515 ◆Y.lj54HWGU2016/11/06(日) 20:03:49.6505brleHMo (8/11)


 8/10


        ,r‐─===‐-    _
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.  //|::::::|  ′  ""  /:::::::::::::リ::::::::::::::::′   「ああ、なんて晴れやかな気分なんだ」
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    ∨::∧/  _,ヽ| ヽ.!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
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            //       / { ;;;≧x、V |        /  /.    / ’
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.       / ./  //     |               弋;;;__ ツクイ     / /
    /  ./  //    |. ハ       r:      """/介     ヤ /    「さぁ、イキますわよっ!」
   /   /'  / i     |.  ヽ    ト、         /"/ |    マ
 /   /{   { . |     ||./{ >、 ヽ ` ァ   ー‐' /__ ヤ   |. ヽ
    _廴_込 ヽ、   | |´   ヘ \  __  _チ'´ _. ヽマ    ヽ
    {      ヽ  `  .ト.!     ヘ      / ∨「〈.', マ¨ :.  マ     ハ ト、
    λ         マ  } .ハ ヽ    ヽ  /_  .| | マ、 ー-、  ヽ  / .l ! ::._
   / ハ.       /ヤ /ハ| ) /ミ≧≦チ_,マ  ヽ` く ̄¨¨¨.    \,.へj ̄`ヽ
.  / / ヤ    /   У′ リ / ィチ>二<< マ  フ`ーへ   ヽ    `ソ `ヽ ヘ
 / /  ヤ   /   /   / レ// / 厂|、ヾ、\、/    />  _`ー  /   `マヘ
  /     マ  .i   /  /  / /  / /  | ヽヘヽ \  ,イ /   // ̄`ヽ{     マ ヽ
      ヽ 八  .{       | .|  ./ /|   | iマヘ. > >/ | λ.  |.{三三/       .〉`



516 ◆Y.lj54HWGU2016/11/06(日) 20:04:18.1705brleHMo (9/11)


 9/10


 ……
 …

 「ううっ、頭が痛いですわ……」


 透華は酔ってしまうと記憶が残らないタイプだった。

 先日、いつものように菫と智葉の話を聞いて頭痛がしたのは覚えている。

 そのあとのことを考えても思い出せない。


 「そろそろ何かしらの手を加えないといけませんわね……」


 暴走続きの二人を止めるために色々と考えているが、止まる気がしない。

 可愛い可愛い弟分のためとはいえ、そろそろ疲れて来た。


 「いえ、負けてはいられませんわ」


 ここで負けてしまえば龍門渕の名が廃る。

 そう自分に言い聞かせてなんとか考える。

 そろそろ京太郎もそう言うことに興味を持ち始める年齢だ。

 二人の誘惑に乗ってしまう前に止めなければーー


 「お嬢様。失礼ながらこちらを」

 「ハギヨシ?

  これは……『須賀京太郎育成計画』?」

 「弘世菫様と辻垣内智葉様からの伝言です。

  『協定は破らない』と」

 「はぁ……」


 なんのことだかわからないが、また頭痛の種だと言うことは予想できる。

 とりあえず軽く目を通して見るとーー


 「『京太郎の高校卒業までは手を出さない?』」


 願ってもない協定が書いてあった。

 しかも菫と智葉の血判まで付いている。


 「なんだかわかりませんが、自重してくださるのですね」


 ホッと一息ついた。

 そして初めて気付く。自分の指がチクリと痛んだ。


 「?」


 絆創膏が貼ってある。親指をケガでもしたのだろうか。

 あまり気にせず、血判状を仕舞う。


 龍門渕透華は気づかない。

 ーー血判は、三つあったことに



517 ◆Y.lj54HWGU2016/11/06(日) 20:04:47.2905brleHMo (10/11)


 10/10


 ……
 …

         ,  ´    /V    <⌒`
        /,     /   ∨      ̄\___
       ' /       '     ∨   、 < ̄ ̄´
       / /    ,  |      V   l | V \
     '  .'  / l |  | l     | } 、 | }  、`
     |  |  { |{ |  {∧ l   |//V /   \
     } ∧ ∨从>-、从  |'___}イ }、r----
     /イ' 从 {  =====∨\ }  ̄  |ノ `\   ____
      乂  \           リ    |  ,. : :´: : : : : : : : : :`: : : .
       \__、              人/: : : : : : : /: : : : : : : : : :`: 、
     /⌒7/{込、  ,  ―--‐  イ/: : ,: : : : : :/: /: :/: : : : : : : : : : ヽ
     /////\\//≧   __ ィ///: : : :/ : : : /|_/: :/: :/: :/): : : : : : : .  っ
    {////// V///// ̄} //////,--、/: : :/_ /`ー'--'-/-く: : :/: : : : : :.  っ
    ///>-//}/////// ()//// 〈  {: /  ===   /:イ: //\': :/: : : : :|
   ,'////////≧=--- 、////////⌒ー--}         |://:/}:\: / : : ,     「咲ぃー! お前なぁー!」
   {////////////////// ̄}¨´  r‐―ノ       /' /、/イ: /`/: :
   ` <_////////////// |    〉               ヾ>jイ:イ: : /
      |//// -=<__()__ノ--≦:く     ,....::⌒\        /: : : : :,     「ぅひー!」
      |////////////////////乢\  `ヽ、:.:.:У     ,:⌒V:∧: :{
      |////////////()//// ̄Vノ >,   __      ,イ_ノ/ \|
      ////////rく(ヽr,// く...、......∧---/........\/: イ ̄ }://イ
      //////// し'--く/  {:.:`\....、 /........//r、/ )-、
      ,'/////////ノ---' \  ` ー-`、∨.....イ/r'-、 ーく
     //////////∧            [二] ̄  ∧_二}´


 ーーなお、義姉の計画とは関係ない場所で女性慣れはしていた模様


 カン!



518 ◆Y.lj54HWGU2016/11/06(日) 20:05:16.2305brleHMo (11/11)

 某京咲四コマ最高だった
 姫子→哩→京太郎→姫子の三角関係とか書いてみたいけど口調がネック


519以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/06(日) 20:17:33.169t/JszhGo (1/1)


それ読みたいです
多少の違和感なんて脳内補正でどうとでもなるし


520以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/06(日) 20:42:25.48fPQZEMQDO (1/1)

乙です。
博多弁は咲ssを書いてれば誰もがぶち当たる壁だと思う。
最悪多少の違和感は無視して方言翻訳アプリニキに頼ると言う手も……


521以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/06(日) 20:50:36.49p8Y/qw900 (1/1)


伏兵宮永
のどっちと世界一位でオチ慣れもするんだろうな


522以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/06(日) 21:35:51.16JPo96Lqxo (1/1)

乙です
お金持ち次元ほんと好き


523以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/06(日) 22:37:08.18+OE0JV/A0 (1/1)

乙でした
博多弁とか言う咲SS界のラスボス


524以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/06(日) 23:59:20.58T0l0NpVP0 (1/1)

乙です
何その新道寺次元読みたすぎる


525以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/07(月) 03:24:03.29CsOSvZTp0 (1/1)

乙!!

相変わらず凄く面白い!
まとめられないかなぁ


526以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/07(月) 07:20:26.457TmT4h0t0 (1/1)



そして数年後ころたんが4つ目押すんですねわかります


527以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/07(月) 18:49:50.42V/Rdht4jO (1/1)

乙です
「おセックス」に草生える


528以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/09(水) 01:01:55.77IZFBEfQD0 (1/1)

乙でした。


529 ◆Y.lj54HWGU2016/11/11(金) 01:44:18.194zXbpoyPo (1/11)


 1/10

 【私は友達がいない】-京桃次元-


 夏のインターハイから三年。

 まるで夢のように充実した青春だった。

 しかしどんなに楽しい青春も過ぎ去ってしまえば返ってくることはない。

 『昔は楽しかった。あの時に戻りたい』、そう思わない人はいないだろう。

 彼女ーー東横桃子もまたその一人だった。


 「今日の講義も憂鬱っすねー」


 誰に伝えるわけでもなく呟く。

 仮に近くに誰かがいたとしても気づかれることは少ない。

 桃子は大学生になり、高校生活から環境が大きく変わった。


 「元々、高校生活が恵まれていただけっすよね」


 自分に言い聞かせるように呟く。

 『東横桃子は友達が皆無』

 そんな漫画のタイトルで作品を作れそうだな、なんて益もないことを考える。笑えない。

 大学生になれば高校の友人と仲が続くことは少ない。

 各々、就職に向けてやりたいことが異なるのだ。

 憧れの先輩たちと離れ離れになった桃子はまた一人ぼっちに逆戻り。

 麻雀部に入る前の、誰とも会話しない状態に戻ってしまった。

 話す相手がいなければ、自然と独り言も増えてしまう。

 そんな自分に嫌気が差すが、癖になってしまったのだから仕方ない。


 「ステルスモモも麻雀を打てなきゃただのぼっちっすね……」


 元々活発な性格ではない桃子は大学デビューすることもできなかった。

 いくつかサークルを見てみたり、麻雀のサークルも見てみたがやはり空気が合わない。

 そもそも見に行っても反応してもらえない。

 高校時代、『君が欲しい』と直球で言われた。

 あの時のような運命を求めてしまう程度には、東横桃子は夢見がちだった。


 「こんなんなら、ずっと一人のままの方が気楽っすねー」


 青春の高校時代、あれだけ楽しむことがなければこの苦しみもなかったかもしれない。

 最初から誰かと触れ合う喜びを知らなければ、こんなに悲しく思うこともなかった。

 自然と目頭が熱くなる。


 ーー泣いてしまおうか、なんて考える。どうせ誰もこちらに気づかない。



530 ◆Y.lj54HWGU2016/11/11(金) 01:44:47.134zXbpoyPo (2/11)


 2/10


 「ったく須賀はさー。

  そんないろんなサークルに手ェ出してると忙しいだろ」

 「別に本格的に入部してるわけじゃないぜ。

  体験入部だよ。どこも楽しそうでさ」

 「いろんなところから声がかかってるんだろ?

  可愛い子いた?」

 「えー、高校で目が肥えちゃったからなー。

  これと言った人は……」

 「ったく、いつまでも失恋を引きずってんじゃねーぞヘタレ」

 「し、失恋なんてしてねーし!?」


 後ろの席の会話がうるさい。

 大学の講義は物にもよるが、基本的に座る場所は自由だ。

 しかし毎日繰り返していると自然に定位置が生まれる。

 そんな中、東横桃子は隣の金髪の男子の隣に座ることが多かった。


 「(けっ、リア充が。うるさいっすね)」


 神様の気まぐれだろうか。

 どの授業でも彼の近くに座ることが多い。

 最も、彼の近くに座っていなくても彼は非常に目立つ。

 大学は高校と違い、クラス間での交流はないに等しい。

 積極的に友達を作りに行くか、あるいはサークルが同じでないと話しかけることもない。

 そんな中、『彼』はいつもグループの中心にいた。

 孤独の極地にいる東横桃子とは正反対の存在だ。


 羨ましい。

 妬ましい。

 その目立つ金髪も、高身長も、微妙にいい声なのも、ちょっと顔が整っているのも気に入らない。


 目立つから自然と目に入ってしまうし、近くにいるから声もよく聞こえてしまう。

 そうだ。鬱陶しいから目に入ってしまうんだ。

 近くに座ってしまうのもたまたまだ。他意はない。


 「(……他意はないっすから)」


 ーー例えば、こんな人気者は普段何をしているんだろうとか。

 友達のいない自分にはとてもわからない。

 桃子は一人で時間を潰すのが得意だが(というかそれしかないのだが)、彼はどうしているんだろうとか。

 一人の時間がないのは心苦しいと思うけれど、大丈夫なんだろうかとか。

 そんなことばかり考えるのは、たまたま近くの席に座っているからだ。



531 ◆Y.lj54HWGU2016/11/11(金) 01:45:16.244zXbpoyPo (3/11)


 3/10


 「(彼女いないんだ)」


 聞いていると、彼は男女ともに多くの友達がいるらしいが、特定の異性はいないらしい。

 全く。たまたま近くにいて目立つから彼についての変な知識ばかり入ってしまう。

 しかし、桃子も一人の女の子だ。

 恋愛についての話を聞けば、まるでエルフのように耳を大きくして聞き入ってしまう。

 やれ、憧れの先輩にとてもいい彼氏が出来ただとか、そんな話を聞いた時にはすごく嫉妬した。

 何せ、完璧のように思っていた先輩が恋する乙女の顔をして惚気てくるのだ。

 100年の恋も冷めるというものだ。

 正確には、とても羨ましかった。


 「(あー、私も彼氏が欲しいっすね)」


 友達すらいないのに高望みをしている気がする。

 でも、女子大学生という身の上で彼氏を求めない方がおかしいと思う。

 東横桃子に異性の友達はいない。

 彼氏の話など、夢のまた夢だ。

 ーー気になる人なら、まぁいないわけでもない。


 「それじゃ、レジュメを配ります」

 「あっ……」


 講義用のレジュメが配られる。

 いつもならば講義前に自分で取りに行くスタイルになっている。

 しかし、今日は教授が用意し忘れたようだ。後々から助教授が印刷して持ってきた。


 「……」

 「ん……?」


 特に意識せず無言で後ろにプリントを渡したが、なんだか妙な反応をされた。

 思わず顔を赤くしてすぐに前を見る。


 「もしかして、東横桃子さん?」

 「!?」


 思わず身体中を震わせた。

 ーーな、なんで名前をっ!?


 「おい、須賀。

  ナンパしてんじゃねーぞ」

 「いや、ナンパってわけじゃ……。

  ただ知ってる顔だっただけで」

 「知ってる顔だっただけで声かけるのは十分軟派だよっ」


 後ろでそんなやりとりをしているのが聞こえてくるが、教授に睨まれて押し黙った。



532 ◆Y.lj54HWGU2016/11/11(金) 01:45:46.414zXbpoyPo (4/11)


 4/10


 ……
 …

 「おーい、東横さん」

 「な、なんっすか。つーか誰っすか」


 講座が終わったと同時に話しかけられた。

 こっちは金髪の彼のことを少し知っているが、そんな素振りは見せないように受け答えをする。


 「あー、一方的にこっちが知ってるだけなんだ。

  清澄高校麻雀部だったからさ」

 「清澄……、あのおっぱいさんがいるところっすか」

 「ああ……、和か……。

  ってかその呼び方はどうなんだ……」

 「それで伝わるってことは、そう思ってるってことじゃないっすか?

  助平さん」

 「うぐっ。辛辣すぎる」


 なぜか口から嫌味が出てくる。こんなことを言うつもりはないのに。

 むしろ久しぶりに人に話しかけられて気分は有頂天だ。

 しかし、同時に警戒もしている。相手はどう見てもチャラ男だ。

 ーーそんなチャラ男に簡単になびくようなチョロインじゃないっすよ!


 「大学、同じだったんだね」

 「そうっすね。

  と言うか、よく覚えてたと感心するっすよ。

  普通、他校の生徒の顔なんて覚えますか?」

 「へっへっへー、俺、他人の顔を覚えるのは得意なんだぜ。

  東横さんは(胸が)印象に残ってたから一発でわかった!」

 「そ、そうっすか」


 『印象に残る』なんて言われたのは初めてだ。

 憧れの先輩ですら自分を探す時には声を出す必要があった。

 もしかしたら、この人は自分のことを見つけられるのかもしれない。そんな淡い希望が浮かんだ。


 「……って、確か女の子の顔は忘れないとか言ってたっすね」

 「い”い”っ!?

  なぜそれを」

 「毎日毎日、隣の彼と話しているのが聞こえてくるんすよ。

  近くの席だから」

 「た、高久田ァ!

  って、いない!?」

 「あっ、俺のことは気にしないで続けてどーぞ。俺は先に帰るぜー」


 長身の彼は、楽しそうに逃げていった。



533 ◆Y.lj54HWGU2016/11/11(金) 01:46:16.224zXbpoyPo (5/11)


 5/10


 「い、いや、可愛い女の子の顔を忘れないのは男として当然だろ?」

 「そうやって、彼女でもない女の子に可愛いって言うのはマイナスっすよ。

  だからモテないんじゃないっすか?」

 「な、なぜモテないことを知ってるんだ」

 「いや、毎日聞こえてくるから……」


 悪口を言うつもりはないのだが、どうもツッコミ気味になってしまう。

 何より、自分がはしゃいでいるのがわかる。

 本当に誰かと話すのが久しぶりで、距離感が掴めないのだ。


 「毎日って、そんなに目立つか?」

 「そりゃ、その金髪に身長は目立つっすよ。

  席も近いし」

 「ありゃ、席近かったっけ?

  おっかしーな。それならもっと早く東横さんに気づくと思うんだけど……」


 少し、悲しくなった。

 先ほど感じた淡い希望はやはり泡のように消え去った。

 彼が自分に気づいたのは、たまたまだったのだろう。

 モニターを通して顔を覚えていて、プリントを配る際に目があって思い出した。

 その程度の存在、だったのかもしれない。


 「私の特性、知ってますか?」

 「えっ?」

 「『ステルスモモ』って、呼ばれてるっす」


 ふらっとその場を立ち去った。いわゆる、『オカルト』を使用して、だ。

 高校時代から『オカルト』は強化されている。

 桃子がその気になって姿を消せば、例え目の前で話していたとしてもーー


 「あ、あれ?」


 彼はまるで白昼夢でも見ていたような顔をしていた。

 目の前からいきなり女の子が消えたのだ。

 実際、すでに移動しているので彼の目の前にはいない。


 しかし、これでわかってしまった。


 「(やっぱり、私のことを見つけられるわけじゃないってことっすね)」


 熱された気分が冷めていくのを感じる。

 もしかしたら、なんて淡い希望。

 桃子のことを見つけてくれる、『王子様』。

 そんな存在など、いないのかもしれない。

 桃子は寂しそうに立ち去り、困惑顔の『彼』だけが残された。



534 ◆Y.lj54HWGU2016/11/11(金) 01:46:45.444zXbpoyPo (6/11)


 6/10


 ……
 …

                   ______
                 ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..、
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          /:/::::::::::∧   ,  ---- 、   |!;'::::::::::::::::::::::,
            /:/!:::::::::/:::込、  {      } ,. イ|:::::::::::::::::::::::::,
         |:/ |:::::::/:::::|::::::个ト` ⌒  ´イ!ヽ:::::!::::::::::::::::::::::l::|
          |:! !::::::|:::::::|::::::::|::|/ /`¨    .|-!';:::!:::::|:::::::::l::::::|::!
         |! ヽ::::トレ::|斗イ/ / }     _| ';|::l:::!:::://::::/:/


 自宅に戻り、ベッドに顔を突っ伏す。

 中二病は卒業したと思っていたがーーどうやら根深い問題のようだ。

 別に理想の彼氏じゃなくてもいい。と言うか普通に友達が欲しい。

 それこそ、『彼』は誰とでも親しいし、こんな自分とも友達になってくれた可能性が高い。


 「うわぁぁぁぁーーーっ!!」


 若さゆえの過ち、と言うにはあまりにも代償が大きすぎだ。

 一体なんだ。自分のオカルトを披露して颯爽と消えるなんてどこの敵キャラだ。

 むしろ最初は敵キャラだけどどこかで味方になりそうだ。

 最後に主人公をかばって死にそうだ。嫌だ、死にたくない。


 「って、そうじゃないっすよ!!」


 とりあえず、これからの大学生活を考える。

 無理に彼の近くに座る必要はないわけで、別に大学生活で関わり合いになる必要はない。

 しかし、あまりにも第一印象が最悪すぎる。

 相手からすれば、『散々人のことを罵倒したと思ったら、なんか厨二発言をして消えた女の子』だ。

 無害な分、某千葉県民のぼっち女子高生の方がマシかもしれない。いや、あれも時々有害か……。


 「せ、せめて謝罪を……」


 人としてごめんなさいの一言くらいは言いたいが、今日のことを思い出して顔が火照る。

 『ステルスモモ』とキリッっとした顔で消えるーーうん、ないわ。


 「もうこのまま、関わり合いにならないで過ごすべきっすかね」


 桃子の隠れた中二病歴史として抹消するべきか考える。

 もしかしたら今後の大学生活で友達が出来るかもしれなかっただけに、非常に惜しい。

 謝れば、もしかしたらーー



535 ◆Y.lj54HWGU2016/11/11(金) 01:47:13.934zXbpoyPo (7/11)


 7/10


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      l:l::::::::::;'!::::::::::l:::j!:ヽ       ,r ヽ      ,.イ:::::j!::::l:::::::::::}!::::::!::!    「私に友達が、出来る!?」
    .l:l::::::::;' l:::::::::::!:::!:::::::>..,_.    ` ´    _,.イ:::::!:::::j!:::::!:::::::::::!l:::::j::j
    .l:!:::::::l !::::::::::l::::l!:::::::::::j ヽ>  ..__.. <ノ.∨!:::::!:::/::::::j::::::::;':!l:::://
      !∨::::! ∨::::::::!:::ヽ:::; イ!: : : ヽ、__  _,..イ: : ヘヽ:::::/:::::::::!::::::;'/ l:://
     ! ∨::! ∨::::::!::::;.イ.:.:.|: : : : : : ハVハ: : : : : :j.:.:.メ、::::::/:::::/  j/
      ∨! _,∨イ:/.:.:.:.:.:.:!  : : :〈:::::::::::〉: : : : :!.:.:.:.:.:';.:.:`>..、
     -‐'".:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.!   / 〉::::::〈 ヽ  /.:.:.:.:.:.:V.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`>-.._


 そうだ。彼は友達が多い。

 友達になれば、友達の友達は友達理論で他の友達を増やせるかもしれない。

 それに、彼には女性の友達も多かった。

 そう考えると、一番欲しい『女の子の友達』が出来る可能性は非常に高い。


 「これ、すごくゲスい考え方っすよね」


 立場を逆にしてみよう。

 可愛い女の子とお近づきになりたいから、その友達に声をかける男子。

 ーー最低だ!


 「ええい、こちとら手段は選べないっすよ!」


 本当に申し訳ないとは思うが、将来のステルスのせいで本気で困っているのだ。

 生まれ持ったこの体質、改善の余地は一切ないらしい。

 そう考えるとこのくらいゲスい考え方でないとやっていけない。

 幸い、『彼』は女の子とお近づきになりたいらしい。

 それも胸の大きな女の子が好きらしい。近くにいるから聞こえてきた。

 他意はない。決して彼のことを知りたくてこっそり聞いていたわけではない。


 「……セーフっすよね」


 最近大きくなってきた胸を見下ろす。

 これで釣って友達になろう。うん。

 ちょっと変な視線で見られるかもしれないけれど、『見られないよりマシ』だ。

 誰より『見られない』経験をしてきたから言い切れる。はずだ。


 「でも、そうなると問題が……」


 あの第一印象の中二っぷりをどう覆すか……。



536 ◆Y.lj54HWGU2016/11/11(金) 01:47:43.454zXbpoyPo (8/11)


 8/10


 「あぁーっ!」


 結局、話はそこに行き着くのだ。

 一体なんて話しかけよう。昨日はごめんなさい?


 「そもそも、男の人となんて会話したらいいんすかね」


 今日は少し会話が弾んだと思う。(弾んでいたはずだ!)

 しかし、男性と会話した経験なんて数えるほどしかない。

 と言うか、同年代の友達との距離感すらわからないのだ。どうすればいいのやら。


 「こ、こうなったら……」


 パソコンを立ち上げ、インターネットの海に潜る。

 困った時には先生に聞けばいい。最近は便利になったものだ。


 「えーっと、のどっちスレのどっちスレ……」


 常駐しているスレを開く。

 かつて麻雀で争った『のどっち』のいるスレだ。

 こちらだけ一方的に知っているのはどうかと思うが、これも有名税だと思って欲しい。

 実際、『のどっちスレ』とは言うがのどっちの話をすることはあまりない。

 住民が雑談したり、アニメの実況をしたり、たまに麻雀したり、咲ちゃんクイズを出したりするカオスなスレだ。



 ……
 …

  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:momoko

 第一印象で中二発言をブッパした相手と仲直りするにはどうしたらいいっすかね


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 またこれはレベルの高い相談だな……


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 大丈夫。俺たちにはのどっちがいるだろう?


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 ほら、『のどっちよりマシ』って思い込んで謝ってきな


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:momoko

 ありがとうっす!


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 せめて私も相談に乗らせてくださいよっ!!!!!!!!!


 …
 ……

 よし、準備は整った。あとは勇気を持って話しかけるだけだ。



537 ◆Y.lj54HWGU2016/11/11(金) 01:48:12.764zXbpoyPo (9/11)


 9/10


 ……
 …

 ・後日


            _,...---、_,.、
           / : /: : / : : ヽー-、
            /. : :, !: iハ!/メ、.i | \
            イ : :{ ヽN  'i:!/!人iヽi
         _1: : :i(    _ 丶:\
        /   `Yリヽ   '、_)'´!`ー`     「東横桃子さぁぁぁぁぁん!!」
      /:::..     |  ,. _/
.      /.::、::    ト、ィ'
      / ::::::|::    !;-!
    /  ::::|::     ! ヽ、        ,:-‐クヽ
    /    ::!::..   ⊥__!_      /  ..:ノ)
   /     |::::..         ̄`''''''' ′..::::::::::ノ
.  /:     |::::.....      ..............:::_,:::-‐'′
 /::      `ー‐┬---r―'''''''"" ̄__
./__       /!   i      / iu-゙、
/----、\   ::::/ |::  ⊥ __,...-‐'.i...:ヒノ
 ̄ ̄`ー`ー`ー-、/ |::.         _,.-‐'"


        j:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::://:::/:!l::::/!:/!::::;'!::::::/: : : :!:::::::::.:.:.:.!
       ,':.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::j !V:!ヽ!:::! l:! !::;':!l::::::!: : : : !l:::::::::::::::!
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       j.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::〈! ら:::!   トヘ::! ! ヽ:!: :_,l!':/j::::::.:.!
       !.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::!. 弋;;ノ  . : :ヽ: : : : ィ'ニ`ヽ'/∧:::::l
      j.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::|   --     : : : : : .fr':}  }∧:::.:.:!
       /.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|             _`''′/.j:::::.:.:.j
     /.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|          ヽ      .,::::::.:.:.!    「」
    ../.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!                   ,::::::::.:.:!
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.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.j.:.:.:l:;イ.:.ヽ  / ヽ::..::..:lハ ∨`ヽ、:::::/./ j:::/ ./
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V.:.:.:.:.:.:.:.:.ゝ、.:.:.:.:.:.:.:.\     !::..::.Vヽ!.:.:.:.:.:.:.:>メ、/:/
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:>イ´.:.\   .l.::..::..:V l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノイ.ヽ、


 ーー計画が全部吹っ飛んだ。



538 ◆Y.lj54HWGU2016/11/11(金) 01:48:41.964zXbpoyPo (10/11)


 10/10


 「ちょっ、何してるんすか!」

 「あっ、いたいた。

  いやー、昨日どっか消えちゃったからさー。

  探しても見つからないし、もう呼びかけるしかねーなって」

 「その発想はおかしいっすよ!?」

 「なんか悔しいだろ!?」

 「悔しくてもフツーはそう言うことしないっすから!

  相手が迷惑だとか思わないんすか!?」

 「迷惑だったらごめん」

 「あ、いや、そこで謝られると……」


 ーー全くもう。なんなんだこの男は

 昨日まで赤っ恥をかいてベッドの上で足をバタバタさせていたのが馬鹿みたいだ。


 「いやー、赤っ恥かいた。

  もう恥かきたくないから逃げないでくれよ」

 「えっ」


 もしかして、気を使ってくれたのかな。ーーなんて、そんな風に考えてしまうのは、乙女だから仕方ない。

                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ
            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
       l// / , / ' l| | |     | | |  |   |   |
     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'    「よろしく、東横さん」
         ´    \∧  '        ,r ' /
               、  v   ァ    / 从/
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
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   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:|.:.|、',   |/l/l/     '       /l/l/|!   ,'|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|   「……仕方ないっすね」
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:|.:.|:.:.:,  |!                   |!   八.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
   |.:.:|.:.:.:.:|.:.:.!.:.!.:.:.:ヽ |!      、 ____ ,       |! , イ:.:.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.::|
   |.:.:|.:.:.:.:|.:.:.!.:.!´:/: : \                /: !:`:7.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
   |.:/!.:.:.:ハ.:.:|.:.|:/: : : :/ |`: . 、         , .イ: :|! :.|: :/.:.:.:.:.:.:/.:./--、


 ーーそう、仕方ない。

 こんなお馬鹿さんを見たら、顔がにやけてしまうのも仕方ないのだ。


 カン!



539 ◆Y.lj54HWGU2016/11/11(金) 01:49:10.934zXbpoyPo (11/11)

 もしかしたら続く。リクも順次投下予定
 某非安価スレが建ってとっても嬉しい。うちもホスト京玄書きたい


540以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/11(金) 02:02:50.30/pVOkpFKo (1/1)

乙でした
寝る前にのどっちスレの建ってるのがNaNじぇいだと知ってよかった


541以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/11(金) 02:18:18.018sN9hasBo (1/1)

乙です
のどっち次元でもIDがステルスしてるだけでこっそり混じってたんだろうか、モモww


542以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/11(金) 03:19:16.14lYyEoMcT0 (1/1)


モモ聖帝ルート回避か(愛などいらない)
のっどっちよりマシ = 世界一位よりマシ = アラフォー実家暮しよりマシ


543以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/11(金) 04:47:54.07z/e6e2WFo (1/1)


しかし、のどっちスレでなんで解決すると思ったのか



544以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/11(金) 06:01:53.48AGu1JboMo (1/1)

今じゃのどっちスレ見て笑ってるもんな


545以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/11(金) 07:04:32.46w0n4jXQDO (1/1)

乙です。
のどっちよりマシは果たして解決と言えるのだろうか……


546以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/11(金) 07:33:09.60YKkqeruGo (1/1)

のどっちスレならカウンセラーくらいいてもおかしくない


547以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/11(金) 09:30:13.12AMecWQxm0 (1/1)

おつー
で、この次元で咲ちゃんクイズ書いてる業の深いやつ誰だよ


548以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/11(金) 14:45:51.02oiPj/2Xko (1/1)

のどっちスレ行った時はもうダメだと思ったわww


549以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/11(金) 20:07:07.525jvVnT4mO (1/1)

乙です
「私は友達がいない。だが、彼氏がいないとは言っていない」ってなるんやろ楽しみ
のどっちを見る事により、自分より下の人間がいるんだなって安心する下方比較を行ってるんですね


550以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/12(土) 01:28:36.62fJtSlUls0 (1/1)

逆にのどっちの方がマシとなった場合、それは誰なんだろ?(のどっちを超えし猛者)


551以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/12(土) 01:56:34.619sB/WSUEo (1/1)

そらアラf…


552以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/12(土) 02:07:03.27lgdq3ffUO (1/1)

そりゃ世界一位・・・


553以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/12(土) 17:05:27.43sw6QQfkDO (1/1)

ふと晩酌でカンする京咲と言うネタが思い浮かんだ。
ここでのカンはビール缶を開ける効果音のことです。


554以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/13(日) 16:50:00.08QftjiqBkO (1/1)

燗だろ


555以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/13(日) 18:51:22.94XvmlPHez0 (1/1)

みやながけ次元での咲ちゃんはいい嫁さん兼しっかり者のお母さんだけど
そんな咲ちゃんが酔いつぶれちゃったりしたらどうなるんだろう
普段はぽんこつなてるてるがしっかりするようになるのかな


556以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/13(日) 19:32:39.27zhxLIYiDO (1/1)

なら燗の栓をカンで。


557以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/14(月) 01:35:38.30R9z7Gsrq0 (1/1)

>555
あれだぽんこつと方向音痴が抑えていた魔物モードが前面にでるんじゃね?


558 ◆Y.lj54HWGU2016/11/15(火) 21:09:00.74To91tLwBo (1/11)


 1/10

 【私にも友達が一人いる!?】-京桃次元2-


 友達、と言うのはどう言う距離感で接したらいいのだろうか。

 東横桃子は数少ない人生経験から考える。

 例えば、高校時代の友人は同性である。

 須賀京太郎は最近知り合ったばかりの異性の知人である。ーーまだ友達とは言えない。

 正直、どうやって接したらいいかわからない。


 とりあえず、目の前でキョロキョロしている彼は何をしているのだろうか?


 「須賀、何やってんの?」

 「いや、東横さんを探してるんだけど見つからなくてさ」

 「ここにいるっすよ!?」

 「「おぉう!?」」


 思わず横から飛び出して声をかける。失礼な。

 彼ー須賀京太郎ーは相変わらず桃子のことが見えないらしい。

 目の前に立って話したりすればわかるのだが、それ以外では見事なまでに『ステルス』が発揮している。困り物だ。


 「いやー、ごめんごめん。

  探したつもりだったんだけどさぁ」

 「最初から隣にいたっすよ!」

 「おっかしぃなぁ……?」


 それも、彼にはオカルトの適性が全くないらしい。

 いや、むしろ他人のオカルトを強化している節でもあるのだろうか?

 近くにいても、桃子が声をかけないと見つけてくれないのだ。

 初めての異性の友達がこれでいいのか不安になるが、そもそも会話してくれるだけで十分なのだ。

                ______
              .....::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::....
             /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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          ::::::::::/::::|::::|i::|i::|:::::i:::!   }i:::::l:::|::::::::i:::.
           .::::::::: !::::::|::::|l::|l::|:::::i:::!  从::_i斗:::::::|:::::.
           .′:::::i:|:::`T::八代{\!::「 ̄ ̄ }::l:::i::::::: !:::::::.
.         /:::::::::::i:ト、ィ芹丐`   ヾ '´芹丐刈|i:::::::i:::::::::::.
       .′ ::::::::i:|  乂ツ       乂ツ|i |i:::::::|:::::::!::::.
       |:::|::::::::i从 :::::::::   '    :::::::|i::,小:::::!::::: !::::::.
       |:::|::::::::|::込、     Y⌒(      |l.::::|::::: !::::: !:::::::   「むー」
       |:::|::::::::|:::|:::个ト _        _  个::::|::::: !::::: !:::::::|
       |:::|::::::::|:::|:::::|::|:::::::|:::〕  ̄ 〔:::|::::::|::::::|::::::川{::!ヽ:::i
       |::从:::::|:::|:::::|::|::::斗へ  /`7: リ、::::!:::/i::ハ{ i:/
       i/  ヽ:!´\ ̄: :iハ ハ_ハ /: / i ノ' : : ̄{  ノ'
         〈 : : : : : \: :{ : ∨`{i:i:}´V : : : }/: : : : :|


 ーーとはいえ、ムッとするのは確かなわけで



559 ◆Y.lj54HWGU2016/11/15(火) 21:09:30.94To91tLwBo (2/11)


 2/10


 「わりーわりー。

  昼食でデザートおごるからさ。許してよ」

 「そーやって安易にデザートに頼るのは良くないっすよ!

  ダイエット中だったらどうするつもりっすか!」

 「えっ、ダイエットしてた?」

 「してないっすけど……。

  でも、女の子ならそれなりにカロリーには気を遣ってるんすよ」

 「そっかァ。

  じゃあいらないか?」

 「それとこれとは話が別っす!」


 本来ならば初めての異性の知り合いと言うこともあって緊張するのだろうが、なぜか彼には気を許してしまう。

 とても話しやすい性格をしているし、少しこちらが弄るような言い方をしても応えてくれる。

 いつもは弄られ役だった桃子にとって、とても新鮮あった。


 「(でも、甘えてばっかりじゃ良くないっすよね)」


 しかし、あまり頼ってばかりだと愛想を尽かされるかもしれない。

 友達同士とは何か、調べたわかったことがある。


 ……
 …

  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:momoko

 異性の友達ってどう言う距離感で接したらいいっすか?


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 フツーに話して楽しければいいんじゃね?


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 ふふふ、私には異性の友達がいるのでお答えしましょう!
 私の場合、男の人が率先して会話を探してくれましたよ!
 意図したわけではないですが、胸を見られてデレデレされましたが、それも慣れました。男の人なら仕方ないですよね。
 あとは男の人が何かしてくれたら率直のお礼を言ったりしていました!
 アレは私に惚れているに違いませんね! あなたたちとは違うんですよ!


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 のどっちのどっち。現実を見よ?


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 まぁたいつもの脳内彼氏か……


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 マジレスすると、友達同士なんてお節介焼いても仕方ないでしょ


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 そうそう、深いこと考えずに楽しいように過ごせばいいんだって。相手もそんな深く考えてないよ


 …
 ……



560 ◆Y.lj54HWGU2016/11/15(火) 21:10:00.10To91tLwBo (3/11)


 3/10


 「(普通に、って言うのがわからないっす……)」


 桃子は友達が少ない。ーー皆無、ではないだけ成長したのだろうか。

 友達といえば高校時代の知り合いのみだ。

 それも部活仲間という面が強く、そう言った関わりとは違うプライベートな知り合いは皆無だ。


 「そ、そういえば須賀さんは麻雀部らしいっすよね?」

 「おう、そうだな」

 「清澄の男子部員なんて聞いたことないっすよ」

 「あの時は俺一人だったからなァ。

  次の年からは人も増えたけれど、あんまり強くなかったからね」

 「あのリンシャンさんとおっぱいさんがいるなら強くなりそうっすけど」

 「あー……」


 京太郎がバツの悪そうな顔をする。何か悪いことを言ってしまったのだろうか?

 隣の長身の男子。ーー名前は覚えていないーーがニヤニヤと笑っている。


 「実は女子目当ての部員も多くてさー。

  顧問もついたんだけど、いまいち上手くいかなくてさ」

 「えっ」

 「ほら、顧問だって実績が欲しいから始めた感じのやる気ないタイプで……。

  なんというか……、その……」

 「まぁ、身内の恥なんだ。あんまりコイツを虐めないでやってくれ」

 「……そうだったんすね」


 多くは聞かないが、なんとなく察した。

 おそらく、彼にとって心地よい空間がなくなってしまったんだろう。

 それは同じく弱小零細麻雀部だった自分も同じだ。

 気になって入ってきた新しい部員との温度差。

 楽しくないとは言わないが、自分が本当に求めていたものとは違ったのだ。


 「だから新しくサークルも入らねーんだよなー、コイツ」

 「うるせー」


 新入部員に部活の雰囲気を押し付けてしまえば、そこに溝が出来る。

 今までの楽しみを持続したい既存部員と、自分のやりたいことを求めて入ってくる新入部員。

 彼もまた、その摩擦に擦り切れてしまったのだろうか。


 「というわけで、コイツ暇なんだよ。

  良かったら東横さんが構ってやってくれ」

 「え”っ」

 「んじゃ、俺はバイトだからお先ー」


 今日は1、2限のみの講座だ。お昼を食べて帰ろうと思ったが、押し付けられてしまった。

 京太郎も困ったような顔をしてこちらを見ている。



561 ◆Y.lj54HWGU2016/11/15(火) 21:10:29.22To91tLwBo (4/11)


 4/10


 いつもならば話題をリードしてくれる彼のこんな表情、初めて見た。

 なんとなく、放って置けなかった。


 「それじゃ、お昼食べに行きますか」

 「えっ、いいのか?」

 「いいも何も、奢ってくれるって言ったじゃないっすか」

 「そういやそうだな」


 本当は連れ出すキッカケが欲しかっただけ。

 桃子は京太郎のことを何も知らない。

 きっと、友達同士ならば深いことを知ろうともしないのだろう。

 でも、彼は桃子にとって初めての異性の友達。

 気にかけてしまうのは仕方ないことだろう。


 ……
 …


 せっかく半日で終わるのに学食というのも味気ない。

 そんな理由で近くのファミレスにまで来て見た。

 学食だとおいしそうなデザートが限られる、というのも一つの理由だ。

 彼が財布を見て悲しそうにしていたが、あえて遠慮はしないことにする。


 「須賀さんはバイトとかしないんすか?」

 「日雇いはたまにしてるよ。

  週に何回かって決めちゃうとサークルに入りにくいし」

 「あれ、でもまだ入ってないって……?」

 「なんかイマイチいいところが浮かばないんだよね。

  どうせ麻雀は弱いし、ハンドボールないし……」

 「運動できるんすか?」

 「まぁそれなりに?

  現役で続けてるやつには勝てねーけど」

 「なんだかもったいないっすね」


 パスタを巻きながら京太郎の顔をじっと見る。

 彼は注文したハンバーグに夢中だ。何やらいろんなおかずがついて来ているのに注目したらしい。

 まるでお子様ランチのような見た目だが、彼が気に入っているのならばいいだろう。

 大きな図体をして、こんな一面もあるのかと思わず笑ってしまった。


 「なんだ?」

 「なんでもないっす」


 なんだか、友達を独占できているのが嬉しかった。



562 ◆Y.lj54HWGU2016/11/15(火) 21:10:57.99To91tLwBo (5/11)


 5/10


 「そういう東横さんはバイトとかサークルとかやんないの?

  麻雀、強いんだろ?」

 「それ、私の体質を知ってて言ってるんすか?」

 「あー、ごめん」


 ちょっと意地悪な言い方だったかもしれない。彼はシュンとしてしまった。


 「あ、いや、そんなに落ち込まなくても……。

  自虐ネタっすよ」

 「そ、そうか?」


 少し滑ってしまったのかもしれない。

 確かに気にしているが、もっと冗談も交えて話したいものだ。

 それこそ、こちらが彼を弄るときにはもっといろんな冗談を言っている。

 それなのにこんなに気にすることないのにーーそんな風に思うが、どう伝えていいかわからない。


 「あー、その……」

 「ん?」


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          |::l::::::l::::::|〈r'必! ノ从 メ必ト.!..............リ
          |::l::::::l::::::| 烈 '     烈 l| ::: ::::イ
          |::l::::::l::::::|u      ' | リ:ルルi|
          |::l::::::l::::::ト、   r─┐ ノ /リ ::: リ::l|
          |::l::::::l::::::| \   ー ' . イ /:::::/l|::l|   「もっと弄ってくれてもいいっすよ?」
.           /|::l::::::l::::::ト、  }>-<: : !/:::::/ | リ
         /: : 从 :: :!:::: !. \ノ∧: \ : :|:::::/  ル'
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 ーーなんか言ってしまった!



563 ◆Y.lj54HWGU2016/11/15(火) 21:11:27.57To91tLwBo (6/11)


 6/10


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      |::::|:::::::l| 芹芋 \|\| ー-ト|::::::|l:::|
      |:从::::::l| 廴zノ    -=≠彳:::八:|
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      |::::::|::|::|:::::个o。  __  (\::::::::::l::::|::|
      乂::|人|\j|/ } _{  \\イ|ノ|ノ
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 「お、落ち着け!

  目立ってる目立ってる!」

 「どうせ私は目立たないから須賀さんだけ目立つんすよ!」

 「それもなんか嫌だ!?」


 直球で伝えようとしたが、なんか間違った言葉が出てしまった。

 うん、これじゃあ意味深な意味にしか聞こえない。

 幸い、目の前の彼はそう思っていないようだ。

 しかし某スレで下ネタに鍛えられた桃子は自分で言ってて恥ずかしくなってしまう。


 「そ、その、なんか余所余所しいというか」

 「そうかな?」

 「さっきのもそうっすけど、別に存在感がないことで弄られるのは慣れてます。

  そんなに気にしなくていいっすよ」

 「うーん?」

 「それに、その、自分で言うのもなんなんすけど、弄る側というよりかは弄られキャラというか……」


 拙い言葉で伝えようとするため、どんどんボロが出てくる。

 これではなじってくださいと言わんばかりの変態さんだ。


 「んー、それってつまり」

 「……」



564 ◆Y.lj54HWGU2016/11/15(火) 21:11:57.07To91tLwBo (7/11)


 7/10


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.   /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:′_,ノ⌒ヽ::|  、    、      _  -‐'     /:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:/:.:.::/:.:
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   |::::::::::::::::::::::|::::::::::ト |!    (⌒7    < |:::|    「え”っ!?」
   |::::::::::::::::::::::|::ハ::: | |! ‐ - - < ヽ  ' |:::|
    ヽハ∧//⌒ |::::| Z\  /  \ \  }リリ
.       /     リソ  ∧ }个―-   ,
      /  \   ', | 人 ∨/ノ ||  } |
      |     ',   ', ', \>‐┐  ||   ヽ
      |     ∨  \\ヽへ  |。|    ',
     ノ       イ     \\ミハ ||    '',   _
    |      /        \\ミノ |       }  / / 〉
    /      { _「 二つ  \\イ      ノr┤イ_イ 〉
    |      ノ/ /二フУ 〉   ヽo}   / ハ ヽ У 〉


 ーーそれは違うっすよ!?


 「何言ってんすか!?」

 「だって自分から弄られキャラになろうとするなんて、いやー意外だなー」

 「なんでそーなるんすか!」

 「いーや、もう決めたね。決定!」

 「ちーがーうー!」

               __  /⌒ヽ
                 ⌒\ ∨   ヽ___
              _, ----`      ∨   `ヽ、
           /´               |     \
          / ____    /  l|     | :.     \
            ///    /   |     |l |  :       ヽ
              /  /   //  ,∧    / ,イ  l| :.  .  .
          / イ / // : l  |    ' / !  从 |  :   :.
         .'/  ' ' /-|-{ {  |  /}/  | / } }  |    .
         }'  / |Ⅵ { 从  '  ,     }/ /イ   }     .
           / イ | l{   { ∨/      '    }   ∧ :   :.
          ´  | {|从三三 /   三三三 /  /--、| ∧{
                {从 |     ,            ムイ r 、 }} /} \
               |                ノ ' }/イ/    「東横さんの扱い方がわかったぞーっ」
                {               _,ノ
                   人       _,..::ァ       r }/
                     `     ゝ - '   イ   |/
                        `  ーr  ´  ___|_
                     ___|     |//////|
                   {|___ノ  __|[_]//∧_
                 /// |____|///////////> 、
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565 ◆Y.lj54HWGU2016/11/15(火) 21:12:26.50To91tLwBo (8/11)


 8/10


 「まっ、確かに東横さんはちょっと近づきがたい雰囲気もあったからさ」

 「そーっすか?」

 「孤高の狼っていうの?」

 「ただのぼっちっすよ……」


 一人でいることが好きなのではなく、一人でいるしかなかったのだ。

 もしかしたら、その雰囲気を察されて友達が出来なかったのもあるのかもしれない。


 ーーしかし、一つ疑問が出来た。


 「そ、それでっすね」

 「おー、どうした?」

 「わ、私たちって……ですよね……?」

 「?」

 「そんな難聴系スキルはいらないっすよ!」

 「いや、本当に聞こえないんだけど……」


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       |:::::::::::::::::::::::{∨ !/ニニ- .`iヘ|\|  ヽ:| / /二二-. \j::::::::::::::::::::::::
       |:::::::::::::::::::::::{ { |_)::i:::::|:::i            {::::::i:::::|::|   |::::::::::::::::::::::::
       |::::::::::::::::::::::::\ |{....ヒ::リr'|            _)..ヒ::リ::|   |::::::::::::::::::::::::
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       |:::::::::::::::::::::::::; ,|///   ′         //|/ |::::::::::::::::::::::::
       |::::::::::::::::::::::::::. |                  |   ,:|::::::::::::::::::::::::
       |:::::::::::::::::::::::::::〉.|          __        u   | .〈::!::::::::::::::::::::::::   「わ、私たちって、友達っすよね?」
       |:::::::::::::::::::::::::::::::\      └ `           |'´:::::!::::::::::::::::::::::::
       |::::i::::::::::::::::::::::::::::::::`ト             イ:::|::::::::!:::::::::::::::::::::::::
       |::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〕ト ..___..        |)\:::::!::::::::::::::::::::::::::
       |::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ |          /   V::::::::::::::::::::::::::::


: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /    「?」
,,:‐レリ    _       ̄ /
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 彼の呆然とした顔に不安になる。

 やっぱり、厚かましかっただろうか。

 彼には友達が多いし、私はただの知り合いの一人なのかもーー



566 ◆Y.lj54HWGU2016/11/15(火) 21:12:55.81To91tLwBo (9/11)


 9/10


                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ
            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
       l// / , / ' l| | |     | | |  |   |   |
     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'    「なぁーに言ってんだ。
         ´    \∧  '        ,r ' /
               、  v   ァ    / 从/       とっくに友達だろ、『モモ』!」
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
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       j:.:.:::::::::::!';:::!ヘ::lヤヽ::lヘ::::::! l! ∨::!-ヘ!  j::;!l`!:::/::::::::::::ハ
       !:.:::::::::::::lヘ::! j:!_,,,,ヘ! ヽ:::! .l ヽ::', _ヽ,_,j/jリ l:/::::::j::::::::∧
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       !.:.:::::::::::::::ハ.〈 ら:::::::::!        ら:::::::::! 〉イ::'::::::::::::::::.:.ハ
      ハ:::::::::::::::::::ハ j!乂:::cノ        乂::::cノ l! j:::::::::::::::::::::.:.:ハ
     ハ.:::::::::::::::::::::::, j!  `¨             ¨´  V::::::::l::::::::::::::::.:.ハ
     j.:.:::::::::::::/::::::::ハj! :::::::::::::     ,    ::::::::::::  j:ヽ:::::!:::::::::::::::::.:.:l
     l.:.:::::::::::/:::::::::j::j、                 /::::l!::::l:::::::::::::::::::l:::!   「ーー!!」
      l:l::::::::::;'!::::::::::l:::j!:ヽ       ,r ヽ      ,.イ:::::j!::::l:::::::::::}!::::::!::!
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    .l:!:::::::l !::::::::::l::::l!:::::::::::j ヽ>  ..__.. <ノ.∨!:::::!:::/::::::j::::::::;':!l:::://
      !∨::::! ∨::::::::!:::ヽ:::; イ!: : : ヽ、__  _,..イ: : ヘヽ:::::/:::::::::!::::::;'/ l:://
     ! ∨::! ∨::::::!::::;.イ.:.:.|: : : : : : ハVハ: : : : : :j.:.:.メ、::::::/:::::/  j/
      ∨! _,∨イ:/.:.:.:.:.:.:!  : : :〈:::::::::::〉: : : : :!.:.:.:.:.:';.:.:`>..、
     -‐'".:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.!   / 〉::::::〈 ヽ  /.:.:.:.:.:.:V.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`>-.._


 彼が言ってくれたその名前は、先輩たちに呼ばれていたものと同じ。

 それが何よりも、友達の証明だと思えたーー!






   ,′.:.:/.:.!.:.:.:.|.:.:!.:.:.|.:.:.|.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.|    }.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
   |   ,'  |  | |  l  |:.  |..:!    |..:|......|..|   .}..:!:....|...       |
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   |.:.:|.:.:.:.:.:.:ヽ.:.ヽ〃ん|!:::::::::ハ    \! 〃ん::::::::|:ハ ヽ|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:{` { {_)|!::::::c:::|           {__)::::::|!:::}  }|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:|',  ヽ|!:::::::::ノ           ヽ:::::::|!ノ  |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:| ,    |!`¨              ¨'|!    |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|   「よろしくっす!
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:|.:.|、',   |/l/l/     '       /l/l/|!   ,'|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
   |.:.:|.:.:.:.:.:.:.:|.:.|:.:.:,  |!                   |!   八.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|    『京さん』!」
   |.:.:|.:.:.:.:|.:.:.!.:.!.:.:.:ヽ |!      、 ____ ,       |! , イ:.:.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.::|
   |.:.:|.:.:.:.:|.:.:.!.:.!´:/: : \                /: !:`:7.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
   |.:/!.:.:.:ハ.:.:|.:.|:/: : : :/ |`: . 、         , .イ: :|! :.|: :/.:.:.:.:.:.:/.:./--、


 とっさに思いついたあだ名は、なんだかとってもしっくり来た。

 一寸先は闇だった大学生活、これからは楽しくなりそうだーー!



567 ◆Y.lj54HWGU2016/11/15(火) 21:13:24.79To91tLwBo (10/11)


 10/10


 ……
 …


      .  ´  ̄ :::::::: ̄ `丶
    /:::::::::::::::::::::::::; ':::ハ::::::::ヽ
    /::::::::::::::::::::::::::: /::::/::i V::::::::: .
.   .':::::/::::/:::/::/:://::::/::l l |::i::::i::::: .
  l:::::i::::::l:::::l:::l:::l::i:::::/:::;L! |::l::::l:::::::i
  |:::::l::::::l:::::l:::l:::l::レル´リル ノムノ:::::::|
  |:::::l::::::l:::::l:::l:::l::| l!ィ云  ィ笊ル:イ
  |:::::l::::::l:::::l:::l:::l::| イt_ソ   !r'リ::::i::|
  |:::::l::::::l:::::l:::l:::l::| l! ""  ."".ハ::l::|
  |:::::l::::::l:::::l:::l:::l::| l! 「 ̄ノ. イ:::i l::|
.  从::l::::::l:::::l:::l:::l::|> -- く:::i::l::::l::l::|                               //
   人!:::ハ::ルjレj人〉ルイ::レルハ:ノ                           / /
  /: : : : |: :.∨\___∧:∧                              /  /
 /: : ⌒\: \:∧. |::::∨:!:∧               _______ /   /___    「私、初めての友達が出来たっす!」カタカタ
 !: : : : : : :\: :Y∧|::::: l: |: : }                /             /〉    /
 |: :、: : : : : :.\!: ∧:::::|: ト.j:ハ             /              //    /
 |: : \: : : : : : :.ヽ:.∧: !: !: :∨\ _ __    /         ___//    /
 |: : : : :ヽ.: : : : : : }\∨ノ: : :!: : : : : i´: :| ̄ ̄ ̄`ヽヽ     / ZZZZ //    /
 |: : : : : : ヽ.: : :_:_ハ: : Y: : :ノ: : : : : :.!: : j- 、 (⌒ししヘ / ZZZZZZ//   ./!
 |: : : : : : : :Y: : : : : `ー< ───ァ ̄   `ー’==='/ ZZZZZZZ//  //
./: : : : : : : : :!: : : : : : : : : : ` < /  __ _    / ZZZZZZZZ// //
: : : : \: : : : \: : : : : : : : : /: :/ ̄/´   `ヾヽ / ZZZZZZZZZ////
: : : : : : :ヽ. : : : :> -.、 : : /c/__j─-- へ_〉〉ノ二二二二二二∩'/
: : : : : : : : : : : /  /  ̄ /           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



                     ,. --―-- 、
                r---l>'            rヽ.  ,-┐
                | /   / / ./  !   |  .Y  }
                    V.// / i ! i  ハ i.  |  iミ  .}___
                // | ll ムムハ |ト、 ト-レH |_,ィ个 、く     /^i
                    ハ!_!.! !トレテト ヾ` 行ヒくリノ}/  ハ  〉   /  |
               \|_ト、トトミ込!    込! ´ リ゙TTi Y    /  |
                   l | ハ:::::: '  :::::::  _./ ! i i ハ    l   |
=====、-、         // i ヽ.  ー   / /  ! i i ハ   l   |
       | |       // i / l` ┬ ' ´ | ./  ! ハ i ハ  !   !    「そんなオカルトありえませんっ!」カタカタ
       | |         //  ! / |____|   l/    ハ i ハ ___!  |
- 、.      | |      //   / ̄/'"´  _/   / リ、!  i .}  /.   |
  |.      | |       // / / / ̄` ´ /!レ //ノ  `Vハ! i   |
  |.      | |     { { / /  |:     / l.| /イ      i iハ .i    |
  |.      | |       X! ! ノ、 ! / /  !| i {_ _ _ _ _ _|_i ハ.    !
  |.      | |     {_ V >-ミ7ヽi/ニエエ式 lハ_i_i__i_,i_ィン〈 }  |
  |.      | |    シ./ {   >{二}<   /\、ゞ  /  ノ /   |
  |.      | |    ノ {  \___/ハ\`  /   廾≠イ=0コ i   |
  |.      | |   ./  ヽ.   / ハ ハ ̄   , ィ' |  /〈!ト'  i   |
  |.      | | ,/⌒ヾ  /`7  i  i  ハー┬ ´ / .!/  .|  i   |
__.,!.      | |二--   `/ i \_|.  |_./  i! /  ノ    |   i ./ ̄7i
       | |/\ _ ノ ir'⌒ i!`  ー--才´^⌒)==/=.〉. i/  //
       | |__  `  ノ- 〈..,,__ヾi    / , ィテ/    ノ ./  //
______.i._リ  <>ヽノ    _  ̄ ̄ """""''''''''''''''' ‐‐‐‐‐---
互互互互互互互互互互互互/l
≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠≠//


 カン!



568 ◆Y.lj54HWGU2016/11/15(火) 21:13:53.47To91tLwBo (11/11)

 【咲ちゃんお酒飲む】も把握
 書けるものから書くスタイルなんで気長にお待ちを


569 ◆HACkWQpQbk2016/11/15(火) 21:14:19.63OGwYTnpP0 (1/2)

 攻め時と引き際さえ弁えていれば恐れることはない。
 無事に元の百倍の一千枚まで増やしてヘンリーに見せびらかしてやった。
 ヘンリーがお前って意外と利口屋なんだなと云うので、どういう意味だと問うとてっきり猪突猛進して行くものとばかり思っていたらしい。
 確かに私は無鉄砲で向こう見ずな所はあるが、愚かに邁進して滅びるほど馬鹿ではない。
 堅実に守り、退くべき所で退き、機を逃さず大胆に行動を起こせば百戦危うからず。
 そう訓示を垂れてやるとほへーと王子らしからぬ顔をする。
 俺、今までお前のこと見くびってたよ、やっぱり偉いんだなと見逸れているので今更気づいたかと胸を張ってやった。



570 ◆HACkWQpQbk2016/11/15(火) 21:16:54.00OGwYTnpP0 (2/2)

ごめんなさい……誤爆です


571以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/15(火) 22:31:25.366Gyed4xD0 (1/1)

乙ー!
あれ、もしかしてプロ?


572以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/15(火) 23:58:17.226RgoMsVU0 (1/1)

京ちゃんはモモに奢ってモモのおもちを育成するのか?

居心地が悪くなった清澄か・・・もしかして京ちゃん争奪戦(勝者の居ない戦い)が開幕したのか?


573 ◆Y.lj54HWGU2016/11/17(木) 15:47:37.75pRjkU90do (1/11)



 1/10

 438
 【京太郎の浮気を疑う宥と都合よく解釈するクロチャー】-のどアコ次元-


 前々回、京太郎は松実館に遊びに来た。

 前回、世にも奇妙な物語で玄と宥が入れ替わってしまった!

 数時間後に症状は治まったところから物語は始まる。


 ……
 …

 それは、夜のことだった。


 「やっぱり、京太郎くんは浮気性だよ」

 「なんでそうなるの!?」


 なんとか入れ替わり事件も解決し、その日は無事にデートできた。

 しかし、二人でデートをするのではなく三人でのデートとなった。

 それもこれも宥が『玄ちゃんのことが心配だから』と言ってついて来たせいでもある。

 なお、松実父は血涙を流しながら京太郎のことを見ていた。


 「だって、普通なら彼女とデートするのにお姉ちゃんが同伴するなんてありえないよ」

 「か、彼女だなんて。えへへ……。

  って、お姉ちゃんが勝手について来たのに!?」

 「あそこは断るくらいの甲斐性が必要だよ。

  あわよくば姉妹丼って考えているかもしれないよ」

 「そんなことないよっ!?

  それに、彼女のお姉ちゃんが来るって言い出したら断る方が難しいと思う……」

 「玄ちゃんは優しいからそう考えちゃうんだよね。

  でも、そこは断って男らしく『今日は彼女と二人で遊びますから』って断るべきだよっ」

 「そ、それじゃただの面倒臭い子だよぉ。

  首謀者がお姉ちゃんだから納得できないよ……」

 「玄ちゃんが悪い男の人に騙されないように、ちゃんと教えてあげるからね」

 「う、うん?

  でも京太郎くんはそんな人じゃないよっ」

 「ううん、男の人は怖いんだよ」


 宥なりに心配しているのだろうが、やはり玄は納得できない。

 首謀者が姉でなければその言い分も少しはわかるが、さすがに理不尽だろう。


 「それに、玄ちゃんだって彼氏さんが他の女の人と喋っていたら嫌だよね?」

 「嫌じゃないよ?」

 「ほら、玄ちゃん騙されてるよ」

 「ええっ!?」

 「女の子は彼氏が浮気してたらとてもムカムカするって憧ちゃんが言ってたもん」


 ソースは新子憧。



574 ◆Y.lj54HWGU2016/11/17(木) 15:48:06.63pRjkU90do (2/11)


 2/10


 「でも、私は別に大丈夫だよ?

  普通にしてたら京太郎くんだって女の子と会うだろうし、そんなにおかしいことじゃないよ」

 「おかしいことだよ!

  それじゃあ玄ちゃんは京太郎くんが他に女を作っていても大丈夫なの!?」

 「うーん……。

  それはとても悲しいけど、京太郎くんはそんなことしないし、京太郎くんが嬉しいならそれでもいいかなって」

 「そんな都合のいい女みたいな考え方しちゃダメだよっ」


 会話の論点がズレてしまうのは、宥もおかしいが玄もおかしい。

 二人とも父子家庭で育ったトラウマが起因なのだが、それはそれだ。


             r ' ´: : : : : : : : : : :`ヽ..、
          ./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
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        /: /: : : : :::::::::::/::::::::::::::::::: !::::::: : : : ::ヽ::ヽ
       /: :/: : ::::::::::::::从:::j::::::::::::::::::|:::::::::::::: : : ヽ: ヽ
      ./: :/: ::::/::::::::::://!::!|::::::::::::::::::!:::::::::::::::::l: : `: :ヽ
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      .!: : l::::::::|:::j!_:_:::!!j. !::l.!::::!::::::::::!:!!::!:_:_:::::|:::::: !: : !
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     .|: : :|:::::::::ト:!.ヽ:::| .! ヾ.ヽ:!ゝ::::| 〉_ヽ\::::::::!:::::::|: : :l
     .!: : :|:::::::::!〉!,rチテ心ヽ`' Y. \::!フテ亦ヽ、::::!:::::: !:::: :!
     |: : ::|:::::::::!∥{::::::::::::}      {:::::::::::::}ヽ 〉::::::::|::: ::|
     |: : ::|::::::::ト! ゝ)::::oノ      〉.):::oノ Y!:::::::::!: : ::|
     |: : ::!:::::::::!}.   ̄ ̄   ,     ̄ ̄  l'|:::::::::|:::: ::|
     .|: : :|::::::::ト !  '''''    __    '''''''  ! !::::::::j:::: ::j
      }: :::::!:::::::!、l      /´  ヽ      .j/!::::::::l:::: :/    「玄ちゃん。
     .ヽ::::::!::::::::!::\    {    j     .ノ::j::::::::j::: :/
      〉、: ::!::::::!:ゝ、 ゝ、  ゝ-- ' ___ r '_/::/:::::::/::::人     お姉ちゃんが色々と教えてあげるからねっ」
     ./: ::〉、::V,:::!::ヽ` ー'`- ' ´     ./::j: :://:/:::: ::ヽ
    ノ'´´/ \:::ヽ::r-っ       rv-、/::/:ノ::/.〉`ヽ: ::\
  ,/::/   ` ゝ 、.}::/__./_ )-、_   rヘ´ヽ. ヽ::::::::/ r'´  .ヽ: : : :ゝ
../:r ‐'       ./ ̄   ` '' 、)_.r´)r ' ̄ ̄`ヽ:/      `ー-: :
': {  ゝ      l        ).ノ'       Y     , r'   .}:::
: ノ    \   .j        j.{        { __,, r '´     }::
Y      ` ./ ` ヽ、 __   l l __  ,, '  ヽ         }/
 \      {       ゙゙゙  { ノ        .|         }


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      /............................................................................ヽ
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      i:::::::::::|:::::::::::::::|::::::|:|. ':::::::::|.. .{    / / :|    「ふえっ!?」
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      |::::::::::::::::::::::::::八:_圦  ';:::::. 厂::{ l::::|:::|  . :.:|
.     ′:::::::::::';::::::::::::〈./  \ 弋「./:::::::: j:::::〃..:.:.:.:.|.
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   /:> ´   V:::::::::::∧  /^' { ト  _入:〈. :::::.:.. 八|
.  /〃 =- 、   ヽ::::::::::∧/\ .Ⅵ /}}\}:::`ー 、 /
  /:,′     \   \::::::∧ { ̄`ヽ〃/ ̄}:i  i
. /:::|            ヽ::::∧i    } 」   i::| l|


 ーーかくして、宥お姉ちゃんの浮気性の男講座が始まった



575 ◆Y.lj54HWGU2016/11/17(木) 15:48:35.49pRjkU90do (3/11)


 3/10


 ……
 …

 ーーやっぱり、玄ちゃんには幸せになってほしいもん。

 お姉ちゃんとして、頑張らないと!


 「まず、浮気性は治らないものだって研究結果が出ているんだ。

  浮気をした人の中で一度しか浮気をしたことがないという人は僅か16%しかいないんだよ!」

 「う、うん?」

 「まず、浮気性に見られる特徴からだね。

  『誘いを断ることができない』!

  特にコミュニケーション能力が高い人ほどこうなる傾向があるよ」

 「ふむ……」

 「今日のデート、京太郎くんは私が一緒に行くって言ったのに断らなかったでしょ。

  ほら、当てはまるよね?」

 「でも、さっきも言ったけれど、か、か、彼女のお姉ちゃんが行きたいって言ったら断れないよ」

 「もう、玄ちゃんったら良い女の子みたいなこと言っちゃダメっ」

 「良い女の子なら褒め言葉だよ?

  京太郎くんにも褒められたんだー。えへへ」

              , r ───-- 、
           r '´ : : : : : : : : : `ヽ、
         ./ : : : : : : : : : : : : : :\
        / : : : : : : : : : : : : ヽ : : : : : ヽ
       ./ : / : : / : : : : : :|: : : : : : :ハ: : :ヽ : ヽ :ヽ
      / : / : : : /: : : : :l: ::j: :|: : : : : | }: : : :ヽ: ::ヽ : ヽ
      / : :{ : : : ::{: : : : :ノ:ノ}:::ル: : : : リ、}::ハ: : ヾ,: ::}: : ハ
     .{ : : | : : : 」; 斗七´/.}:/.}: : : :リノ }`ト;、: :}:}:: l ; ;} }
     ! { : :! : : : :!: : :ノ':/`/' .j: : : ://  .リ |: 外|: :l: : ト|
     .|::l : ::| : : : |:/,r=≠ミ /: : ノ ' ,r=≠ミ/ |リ:: :| :ハ}
     .|::|: : :| : : : | 《{////゚} ´    .{//゚/}.ヾ|: : : :|/' '
     .|::| : ::|: : : ::| ヾゝ//ソ       リ゚/ソ∥!: : ::Y|
     .|::|: : :l: : : : |  , , ,      ,   , , ,  .j:::: : :|:|
     !:l : : :{: : : :{                l: : : :|::!
     }::l : : :l: : : ::{               .j : : :リ: |
     .}::i : : :l: : : ::ト、.     ⊂⊃    .ノ: : : ::j: :|    「男の人の言う『良い女』って言うのはね。
      l: 〉: : :〉: : : :V>、         rl'´リ: : : :/: リ
     .} :∧: : :W、: :ゝ、_.|_` ー __, ィr<、: |:/': : ::/ : /     男の人にとって『都合の良い女』なんだよ」
     ノ : : :ヽ: : :ヽ:\ヽ   ̄ ` ヽ、{ _, r'  フ: ::/:: /
   / : : :r‐'ヽ: : : : ∧           /:/: : :∧、
 ,/': : : ::/  .∧: l: : ::ヽー-        ./: : : : :∧: : \
//: : : , r'ー-  ∧l: : : :ヽ   ー--  j: : : : ::/ ) 、::ヽ::ヽ
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   .ゝ:::|: : : : :|: :ヽ: : : |、       / ̄ ̄ ̄ヽ     ノ: : :ノ::|    「玄ちゃん!?」
    ヽ:|: : : : :|: : ヽ: : ::|.ゝ、     ゝ-------'__ -- ' /: : /: : ヽ、
    〉::!: : : : :|: : :>: : ::i  ` ヽ------- ' ´  __, --/: : :/: : : : : :ヽ
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   ./: : :ヽ: : : :Y   〉、:ヽ、__,     ´    _ -´ // .ヽ: : : : ::iヽリ
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 「京太郎君にとってプラスならそれでいいんじゃないかなぁ?」

 「玄ちゃんは自分のことももっと考えないとダメだよ!」


 このままでは可愛い妹が危ない男に引っかかってしまうと、宥は危機感を覚えた。

 もちろん、宥も意地悪でこんなことを言っているのではない。

 宥にとっても玄は大事な家族である。また、母親を失ったのは宥も同じだ。

 それこそ玄にとっての母親代わりにもなっている。

 普段は宥がだらし無い面を見せて玄がそれをお世話しているが、精神的な支えになっているのはやはり宥なのだ。

 玄が可愛くて可愛くて仕方ない、そんな宥が盲目になってしまうのはーー



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      /:||i: : :{: 个: .     ̄       イ: :,゚: :.,゚: : :.|
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       |i ゚。>''ゞミ{    ,八八    ノイ、|: : : : |: : :|
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  : : : : : : : : : : ゝ  ヽゝ: :\              `ゝ/: : : ::/: 〈
、 __ ヽ: : : : : : : : : ゝ 、   ゝ::\           _ ,,,ノ: : :,r.〈ノ. ヽ


 玄の無防備さにある。

 無償の奉仕と言えばまるで聖人の様だが、生憎玄は聖人ではない。一人の女の子だ。

 待っているのは得意と言いつつも、その精神をすり減らしてしまうのは目に見えている。

 何よりも責任感が強い玄は、準決勝で失点した時にもとても心を痛めていた。

 それこそ、浮気性の相手と付き合えば『自分に何か至らないところがある』と日に日にやつれていくだろう。


 「(玄ちゃんの目を覚まさせないと!)」


 ーーとは言え、宥もまた聖人ではない。

 本来、娘の味方になるべき『母親』という立場は、『恋愛』や『結婚』をという経験から培われる。

 その重要なプロセスが抜け落ちている宥は、想像や知人の知識に頼るしかない。


 そんな中、宥には心強い味方がいた。



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 新子憧である。

 宥の恋愛観や男性観は新子憧によってもたらされた物が多い。

 宥にとって憧は『恋愛経験豊富』な『イマドキ女子高生』というやつなのである。

 自分にわからないことは人に聞く。

 玄に恋人が出来たと聞いた時、姉としての心配から憧に色々と聞いたのだ。


 もっとも、大問題なのは当の新子憧に恋愛などした覚えはなく、大抵がネットの知識や少女漫画の知識であることだ。

 更に言えば、憧はまさか宥が玄と京太郎の恋愛に口を出すつもりだったなどと思っていない。

 それもそのはずである。


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        !:!: : : : Y .Y: : : :{ んzハソ  ノ ノ: :ノ/∧!' !: : :!: : ハ:}
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    ノ -‐'  .ヽ: : : {. {: : : :!   r--,    ./: :!: : : :j  「ね、ねぇ憧ちゃん。
 , r:'´'´     .∧: : :∧.、: : :{.`ヽ、  ̄´   ノ: !リ: : : リ
´: : :/,r ‐ .、   .∧: : :∧ヽ: :ゝ  `ヽ -‐<r‐-、': : : /   女の子の敵みたいな男の人を見分ける方法ってあるかな?」
: : :/r.⌒ヽ、 `ヽ、 ∧: : :∧、\ゝ     ̄ /./Y !: : :/
: : {     ヽ  〉、∧: : ::∧` ,v‐ー-、   / }l | {:/
::/.!.     ヽ ∥} `}: : |: ::ヽr' ´   >./ /j' j .!
' .!      ∨' l  .}: :l: : ::Y´  r'´ r./ 〉'  { .ト,
  |      ∥ .j  l::j: : : ::}ゝ-{ / \    .' }、
  l      .∥∨  }/: : : : }  ∨   \   .∧

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: |ミ |: : : |//ア⌒ヾ  / :}: /   '|: r :|   : :.| : : : l: /\: :\
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: |ゞ |: : : |       ~ ー~ヘ⌒        从: |: : :|     |: : :|
: l:.〕i|: : : |      .′       \|    /:. : :.|: : :|     |: : :|
八:.:.|: : : ト      l           |   /:|: : : : :|: : :|     |: : :|   「(宥姉に先越された!?)」
: : \: : 八   〕ト !          ノ. . : : : |: : : : :|: : :|\   |: : :|
: :. : :.\: : \    ≧=-  r<:. : : : : : :.|: : : : :|: : :|:. :.\  |: : :|

 ーーかくして憧は、一切の悪意なくネットの知識を宥に教えてしまった。それだけである。



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 ……
 …
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       ' /: : : : |: :|: : : :|:. : :.| |: : : : : : : | |\: :_: : : : |:. : : : :|: : |: : : : : : :‘,
.      i ハ: : : : |: :| : : ∧: : :l ハ: : : : : : T〔 ̄「 :|: : : :|:. : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
.      | | |:. : :| |: :无Τ: :Г| ト、: : : : :N  ヽ|\: :|:. : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
.      | | |:. : :| |: :| V \ l |/  \: :| ,ィ㌘宥ミx |:. : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
.      | | V:. : :|: :V |〃示芯ミx    \| ♭  Л Ч: : : : :|: : |:. :. : : : : :.|
      ヽ| V: : |: :ヽ癶{ ♭_,Л         乂こシ 个: : : : |\|:. :. : : : : :.|
          \ |: : : :メゝ弋こソ             |:. : : :.| |:. : : : : : : :.|
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             |: : : : :} /i/i/i             |:. : : : :.|ノi : : : : : : : ,
             |: : : : :.                 |:. :. : :/: :/:. :. : : :. :./    「清澄高校の麻雀部は男子が一人だったんでしょ。
             |:. : : :込、       .--         |:.:. :.:/: :/ : : : : : : イ
             |: : : : : :兮 、              /|:. : /: :/: : : : : : : : |      そんなの、絶対に下心があったんだよ」
             |:. :. : : : : :. :.>            イ__,./:. :厂7:. : : : : : : : :.|
             |:. : : : : : : :.「 ̄. . ≧=一≦¨´.. .. ../:. :// : : : : : : /ヽ|
             ヽ:. : : : : : :.|.. .. . . . . . . . . . . . .. ../:. :〃:. :. : : : :./. . . . \
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                     ( )
    i ニlニ○ _L/、     /   (⌒ ⌒)
    { cト  ´ | ノ ⌒ ーノ{__ノ  て人_)
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       '       .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\  /
      / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:..  :/ }   ハ
    /::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......:.   ̄
    /::. |:...:.:/|::.:/ j/ |::.:.:/}:/リ|\|::.:.}.‘ ―
    {: /.! :|.:.:..::|:/ -- _}:/ノ' /十/,「:..ハ:.i
   rぅ' ,|::.|::.:.|:;{z≦三    三ミメ.|:/|:.ト{ \
   /:{ V:|::.|::.:.|´i             `|:: |:.|
   |:.|/::.:,::.:.::. l :|/// 、__   /// |::.i!:.!
   {i:{:: :ハ::.: 込{. __  (__ ノ    .ィ}:リ|:       「えへへー! みんなを支えてたんだって!
   乂:/:.:∧::.:.V/⌒ヽ.--r >ォ抓/:./ |′
 /:/.:.:.:.:/\:ハ´  ̄`V ´  ̄`∨:/|   ( )    すごいよねぇ!」
イ.:/::.:.:.:. /  /\     {      {:小{  (⌒ ⌒)
://::.:.:.:.:.:.:{ fノ       |!    人.}:.{  て人_)
./::.:.:.:.:.:. 人       ,八      ノト{
'::.:.:.:.:./:.:.:.:ト、    /  乂   /:.:|


 「そ、そういうことじゃなくてね?」

 「なんか親近感を覚えちゃうんだ!
  私も一人でお掃除してた時期があったからーー
  あ、でも私の場合は好きでやってたから一緒にしたら京太郎君に悪いかな?
  ううん、やっぱり違うよ。
  私はあくまで私の目的のためにやってたんだもん。
  京太郎君は麻雀部みんなのために雑用を引き受けてたんだって。すごいよね!
  私もそんな風になれるかなぁ?」

 「玄ちゃん!」

 「へけっ?」


 可愛い女の子に囲まれて男子は一人。

 女の子の視点から普通に考えれば下心があるとしか思えないシチュエーションだ。

 ーーもっとも、男の視点から考えれば針のむしろでしかないのだが、二人にそんな知識はない。



580 ◆Y.lj54HWGU2016/11/17(木) 15:51:01.28pRjkU90do (8/11)


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                    _ -――――――――- _
                /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
                ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
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            l: : :|: : : : : l: { : : : 「:7: : ア: ;' }: : : : 7 T: : : ァ: : : : : :'
            |: : :|: : : : : l: { : : : {/: /__}/  }__: /___}/}:/}: : : : /
            |: : :|: : : : : {^{ : : : {ィ芹苅^       芹苧ミ/: : /
            |: : :|: : : : : ', { : : : | ヒ)ツ      ヒ)ツ 厶イ: :|
            |: : :|: : : : : : ,{ : : : |                 / : : : l
            l: : :l: : : : : : :{ : : : |           '    ,: : : : : ,
           人: : ', : : : : : :',: : : {      __      /: :/: : :,'   「憧ちゃんや和ちゃんみたいに、
           /: /⌒ ,: : : : : :‘; : 个s。        ィ: : /: : :/
          /: : :,     ,: : : : : : ',: ',⌒≧=-=≦   j{ : /: : :/}     彼女でもない女の子を下の名前で呼ぶのはおかしいよ?」
       ,: : : : :/      ',: : : : : \:j           j{: 〈: : :/:,'
       ,': : : : ,'       ',: : : : : : ',__       j{: : :\{/{
      ,: : : : :i{__      ',: : : : : : ',⌒\   /i{: : : /  }
       {: : : /⌒ ̄ ̄⌒=- ',: : : : : : ',      ̄ ´  i{ : : {__/',
       {: : / ̄⌒\      ',: : : : : : ',         i{ : : { |  ',
      V: {      \    ∧: : : : : : :',__  イi{ : : {\、   ,
        v{         、  〃 ',: : : : : }⌒「⌒「  { : : {  \、 ,


                    ____
               ,, :´ : : : : : `: ..
               ≦: : : : : : : : : : :\
          .  .ク:.:::.: : : : : : : : : : : :.ヽ
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         ./. __.ヾ:. :.ィ: /!: : : : :.ハ : : : : :‘:,:  ‘, ゚.
        .,/..../::.!.―:{ |: i |: : : : : | ∨:.:|: : : |:.: : :|: ゚
          ′::::i::.. 从 :乂:.ヾ:::::ハ.i|≧ミ∧..`:|: : : :|: :
       |:: '::: i:. :..ノ灼茫  ヾ:i ^灼茫ミ...}::.:.|: : : :|: :.゚
       |::|l:::::i:.:.:.圦 vツ       vツノ |::...|: : : :|: : i
       |::|l::::ハ.:.:.} 、、、  ′   、、、 ,i::: : : : :|: : |
       |::|l::/.::::..小.   r―      イ. : :.|: : : |: : |    「誰とでも仲良くなっちゃうんだよ! すごいよね!」
       |::|l:{.i:::::.: 込.     ..ノ    .イ. }: :..:.: :...|: : |
        `O′:::.(:. ノ介ト __  <{从 /: :..|: : : |: : |
        /::j |:::::_≧=ー : 〕  .....{  j:.:/: : :.イ: : :.l: : |
       .{:::/ |::::.:.:广.../レ  〃ヽ  /: : :/:.:|: : :。.: : !
       .|::{ .从:..:|....┴ヘ. イー|. :/: : :/^`ア⌒ヽ:,
       .Ⅵ /::::ヾ/../ >..={_}=ー 〉...: : :/::/


 「く、玄ちゃんだって京太郎君が他の女の子と仲良くしてたら嫌だよね?」

 「うーん……。
  確かにちょっと胸が辛くなるかもしれないけれど、でも京太郎君には京太郎君の付き合いがあるよ。
  むしろ、あの男の子が苦手な和ちゃんや憧ちゃんを名前呼びできるコミュニケーションがすごいよ!
  普通の女の子より人と仲良くなるのが早いんじゃないかなぁ?
  えへへー、私は京太郎君以外の男の人はよくわからないんだけどね?
  でも、自分の彼氏がそういうことが出来るってなんだか誇らしいよ!
  あ、彼氏なんて言っちゃった……。な、なんだか恥ずかしいね」


 恐るべき早口で言い切った。

 前から好きなことに対しては熱中してしまう玄だが(主におもちの話である)、それに匹敵するスピードだ。


 「む、むぅー!」

 「ど、どうしたの、お姉ちゃん?」


 何かを言い返したくても玄の勢いに勝てる気がしない。



581 ◆Y.lj54HWGU2016/11/17(木) 15:51:30.29pRjkU90do (9/11)


 9/10


 「それに、私だって下心はあるんだよ?」

 「玄ちゃん?」


 玄は真面目な顔をして宥を見据える。

 いつもは少し視線を下げて胸ばかり見ているから新鮮だなーーなんて思ってしまった。


 「京太郎君が喜んでくれれば、京太郎君が私のことを好きになってくれるかもしれないって」

 「そ、それはそうだけれど……」

 「えへへ……。それにね?」

                 ......-‐……‐-.....
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        ...........:.::l::::::::::l |::::::::::::::::::|:::_::::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::
        ;..../|::::i:::|:::::i斗‐|::{ :::::::::i:::「\:::\::::::i:::::::::|::|:::::::::::::i
        |:/ :|::::i::l|:::::i:::| |八 :::::::i:::|   \:::\|:::::::::|::l:::::::::|:::|
        |i  |::::l::l|:::::iΝ:   \:::∨ ≫ぅ弌ミj|:::::::::|::l:::::::::|:::|
        {;  |::::|八::::i≫ぅ斥   \  r'::ノrい》:::::::::Ll:::::::::|::::
         |::::|:::::ヽ《 r'::ぃ       ∨:.(ソ |::::::::::ト|:::::::::|:::::,
         |::::l::::::::::  V(ソ          |::::::::::|:!:::::::::|:::::′
         |::::i::::::::小 ,,,   ,     ''''  |::::::::::|j::::::::::|::::::::
          乂j::::::::::い                |::::::::::|:::::::::::l:::::::::
          [_] :{::::::::i:人      ー  '     |::::::::::}:::::::::::}::::::::|   「私がやりすぎないようにお姉ちゃんが見てくれたら安心だもん」
         /:::{ :{i:::::::i:::::::>...       /  }::::://::::::::::/:::::::::|
         |:::{ 八:::::{::::::::::::i::::::≧ァr     /::://::::::::::/::::::::::::|
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    i{ : l: : ! : {: : : / __   ',: :ト、: : :{V _\{\:\:l: : : : :| : : :|
    ',: l: : !: : ',: '斗芹芋苧ミ V  \{斗r芋苧ミx、、:〉 : : : :| : : :|
    V\l\{:{\l { {f示刈         {「云刈 〉〉}^| : : : :| : : :|
      |: :|: l: : :{^,   ∨)ツ           V)こり 〈/ ' r| : : : :| : : :|
      |: :|: l: : :{ ',                    ,  | : : : :| : : :|   「玄ちゃん……」
      |: :|: l: : :{   ,             ,           ,' /| : : : :| : : :l
      、 :|: l: : :{:≧=,                      /=彳| : : : :|: : :,
     `|: l: : :{ ̄⌒`丶、     r ,    _ -‐  ̄⌒': : : : : : /
      i{: l: : :{     / ̄ ̄/ ̄⌒`丶、     /: : : :/: : {
     ハ:{ : : ',__  ,    ,        ',  __,': : : :/: : : {
    /: :∧: : : :',⌒/    /         V⌒7: : : :/: : ∧:\
_ -: : : /  ',: : : 'v^{     {            {⌒\: : /: : /  ',: : : .、
: : : : : (     ', : /      {             } /: : /   , : : : \
: : //^\   , : {       {                 ノ : : / _ /',\: : : :\
//{    ⌒  、: 、       ',            / : : :,'⌒   ∧   、: : : \


 まだまだ納得はできそうにない。

 やはり可愛い妹だ。あんな金髪君に簡単にあげていいものではない。

 それでも、やっぱり可愛い妹だ。妹の恋愛は応援してあげてもいいかな、なんて少しだけ思えた。


 ーーなんのことはない。宥も玄を取られて寂しいのだ。



582 ◆Y.lj54HWGU2016/11/17(木) 15:51:59.67pRjkU90do (10/11)


 10/10


 ……
 …

 ・横目で見てた


                  ___,-、 _, ---- 、
               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人      「なぁ穏乃。どっちが正しいと思う?」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
     |////\////////////////l}   |/////////////|//|
     l//////∨//////////////∧ /.イ////////////|//|


                 ,........-――--....、
            ,. : ´: : : : : : : : : : : : : `ヽ、- 、
           / : : : : : : : : ,: : : : : :\: : : :\: \
          ,:': , : : : /: : :/: :{: : : : : : ヽ:ヽ、: : :ヽ: :、
            /: /: , : //: :/:/:∧: :ヽ: ', : |: :|:ヽ : ,:∧: :.
        /: /: /: //: :/:/:/  マ: :|_:|__:|: :|: l:∨: :,:|: : .
        |: ': /: //: ̄|`|'   |:´}:∧: }: :,: }: |: :/:}: : :',
        {:{: :{l: |:{从_:{__{    }/イ__}/: イ/:/:}:/ /: : : : .
         从:八:{ム,イ _斧`    イ _)斧ヽ}:イ/_: /: : : : : :.
          \{从{ Vり       Vzソ  |:/ Y: : : : : : : |
              |: }      '         |:l 'ノ: : : : : : : :|    「どっちも頭おかしいと思うよ」
              |圦    _  ,    ,ィ|:|イl: : : : : : : : |
              |:/  .        イ_,/イ |:|: : : : : : : :
             }'    `__-r-=≦__」'/::} |:|: : : : : : : : |
               _,/:::::::「 ̄::::::::::_/|__|:|: : : : : : : :/
            /:::::::|:`=={j====イ:::/::::`ヽ: : : : : ,
              ∧::::::::::\:::::l|:::::::::::::イ::::::::::::::::∧: : :/


 カン!



583 ◆Y.lj54HWGU2016/11/17(木) 15:52:28.80pRjkU90do (11/11)

難易度高かった


584以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/17(木) 15:57:50.64KekPFNuUo (1/1)


確かにこれは難易度高いわ


585以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/17(木) 16:00:54.893cHaEQSZO (1/1)


クロチャーはかわいいなあ(思考停止)


586以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/17(木) 16:16:46.93ykp0G47TO (1/1)


先ずは誰か憧を止めろよぉ……


587以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/17(木) 16:22:28.40gj874c0Ko (1/1)

ここのシズは哲学者になったんだっけか…
このシャレにならん話聞いててもまともでいられてしまうのはあの二人のせいなんだろうな


588以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/17(木) 17:04:59.92K9b4rMg5o (1/1)



これもう穏乃と二人で逃げたほうが精神的に楽になるんじゃ…?
その後の罪悪感とか諸々は考慮しないとしてもww


589以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/17(木) 17:37:12.288b8bf91ao (1/1)

ここのシズは哲学者なんてもんじゃない

聖人だ……(トオイメ)


590以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/17(木) 19:02:16.65Xs/HKtDTO (1/1)

乙です
>>579の
> 「へけっ?」
を見て、よくある?誤ってる「ですのだ」口調以外でハム太郎化してる!?って思ってしまった
みやながけの玄はハム太郎でも食べておかしくなってしまったのだろうか…
松実姉妹の闇は深い


591以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/18(金) 00:02:39.56OXhaBq1c0 (1/1)


のどあこ次元で温泉旅行でトラブルで京ちゃんの京ちゃんを見て夜も寝られないクロチャーと京ちゃんの京ちゃんを触れて温かくなりすぎて夜も眠れない宥ねぇとのどあこが夜這いしようと互いに牽制(物理)しそれに巻き込まれ夜に眠れないシズと実家でぐっすり寝てるアラフォー


592以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/18(金) 03:54:50.80VsCN+Z7s0 (1/1)


新訳京霞で京太郎の嫉妬するところが見て見たいと思って不本意な許嫁ができたと嘘をついたら京太郎が予想以上に反応して嘘だと言い出しづらくなった霞さんが見たい


593以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/18(金) 09:49:02.7672lB4kGI0 (1/1)

おつー
松実さん家の姉妹はどちらもかわいい(思考停止)


594以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/18(金) 13:00:45.58Y35dVDV3o (1/1)

>>590
確か原作中のどっかで普通に使われてたような……。
アコチャーがふきゅるのとそう変わらんラインではあると思うが。


595 ◆Y.lj54HWGU2016/11/18(金) 19:31:39.91lYR9NCJvo (1/11)


 1/10

 592
 【霞さん、自爆する(日常)】-新訳:京霞次元-    ※サイコ注意


 ぐふふふふ、石戸霞よ!

 今日はこっそり山ワープを使って長野にお邪魔しているの。

 なぜか知らないけれど、今日は長野に行きなさいって天命(リクエスト)が来たの!

 こうしてはいられないと思い立ったら即行動!

 きっと京太郎さんとのフラグが落ちているに違いないわ!

 行動しないヒロインに勝ちはない!

 現実はヒロインは決まっていないんだから、どんどんアタックしていかないといけないわ!

 それに、京太郎さんとはこんなに離れて暮らしているのだからたまには会いにいかないと忘れられてしまうわ。


                ...-―――-...
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            |:::::l::::l从/i::// }::::::/__ l::|::リ:::|i|
            |:::::l::::|,斗≠ト 厶イ,斗=ミル::::::|i|
            l::八:::l〈 V炒    V炒 〉|l::::::リ |
            |:::::个ト、 ,,    、  ,,, ,小::/ !
.          ‘::::::i:∧      __     //::/  ノ
             ‘::::i::::分、   ` '   ...:i/::/i
             ‘::∨:::::::i〕i=-  -≦::/::/:::|    「実家はきっと初美ちゃんが誤魔化してくれているはずよ!」
            ‘::i:::::l:::|∧   l ∨:/::::::|
             /‘:::::l:::| ∧_// ∨:/::::|
            /  /‘卅li   ∨/  Ⅳ:::::::ト 、
        ∠   i  |:i::l|\   /  |‘::::::::|   \
.        ∧ `ヽ l _|:l::リ_ヽ./  / ‘:::::|\  i‘.
       ′'.   V´ ノ::/  / ̄\/   ‘:::\\i i
.           \ //:::/  /   /⌒ヽ   ゞ===ニ≧ミi
        i    \::::/  /   /     ∨/      ∨ノ
        i     -==ミヽ /_  /      }'         ‘.
        |  〃    / ̄ `丶       i         i
       〈  {i   〈 ,ィ  、   \  ノ        ノ
        |\八   ∨⌒ト、 〉 ! ! i/        /{
        |  \\   ヽ  }/}_j_j_,ノ⌒>=-- -=≦  |


 ……
 …

 ・永水
                     _____
                 . : ´: : : : : : : : : : : : :`: .
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               /: : : : : : : : : : : : : : : ト、: : : : : : : : : : ∨: :二ニ=‐-
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     //   ./:/    |\`∧    厂     `Y  人     |
.    /´    l:/    从: l ̄    〈__   -‐┘       |   「お祖母様ぁー。霞ちゃんが(また)逃げましたぁー!」
            |      ‘:l    ≧=-  __  -=≦
                    |       |    ∨
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                 /   ::  :          :  ::    |
                --┤ Y::  : . . . . . . . . . .:  : Y   |‐―┐
                「 ̄ ̄ ̄ ̄\              l__, ┴― 1
                |            ー――――一        /|

 …
 ……



596 ◆Y.lj54HWGU2016/11/18(金) 19:32:09.28lYR9NCJvo (2/11)


 2/10


 そうよ。これは日々頑張っている自分へのご褒美。

 たまには飴がないと修行もやっていけないもの。

 そう、日々の修行ーーー花嫁修行のためにも!

 花嫁修行するお祖母様たちからは許可を取っていないけれど、今の永水は(姫様のせいで)無法地帯だから大丈夫よ!

 それに、嫁入りは女の子の夢。

 それを実家の都合で台無しにするなんて時代錯誤よね。


 「これでも毎日頑張っているんだから」


 そう、最近はお嫁さんとして頑張るために頑張っているの。

 主に料理上手で永水でお嫁さん適性が一番高いと噂の巴ちゃんに師事を仰いでいるわ。


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::l:::::l:::l::l l: /l:::/  :|::/ ,x≦斧⌒|:::::::::::::|
::l:::::|八{ l/´|/,,_ノ´   h_刈   |:::::::::::::|
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::l:::::l /{h_j刈           '''  |:::::::::::::|   「ちゃんと毎日えっちな本や薄い本を読んで勉強しているわ!」
八从{ 乂_少^        、     |:::::::::::::|
ー ||                      八::::::::::
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 日々の性活が大事って巴ちゃんも言っていたわ!

 か、肝心の料理はもうちょっと時間を頂けると……。

 え、えっちな方向も実践はまだなんだけど……、いや、でもお姉さんとしてリードしないといけないし……。


 「そうよね。私は年上なの」


 京太郎さんはとっても格好良くてしっかり者だけれど、私より二つも年下。

 まだまだ可愛らしいところだってあるし、少年らしさが抜けていない。ーーそこがいいんだけれど!

 『年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ』なんて言葉もあるわ。

 やっぱり男の人って年上の女の人に憧れるだろうし、日常生活もえっちなこともリードできた方がいいのかしら!?


 「ふぅ、これが実家のしきたり(妄想)に従っていたらーー」


 きっと、好きでもないおじさんと結婚させられていたに違いない(妄想)

 もしくは、すごく年下のショタに淫魔のごとく扱われていたかもしれない(妄想)

 どちらにせよお父様もお母様も私の意志よりしきたりに従うに違いない(妄想)


 ーーああ、それならばいっそ、駆け落ちしてしまうのもアリなのかしら。


 妄想の世界に嵌っていく。

 最近はなかった感覚。ーー流石に控えていた。

 でも、寝る前に自分の都合の良い世界を妄想するなんて誰でもすると思うわ。

 それが溜まりに溜まってしまったんだもの。発散するのも悪くはないわね。



597 ◆Y.lj54HWGU2016/11/18(金) 19:32:39.06lYR9NCJvo (3/11)


 3/10


 「そうね。今日の設定は王道で行きましょう」


 捻りに捻った設定も悪くはないけれど、私はやっぱり王道が好きよ。

 エンディングの五分前には奇跡が起こってハッピーエンドになっても許す派ね。

 ちなみに巴ちゃんはもっとエグいリアルな昼ドラの方が好みらしいわ。ーー人って分かり合えないわね。


 「やはり巫女という設定を活かさないといけないわ」


 妄想にも現実的な要素を入れることによってリアリティが増す。

 そしてリアリティは興奮をくれる。ーー巫女で良かったと思える数少ない点ね。


 「私たち巫女は悪い悪霊を退治する使命を背負っているの」


 姫様を筆頭に血筋を活かした巫女の力(適当)を持って戦う私たち。

 しかし、私たちは日々の修行からプライベートなんてなかった。

 そんな中、私は幼馴染の京太郎さん(ご都合主義)に心の安らぎを求めていたわ。

 あっ、やっぱりプレイベートがなかったって設定は無くして、数少ないプライベートにしてもいいわね。

 いや、京太郎さんは幼馴染兼お付きの人にしてもいいわね。

 とにかく、秘め事の恋。誰にも知られない恋をするの。

 二人は徐々に接近して行き、京太郎さんは戦いに疲れた私を癒してくれる(二度目)

 しかし、私と京太郎さんが一定の仲になることはない。

 でも、魔物との最終決戦を前に京太郎さんと話す私。

 生きて帰ってこれるかわからない私に対して情熱的なプロポーズをする京太郎さん。

 それでそれで、強引に唇を奪われて押し倒されちゃったりしてーー。

           ,  ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ::::..ヽ
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.         l::::: :::.l.    ャー‐ッ     /:::l:/::: :.l   「ああっ、京太郎さん!
         l:::: ::::::>...            イ:::::/ :: ::::::l
.          l:::: :::::::::::::>.....___ <  |:l:/:::: ..::::::'    私には婚約者がいるの!」
          l::: .:::::: :::::/:::::l     /:::::::::.:::::: /
.           l::: :::::..:::/{:::::::|    /::::::::.:::::::::/
          l:: .:::.::/ ゝ´ll  /,':::::::::::::::::./> 、
         l: .::::::///  ! / /::::::::::::::: イ./   ヽ
.           l:.:::::/  ,'  /  /::::::::::::::;.' /    | .i
.          l=;/   l /   ,;:::::::::::::::,' /       ! l
           ,':::l  ./      i:::::::::::: / /    / l! .l
        /::丿, '     /!:::::::::::;' /    /     !


 ーーなーんていやよいやよも好きのうち。みたいなことを伝えちゃったりして!

 それでそれで、一緒に駆け落ちしようなんて言ってもらったりしてーー



598 ◆Y.lj54HWGU2016/11/18(金) 19:33:08.12lYR9NCJvo (4/11)


 4/10


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \   「は、はぁ。
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //        そーだったんですか?」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
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   |:::::::: l ::::::::::八::::::::::|  ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/  ノ
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   |:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\  U     r‐ ┐    人::::::::::::: |
   |:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::|       ` ´    イ:::_:_:__::::::::八   「ーーゑ?」
   |:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:|    `       ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
   |:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八       T7^\:::::|::: / / / /Y^,
   |:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\     //  `丶/ / / / | !
   |:::::: -‐ ‘:::::::::::: |  \\   .//.     / / / / .八 |
 -‐'^´     ‘:::::::::: |   \\ //    / / / /  /   ト、


 ーーなんで妄想の京太郎さんが私の前に出て来ているのかしら?



599 ◆Y.lj54HWGU2016/11/18(金) 19:33:37.50lYR9NCJvo (5/11)


 5/10


 ーーそうだ。さいきんこんなはなしをきいたことがある。


 『二次元に突入するためにあえて頭をトリップさせる』ことだ。

 いわゆる、非合法なあれやこれを使ってなんやかんやすると目の前に二次元のキャラクターが出て来るとかなんとか。

 もしかして、私が妄想を決めすぎて巫力(適当)が暴走して京太郎さんを作り出してしまったの!?

 そうなると私が作った京太郎さんと前からいる京太郎さんで3P……、やだ、体がもたないわ!


 ーーそんなふうにわたしがげんじつとうひしているのに、めのまえのきょうたろうさんはれいせいだった


 「あっ、どうもっす。

  薄墨さんから霞さんがこっちに来るって連絡があったので迎えに来たんですが……」

 「は、はつみちゃぁぁぁん!?」


 い、いつもならグッジョブだけれど! グッジョブだけれど!

 なんで今日はこんなタイミングなのー!?


 「もー、ダメっすよ。

  ちゃんと俺に直接連絡してくださいね。

  薄墨さん、心配してましたよ」

 「は、はは……。

  初美ちゃん、心配してた?」

 「ええ、そりゃ女の子の一人旅なんて危ないですし、心配するのはおかしくないですよ」

 「初美ちゃん……」


 そう、心配させちゃったみたいね。

 体の心配までしてくれるなんて、本当に初美ちゃんはいい子よね。

 ……
 …

 ・永水

       /::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ::.:\
      /::.::./::./::.::.ハ::|::.|::.:|::.:i::.:::.. _ _
   ≦::.:,.........|::/|::.:: | |::|::.|::.:|::.:|::|::.:f::.::.::.::.::≧
  /::.::.j/::.::.::.:|;__jヘハ| j/)/j/jハノ::|::.:|\:\::.\
. /::.//イ/|::.:::Yう心   う心ヽ |/::.:ハ:| ヽ::|\::}
// ./  |八:{:ハ弋zソ   弋zソノ j^V |:| j/  jノ
.   {  |:|   } ,,,  '    ,,,   /  ::|
     |:|  人   r―,    - '  .::|
     |:|    > ...   イ     ::|   「霞ちゃんの頭が心配ですよー」
     i:{      |   |      乂
           イ     \_
       /  :  :. ̄` ´ ̄ ..: :  \
      __,   ::  :...............:  :
    ./V|  ヽ:          :ヽ   |__
    〈  \ |::          :./|__|_/|
    |\  \__       / ̄ ̄___/|
    |  \   |     ./  /T      |
    \  ハ  |     /  / |   / | /

 …
 ……



600 ◆Y.lj54HWGU2016/11/18(金) 19:34:06.47lYR9NCJvo (6/11)


 6/10


 「そ、それはそうと京太郎さん」

 「?」

 「そ、その……」

 「どうしました?」

 「あの、えっと……」


 な、なんでこんなに冷静なのかしら?

 私のイロモノ行動(自覚アリ)を見ていたならば、なにかしらの反応があるはず。

 むしろ無いってことは……。


 「(脈なし!?)」

 「霞さん?」


 それは困るわよ!

 少しでも脈があるなら、残念そうな表情を見せてくれたっていいじゃない。

 それすらも無いならば、もうこれは女の子として見られていないってことで……。


 「それは困るわ!」

 「霞さん!?」

 「あ、いや」


 あら、声に出ていたの?

 な、なんとか挽回を。


 「ちょっと忘れ物を……」

 「ああ、なるほど。

  こっちで貸せるものとかならいいんですけど、大丈夫ですか?」


 自分の機転にガッツポーズする。ーーもう色々手遅れだとか言わないで!

 それに、やっぱり京太郎さんは優しいわ。

 って、今はそれどころじゃないわね。


 「ああいや、大丈夫よ。

  心配かけてごめんなさい」

 「いきなり大声出すからビックリしちゃいましたよ」

 「そ、そう?」


 こっちは驚くのに、さっきの発言は驚かないの!?

 それはそれでどうなの!?



601 ◆Y.lj54HWGU2016/11/18(金) 19:34:35.73lYR9NCJvo (7/11)


 7/10


 色々と考えたけれど、絡め手は思いつかない。

 どう考えてもどんどん悪い方向に繋がってしまうに違いないわ。

 もう、直接聞いてしまいましょう。


 「そ、その、さっきの聞いてた?」

 「ああ、婚約者がどうこうってやつですか?」

 「え、ええ」


 京太郎さんの表情に変化はない。

 やっぱり、京太郎さんは私のことなんてどーだっていいんだわ……。

 少し泣きそうになっていると、京太郎さんはイタズラが成功したような顔でにっこり笑った。


          /   /     |   | |   | |  :       l :l   |  |   :|   | |
       / /    |    |__ | |   | |  |  :   l :l:  /|  |   :|   | |
.      ///     |    |\ |‐\八 |  |  |    |__,l /-|‐ :リ   リ  | |
     /  /   - 、     :|   x===ミx|‐-|  |:`ー /x===ミノ//  /  :∧{
       /   |  :.八   _/ {::{:::刈`|  |  l:  /´{::{:::刈\,_|  イ  /ー―‐ ..__
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.   /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:′_,ノ⌒ヽ::|  、    、      _  -‐'     /:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:/:.:.::/:.:
 /\:.:.:.:.:.:.:r‐ ' ´     ∨\/ ̄ )  ̄ ̄        /   /.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:/:.:.:./:.:.:    霞さん、俺を驚かせようと思ったでしょ」
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 「ほら、やっぱり!」

 「?」


 思わず頷いてしまったけれど、どうやら肯定と取られたらしい。

 私にとって都合が良すぎる展開に困惑を隠せない。



602 ◆Y.lj54HWGU2016/11/18(金) 19:35:04.35lYR9NCJvo (8/11)


 8/10


 「俺、薄墨さんとも結構話しているんですけれど」

 「あ、そうなの?」

 「実はですね……」


 ……
 …


.        ...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
      /.:.:.:.:/ .:.:.:.:.:.: |.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.ヽ
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..   / :.:.:.:. ∧.:.∧.:.:.:.:.:.:| ⌒.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}:.|.:|\.:.\
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//   .:.:./ xャ笊ト  \| xャ笊て㍉ .:.:.:.: |.:|   \.:
.      |∨ 〈 r'i:i:ハ     r'i:i:i:iハ }.:.:./.:/|.:|
.      |.:| 小 乂こソ    .乂こソムイヽ.||  「霞ちゃん、ああ見えて人を驚かせることが好きなんですよー。
.      |.:| .Ⅵ  ,.,.  ′    ,.,.,.,     ノ |.:|
.      |/ .圦    r        イ¨  |/   突飛なことを言い出したら霞ちゃんなりのギャグだと思ってくださいねー」
.        个    V  ノ   イ
.             ≧。.,_   < {.,_
           -‐   ´j          ̄ ̄\
       /                   \
      ___/   、               __    \ /\
   /{:::/     }                 {\   /   \
.  /.  \   /{              }  \/      \

 …
 ……


 「さっき色々と思案していた見たいですし、驚かせようと思ったんじゃないですか?」

 「そ、そうなの!

  もう、京太郎君がいると思わなかったからビックリしちゃって」

 「へへっ、俺が逆にビックリさせちゃいましたね」


 確かに、初美ちゃんはやけに京太郎君のことに詳しい。

 それにフォローも入れてくれるけれど、そんなに仲が良かったなんて。

 ちょっと嫉妬しちゃうわ。


 「霞さんってすごく真面目なイメージだから、なんか意外です」

 「そ、そうかしら!?」

 「ええ、冗談苦手なんですね」

 「お、驚くかなぁと思ったんだけれど」

 「きっと薄墨さんに言われてなかったらものすごく驚いていたと思いますし、……ショックだったかもしれません」

 「?」


 京太郎さんの最後の言葉は消え入りそうで、聞き取ることができなかった。

 でも、誤解が解けて(妄想してた部分は誤解じゃないけど)安心していた私はそこに追求することなんてできなかった。


 「やっぱり、京太郎さんって大人ね」

 「そんなことないですよ。周りにも子供っぽいって言われますし」

 「ううん、私も頑張るわ」


 本当に、理想の年上女房になれるように頑張ろう。

 京太郎さんのためにも、応援してくれる初美ちゃんのためにも負けられないわ!



603 ◆Y.lj54HWGU2016/11/18(金) 19:35:33.05lYR9NCJvo (9/11)


 9/10


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.       !::::::八 ‘:::::: | 乂辷ソ        乂_ソ ;:::::::::::::::;
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        ‘:::::::::::::::::|:::::|              ′:::::::::::;
        ‘:::::::::::::::|:::::|\       、 _,     .イ::::::::::::::/   「ふふっ、じゃあ今度はどうやって京太郎さんを驚かせようかしら?」
        ‘:::::::::::::|:::::|:::::l` .        . イ::::|::::::::::::/
.           ‘:::::::::::|:::::|:::r|   `  ┬=≦l |:::::|:::::::: /
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            /  \:::::::∧\\ l| |   八:: |:::::::::ト、
          /     \:: ∧ \ソ' |     \::::::: | \


             ___/ ̄ ̄\_
         ,  ´        <⌒
        ,:'            `ヽ、
       ,                \_
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        '              ,  \
      / ,          |/} ∧ }`ー`
       {∧          「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '
         } ∧     /イ   /   「俺にだって、唐突な発言にビックリすることはありますよ……」
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 ーーなんかすっごく悲しい目をされた



604 ◆Y.lj54HWGU2016/11/18(金) 19:36:02.05lYR9NCJvo (10/11)


 10/10


 ……
 …

 ・仲違いのない平和な原村家


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!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:  「インターハイで優勝しなければ東京行きの次は、
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////    婚約者を連れてこないと東京行き!!?!!?
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,                /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////    どこまで卑劣なんですか!!!?!?!?!?」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////

                   ,..、__
               ,.ィ:、フ、: : \:`:ヽ.、
              / :ハ:!-‐i: 、:ヽヽ-、: ゙、
                / /:ハ: 、 }ハ:j!`、i!ト、:、\
             i.i : | __,...__ iリ _ル.._|:i:iー-ゝ
                 |:!_:i! rェ:ェ、,. /ィ:ェ、 };!!
              {^}j 、     i   !}
              !、_, i     ,. 〉   'i
                i: i !  , _.. .._  /
               ゙i"\ ` 二  /    「(どっちも言ってない……)」
                 /i_   \___,.イ
             _/   \_  /,ノ\
          _,..-'′\    /―<    ト、_
     _,....-‐''"       \ ∧::_::;!\  |  `ー--、
    /'"               `′ヽ::::i  `゙′      \


 カン!



605 ◆Y.lj54HWGU2016/11/18(金) 19:36:31.07lYR9NCJvo (11/11)

のどっちは思春期


606以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/18(金) 20:47:57.40CidVpAUhO (1/1)

はっちゃんが苦労人過ぎて癒してあげたい……


607以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/18(金) 21:16:21.33L+BrtWFDO (1/1)

乙です。


608以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/18(金) 21:56:28.44QEp+WGRDo (1/1)

乙です


609以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/19(土) 00:01:42.54htf1pVUTO (1/1)

はっちゃんの株は上がり続くのはなぜだろう?はっちゃんは幸せになってほしい・・・


610以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/19(土) 00:06:30.94OhvSYYbp0 (1/1)

はっちゃん自分の次元でも働きものだしできた子過ぎるww


611以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/19(土) 01:17:22.218AJPRSSt0 (1/1)

やっぱのどっちのオチ力は高いな

>婚約者を連れてこないと東京行き!!?!!?
相手は・・・咲?


612以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/19(土) 01:52:17.52OROIkjHd0 (1/1)

もうこののどっちのAAは見るだけで笑いそうになるwwwwww


613以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/19(土) 10:24:37.701/BuehhnO (1/1)
614以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/21(月) 12:42:46.54BYln3QcI0 (1/1)

貧乳になればなるほど増していく安定感(霞色の霞さんは例外)
つまり や咲N1 なんだなぁ・・・


615以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/21(月) 14:49:36.38mPmBQCqfO (1/1)

>>614
胸に栄養が行き過ぎて、頭に栄養が回ってないって事か


616以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/21(月) 15:01:18.34CcuEt/GRO (1/1)

つまりアコチャーはおもちの急激な成長の所為であんな事に……


617以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/21(月) 19:57:41.51KaNke8DDO (1/1)

つまり最近成長が著しいあわあわもそのうち……


618以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/22(火) 00:34:32.22cKDmL3JI0 (1/2)

むしろあわあわや霞色霞のオチ成分はダイソンのようにのどあこアラフォーにオチが吸引されるんじゃね?(のどあこの更なる進化)


619以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/22(火) 02:09:40.39sayF0foK0 (1/1)

今日は良い夫婦の日だじょ!


620以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/22(火) 08:14:00.51nMBg8Qpf0 (1/1)

ほら、あわあわは最初からややアホの子気質だから


621以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/22(火) 08:44:22.099CYwArP70 (1/1)

いい夫婦、つまりわた・・・ゲフンゲフン須賀(になる予定の)和さんと京太郎君の日ということですね!


622以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/22(火) 10:17:23.92LWWP7pXLO (1/2)

同じことしても
和憧→ざんねん
あわあわ→かわいい
になるから問題ないし


623 ◆Y.lj54HWGU2016/11/22(火) 18:43:11.24hgJn1J/oo (1/11)


 1/10

 555
 【いい夫婦の日+咲ちゃんお酒に酔う】-みやながけ次元-


 宮永家の大黒柱は京太郎と界である。

 例え年収では二人束になっても照に及ばないとしても、彼らがいるから宮永家は回っている。

 だが、いざ『家を守っている』のは彼らではない。

 仕事に出ている四人に代わり、主婦としての仕事を全うしているのが咲だ。

 彼女がいなければ、ー例えば麻雀プロになっていればーこんなにうまく家庭は回らなかっただろう。

 つまり、咲は宮永家における生命線である。

 彼女が倒れてしまえば家事一つすらボロボロになってしまい、立ち行かなくなってしまう。


 つまり、だ。


    ∨: : ::/: : : : ::/: ; ≠/77─.-: /!: | !: : :‐ト l、!: : |: : : : ',: : : : : : |: :  ',
    ∨: /: : : : イ´: :/ // : : : : :/ : :! |: : : l l::!l:`:ト、: : : :! : : : : : | : : \
    ',::l: : : : : : l: : / /'  ,'⌒: / /:/  : : イ` !: |::∧|:\: | : : : : : l:!:l: : : : :
     ト、: : : : : j: / /   /: :/. ,':   l: ::/   リ レ  lヘ: : :|: : : : : :l:ト|: : : : ヽ
     | :!: : !: : V |_ 三!∠、  /   : :/--_./-   ヽ ',: :! : : : : :, :!  ヽ: : :\
      |: : l :| /{:::;、:::::::::::/ト     レ' イ::::::三::::ト、  ヽ:!: : : : :/::l       ̄
      ト、: ',:l ヽ 廴Y二!ニヽ .::::::::::::::.... 廴Y::ノ::イ` ゞ/:y: : :ノ:/: : !
.       ∧:',:!         :::::::::::::::::::::::    ̄ ̄   {イ: /:': : : :{
      :|  \   /////      '    /////⊂ レ イ:i 、: : ::
      :|   !:ト、                    ,'  /::/ \: ',
 |      ::|   ',:li:ヽ      `ー --         ノ: :{     \
 ',     :|    l::li::::'.,                ノフ ヽ:',
  ',    :|     ::li:::::::ト              <{: /   丶    「うぇっへっへー、咲ちゃんですよー!」
      :|   /∧::li::::::ヽ >       イ    `
   ',       // ',::::li::::::::\  ` - ´  ,'
    ',.    //  ∨:li::::::::::::\       {.、


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
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                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
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            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //    「ヤベース」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
      //////////////////////|    |////////////////////∧
       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|


 宮永家に嵐が吹き荒れる。

 咲は理性が吹き飛んでしまったのか、支離滅裂な言動を繰り返している。


 「きょーちゃんきょーちゃん。いいふーふランキング1位をめざそー!」

 「お、おう。どんなランキングなんだよ……」


 咲ちゃん、お酒に酔うの巻。



624 ◆Y.lj54HWGU2016/11/22(火) 18:43:40.86hgJn1J/oo (2/11)


 2/10


 ……
 …

 事の起こりは昼間の話だった。


         ___ -= : : ̄ ̄ =- .    _
         /:::/  . : : :       \ /::::人
      r‐:::::ヘ/   : : : :      r─=ミ/::::〈
     ノー─/                  |:::::::::::::》-=ミ}___
    〉:::::/   /: :/ : : | . : :. : :|   i \::::::::::|\:::::::::::::>
     |::::/ . : : : :| : i: :| : : :| i : | : i :i  {::::::::ノj:::::\厂ヽ: : : : :ニ=-
     |_/  i: :|: : :| : i: i| : : :| i : | : i__i  i⌒´| |:::::::/\  \: : : : : : : : : :=-
.      |   i: :| :i ]「 :ト八: : :|:T:Τ八八 Y^i: ,| ⌒j゙\: :\  \=- : : : : : : :
    八  i: :| :iァテ外 \:| ァテ笊芥ハ:i ル' |: : 八: \: :\  \  =-
.   /::::::\{八从 V(ソ  \  V (ソ ム/  八: : . \ : : : : \ニ=- _
   '⌒¨¨|: : i :∧ ::::::  、   ::::::: /{ミx   \: : . \ : : : : : : : : : : .  ̄    「咲さん、お邪魔します」
.        |: : .i rj入   _ _     /  /ニニ=-  \: : . \ : : : : : : : : : : :
      |  i / :|ニニ>  __ ,.     :/ニニニニ=-. \: : . \: : \: : : : : :
        ,  i | :|ニニニニト、 ヽ _/二ニニニニニ\\: : . \: : \ : : :
.      /   ∧八二ニニニ|=‐----/ニニニニニニニ=-ヘ, \: : . \: : \
     /  / ∨ \ニニニ|    /ニニニニニニ=- /⌒i   \: : . \: : :
.    /   /   ∨\\,ニ|   /ニニニニ=-.:/ /    \  \: : : : : :


                      -≦.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶、
                    /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
              /.:.:.:.:.:.:/.:.:.:i.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:.ハ
                /.:.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.::!:i:.∧:ト、:.:.:.:ハ:.:.:!:.:.:.:.l
                 /.:.:.:.:.:.:.:.:斗-ミ:.i:.i{:.::.ナナメ、.:.:}:.:!.:.:.:.:|
            /  イ:.:!.:.:ト(∨}八トⅥ'´V  l仆.:i :.:.:.:|
                  i:八:.:lx=ミ    x==ミ 八.:i、:.:.:|
                  l.:.:个ト::::::. ,   .::::::. /〃:ハ:.:.:|
                  |/レ从    __     厶イ 丿ハl    「夫婦の邪魔をするなら帰ってよ?」
                     |人   ∨__ノ    ィ´ ̄.:/′
                      __n> __,.     |人ト/
                  //^>、_.」    h___
                    l   /〉}j     八:i:i廴__
                  r≦|   /:i|-、  -/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:≧x
                  ∧i从___八:| ̄ ̄/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/:i∧》
              /ヾ Ⅵ:i:i:i:/:i:i:i|   ./:i:i:i:i:i:i:i:i:/:i/  ヾ


 「まだ何もしていませんよっ!?」

 「ちょっと待て。

  まだって何さ、まだって」


 和ちゃんが仕事休みだと言うことで、私の家に来ていた。

 今日は(この世界では)祝日。本来ならばみんなお休みのはずである。

 しかし京ちゃんやお姉ちゃん、あとどうでもいいけれどおとーさん達はみんな仕事だった。

 今時、祝日に休める仕事って少ないらしいね。

 これだから公務員は、もー。


 「ちょっと待ってください。

  逆です。公務員がブラックな働き方をしていたら社会が成り立ちません。

  社会が公務員に合わせるべきですからね?」

 「うん。和ちゃんに正論吐かれるとすごくムカつくね」

 「理不尽!?」


 今日の須賀咲ちゃん。とっても虫の居所が悪いです!

 まぁ私と和ちゃんは親友と書いてゲボクと読む仲だから平気だよ!

 それもこれも、全部京ちゃんのせいなのっ!



625 ◆Y.lj54HWGU2016/11/22(火) 18:44:11.80hgJn1J/oo (3/11)


 3/10


 「聞いてよ、もー。

  京ちゃんったらね。今日はお休みとってくれる予定だったのに、急な仕事で休めなくなっちゃったんだって」

 「はぁ、そうですか」

 「この前、『いい夫婦の日にあやかって出かけに行こうか』なんて照れ顔で言って来た時にはすごくいい感じだったんだよ!

  すっごく京ちゃん可愛くて、思わずそのまま三ラウンドくらい搾り取ったんだけれど」

 「京太郎君死んじゃいますよ!?」

 「せっかくおかーさんに子供達を任せて準備万端だったのにー。

  いや、仕事ならしょーがないってわかるんだけどさ」

 「ま、まぁ、女の子の気持ちがわかってない京太郎君が悪いですよね」

 「だよね」


 女心の前にはどんな正論も無意味だよ。

 『京ちゃんが悪い』と言う結論から始まって理由をつけて行くんだもん。


 ーー理由から結論を出す男の人はモテない by阿知賀のワールドスター


 つまり、どんな理由があろうと女の子を怒らせた時点で京ちゃんが悪いの。

 そりゃー、京ちゃんは普段からそう言うところ気をつけてくれるけどさ。

 むしろ私以外にも気をつけるせいでお姉ちゃんがベタ惚れだし。

 まぁ京ちゃんのそんなところが好きになったんだけれどさ。


 「どう思う?」

 「ははっ、爆発すればいいと思いますよ」

 「もー、和ちゃんだって百合百合とか旦那NTRとかしてないでとっとと結婚しなよー」

 「(きょ、今日は我慢。今日は我慢です……っ!)」


 あー、私がボケて和ちゃんが砂糖吐いてるの久しぶりな気がする。

 でも今日は遠慮しないもん。

 子供達をおかーさんとその知り合いさん達に任せたせいで家で一人ぼっち。

 何を着て行くかまで決めてあっただけに落差がひどい。


            ,. : : : ̄ ̄ ̄ ̄: : : : .、
            /: : : : : : : : : : : : : : : : : :`ー: イ
           ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :<´
         .': : : : : : : : : : : : : : : |: : : ,: : :、: : :
         /: : : : : : : : : : : : : : : :{: : :ハ: |:|: : {:|
        .' : : : : : : : : : |: : : : : : :Ⅳ:{´ 从}: : :\
        |: : : : : : : : : : {: : : : : : :|ィ斧ミ  Ⅵ:{ー'
        |: : : : : : : : : : :Ⅵ: : : :从 マソ  乂_〉
          ,: : : : : : : : : :r \∧: : \     }
         |: : : : : : : : : 乂 `    ̄      /
         Ⅵ:∧: : : : : : : : ー 、      ´,    「もー、京ちゃんのばかばかばか」
        从{  、: : ,: : : : :从 > ..___/
              ∨ `ヽ: : {     ,
                __}Ⅵ    {
           / ̄一-- ̄ \  |`ヽ
          /  ,..:::―- 、 \ \ ∨}∧
        /   /::::::::::\:::\ \ \'/ }
         {   /:::::::::::::::::::、:::::` 、   ヽⅥ
        、  ,:::::::::::::::::::::::::}:::::::::::::..、  〉
            Ⅵ::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::r<_{:、
            {::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::| |::::::::}
            |::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::| |::::::::|



626 ◆Y.lj54HWGU2016/11/22(火) 18:44:41.72hgJn1J/oo (4/11)


 4/10


 ……
 …

 ・おかーさん達のとこ


          ,. ‐''ミ゙「「「「「「゙〃ァ;、
            ,.' '⌒ヾミ_i|l il|j_リノ⌒ヾ;、
         // ijv - 、  ̄..::::,:::-:::::::::i.i
          ,'テ==:- 、:::`:ー:'´:,: -:==キ|
.         i l ::ニ二`ヽヽ.:::ij~//二ニu:l l
        |{. 、ー== 、ヽ!! lレ ,'´== ァ }|
      r'ニl.|. ヽ、 °>,‐:_く ° ,〃 |lニヽ
       |.に|| ijヾミ≡彡'l :l::ヾ≡彡'ノ ||こ!|
.        l しl|. ,ニ二ノ ::l !:vヽニ二、|し'ノ    「いいじゃないか……っ!!
.      `゙T.l , --、 〈. | | ノ ,. -- 、.lT´
    _.. -‐''7|l l |l⊥⊥エ`トイエ⊥⊥l」 l |ヾ'ー- .._ お小遣いを百万円くらいあげても……っ!!!」
‐:''": : : : :_:/.:.|li lヽL⊥-┴┴┴-⊥レ' l.l| : ヽ:_: : : : `:'‐-
_.: :-‐ ':": /.: :.||i ト、::v.  ー‐一   ,.ィ|i.l: : : :l: :`:''‐- : :_
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           ,!   ハ             ヽ
        ,,‐ ./   / 从|i、.|  |  r       \ `ー    / ̄
.ヽ_-、 .ー彡 _/:::::::::/ / l::::} \l::::::|::::::(:(::::《:《::::\_二ニフ::::::::::(
:::::::::::::::::::::::.ー彡::::::::::≧必__丿ノ ノ \\  入ヽヽ斗\ヽ:ヽ、::::::::::ヘ_
: ''―::::::::l::::l. ゙l゙l. i::::/ 弐ヲ 弋+デ─寸\\キセ+ナテ) )l:|::::::l::::::::::_ ノ
:::::::::::::::yくヽ\l゙l.゙l.゙l  `  ── " ノ  )Τ  ―<////l l l::::::::::::::::\
::::::::::::::ヽ ( ゙l ゙l゙l |.ゝ             |      .ノノ//:::::\  ̄ ̄ヽ
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 /::::::::::::::::|゙!彡゜    U         l      /:::::―----ヽ、
彡ソ'/  i、 | く                l     /::::::::::`ニン
   l.::从,.弋 ヽ           ⌒ '"      ./::::::::::::ミ
   乂 l|lヽ  ヽ、     `''ニニ''''''''''''''''フ″  /: :lリ \l   「ダメです。
      |三:.\  ヽ         ̄ ̄ ,,.    /ソノ
      |三三 >,,, ヽ       ゙"''''""    /           この子達の金銭感覚を狂わせないでください」
     ノ三三三三>ミ\            イ
  斗≦三三三三三三三≧          付
≦三三三三三三三三三三三>     ノ三式_
三三三三三三三三三三三三三三三三三三|三三三≡≡==ー-


             、‐- 、 ,. -- _
          ,ゝ ̄ `  ′゙,∠.._
       /´ " " " ゙ ゙ ゙ .<`
       7 " " " " , ゙ ゙ ゙  、\
.      i " " " ゙,.ィ / \ ゙ ` ゙ \
.        | " " ,ィ/‐l/、  ,ゞト、゙ 、゙ヽl
       | r=、 l.f´_・_j!_ ,f´_・_j! ゙ N
.      | {にl l ` ̄  _ \´ハN
       ,l ヾ=lノ  __ ‘ ‐  ゝ    「この人鬼(おに)……っ! 悪魔……っ! 竹井久……っ!!!」
   _./:l "./ ヽ. ∟..二ニ7/
‐''"´:/::::::| /    \   一 /、
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 …
 ……



627 ◆Y.lj54HWGU2016/11/22(火) 18:45:10.72hgJn1J/oo (5/11)


 5/10


 「ちなみに、お母さんはどちらに行ったんですか?」

 「古い知り合いのトコだって。場所まではわからないよ」

 「それじゃあ追いかけられないですね」

 「それはともかく、あのお母さんが一人で目的地にたどり着いたかどうか調べるの怖いし」

 「追いかけた咲さんまで二次遭難しそうですね」

 「うぐっ」


 ーー宮永家の迷子比率。実に五分の四である。

 京太郎がいなければお出かけもままならないのであった。


 「咲さんのお父さんとお姉さんはどうしたんですか?」

 「仕事だよー。

  お姉ちゃんは麻雀の取材とかなんとか」

 「お姉さん、忙しそうですよね」

 「そうなんだよねー。

  それなのに、家だとそんな素振り見せなくてさー。

  一番稼いで家にお金も入れてくれているし、私に気を遣ってくれてるのはいいんだけどさー。

  おねーちゃんが体調を崩したら元も子もないよー」

 「……へぇ」

 「なに?」

 「いえ、咲さんもよく見てるんだなぁ、と思いまして」

 「もー、うちの体調管理は私がしてるんだからね。

  京ちゃんは夜にラーメン食べたがるし、お姉ちゃんはお菓子食べすぎるし、おとーさんはビール飲みすぎるし」

 「ふふっ、咲さんがしっかり者っていうのもすごく違和感がありますね」

 「あ、ひどいっ」


 そりゃ、私は主婦なんだから家のことはしっかりしないといけないもん。

 それにしても、ちょっと喋り過ぎちゃったかな。

 こんなこと言うつもりなかったんだけどなぁ。

 やっぱり京ちゃんが悪い。今日は全部京ちゃんが悪い!


 「まぁまぁ、今日は残念でしたけれど、次がありますよ」

 「ほんとかなー。最近京ちゃん忙しそうだもん」

 「私が愚痴ぐらい聞きますから、ね?」

 「今日は甘えちゃうよ」


 知らないもーん。

 今日は家事もしないもーん。



628 ◆Y.lj54HWGU2016/11/22(火) 18:45:39.45hgJn1J/oo (6/11)


 6/10



 「ふふっ、それはそうと、京太郎君達に差し入れがあるんですよ。

  渡しておいてくれますか?」

 「その大きな袋?」

 「はい。同僚にお酒を頂いたんですが、私はお酒が苦手でして……」

 「お姉ちゃんは飲めないけど、京ちゃんとおとーさんは飲めるから大丈夫かな」

 「ありがたいです。

  咲さんは飲めないんですか?」

 「何回か飲んだことがあるはずなんだけれど、覚えてないんだよね」

 「なるほど」


 何より、酒癖の悪い京ちゃんの介抱で忙しいから飲まないんだよね。

 私が潰れちゃったら誰も片付けできないもん。


       / /  ./  ,ィ          ヽ ヽ_
        / /  ./  //   /!  |l!   .lY'::::::::::)
      ; i  くlハ //,ィ  / .|  リ! j  l }::::::::::l!
      |イl!  ' _`Vメ、 l  / __.! ./_l/__ ノ l::::::i='ヽ
      ゝゝ| ;´んィ:!`    =j/__ノノイ /¨T ヽヽ
      ||  l 弋_丿     'んィ:!.ヽ// ,'   !  } }
      ||  l 、、、     弋_丿 // .,ヘ  .!   j/
      ||  l     '   、、、 // ./イ  |
      || ::ゝ.    __     // ./. !   |
      ||  | l > ´‐-'   _イ//∥| l  |   「それなら、ストレス発散代わりに飲んでみますか?」
      |l!. l_L:;ノ:.ト!¨  T¨ェ:://.∥ll! l  |
      l|-、 ヽ: : : :.l! ̄` |:.:.// /l!ll| .!   |
     /-、:::ヽ ヽ: : : l ̄ ̄l:.// /: :ヽ! .!   !
.    / | >ヽ ヽ:.:.:l    l;'///: :/\ .|   |
.     /  l . /ヽ:ヽ ';.:ヽ /:::////、   \  |
   人.. V    } :!:ヽV/'/l;;;_/  Y ..人 !
.  /  ヽl     l  ! [__] / .l     i/  ヽ|


    ,':.:.:.:.:': :.:. :.:.| , イ:.l | ̄`丶:.|:.: .|  , -‐-、 | |  :i:.:.:.:.:\
   ,' : : :! :.:.:.:.:.:/:.:.:.:!',| |:.:|__|:.:.:.j:.:.:j|:.:.:.:.:|:.:.|:.:\:|:... i     ヽ
   ! : :.:.:.| :.:.:.:.: !:.:!:.:.:.:| i| ヽ| j:.:./|:./ !:.:.:.;'j:.,'|:./ |:.|:.:.:.:.|:.:.    i
   ! .:.:.:.:.| : :.:.:.:.', |ヽ:.:ヒニ三≠/ j/ j:.:.///_j/ j/|:.:.:.:' i:.:.:. .  i
   | :.:.:.:.:.! : .:.:.: ヽイ X::::::::ハ `  / ///"ィハ,`ヽ f:.:.:/:.:i` 丶 、i
.   !: :.:.:.:.:!:.:.:.:.:.\{{ {: {:::::::kd       i{::::::r! }} /:.:/:.:.:i|
   !:.:.:.:/ ヽ:.:.:.:.:.:!ヽ.マOイ ソ         Y) イ!.ノ//:.:.:.:.:i
.   ;.:.:.:{{  \:.:.ヽ  `¨¨´         、 `¨´  {:.:.:.:.:.:.:.:i
    ',:.:八   `丶\ ゙゙゙゙゙             ゙゙゙゙゙ l:.:.:!.:ト、:. i
     ヽ|ヽヽ.                      !:::ハ| ヽl
.        \.ー\        ⊂ニ  つ     .イj/  !  |   「えっ?」
        ヽiヽ::}丶    , ---- 、    <
.          ヽヽl    ./   /\ \イ
            l    / / , ヘ.Y´
            ,xへ|   // / ,.へ.\


 「お酒を飲んで忘れると言う言葉もありますし、こう言う時くらい良いのでは?」

 「そーだね!

  よーし、飲むぞー!」

 「あ、でもお酒の飲み方がわからないですね」

 「だいじょーぶだよ。

  京ちゃんやおとーさんが飲んでるのを見てるから。

  こーやってお湯で割って飲むんだよね」

 「うちの父もそう言う飲み方をしていたような気がします。アリですね」


 そんなこんなで、時間は過ぎーー



629 ◆Y.lj54HWGU2016/11/22(火) 18:46:12.38hgJn1J/oo (7/11)


 7/10


 ……
 …


                     _....................._
                ,. : ´: : : : : : : : : : `: : .、
                , :´: ,. : : : : : : : : : : : : : : : :\
               /: :/: : : :,: : ´: : : : : : : : : : : : :ヽ
            /: :/ : : : /: : : ,: : : : ,: : : : : : : : : : .
            .': :/ : : : : /: :/: :/: : ,.イ: /: : : : :|: |: : : :.
            |:〃: : : : /: :/-:/-、/ ': :': : ': |: :|: | : : :∧
            }'.': : :/^/: :/ {:/ {:/ /: /: :/: :}: :|: |: : :|: : :.
            {: |: { |: ,: /' /' /イ//':-/、:': : : : :ト: : ::.
            Ⅵ : 、{/ィ=ミ、   /' / イ: :/: :,: : : | \|
             |:从::.  :.:.:.:.      _ /イ: :/: :,: :.|
             / Ⅵ      '   `ヾ / イ: :/}: /
        ______|  、 「  v    :.:. イ: :/:イ/イ    「ランキング一位を目指すために首輪をつけるぞーっ!」
       /<_:::::::::::::::::::\_  `ーr---- =彡j/
       {¨7=ミ、< 、::::::::::::::\___〉>、
     _| ,   ∨、:` < 、:::::∧  |::::::::::ヽ
 / ̄::::::://     |  }、:.:.:.:\、::::::. |:::::::::::/〉、
 \___ 〃     | / \:.:.:.\、::Ⅵ:::::/イ ∧
     ̄¨/       ∨    `ー ≧='-´:/ ハ :.
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              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人   「和。なにがあったの?」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、
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. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、   ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! |  ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i   i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i!  | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ /      i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
 、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ  <;;;:ン ′     ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
  ヾi 、:.\:.:\:.]〈  っ::::;:i    ̄`            _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
    ヽ!:.i、`゙ー-r≧   >≠    ,      " "   /  |:! : : : :.:|:.!////
     |:.|:.:.:.:.:.:.:\!  ,, ,,            u   /   i!: : : : : ::i:.i////
     |:.|: : : : :.:.:.i i       r== "ヽ      /   i: : : : : :.:i:.|////   「須賀君マジごめんなさいっ!」
     | |: : : : : :.:i:.:|\     ∨__ノ)   /    /: : : : : :.:i.:|////
     |:| : : : : :.:.|:イ |:::|l`ー-..、    ̄ ̄   /     / : : : : : :.:|/////
      |.|: : : : : :.:|:∧ i:.:!i::::::::::::::`i ー-‐ '    ,..-‐:/: : : : : : :.:.i!/////

 ーー思わず昔の呼び名になってしまったと、後に語った



630 ◆Y.lj54HWGU2016/11/22(火) 18:46:41.66hgJn1J/oo (8/11)


 8/10


 「まさか咲さんがこんなにお酒に弱いなんて……」

 「一升瓶開けりゃ誰だって潰れるだろォ!?」

 「止まらなかったんですよ……。止めたんですよ! 必死に!

  その結果がこれなんですよ!」

 「えへへー、首輪にリードにー。ほら、京ちゃん持って!」

 「どっから持ってきたの、ソレ」


 ……
 …

.   ′:::::′:::::::::′::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::/ ':::::::::::::::::::::::. \
   |:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::′ ':::::::::::::::::::::::.
   |:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::|::::::::::::::/|::::::::::::::::::::::::::′  '::::::: |::::::::::::|   |
   |:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::l:::::::::l:::i-l:: l‐::::::::::::: |::| ---|:::::::|l:::::::::::|   |
   |:::::::: l :::::::::::|:::::::::::::l:::::::::l:::|八::|:::l:::::::::::::|::|__,  |:::::::|l:::::::::::|   |
   |:::::::: l :::::::::::|l::::::::::::|\从::l __}八{:::::::::::::l:ノ    从::::リ:::::::: 八 j
   |:::::::: l ::::::::::八::::::::::|  ,,xぅ斧笄ミ\::::::::|斗ぅ斧x )/:::::/:/  ノ
   |:::::::: l ::::::::::::::::\::::| 《 h __j刈   `ー┘ h__j_| 》厶イ イ
   |:::::::: | ::::::::::::::::::::个゙  乂廴ソ        乂_ソ ,′:::::::|
   |:::::::: | ::::::::::::::::::::::|               ,      ,′:::::::::|
   |::::::::┃ : :::::::::::::::::|    ``         `` ,′:::::::::::|   「白望ちゃん白望ちゃん。私の首輪知らない?」
   |:::::::::‘:::::::::::::::::::::::|\  U     r‐ ┐    人::::::::::::: |
   |:::::::::::‘:::::::::::::::::::::|::|       ` ´    イ:::_:_:__::::::::八
   |:::::::::::::‘:::::::::::::::::::「:|    `       ....::|:::::l:/ / /^Yヽ
   |:::::::::::::::‘:::::::::::::::::|八       T7^\:::::|::: / / / /Y^,
   |:::::::::::::::::‘:::::::::::::::|\\     //  `丶/ / / / | !
   |:::::: -‐ ‘:::::::::::: |  \\   .//.     / / / / .八 |
 -‐'^´     ‘:::::::::: |   \\ //    / / / /  /   ト、




                    / / `ヽー、     ー、   `ー /´
               _ -‐ァ'/       ´⌒ヽ  、 ヽ、_ 彡 ´
              /⌒ィ'´ /            ',  \  ヽ
                /´ア´ /  / /       !   ',   ヽ
            ({ /  ノ  / /       ! l    \   、   \
             `Y ィ´   / /    i l  '.   、 ヽ.  ',_  `ー-
             / /    /イ/i{    j{ j  、      \ ヾ  ̄´
            , ィア,' イ  /`7~ヽ   ハ 八  (ヽ    ト、 }  ー、
           j/ / { { イzx、_エ、  j |~~、 ヽ Y`ヽ }! ソ \}⌒j
             ´ {  ヽハ、{i  佞i「ヽ. ハ{\{zュ.jYハ }  〉ハ    ヽ.
             ∨   ハ `  ̄   \{ ヽ `芒!リイ ノ /イ     ハ
              ヽ { j! !    、     } ヽ!  〈 /フ   j!  / リ
               `ヘハ ト U        j       /´j}   ハ ノ     「……」←言葉にならない
                  `  \  ゚ `   /    / ノ j_ノ ´
             _ -=ニ7⌒ヽ __ .. イ    / `7=ュ。_
            イ  「ニニニ7   人j  ハ   〈  /ニニニ´⌒ヽ
           ´ i  ニニニ{  /l] `Y  ',   V /ニニ/    '.
               l  ニニニ、/!  [! (   '.   Vニニ7       }
      /     ハ  ニニニニニ|  マ、  ィハ    Vニ7        ′
     /       ',  ニニニニニ|  マ、ィ´  。    V       /

 …
 ……


 「大丈夫大丈夫。京ちゃんなら連続で5回くらいいけるよ」

 「いけないよ、死んじゃうよ!?」

 「あっ、私はそろそろお暇しますね」

 「和ァ!?」

 「あとは夫婦で解決してくださいごめんなさいぃぃぃーーっ!」



631 ◆Y.lj54HWGU2016/11/22(火) 18:47:10.51hgJn1J/oo (9/11)


 9/10


:;,.:;,.:;,:;:;,:.;:,.:;,...:...;:;.....:;::;;...               ....:;.:,:;,:.:.:,,,:;:;,,,,.,:;::,.,:;;:.,.:;::,;.:;,:.;:,;,.;
:;.:;,.::.,::,:;:,;,:.,;.;;.,:.;,:,::.;..:;..      ,,.:.:.::. ̄:.:.:.. .、   :;:;:;:;:;;  rァ  ,,.,:;:;:;:;:;;:;:;:;::;,.:;
:;,;.:;,:.;,:,:..;,.:.:,;.:,,;.;.:,;..:  ー-=‐''" ......::..:.:.:..:.:.:..::.:...丶            ,.:;.,:.,:,.;.,:.;,:,;.:;
:,;.;.,:.;;.;..,;.:.;,:;..;:,:,:;..    `¨ラ..:. .:. .:.: .:.:.:.: : : :..::.:.:::ヾ 、         :;,:.;,:;.;,.;,::;,.:;
:;:,:.;.:;,:.;,:;:;.;,;.:,;.:.:;,..       /.:::/::.. :i]:..:::.:::::i: .::...:.:::.::.:..:'  ヽ  . -イ    ,:.;,:.;::,;.:;
:;.,:;.;;.,;:.;,:;,::,:.:;..:..:;,:;..   ./..::/..:.:::..|A .:::::: |:::ハ::::::::::::l:l  } /   .l      :;,;:;,.:
:;,.;,...:;,:.;,:;.:,,.;..;:,;.:;;:;,.:;  厶イ::/:::::::'.ニ\::::|/○}イ:::ィ:N   .l    ノ      ,.;:,;.,.
:,;.:;.;.;;.:,;.:;,::,:::.;,:..;:,;.,:.;    |Λ:〔ト、'.ニニヽ|-ニニノイノ .ノ    }. 斗'        ::;:;,.
:;,.:,;:,:.:.;.:.;:;,:;.:,;:;.:,:,:.;:  ノ)   `}:入       /ン     ´           ;:,.;:;
:.;,:.;:,:.,::.:,:.;,:;.:,;:;.:;:    `    }Λ{:.>r--- ´l<_                   ,:,;.:;   「二人っきり、だね?」
:,;:.;..;,:;.:,;:::.;,:;.:;:   ___   r--y''"´ |   ノ    ̄二二ヽ  .  -‐'フ    .,:.;:,
:,;.:;.:,::.:,;.::,;...:;  ./    )  .|     ‘. ̄´ /   .ィ⌒ 、 ヽ'く   /    '',,::
:,;:.;.;,:;.:;,:;,:;:,;:..   l 厂 ̄   Λ     ‘. ./  .イl7    、  ` ァ        ;:.,:;.
:,;:;.:;,:;...:.:.:...:,;:,.. ヾ     イ  \    ‘ / .ィl|:|ル      \/     ,.....,:,:;.:,
:;,:.;;.......;,:;,:;.:;,,,.;:,:.,,...  く\  .|弋≧=彡□≦=-彡 、    /ム      ,..,:.;,:.;,:,;.:;
:,;.:.;;.;,:::;,:,:.;.;;.,:;:,:,:,:;..;.;,:;. \\ :|   ̄ /liノ心     〕ト、//ヽl  ,.,,:;,.:;,:;.,:;.:,:.,.:,;:



: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ  !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /     「(アカン)」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
::::::゛== 、 \   / ̄ヽ、
::::::::::::::::::::::゛===-、    >


 /               l::./::.::.::.::.:/::.::.::.::/::/::.:/::/::.::.:!::.ヽ\::.\::.::ヽ
∧               ,イ/::.::.::.:-≠─ァミイ:./::.::.::/::/::.::.::.|::、::'.::.::ヽ::.:ヽ::.:ハ
l              ハ::.::.::.::./::.//:::/气、::,イ::./}::.::.::/::.:}::.!::.::.:!::.::.ハ::.::.!
|                   /::/::.イ//:::/ヽ::.:://::.//::.::,イ::.:/::.:|::.::.:|::.::.::.:!::.:|
                  イ:://r斧≧x,∠::-‐.:::´///::.::.メi、/::.::/::.::.:j::.::.::.:|::. !
                / |//:{{ 沂c才心、::::::/ ̄:::/::./::/イヽ:/::.::.:/::.::.::.::j ::.|
       /      / Ⅳ  .:`¬-t少   ...::://:`:/´/::}:ハ::.::/::.::.::.::/::.::.|
        /      /   ∧  ::::::::::::: ...::::::::::::./ ̄ァミィ、/イ/::.}./ ::.::.::./::.::.: |
     /     /  //:|           , :::::.. 、んcテ心:::/|::.::/::.::.::.::/::.::.::.::|
      /      /   //::::|       ,       ..:ヾ幺:㌣}}::l::./::.::.::.::厶イ::.::.::|
     ,′     _,.イ7{::::::l     \      :::::::::`¨"チィ|イ::.::.::/:/ヽ、::.|
     i     / /:::|::::::ト、       `        /∠ イ/:/   \|   「いただきまーすっ!」
     |   /    l:::::!::::::! \            / /::ハ::.::.:/
     | 〃     }::::|::::∧  ` ー──ァ──ァ彳ーィ::./ }::./
    ノ}/      ∧::|::::::∧      /     /'´   |/    l/
  /イ       /  ヾ、::::::ハ   /ヽ、


 研究、咲ちゃんがお酒に酔うとどうなるか?

 ーー結論。咲さんになる。


 しかしよく考えれば京太郎が絞られると言う『結果』はなにも変わらないのであった。



632 ◆Y.lj54HWGU2016/11/22(火) 18:47:39.59hgJn1J/oo (10/11)


 10/10


 ……
 …

 ・子供と迷子の母親を引き取りに行った照


     |┃三   _─-、 -‐;z.__
     |┃    > ` " ゙  <
     |┃  / " " " " ゙ ゙ ゙ ゙\
 ガラッ. |┃   " " ", ,ィ バ i ゙、 ゙、ヾ
     |┃    " "ノlノメ、 |ノjムヘ. N
     |┃三  r,コ| =。=  ,。==ハリ
     |┃    |ヒ.j|   ̄ r_ \7
     |┃   j `ァヘ ⊂ニニァ7    「て、て、て、照さん! サインくださいっ!」
     |┃三 ∨ :::\ = ∧
     |┃三  ヽ.   ::::\,.イ |`'''‐- 、.._
     |┃三   \   :::::/ │     ハ
     |┃     ,ヘ 〉   |へ、|    l. l


 `ー≠彡7アイ介、ミ≧ー フ、_ァメハ イア′
 ーァ7 个´{  ハ ハ        彡´ }/ / 八スィ
 彡ノ ,イ 八  人 ゝーァォスー个ァー彡≧ }7
  个7} }イ />ー' トミ_zォ´ 7 }/ j { リ小、ーァ彡
  ノ 7 八{レ{ ! 从rァ' O ノ   /イ 川ハ`j/_フ
 彡イノトzュミ、{、弋´ニー‐ ´   (ハ从八{ 人水
 ァ' 7{ (´、__Oz} `ー         ヾ{ Y7ハ
 八人/个 ̄  j!             7ソトハ   「わ、私にも一つお願いしますっ!」
  乂ノjハ、  i               U /  {!入
  ⌒ ´{ハ .ヘ  L_ ´  _.. -'       ;: Уニ
     ソ八ヘ ー= ´          -ニニニ
     ノ  `ハ `ー       /  -ニニニニ
          '、        / -ニニニニニ
           \    ,,イ -ニニニニニニ
              ー '「ニニニニニニニニ
                 `ニニニニニニニニ

       -─===‐-ミ
   ´.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: 、
/.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: \
.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: :ト、: .: .: .: .:`、
.: .: .: .: .: .: .: .: .|.: .: .: .:| \.: .: .: .: ',
.: .: .: .: .: .: .: : |.: .: .: .:|   \|.: .: : :.
.: .:|.: .::| |.: :‐/、|.: .: :l .:|   -‐.:|、.: .: ::.
.: .:|.: .::| |.: :/  |.: .:八ノ    ハ:.:|::. :.
.: 八.: :|┬─┬}/  ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}
.:/⌒ヽ} | :::::: |   三 | :::::|  .'.:.::|
.:{    '└─┘    ̄ └‐┘ l.: .:|
人_    u              j.: .:|   「ここ、どこ……?」
i.:.: .: .>      )‐┤    イ.l: ::'
i.: .: .:i .: : _;〕ト  _/| h ≦.:.:.|: 八/
ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
| \{ .,_  \|     |/ ハ
  / ヽ >   |    ノ / ∧


 カン!



633 ◆Y.lj54HWGU2016/11/22(火) 18:48:08.29hgJn1J/oo (11/11)

グッダグダですまない
咲ちゃんの代わりに家事で四苦八苦するてるてるは後日

のどアコの真似をするあわあわ把握


634以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/22(火) 19:37:14.06LWWP7pXLO (2/2)


なんか拾われた


635以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/22(火) 20:15:00.70UjVk39wDO (1/1)

乙です。
おかーさんはいったいどうやって昭和の怪物と知り合ったんですかねぇ……


636以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/22(火) 20:26:16.70HCFwifGGo (1/1)

乙です


637以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/22(火) 23:57:36.33cKDmL3JI0 (2/2)


のどアコ真似あわ か普通にヒロイン力が上がりそう(相方はネリー?)
京淡次元で結婚式(アラファーから後輩を守護る為に立ちはだかる照と友人とライバルの為にはやりに立ち向かうシズ)


638以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/23(水) 00:46:19.66Z1TlL08Lo (1/1)

乙です。


639以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/23(水) 15:29:48.33Z7pruikYo (1/1)


何気にみやながけ次元で会長が出てきたのって初めてか…?


640以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/25(金) 02:07:29.625244znxt0 (1/1)


君の名は的にヒロインと入れ替わる京太郎とか? 次元はおまかせ


641以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/25(金) 03:03:43.349GmU/vRl0 (1/1)

(一応)ヒロイン
京太郎=春
京太郎=世界一位
京太郎=のどっち
京太郎=すこやん


642以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/25(金) 14:16:45.344RtPXakLO (1/1)

おつおつ

>>640
すこやんと入れ替わったら、雀力と記憶を犠牲にコミュ力を得たとか言われそう


643以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/27(日) 00:50:07.59FRAGdo550 (1/2)

オチと入れ替わったら社会的な死と人生の墓場へ逝きそう


644以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/27(日) 00:51:04.58KjPq+g+S0 (1/1)

>>642
つまり京太郎側はあらゆるものを捨てて雀力を得たことに
それなんてヘルカイザー?


645 ◆Y.lj54HWGU2016/11/27(日) 01:43:17.934sL1ETnso (1/11)



 1/10

 456
 【文学少女と須賀京太郎】-単発次元-


 須賀京太郎には幼馴染がいる。

 それも一般的に見て可愛い女の子だ。

 彼女は本を読むのが好きで、いつも図書室にこもってばかり。

 人と話すことが苦手なのか、滅多に喋ることもない。

 それは幼馴染の京太郎相手でも同じことだった。

 しかし、それでも京太郎は彼女に対して話しかけ続けていた。


 「おーい、もうすぐ暗くなるんだから帰ろう」

 「……」


 京太郎が声をかけても彼女はピクリともしない。

 本を読むことに集中しすぎているせいだろうか。


 ーーあいつ、こうなると長いんだよなぁ。


 心の中で呆れて、現実ではため息を一つ吐く。

 見捨てて一人で帰ってしまってもいいのだが、夜遅くに女の子を一人で帰らせるのも気がひける。

 下手をすれば学校が閉まるまでずっと本を読んでいるのではないか。

 いや、帰り道に本を読みながら歩いて電柱にぶつかるかもしれない。

 そうでなくても彼女には迷子癖がある。

 ーー考えれば考えるほどドツボにハマる。


 「あー、もー」


                ,. --- 、        ____
                  /,  ´ ̄ ̄` '⌒´     \
           、_/_/⌒ヽ , /            ヽ
            ,---、  / //    :       ヽ :.
           ,  / ̄-/ /' {   | |       | :
          / __   ̄,./ /-' l| l | |___ l |    |
            .:' /   ,イ _| | |ア__l { { | / }`| |    |
       /       ,:´ | { | l\{从 ∨ィ斧ミ、 |    |
    /\'´        /{  | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
    ////\ r---  ´八 !∧  ̄   ,:  :.:.:  }/ノ/ リ
.   ///////\      \}∧         u 八/
  //////////〉        込、  __    ,.: /    「『照さん』、帰りますよー!」
  ///////// /          }>、   ` イ |从
 ,'//////// /   _      /--、l ` ̄ :,   |--、
.///////// /  イ/////\   {////}   /  「///|
'//////// /´// {////////ー '|////|   ,   |///l|
///////////// |l///////////ヽ// \    |////> 、
////////{/////{!/////////////////}--- /////////> 、




646 ◆Y.lj54HWGU2016/11/27(日) 01:43:47.384sL1ETnso (2/11)


 2/10


               ̄ ̄ ̄
         ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ
       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
      : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∧
     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .,
.    /: : : : :〔 :/ !: : | : : :ト、: : : : | : : : : | : :i: : : ′
    ′: : : : ∨  | : i| : : :| ´ ̄ :}: : i| : }i: :|: : : : :.
   .:: : |: : : : :〔´⌒ヽ八: : :|  ∨リ : : |: :八_|: : : : : .
.   /:: : :|: : : : i{   __   \{ ,イ庁不、〕/   }: : : : : :.
  /__! ト、: : {ィ芹示、     乂:ソ  ′ 人: : : : : :
     八| \{  乂ソ          ,r: :´: :|: : : : : ::   「ーーん」
       /: : ∧    `         /: : i: : :|: : : : : :i
       .′::/: : .       _     _: : : :|: : j : :! : : l|
      .: : :/: : :个    `    イ〔_: : リ: /|: : |: : ::リ
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      〔′  ヽ〔 _,. -‐ ' |     /    γ⌒ヽ
           ∧      :|__,. イ     /
             / 丶     :|   /'      /    i


 やっと声が届いたのか、本を閉じて顔を見上げる。

 目が疲れたのか、何度か目をこすって京太郎の方を凝視する。なんだか気恥ずかしくなって目を逸らしてしまう。


 ーー彼女の名前は宮永照。

 なんの変哲も無い女子高生だ。強いて言えば、本が好きでとても無口と言うくらいだ。

 京太郎とは小学校からの付き合いである。

 学年が二つ上であるにも関わらず、なんとなく彼女のそばにいることが多かった。


 「(だって、放って置けないしな)」


 照を一言でまとめると『天然』に帰結する。

 放って置けば思うがままにフラフラと消えてしまいそうな感覚があった。

 実際、迷子になることが非常に多い。その場合探すのはいつも京太郎だ。

 京太郎がいない間の二年間、どうやって学校生活を送ったのか疑問である。


 「ほら、もう遅いから帰りますよ。

  明日読めばいいじゃ無いですか」

 「……」

 「ダメです。『もーちょっと』は聞きません」

 「うん」


 保護者か何かかと自分に問うが、悲しくなってくるのでやめておく。


 「じゃあ、家まで送りますね」

 「……」


 コクリと頷いたのを確認すると、照のカバンを持ち上げる。

 照はそれを奪い返そうと手を伸ばすが、長身の京太郎には届かない。


 「どうせ今日も借りた本で重いんですから、俺が持ちますよ」


 どちらが言い出したわけでも無い不文律。

 照が本を借りるため、京太郎がカバンを持ってあげることが多い。

 そうなれば当然照は手持ち無沙汰になってしまうわけで、両手の行き先に困っている。



647 ◆Y.lj54HWGU2016/11/27(日) 01:44:16.914sL1ETnso (3/11)


 3/10


 「ほら、行きますよ」

 「……」


 コクリと頷くと、早歩きで京太郎の横に並ぶ。

 手ぶらで歩くと言うのも未だに慣れず、両手を胸の前でモジモジと動かす。

 しかし京太郎はそんなことには気付かず、照の歩幅に合わせて歩いていた。


 「照さん、結局部活には入らなかったんですねぇ」

 「……」

 「俺ですか?

  清澄にはハンドボール部がないから考え中です」

 「……」

 「他のスポーツはなんかしっくり来ないんですよね。

  バスケとかルールの違いで難しいし、足使って運動もしたことないから」

 「……」

 「文系の部活に入ろうかなー。

  そう言えば旧校舎にも部活があるって聞いたっけ」


 京太郎が一人で喋り続け、照は隣を歩くだけだ。

 時々京太郎に目線を向けたり、頷いたりしているので聞いていないわけではないらしい。

 しかし京太郎は意にも介さず一人で喋り続けている。


 「……」

 「なんですか、照さん?」

 「別に……」


 照が俯いてしまったので声を掛けるが、取り付く島もない。

 こうなってしまうのは珍しいことではないので、京太郎も特に気にしない。


 「それじゃ、この辺で大丈夫ですよね。

  照さん、また明日」

 「あっ……」


 いつもの別れの場所までの道のりはやけに遠く感じられた。

 何も変わらない日常。京太郎はいつも照のお世話を焼いている。


 「京、ちゃん……」


 ボソリと呟いた言葉は背中を見せた京太郎には届かない。

 また、伸ばした手も京太郎が気づくことはなかった。



648 ◆Y.lj54HWGU2016/11/27(日) 01:44:46.344sL1ETnso (4/11)


 4/10


 ……
 …

 ・宮永家

           :_,.  -─……─-  :
       :
      .:´........................................................\:
   :/.......................|........ト、..............................ヽ:
 : /....................| |...i|........| \...........|....|............
:/.........../ .....|.._|_八......|   \__....|............i:
: ̄ ̄ ̄|...|....| [   \|    \|....|............|:
      :|...|....|┬─┬    ┬─┬ |............|:
      : |...ト..| 乂:::ノ     乂:::ノっ|............|:
    :i|...|....|                 |............|:
     :||...|..人     , _       人.......l..|:    「また、やってしまった……」
      八Λ.....>      _   .   <......../|/
      \|\_,ノ⌒ 〈___/ ⌒>‐-ミ:
      ;/ ̄ |:\ ∧ /  /:::::/  \;
       :/   |:::::::\ ∨_/:::::::::/   ハ:
      :/     \:::::::Χフ:::::::::/
     /        ̄/:Τ:< ̄        ',;
     ;\   |    〈::::∧:::〉       |  /:


 自分の部屋にまで帰ると、カバンを雑に放り投げてベッドに飛び込む。

 先ほどまでの態度が嘘のように口から後悔の言葉が漏れ出してくる。


 「京ちゃん、私のこと嫌いになるかな……」


 ぐぬぬとベッドを叩くも、弾力に弾かれるだけ。

 むしろ拳の握り方も知らない照は若干拳を痛めてしまう。


 「京ちゃん……」


 ーーそう、照は別にコミュ障ではない。

 それこそ高校に入る時の面接やらなんやら、同い年の友達と喋る時にも普通に喋る事は出来る。

 ただ一人、京太郎と喋る時だけあのようになってしまうのだ。


 「どうすればいいんだろう」


 毎日のように一人反省会を開いているが、進展した試しはない。

 照は京太郎に好意を抱いている。ーーそれは間違いない。

 キッカケなんて覚えていない。こんな自分の隣にいてくれただけで十分だった。

 しかし、それを認識したところでどうしていいかわからない。

 とりあえず最初はとにかく嫌われないようにと考えていた事は覚えている。

 その結果ーー


 「まともに、喋れない……」


 何を喋っていいのかわからなくなってしまった。

 一度無口キャラになってしまえばもう引き返せない。

 いきなりキャラを変えたならば不審に思われるに違いないだろう。

 それに、なんで今まで無口キャラだったのか聞かれてしまうかもしれない。



649 ◆Y.lj54HWGU2016/11/27(日) 01:45:15.584sL1ETnso (5/11)


 5/10


 「それだけは避けないといけない」


 確実に『変なやつ』認定されるのは間違いない。ーーこの際、すでに思われているかもしれない事は思考の外に置いておく。

 時間がたてば経つほど打ち明けにくくなっていく。

 幸か不幸か、京太郎はとてもコミュニケーション能力が高い。

 照が喋らなくても信じられないほど話題が豊富で、その話は尽きることがない。

 やれ今日はこんなことがあったとか、こんなご飯を食べたとか、些細なことでも話題にしてくれる。

 それに甘えてずっと聞き入っているとまた無口キャラ認定が濃くなっていく。

 自業自得とはいえ、酷い悪循環だった。


 「それに、この前だって」


 照が意を決して一年の教室に向かったことがあった。

 昼食を誘うことによって、自然に会話を引き出そうとしたのだ。

 しかし、その作戦は失敗に終わる。


 ……
 …

 「須賀ってすげーよな。

  あんな無口な宮永先輩とずっと一緒にいられるんだろ?」

 「そうか?

  別にフツーじゃね?」

 「宮永先輩は美人だけど近づきがたいイメージあるしなぁ」

 「まぁ、それはわからなくもない。けどーー」


     /: : : /.: :/: : ::j: :| ト :|.     |: : : :|: :|   _i: :∧: :|i: :
   /: : : : /.: : :|: : : :i: :| |.:/ `ヽ  |: : : |i: :|  '´ |:/  V .|::
  /: : : : : : !: : : :i: : : :|ヾ| , ィ, ニ、ヾ、 .|: : :八/ ,=ヾ,ニ、ヾ、 |::
/: : : : : : : : |.: : :八: : :| 〃 /少iハ ヾ|/ ミ、 /少L心 ヾ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|: : : : |:\{ !  {斗ニ刀:::::::::::::::::::::::::::{斗ニj匀
.       i: : : : |:::::::ハ  气l∪iリ:::::::::::::::::::::::::::气l∪ikリ
.       l: : : : |:::::::i l{',、 乂Zソ          乂ZZソ
       |: : : : |:::::::j         ,
        |: : : : |:::::::{
        |: : : : |::::::::ヽ      ,ィ⌒ー'⌒ヽ.
        |: : : /|: |:::::::::::> .   `-⌒ ⌒'‐′      . <   「……!?」
       |: : / 乂|:∧:::| 、::::≧=   ___   <---

 …
 ……


 ご覧の有様だ。

 そこから先は聞いていられなくて戦略的撤退を決め込んだ。これは敗走ではない。

 京太郎の友人関係に影響が出るのも嫌だし、京太郎に近づき難い人と思われるのはもっと嫌だ。



650 ◆Y.lj54HWGU2016/11/27(日) 01:45:44.904sL1ETnso (6/11)


 6/10


 その件があってから緊急対策委員会(総員1名)を開くも、未だ良い結果が出る事はない。

 ベッドにあるカピバラぬいぐるみを抱きしめる。

 超大型サイズで、京太郎の家のカピバラにそっくりだ。


 「京ちゃんともっとお話ししたい……」

        ,..-、_,.ィ⌒:.ー-、
        /:.:.ハ:.:..ハ::::i:::::::.::.:.ヾー:、
      /.::::::::トヽYハ!:i:|::i:::::i:::::::|:.:.:.ヽ
       !::|::|:::i|     }:ハ:ハ:::!:}:::i|:::::::..:i
.     ノ::|::i!::i:|   ノ-j;!‐!:|:i:::i:|:::::::::.:i
    人:i:::{:、ト|-_ r‐彳テiY |;:ィ::i,:_::::.::!
       仟ィiテ)⌒ー―'′ハ!:i'^ヽ::::!
         `┼'7        リ  /::ト!   「よし、おとーさんがアドバイスしてやろう」
.          | ヽ        ィイ:::::|
         、  -―‐    / }:!:::トヽ_
           丶  `゙  ,、 ゙ ′i リ!y′ |`ー-、_
          "',、__,,、ヽ     ! /   |     `ヽ
           // \     i /_    !     _冫ー、
           / /n  ハ    | \. |   /   ヾ、
     .   /   //ノ  {_ !  /f'"   \!   / :/:       i
      /    レ \_ |`  イ        ′:!:       |
      ハ         `ヽ  ノ       ハ /  /:  |


       -─===‐-ミ
   ´.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: 、
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.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: :ト、: .: .: .: .:`、
.: .: .: .: .: .: .: .: .|.: .: .: .:| \.: .: .: .: ',
.: .: .: .: .: .: .: : |.: .: .: .:|   \|.: .: : :.
.: .:|.: .::| |.: :‐/、|.: .: :l .:|   -‐.:|、.: .: ::.
.: .:|.: .::| |.: :/  |.: .:八ノ    ハ:.:|::. :.
.: 八.: :|┬─┬}/  ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}
.:/⌒ヽ} | :::::: |   三 | :::::|  .'.:.::|
.:{    '└─┘    ̄ └‐┘ l.: .:|
人_    u              j.: .:|    「!?」
i.:.: .: .>      )‐┤    イ.l: ::'
i.: .: .:i .: : _;〕ト  _/| h ≦.:.:.|: 八/
ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
| \{ .,_  \|     |/ ハ
  / ヽ >   |    ノ / ∧

 物思いに耽っているところに父親乱入である。最悪だ。


 「な、なに!?」

 「一応言っておくけど、ノックはしたからな。

  返事がないから何かあったのかと思って」

 「えっ」


 どうやら集中しすぎて聞き逃したらしい。


 「米が炊けたって言おうと思ったんだけど」

 「う、うん」

 「ありきたりな話だけどさ。もっと素直になっていいんじゃねーの?」

 「そうかな」

 「言葉にしないとわかんねーもん。

  やりたい事やっとけよ」


 俺みたいになるぞ、と自嘲する。

 少しだけ悲しくなった。



651 ◆Y.lj54HWGU2016/11/27(日) 01:46:13.814sL1ETnso (7/11)


 7/10


 ……
 …

 いっぱい話したいことがある。

 例えば、実は照は麻雀がとても強いことだとか。

 別の場所に住んでいるが、妹がいる事だとか。

 好きなお菓子だとか、京太郎に知ってほしいことがいっぱいある。

 いつもいつも話を聞いてばかりで、京太郎のことは詳しくなれた。

 しかし、今度は自分のことを知ってほしいのだ。


           . :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ` 、
         . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,
        ,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,
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.        /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,
       /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ′
.       ∧: : :.i.: : : : : | : : : : i|: : : : : : : : :.:|: : : 、 : : : : : : : i
     /_\ |: : :.|: : | : : : : i|: : : : : : : : :.:|: :| :ハ: l : : |i : |
    ./: : :,イ: :'|: : :.|: :_|_: : : : il: : : : : :ト、: :.:| }/_, ∨: : :|i : |
   /: :/' |: :l|: : :.|_l: |__ x、八.: : : : :| \} '",,_ i´) : :|i : |
  .//   |: 八: : | 乂_弋ツ>\: : :|<弋ツ.ノ .:::∧: リ.: :|
  ′    |: : : \|:ハ::::::: ̄:::::::::::: \{:::::::: ̄´:::::::/: ::∨: : |
        |l: : : : : : λ       ,        ハ: : : : : : :|
        i|: : : : : : :込、   __   __,.   ,イ: ! : : :、 : :|     「今日、やる」
       __|: : : : : : : : :|__,.    ー‐ ´  ./|:|: : : : : ハ: :|
-‐= '      |: : :.l| : : : : | .::/>       . イ.>|: : |: : :/ ‐ :|
          |l : :八: : : : |.:::′          /:::::|: /|: :/_   '}
        八:/  \: : |:::|-- 、     --/ .:::::|:/ |:/
               \|:::ト-========イ    }' .ノ'

 決意を新たに図書室に入っていく。

 受付の図書委員の子にビビられた。失礼な。


 こうして京太郎を待っていると、彼は必ず来てくれる。

 一体授業が終わった後に何をしているのかわからないけれど、最後は必ず図書室を覗いてくれるのだ。

 それがとても嬉しくて、約束したわけでもないのに図書室で待っている。

 そう、今日だって同じだ。

 彼は絶対にーー


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //    「まーた、遅くまで帰らないつもりですか?」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
      //////////////////////|    |////////////////////∧
       {/////////////////////∧  ,'//////////////////////}
       |//////////////////////∧ ////////////////////////|


 ーー来てくれるんだ



652 ◆Y.lj54HWGU2016/11/27(日) 01:46:43.534sL1ETnso (8/11)


 8/10


 「は、早い」

 「ああ、今日はちょっと部活の体験入部しなかったんで……。

  先に図書室覗いたら照さんがいたので、一声かけようかなと」

 「あ、あの」

 「?」

 「……かえ、ろ?」

 「今日は早いんですね。

  送りますよ」


 ーーダメだ。これを『会話』と言うのは無理がある。

 もうちょっと、もう少しだけ進展したい。


 「カバン、持ちますよ。

  今日も借りたんじゃないですか?」

 「……!」


 ふと、思いついたことがある。

 それは小さい頃からの夢で、実は最近も悩んでいて、ずっと考えていたことだった。


 「今日は、大丈夫」

 「?」

 「何も借りていない」

 「へ、そうなんですか?

  珍しいですね」

 「う、うん。だから、ね?」


                 _. . : :―――: . .
             ,. : :´: : : : : : : : : : : : : : :` : 、
            /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
           .:' : : /:,: : : : : : : : : 、: : : : : : : ヽ : : ヽ
           /: : :/: :/:/: :, : : : : : : |: : :!: : : |: : ∨: :∧
          , : : /: :/:/ : / 、: : : : :.ト、: |:|:{: :|: : :.| : |: : .
           /: : 〃:/:/|:从-、}:、: : : :.|-从}-Ⅵ : : | : |: : |
         /: : ィ: : :{: |r----从\: : |, ---- ミ: : :,: :/: : ,
          ̄´  |: }从:{   ⌒Y   ∨  ⌒Y }: :/}/Y : ′
           |: : : :/   乂_ノ     乂_ノ /:イ  /: :,′
           |: : : { ////        ////r-: ': : /
              从: : 乂      ^ー(    イ: : :/: :/    「京ちゃんの片手、空いたよ」
            ∨: {:从{¨¨, ィ「 ̄ 7¨´、_: 从:イ: :/
               \|  / \ ∨^/  />/' }:/
                 / |乂\∨_,イイ/  }
               {/⌒ア `ー介 -‐´ {__〉
               {`ー∧ /:∧:.、  |- r'



653 ◆Y.lj54HWGU2016/11/27(日) 01:47:13.014sL1ETnso (9/11)


 9/10


                    _,.. -- 、__, 、___
              ⌒> ´  ´  ヽ  `ヽ、
                _,.   ´  ,  , 、   | 、 、 ヽ
                ̄7  / / 从  、 |  |  |  :.
                 /イ / /l/  | | | l}从}  |   {
               _/_ { 从ヽ、 { | |/ イ´∨}  :
                 ̄´ {∧ { ○ 从{  ○ }'⌒}、{
                 {从         r-く| \
                     叭   __   八}イ     「ーーー!?」
                   、 └―┘ ィ/∨
                  「¨>-- rく「 ̄ }
             , ------ ∨_」   :, ∨]/|ィ¨7ー-- 、
               ////////「//| ー- 」 }ヽ// ///////}
                {/{////// \∧ r'  ヽ }' {///////
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 ∧ヾ   |:::::::/    ヽ.、   ._ ヾ.,    イ   /::/i::::′      ゝ_
../ ∧ヽ.  |::::/.      i > _  ̄ . r  ./.  // i:/         /.:/i_
.i  ∧ヽ  |:/       丶    ̄    /  /  レ         /.:// ヽ


 答えが怖くて、俯いてしまう。

 いきなりこの要求はハードルが高かったかもしれない。

 でも、毎日思っていたことなのだ。

 京太郎が自分のカバンと照のカバンを持ってしまえば、両手がふさがる。

 肩にかけても安定のために持っていなければいけない。

 そして照は、両手が空いている。

 いつもいつも、寂しく自分の両手を繋いでいた。

 でも、京太郎の片手が空いているならばーー



654 ◆Y.lj54HWGU2016/11/27(日) 01:47:42.164sL1ETnso (10/11)


 10/10


             ___/ ̄ ̄\_
         ,  ´        <⌒
        ,:'            `ヽ、
       ,                \_
                      \ } ̄´
        '              ,  \
      / ,          |/} ∧ }`ー`
       {∧          「ノ|/}/イ
      '  、       | /`/ } '
         } ∧     /イ   /   「い、行きますか」
         |' ,} \__/イ__ /
         //////////∧
        _,.{///////////|
     -=≦//////|////////≧=-- 、_
  r≦//////////////////////////////ヽ
  |//l///////////|///////////////////∧
  |/∧//////////l|///////////////|/////}
  |//∧/////////l|///////////////|/////|
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               /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
           /: : :/ : : : : : : : : : : : : : i : : : : : : : : : ヽ
             /: : :/: : : : : : : :./|: : : : : :| : : : : : : :ヽ : : :.
         /: : : i: : : : : : : |: | |: : : : : :|ヽ:.:i: : : : : :i : : i
            ′: : :|: : :i.: : :./|: | |: : : : : :| i:.|: : : |: :.| : : |
          / : : : : |: : :|:|i: :|‐|‐ト: : : :|i:斗‐|┼: i:.|: :.| : : |
.         /: : :/|八 : |八 |_.レ'.._|: : :八/__.}/∨}/: : | : : |
        厶イ  |: : ヽ{{ 午不か}/  午示下}.: : :| : : |
           |: : : :| 弋__ソ       弋__ソ  レ': : : |
           |: : : :|ハ                /| : : : : |   「ーーうんっ!」
           |: : : :|ヽ} ///   '   ///  /´| : : : : |
           |: : : :|: :人    _    /.: :.| : : : : |
           |: /i: |: |: : `: :._     ィ: : i: : :.| : :i.: :.|
           {/.人{: |/}: :厂}   ー  .{ア}_l_: : |: : i :. ′
            ,. -‐乂¨ ̄{¨       ¨}   ¨八/}/
          r<. 、       |          |        >、
       /   \\      |          |    //  \


 彼から差し出された手のひらを握る。

 恋人つなぎとはいかないけれど、しっかりと手は繋ぐことが出来た。

 これでもう、手持ち無沙汰じゃない。


 その日の帰り道はいつもと違い、京太郎が話しかけてくることはなかった。

 でも、飽きることはなく黙って歩いた。

 ずっとこの時間が続けばいいのに、そう思って歩いた。


 ふと、俯いていた顔を見上げてみた。

 どうやら京太郎も顔を逸らしていたようだ。


 そんなことにすら気づかなかったけれど、よく見ればーー

 ーーなんだ、彼も夕日のせいか、顔が赤くなっている


 カン!



655 ◆Y.lj54HWGU2016/11/27(日) 01:48:10.834sL1ETnso (11/11)

てるてると咲ちゃんトレードのリクがあったのでこんな感じでいいかな


656以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/27(日) 01:48:51.20pyBYupf7o (1/1)


テルーかわいいなあもう


657以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/27(日) 01:54:51.45vK43e0Cxo (1/1)


ラブリーテッル


658以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/27(日) 07:44:31.92aJ09/SRNO (1/1)

乙です
テルー可愛い!


659以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/27(日) 08:44:18.62trzkFb3jo (1/1)


その頃の咲はコンクリートジャングルでどうなっているんだろうか?


660以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/27(日) 09:02:09.77g1hVSkqho (1/1)

咲さんは道に迷ってアラサールートに入るやろなぁ


661以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/27(日) 17:55:52.46klcaYEeFo (1/1)

乙です


662以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/27(日) 20:58:37.75FRAGdo550 (2/2)

>660
人生の道に迷ったのか


663以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/29(火) 21:46:03.48nlk87HmFo (1/1)

乙です
京照最高や


664以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/30(水) 01:12:14.78HGTTNr6/0 (1/1)

乙!
咲…アラフォールート不可避とは哀れな…
ま、それはそうとやっぱり京照はNo.1やなって


665以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/30(水) 09:48:05.68w7/m+6pc0 (1/1)

や京照N1


666 ◆Y.lj54HWGU2016/11/30(水) 22:09:54.34y4QCiZAwo (1/11)


 1/10

 453
 【ハロウィン】-みやながけ次元-


 「なんか大々的にやってるなぁ」

 「みんなイベント好きだからね」


 京ちゃんが帰宅して、夕飯を済ませる。

 今日は珍しく早く帰って来れたみたいだから私も嬉しい。

 そして今日はハロウィンだ。

 今更ハロウィンだからとイベントごとにはしゃぐ年でもないけれど、世間一般は違うらしい。


 「駅前でハロウィンパーティーやってるところもあるらしいよ」

 「そーいえば帰る時に電車に仮装姿の人がいたなぁ」

 「そーなの?

  どんな人がいた?」

 「ドラクエ5の主人公とか」

 「それはハロウィン関係ないでしょ!?」

 「俺に言われてもなぁ」


 ハロウィンだけでなく、クリスマスやお正月も含めてイベントならばなんでもいいのだろう。

 私と京ちゃんはそこまでイベントに拘りがある方ではないので、ハロウィンは大人しくしている。

 ま、まぁ、クリスマスとかはたまに頑張っちゃうんだけど。


 「たまに早く帰れるってのもいいなぁ」

 「もー、いつも残業ばっかりじゃ大変でしょ」

 「そうは言っても、一般サラリーマンじゃこんなもんだよ。

  照さんみたいに一般人とはかけ離れていりゃ違うかもしれないけど」

 「お姉ちゃんかぁ」


 そう。我が家には一般人からかけ離れているアイドルが二人いる。

 一人は私のお姉ちゃんである宮永照と、私のお母さんだ。

 お姉ちゃんは現役で日本ランカーの麻雀プロだし、お母さんは元麻雀プロ。

 今はなんやかんやしつつよくわからない仕事をしているらしい。


 「照さんならお菓子が欲しくてイタズラしてきたりしてな」

 「もー、いくらお姉ちゃんでももうアラサーなんだよ?

  まさかそんなことしてくるわけないじゃん」

 「それもそうか」


 だいたい、お姉ちゃんの収入ならお菓子くらい買えるもんね。

 もっとも、買ってきたお菓子は私が管理するんだけどさ。

 だってお姉ちゃんに任せたら不摂生な生活を送っちゃうし……。

 もー、お姉ちゃん。いい年なんだからご飯の代わりにお菓子なんて食べてたら体調崩すよ?



667 ◆Y.lj54HWGU2016/11/30(水) 22:10:23.76y4QCiZAwo (2/11)


 2/10


 「でも、子供たちにはいろんなイベントを経験させたほうがいいよなぁ?」

 「そだね。

  なんかおとーさんが企んでるみたいだから期待していいんじゃない?」

 「お、そうなのか?

  じゃあお菓子を用意しないとな」

 「はい、コレ。

  私が準備しといたから何かしてきたら渡して」

 「サンキュー咲!」


 今日は早めに帰宅したおとーさんが子供達を連れてどこかに行った。

 おとーさんの性格からして、何か企んでいるに違いない。

 とりあえず親としてちゃんと対応してあげないとね。

 あ、おとーさんまで仮装してたら張り倒すけどね!


 「パパ!」

 「ママ!」

 「お、噂をすれば……」


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           N::::/:::::::::/        \:::::::::::ハ::::V!  ___
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    / /|│   |:::::::::::::::l            |::::::::::::::,!  ヽ 丶::::::::\\
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   |::::::::l l   ヽ:::::ヽ::\           /::::/:::::/____.」 |::::::::::::::::::::ヽ/
   |::::::::| |\___ヽ::ヾ\`ヽ-、      /:::/,::::::/    | l:::::::::::::::::::::/
    ',::::::l l     ヽ.::\ 、__:::` ̄ ̄::´_//:::/       | l::::::::::::::: ::/
    V:::| |         \:::::ス<、::::::::::::, ン::::::::/     ./ /:::::::::::::: :/    「トリックオアトリート!!」
     V::{ l           ` >:::::ヽ::::::/:::-ハ、      / /::::::::::: ::::/
      ヽ:ヽヽ       /^r‐/ ̄`l‐¬< ̄ ̄ヽ   / /::::::::::: ::::/
       、:\\     rl  |/ l:  | ,  ヽ.    >_./ /::::::::::::::/
       r、:::\\  /l ∨l   |  /    |___ ///:::::::┌_'__
       | \::ヽ ∨  | /: |.  |Dノ /   l  //::::::::::::: ̄:::::└、__
     l ̄:| ト、 \\\.l/  |    /   レ´/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     |::::::| |::::\ \\\ {     /  .//::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
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.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ    U     ,....-ィ /
,,:‐レリ    _       ̄ /    「わぁお……」
゛=!_    \ `ー-、_  _/
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 ちょっと待ってどこから用意したの!?



668 ◆Y.lj54HWGU2016/11/30(水) 22:10:53.24y4QCiZAwo (3/11)


 3/10


 「おとーさん!

  どこでこんなの用意したの!」


 息子がつけているのは、確か和ちゃんが好きだったアニメの衣装だったかな?

 子供向けのサイズではないのでダボダボで、衣装を引きずって歩いている。


 「いや、ほら?

  孫が欲しがってたら買ってあげたくなるというか」

 「もー!

  そうやって小さい頃から欲しいものをあげてちゃダメって言ったでしょ!」

 「そ、そんなに高くなかったし」

 「大体これ、普段どー使うの……」


 私が呆れながらおとーさんに説教をしている横で、京ちゃんは息子の頭を撫でている。

 正確には仮面を撫でているんだけれど……。


 「まぁまぁ、咲。

  たまにはいーじゃんか」

 「さっすが、京ちゃんは話が分かる!」

 「二人がそうやってだだ甘だから私が怒ってるんだよ!」

 「とりあえず、イタズラされちゃかなわないからお菓子なー」

 「わーい!」

 「大体これどこに仕舞えばいいと思って……って聞いてるの!?」


 私が説教している間にハロウィン用のお菓子詰め合わせを渡す京ちゃん。

 買ってしまったものは仕方ないけれど、次も同じようなことをしないように注意しないと。

 全く、誰が家の掃除をすると思ってるのさ。


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            / j:::::::/:::::::/__::/  |{ |:::i  i:::ハ.∧:::::|: i:::::::i:::::|l
             { /:::::/:::::/i{  |{ ̄~|圦:::; i/ j/-j::::/:::|::::::il::: |l
                /7::::i::::/ ィ 弌ト、.   乂/'-/=ミ::/ j::i:::::::|l::::リ
          _ / |{::::ト::{〈 ら:::::::}`     ´んぅト/ /!::::::リ::/
.               八:::|从とつー '        ら::::/ 〉 ::::;:イ:::{
              >、 } 〃〃   ,   ` ーrっ// ノ::八    「……うー」
                 /⌒              〃〃/}_rくノ )}
             /::::::::::/\   ^ ` ~ 、    / >=へ
                {:::::从:{   >        _  < /:i:::::::::::ヽ
                  ゝ:::(八    _}>-=≦/{_    {八::::::::ハ::}ト
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              ---=ニ¨:::::::い  / '::::::::::入   ´
       __  /      i:::::::::ヾ/ ':::::::::::/  `ヽ


 はしゃいでいる息子の横で壁に隠れている娘の姿を見つけた。

 でも、なんだか様子がおかしい。



669 ◆Y.lj54HWGU2016/11/30(水) 22:11:21.85y4QCiZAwo (4/11)


 4/10


        ,. . . -――- . . .、
      ,. :' : : : : : : : : : : : : : : : :>.、
    ./ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
   /: : : : : : : : : : : : : ,ィ: : : : : : : : : : : :ヽ
   /. . . . . . . .    / l: : : : : ト、 : : : : : :.
  ,' : : : : : : : : : : : : /  l . . . . l .',: : : : : : : :.
  ,' : : : : : : :l: :,i : : / U l: : : : :!  ',: : :l: : : : :.
  i: : : : : : : :l /{ : /-一' レl: : ノー-,: : l: : : : : i
  !: : : : ;、: :レ l〃⌒ヾ  l/ 〃 ヾ: :l : : : : : !
  ',: : f⌒\{  {l   l}    {l  l}Ⅵ : 、 : : !
  ',: {      乂_ノ     乂ノ .l: : :} \ノ
   ',:乂_          `    .!ヘ:ノ
   ',: : : : 丶、 U   ,--、 u  ノ      「あれっ?」
    ヽ{\ : : ㍉      ̄   ,, ''
       `^≧|   ┬ァiフ¨
      ///∧   Kヽ、
     //////∧    }//> , 、
    / \//////∧ー―l///// }


 娘の方は仮装していないみたい。

 しかもなんだか涙目だ。どうしたんだろう?


 「あー、なんでもいいって言ったのに恥ずかしがってさー」

 「もー、お兄ちゃんが買ってもらってるんだからそんなこと気にしなくていいのに」


 今更後悔しているのか泣きそうだ。

 とりあえず抱っこしてあげようと手を広げるが、逃げられてしまう。


 「えっ?」

 「『仮装してトリックオアトリート』って教えたから、仮装してないとお菓子貰えないと思ってるんじゃないか?」

 「そんなこと気にしなくていいのに」


 それでもお菓子は欲しいのか、京ちゃんの手元のお菓子袋に目が移っている。

 普通にあげてもいいんだけれど、本人が遠慮してしまっている。

 どーしようかな……。


 「……よしっ」

 「京ちゃん?」

 「咲、これ持っててくれ」

 「う、うん?」

 「ほら、ちょっとあっち行くぞー」


 お菓子袋を受け取ると、京ちゃんは涙目の娘を抱っこして別の部屋に行ってしまった。

 なんだかニヤニヤと笑っていたから、何か企んでいる気がする。

 でも、京ちゃんのことだし放っておいても大丈夫かな?


 「ちなみにおとーさん、お姉ちゃんは知らない?」

 「え、知らないぞ?

  咲、かーさんは?」

 「……さっき迷子になったから今日はホテルに泊まるって連絡が来たよ」

 「そうか……」


 あ、おとーさんの目が死んでる。



670 ◆Y.lj54HWGU2016/11/30(水) 22:11:50.87y4QCiZAwo (5/11)


 5/10


 ……
 …


                  ____
              ,. : :´: : : : : : : : : :` : : 、
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        ' : : : : : ': :/: :.| : ||: |: :|: |: : :| : : : : V: : : : : :   ←娘
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      /: ィ/|: : |: :|从:{∧: :|}/|:ゝ、_:/:.:| : : : | : : : : : |
       l' |: : :V:,イて雫ミ:{ 从{/:_イ: :/|: : : :, : : : : l: |
        |: : ,:从{cVり \  イて雫V}: : :/-、: : /}/
        |: :ハ: { ""  ,     Vzりつ': :/ }) }: /
        |/  }:人          ムイ- く:/     「……と、とりっくおあとりーと?」
          '      ヽ::っ     イ: :/{∨
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       .': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :、
      ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ   ←咲
     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::.
     .': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :、: : :.
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     |: :,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /): :|: : |、: :.
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   |  |   |+--|、_|! |   | i! ,/.ィ'|"i´ ハ  | i  ヾ 、 ヽ
   |  |   |.|ヽ |、_|王!ー  |./i .;"´/=、!/ | ! |   \ 、i      人
.   !. r|   i.|、!,,ィ'":::._iミi!  |/ /彳:::: r:!ヽ,| ,イ | 、_   \      `Y´
.   | |^!.  N 《 _、o;;;;i_ 丶、/ / ┴゜‐'"´ !イ | λ i` ー--ヽ
    ! | i、i、 ゙、  ` ̄ ̄   メ(        /^|イ `、|
   ノi \ヾi:.、、         i!      i ノリ   `
    |  ヽ__i                 |イ|/
    ヽ i、  i    ____....,     |/    「ドヤァ!」
      ヽ!、  i\   `ー-- ―'´  /、!
       i !i 、 \     ̄´  /!/       人
         |ハ,i、! 、 \      / ./.|       `Y´
         ト、! ゙、  `ー---'′ /|V


 ーーそこには、学生時代の私の制服を着た娘がいた。

 もちろん、サイズはダボダボだし、髪の毛をショートに見せるために無理をしている。

 しかし、まるで鏡を見ているかのような感覚すら覚えた。



671 ◆Y.lj54HWGU2016/11/30(水) 22:12:20.38y4QCiZAwo (6/11)


 6/10


 「うー」

 「ほら、咲」

 「あ、そうだ。

  はい、おかし食べていいよ」

 「!」


 仮装というよりコスプレ、……いや、コスプレと言っても無理があるけれど娘を納得させるためだったんだろう。

 『お母さんの真似』なんて言って、こんな無理な格好をさせちゃって……。

 でも、自分にそっくりな娘を見たことがなんだか嬉しくて、そんなことを考える気にもなれなかった。

 それに、仮装なんかしなくたってお菓子はあげるつもりだったしね。


 「驚かせればいいんだよ、って言ってさ。

  納得してくれたみたいだ」

 「もー、すっごく驚いたんだからね」

 「俺も驚いたよ。

  ほんと咲そっくりだな。京ちゃんナイスだ」

 「俺は咲の小さい頃まではわからないんですけど、やっぱり?」

 「おう、小さい頃の泣き虫咲そっくりだ」

 「おとーさん、誰のせいで泣いてたと思ってるの?」

 「マジごめんなさい」


 ーーまぁ、私が泣かされてたことをこういう冗談にできるくらいにはなったということで。

 特別に、許してあげようかな。


                     ____
               ,. ´ __    `¨¨ヽ
            ,   ̄`  /  ヽ       `ヽ
           /  _     ,:   ∨   、    :.
          / /,´      /    |    ヽ     .
       / //'  ' /  ' /   l| | :  :  ∨   :
       l// / , / ' l| | |     | | |  |   |   |
     _/ ィ / { l |__|_{ |∧   }/ ' / l  |   ∧
      ̄  {〃  Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
          / ,  从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
           / イ从 l ム        Vり ム'  ノ/}'
         ´    \∧  '        ,r ' /
               、  v   ァ    / 从/    「ま、これにて一件落着ってとこかな?」
                     \ `こ     イ  _|、
                  ` r  ´   //∧
                     /|     /////∧
                「  |   //////////> 、
              , </∧ /   {///////////////> 、
            , </////// ∨__∨//////////////////>、

        ,. : : ―――-- 、
       /: : : : : : : : : : : : : ヽ、
        .': : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
     /: ,: : : : :{: |: : ,:l: : |: : }: : : : :,
     .': :.|: : :|: :/_j:_/:.!: : |-/、: : : : : :.
     {: : |: : :|イ} }:/}/|: /}/ }:ハ:| : {、: :.
     |: : :、 : 从ィ斧  /  イ斧Y:{: | ヾ}
     |∧: r从:{ Vり     Vリ |∧{
       Ⅵ、 \ :.:.:.:  '   :. 八 リ    「もう、京ちゃんったら……」
       ヽ}`ー、   ` ´  イ
          从}≧=-- く
      ,-r―--イ}     |::〉--―、:、
      / {、::、::::::〈___/::/イ   ヾ


 ーーいや、ちょっと待って



672 ◆Y.lj54HWGU2016/11/30(水) 22:12:49.22y4QCiZAwo (7/11)


 7/10


                       .  ¨  ̄ ̄ ¨   .
                . ´              `ヽ
               . ´                  :.
                ′                         :.
            /                        :.
            ,′                       ;.
            /                         /
              / {         ニニ二三三二ニニ       /
          /  \     ニ二二三三三二二ニ    /  イ
            /\_ \ ___   ニニ二三三二ニニ   ∠ イ |
        /  ,ィ   ̄ ̄三三|:ニニ三王 三l 三|ニニニ= | | |
.        厶イ |  i  二| 三トニ二三ト、三ト、 ト、ニニ= | |/
         j  j从|  | |、 | | | ト、ニ王ニ{{ o }}ニ=  | !    「それはそうと、女の子のタンスを勝手に漁ったのは許さないよ?」
                 |  ト、圦乂| 乂| \{ \| ヽ{ヽ{   イノ
                 乂_{ jハ               从イ/´
               -=ニ`ト .    -    .イ二ニ=‐- 、_
              r=ニ    =ニ二|`ト   _ . r |二ニ   ニ7 }ニ〉
             ハ マニ   ニ二ハ         !二ニ    / / /ヽ
.            / Vハ \     ニ二ハー-  -一 j二ニ   / / / ∧
            ′ \\\   ニ二ハ───‐/二ニ  //イ /
            |      \\\  二∧    /二ニ ///,/ ,/  1
            |   }八  {\\\ 二∧  /二 /// // ∧   |


                  ___,-、 _, ---- 、
               ,   ´     /  `  < ⌒\
               /        |    :.   `ヽ、
             /     / /   l|    V     `   、
              .'     / , { { | |     | 、   、_ \_
              |     | | | |∧| {   :  ハ  V  、\  ̄´
               | | {/--{ 从  | , |-|、 |  、 \`
            ' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、
          /イ{ { r 从 { Vソ   ∨' Vソ/イ |∧}
            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人    「き、緊急避難ってことで」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
              |////>、     | 「/|
              -=≦、[二]//l}    |、}l∧_
         -=≦///////////\   |/////≧=-
     r-=≦//////////////////|___j\//////////≧=、


        ,..-、_,.ィ⌒:.ー-、
        /:.:.ハ:.:..ハ::::i:::::::.::.:.ヾー:、
      /.::::::::トヽYハ!:i:|::i:::::i:::::::|:.:.:.ヽ
       !::|::|:::i|     }:ハ:ハ:::!:}:::i|:::::::..:i
.     ノ::|::i!::i:|   ノ-j;!‐!:|:i:::i:|:::::::::.:i
    人:i:::{:、ト|-_ r‐彳テiY |;:ィ::i,:_::::.::!
       仟ィiテ)⌒ー―'′ハ!:i'^ヽ::::!
         `┼'7        リ  /::ト!    「まぁ、制服プレイはするよな。な、京ちゃん」
.          | ヽ        ィイ:::::|
         、  -―‐    / }:!:::トヽ_
           丶  `゙  ,、 ゙ ′i リ!y′ |`ー-、_
          "',、__,,、ヽ     ! /   |     `ヽ
           // \     i /_    !     _冫ー、
           / /n  ハ    | \. |   /   ヾ、
     .   /   //ノ  {_ !  /f'"   \!   / :/:       i
      /    レ \_ |`  イ        ′:!:       |
      ハ         `ヽ  ノ       ハ /  /:  |


 ーーおとーさんは締め落としました



673 ◆Y.lj54HWGU2016/11/30(水) 22:13:18.80y4QCiZAwo (8/11)


 8/10


 ……
 …

 なんだかんだで咲に怒られて、許してもらった。

 子供には小さな頃からいろんな経験をさせるべきらしい。

 それはクリスマスであったり、今回みたいなハロウィンであったり。

 アニメや映画を見ないで育てば、感受性が育たないらしい。

 そうはなって欲しくないから、これからは可能な限りイベントを企画しようかな。


 ーーなーんて、考えていた時だった。


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    .//.:/.:.:.:..:.:.:.l:.:.::八.:.:.:.:.| ´  ∨ }.:ハ.:.:.:|.:.:.:.:.|:.:.:.:.丶
   /.:′|.:.:.:.:|.:.:.:|'⌒  \.:.{    ,.斗==ミ|.:.:.}:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.
  ./.:.i{.:. |.:.:.:.:|:.:.:.|      \  " 乂ソ |.:./.:.:.:ハ.:.:.:.:.:.:.:.:.
.  / .:八:.:{.:.:.:.:ト.:i:.| 斗=气      ´ "" }/ }/ |!.:.:.:.:.:.:.丶
 .:.:.:.:.:.:.:.:.イ.:.:i|::乂〃 Уソ             リ.:.:.:.:.:.:.:.:|
./.:.  '"   |i:.:.リ.:.:.:ハ ´""  ′        __/::}.:.:.:.:.:|:.:.|
´      |i:/.:.:.:.:.:::::::. ///      ///  /:::::i|::/.:.:.:.:.i|.:.:|
        /.:.:.:.:.:.:.:.:.:込、    ´ '      イ:::::::リ/.:.:.:.:.:八:i|   「ーー京ちゃん」
      i:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:|:::::::.....       /|::::::/.:.:.:./  :リ
      |.:.:.:.:.:.ト.:.:.:.:.|:::::::::::::>.、_     |:::::/.:.:./   ′
       八.:.:.:|.:| \:|:::::::::|i::_, く}        ト/.:/
       \{──<´ ̄  \\      |:イ \_
      /⌒      \    ::::\     |:::|  } =- .,_
      /            丶    、::::、   }:::}  }        、
.     /                 ::::  /::/
    /             `、     :::∨::/           ∧


 やけに顔を赤くした照さんに息を吹きかけられた。

 あまりに驚いて声をあげそうになるが、照さんの手に遮られる。


 「こんな夜中に大声を出しちゃだめ」

 「いや、なんでそんなにーー」


 距離が近いんですか。そう言おうと思った時にはもっと接近されてしまった。

 まるで首筋を舐めるかのように抱きつかれている。

 抱きつく、というよりは疲れ果ててのしかかられている感じだ。


 「……酒飲んだんですね?」

 「ハロウィンのテレビで」

 「飲めないって言わなきゃダメじゃないですか……」


 照さんはお酒に弱い。前後不覚になってしまうようだ。

 ビールのような苦いアルコールは一切ダメだが、甘いジュースのようなアルコールは飲める。

 今日も仕事の都合で少し飲んだんだろう。


 「今日はハロウィンだね」

 「そうですね」


 お菓子をもらえるなんてイベント、照さんが見逃すはずがない。



674 ◆Y.lj54HWGU2016/11/30(水) 22:13:47.65y4QCiZAwo (9/11)


 9/10


 「トリックオアトリート」

 「あー、ごめんなさい。

  子供達にお菓子をあげちゃったから余ってないんですよ」

 「……そう」


 照さんは黙り込んでしまう。

 あー、明日お菓子を買って帰らなきゃダメかな。

 しかし照さんは、今までに見たことがないような妖艶な笑みを浮かべていた。


 「じゃあ、イタズラしなきゃいけないね」

 「……?」

 「ん、京ちゃん」


       _. . . . :´:  ̄ ̄ ̄ ̄: `: : : . 、
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:|: : : :|: : : : : : : :{ { ∧: : 从{ {/ 「¨≧、  }:/: : :, : /: : .': :}_: : : \
:|: : : :|: : : : : : : :乂__)∧: :|       /r' Y〃: /: /: : /: :/ ` ー '
:|: : : :|: : : : : : : /     Ⅵ    〈ソ  /イ /:イ: : :/ }/
:|: : : :|: : : : : : :,′    \        乂 /: : イ /
:|: : :八: : : : :|: {                ノ'/
:|: : : : :l : : : 从|   、             /   ぱ
从 : : ∧: : :| }'    \       ,ィ-く       く
{ \:.{ \:j     ∧、`: .     イ¨´ゝ \ ,
  | \  \   / ノ }: : /:7´: :/    `\乂
  | ̄ ̄\  --/  ` <:∧:{
  |     \ /       `<
  |      /             >- 、
  |   , -/       ,. <>´/⌒,ム
  |   /      ,. <> ´ イ     マム
  |_/     ,. <>´> ´:.:.:/     マム
 ィ介ヽー― ´> ´イ:.:.:.:.:.:./        ∨}


 そう言って照さんは、どこからともなくポッキーを取り出した。

 それを咥えると、もう片方を俺に差し出してーー


 「ん」

 「いや、ダメですよ!?」

 「イタズラ……」


 どうやら完全に酔っているようだ。

 結構強引な感じで体に乗りかかってくる。

 これは、非常にまずい!


 何より、後ろから殺気がするのがーー!!



675 ◆Y.lj54HWGU2016/11/30(水) 22:15:04.26y4QCiZAwo (10/11)


 10/10


              _____
          ,. . : ´: : : : : : : : : `: : . 、
        ,. :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ、
      /: : : : : : : : , : ,: : : : : : : : : :\: \
     /___,__: : : /: /__{:|: : :|: : : : : ヽ: ヽ
    ' __,./_/___/_/|:|__|--==: V : : : V: ::.
    /: :,: : : l : |: :|{ -| |-:l:| : : |l{,:-|--:|、|: : : :V: :
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  / イ|:l': : : :{: | ,ィチ雫ミ  \_:、 ィチ雫ミ: |: }: :| : |
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     |: : :,: :{人 弋zり     弋zり ノ'}: /}: ,: |
     |: :∧:乂l}         ,         /イ ノ/}/
      l/ \叭                 ムイ://
           ゝ     ´`      イ}: /}'    「おい」
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                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
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            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ    「はい」
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
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          , <///////////\   ///////////> 、
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        . :´: : : : : : : : : : : : : : : : :` 、     イ
      /: : : : : : : : : / : : : : : : : : : : : : .    ニlニ
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       i| : : : | ∨ 八:ト、: : | N: リ: : :|l : : |
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      /:リ \N '~⌒``     ´⌒``〕/ ;__: :八
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    .: /:__: : : :圦 lヽ  r    ┐  // /: : /): :\
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    .'  |八 :\\__| .!>  __ . イ´ 、__フ‐<ヽ.: :| \:|    「えへへー、京ちゃん犯し!」
.     .′ V.rヽ _|___       |   /_〔 ̄ | V    〕
        //.へ`ー-:.、Υ   八      l  |
        |{/´ ̄〕    !、___/ヽ    /' \
.         八   '′   l    /  ∧  〈 、   \
      /   \    .'.  /   /_   ∨´   \
     / -‐== /   ∧  / /   :_   :./⌒ヽ. >
    \............./    =- V / -‐=':._    ∨ヽ__/
      Υ⌒/    .′.:〔二〕´     :._    V´/
      |ニ/    :   ∧〔\    八    ∨
      |_V      .! :/ N'  \    个:、_/


 カン!



676 ◆Y.lj54HWGU2016/11/30(水) 22:15:32.79y4QCiZAwo (11/11)

ほのぼの宮永家


677以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/30(水) 23:38:04.78b7UUqM0q0 (1/1)

超すばら!!!


678以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/30(水) 23:38:40.13LvOzihbA0 (1/1)

乙。

一応ほのぼの?(一部除く)


で、京の旦那は咲ちゃんに悪戯(意味深)したのかな?




679以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/30(水) 23:51:08.23+RNeyIvzo (1/1)

乙です


680以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/11/30(水) 23:57:51.77Ss3i7h/ho (1/1)

そろそろ原点回帰もいいよね


681以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/01(木) 01:58:03.00cr1gYWqN0 (1/1)

乙です
や京咲N1!


682以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/01(木) 02:44:01.938d6DS5PP0 (1/1)


イタズラする松実姉妹とか


683以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/01(木) 21:12:05.76He+Q62TDO (1/1)

乙です。

仮装で仮装大賞思い出したから年始にそれ見て子供が出たいと言い出す話とか。


684以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/05(月) 00:18:47.26wYQlzVWM0 (1/1)

咲がスク水とネコミミが似合うアラフォー実家暮らしの仮装をする?


685以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/05(月) 17:21:18.79/hdTOtmP0 (1/1)

ああ^~


686 ◆Y.lj54HWGU2016/12/06(火) 01:48:24.70kFyDAuQpo (1/11)


 1/10

 444
 【衣おねーちゃん参上!】-お金持ち次元-


 ある日、龍門渕高校に激震が走った。

 それは京太郎からの一通のメールが原因だった。


 『透華姉さん。うちも女子団体戦に出られそうだよ。

  これでそっちとはライバル関係だな!』

 「……な、なんですって!?」


 驚愕する。清澄高校の女子麻雀部は廃部寸前だったはずだ。

 京太郎には悪いが、京太郎が全国に来ることはないと思っていた。

 約束は覚えている。『全国で姉たちと麻雀をする』と言っていた。

 しかし現実は甘いものではない。麻雀慣れしていない京太郎が全国に来るのは不可能だと思っていた。

 個人的に龍門渕の付き添いで連れて行くくらいならば構わないかーーそうタカを括っていた。


 そう、今年の夏は『他の姉二人』に振り回されないと思っていたのだ。

 自分のいないところであの二人が京太郎と接近する。考えるだけで恐ろしい。

 おそらくは全国大会の会場でR-18展開が行われ、ついにこのスレもR-18板へ移動となってしまうだろう。


 ーーだからこそ、京太郎が全国に行く確率が可能な限り低いことに安心していたのだ。


 「ハギヨシ」

 「はっ」

 「今すぐ清澄の女子部員を調べなさい!」

 「畏まりました」


 いや、落ち着け。

 深呼吸を一つして、ハギヨシに指令を出す。

 京太郎の恐ろしいコミュ力で女子麻雀部員を連れてきたとしても、精々人数合わせが関の山だ。


 「この龍門渕透華率いる龍門渕高校を破って全国に行けるはずがありませんわ!」


 自分の強さには自信があるし、切り札もある。

 万に一つだって可能性はないはずだ。

 ーーだが、万に一つなくても那由他の彼方に一つの可能性があるならば


 「それだけは、防ぐ必要がありますわ!」


 絶対に、阻止しなければならないのである。



687 ◆Y.lj54HWGU2016/12/06(火) 01:48:53.80kFyDAuQpo (2/11)


 2/10


 ……
 …


             ,..-/:.:.:::.:/.::::..:!:..:.:..:.:\
              //.::.:::/:/:::::::::::::::::::::..::..:.ヽ
           〃//:/:/::/::i::|::::::::i::l:::|::::::::::::..:i
          〃/:/::i:::i::ィ:::/!.:!:::::::|::|:::|:::..i::..:. ..|
           〃/イ./::::|::i:/!::ハ::|::::::|:::!ハ::::|::::::::::|
           !| |i レ:::::::|i::!‐廾‐|:::!、::!:/---、|::リ::::::|
         | !ノi::::::i::!:|.ャ伝テ、:けメ、迂テァ∧|::::|
           |::!::|:::!ハ      iハj   iイ /|:::!:!   「入部したのはインターミドルチャンピオンの原村和。
.              |ハ|::|:ト、!       ;      !ノ::|::ハ:!
           | !ハ!ハ丶 u  ′   /::::/レ' リ    宮永照の妹の宮永咲、こちらは元プロの娘だそうです」
             | ′ iヘ丶 `  ̄´ イ:/レ′
                 )|__\_/__K
               /:L_\ /_/\
           ,...-イ::::::∧  ̄7::!< ̄ /:i:::::\-、
    __,...-‐':´:::::::/::::::::i::::i  /:::||:::、 /::::i:::::::::丶::`ー-..、
   /::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|::::::i /::::| |::::Y:::::::|::::::::::::゙、:::::::::::::`:::...、
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   !:::|:::::::::::::::::┌-、.二/::|::::::::::`t' ケ´::::::::::|::\∠-‐'7::::::::::::::::/:::i
.  |:::::i:::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::|::::::::::::::.、/ ::::::::::::::|:::::::::::[|:::/::::::::::::::::/:::::|
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      /  .|ヽヾ、7/ i|     ヘ_/^ヽヘヘ
     /    |,⊥ミ∨/l|      ト、  └ユ
     !    .i    ト、  ヘ ヌ二¨   ヽ   !
     l    |L_   ゝヽ_/>ャ=ヽャ‐   \-、
     i   '7_,.≧=- }} ′ `   ヘ.    \ヽ
     j   ff'"⌒ヽ ノ   、_,.ィi レ、    l ヘ!
.      ノ   7弋   , ,    爪从 . i    l
.    イ    ハ  tt彳′        l j    ∧    「どうしてこうなった……」
   //   ! ト、       _   ‐ュ   /7   ∧ヘ
.  /,ハ    ヽヽヘ   f二´-‐'' "   / /    / ヘ ヘ
  { { ヘ    丶 ゝ _       /∨  /   ヘ ヘ
  ヘ!  ゝ     \  `  ┬-‐'  /!  ィ′     ヘ ヘ
       丶、_  \  广弌irく  l l 〉────'┼‐-、
         !| \   Y/ /V ≦ヽl ∨       l   ト
         !|   ハ l| ィイ' 7ソトミ、 ヽヽ ヽ.       l   l
        厶イ  j ∧/ //ハヽ\∨lルl       l
       f´ i   ノ/ ∧∨//  ヾ 、 ゝ'.ノ         l


 ハギヨシが一晩でやってくれました。

 思わず普段の畏まった口調すら崩れてしまうほどに動揺する。


 「な、なんでそんな漫画みたいな展開になってるんですの!?」

 「そこまでは……」

 「それに宮永咲といえば、京太郎のお友達と聞いていました。

  まさか麻雀ができるなんて思いもしませんでしたわ」

 「以前お嬢様にお伝えした内容は宮永咲の性格ですので……。

  過去や家族構成まで調べてみると麻雀の申し子としか言えません」

 「なんで! 京太郎が! 入部した時に限って!

  そんな展開になるんですのー!?」

 「須賀様も何かを引き寄せる力を持っているのかもしれませんね」


 とりあえず状況は最悪らしい。

 自信はある。しかし相手もまた強者だ。

 原村和には幾度となく煮え湯を飲まされているし、『あの宮永照の妹』となれば警戒せざるを得ない。

 一体どうすればーー



688 ◆Y.lj54HWGU2016/12/06(火) 01:49:22.31kFyDAuQpo (3/11)


 3/10


          Ⅶ::::::|  ./:::::::::/
          ∨::::|  /::::::/
          _.. -‐∨:「 7:::/-.、
      /  x≦Ⅵ/;.くx    \
    ./   ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`    ヽ
   ./    /  /           ハ
   //    !  ハ   | ト.  ハ ヽ   ',
  i,イ / / |r‐ T!   |!TT ヽ i!  !  !
  { | |! |イハ .ハ   ト、!ヘ  `ト} |  |
   ! i! | |.,イ乞ぅヘ  { ィ乞ぅxリ .,'   !
   ト从 N《 う:::r} `ーヽう::::r} 》イ   !    「騒がしいな」
   |  \{_.乂zン      乂zン ||   ∧
   l   圦      '       .小    ∧
  ./   /'  \   ‐   . イ |∧    ∧
  /   /      `ト  -‐ .i´  i! i! ∧    ∧
. /   /    /^ ァ v ャ ^\ i! |./ ∧    ∧

 「……衣?」

 「透華。どうしてそんなに焦っているのだ?」


 視線を下ろしてみれば、そこには金髪の少女がいた。

 その体格の小ささに似合わず、同等とした立ち振る舞い。


 「そ、そうですわ。

  龍門渕高校には衣がいますわ。何も焦る必要はありませんわ!」

 「透華、だから説明を……」

 「いえ、大したことではありませんわ。

  衣のライバルが出て来るかもしれない、それだけですわ」

 「ほう……」

 「衣、京太郎のためにも決して負けられませんことよ」


     /       |  | __/_」ト.   i! ハ_   .! i! |  |   ',
      i   !   || |/「 /  Ⅶ   Ⅳ´ヽ  ̄`トハ i!   !   |
      |  | |  ||ヘ. Ⅳ  ヽ ヘ  !  ´ }  /!| | |  !|   i!
      |  | |  ||  x≠≡ミ  \ { x≠≡ミxリ }!|  リ / |
      |  | |  |i! 〃ん::::::ハ   `\ん::::::ハヾ. ,リ / i!  i!
     Ⅵ i!ト、 从《 う:::::::oリ     う:::::::oリ 》//   |   |
       Ⅶハ`ト、ヘ. マZン      マZZン /イ   .!  i!
         }从八 `トヽ xxx        xxx   /    |   ∧
      /   iト、{      r:::7 ̄ ̄ !    /{     |   ∧    「京太郎が来るのか!?」
       /    |! 人      ∨   ノ    ,イ |    |   ∧
      ./    i!/  > .   ` ー ´  _ イ | |    |    ∧
     /       |!  /  _`rト __..   ´ ,ト、! ! !    ∧    ∧
  ./        i! ./   | \     / ^ { !∧    ∧._    \
. /    /´ ̄\_ .. イ   ゝv<    ゝ、 ∧    ∧ \     \


 『京太郎』の名前を聞いた途端、花が咲くような笑顔を見せる。

 見た目相応の子供らしさとも言えるだろうか。

 透華は内心、『かわいいなちくしょう』と思いつつも咳を一つして表情には出さない。


 「京太郎も麻雀を始めたそうですわ」

 「ほう、衣『おねーちゃん』に対抗するつもりか?

  生意気な『弟』だ」


 ニヤリと笑みを浮かべ、『おねーちゃん』と『弟』という単語を強調して発声する。

 衣は高校二年生。京太郎は高校一年生。

 決して埋めようのない差が存在する。

 どんなに京太郎が大きくなろうとも、衣の背丈が変わらないとしても、衣が姉であることには変わりがないのだ。



689 ◆Y.lj54HWGU2016/12/06(火) 01:49:51.72kFyDAuQpo (4/11)


 4/10


 ……
 …

 2年前の話だ。

 京太郎と透華は同じ長野住まいと言うこともあって気軽に交流できる。

 その辺りは他二人の姉よりも優れている。

 最も、その二人の姉も頻繁に長野に来るので油断はできないのだが。

 この日は京太郎を龍門渕に招いて世間話などをしていた。


 「透華姉さん、社交界って面倒だよなぁ」

 「そんなことを言っているといい男になれませんことよ。

  清濁飲み干してこその大人ですわ」

 「難しいこと言われてもわからないよ。

  挨拶周りも面倒だし。

  あ、でも菫姉さんと智葉姉さんに会えるのは嬉しいかも」

 「……本人の前では言ってはいけませんわ」

 「なんで?」


 天然タラシ、というには子供っぽい部分が多い。

 そんな京太郎でも、あの二人にとっては何かの琴線に触れたらしく、ベタ惚れの様子。

 一度惚れてしまえば理由なんて関係ないのだろうが、その辺りの機微は透華にはよくわからなかった。

 とりあえず、その発言をしたら最後、ホテルに連れ込まれてもう帰ってこれないことだけはわかった。


 「……あ、透華姉さん。

  こんなところに子供がいるよ」

 「えっ?」

 「俺もあれくらいの時から連れてこられてさぁ。

  やっぱり面倒だったなー」

 「……衣!?」


 そこにいたのは天江衣。透華の親戚だ。

 やんごとなき事情で龍門渕で引き取り、幽閉されている。

 京太郎と引き離す意図はなかったのだが、自分の父があんな少女を幽閉していると言う事実を教えたくなかった。

 そんな気持ちからこれまで京太郎と衣が出会うことはなかった。


 「子供ではない!」

 「へっ?」

 「子供ではない、衣だ!」


 京太郎の発言に気がついたのか、気づけば怒りながらこちらに走ってきていた。

 衣は子供扱いされることを極端に嫌う。

 それは本人の容姿であり、過去が原因であるのだが京太郎にそんなことがわかるはずもない。



690 ◆Y.lj54HWGU2016/12/06(火) 01:50:21.16kFyDAuQpo (5/11)


 5/10


 「透華姉さん。この子は?」

 「子供ではないと……」

 「京太郎。衣は私と同い年ですわ」

 「……えっ!?」

 「なぜ驚くのだ!」

 「だって、さぁ?」


 京太郎は同年代の男子の中でも長身に当たる。

 対して目の前の少女は非常にちんまい。腰をかがめなければ見下ろす形になってしまう。


 「トーカ、この無礼者は何だ!」

 「私の弟分ですわ」

 「なんかこそばゆいな」


 京太郎は何だか恥ずかしそうに頬を掻いている。そんな京太郎を見て透華も何だか恥ずかしくなってしまった。

 それを隠すように京太郎から目を背けると、衣に向き直る。


 「衣にとっても弟のようなものですわ。

  良かったら仲良くしてあげてくださいな」

 「ふん、無礼者に語る礼などない」

 「うーん……」


 透華としては衣と京太郎に仲良くしてほしい。

 衣は事情があって幽閉されている。透華としては何とかしてあげたいものだが、こればかりはどうにもならない。

 今は屋敷に友人を集めることによって衣の相手をさせている。

 京太郎もその一人になってもらえればと思ったのだが、肝心の衣がヘソを曲げてしまった。


 「京太郎様」

 「ハギヨシさん!?

  ど、どこから」

 「少しお耳を」

 「はい。

  つーか様付けとかやめてくださいよ……」


 どこからともなくハギヨシが湧いて出たかと思うと、京太郎に耳打ちする。

 透華としては何が何やらと思ったが、ハギヨシにならば任せてもいいだろうと納得する。

 その間にでも衣の気持ちを変えなければならない。

 京太郎のコミュニケーション能力ならば、きっと良い関係になれるはずなのだ。

 それは衣にとってもいいことだし、透華もいろんなストレスから解消される。

 そんな後ろ暗い打算を考えてしまうことを嫌に思いつつ、ハギヨシに任せた。



691 ◆Y.lj54HWGU2016/12/06(火) 01:50:50.23kFyDAuQpo (6/11)


 6/10


                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
           /   ,    , / /|  |  :.  | | |    ∨
         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \
                    | ∧ U         ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //     「『衣おねーちゃん』?」
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
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                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
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  /           ∠  -───-ヽ \
  /     /     ´              ヽ
. /      /      /          \  \   、
/      /      /   /     l     \ヽ、\  ハ
     .′   | /  / ,イ   |   }  } ハ  ヽ  !
     l     | {  ハ/ |   ,!   ノ Xハl | l } |
      ′    { 「¨丁≧ト、/|   イ小 } | } イ ′
    /       `ト ァ=テ≠ミ、7}  .;ィ≦ア// /レ }/
    /      /《  ん.:cl  // !:cjレイ / /
   ,/       ∨    ヒ'tツ    ┴'イ/ィ′
   ハ      l   : :::::: :    ' :::::八 |
  〃イ      ; ト 、 u    __ _  イ   !     「!?」
  l| |     l |  丶、  ´    <「|  |
\|| |     | |>  、 7lー≦}|-─‐'、  |
  || |     | |__/`Yヽ、 }}」- ─┐∧
  || |     | l─ >r─r≦─── | ヽ'.
  || |     | |  -‐}  j二ヽ、    /   ハ 、
  || |     l∧/ _ノハーf ̄   \ イ   l: | \


 衣がピクリと反応する。

 京太郎はハギヨシに言われた言葉をそのまま口に出しただけだったが、思いの外効果が大きそうだ。


 「男」

 「俺?」

 「い、今何と言った?」

 「えー、こ、衣おねーちゃんって」


 恥ずかしそうに頬を掻いている。

 中学二年生ともなればそう言う関係を恥ずかしがる年頃でもあるし、自分より年下にしか見えない少女にそれを言うのも恥ずかしかった。

 しかし、そこはコミュ力の化け物たる須賀京太郎である。

 透華の反応、ハギヨシの言葉、そして少女を怒らせてしまったと言う事実。

 数少ない情報から『怒らせてしまったし言う通りにしよう』と言う結論にたどり着いたのだ。


 「も、もう一回」

 「衣おねーちゃん」

 「もう一回!」

 「衣おねーちゃん。……ってもう勘弁してよ」

 「名は何と言う?」

 「須賀京太郎だけど……」



692 ◆Y.lj54HWGU2016/12/06(火) 01:51:19.67kFyDAuQpo (7/11)


 7/10


                  \::::::::∧    /:::::::::::/
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             ., '    ∠>―`´ ―<_ヽ     ヽ
            //        /     ヽヽ `     ',
              // / / / /  / |  i!  ', ', ハ ハ  i!
           ' ' / / /_/  /!/!  ハ  |!|i!_ ',  i! ∧
           |.ハ ! /|  i!|「 >く/' !  ./ハ /リリ} !i リ  ∧
           |! i! i!ハ !  i!{xィ乞ミト/ イィ乞ミxリ ./!   ∧
           {∧ |i 从  l《 う::::r'}'    う:::r'} 》 / .!   ∧
          /  从. `ト、{ 乂zン     乂zン/イ  |    ∧   「トーカ! 衣もきょーたろーを弟にするぞ!」
        /  /    ト.ハ      _'_      /i!  !     ヽ
       /   /,. -―-._ 込、  f´:::::::::`i  ,.イ i!  i!`ヽ    \
     //  //       ||:| > ゝ._ .' <`Y´|  i!!  \.  \\
    //  / /    / i i:i    >v<   〃 .!  |ハ ヽ ',.   \\
  , ´/   /  /   /   f=ニニニ=.r‐r=ニニニ=|  ∧  \!_    \\
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            ∨乂   \            |/ j' リ
            }∧ ー:.          `   ムl/
            /  、 八 U   _ _   人     「?」
               }イ/|\        /
              「<l|  `  .__/_
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 めっちゃチョロかった。



693 ◆Y.lj54HWGU2016/12/06(火) 01:51:48.50kFyDAuQpo (8/11)


 8/10


 「きょーたろー!

  衣おねーちゃんが何でもしてあげるぞ!」

 「あ、あのー、透華姉さん?」

 「京太郎。何となく察して弟になりなさい」

 「あー」


 重ねて言うが、京太郎も年頃の男の子である。

 多感な時期に見た目幼女な姉が出来ることは恥ずかしい。

 しかし、透華とハギヨシの真剣な眼差しを断れるほど気は強くない。


 「わ、わかったよ」

 「うむ! それでいい!

  衣を呼ぶときは必ず『衣おねーちゃん』と呼ぶのだぞ!」

 「い”ぃ”!?

  せ、せめて衣姉さんじゃダメ?」

 「ダメだ!

  衣はおねーちゃんだからな!」

 「と、透華姉ぇー……」


 思わず透華に助けを求めるが、透華は穏やかに笑うだけで取り合わない。

 非常に単純だが、衣がこんなに嬉しそうに笑うところを初めて見た。

 衣の過去、そしてコンプレックスを考えれば自明の理である。

 常に子供扱いされることを嫌っている衣が、自分より大きな男の子に姉と呼ばれた。

 チョロいとしか言いようがないが、衣の心の隙間を埋めるには十分だったようだ。


.    /!/////////|´     , イ三三/三二ニト、  \
   / :!/////////:,     /彡' ´         `ヽ   \
    |//////////∨     ´            ヽ       ヽ
    |/////////∨   |              ', V ::ヽ ヽ ヽ::',
    l////////.∨     :!        :| |   :! | ::', V  l ::l .::',.ヘ
   ',/////////     :| l ::l |  :|l :| !   | |∨_!_ :l ::|  .:| i
    V//////,'   :i   | !  レ! ‐┼ l |  |イ V l:l ',`:| ::l l :! !:|
     V////:7   :|   ! ,' イ!/,'  / j,' |  l j!イ ,/ ! ハ ,' | l !|
     ',:////l|  /!   V| / ´ !/ /   .::/ ' j/_ j/!l /j i :/ /'
      V://. li   l´    i.|,'  ´_== j/   /⌒` |/|//
      ∨| ||  ', l   l  /'´ ⌒`      /// l /
.      ',:!. ,:!  iN   .:',   ////      `      j |    「きょーたろー、衣おねーちゃんのおかずを分けてあげるぞ!」
.         | , |  i i   :',          _,    イ :|
.         ハl   :| :!  :ヘヽ       ̄      イ:|
          ハ:j   :| :!   ::', l >  _  _  <  ! !   |       l!l!l!!
.         ハ   i  |   :',j       「!  |  :| |   .ハ     j!l!l!|
         ハ   :|      |      ::ト---ヘ‐L::」 _  .:ハ    /  '
       ハ  _,' イ|    |       `   _∧∨  ヽ ',  l /
      ,' /   ー:i    ::!_        /  ! |    ', ', //
      / /       |   :| `ヽ    /      | |     l r∨/


 衣が自分の大好物のエビフライすら分けてあげている。

 最も、さすがの京太郎も遠慮はしているが、衣が喜んでいるのが伝わってくる。


 「何だか、私まで嬉しくなりますわね」


 透華の中に残っている、衣に関する罪悪感。

 少しだけ楽になれた気がした。



694 ◆Y.lj54HWGU2016/12/06(火) 01:52:17.83kFyDAuQpo (9/11)


 9/10


 ……
 …

 それから京太郎が龍門渕に呼ばれるたびに、衣は京太郎と遊んでいた。

 衣にとっては麻雀と関わらない相手というのも新鮮だったのだろう。

 まるで本当の姉弟のようにーー兄妹に見えてしまうのはご愛嬌ーー二人は仲良く過ごした。

 京太郎もおおらかで、恥ずかしいだろうに受け入れてくれたことも大きい。


 「本当、自慢の弟ですわ」


 透華は鼻が高い。

 幼い頃から『格好いい男の子』になるための教養を身につけさせてきた甲斐があったというものだ。


 「ふむ、きょーたろーの高校もインターハイを目指すのか」

 「ええ、手ごわいですわよ」

 「ふふっ、衣おねーちゃんに敵などいない!

  きょーたろーには姉の威厳を見せてやろう!」

 「頼もしいですわ。

  確かに。衣がいれば百人力ですわ!」


 そうだ。牌に愛された子である衣がいれば負けなどあり得ない。

 仮にインターミドルチャンピオンの原村和が相手であれ、宮永照の妹が相手であれ、衣の方が強いに違いない。

 それに、透華とて負ける気は無い。

 透華の理念は目立ってナンボ。原村和より目立って完全勝利するつもりに変わりはない。


                        /:.:.:/
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      /   / /   l  /  / l   l   l ヽ    ヽ        ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
      .l   l  l   l  /  /  }  / }   l  l    .l i          `丶、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
      |   l  l   l /  /  / / /i   .}  l    .l l            ` 丶 、:.:.:.:.ヽ
      l   l  l   l {  /州/ / / }  /l  l  l l  } }               `丶、:.ヽ
     l   l  l   l小 z≠=ミ/' / //=リリ  i i //                   ゞ
     .l   l   l   l.Y´/:l:.:.:.} l   //.rfハヾ } .// //
     l   l   ll   〃 {_}:.:.j .l     {_}} ,ノノ/'/ /
    .l   l   l l   l  ゝニン     l::.ノ/ l  l
    /   /   l .l   l        丶  i .l  ll   「大船に乗ったつもりでいるといい!」
   /    /   l l   l      、__   ノl l  l.l
  ./    /    l l   l. >、     <l l .l  l l
. /    /     l l   .lヽ_.`i - ´ }  l l ',  l i
/    / . -- _ - ´l    l__7-ミ-<⌒ l l  ヽ ヾ
    //´    ヽ l    l:.:.:.:.:.Y::ノ--、:.:`ヽリ\ ヽ ヽ  /⌒⌒\-、

                   l´    ,'::\ヽ∨//_ ヘ:l:.   ',
                   l     !| ̄  ̄/' ´     ',ト::    ',
.                    ,'   Ⅵ    /'        l!∨   ',
                  /   :,'_!|__.{(   _≦千‐<へヽ
.                 //レ//「 ',l -- ´ \   ‐‐ /  ',iヽヘ`ト、
                 //ノヘ // -ヽ_‐   |  , ====ミ  !|:: :: `\
               //  :::i! ! '´ ̄ ̄`  /      ` jレi::: :::.  ', \
.              ///   :::|ヘ.',        '        /!´ !::::   ∧ `',
              // {    ::::|  ト     ー-....‐:::丶l    ,'  }:::   ノ  i!
.             l ! ヽ   :::\.ヘ    ',::::::::::::::::,'     -'/:::  /ヘ. j!
              ヾ / \   ::ヽ人    ヽ:::::; -'-‐っ /「/:::  :::   ∧
.              ∨  ::\  ∨!>   . /, ィ≦ イ  /:  ∧::    ヘ    「これで一安心ですわ!」
              /   ::/ ヽ :∨::_レ ´ ヽ _.,ィl }┤ ::|:::  / ∨    \
.             /    /   !_ |/  \  ヽ'‐ヘ」つ、:!:: :{  ::\    :::\
              /  --‐‐ フ::::::ヽ       /´__   l  ├──-ヽ _  ::\
.           / / \ イ::::::::::::::::::::ト  r‐‐   {/ /   ヽ::: \     |  `.i \ ト、
.           /  !  イ⌒ヽ:::::::::::::::::∧ヽ    __ 、イト 、   / \ ヽ   l      \ \



695 ◆Y.lj54HWGU2016/12/06(火) 01:52:47.33kFyDAuQpo (10/11)


 10/10


 ……
 …

 ・夜、スカイプにて


      /:./{ミミ:.:.:.彡≧:.:.\
     /:.:/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\i
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  |:.:|:.八 :.:./7:/|/ ノ|:.:.:. /| |:.|:.:|:.:.:.:.:.ハ
  |:.:|:.:.:.:.Tイ示气   ̄ 示气T:.:.:.:.:.:
  |:.:|:.:.:.:.:. ` ヒ...リ     ヒ..リ |:.:.:.|:.:.|
  |:.:|:.:.:.:.:∧           :.:.::.|:.:.|
  |:.:.\:.:.:.∧     '    .::\:|:.:.|
  |:.:.:.:. \:.∧    --    ム:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.:.:.:.:.:≧:.::..、     イ :.:.:.:.:.|:.:.|    「ほう、天江衣とは是非話してみたいな」
  |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| > <| :.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.|:.:.::.:.:>-j     f\:.:.:|:.:.:.|:.:.|
  |:.:.:.|>イ  く       }l |:.:.:.|:.:.|
  |:/      \_  __|l i:.:.:.|\
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    {:::::::{ヽ /\::::|ヽ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
    ∨::∧/  _,ヽ| ヽ.!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
     ∨:::∧ /灯  /}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',   「京太郎を弟にするならば協定を守ってもらわなければいけないな」
     \\∧∨   ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ __
       \. 〉      ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>、
          ノ       |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
          ヽ -    /::::/ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: \ ̄ `ヽ::::::',
            ` - ./::::∧ //\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\  ヽ::::',
               {/|::} 〉/////\::::::::::::::::::::::::::::::::::',\  〉::}
               |} |///////// \:::::::::::::::::::::::::::::::', ヽ }:/
                  |/////////////ヽ:::::::::::::::::::::::::::::',


          / \_/\-―‐-y'´ \
         /-‐y'"  ,ヘ ヽ  / ∧   \
          /     ! \ヽ/ //i     ヽ
           ,:!.     |'"´`゙ y''"´ ´|      i
            | |     i |   /′   | i    .|
.           i |     ハ|   〈.!    | |    |
          !/   / |!   ヾ、   |ハ    |
          /    廾ー-_、__,  )!、_,._-‐┤  .゙、   「ーーーー!!!?!?!?!?!」
         /   /./ fr、))  /′ fr、i) ゙、   `、
       /.イ   ∧|  ゛'"     `゙'"  ト、    丶
.      ///    ハ._ヾ⊂⊃      ⊂⊃ !人   ヾ、、
      i/ i ,i  〈  `,!             / .リ )  i、 ヽ!
.   /リ 、ソ   Y´;/i\.  ∠ニゝ ,..イ   /   |ノ ノ
  /      >、  ヽ!   `ー---イ´|:.:.:`ヽ/    / \
/   /:Y´:.:.:\   \       / |:.:.:.:/     イ、   \


 ーーなお、守るべき人が増えて、透華の胃は壊れた。


 カン!



696 ◆Y.lj54HWGU2016/12/06(火) 01:53:16.41kFyDAuQpo (11/11)

とーかおかーさん、情操教育に必死
京一とか好きなんだけどシチュが浮かばんなぁ


697以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/06(火) 02:00:51.88MxOE0tDHo (1/1)

とーか頑張れ…
しかしこのころたんだと最初は慢心しててもお姉ちゃんパワーで覚醒しかねないがどうやって勝つんだ…?


698以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/06(火) 02:09:57.94fdnPMK4To (1/1)


ころたんかわいい


699以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/06(火) 02:48:51.67Thvih8tN0 (1/1)


更にのどっちと言う地雷も抱え込むのか


700以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/06(火) 06:56:04.00e0lulr3Uo (1/1)

乙です


701以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/06(火) 18:07:51.363byuALbD0 (1/1)

乙です
お姉ちゃんパワー満タンの衣をどうこうするには、咲が完全に魔王化でもしないと…(どう足掻いても闇堕ち)


702以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/07(水) 01:09:06.32uNeFJny20 (1/1)

乙でした!!


703以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/07(水) 02:06:14.72TtOvPQ3l0 (1/1)

乙です
京小で傾国な九尾を降ろしてしまった姫様がイケ魂である京ちゃんをロックオン


704以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/07(水) 08:20:17.703z7EUMAn0 (1/1)

おつー
>>703
その九尾、あわあわ言ってませんかねぇ……


705以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/07(水) 08:53:56.93DS8z56Hn0 (1/1)

迫られるとあわあわしだすチョロさに定評のある方の九尾様だな(確信


706以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/09(金) 14:50:22.26HRGk8rQXo (1/1)

乙です
お金持ち次元まってました!
とーかには本当に頑張ってほしい


707 ◆Y.lj54HWGU2016/12/10(土) 21:43:12.11/bw8oZ8Fo (1/11)


 1/10

 445
 【夏休みの追い込み!】-京穏次元-


 受験生にとっての夏休みは遊ぶ時間ではない。

 自分の考えた進路に向かって頑張る時期だ。

 もちろん、高鴨穏乃にとっても例外ではない。


 「ここはこうで、こうしてこうで……」

 「しずー、終わったー?」

 「あー! 憧が話しかけてくるからわからなくなったじゃん!」

 「私が話しかけたくらいで集中力が途絶えてるならまだまだよ。

  本番じゃ緊張するんだから、手癖で解けるようになっときなさい」

 「うぐっ。

  憧のくせに正論を……」


 1日の授業を終えて勉強するのと、1日中自由な時間から勉強時間を捻出する。

 人によってどちらが大変かは分かれるだろう。

 時間があるからこそ遊んでしまったり、自分を制御できなかったりする。

 穏乃はそういうタイプに当てはまる。家の手伝いなど、忙しい時には頭が働くのだが、時間があるとサボってしまうのだ。


 「ほら、須賀くんと一緒の大学に行くんでしょ?」

 「うー」

 「一年の頃から頑張ってたんだからもう少しじゃない」

 「憧はすごいよなー。

  そんなに余裕で……」

 「ま、私は私で目標があるからね」


 穏乃が勉強している後ろで呑気に女子高生向けの雑誌を読み漁っている。

 ベッドに体を預け、薄いワンピース一枚のみを羽織っている。

 暑いからか棒アイスを咥え、足をパタパタと動かしている。


 「憧、なんか……」

 「?」

 「なんかやらしい」

 「はぁ!?

  そんなこと言う口はここかー!」

 「なんだよー!  自分ばっかり成長してー!」

 「どこ見て言ってるのよ!」


 もちろん胸である。



708 ◆Y.lj54HWGU2016/12/10(土) 21:43:40.99/bw8oZ8Fo (2/11)


 2/10


 「憧は私と同じ持たざる勢だったのにさー」

 「ふふん。バストアップ体操のおかげかもね」

 「私もやろうかな」

 「須賀くん、おっきいのが好きそうだもんねー?」

 「それは関係ないだろ!?」

 「胸の大きさ気にしてるのってそれが原因でしょ?」

 「そ、そう言うことも……あるけどさ……」

 「はいはい沈まない沈まない。

  穏乃は穏乃の良さで須賀くんの好感度は高いんだから」

 「そうかな」

 「そうなの」


 思い切り伸びをしてシャーペンを放り投げる。

 なんだか勉強する気分じゃなくなってしまった。


 「そーいえばさー」

 「んー?」

 「憧の胸が大きくなったのって、東京行ってからだろ?」

 「そういえばそうね」

 「都会に行って胸が大きくなるのかぁ」

 「しずも行ったじゃない」

 「なんで大きくならないんだろ」

 「そんなこと言われても」


 都会に行くと胸が大きくなる(意味深)


 「大学に行くときはさ」

 「うん」

 「思いっきりおめかしして行きなさいよ?」

 「なんで?」

 「ギャップ萌えって奴よ。

  須賀くんが穏乃に対してどう思ってるにしろ、いきなり女の子らしい格好を見せたらドキッとするでしょ」

 「そうかなぁ」


 穏乃は少し考えてみる。

 まずは女の子らしい自分を想像してーーダメだ、この時点でうまくいかない。

 とりあえず自分の親しい知り合いが急に女の子らしい格好になるところを想像してみる。

 男の子顔負けで遊んでいた女の子が、急に女の子らしい格好になる。

 あれ、なんだかデジャブがーー



709 ◆Y.lj54HWGU2016/12/10(土) 21:44:10.63/bw8oZ8Fo (3/11)


 3/10


  /: :/: : /: : :/: : : : /: /   ヽ: : : : : : ヽ: : : : : :V: : :V: : : : :ヽ
  /: :/: : /: : :/ : : : /: :/    ヽ:、: : : : : i : : : : : : V: : V: : : : : ヽ
 /: /: : :/: : :/< : : ハ: !     }:ハ: : : : :ハ: : : : : :ヽ: : } : : : : : : ハ
 : // : /: : :ハハ:\:! {:{     }:レイ: :√}: : : : : i: }: : !: : : : : : : :ハ
. {:ハ: : l: : : ハハ: : i ̄{{     ̄/ ハ:ノ  !:!: : : :ハj : ;′: : : : : : : ハ
 Vハ: :ハ: : ハ〃rV/云       〒冗示ミ j:ハ: : /: : : ': : : : : : : : : : :}
    ∨ V: ハヾ{7///}      {7///} 〉 /:/ヽ: :/: : : : : : : : : : : }
        ハ:ハ 弋//ソ       弋//ソ イ: !  }:/: : : : : : : : : : :}: :}
       {: :ハ ,:,:,:,:,        ,:,:,:,:,  }: :} /: : : : : : : : : : : : ハ: }
       |: :| !      ′       u }: jイ: : : : : : : : : : : : : :} }:j
       |: :| ヽ     、_,、_,        /}:.j ヽ: : :! : : : : : : : : : ! i:}   「それ、憧じゃん」
      l: :l   >    ヽ ノ      ´ト //  !: : j: : : : : : : : : : Ⅳ
      ヽ:ヽ   r≧....._  <..-‐: ̄//}  }: : ハ: : : : : : : : : :}
       ヽヘ   〉::::::::゙Y ̄::::::::::::::::::::彡::ヽ j: :ノ }: : : : : : : : : :}
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 「なんで私なのよ!」

 「だって、小学生時代から考えたらビックリしたよ」

 「普通の女子中学生ならオシャレに目覚める年でしょ!?」

 「そうかなぁ……。

  玄さんとか宥さんとか灼さんとかあんまり変わらないイメージが」

 「そのあたりは特殊だから忘れなさいっ」


 女子だけで集まってしまえば、二つのパターンに分かれる。

 一つは自分たちの想像の中の男の子に合わせるためにオシャレを磨くパターン。

 一つは女同士だからと女磨きを忘れる喪女パターン。

 悲しいかな。部活という空間に隔離されてしまっていた阿知賀女子は後者のパターンだった。

 逆に環境の変わる女子校に行った憧は前者のパターンだ。

 最も、彼女はもともと自分の想像の『王子様』を妄想する癖があったのだが。



710 ◆Y.lj54HWGU2016/12/10(土) 21:44:40.29/bw8oZ8Fo (4/11)


 4/10


 「とにかく、男はギャップ萌えに弱いの!

  これは間違い無いんだから!」

 「なんかイマイチ例えがダメだった気がする」

 「宥姉がデートのためにちょっと生足が出るような格好をして来たらグッとくるでしょ?」

 「熱でもあるのかと思うよ」

 「……そうね。私もそう思うわ。

  じゃあ玄が頑張って……、いや、なんでも無いわ」

 「玄さんならドン引きするくらい前準備しっかりしそうだよ」

 「あえて言わなかったのに……。

  じゃあ、普段私服のセンスが壊滅的な灼さんがデート用のちょっと小洒落た服を着てくるのはどう!?」

 「あー」


 それならなんとなくわかる気がする。


 「普段からクールで付き合っている彼氏にもデレないんだけど、デートの時だけはちょっと奮発して頑張っちゃうのよ」

 「それは確かに可愛いかも」

 「でしょ。

  女の子らしい服装をして、表面上はいつもと変わらないクールな表情を見せているの。

  でも、よく見ていると顔を赤らめて俯いている感じで」

 「憧、なんか少女漫画みたい」

 「うっさい!」


 なんだか灼さんに謝らなければいけない気がしてきた。

 卒業してからは連絡を取っているわけじゃないけれど、彼氏が出来たりしたんだろうか?

 あの灼さんに彼氏が出来て、そんな女の子らしい一面があるってわかったら。

 ーー確かにそれは可愛いかもしれない。


 「でも、それって私でもできるのかな」

 「出来るわよ。

  だってしず、普段着飾らないじゃない」

 「動きづらいもん」

 「ファッションなんて我慢してナンボでしょ。

  冬の女子高生がどれだけ寒いのを我慢して生足見せてると思ってるのよ」

 「あんまり寒いと思わないから」

 「そりゃアンタは動き回ってるから寒くないんでしょ!」


 適当に会話を誤魔化しながら考えてみる。

 ちょっと無理して可愛い格好をして見たら京太郎はどういう反応をするだろう?

 会っていきなり褒めてくれたりして。

 いや、それは恥ずかしすぎる。

 灼さんみたいに一見興味なさそうだけど、顔を赤らめてたり。

 こっちかもしれない。



711 ◆Y.lj54HWGU2016/12/10(土) 21:45:09.29/bw8oZ8Fo (5/11)


 5/10


 そんな風に考えていたら、憧がニヤニヤしながらこっちを見ているのに気づいた。


 「しずー」

 「な、なんだよ」

 「百面相しちゃって、だーいーたーんー」

 「な……っ!」


 顔に出ているのをしっかり見られたようだ。

 一体どんな顔をしていたのだろう。


 「まったく、どっちが『少女漫画みたい』よ。

  しずのほうがリアルに少女漫画みたいな付き合いしてるくせに」

 「う、うるさいな」

 「須賀くんが喜んでくれるなら、ちょっとやってみない?」

 「い、言われなくても」


 和から色々聞いていると、京太郎は女の子らしい女の子が好みらしい。

 今の自分を無理に変えようとまでは思わないけれど、ちょっとくらいのお洒落ならするつもりだ。

 さすがに憧ほど気合を入れたものとなると難易度が高いけど。


 「そーいえば、憧は勉強大丈夫なの?」

 「ボチボチってとこね。

  そんなに躍起になって行くようなレベルの場所じゃないから」

 「あれ、憧って頭いいからすごいとこ狙うのかと思ってた」

 「偏差値は高いわよ。

  でも、大学以外にも目標出来ちゃったからね」

 「へぇ?」

 「だからとにかく頭いい大学に行こうって気は無いの」

 「そうなんだ」


 ちょっとだけ一緒の大学に行きたいな、なんて思ったけれど口には出さない。

 口に出さないあたり自分でも成長したと思う。

 かつて中学時代、憧に無理を言って阿知賀に来てもらった負い目がある。

 あの時は前だけ見て突っ走ってしまったが、こうして勉強し始めるととんでも無いことをしてしまったと思うようになった。

 大学受験は人生の転換点だ。その後の人生にも大きく影響する。

 それなのに『和と遊びたい』なんてふわふわした理由で誘ってしまった。

 後悔とまではいかないが、ちょっと負い目に感じてしまうのも仕方ない。



712 ◆Y.lj54HWGU2016/12/10(土) 21:45:38.06/bw8oZ8Fo (6/11)


 6/10


 「なにテンション下げてるの?」

 「別に下げてないよ」

 「しずはわかりやすいんだから、誤魔化すのなんて無理よ」

 「……憧が晩成行ってれば、憧の受験はもっと楽だったのかなって」

 「そうしたらアンタは須賀くんに会えなかったし、こうして勉強もしてないでしょ」

 「うぐぐ」

 「私も楽しかったし、これで良かったの」


 憧としては阿知賀に来たことを後悔していない。

 確かに予定は狂ってしまったが、阿知賀に来たからこそ得られたものがある。

 この親友に振り回されるのも、これはこれで楽しいのだ。

 乙女しずなんてレアなもの、こうしなければ見られなかっただろう。


 「そう思うなら、大学に行って須賀くん落として来なさいな」

 「わ、わかってるよ」

 「おっ、恥ずかしがらないか」

 「今更だよ。

  私だって、初めて会ってから二年間ずっと想ってるんだ」

 「なんだか焼けちゃうわね」

 「もう散々からかわれてるんだから、少しは耐性つくよ」


 この二年間、本当に大変だった。

 遠距離で、片思いで、初恋。穏乃はこの気持ちに散々振り回された。

 とにかく一緒の学校に行きたいという思いから勉強だって頑張った。

 今までの人生で考えたことがないような毎日が始まった。


 「もし、和の麻雀を見なかったらさ」

 「うん」

 「きっと、憧と再開しないで、阿知賀に行っても玄さんと再開しなかった。

  灼さんと宥さんと会うこともなかった」

 「そうね」

 「インターハイに行って、京太郎と会うこともなかったんだね」

 「ふふっ、まだ勘違いしてる」

 「?」

 「しずったら、大学合格がゴールじゃないでしょ。

  須賀くんと付き合えるかどうかはしず次第なのよ」

 「ーーあっ」


 なんだか感慨に耽っていたけれども、その時初めて気づいた。

 そうだ。同じ大学に行くことだけを考えていたけれども、それがゴールじゃない。

 一緒の大学に通って、交流を深めて、付き合うところまでいかないといけない。

 そして付き合った後はどうするのか?

 そんなことまで考えたこともなかった。



713 ◆Y.lj54HWGU2016/12/10(土) 21:46:07.03/bw8oZ8Fo (7/11)


 7/10


 「う、うー」

 「はいはい。心配しなさんな。

  しずが須賀くんを想って三年間頑張ってたって真正面からいけばイチコロよ」

 「そうかなぁ」


 穏乃は自分の容姿に自信がない。

 目の前にいる憧や宥、家庭的な玄が周りにいるからだ。

 平均的なレベルが高いと、自分に自信が持てなくなる。


 「しずなら深く考えないで突っ込むくらいでちょうどいいの」

 「なんだよそれ。

  私だって色々考えてるんだからさ」

 「はいはい」


 憧にしてみれば京太郎もなんとなく穏乃を気にかけていることに気づいている。

 そもそも、二年間もメールや電話がメインで付き合いが続いているのだ。

 数度会って遊んだだけの相手でそれだけのことが出来ると言うことは、悪い思いは持っていないはず。

 そう考えると大学入学がゴールと思っていた穏乃はあながち間違ってないだろう。

 最も、面白いから今はそれを教えてあげないけれどーー。


 「これでも、お菓子くらいなら作れるし」

 「須賀くんってタコス作れるらしいわね。

  料理上手だったりして」

 「え”っ」

 「合格が決定したら、今度は花嫁修行ね」

 「あ、憧ー!」


 思いっきりからかえるのはきっと今だけだ。

 大学が変わってしまえば今みたいな付き合いはなくなる。

 もしかしたら中学時代みたいに疎遠になってしまうかもしれない。

 だからこそ、今のうちにたくさん遊んでおきたい。憧はそう考えていた。

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714 ◆Y.lj54HWGU2016/12/10(土) 21:46:36.45/bw8oZ8Fo (8/11)


 8/10


 「憧も東京の大学行くんだろ?」

 「そうね」

 「それなら、今みたいに遊べるかな」

 「今みたいにってのは無理じゃない?

  でも、お互い誘えば遊べるでしょ」

 「うん……」


 前のように疎遠になるのが嫌なのか、穏乃は寂しそうに憧を見ている。


 「私は和と一緒の大学だから、呼べば三人で会えるわよ」

 「はは、それは勘弁したいけど」

 「なんでよ」

 「憧、和と組むと暴走するし……」

 「何よ。須賀くんを落とすためのオトナの女性のテクニック、知りたくないの?」


       ,. :´: : : : : : : : : : : : :`:ヽ、-.、
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  {:ハ: : : :i: i`'ト:L__  vi:,レへ:{\: : : }:!: :/: : : : :ヘ
   ハ: : :ハ! V      レ   ` V: /:}:./: : : : : : ハ
    ヽ: ハ 三三      三三三 i:V: :.ハ: : : : : : : : :ヽ
     V: } ww       ww   }: : : レi: : : : : : : :ハ:ヘ
       i:{     、_,、_,、_,    u イ: : :/ !: : : : : : : :ハ:i
      V>. 、_ ー―'  z≦  !:. :/  }: j : : : : : :} ヽ   「大丈夫かなぁ……」
        ヽヽ: ヽ {::::エニ彡:::::ニ:}_/l: :/  |:∧: : : : /:}
          _ゞくトニiiニニ-:´ノ::::レく   レ i: : : :ハi
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  {: :i .{ ヾ:{ v::リ `゙`^  , , ,  i!:}冫ノ:.7: : : ,     }:}
  i: :i ヾ `} `” 丶         i!:iノ: :7: : : : .,     .i: :i
  l: :l    ', ' '  r-、      ,i!:i: : 7: : : : : : ,    i: :i
  l: :l     ,   v_ソ    / i!:i: 7: : : : : : : : ,   i: :i
  l: :.l     }: : . ,    /  /i!:i:7: : : : : : : : : i   i: :i   「失礼ね!」
  ヘ: :i     i: : : : /`ー '  //: i!i`ー-  ,_; : : : i  .i: :i
  ヾ:.i     }:/: /:./ゝ}  r、 7: : i:i      `゙ 、  i: :i
   ヾヽ    ソ: :., イ{/ヘ,,,ノ }.7: : /ii    /    , i: :i
    ヾヽ  /: : :/-、7ヽ/≦7: : , i   , '     }  i: :i
     ヾ.∨: : /;;;;;;;ゝ=;;;;;;;;}7: : :,     {      , ノシ
      /: : :./{;;;;;;;ンニ、;;;;;;7: : :{   {  ,'      l‐'"
    ,ノ: : :ノヾヘ;;;ノ ヾヽ;;{: : : {   ヘ/       ,
  , ': : :,   `゙^〃  `'"ヽ: : :i   ミ{i
ノ:´:イ: : :,    〃     ヽ: {   ゝ}      ,
'"´ {: : :{    〃 ',      ヾヽ   ,'{


 「こちとら少女漫画と恋愛雑誌を読んで百戦錬磨なんだから!」

 「それ、模擬戦だけじゃん……」


 前に色々あったことをもう忘れたんだろうか。



715 ◆Y.lj54HWGU2016/12/10(土) 21:47:05.11/bw8oZ8Fo (9/11)


 9/10


 「なんにせよ、疎遠になりたくなかったらしずから誘いなさいよ」

 「うん、そうする」

 「麻雀だってまだまだやりたいし、インカレでは敵同士だからね」

 「憧と敵になるのかァ。

  それはそれで楽しそう!」

 「もうフォローはしてあげられないわよ?」

 「わかってるって!

  それはこっちも同じだし」

 「どー言う意味よ」

 「そのままの意味だよ……」


 確かに穏乃を嗜める憧という図は多かったが、憧の恋愛脳を嗜める穏乃という図もまた大きい。

 それはそれとして、今度は憧と敵同士で戦う。

 穏乃の闘争本能に火がついた。


 「絶対、負けない!」

 「こっちも彼氏持ちには負けないわよ」


 少し気が楽になった。

 さて、勉強に戻ろかと思ったが一つ気になることがあった。


          /: /: : : : : : : : : : : : : : : : : :`:ヽ.、
          /: /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
       /: : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
      ,:´ : /: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
       /: : : ': : : : : : : : : : / : : : : : : : : : ∧: : : : : : : : : : :ヽ
      ,:´: : : :!: :ヽ: : : : : : :/ : : : : /: : : : :/ ヽ:、: : :ヽ: : : :ヽ:ヽ
    /: : : : : :!: : ヽ: : :\:/: : : : : ィ: : : : :/  ヽ:レ:‐:┼: : : : ハ:,
.   /: : : : : : :V: : : \ : / : :_∠i:l―: !:!    iハ: :ハ: : : : :ハ!
  /: : : : : : : : :V:、: : : : :i:i: : : :/ {ハ: : ハi    _レzレ !: : : : ハ!
  /:/: : : : : : : : :ヽ:\: : :ハ: : : i _彡示i      ん゚:}"/: : ノ:ノ ′
 /:/: : : : : : : : : : :∨⌒ヾ!`N:〃ん/ハ      {r:ソ ,: :ィ レ
. /:/: : : : : : : : : : : :ハ     !:.{゙ 込/ソ      `´,,, i: : j
./:/: : : : : : : : : : : : { \   {: !  ,,,      `  ハ :/   「そういえば、憧の言ってた目標って何?」
i:.ハ: : : : : : : : : : :/: |   ̄>: !     ┌‐  7   イ/:/
{:ハ: : : : : : : : : :/: :{  _/iハ:!ヽ     ヽ ノ ∠__/:/_
{:! !: : : :>::: ̄::: ̄::/:::/  ヽ i:!  `7―-,イ::::::::::::レ::::::\
{:! V: /:::::::::::::::::::::::/::::/    \   ノ  }::ヽ:::::::::::::::::::i::::l
`ヽ ∨:::::::i:::::::::::::::/:::::::i    / ヽ/ \  }::::ヽ:::::::::::::::::i::::}
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                  /               \
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         : : |    |:\ハ 《 _)汽   \イ忙汽トミ|:│7: : : : :|   | : |
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       |: : |    │:| :ト i /::/  ,     /::/:: | : jノ| : : i : |   | : |
       |: : |    │:| :|八     ___      |: : :│: : i : |   | : |   「聞いて驚きなさいっ!」
       |: : |    厶,| : : : 丶  ∨::::ノ   ィリ /: :゙: : : i : |   | : |
       |: : |  〃 八: ∨: /i:i> _..   ´ Ⅳ:∧/ : : : :!: :|   | : |
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716 ◆Y.lj54HWGU2016/12/10(土) 21:47:34.45/bw8oZ8Fo (10/11)


 10/10


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         从:八:{ム,イ _斧`    イ _)斧ヽ}:イ/_: /: : : : : :.
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              ∧::::::::::\:::::l|:::::::::::::イ::::::::::::::::∧: : :/


 カン!



717 ◆Y.lj54HWGU2016/12/10(土) 21:48:03.09/bw8oZ8Fo (11/11)

ここ一ヶ月くらい咳と吐き気が止まらなくて不定期更新になってすまんなー
次いつこれるかわからんからリクエストも募集するよー。新次元でもいいけど出来るかわからん


718以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 21:48:04.84UVpGPvsuo (1/2)

乙。

シズが一瞬で真顔になったwwwwwwwwww


719以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 21:52:05.82dkEfsUxRo (1/2)


勧誘されてたなww

それはそれとして京豊次元を所望する


720以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 21:53:02.08UVpGPvsuo (2/2)

腐じゃないひめさまとの京蒔次元を!


721以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 21:54:38.74wOtwyuyxO (1/3)

乙です

リクエストあったはずなんだけどど忘れした
取り敢えず京ネリー次元が見たいです


722以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 22:01:01.510gKAgqzNO (1/1)


おねーちゃん風をビュービュー吹かすころたんが見たいです


723以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 22:05:31.45dkEfsUxRo (2/2)

純真で何でも素直に信じる豊音を守護る京豊次元で


724以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 22:11:01.79ysVKt9/DO (1/2)

乙です。

いろんな次元が混線しちゃってカオスな全国大会とか面白いんじゃないすかね。知らんけど。


725以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 22:13:31.25wOtwyuyxO (2/3)

乙です
牌のお姉さん候補のまま終わってくれると平和なんだけどなあw


726以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 22:14:13.88zoqu/XOzo (1/1)

あれ?ここのアコチャーやらかしてたよな?なんか真っ当なんだけど…と思ってたが根本的には変わってなくてある意味安心
他の次元でも単発でもいいから京一見たい

咳だけ続いて吐き気までしてるとかだったら気管支の痒みやアレルギー、喘息なんかが考えられるし病院行った方がいいよ


727以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 22:15:02.19wOtwyuyxO (3/3)

初めてID被った


728以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 22:15:15.13ysVKt9/DO (2/2)

リクした後で思い浮かんだが、そういえば明確な肉体関係らしきものがあるのって京咲と京淡と京霞(新訳じゃない方)だけなんだよね。
他の次元のその辺の関係も気になるなー何て。


729以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 22:21:18.1344nTwjffO (1/1)

乙です
……ハルちゃんの事も言及してあげてw
京咏次元と言うだけ言ってみる


730以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 23:27:59.67VSDIshqDo (1/1)

乙です


731以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 23:43:51.27IwpC0VJ0o (1/1)

乙です。
この二人のどっちかが牌のお姉さんになったら絶対やらかすだろww
やべぇよやべぇよ。


732以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/10(土) 23:43:52.77Y0TTKdZTo (1/1)

乙ー


733以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/11(日) 01:36:13.683C329nswO (1/1)

おつー

そして、病院行って下さいそれ
ジジババ相手のとこより、比較的設備の新し目のとこで見てもらった方がいいかも


734以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/11(日) 01:51:54.534ovLhYEa0 (1/1)


未来のアラフォー候補か
リク
・霞色次元和解後で親子で温泉旅行
・のどあこ次元でアルコール入りのジュース(?)を飲んで酔った松実姉妹が京ちゃんの布団に入る、酔ったすこはやとのどあこが宮永家の麻雀卓で決定戦


735以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/12(月) 00:36:38.82+sv0dMUJ0 (1/1)

乙です

京永水次元で京ちゃんときれいな六女仙達が幼馴染でインハイの手伝いで永水勢と共に行動(姫様を起こし春には黒糖料理を出し霞さんと一緒に買い物に行きはっちゃんを迷子の呼び出しで呼ぶ)し清澄と遭遇(魔王降臨!恭子ちゃんが飛んだ!すこやんのリミッターが外れた!)


736以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/12(月) 22:50:32.88LwEhGdQf0 (1/1)

京明華次元 中学時代に知らない少女明華をかばい怪我をしてハンドボール生命を絶ってしまった京太郎とその事で慕情と後悔に悩む明華に明華なんかに絶対に負けないと気負う咲さんの三角関係


737以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/12/12(月) 23:10:53.70gyTmDdBSo (1/1)

徐々にNo.1に調教される京ちゃんがみたい