。それも、三大欲求の性的な、ね」

にやりと怪しげな笑みを浮かべる沙織は、

天乃の体をぐっと押し込んで馬乗りになると

垂れていく髪をそのままに、天乃を見下ろす

沙織「久遠さんも溜まってるみたいだし、しちゃおうかなって」

天乃「っ……わ、私は……別に」

沙織「気持ち良く……寝られるよ?」

耳元で、ぼそりと

こそばゆさを感じさせる動作で告げた沙織は、くすくすと笑って

沙織「なーんて。久遠さんが望むならしてあげるけど……?」



1、じゃ、じゃぁ……
2、お、お願い
3、呼んだのはそうじゃなくて、若葉と同じで……
4、あ、あのね……そうじゃなくて、私。急にこうなっちゃったから……なんでなのか沙織は分かるかなって


↓2


987以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/18(金) 22:58:22.98xa2qNlkEO (1/2)

1


988以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/18(金) 22:58:29.71IkN2r+blO (2/2)

2


989以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/18(金) 22:59:08.70tGG0liw6O (2/3)

2


990 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/18(金) 23:21:45.61tf8rFcZEo (6/8)


天乃「…………」

そんなことを望んで良いのだろうかと、悩む

沙織は自分から言い出しているのだから、天乃が良し悪しを悩む必要はないはずなのだが

それでも、自分は主で、沙織は精霊で

どこかにそんな何かがあるのではないかと思わずにはいられなくて

けれど、思う

皮切りになったのは……沙織だったと

天乃「……え、っと」

思わず、眼を逸らす

ただ一言御願いと言えば良いだけなのに

その一瞬の、呼吸をしている合間に終わってしまいそうなたった一粒が。

唇を噛む、。目を向けると沙織の微笑みが視界に入る

沙織「ん? なぁに?」

天乃「ぅ……」

茶化しているわけではないと思う

けれど、どこか挑発染みた音色の声に

天乃はとてつもない気恥ずかしさを感じて――息を飲む

天乃「お願い……」

沙織「ん。分かった」


991 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/18(金) 23:37:57.73tf8rFcZEo (7/8)


天乃「っ」

沙織「逸らしちゃ……だめ」

横に傾いて逃れようとしていた頭をぐっといじられて、

天乃と沙織の視線が交わる

目に見える沙織の唇が、少しずつ自分へと近づいているような感じがして

天乃は思わず目を瞑る

固く縛った唇が震える、どこからともなく薄い吐息が聞こえる

誰野だろうか……沙織の? 自分の?

そう混乱してしまいそうになる中で

心が強く脈打つのを感じた

怖さもある。けれど

目を瞑っていると相手がどう来るのかが分からない

そんな緊張感があって……

沙織「初々しいなぁ」

天乃「ひゃぅっ!?」

不意に耳元で囁かれた声に驚いて声を上げた瞬間、

唇……ではなく、額に口づけをされ、目を見開く

沙織「唇かと思った?」

天乃「ぁ、ぅ……」

沙織「残念。まだしないよ」

悪戯が成功したことを喜ぶような沙織の笑みが……見えた


992 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/18(金) 23:47:07.42tf8rFcZEo (8/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


友奈「えーっと……」

東郷「どうしたの? 友奈ちゃん」

友奈「私も、勉強した方が良いかなって」

東郷「……ふふっ」

東郷「一緒に勉強……しましょ」ギュッ


993以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/18(金) 23:51:43.89xa2qNlkEO (2/2)


さおりんはエロいなぁ!


994以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/18(金) 23:52:19.37tGG0liw6O (3/3)


是非ともさおりんの本気に期待したい
あとこのシリーズでのゆうみもって意外とレアな気がする


995以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/19(土) 18:18:08.395LG6MQbCO (1/1)




996 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/19(土) 22:06:51.089Vo8LsBZo (1/2)


では、少しだけ


997以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/19(土) 22:08:47.51GQjMtetEO (1/3)

ほいよ


998 ◆QhFDI08WfRWv2017/08/19(土) 22:17:12.549Vo8LsBZo (2/2)


気づいたら残りがないので、こちらで続きをやっていきます

【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1503148550/l50


999以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/19(土) 22:18:25.63GQjMtetEO (2/3)

了解、じゃあ埋めとくわ


1000以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2017/08/19(土) 22:18:57.07GQjMtetEO (3/3)