544以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/31(土) 19:22:13.06UiylzhEJO (35/46)


僧侶「きっとお前のお陰だよ、勇者」

僧侶「仲間が出来たことも大きいけどさ……」

僧侶「変わっていくお前を見て、お前に愛してると言われて……変わったんだ」

僧侶「それに、もう逃げたくねえからな」

勇者「…………」ギュッ

僧侶「どうした?」

勇者「僧侶、死んでもいいと思ってる」



545以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/31(土) 19:23:29.26UiylzhEJO (36/46)


僧侶「!!」

勇者「それはダメだよ、そんなのは嫌だ……」

勇者「みんなはそうならない為に一生懸命考えてるんだよ?」

勇者「僧侶のことが大切だから、何とかしようとしてるんだよ?」

僧侶「……勇者…」

勇者「みんなが僧侶の力になってるなら、その反対もある」

勇者「僧侶だってみんなの力になってる。それだけは忘れないで」



546以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/31(土) 19:24:16.68UiylzhEJO (37/46)


僧侶「ああ、絶対に忘れない。ありがとう」ギュッ

勇者「……うん…」

僧侶「泣くな、もう大丈夫だから……」

勇者「ねえ…」

僧侶「ん?」

勇者「一緒に寝てもいい?」

僧侶「……ああ」



547以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/31(土) 19:25:07.67UiylzhEJO (38/46)


モゾモゾ…

勇者「こんなに近くで寝るのは久しぶりだね?テント以来かもしれない」

僧侶「そうかもな……」

勇者「……僧侶は、僕が見える?」

僧侶「見える、見えなくても見える」

勇者「へへっ…僕は僧侶の中にいる?」

僧侶「ああ、いつでもいる。どんな時でもな」

勇者「うん、僕も一緒……」



548以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/31(土) 19:28:11.55UiylzhEJO (39/46)


僧侶「……勇者、大事な話しがある」

勇者「うん、話して?」

僧侶「オレは裁きを終わらせようと思う」

勇者「それはどういうこと?」

僧侶「神に創造された龍によって、裁きはこれまで幾度も繰り返されてきた」

僧侶「数え切れない人々、数え切れない異種族が死んでいったはずだ……」

僧侶「この悲しい繰り返しを二度と起こさない為に……」

勇者「大丈夫、言って?ちゃんと聞くから」

僧侶「……オレは、神を終わらせるつもりだ」



549以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/31(土) 22:19:37.26UiylzhEJO (40/46)


>>>>

僧侶が職人へ依頼してから三日後……

西の山村には僧侶、エルフとその娘、そして警備兵の姿があった。

僧侶は風龍と話す為、エルフと警備兵は都の実情を知ってもらうべくやって来た。

少しばかりでも僧侶の負担を軽減する為に……


『エルフとドワーフ』

敵対とは言わないまでも両者は決して友好な関係ではない。



550以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/31(土) 22:20:19.66UiylzhEJO (41/46)


しかし村の人間と警備兵が間に入ることで話し合いは円滑に進んだ。

娘が貴族に監禁されていた事実を知ると泣き出すドワーフさえいた。

そんな悲劇が二度と起きぬよう都へ来てくれないか……

それがエルフからの願い。

加えてオークが再びやってくる可能性もある。

明け方に始まった両者の話し合いは夜更けまで続いた。

一方、僧侶は……



551以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/31(土) 22:21:00.73UiylzhEJO (42/46)


風龍「それは本気で言ってるのかな?」

僧侶「ああ、本気だ」

風龍「私が力を戻せばどうなるか分からないよ?他の三龍に牙を剥くかもしれない」

僧侶「それを承知で頼んでる。あんたが必要なんだ」

風龍「……そんな風に言われたら断れないね、君の為ならそうしようじゃないか」

僧侶「すまないな、折角力を封じたってのにこんなこと頼んじまって……」



552以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/31(土) 22:22:35.26UiylzhEJO (43/46)


風龍「いいんだ、君の選択は間違ってない」

風龍「まあ、こんな感情を得たから言えることだろうけどね」

風龍「でも何だって急にこんなことを?これは流石に予想してなかったよ」

僧侶「急でもない、ずっと考えてたんだ。オレが神に遣わされた天使である意味……」

僧侶「オレが意図せず起こした四龍の変化……」

僧侶「それら全てに意味があるのなら、オレがやるべきは一つだけだ」



553以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/31(土) 22:23:44.33UiylzhEJO (44/46)


風龍「…………」

僧侶「どうした?」

風龍「視界を失ってから更に魅力的になったと思ってね、気を悪くしないでくれよ?」

僧侶「腹を括ったからかもな……」

風龍「……本当にいいのかい?」

僧侶「ああ、もう十分考えた」

風龍「じゃあもう一つ、一番厄介な水龍はどうするつもりなのかな?」



554以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/31(土) 22:24:44.46UiylzhEJO (45/46)


僧侶「何をしてでもどうにかする」

風龍「あっはっは!!」

風龍「そりゃいいねぇ、水龍も予想してないだろうから驚くよ」

僧侶「時が来たら頼む」

風龍「……ああ、その時を楽しみにしてるよ、この後はどうするんだい?」

僧侶「職人に用があるから工房に行ってくる」

風龍「…………」タンッ



555以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/31(土) 22:26:35.06UiylzhEJO (46/46)


僧侶「近いな、何だ?」

風龍「命を預けるんだ、これぐらいは許してくれないかな?」グイッ

僧侶「風龍、オレならいつでもくれてやる。だから今は我慢してくれないか?」

風龍「……分かったよ。しっかしずるい男だねぇ」

僧侶「ごめんな、あいつには生きて欲しいんだ」

風龍「その為に四龍を道具として利用するのかい?」

僧侶「そう取られても仕方ねえけどオレはあんたを……四龍を道具だなんて思っちゃいねえよ」

僧侶「……じゃあな」


ガチャ…バタンッ…


風龍「なる程……告発の天使、その名に違わぬ男だね」



556以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 00:29:16.28MwFkvHqUO (1/1)

だめだ眠いまた明日書く


557以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 01:11:50.27+fbQCapuo (1/1)

おう、頼むぜ


558以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 01:25:16.85fGQIUStCO (1/1)


かなり面白い


559以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 16:14:24.21O5PSpy8UO (1/1)

終わりが近いか?
バッドエンドにはなりませんように…


560以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:38:07.52Z7XQUlJuO (1/26)


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ドワーフ工房

職人「ほら、座れ…」

僧侶「悪いな」

職人「それで何の用だ?」

僧侶「少し追加して欲しくてな」

職人「追加?」

僧侶「そんなに面倒な代物じゃねえんだ。良ければ余ったもので弓矢と剣を造って欲しい」

職人「何だ、それぐらいなら簡単だ。数人と協力すればすぐに出来る」



561以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:38:44.31Z7XQUlJuO (2/26)


僧侶「……悪いな、手間掛けさせちまって」

職人「こんな大仕事をやるのは久々だからな、悪い気はしない。だから気にするな」

僧侶「よろしく頼む……なあ、あんたは会議に参加しないのか?」

職人「オレにはこの仕事があるからな、参加してる暇はない」

職人「それに結果は見えてる、都への移住は間もなく決まるはずだ」

僧侶「何だよ、随分あっさりしてるな」



562以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:39:59.24Z7XQUlJuO (3/26)


職人「あの時のお前の言葉そのままだ」

職人「今は種族だ何だと言っている場合ではない」

職人「今にもオークやら何やらが出て来るかもしれないんだからな」

職人「……お前の申し出があったから歩み寄る機会が出来たんだ」

職人「口には出さないだろうが胸を撫で下ろしてる連中も大勢いるだろう」

僧侶「……なあ、あんたはどう思う?やっていけると思うか?」



563以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:40:34.61Z7XQUlJuO (4/26)


職人「どうだろうな、我等も人間と同じだ。争う時はいつか必ず来る」

僧侶「……………」

職人「僧侶、オレも一つ訊きたい。お前は界をどうするつもりだ?」

僧侶「情けねえことにまだ悩んでる……出会った奴等は皆いい奴で今や仲間だ」

僧侶「元の界に帰りたいのは皆同じ、道具が完成すれば勿論帰してやりたいと思ってる」

僧侶「……ただ、オレ個人の気持ちとしては共にいたい。今が気に入ってるんだ」

職人「なら、この杖はお前にぴったりだな」



564以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:41:03.43Z7XQUlJuO (5/26)


僧侶「杖?」

職人「実を言うとアダマスから造った杖はもう完成してる」

僧侶「もう出来たのか!?」

職人「ああ、もうじきもう一つの道具も完成するだろう」

僧侶「鍛冶工芸に秀でてるとは聞いてたが、まさかここまでとはな……」

僧侶「あ、会議が終わるまで此処にいてもいいか?あっちは三人に任せてるんだ」



565以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:42:50.96Z7XQUlJuO (6/26)


職人「ああ、別に構わないぞ」

僧侶「……で?そのアダマスの杖がオレにぴったりってのはどういう意味だ?」

職人「引き寄せ引き離す、二つの力が宿った杖だからだ」

僧侶「引き離す?」

職人「磁力のようなものだ、くっつきもすれば反発……弾きもするだろう?」

職人「どちらの力を使うかはお前の自由だ」

僧侶「……それは帰すも帰さぬもオレ次第ってことか」

職人「そういうことだ」

職人「僧侶、お前は我等とエルフは元の界に帰りたいのではないかと言ったな?」



566以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:43:52.29Z7XQUlJuO (7/26)


僧侶「……ああ」

職人「なら問おう、彼等はそう言ったのか?」

僧侶「!!」

職人「異種族だからといって皆が帰りたいとは思っていないだろうよ」

職人「今を気に入ってるのはお前だけではないはずだ……」

僧侶「……帰ったら聞いてみるよ、ありがとな」



567以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:44:43.07Z7XQUlJuO (8/26)


職人「礼はいい。ほら、取り敢えず受け取れ」

職人「力の使い方は界や物質を強く意識すること、それだけだ」スッ

僧侶「強く意識する、か……」

僧侶「ん?思ったより重くないんだな、それに握りやすい」

職人「当たり前だ、お前の手に合わせて造ったんだからな」

職人「先程まで使っていた急作りの杖よりは格段に使いやすいはずだ」



568以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:45:15.33Z7XQUlJuO (9/26)


僧侶「手に合わせたっていつの間に

職人「そんなもの手を見ればすぐに分かる。それよりもう一つの方は誰が使う?」

僧侶「そっちは勇者にやろうと思ってる」

職人「なら呼んでくれないか、代価を受け取った以上半端な仕事はしたくない」

僧侶「今から呼ぶよ、少し待ってくれ」

職人「ん?ああ、お前は炎龍と繋がってるんだったな、早めに頼むぞ?」

僧侶「……ああ、分かったよ」



569以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:49:44.28Z7XQUlJuO (10/26)


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北東の都 小さな空き家

土龍「まだ来ねーのか、待つのは苦手なんだよな……」

勇者「…………」

土龍「何だよ、まだ悩んでんのか?」

勇者「僧侶の言ってることは分かるけど、成功するか分からないから……」

土龍「まぁ、そうだよな。『もし』失敗したら全ての界がぶっ壊れる」

土龍「『もし』成功すれば全ての界から脅威は消えて裁きは二度と訪れない」



570以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:50:35.88Z7XQUlJuO (11/26)


土龍「相手は神なんだぜ?」

土龍「こんなのは賭けみてーなもんだ、絶対なんてものはない」

勇者「……………」

土龍「けどな、僧侶は絶対に成功させるって信じてる。オレはな……」

勇者「絶対はないって言ったのに……」

土龍「ははっ、そんなのは良いんだよ。オレ達が絶対だって思えばそれは絶対になる!」

土龍「そう信じなきゃ命なんて預けらんねーだろ?」



571以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:51:29.10Z7XQUlJuO (12/26)


勇者「……土龍は死んじゃうのが怖くないの?」

土龍「ふーっ……勇者、少し長くなるけど聞いてくれ」

勇者「うん、なに?」

土龍「……オレ含め四龍は今まで生きてなかった。ただ裁きを行うだけの存在だったからな」

土龍「感情なんてもんは必要ないし、必要な時に必要なことをするだけ」

土龍「裁きに対して疑問なんて持ってなかった」

土龍「界に生きる奴等の痛み悲しみなんて考えたこともない」



572以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:52:24.52Z7XQUlJuO (13/26)


土龍「……でもな、それが僧侶に触れられて変わったんだ」

土龍「今のオレ達は本当の意味で生きてる」

土龍「オレ達は僧侶に生かされたんだ、それまでは死んでた……」

土龍「だから死ぬのなんて怖くない。怖いのはこの気持ち、心ってやつを失うことだけだ」

勇者「……………」

土龍「……なあ勇者、オマエは一体『何が』怖いんだ?」



573以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:53:24.56Z7XQUlJuO (14/26)


勇者「だって僧侶が死んじゃったら僕は

土龍「ッ、ふざけんな!!」

バチンッ!

土龍「オマエが今考えてんのは僧侶を失った自分!!それだけじゃねーか!!」

勇者「!!」

土龍「オレだって僧侶が死ぬのなんて嫌だよ……でもな!だからこそ信じるんだろ!!?」

土龍「誰かが死ぬ未来なんて考えるな!」

土龍「オレ達が考えるなきゃならねーのは皆が生きる未来だ!!」



574以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 17:54:36.00Z7XQUlJuO (15/26)


土龍「なあ!そうじゃねーのかよ!!」グスッ

勇者「土龍……」

土龍「……オマエは『勇者』だろーが……」

勇者「!!」

勇者「……土龍、ありがとう。僕はもう大丈夫だよ」

土龍「もう泣き言なんて言うなよ?僧侶の心を支えてんのはオマエなんだからな……」グスッ

勇者「うん、もう言わない。これからは僧侶が生きてる未来だけを考える」

勇者「何があっても僧侶を支える。土龍、叩いてくれてありがとう」

土龍「?」

勇者「お陰で目が覚めた、もう迷わない」



575以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 19:56:35.29wf2rXtAuo (1/1)

土龍どごーん


576以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 21:22:57.98Dc60uFZzO (1/1)

やっぱもぐらちゃんすきだわ


577以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 21:47:40.75Z7XQUlJuO (16/26)


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バサッ…バサッ…

勇者「うわぁ…星が近い、綺麗だね」

炎龍「ふふっ…ええ、そうですね。夜に飛ぶのも良いかもしれません」

勇者「今度はみんなで見たいね」

炎龍「流石に全員は乗せられませんよ?」

勇者「そっか……じゃあ帰ったらみんなで見よう」


バシュッ!


水龍「残念ながらそれは叶わない」

水龍「お前が星を見るのはこれで最後だ。凍るがいい」



578以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 21:49:30.63Z7XQUlJuO (17/26)


炎龍「!!?」

水龍「まさか来るとは思わなかったか?私はこの時をずっと待っていたよ」

水龍「炎龍土龍と戦うことなく勇者のみを殺せるこの時を……」

水龍「ははっ、それが界を裁く龍の背だとは滑稽な話しじゃないか。なあ炎龍?そうは思わないか?」

炎龍「黙れッ!!」

炎龍「勇者?勇者!!返事をして下さい!!」

水龍「現実を受け入れろ、死体に呼び掛けても何も返って来ないぞ?」

水龍「龍を殺せる程の力を持っていても不死ではない、凍らせてしまえばそこまでだ」



579以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 21:59:05.08Z7XQUlJuO (18/26)


水龍「ふふっ…はははっ!!」

水龍「嗚呼……ずっと……ずっとずっとこの時を待っていたんだ!!」

水龍「この女を殺せる時を待ち続けていたよ!!」

炎龍「ッ!!貴方は何故!何故こんなことが出来るのですか!!」

水龍「憎いからに決まっているだろう?僧侶の傍らにいるこの女がな!!」

水龍「……どうした?」

水龍「振り落とすならそうするがいい、勇者が砕け散って死ぬだけだ」

炎龍「……………」

水龍「まあ、私が砕けば済む話しだがな……」スッ



580以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 22:01:38.64Z7XQUlJuO (19/26)


バキンッ!

炎龍「ッ!!」

水龍「まずは右腕から、僧侶を抱きしめた腕からだ……」

水龍「さて、次はどうしてやろうか」

炎龍「止めろッ!!」

水龍「……炎を出そうとした瞬間蹴り砕く、馬鹿な真似は止せ」

炎龍「…………」

水龍「それでいい……」

水龍「ふふっ、これで僧侶は私を憎む。私を殺すことだけを考える」



581以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 22:34:04.76Z7XQUlJuO (20/26)


水龍「その憎しみ、想いを、愛を一身に受ける……」

水龍「憎みながらも私を欲して界を滅ぼすべく一つに

炎龍「残念ながら、それは叶いません」

水龍「……何?」

炎龍「すぐに分かりますよ」

ズズッ…ズズズ…

水龍「何だ、これ…は……まさ

炎龍「ええ、どうやら完成していたようですね。私も『今』知らされました」

水龍「・がりを僧侶に任せ… 

炎龍「ご存知でしょうが向こうには風龍がいます、お気を付けて」



582以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 22:36:31.37Z7XQUlJuO (21/26)


水龍「その憎しみ、想いを、愛を一身に受ける……」

水龍「憎みながらも私を欲して界を滅ぼすべく一つに

炎龍「残念ながら、それは叶いません」

水龍「……何?」

炎龍「すぐに分かりますよ」


ズズッ…ズズズ…


水龍「何だ、これ…は……まさ

炎龍「ええ、どうやら完成していたようですね。私も『今』知らされました」

水龍「繋がりを僧侶に任せ… 

炎龍「ご存知でしょうが向こうには風龍がいます、お気を付けて」



583以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 23:15:06.15Z7XQUlJuO (22/26)


水龍「嘗め…るな……よ」ズリズリ

ガシッ…メキッ!

炎龍「なッ!!」

水龍「左目、次は左…脚…

バシュッ!

風龍「悪いねぇ、そうはさせないよ」ガシッ

水龍「ッ!!」

水龍「風龍!何故お前が此処にいる!!力は封じたはずだ!!」



584以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 23:16:16.50Z7XQUlJuO (23/26)


風龍「喚くな」

水龍「!!?」ゾクッ

風龍「あっはっは!!悪いねぇ、先に僧侶と繋がらせてもらったよ」ニコッ

風龍「さて、どうしてやろうかねぇ」グイッ

水龍「ッ!!」

風龍「勇者は憎い、確かに憎い……だけど僧侶にあんな顔させる君の方が憎いよ」


ゴギンッ!


水龍「がっ…」



585以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 23:22:06.08Z7XQUlJuO (24/26)


風龍「あっはっは!!」

風龍「君は本当に馬鹿な奴だね、愛を独り占めしようとするなんてさぁ!!」

水龍「ッ!?」

風龍「私は君が勇者を襲ってくれたお陰で僧侶と繋がれた、ありがとう」ニコッ

水龍「お前、分かってて…」 

風龍「ああそうさ、待ってたよ。君が勇者を襲撃するこの時をね」

風龍「そうなれば僧侶も私を頼らざるを得ない!!最高の気分だよ……」

風龍「でも勇者を殺したら嫌われちゃうからねぇ、ある程度君にやってもらってすっきりしたよ」

炎龍「(負けず劣らず狂ってますね……)」
   
風龍「聞こえてるよ炎龍、愛は人を……龍さえも狂わせる。憶えときな」



586以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 23:42:04.69Z7XQUlJuO (25/26)


水龍「……僧侶に…最後に僧侶に会わせてくれ、頼む……」

風龍「ああ良いよ?界に逃げられちゃ困るからね」

風龍「それに冷凍された勇者を解凍しなきゃならないしねぇ」

風龍「でもその前に……」スッ

水龍「!!」


ずぶ…


風龍「君に僧侶を見る権利はない、会わせてやるだけ有難く思いな」

風龍「君は僧侶の糧になるんだ、幸せだろ?」

水龍「ふっ…ふふっ、一つになれるのなら、それでいい」



587以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/01(日) 23:46:07.74Z7XQUlJuO (26/26)

中途半端だけどまた明日書く寝る


588以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 02:50:28.99ec/fHWvro (1/1)

龍ちゃんて読んだらみんな振り返るんかな


589以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 08:47:35.40ViNOSrW8O (1/1)


風龍「……全く、何だってこんな歪んだ心を持ってしまったんだろうね」

風龍「僧侶を愛しているのは変わらないのにさ」

炎龍「……………」

水龍「これが僧侶の憎しみによって芽生えた感情だとしても、私は僧侶を愛している」

水龍「風龍、お前は違うのか後悔しているか?」

風龍「するわけがないだろう?醜いと狂っていると言われようと後悔はない」

水龍「……ふふっ…『同族』であるお前の口からそれを聞けて良かった」

風龍「そうかい……炎龍、私は水龍を連れて先に行ってるよ」

風龍「このままじゃ勇者を壊してしまいそうだからね……」

炎龍「……分かりました」



590以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 10:03:12.93dPxJ1KVpO (1/5)


>>>>

西の山村 神様の部屋

バシュッ!

風龍「待たせたね、連れて来たよ」

風龍「勇者は右腕と左目を失ったが死んじゃいない。もうじき来るだろう」

僧侶「……そうか、助かった。ありがとう」

水龍「ふふっ、その声を聞くのも久しぶりだな。お前の顔を見られないのが残念でならない」

僧侶「……水龍」

水龍「何だ、随分と悲しそうな声だな。あの時は怒鳴り散らしたというのに……」

僧侶「……あの時とは違う、色々と分かったこともあるからな」



591以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 10:03:48.67dPxJ1KVpO (2/5)


僧侶「なあ、水龍」

水龍「何だ……」

僧侶「四龍に心を与えたのがオレだというのなら……お前をそうしたのもオレなんだ」

水龍「…………」

僧侶「お前を狂わせたのはオレの内側……奥底にあるどうしようもない怒りや憎しみ」

僧侶「それはオレのもんなんだ。だから、お前はもう何も憎まなくていい」スッ

水龍「えっ?」

シュゥゥゥ…



592以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 10:07:19.44dPxJ1KVpO (3/5)


水龍「お前、何を……」

僧侶「見たかったんだろ?こんな顔で良かったら見せてやるよ」

水龍「ふふっ…最期にお前の顔を見れて良かったよ。前よりも良い顔になったじゃないか」

水龍「もう…満足だ……それに、少し疲れた…」

僧侶「……後はオレの中で寝てろ、頼むから暴れないでくれよ?」

水龍「寝心地が良ければ暴れはしないさ。さあ僧侶、私を…受け入れろ」グイッ

僧侶「……ああ…じゃあな、水龍」ギュッ

ズズズ…カッ!



593以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 10:09:22.09dPxJ1KVpO (4/5)


風龍「……終わったね」

風龍「さて、水龍は入ったし次は私の番かな?」

風龍「さっさと頼むよ?このままじゃ何するか分からないからね」グイッ

僧侶「……勇者を助けてくれて……耐えてくれてありがとう」

風龍「大丈夫、気持ちは十分伝わってるよ……」

僧侶「……………」

風龍「どうした?怖いのかい?」



594以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 10:12:33.40dPxJ1KVpO (5/5)


僧侶「もう後戻りは出来ない、覚悟してたけど少し

ギュッ…

風龍「しっかりしな、君は四龍を統べる裁きの者……告発の天使であり反逆者だ」

僧侶「……ああ、分かってる」

風龍「あっはっは!こんなに良い女に愛されてるんだ、嬉しいだろ?」

風龍「まっ、私の他にも良い女がいるようだけどね……」

僧侶「ははっ、そうだな……」

僧侶「こんなに沢山の女に愛されるなんて人生に一度きりだろうよ」

風龍「……さあ、もう覚悟は出来たかな?」

僧侶「ああ、もう大丈夫だ」

風龍「じゃあ、さよならだ……君のことは内側からずっと見ているよ」スッ

ズズズ…カッ!



595以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 14:53:24.01o3uTYn89O (1/2)

乙!


596以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 18:08:47.46LkQGK92hO (1/32)


僧侶「炎龍、もう入っていいぞ」

炎龍「……終わったのですか?」

僧侶「ああ、終わった。勇者は凍ったままか?」

炎龍「はい、僧侶様の指示通りそのままに……しかし出来るのですか?」

僧侶「そんなことはいい、勇者をオレの傍に寝かせてくれ」

炎龍「……分かりました」

僧侶「右腕と左目だったよな……ここか……」スッ



597以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 18:09:38.35LkQGK92hO (2/32)


僧侶「砕かれた破片を意識して、元ある場所に…引き寄せる……」

ズズズ…

炎龍「……!!…破片が…」

僧侶「ふーっ…この状態で治癒すれば形は元に戻る」スッ


シュゥゥゥ…


僧侶「後は炎龍が氷を溶かした後でもう一度治癒すれば終わりだ」

僧侶「炎龍、やってくれ」

炎龍「ですが僧侶様の手が……」



598以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 18:10:14.06LkQGK92hO (3/32)


僧侶「手を離したら状態把握が出来ねえんだ」

僧侶「このままでいい、やってくれ……頼む……」

炎龍「……っ…分かりました」スッ

ボゥッ…

僧侶「ッ…待ってろ。今、助けるからな……」スッ

シュゥゥゥ…

僧侶「はぁっ…はぁっ…出来たか?勇者の体はどうなってる?」

炎龍「傷は完全に治癒しました……しかしまだ気を失っているようです」



599以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 18:10:51.14LkQGK92hO (4/32)


僧侶「そうか、良かった…」

炎龍「僧侶様、手が……」

僧侶「大丈夫だ、すぐに治す。ありがとな」

炎龍「いえ、そもそも私の不注意で勇者は

僧侶「もう終わったことだ、誰も責めはしない。だから気をすんな」

僧侶「それでも納得出来ないなら後で勇者と話せばいい」

僧侶「……きっと勇者も同じことを言うはずだ」



600以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 18:11:35.87LkQGK92hO (5/32)


炎龍「……僧侶様、私は勇者が羨ましいです」

僧侶「何だよ急に」

炎龍「私は勇者のようにはなれませんか?」

炎龍「貴方の支えにはなれませんか?」グスッ

僧侶「……炎龍」

炎龍「私は貴方が好きです、貴方にも好きだと言って欲しいです」

炎龍「それが叶わないとしても、私は貴方に愛されたい……」



601以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 18:12:38.06LkQGK92hO (6/32)


僧侶「ありがとな。でも、その気持ちには応えられねえ」
 
炎龍「……やはり勇者を愛しているのですか?」

僧侶「いや、きっと土龍の気持ちにも勇者の気持ちにも応えられない……」

炎龍「えっ?」

僧侶「お前はオレが勇者を愛してるように言うが、オレにとってはそうじゃねえんだ」

僧侶「何て言ったらいいか分かんねえけど、勇者はそういう存在じゃない」

僧侶「炎龍、お前は前に言ったよな?勇者は希望の子だと……」



602以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 18:15:26.66LkQGK92hO (7/32)


炎龍「僧侶様、私は勇者が羨ましいです」

僧侶「何だよ急に」

炎龍「私は勇者のようにはなれませんか?貴方の支えにはなれませんか?」グスッ

僧侶「……炎龍」

炎龍「私は貴方が好きです、貴方にも好きだと言って欲しいです」

炎龍「叶わないと分かっていても、私は貴方に愛されたい……」



603以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 18:16:25.87LkQGK92hO (8/32)


僧侶「ありがとな?でも、その気持ちには応えられねえ」
 
炎龍「……やはり勇者を愛しているのですか?」

僧侶「いや、きっと土龍の気持ちにも勇者の気持ちにも応えられない……」

炎龍「えっ?」

僧侶「お前はオレが勇者を愛してるように言うが、オレにとってはそうじゃねえんだ」

僧侶「何て言ったらいいか分かんねえけど、勇者はそういう存在じゃない」

僧侶「炎龍、お前は前に言ったよな?勇者は希望の子だと……」



604以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 18:17:13.07LkQGK92hO (9/32)


僧侶「オレもとってもそんな感じだ」

僧侶「こいつには何としても生きて欲しい、それだけだ」

僧侶「その為なら何だってする……」

僧侶「それを愛だと言われりゃあそうかもしれねえけど、どうなんだろうな?」

炎龍「ふふっ、それは私にも分かりませんよ」

僧侶「わ、笑うなよな、人が真剣に答えてんのに……」

炎龍「ごめんなさい、そんなに困った顔は初めて見たので……」

炎龍「でも何だか楽になりました。私はもう平気です」



605以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 18:18:04.86LkQGK92hO (10/32)


僧侶「女ってころころ変わるんだな……オレにはお前が分かんねえよ」

炎龍「それでいいんです、私は納得出来ましたから」ウン

僧侶「ふーん、ならいいけどさ。あ、もう泣くなよ?」

炎龍「なっ、私は泣いてません!」

僧侶「ははっ、分かった分かった」

僧侶「取り敢えず勇者が目を覚ますまでオレ達も休もうぜ?」

炎龍「(僧侶様、私は貴方を愛しています……)」

炎龍「(心の中で想うだけ、それだけは許して下さい)」



606以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 18:22:24.48LkQGK92hO (11/32)

台詞ミスして重複、申し訳ない。
終わりは見えてきたけど、多分もう少し先になると思います。


607以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 19:13:27.57o3uTYn89O (2/2)

乙!


608以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 19:52:03.36qV00NQY7o (1/1)

おつおつ


609以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 21:11:06.04LkQGK92hO (12/32)


>>>>

ドワーフ工房

職人「どうだ?」

勇者「うん、凄くいい、ぴったり」

僧侶「じゃあ行こう。もう夜も更けた、向こうもそろそろ終わっただろ」

職人「ああ、それなんだが……」

僧侶「ん?」

職人「お前がいない間に報せが来てな、都への移住が決定したようだ」



610以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 21:12:05.26LkQGK92hO (13/32)


僧侶「そうか、そりゃ良かった……」

僧侶「取り敢えず一旦都に帰って明日からのことを話し合ってみるよ」

僧侶「界に戻るかどうかも含めて……」

職人「そうしろ、話すなら早い方がいいからな」

僧侶「色々と世話になったな、ありがとよ」

職人「……都に移ったら頼むぞ」

僧侶「!!」

僧侶「ああ、勿論だ」



611以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 21:13:17.66LkQGK92hO (14/32)


>>>>

古風な屋敷

エルフ「……界に戻るか否か」

警備兵「…………」

僧侶「ああ、どの界にいても危険なのは変わらねえが人界よりは安全だろ?」

僧侶「思ったより早く杖も剣も完成した、戻るなら今からでも

エルフ「いや、我々は残る。ドワーフも残るそうだ」

僧侶「……いいのか?」

エルフ「赤ん坊を残して戻るわけには行かないからな……何より見届けたいのだ」



612以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 21:14:34.67LkQGK92hO (15/32)


僧侶「……それは」

エルフ「ああ、界の行く末を見届ける。我々もドワーフもな……」

僧侶「ドワーフにも話したのか?」

警備兵「ああ、話した」

警備兵「一人の人間が界の在り方を決めるのか、そんなことは間違っている」

警備兵「散々に言われた……」

警備兵「しかし人界に住む全ての者に意見を聞いている暇はない……」



613以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 21:17:34.33LkQGK92hO (16/32)


エルフ「何より子供達の未来を掴みたくはないのか?」

エルフ「このまま滅びを待つつもりか?」

エルフ「この言葉で皆が同意した。脅しのようになってしまったが、これは事実だ」

警備兵「……そうだな、裁きが訪れなくてもこれから界の収束は本格化する」

警備兵「例え勇者が懸命に繋がりを絶ったとしても間に合わないだろう」

警備兵「……僧侶、お前の掴もうとしている世界を俺達に見せてくれ」

エルフ「僧侶、これが我々の出した結論だ」



614以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 21:19:06.05LkQGK92hO (17/32)


僧侶「……ありがとな、お前等に出逢えて良かったよ」

警備兵「それは俺達も同じだ。で?これからどうする?」

僧侶「帰りがてらオークの界は切り離しておいた、明日からは今隣接している界を切り離す」

僧侶「少しでも人界の負担を軽くしとかねえと最後に躓くかもしれねえからな」

エルフ「ならドワーフの移住は任せてくれ、炎龍も土龍も切り離しに必要だろう?」

警備兵「そうだな、出来るだけ多くの界を切り離すには彼女達の協力が不可欠だ」



615以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 21:19:38.47LkQGK92hO (18/32)


僧侶「……分かった、そっちは頼む」

エルフ「ところで勇者はどうだ?」

僧侶「今頃炎龍や土龍と話してんだろ、体の心配はない」

警備兵「あっ、勇者に聞いたが炎龍を振ったんだってな?」

僧侶「……何でも話すのは止めろって言ったんだがな。つーか炎龍も勇者に話すなよ」

エルフ「女性とはそういうものだ……それで?」



616以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 21:23:35.73LkQGK92hO (19/32)


僧侶「それで?って何だよ……」

警備兵「誰を選ぶつもりなんだ?」

僧侶「誰も選ばねえよ!」

僧侶「大体これから大仕事するってのに余計なこと考えられるかよ!!」

警備兵「……こんな時だからこそ聞いてるんだ」

僧侶「お前笑ってんだろ?見えなくても分かる」

エルフ「我々は至って真面目だ」

エルフ「こんな機会は滅多にないぞ?貴様もそろそろ身を固めたらどうだ?子供達もいるんだろう?」



617以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 21:25:17.21LkQGK92hO (20/32)


僧侶「別に今じゃなくてもいいだろ……」

警備兵「……なあ僧侶、頭の中に一人だけ思い浮かべてみろ」

僧侶「は?お前何言って

警備兵「いいから早くしろ」

僧侶「何なんだよ、分かったよ……」

警備兵「……どうだ?」

僧侶「どうだって何だよ…」

警備兵「そこにいるのは勇者じゃないのか?」



618以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 21:26:44.87LkQGK92hO (21/32)


僧侶「!!」

警備兵「別に答えなくていい、それがお前の愛してる女だ」

僧侶「……………」

エルフ「……僧侶、未来を考えるのは確かに大事だ。だが今を考えることも忘れるな」

エルフ「決してからかっているわけではない、仲間の幸せを願っているんだ」

警備兵「悩ませることを言っておいてなんだが、あまり考えすぎるなよ?」

僧侶「……分かってるさ」

僧侶「未来ではなく『今』か、少し考えてみるよ……」



619以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 23:16:09.86LkQGK92hO (22/32)


>>>>

小さな空き家

僧侶「……ただいま」

勇者「お帰りなさい、ちゃんと話せた?」

僧侶「ん?ああ、色々話した」

僧侶「随分静かだな、子供達は寝たのか?」

勇者「ううん、土龍と炎龍のお家に行った」

僧侶「……そうか」

勇者「寝室に行こう?手握るよ?」

僧侶「ああ、悪いな」



620以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 23:17:10.68LkQGK92hO (23/32)


勇者「やっぱり疲れる?」

僧侶「まあな、見えない分どうしても気を張っちまう」

僧侶「おっ…」グラリ

勇者「ゆっくりでいいよ、無理しないで?」

僧侶「そんなに心配しなくてもいい、杖もあるから」

勇者「心配するよ……」

僧侶「…………」



621以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 23:18:57.86LkQGK92hO (24/32)


勇者「ベッドに着いたけど、もう寝る?」

僧侶「……………」

勇者「どうしたの?」

僧侶「見えねえってのは辛いなと思ってな」

僧侶「一番見たい奴の顔、表情が見えないのは辛い……」

勇者「僕は一番?」



622以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 23:19:56.45LkQGK92hO (25/32)


僧侶「……ああ、お前の顔が見たい」

勇者「じゃあ手で確かめればいい」ギュッ

僧侶「調子に乗るな、頭でいい」ポンッ

勇者「……あっ、これは久しぶりかもしれない」

僧侶「そうだな……」

勇者「僕、これ好き……僧侶の手は優しくて温かいから大好き」



623以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 23:22:00.46LkQGK92hO (26/32)


僧侶「なあ勇者」

勇者「なに?」

僧侶「警備兵の奴に一人だけ思い浮かべろって言われたんだ」

勇者「……僕じゃないなら聞きたくない、凄く嫌だから」

僧侶「お前だよ、オレが真っ先に思い浮かべたのはお前の笑顔だ……」

僧侶「警備兵が言うには、それが愛してる奴らしい」

勇者「……それは本当?嘘だったら確実に怒る自信がある」



624以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 23:23:41.06LkQGK92hO (27/32)


僧侶「大丈夫、本当だ。だから怒るな」

勇者「じゃあそれは……本当はどういうこと?」

僧侶「……オレはお前を愛してるってことだ」

勇者「理解が追い付かない、どうしたらいいと思う?」

僧侶「知らねえよ、お前がしたいようにすればいい」

勇者「…………」ギュッ

僧侶「震えてるぞ?泣いてんのか?」




625以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 23:25:17.86LkQGK92hO (28/32)


勇者「俗に言う嬉し泣き」

勇者「本当に嬉しいと思ったら勝手に泣いてた。嬉し泣きは実在した」

僧侶「ははっ、何だそりゃ」

勇者「だって初めてだから色々分からない、頭がぐちゃぐちゃしてる」

僧侶「……お前、温かいな…眠くなってきた」

勇者「じゃあ一緒に寝る」

僧侶「それはいいけど、まだ着替えてねえんだ……ちょっと待ってくれ」



626以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 23:27:41.05LkQGK92hO (29/32)


勇者「着替えなら用意してる、汗ふきタオルも、だから手伝う」

僧侶「いや、それぐらいは自分で出来るから替えの服くれ」

勇者「僕が脱がせた方が早い」ガシッ

僧侶「……誰の入れ知恵だ?怒るぞ?」

勇者「ごめんなさい、炎龍に言われた」

僧侶「土龍かと思ったが炎龍か、明日は説教だな……」



627以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 23:28:31.07LkQGK92hO (30/32)


勇者「……着替え終わった?」

僧侶「ああ、もう寝よう。お前も疲れたろ?」

勇者「僕は大丈夫だよ?今からでも頑張れる」

僧侶「……それは何だ?」

勇者「これを言ったら僧侶が元気になるって炎龍が言ってた」

僧侶「はぁ…もう寝るぞ?」



628以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 23:32:09.54LkQGK92hO (31/32)


勇者「うんっ」ギュッ

僧侶「……………」

勇者「僧侶」

僧侶「ん?」

勇者「さっきのは本当?僕を…えっと…」

僧侶「心配するな、嘘じゃない。あれは本当だ」

僧侶「……オレは勇者を…お前を愛してる」





629以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/02(月) 23:36:09.13LkQGK92hO (32/32)

早いけど眠い寝るまた明日書く明日明後日で終わると思う


630以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 02:49:06.20m4xPx2igO (1/1)

乙!


631以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 14:46:05.38TS6CQrumO (1/1)

勇者かわいい
おつ


632以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 16:12:10.66Kc5NjW27O (1/41)


>>>>

翌日から界の切り離しが始まった。

人界に密接している界は数百、それら一つ一つを切り離していく。

勇者は界の繋がり、見えざる『糸』を剣により視認切断する。

あまりに密着している界は僧侶が杖の力で引き離し、人界と異界の間を僅かに空ける。

その後『糸』が見えた所を勇者が即座に切断、この作業を繰り返し徐々に数を減らして行く。

炎龍と土龍は二人に穴が空く危険性の高い場所を指示し、そこへ飛ぶ。



633以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 16:13:13.26Kc5NjW27O (2/41)


既に穴が空き異形の種が現出している場所も複数あり、被害を受けている街もいくつかあった。

だが炎龍と土龍の協力もあり、さほど時間は掛からず殲滅することが出来た。

四日間で新たな界が繋がりもしたが、密接していた界の殆どは人界から剥がれたのだった。


しかし予想外の事態が起きる。

人界の王が軍を率いて進軍を始めたのだ。

それは異種族を制圧する為のものではなく

進軍した先を片っ端から破壊するという常軌を逸したものであった。



634以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 16:14:21.85Kc5NjW27O (3/41)


僧侶「……一体何が起きた?」

警備兵「詳しいことは分からないが現在も進軍を続けているらしい」

警備兵「最南端である王都から北に向かって休みなく……この都に来るのも時間の問題だろう」

僧侶「今まで傍観していた王が今になって何故?しかも何故人間を殺す?」

エルフ「僧侶、理由はどうあれ都の守備を固めておいた方が良い」

僧侶「ああ、そうだな……」

警備兵「…………」ギリッ



635以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 16:14:55.35Kc5NjW27O (4/41)


僧侶「……炎龍、頼めるか」

バシュッ!

炎龍「はい、北の街の人々をこの都へ移動させれば良いのですね?」

警備兵「!!」

警備兵「僧侶…お前……だが界の切り離しが

僧侶「分かってる!分かってるさ!!」

僧侶「けどな、今はそんなことどうだっていい!分かってて見捨てられるか!!」



636以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 16:15:44.45Kc5NjW27O (5/41)


僧侶「仲間の家族を…見捨てられるかよ」

警備兵「……僧侶…」

僧侶「あの街の規模なら全員受け入れられる。お前やお前の部下の家族も……」

僧侶「それに領主。いや、エルフの同胞もな……」

僧侶「……だがそれ以上は、無理だ……炎龍、頼んだぞ」

炎龍「お任せ下さい。僧侶様はどうされるのですか?」



637以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 16:16:44.15Kc5NjW27O (6/41)


僧侶「土龍と共に王の下へ行き進軍を止める、休みなく進軍を続けてるってのも気になるしな」

僧侶「お前は勇者と共に行ってくれ、混乱は免れないが多少円滑進むはずだ」

炎龍「分かりました。では、行って参ります」

バシュッ!

僧侶「オレも行ってくる。準備だけはしておいてくれ」ザッ

カツンッ…カツンッ…

警備兵「……僧侶が行った後にこんなことは言いたくないが、何か嫌な予感がする」

エルフ「私もだ、得体の知れない何かが此方を見ているような……異様な気配を感じる」

エルフ「我々も戦う準備をしておこう、必ず何かが起きる」

警備兵「ああ、その方が良さそうだな……」



638以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 16:17:20.34Kc5NjW27O (7/41)


>>>>

バサッ…バサッ…

勇者「炎龍、王はどんな感じに進んでる?」

炎龍「……僧侶様と勇者が旅した場所をなぞるように進軍しています」

炎龍「近隣の街や都なども巻き込みながら……」

勇者「……北の街はまだ大丈夫?」

炎龍「ええ、ですが思った以上に進軍の速度が速いです」

勇者「なら早めにしないとダメだね。ちゃんと聞いてくれるといいけど……」



639以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 16:17:58.21Kc5NjW27O (8/41)


勇者「僧侶と土龍はどう?もう着いた?」

炎龍「もうじき着く頃だと思います」

勇者「炎龍、王が何者か分かる?」

炎龍「存在は感知出来ますが分かりません。靄の中にいるような……そんな感覚です」

炎龍「ただ、人間ではないのは確かです」

炎龍「界の揺らぎをも感知出来る龍の眼を欺ける者など今までいませんでした」

勇者「なら、王の正体は龍よりも上に位置する存在……」

炎龍「……そうかもしれません」



640以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 16:20:06.61Kc5NjW27O (9/41)


>>>>

バサッ…バサッ…

僧侶「龍より上ってことは天界の遣いか」

土龍「多分そうだろうな、炎龍の言った通り龍の眼を欺ける奴なんていねーはずだ」

僧侶「今まで気付かなかったのか?」

土龍「ああ、僧侶に確かめてみてくれって言われるまでは全然だ」

土龍「もしかするとオレ達と同じように『始まり』からいる奴かもしれねーな」

僧侶「始まり……」

土龍「考えても始まらね-、会えば分かる。そうだろ?」

僧侶「……ああ、そうだな」



641以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 16:24:18.05Kc5NjW27O (10/41)

今日で終わります


642以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 16:26:22.26Kc5NjW27O (11/41)

今日で完結します


643以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 16:44:23.65GkVsiLIk0 (1/1)

待つ


644以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 17:18:15.46hDU3Uyra0 (1/1)

ついに完結か
期待


645以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 17:26:34.06Kc5NjW27O (12/41)


>>>>

それは破壊に違いなかった。

人間も家屋も、街並みの全てが塵となる程の徹底した破壊。

上空から見たそれは明らかに人間の仕業ではなかった。

どれ程の大軍勢を率いてもあれ程の破壊は不可能、何か別の力が働いているに違いない。

土龍がその様を伝えると、僧侶は迷わず杖を振るった。

水龍と風龍、この二龍の命を内包した僧侶はアダマスの杖の力を存分に発揮する。

杖の一振りで町を囲んでいた大軍勢が音のない爆発によって四方八方に弾け飛ぶ。



646以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 17:28:11.66Kc5NjW27O (13/41)


磁石の反発を連想させる爆発。

隊列は一気に崩れ、立て直すには相応の時間を要するだろう。

土龍はすぐさま下降、人界の王の下へと僧侶を運ぶ。

倒れ伏す大量の兵士の中にあって、その男だけが悠然と立っていた。

僧侶は目には見えずともその男の異様さを一瞬にして感じ取り、立っている位置さえも正確に把握した。

二龍を受け入れた僧侶は、傍観者だとばかり思っていたその男の本質を見抜いた。



647以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 17:32:04.46Kc5NjW27O (14/41)


僧侶「……お前は天使だな」

???「私は龍と共に造り出された界の監視者、裁きを見届け新たな始まりを監視する」

感情のない平坦な声が響く、以前話した王なる人物とはまるで違う。

おそらく人間を演じるように造られたのだろう。

姿だけでなく内から発する生命を幾重にも偽装していたのだ。

それが龍を欺いた力、生命の偽装。

あくまで機会的な応答、事務的な対応で監視者は続ける。

監視者「裁きを行わないのであれば私が行う。本来ならあってはならぬことだ」



648以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 17:33:34.06Kc5NjW27O (15/41)


監視者「しかしこれは私の役目ではない」

僧侶「なら何故?何故今頃になって動いた?」

僧侶「オレが何をやろうとしていたのか分かってたんだろ?」

監視者「想定出来る範囲を超えた事態、判断の大幅な遅延」

監視者「裁く者よ、成すべきを成せ」

僧侶「断る。人間……いや、全ての界は裁きから解放されるべきだ」



649以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 17:35:40.87Kc5NjW27O (16/41)


監視者「監視者の権限により擬似的な裁きを行う」


宣告した瞬間、眩い光が溢れ出す。

硝子が割れるような音と共に王の体は剥がれ落ち、真白の彫刻が姿を現した。

一切の穢れのない、嫌悪感さえ覚えるような異質の美しさ。

背中から軋みを上げて広がる翼、生命を感じさせない彫刻のような姿。


土龍「……僧侶、兵士が起き上がったぞ!!」

僧侶「遺体を操作する気か!?」



650以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 17:37:37.15Kc5NjW27O (17/41)


監視者「散開。人界の裁きを実行せよ」


発した号令と共に命なき兵士達が空を飛び各地へと散っていった。

更には兵士達に殺害されたであろう民間人の遺体までもが動き出す。


僧侶「ッ、ふざけんな!!」


杖を振り地面に張り付けたが徐々にその拘束は緩み、兵士達は命を実行するべく飛び立った。

僧侶は直感的に理解した、純粋に監視者の力の方が優れているのだと。

始まりから幾度もの裁きを経たが、監視者は課せられた任務のみを実行してきた。

感情を持たぬが故に裏切りはない、だからこそ強大な力の所持を許されたのだろう。



651以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 17:39:38.46Kc5NjW27O (18/41)


監視者「誤った選択だ」

僧侶「ッ!!」

僧侶「間違ってんのはてめえの方だ!!」

僧侶「訳の分からねえ裁きでどれだけの奴等が泣いたと思う!?」

監視者「行き過ぎた繁栄は望ましくない」

僧侶「何だと?」

監視者「裁きを行わずとも行き過ぎた進歩が界を終わらせる」

監視者「数多の終わりを見てきたが、それだけは変わらない」



652以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 17:41:29.34Kc5NjW27O (19/41)


僧侶「……滅ぶ前に滅ぼすってことか?」

監視者「それが最善だと判断する」

勇者「僕は最悪だと思う」

監視者「理解し難い思考だ」


瞬間的に現れた勇者に驚くことなく、監視者はその刃を躱す。

しかし勇者が狙っていたのは監視者本体ではない。

真の狙いは監視者から伸びる『界の糸』。

力の供給、天界との繋がりを斬るべく放たれた必殺の刃。



653以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 17:43:11.86Kc5NjW27O (20/41)


監視者「…殲…滅…殲…せ…よ…」


崩れ落ちながら繰り返し発せられる言葉にはやはり感情はなかった。

しかし、それがより一層の不気味さと呪いめいたものを感じさせた。


僧侶「……勇者、お前…」

勇者「炎龍に頼んで強引に飛ばしてもらった」ウン

僧侶「……はぁ」

土龍「無茶すんじゃねーよ、まあ…助かった。オレは何も出来なかったし……」

土龍「まあいいや、それより都は大丈夫なのか?」



654以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 17:44:45.26Kc5NjW27O (21/41)


勇者「うん、北の街の人は皆無事に都に移動出来たし大丈夫」

僧侶「……こいつを倒したら兵士も止まったみたいだな」

勇者「本当?」

僧侶「ああ、都にいる炎龍が教えてくれた。勇者、土龍、都へ戻ろう」

勇者「……あれ、何か変な

土龍「なっ!?おい、どうなってる!?」


それは地震などではなく界全体の揺れ

急激に異界の接近が早まった為に起きた現象。

僧侶が杖を振るうも勢いは全く衰えない。

それを見た土龍はすぐさま二人を背に乗せ都へと向かった。



655以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 17:56:01.34Kc5NjW27O (22/41)

次で終わると思います。また後で


656以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 18:30:47.68GQofa71E0 (1/1)

楽しみ


657以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 20:38:58.66Kc5NjW27O (23/41)


>>>>>

北東の都 古風な屋敷

僧侶「一旦は落ち着いたみてえだけど次の揺れで最後だ」

警備兵「……行くのか?」

僧侶「ああ、そうしねえと終わっちまうからな」

警備兵「おい、まだ子供と嫁を紹介してないんだ。必ず帰って来いよ」

僧侶「死ぬつもりはねえよ。帰って来たら会わせてくれ」

警備兵「……ああ」



658以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 20:40:25.87Kc5NjW27O (24/41)


エルフ「……………」

僧侶「おいおい、黙ってねえで何か言ってくれよ。頑張れとかで良いからさ」

僧侶「オレはこれから世界を救いに行くんだぜ?」ニコッ

エルフ「……必ず帰って来い」

エルフ「貴様が死ぬと娘が泣く、娘を泣かせたら許さんからな」

僧侶「はははっ!」

僧侶「まったく、おっかねえ親父だなぁ……大丈夫!絶対に帰って来るさ!!」

僧侶「じゃあ、行ってくる」


カツンッ…カツンッ…


警備兵「信じて待とう、あいつの帰りを……」

エルフ「……そうだな、我々にはそれしか出来ない」



659以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 20:41:15.55Kc5NjW27O (25/41)


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小さな空き家

孤児「兄ちゃん、どこ行くの?」

僧侶「ちょっと忘れ物を取りに行く、勇者と一緒に大人しく待ってろよ?」

孤児「土龍姉ちゃんと炎龍ちゃんは?」

僧侶「二人と一緒に行くんだ、荷物が多いから手伝って貰う」

孤児「じゃあ、おれも手伝う」

僧侶「うーん、嬉しいけどお前達にはまだ持てないんだ。すっげえ重いからな」

孤児「……そっか、じゃあ待ってる!」

僧侶「よし、偉いな。じゃあ、ちょっと行ってくる」

孤児「うんっ、いってらっしゃい!」

僧侶「ああ、行ってきます」

ガチャ…パタン…



660以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 20:43:07.26Kc5NjW27O (26/41)


勇者「……僧侶」

僧侶「悪いな外に待たせて、子供達がいるから中じゃ話せなかったんだ……」

勇者「僧侶、帰って来るよね?」

僧侶「帰ってくるさ」

勇者「待ってるからね?」

勇者「どれだけ時間が掛かってもいい、遅くなっても構わない……」

勇者「だけど絶対帰ってきて?ずっと待ってるから」

僧侶「……ああ、絶対に帰ってくる」


ギュッ…


勇者「僧侶、帰ってきたらーーーーー」

僧侶「……分かった、約束する。じゃあ、行ってくる」



661以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 20:44:25.66Kc5NjW27O (27/41)


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バサッ…バサッ…

僧侶「出来るだけ都から離れた場所に頼む」

炎龍「はい、分かりました」

土龍「あーあ、これで僧侶ともお別れかよ。嫌じゃねーけど……やっぱり嫌だな」

炎龍「土龍、我がままを言わないで下さい」

土龍「だって寂しいじゃねーか!!炎龍は寂しくねーのかよ!?」

炎龍「私はもう告白してきっぱり断られましたから」

僧侶「うっ…そういうこと言うなよ……」



662以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 20:46:09.66Kc5NjW27O (28/41)



炎龍「ふふっ、冗談ですよ」

土龍「なあ僧侶、オレは駄目か?やっぱり嫁は沢山いた方が


グサッ!


土龍「いってえ!?この氷…水龍、テメエ!!」

水龍『嫁は一人でいい、私は諦めてはいないからな』

風龍『へぇ、勇者と僧侶が抱き合った時に悔し涙流してた泣き虫がよく言うねぇ』

水龍『黙れ、殺すぞ風龍』

土龍「風龍はどうなんだよ?嫁になりたくねーの?」

風龍『それぞれの家を別々にして住むのはどうだい?殺し合わずに済むだろ?』



663以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 20:47:37.27Kc5NjW27O (29/41)


水龍『……確かに、それは良いかもしれないな』

炎龍「はい、私もそれなら大賛成です」

僧侶「……やめてくれ、勇者に殺されるぞ」

土龍「いや、ああ見えて結構懐深いし何とかな

僧侶「ならねえよ!!」

炎龍「残念ながら、お喋りはここまでです」

炎龍「僧侶様、此処が最適な場所だと思われます」

僧侶「……そうか、じゃあ始めよう」



664以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 20:49:32.75Kc5NjW27O (30/41)


土龍「うっし!じゃあオレからだな!!」

土龍「僧侶、オレはお前が大好きだ!生まれ変わってもな!!」グイッ

土龍「やってやろうぜ!!皆が生きる未来の為に!!」


ズズズ…カッ!


炎龍「最後は私ですね」

僧侶「炎龍、お前には一番世話になった。色々教えてくれた……」

僧侶「本当にありがとう」

炎龍「お礼なんていいですよ……これが終わったら、また何処かでお会いしましょう」

炎龍「……私は貴方を愛しています」

ズズズ…カッ!



665以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 20:50:52.86Kc5NjW27O (31/41)


僧侶「………神よ、これでやっと会えるな」


四龍全てを受け入れた僧侶は空高くに立ち、裁く者へと変化した。

神が人界へ堕とした告発の天使が今此処に姿を現したのだ。

神々しく輝くその姿は人々の想い描く天使そのもの、白き翼を持つ穢れなき反逆者。

彼は天空を見つめ杖を掲げると強く念じた。


「神よ、もう終わらせよう」


神を引き寄せ、神を終わらせる為に……



666以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 20:54:54.06Kc5NjW27O (32/41)


この瞬間、全ての界が強く揺れた。

先程の揺れとは規模が違う。


神という凄まじい質量の物体、天界そのものが空を割って姿を現した。

七色に輝き不規則に明滅する球体、彼の眼前にある巨大な卵こそが全界の主。


この七色の卵から全てが生まれたのだ。

今まで繰り返された裁きという名の拘束具、滅ぶ前に滅ぼす装置を創り出した存在。


彼に神を憎む気持ちなどない、神を裁くつもりもない。

これまでの流れを終わらせ、裁きのない新たな界だけを望んでいる。



667以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 20:58:32.47Kc5NjW27O (33/41)


「こうなるって分かってたんだろ?」


神からの応答はない、ゆったりと浮かびながら明滅を繰り返すのみだった。

声はなくとも彼は感じていた。

神が何を思うのか、そして何を望み己を造ったのかを……


「ああ、もういいんだ……」

「人々はこれから己の足で歩んで行くだろう」

「だが貴方を忘れはしない、貴方を憎みはしない」

「もう彼等に管理は必要ない、ただただ見守ろう」

「さあ、殻に閉ざされた世界を終わらせて幕を引こう……」

「貴方が、この世界を愛しているのなら」


卵は脈動を繰り返し、殻は遂に割れた。

膨大な神の欠片、七色の輝きが全ての界に降り注いだ。

それを追うように彼も光の粒となり、神と共に数多の界へと旅立った。

あるべき物をあるべき場所へ戻しながら、彼と神は長い長い旅に出たのだ。

新たな始まりを見つめ、生きとし生けるもの全てを見守る為に……




668以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 21:31:14.06Kc5NjW27O (34/41)


>>>>

小さな教会

孤児「なあ姉ちゃん、兄ちゃんはいつ帰ってくんのかなぁ」

勇者「随分遠い所に行ったからね、帰ってくるのはまだ先だよ」

勇者「それより明日から都に住むんでしょ?支度はしたの?」

孤児「した。でも何か嫌だな、警備兵のおっさん怖いしさあ」

勇者「これからお世話になる人をそんな風に言っちゃダメ」

孤児「はいはい、つーかさぁエルフの姉ちゃんはいつ来るの?」



669以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 21:32:36.66Kc5NjW27O (35/41)


勇者「都に行ったら会えるでしょ?」

孤児「親父さんが怖くて近づけねーんだよ!!確実に弓で射られる!!」

勇者「まあ、あんたがいくら頑張っても無理でしょうね」

勇者「あの娘は今でも僧侶が大好きなんだから」

孤児「世界一の美女も四龍の姉ちゃん達も、みーんな兄ちゃんが好きなんだもんな!!」

孤児「何だよ、ちょっと格好いいからって全世界の美女を独り占めにしちゃってさあ!」

勇者「………………」



670以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 21:36:30.86Kc5NjW27O (36/41)


ゴンッ!

孤児「いってえな!!」

勇者「世界一の美女は私、それは変えようのない事実」ウン

孤児「はいはい、そうでしたね。ごめんなさい」

孤児「……全く、兄ちゃんも格好付け過ぎなんだよな」

孤児「お前達にはまだ持てない、かなり重いんだ。とか言っちゃってさ」

勇者「……友達と約束してるんでしょ?早く行きなさい」

孤児「あっ、そうだった!じゃあ行ってきます!!」


ガチャ…バタンッ!


勇者「はぁ、扉は静かに閉めなさいって言ってるのに……」

勇者「でも、あの子が行ったら寂しくなるなあ。一人になっちゃうし」


ガチャ…


勇者「忘れ物でもしたの?まったく……」クルッ


























僧侶「……遅れてごめんな」

僧侶「大事な忘れ物を思い出すのにちょっと時間掛かっちまった」



671以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 21:37:45.26Kc5NjW27O (37/41)

終わりです。ありがとうございました


672以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 21:43:47.61J496XC+WO (1/1)

乙でした


673以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 21:52:48.09wK0Ur1NG0 (1/1)

乙!
めっちゃ良かった!


674以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 22:00:19.65Kc5NjW27O (38/41)


勇者「……お帰りなさい」

ギュッ

僧侶「おう、ただいま」

勇者「目、治ったの?」

僧侶「治ったっつーか、まあ色々あったからな」

勇者「……約束、憶えてる?」

僧侶「二人で子供達の面倒見るんだろ?」

勇者「子供達はもういない、あの子で最後……」

勇者「でも、私達の子供を育てれば問題ない」

僧侶「は?」

勇者「私と僧侶の子供が欲しい、ダメ?」

僧侶「いや、帰って来たばっかだし他の奴等にも挨拶とかしたいし……」

勇者「ねえ、ちょっといい?」

僧侶「ん?何だ?」

勇者「子供ってどうやったら出来るの?」

僧侶「…………………」



675以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 22:01:17.25Kc5NjW27O (39/41)



僧侶「勇者が純粋無垢で困る」


終わり




676以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 22:04:06.50G9w9S8JSO (1/1)


こんな壮大な物語になるとは


677以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 22:05:26.75Kc5NjW27O (40/41)

これで本当に終わりです。

設定の矛盾とかあったらすいません。
何だか妙に長くなったけど、ありがとうございました。


678以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 22:16:25.99ZPaHbv1HO (1/1)

とても良かった!乙!


679以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 22:19:46.16k2UxIaE8o (1/1)


こんなにも壮大な話になるとはおもわなかった


680以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 22:50:16.41adUHVfFUO (1/1)

乙!


681以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 22:57:10.266GI1X8KM0 (1/1)




682以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 23:32:02.87Kc5NjW27O (41/41)

レスありがとうございます。
指摘質問非難罵倒とかあったら言って下さい。
此処で言ってくれた方が楽になれますので……


683以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 23:46:41.05PlVVXq0Ko (1/1)

多少未回収のフラグがあるけどなかなかの大作だった
ケチのつけようがない
乙でした


684以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 23:51:08.670N8J6lUro (1/1)

乙、本当によかった!


685以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 23:52:12.01czKC+KF9O (1/1)


まあ良くも悪くも普通な出来だな
凡才って感じ

ただここまで書き上げたのは素直にすごいと思う


686以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/03(火) 23:58:43.71V75CNBfqO (1/1)

面白かった!



687以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 03:38:37.86hh94gOA9o (1/1)

おうくっそ面白かったで
おつ


688以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 08:07:18.86iLGwksLW0 (1/1)

面白かった、蛇足でもいいから後日談が欲しいと思ったわ


689以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 12:08:41.82gsy8RS8IO (1/1)

タイトルを最後に回収する作品は名作


690以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 12:30:52.367N6UfgF7o (1/1)

最高だわ!


691以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 12:39:19.49x3lIpuSyO (1/1)


このジャンルとしては年に数本見かけるかどうかというレベルの大作。


692以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 13:02:26.37cwFrt92Ro (1/1)

せやな
なかなか面白かったよ


693以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 18:38:11.49Nqo7URlPO (1/1)

とても良かった
おつ


694以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 20:05:11.5894ax/MnlO (1/1)

乙です。
久々に良作が読めた。
次回作にも期待してるわ


695以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 21:15:05.99OpL30PJv0 (1/1)

またなんか書いてくれよ


696以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:35:17.05XZgJM4PEO (1/17)


>>>>

警備兵「……とまあ、今はこんな感じだな」

警備兵「神様と一緒に全てを見ていたんだから分かると思うが……」

僧侶「いや、なんつーか『全て』とは言っても個々の心情までは見れねえよ」

僧侶「それにオレはオレだっていう認識は出来なかったんだ。忘れてたっていう感覚に近い」

警備兵「じゃあ、あの時はどんな感じだったんだ?神と対峙した後は?」

僧侶「んー、全身が砂の粒になって……その一つ一つが全部繋がったんだ……」



697以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:36:28.26XZgJM4PEO (2/17)


僧侶「だから全ての界を観測することが

嫁「ちょっと、せっかく来てくれたのに難しい話しばかり訊いたら台無しでしょ!」

嫁「僧侶さんだって困ってるじゃない!!もう少し普通の会話しなさいよ!」

警備兵「わ、分かった分かった!そんなに怒るなよ……」

嫁「ふんっ!大体ね、騎士団長サマだか何だか知らないけど帰ってくるのが遅いのよ!!」

嫁「兵士である前に旦那なんだから家庭を守りなさい!」



698以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:37:34.66XZgJM4PEO (3/17)


警備兵「……はい」

嫁「僧侶さん、ごめんなさいね?」

嫁「この人ったら、あなたがいなくなってから変に頑張り過ぎちゃって大変だったの」

僧侶「そうだったんですか……すいません」

嫁「謝らなくていいの、ただ僧侶さんの前で言った方が利くと思って……」

嫁「急に怒鳴ったりしてごめんなさいね?」

僧侶「いえ、心配する気持ちは分かりますから」

嫁「ありがとう…じゃあ私は買い物に言ってくるから。ごゆっくり」

ガチャ…パタンッ…



699以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:38:38.26XZgJM4PEO (4/17)


僧侶「いい嫁さんじゃねえか、ちょっと怖いけど」

警備兵「ああ、出来た嫁だよ。本当に……で、お前はどうなんだ?」

僧侶「子供達は皆この都に移っちまったからな、今は二人で暮らしてる」

警備兵「そう言えば最近入ってきた子がお前のとこの子供達の一人だったな」

僧侶「怠け癖がある奴だがよろしく頼む」

警備兵「勿論、責任持って預からせてもらう」



700以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:40:02.26XZgJM4PEO (5/17)


警備兵「勇者とはどうなんだ?」

僧侶「変わらねえよ、オレもあいつも」

警備兵「それはないだろう、言葉遣いや表情だって随分変わったんだから」

僧侶「……帰って早々子供が欲しいなんて言われてな。本当に困ってる」

警備兵「何で困るんだ?家庭を持つのは良いことだぞ?」

僧侶「いや、そうじゃねえんだ。その…あまりにも『そういう知識』がなくてな」

警備兵「まさかお前、勇者に変態的な要求を

僧侶「んなわけあるか馬鹿野郎!!」



701以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:40:32.47XZgJM4PEO (6/17)


警備兵「冗談だ。それで?」

僧侶「……あいつ、どうやって子供が出来るか知らないんだ」

警備兵「……………」ポンッ

僧侶「何だよ、その気の毒そうな顔は…つーかちょっと笑ってんだろ」

警備兵「僧侶、俺から言えるのはたった一つだけだ。よく聞け……」

僧侶「……何だよ」

警備兵「頑張れ」

僧侶「……………」

警備兵「顔を赤らめて性教育するお前の姿を想像すると……」

警備兵「はははっ!駄目だ!笑いが止まらん!!」



702以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:41:53.86XZgJM4PEO (7/17)


>>>>

エルフ「で、殴ってしまったわけか……」

僧侶「気付いた時には拳が顎を…」

エルフ「まあそれはいい、とにかく再会出来て良かった」

エルフ「しかし粒子となり界を観測していたとはな……興味深い」

エルフ「どうやって再構成した?良ければ教えてくれないか」

僧侶「いや、粒子って言ってもオレは確かに存在してんだ」

僧侶「ただ自分がどういった存在なのかが理解出来なかった。問い掛けられるまではな」



703以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:43:06.54XZgJM4PEO (8/17)


エルフ「それは誰に?」

僧侶「姿は勇者だった。その時は勇者だと認識出来なかったけどな……」

僧侶「オレが望むものが形になったのか、思い出す為に無意識に創り出した偶像だったのか……」

僧侶「それは今でも分からねえ、もしかしたら神だったのかも……」

エルフ「……何を話したんだ?」

僧侶「オレが何者であるのか、また何者でありたいのか」

僧侶「オレがオレを理解するまでそれは続いた。途方もない、長い長い会話だった」

僧侶「言葉ではなくて粒子の動きっつーか……まあそんな感じだな」



704以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:45:06.55XZgJM4PEO (9/17)


エルフ「それで自己を再認識したのか……全ては分からないが分かる気がする」

エルフ「……すまないな、こんな話しをさせてしまって……」

僧侶「別にいいさ。それより若いよな、お前」

エルフ「寿命などあってないようなものだからな」

僧侶「警備兵…騎士団長様が羨ましがってたぜ?」

エルフ「そんなに良いものではない、貴様等が死んだ後を想像すると酷く落ち込む」

エルフ「正しい歴史を知る者、我々の理解者はいずれいなくなる」



705以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:46:05.47XZgJM4PEO (10/17)


エルフ「……そうなれば再び争いが起きる」

僧侶「あんまり先のことばかり考えるな、大丈夫だよ」

エルフ「何故そう言える?」

僧侶「全てを見たからさ、確かに争いは起こるだろうが『何とかする奴』がいる」

エルフ「ふっ、そうか……その言葉を聞いて安心した、憶えておこう」

僧侶「あ、そういや娘さんは?」



706以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:46:33.55XZgJM4PEO (11/17)


エルフ「聞いていないのか?」

僧侶「別になにも、たまにうちの教会に来てたことぐらいしか」

エルフ「娘は今や女王だ、ドワーフの長が補佐してくれている」

エルフ「全く、面倒なことを引き受けたものだ。私も妻も心配でならない」

僧侶「は?」

エルフ「驚かせるつもりはなかったが、奴は敢えて隠していたようだな」



707以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:47:23.46XZgJM4PEO (12/17)


僧侶「人間からの反発はねえのか?」

エルフ「それは勿論あるが人間代表がいるから問題ない」

僧侶「人間代表って何だよ?」

エルフ「勇者だ。我々がおかしなことをすれば彼女が黙っていない……」

エルフ「私が過ちを犯した時は首を差し出す、女王はそう宣言した」

エルフ「民をまとめる為の口実、口約束程度のものだ。気にすることはない」



708以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:48:43.66XZgJM4PEO (13/17)


僧侶「へー、肝が据わってんなあ、あんたの娘さんは……」

エルフ「僧侶さんと再会しても恥ずかしくない立派な女性になりたい、だそうだ」

エルフ「諦めろなどとは言えん、かと言って素直に応援も出来ない」

僧侶「……怖えからその顔やめてくれよ、友人にする顔じゃねえだろ」

エルフ「……まあいい、もう一つ気になることがある」

僧侶「何だ?」

エルフ「勇者とは一体何者なのだ?神が創造した存在であるのは確かなのだろう?」



709以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:49:55.06XZgJM4PEO (14/17)


僧侶「オレが選択を間違えば勇者が神を殺し、そして勇者も消える……」

僧侶「そんな結末も確かにあった」

僧侶「どの道、界は裁きからは解放され自由になるようになってたんだよ……」

エルフ「……良かった」

僧侶「ん?」

エルフ「口の悪い天使が界を救ってくれて本当に良かった、そう言っているんだ」

僧侶「ははっ、何だそりゃ」



710以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 22:55:32.74XZgJM4PEO (15/17)


エルフ「口を開けば馬鹿だの死ねだの殺すだの……」

エルフ「そんな男が皆の為に自己犠牲、全ての界を救った……」

エルフ「全く、おかしな天使もいたものだ」

僧侶「まあいいじゃねえか、こうして帰って来たんだからよ」

エルフ「……あまり気乗りはせんが…」

僧侶「?」

エルフ「娘に会ってくれないか、きっと喜ぶ」

僧侶「いいのか?」

エルフ「大丈夫だ、妙なことをすれば矢を放つだけだからな」スチャ

僧侶「……ここから城まではかなり距離あるけど、届くのか」

エルフ「問題なく届く、娘に手を出す輩は絶対に許さない」

エルフ「我々が育てた赤ん坊、それ以外の人間はまだ信用出来ないからな」

僧侶「あんなことされたんだ、疑念を持つのは分かる。つーかその顔やめてくれ、怖えよ……」



711以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 23:09:56.55XZgJM4PEO (16/17)


>>>>

少女「うぅ…」


おや、どうしたんだい?


少女「お姉ちゃんたち、だれ?」


オレは土の神様みてーなもんだ、何で泣いてるんだ?


少女「この山にしか咲かない花をとってこいって言われて、それで…」


ふーん、なら手伝ってやるよ


少女「ホント!?お姉ちゃん、ありがとう!!」


あまり無理をするな。ほら、私の手を握れ…


少女「お姉ちゃん、やさしいね。手、あったかい」


あったかいか、私は水……


少女「?」


優しい奴は強いんだぞ?だからオマエも優しくなれ

誰よりも優しくて誰よりも強い女になって見返してやりな


少女「……じゃあ、強くなれること、おしえてくれる?」


勿論!私達で良ければ教えますよ



712以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 23:15:36.54XZgJM4PEO (17/17)

補足と蛇足。
沢山の感想ありがとうございます。


713以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 23:34:53.563pHPHC49O (1/1)

すごい好き


714以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/04(水) 23:41:01.31Yc6KiClgO (1/1)

おつおつ


715以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/05(木) 09:28:52.335gEVYlBPo (1/1)

蛇足と補足が最高だな…


716以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/05(木) 20:18:03.316Z+CHNa80 (1/1)

近年真似に見る名作


717以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/05(木) 21:35:13.80HgyxSEnzo (1/1)

純粋無垢っていうかアスペだなこりゃ…


718以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/05(木) 23:14:21.0532mC5oQRO (1/4)


>>>>

当初、他者への関心や興味、感情などは彼女にとって全く意味をなさないものであった。

与えられた力を駆使し、裁きなるものを終わらせるのが彼女の役目であったからだ。

そこに疑問などはなく、疑問を持つことすら出来ぬように設計されていた。


何故か

神は度重なる裁きを観て、界に限界を感じていたのだ。

そもそも限界を定め、裁きを下していたのは神であったのだが、神はその絶対の決定権を手放そうとしていた。

親が子に判断を委ねるように、また自立を促すように、神はそう考えていた。


考えた。とは比喩に過ぎず、神に人間的な感情や思考などない。

ただそれが界が新たな可能性へと進む最良の判断だと結論付けた。

また自らが決定権を手放すことにより、どのような進化を遂げるのかを観測したかった。



719以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/05(木) 23:17:24.8632mC5oQRO (2/4)


そのために造られたのが勇者である。

監視者、四龍。裁きを実行する存在とは別の目的で造られた存在。

神が神を終わらせる為に創り出した存在。


だが彼女に判断は出来ない、そうさせぬように設計した。

そこで必要になってくるのが彼女に影響を与える者、神をも裁く者。

監視者のような神に与えられた役割を実行するだけの天使ではなく、神にさえ逆らう『感情』を持った天使が必要だった。


その者こそが僧侶である。

監視者のような権限はないが、自らの意志で行動する人間に近い天使。

彼が何を見て何を思うか、彼が勇者にどのような変化を及ぼすのか。

また、それによってどのような界の変化が起きるのか。神はそれを知りたかった。

何より普遍であった『神自身』が己の存在の変化を望んでいたのである。



720以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/05(木) 23:32:05.49tg+vEwJ8O (1/1)

正直、100レス待たずにエタると思っていた。
久しぶりに夢中になったよ、サンクス


721以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/05(木) 23:44:12.2932mC5oQRO (3/4)

長く書きましたが

人界に意志のない勇者という切り札与えて

「どう使うかは貴方達が決めなさい、責任は取りません」

という話しです。

勇者をアスペルガー症候群と言っていいのか、それは判断出来ません。読んだ人がそう感じたらそうなんでしょう。

描写が足りなくて申し訳ありませんでした。



722以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/05(木) 23:53:15.3632mC5oQRO (4/4)

沢山の感想ありがとうございました。


723以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/06(金) 00:04:56.64KoDfxtXjO (1/1)




724以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/06(金) 07:59:11.64uJ9GBoWso (1/1)

アスペルガーは、自分にある感情や情動を他人に当て嵌めて考える能力がない。
勇者の場合は、その判断基準になる「自己の感情や情動」がないんだから、アスペルガーとは全然違う。
むしろ「知識を持った赤ん坊」に限りなく近い存在。
「勇者はアスペ」とか言ってるのは、ただ聞いた言葉を使いたがってるだけの奴だろ。


725以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/06(金) 09:28:30.01fvaecy7SO (1/1)

そもそも普通の人間とは生まれ方から違うから人間の病気や障害を当てはめてもな
最初はヒトならざる無性別の子供が周囲の影響と自分の意思で人間の女性として生きる事を選んだんでしょ
(解釈が違ってたらすまん)


726以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/06(金) 10:02:25.04rIP0FmK+o (1/2)

大多数の人は違う意見を持っていたとしても
あくまで個人の感想だからそこまで否定するもんでも無い
特に感想に対する感想で人を乏しめるのはやめた方がいい


727以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/06(金) 10:08:48.49rIP0FmK+o (2/2)

文字がごっちゃになってた
貶めるだったわ恥ずかしい


728以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/06(金) 10:21:46.20MGLGCD4k0 (1/1)

アスペの認識間違ってるし軽々しく使うなという指摘ならその通りだし
全部まとめてどうでも良い


729 ◆W43pcZ8.DY2015/11/07(土) 00:47:38.10NcAXK6I4O (1/2)




730以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/07(土) 00:55:12.37oPLPwDQgo (1/1)




731 ◆jPpg5.obl62015/11/07(土) 01:00:21.60BvsfiPF0O (1/1)




732 ◆Iv3vkHybpRrX2015/11/07(土) 01:04:53.35DjzoGuNfO (1/1)

すみません、酉はこれにします


733 ◆vfNQkIbfW22015/11/07(土) 01:09:13.591W6VdZAZO (1/1)

いやいやこれが本物です


734 ◆W43pcZ8.DY2015/11/07(土) 01:12:35.20iT7dlWjOO (1/1)

ゴミみたいなSSを書いてすみませんでした
うんこ食ってきます


735以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/07(土) 01:21:08.25GIQf5g5sO (1/1)

四龍たちは諸国漫遊の旅でも始めたのかな?


736 ◆isLit7KmPs2015/11/07(土) 01:59:27.04NcAXK6I4O (2/2)




737 ◆9V5Uv5Qztc2015/11/07(土) 02:00:47.456VVBKdsNO (1/3)




738以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/07(土) 02:08:52.48IagyIOrSO (1/1)

一番純粋無垢だったのはバカ作者だったというオチか
純粋無垢っつうか池沼レベルだけど


739 ◆PZGoP0V9Oo2015/11/07(土) 02:09:45.576VVBKdsNO (2/3)




740 ◆TbjlUtTwCg2015/11/07(土) 02:10:14.63HjwkXtxxO (1/1)




741 ◆jH3Q3bIrRM2015/11/07(土) 02:10:49.945pVzpJk6O (1/1)




742 ◆tsGpSwX8mo2015/11/07(土) 02:11:36.255s4YN8n3O (1/1)

とり


743 ◆kdoZ7ZAszM2015/11/07(土) 02:12:29.62jJxzU5RLO (1/1)

とり


744 ◆J/ZoJAt3T22015/11/07(土) 02:14:52.6793GaPFOoO (1/1)

とり


745 ◆boczq1J3PY2015/11/07(土) 02:15:35.046VVBKdsNO (3/3)

とり


746以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/07(土) 02:16:17.08kGrSsENZO (1/1)

とりっぴー


747以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/07(土) 12:03:09.31ZX82546NO (1/1)

最初はよかったんだが
広げ過ぎた風呂敷を無理やり畳んだ感があるな


748以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/07(土) 12:20:40.52U+D8ajO/o (1/1)

無理矢理でも綻びがあるように見えても
ちゃんと自力で畳んだのは良いことだ
書きたいこと書ききったならOK



749以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/07(土) 12:36:23.83x1oI+Turo (1/1)

タイトルの回収までとても綺麗な流れで面白かった またSS書いて欲しい


750以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/07(土) 20:18:25.24bv9m1u1fO (1/1)

おつ、全部ひっくるめて面白かった!
ハッピーエンドだし言うことないですわ。
1スレでしっかり終わらせたのも見習わないと。


751以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/09(月) 01:51:40.13n+QrjyCh0 (1/1)

乙でございます


752 ◆wSaCDPDEl22015/11/14(土) 00:53:53.22W6KdNwqJ0 (1/1)

おつ!


753以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/15(日) 05:07:39.54mJZFdYx30 (1/1)

楽しかったわ乙