1 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/13(水) 22:44:56.850x1oLbDlo (1/7)

このスレは安価で

久遠天乃は勇者である
結城友奈は勇者である
鷲尾須美は勇者である
乃木若葉は勇者である
久遠陽乃は……である?

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的


・バーテックスの殲滅


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる

※HPに関しては鷲尾ストーリーでは0=死になります


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに



前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1464699221/


2以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/13(水) 22:47:21.17IwaHIcL70 (1/2)




3以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/13(水) 22:47:49.25Cn8yA8TAO (1/3)

立て乙


4 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/13(水) 22:53:46.730x1oLbDlo (2/7)


剣道しに来ていた子

通称三好様は、運転手曰く、勇者候補生

だから、風が否定したうまい話に半分ほど該当しているのだが

残念ながら、東郷が言うように相性が宜しくない

主に、三好様から天乃への相性が。

天乃「だとすると。私が東郷か友奈をもらうか。風と樹をセットでもらうかという感じかしら」

東郷「そこは私か友奈ちゃんではなく、二人にしてもらわないと……」

友奈「あれっ。問題そこなのかな……」

風「というか、久遠の場合相方いらなそうだけどね」

二人一組での行動は

あくまで危険回避のために取る団体行動の一環

ひとりで一個師団の戦力と言っても過言ではない天乃の場合

そんな警戒は必要ない気がしたのだ

天乃「風、私のこと嫌いなの?」

風「え、いや。そういうことじゃないから。ほんと。そうじゃないから!」


5 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/13(水) 23:01:40.880x1oLbDlo (3/7)


寂しげな目のまま問われた風は

慌てて否定して、苦笑い

天乃が冗談でそう言ってきているとは分かっていても

今にも泣き出しそうな目で見られるのは、弱かったのだ

天乃「ふふっ。そんな焦らなくても」

風「あーうん。いや、まぁ、ね」

天乃の楽しげな笑みにどきりとして

目をそらしながら、頬を掻く

人差し指に、汗がくっついた

友奈「とりあえず、どうしたらいいんだろう」

樹「昨日と同じところで止まっちゃいましたね」

全員で天乃を見て

内二名は密かに目を合わせないようにと逸らす

最終兵器にも等しい天乃

正直な話、誰とも組ませる必要はないが

組ませた人は絶対に安全だという保障が付くのだ


6 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/13(水) 23:08:32.380x1oLbDlo (4/7)


天乃「でも、真剣な話。私は組む必要がないのも事実なのよね」

九尾がいる

死神がいる

そして、須佐之男だっている

彼か彼女か不確かな鎧に包まれた武士は

勇者のようなものなのだ

東郷「それはそうなんですが」

けれども、やはり

絶対安全な領域をみすみす逃すのも惜しい。と

東郷は考えて

同じことを考えたそれぞれが、口を開く

友奈「東郷さんと組むのはどうですか?」

東郷「友奈ちゃんと組んでは?」

風「樹と組んでくれない?」

樹「お姉ちゃんと組んでもらえませんか?」

天乃「え、えっと」


7 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/13(水) 23:15:55.740x1oLbDlo (5/7)


友奈「あっ」

樹「う」

互いを思う、勇者部らしい衝突だった

呼ばれた名の中に

当然ではあるのだが、自分がいないことに苦笑した天乃は

ちらりと横目で見渡す

どうして? 東郷さん

友奈ちゃんこそ

樹……

お姉ちゃんっ

喧嘩にも満たない視線のやり取り

それはとても日常らしく

そしてなにより、天乃にとって愛らしいものにほかならなかった


1、じゃぁ、友奈と東郷かな
2、なら。風と樹かしら
3、それぞれを守り合いなさい。私は大丈夫だから



↓2


8以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/13(水) 23:17:00.80Cn8yA8TAO (2/3)

3


9以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/13(水) 23:18:25.22IwaHIcL70 (2/2)

3


10 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/13(水) 23:31:30.310x1oLbDlo (6/7)


天乃「答えは出たみたいね」

東郷「先ぱ……」

天乃「それぞれを守り合いなさい。私は大丈夫だから」

さっきまでのいたずらのような寂しげな表情ではなく

剣道女子のような慢心でもなく

天乃は普通の笑みを浮かべて、いう

天乃「ね?」

友奈「危なかったらちゃんと。言ってください。絶対駆けつけます」

天乃「貴女もね」

樹「私も……ですね」

樹はも同じ事を言おうとしたのだろうが

駆けつけても足でまといになりそうだという不安からか

そうは言えずに、俯く

天乃「じゃぁ、そういうことでいいわね?」

風「そう……ね。大事な者は自分の手で守りましょ」

天乃「……私は大事じゃな――」

風「大事だから。超大事だから! その顔やめてッ!」

天乃「ふふっ。慌てる風ちゃん可愛い」

風「久遠の方が可愛いわよ。茶化すなッ!」


11 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/13(水) 23:33:48.120x1oLbDlo (7/7)


では、此処までとさせて頂きます
一スレ二ヶ月ペースですね
作中はひと月も経っていないのに


あすもできれば似たような時間から
三好様が来ないと風先輩がおもちゃになる


12以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/13(水) 23:41:25.55Cn8yA8TAO (3/3)


やっぱり久遠さんの相方は三好様がしっくりくるイメージだなあ
早いところ仲直りしたいな


13以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/14(木) 00:09:54.17YV0V1KhWO (1/1)

あれっ?これ風パイセン不味くないですか?


14以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/14(木) 12:24:55.54S4J6z+nQO (1/1)


何だかんだで友奈ちゃん思いのいつもの東郷さんに戻ってて少し安心したわ


15 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/14(木) 22:05:33.80edInXBvzo (1/7)


では初めて行きます


16以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/14(木) 22:07:29.28NKkvN6CIO (1/3)

よっしゃ


17 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/14(木) 22:20:56.49edInXBvzo (2/7)


天乃「え?」

意地悪でもなく、そう口にすると

風「ぁ……っ」

風は顔を赤くして

天乃「っ」

天乃も釣られて頬を染めると

風「て、照れないでよ」

困ったように呟いて、目をそらす

天乃「そ、そうね。なんか。色々あって」

可愛いとか、綺麗だとか

言われてもお世辞だと流すことの多かった天乃だが

男子生徒からの告白の一件があるからか

思わず、真に受けてしまったのだ

東郷「……………」


18 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/14(木) 22:31:49.55edInXBvzo (3/7)


東郷達もいる前で

恋人未満のような初々しさを感じさせる二人

友奈と樹は困惑して

東郷だけははっきりとわかって、天乃の腕を掴む

東郷「先輩」

天乃「っ」

東郷「そんな顔してたら余計に……ですよ」

天乃「そ、そう?」

東郷の耳打ちにはにかんで

天乃は照れくさそうに、苦笑する

風「っ」

あぁ、やっぱり

ドキドキする

意味わからない

それくらいに唐突だけれど、でも

なんというかすごく……


19 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/14(木) 22:50:25.84edInXBvzo (4/7)


湧き上がってきているというよりも

心の奥底から強引に引き出されているような感覚を覚えて拳を握り締める

ほんのりと、汗を感じた

友奈「風先輩?」

風「ん。大丈夫。大丈夫だから」

友奈に言うように、

自分に言うように

風はそう言って、首を振る

風が何を思っているのか

なぜそうなっているのか

どうしたいのか

天乃は知らず――



1、ごめんなさい。からかいすぎたわ
2、ありがとう。素直に嬉しいわ
3、友奈の方が可愛いわ
4、樹の方が可愛いわ
5、沙織の方が可愛いわ
6、東郷の方が可愛いわ
7、風の方が可愛いわ
8、何も言わない


↓2


20以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/14(木) 22:52:29.64NKkvN6CIO (2/3)

8


21以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/14(木) 22:53:08.487xu9RsbE0 (1/1)

1


22 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/14(木) 22:59:07.90edInXBvzo (5/7)


天乃「ごめんなさい。からかいすぎたわ」

風「アタシこそ。変なこといっちゃって」

ごめん。とは言わない

あれは紛れもなく本心で

それを否定するのは失礼な気がしたから

だから、風は困った笑を浮かべる

風「友奈も樹も東郷も。みんな可愛いわ」

天乃「そうね」

みんな平等にそう思っている

そんな言葉で自分の中の何かに蓋をして、押し込んで

風は息をつく

まだ……それはそんなに強くない

天乃「風ばかり、いじってちゃダメよね」

風「ほどほどにしなさい」

天乃「わかってるわよ。ふふっ」


23 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/14(木) 23:04:54.15edInXBvzo (6/7)


天乃は天乃で、どうするべきかわからなくて

とりあえずはいつもどおりを演じようと

口走って、笑って、ごまかす

けれど

好きと言われたこと、

可愛いと言われたこと

相手からの好意的な言葉が

いつものようにうまく躱せなくなっていることに

天乃は戸惑っていた

それはきっと、あの男の子からの告白のせい

どんなに頑張っても

恐れられて、嫌われて、敵視されての自分が

そんな風に思われるはずはないという否定的観念が

それによって打ち砕かれたせい

自分みたいな人を好きになってしまうもの好きがいることを、知ってしまったせいだった


24 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/14(木) 23:06:44.86edInXBvzo (7/7)


短いですが、ここまでとなります
もしかしたら、明日はお休みするかもしれません
やれれば、通常時間から



行為に気づいた瞬間、反応が可愛らしくなる負のスパイラル


25以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/14(木) 23:17:33.90NKkvN6CIO (3/3)


男の子の告白が思った以上に効いてる久遠さん
一方、魅了の力らしきものが風先輩に…さてどうなる


26以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/15(金) 00:06:21.21wTUhhViI0 (1/1)

さおりんと見せかけて男子生徒と見せかけて東郷さんと見せかけて風先輩
一周二周目からするとこの辺でメインヒロインが確定するから...瞳さんか!(違っ


27 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 21:13:35.21oiYJlStRo (1/13)


少ししたら初めて行きます


28以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/16(土) 21:21:15.41cm7OHYUCO (1/4)

おk


29 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 22:03:07.71oiYJlStRo (2/13)


友奈「え、えーっと……」

樹「………」

収束したようにも思えたが

天乃の普段と違った反応に驚いてしまった勇者部の空気もまた

普段のそれとは違ってしまっていて

ほんの少しばかり気まずい空気に困った友奈と樹が顔を見合わせる

風も風で少し様子がおかしい。ようにも思える

けれども、樹の記憶の上では

今朝方、さほど問題なかったはずだ

多少、無理している可能性もあるのだが……

それを心配して、風に目を向ける

風「……………」

天乃に目を合わせようとはしていないし

何処か、居心地が悪そうにしているようにも見える

けれど体調が悪いようには、見えない


30 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 22:08:21.82oiYJlStRo (3/13)


誰が可愛いだの、あれが可愛いだの

そういった話で恥ずかしく思うのは、樹も良く分かっていた

樹自身、褒められて嬉しいことは嬉しいが

同時に恥ずかしいとも思ってしまうから

その点に関しては理解できるのである

けれども、風の様子がおかしくなったのは

天乃が自分のことが嫌いなのかどうかを聞いたあたりからだ

樹「……………」

もしかして。と、風を見る

いやいや。ないない。と、首を振る

でももしかしたらと考えて、

いやいや、それはないよね。と、眉をひそめる

けれど、樹はやっぱり……と風を見ると

視線に気付いていたのか、風と目があった


31 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 22:14:17.00oiYJlStRo (4/13)


風「そ、それじゃ。話し合いも終わったし。帰ろっか。樹」

樹「え、帰るの?」

風「ほら。樹なんか言ってたでしょ。なんか、アレ。えーっと。とりあえず、ほらっ」

あからさまに忙しない

姉がそんな風に追い込まれると変なことになるのは重々承知の樹でさえ

それにはさすがに違和感を覚えた

というのも、

チラチラと天乃を見ているからだ

樹「あー……」

今朝は何も言ってない

昨夜は、ちょっと勇者部のことに関して話をしてはいたけれども

ちらりと天乃を見ると

天乃「? どうかした?」

困惑した様子で、首をかしげる


32 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 22:19:21.49oiYJlStRo (5/13)


天乃「…………」

風の様子がおかしいこと

明らかに嘘をついてこの場から立ち去ろうとしていることに

天乃は言われずとも気づいていた

というのも

人生相談に恋愛相談

そんな他人の悩みを聞く立場として、人間観察的な点に優れているからだ

それでも天乃が困惑しているのは

今の風からあの電話をしていた時の東郷と似たようなものを感じているからだ

何かに干渉された様子はないのに

明らかに、別種のものを感じる

大人しく帰すべきなのかもしれないが

帰さずに様子を見ておく必要もあるかもしれない



1、何かあるなら、帰ったら?
2、そうね。私もお暇しようかしら
3、あら。せっかくだしもう少しいてもいいんじゃない?
4、何を焦ってるのよ。風
5、何も言わない

↓2


33以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/16(土) 22:22:09.48cm7OHYUCO (2/4)

1


34以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/16(土) 22:23:38.63HcMEfQePo (1/1)




35 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 22:37:32.45oiYJlStRo (6/13)


天乃は下手なことは言うまいと口を閉ざして

ただ、苦笑する

様子がおかしいと指摘することは簡単だ

けれども、それが悪影響にならないとも限らない

だから、何も言わず

その代わりに友奈が口を開く

友奈「そうだったんだ。ごめんね、樹ちゃん」

樹「ぁ、はいっ」

東郷「風先輩もありがとうございました」

友奈の気遣いに上乗せして、

東郷は風に声をかける

風の異変の理由を知っているわけではないが

何か起きていることだけは気づいていたからだ

風「いや、大丈夫……ごめん」

東郷「いえ……あ、風先輩」

風「?」


36 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 22:43:20.10oiYJlStRo (7/13)


風「ん……」

天乃「?」

天乃には聞こえないようにしているかのように

東郷は風に何かを耳打ちする

大事な話があった

昨日、天乃がいない間に話したこともそうだが

それ以外にも、大事な話

東郷はお願いします。というと

もう一度ありがとうございましたと見送る

樹「すみません。お先に失礼します」

樹と風が抜けて、三人になった東郷の部屋で

友奈のため息が変に大きく聞こえた

天乃「あら、友奈も何かあるの?」

友奈「あ、いえ。私は……えへへっ。ごめんなさい」

気まずかったから漏れたため息

だとは言えず、友奈は笑ってごまかす

もちろん、それは失敗していたが

天乃も東郷も、それを指摘することはなかった


37 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 23:07:52.91oiYJlStRo (8/13)


東郷「先輩は、どうしますか?」

天乃「そうね……」

風がおかしくなった一方で

東郷の様子には変化が見られない

友奈にしても同じく問題なし

気になることはある

けれども、ここに長居して情報が得られるのかどうか……

こういう、超常的なこと

いわゆる九尾管轄なことに関しては

個人で闇雲に答えを探すよりも

彼女に聞いてしまったほうが早くはある

もちろん、彼女が答えてくれるのなら……だが


1、そういえば、東郷も電話の時になにかなかった?
2、ねぇ。友奈に聞きたいんだけど。勇者のことを知らない男の子と付き合うことはできると思う?
3、私も帰ろうかしら
4、風。どうかしたのかしら
5、東郷。風と何を隠してるの?


↓2


38以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/16(土) 23:09:25.62I5I/ad7a0 (1/2)

5


39以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/16(土) 23:11:11.15cm7OHYUCO (3/4)

3


40以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/16(土) 23:11:15.28Boaw2GE/o (1/2)




41以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/16(土) 23:13:04.37u2LbfB9U0 (1/1)

5


42 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 23:15:28.83oiYJlStRo (9/13)


天乃「私も帰ろうかしら」

友奈「久遠先輩も、ですか?」

天乃「あら、今生の別れっていうわけでもないのに……」

声に寂しさを感じて

天乃はちょっとばかり困った顔で友奈を見ると

天乃「また明日は学校だから」

と、なだめるような優しい声を出す

友奈「それは、そうなんですけど……」

友奈は東郷と風が隠した一部に関して知ってはいるが

ほかの部分に関しては何も知らない

だから、自分にも聞こえないように耳打ちをしたのが、気になった

それを執拗に追求するような性格ではないし

そうすることが必要なんだろうと割り切るつもりではあるのだが

それでも

勇者部内においての隠し事が増えてきていることが、心配だった


43 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 23:20:27.18oiYJlStRo (10/13)


天乃「?」

友奈「昨日は会えなくて、今日はあえて。なんだか。曜日感覚が狂っちゃったのかな……」

バレバレの嘘をついて

友奈は笑う

それが嘘だと東郷も天乃もわからないほど馬鹿ではない

けれども

それを信じてあげないほど、馬鹿でもなかった

天乃「今日は日曜日よ。友奈。手のひらにでも曜日書いておたら?」

冗談ぽくそう言って天乃は友奈の小さくやわらかい手を掴み

日曜日。と、指で書いて苦笑する

友奈「だ、大丈夫です」

天乃「あら。そう。じゃぁ毎日メールする?」

友奈「それも……あ、でも。メールは。したいかも知れないです」

照れくさそうに笑う友奈に、時間が作れたらねと答えて

東郷を一瞥して、天乃は部屋を出ていく

……気になること、ばかりだ


44 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 23:26:54.19oiYJlStRo (11/13)

√ 4月8日目 夕(自宅) ※日曜日

九尾、友奈、死神、沙織、風、樹、東郷との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、風
4、樹
5、友奈
6、東郷
7、沙織
8、イベント判定

↓2

※3~7は電話


45以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/16(土) 23:38:24.78I5I/ad7a0 (2/2)

8


46以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/16(土) 23:39:00.61cm7OHYUCO (4/4)

4


47以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/16(土) 23:39:05.05Boaw2GE/o (2/2)




48 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 23:47:57.87oiYJlStRo (12/13)


天乃「さて……」

自宅に戻って、夕方

樹達に用事があったのかなかったのか定かではないけれど

少なくとも、天乃に用事はなかった

もしも、あの男子生徒に連絡先を教えていたら

電話したり、メールしたり

もしかしたら再デートしてたりするのかな。と

雲のように消えやすい想像して、端末を手に取る

天乃「時間があったらねって、言っちゃったわけだし」

それがなくても

何があったわけでもないのに

あんな寂しそうな顔をされては

かまってあげるほかない

天乃「……子犬ね」

やわらかい手の感触を思い出して、苦笑する

強ち、それは間違いでもないかもしれない


49 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/16(土) 23:56:59.04oiYJlStRo (13/13)


友奈『は、はいっ』

天乃「大丈夫?」

友奈『大丈夫です。こんなに直ぐ。連絡してくれるとは思わなくて』

友奈の嬉しそうな声というか

舞い上がっちゃってるような声というか

憧れの先輩と連絡先交換して

帰宅後すぐに連絡来て慌ててるみたいな反応に

天乃は眉をひそめる

天乃「私たち、知り合いよね? 部の仲間で、二年の付き合いよね?」

友奈『そう、ですけど……』

天乃「じゃあ、なんでそんな初々しい反応してるのよ」

友奈『こ、これは。その。あははっ』

図星になると笑ってしまう

友奈の悪い癖だ

もちろん、常日頃から笑っているから

一概に図星を突かれた。とも言い切れないのだけれども


50 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 00:10:14.78RIgKyCroo (1/44)


友奈『その……』

言葉に詰まる

そのつまり方から、天乃は言いたくても言えないというより

言うべきかどうか迷っているであろうことは、直ぐにわかった

電話に出た直後にへんな対応だったのも

こんなタイミングで来るなんて。と

驚いていたからかもしれないとまで想像して、ちらっと、外を見る

普段、夕焼けの空は

今はどんよりとした灰色

夜には雨が降るかどうか。といった不確かな感じだった

友奈『久遠先輩は、今の勇者部についてどう思いますか?』

天乃「ん?」

友奈『へ、変な意味じゃないんですけど……』



1、ちょっと、纏まりがないかな
2、貴女の嘘。風と樹の嘘、東郷と風の隠し事。色々とあるわよね
3、誰か退部するの? それとも、入部?
4、私は好きよ。良くも悪くも日常を感じられる場所だから
5、どうしたのよ。貴女がそんな悩みなんて


↓2


51以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 00:11:20.810m5mkys/0 (1/1)

4


52以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 00:14:30.76mTq1P/X6o (1/1)




53以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 00:16:22.91cqUS9NuT0 (1/1)

4


54 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 00:20:30.97RIgKyCroo (2/44)


天乃「そうねぇ」

一息、置く

その数秒の合間にも友奈が緊張していることが

天乃には手に取るように分かった

目の前にいるわけではないけれど

電子的なノイズの聞こえる声だけれど

密かに聞こえる友奈の吐息が、それを伝えてくるから

けれど

天乃「貴女の嘘。風と樹の嘘、東郷と風の隠し事。色々とあるわよね」

はっきりと、言う

もっとも、自分の隠し事に関しては言わなかったが

友奈『全部、わかってたんですか?』

天乃「まぁ、内容はともかく。隠し事してるんだろうなっていうのはね」

伊達に相談役をやっているわけではないのだ


55 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 00:27:07.40RIgKyCroo (3/44)


友奈『そう、ですよね』

ホッとしたような、声

それは天乃が思っていた通りの返答をくれたからなのか

それとも、その肩の荷が降りたのか

そこまではっきりとしたことは分からない

友奈『久遠先輩、だもんね……』

いつもの敬語とは違った口調は

安心感からくる独り言

嬉しそうなその声に反応しないで待っていると

友奈は端末の奥で何かをして

私は。と、切り出した

友奈『少し、怖いです』

天乃「というと?」

友奈『悩んだら相談。なのに……みんな。ばらばらで。隠し事してて。私も……隠し事しちゃってて』

ここでもしも天乃がああ言わなかったら

自分はこんなこと言わなかっただろうと思いながら、友奈は言う

友奈『纏まりが、ないような気がするんです』


56 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 00:31:34.82RIgKyCroo (4/44)


では、此処までとさせて頂きます
明日はできればお昼頃からとなる予定です



風「勇者部の学校での日々……スクールデイズ。始まるわよ」

三好様「私の登場まであと少しのはずなんだけど……長くない?」

樹「隠しキャラですから」

三好様「えっ」


57以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 00:52:04.887l7xhaCKO (1/1)




58以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 01:40:48.92KL46X/PcO (1/1)




59以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 01:44:58.70ZJ420sP5o (1/1)

かーなーしーみのー
ってならないようにしたいね乙


60以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 02:33:03.18aO/K80B8O (1/1)


下手に直接つつくとかえって事態が悪化しそうだし
比較的大丈夫そうな元恋人の二人の力を借りたいところだな


61以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 11:00:54.68U1f19ugrO (1/1)

久々にwikiが更新されてたけど男子生徒二人ってゲストキャラじゃなかったんだな
逆に三好兄妹や久遠家の人物がいないのは何かあるのだろうか…


62 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 12:36:19.89RIgKyCroo (5/44)


では、少しずつ初めて行きます


63 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 12:52:00.91RIgKyCroo (6/44)


天乃「そっか。貴女はそう感じるのね」

友奈「……はい」

悩んでいるからと言って

必ず相談しなければいけないのかと言えば

別にそんなことはない

むしろ、そんな強制をするのは返って相手を苦しめるだけで、辛い思いをさせるだけで

なんで相談しないのか。という疑問を抱くことは多々あるが

それはやはり、相談しにくいことだったり

自分の知り合いは相談するに足る人物ではないことがある

学生である天乃に進路相談が回ってくるのはやはり、そういった理由もあってのことだ

夢見がちな学生にとって

現実を叩きつけてくる両親はもちろんのこと、身の丈にあったこと。を推奨してくる教師は

とてもではないが相談相手にならないからだ

もっとも

この勇者部に関しては、そういった理由があるとも言い難いのだが


64 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 12:57:36.00RIgKyCroo (7/44)


天乃「貴女はみんなが嘘ついていたり、隠し事をしていることに気づいてるわけだ」

友奈『全部はわからないです。でも、東郷さんと風先輩。風先輩と樹ちゃん。何かあるんだろうな。とは……』

天乃「うん……」

まぁ、

あそこまであからさまな態度を取っておいて

気づかない方が無理があるだろう

友奈のあの場でのフォローはいい対応だった。と頷く

友奈『それに、私達も。久遠先輩に隠してることがあって』

天乃「私に?」

友奈『はい』

友奈達の隠し事

友奈個人ではなく、天乃を除いた勇者部全員の隠し事

それは、友奈の独断で話していいことなのだろうか……


1、待って。それはみんなに話していいか聞いてから教えてちょうだい
2、へぇ? 何を隠してるの?
3、それは置いておくとして。とりあえず、東郷に関して何か気づいた点はない?
4、友奈個人では、何もないの?


↓2


65以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 13:02:00.28iccgTaAgO (1/1)

3


66以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 13:04:20.21rXTz6vX+O (1/1)

2


67 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 13:16:18.58RIgKyCroo (8/44)


天乃「へぇ? 何を隠してるの?」

友奈『その。実は入部希望がありまして』

天乃「うん」

友奈『それが、その理由が風先輩曰く不純な純情だそうで』

要領を得ない優奈のしどろもどろな発言に

天野は小首をかしげる

入部希望があった時点で、副部長である自分が何も知らないことが気になったが

それを置いておいたにしても

不純かつ純情なその入部希望の理由というのが気になって仕方がない

というか、この問題において、そこは避けて通れないことだ

天乃「んー。女の子ばかりの部活だから、男の子が仲良くなりたくて希望してるとか?」

友奈『えっ?』

天乃「え?」

友奈『その……ほとんど正解です』

天乃「えっ」


68 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 13:25:19.91RIgKyCroo (9/44)


女の子しかいない部活

不純な希望理由となれば

そこはやはり、男の子が希望者で

その理由はやっぱり、仲良くなりたいから。というのだろうという

かなり大雑把な推測しかしなかった天乃は

思わずオウム返しをして、咳払い

天乃「それなら断るでしょ。風が」

と、続ける

けれど

友奈『普通はそうなんですけど、なんでも。不特定多数が相手ではないので』

天乃「それが不純な純情ってわけね」

友奈『そうなんです。それで、久遠先輩だけに知らせてない理由がそれです』

天乃「それ?」

友奈『はい』

天乃「えっと……ん?」

友奈『仲良くなりたいのが、久遠先輩なんです』


69 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 13:41:15.66RIgKyCroo (10/44)


ある程度予想はついていた

そんな理由があり、自分だけが知らされていない

それはつまり、その動機の対象には自分が含まれているんだろう。と

けれど、不特定多数の中の一人だと考えていた天乃は

それが自分ひとりということに、思わず思考を停止させた

天乃「なんで?」

友奈『なんでと言われても……』

天乃「だって、私――」

普段なら、他人に好きになってもらえるような人じゃない。と言っていただろう

けれど、つい先日

男子生徒から告白をされたことで、天乃は【好きになってもらえるのかもしれない】と思い始めていて

そんなことは言えなくて、言葉に詰まった

友奈『余りにも思いが強いので、風先輩は絶対にダメ。って強く言えないみたいなんです』

天乃「それを、みんなに相談したんでしょう?」

友奈『はい。その結果、久遠先輩に話すべきなんじゃないか。と検討中です』

もう、私が言っちゃったんですけど。と

友奈は苦笑した


70 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 14:01:25.09RIgKyCroo (11/44)


天乃「私に聞いて何を言えって言うのよ……」

いたずらのような追求がアダになった。と

今更思っても遅く

どうすべきかと悩む天乃に

友奈はさらに言う

友奈『久遠先輩がその人と仲良くなれるのかどうか。です』

天乃「わ、私はなろうと思えばなれるだろうけど……」

十中八九

仲良くなりたいのは友人としてではなく

あの男子生徒のように恋人としてだ。と思っているせいか

僅かに、声が震える

友奈『久遠先輩?』

その異変に気がついたのか、

友奈は少し心配そうに呼ぶ


1、どうせ、恋人みたいな感じの仲良くなりたい。なんでしょう?
2、なんで……私、そんな他人に好かれるような人間じゃないわ
3、友奈も。私のこと好きなの?
4、友奈は、勇者のことを知らない普通の子と恋愛関係になれるの?

↓2


71以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 14:03:35.120yYytYtFO (1/1)

2


72以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 14:08:43.04FrbKOSU50 (1/8)

2


73 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 14:19:26.40RIgKyCroo (12/44)


天乃「なんで……」

友奈『?』

天乃「だって。私、そんな他人に好かれるような人間じゃないわ」

首を横に振っている姿が、友奈には見えた

ただ、謙遜しているだけではないと

友奈には分かった

きっと、自分ではなくても分かると思い

けれども、今どうにかできるのは自分だけだと、息を呑む

一歩間違えれば大変なことになるかもしれない緊張感

それを胸の内に留めて、友奈は言う

友奈『そんなことないですよ。絶対にないです』

なぜそんな風に考えるようになったのか

友奈は知らない

だから、下手なことは、言えない

いや、いう必要なんてない

友奈「だって、私は好きです。みんなが好きです。久遠先輩のこと……大好きですから」


74 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 15:13:56.72RIgKyCroo (13/44)


友奈「久遠先輩がどうして、そう考えるようになっちゃったのか。私は知らないです」

知らないで言うのは無責任かも知れない

けれど

今、自分を含めた周りが久遠天乃という人物に対して

どう思っているのかは言わなければいけないと、友奈は思った

友奈「でも、久遠先輩がそう考えるようになった時と、今では全然違うと思います」

恋愛相談、進路相談

それを難なくこなすことができる大人っぽさを持ちながら

風や樹をからかうような子供っぽさを併せ持つ天乃は

まだ子供である自分たちにとっては過程であり指標であり、目標だった

友奈「だから」

天乃が完璧な大人であるかどうかは不確かだけれども

こうなりたいという憧れがあった

強くて、明るくて、可愛い時もあれば、格好いい時もあって

とても優しいのに、厳しいことも言って。けれど、そのまま捨てずに、ちゃんとどうするべきかを教えてくれる久遠天乃という人は

先生よりも、先生で

両親と同じくらいには、頼りたいと思える人

友奈「私は好きです。きっと、みんなも。でも……」

天乃「…………」

友奈「そう思わない人が居るかも知れない。嫌いだって言う人がいるかも知れない」

でも、しかし、だけれども

少なくとも

友奈「私、結城友奈は久遠先輩のことが大好きです」

そう。なのだから

友奈「久遠先輩が好かれるような人間じゃないなんてことは――ないッ!」

言い切れるのだ


75 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 15:26:10.14RIgKyCroo (14/44)


友奈『……です』

電話であることを今更思い出して

もしも言葉が全部届いてなかったらと思って息を飲む

全部本心で、大事なことではあるものの

聞こえなかったからもう一度と言われて言える程の自信はない

いや、勇気はない

今だってそう。恥ずかしくて顔が真っ赤なのだから

この気持ちが入部希望の男子生徒と同じような気持ちではないことはわかりきっている

けれども

恋愛上の好きを知ったばかりで

友人上の好きとの境目が存在しない友奈にとっては

照れくさかった



1、そっか……そうなのね
2、ありがとう。友奈
3、私も友奈のことが好きよ。みんなのことももちろん……そっか。私。好きになってもらえる人間なのね
4、そこまで強く否定してくれるなんて思わなかった。そこまで強く思って貰えるなんて。思わなかった


↓2


76以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 15:28:23.94FrbKOSU50 (2/8)

ksk


77以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 15:30:35.13dZwyClV5O (1/3)

4


78 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 15:40:40.49RIgKyCroo (15/44)


天乃「そこまで強く否定してくれるなんて思わなかった……」

友奈『?』

天乃「そこまで強く思って貰えるなんて。思わなかった」

友奈『ぁ……』

天乃は、友奈が目の前にいなくてよかったと思った

それは、自分が今まで見せたことがない表情をしているから

感情を晒してしまっているからだ

友奈『久遠先輩……』

友奈は、自分がそばにいられないことを悔やんだ

それは、声から感じ取れる感情に応えてあげられないから

その体に、心に身を持って示してあげることができないからだ

天乃「嬉しいわ。ほんと……うん。嬉しい」

友奈『っ』

普段聞くことのできない声は

普段見ることのできない姿の片鱗を友奈の脳裏に浮かばせる

けれども、靄のかかった映像は不鮮明すぎて

天乃「ありがと」

だからこそ

美化されているのかも分からない脳裏の久遠天乃はとても愛らしくて

抱きしめたいと思った。その目元の涙を拭ってあげたいと思った

本当に泣いているのかもわからないのに、友奈は強く。そう思った

この人が好きだと、この人を守りたいと。この人の助けになりたいと

心の奥底から、全身までその感情に満ち満ちていた


79 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 15:56:39.59RIgKyCroo (16/44)


友奈『久遠先輩』

天乃「?」

友奈『その、私。本当に。好きですから』

何を言っているんだろうと、思う

けれど同時に、友奈は何もおかしくないと思う

好きな人に好きという

うどんが好きだからうどんが好きだという

そこに恥らいは必要か否か

どう考えても必要ない

だからそう、自分か天乃にそういうことにおいても

恥ずかしいことなんて何一つないと、

高鳴り続ける胸の鼓動を感じながら、思う

それを思うのは結城友奈ではないかもしれないが。

少なくとも、言っているのは結城友奈だった

友奈『だから。その。久遠先輩がもしあれなら。その相談は……私が乗ります』

天乃「え、あ、うん……あり、がとう?」

東郷や風に感じた何か

その一部を感じつつも、

乱された思考のまま、天乃はそう答えた


80 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 15:58:04.38RIgKyCroo (17/44)

√ 4月8日目 夜(自宅) ※日曜日

九尾、友奈、死神、沙織、風、樹、東郷との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、風
4、樹
5、友奈
6、東郷
7、沙織
8、イベント判定

↓2

※3~7は電話


81以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 16:00:28.60dZwyClV5O (2/3)

ksk


82以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 16:01:03.33FrbKOSU50 (3/8)

4


83 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 16:26:38.02RIgKyCroo (18/44)


樹『はい、犬吠埼です』

天乃「こんばんは。こんな時間に悪いわね」

樹『久遠先輩』

良い子は寝る時間の少し前

けれでも、樹の声はまったく寝そうにない元気良さが感じられた

天乃「……用事は?」

樹『ぁ、えっと。それに関しては問題なく』

天乃「そう。良かった」

樹『は、はい』

天乃なら、そんな用事なんて嘘であろうことには気づいていると樹は信じて答える

用事=風の様子だと、思ったからだ

樹『あの、久遠先輩』

天乃「うん?」

樹『ここ最近、お姉ちゃんと何かありましたか?』


84 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 16:36:06.84RIgKyCroo (19/44)


天乃「なにか?」

樹『はい。なんでもいいんですが……』

樹達がいるときにも色々と有りはしたけど

わざわざそう聞いてくるのだから

樹が知らないところで何かあったのかが聞きたいのだろうけど……

天乃「そうね。男の子が作ってる変なランキングの話をしたわ」

樹『あー……』

なんとなく知っている

そんな樹の反応にそれは違うのかと息をつく

天乃「それ以外は特にないわね」

あとは、樹が知ってるくらいしかない

樹『そうですか……』

考え込むような語尾の伸び

風の様子がおかしい理由を考えているのだろうが

樹が未だに原因を求めているあたり

普段の生活で

その原因となりそうなことはなかったのかもしれない


85 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 16:47:42.15RIgKyCroo (20/44)


なら、どうして風の様子はおかしくなったのか

そう考えるよりも、

風と共通したものを感じた東郷と友奈について考えるべきだろう

二人にも同じものを感じた

その時、何があって、どうしていたのか。だ

天乃「…………」

そう考えてみると

どう考えても、原因は自分だ

天乃と話しているとき、話したあと

その時に様子がおかしくなったというか

東郷はなにやら危ないことを口走ったし

友奈は好きだと連呼していたし

風はなんだか乙女チックだったし

それとは少し違うけれど、そんな姿を見たことがある

それは決まって、恋愛相談の時だ


86 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 16:56:43.85RIgKyCroo (21/44)


女の子が好きな男子について話すとき

男の子が好きな女子について話すとき

あのデートの時の、男子生徒

そう、誰か好きな人について話している時だったり

言うのは少し気はずかしいが、

好きな人と話している時の反応

天乃「…………」

それと、あの三人の反応は似ているのだ

友奈に至っては、

顔を見てはいないが、話してる内容に関しては

全くと言っていいほどに同じだ

つまり、

自分が原因なのではないか。と、天乃は行き着いた思考を手にとった


1、えっと。樹は私のこと。どういう意味で好き?
2、風は何か言ってた?
3、これ以上このことは考えるのやめましょ
4、ねぇ樹。樹は勇者と無関係な男の子と付き合えると思う?


↓2




87以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 17:00:18.74FrbKOSU50 (4/8)

2


88以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 17:05:07.66dZwyClV5O (3/3)

2


89 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 17:20:04.56RIgKyCroo (22/44)


天乃「風は何か言ってた?」

樹『えっと』

何か言っていたのかどうかだけ言えば

それはイエス。なのだが

はたしてそれは言ってもいいことなのかどうかと考えると

残念ながら

樹『気になるようなことは、特に』

言えるようなことではない

自分がよくわからないとか

すごいドキドキしたとか

女の子を好きになるとかありえないしとか

結構気になることを連発していたが

もちろん、言えない

天乃「そう……」

気になることは。という前置きが非常に気になったのだが

そこは、友奈の件でのヤブヘビがあったからか

手を出す気にはなれなかった


90 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 17:31:32.96RIgKyCroo (23/44)


天乃「でも、今は落ち着いているのよね?」

樹『はい。今は大丈夫です』

天乃「そう。ならいいわ」

本当にいいのだろうか?

そう思う反面、東郷は時間を置いてあった時は普通だったから

きっと平気だろう。と、思う

天乃「…………」

友奈の想いは強かった

あれはきっと、友奈が宥める為に言ったことではない

そもそも、そんな器用な子でもない

なら、あれは本当のことなのだろうと受け止めて、

風達も同様に自分を好きでいてくれるのは嬉しいけれど

恋愛的な意味なら困るなぁ。と、

少しでも自体の緊迫感を薄れさせようと、苦笑した


91 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 17:41:43.02RIgKyCroo (24/44)

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流有(???、二人一組)
・   犬吠埼樹:交流有(ふうについて、二人一組)
・   結城友奈:交流有(???、二人一組、好かれる人間ではない)
・   東郷美森:交流有(???、デートしたこと、体で?、二人一組)
・ 伊集院沙織:交流有()
・     三好様:交流無()
・      九尾:交流無()
・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



4月8日目終了時点

  乃木園子との絆 25(中々良い)
  犬吠埼風との絆 36(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 28(中々良い)
  結城友奈との絆 37(中々良い)
  東郷三森との絆 35(中々良い)
    三好様との絆 -5(とても低い)
     沙織との絆 34(中々良い)
     九尾との絆 29(中々良い)
      死神との絆 29(中々良い)
      稲狐との絆 27(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


92以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 17:46:25.65nVA/0ivoO (1/8)

???がなんとも不穏だな…


93 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 18:27:39.13RIgKyCroo (25/44)


では、ここから5月の一日目に移行します


勇者部入部希望の男子生徒に関して、どうするかを決めます


94 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 18:58:57.89RIgKyCroo (26/44)


√ 5月1日目 朝(自宅) ※月曜日


天乃「……はぁ」

あの日以降、友奈達が照れたり

若干距離を取るようなことは少しばかりあるものの

それ以上のことはないし、言葉もない

二人きりが極力避けられることは、あるのだけども

樹だけは、そんなことはない

あと、沙織も

けれども、天乃がため息をついたのはそれが理由と言うわけではない

というのも、

一週間ほど待ってもらっている入部希望者への答えの期限なのだ

天乃「どうするべきかのかしらね。ほんと」

九尾「普通に考えれば、断るべきじゃろうな」

天乃「それは」

九尾「理由が理由じゃ。断ることは容易いじゃろうて。そもそも、人手が欲しいのならば伊集院の小娘にしておけ。得はないが損もない」

得はないのね……


95以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 18:59:19.926JhOATGqO (1/2)

入部希望……だと……!?


96 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 19:19:47.87RIgKyCroo (27/44)


天乃「けど、やる事はちゃんとやってくれるらしいし、力仕事もあるから手があると嬉しいことも事実なの」

九尾「その褒美に、主様と近づくわけじゃな」

天乃「そんな言い方しないで」

九尾「事実じゃろう」

確かにそうなのだけども

改めてそう言われても困るのだ

正直に言わなくても、恥ずかしいから

九尾「もっとも、学校は人間関係を学ぶためにあるのも事実。小僧を招くというのならば、反対はせぬぞ」

天乃「………」

さて、時間はそうない

どうするべきか……



1、樹ちゃんのタロット占い
2、勇者部に相談
3、沙織に相談
4、運転手に相談
5、九尾にちゃんとした意見をもらう
6、入部を許可する
7、とりあえず、学校へ (イベント判定)

↓2


97以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 19:22:04.09FrbKOSU50 (5/8)

3


98以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 19:22:21.246JhOATGqO (2/2)

6


99以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 19:22:46.49nVA/0ivoO (2/8)

5


100以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 19:25:14.85nVA/0ivoO (3/8)

いきなり許可とか大丈夫かな…


101以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 19:43:42.33+D5mzgPy0 (1/1)

えぇ…


102 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 20:26:05.10RIgKyCroo (28/44)


天乃「決めたわ」

九尾「ほう?」

天乃「入部を許可するわ」

九尾「二ヶ月後の夏祭りのためにかや?」

天乃「いや、付き合うとかではなく、必要なのは事実だから」

九尾の茶化す言葉に

天乃ははっきりと言って、困った笑みを浮かべる

男子生徒を加えたことで

部活がどうなるのかはわからないけれど

少なくとも、友奈達が無視したりなんだりと

排除しようとすることはないはずだ

九尾「まぁ、良いじゃろう。毒になりそうならば妾が排除するが」

天乃「一応、貴女顧問みたいな立場に居るものね」

九尾「くふふっ。妾にできぬことなどあるまいよ。主様への好意など、妾が喰ってやる」


103 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 20:45:36.19RIgKyCroo (29/44)


天乃「あまりいじめないでね」

九尾の少し怖い言い方に不安を覚えつつ笑うと

九尾は小僧しだいじゃな。と、口にして姿を消す

天乃「本当に大丈夫かしら」

男子生徒の心配よりも

自分の心配をするべきなのだが……

そこで男子生徒を優先してしまうのが、天乃という人間だ

天乃「私を好きになってくれる人はいる……ね」

友奈のあの言葉は本当に嬉しかった

あれがなにかに惑わされていたがゆえの言葉でなければ。だけれども

それがどっちだったのかは

友奈に聞く勇気はない

天乃「とにかく、答えてあげるためにも、学校行かなきゃね」


104 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 21:05:57.78RIgKyCroo (30/44)


「おはようございます。久遠様」

天乃「おはよう。いつも悪いわね」

「いえ、お気になさらず」

いつも家を出る時間

運転手である女性は通常通りに待っていて

天乃が出てくると、決まった挨拶をし

基本的に、車内では大赦からの連絡事項を伝えてくる

それが彼女の本来の仕事で

送り迎えはメインの仕事ではないらしい

それは

東郷の送り迎えがデイサービスという代謝の息が掛かっているとは言えど

しっかりとしたそれ専門のところであることから伺える

もっとも、彼女に聞くまで知らなかったのだが


105 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 21:42:37.60RIgKyCroo (31/44)


「久遠様、本日ですが。結城様、東郷様のクラスメイトとして、三好様が転入致します」

天乃「三好様って、あの子よね? なんで?」

「仲が悪すぎるからです。あれではチームプレーはもちろん、仲間同士での小競り合いで重大なミスさえ起こりかねません」

強い口調でそう言うと、

と、言うのが大赦からの言葉です。と、付け加える

天乃「貴女のではなく?」

「はい」

天乃「結構力がこもっていたのに?」

「えっと……あはは。ここだけの話。三好様は私の妹みたいなものなので。仲良くしていただきたいんです」

運転手の女性――自称、夢路瞳は

そう言って笑うと、もちろん、本当の姉妹ではありませんが。と

前置きをした上で、続ける

「下手なんですよ。人と仲良くするのが。柔軟な対応をすることが」

天乃「……情状酌量の余地はあると?」

「三好様は熱する前の竹です。ただ押すだけでは折れるだけです。どうか、存分に熱してあげてください」

運転手はそう言って、つきましたよ。と、車を止める

別れ際にもう一度だけ、お願いしますねと、呟いた


106 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 21:48:24.03RIgKyCroo (32/44)

√ 5月1日目 昼(学校) ※月曜日


男子生徒(二年生 友奈東郷と同クラス)と接触することが可能です。接触しますか?


1、する
2、しない


↓2


107以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 21:50:57.23nVA/0ivoO (4/8)

1


108以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 21:51:09.24FrbKOSU50 (6/8)

2


109 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 21:55:48.33RIgKyCroo (33/44)

√ 5月1日目 昼(学校) ※月曜日

友奈、沙織、風、樹、東郷、三好様との交流が可能です

1、風
2、樹
3、友奈
4、東郷
5、沙織
6、三好様
7、イベント判定
8、勇者部部室


↓2


110以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 21:58:00.97FrbKOSU50 (7/8)

6


111以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 21:58:24.71VJH2h2Xyo (1/1)




112以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 21:58:42.85nVA/0ivoO (5/8)

6


113 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 22:25:35.59RIgKyCroo (34/44)


天乃「ねぇ」

「は、はい――ぁっ、ダメです先輩」

天乃「え、ちょっ」

教室に行き、

入口のそばにいた女の子に声をかける

女の子は天乃だと気づいた瞬間

教室の外へと押し出して、ドアを閉めた

天乃「なんなの?」

「い、今はちょっと……先輩は来ちゃダメかと」

天乃「?」

「その、転入生が来たんですけど。先輩に会いに行くと言って聞いてくれなくて」

天乃「それで?」

「今、友奈……ちゃんと東郷さんが話してるんです。その子と」


114 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 22:32:23.09RIgKyCroo (35/44)


つまるところ、

今の教室は天乃が立ち入っていいような状態ではなく

残念なことに険悪な空気に包まれている。ということだ

運転手の女性には悪いが

とてもではないが

仲良くなれそうにはない

天乃ではなく。それ以外が

天乃「でも、困ったわ。私は東郷に用事があるのよ」

「後にはできませんか?」

天乃「んー」

友奈たちのクラスメイトも必死なのだろう

その表情には

天乃を足止めする申し訳なさと

いかせた時に起こる何かの心配と恐れを感じる


115 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 22:39:08.91RIgKyCroo (36/44)


三好様は熱する前の竹だと言われていたが

果たしてその程度の柔らかさなのかどうか

あれだけ打ちのめしてあげたにも関わらず

めげずに立ち向かおうとするその精神力は称賛に値するのだが

しかし

その姿勢には反省の色が見えないのが痛い

教室の中からは

三好様と思しき声と、

友奈の久遠先輩の体を考えて。という制止が聞こえる

本当

体もだけれど、心も考えて欲しい

そう思いつつ、ため息をつく


116以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 22:40:26.26nVA/0ivoO (6/8)

あれ?三好様じゃないの…?


117 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 22:43:51.71RIgKyCroo (37/44)


……!

>>113からリスタートします

失礼しました


118 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 22:48:23.36RIgKyCroo (38/44)


天乃「なるほど。それで私を追い出したのね」

友奈たちのクラスメイトは頼まれたわけではないが

大騒ぎになったりするかもしれないと心配して

気をきかせてくれたらしい

その気持ちは優しくていいことだと思うし

本来ならありがたいことなのだが

今回に関しては、

申し訳ないけれども、ありがた迷惑というものに分類されてしまう

というのも

天乃「けど、私もその子に用事があるのよ。三好さんに」

「三好さん……名前。知ってたんですか?」

天乃「うん。まぁね」

もちろん、

彼女から聞いたわけではないし

全くと言っていいほど近しい人間ではない

関係を示すので一番正しいのが、敵。というくらいには


119 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 22:52:27.84RIgKyCroo (39/44)


「でも……」

教室から聞こえる声に、

女の子は不安そうな表情を浮かべながら

天乃へと視線を落とすと

心配そうに目をそらす

天乃の実力派知っている。体育館での戦いっぷりは見せてもらったから

けれども、ここは教室だ

あんな超人的な身体能力が発揮できるほど

いいフィールドではない

天乃「大丈夫よ。心配しないで」

「っ」

天乃の優しげな顔に、

女の子は小さく頷いて、ドアを開ける

騒がしかった声が止み、クラスの中の目が、二人に向く


120 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 23:01:17.28RIgKyCroo (40/44)


教師である奇跡にかけた一部の少年少女の瞳が絶望に落ち

三好様に怯えていた一部の瞳には、三好様明日欠席かな。という心配が見えて

友奈と東郷にはどうして。という困惑の色が浮かぶ

そして

三好様は嬉しそうに、にやりと笑う

その瞳は歓喜に燃える炎が見えた

「はっ。いいタイミングでくるじゃない。さすが私。持ってるわ」

天乃「謝礼金を持ってきたって? ごめんなさい。要らないわ」

「んなこと言ってないわよ! 運がいいって言ったの!」

天乃「運が悪いから、私が来ちゃったんだけどね」

「ふんっ。あんたが来なきゃ私があんたの教室に行ってたわよ」

天乃「確かに、転入初日で迷子にならずに済んだのは運がいいわ。おめでとうっ」

「あんた、馬鹿にしてるでしょ」

天乃「うん」

「おい」


121 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 23:10:49.19RIgKyCroo (41/44)


「ったく……」

天乃の挑発するような態度

一気に上がったボルテージを抑えるためにため息をつき、目を瞑る

今までも、落ち着くためにしてきたこと

夏凜「まだ名乗ってなかったわね。私は三好夏凜よ」

天乃「煮干夏凜?」

夏凜「あんたぶっとば――ってぇ、人の煮干食べてんじゃないわよっ!」

天乃「あっ」

夏凜「あっ。じゃないわよこの泥棒!」

近くの机に置いてあった煮干を食べていた天乃に怒鳴りつけて

夏凜は袋ごと奪い取ると、睨みつける

天乃「仲間を食べられて怒るなんて、やっぱりにぼ――」

夏凜「違うわよっ!」

天乃「忙しないわね。カルシウムとってる?」

夏凜「とってるわよ!」

天乃「共食いで?」

夏凜「ぬぁぁぁぁっ!」

落ち着くことなど、無理である


122 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 23:19:04.80RIgKyCroo (42/44)


夏凜「み・よ・し・か・り・ん!!」

天乃「いっぱい区切る名前なのね。珍しい」

夏凜「あんたほんと、ふざけんなッ!」

天乃「一旦、落ち着いて深呼吸したら?」

夏凜「うっさい!」

本当に心配そうな天乃の表情を無視して怒鳴りつけ

結局、言われたとおり深呼吸

激しい動悸を抑えるために胸に手をあてがって、深く息を吐く

完全に天乃のペースだった

三好夏凜という存在への恐怖に囚われかけていた教室の空気は

完全に、取り壊されている

夏凜「改めて言うわよ。私は三好夏凜」

天乃「三好夏凜。ね……」

夏凜「そうよ。ちゃんとわか――」

天乃「にぼっしーって呼んでいい?」

夏凜「やめて」


123 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 23:26:49.05RIgKyCroo (43/44)


天乃「結構いいあそ……あだ名だと思ったんだけど」

夏凜「聞こえてんだけど」

天乃「耳良し夏凜ちゃんの名は伊達じゃないわね」

夏凜「瞳ぃッ!」

頭を抱えて運転手の名前を叫ぶと

夏凜は激しく頭を振って

何度も何かをつぶやき、天乃に背を向けて

天を仰いで、大きく頷く

夏凜「おーけー、分かった。真面目な話。したい。いい?」

天乃「私、英語はちょっと」

夏凜「怒るわよ。ほんと」

天乃「かっかりん?」

夏凜「ほんと。勘弁して……」


1、にぼっしーって呼んでいいなら
2、わかったわ。場所を変えましょう
3、リベンジマッチなら受けないわよ。理由がないわ
4、貴女の話に興味はないわ。でも、あなたには興味がある。入部しなさい。勇者部に
5、私、女の子との交際はちょっと



↓2


124以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 23:31:09.99nVA/0ivoO (7/8)

ksk


125以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 23:31:22.47FrbKOSU50 (8/8)

2


126以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 23:32:18.427rfBVsgMO (1/1)

4


127 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/17(日) 23:43:39.20RIgKyCroo (44/44)


では、此処までとさせて頂きます
あすもできればお昼頃から


三好様等も順次WIKIに入れていく予定です



夏凜「もういや!」ギュッ

瞳「どうしたんですか、一体」

夏凜「久遠天乃がほんっと、性格最悪なのよ!」グスッ

瞳(あぁ……玩具にされたんですね。でも、それは気に入られてる証拠ですよ。頑張ってください)ナデナデ


128以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/17(日) 23:49:43.51nVA/0ivoO (8/8)


夏凛ちゃんようやく正式加入か
相変わらずあまにぼコンビは安定感抜群で面白いな


129以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 00:33:43.20zNAIE1H+O (1/1)


やっぱりこのコンビだよな
久遠さんが凄いイキイキして見えるよ

昨今の顔芸や音芸のお笑い芸人よりこの漫才の方が好きだわ


130 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 13:39:24.87Ic604NNNo (1/37)


では、本日も少しずつ初めて行きます


131 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 13:50:00.89Ic604NNNo (2/37)


天乃「わかったわ。場所を変えましょう」

夏凜「初めからそうしなさいよ」

呆れ混じりにいう夏凜に笑みを向け

ついてこようとしている二人に、向き直る

天乃「友奈、東郷」

友奈「は、はい」

東郷「先輩、危険です」

天乃「大丈夫よ。待ってなさい」

二人が聞いても平気な話なら

夏凜は二人を連れて教室に行こうとしたはずだ

けれど、そうしなかったから二人に止められていたと考えるのが妥当だし

それなら、ここで同行を許可できるはずがない

友奈「でも」

天乃「お願い友奈。おとなしくしてて」

友奈「……分かり、ました」


132 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 14:03:58.96Ic604NNNo (3/37)


不安そうな二人を置いて

二人きりになれる勇者部の部室へと向かう

その間、夏凜は一言も話すことなく

天乃もとりあえずは。黙ってついていき

何事もなく、たどり着いた

夏凜「まずは、あんたに言っておくことがあるわ」

天乃「うん」

夏凜「油断はしたけど。したけど!」

強く、前置きをして

夏凜は嫌そうな顔になるのを押さえ込みながら

ぎゅっと握りこぶしを作る

夏凜「あれは……あんたの勝ち。だったわ。素直に負けを認めてあげる」

どう聞いても素直ではなく

認めているはずなのに、上から目線で

天乃「認め……てる? 素直……? えっ?」

天乃はわざとらしく目を見開いて、口元を手で覆うと

視線を泳がせて、口を開く

夏凜「そのムカつく顔やめて! 」

天乃「新しいおもちゃって色んな遊び方を試したくなるわよね」

夏凜「なんでそれを今言うのよ……いや。良い。言わなくていい。そのにやにやで想像つくから」

天乃「あら、そう。残念」


133 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 14:24:26.11Ic604NNNo (4/37)


天乃「それで? 本題は?」

夏凜「あぁ、そう。あんたと私で選手交代。お疲れ様ってのが本題よ」

天乃「え?」

夏凜「だから、あんたは勇者として戦う必要はないって言ってんの」

今度こそ

おふざけでもなんでもなく、天乃の表情は驚きに歪む

夏凜と選手交代?

勇者として戦う必要がない?

何を言っているのか、まったくもって理解が追いつかないからだ

明らかに、悪手だ

明らかに、間違っている

けれど……

夏凜「端末出しなさい。久遠天乃。没収するわ」

彼女は仕返しのような不真面目さはない

本当に

そうするよう言われて、ここに来ていた


134 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 14:40:12.24Ic604NNNo (5/37)


天乃「ちょっとまって夏凜。それ、本気で言ってるの?」

夏凜「本気よ。上っていうか、大赦からの命令」

夏凜はそう言うと

その指示が書かれたメールを表示させた端末を、

天乃に差し向ける

天乃「こんなのって」

そこには確かに、そうしろという指示が書かれていた

夏凜「悔しいけど、あんたの方が力が上なのは事実」

だから、自分ひとりで担うのではなく、

ほかの勇者と共闘しなければいけなくなった

完成形勇者には程遠いと評されてしまった

夏凜「でも、あんたをこのまま運用していくのは不安だから、退かせたいのよ」


135 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 15:10:10.65Ic604NNNo (6/37)


大赦という存在は、どこまでも愚かだった

いや、もちろん。自己保身のためにそのような選択をしているわけではないけれど

しかしながら、

大赦が有する勇者の中で最強の能力を誇る乃木園子をもってして

【「量産品の束では、一級品に砕かれるだけ」】と、戦うのを拒むほどの能力を有する天乃を

人々を守る神樹様を守る役目から退けるのは得策ではない

けれども、彼らとて

それを理解していないわけではない――と、天乃は思いたかった

自分の力は神樹をも傷つける最強にして最凶

存続の要、終わりの導き手であることは重々承知しているし

それを恐れてであることは、理解に容易いからだ

天乃「貴女たちで、無事に勝つ事ができるの?」

夏凜「……まぁ、勝てるわよ」

天乃「無事に?」


136 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 15:15:16.03Ic604NNNo (7/37)


神樹が無事であること

それは前提であり、絶対不動の勝利条件

ゆえに、その【無事に】という言葉に含まれているのは

それが隠しているのは、神樹様が。という言葉ではない

夏凜「……多少。被害が出る可能性は考えておいて欲しいわ」

その言葉が勇者であると考え、夏凜は答える

もちろん、極力無事に返すつもりだ

それは、天乃を退かせるにあたって、絶対になくてはならない条件だと

大赦ではさんざん言われたこと

けれど、絶対に無事という保証は無理だ

なにせ、自分は彼女よりも劣っているのだから

三好春信という兄に対してそうだったように

自分は、久遠天乃に劣った存在なのだから

だから、夏凜は引いて答えた

このくらいは妥協してもらいたいと

正直に、被害が出る可能性があると。答えた


137 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 15:23:31.19Ic604NNNo (8/37)


天乃「……そう」

被害は出るかもしれないが

君がいるよりは安心して戦ってもらえるんだ。と

大赦の人間の言葉が透けて見えた

夏凜「久遠天乃。だから……」

天乃「そう……そうね。私は。そうよね」

好きになってくれる人が居るとしても

誰しもに好かれるわけではない

どれだけ頑張っても、尽くしても

大赦という組織は自分のことを好ましく思っていないのだと

天乃は改めて知って、苦笑する

夏凜「?」

天乃「端末……だったかしら」

夏凜「そう。私達もだけど。あんたもそれがなければ勇者にはなれないでしょ」



1、勇者として私に勝てれば渡してあげるわ
2、嫌よ。危ない時に助けてあげられないわ
3、じゃぁ。はい。まさか、代替の端末はくれるんでしょうね
4、そんなに私が嫌いなんて。ほんとう。嬉しい話だわ
5、ねぇ。貴女も私が嫌い?


↓2


138以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 15:25:49.59eCoUMPIOO (1/2)




139以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 15:26:39.80eWywfK5SO (1/1)

2


140 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 15:43:30.14Ic604NNNo (9/37)


天乃は端末を手にしながらも

夏凜に手渡すことはなかった

天乃「嫌よ。危ない時に助けてあげられないわ」

夏凜にとっては意地悪にも思えるが

そんなことは微塵もない

これは、久遠天乃という人間の優しさでしかない

何の企みもなく、ただ純粋に

濾過することもできないほどに澄んだ水のように、不純物のない言葉

時に子供、時に大人

つい先ほどまで子供だった彼女は、少なくとも今は。子供ではない

天乃「メールは、そう返しておいてくれるかしら」

夏凜「簡単に言ってくれるじゃない」

天乃「直接出向かず、人に言わせる命令よりは簡単には言ってないつもりだけど」


141 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 15:49:31.96Ic604NNNo (10/37)


大赦への皮肉

彼女が浮かべる笑みは、害敵と認識している三好夏凜でさえ

口惜しいことに、高評価せざるを得ない

けれども、今浮かべている笑みは

とても悲しげで、とても遠くを見ているようで

彼女が年上であることを、思い出させるほどに大人びたものがあった

天乃「人の顔、そんなにまじまじと見ないでくれる?」

夏凜「ぁ、いや……ごめん」

彼女の言葉にハッとして、目をそらす

数秒間の記憶はないが

映像は脳裏にしっかりとこびりついている

それはまるで写真のように、鮮明で

天乃「素直に謝られると。調子が狂うのだけど」

夏凜「うっさいわね……文句が多いのよ。あんたは」

天乃が本当に害敵であるのかどうか

判断を鈍らせる一ページが、生まれた


142 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 16:00:26.97Ic604NNNo (11/37)


三好夏凜にとって、久遠天乃という少女は

自分のプライドをもの凄く傷つけてくれた

とてもありがたいお人である

もちろん、それは本心で思っているわけではない

やじうまどもの目の前で組み伏せられ、大声でごめんなさいと言わされた屈辱

あれは言葉にできる程ちっぽけなものではないからだ

が、同居人から言われた

自業自得ですからね。という言葉には、悔しいけれども同意せざるを得ない

要するに、

天乃が夏凜を嫌っていい理由はあるが

夏凜が天乃を嫌っていい理由にはならない

それでも嫌うことはできるが、どれだけ心の小さい人なんですかと言われては

容易に嫌うこともできなかった

だからこそ、部室に来てそうそう、前回のことから話した

自分の中で、あの出来事を収めるために

自分の色眼鏡を取り外すために

そうして見えた彼女は子供だった

しかし同時に大人だった


143 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 16:09:39.94Ic604NNNo (12/37)


夏凜「まぁ。説得なんか出来そうもないし、そう送るけど……」

夏凜は天乃から目を離して、

端末譲渡にかんして拒否されたことを綴る

それに付け加えるように改行二回

久遠天乃に関してと副題を入力する

夏凜「……………」

関わるのが不得手だったせいもあるのだが。

他人とさほど関わりを持たなかった夏凜には彼女をどう評価するべきかわからなかった

ただ

そう

ただたんに

今知っている彼女を言葉にするのであれば

あれは、なんだろうか

夏凜「……優しさ?」

いや、ちがう。それと似ているが、そうではない

夏凜は言葉とともに打ち込んだものを消し、副題も消して

任務の結果だけを、報告する

今はまだ、夏凜は知らなすぎたのだ


144 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 16:19:38.02Ic604NNNo (13/37)

√ 5月1日目 昼(学校) ※月曜日

友奈、沙織、風、樹、東郷、夏凜との交流が可能です

1、風
2、樹
3、友奈
4、東郷
5、沙織
6、夏凜
7、男子生徒
8、イベント判定
9、勇者部部室


↓2


※友奈、風、樹、夏凜、東郷は部室です
※個人名を選択することで、単独交流が可能になります


145以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 16:25:19.402vwd6Rr60 (1/4)

6


146以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 16:25:35.739MpmRcCIO (1/1)

9


147以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 17:56:07.86FwaTMOTUO (1/1)

休憩中?


148 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 18:51:25.50Ic604NNNo (14/37)


失礼しました
>>109でお昼をやっていますので、今回は夕方の交流になります




149 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 19:05:05.83Ic604NNNo (15/37)


夏凜「結城友奈達にはもう言ってあるけど、私も勇者として戦うわ」

風「んーそれはいいけど……」

風はそう言いながら、

ちらっと東郷へと目を向ける

彼女はもうすでに説明をされているはずなのだが

東郷「戦力が増えるのはありがたいことだけれど、敵が仲間になるのは遠慮したいわ」

不満たっぷりにそう言った

風のとなりに居る樹は

一体何が起きているのかと、天乃に視線を送る

東郷「そう、いったはずよ」

夏凜「私は有事に仲間割れ起こすほど、腐った性格ではないと思ってるんだけど」

東郷「友奈ちゃんを傷つけて、こんな状態の先輩を相手取って決闘したのに?」

夏凜「それに関しては、申し訳なかったと思ってるわよ……実力が知りたかったから。つい」


150 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 19:11:58.90Ic604NNNo (16/37)


友奈「えっと、その。東郷さん」

東郷「友奈ちゃん。これはちゃんと言っておくべきことよ」

友奈「けど……」

さすがに言い過ぎだと、友奈は思った

けれど、自分の中にも【なぜか】燻る何かがあって

東郷の言葉に同意したい。

三好夏凜に向けて言いたい言葉がある。

それが引っ張り出されてしまいそうで

それゆえの痛みに胸元に手をあてがう

それはとても、不快な感覚だった

夏凜「もし仮に私がそんなクズなのなら。神樹様が勇者に選んでない」

東郷「……そうね。でも、貴女がしたことは変わらない。あれが、酷い事だったことに変わりはない」

夏凜「そうよ。その点は否定しない。認める」


151 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 19:20:52.10Ic604NNNo (17/37)


三好夏凜は、バツが悪そうにそう言って軽く頭を下げる

大赦に言われたからでも、瞳に言われたからでもなく

この点に関して、非があることをちゃんと分かっているからだ

東郷美森が自分を敵だと認識していること

自分の加入に関して快く受け入れることができていないこと

それは全て自分の招いたことだし

自分のした行動はそうなっても仕方がないと思っている

夏凜「けど。それでも認めてもらわなきゃ困るのよ。最前線で戦うなら。騙し撃ちなんてできないでしょ?」

東郷「戦力の一つとして考えるのが嫌なの。三好さん。貴女に任せて貴女が裏切って離脱したりしたら、戦局が混乱するから」

夏凜「っ」

それは確かにそうだ

そうなのだけれども、

なぜ、そこまで言われなければいけないのかと。夏凜は俯く

確かに信頼に足る人間ではないことは承知している

けれど、自分でもあの行動はくいているし反省もしている

あの件に関しては教室でも何度か謝罪した

なのに、どうして

夏凜「そんな、私が嫌い?」

東郷「口にしないと、分からない?」


152 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 19:29:44.32Ic604NNNo (18/37)


東郷の瞳はとても冷たかった

それははっきりと嫌いであることを物語り

三好夏凜という存在の拒絶であると、夏凜は気づいた

夏凜「風。あん……風は?」

風「正直、東郷の言い分には同意な部分もある。悪いけど、あんなことされたあとだからさ」

風は険悪な雰囲気全開の東郷に困惑していたが

軽く頭を掻くと、感情の不確かな迷いのある目を夏凜に向けそう言う

夏凜「そう……樹。だっけ?」

樹「は、はい」

夏凜「どう思う?」

悲しげな夏凜の雰囲気

以前見たときは力強かった瞳にも、弱々しさが見えて

疲れているようにも、見える

樹はそれをしっかりと視界に収めると、口を開いた

樹「正直に言えば、信頼はできないです……けど。拒絶するだけでは。何も変わらない。と、思います」


153 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 19:38:59.58Ic604NNNo (19/37)


友奈を傷つけたこと

車椅子に乗っているような天乃と決闘したこと

そのあたりのせいで、さすがの樹にも

おいそれと信頼はできなかった

悲しそうな彼女には悪いのだけれども

その点は自業自得であることを理解して欲しいと思ったし、

三好夏凜がすでにそれを理解していることは、

先程から分かっていたから特に言わなかった

けれど、それならば。と、樹は考えたのだ

ただただ否定するだけでは何も変わらない

他人なんて最初から信頼できているわけではないのだから

とりあえずは警戒しながらでも受け入れて

少しずつ、見ていくべきではないか。と

夏凜「優しいわね。ぁ……樹は」

夏凜はそう言って微笑を浮かべると、

友奈へと、目を向けた


154 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 19:49:42.51Ic604NNNo (20/37)


友奈「私はもう、言ったとおりかな。バーテックスと戦うために、力はいくらあってもいいと思う」

それに、

ここまで反省しているのだから

認めてあげてもいいのではないかと思っている

あの決闘に関してだって、一応は申し込まれて受けて行ったこと

天乃との決闘に関しても同様だ

要するに、夏凜一人の責任ではないと、友奈は考えているのだ

東郷「友奈ちゃんは、甘いわ」

友奈「でも、凄く反省してるのはわかるから……」

変わらず厳しい目を向ける東郷に

友奈は困った顔で、言う

天乃「じゃぁ、次は私の意見の番かしら?」

夏凜「まぁ……そうね」


1、人手は大いにこした事はないし、認めるわ
2、まず、勘違いしないで欲しいのだけど。夏凜がしたのは決闘であって不意打ちでも騙し討ちでもないわ
3、命を預けるのが怖いんでしょう? だったらまず、勇者部としてボランティアに励んでもらいましょう
4、正直、友奈を傷つけた点に関して、許せないのも事実よ
5、顧問の九尾先生。いかがでしょうか


↓2


155以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 19:50:45.16eCoUMPIOO (2/2)




156以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 19:51:49.912vwd6Rr60 (2/4)

2


157 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 20:03:23.69Ic604NNNo (21/37)


夏凜の目が向けられ

全員の意識が向けられた天乃は

その橙色の瞳に幕を下ろして、深く息をつく

誰しもが自分の言葉に耳を傾けていること

それをしっかりと、留めて

天乃「まず勘違いしないで欲しいのだけど。夏凜がしたのは決闘であって不意打ちでも騙し討ちでもないわ」

それは。三好夏凜を信じるか否かでも

その処遇を決めることでもなく

どちらかと言えば、東郷たちに向けての言葉―説得―だった

天乃「信じるとか、信じないとか。それってちょっとおかしくない?」

裏切ったのなら、それは信じられない人だ

なんの前触れもなく襲いかかってきたのなら

それは背中を預けるに値しない人だ

けれども、三好夏凜はどちらでもなく

しっかりと決闘を申し込んで来ている

ちょっと変な言い方にはなるが、騎士道精神に通ずるものを、持っていると言えなくもない

天乃「それに。決闘して、負けて。仲間になりたいと申し込んできた人はライバルではあるかもしれないけれど。敵ではないと思うわ」


158 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 20:10:27.18Ic604NNNo (22/37)


風「…………」

樹「っ」

友奈「そう、だよね……」

天乃の言葉は間違っていない

いや、それどころかとても正しい言葉だった

もちろん、ハンデ付きということもあったが

それでも、決闘を申請し受諾した時点で

そんなハンデは重々承知の上だったはずで

双方合意であるのならば、なんら不信感のない正々堂々としたものだったはずだ

信じる信じないという話は飛躍しすぎているが

もし、それを考えるのであれば

その正々堂々とした姿勢に敬意を評し、仲間にする程度には信頼してあげてもいいはずだ

天乃は、東郷を見る

東郷もまた、天乃を見る

天乃の瞳はとても優しく、表情は穏やかだった

天乃「と。思うのだけど。貴女はどこで夏凜を敵だと言いたいの?」

けれども、その声は間違いを正すほどには厳しいものだった


159 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 20:19:25.69Ic604NNNo (23/37)


東郷「それ、は」

残念ながら、

本当に正しいと思っていない限り

あるいは、もはや言葉の通じない狂人でない限り

はたまた、恋愛の話題でない限り

久遠天乃という人間を説き伏せることは至難の業である

彼女は間違った言葉を受け止めた上で

しっかりと、曲がり道を作って正しい方向に導く

そう。要するに

彼女が自分の意見を行った上でどうしてそう思ったのかを聞いてきた時点で

久遠天乃にとって、東郷美森の考えは誤りなのだ

しかし、一概にそう決め付けず

なぜそう思うのか

どうしてそう思ったのかを理解しようとする

その始まりに立たされた時点で。東郷美森は敗北を悟った

なぜなら、天乃の考えが間違っていないと。すでに、認めてしまっていたからだ


160 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 20:28:21.25Ic604NNNo (24/37)


東郷「友奈ちゃんを、傷つけたから……」

天乃「……あ。そうね。じゃぁ敵で」

夏凜「!」

天乃「なんて。まぁ……そこに関しては決闘だったし。制裁加えたし」

天乃はにやりと笑うと

もうしないわよね。と、夏凜に言う

夏凜「死にたくないし」

夏凜は本音をこぼす

不自由な体であの戦闘能力なのだ

目的が鎮圧だの殲滅だのだった場合、

確実に死んでいたとさえ思う夏凜は、総毛立った体を抱いて頷く

風「トラウマになってない?」

天乃「ふふんっ」

樹「ほ、誇るところ……なのかな」

風「ないない」




161 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 20:36:42.29Ic604NNNo (25/37)


大人の意見から、子供の表情へと一転させた天乃の自慢げな表情に

風は困ったように笑って

樹も釣られてそうだよね。と、首をかしげる

場を支配していた陰鬱で重苦しくて仕方がない空気を取り払うような天乃の表情に、

友奈と夏凜は、揃って目を向けた

天乃「夢に出てくる?」

夏凜「来ないわよ」

天乃「あの時、私を組み伏せる夢くらいは見るでしょ」

夏凜「……まぁ。そう出来たらよかった。とは。思うけど」

天乃「叶わない夢を見るだけなのって。切ないわよね」

夏凜「叶えるわよ! 絶対、押し倒してやるんだから!」

かわいそうな人を見るような目と声に

夏凜は事実ゆえに顔を赤くして怒鳴る

夏凜「いつか……やってやるんだから」


162 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 20:52:25.23Ic604NNNo (26/37)


いつ出来るのかは分からないが。

追い抜くことができなくとも

そう、せめて追いつくことくらいはしたい

夏凜の表情からそんな気持ちを受け取って

天乃は小さく笑う

風のない室内では髪は揺れず、胸だけが弾む

天乃「楽しみね」

夏凜「余裕そうなのが、ほんと……まったく」

いらつく。という言葉は封じ込めて、目を背ける

夏凜は天乃という人間を理解するほど情報を持っていない

けれど、今持っている情報から選ぶのであれば、

久遠天乃は三好夏凜にとってのライバルだった


かくして、三好夏凜は希望通りに勇者部への仮入部が認められ……

なんていう訳もなく

天乃によって半ば強引に入部させられた夏凜は、勇者部の一員となった


163以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 20:54:27.04lnMoKm9FO (1/5)

とりあえず一安心だな


164 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 21:08:33.28Ic604NNNo (27/37)


風「――あ、それで」

夏凜の件が片付いたそばから、問題は掘り起こされる

起こされるといっても

それは今日という日にそびえ立っていた問題なのだけれども。

風「男子部員の方はどうするのよ」

天乃「うん。入部させることにしたわ」

天乃はそんな問題を軽い口調で蹴り出した

東郷「なっ」

友奈「えっ?」

しれっという天乃を見つめ、二人は驚きを口にする

天乃ならそう言うかも知れないという可能性を考えていなかったわけではない

けれど

それでも驚かないことはできなかった

友奈「入部、させちゃうんですか?」

天乃「その口ぶりだと、入部させたくない。みたいに聞こえるんだけど」


165 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 21:23:38.61Ic604NNNo (28/37)


もちろん、女の子だけの部活に

男の子を入部させるということに関しての抵抗が有るのは仕方がないことだ

今まで何気なく出来ていたことも

ちょっとばかり気を使う必要が出てくるし

なにより、それがなくとも勇者に関係することが話せなくなる

けrど、友奈が嫌そうに言うのが気になって目を向けると

友奈自身が自分の言葉に驚いているのが、見えた

天乃「友奈?」

友奈「あ、その……なんで。だろ」

分からない

なぜ、こんなにも新しく男子生徒が入部してくることが嫌なのか

友奈「ぁ」

――嫌だ

いやだ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

友奈「痛っ」

天乃「友奈……? ちょっと、ねぇ」

目の前で、赤色の髪が激しく揺れる

困惑し、狂ったように

理解の追いつかない何かが心の奥底から湧き上がってくる感覚に、友奈は

乱れることさえ厭わず、頭を振る

――奪われたくない

拒絶の中の言葉

自分のものか、何かのものか

不確かで、不鮮明な想い

それは激しく揺れる頭の中で微動だにすることなく、存在し続けた


166 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 21:32:39.40Ic604NNNo (29/37)


友奈の動きが止まって

全員が困惑と驚きの中に静止している中で

小柄な体はその場に膝を打って、天乃のもとに倒れこむ

天乃「ちょっ……」

体の暖かさは損なわれていない

生きているが故の胸の動きも滞りない

けれど、友奈は気を失っていた

何が起きたのかとみなが互いに顔を見合わせる

そして

東郷「三好さんも入ったので、入部させる必要はないかと」

東郷美森は冷静に

されど、友奈と同様の思いを胸に、言う

東郷「先輩。考え直してはいただけませんか?」


167 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 21:39:07.37Ic604NNNo (30/37)


天乃「いまはそれどころじゃ――」

東郷「友奈ちゃんは大丈夫です。ちゃんと、呼吸しているので」

東郷は友奈を一瞥すると

さほど関係がないような表情で言う

問題は友奈よりも男子生徒の一件だとでも。言うかのように

それにはさすがに

風と樹も違和感を禁じ得なかった

夏凜だけは知らずに困惑していたが

けれども、異様な気配

嫌な不快感を感じ、冷や汗を流す

天乃「貴女」

東郷「……先輩の件なので、先輩が決めてくださいとは言いましたが。やっぱり、再考願います」

天乃「なんなのよ……」

ついさっきまでの友奈からも感じていた嫌な感覚

それを東郷からも感じて、天乃は眉をひそめる

風、友奈、東郷

みんながおかしくなった際に感じたものと、それは嫌なことに。同じだった




1、貴女、どうしたの?
2、そんなことよりも友奈でしょう?
3、わかったわ。考える
4、分かった。人も増えたし取りやめにする……それでいいでしょう?
5、なにがそんなに気に入らないの?


↓2


168以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 21:40:04.542vwd6Rr60 (3/4)

ksk


169以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 21:40:11.61lnMoKm9FO (2/5)

4


170 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 22:07:37.15Ic604NNNo (31/37)


天乃「分かった。人も増えたし取りやめにする……それでいいでしょう?」

それ以外に選択肢はなかった

まるで、何かに取り憑かれたかのような東郷は

その言葉を聞くと、安堵して胸をなで下ろす

嫌な雰囲気は、まだ消えない

東郷「はい。そうしていただけると助かります」

風「ちょっと、東郷大丈夫?」

東郷「? なにも問題はありません」

東郷は笑う

今の東郷にとって、友奈が気を失っていることなど

些細な問題でしかない

けれど

それがまだ、問題であるだけましなのかもしれない


171 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 22:27:48.99Ic604NNNo (32/37)


腕の中に抱く少女が寝息を立てる中で

その大親友に位置する東郷を見つめて、天乃は思う

これは一体何ごとか。と

今までの軽い違和感とは全く違う

彼女は東郷であって東郷ではない

その評価が正しいかとさえ思うほどに

普段の雰囲気とはまるで違う禍々しさを感じる

しかし、それがいつ。どこから湧き出したのかが分からない

――私が関係しているのは確実なんだろうけど

そう思いながら、友奈の頭を撫でる

友奈も同様の状況に陥っていた

拒否反応を示したと言えるであろう乱れ方の後、気を失ってしまったが

その間、確かに似通った不快感を感じた

その発端はどちらも、【男子生徒の入部】であることも間違いはない


172 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 22:34:01.20Ic604NNNo (33/37)


ならば、

友奈と東郷は生粋の男嫌いで

それはもう猛り狂うほどに男という存在を生理的に受け付けられないのだろうか

――それはないわ

それならそもそも、共学であるこの中学校に通うことはできない

園子達が通っていた神樹館

その別系列の女子中学校に通っているはずだし

今までさんざん、ボランティアで男の子と接してきている

では――

夏凜「久遠天乃」

天乃「ん?」

夏凜「とりあえず、解散したほうがいいんじゃないの?」

一理ある

けれど、ひとつ問題がある


1、風。悪いけれど男の子への返事お願いできる?
2、じゃぁ、解散しましょうか。私は男の子に直接返事するから。みんな先に帰っていいわよ
3、じゃぁ、夏凜ちゃんに最初の任務。男の子に入部お断りをお願いできる?


↓2


173以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 22:36:43.69lnMoKm9FO (3/5)

1


174以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 22:40:10.982vwd6Rr60 (4/4)

1


175 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 22:56:10.08Ic604NNNo (34/37)


天乃「風。悪いけれど、男の子への返事お願いできる?」

風「ん。あぁ、うん。大丈夫。任せて。その代わり、友奈よろしく」

天乃「ええ」

風はなぜ自分に返事を委ねるのかを察して頷くと

任せられそうにない東郷を一瞥してから

困ったように、友奈のことを依頼する

残念ながら、今の東郷はダメだ

樹「お姉ちゃんが残るなら私も待ってる」

風「ありがと……じゃぁ、取る会えず今日は解散。いい?」

夏凜「異議なし」

東郷「はい」

二人が頷いたのを確認し、出口に背を向けてから

天乃はもう一度、風によろしく。と告げる

風「いいってことよ。そもそも、部長はアタシなんだから」

本当、部長を押し付けて良かった。と

天乃は意地悪ながら、思った


176 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 23:00:33.06Ic604NNNo (35/37)


気を失ったままの友奈を抱き上げて

車椅子の上の自分の上で、赤子のように抱きとめながら息をつく

夏凜「ふたり分とか……なんで私が」

友奈をだくことで手一杯なために

車椅子を押してくれる心優しい部員の苦言に苦笑すると

夏凜は貸しにはしないでおくわ。と、呟く

天乃には今日、色々と迷惑をかけられたというか

嫌なことをされたが

十二分に助けてはもらった

もしも天乃が抜けていたら、あの場での説得はおそらく、できなかった

そう思っての、判断

夏凜「しかし、なんだったのよあれ」

天乃「東郷?」

夏凜「そ。不気味としか言いようがなかった」


177 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 23:09:56.17Ic604NNNo (36/37)


夏凜「あの目、あんたも見たとは思うけど。ぐちゃぐちゃだった」

そう言って体が震えたのか

車椅子の微かな揺れが伝わって、けれど

天乃は振り向かずに、頷く

正確に見たわけではないが、言われてみれば確かにそうだったとは思う

異常性の方が強く

そちらばかりに気を取られていたけれど……

夏凜「何を考えてるのか良く解らないっていうか」

――あれはなんて言えばいいのか

階段の昇降機に天乃の車椅子を固定し、下ろしながら

夏凜は言葉を探す

天乃「――重ね塗りした絵の具。みたいな?」

夏凜「そう。そんな感じ」

天乃の助け舟に同意して

昇降機が順調に天乃を下ろしていくのを見て

階段を駆け下りる

人気のない学校は少々不気味ではあるが

彼女ほどではなかった

夏凜「あんた、どうせ瞳に送ってもらうんでしょ?」

天乃「うん」

夏凜「なら、最後まで付き合うわ。友奈はどうするの? 気を失ったまま家に返す?」

目を覚ましてくれれば助かるのだけど……

そこは疲れて寝てしまったと誤魔化すか




1、天乃のところで預かる
2、夏凜・瞳に預ける
3、結城家に帰す

↓2


178以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 23:12:03.25GmBkWHbl0 (1/1)

2


179以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 23:12:53.84lnMoKm9FO (4/5)

3


180 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/18(月) 23:22:31.97Ic604NNNo (37/37)


では、此処までとさせて頂きます
明日はできれば通常時間から




友奈「すぅすぅ……」

友奈(先輩の家、先輩の家、先輩の家……)

天乃「起きてるでしょ。動悸が伝わってきてる」

友奈「!」ビクッ


181以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/18(月) 23:28:11.33lnMoKm9FO (5/5)


いよいよ今作の物語が本格的に動き始めそうだな


182以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/19(火) 00:06:55.80lLfPJ+QZ0 (1/1)

男子生徒超不憫!

バーテックスさんがなかなか来ないのも怖いけど
これ早めに解決しないと春信さんが...


183以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/19(火) 00:13:31.07CGbjAExxo (1/1)

正直男子生徒とかどうでもいいしもっと言うなら春信さんもどうでもいい
前回出番多かったのですらごり押し感強くてちょっと微妙な感じだったのに


184以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/19(火) 01:55:58.36LjMgw17bo (1/1)

周回重ねるごとに魅了の力が強化されてる…?


185以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/19(火) 08:07:02.95vjAKMiv8O (1/1)

今回はwikiが仕事してる!?

>>182
ゆゆゆ自体5月中に襲撃なしだったからな
夏凜加入も本来6月で一月早い


186以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/19(火) 08:13:29.94DvJmeWBDO (1/1)

そもそも前作の春信さんは魅了の力の影響をあまり受けてなかった気がする
(そのおかげでわりと信用されてたというのもあるかも)

ただ今回は前作以上に危ない雰囲気がするし違和感の正体が分かるまでは男子との接触は避けたほうが無難かな
万が一襲われたりなんかしたら洒落にならないし


187以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/19(火) 15:40:33.20a2nVrDqfO (1/1)

呪い発現のときにそもそもそこまで関わってないし、呪い関係なしにロリの気が出てた様な気がするww


188以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/19(火) 20:49:04.98zefZqqrXO (1/1)

続々とwikiの更新があって嬉しい

細かいところかも知れないがさおりんのページを見たんだけどプロフィールが1周目と大分違うのはパラレル扱いだからか?


189 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/19(火) 21:35:51.24YLY94Gc7o (1/8)


では、初めて行きます

沙織に関しては身長等誤差がありますので、時間があるときに修正しますが
概要的には概ねあのとおりです。おそらく


190以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/19(火) 21:38:04.11eG+bnI7jO (1/3)

なるへそ


191 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/19(火) 21:49:23.70YLY94Gc7o (2/8)


靴を履き替えて合流するまでの間

どうするべきかと考える

自分の家で預かるのも吝かではないけれど

まず、自分で世話をしてあげられない点

次の、自分のせいでこうなっている可能性が高いことから、却下

では、次に夏凜の家はどうかと考えて

そこもやはり、煩わせるわけにはいかない

夏凜「おまた――」

天乃「夏凜。友奈は家に送りましょう」

致命傷を負っているわけではない

ならば、ただ寝ているのだと……偽ることにはなるが

そういうことにして送っておくのがいいかもしれない

そう考えた天乃の選択に、夏凜はならそれで。と

反論もせずに、頷く


192 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/19(火) 22:03:48.55YLY94Gc7o (3/8)


天乃「貴女、なんでそんな忠実というか、従順というか……素直に従うの?」

純粋な疑問だった

正直、自覚した上であれだけ意地悪しているというのは

いささかどうかと思わないこともないのだが

天乃は夏凜に好かれているとは微塵も思っていない

もっとも、天乃の場合は友奈に告白されるまで

それよりも前に男子生徒からの告白を聞くまで

自分という人間が何をどうしたところで好かれるとは思っていなかったのだけれど。

それはさておいて

嫌いな相手の選択に反論せず、

ただお願いねと言っただけで車椅子を押してくれている夏凜には違和感があった

夏凜「別に、反抗する意味がなさそうってだけの話」

天乃「意味があればするの?」

夏凜「それが意にそぐわないなら。少なくとも。今ここであんたのことを車椅子から蹴落としたり、置き去りにする理由はない」

それに。と夏凜は付け加えると

夏凜「結城友奈の処遇に関しては同意せざるを得ない。あんたが原因だろうし、こっちは迷惑。だから異議なし」

口早にそう言って、校門の近くに居る運転手へと目を向けた


193 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/19(火) 22:12:11.23YLY94Gc7o (4/8)


天乃「そう……」

夏凜は別に、何も考えていないわけではない

多少、反抗的な言葉遣いはあるにしても

だからといって、俗に言う脳筋とかいう存在ではない

魚の頭は偉大なのである

――のかは別にして

天乃「ありがとね」

天乃は穏やかな声でいう

夏凜「ん?」

唐突な礼に、夏凜は疑問符を浮かべる

つい数秒までの会話で感謝されるような言葉は身に覚えがなかったからだ

その言葉にしていない疑問に答えるように

天乃は友奈の頭を撫でる手を休めて、振り返る

天乃「部室で、貴女。空気読んでくれたじゃない」

夏凜「あぁ――いや、あれは別にそういうわけじゃない」


194 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/19(火) 22:25:14.88YLY94Gc7o (5/8)


夕日を受ける鮮やかな桃色の髪

子供っぽさのある顔立ちながら

一年違いとは思えないほどの経験を感じさせる大人びた雰囲気

それらが織り成す一時の感謝の笑み

大嫌いな夏凜でも尊く思いかねないそれを前に

夏凜は少し言葉を間延びさせてから、否定する

嘘はついてない

けれど、否定したかったのは天乃の言葉だけではなく

僅かに目をそらして、夏凜は続ける

夏凜「話すことは話したと思ったからよ。他意はない」

東郷美森の様子がおかしかったからとか

結城友奈が気を失ったからとか

そんな、弱者を気にする精神は持ち合わせていないと

そう【偽って】夏凜はいつも出てくる建前を口にする

――悪い、癖だ

夏凜「だから別に、感謝とかいらない」



1、それでも助かったのは事実だし。今も助かってるのは事実だから
2、そう……そっか。うん。じゃぁ、そういうことにしておくわ
3、天邪鬼と天邪鬼って。仲良く出来そうね
4、そっか。ごめんね


↓2


195以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/19(火) 22:26:46.25eG+bnI7jO (2/3)

1


196以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/19(火) 22:28:46.114CRNiPnN0 (1/1)

1


197 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/19(火) 22:53:54.07YLY94Gc7o (6/8)


頑張っても報われてこなかった天乃は、表情や声から本音を汲み取る技術を

好かれたいという思いゆえに自然と身につけた

本当の気持ちがわかれば、本当にして欲しいことが分かれば

好きになってくれるのかもしれないと。

三ノ輪銀が死ぬまで抱いていた、そんな子供らしい無自覚な思いで会得した力ゆえに

久遠天乃が、そんな夏凜の気持ちを察することができるのかどうか。といえば

答えは確実にイエスだ

けれども、だからと言って

その場では【そういうことにしておく】のが穏便な言葉だと分かっているからといって

天乃がその通りにするかと言えば、残念ながら効果率でノーとなる

天乃「それでも助かったのは事実だし。今も助かってるのは事実だから」

夏凜「っ」

彼女はそういう人間なのだ

空気が読めるはずで

人の気持ちや考えもある程度なら分かるはずなのに

時折、そうやって誤ちを犯す

夏凜「ば、バカじゃないのっ?」

もっとも、それがどのような意味で誤ちであるかは、語る意味もないかも知れないが。


198 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/19(火) 23:01:48.75YLY94Gc7o (7/8)


車椅子に座っていなければ

きっと、夏凜の表情を見ることができたはずだ

茶化すカードを手に入れたとにやりと笑う天乃に対し

夕日のせいだ。と、ありふれた返しが返って来ていたはずだ

けれども。

天乃はそうできない

友奈を抱いているのも相まって、天乃には夏凜の感情を茶化すことで有耶無耶にすることはできない

ましてや、今ここで三好夏凜に植え付けた久遠天乃という人間を

やっぱりうざいやつ。などというものにすり替えることなど出来はしない

天乃「馬鹿でいいわよ。素直であることがそうなのならね」

夏凜「………ったく」

何も言えなかった

言えばボロが出る

言えば感情がこぼれ落ちる

多分きっと

――大嫌い

心の中で、建前を思う

今、口腔の弾薬庫にはその建前とは反対の本音が詰められている

だから夏凜は何も言わなかった

否、言えるわけがなかった


199 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/19(火) 23:16:55.35YLY94Gc7o (8/8)


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば似たような時間から



穏便=関係平行


200以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/19(火) 23:22:51.93eG+bnI7jO (3/3)


早くも久遠さんの相棒っぽさが出てきた夏凛ちゃん
暴走しないように気を付けながら仲良くしたいな


201以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/20(水) 13:26:07.07et37u5Z40 (1/1)

あんなに険悪だと思った夏凜ちゃんがこんな早く仲良く?なるとは
さすあまといったところですかね


202以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/20(水) 15:08:48.31F84SjPuLO (1/1)

決闘の時に手加減してて良かったわ
もし叩き潰してたらどうなってたことやら…


203以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/20(水) 19:01:26.53Fma7nMWwO (1/1)

依存的な関係になった可能性


204 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/20(水) 22:37:42.83SyzRF5PFo (1/7)


では、短いですが少しだけ


205以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/20(水) 22:42:05.34HSUY68bMO (1/2)

よっしゃ


206 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/20(水) 22:59:34.73SyzRF5PFo (2/7)


「結城様……?」

夏凜「ちょっと面倒なことがあったのよ。でも、寝てるだけだから」

「そう……じゃ、なくて。そうですか。では、まず結城様のご自宅に向かいますね」

運転手の夢路瞳は夏凜とそれだけ話すと

天乃の腕の中にやや強引に収められた友奈を受け取って、助手席に寝かせる

後部座席でも構わないのだけれども

二人が話しやすくするための配慮

もっとも、それが喜ばれるかどうかは勘定に入っていないが

夏凜「久遠天乃。あんた、どうなるのよ」

「私がサポートします。とりあえず、後ろからですよ。夏凜ちゃ……三好様。お手伝いお願いしますね」

夏凜「言いにくいならいつも通りでいいわよ。別に」

呆れ顔でそういった夏凜は、

少し渋い顔をしながら、瞳の言うとおりに、車椅子を車の後ろに回す

「スロープ出すのでもうちょっと後ろで」

夏凜「はいはい……あんた。いっつもこんな面倒事やってんのね」

天乃「面倒な女でごめんね?」

夏凜「変な意味に聞こえるからやめ……なくていいや。その通りだった」

天乃「えっ!?」


207 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/20(水) 23:05:56.26SyzRF5PFo (3/7)


夏凜「驚かれると私が驚愕するっての」

そんな軽口を叩きながら、思う

今まで、そんな相手なんかいなかった

つくろうとも思わなかった……わけじゃない

自分をよそにわいわいと遊ぶ同い年の女の子や男の子を見て

バカみたい。と、揶揄しながら

本当は、自分も混ぜて欲しいとどこかで思っていた

でも、どうしても上手く行かなかったし

初手を失敗して、怖がられたり、変な目で見られたりで

会話にまで、たどり着くことも殆どなかった

それが、小学生

中学生に至っては、同級生なんて……

天乃「夏凜」

夏凜「ん?」

天乃「なんだかんだ面倒な女に付き合う貴女って。不幸になりそうね」

夏凜「車から降ろすわよ」

……あ。こいつ同級生じゃなかった


208 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/20(水) 23:10:56.44SyzRF5PFo (4/7)


何はともあれ

自分が今まで見ていた立場――とはやはり異なるのだろうが

誰かと軽口を叩き合うことができるというのは

思った以上に、面白みはなくて

期待していたほど、幸福感もない

けれど、少なくとも

目の先が壁だったり、天井だったりするよりは

寂しくないなと。夏凜は苦笑する

天乃「?」

夏凜「何でもないわよ。別に」

天乃「急に笑うから、笑い茸でも食べたのかと」

夏凜「んなもの食べてないし機会もない。あったら小うるさいあんたの口に突っ込んでるわよ」

天乃「あ、ごめんなさい。それは許して」

夏凜「?」

天乃「何でもないわ。別に。うん」


209 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/20(水) 23:21:16.88SyzRF5PFo (5/7)


夏凜「あ、そう」

きのこが嫌いなんじゃないかと思ったのだが

そこをつつくと、おそらく毒キノコの炎症だとかなんだとかが軽いと言いたくなるほど

酷い重症を負いそうな気がした夏凜は好奇心を押さえ込んで、素っ気無く返す

向こうがからかってくるからといって

自分が思うほど、仲がいいわけではないのだ

そう。少なくとも

結城友奈をひどく傷つけた自分と、

この年下に見える年上との関係は決して良くないのだと。夏凜はため息をつく


――良いわけがない


夏凜「……………」

夏凜が黙ると天乃も黙る

瞳は運転に集中しているふりをして、静聴を決め込んでいる

車内の空気は、ちょっとばかり重く感じた


210 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/20(水) 23:29:11.65SyzRF5PFo (6/7)


天乃「……………」

危うくきのこ嫌いがバレるところだった。と

目を逸した天乃は窓の外を見る

いつも見る景色

これが、当たり前に見ている景色

たった一人で見る――

夏凜「…………」

いや、今日は違う

隣にはしかめっ面の下級生がいる

天乃はその視線がチラチラと自分に向けられていることに気づき

けれども目が合わないようにと、目を瞑る

――言いたいことがあるなら。言えばいいのに

今日は少しばかりからかい過ぎたから

怒っているのなら謝るからと。天乃の口は、空気だけを吐く


1、何か言いたいことがあるの?
2、今日は、悪かったわね。からかいすぎたわ
3、貴女がからかいやすいからいけないのよ
4、またいつか。本気を出し合いましょ。勇者の力を使って
5、……先輩って呼んでもいいのよ? フルネーム。面倒じゃない?
6、何も言わない


↓2


211以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/20(水) 23:31:12.29vFoRcfhW0 (1/1)

1


212以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/20(水) 23:32:06.87HSUY68bMO (2/2)

2


213 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/20(水) 23:49:16.58SyzRF5PFo (7/7)


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間から



天乃「今日は、悪かったわね。からかいすぎたわ」

夏凜「あんた――」

天乃「まぁ多分。明日も同じことするかもしれないから前もってごめんねっ」

夏凜「……きのこ突っ込んでやるわ」

天乃「ちょ、それは。ほんと。嫌いなのっ! ごめんなさいっ」


214以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/21(木) 00:00:00.66Y+RXic8IO (1/1)


きのこを久遠さんに突っ込む(意味深)

そういえば、きのこが苦手って設定久々に出たな


215以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/21(木) 00:36:49.96DBFFVnj00 (1/1)

あえて味覚が無い今味分からないまま食べてみるとか
無理ですね、はい


216以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/21(木) 21:11:14.718IV+N82V0 (1/1)

2週目の魅了と違って、イチャつくと内乱が起こりそうだね


217 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/21(木) 22:17:17.80rqqK+8zHo (1/6)


では、初めて行きます


218以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/21(木) 22:18:18.75sQw+ISF8O (1/3)

どんとこい


219 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/21(木) 22:24:00.36rqqK+8zHo (2/6)


天乃「夏凜」

夏凜「ん?」

天乃「今日は、悪かったわね。からかいすぎたわ」

色々と柵もあったし

本当ならもっと真面目に対応すべきだったとは思う

けれど、天乃はそんな空気はあまり好きじゃない

いや、もちろん。真面目になれないわけではないが

なりたくない真面目な空気というものが、あった

もっとも

それがなければからかわなかったのかと聞かれると、少々困るけれど

天乃「貴女、凄く不機嫌な感じがしたわ」

夏凜「……感じててアレなの? あんた」

天乃「だから、悪かったって言ってるの」


220 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/21(木) 22:32:54.03rqqK+8zHo (3/6)


悪いと思っている態度じゃない。と、思いつつ

傍から見れば自分もこんなものなのだろうかと、夏凜は思う

沈黙を保つ運転手から言われた「結構似た者同士かと……」という言葉を思い浮かべ、

天乃を見つめる

容姿はもちろん似ていない

雰囲気も似ていない

言葉遣いとかもあまり似ていない

でも、今のは少し、似ていた気がする

天乃「……結構、空気悪かったじゃない。あの時」

そんな視線を感じ、けれども目を向けることなく

天乃はそう切り出した

天乃「ああいうの、あまり好きじゃないから」

夏凜「私と結城友奈と東郷美森のこと?」

天乃「それと、クラス全体」


221以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/21(木) 22:45:39.193ZV+Olfi0 (1/3)

はじまってるぅ


222 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/21(木) 22:58:55.56rqqK+8zHo (4/6)


夏凜「ああ……」

気配が読めるから空気も読める。なんて自負はないが

それでも、自分が関わった場の雰囲気としては

これまで通りの険悪さだったと、夏凜には自覚があった

昼時だというのに、誰も喋ろうとしない

食事の箸さえ止まって

誰もが見ているのに、見ていないふりをする空間

腫れ物に触れるような

蜂とかの危険な生物におびえているかのような、緊張感と不安と、恐怖

夏凜「あれ……私の特技だって言ったらどうする?」

天乃「特技?」

疑問符を浮かべ、

夕日よりも綺麗な瞳を向けてきた天乃の問いに

夏凜は軽く、頷く

夏凜「三好夏凜の場の支配っていうか……圧迫とか威圧。みたいな」

自分で言ってて恥ずかしく

そしてなにより、惨めで

思わず笑いながら、紡ぐ

夏凜「昔っから……得意なのよ。家でも。そうだったし」


223 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/21(木) 23:12:22.70rqqK+8zHo (5/6)


家では自分がなにかしたわけではなかった

いや、むしろ

何もしなかったから

何もできなかったから。ダメなのだろうか

夏凜「……だからまぁ。なんていうか。特技?」

感傷に浸りそうだった

弱音を吐いてしまいそうだった

だから、夏凜は誤魔化すように笑って、言う

夏凜「あんたがあれが嫌いだって言うなら」

言うなら……

――私とあんたは仲良くなれない

そう言いかけて、唇を噛み締める

天乃「?」

夏凜「同じ部活とか。やめたほうがいいんじゃないの?」

そんな女々しいことは、言いたくなかった



1、あら。そうかしら。私がいれば、教室みたいに中和できるじゃない
2、大丈夫よ。まだまだ時間はかかるかもしれないけれど。みんないい子だから
3、あら。結局それが目的? ダメよ。貴女はもう部員よ
4、あの空気は嫌いだけど。夏凜のことはそれなりに好きよ


↓2


224以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/21(木) 23:14:42.713ZV+Olfi0 (2/3)

4


225以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/21(木) 23:15:14.91sQw+ISF8O (2/3)

1


226 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/21(木) 23:23:55.03rqqK+8zHo (6/6)


では、短めですが此処までとさせて頂きます
あすもできれば似たような時間から



夏凜の交流が長すぎるというミス
参入日サービスということで


227以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/21(木) 23:32:30.903ZV+Olfi0 (3/3)

おっつ


228以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/21(木) 23:33:19.05sQw+ISF8O (3/3)


まあ今作は夏凛ちゃんとの絆の初期値がマイナスからだったしね
早く他の勇者部員やさおりん辺りに追い付きたいな


229 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/22(金) 22:08:57.14EKmteOnro (1/7)


では、初めて行きます


230以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/22(金) 22:10:12.95oKS2FlWDO (1/5)

はい


231 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/22(金) 22:16:46.22EKmteOnro (2/7)


天乃「………」

本当の言葉がなんだったのかまでは分からない

けれど

夏凜が一瞬息を呑み、言葉を呑み込んで

別の言葉と入れ替えたことに、天乃は気づいていた

嫌いだって言うのなら――

嫌いだって言うのなら、同じ部活とかやめた方が良いんじゃないの?

同じ意味だけど、言葉が違うだけか

それとも、完全に違うものだったのか

どっちなのかはわからないけれど……

天乃「そうかしら」

夏凜が自分との関係をどう考えているのかまだ不明瞭で

私が変えた後の空気をどう思っているのかも、教えてくれてはいないけれど

天乃「私がいれば、教室みたいに中和できるじゃない」

少なくとも。

同じ部活じゃダメな理由にはならないと、思った


232 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/22(金) 22:29:05.52EKmteOnro (3/7)


夏凜「中和って、あんたね……」

呆れ混じりに、夏凜は笑う

嫌なことだったとか、良かったことだったとか

そんな風にどちら側とも言えない中途半端な表情

少なくとも、悪くはなかった。みたいな表情

天乃「私一人でああしてたって。ボケしかないじゃない」

別にそんなつもりがあったわけではないが

あえてそう言ってみると、「私はツッコミじゃない」と、夏凜は言って

夏凜「自覚してんなら加減しなさいよ。ほんと」

もう一度、呆れて笑う

その瞳は、天乃を見ていない

窓の外を見ているようで

窓の外でもなく、何処か遠くを見ている

天乃「……嫌だった?」

なんとなく、目を向けずに聞いてみると

夏凜からの視線を感じ

夏凜「良いも悪いもないっての」

なんて、少しばかり楽しげな答えが天乃に返った


233 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/22(金) 22:35:58.93EKmteOnro (4/7)

√ 5月1日目 夜(自宅) ※月曜日

九尾、友奈、死神、沙織、風、樹、東郷との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、風
4、樹
5、友奈
6、東郷
7、沙織
8、夏凜
9、イベント判定
↓2

※3~8は電話


234以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/22(金) 22:37:55.21IlM7zVlx0 (1/2)

9


235以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/22(金) 22:38:23.13oKS2FlWDO (2/5)

1


236以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/22(金) 22:38:32.15DTRvKNt00 (1/2)

1
呪いについて聞かな


237 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/22(金) 22:57:56.18EKmteOnro (5/7)


天乃「九尾、ちょっと。いいかしら」

そう声をかけると

ベッドがガタガタと揺れて、下から黄金色の髪と紅い瞳が覗き

お呼びかえ? と、問う

天乃「そういう出かたしなくていいから……ベッドの下なんて掃除できてないんだし」

九尾「掃除できておらぬから。妾がこうして潜ってやってるのじゃぞ」

女性体の九尾は下から這い出ると

なぜか不釣合いな讃州中学の制服を着ていて

そのスカートのポケットから、キノコを取り出す

まだら模様の、見るからに毒有りきのこ

九尾「暗く湿気のある場所に自生するらしいからのう。主様の汗や尿が滴るベッド下は格好の生息場所じゃ」

天乃「汗はともかくもうひとつの方は……って、嘘。生えてるの!?」

九尾「生えぬようにと、妾が除去しておるのじゃ」


238 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/22(金) 23:14:00.78EKmteOnro (6/7)


くすくすと悪戯っぽく笑い、きのこを消滅させた九尾は

近くの椅子に腰をかけると

相変わらずじゃな。と、苦笑する

きのこが生えやすいのは事実だが

一応、掃除はしていなくもないのだ。生えているわけがない

天乃「なら、いいけど……」

ホッと胸をなでおろして

安心したように笑みを浮かべる天乃を見て、九尾は何か言いかけたが

言わずに呑み込んで、目を瞑ると

自分の中の空気を入れ替えて、天乃を見つめ直す

九尾「それで。妾に問いたいことがあるのじゃろう?」

天乃「ええ。そうよ」

九尾「可能なことであれば答えようぞ」




1、東郷達がおかしくなったこと
2、男子生徒を入部させる件
3、夏凜について
4、バーテックスの襲撃について
5、九尾について
6、久遠陽乃について
7、須佐之男について


↓2


239以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/22(金) 23:16:34.25tTwmHZeVO (1/2)




240以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/22(金) 23:16:42.10DTRvKNt00 (2/2)

1
呪いについて聞かな


241以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/22(金) 23:16:42.85oKS2FlWDO (3/5)

1


242以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/22(金) 23:17:05.56IlM7zVlx0 (2/2)

1


243以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/22(金) 23:19:05.07oKS2FlWDO (4/5)

そりゃ満場一致ですわ


244 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/22(金) 23:25:00.98EKmteOnro (7/7)


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば似たような時間。には




九尾「それはもちろん、主様には人を魅了する力があるからじゃな」

天乃「え?」

九尾「つまり、周りの人間から向けられる好意は全て紛い物じゃ。くかかっ」

天乃「な……え? 嘘……」

九尾「 ほ ん と 」


245以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/22(金) 23:30:58.90tTwmHZeVO (2/2)


九尾ェ…


246以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/22(金) 23:34:44.20oKS2FlWDO (5/5)


なんとか解決策が見つかると良いけど…


247以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/23(土) 09:42:14.426bft5/slo (1/1)

良いぞもっとやれ!(おい九尾ふざけんな久遠さん泣いちゃうだろ!)


248 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/23(土) 22:13:21.44EuL9q6Yxo (1/7)


では、少ししたら初めていきます


249以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/23(土) 22:17:13.79YUA8ZPqYO (1/1)

きたきた


250 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/23(土) 22:49:54.93EuL9q6Yxo (2/7)


天乃「貴女なら、多分わかるかなと思って」

九尾「うむ。聡明で、容姿端麗頭脳明晰な九尾ちゃんになんでも問うが良い」

冗談なのだろうが。

……冗談なのだろうが。

割と本気な自慢げな顔で九尾は言うと

えっへん。と、子供っぽく鼻を鳴らす

自分をちゃん付したのだから

冗談だとは、思うのだが

そんな九尾を見つめ、天乃は困った我が子を見るかのように微笑んで

それなんだけど。と、紡ぎ出す

天乃「東郷達の件よ」

九尾は表情を変えることなく天乃を見つめたままだったが

どこか居心地が悪そうに手を遊ばせて、息をつく

それは、何かを知っていて

しかも、天乃にとってあまり都合の良くないことだと

知っているが故の、仕草


251 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/23(土) 23:00:06.71EuL9q6Yxo (3/7)


天乃「知ってるのね?」

当然、食いついた天乃から目をそらすと

九尾は「うむ……」と、一人納得したような声を漏らす

けれど、それは納得したというよりも

どうすべきかと悩んでいるようだと、天乃は思って、言葉を止める

すると、九尾は「当然。頭脳明晰な妾は知っておるぞ」と言って

けれどもまた躊躇って頭を振る

九尾「自分のことならばともかく。小娘共のことじゃ。低きなど欠片もあるまい」

天乃「ええ」

九尾「ふむ」

即答を聞き、

わかっていたにも関わらずため息をつき

ならば仕方がないのう。と、残念そうにつぶやく

九尾「変に取り乱さぬと約束するかえ?」

天乃「なんか、嫌な前置きするわね……」

九尾「余計なことは聞いておらぬ。良いのか。と、聞いておる」

天乃「受け入れなきゃ教えてくれないんでしょう? だったら、受け入れる以外ないわ」


252 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/23(土) 23:10:33.94EuL9q6Yxo (4/7)


そうしなければいけないのなら、そうする

そんな答えは求めてはいなかったのだが

自分以外

特に、東郷美森こと鷲尾須美が被害……と言えるかは微妙なところだが

渦中に居るとなれば余計に首をつっ込もうとしてしまうのが目の前の

お人好しと描いて馬鹿と読む少女であることを知っている九尾は

やりづらそうに自分の髪を弄って、なれば。と、切り出す

九尾「娘共がおかしくなった原因は主様。もっと言えば、主様のちからの一端である魅了の能力に引き込まれたがゆえのものじゃ」

天乃「……魅了?」

相手の心を惹きつけて、夢中にさせる

そんな意味が付けられた能力が原因と言われては、嫌な予感しかしなかった

では。

今までの

そう。男の子や、友奈達の言葉は全て……そう言いかったのではなく

そう言わされていたのではないか。と

考えたくもないことを考えなければならなくなった


253 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/23(土) 23:19:36.97EuL9q6Yxo (5/7)


天乃「ねぇ。九尾」

九尾「?」

――考えたくはない

天乃「貴女は真面目な問いかけの時には真面目な対応をしてくれる人だと。思ってるわ」

けれど、九尾ははっきりと言ったのだ

その原因は天乃にあると

天乃の持つちからの一端である【魅了】の能力によるものだ。と

はっきりと、言ったのだ

天乃の言葉からか

それとも表情からか

言いたいことを先読みし、九尾は「少なくとも、ここで茶化す気はないぞ」と

普段の馬鹿にするような雰囲気なしに告げる

その瞳は赤く、どこまでも見通していた

九尾「じゃが、この魅了の力は好意がある人間でなければ基本的に効力が出ることはない」

故に少なくとも。

小娘共が好意を抱いていることには変わりあるまいよ。と

九尾は宥めるように、言う


254 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/23(土) 23:33:49.07EuL9q6Yxo (6/7)


九尾「東郷美森に顕著に効果が現れたのは、きゃつが鷲尾須美当人だからじゃな」

天乃「……というと?」

九尾「現状、小娘にはその当時の記憶はないが。脳が喪失しようとも、抱いたものは消えてはおらぬということじゃ」

それが憧れにせよ

嫉妬にせよ

恨み、憎しみ、怒り、後悔

そして……そういった想いであっても

それが強ければ、易々と消すことが出来るものではないのだと

九尾は雄弁に語って、天乃の髪を撫でる

ふわりと甘い匂いが広がるが

天乃の悲しげな表情は癒えない

天乃「でも、それでも。友達の好きを恋人の好きに変えてしまうことはあるんでしょう?」

九尾「ふむ……正確なことは言えぬが。二人でいると楽しい。というものから、二人でいられると幸せだ。のような形にはなるじゃろうな」

天乃「それ、そこまで意味は変わらないって言ってるように聞こえるけど」


255 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/23(土) 23:51:35.66EuL9q6Yxo (7/7)


九尾「そもそも、小娘共はその二つをひっくるめて、主様に好意を抱いておるからな」

友人としての好き

恋愛での好き

どちらも好きという言葉ではあるものの、そこにはやはり違いがある

といっても

人間がその思いを文字に書き起こし

これは友人としての好きで、あれは恋愛での好きだ。と

分け隔てたに過ぎないのだが

九尾「例えば、東郷美森が主様に好きだ。と言ったとしよう」

天乃「ええ」

九尾「主様はそれに対し、どう思う?」



1、素直に嬉しいと思う
2、友人としてよね。と、疑問に思う
3、もしかして恋人として? と、疑問に思う


↓2


256以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/23(土) 23:55:50.89aDfmhGwo0 (1/1)

1


257以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/23(土) 23:57:30.440pFNCTAQo (1/1)




258 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 00:07:41.62O7QM0Lzko (1/45)


天乃「そうね……今の状況で考えれば。恋人としてかなって疑問に思うと思う」

九尾「うむ。そうじゃろうな」

今の東郷の事を考えれば

男子生徒の件で執拗に迫ってきたりと

男の子が近づいてくることにひどく拒否反応を示しているのは事実で

それは

天乃が恋愛の対象としている性別である異性に対する嫉妬のようなものであると、

考えるのが妥当だ

同性の夏凜の入部は問題なく許可したことからも、それは伺える

九尾「では、普通の状態の東郷美森から同じことを告げられたらどう思う?」

天乃「それは、素直に嬉しいと……」

九尾「なぜ、恋愛方面であると疑わぬ」

天乃「そんなの。だって、普通の状態なら。女の子が女の子になんて……」

東郷に恋愛方面で好意的に思って貰えること自体は

間違っていることとは言え、

認めてもらえているようで嬉しいけれど。と、

天乃は気恥ずかしそうに笑う


259 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 00:32:50.28O7QM0Lzko (2/45)


けれど、やはり

天乃の考えとしては、それは間違ったことなのだ

もちろん、男性嫌いの女の子はいるだろうし

そういった特殊な子がそういう方面に言ってしまうような特例まで否定する気はないが

普通の状態で女の子に恋をする。というのは

天乃にはよくわからなかった

九尾「別におかしくはなかろう。男子のどこに惚れる?」

天乃「包容力だとか、格好良さとか、頭の良さとか。優しさだとか。色んな意味での温もり……とか。私は別に。容姿は省いちゃうけど」

自分の好きなタイプの男の子を言わされてるようで

恥ずかしそうに言う天乃の頬が髪に似た薄いピンク色に染まっていく

それを一瞥し「ケッ」とあからさまに馬鹿にした九尾は

睨まれるやいなや、口が滑った。と、悪びれる様子もなく続ける

九尾「そんなもの男子でなくともあるじゃろうて。つまり男にも女にも。恋愛感情を抱きかねない点は存在している」

九尾はそう、前置きをして

九尾「要は、友人か否かというのは、人間が性別という明確な基準を基に、不確かな線引きをしただけに過ぎぬ」

続きを語って、天乃を見つめる

九尾「女子の行いに格好いいと惚れても構わぬではないか。主様は、それが許せぬのか?」


260 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 00:47:58.25O7QM0Lzko (3/45)


許せるかどうか。ではない

その気持ちがよくわからないのだ

格好いいと思ったことは申し訳ないがない

だからなのかもしれないが

女の子が女の子に恋をするのが、分からない

男の子は女の子に対し、可愛いから、綺麗だから。優しいから。頭がいいから。料理上手だから

ほかにもあるけれど、そんな理由で恋愛感情を抱くという

女の子は男の子に対し、格好いいから。優しいから。力強いから。頼りになるから。頭がいいから。お金があるから

ほかにもあるけれど、そんな理由で恋愛感情を抱くという

では、女の子は女の子に対し、どんな理由で恋愛感情を抱くのか

可愛いから? 綺麗だから? 優しいから? 料理上手だから?

格好いいから? 頼りになるから?

天乃「……わからないのよ」

天乃が悩んだ末にそうこぼすと

九尾は「こればかりは感覚じゃからな」と、優しく言って天乃の頬に触れる

九尾「無理に理解する必要はあるまい。そんな恋もあると。そう思うておけば良い」

天乃「……うん」

穏やかな説得に、頷く以外の選択はなかった


261 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 00:51:41.02O7QM0Lzko (4/45)


では、此処までとさせて頂きます
あすはできればお昼頃から



東郷「女の子が女の子に恋をする理由。ですか?」

天乃「うん」

東郷「包まれたいからです。その人に。男性のような力強さではなく。優しい温もりで。包んで欲しいからです」


262以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 01:39:40.12b9/h3p2co (1/1)

つまりバブみか…


263以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 02:45:46.84jv3yMAGxO (1/1)


今作の九尾は久遠さんの保護者っぽく見えるな


264 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 13:58:16.34O7QM0Lzko (5/45)


では、少ししたら初めて行きます


265 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 14:16:38.91O7QM0Lzko (6/45)


九尾「話を戻すが、その力が効力を発揮しだしたのは、お主が小僧に好意を伝えられてからじゃ」

天乃「え?」

今まで、自分が好かれることはない。と

自己否定、自己暗示

そういった状態にあったがために、

その【魅了】の力は封じ込められていたのだが

男子生徒の告白によって

その封は緩み、いまはゆっくりと力が漏れ出している。という状況にある

それでも、力の効果は確実に出る為、東郷達がおかしくなっているのだ

天乃「なんとかできないの?」

九尾「ふむぅ……溢れ出る魅惑の力は妾も持ち得る美しさゆえのもの」

例えるならば、炎は熱さを生まれた時から持っているようなもので

炎自身がそれをどうにか出来るかを考えれば、

天乃の疑問の答えに行き着く

九尾「その熱さをどう扱うか。他に委ねるほかあるまいな」


266 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 14:26:25.78O7QM0Lzko (7/45)


天乃「委ねるって……」

東郷達がおかしくなっている現状

誰かに委ねるなんて悠長な選択はできない

いや、できないのではなく

できたとしてもしたくはない

けれども、もしも天乃が炎ならば

自らが持つその熱は、自分ではどうすることもできないのは事実で

九尾「結城友奈のように、しっかりと抵抗する者はいる。ようは、信じてやれ。というところかや」

天乃「そんな適当に」

九尾「主様の場合、神や神の力の影響を受けている人間に影響力があると見える。一般人はさほど気にせずともよかろう」

東郷は鷲尾時代も加算されるがために特例とするにせよ

結城友奈や犬吠埼風が先んじて影響を受けたことからも、

それはなんとなくではあるが、推測できる

九尾「小娘どもには、予め。主様のその力について話しておくと良い。さすれば、熱いと解っているものには相応の対応をするじゃろうて」


267 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 14:37:19.35O7QM0Lzko (8/45)


天乃「本当に、どうしようもないのね?」

橙色の疑惑

その視線を真っ向に受け止めた九尾は

少なくとも、現状ではそれ以上のことはできぬ。と

明確でありながら不確かな答えを返す

――致し方のないこと

九尾は自分へ向けられる気持ちが

多少は本物であっても

一部は偽物であるという真実に、悲しさを抱いている

それは、自分への好意を

身勝手な力で乱してしまっているという罪悪感故のもの

九尾「そう、沈むな。友奈のあの言葉に関しても。思えど言えずの言葉が口から出たに過ぎぬじゃろう」

天乃「そんなこと……わからないじゃない」

九尾「少なくとも、意気消沈しているよりは、マシだと思うがのう」


268 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 14:50:15.01O7QM0Lzko (9/45)


一片ほどは違うと言えるが

その力の大部分は自分のものであるがために

九尾は慰める為の言葉を持ちながらも

それを使おうとはせずに、目の前を見る

すでに帳の落ち切った世界は

よく見れば黒に混じって灰色の影が空に蠢いている

そんな不安定な気分になりかねないものを見つめ続ける天乃の体に手を伸ばして

天乃「っ」

九尾はそっと、抱きしめる

精霊ゆえに重さはなく、けれどもそこには人肌と呼べるものがあって

天乃「九尾……?」

驚いた声に耳を傾けることなく

されど、反応したように抱くその腕に力を込める


――神を引きつける力。それはすなわち、奴らに対する撒き餌である


九尾「妾が守ってやる。案ずるな……きっと。大丈夫じゃ」

天乃「どうしたのよ。そんな」

九尾「主がそんな顔をしておるからじゃ。従者である妾も少し。釣られたのやも知れぬ」

天乃の問い掛けに九尾はごまかすようにわらって、姿を消した


269 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 15:03:53.03O7QM0Lzko (10/45)


夏凜の絆コンマ一桁 ゾロ目は関係なし


↓1


270以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 15:04:36.790zK1+IZRO (1/1)

はい


271 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 15:15:24.72O7QM0Lzko (11/45)

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流有(男子生徒の件)
・   犬吠埼樹:交流有(男子生徒の件)
・   結城友奈:交流有(男子生徒の件)
・   東郷美森:交流有(男子生徒の件)
・ 伊集院沙織:交流無()
・   三好夏凜:交流有(参戦、話を、続投、夏凜の味方、助かった、からかいすぎた、中和)
・      九尾:交流有(東郷達の件)
・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



5月1日目終了時点

  乃木園子との絆 25(中々良い)
  犬吠埼風との絆 37(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 29(中々良い)
  結城友奈との絆 37(中々良い)
  東郷三森との絆 35(中々良い)
    三好様との絆 10(普通)
     沙織との絆 34(中々良い)
     九尾との絆 30(中々良い)
      死神との絆 29(中々良い)
      稲狐との絆 27(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


272 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 15:20:51.12O7QM0Lzko (12/45)

√ 5月2日目 朝(自宅) ※火曜日

九尾、友奈、死神、沙織、風、樹、東郷との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、風
4、樹
5、友奈
6、東郷
7、沙織
8、夏凜
9、イベント判定
0、勇者部部室
↓2

※3~8は電話
※9は朝一勇者部直行


273以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 15:23:55.36CLPEI+8KO (1/1)

9


274以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 15:25:16.429pv22ukcO (1/1)

8


275 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 15:43:14.91O7QM0Lzko (13/45)


朝早く。という時間でもないが

学生ならば起きてるかどうかという微妙な時間の電話にも関わらず、

夏凜は少し不機嫌そうに「なによ」と電話を受ける

おそらく、電話の主が天乃だとわかったからだ

天乃「こちら、三好夏凜ちゃんの電話ですか?」

夏凜『切るわよ? あんた』

子供っぽい声に呆れつつ

夏凜は言いながらも切らずにため息だけをつく

天乃がそういう人間だとわかっていれば

ふさわしい対応というのも、自ずとわかってくるのだ

もっとも、完全に制御するのは

多分、無理だろうが。

夏凜『それで、どうかしたわけ?』




1、能力について
2、登校。一緒にどうかなって
3、夏凜は私のこと好き?
4、夏凜は男の子と女の子。どっちと恋愛する?
5、ごめんね。特に用事は考えてなかった


↓2


276以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 15:45:01.17X1bgKbwnO (1/1)

1


277以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 15:45:21.67VayVRmeW0 (1/6)

2


278 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 15:55:32.23O7QM0Lzko (14/45)


天乃「貴女、瞳のところにいるんでしょう?」

昨日の下校時

友奈を家に送り届けたあと、

天乃を家に下ろして、二人はそのまま車に乗っていったが

その際に、今日の夕飯はどうだのこうだの言っていたし

それ以前に瞳が妹のようなもの。と、言っていたのだ

天乃「登校。一緒にどうかなって」

夏凜『一緒にって……私は自転車通学の予定だったんだけど』

夏凜の困惑気味な声は

それが嫌で嘘をつこうとしているわけではない。と示す

瞳が天乃の送迎があるために遠慮しようとしたのか

スポーツ少女ゆえのトレーニング精神でそれを選んだのかは分からないが

とにかく、本当にそのつもりだったらしい

夏凜『あんたと私ってそこまで仲がいいわけでもないと思うけど』

天乃「だからこそ。とか言ったら、夏凜は嫌?」


279 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 16:03:34.74O7QM0Lzko (15/45)


夏凜『嫌ってわけじゃないけど……』

これが電話で良かった。と

染まりつつある頬を指で掻き、

離れたところから嬉しそうに是非。ぜひ! と

ジェスチャーを示してくる瞳を一瞥する

運転手は乗り気だ

凄く。いや、とても。もっと言えば、際限なく。

あとは自分がどうするかという段階に来て、

夏凜は軽く息を飲む

夏凜『あんた、別に冗談で言ってるわけじゃないのよね?』

天乃「どうしてここで冗談を使うの?」

夏凜『いや、なぜか。とかどうして。じゃなくて。あんたの日頃の行いから私のあんたへの警戒心を考えなさいよ』

純粋無垢と言えなくもない疑問の声に

夏凜はちょっぴり笑う

困った人だと。楽しげに


280 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 16:10:27.30O7QM0Lzko (16/45)


夏凜『でも。まぁ、良いわ。一緒に登校してあげる』

天乃「なんで上から目線なのよ」

夏凜『頼んだのはあんたでしょ』

カリンの自信有り気な物言いに

天乃はそれはそうだけど。と不満を漏らす

頼んだのは頼んだけども

一応、天乃は上級生だからだ

――けど。良かった。変わらない夏凜だわ

険悪だった関係と比べれば

それは確かに進歩してはいる

けれども、東郷や友奈

風のように、異常な程好意的にはなっていない

その点に安堵して、天乃は笑う

天乃「夏凜のそういう、不器用なところ。好きよ」

夏凜『は、はぁっ!?』

天乃「茶化しやすくて」

夏凜『このっ……覚えてなさいよあんた。車で固定したあと、さんざんいたぶってやるんだから!』

一緒に登校するという点を破棄しないあたり

やっぱり優しいんだろうな。と、天乃は思った


281以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 16:12:41.32K6Jc/RdHO (1/7)

かわいい


282 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 16:22:31.92O7QM0Lzko (17/45)


「おはようございます。久遠様」

天乃「おはよう。ありがとね。いつも。でも、今度からは夏凜が全部やってくれると思うから」

夏凜「あんたと毎日登下校はさすがに骨が折れるわ」

嫌とは言わずにそういった夏凜は

天乃の車椅子を押し、

瞳の補助なく、車椅子を後ろに積み込んでいく

全部やってくれるというのは冗談だったが

この調子なら、本当にできる可能性ならあるらしい

天乃「昨日ので覚えたの?」

夏凜「まぁ、一応はね」

天乃「私のために?」

冗談っぽくそう言うと

夏凜は呆れたように息をついて、目を向ける

そして

天乃「ちょっ」

ぐっと顔を近づけて、吐息が触れ合うほどに密着して

夏凜「そう。あんたのため。あんたの力になりたいから。あんたと一緒にいたいから」

少し強く、手を握る


283 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 16:28:37.89O7QM0Lzko (18/45)


天乃「ちょ、ちょっと……かり」

急に迫られて、責められて

思わぬ展開にどきりとした心臓がそのまま早まっていく中で

天乃は自分の顔が赤くなっていっているのだと気づく

けれども、抵抗するための手は夏凜の手に囚われて

両足は全く動かせなくて

天乃「ゃ……ごめ……」

ごめんなさいと言いかけたところで

夏凜はポンッと、

気付けのためか少し力を込めた優しい拳で天乃の頭を突く

夏凜「変な反応すんじゃないわよ……馬鹿」

天乃「だ、だって」

夏凜「でも。分かったでしょ。あんたのそういう態度は誘いやすいって」


284 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 16:34:56.97O7QM0Lzko (19/45)


気恥ずかしそうに

気まずそうに

頬を掻いて目を逸した夏凜は

伝えたかったことを伝えると、息をつく

夏凜「………………」

やろうとしてやったこと

けれども恥ずかしかった

そして、なにより

驚きに戸惑いながら、羞恥を感じていた天乃の表情が

夏凜にとってはとても魅力的に見えてしまったのだ

そこに好意的なものを持ち出すと

まるで、自分がいじめるのが好きみたいだ。と

いつも控えている建前を用いて気持ちを飲み込む

夏凜「わかったら、気をつけること。返事は?」

天乃「う、うん……ごめんなさい」


285 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 16:49:52.80O7QM0Lzko (20/45)


天乃「っ」

思った以上に、ドキドキとした

そんなことをされると思っていなかったから

多分、その驚きのせいも……

ううん、きっと。それだけの話なんだろうけど

でも、あの子の目の色に似ていた

私が失った、親友と同じ瞳をしていた

天乃「……銀」

思わずつぶやいてしまった名前を追ってあたりを見ると

夏凜には聞こえなかったらしく

横目でチラチラと確認しながらも、外を見ていた

天乃「ごめんね、夏凜」

夏凜「別に」

天乃「私、変な顔してた?」

夏凜「そうでもないわよ。茶化しにくい顔だった」


286 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 16:58:47.62O7QM0Lzko (21/45)


そういう夏凜の頬は赤くて

自分は一体どんな顔をしていたのだろうかと気になった

けれど、夏凜は聞くと怒るかそっぽを向くかだろうし

知るすべはなく

天乃「かわ……こほん」

夏凜「?」

天乃「何でもない」

可愛い顔だった? なんて

自意識過剰すぎて聞けるはずがなく

よくよく考えてみれば

それはまさしく、夏凜がいうような誘い言葉だと思い至って

身振り手振りで有耶無耶に、笑ってみせる

夏凜「天乃」

天乃「うん?」

夏凜「……いや。がっこう見えてきた」

何かが言いたかったのかもしれない

けれど夏凜は、言わなかった



287 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 17:02:43.37O7QM0Lzko (22/45)


√ 5月2日目 昼(学校) ※火曜日

友奈、沙織、風、樹、東郷、夏凜との交流が可能です

1、風
2、樹
3、友奈
4、東郷
5、沙織
6、夏凜
7、イベント判定
8、勇者部部室

↓2


288以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 17:04:28.70VayVRmeW0 (2/6)

ksk


289以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 17:05:02.70K6Jc/RdHO (2/7)

5


290 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 17:14:45.75O7QM0Lzko (23/45)


沙織「聞いたよ。久遠さん」

天乃「何を?」

沙織「転入生。を手篭めにして身の回りのお世話させてるんでしょ?」

天乃「なにそれ……」

冗談……というか

ひとり歩きした噂であることはまず間違いないのだが……

しかし、そんな噂が流れているのだとしたら

夏凜の方に被害が大きく出ているのではないかと、端末を取り出す

沙織「大丈夫だと思うよ」

天乃「けど」

沙織「そうじゃないっていうのはみんなわかってるだろうし。まぁ、一緒に登校してきたことに関しては問い詰められちゃうだろうけど」

沙織は苦笑して、天乃の手にある端末に手を被せて「ね?」と、言った


291 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 17:31:33.91O7QM0Lzko (24/45)


沙織「けど、良かったよね。結城さん」

天乃「?」

沙織「向こうの人たちはすごく警戒してたよ。久遠天乃が何かやったんじゃないかって」

沙織はさもそれが笑い話かのように語っているが

そんな話ではない

向こうの人たち。というのは大赦で

彼らが警戒していたというのはあまり良くはないことなのだ

天乃にとっては、特に

天乃「東郷に関しては?」

沙織「うーん……三好さんの定時連絡で伝わってるけど。いまは普通だし、東郷さん自身の問題だって考えてるみたい」

天乃「……そう」

東郷には申し訳ないが

どちらかといえば、彼女自身の問題となっていてくれたことに感謝すべきだ

というのも、あそこまで強く取り乱した原因ともなれば、隔離が免れえないのである

しかし、友奈も東郷も

どちらも天乃が原因なのも事実で

いっそ、隔離という名の監禁も視野に入れるべきかも知れない




292 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 17:47:10.41O7QM0Lzko (25/45)


沙織「東郷さんも、久遠さんのこと好きだからねぇ」

天乃「そんなこと」

沙織「あるよ。久遠さんも東郷さんも同じだから」

そう、同じだから

天乃の方がいくつかきつい障害持ちになってしまってはいるが

東郷からしてみれば、同じく不自由な身の上でも

泣き言を言うわけでもなく

あの三好の乱―名前発覚により改名―のような姿を見せてくれるのだ

尊敬するだろう

目指すだろう

そしてなにより、強くとも嫌らしく自尊心が強くなく

みんなの味方で、みんなに優しく慕われている姿には

例え、天乃が女の子であっても、格好いいと思うだろう

沙織「久遠さんが思う以上に、みんな。久遠さんが好きなんだ。それはあたしが保証する」


293 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 18:07:28.45O7QM0Lzko (26/45)


そんなことはない。と

天乃のいつもの否定を許さないと言いたげな笑みを浮かべる沙織に

困ったようにため息をついて、

机の上の自分の弁当を見る

驚くことに、九尾が作ってくれている弁当は

見た目良し、栄養良しなのだが

残念ながら、一度も味を感じたことはない

当人は自信作だと言い張るが、見た目だけ自信作の可能性があるのが何とも言えない

もっとも、つまみ食いした沙織たちは美味しいというのだから

その語りに偽りなし。なのだろうけど

沙織「それで?」

天乃「?」

沙織「いつも、あたしを一人ぼっちにする久遠さんがあたしと一緒に食べるんだから。それなりの理由はあるんでしょ?」

天乃「そんな言い方しなくても……」

沙織「あはは。嫌がらせです」

はっきりというお姫様に、天乃は苦笑して……




1、貴女は女の子同士の恋愛について。どう思う?
2、襲撃、最近来ないのはなんで?
3、私の魅了の能力。貴女、知ってた?
4、沙織は、さ。好きな人いるの?
5、実は私。男の子と付き合うことにしたの。と、悪戯返し
6、別に深い理由はないわ。たまには沙織とが良かっただけ


↓2


294以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 18:11:08.66K6Jc/RdHO (3/7)

6


295以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 18:13:59.67t9/qLOnGo (1/1)




296 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 18:30:15.24O7QM0Lzko (27/45)


天乃「少し、あなたに聞きたいことがあって」

沙織「うんうん。なんでも聞いてくれていいよ。スリーサイズなら上から82、60――」

天乃「それはいいし、知ってる」

沙織「えっ、知ってるの? 嬉しいっ」

天乃「貴女が見せてきたんでしょ」

一人ではしゃぐ級友にため息一つ

それだけで、沙織は「ごめんね」と

乱した空気を整えて、頷く

この明るさからは想像できない元の暗さを思い、

そのギャップにまた笑って、天乃は頭を振る

天乃「えっと。貴女は女の子同士の恋愛について。どう思うのかな……と」

沙織「えっ?」

天乃「だから、女の子同士の恋愛。意見が聞きたいの」


297 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 18:37:55.12O7QM0Lzko (28/45)


沙織「え、えーっと。久遠さん、そっち側なの?」

驚きを隠せないといった表情の沙織に

そんなことはないんだけど。と前置きをした上で、続ける

天乃「九尾と色々話したの。その時に疑問に思って」

沙織はなーんだ。と

どこか残念さを感じる声で言い、頬を掻く

――すごい焦っちゃった

女の子が、女の子に対し

女の子同士での恋愛について聞いてくるのだ

もしかして。と

色々と考えてしまうのも無理はない

けれども

沙織は天乃に限ってそんなことはないだろうと、思っていた

沙織「それで興味を持ったんだね」

天乃「まぁ、うん」

沙織「白羽の矢が立ったあたしは、久遠さんにそっち側だって思われてたり?」

天乃「親しくない人に、触れる話題だとでも?」

沙織「親しくても……まぁ、そうだよね」


298 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 18:57:00.78O7QM0Lzko (29/45)


さて、どう説明すべきだろうか。と

沙織は、天乃から一端視線を外して俯き、考える

正直に、全然いいと思うよ。なんて答えは

きっと、求めている答えではないのだ

女の子同士の恋愛について理解ができていない

だから、それが聞きたい

沙織は天乃がそう考えているんだろうと考えて、息をつく

沙織「まぁ、正直な話。久遠さんみたいに男の子を好きになるのが普通って考えてるとおかしく思えるよね」

天乃「……ええ、そうなの。でも、九尾はおかしくないって」

沙織「うん。けどね。久遠さん。人を好きになるのは体じゃなくて。心だよ」

沙織のちょっと照れくさそうな顔が、天乃を見る

沙織「心には、性別なんてない。体が女の子だから。男の子だから。そう見てるだけで。性別なんて、ここにはない」

自分の胸元に手をあてがって

沙織は、誰かを想っているかのように優しい笑みを携えて、答える

沙織「だから、女の子同士の恋愛がおかしいだなんてことは。ないんだよ」


299 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 19:10:04.28O7QM0Lzko (30/45)


天乃「……心。ね」

それはわかっていたことだ

もちろん、胸が云々、顔が云々、筋肉が云々

恋をする理由の中に、体つきは含まれるが

そこに恋をしたのは体ではなく、心だ

天乃「そうね。一番、基本的なことを考えてなかったみたい」

心が恋をするのであれば

相手が男の子であろうと、女の子であろうと

してしまう時はしてしまうのだ

この人が好きだと、あの人が好きだと

だから、そう

確かにそれは、おかしいことではない

体に与えられた性別によって、

おかしいことだと思わされていたに、過ぎない

沙織「欲しい答え、あげられた?」

天乃の曇りかけていた表情が晴れてきたことに気づいて

沙織は嬉しそうに、笑う



1、ええ。ありがとう。貴女はやっぱり、頼れる親友だわ
2、うん。ところで。そんな貴女はどっちが好きなの?
3、うん、ありがとう。でも、すごいわね……まるで貴女が女の子に恋してるようだった
4、ええ、助かったわ。ありがとう


↓2


300以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 19:18:22.70K6Jc/RdHO (4/7)

1


301以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 19:24:24.81VayVRmeW0 (3/6)

2


302 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 19:25:57.39O7QM0Lzko (31/45)


では、少し中断します
20時半頃に再開予定となります


303以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 19:37:33.95K6Jc/RdHO (5/7)

一旦乙

さおりん意外とスタイル良さげなのか…いいこと聞いた


304 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 20:33:26.37O7QM0Lzko (32/45)


再開します


305 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 20:40:08.77O7QM0Lzko (33/45)


天乃「うん。ところで、沙織」

沙織「うんうん」

天乃「そんな貴女はどっちが好きなの?」

沙織「う――えっ」

驚かずには、いられない

女の子の友達に

女の子を好きな女の子について聞かれたあと、

女の子が好きなのか、男の子が好きなのか

そんなことを聞かれて驚かないなら、それはどっちも好きではない人間だ

自分自身の心にそう力説した沙織は

胸に手をあてがって、息をつく

ここで女の子と言ったら、縁を切られるかもしれない

そんな不安があって

ここで男の子と言ったら、もう二度と。そういった目ではないと考えられてしまうかもしれない

そんな怖さがあって

沙織「な、なんで、そんなこと……聞くの。かな」


306 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 20:46:00.25O7QM0Lzko (34/45)


出てきた答えは答えではなく、問

こんな場面で

どうして、そんなことを問えるのか

そう思いながら

けれども憎めず、恨めず

沙織は天乃を見つめ、思う

――いっそ。やってしまおうか。と

他に生徒がいるだとかどうかはこの際気にせず

盛大にやらかしてしまおうかと

天乃「なんでって。それは、気になったから」

沙織「!」

天乃は照れくさそうに、そう言った

気になったから

沙織の好きな性別が気になったから

前後の会話をつなげれば、そうなる言葉を言いながら

目の前の女の子は、目をそらす


――え、これは。えっと。勘違いしちゃっていいのかな


そうされては、そんな思惑も芽を出し始める


307 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 20:58:08.55O7QM0Lzko (35/45)


天乃「別に、無理に答えなくてもいいんだけど……」

そっち側ではないと言っておきながら

女の子同士の恋愛について聞いてきて

ならどっちが好きなの? なんて聞いてきて

そんな、好きな人の好きなタイプを聞くような仕草をされては……

――あぁ、もう。可愛い

ぎゅっと握り締めた自分の手に汗を感じ

今まで感じたこともない緊張感を感じていることに気づいて

沙織は大きく息を吐く

沙織「う、うーんと。まぁ。えっと」

天乃「ええ」

沙織「あ、あたしは……好き。だよ。ど、どっちも」

天乃「どっちもって」

沙織「どっちもはどっちも! も~っ! 久遠さんのばかぁッ!」

天乃「あっ」

沙織は顔を真っ赤にして叫ぶと

椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がって走り去っていく

午後の授業に、沙織が戻ってくることはなかった


308 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 21:09:35.51O7QM0Lzko (36/45)


√ 5月2日目 夕(学校) ※火曜日



天乃「完全に、私のせいよね……」

食べかけの弁当箱がしまわれたカバンが置かれた机

その席に居るべき級友はお昼に逃げてから、戻ってきていない

あのあと、なんとか後を追ったけれど

教室を出たときにはもう、その姿はなかった

天乃「沙織……」

級友……親友である沙織が

一体どちらに恋をしているのか

それがどうしても、知りたかった

沙織がもしも女の子に恋をする子なら

もしも万が一、魅了の力で間違いを犯したとしても

その衝撃は少しは和らぐ可能性がある

けれど、もしも女の子はダメなのなら。男の子にしかそういうことはできないのなら

それはとても、残酷でひどいことをさせてしまったことになるから

だから、知りたいと思った


309 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 21:20:09.08O7QM0Lzko (37/45)


女の子同士の恋愛について聞いたあと

親友にどっちが好きか。なんて聞くのは

正直な話、すごく恥ずかしかったし

勘違いされそうで不安でもあった

それゆえに、ちょっと。なんというか

余計勘違いされそうな態度を取ってしまったのだと、後から気づいた

天乃「……でも。どっちも。か」

それなら

もしも万が一何かが起きてしまってもいいのだろうか

そう考えて、想像して

一瞬で頭が熱くなった天乃は頭を振って思考を投げ捨て、熱を払う

天乃「さ、沙織と何するって言うのよ。もう」



1、勇者部部室へ
2、告白してきた男の子の様子を見に行く
3、沙織の捜索
4、風のところ
5、樹のところ
6、夏凜たちのところ


↓2



310以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 21:24:37.269kldSqxT0 (1/1)

1


311以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 21:25:19.07VayVRmeW0 (4/6)

ksk


312以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 21:25:50.62VS3Qckypo (1/1)




313以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 21:25:52.30K6Jc/RdHO (6/7)

1


314 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 21:49:45.49O7QM0Lzko (38/45)


まだ部室には行ってないであろう時間、

二年生のクラスに向かうと、

やっぱり、3人が教室にいた

「ねぇねぇ、三好さん。朝の――」

夏凜「だから、あの送迎車の運転手が知り合いなんだって言ってんでしょうが」

夏凜は近寄ってきた生徒にやや怒った様子でそう言うと

机に突っ伏す

もう疲れた。と、言いたげだ

友奈「お疲れ様。だね。夏凜ちゃん」

夏凜「冗談じゃないっての」

友奈「久遠先輩、人気だからね。夏凜ちゃんも転入生で注目されてたし。そーじょーこうかってやつだね」

夏凜「そんなこと知らないわよ」


315 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 22:08:36.68O7QM0Lzko (39/45)


東郷「その久遠先輩が、ドアの方から見てるわ」

天乃「あっ」

友奈「え?」

天乃を見つけた東郷の声に

友奈だけが顔を向ける

夏凜は疑わなかったのか

それとも、投げやりなのか

適当に手を挙げて、振る

手招きではなく、横に振られたそれはまさしく

さようなら。というもので

つまり、帰れ。と言いたいのだ

天乃「バイバイはないでしょ。バイバイは」

悪態をつきつつも夏凜の疲れ具合を見て、

それも仕方がないのか。と、息をつく


1、夏凜、部室行きましょ
2、みんな、部室行きましょ
3、夏凜。今日は帰りましょう
4、瞳さんを呼びましょう
5、先に、部室行くわね


↓2


316以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 22:10:46.06VayVRmeW0 (5/6)

2


317以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 22:11:06.51K6Jc/RdHO (7/7)

2


318以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 22:16:40.79/ktixCpZo (1/1)




319 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 22:20:54.01O7QM0Lzko (40/45)


天乃「みんな、部室行きましょ」

それでも、天乃はそう言って声をかけた

もちろん、夏凜単体ではなく

友奈達全員に。だ

そこで夏凜だけに声をかけて、

もうちょっと悪戯することも考えたが、

それはさすがにと、改めた

友奈「は、はい。夏凜ちゃんも……」

夏凜「私は後から行くから、先行って」

友奈「でも」

夏凜「いいから。ほんと、いまはちょっと休みたい」

机に伏せたままのカリンを、三人の目が見つめ

直ぐにそれらは向き合って、頷く

東郷「じゃぁ、夏凜ちゃん。ちゃんと部室来てね」

その言葉に、夏凜は手をあげただけだった


320 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 22:29:44.19O7QM0Lzko (41/45)


東郷と友奈から話を聞く限りでは

休み時間になるたびに、

一緒に登校してきた理由を際限なく、聞かれ続け

毎度毎度同じ言葉の繰り返しで、

だんだんと怒り気味になっても、

興味がある生徒は絶えることなく押し寄せてきたらしい

天乃「ご愁傷様ね」

風「久遠のせいなんだけどね」

天乃「私のせいって言われても。本当にただ。一緒に登校してきただけだし」

風のじとっとした目に

天乃はなんの迷いもなく、答える

それが真実なのだから

臆する理由はどこにもなかった


321 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 22:38:09.35O7QM0Lzko (42/45)


それにしても。と、天乃は小さく呟く

友奈は人気だから。と、言った

沙織もみんな好きだからと言った

そんなに自分が人気キャラクターなんだろうか。と

近くの窓に映る自分や

友奈たちを見つめて、首を振る

同じ髪色ではないが

近い髪色の友奈の方が可愛い。と、素直に思った

もちろん、体つきで言えば自分なのかもしれないが。と、付け加えて

あぁ、そういうことなのかと。東郷を見る

――否定された

そこでガラリとドアが開いて

夏凜「はぁ……来てやったわよ」

疲れた顔で

それでもちゃんと来た部員の鑑を友奈が支えながら、近くの椅子に座らせる


322 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 22:45:07.34O7QM0Lzko (43/45)


天乃「夏凜、平気?」

夏凜「別に、乱闘したわけでもないし。精神的に疲れたってだけよ」

天乃「あの剣道では精神が鍛えられなかったのね……もう一回やる?」

夏凜「ごめん、冗談に付き合う余裕はない」

天乃の冗談の切り出しをあっさりと切り捨てた夏凜は、

天乃を見るでもなく、机に伏せる

これは本当に、相当疲れたに違いない

と、天乃達も顔を見合わせて、首を振る

同じことの繰り返しというのは些か骨が折れることだ

慣れてしまえばただの作業。というのがあるが

むしろ、作業になるからこそ、つまらなくて退屈で、面倒くさく感じてしまう

それが休むべき休み時間に訪れるというのならば、尚更

東郷「ここんら休めるからと思ったけれど……返したほうがよかったかもしれないわね」

天乃「とはいえ、瞳は私を置いていくことは出来ないから……」

風「結局、二人で下校になるわけ……か」


323 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 22:55:35.91O7QM0Lzko (44/45)


ふむ。と、考え込む5人に顔を上げ、

夏凜はあれだけ言ったんだから平気でしょ。多分。と

自分から言い出しながら自信なさげにいう

聞いただけでも、面倒くさそうだったのだから

それが簡単に収束するとは思えないのも、仕方が無かった

夏凜「天乃」

天乃「うん?」

夏凜「とりあえず、今日は一緒に帰って」

天乃「う、うん……仕方がないわよね」

本来は自転車中学の予定だったのに

それを一緒に登校したいというお願いで崩し

挙句の果てにこうなっては……



1、夏凜。もう帰りましょうか
2、依頼チェック
3、魅了の力について話す
4、私って、そんなに人気があるの?


↓2


324以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 22:59:16.01WmN352M8O (1/2)

3


325以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 22:59:35.11VayVRmeW0 (6/6)

3


326 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/24(日) 23:02:23.01O7QM0Lzko (45/45)


では、ここまでとさせていただきます
来週、再来週に関しては休みが多めになるかと思いますが
できれば通常時間からとなります



誤字と脱字が多い。失礼しました




327以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/24(日) 23:11:50.41WmN352M8O (2/2)


にぼっしーとさおりん、どっちもいい相方だなあ
さおりんが何処へ行ったのかも気になるけど


328以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/25(月) 08:08:44.77uKSURWTYO (1/1)


さおりんはそろそろ発情しそう


329以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/25(月) 08:59:25.54C03rrQ/2O (1/1)

さおりんは相変わらず恋愛面では良いこと言うな

>>327
行方不明のまま戦闘開始
戦闘後、死んだことを知る…かも


330以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/25(月) 13:28:30.82G4PHhNAG0 (1/2)

不吉なことを言うなよ...コンマ神久々に本気出しちゃうじゃん


331 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/25(月) 22:25:10.63tlNy0NGfo (1/9)


では、少しだけ初めて行きます


332以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/25(月) 22:31:06.542LrITUZKO (1/1)

あいよ


333 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/25(月) 22:34:52.08tlNy0NGfo (2/9)


瞳に通常通り迎えに来てもらうこと

今日はとりあえず夏凜も一緒に帰ることをメールし

精神的に疲れた夏凜

困った顔の他3人と

あっ、力の逆位置だ。と

なにやらまずそうな顔をしてカードをしまう樹

全員を見渡して、息をつく

天乃「ねぇ、みんな。ちょっといい?」

友奈「?」

東郷「なんでしょうか」

鶴の一声。というのは大げさかもしれないけれど

その一言で友奈達の目が向けられ、

夏凜も、頭だけは向きを変えてくれた

風「その声のトーンから察するに。真面目な話でしょ」

天乃「そんなことでわかるの?」

風「まぁ……付き合いはこの中で一番長いから」

とは言うけれど、本当は東郷の方が付き合いは長い

記憶があれば。の、話だけども


334 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/25(月) 22:47:27.98tlNy0NGfo (3/9)


東郷「実際は、雰囲気が違うんです。なんと言うか。張り詰めるんです」

東郷は少し考えてそう言うと

今も少しだけ空気がぴしっとしているんです。と、敬礼する

冗談じみたことを出来るのなら

それはつまり張り詰めていないんじゃないか。と、思ったけれど

それは自分ゆえなのかと、苦笑する

何はともあれ

風の言うとおり、真面目な話なことは変わりないのだから

そう、気持ちを切り替え。見渡す

天乃「私には魅了の力があるの」

風「あー……いや。それは周知の事実だと思うけど」

天乃「え?」

友奈「先輩、さりげなくしてるんですよ。相談した人のほとんどはその力に当てられてるかと」

思った以上に驚きはなく

それどころか、被害者であるはずの友奈も

まるでそれが笑い話であるかのように、笑みを浮かべていた


335 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/25(月) 22:56:12.06tlNy0NGfo (4/9)


天乃「え、いや。ちょっとまって。知ってたの?」

一人神妙な面持ちをしていたことがまるで馬鹿みたいだ

そう言いたくなるような場の空気の変動に、思わず恥ずかしくなって目をそらすと

ちょうど、夏凜と目があった

夏凜は視線の交わりに気づきつつも

しばらく何も言わず、おもむろに息をついて顔を上げると

なんか噛み合ってない気がするけど。と、つぶやく

夏凜「今朝の件から学んだって話ならそれでも良いけど。違うんじゃないの?」

東郷「今朝?」

友奈「話?」

興味津々な様子で言葉を割り込ませ、

夏凜へと目を向けた二人に対して何でもないから。と先制防御に打って出た夏凜の目が向く

そのとおり、今朝の件じゃない

あれはあれで。いろいろ思わされることは。あったんだけど……


336 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/25(月) 23:11:57.69tlNy0NGfo (5/9)


天乃「えっと。普段の私の態度というか。言動は関係ないの」

樹「匂いですか?」

天乃「う、うーん……それもちょっと違うかしら」

おそらく、フェロモンと言いたかったのだろうけれど

いや、それなら間違いではないのかもしれないが

なんとなく認めたくはなくて苦笑で流す

天乃「なんて言えばいいのか。ちょっと難しいんだけど。変に私が魅力的に見えちゃったりするの」

風「聞く限りじゃ、いつもの天乃の言動から受ける印象と変わらない気がするんだけど」

東郷「そう。ですね……魅力的なのはいつも感じることですから」

樹「えっと……あの。フィルターを通して見てる。みたいな感じじゃないでしょうか」

恐る恐る

そんな様子で手を挙げた樹は、みんなの目が向けられて

少し気恥ずかしそうに頬を染めて言う

友奈「フィルターってなに?」

樹「その、漫画とかである。い、イケメンフィルターとか。そういう」

風「樹が読んでる少女漫画とかでごくたまーにあるやつか……」


337 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/25(月) 23:18:31.64tlNy0NGfo (6/9)


ふむ。と、それについてなんとなくわかったかのような声を漏らして

風は、天乃を見つめる

それを天乃が見返し、見つめ合う状況になると

風は軽く咳払いをして目をそらす

風「ま、まぁ。うん。なるほど」

赤みがかった顔を覗くと

見るなみるなと風は拒否する

開けた窓から入り込んでくる風は

まるで、今の風の心境を表すかのように、暖かい

友奈「うーん」

そんな中、まじまじと天乃を見つめていた友奈は

困ったように首をかしげて

友奈「久遠先輩はいっつも格好良くて可愛いと思うけどなぁ」

と、漏らす

きっと紛れもない本心なのだろうが……

だからこそそれは、天乃にとって恥ずかしいことにほかならなかった


338 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/25(月) 23:25:24.92tlNy0NGfo (7/9)


東郷「そうね。友奈ちゃんの言うとおり」

なのに、、東郷はあっさりと同意して

風や樹もそれに違いはないと言わんばかりに笑みを浮かべて、頷く

けれど、そうなのだ

天乃は基本的にいたずら好きで子供っぽい印象を受けるのだが

それがまた、愛らしくてたまらないという意見はあるし

それはとても明るくて、楽しそうで

周りを笑顔にできるという意見もあるし

一方で

相談を受けたときなどの大人っぽさ

厳しくも優しい。しっかりとした一面が高評価で

その両端を併せ持つ天乃はやっぱり、魅力的だと言わざるを得ない

そこに小さいながらも大きく

他称、身長が足りてれば安産型と言われるスタイルが足されているのだから

それはやはり。繰り返すが。魅力があると、言わざるを得なかった


339 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/25(月) 23:33:31.61tlNy0NGfo (8/9)


天乃「あ、あのね。だからっ」

夏凜「褒められるとそうやって赤くなってんの? あんた」

天乃「え、ぁ……これは」

夏凜に口を挟まれて気づく、顔の熱

そこに手を触れると、当たり前だけれど熱くて

鏡を見るまでもなく、赤くなっているのが丸わかりで

目を合わせた先、

夏凜がにやりと笑うのが見えた

それはきっと

今日一日、精神的に疲れさせられた三好夏凜からの

最大級の八つ当たり。あるいは、仕返し

夏凜「今のあんた……すごく可愛いじゃない」

天乃「ぅ」

満面の笑みはやはり、

悪魔じみたいたずら心が垣間見える

けれども、その言葉は

男子生徒に告白され、今朝、あんなことをされ

少しずつ自分というものの評価を上げていっていた天乃にとっては、とても。効果のある言葉だった




1、うるさい馬鹿凜っ
2、みんなして……馬鹿にするんだからっ
3、そんなに褒めたって。何も出ないんだから
4、真面目な話なんだから。真面目な話なんだからねっ
5、そういう気持ちが増幅されて、私のことを……す。好きになっちゃったりするの!
6、顔を伏せて隠す

↓2


340以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/25(月) 23:44:52.469pqqWihU0 (1/1)

4
九尾のこと話してないからか、説明に真剣味がない


341以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/25(月) 23:47:30.56G4PHhNAG0 (2/2)

4


342 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/25(月) 23:54:08.91tlNy0NGfo (9/9)


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間から



ここから一気に空気を壊して鬱屈とした雰囲気に
そして、戦闘へ……かはわかりませんが
バーテックスもそろそろ戦いたいようですので準備します


343以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/26(火) 03:02:31.06Bd6a6u6X0 (1/3)


普通女子がこんな発言したらかなりイタイのに流石は久遠さん


344以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/26(火) 06:09:50.82uKK+E2hMO (1/1)


今作ばてくすとの闘いは一回しかしてないからね

…三周目にして勇者部の満開来るのだろうか


345以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/26(火) 07:52:40.593IXXNK0CO (1/1)

おつ
夏凛ちゃんにややデレ気味な久遠さん
原作終盤の悲惨な状態の夏凛ちゃんを見たら発狂しそう


346以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/26(火) 10:07:35.37bWxTHi/Oo (1/1)

その前に久遠さんが悲惨な事になってるな
今のところ日常らしさが損なわれていないから嬉しい
ぜひこのままでいて欲しい


347 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/26(火) 21:39:13.99LM2PnCFNo (1/8)


では、初めて行きます


348以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/26(火) 21:40:22.31Bd6a6u6X0 (2/3)

よしきた


349 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/26(火) 21:50:44.27LM2PnCFNo (2/8)


天乃「いい加減してっ」

ふざけているようにも取れるみんなの発言

その雰囲気に

天乃は声を張り上げると

天乃「真面目な話なんだから。真面目な話なんだからねっ」

付け加えて、怒鳴る

それでも緊張感の足りなさそうな空気に

天乃は「九尾が真面目に言ってた話なんだから」と

さらに続けて言う

それには、さすがの風達も押し黙って、顔を見合わせる

風「その九尾の真面目さがどんなものか、あたしたちは知らないけど。本気でやばいやつなの?」

天乃「うどん好きの風がおそばを食べ始めるくらいの危険度」

樹「それは……大変では言葉が足りない気がします」

東郷「大問題」

友奈「天変地異」

風「あんたら、あたしをなんだと……」

夏凜「うどん大名」

風「乗るなっ!」


350 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/26(火) 22:14:20.44LM2PnCFNo (3/8)


みんなで軽く笑いながらも

それは直ぐに集結して沈黙し、風がそれなら。と、口を開く

風「例えはともかく、ふざけてられないことだけど」

夏凜「正直、私はあんたを知らないから何とも言えないけど。まぁ、他を見れば察しはつく」

夏凜はそう言いながら、友奈と東郷

そして、樹へと目を向ける

東郷も友奈も風がそう言った状況になる危うさを知っているが

それ以上に知っているのは樹だ

その樹が、とても不安そうにし、恐れているのだから

それがどれほどのものなのかは語るまでもなかったのだ

東郷「それで。その魅了の力の本当の……具体的な効果はどういったものなんですか?」

天乃「貴女、昨日の夕方の男の子の件は覚えてる? 友奈も。覚えてない?」

友奈「私は……なんだかすごく。感じたこともないような嫌な気持ちがぶわーってなったのは覚えてます」

友奈が少し不安そうに答える中

東郷はひとり黙り込んで、眉を潜める

そしてその怪訝そうな顔のまま

東郷「言われてみれば……曖昧です。ただ、友奈ちゃんと違って。とても清々しい気分になったような気がします」

そう言った


351 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/26(火) 22:24:13.98LM2PnCFNo (4/8)


あれがすがすがしい気分だったのか。と

驚く風と樹をよそに

真面目モードなのか、机に突っ伏すのをやめた夏凜が

天乃へと向き直って、息をつく

それは、自分の言葉を簡潔にまとめるための一息

そして、

夏凜「つまり、結城友奈も東郷美森も。あの異変はあんたのその力のせいってわけ?」

生真面目な整った声に、天乃は静かに頷く

その通りだ

二人に起こった気絶や、普段ありえないような言動は全て

天乃の魅了の力による影響

それを天乃当人が認めたことで

その【魅了】の恐ろしさがより、肥大化していく


352 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/26(火) 22:39:01.67LM2PnCFNo (5/8)


樹「だ、だとしたら。魅了の力というより、錯乱とか。そういう類のじゃ……」

風「いや、あの時の二人から考えれば、久遠と男の子ってところに強く反応したっていうのが妥当だし」

夏凜「そう考えると、おもちゃの取り合いならぬ。天乃の取り合いが勝手に勃発したって考えるのが妥当ね」

風「うん。そう考えると久遠の魅力に当てられたというか。魅了された結果、邪魔者が来て欲しくなくて……って考えられる」

風と夏凜は互いに言葉をつなぎあうと

納得したように、頷く

実際、その推測は間違っていない

友奈や東郷にとって

新しく入部させようとしていた男の子は

――濁さず正確に言うと

新しく入部させそうになっていた【天乃に好意のある】男子生徒は

魅了された二人にとって、邪魔者でしかなかった

ゆえに、絶対に入部して欲しくなかったし、近づいて欲しくもなかった

だから、あんな酷いことになったのだ

もっとも、【天乃とお近づきになりたいから入部したい】という下心がある時点で

東郷はもちろん、友奈も歓迎しかねていたせいでもある








353以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/26(火) 22:45:02.58xsBOXu9bO (1/3)

仕方ないかもしれんが男子生徒がますます不憫だ…


354 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/26(火) 23:03:44.45LM2PnCFNo (6/8)


夏凜「けど、二人は天乃をどう見てんのよ」

友奈「え?」

東郷「どう見てるのか。と、言われても困るわね……」

突然の問いかけに驚く友奈と

考え込むようにつぶやく東郷と、反応はまちまちで

友奈は「尊敬できる先輩かな」と答えて

東郷は「幸せを感じられる人」と、少し照れくさそうにはにかむ

本当なら、好きか嫌いかを聞きたかったのだが

言葉を選び間違えたか。と、夏凜は深々と息をつき髪をわしわしと乱す

どうやら、疲れすぎたらしい

いや、そもそも。なぜ天乃のためにここまで頭を使う必要があるのか

そう思い至って思考を放棄しようと目を背けると、ちょうど天乃がいた

天乃「?」

夏凜「……あ、いや。偶然あんたがそこにいただけで。目を合わせるつもりはなかったから」

天乃「う、うん?」

風「今の、別に言い訳いらなくない?」

夏凜「この話の流れで天乃を見るとか。魅了されてるみたいでなんか嫌だし」


355 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/26(火) 23:16:26.31LM2PnCFNo (7/8)


そう言って夏凜は目をそらす

それが本音なのか建前なのか

微妙なところではあるが、いずれにしろ天乃にとっては少しばかりショックで

けれど、夏凜が言うこともわからなくはないと、苦笑する

魅了されてるならもうちょっとおかしいはずだし

そもそも

魅了されるのは好意がある人限定だ

――だから、夏凜は多分。影響なんて受けない

天乃はそう思ったが、

けれども、なんの影響もないとは限らない

ほんの少しでも好意と取れるものがあるなら

それを引っ張り出して増幅してしまう可能性だって。あるのだから



1、現状。この力には対抗策はないの。だから、みんなは極力私がどう見えても力のせいだ。と、否定して欲しいの
2、言いたくなければ言わなくてもいいんだけど。みんなは私のこと……その。好き?
3、ねぇ。念のためなんだけど。女の子同士の恋愛について、賛成か反対か答えてもらえないかしら
4、基本的には神の力に触れた人たち対象らしいけど。一般人にも影響あるかもしれないから。怪しい人がいたら。教えて


↓2


356以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/26(火) 23:19:08.58BEUKKufc0 (1/1)

4


357以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/26(火) 23:19:27.15xsBOXu9bO (2/3)

1


358 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/26(火) 23:32:32.60LM2PnCFNo (8/8)


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば似たような時間から


359以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/26(火) 23:42:02.12xsBOXu9bO (3/3)


相変わらず魅了の力は厄介だなあ
下手したら人間関係を壊しかねないだけに早く何とかしたいものだが…


360以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/26(火) 23:50:05.19Bd6a6u6X0 (3/3)

久遠兄来たら即影響受けてるって隔離?じゃないけど対処されそう


361以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/27(水) 18:30:48.74KR2Z/P+Po (1/1)

兄貴がそろそろくるんじゃないか?
来たら記憶がない久遠さんは泣きそう…可愛い


362 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/27(水) 21:32:26.64FUNXCntuo (1/10)


では、再開していきます


363以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/27(水) 21:34:25.006N+jcZAjO (1/3)

かもん


364 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/27(水) 21:42:08.98FUNXCntuo (2/10)


天乃「魅了のちからについては、言ったとおりなんだけど。これに関して問題があるの」

天乃がそう切り出すと

ただでさえ緊張感を感じていた全員の顔が

張り詰めていた糸をが弾かれたように天乃へと向く

その力だけでも大問題なのに

それに関してまだ問題があるのか。と

それらを感じ取ってから、天乃は軽く頷くと

天乃「現状この力には対抗策はないのよ」

そう言って全員が驚いて声を上げるよりも早く

天乃「だから、みんなは極力私がどう見えても力のせいだ。と、否定して欲しいの」

立て続けに言葉を投げ込んで、息をつく

要求はそれだ

自分が――自分で言うのは恥ずかしいのだが

もしも自分が魅力的に見えたとしても、それは勘違いだ。とか力のせいだとか

とにかく、考え直してほしい

それが、天乃からの要求だった


365以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/27(水) 21:42:59.57QiUWFA8D0 (1/1)

おっしゃ


366 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/27(水) 21:55:23.69FUNXCntuo (3/10)


東郷「否定。ですか」

一番最初に口を開いたのは東郷だった

その要求に対する可否を悟らせないような声でそう言った東郷は

マウスを握っていた手に今度は自分の手を握らせると

それは賛成できかねますね。と、いつもの声で断った

天乃「な――」

東郷「もちろん、先輩が言う通り危険なことかもしれませんが。私は今ある自分の気持ちを否定したくはありません」

風「けどさ東郷。久遠は」

東郷「私は一度記憶を失っているんです。だからこそ、今あるものは失いたくないんです」

口を挟みかけた風に対して

東郷は聴き終えることなく反論して、「すみません」と、頭を下げる

東郷「これは私の我侭です……だから。この我儘を突き通す限り。その力には二度と負けないと誓います」

夏凜「そんなことできるわけ? 昨日、あんな醜態晒しておいて」

東郷「……それは。でも、カラクリが解ったのであれば気持ちを落ち着けることくらいは出来るわ」


367 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/27(水) 22:01:49.21FUNXCntuo (4/10)


夏凜の鋭い言葉に一瞬、眉を潜めた東郷だったが、

対する言葉をしっかりと考えて、口にする

友奈「私は、ちょっと怖いです……でも。それを否定すると久遠さんの行動を否定しちゃうような気がするんです」

その一方で友奈は困ったように笑いながら

何もしていない手で自分の手を固く握り締めて言う

――不安だし、怖いけど。でも、それはもっと嫌だ

先代の勇者として頑張ってきた人だ

あんな大事なことを

あんな辛い真実を

あんなに苦しい現実を

みんなのためにと自分の中に閉じ込めておいてくれた人

きっと、言うことができるまでの日常は

全て、偽物のようにしか思えなかったんだと思うから

だから。だからこそ

友奈「私は、久遠先輩の今までもこれからも嘘だと思いたくない。ずっと。本物だって思いたい。だから、私も否定しません」


368 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/27(水) 22:10:50.32FUNXCntuo (5/10)


天乃「貴女達ね……」

それは素直に嬉しい言葉だった

けれども、同時に嫌な言葉でもある

それはつまり、天乃から受ける魅了の力に対し真っ向から挑むということにほかならないからだ

純粋無垢で染まりやすい友奈はともかく。というといささか可愛そうではあるが

少なくとも抵抗力のありそうな東郷があんなにも乱され、友奈に至っては気絶するほど強力な力を

天乃を否定するという根本からの拒絶をせずに受けるというのは自殺行為以外の何ものでもない

友奈も東郷もそれは分かっているはずだ

にも関わらず、二人は……

夏凜「あんた達のその……なんていうか。そういう友情的なやつを恋愛?って言えば良いのか分かんないけど」

樹「?」

夏凜「とにかくそういうのを、男子相手の嫉妬に切り替えるほど悪質なやつなんでしょ?」

天乃「え、ええ。そう……だと思う」

夏凜「ってことは、そういう気持ちが強ければ強いほど厄介だから否定しろって言ってるんだと思うんだけど。それでも?」


369 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/27(水) 22:25:12.23FUNXCntuo (6/10)


疲れているからか、

それとも煮干等でキメていないからか

……実際は面倒事を避けたいがゆえに全力で考えているだけなのだが。

まっとうに物事を捉え、考えて

参謀のごとくしっかりとした発言を、夏凜は議論の席にたたき出して、東郷を見つめる

東郷「……」

夏凜「まぁ、私はあんた達の所に来て一日だし。何も知らないくせに言うなって感じかもしれないけど」

夏凜は誰も何も言わないのを見回してから

大きく体を伸ばして、端末を見る

夏凜「そろそろ瞳が来るわよ。天乃」

天乃「え、もう?」

夏凜「ん……そう言えば。私も魅了の力にやられないって確証はないし。やっぱり。今日はあんた一人で帰りなさい」

ふと思い出したどうでも良いことのような軽い口調で

夏凜はそう言った


1、そうしておく
2、みんなのこと信じてるし、夏凜のことも信じてるから……一人は寂しいわ
3、……そう言われるのは。なんだか複雑だけど、ありがとうって言っておくわね


↓2


370以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/27(水) 22:28:32.626N+jcZAjO (2/3)

3


371以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/27(水) 22:29:57.93ye8OiNYRo (1/1)




372以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/27(水) 22:30:06.96NgXieEar0 (1/1)

3


373以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/27(水) 22:38:05.06Q6dERU/j0 (1/1)

P4みたいに抑圧は避けるべきかな


374 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/27(水) 22:44:10.43FUNXCntuo (7/10)


夏凜の気遣いは嬉しい。けれども……

そう考えていまう天乃は

自分自身の優柔不断な一面

あるいは、意外と寂しがりやな一面に気づいて、苦笑する

――みんなが承諾したらしたで。ダメだったのかもしれないわね

当然、それを口にすることはなかったが

早く行きなさいよ。と、後押ししてくれる夏凜に振り返ってその手を掴む

天乃「みんなのこと信じてるし、夏凜のことも信じてるから……」

夏凜「あんた」

天乃「一人は寂しいわ」

そう言われ、唖然とすることもなく黙り込んだ夏凜だったが

少しして「あーもう」と計画が崩れて起こる寸前のような声を出し、髪をかき乱すと

夏凜「わかったわよ……だからそんな顔すんな」

そう言って頭をぐいっと押す


375 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/27(水) 22:56:15.79FUNXCntuo (8/10)


天乃は自分が原因だと分かっているはずで

自分には魅了の力があることも言ったのだから分かっているはずで

それに通ずることを今朝教えたはずなのに。と

夏凜は学習能力がないのか

それとも、もはや自制できないほど

天然素材100%なのかどちらかなのかと考えつつ、部室の出口まで天乃を押し出して、振り返る

夏凜「今まで通りでいいらしいけど。少しでも危うくなったら私が私の力で止める。天乃以外には。負ける気なんてしないし」

樹「友奈さんが勝てなかったなら、少なくても私はダメです」

東郷「私も久遠先輩のような動きは不可能なので」

そういう二人の横で

すごく痛かったもんね。と、昔のことのように思い出して笑う友奈は

自分の頭を軽く撫でる

風「あたしもやり合う気はない。けど。ほんと……悪いけど頼むわ。夏凜」

夏凜「サポートしろって上からの命令が来てるだけだから。変に信頼されても困るんだけど。まぁ、任せなさい」


376 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/27(水) 23:07:14.85FUNXCntuo (9/10)


風たちを部室に残して、一足先に二人で廊下を進む

放課後の校舎は部活の掛け声があれば賑やかにも思えるが

それがなくなれば、静まり返ってしまう

いまは静まり返ってしまった方で

キュルキュルと車輪が回る音

カッカッカっと夏凜の足音

その二つだけが変に大きな音に聞こえる

そんな中「ねぇ天乃」と、夏凜が口を開いた

夏凜「私のことを信じるのは勝手だけど。過信はしないで」

そんなことを言われてなぜなのか? という疑問を抱くのは至極当然で

天乃「どうして?」

天乃がそう聞き返すと

進む足は止めることなく、夏凜はため息をつく

夏凜「聞き返されると答えにくいんだけど……」

けれど

夏凜「さっき言ったとおり。その力を受けない保証が無いから」

夏凜は少し言葉を変えて繰り返し

天乃を連れて校舎を出て行く


377 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/27(水) 23:08:05.84FUNXCntuo (10/10)


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間から


378以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/27(水) 23:14:47.026N+jcZAjO (3/3)


今回の夏凛ちゃんはなんか頼もしく感じる


379以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/28(木) 07:58:01.91cGQWb9NLO (1/1)

そういえば前作で盛大にやらかしたのもあるせいか
今のところ大赦がおとなしいな


380以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/28(木) 11:40:40.53EECJk3Y3o (1/1)

天然素材100%の久遠さんマジ大好き
寂しがり屋な久遠さんマジ可愛い

原作キャラだったら確実に同人の種だったな



381以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/28(木) 18:07:50.53f+TnYNOeO (1/1)

のわゆが…
そう言えば今回は精霊解除しないの?


382以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/29(金) 18:38:39.37DPdfKBGno (1/1)

のわゆあらすじ来たんだけど
久遠さんに関して気になるワードが…


383 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/29(金) 22:05:13.770BnXr6omo (1/10)


では、本日もスタートしていきます


384 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/29(金) 22:09:33.290BnXr6omo (2/10)


01~10 ばてくす
11~20 
21~30 
31~40 樹海化
41~50 
51~60 
61~70 
71~80 ばてくす
81~90 
91~00 

↓1のコンマ  


385以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/29(金) 22:11:57.25dspZpEwUo (1/1)

さて


386以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/29(金) 22:13:00.179DHdx/zMO (1/5)

セーフ


387 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/29(金) 22:23:58.770BnXr6omo (3/10)


√ 5月2日目 夜(自宅) ※火曜日


月明かりの下、懸命に明るくなろうとしている他所の家の明かりや街灯を眺めながら、息をつく

結局のところ、自分は寂しがり屋で間違いがないのかもしれない

ひとりでいる時間が寂しいわけではない

けれど、ふと。物足りなさを感じる

この家は広いのに

精霊である九尾と自分時々死神達と言ったメンバーしかいない

だから、無駄な広さがそう感じさせるだけかもしれないけれど

ポッカリと空いた空間から

時々、底知れない冷気といえばいいのか

そんなものを感じる

天乃「沙織、どうしたのかしら」

おもむろに端末を手につぶやく

一応、ちゃんと帰った? と、メールは送ったのだが……帰ってきていないのだ


388 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/29(金) 22:33:36.950BnXr6omo (4/10)


別に無理に答えなくてもいいけれど。と

前置きはしたし、それでも答えてくれたのだから

沙織は言っても平気なことだったはず

とはいえ、

どっちも。と、グレーな答えを返された時に

どっちも? と聞き返したのは頂けなかったかもしれない

天乃「それがなければ、逃げ出すことはなかっただろうし」

希望する相手からの連絡のない端末は

規定の時間が経過してブラックアウトし、沈黙する

天乃「今更、そんなこと言っても仕方がないけど」

勇者部に行く必要があったことも確かだし

当初望んだ結果ではないにせよ、話すべきこと話せたし

その点で言えば放課後の行動にも間違いはなかった。と思う

けれど、正しいとも。言えないのかもしれない

天乃「探すべきだったのかも……」


389 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/29(金) 22:34:28.760BnXr6omo (5/10)


九尾、友奈、死神、沙織、風、樹、東郷との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、風
4、樹
5、友奈
6、東郷
7、沙織
8、夏凜
9、イベント判定

↓2

※3~8は電話


390以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/29(金) 22:38:14.66PkvaPGYg0 (1/3)

7


391以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/29(金) 22:38:30.069DHdx/zMO (2/5)

7


392 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/29(金) 22:43:56.880BnXr6omo (6/10)



01~10 
11~20 出る
21~30 留守番電話サービス
31~40 
41~50 出る
51~60 るすばんでんわサービス?
61~70 
71~80 出る
81~90 
91~00 

↓1のコンマ  


空白は電源が切れているためかかりません


393以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/29(金) 22:46:24.85PkvaPGYg0 (2/3)




394以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/29(金) 22:49:47.129DHdx/zMO (3/5)

夕方無視したのは不味かったかな…
さおりんが心配になってきた


395 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/29(金) 22:59:54.900BnXr6omo (7/10)


電話をかけた

けれど、電波の届かない所にあるか

電源が入っていないためかかりません。と、機械音声が流れてくる

天乃「……沙織」

本当に

ただ、本当に。電源が切れてしまっただけだったり

お昼のことでいまは話したくないと電源を切っているだけなのなら。それは構わない

けれど、もしもそうじゃないのだとしたら

そう考えてしまう頭を振って、ツーツーと鳴る端末を止める

天乃「別に……喧嘩するような内容でもなかったはずなのに」

しかし、喧嘩するような内容でなくとも

沙織が逃げ出してしまったことに変わりない

ちょっと怒ったように、恥ずかしそうに「馬鹿」と言って

天乃「心配……するじゃない」


396 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/29(金) 23:08:52.050BnXr6omo (8/10)


体が不自由でなければ。家が、隣近所だったら

今すぐにでも家のドアを叩いていたかもしれない

頑張ってベランダから侵入して……は流石にしないけれども

天乃「無事、なのよね?」

今日はバーテックスが攻めてきていないし

自然災害や事故、事件が起きたということも聞いていない

もっとも、自分を通す可能性は極めて低いのだが

それでも、夏凜や瞳には連絡が行くだろうし、

どちらか片方に連絡が行けば必ず回ってくるはずだ

それがないということは、無事だと見ていいのだろうが……

天乃「神託関係で捕まってるのかしら」

悪い意味ではなく

巫女の仕事として、神託を受けるために神樹様と接触を試みているという意味で

しかし、だとしたら

その神託は間違いなくバーテックス関連で

とても。そう、とても嫌な……神託になる気がしてならない


397 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/29(金) 23:24:07.480BnXr6omo (9/10)


けれどもその場合、

九尾や稲荷が事前に察知して報告をしてきてくれるはずなのだ

つまり、その線も薄い

九尾だけならば、わざと隠している。なんてことは多分しないだろうが

残念ながらそういった点も考慮しなければならない

……が

稲荷も。と、なると

ただ隠しているだけというのは考えづらい

だからこそ不安になるし、心配になってしまう

いや、そうでなくとも。心配にはなってしまう

天乃「誰かに相談しておくべきかしら……」



1、する
2、しないでおく


↓2


398以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/29(金) 23:27:17.729DHdx/zMO (4/5)

1


399以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/29(金) 23:28:52.66PkvaPGYg0 (3/3)

1


400 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/29(金) 23:32:44.660BnXr6omo (10/10)


では、ここまでとなります
あすは日曜日の代わりに、可能であればお昼頃からの再開となります


のわゆのあらすじは確認しましたが……どうでしょうか

精霊開放に関しては、行っても須佐之男以外はランダムです


401以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/29(金) 23:39:32.659DHdx/zMO (5/5)


今度はだれが呼び出されるのか…
後々あるであろうのわゆ勢との絡みも楽しみだな


402以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 00:24:28.52DvWjPNklO (1/1)


次は千景か高奈ちゃんがいいな個人的に
というかのわゆやべえこのスレにかなり近いワードが出てきてる


403以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 01:32:42.25E4fvZgbUO (1/1)

三大悪妖怪の事か…
九尾も含まれてるみたいだし本編の誰かが九尾使ったら久遠さんの物語崩れそう


404以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 02:35:39.50KeBmmylr0 (1/1)

そしたら別個体かな?あるいは久遠家が呼び出したからこそ少し変化したとか
まぁ>>1がなんとかしてくれるでしょう


405 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 14:35:35.54HgrtsJnso (1/30)


では、少ししたら再開いたします


406以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 15:05:16.95EwROkGxN0 (1/3)

おっしゃー


407 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 15:06:52.14HgrtsJnso (2/30)


天乃「相談。しましょう」

私事で、しかも少しばかり変な理由でけんかっぽくなってしまっているし

それは少し恥ずべきことかもしれないが

心配なことは心配なのだ

誰かに相談して、ちょっぴり恥ずかしい思いをする方が

相談せずに放置して悪い結果に終わるよりは断然ましだ。と、天乃は端末を取る

天乃「とはいえ……」

問題は誰に相談するか。なのだが

天乃「これに関しては、瞳も考慮すべきよね」

瞳。夢路瞳

彼女は沙織と同じく大赦に属している人間だ

だから、相談相手として考えるのは誤りではない



1、九尾
2、死神
3、風
4、樹
5、友奈
6、東郷
7、瞳
8、夏凜



↓2


408以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 15:10:59.84Q9gauFwAO (1/1)

7


409以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 15:11:43.89EwROkGxN0 (2/3)

7


410 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 15:48:43.01HgrtsJnso (3/30)


ここはやっぱり、瞳にするべきだろう

同じ学校という意味では夏凜もふさわしいかもしれないけれど

夏凜と瞳

どちらの方が沙織に関して知ることが出来るのか

関われるのかといえば、それは瞳の方だ

天乃「……こんな時間にごめんなさい」

つぶやきながら、ダイヤルを押す

時間が時間なこともあってか

コールオンは30秒、一分、二分、三分と

だんだんと伸びていく

そして

瞳『はいっ! お待たせしました。夢路です』

焦りを感じる声が聞こえてきて

思わず、ホッと息を吐く

少なくとも、大赦職員全員が危険な状況というわけではなさそうだ


411 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 16:22:53.52HgrtsJnso (4/30)


天乃「こんな時間にごめんなさい。私よ」

瞳『久遠様……? どうかされましたか?』

どうかしたのか。と、言われると

さほど大したことではないと言いそうになる

実際問題、大したことでは……

――いや、そういう問題じゃない

問題点は沙織と喧嘩別れのようなことをしたことではなく

沙織との連絡が一切不可能な音信不通な状態となっていることだ

その点だけ言えば、重要すぎるといってもいいが……

天乃「えっと」

初めから

どんな内容での別れとなったのかも含めて話すか

ただ、連絡が取れないことについて問うか

それとも、何も言わず、沙織がどうしているのかを聞くか


1、初めから話す
2、沙織と連絡が取れないことについて
3、沙織は大赦にいるのかどうか


↓2


412以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 16:27:24.98Y/f0N6duO (1/1)

1


413以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 16:30:29.00G6cRL35OO (1/1)

1


414 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 16:45:07.21HgrtsJnso (5/30)


重要な部分だけ話すと、

それは言葉通り重要で大問題に発展する可能性があると考え、

天乃は少し申し訳なさげに、事の顛末を話すことにした

天乃「沙織が、飛び出して行っちゃったの」

女の子同士の恋愛について話したあと、

では、沙織はどうなのかと問いただしてしまったことが原因だとは思うけど。と、

付け加えたりしながら話を進めていく

瞳はその間、黙って耳を傾けていてくれた

そして、

連絡がつかないこと、メールの返信がないこと

すべてを話し終えると「大丈夫ですよ」と、直ぐに答えた

天乃「どうして?」

瞳『伊集院様からの定時連絡がありませんでしたので、夕刻に私が向かいましたし。その際に理由は伺っておりますので』

天乃「会ったの?」

瞳『はい。しっかり。問題なくご自宅に居られました。ただ、端末を机の中に入れたままだそうで』

電源が入っていないと返されたのは、

充電が切れて電源が落ちたせいだと思いますよ。と、瞳は付け加えた


415 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 17:12:19.56HgrtsJnso (6/30)


天乃「なら、無事……なのね?」

安堵に満ち満ちた声を漏らしながら

天乃は自分の体が軽くなったような気がして

初めて、気づかないうちに緊張していたのだと知って、苦笑する

蓋を開けてみれば、充電が切れた。机の中に忘れた

そんな、時々ありうる忘れ物だった

天乃「沙織は、家にいるのね?」

瞳『それは、はい。間違いなく』

瞳は特に焦ったりするような同様もなく

穏やかな口調のまま、答える

電話口からも、天乃の安心感は伝わって来るし

それまでの、不安もひしひしと感じていたからだ

瞳『伊集院様は、きっと、久遠様からの連絡が来てる。と、おっしゃっていました』

天乃「え?」

瞳『付け加えて、あんな質問するんだもん。少しくらい無視してやるんだから。とも』


416以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 17:27:58.82/OHelPqho (1/1)

かわいい


417 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 17:37:17.33HgrtsJnso (7/30)


はじめはなんのことだか全くわからなかったし

聞いても関係ないから。と、教えてはくれなかったのだが

なるほど。聞いて納得だと瞳は頷く

瞳『久遠様は、誰か心に思う方はおられますか?』

天乃「私は……」

――どうだろうか?

考えてすぐに首を振る

そんな相手はいない

瞳の言い方からして、それが恋愛においてのことだと判断した天乃は、

そんな相手はいない。と、答える

単純に好きな相手といえば、沙織たちが友人として好きではあるけれど。とも

瞳『そうですか……恋はいいですよ。学生時代もっとも楽しめることですから』

天乃「貴女は楽しめなかったの?」

瞳『そこを突かれると、弱いですね』

瞳は苦笑して流し、回答を避ける

正直、学生時代に恋愛の経験はないし

語るほど面白い過去でもないからだ

――してみたいと思わなかったわけではないんだけど。恵まれなかったからなぁ

瞳『大人になっていくと。結局。お金が絡んだ付き合いになりますから。本当に。心での交際ができるのは学生くらいなんですよ』

天乃「貴女、お金ないの?」

瞳『それはもう、たんまりとありますよ。申し訳ない話ですが。久遠様担当手当というものがありますので』


418 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 17:56:03.15HgrtsJnso (8/30)


久遠様担当手当

別名……というか、むしろ職員の間ではこちらが普通の呼び方として使われているのだが

もうひとつの言い方としては【慰謝料】である

もちろん、天乃に対してそんな言い方はしない

天乃「手当?」

瞳『はい。まぁ、なんと言いますか。久遠様が害ある存在として名高い大赦では、中々久遠様に近づきたい人がいないのです』

天乃「あなたも?」

瞳『いえ、私としては害があるとかないとかどうでも良かったので。誰も担当にならないなら良いかなと』

瞳は語りつつ、苦笑する

本当に、就職してそうそう何なんだろう。と、思った

新人である私たちに、先輩は手当に目がくらんでもやらないほうがいい。と、言ってきたし

精神的苦痛で入院した人がいるとか、靴を舐めさせられるとか、足を舐めさせられるとか

なんだかよくわからない噂がくっついていたし

いや、まぁ、確かに

ほぼ無休という結構ハードな仕事ではあるけれど、わけのわからない噂はどれも噂でしかなかった

――正直なところ、私は久遠様が好きだ

瞳『だからといって、今更立候補者がいても。誰かに担当を変わる気はありません』


419以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 18:07:47.137hnKxOSzO (1/6)

悪戯されてないのかもしれんが基本的に瞳さんの精神はタフだな


420 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 18:09:03.62HgrtsJnso (9/30)


最初は、クール系な人なのかと思った

初めて車で迎えに行ったとき、よろしくお願いしますと挨拶をすると

ただ、静かに「悪いけれど、よろしくね」としか言わなかった

笑うこともなにもなく、ほとんど無表情な感じで

車に乗っても

こっちから話しかけなければ

端末をいじることもなく、窓から遠くを眺めているだけ

本当に。遠く遠く

きっと、私が見える以上に遠くを見ているんじゃないかと思うほどに遠い目をしていた

「よろしく」、「ありがとう」、「また帰りに」、「また明日」

反応もそっけなくて、どちらかといえばやり甲斐はなかった。と、思う

でも、次第に。そう、勇者部を作り上げて、部員を増やしてから

結城様たちの事を話すようになった


421 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 18:32:34.90HgrtsJnso (10/30)


友奈はあれで、これで

風はああで、こうで

そうやって語る中、東郷様

元、鷲尾様に関しての時は少し悲しげな言い方だったけれど

でも、皆にできる限り日常を楽しませてあげたい。と言った時の……

おそらくは私に向けてではなく、独り言だったんだとは思うけれど

その時の表情は、とても優しくて

子供なのに、子供ではなさそうな。という矛盾はあったけれど

でも、私は久遠様が少なくとも、嫌われるような人ではないと感じたし、思った

犬吠埼様も同じく勇者で。けれども、彼女以上に深い現実を抱えている久遠様は

その全てを内に留め、日常が日常ではないと知りながら

みんなのために日常で有り続けようとするとても優しい人なんだと、思った

今日はあれをした。これをした

そう嬉しそうに語る反面で、明日もそうできるといいな。とつぶやく久遠様のその優しさが

私はとても、好きで

だから、私はこの仕事が必要なくなるまで

その優しさが、真実を抱え続けて体を残して成長してしまった心が

報われる日を、救われる日を

たった一人の特別席で見届けたいと。思うから

瞳『私は、今のこの仕事が気に入ってます。天職ですね。天乃様だけに』

――ここは誰にも譲れない


422 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 18:53:27.09HgrtsJnso (11/30)


いつの間にか勝手に思いを馳せて言葉を紡いでいることに気づいた瞳は

天乃には見えないが、思わず赤面して

近くにいた夏凜ににやりと笑われて首を振る

瞳『ですので、私はむしろ。久遠様ともっとお近づきになれればとさえ。思っています』

天乃「……私と? いいことなんて、ないと思うけど」

瞳『そう卑屈にならないでください』

仲良くなればなるほど、天乃はいろいろな表情を見せてくれる

けれども、本当の意味で心を開きはしない

沙織はそれに気づいているだろうし

瞳も、その点に関しては薄々ではあるが感じている

だからこそ、もう少し仲良くなりたいと。思う

そうすれば、心の奥底に抱えている何かを、聞くことができる

そんな、気がするから

瞳『……なんの話をしていたのか、逸れてしまってますね』

その気持ちを押し隠して、瞳はそう言った


423 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 19:18:16.90HgrtsJnso (12/30)


天乃「ほんと。一番聞きたかったことは最初に聞いちゃったものね」

瞳『そうですね』

沙織の事を聞こうとして電話して

沙織のことを答え終わったというのに

なんで、あんな話になったんだったか

思い出して、手当に行き着く

そこからどうしてああなるのか

瞳は小さく笑って、「久遠様」と、呼ぶ

天乃「うん?」

瞳『私、久遠様のこと好きですよ』

天乃「瞳……」

瞳『私は大赦の人間ですが。心から、久遠様が幸多き未来を歩めることを願っています』


1、……ありがと
2、私も好きよ。大赦の人間だとしても
3、罰当たりなこと言っちゃって。クビにされるわよ
4、その好きって、普通に恋愛じゃない方って考えていいのよね?


↓2


424以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 19:19:31.497hnKxOSzO (2/6)

1


425以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 19:20:33.33EwROkGxN0 (3/3)

2


426以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 19:21:01.10M+w9mOKL0 (1/4)

3


427 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 19:28:27.85HgrtsJnso (13/30)


天乃「……私も好きよ」

瞳『え?』

天乃「貴女が、大赦の人間だとしても」

そこをしっかりと付け加えて

天乃は今の気持ちを素直に伝える

大赦の人間ですが。なんて前置きに

大赦の人間だとしても。と、叩き合わせて

そう、

自分には大赦であることなんて関係はないんだと

教えあうように

瞳『……………』

天乃「…………」

互いに言葉のない沈黙

けれども、気まずさはなかった

窓から見える月明かり

示し合わせたわけでもなく見る二人は

同じものを見れていたら嬉しいと。口には出すことなく、笑った


428 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 19:43:23.93HgrtsJnso (14/30)

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流有(魅了、否定)
・   犬吠埼樹:交流有(魅了、否定)
・   結城友奈:交流有(魅了、否定)
・   東郷美森:交流有(魅了、否定)
・ 伊集院沙織:交流有(女の子同意の恋愛、貴女は)
・   三好夏凜:交流有(登校、魅了、否定、一緒に)
・      九尾:交流無()
・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



5月2日目終了時点

  乃木園子との絆 25(中々良い)
  犬吠埼風との絆 38(中々良い)
  犬吠埼樹との絆 30(中々良い)
  結城友奈との絆 38(中々良い)
  東郷三森との絆 36(中々良い)
  三好夏凜との絆 13(普通)
     沙織との絆 36(中々良い)
     九尾との絆 30(中々良い)
      死神との絆 29(中々良い)
      稲狐との絆 27(中々良い)
      神樹との絆 5(低い)

 汚染度***%


429 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 19:58:45.14HgrtsJnso (15/30)


√ 5月3日目 朝(自宅) ※水曜日


01~10 
11~20 樹海化
21~30 
31~40 
41~50 樹海化
51~60 
61~70 
71~80 樹海化
81~90 
91~00 

↓1のコンマ  



430以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 19:59:59.07ESa8Ht4Vo (1/3)

さて


431以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 20:01:28.327hnKxOSzO (3/6)

いつもので良かった…


432 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 20:07:15.59HgrtsJnso (16/30)


天乃「ほんと、攻めてこないなんて不気味だわ」

それはそれでとてもありがたいことではあるのだが

やはり、攻めて来ないのは攻めて来ないで少し不安が有る

連日連夜ではなくとも

攻めてきた場合は向こうの戦力が削られることになる

けれど、今のように攻めてこない場合

複数回分の戦力が一回に凝縮されてくる可能性がある

そうなると

いくら勇者部とは言え、大打撃は免れえない

被害が出る……なんて考えたくはないけれど

考えざるを得ない

九尾「実際、きゃつらは戦力を束ねてくるじゃろう」

天乃「……やっぱり」

九尾「主様がいることで、一体二体では無意味であると解っておる。主様を足止めしつつ、周りを叩く作戦を立ててくる可能性はある」


433 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 20:19:25.76HgrtsJnso (17/30)


バーテックスにも知能はある

それは手痛いという言葉では足りないほどの喪失と引き換えに学んだことだ

向こうはこちら側と同じように

毎度毎度、何かしらの目的を持って攻めてくる

神樹様への到達という目標はもちろんのこと、それ以外にも……

天乃「最悪、精霊の守りを抜いてくる可能性も考慮しないといけないわ」

九尾「うむ……現状ではその打開策はなかろう。妾としてはいくつか案があるにはあるが」

九尾はそう言うと、これは憶測ではあるが。と前置きをして

九尾「致死性のあるものでなければ通る可能性が高い。例えば、今も妾達が聞いておる音。などじゃ」

天乃「……確かに。足止め目的なら。騒音以上のもの」

例えば、黒板を掻く音や

嫌いな人は嫌いな発泡スチロールの擦れる音

そういったものを用いての足止めは有効かも知れない

九尾「倒すことを念頭にはおかず。あくまで、妨害させないことを目的とすれば……大いにありえる」

天乃「次はそういう攻撃してくるのが出てくるかも知れないのね?」

九尾「主様にはきゃつらの存在が単一ではないことは知られておる。一体のみとは限らぬがな」


434 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 20:39:35.23HgrtsJnso (18/30)


天乃「同一個体が複数出てくるっていうの?」

九尾「そうとは限らぬが……警戒はしておくべきじゃろう」

何かしらの手は打ってくる

そういう九尾に、天乃は軽く頷く

今日はまだ安心できない

明日も安心できない

明後日も……毎日が不安だ

天乃「早く、戦いを終わらせたいわ」

九尾「だからと壁の外には行くでないぞ。きゃつらが主様をおびき出そうとしているやも知れぬのじゃから」

天乃「うん……わかってる」


435 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 20:40:26.94HgrtsJnso (19/30)


九尾、友奈、死神、風、樹、東郷との交流が可能です

1、九尾
2、死神
3、風
4、樹
5、友奈
6、東郷
7、夏凜
8、イベント判定
9、勇者部部室
↓2

※3~8は電話
※9は朝一勇者部直行


436以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 20:41:57.58M+w9mOKL0 (2/4)

8


437以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 20:42:14.037hnKxOSzO (4/6)

7


438 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 20:57:30.34HgrtsJnso (20/30)


天乃「おはよう」

夏凜『この時間に電話が来ると、昨日の言葉が蘇ってくるんだけど』

夏凜は声だけでわかるくらいに困ったように言う

実際、昨日一緒に登校した程度で夏凜はほぼ一日中質問攻めだった

しかも、ほとんどが同じ質問で。だ

それは聞いた話でしかないが

天乃もそれならこの反応も仕方がないかな。と息をつく

夏凜『まぁ、さっき瞳にも言われたんだけど』

天乃「瞳に? なんて?」

夏凜『むしろ、一緒じゃなくなったらやましいことがあると思われるんじゃないですか? って』

夏凜は確かに一理ある。とは思った

さんざん、運んでくれる人が知り合いだからと言っておきながら

翌日からわざわざ自転車通学

怪しく思われる可能性は大いにあった


439 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 21:11:08.59HgrtsJnso (21/30)


けれど、だからといって一緒に通学すると答えたわけではない

それが嫌だから。なのかどうかは別勘定するとして

ならもういっそ常に一緒に通学するか。と、言う気にはなれなかったのだ

本来そんな予定はなかったというのもあるが

必要以上に接したり

やはり、仲良くなってしまうと魅了の効果を受けてしまう可能性があり

それを受けてしまうと

いざという時に助ける側ではなく

むしろ襲いかかる側になってしまうかもしれないからだ

――それは、避けたい

だから、怪しく思われるとしても

夏凜は迷うことなく一緒に登校するという選択をできなかった


1、奇遇ね。私も一緒に登校しようって言おうと思ってたの
2、貴女は一緒じゃ不満?
3、期待してるところごめんね。バーテックスについてなの


↓2


440以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 21:13:18.567hnKxOSzO (5/6)

3


441以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 21:14:17.29M+w9mOKL0 (3/4)

1


442以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 21:14:19.85ESa8Ht4Vo (2/3)




443 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 21:36:14.89HgrtsJnso (22/30)


天乃「あら、奇遇ね。私も一緒に登校しようって言おうと思ってたの」

その声の跳ね上がり具合に、

冗談か。と、すぐに判断しようとした頭を振る

ただ単に嬉しかっただけかもしれない

――なにそれ。バカみたい

夏凜は自分の希望的観測のような考えに悪態をつき、

苦笑する

もしも嬉しいのだとしたら、天乃は子供だ

自分も。だけれども

夏凜『あんたも瞳と同じこと考えてるわけ?』

天乃「ええ。まぁ……個人的に一緒がいいな。とも思ってるけど」

寂しいだなんて言ってしまった以上

天乃は隠さずにいう

それが嘘であると思うほど、夏凜は弄れてはいなくて

少しばかり、照れくさかった


444 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 21:44:52.75HgrtsJnso (23/30)


夏凜『あんた、昨日の夕方の一件覚えてる?』

天乃「魅了のちからの話?」

天乃が疑問符をつけ返すと

夏凜はそうそれ。と、答えてため息をつく

忘れていなくてよかったという安堵は感じず

むしろ覚えてるならなんで言えるのか。というような

ちょっとした呆れを感じた

天乃「それがどうかしたの?」

夏凜『どうもこうもないわよ』

言ったはず。と、夏凜はやや怒り気味に前置きをして

夏凜『私もその力の影響を受けないとは限らないって』

天乃「それは聞いたけど……」

夏凜『車椅子とそれに固定されてるようなあんたは、私を退けることができるわけ?』

天乃「……自信がないの?」

夏凜『正直、東郷美森と結城友奈を見て、自信はないし自負もない』

天乃の問いに、夏凜は意地も張らずに答えた


445 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 21:51:06.73HgrtsJnso (24/30)


無理もない話だ

夏凜よりもずっと親交があって

仲がよく、互いを思い合う気持ちが強いはずの二人が

あんな、悪く言えば壊れ方をしたのだから

そこまで親交もなく、思い合う気持ちなんてそれほどないと思っている夏凜が

自分が魅了の力に当てられた時に

耐え忍ぶことができる自信がなかったのだ

思い合う気持ちが強いからこそだ。と、言われればそれまでかもしれないが……

夏凜『……………』

正直、天乃が信じてくれることは嬉しいし、ありがたいとは思う

誰からも頼りにされず、あまつさえ役立たずの烙印を押されていたような状態だった夏凜としては

それが勘違いであるのだとしても

自分を信じて、そばに置いてくれようとしている天乃の気持ちは純粋に嬉しかった

けれども、だからこそ

――それを裏切りたくない

そんな思いが、夏凜にはあった

三好夏凜は、優しい少女だから


446 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 22:07:26.66HgrtsJnso (25/30)


夏凜『もちろん、あんたに手を出さないように務めるつもりではある。けど』

天乃「自信がないから、できるだけ避けたい?」

夏凜『そう。部活とかには顔を出すわ。けど、登下校は……』

別にしたい。いや、すべきだ

と、夏凜は言う

部室とかならまだしも、車内のような場所はできれば避けるべきだと思ったからだ

天乃「……そう」

夏凜の言い分は間違っていない

いや、むしろそれは正しい

危機感がないのは自分だ

けれど……



1、どうしても?
2、ごめんなさい。わがまま言ったわ
3、夏凜はやっぱり嫌よね。女の子と変なことするなんて


↓2


447以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 22:11:49.18M+w9mOKL0 (4/4)

ksk


448以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 22:12:13.24ESa8Ht4Vo (3/3)




449 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 22:31:14.17HgrtsJnso (26/30)


天乃「夏凜はやっぱり嫌よね。女の子と変なことするなんて」

夏凜『は?』

天乃「え、ぁっ」

気づいても、遅い

大して考えた発言ではない

むしろ、だからこそ。その言葉が漏れてしまったのかもしれないが

夏凜の驚きに、天乃は慌てて口元を覆う

もちろん、電話中は意味はないしそうでなくとも、意味はない

言ってしまった言葉は、取り消せないのだから

――これじゃ、まるで私は

そう思って赤面しているとも知らず

電話先で唖然とする夏凜は、背後からの「夏凜ちゃん?」という声にハッとする

そうだ。独りじゃないのだ

瞳に少し電話するから。と、別の部屋へと移動して、息をつく

夏凜『あ、あんた何言ってんのよ。問題はそこじゃないでしょうが』


450 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 22:39:48.05HgrtsJnso (27/30)


襲うか襲わないかが問題なのであって

女の子とどうこうするのが嫌か否かというのは関係ないこと

――いや待て。それもなにかおかし……あぁもう!

ガシガシと整えた髪を掻いて夏凜は心の中で唸る

なんて言えばいい

なにを言えばいい

この、なんというかあれな先輩に……と

夏凜は考えに考える

夏凜『私は襲いたくないの』

天乃「それは知ってる」

夏凜『なら、なんで女っていうか。あんたとそういうことがするのが嫌なのかって話になるのよ』

天乃「同性の恋愛が好めないから嫌なのかなって」

きっと、ションボリとしているだろうと

夏凜は声から想像していたけれど

夏凜『馬鹿か。あんたは』

言わずにはいられなかった


451 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 22:49:27.69HgrtsJnso (28/30)


夏凜『仮に私が同性OKだったとしても』

天乃「うん」

夏凜『相手のこと襲いたくない。だって、それってつまり相手の信頼を裏切るってことでしょ?』

分からずやな天乃に

おそらくはわかっているけれど口が滑って天然素材に

夏凜は改めてわかりやすく告げて、首を振る

――ほんと。いい迷惑なやつだわ

けれども、心とは裏腹に、夏凜は笑みを浮かべる

夏凜『同性が平気なら、最悪襲っても問題ないと思ってるんだろうけど、むしろダメよ。それ』

天乃「え?」

夏凜『仮に私があんたを好きなら。好きな相手を傷つけたって罪悪感。後悔が一生残るから』

天乃はきっと許すだろう

いや、むしろ

襲わせてしまってごめんなさいと、

嫌なことをされた立場であるはずなのに

自分のせいだと言うのだろう

けれどもそんな姿を見せられて、そんなことを言われて

傷つかないほどのふざけた人間だと。思われているのだろうか

天乃「じゃぁ夏――」

夏凜『答えないわよ』


452 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 22:56:29.74HgrtsJnso (29/30)


じゃぁ夏凜は。そのあとに何が続く予定だったのか

聞かなかった以上それは知ることはできないし、知りたくもないと夏凜は思う

どうせ、碌でもないことが続くだろうから。とも

同性の恋愛は平気なのかと言われても

恋愛自体未経験の夏凜には答えようがないし

天乃のことが好きなのかと聞かれても

そこまで素直になることはできないから答えられないし

夏凜『とにかく、登校はしない』

天乃「……そっか」

夏凜『……………』

寂しそうな声が聞こえて、夏凜は思わず今日くらいならと言いかけたが

魅了の力にやられてしまっているかもしれない。と、言葉を飲み込む

だから

夏凜『ごめん』

短くそれだけを言って、通話を切った


453 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/30(土) 23:01:48.72HgrtsJnso (30/30)


では、此処までとさせて頂きます
あすは通常時間か、もしくはなしになります



瞳さんは割と心強い人です



「……魅了されたことにすれば、襲っても合法? 乗るしかないな……この、流れにッ」

「乗ったら張り倒すわよ。お兄」

「妹に張り倒されるのなら。やるしかないな」ダッ

「あっ、ちょっと!」


454以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 23:12:45.317hnKxOSzO (6/6)


絆は一番低いけど絶妙な距離感のせいかお互いに良い意味で意識してる気がする

それにしても…別世界であるのは分かっちゃいるけど
今月ののわゆを見た後ここの二周目を見るとなんか来るものがあるな…


455以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/30(土) 23:47:21.96OW+zFcdYO (1/1)


こういう絶妙な距離感書くのは難しそうだがもっと見たいと我儘言いたい
そして兄貴は記憶喪失の妹はやめて差し上げて


456以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/31(日) 06:19:37.30EHxr5iULo (1/1)

兄さんに関しては魅了関係ないしぃ…


457以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/31(日) 07:38:58.08TB91Y9YgO (1/1)

お兄さん、お姉さん的な立ち位置の人の中では
兄貴と晴海姉さんは能力は人間やめてるけどメンタル面は意外と頼りなく
瞳さんや春信さんは能力は一般人並だがメンタルは作中最強クラスなイメージだな

兄姉コンビや春信さんの人物追加が待ち遠しいな


458 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/31(日) 20:32:32.05UccQex7wo (1/9)


少し早いですが、
少ししたら初めて行きます


459以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/31(日) 20:46:01.69ArhGElJpO (1/4)

やったぜ!


460 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/31(日) 21:14:01.12UccQex7wo (2/9)



√ 5月3日目 昼(学校) ※水曜日

友奈、沙織、風、樹、東郷、夏凜との交流が可能です

1、風
2、樹
3、友奈
4、東郷
5、沙織
6、夏凜
7、イベント判定
8、勇者部部室

↓2


461以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/31(日) 21:17:48.54oOtHn/h+0 (1/3)

6


462以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/31(日) 21:18:08.09ArhGElJpO (2/4)

5


463 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/31(日) 21:37:39.59UccQex7wo (3/9)


朝、学校に来たときにはもう沙織は登校してきていて

電源の入らない端末片手にため息をついていた

私の姿を見るやいなや、

一瞬、申し訳なさそうにしつつも首を振って

フイッと顔をそらす

昨日の件、まだ許してくれていないようで

授業中

事あるごとに背中にチクチクと悪戯を感じ

振り向くと、慌てる彼女が目をそらす

そんなことを繰り返したあとのお昼休み

お弁当を取り出す彼女に、思い切って声をかけた

天乃「沙織、ちょっと待って」

沙織「……っ」

立ち上がろうかどうか迷った沙織の足がガタッと椅子を鳴らす

けれどもそれはすぐに、周りの喧騒にまぎれて消えた


464 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/31(日) 21:49:19.50UccQex7wo (4/9)


昨日の質問はよくよく考えれば、配慮ができていなかったと思うし

だから、沙織がここまで避けようとする気持ちがわからないとは言えない

けれど……

天乃「そこまで、露骨にはしないで欲しいわ」

沙織「……久遠さんが、悪いもん」

沙織はすぐに総答えた

今日初めて聞いた声はは少し枯れていて

昨日、沙織が家でどんな状態だったのかをなんとなく、感じさせる

けれども

だからどうだということもない

だって、天乃だって不安だったのだから

心配していたのだから

もしかしたら何かにまき込まれたのかもしれないと

怖い思いをしていたのだから

昨日の会話に関しての非が天乃にはあるのかもしれない

けれども、それならば

沙にはそれ以降のことに関しての非があると言える


465 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/31(日) 22:14:06.61UccQex7wo (5/9)


沙織「っ」

沙織は天乃が悪いとは言ったが

きっと、すごく心配をかけてしまっていただろうことは分かっていたし

それがあんな質問くらいでかけていい度合いの心配や不安ではないであろうことも分かっていた

だから、悪いと言いつつも、唇を噛み閉めて

天乃のことを直視できずにいる

――卑怯だとは思う。でも

もうしわけないと思うからこそ

沙織は天乃を避けようとしてしまう

それは、合わせる顔がないと、思ってしまっているからだ




1、ごめんなさい。失礼なことを聞いて
2、あれにはその……ちゃんとした理由があったの ※魅了について話す
3、無事で良かったわ。本当……ごめんね。沙織。言いたいのはそれだけ


↓2


466以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/31(日) 22:16:20.07ArhGElJpO (3/4)

3


467以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/31(日) 22:19:07.06oOtHn/h+0 (2/3)

2


468 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/31(日) 22:28:51.43UccQex7wo (6/9)


天乃「あれには……」

沙織「?」

天乃「あれにはその……ちゃんとした理由があったの」

ちゃんとした理由

それは勇者部にも話した魅了のことだ

それさえなければ、そもそもこんな話なんて必要なかったのに。と

天乃は考えながら、魅了のことについて話した

沙織は勇者部の面々とは違って……といっても

予め九尾が言ってたんだけど。と切り出したおかげでもあるのだろうが

沙織は茶化したりすることなく、天乃の話を聞いて「そうだったんだ」と、息をつく

――久遠さんは真面目だったのに。変に期待したりなんだりして、あたしは

そのみっともなさに赤面しつつ、

沙織は天乃の目から下、口元を見ながら言う

沙織「そういう事情があるなら、そうだよね……久遠さんなら聞いてくるよね」

天乃「私なら?」

沙織「だって、相手がどっちかでそのあとの対応が大きく変わってくるもん。ううん、それまでの対応も。かな」


469 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/31(日) 22:47:49.11UccQex7wo (7/9)


もしも相手が普通な恋愛を好むのなら

天乃とキスやそれ以上のことなどしてしまった場合

精神的に病んでしまうだろうし

天乃はその責任を取ろうとするのだろうが、なかなかどうしようもないことだってあるだろう

一方で

もしも相手が女の子同士全然平気なのであれば

天乃とキスやなんかをしてしまっても

精神的なダメージは少なく済む可能性があるし

最悪、体を捧げるという解決策も事前に用意しておく……覚悟しておくことができる

沙織「あたしが女の子同士ダメなら、遠ざけようとか考えてるんだよね?」

天乃「……ええ」

沙織「なら、あたしは嘘でも女の子全然オッケーって言うよ」

申し訳なさそうな天乃に

沙織はそう言いながら、笑顔を向けて

沙織「久遠さんと離れ離れなんて。そんなの、嫌だから」

はっきりと、気持ちを語った


470 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/31(日) 23:19:32.87UccQex7wo (8/9)


天乃「それが嘘だと困るから……」

沙織「だから、最初に理由を話さなかったんだよね」

天乃が硫黄としていることを先読みして、問い返す

けれども、それの答えなどわかりきっているがゆえの問い

だから、沙織は天乃の答えを待たず、続ける

沙織「大丈夫だよ。あたしは」

――そう。全然平気だ

理由は言えない

詳しく語ることもできない

けれども沙織は「あたしは平気だから」と

もう一度告げる

沙織は天乃のことが大切で、大事で、好きなのだ

だから、一人にはしたくないし、されたくない

それは今回の端末を忘れたことでも……身にしみた

沙織「これからも、一緒にいよう?」



1、……責任。取れないわよ?
2、うん。ありがとう
3、なにか危なくなったら、すぐに言ってね?


↓2


471以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/31(日) 23:23:18.48oOtHn/h+0 (3/3)

2


472以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/31(日) 23:24:22.88EmnQh7FV0 (1/1)

1


473 ◆QhFDI08WfRWv2016/07/31(日) 23:30:29.42UccQex7wo (9/9)


では、此処までとさせて頂きます
あすはできれば通常時間から


天乃「責任、取れないわよ?」

沙織「うん……」

沙織(むしろ取るつもりだから、全然いいかな)ニコッ

天乃「?」


474以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/07/31(日) 23:42:43.35ArhGElJpO (4/4)


さおりんがにぼっしーとは違う路線でヒロインしているなあ

さおりんも久遠さん共々原作にいそうでいないタイプのキャラで
もしも公式だったら人気出そうだな


475以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/01(月) 02:04:32.39GkaM1qYYo (1/1)

さおりんがルート獲得に向けて暗躍している…


476以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/01(月) 08:01:09.1860OyryKrO (1/1)

むしろさおりんは久遠さんの為なら最悪体だけの愛人関係でも許してくれる気がする


477以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/01(月) 16:56:31.23HlfJ53ESo (1/1)

>>476
久遠さんが肉欲に溺れたりしない限りその展開はないだろうけど
久遠さんがそこまで壊れたらバッドエンド確定だろうね


478 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/01(月) 22:12:41.38gYl/nsNvo (1/7)


では、初めて行きます


479以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/01(月) 22:14:09.25gh/NNvydO (1/3)

よっしゃ


480 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/01(月) 22:38:50.41gYl/nsNvo (2/7)


天乃「……責任。取れないわよ?」

天乃は冗談めかしたものではなく

けれども、困ったように笑みを浮かべながら答える

申し出は素直に嬉しかった

けれども、だからといって

それが心から喜べるものかと言えばそうでもない

沙織という友人とともにいられることが嬉しいが

魅了という力によってその関係が壊されない補償がないからだ

だから、責任が取れないかも知れないと仄めかしたのだが……

沙織はそれには関係ないとばかりに笑みを浮かべる

沙織「むしろ、その力に当てられたとは言え。襲うのがあたしなら。責任取るのはあたしなんじゃないかな?」

天乃「そんなことは」

ない。ないはずなのだが

沙織「ううん。そんな力に負けた自分の意思の弱さが許せないから。やっぱり取るのはあたしだよ」

と、天乃の言葉を否定して押し通す

車椅子に乗る親友が抱え込みやすい性格だから

それを知っているから

すでに、多くのものを抱えていることも知っているから

だから沙織は、言う

沙織「久遠さんが本気で好きなら。好きだからこそ、そんな力に負けない意志の強さがあるべきだって思うから」


481 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/01(月) 22:58:27.47gYl/nsNvo (3/7)


本当に、心からそう思う

天乃が同性の恋愛に関して前向きに検討するというか

自分がその立場になってくれるのかどうかは分からないが

その可否に関わらず、【魅了の力にやられたという嘘で】有りもしない責任を取って貰えるのなら

それはとても嬉しいかなと考える悪い心を噛み砕き、

沙織は天乃を見る

――好きなら。やっぱり。責任がどうとか抜きで付き合いたいよね

今の沙織の気持ちは少なくとも自称・友人としてである

天乃という理想、夢、希望

辛い経験を経てもなお、明るく生き抜こうとしている強く見える弱さ

沙織はそんな天乃に羨望のまなざしを向ける一方で

献身を捧げたいと、思う

それは自分が勇者のための巫女だからというものもあるのかもしれない

けれども、やはり

伊集院沙織は、久遠天乃が好きなのだ

その理由が友人としてであろうと、恋慕に通ずる意味合いのものであったとしても

その【好意】は変わることのない、【想い】だからだ


482 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/01(月) 23:25:54.72gYl/nsNvo (4/7)


天乃「……複雑ね」

自分の背負うべきものだと思っている

さっきまでもそう言ってきた

にも関わらず沙織はそれは違うと否定して

けれども、その言葉は天乃にとっては嬉しいものだった

周りの生徒の喧騒に紛れる世界の違う二人の会話は途切れ

視線を向け合い、苦笑する

互いに言いたいことは言った

その結果が否定し合うものであるのならば、もはや笑うしかない

思い合うからこその否定

だからこそ、

沙織は天乃が引いてはくれないと理解して

天乃は沙織が引いてはくれないと理解して

押し付けることは、無意味であると考える


483 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/01(月) 23:35:18.51gYl/nsNvo (5/7)


けれども、沙織はそれで正しいと思った

そうでなければいけないのだと思った

すれ違うことがなければ、そこから絡み合っていくことがないから

平行線では絶対に成し得ないものがあるから

だから。沙織はこのまま絡み合っていけるのならと

今の互いに引くことなくすれ違う想い合うままでいいと思った

――久遠さんの気持ちは枝分かれしてるだろうけど

それでも

いくつもの枝の中で一番太く力強いものだったらいいなと、邪な思いを胸に

沙織は笑みを浮かべる

沙織「あたしもちょっと複雑だよ。魅了の力のせいかな?」

天乃「そう言えるのなら、違うわよ」

沙織「あはは……だよねっ」

冗談ぽく笑う沙織から目をそらして、天乃は小さく息をつく

どうかこの関係が壊れることだけはないですようにと

神樹様ではない何かに祈るように、天井を見上げる

掃除の手の届かないそこは少しばかり、汚れていた


484 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/01(月) 23:36:04.91gYl/nsNvo (6/7)



√ 5月3日目 夕(学校) ※水曜日

友奈、沙織、風、樹、東郷、夏凜との交流が可能です

1、風
2、樹
3、友奈
4、東郷
5、沙織
6、夏凜
7、イベント判定
8、勇者部部室

↓2



485以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/01(月) 23:37:27.20pT6XTjcJ0 (1/1)

8


486以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/01(月) 23:37:43.29gh/NNvydO (2/3)

8


487 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/01(月) 23:50:19.77gYl/nsNvo (7/7)


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間から


488以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/01(月) 23:57:44.51gh/NNvydO (3/3)


さおりんとの一件がとりあえず解決できてよかった
次はそろそろバーテックス来そうだし作戦会議でもしたいな


489以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/02(火) 02:44:32.39zAHQG2AM0 (1/2)

でも久遠さん出らんないんだよね?次の戦い
のわゆが展開が展開なだけこっちも心配なんだが


490以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/02(火) 18:20:29.71YVWN03Z/o (1/1)

出られるよ
夏凜にでないように言われたけど断ってたはず


491以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/02(火) 21:03:15.94zAHQG2AM0 (2/2)

なるほど、ありがとうございます!


492 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/02(火) 22:08:47.35Ly/rQ4X+o (1/7)


では、はじめていきます


493以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/02(火) 22:11:47.12Erv2H8SEO (1/2)

あいよー


494 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/02(火) 22:18:51.11Ly/rQ4X+o (2/7)



01~10 告白してきた3年
11~20 
21~30 入部希望男子
31~40 
41~50 2年女子
51~60 
61~70 
71~80 3年女子
81~90 
91~00 

↓1のコンマ  


495以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/02(火) 22:19:03.43HwUEZ8LJo (1/1)

さて


496以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/02(火) 22:22:40.85Erv2H8SEO (2/2)

まさかの依頼人?


497 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/02(火) 22:37:08.24Ly/rQ4X+o (3/7)


夕方になって、部室へと向かう

まだ終業後間もないからか、キュルキュルという車椅子の音は

部活に向かう生徒の駆け足や話し声にかき消されていく

その普通の人にとっての日常のひとときを見つめて、笑う

何かが面白いわけではないけれど

何かに皮肉を言うつもりもないけれど

けれどもただ、

今はまだ守ることができていると。嬉しくて

天乃「頑張っている甲斐があるってものだわ」

もっとも、近頃は襲撃もないし

自分たちが守っている。なんていう実感も何もないのだけれど


498 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/02(火) 22:50:39.40Ly/rQ4X+o (4/7)


そんないつ途絶えるのかもわからない日常の中を

噛み締めるようにゆっくりと進んでいくと

「先輩!」

聴き慣れた呼称が

聞き覚えのない声で飛んできて

天乃「……………」

自分ではないんじゃないかと聞き逃し

言葉を追って振り向くと誰もいなくて

前を見ると、ぺこりと頭を下げる栗毛色の女の子が視界に入った

天乃「……私?」

もしかしてと呟くと

聞こえたらしい女の子は顔を上げて、髪色に似た瞳を向ける

「はい。先輩です」

天乃「なにか、依頼?」

そう聞くと、女の子は頷いた


499 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/02(火) 23:11:10.57Ly/rQ4X+o (5/7)


天乃「メールもなしに部室の前にこられても受けてあげられない可能性もあるのよ?」

実際のところは大抵問題ないのだけれど

しかし、メールでの依頼も受け付けている以上

急を要するものだったり、どこかの時間に予約を入れてくるものもある

もちろん、優先順位というものがある

例えば、犬や猫の保護や里親探しといった命が関わるものなど

そういったものに関しては部のルールとして原則優先される

けれどもそうでなければ、基本的には依頼が来た順番に依存する

「それは……はい」

天乃「直接来たってことは、貴女にとっては急を要するものなんだろうとは思うけどね」

しっかりと注意をして

けれども彼女の行動に理解も示して笑みを向けると

天乃はとりあえず入りなさい。と、部室に導く

天乃「話を聞かないと、考えることもできないからね」

「お、お願いしますっ」

どうしても、天乃は優しいからだ


500 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/02(火) 23:24:21.42Ly/rQ4X+o (6/7)


天乃「適当に座っていいわよ」

「ありがとうございます」

立ったままキョロキョロとしていた女子生徒は

お礼を述べて、近くのパイプ椅子に腰掛けると

ふっと、息を吐く

天乃と二人きりだからか

それとも三年生と二人きりだからなのかはわからないが

女の子とはとても緊張しているらしい

座ってもなお、息を吐いてもなお

手持ち無沙汰に遊ばせながら、ぎゅっと、縮こまっているように見えた

天乃「依頼があるんでしょう?」

「はい……」

天乃「なら、そうやって黙っていないで話して貰いたいわ」

残念ながらお茶は出せないが

お茶菓子だけは「食べる?」と差し出して天乃が切り出す

「あの……気のせいだとは思うんです。思うんですが、最近誰かに見られてるような気がして……」

怖いんです

そういった女の子はそれが冗談でも演技でもないことを示すかのように

酷く体を震わせ、自分の両腕で抱いた


501 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/02(火) 23:27:40.21Ly/rQ4X+o (7/7)


では、ここまでとさせていただきます
あすもできれば通常時間から


502以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/02(火) 23:34:48.41BWfJt5Qy0 (1/1)

次の選択肢は警察を呼ぶ一択

ネタバレ:犯人は                兄


503以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/03(水) 01:56:27.41OhsC8l4RO (1/1)


ついに動き始めたか…
もしもあの男だったら久遠さん勝てるかな?


504以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/03(水) 03:55:33.09Itam0invO (1/1)

4


505以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/03(水) 07:58:39.74zNjQ9QFKO (1/1)


この女子もwikiに載ったりするのだろうか
知り合いが増える度に闘いの被害で受ける精神ダメージが大きくなりそう


506以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/03(水) 12:01:21.47wTFWIvP10 (1/1)

3


507以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/03(水) 12:26:40.5234u+wePqo (1/1)

今さら一周目見たけど悲惨だったんだな
樹の周が恵まれてたんだなって思うくらいに友奈が可哀想だった

あれが九尾の協力がない世界線だろうか


508以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/03(水) 15:14:18.40EktnFUreO (1/1)

一周目って二周目以降と違って久遠家が大赦と無関係な一般市民だったり
のわゆ連載前というのもあって300年前のことには特に触れられなかったりで結構雰囲気違うんだよな

個人的に二周目以降は原作や一周目での悲劇からの救いの物語だと思ってる


509以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/03(水) 21:05:48.40usuCMMF9O (1/1)

>>508
巫女の家系だったけど神様の信仰を止めたって設定じゃなかった?
天乃って名前を決めた先祖=陽乃
親類縁者消されて信仰止めたのかと…


510 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/03(水) 22:24:50.38LCZlW3uyo (1/7)


では、少しだけすすめていきます


511以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/03(水) 22:27:09.21fKHzuMbxO (1/2)

ういーす


512 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/03(水) 22:57:49.71LCZlW3uyo (2/7)


天乃「それが貴女にとって重要な話というのは、わかったわ」

天乃はそこまで言いながら、

けれど。と、続けるのを躊躇い言葉を飲み込む

なぜ自分にいうのかと疑問があった

その相談は自分よりもまず、両親や警察にはしなかったのか。と

けれど、しなかったはずがないのだ

体を震わせるほどに怯えているのに

だれかの視線を感じることを、誰にも言わないなんてことは……

天乃「今日も感じる? 今は?」

だから、天乃は問う

依頼を受けるのか否か

それの応答よりもまず、女子生徒の気持ちを和らげるために


513 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/03(水) 23:09:52.66LCZlW3uyo (3/7)


「今は、平気です……」

天乃「……そう」

視線は感じないけれど

精神的には全く平気ではなさそうだ。と

天乃は小さく息をつく

――しかも。今日も感じるか。という質問に『今は』なんて答えるんだから……

正直言って、名前もクラスも何も知らない無関係に等しい他人ではあるが

それでも、心配しないことは出来ないし

放っておくことも出来はしない

恐らくは、もうすでに放って置かれているからだ

天乃「…………」

慎重に聞いていかないと

女の子に嫌な記憶をフラッシュバックさせる危険性もある

……さて



1、手を握る
2、抱きしめる
3、ほかのみんなを待つ
4、ここに来るまではどうだった?
5、いつごろ感じるの?

↓2


514以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/03(水) 23:12:02.53fKHzuMbxO (2/2)

5


515以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/03(水) 23:13:07.63npwwaP2R0 (1/1)

3


516 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/03(水) 23:28:04.05LCZlW3uyo (4/7)


天乃「結構深刻なことみたいだし、みんなを待ってから話を進めましょ」

「で、でも……私」

天乃「私はこんな有様だから。必要だとしてもボディガードはしてあげられないから」

女子生徒はほかの人にも聞かれる。というのがあまり好ましくなさそうではあったが

天乃の言い分は正しく、「そうですよね……」と、頷く

天乃以前の相談相手になんて言われたのかは分からない

けれども少なくとも、あまり気持ちのいい思いはしなかったのだろう

天乃「……ごめんね。こんな体じゃなければ。私だけで聞いてあげられるんだけど」

「いえ……」

女の子は悲しげに笑みを浮かべると

小さく首を振って、自分の手を握り締める

「真剣に聞いてくれるだけで、私はすごく嬉しいです」

天乃「前は真剣に聞いてもらえなかったの?」

「……道徳教育の行き届いてる現代で、そんな不気味な人がいるとは思えない。気のせいだよ。と」

気のせいだよ。というのは女の子が優しく言い直したもので

実際には……と言ってもそのままの言葉ではないけれども【自意識過剰なんじゃないか?】というのに近い言葉を返された

何の被害もないから。何も起きていないから

一緒にいた友人が何も感じてないといったから

だからかもしれない。けれど、それは少女にとって不快にほかならなかった


517 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/03(水) 23:33:40.65LCZlW3uyo (5/7)


01~10 風
11~20 全員
21~30 友奈
31~40 
41~50 樹
51~60 友奈・東郷・夏凜
61~70 夏凜
71~80 
81~90 東郷
91~00 風・樹

↓1のコンマ  


518以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/03(水) 23:38:22.25taB0kIN5o (1/1)




519 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/03(水) 23:50:20.29LCZlW3uyo (6/7)


少し待ってみたものの

友奈「おはよございまー……あれっ?」

「ゆ、結城さん」

来たのは友奈一人だけだった

友奈「えーっと……隣のクラス。だよね?」

「うん。よく知ってるね」

友奈「えへへー、時々見かけてたからね」

じゃぁ見ていたのは友奈なのか

なるほど、ストーカーは友奈で決まりね。と

頭の中でふざけて、息をつく

そんな冗談を考えている場合ではないからだ

天乃「友奈、夏凜達は?」

友奈「ちょっと用事があって遅れるらしいです。風先輩と樹ちゃんもですか?」

天乃「二人はわからないけど、来てないのは確かだわ」


520 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/03(水) 23:56:51.04LCZlW3uyo (7/7)


日直とかではなかったし

なにか用事があるとも聞いてない

とすると、樹を迎えに行った際に

保護者として呼ばれたと考えるのが妥当だとうだろうか

いずれにしても

天乃「困ったわね……」

友奈「何かあったんですか?」

天乃「ええ、まぁ」

ちらっと女子生徒に目を向ける

天乃の瞳に映った女の子は気まずそうに首を振るが

運良く、友奈にそれは見えていない

友奈「あっ、もしかして私。相談のお話の時に来ちゃった?」

「う、ううん。そうじゃないんだけど……」



1、友奈にも聞いてもらいましょ
2、どうやら、だれかの視線を感じるみたいなの
3、ねぇ友奈。今日はこの3人で帰らない?
4、大丈夫よ。特に話はないわ
5、あぁ、実は女の子同士の恋のお話をしていたのよ


↓2


521以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/04(木) 00:05:11.02m3It4v4do (1/1)




522以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/04(木) 00:05:20.68RRkI5el3o (1/1)




523 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/04(木) 00:07:30.44dPmYSysno (1/9)


では、ここまでとさせていただきます
あすもできれば似たような時間から



……その後、相談者の姿を見た者はいなかった


524以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/04(木) 00:16:29.757+PPSGlpO (1/1)


選択肢を間違えてそう


525以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/04(木) 02:40:32.605FLwrmNwO (1/1)


友奈ちゃんが暴走しませんように…


526以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/04(木) 12:31:57.58+Wea9JkhO (1/1)

魅了の力等の問題こそあるけど大赦やバーテックスが絡まないと本当に平和だなあ

そのうち今周でののわゆ時代やわすゆ時代の過去とか勇者部結成時の話も見てみたいな


527以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/04(木) 20:44:13.85clr43MrrO (1/1)

設定資料集が加筆されたけど…なにこれ
兄も姉も安価で決めたはずじゃ無いのか?


528以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/04(木) 21:14:51.00REr9lSxtO (1/1)

今回は特に気合いが入っているように見受けられる、是非とも期待したい

…ただ影薄いけどたまには獺のことも思い出してやって下さい


529以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/04(木) 21:49:41.22S4TVxms+0 (1/1)

なんで友奈に言えないような相談を勇者部に持ち込んでるの


530 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/04(木) 22:24:49.56dPmYSysno (2/9)


では、少しだけ進めていきます


531以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/04(木) 22:28:25.02uhkgR8mFO (1/2)

まかせろ


532 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/04(木) 22:34:46.79dPmYSysno (3/9)


天乃「…………」

友奈でも。というのは失礼な言い方だが、

少なくとも天乃よりはボディガードとして機能することができるはずだ

それは女の子もわかっているはずだ

けれど、その上で首を振るのだから……それなりの理由があるということなのだろうか

天乃「実はね、友奈」

友奈「はい?」

ニヤリと笑う。いつも通りでいい

変に誤魔化そうとするのではなく、純情無垢な友奈をからかうことだけを。念頭に

天乃「女の子同士の恋のお話をしていたのよ」

友奈「お、女の子同士……ですかっ?」

友奈は驚いて言うと、天乃と同級生の女の子を見て

顔を真っ赤にする

恋。という単語に憧れ、多少なりとも知識が備わってしまっていたからだ

というのも。言うまでもなく先日の魅了の件からより深く備えてしまったわけだが


533 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/04(木) 22:49:25.79dPmYSysno (4/9)


「ち、違うよ結城さん。私と先輩がって話じゃないからねっ!」

友奈に触発されてか、顔を赤くした女子生徒は

いきり立って否定する。元々、そんな話なんていなかったのだけれど

ノリがいいのか、それとも本気で友奈が信じると困ると思ったのか……

天乃「友奈の意見も聞きたいわ」

友奈「わ、私の……意見……」

若干どもりつつも、友奈はじっと私を見る

私や東郷よりも健康的な肌は今や赤く

髪も瞳も赤いそれはまるでひとつの炎のようで

友奈「私は、そ、その人たちが良いならいいのかなー……なんて……」

他人任せの玉虫色

そんな答えを返した友奈の目はどこかを向く

「結城さんって、女の子同士でも平気なんだ……」

友奈「へ、えっ、うーん……実はまだそういうこと経験ないから。よくわからないんだよね」

女子生徒の不意をついた問いに慌てる友奈は

えへへ。と、笑いながら頭に手を当ててそう言った


534 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/04(木) 23:01:00.85dPmYSysno (5/9)


「そっか、そうだよね」

友奈「安心されると、なんだか悲しいかも……」

女子生徒の安堵の息に、友奈はションボリとつぶやく

けれど実際、仕方がないことだとは思う

もちろん、友奈に恋愛感情を持って欲しくないとか

友奈には相手なんて居て欲しくないとか

そういう束縛感情があるわけではないけれど

「あはは。ごめんね」

友奈「ううん、東郷さんにもまだ早いって言われちゃったし。先を急ぎすぎた。みたいな感じになっちゃうのかも」

友奈はまだまだこのままでいてくれると嬉しいな。とは思う

恋を知ったら可愛げがなくなるなんてことは一切ないが。こういう方面でのからかいがしにくくなるから

――なんて。言えるわけがないのだけど

「でも、その点。久遠先輩は恋愛経験が豊富で付き合った男の人は星の数。なんですよね」

天乃「えっ?」

「え?」

天乃「私、どれだけ男の子との失恋繰り返してるのよ。それ」


535 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/04(木) 23:15:10.08dPmYSysno (6/9)


驚きをすぐに飲み込み、冷静に一言

呆然とした表情からさーっと血の気が引いていく女子生徒を見つめるのをやめて

オレンジ色の外を見る

「ご、ごめんなさい!」

すると、すぐに謝罪が轟いた。耳に。頭に

誰から聞いたのかはわからないけれど

そもそも主題がこんな話ではなかったのだけれど

勘違いしていたことに対して私が本気で怒っているとでも思ったのかもしれない

「すみません……」

ちらりと目を向けると、女の子は頭を下げていた

そこまで気にする必要もないのに

そもそも、恋愛相談を請け負っている時点で

それなりに経験豊富な女として見られてしまうことくらいは想定済みだった

それでも、星の数というのはあまり穏やかではないけれど

それは普通の子は知らないことなのだから……目くじらを立てる理由にはなりえない


536 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/04(木) 23:30:27.82dPmYSysno (7/9)


友奈「そんな噂聞いたことないけど……」

「結城さんは久遠先輩と近しい人だからじゃないかな」

そういった女の子は、割と有名な話なんだよ。と続けたが

すぐにそれでもすみませんでした。と、謝罪する

天乃「有名。ね」

なんの気もなく呟いただけだったのだが

女の子はびくりと体を震わせる

そこまで怖い思いをさせるつもりはないのだが……しかし

天乃「友奈」

友奈「へっ?」

天乃「その子の手を握ってあげて」

友奈「手を……?」

唐突な申し出ではあったが、友奈は震える女の子の手をぎゅっと握り締める

女子生徒は何も言わずに握ってきた手の主、友奈の腹部のあたりに頭を押し付けるように――否

それで目を隠すために、顔を押し付ける

天乃「……たしかに。これは不気味かも知れないわ」


537 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/04(木) 23:43:09.01dPmYSysno (8/9)


おもむろにつぶやいて、辺りを見渡す

天乃「……………」

視線を感じる。けれど、見渡してもなんの姿も見えない

ただただ。視線だけを感じる

じーっと、何かがこちらを見ている気配だけを感じ――

九尾「ジーッ」

天乃「……なに、してるのよ」

壁際にある床に面した小さな引き戸の隙間から覗く精霊を睨みつけると

女性体のまま普通にドアから入ってきた九尾は

女の子の頭を軽く叩いて、目を向けさせると、笑みを浮かべる

「先生……」

九尾「案ずるな。妾はしかと聞いておったからな」

普段出入りする際の設定を活かして、九尾は女の子を抱いて私を見る

その瞳はいつもの茶化すものでも愉しむものでもなく

不愉快さの滲みでるものだった

九尾「少し。厄介やも知れぬぞ。主様」

彼女の……九尾のいう厄介なこと。というのは冗談か大問題かの二つに一つ

この場合は明らかに、後者だった


538 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/04(木) 23:45:28.07dPmYSysno (9/9)


では、此処までとさせて頂きます
あすもできれば通常時間から



九尾「【ヤツ】が来た」

天乃「やつ?」

九尾「それは――」

「お兄ちゃんだぞーっ!」ダダダダダダダッ

天乃「きゃあぁぁぁぁぁぁっ」


539以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/04(木) 23:50:53.03uhkgR8mFO (2/2)


九尾が言う厄介とは新たな事件か、それともマジで兄貴か…


540以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/04(木) 23:57:59.19vs5jdWUy0 (1/1)

変質者かお兄ちゃんか
第3の選択肢
実はこの女の子も勇者の末裔で大赦の見張りが付くようになった

とか
ないな


541以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/05(金) 07:25:33.36nndYOTIyO (1/1)


久遠さんといちゃラブの夢見た
久遠さんマジ可愛い
久遠さんは愛して欲しいし愛されて欲しい


542以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/05(金) 15:35:01.905E7bIO6Go (1/1)

久遠さんは可愛いよ照れてる時なんか特に
絵が描けたら描きたいくらいに
明らかに移動したせいで人減ったよなぁ…


543以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/05(金) 20:58:42.054x6al01P0 (1/1)

1のおかげで描き始めた
わかりにくいけど,描きかけ久遠ttp://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira115196.jpg


544 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/05(金) 22:11:32.58g9jEP7dOo (1/6)


では、本日も進めていきます
wikiに関しては随時更新していきます


>>543
ありがとうございます。励みになります


545以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします2016/08/05(金) 22:15:32.23X1+zS2KpO (1/3)

来てた
絵こそ描けないけど応援してるよ


546 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/05(金) 22:41:56.34g9jEP7dOo (2/6)


天乃「……そう」

九尾が抱きしめている女の子は

そのぬくもりに安心してしまったらしく、静かな寝息を立て始めて

友奈「厄介なこと。ですか?」

タイミングを見計らったように、友奈が口を開く

九尾「うむ……と言っても。友奈に出来ることはないと思うがのう」

天乃「でも。私にはできるって?」

そう問いかけると、九尾は少し複雑そうに頷く

私がなんの迷いもなくそう聞いたのが不服だったらしい

真面目なのか不真面目なのか。と悪態をつくと

九尾は腕の中の女子生徒を椅子に戻して

九尾「主様の言う通りじゃ。といっても樹海関係ではない」

天乃「違うの?」

九尾「うむ。この娘の関係じゃ」


547 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/05(金) 23:03:56.01g9jEP7dOo (3/6)


九尾が言うには、女子生徒が言うように

彼女のことをずっと見ている存在がいるらしい

昼夜問わず、場所も問わず

朝起きてから、朝目を覚ますまで。つまり、一日中見ている何かが。

友奈がゴクリと息を呑む

嫌に大きく聞こえたそれを耳に受けて、九尾を見ると

九尾は私を見ていた

九尾「この娘、あまり良くないものに憑かれておる。何かやらかしおったのじゃろうが……」

天乃「良くないもの……詳しくはわからないの?」

九尾「近づく前に逃げられたからのう。なかなか手ごわいやつじゃ」

そう言いつつ、もっとも。と九尾は付け加えて

九尾「妾に気づく嗅覚といい、おそらくは動物関係じゃな」

現時点でわかっている事を告げる

あとは女の子に聞くしかなさそうだけれど……

天乃「貴女に気づくとなると、難しいんじゃない?」

九尾「黄泉の者の手を借りれば良い。やつならば、憑き物を導くことなど造作もあるまい」


548 ◆QhFDI08WfRWv2016/08/05(金) 23:20:07.95g9jEP7dOo (4/6)


とは言うものの

九尾に気づき、九尾が厄介と言ったり、良くないもの。という時点で

それが創刊帯に退治できるようなものでもなさそうだとは思う

外からの光がだんだんと傾き

影が伸び始める

すると、やはり。どこからともなく威嚇するような視線を感じた

まるで、そう

九尾「貴様の獲物ではない。とでも言いたげじゃな」

九尾の目はどこかを見る

追って目を向けた先、暗くなりつつ窓の付近に何かがいるのが見えたが

一瞬にして、霧散する

九尾「少なくとも、主様には叶わぬと判断したか」

天乃「あら。それって私のほうがあなたより強いってこと?」

九尾「くふふっ。寝ぼけたことを……そんなことは言うまでもなかろう」

九尾が見せた笑は

それがどちらの意味であるかをはっきりとさせることはなかった