814 ◆xjSC8AOvWI2017/03/25(土) 22:32:43.95WcSJgZvw0 (21/26)


あすみ「この魔法って、使い方次第で、人を幸せにもできるし不幸に落とすこともできるんだ」

あすみ「……というより、杏子さんが話してくれた通り、魔法少女の力は全部そうなのかもしれない」

あすみ「本当は、昨日キリカさんが来た時に優木沙々のことが少し聞こえたの」

あすみ「杏子さんの知り合いって名乗る人のこと……その時はよくわからなかったけど、おかしいなって思ってた」

あすみ「それで、杏子さんと別れた後に引き返して追ってみたら、魔女の魔力をたくさん発見して……」

あすみ「杏子さんの“声”が聞こえたんだ」

杏子「あたしはなんて言ってた?」

あすみ「『こんなことで幸せを壊されてたまるかよ』……だったかな」


 ああ、確かに心の中でそう叫んだ覚えはある。

 あれをあすみは聞いてくれていたのか。

 そう思うと、あの時あすみのことを疑ったのを少し申し訳なく思った。


あすみ「それでね……前にも話したけど、私が契約する前、お母さん過労で倒れたんだ」

あすみ「その時ももしかしたら、心の中では『助けてほしい』って思ってたのかもしれない」

あすみ「今度は無理をする前にそれに気づいてあげたい」

あすみ「この魔法で、心の中を暴いて傷つけることもできる」

あすみ「でもきっとこの魔法は、言葉に出せない『助けて』っていう声を聞きとめるための魔法なんだ」

杏子「それなら、焦る必要はないんじゃないか?」

杏子「そうやって前向きに受け止められれば、きっといつかは必要な声だけを聞けるようになるさ」

あすみ「うん!」



815以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/25(土) 22:36:52.69Rk6L53hY0 (1/1)

エンドかな?


816以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/25(土) 22:38:46.28bnjTZbFW0 (1/1)

杏子ちゃん編とうとう完結か


817以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/25(土) 22:40:43.55ba5xLW+LO (2/2)

まだだ!まだ終わらんよ!


818 ◆xjSC8AOvWI2017/03/25(土) 22:47:16.44WcSJgZvw0 (22/26)


杏子「……あ」

あすみ「え? !」


 あたしがそれを思い浮かべてからすぐに、あすみは顔を赤くして驚いた。

 心が読めるというのも大変だ。

 しかし、とりあえず声に出してちゃんと言うことにする。


杏子「……心の声が聞こえるってことは、タツヤのことにももう気づいてたのか?」

あすみ「えっと! それは…… はい」

杏子「で、どう思ったんだ?」

杏子「あたしの心を読んだんだから、あすみの心も正直に話すこと」

あすみ「あぅ……えっと、ちょっと突然でびっくりしちゃって」

あすみ「でも、うん……鹿目君のことは嫌いじゃなかったし、嬉しかった……かな……」

杏子「明日は部活にも行ってやれよ! ……あ、今はタツヤもあんまり部活にも顔出してないんだったか」

杏子「とにかく会ってこい! その気持ちを伝えてやれよ」

あすみ「わ、わかった……明日、話してみます」


 きっとこの様子なら大丈夫だ。



819 ◆xjSC8AOvWI2017/03/25(土) 23:07:26.36WcSJgZvw0 (23/26)


―――それからまた日が経つ。

学校は春休みへと突入した。休み明けにはもうあすみもタツヤも二年生だ。

あすみもやっと13歳になった。そのパーティをマミの店でやったのが少し前だったか。

あすみの母親も、鳴海と比べるとシフトは少ないものの、その時にはもう新しく店員として入っていた。

準備はあすみの母親も手伝っていた。


杏子「……おい、見てみろよ」

杏子「あの鈴木ってやつとその周り……あと繋がってた暴力団の一部も検挙だってさ」

マミ「これで少しはここも治安がよくなるといいんだけど」


 優木は……取り調べの前に突然死したとのことだった。

 これ以上の情報を吐き出す前に暗殺されたという見方が強かったが、実際のところはわからない。


あすみ「…………」

―――


820 ◆xjSC8AOvWI2017/03/25(土) 23:08:52.29WcSJgZvw0 (24/26)

―――


あすみ『……ねえおばさん』

沙々『だからおばさんじゃありませんし名前で呼べクソガキ』

あすみ『そんな態度取っていいの? 言いつけるよ』

沙々『……で、なんですか? わざわざテレパシーで』

あすみ『マミさんがああ言ったし、私もあなたをどうこうする気はないけど、これだけは言わせてほしいことがあるんだ』

あすみ『私はあなたほど心の汚い人を見たことがない』

沙々『そんなことわざわざ言われなくても自覚してますから。別にそんなの痛くも痒くもないし』

あすみ『その力をこれからも誰かを貶めるために使うなら、“何を”してるかくらい知っておいてよ』

あすみ『さっきあなたは、魔力が使えなくなれば魔法の使えないゴミになると言ったけど』

沙々『それがどうしたんです?』

あすみ『あなたの手駒はそのゴミだよ……? あなたは自分たちのなれの果てを駒にして弄んでるんだ』

あすみ『そんな事実も知らないでその魔法を使うな』

あすみ『……それを知っても、その駒を利用し続けるの……?』





沙々「………………やっぱりもう要りません。煮るなり焼くなり壊すなり、好きにしてください」

―――


821以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/25(土) 23:13:26.31IK2lZm760 (9/9)

やっぱりあすみは魔女化のことを知っていたのか


822 ◆xjSC8AOvWI2017/03/25(土) 23:37:16.51WcSJgZvw0 (25/26)


杏子「あすみ?」

あすみ「え? なに?」

杏子「なんかぼーっとしてなかったか?」

あすみ「別になんでもないよ?」

杏子「本当か?」

あすみ「うん。強いて言えば、ただぼーっとしてただけ、かな」

杏子「そうか」


あすみ(……このことはもう黙っておこう)

あすみ(優木のことは一番心が汚いと思ったけど、インキュベーターはまたそれとも違う恐ろしい心を持っていた)

あすみ(感情がない心……それに全く気付かずに契約して、私はずっとショックを受けてた……)

あすみ(…………みんなが知らないなら、ずっと嘘をつくことを許して)



823 ◆xjSC8AOvWI2017/03/25(土) 23:50:20.38WcSJgZvw0 (26/26)


杏子「……しっかし、タツヤもこんなに早く恋が成就するとはな」

まどか「おめでとう!」

タツヤ「う、うん! ありがとう!」

あすみ「す、少し照れるねっ。改めて言われると」

まどか「休みなんだし、いっぱいお出かけもできるね」

マミ「このあたりのデートスポット、調べておきましょうか?」


 若いカップルを微笑ましく眺めていると、店の扉が勢いよく開いた。

 成就したといえばこっちもだ。


さやか「こーんにちはー!」

マミ「あら、いらっしゃい」

恭介「公演の前に寄っておこうかと思いまして」

杏子「そういや明日か!」

マミ「ところで、式については何か準備は進んでるの?」


恭介「……式?」


杏子「おい!なんだその今の今まで忘れてたみたいな返事は!」

マミ「なんか、わかってはいたけど急に心配になってきたわ……わかってはいたけど」

恭介「いや、忘れてたわけじゃないんだ!ていうか、気持ちの切り替え……的な……」

杏子「やめろ、もうそれ以上傷を広げるな」



824 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 00:16:04.70vwjP+ceA0 (1/31)


さやか「本当に、なんでこんなの好きになったんだろうねえ」

恭介「いやほんとごめん。愛想尽かしたかい……?」

さやか「冗談だよ。こんなだから好きになったっていう面もきっとあるんだ」

さやか「そのバイオリンに一途なとことかも……傍で応援したいって思うから」

マミ「もう少し美樹さんに一途になってもいいと思うんだけどねぇ」

恭介「いや、これでもさやかのことは一番に好きなんだよ人としては。ただ、バイオリンとはまた全然違うところにあるってだけで」

杏子「本当もう頼むから喋るな……」


 こっちはこっちで、やっと成就したと思ったらまだ問題はありそうだが。


マミ「話に来ただけ? とりあえず紅茶くらい淹れましょうか?」

ゆま「あ、じゃあこっちおかわり頼みます!」


 春休みといえば大学生組もだ。

 ゆまも、特に鳴海が居る時にはよくこの時間に来ていた。


さやか「じゃああたしも! やっぱここに来たからには紅茶ですね!」

鳴海「折角これだけ知り合いがそろってるんですし、何かこう、ケーキとかあったらいいと思うんですが」

杏子「そういやメニューにケーキがないのはもったいないな。マミ、どうよ? 新メニューは」

マミ「そうねえ……検討してみようかしら」



 会話/行動
(この場に名前が出てない人も、見滝原に居る人相手なら話せるかも)
1自由安価
2(上条)明日の公演が終わったら式まではバイオリンは忘れろよ
3(さやか)こうなったら結婚式は目一杯着飾って上条を惚れ直させてやれ
4(まどか)学校が休みの間はどんな感じよ
5(あすみ)猫と会話ができる特技について
6(マミ)久しぶりにピーチパイが食いたい

 下2レス


825以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 00:27:03.356ssqKa6r0 (1/12)

5+キリカ
エイミー繋がりで2人も結構打ち解けてるみたいだ


826以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 00:30:14.83A30fKbYdO (1/1)


追加でタツヤにこっそり話しかけると仁美が来店
あすみのどこに惚れたんだ?一目惚れか?


827 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 00:48:23.68vwjP+ceA0 (2/31)


杏子「ターツヤ」

タツヤ「?」

 そろっとタツヤのそばに寄って、こっそりと話しかけてみる。

杏子「あすみのどこに惚れたんだ? 一目惚れか?」

タツヤ「最初に手芸部を覗いた時だったんだ……ぬいぐるみとか小物とかを作ってる人が多い中で、あすみちゃんは鞄を作ってた」

タツヤ「結構本格的なのを作ってるなって思って、話してみたら、お母さんにプレゼントするんだって言ってた」

タツヤ「それで、優しいなぁって思って」

タツヤ「手先もすごく器用なんですよ。こう、ちまちまコツコツと頑張ってる姿がまたいじらしいし」

杏子「ほうほう」

杏子「完全に惚気だな。ごちそうさまでした」

タツヤ「何言ってるんですかー」


 ……手を合わせてあすみのほうを見やると、案の定あっちのほうを向いて照れていた。


あすみ『何話してるんですかー! めちゃくちゃ声聞こえてるんだから!』

杏子『よかったじゃないか』


 また扉の飾りの音が鳴る。

 ……今度は仁美だ。


マミ「いらっしゃい」

さやか「おー、仁美」

仁美「ご機嫌麗しゅう」


 またいつもどおりの普段聞きなれない挨拶をしてやってきた。



828 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 00:57:05.02vwjP+ceA0 (3/31)


仁美「これは……みなさんお揃いで」

鳴海「なんか今日はすごいですね! 春休み効果でしょうか?」

ゆま「わたしたちは長期休暇だけど、大人の人たちにはそれは関係ないんじゃ……?」

恭介「志筑さん、久しぶり」

仁美「お久しぶりです。お二人のことは伺っていますわ」

仁美「おめでとうございます」

さやか「なんか、不思議な感じだね。仁美にそう言われると」

仁美「はい。でも、私は私で幸せをつかみましたから」


 仁美のほうも誇らしげだ。


恭介「そうだね。志筑さんは僕なんかにはもったいないと思うよ」

さやか「え? それ、あたしなら十分ってことはどういうことになんの?」

恭介「いや!そういう意味じゃなくてね!」

マミ「さっきから墓穴掘りすぎよ……」

杏子「それより、そういやあすみは猫と会話ができる特技があるんだよな」

杏子「二階から降りてこない奴もいるし、ちょっとあっちに行ってみようぜ」

恭介「猫と会話?」

さやか「え? なにそれすごい!」



829 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 01:03:00.21vwjP+ceA0 (4/31)


キリカ「……お」


 みんなで二階に行くと、一人まったりとエイミーを撫でている姿。

 キリカがこちらを見た。


キリカ「あれ? いつのまにか増えてる」

キリカ「こんにちは」

あすみ「こんにちは」


 二人はエイミー繋がりで鉢合わせることもあり、そこそこ打ち解けているみたいだ。

 互いに穏やかなタイプは緊張しなくていいらしい。


あすみ「私もエイミーを触りに来たんです」

さやか「あたしはそれを見にきたんです」

恭介「僕も」

タツヤ「みんなであすみちゃんとエイミーを見に来たんです」

キリカ「……どういう状況?」



830 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 01:08:36.61vwjP+ceA0 (5/31)


杏子「見れば早いって。ほら、あすみの特技を見せてやれ」


あすみ「……」

エイミー「……にゃ?」


 両者の目が合う。

 それから、あすみが鳴いた。


あすみ「にゃ、にゃー……」

エイミー「にゃー?」

タツヤ「何話してるの?」

あすみ「最初のは『どうしたの』って」

さやか「あ、それはなんとなくわかったけど」

あすみ「次のは、『みんな集まってるけど何か美味しいものくれるのかな』って」

杏子「ぷっ、らしいな」

あすみ「にゃ、にゃー」

エイミー「にゃにゃ」

エイミー「うにゃー」

あすみ「ご飯のにおいがしないからしょんぼりしてる」

あすみ「豆あじの煮干しが食べたいそうです」

さやか「細かいな」



831 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 01:16:11.94vwjP+ceA0 (6/31)


まどか「でも豆あじの煮干しなんてそうそう都合よく持ってないよ」

マミ「この前買ったやつのことを言ってるのね……気に入ったの?」

エイミー「にゃ」

あすみ「うんって」

さやか「いやうんそれはわかるけど」

杏子「しょうがないなぁ、持ってきてやるよ」

エイミー「にゃ!」

さやか「今のはやった!って言ったね」

恭介「それは誰でもわかるね……でも豆あじはわからないよ」

キリカ「その煮干しのこと、話したの……?」

マミ「いえ、買ってきたのはつい昨日よ」


 ……エイミーは大きめの煮干しをはぐはぐと食べている。

 みんな、そのエイミーとあすみを興味深そうに見ていた。

 まあ、魔法の効果に他ならないのだが、こういう使い方ならみんな感心するだろう。



832 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 01:21:22.27vwjP+ceA0 (7/31)


キリカ「それ、私にも教えて!」

あすみ「えー、それは難しいかと思いますけど……」

キリカ「にゃ、にゃー」

エイミー「にゃ?」

キリカ「にゃー、にゃー」

エイミー「にゃー」

さやか「え、でもすごい! 話してるじゃん!」

キリカ「なんか言うと反応はする……けど」

キリカ「……全然わかんないよ!」


 がっくりと項垂れるキリカをよそに、みんなそろってにゃーにゃー言い始めた。

 ……なんだろう、この光景は。


杏子「……あすみ」

あすみ「はい」

杏子「まだ大丈夫か? 結構人が集まってるけど」



833 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 01:47:13.11vwjP+ceA0 (8/31)


あすみ「……」


 あすみが指輪状態のソウルジェムに視線を落とす。

 銀色の指輪の中に嵌った銀色の宝石。

 近くに人が居るだけで自動使用される魔法は、魔力を削っていくだけでなく、

 絶え間なく本音の声が聞こえ続けるというのがやっぱりなかなか堪えるものらしい。


あすみ「みんな知らない人じゃないですし、これでも最近少しマシになってきたので」

あすみ「意識してないものから勝手に雑念を読み取ることもなくなったし」

杏子「そうか? それならいいけど」


 ひっそりと話していると、キリカもこちらに気づいて話しかけてきた。


キリカ「あ、大丈夫? 気分悪くなってない?」

あすみ「あ、はい。なんとか」


 キリカはあすみのことは普通に人が苦手だというふうに捉えているようだった。


キリカ「きっと、感受性が高いから色んなことを気にしちゃうんだよ」

キリカ「でも多分それって、悪いことじゃないよ。それだけ優しいってことだろうし」

あすみ「……そうですね。疑うことがあっても、汚いものを見ることがあっても、人を嫌いにはなりたくない」

あすみ「優しくありたいです」

キリカ「うん……」



834 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 01:55:12.11vwjP+ceA0 (9/31)


――下のほうから扉の鳴る音がした。


マミ「あっ、お客さんが来たわ」

杏子「そうか、そろそろ飯時が近づいてきてるもんな」

さやか「そんな時間かー、そろそろ帰って明日のために準備したほうがいいかな?」

恭介「そうだな……もうちょっといようよ」

さやか「珍しいね。恭介がこういうときにバイオリンを優先しないの」

恭介「え? そうかな」

恭介「バイオリンはいつでも弾けるけど、みんなと一緒に居る時間は貴重だし」

恭介「それに、今日までこれだけ練習してきたんだから」

マミ「あら、少しは成長したってことかしら?」

杏子「ほんの少しだけどな」


杏子「今日も頑張るか!」

マミ「ええ!」

マミ「あ、そうそう。前に話した制服の件だけど、一応シンプルなエプロンだけでも作ることにしたから!」

鳴海「ついにですか!」

杏子「へえ、本格的にそれらしくなったな」

マミ「後で楽しみにしててね」


 階段を下りてお客さんの元に向かう。

 そして、三人で一斉に言った。


「いらっしゃいませ!」


―END―


835以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 01:56:54.55bNDPRGmA0 (1/1)

おお、とうとう今日杏子ちゃん編完結したか、おめでとう次の主人公はマミさんが良いな


836 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 01:57:26.49vwjP+ceA0 (10/31)

---------------
とりあえずこれで完結です。
以下資料なんかはまた次回、26日(日)17時くらいから。


837 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 02:45:57.75vwjP+ceA0 (11/31)

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某DMMゲーに感化されて今まで書いたことのないジャンルに手を出してみた結果、
ほのぼの(大嘘)な展開になった。

そしてラスボスとしてもろに悪役にしても大丈夫そうな人を考えた結果、
あの人しかいなかった。


あと、最後あたりとか安価が少なかったのを猛反省。
折角全員大集合させたんだから、急ぎすぎずもう一個くらい安価出せばよかったかな…

聞きたいこと、会話させたい内容展開なんかがあれば次回開始までに多分なんか追加で書きます。

ではおやすみです。


838以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 10:10:23.40MT0eLPzh0 (1/3)

ほむらと仲を基にするにはどうすればよかった?


839以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 12:40:05.53sSWnO7zG0 (1/1)

杏子編完結乙です
タツヤとあすみがカップルになったことでまどかはお義姉さんになるわけだ
あすみが鹿目宅に初めて遊びに行った時の鹿目一家の反応を見てみたいかも


840以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 15:56:41.00Rr+5p6K50 (1/1)

完結お疲れ様でした。
イタリアでマミと同室だった友人が誰なのか気になるので、そこら辺を掘り下げて欲しいですね。


841以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 17:03:40.496ssqKa6r0 (2/12)

杏子編完結、スレ主さんと参加した方々お疲れ様でした

ほのぼの展開というタイトル詐欺にまんまと騙されましたw
なぎさ編に続いてgood endでしたが、ほむらとの仲がこじれたのが唯一のマイナスだったかな?
杏子編本編の方で織莉子も出したかったですね…マミとの関係修復前に織莉子邸に盗みに入って鉢合わせるとか

最後にさやかをからかう安価いれてもよかったかも…
子供はいつ、何人ぐらい欲しいんだ?産まれたらアタシが名付け親になってやるとかw


842 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 17:46:48.58vwjP+ceA0 (12/31)

ほむらはもう手遅れな気が…本編中盤あたりだったらまだ狙えたかも?
無駄に設定もあるのでちょっとしたおまけを投下。
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*おまけ短編*

①『暁美ほむらの夢』


――東京 某大学・大学院棟内研究室


ほむら「ふぁ……」


 草木も眠る深夜。

 研究室で、ほむらは重く下がってくる瞼をこすってあくびをした。

 その様子を友人が心配そうに見ている。


「もう明日にしようよ。ほむらは体力もないんだから寝ないと持たないよ?」

ほむら「まだ書き終わってないわ。このレポートだけでも今日中に仕上げておきたいの……」

「もう今日中じゃないよ……わたしはもう寝るよ」

ほむら「ええ……おやすみなさい」


 研究室で仮眠に入る友人。

 この前の休み以来、また忙しい日々を送っている。

 年度末というのは慌ただしい。これさえ終わればとなんとか踏ん張るしかない。


ほむら「こんな感じでいいか……私ももう寝よう」


 実験の邪魔にならないようにと後ろに一つにまとめていた髪をほどく。

 長いこと二つに分けていたからか、いまだに綺麗にまとまらずに左右に分かれる癖がついている。


 目をつむるとすぐに眠りの世界に引き込まれた。

 瞼の裏に映る景色は……おそらく人生の中で一番非現実的な体験をした、中学時代だった。




843 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 17:50:48.81vwjP+ceA0 (13/31)


 ――足場の悪い地面を歩き、空を見上げた。

 あの時聞いた話が本当ならば、この街を壊したのは魔女なるものらしい。

 それも、普通の魔女とは違う破格のもの……といっても、ほむらは『普通』の魔女のことすら知らなかった。


 もう少しでこの場所ともお別れすることになる。

 今回の災害で、また東京の実家に帰ることになった。

 しかし、最後にこの街を見てみようと思って訪ねたらこのありさまだ。


ほむら(ニュースでもさんざん映っていたけど、あれを見滝原だなんて思えるわけがなかった)

ほむら(たしかに見滝原に来たはずなのに、違う世界に来てしまったようだわ)


ほむら「!」


 「ひどい景色ね……。戦ってた時はここにもまだ少しはビルも残ってたのに」

 「マミの家にも、もう戻れそうにないか」


 誰もいない荒廃した都市の中で、覚えのある二人が居た。

 その声が聞こえた途端、ほむらは咄嗟に隠れてしまう。

 見つかりたくはない。話したくもない。……けど、どうしてここに来たんだろう?


ほむら(……勝てなかったとはいえ、ここで戦っていたんだよね)

ほむら(どんな感じなんだろう、あの二人の見ている世界は)

ほむら(きっと私とは全然違う世界に居るんだろうな)


 痛そう。怖そう。

 とてもじゃないけど自分にはできなくて、関わりたくもない世界。

 ――――怖い。あの佐倉杏子、と名乗った人物に抱いた感情もそうだった。


 でも、自分や避難所の人たちが助かったのがあの人たちのおかげだというのも事実だった。

 違う世界にいる人が人を救えるのだろうか。



844 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 18:13:04.02vwjP+ceA0 (14/31)


ほむら(……もう行こう。この景色に見覚えはない)

ほむら(次来るときにはどうなっているんだろう。街が復興したら、違うものになっちゃうのかな)

ほむら(次がいつになるかはわからないけど……)


 また舗装のはがれた足場の悪い地面を歩いて、戻ることにする。

 風見野の――街のあるほうへ。

 しばらくしたら両親が車で迎えにくる。そうしたら、完全にこの場所とはお別れだ。


ほむら(せっかく仲良くなってきた人たちともお別れか。それは嫌だな)

ほむら(そういえばあの人もこの前のライブ、見に来てたんだっけ)

ほむら(いきなり家のポストに手紙が入ってた時はびっくりしたけど……)


 さすがに実家に戻ったらもう追ってくることもないだろう。

 ……本当に不思議な人だった。不思議なのは魔法少女だとかあの周り全部そうだ。

 けど、初めてその“力”を見たとき感じた種類の“怖さ”は今では薄れていた。

 ほむらの中で最後までその不思議さは良い方向に捉えられることがなかったものの、
 悪い人ではないんだろうというのはわかった。

 私を……誰かを救おうとはしていたのだから。


 キュゥべえはどうなんだろう?

 ……もう姿を見ることはなくなるだろうか。

 見たとしても、対応は決まっている。

 私には無理だ。あの二人のように戦うことなんてできない。



845以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 18:15:23.42MT0eLPzh0 (2/3)

この世界では勇気を持つことができなかったほむらか?


846 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 18:21:47.88vwjP+ceA0 (15/31)


ほむら(私が生きる世界は……私がする生き道は、違う)

ほむら(東京に戻って、また学校に通って……そんな普通の日常でいい)

ほむら(私がずっと夢見た普通の日常を、少しでも幸せに送ることができたら……)


 また新しい環境で一からスタートすると思うと不安になった。

 なんだかんだで見滝原中学校には良い人が多かったから。

 けど、退院して見滝原に転入する時と比べたら少しだけ前向きな気持ちだった。

 あの時大丈夫だったんだから、きっと今度だって大丈夫だ。


ほむら(帰ろう。久しぶりの東京に……私の家に)


―――


847以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 18:28:42.86ZV7sImEz0 (1/2)

>>845
だろうね。
そもそも、まどかもさやかも魔法少女にならなかった方向へ行ってしまった訳だし
ある意味、本編主要人物と深い関係を持たなかった時間軸と言えるのかも。


848以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 18:35:02.596ssqKa6r0 (3/12)

勇気以前の問題で魔法少女というのに否定的な印象と恐怖心を持っちゃったからね
退院して見滝原に入学するまでにそっとしておけばよかったのかも
あそこら辺からやり直してみたいという気はあるねぇ


849 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 18:47:54.76vwjP+ceA0 (16/31)


ほむら「!」


 ――――耳元から聞こえた音楽にビクリと身体を揺らして起床した。

 前に知り合いから勧められたバンドの曲を着信音にしていた。

 ……ちょうど電話の相手がその知り合いだった。


ほむら「……何?」

 まだ眠気のとれない声で電話に出ると、呑気な声が聞こえてきた。

『おはよう!今日とか練習どう?やっぱほむほむのベースとラップがないと締まらないよ!』

ほむら「無理。年度末は忙しいのよ」

ほむら「まだ起きる予定だった時間じゃないのに……」


 恨めしそうに文句をぶつける。

 率直にこんなことを言えるのは、相手がこんな調子の人だからだろうか。


 元々半ば強引な形で勧誘されて始めた軽音。

 結局あれからずっと部活動はしなかったものの、
 なんだかんだで自分の特技を増やしてくれた軽音部のことは、いつのまにか良い思い出になっていた。

 大学で『けいおん』なんてサークルに惹かれたのも、まだどこかで未練があったんだろう。


『ホントほむほむも言うようになったなー』

『頑張ってね』

ほむら「……ええ。一段落ついたら一緒に練習しましょう」


 その仲間と今でもこうしてバンドをやっていたりするが、その知り合いもほとんどはもう社会人だ。

 ……自分がまだ学生でいることを選んだのは、就職のためというのもあるが、

 一番は今まであまり楽しめなかった学校生活を取り戻そうという思いがあったからだった。


 電話を終えて、まだ寝ている友人の顔を見る。


ほむら(私も寝なおそうっと)

ほむら(……時間はかかったけど、これも夢が叶ったっていえるのかしら?)

ほむら(忙しいけど、こういう日常は悪くないわ)



―END―


850以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 19:03:29.596ssqKa6r0 (4/12)

ほむほむ、まだバンド活動続けてたんだ
けいおん部の人達と縁が続いていて良かった


851以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 19:19:52.50ZV7sImEz0 (2/2)

所で、織莉子と小巻はどうなったのでしょうね?
みなさんは気になりません?


852 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 19:20:41.88vwjP+ceA0 (17/31)

②『鹿目一家と若いカップル』


――某日 鹿目家前


あすみ(……気持ちを落ち着かせるのよ、私)


 表札に彫られた名前は見知った苗字。

 立派な一軒家のインターホンの前で、あすみは深呼吸をした。


知久「あれ? あっ、もしかして君が噂のあすみちゃんかな?」

あすみ「あ、ははは、はいっ!」


 友達の家に遊びに行く約束。それ自体は初めてじゃない。

 けど、『彼氏』の家に行くとなると心持は大分違った。


あすみ(うわぁ、いきなり外に居たなんて!)

あすみ(最近前より制御できるようになって、聞ける声が少なくなってきてたから……不意をつかれた気分……)

あすみ(って、別に今は戦闘でもないんだから。こういう不意は別につかれたって……)



853 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 19:31:15.24vwjP+ceA0 (18/31)


 鹿目君のお父さんは、手にトマトを持っている。

 そういえばお父さんが園芸やってるって言ってたな……なんて思い出した。


知久「緊張しなくていいよ。さ、上がって。今日はみんな居るから」

あすみ「あ、はい……お邪魔します」


あすみ(そっちのほうが緊張するんですけど……)


 廊下をきょろきょろと見回す。

 自宅の狭いアパートとは何もかも違って見えた。

 こんなことで身分違いと言うのも大げさだけど、着ている服とか大丈夫かななんて心配になった。


タツヤ「あすみちゃん!ようこそ!」

詢子「いらっしゃい。よく来たね」

まどか「いらっしゃーい。学校以外で見るのは初めてだね」

あすみ「そうですね。なんか、不思議な気分です……」

タツヤ「あすみちゃん」

あすみ「なに? ……な…………」


 ……鹿目君がその言葉を言う前に赤くなったのを、気づかれてはいないだろうか。




854 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 19:43:50.29vwjP+ceA0 (19/31)


タツヤ「初めて見たけど、私服も似合ってるね」

あすみ「……」


 心の中に聞こえた声は『その服可愛いね』だった。

 そんなほんの少しの違いにも気づいてしまえるのは幸か不幸か。


あすみ「うん……ありがとう」


あすみ(……でも、ちょっと勇気を出して心の声のほうを言ってほしかったかな)


知久「仲良くしてくれてありがとうね」

詢子「タツヤー? 十分上出来だけど、素直に可愛いって言ってやったらもっとよかったのにな」

タツヤ「えっ!? う、うん……可愛いよ、あすみちゃん」

あすみ「あ、ありがとう」


 ……魔法がなくても心を読めることがあるんだな、なんて思った。


あすみ「ていうか、家族にももう言ってたんだね……なんか照れるな」

まどか「うちは割と隠し事なしなスタイルだから」

まどか「そっちは、お母さんと話してないの?」

あすみ「ちょ、ちょっと話してます」



855以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 19:57:13.52r5E+Eazo0 (1/2)

仕事が消えた。
 それはほんの数時間前まで、掴んでいたものだったのに。

「幸せにしてくださいね、奏多《かなた》」
「勿論だよ、雛子《ひなこ》」

 雛子の手をギュっと握る。雛子はもう片方の手を胸にやって、感慨深そうだ。

そうして、結婚式場への一歩を踏み出した時。気付いたら僕は、1人暮らしのアパートにいたんだ。最近引っ越したばかりで、布団とPCしかない僕の部屋。間違えようがない。


「……は?」

 何度瞬きをしただろう。何度周りを見るために首を振っただろう。僕は何度、深呼吸をしたのだろう。

 なんだこれ? これはいわゆる、夢オチってやつか? ふざけるな、僕の記憶には間違いなく、雛子とのこれまでの付き合いや、結婚式の段取りだって刻まれているのだから。

 それなら僕は、何をしたらいい? 考えるまでもない、そんなものひとつしかないだろう。僕は先程まで、いったい誰といた? そしてこれから、誰と一緒にいるはずだった?

雛子。
連絡しよう。とにかく雛子に連絡しよう。それで解決するはずだ。

「え?」

 早速スマホを取って、アドレス帳を開く。だが、雛子の番号がスマホに登録されてない。気付かぬ間に、間違って消していた? なら大嫌いな部長の方が消えて欲しいと思うところではあるが、その部長の番号はおろか、課長の番号も他の同僚のものもない。


856以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 19:59:56.39r5E+Eazo0 (2/2)

だが、落ち着け。雛子の番号は教えてもらったことが嬉しくてずっと覚えているし、会社の番号はネットでも調べられるはずだ。


「ひ……雛子……?」

 そうして、ミスなく数舜のうちにプッシュして、雛子への電話をした。

だが、結果は散々で。雛子は僕のことを知らないと言うわ、その後違う男が出て雛子の夫だと名乗るわ。PCで番号を調べて会社にも連絡したが、僕は入社すらしていないらしい。
 
なるほど、夢オチのフリをして今この瞬間が夢なんだな? 僕は緊張し過ぎて結婚式場で卒倒したに違いない。

 僕はそうして、それなら布団に倒れ込んでやろうと、PCをシャットダウンした。

「……!?」

 のだが。その時目には言った、今日の日の日付。平成28年6月12日のはずなのに、なんで6月5日になっているんだ!?
それに、ネットニュース……有名人殺害、隕石落下、特許取得。先週見たものばかり。 隕石に至っては直接この目で見ている。勘違いであるはずがない。

 僕は、映画やアニメ、マンガにドラマが、好きだ。色んなヒロインを落としたり、逆に落とされたり、魔法に剣に、科学に。なんでもありの世界が、大好きだ。

その中でもタイムリープものの作品は、セリフを記憶しかねない程見てきた。だから、タイムリープなんて単語を聞けばわくわくする。だが、それはご本の中のお伽噺だからに過ぎない。

そして今、僕の置かれた状況はどうだろう?

結婚式から自分の部屋に瞬間移動していて、日付を見れば1週間前。夢だと思ったが、いや夢だと思いたかったが、夢なんてものは夢だと気付いたら覚めるもの。雛子の携帯番号を覚えていて実際繋がったってことは、僕の記憶は確からしい。

なら、これは現実で、それを認めてしまうとすると……

「これ、タイムリープってやつじゃ……!?」


857 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 20:29:34.69vwjP+ceA0 (20/31)

何か別の話が投下されてるけど誤爆やろか
混ざるとちょっとわかりにくくなりますね…

--------------------------------------------

タツヤ「今度あすみちゃんの家にも遊びにいきたいな」

あすみ「でも、うちは狭いしなにもないよ」

タツヤ「それでもいいんだ」

詢子「親御さんに挨拶に行くならビシッといいとこ見せないとな」

知久「行く時には言ってくれたら何か用意するよ」

あすみ「え、いいですよ。そんな気を遣わなくても……」

あすみ「私も何も用意とかしてませんし」

詢子「そういや、もう少し前にはうちに猫とかも居たんだけどね」

あすみ「あ、エイミーですよね」

あすみ「元々マミさんの家に居たのを預かってたって」

あすみ「たまに会いに行ったりしてますよ」

詢子「そっか。まどかも休みの日はたまに会いに行ってるよな」

まどか「じゃあ、今度ばったり会うかもね」

まどか「あの店はいろんな人が集まるから」

タツヤ「でも、うちも何か飼ったりしたいな……猫もいいけど犬とかどうかな」

まどか「えー、犬はちょっと……」

知久「ああ、まどかはまだ犬が怖いんだっけ」


 ……鹿目君の家は、うちとは何もかも違う。

 うちだとお母さんと二人で、こんなふうに大人数で話すことはない。

 でも、こういうのも楽しそうだと思った。なにより、暖かい気持ちになる。


あすみ(きっと、こういう家で育ったから鹿目君はこういうふうに育ったんだろうな)



858 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 20:31:25.08vwjP+ceA0 (21/31)


詢子「まあうちにも大したものはないけど、ゆっくりしていきなよ」

詢子「ここはちょっと二人きりにさせておくほうが気が利いてるかね?」

あすみ「え、ええと……」

まどか「あ、そっか。あんまりみんなで囲んでると緊張しちゃうかな?」

まどか「タツヤの部屋はあっちだよ」

タツヤ「行こっか」

あすみ「……うん」


 二階の部屋のほうに通されてからも、

 下のほうからはまだ明るい声が聞こえていた。


あすみ「いつもあんな感じなんだ」

タツヤ「うん。うちはお父さんが専業主夫でさ」

タツヤ「ちょっと変わってるって言われること多いけど、賑やかで楽しいよ」

あすみ「そうだね。楽しそうだなって思ったよ。お母さんもカッコいいし」

タツヤ「あ、ぜひ夕飯も食べていってよ。パパは料理もすごく上手だから!」

あすみ「うん……じゃあ、今日はお言葉に甘えようかな」


 いつもお父さんって呼んでるけど心の中では『パパ』って呼んでて、

 最後はついに素の呼び方が出ちゃったのが少しだけおかしく思えた。


 今度はうちにも誘おう。

 そしたら、鹿目君もうちを気に入ってくれるといいな。


―END―


859以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 20:38:38.156ssqKa6r0 (5/12)

乙です
思ってたよりも普通だった
何というか、詢子さんがあすみにもっと絡んでくるかと…まぁ酒入ってないからかな?


860 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 20:47:11.17vwjP+ceA0 (22/31)


③『ドルチェ・ジョルニ・メモーリア』


――イタリアンレストラン『フィオリーレ』


杏子「ありがとうございましたー」


 お客さんを見送って、手分けしてテーブルの上を片づける。

 飯時にはまだ早い時間だが、そろそろ気を抜けない。なにせ、今日は一番忙しい“土曜日”なのだ。


さやか「おー、手際いい」

杏子「だろ? あたしも慣れてきたからな」

鳴海「私も慣れてきました。けど、杏子さんにはかないません」

マミ「佐倉さんはすっごい同時に運ぶことが出来るのよね……あれは多分常人には真似できないわ」

ゆま「意外なところに才能があったんだね……運動神経のおかげかな」

キリカ「それなら確かに納得かな……」


 テーブルの上を拭き終え、次の客が来るまでまた少しだけ話に戻る。


杏子「で、さやか」

杏子「子供はいつ、何人ぐらい欲しいんだ?産まれたらあたしが名付け親になってやるよ」

さやか「おおお!? き、気が早いよ!?」



861 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 20:51:10.50vwjP+ceA0 (23/31)


杏子「なんなら結婚と同時にサプライズだって良いんだぜ?」

杏子「ちゃんと希望はぶつけないと、あいつのことだ」

杏子「いつのまにかジジババになってたみたいなことになりかねないだろ!」

さやか「あー、それは確かにないとはいえないのが……」

恭介「あはは……いつかは考えるよ」

マミ「美樹さん、上条君のいつかは信用できないからね」

マミ「アピールしていいのよ、アピール」

さやか「あはは……」


 二人して笑ってごまかしているのがなんだかおかしい。

 ……さっきから思いっきり本人のいる前で言っているが、こいつにはもう露骨なくらいで十分だ。



・多分最後の自由安価。何か話題があれば。

 下2レス


862以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 20:56:22.05MT0eLPzh0 (3/3)

「こういうのが幸せっていうのかね?長い間、そういうこと忘れていたからよくわかねぇわ」と笑う
(そしてここがアタシの居場所なんだ……)と心の中で思う


863以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 20:58:07.616ssqKa6r0 (6/12)

小巻、ゆまの祖父母が店に来訪

あと>>840のマミの友人の話を


864以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 21:00:52.099HglLOWaO (1/5)

そういえばゆまの祖父母ってお盆に会いに来るって言ってたな


865以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 21:03:37.816ssqKa6r0 (7/12)

確かに本編で言ってましたねぇ
まぁ、ワルプルで見滝原壊滅したからそれどころじゃなかったんだろうけど
10年の間に会いにはきてくれてただろうけど


866以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 21:18:53.236ssqKa6r0 (8/12)

あ、最後に杏子が教会に行って墓参り&亡き家族に現状報告ってのをやりたかったなぁ


867 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 21:18:54.16vwjP+ceA0 (24/31)


 ……と、来店を知らせる音が鳴る。

 ビシッと雰囲気を変えて接客に行く。


杏子「いらっしゃいませ! ……ってお前か」

「客をお前呼ばわりとは、随分とマナーがなってない店ね?」

鳴海「も、もうしわけございませんでしたー! ……って、知り合いですか?」

マミ「いらっしゃい。あなたは……」

「もう忘れた? あたしよあたし。チラシを見て来たの」

杏子「気をつけろ!あたしあたし詐欺だ!」

小巻「目の前に出てきてどうやって詐欺するのよ!あたしよ、浅古小巻!」

マミ「……本当に久しぶりね。高校の時以来だったかしら?」

小巻「そうだったかもね」


 ……風見野の魔法少女。

 あたしがキュゥべえからその契約理由を聞きつけて、ちょっかいかけてやろうと襲ったのがきっかけだった。

 第一印象は最悪だろう。

 けど、なんだかんだあって和解して、あのワルプルギスの夜以降に見滝原に戻ってからもたまーに会っていた。


マミ「それで、ご注文は?」

小巻「この店で一番おすすめのセットを頼むわ」


 この不遜な言い方。まあ、それでこそなんだが……。

 ……ほとんど“魔法少女”という点以外で交流はなかった。

 こいつだって一応お嬢様だ。同じ元魔法少女でも、普段は住む世界の違うところに居るのだろう。



868以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 21:39:27.659HglLOWaO (2/5)

募金したわけだしさやかと上条との絡みあるかな?


869 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 21:39:59.73vwjP+ceA0 (25/31)


杏子(まあ、それでも仁美とは仲良くやれてるしな)


 マミがおすすめのメニューの解説を詳しく話して、それからキッチンの奥に行った。

 ……みんなのいるテーブルをちらりと見てみれば、知らない人の登場にざわめいている。


まどか「えっ、誰?」

さやか「値段も見ないで頼んでるあたり、結構な金持ちと見た」

まどか「仁美ちゃん、知ってる?」

仁美「金持ちというだけで話を振らないでください……」

杏子「あいつは……昔ちょっと同じ仕事をしてたことがあったんだ」


 この言い方に二人は感づいたようだった。

 あとの人は、意外だというような態度でさらにざわめいている。


杏子「そんなことより、ゆまは休みのうちに実家に帰ったりしないの?」

杏子「おじいちゃんとおばあちゃんは元気か?」

ゆま「うん、電話はよくするよ。近いうちにこっちにも一度来るって言ってた」

ゆま「その時に一度一緒に帰ろうかなって思ってる」

杏子「へえ」


 と、話していると、小巻に呼び止められた。


小巻「……ねえ、佐倉。久しぶりに会ったんだから、なんか面白い話してよ」

杏子「なんだ急にその雑な振り方は」

小巻「マミは今料理中だし」

小巻「ここはあんたたちのホームでしょ? あたしの知らない人もたくさんいるし」

小巻「緊張を和らげるために積極的に話そうという気遣いくらいしてくれたっていいでしょ」

杏子「いや、あんた緊張とかしないだろ」

小巻「いいから」



1自由安価
2近況報告
3とりあえずみんなを紹介する

 下2レス


870以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 21:53:29.476ssqKa6r0 (9/12)

3と小巻を紹介する間にさやかが考え込んでる

こいつは浅古小巻、見ての通りいいとこ育ちのお嬢様だ
最初に会ったのは…スレてた頃のアタシと喧嘩したときだな
お嬢様だけあってなかなか強かったが…最後はアタシの技が決まってKO勝ちだったな
それからなんだかんだあったが今では和解してる、たまに一緒に行動して仕事したりしたしな

話してる最中さやかが小巻の顔を見て何かを考え込んでるみたいだが…どこかで会ったのか?


871以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 21:55:48.069HglLOWaO (3/5)



さやか、募金してくれた人だと気づくかな?


872 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 22:06:12.66vwjP+ceA0 (26/31)


杏子「はぁ、じゃあ紹介してやるよ」

杏子「ほら、みんな注目」

杏子「こいつは浅古小巻、見ての通りいいとこ育ちのお嬢様だ」

杏子「最初に会ったのは……スレてた頃のあたしと喧嘩したときだな」

杏子「お嬢様だけあってなかなか強かったが……最後はあたしの技が決まってKO勝ちだったな」

小巻「こ、こらっ。余計なこと言わないでいいの!」

杏子「それからなんだかんだあったが今では和解してる。たまに一緒に行動して仕事したりしたしな」

仁美「格闘技仲間ということですね!」

杏子「仁美はなんでそういう話題に興味津々なんだよ」

仁美「強敵と書いて友と読む、素晴らしいと思いますわよ」


 ……こいつ、良い子ちゃんのお嬢様に見えて結構俗っぽいもの好きだよな。


仁美「あ、申し遅れました。志筑仁美です。よろしくおねがいいたしますわ」

小巻「ええ、よろしく」



873 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 22:15:39.64vwjP+ceA0 (27/31)


まどか「わたしは鹿目まどかっていいます。よろしくお願いします」

恭介「上条恭介です。普段はバイオリンとか弾いてます」

杏子「ついでにこっちの子がその妻の上条さやかです」

さやか「いやまだ結婚はしてないし苗字は美樹だけど」

杏子「そろそろするんだから同じようなもんだ」

小巻「ああ、あんたか」

恭介「……? あ、バイオリン弾いてて雑誌とかテレビにも出てるから知ってるのかな」

さやか「…………あ」

 話してると、さやかが何かを思いついたようだ。

 思いついた、というか思い出したというか。

 ……そういや、募金の時に一度会ってるんだよな。さやかは。

小巻「腕が治ってよかったわね」

さやか「あの時の人か! めっちゃ募金してくれた!」

恭介「えっ? そ、それはありがとうございます!」

小巻「ついでにおめでとう」

さやか「あ、はいっ!」



874 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 22:31:35.48vwjP+ceA0 (28/31)


 ……全員分の挨拶が終わると、それだけでもそこそこ時間が経った。

 そろそろマミの料理も仕上げに入る頃だ。


小巻「……まさかあんた、これだけの人全員と知り合いだったとはね」

小巻「しかも中学生二人まで」

まどか「わたしの弟と教え子だから」

杏子「ついでに彼女だから」

小巻「さっきから囃し立てるわねあんたは……」


 一通り自己紹介が終わっても、この人数に一人増えただけでわずかに委縮しはじめてるヤツがいた。


キリカ「……喧嘩とかいってたけど、こう見えて元ヤン?」

杏子「ほら、キリカはお前と違って繊細なんだよ。あんまりズケズケ言って困らすなよ」

小巻「いやそれはおかしいから!」

小巻「ヤンキーでもないし病んでもないっての。ていうかそれはむしろ佐倉のほうでしょ」

小巻「あっちがいきなり突っかかってきたの。わかった?」

キリカ「そ、そう」

小巻「その繊細な人が佐倉と付き合えることのほうが意外だわ」

杏子「うるせーあたしだって意外と繊細だ!」

キリカ「……それは繊細な人のセリフではないけどね」


 そんなことを言っているうちに仕上げも終わったようだ。

 マミが皿を置いた。


マミ「お待たせ。何の話?」



875 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 22:41:53.90vwjP+ceA0 (29/31)


杏子「とりあえずみんなで自己紹介してた」

キリカ「杏子が意外と繊細だという話。ありえない」

杏子「おい」

マミ「そうねえ……意外と繊細なところはあるかもしれないわね」

小巻「不思議とマミが言うと説得力が増すわね……」

小巻「……あ、このサラダおいしい!」

杏子「サラダから行くのかおのれは。草食動物か」

マミ「佐倉さんはほっとくと野菜を食べないじゃないの」

小巻「あたしはあんたと違って繊細な女性だから栄養管理もこだわってるの」

キリカ「……ここのサラダが美味しいのは同意する。全部美味しいけど」


 ……マミも調理が終わって、また一息つく。


杏子「今日はこれからが本番って感じだが、明日は休みだな」

マミ「そうね……なにかやりたいことはある?」

杏子「久しぶりにピーチパイ食べたい」

マミ「じゃあ作ってみようかしら」

杏子「そういや、イタリアに居た時もケーキ作りとかやってたのか?」

マミ「ええ、休日には。同室の人にも好評でね」

マミ「彼女も料理上手だったけど、ケーキだけは私の担当でよく振る舞ってたわ」

杏子「へえー」

マミ「確か、最初に作ったのもピーチパイだったわ。すっごい褒めてくれて、打ち解けたの」

さやか「イタリアに居た頃の話かぁ、聞いてみたいです!」

仁美「確かに気になりますわね」


 みんなが近くに寄って耳を傾ける。

 マミの思い出話がはじまった。



876 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 23:07:26.39vwjP+ceA0 (30/31)


―――――
―――

…………三年前、初めてイタリアに行って、戸惑うことばかりだった。

日本とは全く違う建物。見たことのない景色に心が躍る。

でも、どこか自分の知らない世界に来てしまったような不安感があった。

本で学んできただけのイタリア語はまだ心細く、伝わらないこともあった。


寮生活というのも初めてだった。同じ職場で働くの人との共同生活。

同じくらいの年。それに、名前からして日本人らしいのが救いだった。


マミ「チャオ…」

「Ciao!」

マミ「Il mio nome è Mami Tomoe.(私は巴マミといいます)」

マミ「Piacere(よろしくおねがいします)」


 ……個性も何もない、教科書の一番最初に出てくる会話例のような会話だと自分でも思った。

 彼女はそんな少し硬い空気をほぐすように元気に言う。


「ピアチェーレ……――って、日本人だよね? 日本語でも大丈夫だよ」

マミ「えっ、ああ、そうね! 改めまして、私は巴マミ。よろしく」

「やっぱ、使い慣れた言葉じゃないとちゃんと言った気がしないよね」

マミ「いっぱい使って慣れないととは思うんだけどね……えーと、昴さんっていったかしら」

かずみ「ん。昴かずみだよ、よろしくね」

マミ「……昴さんはずっとこっちに住んでるの?」

マミ「昼に見かけた時とても上手に話してたから、むしろ日本語が通じるかが不安になっちゃって」

かずみ「あー、そっかー」

かずみ「わたしはグランマがイタリア人だし元々帰国子女だったから小さい頃からイタリア語も喋れたんだ」

かずみ「わからないことがあったら教えてあげるよ」

マミ「ええ、ありがとう」



877以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 23:12:07.526ssqKa6r0 (10/12)

お、かずみだったのか!


878以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 23:16:15.289HglLOWaO (4/5)

マミとかずみ(ミチル)って初対面じゃないよね
忘れてるのか?


879以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 23:19:33.056ssqKa6r0 (11/12)

>>878
杏子編は杏子とマミの立場が逆転してるから、あすなろ組と面識があるのは杏子の方だよ


880以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 23:24:32.879HglLOWaO (5/5)

そういえばそうだったね
サンクス


881以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/26(日) 23:30:10.776ssqKa6r0 (12/12)

まさかマミと同室だったのがかずみだとは思わなかった
もっと早くにわかってたら安価に加えられたのに残念
マミが手紙で招待してたりして、この後来てくれたらなぁ


882 ◆xjSC8AOvWI2017/03/26(日) 23:35:55.91vwjP+ceA0 (31/31)


 一緒に暮らし始めてわかったことは、

 とっても料理が上手ということと、とっても食べるのが好きということだった。


マミ「ちょっと……どうしたのその量は」

かずみ「え? おなかすいたから。それに練習だよ」

マミ「……食べきれるの?」

かずみ「失礼な、食べきれないものを作らないよ!」

マミ「そ、そう。でもすごくおいしそうね」

かずみ「マミもたんと食べていいからね! 足りなかったら追加で作るから!」

マミ「ええ、いただきます。でも多分足りるわ」


マミ(……いちごのリゾット。優しい味ね)

マミ(料理のレパートリーは昴さんのほうが多いのかも)


マミ「これ、今度教えてくれないかしら」

かずみ「いいよ。じゃあマミも何か教えて」

かずみ「マミの得意料理は?」

マミ「パスタとかはよく作ってたわね。ビーフシチューも好評だったわ」

かずみ「家族に?」

マミ「……ええ。そんなところね」



883 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 00:08:28.16fw2YomnL0 (1/14)


 夕食の後にはイタリア語の勉強に付き合ってもらっていた。


かずみ「……いやでも熱心だね。ノートまで作ってるなんて」

マミ「料理の腕以前に、会話っていうのは基本だもの」

マミ「そこは早くにもっと上手くやれるようにしなくちゃって思って」


 こういうのはやっぱり足りない部分を補っていって慣れていくしかない。

 聞き取れなかったところ、どう表現すればいいかわからなかった言葉なんかを

 書き留めておいたりして聞くことにしていた。


マミ(そういえば、魔法少女の訓練用のノートっていうのも作ってたわね……)


 ……熱心に書き留めていたノート。

 熱心すぎて、血迷ったことを書いていたのを思い出して、すぐに頭から掻き消した。


マミ(あ、あれはもう忘れるのよ!)


 でもやっぱり、一生懸命辞書を引いて、最初に覚えたイタリア語は必殺技に使ってた名前だった。

 こうやって勉強しはじめると、最初知ってたのがあれだけというのがまたなんとも恥ずかしかった。


かずみ「んー、でももうちょい力抜いてもいいと思うんだけどね」

かずみ「マミの言うとおり会話っていうのは基本だから、自然と覚えるんだよ」

かずみ「文法とか単語きっちり覚えるよりも、伝えよう!わかろう!って気持ちがあればきっと大丈夫」

マミ「そっか……そうなのかもしれないわね」

かずみ「うん!」



884 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 00:18:32.19fw2YomnL0 (2/14)


マミ(イタリア語を調べようと思ったきっかけは、正直かっこつけだった)

マミ(リボンだとか矢だとか射撃だとか……そんなのなかなか日常生活で使う機会ないんだもの)

マミ(佐倉さんも『わけわかんない』って散々言ってたし)

マミ(……それだけじゃ会話できないわけだわ)

マミ(伝えるため、わかるための言葉って思えばまた違うものに思えてくるんでしょうね)


かずみ「――――……それじゃ、勉強はここまでにしてそろそろ寝よっか」

かずみ「今度休みはどっかお出かけにいこ」

マミ「ええ! 楽しみだわ」


かずみ「Buonanotte」

マミ「……ええ、おやすみ」



885 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 00:19:08.88fw2YomnL0 (3/14)

-------------
ここまで
次回は27日(月)20時くらいからの予定です


886以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/27(月) 07:26:10.82tmMU7Bog0 (1/4)

街外れの岡の上に、その建物はあった。
一昔にとある富豪が建てたという屋敷のような白基調の豪邸は、持ち主が亡くなった後は売家として出されていた。
長らく人が住まないことで老朽化した豪邸は住み良くまた仕事がしやすいようにリフォームし、豪邸を囲むように、目立たないように、監視カメラを取り付けて、完成した。

ディチャセッテファミリーの本拠地だ。


887以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/27(月) 07:26:53.37tmMU7Bog0 (2/4)

その一室、パソコンの画面とにらめっこしていた小柄な青年は深く溜息を吐いた。
そして、机に置かれていたベルを鳴らした。
間もなく、コンコンとドアが鳴り、太い三つ編みを左肩に垂らした女性が入ってきた。

「岬希さん、ご用ですか?」

「いつもごめんね、江里花ちゃん。 まるで使用人を呼ぶようで嫌なんだけど…」

青年――森ノ宮岬希の謝罪に、女性――蓬来江里香はくつくつと笑った。


888以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/27(月) 07:28:07.58tmMU7Bog0 (3/4)

「良いんですよ。 この部屋の中から大声で名前を叫ぶより、岬希さんの労力は少ないし、あたしも気付きやすいので」

「ふふっ、そういえばそうだね」

岬希も笑みを返した。
岬希の右足は、過去に負った怪我が元でほとんど動かない。
一人で何もできないわけではないのだが、付き人である江里花にはいつも助けてもらっている。

「ところでご用は? お茶ですか?」

「ううん、見て、これ」

岬希に促されてパソコンの画面に視線を移した江里花の表情が、一気に険しくなった。
眼鏡の奥の瞳には、静かに怒りが燃えていた。


889以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/27(月) 07:34:14.57tmMU7Bog0 (4/4)

「”こういうモノ”を作る下種は、何時になれば根絶やしになるのでしょう…」

「ならないよ、きっと。 こういうのは、家庭内害虫のようにしぶとくどこかで生き延びるんだ。
 だから、僕たちは、せめて自分たちの身の回りに火の粉が降りかからないように防ぐんだよ。

 既に、降りかかり始めてるかもしれない。
 だから江里花ちゃん、この件を、すぐにボスへ報告してほしいんだ」

「わかりました…では」

江里花は一礼し、部屋を出て行った。
間もなく、外出中のボスを探すために外に出でていくだろう。

一人残された岬希は、パソコンの画面に視線を戻し、小さく笑った。

「名前だけは可愛いけど、この世の中に不要なものだよね。
 …本当に、下種共は一人残らずくたばればいいのにね」


890以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/27(月) 09:38:50.67rEIhZbdr0 (1/1)

荒らし乙


891 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 20:31:01.65fw2YomnL0 (4/14)


――――広いホール。忙しなく人が動き回るキッチン。

最初はウェイターからやってたけど、やっぱり料理をしている時間が楽しかった。

最初のうちはまかないしか作れなかったけど、少しずつ認められていったから嬉しかったな。


*「※訳(これ美味しいわね!)」

*「(なかなか優秀な新人が入ったな)」

かずみ「(ね。マミめっちゃ腕いいよね!?)」


かずみ「大丈夫だよ、これならすぐに認めてもらえるよ!」

かずみ「だって、普通にお客さんに出してもおかしくないレベルだもん」

マミ「そうかしら…… 嬉しいわね」

かずみ「午後からも頑張っていこう!」

マミ「ええ!」


――――昴さんは誰とでも楽しそうに話している。

困っている時には、こっそりと助けられることも多かった。

こうして見知らぬ地ですぐに馴染んでいけたのは、昴さんのおかげでもあった。



892 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 20:40:35.52fw2YomnL0 (5/14)



かずみ「お疲れさまぁーっ。休みに行きたいとこは決まってる?」

マミ「そうね……」


 雑誌をぺらぺらとめくる。

 いくつかマークしてあるのは有名な観光地。

 ……前に行った時には私、いくつだったっけ。あのころはお父さんもお母さんも元気だった。


かずみ「お、やっぱこっちに来たからにはそういうとこ気になるよね」

かずみ「ローマの休日とか好きなの?」

マミ「好きっていうか……あこがれるわよね」

マミ「でも、気になるところって考えるといっぱいになっちゃうわね」

かずみ「気になったとこは行こうよ。せっかくなんだから!」

かずみ「だったら明日はこことここと……」

かずみ「ここのジェラートは美味しいから行っておいたほうがいいし……」

マミ「そんなに回れるの?」

かずみ「大丈夫大丈夫!」



893 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 21:03:14.77fw2YomnL0 (6/14)

―――


マミ「休みの日はかたっぱしから気になっていた場所に出かけたっけ」

マミ「あれは楽しかったなぁ。休みのほうがむしろへとへとになったけど」

あすみ「いいなぁ。私は日本から出たことないから……」

さやか「まだ行くチャンスなんていっぱいあるっしょ!」

さやか「あたしも中学の頃はアメリカ行くなんてさっぱり考えてなかったし」

恭介「僕も募金のことがなかったら行かなかっただろうな……」

杏子「あたしもここから出ることはないだろうな」

恭介「そういえば、パスポートないって言ってたっけ」

杏子「……ああ、まあな」

杏子「だから、こういう話を聞けるのは面白いよ」

マミ「ふふ、ありがとう」


―――


894 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 21:18:59.88fw2YomnL0 (7/14)



 ……結構な距離を歩き回って、帰ってきてからはすぐにぐっすりだった。

 改めて色々と話をしたのは翌日だ。


マミ「おかげさまで昨日は楽しかったわ」

かずみ「わたしも改めて回ってみると楽しかった!」

マミ「途中から食べ歩きになってたわね」


 本当、こうしていると佐倉さんを思い出すのよね。

 ……ああ、そうだ。そろそろ手紙も書かないと。


マミ(あっちは元気にしてるかな)

マミ(食べ物とかも……ちゃんと栄養気遣ってればいいけど)


かずみ「日本もいいけど、ここも良いところでしょ?」

マミ「ええ。建物も綺麗だし、人柄もいいわ」

マミ「それに……カッコいい人もいっぱいいるし」

かずみ「ほうほう」



895 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 21:23:11.23fw2YomnL0 (8/14)


かずみ「マミはこれからずっとこっちに居る予定?」

マミ「いえ…… 私はもともと、自分の店を持つのが夢だったから」


 ……ずっと前から、憧れはあった。

 付き合うなら外国人って決めていたし。

 なんかこう、日本にはないキラキラした感じのものがある気がして。

 実際に行ってみて、まだ日は浅いけど素敵な場所だと思った。


 でも、やっぱり……


マミ「……いつかは帰ることになるかな。ちゃんと、自分がここで成長できたって思ったらね」

マミ「約束もしたから」

かずみ「そっか……」

かずみ「応援するよ。マミならできるって!」

マミ「ええ、ありがとう」

マミ「……そうだ。 そろそろティータイムにしましょうよ」

マミ「何か作ってくるわ」

かずみ「お、ドルチェ?」

マミ「ええ。……多分、私が一番自信のある料理を」



896 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 21:33:16.08fw2YomnL0 (9/14)


 紅茶と特製のピーチパイをテーブルに運ぶ。

 佐倉さんと出会った時に作ったもの。


 ……自分で作った料理を誰かに振る舞ったのはこれが初めてだった。

 教えてもらったりお手伝いをしたりはしてたけど、

 まだお母さんが居た頃にはそこまで料理を作ることもなかったから。


かずみ「すごい! おいしそう~!」

マミ「おまたせ」

かずみ「へー、ケーキ作りも得意なんだ!」

かずみ「それに、こんな美味しい紅茶飲んだことないよ」

マミ「いつもこうしてよくティータイムにしてたのよ」

マミ「私の近くにも、昴さんみたいによく食べる人が居てね」

マミ「その人は料理はしようとしなかったけど」

かずみ「えー? それはもったいないね」

かずみ「自分で作れれば自分の食べたいものを好きなだけ食べられるのに」

マミ「食べたいものは全部マミが作ってくれるから、だそうよ」

かずみ「じゃあ今食べたいもの食べられてないよ、その人」

マミ「あ、そうね…… 今度手紙に書いておこうかしらね」



897 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 21:35:51.93fw2YomnL0 (10/14)


 紅茶の香りがふわりと鼻腔をくすぐり、ピーチと混ざる。

 このピーチパイもきっと、最初に作った時よりまた上手になっている。


マミ(……こっちでもやっていけそうな気がするわ)

マミ(いつか、自分が成長したと思えるようになったら)

マミ(また会うときは胸を張って、新しい自分を見せよう)


 ……帰ったらまた作ろうかな。

 やっぱりあの子は、私がいないとダメそうだ。


――――……
――――――


898 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 21:43:02.58fw2YomnL0 (11/14)



杏子「……で、実際帰ってきてみたら」

杏子「やっぱりあたしがいないとダメだっただろ?」

マミ「…………はい」

マミ「本当はね……もうちょっとかっこいい再会をする予定だったのよ」

マミ「なんだか情けないわ」

杏子「成長しても、マミはマミだからな」

杏子「それに、マミが完璧超人になっちまったらあたしの役目がなくなる」

小巻「支え合う仲ってことでいいんじゃない?」

小巻「それがあんたたちらしいわよ」



899 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 22:24:49.43fw2YomnL0 (12/14)


マミ「それで、佐倉さんは私がいない間はどうだったの?」

ゆま「わたしのバイト先の喫茶店にはよく来てくれてたよ」

ゆま「でも、確かに野菜とかあんまり食べてなかった印象だなぁ」

キリカ「……ネカフェ難民だった」

杏子「だあああそれは言うなってばもおおお!」

マミ「おかしいわね、『ちゃんとやれてる』って聞いてたんだけど……」

杏子「ほら、こいつが心配するから!」

杏子「あんたは母親か! マミさんならぬママさんか!」

小巻「ぷっ、なにそれママさんだって!」

杏子「とにかく、明日のピーチパイは楽しみにしてるからな」

キリカ「……いいなぁ」ボソッ



900 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 22:33:34.76fw2YomnL0 (13/14)


キリカ「いいなぁ……」ボソ

キリカ「……いいなあ」

杏子「聞こえてるから!」

杏子「全然さりげなくはないぞ!? かなり露骨なアピールだからなそれ!」

マミ「……上条君の公演が終わったら、また明日もみんなで集まりましょうか」

まどか「わぁ、そういうの久しぶりだから楽しみです!」

さやか「ピーチパイのためにも明日はがんばんないとね? 恭介」

恭介「そうだね」

小巻「こいつ絶対繊細じゃないわ……」



901 ◆xjSC8AOvWI2017/03/27(月) 22:48:49.29fw2YomnL0 (14/14)

----------------
短いですが区切りがいいのでここまで
次回は2日(日)17時くらいからになります


902以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/27(月) 22:50:07.57FlkBS/fA0 (1/2)

次は6日後かぁー。そろそろ次行くかどこからかやり直すかやりたいなぁ……


903以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/27(月) 22:53:11.45Af5wy+/n0 (1/1)

乙です!
キリカは甘いものが絡むと繊細が大胆になる娘なんですね
マミとかずみの仲も良かったです
かずみもあすなろの戦いの後、自分の道を頑張って進んでいるようで何より


904以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/27(月) 23:08:05.06rGUVBMWe0 (1/2)

>次かやり直し
どれが良いのでしょうね。
変わりモノなら二つくらいネタを提供できそうなのですが・・・
1さんはラブい系路線は好きなのかどうか・・・
まあ、駄目なら黙ります。


905以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/27(月) 23:08:55.79FlkBS/fA0 (2/2)

>>904
詳しく教えて。気になるから


906以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/27(月) 23:43:47.94rGUVBMWe0 (2/2)

たいしたものではありませんよ。
一つはスタート時に自分の性別が男姓に変わってたネタで題して男の娘ほむらちゃん
イレギュラーがさらにイレギュラーに!
まあ、本人はいたって真面目に動いてるのに周りが恋愛脳な所為で拗れて行くのがみたいだけです。
目指せハーレム!ぉぃ。
もう一つはさやか主人公のショートで恭介が入院中にリャナンシーという魔物に取り付かれてしまう話です。
この魔物、取り付かれた相手にしか見えないらしいので病んでる感じが出るかなぁと
あ、呼び名は某ゲームのキャラと同じリャノーンでシナリオさんもきっとこの魔物のイメージで指定したんだと思う。多分
以上、こんな感じです。


907 ◆xjSC8AOvWI2017/03/28(火) 00:07:15.33dCBlxKxr0 (1/1)

----------------
>>906
ものすごい発想を持ってると思うからあなたが書いたほうがいいと思う…
俺の力ではその設定を活かせる気がしないw

ちなみに、一応ラブい路線だと
無駄にオリキャラ作成時の安価案で男性主人公ギャルゲ路線が新たに用意されてます


908以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/03/29(水) 20:59:40.61iacPwoo90 (1/1)

>>907
自分でですか。出来るかな~!?!…自分そういう才能はないです。バカだし。
でもチャレンジだけはしてみます。時間があれば。
カタチニナルトイイネ・・・
ではROMってます。


909 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 17:51:04.85YkYbYRmb0 (1/26)


――――翌日、東京の方の大きなコンサートホールで上条の公演が行われた。


あたしなんかが普通足を踏み入れることのないような場所。

周りの人はみんなきちっとお上品な格好をしていて、正直始まるまでは落ち着かなかった。


しかし、公演が始まってその音を聴いた時には、そんなことは吹き飛んでいた。

音楽なんて碌に聴いた事もないようなあたしですら『すごい』と思ったのだから、その腕は本物なんだろう。

うっとりと目を輝かせるさやかの横顔を見て、バイオリンに――あいつに惚れたさやかの気持ちが少しだけわかった気がした。



さやか「すごい、今までで最高だったよ! 練習量はいつもより少なかったのに」

杏子「その感想は本人に言ってやりな。ようはあれだろ、今回の事でちょっとは成長したから表現の幅とかが増したんじゃねえの?」

杏子「楽譜通りに弾けばいいなんてのは、それこそ機械だからな」

マミ「手厳しい。でもそうね、演奏って結構その時の感情が現れそうだから」

マミ「じゃあ今まで上条君は何を思って弾いていたのかしら」

さやか「普通は、その曲が作られた背景とかじゃないかと思うけど」

まどか「そうはいっても、やっぱりそれも自分や身近のことから感情移入すると思うから」

まどか「さやかちゃんへの気持ちだってきっと入ってるよ」

さやか「そうかなぁ……」

仁美「さやかさんは上条君に会ってきてください。私たちは先にロビーのほうで待ってます」

杏子「それじゃ、また後でな」



910 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 18:31:11.19YkYbYRmb0 (2/26)


 ……さやかを上条の方に送り出して、ロビーの椅子にどかりと座る。

 演奏が終わると、今までの世界が戻ってきたみたいだ。


杏子「ふぁ~、疲れた」

マミ「こら、足開いて座らないの……ってああ、目もこすらない! お化粧崩れるから!」

仁美「ふふふ、本当にママさんですわね……」


 今日着ている服はさやかからの借り物だ。

 一応ラフすぎる格好じゃいけないってことでこうなったが、これがまた落ち着かなかった。

 ああ、いけない。改めて思えばぶらぶらと過ごしてきた約10年間でいろいろと捨てすぎている気がする。


マミ「ところで今日の演目について調べてきてたんだけどね?」

マミ「最後の曲、作曲者が相手の父親に婚約を認めてもらうきっかけになった曲なんですって」

まどか「へえ……ロマンチックですね」

マミ「上条君がそれを知ってたら、何を思いながら弾いていたのかしら」

マミ「美樹さんのご両親は反対はしないでしょうけど、是非聴かせてあげてほしいわね」

杏子「……なんか、いいな」

杏子「あたしもそろそろ彼氏とか欲しいわー……」

仁美「!?」

マミ「佐倉さん! い、今」

まどか「……わたしだって欲しいよ、うん」



911以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/02(日) 18:35:17.36Rk4zGgM90 (1/4)

でも好かれるのは同性だけだけどね


912以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/02(日) 18:45:50.35pDJtmuLE0 (1/5)

この間マミと両想いだとか言ってなかったか?w


913 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 19:01:21.58YkYbYRmb0 (3/26)


 ……そんなことを話していると、後ろから二人が近づいてきた。


恭介「やあ、お待たせ」

さやか「ん、何話してんの?」

マミ「あっ、美樹さん美樹さん今ねえ」

杏子「はいはいこの話は終わり! まったく、みんなしてそんな反応するから嫌なんだってんだ」

さやか「えーなによー! 気になるじゃん!」

まどか「さやかちゃんたちは幸せだからいいの」

マミ「……まあそうね。強いて言うなら、先輩として必要な時がきたらフォローしてくれればね」

さやか「先輩?」

杏子「そんなことより、早く帰ってお茶会やろうぜ!」

杏子「あんだけ大人数に増えたんだから、ピーチパイ2つはないと足りないだろうからな」


 ……歩き始めて、マミがポンと肩に手を置いてきた。


マミ「……佐倉さん、わかってると思うけど本気なら今のまま好かれるのを待ってるだけじゃ駄目よ」

マミ「せいぜい増えるのはお友達か舎弟くらいだからね」

杏子「わ、わかってるよ。ああでもやっぱそう考えると面倒だな……ていうか舎弟ってなんだ」

 まどかまで反対の肩に手を置いてきた。

まどか「わたしたちはまだ仲間……がんばっていこうね」

杏子「あんたは普通にさっさとなんか見つけろよ……」

マミ「佐倉さん……前から思ってたけど……人の事言えないからね……?」


 これだけ幸せな奴ら見てたからふと羨ましくなっちゃったんだろう。

 もう過去に縛られるのはやめることにした。今から“普通”に戻れるんだろうか?

 ……でも、あたしにはまだ色々と難しいことが多そうだ。



914 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 19:38:39.86YkYbYRmb0 (4/26)


 ――家に戻ると、朝から一緒に居た6人で先にお茶会の準備をすることにした。

 店のキッチンでも6人は入れない。料理のできる奴らが率先して手伝って、後の3人は待っていた。

 それから、焼き上がる頃になるとわらわらと人が来はじめる。

 今日は大規模なパーティになりそうだ。


キリカ「こんにちは。もうできてる?」

杏子「第一声がそれか……今切り分けてるからあとちょっと待ってろって」

マミ「あと来てないのは?」

杏子「えーっと……」

ゆま「おまたせー! ちょっとおじいちゃんとおばあちゃんに挨拶してたら遅くなっちゃった」

マミ「いらっしゃい。……ってことは、この後すぐに実家に帰っちゃうの?」

ゆま「うん……まあでも、少しの間だから!」

ゆま「この街には嫌な思い出もあるけど、マミや杏子たちが居るから好きなんだ」

マミ「……これでよし、と。 幹久さん、これみんなに運んで」

鳴海「了解です!」



 ――――10年前に一度壊滅した街、見滝原。

 ずっと前から続いている良くない繋がりをやっと少しだけ断って、まだ再生の途中にある。


 その中で、賑やかすぎる繁華街の一角にある小さな店は、なぜか休日のはずの今日が一番賑わっていた。



915 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 19:55:51.92YkYbYRmb0 (5/26)


ゆま「おいしい!」

鳴海「これメニュー化しましょうよ!」

あすみ「いいですね、そしたらきっと大人気になりますよ」

キリカ「……なんか無理言っちゃったみたいになってごめんね。でも美味しい」

小巻「そのおかげでこうして集まってるんだから、ありがたいっちゃありがたいけどね」

タツヤ「はい、集まれるだけでも楽しいです。ピーチパイもおいしいし」


 ……途中でマミが席を立ち、何かを用意してパンと手を叩いた。


マミ「はい! 突然ですが、注目!」

杏子「ん?」

マミ「せっかくこんなに集まってるんだから記念写真よ! ほら、撮るわよー」

ゆま「待って待って! 杏子、口の横に食べかすついてる!」

杏子「えっ、ちょっと取って!」

ゆま「もー、しょうがないなぁ……」

さやか「杏子でも食べかすついたまま写真撮られるのは恥ずかしいのね……」

杏子「でもってなんだよ。あたしはこれでもなぁ……」

マミ「……大丈夫?」

ゆま「オッケー!」



 シャッターを押すと、マミが急いでテーブルに戻る。

 ……料理でみんなの笑顔を見るという目的は達成してるんだから、まあこういうのもありだろう。



916 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 20:04:34.75YkYbYRmb0 (6/26)



 …………パーティが終わって店内が静まると、マミが2階で机に向かっていた。


杏子「何してるんだ?」

マミ「手紙を書こうと思って。昨日話した友人に」

杏子「そっか」

マミ「さっきの写真も一緒に入れてね」

杏子「ああ、そのための写真か」

マミ「記念っていうのが一番ではあるんだけどね」

マミ「あっちでもいっぱい写真とか撮ったから。ほら、観光地巡りした時とか、後は最後に私の居たお店でも」

杏子「…………――」

マミ「……佐倉さん?」

杏子「……いや、なんでもない」

杏子「ただ…………少し昔の事を思い出しただけだ」



917以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/02(日) 20:07:12.25Rk4zGgM90 (2/4)

今回で次に行けるかな?


918 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 20:20:58.04YkYbYRmb0 (7/26)



 ――……なんとなく外に出て、夜の町外れを歩いていた。

 繁華街の喧騒とは正反対の静かな場所。しかし、元々は長いこと寂れた教会しかなかったこの場所にも、すでに小さな家が何軒か建っていた。


 暖かくなってきた草原から虫の音が聞こえる。


杏子(……あたしはなんでここに来たんだろうな)


 ……名前も違う。顔だって、ずっと前の事だ。それこそ“面影”なんて曖昧なものでしかわからない。

 マミから聞いた彼女はここからずっと離れたイタリアで暮らしていて、パスポートもないあたしが会うとしたらずっと先だ。

 でも、もし、写真の中のあたしを見て何か反応があったら?


杏子(いや、ここに来たのはそれとは別件だ)

杏子(もうここも昔とは変わってなくなってしまったけど、誰からも忘れ去られるのは嫌だから)

杏子(せめてたまにこうやってここに来て、二人のことも、みんなのことも思い出すことにしてるんだ)


 暫く虫の音を聞いて、それから戻ることにした。

 明日からまた一週間がはじまる。

 もう過去には縛られない。でも、あの日々の記憶はずっと胸にしまっておこう。


 これからあたしが夢見た幸せな未来を歩くために。



―END―


919 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 20:40:30.56YkYbYRmb0 (8/26)

--------------------------
全部まとめようとしたら結構長くなった…
これで杏子編は完結となります。多分一番みんなが幸せな貴重な世界かもしれない。
最初に書いてた設定資料はほとんど出せたので今更出す予定もないかな

色々と忙しくてじっくりと練れる時間もないので新しい話はまだお休みさせていただいてます。
やるとしたら夏以降になるかな……?

--------------------------


【未完結】
・キリカ編2 【2日(土)朝 キリカ契約後翌日】
・かずみ編 【6日(水)朝 ヒュアデスの学校襲撃を翌日に予知】
・Homulilly編【二周目の世界】

【続編開始/指定場所からロード】
・ほむら編 【続編:After1後から再開。新展開】 [獲得補正:(料理)Lv2中級者 アルティメット炒め物]
・キリカ編1【続編:ワルプル後から再開。翌日へ】
・QB編【続編:ワルプル後から再開。不安要素を片づけられるか…?】
・中沢編【続編:ワルプル後から再開。残った問題は魔法使用不可とかの解消?】 [獲得補正:成績関係の結果+18]
・なぎさ編【続編:あすみ編後から再開。あすなろ編】
・杏子編【続編:パラレルあすなろ編か安価】


 下4レスまでで多数決


920以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/02(日) 20:46:34.30Rk4zGgM90 (3/4)

できればこのスレを含めないで↓4まで
アゲ


921以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/02(日) 20:50:43.40pDJtmuLE0 (2/5)

長丁場お疲れ様でした
杏子編はかなり優しい世界でしたが、ほむらと疎遠になったのが唯一悔やまれる
そんなわけで続きは杏子編の途中から、15スレの>>341からで


922以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/02(日) 20:55:47.107xYjm+M/O (1/1)

乙です
次はキリカ編2の続きから


923以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]2017/04/02(日) 21:45:21.72np7sINB50 (1/1)

キリカ編2の続き


924以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/02(日) 21:58:15.68Rk4zGgM90 (4/4)

このレス含めてくれるならどういればわからないからこのスレを組むならキリカ編2


925 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:06:33.14YkYbYRmb0 (9/26)


ではキリカ編2続きからやります。


---------開始前にざっくり確認。-----------

契約者:キリカ・マミ・さやか
未契約者:まどか
死亡者:ほむら


○キャラごとの好感度・進展表

・ほむら(死亡)
冒頭に声をかけられたが逃走、その後放課後に再会してまともに会話する。
18日にはいきなり拉致られて不信感を抱き、その後も謎のある人という認識だった。
24日に“声”から気になることを聞かされるが、“通り魔”に襲われたまどかを謎の方法で救った。
その後、25日に自殺。その正体は一旦謎のままで終わってしまう。
関係:謎の少女/???

・まどか
物語開始時点から一応顔見知り。17日にてコンビニで遭遇、18日にて魔女から助けてもらった。
関係:友達/友達

・マミ
18日にて魔女から助けてもらった。同学年の友達。
関係:友達/友達

・さやか
28日にて、素質があるまどかの友達として顔を合わせる。
その後も未契約者同士たまに話していたが、30日の夜についに契約。
関係:後輩+/先輩+


好感度相関:

・暁美ほむら
不明

・巴マミ
呉キリカ:友達
鹿目まどか:パートナー
暁美ほむら:名前だけ聞いた
美樹さやか:後輩+
美国織莉子:---
佐倉杏子:未練

・鹿目まどか
呉キリカ:友達
巴マミ:尊敬
暁美ほむら:心配
美樹さやか:親友
美国織莉子:---
佐倉杏子:---

・美樹さやか
呉キリカ:先輩+
鹿目まどか:親友
巴マミ:先輩+
暁美ほむら:---
美国織莉子:---
佐倉杏子:---

・美国織莉子
呉キリカ:まどか無力化への駒・敵
鹿目まどか:脅威
巴マミ:敵
暁美ほむら:……
美樹さやか:敵
佐倉杏子:---



 経験済みEND:devotionエンド直結(契約後、まどかに自ら魔女化のことを話す)


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926 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:18:08.63YkYbYRmb0 (10/26)


キリカ 魔力[130/130] 状態:正常
GS:0

◆ステータス
なし


キリカ 戦闘コマンド

1刻む :近接武器戦闘(魔力-0) ※[格闘Lv]+マイナス補正20 デフォルトで二刀流。
2小刀投げ :中~遠距離武器戦闘(魔力-1) :小さめの刀を出して投げつける
3スパークエッジ・デュエル【Lv1】(魔力-30×2) :魔力を込めて全力で斬りつける必殺技。ほぼさやかと同じやつの二刀流版。
 bスパークエッジ(魔力-30) :一刀流版。威力は半分より少し上。
 cスパークエッジ(魔力-60) :二刀流分の魔力を一つに込めた一刀流版。装備が欠けた時とか用。
4シューティングスティンガー(魔力-10) :刀身を魔力の刃に変えて射出する
5スプラッシュスティンガー(魔力-5×5) :小刀をたくさん出して魔力の刃を射出。安価指定があれば射出後に残しておく。
6【習得予定】(魔力-30) :???
7【習得予定】 :???
8【習得予定】(魔力-7/1ターン) :???
 b(魔力-10/1ターン) :???
 【習得予定】(魔力-30・準備ターン1) :???
9【習得予定】 :???
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】


・キリカの戦闘能力について

一応近接型なのに、契約初期はメガほむみたいにビビッてあまり前に出て戦えないので、基本的に小刀投げで控え目に戦闘に参加している。
格闘より射撃のほうが伸びやすいへんてこな近接型。格闘レベルの伸びが極端に悪いのは性格のせい。
実は武器を変えてもいいという安価を出したのも、この事情があるから思い切って原作と全然違う遠距離武器にしてもいいかなと思ったため。

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927 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:24:52.25YkYbYRmb0 (11/26)



 人はあまり好きじゃなかった。

 無遠慮な人たちに迷惑をかけられるのも嫌だし、誰かに迷惑をかけてしまわないようにと気を使うのも嫌だった。


 誰かを信じて行動して、そのたびに裏切られるのは辛い。

 一度の失敗でそれを学んだ私は、自分の世界に閉じこもっていった。


 ――中学生になると、みんな新しい環境で友達を作ろうと必死だった。

 その中で私は、一歩引いたまま結局誰とも話せないでいた。

 最初は心配して話に来てくれていた人も、心の底で信じることができずに曖昧に接していたら、そのうち離れていった。

 ……なんとなく察していたのかもしれない。 心の中で相手を疑っているような人を信じてくれるわけがない。

 そうしているうちに、完全に関わる人はいなくなった。

 聞こえてくる会話は、よく聞けばどれも大した内容じゃない。

 友達がいなくても、人と話さなくても特に困ることはなかった。



928 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:26:07.89YkYbYRmb0 (12/26)


 どうしてそんなことにみんな必死になっているんだろう?

 一人じゃ駄目だとか、四六時中誰かと繋がってないと不安だとか、そんなことに囚われるほうが馬鹿らしい。

 次第にそんなふうに周囲を冷めた目で見下すようになり、誰とも関係を作らないまま三年に上がり、変わらない日々を過ごしていた。


 ……でも本当は、自分から関わらないんじゃなくて関われないだけだ。所詮逃げてるだけだ。

 それに気づいた時には手遅れなほどに人と話すのが怖くなっていて、本当に遅いけど、やっと、今のままじゃいけないと思った。


 ―――――――そんな中学三年生の春、たくさんの奇妙な出会いをして、

 誰かのために、人生をかける決断をした。


 それが良い事だったのかどうかは、この時にはまだわからなかった。




929 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:31:33.59YkYbYRmb0 (13/26)

――――――――

キリカ「契約したいって言われたら……どんな願いでも拒否権はないんでしょ」

キリカ「まどかを……人間に戻して」


 ……言った。ついに契約してしまった。

 不安と同時に、これでまどかは魔女にならなくて済むんだと安心した。



 ――――青紫色のソウルジェムが浮かびあがる。

 ……これが……私の――――魂。



QB「契約は成立だ」



930 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:32:53.31YkYbYRmb0 (14/26)



キリカ「…………」


 見慣れた自分の部屋の中、光る石を見つめたまま俯いている。

 できれば誰とも話したくない気分だった。

 特にキュゥべえとはこれ以上一緒にはいたくない。


QB「じゃ、僕はそろそろいかせてもらうよ」


 しかし、キュゥべえはこちらが何を言うまでもなく、

 淡白にそう告げると用事は終わったとばかりにふわりと窓から出て行った。



 ――――――日の暮れてきた住宅街の屋根の上を、キュゥべえはその小さな脚で軽やかに散歩している。



QB「そうか、僕の知らないうちにそんな動きをしている魔法少女が居たなんて」

QB「魔女化の真実を知っている。まどかが“何になって、何をするか”を知っている――未来を識っている」

QB「まどかを排除しようとしたのもそういうことだったんだね」

QB「察しはついた。そんな魔法少女は限られる。僕に知られようがまどかを人間に戻せれば良いと思っていたのかもしれないけど……」

QB「……全く無駄なことだ。この事実を知ればまどかの契約を再び取るのは容易いことだ」

QB「彼女には消えてもらうことにしよう」




――――――――


931 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:34:06.04YkYbYRmb0 (15/26)

―*月2日


――――翌日は複雑な気持ちで登校した。

話さないわけにはいかない。けど、まどかに会うのが恐かった。

ああしないわけにはいかなかった。けど、後ろめたい気持ちはあったんだと思う。

どうして契約したのか、詰め寄られるのが恐かった。


しかし、さすがにまどかも気づいていないなんてことはなく、
昼休みが始まってすぐの時間にまどかが私の教室に来た。


まどか「あの……聞きたいことがあるんですけど」

まどか「キリカさん、もしかして…………」

キリカ「…………ごめんね」

 今はそれしか言えなかった。

 マミだけが状況がわからずにきょとんとしている。

マミ「なにかあったの?」

キリカ「……ほ、放課後に話すから」

まどか「わかりました……じゃあ、放課後、昨日と同じ屋上で待ってます」



932 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:35:22.57YkYbYRmb0 (16/26)



 まどかが教室を去った後マミが話しはじめる。


マミ「そうそう、私もみんなに伝えなきゃいけないことがあるのよ」

マミ「呉さんはもうキュゥべえから聞いてる?」

キリカ「…………え?」


 キュゥべえの名前が出てきて、嫌な汗をかいた。
 昨日のやり取り、魔女化のことを思い出して気持ちが焦っていく。


マミ「鹿目さんを襲った通り魔の事件、進展があったの。犯人の目星がついたって」

マミ「昨日キュゥべえが教えてくれたの」

キリカ「あ…… そうなんだ」


キリカ(魔女化のことじゃなかったみたいでよかったけど……)

キリカ(なんでこのタイミングで……?)


マミ「詳しいことはまた放課後に屋上で話しましょうか」

キリカ「うん……」


1自由安価
2他にQBから何か聞いてないか確かめる

 下2レス



933以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/02(日) 22:45:39.41pDJtmuLE0 (3/5)

2


934以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/02(日) 22:48:15.67gqmednTRO (1/2)

2


935 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:53:54.37YkYbYRmb0 (17/26)


キリカ「他にはキュゥべえから何か聞いてない?」

マミ「ええ、それだけだけど」


キリカ(特に変わった様子は見られない……まだ知らないままか)

キリカ(…………よかった)

キリカ(でも、マミはあんなにキュゥべえの事信頼してるのに……)


 もし知ったら深く傷つくだろうことは簡単に予想できた。
 みんなこのままずっと知らないままでいい。

 もうまどかは魔女化しないのだから。

 このまま無事に暮らせれば知る機会なんてきっと来ない。 ……そうだよね?


キリカ(大丈夫…… マミだってずっと無事に魔法少女を続けられてるんだから)


 自分に言い聞かせて再び出てきた不安を抑え込んだ。




936 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:54:29.62YkYbYRmb0 (18/26)

―放課後 屋上


 放課後、授業が終わると昨日と同じように先にマミと二人で屋上に向かった。


マミ「風が気持ちいいわね。最近は暖かくなってきたから過ごしやすいわ」

キリカ「………… うん」


 無意識に手元を隠す。
 返事はしたけれど、本当は屋上に吹く風の温度も気にしている余裕なんてなかった。


 やがて、扉が開く音がして振り返る。

 まどかとさやかの二人が立っていた。


まどか「……キリカさん、マミさん」

さやか「まどか、話ってなんなの? なんか今日一日中そわそわしてたけど……」

さやか「まさかまたどっか壊しちゃった?」

まどか「…………」

まどか「わたし、魔法少女じゃなくなっちゃいました」



937 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:55:32.13YkYbYRmb0 (19/26)


さやか「……はぁ!?」

マミ「それはどういうこと?」


 二人がそれぞれ反応する中、私だけが何も言えなかった。

 ……ゆっくりと覆っていた手をどける。


キリカ「…………私が契約した」


 そう言って指輪のついた手を見せると、一斉にこちらに視線が集まった。


マミ「えっ? ……どうして?」

まどか「そうです、わたしはそれが知りたいんです」

まどか「わたしのためにしてくれたんだろうってことはわかります」

まどか「でもわたし、前わたしたちの代わりになるような願いはやめてって言ったのに……」

キリカ「…………ごめん」

キリカ「でも……嫌われてもいいから、それでも契約したかったんだ」

キリカ「全然……うまく説明できてないけど………」

キリカ「でも…………」


 本当の理由なんて言えるわけない。これからも言わなくていい。

 言葉に詰まってしまった私をまどかはなだめた。


まどか「……わたしこそごめんなさい、責めてるみたいになっちゃって」

まどか「わたしのこと思ってくれてるのに、嫌ったりなんかできるはずないです」



938 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:56:34.64YkYbYRmb0 (20/26)



 まどかはそう言ってくれたけど、やっぱり納得していない様子だった。


マミ「驚いたわ。美樹さんも契約したばかりで急すぎて……」

マミ「呉さんからはあれから願いも聞いてなかったから」

マミ「でも思えばきっと、前から悩んでたのよね? 気づいてあげられなくてごめんなさい」

マミ「それでも、考えて出した答えなのよね?」

キリカ「…………」

マミ「なんにせよ、契約してしまったものは仕方がないわ」

マミ「改めてこれからよろしくね、呉さん」

さやか「あたしもびっくりしたけど、これからは仲間ですもんね。よろしくおねがいします」

キリカ「…………うん」



939 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 22:58:40.65YkYbYRmb0 (21/26)


QB「やあ、みんな揃っているようだね」

 まどかの後ろ、足元の辺りからキュゥべえが現れる。

マミ「キュゥべえ」

 キュゥべえはすたすたと歩いていくと、軽い動作でフェンスの上に登った。

まどか「えっと、今日は大事な話があるんだよね」

さやか「これだけ全員集合して話すってことは、なんかヤバいこと?」

QB「『ヤバい』という表現はいろんな意味に使われていて難しいね」

QB「けど、危機的状況という意味ならばそれはむしろ逆だよ」

まどか「じゃあ、チャンスってこと?」


キリカ(……?)


マミ「その通り! 私はもう聞いたんだけどね、ついに前に鹿目さんを襲った犯人の目星がついたのよ」

さやか「本当ですか!」

マミ「ええ、まだ近くに居るそうよ」


 そこからはキュゥべえに任せるという風にマミが目で合図する。


QB「美国織莉子。僕が二週間ほど前に契約した魔法少女だ」

マミ「でも同じ街に居ながら、互いに会ったことはなかった」

マミ「未来を予知する力のおかげで、
   縄張りを持たずともどこの魔法少女ともトラブルになることがなく活動することができたのよね?」

QB「ああ、そうだ」

まどか「そんな……言ってくれれば、そんなことしないでもちゃんと仲間になることもできたのに……」

さやか「ていうか、ちゃんと活動できてるんなら、わざわざこっちにちょっかい出してくる必要なんてないじゃん!」

さやか「なんなんだよそいつ!」

マミ「グリーフシードを独占したかったのではないかしら?」

マミ「やっぱり行動は制限されるわけだし、私たちが邪魔だったんでしょうね……」

マミ「とにかく、これから美樹さんと呉さんにも直接関係することだから気を付けて」

さやか「一度まどかがそいつに殺されかけたんですよね……
    でも、魔法少女じゃなくなったまどかはもう大丈夫か。それはよかったかな」

マミ「どうかしら、そうとも限らないわよ」

マミ「魔力を持たないにしても、これだけ強い素質を持つ候補者……まだ狙いから外れたとは言い切れないわ」

キリカ「私が契約したんだから、できるだけ守れるようにはするよ。家も近いし」

さやか「あたしも! 新人でも、2人もいれば相手も手出しにくいっしょ?」



940 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 23:00:36.02YkYbYRmb0 (22/26)


 そのあと、住所や行動範囲についても聞いていたようでみんなで話し合ったけれど、

 予知がある限りこちらから奇襲をかけるのは難しいとのことだった。


QB「いままでまどかの存在が抑止力になっていたといってもいい。これからはどう出てくるかわからない」

QB「みんな、十分に気を付けてくれ」

マミ「ええ。キュゥべえも気を付けるのよ」

さやか「返り討ちにしたるよそんな奴!」


 ……二人が意気込む中、私はその場の雰囲気に少し違和感を覚えていた。

 今の話、本当に信じていいのかな?

 なにしろ急すぎるし、キュゥべえには昨日のことではっきりと不信感を抱いている。


キリカ「…………」


 キュゥべえがフェンスから降りて足を止める。


QB「じゃあ僕はまた見回りに行くけど……」

まどか「……待って」

QB「どうしたんだい? まどか」

 ……まどかはなかなかその次を言わなかった。

QB「君が契約した理由を話してあげたらどうだい? キリカ」

QB「気になっているのはその事だろう」

キリカ「……」



941 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 23:02:34.98YkYbYRmb0 (23/26)


 私だって本当は完全に納得できているわけじゃない。

 まどかが理由を知ればきっと私以上に納得できなくなる。

 ……まどかに魔女化のことを知られたら、それこそまどかの契約の理由になってしまうんじゃないか?


キリカ「……ごめん。でも、話すわけにはいかない…………」


 消え入りそうになる語尾とともに、強く心の中で言い放った。

 『あんたの思い通りになんてならないから』

 ――思えば、これが私が初めて使った魔法らしい魔法だった。


まどか「わかりました。そう言うならキリカさんの口から聞くまではキュゥべえからも聞きません」


 そんなことは知らずにまどかは優しくそう言った。

 ……キュゥべえのほうも、まるで無反応だ。


QB「そうか。本人が話したくないならしょうがないね」

QB「まあ、ここで僕が教えるまでもなくどの道いつか知ることになるよ」



942 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 23:03:22.41YkYbYRmb0 (24/26)


 キュゥべえはそんな不気味な言葉を残して消えて行った。

 それから少ししてチャイムが鳴る。……今のは部活動開始のチャイムだ。


さやか「今日はこれからどうしますか? 昨日はまさか仲間が増えるなんて思ってなかったけど」

さやか「キリカさんも早く自分の魔法とか見てみたいっすよね? それとももう見てます?」

キリカ「ううん、まだだけど」



1マミに訓練をお願いする
2パトロールに行こう
3今日はもう帰りたい

 下2レス


943以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/02(日) 23:04:16.74gqmednTRO (2/2)

1


944以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/02(日) 23:05:10.87pDJtmuLE0 (4/5)

1
まぁ、成り立てなんだからマミに頼むべきだよね


945 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 23:47:10.35YkYbYRmb0 (25/26)


キリカ「じゃあ頼むね。 私も一緒に行くよ」

マミ「ええ、わかったわ」

まどか「わ、わたしも着いてっていいですか?」

さやか「もちろん! この鉄壁の魔法少女軍団の傍にいれば一番安全だし」

キリカ「……それに、少なくとも私たちよりは経験あるんだし、一緒にいてくれれば頼りになるよ」

さやか「ね、いいですよね? マミさん」

マミ「そうね。私一人じゃ指導が回らないところはお願いするわ」

まどか「はい。じゃあ、よろしくお願いしますね」


 ……以前は見ていただけだった訓練。

 ついに自分もあれに参加することになるんだな、なんて思うと少し不安に感じた。

 けど、契約したてなのは私一人じゃない。これから契約したからには、まどかやみんなのことも守れるようにならないと……


キリカ(……がんばろう)



946 ◆xjSC8AOvWI2017/04/02(日) 23:47:50.47YkYbYRmb0 (26/26)

---------------------
ここまで
次回は3日(月)20時くらいからの予定です


947以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/02(日) 23:54:36.11pDJtmuLE0 (5/5)

乙です

キリカの武器変更の安価があった理由はわかりましたが、あの時はそこまで考えずに小太刀をチョイスしてしまった
できれば安価の時にその理由も教えて欲しかった…もう手遅れだけどw


948以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/03(月) 19:44:43.57PVFSJdU+0 (1/1)

もう一度武器変更の安価かイベントが欲しいな
小太刀より投げやすい苦無の方がこのキリカに合ってそうなんだが


949以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/03(月) 21:08:25.622rS17jKK0 (1/5)

来ないね


950 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 21:16:10.33HYilHWW50 (1/14)


――――見滝原大橋が崩壊して、新しく訓練に使えそうな場所を提案しあってみんなで回ってここにきた。

土手の下のほう……ここなら道のほうからは見えにくいだろう。


さやか「ふう、探し回るだけで疲れちゃいましたね」

マミ「ごめんなさいね、段取り悪くて」

さやか「なんでマミさんのせいになるんですか。それより、はじめましょうよ!」

マミ「美樹さんはもう魔女とも戦ったんだっけ?」

まどか「はい。さやかちゃん、わたしを助けてくれたんですよ!」

さやか「カッコいいだろー。 惚れちゃってもいいのよ? まどかはあたしの嫁なんだからな!」

まどか「……まずは変身してみよっか」

さやか「無視するなよー!」


 なんだか微笑ましいな、なんて思って穏やかな気持ちになる。


 ……二人そろって変身すると、まずはお互いの衣装をきょろきょろと確かめ合った。

 美樹さんのは凛々しい青色の衣装。白いマントはどこか剣士のような雰囲気を感じる。


 私のは……黒をベースにしたモノトーンの衣装。

 他の人と比べると華やかじゃないのが少し落胆した。視界を半分覆っているのは眼帯だろうか?


さやか「い、いやでも似合ってますよ! かっこいいですし、ほら……大人っぽい……かなー?」

まどか「スカートとかセクシーですよほら!」

キリカ「そ、そうだね……ありがとう……」


キリカ(なんでみんなにフォローされてるんだろ……)

 ……けど、やっぱりまどかみたいなもろに“魔法少女”って格好も恥ずかしいし、

 私には似合わないだろうから、私にはこれで合ってるのかもしれない。



951 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 21:19:49.81HYilHWW50 (2/14)


 武器を見せ合うと、似たような種類の武器ということで少し親近感がわいて盛り上がった。

 サーベルと小太刀。洋と和。

 私と美樹さん、根っこのほうでは似たところでもあるんだろうか。

 だとしたら、私が今みたいに傷つき歪む前か……――


さやか「これなら一緒に訓練もしやすいし、技術交換もしていけますね!」

キリカ「あー、うん。そうだね……」

キリカ「でも美樹さんの方がすぐ追い抜いちゃうかも」

さやか「そんなことないっすよ! ていうか、そろそろその『美樹さん』ってのやめにしません?」

キリカ「え?」

さやか「さやかでいいですから!」

キリカ「……わかった。じゃあそうするよ」


 ……私からすると、美樹さんは眩しい。

 私はいつからそうなれなくなっちゃったんだろう?


 わかりきった問いを思い浮かべて、すぐに心から掻き消した。



952以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/03(月) 21:19:59.842rS17jKK0 (2/5)

キリカの衣装、原作と違って袖は短いかな?
あの袖だと刀振りにくいだろうし


953 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 21:24:12.74HYilHWW50 (3/14)


まどか「二人とも格闘のほうかー…… マミさんって、そういうのも出来るんでしたっけ?」

マミ「一応ね。近接の弟子が居たこともあったから」

マミ「大丈夫よ、ちゃんと見ていけるわ」

マミ「ちょうど二人だし組手ってこともできるけど、まずは基礎を固めてからね。ということで素振りから!」

さやか「了解です! とうっ!」

キリカ(これでいいのかな……)


 素振りというか、適当に刀を振り回してるだけ。

 でもこれ、振り回すだけでも意外と重い。特に両方片手ずつ持つことになるから、その重量を更に感じてバランスがとりづらい。

 実戦ではこれを使って戦わなきゃいけないのか。


マミ「姿勢を正すことを意識して、たとえ素振りっていっても一発一発丁寧にやるのよ?」

さやか「はい!」

キリカ(丁寧に……この二の腕についたお肉もなくせると思えば)

キリカ「はっ! とうっ!」

さやか「お、熱心ですねっ」




954以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/03(月) 21:25:22.80bRnDsa0x0 (1/2)

爪はいも思うと使いやすかったんだろうな
というかこのキリカの固有魔法なんだっけ?原作と同じ?


955 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 21:29:11.54HYilHWW50 (4/14)


 ――――訓練が終わると、まどかが水を持ってきてくれた。

 運動系の部活なんて入ろうと思ったこともなかったけど、もしやってたらこんな感じなのかなぁなんて少し思った。

 仲間と一緒に汗を流す。そんな青春を自分が送るなんて想像もしていなかった。


まどか「お疲れ様ですっ!」

マミ「お疲れ様ー。今日一日訓練してみてどうだった?」

キリカ「腕が疲れた……でも、少しはフォームがまともになったかな?」

マミ「ええ、そう思うわよ。美樹さんもね」

さやか「あたしも昨日はむちゃくちゃ適当にやってたからなぁ……」

まどか「そうだね……さやかちゃん、勇敢なのはいいんだけど、考えなしに突っ込んでいく癖は直したほうがいいよ?」

さやか「うわあ、耳がいたい」

さやか「……でもやっぱ、なかなか実戦で意識してやるのって難しそうですけどねー」

マミ「慣れよ。これからも訓練を続けていけば上達するわ」

さやか「そうっすかね? ま、とにかく練習あるのみですね!」

さやか「ぷはー、まどかもありがとうね。じゃ、そろそろ今日は帰りますか」

マミ「二人とも、何かあったらすぐに連絡するのよ?」

さやか「はい。まどかも、帰りはあたしとキリカさんがついてるけど、もし一人の時何かあったらすぐ連絡してよ?」

さやか「ていうか、一人でふらふら出歩くの禁止だからね! あたしらを頼ってよ、すぐ駆けつけるからさ」

まどか「うん、心配かけちゃってごめんね……」

さやか「何言ってんの!悪いのは全部その織莉子って奴だよ!まどかは悪くないんだから!」


 こうして見てるとさやかは面倒見の良いお姉さんのようだ。

 でも、家ではまどかもお姉さんなんだっけ?



1自由安価
2「本当にその人が犯人なのかな?」
3「さやか、無理しないでよ」

 下2レス


956以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/03(月) 21:44:27.32bRnDsa0x0 (2/2)

アゲ
安価↓


957以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/03(月) 21:46:41.352rS17jKK0 (3/5)

3のあと考えを話してみる

まどかもだけど2人とも気をつけてね?
まどかを狙うと見せかけて逆に私たちを狙ってくるかも…
マミはベテランだけど罠とか絡め手で来たりするかもしれないから気をつけてね?

さやかも私もまだ契約したてだし、犯人が本当に織莉子って人なら未来予知があるんでしょ?
ラノベとかでもそういった能力を持った相手は強敵だし、実際に戦ったら行動を読まれたりするのかな?


958 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 22:03:15.96HYilHWW50 (5/14)


キリカ「美樹さ……あ、えっと、さやか」

さやか「はい?」

キリカ「それはいいんだけど、無理しないでよ。なんか、危なっかしそうだから」

さやか「キリカさんまでそういうこと言うー。大丈夫ですって」

マミ「危なっかしそうっていうのはそうね……くれぐれも無理はしないこと」

さやか「わ、わかりましたよ」


キリカ(……未来を予知する魔法、か)

キリカ(キュゥべえの言ってることが本当としても、それってどういうものなんだろ?)


 そんな魔法使ってる人、周りでは誰もいないみたいだし。

 いまいちイメージがわかなかった。魔法少女なら誰でも使えるようなものじゃないんだろうけど。


マミ「それじゃ、また明日。気を付けてね」

まどか「はい、また明日ー!」

さやか「今日はありがとうございましたー!」

キリカ「あ、うん…… えっと、一番気をつけなきゃいけないのは契約したての私たちなんだけど、マミも気を付けてね」

マミ「ええ」


 ……穏やかな笑顔で手を振るマミに、手を振り返す。

 それから、三人で帰り道を歩いていく。

 土手から離れると、人気のない場所は通らずに賑わった通りを歩くようにしていた。



959 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 22:19:35.66HYilHWW50 (6/14)


さやか「しっかし織莉子ってヤツ……未来予知ってことは、実際に戦ったら行動を読まれたりするんですかね?」

さやか「だって、漫画でもそういう能力は強敵ですよ! 大体」

まどか「漫画を引き合いに出されても……」

キリカ「それくらいありえないことが現実にあるんだから、しかたないと思うよ」

キリカ「本当にそれくらいしか参考に出来るものがないんだから」

キリカ「私も本ならともかく、そういうのはあまり読まないけど……」

さやか「お、じゃあ今度みんなでうちにある漫画で研究します? おすすめの作品が何冊かありますよ!」


 ……それはどうなんだろう。

 遊んでるのか真面目に対策を立ててるのかわからない感じになりそうだけど。


さやか「ま、でもあたしにできる一番の方法といえば、予知しても関係ないほどに速く制する、これっきゃない!」

まどか「考えもなしに突っ込んでったら相手の思うツボかもよ……?」

まどか「こっちの行動を見越して罠とか戦略を立ててくるかもしれないんだから」

さやか「うー、やっぱ考えるのは苦手だわ」


 ……でも、なんかやっぱり違和感がある。

 返り討ちにするのはいいけど、もしこっちから襲って人違いだったらシャレにならないし。

 キュゥべえは私たちに何をさせようとしてるのか。


キリカ(……考えすぎかな。でもあいつの情報じゃ、信用できないしな)

さやか「……! ねえ二人とも、これ!」

キリカ「ん……?」



960 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 22:32:51.34HYilHWW50 (7/14)


 ……見てみると、さやかの手の中でソウルジェムが光っていた。


まどか「光ってる! 近くに魔女か使い魔が…… どっちだろう」

まどか「……本当にわたし、魔力にも気づけなくなっちゃったんだ」

さやか「どっちでもいいよ! ね、キリカさん、行きましょう!」

キリカ「あ、うん!」


 裏通りの方へと魔力の源を探して歩いていく。

 あまり気は進まないけど、魔女がいるのならしょうがない。魔法少女の使命は魔女を倒すことなんだから。

 ……そう思って進んでいった先の狭い路地裏には、一匹の使い魔の走り回る結界があった。


さやか「逃がすか!」


 さやかが変身し、懐から出した剣を投げつけていく。しかし使い魔はその剣をひらりと避けていった。

 ……こんな時、マミが居たら。何の問題もなくまどかが戦えたら。

 そう思っても、今は私たちだけでなんとかするしかない。


 ――――しかし、やっと剣が届きそうだという時に、なにか鞭のようなものに弾かれた。

 ……鞭が変形して元の一直線を描く形に戻り、槍となって目の前に現れた人物の手中におさめられた。


「ちょっとちょっと、アンタ達何やってんのー?」




961以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/03(月) 22:34:32.012rS17jKK0 (4/5)

お、ついこの間までの主人公登場か
この杏子はキュウベェが呼んだのかね?マミさん生きてるけど


962 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 22:36:49.70HYilHWW50 (8/14)


「見てわかんない? これ使い魔だよ? グリーフシード持ってるわけないじゃん?」

「4,5日経てばグリーフシード孕むんだからそれまで待てっての。卵産む前の鶏シメてどうすんのさ」


 さやかが剣を構えて戦闘態勢に入る。

 ……私もまどかの前に出て、刀をしっかりと握り込んで構えた。


キリカ「まどか、下がって……!」

さやか「お前が美国織莉子……!?」

「あ……? あたしはそんな奴にここの縄張りを好きにさせる気もねえよ」

さやか「あんたも縄張りが目的なの!? グリーフシードを独占するために!?」

さやか「なんでマミさんやまどか以外こんな奴ばっかなんだよ!」

さやか「あんたたちみたいの全員いなくなればいいんだ……!」

「ウッゼーなぁ、超ウゼェ。そんな頭に血のぼらせんなよ」


 ……今にも戦いが始まりそうな雰囲気。

 2対1ということを考えても、相手はまだ余裕があるんだろう。

 わざとさやかを挑発するような態度をとっていた。


「今マミっつったか。あいつの弟子ってみんなそうなのか? 相変わらず正義の味方ごっこ続けておめでたい奴だな」

「そんなんだからナメられてほいほい縄張り狙われんだよ」

さやか「あんたみたいなのがマミさんを悪く言うな!」


 ――――そしてついに、金属のぶつかり合う音が響いた。



963 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 22:40:17.83HYilHWW50 (9/14)


さやか「……!」


 ……しかし、さやかが全力を込めても相手を少しも動かすことすらできない。


キリカ「さやかも下がって!」

さやか「ッ、うぁ!」


 鎖に絡め取られ、壁に叩き付けられる。

 駆け寄ろうとすると、その前にさやかの足元から青い魔方陣のようなものが浮かび上がった。


さやか「キリカさんは、まどかを守って……!」

さやか「あたしはまだ大丈夫だから!」

「……おかしいな。なんで動けんの? 全治三か月ってくらいにはかましてやったはずなんだけど」


 さやかの傷が治っていく。あれがさやかの魔法なんだろうか――。


さやか「あたしは、こんなとこでアンタ達みたいのにやられるわけにいかないんだよ!」


 再びさやかはがむしゃらに目の前の敵に斬りかかっていく。

 しかし、さやかのほうが押し負けているのは一目見ればわかった。

 目の前の戦いを見て、まどかを見て、心を決める。

 ――戦わなきゃ。


まどか「さやかちゃん!」


 しかし、その時には目の前に障壁のようなものができていた。

 ……戦うことすらできないのは嫌だ。今まで私は何をしていたんだろう? さやかが戦っているというのに。

 壁に吹き飛ばされるさやかを壁越しに見て、相手を見上げる。



964 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 22:43:11.90HYilHWW50 (10/14)


キリカ「あんたも私たちを殺して縄張りを奪う気……!?」

「そうだなぁ? 言って聞かせてわからねー、殴ってもわからない馬鹿となりゃ」

「あとは殺しちゃうしかないかもな」

さやか「っ……!」


 コツンと硬い靴の音が響く。

 敵の後ろから、マミが銃を向けていた。


マミ「――何をやっているの?」

マミ「その人たちは私の大切な人たちなの」

マミ「人の縄張りに土足で踏み込まないでくれる? 行儀が悪いわよ、佐倉さん」

「……ふん、お久しぶりだな、マミ“先輩”?」

キリカ「……知り合い?」


 マミを“先輩”と呼んだこと。

 そして、手にしている武器で気づく。……もしかして、この人が……。


マミ「まさか今日のうちに呼び出されるとは思ってなかったけど、あなたが来たっていうのが一番予想外よ」

マミ「今はただでさえ気が立ってるの」

マミ「それとも、本気で私たちを殺す気? それなら私も容赦しないけどね……」


 ……数秒、二人が睨み合う。

 最後には、佐倉と呼ばれてた人が舌打ちをして去っていった。

 力が抜けてへたりこむ。



965 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 22:51:03.79HYilHWW50 (11/14)


まどか「さやかちゃん……大丈夫?」

さやか「あたしはヘーキだって! なんか、回復魔法っていうの? 得意みたいだからさ」

さやか「でも、いつの間に連絡を?」

キリカ「……私が戦いが始まる前にまどかに連絡させといた」

さやか「はは……さすがです。あたしはどうにかしてやっつけようっていうことしか頭になかったから」

キリカ「いや……臆病なだけだよ、多分」

キリカ「さやかとは対極に、自分でなんとかしようっていう度胸がなかったから」

マミ「それなら良いコンビになれそうね。美樹さんだけじゃ心配だし」

さやか「ええ? なんでですかー」

さやか「いやまあでも、マミさんが来てくれて助かりました……」


 ……破裂した水道管から水が地面にこぼれる音が聞こえている。

 結局使い魔には逃げられてしまった。けど、なんとか無事に済んだだけよかった……か。



1自由安価
2佐倉って人また来るのかな?
3ああいう人ってやっぱり結構いるの?

 下2レス


966以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/03(月) 23:00:22.742rS17jKK0 (5/5)

2のあとマミに先程の魔法少女の事を聞く

さっきの人、マミのこと『先輩』って言ってた
彼女の武器は槍だったし、さっき話してくれた近接の弟子ってもしかして…


967以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/03(月) 23:03:17.69EMMn8BUNO (1/1)


追加で3
後でキュウベェを呼んで杏子のことを聞く




968 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 23:18:38.52HYilHWW50 (12/14)


キリカ「……ああいう人ってやっぱり結構いるの?」

マミ「そうね……自分の腕にそれだけの自信があれば、だけど」

マミ「元から居た魔法少女を排除して縄張りを奪うっていう発想自体は珍しいことじゃないから」

マミ「彼女ももうベテランだし、二人だけじゃ厳しい相手だったでしょうね」

キリカ「……あの人、また来るのかな」

マミ「でも安心して」

マミ「あの子だって私と正面から戦いたくはないだろうし、もしまた何かしてくるようならまたすぐに駆けつけるから」

マミ「これ以上こちらを踏み荒らしに来るようなら、私だって……」


 マミは真剣な表情をしている。

 覚悟を決めるような表情だ。……でもやっぱり、気が進まないような様子だった。

 この前の犯人の時とはまた事情は違う。けど、タイミングが悪すぎる。


まどか「……その佐倉さんって人のこと、聞かせてください」

まどか「訓練の時に言ってた昔の弟子って、その人なんですよね……?」

マミ「…………そうね。少し長くなるけど、いいかしら?」



969 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 23:39:32.45HYilHWW50 (13/14)


マミ「――――……私が佐倉さんと知り合ったのは、一年くらい前だったかしらね」

マミ「今はあんなふうになっちゃったけど、最初は家族のために契約した優しい子だったのよ?」

マミ「出会った時も、初めて私の目標に――街の平和ために戦うってことに共感してくれて、慕ってくれて……」

マミ「弟子になりたいって言ってきたの」

さやか「え……? あれが?」

まどか「じゃあどうして……」

マミ「その願いを一番救いたかったはずの人に否定されて、その人たちを壊してしまったからよ」

マミ「それから佐倉さんは私の元から離れて行った。……今じゃ、色々とあくどい事をやってるみたいね」

マミ「それでも、さっき直接会うまでは、まさかって思ってたんだけどね……」


 ……その言い方に、マミが以前言っていたことを思い出した。

 そっか。やっぱり、それもあの人のことだったんだ。


マミ「……だからね、誰かための願いで契約するってことを私が手放しで勧められないのは、そのことを知ってるからなの」


 そう言うと、マミは強い目で私とさやかを見た。


マミ「今の話を聞いて、可哀想って思った? 同情した?」

マミ「あなたたちだって、他人事じゃないのよ」



970 ◆xjSC8AOvWI2017/04/03(月) 23:51:48.71HYilHWW50 (14/14)


さやか「あ、あたしは……」

さやか「あたしは大丈夫です! 何があっても後悔しないし、マミさんのもとを離れていったりもしませんから!」

さやか「あたしがやりたくてやったことで、後悔なんてあるわけないし……」

さやか「あんなに喜んでくれてたから、それを見られただけで十分なんだ」

マミ「それならいいんだけどね……」

キリカ「……」


 ……まどかを見て、視線を外した。目が合ったけど、まどかも何か言うことはなかった。

 私には何も言えない。けど、私だって…………


マミ「随分遅くなっちゃったわね……いつまでもこんなところに居るのもよくないわ」

マミ「帰りましょうか」


 立ち上がる。

 薄暗く閉じた路地裏から出て、元の賑やかな通りに戻って再び帰路に着くことにした。



971 ◆xjSC8AOvWI2017/04/04(火) 00:16:19.34rY0bs+E80 (1/2)


QB「やあ、さっきは大変だったね」

QB「上手くいけば、君たちに協力してくれるかもって思ったんだけど……」


 ……小さな白い影がひょこりと顔を出した。

 もしかして、佐倉さんを呼んだのもこいつか。


キリカ「……佐倉さんになんて言ったのさ?」

QB「少しこの街で起きている事情を話しただけだよ。まさか、ああなるとは思っていなかったけど」

さやか「もう、協力どころか殺されそうになったんだからね!」

QB「そうだね……マミとは確執があるし、彼女は少々荒っぽいところがあるから。僕のミスだよ。君たちが無事でなによりだ」

まどか「……でも、だったらなんで来たのかな」

まどか「さっきは戦いになっちゃったけど、本当は縄張りを奪おうとはしてなかったんじゃないのかな……」

QB「真意はわからないけど、様子を見に来たってところだろう」

QB「仲直りできるといいんだけどね」

さやか「それはまあそうだけど……あっちが考え方を直してくれたらかな」

さやか「事情は分かった。でも、使い魔を見逃してグリーフシード欲しさに犠牲を出す考え方は認められないよ」

さやか「マミさんだって、そう言うんじゃないかな。だから離れたんでしょ?」

QB「……まあ、そうだね。僕としても杏子には昔のように戻ってくれたらとは思うんだけど」

キリカ「……」


 ……そこまでして私たちに倒してもらいたいんだ。

 私たちを案じるような言葉の裏側の無機質さを知ってるから、そんなふうにしか捉えられなかった。



972 ◆xjSC8AOvWI2017/04/04(火) 00:23:54.18rY0bs+E80 (2/2)

----------------------
ここまで
次回は5日(水)20時くらいからの予定です

次スレ:『オール安価でまどか☆マギカ 18』:
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491232637/


973 ◆xjSC8AOvWI2017/04/05(水) 20:14:01.20fdUxWo7H0 (1/12)


――――翌日、いつも通り昼休みの時間にマミと一緒に昼食をとる。

……昨日はあれからは何事もなかった。

この間の犯人のこともまだ考えなくちゃいけないけど、マミは佐倉さんとのことはどうするつもりなんだろう?



マミ「昨日はごめんなさいね、私の事情であなたたちにまで迷惑をかけちゃって」

キリカ「え? いやいや、気にしなくていいよ。マミの事情ってことはこの街全体の事情だし」

キリカ「……ていうか、私結局何もしてないし」

マミ「私を呼んでくれたじゃない」

マミ「戦うだけが勇気じゃないのよ。むしろ、美樹さんは少し無謀なところがあるでしょう?」

キリカ「それはまあね……」



1自由安価
2今日の放課後のことについて
3佐倉さんと仲直りする気はあるの?

 下2レス


974以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/05(水) 20:21:40.42NYVxotOV0 (1/1)

3


975以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/05(水) 20:58:43.50viDdT59S0 (1/2)




976 ◆xjSC8AOvWI2017/04/05(水) 21:30:23.66fdUxWo7H0 (2/12)


キリカ「ところで……キュゥべえは仲直りしてほしいって言ってたけど」

キリカ「佐倉さんと仲直りする気はあるの?」

マミ「……それは、出来たらそうしたいわよ」

マミ「好き好んで争いなんてしたくないし、同じ魔法少女同士、協力できる仲間は多いに越したことはないものね」

マミ「……でも」

キリカ「……そんな簡単には出来ないよね。 ごめん、何も知らないのに」

マミ「いいえ。キュゥべえも、あの子なりに私たちを心配してくれてたんでしょう」

マミ「もし佐倉さんが昔のように戻ってくれる気があるのなら、私も勿論受け入れられるんだけどね」

マミ「あっちはそういうわけにはいかないだろうから」

キリカ「キュゥべえは…………」

マミ「え?」


 ……食べ終わった弁当を片づける。

 そろそろ昼休みも終わりが近づいていた。


キリカ「……なんでもないよ。そういえば、今日の放課後は?」

マミ「今日はまた少し昨日の土手で練習をした後、そろそろ実戦をやってもらおうかと思って」



977 ◆xjSC8AOvWI2017/04/05(水) 21:36:26.20fdUxWo7H0 (3/12)


キリカ「えーと、実戦っていうと」

マミ「心配しないで。私も美樹さんも居るんだから。三人なら怖くないわ」

キリカ「うん……そうだよね。 それに、契約したんだから戦うのは使命だもんね」

マミ「……」

キリカ「……あ、えっと、別に戦うのが嫌なわけじゃなくて……! 人助けのために戦うのはすごいって思うし」

キリカ「まどかの代わりにはなれなくても、頑張るよ」

マミ「……ええ」


 マミが鞄を整理して立ち上がる。


キリカ「午後も頑張ってね」

マミ「そちらも」


 ……一人になってから、机の上に突っ伏した。


キリカ(なんかなぁ……)

キリカ(……もっとちゃんとしないと)



978 ◆xjSC8AOvWI2017/04/05(水) 21:57:11.91fdUxWo7H0 (4/12)


 ――――帰りのチャイムが鳴り、みんなで昨日の土手に向かって歩いている。

 今日も少し訓練をして、それから出発前にはみんなでちょっとした気合いを入れようと言っていた。


 土手に着くと、さやかが鞄を放って草原に寝転んだ。


さやか「はー、やっと今日も一日学校が終わった」

マミ「ええ、でも私たちの一日はこれからよ?」

さやか「はい! これから見滝原の平和をガンガン守りまくっちゃいましょう!」

まどか「その前に肩慣らしだよ」


 さやかが立ち上がって服についた草をはたくと、変身する。

 私も同じように変身してみる。武器を出すと、両手にしっかりと重みを感じた。今日もまずは素振りからだ。


 ……もうさやかは一度魔女と戦ったことがあるって言ってたけど、怖くなかったのかな。



979 ◆xjSC8AOvWI2017/04/05(水) 22:10:55.40fdUxWo7H0 (5/12)



マミ「――――…………それじゃ、このくらいにしましょうか」

マミ「みんなでパトロールしに行きましょ」

さやか「はい!」

マミ「さっきまでのは訓練だけど、これからは魔法少女の仕事よ」

マミ「私もついてるけど、気を抜かないように」

さやか「わかってますって。マミさんに迷惑はかけられませんし」

マミ「じゃあちょっと、こっちに来て集まってくれる?」 

キリカ「え?」

さやか「なんですか?」

マミ「鹿目さんも」



980 ◆xjSC8AOvWI2017/04/05(水) 22:24:07.63fdUxWo7H0 (6/12)


 マミが手を上に挙げて、みんなを呼ぶように手招きする。

 ……四人が一か所に集まると、マミが肩に手を回してきた。


キリカ「えっ? えっ? 何?」

さやか「あ。 あたしはわかりました!こうですね」

まどか「え、これって!」

マミ「ええ! 円陣よ、円陣!」

マミ「ふふ、やってみたかったのよ一回! 四人も居るからできることね」

まどか「でもわたし戦えないのに……」

マミ「何を言ってるのよ。鹿目さんも私たちの大事な仲間よ?」

まどか「はい!」


マミ「呉さんは初陣だし、美樹さんもまだ新人」

マミ「最初は不安かもしれない、上手くいかないことがあるかもしれない」

マミ「でも、一人じゃないんだもの。 これから私たちは支え合って成長できる!」

マミ「気合い入れていきましょう!」


『オー!』


 ……通りからは見えない土手の奥で、みんなの声が響いた。



981 ◆xjSC8AOvWI2017/04/05(水) 22:25:05.48fdUxWo7H0 (7/12)



 土手から離れて街を回り始める。

 一応、ルートを決めていくことにしていた。


キリカ(……マミ、意外とああいうの好きだったんだなぁ)

キリカ(まあ、悪くないか。ちょっとだけ緊張もほぐれたかもだし)



 マミは気配でわかるようだけど、一応自分のソウルジェムも具現して明滅を見ている。


 最初に目指すのは工業地帯のほうだ。

 特に用があることもないのであまり寄ることもなかったけど、あまり人気の多そうな場所ではない。

 こういうところって、魔女が出やすかったりするのかな?



 下1レスコンマ判定
0~20 使い魔
21~40 魔女


982以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/05(水) 22:26:08.33/3uen7l20 (1/4)




983以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/05(水) 22:27:54.55viDdT59S0 (2/2)

ゾロ目だけどこのスレだと意味ないな


984以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/05(水) 22:28:01.09/3uen7l20 (2/4)

キリカ、初陣で魔女戦か


985 ◆xjSC8AOvWI2017/04/05(水) 22:45:50.05fdUxWo7H0 (8/12)


キリカ「!」

キリカ(魔力の反応!)


さやか「マミさん、これどっちすか!?」

マミ「これは魔女の魔力ね」

マミ「あなたたちも、少ししたらわかるようになってくるわよ」

まどか「わたしも一週間ちょっとで魔力があるかないかっていうのはわかるようになってきたから」

さやか「さすが“元”でも先輩だなぁー」



―落書きの魔女結界



 結界のマークの中に飛び込むと、この前路地裏で見た使い魔の結界が周りに広がっていた。

 ……周りには素早く跳び回る落書きのような使い魔。

 それをさやかがあの時のように剣を投げて狙い、外しては悔しそうにしている。


さやか「くっそー、当たらない! マミさん、なんか投擲のコツってあります?」

マミ「私は銃だから少し違うけど……動きを予測することは必要ね」

マミ「あとは数で押し切ってみたり、直接斬りかかっていけるならそのほうがいいこともあるんじゃないかしら?」

さやか「そうっすね! せっかくの剣ですし、投げることにこだわらなくてもいいか!」


 さやかが青い閃光を散らして走る。

 ……まるで瞬間移動だ。


マミ「美樹さん、あまり使い魔に魔力を使いすぎないようにねー?」

マミ「今回は使い魔は私も相手できるから」

さやか「はい!」



986 ◆xjSC8AOvWI2017/04/05(水) 23:15:13.44fdUxWo7H0 (9/12)


キリカ「えいっ……あ、当たった」


 私も何かやれないかと、小さめの刀を作り出して細々と狙っているけれど、マミの射撃には敵わない。

 道中の使い魔は大体マミが片づけてくれた。


 そしてとうとう最深部。

 ……でも、魔女がいない?


さやか「あれ?」

マミ「とりあえず使い魔は私が対処しておくわ」

さやか「は、はい!」

キリカ「でもこれどういうことなのさ……?」

まどか「あっ、あそこ!」


 ……結界内に置かれた物の陰に隠れていたらしい。

 見つかると魔女が逃げるように飛び出してきた。


Albertine「ニャハハハッ」


さやか「居た!」


 さやかが剣を構えて突進する。

 ――――しかし、魔女に攻撃が当たった瞬間、魔女がはち切れんばかりの声を上げて泣き出した。



987 ◆xjSC8AOvWI2017/04/05(水) 23:20:33.49fdUxWo7H0 (10/12)


さやか「っ、なんなのさ!」


 ……さやかが下がった。

 すぐに突っ込んでいくさやからしくなく、そのままたじろいでいる。


マミ「……何?」

キリカ「さ、さやか?」

さやか「え!? えーっと!」


 ……さやかは何を慌ててるんだろう?

 とりあえず、このまま近くにいたらやられちゃう。

 私も何かしないと……!




キリカ 魔力[125/130] 状態:??
GS:なし


◆ステータス

[魔力コントロールLv0] [格闘Lv0] [射撃Lv0]


敵:Albertine

1刻む :近接武器戦闘(魔力-0) ※[格闘Lv]+マイナス補正20 デフォルトで二刀流。
2小刀投げ :中~遠距離武器戦闘(魔力-1) :小さめの刀を出して投げつける
3スパークエッジ・デュエル【Lv1】(魔力-30×2) :魔力を込めて全力で斬りつける必殺技。ほぼさやかと同じやつの二刀流版。
 bスパークエッジ(魔力-30) :一刀流版。威力は半分より少し上。
 cスパークエッジ(魔力-60) :二刀流分の魔力を一つに込めた一刀流版。装備が欠けた時とか用。
4シューティングスティンガー(魔力-10) :刀身を魔力の刃に変えて射出する
5スプラッシュスティンガー(魔力-5×5) :小刀をたくさん出して魔力の刃を射出。安価指定があれば射出後に残しておく。
6自由安価

 下1レス


988以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/05(水) 23:25:13.70/3uen7l20 (3/4)

2


989 ◆xjSC8AOvWI2017/04/05(水) 23:48:02.83fdUxWo7H0 (11/12)


 ……さっきまでの道中と同じように狙いを定めて、投げる。


キリカ(え、えいっ!)


キリカ「――あ、当たった!?」

さやか「泣き止んだ……!」


 続けて、さやかがトドメの一撃を与えて終了となる。

 ……にしてもなんだか、腑に落ちないような気分だった。

 あれが当たったことに、私が一番驚いていたのだから。


さやか「いやー助かりました!」

さやか「なんか急に動けなくなっちゃって。闘争心が削がれるっていうか。あの泣き声のせいだったんですかね?」

キリカ「あー、うん……そうかもね……」



990 ◆xjSC8AOvWI2017/04/05(水) 23:52:07.03fdUxWo7H0 (12/12)


 ……ていうか、そもそも投げて倒す、というイメージが出来てなかったんだ。

 魔女相手にためらってる場合じゃないけど、別に私の心が弱いわけじゃなくて、さやかもそうで……

 それでも当たったのは。


マミ「……今回はむしろ、慣れてない人だったから上手くいったのかもね」

マミ「だって呉さん、自分の攻撃が当たったのにきょとんとしてたんだもの」

マミ「本当はあれ、自分の思った通りにはいってなかったんじゃないの?」

キリカ「まあ……うん……」


 私の投擲がヘタクソだったからか。

 そう思うとなんか複雑な気分だった。


マミ「はいこれ、戦利品よ」

キリカ「あ、ありがとう」



 …………まあ、倒せたんだから、いっか。



★射撃Lv0→射撃Lv1


キリカ 魔力[124/130] 状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]


◆ステータス

[魔力コントロールLv0] [格闘Lv0] [射撃Lv1]


991以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/05(水) 23:53:59.99/3uen7l20 (4/4)

キリカの魔力が130なのは素質が高いってことですか?


992 ◆xjSC8AOvWI2017/04/06(木) 00:05:04.20alsbgWK50 (1/3)


まどか「お疲れ様でした! 次はこっちのほうですね」

さやか「あー、このあたりってやっぱ人気ないよね」

マミ「魔女が人の負の感情を好むと考えると、人気のないところか、逆に人気の多い場所に居るって推測してるわ」

マミ「だからまずは人気のない場所を巡って、それから人が集まり出す時間帯には賑わった場所に行こうと思ってるの」

さやか「そこまで考えてるなんてさっすがマミさん!」


 人気のない道を歩く。その中に高い鉄塔が見えてきた。


 ……人の負の感情か。

 ソウルジェムの真実はマミも知らない。

 本当は、魔法少女が居る限り魔女もいなくなることはないんだろう。


 下1レスコンマ判定
0~20 使い魔
21~40 魔女


993以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/06(木) 00:05:38.11bGQ4GbEu0 (1/3)

ほい


994以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/06(木) 00:06:16.04wEpNN6z9O (1/1)

魔女


995以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/06(木) 00:07:18.85L+AKsijP0 (1/2)

今回は>>1000まで何か募集したりしないの?


996 ◆xjSC8AOvWI2017/04/06(木) 00:10:08.57alsbgWK50 (2/3)

---------------------------
続きは次スレに
以下適当にコメントとか埋めとか

>>991
(ここでは)素質が高いっていうのはそうですねー


997以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/06(木) 00:10:56.40bGQ4GbEu0 (2/3)

乙です
うめ


998 ◆xjSC8AOvWI2017/04/06(木) 00:12:16.73alsbgWK50 (3/3)

展開安価はこの前もキリカ編でやったしなぁ…
新技案とかあれば採用するかも あとちょっとだけど


999以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/06(木) 00:12:30.32L+AKsijP0 (2/2)

>>1000ならキリカはえりかと仲が元に戻る


1000以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/04/06(木) 00:16:06.10bGQ4GbEu0 (3/3)

>>1000なら杏子を追いかけてきた小巻参戦