1 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/29(月) 22:32:31.41HgjoU1Ylo (1/5)

このスレは安価で

久遠天乃は勇者である
結城友奈は勇者である
鷲尾須美は勇者である
乃木若葉は勇者である
久遠陽乃は……である?

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的


・バーテックスの殲滅
・勇者部のみんなを生き残らせる


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる

※HPに関しては鷲尾ストーリーでは0=死になります


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに



前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1464699221/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1468417496/


2以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/29(月) 22:37:20.91qu7gXuaoO (1/1)

立て乙


3 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/29(月) 23:04:40.53HgjoU1Ylo (2/5)


天乃「なら、今回は夏凜と組むことにするわ」

本人もそう言ってくれてることだしね。と

くすくすと笑って見せると夏凜は肩をすくめて笑う

無駄なことを言わずに受けてくれるその気遣いは

今の天乃にとってはありがたいことで

その笑みに答えるように笑って、息をつく

天乃「風は樹。友奈は東郷。それでいいわね?」

東郷「……わかりました」

3組に分かれて活動し、

そのあと合流するのかどうかの話さえもなくそれぞれ道を進んでいく

みんな、一刻も早くその場から離れたかったのだ

なんて言えばいいのか、何をすればいいのか

それが分からないから

いつも通りに過ごすということが上手く出来なくなってしまったから

夏凜「ったく、面倒くさい奴らね。ほんと」

天乃「貴女もだけどね」

夏凜「自分を棚に上げんなっての」


4 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/29(月) 23:19:35.44HgjoU1Ylo (3/5)


車いすを押してくれる夏凜との雑談

それは、ついさっきまで勇者部の部室にあふれかけていた罪悪感の少し重い空気が溜まった肺を

少しだけ圧迫して、押し出す

夏凜は一番初めは嫌な子だった

けれど、ここ数日

いろいろと助けられている気がすると、天乃は夏凜を見上げる

夏凜「なによ」

天乃「ううん。別に、ただ。優しいなって」

夏凜「優しくはないわよ。ただ、あんたのことを任されてるから相手してやってるだけだし」

いや、だからこそ優しいのだ

ただ任されたという理由だけで

ここまで付き添ってくれるのだから

もっとも、夏凜のその言葉自体、本音を隠した建前なのだが

天乃はフフッと笑うと

天乃「そっか、不本意でもここまでしっかりと付き合ってくれるのね。やっぱり、優しいわ」

夏凜「なっ……あんたねぇ」

若干名嫌悪感を感じそうな声だったが

実際にはそんな感情などみじんも感じず、けれどもどこか呆れたような色が感じられた


5 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/29(月) 23:46:29.54HgjoU1Ylo (4/5)


天乃「でも、どうして夏凜はみんなみたいに気にしないでいられるの?」

夏凜「逆に聞くけど、出会って一週間足らずの相手にそこまで配慮しようって気になるわけ?」

夏凜はやや自信有り気にそう聞いた

もちろん、それは少し難しいという答えが来ると予想して。だ

しかし、相手は天乃

あの、久遠天乃なのだ。ゆえに

天乃「しちゃうかな」

答えは予想に反していて「はぁ……さすが」と

まったくもってほめていない賞賛の言葉を述べる

夏凜「残念だけど、私はそんな気にはなれないし、する気はない。あんたの目の前だから遠慮とか。してらんない」

それは聞く人によっては冷たいと思うかもしれない

でも、夏凜はそういう子なのだと天乃はなんとなくわかっている

だから、酷いと罵ることはない

むしろ、その有難い冷たさを持ち続けてほしいとさえ思う

夏凜「第一、気遣うならむしろ気にしないべきだって思うけど」


6 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/29(月) 23:53:37.52HgjoU1Ylo (5/5)


きゅるきゅると音をさせながら車いすを押す夏凜は

天乃の遠慮することなく厳しいことを言って、ため息をつく

本当にそう思う

友奈たちは優しいのかもしれない

だから、そういうことができないのかもしれない

けれど、それは誤りだ

優しければいいってものではないし

かといって意地悪であればいいわけでもないのが人付き合いというもの

分かったようなことを考えつつ、夏凜は深々とため息をつく

夏凜「面倒くさい、だから嫌いなのよ。人付き合いなんて」

人から嫌われてばかりだった

他人だけでなく、両親からだってそこまで有難く思われた覚えがない

けれど、兄はどうだったか。瞳はどうだったか

それを思い、くすっと笑う

天乃「どうかした?」

夏凜「いや、別に」


7 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/30(火) 00:07:15.21jV5YMWU1o (1/3)


ちょっとばかりごまかしたような夏凜の表情

けれど、天乃はその笑みに悪い気は感じなかった

それならいいけれど。とさらっと流し、猫の飼い主はどうしましょうか。と

今二人きりでいる本来の目的を切り出す

夏凜「そういわれてもねぇ」

今回の依頼内容、というよりも残っていた仕事は

猫を引き取り、里親に出す

そんな割と簡単な仕事だ

猫を受け取ることに関してはすでに話が済んでいるし

猫を渡すことに関してもすでに話は済んでいる

天乃「とりあえず、猫を受け取らないことには話が進まないし。行きましょうか」

夏凜「そうね」



1、……でも、少しだけ寄り道しない?
2、ねぇ。どうして一緒に組んでもいいって言いだしてくれたの?
3、みんな。いつも通りに接してくれるかしら
4、私。また戦いから退いてくれって言われたわ
5、とりあえず依頼をこなす


↓1


8以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/30(火) 00:07:55.17L9RorAO8O (1/1)

1


9以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/30(火) 00:08:14.55e2Jwi2zLO (1/2)

4


10 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/30(火) 00:31:39.91jV5YMWU1o (2/3)


天乃「でも、少しだけ寄り道しない?」

夏凜「………………」

唐突。というほどでもなかった

昨日の今日ということもある

それ以前に、何かしらがあったであろうことは夏凜も薄々と勘づいていて

だから「別に、時間はあるし」そういって近くの公園へと足を運ぶ

話したいことがあるのか

そうではなく、ただ何もしていない空白の時間が欲しいのか

いずれにせよ、断る理由はない

夏凜「ベンチに座る?」

天乃「ううん、私はもともと座ってるから」

夏凜「そ」

何かを悩んでいるような少し浮かない表情の天乃を一瞥して

夏凜は雲の少ない空を見る

土曜日ということもあって、ちらほらと人のいる公園

お父さんお母さんあるいは友達、あるいはカップル

様々な関係の一般人の喧騒の中、一般人に身をやつした勇者の二人は息をつく

夏凜は何も言わない

天乃達ほど人付き合いが上手くないから話せないのではなく

なんとなく、今は自分から何かを切り出すべきではないと思ったから

夏凜「…………………」

だから夏凜は、ただじっと待つ


11 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/30(火) 00:32:16.75jV5YMWU1o (3/3)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば似たような時間から


12以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/30(火) 02:06:32.96e2Jwi2zLO (2/2)


ここからは夏凛ちゃんのターンか



13以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/30(火) 08:12:05.228NB7j1pvO (1/1)


そういえば久遠さんの母親が33歳ってことは17-18歳で久遠さん産んでてさらにその前に兄貴と晴海姉さんも産んでるんだよな…
若いのに相当苦労しただろうなあ


14以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/30(火) 09:23:45.58cwaEESnzO (1/1)

兄が2歳上だとしてお母さんは16で出産だから15で妊娠したってことになる
祖母は17で出産で16で妊娠
一年早かった理由はなんだろうか


15以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/30(火) 12:40:37.96bIrKXWijO (1/1)

前作でも事情があって久遠さんも15で双子を身籠ったしね…
基本子作りだけは中学生からさせられてたのかも


16以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/30(火) 14:17:46.45MuXJSo95O (1/1)

受け継がれた悪しき風習ってやつかな短命だから仕方がないんだろうか
そしてストーカーされてた子かなり危なかったらしい


17以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/31(水) 09:31:30.00ksWdJbXoO (1/1)

昨日は無かったか…多忙なのかな最近始まりが遅いし
今回は物語終了後に子供を作る感じかな
前作での双子だったり久遠さんと樹ちゃんだったりがみたいけどそれは酷か


18以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/31(水) 12:37:31.82XYu/Y9NKO (1/1)

まあ1日位はしゃーないさ、毎日更新自体ありがたいことなんだし

前作の久遠さんと樹ちゃん、春信さんとの関係はどっちも好きだったなあ
樹ちゃんと早い段階で恋仲になったり春信さんの子作りへの理解があったからこそあのハッピーエンドにたどり着けたからね


19以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/31(水) 13:39:15.15DWICaumBo (1/1)

休みが多くなる(今回含めてまだ二日)だぞ
前回はほぼ自動で樹ルートだったけどわりかし批判なくてみんな樹好きなんだなと


20以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/31(水) 20:46:33.75M13fxxFIO (1/1)

序盤のコンマがすごかったからね
逆を言うと夏凛って1周目も2周目もコンマでつまずいてたよね


21 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/31(水) 22:04:44.89DTGoSHcvo (1/6)


では初めて行きます


22以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/31(水) 22:11:17.29rvmUypQIO (1/3)

おっしゃ


23 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/31(水) 22:28:36.61DTGoSHcvo (2/6)


天乃「……何も言わないのね」

夏凜「あんたが何か言ってほしいなら言うけど?」

言えることはあるのか分からないが

少なくとも言いたいことはある。けれど

今まで生きてきた中で、勇者部と出会う以前の自分の発言が

周りの誰かにとって良く作用したことがないと自覚している夏凜は

疑問に疑問を押し返して、天乃を見る

夏凜「猫の受け取りと受け渡し。私、大して興味はないしね」

天乃「同族嫌悪?」

夏凜「あんたの中では私は煮干しだったんじゃないの?」

さらりといった冗談に、

夏凜は間を置くこともなく答えると天乃の少し驚いた表情を見て、くすっと笑う

夏凜「あんたの度肝を抜かせる回答。さすがで――」

天乃「ええ。まさか煮干しを咥えたどら猫にまで進化するなんて驚いたわ」

夏凜「おい」


24 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/31(水) 22:44:35.46DTGoSHcvo (3/6)


天乃「ふふっ」

夏凜「あんたの中で私はどうなってんのよ」

天乃「どうなってるって、友達……だけど?」

天乃は当然のように

いや、きっと、天乃にとってはそれが当たり前なのだろう

なぜそんなことを聞くのかと言いたげな純粋な表情に疑問符を乗せて

天乃は答える

夏凜「ぁ……そ、う」

興味なさげな言い方をして内心、忙しない胸元に手を宛がう

純粋さというか無垢さもない悪戯っ子の純朴な瞳

それでありながら夏凜が欲していてもどうせないと切り捨てがちな答えを述べる

それが計算したうえでの行動であるのなら

天乃のことを素晴らしい悪女だと言えるのだろうが……

残念ながらそう責められない

あくまで、彼女は計略などないのだから

天乃「それとも、何? 夏凜の中では違うの?」

夏凜「……先輩後輩。あるいはライバル。まだ見えてないあんたの背中を見るのが今の私の目標よ」


25 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/31(水) 22:59:17.77DTGoSHcvo (4/6)


照れくさそうに述べた夏凜は

小さく「それでいつか追い抜いてやるんだから」と言って

握りこぶしを震わせる

圧倒的な実力差の上での敗北

瞳は仕方がないといった。そうだ、仕方がない

一世代前の勇者なのだから経験が違う。確かにそうだ

けれど、だからと言って

健常者である自分が、なんの援護もない相手に敗北したことが許せるわけではなかった

いいや、違う

一番嫌だったのは、一番悔しかったのは、一番悲しかったのは……

夏凜「っ」

夏凜は頭を振ると、天乃を一瞥して笑う

それで誤魔化せるとたかを括ったわけではないが

けれど、どうしても笑ってしまいたかった

そうでなければ、天乃ではなく、自分が吐露しかねないと思ったから




1、貴女は出来る子よ。大丈夫、いつか私よりもずっと先に行ける
2、ふふっ。貴女には難しいんじゃない?
3、そう。楽しみにしてるわね
4、……でもね。私。大赦の人に退けって言われたの
5、夏凜は婚約者とかいる?


↓2


26以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/31(水) 23:02:54.60rvmUypQIO (2/3)

1


27以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/31(水) 23:04:02.2212dEGSZmo (1/1)




28以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/31(水) 23:04:13.46RZ0mpdba0 (1/1)

4


29 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/31(水) 23:31:29.68DTGoSHcvo (5/6)


天乃「変なこと聞いても良い?」

夏凜「聞くだけならご自由に」

ぶっきら棒に言いつつも、しっかりと耳を傾けて

横目でちらりと天乃を見ると、くすっと笑う笑みが見えた

なに笑ってんのよ。と言うよりも

自分の態度で笑みを引き出せるということが少しばかり嬉しくて

夏凜は不問にしてやるか。と、息をつく

しかし

天乃「夏凜は婚約者とかいる?」

夏凜「婚約者ねぇ……って、はぁ!?」

いるわけあるか! と

せっかく真面目に聞いてやろうと思ったのに

なんて、まだ最後まで聞いていなくても

冗談だと判断して声を上げる

周りの子供が何か騒いでると顔を上げ、またすぐに遊びへと戻っていく

そんな視線を一瞬感じた夏凜はほほをかいて、「何言ってんのよ」と続ける

夏凜「私達何歳だと思ってんのよ。いや、まぁ、確かにあと二年で結婚とか出来るだろうけど。だけど、さすがに、ないわ」

天乃「そうよね……さすがにないわよね。私の家が特別なのかしら」

冗談だと流しに入った思考に喝を入れる声

それは決して激しさはない

むしろ激しさがなく、穏やかというよりも嵐の前の静けさのような不穏さがあった

夏凜「……何あんた、婚約者いんの?」

だから、夏凜は恐る恐るそう聞いた


30 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/31(水) 23:34:26.73DTGoSHcvo (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



天乃「友達だと思ってる」

夏凜「わ、わた……」

夏凜(私も友達、私も友達、私も友達……)グッ

夏凜「私はどーとも思ってない」

夏凜(ちがあぁぁぁぁぁう!)


31以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/31(水) 23:46:27.52rvmUypQIO (3/3)


今の状態で婚約の相談できそうなのってさおりん以外だと夏凛ちゃん位だろうなあ
子作りについても話すのかな


32以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/01(木) 08:33:59.67TYBrM+/bO (1/1)

婚約に関しては沙織が気にしなくて良いって言ってるし大丈夫なんじゃない?


33 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/01(木) 22:31:50.20uHqj7zLno (1/6)


では初めて行きます


34以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/01(木) 22:33:57.661r4RWAkYO (1/2)

かもん


35 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/01(木) 22:41:02.43uHqj7zLno (2/6)


現状では、いるのかいないのかと聞かれれば、

それはノーだ。加えて言えば以降も絶対に婚約者ができるという確証はない

最も、今は疎遠になっている久遠家が

適齢期に近づいてきたことで接触を図ってきて

婚約者とお見合いをさせてくる可能性もあるのだけれど

天乃「今のところは。ね」

夏凜「なら何よその質問。なんなの? まさか、自分が結婚できるかーなんて将来の不安でもあるわけ?」

そんなことあり得ないと言いたげな夏凜の声に

天乃は「そうではないけど」と、笑う

一応真面目な話で、緊張感を持つべきかもしれない

けれども夏凜と話していると

どうも冗談を言いたくなってくる。真剣になり切れない

けれどもそんな会話の空気感が、天乃には居心地が良かった

天乃「まぁ、一応。久遠家って有名な家柄らしくてね。そういうのがあるかもって話を聞いたのよ」

夏凜「ふぅん……そ」

天乃「驚かないのね」

夏凜「黙ってればお嬢様っぽいしね。あんた。政略結婚だのなんだのって、忙しなくなるかもね」


36 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/01(木) 23:07:21.16uHqj7zLno (3/6)


明らかに茶化そうとしているのが分かる口ぶり

しかし、政略結婚ではないにしても

それに近しいものならありえそうだと、天乃は割と真面目に答える

もちろん、沙織が気にする必要はないと言っていたし

現状では問題が多く、そんなことはしていられないだろうから

婚約だのなんだのは後回しにされるのだろうけど

その余裕が出てきた後が少し怖い

もちろん

余裕が出るということはバーテックス関連で上手くいっているということだから

嬉しくはあるのだが。

天乃「まぁ、今すぐ婚約するってわけではないんだけど、いずれあるかもなぁ。なんて」

夏凜「確かに、あんたはあと一年くらいで出来る歳だし……否定はできないわね」

少し真面目に考え込む夏凜は

そうねぇ。と、小さく零して天乃に目を向ける

夏凜「誰かと駆け落ちでもしちゃえば?」

天乃「この狭い世界の中でどこに行けと」

夏凜「さぁ? そこは適当に頑張ってもらうにしても……いや、その流れで行くと最悪ロミオとジュリエット的な展開もあり得るか……」


37 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/01(木) 23:26:05.40uHqj7zLno (4/6)


ふむと考え込む

瞳のおかげで本を読む機会が増えた夏凜は

その中から適当に解決できそうなものを引っ張り出そうとしてみたのだが

どれもこれも逃避行しても生きていける年齢だったり世界の広さがある

今の世界のような、少し頑張って探せ場見つかってしまいそうなほどの世界

しかも、ほぼ全域にわたってその影を忍ばせている大赦からの追手から逃げ隠れ出来そうな知恵など到底見つからない

夏凜「なんにせよ、婚約者がいやだってんなら、相手でも見つけておくしかないんじゃないの?」

すぐに婚約ってわけでもないなら

別に今すぐそういうことしろって強制も何もしないけどさ。と

ベンチにふんぞり返るように体を預け、夏凜は空を仰ぐ

雲はあるが、太陽の見えるいい青空だ

夏凜「私はあんたほど期待されてないから、同情すらできないけど。ま、頑張ることね」

天乃「期待されてないって、夏凜……」

夏凜「ん……あれよ。不出来な娘ってやつ。あはは、余計な話でしょ。時間もつぶしたしさっさと行くわよ。天乃」

夏凜は誤魔化すように笑う

それは別に気にしていないことだと

取り繕うような、その笑みに天乃は何も言わせてはもらえなかった


38 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/01(木) 23:40:35.65uHqj7zLno (5/6)


√ 5月6日目 夕(某所) ※土曜日



1、依頼を終えて部室に戻る
2、依頼を終えても部室には戻らない  ※夏凜継続


↓2


39以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/01(木) 23:41:28.981r4RWAkYO (2/2)

1


40以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/01(木) 23:42:41.54gCjfghlpo (1/1)




41以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/01(木) 23:43:17.36PbkwZnY50 (1/2)

1


42 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/01(木) 23:54:52.75uHqj7zLno (6/6)


部室判定


01~10  先生
11~20 
21~30  沙織
31~40 
41~50 
51~60 先生
61~70 
71~80 
81~90  沙織
91~00  男子生徒(2年・脚本家志望)

↓1のコンマ  


43以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/01(木) 23:56:27.46PbkwZnY50 (2/2)




44 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/02(金) 00:03:08.00mdF/FDqGo (1/5)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



判定外れ。友奈たちと通常交流


45以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/02(金) 00:15:22.61SxWg/X8PO (1/1)


いつものだから仕方ない

序盤に出てきたクリエイターの男子に再登場判定あったんだな


46以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/02(金) 08:41:14.23CBWNYLg8O (1/1)

夏凜のキャラ崩壊してないっすかねー?


47 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/02(金) 23:17:56.47mdF/FDqGo (2/5)


時間も時間なので、少しだけ進めていきます


48以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/02(金) 23:19:43.428anI+BxeO (1/2)

まってたぞー


49 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/02(金) 23:31:55.87mdF/FDqGo (3/5)


風「お疲れさまーっ!」

淡緑のカーテンが夕焼けのオレンジ色を遮り、

人工の白昼灯の光が天井から注がれる部室で

部長、犬吠埼風の声が上がる

普段通りを心掛けたそれは確かにそれらしく

けれど、やはりそこには緊張感が含まれてしまう

風にはその意志がなくても

大丈夫だろうか。という不安がどうしてもそれを作ってしまうのだ

風「友奈たちは上手くやってくれたみたいだし。副部長と新人ペアも無事完遂。アタシ達も滞りなく。で、万事おっけー!」

夏凜「って言っても。今回の分はってやつなんでしょ?」

窓際に立って腕を組み、右目を閉じた夏凜の言葉に

風はそれはそうだけど。と苦笑する

風「でもまぁ、今回はちゃんと終わったからオッケーでしょ」

夏凜「それはそれで文句はないけど。毎度毎度ここまで大回りだと訓練前につかれない?」

友奈「でも、それが勇者部の活動だよ。夏凜ちゃん。困ってる人。猫さんも犬もさんもっ。居るなら助けなきゃ。ねっ?」


50 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/02(金) 23:38:26.37mdF/FDqGo (4/5)


ぐっと握りこぶしを作って掲げる友奈を見て、夏凜はふぅっと息をつく

その姿勢、その理念に文句はない

バーテックスとの戦いに専念すべきだという考えは今も昔も変わらないが

しかし、

自分にその確たる意思があるように

友奈達にもそれぞれの意思がある

それが分かっているからこそ、その押し付けをしようとは思わない

なにより、戦うことの重要さを分かっていることは

訓練に応じたことからも分かっている

で、あるのならば文句は一つとしてない。現状は。だが

夏凜「それで? 明日は?」

東郷「明日は……お休みの予定だけれど」

天乃「特に何もなかったっけ? 新しい依頼とかも?」

些細な疑問に、風は「たまにはね」と笑う

依頼がないのは平和な証。なら、それはきっと喜ぶべきことだ


51 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/02(金) 23:44:41.69mdF/FDqGo (5/5)


天乃「明日は何もない……か」

夏凜「朝から晩まで訓練っていうのも悪くないんじゃない?」

冗談ではない。

夏凜は割と真面目にそういったのだが

東郷は困ったように「それはさすがに」とこぼす

訓練の重要さは重々承知している

しかし、そんな丸一日詰め込んだとしても

疲労=経験という好都合な数式にはならない

だから、提案を却下する

夏凜はやや不満げだったが、日曜くらいは休むのもありか。と

風ではなく、天乃を見る

肩書上では、部長は風なのだけれど

風「んーまぁ、ね。さすがに休日丸つぶしは問題よねぇ」

東郷「それぞれゆっくりするというのもいいかと思います」



1、昼に特訓
2、各自自由にゆっくり休む
3、朝に特訓
4、みんなで遊びに行く



↓1


52以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/02(金) 23:46:48.61v2hL63yQ0 (1/1)

4


53以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/02(金) 23:47:07.458anI+BxeO (2/2)

4


54 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/03(土) 00:01:45.91SNk/B2aZo (1/2)


天乃「みんなで遊びに行くのはどうかしら」

夏凜「それは冗談で言ってんの?」

天乃「ん?」

夏凜「いや、本気なら別にいいんだけど」

夏凜は少し困ったように言うと

遊びに行くって……と、聞こえないように呟いたつもりなのだろうが

残念ながら天乃には聞こえていた

風「久遠がそうしたいっていうなら、まぁ暇だし」

樹「う、うん。そうだね」

返事は少し、ぎこちない

友奈は嬉しそうな顔をしたが、その半面

おろおろとしてはいないが、東郷を見て何かを躊躇う

東郷は視線に気づいてか「大丈夫。時間は空いているから」と、笑う

いつもなら牡丹餅を作ってきますね。とでも言う場面

天乃のことを案じてか、どうしても。言えなかった


55 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/03(土) 00:03:48.16SNk/B2aZo (2/2)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



時間を与えないルート


56以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/03(土) 00:13:05.64sIe28N3CO (1/1)


ああ、休ませて各々で考えさせるのも手だったか
遊びにいくことで気まずい雰囲気を変えたいところだったが…


57以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/03(土) 05:24:41.52gZmAuamS0 (1/1)

次回は「心のバリア」回か?
夏凜の服買えばいいよ、あとカラオケか


58以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/03(土) 09:26:59.87KKELJJWwO (1/1)

夏凜もだけどそれ以外もいつも通りを頑張ろうとしちゃってる気がするが…
ゆっくり休むべきだったかもな

今回は恋愛の拗れではない人間関係が前に出てるな


59以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/03(土) 19:58:46.37YC1G7vFAO (1/1)

再びwikiの更新速度が上がってきているな
そしてそんな気はしてたけどやはりアレ忘れてたのかw

しかし傷に塩塗るようで悪いが、実は今回は東郷さんのも…なんやで…


60 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 12:55:41.38fa1Cto7do (1/28)


では、少しずつ進めていきます


61 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 13:08:33.89fa1Cto7do (2/28)


友奈「でも、どうしますか?」

風「んーあ、お昼からでいい? 家のこと、いろいろとやっておきたいし」

天乃「やることあるなら、そうね。全然いいわ」

風のハッと気づいた仕草が偽っているものであることは

天乃には容易く分かった。

そして、それは夏凜も気づいていることで

あからさまなのよ。と、ため息をつくと

夏凜「じゃぁ、各自お昼は取ってくるってことで」

そう、切り出す

樹「あとはどこに行くか、どこで集まるか。ですね」

東郷「通例通り現地集合でいいんじゃない?」

風「ならどこに行くか。だけど」

そういいながら、

風は天乃へと目を向ける

風「天乃、どこかある?」



1、運動公園
2、遊園地
3、イネス
4、海岸
5、んーみんなで居られるなら、どこでもいいかな


↓1


62以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 13:12:09.0306o7fyNEO (1/1)

4


63 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 13:38:25.96fa1Cto7do (3/28)


天乃「海、かな」

東郷「この時期に、ですか?」

今は五月だ

まだ海開きしていないし

そうでなくても泳いだりなんだりすることはできない

しかも、釣りをするにしても道具の一つさえもない

ならどうするのかと天乃を見てみるが、

天乃はみんなは嫌かしら。と

ちょっぴり冗談の混じった笑みを浮かべる

天乃「潮風に当たるというのも、悪くはないと思うのよ」

夏凜「車椅子がさびるだろうけどね」

天乃「ふふっ、そんなすぐにはさびたりしないわ」

夏凜の冗談めいた一言が、場をつなぐ

けれど、何をするか、どうするのか

なぜそんなことをするのかを

風達の誰一人として思いつくことはできない

もちろん、本当にただ【潮風に当たりたい】だけなのかもしれないが


64 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 13:55:56.21fa1Cto7do (4/28)


樹「ゴミ拾いとかもしちゃいますか?」

天乃「汚かったら考えましょうか」

勇者部精神に満ち満ちた樹の発言に笑みを浮かべ、言う

ただ、そう

きっと。何かをしていないと耐えられないのだ

些細なことでもいい

何かをしていなければ、きっと。何もできなくなるから

そうなったら、いつも通りではなくなってしまうから

樹だけでなく、友奈や東郷、風だってそう

昼からでいいかと言ったのだって、

全員で昼食をとるという

今まではどうとでもなったそれが溜まらなく、怖かったからだ

気にしなくていいと言われても、絶対に気にしてしまうから

天乃「……………」

夏凜「……………」

天乃はそれを気付いている

夏凜もまた、気づいている

みんな、気づいている

だからこそ、天乃は常に歩を進めていく

動かなければ、良くも悪くも何一つ変わることはできないからだ


65 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 14:19:20.09fa1Cto7do (5/28)


沈黙の中、夏凜はわざとらしく音を響かせた手合わせをすると

明日の予定を黒板に書き出していく

現地集合、海、お昼……時間は大体13時

夏凜「遅れるんじゃないわよ?」

天乃「海って範囲広いから、みんな違う場所に行くかもね」

友奈「大丈夫ですよ。そこはちゃんと決めますから」

天乃「ふふっ、それは当たり前よ」

分かり切っての冗談に、当然のことを言ってくれる友奈の優しさ、純粋さ

その愛らしさに笑みを浮かべる

けれど、勇者部の醸し出す空気は暗い

言葉が途切れてしまうことが増えたから

どうすればいいのか、何が今までと変わらないのか

分からなくなってしまったから

夏凜「風」

風「え?」

夏凜「解散、しないの?」

風「あ、そ、そうね……とりあえず今日は解散しましょ」


66 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 14:26:54.62fa1Cto7do (6/28)



01~10 樹
11~20  風
21~30 
31~40 
41~50  友奈
51~60 
61~70 
71~80 夏凜
81~90 
91~00  東郷


↓1のコンマ  


67以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 14:28:00.86g3Qs8jatO (1/1)

うい


68以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 14:28:08.25WWjNjwbQO (1/1)




69 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 14:44:03.28fa1Cto7do (7/28)

夕方終了


√ 5月6日目 夜(自宅) ※土曜日


1、九尾
2、死神
3、素戔嗚
4、獺
5、稲荷
6、イベント判定
7、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
↓2

※7は電話



70以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 14:46:17.03c07VdQiu0 (1/4)

3


71以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 14:46:32.95cjX1CerQO (1/1)

5


72 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 15:02:18.23fa1Cto7do (8/28)


天乃「稲荷、ちょっとお願い」

そう声をかけると

やはり、どこからともなく精霊、稲荷は姿を現す

常に姿を見せている九尾、黒い靄とともに現れる死神は特殊だが

特殊な力を持つ稲荷は以外にも、他の精霊と大差のない現れ方をする

と、言っても

その場合に出てくるのは大体が稲荷の使いである稲狐なのだけども

天乃「主人は?」

稲狐「……………」

フルフルと首を横に振り、

白い狐は天乃をじっと見て、首にぶら下がったものを咥えて差し向ける

躊躇なく受け取って中を見てみると

これまた達筆かつ古めかしい漢字の羅列で

残念なことに読みにくい手紙となっていたが、四苦八苦しながらも読み解く

天乃「私の体内の穢れは約40%くらいって感じなのね……このくらいならまだ問題はないか」

しかし、70台、80台となっていくと気を失うだの、体調不良だのと

軽い症状ではなくなるらしい

天乃「100とかそこらへんになると最悪死ぬっていうのはまぁ、想定内だとして。70~80で吐血する場合もあるのね」

そのあたりになって来ると、ただでさえ重い負荷がさらに重くなってさすがに一時停止―気絶―では済まないようだ


73 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 15:49:19.99fa1Cto7do (9/28)


天乃「けれど、どうしてこのことを?」

稲狐「?」

稲狐はやはり、首をかしげる

直接話ができないというのは、やはり、やりにくい

特に、質疑応答というべきか

こう、聞いたりしたいときは特に

そんな天乃の意思を感じ取ったのか

稲狐が飛び上がってくるっと回ると

まるで漫画やアニメでもあるかのように、

その姿は狐ではなく、お面をつけた女性へと切り替わる

途端に、部屋には稲穂の香りが満ちていく

天乃「わざわざ悪いわね」

稲荷「…………」

彼女は首を横に振って否定すると

お前は私の主だ。と、速記して見せる

そして

お前は知るべきだ。私の力を行使した先に訪れる結末を。と、書き記す


74 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 15:58:09.57fa1Cto7do (10/28)


天乃「知ってるわ。死んじゃうんでしょう?」

稲荷に目を向けず、手元を見て天乃はそう溢す

さんざん、九尾に言われてきたことだ

穢れをため込みすぎれば死に至る

満開を使うことによる体の機能不全なんか軽々しいほどに苦しく死ぬと

使わせないための誇張も多少はあるのだろうけれど

緊張感を持つためにうのみにしたその死。であると理解しているつもりではある

しかし、それでも、天乃には守りたいものがあるのだ

どんなにひどい死に方をするのであろうと、守るためなら使う。それが、久遠天乃だから

稲荷「………………」

――お前がいれば、世界はなんの苦も無く生を謳歌出来るだろう。しかし、お前が死んだ先で、生の保証は誰がする

天乃「私が死ぬ前に、決着をつけるしかないわね」

天のが子をなさない、世継ぎを残さない。そうできなくなった場合

勇者であり巫女である久遠家の受け継がれてきた最強の力は失われる

しかし、だからと言って今ここで退くことなんてできない答えに、稲荷は黙り込む

――簡単な話ではない。先代が死してなお成しえなかったことだ

天乃「先代……? 先代って、まさか貴女」


75 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 16:05:10.63fa1Cto7do (11/28)


ひと月前、男子生徒とのデートで言ったお店で知った、先代勇者

そこには九尾もいて、彼女に話を聞き

勇者や巫女のみならず、自分の先祖である久遠陽乃という名前を知った

その中の誰かに該当するのか

それとも、それらをまとめた先代勇者そのものを指しているのか

目を向けると、稲荷はじっと天乃を見る

狐の面の奥、闇の中で瞳が動く

――先代は優秀だった。九尾、死神のみならず。我ら自身を身に纏うことさえも可能としていた

天乃「貴女達も?」

死神や九尾だけでなく、そのほかの精霊たちの力も

勇者として発現させられていたとしたら

それはやはり、自分よりも、何よりも強力な力を持っていたということに他ならない

……けれど

天乃「待って。先代……陽乃さん達を知っているのは誰?」

最初は九尾だけしか知らないと思っていた

けれど、もしもそうではないのだとしたら……その問いに稲荷は

――お前の持つ精霊。そのほぼすべてが知っている

そう答えた


76 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 16:19:40.46fa1Cto7do (12/28)


天乃「ほぼすべて……」

つまり、知らない精霊もいる。ということだ

そのことに関しては

なぜか教えてはくれなかったが、

稲荷は仮面の奥で見えそうで見えなかった橙色の瞳を天乃に向けると

――それでも彼女は死んだんだ

すでに分かっていることを、あえて告げる

それだけの力があっても寿命に勝てなかった。そういう話ではなく

きっと、そうだ

久遠陽乃という先祖は、九尾と死神の力によって激減した寿命

それすらも全うすることは出来なかったのだろう

天乃「………………」

そして、今度は天乃がそうなるかもしれない

だから気をつけろと、彼女たちは忠告してくれているに違いない


1、精霊について
2、先代勇者について
3、バーテックスについて
4、穢れについて

↓2


※1、2は再度安価


77以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 16:21:31.46w5MJuIxyO (1/4)

1


78以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 16:27:04.09c07VdQiu0 (2/4)

1


79 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 16:46:53.32fa1Cto7do (13/28)


1、九尾について
2、死神について
3、獺について
4、火明命について
5、稲荷について


↓1


80以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 16:48:31.605gQ9+EsSO (1/1)

3で


81以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 16:49:48.55w5MJuIxyO (2/4)

4


82 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 17:26:38.41fa1Cto7do (14/28)


天乃「ねぇ、稲荷は獺について何か知らない?」

九尾と同じく幻惑系の力を持つ獺

彼か彼女か不確かではあるが……彼としておくとして

彼は一応妖怪の類だったという記憶がある

しかし、どうも、現在の天乃の精霊の中では普通すぎる気がしてならない

いや、もちろん

獺にも力はあるし、樹達だって木霊など

普通の妖怪を従えているのが現状だから気にしすぎかもしれないが……

稲荷「…………」

――獺は獺の姿をしているに過ぎない。あれはそう、単純な存在ではない

稲荷の返答は想像以上に不可解なものだった

獺は獺の姿をしているに過ぎない

と、言うのなら。いや、それを同じ能力を持つ九尾と併せて考えるなら

九尾が女性の姿になれるように

獺もまた、その姿を変えることができる。ということになる

では、彼の本当の姿とはいったい何なのだろうか

いやそもそも、獺とはいったい……何なのだろうか


83 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 17:39:49.88fa1Cto7do (15/28)


謎が謎を呼ぶ負のスパイラル

一つとして解決しなさそうな流れを断ち切るように、

稲荷は一枚の紙を、天乃に見せる

――獺は、お前に近づきやすい姿でしかない。やつの正体は河童だ

天乃「河童って、あの河童?」

そう問い返すと、稲荷は紙に記すことなく頷く

稲荷が嘘をつくとは思えない

なら、そう。ただの妖怪に思えるあれは

三大妖怪の一つ、河童ということになる

もちろん、だからと言ってその力がすさまじいものであるという理由にはならないし

そうなれと願うこともないのだが

――しかし、やつは普通ではない。私も知らない何かが奴にはある

そう記した稲荷は天乃が読んだと察したか

すぐに紙を消滅させて、姿を消す

そしてひらりとベッドに落ちてきた紙には

――警戒はしておくべきだ

そう、書かれていた


84 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 18:20:45.92fa1Cto7do (16/28)


01~10 大赦 
11~20 
21~30 
31~40  九尾と稲荷
41~50 
51~60 
61~70 夏凜と瞳
71~80 
81~90 
91~00 

↓1のコンマ  


85以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 18:21:36.30w5MJuIxyO (3/4)




86 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 18:27:55.42fa1Cto7do (17/28)

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流有(部活、遊び)
・   犬吠埼樹:交流有(部活、遊び)
・   結城友奈:交流有(部活、遊び)
・   東郷美森:交流有(部活、遊び)
・   三好夏凜:交流有(部活、遊び、ペア、婚約者)
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



5月6日目 継続 終了時点

  乃木園子との絆 25(中々良い)
  犬吠埼風との絆 40(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 32(中々良い)
  結城友奈との絆 51(少し高い)
  東郷三森との絆 38(中々良い)
  三好夏凜との絆 23(中々良い)
     沙織との絆 39(中々良い)
     九尾との絆 31(中々良い)
      死神との絆 30(中々良い)
      稲狐との絆 28(中々良い)
      神樹との絆 7(低い)

 汚染度43%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します


87 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 18:47:16.79fa1Cto7do (18/28)


√ 5月7日目 朝(自宅) ※日曜日


1、九尾
2、死神
3、素戔嗚
4、獺
5、稲荷
6、イベント判定
7、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
↓2

※7は電話


88以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 18:49:16.01w5MJuIxyO (4/4)

1


89以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 18:49:46.13c07VdQiu0 (3/4)

1


90 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 19:28:35.76fa1Cto7do (19/28)


九尾「今日は勇者部の連中と出かけるのじゃろう?」

天乃「ええ」

そう答え、九尾のほうに目を向けると

やや不満そうな表情が見え、天乃はふぅと息をつく

それだけで察したのか、九尾は不満があるわけではないぞ、と前置きをしたうえで

九尾「きゃつらにも時間が必要ではないのか?」

そう、聞いてきた

整理する時間。という意味なのはすぐに分かった

ここ最近、一気に現実を突きつけられすぎているのではないか

そう思うし、心配でもある

天乃の味覚の件だってそうだ

あれを教えてしまったら、今までの行いを悔いることは一目瞭然、明白だった

けれど

天乃「一人で考えて悩むより、自分の行動が私にどう影響しているのか。しっかりと見てもらうべきだと思う」

九尾「……普通にしてくれていい。気を使わなくていい。それをあえて見せたい。ということかや?」

天乃「うん」


91 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 19:47:52.86fa1Cto7do (20/28)


くふふふっと、部屋に笑い声が響く

嬉しそうなものではなく、どこか挑発的な

そう、バカにするような笑い声

けれど、彼女はバカにしているわけではない

九尾「そううまくゆくとよいがのぅ」

天乃「その言い方だと、失敗してほしいみたいに聞こえるのだけれど」

九尾「ふむ。間違ってはおらぬな」

彼女の笑みは絶えない

しかし、失敗してほしいという思いというか呪い的なものは感じない

うらやましいことに

彼女は愉しんでいるのだ

試行錯誤して、友奈達との関係を元に戻そうとしている天乃の頑張りを

もっとも、それは彼女曰く、自業自得。なのだが

九尾「少しは痛い目を見て学ぶべきじゃ。失敗しない人間は。自分の考えは確実だと盲目的になるぞ」

天乃「自分のしているいことがすべて正しいなんて自負はもとよりないわ」

九尾「ほう?」

天乃「正しいのなら、銀は死ななかった。須美は須美のままだった。園子もまた、呆けた姿を見せてくれていた。そうでしょう?」


92 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 20:14:40.98fa1Cto7do (21/28)


自分をあざ笑う笑みを浮かべる主の姿に

九尾は息をついて、首を振る

普段は強く見せている

普段は普通にふるまっている

けれど、いつだって天乃は自責の念に捕らわれている

自分がリーダーを担っていた一世代前の勇者がみな

全員死んだわけではないにしても、死者を出し、記憶を失い、動けなくなった

そんな、過去があるがゆえに

九尾「主様は少し、自分を許すつもりないのかや?」

天乃「私の何を許せっていうのよ」

力が足りなかった

誰かの力ではなく、自分の力が。だ

その結果、風の両親まで死なせた挙句

それをまだ、彼女に謝罪することすらできていない

それなのに、日々をこうして平然と生きている

天乃「ううん、きっと。そうしていることが私自身の罪滅ぼしなのかもしれない」

言えば許されてしまうかもしれないから

ずっと、許されないままでいるために


93 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 20:27:20.57fa1Cto7do (22/28)


九尾「だれも望んでいることではあるまいに」

天乃「……そうね。いっそ。風に何か恨み言でも言ってもらえると助かるのにね」

卑屈になり切っている天乃の姿には、

九尾もさすがに笑みを浮かべていることは出来ず

けれど悲しい顔をすることもなく、ため息をつく

九尾「勇者部の誰かの前でその姿を見せられればのう」

天乃「出来るわけないでしょ。しちゃいけないわ」

九尾「弱さを見せるのは悪いことではないじゃろう」

もちろん、そういう意味で言っているわけではないと知ってはいるが

九尾はそういい、天乃の頭をポンポンと叩く

九尾「あまり責めすぎるな。捨てすぎるな。主様はその罪ゆえ人のためになりすぎた」

そう、誰かのためにと生きてきた

目につく人を助けようと手をつくしてきた

だから、そう。命を投げ打つことは、誰も救わない結果に陥ってしまう

九尾「……無理はするな」

天乃「してないわよ……大丈夫」




1、先代勇者について
2、精霊について
3、合体バーテックスについて
4、久遠家の伝統について
5、夏凜について
6、風について
7、東郷について

↓2


94以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 20:28:53.45c07VdQiu0 (4/4)

6


95以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 20:29:07.61Z22AfQC0O (1/1)

4


96 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 20:42:08.03fa1Cto7do (23/28)


九尾「久遠家の……ふむ」

今のところ、

久遠家の伝統に関して知っているのは力を持った女の子は

みんな若くして子供を作っている。ということ

そして同じく、寿命が非常に短いということだ

それ以外に何かないのか。そう問う天乃に

九尾は少し困った様子で唸る

九尾「現代にはあまり必要のない知識じゃぞ。それでも、か?」

含みのある前置き

そういわれては、大丈夫と言わざるを得ないと思う

そんな軽い気持ちで頷くと

九尾はもう一度本当に? と問い直す


97 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 20:59:26.09fa1Cto7do (24/28)


天乃「何なのよ」

九尾「あまり知るべきことではないからのう」

と言いつつも、

何も知らないと言わずに、そうやって含んだ言い方をするのが

いかにも九尾らしいが……

もちろん、嘘をついてもばれる可能性が高いから

あえて脅すような言い方をしている可能性もある

天乃「……そんなに危険なことなの?」

九尾「主様自身に危険はない。もう廃れた伝統じゃ。知る意味さえもない」

だから

それ以上は詮索しないことを進めるぞ。と

九尾は告げつつ、天乃を見る

そこはしっかりとえらばせてくれるようだ


1、知りたい
2、やめておく


↓1


98以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 21:02:33.18NvcmY/ATO (1/2)

なんだろう?
1


99 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 21:37:52.04fa1Cto7do (25/28)


天乃「それでも、教えて」

天乃がそういうと分かっていたはずだ

けれど、九尾は困ったように息をつくと

どうしようもない主様じゃな。と、呆れて呟く

九尾的には教えたくはないことなのかもしれない

それならやっぱり思わせぶりなことを言わなければいいのに。と、

思わずには居られない

九尾「久遠家の人間は人柱となるためだけに存続していた。いや、させられていた一族なのじゃ」

天乃「人柱って、曲解すべき?」

九尾「主様が知る意味で間違いはない。久遠というのは供物の女という蔑称から作られた名だ」

もちろん、現代の人間にそんなことを知っている存在はいない

だから、久遠というだけで蔑まされることも

人柱にささげられるようなことも、何もない

天乃「そんな……ことって」

九尾「……現実に起こっていたことじゃ。偽りはない。じゃが、もう。それは潰えた。その必要は、もうない」

大赦の人間が

そんな忌むべき負の歴史を掘り出し

それによる解決をしようとさえしなければ、そんなことは二度と起こることはない

そうすることさえなければ、その悲劇を知るのは、九尾だけだからだ


100 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 22:32:02.58fa1Cto7do (26/28)


九尾「昔は巫女というのは、ただの肩書でな。力もないただの娘じゃった」

久遠家の娘は何の力もない非力な女で

ただただ、神様などに捧げられるだけだった

それが本当に巫女としての力を得たのはいつ頃だったか

だいぶ昔の話だ

陽乃よりも以前の話。すでに風化した記憶の海の中に沈んだ記憶だ

天乃「久遠家が巫女としての力を持ったのは、貴女が理由ではないの?」

九尾「くふふっ、妾では、ないやも知れぬ。すまぬ、はっきりとした記憶はない」

長生きするというのも、良いことばかりではない

記憶が積み重なっていくたびに

どれだけ大きな出来事であろうと

真実を覚えているかどうかは定かではなくなってしまうから

九尾「じゃが……陽乃に力をくれてやったのは妾じゃ」

天乃「……それは、聞いたわ」

九尾「その妾の力と反発する。となれば、くれたやったのは黄泉の者。やもしれぬな」

それが真実である保証はないが

推測の上で導き出した答えを、九尾は告げた


101 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 23:13:22.45fa1Cto7do (27/28)


黄泉の者

それはつまり、死神が与えたということだろう

しかし、それは九尾の推測でしかない

と言っても、その可能性はゼロではない

九尾と同じ考えを持つ天乃は

そうね。と、呟いて死神を思い浮かべる

今でこそ感情豊かではあるが

以前はそうでもなく、無口だった精霊

彼女? 彼がもしも久遠家に深いつながりがあるのなら

最初から平気で話せても良いとは思う

しかし、あえて話せない演技をしている可能性も否めない

考えれば考えるほど、泥沼に陥っていく

天乃「……そう」

久遠家には何かしらの闇があるのかもしれない

それが、久遠家によるものか

その周囲の者によるものかはまだ不確かだけれど

少なくとも、歴史の一つはその周囲。だと思う

天乃「そろそろ時間かしら」

そういうのと同時に、インターホンが鳴った


102 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/04(日) 23:14:34.97fa1Cto7do (28/28)


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば少し早めの時間から



獺=河童。誕生日に気を付けて

久遠=供物の女 


103以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/04(日) 23:26:44.82NvcmY/ATO (2/2)


改めて久遠さんの精霊たちは全員曲者揃いだな
一番普通の精霊っぽさがある獺も稲荷に警戒されてるほどのヤツだし…

久遠家や死神にもまだまだ秘密がありそうだ


104以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/05(月) 01:05:45.77HPPNaf+IO (1/1)

供物の女とか最悪の差別やないか
そして誕生日に気をつけてってなんの話だろうか


105以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/05(月) 12:25:22.09bB63Iv++O (1/1)

若葉たちは九尾が言ってた事を知っていたのだろうか
のわゆ勢も何だかんだ言って優しいから知ってたら黙ってないと思うけど


106以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/05(月) 13:11:31.22pB3cZuUdO (1/1)

供物の女から久遠…お前達は永遠に供物だって意味かもな
>>105
知らなかったんじゃないか?千景より悲惨な状態だから千景が闇落ち出来なくなる


107 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/05(月) 20:14:54.14Vda05Ntfo (1/10)


では、少しずつ進めていきます


108以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/05(月) 20:31:31.92PBNlxPh5O (1/4)

ばっちこい


109 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/05(月) 20:52:36.18Vda05Ntfo (2/10)


√ 5月7日目 昼(海岸) ※日曜日


瞳の運転する車で、夏凜とともに海へと向かうと

あまり乗り気ではないように感じられた勇者部メンバーはみんな

すでに集まってきていた

車が止まった音を聞き、振り向いた風が「こっちこっちー」と

明るく見せて、手を振る

瞳「夏凜ちゃん、久遠様をお願いいたします」

夏凜「瞳も来ても良いんだけどね。というか、そのほうが助かるかも」

瞳「いえ、あくまで。私は部外者ですよ。夏凜ちゃん。何も知らない人間の口出しなんて、火種でしかありませんよ」

運転席と助手席の間、その天井に取り付けられた鏡の中

夏凜と天乃を見る瞳はそういって笑みを浮かべる

瞳「物事というのは、取り返しがつかないこともあります。ですが、つかなくなるまでは。つけられるものです」

天乃「貴女は大人ね。瞳」

瞳「付け焼刃ですけどね。人生経験で語るのなら。久遠様の方が先輩だという自覚はありますから」

6、7年の歳の差があるが、しかし

その経過年数では絶対に経験できそうもないことをここ数年で経験してしまった天乃のことを

瞳は悲しげに、しかし、同情を見せることなく言う

瞳「さぁ、夏凜ちゃん。久遠様。行ってらっしゃいませ」

笑う瞳の表情には、メイドっぽいですか? なんて言う冗談じみたものが込められている気がした


110 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/05(月) 21:16:19.27Vda05Ntfo (3/10)


風「言い出しっぺの二人が最後じゃない」

夏凜「時間的には10分前でしょ」

嫌味っぽく言う風に、夏凜は呆れ交じりに返す

風達にこれだけ早く来るような気力は感じられなかった

もちろん、だからと言って遅く来たつもりはなく

だから10分前に来たし

むしろ遅刻ギリギリに来たら説教の一つでもと考えていたくらいだ

夏凜「意外と早かったのね」

友奈「え、あ、うん。ねっ」

東郷「そうね、なんだかじっとしていられなくて」

くすっと笑う東郷の笑みには躊躇が見え隠れする

それはたぶん、東郷の言葉が嘘だからだ

じっとしていられないからこんなに早く来たのではなく

自分はいつも常にこうしているからと、素早い行動をしようとしてしまっただけだ

変に遅くなってしまったりしたらそれこそ

いつも通りではなくなってしまうから

――いつも通りではなくなってしまうから

東郷「牡丹餅を、作って、来たんですが……」

東郷は嫌そうに、切り出す


111 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/05(月) 21:24:42.82Vda05Ntfo (4/10)


無理をしているのは一目瞭然だ

苦しませることが分かっていて

辛い思いをさせることが分かっていて

なぜ、牡丹餅を作ってこなければいけなかったのか

東郷は牡丹餅を入れた重箱を持つ手に力を入れる

いっそこのまま箱が砕け散って食べられなくなってしまえばいいのに。と、思いながら

樹「東郷先輩……」

天乃「っ」

天乃は車いすのひじ掛けをぎゅっと握る

唇をかんで、けれど、東郷からは目を離さない

友奈「ゎ、わーい。嬉しいなーっ」

自分が先であるべきだ。凍らせちゃいけない

そう強く体を押した友奈の声が響く

東郷の目が友奈に向き、風は少し顔を顰める

全然いつも通りではない

どう見ても、ぎこちないからだ


112 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/05(月) 21:38:58.23Vda05Ntfo (5/10)


勇者部は優しすぎるのだ

風も、樹も、友奈も、東郷も

だから、気にするなと言われても気にしないことができない

だから、いつも通りでいてと言われると、そうしなければいけないという焦りが織り込まれてしまう

それが悪いことだとは言えない

間違っているとは言えない

もしもそう否定してしまったら、ならどうすればいいのかと。迷うことになってしまうから

夏凜「牡丹餅、ね。出来立て? あったかいやつ?」

東郷「え、ううん……少し冷めちゃってるけど……」

想定していなかった夏凜の問い

まじまじと重箱の中を見る夏凜の目を、東郷は見上げる

すると「気張りすぎ」そんな囁きのあと

わざとらしく大きな声で「じゃぁ、私はこの一番大きそうなやつにしよ」と、友奈を見てにやりとする

友奈「あ、ずるーいっ!」

夏凜「ふふんっ、こんな言葉を知ってる?」

友奈「?」

夏凜「――早い者勝ち」

ばくっと一個丸ごと口に押し込んだ夏凜は

やっぱり、してやったりと挑発的な笑みを浮かべる

友奈「知ってるよぉっ!」

本心の、いつもと変わらないちょっと落ち込んだ友奈の声が海岸に響く



1、ふふっ、なら友奈は二つ食べちゃえ
2、あらら。そんなに口に押し込んだら。次が食べられないんじゃない?
3、私ももらおうかしら
4、……がめついわね。夏凜
5、様子を見る


↓2


113以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/05(月) 21:41:12.71PBNlxPh5O (2/4)

5


114以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/05(月) 21:41:30.48aE21q6ek0 (1/2)

3


115 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/05(月) 22:14:32.99Vda05Ntfo (6/10)


天乃「私も貰おうかしら」

周りの目が向けられる中、

紙皿とお箸を受け取って一つだけもらうと

天乃は「いただきます」と、平然と呟き、一口分齧る

天乃「ん……」

ぐじゅりと餡子がつぶれる中に、数粒の薄皮

そしてさらに採掘のごとく噛み締めるともちゃっとした

おそらくは米の食感が広がっていく

舌を紫に染める餡子に味はない

天乃「ぅ……んくっ」

終わりのなさそうな無味の流れを押し込むように

ほんのりと甘い匂いから過去、味わったその味覚を脳内に引っ張り出す

けれど

唾液と混ざり合っていく吐き気を引き起こしそうなどろりとした味のない食感は嘲笑うかのように喉の奥へ流れ込む

天乃「ん、んんっ、っ、ごくっ」

口腔のみならず、食道を犯した異物が流れ落ちていったのを感じて

天乃はふと、息を吐く

何度食べても、こればかりは慣れない


116 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/05(月) 22:30:25.23Vda05Ntfo (7/10)


ふと、目の前に差し出された飲料水のペットボトル

それの持ち手をたどった先の主は

深緑の瞳を向けて「無茶しすぎ」と言いたげに息をつく

天乃「ありがと」

夏凜「無理して食べなくてもいいんじゃないの?」

天乃「そんなこと言われたら、何一つ食事できなくなるわ。牡丹餅を食べるのはね、私の数少ない楽しみの一つなの」

――嘘だ

これを食べても楽しいことはない。ただ辛い、ただ苦しい

しかし、だからこそ自分が失ったものを改めて実感できるし

改めて自分への責め苦と出来る

そうだ。つまりこれは、エゴイズムに基づいた自傷行為だ

しかし、これを続けたいからいつも通りを求めたわけではない

ただ、本当に

東郷たちの日常生活という光を見ていたいから、だから求めた

けれど、今目の前にあるのは

いつも通りとは程遠い、罪悪感に沈められた東郷の表情だった


117 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/05(月) 22:49:40.91Vda05Ntfo (8/10)


東郷「……すみません」

天乃「どうして謝るの?」

東郷「私……」

角を握られた重箱がカタリと音を鳴らして

俯き、黒髪を垂らした東郷の体がかすかに震える

後悔している。自責している

――もう無理、耐えられない

言わないべきだとついさっき風達と話したばかりだというのに

東郷は、顔を上げて揺れる瞳を天乃に向ける

東郷「わた……しは」

天乃が望んでいることだと分かっている

望みをかなえるためにはそのままでいなくてはいけないことなんてわかっている

けれど、だけど――

ぎゅっと唇を噛み締めると、じんわりと鉄の味が広がっていく

東郷はそれでもなお、唇を噛みぎゅっと目を瞑って首を振る

東郷「……少し、一人にしてください」

言おうとしたこと

それを言うことなく、東郷は一人その場を離れた


118 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/05(月) 22:50:49.81Vda05Ntfo (9/10)


√ 5月7日目 昼(海岸) ※日曜日


1、風
2、樹
3、友奈
4、東郷
5、夏凜
6、一人でぼーっとする

↓2


119以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/05(月) 22:53:05.60aE21q6ek0 (2/2)

ksk


120以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/05(月) 22:53:26.16PBNlxPh5O (3/4)

1


121 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/05(月) 23:06:52.17Vda05Ntfo (10/10)


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば通常時間から




東郷さんは一人になるために壁の外へ……いかない


122以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/05(月) 23:20:19.68PBNlxPh5O (4/4)


東郷さん思った以上に精神的な傷が深いなあ…
しばらくそっとしておくべきかやっぱり慰めるべきかで悩むわ

久遠さんも勇者部も今は辛いかも知れないけどお互い何とか乗り越えていきたいな


123 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/06(火) 23:02:06.52nBOP9pRIo (1/5)


では、少しだけ進めていきます


124以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/06(火) 23:03:10.20wNY97AcGO (1/2)

よっしゃ


125 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/06(火) 23:14:03.48nBOP9pRIo (2/5)


肉眼で確認できる程度の距離ではあるが

勇者部は散り散りになっている

顔を合わせていても気まずい

必要以上に疲労する。だから、自然と足は別々に向かって行ってしまったのだ

けれど決して、誰も望んでこうなったわけではない

いわば、敷かれたレールの上を走る列車のようなものだ

風「……………」

勇者部の部長、犬吠埼風は砂浜に降りなかった

落下防止柵に両腕を置き、その上に頭を置く

髪に触れる潮風の鼻をつくにおい

しかし、それに気を取られることなくため息をつく

――何をしてるんだろう

皆が悩むことと同じこと頭の中で繰り返す

天乃「なに物思いに耽ってるのよ。風」

風「……別に。耽ってるわけじゃないわよ。ただ」

くるりと身をひるがえして

風は柵に腰かけ天乃を見つめる

風「今までどうしてたんだっけって、思い出をまさぐってただけ」


126 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/06(火) 23:23:22.87nBOP9pRIo (3/5)


天乃「……………」

夕日を背にしていれば映えるかもしれない

風の切なげな表情はそう思わせる

けれど、天乃は小首を振って目を向ける。逸らさない

しかし、風の瞳は天乃を見てはいない

足元に落ちたままだ。それは、

迷いの証

躊躇いの具現

犬吠埼風は、今、自分という存在が目の前の少女の前でどんな人間だったのか見失っているのだ

それは、いつも通りでいてほしいという天乃の願いによる焦り

苦しめてしまったという罪悪感からの重圧

天乃「……風」

風「上手く、上手くさ……勇者部として成り立たせようとしてるんだ」

けれど、上手くいかない

気まずいまま、重苦しいまま

自分がどうであったかですら曖昧なのに

周りの誰かを諭せるほど、器用ではないからだ

風「………っ」


127 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/06(火) 23:35:04.69nBOP9pRIo (4/5)


なんであんなことを言ったのか

なんで隠してきたことを打ち明けてしまったのか

わずかでも、天乃を責めようとする心があることに

風は強く歯噛みして、握りこぶしを作る

あれは久遠のせいじゃない。それは分かってる。けど

風「……………」

風には責めようとしてしまう理由

恨んでしまう理由がある。だから、こんなことにまでその感情は湧き出してしまう

風「いつも通りってさ。考えてみるとすごく難しいのよね」

天乃「そうね」

風「考えてやってたわけじゃないからさ。一度考えだすと……なんていうか」

そう。書き残さなかった即興小説みたいにどうしていたのか分からなくて

全部アドリブになってしまう。と

風は笑い交じりに告げて、息をつく

そして

風「考えたんだけど」

天乃「うん」

風「――休部、しない?」

風は乱れない瞳でそう口にする



1、なにを。言ってるの?
2、……決めるのは貴女よ
3、みんなは、なんて?
4、私の……せいなの?
5、何も言わない


↓2


128以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/06(火) 23:38:35.67wNY97AcGO (2/2)

1


129以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/06(火) 23:39:04.67meWaiHZvo (1/1)




130以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/06(火) 23:39:21.1684m0irzk0 (1/1)

4


131 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/06(火) 23:56:50.34nBOP9pRIo (5/5)


天乃「…………」

天乃はしばらく言葉を止めた

それに合わせるように、

吹きすさんでいた風が止まり、波の音が止み

つい先ほどまで普通に通っていた車ですら、音を消す

不可解な静寂の中、天乃はいくつかの考えを脳裏に浮かべたが

天乃「……決めるのは貴女よ」

答えならざる答えを返す

風は驚くこともなく、ただ、一瞬目を見開くと

ふっと笑うように息を吐いて目を伏せる

風「副部長、少しは考えてくれたっていいんじゃないの?」

天乃「ふふっ……お飾りだもの」

冗談で返す

そうすることが正しいと思ったわけではない

しかし、それだけが風の気持ちを変にゆがませないと判断したからだ

風「そっか」

調子のいいことばかり言ってくれちゃって。そう思う風は空を見上げて背中を支えるものがないと知りながら身を乗り出す

このまま落ちて頭を打ったら記憶をなくせないだろうかと……酷い考えをして

風「じゃぁ、アタシが決める」


――そしてこの日、勇者部の活動休止が決まった


132 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/07(水) 00:06:21.26krK72BuBo (1/9)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


一時休止、夕方がフリーになります
また、個人的に交流は可能ではあります


133以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/07(水) 00:15:31.7621DfSTwpO (1/1)


うーむ、九尾が言ってた痛い目見てこいってこういう事だったか…
勇者部が復活できるまで地道に交流するしかないな


134以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/07(水) 05:57:22.663255u6mVO (1/1)

ギスギスしたままいるよりはマシかもしれないが…優しいからこその崩壊かぁ
多分選択を間違えてるんだろうなどこでかは明確じゃないけど

…三周目でも展開にダブリがないとは攻略法が掴めないな


135以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/07(水) 07:53:29.909FfXD+5Io (1/1)

ちょっとずつバッググラウンドも変わってるからなぞるにもなぞれない
寝たきりじゃないから部のつながりがなくても交流できるのが救いか


136 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/07(水) 22:25:44.56krK72BuBo (2/9)


では、初めて行きます


137以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/07(水) 22:27:25.86IAukEPUKO (1/3)

うい


138 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/07(水) 22:34:22.73krK72BuBo (3/9)


√ 5月7日目 夕() ※日曜日


01~10 
11~20  夏凜
21~30 
31~40 
41~50  樹
51~60 
61~70 
71~80 友奈
81~90 
91~00 

↓1のコンマ  



139以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/07(水) 22:36:29.75EI/zbPDG0 (1/3)




140 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/07(水) 22:55:08.29krK72BuBo (4/9)


友奈「すみません、無理言って」

天乃「ううん、別にいいわ。帰っても特にやることはないだろうし」

そう笑う天乃の乗る車椅子を押す友奈は

天乃には表情が読み取れないと知って、曇らせる

少し前、風が全員に向けて言った一言

【風「今日から、勇者部はしばらく休部しようと思う」】

その宣言……いや、その問いかけに

誰一人として異論を唱えることは出来なかったのだ

そう

今ここにいる、勇者という言葉に思い入れのある結城友奈でさえも

友奈「……………」

だから、車に乗り込もうとしていた天乃を呼び止め

無理言って時間をもらった

夏凜や運転手に押して連れ帰りますから。と、無茶を言ってまで。

なぜ自分がこんなことをしているのか

そんなことをする必要があったのか、友奈自身わかってはいない


141 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/07(水) 23:01:50.33krK72BuBo (5/9)


少なくとも、今していることは

天乃が願ういつも通りの結城友奈とはかけ離れている

そう、自覚はしているのだが

しかし、連れ出すこと。わがままを言うことに躊躇いはなかった

つい先ほどまで、勇者部九部という唐突な出来事に

錯乱していた。と、言われればそれまでだが

けれど、そうではないと、友奈は首を振る

友奈「……久遠先輩」

天乃「うん?」

きゅるきゅると車輪が回る

時折かたんっと小石がけり出され、車体が揺れて

吹く風になびく華やかな桜色の髪が持ち手を握る手を撫でる

その優しさの温もりに、友奈は目を閉じ、足を止めた

友奈「今の勇者部、久遠先輩はどう思いますか?」

天乃「………………」

友奈「ぎこちない空気でした。それでも頑張ろうと話して……」

いや、きっと。頑張ろうと話した時点でダメだったのだ

そのときすでに、こうなることは決まっていたのだと。友奈は零れそうな涙をぬぐう

友奈「休部することになった勇者部を。私たちを……」


142 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/07(水) 23:07:49.74krK72BuBo (6/9)


どう思いますか?

友奈は最後まで言葉を続けない

続ける必要がなかった

天乃「……友奈」

いつの間にか振り向いていた天乃と視線が絡まる

罪悪感、焦燥感、悲壮感

明らかな負の感情渦巻く心と思考はそこから視線をそらそうとするが

友奈の瞳は張りつけられたかのように、動かない

天乃「泣いてるの?」

友奈「泣いては……いません」

泣きそうですが。そう付け加えることはせず

けれどもそれ以上の否定は出来ずに首を振ると

友奈は「教えてください」と、促した

友奈は天乃の答えが聞きたかった

しかし、その答えがとても――恐ろしい



1、ただ、申し訳ないなって
2、……仕方がないわ。時間も必要だと思う
3、頑張ってほしい
4、いつも通りでいようと頑張りすぎてるわ
5、……………


↓2


143以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/07(水) 23:12:59.22EI/zbPDG0 (2/3)

1


144以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/07(水) 23:13:52.50mFXpTwLfo (1/1)




145以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/07(水) 23:14:22.52IAukEPUKO (2/3)

4


146 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/07(水) 23:31:47.99krK72BuBo (7/9)


友奈のおびえているような表情が目に入った天乃は

唇をきゅっと結ぶと

首を横に振って答えを拒否し、前を向く

空気を裂くような車のエンジン音が遠方から流れ横を通り過ぎて

しかし、その二人の空気は微塵も影響なく、重々しい

友奈「……先輩」

ぎゅっと、持ち手を強く握る

風と違い、友奈は天乃に対する憎しみも怒りもない

この手に伝わる力強さは、自分のふがいなさへの責め

――だって、これは間違いなく私のせいだ

友奈は天乃の秘密を知った

あそこで、追及したりしなければよかったのだ

してしまったとしても、ここまで隠し続けてきたことなのだから

二人の秘密にしようと言えばよかったのだと

友奈は普段の前向きさを損ない、後悔し、呻く

友奈「……ごめんなさい」

その一言は限りなく小さい

しかし、それは限りなく大きな言葉だった


147 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/07(水) 23:39:41.06krK72BuBo (8/9)


天乃「っ」

天乃は振り返るべきか否か、ためらいに躊躇い、

膝の上の握りこぶしへの力の供給を過多にして、目を瞑る

振り向いて挙げるべきだ

抱きしめてあげるべきだ

貴女は悪くはないのだと、決めたのは私なのだと

そう、言いたい

しかし、それで何かが解決するのだろうか

この場の空気を収めることができたとして

それ以降、何か正しく道が切り開けるのだろうか?

――わからない

天乃「…………」

ふと空を見上げると

晴れていたはずの空はどんよりとした曇天に切り替わっていて

今すぐにでも降り出してもおかしくなさそうだった



1、ごめんなさい。私が悪いのよ
2、友奈……貴女だけじゃないわ。私も悪い
3、違うわ友奈。なにもかもバーテックスのせい。あれがいなければ、みんな幸せだった
4、帰りましょう。友奈
5、謝らないで。お願い
6、沈黙


↓2


148以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/07(水) 23:40:41.09EI/zbPDG0 (3/3)

5


149以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/07(水) 23:40:59.51IAukEPUKO (3/3)

1


150 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/07(水) 23:56:13.55krK72BuBo (9/9)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




天乃「悪い」

友奈「悪くない」

天乃「悪い」

友奈「悪くない!」

九尾「全部神樹が悪い!」

友奈「悪くな――くもない?」


151以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/08(木) 00:21:19.31yWTutgKUO (1/1)


まだ5月なのにもう終盤みたいな展開な上に矛先が神樹様に…

そういえば今作でも久遠さんは神樹様を恨んでるんだったっけ?


152以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/08(木) 07:55:29.28+np+rWTfO (1/1)


久遠さんにも友奈ちゃんにも迷いがみえるな…


153 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/08(木) 22:40:41.18TqitMhtro (1/8)


では、少しだけすすめていきます


154以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/08(木) 22:41:26.93mS6QBVoJO (1/4)

よしきた


155 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/08(木) 22:46:29.87TqitMhtro (2/8)


そんな暗雲立ち込める空の下

周りから切り取られたように沈黙する二人

その重苦しい空気を肺に溜め、

しかし、決して友奈のほうには振り向くことなく

天乃「ごめんなさい。私が悪いのよ」

天乃はそう、口にした

背後から呆然と息を吸い込む音が聞こえ、

天乃は友奈の表情と感情を悟る。けれどもやはり、振り向かない

なんでそんなこと

どうしてそんなこと

ううん、なんで、久遠先輩が

そう言いたいのだろう、そう考えているのだろう

それが分かっていながら。そして、分かっているにも拘らず

天乃「――言うと決めたのは、私だから」

続けて答えた天乃は、くすっと笑う

天乃「だから、私が悪いのよ」

友奈「っ」

友奈は首を振る

しかし、それは天乃の視界には映らなかった


156 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/08(木) 23:02:27.70TqitMhtro (3/8)


違う。そんなことはない

友奈は自分たちが何の役にも立てなかったから

あんな被害を出したから。と、元を辿って天乃の罪悪感を否定しようと唇を噛む

しかし、きっと。天乃はそれを認めない

なにせ、天乃にはもっと力があった

最初から本気で戦っていればよかったという罪悪感がある

どこまで行っても、結城友奈の罪には出来ない

勇者部の罪には出来ない

久遠天乃という最強にして最凶である存在であるがために

天乃は常に、その責を負わなければならない。と、決めている

自分が隊長だった二年前の喪失から

犬吠埼家の両親を死なせてしまったと知った時から

常に、目に見えない自傷行為を行う天乃は、空を見ると

ぽつりと、しずくが天から落ちる

それは一つ、また一つ、延々と増え続け

ザァァァァァっと、降り注ぐ豪雨となって二人を襲う

しかし、二人は何も口にしない。ただ、雨に打たれ

ともに悲痛な表情を浮かべ、しかし、互いにそれを確認しあうことなく、時間を過ごす

友奈「……ごめん、なさい」

大雨の中、その微かな呟きは誰にも届くことはなかった


157 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/08(木) 23:06:25.62TqitMhtro (4/8)


√ 5月7日目 夜() ※日曜日

01~10  樹海化
11~20 
21~30 
31~40 
41~50  樹海化
51~60 
61~70 
71~80 
81~90 不審者
91~00 

↓1のコンマ  




158以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/08(木) 23:07:07.76mS6QBVoJO (2/4)




159 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/08(木) 23:11:11.68TqitMhtro (5/8)

√ 5月7日目 夜(自宅) ※日曜日

1、九尾
2、死神
3、素戔嗚
4、獺
5、稲荷
6、イベント判定
7、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
↓2

※7は電話  ただし、沙織以外は判定が必要です


160以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/08(木) 23:15:16.49mS6QBVoJO (3/4)

1


161以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/08(木) 23:15:31.93AWuwURkZ0 (1/2)

2


162 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/08(木) 23:21:48.12TqitMhtro (6/8)


窓に衝突する雨風の騒音

いつもなら月明りを入れる部屋もさすがにと電気をつけて明るくする

普段とは違うその景色が

周囲の変化を連想させ、天乃は深々と息をつくと

死神さん。と、元気のない声で呼ぶ

死神「ダイジョウブ?」

天乃「ええ、お風呂には入ったから」

車椅子も制服も残念ながらまだびしゃびしゃではあるが

入浴済みの天乃はすでに問題はなくなっていた

と、言っても、体の気怠さは感じるのだが

死神「ゲンキ、ナイヨ?」

天乃「……わかる?」

死神「ワカル」

そして、知ってる。と

死神は頭蓋の奥、赤い瞳で天乃を見つめて頷く

精霊だから。というわけではないが

天乃と勇者部そして友奈とのやり取り

そのすべてを、死神は見聞きしていたからだ


163 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/08(木) 23:26:07.09TqitMhtro (7/8)


死神「ワタシニ、ナニカ、シテホシイコトガ、アルノ?」

普段なら、

死神は頼られたことを喜んで、明るく言うのだが

このときばかりはあまり嬉しそうではない

というのも、天乃自身が元気がなく、沈んでいるからだ

もっとも、勇者部の休部に続き友奈との会話

罪の押し付け合いではなく

罪の奪い合いというなんとも珍妙な未解決なそれがあった後だ

さすがの天乃も、元気なままではいられない

天乃「貴女、何かできたかしら」

死神「タクサン、デキルヨ」

くるりと回った死神は

ものすごく短い両手を羽のようにパタパタと振って見せる

頼りない矮躯ではあるが、とても頼れる存在だ


164 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/08(木) 23:50:09.35TqitMhtro (8/8)


天乃「……そうね」

小さな体を見つめて、天乃はクスリと笑う

しかし、その笑みにはいつものような明るさはまるで感じられない

寂しさと、悲しさだけが、うごめくその笑みに

死神は視線を注いで「クオンサン」と呼ぶ

天乃「なぁに?」

死神「シテホシイコト、ナイノ?」

天乃「してほしいこと……か」

そもそも、なぜ死神を呼んだのか

疲れているのなら寝ればいい

悩みが解決しないのなら落ち着くために眠ればいい

考えが変わらない頑固さが邪魔なのなら

一日おいて、考えればいい

なのに、なぜ――


1、先代勇者について
2、精霊について
3、一緒に寝よう?
4、私、間違ってたかな
5、ねぇ、貴女っていったい何者なの?


↓1


165以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/08(木) 23:50:59.19AWuwURkZ0 (2/2)

4


166以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/08(木) 23:52:10.42mS6QBVoJO (4/4)

4


167 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/09(金) 00:00:14.96T+sY8HQAo (1/5)


ではここまでとさせていただきます
明日も出来れば通常時間から


168以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/09(金) 00:08:39.23EJ5ywKUTO (1/1)


久々に呼んだけど何気に今作の久遠さんは死神に弱音を吐いてる事が多い気がする
やっぱり溜め込むのは、ダメ絶対


169以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/09(金) 06:19:32.07pqHr/wTzO (1/1)

もはやシングルプレーじゃないかww
不人気安価スレおっつー(笑)


170以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/09(金) 12:32:01.14i6G3BUHpO (1/1)

なんだこいつ


天乃自身が精神的に参ってるのって意外と久々かも


171 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/09(金) 23:17:01.70T+sY8HQAo (2/5)


では、ほんの少しだけ


172以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/09(金) 23:19:16.763cC2aYSVO (1/1)

やったゼ


173 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/09(金) 23:21:51.91T+sY8HQAo (3/5)


天乃「そうね……ちょっと、聞いてほしいかな」

天乃がそういうと、死神は「ワタシ、デイイナラ」と、

少し不思議そうに答える

無理もない。相談事で向いているのは死神ではなく九尾だ

大人な意見。と、言えるのかはともかくとして

まともな意見、議論、反論が貰えるのも出来るのも

どちらかと言えば九尾だからだ

しかし、天乃は「うん、いいの」と笑みを向ける

自分がどうして死神を選んだのか

なぜ、死神にこんなことを言おうと思ったのか

それはきっと、先日九尾と話したせいだろう。と、天乃は思う

天乃「私……間違ってたかな」

聞くのは、その一言

死神たち精霊が見守ってくれているのは知っているから

だから、それだけで十分だった


174 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/09(金) 23:28:56.67T+sY8HQAo (4/5)


天乃の言葉の意味を理解した死神は

その場にただ、浮遊すると赤い瞳で天乃を見据える

天のが嘘をついているかどうか

それを見抜こうとしているのではない

天乃が今、何を思い何を考えているのかを、感じ取ろうとしているのだ

残念ながら今の死神には九尾のような頭の良さはない

だから、真面目な回答をしなければいけないのなら

それ相応の時間が必要になってくる

けれど、これがそう、時間をかけられるものではないと

見ていた死神は分かっている。だから、目には見えない焦りを抱いて死神はくるりと回る

死神「クオンサンハ、マチガッテタト、オモッテ、ルノ?」

天乃「質問に質問とは、高度な技を使ってくるじゃない」

もっとも、そんなのは高度でも何でもないのだが

少し茶化して言った天乃はそうね。と、小さく零す


175 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/09(金) 23:48:37.94T+sY8HQAo (5/5)


自分はどう思っているのか……

そんなものは当然、聞かれることだと、

天乃は何気なく天井を見上げると、息をつく

さっきは雨が降ってきた空は、人工の白い天井に覆われていて、何も落ちてはこない

ただ

人工灯のまぶしさがあるだけ

しばらく沈黙が続いたが、天乃はもう一度ふぅ……と、息を吐くと

ゆっくりと死神に視線を移す

天乃「私は……私はたぶん。間違ってると思ってるんだと思う」

だって、死神に聞いているのだから

不安がないわけがない。恐れていないわけがない

そして、今の気持ちを考え

勇者部の現状を鑑みれば、おのずと答えは出るというもの

死神「イツカハ、ハナサナケレバイケナイコト」

天乃「それは分かってるの。だから、話したわけだし」


176 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/10(土) 00:01:16.45WCgd0Qxco (1/2)


問題はそこじゃない

そのあと、どうしたのか。だ

全員に話すことは致し方ないことだった。と、割り切ることもできなくはない

けれど、そのあと時間を空けることなく、

全員でのお出かけを希望し、その時の風のあの発言に、何も言わずただ任せてしまったこと

それは致し方ないことだとは言えない

自分が選んだこと、決めたこと

その結果が、【勇者部の休部】なのだから

風は全員が余計に接しなければいけない部活という時間を切り離した

つまり、風は時間を空けるべきだと判断したということになる

天乃とは正反対に……

天乃「そしてその意見に、誰も異論を唱えることはなかった」

だから、そう。要するに

そういうことなのだ

今日のあの時間は誰も望んでなんていなかった

それを踏まえれば――明らかに天乃の選択は間違いだった。ということに他ならない

死神「クオンサン……」

天乃「……牡丹餅で無理したせい、でもあるんだと思う」

とことん、失敗したなぁ。と、冗談めいた悪態をつきながら。天乃は呻いた


177 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/10(土) 00:02:41.73WCgd0Qxco (2/2)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




昼の部


178以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/10(土) 00:10:09.47T2OST+/FO (1/1)


しばらくの間は勇者部のみんなと距離を置いて様子を見た方がいいかもしれないな…
夏凛ちゃんに関してはまだ大丈夫だと思うけど


179以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/10(土) 00:24:41.06k/SDTuh9O (1/1)


やっぱり安価ミスかぁ…そして昼の部ってまさか…


180以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 16:03:42.79F8o0YqW/O (1/1)

今日も忙しい?


181 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 18:17:30.38v/kdeefVo (1/21)


では、本日は進めていきます


182以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 18:24:55.80fs8jBlOhO (1/8)

待ちくたびれたぞ


183 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 18:29:19.05v/kdeefVo (2/21)


死神「バラバラ……ダメ、ゼッタイ」

天乃「それは私も分かってるわ。分かってるけれど……」

死神の感情の起伏の感じられない声に

天乃は目を向けることなく、独り言のように呟く

天乃は死神と話しているが、自分に対しても、問いかけたかったのだ

どうすべきか、どうしたいのか

ここまでミスを犯してきたことに怯えてしまっているであろう自分に

しかし、ため息が漏れ気落ちするばかりで

答えは一向に見えてこない

天乃「どうしたらいいのか、分からないの」

死神「………………」

まじまじと感じられる視線

けれど、天乃は照れた笑みを浮かべず

自虐的な笑みを浮かべて、死神を見る

今はまだ。時間が必要なのかもしれない

天乃「銀を失ったあともそう……駄目ね。全然ダメ。私は二年前から、何も変われていないのね」

どこか他人ごとのように、天乃はつぶやく

死神はただただ、悲しげに主を見つめていた


184 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 18:34:00.86v/kdeefVo (3/21)

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流有(遊び、休部について決めるのは風)
・   犬吠埼樹:交流有(遊び)
・   結城友奈:交流有(遊び、沈黙、悪いのは私)
・   東郷美森:交流有(遊び、牡丹餅を食べる)
・   三好夏凜:交流有(遊び、牡丹餅を食べる)
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流有(遊びに関して、久遠家の伝統)
・       死神:交流有(間違っていたこと)
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



5月7日目 継続 終了時点

  乃木園子との絆 25(中々良い)
  犬吠埼風との絆 38(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 31(中々良い)
  結城友奈との絆 49(少し高い)
  東郷三森との絆 35(中々良い)
  三好夏凜との絆 21(中々良い)
     沙織との絆 39(中々良い)
     九尾との絆 32(中々良い)
      死神との絆 31(中々良い)
      稲狐との絆 28(中々良い)
      神樹との絆 7(低い)

 汚染度43%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します


185 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 18:41:02.58v/kdeefVo (4/21)


√ 5月8日目 朝(自宅) ※月曜日

01~10 
11~20 大赦
21~30 
31~40 
41~50  大赦
51~60 
61~70 
71~80 沙織
81~90 
91~00  イベント

↓1のコンマ  


186以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 18:41:49.81fs8jBlOhO (2/8)




187 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 19:10:36.32v/kdeefVo (5/21)


√ 5月8日目 朝(自宅) ※月曜日


1、九尾
2、死神
3、素戔嗚
4、獺
5、稲荷
6、イベント判定
7、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
8、勇者部部室
↓2

※7は電話
※8は勇者部直行。ただし、判定有


188以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 19:13:56.24ZJqSBDVn0 (1/3)

7


189以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 19:14:18.85fs8jBlOhO (3/8)

1


190 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 19:35:57.98v/kdeefVo (6/21)


登校までの空き時間

ぼうっとどんよりとした外を眺めていたが

その憂鬱な気分を吐き出すようにため息をつくと

ドアに視線を移し、「九尾」と、名を呼ぶ

いつものように忽然と。ではなく

一般人であるかのようにドアを開け入ってきた九尾は

天乃とは正反対に、どこか愉し気な笑みを浮かべていた

天乃「……なに?」

九尾「くふふっ、いや、なに。自分の撒いた種が芽吹き、それに足を取られた愚かな農民を馬鹿にしているだけじゃ」

天乃「正直者は救われないわよ……まぁ、事実である以上。仕方がないことだけど」

いつもの張り合いがない天乃の返しを受け、

九尾は呆れ交じりに肩をすくめると、

金色の髪をかき上げ、赤い瞳で天乃を捉える

九尾「休む時間も必要だと、東郷も言うておったであろう。なぜ、あのようなことを言った……馬鹿者」

その理由はすでに知っている

けれど、それは言わなければならない。と、九尾は言葉を口にする


191 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 19:49:04.69v/kdeefVo (7/21)


天乃「本当に、ね」

天乃は自分に向けてため息をつき

相変わらずの嘲笑を浮かべると

先日のことを思い返して、くすくすと笑う

そこには全く、楽しいという感情は感じられない

夏凜はあの時、「本気?」と聞いてきた

その言葉が本当に表していたことを

今更、理解して

天乃「夏凜もこうなることが分かってたのに……」

九尾「あの娘も意外に聡い。ただ、それを言動とすることに怯えておるだけで」

天乃「………………」

夏凜でもわかっていたのに。なんて

夏凜を馬鹿にしているようなことを言うつもりも思うつもりもない

しかし、他にもわかっている人がいたのに

一番の当事者ともいうべき自分の思慮の浅さに

ほとほと、呆れて

天乃「馬鹿ね、私」

自虐的にそういうと、九尾はそういうておるじゃろう。と返した


192 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 20:11:24.42v/kdeefVo (8/21)


九尾「して、主様はどうするつもりじゃ?」

天乃「………………」

何も答えない

違う、何も答えられない

天乃は今、迷いの中にいる

だから、九尾の問いには何も答えられない

どうすべきかと考えるたびに

次も失敗してしまう可能性が、天乃の腕をつかんで笑いかけるのだ

本当にそれでいいの? 本当に間違ってないの?

ここまで失敗続きなのに、そんなに簡単に決められたの? と

九尾「ふむ……」

沈黙を保つ天乃を見つめ

九尾は声を漏らし、自分の髪を撫でる

――これは重症だ

九尾「では主様、問おう。なぜ妾を呼んだ」



1、学校、休みたい
2、どうしたらいいのか。教えて
3、バーテックスは大丈夫そう?
4、貴女なら。怒ってくれるかなって
5、私ってやっぱり、誰かの中心にいるべきじゃないのかもね


↓2


193以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 20:13:18.75fs8jBlOhO (4/8)

2


194以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 20:13:29.28AieA66kHo (1/1)




195以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 20:13:45.99ZJqSBDVn0 (2/3)

2


196以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 20:17:52.77fs8jBlOhO (5/8)

これは下かな


197 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 20:28:58.02v/kdeefVo (9/21)


天乃はぐっと下唇を噛むと

俯いていた顔を上げ、九尾を見る

悔しいが、九尾の方が頭がいい。というよりも

こういったことに関しての打開策は

基本的には九尾向きだ

人生経験から考えてもそうだが、

人の頭の中を覗いているかのような答えも時折する九尾の思慮深さというべきか

そういうものには頼らざるを得ない

天乃「どうしたらいいのか。教えて」

九尾「どうすべきか……か。まずはなぜ、小娘共がおかしくなったのかを考えてみよ」

おかしくなった。というのはいささか過剰表現ではあるが

いつも通り出来なくなったのは事実だ

その理由は言うまでもなく

今までの自分たちの気遣い交じりの行動がすべて

逆に天乃を苦しませ、辛い思いをさせていたと知ったからであり

にもかかわらず、そのままでいてほしいと天乃に求められてしまったからだ


198 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 20:37:13.66v/kdeefVo (10/21)


天乃「私が味覚の件を話して、いつも通りを望んだから。よね」

それに関しては分かっていたつもりだ

分かっていたからこそ

いつも通りでいてくれても大丈夫だと

そんなに気負わなくても平気なんだと示したかった

なのに……

九尾「うむ。しかし主様。人間というものは恐怖と比例して思慮深くなるものじゃ」

物事を恐れれば恐れるほど

思慮深く、あれもこれもと考えていく

そしてその結果、良い答えを導き出すことができることもあれば

どツボにはまって何も出来なくなってしまうこともある

悪いことだとは言えないが、良いことだとも言えない

勇者部はまさに、そのような状態だと言える

しかし、ここで問題となるのは

九尾「勇者部には思慮すべき時間がなかった。ゆえに焦り出した小娘共には何も出来なくなった」

それは残念ながら当然の流れだ。と、

九尾は続けて言う

九尾「主様を喜ばせたい気持ちはある。だが、それは以前にもあった。それらが裏目に出ていたと知ってしまったがゆえに。な」


199 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 20:55:05.07v/kdeefVo (11/21)


天乃「……そっか」

九尾「今は時間をくれてやれ。主様ができるのは小娘共が戻った時にお帰りと言ってやることだけじゃ」

そう、それだけでいい

きっと、各々の答えを見つけて勇者部はまた集まることができるだろう

その時に、謝罪を口にするであろう勇者部の全員に

気丈な振舞いをしたりするのではなく、

ただ、そう言ってあげればよいのだと九尾は言う

天乃「お帰り……ね」

九尾「娘共がいること。それだけでよいという意思表示はそれで十分じゃ」

しかし問題は

問題の荒波にもまれている現状、

鮫だの雷雨だののさらなる追撃に襲われる可能性がわずかながらあることだ

そうなってしまえば、ただでさえ不安定な勇者部は本当に瓦解する

そしたらもう、そう簡単に修復できるという保証はなくなる

余計な一手、過ちの連続

それがどれだけ響くのか

九尾は珍しく悩ましげに眉をひそめていた


200 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 21:03:28.92v/kdeefVo (12/21)


√ 5月8日目 昼(学校) ※月曜日

沙織との交流が可能です

1、沙織
2、イベント判定
3、勇者部部室

↓2


※勇者部メンバーとの交流は九尾の助言で自粛中


201以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 21:06:24.85SKWIB0R4o (1/1)




202以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 21:06:55.68fs8jBlOhO (6/8)

1


203 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 21:25:05.00v/kdeefVo (13/21)


沙織「聞いたよ、久遠さん」

天乃「……そう」

何を聞いたのか、それを言わず聞かず

しかし二人はその言葉だけ理解し、天乃は短く言葉を返すと

いつも通り、九尾の作った無味の弁当を口にする

嫌に口に残るようなパサついたものや

どろっとしたクリームやチーズなどは一切使っていない弁当

一度噛めばポロリと崩れて飲み下せるジャガイモなどの

あえて柔らかく、咀嚼回数を節約した煮物を見て思えば、そう

九尾が作る料理は味覚のない天乃にはとてもありがたい物ばかりだった

沙織「それでね、久遠さん暇になったならデートしない?」

天乃「え?」

予想だにしていない

いや、それどころか脈絡さえないような言葉に

思わず箸を落としかけて、慌てて力を籠めると

微かにミシッ……と、音がした


204 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 21:36:23.91v/kdeefVo (14/21)


天乃「デートって、貴女何言って」

沙織「んー……そこで照れてくれないのは、女の子として少し残念だよ」

沙織は箸の先を唇に当て

そういうと、冗談めいた笑みを浮かべる

天乃が男子生徒ならともかく、女子である以上

それは普通の人からしたら冗談でしかない

もちろん、沙織も冗談で言ったのだが

天乃が男女どちらに興味があろうと、今はそんなことで照れる余裕なんてないと

言われずとも、分かっているからだ

沙織「今までは部活があるから遠慮してたけど、ないよね?」

天乃「それはそうだけど、だからって。今この流れで言うこと?」

沙織「どうせ、久遠さんのことだから一人になったらみんなのことで悩みだすでしょ?」

分かり切ったように言う沙織を見て、天乃は息をつく

そうかもしれない

九尾には放っておくべき。というようなことを言われたが

だからと言って片時も考えずにいられるのかと言われればそんなことはない

つい先ほどだって、九尾とのことがなければ

確実にお昼に誘いに行っていたし、あった今でも。少しだけ考えてしまっている


205 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 21:47:16.09v/kdeefVo (15/21)


天乃「けれど、それならデートなんて言わなくても良いと思うけど?」

沙織「……久遠さん、元気ないからね」

沙織は少し寂し気に笑う

天乃の元気がないから、少しでも気が引きたかったし

それで少しでも気を紛らわせてあげたいと思ったのだ

周りの男子や女子の驚愕に見開かれた目や

ああ、やっぱりか。なんていうなぜか納得した眼差しを感じながら

沙織は天乃だけを見る

沙織「どう、かな? 久遠さん。あたしとデートしない?」

天乃「………だから、デートって」

そういった理由は分かったが

分かったからこそ繰り返さなくても良いと思うけど。なんていう意味でのため息をつく

天乃「デート、ね」

確かに暇だ。時間的余裕はたくさんある。が……


1、する
2、しない


↓2


206以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 21:52:00.30fs8jBlOhO (7/8)

1


207以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 21:55:13.00ZJqSBDVn0 (3/3)

1


208 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 22:07:23.97v/kdeefVo (16/21)


天乃「……そうね。たまには出かけるのも悪くないわ」

沙織「デートに?」

天乃「暇つぶしに」

沙織の嬉しそうな冗談に

天乃は半分ほど乗っかって笑みを見せる

一緒に出掛けることがデートというのなら

これはデートに他ならない

けれど、同性のそれがデートと言えてしまうのなら

よく見る男子生徒の放課後寄り道もデートになってしまうのだが……

天乃「沙織がエスコートしてくれるのかしら?」

沙織「えへへ。あたしには108通りのデートプランがあるよ」

天乃「煩悩まみれの計画は遠慮したいわね」

冗談とわかっているから冗談で返せる

そして、その返しを冗談だと分かってくれるから冗談が言える

今はその関係がとてもありがたいと、天乃は思う

気がまぎれるのは、確かなことだった


209 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 22:22:09.13v/kdeefVo (17/21)


√ 5月8日目 夕(学校) ※月曜日

01~10  先生
11~20 
21~30 
31~40  夏凜
41~50 
51~60 
61~70 大赦
71~80 
81~90 
91~00  ばてくす

↓1のコンマ  


210以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 22:23:39.692aB661wRO (1/1)

ほい


211以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 22:23:46.97GgVz4gjQo (1/1)

さて


212 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 22:44:49.85v/kdeefVo (18/21)


放課後、HRが終わるや否や

さぁ、デートに行こう。といきり立った沙織の横を通り過ぎた担任教師は

天乃の前に立ち、その目が向けられると

久遠。と、声をかけた

天乃「はい?」

「応接室に君に会いたいという人が来ている」

天乃「………拒否権はありますか?」

そんなものがないことは明白で

言いつつも天乃はため息をついて、肩をすくめる

天乃「分かりました」

残念そうな沙織が視界に入ったが

おそらくは大赦の呼び出しだ。どうしようもない

それを分かっているから、沙織も苦笑する

沙織「仕方がないね。少しだけ待ってるね」

天乃「ええ、ごめんなさい」

少しだけ。というのは少し薄情な気もするが

天乃に限って言えば

そうでも言っておかないと勝手に罪悪感を覚えるのが目に見えているから、仕方がなかった


213 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 23:01:08.59v/kdeefVo (19/21)


沙織と別れ担任に付いて応接室へと向かうと

座っていた男性が顔を上げた

「これはこれは、お初にお目にかかります」

天乃「……そうね。瞳じゃなければあの時の女の人でもない。誰? 貴方」

今までは殆どの連絡係が女性だったが

今回はなぜか男性で、しかも見覚えのない軽そうな風貌

スーツを着込んではいるが、残念ながら不似合だというしかない男性は

眼鏡をクイっとあげると

「二人で話しても?」

「……ええ」

担任教師を下がらせ、天乃と二人きりになったのを確認すると

これを。と、カバンの中から資料を取り出した

天乃「……なに? お見合い写真でも持ってきたわけ?」

「その様子ですと、久遠家のしきたりについてはご存知のようですね。ですが、今回はその件ではございません」

天乃「無理に下手になる必要はないわ」

「さようですか」

訝しげな天乃の視線に目もくれず

そして、われ関せずと笑みのままの男性は、とりあえずそれを見てください。と、促す


214 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 23:25:58.73v/kdeefVo (20/21)


天乃「な、なにを言っているのか良く分からないんだけど……」

資料に目を通した天乃は思わず、そんな声を漏らす

相変わらずニコニコと不気味な笑みを浮かべる男性は

そんな難しいことは書いていないと思いますが、と、頭をかく

天乃「確かに書いてあることは簡単よ……言うは易し。という言葉通りに」

困った様子を見せてはいるが、困っているような雰囲気は全くない

むしろ、驚くことは想定内で

あからさまに不服そうな表情を見せてくることも想定内だと言いたげだった

「ええ、確かに。通常の戦力ではまず不可能でしょう。しかし、久遠様ならば不可能ではない」

天乃「私に死んで欲しいのなら、はっきりそう言いなさい」

「まさか、そんなはずがありません。貴女ほどの力を失うわけにはいきませんから」

冗談じみた言い方ではあるが、事実なのだろう

男性は今度ばかりは困った笑みを浮かべる

「先日出現した集合型バーテックス。通称、レオ・スタークラスターを屠った久遠様ならば、可能でしょう」

天乃「……何も知らなそうだから言うけれど。私はあの状態では精霊による守りのない。いわば攻撃全振りなの。間違いなく死ぬわ」

前回の戦いだって、

勇者部がいて敵勢力が僅かだったから問題なく力を行使することができたのだ

多勢に無勢だったとしたら、もう一つの隠し玉。満開を使う他ない


215 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/11(日) 23:29:11.59v/kdeefVo (21/21)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
出来るだけやる予定ではありますが、今しばらく、休みは多くなりそうです




「そうですか、じゃぁ満開使ってください。死にはしませんし」

九尾「お前の魂が散華してから考えてやろうぞ」


216以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/11(日) 23:35:12.41fs8jBlOhO (8/8)


このタイミングでゲスい方の大赦がきたか…
これ以上追い詰められる前にあとでさおりんに癒してもらおう


217以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/12(月) 08:12:24.40D1ITkJlUO (1/1)

まだ内容が出てないからゲスいとは限らない
ただ久遠さんの反応的に良くなさそうではあるな


218 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/12(月) 21:56:35.01C8tNqD2Jo (1/9)


では、すこしだけ


219以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/12(月) 22:00:31.25kKK+yiuEO (1/3)

はい


220 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/12(月) 22:08:46.96C8tNqD2Jo (2/9)


「死ぬ……とは、久遠様の得意な嘘ではなく?」

天乃「信用ならないのは仕方がないけれど、事実よ」

男性の怪訝そうな瞳に、天乃はさして気にすることなく答える

今まで、と言ってももう二年も前のことだが

信用できない相手だと思わせるには十分なくらいにはいろいろなことをした

だから、気にするだけ無駄だ

「そうですか……しかし、久遠様はあの力を使わずとも十分な力を持っています」

天乃「……そう」

まだ最後まで言っていないが

天乃は納得したように独り言ちて、その虚空を見るようなまなざしに

冷酷であれと自身に言い聞かせてきた男性は僅かに気を惹かれ、首を振る

「考えるだけでも考えてください。ただし、勇者部の皆さまにはご内密に」

ピッと自身の口元に人差し指を立てる男性

行動は子供らしさが見えるがその実、年齢は天乃の倍以上だ

少々、寒気がする

男性はあからさまに引きつった表情を見せた天乃を一瞥すると

それでは。と、一礼して一人先に退室する

一人きりになった応接室、ふかふかのよさげなソファで

天乃はなぜか強い疲労感を覚え、背もたれに体を預けて天井を見上げて息を吐く


221 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/12(月) 22:15:36.30C8tNqD2Jo (3/9)


天乃「……ふざけないでよ」

死ぬのが惜しいとか言いながら

提示してきた資料に目を通してみれば、死ねと言っているような命令書

もちろん、自分の力に期待してのことであると理解はしている

しかし、先ほども言った通り、なんのリスクもない力ではないのだ

それを告げたうえで【十分な力を持っています】と、来るとは

相当、死んでほしいらしいと。天乃は苦笑する

あの後に続く言葉は容易に想像できた

天乃「……だから、どうかよろしくお願いします」

そう来ると分かったからあの短文を述べた

頭を下げさせない、願わせない

あの男性はひょうひょうとしている反面

その一言で察してくれるほどにはまともだった様で、強行せずに考えてくれとは言ったが……

天乃「勇者部のみんなには内密に……ね」

それはそうだ。と、資料の一文を見つめる

――結界外バーテックス討伐作戦

今のみんなは足手纏いだ。ただの餌だ

だからこれは決して、知られるべきことではない


222 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/12(月) 22:26:13.43C8tNqD2Jo (4/9)


考えるだけと言われても

考えることさえままならないまま

気づけば一時間と少しの時間が経っていて

もう帰ってる頃だろうと半ば残念そうに昇降口へと向かった天乃を

部活をしている運動部、文芸部ではなく

帰宅部であるはずの女子生徒が、見つめた

沙織「意外と、長かったね」

天乃「……帰らなかったの?」

沙織「んー」

弄っていた端末を胸ポケットに押し込んだ沙織は

少し困った様子で笑みを浮かべると「いろいろあったからね」と、答える

天乃「そう、よね」

何があったのかは聞くまでもない

沙織は天乃の監視、専属巫女

その彼女が、今回の一件を聞かされていないわけがないからだ


223 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/12(月) 22:31:29.98C8tNqD2Jo (5/9)


車での送迎を断り、沙織との下校をしながら

沙織からいかにしてそんなふざけた作戦が提示されたのかを教えてもらった天乃は

深々とため息をついて「臆病風に吹かれたわね」と、呟く

もちろん、一般人としてはどうしようもなく抗いがたい絶望なのだから

そうなるのも無理はないのだが

沙織「レクターは正直、現状の戦力では久遠さんでしか対処できないと思うんだ」

天乃「レクター?」

沙織「レオスタークラスターの略称。いちいち面倒だし」

最凶を略称で呼べる沙織はさすが巫女。と、言うべきなのか

ただのおバカさんだというべきなのか

きっと、大赦の全員が沙織と同じ精神だったら――

……それはそれで恐ろしいことになりかねない

笑みを浮かべる沙織はだから。と、続けて

沙織「レクターになる前に星屑とバーテックスを消し去って貰いたいんだと思うんだよね」


224 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/12(月) 22:41:23.31C8tNqD2Jo (6/9)


そんな命を危険にさらすような作戦を

天乃一人にやらせた挙句

それが完遂したあとどう動いてくるかを予見した沙織は

不満そうに眉を顰めて「気に入らないなぁ」と、呻く

天乃「何が?」

沙織「だって、後顧の憂いが無くなれば安心して久遠さんの力を次世代に回せるでしょ?」

天乃「なるほどね」

だからこその【今回は】という言葉だったのだろう

その醜悪な作戦は蹴とばしたくもあるが

しかし、確かにレオ・スタークラスターと名付けられたあの集合体は強敵だ

一回目であの火力。では、二回目はどうなのか

いや、そもそも

あれをあらかじめ用意したうえでさらにたくさんの戦力を用意して来たらどうなるのか

それはあまり想像したくはないことだった

沙織「あ、ところで久遠さん」

天乃「うん?」

沙織「予定通りデート、行く?」


1、そう、ね
2、デートはしないで家に行きましょ。少し真面目に話すべきだわ
3、ごめんなさい。止めておくわ


↓2


225以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/12(月) 22:44:20.65XP+2jLpi0 (1/1)

1


226以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/12(月) 22:45:12.368Cuo679jo (1/1)




227以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/12(月) 22:45:20.68kKK+yiuEO (2/3)

2


228 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/12(月) 23:00:42.38C8tNqD2Jo (7/9)


天乃「デートはしないで家に行きましょ。少し真面目に話すべきだわ」

沙織「それもそうだね……世界が危険にさらされる以上。簡単な拒絶ではだめだもんね」

男性が考えてくれと言ったからではなく

この世界や勇者部のみんな、世界中の人々

それを守るためにはどうすべきかを、考える

世界に嫌われていようと

天乃はそういう、性格だからだ

沙織「お泊りセットいる?」

天乃「……真面目な話、するんだからね?」

ぼけたつもりのなさそうな沙織の笑みに

天乃は相談相手はこれでいいのだろうかと、少し不安げにため息をついて、苦笑する

沙織だって真面目な時は本当にまじめだ

真面目でないときもあるが

きっと、今は真面目なのだ。【長い話になる】そう見越しての言葉だろうから

沙織「九尾さんも呼んだほうがいいね。いずれにしても力を借りるんだし」

天乃「そうね」

二人でそう決め、天乃は沙織を連れて、自宅への帰路につく

道中、事態の深刻さに比べ、沙織の機嫌は良かった


229 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/12(月) 23:27:05.83C8tNqD2Jo (8/9)


√ 5月8日目 夕(自宅) ※月曜日  延長



九尾「ふむ……なるほどのう」

沙織と話した通り、九尾を呼んで資料を見せると、

確かに必要なことかもしれないが。と彼女は唸る

天乃の壁外戦闘

そのことを考えているようにも見えるが

その瞳はどこか懐かしそうに、遠くを見ているようにも見える

天乃「で、どうするべきだと思う?」

資料を手に持ったままの九尾から沙織へと目を移し、問う

沙織「あたしは反対。かな……確かに守るためには必要かもしれない。けど。バーテックスが簡単にやられてくれるとは思えない」

天乃「……それは当たり前だと思うけど」

沙織「それに、久遠さん一人に全部押し付けるなんて、そんなの絶対間違ってるよ」

天乃しか決定打がない。というのは分かっていても

沙織は受け入れがたいと言いたげに不満をこぼして、天乃の肩に頭を乗せる

沙織「せめて乃木さんとか。三好さんだけでも連れていくべきだよ」

友奈達は確かに経験不足だが、その二人は他に比べて経験豊富で

決して戦力不足とは言えない

それさえも連れて行かせようとしないのなら、それこそ

死んでほしいと思っているとしか思えなかった


230 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/12(月) 23:40:41.90C8tNqD2Jo (9/9)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



九尾「開幕満開で神樹含め辺り一帯消し飛ぶぞ」

沙織「久遠さんに殺されるなら、良いよ」

天乃「いやよ。貴女には死んでほしくないわ」


231以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/12(月) 23:49:47.05kKK+yiuEO (3/3)


やっぱり今作もダメ組織な大赦ェ…
デート中止は致し方ないけどその分お泊まりしてもいいのよ?


232以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/13(火) 00:21:33.92LMBgRPZVO (1/1)

別にダメ組織ではないだろ
致し方ない選択としてお願いできないかと来てるだけなんだし
レオの超火力に怯えるのはしかたねぇさ


233 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/13(火) 21:39:42.563RxRns6no (1/9)


では、少しだけ


234以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/13(火) 21:43:39.99KSVa3Z1ZO (1/4)

よしきた


235 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/13(火) 21:54:29.123RxRns6no (2/9)


九尾「三好の娘は無理じゃろうな」

沙織の言葉に、黙り込んでいた九尾が口を挟む

横槍を入れられるとは思っていなかったのか

沙織は一瞬、驚いた表情を浮かべると

天乃の枕をぎゅっと抱きしめて

沙織「どうして?」

と、匂いを嗅ぐ

すぐ横から何してるのよ。と

怪訝そうな声が聞こえてきたが、

沙織は九尾を見つめたまま答えを促し

九尾は小さく息を吐くと「分かるじゃろう」と言い、つづけた

九尾「あの娘は外を知らぬ。ゆえに、出した結果役立たずになる可能性があるからじゃ」

沙織「そう……だ。なら、乃木さんは?」

九尾「交渉次第。というところじゃろうな……複数の意味合いを持つ抑止力である乃木園子を安易に動かしたくはないはずじゃからな」


236以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/13(火) 21:56:22.090DNhrSNqO (1/2)

東郷さんの記憶を無理に呼び起こすという手も…


237 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/13(火) 22:01:16.753RxRns6no (3/9)


それはつまりどういうことか

やはり、お前ひとりで頑張ってこい

孤立無援、多勢に無勢

けれどお前なら大丈夫。的なやつなのか、と

天乃は半ばあきれた様子で、夕暮れを眺める

空は生憎のどんよりとした灰色で

雨音が激しく、窓には水滴が張り付いては、

上から伝い落ちる根性なしに押し流されていく

どこかではゴロゴロと唸っていて

本当に神職の身ならば「ちょっと、神樹様の様子を見に」と

外出さえしそうな荒天に切り替わっている

……家系的には神職なんだけど

ふと、自分の右手を見つめ、そこに触れている沙織の手

そこからさらに上って、沙織の目を見つめる

天乃「どうかした?」

沙織「ん。ぼうっとしてるから、気が付くかなって」

さっと手を放した沙織は笑みを浮かべ、九尾へと向き直る

沙織「交渉次第なら、あたしが何とか頑張るのも厭わないけど……でも、できれば行くのは控えてほしいな」



238 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/13(火) 22:19:14.493RxRns6no (4/9)


はっきり言ってしまえば、不安なのだ

樹海化した時

沙織は巫女としての力を持ってしても活動することはできない

つまり、瞬きをした瞬間

天乃が息を引き取っていたり、致命傷を負っていたりする可能性があるわけだ

しかも、その不安が常に付きまとっている

ただでさえその状況なのに

戻ってくることさえできない可能性のある結界の外へなど

送り出したいわけがなかった

九尾「行かぬ選択も出来なくはなかろう。もちろん、行かなかったからと、次の襲撃が過激さを増すとも限らぬ」

ことは起きてからしか分からない

予測、予想、下準備

出来ることは多々あれど、起きてくれなければその数多の選択肢から

選び取ることなどできはしないのだから

そう、要するに。大赦のこの臆病な作戦は杞憂である可能性もあるし

そうでない可能性もあるということ


1、沙織、園子は絶対に連れ出せる?
2、九尾、結界の外について貴女。何かあるんじゃないの?
3、九尾はどうすべきだと思う?
4、……行きましょうか
5、園子がいるなら行くわ
6、行かないわ

↓2


239以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/13(火) 22:25:44.92v1BhCKlA0 (1/1)

3


240以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/13(火) 22:26:01.47KSVa3Z1ZO (2/4)

2


241 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/13(火) 22:45:27.473RxRns6no (5/9)


天乃はどうすべきかと考えながら

先刻、九尾の様子が少し変わっていたことを思い出して

天乃「結界の外について、貴女。何かあるんじゃないの?」

そう尋ねた

些細なことでも、出れば致命傷足り得ることになることもあるのだ

知らない、聞かなかった。

そんなうっかりと言えないような見逃しは看過できない

そのまなざしを受けてか、九尾は「特にあるわけでもないが」と

どこか懐かし気に呟くと

300年前のことだ。と、切り出す

九尾「先代の時に、結界の外に出たことがある」

天乃「……その時もあんな感じだったの?」

太陽の周囲を渦巻くコロナや紅炎のようなものが広がる異質な世界

そして無数の白い餅……ではなく星屑

二年前、鷲尾須美を失った後に

園子と共にバーテックスを追いかけて出た結界の外を思い浮かべて聞くと

九尾は星屑を除けばただの荒廃した世界だった。と、答えた


242 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/13(火) 22:56:55.093RxRns6no (6/9)


九尾「妾が気になった。いや、思い出したのは……そう、その時のことじゃ」

沙織「?」

何を言うのかと興味深々な沙織を一瞥し、

天乃も九尾の言葉に耳を傾ける

今回の作戦に影響があることではないのかもしれないが

しかし、300年前

久遠陽乃という先祖の時代のことというのは

とても魅力的な見出しだったからだ

九尾「その時はまだ、ここ四国以外にも勇者がいた土地があってのう」

沙織「ここ以外にも……? 凄い」

天乃「最初期の話なら、あり得なくはないけれど」

素直に感心する沙織の一方で

天乃は顎に手を当て、考えこむように息をつく

しかし、今ではここ以外の場所はないという結末を知っているから

壊滅か、ここへの逃亡かの二択のどちらかだと思ったからだ

でも、恐らくは逃げることは出来なかったのだろう。と予想し

九尾「その勇者の祠を、陽乃が作ったのじゃが……どうなったのかと。思うてな」

それが正しいと知って思わず俯き

けれどすぐに、顔を上げた

天乃「陽乃さんが、祠を作ったの?」


243 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/13(火) 23:06:32.743RxRns6no (7/9)



沙織「DIYの流行に乗ってたのかな」

天乃「そういう意味じゃないでしょ」

真面目に言った沙織の顔が驚きに移ろいゆくのを横目に

まったくもう。と

呆れ交じりに、しかし、うれしそうな笑みを浮かべた天乃は

咳払い一つで気を引き締めて、九尾を見る

天乃「陽乃さんには、祠……ううん。神聖な領域を作る力があったの?」

九尾「陽乃は元々純粋な巫女じゃ。得意分野だったと言っても良い」

なぜ祠を作ったのかは聞くまでもない

そこで散った勇者を、巫女を、人々を

そのさまよう魂を救うためだと、天乃はすこし奇妙な感覚を覚えながらも思って

依然見た写真の中の久遠陽乃という少女が

清めた小さな神棚のようなものを備え付けた小屋の前に正座する姿を思い浮かべる

九尾「陽乃の力が残っていれば、その祠も残っているじゃろうが……300年はちと。厳しいのう」

天乃「……随分と寂しそうな顔をするのね。何かあるの?」

九尾「お参りにきてあげて。と、陽乃に言われたが、その約束は一度も果たせておらぬからな」


244 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/13(火) 23:12:51.373RxRns6no (8/9)


そういう九尾の顔は

珍しく、本当に寂しさを感じるものだった

九尾にとって

久遠陽乃は久遠天乃よりもきっと、親しい存在だったのだ

そして、大切な存在だったのだとその物憂げな表情は物語っていた

天乃「なるほどね……けど、残念ながら長野まで行くのは無理よ」

本気を出せばその限りではないかもしれないが

荒廃しただけの世界ならともかく

継続ダメージを受けそうな休みなしの長距離遠征は

それこそ、死にに行くようなものだからだ

九尾「それは分かっておる。だから関係ないと、言うたであろう」

くすくすと笑う九尾の表情には

もうすでにさびそうな感情も悲しそうな感情も感じられない



1、陽乃さん、私よりも強いの?
2、園子やみんながいれば。いけるかもしれないけど
3、まぁ、仕方がないわね。この作戦だけは受けてあげましょ
4、沙織、園子を絶対に誘惑出来る?
5、好きなのね。陽乃さんが


↓2


245以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/13(火) 23:14:31.36KSVa3Z1ZO (3/4)

5


246以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/13(火) 23:14:51.470DNhrSNqO (2/2)

4


247 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/13(火) 23:28:19.093RxRns6no (9/9)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



千景「貴女は人も神も嫌いなのに、見捨てきれない可愛そうな人ね」

陽乃「……だとしても、そう思ってくれる貴女がいるから不幸じゃない」

千景「………」

陽乃「今は、それで十分よ」


248以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/13(火) 23:43:03.65KSVa3Z1ZO (4/4)


今は原作がかなり重要な場面に来てるのもあって難しいかも知れないけど
そのうちのわゆ時代の過去にも触れられそうで楽しみだな

陽乃さんと千景の絡みも気になるなあ


249以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/14(水) 00:20:40.39kybCIz+f0 (1/1)

そういえばゆゆゆ最終回の展開が高嶋さんに関係してたら久遠さんの物語どうするんだろ
普通にくあゆものわゆも更新、連載が楽しみ過ぎてあまり気にしてなかったけど


250以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/14(水) 13:54:41.56JSkoFrp7o (1/1)

>>1のことだから何か仕掛けてそうではあるけどな
陽乃さんが作ったほこらは今後出てくるのか…


251 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/14(水) 22:12:44.41S1rltaNeo (1/9)


では、初めて行きます


252以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/14(水) 22:14:15.89m6MDxdXEO (1/2)

よく見たら誘惑になってるけど何させる気だ天乃


253以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/14(水) 22:14:21.123y/IcxQUO (1/3)

あいさ


254 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/14(水) 22:24:12.42S1rltaNeo (2/9)


そうね……と呟き、天乃は沙織へと目を向ける

陽乃のことが少しだけ分かったのは嬉しいことだったが

残念ながら、今重要なのは久遠陽乃についてではない

天乃は今度また話を聞くことにしよう。と、思考を切り離して

天乃「沙織、園子を絶対に誘惑できる?」

そう聞いた

沙織「え? 誘惑?」

天乃「この作戦に誘えるかってこと」

ほんのちょっと冗談のつもりだったのだが

沙織が疑問符を浮かべつつも心なしか嬉しそうな顔をしたのを見ると

ふぅと息を吐いて、言い直す

沙織「あぁ……うん。絶対とは言えない。かも」

天乃「……そう。難しい?」

沙織「乃木さんに話を通すことができれば確実なんじゃないかな? 大赦の人に邪魔される可能性があるから」

――あと、あたし自身の気持ちの問題

あえて言葉にしなかった思いを握るこぶしを開く

そこには、当然。何もなかった


255 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/14(水) 22:34:56.88S1rltaNeo (3/9)


何度も言うように、沙織は天乃が結界の外に出ることを好ましく思ってはいない

天乃の言葉が【園子を誘惑できる?】というものだった時点で

園子さえ連れていけるのなら安心して作戦に参加できるという気持ちがあることも

連れていけなくてもやれるだけやってみようかとかいう優しさがあることも

沙織は分かってしまった

冗談を言ったり、恍けてみたりする

それに対して、天乃は知ってか知らずか呆れた顔をする

そんな顔が、沙織は好きで

誘ってみたけれど駄目だった。そんな嘘を考える心が締め付けられるように痛む

沙織「……………」

大雨、防風、轟く雷

今日は帰れないからお泊りだーなんて叫びたい気持ちと

今すぐ飛び出してうやむやにしたいという気持ちを携える沙織は

しかし、天乃をまっすぐ見つめると。頷く

沙織「何とか誘ってみる……嫌だけど。でも、久遠さん。一人でも行っちゃいそうだから」

天乃「……………」


256 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/14(水) 22:41:07.99S1rltaNeo (4/9)


結局は、そうなってしまう

久遠さんに弱いなぁ。なんて

自分自身に呆れる沙織は

なぜか悲し気な表情を見せる天乃に、笑みを向ける

なぜか。ではないからだ

分かっている

伊集院沙織は、久遠天乃の表情の意味を知っている

だから、笑みを向ける。仕方がないなぁ。と、息をつく

沙織「これは、あたしが決めたことだよ」

天乃「貴女が決めたこと?」

沙織「うん……久遠さんのしたいことを全力でサポートする。支える側になるって」

たとえ、自分が嫌なことでも

意見をして、それでもと言うのなら天乃の意見を尊重しよう

かねてからそう決めていた沙織は「だからごめんね。なんて言わないで」と

天乃の抱く罪悪感を取り上げるように

ベッドへと押し倒す


257 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/14(水) 22:49:27.24S1rltaNeo (5/9)


ふわりと、甘い匂いが広がる

敷布に散らばった桜色の髪、見つめ返してくる橙色の瞳

驚きに止められた微かに開く唇

一つ一つを沙織はその目に収め、搭載されたハードディスクの容量が

異常な速度で減っていき

そのせいか、ドクンドクンと唸る肉体の電源が平熱なんてお構いなしに体温を上昇させていく

沙織「………………」

天乃「………………」

どうこうしたいとは、思わない

いや、思う

いや、そんなことはしたくない

なぜかする必要のない葛藤をする沙織は

深く息を吸い込むと

やはり、天乃のことを強く感じてしまうのだが

それでも首を横に振ると

沙織「あはは、驚いた? 要らないモノ抱えてるなら。追いはぎしちゃうよ?」

あえて、冗談を言って見せる

天乃は「……ありがと」とだけ、返した


258 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/14(水) 22:56:46.81S1rltaNeo (6/9)

√ 5月8日目 夜(自宅) ※月曜日


1、九尾
2、死神
3、素戔嗚
4、獺
5、稲荷
6、イベント判定
7、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
8、沙織

↓2

※7は電話


259以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/14(水) 22:58:37.14RoB/fepm0 (1/2)

6


260以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/14(水) 22:58:52.173y/IcxQUO (2/3)

8


261 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/14(水) 23:15:17.10S1rltaNeo (7/9)


神樹様に守られているからと

台風に似た何かが起こらないかと言えばそうでもない

もっとも、二年ほど前までは雨が降ったりすることはあっても

ここまで大きなものが来ることはなかったのだが……

沙織「戦いが始まってから。だよね」

流れる雨水によって歪められた外を眺めていると

不意に、沙織が声をかけてきて

窓から目を離し、すぐ横に目を向けると

床に敷いた布団の上で、髪に櫛を通す沙織の姿が目に入った

沙織「巷では神樹様に何かあったんじゃないかって噂が流れる始末だよ」

天乃「その噂を流した人は、まさかあたってるだなんて思ってないんでしょうね」

苦笑しながら言うと、

沙織は「だろうね」と同調してくすくすと笑う

普段はすこし騒がしい沙織だが

風呂上がり、就寝前となるとやや大人びた印象を受けるものなのね。と

天乃は思わず見つめて、息をつく

普段の騒がしさがあってこその、魅力だろうか


262 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/14(水) 23:24:31.54S1rltaNeo (8/9)


沙織「明日、あたしは直接大赦のほうに行くから。学校は休んじゃうね」

天乃「そんな急ぐ必要はないんじゃないの?」

沙織「大赦に急かされても面倒だから……それに。個人的に乃木さんに早く会いたいし」

会おうと思えば会えなくもないが

天乃優先という自他ともに認められた優先順位を守っていると

どうも、接触する機会がなかったのだ

天乃「……私も会いたい」

沙織「一回、会いに行って門前払い食らったんだっけ? 今は勇者部に専念してくださいって」

そういいながら笑う沙織を横目に

冗談じゃないわよ。と肩をすくめた天乃は自分の手元に視線を落とす

協力をこぎ着けたとして、どうするかという問題がある

その問題以外にも気になることやらなんやら。そう

今、横で髪を梳かし終えた一見美人な沙織と話したいことは色色とあったりなかったり




1、精霊について
2、勇者部メンバーについて
3、勇者部の進退
4、先代勇者について
5、園子について
6、沙織の好きな人
7、東郷と須美について

↓2


※1、2は再安価


263以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/14(水) 23:27:33.64RoB/fepm0 (2/2)

6


264以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/14(水) 23:27:44.77m6MDxdXEO (2/2)

6


265 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/14(水) 23:35:26.46S1rltaNeo (9/9)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



天乃「ねぇ、貴女は好きな人とかいるの?」

沙織「答えても良いけど……久遠さんはあたしの答えへの答えの用意は出来てる?」

天乃「? 私はとくにはいないわよ?」

沙織(あー……駄目かぁ)


266以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/14(水) 23:43:07.233y/IcxQUO (3/3)


久遠さんもたまには恋バナとかして心を休ませるのも大事だな
あとは勇者部のみんなとはどの辺りから接触するべきか…


267以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/15(木) 12:40:16.398DzbODyxO (1/1)

天乃と沙織って白鳥さんのような外伝話とかで出てきそうなコンビにみえるな


268 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/15(木) 21:56:49.89RphXdX0ho (1/9)


では、初めて行きます


269以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/15(木) 21:58:55.15Nasg/rHE0 (1/1)

よしきた


270以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/15(木) 22:01:44.12HeykcJEGO (1/3)

おk


271 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/15(木) 22:11:16.44RphXdX0ho (2/9)


天乃「…………」

ふと、思った。

今まで話していいたこと

今、話そうとしていたこと。

それとはまったく関係ないことなのに、

なんとなく「好きな人はいるのかな」と、天乃は思った

ピンク地に桜の花びらが散ったみたいな柄模様のパジャマを着込んで、

沙織がぐっと伸びをすると

天乃よりはすこし控えめながら、しかし、ある。と、判断するには十分な

そう、天乃が最も理想としているくらいの胸が、あるんだぞ。と言いたげにパジャマを膨らませる

その姿を横目に見ながら「ねぇ」と、声をかける

天乃にしては、小さい声

どこか、恥じらいを感じるような声に沙織は「ん?」と、目を向ける

天乃「沙織は、好きな人って、いる?」

沙織「……好きな人、かぁ」

はじめは驚いたように目を見らいた沙織だったが

すぐに、いつもの瞳に戻って、薄く笑みを浮かべる

それは、間違いなく同級生の伊集院沙織に間違いはなく

けれど、天乃の目にはとても。大人に見えた


272 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/15(木) 22:18:57.01RphXdX0ho (3/9)


天乃「別に、他意はないんだけどね」

沙織「ぅ~ん……」

――それは照れ隠しじゃないかな

そう思いながら、考えるそぶりを見せる

いや、本当に沙織は考えていた

好きな人がいるかと聞かれたとき、基本的には「久遠さんかなっ」なんて

どこかの誰か、というか

女子トークでは大体そんなおどけた返事をしている

本気なのか冗談なのか沙織自身、それは定かではない

もちろん、好きという言葉だけでいいのなら間違いなく好きなのだが

きっと、誰もが思い悩む好きという言葉を当て嵌める枠としては

濃霧に包まれたかのように、不確かだった

沙織「……どう、かな」

天乃「別に、バカにしたり言いふらしたりしないわよ?」

沙織「うん、そこは信頼してるよ」

人生相談、進路相談、恋愛相談

いくつもの相談事がなだれ込んでくるような人が

馬鹿にしたり言いふらしたりなんてするはずがないし

相手が天乃である時点で、沙織からしてみれば信頼する。という言葉さえぶしつけに他ならない


273 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/15(木) 22:31:24.15RphXdX0ho (4/9)


良く聞く話では

彼氏彼女の話をした際に、口ごもったりした人は大体、相手がいないらしい

それならば、口ごもっている自分はその相手がいないんじゃないか。と思ったが

沙織はなんとなく、クラスメイトの男子生徒達を脳内名簿から適当に引っ張り出してみることにした

聞くところによれば、

讃州中学というのは男女ともに高水準らしく、クラスメイトも顔立ちは悪くない

性格は道徳という名の支柱に、

これまた道徳さんというコンクリートで固められた見事な出来で

それでもやっぱり血気盛んだったりおとなしかったり。個人差はあるし

某、恋愛マスターのように同年代は子供っぽいと考えているわけでもないのだが

しかし、どうにもしっくりとこない

人としては好きと言える。だが、異性として好きだとは言えない

好きなのに、好きではない

天乃「沙織? どうかした?」

沙織「んー……」

天乃が優しく声をかけると、沙織はそう唸って

沙織「居なくはない、かもしれない」

そう答えた


274 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/15(木) 22:45:05.64RphXdX0ho (5/9)


天乃「いるんだ」

すこし、喜んでいるような

すこし、寂しそうな

そんな声で笑った天乃を見つめて「似合わない?」と問う

天乃「ううん、そんなことはないけど……」

言葉が中途半端な天乃が見せる表情は

形容し難く、ただ、とても14歳が浮かべることができるものではないもので

沙織は思わず目を奪われて

天乃「置いて行かれちゃったなぁ。なんて」

しかし、次の瞬間には

天乃はお茶目に笑みを浮かべてみせる

沙織「置いて行ってないよ。付き合ってるわけでもないんだもん」

そう、付き合っているわけではない

むしろおいて行かれているのは自分だと、沙織は苦笑した


1、でも、付き合おうと思えば付き合えるでしょ?
2、告白はしないの?
3、ふふっ、貴女に好かれた男の子がうらやましいわね
4、ううん、だって。私にはそういう相手がいないもの……だから、置いて行かれてるわ
5、それで、どんな子なの?

↓2


275以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/15(木) 22:48:58.23Taj3VyMw0 (1/1)

5


276以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/15(木) 22:49:37.23HeykcJEGO (2/3)

1


277 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/15(木) 23:02:40.59RphXdX0ho (6/9)


天乃「でも、付き合おうと思えば付き合えるでしょ?」

沙織「え?」

天乃「?」

何を言っているんだろう、この人は。みたいな表情を浮かべた沙織に

天乃はきょとんとした表情で答える

分かってはいたことだが、

天乃は本気で、そういったのだ

揶揄うつもりも何もなく、純粋にそう思ったから

――その、無垢さがなぁ

思わず感動しかけた沙織は「あのね?」と、苦笑いしながら紡ぐ

沙織「久遠さん、告白されてるよね?」

天乃「え、ええ。まぁ」

沙織「付き合おうと思えばいつだって付き合えるのは久遠さんだよね?」

もっともである。

とはいえ、天乃が言った言葉の意味はそうではなく

天乃「そうかもしれないけど、私は沙織なら。好きな人に告白すれば必ずOKもらえるんじゃないかなと、思って言っただけよ」

沙織「それは」

天乃「私は、告白してくれた子には悪いと思うけど。でも、私が異性として好きな相手はまだいないから」

そういう意味では、天乃のさっきの言葉は、天乃自身には当てはまらなかった


278 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/15(木) 23:21:56.60RphXdX0ho (7/9)


男の子から告白されたという現実を受け止めて

その告白を断ったという現実を抱きしめて

儚げな笑みを浮かべる天乃を、沙織は黙って見つめる

それは。と、続きがある言葉を止められた沙織の

すこしだけ開いていた唇が閉じ、ぎゅっと絞められて

天乃を移していたはずの瞳には

気づけば、ベッドの足部分が映っていた

沙織「でも」

天乃「?」

沙織「あたしは、そんな自信はないよ」

だって、

なんて言ったって

その相手は自分なんて見ていないから

数多の中の一つとしか。まだ、見ていないから

沙織「その現実を突きつけられると……なんていうか。怖くなるんだよね」

天乃「どうして?」

沙織「その有象無象の中からでさえ、消えちゃうんじゃないかって。不安になるから」


279 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/15(木) 23:31:38.56RphXdX0ho (8/9)


それは他人から見れば臆病なだけかもしれない

しかし、本人からしてみればとても大事なことなのだ

それはもちろん、好きな人の特別になれることが一番のハッピーエンドだとは思う

しかし、

有象無象という世界の広さを知ったとき

その中のちっぽけな一つでしかないと知ったとき

無理に這い出た先が、好きな人の視界の外かもしれない

その恐怖と不安に気づいてしまうから

その場にとどまることがもう一つのハッピーエンドであることを知ってしまう

沙織「私は、告白なんてきっとできない」

相手がいる居ないの問題ではなく、

友達、親友。その場で十分だと思ってしまうから

その人の笑顔が好きなのに、それを見ることができなくなるのが怖いから

沙織「恋をすると変わるのは、その恐怖に負けないようにと自分を育てていくからなんだ」

天乃「……沙織は変わらないの?」

沙織「気が向いたら。かな」

ふとまじめなことを言ってしまったと苦笑した沙織は

そう返して、「今はまだ本気かもわからないし」と、おどけて見せた



280 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/15(木) 23:46:39.06RphXdX0ho (9/9)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば似たような時間から




陽乃「ねぇねぇ、ちーちゃん」

千景「ち……っ、何か用?」

陽乃「チカチュウって呼んでいい?」

千景「やめて」






281以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/15(木) 23:58:54.72HeykcJEGO (3/3)


凄くヒロインしているさおりん久々に見た気がする

そしてまだオマケにしか出てないのに陽乃さんイキイキしてるなあ



282以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/16(金) 00:20:17.31g9b4jHWtO (1/1)


相変わらず高度な恋愛講座…リアルで恋愛相談でもしてるのかww


283 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/16(金) 22:11:22.173cr0XBgQo (1/8)


では、初めて行きます


284 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/16(金) 22:20:37.713cr0XBgQo (2/8)


沙織「それはそうと……久遠さんは好きな人いるの?」

さりげなく、とはいかなかった

けれど、話の流れにしっかりと準じて沙織は問う

聞こうと思えばいつだって聞けること

けれど、月明りのない部屋で

輝いて見える琥珀のようなきれいな瞳を向けてくる天乃へのこの問は

なぜか、とてもドキリとした。高揚感を、覚えた

天乃「んー……私、かぁ」

沙織「うん」

しかし、聞いては見たものの

さっき、異性として好きな相手はいないから。と言っていたのだから

答えは分かってしまっているようなもので

安心していいのか、心配すべきか

悩む沙織はなぜか残念に思って、笑う

沙織「好きな人は、いるよね?」

天乃「まぁ、そうね」

それが友人として、人として

その程度の好意であると考えて、頷く


285以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/16(金) 22:21:57.89h0fiqlDmO (1/2)

来てた


286 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/16(金) 22:28:36.653cr0XBgQo (3/8)


今目の前にいる沙織はもちろん

園子、銀、友奈、風、東郷、樹、夏凜、付け加えて、瞳

それ以外にだって、いろいろと

大赦は少しばかり嫌いでもあるけれど

天乃としては、この世界が好きだし、生きている人も好きではある

久遠陽乃という先代勇者が人も神も嫌いだったとか無関係に、天乃は好きだ

けれど、今ここで求められている答えは

今の話の流れは、そうじゃない

天乃「……沙織が悩んだ理由が少しだけ分かる気がする」

沙織「難しいよね」

互いを見合うこともなく、手元を見る二人

しかし、浮かべる笑みは同じ感情

抱く思いは、似た者同士

いつしか、吹き荒ぶ風が止み舞い踊っていた雫は跡形もなく消えて

天幕の薄れた闇には、微かに月明りが見える

そして、訪れた静寂を二人の微笑が跳ね飛ばす


287 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/16(金) 22:36:43.943cr0XBgQo (4/8)


天乃「なんて言えば、良いのかしら」

異性として

いや、恋愛対象として

好きだと言える人、そのたった一枠

当て嵌めることは簡単なはずなのに

なぜか、宝くじよりも。当たる気がしない

天乃「私、恋は出来ないかもしれない」

恋愛相談を受けておきながら何言っているんだと言われそうだが

天乃は本気で

そして、いくつもの理由でそう思った

久遠家の柵があって、そして、思いつくことのできない対象の存在

後者が続こうとも、前者は関係なく絡みついてくるのだから

結婚だとか子供だとか

きっと、その行いも存在も向こうから現れてくれるだろう

しかしきっと。天乃はそれを恋とは思えない。だから、このままでは絶対に。と

沙織に目を向けると、初めて感情の読みにくい表情の沙織と。目があった


1、でも。好きな子はいなくもないかな
2、……男の子じゃなくても。いいのかしら
3、なーんて。ね。きっといつか、出来るわよ
4、どうかした?


↓2


288以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/16(金) 22:37:15.40XDgxkqqho (1/1)

2


289以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/16(金) 22:39:01.263GivteU30 (1/1)

3


290 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/16(金) 22:58:53.923cr0XBgQo (5/8)


天乃「なーんて、ね」

不可思議な表情を見せる沙織に向かって

茶目っ気交じりにそう切り出し「きっといつかできるわよ」と、笑って見せる

けれど、沙織は表情を変えず

それどころか、天乃の声が聞こえていないかのように呆然として

ふと、目を見開いて辺りを見渡す

沙織「あれ、えっと……あ、ごめん」

聞いてなかった。おどけたようにごめんねと言いながら

えへへと笑う姿は偽りなく沙織だ。しかし、さっきまでの表情は

沙織のそれとはやはり。違って見えた

天乃「眠い? いつも何時に寝てる?」

沙織「もう寝てる。かも」

携帯で時間を確かめた沙織が、もう11時だよ。と欠伸をすると

天乃よりも血色の良い肌の色ながら、か細く容易く折れそうな腕が、天井に向かって伸びる

沙織「あたしたち」

天乃「うん?」

沙織「……いつか。互いに結婚式に呼び合うのかな」

天乃「そう、ね……このままいったら。きっと、そうなんでしょうね」


291 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/16(金) 23:06:03.393cr0XBgQo (6/8)


このまま行ったら。と言うのは

天乃からしてみれば、自分を含めたすべてを無事に守り切れて

みんなが生きていれば。と言う意味だった

けれど、沙織は「なんか、嫌だなぁ」と

おもむろに呟いて、ハッと、口をふさいで「寝る」と布団を被る

そんな子供のような仕草を見せた沙織を

布団にくるまった親友を

天乃はしばらく見下ろして、くすくすと笑う

天乃「そうね、なんか、嫌だわ」

沙織「………………」

――守れたらとか、守れなかったら。なんて

そう思い、言葉にせず

黙り込んだ沙織から目を離し、月明りを眺める

天乃「週末……晴れたら満月かな」

雲の消えた空にはいくつもの星と、月が見える

だんだんと大きくなりつつある月を見つめ、天乃はなんとなく

太陽に食い殺される月を――想像した


292 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/16(金) 23:09:27.213cr0XBgQo (7/8)

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流無()
・ 伊集院沙織:交流有(デート、家に、泊まり、好きな人、いつかきっと)
・      九尾:交流有(これからのこと、陽乃の祠)
・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



5月8日目 継続 終了時点

  乃木園子との絆 25(中々良い)
  犬吠埼風との絆 38(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 31(中々良い)
  結城友奈との絆 49(少し高い)
  東郷三森との絆 35(中々良い)
  三好夏凜との絆 21(中々良い)
     沙織との絆 44(中々良い)
     九尾との絆 34(中々良い)
      死神との絆 31(中々良い)
      稲狐との絆 28(中々良い)
      神樹との絆 7(低い)

 汚染度43%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します


293 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/16(金) 23:14:11.703cr0XBgQo (8/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




『勇者負けたってマジかよ役立たねぇな』

千景「なん……で、なのよ……っ!?」

陽乃『では、役立つ君たちを地獄ツアーにご案内。九尾特急が自宅までお迎えに上がりまーす』カタカタカタ

千景「な、なにしてっ」

陽乃『他人の価値を決めて良いのは、同じ土俵に立てる者だけだってことを教えてやるわ』ギリッ


294以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/16(金) 23:19:03.70h0fiqlDmO (2/2)


オマケで闇堕ちを肩代わり…だと…?
でもこれ負けたってことはこの世界線でも球子と杏は…


295以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/17(土) 08:17:30.58b4QTpoeFO (1/1)

陽乃さんは人間嫌い(下手したら千景以上)だからな役立たずとか言われたらキレますわ
それに陽乃の言い分も間違ってないし

それよりも久遠さんとさおりんの恋人未満感よ素敵だね


296 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/17(土) 22:35:13.23nEjGAIvCo (1/5)


では、少しだけ


297以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/17(土) 22:39:53.80Je9+mDQBO (1/2)

ばっちこい


298 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/17(土) 22:40:24.48nEjGAIvCo (2/5)


01~10 
51~60 
91~00 

↓1のコンマ  枠内で追加  


299以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/17(土) 22:42:22.822IKsw7txo (1/1)




300 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/17(土) 22:57:02.29nEjGAIvCo (3/5)

追加ナシ、続行


√ 5月9日目 朝(自宅) ※火曜日


朝、目が覚めると、まずは必ず天井が見えて

横に視線を移せば、カーテンとそれにさえぎられる光が見える

けれど、天井が見えるよりも先に激しい雨音が、耳に入った

ゆっくりと目を開けると、カーテンの下からわずかに外の灰色が僅かに見える

天乃「……夜は止んだのに」

降ったり、止んだり

それを繰り返しそうだとため息をつく天乃の横で「んぅ」と

可愛らしく声を漏らした沙織が寝返りを打つ

ベッドわきに置かれた沙織のための布団の上で。ではなく

天乃が使っているベッドの上で。だ

天乃「……?」

――なんでいるのよ

潜り込んできたのは明らかなのだから

それは聞くまでもないのだが


301 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/17(土) 23:11:13.77nEjGAIvCo (4/5)


沙織「……大丈夫だよぉ。久遠さん」

えへへ。と、真横の親友は笑う

ただ寝ているだけなのに。いや、寝ているだけだからかもしれない

いつ忍び込んだのかは定かではないけれど

左腕を抱きしめる沙織は、とても幸せそうな寝顔で呟く

天乃「いい夢を、見れているのね」

普段、気を張っている姿を見ないし

頑張っている姿もそんなに見ない

天乃にとって非日常の一片であるべき沙織は

なぜか、日常の一片として存在している。だから、いつもお疲れさま。なんて

ありがちなシチュエーションではないが

しかし、天乃は優しく笑みを浮かべながら、頭を撫でる

沙織が幸せであること。日常を堪能できていること

それは、天乃にとっても有難いことで。そして

勇者部がばらばらになったという現実を再確認するには、ちょうどよかった


1、九尾
2、死神
3、素戔嗚
4、獺
5、稲荷
6、イベント判定
7、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
8、勇者部部室
9、沙織

↓2

※7は電話
※8は勇者部直行。ただし、判定有


302以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/17(土) 23:14:56.47jrFXsl5o0 (1/1)

6


303以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/17(土) 23:15:14.12Je9+mDQBO (2/2)

8


304 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/17(土) 23:58:34.63nEjGAIvCo (5/5)


01~10 風
11~20 友奈
21~30  夏凜
31~40  東郷
41~50  樹
51~60 3年男子B
61~70  1年女子B
71~80  先生
81~90  女性
91~00  樹海

↓1のコンマ  


305以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 00:03:01.77WuqzabnQO (1/1)




306 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 00:13:08.34DPtHkm3Bo (1/27)


短めでしたが、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば昼頃から




陽乃「実は、私と友奈って襲来以前からの友達なのよね」

杏「そうなんですか?」

友奈「うんっ、格闘技の試合を見に行ったときにね。女の子がいるなーって」

球子「格闘技って……」

陽乃「何度か勘戦デートもした仲よ」ドヤッ

千景「こっち見ないで。切り殺したくなるわ」イラッ


307以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 00:24:34.918JFbxw+eO (1/1)


いつの間にやらオマケがのわゆ時代の日常を覗き見するコーナーになってるな
この時代ではやたら陽乃さんにイジられる千景が夏凛ちゃん枠なのだろうか


308以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 00:41:34.48omA25CZEO (1/1)

多分伏線仕込む伏線を伏線しようとしてるんだろうな
俺の目は誤魔化せないぜ


309 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 15:15:31.17DPtHkm3Bo (2/27)


では、初めて行きます


310 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 15:24:51.83DPtHkm3Bo (3/27)


擦れ違う一年生、二年生

勇者部のこともあってか、少し心配そうな表情を見せる後輩に

おはよう。と、笑みを向ける

土砂降りの雨の中、昇降口に逃げ切った生徒の安堵と心配の声

激しく打ち付けてくる風に、窓は号泣していて

雨漏りはしないだろうか。なんて、気をそらしてみる

――沙織は、上手くやれるかしら

きっと、沙織は分かっている

たとえ園子を誘うことができなくても、たった一人でも

天乃「私が、出て行っちゃうんだって」

握り締めたこぶしを胸元に当てると

体の温かさかと、雨に濡れた手の冷たさが綯交ぜになった感覚が伝う

沙織のいない教室

空席を見てしまうと、今はまた考えてしまうだろう。と

なんとなく、部室へと向かうことにした


311 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 15:46:25.96DPtHkm3Bo (4/27)


部室の前では、ただいま休部中と

勇者部にしてはとても簡素で明るみのない張り紙の張られたドアを開けようとする男性が佇んでいた

キュルキュルと、隠密性……ではなく、静穏性の欠けた車輪の音が聞こえたのか

こっそりと声をかけようとした天乃に、男性教師は振り向く

天乃「あら、気づかれた……でも、先生。その張り紙通り。勇者部はただいま閉鎖中ですよ」

「それは分かっているよ。公式のサイトでも、この張り紙でも、校内掲示板にもその情報は出回っているからね」

天乃「それでなくとも、休部だーって、大騒ぎでしたから。耳に入っていないわけがないですね」

珍しく。しっかりと、ですます口調で答える天乃に

男性教師は思わず苦笑いを浮かべる

それは天乃が若干揶揄っているからだと分かりそうなものだが

勇者部の休部という異常事態を前にしては、心中穏やかではなかった

「何か、あったのか?」

天乃「それは部長に聞くべきかと」

「犬吠埼には聞いたが、ただ。休みが必要だと思っただけです。としか言わなくてね」

天乃「手が早いですね。それで次は、副部長である私に話を聞こうと思ったわけですか」

「……まぁ、そんなところだ」

一瞬、男性教師は目をそらした

目の前ならばともかく、離れていては見えないくらいに小さくそして、素早く

しかし、天乃には男性教師の動揺が見えずとも。分かった


312 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 15:57:21.75DPtHkm3Bo (5/27)


天乃「そうですね……」

悩む必要はない

痴情の縺れだとかそんな恥ずかしいことではなく、

ただ、天乃の体の件が引き金になっただけなのだから

けれど、勇者やバーテックスどころか

大赦とさえ無関係の男性教師には

満開の後遺症だのなんだの、言えるはずもなく

天乃「先生もお聞きの通り。以前と違い大赦のお役目もあります。なので、優先すべきことを優先することになっただけですよ」

最もな言い訳を考える余裕もなかったのだろう。と

風の不安をあおりそうな返答を飲み込むように嘘をつく

と言っても、お役目があるのは事実だし

それがかなり大変なことであるというのも嘘ではない

「そうか。そういえば、大赦の方から勇者部の部員はお役目があると通達があったな」

天乃「はい。ですので、ご心配なさらなくて大丈夫です」

ふふっと、口元に手を宛がって上品さを演出してみる

我ながら似合ってないな。と、天乃は本心で苦笑していた


313 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 16:23:08.47DPtHkm3Bo (6/27)


天乃「それはそうと、先生」

「?」

天乃「本当の要件は、話す必要はないんですか?」

笑みの中で、天乃はそういった

年齢なんて干支一回りほど離れているというのに

人生経験なんてまるで差があるはずなのに

教師の心の内を見透かしたような表情で、天乃は言う

だから、男性教師は自身のほほを汗が伝うのを感じた

話には聞いていた。進路相談を教師ではなく勇者部の久遠天乃にしていると

人生の相談、恋愛の相談それを、たった14歳の少女にしていると

最初は不思議だったそれも、頼ろうとしている今は、酷く、納得するほかないと

男性教師は思わず、笑みを浮かべた

これがただの14歳の女子生徒であるというのなら、その認識がその枠組みが間違っている。と

天乃「そこに私は関係ないので、解決は可能かと思いますから。別に、話さなくても構いませんが」

「……年齢詐称を疑いたくなると言った進路指導の先生の気持ちが分かった気がするよ」

天乃「あら、年下に見えると口説く意味があるのは、三十路が近い人だけですよ」

嘘か本当かもわからないことをさらっと言う天乃を見つめ、

男性教師は部室のドアを軽くたたく

「カギは持ってるか?」

天乃「ええ、副部長ですから」

「なら、中で話そう。あまり聞かれたくはない話なんだ」


314 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 16:40:48.31DPtHkm3Bo (7/27)


男性教師は天乃を先に入れ、自分も入ると

部室の電気をつけて、ドアを閉める

景色の歪む窓、汚れた空は相変わらずで

部員の足りない勇者部は、不思議と重苦しい

天乃「……適当に座って平気ですよ。どうせ、誰も来ないので」

休部しているのだから。当たり前だ

背後で「それなら」と、がたがたと椅子を鳴らして座る音を聞きながら

静けさに包まれていた部室を見渡す

みんなが来る前の部室。ただそれだけ

なのに、生憎の天気だからなのかもしれないが

とても、普段の部室らしさはない

その陰鬱な空気を吹き飛ばすように息をつき

天乃は振り返った

天乃「それで、本題は何なんです?」

「笑わずに答えてくれるか?」

天乃「内容によりますが」

「……で、デートでファミレスと言うのは。久遠的にどう思う? 意見を、聞かせてくれ」



1、希望の通り、笑ってあげる
2、私的には別にいいと思うけれど……
3、そうね。デートで行くのだとしたら好ましくは思えないかもしれないわ
4、とりあえず、自分の身を庇ってみる
5、そういうのは、同僚に相談すべきと思うけど
6、相手と私の年齢差があるのなら。参考にはならないと思うわよ


↓2


315以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 16:44:27.44GlvParJMO (1/1)

5


316以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 16:44:48.25ydRALyRKo (1/1)




317 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 17:00:44.56DPtHkm3Bo (8/27)


以前、デートの練習的な建前の元

自分から付き合ったものの、告白されてしまった経験のある天乃は

ないとは思いつつも、魅了の力もあって、とりあえず自分の体をぎゅっと抱きしめて身を引く

「な、待て。何か勘違いしていないか?」

天乃「……勘違い?」

じっと、目を向ける

焦っているし、動揺もしている

けれど、異常な緊張感は感じられず、天乃はふぅっと息を吐く

天乃「先生のこと、信じるわ」

取りあえず、自分への好意があるわけではないと判断し

姿勢を正す

「聞いて、くれるのか?」

天乃「同僚に相談したのかもしれないけれど、私にまで相談してきたんだもの」

そこには、男性教師の気持ちがある

恥を忍んでのその行いには、相手への本気が感じられる

そのデートを成功させたいという意思が感じられる

で、あるのならば

天乃「その本気に答えてあげるのが――問われた女の役目です」


318 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 17:44:46.10DPtHkm3Bo (9/27)


天乃「先生の質問に答える前に、一つだけ聞いても?」

「何でも聞いてくれ」

天乃「じゃぁ……今回が初めてのデート? それとも、何度かした後のデート?」

デートの行き先で悩んでいるのだ

はじめてに他ならないのは分かり切っている

それでも聞いたのは、教師がそういった質問にどう答えるのか

どんな反応を見せるのかを、見たいからだ

「それは……」

ちらっと眼をそらし、口ごもる

交際経験を聞いたわけではないのだから

躊躇う必要なんてないはずなのに、素直になり切れていない

そのためらいを、天乃は見つめて苦笑する

天乃「ふふっ、ごめんなさい。初めてよね。わざわざ聞くんだもの」

さっきはそうではなかったのに、だんだんと緊張しだしているのだ

自分の質問への答えが返ってきそうだから

自分の考えたその行き先が、誤りかどうかのジャッジが下されるから

「言う通りだ……何度か挑戦しようとしたんだが。その上手くいかなくてな。今回が初めてなんだ」

天乃「……そう」


319 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 17:54:36.44DPtHkm3Bo (10/27)


挑戦しようとしたという努力は素晴らしいのだが、それならお店選びにも努力してみればいいのに。と、思う

いや、こうして自尊心を代償に女子中学生にまで聞きに来ているのだから

それはそれで努力はしているのだろう

薄給ゆえの金欠によるファミレスという判断なのなら、それはかわいそうな返しになる

天乃「うーん」

「難しいか?」

天乃「まぁ、そうね……」

ここで重要なのは、相手がデートだと思っているのかどうかだ

普通に食事に誘われただけだと思っている場合、妙に気合の入った店に連れていかれると

相手にとって迷惑になりやすい。と言うのも

やはり、デートとそうでないときの服装には気の入れ方が変わるし

いいお店なら、周りの女性客やそのお店に比べて劣ったファッションというのは恥辱を感じるものだからだ

とはいえ、デートだと思ってファミレスだった時の場違い感、落胆。それはいささかダメージが大きい

さて、どうするべきかと天乃は息をつく


320 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 18:15:14.32DPtHkm3Bo (11/27)


最初だからファミレスではいけない

しかし、気合が入りすぎていても相手が困惑する

その中間地点がいいのだが、これがまた見極めが難しい

なにせ、店の高低を判断するのは

男性教師ではなく、そのお相手だからだ

極端な話、子供と大人では財力が違うようなもの

だからこそ、年齢がずれている相手との交際は難しいし、大変なのだ

天乃「私的には、ファミリーレストランでもいいんだけどね」

――味覚ないし

心の中で一息入れてみると

なんだかとても悲しくて、浮かべた笑みは思わず、寂しいものになってしまう

それに気づいたのか、男性教師は気まずそうに頭をかく

「もしかして、勇者部の誰かが失恋でもしたのか?」

天乃「どうして?」

「いや、久遠の表情が曇ったのが見えたから。そういうことがあって休部につながったのではと思ったのだが」

どうやら、そうじゃないみたいだな。と

男性は一礼して、目をそらす


321 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 18:25:29.70DPtHkm3Bo (12/27)


天乃「………………」

自分の悩み事を抱えているというのに

あくまでも生徒のことを気にするのは、良い教師だとは思うが……

天乃「失礼な人ですね。女の子に対して失恋したのか。だなんて」

「……急に畏まった口調に戻らないでくれ。僕が悪かった」

天乃「ふふっ。悪いほうのユーモアがあって素敵ですよ。デート失敗に恋愛相談無料券を一枚賭けても?」

それは自分のことじゃないのか。と男性教師は毒づきながらも

ハッとして、天乃を見る

「相談ごとを有料で請け負っていたわけではないだろうな?」

天乃「まさか。もともと無料ですよ。ただ、そうですね。この無料券があれば順番待ちしなくて済みますよ」

時期になると相談事が舞い込むために

割と使い道になる、今さっき作った即席無料券

整理券とか優先権でもいい気がしたが、冗談一つの為には知ったことではなかった

天乃「さて、時間もないし……」



1、ファミレスはやめておいたほうが無難ね
2、ファミレス以上、高級未満にしておくべきだわ
3、高級なお店にしておきなさい
4、最後に一つだけ。相手はファミレスに慣れている人? 慣れていない人?


↓2


322以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 18:33:34.35s48JaENh0 (1/5)

2


323以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 18:34:03.50yaE692fEO (1/1)

4


324 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 18:54:28.31DPtHkm3Bo (13/27)


天乃「最後に一つだけ、聞いても良い?」

「?」

これは重要なことだ

もしも、天乃が考えていることが正しければ

ついさっき男性教師にしようとしたアドバイスはバカみたいな大外れになる

そうなれば、失敗とはならないが、思考にはならない可能性がある

天乃「相手はファミレスに慣れている人? 慣れていない人?」

「詳しく聞いたことはないが……」

男性教師はその女性のことを思い浮かべているのだろう

すこし時間をおいてから、「そういえば」と切り出す

「割と家柄のよさそうな人だったな。思えば、ファミレスとか無縁かもしれない」

男性教師は今更ながらに笑って

それじゃファミレスなんて駄目に決まってたな。と、呟く

いや、そうとは限らない

舌の肥えた人にとっては満足できない程度のものかもしれないが。しかし

ファミレスと言うものに慣れていないのなら。むしろ

天乃「誘ってみるのも良いかもしれないわ」

存外、自分とは立場の差がある男性の生活に興味を持ってくれたから

デートに付き合ってくれるのかもしれない

それなら、無理をした自分ではなく、いつも通りを見せてあげることが彼女に対しての一番の良作

天乃「つまらない男だと思われないようにした方が良いわ。先生、年齢よりも年上に見えるから。顔では合格できないと思うし」

「なん……だと?」

天乃「失恋したか。なんて言うからよ。先生」

悪戯にまみれた天乃の笑顔に、男性教師は毒気を抜かれて

仕方がない問題児だと、ため息をつく

可愛げはあるが、可愛げのない生徒

その評価が良く、分かった


325 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 19:15:08.61DPtHkm3Bo (14/27)

√ 5月9日目 昼(学校) ※火曜日

友奈、沙織、風、樹、東郷、夏凜との交流が可能です

1、風
2、樹
3、友奈
4、東郷
5、沙織
6、夏凜
7、イベント判定
8、九尾

↓2


326以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 19:22:56.87WKwTcIkCO (1/6)

8


327以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 19:23:27.53s48JaENh0 (2/5)

6


328以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 19:26:40.514Q+iXEg+o (1/1)




329 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 19:34:37.00DPtHkm3Bo (15/27)


夏凜「まぁ、呼び出す方法としては。間違ってなかったけど」

昼休み、部室には天乃のほかに夏凜の姿があった

端末の受信メール一覧の先頭

天乃からのメールに今一度目を通し、夏凜は呆れ交じりに肩を竦める

風は休部にしただけで、部員同士の接触は禁じていない

禁じていても、そんな越権行為には従う道理もないのだが。しかし……

夏凜「あんたが一番、部員に会うべきじゃないと思うんだけど」

天乃「夏凜なら、平気かなって」

夏凜「なにその信頼……バカみたい」

驚きに見開いた眼を逸らし、適当にぼやく

三好夏凜の常套手段だ

ただ、悪戯心なく本心の天乃はすこし残念そうにうなずく

天乃「そうね……虫が良すぎるかしら」

夏凜「私、一応いろいろ忠告したつもりだったのよ。あれでも」


330 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 19:43:12.24DPtHkm3Bo (16/27)


落ち込んでいることは分かっている

けれど、この場面で慰めを言えるほど夏凜は器用ではないし

そんなことができないのだと、自覚している

だから、あえて、問題を掘り返す

傷つけてしまう可能性があると。分かっていながら

夏凜「確かに伝わりにくい言い方だった。非は認める。けど、あんたなら私の言葉なんてなくても気づけてたはずでしょうが」

天乃「……ええ。気づけてた。分かってた。そう。でも、私は」

あの選択をしてしまった

東郷も、夏凜も休みが必要だと言っていたのに

全員で遊びに行こうだなんて言ってしまった

そんなことを言えば、誰も嫌だとは言えないと分かっていたのに

いつも通りを演じようとしてしまった東郷の作った牡丹餅を無理に食べてしまった

すべて、関係修復をしようと思ったからだ

九尾には言ったが、肩ひじ張らなくてもいいのだと教えるためにあえてそうした

そうした結果が――どうだ

天乃「っ」

自分を責める天乃の手の平には、食い込んだ爪痕が深々と刻まれていく

ギュゥゥゥと、力の入りが分かる微かな音に夏凜は目を向け、眉を顰める

駄目だ。それではだめだ。それでは、意味がない

夏凜「みんな無理してた。けど、あんたが一番、無理してた」


331 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 19:55:24.03DPtHkm3Bo (17/27)


どいつもこいつも、勇者部はバカばっかりだと夏凜はため息をつく

誰かが悪いわけじゃない、何かが悪いわけじゃない

あの嘘は付いた側が悪いと言い切れることではない

あの嘘に騙されていた間、裏目に出ていた善意が悪いことだったとは言えない

何も悪くない、誰も悪くない

なのになぜ、どうして、こうも傷つき合うのか

その哀傷に意味はない。その悲哀は思い過ごしだ

なのに……

夏凜は分からない。と、首を振る

夏凜「あんたにはその自覚がなかったかもしれないけど……」

天乃「………………」

夏凜「みんながあんたへの善意が間違っていたと嘆いていることが。あんたにとっての負担だった」

だから、ことあるごとに口を挟んだ

休むべきじゃないかと言ったし、無理して食べなくてもいいんじゃないかと言った

本当は、ただ一言。頑張るなと、言いたかっただけ。そういえばよかっただけなのに

夏凜「あんたはほんと。無意識なのか何なのか。自己犠牲の塊みたいで心配よ」

天乃「私が、自己犠牲の塊だなんて。どうして言えるのよ」

夏凜「だって、結局。あんたは自分が無理することで場を収めようとしただけじゃない。間違ってる?」


332 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 20:12:17.49DPtHkm3Bo (18/27)


天乃「どうかしら。ううん、たぶん。そうなのかも」

覇気がない。張り合いがいがない

そう思う心を抑え込むように息を止め、夏凜は眼を逸らす

天乃だけが間違っていたわけじゃない

全員が間違っていた。自分を含めた全員が

夏凜は自責しつつも、目の前の落胆した少女を見定める

誰も助けては上げられないだろう

もしかしたら、自分にでさえそれは出来ないのかもしれない

いや、慰めるだの助けるだの

自分には力不足な話だ

いや、そもそも、不向きな話不得手な行い、役立たず

そうだ、役立たず……

【――どうしてこの子はこんなにも】

【――春信は優秀なんだがなぁ】

【――春信を見習いなさい】

夏凜「っ……」

脳裏に響く呪詛

三好夏凜という人格を傷つける過去の記憶

思い出した彼らの言葉を受けながら

しかし、夏凜は天乃から目を離さない

夏凜「あんたは、あんたはみんなといる時が幸せだったんでしょ? その時、あんた達はみんな無理なんてしてなかったんじゃないの?」


333 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 20:21:05.98DPtHkm3Bo (19/27)


友奈達はもちろん、

味覚がない中で数々の物を食べなければいけなかった天乃も

きっと、無理はしていなかったはずだと、夏凜は思う

その時のことなんてほとんど知らない

そもそも

こんな友人関係の亀裂など遭遇したのは初めてだ

でも、何も言わないなんて我慢ならない

なぜ、そう思うのか。こんな気持ちを抱くのか

どうして頑張ろうと思うのか

夏凜はその迷惑な感情の理由を

――友達だから。でしょ

心の疑問に答えて、融解させる

夏凜「無理すんな。頑張んな……余計な言葉なんていらない。ただ、そう」

天乃「?」

夏凜「よろしくって言えば良い。友達の始まりなんて。そんな、簡単な話なはずなんだから」


334以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 20:29:42.56WKwTcIkCO (2/6)

夏凛ちゃん本当に優しいなあ


335 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 20:32:50.51DPtHkm3Bo (20/27)


夏凜「どうしてもっていうなら、全員で謝んなさいよ」

どっちが悪い、誰が悪い

そうじゃない

そんなんだから、いつまでたっても収拾がつかない

相手を悪者にしたいのではなく、

自分を悪者にしたいなんて、バカな精神だからなおさら

だったらもう。そうだ

夏凜「そうすりゃ、全員悪いでお話し終了。で、どう?」

天乃「……そうね」

夏凜の提案に答えた天乃の声は暗い

天乃「悪くない。かな」

収拾がつかないことは事実だろう

みんな優しいから。きっと、悪者にはしたくないって

それなら両成敗

うん、間違ってはいない


1、夏凜も優しいわね
2、どうして。そんなに気遣ってくれるの?
3、ありがと。夏凜。貴女のそういう不器用なところ大好きよ
4、それで、片付いてくれるといいんだけど


↓2


336以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 20:35:41.24CpfR7rgGo (1/1)

1


337以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 20:36:32.13WKwTcIkCO (3/6)

1


338 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 21:21:19.34DPtHkm3Bo (21/27)


天乃「夏凜も優しいわね」

夏凜「何よ、似合わないって言いたいわけ?」

さっきまでと打って変わって浮かんだ笑みに

夏凜は照れ臭さを残しながら言い放つ

天乃「まさか」

また、笑う

その優しさを受けて切なげに

けれども、うれしさを携えて

天乃「夏凜が優しくて良い子だって、私は知ってるから」

夏凜「んな、こと……」

【――気にするな。夏凜が頑張っていることは私が良く分かっている】

いつか、誰かもそう言った

誰かの手はその頃の夏凜にとっては大きく、その声は優しく

しかし、傷ついた心には消毒液のように沁みる痛みが辛すぎて、突き放した誰かの思い

今度は、突き放さずにいられるだろうか。傷口に塩を塗りたくられるとしても

払い除けずにいられるだろうか

夏凜は悩み、首を振る

夏凜「なら、あんたが誰かのために頑張りすぎる馬鹿だってこと。私は知っててやるわ」

――怖いなら、自分から掴みに行けばいい

そうすれば突き放すことも、払い除けることも。しなくて済むのだから


339 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 21:44:44.08DPtHkm3Bo (22/27)


夏凜「とはいえ……東郷たちは考えをまとめる時間も必要だろうし。明日の放課後、部室に来れる?」

天乃「明日の放課後?」

夏凜「そこで全員で話す。どう?」

明日の夕方

特に何も予定はないだろうから、平気だとは思うが……しかし

何か嫌な予感がしなくもない

けれど、夏凜が言うことも確かに間違いじゃない

休部して二日目

悩みだした月曜日、纏める火曜日

悩んでいる最中の呼び出しに、応えてくれるとは限らない

さて……


1、今日話す
2、明日話す


↓1


340以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 21:45:20.26WKwTcIkCO (4/6)

2


341以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 21:54:12.16s48JaENh0 (3/5)

2


342 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 22:08:57.70DPtHkm3Bo (23/27)


天乃「そうね、明日にしましょうか」

夏凜「素直に従われると、なんだか気味が悪いわね」

天乃「あら、酷い言いぐさね」

ほんの少し後退りする夏凜に微笑を向けて

天乃は弱まることを知らない暴風雨を見つめる

嫌な予感がする。天気のせいかそれとも自分の力故に気づく何かか

定かではない不安要素を胸に、天乃は息をつく

天乃「私は、貴女にリードされるのも悪くないと思ってるんだけど」

夏凜「……そ。厚い信頼をどうもありがと」

天乃「嬉しそうじゃないわね。貴女」

皮肉のような夏凜の声色

けれど、ただ照れくさいだけなのだ

夏凜のそれが分かるから、天乃は笑みを携えている

そして、それがあるから夏凜は素直には喜べない

その循環は決して、悪ではない

天乃「まぁ、私は好きでも貴女はそうじゃないなんて。良くあるすれ違いだものね」

夏凜「そういう無神経だと思うような言葉選びが呆れさせてるんだっての」

――好きとか、リードとか。信じてるとか

夏凜「馬鹿じゃないの?」

言葉とは裏腹に、やはり。夏凜は笑みを浮かべていた


343 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 22:32:12.21DPtHkm3Bo (24/27)


√ 5月9日目 夕(学校) ※火曜日


01~10  沙織
11~20 
21~30  大赦(強硬)
31~40 
41~50  男性
51~60 
61~70 
71~80  素戔嗚
81~90 
91~00 女性

↓1のコンマ  



344以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 22:34:20.75s48JaENh0 (4/5)




345 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 22:53:31.96DPtHkm3Bo (25/27)


珍しく大雨が降っているせいか、

運動部は体育館……ではなく、運動部も文芸部も

どこの部活も早めの帰宅を促され、

昇降口では「この雨の中帰れとか鬼ーっ」などの言葉が飛び交う

けれども、天乃の教室は不思議と静かだった

雨の音、風の音

それは当然、あるのだが、足音も声も。何もしない

その中で、つい先ほど震えた端末のメールを、机に伏せたまま覗く

瞳『すみません。渋滞で遅れそうです。同じく送迎だとは思うんですが……もう少し待っていてください』

送迎担当の夢路瞳

彼女からの絵文字付きの謝罪メールに目を通す

天乃「もう少し、ねぇ」

いつもなら

【沙織「久遠さん、しりとりする? 怖い話でもいいよ」】

そう声をかけてくれる相方もいない

天乃「暇ね」

無防備でも寝てしまおうかと目を瞑った瞬間

ガシャッっと、金属音が聞こえて目を開ける

この時代、この教室

それには不釣り合いな手甲が視界に入り、顔を上げる

素戔嗚「……………」

その先にあるのは、紫色の瞳


346 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 23:04:01.16DPtHkm3Bo (26/27)


天乃「あら、珍しいじゃない」

戦闘時には必ず姿を現すのだが

それ以外ではめったに姿を見せない素戔嗚の出現に

天乃はほんの少し動揺しかけた心を抑えて、笑みを浮かべる

こういう精霊関係の異変は、大抵。厄介なことの前触れだからだ

天乃「どうしたの?」

素戔嗚「……………」

カチャリ。腰元の刀が甲冑に触れた音がする

彼が持つ刀の名は、草薙の剣。ではなく、先代勇者が持っていたとされる刀だ

ゆえに、経年劣化による損傷の激しい刀は今でも粉々に砕け散りそうで

しかし、素戔嗚の手に握られても。それは朽ち果てることなく

まるで、それだけが時間に置き去りにされたかのように、形を保つ

天乃「どうしたの?」

素戔嗚「……………」

紫と橙

二つの瞳が交錯する中、雨も何も。遠慮するかのように音が途絶える

そして

素戔嗚「……………」

素戔嗚は抜刀すると、刀の柄を天乃に向ける

天乃「なに? まさか、これで貴方を刺せとでも?」

その問いに、素戔嗚は頷く


1、刺す
2、嫌よ。何が起こるかわからないもの


↓2


347以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 23:09:04.29s48JaENh0 (5/5)

ksk


348以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 23:15:19.49WKwTcIkCO (5/6)

1


349 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/18(日) 23:20:55.76DPtHkm3Bo (27/27)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



天乃「えいっ」グサッ

男子「…………」

天乃「あっ」

男子「く、久遠が人殺しにぃ!!」

天乃「ちょっ、待って。後でお願い聞いてあげるから代わりに待って!!」


350以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 23:28:55.2785xGTfd10 (1/1)


咄嗟にストップかけるときの久遠さんかわいい


351以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 23:32:21.64WKwTcIkCO (6/6)


刀を自分に刺せとは彼(?)もまたドMな…

まあ冗談はともかく夏凛ちゃんのヒロイン力がさおりんに並ぶ勢いになってきてるな


352以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/18(日) 23:40:59.70iuP6RZXOO (1/1)


本編(原作)で語られてない夏凜の家族部分を補完してるのはGJ
さてそれはそうと久遠さん抱かせろ(直球)


353以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/19(月) 15:22:06.51AdlCItNNo (1/1)

夏凜と久遠さん・沙織と久遠さんの会話の恋人未満友達以上の雰囲気好き
久遠さんは一人になるとノスタルジックですな


354 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/19(月) 22:14:50.91Zv5yvaXko (1/7)


では、初めて行きます


355以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/19(月) 22:19:09.07I2rsHPVcO (1/4)

あいよ


356 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/19(月) 22:34:43.17Zv5yvaXko (2/7)


天乃「消えたり、しないのよね?」

この刀はもはや使い物にはならない

それを修復するために、自らの力を捧げる

ありえない話ではない

武器として、力として

勇者に宿ることのできる精霊だから

だから、そうしようとしていると考えて問うと

首を振って否定し、言葉を持たない彼の瞳は、見据える

その手で、その刀で、自分を刺して欲しい。と

その理由は不明瞭で、意味も分からない

しかし、手に持つ刀の刀身はきらりと光って、意識を引き抜く

考える必要はないと、迷う必要はないと

躊躇わず。導きに従え。と

天乃「………分かった」

すぅっと息を吸って、息を吐き

右肘を曲げ、刀を持つ右手をゆっくりと下げ

左手を前に、素戔嗚の甲冑の隙間を捉える

戦いの緊張感はない。しかし、確かな張りつめた空気の中

何もかもを感じず、その一突きだけに集約した天乃の動きは一瞬だった

金属音は響かない、髪は遅れて靡き、風は切られたことすら気づかずに平然と流れていく

朽ち掛けの古刀に胸を貫かれた素戔嗚はその刹那を今、感じて

紫色の瞳だけで、ほほ笑んだ


357 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/19(月) 22:42:19.34Zv5yvaXko (3/7)

01~10 
21~30 
41~50 
61~70 
81~90   

↓1のコンマ

※上記範囲なら記憶有


358以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/19(月) 22:42:42.19I2rsHPVcO (2/4)




359 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/19(月) 23:00:16.55Zv5yvaXko (4/7)


貫いた刀が光り、甲冑が光り、

素戔嗚そのものが眩い光に包まれ――そして

若葉「――ここ、は」

彼女と変わらない金色の髪と、彼と変わらない紫の瞳

それを持つ少女は驚いたようにあたりを見渡し

天乃を見つけると首を傾げた

若葉「君は……誰だ?」

天乃「え?」

若葉「すまない。何もわからないんだ……私が乃木若葉であるということは分かる」

分かるが、それ以外には何も。分からない

若葉はそう繰り返すと、すぐ後ろの机にぶつかって、立ち止まる

若葉「学校……そうだ。学校。だが、なぜ私はここにいる。君は、私は……」

天乃「私は、久遠天乃。貴女はそう。乃木若葉。私は学生だからここにいる」

若葉「久遠……天乃?」


360以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/19(月) 23:02:34.52I2rsHPVcO (3/4)

まさかの若葉様解禁か


361以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/19(月) 23:19:21.941njEg5+GO (1/3)

記憶ないほうが却っていろいろ面白いかもな


362 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/19(月) 23:27:23.84Zv5yvaXko (5/7)


若葉「懐かしい……懐かしい。名だ」

若葉は感慨深そうに声を漏らす

記憶にはないのに

なぜか、聞き覚えがあるのだ

知らないはずなのに、分かる気がする

その名には――とてつもない安心感がある

若葉「久遠。久遠天乃……とても、大切な名前な気がするのだが」

彼女は自分の胸元に手を宛がい

欠けた記憶に思いを馳せて、ほほ笑む

記憶喪失の不安を、その何かが包み込んでいく

若葉「残念だ。私にはそれが分からない」

天乃「……若葉」

若葉「済まない。君と私はどのような関係なのかだけ。教えてはくれないか?」

大切だと思う理由

それは自分で思い出さなければいけない。と

あえて聞かずに若葉は問う



1、友達
2、親友
3、精霊と勇者
4、恋人(※友達)
5、先輩と後輩


↓1


363以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/19(月) 23:28:48.451njEg5+GO (2/3)

4ww


364以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/19(月) 23:29:11.29I2rsHPVcO (4/4)

3


365以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/19(月) 23:33:14.711njEg5+GO (3/3)

あ、↓1か、最近↓2まで遠いしな
久しぶりに安価とったわ


366 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/19(月) 23:55:39.18Zv5yvaXko (6/7)


天乃「忘れ、ちゃったの?」

若葉「なに……?」

張りつめた声

寂しそうな、悲嘆の声

潤み出す橙の瞳

若葉は何も覚えていないが

記憶にないからこそ、動揺してしまう

自分は彼女に何をしたのか

彼女との何を忘れてしまったのか

その疑問に、彼女は答えた

天乃「私たちは、恋人だったのよ?」

若葉「恋人……だと……?」

馬鹿な、ありえない

初めに思ったのは否定だった

しかし、愛というものは性別が捉えられないものである可能性だってある

いや、むしろ。難かしらの枠にとどめて置けるものではないかもしれない

しかし、それでもありえないと口にしようとした。否定しようとした。同性で恋人などおかしいと

だが、天乃の演技は上手かった。流石悪戯娘と神獣を唸らせるほどに

そして、若葉は記憶を失っているという欠点があった。すでに天乃を傷つけているのではないかと言う罪悪感があった

だから、否定できなかった。異議を唱えられなかった

若葉「すまない……謝って済むとは思わない。だが、済まない……こんな時。私は君に、何をしてあげれば良い」

天乃「本当に……忘れ、ちゃ、たのね……」

途切れ途切れの嗚咽未満の声

俯いた衝撃に揺れた嘆きの泉が一滴、煌めかせる

若葉「あ、まの……」

――泣かせて、しまった

強い罪悪感を握り締めて、若葉もまた。俯いた


367 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/19(月) 23:59:18.69Zv5yvaXko (7/7)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「恋人よ」

若葉「なんだ、夫婦ではないのか。記憶のある私は、こんなにも愛らしい彼女を前に何していたんだ」フルフル

天乃「え、ちょ……」

若葉「どうした天乃。私は恋人では不満だ。だから今から、伴侶になってくれないか?」グイッ

天乃「ぅ、ぇ、ぇ、えぇぇっ!?」


368以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/20(火) 00:10:17.85oE3YNnrxO (1/1)


こういう時の打たれ弱さは相変わらずの久遠さん

にしても若葉様は出番早いけど今回も記憶喪失での登場か…
後々記憶が復活したりとかするかな?


369以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/20(火) 00:11:10.74euis5GEbO (1/1)


若葉の逆襲を


370以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/20(火) 12:38:18.27quxRzTLtO (1/1)

安定のイケメン若葉さん
記憶については九尾に聞いてみるのはどうだろうか


371 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/20(火) 21:58:20.42u+RsDEGRo (1/7)


では、初めて行きます


372以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/20(火) 22:04:57.64RAMFlt/cO (1/3)

よっしゃ


373 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/20(火) 22:08:50.27u+RsDEGRo (2/7)


天乃「まぁ、実際はただの友達なんだけどね」

若葉「な、なんだとっ! 天乃ッ! 私のことをおちょくってるのか!?」

天乃「むふふっ」

若葉「否定も肯定もしない笑みが無性に腹立たしいなッ」

すぐに冗談だと訂正したとはいえ

記憶喪失と言う不安要素の中で嘘をつかれたのだ

憤るのも無理はない

しかし天乃は笑みを浮かべたまま若葉を見る

そこには悪戯心は感じられず

むしろ、安堵しているようにも感じた

天乃「ふふっ」

若葉「何がおかしい。私は――」

天乃「別に。ただ、嬉しくて」

若葉「嬉しい、だと? 私をコケにして楽しいか?」

天乃「違うわ。記憶喪失で変に他人行儀になるかもって不安になったけど。そうならなくて、嬉しかったの」

若葉「………………」

天乃「見ての通りの人間だからね。堅苦しいのは嫌いなの。今みたいな貴女の態度が、私は好きよ」


374 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/20(火) 22:20:01.60u+RsDEGRo (3/7)


悪戯の笑み

安堵の笑み

そして、天乃が今見せている笑み。これは……

若葉「ぅ……」

若葉は何も悪くない

けれど、若葉はほほを赤く染めて眼を逸らす

これはいきり立って怒鳴ったのが恥ずかしいだけだ。と、言い訳を思いながら。

若葉「そう、か……君は私を責めないのだな」

天乃「責める理由が見当たらないもの」

若葉「私には記憶がない。何もわからない。それでもか?」

天乃「ねぇ、若葉」

少女は呼ぶ

さっきとまた違う、子供らしさのある笑みを携えながら

遊びに誘うように、若葉を呼ぶ

天乃「私は誰?」

若葉「久遠天乃、だろう? ついさっき自分で――」

天乃「そうね。そう。そうなの」

若葉「何が言いたい?」

天乃「貴女は私の名前を覚えてくれているじゃない。今は、それだけで十分よ」

ね? と、天乃は問いかけて

若葉はとっさに答えることができずに、頷く

なぜ、どうして、何が、なんで。いろいろと言いたいことはあるが

今は、天乃が言うようにそれだけでいいのだと。焦っても意味はないのだと。思った


375 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/20(火) 22:29:10.85u+RsDEGRo (4/7)


√ 5月9日目 夜(自宅) ※火曜日


1、九尾
2、死神
3、若葉
4、獺
5、稲荷
6、イベント判定
7、勇者部の誰かに連絡 ※再安価

↓1

※7は電話



376以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/20(火) 22:34:34.13RAMFlt/cO (2/3)

1


377 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/20(火) 22:51:49.59u+RsDEGRo (5/7)


九尾「妾は何も知らんぞ」

天乃「出てきて早々。嘘つかないで」

若葉が自分を精霊だと認識していないからか

姿を消すことができず、瞳には存在が知られてしまった上に

乃木若葉と言う名前まで伝わったが、大赦からの接触がないのを見ると

車から降ろす際に言った【「一応黙っておきます」】というのは本気だったらしい

若葉の今後の対策と、若葉の存在

それを話すために、若葉の入浴中に呼び出した九尾は

明らかに知っている素振りで知らないと言う

突っ込めとでも言いたいのだろうか

天乃「なぜ、素戔嗚が若葉になったのよ」

九尾「それは認識が誤りじゃ。素戔嗚が若葉になったのではなく。若葉が素戔嗚になったのじゃ」

天乃「若葉が……素戔嗚に?」


378 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/20(火) 23:04:01.48u+RsDEGRo (6/7)


彼女がもともと精霊だった。ということか

いや、それなら園子は精霊と人間のハーフというなんともSFチックと言うか

RPGゲームにありがちなものになる。と

天乃は頭の中で否定し、思考を整理する

若葉が先代勇者であり人間だったことに間違いはない

では、なぜ。精霊になっていたのか……

九尾「若葉はひどく悔やんでおったからのう……報いを受けさせたいと」

天乃「報い……バーテックスに?」

九尾「いかにも。それを果たせなかったがために悔やんでおった、だから、その怨念ともいえる意思を刀と素戔嗚。扉と鍵にした」

誰が。陽乃が

それは言われずとも結びつき、記憶の中の先代勇者の写真を引き出す

天乃「記憶喪失の理由は?」

九尾「刀の経年劣化による術式の不具合。あるいは、陽乃が悪霊や魔剣になることを防ぐために封印したのじゃろう」

天乃「……そう」

陽乃という先祖が元は列記とした巫女だったことは何度か聞いたが

そんなことまでできるほどの凄腕の巫女だったなど、初耳だ

いや。だからこそ、神様を従えることができていたのだと考えられなくはない

――恐らく、私なんて足元にも及ばないんでしょうね。陽乃さん


379 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/20(火) 23:12:20.10u+RsDEGRo (7/7)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




―風呂―

若葉「ふぅ」

若葉「……………」スンスン

若葉「天乃の匂いがするな。今は私の匂いだが」

若葉「二人とも同じ匂い。恋人……同棲///」ブクブクブク




380以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/20(火) 23:13:52.72uLWt+oRx0 (1/1)


若葉さん楽しそうでなによりデス
陽乃さんすげー!


381以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/20(火) 23:26:15.68RAMFlt/cO (3/3)


陽乃さんの力って思った以上に早死にしてもおかしくない位強力だったんだな

…若葉様のムッツリ



382以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/21(水) 07:32:58.359Xe+uLpEO (1/1)

久遠さんがまた平然とたらしこんでるぞ
好きって言ったり記憶喪失の相手に今は名前を覚えてるだけでいいとか…ダメだこの人


383以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/21(水) 10:31:07.457NAPwKS3o (1/1)

久遠さんだからね仕方ないね
誘い受けだし


384 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/21(水) 22:24:33.50Ew5hLTKvo (1/6)


では、少しだけ


385以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/21(水) 22:26:10.43YNTrgGlKO (1/3)

ういーす


386 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/21(水) 22:35:27.39Ew5hLTKvo (2/6)


九尾「巫女として、勇者として。陽乃は主様よりも優れていたのは事実じゃ」

天乃「でしょうね」

九尾「じゃが、戦闘能力の面では。主様の方が高かったのう」

九尾は思い出し笑いをしながら、言う

陽乃は平和だった旧世紀の人間

その一方で、天乃は来るべき戦いに備えて

様々な武術を仕込まれていたのだから、差があって当然で

しかし、九尾は続ける

九尾「逆に、陽乃は巫女としての経験を積んでおったからな。主様は巫女舞など踊れまい」

天乃「さぁ? 記憶を取り戻したら踊れるかも」

九尾「……いや、舞より武術と疎かにしておったのだ。無理じゃな」

冗談もなく、きっぱり

九尾の揶揄う表情に、天乃はあり得なくはないわねと息をつく

正直、天乃は自分の家が神社の通ずる巫女の家計と聞いた今でも

跡継ぎになるために頑張ろうとは思えていない

そもそも、神職というもの以前の神様が嫌いなのだから仕方がない

九尾「陽乃の作った口噛み酒は真、美味なる酒じゃった。あれに勝るものなど、妾は知らぬ」


387 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/21(水) 22:44:59.20Ew5hLTKvo (3/6)


天乃「………………」

思い出を溢した九尾の表情は

人間味にあふれている

悲しさと切なさ、寂しさと喜び

感情を感じるそれを前に、天乃は一瞬。言葉を失った

本当に、好きだったのだと

本当に、愛していたのだと

その思いを感じたから

天乃「貴女、お酒飲んでるの見たことないわ」

なんとなく、適当な話題を抓むと

哀愁を感じる九尾の瞳が、天乃に向いた

九尾「300年間禁酒しておるからのう」

天乃「良く続くわね」

九尾「不味い物をわざわざ口にする必要もないではないか」

天乃「一理あるわ」


388 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/21(水) 23:02:34.58Ew5hLTKvo (4/6)


いや、けれど

きっと九尾の禁酒の理由はそうではない

それが最後の味なら、ずっと。残り続けるからだ

最後に口にした最高の一品として

余計な酒に記憶を酔わされることなく、ずっと

天乃「……口噛み酒。ね」

口噛み酒と言うのは、言葉通り口で噛んだお米やイモ類を吐き出して溜め、

それが発酵することで出来るお酒だ

九尾「陽乃は時々、唐黍でも作っておったぞ。唐黍で作るとな。米よりも粒が残りやすくて妾は好きじゃったな」

天乃「陽乃さんは良く作ってたの?」

九尾「妾とは力の貸し借りがあるからか、基本的には頼めば作ってくれたのじゃ」

嬉しそうに、九尾は語る

口噛み酒なんて言うものは

思春期真っ只中。あるいは少し過ぎているであろう陽乃にとっては

羞恥を覚えるものであるはずなのに

頼めば作ってくれるというのだから、陽乃も九尾に対してはそれなりの好意があったのかもしれない


389 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/21(水) 23:16:52.55Ew5hLTKvo (5/6)


天乃「そっか……」

自分は口噛み酒なんて造らないし

作る技量……が、必要なのかはさておいて作る気はないが

しかし、もしもそういう経験があって

それができるのなら、やってあげているのかもしれない。と、天乃はひそかに笑う

自分と九尾しかいなかった昨日までの自宅

ここでならだれに見られるわけでもない分、羞恥心はすこし減るだろうから

天乃「陽乃さん、優しいのね」

九尾「厳しい時は、厳しいがな……」

ふと、九尾の声色から明るい色が消え、

すぐに「そういえば」と、切り替える

話したくないことがある。そんな気がした

九尾「若葉はどうするのじゃ?」

天乃「?」

九尾「今のままでは精霊化というべきか、姿を消せまい」

天乃「そうね……何か方法はある?」

九尾「妾の力ならば、若葉を学校に初めからいた生徒。として記憶の挿入もできるが……」



1、それで危険がないのならそうしましょう
2、ううん。若葉に精霊であることを話しましょう


↓1


390以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/21(水) 23:17:46.94YNTrgGlKO (2/3)

2


391 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/21(水) 23:27:11.64Ew5hLTKvo (6/6)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば、通常時間から




天乃「飲んでみて」

九尾「これは口噛み――」

天乃「べ、別に貴女の為じゃないんだから。本当に作れるのか、知的好奇心に負けただけなんだからっ」フイッ

天乃「勘違いしないでよね!」


九尾「……とか」

天乃「ない」


392以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/21(水) 23:30:35.009jpPzHPo0 (1/1)




393以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/21(水) 23:32:48.55H40wN3UY0 (1/1)




394以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/21(水) 23:36:17.88YNTrgGlKO (3/3)


あの九尾が二周目の初登場からは想像つかないほどのヒロインになってる…
やはり過去に何があったのか気になるけど聞き出すのは中々難しいだろうなあ


395以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/22(木) 08:11:13.031XUCNYqNO (1/1)

うーん…若葉は学生にしておいた方が良いと思うんだが
前のように死者を精霊に出来るって余計に警戒されんじゃん
安価ミス多くね?


396以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/22(木) 12:39:35.29gAgB6Y3KO (1/1)

久遠さんの口噛み酒飲みたい


397以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/22(木) 16:07:40.29Xby9fOeHo (1/1)

安価ミスかは解らないからなんとも言えないけど若葉ちゃんには学生生活を経験して欲しかったな

まぁそんなことよりも久遠さんの口噛み酒を描写して貰わないと駄目でしょ


398以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/22(木) 17:56:43.016F36Lcpy0 (1/1)

>>395まぁどうせ誤魔化しは若葉の名前的に大赦には通用しないだろうしいいんじゃね?
口噛み酒飲みたい


399以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/22(木) 20:43:20.39DOLbENskO (1/1)

九尾は多分九尾先生で問題なく通ってるぞ
それに九尾の力は大赦に看破されるほど弱くないだろう



400 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/22(木) 22:52:50.66FxrTEZG+o (1/5)


では、少しだけ進めていきます


401以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/22(木) 22:53:37.53O3GCxF/fO (1/3)

よっしゃー


402 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/22(木) 22:59:47.95FxrTEZG+o (2/5)


天乃「ううん、若葉には精霊であることを話しましょう」

九尾「む……? 良いのかや?」

天乃「どちらにせよ。面倒なことにはなるだろうし。戦いに出て貰うちゃんとした理由でもあるからね」

乃木若葉を学生として生活させること

それも悪くはないと天乃は考えた

いや、先代の勇者として

きっと過酷だったであろう人生を歩んできた彼女には

日常と言うものを堪能してほしいと思った

しかし、だからこそ。仮初ではいけないとも思った

九尾「初めから嘘をつかねば良いものを」

天乃「私にとっては、友達だもの。みんな、ね」

九尾「それは間接的に妾も。となるが?」

天乃「嫌なら無視して貰って結構よ」

不躾な問いには冷たく返して、ため息一つ

恋人と言うのは嘘だ。冗談だ

だけれど、友達だと言ったのは嘘ではない

主従関係と言う物を、天乃はなかなかどうして、気に入らなかったからだ


403 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/22(木) 23:09:24.47FxrTEZG+o (3/5)


九尾「くふふっ、まぁ良い……しかし。若葉は驚くじゃろうからな。対応は任せるぞ」

天乃「丸投げするの?」

九尾「友人。なのじゃろう?」

笑いながら調子づく九尾を横目で睨むと

やはり、くすくすとこ馬鹿にした笑い声を漏らして

白色の肌、黄金の髪、赤い瞳の女性は姿を靄と化して、消失

残された天乃は残香を目で追うように窓を見る

天乃「……記憶、ないのよね」

あれば陽乃の件を聞きたかった。と、思いつつも

ないからこそ、あの場で取り乱さずにいられたのだろうと思うと

一概に記憶喪失が悪手だとは思えなかった

天乃「陽乃さんが仕組んだのか、それとも故障か」

相当劣化していた刀だ

術式の一部が欠落していたとしても不思議ではない

なら、やはり……とも思うが

天乃「……300年間。刀が無事だったのなら。もしかしたら、祠も無事かもしれないわね」

興味はある。知的好奇心もわいてくる

けれど、行くのは簡単なことではないだろうし……と

近づく足音に、耳を傾けた


404 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/22(木) 23:28:19.84FxrTEZG+o (4/5)


√ 5月9日目 夜(自宅) ※火曜日  継続


若葉「やはり、お風呂と言うのは素晴らしいな。心から疲れが抜けていく」

天乃「喜んで貰えて嬉しいわ。ただの、家のお風呂だけど」

若葉「天乃が出してくれた入浴剤。香りが凄く良かった」

……子供なのだが

年下の子供のように純真な喜びを見せる若葉の姿に

天乃はくすくすと笑みを浮かべる

記憶がないという不安の感じない表情だからか

すこしだけ安堵する

けれど、少しだけ罪悪感を抱く

なにせ、今からその安寧を打ち破ろうというのだから

若葉「それで、天乃」

天乃「うん?」

若葉「寝室、なのだが」

天乃「あぁ……」

部屋はいくつか空きがあるにはあるが……



1、その前に、話すことがあるわ
2、おいで? と、ベッドを叩く
3、押し入れに布団がある。と言う
4、隣の部屋が空いてるから。と、言う

↓2


405以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/22(木) 23:30:56.26O3GCxF/fO (2/3)

2


406以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/22(木) 23:31:08.645T42Okgf0 (1/1)

2


407以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/22(木) 23:31:12.680LdhgG4U0 (1/1)

1


408 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/22(木) 23:45:17.69FxrTEZG+o (5/5)


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来ない可能性があります
出来れば通常時間から





天乃「おいで」ポンポン

若葉「……そうか」

天乃「?」

若葉「天乃」グイッ

天乃「ぁ、ちょ、待って冗――」

若葉「別に、寝れなくなっても構わないのだろう?」ギュッ



409以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/22(木) 23:53:53.26O3GCxF/fO (3/3)


久遠さん相手が女の子だからって油断し過ぎィ!

それはともかく布団の中で不安をやわらげつつ話す感じになるかな


410以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/22(木) 23:56:43.50Mp2xMeai0 (1/1)




411以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/23(金) 00:19:12.70ZJznf/Cvo (1/1)


魅了の力は若葉には効かないのかねえ


412以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/23(金) 01:33:53.60QCw1qABx0 (1/1)


そういえば懐かしいって陽乃さんのことなんだろうけど前周のこととかがあるから色々考えちゃうよな
それこそ前周の友奈の反応とかあったし


413以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/23(金) 10:20:17.93jTvPiS0Oo (1/1)

もー久遠さんったらすぐに手を出すんだから
それにしても陽乃さんのお陰で友奈と高奈がどんな関係であろうと問題なくなったな


414 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/24(土) 23:25:17.09R7G3F3ROo (1/3)


では、少しだけ


415以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/24(土) 23:28:27.40Lmuxs0aqO (1/1)

来てるー


416 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/24(土) 23:34:21.14R7G3F3ROo (2/3)


天乃「おいで」

ポンポンっと、ベッドを叩いて笑みを浮かべて見せると若葉は顔を顰め、後退る

恋人と言う冗談もあってか、本気だと思ってはいない。が

少しばかり心配にもなってしまうのだ

悪い人ではないと頭ではわかっているのだが

もしかしたら、そういう人間なのかもしれないという。不安がある

若葉「し、しかしだな」

若葉は躊躇った

困惑し、狼狽え、長考しようと口元に指を宛がうと

柑橘系果実のフローラルな匂いが鼻腔をつく

天乃の匂いで、自分の匂い

共有した、一つで二人の香り

若葉「……………」

だから、若葉は思う

天乃「若葉?」

若葉「……一つ、聞いて良いか?」

天乃「うん?」

若葉「私が……その。なんだ」

眼を逸らし、こぶしを握るそぶりを見せつつぐにゅぐにゅと忙しなく指を動かして

若葉「天乃を抱きしめたりしても……許してくれるの、だろうか?」

誤魔化しきれずに本心を問う


417 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/24(土) 23:55:15.95R7G3F3ROo (3/3)


若葉「も、もちろん! こ、故意にそうしたりするつもりはないぞ!」

言い訳だ。いや、言い訳にすらなっていない

これはもはや白状していると言ってもいいだろう

髪を洗った時、体を洗った時、入浴した時

統一された甘い匂いを感じ、久遠天乃という心優しい友人の香りだと理解した

良い匂いがする人だと、分かっている。自分がそうなのだから

けれど、だから。しかし、でも

記憶のない中で、唯一の知人、友人とも呼べる彼女を強く感じたいと思う

それが最も容易いのが、抱擁することだからだ

だから、そう。つまりは

そう考えた若葉は「すまない、故意だ」と、言い直す

若葉「……不安なのだ。堪らなく」

天乃が同性愛者である可能性

その危機感など気にならないほどに

若葉は恐れてもいるのだ

若葉「記憶がなくて、何もなくて。だから、一人には……なりたくなくて」

天乃「だから、私のことを?」

若葉「ああ。私はきっと、君と眠れば無意識にも意識的にも君を抱きしめると思う。だから、それが駄目なら。私はここでは眠れない」


418 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 00:19:08.53JnkmeKF5o (1/27)


天乃「ん~……」

頬を冷汗が伝う。そんなことを宣言されても、と言うのが正直な気持ちだろうか

恋人だと言ってみたり、一緒に寝ようか。的な意味合いでベッドを叩いてみたりと

いろいろしてはいるが、8割は冗談でできているのだ

冗談に大して、そんな生真面目な答えを返されても困ると言えば困るのだが

九尾に言わせれば、それは自業自得と言うものだろう

二人して黙り込むと、風の唸り声が外から響いてくる

締め切ったカーテンの奥では何が起きているのか

いや、そのさらに遠くの壁の向こうでは何が起きているのか

沙織からの連絡も待っている天乃は多少の不安を感じ、飲み込むように息を吸って、吐く

若葉の姿を視界から押し出し、手元を見つめて、目を瞑る

不安を感じているのは自分もだ

恐れを抱いているのも自分もだ

そして、不安を増長させようとしているのは――自分だ




1、良いわよ。好きなだけどうぞ
2、……その前に。言っておくべきことがあるわ


↓1


419以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 00:19:55.69I8UsijkhO (1/3)

1


420以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 00:19:58.08Fv3MpsXeO (1/1)

2


421以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 00:27:22.88swR+7yiCO (1/1)

精霊であること伝えなくて大丈夫なのか…?


422以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 00:34:30.08I8UsijkhO (2/3)

若葉不安そうだったからぎゅーすれば落ち着くかなと思って
精霊のことはいつでも伝えられるかなって……


423 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 00:37:44.85JnkmeKF5o (2/27)


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば昼頃から


424以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 00:45:04.22vscDLYxVO (1/1)


ほとんど初対面なのにもう若葉ルートができてるな


425以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 00:48:34.36I8UsijkhO (3/3)




426以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 00:52:02.93+HmG5ZTu0 (1/1)





427以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 00:59:17.50Ou3U1nQnO (1/1)

若葉らしいっちゃらしいな…枕抱き締めてそう


428 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 14:31:07.48JnkmeKF5o (3/27)


では、初めて行きます



429 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 14:40:05.01JnkmeKF5o (4/27)


天乃「……良いわよ」

若葉「良い、のか?」

天乃「ええ、好きなだけどうぞ」

天乃の声は優しく、心地が良く

向けられた笑みは温かく、穏やかだった

本当の恋人のように

あるいは、幼子を抱く母親のように

若葉「……すまない」

自分との関係すら何一つ覚えていないわが身に

遠慮するなと衣食住を提供し

そのうえで、厚かましいとも言える我儘を願ったにも拘らず

受け入れてくれたその心は、今の若葉にとっては救いに他ならない

天乃「謝らないで」

きっと、普段の若葉はこんな弱弱しくはないのだろうと天乃は思う

しかし、今置かれている若葉の状況を鑑みれば

こう、誰かに頼りたくなってしまうものなのだろう

だから、突き放そうとは思えなかった


430 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 14:51:45.11JnkmeKF5o (5/27)


若葉「なら……ありがとう。か」

若葉は小さく呟く。聞こえていてくれと思いながら

気恥ずかしさに抑圧された声

こっそりと天乃に目を向ける。向けられた笑みはそのままで

こっちに来ないの? と、言いたげで

若葉「……」

一歩一歩を踏みしめて歩く。近づく旅に心臓の音が跳ね上がっていくのを感じ

止まりたいと思うが、しかし。体は意に反して動くのをやめない

それはきっと、意に反していないからだろう。と、若葉の心が呟く

どうしようもないほどに不安だった

事実を言えば、入浴だって心細くはあったのだ

だらしない話、みじめな話、一人であるという時間が耐えがたい苦痛だった

若葉「失礼、する」

天乃の体を覆う掛け布団を掴むと、覆い隠していた天乃の体温を強く感じ

追い打ちのように、天乃らしい匂いを感じる

思わず動きを止めると、天乃は「どうかしたの?」と心配そうに言う

どうもしていない。いや、している

若葉は葛藤の末に

若葉「天乃の匂い、私は好きだ」

そういってしまった


431 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 15:03:05.77JnkmeKF5o (6/27)


天乃「……は? えっ?」

酷く素っ頓狂な声だと、天乃は思った

若葉はいたって毅然とした表情で

冗談ではないことは分かりやすかったが

だからこそ、そんな声になってしまったのだ

若葉「好きなだけ、いいのだろう?」

白い肌を朱色に染め上げていく天乃を見ながら

それに気づけないほどに陶酔仕掛けている若葉は

ベッド脇に右手をつき、ゆっくりと。

天乃に向かって体を傾けていく

近づけば近づくほど、彼女の匂いがする

入浴したばかりで、どちらも同じ香りなはずなのに

なぜか、まったく違う安心感を覚える匂い

上半身を起こしていた天乃が「や、ちょ……待」などと狼狽え

体を寝かせていくのを追いかけて、自分も体を倒す

天乃「わ、若葉……?」

若葉「君は……美しいな」

ベッドに押し倒す形となって、追い詰めて

しかし、若葉の理性が失われているわけではない――のだろう

若葉は狂いがなく、純朴で嬉しそうな笑みを、浮かべた


432 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 15:33:03.34JnkmeKF5o (7/27)


若葉「本当に、美しい」

天乃「何言って……」

問おうとした天乃のほほに、

一滴のしずくがしたたり落ちて、言葉が止まる

泣いている。誰が、天乃が

違う。天乃ではなく、若葉が泣いている

また一つ、さらに一つ、天乃に振る涙の源泉は

その紫の瞳に嘆きと、悲しみと、悔しさを宿らせ

しかし、それが何か理解できない動揺に震えていた

若葉「君を見ているとどうしようもなく心が震える」

けれど、「分からないんだ」と、呟いて

天乃「若葉……」

天乃はそんな若葉に自分の不安も心配もかくして声をかける

若葉「…………」

美しい景色を目にした時の感動か

掛け替えのないものを失った悲しみか

天乃を目の前にしていると、どちらとも言えてしまう感情を抱いてしまう

しかし、そばにいないと不安になって。そばにいると安心できるから

どうしても、そばにいたくて感じたくて、若葉は天乃を抱きしめる

若葉「何も分からなくても……いや、分からないからこそ。私は――君と共にありたい」


433 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 15:49:47.27JnkmeKF5o (8/27)


↓1コンマ一桁+二桁

※0=10
※ぞろ目= 00=10+10+10=30


434以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 15:52:12.18fKZxhrrUO (1/1)




435 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 16:17:58.41JnkmeKF5o (9/27)

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(失敗、勇者部)
・   乃木若葉:交流有(復帰、一緒に)
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流有(???)



5月9日目 継続 終了時点

  乃木園子との絆 25(中々良い)
  犬吠埼風との絆 38(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 31(中々良い)
  結城友奈との絆 49(少し高い)
  東郷三森との絆 35(中々良い)
  三好夏凜との絆 23(中々良い)
  乃木若葉との絆 29(中々良い)
     沙織との絆 44(中々良い)
     九尾との絆 34(中々良い)
      死神との絆 31(中々良い)
      稲狐との絆 28(中々良い)
      神樹との絆 7(低い)

 汚染度43%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します


436 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 16:35:19.34JnkmeKF5o (10/27)


√ 5月10日目 朝(自宅) ※水曜日


いつになく強い暑さを感じて目を覚ますと

昨日、の夜からずっと抱きしめられたままだったことを思い出して、息をつく

すこし体を動かすと

張り付いたインナーがはがれ、空気が入り込んでひんやりとする

扇風機のありがたみを彷彿とさせる感覚に微笑みながら、横目で若葉を見て

そのまま窓に視線を移す

快晴であることを示すまばゆい光が、差し込んできていた

若葉「んん……ひ、なた……」

天乃「?」

眠ったままの若葉から零れた聞き覚えのある単語

――単語じゃない。名前だ

ひなた。そう、確か、上里ひなた

旧世紀における勇者メンバーのサポート役だったらしい巫女の名

どんな仲だったのかは分からない。けれど

安心した顔つきを見るに、少なくとも友人以上ではあったのだろう

きっと、こうして頼る相手だったに違いない


437 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 16:52:27.14JnkmeKF5o (11/27)


天乃「記憶……」

記憶がないのは間違いではないだろうが

こうして、寝言とはいえ名前を呟いてしまうということは

完全に消去されたわけではないはずだ

だとすれば、術式の劣化による記憶の欠落なのだろうか

考えている間にも、「今度は、守れたぞ……」と、さらに言う

天乃「……………」

先代勇者が経過年数的にそんざいしていないのは間違いない

乃木若葉が生き残ったことも確かだろう。久遠陽乃という人物が子孫を残したことも間違いはないだろう

だが、ほかのみんなはどうなのだろうか

結城友奈と高嶋友奈。瓜二つと言えそうな存在はいるが、それ以上には影も形も見当たらない

そのあたりに関しては、九尾に……

天乃「うん?」

考えをさらに巡らせようとしたところで

端末が光っていることに気づき、メールの差出人を見る

from:沙織

天乃「沙織から……?」

待ちに待った、沙織からの連絡だった


438 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 17:09:31.72JnkmeKF5o (12/27)


内容はいたってシンプルで、明日の朝

と言っても、昨日の夜に着信しており、【5月10日目の朝】つまりは

今日の朝なのだが、迎えに行くから大赦に行こう。とのこと

天乃「……話は付いたのかつかなかったのか」

これでは何もわからない

しかし、少なくとも

ここから先は、天乃がいなければ進まない話。ということだろう

若葉「ん……ぁ、まの?」

天乃「あら、起こしちゃった?」

端末をいじっていると

目を覚ました紫色が光を帯びて輝くのが見え、天乃は困ったように笑う

若葉「いや……それより、なんだか汗っぽいな。私のせいだ。すまない」

天乃「好きにしてって言ったのは私だもの。気にしないで」

若葉「……そうか。だが」

ゆっくりと体を起こし、同じく体を起こしていた天乃の体を見る

天乃「?」

その視線の動きに天乃が疑問符を浮かべる一方で

若葉はなぜか、照れくさそうに眼を逸らす

若葉「水が滴っているわけではないが――今の君は、どこか艶かしいな」

天乃「何言ってるのよ、貴女」


1、そんなことよりお風呂入りましょ。出かけるわよ
2、そんなことよりも、ねぇ。大切な話があるの
3、でも、貴女も負けてないわよ
4、……貴女、匂いが好きな人?


↓2


439以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 17:11:12.854vmkXPRI0 (1/1)

2


440以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 17:15:52.34DYPDGDZEO (1/5)

2


441 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 17:34:56.76JnkmeKF5o (13/27)


天乃「……それよりも、大事な話があるの」

若葉「大事な、話?」

またふざけたことでも言うのかと身構えようとしたが

天乃の真剣なまなざしに、若葉は思わず息を飲む

それはついさっきまでの和さを感じられそうな穏やかさはなく

張りつめた緊張感を引き連れていたからだ

若葉「私のことか?」

確証はないが、そう思った

まだ出会ってから半日程度でしかないが

天乃が優しい少女であることは十分身に染みた

心にだって、沁みた

だから。彼女が空気を変えてしまうほどに真剣なことなのなら

記憶喪失な自分に関することだろうと思ったのだ

そして、それは間違ってはいない

天乃は頷くと「私たちの関係よ」と、言う

若葉「……友人では、ないのか?」

天乃「それは間違いないわ。少なくとも私はそう」

若葉「私は……? どういう意味だ」

天乃「私と貴女は、勇者と精霊。いわば主従関係に近いのよ」


442以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 17:43:58.01nxVpBj67O (1/2)

最初からこれ言ってたら友人になるのは難しかったのかな


443 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 17:44:30.86JnkmeKF5o (14/27)


勇者と精霊

そんなことを言われても、そう簡単に理解はできない

勇者都はないか、精霊とは何か

それを若葉は【失って】しまったからだ

何をふざけたことを、なんの冗談だ

そういうこともできる。しかし、若葉は言わず「どういうことだ」と、問う

勇者と精霊について天乃から聞き

そして、若葉はそれを疑うことなく信じた

信じられないような話を、若葉は信じた

若葉「……そうか。私は天乃の精霊なのか」

天乃「疑う余地はあるわよ」

若葉「それでも。私の心が、天乃を信じたいと言っているんだ」

若葉はどこか、嬉しそうに言う

人間ではないこと。それは悲しいことだが

天乃の精霊ならば

記憶が戻って離れ離れになることもないし

勇者を守るための存在ならば、そばにいても問題がないからだ


444 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 17:55:20.50JnkmeKF5o (15/27)


若葉「天乃」

天乃「なに?」

若葉「君は先ほど、私は。と言ったが……」

勇者と精霊は主従関係のようなものだと言った

それは、決して友人関係になるべきものではないのだろうと思う

しかし、それでは、何か腑に落ちない

今こうして、自分が精霊であることをすんなりと受け入れようとしているのは

天乃が自分を友人だと言ってくれたからだ

それならば、だからこそ

これは憚れることなのかもしれないが

若葉「私も。と、訂正願いたい」

天乃「若葉……」

若葉「精霊でも構わない。だが、私は……天乃の友人と言う立場の方が好きだ」

後ろにいることもあれば、前にいることもあって

当然、隣にいることだってあるだろうし、守るというのも変わらない

殆ど何一つ変わらない精霊と友人

けれど、若葉にとってその二つは全くの別物だった

若葉自身には、まだ。そのはっきりとした理由など分かってはいないが

若葉「駄目か? 天乃」


445 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 18:21:54.54JnkmeKF5o (16/27)


天乃「ご主人様である私を友達……ね」

ふふっと笑みを浮かべながら言う天乃を見つめ

若葉は空気がまた、一変したのを肌に感じ、

見えないように微笑む

この優しい空気が好きだ

この落ち着く空気が好きだ

緊迫した空気のままでいられない

大人なような子供のような

成長途中の主のことが、若葉は気に入っていた

天乃「私はすでに言ったわ。あとは、貴女が決めて良い」

若葉「そうか、なら……」

天乃「うん」

若葉「私も君の友人が良い」

恋人が良い。そんな冗談を

昨日の仕返しとして言おうと思った

けれど、若葉はなんとなくそれではいけない気がして、言い換える

若葉「それで――」

ピンポーン。と、若葉の続きを遮るように

来客の音が響いた


446 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 18:24:05.90JnkmeKF5o (17/27)


↓1 コンマ一桁+二桁

園子の絆値補正


447以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 18:28:49.69nxVpBj67O (2/2)

コンマ


448以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 18:29:24.43g25mOmJOO (1/1)




449以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 18:31:36.12+YYQWuVgO (1/1)

コンマが園子の欲求不満を忠実に再現してやがる


450 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 19:08:25.93JnkmeKF5o (18/27)


√ 5月10日目 朝(某所) ※水曜日


園子「ごめんね~、私が動けるなら。自分から行ったんだけど……」

そう言ったのは、ベッドに横たわったままの、乃木園子だ

彼女は残念そうに笑みを浮かべ、唯一光を持つ右目に天乃を映す

天乃「動けないのなら、仕方がないじゃない」

車いすがあれば動ける天乃と違って

園子はほぼ全身が動かせない

それでも目が見え、耳が聞こえ、話ができる

そんな奇跡を喜びながら悲しんだ過去を持つ二人は

悲しげな雰囲気のまま、再会を喜ぶことなく、見つめあう

そんな二人を陰から見守る若葉は、小さく息をついて

若葉「話があるから、天乃を呼んだんじゃないのか?」

園子「ん~……そうなんだけどね」

若葉「なんだ? 私に何かあるのか?」

まじまじと見つめられ、若葉は思わず後退る

見られるのは、あまり慣れていないのだ

園子「……まぁ、後でにしておこうかな」

気になることはあるのだが

それよりもまず、話さなければいけないことがある


451 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 19:22:31.70JnkmeKF5o (19/27)


園子「最近、天気が崩れやすくなってるのは。天さんも分かってるよね?」

天乃「それはもちろんだけど……やっぱり、そうなの?」

主語のない問い

けれど、園子はそれの意味するところを理解し、頷く

結界に何かが起きていて

それがこちら側の世界に荒天として悪影響を及ぼしているのだ

二人は同じことを考えているし、

流石の大赦も、そこに関しては不確定要素は色色とあるが

しかし、頷くしかなかった

だから、こうして天乃と園子が会うことができていて

そして、それはつまり

園子「私も行くよ~、天さんを一人にはさせないって。決めたから」

天乃「……大丈夫なの? 足手纏いにならない?」

園子「私の精霊の数を知ってるかい?」

冗談っぽく言う

その声のなつかしさ、愛らしさに

天乃はくすくすと笑う

精霊の数が多ければ多いほど、園子が傷ついたことになる

それは嘆くべきことだ

けれども天乃の前で、傷ついたことを嘆き続けているわけには、いかない

だから、園子は冗談を言う。笑って見せる

全身を包帯に包まれた痛々しさながら、笑みを絶やすまいと、笑っていた


452 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 19:57:15.96JnkmeKF5o (20/27)


園子「天さんと同じくらいには、強いつもりだよ~」

天乃「あら。それは期待できるわね」

そうは言うが、実際問題

園子は自分の力が天乃と同等であるという自信はない

もちろん、自分が強くなれているという自負はあるし

それは大赦も認めているほどで、きっと

現時点では天乃を除いた正規勇者の誰一人として足元には及ばないだろう

けれど、天乃は今も昔も勇者だ

園子が勇者となる前から鍛錬に励み、勇者となっても鍛錬に励み

敗北し、失って、苦渋を舐めさせられながらも

今もこうして生きてきている天乃とは、精霊では埋められない力の差を

園子は感じていた

天乃「……それで」

一言で、空気が変わる

真面目な話から、ふざけた話へ

そしてまた、真面目な話

二転も三転もしそうな二人を困ったように眺める若葉は

背後に感じる大赦の人間に目を向ける

若葉「邪魔をするなら、容赦はしないが?」

「時間がありません。今すぐに、出立をご用意を」

その言葉は、これからその話をしようとした二人の耳にも、届いた

天乃「え……? 今からなの?」


453 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 20:25:05.44JnkmeKF5o (21/27)


園子「今日か明日の予定ではあったんだけど……」

天乃「………」

園子の反応的に、

今日と言うよりは明日の可能性が高かったのだろう

朝は晴れていたのだが、窓のない園子の部屋からも

なぜか、雨風の強い音が聞こえるような気がして

天乃は歯を食いしばる

天乃「空気……読めないんだから」

今日の夕方にはいきたい場所があった

やりたいことがあった

そこで、勇者部について、自分について、みんなについて

しっかりと話し合う予定だった

なのに……

天乃「勇者部に、私が行くことを伝えたらだめなのよね?」

「はい。彼女たちに伝わった場合。高確率で久遠様、園子様の元へと向かうと思われますので」

行けば足手纏いになりかねない

だから、わざわざ勇者部ではなく。天乃単体に声をかけたのだ

天乃「……そっか」


454 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 20:47:06.80JnkmeKF5o (22/27)


天乃「まぁ……さっさとお掃除して帰ればいいだけの話よね」

園子「……………」

天乃「若葉、貴女にも手を貸してもらうわね」

若葉「言われなくても。私は君の剣であり、盾だ」

天乃の笑みに、若葉は笑みを返す

沈黙する園子は浮かない表情で

唖然とする大赦職員は「そんな馬鹿な……」と、声を漏らす

職員の記憶の片隅にある、彼女の姿

それが薄れたがゆえの勘違いでないのならば

天乃が若葉と呼んだ少女は、先代の勇者様

すでに亡き、存在だからだ

それを突き詰めたいという衝動はある

けれど、それを優先させている余裕はないのだと、自制心に従って首を振る

「では、園子様。久遠様。ともにご準備を」

園子「……うん」

職員の差し出した手

そこにある、懐かしい端末を天乃が受け取り、園子の手を握る



1、どうかしたの?」何か心配事?
2、行きましょう。園子
3、二人で暴れてやりましょ
4、大掃除、まだ時期じゃないのにね
5、若葉については、後で話してあげるわ


↓2


455以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 20:49:13.43DYPDGDZEO (2/5)

5


456以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 20:49:27.07iBnGEknn0 (1/2)

1


457 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 21:03:37.61JnkmeKF5o (23/27)


天乃「どうかしたの? 何か、心配事?」

そう問われ、園子は首を振れないもどかしさに

困り果てた笑みを浮かべて、息をつく

言うべきか迷う。だが、言わなくてもすぐに分かることだ

しかし、言えば覚悟が決まってしまうだろう

だから、言うわけにはいかないと、口を閉じる

園子「わっしーも、一緒だとよかったなーって。思っただけ~」

嘘だ。ごまかしだ

酷く醜い芝居だと、自己評価を下して

園子は職員へと目を向ける

園子「乙女が着替えるんだよ~? 男の子は退室、退室~」

「失礼いたしました」

一礼して、職員が去ったのを確認すると

園子はよろしく。と、呟き

天乃はそれに従って、端末に園子の手を触れさせると

園子の戦う意思に反応した端末はその機能を開放し、勇者へと変身させる

天乃「全身、補助器具だらけね」

園子「でも、これが意外と便利でね? ゲームをしながら料理も出来るんだよ~?」

天乃「そんなわけないでしょ。まったく」


458 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 21:23:11.37JnkmeKF5o (24/27)


園子「あははー」

けど、これの使い方は少しは学んである

ギリギリになってからではあるが、一応

大赦から端末を一時返却してもらい、戦闘訓練を積んでいたからだ

しかし、どうあがいても対人戦だったがために

学べたのは基本的な武器の扱い方くらいなのが口惜しい

……もっとも、アレを人間と呼んでいいのか疑問ではあるが

人間なのだから、人間なのだろう

精霊の障壁の有無に関わらず、鳩尾に掌底を叩きこんでくるアレが人間なら。だが

園子は笑みを浮かべたまま、自分の腹部を軽くなでて「天さんも」と、声をかける

天乃「そうね……」

今回は手を抜くわけにはいかない可能性がある

いや、早く終わらせたいならそれこそ

いかなる理由があろうと、全力全開であるべきだ



1、九尾勇者
2、死神勇者
3、混在勇者


↓1


459以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 21:26:39.52DYPDGDZEO (3/5)

2


460 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 22:03:41.52JnkmeKF5o (25/27)


天乃「死神、お願い」

死神「ワタシデ、イイノ?」

死神の心配する声に、笑みを返す

最初はそうするしかない

九尾の力の方が火力はあるが、回復を阻害する力がない

そして、混在差sる勇者の力ははるかに強力で

回復の阻害も可能だが、その分リスクのある

ハイリスク・ハイリターンな力だ

出来る限り使わない方が良いのが、現状だ

で、あるならば。必然的に死神の勇者になる。と言うわけだ

死神「ノコリモノニハ、フク。アルノ?」

天乃「そう願うばかりだわ」

消去法の選ばれ方に不満を言わず、

冗談らしいことさえ言う死神の頭を撫でる

若葉「では、準備ができたのなら行こうか」

園子「……そういえば、貴女は。天さんの恋人?」

若葉「今は友人だ!」

……無事に戻りたい、戻らなければいけない

天乃「…………」

何せ、今回はみんなに黙っての、出撃なのだから


461 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 22:07:54.65JnkmeKF5o (26/27)


↓1 コンマ一桁

補正値+5

戦闘難易度


462以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 22:10:12.71iBnGEknn0 (2/2)




463以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 22:13:56.31DYPDGDZEO (4/5)

比較的に低め?


464以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 22:42:00.32tUPL3/3i0 (1/1)

今は、と来たか


465 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/25(日) 23:01:52.84JnkmeKF5o (27/27)


マップ→【http://i.imgur.com/anrEHUj.png
マップとステータス、一からなのを失念
今回はここまでとさせていただきます明日もできれば通常時間から



若葉「今は友人だ!」

園子「今は?」

若葉「っ///」フイッ

天乃「そう、若葉は私の友達よ」

園子「そ、そうだよね~」

園子(それはないよ~……)




466以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 23:09:51.17FujAk2Pb0 (1/1)




467以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 23:11:05.13DYPDGDZEO (5/5)


マップが地獄絵図過ぎてそのっちがいてもまるで勝てる気がしねぇ…

これは負けそうなったら退却できるのだろうか


468以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/25(日) 23:17:06.07CbaNHDaBO (1/1)

戦闘難易度5+1で6かあ…星屑だし楽勝だろ→星屑×263!?
うっそやろ?


469以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/26(月) 10:55:31.67Vz26pwECO (1/1)

できれば無傷で話し合いに間に合わせたかったがさすがに無理かなぁ
でも間に合わなかったら夏凛辺りには怪しまれそうだし何とかしたいけど…


470以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/26(月) 20:25:48.85YhWOmA6AO (1/1)

この状況でも久遠さんの満開一発で形勢逆転出来るんだよな…
強い分反動が痛い諸刃の剣ではあるけどやっぱ凄いわ

(絶望) (希望)   (絶望)
休部→再開の兆し→絶望的状況
やってくれるぜ…この>>1は


471 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/26(月) 23:16:38.11c/ZM076lo (1/3)

」では、少しだけ進めていきます


472 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/26(月) 23:41:18.80c/ZM076lo (2/3)


壁の外が地獄であることは

園子も天乃も二年前にすでに目にしている

けれど、それでも

暑苦しさを覚えてしまいそうな業火の吹く世界を目の当たりにして

園子は唇を噛み締めていた

頑張っても、頑張っても。戦いが永遠に続く

それを強く印象付けられる光景のように思えて、ならないからだ

だが、弱音を吐くわけにはいかない。視界を埋め尽くすほどの大軍勢

その背後に見える作りかけのバーテックス集団

それを、圧倒的戦力差に屈したからと見逃してはならない

そう、強く意思を持っているから

園子「……天さん」

天乃「うん」

名前を呼びつつ、天乃の満開ゲージを確認する

その花弁はすでに咲き誇っており

新しい花を芽吹かせようとさえしている

園子「これが運命だなんて……私は認めたくないなぁ」


473以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/26(月) 23:44:01.47l/xDgAOLO (1/1)

来てた


474 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/26(月) 23:51:26.31c/ZM076lo (3/3)


嫌な予感は、ずっとしていた

何かが起こる。そんな不安をずっと感じていた

大赦があわただしくなり、天気が崩れ始め、神樹様から伝わる力が弱りつつあるのを感じ

いずれは大事に至るであろうことは、多少予想出来ていた

そして、その一大事に一世代前の勇者であり、

現在も勇者として活動を続けている天乃が呼ばれることも予想の範囲内で

園子「嫌だ……」

しかし

誰の計らいか、謀略か、導きか、悪戯か

天乃が形勢逆転の一手、【大いなる破壊の抑止力】を扱える状態でここに来ることになるとは、思わなかった

いや、それを考えたくなかっただけなのだろう

園子「なんで」

満開を使えば、文字通り形勢逆転だ

普通に戦えば、消耗戦で敗北もあり得る

そんな状況下に、なってしまっているのか。と

園子は神樹様へと振り返って、涙をこらえる

園子「天さん……絶対に満開は使わないで」


475 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 00:04:01.17yooUVxwpo (1/13)


天乃「……園子?」

園子「約束して、お願い」

何を言っているの? そう言いたげな瞳

けれど、園子は強く願いを込めた瞳で見返す

駄目なのだ。確証はない。だが、使ってはいけないと直感が叫んでいる

勝つために重要なその一手

抗うための最良の一手、甘い誘惑

しかし、だからこそ果てしないリスクの可能性を感じる園子は、願う

園子「無理そうなら撤退……そうしよう。天さん」

天乃「……けど」

バーテックスの破壊だけでもしておきたいが、

あれははるか遠くにいる

無理まで行かずとも、無茶は必要な現状で満開を使わないというのは

もはや、【あきらめよう】と言っているに等しかった



1、それは出来ないわ
2、分かったわ――ごめんね。満開!
3、……考えておくわ
4、仕方がないわね……でも、出来る限りはやるわよ


↓2


476以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 00:10:35.48jEw9TB46O (1/2)

3


477以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 00:11:20.10FA5CFQrF0 (1/1)

4


478以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 00:11:48.97jd7ZcgJJ0 (1/4)

4


479 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 00:31:58.51yooUVxwpo (2/13)


本当に短いですが、ここまでとなります
明日は出来れば少し早めの時間から
仮作成ですが
敵の能力値は大体このような形で作られています


http://i.imgur.com/zlcS7hf.png


480以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 00:56:50.02jEw9TB46O (2/2)




481以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 07:43:12.199/5+l3JzO (1/1)


前者二つを選んでたら園子はおろか勇者部や沙織も激怒しそう


482以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 14:44:25.00zMMOzutxO (1/1)

2番はネタでしょ
それより久遠さんの二つ名カッケー
大いなる破壊の抑止力(核爆弾)


483 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 20:29:41.29yooUVxwpo (3/13)


では、初めて行きます


484以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 20:30:29.05BoQ2rbHWO (1/6)

かもーん


485 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 20:56:02.47yooUVxwpo (4/13)


天乃「仕方がないわね……」

最近はどうなのか知らないけれど

少なくとも、一緒にいたころはそんな真剣な願いなんてあまりしてこなかった園子の願い

茶目っ気交じりならふざけ返すこともできるが、

二年前の戦いを想起させる園子の表情には、その余地はなく

それなしでどうするのかと言いたげな心をため息に変える

天乃「でも、出来る限りはやるわよ」

園子「うん~、頑張るよ~っ」

星屑は名前の通り一つ一つは取るに足らない屑みたいなもの

けれど、ここまで数が多いとなると、正直邪魔だ

最奥で復活中のバーテックスにたどり着くまでの道も阻んでいるから、尚更

園子「私は念のため、結界周囲の星屑を倒すよ~」

機動力のない園子は

奥まで行かなければいけないのなら、攻めだろうと逃走だろうと

足手纏いになる。だから、結界付近から動くのは得策ではないと、判断したようだ

天乃「それなら………」



1、移動 ※マップより座標入力。黄色は加速込み
2、隠密(SP10) ※死神効果で消費-20
3、攻撃(移動無し J57)
4、攻撃(移動無し M57)


↓1


※久遠さんの現在使用可能攻撃は【突撃 威力:800 射程:1~3】です


486以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 21:01:49.93Ftr+S18MO (1/3)

3


487 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 21:31:30.22yooUVxwpo (5/13)


□戦闘処理

天乃→J57(星屑) 撃破  移動無し
若葉→H58(星屑) 撃破  移動無し
園子→M57(星屑) 撃破  移動無し

星屑移動……


488 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 21:45:13.43yooUVxwpo (6/13)


星屑→若葉 命中判定↓1  01~26命中
星屑→若葉 命中判定↓2  65~90命中
星屑→若葉 命中判定↓3  25~50命中
星屑→園子 命中判定↓4  01~11 命中
星屑→園子 命中判定↓5  55~65 命中



天乃全回避

※コンマなので連取可




489以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 21:45:56.12BoQ2rbHWO (2/6)

へい


490以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 21:46:46.43jd7ZcgJJ0 (2/4)




491以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 21:48:04.42BoQ2rbHWO (3/6)




492以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 21:50:25.77BoQ2rbHWO (4/6)

もう一丁


493以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 21:52:47.90jd7ZcgJJ0 (3/4)




494 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 22:06:49.52yooUVxwpo (7/13)


天乃「突っ込んで」

九尾「妾が喰ろうてやっても良いのじゃがなぁ」

黄金の毛に包まれた獣型の九尾は

背にまたがる主に一言申し出て、足元の樹木に鉤爪をえぐりこませて

ゆっくりと体を前方に倒し、すぐ近くにいる【餌】を見定める

栄養のない、ただの餌。無数に広がるその白米に、

ギラリと牙を見せつける

相手が怯えるという感情を持ち合わせていれば、それで引いたかもしれない。が

星屑が引くわけもなく、人間にとっては巨大で。しかし、九尾にとっては小さな体で突進を試みる

その瞬間、ジャリッっと、音が響く

風が吹き、木片がパラパラと飛び散る

九尾「妾には役不足じゃ……失せろ小僧!」

星屑と九尾

互いの勢いに乗った突進が衝突すると、白い体は無残にも炸裂して消失

近場に降り立った妖狐はつまらなそうに首を振って、残りの【屑】に瞳を向ける

九尾「妾らを喰いたくば、その倍は連れてくるのじゃな」

天乃「……倍も来たら面倒だからやめて」

九尾「案ずるな。為せば成る」

天乃「止めてよね」


495 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 22:17:55.19yooUVxwpo (8/13)


若葉と園子もそれぞれ周囲の敵を消し飛ばす

しかし、消した分だけ増えているわけではないが

周りにいた星屑は際限なく、天乃達めがけて迫ってくるため

さっきと同等どころか、

さっきよりも数が増えているような錯覚さえしかねない

天乃「っ」

ガクンッと体が揺れたかと思えば、

九尾の体は地面を蹴り飛ばしていて、ついさっきまでいた場所には

すでに星屑が群がってきていた

天乃「質より量を地で行くというか……人海戦術というか」

九尾「この場合は、星海戦術じゃな」

天乃「冗談言ってる場合じゃ――!」

叫ぼうとし、気配を感じて九尾の体にヘッドバッドを当てると、

ヒュンッっと星屑が頭上を通り過ぎていく

天乃「休む暇さえないじゃない……ッ!」

無理をしない。そんなことを言っている場合では、なかったのだ


496 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 22:28:12.95yooUVxwpo (9/13)


若葉「くっ」

自分の力を過信してはいない

だから、慢心したつもりも、油断したつもりもない

けれど、若葉は自分の体を立ち上がらせなければいけなかった

精霊だから、血は出ない

だが、痛みはあって。痺れがあって

感覚はあるが、力が入らない左腕を見る

若葉「……弱いな」

若葉に向かってきた星屑は三匹。その初撃を躱した瞬間

背後から突撃され、浮いた左腕がもう一匹の突進によって

根元から引きちぎれるような痛みを受けたのだ

若葉「みんなの……足手纏いになるわけにはいかないのに」

精霊は死なない

ここで消えてもしばらくすればまた出てこれるというのだが

それが事実だろうと

今ここにいるのが二人になるという戦力ダウンだけはさせられないと、若葉は歯を食いしばる

痛みに呻くのも、嘆くのも。何もかも後回しで良い

今は

若葉「今は死んでも戦え――乃木若葉ッ!」


若葉に102ダメージ


497 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 22:39:23.90yooUVxwpo (10/13)

http://i.imgur.com/tSQHH8y.png



天乃「まったく……」

キリがないと泣き言も言いたくなるような世界で

温かさを感じそうな背後の結界に目を向け、天乃は息をつく

園子は昔と比べて精霊の数が増え

その分勇者としての力も向上しているようで、問題はなさそうだ

けれど、幾分機動力が低いために、囲まれたらダメージを負うのは避けられない

若葉は昨日召喚されたばかりで馴染んでいないのか

動きがまだ鈍く、すでに被弾している状況だ

ここに来てからどれだけの時間が経過したのかは定かではないが

少なくとも、バーテックスの修復が進んでいるのは間違いない

天乃「……満開」

使えば一回で片が付く。今なら、間に合うのだ

再生中のバーテックスが完成した場合、前回よりも強力だろうし

そうなれば、勇者部の誰かがただでは済まない可能性がある

かといって……園子の願いを今更無碍にするというのは

天乃には、行い難いことだった


498 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 22:50:03.29yooUVxwpo (11/13)


九尾「主様」

ぼそりと、九尾が呟く

何かと問い返すと、九尾は「逃げるのなら早めがいい」と、総毛だたせて唸る

何か危険なものが近づいて来ている

そんな気配は感じない

だが、胎動を二人は感じていた

何かが、星が、生まれ出ようかと

今か、今かと、蠢いているのを感じるのだ

九尾「増えるぞ……一つ一つは虫けらじゃ。が、一も百あれば百となる。場合によっては、それ以上にも」

天乃「…………」

言われている通りだ。間違いない

目測で推定200を超える大群を目の前にして、3人

力不足ではないはずだが、しかし……制約があるとなるとやや難しいのが現状だ

躱していればいい。そういう話ではないのだから

九尾「勇者といえど、疲労は溜まる。主様はともかく、実戦から離れておった園子や不安定な若葉はいずれ落ちるぞ」

天乃「でも、今ここで見逃したりなんかしたら……」

九尾「奴らの士気……あるのかは分からぬが。少なくとも勢いづく可能性はある。もちろん、力をつけて、じゃ」


499 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 22:56:42.93yooUVxwpo (12/13)


そうなっても勝てないとは言わない

最強である自負はないが、敗北するような弱者であるとは認めない

だから、勝てないとは言わないが

犠牲が出るのはほぼほぼ確実だ

だからこそ、迷う

先ほどの約束が、天乃の選択肢の一つを固く。縛り付けている

勇者部を、傷つけるか

自分を傷つけるか

それなら迷わず自分を選ぶのに、今は自分だけでなく園子への裏切りが追加されている

だから、行動に移しにくい

だからといって、易々と逃げると言えない

九尾「使うかや? 妾の、力も」

天乃「……………」

混在する勇者の力は破格の力

満開を使用しているかのような強さが扱える

しかしその分、体への負荷がある……と言っても、今はまだ。満開よりも酷くはないだろうが



1、撤退
2、九尾の力も使う
3、園子に、勇者部を守りたいと話す


↓2


500以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 22:58:16.93BoQ2rbHWO (5/6)

1


501以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 23:00:56.88jd7ZcgJJ0 (4/4)

2


502 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/27(火) 23:07:25.74yooUVxwpo (13/13)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



√2


503以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 23:10:01.77Ftr+S18MO (2/3)

3


504以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 23:10:56.25Ftr+S18MO (3/3)

ごめんなさい誤爆です



505以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 23:13:51.94BoQ2rbHWO (6/6)


勇者部のこともあるし混合の勇者で相手の戦力をそこそこ削れたら離脱したいな

√2とはなんぞや?


506以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/27(火) 23:19:11.4664iHeDyEO (1/1)




507以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/28(水) 02:08:20.45UgwCEUsoo (1/1)

普通に考えたら分岐だよねえ
さてさて…


508以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/28(水) 13:48:43.688HGNfV8Zo (1/1)

√=ルート
ルート2って事だろうね
天乃満開・混合勇者・園子満開かな?


509 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/28(水) 22:13:50.05W8aRMEoHo (1/8)


では、初めて行きます


510以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/28(水) 22:18:22.391UzaQWAcO (1/4)

ばっちこい


511 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/28(水) 22:28:58.40W8aRMEoHo (2/8)


天乃「貴女の力も貸してちょうだい」

負荷はある。だから代償がないとは言えないが

満開するよりはまだ、誤魔化しが効く

夏凜との約束を破ることになるのは、きっと。免れないかもしれないけれど

でも、記憶がないとか。体の一部が動かなくなっているとか

みんなに余計な心配をかけるようなことになるよりはマシだ

その意志のある瞳を前にして

九尾は「逃げの一手は踏めぬか」と、なぜか残念そうに

しかし、納得した表情で言う

久遠天乃という人間は、中々にどうして、陽乃と似ている

決して、同じ人間ではないはずだが

しかし、陽乃がなにか珍妙な仕掛けを施していないとは、限らない

結城友奈とて、その一人だ

九尾「良かろう。じゃが、長居は無用じゃぞ。強き力は相応の代償があるということを」

天乃「分かってる。でも、それを恐れて身を引いたら、私以外の誰かが支払うことになる」

――私は、誰にも連帯保証人を任せる気はないわ

天乃はそういうと、「お願い」と、催促する

問答の時間はない。だから、九尾は何も言わず

ただため息一つで思考を振り切って、自らの力で。天乃を包み込んだ


512 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/28(水) 22:48:29.21W8aRMEoHo (3/8)


さらりと流れ込んでくる。それが、九尾の力だった

しかし、体の中の穢れが増えたからか

九尾の力の流入はどろりとした粘液のような不気味さがあった

ミルククリームではなく、カスタードクリーム

そんな些細ともいえるほどの違いだが

それは、【変化】に他ならなくて

しかし、それを考えている余裕はない

天乃「……………っ」

自分の両手を見る。

こぶしを握り、腰元の刀の塚を軽くなでる

感覚も問題ない。動かせる。思考と行動のラグもない

天乃「少し、不快感はあるけど……まぁ。戦えるなら。それでいい」

バンテージに包まれた右手を握り締めながら肘から下げ、

対照的に、左手を開きながら、前に突き出す。臨戦態勢

天乃「行くわよ――星屑ッ!」



1、K56-57に攻撃  (最適行動)
2、I58に攻撃     (若葉援護A)
3、I57に攻撃     (若葉援護B)
4、I56に攻撃     (若葉援護C)
5、M58に攻撃     (園子援護A)
6、M57に攻撃     (園子援護B)
7、M56に攻撃     (園子援護C)
8、覚醒を使用    (SP70消費で再行動)


↓1


513以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/28(水) 22:49:05.111UzaQWAcO (2/4)

1


514 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/28(水) 22:53:54.41W8aRMEoHo (4/8)


戦闘処理。コンマ不要

K56星屑→3100ダメージ
K57星屑→2480ダメージ

K56-57消滅


515 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/28(水) 23:09:34.59W8aRMEoHo (5/8)


若葉・園子戦闘処理

・若葉→星屑(I58) 
・園子→星屑(M58)

  →共に判定不要。消滅完了

バーテックス行動処理
・バーテックス移動無し
・星屑移動

→星屑の戦闘

天乃回避確定


516 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/28(水) 23:10:06.36W8aRMEoHo (6/8)


星屑→若葉 命中判定↓1  01~26命中
星屑→若葉 命中判定↓2  65~90命中
星屑→若葉 命中判定↓3  25~50命中
星屑→園子 命中判定↓4  01~11 命中
星屑→園子 命中判定↓5  55~65 命中



天乃全回避

※コンマなので連取可



517以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/28(水) 23:11:34.20ntJUHyeZ0 (1/3)




518以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/28(水) 23:12:04.571UzaQWAcO (3/4)

ほい


519以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/28(水) 23:12:07.395vz9MII5o (1/1)

さて


520以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/28(水) 23:12:16.92ntJUHyeZ0 (2/3)




521以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/28(水) 23:13:41.84RwrJwj6x0 (1/1)




522 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/28(水) 23:20:36.47W8aRMEoHo (7/8)


ダメージ処理

・園子全回避
・天乃全回避
・若葉に攻撃2回命中 96ダメージ (残り、1002)


現状MAP【http://i.imgur.com/alxh6ye.png


523 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/28(水) 23:22:59.06W8aRMEoHo (8/8)


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



明日処理
・星屑増加
・久遠さん戦闘
・ターン経過(4ターン目に双子、牡羊、天秤完成)


524以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/28(水) 23:32:06.461UzaQWAcO (4/4)


呼び出されたばかりな上に記憶喪失の影響か若葉の被弾率が高いな…

そして後で夏凛ちゃんには謝っておかないとな


525以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/28(水) 23:40:05.89ntJUHyeZ0 (3/3)




526以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/29(木) 11:02:25.12v+MM3ofxO (1/1)

俺tueeeeeならぬ私tueeeeeだな


527 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/29(木) 22:38:15.38stomG4Yto (1/6)


戦闘処理のみ


528以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/29(木) 22:48:11.94fm5JBICbO (1/3)

うす


529 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/29(木) 22:53:20.32stomG4Yto (2/6)


天乃の雰囲気が変わった

纏う雰囲気はより毒々しく、穢らわしく

触れる者を芯から朽ち果てさせてしまいそうな危うさ

流石に、それでもなお何も感じないわけがないのか

無数に漂う星屑の軍勢は進軍をやめ、周囲を漂い始める

躊躇うように

あるいは、観察をするかのように

帯刀し、しかし居合の構えさえ取らず身構える姿勢に移った天乃の死角

そこに回り込んでもなお、攻めあぐねる

視界に捉えられていないはずなのに、見られている。そう、感じているからだ

天乃「――ふぅ」

一息。

天乃の体が段々と前傾姿勢になり、踏み込まれた足場がミシリと軋む

浮かぶ星々は天乃の出方を見ようと静止する――瞬間

天乃「目障りだわ」

その声は星屑の真横から聞こえた

遅れて風が吹き、星屑は真横にいた自分と何一つ変わらない存在が跡形もなく消え去ったことを、察する

星屑に言葉があっても、きっと。今と何一つ行動が変わることはない

星屑は時が止まったかのように、二つを消し飛ばした【化物】に、狙いを定めた


530 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/29(木) 23:01:54.22stomG4Yto (3/6)


こいつだけが、危険なのだと

こいつだけでも、何とかしなければと

意思があるのなら、言葉があるのならば

彼らはそう。口にしたに違いない

本能的に避けることを望みながら、しかし、本能的に避けることができず

絶望を与える立場の彼らは、その【希望】に、絶望する

若葉「……天乃」

真横にいた天乃の初動は、前傾姿勢。ただそれだけだった

いや【若葉が見れたのは、それだけだった】のだ

気づけば星屑が消え去っていた。気づけば吹くはずのない風邪を肌に感じ

ふわりと舞った自分と同じ匂いを感じた

踏み込み、地を蹴り飛ばし

掌底を一つ目に叩き込んだ瞬間、右回りに旋回して星屑を四散させると

その後方にいた星屑を左足で蹴り砕き、

勢いそのままに半回転して、右踵で消えかけの星屑への追撃

園子「…………………」

一瞬だった

精霊を数多く所有する園子にはかろうじて見えたそれは、瞬きする暇もなく、刹那に終えた

園子「……強い」

自分も強くなれたと思う。が、【久遠天乃を武力制圧する切り札】にはなり得ないと

改めて、園子は認識した


531 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/29(木) 23:04:44.20stomG4Yto (4/6)


↓1 コンマ

0=10

星屑追加

ぞろ目99=9+9=18


532以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/29(木) 23:05:35.29fm5JBICbO (2/3)




533 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/29(木) 23:10:17.33stomG4Yto (5/6)


□戦闘処理

・ターン経過
・星屑追加(29→9匹)


MAP→【http://i.imgur.com/3P6DZLJ.png


534 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/29(木) 23:13:36.15stomG4Yto (6/6)


では、短いですがここまでとなります
明日もできれば、戦闘の判定だけでも



次のターンで双子座、牡羊座、天秤座が行動開始




535以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/29(木) 23:15:34.80fm5JBICbO (3/3)




536以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/29(木) 23:19:36.47qmI8HguB0 (1/1)




537以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/30(金) 00:29:19.52yZJsnkU6O (1/1)

陽乃さんがオマケコーナーでやろうとしてたことを今月の千景が実践してるな…そしてやはり穢れか
流石だなこのスレ


538以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/30(金) 06:11:52.84lorLJRfmO (1/1)

もしあの場面に陽乃さんがいたらむしろ千景に加担(というか千景にやらせず自らが)しそう


539以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/30(金) 16:51:10.21e01n0MHto (1/1)

>>247がその展開の答えだと思う
陽乃さんは多分久遠さんと同じで傷つけられない人かと


540以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/30(金) 19:11:08.05mjipClnGO (1/1)

>>306→>>280→>>247時系列はこんなもんかね?
陽乃時代がますます見たくなった


541 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/30(金) 22:52:09.42HWxs/LAbo (1/5)


では、少しだけ


542以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/30(金) 22:53:22.38DpVg4qoaO (1/3)

よしきた


543 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/30(金) 23:04:31.69HWxs/LAbo (2/5)


天乃「!」

九尾とも繋がったからか

その誕生は天乃の感覚すべてに強く。流れ込む

一つ、一つ。数えれば恐らく九つ

魂の有無の定かではない、生物と言い難い異形の増殖

天乃はそれを誰よりも早く、強く

自分の中の何かで感じ、目を見開く

天乃「際限ない……」

いくら圧倒的な力を持っていようと

敵の数が倒した以上に増えてしまうのなら、意味がない

はっきり言おう。ジリ貧だ

すぐ隣で戦う若葉の体は傷だらけで、血こそ流れてはいないが

その被害は明白で、園子に関してはダメージはないが疲労感は段々と見え始めていた

園子「大丈夫……だよ~」

視線に気づいたのか、園子はそういって笑って見せたが

そこには無理が見て取れる

今すぐ倒れる。とは思えないが、少ししたら。回避できなくなってくるかもしれない


544 ◆QhFDI08WfRWv2016/09/30(金) 23:17:36.87HWxs/LAbo (3/5)


若葉「天乃、私も……」

まだ頑張れる。頑張ることはできる

だが、その努力と結果は決してイコールにはならない

若葉が悪いわけではない。そういうものなのだ

等価交換など、夢の中でしか起こりえない

少なくとも、今この場では

それが分かっているからこそ、若葉は言いかけた口を閉じて、息を飲む

若葉は自分が役立たずなのではないか、足手纏いなのではないか

守られているだけなのではないか。と、不安を抱き始めていた

天乃「…………」

最後まで言われなかったが

何かを言いかけていたことに気づいていた天乃は

若葉へと目を向けて……


1、若葉、園子。二人はもう下がって頂戴
2、……撤退しましょう
3、園子。満開、使ってはダメ?
4、あと少し【1ターン】粘りましょう
5、若葉はもう下がって


↓1


545以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/30(金) 23:18:02.73pvQVOwBto (1/2)

3


546以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/30(金) 23:18:43.54DpVg4qoaO (2/3)

2


547以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/09/30(金) 23:22:05.65DpVg4qoaO (3/3)

約束破る気か…?