259以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/05/28(日) 01:41:46.01IEvOSkjqo (1/1)

>まるでアトラクション
ちょっとメタな視点でいくとプレイヤーにとっては本当にアトラクションなんだよなぁと思ってしまった


260以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/05/28(日) 09:17:17.52DzEJNhKxO (1/1)

フレンドパークでしょ(誤差)


261以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/05/28(日) 16:35:57.29gZWls8TY0 (2/2)

ペンデュラムに跳びつき、生み出される推力を利用して上の石橋に跳び乗った二人。
石橋の上で早速始めたのは、死体漁りだった。


コブラ「蛇の頭に四本の腕に三本の波打ち刃か。古代宗教芸術史にこんな奴がいた気がするぜ」

レディ「この剣…」チャキッ…

ヒュン ヒュン


レディは蛇女の握っていたフランベルジュを手に取ると、その場で二、三度軽く振った。
炎とも例えられる大剣は、片手で振るには幾分重すぎる得物だったが、アーマロイドの腕力に掛かればまるで羽毛のように舞った。


コブラ「いけそうかい?」

レディ「この程度なら左手だけでも充分ね」

コブラ「そりゃ良かった」

レディ「あら?」

コブラ「ん?」

レディ「見てコブラ、あれってかなりいかにもじゃない?」


レディが指差した先には小部屋があり、宝箱と、そのすぐ後ろにある石積みの壁と、詰まれた石の隙間に紛れさせようと工夫された、小さい穴があった。
そして、小さい穴は宝箱を開けようとする者の額を、丁度射抜ける高さに穿たれていた。


コブラ「あーあ…一度破れた手を二度も打つかね普通」

レディ「どうする?私が先に行く?ボウガンぐらいなら私の体で弾き返せるわよ?」

コブラ「キミの体に当たったらボルトが粉々になる。ダーツの残弾は多い方がいい」


見え透いた罠にコブラは近づく。
宝箱を開けた瞬間に飛んでくるであろうボルトを入手するために。
だが思ったよりもボルトは早く飛んできた。


ガコン

コブラ「!」

ビュビュビュン!


仕掛けの起動スイッチは宝箱ではなく、コブラの足元の石板だった。
射出装置が発動するタイミングを計ったからこそ、そのタイミングを乱されたコブラはボルトを躱さざるをえなかった。
単純に反射を頼っていれば、こうはならなかっただろう。
ボルトはコブラの後ろに立っていたレディの体に当たり、弾かれて空間の闇へと飛んで行った。


レディ「フフフッ…してやられたってところかしら」


コブラはバツが悪そうに頭を掻くと、ため息をつきながら宝箱を開けた。
宝箱の中身は楔石の大欠片が二つだけだった。


コブラ「わざわざ宝箱にしまう程の物かねーこれは」

レディ「一応貰っときましょう?」


262以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/05/28(日) 18:55:03.85nnaxxMs7O (1/1)

罠の餌にそんな上等なものを使う必要はないということか……汚いさすがフロム汚い


263以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/06/27(火) 03:07:29.26HcZEJIGs0 (1/1)



ジークマイヤー「うーむ…うーむ…」

ローガン「いつまで唸っておる。貴公の微力で開けられるなら、とっくに私が牢を破っているだろうに」

ローガン「もっとも、飽きてはいるがここに居るのも悪くはないのだがね。死ぬことは無く、人間性も留めていられるのだからな」

ビアトリス「……先生」

ローガン「…ふむ、すまないが私は君の師ではない。そう呼ばれるとむず痒く思うぞ」

ビアトリス「すみません…ですが、先生と呼ばせてください」


ビアトリス「先生は何故、門下の者達を置いて不死の旅に出られたのですか?皆がいれば心強いでしょうに…」


ローガン「門下の者達、か……あの者らは勝手に私についてきたに過ぎん。君のように私を真似て大帽子を被りはするが、君のように真摯ではなかった」

ローガン「彼奴らがソウルの矢と魔法の剣を修得し、何を想う?使命のためではなく、探究のためでもなく、それら魔法はもっぱら他者を下す為にのみ振るわれているわ」

ローガン「もはや真にヴィンハイムの徒と言えるのは、未熟なるグリッグス。それとは別にヴィンハイムから去り、自立した異端の者らのみだ」

ローガン「そしてグリッグスも、真摯ではあるが黒の正装を纏うには能わん。あの装束は血塗られている。彼奴は私に憧れ、己に実績を重ねる為に修練し、結果としてあの衣装を与えられただけの者だ。戦いには向かずその力も無い」


ビアトリス「…………」




ガコーン…




ジークマイヤー「ん? むむむ?」


ゴロゴロゴロゴロ…




ビアトリス「……先生、それでは私では…」

ローガン「君?キミは……ふむ…」

ジークマイヤー「こ、これは!この音は!」ゴロゴロゴロゴロ…!

ビアトリス「先生!」

ローガン「キミは…うむ……なかなか…」

ジークマイヤー「おおおおおおお!?この音はぁ!?」ゴロゴロゴロゴロゴロ…!!

ローガン「さっきから騒がしいぞ!少しは静かにしてられんの…」


ドドドドガッ!グワシャアアァーーーーッ!!


ローガン「か?」




ビッグハットが荒げた声は、石壁が爆発的に飛び散る轟音に掻き消された。
振動でそれぞれの吊り牢は僅かに揺れたが、不死達の視界は鮮明だった。


ゴロゴロゴロゴロ!!!

コブラ「のわーーっ!!?」

蛇人「」

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!!


広大な密室を、大岩が破った。
大岩は砲丸の様に丸いが、その大きさは古屋ほどもあり、転がるそれには蛇人の礫死体と叫ぶコブラが貼り付いる。
その様子を、開いた大穴の奥からレディは心配そうに見つめていた。


264以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/06/27(火) 09:08:37.61ItGwOxuaO (1/1)

なにやってんのコブラさん!?


265以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/07/26(水) 02:44:40.48gvkSOEYi0 (1/1)

コブラ再開おめ


266以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/07/28(金) 01:08:30.45XzXNhDAw0 (1/1)

ジークマイヤー「勝機!!」ガバッ


何事かを閃いたカタリナの騎士は勢いよく立ち上がった。
同時に、背中からツヴァイヘンダーを抜いてもいた。


ジークマイヤー「はぁーーッ!!」ギャリリィン!


ツヴァイヘンダーは、騎士を囲う吊り牢の隙間から火花を散らして突き出され、転がる大岩の進路上にその刃先を晒す。
特大剣を握る騎士の手甲に力が入り、その手には予想以上の衝撃が伝わった。


ガッキィィン!!


酒瓶が飲み口を強打されて回転しながら宙を舞うように、ジークマイヤーの入った牢は吊るす鎖をたわませて、勢いよく錐揉みに回転しながら不規則に大きく揺れた。
牢は強固に作られ、魔翌力さえ込められてはいるが、それをろくに手入れもされないまま何百年と吊り下げた鎖に、同様の耐久力は残されていなかった。
蛇人は石壁すらも磨かない。牢の戸が一度でも開閉できた事すら奇跡だった。

べキン! ガッシャーーン!

捻れた鎖の一つの輪が千切れ、騎士の牢は大岩が通った後の石橋に墜落する。
一方、コブラをめり込ませた大岩は勢いを僅かにすら崩さずに転がり続け…

レディ「あっ!?」

ビアトリス「あっ!?」

ローガン「おや?」


そのまま、石橋の端に開いた、城の外へと続く横穴から落ちていった。


レディ「コブラーッ!」


一方、カタリナの騎士はというと、牢の隙間から手足を出して石橋の上に立つところだった。
だが、彼に気を配る者はいない。


ガッ!


皆の目線は、横穴の縁に掛かった掌に集まっていた。
そして縁から這い上がるだけの力を残せた、赤い男の恐るべき胆力にも。



コブラ「全く薄情な奴らだぜ。同じ蛇だからって味方ごと潰すのは無しだろ」グググ…

レディ「コブラ!」

コブラ「よぉレディ。流石の俺もさっきのでメシを戻しちまったらしいぜ。出来れば助けてくれると嬉しいんだけど…」ハハ…

レディ「お馬鹿さんね!もちろん助けるわよ!」ググッ


ローガン「なんと…こりゃたまげた…」

ローガン「い…生きているというのか?……あれだけの衝撃を受けて…」


コブラ「ジェット推進機が付いた鋼鉄の義手でぶん殴られるのと比べれば、あんな大玉はカワイイものさ」

レディ「グズグズしてると次のが来るわ!はやくこの橋から出ましょう!」

コブラ「おっとそうだった。でもその前にやる事があるかもな」




267以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/07/28(金) 06:40:10.49WvBu1wjDo (1/1)

あれで戻ってこれるとかコブラさんすげぇ……


268以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/03(木) 22:53:44.44Cm4Psuiw0 (1/1)

石橋の左右に吊るされている牢には、現時点で三人の不死が囚われている。
そのうちの一人にはもはや意思はなく、身体を動かすための筋肉も思考も無い。
その者はソウルを溜め込んでいるだけの屍に過ぎず、だからこそコブラはその屍に目をつけた。

ダッ!

コブラは屍を捕らえている牢へ駆け出し、格子越しに屍に触れてソウルを抜き取ると…


ジャキィン!


ジークマイヤー「な、なんとぉーっ!?」

ローガン「これは…!?」


サイコガンを抜き…




ズオオォーーッ!!!




その強力無比なサイコエネルギーを銃身から迸らせた。




バゴォーン!! ズババーッ!!

放たれた威力はローガンとビアトリスを縛る牢の錠前を粉々に粉砕し、ジークマイヤーに絡まる牢をも破ると…

ドグワアァーーーッ!!

大岩が転がり込んできた横穴にぶち当たり、崩落によって大岩の侵入口を塞いだ。



ビアトリス(こんなことまで出来るのか…)

レディ「やるじゃないコブラ。ソウルのコントロールにも慣れてきたんじゃない?」

コブラ「まだまださぁ。じゃじゃ馬が過ぎて振り落とされそうだぜ。今のだけでもどっしり疲れた」


ジークマイヤー「き…貴公…その手はなんだ?…何をしたんだ?」

コブラ「なあにちょっとした演し物さ。コレで喰ってる大道芸人とでも思ってくれ」

ジークマイヤー「大道芸…」

ローガン「そんな言葉で惑わせられはせんぞ。見たところ義手に触媒を仕込んでいるようだが、そのような触媒も、先ほどのような魔法にも私は見えた事がない」

コブラ(鋭いじいさんだな。俺の左手を義手だと見抜くとはね…)

ローガン「貴公は一体何者であるのかな?」

コブラ「そうだなぁ……海賊、って言ったら信じるかい?」


ローガン「海賊?……そうか海賊か。ははは」

ローガン「確かに、それほどの術はおいそれとは教えられぬだろう。私がキミでもやはりはぐらかすか」

ビアトリス「いえ、彼の言葉に嘘はありません」

ローガン「ほう?」

ビアトリス「コブラ、貴公について知りうる限りを師に伝えたいのだが、構わないか?」

コブラ「OKだ」





269以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/04(金) 10:11:21.65RAuQIgWQO (1/1)

ビアトリスいてよかった
コブラだけだと話がこじれたかもしれん


270以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/11(金) 18:16:46.79kybEzBqc0 (1/1)

数分後




ローガン「」ガクガク…


ビアトリス「…という事でして、つまり、信じがたいことですが、このロードランの外には人の地の他に空間的、時間的、あるいはそのどちらにおいても無限の広がりがあり、その広がりに散らばる無数の次元から、このコブラはやって来たというのです」

ローガン「」ガクガク…

コブラ「それで本当に伝わってるのか?難しい言い回しをするから爺さんが混乱してるぜ」

ビアトリス「仕方ないだろう。私の口からでは惑星という概念すら上手く言えないんだ。大地が実を伴う巨大な球形で、それが重力だのを持ちながら互いに支えあい、空中に存在しているなど……自分で言ってても訳が分からない」

コブラ「でもこの爺さん、かなりの賢人ぶりで有名なんだろう?キミが言ってたんだぜ?」

ビアトリス「そうは言ったが…このお方なら分かると思ったんだ…」

ローガン「………」ブツブツ…

ジークマイヤー「何か呟いているぞ」

レディ「どうするコブラ?岩が転がってくる事も当分ないだろうし、放っておいても大丈夫なんじゃない?」

コブラ「だとは思うが、こっちとしても色々知りたいことがあってね。俺としては…」


ローガン「ふふ……ふほほほほほほ…」


コブラ「?」

ビアトリス「せ、先生…?」

ローガン「素晴らしい…! 礼を言うぞ…! ありがとう…! 本当にありがとう!」

コブラ「礼だと?」

ローガン「永らく考えていたのだ!ソウルの根源とその行方、生誕の由来を!無より生まれたのではない!持ち込まれたのだ!」

ビアトリス「先生なにを…」

ローガン「そうでなければ、神でさえ有限なこの世界で、普遍的なソウルと人間性の流れは生じない!双方にも力の根源が必要なはずだ!」

ローガン「そして恐らくその根源に際限はない!無限だ!我ら魔導の士は無限を探らねばならん!無限を探るのだ!それが宇宙だ!」

ローガン「コブラ!貴公は宙を行く船で宇宙を泳いだと言ったな!それゆえ己を海賊と!」

ローガン「その宇宙は深く、多くの惑星を収める深海であるのだろう!だが海がそれらを収めるなどあり得ない!海などくだらん魚しかおらんではないか!」

コブラ「そんなこと言われても困るぜ。俺は…」

ローガン「はっ!!?」

コブラ「!?」


ローガン「………」プルプルプル…


コブラ「………」


ローガン「そらだ!!!」


コブラ「………」



ローガン「宇宙は空にあ…!!」



ジークマイヤー「ふん!」ボグゥ!

ローガン「」ドサッ

ビアトリス「おい貴様!何をする!」

ジークマイヤー「ここは敵地!こんなに騒がれちゃたまらん!」

ビアトリス「………」


271以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/11(金) 21:39:57.66+j5uG0YFo (1/1)

宇宙…悪夢…赤い月…青ざめた血…うっ、頭が


272以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/12(土) 06:57:01.83Bl7UmF/ro (1/1)

ローガンさん頭よすぎひん?
まさか宇宙と書いてそらと読むとこまでちゃんと理解できるなんて


273以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/12(土) 07:01:03.467LqCpRD0O (1/1)

ジークマイヤーさんに殴られたらローガンさん死んじゃうと思うんですけど


274以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/13(日) 16:12:30.43ijCzIJbbO (1/1)

ローガンさん啓蒙高すぎィ!(だからすぐ発狂する)


275以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/13(日) 23:14:52.49dcY0oEoX0 (1/1)

コブラ「あらら…」

レディ「大丈夫なの?」

ジークマイヤー「峰打ちだ。私はカタリナの騎士だぞ?騒いだからと言って叩き斬る東国の騎士達とは違う」

ローガン「」

ジークマイヤー「…も、もしかしたら死んでいるかもしれんが、心配ない!死なんから不死なのだ!」

ビアトリス「先生が亡者にでもなれば、貴公、分かっていような」

ローガン「」ピクピク

ジークマイヤー「よ、よし!ほれ見たことか!」

コブラ「こりゃ痙攣だぜ。プレートで固めた拳で殴ったりするからだ」

レディ「もうめんどくさいわ。貴方がやったんだから貴方が担いでね」ポイッ

ジークマイヤー「ちょっ、お、おい」ドサッ

レディ「ついてくるんでしょ?文句言わないの。それに他に行くところもないのではなくて?」

ジークマイヤー「………う、うむ」



コブラ「あーあ、こりゃまた前途が暗いねー…」



負傷者を一人抱え、四人はコブラのワイヤーフックを頼みに、壁を進む事にした。
その様をコブラは「ターザン」と言い、レディは「スパイダーマン」を例に出したが、三人の不死には何も分からなかった。
一人は意識が無く、残りの二人には余裕が無かったのだから。


ゴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

ジークマイヤー「だああああああああああああああ!!!」

ビアトリス「とっ、とめろ!!何やってる!!」

コブラ「ヒャッホーイ!」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!




スタッ



コブラ「到着だ。シートベルトは外していいぜ。ところでここはどこだ?」

ビアトリス「訳もわからず飛んでいたのか!!?」はぁはぁ

コブラ「だってワイヤーフックだもぉん。地形をてっとり早く把握するには地形の最頂部に行く必要があるが、それをワイヤーでやるには壁を蹴って遠心力を生まなきゃならない。そのGに怪我人を背負った重装備のこいつは耐えられないぜ?」

ジークマイヤー「………」ぜーぜー

ビアトリス「何を言っているのか全然分からん!説明してくれ!」

レディ「タマネギは皮剥いて食べましょうって事よ」



ゴロゴロゴロゴロ!!



レディ「また大岩よ!」

コブラ「全くやんなっちゃうね!走れーッ!」ダッ!

ビアトリス「あーもうっ!」ダッ!

ジークマイヤー「ちょっ…ちょっと待って…」ダッ!

蛇人「ギ、ギャギャ!」ダッ!

ビアトリス「なんだコイツ!」

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!


276以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/14(月) 13:56:44.39UNx4aqV2O (1/1)

ジークマイヤーさんあの装備で身軽なアクションは無理があるな……


277以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/14(月) 13:59:34.16pNqhZZFmO (1/1)

ジークマイヤーさんは玉ねぎ装備に隠れてるけど実は想像よりめっちゃマッチョかも知れない


278以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/15(火) 07:51:10.33ORM0W59C0 (1/1)

コブラ(マズったぜ、ここは下り坂だ!俺たちより岩の方が速い!)


一本の坂道を大岩が転がる。
坂道の右手側は石壁、左手側は崖であり、とても足場があるとは思えない。
コブラはカードを切るしかなかった。

ダン!

走り幅跳びの要領で跳躍後、空中で身を翻したコブラは…

ジャッ!

滞空中に0.5秒でブーツからマグナムを抜き…

スチャッ

0.5秒で構えを終えた。
大岩がジークマイヤーにおぶさるローガンの帽子を削り始める。
そしてマグナムは放たれた。


ガウーーン!!


ビアトリス「!?」


ドグォーーッ!!!


衝撃波に触れただけでも、対象に小型ミサイルの爆風と同等のショックを与える弾丸は、大岩を砕き、石壁に穴を穿った。


コブラ「くっそー、一発撃っちまったぜ」

ジークマイヤー「?…?…なんだ?天の助けか?」

ビアトリス「貴公、今度は何を…」

コブラ「おっと!そいつは後まわしだ!」

蛇人「シャーッ!」ババッ!


命を助けられたとも知らず、また多勢に無勢とも分からずに、蛇は一行に斬りかかる。
体躯は大きく、首が長いため、その蛇が男だという事をコブラは見抜き、さらにその無闇な攻撃性を行動から推察した。
そして頭の悪い怪力馬鹿を一瞬で黙らせる方法を選択し、タイミングを見計らうこともせず振り回した。

ゴォッ!!

ガギィーーッ!!

金属塊をも貫通するコブラの鉄拳は、巨剣を振るい、蛇男の大鉈を叩き折って突き進み…

グシャアアッ!!!

大岩に潰されようが潰されまいが、どの道そうなっていたであろう形を、蛇男の頭に与えた。
カウンターだった。


レディ「横穴があったわ!さぁみんな急いで!」

ジークマイヤー「あ、穴があったら入りたい…」

ビアトリス「そんな事言っている場合か!早く来い!」



道行く者を轢き潰す坂を抜け、五人は横穴に転がり込む。
通る瞬間に、一瞬だけ霧の抵抗を受けたが、手で掻くと抵抗はすんなりと彼らを受け入れた。
だがその感覚は、コブラにとっては不吉そのものだった。


コブラ「こりゃアスレチックなんてもんじゃねえな。健康ランドだ」

ジークマイヤー「はぁ、はぁ、こんなに走ったのは久しぶりだ…」

ビアトリス「その鎧脱いだらどう?この調子じゃ鎧は役に立たなそうだ」

ジークマイヤー「何を言う!この鎧は我が魂!脱いだらそれこそボンクラになるぞ!」

ローガン「………」ぐったり


279以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/15(火) 09:00:15.795VfxndQ3O (1/1)

脱いだらそれこそボンクラになるってそりゃまあそうかもしれないけど自分で言っちゃいますかジークマイヤーさん……


280以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/16(水) 00:34:23.47uUDFYGclo (1/1)

このあと爆弾エリアだっけ


281以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/16(水) 09:43:45.25nFHYD3ER0 (1/1)

一行が入った小部屋には、侵入口の他にもう一本、石積みの壁と天井に囲まれた小道があり…

コブラ「!」ササッ

その先には蛇男が仁王立ちしている。
コブラは一度壁に隠れた後、侵入口付近に転がる、大岩のかけらを引っ掴む。
そして小道の正面を避けて蛇男に見つからないような角度から、力一杯小道の床に、大岩のかけらを投げた。

バガッ!

かけらは床の石畳にぶつかると、砕けて飛散し、即席の対人地雷のように小道にいくつもの鋲を打ち込む。

ドスドスドス!

蛇男「ゲッ!」ドサーッ

だが蛇男を倒したのは、石壁の隙間から飛んだ三発のボルトだった。


コブラ「おっと、何か仕掛けてあったようだな」

レディ「発動し終わったみたいだけど、どうするの?」

コブラ「再装填するほどの技術が無いことを祈ろう」



コブラを先頭に、一行は小道の片側の壁に背を着けつつ、先に進む。
だが人を一人背負っているうえ、背中と腹の他に色々突出した構造を持つ鎧を着込んだ男は、壁に寄ることが出来ない。
コブラとレディが抜け、ビアトリスも抜けると、彼らだけが小道に取り残される形となった。

ジークマイヤー「………」ずりずりずり…

だがジークマイヤーは、ローガンを背負ったまま匍匐前進をする事によって、トラップを最低限回避できる形で進んだ。

ビュンビュンビュン!

ジークマイヤー「………」ずりずりずり…

二人のすぐ上をボルトが三発飛んだが、被害は無いようだった。



コブラ「再装填ありか。壁の中に人がいても驚かないぜ」

ジークマイヤー「ふー、死ぬかと思ったわ」

ローガン「マジェスティック…」ボソリ…

ジークマイヤー「ん?」



小道を抜けた先はまたも小部屋だったが、粗末な机と椅子の他、出口もあった。
しかし出口の先が問題だった。

ドドーッ!

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!!

ドドーッ!

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!!


コブラ「………」

ビアトリス「………」

ジークマイヤー「………」

レディ「あらー…」



小道の先は棚田のように曲がりくねった坂道と、そこを絶え間なく転がる大岩と…

蛇女「………」

その棚田を見下ろす蛇女がいた。
大岩を一定の間隔で供給する機構は、精密に、そして果てしなく動いた。


282以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/16(水) 10:30:10.49Y1m/OA0Po (1/1)

罠ありすぎぃ!


283以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/16(水) 10:33:20.17oQZI4T+Q0 (1/1)

どんどんミコラーシュ化しつつあるな


284以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/16(水) 13:32:18.07eoBnAwutO (1/1)

鎧着て探検って大変なんだなと思わざるをえない


285以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/16(水) 14:19:24.59C1pOLhABo (1/1)

代わりにダンボーを着せてあげたい


286以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/16(水) 16:18:58.35q1sr5L/1O (1/1)

鎧着ても死ぬときは死ぬんだからダクソ世界は怖いな


287以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/16(水) 18:03:47.71t6Cz48rzo (1/1)

>レディ「あらー…」

このレディかわいいなww


288以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/17(木) 00:41:58.45AFni3WQs0 (1/1)

コブラ「……はぁーあ、やれやれまたコレか」

レディ「芸がないなら無いなりに、打つ手はあったみたいね」

コブラ「しょうがない、ちょっくら走ってくか」

ビアトリス「えっ?」

コブラ「………」ダッ!

ビアトリス「なっ!?おい待てどこに行く!?」

レディ「止めなくても大丈夫よ。まぁ見てなさい」


仲間をおいて一人駆け出したコブラは、棚田状の上り坂を駆け上がる。
それを察知した蛇女は腕に力を込めると…

シュビッ!

掌から雷を放った。
だが雷がコブラのこめかみに刺さる瞬間、コブラは瞬時に身を屈めた。
さらに、その姿勢は跳躍に必要な『溜め』の動作にも繋がっていた。

ターン!

コブラが跳躍すると、今度は大岩がコブラの進路を殺しにくる。
しかしコブラの跳んだ方向は、垂直ではなく斜め上。
踏むべきものは壁だった。

ガッ!

石畳を蹴り、壁を蹴り、天井に両手の指と両足のブーツを減り込ませたコブラの『頭上』を…

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…

大岩は通過していった。
コブラは天井から離れて着地すると、また走りだし、大岩の供給源を突き止めた。


コブラ「ほーらやっぱり。どんなアトラクションにもスタッフはいるもんだ」


岩を坂に流すための広間には、中心に岩の受け皿と方向機が据えられ、壁の上部四辺からは、岩に推力を加えるための鐘つきが備わっていた。
そして何よりコブラをニヤつかせたのは、広間の天井に空いた穴から、巨大な影が大岩を降ろそうとしている光景だった。


コブラ「だが、この遊具は使用禁止だ。危ないからな」シャリン


タン!


コブラ「そりゃーっ!」ガキーッ!!!


ガラガラガラ…ガシャーン


コブラ「機械は故障。これにて閉園だ。あんたも休んだらどうだ?どうせ給料安いんだろう?」


影「………」




影「………」スッ

コブラ「そうそう、そうやって引っ込んでてくれ。たまには休まなきゃ」



黒騎士の大剣に仕掛けを破壊された広間は、静かになった。
レディが不死達を連れてコブラと合流する。


ビアトリス「この物騒な大仕掛けの数々……やはりこの城全体が一つの罠のようだな。拠点としての働きなど考えられていない」

コブラ「ああ。嫌な方の予想が当たっちまったぜ」

ビアトリス「予想?」

レディ「みんな、こっちに通路があるわ。先に進めそうよ」


289以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/17(木) 04:42:32.11M9QjU/uv0 (1/1)

ホントクオリティ高いな



290以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/08/17(木) 09:03:33.06RhBewvG2O (1/1)

仕掛け壊されたら素直に引っ込むのか怪しい影ww


291以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/09/03(日) 13:40:05.41GP6D5wdf0 (1/1)

罠。ビアトリスの言葉は、まさしくこの城の全てを簡潔に表していた。
古城は食堂や倉庫、鍛冶場や練丹場、浴場などを欠き、それどころか住居として最低限持つべき食料そのものや、寝床と厠すら無かった。
中の造りは侵入者の迎撃一辺倒であり、打ち倒すべき対象には番兵たる蛇人達をも含まれているようだった。
一行はその蛇の巣窟ですらない死地を進んだ。
通路を歩けばボルトの嵐が襲い、落ちれば即死であろう細道の上はペンデュラムが守っていた。
それらを越えると蛇人達が押し寄せ、蛇人達を斬り伏せるとまた罠があった。
細道とペンデュラムと蛇女の雷の組み合わせは、ビアトリスの魔法のありがたみを、一層コブラに感じさせたほどだった。

身体能力に優れるコブラとレディはともかく、不死達はいくらか負傷し、その治癒にいくらかのエストを消費し、かくして一行は古城を抜けた。
正確には、古城の下層構造から。



コブラ「まだあるのかよ、いい加減飽きたぜ…」はぁー



暗所を抜けたコブラの見上げた先には、灰色の雲が積み上がった青空と、その下に広がる古城の上半分がそびえていた。
石積みの構造物はまたも複雑に絡み合い、各所に不穏な空気を漂わせている。


レディ「登るしかないわ。ここまで来たんですもの」

コブラ「憂鬱だなー。遊具に飽きたんだしおうち帰ってもいいだろ?ダメ?」

レディ「フフッ、だめね」


ジークマイヤー「うーむ…うーむ…」

ビアトリス「どうした、また唸って」

ジークマイヤー「エストを使い切ってしまったのだ…」

ビアトリス「人を背負って鎧まで着ているからだ。その鎧、本当に脱がなくていいのか?」

ジークマイヤー「そ、それは無理だ」

ビアトリス「人を二人担いでいるようなものだぞ」

ジークマイヤー「我慢すればいいだろう」

ビアトリス「………」


コブラ「なぁ、ちょっとばかしエストとやらを分けてもらえやしないか?」

ビアトリス「!? お、おい!これは限られた治癒の術だぞ!次の篝火までは補充も出来ないんだよ!」

コブラ「それは分かってんだよぉ。でも俺は不死人じゃないしここに来てからまともに水も飲んでないんだぜ?喉がカラカラだ。なぁ頼むよ」

ビアトリス「…まぁ、ろくに食べ物も無いのは確かだな…」

ビアトリス「仕方ない……一口だけだぞ」サッ

コブラ「ひゃー助かるぜぇ!」クイッ


コブラ「………」


ビアトリス「どうだ?」

コブラ「なんの味もしないな。飲んだ感触も無い。なんだこりゃ?」

ビアトリス「飲んどいて失礼な奴だな。不死人の味覚では結構な馳走だぞ」

コブラ「これがご馳走ねぇ…どういう味覚してるんだ?」

ビアトリス「食べたもの全てが口の中で灰になるようなものだ。故郷の味も忘れたよ」

ビアトリス「で、どうだ?喉は潤ったか?」

コブラ「それが全然」

ビアトリス「あぁ…貴重なエストを…」

コブラ「俺も残念だよ。あー腹減った…」





292以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/09/03(日) 17:01:28.639jnnFhwio (1/1)

ビアトリスさんカワイソス


293以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/09/11(月) 03:44:25.52KiJ0g45S0 (1/1)

古城の上層階層は主に四つの要素で構成されていた。
広場と、通路と、階段と、石橋。
どの広場も焦げ臭く、全ての通路には血の跡。
あらゆる階段には炭化した何かが撒かれており、石橋という石橋には尽く手すりが無い。

そしてそれらに対してイレギュラーをもたらす存在がひとつ。



巨人「………」



ジークマイヤー「おお、あれは巨人か!」

コブラ「へへっ、ありゃあスタッフと言うより用心棒ってところかな?」

ビアトリス「古き神々の盟友か……しかし、なぜこんな所に…」


古城の最上部に建つ物見の塔から、巨人は一行を見下ろしている。縄を用いて鉄板を粗雑に組んだだけの面で顔は隠されていた。
だがコブラには巨人の視線がこちらに向いているのが分かった。7メートル程もあるであろう巨体を使って、何をしてくるのかも。
少なくとも仕掛けが壊れるまでは、別の巨人が別の場所で、大岩を仕掛けに供給していた。


コブラ「神の盟友ね…そんな大層な御仁がこんな所に詰めてるって事は、ここは『罠』ではなく『試練』だったって訳か」

レディ「金の鎧の彼は関係なかったみたいね。でもそしたら…」

コブラ「ああ。やはりこの旅は神々とやらにお膳立てされている。だがその試練の目的がまだ分からない。不死の使命を遂行できる英雄を選別するためなのか、それとも、この試練こそが不死の使命なのか…」


ザッ!


ジークマイヤー「!」


バルデルの騎士「………」シュッ!


コブラが思慮に耽っていると、一行が立つ踊り場の影、下へと続く階段から、赤いマントを羽織った亡者化した騎士が細い刃を振るった。
刃は、刃を持つ騎士から最も近い不死の首元へと向かって、空気を裂いて進む。

ビアトリス「!?」

コブラ「ムッ!」



ジークマイヤー「ふん!!」ババッ!

ガシィン!!ドシャアアーッ!


その突進は、総重量が160キロを超える塊の体当たりを受け、登ってきた階段の一番下まで弾き飛ばされた。
騎士が持っていた剣は、ジークマイヤーとの接触時に放り投げられ、空中で弧を描いて騎士の頭に突き刺さった。
この瞬間に騎士は事切れたが、不死の耐久性にどのような限りがあるか知らないレディは、念押しとして既に飛び後ろ回し蹴りを放っていた。

ドガァッ!!シャリシャリシャリゴォン!!ガラガラ…

レディの蹴りは騎士の肋骨を背中に触れるほど押し込み、騎士は鎧の破片を撒き散らしながら石畳をコマのように滑って、石壁に激突した騎士の死体は積まれた石を打ち砕いた。


ジークマイヤー「不意打ち卑怯なり!……というか、凄い力だな…」

レディ「それほどでもないわよ。どう?怪我は無い?」

ビアトリス「あ、ああ、大丈夫だ。すまない、手間を掛けて…」

ジークマイヤー「なあに、両手が塞がっていても戦えるのがカタリナの騎士。重い鎧も使いようだ」

レディ「コブラ、ここも安全じゃないみたいよ。先に進みましょう」

コブラ「………」




294以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/09/12(火) 00:26:44.38lvpSzzBr0 (1/1)

>>266
「魔力」が「魔翌力」に化けてた


295以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/09/12(火) 09:56:14.496nGPvzXTO (1/1)

たまねぎさんカッコいい!


296以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/10/11(水) 00:38:52.44/C8M2c490 (1/1)

難産


297以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/10/11(水) 03:15:05.66a6gWW5h40 (1/1)

どれだけ時間かかっても大丈夫よ



298以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/10/15(日) 15:53:46.08p05zDUDs0 (1/1)

安全な場所はどこにもない。だが、その場にこそ求めるものはある。
果ての無い試練であれば、尚のことそうであって欲しいという願望は強まり、願望は足を進ませる。
敵が姿を現した、階段の先にさえ。


コブラ「それっ!」ブーン!

バルデルの騎士「グエッ!」ドカーッ!!


階段の先は袋小路だったが、そこにはもう一人騎士が潜んでいた。
しかし敵と相対した時の反射神経でコブラに適うはずも無く、騎士は咄嗟に構えた盾ごと特大剣で叩き斬られ、地に伏した。
そして自身の後ろにあった宝箱を一行の前に晒し、コブラは箱を開けた。


コブラ「そうだよ!これだよこれ!やっぱり宝箱にはこういうのが入ってなくちゃあなッ!」


ようやく求めたもの『らしさ』を備えた一品を拝めたコブラは、小躍りした。
その指輪は炎のように紅い宝石を讃え、石は鋭い輝きを綺麗にカットされた一辺一辺から発していた。


ビアトリス「炎宝石の指輪か……良いものを見つけたな」

コブラ「炎宝石?」

ジークマイヤー「炎宝石は炎を弾く石だ。騎士達の宝石とも呼ばれている」

コブラ「へえー…あんた意外と石に詳しいんだな。ここに来る前はヤンチャしてたクチかい?」

ジークマイヤー「はっはっは!宝石と聞いてヤンチャが浮かぶとはな」

ジークマイヤー「だが、あいにくそういう訳では無い。魔法の戦指輪を知ることは騎士たる者の嗜み。いや、義務なのだ。鎧も剣も盾も騎士の友であり、指輪も同じなのだ」

コブラ「ふーん…騎士の戦指輪ね。炎を弾くって事は、コイツを着けてりゃ火の海も歩けるのか?」

ジークマイヤー「流石にそこまでの力は無い。燈台の火を握っても軽い火傷で済むぐらいにするだけだ。溶岩なんて渡れば死体が残るだけだろうなぁ」

コブラ「よく分かった。死体が残るだけマシって思う事にするよ」



指輪を右手人差し指に嵌め、コブラは仲間と共に上を目指した。
皆鈍足なカタリナ騎士を気遣いつつも、階段を駆け、踊り場を駆け、石畳の上を駆ける。
行く手を阻む亡者はおらず、蛇人達も姿を見せない。だが表に出ないには、出ないだけの理由があった。


巨人「………」グオッ…


ただの大岩にしてはやけに丸い、砲丸と言って差し支えない大玉が、巨人によって掲げられた時、一行は脚を止め…

コブラ「戻れ!」

引き返した。そして一拍子遅れて…



ドオオオーーーン!!!



不死達が元いた場所は火の海に包まれた。
落とされ砕けた大玉は、炎と黒煙をあたりにぶち撒けた。
確かに指輪一つで凌げるようには見えないと、コブラは思った。


コブラ「無茶しやがるぜ。あいつこの城を壊す気だぞ」フフッ

ビアトリス「あの距離では私の魔法も届かない…打つ手無し、か…」

レディ「いいえ、あるにはあるわ。でも代償が要る」

コブラ「そこなんだよなー…誰か魂貸してくんない?弾丸でもいいけど」

ビアトリス「弾丸…?」

ジークマイヤー「いや、なんとかなるだろう」

ビアトリス「へ?」


ジークマイヤー「このカタリナ騎士、ジークマイヤーに秘策あり」フッ




299以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/10/15(日) 18:12:53.06+TqjdNaAO (1/1)

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!


300以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/10/16(月) 06:31:02.49xwCzCUK20 (1/1)

依然として眠り続けるローガンを壁際に寄りかからせ、ジークマイヤーは威風堂々に歩き出した。
石畳を焼いた炎はすで沈静し、所々に燻りを残している。
その燻りの一つを踏み退けて、ジークマイヤーは大玉の着弾地点に立った。

ビアトリス「!? おい!気でも触れたのか!?」

ビアトリスは焦った様子で声を荒げたが、カタリナの騎士は巨人を見上げたまま動かない。
コブラとレディは静観しているが、事が起きればレディはジークマイヤーを引き戻し、コブラは無けなしのサイコエネルギーを放つだろう。
巨人は逃げも隠れもしない侵入者を訝しく思いつつも、やはり仰せつかった使命に忠実に従った。


ゴオオオッ!!


火薬を満載した大玉が、ジークマイヤー目掛けて飛んでくる。
レディは駆け出し、コブラはサイコガンを抜いた。


ジークマイヤー「フン!」バッ!


カタリナの騎士はタリスマンを握りしめ、大きく胸を張った。
彼のとった行動はそれだけだった。


ドオオオォォーーーン!!


レディ「!?」

コブラ「なにっ!?」


だが、それだけを行なった不死の全身から、爆発とも呼べる強烈な衝撃波が発せられた。燻る炎は掻き消され、レディは元いた場所まで押し戻された。空気中の埃や塵も巻き上げられ、ジークマイヤーを中心に大きな球状の無風地帯が形成された。
更に、衝撃波が撥ね除けたのはそれらだけではなかった。


巨人「むぉっ!?」


巨人は驚嘆した。
侵入者へ向け投げつけた火薬玉が、小男に投げ返されたのである。しかも、巨人には選択肢が無かった。
大玉の殻は薄く、受け止めれば割れて爆発し、撃ち返しても爆発する。避ければ作り置きされた残りの大玉に、眼前の大玉が直撃して爆発する。そして如何なる爆発も、全ての大玉を連鎖的に吹き飛ばすだろう。

巨人「オオオオオーーッ!!」

ゆえに、巨人は塔から飛び降りるしか無かった。


ドグワアアアアアァァァ!!!


物見の塔は粉々に吹き飛んだが、巨人は九死に一生を得た。
キノコ雲さえ立ちのぼらせる程の炎に包まれれば、巨人といえど跡形も残らなかっただろう。
巨人の判断は正しかったが、使命の完遂にはあまりにも不都合だった。

ズドドドオォン!!

巨人「むおお!?ふおおおお!?」ガラガラガラ…

城は遥か昔からあり、長年風雨に晒されてきた。
蛇人達に整備をするほどの知能は無く、巨人達は大きすぎて、重すぎたのだ。
城は誰からも顧みられる事無く、手入れはされなかった。
そんな古城に、飛び降りた巨人を受け止めるほどの頑強さなどは無かったが、泥の山のように崩れて、衝撃を吸収するくらいの耐久力は残していた。

巨人「おおおおおおおお!?」ガラガラガラ…

巨人はゆっくりと古城を削りながら滑り、鬱蒼とした森へと落ちていった。
不死達の体にソウルが流れ込まないのだから生きてはいるが、もう古城へは戻れないだろう。
登ろうにも、登れば崩れるのだ。



ジークマイヤー「見たか!これが騎士の奇跡!フォースの力だ!」えっへん

コブラ「スターウォーズかな?」

ビアトリス「まさか跳ね返せるとは…」

レディ「なんだかすごい事になったけれど、これ登れるのかしら?」

ビアトリス「わからん…」



301以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/10/17(火) 03:46:34.98NTTj+9fB0 (1/1)

崩れた塔は大量の瓦礫を吐き出し、瓦礫は城の各部を連鎖的に破壊した。
物見の塔から別の塔へと延びる石橋は断たれ、石畳は埋まり、または落ち窪む。
噴煙は収まり、跡には静かな積み石の山だけが残ったが、破壊されたのはあくまで物見の塔とその周辺のみ。
古城の大部分は健在であり、旅の行く先はまだ消えてはいなかった。


コブラ「なんとまあ随分と殺風景になっちまったなぁ」ガラガラ…

ビアトリス「正直言って、ここまでの事になるとは想像していなかっただろう?」ガラガラ…

ジークマイヤー「うむ」ガラガラ…

コブラ「奇跡って言ったか?神々の威光は少々ありがた過ぎたみたいだな。危うくこっちも立ち往生するところだ。よいしょっ」ガシャーン…

レディ「神に崩された塔って、まるでバベルの神話ね。でも敵もいなくなった事だし、生きてるだけで丸儲けと考えましょう」ガラガラ…

ジークマイヤー「バベル?ハベル神話ではないのか?」

レディ「?」

コブラ「この中に宝でも埋まってないかねー…これだけ歩いて指輪が一個だけって割に合わないぜ」ガラガラ…


不死達とレディがただ瓦礫を踏み越えるなか、コブラは未練がましく積み石をひっくり返しつつ、歩みを遅くしている。
元々明確な道筋や達すべき目標が示されない旅である以上、空腹である事も相まって、コブラは美女や宝といった褒美が無ければ戦意を維持できない状態にあった。



コブラ「ふぅー…」



そんないわゆる『元気のない』状態で、コブラ達は呆気なく古城の最終目的地と思われる部屋に着いてしまった。
その一室の上には本来物見の塔があったが、塔の崩壊により天井は消失している。
本来、別の塔へと続く石橋、物見の塔への階段、扉の無い霧のかかった門、狙撃兵に守られた横穴の、計四つの出入り口がその部屋にはあったが、石橋と階段は崩落し、狙撃兵は死んで埋もれ、霧を形作っていた門は崩落によって力を失ったのか、門の積み石から弱々しく白煙を漏らすだけだった。
そして、力を失った門の向こうには、壁の無い石造りの広場と、その奥地に建つ鉄の巨人像が見える。

何故コブラはため息を吐いたのか。
霧の先にあったものから、散々な目に遭ってきたからだ。


コブラ「今度の相手はアイツか……まったく分かりやすいぜ」

レディ「ジーク、ローガンは門の陰に寝かせておいた方が良さそうよ」

ジークマイヤー「うむ、そのようだな」スッ…

ローガン「………」グッタリ

ビアトリス「痛ましい……で、作戦はどうする?私の魔法もそろそろ使用限界が近い」

コブラ「作戦と言っても、敵の手の内が分からないからな。下手な考え休むに似たり。愚直に行くさ」

ビアトリス「愚直ね。分かったよ」


コブラ「………」スッ…



コブラの歩みが門を潜る。不死達もコブラの後に続く。
だが、些細なそれだけの動きも、攻撃の対象だった。




アイアンゴーレムは起動し、大斧を構え直すと、歩き始める。




像の起こしたアクションはコブラの予想の範疇にあったが、その歩みがすぐに止まったのを見て、怪訝に思った。
そして、侵入者を遠くに見据えたまま、何故大斧を振り上げるのかも。


コブラ「おっと、こりゃヤバい」


飛んでくるのは大斧だと思った。
しかし、アイアンゴーレムは更に予想を上回った。




302以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/13(月) 17:11:43.06Cnwxt8h4O (1/1)

待ってます


303以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/14(火) 03:33:42.47eW3zdmjH0 (1/1)

ブオーーン!!!

大斧が風を斬る。


コブラ「避け…ありゃ?」


しかし、大斧は飛ばない。
巨像は握った得物をただ振るっただけであった。
少なくとも、誰しもにそう見えた。


ユラッ…


コブラの眼前の空気が揺らめく。
声を上げるには既に遅すぎて、避けるにしても、その揺らめきは大きかった。


ゴワッ!!!!


レディ「えっ!?」

ジークマイヤー「おおっ!?」


コブラは大剣を用いて辛うじて直撃だけは防いだものの、その両脚は宙に浮き…


コブラ「ぐふっ!」ドドォーッ!!



石壁を破る勢いで、背中をしたたか打ちつけた。



ジークマイヤー「なんだ今のは!?放つフォースか!?」

ビアトリス「い、いや、そんな気配は何も…」

レディ「大丈夫コブラ!?立てる!?」

コブラ「お、俺の事はいい…それより気をつけろ…次が来るぞ」


レディがコブラを介抱する瞬間を隙と感知し、アイアンゴーレムはまたも大斧を振り上げる。
刃の欠けた斧は太陽の光を反射して異様にぎらつき。その鋭い輝きは、コブラの眼には剥き出しの殺意に映った。



ボッ!!! ボッ!!! ボッ!!!



大斧は今度は三度振るわれ、空気を破る音も三度鳴る。
不死達の前にまたしても揺らぎが現れたが、揺らぎは大きく分厚く、そして鋭かった。


バチュン!!


身軽なレディは、コブラを肩に担いで揺らぎを飛び越す。


ジークマイヤー「ふんおおお!!!」ドゴォン!!!


カタリナの騎士はフォースによって揺らぎを大きく削ったが、残る風に鎧を撫でられ、大きく体勢を崩した。


ボゴオォーーーッ!!!


最も大きい被害を被ることは、硬い鎧も身軽な体捌きも持たないビアトリスにとっては必然だった。
幸いにして良い眼を持ってはいたが、それも辛うじて命を繋いだだけにすぎない。


ビアトリス「ぐ……あっ…」


眼前が揺らいだ瞬間に飛び退いたことにより即死こそは免れはしたが、ビアトリスは深手を負った。
右足首から先を削ぎ飛ばされた彼女の戦術からは、回避という選択肢が消えてしまった。


304以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/25(土) 21:51:09.15JH2xK5bP0 (1/1)

ビアトリス「………」ハァハァ…

ジークマイヤー「貴公、脚を…!」

ビアトリス「これぐらい平気さ…エストを飲めばなんとかなるよ…」


ビアトリスは息も絶え絶えに強がって見せたが、それは嘘だとジークマイヤーでさえ気付くことが出来た。
彼女がエストを飲むと切り飛ばされた足先は灰となり、再び彼女の右足首に纏わりついて形を成したが、接合は不完全であり、傷口からはすぐさま血が滲み始めた。
辛うじて立ち上がる事は出来る。しかし回避だけでなく、ビアトリスは回復という選択肢をも失った。


ビアトリス「貴公はあの像をとにかく斬りつけろ…私はここから魔法を放ち続ける…」

ビアトリス「…他に手は無い。行け」

ジークマイヤー「しかし…」

レディ「ヤケを起こすのは早いんじゃなくって?」ササッ


そんな覚悟を決めかけた彼女をレディは小脇に抱えて、ジークマイヤーの前に立った。
レディのそばに、負傷したであろうコブラの姿は無い。


レディ「なっ、おい、離せ!足手まといはごめんだぞ!」

レディ「わがまま言わないの。しょうがないでしょ?」

ジークマイヤー「き…貴公、コブラはどうしたのだ!?」

レディ「コブラ? ああ、彼ならあそこにいるわ」



レディの視線を二人の不死は追い、そしてアイアンゴーレムのすぐ足元に眼にした。
脇腹を抑えながらも、しかし力強さを感じさせるその立ち姿を。
特大剣を握る右手には力が溢れ、剣の切っ先は石畳から離れていた。


ジークマイヤー「む、まさか…!」

レディ「ビアトリス、私が貴女の脚になるわ。彼を支援するのよ」

ビアトリス「そういう事か。分かった」



グン!!!


眼前の侵入者を叩き潰すべく巨像が斧を振り上げる。上体を反り返すその渾身の一撃を、コブラは待っていた。
必殺の間合いに獲物が寄れば、間合いを持つものは必ず必殺を狙う。
そんな悪党どもの足元を文字通り掬うのだ。


ブーン!!!

巨大な鉄塊は…

コブラ「………」ササーッ!

地を滑る蛇の頭上を抜け…


ゴオッ!!


蛇の大牙は…


ガァーーン!!


巨像の足首を捉え、股の間を抜けた。
手応えはあった。だがあり過ぎた。


コブラ(腕にジーンとくるぜ。戦艦ぶっ叩いたみたいだ…)


黒騎士から奪いし特大剣の威力は、しかし鉄の像に全て受け切られた。
巨像は股下を潜った小虫を踏みにじるため、今度は脚を上げ、降ろした。



305以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/25(土) 22:10:46.48IWnP1aAhO (1/1)

剣でどうにかなんのかこんな化け物……


306以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/27(月) 05:17:20.05vx9J4ulM0 (1/1)

先の衝撃に内臓を痛めたコブラだが、鈍重な踏みつけを貰う程には弱っていない。

コブラ「!」

しかし、やはり援護射撃は有り難かった。
少なくとも少しの間、疲れた身体に鞭打つ必要が無くなるのだから。


シュドン! バスッ!


ソウルの太矢の狙いは精確で、巨像の体格に比しても小さいその頭にも、ビアトリスは連続した小爆発を次々と与えた。
レディに小脇に抱えられているため見た目は少しあれだが、その隙にコブラは巨像の背後に回り込む事に成功する。


タッタッタッタッ…


ジークマイヤー「ふーん!!」ブオン!


ガギィッ!


ビアトリスの魔法に続いて、ジークマイヤーも助走をつけて巨剣を振るい、巨像の脛に渾身の一撃を叩き込む。
金属同士の鋭い衝突音が響き、その音はジークマイヤーの脳裏に微かな勝利の予感をもたらした程だった。
だが、その一撃は巨像からの攻撃の呼び水にしかならず、そしてその矛先は…


ブオッ!


ジークマイヤー「おっ…」

ビアトリス「逃げろ!掴まれる!」


ジークマイヤーに掌として向かい…


ジークマイヤー「おろっ?」チッ!

ビアトリス(えっ?)


ジークマイヤーの頭上を掠め…



コブラ「!?」ガシィッ!



巨像自身の股下を通り抜け、巨像の背後にいたコブラに終着した。
その様子は滑稽とも言え、コブラに極めて古い地球の民俗学的知識を想起させた。
烏に睨まれた者には災いが降りかかる。それを逸らすため、睨まれた者は自身の股下から烏を睨む。
その姿勢で烏に向かって石を投げれば、災いから逃れられるという。


コブラ「ちょ、ちょっと待ってくれ!毒蛇投げるなんてカラスが可哀…」


ブオオオーーッ!!


突如突風の中に晒されたコブラは、ジークマイヤーに向かって一直線に飛んで行き…

ジークマイヤー「うげぇ!」ドガーーッ!!

彼を巻き込み…

レディ「コブラ!」サッ!

ビアトリス「痛っ!」ドテッ


バスーーン!


レディに受け止められ、ようやく止まった。
急に石畳に落とされたビアトリスは腹を痛め、コブラとジークマイヤーは全身を痛めた。
旅の一行は元いた場所に戻され、全員が負傷した。
四人の元へ巨像が近づく。


307以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/29(水) 19:05:57.35Rmrhqz4a0 (1/3)

ビアトリス「大丈夫か!?」

コブラ「大丈夫じゃないよまったく…あんたはどうだ?」

ジークマイヤー「む、無理だ…もう動けん…エストも空だ…」

ジークマイヤー「貴公は…?」

コブラ「そうだな、ほうれん草があればすぐにでもアイツを倒せるんだがね。掴まれ」サッ

ジークマイヤー「ハハ…またわけの分からんことを…」ヨロッ


力無く笑ったジークマイヤーは、コブラに肩を貸されてよろめきながらも立ち上がる。
レディはビアトリスを再び担ぐ。


レディ「コブラ、彼をお願い。私は彼女と一緒に巨人を食い止めるわ」

コブラ「分かった。なんならそのまま倒してもらっても構わないぜ」

レディ「それは貴方に譲るわ。来たわよ」



ズーーン!



石畳に足を減り込ませ、巨像は一行の前に立った。
コブラはジークマイヤーを壁際に休ませるため、巨像から離れる。
それを追撃しようと巨像が身構えると…


ボボン!


巨像の頭部に魔力の爆発が生じた。巨像は破壊目標をレディとビアトリスに切り替え、即座に反撃する。


ブオォン!!


レディ「………」サッ


バフォーッ!!


レディ「………」バッ!


矢継ぎ早に繰り出される鉄塊の連撃を、レディは大きく余裕を持って回避する。
振り下ろしにはバックステップ。横降りには跳躍で対応した。
だが巨像には近付かず、一定の距離を保った。


レディ「だんだん慣れてきたわ。そっちはどう?」

ビアトリス「良い感じだよ。おかげさまで」シュイーン!


ボン! バシィーン! ボォン!


攻撃の役割はビアトリスが担っているため、レディが攻勢に回る必要は無い。
ビアトリスは回避をせずして好きなだけ魔法を巨像に叩き込めるため、彼女の攻撃は全て巨像の頭部に集中する。
二人は確かな手応えを感じていた。巨像の頭部からはカケラの一つも落ちてはこないが。


レディ「良い感じだけれど。効いてるのかしらね」ササッ

ビアトリス「そのはずだ。そうでなくては困る」シュイーン!


ボボン!


ビアトリス「あっ…」

レディ「?」

ビアトリス「ここまでだね…魔法を使い切った」

レディ「あら…」


308以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/29(水) 19:23:05.98Rmrhqz4a0 (2/3)

コブラ「様子が変だ。なんで魔法を撃たないんだ?」

ジークマイヤー「回数が来たんだろう。奇跡も魔法も無限に振るえるわけでは無いからな」

コブラ「世知辛い話だなぁ」フフッ

ジークマイヤー「随分余裕そうだが、貴公は分かっているのか?窮地なんだぞ?」

コブラ「分かってるって。だからこそ笑うのさ」

ジークマイヤー「わら…なに?」

コブラ「まぁ見てな。ちょいとばかし命を懸けてくる」ザッ…



ザッザッザッザッ…






309以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/29(水) 19:43:17.76ZGp/e3EA0 (1/1)

遂に抜くのか


310以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/29(水) 20:19:25.37Rmrhqz4a0 (3/3)

レディ「膠着状態ね…そろそろコブラと合流したいところだけど…」


レディ「!」サッ


ガゴーーン!!!


レディ「そうもいかないみたいね」

ビアトリス「ちょっと酔ってきたよ…あんまり身体を振り回さないでくれ…」

レディ「片手で持つには脇に抱えるしか無いのよ。両手が使えたら貴女を背負えるのだけれど」


二人は攻めあぐね、逃げあぐね、徐々に詰まりつつあった。
アイアンゴーレムは戦法を切り替え、斧の振り回しではなく、素手による素早い突き下ろしを攻撃の要としている。
レディが一歩でも歩けば、巨像はそこへ向け即座に鉄塊を打ち降ろす。巨像の動きは単純だが、それゆえレディは身動きが取れなくなって来ていた。


ゴッ


そんな緊張した場を破ったのは、アイアンゴーレムの頭に当たった一個のブロックだった。
もはや脅威ではなくなった二人を放置して、巨像は振り向き、石を投げたであろう男に向かって歩を進め始める。
コブラは、石橋を失った塔を指差しながら、得意の軽口を口から出るに任せた。


コブラ「よぉ、へへへ、怒らせちまったかな?」


ズーーン!


コブラ「まぁ来てくれよ。ここからの眺めは最高だぜ」


ズーーン!


コブラ「もっとも、おたくはもう見飽きたかな?」


ブォン!!

ドガァーーン!!!


コブラに数歩近づき、巨像は斧から風を放った。
コブラのいた石畳は粉々に粉砕され、辺りに岩塊が散らばる。


コブラ「ヒューあぶねえ。それはYESってことか?」


しかし、コブラは斧が振られた瞬間にその場で跳躍し、直撃を避けていた。
いくらか破片を喰らいはしたが、それもかすり傷の範疇だった。


ブーーン!!

ガキーーン!!!


巨像は更に数歩近づき、今度は斧をコブラの脳天めがけ振り下ろす。
コブラは大きく横に跳んで回避し、飛んできた破片を背中で防ぐ。


コブラ「いやNOか?なんか喋ってくれよ。おたくのジェスチャーは派手すぎてわか…」


ガシィッ!!


十分に接近した巨像は、コブラを掴んだ。


ブン!!!


そしてコブラは凄まじい速さで振り上げられ、コブラの手首から伸びたワイヤーは鞭のようにしなった。



311以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/29(水) 21:22:05.49eLjImqMXo (1/1)

サイコガンじゃないのか……?一体何をする気だ


312以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 00:17:06.80xz1EoYSY0 (1/5)

黒い鉄の塊が飛翔した。

その塊は永きに渡って塔に立ち、選ばれた不死の英雄の到来を待っていた。

鉄の巨像を打ち倒す為に、力を貸してくれるであろう不死の到来を。

そして時は合一し、機会は訪れた。

塔に向かって伸びた一本の鋼線を、彼は自身に巻きつけた。
奇抜な衣装を身にまとう男の、常軌を逸した行動の意図を読み取ったのだ。
時間という狂気に半ば蝕まれ、故に育った狂気的行動への共感力が、鉄塊にそうさせたのだった。


ブオオオーーッ!!!


巨像に向かって飛翔する鉄塊は、身の丈ほどもある大鉄剣を空中で振り上げ…



「ウオオオオオオォーーーーッ!!!!」



飛翔の速度に己の剣勢を乗せ、アイアンゴーレムの頭に激突した。



ドゴオオォーーーン!!!



大鉄剣は巨像の頭部に深々と減り込み、剣の先端は巨像の後頭部から貫通した。
アイアンゴーレムは上半身を大きく仰け反らせ、バランスを崩し…


ズドオォーーン!!


転倒して、灰色の砂埃を巻き上げた。



ビアトリス「今度はなんだ!?今のは!?」

レディ「人に見えたわ……アレは一体…」

ジークマイヤー「おーい!今のはなんだーっ!?何か見たかーっ!?」

レディ「彼も見たって事は、少なくとも幻じゃ無いわね。魔法?」

ビアトリス「こんな破壊力のある魔法、私は知らないよ…」



困惑する不死達が見守る中、濛々と立ち上る砂埃から出てきたコブラは、服をポンポンと叩いた。



コブラ「ふー助かったー…イチかバチかだったが、なんとかなったみたいだな」

レディ「コブラ、これはどういう事?貴方は大丈夫なの?」

コブラ「外れた肩はさっき嵌めた。で、アイツについては、一度掴み上げられた時に見かけてね…」


巻き上げられた砂埃は風に流され、薄まり、巨像の全体像を一行の前に晒す。
巨像は頭部に穿たれた穴からソウルを立ち上らせ、巨像の上に立つ鉄塊を撫でた。


コブラ「助太刀してもらう事にした」





黒鉄のタルカス「オオオーーーッ!!」ドグォーーーッ!!!





巨大な盾と巨大な剣を持ち、漆黒の大鎧に身を固めた騎士はまさに鉄塊の如くであり、振るった特大剣がアイアンゴーレムを叩くと、巨像の脚は跳ね、衝撃は巨像の背中を伝わってジークマイヤーの足までも震わせた。
そんな芸当はコブラにさえも不可能なものであり、賭けにコブラは勝利したのだった。


313以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 01:18:47.56xz1EoYSY0 (2/5)

ガゴオォーーーン!!

ドガァーーッ!!!



ビアトリス「す、凄まじいな…」

コブラ「ああ、釣ってきた甲斐があったぜ。予想以上だ」


タルカス「フン!!!」ゴオッ!!!


バキィン!!!


レディ「危ない!」サッ

コブラ「!」サッ

ビアトリス「!?」サッ



ドガァン! ゴロンゴロン…



レディ「すごいわ彼、腕を斬り飛ばしたわ…」

コブラ「俺たちの出番は無さそうだなぁ。なんでコイツはあそこに突っ立ってたんだ?」フフッ

ビアトリス「あそこって何処だ?なんだか分からん。話が見えない」

コブラ「コイツは俺たちが今いる広場の近くに建つ塔から釣り上げて来たんだ。風も斧も避けられたら巨像は必ず掴みに来ると俺は踏んで、コイツに向かってワイヤーを飛ばしておいたのさ。そうすると巨像が俺を振り回したらコイツも飛んでくるだろ?」

コブラ「あんなデカイ剣を猛スピードで顔に突っ込まれたら、誰だってタダじゃあすまない。その目論見は見事に的中したわけだ」

コブラ「流石にここまで強いとは思わなかったがね」



タルカス「ウオオオーーッ!!!」バオッ!!


ガッコォーーン!!!



破城槌の如き特大剣を何度も打ち下ろされ、巨像の胴体部の装甲は遂に崩壊し、騎士はアイアンゴーレムの胴体に落下して渦巻くソウルに漬かった。
渦巻くソウルは巨像の動力として機能していたが、高まった力の開放点を求めて、巨像の胴体に開いた大穴に殺到する。
一方、怒れるタルカスは構わずに巨像内部で縦横に大鉄剣を振り回す。その振り回された大鉄剣にソウルが巻き込まれ、まとわり着こうとも、剣を振るう手を止めようとしない。
必然として、タルカスの振るうグレートソードと呼ばれる大鉄剣は、一時的に強大な魔力を帯び、巨像の内部で破壊の嵐を巻き起こした。
巨像自体を斬り裂き、撃ち砕く程の嵐を。


ズガアアァーーーン!!!


コブラ「うおおーっ!?」



広場の中心で生じたソウルと鉄の爆発は、ジークマイヤーとローガンを巻き込まなかったものの、コブラとその近くにいたレディとビアトリスを飲み込み、弾き飛ばす。
コブラは瞬時にワイヤーフックを再び伸ばすと、空中に投げ出されたレディとビアトリスを捕らえ、残った手で足場の淵に掴まり、ぶら下がった。
しかし、引き上げることが出来ない。痛めた脇腹がコブラから力を奪っている。


コブラ「無茶をするヤツだ。花火は空に撃ってくれ。イテテ…」

タルカス「………」ヌオッ

コブラ「よお。あんた亡者じゃないよな?見ての通りだ。釣り上げてくれ」

タルカス「………」ガシッ


手首を掴まれたコブラは、一瞬そのまま握り潰されやしないかと冷や汗をかいた。
三人の人間を、鎧を着たまま片手で引き上げるのだから、それだけの力が込められる事は分かっていた。

コブラ「!?」コキッ

しかしついさっき嵌め直した肩を、もう一度外されかける事は予想していなかった。


314以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 02:36:24.35xz1EoYSY0 (3/5)


コブラ「ふぇーっ、助けてくれた恩人に文句を言うのもなんだが、次からはもう少し手心を加えてくれると助かるね」

ビアトリス「死ぬかと思ったぞ…」


タルカス「………」


コブラ「お、オイオイさっきまであんなにはしゃいでたろう?返事がないと心細いぜ」

タルカス「はしゃいでいたように見えるのか?」

コブラ「そりゃ見えたさぁ。贔屓にしてるチームが勝った時の俺みたいだったぜ」

タルカス「なんの話か知らん。俺は貴公を利用しただけの事だ」

コブラ「ああそうだ。ならもっと利用すべきだろ?」


タルカス「………」ザッ


コブラ「? おい、何処行くんだ?」

レディ「待ってコブラ。彼、何か…」



騎士はコブラを無視して広場の中央に立ち、その場に屈み込む。
すると、騎士の足元に白金色に輝く小さな輪が数秒現れ、消えた。
騎士は輪の消失を見届けると、立ち上がって空を見上げる。


コブラ「瞑想でもしてるのかい?」


タルカス「俺は神の国に行く。絵画が俺を呼ぶ」


レディ「絵画?」

コブラ「神の国だって?そんなものがこの先にあるのか?」


その問いにも騎士は答えない。ただ空だけを見つめている。
コブラは言い知れぬ不安を騎士に覚えたが、恩人である彼に対して強い態度を取りきれないところもあり、問いただす事に引け目を感じた。






バサーーッ!!





突然、コブラ達の目の前、タルカスの周囲に、翼を生やした色白の怪物が降り立った。
怪物の翼はコウモリの翼膜を持ち、身体は痩せこけてはいるが大柄であり、人型の四肢の末端は紅く染まっている。
手に持つ槍は骨の様な棘を持ち、雷を纏っている。
そして複数匹降り立ったうちの一匹が、目が無く、脳を剥き出しにした顔をコブラに向け、皮膚に覆われていない人間の口から、無臭の息を吐いた。


コブラ「なんだコイツらは…!」

ビアトリス「こっ…彼らはレッサーデーモンだ…神の御使にして、悪魔の子供たち…」

ビアトリス「気をつけろ…彼らを記した文献はほぼ存在しない。何をしてくるか分からないぞ」


全力を尽くした末での、未知の存在との戦いになるが、コブラ達は構えるしか無かった。
ジークマイヤーとローガンは戦えず、ビアトリスは魔法を使えず、レディはビアトリスを守るために戦いに加わることが出来ない。
頼れるのは、負傷し、サイコガンも多くて二度しか打てないコブラだけ。
そのコブラの構える黒騎士の大剣も、翼を持つ三匹の悪魔を相手にどこまで通用するか分からない。
三方向から同時に飛びかかられた場合、全滅は免れないという、絶望的な状況が形成されてしまった。


315以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 02:48:05.37UDC29sH60 (1/2)

タルカス先生じゃないか!


316以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 06:58:24.43PaovCwRco (1/1)

一体何者なんだこのタフガイ……


317以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 08:29:20.37xz1EoYSY0 (4/5)

>>316
周回がカンストする頃には強くなりすぎてて
主人公が必死こいてボス相手に820ダメージ出してる隣で
同じボス相手に3400ダメージとか平気で出してくるキ○ガイ

プレイヤー操作の闇霊とかにも一撃必[ピーーー]るものだから
一時期「タルカス道場」なんてのも生まれて闇霊に嫌われてた
弱点は動きが鈍いこと
あと大抵クソ硬い


318以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 08:32:08.88b1nCHoD6o (1/2)

しかしこの世界ハードだなぁ
回復少ないのに敵がいちいち強いからキツイ


319以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 09:49:04.09xz1EoYSY0 (5/5)

思ったんだけど、ダークソウル知ってる人にしか分からない小ネタを沢山仕込んだしこれからも仕込むけど
これってフロムゲー知らずにコブラだけ知ってる人は楽しめるのだろうか…
書いてて不安になってきた

あとダークソウル知ってる人向けにメタ的な説明として
コブラの冒険における条件設定とコブラの大まかなステータスを書いとく


・コブラのステータス
体力99 滅茶苦茶硬い。不死より不死してるから。
記憶力99 宇宙のありとあらゆる芸術品を網羅し、一度見た美女は絶対に忘れないから。古代人レベルのマリリンモンローさえ覚えてる。
持久力99 体力と同じ理由。あと時速72キロで走っても息を荒げないから。
筋力99 厚さ20センチの特殊合金や最新型サイボーグを素手でぶち抜き「牢屋の鉄格子を曲げられる」から。だから本当は100。
技量70 基本万能だけど、一分野のプロには負けるから。ダクソの技キャラも技量50以降はあんまり見ない印象なので、そこに宇宙的技として+20。
耐久力99 体力と同じ理由。ほっといても怪我が治っていくのでゲーム的都合で書くとフルアンバサの超耐久タイプ
理力50 宇宙の科学知識について造形が深く、色んな神秘も見てるから基本高い。でも魔法はてんでダメなので99にはならない。
信仰30 信じてはいないけど神を文字通り見たことあるし知っているので30。神の業レベルの奇跡は使えない。
啓蒙40 ダクソのパラメーターじゃないけど、宇宙的超技術をいくつも知っているし、それはダクソ世界に無いものだから。


・条件
難易度はカンストなので敵も味方も強さMAX
侵入あり
基本的にノーデス
初見プレイ
体力自動回復
不死と違って腹が減るので空腹による体力自動減衰あり
寝不足による装備重量低下などの状態異常あり
不衛生による毒を始めとした状態異常あり(耐性は超高い)

周回カンストの場合、タルカスの筋力は多分180とか超えてるからこの冒険だとコブラより強い
コブラの攻撃力は99の範疇に一応は収まるレベルにしたいから(例外も作るけど)一撃でボスに3400ダメージとかは与えない
サイコガンについては戦艦とか吹っ飛ばしたり小惑星を砕いたり出来るから、最悪、最大攻撃力が一億とかになるかもしれない
全盛期グウィンの雷でさえ古竜の角を一本吹き飛ばす程度なのに寺沢武一さんはほんま恐ろしい人やで

あとこういうの見ると話に集中出来なくなる人もいるかもしれないから、万が一まとめに載る場合、このレスと>>317は本文中からは消してちょ
見てしまった人は一足遅いTRPGスレの設定羅列レスとでも思って見れば精神衛生上うんたらかんたらです


320以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 10:35:01.25aTliSjS/O (1/1)

>>319
設定とか見るのも好きだから自分は良いと思う



321以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 11:24:12.91Hz5dSY9wO (1/1)

怪我が勝手に治る
太陽の王女の指輪を常に装備してるような物か


322以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 11:47:25.34b1nCHoD6o (2/2)

世界観とかノリで読んでるからむしろ解説あるなら嬉しい


323以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 11:53:41.966nPpWuTT0 (1/1)

ダクソはやってないが楽しく読んでる
情景描写が的確だから何となく掴めてる気になれるw


324以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/11/30(木) 15:04:24.40UDC29sH60 (2/2)

ゲームじゃ喋らないNPCが会話してるの見ると新鮮でいいな



325以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/12/13(水) 04:31:53.8147z60U5T0 (1/1)

コブラ「へへっ、神に雇われる悪魔ね。検察官からの引き渡しじゃあ満足出来なかったか!」

コブラ「来るなら来てみろっ!サタンの元へ送ってやるぜ!」


超常の者を相手にしているとは思えない口を叩き、コブラは戦闘態勢を保ってはいるが、それらの威嚇は己が戦える状態に無い事を相手に伝える行為であり、現に今のコブラに戦闘能力などは無かった。
ロードランの時は歪んでおり、街路の昼はいつまでも続き、森の夜もいつまでも続く。その影響を睡眠を必要としない不死たちは受けないが、コブラはそうではない。
コブラの腕時計は、この地に来た際に彼自身の手によって一度リセットされているが、その時計のカウンターが既に3日目を数えている。
ろくに休めず、おまけに栄養を失調しかけている肉体は、長旅でいくつも生傷を背負いつつも今までは持ちこたえていた。
その崩れかけた均衡を巨像の一撃が崩してしまった。
それ程までに、コブラの体内にある折れた肋骨は、決定的なダメージをコブラに刻みつけていた。


コブラ(とは言ったものの、やれやれ言うんじゃなかったぜ)

コブラ(剣を持ち上げてるだけで精一杯だ。今にも女の子みたいに気絶しちまいそうだ…)


そんなコブラの肉体の主張を、当然デーモン達も察知している。
火の時代の始まりから都に仕える者達。彼らは多くを両眼無き顔で見てきたのだから。


スッ…


一匹のデーモンが槍で空を突くと…


ブオッ!


残りのデーモン達はタルカスを抱えてはばたき、彼らは天高く聳える壁の如き山々を超えて、頂きを照らす陽光に消えていった。
それらを見送ると、残った一匹は槍を下ろし、その刃先をタルカスがいた岩の床に向ける。


そして飛び立ち、彼らと同じく、山を超えて姿を消した。




レディ「これは…」

コブラ「フゥー……まぁた意味深な事をしてくれるぜ。果たしてコイツは罠か、招待か」

ビアトリス「神に仕えるとてやはりデーモン。殺してソウルを奪うだけかもしれない。神の都にすんなり招くなど…」

コブラ「ありえない、か」



下ろした大剣の柄頭に顎を乗せ、コブラは考え込んだが、心の内に既に答えはあった。
芸術を知ることは文化を知る事であり、文化を知ることは宗教を知る事に繋がる。
神話そのものの世界において確信を持つほどの材料など持てるべくも無いが、宇宙において数千もの崇拝対象を知るコブラにとって、神と呼ばれる者達の趣味趣向に尊大な共通項を見出す事など容易だった。
人の眼前に恵みと試練があるならば、大いなる者は、人に対して同時にそれらを課してくる。その権利を持つからだ。


ジークマイヤー「おーい!ビッグハット老が目を覚ましたぞ!」


コブラが答えを口にする前に、ローガンを連れたジークマイヤーがコブラ達に合流した。
ローガンからエストを分け与えられたのか、カタリナ騎士の足取りは軽かった。


コブラ「遅いぜ爺さん。良い夢でも見てたか?」

ローガン「いやはや面目無い…高き啓蒙に触れると、どうにも思考の海原に沈んでしまいおるのでな」

ビアトリス「で、では既に智慧を纏められたと…?」

ローガン「それは違う。あの思索を完成させるには足りない物が多過ぎるゆえ、今は考えないだけだ。私が話すのはここで起きたデーモンの飛翔についてだ」

コブラ「………」


ローガン「これは罠であり招きでもある。試練はこの砦のみで終わるわけでは無い」

ローガン「そして恐らく、これらが真の試練という訳でも無い。不死が何かを成すのではなく、神々が不死らに何かを成させたいのだ」

ローガン「しかし、そうなると疑念が燻る」


ローガン「かの者達が何故、星界からの使者たるコブラに、不死の試練を課したのかという燻りだ」




326以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/12/13(水) 08:09:41.54MUOo8DYbo (1/1)

試練もいいけど飯と睡眠をとらせてやらんとコブラ死んでまうで神様


327以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/12/21(木) 04:58:58.65tUUFIg8R0 (1/2)

コブラ「そいつは俺も知りたい。分かっているのは、薪の王と名乗る何者かが俺をここに送り込んだ事だけだ。蜘蛛の魔女に聞いても謎が増えるばかりだった」

ローガン「!?. 薪の王が名乗り、混沌の魔女が口を利いたと!?貴公、超常なる者共と話せるというのかっ!?」

コブラ「動物に好かれるタチでね」

ローガン「?…??…よ、よくは分からんな」

コブラ「忘れてくれ。で、なにかピンときたか?閃きってヤツ」

ローガン「閃き……ううむ…薪の王は最初の火だが、偉大な力と言えど話はせんだろうし…混沌…いや蜘蛛の魔女はなんと?」

コブラ「んー、彼女が言うには俺は不思議ちゃんらしい。人間性にそっくりな精霊を、太陽王が閉じた門の上に住まわせてるそうだ」

ローガン「太陽王…光の君主か…」

コブラ「どうだい?さっぱりだろ?」

ローガン「………」


ジークマイヤー「うむむむ…」

ビアトリス「貴公が頭を捻ってどうする」


ローガン「……分か…分かるかもしれんが…」

コブラ「おお!」

ローガン「いや、やはり駄目だ。靄がかかる。考えが回らん」

コブラ「あら…」

ローガン「うむ…貴公と出会った時の蒙がどこかへ行ってしまったようだ。惜しい…なんとも…」

コブラ「そうかい。そいつは困った。そうなるといよいよ神様とやらに直接会ってご教授願うしかないか?」

レディ「そうなるとしたらまた賭け事ね。天国かそれとも悪魔のお腹の中か」



コブラは背伸びをすると、誰に断ることも無く、悪魔の飛び立った地点にしゃがみ込み、石畳に触れた。
ビアトリスとジークマイヤーは不意な事に声を漏らしたが、制止する暇もなかった。
石畳が輝く輪をほんのひと時浮かばせると…


ザザッ!


即座に9匹の悪魔が舞い降り、コブラとレディ、不死達を持ち上げ始めた。


ビアトリス「わっ…わっ…!」グググ…

ジークマイヤー「本当に大丈夫であろうな!?」バサバサ

コブラ「なぁに、喰われた時は化けて出てやればいいさ」バサバサ


バササーッ!





328以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/12/21(木) 06:45:02.92SGpm7dUhO (1/1)

あんたは喰われても化けるまでもなく腹の中から出てきそうな男やんww


329以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/12/21(木) 14:27:52.50tUUFIg8R0 (2/2)

コブラ一行を抱え、悪魔達は飛翔した。
ジークマイヤーは多少身を硬くしているが、ビアトリスは腹を据えたといった感じで大人しく吊り下げられ、ローガンは当事者の一人ながらも、事を静観している。
何が起きるかはコブラにさえも分からない。鉄塊の騎士の言葉が出鱈目なら、ここで旅は終わりを迎える。
たとえ生き延びたとしても、やはり出鱈目ならばコブラはロードランから出られず、不死達も新たに道を探さなければならないだろう。


ビュオオオオオオオ…


悪魔達は山肌に近づき、山々を超えんとして一層に高度を高める。
一行の目の前を岩壁が高速で落下していき、上方からは輝きが漏れ始めた。
コブラのこめかみに力が入る。


ゴオッ!


悪魔達は更に昇り、進路を塞ぐ山脈を風を切って飛び越す。
そして、彼らを栄華の輝きが包んだ。



ジークマイヤー「おおお…!」

ビアトリス「これはまさか…本当にあっただなんて…」

ローガン「おお、真の叡智がここに…」

レディ「彼の言葉は正しかったみたいね、コブラ!」



明るくも緊張に溢れた、心を騒つかせる空が一変。
金色の陽光が雲間を割り、海を照らすが如く降り注ぐ、天界と言って障りのない偉大な輝きが現れた。
そのあまりの美しさに、文字通り星の数ほどの美を味わったコブラすらも圧倒された。



コブラ「こいつはたまげた……」

ローガン「貴公でも驚くか…やはりそうであろうな…」

ローガン「ここは人の身で踏み入るには余りに畏れ多い地。伝承の地であり、お伽の国そのもの」

ローガン「神々の御国」



ローガン「アノール・ロンドだ」






330以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2017/12/21(木) 14:34:47.96x0x2VmLzO (1/1)

ついに……


331以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/16(火) 21:32:42.14CBwj3UzY0 (1/1)

遥かな昔、人が言葉すら持たなかった時、古のものたちは偉大なソウルを用いて竜を弑し、光を持ち、いくつもの都を築いた。

火から光を得る、ぬくもり溜まりの地底の都。

人を導き、そして縛る、二つの人の都。

神の死を祀り、人の死に祈り、光の眠りを慰める大墓の都。

光により生まれたソウルを、人や神々に分け与えた、深緑と黄金の都。



それらの都が築かれる前、一つの国が建てられた。



それは他の全ての都の原初となり、巨人も、魔女も、悪魔も、蛇も、人も、それに従い、また敬った。

偉大なる火の顕現となる太陽を持ち、世界の昼と夜を司る、神秘と眷属に護られし輝ける神の国。

アノール・ロンドと呼ばれるその国には、荘厳な教会とも山とも形容できる建造物が燦然と建ち並び、しかもそれらは途方も無く大きかった。




建物の様式はコブラに地球古代美術史、とりわけ建築史のゴシック・リヴァイヴァル様式を想起させる。

しかしコブラの瞳に見える建築物はどれもそれとは似て非なり、なにより美しく映った。

そして特にコブラの目を引いたのは、眼に見える限りの都の中心にそびえる、コブラをして神の家と語るに相応しいとさえ思える城。

巨大な城は陽光を背負い。輝く都にあってただ一つ、薄暗がりを一杯に纏い、金と黒の塊として光の中に浮かぶ。

威厳に満ちたその城は、旅の一向に、天啓にも似た確信を与えた。





今までの旅路は神の与えた試練であり、ここで与えられるのは、神の恵みであると。





だが、コブラは知っていた。





神の恵みが与えられる時、本当の試練が始まると。









332以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/16(火) 22:43:51.76OU6hcBano (1/1)

あれだけ試練与えておいてまだ足りないとか神様は相当意地悪なんだな……


333以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/19(金) 03:54:45.17MTllhXRC0 (1/2)


「!」

神々の国、その偉大なる神殿の守護神は、微かに、しかしありありと異質と分かるものを感知し、頭を上げた。
多くの神秘と栄光、そして悲劇を神々と共に歩んできた、大聖堂とも言うべき大広間には、白い象牙とも大理石ともつかぬ柱の森が間隔を空けて広がる。
それらは壁一面に並ぶ装飾窓からの光を受け、白く輝き、彼の黄金の鎧を照らし、まどろみを見せていた。
大広間の中央で手に持つ得物を石床に突き立て、意識を閉ざし、彼は時の到来を待っていた。

そして時は満ち、まどろみは晴れたのである。

神殿の守護神は、今の己が支える主神を思う。
太陽の王と、暗月の姫君に思いを馳せ、それにより行える業を行使して、己の実体を主の元へ帰す。
そして王の間へと続く、神聖かつ不可侵な廊下の始まりへと姿を現し、遠くに揺らめく主君へ向け跪き、報を伝えた。


「不死が来てございます」


報を受けた主は数瞬の沈黙のあと、守護者へ静かに語りかけた。
その言葉はささやきだったが、守護者の眼の前に声はあるようだった。


「承知している」



「しかし、異なる者も…」



「語るに及ばぬ。我にも視えている」

「成すべきことを成すがよい……だが心せよ。あの者達の一人は、人であり人ではない」




「………」




「竜狩りの騎士よ」

「汝に我が王の加護と、火の導きを」




竜狩りと呼ばれた守護者は立ち上がり、主の元から消え、再び大広間の中央に立った。
それを待っていたかのように、白く輝く柱の陰から、顔は愚か光さえ映さぬ黒い外套を纏った者が現れ、竜狩りに語りかけた。



黒い外套の者「竜狩りオーンスタインともあろう者が、たかが不死の数人を斬るのに何を焦っているのだ」



オーンスタイン「焦りは無い。不死のみに我が主の試練は荷が勝ち過ぎただけの事」



オーンスタイン「今はその方も法官の一人であろう。臣民の去りし都にあって、我が使命に口を出す意味も無いはず」

オーンスタイン「違を唱えるというのなら、この地を去るか、憐れな『抱かれ』をあの者達へと差し向けるがいい」



黒い影は竜狩りの言葉に身を震わせ、声を殺して笑った。
声には嘲りが含まれていることなど竜狩りは百も承知であったが、かつての王の下した取り決めがいかなるものであるかを知る彼に、黒い影を討つことなど出来はしなかった。
そう、ずっと遥か以前から…



黒い外套の者「クックックッ…貴様の口からこれほど大雑把なセリフが飛び出すとはな。ではそうさせてもらおう」

黒い外套の者「ただし、抱かれの騎士一人では少々心もとない」


黒い外套の者「そうだな……では『仮面』を呼ぶとしよう」



影は再び柱の白さに霞み、消えた。
竜狩りの騎士は高く飛び、大広間を見渡せる回廊状の二階に降り立つ。


334以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/19(金) 16:44:53.95MTllhXRC0 (2/2)

「………」


二階には、人を十人纏めて叩き潰せるほどに巨大な鎚を背負い、石床にあぐらを掻く巨体があった。
竜狩りのそれと同様に黄金色の鎧を身に纏っているが、その者は脚も胴も腕も太く、兜はそれらと比べ小さく、人型としては歪だった。
瞳は鎧に隠れており、外から表情を伺うことは出来ない。だが竜狩りには確かに、その者の心の震えが届いていた。


オーンスタイン「処刑者スモウよ。暗月の姫君は良しとは言わぬ」


処刑者スモウ「………」


オーンスタイン「それに、お前に討てる相手ではない。何故王がお前を終に騎士へと加えなかったかを考えよ」

オーンスタイン「技や戦果が足らぬからでも、愚鈍であるからでもない」

オーンスタイン「お前も知る通りだ」


スモウ「………」


処刑者と呼ばれた巨躯の神は、掻いたあぐらに置く掌を拳へと変え、今にも迸らんとする衝動を堪えている。
スモウは愚鈍で誠実であった。王から賜った使命を頑なに守り、血肉に飢えた殺戮者の誹りを受けてもなお、彼らに彼らの望むままを決して行わぬほどに。

竜狩りオーンスタインは、装飾窓の外にいる、今ここに向かって来つつある者達を思う。
幾人かの不死が手を組んでいる事が分かるが、そこに混じる正体の掴めぬ輝きに、竜狩りの意識は向けられている。
己の支える主にならば、あるいは輝きの中にあるものを覗き見ることが出来るかもしれない。
だが、それは不死達が法官の毒牙を掻い潜り、試練としての竜狩りと処刑者を斃し、主の姉君に謁見すればの話である。

何があろうと、主の眼を通して己が見定める事は出来ない。それは畏れ多いことでもある。
竜狩りはそう結論づけ、そして新たに決意する。


オーンスタイン(ならば闘いで計るまで)


装飾窓から差し込む陽光に照らされ、竜狩りの纏う金獅子の鎧は、刺すような輝きを放っている。
それは、己の身命を賭して、使命を得るに相応しいかを見極めんとする、捨て身の闘志のようだった。




335以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/19(金) 17:20:13.31cjSRYJPfO (1/1)

輪の都の法官かな?


336以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 01:11:29.51hP0R+szl0 (1/2)

ドテーッ!


コブラ「イデッ!いててて……どうやらロードランにはファーストクラスは無いらしい…」

レディ「私は優しく降ろしてもらえたわよ?」

ジークマイヤー「たんに着地に失敗しただけな気もするが…」


一行を高台に送り届けたレッサーデーモン達は、一匹を残して皆いずこかへ飛び去り、姿を消した。
残ったデーモンは翼を畳み、高台の縁に止まり、陽光を眺めている。


コブラ「ここはヘリポートにしちゃ小さいぜ。今度はもう少し上等なサービスを期待したいね」

ローガン「神の国に来て最初の感想がそれとは、驚かし甲斐のない男だなキミは。ハハハッ」

コブラ「映画の感想を胸にしまっとくタイプなのさ。さてと、まずは休める所を探さないとな」

ローガン「なに?休む?」

コブラ「なんだい文句あるのか?俺はここのところ働き詰めで、少しは寝ないと本当に死んじまうってところまで来てるんだ。誰がなんと言おうと俺は休むぜ」

ローガン「ふむ…まぁ、仕方がない。それもいいだろう」

ビアトリス「先生、探索には私が付き添います。私も神々の智慧に触れたいのです」

ビアトリス「後悔はさせません。私は仮初めの黒衣達とは違います」

ローガン「そうだといいがな。では行こうか」

コブラ「今別れるのか?しばらくは一本道だしここは一緒に行こうじゃないの」


一行の降りた高台からは、長い下り階段が山沿いに続いている。
整形石で組まれたそれには、滑らかな手すりまで備え付けられており、都を一望しながら降りられる造りになっている。
コブラ達は階段を降り、その間に束の間の安息を楽しんだ。
だが、それもほんの一分と続かず、目の前に早くも脅威と思しき鎧姿が現れた。


コブラ「冗談じゃないぜまったく…また鉄の巨人か」

コブラ「まさかこの先ずっとコイツが出てくるんじゃないだろうな…」



巨人近衛兵「………」



疲弊したコブラの前方十数メートル先に、古い黄銅の重鎧に身を固めた巨人が立っている。
左手には城門の如き大盾を構え、右手に備わった金色のハルバードは柱のようであり、猛々しい矛先を空へと掲げている。
だが何よりコブラをうんざりさせたのは、積層する鎧のせいで巨人の素顔は愚か、素肌の一片も見えない点である。
この巨体が、試作機より安価かつ高性能で、弱点を克服した新兵器ではないという保証はどこにもない。
もしもアイアンゴーレムの上位種であったならば、この都にいる敵とは一度も戦わない。
コブラは内心そう誓った。


ジークマイヤー「どうするか……あの盾の厚さじゃ我が剣も樫の枝だろうし…」

ビアトリス「ソウルの太矢で頭を狙えれば…」

ローガン「あの盾を掻い潜れるとは思えん。ソウルの槍で貫くという手も無くはないが、あれは手数に限りがある。秘奥を真っ先に使っては早晩全滅するだろう」

レディ「逃げればいいんじゃない?」

ローガン「………」

ジークマイヤー「それは……駆け抜ける、という意味か?」

レディ「そうよ。私がジークを抱えて、コブラがビアトリスとローガンさんを抱えて走ればいいのよ」

ビアトリス「………」

ジークマイヤー「……うーむ…」

コブラ「いーや、それは良い所突いてると思うぜ」

ビアトリス「えっ?」

コブラ「考えてもみろ。あのバケツ頭の騎士が俺達より先にここに来ているはずだ。なのにどうしてこの巨人も、騎士も死んでない?どちらかの、あるいは両方の死体がここに残ってても良いはずだ」

コブラ「恐らく逃げ切ったんだろうが、だからってあの騎士が走り抜けたとも思えない。あの装備で走り回れるのなら、そもそも何年も前にここにたどり着いてる。俺達が鉄の巨人に大立ち回りを演じる事も無かったはずだ」



337以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 01:52:55.73it8l/J6iO (1/1)

ファーストクラスには座れなかったが立派なお出迎えは寄越してくれたようだな
実際俺がプレイしててこんなお出迎えが来たら涙流すだろうね絶望のだけど


338以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 12:46:10.58JNy2CssdO (1/1)

カンストだと地獄だろうな


339以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 12:53:02.34Wv/ugOpZo (1/1)

これで全体の何割?
まだ半分くらいなら流石のコブラも死にそう


340以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 13:51:35.12dW0RjqXuO (1/1)

ボスの数的には半分ぐらいとかググったら出てきた


341以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 16:39:57.52mwJ8F2ADO (1/2)

本当に半分とか不死身のコブラもさすがに年貢の納め時かな?


342以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 16:50:07.13Za4gb6oV0 (1/1)

神様なら不思議な力で飢えと疲労くらいはなんとかしてくれるでしょ

たどり着ければ


343以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 17:14:45.50PSXGVSaKO (1/1)

絶対に攻略しなきゃいかんルートがアノロン後にあと4ルート、ボスの数は6だか7、その後ラスボスだっけか


344以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 17:16:58.28d8bFWiB3o (1/1)

3要素あるなら輪の都もあるし…


345以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 17:38:06.67kbQhktpsO (1/1)

でもコブラは神を罪を作り出したつまらん男って言ってるしなぁ……
そんなコブラがおいそれと了承するかね?


346以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 18:47:49.43hP0R+szl0 (2/2)

ジークマイヤー「回りくどいなぁ。つまりは何が言いたいのだ?」

コブラ「ここを抜けるのに速さはいらないって事さ。どーれ、ひとつ試してみるか」


スッ


ジークマイヤー「!?」


突然、コブラは歩き始めた。恐る恐る、震えを起こさずに、足音を消して。
警備装置を掻い潜って宝石を手に入れる時と同じ要領、同じ緊張感を持ちつつ、心をなだめて。


ビアトリス(また無茶を…!)サッ


無策な仲間を助けるため、ビアトリスは杖を構える。
巨人が少しでも動けば、その頭部に魔法を叩きつける腹積もりだ。
しかしそれも効果のほどは未知数であり、彼我の戦力差なども無視した警戒だった。


コブラ「………」スッ…


一歩二歩と、コブラは巨人と一定の距離を保ちつつ、巨人の目の前を素通りするべく歩く。
巨人の顔も、巨人の全体像もコブラは見ていない。ただ自分の足元を見て、早く寝たいと考えるだけ。
失敗したら仲間が死ぬなんて事も考えない。今や足元だけがコブラの世界だった。


コブラ「………」スッ… スッ…


巨人の騎士が立つすぐ横には、都の奥に見える巨影程ではないにしろ、巨大な聖堂がそびえている。
巨人はその聖堂の衛士であり、コブラはその衛士の前で不法な侵入をしようとしていた。


スッ…


コブラの足先が、聖堂内部を覆う影を踏む。



巨人近衛兵「………」



衛士は動かない。




コブラ(何故だ…何故動かない…)

コブラ(コイツも何かの罠か?それとも只のハリボテだったりするのか?)

コブラ(俺の世界だと、ここらで巨人の頭がパックリ割れて、セントリーガンが顔を出してるだろうな)スッ…



コブラは疑いつつも、歩みを止めない。
影に入った片足は両足になり、コブラの金髪も陽光から身を潜め、コブラの足音は巨人から遠ざかった。
大聖堂の中は静寂と薄闇に包まれ、そよ風すらも入ってこない。
巨人の衛士はやはり、動かなかった。



コブラ(やれやれ…今までで一番ヒヤッときたぜ)サッサッ


ビアトリス「………」

ジークマイヤー「………」


暗がりからのコブラの手招きには、不死達は誰も応えようとしない。
何故巨人がコブラを見逃しているのか皆目分からないからだ。

レディ「………」スッスッスッ…

唯一、コブラについて多角的に要領を得ているレディだけが、コブラの招きに即座に反応した。
彼女の忍び足は軽やかで、夜道を歩く猫のようだった。



347以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 18:56:08.64i6RhoWS+o (1/1)

目が見えないとかかね


348以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 20:29:24.14mwJ8F2ADO (2/2)

つまりジークマイヤーさんの冒険はここで終わってしまうのか……全身鎧じゃ忍び足とか無理だろう


349以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/20(土) 22:21:21.36sBH2/8Em0 (1/1)

バケツ頭がここ抜けてる以上音は関係なく闇雲に攻撃する無分別で克己心がないやつを振り落とす試練かもね


350以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/21(日) 03:16:14.188rCo7bsG0 (1/1)

ローガン「………」ササッ…


レディが無事に聖堂に入るのを確認すると、ローガンは躊躇なく巨人の前を通った。
原理や法則を掴んだら迷わず事を行う。それが蒙を開き、後陣を導くと信じているからこその行動だった。
ローガンが確信を持った原理は『近づかないこと』『敵意を見せないこと』『攻撃しないこと』
確信に至らずもその候補に上ったものは『音を立てないこと』『走らないこと』
万全を期すなら、全てを行うのが望ましい。

ビアトリス「………」スッ…スッ…

そして、ローガンの信念は正しかった。
師が示した道を、疑う理由の証明なく無下にする事は出来ない。
真面目に過ぎる弟子には、尚のこと。

ビアトリス「………」スッ

不満を抱きつつも、ビアトリスは師の無言の言いつけを守り、聖堂に入った。
そして、一見して無闇な行動をとったコブラを小突いて、残った一人に心配そうな視線を送る。



ジークマイヤー「………」



ジークマイヤーは、実のところローガンの無言の忠告に全く気付いていなかった。
状況を打開するために知力を絞るという、冒険者にとっては利点と言える癖をジークマイヤーは持っている。
だが、思索をするには兜の覗き口はあまりに細く、ジークマイヤーの視野はあまりに狭すぎた。


ジリッ…


重鎧から音が漏れないよう、ジークマイヤーは極めて遅く、すり足を床に這わせ始めた。
一歩進むのに三十秒は要する、ナメクジのようなその歩法は、それを見る者にさえ緊張を伝える。
そんな細心の注意を払っても、彼の鎧は震えて擦れ、カタカタと小さく鳴り続ける。
そして遂に辛抱耐えかね、ジークマイヤーは声を殺して言葉を発した。


ジークマイヤー「走ってよいかな?」ヒソヒソ…

ビアトリス「!?」


ローガン(それもありかもしれん)


ジークマイヤー「いいかな?」ヒソヒソ…

コブラ「いや、そりゃマズい」ヒソヒソ…

ジークマイヤー「いいだろ?」ヒソヒソ…

コブラ「ダメだ」ヒソヒソ…

ジークマイヤー「じゃあ飛ぶから受け止めてくれ…隠密など無理だ…」ヒソヒソ…

コブラ「待て早まるな!そのままゆっくり来ればいいんだ!」ヒソヒソ!

ジークマイヤー「昔からこういう事が上手くいった試しがないんだ…」ヒソヒソ…

コブラ「よしてくれ恐れを知らないカタリナ騎士だろ!?」ヒソヒソ!


ビアトリス「おいコブラ、アレ…」ヒソヒソ…


小声で怒鳴るコブラの肩を叩いて、ビアトリスは聖堂の奥を指差した。
聖堂に入っている者たちは、その指が示す方向、聖堂奥の壁と、そこに刻まれた装飾を見る。


コブラ「おっと…」


聖堂の壁にあったのは装飾では無く、人の形をした巨像だった。
影のせいか色は薄いが、鎧と斧槍は鈍く光り、盾は大きく、僅かに上下に揺れていた。
恐るべきことに、巨人の影は二つ並んで、同じく一行を見下ろしていた。
その表情の見えない、虚ろな兜の覗き穴から。




351以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/21(日) 03:54:37.29RaUmP5ruO (1/1)

ジークマイヤーさんェ……いや気持ちは分かりますが
その装備で隠密とか魚に空を飛べというのと大差ないし


352以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/01/21(日) 13:16:48.103CZwPpig0 (1/1)

そこの鉄だるまもうちょっとだから辛抱せいw


353以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/02/20(火) 23:35:12.24qy6RiIel0 (1/1)

危なし
保守


354以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/02/21(水) 08:05:20.65jnk90/vYO (1/1)

>>1が書き込まないといけないから保守はあまり効果が無いよ


355以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/02/28(水) 05:05:10.11xvV0Mgy20 (1/1)

>>304
訂正です。
「なっ、おい、離せ!足手まといはごめんだぞ!」
というセリフはジークマイヤーのものでした。



356以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/03/03(土) 06:57:11.01wW6mgGE20 (1/1)

カイーン!


一行「!」

ジークマイヤー「!?」



緊張した静寂を、金属の鋭い衝突音が割った。ジークマイヤーは咄嗟に音の出所を正面に捉え、盾を構える。
しかし、そこにあるのは建造物の白く美しい石壁だけ。敵も罠も無い。
そして、ジークマイヤーは己の握るツヴァイヘンダーが僅かに振動している事に気付いた。
大業物を担ぎ、余った左手に円盾を持ち、全身をすっぽりと覆うふてぶてしい重鎧を着て壁際を歩けば、一度や二度は壁を叩きもするだろう。
忍びではない、正面戦闘を是とする誇りある騎士に、密やかさなど無用であり、また不可能だったのだ。


ジークマイヤー「………」


言葉には出さないが、ジークマイヤーは仔ウサギのように臆病と見えるであろう己の姿を幻視し、また違った意味で駆け出したい思いを強めた。
そして、その思いは正しく、今しなければならない事と合致した。踵が巨人の影を踏んでいたのである。


コブラ「走れジーク!巨人が気づいたぞーっ!」

ジークマイヤー「え?」クルッ



ガギーーッ!!!



巨人へ振り返ったジークマイヤーの盾に、黄銅色に輝く甚だ巨大なハルバードが撃ち込まれた。

ドガッ!! グシャーッ!!!

ジークマイヤーは蹴り飛ばされた小石のように空中を突っ切り、聖堂の天井にぶち当たると跳ね返って、床に墜落した。
床に激突してからコブラとレディに担ぎ上げられるまで、数秒の時間があったが、その間ジークマイヤーはピクリとも動かず、蓋を開けて転がした水筒のように血を流すばかりだった。
レディはジークマイヤーの懐を弄り、エスト瓶を探り当てたが、中身は空だった。


コブラ「クソッ!俺たちはジークを連れていく!ビアトリスとじーさんは巨人を足止めしながらついて来い!いいな!」

ビアトリス「やるしかないようだね…」

レディ「しっかりしてジーク!ここにも篝火があるはずだから、それまで頑張るのよ!」

ジークマイヤー「………」ドボドボ…


コブラ「行くぞっ!」ダッ!


ズーン!!



逃亡を始めた侵入者を殲滅すべく、巨人の衛士達は一斉に動き出した。
聖堂の中に居た二体の巨人は盾を構えて歩みを進めるが、ジークマイヤーを斬りつけた一体はコブラ目掛けて駆け出していた。
目標はコブラではない。血だるまになったカタリナの騎士だ。


ビアトリス「私は走る巨人を討ちます!先生は向こうの二体を!」

ローガン「よろしい。任された」


ビアトリスは浮遊するソウルの小球を展開すると、杖にソウルを込める。
ローガンは大きすぎる帽子の長つばを上げると、二体の巨人を見据える。


ビュオーーッ!!


カタリナ騎士を斬るべく、走る巨人が振り下ろしたハルバードの大刃は…

ズドーーン!!

ジークに貸していた肩を外し、背負った特大剣を振り上げたコブラに受け止められた。

コブラ「ぐふっ!」

特大剣ごと床に叩き伏せられたコブラの脳裏に、ついさっき乗り越えたはずの障壁が浮かぶ。
鉄の巨像が蘇り、再びコブラに立ち塞がった。


357以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/03/03(土) 12:44:46.99xrJIDYkdO (1/1)

やはり無理だったか……仕方ないね


358以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/03/06(火) 13:20:52.13tpiYufG/0 (1/1)

巨人はコブラを叩き伏せ、二の太刀をジークマイヤーに浴びせんとハルバードを振り上げる。

バシバシーッ!

その掌に五つの光球が着弾し…

ボォン!

次いでソウルの太矢が突き刺さる。
ハルバードは巨人の手から離れ、小城の城門が倒れるが如き轟音を鳴らした。
追撃する巨人の攻撃対象は、ジークマイヤーからビアトリスに切り替わる。
ここからが正念場と、ビアトリスは杖に魔力を込めて再び小球を生み出す。


バキッ

ビアトリス「あっ?」


その魔力が強すぎたためか。
それとも、古城に囚われた際に異形の像に叩き折られた杖の修復が甘かったためか。
杖は再び折れ、魔力が散ってしまった。

一方、二体の巨人の始末を任されたローガンは、まるで庭園を歩くような無防備さで、巨人たちに近づいていった。
二体の巨人も歩調を合わせてローガンに接近していくが、ローガンの歩みは崩れない。
そのローガンの進行方向は、ほんの少しだが巨人達から見て右に寄れている。

ドン!

右側の巨人は、己の得物の距離にローガンが踏み込んだ瞬間、歩みに力を込めた。
そして大股に構え、ハルバードを天井に突き刺さんばかりに掲げた。

ローガン「やはり、距離によるか」ヒュイイイ…


シュゴーッ!!


掲げられたハルバードが振られる事は無かった。
ビッグハットの名を人の世に広めたものは、大きい帽子と叡知と偏屈だけではない。
大岩を穿ち、神の一撃との比較を許されるほどに強力な恐るべき魔術にこそ、その名の真髄がある。
ローガンにソウルの槍と名付けられた青い閃光は、巨人の胴体に大穴を開け、聖堂の壁を甚だ傷つけた。

ドガーン!!!

風穴を開けられた巨人は仰向けに倒れ、全身から白いソウルを吹き出し、靄を残して消えた。

ブワッ!

その靄を割って、もう一体の巨人がローガンに突進する。
前面に大盾を構え、面攻撃によって侵入者を叩き潰すことが突撃の目的だった。
しかし、巨体であることは弱みにもなりうる。例えば、大盾の隙間から覗く足の甲などだ。

ローガン「………」スッ…

やや気だるげにローガンは伏せると、匍匐の姿勢で杖から魔力を放つ。

ドバーッ!!

駆け出した脚の先を破壊された巨人はつんのめり、ローガンの頭上を飛び越え…

ガゴーーン!!!

聖堂の石壁に頭から突っ込み、神聖なものだったであろう彫刻を粉砕し、動きを止めた。
伏せたことによってついた埃を払いつつ、ローガンは片手間にソウルの太矢を巨人の尻目掛け撃ち出して、二体目の始末を終える。
なぜ尻を撃ったのかはローガン自身も深くは考えていなかったが、撃ったことによって悪戯心が満たされたことは確かだった。


ビアトリス「せ、先生申し訳ありません!杖が!」ハァハァ…


二体目の巨人が消える頃、ビアトリスは斬撃の雨に晒されていた。
回避に専念しているため無傷ではあるものの、体力的に致命打を貰うのも時間の問題であるようだった。

ローガン「修理の光粉を切らすとは、迂闊よなぁ。ははは」

ビアトリス「笑ってないで助けてください!ひぃ!」ブオーン!!

ローガン「分かった分かった」ヒュイイイ…


シュゴーーッ!!




359以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/03/06(火) 15:23:55.88i+kscLGnO (1/1)

杖が折れたとあった時にはビアトリス死んだかと思ったわ……


360以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/03/06(火) 17:49:29.66/jDO/q8DO (1/1)

巨人にソウルの座薬が……


361以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/03/08(木) 08:33:06.74c3T6gxPX0 (1/1)

二人の魔法使いが巨人達を打ち倒した、ちょうどその時…
負傷者を抱えたコブラとレディは聖堂を抜けた先にある大バルコニーを走り、バルコニーの壁に開いた横穴に入った。
横穴からは下り階段が伸び、その先には小さな石造りの個室があり、個室は暖かな光に照らされていた。

レディ「見てコブラ!篝火よ!」

コブラ「ヒェー助かったーっ!間一髪ってところだな」


コブラは篝火の近くにジークマイヤーを座らせると、個室の壁際に座り込み、ズボンのポケットを探る。
しかし、目当てのものは手に触れなかった。


コブラ「あー、またやっちまった。ハマキはタートル号の中だぜ」

レディ「フフッ、もう立派な葉巻依存症ね」

コブラ「あんな調べもの、すぐに終わるはずだったんだ。こうなると知っていたらリュックいっぱいに詰めてたさ」


コブラが愚痴をこぼす中、ジークマイヤーの鎧からは流血による汚れが消えて、歪みも修復されていった。
まるで時間が巻き戻っているかのような現象だったが、コブラもレディも大して驚きはしなかった。
疲労困憊のコブラには驚く程の体力は無く、それを分かっているレディはコブラを体力回復に努めさせるため、疑問を口にはしないようにしている。
あぐらを崩し、コブラは大の字に寝転がり、天井に向かって呟く。


コブラ「はぁ…腹減ったなぁ…」

コブラ「こんな事なら森で山菜採りでもしてりゃよかったぜ…」

レディ「コブラ!起きて!」

コブラ「んー?」


チャキッ


コブラ「かーっ!人がこれから寝ようって時に!」


喉元に突きつけられた細剣にコブラは悪態をつく。
剣の持ち主は真鍮製の重鎧を着込んでいたが、その佇まいはどことなく女性的で、コブラに幼ささえ感じさせた。
コブラが細剣を叩き折るなり取り上げるなりをしなかったのも、これが理由だった。


真鍮鎧の騎士「貴公、何者だ?不死では無いようだが、英雄にしては先程から隙が多すぎる」


真鍮の兜から聞こえるくぐもった声は、コブラから更に攻撃の意思を失わせた。
その女の声は、冷徹さの裏に慈悲を隠していたのである。


真鍮鎧の騎士「幾度か英雄の宿命を背負う者達と遭ったが……」

真鍮鎧の騎士「………ふむ…」

コブラ「おっと待った。剣を向けたまま考え込まないでくれ。あんたのうっかりで俺は死んじまうぜ」

真鍮鎧の騎士「………」



スッ…



真鍮の騎士が納刀すると、コブラは上体を上げて壁に寄りかかり、脚を投げ出した。
そのだらしのない姿を見ても、真鍮の騎士の気力は一切緩むことは無かった。


真鍮の騎士「ここに来た者達の素性など、私は一度も尋ねたことが無い」

真鍮の騎士「だが、貴公においては是が非でも聞いておかねばなるまいという気が、どういう訳か湧き上がる」

コブラ「質問攻めなら今はお断りだ。口説こうってんなら、まずは俺の胃袋を満たしてもらいたいね」

コブラ「あとそれとフカフカのベッドだ。それさえ用意してくれたなら、俺はなんだって喋るぜ?」

真鍮の騎士「そんなもの、あるように見えるか?」

コブラ「無いから欲しがってるんだがね」

真鍮の騎士「………」



362以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/03/08(木) 21:06:34.144uQtI1LmO (1/1)

そりゃそうだな
持ってるならくれなんて言わんか


363以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/01(日) 02:33:57.60J+Cpf2y90 (1/1)

ビアトリス「………」

ローガン「ふむ、やはり手遅れだ。この杖は全く壊れてしまった。やれやれ、神の地まで赴いて鍛冶屋探しとは」ホッホッホ

ビアトリス「…申し訳ございません」

ローガン「謝るのなら、術に杖に」



ビアトリスに折れた杖を返すと、ローガンは周囲を見渡す。
そして、消えゆく地の足跡を見つけ、痕跡を辿り、横穴に行き着いた。


ローガン「幸いだな。篝火の輝きが見える。鍛冶道具もあることだ。貴公の杖にもこの灯りはありがたいだろう」

ビアトリス「鍛治道具?何故そのようなものを先生が?」

ローガン「不死教区の鍛治職人が世話をしてくれるのだよ。無論、いくらかのソウルを渡すことにはなるがね」

ビアトリス(自らを律する道具を、なんと軽々しく扱うんだ…)


罠に警戒しつつ、二人はゆっくりと階段を下っていった。
先の古城とは違い、階段に罠などは無く、ローガンとビアトリスは支障無く小部屋へと入り、コブラ達に合流した。


ビアトリス「無事だったか、コブラ。ジークマイヤーはどうしている?」

コブラ「やっこさんならおねむの時間さ。俺もそうしたいんだけど…」

ジークマイヤー「グゥ…グゥ…フゴーッ」

コブラ「この調子じゃあなぁ……ハラも減ったし…あーあ」


真鍮鎧の騎士「大所帯とは珍しい……貴公らはこの男の仲間か?」


ローガン「仲間?ふむ……まぁ、互助の類ではあるかな。しかし大所帯と言うには少々数が足りない気もする」

ビアトリス「失礼するが、貴公は何者で?」

真鍮鎧の騎士「私はこの篝火の番だ。名を聞いているというのなら、悪いがそのような物はこの任を主から仰せつかった時に棄てている」

真鍮鎧の騎士「火防女とでも呼ぶがいい」


ビアトリス(鎧姿の火防女とは……いや、見た目の詮索はよそう。篝火にありつけるだけ幸運と思うべきか…)


ローガン(火防女は人間性を溜め込むゆえ、人の女にしか務まらん。それでいて神の地にあり、主から仰せつかった任があるとすれば…)

ローガン(多くの信仰にある、人は神の地においては使役されるべき者という伝承は正しいようだ。とするならば、神が人に分け与えた術や、その原型もこの都にあるに違いない)

ローガン(求めし神の書庫も近いか…)


コブラ「火防女ねぇー…女の子から名前取っちまうなんて、相当女が怖いと見えるなぁ」

真鍮鎧の騎士「……その口ぶり、我が主に二言物申すというわけか?」

コブラ「別になにもぉ?流石神様と感服してるのさ。この世で女ほど怒らせて怖いものは無い」


コブラ「………」グゥ~…


ビアトリス「今の音……腹の音か?なんて懐かしい響きだ…」

レディ「そんなに感動すること?」

ローガン「不死になれば分かる。いつか糞尿にも郷愁を思うものだ」

ビアトリス「いえ、流石にそれは…」


ローガン「腹が減ったと言うのなら、なんとか出来るやも」


コブラ「なにっ!?」ガバッ

ローガン「緑花草という植物は、疲弊した兵に力を与える。そして古き神話をまとめた伝承に、光の王は、その緑花草を人の都の王に約定の証として贈ったという一説があったはず。神代の物と言えど、所詮は草。そこらに生えているだろう」



364以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/01(日) 03:30:13.65fHe7en8Bo (1/1)

神話の地まできて飢え死にとか笑い話にもならんしさすがのコブラも目の色変わるか


365以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/01(日) 13:31:44.027Cjsjw6Q0 (1/1)

この際草でもいいから食わせてやってくれ
バケツ一杯でもドレッシングなしで食いそうだw


366以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/01(日) 18:37:12.6255bzBbHqo (1/1)

苔もいいぞ!


367以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/01(日) 19:50:22.24bnOvAFoCO (1/1)

茸人とか美味そう


368以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/01(日) 23:37:39.56ZWa/Luj/O (1/1)

そこにはワンパンKOされた亡者の姿が!


369以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/01(日) 23:46:54.93fx+DPV6DO (1/1)

>>365
そんなに食ったらコブラじゃなくてウシになっちまうな


370以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/02(月) 18:12:04.63en8r4GFO0 (1/2)

ローガンの提案から十数分後、小部屋は不死の地には甚だ不似合いな香りでいっぱいになった。
大魔法使いの小鍋は篝火に炊かれ、本来投じるべき調合素材の代わりに、緑花草・キノコ・山菜・香草・岩塩などを煮詰めたスープが、その鍋を満たしている。
しかし小さじでスープを混ぜるローガンと、小鍋を興味深げに見つめる火防女と、師から借りた鍛治道具で杖を治すビアトリスは、そのスープには一切口をつけなかった。
香りも味も、空腹と共に人の世へ置いてきた者たちにとって、食事など古い習慣の一つにすぎない。
現に、鍋を突くのは人にまみれた男、ただ一人だった。


コブラ「ひゃー!ここに来て以来初めての料理にしては中々イケるぜ。素焼きのキノコは料理の内に入らないからなぁ」ムシャムシャ…

ローガン「ここを出て左手側を進んだ先に生える木々から採ってきた。味に嫌味の一つでも言われるかと思ったが、お気に召したかね?」

コブラ「塩っ辛いのと肉が無いのがチョイト不満だが、それは贅沢ってもんさ。助かったぜ」モグモグ…

コブラ「それよりこのスープに使った水と塩はどっから汲んできたんだ?蛇口捻って水筒に汲んだわけでも無いんだろ?」

ローガン「女神の祝福という秘薬を作ろうとして出来た失敗作を使った」

コブラ「うっぶ!!」ブフゥ!

ローガン「ふーむ、塩味だったか。なぁに安心したまえ。失敗作とは言え毒というわけでもない。効果が一切無い液体の混ぜ物に過ぎんよ」

コブラ「まったく、たらふく食っちまった後にそういう事言うんだもんなぁ。あとで蕁麻疹が出てきたら帽子にラクガキするから覚えときな」

ローガン「ふふ、それは困るな。どうせなら手入れでもしてもらいたいね」

コブラ「あーそうかい。じゃ、俺は寝るぜ。俺がニキビまみれで起きないことを祈っててくれ」ゴロリ


コブラ「………」くかー


ローガン「入眠が早いな。多才なのはいいことだ」

レディ「それだけ消耗してるってことよ。こんな彼は珍しいわ」

ビアトリス「先生、杖の修理が終わりました。鍛治道具をお返しします。ありがとうございました」

ローガン「うむ」



ローガン「それでは、私が山菜採りに出かけた時に見つけた『輝く壁』について、話そうか」



レディ「え?」

ビアトリス「?」

真鍮鎧の騎士「それは我らが大王が施した封印だ。貴公らの力では開けられん」

ローガン「大王の封印?ということは…」

真鍮鎧の騎士「そう、太陽の光の王の封印だ。貴公ら不死がこの地で蒙を授からぬ限り、王の力は道を閉ざす」

ビアトリス「蒙を開くって…」

ローガン「それなら私の得意とするところだ。じっくり探究するとしよう」


ローガン「ただし、それはコブラとタマネギ君が起きてからだ」












371以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/02(月) 22:39:19.41eIjOTptWo (1/1)

大魔導師様意外とオチャメでワロス


372以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/02(月) 23:22:38.05en8r4GFO0 (2/2)





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
パイソン77マグナム

火薬の炸裂によって、弾丸と呼ばれる金属の粒を発射する
「拳銃」と呼ばれる遠距離武器。

安価で単純なものですら、弾丸に鎧を貫くほどの力を与えるが
コブラの持つこの銃は馬鹿馬鹿しいほどの破壊力を弾丸に与える。
その力は城壁を粉砕し、巻き起こす風で人体を撫で斬りにするという。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






373以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/03(火) 02:59:53.02y8WXfpUB0 (1/2)






コブラの一行がアノール・ロンドで休んでいるころ、ソラールの一行は地下を進んでいた。

進んでいると言っても、ソラール達は一度悩み、意見の仲違いで一悶着起こしかけた末、二択の内の一択を選び、そこを歩いているだけだった。
神を冒涜する死術師によって、無限に生かされる白骨群が跋扈する「地下墓地」か。
毒を含んだ腐肉の沼が広がり、大ビルと亡者が吹き溜まってはいるが、少なくとも中途の道筋は知れている「病み村の奥地」か。
大食らいの竜が沼地に戻り、再び病み村を食い荒らしている可能性を誰もが考えたが、決して少なくはない「円滑な旅路」への可能性もあった。

幸いにも一行に訪れたのは後者の可能性で、毒沼に戻っていた貪食ドラゴンは沼地の魔女に再び焼かれて逃げだした。
しかし、ソラール一行の懇願虚しく、沼地の魔女は同行を辞退した。
姉妹達が死なずに済んだのはいいが、やはり合わせる顔が無いという。
それにしても、皆にとってこの旅は予想外だった。
混沌の魔女クラーグの住処を通った先に、吹き荒れる熱気と焼けた土、煌々と輝く灼熱の溶岩が流れる大空洞が広がることも、一行には予想外だった。
だが予想外なことはもう一つあった。



戦士「あっちぃなぁ……どこを見たって溶岩まみれ……」ゼェゼェ…

戦士「こんな所で金属鎧なんて着てらんないぜ…」ゼェゼェ…

ソラール「ああ全くだ」フゥフゥ…

戦士「あんたはよくそんなバケツ…こんな所で被ってられるな…気が変になってんのか?」ゼェゼェ…

ソラール「ふふふ、気が変か…」フゥフゥ…

グリッグス「だったら鎖帷子を脱いだらどうだ?こっちはヴィンハイムの由緒ある制服のお陰で少し暑い程度だ」

ラレンティウス「こっちも問題ないぜ。呪術師の服は火に強いからな。呪文のおかげだ」

戦士「魔法の服に術師の呪文か…ったく羨ましいこったよ…」ゼェゼェ…



クラーグ「ほらどうした。さっさと歩かないと捨て置くぞ」



戦士(言ってくれるぜアンタが主に暑いんだよ…)ゼェゼェ…

ソラール「す、少し歩調を緩めてもらえないだろうか…我々に蜘蛛の脚は無いのでな」フゥフゥ…

ラレンティウス「何を失敬なことを言うんだ!このお方は本来ならば我々のような不死ごときに…」

クラーグ「よい。容姿など気にしたことは無い。だが蜘蛛脚が無いのは貴様達の落ち度だ。責められても何もならん」

戦士「別に羨ましいってわけじゃねえんですよ……ただね、その毛玉みたいな炎を抑えてくれって思ってるんですよ、こっちは……」ゼェゼェ…

ラレンティウス「お前なぁ…」

戦士「あーわかったわかった、わかったよ…」ハァハァ…

戦士「こっちが鎧を脱ぎゃあいいんだろ!ちくしょうめ!」ジャラジャラ…


列の最後尾にいた戦士はおもむろに鎖帷子を脱ぎ始め、褌一丁にブーツと手袋を残し、肌を晒した。
先頭のクラーグはその様子を耳で聞き、クスリと笑った。


クラーグ「脱げばさらに熱いぞ。汗など数瞬で吹き乾く。愚か者め」ククク…

戦士(ちくしょう…本当に熱いぜ…熱さ通り越して肌が痛くなってきた…)ゼェゼェ…

ソラール「おとなしく鎧を着ておけ…服だけでもいい…乾いて動けなくなるぞ」フゥフゥ…

戦士「………」ゼェゼェ…



戦士「………」ガサゴソ…



一度は全裸になることも考えた戦士だったが、思い直して服を着直し、静かになった。
コブラの多様な意味で読めぬ腹の内に免じ、熱気渦巻く地底の奥に住まう「ある者」に慮り、混沌の魔女は一行を先導する。
一行はかくして混沌の炎に焼かれた土を踏みしめ、橙色に照らされる橋を渡って、谷底に熱の川を流す崖を超え、霧を潜り抜けた。
魔女たちの母が生み出した多くの罪禍の一つにして、一人。
忌子、または弟に会うために…



374以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/03(火) 07:09:53.196hIYcSBao (1/1)

そういや不死達は水は飲むんだろうか……?


375以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/03(火) 10:13:09.28y8WXfpUB0 (2/2)

グリッグス「それにしても…」

戦士「?」

グリッグス「鎧を脱ぐだけだと思っていたが、まさか服まで脱ぐとは…」フフフ…

戦士「なんだよ…喧嘩売ってんのか。こっちは暑さでイラついてんだ。なんだってやるぜ…」フゥフゥ…

グリッグス「いやからかったのは事実だが、それだけだ。深い意味は無い。ただ、こう…」

ソラール「暑さで苛ついたってところか?」フゥフゥ…

グリッグス「そ、そんなところだ……君は暑くないのか?」

ソラール「熱いさ。だが耐えている。ハハハ」

グリッグス「は、はは…」



クラーグ「黙れ貴様ら。ここから先は我が良いと言うまで口を噤め。誰かが口を開いたならば、それは我が弟への侮辱とみなす」

クラーグ「そうなれば貴様ら全員、腰から下を赫灼たる溶鉄に埋め、永久に生かし続けてやろう」



ソラール「………」

グリッグス「………」

戦士「………」

ラレンティウス「………」


不死達を黙らせ、魔女は歩き続ける。
彼女の左手側は、焼けた断崖が続き、断崖の遥か下には溶けた岩が煮えたぎっている。
右手側にはヒリヒリと熱気を放つ絶壁が並び、正面には煤けた一本道が続いている。
不死達は恐怖した。
己に進路を示す蜘蛛からの脅しが、恐ろしかっただけでは無い。
蜘蛛がこれから会おうとしている者が、蜘蛛の背中の向こうに見えるからだ。
蜘蛛は巨大で、背丈だけでも人の三倍はある。その背中越しに見えるほど、弟の巨躯は常軌を逸していたのだった。



爛れ続ける者「………ムオォ…」



小さく唸り声を上げるその者の体は、概ね人型であり、大食らいの竜を一足で踏みつけられる程に巨大だった。
その体温は夏の太陽のようであり、肌は溶岩と溶鉄、そしてマグマによって形作られ、虫の腹のように節くれだっている。
大橋の如き左腕は自らの体に縫い付けられ、大量の右手は右肩から後頭部までを起点に密生し、人骨の指とも虫の脚ともつかない形をして、巨大に蠢いている。
溶けた岩の如き顔には複数の眼が赤色に輝き、頭からはねじれ曲がったツノが二本生えていた。
その姿はまさしく地底の悪魔であり、なぜ地の底からの炎が混沌と呼ばれ、そこからデーモンが生まれるのか、不死達は察した。



クラーグ「…弟よ。そういえば指輪を落としたままであったな」


爛れ続ける者「!」ピクッ


クラーグ「姉君の遺骸を見護るにかまけ、すぐに指輪を落とすのだからな、お前は」


爛れ続ける者「ムオ~……」


クラーグ「だが、もはや指輪を嵌めろとは言わん。今度は不死どもにも手伝わせ、お前の指に指輪を捻り込んでやろう」



クラーグは爛れた山に一言二言語りかけると、自らの右上腕に巻かれた腕輪を撫で、小さく何かを唱えた。
古い言葉は人の可聴域から外れ、魔女にしか聞き取れず、その声はクラーグの住処を抜け、病み村まで届いた。


混沌の娘「この声…姉さん…?」


黒いローブの女「馬鹿な……今さら私に何を期待しているんだ…」


魔女の力は衰え、その名も歴史の表舞台から消えて久しい。
だが、彼女達の絆は未だ朽ちず、不憫な弟を思う心も、確かに繋がっていた。


376以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/04(水) 03:17:50.06IS89VApdo (1/2)

無理矢理つけさせるってこんな炎の塊みたいな奴に触れたら焼け死ぬんじゃ……


377以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/04(水) 05:12:22.07sqpBFTLo0 (1/1)

沼地の魔女はたじろぎ、永らく途切れていた問いかけを無視しようとした。
弟は混沌の炎から生き残った姉妹達を守り、混沌の炎を被り、尽きぬ苦痛と肉体の激変を味わった。
彼がいなければ、今頃魔女の血は全てデーモンの血統に塗り替えられていたことだろう。
それなのに、自分は弟や姉妹達を救うことを諦め、変わってしまった母を恐れ、逃げ出した。
そんな自分が今さら声に応えるなど、おこがましい事なのだと。

しかし、姉であるクラーグの言葉なき声は暖かく、在りし日、在りし者を想うものだった。
不出来で可愛い弟と、固い絆で結ばれた姉妹達。魔女の世を作り、神々と共に世界を支えた偉大なる母。
その戻り得ない安息の、小さな断片でも、彼女は構わないのだった。


黒いローブの女「………」


沼地の魔女は両手を掲げ、掌から小さな火の粉を浮かせ、クラーグの元へ送った。
今にも消え入りそうな火の粉は、沼地を抜け、灰の山に入り、混沌の娘の座る一室を通りすぎる。
すると火の粉は他の火の粉と合流し、踊るように部屋を出て、灼熱の大空洞へと至り、クラーグの元へ揺らぎ、宙空を泳いでいった。

そして、クラーグが掲げた掌に浮かぶ火の粉と交わり、火の粉は火球となった。


クラーグ「………」ボボボ…


大蜘蛛が火球を掲げ、掌を閉じ、音なき声で呟くと…


ドゴォーーッ!!

不死達「!!?」


火球は彗星のごとき蒼い閃光を放ち、爆発した。
指の間から噴き出た黒煙は、閃光に眩暈を覚えた不死達を包み、激しく咳き込ませる。
クラーグが掌を開けると、そこには黒い灰の盛り上がりがあり、灰は魔女の吐息で吹き飛ばされ、赤い大地に消えた。





クラーグ「クラーナ…我らは唯の一度とて、お前を責めたことは無いよ…」






クラーグ「喋っていいぞ」

戦士「げぇっほげっほ!うぇっほ!」

ソラール「ぶふっ!ごほほ!」


クラーグ「その暇も無しか。軟弱者どもめ」


グリッグス(焼き殺されるかと思った…)ゴホゴホ…

ラレンティウス「げほっ……いっ、今のはなんなんですか?」


クラーグ「混沌を踏破するための指輪を、我らが魔女の力で錬成したのだ」

クラーグ「早く息を正せ。貴様らの仕事はここからだ」

戦士「?」フゥフゥ…

グリッグス「し…仕事…?」


クラーグ「この混沌の魔女が見返り無く先導者になるとでも思っていたのか?貴様らの口車にタダで付き合うようならば、巣を張り、不死など食らっておらんわ」フフフ…


ソラール「ううむ…やはり腹の内があったのか…」

戦士「あったのかじゃねぇ!あるに決まってるだろ!だから俺は魔女の案内なんていらんって言ったんだ!」

クラーグ「押しきれぬなら賛同したのと同じこと。見苦しいぞ」

戦士「クソッ、最悪だ……魔女の頼みなんてロクでも無いことに決まってる…」

クラーグ「鍛冶仕事をしてもらおう」

戦士「は?」


378以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/04(水) 07:14:58.86IS89VApdo (2/2)

ソラールさんの能天気さというのはある種の才能なような気がしてきた


379以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/07(土) 05:13:09.37WXgKztVw0 (1/1)

カカーン! カカーン! カカーン!

グリッグス「ソラール、強く叩きすぎだ。それと調子を揃えるんだ」

カイーン! カイーン! カイーン!




不死一行が魔女の頼みを承諾して十数分…
不死達は骨とも木とも、岩ともつかない人の胴ほどもある太さの指に、指輪を刻んでいた。


戦士「ああ!クソ!あちいなぁ!」ブン!

カイーン!

ソラール「はは!そうだな!だが!」ブン!

カイーン!

ソラール「こういうのもいいだろう!?牧歌的で!」


鍛治職人の姿は無く、槌の代わりに剣の腹が打ち下ろされ、鍛冶屋の代わりに汗の飛沫を全身から飛ばすのは、ソラールと名も無き戦士。
打ちが終わり、すかさず指輪の元へ駆け込み…


ラレンティウス「………」ボタボタボタボタ…

ジュウウウーーッ…


滝の如き汗で、赤熱した指輪を冷ますのはラレンティウス。


戦士「本当に水はこれでいいのかよ…絵面が最悪だ…」

ラレンティウス「仕方ないだろ他に手が無いんだから。それとも唾でも吐けって言うのか?」ダラダラダラ…

ソラール「激しい発汗の呪術…だったか。そんなに汗をかいて大丈夫なのか?」

ラレンティウス「そこなんだが、実のところ俺もよくわからないんだ。不死が使うとどうなるかって記録は、大沼にも無いからな」


ジュワワワーーッ!!


戦士「うおっ…」

グリッグス「水蒸気が…!」


ゴゴゴゴゴ…



突如、爛れの全身の節々から蒸気が吹き上げ、大岩同士が擦り合わされるような地鳴りが響く。
爛れの指に深々と減り込んだ「黒焦げた橙の指輪」は、赤熱するのを止めた。
すると、爛れの体からも熱が引き、輝く溶岩も、内に流れるマグマも、力を弱めた。
弟の活火山があらかた炎を噴き終わり、安定期に入ったことを感知したクラーグは、弟に問いかけた。



クラーグ「混沌が引いたようだな。どうだ?痛むか?」


爛れ続ける者「ムオォォ~~…」


クラーグ「そうか…それならいいんだ。我らが鍛冶の技をイザリスから持ち出せていれば、お前をこうも苦しめる事も無かったろう」

クラーグ「すまなかったな…」


爛れ続ける者「オオオ~」


クラーグ「そうか…皆だけでなく、こんな私をも許すと言うんだな……そうか…」


ラレンティウス(俺は今、呪術を極めんとする者として、最も栄誉ある体験をしている気がする…!)ホロリ…

ソラール「なんだか分からんが、よかったよかった!ウワッハッハッハ!」


380以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/07(土) 07:34:23.61vrsH/J+qo (1/1)

ソラールさんマジイケメン
でもこの絵面は最悪と言う戦士の言うことにも心底同意したい


381以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/07(土) 14:54:10.28hRHXWCjno (1/1)

弟は何か呪いで燃えてて、指輪をつけたら助かる感じってこと?


382以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/17(火) 18:52:35.52TXhem4sDO (1/1)

呪いたぁちょいと違うが、概ねそんなとこ

なお原作ではここに至るまでにクラーグ戦があり、和解の道はないため爛れ続ける者もまた救えない
普通にこの巨体で殺しにくる


383以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/22(日) 08:16:17.849o7qSHwW0 (1/2)

爛れの放つ高熱が収まり、大空洞を満たしていた熱気はみるみる内に緩和されていった。
崖の下に広がる地面を流れた炎の川は、冷えて固まり、岩塊となった。
不死達の流した汗も温みを大きく失い、彼らの背中や脇を冷やしはじめる。


戦士「涼しくなってきたな…やっぱり暑さの原因はこいつか」フゥー

ラレンティウス「いや、原因の一つと見るべきじゃないか?今も熱気は感じるし、底の地面にも赤いひび割れが見える。他からも熱が来ているんだ」

ソラール「降りて行くべきなのかもな」

戦士「降りるって、あの溶岩溜まりだったところを行くのか?……確かに、他に行けそうな道は無そうだけどよ…」


クラーグ「不死共よ」


戦士「?」


クラーグ「互いに貸し借りも無くなった。私は帰るぞ」カサカサ…


ソラール「貸し借り?いつそんな話に…」


クラーグ「私はお前達を導き、お前達は弟の混沌を治め、弟はお前達の行くべき道を開いた。皆の望みが叶ったろう」カサカサ…


ソラール「ま、待て…」

戦士「おい、やめとけって…」

ソラール「いや、我々の旅に彼女の力は必要だ。この先にどんな灼熱が待っているかも分からんだろう。炎を操り、炎を撫でられる力があれば頼もしい」

ラレンティウス「確かに…溶岩の中を泳ぐはめになる事も考えられるが…」

戦士「そりゃあ……そうかもしれねえが、混沌の魔女だぞ?俺らがこれ以上どうこうできる相手じゃ…」

グリッグス「待て、これはソラールの言い分に理がある。混沌は地の底から湧き上がり、ここから先に進むには、その地の底を目指す以外に道が無い」

グリッグス「進むか引き返すかのどちらかしか無いんだ。確かに引き返してコブラ達と合流するのも手だ。しかし彼らの向かった城がもしも、本当に罠だったとしたら、どうする?」

戦士「………」

グリッグス「ソラール、魔女を呼び戻せ。早くしないと彼女が行ってしまう」



クラーグ「………」カサカサ…



ソラール「待ってくれ!話がある!」


クラーグ「私には無い」カサカサ…


ソラール「貸し借りと言うのなら、コブラからの借りがあるはずだ!」


クラーグ「!」ピタッ



ソラール「コブラは貴公を殺せたはずだ!だが殺さずに生かした!コブラは貴公に何某か問いたようだが、貴公はその問いに疑問で答えた!」

ソラール「コブラに借りを返せぬのなら、我々に返していただきたい!」



クラーグ「………」


クラーグ「驚いた……膂力自慢なだけの木偶と思っていたが、存外口が立つじゃないか」フフ…


クラーグ「いいだろう、使いたいと宣うなら使わせてやる。なんなりと申してみるがよい」ククク…


ソラール(……今のは詭弁だったなぁ…)



384誤字訂正2018/04/22(日) 09:34:15.269o7qSHwW0 (2/2)

爛れの放つ高熱が収まり、大空洞を満たしていた熱気はみるみる内に緩和されていった。
崖の下に広がる地面を流れた炎の川は、冷えて固まり、岩塊となった。
不死達の流した汗も温みを大きく失い、彼らの背中や脇を冷やしはじめる。


戦士「涼しくなってきたな…やっぱり暑さの原因はこいつか」フゥー

ラレンティウス「いや、原因の一つと見るべきじゃないか?今も熱気は感じるし、底の地面にも赤いひび割れが見える。他からも熱が来ているんだ」

ソラール「降りて行くべきなのかもな」

戦士「降りるって、あの溶岩溜まりだったところを行くのか?……確かに、他に行けそうな道は無さそうだけどよ…」


クラーグ「不死共よ」


戦士「?」


クラーグ「互いに貸し借りも無くなった。私は帰るぞ」カサカサ…


ソラール「貸し借り?いつそんな話に…」


クラーグ「私はお前達を導き、お前達は弟の混沌を治め、弟はお前達の行くべき道を開いた。皆の望みが叶ったろう」カサカサ…


ソラール「ま、待て…」

戦士「おい、やめとけって…」

ソラール「いや、我々の旅に彼女の力は必要だ。この先にどんな灼熱が待っているかも分からんだろう。炎を操り、炎を撫でられる力があれば頼もしい」

ラレンティウス「確かに…溶岩の中を泳ぐはめになる事も考えられるが…」

戦士「そりゃあ……そうかもしれねえが、混沌の魔女だぞ?俺らがこれ以上どうこうできる相手じゃ…」

グリッグス「待て、これはソラールの言い分に理がある。混沌は地の底から湧き上がり、ここから先に進むには、その地の底を目指す以外に道が無い」

グリッグス「進むか引き返すかのどちらかしか無いんだ。確かに引き返してコブラ達と合流するのも手だ。しかし彼らの向かった城がもしも、本当に罠だったとしたら、どうする?」

戦士「………」

グリッグス「ソラール、魔女を呼び戻せ。早くしないと彼女が行ってしまう」



クラーグ「………」カサカサ…



ソラール「待ってくれ!話がある!」


クラーグ「私には無い」カサカサ…


ソラール「貸し借りと言うのなら、コブラからの借りがあるはずだ!」


クラーグ「!」ピタッ



ソラール「コブラは貴公を殺せたはずだ!だが殺さずに生かした!コブラは貴公に何某か問いたようだが、貴公はその問いに疑問で答えた!」

ソラール「コブラに借りを返せぬのなら、我々に返していただきたい!」



クラーグ「………」


クラーグ「驚いた……膂力自慢なだけの木偶と思っていたが、存外口が立つじゃないか」フフ…


クラーグ「いいだろう、使いたいと宣うなら使わせてやる。なんなりと申してみるがよい」ククク…


ソラール(……今のは詭弁だったなぁ…)


385以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/04/22(日) 13:20:22.06V2/Pi84FO (1/1)

大丈夫かソラールさん
今のはかなり危ない橋だったと思うぞ……?


386以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/05/18(金) 03:37:12.13xiSUIaUO0 (1/1)

時間取れない。
保守。


387以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/03(日) 01:03:12.40Zu134+7i0 (1/1)

爛れの体躯から垂れ流され続けた熱が収まり、大空洞の底を流れる溶岩は、溜まりを残しつつも、その大部分を冷え固めている。
その冷めた地を行くべきだと皆思いはしていたが、不死達はまたも躊躇していた。
実際に歩みを進められるだけの胆力は、クラーグにのみ備わっている。理由は明確で、その地は強者にのみ許された食餌の道だったのだ。


ソラール「………」

クラーグ「何を臆するか。我に大言を吐いたその口は開かぬのか」クックックッ…


溶岩が引き、姿を現したのは熱い岩塊だけでは無かった。
刃の無い大斧を携えた牛頭のデーモン達は、それぞれがクラーグと同等に大きく、一様に不死達を見つめている。
その牛頭達と比べて体格が小さく、ソラールと比べ頭三つ程しか大きくない山羊頭のデーモン達も、コブラの持つ特大剣と同等の大きさの鉈を、なんと二刀も引きずっていた。


戦士「……こりゃ罠だ…俺たちをハメやがった…」

クラーグ「罠など何処にある。地に沸く混沌ある処、総てデーモンの根城だ。そこに攻め込むために我に恩を売りつけたのは…」

ソラール「そうだ。俺だ。俺がきこ…いや貴女に恩を売った」

クラーグ「そういう事だ。恩を着させられたなら、魔女とて報いねばならぬ。貴様はデーモンの群れに捨て置かれるとでも思ったか」

ソラール「………」

クラーグ「…ふん」


二の足を踏んで煮え切らぬ不死達を残し、クラーグは冷めた溶岩を歩き、デーモン達へと近づいた。
ソラールは負い目を感じ、後に続こうかとも考えたが、太古の魔女がデーモン相手に何をするのかという好奇心にも囚われ、気抜けした様子で立ち尽くす。
魔女が手に炎を纏わせると、ソラールと同じく観戦を決め込んだラレンティウスの瞳孔は拡大した。
炎は凝縮されて鉄の輝きを帯び、捻れて細り、炎を纏った一本の魔剣となった。
明らかな敵意を向けられた山羊頭のデーモンは二本の大鉈を束ね、上段に構え、魔女に迫る。
鉈に血を吸わせ、ソウルという糧を得るために。


クラーグ「………」ヒュン!


バシャアアーッ!!


そんなデーモンとしての原始的本能で打ち倒せるほど、火の魔女クラーグは容易くはなかった。
魔女の扇を仰ぐような優雅な一振りからは、灼熱の炎風が槍のように放たれ、掲げられた二本の大鉈を、斬られた水風船のように弾けさせた。
液状になった大鉈を全身に被ったデーモンは断末魔の悲鳴を上げ、身体を丸めつつも転倒せず、動きを止めた。
クラーグは、のたうってもがく事さえ山羊頭のデーモンに許さなかった。


牛頭「ブゴオオオーーッ!!」


それを見た牛頭デーモンの一体が、咆哮を上げてクラーグに突進した。
仲間意識か、飢えか、闘争心か、それらのいずれに突き動かされたにせよ、駆け出したのはこの一体だけではない。


ドドドドドドドドドド!!!


少なく見積もっても百人力はある怪物が群れをなして、クラーグに殺到した。
群れの先頭のデーモンは跳び上がり、手に持つ得物をクラーグの脳天目掛け振り下ろす。

クラーグ「………」ボゴォン!!

クラーグはその一撃を右掌から放った大発火で逸らしつつ、左手の魔剣で、一撃を放ったデーモンの額を打ち抜く。
脳を破壊されたデーモンを蹴り飛ばし、二体目と三体目のデーモンがクラーグに襲いかかるが…

ドオオオーーッ!!

蜘蛛の放った大爆発に押しのけられ、転倒した。


クラーグ「不死共よ。ここで助太刀を挟まぬのなら、デーモン共を撫で斬りに伏せ、私は帰るぞ」


クラーグのこの提案は、この地にあっては脅しともとれた。
人の世には、これほどの試練がこの地にある事など、当然伝わっていない。
傾国さえ可能なデーモンの群れ如きで済んでいる。そんな可能性すらあり得るのだ。


ソラール「太陽ーッ!!」ダッ!


求める偉大さに最も近い物の名を叫び、ソラールは突貫した。
他の不死達は大いに尻込みしたが、結局ソラールに続いた。


388以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/03(日) 04:43:12.9743HcXpNao (1/1)

ソラールさんやっぱ無謀だったんじゃ……往くも地獄戻るも地獄とか泣けるわ


389以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/07(木) 16:20:47.01gTW4BV3DO (1/1)

なぁに篝火で休まなければ帰路は大丈夫だ……大丈夫なはずだ、多分


390以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/13(水) 03:20:55.21/Ka2H4u40 (1/1)

不死達の助力は微かで、しかし的確だった。
戦士の剣は刃を立てず、呪術師の炎は混沌と比べ温いが、魔法使いのソウルの矢と、太陽の騎士の雷はデーモンを怯ませる。


ラレンティウス「炎の透りが悪い…」

戦士「焼けないなら眼を狙え!俺が惹きつけてるうちに火の明かりで眩ませろ!」


しかし、効かないとなってもそれなりに立ち回る術はある。力が弱くとも奮戦する彼らの姿は、少なからずクラーグを喜ばせた。
デーモンの群れ程度、クラーグだけでも何とでもなるだろう。だがクラーグが不死達に期待しているのは破壊力ではない。
自動的に死角を潰し、敵の視線を散らすしぶとさ。囮としての活躍である。
現にラレンティウスの炎はデーモンの身体を焼かないが、頭を仰け反らせ、攻撃の手を緩めさ、走り回る戦士はデーモンの斧に焼土を掘らせている。
他二人のソウルの矢と雷の槍に至っては、デーモンに手傷を負わせる程には強力である。
不死達はそう思っていないが、クラーグはこの戦いを舐めていた。

そして事実、舐めていい戦いだった。


ソラール(意外となんとかなった)ハハ…


グリッグス「…けっこうあっさり終わったな」

ラレンティウス「こっちは呪術が切れちまった…もう手斧で乗り切るしかないぞ…」

戦士「はぁ、はぁ、も、もう走れねえ…いや走らねえぞ…」

クラーグ「これしきでへばるな。デーモン共の五匹や十匹、倒したところで武勇にもならんわ」

戦士「あんたの目線で話すんじゃねえよ…こっちは腐っても人間だってんだ」フゥフゥ…

クラーグ「ならば人間らしく、デーモンを狩った武勇に力を奮い立たせ、立ち上がるがよかろう。先に行くぞ」カサカサ…

戦士「なっ…!」

ソラール「ハハハ、一本取られたな」パシパシ

戦士「チッ」


クラーグを先頭に、一行は爛れが垂らした熱を燻らせる地を抜けて、更に深く、灼熱の大空洞を降りていった。
足元は冷めた溶岩から、暑い石畳と滑らかな下り坂になり、岩壁は暑い石積みの壁と、煌々と輝く溶岩の海を覗ける断崖絶壁へと変わった。
壁に沿って造られた下り坂は狭く、手すりは無い。
蜘蛛の魔女は坂道を滑るが如く壁を走り、あっという間に坂の最下まで降りたが、人の身ではそうはいかず、不死達は一様に壁に手を着け、牛歩した。
坂の最下に着くと彼らはまた魔女にからかわれたが、暑さに体力を奪われつつある不死達は魔女の言葉を流し、その様子を魔女はまた笑った。
この時、嫌味な魔女にまた文句の一つでも返してやろうと戦士は思ったが、直後に襲いかかってきた山羊頭のデーモンの群れを、クラーグが大爆風を用いて焼き、残骸を辺りに撒き散らすと、その反抗心も消えた。

そしてうんざりするやら嬉しいやらの光景に出くわした。
牛頭のデーモンに匹敵する巨躯を持つワームと、その背後に揺らぐ篝火。
篝火はありがたいが、ワームは気色が悪く、篝火の温もりも灼熱の中にあっては苛立ちを強めるばかりだった。


クラーグ「面倒」ボゴーン!

ワーム「グギェエエエエエエエ!!」ドロドロドロ…


蜘蛛の口から放たれた熱泥を丸被りしたワームは身悶えし、牙を剥くことなく消滅したが、安全性の確保された篝火の恩恵に預かることを不死達は皆躊躇した。
疲労は消え去り、傷も癒えるが、いかんせん暑すぎる。
しかし不死達は結局、篝火を広く囲んで座った。


グリッグス「………」

ソラール「いやしかし暑い…流石に兜を脱いだ方がいいかもしれん…」

戦士「脱ぐならさっさと脱いでくれ。見てるだけでも暑苦しいんだよ」

ソラール「………」ガポッ…

戦士「!?」

クラーグ「ほお、これはこれは…中々どうして…」


暑さに耐えかねたソラールが樽型の兜を脱ぐと、金髪を後ろにまとめた優男が現れた。
鼻は高く筋は通り、顎は角を残した流線型。目は力強く、眉は優しく、口元は大らかさを放っている。


戦士「………お前所帯持ちか?」

ソラール「そういう事とは縁がなくてな。どうしてそんなこと聞くんだ?」フゥー

グリッグス「そっちの気があるんだろう。戦場に婦女子を連れ歩ける者はそう多くはないだろう。不思議なことでもないさ」


391以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/13(水) 06:52:37.18mUGMH+bOo (1/2)

顔を見るなりホモ扱いとかソラールカワイソス


392以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/13(水) 06:53:24.08mUGMH+bOo (2/2)

あ、いや違うこれ戦士の方をホモ扱いしてるのか
どっちにしてもヒドイ話だ


393以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/13(水) 09:15:16.75moEvyjmNo (1/1)

実際戦場だとそういう発散が出来ないから昔は東洋でも西洋でも両刀の人が多かった
だから別におかしくないおかしくない


394以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/13(水) 15:12:34.49R14mJBpz0 (1/1)

たいへんだ ソラールが クラーグに たべられちゃう!


395以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/21(木) 01:54:20.60WjaVphl70 (1/2)

不死達の助力は微かで、しかし的確だった。
戦士の剣は刃を立てず、呪術師の炎は混沌と比べ温いが、魔法使いのソウルの矢と、太陽の騎士の雷はデーモンを怯ませる。


ラレンティウス「炎の透りが悪い…」

戦士「焼けないなら眼を狙え!俺が惹きつけてるうちに火の明かりで眩ませろ!」


しかし、効かないとなってもそれなりに立ち回る術はある。力が弱くとも奮戦する彼らの姿は、少なからずクラーグを喜ばせた。
デーモンの群れ程度、クラーグだけでも何とでもなるだろう。だがクラーグが不死達に期待しているのは破壊力ではない。
自動的に死角を潰し、敵の視線を散らすしぶとさ。囮としての活躍である。
現にラレンティウスの炎はデーモンの身体を焼かないが、頭を仰け反らせ、攻撃の手を緩めさ、走り回る戦士はデーモンの斧に焼土を掘らせている。
他二人のソウルの矢と雷の槍に至っては、デーモンに手傷を負わせる程には強力である。
不死達はそう思っていないが、クラーグはこの戦いを舐めていた。

そして事実、舐めていい戦いだった。


ソラール(意外となんとかなった)ハハ…


グリッグス「…けっこうあっさり終わったな」

ラレンティウス「こっちは呪術が切れちまった…もう手斧で乗り切るしかないぞ…」

戦士「はぁ、はぁ、も、もう走れねえ…いや走らねえぞ…」

クラーグ「これしきでへばるな。デーモン共の五匹や十匹、倒したところで武勇にもならんわ」

戦士「あんたの目線で話すんじゃねえよ…こっちは腐っても人間だってんだ」フゥフゥ…

クラーグ「ならば人間らしく、デーモンを狩った武勇に力を奮い立たせ、立ち上がるがよかろう。先に行くぞ」カサカサ…

戦士「なっ…!」

ソラール「ハハハ、一本取られたな」パシパシ

戦士「チッ」


クラーグを先頭に、一行は爛れが垂らした熱を燻らせる地を抜けて、更に深く、灼熱の大空洞を降りていった。
足元は冷めた溶岩から、暑い石畳と滑らかな下り坂になり、岩壁は暑い石積みの壁と、煌々と輝く溶岩の海を覗ける断崖絶壁へと変わった。
壁に沿って造られた下り坂は狭く、手すりは無い。
蜘蛛の魔女は坂道を滑るが如く壁を走り、あっという間に坂の最下まで降りたが、人の身ではそうはいかず、不死達は一様に壁に手を着け、牛歩した。
坂の最下に着くと彼らはまた魔女にからかわれたが、暑さに体力を奪われつつある不死達は魔女の言葉を流し、その様子を魔女はまた笑った。
この時、嫌味な魔女にまた文句の一つでも返してやろうと戦士は思ったが、直後に襲いかかってきた山羊頭のデーモンの群れを、クラーグが大爆風を用いて焼き、残骸を辺りに撒き散らすと、その反抗心も消えた。

そしてうんざりするやら嬉しいやらの光景に出くわした。
牛頭のデーモンに匹敵する巨躯を持つワームと、その背後に揺らぐ篝火。
篝火はありがたいが、ワームは気色が悪く、篝火の温もりも灼熱の中にあっては苛立ちを強めるばかりだった。


クラーグ「面倒」ボゴーン!

ワーム「グギェエエエエエエエ!!」ドロドロドロ…


蜘蛛の口から放たれた熱泥を丸被りしたワームは身悶えし、牙を剥くことなく消滅したが、安全性の確保された篝火の恩恵に預かることを不死達は皆躊躇した。
疲労は消え去り、傷も癒えるが、いかんせん暑すぎる。
しかし不死達は結局、篝火を広く囲んで座った。


グリッグス「………」

ソラール「いやしかし暑い…流石に兜を脱いだ方がいいかもしれん…」

戦士「脱ぐならさっさと脱いでくれ。見てるだけでも暑苦しいんだよ」

ソラール「………」ガポッ…

戦士「!?」

クラーグ「ほお、これはこれは…中々どうして…」


暑さに耐えかねたソラールが樽型の兜を脱ぐと、金髪を後ろにまとめた優男が現れた。
鼻は高く筋は通り、顎は角を残した流線型。目は力強く、眉は優しく、口元は大らかさを放っている。


戦士「………お前所帯持ちか?」

ソラール「そういう事とは縁がなくてな。どうしてそんなこと聞くんだ?」フゥー

グリッグス「そっちの気があるんだろう。戦場に婦女子を連れ歩ける者はそう多くはないだろう。不思議なことでもないさ」


396以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/21(木) 01:55:00.92WjaVphl70 (2/2)

不死達の助力は微かで、しかし的確だった。
戦士の剣は刃を立てず、呪術師の炎は混沌と比べ温いが、魔法使いのソウルの矢と、太陽の騎士の雷はデーモンを怯ませる。


ラレンティウス「炎の透りが悪い…」

戦士「焼けないなら眼を狙え!俺が惹きつけてるうちに火の明かりで眩ませろ!」


しかし、効かないとなってもそれなりに立ち回る術はある。力が弱くとも奮戦する彼らの姿は、少なからずクラーグを喜ばせた。
デーモンの群れ程度、クラーグだけでも何とでもなるだろう。だがクラーグが不死達に期待しているのは破壊力ではない。
自動的に死角を潰し、敵の視線を散らすしぶとさ。囮としての活躍である。
現にラレンティウスの炎はデーモンの身体を焼かないが、頭を仰け反らせ、攻撃の手を緩めさ、走り回る戦士はデーモンの斧に焼土を掘らせている。
他二人のソウルの矢と雷の槍に至っては、デーモンに手傷を負わせる程には強力である。
不死達はそう思っていないが、クラーグはこの戦いを舐めていた。

そして事実、舐めていい戦いだった。


ソラール(意外となんとかなった)ハハ…


グリッグス「…けっこうあっさり終わったな」

ラレンティウス「こっちは呪術が切れちまった…もう手斧で乗り切るしかないぞ…」

戦士「はぁ、はぁ、も、もう走れねえ…いや走らねえぞ…」

クラーグ「これしきでへばるな。デーモン共の五匹や十匹、倒したところで武勇にもならんわ」

戦士「あんたの目線で話すんじゃねえよ…こっちは腐っても人間だってんだ」フゥフゥ…

クラーグ「ならば人間らしく、デーモンを狩った武勇に力を奮い立たせ、立ち上がるがよかろう。先に行くぞ」カサカサ…

戦士「なっ…!」

ソラール「ハハハ、一本取られたな」パシパシ

戦士「チッ」


クラーグを先頭に、一行は爛れが垂らした熱を燻らせる地を抜けて、更に深く、灼熱の大空洞を降りていった。
足元は冷めた溶岩から、暑い石畳と滑らかな下り坂になり、岩壁は暑い石積みの壁と、煌々と輝く溶岩の海を覗ける断崖絶壁へと変わった。
壁に沿って造られた下り坂は狭く、手すりは無い。
蜘蛛の魔女は坂道を滑るが如く壁を走り、あっという間に坂の最下まで降りたが、人の身ではそうはいかず、不死達は一様に壁に手を着け、牛歩した。
坂の最下に着くと彼らはまた魔女にからかわれたが、暑さに体力を奪われつつある不死達は魔女の言葉を流し、その様子を魔女はまた笑った。
この時、嫌味な魔女にまた文句の一つでも返してやろうと戦士は思ったが、直後に襲いかかってきた山羊頭のデーモンの群れを、クラーグが大爆風を用いて焼き、残骸を辺りに撒き散らすと、その反抗心も消えた。

そしてうんざりするやら嬉しいやらの光景に出くわした。
牛頭のデーモンに匹敵する巨躯を持つワームと、その背後に揺らぐ篝火。
篝火はありがたいが、ワームは気色が悪く、篝火の温もりも灼熱の中にあっては苛立ちを強めるばかりだった。


クラーグ「面倒」ボゴーン!

ワーム「グギェエエエエエエエ!!」ドロドロドロ…


蜘蛛の口から放たれた熱泥を丸被りしたワームは身悶えし、牙を剥くことなく消滅したが、安全性の確保された篝火の恩恵に預かることを不死達は皆躊躇した。
疲労は消え去り、傷も癒えるが、いかんせん暑すぎる。
しかし不死達は結局、篝火を広く囲んで座った。


グリッグス「………」

ソラール「いやしかし暑い…流石に兜を脱いだ方がいいかもしれん…」

戦士「脱ぐならさっさと脱いでくれ。見てるだけでも暑苦しいんだよ」

ソラール「………」ガポッ…

戦士「!?」

クラーグ「ほお、これはこれは…中々どうして…」


暑さに耐えかねたソラールが樽型の兜を脱ぐと、金髪を後ろにまとめた優男が現れた。
鼻は高く筋は通り、顎は角を残した流線型。目は力強く、眉は優しく、口元は大らかさを放っている。


戦士「………お前所帯持ちか?」

ソラール「そういう事とは縁がなくてな。どうしてそんなこと聞くんだ?」フゥー

グリッグス「そっちの気があるんだろう。戦場に婦女子を連れ歩ける者はそう多くはないだろう。不思議なことでもないさ」


397以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/23(土) 16:38:14.69V8KGicDN0 (1/1)

書いた覚えも無いのに連投されている…
上2レスは無視してー


398以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/24(日) 20:50:59.23pbDscTKLo (1/1)

大事な事なので二度


399以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/24(日) 22:18:17.15lZA9ZyV8o (1/1)

(ただのコピペ荒らしだと思ってたとは言えない……)


400以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/06/24(日) 23:58:16.451RHBkQ3+o (1/1)

いやただのコピペ荒らしだろ
>>1が書いてないって言ってんだから


401以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/11(水) 21:59:50.14ov1gN0Gs0 (1/1)

戦士「おい!俺はその気なんてねえぞ!男色家扱いはやめろ!」

グリッグス「その口ぶり、まるで男色家が普遍な非だとでも言いたげだが、私はそういう偏見は持ってないよ。放蕩貴族の嗜みとも聞くし」

グリッグス「まぁ…悪戯心があったかと言われれば、その通りかな」

戦士「じゃあ次からはよしてくれ。まったく、タチが悪いぜ」


戦士「で…どうなんだよ」

ソラール「ん?」

戦士「とぼけんなって、女だよ。その顔だ。コブ付きが居ないとなりゃ、さぞかし食うに困らなかったんだろうなぁ」

ラレンティウス「やれやれ、グリッグスの悪戯と木の実の背比べか」

戦士「世捨て人のお前には分からん話さ。で、どうだった?何処の女が一番美味かったんだ?」


ソラール「そうだなぁ……確かに、言い寄ってくる女は多かったな」


戦士「そんなこたぁ分かってるんだよ。俺が知りてぇのは…」

ソラール「ただ…」

戦士「おっ?」

ソラール「…残念だろうが、貴公が期待しているような話は無い」

ソラール「皆、俺の話を聞くと去って行ったよ。どうも小便臭いらしい」

ソラール「まぁ、仕方のない事さ。誰も知らない、ただの古宿の飾りのような像を敬い、物語を想う者など、はたから見れば狂人か、ただの白痴者さ」

戦士「……おい、嘘だろ…もしかしてお前…」


戦士「へへへ…分かんねぇもんだなぁ、ええ?その顔でウブ者とはよぉ」


ラレンティウス「とんだ糞餓鬼だな」

グリッグス「やれやれ…」

ソラール「いいや、まだ分からないぞ?」

戦士「分からない?おいおい負け惜しみかぁ?」


ソラール「俺には愛する人がいて、その人のために、偉大な者へと成るべく旅をしている……そういう話もあり得るんじゃないか?」フフ…


戦士「…なんだそりゃ。それが本当だって誰が信じる?証拠はあんのかよ」

ソラール「証拠は無いさ。それに信じて欲しくて喋ってる訳でも無い。好きに考えて構わないぞ」

戦士「なんだよニヤつきやがってよ。お前さては俺のこと担いで…」

クラーグ「立て。莫迦話はもう十分だ。行くぞ」

戦士「えっ?お、おいもう少し…」


クラーグ「黙れ、この痴れ犬共め。貴様らが雛のごとく求める休息を、疲弊無きこのクラーグが、わざわざ与えてやったのだ」

クラーグ「駄々を捏ねると言うのならば良し。呆けたいのならば焼いて固めて、そこの篝火の一部に変じさせてやろう」


戦士「………」

ソラール「…それは御免だ。さっさと行こう」




402以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/12(木) 02:20:43.18xU2RWQ/do (1/1)

ソラールさんの悲しみを垣間見た気がした


403以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/14(土) 23:09:03.77gwfxK8ej0 (1/3)

束の間の休息を終え、一行は旅を再開した。
そもそも不死とは生と死の狭間を漂う者達であり、ソウルと人間性の枯渇に脅かされこそすれ、老いもしなければ飢えも無く、疲れもしない。
正しく時間の働く人界にあっては、飲まず食わずで数ヶ月間駆け回ることに何の障害も無い。
しかし、心はその限りでは無かった。長い旅路には、やはり細やかでも宴が必要だったのだ。


クラーグ「ふん……守衛どもが。たやすく混沌に呑まれおって」


一行の前には、朽ちて段差の崩壊が始まっている、長く広い下り階段が続いている。
その両端に等間隔で置かれた4つのデーモン像が、定められた位置から離れ、一向に近づいていく。
像の大きさは人と変わらないが、低空を浮翌遊する胎児のような石像の腹部から、クラーグは熱を感知していた。
元々は都の衛士として使われていたそれらの中には、今や魔女の火ではなく、熱ぎ混沌が滾っていた。


ボボオオォーーッ!!


4つのデーモン像はクラーグへ向け火炎を放つ。


ゴバァーーッ!!


クラーグの蜘蛛顔は、その火炎を飲み込むだけには止まらぬ熱泥を、4つの像に吐きかけた。
石を削り出して作られているデーモン像は、岩をも溶かす灼熱に包まれ、朽ちた階段を補強する溶剤となって階段に広がった。
重力に押されて階段を流れ落ちる像の残骸の上を、クラーグは歩く。
その後を歩く不死達は、溶岩を避け、飛び越えて進む。


牛頭デーモン「グオオオ!」ドドッ!!


階段を抜けた一行へ頭突きによる突進を行うべく、猛進を始めたデーモンの咆哮は、地中に眠る一匹のワームを叩き起こし、一行に気付いていない他のデーモン像を起こした。


牛頭デーモン「ブゴオオーーッ!!」┣¨┣¨┣¨┣¨ドド!!!

クラーグ「………」


一行へ向け突進する牛頭デーモンとクラーグは対峙する。
そのクラーグの背後から散った不死達は、牛頭以外の排除にかかった。
ソラールと戦士はワームへ向かい、グリッグスとラレンティウスはデーモン像へ向け術を放つ。

ガゴッ!! ドゴオオォン!!

牛頭デーモンに組みつき、押し倒したクラーグは、蜘蛛頭を撫でた。
とびきり煮えたぎった溶岩を吐き出すよう促された蜘蛛頭は、岩を煙へと変える程の熱流を口の中で練り始める。

戦士「おおお!」ドカッ!

ワーム「ギョアアーッ!!」

ワームが口から何かを吐き出そうとした瞬間に、戦士の投擲した直剣がワームの口を貫く。

バジィン!!バリバリバリ!

激痛に身悶えするワームのやわ腹には、雷の槍が突き刺さった。
ワームの腹を貫いた雷は、戦士が突き刺した剣を通してワームの体内を食い荒らし、焼き尽くす。
命を失ったワームが崩れた後に残った剣を、戦士は拾い、二人の術師へと援護に向かう。

ボン! ドウン!

だが援護の必要も無く、グリッグスのソウルの矢は既にいくつかのデーモン像を打ち砕いており…

ガスッ!ガコッ!

最後のデーモン像も、激しい発汗を纏ったラレンティウスに、背後から手斧を何発も打ち込まれ、熱を失いかけていた。


ドグワッ!!!


戦士「うおっ!?」


不意に生じた爆音の出所を、身構えた戦士は視線で追った。
見ると、上半身を影として石畳に圧入された牛頭のデーモンが、ちょうど白い霧となって消えていくところだった。

戦士「えげつね…くわばらくわばら…」

ソラール「流石だな…手を貸さなくてもよかったかな?」




404以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/14(土) 23:11:48.55gwfxK8ej0 (2/3)

なんかおかしいと思ったら変換が効いてるじゃないの。
ほんとこの機能いらない。書き直す。


405以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/14(土) 23:14:03.24gwfxK8ej0 (3/3)

束の間の休息を終え、一行は旅を再開した。
そもそも不死とは生と死の狭間を漂う者達であり、ソウルと人間性の枯渇に脅かされこそすれ、老いもしなければ飢えも無く、疲れもしない。
正しく時間の働く人界にあっては、飲まず食わずで数ヶ月間駆け回ることに何の障害も無い。
しかし、心はその限りでは無かった。長い旅路には、やはり細やかでも宴が必要だったのだ。


クラーグ「ふん……守衛どもが。たやすく混沌に呑まれおって」


一行の前には、朽ちて段差の崩壊が始まっている、長く広い下り階段が続いている。
その両端に等間隔で置かれた4つのデーモン像が、定められた位置から離れ、一向に近づいていく。
像の大きさは人と変わらないが、低空を浮遊する胎児のような石像の腹部から、クラーグは熱を感知していた。
元々は都の衛士として使われていたそれらの中には、今や魔女の火ではなく、熱ぎ混沌が滾っていた。


ボボオオォーーッ!!


4つのデーモン像はクラーグへ向け火炎を放つ。


ゴバァーーッ!!


クラーグの蜘蛛顔は、その火炎を飲み込むだけには止まらぬ熱泥を、4つの像に吐きかけた。
石を削り出して作られているデーモン像は、岩をも溶かす灼熱に包まれ、朽ちた階段を補強する溶剤となって階段に広がった。
重力に押されて階段を流れ落ちる像の残骸の上を、クラーグは歩く。
その後を歩く不死達は、溶岩を避け、飛び越えて進む。


牛頭デーモン「グオオオ!」ドドッ!!


階段を抜けた一行へ頭突きによる突進を行うべく、猛進を始めたデーモンの咆哮は、地中に眠る一匹のワームを叩き起こし、一行に気付いていない他のデーモン像を起こした。


牛頭デーモン「ブゴオオーーッ!!」ドドドドドド!!!

クラーグ「………」


一行へ向け突進する牛頭デーモンとクラーグは対峙する。
そのクラーグの背後から散った不死達は、牛頭以外の排除にかかった。
ソラールと戦士はワームへ向かい、グリッグスとラレンティウスはデーモン像へ向け術を放つ。

ガゴッ!! ドゴオオォン!!

牛頭デーモンに組みつき、押し倒したクラーグは、蜘蛛頭を撫でた。
とびきり煮えたぎった溶岩を吐き出すよう促された蜘蛛頭は、岩を煙へと変える程の熱流を口の中で練り始める。

戦士「おおお!」ドカッ!

ワーム「ギョアアーッ!!」

ワームが口から何かを吐き出そうとした瞬間に、戦士の投擲した直剣がワームの口を貫く。

バジィン!!バリバリバリ!

激痛に身悶えするワームのやわ腹には、雷の槍が突き刺さった。
ワームの腹を貫いた雷は、戦士が突き刺した剣を通してワームの体内を食い荒らし、焼き尽くす。
命を失ったワームが崩れた後に残った剣を、戦士は拾い、二人の術師へと援護に向かう。

ボン! ドウン!

だが援護の必要も無く、グリッグスのソウルの矢は既にいくつかのデーモン像を打ち砕いており…

ガスッ!ガコッ!

最後のデーモン像も、激しい発汗を纏ったラレンティウスに、背後から手斧を何発も打ち込まれ、熱を失いかけていた。


ドグワッ!!!


戦士「うおっ!?」


不意に生じた爆音の出所を、身構えた戦士は視線で追った。
見ると、上半身を影として石畳に圧入された牛頭のデーモンが、ちょうど白い霧となって消えていくところだった。

戦士「えげつね…くわばらくわばら…」

ソラール「流石だな…手を貸さなくてもよかったかな?」



406以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/14(土) 23:27:42.39qtiaqNM00 (1/1)

おつ
ほんと余計な機能だわな


407以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/15(日) 00:43:59.47MSmCYFEso (1/1)




408以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/15(日) 08:40:13.01VexeU2Ts0 (1/2)

MOBの名前間違えてました。
ワームの名前は正しくは「穴掘りウジ虫」でした。


409以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/15(日) 12:25:05.73VexeU2Ts0 (2/2)

戦士「…ん?なんだありゃ?」

ソラール「どうした?」

辺りに敵がいないか警戒していた戦士が何かを見つけた。
それは穴掘りウジ虫が溶けた後の地面に刺さっており、赤い大地にあって更に紅く輝いていた。
その不自然な程の煌めきに吸い寄せられ、戦士は歩み寄り、土を掘って煌めきを手にとる。


戦士「……おい見ろ!こりゃ赤楔石だ!」

ラレンティウス「なにっ!?」

グリッグス「え?」


にわかには信じがたい報を聞きつけ、不死達は報に駆け寄った。


戦士「すげえ…噂には聞いていたが、まさか本当にあったなんてな…」

グリッグス「まさかこの目で見ることができるとは…」

ラレンティウス「それもかなり大きい…輝きも伝承の通りだ。やっぱり神々の地なだけはあって…」

ソラール「物知らずで悪いが、俺には何が凄いのかさっぱりなのだが」

グリッグス「楔石は、鍛治の神だけが扱える金床から剥がれ落ちた薄片だと言われているのは、知っているだろう?」

ソラール「うむ」

グリッグス「赤い楔石とは、それらに何らかの形で新たに炎の力が宿った物を言うんだ。楔石の欠片でさえ、人の世界では神の聖遺物とされているんだ、赤い楔石ともなれば、その価値は計り知れない。武器に刻み込むための繋ぎとして緑色の楔石も必要だが、もし武器に刻め込めたなら、その武器は太古の神々が操った炎を永久に纏うことになる。聖剣も、救国の英雄も生まれるだろうし、一国の王の心を奪うことも…」



クラーグ(奴隷鍛治の金床ごときに鼻息を荒げおって…神ならば節操無く畏れ敬う者には、良い玩具だろうがな)

クラーグ(騒ぐべきは、この封印だろうに)


楔石に集っている不死達を放っておき、クラーグは歩みを進め、止めた。
目の前には霧が立ち込めているが、その霧に浮かぶ粒は太陽色に輝いている。
不死達は、その輝きは赤みがかった景色が、色を霧に映しているだけに過ぎないと思っている。
しかし、魔女の眼は人には知れぬ真実を見抜く。太陽色の輝きが、誰を示しているのかさえも。


クラーグ(この輝きは、かの大王による封印だろう……母が混沌を解き放った日に、我らを辛うじて救ったものだ)

クラーグ(それ故に固い封であったとは思っていたが……しかし、混沌が溢れる今も形を保つなど、ありえぬ事だ)

クラーグ(何より、何故、あのような形で、あのような者まで封じている?)


クラーグの眼に、かつて見た輝きが映る。
光を放ち、波のようにうねる封印に御される、ソウルでも人間性でもない未知の力。
それらが持つ謎は、クラーグの中で更なる神秘へと変貌した。



クラーグ(太陽の光の大王……何故にかの神は、コブラに潜む『門』に同じ封を敷いた?)

クラーグ(アノール・ロンドの王は、ロードランに居もしなかったであろう彼奴の中に何を見た?)




ソラール「…つまり、人の手に余る物ということだな」

グリッグス「掻い摘めば、そんなところだ。ヴィンハイムの竜学院ですら探求を諦め、風化した歴史に混じる雑音と…」


クラーグ「戻るぞ」


グリッグス「されつつあって……えっ?」

戦士「は?なんでだ?」

クラーグ「やはりここから先は封印されている。太陽の光の王の許しが要るようだ」

ソラール「!!」ピクッ

戦士「え…おい…それじゃ働き損かよ…」




410以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/15(日) 16:15:18.13alH7r1FT0 (1/1)

太陽と聞いちゃ黙っちゃいられないソラール


411以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/15(日) 18:01:51.26lsMXnnfpO (1/1)

ソラールさん感激の展開が来る?


412以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/16(月) 00:56:39.4170QjR4CO0 (1/2)

>>304を再訂正。
「なっ、おい、離せ!足手まといはごめんだぞ!」
というセリフがジークマイヤーのものであると訂正していましたが、正しくはビアトリスのセリフでした。
なので正しくは『ビアトリス「なっ、おい、離せ!足手まといはごめんだぞ!」』という文になります。
もうガバガバ。


413以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/16(月) 01:25:32.75b3oeZaDhO (1/1)

正直クオリティ高いから気にならないし大丈夫


414以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/16(月) 11:20:07.52VwB17MxP0 (1/1)

最高学府がひきつけ起こすレベルでこの世の謎への回答が転がってる一戦闘フィールド
なお主人公はもっととんでもないところで文字通り道草食ってる


415以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/16(月) 12:18:27.6870QjR4CO0 (2/2)

ラレンティウス「働き損…なのか?」

クラーグ「損などではない。破れぬ封印と知れただけでも十分」

クラーグ「あとは秘した種火を取り戻すのみ。貴様らは先に引き返せ」

ラレンティウス「種火……まさか、あの炎の種火があると言うのですか!?ここに!?」

クラーグ「秘匿が破られていないのならな。もっとも取り戻したところで封印を超えられる訳もない。鍛えに使う鍛治道具も、既にこの先で溶鉄となっていよう」

グリッグス「それなら、なぜそんな使えぬ秘術を探すのですか?」

クラーグ「己が杖を持たぬのなら、術書を無智に奪われても良いとはならんだろう」


ラレンティウス「俺もご一緒させて下さい!炎の神秘を見たいんです!」


戦士「また始まったよ…よせよ、この先に進めねえってんだから」

ソラール「………」

クラーグ「いや、封印の先には無い。ここから左に向かった見張り廊下跡に隠されている」

ラレンティウス「それでは…!」

クラーグ「ならん。我らの秘術は我らのもの。貴様のような赤児の如き未熟者に、秘奥を見せるわけも無かろう」

クラーグ「帰れ」カサカサカサ…


ラレンティウス「………」


戦士「ははは、行っちまったな」

グリッグス「しかたないさ。私の師も、秘術となるとさっぱり教えてくれない。そんなものさ」

ラレンティウス「………はぁ…」


ソラール「………」




ラレンティウスの野心がまたも打ち砕かれたが、ソラールの思考からは彼を慰めるという配慮さえ消えていた。
ラレンティウスは己の領分を忘れてクラーグに同行を申し出たが、ソラールもまた、クラーグの言葉に己の本分を揺さぶられていた。

求めてやまない物が、前触れ無く眼前に現れる。
例えそれが考え違いや激しい期待から来る、過ぎた妄想や幻覚の類いであったとしても、求める者は、それらに対し全くの無力になる。
理性や情を保ちつつ、それらを凌駕するもの。欲望には、人ならば逆らえない。
理想や真実ではなく、偉大な輝きを求める者なら尚更に逆らい難く…



ソラール(太陽の光の王の封印……混沌の地に、かの王は所縁がある…)

ソラール(空の太陽は熱く輝く…だが、太陽の力の根源は空には無い。力の根源はロードランにある…神の地にある…)

ソラール(太陽の光の王は、混沌に溢れたこの地を封じた。なんのために…)


ソラール(………)


ソラール(いや、そもそも俺は何を求めている?)

ソラール(太陽の偉大さ…太陽の光の王の偉大さ…偉大な輝き…偉大な温もり?いや…)



そして、苦悩する。
人が何かを偉大と評する時、その偉大さには見えぬ闇や、解けぬ謎が含まれる。
全てが分からぬからこそ偉大であり、闇や謎が害をなさないからこそ、人は偉大さを易々と敬えられるのだ。
闇や謎が見えぬからこそ偉大であるならば、姿無き偉大さを目指す者に、確たる答えなどもたらされるはずも無いのである。


ソラール「………」


太陽の戦士の心の奥底には、求める物の姿は無い。
だが、求める心は熱量を高め続け、姿無き物を求め続ける。
暗闇を求めるその行いこそ、心の闇を深め、育むとも知らずに。



416以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/16(月) 13:22:10.447BCBBabWo (1/1)

ソラールさんが闇落ちしてしまう……


417以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/07/16(月) 22:23:39.49FFiV7Pj40 (1/1)

ソラールの中で蠢いてるものってコブラの原動力に似てる気がする


418以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/04(土) 02:22:24.94gtw99HFi0 (1/2)






















コブラ「ふあ~よく寝たぜ~」




上体を起こし、コブラは両手を天井に向かって伸ばした。
次に立ち上がると、上体をねじったり、足首を回したりと、せわしなく体操を始める。


ローガン「起きたかコブラ。気を悪くしたらすまないが少し話が…」

コブラ「気を悪くすると思うんなら今話さなくったっていいだろ」コキコキ…

コブラ「レディー、今何時だ?」

ビアトリス「?」

レディ「なぁにコブラ、寝ぼけてるの?ここはアノール・ロンドよ。タートル号の中でもないし、ラスベガス・ステーションでもないのよ?」

コブラ「いやぁちょっと言ってみただけさ。シャワーが恋しくてついね」


コブラ「おいジーク、起きる時間だ」

ジークマイヤー「ん?…おおう!つい寝てしまった!」ガバッ

ジークマイヤー「………」


真鍮鎧の騎士「………」


ジークマイヤー「はて…貴公には見覚えが無いが…」

ジークマイヤー「いや、ここはどこだ!?まさか敵に捕らえられ…」

真鍮鎧の騎士「生憎だが違う。貴公はそこのコブラという男に連れられ、この篝火に休んだのだ」

真鍮鎧の騎士「それと、私は貴公の敵では無い。この篝火の番人だ」

ジークマイヤー「番人……すると、ここの火防女か?いやはや申し訳ない。鎧姿の火防女と会うのは初めてでな。はっはっは!」

ジークマイヤー「それにしても、まさかあの難所を無事抜けられるとは……てっきり、一撃の元に斬り伏せられたと思ったが…」

ビアトリス「無事…?」

ローガン「まぁ理性が消えとる訳でも無し。無事と言えばその範疇ではあろうな」


ローガン「してコブラよ。眠気は覚めたかね?」

コブラ「ああ、おかげさんで。それでしつこく尋ねるに値する話ってのは何だい?」

ローガン「貴公のためにと草毟りをしたついでに、私が見た黄金色の霧についてだ」

コブラ「黄金色の霧?」

ローガン「うむ。ここから出て左手側に進み、巨人を一人打ち伏せた先に、霧はあるのだが…」

ローガン「どうも、あれは私が知るところの『太陽の光の王』の封印であるらしい」

コブラ「!!」

ローガン「我が古巣の竜学院に、名誉ある魔法の徒にのみ許された秘奥書がある。それらに黄金色の霧について記した物がいくつもあったと、私は記憶している。闇の徒の手より偉大な力を守るため、最高神とされる者のソウル分け用い、封を施す…と」


419以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/04(土) 15:42:26.661Z8NzC9CO (1/1)


悲報
クソまとめサイトあやめ速報、あやめ2nd
創作活動への冒涜続行


・SSちゃおラジシリーズの盗作が発覚
作者も自白済み


・各まとめサイトにちゃおラジの盗作が伝えられる
真っ当なまとめサイトはちゃおラジシリーズを削除


・まとめサイトあやめ2ndはちゃおラジの削除を拒否
独自の調査により盗作に当たらないと表明


・あやめ2ndが荒れる
あやめ管理人は盗作だというちゃんとした証拠をもってこいと言う


・かと思いきやあやめ管理人、盗作に当たらない発言も証拠を求めた発言も寄せられたコメントもなにもかも削除
全部もみ消してなかったことにする気かとあやめ2ndもっと荒れる


・あやめ2nd、ちゃおラジシリーズは盗作ではないがこのままではサイト運営に不都合なためと削除


・後日あやめ2nd、ちゃおラジが盗作ではない独自の理論を公開
ちゃおラジシリーズ再掲載


・あやめ2nd、多数のバッシングにあい数時間後ちゃおラジシリーズ全削除
自らの非を全て認める謝罪記事を掲載


・謝罪記事掲載から5日後、あやめ2nd謝罪記事削除
サイトは謝罪時から通常通りの運行だった
またもみ消して逃げるのかと荒れる


・あやめ2ndに迷惑だから釈明するなり謝罪するなりしろとの訴えが出される


・あやめ管理人釈明なし
責任を逃れ私欲に走る

この間、あれだけちゃおラジへのコメントを削除したにも関わらず以下のようなコメントの掲載を承認
ダブルスタンダードは健在
http://ayamevip.com/archives/52295361.html#comments


ご意見はこちらまで
ayamevip@gmail.com


あやめ管理人は謝罪記事の再掲載を行え




420以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/04(土) 15:43:50.58jqo7ogdcO (1/1)


悲報
クソまとめサイトあやめ速報、あやめ2nd
創作活動への冒涜続行


・SSちゃおラジシリーズの盗作が発覚
作者も自白済み


・各まとめサイトにちゃおラジの盗作が伝えられる
真っ当なまとめサイトはちゃおラジシリーズを削除


・まとめサイトあやめ2ndはちゃおラジの削除を拒否
独自の調査により盗作に当たらないと表明


・あやめ2ndが荒れる
あやめ管理人は盗作だというちゃんとした証拠をもってこいと言う


・かと思いきやあやめ管理人、盗作に当たらない発言も証拠を求めた発言も寄せられたコメントもなにもかも削除
全部もみ消してなかったことにする気かとあやめ2ndもっと荒れる


・あやめ2nd、ちゃおラジシリーズは盗作ではないがこのままではサイト運営に不都合なためと削除


・後日あやめ2nd、ちゃおラジが盗作ではない独自の理論を公開
ちゃおラジシリーズ再掲載


・あやめ2nd、多数のバッシングにあい数時間後ちゃおラジシリーズ全削除
自らの非を全て認める謝罪記事を掲載


・謝罪記事掲載から5日後、あやめ2nd謝罪記事削除
サイトは謝罪時から通常通りの運行だった
またもみ消して逃げるのかと荒れる


・あやめ2ndに迷惑だから釈明するなり謝罪するなりしろとの訴えが出される


・あやめ管理人釈明なし
責任を逃れ私欲に走る

この間、あれだけちゃおラジへのコメントを削除したにも関わらず以下のようなコメントの掲載を承認
ダブルスタンダードは健在
http://ayamevip.com/archives/52295361.html#comments


ご意見はこちらまで
ayamevip@gmail.com


あやめ管理人は謝罪記事の再掲載を行え




421以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/04(土) 17:00:17.86gtw99HFi0 (2/2)

自己申告しないと、単にコピペしてるタイプのまとめサイトには丸ごと本文扱いされて掲載されるので、一応レス。
>>419と>>420は荒らしで、>>421、つまりこの文章も本文ではありません。よろピク。


422以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/04(土) 18:43:09.22kQ7iUncS0 (1/1)

ついにコブラの側にも太陽神の封印か

ほんとどこにでも湧くなこの荒らし
まとめサイトなんか興味ないから心底邪魔


423以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/05(日) 00:57:34.61gmeZ0M3D0 (1/1)

太陽の光の王の封印という言葉に、コブラは覚えがあった。
完全に同じでは無いが、これと似た音の響きを持つ言葉。
それは今コブラの思考に、混沌の魔女クラーグとの会話として音を大に跳ね回っていた。


『魂だのなんだのについて、俺が知りたい事は一つ』

『なぜ俺の精神力は、他人の精神力を必要とするほどに、回復しなくなったのか………それだけさ』


『回復はしている』


『なに?』


『我ら魔女には、ソウルと人間性を見抜く力がある。そうでなければ、炎を御する事など出来ぬ』

『その我らの眼に映るのだ。貴様のソウルと人間性は光を放ち、常に力を大きくし続けている』

『だが、許されていないのだ』


『許されていない?誰の許しが必要だっていうんだ?』


『誰あらぬ、太陽の光の王の許しだ』





コブラ「封印、か……なるほどね」

コブラ「少しづつパズルが組み上がってきたぜ」

レディ「何か分かったのね?」

コブラ「ああ。ローガン、告白させてもらうが、あんたの言う光の王の封印とやらは実を言うと俺の中にもあるんだ」

ローガン「なに?」

ビアトリス「太陽の光の王の封印が…コブラの中に?一体どういう事だ?貴公はロードランの神々の力が及ばぬ処から来たはずではないのか?」

真鍮鎧の騎士「!?…待ってくれ、今なんと…」

コブラ「おっと今は講義中だ。余談は本題のあとに頼むぜ」

真鍮鎧「う…うむ」


コブラ「それでだ。その封印は俺の中にあるサイコエネルギーを塞き止めているだけではなく、ここで何か馬鹿でかい力を守っている。ジイさんの言う通りならかなりの昔からな」

コブラ「だが、もしそうなら矛盾が出てくる。薪の王によってロードランに連れてこられた時に、俺は封印を貼り付けられたのであって、俺は昔からここにいた訳じゃない」

コブラ「そこで考えた。その封印を施した太陽の王様にとって、なんらかの非常事態がロードランで起こっているってな」


ローガン「非常事態…というと?」

コブラ「さぁな、そこまでは分からんさ。だがかなりの大ごとだろう。わざわざ薪の王に俺を招かせておきながら、封印を施して闇の手の者とやらから守っているんだからな。この矛盾が答えだ」

コブラ「助っ人宇宙人を呼びながらその選手を宣伝せずに隠す。そういう球団は大抵借金がかさんでるものさ。恐らく不死の使命か、あるいはその使命を不死に課した神々そのものが、今は窮地に立たされているんだろう」

ジークマイヤー「?…?…すまん、知らない物が話に出すぎて何がなんだか…」

レディ「この先のんびりしてはいられないかもって事よ。そうでしょうコブラ?」

コブラ「ああ。うかうかしてると帰りそびれるかもな。早いとこ出発しよう」


ローガン(確かに、もしそうなら急がねばならんな。神々の地では多くを見ておきたい)


真鍮鎧の騎士「それで、貴公はどこから来たんだ?待ってやったんだ、答えてくれてもいいだろう」

コブラ「宇宙からさ」

真鍮鎧の騎士「うちゅう?」

コブラ「ロードランとは別の世界さ。一眼見りゃあ、きっとアンタも気にいると思うぜ」

コブラ「さ、出発だ!」

真鍮鎧の騎士「………」


424以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/05(日) 01:03:48.20tlBy6aN0o (1/1)

大物助っ人呼んでおいて年棒の契約もしてないあたり貧乏球団というのは説得力あるな


425以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/05(日) 19:39:13.37KG04/B5y0 (1/1)

出撃前にクラーグ(人間型下半身)のポスターのケツを叩いていく球団


426以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/06(月) 12:55:36.21O9Z3pPKG0 (1/1)

篝火から離れ、小部屋から抜け出たコブラに、暖かな陽光が当たる。
コブラが一眠りした間に、アノール・ロンドは全く姿を変えていなかった。
まるで、時が止まっているかのように。


ジークマイヤー「まぶしっ」

コブラ「沈まぬ太陽とは気が利いてるね。いっそプールも付けたらどうだ」


時間に異常をきたした謎多きロードランに、コブラは慣れていたつもりだった。
しかし、紛れもなくこの地の中心地であろう神の都にさえ、理を崩した時間が横たわっている事に、コブラは言い知れぬ不安を覚えた。
悪い予感ほどよく当たる。コブラの中に、己の人生訓が染み入る。


ゴゴゴ…


長方形の大バルコニーを横断し、一行がバルコニーから少し飛び出た日除けに入ると、日除けの真下にある石畳が綺麗な円形に割れ、緩やかに降下を始めた。
円形にくり抜かれた縦穴を、一行は降りてゆく。


ビアトリス「なんという…まだ仕掛けが動くのか…」

ローガン「ここは神の地で、見て触れ得るものも全て神が創ったものだ。我々では推し量れんさ」

コブラ「よくあることだ。インディージョーンズでもそうだった」

ジークマイヤー「良くあるのか!?」

レディ「フフッ、ないわよ」


昇降機で降り終えると、昇降機を中心に螺旋の下り階段が伸びていた。
階段の石段も美しく切り詰められたままであり、時間の経過を全く予感させない。
実際に降りても、埃のひとつも立たなかった。
そして、一行が階段を下り終え、縦穴から出ると…


鐘のガーゴイル「グオオオオオオオオオ!!!」

レディ「えっ!?」


不死教会に住み着いていた石像、ガーゴイルが駆けて来た。
ガーゴイルは一行目掛け斧槍を振り下ろし…


ガイイィーーン!!


コブラとジークマイヤーの特大剣にその凶刃を防がれ、跳びのき、怒りに唸った。


コブラ「おたくもしつこいね。バレてるネタばかりだと客に飽きられるぜ」

ジークマイヤー「石像の化け物め!大人しく退けい!」

鐘のガーゴイル「ウグオオォーーッ!!」

レディ「降参する気は無いみたいよ!また来るわ!」

ローガン「じゃあこれだ」シュゴーーッ!!


再び飛び出したガーゴイルに向け、ローガンはソウルの槍を放つ。


鐘のガーゴイル「!」バファッ!!

ローガン「お、避けおった」


しかし槍は跳び越され、石床に当たり、消えた。
宙に浮いたガーゴイルは羽ばたきを始め、空気を吸い込む。


コブラ「炎を吐くぞ!散らばれーっ!」




427以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/13(月) 10:37:31.64rI7HlRjX0 (1/3)

コブラの合図とともに一行は各々回避行動に移る。
しかし、ガーゴイルが吐き出したのは火炎では無かった。


バリバリバリッ!!


ジークマイヤー「のぉ!?」バチィーン!

レディ「雷!?」バリリッ!


ガーゴイルの雷は石床を伝わり、各々が回避した先にまで広がり、皆を感電させた。


コブラ「へへへ…コイツはいっぱい食わされたな」ビリビリ…

ビアトリス「クッ…まさか雷とは…」ビリビリ…

ジークマイヤー「………」グッタリ


魔法を学び携える者は、雷を含めた、物理的衝撃に拠らない力に耐性がある衣服を着込む習慣を持ち、レディのエネルギー耐性は単純な電気如きにはビクともしない。
しかし、全身を高電導性金属で包んだジークマイヤーと、ほぼ生身と言って差し支えないコブラにとって、この雷は大きな痛手であった。


ローガン「タマネギ君……おや、気絶しておる」

コブラ「呑気なもんだな。ピクニックに来たわけじゃないんだぜ」

鐘のガーゴイル「グアアア!!」ブオーン!!

コブラ「ほーらおいでなすった!」サッ


ガギーーッ!!


しかし、痛手を被ったはずのコブラは、ガーゴイルに振り回されるハルバードを特大剣で受け止めた。
持って生まれた恐るべき自然治癒力が、コブラにそのような芸当を可能にさせていたのだった。


コブラ「今だレディーっ!」


ガーゴイルの動きがほんの数秒封じられている間に、レディは既にガーゴイルの背後に回り込んでいた。


ズガーッ!!

ガーゴイル「ゴエエッ!」


跳躍したレディが振るったフランベルジュに首を貫かれたガーゴイルは、レディを振り落とそうと頭を上下する。
しかし、アーマロイドの膂力で捻られたフランベルジュは、レディが振り落とされるより先に、ガーゴイルの首に出来た穴を押し広げ…


バゴォーーッ!!


首まわりの彫刻を粉々に破壊した。首を捩じ切られたガーゴイルからは魔力が消え、代わりにソウルが漏れ出てきた。
ガーゴイルは沈黙し、もげた頭からは兜が、崩れゆく両手からは盾とハルバードがそれぞれ落ちた。


ローガン「いやはや、まったく凄まじい体力だ。貴公を素早い鋼の体へと変えた術の体系を、是非とも知りたいものだ」

レディ「あら、鋼の体ですって。あなたのことじゃない?」

コブラ「俺のファンがまた増えたか。ペンがあるなら帽子にサインしてやるところだ」ニッ

ローガン「?…なんの話かね?」


ジークマイヤー「はっ!?」ガバッ


ビアトリス「一足遅れだ。もう終わったよ」

ジークマイヤー「!?……うむむ…面目無い」

ビアトリス「重鎧で雷を受けたんだ、生きてるだけでも幸運というものだよ」

ビアトリス(やれやれ、もうエストに出を出すことになるとは。先が思いやられるな…)



428以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/13(月) 12:18:00.33/FA5Tqqu0 (1/1)

さすが神界楽には進ませて貰えんなあ


429以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/13(月) 14:27:28.90rI7HlRjX0 (2/3)

×出を出す
○手を出す


430以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/13(月) 15:10:46.76rI7HlRjX0 (3/3)

コブラ「イテテ…まだ体が痺れるぜ。テーザー銃食らった次の日みたいだ」

ジークマイヤー「それだけで済んでいるとは、羨ましいものですなぁ」グビグビ…


エストをがぶ飲みするジークマイヤーを尻目に、コブラは周囲の状況を確認するため、右へ左へと歩いた。
そして、自分達が横幅の大きい石橋の上にいて、行くべき先は途切れている事を確認すると、次は橋の途切れた先に建つ、巨大な建造物を見据えた。
建造物は円柱状であり、屋根を持ち、途切れた橋と符合するであろう突起を、両橋に備えている。


コブラ「まったくひどい仕掛けを考えるもんだ。俺ぐらいにしか解きようが無いぜこりゃ」


コブラが建造物に悪態をついている頃、レディは一人、縦穴からの出口の近く、石橋の根元から横に降りた所にある、横道とも言い難い細い垂木を渡っていた。
垂木の先には、教会然とした建物があり、それはアノール・ロンドにあるものの例に漏れず巨大で荘厳だったが、窓の一つが割れていた。
彼女の行動にビアトリスもジークマイヤーも気づいていなかったが、一人だけ気づいていたローガンが、発見の喜びをレディから取り上げまいと口をつぐんだおかげで、二人は気付くそぶりも見せなかった。

レディは垂木を渡りきり、割れた窓から教会の内部を覗き、ため息をついた。


レディ「ジークには無理ね…」


一言呟くと、レディはまた垂木に飛び乗り、来た道を戻って行った。
その様子を眺めていたローガンはふと、レディと同じ猫のように身軽さを、どうにかしてかの呪術に備えられない物かと考えた。





431以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/13(月) 20:38:14.39MsWw0l19O (1/1)

なんというタフガイ……


432以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/14(火) 00:17:15.98upP9qpGs0 (1/2)

×猫のように身軽さを
○猫のような身軽さを
誤字が多すぎる。自動添削機とかあったらほちい。


433以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/14(火) 03:27:09.29upP9qpGs0 (2/2)

レディ「ダメね。向こうには行けないわ」

ビアトリス「? どこに?」

レディ「隣にある建物を少し覗いてみたのよ。中は広大な吹き抜けになっていたわ。建物自体が一つの空箱とでも言うべきね」

レディ「下に降りるための階段やハシゴは見当たらなかったわ。見えたのは数本の細長い梁と、梁の上に立つ何人かの見張りだけ。とても大人数で進めるような場所じゃないわ。足を滑らせればそのまま真っ逆さまだし、そんな不安定な足場であの人数を捌くのは、例え魔法が使えたとしても難しいでしょうね」

ビアトリス「そんなはずは無い。見張りぐらいなら私と先生の魔法で…」

レディ「見張り一人につき見えただけでも5本のナイフは携帯していたわ。複数本のナイフを持ち歩いている事だし、多分投げてくるでしょうね、一斉に」

ジークマイヤー「おおう…」

ビアトリス「………」

コブラ「だろうと思ったよ。レディ、コイツを見てくれ」


レディからの報告を受けたコブラは、石橋の先に見える建造物に指をさす。
コブラの指が示した物を、レディと不死達は見上げた。


コブラ「コイツは多分、回転しながら降りてきてこの橋の先になるんだ。形からしてもそうとしか考えられない」

コブラ「だが、その仕掛けを動かすスイッチの類はこの橋には見当たらない。レディの言った梁とやらを渡りきった先に、そのスイッチがあると見ていいだろう」

ビアトリス「だが、その梁は渡れないんだろう?」

コブラ「ああ、渡れんさ。俺が思うに、だから不死の使命を知る者が今まで出なかったのさ。はじめから使命をやらせる気が無いんだ」

コブラ「アノール・ロンドの巨人衛兵共は自動操縦のロボットとも考えられなくも無い。ガーゴイルもしかりってところだろう」

コブラ「だがコイツは訳が違う。客をわざわざ呼んでおいて、その客を明らかに撥ねつけている。不死を厳選して英雄を見つけ出すにしては徹底しすぎだ。これじゃ英雄だって通れやしない」

コブラ「それにそういう悪辣なイタズラは、ここに招待する前の古城で済ませるはずだ。英雄に苦難を押し付けるにしても、神の国に招待するからにはまずは相応の宴を用意して英雄をもてなすのが、神話においての王道のはずだぜ」

ジークマイヤー「それはそうかもしれんが…些か考えすぎではないか?まだ苦難が続いているとも思えるだろう?」

ローガン「…なるほど。貴公の考えの先が読めたぞ」


ローガン「つまり、アノール・ロンドはすでに死に体であり、不死の使命も今や風前の灯だと言いたいのだね?」


コブラ「そこまで考えちゃいなかったよ。だが、そう考えるのが一番しっくり来るぜ」

コブラ「教会のガーゴイルは、俺たちが鐘に近づいた時に動き出した。巨人の衛兵も近づいたジークに反応して攻撃してきた。ガーゴイルも、巨人も、この橋も、見張りも、全てここの防衛装置なのさ」

コブラ「想像するに、何かから都を守るために装置を起動させたはいいが、その何かを追い払うことが出来ず、やむなく都を放棄したってところかね」

ローガン「で、あるならば……不死の使命は神の国の再建ということか?」

コブラ「そいつは可能性の中でも最悪さ。町興しにしたってディズニーランドをおっ建てるぐらいしかアイディアが浮かばない」チャキッ



ひとしきり自論を整理したコブラは、手を建造物に向けると…


バシュッ カキン!


ワイヤーフックを射出し、建造物に引っ掛けた。


コブラ「だが、ターザン役は譲れないな」シュルルル…


そのままワイヤーのウィンチに巻き取られ、コブラは建造物を登りきった。


ジークマイヤー「確かに並の不死には渡れんなぁ。あんな便利な縄を持っている不死などとは出会ったことがない」

ローガン「うむ。是非に仕組みが知りたいものだ」

レディ「ほしいの?」

ローガン「!? 控えがあるのか?」

レディ「フフッ、ごめんなさい、今は無いわ。でも私たちの船にならあるでしょうね。タートル号って言うのだけれど…」

ローガン「ふむふむ…」

ビアトリス(ウミガメ号?一体どんな船なんだろう)


434以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/14(火) 04:20:41.902eyjIKvPo (1/1)

>>432
脳内変換してるから大丈夫よ


435以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/14(火) 05:45:55.89mBIfbGJ7o (1/1)

うむ、ある程度の誤字なら読み換え出来るしな
書く側としてはそんなこと言われてもやっぱり気になるというのも分かるけど


436以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/15(水) 10:55:12.14IQES9Mht0 (1/1)

建造物に登ったコブラの眼に、円形の広場と、その中心に据えられた横回転式のレバーが映る。
レバーを中心にして下りの螺旋階段が伸びており、レバーの真上には大きな日除けが設けられていた。


ガッ ゴゴゴ…


石を成形して作られたレバーは重かったが、手押しが出来ないほどではなかった。
仕掛けは起動し、建造物はコブラの想定した通りに動いた。


ズゴゴゴゴ… ガコーン…


コブラ「第一関門、これにて突破ってわけだ」

レディ「さ、行きましょう」

ジークマイヤー「うむ」


進路を確保した一行は石橋を渡り、横回転式レバーを円形に囲む石床を歩いた。
その歩みを感知して、建造物の陰に隠れていた石像は起動した。



鐘のガーゴイル「グオオオオオオオオオ!!!」ダダッ!

レディ「なっ!?」

コブラ「にっ、二体目だぁ!?」



一度ならず三度も倒した敵と、ほぼ同一と言っても障りのない者が駆け出してきたのには、流石のコブラも驚愕した。
一度敗れた者をそれから二度も敵に差し向けたのだから、流石に四度戦わせるような愚策は無いだろうとタカを括っていたのである。
そして愚策は功を成し、コブラとレディとジークマイヤーの反応は遅れた。
だが魔法使い達の作戦は、一足早くに完成されていたのだった。


ボン! ボン! ドパッ!
バシッ! ボォン!


コブラとレディの間を通った、五発のソウルの光球のうち、三発がガーゴイルに命中。
コブラとジークマイヤーの間を通った、五発のソウルの光球のうち、二発がガーゴイルに命中。
ガーゴイルの盾によって五発の光球が防がれたが、残った光球を五発も食らえば、ガーゴイルとて怯み、動きを鈍らせる。
ビアトリスとローガンにとって、ソウルの太矢とソウルの槍を叩き込むには、その一瞬さえあれば充分だった。


バシイィーーッ!!!


稲光と見紛うばかりの蒼色の閃光は、ガーゴイルの頭部を粉々に粉砕した。
頭部を失ったガーゴイルは倒れ、頭部跡からソウルを立ち上らせつつ、像の輪郭を崩していった。


コブラ「さすがだな!助かったぜ」

ローガン「神の作りしガーゴイルは常に組で動く。伝承の通りであったな」

ビアトリス「神々の文化も修していらしたのですか…?」

ローガン「読めるものは全てな。そうでなくては大魔法防護に対抗し得る槍など見出せんさ」

レディ「大魔法防護?」

ローガン「神の御業のひとつだ。白竜シースを嫌った岩のハベルがまとめた、魔法を防ぐ奇跡の事を言う」

ローガン「実物を見たことは無いが、神の術を越えようと白熱するには格好の題材だったのでな」

コブラ「野心的だな。ギルガメシュにでもなるつもりかい?」

ローガン「野心?……ふむ、野心か…」


ローガン「…いや、やはり単なる好奇心にすぎんよ」



437以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/16(木) 05:46:16.99FJPYR2dkO (1/1)

ただの好奇心でそこまで出来りゃ大したもんだ
さすが大魔法使い


438以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/23(木) 03:05:41.642alb/vH10 (1/2)

石橋を繋ぎ、破魔の像を倒した先には、アノール・ロンドに着いて初めに視界へと映った、影を纏う太陽色の巨城がそびえていた。
巨城はまた聖堂の様でもあり、正門へと伸びる登り階段は、長く、広く、砂埃の一粒さえも許さぬ、新設の輝きを放っている。


コブラ「へへ、近くで見るとまた一段と荘厳だな。イタリアのミラノ大聖堂を思い出すぜ」

レディ「でも規格が大き過ぎるわ。巨人のための城なのかしら?」

コブラ「もしくは神の根城か。ま、入ってみれば分かるさ」


長大な階段を登り始める一行。
その間、ビアトリスとローガンは、ガーゴイルを怯ませた五つの光球を、再び自身の頭上へと展開する。
ソウルの光球は全て特別な魔力が込められており、敵意を見せるソウルへ向かって直進する性質を持つ。
その性質を利用して、熟練の魔法使いは近くにいる敵への防備とするのだ。


ジークマイヤー(便利だなぁ…)


一行の殿に必ずなってしまうジークマイヤーが、浮遊するソウルの光球の汎用性に感心していると…


巨人近衛兵「………」ヌオォ…


正門を守る二体の巨人近衛兵の姿が、階段を登りきった踊り場の奥から現れた。


コブラ「待ち合わせかいお二人さん。俺も今着いたところなんだ」

ジークマイヤー「………」ダッ!

シュンシュンシュン!!


ジークマイヤーが駆け出すと同時に、軽口を叩くコブラの両脇を、浮遊するソウルが通り過ぎる。


ドボボボン!!


巨人達はソウルの光球を大盾で防ぎきったが、衝撃により一瞬動きを止める。その隙にジークマイヤーは一行の先頭まで駆け出ると…

ジークマイヤー「ふぬおおーーっ!!」バッ!

自身の足元へ向け、両手を振り下ろした。彼の右手には、ツヴァイヘンダーではなくタリスマンが握られている。


ドオオオォォーーッ!!!


ジークマイヤーを中心にして発生した白い突風は、コブラとレディを舞い上げ、巨人達の大盾を揺らし、構えを著しく崩した。


コブラ「もらったーッ!」


一時的に無防備になった二体の巨人の頭を目掛け、コブラとレディは落下し…

グワーーッ!!

レディのフランベルジェは巨人の頭を真っ二つに斬り裂き…

グシャアアーーッ!!

コブラの黒騎士の大剣は、巨人の頭から腰までを叩き割った。
深々と斬られた二体の巨人は、血や臓物を噴き出す代わりに、ソウルだけを噴出させ、消滅した。


コブラ(この手応え…やっぱり中身はカラッポか)シュウウゥ…

ジークマイヤー「おお!あっぱれ!」

ローガン(ううむ…これで不死ではないとはな。筋力にソウルを注ぎ込まずにこの力……真に人間か…?)

レディ「ビアトリス、正門を調べるのを手伝ってもらえないかしら?」

ビアトリス「分かった。ではコブラとジークは見張りを頼む。先生は…」


ローガン「………」


ビアトリス「…熟考していらっしゃるようですね。コブラ、悪いが先生の事も頼む」


439以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/23(木) 08:51:49.70fmIKQ/mNO (1/1)

浮翌遊するソウルの光球に感心するジークマイヤーさんがなんかかわいい


440以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/23(木) 22:42:26.552alb/vH10 (2/2)

ビアトリス「うーん……」


ビアトリスは、杖で門をひと撫でしては考え込み、ふた撫でしては腕を組む。
門に手を着け、レディは彫刻の隙間をまさぐる。


ビアトリス「駄目だな。堅く閉ざされている。だが魔力による封印ではなさそうだ」

ビアトリス「そっちは?」

レディ「こっちもダメね。押しても引いてもビクともしないし、鍵穴も見当たらないわ」

ビアトリス「そうか…」

コブラ「急がば回れって事もあるぜ。あれを見ろ」


コブラが指差す方向、正門を正面に見て左手に、金属製の格子扉が備えられた塀が見えた。
格子扉の向こうの奥には、レッサーデーモンが伏せっている。


ジークマイヤー「正門のすぐ横にあのような貧弱な門を置くとは……便利ではあるが、防衛には不向きであるな」

ビアトリス「どうだろうな……そもそも攻められる事など無いという、自負とも思えるが…」

コブラ「どうせ魔法で開かないようになってるんだろう。飛び越えちまえば関係無いがな」スッ


パシュン! カキン!


射出されたワイヤーフックは塀の上部に刺さり、コブラを牽引した。
塀の壁に脚をついたコブラは、ワイヤーを手にロッククライミングの要領で塀を登り、頭頂部に立つと、デーモンに呼びかけた。


コブラ「ヘイタクシー!観光で5名だ」

レッサーデーモン「ギョワワッ!」サッ

コブラ「おろっ?」


一度レッサーデーモンに世話になっていたコブラは、彼らが旅に協力する種族であると思い込んでいた。
その思い込みが仇となった。
レッサーデーモンは仲間を呼び、骨の槍を構えた二体のデーモンに対して、コブラの反応は一瞬遅れた。


ビュン!

コブラ「おおっとっとぉ!」


しかし、反応が遅れたといっても、それは迅速な反撃が行えない程度の遅れである。
飛来したデーモンの雷をスレスレで躱すと、コブラは駄々をこねるように腕を振って、バランスを取った。


ビアトリス「雷!? デーモンにも神への信仰があるのか!?」

レディ「コブラ!これを!」ヒュッ!


コブラは、レディが投げたフランベルジェをキャッチすると…


バチィ!!


二投目の雷をそれで受け…


ブオォン!!

ドカカーーッ!!


背負った特大剣と共にフランベルジェを投擲し、二体のレッサーデーモンの頭を割った。
レッサーデーモンは巨人達と同様にソウルを噴くと、風に掻かれた砂山のように消えた。


コブラ「フゥー強烈だぜ……前のは踏み倒し扱いか」

レディ「大丈夫?」

コブラ「いいや、座禅を組んだあとみたいにビリビリくるぜ」フッ


441以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/24(金) 05:10:58.1512eaXGY30 (1/1)

塀の先に降りたコブラは格子扉の内鍵を開けると、扉を解放し、仲間を招き入れた。
ローガンはビアトリスに促されて扉を潜ったせいか、思考の切り替えが緩慢になっている。


コブラ「おっと待った。何か聞こえる」

ジークマイヤー「ん?この音どこかで…」


そんなローガンを含めた仲間達をその場に留め、コブラはレディにフランベルジェを返すと、足音を殺して走った。
不死教会の近くで聞いた覚えのある、連続した金属への打突音が聞こえたからである。
音は、格子扉を抜けた先にある踊り場から、右手側に抜ける横道…
一応とはいえ、城内から聞こえていた。
コブラは踊り場を駆け抜けて、横道側の壁に伏せると、特大剣を構える。
そして思考の中でカウントを減らし…

ダダーッ!

音のする方へ一気に駆けた。
しかし…




巨人の鍛冶屋「? あんた 誰?」

コブラ「!?」ズザザーッ!




予想に反した者に予想に反した言葉を投げかけられ、コブラはかろうじて踏みとどまった。


巨人の鍛冶屋「武器 鍛えるか?」カンカンカン! カカカカカッ…


その巨躯に比べ、あまりに不釣り合いに小さい木槌で、巨人は時計職人の如くロングソードを叩いている。
腰掛ける椅子も小さければ金床も小さく、仕事場自体も彼の体格に比べて異常に小さい。
そこに押し込められるようにして収まっている巨人だが、気に病んだ様子は一切無い。
その態度は、コブラに呼ばれて集まってきた不死達を見ても、変わらなかった。
不死達の驚きは甚だ大きく、ローガンなども正気に戻るほどだったというのに。


ジークマイヤー「…たまげた…」

コブラ「ああ俺もさ。危うく叩き斬って跳ね飛ばされるところだ」

ローガン「巨人が鍛冶仕事をするとは……てっきり鍛治の神が人に命じて武具を作っているものだとばかり…」

ビアトリス「私も伝承が信じられなくなってきました…神を信じるデーモンに、神の武具を作る巨……はっ!?」

ローガン「おや、気づいたかね。ま、質問の権利は譲ろう」


ローガンに遠巻きに促され、ビアトリスは巨人に尋ねる。


ビアトリス「あ…あの、恐れながらお聞き致しますが、あなた様は鍛治の神でいらっしゃいますか?」

巨人の鍛冶屋「ん~ … 俺 話す 苦手」

ビアトリス「そ…そうですか」

巨人の鍛冶屋「でも 鍛えるの 得意」

巨人「いつでもばんぜん」



カンカンカン! カン!



ビアトリス「………」

ローガン「うむ、取りつく島も無し」

ビアトリス「先生、話が通じません……私の言葉遣いが悪いのでしょうか…」

ローガン「言葉遣いが云々というより、そもそも会話に興味が無いか、鍛治仕事に集中するためにはぐらかしたか、という印象を受ける」

ローガン「彼の気を会話に乗せてやらねばな」

レディ「そういうことなら、たった今良い考えが浮かんだわ」


442以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/24(金) 13:48:08.88herC6tpCo (1/1)

気さくな挨拶吹いた
こんなとこにこんな奴がいるなんて……


443以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/24(金) 13:53:05.05MUiHTNLx0 (1/1)

レディのいい考えの安心感
どこぞの司令官とはえらい違いだ


444以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/24(金) 16:50:28.142K7iTZuF0 (1/1)

どこぞの司令官だっていい考えの成功率は3/5だぞ
そのうちの二例が人事系で残り一例は考えは成功したし最低目標(仲間の救出)は達成できたけど敵の目的の阻止そのものは出来ない引き分けだったけど


445以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/25(土) 20:45:33.51qGKJrpn90 (1/2)

レディ「ちょっと良いかしら?あなたに仕事を頼みたいのだけれど」


一行の最前列に出て、巨人に触れられるくらいの距離にレディは立った。
巨人は剣を打つのをやめると、レディに顔を近づけ、小首を傾げる。


巨人の鍛冶屋「 あんた 変わってる」

巨人の鍛冶屋「陰の太陽様の まぼろし そっくり」

巨人の鍛冶屋「でも 違う」



ローガン「陰の太陽の幻……陰の太陽…?」

コブラ「謎が増える一方だなぁ。指輪物語読んでる気分だぜ」

ビアトリス「なんだそれは?」



レディ「その陰の太陽様の幻って、なんなのかしら?」

巨人の鍛冶屋「アノールロンド 守ってる 騎士様」

巨人「本当の騎士様じゃない」



コブラ「つまりあの巨人の騎士は幻で、そいつらを操っているのが陰の太陽様ってことか?」

ジークマイヤー「では、私は幻に斬られたのか…?」

ローガン「うむ、恐らく。しかし触れることのできる幻を作るなど、只者ではない。あれらにはソウルまで込められていた」

コブラ「神の御業ってやつか。しかしレディと似てるって事は…」

ローガン「幻によって実体を作り、それにソウルを注いで動かしておるのだろう。人の使う魔法や奇跡とは、根本から異なるようだ」

ローガン「まったく。驚くべきはコブラ、君の世界の技術だよ。考えるだに恐ろしい」

コブラ「なぁに、慣れれば便利なもんさ」



レディ「じゃあ、その陰の太陽様っていうのは、何者なの?」

巨人の鍛冶屋「ん~ ん~ 」

レディ「………」

巨人の鍛冶屋「…偉大 …言いづらい むずかしい」

巨人の鍛冶屋「喋るの 疲れる…」

レディ(これ以上は聞き出せないみたいね…)


レディ「分かったわ。手間を取らせてごめんなさい。仕事の話に戻るわね」

レディ「これなんだけれど」


レディは巨人に背を向けて、しゃがみこんだ。
巨人の眼にレディの背中に出来た穿ち傷と、熱で歪んだ右手が映る。
コブラこそレディに対し全幅の信頼を寄せてはいたが、不死達はレディの行いに戸惑い、無謀ではないかと、心中巨人を訝しんだ。


レディ「どうかしら?」

巨人の鍛冶屋「 ん~~… 」


巨人の鍛冶屋「 公爵様 お前 作った?」

レディ「? いいえ、私は別の世界から来たの。その公爵様ってどんな人?」

巨人「人 違う 公爵様は うろこなしの 智慧あるお方」

巨人「キラキラ てかてか なんでも作る 他は知らない」

レディ(鱗無し……確かに人間では無さそうね)



446以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/25(土) 21:31:45.77pSDSln6E0 (1/1)

やっと右手修復の可能性が
でもライブメタルか


447以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/25(土) 23:55:17.05qGKJrpn90 (2/2)

コブラ(鱗無し?どこかで聞いたことがあるぞ)

コブラ(しかし、どこで聞いた?太陽の光の王と、関わりがあったような……)



レディ「そう……話を戻すけれど、この傷、治りそう?」

巨人の鍛冶屋「多分 かんたん」

レディ「あら、本当?」

巨人の鍛冶屋「エアダイス様のボウガン 竜狩り様の槍 全部なおした」

巨人の鍛冶屋「雷 染み込ませるのと 同じ」

巨人の鍛冶屋「なおすの 得意」

レディ「そう。それならお願いするわ」

巨人の鍛冶屋「ソウル 持ってる?」

レディ「ええ、あるわ。ちょっと待ってて」


巨人に促され、レディは巨人に向き直り、左手を差し出す。
そして鍛冶屋のアンドレイの言葉の通りに、レディは自分が倒してきた敵対者に思いを馳せた。
すると彼女の左掌から、煙とも光ともつかないものが現れた。


巨人の鍛冶屋「持ってるなら いい」


レディが示したソウルを一目見ると、巨人は木槌を置いて、代わりに壁の隅に置いてあった麻袋を握り…


ガシャララッ


袋を逆さまにして、床に大小様々な鍛治道具を落とした。
大きいものは単純な小槌や鋏などだが、小さいものは並みの人間にさえ扱えないような細さと小ささを備えている。
更には、粗雑な並べ方からして、強度も確かなようだった。


巨人の鍛冶屋「楔石 いるかも」

レディ「楔石って……あの文字の刻んである石のことよね?」

コブラ「それなら俺が持ってるぜ。レディの怪我が治せるならいくら使って構わない」ジャラッ

巨人「 お~ 」


コブラがポケットから出した石を巨人は受け取ると、それらを金床に並べた。
そしてレディの掌からソウルを掬い取り、特に小さな鍛治道具を摘まんだ。


巨人の鍛冶屋「まず 背中」

巨人の鍛冶屋「それから 腕」

巨人の鍛冶屋「少し 時間かかる」

レディ「だそうよ?私は後で行くから、コブラは先に行っててちょうだい。貴方は不死じゃないんだから、眠くなる前にカタをつけていなきゃ」

コブラ「ああ、じゃあお言葉に甘えて」

ビアトリス「ほ、本当に置いていくのか?誰か付いててやった方が…」

コブラ「レディなら心配いらない。悪い男の扱いには慣れてるさ」

ビアトリス「そういう問題では…」

ジークマイヤー「まま、いいではないか。こんな狭いところに固まったままというのも奇襲に弱い。先に行こう」

ビアトリス「………」


ジークマイヤーの後押しもあり、ビアトリスは渋々、先に進むと決めたコブラに付いていく事にした。
ローガンも、ビアトリスとは違う意味で内心二の足を踏んでいたが、短い熟考の末、巨人の仕事場から立ち去る事に決めた。
目の前で展開されるであろう神秘と、先に待ち受けるであろう更なる神秘を天秤に掛け、ローガン後者を選んだのだ。
やはり、より想像ができず、正体の分からぬ物に、結局のところ探求者は惹かれるのだった。


448以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/26(日) 04:06:36.62GGyY+NXj0 (1/2)

巨人の仕事場の壁を沿うように設けられた登り階段を行き、一行は城の大広間に出た。長方形の大広間は縦方向にも広く空間が取られており、コブラが見渡す限りでは、一行が出たのは広間の長辺の一方、二階からだ。大広間の右手側、短辺の一方には巨大な城門が硬く閉ざされ、左手側の短辺には登り階段と、その先を遮る白い霧が見える。更に、大広間の両長辺に沿って無数の柱が立ち並んでおり、それらは絶妙に、コブラの目から大広間にいる何かを隠していた。


コブラ(ここは音が響きすぎる。集団で動くのはキツそうだ)

コブラ「俺が先に行く。イケそうだったら合図を送るか戻るかするから、みんなはそこで待っていてくれ。」


一行が出た横道からは、長辺に沿って一階に行けるよう、Uの字型の下り階段が設けられている。
コブラは迷わず階段を降りると、柱の陰に隠れて、大広間に何がいるのかを確認しようとした。

ブルブル…

その時、思いもよらない事が起こり、コブラは慌てて柱の陰に引っ込んだ。
死んだ火防女から転げ落ちた黒い瞳のオーブが、コブラのズボンのポケットの中で、突如震えだしたのである。


コブラ(おいおいおいちょっと待ってくれ!今はお嬢ちゃんに構ってるヒマはないんだ!)ブルブルブル…


焦りつつもポケットからオーブを取り出したコブラは、震えを止めようとオーブを調べる。
眼球部を押してみたり、瞼を閉じさせようとしたりと手を尽くした。しかし、震えを止める仕掛けなど当然あるはずもない。


?「ほう、貴公か」

コブラ「!」


震えを感知したのか、それともコブラの動揺を感知したのか、大広間に何者かの声が響く。だが、コブラは前にもその声を聞いた事があった。それも、つい最近に。何者かは分かるが、声の主は名前を聞いていないせいで個人を特定できない程度には見知っている男だ。コブラは短くため息を吐くと、柱の陰から姿を現した。


コブラ「やあ、アンタか。ここに居るってことは、どうやら教会でのお祈りが神に通じたらしいな」


ロートレク「見つかっておきながら何をニヤついている。多少は賢いヤツかと思ったが、そうでも無かったようだな」


コブラ「おたくが俺を見つけたんじゃない。火防女がおたくを見つけたのさ」

ロートレク「まだ強がりを言うか。まったく哀れだよ。炎に向かう蛾のようだ」

ロートレク「そう思うだろう?あんたも」


ロートレクの言葉の締めは、明らかにコブラ以外の何者かに向けられていた。一瞬、コブラの思考がロートレクから離れる。


コブラ「!!」


その一瞬に、コブラの髪は総毛立った。
殺意の塊とも呼ぶべき凶暴で無秩序な気配が、コブラの背中を叩く。
吹き出す冷や汗を肌の上に跳ねさせながら、コブラは特大剣を抜きつつ、自身の背後へ横薙ぎを浴びせた。


ガギギィーーン!!!


コブラに振り回された特大剣は火花を散らして、研ぎ澄まされた大剣を受け止める。
クレイモアと呼ばれるその大剣は、コブラの持つ特大剣よりも軽く、両者が刃を合わせればコブラの特大剣がクレイモアを弾き飛ばす筈だった。
しかしそうはならず、コブラは殺意の主との鍔迫りを演じた。
クレイモアの使い手である者の凄まじい膂力に、演じざるを得なかったのである。










仮面巨人「良い服を着ているな。それを私にくれないか?」




巨人達と同じ黄金色に輝く鎧を着て、どこか年増の女を思わせる仮面を被った大剣使いは、美しく若い女の声で囁いた。
しかし、その艶やかな声とは裏腹に、コブラの動きを制限するクレイモアは恐るべき重さを以って特大剣に食いつき、離さない。

「そりゃムリだ。悪いがコレしか無くてね」

そんな一言がコブラの脳裏に浮かぶが、口を開く余裕すらも、全身を軋ませる今の彼には無い。
自分と同じ身長の相手と押し合いをしている。そんな認識は既に吹き飛んでおり、コブラは目の前にいる女を本当の巨人と錯覚していた。


449以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/26(日) 12:18:38.46zMbTPXxSo (1/2)

そんな服を脱げだなんて若い女がはしたない


450以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/26(日) 13:05:57.45SLJBWhZ6o (1/1)

仮面巨人先輩!仮面巨人先輩じゃないか!


451以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/26(日) 16:34:56.49GGyY+NXj0 (2/2)

ガギギィーン…


ジークマイヤー「む!今のは合図か?」

ビアトリス「いや、合図をするなら普通は声を上げるが……」

ビアトリス「………」


ビアトリス「…敵に見つかった!」ダッ!


コブラの危機を察したビアトリスは、降り階段を駆け下り始めた。
ジークマイヤーも即座に意を決し、彼女の後を追う。


ローガン「………」


しかしローガンは動かなかった。
考えに耽っている訳でも無い。彼の意識は確かに現実へと向けられている。
だが、ローガンは仲間の後を追わなかった。




ロートレク「いいぞ。そのまま抑えておけ」


身動きの取れないコブラへ、ショーテルを持ったロートレクが近づく。
コブラの背中は無防備。守るものは何もない。

タン!

仮面巨人「おっ」グン!!

防御や回避が不可能な状況であることを悟ったコブラは、クレイモア使いの膂力に身を任せ、背後に跳躍した。
圧倒的な力に押し出され、コブラは投げ槍の如くロートレクへ向け飛翔し、特大剣を振るう。

ロートレク「ふん」ササッ

コブラの振るった特大剣は、屈んだロートレクの頭上を飛び越し…

ガアァーーン!! ガリガリガリ…

コブラごと石床にぶち当たり、人一人の身長分ほど滑り、止まった。
そして床に伏せった特大剣をコブラは持ち上げ、肩に乗せつつ、いつでも動けるよう体勢をとった。



巨人仮面「良いな……力もあり、素早い。指輪は何をつけている?」

コブラ「へっ…へへへ…そんなこと聞いてどうするんだ?結婚でも申し込む気か?」

ロートレク「クックック…息を荒げてもまだ言うか。関心するぜ」


ロートレクがコブラの挑発に苛立つ中、ビアトリスとジークマイヤーは階段を降りきり、柱の陰に隠れた。
そして、ビアトリスは目立つ三角帽子を脱ぐと、顔だけを出して大広間を覗き見…


ビアトリス「!!!」


金の鎧を纏った曲剣使いと、仮面を被った、重鎧の大剣使いの後ろ姿を発見して、また柱に隠れた。


ビアトリス「………」フゥー…

ジークマイヤー「どうした?何が見えた?」

ビアトリス「曲剣を持った騎士が一人と、仮面の悪霊がいる」


ジークマイヤー「!!?」


ビアトリス「コブラが合図を出せないはずだ…相手が悪すぎる…」

ジークマイヤー「ど、どうする?…このまま我らが隠れていては、コブラと言えど…」

ビアトリス「分かっているさ。分かってはいるが…しかし……」



452以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/26(日) 16:51:08.27zMbTPXxSo (2/2)

ローガンが「私にいい考えがある」と言ってくれるんだなそうに違いない


453以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/28(火) 02:53:20.96JCHcNyHL0 (1/1)

ロートレク「そういえば、鉄色をした女の連れはどこだ?見限られでもしたか」

コブラ「お色直しさ。女の化粧は時間が掛かるって事も分からんようじゃ…」

仮面巨人「くだらん」タッ!


会話を切り、仮面の騎士はクレイモアを構えて駆け出した。
軽口を返すのをやめ、コブラは特大剣を握る右手に、左手を掛ける。


ビュン!


しかしコブラは剣を抜かないまま、仮面の騎士に大剣を横振りさせた。


コブラ「……」クルッ

ガキーッ!


仮面の騎士のクレイモアは、背を向けたコブラが担ぐ特大剣に防がれ…


コブラ「ウオオーッ!」ギャリリィーーン!!!


コブラの抜剣とともに、大きく弾かれた。
仮面の騎士は大剣を落としはしなかったが、上体を仰け反らせ、戦闘体勢を大きく崩す。

ゴオオォーッ!!

そこに空かさずコブラの特大剣が振り下ろされた。
狙うは人体の軸、仮面の騎士の正中線。

ババババ!!

コブラ「おっ!」


だが、コブラの特大剣もまた、仮面の騎士を捉えることは無かった。
重装の騎士にはできるはずもない連続バク転によって、仮面の騎士がコブラの剣勢域から脱したためであった。


コブラ「身軽なヤツだ。殺し屋は辞めてサーカスにでも入ったらどうだ」


コブラはまたも挑発をするが、その挑発の真偽を、仮面の騎士は問わなかった。
仮面の騎士はクレイモアを右手に持ち、またもコブラに斬りかかる。

カァーン!!

コブラは、振り抜かれたクレイモアを特大剣でことも無さげに打ち払うと…

ブオン!!

払った特大剣を返し、仮面の騎士へ袈裟懸けに振り下ろした。



ドゥーーン!!

コブラ「!」



仮面の騎士は空いた左掌に隠し持っていた短刀で、特大剣をいなすと…



ザスッ!



コブラの左脇腹に、その短刀を突き刺した。




454以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/29(水) 18:15:55.58Dc9lnDMaO (1/1)

コブラがやられた!?


455以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/30(木) 21:57:27.63O65UiujH0 (1/2)

コブラ「ぐふっ!」


コブラに突き刺さった短刀は、コブラの浴びてきた刃の中の何よりも鋭かった。
肉を貫いた短刀は内臓にまで達し、コブラは吐血した。


仮面巨人「恐れいった」

コブラ「………」ハァ ハァ

仮面巨人「特大剣を大剣の如く振り回すその筋力、いくらソウルを身に捧げても得られるものではない。しかし、お前は容易に人の域を超えられる不死どもとも違う」

仮面巨人「お前を殺し、お前から物を奪えば、少しはお前を知れるのかな」グリリッ

コブラ「ぐはっ!」


ねじ込められた短刀に内臓を斬り裂かれ、コブラは痛みに背を丸める。
仮面の騎士は、雀蜂を表す装飾を掘られた指輪をはめた左掌に、より一層の力を込めた。


仮面巨人「!」バスン!


だが、その掌が握る短刀がコブラをより深く抉る前に、蒼色の閃光が仮面の騎士の肩にぶち当たり、厚い肩当てを吹き飛ばした。
衝撃を受けて体勢を崩した仮面の騎士に生じた隙を、コブラは見逃さず、ジークマイヤーも見逃さなかった。

タン!

コブラはナイフから自分の体を引き抜き、跳び退いた。
仮面の騎士は咄嗟にコブラを追撃せんと駆け出すが…

ジークマイヤー「貴公の相手は私だ!」ガゴォーン!!

その行く手を遮ったジークマイヤーの剣を盾に受け、仮面の騎士の追撃は失敗に終わった。
仮面の騎士から遠退いて片膝をついたコブラの元には、ビアトリスが駆け寄る。


ビアトリス「大丈夫かコブラ!」

コブラ「いや、ちょいと食に当たってね…」ゴホッ

ビアトリス「馬鹿なこと言ってる場合か!しっかりしろ!敵はまだいるんだぞ!」グイッ


ロートレク「その通り」ザッ…


手負いのコブラに肩を貸したビアトリスに、ロートレクが近づく。杖を持つ手を空けておいたビアトリスは、苦し紛れに魔法を撃った。
しかし、ソウルの矢は弓矢や銃弾と比べ弾速が遅い。
それを真正面から受ける不死などいやしない事を、ビアトリスも分かっていた。


ロートレク「哀れなものだな。当たるはずもないだろうに」

ビアトリス「…馬鹿者め…私が適当に撃っていると思っているのか…」

ロートレク「嘘をつくな。それ以外にやることも無いだろう」


事実、ビアトリスはただ敵を近づけさせんが為に、魔法を撃っていたに過ぎない。
逃げる策など思いつかず、策があっても実行出来るほどの体力は彼女には無い。コブラも然り。
だが、応援に期待していない訳では無かった。


ローガン「ふっふっふ……隙あり」

シュゴォーーッ!!


ローガンの放ったソウルの槍は、柱と柱の間を抜けて飛び…


ロートレク「グアアーーッ!!」ズバーーッ!!


ロートレクの背中を貫き、胴体に風穴を開けた。


ビアトリス「先生!」

ローガン(広くて遮蔽物もある場所に、のこのこ魔術師二人が出てくることも無い。魔法は不意を突いてこそだ)

ローガン(……しかし、まさかあの仮面の騎士と見えることになるとは…」


456以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/30(木) 22:22:24.77UjlZZBBR0 (1/1)

ジークが最近活躍してるなぁ
こないだ巨人に思いっきり頭叩かれたせいかw



457以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/30(木) 23:10:44.05O65UiujH0 (2/2)

ロートレク「ば…馬鹿な…これは…ソウルの槍…」

ロートレク「センの古城に…閉じ込めた…は…ず…」


ドウーッ



ソウルの槍に討ち取られたロートレクが、地に伏した。
ジークマイヤーとの鍔迫り合いに興じながら、仮面の騎士は横目でロートレクの遺体を一瞥した。
そして、言葉を連ね始める。


仮面巨人「カタリナの騎士ジークマイヤー」

ジークマイヤー「!!」

仮面巨人「魔女ビアトリス。ビッグハット・ローガン…」

ビアトリス「なっ…」

仮面巨人「私に勝つなどあり得ないにしろ、手練れであるとは知っていたはず。やはりこの女神の騎士も、協力者の手を借りなければ狩りも出来んのだな」

仮面巨人「ローガン。私には当たらんぞ。大人しく出てこい」


ローガン「………」


一度使った奇手に二度目の出番は無いと、ローガンは知っていた。
しかし、それでもなお頭上からの狙撃は被射体にとって脅威であることには変わらないはずだった。
だがローガンはそんな有利を捨て、大広間の一階へと降り、仮面の騎士と同じ海抜に立った。
仮面の騎士を相手取るなら、下手な策は付け入る隙を生みかねないのだ。


ビアトリス「何故我々の名をお前が知っている!?」

仮面巨人「私は全て知っている」ドカッ!

ジークマイヤー「うおぉっ!」


仮面の騎士に蹴り飛ばされ、ジークマイヤーは一歩二歩とよろけるも、その反動で器用に後ろ歩きを行い、ビアトリスとコブラの元へ合流した。


仮面巨人「お前たちがどのように生き、どのように戦い、どのように死ぬかも知っている」

仮面巨人「お前たちが何を持っているかも知っている。お前たちの声も、野心も知っている」

仮面巨人「お前たちを殺せば、どれほどのソウルを得られるのかも知っている」


ビアトリス「…お前は…何者なんだ…」


仮面巨人「だが、そのコブラという男については何も知らない。だからこそ殺し、そして暴くのだ」


シュゴォーーッ!!


会話の隙を狙ったローガンのソウルの槍は…


ババババッ!


ローガンへの接近も兼ねた、仮面の騎士の連続側転によって回避され…


ドシュッ!

ローガン「うっ…!!」


仮面の騎士のクレイモアは導かれるように、ローガンの腹部を貫いた。
引き抜かれ、ローガンが倒れ伏す中、血が塗りつけられたクレイモアは艶かしく輝く。
仮面の騎士はその血染めの大剣を、コブラの顔へ向けた。


仮面巨人「私の名などどうでもよい。母の仮面とでも呼べばいい」

母の仮面「ロードランに並ぶ世界にコブラ、お前はいなかった。お前の死を見てみたい」



458以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/30(木) 23:32:15.06GrD3tvutO (1/1)

周回済みか


459以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/31(金) 01:01:27.385CRSCAnIo (1/1)

何者なんだこの女……可愛げがないことだけはよく分かったが


460以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/31(金) 01:31:49.38L8zKdqIno (1/1)

ローガンがやられた…


461以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/31(金) 02:39:06.66hhbAPIgm0 (1/3)

ビアトリス「せ…先生…」

ジークマイヤー「今は嘆く時ではない!この者は先の私の奇襲に、短刀を捨て盾で応じた!この手癖の悪さは一人では手に余る!」


二人の不死の動揺を仮面の騎士は感じていたが、クレイモアを構え、二人に斬りかかりはしなかった。
心乱す者には後手こそが必殺足り得る。騎士は甘い誘惑を発しているのだ。


ジークマイヤー「私が突貫する!貴公は魔法で援護を!」ダッ!

ビアトリス「わか、分かった!」


誘惑に引っかかったジークマイヤーは、ツヴァイヘンダーを掲げて仮面の騎士に駆けた。
その後ろでは、ビアトリスが杖を掲げて、まさにソウルの太矢を撃たんとしている。


母の仮面「………」ダダッ!

ジークマイヤー「む!」ブオッ!!


急に駆け出した仮面の騎士へ向け、ジークマイヤーは咄嗟に得物を振り下ろす。


ドゥーーン!!


しかし、その騎士の習いによる咄嗟の行動こそ、仮面の騎士の求めるものだった。
ジークマイヤーの振り下ろしは、仮面の騎士の盾に弾かれ、空を斬る。
全ては一瞬の事であり、ビアトリスの太矢はまだ杖の先端部で生成されている段階にある。
だが、驚愕するにはその一瞬で充分だった。


カァン!

ジークマイヤー「え?」

ビアトリス「!?」


仮面の騎士は盾を残し、クレイモアを投げ捨てた。
指に嵌めた指輪も同時に捨てていたため、石床に当たった指輪が跳ね、宙を舞う。
ジークマイヤーの胴を薙ぐ好機であるにも関わらず、仮面の騎士は攻撃手段を自ら放棄したのである。
胸を貫かれると覚悟していたジークマイヤーは素っ頓狂な声を漏らし、ビアトリスの詠唱はコンマ数秒ほど遅れた。
そのビアトリスから見ると、仮面の騎士は大の字に体を広げるジークマイヤーの陰に隠れている。
二人の不死はすでに、仮面の騎士が持つ、数ある必殺の間合いの中にいたのだ。

シュゴォーーッ!!

ジークマイヤー「!!」

ビアトリス「!!」


ジークマイヤーの背中を突き抜け、自分の体を貫いた力に、ビアトリスは見覚えがあった。





ビアトリス「ソウルの…槍…?」




ガシャーン…


ビアトリスの目の前から、重鎧が石床に当たる音が大広間に響く。
ビアトリスは消えゆく意識の中、肩を貸したコブラに顔を向けた。


ビアトリス「………逃げ…ろ…」

コブラ「ビアトリス……おい、よせっ!」


コブラを支えていた力は淡くなり、ついには消え、ビアトリスはその場にへたり込んだ。
うなだれた頭からは三角帽子が落ち、耳の下あたりで切りそろえられた金髪が、黒い装いの中目立った。


母の仮面「次はお前だ、コブラ」


462以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/31(金) 08:25:22.536z+5HWRxO (1/1)

ゴダハベル呼んでこい


463以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/31(金) 09:46:01.07otYcjvt5O (1/1)

風花「副作用には気をつけて下さいね!…シモッチって何かしら?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1530920009/
茜「不屈の魂、夢ではありません!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1531525117/
摩美々「まみみのホーム・アローン、始まるよー」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1533339190/
のり子「青コーナー、キィィングティィレッスルゥゥゥ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1533946743/
里美「お、お兄様…?里美はここにいますよ~?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1535154609/


464以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/31(金) 16:21:56.40hhbAPIgm0 (2/3)

一応書きますが>>463は荒らしです。
今作とは何の関係もありません。


465以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/31(金) 17:22:24.62hhbAPIgm0 (3/3)

仮面の騎士の右手には、杖が握られていた。その杖を握る指には、先の雀蜂の装飾のある指輪ではなく、青い竜の装飾を持つ指輪がはめられている。
剣による闘いも、ジークマイヤーを逃してビアトリスと合流させたのも、魔法による不意打ちを成功させるための布石だったのだ。


コブラ「………」


コブラの脇腹を突いた刃には、毒が染み込んでいた。
腐れた松脂はコブラから四肢の自由を奪い、体力を著しく消耗させている。
そんな力を奪われた男の両脚は…


コブラ「………」スーッ…

母の仮面「!」


たちまち力を取り戻し、コブラを静かに、しかし力強く奮い立たせた。
戻った力はコブラの両の眼にも宿り、炎となってコブラの心を駆ける。
まるで、僅かに残った命の、その全てを燃やさんとするかのように。


コブラ「確か…あんた、俺の事を知りたいとか抜かしていたな」


立ち上がったコブラは、久しく触れていなかった自身の左手に、遂に手を掛けた。
そして、ゆっくりと…己の決意を自分自身に見せつけるかのように、大仰に開放した。


母の仮面「…なんと…」


義手という縛から、サイコガンを。




コブラ「いいだろう。望み通り教えてやる。俺という男をな!」



コブラの恐るべき変貌を、仮面の騎士は敏感に感じ取っていた。
手傷を負い、瀕死になりつつある者。そのような者が闘志を燃やす時、最も危険な敵が生まれる事を騎士は知っていた。
だが捨て身の特攻というものは、必ず敵を討ち取るという決意を秘めているからこそ、相殺に対し無力でもある。
ましてや、不死である仮面の騎士にとって、相殺を狙うことは容易であり、それにより生じる不死ゆえの不利益すらも彼女は無視できた。
無視できるだけの理由が彼女にはあった。


母の仮面「素晴らしい……嬉しいぞ…!」

母の仮面「その力を私にくれると言うのだな!」


勝ち取り、奪い取る事を前提に、仮面の騎士は喜びに震えた。
その喜びにコブラも応える。


コブラ「ああ、やるよ。出血大サービスさ」


ダダッ!


コブラからの返答に、騎士はたまらず駆け出した。
そして、博愛に抱きとめるかのように、クレイモアをコブラへ向け振り下ろす。


バグオォーーッ!!!


母の仮面「なっ…!」


そのクレイモアは、コブラの左腕に備えられた呪物が放つ力に粉々に砕かれ、火炎に巻かれた水のように蒸発した。
残るは剣の鍔と、長い握り手のみ。
仮面の騎士は未知の力が持つ圧倒的な破壊力に眼を奪われ、陶酔した。
しかし、数瞬後に我に帰ると、口元に手を置いて震え始めた。
声には悲哀が含まれて、くぐもった鼻声は小さくコブラに届く。


母の仮面「な…なんてことするんだ……こんな壊し方したら治せないじゃないか…」

母の仮面「神の原盤さえ注いだんだぞ……それを…それをお前は…!」グスッ

コブラ「知らないね。ただの剣だろ?また拾うんだな」


466以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/31(金) 17:46:26.59u3gpcjUiO (1/1)

ヒュー‼


467以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/08/31(金) 23:00:21.55/5rbAZPDO (1/1)

これが情も義理もなく無味乾燥にコレクションのみを追求するプレイヤーか……
端から見ると何とも利己的なもんだなぁ


468以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/01(土) 00:17:25.227R3L1xJS0 (1/2)

あーあ 怒らせてしまったか


469以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/01(土) 01:50:06.60LXrgJ64CO (1/1)

原盤を損傷超えてロストとかそりゃ泣くが、コブラにしてみりゃ知ったこっちゃない


470以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/01(土) 05:35:18.35wFMbrVco0 (1/2)

母の仮面「いや、拾わないね」カラーン…

コブラ「なに?」


ダッ!


再び、仮面の騎士は駆けた。
愛刀の残骸を躊躇なく捨てた騎士の右手には、何処から取り出したのか、蛇人の使っていた大剣が握られている。

ドウドウーッ!!

その騎士を追うように、コブラのサイコガンは唸りを上げて二発のサイコエネルギーを撃ち放つ。
だが、そのエネルギーを仮面の騎士はすり抜けるが如くに回避した。

ドウーッ!!

続けて3発、いや4発目のサイコエネルギーをコブラは放つが…

シュババッ!!

それすらも、仮面の騎士は前転跳びによって回避した。
前転による回避はやはりコブラへの接近も兼ねており…

シューッ!

回転する勢いそのままに、仮面の騎士は蛇人の大剣を袈裟懸けに振り下ろす。



バシーッ!

母の仮面「なにっ!?」



だが蛇人の大剣は、指相撲をするかのような形に整えられた、コブラの右掌に捕獲された。
コブラの親指と丸めた人差し指は、大剣を捻らんばかりに締め付ける。


母の仮面「白刃取りだと…そんなバカな…」

コブラ「為せば成るのさ。コトワザを知らんのか?」


ザザッ!


コブラに大剣を封じられた仮面の騎士は、奪われた大剣をそのままに後退し、両手で盾を持ち、構える。


母の仮面「何故だ…お前は何故剣を持たぬ方が強い…」

コブラ「性に合わないからだ。剣に振り回されるタイプでね」

母の仮面「ふん…このタヌキめが…」


仮面の騎士の盾の裏には、二本の短剣が隠されている。
盗賊の短刀と呼ばれるそれらには、一方には魔力が、一方には炎が込められていた。
それら二つを隠した盾でコブラに体当たりを浴びせ、怯んだところに二刀を差し込むという戦略には、決定的な隙がコブラに生まれなければならない。
だが、その隙というのも、わざわざ見定める必要は無かった。

コブラ「さぁどうしたい!さっさと来ないとこっちから行くぞ!」

蛇人の大剣を右手に正しく持ち直し、強がりを言ってはいるが、コブラの顔は青ざめつつある。
内臓の損傷によるものか、出血によるものか、はたまた単なる疲労なのか、原因などは騎士にとってはどうでもよかった。
そこに駄目押しのひと刺しさえ出来れば、それで良かったのである。

母の仮面「………」ササッ

コブラ「!」

ほんの一瞬、仮面の騎士は盾から右手を出し、杖を構えた。
ソウルの槍を警戒し、コブラはサイコガンを構えようと、右手に握った大剣を落とした。
その大剣が空中を落下し始めると同時に、仮面の騎士も駆け…


母の仮面「!」


気づいた。
コブラが左手の呪物を使うために、大剣を放棄したわけではないという事に。



471以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/01(土) 07:23:04.55wFMbrVco0 (2/2)

突進時、仮面の騎士が構えていた盾は、草紋の盾と呼ばれていた。
草紋の盾には魔力が込められており、魔力は使用者に対し、疲労の急速なる回復をもたらす。
だが長い年月を経て盾の力は弱まり、守りも薄弱なものとなっていった。

しかしそれでも草紋の盾は盾であり、炎や魔法からさえも不完全ながら使用者を守り、壊れることなど無かった。
そういう用途で何者かに作られ、何百年も力を保ち、原盤によって半ば蘇ってさえもいたのだ。



バゴオォーーッ!!!

母の仮面「グッ!!」



その神の金床に祝福されし盾は、しかしコブラの右ストレートの前に呆気なく粉砕した。

砕け散ったのは盾だけではない。騎士の着る巨人用の大鎧も、その胴体を深く抉られていた。
騎士の全身を駆け巡った衝撃は、更に全身鎧の各部にも損傷を与えていた。
肩当ては両肩部とも弾け飛び、腰の草摺は千切れて落ちた。
騎士の被る仮面さえも割れ、辛うじて騎士の顔に張り付いている。

背面に至ってはまさに惨憺たる破壊がもたらされており、背中に垂れた聖布は跡形も無く吹き飛んで、花弁型にめくり開かれた背中のプレートからは、血に塗れた逞しい右腕が肘まで突き出ていた。




コブラ「いや、俺はコブラだ」


母の仮面「………」



カキーン…



コブラの拳に吹き飛ばされた二本のダガーが落ちる音が、大広間の遥か遠くから響く。
その微かな音を聞き、仮面の騎士は己が敗北したことを悟り、コブラに語りかけた。
彼女の声には、呆然とした笑みさえも含まれていた。


母の仮面「……フフ…フ……馬鹿な………なぜ…?」


コブラ「俺のパンチは特殊サイボーグを貫き、耐熱合金をブチ抜く。これぐらいワケ無いさ」


母の仮面「馬鹿げてる……何をしたら……こんなことが出来る…?」


コブラ「さあな。毎朝のフレークかほうれん草が効いてると思ってたが、ここの所食えてない」フフッ

コブラ「まぁ、早寝早起きが秘訣ってことにしておくぜ」


母の仮面「………フッ……嘘つきめ…」

母の仮面「お前を、教えてくれると……言ってた…じゃないか…」パキッ…


カラーン…



騎士の顔を隠していた仮面は二つに割れ、石床に落ちた。
仮面に固定されていた黒い覆いもへたり、騎士の顔を外へと露わにする。


コブラ「!」


露わになった顔にコブラは心を揺さぶられた。白金色に輝くセミロングの髪をなびかせた色白の顔が、あまりにも美しかったからである。
だが、それは同時に酷く歪な美しさでもあった。部位の歪みも無ければシミの一つも無い、完全に対称と言える顔立ちなど、金星の美女たちでさえ持たない。
それはアーマロイドであるレディにさえ備わるはずのない無欠とも言える顔立ちであり、それはかえって心の存在を希薄にさせ、人としての温もりある美を、仮面の騎士から大きく損なわせていた。



母の仮面「……次は…殺す…」



微笑みを浮かべてそれだけを言い遺し、仮面の騎士は白い灰となって薄まり、コブラの身体を舐めるようにして空間に溶けた。
彼女の身につけていた蛇人の大剣やダガーも、捨てられた指輪と同じく水に垂れた血のように渦巻き、消えた。


472以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/01(土) 08:26:31.54ib3ERvpSo (1/1)

さすがコブラだ何を食ったらこんなことが出来るのかと思ったがここのところロクに食ってなかったなそういや


473以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/01(土) 22:41:47.277R3L1xJS0 (2/2)

クリスタルボウイ並みの脅威枠かと思えばそこまでではなかった
しかしいい加減封印解除してあげないといくらコブラでも死んじゃいますぞ太陽神様


474以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/02(日) 16:49:27.96YC1QxFcDO (1/1)

まだ分からんぞ
ダクソ全体で見れば折り返しに近付いてはいるが、十分再戦を仕掛けられる期間がある
プレイヤーだというのなら、多少ソウルを失ったところで一点モノの装備を前にして退くわけもなし


475以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/02(日) 16:52:25.93+SXZDGFwo (1/1)

むしろ仲間でも連れてきたらアウトだろう
こっちの手札は全部見られてるし

苦労して試練突破したのに更にチート級の強敵とか不死人からしたら泣くわ


476以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/03(月) 07:05:15.39jUfKgvru0 (1/1)

コブラ「!!」


仮面の騎士が完全に消えた時、コブラの肉体にまたも異変が起きた。
赤き竜やガーゴイルを倒した時とは比較にならない程の気力の充実に、コブラ自身も大いに戸惑った。
サイコガンを撃てるだけ撃ち、深傷を負って絶え絶えとなっていた息も整い、頭への血流が改善された感覚。
コブラは思わず自身の左脇腹を見る。傷は未だ残り痛みもあるが、出血は止まっていた。

コブラ「ハッ!」

更にもう一つ、コブラに気付きがあった。
死んだ亡者は死体となってその場に残り、灰になるのも酷く緩慢だ。
しかし理性と人間性を残す不死が命を落とした場合、その肉体は瞬時に掻き消え、その場にはソウルを残すだけとなる。
だとしたら、肉体を残して倒れ臥す不死達には、まだ幾許かの猶予がある。
コブラは周囲を見渡した


コブラ「クソッ!遅かったか…」


ビアトリスとジークマイヤーは伏し、ロートレクは消えていたが、ローガンの姿もまた大広間から消えていた。
すぐさま駆けたコブラは、ジークマイヤーとビアトリスにそれぞれエストを飲ませる。
どれほど飲ませれば傷が完治するのか分からず、分析するほどの余裕も無いコブラの手によって、二人のエスト瓶は全くの空にされた。


ビアトリス「げほっ!はぁ、はぁ……」

コブラ「ふぅー…危なかったぜ。このエストってのは相当効くんだな。服は破けたままだが、セクシーなおへそは元どおりだ」

ビアトリス「やれやれ…命の恩人の台詞がそれとは、感謝のしがいも無いな…」


ビアトリス「!! 待て!先生はどうなった!?仮面の悪霊は!?」

コブラ「ああ、ローガンはダメだったらしい。賢者で不死ときてもそれなりに歳だ。大剣で刺されりゃあな…」

ビアトリス「そうか……では、仮面の方は?」

コブラ「そいつは倒した。名前は聞きそびれたがかなりの別嬪だったぜ。もう会いたくないがね」

ビアトリス「倒した!?あの悪霊を!?」

コブラ「ああ、ちょいと手こずったけどな。いけなかったか?」


ジークマイヤー「ああ、ローガン公にとってはな。よいしょっと」ガシャ


コブラ「よおジーク。気が付いたか。で、ローガンがどうしたって?」

ジークマイヤー「今死ぬのはまずいのだ。死にすぎていなければ、見た目は亡者になるだろうが前に休んだ篝火の近くで目覚める事ができる。不死人とはそういうものだ」

ジークマイヤー「だが、それは我らを襲った二人の騎士にも言える。悪ければ今頃、鎧を着た火防女の篝火の元、ローガンと刺客が長い戦いを始めているかもしれん」

ビアトリス「で、では助けに行かなくては!」

ジークマイヤー「それは危険だ。我らには今エストが無い」

ビアトリス「えっ……あっ」


コブラ「悪いね。全部飲ませちまった」


ビアトリス「そ…そうか……」

ジークマイヤー「それに対し、あの篝火に仮面の者が蘇っているとして、その者には決して絶えぬエストが与えられている。火防女とは全ての不死に恵みを与える者だ。恐らく我らだけが贔屓にされることも無いだろう」

ビアトリス「向こうは満杯のエストを飲めて、こちらは汲んでいる途中でひと刺し、か……」

ジークマイヤー「コブラと言えど連戦は辛いだろう。篝火で出会っていない事を祈るしかない」

ビアトリス「………」





レディ「お待たせ。あら?ローガンは?」


コブラ「それなんだが、ちょいと面倒が起きちまってな」

レディ「…?…」



477以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/03(月) 08:05:08.41n/xdjA6EO (1/1)

リスポン地点が同じとか悪夢過ぎる……


478以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/03(月) 15:20:56.193gZbEiwDO (1/1)

ゲーム中だと死んだNPCはそれまでだが、不死には違いないんだし物語にしてしまえばそうなるよなぁ


479以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/03(月) 15:27:05.313fM4oIx8O (1/1)

そう言えば今はコブラがいるせいか世界は全部重なってる感じで、敵も見方も全員霊体じゃなく実体なんだっけ


480以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/03(月) 15:42:46.01hTB+JaAH0 (1/1)

死んでなくてその辺でまた神話級の物に見とれてるだけだといいが


481以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/03(月) 16:06:22.19VVrURqKqo (1/3)

下手したら人質にされてるよな


482以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/03(月) 16:06:40.60VVrURqKqo (2/3)

下手したら人質にされてるよな


483以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/09/03(月) 16:07:41.64VVrURqKqo (3/3)

二重投稿失礼


484以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/15(月) 08:13:44.184T+CKQ9sO (1/1)

復活おめ


485以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/15(月) 18:45:58.774299RXkL0 (1/1)

>>1です。
SS速報VIP落ちてる間にこのスレは期間が過ぎて終わったはず…
なんで生きてるのだろうか。管理人の粋なはからい?
なんにしても続けます。読んでる人はこのレスは無視してください。



486以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/16(火) 13:39:46.03PDjQeAQu0 (1/1)

おかえり
荒らしの連続投稿によるクラッシュに鯖設置先の被災が重なるアクシデントだったらしいから日付カウント止めてたと思われる


487以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/16(火) 15:39:17.89M4daChAc0 (1/3)



レディ「仮面の騎士、ね……一体何者なの?目的は?」

ビアトリス「いずれも不明だ。そもそも、それらを我らが知ったところで彼奴の行いは変わらん。あれは彷徨い、殺し、奪う者。火の粉を払うものではなく、火の粉を噴く炎を飲み込まんとする者」

ビアトリス「他の不死と大きな違いがあるとすれば、常軌を逸した強さと執念深さ。あとはその特異な不死性くらいか」

レディ「特異な?」


ビアトリス「亡者にならないらしいんだ。ソウルを失い、人間性を失い、肉体が朽ちても理性を決して失わず、力も失わないらしい。今よりロードランに不死が多かった頃に聞いた噂話だがな」


レディ「それは…敵としては最悪の相手ね」

コブラ「とんだ毒蛇だな。俺がコブラなら、やっこさんはマムシってところか」

コブラ「……で、レディ。キミの怪我はもう大丈夫なのか?」

レディ「ええ、見事に一軍復帰よ?彼は一流のメカニックになれるわね」

コブラ「さすがに神の国の鍛冶屋ともなれば違うな。次寄った時はマグナム弾を注文しとくか」

レディ「出直す必要は無いわよ。彼ったら仕事も早いんだから。きっとマグナム弾くらいすぐにでも作ってくれるわよ」

コブラ「そいつは願ったりだ。早速行こう」



レディの話を聞き、コブラは不死たちと共に巨人の鍛冶屋の仕事場へ向かった。
仮面の騎士との戦いで一行の装備は著しく消耗しており、本来の力を発揮しないのだ。
それどころか重鎧もローブも、胴に大穴を穿たれたままでは防具どころか衣服としての機能の保持すら怪しい。
それらを身につける者としても、レディの負傷を数分で修復した腕前を買わない訳にはいかなかった。


巨人の鍛冶屋「それなら すぐできる」


ソウルを受け取った巨人の鍛冶屋はそう言うと、ソウルを布地やプレートへと変え、手際よく防具の損壊を埋めていく。
そして十数分が経つ頃には、ジークマイヤーの鎧とビアトリスのローブは、おろしたてと見紛うばかりの艶を纏っていた。


コブラ(まったく驚きだぜ。人形使いのマリオも似たような事をやっていたが、こいつはマリオ以上に精密だ!)

ジークマイヤー「おお!これだこれだ!この腹の丸みが無ければカタリナ鎧とは呼べん!礼を言うぞ!」


太い眉と口髭をたくわえ、少年のような瞳をした男は、重鎧を受け取るとその場で装着を始める。
スカートを残し、大きな帽子で胸元を隠したビアトリスは、そんな豪放な行いに冷ややかな視線を送った。
野にいたとはいえ、ヴィンハイムで身につけた礼儀作法を捨てきることなど、彼女にはできない。


ビアトリス「上で着替えてくる。コブラ、覗くんじゃないぞ」

コブラ「そりゃ残念」

レディ「こらっ!」ギュウ

コブラ「アウチチチ!」


コブラ「な、なぁ~んて冗談はここまでにして、そろそろ本題といくかな」ゴソゴソ

コブラ「アンタの腕を見込んで、ここはひとつ頼みがある」コンッ


レディにつねられた頬をさすりながら、コブラはズボンのポケットをまさぐると、金床にマグナムの弾を置いた。
巨人はマグナムの弾をつまみ上げ、下顎を撫でた。


コブラ「コイツを何発か工面してもらいたいんだ。できるかい?」

巨人の鍛冶屋「うーん、無理」

コブラ「へ?」


帰ってきたのは、拍子の抜ける言葉だった。


巨人の鍛冶屋「俺 ソウルで出来た物 作れる。ソウル宿ってる物 治せる」

巨人の鍛冶屋「でも コレ ソウルで出来てない。宿ってない。だから無理」


488以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/16(火) 17:36:43.83M4daChAc0 (2/3)

コブラ「うーん…そこをなんとか頼むぜ。あんた以外に頼れそうなヤツがいないんだ」

巨人の鍛冶屋「うー…」ゴソッ…


無理難題を押し付けられた形になった巨人は、不本意そうに完成済みの武具の山を漁ると、矢と火炎壺を取り出した。
そして矢から矢尻を引っこ抜き、火炎壺と合わせて金床に置いた。


巨人の鍛冶屋「コレ 使う。似たものにはなる」

コブラ「へへへ、そうこなくっちゃな!頼んだぜ」


巨人の鍛冶屋は作業に取り掛かった。
本来なら報酬として巨人はソウルを貰うはずだったが、巨人はソウルを要求しなかった。
巨人は商いのために家事仕事をしているわけではなく、ただ受け取ったソウルを使って、ソウルから成る武具を加工するだけである。
ゆえに、巨人はタダ働きだろうが文句は無かった。そもそも報酬などという物に価値を見出していないのだった。


ジークマイヤー「ふぅー、慣れた着心地だ。 やはりこうでなくては」

ビアトリス「コブラ、着替えが終わったぞ。貴公の用はどうなった?」

コブラ「とりあえず目処はついたぜ。弾の代わりが完成したら作戦会議といこう」

ビアトリス「そうだな。エストも無いことだし、真鍮鎧の騎士が守る篝火には仮面の騎士がいるかもしれない。慎重に動かなければな」

ジークマイヤー「うむ」



ビアトリス(ローガン先生……無事だといいが……)







489書き直し版2018/10/16(火) 23:32:23.56M4daChAc0 (3/3)

コブラ「うーん…そこをなんとか頼むぜ。あんた以外に頼れそうなヤツがいないんだ」

巨人の鍛冶屋「うー…」ゴソッ…


無理難題を押し付けられた形になった巨人は、不本意そうに完成済みの武具の山を漁ると、矢と火炎壺を取り出した。
そして矢から矢尻を引っこ抜き、火炎壺と合わせて金床に置いた。


巨人の鍛冶屋「コレ 使う。似たものにはなる」

コブラ「へへへ、そうこなくっちゃな!頼んだぜ」


巨人の鍛冶屋は作業に取り掛かった。
本来なら報酬として、鍛治職人はソウルを貰うはずだが、巨人はソウルを要求しない。
彼は商いのために鍛治仕事をしているわけではなく、ただ受け取ったソウルを用い、ソウルから成る武具を加工するだけである。
ゆえに、タダ働きだろうが巨人に不満は無い。そもそも彼は、報酬などという物に価値を見出していないのだった。


ジークマイヤー「ふぅー、慣れた着心地だ。 やはりこうでなくては」

ビアトリス「コブラ、着替えが終わったぞ。貴公の用はどうなった?」

コブラ「とりあえず目処はついたぜ。弾の代わりが完成したら作戦会議といこう」

ビアトリス「そうだな。エストも無いことだし、真鍮鎧の騎士が守る篝火には仮面の騎士がいるかもしれない。慎重に動かなければな」

ジークマイヤー「うむ」



ビアトリス(ローガン先生……無事だといいが……)






490以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/20(土) 05:44:45.98q3PX0KLY0 (1/3)


真鍮鎧の騎士(宇宙……神の力の及ばぬ処…)

真鍮鎧の騎士(…まったく想像がつかんな。理の外の者が何故我らと同じ形をしている?我らが神々は何故あの者をここに?)


シュオオオオ…


真鍮鎧の火防女が壁に寄りかかり、思索に耽っているなか、篝火の灯は揺らぎ、灰を舞わせた。
舞い散る灰は急速に纏まり人の形をとった。そして強張りつつも垂れ下がり、色づき、一人の亡者を生み出す。
ヴィンハイムの制服を崩したローブを着こなし、大皿の如き帽子を被るその亡者は、篝火に跪き、手に黒い精霊を握った。


ボオゥーーン…


黒い精霊が篝火に落とされると、篝火から太陽色の輝きが溢れて亡者を包み、彼の朽ちた表皮に染み入った。
すると、亡者の身体は再び潤いに満ち、枯れた眼球には光が入った。


ローガン「歯がゆい…神秘を前にして、ここまで戻されるとは……」

真鍮鎧の騎士「死んだのか。他の者はどうした?」

ローガン「ここに蘇らんという事は、打開したのだろう。あれを相手にというのなら、大金星だろうなぁ」

ローガン「しかし、不死者ではないコブラなどは、今頃どうしていることやら」

真鍮鎧の騎士「………」

ローガン「…まぁ、ひとまずは仮面の者がここに蘇らんことを祈りつつ、旅支度をするよ」

ローガン「貴公は手伝ってくれるかな?」

真鍮鎧の騎士「断る」

ローガン「ほっほ、だろうな」







神々の地でコブラ達が創意工夫を迫られている頃、魔女と炎の地に休む不死の一行は、しかしその人数を一人欠いていた。
旅から脱落したわけでは無い。ただ篝火周りには寝転がる名無しの戦士と、種火を調べる蜘蛛の魔女と、読み書きをする二人の術師がいるだけだ。
太陽の戦士はそんな旅の仲間からは離れた処に立ち、見上げているだけである。
太陽の光の王が施したとされる、黄金色の門を。




ソラール(火は空にあり、地中にもある……しかし太陽は人の世を見捨てて長い夜をもたらし、混沌は魔女の都を焼いてしまった。世は陰り、人の内に不死が生まれた)


ソラール(俺は何をしている?…不死の使命はいまだ見えず、空の火も地の火も、今は滅びを撒くだけだ。そんな物に、何故俺は近づいている?)

ソラール(太陽の光の王はこの都の炎を封じた。それはかの王が、炎の乱れを恐れたからではないのか?魔女は遥か昔に神々と共に竜と戦い、ゆえに太陽を知っていたはずだが、混沌を生み出した。魔女の主は、かの王と同じように、太陽を恐れていたのではないのか?輝きが乱れることを恐れたのではないのか?)

ソラール(…クラーグに聞くべきだろうが、俺の思う通りの答えが返ってきたらどうする…?)

ソラール(空にも地にもすでに偉大な力は無く、それらを築いた偉大な古き者達も、誰一人としてすでに、かつての力を持ち得ないとしたら?魔女に恐れがあるように、神々にも恐れがあったとしたら?)

ソラール(そもそも、この世に俺の求める“太陽”など、元から存在しなかったとしたら…?)


ソラール(全てはまやかしだと……永遠の栄光や愛、お伽話にもさえ終わりがあり、意味ある物は世に無いなどと…)


ソラール(……そう答えられ…俺は立てるのか?……)


ソラール(……立ち上がり、何処へ……)



ラレンティウス「よぉ、どうしたんだ?俺たちの力じゃそこは通れないだろ?」

ソラール「!」

ラレンティウス「あんたの信じる太陽の神様がこさえた封印だ。人間にはどうにもならないさ」

ソラール「………」


491以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/20(土) 12:59:14.23q3PX0KLY0 (2/3)

ソラール「…ラレンティウス」

ラレンティウス「うん?」

ソラール「クラーグは恐らく、お前に呪術を授けないぞ。資格が無いと言われただろう?」

ラレンティウス「ま、まぁな……いきなり厳しいな。どうしたんだ?そんなこと聞いて」

ソラール「いや、少し気になっただけだ。求める物が目の前にあるのに、手に入らない……そんな苦境を、お前は楽しんでいるようにすら見える」


ソラール「未練は無いのか?」


ラレンティウス「………」


ラレンティウス「うーん…実は俺、別に魔女の呪術が欲しくて旅をしてるわけじゃ無いんだ」

ソラール「?」

ラレンティウス「師事を乞いたのも駄目元さ。というよりは、探求者としての習い性だよ。乞いた時から薄々は気づいていたさ。脈無しだってね」

ラレンティウス「彼女が今種火に何をしているのか、それすら分からないんだぜ?火を授かっても、それでこんがり焼き上がるだけさ」

ラレンティウス「まぁ、そんな能無しがこんな所にまで来ちまったってことは……多分俺は、見て体験さえ出来ればそれでいいんだろうな」

ソラール「………」

ラレンティウス「……なぁ、あんた大丈夫か?欲しいものに近付いているからって、焦ってるんじゃないか?」

ソラール「………焦ってはいない。迷ってるんだ」

ラレンティウス「迷うって、何に?」

ソラール「分からない……分からなくなってしまった…」


ソラール「俺がこの旅に何を求めていたのか……覚えてはいるが、もう見えない。見たいという気が萎えつつあるんだ。それだけを夢見ていたのに」


ラレンティウス「………」


ラレンティウス「…あんたが何を求めているのかは、探求する道が違う俺には分からない。だが分からないなりに忠告するぞ」


ラレンティウス「呪術師は火を求め、敬い、恐れる。育てはするが、身は投じない」


ラレンティウス「かねて火を恐れたまえ。これは望みし物の素晴らしさ、その輝きに自分を焼かせるなという呪術王ザラマンの警句だ」


ラレンティウス「あんたの役に立つかは分からないが、覚えておいて損は無い言葉だと思うぞ」


ソラール「………」


ラレンティウス「じゃあ、俺は戻ってるからな。ここで見たものを書き記しておきたいんだ」

ラレンティウス「またな」

ソラール「ああ」


ラレンティウスは去ったが、ソラールは封印の前に残った。
しかしソラールの視線は門から離れ、伏せられている。
太陽の戦士は地面を見ず、足先も見てはいない。
何も視界に入っていない。その胸に描かれた、太陽すらも。





ソラール「かねて火を恐れたまえ、か」











492以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/20(土) 16:34:04.81QEznwFA10 (1/1)

ここんところ探求者達の懊悩が本当に良い


493以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/20(土) 21:35:22.43bCBNN0p+0 (1/1)

ソラールさんは原作であれなあれだからちょっと怖いな…


494以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/20(土) 23:48:55.86q3PX0KLY0 (3/3)


コブラ「おはようさーん!」チャキッ

銀騎士「!」


ドウドウドウーーッ!!


曲がり角から飛び出したコブラは、右手に持つマグナムを連射した。
額と胸と腹を続けざまに撃たれ、銀鎧に身を包む騎士は大きく体勢を崩す。


ジークマイヤー「ふんおー!」ガヅーーン!!


勝機に応じて、空かさず駆けたジークマイヤーが振り下ろしたツヴァイヘンダーは、銀騎士の胴鎧を袈裟懸けに凹ませた。
凹みには亀裂が入り、亀裂からはソウルが吹き上がって、銀騎士を空の鎧へと変えて消えた。


ジークマイヤー「はっはっは!やはり他愛も無い!神の兵と思い勇んで臨んだが、どれも手応えが無いな!」

ビアトリス「調子の良いことを言うな。コブラの“まぐなむ”が強力だからこそ通じる戦法だぞ。私の魔法は限りがあるうえに、連射がきかないからな」

レディ「強力ですって。やっぱり私の言ったとおり、中々使えるでしょ?」

コブラ「そうは言ってもなぁ。これくらいの相手、本来のコイツなら一発で三人は倒せるぜ」

コブラ「海賊コブラともあろう男が、弾の温存に精を出すとは…貧乏はツライね」トホホ



ローガンの無事を信じつつ、コブラ達一行はアノール・ロンド城内を篝火求めてさまよっていた。
真鍮鎧の騎士が守る篝火に戻る事もコブラは一度考えた。しかしその帰路は落下死の危険を伴う石橋一本に限定されており、しかも途中には奇襲に適したリフトが二箇所もある。
そこを通るくらいなら、狭い通路と個室が複雑に絡み合う城内を歩く方が、安全であると考えたのだ。
迷路のような構造は仮面の騎士と遭遇する可能性を減らし、狭い通路は敵対者への集中攻撃を促す。
一行の前に敵対者が立とうものなら、其の者はビアトリスとコブラの集中砲火と、レディとジークマイヤーの怪力による剣勢を受け、瞬時に鏖殺された。

大弓を持つ騎士も、槍と盾を構える騎士も…


コブラ「おっ、宝箱か。さてさて神のお宝はどんなものか…」フフフ…


ミミック「………」ガパッ


コブラ「おわーっ!?」ガシッ

ビアトリス「ミミックだ!神々に追われたとされる者がなぜここに!?」

ジークマイヤー「コブラ!そのまま押さえつけていろ!叩きのめしてやる!」

レディ「箱を斬ってはダメよ!コブラに当たるわ!手脚を斬らないと!」


バコッ!グシャッ!バキッ!ズバーッ!


ミミックも、この戦法の前には容易く屈した。
無論ミミックに限り、挟まれる者に常人を超える反射神経と膂力が要求されたが、その唯一の弱点も克服されている。
少なくとも、ミミックの咬合力は区画閉鎖用のシャッターに比べ、貧弱であった。
一行はそのまま、現れる敵対者を蹴散らし、城内を歩き回り…


ジークマイヤー「やったぞ!篝火だ!」


遂に目的の灯りを見つけた。


コブラ「床に薪を置いて燃やしてるのか…こいつを置いた奴は暖炉が見えなかったのか?」

ビアトリス「廃墟の暖炉に、煙など出るはずもない火をくべる者もいないだろう。篝火が燃えるのに、空気も空間も要らん」

ビアトリス「それほどまでに、この城は打ち捨てられて時が経っているという事だ。貴公の読み通りだな」

レディ「どうジーク?篝火は使えるかしら」

ジークマイヤー「うむ、火は弱いが、エスト瓶五口分くらいなら何とかなるだろう」

レディ「だそうよ?」

コブラ「そいつは結構。俺としちゃ探索もしてみたいが、回復手段が弱いんなら話は別だ。道草はやめて本道に戻るとするか」


495以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/21(日) 14:56:13.2204qZ/XGDO (1/2)

やっと追い付いた
闇霊がいるなら白や青もいるんだろうか
そういえばサインは出てるらしいし


496以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/21(日) 18:10:41.00okyFMchY0 (1/2)

必要最低限の回復手段を手に入れた一行は、元来た道を戻り、仮面の騎士が倒れた大広間に再び入場した。
大広間には音は無く、敵意を滾らせる者もいない。
長方形の両短辺にはただ、静謐を守る城門と、冷たい霧のカーテンが揺らぐだけである。


コブラ「鬼が出るか蛇が出るか……おっと、前も同じこと考えた気がするぜ」

ジークマイヤー「鬼とは、東国の悪魔か?貴公らの世界にもいるのか?」

レディ「概念としては存在するわ。本物は……まぁ、いるかどうかは人それぞれね」

ビアトリス「話の分かる方々であればいいが……」

コブラ「そいつは高望みってもんだ」

ビアトリス「? なぜだ?」

コブラ「こっちじゃ、鬼や蛇も神と呼ばれるからさ」チャッ


コブラはマグナムを開けて急造弾を抜くと、代わりに本来そこに入るべきマグナム弾を装填した。
装填された弾丸は五発。これらを撃ち切れば、後は急造弾を使わなければならない。
三発撃ち込んでようやく銀騎士を怯ませる、いささか頼りない弾を。


ビアトリス「…それはまた、酷な話だな」

コブラ「俺もこのことわざが嫌いさ。今からその鬼や蛇に会いに行こうってんだからな。覚悟はいいか?」

ビアトリス「ああ、できてる」

ジークマイヤー「万端だ。このジークマイヤー、常に戦場に備えている」

レディ「ですって」

コブラ「よし、じゃあ参拝と行こう」スッ


コブラが霧に手を掛けると、淡く硬く閉ざされていた霧はコブラの腕を通した。
霧はコブラを通し、レディを通し、不死達を通し、大柱が立ち並ぶ大広間へ彼らを招き入れると、再び硬く閉じた。
大広間には薄暗い静寂が漂い、その静寂を、入って右手側の大窓から入る陽光が照らし、冷たい空間にわずかな暖かさをもたらしている。
広間最奥には、頭に冠をいただき大剣を地に立てた老王の像と、姿に豊満さをたたえる女神像が見える。
その二つの像の前に、小山の如くそびえて殺気満ち満ちる者が立っていた。




処刑者スモウ「………」




身の丈十七尺にも及ぶ巨体に、身体そのものと見紛う程に重厚な、黄金の重鎧に身を包む者。
コブラの胴より太い腕で支えるのは、鎧と同じく黄金色に輝く、象脚にも似た大鎚。
大鎚と言ってもその大きさは更に凄まじく、不死の身にあっては破城槌に、コブラの世界にあっては小型宇宙船にさえ匹敵する巨大さであった。
そのあまりの威圧感に不死達は圧倒され、背後に閉じた霧から離れることができない。
しかし、コブラは一歩踏み出した。


コブラ「英雄へのお出迎えにしては人数が少ないな。そいつは花束かい?」

ビアトリス「コブラ、そんな軽口を聞いては…」ヒソヒソ…

コブラ「構いやしないさ。あんなものを持ち出して来る時点で歓迎する気は更々ない。それともキミには本当に花束に見えるのか?」

ビアトリス「…そんな訳ないだろう……」ヒソヒソ…


金色の小山を刺激しないようにビアトリスは気を揉んだ。
だが、そんなこと知ったことではないと言わんばかりに、コブラは更に歩を進めつつ、小山に語りかけた。


コブラ「なぁ、あんたはどう思ってるんだ?あんたは俺たちの敵なのかい?」




ドガァン!!




敵意を含んだコブラの声に、応える衝撃が響く。
広間の二階から降ってきた騎士は金獅子の鎧に身を包み、右手に白金色の槍先を持つ長い十字槍を握っていた。
獅子の顔持つ兜からは真紅の長房が伸び、房は着地の衝撃で跳ねあげられ、陽の光を乱し、獅子騎士の金鎧に炎のような煌めきを映した。


497以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/21(日) 22:28:42.1704qZ/XGDO (2/2)

マヌスまでやるんだろか
あれもある意味哀れな存在だけど
書庫に行った時にペンダントが出るかどうかで決まるかな


498以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/21(日) 23:06:28.47okyFMchY0 (2/2)

コブラは立ち止まり、二体の黄金鎧を見つめる。
地に降りた獅子面の騎士は、大鎚を持つ者と比べ小さいが、それでもコブラと比べ頭五つ分は身長が高い。




竜狩りオーンスタイン「………」




それほどの巨体でありながら、獅子面騎士の手脚の長さや頭部の大きさに、歪みは見えない。
まるで絵に描いた理想的人体に鎧を着せ、スケールをそのまま大きくしたかのようなその体躯を、コブラは警戒した。
大鎚を持つ金山よりも。


ジークマイヤー「に、二体とは……」

コブラ「こっちは四人で来てるんだ。向こうだって数は揃えるだろ」


ジークマイヤーの戦慄した独り言に答えたコブラもまた、背中に冷たい風を感じている。
不死達はもはや引き返せぬという状況を受け入れ、霧から離れた。
レディはフランベルジュを両手に握り、正面に構えると、コブラに続き歩を進める。

ザッ…

コブラ「!」

不意に、金獅子の騎士が伏せた。
石床に片膝をつく祈りのようなその姿勢に、コブラは一瞬戸惑い、不死達は数瞬呆けた。
だが、殺気に脳を突かれたコブラには、既に金獅子の騎士の構えが完了している事が伝わっていた。


シュン!!!


レディ「っ!?」


金獅子の騎士が消えると同時に、特大剣に手を掛けていたコブラの姿も消え…


コブラ「ぶっ!」バフォン!


次の瞬間、再び姿を現したコブラは石床から離れて飛翔し、硬化した霧に叩きつけられていた。
霧から離れていた二人の不死は巻き添えを食わなかったが、何が起きたかを全く把握していない。


シュザッ!!


コブラが石床に落下すると同時に、空中から姿を現した金獅子の騎士は、右手の槍を背面に掲げた短距離走者の走り出しのような姿勢で着地。
再出現時の勢いを殺しながら、石床の上を長く滑った。


ジークマイヤー「な…なんだ今のは!?今の見たか!?」

ビアトリス「いや…何も…」

レディ「コブラ!?今、あなた、何をされたの…!?」

コブラ「や…ヤツから目を離すな…」ゴホッ



スッ…



金獅子の騎士が姿勢を直し、コブラ達一行に十字槍の槍先を向けると…


ドズーーン!!!


大鎚を握る者が、大広間を揺するほどの力で石床を蹴った。


ドズン!! ドズン!! ドズン!! ドズン!!


広間の石床を軋ませて突進するそれは、頭上高く大鎚を振り上げている。
コブラは特大剣を支えに立ち上がるが、その脳天に向けて、既に破城槌は振り下ろされていた。


499以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/22(月) 02:27:54.67CBLTsuLG0 (1/1)

ガシャッ!

コブラは全身に衝撃を受け、石床に転がり…

ガゴオーーン!!!


破城槌はコブラの頭を砕くことなく、石床を粉砕して大広間をまたも揺さぶった。
一瞬コブラは自分が死んだ光景を垣間見たが、その未来をジークマイヤーの体当たりが制したのだ。


ジークマイヤー「立てコブラ!貴公らしくもない!」グッ

コブラ「イテテ…傷口が開いちまった…」


ジークマイヤーに肩を借り、コブラはフラつきつつも立ち上がり、頭を振るう。
思考の靄はいくらか取り去れたが、戦える状態に戻るにはしばしの時間が必要なようだった。


ジークマイヤー「ビアトリス!貴公はレディと共に獅子を抑えてくれ!遅い方なら私も戦える!」

ビアトリス「あ、ああ!分かった!」

レディ「早く行きましょう!彼がまた槍を構えたわ!」


ジークマイヤーからの激励に、完全に浮き足立っていたビアトリスは辛うじて、心身を戦える態勢に整える事ができた。
だが、彼女に指示を出したジークマイヤーも内心、恐怖で竦む心を自身の大声で隠すのが精一杯だった。
相手はおとぎ話の如く忘れられた太陽信仰の偶像にして、この世にいるはずもなかった戦神。
自分が古い世に生まれていたら、間違いなく信仰したであろう勝利と殺戮の化身なのだ。


チャキッ!

レディ「!」


その戦神は、不死達の会話が聞こえているにも関わらず、あえてコブラではなくレディへ槍を向けた。
レディは金獅子の騎士が放つであろう、正体が分からぬ攻撃を警戒して、フランベルジュを横に構え、瞬時に防御の姿勢をとった。

ビアトリス「やめろっ!」ビシューッ!

レディへの攻撃を防ぐため、ビアトリスはソウルの矢を放つ。
ソウルの矢は一直線に金獅子の胴体に向かうが…

ビアトリス「あっ!?」

ソウルの矢を振り切るほどの速度で駆け出す金獅子を、ソウルの矢が捉えることができるはずもなかった。


レディ「!?」バキィン!!


正体不明の攻撃を防ぐ瞬間、レディの銀色の瞳には確かに映った。
叩き割られたフランベルジュの破片と、フランベルジュを貫いた白金色の槍先が…


レディ「うぐぅ!」ドシャーッ!


吹き飛ばされ、石床の上を滑り、壁に背中を打ち付けたレディは、胸元に生じた痛みに声を漏らした。
破壊された大剣が衝撃をいくらか逃しはしたものの、それでもなお彼女を襲った衝撃は大きく、彼女の思考にはハンマーボルト・ジョーの拳が思い起こされた。

ビアトリス「くそっ!」ヒュイイン…

攻勢にも救助にも移れないと見るや、ビアトリスは浮遊するソウルの光球群を展開し、金獅子を迎え撃つ態勢に入った。
回避するという選択肢も取れない以上、それ以外に成すすべが無いのだ。
金獅子は今度はそんなビアトリスを完全に無視し、行動不能に陥っているレディへ向け歩き出す。

ビアトリス「っ!? こっちを見ろ!何故私を襲わない!」

ビアトリスは金獅子の騎士を挑発するが、金獅子の歩みは止まらない。
しかし、ビアトリスは攻撃に移る事ができない。レディが殺される前に金獅子を撃ち抜くような攻撃手段など、彼女は持っていないのだ。

コブラ「ジーク…離してくれ…レディがやられるぞ…」

ジークマイヤー「し、しかし…!」

ジークマイヤーは手傷を、それも深手を負ったコブラを置いていく事も出来ず、鈍足ゆえにレディへ加勢することもできない。
コブラへの体当たりが間に合ったことが、そもそも奇跡だったのだ。

ボゴゴン…

石床に深くめり込んだ大鎚が、砂煙を上げながら再び持ち上げられた。


500以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/23(火) 04:52:05.19ZQEyk81G0 (1/2)

ビアトリス(やはり射つしかないか…!)


シュイィーン!


追い詰められたビアトリスは、ついに金獅子の騎士へ向けソウルの矢を放った。
だが金獅子を傷つける事が目的では無い。秘術や技術を要する品々に対し、ジークマイヤーよりは造詣が深いビアトリスは気付いたのだ。
金獅子の動きを一瞬でも止めることが出来れば、窮地脱出の可能性も見えてくることに。

バチィン!!

ソウルの矢は案の定、金獅子の槍に振り払われて大柱の一つに小さな穴を開けた。
金獅子は振り返らず、依然レディを標的としているが、歩みを一瞬止める。
ビアトリスは誰にも合図らしい仕草すら見せなかったが、コブラのブーツからはパイソン77マグナムが抜かれた。


ドウドウーーッ!!!


マグナムからは二発の弾丸が放たれ…


ジークマイヤー「うおおおっ!?」ズダダーン!


足元の覚束ないコブラを支えていたジークマイヤーは、発砲時の反動でコブラと共に吹き飛び…


ブワオオォーーン!!!


吹き飛んだ二人を追うように振り抜かれた大鎚は、ジークマイヤーの鎧を震わせるほどの風切り音を鳴らして空を切った。


バシャアアーン!


発射されたマグナム弾のうち、一発は金獅子の頭上を高く飛び、大窓に派手な穴を開けたが…


ズビシィーーッ!!!




もう一発は金獅子の肩当てを貫き、上体を大きくよろめかせた。




ビアトリス「や、やった!」

ジークマイヤー「なんと!?この手があったか!」

コブラ「へへ、どうだい」ニヤッ


オーンスタイン「………」


金獅子は、肩当ての穴から漏れるソウルを一瞥すると、レディをそのままにコブラへ向き直った。
大鎚を持つ金山も、コブラへの追撃の姿勢を解き、重々しくジークマイヤーとコブラから歩き去っていく。


ジークマイヤー「なんだ?……我らは…まさか試練に打ち勝ったのか!?」

コブラ「いや……こりゃだめだな」


金獅子は槍先を上にしたまま、得物を高く掲げると…

ドゴオォン!

槍を石床に強く突き立てた。


コブラ「…怒らせちまったか…」



突き立てられた十字槍の槍先は、白金色から黄金色へと変わり、猛々しい輝きを放つ雷を纏った。





501以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/23(火) 20:27:52.85ZQEyk81G0 (2/2)

ビアトリス「そんな…」

ジークマイヤー「雷……や、やはり相手は名を禁じられし太陽の長子か…」

コブラ「名乗り禁止にしちゃ目立ちすぎだ。少しはネオンを…ゴホッ」


金獅子の騎士が雷を纏った十字槍を中段、右前半身に構える。
金山は大鎚を持ち直すが、その敵意はレディとビアトリスへと向けられている。


コブラ「ジーク、どうやら奴は俺との一騎打ちをご所望らしいぜ。乗ってやるしかなさそうだ」

ジークマイヤー「一騎打ち!?そんな身体で受けるというのか!?」

コブラ「やるしかないだろ。白旗降ってみるか?」


ジークマイヤーの手を払い、コブラは脇腹を抑えつつ、片手で黒騎士の大剣を構えた。
コブラに戦意を見た金獅子は、一瞬槍先の輝きを一層強めると…

ガガガーッ!!!

コブラ「!」


槍先から雷の大槍を放った。


バジィン!!

コブラは特大剣で大槍を受けたが、砕けた大槍は特大剣を伝ってコブラを焼いた。
命こそ失いはしなかったが、コブラの全身各所には火ぶくれが浮かんだ。しかしコブラは怯まない。

ビュン!!

間髪入れずに金獅子は駆け、コブラが盾としている特大剣に突きを一閃した。

コブラ「オオオーッ!!」ガギギィーン!!


かつて敵であり友でもあった男、シバの大王の一撃が霞むほどの衝撃を、特大剣を通して受けたコブラは…


ズガガガーッ!!!


大柱を断ち割って吹き飛び、またも背中をしたたかに壁へ打ち付けた。


ジークマイヤー「む、無茶だ!死んでしまうぞコブラ!」ダッ


コブラに助力すべく駆け出すジークマイヤーだが…


ドガアアーーッ!!!

ジークマイヤー「ぬおっ!?」


その行く手を、石床を打った大鎚が阻んだ。
コブラとジークマイヤーへ援護に向かうべく、ビアトリスはレディへ駆け寄る。


ビアトリス「大丈夫か!?さぁ掴まって!」スッ

レディ「ごめんなさい…衝撃で一瞬、ボディーの機能が麻痺していたわ」


レディを引き起こしたビアトリスは即座に浮遊するソウルを再び展開し、レディは半ばから折れたフランベルジュを拾う。
次に二人は金山へ向け同時に駆け出し、先行したレディが金山へ向け初撃を振るった。


ガキン!

ジークマイヤー「おっ!」


折れているとはいえ大剣。
アーマロイドの膂力で振るわれたフランベルジュは、金山のふくらはぎを覆う装甲に深い傷をつけた。
金山は目に見えてぐらつき、大きく踏み出して転倒に耐えたようだった。


ジークマイヤー「好機!」


502以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/24(水) 20:38:02.62eoMjfmAm0 (1/1)

ダクソはサッパリだが相手がとんでもないのは分かる
激戦感がすごい


503以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/24(水) 21:48:47.11jSESRtxVO (1/1)

ダクソは3しかやってないけどボスは強い弱い関係なくド迫力だよ
初見ボスのこれヤベー感ほんとこんな感じ


504以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/25(木) 05:29:20.43movsWp0q0 (1/3)

ガキイィーッ!ガシィーン!


金属同士を激しくぶつけ合う音を聞きながら、しかしコブラの意識は混濁していた。
ジークマイヤーの特大剣は金山の大鎚に防がれていたが、カタリナの騎士は一歩も引かずに剣勢を張っている。
レディとビアトリスは正面戦闘を展開するジークマイヤーを援護する形で、金山を囲みつつ一撃離脱を徹底している。
現状、神を相手に勝ちは難しいが、少なくとも負けることは無い戦いを、不死達とコブラの相棒は演じていた。

バヒュン!!

コブラ「!」サッ

首元を狙った鋭い一振りを、コブラは腰を落とすことによって紙一重で回避した。
金色の髪の毛が数本、コブラの頭上を舞う。

バオッ!!

コブラ「うおおっ!」ガギィーーッ!!

その落とした腰を上げる暇もなく襲い来た縦振りを、コブラは今度は特大剣で受けた。
しかし衝撃によって脇腹の傷が更に開き、出血までも始まった。

コブラ「た、タンマ…!」ギリギリギリ…

相手が仮面の騎士のような、人の延長にある者ならば、あるいは受け流しや押し返しによる脱出も叶う。
しかし相手は人ならぬ者であり、負傷は容赦なくコブラから体力を奪っていく。
脱出は不可能だった。


ドドン!! バリバリバリバリ!!


右手の槍でコブラを制しつつ、金獅子は左手に雷を起こした。
雷は轟音を鳴り響かせながら、徐々に纏まり、一振りの槍、もしくは杭の形を成していく。


コブラ「!」


その雷を金獅子が振り上げた瞬間、コブラの頭に閃きが走った。
金獅子の騎士の十字槍を防いでいるのは、黒騎士の大剣。
その黒騎士の大剣をささえているのは、コブラ自身の両手である。


シュドーーッ!!


オーンスタイン「!」


コブラは義手をつけたまま、サイコガンを発射した。
黒騎士の大剣をしっかりと握りこんだ義手は、サイコエネルギーの奔流に乗って打ち上がり、金獅子を打ち上げる。

ドガッ!

予期しようのない急加速によって、金獅子は天井に叩きつけられ、弾きあげられた十字槍はあらぬ方向を切った。
しかし金獅子の左手には雷の槍が握られており、輝きも失せてはいない。


コブラ「コイツは駄目押しだーっ!!」グワオーーッ!!!


落下を始めた金獅子に、コブラはサイコガンを撃ち…


バヒュウウン!!!


金獅子も、コブラ目掛けて大雷を投げ込んだ。


ドドドオオオォン!!!


ジークマイヤー「うおっ!?なんだ!?」

スモウ「!」


敵を砕くべく放たれたサイコエネルギーと雷は、空中で激突し、巨大な爆発を巻き起こした。
爆発によって生じた閃光は一瞬、太陽の如く輝き、大広間からあらゆる影を取り去った。
凄まじい爆風によって金獅子は再び舞い上がり、天井に脚をつき、コブラは怯んで、うつ伏せに石床へと倒れる。
コブラに生じたその隙を、逃さない金獅子では無かった。



505以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/25(木) 15:08:26.25movsWp0q0 (2/3)

ダン!

起き上がろうと背中を丸めるコブラに向け、金獅子は天井を蹴って飛翔した。
そして敵を串刺しに貫くべく、槍を持つ手に力を入れる。


コブラ「そりゃないよ」サッ

オーンスタイン「!」


しかし、コブラは苦痛に喘いではおらず、体を起こした彼の手にはマグナムが握られていた。
体を丸めて閃光に耐える演技で、再びマグナムを抜き、懐に隠していたのだ。
神といえど、空中で推力も無しに軌道を変えることはできないと、コブラは踏んだのである。


ズギュウウーーン!!!


一発と聞き紛う銃声と共に…


オーンスタイン「!」ビシィッ!!


金獅子の胴鎧を二発、兜を一発、マグナム弾が貫通した。
金獅子は脱力し、落下攻撃ではなく墜落を始める。


コブラ「やれやれ、もう全部撃っちまったか…」


ドガーーッ!!!


コブラ「!?」




しかし、勝利を確信したコブラの腹を、金獅子の十字槍が貫いた。
仰向けの姿勢で石床に縫い付けられたコブラは大量に吐血し、彼の腹部を雷が焼く。
金獅子の兜と胴鎧からは白いソウルが漏れているが、槍を握る金獅子の右手には渾身の力が込められている。
確かに、マグナム弾は金獅子の騎士に傷を負わせた。しかしそれらは致命傷ではなかったのである。




レディ「コブラーっ!!」


レディの叫びを聞いて、二人の不死の視線が一瞬金山から離れる。
そして不死達は信じがたい光景を目にし…


ビアトリス「コブラ…そんな…」

ジークマイヤー「き、貴様!何をするかっ!!」ダッ


一瞬、正常な思考力を失った。
ビアトリスが見るべきは金獅子とコブラではなく、ジークマイヤーは大鎚に背を向けて走り出すべきではなかった。
見るべきは大鎚であり、剣を振るうべきは金山である。レディの動揺が二人に隙を生んでしまったのだ。


ドグシャーーッ!!!


金山の繰り出した横振りは、広大な間合いを以ってビアトリスとジークマイヤーを一掃し、大広間の端まで叩き込んだ。
二人の不死は全身から血を流し、己が致命傷を負ったことにすら気付く事も無く昏倒した。
ビアトリスの懐からは、手付かずのエスト瓶が転がる。


ズーン!!


レディの前には、処刑者スモウが立ち塞がり…


バチッ!! バリバリバリバリ!!


石床に刺した十字槍でコブラを制した竜狩りオーンスタインは、またも左手に雷を纏いつつ、右手で鎧に付着した返り血を拭った。
オーンスタインの右手はコブラの血で赤く染まり、ぬらぬらとギラついた。



506以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/25(木) 15:40:30.33VEwDUXeMo (1/1)

おおう、どうなるんだこれ…


507以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/25(木) 16:14:20.14YKGSkWwDO (1/1)

さすがはカンスト周回
サインを拾っておけば…


508以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/25(木) 17:00:42.56movsWp0q0 (3/3)

窮地に追いやられたコブラはついに、捨て身の奥の手を使うことを決心した。
自身の精神力が続く限りにサイコガンを撃ち続け、金獅子と金山の両方を討ち滅ぼすという作戦は、恐らくは成功するだろう。
サイコエネルギーは敵を追尾し、金獅子の左手には一本の雷が握られるのみである。
一発が相殺される事を踏まえつつ、念押しも含めて最低限七発は撃つ必要があるが、コブラの決心は揺るがない。
致命傷を負い、出血を続ける肉体が、精神力の疲弊に恐らくは耐えられないとしても…


オーンスタイン「………」スッ


金獅子が自身の右手を眺めた瞬間…


ジャキン!


コブラはサイコガンを構えた。
サイコガンのエネルギーメーターが眩く輝く。


フッ…


その輝きの強まりに比例するかのように、金獅子の左手の雷は弱まり、失せた。






オーンスタイン「貴公、やはり只の人では無いな」



コブラ「!?」




不意に語りかけられたコブラは驚愕した。
神が人の言葉を話したからではない。言葉に敵意が全く無いことに衝撃を覚えたのだ。


オーンスタイン「スモウ、鎚を収めよ」

スモウ「………」ズッ…

レディ「えっ…?」


それはレディも同様であった。
眼前の金山が鎚を収めたことに、現実感を覚えることができなかった。


オーンスタイン「貴公は我らの知る人にあらぬ者。不死立つこともなく、呪いも受けず、それらの兆しすらも無い」

ズボッ

コブラ「ぎっ!?」


不意に槍を抜かれたコブラは、声を裏返して悶絶した。
転げる体力こそは無かったが。


ヒュオオオォォ…

コブラ「?」


そのコブラの腹に空いた刺し傷に、金獅子の騎士は手をかざし、太陽色の暖かな輝きを染み込ませた。
太陽色の輝きはコブラを中心に光の波動を放ち、コブラの負傷を瞬く間に癒していく。


オーンスタイン「我らが大王、太陽の光の王の封印……我らが壊すことまかりならぬ」

オーンスタイン「その上に、貴公に見える闇は深淵を孕まず、かえって眩くすら見える。我らが討つべき者ではない」

オーンスタイン「スモウ、お前は不死どもを介抱し、決して通すな」

スモウ「………」コクッ


オーンスタイン「我はこれより常ならぬ者らを連れ、我らが女神の元へ謁見に向かう」



509以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/25(木) 20:01:33.94G40IhGJN0 (1/1)

急展開 楽しみだ


510以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/26(金) 03:59:36.58wKd5bV410 (1/3)



ビアトリス「ジーク…おいジーク、起きなよ」

ジークマイヤー「う……おお?」

ビアトリス「はぁ…意識があるなら早く返事をしなよ。手遅れかと思ったぞ」

ジークマイヤー「それは面目ない。昔から寝すぎだとよく…のおっ!?」



スモウ「………」



ジークマイヤー「既に敵の手中であったか!覚悟っ!」ジャキッ

ビアトリス「おいよせ!!やめるんだ!戦いはもう終わった!剣を収めろ!」

ジークマイヤー「な、なにぃ!?」

ビアトリス「それに見ろ、私たちのエストを。空の瓶でどうしようっていうんだ」

ジークマイヤー「から?……あっ!いつの間に!貴様図ったな!」ジャキッ

ビアトリス「だからやめろと言っているだろ!もう決着はついているんだ!」

ジークマイヤー「しかしそれでは、腹の中が収まら……まて!コブラとレディが見当たらないぞ!どこへ連れていかれたのだ!?」

ビアトリス「知らん。この巨神に……」


ビアトリス「ゴホッ、いやこのお方にエストを貰い、私が目覚めた時は長子様と共に二人とも消えていた。教えを乞おうにも、我々にその資格は無いようだ」

ジークマイヤー「それでは……それでは、探しに行けば良いではないか!」

ビアトリス「だから言っているだろう。エストはもう無いと」

ジークマイヤー「………」



スモウ「………」



ジークマイヤー「うぬぬ…座して帰りを待つしかないか…」

ビアトリス「そういうことになるな」


ジークマイヤー「……しかし、巨人へのその言葉遣いはなんだ?先程まで剣を交えていた相手だろう?」

ビアトリス「貴公に神への畏敬は無いのか……奇跡と魔法を世にもたらした、偉大なる太古の君主達だぞ。出逢いが不運に終わっただけだろうに」

ジークマイヤー「太陽戦神の物語や竜狩り譚、偉大な太陽の伝説や白教の教えなどは、確かに我が祖国カタリナにも伝わっている。歌やおとぎ話でな」

ジークマイヤー「だが大鎚を携えた巨人の話など伝わっていない。知らん」キッパリ

ビアトリス「やれやれ、騎士習わしで聖書も読むカタリナ騎士の言葉とは思えないな。神学を怠っていたのか?」

ジークマイヤー「知らんものは知らん!知らぬ神を信仰しろと言われても困る!奇跡に仇なすヴィンハイムの徒には分からんかもしれんが、白教以外のものは人の世ではほとんど信じられておらんのだ!」

ビアトリス「そ、そう怒るな。白教が人の世を席巻しているのは知っている。ただ……言い方は悪いが、やや厚顔に過ぎるのではと思っただけだ」

ジークマイヤー「だから知らんものは知らんと…!」

ビアトリス「だから悪かったと…」



スモウ「………」






511以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/26(金) 19:09:28.90wKd5bV410 (2/3)


コブラ「なんだかまた妙な事になってきちまったなぁ~」

レディ「殺されるよりはいいじゃない。本当に心配したのよ?」


二人の海賊は、竜狩りオーンスタインと名乗る神に導かれ、大広間の二階へと移り、豪奢に整然とした木製の大扉の前まで案内された。
扉は両開きであり、左右どちらにもドアノッカーが設けられている。
二階は大広間の全辺を囲うように造られており、よって大広間の隅にいるビアトリスとジークマイヤーの騒ぐ声も小さいながら丸聞こえであるが、コブラとレディは大声を出すことも、不死達に声をかける事も、オーンスタインによって禁じられていた。不死達には資格が与えられなかったが、二人の海賊には審判さえ困難であったが故に、むしろ謁見が許されたのだ。
王の封印が無ければ、今頃生きてはいまい。そうコブラは察していた。


コブラ「なぁ竜狩りさんよ。この扉の先には誰がいるんだ?」

オーンスタイン「貴公の会うべきお方だ」

コブラ「あーあ、なんてつまらないお答えなんでしょ!お情けで1点!」

レディ「何点満点で?」

コブラ「5点さ。満点とったら福引きをプレゼント」

オーンスタイン「仲間の首を刎ねるぞ」

コブラ「わかったわかった、わかったよ…」


オーンスタインの悪巫山戯を許さぬ言葉に負け、コブラはドアノッカーを掴み、鳴らした。


コン コン コン コン


四度のノックは二人の海賊の気を一気に引き締め、いわゆる“仕事用”へと切り替えさせた。
不死の使命とやらのためにこの地に連れてこられた身にとっては、門の奥にいる者はいわゆる依頼人であり、報酬を支払う者である。
仕事を始める前から、既に死ぬ思いを何度もしたとあっては、報酬にもそれなりの色が欲しいところなのだ。


ギッ…



「入れ」の一言も無く扉は開き、室内の明るさが二人を照らす。
二人は部屋へと進み入り、後光に照らされるその者を見た。



「よく参りました。試練を超えた英雄よ」



太陽の光に照らされた女神は巨きく、薄く白いシルクのような天衣を纏い、謁見者に対面する形で寝台に横たわっていた。
枕の上に組まれた両の手はコブラにモナリザを想起させ、女神の豊満な肢体と胸、温もりある美しい顔は、かつてコブラの愛した女達の姿を、コブラの瞳に映した。
だが面に出さず放心しているコブラに、レディは正直カチンときた。怒りはしないが。



「さぁ、私の側に」

コブラ「へへ……こういう展開、久々だとグッとくるね」


巨大な女神は手を差し伸べ、コブラを誘う。
久しくなかった正々堂々の誘惑にコブラは容易く乗り、女神の枕元に跪くと、差し伸べられた手を取り、一度口づけをした。



「私の名はグウィネヴィア。大王グウィンの娘、太陽の光の王女です」


コブラ「俺はコブラだ。相棒のレディと一緒に、宇宙で海賊をやってる」


グウィネヴィア「コブラ、私は父が隠れてよりのち、貴方を待っておりました」




グウィネヴィア「貴方に、使命を授けましょう」







512以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/26(金) 23:25:25.82wKd5bV410 (3/3)


シュパァッ


王女グウィネヴィアが右手を掲げ、掌を開くと、金色の輝きが掌の中で揺らぎ、収束する。
その光は徐々に失われ、実体を表し始め、ついには大器と成した。


グウィネヴィア「これは王の器です。受け取ってください」


王女がコブラへ向け右手を差し出すと、一抱えもある器は小さくなり、コブラの胸元へと浮かぶ。


コブラ「俺の器も大したことないとは思っていたが、まさかプレゼントされるとはね」

グウィネヴィア「王の器は大いなる四つのソウルを求めます。大いなるソウルが器を満たす時、器は貴方を火の炉へと導くでしょう」

グウィネヴィア「貴方には大王グウィンの後継として、そこで世界の火を灯していただきたいのです」

コブラ「世界の火ねぇ……それを灯したとして、俺たちは元の世界に帰れるのか?」

グウィネヴィア「火が灯れば、貴方の役目は終わります。人の世の夜も終わり、不死の現れも無くなるでしょう」



コブラ「じゃあやめだ。悪いがコイツは受け取れない」



レディ「コブラ?どうして…」

コブラ「俺は帰れるかどうかを聞いたんだ。そこをはっきり言われないと信用できないぜ」

グウィネヴィア「お願いです。私たちはすでに火の明るさを知り、熱を知り、生命の営みを知っています」

グウィネヴィア「今、世界の火を失えば、残るのは冷たい暗闇と、恐ればかりなのです」

グウィネヴィア「旅路に不安があると言うのなら、祭祀場に潜む世界の蛇、王の探索者フラムトを訪ねてください。きっと貴方を導くでしょう」

コブラ「導きならもう足りてる。行こうぜレディ」

レディ「コブラ、ほんとうにいいの?」

コブラ「俺が話を濁す依頼人とは仕事しない主義なのは、キミも知ってるだろ?相手が神でも関係ないさ」


「いらんと言うのなら、器は俺がもらおう」


コブラ「なに?」


突如として王女の間の隅、その暗がりから男の声が響いたかと思うと、器が声の主の元へ、まるで吸い込まれようにして消失した。
声の主は影から身を曝け出すが、黒い外套を身に纏ったその姿は影よりもむしろ暗く、見えるのは口元のみ。
口周りの肌色は人のものと変わらず、唇の色もコブラのそれと変わらないが、動く口元に表情を読み取ることはできない。


バダーン!!

コブラ「!」


両開きの扉を蹴破り、オーンスタインが槍を構えて押し入ってきた。
十字槍には雷が蓄えられ、槍先は今にも放雷せんばかりに輝いている。


オーンスタイン「貴様何をするか!我らが王の創りし器と知っての狼藉ならば、その首切り落とす!」

コブラ「な、なんだなんだ?」

レディ「仲間割れ?…でも、何か様子が変よ…」


黒い外套の男「どこに隠したかと思っていたが、まさかグウィン王の秘術によって実体を失っていたとはな。どおりで王族にしか器が見えんわけだ」


オーンスタイン「…やはり、貴様は我らが主神の誓いを破ってでも、斬り殺しておくべきだったか」

オーンスタイン「覚悟!」ブオォン!!


竜狩りの十字槍が、黒い外套の男の首筋向け振り回された時、またも声が響いた。
ただし、声の主は王の器の簒奪者ではない。
その声は若々しく、妙齢の美女の物のようでもあり、少年の物のようでもあった。


513以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 02:25:50.07LCG/OwM30 (1/4)


「やめよ、オーンスタイン」

オーンスタイン「!」ビタッ


黒い外套の男が被るフードに斬り込みを入れ、十字槍は止まった。
しかし、外套の男は汗ひとつかかず、むしろ口元に笑みを作った。


ズオオォォォ…


コブラ「今度はなんだ!?」

レディ「光が…太陽が沈むわ!」


王女の間を照らしていた太陽はみるみる陰り、後光を受けていたグウィネヴィアは姿を消す。
温もりを失った部屋の中は冷え、窓からの光は月光へと変わった。
月光は王女の間を霊廟の如く冷たく照らし、闇に囲まれた一室は、青白く浮かび上がる。
その暗く青白い一室の中心に、白き光を纏う者が現れた。



「其の者は、陰の太陽にこそ用向きがあろう」



白い光を纏う者は、金の細工が施された純白のドレスに身を整え、目元まで隠す黄金色の棘冠を被っていた。
右手には金の長杖を、左手には金の短弓をそれぞれ持つその者のスカートからは、爪先の代わりに幾匹もの蛇が顔を出している。


黒い外套の男「フン、不具の暗月のお出ましか」

レディ「な、何が起きているの…!?」

コブラ「おいおいおい!ここらでティータイムにしないか!」

オーンスタイン「横槍はならん。黙っていろ」


オーンスタイン「グウィンドリン様、僭越ながら申し上げますが、この者はやはり謀反者。貴方様が手を下す必要もございません」

グウィンドリン「無礼者。王の器の簒奪を裁くならば、この者の処遇は我ら王族が定める」

グウィンドリン「すでに我の眼を通し、コブラを見たのだろう。我らが王の封印を前にした苦心は汲むが、これ以上の介入は許されぬ」

オーンスタイン「………」


グウィンドリンに諌められ、竜狩りは槍を引いた。
不具の暗月と呼ばれた者は、黒い外套の男に長杖を向ける。


グウィンドリン「貴官においては、少なからず信頼を置いていたが……残念だ」

黒い外套の男「………」

グウィンドリン「せめて貴官を裁く前に、貴官の言い分を聞こう」


グウィンドリン「何故、我を裏切った」


黒い外套の男「………」






黒い外套の男「……ククッ…クックックックッ…」


グウィンドリン「………」


黒い外套の男「最後まで気付かんとは、どうやら王の教育は失敗だったようだな」


黒い外套の男「俺は裏切ってなどいない。初めから貴様らを利用していたのだ!」


黒い外套の男が勝ち誇るように語り終えると、グウィンドリンの長杖は蒼い爆発を放った。


514以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 03:08:07.63LCG/OwM30 (2/4)



ドワアァァーーッ!!!



蒼光の爆発は黒い外套の男を包み込み、爆風はコブラとレディを部屋の隅まで追いやり、オーンスタインを怯ませた。
黒い外套は焼き飛ばされ、破壊された繊維は部屋中を舞い、部屋を強烈に照らした輝きの残滓は光の糸を引いて辺りを漂う。


ベチャッ

コブラ「うっ!」


吹き飛んだ男の皮膚片が一つ、コブラの足元に転がった。
ソウルの大塊を受け、王の器の簒奪者は弾け飛んだのだ。


レディ「バラバラね…」

コブラ「らしいな。神の怒りってのはどこでもエゲツないぜ…」


グウィンドリン「………」



破壊の嵐に包まれた地点に残ったものは、人の肉片と擦り切れた外套が混ざった盛り上がりのみだった。



ジークマイヤー「えいやぁーっ!!!」

コブラ「っ!?」


怒声を張り上げて部屋に突っ込んできたのは、ジークマイヤー。
その後ろで杖を構えるのはビアトリスであり、更にその後ろには大鎚を構えし巨人、スモウの姿。
スモウは音と輝き、更に景色の移りを見て、たまらず駆けつけたのだ。


コブラ「お、脅かすない!心臓に悪いぜ…」

ジークマイヤー「ん?コブラ?…こ、これはなにごと…!?」

オーンスタイン「何をしているスモウ!試練に敗れし者をここに入れるなど…!」

ビアトリス「……レディ、説明してくれないか。ここで何が起きたんだ?」

レディ「わ、私にも何がなんだか分からないわ…」





515以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 03:36:22.00LCG/OwM30 (3/4)

レディはビアトリスに説明を求められたが、答えようも無かった。
コブラが神からの使命に難色を示したことは分かるが、そこから先の物事に理解が追いつかない。

黒い外套の男の出現と、その男と竜狩りオーンスタインの確執。不具の暗月と呼ばれる神の降臨と、その神、グウィンドリンが行った処刑。
それらを順序立てて説明するには、十数秒程の時間が必要だった。
しかし急かされるレディは、止むを得ずと語った。



レディ「いいわ、落ち着いて聞いて…」

ビュン!!

レディ「!?」

ビアトリス「えっ?」


しかし、レディの言葉は風切り音に遮られ…



ジークマイヤー「?…今のはなん…」

オーンスタイン「グウィンドリン様!?」




ジークマイヤーの疑問の声も、腹を斬り裂かれたグウィンドリンを抱き支えた、オーンスタインの叫びに掻き消された。





ザッ…






煌めく一閃によってグウィンドリンを斬った者は、肉片と外套の山から立ち上がり…








コブラ「!!」







皮膚無き口で、声を発した。










516以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 03:40:54.63LCG/OwM30 (4/4)

















































クリスタル・ボーイ「久しぶりだな、コブラ」






































517以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 08:42:03.53gmDrMjq3o (1/1)

やっぱり来ていたかクリスタルボーイ


518以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 12:50:21.81xiFPCJ/P0 (1/2)

やっぱコブラの旅にはボウイが居ないとな


519以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 12:58:29.28oHGnolAYO (1/1)

コメディだろうとハードシリアスだろうと、そこにコブラがいる限りラスボスを努めてくれるクリスタルボゥイさん!
そこにコブラがいる限りラスボスを努めてくれるクリスタルボゥイさんじゃないか!


520以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 13:41:34.29wNz+s/9DO (1/2)

コラ画像くらいでしか知らないけど実際どういうキャラなんだろう


521以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 14:13:02.08A8Cj+Nm9o (1/1)

予想外過ぎてビックリ


522以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 19:44:54.89iX2J0W1d0 (1/1)

>>520
あの外見だが結構ハードボイルドなライバルキャラ
サイボーグなのに酒の味がわかるのかときかれて「これは人間だった頃の習慣そう癖ってやつだ」
と答える粋なセンスももっている
コブラも因縁の相手だが敬意はもっていてボウイが悪神アーリマンに獲りつかれたときは
「殺し屋だが殺人鬼ではなかった冷酷だが残忍ではなかった」と言っている


523以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 20:04:38.736C4j//B5O (1/1)

コブラの左腕がサイコガンなのはクリスタルボーイが左腕を切り落としたから
クリスタルボーイがデュラルみたいな姿なのはコブラが生身のクリスタルボーイに致命傷を与えたから


524以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 20:33:19.20wNz+s/9DO (2/2)

>>522>>523
ありがとう
ダークヒーローみたいなイメージでいいのかな
最初はエルドリッチなのかと思ってたらライバルが来るとは


525以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/27(土) 20:51:18.19xiFPCJ/P0 (2/2)

つべのジャンプ公式チャンネルにスペースコブラがきた


526以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/28(日) 23:21:46.74UMai37RN0 (1/1)

不死達は一様に絶句し、黒い外套の男と長く時を過ごしたであろう神々すら、己の眼を疑った。

人の世にも不死の世にも、神の世にさえも、伝承の怪物という語り尽くせぬ者、触れ得ざる者の存在がある。
人の国アストラを襲ったと言われる、邪悪な眼を持つ怪物。
並行世界を渡り歩いたと伝えられる、白い殻に蟹挟みを覗かせ、光弾を放つ精霊。
小人が見出した、決して暴かれてはならぬ力。
いずれの世においても、それらの真実を知る者は限られ、彼ら知る者の言葉も沈黙と雑言に阻まれ、易々とは広まらない。

故に伝承とは忘れられやすく、曲げられやすく、明確な形をしばしば失う。
故に伝承とは心無い者に広められ、限りも無く弄ばれる。



クリスタルボーイ「まったく、お前はつくづく人を楽しませる奴だよ。まさか宇宙が始まる前の世界にまで出張ってくるとはな」



肉と外套の山から姿を現した者は、その限り無く姿を変えるあらゆる伝承にさえも、全く記録されぬ異物だった。
磨かれた結晶の如き人体に、黄金色の人骨と思しき物を内包するその者の頭は、人頭を模した黄金色に輝く“かぶりもの”であり、感情を伺うことができない。
グウィンドリンを斬りつけた右腕には、その骨格と頭部と同じ輝きを放つ鉤爪がはめられている。



コブラ「そんなバカな……お前は確かに死んだはず…!」


クリスタルボーイ「死ぬのは慣れてる。お前のお陰だよ」


コブラ「クリスタルボーイ!!」シュサッ


ドオオォーーッ!!!



左手に特大剣を握りこみ、コブラはクリスタルボーイへ向けサイコガンを放った。



ガギィーーッ!!

コブラ「!!」



だが、亜音速で飛翔した100キロ超の鉄塊は、クリスタルボーイの胸部に弾き返されて反り返り…


ガシィーン!


コブラの手元へと戻り、サイコガンに収まった。



クリスタル「前の手よりもグレードアップしたな」

コブラ「………」

クリスタルボーイ「だが、こっちも相応に対策はとってある。爪が甘いぞ」



ガゴオォン!! バババババ!!



自己陶酔的に語るクリスタルボーイの背中に、雷纏う十字槍が突き立てられた。
オーンスタインの槍を覆う雷は倒すべき敵を包み、熱と衝撃を迸らせる。


クリスタルボーイ「言っただろう。対策はとってあると」

オーンスタイン「!」


そんな極限環境においても、その敵は竜狩りに顔を向け、話しかけてみせた。


ガキーッ!!


クリスタルボーイの鉤爪は槍を払いのけ、竜狩りの巨体を軽々と舞わせ、壁に叩きつけた。
部屋の隅に座らされたグウィンドリンの手が、力無く長杖に触れる。


527以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/29(月) 06:40:42.58esH2C6LI0 (1/2)

ババッ!


すぐさま体勢を立て直したオーンスタインは、しかし動けなかった。
討つべき敵の立ち姿には数多くの死角を見出したが、どれも活かしようが無い。
神の世の始まりから武によって立身してきたからこそ、竜狩りは先の渾身の一撃すらも無意味だったことを看破してしまっていた。


コブラ「アップグレード、か。その割にはお前の対策とやらも手垢が付いてるぜ」ザッ…



だが、無敵とも思える敵へと、無造作にコブラは特大剣を構えた。



レディ「!? そんな剣、今のクリスタルボーイには通じないわ!」

シュサッ

グウィンドリン「!」


視線さえも分からぬクリスタルボーイの意識が一瞬コブラに向けられたことを、オーンスタインは敏感に察知。
竜狩りは再びグウィンドリンを抱えると…


グシッ


出口近くで立ち尽くす不死の一人に押し付けた。


ジークマイヤー「!? 」

ビュウン!


敵対していた者から敵対者の君主を受け取り、困惑するジークマイヤーの元へ、黄金の鉤爪が伸びるが…


オーンスタイン「ハッ!!」ガイィン!!


その鉤爪は竜狩りの振り上げた槍に弾かれ、クリスタルボーイの手元に戻った。
数瞬のうちに起きた多くの事に、未だついていけていないジークマイヤーは、交互にビアトリスとオーンスタインを見る。
しかしビアトリスも同様に、事態の急変に対応できていない。例え行けと言われたとしても、何処へ行くべきかも分からないのだ。


オーンスタイン「此処より逃れよ!!スモウが貴公らを守る!!そのお方を死なせてはならん!!」


だがジークマイヤーの眼に、クリスタルボーイの前に立ちはだかって十字槍を中段に構える戦神の後ろ姿が映った時、ジークマイヤーはあるべき騎士道を神の背中に見出し、心身の麻痺から覚醒した。


ジークマイヤー「お、お任せを!行くぞビアトリス!」ダッ

ビアトリス「ぁ、ああ!」ダッ


重傷を負ったグウィンドリンを抱えたジークマイヤーは、部屋の外にいるスモウへ負傷者を預けるべく駆けたが…


ダァン!!

ジークマイヤー「うっ!?」

スモウ「!?」


両開きの扉はそれを許さなかった。
閉鎖された出入り口は一山の岩の如く硬くなり、紙細工のように人鎧を丸める事ができるスモウの膂力を以ってしても、隙間さえ空かなくなった。




クリスタルボーイ「手垢が付いてると言ったな、コブラ」



クリスタルボーイ「ならば貴様に教えてやろう。手垢にまみれた奥の手の、本当の恐ろしさというやつをな!」





528以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/29(月) 06:48:53.55esH2C6LI0 (2/2)

>>526訂正。
×クリスタル「前の手よりもグレードアップしたな」
◯クリスタルボーイ「前の手よりもグレードアップしたな」

スマホにアプデが入って、以前よりもキー入力がバグりやすくなりました。まだまだ誤字脱字が続くかも。



529以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/29(月) 18:18:02.963/P4kXs60 (1/1)

コブラの一歩先を常に行きあと一歩まで追い詰めるがコブラが首の皮一枚で勝利を掴む
ボゥイとの戦いはいつも同じなのにいつも熱い


530以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/31(水) 04:47:56.95DRMKFrEu0 (1/3)



カッ!!



コブラ「うっ!」

オーンスタイン「!」


クリスタルボーイの金に覆われた瞳が白光を発した。
白光は部屋全体を眩く照らしながら、光源をクリスタルボーイの全身に広げていく。


ズオオオォ…


その光の氾濫に、絵の具を溶かし込むように灰色が流れ始めたかと思うと、みるみる内に光は灰色に染まり、灰色は暗い紫へと移り変わった。
そうして成った禍々しい輝きはクリスタルボーイの全身を包み、不死達に、神々に、レディに、コブラに、真に邪悪なる者の姿を見せる。
だが、邪悪なる者は神々の世において魔ではなく、人の世において怪異ではない。

語られる理は、語られぬ其の者を知らず。
しかしコブラは知る。
大いなる神々をも呑み込む、一対の暗黒の翼を。

命無き宇宙を漂う、血と破壊の支配者を。






クリスタルボーイ「見ろ!! コレが神々を喰らい、貴様らを殺す者…」










クリスタルボーイ「暗黒神アーリマンの姿だーッ!!」












531以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2018/10/31(水) 05:58:54.46DRMKFrEu0 (2/3)

ドゴオオォーーッ!!!


ジークマイヤー「オッ、オオオーッ!!」

ビアトリス「うわあああっ!!」

レディ「くっ…!」


クリスタルボーイが高らかに暗黒の支配者の名を叫ぶと、クリスタルボーイを中心として黒い嵐が吹き荒れた。
黒い嵐は暗紫の輝きを掻き消して部屋中を掻き回し、壁の装飾や石床などを尽く腐らせて塵へと変える。
不死達とレディは、発生した暴風に飛ばされないよう身を屈めて耐えた。

そんな中、嵐に耐えるコブラとオーンスタインは見た。
邪悪なる者はクリスタルボーイが纏った暗紫の輝きではない。
黒い嵐に映る、嵐よりもなお暗い影だったのだ。



オーンスタイン「暗黒神……アーリマンだと…」



嵐に映るクリスタルボーイの影は、天井にまで聳える冒涜的なまでに邪悪な二枚の竜翼を背中に備え、生きる者全てを突き殺さんと欲するような一対の角を頭に生やしていた。
影の顔部分には、クリスタルボーイの物と同じく表情は無い。だが暗黒の支配者は確かに笑っていた。
これから消え逝く命たちが己の血肉となるという、素晴らしき未来を見ているのだ。


ガッ!

コブラ「! オーンスタイン…!」


竜狩りオーンスタインは片膝をつき、槍の柄と左手で身体を支える体勢をとった。
絶望に屈したのではない。闇に蝕まれ、力を失いつつあるのだ。


ドサドサッ

レディ「!! ダメよ!耐えるのよ!」


コブラの背後で、何者かが二人倒れた。
レディの声と不死達のうめき声を聞く限り、倒れたのはジークマイヤーとビアトリスだ。



グウィンドリン「…オーンスタイン…貴公だけでも…」

グウィンドリン「のが……れ……」



意識を失ったジークマイヤーの腕の中で、グウィンドリンの声が嵐に消え入る。
竜狩りは槍を支えに重々しくも立ち上がり、槍先を嵐の発生源であるクリスタルボーイへと向けたが、槍を握る右腕からは力が消え…


ドシャアアッ


槍を構えたオーンスタインからもまた、活力が消えた。


コブラ「くっ……うおおーッ!!」シャッ

ガオオオーーン!!


せめて嵐を撃ち消そうと、コブラはあらん限りのサイコエネルギーを放った。
だがサイコガンは銃口に小石を詰められた水鉄砲のように、か細いエネルギーを四方に拡散させただけだった。
貪欲なる闇の嵐が、あらゆる力を欲するのである。サイコエネルギーさえも例外では無い。


ドウッ


背後にいる何者かが石床に伏せった時…


コブラ(…レディ…)


コブラは失われゆく意識の最期、石床の冷たさを頬に感じながら、背後で伏した者を想った。