1暗黒史作者 ◆FPyFXa6O.Q2015/10/06(火) 01:08:19.361c7ihP9u0 (1/10)

………現行スレ持ってるのに何やってるんだ自分?

スレタイ通りのクロスオーバー作品。
少なくとも「魔法少女まどか☆マギカ」本編抜きだと分からない状態になりそうです。

プロットほぼ完成
書き溜め短期決戦で行く、予定です。

考証に就いては、気合で押し通る
………まあ、その辺はそれなりに折り合いがつけば、と言う感じで。

誰だこいつとかなんとかかんとかな感想に就いては………投石はご勘弁………

第一回は触り程度の投下となりますが、

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1444061299



2MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/06(火) 01:13:32.141c7ihP9u0 (2/10)

それでは、今回の投下、入ります。

==============================

 ×     ×

ー見滝原市立病院救命救急病棟読影室ー
(以下、特に断りの無い限り病院関係は同病院)

真姫「とにもかくにもこの左腕ね」

研修医「切断面がヤバ過ぎですね。
厳しいですけど他の処置も考えると………」

真姫「繋ぐわよ、腕は私が繋ぐ。
幸い頭は無事、肋骨折れてるけど内臓のダメージも比較的軽微。
君はそちらを済ませて脚をメインにお願い、
脚の方も結構キテるけど、出来るわね」

研修医「分かりました」

バタバタバタバタ

真姫「(頬を張る)………」パンッ
真姫「………ファイトだよっ………」ボソッ


3MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/06(火) 01:18:58.171c7ihP9u0 (3/10)


ー処置室ー

真姫「………馬鹿な車が突っ込んで来たって………」

真姫(………まだ中学生ぐらいか、綺麗な顔………
それに、綺麗な手………多分この子………)

真姫「きついわね」ボソッ

研修医「難しい、ですよねその腕………」

真姫「…フッ…泣き言はここまで」

看護師「西木野先生っ」

真姫「うん。それでは………」

==============================

今回はここまでです>>1-1000
続きは折を見て。


4以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/06(火) 01:33:40.408hUwsDeDO (1/2)

批判怖いなら書かなきゃいいじゃん


5以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/06(火) 03:50:22.058QTYRwBio (1/1)

触り処か短すぎて何も言えんね


6MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/06(火) 13:07:04.131c7ihP9u0 (4/10)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>3

 ×     ×

ーー集中治療室ーー

真姫「目が覚めたみたいね」

恭介N「両親に次いで現れたのは、三十歳前かも知れないし若く見えるのかも知れない。
セミロングヘアでいかにも白衣を着慣れた感じの、
勝ち気で頭の良さそうな女医さん、と言うイメージそのままの女性だった」

真姫「名前、言えるかしら?」

恭介「上条、恭介です」

真姫「私は西木野真姫、あなたの担当医。
ここは見滝原市立病院。
何故ここにいるか、分かる?」

恭介「はっきり、とは。車が、突っ込んで来て、」

真姫「そう。それで、救急車でここに運ばれてきて、
緊急オペを実行して麻酔から覚めた所よ。
そういう事だからよろしく」

恭介「………」ペコリ


7MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/06(火) 13:12:09.441c7ihP9u0 (5/10)


恭介N「意識や考えがはっきりして来ると共に、
   段々と、段々ととても恐ろしい事に」

恭介「あの………」

真姫「何かしら?」

恭介「あの………左腕が、左腕が動かないんですけど」

真姫「うん、運ばれて来た時君の左腕はひどいケガで、
  今はようやく繋ぎ止めた所」

恭介「あ、あのっ!」

真姫「ん?(ポーカーフェイス………)」

恭介「あのっ、治るんですよねっ?
  僕、ヴァイオリンを習ってて、これじゃ、弾けなっ、
  元通り動く様になるんですよねっ!?」

真姫「………今はそこまでの答えは出せない。
  リハビリもあるし、繋げるものは繋いだけど、
  元の損傷が大きかったからどれだけの影響が出るか、
  これから検査もして………」

恭介「じゃあ、じゃあリハビリをしたら、ちゃんとリハビリを………」

恭介父「恭介、ひどいケガだったんだ。
   生死に関わる大ケガを治してもらったばかりなんだ。
   余り先生を困らせるんじゃない」

恭介「うん………」

真姫「命の危機は脱しました。じきに一般病棟に移る事も出来るでしょう。
  今は検査を、リハビリの事を含めて今後の事は近い内に」

恭介両親「お願いします」

真姫(その顔………もう、分かっちゃってるよね?)


8MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/06(火) 13:17:25.771c7ihP9u0 (6/10)


ーー外科医局ーー

先輩医師「ヴァイオリニストの卵、か。
     告知はして来たのか?」

真姫「まだ、何かを言える状況じゃない、
   って言うのは本当ですから」フルフル

先輩医師「だけど、あれじゃあ楽器どころか日常生活だって何パーセントも、って状況だろ」

真姫「ええ。何れカウンセラー、ソーシャルワーカーにも助力をあおいで
   きちんとしないといけません。近い内にきちんと………」

先輩医師「辛いかぁ」

真姫「きついです」

先輩医師「だよなぁ………解っちまうんだもんなぁ………」


9MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/06(火) 13:22:47.301c7ihP9u0 (7/10)


 ×     ×

ーー病棟廊下ーー

「もう少し、もう少し」

ーー恭介病室ーー

さやか「もう少し、クリアッ!」

ベッドを横切る卓上に積み木

真姫「お見舞いかしら?」

さやか「あ、どうも(うわぁ、美人女医とかホントにいるんだ)」ペコリ

恭介「先生」

真姫「うん」

恭介、左手で卓上の積み木に悪戦苦闘。

恭介(痛々しい笑み)「少しずつ、動く様になってます」ニコッ

真姫「うん。それじゃあ、検査があるから」

恭介「はい」

さやか(西木野、先生)ペコリ

真姫(あー、何かライバルって目だねぇ…タハハ…)


10MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/06(火) 13:28:16.691c7ihP9u0 (8/10)


 ×     ×

ーー恭介病室ーー

恭介(イヤホンを耳に差し)「………」

さやか(イヤホンを耳に差し)「………」

入口近く
真姫「………」

ーー外科医局ーー

先輩医師「検査結果もあの通りだし、そろそろ潮時か」

真姫「そうですね………」

先輩医師「あんまり、抱え過ぎるなよ」

真姫「はい」

真姫(………私は、医者だから………)

ーー夕方 外科病棟ーー

真姫「お先」

看護師「お疲れ様です」


11MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/06(火) 13:31:59.891c7ihP9u0 (9/10)


ーービストロ店内ーー

真姫「お子さん達は?」

希「エリちの所で預かってくれてる」

真姫「そう」

給仕「お待たせしました」

真姫「調べて見たけど、
   信頼できる先生だからそのまま進めていいと思う」

希「ありがとうな。
   告知を受けた時にはほんま、目の前が真っ暗になったん」

真姫「うん、お子さんもまだ小さいからね。
   大丈夫、特に腹腔鏡では十分な実績があるし、それで無理なら無理だって言う先生だから。
   聞いた限りでも行ける内容だし」

希「うん。あの人には、あの子の嫁入り見て泣いてもらわんと。前に言うてたん」

真姫「…タハハ…まあねぇ、
   僅かに自覚症状あったとは言え、タロットの導きで精密検査したら初期の膵臓癌とか、
   医者としては乾いた笑いしか出て来ないわ」

希「スピリチュアルやね………真姫ちゃんもお疲れさん?」

真姫「まあー、疲れてるわ。色々とね、体もきついし」

希「んー、真姫ちゃん」

真姫「ん?」

希「あんまり、一人で抱え込んだらあかんよ」

真姫「ん、分かってる。有り難う」


12MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/06(火) 13:35:25.061c7ihP9u0 (10/10)


ーー夜、石畳の歩道ーー

コッコッコッコッ

希(すっかり遅くなったわ。
 真姫ちゃんが知ってた隠れ家居酒屋で、久々の一杯が植○等の歌そのまんま。
 真姫ちゃんも、ちょっと煮詰まってたけど、まああれなら………)

希(制服? 塾帰りか何か?)

コッコッコッコッ

「二人とも、何か願い事は見つかった?」
「んー、まどかは?」
「んー………」

コッコッコッコッコッ

希「………………………………………………………………………………………………………………
 ……………………………………………………………………………………………………………………
 ……………………………………………………………………………………………………………………」

コッコッコッコッコッコッ

==============================

今回はここまでです>>6-1000
続きは折を見て。


13以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/06(火) 14:41:09.458hUwsDeDO (2/2)

つまらないを通り越してるどう反応したら正解なんだ


14MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/07(水) 12:40:09.71n1VKdVQN0 (1/4)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

 ×     ×

ーー朝 路上自販機前ーー

真姫「ありゃっ」

コロコロコロ

女の子「はい」

真姫「ありがとう」ナデナデ

女の子「つっ」

真姫「?」シャガミコミ

真姫「ちょっとごめん」

女の子の髪の毛を掻き上げ、右手を取る。

真姫「えーっと、どこかにぶつけちゃったかな?」エイギョウスマイル

女の子「う、うん。ゆま、お家で転んだの」タジッ

真姫「そう。転んじゃったんだ。ちょっと待ってね」


15MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/07(水) 12:46:53.54n1VKdVQN0 (2/4)


カチャッ、ゴトン

真姫「はい、さっきのお礼」

ゆま「………ありがとう………」

真姫「美味しいお水だけど、早く飲まないと温くなるわよ」プシュッ

ゆま「うん」ゴキュゴキュ

真姫「………」スイッスイッ

 # 9 1 1 0

真姫「見滝原総合病院医師西木野と申します。
  少年課の方をお願いします」

ーー夕方 外科医局ーー

医師A「あー、終わったぁ。西木野先生は?」

医師B「ああ、今朝の通告の件で児相から協力要請があった。
   聞き取りが難航してるらしい。親を庇ってるみたいだな」

医師A「あー」


16MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/07(水) 12:52:42.13n1VKdVQN0 (3/4)

訂正>>15
真姫「見滝原総合病院医師西木野と申します。
→真姫「見滝原市立病院医師西木野と申します。

続き投下
======================

ーー病院周辺歩道ーー

真姫(あの診断書で家庭裁判所の承認は出るだろうけど、
   さっきので上手く取っ掛かりになればいいんだけどな………)

真姫「ん?」

タタタッ

真姫「ほむらちゃん?」

ほむら「え?」

真姫「やっぱりほむ………暁美さんだ。
   あ、覚えてないかな、私、西木野真姫」

ほむら「西木野先生?
    (確か、東京の………何番目の………)」

真姫「うん。やっぱりほむらちゃんだった。
   なんか、すっごい美人さんになっちゃって。
   あー、あの時まだ私研修医だったね。
   今、そこの見滝原市立病院に勤めてるんだけど、
   ほむら………暁美さんはもう中学生か」

ほむら「(前のループであそこにいたっけ?)
    え、ええ。すいませんがちょっと急ぎますので」ペコッ

ダッ

真姫「え?」


17MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/07(水) 13:00:22.07n1VKdVQN0 (4/4)


ー見滝原市立病院敷地内ー

ほむら(こっち………急がないと………)

ガシッ

ほむら「な、何っ?(先回りっ!?)」

真姫「それはこっちの台詞よっ!」ダキツキッ

真姫「いきなり全力疾走とか何考えてるのよっ!?
   今ここにいるって事はずっと走ってるわよね。
   えーと、呼吸と脈は、走ったにしては普通。心音聴くわよ」

ほむら「え、あ、あのっ」

真姫「 心 音 聴 く わ よ 」

ほむら「………はい………」

==============================

今回はここまでです>>14-1000
続きは折を見て。


18以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/07(水) 14:51:19.94BYCpNgYDO (1/1)

つまんないし気持ち悪いから書かないでいいです


19以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/07(水) 15:02:46.98kBUdk8K30 (1/1)

珍しい組み合わせなんで期待


20以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/07(水) 17:42:18.45RXBcdgs+o (1/1)

乙。


21MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/09(金) 03:29:40.18PoXrSiHi0 (1/6)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>17

 ×     ×

ーーお菓子の魔女の結界ーー

さやか「いやったぁーっ!!!」

マミ「ティロ・フィナーレッ!!!」

ぬいぐるみ魔女「………ブクゥゥゥゥゥ………」ニュルン

ハッ、ハッ、ハッ

MK-11「SHOOT!!」

シャルロッテ「メガ、メガァァァァァァァァァ」

パンツァーファースト「FIRE!!!」

ドォォォォォォンンンンンンンンン

シャル「」ダッピ

さやか「マミさんっ!!」

マミ「はっ!?」

巨大マスケットを逆さに持ち、腰を入れて、

シャル「(葬むらんっ!!!!!!!!!)」


22MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/09(金) 03:35:04.47PoXrSiHi0 (2/6)


ダッピダッピダッピダッピダッピ
マスケットマスケットマスケットマスケットマスケットダンマクウスイ

マミ「ティロフィナーレティロフィナーレ
  ティロ・フィナァァーーーーレェェェェェェェッッッッッッッッッ!!!!!」

ズガアァァァァァンンンンンンンンン

マミ「………やった………」ヘタッ

コッ コッ コッ

ほむら「………」

マミ「ハァ、ハァ………暁美さん………
  助けてくれたの?」

ほむら「………」ギリッ

パアン

まどかさやか「あっ」

マミ「………」ヒリヒリ

ほむら「(視線・まどさや)
   私が来なかったら何が起きていたか、分かってるわよね?」

マミ「…コクン…」シュン

ほむら「………」グリーフシード

ほむら「使い魔を片付けて九割方攻撃してトドメ刺したのはあなた。
   このまままじ………動けなくなられたら迷惑だし」

マミ「………甘え、させてもらう………」

ほむら「そう。じゃあ、他に言う事もないわね」ファサァ

クルッ

マミ「あ………ありがとう」


23MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/09(金) 03:40:21.76PoXrSiHi0 (3/6)


ツカツカ

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「………」ツカツカ

まどか「あの………ありがとうほむらちゃん」

ほむら(わずかに)コクッ

さやか「ふうん、転校生ってあんな風に怒る事あるんだ」

ほむら「何?」

さやか「いや、なんかいっつもスカしてるって言うかさ」

ほむら「ちょっと、今は虫の居所が悪いだけよ」

さやか「そ。うん。いや、有難う。
   命の恩人だからお礼は言うよ」

ほむら「なら、馬鹿な真似はやめるのね。
   身を以て理解したでしょう、魔法少女に関わるのがどういう事か。
   ここで死んだら死体も残らない」

さやか「うん」



24MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/09(金) 03:45:47.60PoXrSiHi0 (4/6)


ツカツカツカ

ほむら(………何か、ペースがおかしい調子が狂ってる………)

マミ「………私達も出ましょう。
  あなた達には謝らなければいけない、本当にごめんなさい」

まどか「そんな、マミさん」

さやか「そうですよ。あたし達も危険だって分かってて」

マミ「危険な魔女の結界に案内して、命の危険に晒した。
  魔法少女として言い訳の出来ない事だわ。
  魔法少女見学ツアー、これで終わりにしましょう。
  魔法少女に誘った事も無かった事に………」

さやか「………」

まどか「あのっ」

マミ「何かしら?」

まどか「あのっ、やっぱり、その魔法少女になるのは、怖いです」

マミ「当然よ」

まどか「でも、マミさんの、マミさんの入れてくれた紅茶、
   とても美味しかった。又、ご一緒していいですか?」

さやか「う、うん。マミさんのケーキ、すっごく美味しいし」

マミ「…グスッ…え、ええ。大歓迎」


25MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/09(金) 03:51:35.62PoXrSiHi0 (5/6)


ーー夜 真姫自宅(マンション)ーー

メガ真姫「………」カタカタカタ

PC「英字論文」

ヴーヴーヴー

真姫「もしもし、メールで連絡致しました………
  はい、小児科で研修医を………直接の連絡、恐縮です。
  それで、はい、そうです。ええ………転院ですか………」

「後で話を聞く機会もありましたが、
 多少なりともQOLを上げるのが限度だった様ですね
 ええ、それが当時の技術の限界でしたから」

真姫「そうですね。今でしたら………」

「年齢と技術から多少の選択肢は広がりますが………」

真姫「根治した可能性は?」

「移植を別にするなら、大幅な改善を含めてそれは正直無理ですね。
 理論上考えられる術式はありますが、あの状態ではリスクが高過ぎる。
 実行すれば、俗に言う神の手の類でも六、七割は命を落とす。
 基礎疾患があの状態では、日常生活で無理をしなければ、と言う程度の
 QOLを維持するのが現実的な選択であると言わざるを得ません」


26MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/09(金) 03:55:53.82PoXrSiHi0 (6/6)


真姫「もし、あの症例を大幅に改善する事が出来ていれば」

「学会で発表すべき内容ですね」

真姫「………ええ、はい………はい………
  ………ええ、ちょっとこちらで………有難うございました失礼いたします」

プツッ

真姫「………」クルクルクルクル

………ダイジョウブ、ミタイネ
ゴメンナサイ、ゴシンパイヲオカケシテ
アマリムチャシナイデヨ………

真姫「意味、分かんない………」

==============================

今回はここまでです>>21-1000
続きは折を見て。


27MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/10(土) 03:49:08.24W/tiBLiu0 (1/9)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>26

 ×     ×

ーー病院内廊下ーー

真姫(壁に背を預けて)「ふぅーっ………」

真姫(頬を叩く)「………」パンッ

真姫「ファイトだよ………」ボソッ

ーー病院 応接室ーー

真姫「先にご両親に来ていただいた訳ですが」

ーー説明中ーー

真姫「………事故当時の腱、神経の損傷が激しく、
  恭介君自身も我々スタッフも懸命の努力を続けて来ましたが、
  その経過も捗々しくありません。

  今後の将来に渡る話としても、この内容では、
  日常生活の不自由を可能な限り減らす、と言う回復が限度です。

  繊細な楽器の演奏、を前提とした回復は、
  医師の立場として不可能、を前提に話をせざるを得ません」


28MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/10(土) 03:54:27.68W/tiBLiu0 (2/9)


恭介母「………あんなに………恭介は、あんなに、ヴァイオリンを………」

真姫「………」

恭介母「何とか………何とか、ならないんですか先生?
   あの子は、あの子は今まで、あんなに、先生………」

真姫「………」フルフル

恭介父「………西木野、先生が仰るのなら………」

真姫「………」ペコリ

ーー恭介入室、着席、説明ーー

恭介「詰まり、この腕はもう動かないからヴァイオリンは諦めろ、と」

真姫「大体、その理解で合ってる。
  日常生活のための回復はまだ先が見込めるけど、
  今までの様に楽器を弾く繊細な動き、と言う所まで回復するのは難しい。
  いえ、私の立場では不可能であると言わざるを得ません」

恭介「不可能、ですか」

真姫「ええ。一般論として、
  確かに世の中にはとんでもない天才と言うべき障害者の人もいる。

  でも、もちろん努力を当然の前提としても、
  今の私の立場で言えば、それは最早、奇跡か魔法の領域に入っている天才や超人。

  医者として、若い君のこれからに、
  君の時間と労力、そして希望を費やして、その道を勧める事はとても出来ない」

恭介「凡人………秀才には、もう無理だ、と、このケガでは」

真姫「………」コクン


29MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/10(土) 03:59:52.00W/tiBLiu0 (3/9)


恭介「ソウデスカ、ワカリマシタ」

真姫「………」コクン

恭介「そうですか、そうですよね。エエ、ワカッテマシタ、この腕デスカラ。
  命が助かっただけ、命が助かって、こうして暮らせるだけ良かった、って」

真姫「今は、いや、もうずっと、辛いだけかも知れない。
  それならそれでもいい。

  だけど、例えば作詞や作曲、
  障害を受け容れて出来る範囲で演奏を楽しんでいる人もいる。
  もちろん、昔通りじゃないのが辛いだけ、そう思うのも仕方がない。それは君次第。

  これからの長い人生、出来る限りの音楽を楽しむ、音楽を諦める、それ以外の事も、
  ご両親も、私達も、出来る限りの支えになります」

恭介「エエ、ソウデスネ、ダイジョウブデス、アリガトウゴザイマシタ」

ーー病棟廊下ーー

真姫(どう見ても絶対無理してるわよね。
  まだまだこれからか。
  やっぱりこういうのはカウンセラーと………)

イジメテルノカイイヤガラセノ

真姫(ん? 何? ちょっと、まずい? ………)

「聴きたくないんだよっ!!!」

ガシャーンッ

真姫「!?」ダッ


30MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/10(土) 04:04:56.42W/tiBLiu0 (4/9)


ーー恭介病室ーー

恭介「………弾けもしない………」

真姫「やめなさいっ!!」ガシッ

恭介「ハァ、ハァ………」

真姫「ハァ、ハァ………」ナースコーール

ーーーーーーーー

真姫「じゃあ、後はやっておくから」

看護師「はい」ガラガラ

恭介「う、あ、ああ………
  もう、弾けない、ヴァイオリン、弾け、な………」

真姫「そう、そうね」ホウタイマキマキ

真姫「泣いても、泣いてもいいの。だから………」

恭介「ほら、力も入らない、痛みすら、感じない。
  こんな、こんな腕………」

真姫「確かに、今の時代、いっそ無くして高性能な義手にした方がすっきりする、
  そういうケースも少なくないわね。
  だけど、今回はそれには及ばない、医師として私はそう判断して繋ぎ直した。

  この腕は、私が繋いだ。
  仕事として恩着せがましく言う事でもない、医学の限界と言われても納得できないと思う。

  だけど、自分の何かを誇るなら、人の仕事に少しぐらい敬意を表しても罰は当たらないと思う。
  それは大人として一言説教させてもらうわ」

恭介「………」


31MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/10(土) 04:08:25.69W/tiBLiu0 (5/9)


真姫「それから、女として一つ説教しとく。
  ………、………、………限定版」

さやか「………」ボーゼン

恭介「………分かる、んですか?」パチクリ

真姫「ネットで調べたのよ。仕事柄ドイツ語は勉強してる。
  中学生の坊やが女の子にこれ貢がせてDVかますとか、随分いい度胸してるわね」

さやか「あ、あの、それは、
   あたしが、恭介の気持分からなくて、ホント馬鹿で、無神経で………」

真姫「いい女が無駄に自分を卑下しないっ」

さやか「………」パチクリ

恭介「ごめん、なさい………」

真姫「謝る相手が違う」

恭介「ごめん、さやか」

さやか「う、うん。あたしの方こそ」

真姫「恭介君が一番辛い時に、私も随分厳しい事言ったわね」

恭介「いえ………きついのはその通りですけど、有難うございました」

真姫「そう言ってくれると。
  私には………他人にはとても分からないぐらい辛い事だと思う。
  だから、泣きたいなら泣けばいい。それを笑う人間を私は軽蔑する」

恭介「………」コクン

真姫「だけど………他人を、そうやって自分を、傷付ける事だけは、
  それだけは少し、頭を冷やして考えて欲しい。
  ご両親も、私達病院も、お友達、で、いいのかしら?」


32MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/10(土) 04:12:22.41W/tiBLiu0 (6/9)


さやか「………」コクン

真姫「君を大事に思って、支えになりたいと思ってるから。
  それが重いなら重いって言ってもいいから」

恭介「はい………本当に、有難うございました。すいませんでした」

真姫「それじゃあ………ここまで言っておいてなんだけど、
  基本、私はケガを治す事しか出来ない立場だから。
  出来れば愚痴や泣き言はカウンセラーに。
  その辺、時間が無ければ普通に断るからね私は」

恭介「はい。有り難うございました」

さやか「………」ペコリ

ーー外科医局ーー

先輩医師「なんか、派手にゲンコロかましたって?」

真姫「………すいません…タハハ…」ペコリ

先輩医師「まあー、ナースの話なんか聞いてても、
     あの患者ならいつかああなっただろ」

真姫「………」コクン

先輩医師「それでも、なんか、届くものはあっただろうな」

真姫「そう、願います」

先輩医師「ああ。届いただろうさ、西木野先生なら。
     ここからは改めて長丁場のチーム対応だ。
     結果がどこまで届くか難しい所だが、
     一人の患者に対して自分で出来る事は見極めないとな」

真姫「はい」

真姫(私は、医者として………)


33MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/10(土) 04:15:55.03W/tiBLiu0 (7/9)


ーーマミ自宅ーー

三角テーブルで遅いティータイム

マミ「そう。それで、やっぱり魔法少女には」

さやか「………」コクン

さやか「恭介の担当の先生が凄く一生懸命で。
    それでも恭介の事をそこまでしか治せなかったって。

    こないだ転校生に助けられたのもあるし、

    それで、なんかズルって言うのか、冒涜って言うのかな?
    恭介には悪いかも知れないけど、契約して腕を治す気が萎えた、って言うか」

マミ「………」

さやか「あ………ごめんなさい。
    その、マミさんが助かりたいって願ったのは当たり前で、
    マミさんが生きててこうやって出会えたのは嬉しい、
    って言うかワタシッテホントバカ」

マミ「分かってる。ありがとう。
  うん。分かる、そういう風に感じるの。
  だから、気に病まないで」

QB「医学で出来なくても魔法なら出来るんだよ。
  わざわざ不便な事を選ぶのかい?」

さやか「分からないかなぁ?」クショウ

さやか「うん。それってホント馬鹿なのかも知れない。
    だけど、なんかそんな馬鹿な効率悪い事に付き合いたいって言うか、
    それが、もしかしたら人間臭い、って奴かな?」

QB「わけが分からないよ」

マミ「難しいわね」クショウ


34MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/10(土) 04:19:03.28W/tiBLiu0 (8/9)


マミ「その先生ってどんな先生なの?」

さやか「西木野先生って綺麗な女医さん、まだ若くていかにも頭良さそうな。
    それで、仕事はビシッとやるって感じかな」

まどか「うん、ちょっと格好いいって言うか」

さやか「その辺、まどかのママにもちょっと似てるかな」

マミ「へぇー。にしきの先生」

さやか「はい。あ、にしきのって、漢字がちょっと珍しいかも」

マミ「珍しい?」

さやか(テーブルに指)「はい、あんまり見ない名字ですよね」スイッスイッ

マミ「………西木野………綺麗な女のお医者さん………」

まどか「マミさん?」

マミ「ううん、なんでもないわ。
  ロールケーキがあるんだけど、食べていくかしら?」

まどか・さやか「「いただきます」」


35MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/10(土) 04:22:39.82W/tiBLiu0 (9/9)


ーーーーーーーーーー

マミ「はい、お待たせ」

まどか・さやか「「美味しい」」

マミ「ありがとう」

さやか「でも、お医者さんも大変ですよね。

    頭良くないと当然出来ないし、
    西木野先生とか、救急車で運ばれて来た恭介の腕繋いで他にも色々ケガしてて。

    それで、命が助かってからもあんな傷ついて我儘になってる患者の担当。
    ミスったら患者の命に直結する。
    そんな仕事毎日やってるって」

マミ「大変なお仕事、尊敬するわ」

まどか「うん。テレビとかでもやってますよね。
    忙しくてなり手がいないとかお医者さんが倒れちゃうとか」

さやか「…アハハ…笑い事じゃないけど本末転倒って言うか」

マミ「そうね。確かに、そんなニュースも聞くわね………」

さやか「なんか、自分が倒れちゃったら結局誰も助けられないですよねー」

マミ「ええ、本当にそう」

まどか「ご馳走様でした」

さやか「ご馳走様でした」

マミ「お粗末様でした」

==============================

今回はここまでです>>27-1000
続きは折を見て。


36以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/10(土) 04:43:35.61XTtvAuu80 (1/1)



どっちのコンテンツもファン層の民度が心配だからな
荒れないことを祈ってる


37以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/10(土) 09:03:49.91AkZ2jDYvO (1/1)

乙です


38以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/10(土) 09:05:22.24VwI+kDhPO (1/1)

見てます


39MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/18(日) 03:31:23.06Ao1gyrkb0 (1/7)

レス有難うございます。

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>35

 ×     ×

ーー恭介病室ーー

仁美「上条君」

恭介「志筑さん」

仁美「ご無沙汰いたしております。
   もっとお見舞いに伺いたかったのですが」

恭介「有り難う」ニコッ

仁美「あの、これを」スッ

小箱をベッドのテーブルに

恭介「これは」ヨイショ

仁美「あ、すいません」カパッ

恭介「クッキー、これって志筑さんが?」

仁美「はい。特別な制限はないものと伺いましたもので」

恭介「うん。有難う」ニコッ

仁美「…パァァ…」


40以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/18(日) 03:34:06.46cE7sr7dDO (1/1)

>>36
ラブライバーよりはまどマギファンはマシだろ
ラブライバーは事件しか起こさないし


41MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/18(日) 03:36:27.70Ao1gyrkb0 (2/7)


恭介「んっ」ヒダリウデ

仁美「あっ」

恭介「つっ」ミギテデセイスル


恭介「つっ、あれっ、ん、昨日は、ちゃんと出来た………
   ちょっと待って………今………」

ポロッ

恭介「………」

仁美「………」

恭介「………」ミギテツマミ

恭介「………有難う、美味しいよ」

仁美「有難うございます」

恭介「う、うん、今日は、ちょっと疲れてる、みたいで」ニコッ

仁美「あ、ごめんなさい、気づきませんで」

恭介「うん。お見舞い有難う。
   クッキー、ご馳走様」

仁美「それでは、失礼いたします」パタタ

恭介「………」


42MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/18(日) 03:42:09.52Ao1gyrkb0 (3/7)


スルッ

恭介「………うっ………」ウツムク

真姫「カッコ悪いとこ、見せたくないか」ハアッ

恭介「うっ、くっ………」シタムク

真姫「あの娘、さやかちゃんには派手にぶちまけちゃったけどねぇ」

恭介「そう、ですね」ウウッ

真姫「ま、今の自分にゆっくりチューニングしたらいいよ。
   体も、心もね」

恭介「………」コクン

ーー廊下ーー

仁美「………」

 ×     ×

ーーとある病室ーー

女の子(ベッドの上)「ダンスの練習ね、すっごく大変で疲れて、でもとっても楽しくて、
    だからご飯が美味しいの」

真姫「そうなんだ」

女の子「いつか、お姫様になりたいな」

真姫「お姫様?」

女の子「うん。先輩のお姉さんみたいに、
    綺麗なドレスを着て歌ってお芝居するの」

真姫「そう」


43MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/18(日) 03:47:16.24Ao1gyrkb0 (4/7)


ーー病院応接室ーー

患児母「癌、と言う事ですか」

真姫「そのご理解で、結構です」

患児母「ああ………」クラッ

真姫「少し、休まれますか?」

患児母「いえ、お話しを」

真姫「はい。多くの場合、このタイプの病巣は子どもの内に脚の骨に発生します。
   癌の様なものですので、
   早期に治療しなければ全身に転移して生命を脅かすものになります。

   手足に発生したものであれば、生命予後、生命を優先するために
   患部のみ、或いは手足ごと切断する、
   と言う選択肢もあるのですが、今回は場所が場所です。

   稀なケースであり迅速かつ慎重に確認したのですが、
   残念ながらここに、悪性の病巣があると言う事実は動かせません」

真姫、頭蓋骨の図を赤ペンでこつこつ叩き、ぐるっと丸を描く。

真姫「敢えて言います。非常に珍しい、タチの悪いケースです。

   まだ幼い命だけを最優先に、なりふり構わず命を取るか、
   或いは、短い余生を、と言う段階です。

   そのためには、この範囲の骨を切除して、
   それでようやく生存へのスタートと言う事になります」

患児母「顔の、骨をこんなに………
    そうしたら、どう、なるんでしょうか?」


44MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/18(日) 03:51:02.43Ao1gyrkb0 (5/7)


真姫「悪性の組織のブラック、グレーの部分は絶対確実に、
   それを包み込んで漏らさないためには、健全なホワイトの部分も少なからず一緒に削って、
   悪い組織を包み込んで確実に封じ込めた状態で切り取らなければいけません。

   そうしないと、再発から転移、生命の危機に直結します。
   この範囲では、切除の後、代わりの人工物を接続、埋め込んで、
   薬剤と放射線で確実に叩いて根治します」

患児母「そんな………こんなに、顔の骨を削ってしまったら………
    先生っ!!」ガシッ

患児母「なんとか、なんとかならないんですかもっとなんとかっ!………
    あの娘、あの娘は劇団で、最初は大変だったのに、
    やっと、泣き言も言わなくなって、舞台にも出られるって喜んで、
    これから、これからなんですあの娘はこれから役も貰って、先生っ!!!」

真姫「………女の子の顔の事です。可能な限りの検討を行いましたが、
   余りに場所と規模が悪すぎました。

   現状では、この状態から生命予後を優先するためには、
   確かにこの分野の技術の進歩は目覚ましいものではありますが、

   それでも、回復への長く辛い時間と、
   小さくない違和感、後遺症は避けられないのが現実であると」

患児母「あああ………そんな………ああ………」

患児父「行こうっ。こんな、若い先生じゃあっ」ガタッ

真姫「無理からぬ事だと思います。
   セカンドオピニオンを否定はしません、紹介状も書きます。
   しかし、時間は限られています。

   脅しでもなんでもなく、私の診断結果を申し上げます。
   今後生き延びるためのギリギリの時間が今です。

   脳脊髄、肺臓に、手が付けられない程の転移が起こる現実的な危険が迫っています。
   どうか、それを踏まえての行動をお願いします」イチレイ

患児父「言葉が過ぎた、大変失礼しました」


45MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/18(日) 03:54:55.70Ao1gyrkb0 (6/7)


 ×     ×

ーー院長室ーー

院長「どうかね?」

真姫「よろしいでしょうか?」

院長「ああ」

真姫「今のお話し、主治医として申し上げますならば、
   少なくとも現時点では反対です」

院長「うむ」

真姫「その術式の使用は、既にカンファレンスに於いても検討されましたが、
   私も含めた総意として採用されませんでした。
   どう見てもリスクが高過ぎるからです。

   確かに、前例とされる教授の論文も拝読しましたが、
   部位が、それによるリスクの大きさが違い過ぎて、
   類似例と言えるかすら怪しいものであると………」

部長「基本的には、同意見です。
   カンファレンスの結果も今の説明の通り。

   一般的以上の技術水準であっても、今回の症例にこの術式を採用し小規模切除を狙う事は、
   患者の生存を考えるならば無謀に他ならない。
   少なくともうちの病院にそれが出来る医師はいません」

院長「うむ」

部長「………しかしながら、教授の手技、過去の実績を考え合わせますと、
   最初から一蹴する、と言う事も早計と考えます」

院長「うむ。もちろん、正式な決定は検査、カンファレンスの後になるが、
   これは患者の親御さんからのたっての希望と言う事で」


46MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/18(日) 03:58:13.75Ao1gyrkb0 (7/7)


 ×     ×

ーー外科医局ーー

真姫、入室着席

真姫「…フウッ…」ウツムク

先輩医師「教授、どうだった?」

真姫「なんか自信満々、私も言うべき事は言いましたが」

先輩医師「それでもやる事になりそうか?」

真姫「ええ。既にご両親が直接教授と会って、
   そちらで半ば方針が決定している状況です。
   もちろん、手術前には私も同席しての説明の場を設けますが。
   あの様子では、教授がご両親に一体どういう説明をしたのか、正直不安です」

先輩医師「西木野先生は外様だが、うちの病院自体全体に××大学の学閥だからなぁ。
     助手につくのか?」

真姫「そういう事になりそうです。私もそれを望みました。
   執刀はとにかく、ここでは私の患者ですから」

先輩医師「………××教授は確かにメスは切れる、実績もある。
     だが、古いタイプの外科の撃墜王だ。
     古い大学だから生き残ってるが、事務方辺りは正直冷や冷やものらしい。
     気を付けろ、色々とな」

真姫「…フウッ…」

==============================

今回はここまでです>>39-1000
続きは折を見て。


47以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/18(日) 05:48:10.73ichqPTovO (1/1)

乙です
頑張ってください


48MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/19(月) 03:12:12.27B2l0tNx20 (1/10)

有難うございます。
それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>46

 ×     ×

ーー手術室ーー

「麻酔、入ります」

女の子「ドレスを着て、お姫様みたいに、楽しみ………」

真姫「ん」

教授「それでは………」

ーーーーーーーー

教授「………」

真姫「………」

看護師「………」タタタッ

真姫(迅速生検結果)バッ

教授「播種か」

真姫「一度閉じましょう」

教授「続ける」

真姫「待って下さい。ここまで前提が変わると今の準備では危険過ぎます。
   ご家族に告知した内容からも大きく逸脱しています」

教授「現場の判断だ。
   あくまで患者の生存のため、このまま病巣を切除し根治に繋げる」


49MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/19(月) 03:17:40.16B2l0tNx20 (2/10)


真姫「無謀です。只でさえリスクの高い部位、術式でした。
   これで、播種でここまで拡大した病巣と周辺部位をこの術式で切除するのは、
   その周辺にある致命的な………」

教授「私なら出来る」

真姫「それは、そう、であっても、せめて一度仕切り直しを。
   改めてご家族の同意を得た上で、脳外科の協力も仰ぎこの範囲に則した準備で。
   幸い、まだその程度の猶予はある筈です。
   このまま強行したら、予見し得るエラーに対処出来ません、その時は致命的な事態になります」

教授「私を誰だと思っているっ!?
   それに、私は、今回のオペのために
   差し迫ったヨーロッパでの学会発表のための準備時間を大きく割いているんだ。
   私以外の誰がこの術式で成功させると言うのだねっ?」

真姫(こんなやり方、普通ならヤバ過ぎて最初からやらないだけ、っ………)

教授「オペを再開する」

―――パックツイカ―――ブイエフ―――モドリマセン―――

ーー院長室ーー

院長「………」

部長「………」

事務長「………」

真姫「………」

部長「元々、進行していて危険な状態ではあった。
   不可抗力として説明しようと思えば説明出来る状況では、ありますが」

真姫「何をおっしゃっているんですか?。
   そもそも、何故執刀医はこの場にいないんですか?」

事務長「こちらで事情を伺った後、学会の準備のために既に発たれています。
    世界的にも価値のある決して外せない学会発表の時間を割いての手術と言う事で、
    術後の事はこちらに任せると言うのは事前に取り決めていた事でもありまして」


50MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/19(月) 03:22:43.68B2l0tNx20 (3/10)


ーーーーーーーーーーーー

真姫(………両手を上げて、デスクに向けて………)

バアンッッッッッッ

ーーーーーー妄想終わりーーーーーー

事務長「元々、当初の方針通り大きく切除しても、
    生き残る事が出来るかは難しい状態であったと」

真姫「確かに、生存率が高い、と言える程の確率ではありませんでした。
   あの播種があれば尚の事です。
   だからと言って、難民キャンプで今すぐの救命医療をやっている訳ではないんです。

   まだ選択肢の余地はありました。術式によって救命率と後遺症のどちらをとるか、
   或いは、痛みと進行を緩和しながら舞台に立つ思い出を作り、短い生を全うするか。
   それは私達が一方的に決めていい事ではなかった筈です」

事務長「いや、それは西木野先生でしたら………
   それは子ども相手には非現実的でしょう。
    やはり、救命を第一に考えなくては」

真姫「それでしたら、あんな無茶を続ける事が許される筈がありませんっ」

部長「元々、リスクはある術式だった。
   それを、実績のある教授が親御さんのたっての望みで敢えて行うと言う事で」

事務長「その通り、その旨同意を得ている事ですし」

真姫「同意を得た前提が別物です。同意した状態とはリスクが違い過ぎます」

部長「現場の状況により事前の同意に追い付かない事もままあるのが………」

真姫「一般論ではなく、今回がそうであったとおっしゃるんですか?」

部長「生検自体が拡散を引き起こす危険があるため、範囲確定が難しいケースだった。
   あのレベルの拡大は予測出来ていなかった事は………」

真姫「それは、その通りですが、現実にあの状況を把握した以上は………」


51MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/19(月) 03:28:21.99B2l0tNx20 (4/10)


事務長「それは、今、先生を問い詰めても仕方がないでしょう西木野先生」

真姫「ええ。そうです。実際にオペを行ったのは私達ですから。
   ですから、この結果に就いて、この病院で私達はどう対応すべきか、そういう話の筈です」

事務長「結果が出る迄、
    ご家族への対応はこちらで行いますので西木野先生はそれまで………」

真姫「私は主治医ですよ。医者としてご家族に説明を行う責任があります」

事務長「ええ、もちろん、それは行っていただきます。
    しかし、今ではない」

真姫「ご家族は説明を待っています」

事務長「ええ、ええ。しかしですね、保険会社や市役所との調整もあります。
    病院の責任に属する見解に齟齬が生ずると、
    こちらとしても非常にやり難い事になりますので、それは厄介なトラブルにもですね」

真姫「あれは、あの状況では、一度引くべきでした。
   続行の判断は、すべきではなかった」

事務長「ミスかどうかと言う事は、検証の結果を待ってですね」

真姫「まともな医者ならそう判断する、と言う話をしているんですっ!
   違いますか部長、院長っ!?」

事務長「しかし、教授は非常に高い技術、実績を持つ方で、
    元々リスクの高い手術をご家族が敢えて同意したと言う事情もあり、
    不幸な結果にはなりましたが、必ずしも一般的な水準で………」

真姫(あああああ………言いたい、素人は黙ってろと言いたいイミワカンナイ………
   ………向こうも仕事向こうも仕事………)


52MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/19(月) 03:34:56.08B2l0tNx20 (5/10)


真姫「これから、死亡診断書を作成してご遺体をお返ししなければなりません。
   その前に、詳細なAiと病理解剖を進言します」

院長「記録を残す、と言う事ですか」

真姫「はい。私もご家族への説明に同席しましたが、
   書面上の同意があったとしても、
   術死を納得できる内容の説明ではありません」

事務長「それは、あの年齢のお子さんを亡くされて納得すると言うのは」

真姫「病気の進行による死亡ではありません、突然の術死です。
   もちろん、やむを得ない術死もあります。
   しかし、責任問題をおいても、あの説明の内容で、しかも事前告知との乖離で、
   それでご遺族に術死を受け容れろ、と言うのは医師の立場でも厳しい内容です」

事務長「そこはなんとか、説明のつく様に………」

真姫「今回の経緯について、私が医師として事実に基づき必要な事を記録に残して、
   ご遺族が所定の手続きによりそれを目にして然るべき意見を求めたならば、
   紛争に発展する事も十分考えられる内容にならざるを得ません」

部長「言う迄もない事だが、オペに立ち会った君のキャリアにも関わる事であっても、
   決して事実を曲げた記録を行うつもりはない、と言う事を確認していいんだな?」

真姫「はい」

事務長「病理解剖と言う事になればご遺族の同意が必要となります。
    特に小さなお子さんですと親御さんの心情的な問題がですね」

真姫「最終的に病理解剖は行われるべき、と、考えますが、
   せめてご遺体が傷付かないAiだけでも。
   いっそ、このまま無断で撮影する事も選択肢としては」

事務長「いや、やはり事務局として把握している以上、
    私の責任として無断と言う訳には」

真姫「それでは同意を得て。
   ご遺体を損傷しないAiであれば説得も比較的容易と思われます」


53MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/19(月) 03:38:20.76B2l0tNx20 (6/10)


事務長「しかし、敢えてそこまで行う必要性が、ですね。
    ご遺族に混乱を与えると言う意味でも。
    先生には、今判明している状態から死亡診断書を書いていただいて、
    ご遺族への対応はこちらに任せていただけましたら。
    説明を行うに当たっては、整合性のある文書を作る必要もありますし」

真姫「本来そちら、事務局の扱いの話ですが、
   この病院の電カルには不正防止プログラムが導入されています。

   記述の追加ならとにかく、原本をいじる事が出来るのは限られた上位のアクセス権限が必要。
   それを実行した場合、少なくともアクセスログは長期間抹消出来ない仕組みになっています。

   説明用の文書をまとめる事が必要でも、その基となる医療上の記録はそのまま残ります。
   もし、そこに変に手を付けたら上位の責任者が後で痛くもない腹を探られる事になる。
   無論、私の作成する死亡診断書も、その様な条件の下で作成される事になります」

事務長「死亡診断書は今ある材料から、
    分からないものは分からない、それは不詳でも推定でも」

真姫「この病院での究明が無理だと言うのでしたら、警察への連絡も考えています。
   異状死の疑いがあると連絡して、Aiと解剖の実施を要請する事も」

事務長「それは、一存で行われては非常に困ります。
    異状死と言いますか異状死体と言いますか、
    その扱いは判例も通達もややこしい事になっておりますので、
    特に術死の様な事に就いては早急に弁護士の先生とも相談の上でですね」

部長「私も、警察はどうかと思う
   色々齟齬はあったかも知れないが、
   元々が高リスクのオペ、症例で、
   少なくとも現時点で刑事事件にすべき事例とは考えられない」

真姫「確かに、直ちに犯罪と言えるかどうかは、ですが………」


54MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/19(月) 03:41:31.76B2l0tNx20 (7/10)


部長「私は、前にいた病院で、マスコミと共に昂っていた時期の警察の捜査を受けた事がある。
   司法解剖になると、ご遺体をバラバラにされた挙句に、
   その結果得られた資料は裁判まで検察官の扱いとなって、病院自身による検証は困難となる。

   そして、治療現場とは距離のある法医学者のこちらが読めない意見を基に、
   警察検察での取調べが行われる。

   後知恵で万全を求めがちな司法の匙加減は、臨床医として納得し難い面も少なくない。
   幸い私は任意捜査による不起訴で終結したが、それでも現場は非常に疲弊した。

   ここに来て、西木野先生は本当によくやってくれている。
   この様な案件、この様な微妙な案件で西木野先生やスタッフが逮捕される様な事になれば、
   それはこの地域の医療、引いては医療界全体の問題になる」

事務長「その通りです。結果がどうあれ、
    警察が本腰を入れて介入して来る事によるダメージは極めて大きい。

    特に、術死を医師法による届出と言う事になれば、
    それが実務上の前例として、ここだけでなく後々に響く恐れもあります。

    事務局としては、そうした事で我が病院、先生方に負担を掛ける事の無い様に
    対処しなければなりません」

真姫「それではこちらで病理解剖、せめて詳細なAiを」

事務長「裁判を考慮した病理解剖となると、別の病院にお願いする、
    更にその事をご遺族に同意していただく必要があります。

    裁判になった場合、訴えられた病院が行った病理解剖は
    証拠として採用されない恐れがありますから。

    Aiも含めて、同意を得る作業自体が
    ご遺族の疑念を呼び心情を乱す恐れがありますが、それでも必要であると」


55MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/19(月) 03:45:01.22B2l0tNx20 (8/10)


真姫「必要です。病理解剖は同意の面で難しい部分もありますが、
   せめて遺体破壊の無い、客観的なAi画像だけでも保全する必要が。

   手術内容自体が、既に事前告知から相当に逸脱しています。

   確かに、事前の確定が難しい中、
   生命を脅かす予想以上の拡大に医師として現場の判断で懸命の対処した、
   そういう弁明が通る余地はあります」

事務長「でしたら………」

真姫「しかし、もし裁判になって、こちらが勝訴したとしても、
   元々が前のめりの手術で勝訴の理由が証拠が無いから勝訴、
   だけではまずい事になります。

   このネット社会です。この病院のネット検索にこの件で悪評が定着しても、
   証拠が無いだけにそれを覆す事が難しくなります」

部長「全く、只でさえあれには振り回されるからな」

真姫「それは、事務長の扱う経営上も
   この病院で患者さんの診察に当たる我々医師にも
   不利益にしかならないと考えます。
   結果はどうあれ、残せる根拠は残すべきです」

事務長「結果はどうあれ、ですか」

真姫「今の時代、ネットを含めてどこから入れ知恵があるか分からない時代です。
   私がやらなくてもご遺族が大人しくしていると言い切れますか?
   事件を中途半端な引っ張り方をされたら現場にも響くんですっ!」

事務長「事件とは又、先生の立場でそういう言葉を軽々にですね、
    我々が、先生方に余計な負担を掛けない様にですね………」

真姫「軽々しく口に出しているとお考えですか?
   私は、あのオペで最期の時まで医師としてそこにいたんですよ」

事務長「落ち着いて下さい先生。
    ですからこそ、一度落ち着いてから改めて見解をまとめていただきたいと」

真姫「私が感情的になっていると………
   失礼しました。しかし………」


56MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/19(月) 03:48:15.92B2l0tNx20 (9/10)


院長「………そうしよう………」

事務長「院長」

院長「現段階で確かな事を説明する事は難しいかも知れません。
   しかし、まずはAiと、それから病理解剖の承諾を得る方向で説得して下さい」

真姫「それは、私が」

事務長「いや、こちらで行います。
    先生が今ご家族と対面したら手術の内容に話が及びます。

    現時点で断片的な事を話される事も困りますし、
    主治医である先生の立場で言葉を濁されますと感情を大きく害される懸念があります。
    ワンクッション置く事も我々の仕事ですから」

部長「私も同席しよう。
   事務方だけで理解を得る事は無理だろう」

院長「お願いします。
   可能な限りご遺族の承諾を得てAiと病理解剖。

   警察への届け出に就いては事務長、
   市当局、弁護士の先生にも連絡をとって早急に必要性の有無を早急に報告して下さい。
   先生方も協力をお願いします」


57MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/19(月) 03:52:24.36B2l0tNx20 (10/10)


部長「全面的に」

真姫「分かりました」

院長「まずこちらでAiを行います。
   警察への届出の有無次第で解剖に関する扱いも変わって来る。
   或いはご遺族が直接届け出る可能性もありますから」

事務長「分かりました」

院長「以上の方針で、これは院長決定です。
   西木野先生。今は私に預けて下さい。
   私も医者です。悪い様にはしない」

真姫「若輩者が色々と出過ぎた事を、失礼いたしました」イチレイ

院長「………事故の疑いを前提とした委員会は避けられません、か………」

事務長「………」コクッ

==============================

今回はここまでです>>48-1000
続きは折を見て。


58以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/19(月) 07:48:05.93vBCiQqEbO (1/1)

乙です


59MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/21(水) 01:54:49.45AsveSdJ+0 (1/7)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>57

 ×     ×

ーー外科医局ーー

真姫「………フウッ………」ギシッ

先輩医師「どうだったヒアリング?」

真姫「裁判を前提とした準備ですから、
   司法と医者の現場、意思疎通からして難しいです」

先輩医師「なんだよなぁ。
     今までも、同業者が色々と泣かされてるからなぁ。
     まあ、逆のケースもあるから難しい所なんだが」

真姫「………隠蔽による泣き寝入り、ですか」

先輩医師「まあ、西木野先生は帰る所があるからまだな。
     うちの院長以下も事務方も市役所もこの件じゃ必死だ」

真姫「上の責任問題と言う事ですか」

先輩医師「しかも面子も絡んでる。
     この件は美国マターだからな」

真姫「私も小耳には挟んでいますが………」


60MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/21(水) 02:00:45.77AsveSdJ+0 (2/7)


先輩医師「美国の方で、有力な後援者に改めて恩を売ろうと、
     孫の手術のために凄腕で評判の教授を紹介してこっちにゴリ押しして来た。

     美国の本家は例の件で地盤固めを仕切り直している。
     美国代議士のラインで県議会議員や市役所の上の方まで絡めて、
     ここで一つ顔を利かせようとしてこの結果だ」

真姫(ヴェェ………)


先輩医師「無論、西木野先生や教授もそうだ、
     只全力で目の前の命に向き合っている事とは何の関係もない話さ。
     それでも、あそこの大学との関係がこじれるとうちの病院は非常にまずい」

真姫「学閥、それに医師派遣の事もですか」

先輩医師「昔みたいに大学が強権的に出来る時代じゃないがな。
     だからこそ、細い伝手でも手放せない。
     うちはマシな方だが、公立病院なんてどこも一杯一杯だ。
     救命やら産科やら抱えてたら特にな」

真姫「ええ」

先輩医師「西木野先生だって、何時跡継ぎに引っ張り戻されるか寿退社するか産休入るか。
     そんな事がバタバタッて続いた上に大学の細いつっかえ棒までなくして見ろ。
     この辺の地域医療そのものがやばくなる」

真姫「………」

先輩医師「まあ、今時隠して隠し通せる、なんて考える方がおかしい、
     よっぽど先が見えちゃいない。

     ここで小細工しても、隠せおおせるかは分の悪い賭け。
     逆の目に出たら、もっともっと縺れて患部が癒着して
     収拾つかない事になってただろう。

     外様なら外様らしく、いいご身分でもなんでも精々使い倒してやるんだな。
     それが患者のためになる、って言うんなら」

真姫「………はい………」



61MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/21(水) 02:08:05.82AsveSdJ+0 (3/7)


 ×     ×

ーー夜 真姫自宅ーー

真姫「只今………」

冷凍庫「ガチャッ」

真姫(ボンベイ・サファイア。
   自分でも分かるぐらいメンタルやばいから、最初に決めておく
   1ショットだけ)

真姫「くうっ………」

プルルルルルルル

真姫「?………もしもし………」

真姫パパ「もしもし」

真姫「パパ」

真姫パパ「元気だったか?」

真姫「うん」

真姫パパ「最近、ある人が私の所に頼み事をして来た。
     真姫の事を説得して欲しいとな。
     それは、私が口を出す事ではない、
     と答えたら聞かなかった事にして欲しい、と言っていた」

真姫「………ごめん、パパ………」

真姫パパ「何か、謝る様な事をしたのか?」

真姫「ううん」


62MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/21(水) 02:14:02.05AsveSdJ+0 (4/7)


真姫パパ「無論、医師免許は必要だ。
     だが、お医者様と安穏としていられるご時世じゃあない。
     私の本音を言うなら、真姫には婿を貰い、
     低リスクな診療科で経営に主軸を置いて欲しかった」

真姫「うん。正直、身に染みて分かる」

真姫パパ「敢えて一線で、他人の下でもっと仕事を覚えたいと、
     普通の就職活動を行い、地方の重要な基幹病院に就職した医者の雛鳥を、
     私は医師として敬意を以て送り出した」

真姫「うん」

真姫パパ「まだまだ若造だが、それでも、
     相応の働きを積んで来た、と、聞いている。
     西木野先生が当病院に勤めると言うのであれば、大いに歓迎する」

真姫「有難う。
   でも、こっちで患者さんが待ってるから」

真姫パパ「そうか」

真姫「有難う、パパ」

真姫パパ「うん。だが、これだけは覚えておいて欲しい」

真姫「何?」

真姫パパ「うむ。これは非常に重要な事だ。
     私が孫を抱くために、
     母子ともに健康なリスクの低い年齢と言うものを頭の片隅に………」

真姫「明日早いんだけど」

真姫パパ「ああ、お休み、真姫」

真姫「お休み、パパ」チュッ

ツーツー

真姫「お休み………有難う、パパ………
   うん、もう一杯だけ」


63MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/21(水) 02:17:32.87AsveSdJ+0 (5/7)


 ×     ×

ーー朝 美国本家ダイニングーー

織莉子祖父「………」シンブンガサガサ

美国公秀「………」

織莉子祖父「出所は市役所辺りか」

公秀「十中八九。そもそも病院側に口外するメリットはありませんし、
   あちらの両親親族もわざわざリークする段階ではありません」

織莉子祖父「糸を引いているのは?」

公秀「市役所の中の古狸のシンパ、後釜選びへの牽制程度の事かと」

織莉子祖父「面倒な事には?」

公秀「ご懸念無く。無論、目は配っています。
   元々が難しい病気、手術と言う理解はあります。
   今はむしろ、変に騒ぎ立てる方が地域医療を破綻させる
   モンスター・ペイシェントと言う見方をされがちですので」

織莉子祖父「医療ミスの疑い、か………」

 ×     ×

ーー記者会見場ーー

真姫「以上が、手術の経緯になります」

記者A「執刀医である教授は、何故出席していないのでしょうか?」

事務長「その分野に於ける第一人者として、
    海外に於ける研究、学会発表のために多忙を極めていた中でのオペでもありまして。

    無論、海外の教授とも連絡を取って、先方も気に掛けてはおられますが、
    どうしても外せない前々からの諸々の用件もあり、
    まずは、患者様をお預かりした病院としてこうした発表をさせていただいている次第であります」


64MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/21(水) 02:21:38.62AsveSdJ+0 (6/7)


記者B「今回の手術に就いて、病院としては医療ミスがあった、と言う認識なのでしょうか?」

事務長「患者様、お子様をお返しする事が出来ず、真に遺憾な結果となった次第ではありますが、
    今回の病状及びオペの元々の難しさに鑑みますと、

    子どもが座して死を待たざるを得ない、と言う状況に対しての数少ない選択肢として、
    その結論を出す事は現時点では容易なものではなく、
    現在、専門医、弁護士を含む検証委員会に調査を求めている次第であります」

記者A「………この様に、事前の検査結果に照らしても非常に危険な術式を選択した上に、
    直接取り除くには余りに拡大し過ぎた部位、状況での病巣の切除を強行した、と、
    何人もの専門家のコメントが出ている事に就いて、
    西木野先生はどう考えておられるんですか?」

真姫「………」スッ

事務長「あー、確かにリスクのある手術ではありました」バッ

事務長「しかしながら、元々が難しい病気の治療のための難しい手術であると言う事を
    説明した上での手術であり………」

記者A「本当に、それだけのリスクを説明したのですか?」

弁護士「当然、同意書は頂いております。
    只、このケース、病気は、検査自体に病巣拡大の危険を伴うため
    手術前に説明しきれない事もままあるのも確かであります。

    確かにリスクのある手術であり、
    現に市立病院独自に於いては見送られた術式を採用した訳ではありますが、
    一方でそれは、必ずしも標準では収まらない実績を持つ
    教授による執刀を前提をしたものであります。

    その上で、元々が致死率の高い病状に対して
    危険を冒してでも治癒の可能性を見出す説明と同意を得た上で実行された手術でありまして、
    その高度に専門的な判断の是非に就いて外部、標準医療から一概に結論を出す事は
    委縮医療の問題もあり難しいものであると言うのが現状であります」


事務長「現在、中立の弁護士、専門医も含めた委員会による調査を求めている段階でありまして、
    専門性の高い微妙な判断に就いて、現時点での結論は差し控えさせていただきたいと」


65MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/21(水) 02:25:44.46AsveSdJ+0 (7/7)


 ×     ×

ーー見滝原市内交差点 街頭ビジョン周辺ーー

街頭ビジョン「見滝原市立病院で手術を受けた………
      亡くなった事に関し、医療事故の疑いを指摘する一部報道を受け、
      今日、同病院が記者会見を開き………」

さやか「………」

 ×     ×

==============================

今回はここまでです>>59-1000
続きは折を見て。


66以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/21(水) 05:52:49.143brMdU3gO (1/1)

乙です


67MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 02:06:24.19zbPKqJ7Y0 (1/15)

ふっ、ふふふ、ふふふふふふふふふ
ふはははははははは……………やっちまったぜorz……………

美国の先代って亡くなってたのかよ………

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>65

 ×     ×

ーー見滝原警察署廊下ーー

事務長「ああ、西木野先生」

真姫「事務長」

ーー車内ーー

事務長「後で詳しく伺いますが、如何でしたか?」

真姫「一通りの説明を求められた、と言った所です。
   特に乱暴な事もありませんでした」

事務長「そうですか。こちらもその様なものでした」

真姫「警察も動き出しましたね」

事務長「記者会見まで開かれた、となりますと、
    警察としても放置は出来ないと言った所でしょうか」

真姫「何処まで踏み込んで来るつもりなのか?」

事務長「警察、検察も難しい立場ですからね。
    昔は医者の裁量、専門性を絶対視し過ぎていると言われ、
    最近では過剰な摘発で医療崩壊の引き金を引いたとも言われています。
    ですから、今は慎重な扱いになるとは思いますが」


68MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 02:11:59.87zbPKqJ7Y0 (2/15)


真姫「Aiと病理解剖の資料はこちらの手元にあります。
   警察が余り無茶な事を言って来るなら、
   医学的に反論する事も出来ます」

事務長「検察も、その資料を基に外部の専門医の賛成が得られなければ、
    それ以上のゴリ押しは出来ない筈です」

真姫「されたら困ります」

事務長「その通りです。
    こちらでも、外部の専門医を含めた検証を進めています。
    実際に警察が介入して来た以上、
    Aiはそちらの無理押しを抑制する歯止めにはなる、と言う事ですか」

真姫「………終わりで始まり、希望の光………」ポツリ

事務長「あの映画を?」

真姫「原作も一通り」コクリ

事務長「希望の光、そうあって欲しい、そうあるべきなのでしょうね。
    先生達が最善を尽くした証として」

真姫「光を浴びたら灰になるドラキュラにならない様に力を尽くします」


69MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 02:17:19.63zbPKqJ7Y0 (3/15)


事務長「時が経つのは早いものです。医学の技術もそうなのでしょう」

真姫「はい」

事務長「医学、病院を取り巻く社会、経済もしかりです。
    Aiも、そうですね。
    少し前迄は、今程の扱いはとても考えられなかった。

    良くも悪くも、正直、胃の痛い事の方が多いですが、
    病院に対する外的な要素は余りに目まぐるしく変化しています。
    西木野先生は東京の跡取り娘、でしたか?」

真姫「否定する程間違ってはいない、と思います」ムッ

事務長「失礼。何れ経営に携わる事になるのか、
    と、少々興味を覚えまして」

真姫「今は病院経営、引いては医者の仕事の場を維持する事は大変だと、
   多少なりとも聞かされて来ました」

事務長「そうですか。
    先生方は日々直接命に向き合い切った張ったの仕事をしている。
    私がその重みを本当に知る事は、生涯出来ないかも知れません」

真姫「………」

事務長「その重い仕事を、分からないなら分からないなりに敬意を以て、
    それでも距離を置いて病院、引いては先生方の仕事を
    それ以外の面で守り、バックアップするのが私どもの仕事です。

    今回の事も、なんとか病院が、先生方が乗り切るための準備をします。
    先生にも改めてご協力願います」

真姫「こちらこそ、よろしくお願いします」


70MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 02:23:01.03zbPKqJ7Y0 (4/15)


ーー夜 見滝原市内路上ーー

ヴーヴー

真姫「もしもし?」

真姫パパ「もしもし。警察の捜査が始まってるな」

真姫「うん」

真姫パパ「知り合いの記者から聞いた。
     既に県警の捜査一課でも担当が決まってるらしい」

真姫「そう」

真姫パパ「感触はどうだ?」

真姫「うん。今の所、警察の方は大丈夫、だと思う」

真姫パパ「そうか。
     病院には病院の、行政には行政の利害がある。
     補償交渉絡みの不用意な扱いから現場の医師に面倒が及ぶと言う事も有り得る」

真姫「うん」

真姫パパ「もし、何か気になる事があるならすぐにこちらに知らせなさい。
     真姫個人に対して、信頼のおける弁護士が付く様に手配する。

     死者が出て警察が調べを始めている以上、
     それが不可抗力でも対処を誤ったら取り返しのつかない事になる恐れもある。
     率直に言う、真姫一人の問題ではない」

真姫「うん。今の所大丈夫、だと思うけど、覚えておく。
   有難うパパ」

==============================

少なめですが今回はここまでです>>67-1000
続きは折を見て。


71MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 03:54:03.15zbPKqJ7Y0 (5/15)

予定変更的に引き続き
それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>70

 ×     ×

ーーBARーー

カラン

バーテンダー「いらっしゃいませ」

真姫「ジン・リッキー」キイッ

バーテンダー「かしこまりました」

真姫、喉を潤し左手で右手を掴む。

真姫(………大丈夫、術式の選択、手術の継続、手技、
   仮に過失があったとしてもそれは執刀医、流石に私に迄は及ばない………)

真姫(………我が身の心配が先に来る様になった、か。
   もう、仕事の一頁として、過剰に感傷的になるキャリアじゃない。とは言え、
   これも成長、なのかな? ………)フッ

真姫「マティーニ。ヘミングウェイで」

バーテンダー「お待たせいたしました」

真姫「………」ツイッ


72MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 03:59:04.53zbPKqJ7Y0 (6/15)


「渋いのやってるねお姉さん」

真姫「………」ペコリ

「あたしもマティーニもらおうか。
タンカレーにベルモットリンスで」

「じゃあ………私はエッグノッグを………
タマゴナンテタマゴナンテオ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙………」

真姫(ヴェェ………ヤバイ、絶対ヤバイ、
   あの眼鏡の方、負のオーラがヤバ過ぎる………)

ーー魔女の結界内ーー

マミ「ティロ・フィナーレッ!!」

ズガアアアンンンンンンン

ーーとある公園ーー

まどか「マミさん、大丈夫かな?」

さやか「うん。大丈夫、大丈夫………」

スッ………

マミ「只今」

さやか「いやったっ!」

まどか「良かったぁ………」


73MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 04:04:14.18zbPKqJ7Y0 (7/15)


ーーマミルームーー

マミ「お待たせ」

まどか・さやか「いただきます」

マミ「なんか、本当にごめんなさい。
   只、結界の外で待たせてこうやってお茶に付き合ってもらって」

まどか「………」フルフル

さやか「いやー、こんな美味しいお茶ご馳走になって、
    ごめんなさい、も無いでしょう」

まどか「時間内に出て来なかったら、って、
    それで少しでもお役に立てるんでしたら」

マミ「うん。その時は二人に悲しい思いをさせるエゴだって分かってる。
   それでも、せめて二人には覚えておいて欲しいから」

ーー路上ーー

コッコッコッ

真姫(あそこからボンドマティーニでシメるって、
   何者だあのオバサン………ヴェェ………)

真姫「ん?」

さやか「?」

真姫「やっぱり、さやかちゃんに、まどかちゃん?」

さやか「西木野先生?」

まどか「こんばんは」ペコリ

真姫「何? こんな時間に二人で夜遊びですかー?」

さやか「ええと、先輩の所で勉強会を」

まどか「コクコク」


74MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 04:09:33.94zbPKqJ7Y0 (8/15)


真姫「んー、ま、そういう事にしといてあげる」

さやか「まどかー」ダキッ

まどか「ウェヒッ?」

さやか「ちょっと、先帰っててくれる? お願い」ボソボソ

まどか「………」コクッ

まどか「それじゃあさやかちゃん」

さやか「ばーい」

さやか「………西木野先生」

真姫「何かしら?」

さやか「恭介の具合、どうですか?」

真姫「患者の個人情報、勝手に教える訳にはいかないでしょう。
   特別な事が無い限り例え家族、奥さんでもね。
   まして幼馴染のお友達、に教える事は無いわ」

さやか「そうですか、そうですよね。
    ………先生、知ってましたよね」

真姫「?」

さやか「恭介のCD、あれがどんなものかとか」

真姫「フゥーッ」


75MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 04:12:42.24zbPKqJ7Y0 (9/15)


ーー真姫自宅ーー

真姫「ま、適当に座って。こんなのしかないけど」オイシイミズグラス

さやか「いただきます」キョロキョロ

真姫「珍しい? ま、こんな時間に中学生相手にどうか、
   って言うかかなり本格的にイミワカンナイんだけどね」

さやか「あはは、そうですね………あれって………」

真姫「見たい?」

さやか「いいですか?」

真姫「………」コクッ

さやか(………写真立て………)

さやか「………これって先生?
    わっかぁぁぁぁぁぁぁぁいっっっっっっっっっ」

真姫「ピキッ、ピキピキピキッ」ニコニコ

さやか「これってニコニー?
    うわー、綺羅ツバサ小さくてかわいーっ、
    でも、A-RISE、この時から格好良くって素敵で、
    知り合い、なんですよね。スクールアイドルの時の」

真姫「ええ。あの時の、最高のスクールアイドルで
   乗り越えるべき目標で最強のライバルでとても頼りになる仲間」

さやか「みんな、凄く可愛くって、綺麗で」

真姫「そうね………みんな、若かった」


76MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 04:16:11.00zbPKqJ7Y0 (10/15)


さやか「………これが、μ'sなんですよね」

真姫「うん」

さやか「学校を一つ廃校から救って大会で優勝して
    海外のとかこんなトンデモ路上コンサートまで成功に導いて、
    それで、すっぱり解散した伝説のスクールアイドルグループ。
    あたしも、ネットとかで見ました。凄く可愛くて、綺麗で格好良かったです」

真姫「有り難う」ニコッ

さやか「………えーっと、その、
    最近先生ちょっとニュースとか出て、
    そしたら、ネットとか見たら、関係する情報がみんなくっついて出て来たから」

真姫「インターネットには振り回されるわ、本当に。
   あの時もねぇ………」ハアッ

さやか「え?」

真姫「まあ、色々あったのよ。帰国した時とか」ハァッ

さやか「まあ、これだけ人気だったら、そうですよね」

真姫「まあね」

さやか「プロになろうとか、思わなかったんですか?
    ニコニーやA-RISEみたいに。
    優勝したんですよね」

真姫「それはちょっと、ないわね。
   甲子園やインターハイから別の道に行く人はいっぱいいる。それと同じ。
   あれは、私にとって大切な青春の一ページ」

さやか「やっぱり、お医者さんになるために?」

真姫「うん。それはずっと決まってた。もう生まれた時から、かな。
   親の考えもそうだし、もちろん最終的には自分の意思で。
   決して甘い考えで出来る仕事じゃないから」


77MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 04:19:38.75zbPKqJ7Y0 (11/15)


さやか「はい………ピアノ………」チラッ

真姫「うん。本当はこっちに勤めてる間は独立するつもりだったんだけどね。
   でも、これだけはやっぱりね。防音室も含めて、
   ちょっと、いや、かなりパ………実家に甘えたりしちゃったわ」

さやか「実は大病院のお嬢様で、
    グループではクラシック出身の作曲担当、なんて」

真姫「はいはい、その通り」

さやか「だから………知って、ましたよね」

真姫「ネットで調べたって言うのは本当。
   そこまで細かく詳しくないし、興味が湧いたから。

   だから、流石にキレたわよ。あんなレア物粗末にするわ、
   それ持って来たさやかちゃん粗末にするわ、

   中学生の分際で………まあ、あの時の状況考えると
   ちょっと大人げなかったけどね」

さやか「アハハ………有難うございます、と言いますか」

真姫「………あれは、凄くいい思い出………
   だから、分かるのよ………」

さやか「はい」

真姫「大学では昔の事もあってスポーツ医学に関心を持って、
   そのまま専門医の道を考えた事もあった。
   だけど、色々考えて、結局街の一線の医者として、
   上条君やさやかちゃんと出会った」

さやか「有難うございます」


78MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 04:22:49.34zbPKqJ7Y0 (12/15)


真姫「厳しい結果になったけどね。

   亡くなった患者さんも、医学の限界も治らない傷も、
   患者さんやご家族から理不尽な感情をぶつけられた事も、
   まあ、一通りぐらいは経験したかな。

   だから、いい意味で慣れなきゃいけないし少しは出来る様になった、
   と、思うんだけど。ニュース、見たって言ったよね」

さやか「ええ、もしかしたら医療ミスじゃないかとか」

真姫「公表されてる事だけど、あの娘、子役の卵でね。
   舞台に立つ日を凄く、楽しみにしてた。

   でも、本当に珍しい、不運な事に顔の骨に悪性腫瘍が出来て、
   私も手術をした先生も力の限り助けようとしたけど、
   ………駄目だった………」

さやか「………」

真姫「もちろん上条君の事もね。
   医者は神様じゃない、医学の限界。
   その中で、自他ともに認めるぐらいには恥ずかしくない仕事をした。
   それはそれとして、やっぱり、西木野真姫としては、痛いものがある」クルクルッ

さやか「………恭介も、感謝してる、と思います。
    でも、今は辛くて痛い」

真姫「さやかちゃんも、痛い」

さやか「あたしなんかがそんな………」

真姫「………」ジッ

さやか「………」コクッ


79MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 04:26:04.37zbPKqJ7Y0 (13/15)


真姫「私も、一時期奪われて氷漬けにされそうになった。
   そこから、みんなに救ってもらって、羽ばたく事が出来た。

   だからね………どれだけ苦しいか辛いか………

   一生懸命取り組んで来たからこそ、その高見を知って諦めた娘も知ってる。
   私なんかは、その道では所詮憧れで終わって、
   青春のほんの一時、輝いて羽ばたく事が出来た」

さやか「はい」

真姫「まして、本気でヴァイオリニストになろうって言うなら、
   小さい頃から徹底的に弾き込んで弾き込んで、
   そのために子どもとしての時間を費やして」

さやか「ずっと、恭介、小さい時からずっとそうでした」

真姫「それが、一瞬で理不尽に、一生の事を失ってしまった。
   私みたいなその道のニワカにどれだけ大きいかは分からない。
   だけど、どういう痛みなのかは、分かってしまう。

   だけど、私がそれを言う事は出来ない。
   私は、医者として、科学的に彼の肉体的な損傷と向き合う立場として
   彼と向き合わなければいけないから」

さやか「そう、ですよね………」

真姫「さやかちゃんは、どう思ってるの?」

さやか「どう、って?」

真姫「彼、上条君の事」

さやか「どうって、恭介は幼馴染で………
    凄く、ヴァイオリンが上手で、
    あたしみたいに何も分からなくても感動しちゃうぐらい、それで………」クルクルクルクル


80MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 04:29:11.45zbPKqJ7Y0 (14/15)


真姫「そう」フッ

真姫「彼の事を支えて欲しい、って言いたい所だけど、
   これも言ったらまずいんだよねー」

さやか「どうしてですか?」グッ

真姫「だって、子どもだもの。
   上条君の抱えている大変なもの、
   そこに、まだ他人の子どもを縛り付けるなんて事、
   医者として大人として出来る訳がない」

さやか「それは………」

真姫「ちょっと、意地悪だったわね。
   でも、そういうもの、それが正論、大人の責任なの。

   だから、色々思う事も、ぶつかる事もあるかも知れない。
   それでも、一人で背負い込もうなんて決して思わないで。
   それは私にも、大人にとっても重すぎる事だから、

   それでも、手分けして協力して助けになろう、
   そういう性質の、それだけ重くて、大事な事だから。

   彼の事を大事に思うなら、あなた自身の事を大事に思って。
   彼もそう、あんな事があっても、
   大事な幼馴染の事を思ってる筈だから」

さやか「………分かりました、有難うございます」ペコリ

真姫「………」フラリ

さやか「先生?」

ピアノ蓋「カタッ」

真姫「一曲、聴いていく?」


81MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/25(日) 04:33:41.24zbPKqJ7Y0 (15/15)


ーー路上ーー

さやか(………さっきの、ジャズだよね………
    歌も綺麗だったし、大人って感じだったなぁ。
    やっぱ、恭介の奴鼻の下伸ばして………)

ーー動画サイトーー

小さなライブハウス

選曲は先程真姫が弾き語った一曲

ーー真姫自宅ーー

PC「~♪~♪」

真姫「………」カンハイボール

真姫「………ホントはね、ちょーっと手強そうなのが近づいてるんだけど、
   個人情報だからねぇ………」コクッ

真姫「ま、それも青春の味、って奴だから。
   女子校が言っても説得力ないかなー………タハハ………
   ………だからさ………」クルクルッ

真姫「時が経っても、苦いのも甘酸っぱいのも大切な青春の思い出。
   だからさ。大丈夫。元気なさやかちゃんだから思い切って。
   翔べるよ、若人よ。翔べる」

==============================

今回はここまでです>>71-1000
続きは折を見て。


82以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/25(日) 05:29:06.764ggo4z3DO (1/1)

コイツまどマギと禁書クロスSS作者か
あの糞SS作者は相変わらず気持ち悪い内容のSS書くね
あんだけ清丸国秀だっけ?あれで散々ボロクソ言われたらしいじゃん
頭の中に蛆涌いてるのか?
それとも学習能力皆無なのかわからんがもう書くのやめたら?気持ち悪いからさ


83以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/25(日) 08:27:44.84cR7IYBG4O (1/1)

前書きから何もかもくさい


84MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/29(木) 01:48:45.93LAogJPVa0 (1/6)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>81

 ×     ×

ーー土曜日昼 病院廊下ーー

先輩医師「今上がりか?」

真姫「はい、お疲れ様です」

ーー病院内コンビニエンスストア周辺ーー

アハハハハ

オホホホホ

ウェヒヒヒヒ

真姫「あれっ」

さやか「あ、どうも」

まどか「こんにちは」

仁美「こんにちは先生」

真姫「こんにちは。
   いつかすれ違ったわね、上条君のお友達?」

仁美「はい。志筑仁美と申します」ペコリ

真姫「それはご丁寧に。
   改めまして西木野真姫、上条恭介君の主治医です」ペコリ

真姫「あなた達もお見舞いに?」

まどか・さやか「はい」

仁美「それでは、わたくしはこれで」ペコリ


85以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/29(木) 01:51:43.40vdKhHV0DO (1/2)

現行スレ持っててそれを進めず放置してこれを書くとかどんな神経してるんだ
普通いくつか持ってたら同時進行か、終わらせてから書くだろ
こいつビビーンとかとミムラと同レベルだよ


86MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/29(木) 01:54:05.22LAogJPVa0 (2/6)


スタスタ

真姫「お友達?」

さやか「はい。時間の都合で仁美が先に来てたんです。
    本当はもっと一緒にお見舞い来たがってたんですけど、
    お稽古事が忙しくてなかなか来られなくて」

真姫「そう、なんだ。お稽古事が。
   志筑さんって、もしかしてあの志筑さん」

さやか「うん。その志筑さんだと思う。
    お嬢様だから家が色々厳しいみたいで」

真姫「そう。やっぱりみんな同じ学校の?」

まどか「はい。私は途中から転校して来ましたけど、
    みんな小学校から同級生でお友達で」

真姫「そうなんだ。いい友達を持ったわね」

さやか「はい。仁美、凄くいい子なんです。
    まどかもねヨメニナルノダー」

まどか「ひゃっ、ウェヒヒヒ」

真姫「………」クショウ

真姫(気取らずに、それでいて解ってる。
   この年頃の特権のいいお友達、なのは最高にいいんだけど………
   だけど、これ、多分気づいてないなぁさやかちゃん。
   女の友情に男は鬼門だよ…タハハ…)


87MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/29(木) 01:59:15.56LAogJPVa0 (3/6)


ピンポンパンポーン

館内放送「第一病棟清掃手順
     ワックスがけは一方に圧縮圧縮でお願いします」

真姫「………」スマホスッスッ

さやか「じゃ、そろそろ………」

真姫「ごめん、さやかちゃんまどかちゃん」

さやか「えっ?」

真姫「ちょっと、病棟の方で予定入ったみたい。
   お見舞い又にしてくれるかな?」

ーー医局ーー

先輩医師「西木野先生、戻ったのか?」

テレビ「臨時ニュースをお送りします………」

真姫「何、このソドムとゴモラ………」ストン

先輩医師「コンビナートにヘリが落ちた。取り敢えず大爆発だな。
     周辺の幹線道路で大事故が続発してる。
     今、分かっている事は以上だ」

真姫「ヴェェ………
   だからあのコンビナートの立地おかしいってイミワカンナイ………」

部長「………ベッドを空けて………
   ………以上の者は入院患者を、
   他の者は救命部の指揮下に入れっ!!」

「「「はいっ!!!」」」


88MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/29(木) 02:05:22.42LAogJPVa0 (4/6)


ーー病院廊下ーー

カッカッカッカッ

先輩医師「まずいぞ」

真姫「はい」

先輩医師「あのエリア、××病院が一斉退職で九割方ダウン。
     しかも今日は土曜日、あそこが渋滞で埋まればあの辺は緊急出勤も難しい。
     ルートから言ってもここが主戦場。と言うか独壇場になるぞ」

真姫「独り舞台、ですか」

先輩医師「独り舞台、か」ニヤッ

真姫「………」

先輩医師「うちの救命もしばらくガタガタしてたからな。
     今は落ち着いてるが、まだ職人の寄せ集めに近い。
     こっからの修羅場にどれだけ機能出来るか。
     西木野先生は救命のヘルプも多い、腹くくれよ」

真姫「はいっ」

先輩医師「ソドムとゴモラ、か………
     真っ赤なルージュでも用意するか」

真姫「患者さんショック死させるつもりですか?」

ーーほむホームーー

テレビ「引き続き、臨時ニュースをお伝えします」

ほむら「………」ギリッ

ほむら「これは………一から組み直し………
    設置前だったのがせめてもの………」ホムッ


89MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/29(木) 02:09:10.71LAogJPVa0 (5/6)


ーー病院外来ロビーーー

イチニッサンイタイーハヤクーウウウーアアアー

男「あだっ、あたたたたっ」

真姫「続きは後で」

男「ちょっと先生痛いってこれっ」

女「まだ死にそうにない、って事………」クテッ

男「?………おいっ?」

真姫「失礼………
   意識レベル200清明期ありCT頭部優先!」

脳外科医「私がつこう、運んでくれ」

真姫「お願いします」

看護師「はいっ」

真姫「TO(トリアージ・オフィサー)どこっ? 追いついてないみたいだけど」

救命医「副部長、救護テントに行ったきりか?
    第二陣であっちにもこっちにも一挙に押し寄せて連絡が錯綜してやがる」

真姫「ヴェェ」

救命医「TOはうちからすぐ出させる。
    西木野先生はそれまで現場の判断で頼む。
    研修医っ、赤、黄色に当たる患者の応急処置。
    ガチガチに教科書通りの三十秒厳守、ばっさりやれっ!」

真姫「了解」クルクルクルクル

研修医「は、はいっ」

ヴェテラン救命医「私がここのTOにつこう」

救命看護師長「………さん、ここのTOを」


90MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/10/29(木) 02:13:37.87LAogJPVa0 (6/6)


ヴェテラン・師長「「ちょっと待って下さいっ!」」

ヴェテラン救命医「この中では私が、
         過去の大規模災害も経験している」

救命看護師長「だからこそ、先生には処置に専念していただいて」

ヴェテラン・師長「「部長はどこっ!?」」

看護師「緊急オペです。脳外の手が足りないと」

救命医「元はあっちのエースだからなぁ」

真姫「気道熱傷挿管入った、全身二度40%超」

看護師「運びますっ」

男「先生、先生待って下さいっ!!」

女「お願いします先生っ!」

真姫「お気の毒ですが」バッ

女「先生っ!!」

真姫「多発外傷、気胸だけ緊急措置、頭蓋内出血の疑い」

救命医「分かった」

「お母さんっ、しっかりしてお母さんっ!!」

「お母様っ!!」

「母さんっ、母さん返事して母さんっ!!!」

==============================

今回はここまでです>>84-1000
続きは折を見て。


91以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/29(木) 02:34:15.19vdKhHV0DO (2/2)

まどかマギカファンもあれだがパクライブのファンの方がイッちゃってるよな
お前の事だよ>>1


92以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/29(木) 03:48:58.86iQK+LIhzO (1/1)

乙~


93以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/30(金) 11:42:56.56Hs8mzLN30 (1/1)

パクライバー云々差し引いても、普通人間はこれくらい奔走するからな?
安易に宇宙人の家畜にならずに努力したからサルから分岐進化したんだからな?


94以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/23(月) 18:18:13.95N/JuNqSRO (1/1)

>>93
猿以下のゴミ糞が何かほざいてら
ビルから飛び降りてその膿んだ脳味噌をぶちまけて死んだら?


95MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/11/27(金) 03:32:06.25ofBoYF8F0 (1/11)

生存報告

こっちの事情で暫く身動きとれませんでした
ぼちぼち再開予定です


96MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/11/27(金) 22:31:51.19ofBoYF8F0 (2/11)

お久しぶりですいません。

補足
>>89ですけど、ここでは手だけクルクル空回りしてます。

それでは今回の投下、入ります。

==============================

ーー病院廊下長椅子ーーー

真姫「どいてっ! 矢澤さん、聞こえますか矢澤さんっ!」

にこママ「」

真姫「救急車でここにっ?」

こころ「ここあがケガをして、それで脇道に移動して
    親切な人の車でこの近くまで送ってもらったんです」

ここあ「私は応急処置で済んだんだけど、
    母が、先生を呼んで来るって言ったまま戻って来なくて………」

真姫「(記録メモ、左肩が外れて額の皮が切れただけ、処置済み、か。)
   お母さん、ずっとこんなだった?」

ここあ「どこか痛そうだったけど、病院まで来て話してたのに、
    ここで見つけて少ししたら返事もしなくなって………」

真姫「ニコちゃんはっ?」

こころ「お姉さま、地方のお仕事で、携帯も留守電で」

真姫「事務所は?」

虎太郎「事務所の事は、にこにーか母さんが………」

真姫「×××プロダクションに直接連絡して、
   危篤だからすぐに報せろってねっ!」

こころ「はいっ!」


97MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/11/27(金) 22:37:14.12ofBoYF8F0 (3/11)


虎太郎「あああ………俺が、調子乗って、
    温泉のプレゼントなんてそんな余計な事………」

真姫「な訳ないでしょっ! あんたらが信じないでどうするのっ!?
   矢澤さん、聞こえますか矢澤さんっ!
   ストレッチャーこっちにっ、
   多発外傷腹腔内、頭蓋内出血意識レベル300CT突っ込んで!」

看護師「はいっ!」

真姫(………私情じゃない私情じゃない
   正しい診断正しい診断間に合え間に合え………)

ーー処置室ーー

真姫「目一杯押し込んでっ!」

麻酔科医「やってるよっ」

ピーッ

真姫「開胸心マッ!」

研修医「はいっ!!」

真姫(間に合え間に合え間に合え)

研修医(戻れ戻れ戻れ)

ピッピッピッ

研修医「ふうっ」

真姫「オッケー………それで………」

看護師「カクカクシカジカ」

真姫「………オペ室運んで、頭は私がやる、お腹お願い」

研修医「ち、ちょっと待って下さいっ」



98MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/11/27(金) 22:43:04.99ofBoYF8F0 (4/11)


真姫「急性硬膜下血腫。
   恐らく現場でのダメージがごく最近破綻したわね、もちろん急を要する。
   お腹は一時的に大出血を止めただけ。
   出血も内蔵も即死級の爆弾が埋まってる」

研修医「西木野先生が脳外を? それに、僕も………」

真姫「このレベルならギリギリ知らないじゃないわ。
   それに、何度もやってるでしょ、ちょっとグレード上がってるけど」

研修医「ちょっとじゃないですよっ!」

真姫「人手も時間も圧倒的に足りない。
   秒速で死神が迫ってて、この症例にベスト、ベターな医師は手が離せない。
   動けるのは、普段なら無理って言いたいボーダーライン上の私達だけ………
   仰りたい事があるなら。もちろん責任は私が取ります。
   しかし、先生はオペの事も、私達のオペもずっと見て来た」

麻酔科医「お二人さんだとひっじょーに厳しいね。
     だけど、自分の見て来た限り無理、と断言はしないよ」

真姫「私は君も含めて見込みがある、と思うから言ってるけど、
   特に今の医者の常識なら手を引いても決して恥じゃない、蛮勇スレスレなのも認める。
   ここでやるか黒タグ置くか今すぐ決めて」

ーー手術室ーー

真姫「汗を」

看護師「はい」

真姫(止血、開頭、脳圧下げて………)

研修医(血みどろ)「止ま、ってない。まだある………」

真姫(進行が早い、傷を付けたら元も子もない。
   やっぱり私の手技は、焦るな急げ焦るな焦るな焦るな急げ………)



99MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/11/27(金) 22:48:36.01ofBoYF8F0 (5/11)


ガー

救命部長「代わろう。西木野先生は助手を」

真姫「はい」

ーーーーーーーーーー

救命部長「今はこれで保たせる。後は俺が」

真姫「はい。ちょっとどけて」

研修医「はい」

真姫「止血は間に合った。この条件で丁寧な仕事GJ。
   これ、迷ってたみたいだけど、切るしかないわね」

研修医「しかし、まだ駄目とは、
    ここまでの体力低下の上に大幅な機能低下、
   QOLから言っても………」

真姫「気持ちは分かるけど、残りの体力、頭の方も厳しい、
   残存部分が綺麗に機能したら万々歳だけど、私の勘では分の悪い賭け、
   回復過程で戦争が始まったら耐えるのは難しい、一挙に悪化すると思った方がいい。
   生存優先、ゆっくり確実にやるしかない、選択肢は限られてる」

研修医「分かりました」

ーー病院廊下ーー

事務長「西木野先生っ!
    専門外で無茶な事を………」

救命部長「あの条件での救命のために、
     先生の判断、措置共に十分及第点のものだったが」


100MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/11/27(金) 22:52:35.96ofBoYF8F0 (6/11)


 ×     ×

ーー病院廊下ーー

ハアッハアッ

にこ「真姫ちゃんっ、ママは?」

真姫「………ベストは尽くした。
   だけど厳しい」

にこ「………そう………」

真姫「………」

にこ「あんたがそう言うんならそうなんでしょ。
   ………大丈夫よ、こんなの、慣れ、てるから……
   ………にっ…こ………にっ、………にっ、くっ、こ………」

真姫「………」ポン

ガタッ

マスゴミ「矢澤さんっ!」

マスゴミ「矢澤さんっ、お母さんが事故に巻き込まれたって」

マスゴミ「お母さん、お加減いかがですかっ!?」

真姫「関係者以外立入禁止です、出て下さい」

マスゴミ「矢澤さんっ!」

マスゴミ「一言お願いします!!」

真姫「………さい………」

真姫「………ルサイ………
   出てけっつってんのっ! 空気読め意味分かんないっ!!!」ダッダッダッ


101MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/11/27(金) 22:56:23.80ofBoYF8F0 (7/11)


スイッ

事務長「あー、すいませんねー」

真姫「………トトッ」

事務長「何せ、事故発生以来不眠不休の対応で、
    先生方も気が立っておりましてはい。
    報道の方々はどうぞあちらに」

マスゴミ「すいません、せめて一言だけでも………」

事務長「………この非常時に治療妨害したって晒すぞゴラ………」ボソッ

事務長「はい、どうぞあちらでお願いしまーすっ」

救命部長「ご家族の方ですね。後程お話が………」

ーー応接室ーー

救命部長「お母様は、緊急手術を終えて集中治療室に入ってもらっています。
     率直に言って辛うじて即死を免れた、
     様々なダメージ、機能低下が発生している状態です。
     無論、全力を尽くしますが、ここ数日は、何時、何が起きても、と、
     ご家族の方にはそう理解していただきたいと」

にこ「………」

救命部長「生命の危機を脱した時、
     内臓の機能低下に加えて、硬膜下血腫という病気は………
     脳本体への圧迫もどれだけの影響を及ぼすかと言う状態です」

にこ「障害、って事ですか?」

救命部長「手は尽くしますが、心づもりはしていて下さい」

真姫「………」

にこ「はい………ありがとう、ございました」ガバッ

救命部長「全力を尽くします」


102以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/27(金) 22:58:13.24v+yt77EDO (1/1)

誰も待ってないだろうし早くやめたら?


103MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/11/27(金) 22:59:36.65ofBoYF8F0 (8/11)


ーー病院廊下ーー

カッカッカッカッ

真姫「すいません、私の力不足で」

救命部長「医者は神ではない。
     俺はさっきの先生への評価を変えるつもりは毛頭無い。
     それとも、俺の事を侮辱するつもりか?」

真姫「すいません、決してそんなつもりは………」

救命部長「………フッ………」ポンッ

ーー外科医局ーー

先輩医師「おお、お帰り」

真姫「戻りました」

山積みの臨時カルテ確認

台車を押す看護師を従え、

外科病棟に運ばれた主に骨折患者の対応

 ×     ×

ーー集中治療室周辺ーー

真姫「………」フラッ

パラララッパラララッパラララッ

バタバタバタッ

真姫「急変っ!?」

看護師「はいっ」

真姫「………」バッ


104MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/11/27(金) 23:02:57.68ofBoYF8F0 (9/11)


ガシッ

救命部長「あの患者はうちで受けて病棟に引き渡す。
     西木野先生はもう帰れ、上からもそう指示されてる筈だ」

真姫「あの………しかし………」

救命部長「明日も明後日もその後も患者は待っている。
     自己メンテナンスは義務だ。医者なら使命を果たせ」

真姫「分かりました、お願いします」ペコリ

救命部長「ああ」

クルッ、カッカッカッ

救命部長(とは言え………合併症対策………
     この弱り方で特効薬なんか打ったら紙一重で即死、
     結局、本人の気力体力、紙一重の上で踊るしかないって事かっ)

ーー駐車場ーー

真姫「………」ウデドケイ


105MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/11/27(金) 23:06:20.67ofBoYF8F0 (10/11)


 ×     ×

ーー境内ーー

海未「もう一度………」

花陽「もう十分伝わったよっ!!」

海未「もう一度ですっ!!」

凛「これ以上かぶったら海未ちゃんが倒れちゃうよっ!!」

ーー木陰ーー

真姫「………」

希「………」ポンッ

希「凛ちゃんがね、ニコっちの仕事先に顔出してて、
  そこで一緒に報せを受けたって」

真姫「そう、だったんだ」

希「うん。それで、病院でも一緒に待ってたんだけど、
  途中で抜けられない仕事が入ったとかで、
  それで凛ちゃんだけこっちに戻って来て。
  ニコっちがそうさせたみたいやね」

真姫「そう………」

希「今日は帰り。今、あの娘達に捕まったら大変や」

真姫「そう、ね」


106MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/11/27(金) 23:09:27.60ofBoYF8F0 (11/11)


絵里「車の鍵」テノヒラ

真姫「え?」

絵里「凄い顔してるわよ、
   よくここまで生きて辿り着いたわね」

スタスタ

希「さぁあ、甘酒作ったから」

ーー車内ーー

絵里「………」ヴォォォォォ

真姫「ZZZ………」

絵里「お疲れ様」

==============================

今回はここまでです>>96-1000
続きは折を見て。


107以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/11/29(日) 12:31:34.56A37ihQKqO (1/1)




108MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/04(金) 00:30:35.632fHY1nrc0 (1/6)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

 ×     ×

>>106

ーー病院廊下ーー

看護師「おはようございます」

真姫「おはよう」

ーー恭介病室ーー

真姫「昨日はバタバタしてたでしょう。ここのスペースも借りたけど」

恭介「大事故だったって聞いています。
   怪我人が大勢運ばれて来たって」

真姫「そうね。まだ色々大変だけど、
   ここは大体今まで通りになるから」

恭介「そうですか。リハビリも再開したいですし」

真姫「そうね。只、そういう状況だから、
   そちらは当分込み合う事が増えるかも知れないわね」

恭介「そうですか………」

真姫「ん?」

恭介「いえ、昨日の事なんか聞いても亡くなった人もいたって」

真姫「ええ、何人も」

恭介「そうですか………少し、休みます」

真姫「ん」


109MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/04(金) 00:36:25.212fHY1nrc0 (2/6)


ーー診察室ーー

真姫「骨折ですね」

真姫「骨折ですね」

真姫「骨折ですね」

真姫「骨折ですね」

真姫「骨折ですね」

真姫「骨折ですね」

真姫「骨折ですね」

真姫「骨折ですね」

ーー病院内食堂ーー

真姫「ええ、千客万来ですけどそれ程ひどいケースは」

先輩医師「それは、昨日の内に対処したからな。
     昨日、命に別状はないって言われた患者が改めて来てるんだな」

真姫「はい。当然昨日今日の処置は行っていますが、
   本格的な通院治療はここからの人達が………」

先輩医師「ん?」

真姫「(院内PHS………)
   もしもし? ええ、はい、大丈夫です。分かりました」

先輩医師「ヘルプか?」

真姫「はい」


110MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/04(金) 00:41:57.132fHY1nrc0 (3/6)


ーー救命部医局ーー

真姫「みんな、出払ってるって事ね」

看護師A「はい。現場から自己判断で帰宅して重症化した人が今朝から何人も」

真姫(ヴェェ………)

看護師B「来ました」

真姫「オッケー」

ーー救命病棟廊下ーー

ガラガラガラガラ

看護師「分かりますかー? 病院ですよー」

患者「………」

真姫「(この人って………)こちらの患者さん、昨日の事故に?」

詢子「(この人って………)ええ、昨日営業中にバスで事故に巻き込まれたって。
   潰れたバスからやっと脱出してそのまま営業先に向かったって言うから
   病院行けって言っておいたんですが、今日聞いたらまだだと」

真姫「それから倒れて?」

詢子「ええ、それまでは大丈夫だって言ってたんですけど、
   色々急ぎの仕事もあったから………申し訳ない」

真姫「(検査結果)………
   硬膜外とクラッシュの併発。やっぱり………
   脳外と泌尿器科に話通して」

看護師「分かりました」

真姫「人工透析の準備。
   処置室に運んで、小開頭と薬剤で時間稼ぐしかないわね」

看護師「はい」


111MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/04(金) 00:48:14.092fHY1nrc0 (4/6)


ーー病院内廊下ーー

真姫「後は専門医による対応になります。
   入院治療は必要ですが、今の所命に別状はありません」

詢子「そうですか」

真姫「脳の硬膜外血腫は深刻化する前に除去に成功しました。
   人工透析も間に合いましたので、
   幾つか発生したダメージの治療は進めますが、十分回復が見込める範囲です」

詢子「本当に、有難うございました」ペコリ

スタスタスタ

真姫「………ふぅーっ………」ドサッ

真姫「………」

ーー集中治療室ーー

にこママ「………」

真姫「………」

看護師「今は落ち着いています。夜の内に一つ二つ山はありましたが」

真姫「今は、ね」

看護師「はい。まだ先が見えない状況には変わりありません」



112MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/04(金) 00:53:29.002fHY1nrc0 (5/6)


ーー救命病棟一室ーー

救命医「なんとか、最初の合併症をギリギリ乗り切った、って所かな。
    検査結果はこの通りだが………」

真姫「厳しいですね」

救命医「ああ。内蔵機能があれだけ低下して、それに合わせて免疫力も落ちてる。
    感染症と薬剤、どちらも致命的に危険な状態の綱渡りだ。
    その上、硬膜下血腫の併発も痛い」

真姫「やはり、後遺症が………」

救命医「総合的にな………
    手術自体は成功の内に入る内容だったが、
    元々が予後の良くない疾患。全身状態が厳しい。
    脳本体のダメージの上に、身動き取れない状態の衰弱、機能低下。
    この状態が続いたら」

真姫「………」

救命医「悪循環になる。そうなったらな………」

真姫「その事をニ………ご家族には」

救命医「上の娘さんに話したところだ。
    ニコニー、か………」

真姫「彼女はこちらに?」

救命医「西木野先生と入れ違いぐらいだったかな?」

ーー病院廊下ーー

真姫「あ、ニ………」

にこ(廊下の隅、携帯使用)
   「はい、すいません。
   お返事はすぐに。
   はい、それはきちんとお話しを、はい………」

真姫「………」スタスタ


113MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/04(金) 00:56:50.122fHY1nrc0 (6/6)


 ×     ×

ーーBARーー

バーテンダー「いらっしゃいませ」

真姫「一杯、貰おうかしら。んー………」

バーテンダー「………」

真姫「それじゃあ………
   ………ラム、こあんとろお、
   レモンジュースを少しょお、シェイクするんです………」

バーテンダー「かしこまりました」

ーー夜の歩道ーー

真姫「ふーっ………」

トトッ、トッ、

真姫「とっ、ととっ。
   やっぱ、鈍ってるなぁ………
   最初は一曲踊るのも一杯いっぱいで………ん? ………」

ゾロゾロゾロゾロ

真姫「(ちょっと遠いけど)何かの行列?
   ………あのふわふわって………仁美ちゃん?………」

==============================

今回はここまでです>>108-1000
続きは折を見て。


114以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/06(日) 21:04:27.03sFAJsYIpo (1/1)

乙、まってる


115MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/09(水) 01:45:54.26n+E6XPMX0 (1/8)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>113

 ×     ×

ーー夜・集中治療室ーー

ピピーンピピーンピピーン

救命部長「………」グッグッ

にこママ「………」

救命部長「………戻って来い………」グッグッ

ーー同日夕方・救命病棟廊下ーー

コッコッコッ

真姫「………」

事務長「西木野先生」

ーー救命病棟一室ーー

事務長「矢澤さんの事ですが」

真姫「はい」

事務長「先生と矢澤にこさんの関係は今更ですが、
    そのにこさんのお母さんとはどの程度のお知り合いでしたか?」

真姫「そうですね………直接の関係は親しい、と言うほどでは。
   友人の母親として知らない事もない、
   言葉を交わした事はある、と言う程度で」

事務長「そう、ですか。
    あの様な状況で、知人の治療を行ったと言う事になりますと、
    特に知名度もある事ですから、その状況を………」


116MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/09(水) 01:51:17.04n+E6XPMX0 (2/8)


ガチャッ
ザッザッザッ

救命部長(赤い彩り)「事務長、あの時現場の医師は救命部の指揮下にあった。
     つまり、救命部の業務であり俺の部下だった。
     その事をお忘れでしたか?」

事務長「いえ、只、先生はオペ続きですぐに時間が取れませんでしたので、
    先に伺える所を優先しただけの事でして」

救命部長「あの時、西木野先生の力量を信じて現場裁量を認めたのは救命部の責任だ。
     そして、現場の混乱でTOに空白が生じた。
     その結果、西木野先生含め本来処置に専念すべきだった応援医師が、
     その前段階の診断に貴重な時間と神経を費やす事となった。
     これも、救命部の責任であり落ち度だ」

真姫「………」

救命部長「その中で、西木野先生の対処は十分なものだった。
     何度でも言う、あの時の西木野先生の判断、対応は
     あの時点に於ける一人の医師として十分に妥当なものだったと。
     何かあると言うのなら、俺が救命医のプライドに懸けてどこででも証言する」

事務長「分かりました。それではこちらも腹をくくりましょう。
    救命部として医学的に妥当だったと言うのであれば、
    事務方としては当然それを支持します」

ガタッ

真姫「………」イチレイ

ーー夜・集中治療室ーー

ピピーンピピーンピピーン

救命部長「………戻って来い………」グッグッ

にこママ「………」

救命部長「………戻って来い、あんたには待っている人がいる、
     只、目の前の命に渾身の誠意を注いだ………」グッグッ


117MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/09(水) 01:56:41.02n+E6XPMX0 (3/8)


ピピッピピッピピッ

看護師「戻りましたっ」

救命部長「………矢澤にこさんに連絡を、出来れば至急こちらに。
    ………投与する………」

看護師「踏み切る、んですね」

救命部長「ああ、ここまで炎症が進んだ以上、
     ここで投与しなければ多少時間がかかっても結論は一つだ。
     ………時までに連絡が取れないなら、俺の判断で実行する。
     西木野先生にも一報入れておけ、事によっては説得を頼む」

看護師「分かりました」

 ×     ×

ーー夜・廃工場ーー

社長「俺は駄目なんだ…
   こんな小さな町工場一つ、満足に切り盛りできなかった。
   今の時代に俺の居場所なんて、あるわけねぇんだ…」

ゴトッ

まどか「だめえぇーっ!!!」

バッシャーンッ

まどか「はぁ、はぁ………」

仁美「なんという事を………」

コロセコロセコロセ
ワラワラワラワラ

まどか「ひっ!?」


118MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/09(水) 02:01:58.25n+E6XPMX0 (4/8)


ドガシャーンッ

「まどかちゃんこっちっ!!」

まどか「は、はいっ!!」

タタタッ

集団「オオオオオオオ」ワラワラワラワラ

防犯スプレー「ブシュウウウッ」

集団「ぐああっ!!!」

真姫「まどかちゃんこっちにっ!!」

まどか「はいっ!!」

ワラワラワラワラ

真姫「まどかちゃんでかしたっ!!
   (塩素臭にあのラベル、ガチで集団自殺?
   目がイッちゃってるし集団催眠か何か? あるいは薬物………)」

まどか「はぁ、はぁ………」コクッ

真姫「なんなのよ、これ………」

まどか「………」フルフル

真姫「ちょっと、仁美ちゃんこんな所で何………
   だから来るなっ! イミワカンナイッ!!」カバンブンブンッ


119MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/09(水) 02:05:10.49n+E6XPMX0 (5/8)


防犯スプレー「ブシュッ」

真姫「走ってっ!」

まどか「はあ、はあっ」

集団「(しかし、回り込んでしまった)」

真姫「くっ」

スマホ「圏外」

真姫「ヴェェッ、なんなのよ、もおっ………」

仁美「まどかさん、先生、いけませんわ邪魔をしては。
   さあ、みなさんで神聖な儀式を………」グイッ

真姫「………」キッ

真姫「しっかりしなさいっ!!!」パンパァーンッ

真姫(つぅーっ、自分に響くわ海未)

まどか「きゃあっ」

真姫「ちょっと、離しなさい、つっ!?」

集団「………」ガシッ

集団「………」グイッグイッ

集団「!?………」ドッゴォーンッ

まどか真姫「!?」


120MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/09(水) 02:08:23.30n+E6XPMX0 (6/8)


仁美「あなたたち………」ドオッ

真姫(交わして回転して当身)

仁美「わたくしの………」ヒュウッ

真姫(交わして掌底で一撃)

仁美「大切なお友達と………」スパーンッ

真姫(合気道一本)

仁美「大切な先生に………」ババンッ

真姫(ローからハイ)

仁美「一体何を………」ドゴオッ

真姫(突っ込んでそのまま鳩尾に肘)

仁美「なさっておいでですの?」ズガァーンッ

真姫(あー、昔みんなでやったなス○リー○○ァイ○ーⅡ)


121以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/09(水) 02:08:30.03R+PdTHGDO (1/2)

u's解散するぽいじゃんおめでとう


122MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/09(水) 02:11:58.60n+E6XPMX0 (7/8)


仁美「はあ、はあっ、ご無事でしたか?」

まどか「仁美ちゃんっ」

真姫「まあねっ、って言うか、何なのよこれっ!?」

仁美「………そういえば、わたくしどうしてこんな所に?」

真姫「だからそれを聞いて!? ………ヤバイ?」

ワラワラワラワラ

真姫「ヴェェ(なんか、痛覚も鈍ってそうね)………
   走ってっ!!」

まどか仁美「「はいっ!」」

ダッダッダッ

真姫(まずい………又回り込まれる………
   出入り口のルートが………)

真姫「仁美ちゃん」

仁美「はい」

真姫「お嬢様にお願いするの悪いんだけど、三分ほど稼げるかな?」

仁美「淑女の嗜みですわ。
   それに、大切なお友達と先生のためなら」コオオオオオオオオ


123MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/09(水) 02:15:06.88n+E6XPMX0 (8/8)


真姫「オッケーッ! まどかちゃんっ」

まどか「は、はいっ!」

真姫「私の肩に乗ってあの窓から逃げて」

まどか「えっ、えっ?」

真姫「あの高さじゃ全員は無理。
   まどかちゃんだけでも脱出して、えーっと、110番っ!!」

まどか「け、警察?」

真姫「そう。廃工場で大勢の人が暴れててケガ人が出てる、
   見滝原市立病院の西木野真姫先生と志筑のお屋敷の志筑仁美さんが襲われてるって!!
   携帯でも繋がればいいけど、出来ればどこかの家とかお店とか事務所とか、
   固定電話の方が場所とかすぐに分かるから、
   灯かりが見えたらなりふり構わず助けてもらってっ!!」

まどか「先生はっ!?」

真姫「こっちはこっちでなんとかする。
   全員でバタバタするよりこれが一番助かる率が高いの。
   さあ、乗ってっ!!」

==============================

今回はここまでです>>115-1000
続きは折を見て。


124以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/09(水) 07:11:48.61JyycaitiO (1/1)

ミューズ解散したってラブライブプロジェクト事態は終わらないってそれ一番言われてるから


125以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/09(水) 16:57:28.54R+PdTHGDO (2/2)

それどんなことにも言われてるのになにいってるの?


126以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/10(木) 22:02:13.91q3r9SwsxO (1/1)

臭えから>>1は氏ね
早くhtml化しろスレの無駄なんだよクズが


127MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/13(日) 01:26:52.97vJIXyETm0 (1/12)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>123

 ×     ×

ーー廃工場ーー

ドコッバキッボコッガスッ
ザザッガタッ

仁美「ふぅーっ………」

真姫「まどかちゃんは多分脱出成功。逃げるわよっ」

仁美「はいっ」

集団「………」ワラワラワラワラ

ーー廃工場中二階行き階段ーー

真姫「はあ、はあっ、ヴェェ………(体、鈍ってるなぁ)………」

仁美「はあ、はあっ………!?」バキッ

真姫「!?(階段上り切る寸前で、掴んだ鉄柵が腐ってっ!?)」

仁美「きゃあああっ!!!」ガシャーンッ

真姫「仁美ちゃんっ!!(反対側の鉄柵に激突やばっ!)」

仁美「うっ、くっ………」

真姫「下から来るっ!!」

仁美「は、はいっ」クラッ


128MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/13(日) 01:32:37.94vJIXyETm0 (2/12)


ーー路上ーー

さやか「?」

まどか「はぁ、はあっ」タッタッタッ

さやか「おーいっ!」

まどか「さやかちゃん?」タタッ

さやか「どうしたの? 何かヤバそう?」

まどか「うんっ! 魔女の口づけが………」

さやか「!?」

まどか「大勢の、魔女の口づけが、仁美ちゃんと、
    それに助けに来た西木野先生がっ!!」

さやか「な、っ………とにかく、マミさんにっ!」

まどか「携帯、つながる?」

さやか「え? うん大丈夫」スッスッ

ーーマミルーム浴室ーー

マミ「ー♪ー♪ー」

ーーマミルームリビングーー

スマホ「チャーチャララーチャーチャチャチャー♪」

マミ「もしもし?」

まどか「もしもしっ!!」

マミ「もしもし………うん、ちょっと落ち着いて説明してくれる?」

まどか「は、はい、カクカクシカジカ」


129MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/13(日) 01:37:45.88vJIXyETm0 (3/12)


マミ「分かった。ちょっと、厄介ね。
   私もそっちに向かうけど、
   鹿目さん達は、言われた通りそのまま警察に連絡して」

さやか「いいんですか?」

マミ「正気の大人が絡んでるんじゃごまかし様がないわ、
   むしろ鹿目さんが怪しまれる。
   鹿目さん、聞いてる?」

まどか「はい」

マミ「鹿目さんは、西木野先生の言う通り、
   110番して警察が来るのを待ってて。
   警察には、お友達の志筑さんに付いて行ったらおかしな事件に巻き込まれたって、
   本当の事を話せばいいから。
   鹿目さんは嘘はつけないし嘘をつく必要もないわ、
   魔法少女や魔女の事を話さなければいいだけ、向こうだって聞いて来ないでしょうし」

QB「………」

さやか「それで、大丈夫なんですか?」

マミ「鹿目さんが逃げた時点で死者は出てない。
   警官隊が大挙したら、大抵の魔女はその場からは逃げ出すと思う。
   間に合う事を祈って人命優先で行くしかないわ」

まどか「分かりました」ツーツー

マミ「………」パチン
クルクルッ


130MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/13(日) 01:43:15.34vJIXyETm0 (4/12)


ーー路上ーー

さやか「まどか、じゃあ、ここから警察に電話して待ってて」

まどか「さやかちゃんは?」

さやか「様子見て来る、出来れば二人だけでも逃がして」

まどか「!? 危ないよっ!!
    魔女の口づけをつけた大人の人が一杯襲い掛かって来て、
    それに魔女が………」

さやか「だーいじょうぶ、危ない事はしないよ。
    警察とか魔法少女とか鉢合わせする前になんとかしないと色々ヤバイじゃん。
    様子だけでも見とかないとさ。
    それだけだって、そんな、魔女とかあたしじゃどうにもできないもん」

まどか「じゃあ、私も」

さやか「まどかは警察来るの待ってて。
    西木野先生の話と、色々ややこしい事になるし」

まどか「うん………気を付けてさやかちゃんっ」

さやか「うんっ」


131MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/13(日) 01:46:19.48vJIXyETm0 (5/12)


ーー廃工場中二階ーー

仁美「うっ、つっ………」

真姫「大丈夫っ!?」

仁美「ええ、だいじょう、ぶですわ」

真姫(って、間違いなく頭打ってる)

スマホ「圏外」

真姫「ああもうっ!」

仁美「来ますわっ!」

真姫「うんっ!」ガラガラッ

真姫(上に追い込まれてオイル缶のゴミ箱階段に転がして、焼石に水にも程がある。
   せめて非常階段探したかったけど………)

ーー廃工場中二階一室ーー

真姫「事務室かなんかかな?
   仁美ちゃん、ケガ診せて………」

仁美「ん、っ………」

真姫「仁美ちゃん?」

仁美「た、まが………」

真姫「ちょっと、っ」

仁美「頭、が」アタマカカエ

真姫「仁美ちゃん? 頭痛いのっ?
   どんな風? 割れそうに痛いっ!?」

仁美「だい、じょ、ううっ、じゃない、ですわねハァハァ。
   はい、痛い、割れそうに、あいたいっ!!!」


132MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/13(日) 01:49:36.02vJIXyETm0 (6/12)


真姫(多分、我慢強いお嬢様。ひどい脂汗。
   まさか、外傷性蜘蛛膜下?)

スマホ「圏外」

真姫「少し、ここに隠れてて
   (ごめんね、私じゃ守れない。せめて海未なら………)」

仁美「はい………懐かしい、ですわ………」

真姫「はっ?」

仁美「昔………子どもの頃………お稽古事ばかりで………
   僅かな時間、さやかさんとまどかさんと………
   さやかさん、こうやって、街の中を冒険したりかくれんぼしたり………
   お洋服を汚したりいつの間にかとんでもない所まで来てて叱られて、でも………
   本当に、楽しい………お友達………」

真姫「うん、うん。分かったからさ、
   後で、その厚い友情の物語はゆぅーっくり聞かせてもらうから
   変な旗立ちそうな発言はその辺にしてね。
   大体、かくれんぼなら見つかったら意味ないし」

仁美「………」クスッ

仁美「そう………ですわ、ね………ウウッ」

真姫「それに………」

仁美「はい」

真姫「そろそろ、友情の他に、もう一つ大事な青春、
   狙ってんじゃないの?」

仁美「………うふふふっ………」

真姫「気をしっかり持って、休みたかったら休んでいいから、
   助けが来るまで、静かに待ってて。すぐに助けが来るから」

仁美「分かり、ましたわ。
   今度は、負けません、わよ………」


133MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/13(日) 01:53:05.07vJIXyETm0 (7/12)


ロッカー「ギィィ、カチッ」

バリケードドア「オオオオオ………」ガタガタッ

真姫「さて、どうするか………」

真姫「………」スマホスッスッ

真姫(窓から身を乗り出して、目一杯、ここで通話タッチ………)

真姫(三十秒待った)

真姫「駄目、かぁ………繋がった形跡なし」

真姫(せめて一度でも110番が繋がったら、
   基地局と契約者から捜索してくれると思ったけど)

真姫「街中なのに、妨害電波でも流してんのここ?」

真姫(もういっぺん窓から外………)

真姫「もしかして、ここから………」

ーー廃工場中二階一室その2ーー

窓「よっ、とおおっ」

ドタアンッ

真姫「つーっ、辛うじて(壁伝いに隣の部屋に)移動できたけど、
   二度は無理だわこれ」

真姫「に、しても、真っ暗ね」キョロキョロ

スマホ「微光」

真姫「只の空き部屋、か。
   古いテレビはあるけど、ネットとかは全然、
   スマホは圏外イミワカンナイ………」


134MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/13(日) 01:56:16.54vJIXyETm0 (8/12)


真姫「に、しても………
   流石に、疲れた。あー、これニサンチ筋肉痛きついなぁ………
   歳だわぁ………」ペタン

真姫「って、やってる場合じゃないん、だけど………
   おとなしくまどかちゃんの通報を待つ、か………
   でも、くも膜下出血なら一刻を、争う………」ヨイショ

真姫「とととっ………はっ?」

真姫(何、これ? 壁じゃないの?
   壁の筈がなんか私の体が落ちてるって言うかイミワカンナイ………)

ーー廃工場周辺ーー

さやか(なんか、正面から行ったらヤバそうなんだよね)

さやか(あの、二階の窓開いてるんだけど………)

さやか(………いい感じに色々あって、あそこまで登れそう)ヨット

ーー廃工場中二階一室ーー

ストン

さやか「よっと、無事とうちゃーっくっ………」

さやか「何これ? ドアに中からバリケード?」

さやか「………って事は、ここに誰かいる?
    それとも窓から脱出済み? だったらいいんだけど………」

さやか「………」

ロッカー「ガチャッ」

さやか「!?」


135MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/13(日) 01:59:48.91vJIXyETm0 (9/12)


ーーハコの魔女結界内ーー

真姫「何、これ? イミワカンナイッ!!」

真姫「落ち着いて、これってもしかして今回の騒動の?」

真姫(どこかで、知らない間に薬でも飲まされたか嗅がされたか)

真姫「ここ、は? 落ち着、いて………何、これ? ………」

………ほの………

真姫「………ん………なさい………」

………か………き………

真姫「ごめんなさい………
   私がもっと………強く反対していれば………
   専門医の道を徹底していれば………」

………ほし………はな………に………こ………

真姫「………ニコ、ちゃん………あんなに………ボロボロになって………
   ………夢も諦めて………」

真姫「………第三者の医師のTOなら、違ってたのかな………
   ………もしかしたら、何人も急患飛ばしたかも知れない………
   ………医者の………私の、エゴだった? ………」

真姫「………ちゃん……ごめん………
   ………助けて………あげられない………」


136MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/13(日) 02:03:05.46vJIXyETm0 (10/12)


ーー廃工場中二階一室ーー

ゴトンッ

さやか「ひっ!? 仁美っ!?」

仁美「………」

さやか「(とにかく、倒れない様に支えて)
    仁美? どうしたの仁美っ?
    ………これって………」

さやか(腕にメモ、テープでぐるぐる巻き)

さやか「患者氏名志筑仁美シヅキヒトミ
    衝突事故後に強い頭痛の訴え
    くも膜下出血、低髄液圧症候群等の疑い
    至急救急搬送の上精密検査
    見滝原市立病院 Dr.西木野真姫っ!?」

さやか「!!」バッ

スマホ「圏外」

さやか「仁美? しっかりして仁美っ?
    ねぇ仁美、目、開けてっ………」

仁美「………あら………」

さやか「ホッ………仁美………」

仁美「さやかさん、ですわね………」

さやか「うん。良かった。大丈夫?」

仁美「見つかって、しまいましたわね………」

さやか「え?」

仁美「さやかさん、いつも、簡単に見つけて、しまいますわね………
   わたくしが、鬼になると、
   いつもとんでもない所に隠れてしまいますのに………」


137MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/13(日) 02:06:22.34vJIXyETm0 (11/12)


さやか「え? 仁美? 仁美?」

仁美「うふふふふっ、今度は、負けません、わよ………!?」

さやか「仁美っ!? どうしたの仁美っ!?」

仁美「頭、がっ、頭っ………」

さやか「痛むの? 頭痛いの仁美っ!?」

仁美「ウウウウウウウウウ………」

ーーハコの魔女結界内ーー

真姫「うん、そうだよ、そうだったんだ………
   そうなの、見てくれなかったのどうでもよかったの
   お勉強以外どうでも良かったの………」ウツラウツラ

………ことり………うみ………

オネガイシマスオネガイシマス

真姫「ありがとう………海未………みんな………」

ニッコニッコニー
ノゾミ
ミュゥゥゥゥゥゥゥゥゥズ………

真姫「………」クスクスッ

真姫「………摩天楼………綺麗………」スクッ

タンタカタッタッタンタカタッタッ

真姫「………hello………」タンタカタンタカタンタカ

ストンッ

真姫「………」ニコオッ


138MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/13(日) 02:09:33.41vJIXyETm0 (12/12)


ワタシタチハヒトツワタシタチハヒトツ

真姫「ああ、凄かったなぁ………楽しかった………」

ピーピーワーワーキャッキャッウフフフッアハハハハッ

真姫「そうだった………すっごく、楽しくて………
   辛い事も苦しい事も、
   もちろん楽しい事もキラキラ輝いて………
   ………最高の………
   もう、とっくに………終わってたんだ………」

ーー廃工場中二階一室ーー

仁美「………」クテッ

さやか「あ、ああ………仁美? ねえ仁美?
    やだなー、ちょっとサプライズとかってさぁ………
    さっすがお嬢様、ジョークのポイントがズレてるって言うか………
    仁美っ! 目、開けてよ仁美っ!!」

バリケードドア「ガンッ、ガアンッ」

さやか「仁美………仁美いっ!!
    キュゥべえええぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっ!!!!!!!」

==============================

今回はここまでです>>127-1000
続きは折を見て。


139以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/15(火) 22:11:09.75jQ0JIoju0 (1/1)

2人ともあかん流れや・・・人生に満足しようとした人間はゴミみたいに踏み躙って悶死させんと気が済まない怨み神の呪いや・・・


140MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/26(土) 22:31:43.68RodqbJEJ0 (1/12)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>138

 ×     ×

ーーハコの魔女結界内ーー

マキモドシテ

真姫「………!?」バッ

スマホ「圏外 着信 希」

ーー絵里自宅リビングーー

希「………」スッスッ

絵里「どうしたの?」

希「んー、ちょっと念を送ってただけ」

絵里「スマホに?」

希(大丈夫やね)

タロット「悪魔・逆位置」

ーーハコの魔女結界内ーー

真姫「やる事は、一杯ある」

真姫「友達として、仲間として、
   ニコちゃんの側に、私が、そうしたいから」

真姫「あの子のご両親に、最期の主治医として、伝えなければいけない事がある」

真姫「上条君にも、まだ、やるべき事伝えるべき事が、残ってる。
   あの周辺、ちょっとばかし、女の先輩気取った方が、いいかも
   明日も、明後日も、患者さんが、みんなが………」


141以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/26(土) 22:33:40.68D7OA6XJDO (1/1)

ID変えて自演してコメントしてる>>1キモい


142MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/26(土) 22:39:00.10RodqbJEJ0 (2/12)


真姫「私一人じゃ、何もできない。
   いるべき者が欠けたら、舞台は成り立たない。
   そんな一人一人が………」

真姫「翔び立たせてくれた、大切な思い出。
   だから、溺れてる暇、なんてないっ!!」

真姫(改めて、この、サイケな状況。
   私は正気? 意識は確か? 明晰夢? 視覚効果? ………)

キイイイイインンンンンッッッッッ

真姫「つ、っ………」

真姫(何、これ? 超音波? やば………ヴェェ………)

真姫「意味、ワカンナ………」クテッ

さやか☆マギカ「だらっしゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっ!!!!!」

ーー会社・小会議室ーー

役員「受診の指示は出していたんだね」

詢子「はい」

役員「労災申請は避けられない。
   労基署も関わる事だ、弁護士の先生とも相談して準備を進めてくれ」

詢子「分かりました」

役員「診断結果が不幸中の幸いのレベルで済んだのは良かったよ」


143MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/26(土) 22:44:08.00RodqbJEJ0 (3/12)


ーー会社・廊下ーー

コッコッコッ

詢子「………」

ヴーヴー

詢子(メール?)

詢子「………!?」キョロキョロ

詢子「もしもし、事故、警察ってどういう事だっ!?」

ーー病室ーー

真姫「つっ………」

先輩医師「気が付いたか?」

真姫「ここ、は?」

先輩医師「西木野先生の仕事場」

真姫「ああ、病院、患者は私」

先輩医師「そういう事だ。廃工場で意識を失っている所を発見されて救急搬送されて来た。
     まあ、患者の身元が身元って事でうちの病棟で引き取らせてもらったがな。
     救急搬送の前に、警察の方から先生の事を名指しで問い合わせてきた。
     ぼちぼち夜勤上がりってタイミングで一仕事だ」

真姫「すいません。それで、状況は?」

先輩医師「廃工場で訳の分からない事件が起きてるって警察と消防に連絡が入って、
     西木野先生含め十数人が意識を失った状態で発見されたって事で、
     主にうちの病院に救急搬送されてきた」


144MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/26(土) 22:50:34.86RodqbJEJ0 (4/12)


真姫「診断結果は?」

先輩医師「それが………全員、それと言った異常は見つからない」

真姫「薬物は?」

先輩医師「西木野先生から運転禁止程度のアルコールが出たぐらいで、
     分かっている限り尿検査や血液検査の結果はネガティブだ。
     一体何があった?」

真姫「それは………仁美ちゃんはっ!? 異常なしって!?」

先輩医師「志筑仁美か。確かに現場で発見された。
     先生のメモがあったからな、
     救命でも精密検査を行ったが一通りの所見は異常なしだ」

真姫「異常なし、って………」

先輩医師「蜘蛛膜下出血初め思い当たる検査は一通り行ったが該当する所見は出なかった。
     脳脊髄液減少症を前提とした検査もネガティブ、
     搬送後は患者自身も頭痛を否定していて起立性の頭痛も出ていない」

真姫「良かった………」

先輩医師「工場で強い頭痛を覚えた事は本人も証言している。
    心因性か急激か運動か何かによる一過性の頭痛と言うのが
     現時点では一番筋が通るという見方だ。
     セカンドインパクトの恐れもあるから検査入院と当分の安静は必要って事になるだろうが」

真姫「そうして下さい」

タタタッ

看護師「先生」ミミウチ

先輩医師「分かった。警察が来ているが、いいか?」

真姫「はい」


145MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/26(土) 22:56:05.34RodqbJEJ0 (5/12)


ーー刑事入場ーー

真姫「はい、集団の中に志筑仁美さんを見つけて、
   不審に思って後を追ったんです。
   一度見失ったんですけど、あの廃工場の中にいるのを見つけて、
   中で志筑さんを含めた集団と鹿目まどかさんがトラブルになる、
   鹿目さんが襲われているのを見て助けに入りました」

刑事「それから?」

真姫「集団は正気を失っていました。

   私を捕まえようとした志筑さんに私が平手を張って、
   それで志筑さんは正気に戻ったんですけど、
   とても他の人までは手が回らなくて、
   鹿目さんだけ工場の外に逃がして、私達は工場の中を逃げ回っていました。

   二階の部屋に隠れていたんですけど、志筑さんがひどい頭痛を訴えて、
   志筑さんをその部屋のロッカーに隠して私は窓伝いに別の部屋に移動して………
   そこまでは覚えているんですが………」

刑事「先生は意識を失って倒れている所を発見されています。
   志筑仁美、鹿目まどかとは知り合いだったんですか?」

真姫「はい。この病院に入院している上条恭介君が私の受け持ち患者で、
   二人は上条君の同級生です。
   お見舞いに来た時に話しをした事がありました」

刑事「なるほど。しかし、集団が正気を失っていたと言いますが、
   西木野先生はお医者さんですよね? その状況をどう見ました?」

真姫「パッと見は集団催眠、何らかの集団ヒステリー、
   異常な効果でしたから薬物パーティーか何かを疑いましたが………」

刑事「なんだよなぁ………
   鹿目まどか、志筑仁美の供述もおおむね一致している。
   但し、志筑仁美に関しては、ビンタ張られる前の記憶が飛んでる。
   他の面々は揃ってあの工場に行った事すら忘れてる有様だ。

   異常な状況です。こちらも真っ先にドラッグを疑いましたが、
   現場の捜索でも関係者の尿や血液からも、その線はむしろ否定的。
   有毒ガスの痕跡も探したんですけどね」



146MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/26(土) 22:59:18.44RodqbJEJ0 (6/12)


真姫「音とか、光とか」

刑事「あー………(黄色っぽいネズミのアニメ)………」

真姫「医師として、あれだけの集団に薬物の助けもなしに
   視聴覚だけで一方向の効果、と言うのは少々信じ難いですけど、
   私も片鱗に触れた気がします」

刑事「片鱗に?」

真姫「ええ、確かに音と言うか光と言うか、
   記憶が曖昧なのですが、何か嫌な夢でも見せられた様な、
   もちろん経験はありませんが、
   いわゆるバッドトリップと言うのがああ言うものかと言うか………」

刑事「大量殺人未遂事件ですからね。こちらとしても曖昧にはしておけない。
   只、最近多いんだよなぁ」

真姫「?」

刑事「いや、なんと言うか、
   今回も、中心人物には、自分らだけでも自殺しようって程度の動機はある。
   だが、大量殺人ってなると話は別だ。

   自殺とか突発的な殺人、失踪。
   ありふれて見えるが何かかみ合わない、そんな事件がな………
   まさか、なぁ………どっかのマッドサイエンティストが
   怪しい催眠装置の実験でもやってる………」

真姫「正直言って、一笑に付すことが出来ません。
   医師として、他の可能性を考える方が難しい状況ですので」

刑事「そう、ですか。
   それから、現場で倒れていた集団の中に、
   暴力による外傷を負った者が複数見つかっています。
   これに就いては?」

真姫「集団から襲われた時に色々と抵抗はしました」


147MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/26(土) 23:02:35.24RodqbJEJ0 (7/12)


刑事「主に志筑仁美ですか?」

真姫「ええ。あれは正当防衛です」

刑事「やられた側は覚えていないと言っています。
   志筑仁美や鹿目まどかの供述からも、
   現時点では正当防衛の可能性が高い、のですが、
   何しろ襲うのも襲われるのも訳が分からない、と言うのがこの事件でして」

真姫「その通りだと思います」

刑事「志筑仁美がケガをした、と言うのは?」

真姫「はい」

刑事「先生が診断を?」

真姫「診断と言っても、ちょっとした問診程度ですけど」

刑事「衝突事故と言うのは?」

真姫「逃げる途中に階段の柵が腐っていたのか、
   志筑さんが掴んだ途端に壊れて、反対側の柵まで体が投げ出されました」

刑事「なるほど。しかし、無いんですよね」

真姫「無い?」

刑事「こちらの病院でも、先生のメモを見て詳細な検査を行っています。
   しかし、骨折はもちろん、軽微なものを除いては
   強い衝突を伺わせる外傷、皮下出血は見つからなかったと。

   こちらでも、双方の暴力沙汰の違法性にも関わる事ですから
   薬物検査を兼ねて入念に調べましたが、
   それらの外傷も、目立たない血管を含む注射痕その他の痕跡も発見されませんでした」


148MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/26(土) 23:05:43.72RodqbJEJ0 (8/12)


真姫「………にわかには信じられません。
   かなり大きな音を立てて衝突していましたから」

刑事「志筑仁美もそう供述していますし、
鑑識が毛髪や衣服の繊維、何より柵自体の破損を確認しています。
   よほど打ちどころが良かったのか音だけが派手に聞こえたのか………」

真姫「………」

刑事「正直、参っていますよ。
   現場の状況や先生初め関係者の供述から言って、これは大量殺人未遂事件だ。
   ですが、それを実行した者含めその場にいた多くの人間が何も覚えていないと言い
   どうもそれが嘘にも聞こえない。うちも検察も扱いに困る事件ですよ。
   又、伺うかと思いますが、何か気が付いた事があったら報せて下さい」

真姫「分かりました」

ーー病院廊下ーー

真姫(とにかくおかしな事件………)

「先生」

真姫「ん? ああ、まどかちゃん」

まどか「先生、無事だったんですね。良かったぁ」

真姫「まどかちゃんも。お父様?」

まどか「うん。パパ、西木野先生」

知久「どうも、まどかの父です。
   この度は娘がお世話になりまして、本当にありがとうございました」ペコリ

真姫「こちらこそ………こちらは、弟さん?」

まどか「はい、タツヤって言います。タツヤ、西木野先生」

タツヤ「にしいの? こんりちはー」ペコリ

真姫「こんばんはタツヤ君、西木野真姫です」


149MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/26(土) 23:09:23.06RodqbJEJ0 (9/12)


タタタッ

詢子「まどかっ!」

まどか「ママッ」

詢子「まどか、大丈夫だったか?」

まどか「うん、大丈夫」

詢子「さっき、電話で大体の事は聞いたけど………」

知久「うん。現場の状況が異常だから、
   ここで検査と事情聴取を一緒にやったんだけど、異常は見つからなかったって」

詢子「そうか………ああ、先生?」

真姫「あの、まどかさんのお母さんでしたか?」

詢子「ああ、先生まどかの知り合いでしたか?」

まどか「西木野先生が私達の事助けに来てくれたの。
    それと、上条君の担当医」

詢子「そうでしたか、先生には本当に色々とお世話になりっぱなしで。
   今日は本当にもう、危ない所を」ペコリ

真姫「勇敢な娘さんですね」

詢子「ん?」

真姫「あの時、まどかさんが飛び込んでいなければ
   本当に死者が出ていたかも知れません」

詢子「ああ、こいつ、普段鈍くさいのに変な所で度胸座ってやがるからな」

真姫(多分あなたの娘だから。
   それに、お父様も一見大人しそうでも芯が強くて懐が深そう)

まどか「ティヒヒヒ」

詢子「って、心配かけやがって先生にも迷惑かけて反省しろっ」


150MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/26(土) 23:12:38.34RodqbJEJ0 (10/12)


まどか「はい、ママ」ペコリ

詢子「………よくやった。まどかが無事で何よりだ」

まどか「うん」

真姫「本当に、良かったです」

詢子「………先生もいい度胸だよ」

真姫「大人として、当然の事です」

詢子「暇が出来たら又あそこで」ツイッ

真姫「はい」クスッ

ーーーーーーーー

真姫「(この分だと明日の検査で退院)
   そろそろ戻って寝るか………」

タタタッ

にこ「真姫ちゃんっ」

真姫「にこちゃん?」

にこ「何? なんか事件に巻き込まれたとかって、大丈夫なのっ!?」

真姫「うん、私は大丈夫。
   それよりにこちゃんこそ、大変な時にわざわざ? ………」

にこ「………」ツツー

真姫「!?」

にこ「ママの、ママの病状が進んでて、強い薬を打たないといけないって。
   でも、弱った体が保つかどうか、分からない、って………」


151MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/26(土) 23:16:25.14RodqbJEJ0 (11/12)


真姫「それで、同意したの?」

にこ「助けて………」コクン

にこ「ママを、助けて………
   家が苦しくて、弟妹の進学もさせなきゃいけないのに、
   なのに、私、自分がやりたい事、
   ママが大変なの分かってて、それでも不安定なアイドルやってきた。
   もちろん、売れて楽をさせて、それまでの辛抱だからって誓って、だから………」

真姫「うん」

にこ「ママ、大変なのに、そんな私の事ずっと応援してくれて、
   私も、一生懸命、ギリギリの時も必死にしがみついてやって来た」

真姫「そうよ、にこちゃん。
   あれから、ラブライブのアドバンテージもあって上がり下がりはあったけど、
   やっとニコにーブライドそのものが定着してきた。
   これから、じゃない」

にこ「有難う。でも、今は、今はママが………」ガシッ

にこ「これからなのこれから何がなんでも親孝行しなきゃいけないの
   まだまだたくさんあるのっ」グイグイッ

にこ「だから………だから、助けてお願い助けてママを、
   ママを助けてお願いだからぁ………」ボロボロ


152MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/26(土) 23:20:17.68RodqbJEJ0 (12/12)


真姫「………」ナデナデ

にこ「………なっ、後輩の癖に何やってるのよっ」

真姫「先輩禁止、でしょ」フフッ

にこ「うー」

真姫「私は引き継いでメインじゃないけど、
   今はICUで先生達が一生懸命やってくれてる。
   お母さんを力の限りこっち側に引っ張って引きずり戻す。
   だから、にこちゃんも信じて」

にこ「うん、うん………
   悪かったわね、なんか、アンタもそんな病人な時に」

真姫「いいわよ、只の検査入院なんだから」クルクルッ

真姫「厳しいのは段違いでそっち。
   仲間を頼って………今は、休んだ方がいい」

にこ「そうする。あっちの先生達もそう言ってくれたから。
   じゃあ、お休み」

真姫「お休みなさい」

==============================

今回はここまでです>>140-1000
続きは折を見て。


153以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/27(日) 02:14:33.02/QHyVYjDO (1/1)

ID変えてまで自演しなきゃ書けないなら書くなよks


154以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/27(日) 19:34:16.70QqdCAkq20 (1/1)

さやかが仁美の頭を治したのか
本編で契約によって恭介を治したときは医師の立場とか考えが及ばなかったが
こう緊迫性をもって命を繋ぐ使命に従事している医者の立場を描写されると、それこそ死に物狂いで身につけたであろう技術ですら及ばない「患者を救えない」こと
それをさやかがたったひとつの願いによっていとも軽々と(もちろん命がけの覚悟は彼女にはあったけど)超えていくことの重さというか
魔法とか奇跡が条理を覆すってどういうことなのか考えさせられるな


155MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/30(水) 21:19:38.77fwzK1fc10 (1/8)

感想どうもです。

>>154
うろ覚えだけど、アンソロ四コマで和子先生の元彼の医者が
魔法少女の奇跡に触れて出家したとかw

それでは今回の投下、入ります。

==============================

 ×     ×

ーー朝・見滝原中学校教室ーー

オハヨー
オハヨー

和子「美樹さん、ちょっと」
さやか「?」

ーー見滝原中学校一室ーー

刑事「昨日の夜の事を伺いたいのですが」

さやか「仁美の事ですか?」

刑事「はい」

さやか「………の辺りでまどかに会って、
    廃工場で仁美や西木野先生が襲われてるって言うから、
    まどかに通報を任せて様子を見に行きました」

刑事「様子を見に、ですか。
   危険だとは思わなかったのですか?」

さやか「ちょっとは思いましたけど、
    二人とも大事な人だから様子だけでもって」

刑事「なるほど。それで、工場には入ったんですか?」

さやか「はい。窓から覗いたら何か異様な雰囲気で、
    仁美も先生も一階の広い所に見当たらなかったから、
    壁を登って二階の窓から中に入りました」


156MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/30(水) 21:24:58.49fwzK1fc10 (2/8)


刑事「………」

さやか「あー、不法侵入とかだったらすいませんけど、
    そしたら、入った部屋のロッカーで変な気配がして、
    中に仁美がいたんです」

刑事「その時、志筑さんはどんな様子でしたか?」

さやか「えーっと、なんか、意識が朦朧としていたと思います」

刑事「何か言っていましたか?」

さやか「言ってた、とは思うんですけど、
    何と言うかよく分からなくて覚えられないって言うか」

刑事「それからどうしたんですか?」

さやか「嫌な感じがしたんで、来たルートから外に出ました。
    通報しようかとも思ったんですけど、
    サイレンがこっちに来そうだったんで、そのまま帰りました。
    あー、まどかが通報したんなら残ってれば良かったですね、
    お手間をかけてすいません」

ーー見滝原中学校廊下ーー

刑事1「行動的な娘、なのかね」

刑事2「一応鑑識に確認させますか」

刑事1「………筋は通っているな」

刑事2「ええ」

刑事1「鹿目まどかの供述とも合致している。
    すらすら淀みなく話してくれたもんだ」


157MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/30(水) 21:30:11.22fwzK1fc10 (3/8)


ーー病室その1ーー

刑事「美樹さやか、と言う娘をご存知ですか?」

真姫「ええ、上条君の同級生ですけど」

刑事「彼女も鹿目まどか、志筑仁美と同じグループ、と見ていいんですか?」

真姫「私の知る限り。彼女がどうかしましたか?」

刑事「いや、現場に彼女がいたと言う供述が出ているんです」

真姫「なんですって?」

刑事「関係者の供述を総合すると、
   現場を逃げ出した鹿目まどかは、通報する前に路上で美樹さやかと遭遇して、
   事情を聞いた美樹さやかは様子を見に現場に入っています。
   二階の部屋に侵入して、そこでロッカーに隠れていた志筑仁美を見つけた、
   こういう話なんですよ」

真姫「あの現場に、さやかさんが………。
   確かに、ちょっとやりかねない娘ではあるけど………」

刑事「先生はあの夜、美樹さやかとは?」

真姫「いえ、私は会っていません。
   確かに、その流れだと私が会っていなくても辻褄は合いますけど………」

刑事「ええ。志筑仁美を見つけた後、美樹さやかは工場を脱出して真っ直ぐ帰宅したそうです。
   その頃には鹿目まどかの通報を受けて警察が現場に向かっていましたから、
   敢えて通報する必要はないと」

真姫「………その時の、さやかさんが見た仁美さんの様子は?」

刑事「意識朦朧として、何を言っているのか分からない状態だった、と。
   鹿目まどかとの供述とも一致していますし、
   志筑仁美も先生と別れた後に美樹さやかと話した覚えがあると」


158MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/30(水) 21:36:09.44fwzK1fc10 (4/8)


ーー病室その2ーー

真姫「おはよう」ニコッ

仁美「お早うございます」ペコリ

真姫「時間、いいかしら?」

仁美「ええ。今は大丈夫みたいです」

真姫「(椅子借りて)なんか、大事になったわね。
   私も今日一日は検査入院って事で」

仁美「そうでしたか」

真姫「具合、どう? 頭痛は?」

仁美「お陰様で、気が付いた時には治まっていました」

真姫「そう。立ち上がったら痛むとか、そういう事は?」

仁美「それもありません。もうすっかり。
   只、一度衝突して頭痛を訴えたと言う事で、
   脳の血管が脆くなっているかも知れないから
   何日かは運動を控える様にと」

真姫「そうした方がいい。
   一応確認するけど、あの時、階段を上がって部屋に入ってから、
   強烈な頭痛に襲われた、それは間違いないのよね」

仁美「ええ、ひどい頭痛で、お騒がせしました」ペコリ

真姫「いや、無事に越した事はないから謝る事じゃないんだけど。
   それが、病院に運ばれた時には頭痛は治っていた?」

仁美「そう、だと思います。
   多分救急車に乗って病院に運ばれたんだと思うんですけど、
   気が付いたらあのひどい頭痛がなくなっていました」


159MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/30(水) 21:39:32.30fwzK1fc10 (5/8)


真姫「そう………
   私があの部屋を出てから、美樹さやかさんと会った?」

仁美「ええ、多分、そうだと思います」

真姫「覚えてない?」

仁美「いえ、確かにさやかさんとは会っています。
   西木野先生と別れた後だと思います。
   そうじゃないと色々辻褄が合いませんもの」

真姫「うん。それで、どんな話をしたか覚えてる?」

仁美「いえ………何か、昔話をした様な気もするんですけど、
   あの時どんな話をしたのか、よく覚えていなくて………」

真姫「うん、分かった、無理しなくていいから。
   じゃあ、先生から一応許可が出るまでは安静にしてて。
   衝突の後、特に頭痛があった様な状態だと、
   その時大丈夫そうでも後が怖いから、
   その辺は担当の先生の言う事を聞いて」

仁美「分かりました」

ーー病院廊下ーー

コツコツコツ

真姫「………」

真姫(志筑仁美が私と別れた後に美樹さやかと会っていた事は確定。
   その段階で、やっぱり志筑仁美の意識レベルは低下していた。
   衝突から頭痛、意識混濁。
   その直後の精密検査では脳脊髄その他の外傷や病変、それ等の痕跡は発見されず………)

真姫「何、これ?」


160MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/30(水) 21:42:55.91fwzK1fc10 (6/8)


ーー病室その1ーー

ドサッ

真姫(ベッドに着席)「さやかちゃんは仁美ちゃんと会った後、そのまま帰った?」

真姫(そんな病人、それも友達がいて、
   例え警察が来るって分かってても黙って帰るってあの娘の性格と繋がらない。
   その場で通報するか、警察と合流するのが自然)

真姫(何か、あの娘、或はあの娘達が想像以上に事件の核心に関わってる?
   なんて、事が?
   でも、悪く考えても薬物でもないとすると、一体何?)

真姫「………」クルクルッ

真姫「………意味、分かんない」

ーー昼休み、見滝原中学校屋上ーー

マミ「志筑さんはお休み?」

さやか「はい、今日一日は検査入院だって」

マミ「そう………契約、したのね」

さやか「はい。目の前で仁美が、って言うのは流石に………」

まどか「わたしも、本当はさやかちゃんを手助けしたいけど………」

さやか「分かってるって、気持ちだけ受け取っとくよ。
    魔法少女ってあんなに怖い、危ない事なんだから、
    そんな簡単にならないのが当たり前。
    あたしは、それでも命懸けでかなえたい願いがあった、
    なるべくしてなったんだから引け目なんて感じる必要ないの」

まどか「うん」

マミ「………」ニコッ


161MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/30(水) 21:46:19.57fwzK1fc10 (7/8)


さやか「これからの見滝原の平和は、
    マミさんとこの魔法少女さやかちゃんが
    ガンガン護りまくっちゃいますよー!
    なんてね」

マミ「鍛えがいがあるわね」アンコクビショウ

さやか「………お手柔らかにお願いします」

マミ「ふふっ。でも、やるからには真剣に鍛えないとケガじゃ済まないって、
   それは理解してるわよね」

さやか「はい」

マミ「………後は………西木野先生………
   現場にいたの?」

さやか「はい、魔女の結界で食べられる寸前に助け出しました」

マミ「そう。だとするとちょっと、どころじゃなくまずいかも………
   正気のまま魔女の結界に入って生還したってなると、簡単に納得してくれるか。
   聞いてる限り、お医者さんだけあって頭のいい人みたいだし」

まどか「はい、頭が良くって格好いい先生です」

マミ「そう。美樹さん、あなたは何か見られた?」

さやか「あたしが駆け付けた時には気を失ってたから
    あたしの事は見られなかったと思うんですけど」

マミ「不幸中の幸いね。鹿目さん、警察の方は?」

まどか「マミさんに言われた通りに、
    色々聞かれましたけど大丈夫、だと思います」

さやか「んー、まどかは仁美について行っただけ、大体合ってる。
    あたしも今朝警察から事情聴かれて打ち合わせ通りに答えておいたけど、
    基本、嘘は言っていない。全部話してないだけで」

QB「………………」


162MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2015/12/30(水) 21:50:02.67fwzK1fc10 (8/8)


マミ「志筑さんは、途中で意識を取り戻すまでは多分何も覚えていない。
   他の人達も、魔女の口づけはそういうもの。
   普段だったら原因不明の集団ヒステリーか何かで
   警察も無理やり片づけるしかない所、だけど………」

さやか「西木野先生、ですか」

マミ「お医者さん、なのよね………。
   場合によっては………」

さやか「あ、あの、マミさん?
    何か、ヤバイ事考えてません?」

マミ「え? あ、まさか。
   いよいよとなったら直接話し合う、って事よ」

さやか「ですよねーアハハ………」

まどか(笑いが乾いてるよさやかちゃん)

マミ「聞いている限り、良心的な大人で頭のいいお医者さん。
   いよいよとなったらこちらの事情もある程度話して理解してもらうしかないわ。
   現実問題として、私達が魔女に対応するしかないんだから」

さやか「そう、ですね」

==============================

今回はここまでです>>155-1000

今年はこれで終わりかな?

>>1であんな事言っておいてすいませんが、
個人的に急遽身動きとれない状態になってからの年末進行で
越年は正直予想外でした。

年内分からないのでご挨拶を。

良いお年を。


163以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/30(水) 22:35:33.14LlckPnlDO (1/1)

質問(?)してる人は末尾0で作者も末尾0…あっ(察し)

パクライブなんてオワコンと人気作品のまどマギのクロスとかやめてくれない?
まどマギが穢れるんだよクズライバーさんよ


164以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/31(木) 13:09:15.79jie03YQw0 (1/1)

乙 良いお年を


165以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします2016/01/02(土) 13:21:44.61a/384/4sO (1/1)

>>164
自演ご苦労さん


166MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/09(土) 03:34:13.79cLxH9zZ30 (1/8)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>162

 ×     ×

ーー夕方・診察室ーー

先輩医師「つまり、異常なしだな」

真姫「そうですか。じゃあ、明日から」

先輩医師「ああ、そうしてくれ」

ーー病院ロビーーー

ツカツカ

真姫(………やっぱ、不意に抜けると厳しいわよね。
   警察の事情聴取もあって、結局昨日一日検査入院で。
   明日から仕事………にこちゃん………)


167MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/09(土) 03:39:27.96cLxH9zZ30 (2/8)


「真姫っ」

真姫「?」

海未「真姫っ」

真姫「海未」

海未「事件に巻き込まれたと聞きましたが、元気そうで何よりです」

真姫「お陰様でね………
   にこちゃん所のお見舞い?」

海未「はい」

真姫「そう………時間ある?」

海未「ええ」

真姫「じゃあ、夕食付き合う?」スマホスッスッ

ーー風見野市内・ラーメン屋ーー

大将「らっしゃーいっ」

海未(いい匂いです)

真姫「ここでいいかな?」テーブルセキ

海未「ええ」

真姫「ラーメンを」

海未「では、私も」

大将「はいよっ!」

海未「よく来るんですか?」

真姫「ううん。穴場だって小耳に挟んだから、
   時間もあるし一度来てみたいって」


168MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/09(土) 03:45:11.02cLxH9zZ30 (3/8)


おかみさん「お待たせっ」

ズズッ、ズーッ
オイシイデスネ、ソウネ

海未「実際の所、病状はどうなんですか?」

真姫「立場上、本当は言っていいのかアレなんだけど、
   率直に言って厳しいわ」

海未「それは、命が………」

真姫「それもある。厳しい半分はそれ。
   もう半分は、命が助かった時。
   命が助かっても、今回の事故での肉体的損傷は非常に大きい」

海未「そういう、事ですか」

真姫「だから………卒業してから機会も少なくなっちゃったけど、
   それでも、あの時間を共有した仲間として、
   出来る限りでも孤立させたらいけないの。

   お節介過ぎるのがまずい場合もあるけど、にこちゃんああ言う性格でしょ。
   手遅れにならない様に、海未にも念頭に置いて欲しい」

海未「心に留めおきます。
   地元でしたら、多少の心当たりもありますので」コクッ

真姫「お願い。あの道場続けて、
   公民館の子ども講座市民講座もやってるんだっけか?」

海未「ええ、あの時お世話になった地域への恩返しもかねて。
   時間の捻出が厳しい時もありますけど、
   これはこれで楽しさもあり、勉強にもなります」

真姫「そう」


169MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/09(土) 03:50:23.34cLxH9zZ30 (4/8)


海未「今回、何か妙な事件に巻き込まれた様ですね」

真姫「そうなの。率直に言ってイミワカンナイ」

海未「警察の方もそうみたいですね」

真姫「んー、そんな感触。
   何か知ってるの?」

海未「今回は他ならぬ真姫の事ですのであえて調べましたが、
   園田は武道の家でもあります。多少の伝手もあります」

真姫「何か聞いてる?」

海未「志筑家が動きました」

真姫「仁美ちゃんの家が?」

海未「当初、薬物事案を疑って相当強い対応をしたみたいですね。
   元検事総長を含む弁護団から県警本部長に要望書が出されました。
   志筑氏自身は弁えた人物の様ですが、
   国会議員や警察庁からの忖度した動きが県警にも伝わっています」

真姫「圧力、って奴」

海未「客観的にはその評価もやむを得ないと。
   県警の刑事部も、余りの訳の分からなさに逃げ腰になっているのも本当です。

   ストレートに立件しようとするなら
   大量殺人未遂で当然公判請求を前提に捜査しなければならない。
   ですが、それだけの事件で関係者の供述が知らない分からないの空白だらけ、
   県警刑事部と検察は相当苦慮している様です」

真姫「だろうね。実際問題現場にいた私だってイミワカンナイとしか言い様がない事件だから。
   多分、他の人達も事件の事をまともに覚えていない。
   それを刑事裁判にするって、書類で生きてるお役人なら胃に穴開くレベルだわ」

海未「加えて、本部の捜査一課では、ホオズキの捜査本部の増員をかける予定です」

真姫「あー、やっぱ手こずってるの?」


170MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/09(土) 03:54:06.65cLxH9zZ30 (5/8)


海未「はい。本来、本部設置後の逐次投入は悪手なのですがやらざるを得ないと。
   こちらの方が凄惨な被害を出しながら後手に回っている状況です。

   加えて、詳しい事まではよく分からないのですが、
   あすなろでも捜査班を本部に昇格しようかと言う動きがある様です。
   その上面倒な事件を抱えていられないと。

   結果論とは言え、大きな被害も出ない、被害感情も低い事件ですから、
   関係者に文句がないなら適当に口実をつけて事件を閉じてしまいたい、
   県警はその方針に傾いている様ですね」

真姫「そう………これ以上警察に付き纏われる事考えると、
   そっちの方が正直助かるって気持ちもあるけど………」

海未「………医療上の死亡事故で警察の捜査が入ってましたか」

真姫「………」コクッ

海未「大丈夫、ですか?」

真姫「うん、大丈夫。それは病院の方で対処してくれてるし、
   医者やってたらそういう事もある、って事」

海未「そうですか。
   そうですね。あれだけ色々抱えても、
   それでもブレずに医者の道を貫いた真姫ですから」

真姫「ありがとう………」


171MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/09(土) 03:57:15.88cLxH9zZ30 (6/8)


ーーラーメン店外ーー

アリアトアシター

海未「美味しかったです」

真姫「うん………にこちゃんの事、お願い」

海未「はい。真姫も」

真姫「うん………お互いのパートで力の限り」

海未「はいっ」

真姫「海未はこれから? なんなら久しぶりに」ツイッ

海未「明日の予定がありますので、それは又の機会に」

真姫「そう。じゃあ」

ーー路上ーー

スタスタ

真姫「………」

ふと、天を仰ぐ。
そこに見えたものは。


172MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/09(土) 04:00:39.69cLxH9zZ30 (7/8)


ーー廃教会ーー

「何やってんだい?」

真姫「なんとなく、見かけたから」

「こんな所で、気紛れにお祈り?」

真姫「そう、かもね。
   本当は、この手で救わなくちゃいけないんだから」

「ふうん、自信あるんだな」

真姫「ま、無いとは言えないわね。
   そうでなくちゃいけないんだから」

「仕事、何やってんの?」

真姫「医者。だから、この手で人の手人の技術で
   目の前の人を救わなければいけない。
   だけど………だからこそ、祈りたくなる事もある」


173MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/09(土) 04:04:06.89cLxH9zZ30 (8/8)


「へぇー、人でも殺した?」

真姫「微妙に違う。手が届かなかっただけ。
   保身で言っているのかも知れない。
   だけど、私のせいだと言うのはむしろ傲慢。
   ………分からないか」

「………分かるよ」ボソッ

真姫「んー」スクッ

真姫「結局、祈る先から一杯引っ掛けて、
   切り替えて明日を迎える、そんな所」

「どうせなら、次はまともな所で祈るんだな。
見ての通りだ、妙な奴が入り込んでない今夜は運がいいだけだ」

真姫「そうね。夜遊びは程々に」

「あんたもな」

コッコッコッ

真姫(………無理しちゃって。口調の割に声が全然子ども)

==============================

今回はここまでです>>166-1000

少々遅れてあけましておめでとうございます。
越年になりましたが今年もよろしくお願いします。

続きは折を見て。


174以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします2016/01/09(土) 06:04:24.14J+iiiyjDO (1/2)

| ̄| ∧∧
|ニニ( ゚Д∩コ
|_|⊂  ノ
   / _0
  (ノ

 えっ…と、糞スレ
\はここかな…、と/
  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄
  ∧∧ ∧∧
 ∩Д゚≡゚Д゚)| ̄|
  ヽ  |)ニニニ|
   | |~ |_|
   ∪∪


  ∧∧ ミ  ドスッ
  (  ) ___
  /  つ 終了|
~(  /   ̄|| ̄
 ∪∪   || ε3
      ゙゙~゙~


175以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします2016/01/09(土) 08:19:58.38dZXQzwB0o (1/1)

乙乙
昔はある程度の人が魔法少女を知ってたんだっけ?軍事利用してたのはいつまでだろう?


176以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします2016/01/09(土) 08:30:11.129/g7yy1D0 (1/1)

>>175
普通に暗黒時代以降じゃない?


177以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします2016/01/09(土) 09:11:13.30J+iiiyjDO (2/2)

| ̄| ∧∧
|ニニ( ゚Д∩コ
|_|⊂  ノ
   / _0
  (ノ

 えっ…と、糞スレ
\はここかな…、と/
  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄
  ∧∧ ∧∧
 ∩Д゚≡゚Д゚)| ̄|
  ヽ  |)ニニニ|
   | |~ |_|
   ∪∪


  ∧∧ ミ  ドスッ
  (  ) ___
  /  つ 終了|
~(  /   ̄|| ̄
 ∪∪   || ε3
      ゙゙~゙~


178以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします2016/01/09(土) 16:50:31.684PwlHW6Q0 (1/1)




179以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします2016/01/11(月) 13:32:21.33jQ/0rs1yO (1/1)

>>178
自演バレてんだよ
ビルから飛び降りて腐った脳味噌撒き散らして[ピーーー]
もしくは手が腐って糞文章を書けなくなりますように


180MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/27(水) 01:39:30.09pLTlEGIQ0 (1/1)

早めですが
生存報告


181MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/31(日) 13:46:29.85JM4lkHsl0 (1/12)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>173

 ×     ×

ーー夕方 見滝原市内路地裏ーー

マミ「他人の縄張りに踏み入るなんて」

マミ「行儀がなってないんじゃなくて?」

まどか「間に合ったぁ………」

杏子「へぇ、くたばったんじゃなかったんだマミ先輩。
   なんか、最近魔女退治で死ぬ目に遭ってから
   ぱったりだって聞いたから来てみたんだけど」

マミ「少し、お休みいただいてただけよ」

杏子「休みぃ?」

マミ「ええ、お友達と買い物してお菓子を作ったり
   お休みに昼まで寝てたり。
   もちろん、魔女退治も続けてるわよ」

杏子「おいおい、本格的にどうしちまったんだ?
   あんだけ毎日魔女退治に、本当に生きがいみたいにしてたのにさ」

マミ「この辺りの魔法少女は実質私一人、
   美樹さんも契約したばかり。
   確かに、短期的な効率は下がるかも知れないけど、
   私がダウンしたら元も子もないって事」


182MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/31(日) 13:51:40.05JM4lkHsl0 (2/12)


さやか「すいません、あたしが早く一人前に」

杏子「だーから、あんたみたいのはやめた方がいいって。
   この先輩に何吹き込まれたか知らねーけどさ」

マミ「佐倉さんこそ、
   私の後輩に変な事を吹き込むのはやめてくれないかしら?」

杏子「ふうん………理に適ってんじゃねーの?
    それで、お休み中に何が起きても知らない顔出来れば、だけどさ」

さやか「このっ………」

マミ「………」スッ(腕で制する)

マミ「そうね………確かに、お休みでも魔女発見の連絡があれば駆け付ける、
   それも気休めかもしれない。
   でも、魔法少女も無限の存在じゃない、お腹も空けば死ぬ事もある。
   出来る事と出来ない事がある。それだけよ」

杏子「ふうん………
   本当に、お利口になったんだな」

マミ「そうね。一度、限界を覗いたからかしらね?
   だから………」チャキッ

杏子(うっ………)

マミ「他人の縄張りをかき回す、って言うなら、
   そうそう甘い顔もしてられない」


183MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/31(日) 13:56:42.85JM4lkHsl0 (3/12)


杏子「………へぇへぇ。
   こんな雑魚にかまって、マジなマミ先輩と喧嘩してケガさせられるとか、
   それこそ勘定が合わないからね」

マミ「そう、賢明ね」

杏子「………」ダッ

さやか「このっ………」

まどか「さやかちゃんっ!」

チュイーン

さやか「………(い、かく射撃、って奴?)」

まどか(地面に穴………)

マミ「お互い、本物のサーベルに槍に鉄砲、
   魔女相手でもないのに、余計な争いは愚の骨頂よ」ニコッ

さやか「は、はい………」

マミ「それから、暁美さん、いるんでしょ?」チャキッ

ほむら「………」スッ

マミ「この間の恩は忘れていないわ。
   だけど、佐倉さんと組んで何かこちらを妨害しようと言うなら、
   その時はそうそう甘い顔もしてはいられないから覚えておいて」

ほむら「………」クルッ

スタスタ

まどか「ほむらちゃん………」

さやか「なんだあいつ? ………」


184MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/31(日) 14:01:59.49JM4lkHsl0 (4/12)


ーーマミルームーー

マミ「さあ、いただきましょう」

さやか・まどか「いただきます」

さやか「すいません、結局マミさんに頼る事になって」

マミ「うん………」

さやか「でも、あいつって一体なんなんですか?
    使い魔を狩ろうとしたあたしを邪魔して、
    それに、あたしの願い迄馬鹿にして………」ギリッ

マミ「昔、ね。ちょっと色々あったのよ。
   昔はあんな娘じゃなかったんだけど」

さやか「そうですか。でも、すいませんがあたしは絶対許せない。
    あんな奴とだけは馴れ合いたくない」

マミ「でも、揉め事は避けて頂戴。
   彼女は魔法少女としての経験を積んでる、その上であんな風に荒んでる。
   少なくとも今の美樹さんがかなう相手じゃないわ」

さやか「うー………」

マミ「今の佐倉さんの縄張りは風見野、
   今の見滝原は私達の縄張りだと改めて宣言した。
   これで引いてくれたらいいんだけど。

   とにかく、あの娘は刹那的な分、
   嫌な事は言っても得にならない争いは避ける筈よ。

   悔しいかも知れないけど、今後何かあったら、
   最悪でも一目散に逃げるぐらいでお願い。
   これ以上何かあるなら、私の方で決着つけるから」


185MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/31(日) 14:05:18.63JM4lkHsl0 (5/12)


さやか「分かり、ました………
    あの転校生も、佐倉杏子とつるんでる、って事なのかな………」

マミ「正直、分からないわね。
   決して甘くはない条件で私達の事を助けてくれた事を考えても、
   完全に損得だけで動いてるとも言い切れないし」

さやか「いちお、命の恩人なんですよね………」

マミ「………」コクッ

まどか「仲良く、出来ないのかな………」

マミ「難しいわね。佐倉さんと繋がっているのか、
   向こうの目的も分からない以上。
   魔法少女の活動は命懸け、
   信頼出来ない相手とこちらから深く関わる事は出来ないわ」

さやか「うん。魔法少女同士のガチバトルやったばっかだからね。
    悪いけどそういう事だよまどか」

まどか「うん………」

さやか「食べよ、美味しいケーキの前でする話じゃないもんね」

クンレンハーガッコウノカダイガー
ウギャー


186MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/31(日) 14:08:33.05JM4lkHsl0 (6/12)


ーー見滝原市立病院廊下ーー

看護師「お疲れ様でーす」

真姫「お疲れー」

ーー見滝原市立病院周辺ーー

コツコツコツ

真姫(ちょっと、遅くなったわね。
   あの災害と私が休んだ後処理が色々と………)

真姫「?」

真姫(佇んで、病院を見てる?)

真姫(サイドポニー、って奴かしら?
   高校生ぐらい? 綺麗な娘。
   それに、多分雰囲気が結構いい所の………)

クラッ

真姫「ヴエェッ!?」ダッ


「」クテッ

真姫「ちょっと、大丈夫っ!?」スマホスマホ

スッスッスッ

真姫「もしもし? 私です。ええ、問い合わせを………」


187MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/31(日) 14:11:41.68JM4lkHsl0 (7/12)


ーー見滝原市立病院救命医局ーー

救命医「特別な異常はないな、強いて言えば過労、心労だ。
    今はぐっすり眠ってるよ」

真姫「そうですか………」

救命医「まあ、無理もないなぁ」

真姫「え?」

救命師長「美国織莉子」ポツッ

真姫「美国?」

救命医「そ、あの美国の一人娘。
    心労にもなるだろうさ」

救命師長「私は過去に二度、ここで彼女に会っています」

真姫「二度?」

救命師長「はい。
     一度目は母親の、二度目は父親の時です」

真姫「時、って………」

救命師長「………」コクッ

救命師長「彼女の母親は暴走車に跳ねられて、
     この病院で死亡を確認しました。
     その時、あの娘はまだほんの子どもだった」

真姫「そう………」


188MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/31(日) 14:15:08.50JM4lkHsl0 (8/12)


救命師長「美国議員は、奥さんの事を本当に愛してらしたんでしょうね。
     その慟哭は尋常じゃない程でした」

救命医「地元の雑誌なんかで時々読んだが、
    実際、出来た奥さんだったってな」

救命師長「そして、それを織莉子さんは見ていました。
     元々しっかりした娘が、自分が泣き出すよりも前に、です」

真姫「!?」

救命師長「それからはより一層ですね。美国議員の政治活動に寄り添って。
     地元では有名でしたよ。
     あの娘が幼い時から、母親が亡くなった直後からもう、
     美国議員の地元の活動では、可愛い、健気な女の子が側にいるって。
     あんな綺麗な娘さんになってもずっとそうでしたから」

真姫「………」ギリッ

救命医「そして、その父親の時は、自分で発見して一緒に救急車に乗って来たよ」

真姫「最っ悪………」ボソッ

看護師「先生」

ーー救命病棟ベッド横ーー

織莉子「ここは?」

真姫「見滝原市立病院の救命センター。表で倒れてたから」

織莉子「ああ、そうですか………」ヨイショ

真姫「ああ、無理しなくていいから」

織莉子「ご面倒、おかけします」ペコリ

真姫「ご丁寧にどうも」ペコリ


189MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/31(日) 14:18:48.52JM4lkHsl0 (9/12)


救命医「気が付きましたか」

織莉子「………」ペコリ

救命医「じゃあ、診察しますね」

真姫「それでは」ペコリ

救命医「ええ」

織莉子「もしかして、あなたもお医者さん?」

真姫「うん。担当外だけど、帰宅途中であなたの事を見つけたから」

織莉子「そうでしたか………………………
    私は………………………美国織莉子と言います。
    本当に有難うございました」

真姫「ご丁寧に有難う。
   私は西木野真姫。ちょっと簡単に言えないかも知れないけど、
   通りがかりの医者としては疲れてるみたいだから少し休みなさい、
   って無責任な事言っておくわ」

織莉子「………」ペコリ

スタスタ

救命医「それでは、診察を」

織莉子「………」

ーー病院廊下ーー

真姫「………」スマホ


190以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/01/31(日) 14:21:46.93huoFGtoA0 (1/1)

期待してます


191MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/31(日) 14:32:20.73JM4lkHsl0 (10/12)


ーー救命病棟病室ーー

救命医「やはり、検査結果も異常はありませんね。
    西木野先生も言っていましたが、
    医者としては過労の様ですから休んで下さい、
    としか言えない状態です。
    何か、異常があったら又来て下さい」

織莉子「そうですか………有難うございました。
    今、治療費の持ち合わせが、後日必ず。
    本当にすいません」

救命医「………分かりました」

ーー美国邸周辺ーー

真姫「野次馬なんて、
   してみるモンじゃないわ………ヴェェ………」

「おいっ!」

「何してるんだオマエっ!?」

真姫「えっ?」

キリカ「お前も野次馬かっ!? 何かしに来たのかっ!?」

真姫「お家の人? ああ、ごめんなさい。
   ちょっと、目についたんだけど失礼だったわね。
   本当にごめんなさい」フカブカ

キリカ「ああ、うん。去ね去ね」シッシッ

真姫「ええ、失礼させてもらう。本当にごめんなさいね」


192MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/31(日) 14:36:07.51JM4lkHsl0 (11/12)


キリカ「に、しても………織莉子の奴どこ行ったんだ………」ボソッ

真姫「もしかして、美国織莉子さんの知り合い?
   姉妹とかお友達とか………」

キリカ「………織莉子はこの辺じゃ結構有名だけど、
    なんか、直接知ってる、って感じだな。
    知ってるなら教えてくれるかな? 私の無限にして(略)織莉子の事を」

真姫「(ヴェェ)お名前、いいかしら?」

キリカ「名前? 呉キリカだけど」

真姫「くれきりかさん。少しだけ、待ってくれるかしら?」

キリカ「何を知ってる何を隠してる?
    織莉子の事で隠し立てすると言うなら………」

真姫「手順があるのよ。
   私が怪しいと言うなら警察でお話ししても一向に構わないけど、
   取り敢えず私に任せてくれる?」

キリカ「チッああ、任せるよ」

真姫「………」スマホ

ヴーヴー

真姫「もしもし………ええ、すいません。
   ええ、はい、分かりました」プツッ

真姫「彼女は見滝原市立病院にいるわ」

キリカ「病院っ!?」


193以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/01/31(日) 14:36:29.44Kt6o+nzm0 (1/1)

おりマギってこんな短い時期だったっけ


194MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/01/31(日) 14:40:40.40JM4lkHsl0 (12/12)


真姫「ええ。私がたまたま倒れている彼女を見つけて担ぎ込んだの。
   大した事はなかったからもうじき帰って来る筈。
   本人の了承が得られたからあなたにも伝えておく。
   心配かけてごめんなさい、ですって」

キリカ「お、お………」

真姫「?」

キリカ「おおおおおおおお恩人っ!!!
    有難う! これで愛が死なずに済んだっ!!
    私の無限に有限な(略)織莉子を、本当に心から感謝するっ!!!」

真姫「ヴェェ(そ、そう)」クショウ

真姫「それじゃあ、私は明日早いから」サササッ

キリカ「おんじいぃーーーーーんっっっ!!!感謝するよぉぉぉーーーーーっっっっっ!!!!!」

真姫(………大丈夫かしら、色々と………)

==============================

今回はここまでです>>181-1000

ちょっと中座しましたがレスどうもです。
取り敢えずこのままやってみます。

続きは折を見て。


195以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/01/31(日) 20:01:05.44GAmegFmso (1/1)

乙乙
杏子って結構周囲に流される子に見えるよね


196以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/03(水) 12:23:12.62lruNKV4Q0 (1/1)




197MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/10(水) 03:33:13.74XiNOdwJE0 (1/8)

感想どうもです。
それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>194

 ×     ×

ーーマキルームーー

PCキーボード「カタカタカタ」

メガ真姫「………美国織莉子、本人も結構有名人じゃない」

真姫「こっち来てからバタバタ生きてたからなぁ………」

真姫「どっちにしろ、通りすがりの医者がどうこう出来る事じゃないか………」

 ×     ×

ーー見滝原市児童相談所一時保護所保健室ーー

真姫「はい、終わり」チョウシンキ

ゆま「ありがとー………」フーフー

ーー同・面談室ーー

真姫「前の診断は風邪ですね」

職員A「ええ。少し具合が悪くて診てもらっていたんですが、
    今朝から熱と嘔吐がひどくなりまして」

真姫「今の所、その診断でいいと思います。
   一応検体は検査に出しますが、
   それだけの症状が広がっている気配もありませんし便も固い、
   感染が広がる類のものとは考えにくいですね」

職員A「そうですか」ホッ


198MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/10(水) 03:38:42.05XiNOdwJE0 (2/8)


真姫「それでも、これ以上長引く様であれば、
   一度本格的な検査、診察が必要です。
   嘱託の医師ですか」

職員A「ええ。こちらの施設の都合で、記録もこの通り簡易なものですが。
    元々非常勤の先生なんですけど、今日はこちらの事情で………」

真姫「事情?」

職員A「報道もされるでしょうからお話ししますが、
    重度のネグレクト事案があって、そちらに行ってもらっています。
    元々、上の子の不審な外傷が通告されていたんですが、
    こちらで調べると、まだ幼い下の子の情報が全く出てこない」

真姫「検診も………」

職員A「………」コクッ

職員A「保健師が接触した所、
    子どもとの接触を拒否されて失踪の恐れがありました。
    上の子の方はある程度情報が集まっていたので、危険な状態と判断して、
    こちらの職員と医師が待機して警察に傷害容疑でガサをかけてもらいました。
    そこで子どもを発見、一目でそれと分かる状態で救急車が呼ばれましたよ」

真姫「そんなにひどい状態だったんですか」

職員A「栄養失調その他、今は入院して命に別状はないと言う事ですが、
    もう少し遅れたら危なかった。
    同行した先生がその場で応急処置を行って、
    後は搬送先に任せて警察からの事情聴取や書類の作成をお願いしています」

真姫(ヴェェ………)


199MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/10(水) 03:43:57.24XiNOdwJE0 (3/8)


真姫「それで、ゆまちゃんは風邪、或は自家中毒。
   その診断でもいいと思いますが」

職員A「ええ」

真姫「今、明確に区別は出来ませんので心証に近いものですが、
   環境の変化、或は甘え病によるストレス性の嘔吐発熱。
   そうだとすると、むしろ健康な反応とも言えます」

職員A「私も、心証ですが経験上その可能性が高いと。
    ですから、関わりのあった先生に往診をお願いしました。
    ご協力感謝します」

真姫「いえ、ちょうど受けられるタイミングで良かったです」

職員A「ええ。あの子は本当にいい子です。
    我々にも嘱託医の先生にも、
    何の問題もなく接している。問題が無さ過ぎます」

真姫「………そうですか………
   私は本来ハードを担当する外科医。
   今回は飛び入りですし、その辺りの事はそちらの………」

職員A「ええ、分かっています。
    我々も、ようやく助け出したあの子になんとか報いたいのですが」

ワーワーギャーギャー

真姫・職員A「!?」


200MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/10(水) 03:49:13.00XiNOdwJE0 (4/8)


ーー同・室内遊戯場ーー

ワーワーギャーギャーキャーキャー

職員ズ「やめろっやめなさいっ!!」

児童A「!?!?!?!?!!!!!」フーッフーッ

児童B「うわあああああうわあああああんっっっっ」

職員A「先生、どうですかっ!?」

真姫「見た目だけだと、額の皮切れてるだけですね。
   ちょっと一杯血出てるけど、大丈夫だからね。
   只、前後見てないですから詳しい事までは」

看護師「先生、後は私が。B君、大丈夫?
    ちょっと保健室行こうね」

真姫「お願いします。
   ちょっと派手にぶつけています。
   場所がちょっとまずい。検査をした方が」

看護師「はい」

ーー同・廊下ーー

真姫「たたたっ」

職員A「お怪我を?」

真姫「いえ、ちょっと強く引っ張られただけでヴェェ………
   嘱託医、ですか。
   修羅場に突っ込むかはとにかく、大変でしょうね」

職員A「ええ、色々無理をお願いしています。
    児相の一時保護は野戦病院ですから」

真姫「色々、耳にしないではないですが」


201以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/10(水) 03:49:49.19A1psEaODO (1/2)

パクライバーさんはいつまでこんな糞SS書いてるの?
ゴムでらと一緒に消えてくれよ


202MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/10(水) 03:55:42.91XiNOdwJE0 (5/8)


職員A「社会的な言葉として児童虐待と言う言葉が一般化した、
    それが我々児童相談所とセットで認知されたのが
    ほんの十年、せいぜい二十年ぐらいですか」

真姫「ええ」

職員A「その時点で何周遅れか、と言う状況でしたからね。
    そして、あたかも新発見の様に一挙にこちらに雪崩れ込んで来た。
    元々児童相談所、一時保護所は虐待だけに対応している訳でもない。
    随分マシになりましたが、それでも、
    その当時からハードもソフトもなかなか追いつかない事もあります」

真姫「専門的な対応も、むしろ一番必要な場所ですよね」

職員A「その通りです。言い訳じみた事を言えば
    我々も保健室も、現場の労働実態としては一杯いっぱいの事はやっています。
    それでも、現状を言えば、元々大きな被害、
    ストレスを抱えている子をやむなく集団で預かって、
    そのケアのためのマンパワーも、まして専門性となるとなかなか難しい」

真姫「こちらに来る前も含めて、
   仕事で何度か児相に連絡した事もありましたが」

職員A「通告ですか」

真姫「………」コクン

職員A「この事に関わっていると、もちろん希望もありますが、
    深淵を覗き込む様な事もままあります」

真姫「どちらにしても、余りいいものではないですね」ハアッ


203MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/10(水) 03:59:15.67XiNOdwJE0 (6/8)


職員A「ご協力感謝します。法律の規定とは言え、
    率直に言って負担ばかり大きい事を一方的にお願いしている、
    現場のお医者さんの協力は本当に貴重な事ですから」

真姫「児相が引き取るまでなんとか入院を伸ばそうとする病院と
   強硬に退院を要求する保護者の修羅場に関わった事もあります。
   児相はなぜこの状態で子どもを引き取らないのかと
   上の先生やスタッフも怒り狂っていました」

職員A「ええ、目に浮かびます。本当に申し訳ない」

真姫「………実際の所は、
   色々悪いタイミングな事もあって物理的なレベルで足りなかったから、
   と言う事もある程度は分かっていましたから。
   あの時は、結局弁護士会の方で一時預かってもらいました」

職員A「それも、現状では主要都市の弁護士会がギリギリ、ですね。
    ハードもソフトも、数学通りの意味で120%。
    色々助けを借りながらも、目の前の身の安全、これを守れるか守れないか、
    その最低限のラインを死守しようとしている。これが実情です」

真姫「私は本来外科医、基本、ハードを治す事が出来ない。
   そちらもそこで手一杯、ですか」

職員A「今の実情では言い訳は難しいです」

真姫「本当に大変だと思いますが、よろしくお願いします」イチレイ

真姫「イレギュラーで僅かな関わりとは言え私の患者です。
   肉体に修理に近い対応しか出来ない私の後に、
   今、根っこに関わる事が出来るのは先生たちだけですから」

職員A「確かに、お預かりします」

真姫「それでは」


204MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/10(水) 04:02:28.08XiNOdwJE0 (7/8)


ーー見滝原市児童相談所廊下ーー

コツコツコツ
ピタッ

真姫「?」

サイドポニー(………)フワッ

真姫(あっちの方に、あれって?………)タタタッ

真姫(こっちに曲がって………)

ドスッ

真姫「つっ………」クテッ

(ちょっと、休んでてよ恩人)ナガイス

織莉子「どう、キリカ?」ヒョコッ

キリカ「なんとか、上手くいったよ」

織莉子「ごまかせるかしらねこれで?」

キリカ「さあ。この恩人が西木野先生?」

織莉子「ええ」

キリカ「妙に縁があるね」

織莉子「運命なのかしらね?」

キリカ「うーっ、織莉子の運命の相手になろうなんて………」


205MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/10(水) 04:06:20.24XiNOdwJE0 (8/8)


織莉子「あの子の事、どう利用するか考えている内に
    この先生が助け出してしまった」

キリカ「織莉子の邪魔をしてくれたのかい?」キザムカイ

織莉子「道を照らしてくれたわ」アセ・クショウ

織莉子「お蔭で吹っ切れた。
    結局、一人を救えない救世の価値なんてそんなものだと。
    ひどく月並みで、それでいて凄く難しい事だけど、
    それでも決して疎かにしてはいけない」

キリカ「ふうん。まあいいや。
    私は、織莉子について行くだけだよ」

織莉子「………」ニッコリ

織莉子(掌にソウルジェム)ボウッ

結界「………」ウネウネウネ

キリカ「手遅れ一歩手前?」

織莉子「確かに、マイナスの想念が集まり易い場所ではあるけど」

キリカ「ま、ささっと刻んで終わらせよう」

織莉子「そして、お茶にしましょう。
    ただの人間が積み重ねる一人一人を救う事。
    それがいかに不完全でも、人に非ざる者が妨げるなんて。
    (人に非ざる者として、それは私が許さない)」


==============================

今回はここまでです>>197-1000
続きは折を見て。


206以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/10(水) 05:39:56.04F1do83rvo (1/1)




207以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/10(水) 16:02:31.93A1psEaODO (2/2)

二刀流で自分のSSに乙とかwwwwwwww


208以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/12(金) 12:22:58.46V1RAFBMk0 (1/1)




209以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/12(金) 23:51:03.85qkev7EUW0 (1/1)

>>207
アイドルを辞めてやるべき事が出来るようになった大人は嫌いかね?
それともアイドル気取りの小娘の腸を生きたまま犬に食わせつつヤるのがお好み?


210MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/16(火) 03:21:39.155Sjd1O9H0 (1/12)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>205

 ×     ×

ーー見滝原市児童相談所廊下ーー

「もし」

「もし、西木野先生?」

真姫「ヴェェ?」パチッ

真姫(っと………廊下の長椅子?)

織莉子「大丈夫ですか?」

真姫「美国、織莉子さん?」

織莉子「はい」

真姫「ヨイショ」

織莉子「大丈夫ですか?
    先生の方こそ少し、お疲れなのでは?」

真姫「んー? まあ、確かに?
   (明らかに変だなぁ)」


211MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/16(火) 03:27:02.865Sjd1O9H0 (2/12)


ーー児童公園ーー

真姫(なんとなく)

織莉子(ここまで一緒に歩いて来てしまった)

織莉子「西木野先生はあそこで、お仕事でしたか?」

真姫「そうね。美国さんは?」

織莉子「少し、関心がありまして。
    関わり合いになってもおかしくない身の上ですので」

真姫(ヴェェ………重い、さらっと言うのが重い)

ベンチ着席

織莉子「先日は色々有難うございました」

真姫「どういたしまして。
   それで、あれから休めた? 体調は?」

織莉子「お陰様で」ニッコリ

真姫「………ガチお嬢様ね」ボソッ

織莉子「?」

真姫(ほんの僅かに、眉が不快気に)

真姫「ごめんなさい。只、私もそういう感覚を多少は知ってると思うから。
   あなたがどう思おうと、
   あなた自身の物腰、雰囲気は本当にいい意味でお嬢様そのもの」

織莉子「そう、ですか。
    あなたがそう言うのならそうなのでしょうね。
    先生自身も、今の私への評価をそっくりそのままお返ししたい人ですし」

真姫「………知ってた?」

織莉子「………」ニッコリ


212MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/16(火) 03:32:37.315Sjd1O9H0 (3/12)


真姫(ヴェェ)

織莉子「大病院の跡取り娘で元μ‘sのアイドル兼作曲担当。
    そう、言われる事も慣れるのでしょうね。
    あなたの名前を知って、少し関心を持てばすぐ分かる事ですから。
    私も、恩人に欠片の関心も持たない程に薄情な人間ではないつもりです。
    (あの娘程ではありませんが)」クショウ

真姫「まあ、そうね………」

織莉子「その意味では私達はお互い様。
    但し、そこにマイナスの意味があるなしと言う点では
    比べものにならないですけど」

真姫(先手必勝、攻撃は最大の防御、か)

真姫「美国さん………」

織莉子「そういう次第もありまして、
    出来る事なら名前で呼んでもらえましたら」

真姫「織莉子さん、学校は?」

織莉子「今は、白女に」

真姫「ああー、本当にお嬢様学校か」

織莉子「………」

真姫「厳しい? 現状」

織莉子「否定したら嘘以外の何物でもないでしょうね」

真姫「そっか………
   私の勝手な願望だけど、私は行きたかったな」

織莉子「?」


213MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/16(火) 03:37:50.585Sjd1O9H0 (4/12)


真姫「私の場合、小学校、中学校は、区立の一貫校に通ってた。
   まあ、普通の区立よりは若干進学率とブランド力がある、って所ね。

   面倒だから飾り気無しの事実言っちゃうけど、そこで私は若干浮いてた。
   私自身のスペックが高過ぎたのよ。

   結構なお嬢様育ちで能力的にもトップランナー。
   ハブられはしなかったけど、敬意をもって若干距離を置かれてた。

   だから、高校は私立のお嬢様学校に行く。
   私も、中学の先生も友達も、みんなそう信じて、少なくとも私はそう望んでた」

織莉子「でも、実際にはその評価とはちょっと合わない
    音ノ木坂学院のスクールアイドルでしたよね」

真姫「親の意向。将来、病院を継いだ時のために、
   地元の音ノ木坂学院に進学するって決められてた」

織莉子「地盤作りですか、地盤看板鞄」

真姫「はい正解。
   両親は東京に大手と言ってもいい病院を築き上げた。
   だからこそ、後を継ぐ私は、
   最も重要な十代の一時期には
   しっかり地元と顔を繋いでおく必要がある、って所」

織莉子「………」

真姫「ああ、やっぱり余り愉快な話題じゃなかった?」

織莉子「いえ………ご両親は自ら大きな病院を築き上げて、
    その娘として、その下であっても自らの意志で懸命に逞しく。
    眩い、青春時代なんでしょうね」

真姫「………なんか、私とあなた、
   絶対に年齢設定と台詞が引っ繰り返っている様なんだけどイミワカンナイ」

織莉子「そうですか?」ニッコリ


214MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/16(火) 03:42:01.755Sjd1O9H0 (5/12)


真姫「そう。言われたくないだろうけど、建前通りの事を言わせてもらう。
   あなたは、あなたの青春は終わってなんかいない、って。
   自分で言ってて残酷だと思う。
   それでも、みすみす諦めるのは余りにも勿体ないから」

織莉子「そう、なんでしょうね。
    自分の手でそれを勝ち取った先生がそう言うのは分かります」

真姫「そして、あなたは頭がいい。
   大人の言う正論を正論であると理解して反抗をやめてしまう。
   次の言葉を思い浮かべても、その次に返って来る言葉を先に理解してしまう」

織莉子「それは、先生の経験則ですか」

真姫「そういう事になるわね。
   だけど、私の勘では、多分あなたもそういうタイプ」

織莉子「否定はしません」

真姫「親が理性的で子がその素質を受け継ぐと、
   子どもとしてもなかなか厳しいものがあるわね。

   理屈では大人であり庇護者である親にはかなわない。
   その事を先んじて理解出来てしまう。

   そして、条件を設定して分析した最適解を指針にしてしまう。
   その行き着く先は袋小路」

織莉子(ああ、そうか………)

織莉子(だから、私はあの娘に、
    あの娘がいてくれる事に、あんなにも救われた)

真姫(天を仰いで、何を考えてる?)

織莉子「似てるんですかね? 私達って?」

真姫「そういう所はあるかも知れない」


215MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/16(火) 03:45:20.965Sjd1O9H0 (6/12)


真姫(そういう所………)

真姫 肉眼で全身スキャン、いったん戻って部分的に………

真姫「………」

織莉子「どうしました?」ニッコリ

真姫「ヴェェ? いや、なんでもない」クククッ

織莉子「? なんですか?」

真姫「あ、ごめんね。ちょっと昔の事思い出して」

織莉子「昔? μ‘sの事を?」

真姫「ううん、その前。中学の頃の友達をちょっと、ね」

織莉子「そうですか」ニッコリ

織莉子「先生は、その袋小路からは脱出出来たんですか?」

真姫「んー、多分ね」

織莉子「後学のために、その方法を聞かせていただけますか?」

真姫「………当たり前だけど、
   私とあなたでは似ている所もあれば大きく違う所もある。
   あなたにとっては辛い話になるかも知れないけど」

織莉子「………」ニコニコ

真姫(ヴェェ………)

真姫「ここ一番で、本当に大切な事、自分がやりたい事やるべき事を見極める。
   石橋を叩いてもいいけど、音色がGoなら腹をくくって突き進む、
   って所かしらね」

織莉子「度胸、胆力が求められる方法ですね」


216MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/16(火) 03:49:04.205Sjd1O9H0 (7/12)


真姫「実際、試したらいわゆる脚がガクブル震える、ってのも本当だから。
   あなたは私とは違う。悲しいけど遅過ぎる事もある、
   と言うのも厳然たる事実だけど。
   そして、私にはその一歩のために後押しして、助けてくれた仲間もいた」

織莉子「μ‘sの仲間ですか」

真姫「………」コクッ

真姫「私の両親にとって、ピアノはお嬢様らしい習い事の一つに過ぎなかった。
   親の望みは何よりも私が医者として病院を継ぐ事。
   私は、小さい頃は結構本気でピアニストに憧れて、
   そして、親の思いを察してその限度の中で諦めていた。

   そんな私がμ‘sに出会って、私の音楽が求められて、
   廃校問題で追い詰められて厳しく真剣だからこそ、
   嬉しくて、楽しかった」

織莉子「なんとなく、ですけど想像はつきます。
    ネット上にも色々残っていますから。その時の先生を見たら」

真姫「なのよねぇ………
   そのμ‘sでも、やり始めた頃に油断してちょっと成績落としてね。
   その時に親からアイドル活動も禁止されて、もう終わりだって思った。

   だから自分から身を引いたんだけど、その時に、
   本当の私の望みを理解して、私の親にも頭を下げて、
   強引なぐらいに引っ張り戻してくれた。それがμ‘sのみんなだった。

   私も本気でお願いして、………両親も、理解してくれた」

織莉子「いい、お話しですね」


217MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/16(火) 03:52:08.935Sjd1O9H0 (8/12)


真姫「そう。出来過ぎてるぐらいにいいお話。
   あの時は勝算なんて見えなくても、それでも打って出た。
   今考えると、それでも勝てる、思いが通じる、って信じてたのかも知れないけど。

   あの当時から、両親は私を見栄えのいい跡継ぎにする事しか考えていない俗物、
   だけど私の事は愛してくれてる、って思ってた。
   実際、跡継ぎの義務以外では存分に甘やかされて可愛がられて愛されてたのも本当だから。

   でも、今考えると、もう少し多面的で豊かな愛情、感情を注いでくれてたんだとも思う。
   ………私も、母親にでもなれば、もう少し実感出来るのかも知れないけど、
   こればっかりは今の所当てが無いからねぇ」タハハ

織莉子「いいお友達に、いいご両親ですか」

真姫「うん。そんな人達に支えられて、努力して、
   あなたが言った最高の輝きを手にする事が出来た。それは事実」

織莉子「………」

真姫(絶対、きついよね。
   織莉子さんにこれ言った私の方がきついヴェェ………
   だけど、彼女の聡明さだと、ごまかすよりはマシって考えるしかない)

織莉子「泣けるのかも知れない、そう思いました」

真姫「え?」

織莉子「先生と会った時、あそこで、もしかしたら泣けるのかも知れないと。
    はっきり理屈でそう思ったかは分かりませんが、
    そんな事を考えていた、そうじゃないかと思います」

真姫「そう」

織莉子「私の両親は、あの病院で亡くなりました。
    母は、朗らかでそれでいて思慮深くて、父をよく支えて、
    何よりも私の事を愛し父の事を愛して、
    今、どう思い出しても素晴らしい母でした。

    その、母は父の政界進出に反対して、最後まで懸念していた。
    インテリでお人好しな父は政治家には向かないと、
    やはり、母は聡明で、誰よりも父の事を理解していました」


218MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/16(火) 03:55:59.815Sjd1O9H0 (9/12)


真姫「交通事故だったそうですね、それも相手が一方的に悪い。
   お悔みします」

織莉子「有難うございます。
    父の事は、私には分からない。
    本当は正しいのか間違っていたのか、そんな事はもう分からない。

    只、母を喪った時の父の慟哭は耳から離れません。
    その母が言っていた通り、それも、最悪の終わり方をしてしまった。

    私の思い上がりでもなんでも、私は、父の支えにも助けにもなれなかった。
    そして、心の何処かで父に裏切られ置き去りにされたと思ってる」

真姫「娘から見たら、掛け値なしに父親からひどい仕打ちを受けた。
   そう思っても当然だと思うけど」

織莉子「有難うございます。
    そんな思いで、私の心の芯は、どこかシンと冷えて、壊れてるのが自分でも分かる。
    だから、泣く事も出来ない、
    あの場に立って思い出しても、結局泣き方は思い出せませんでした」

真姫「治る、って言葉は仕事柄無責任には使えない。
   まして、全くの専門外の所で。
   でも、壊れたなら、壊れたって分かってるんなら、
   今は分からなくても治す見込みはある、かも知れない。
   それが昔通りなのかは分からないけど」

織莉子「先生が発言を躊躇した様に、
    今の私には居場所はありません。家にも、学校にも。
    元々が政治家一族の美国の家で、あの父の娘として親族との折り合いもよくありません。

    学校もしかり、白い器の中は、ご想像通りにドロドロしています。
    その家柄を過剰に意識して、成り上がりの資産家を公然と侮蔑する名家の集団。
    それを鼻で笑って正面から怒って跳ね返す様な強い娘もいる。

    そんな価値観の中では、私はとっくに終わった存在。
    まあ、今となってはそれはそれで楽だったり、慣れたりもしましたけど。

    分かった事は、少なくとも今までの私は、
    美国久臣の娘、それだけの存在でしかなかった、
    少なくとも、他人からの評価はそうだった、そういう事です」


219MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/16(火) 03:59:51.215Sjd1O9H0 (10/12)


真姫「………あなたがそう言うのなら、
   低く見て六割方以上は当たってるんでしょうね」

織莉子「本当に探り合いですね。
    安易な気休めや励ましは作り笑顔に簡単に飲み込まれる。
    先生はそれを分かった上で的確に打ち込んで来る」

真姫「なのよねぇ。
   本当なら、ここで理屈以前の何かで引っ繰り返す力が欲しいんだけど、
   あいにく私にそんな持ち合わせはない。
   これじゃあ千日手だわ」ハアッ

織莉子「結局、似た者同士ですね」クスクス

真姫「そうかもね。
   ………問題は、あのお屋敷ね」ンーッ

織莉子「えっ?」

真姫「私は外科医。ハード面から治すのがお仕事。
   だから、わざわざソフトにアプローチするよりは、
   ハードの側から発想してみる」

織莉子「はあ………」

真姫「そちらの事情は一方的に推測するわよ。
   私には、家に付随した思い出とかそういう事は分からない。
   お屋敷以外の現金資産がどれぐらいあるかも分からないけど、
   税金の事もあるし、中学生一人で相続して維持するのは並大抵じゃない」スマホスッスッ

手帳ビリリッ

真姫「親族に相談するのが難しいなら、出来れば弁護士通して家庭裁判所に相談する事ね。
   それで、第三者の後見人を選任してもらうと言う方法もあるわ。
   正直、プラスマイナスがどうであろうと、子ども一人で手に負える資産だとも思えないし。
   それに、学校の事だってある。もし白女が難しくても、ずるずると全放棄は勿体なさ過ぎる。
   ここか、それが難しければまずは法テラスに行って、それで家裁に相談してみるの」

織莉子(弁護士会の子どもの人権窓口………)

織莉子「そう、来ましたか。私へのアプローチ」


220MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/16(火) 04:03:30.495Sjd1O9H0 (11/12)


真姫「んー、まあ、必要な事ではあるからね。
   腹が減っては戦は出来ぬ。
   現代社会で生きていく以上、
   肉体と精神とお金を分けて考える事は難しいから。
   どれかが駄目だと当然他にも響いて全部おかしくなる、逆も又真なり」

織莉子「一つが上手くいけば、他も上手くいくと?」

真姫「だといいんだけど、少なくともいい影響は出るでしょうね。
   これは、勝手な私の勘だけど、もし、織莉子さんにその気があるなら、
   現実的、リアリズムで目の前のやるべき事に打ち込んでいれば案外気が休まる。
   そういう事になるかも知れないって」

織莉子「その時だけでも忘れられるかも知れない、と言う事ですか?」

真姫「逆効果かも知れないから、選ぶのはあなたに任せるけどね。
   時期的に早すぎる気もするけど、
   そこは織莉子さんの聡明さと強靭さにちょっと甘えて。
   手遅れになる方が元も子もないって割り切っても構わないかなと」

織莉子「騙されて身ぐるみ剥がれて、ありそうな話ですね」

真姫「それが解ってるなら上々。うっかり流れに任せたら、
   親族でも弁護士、司法書士でも、後見人の金銭トラブルは少なくない。
   資格を停止剥奪されたり刑事事件になるケースも続出してる。

   だから、親族であれ法律職であれ、
   大きなお金に関する約束や説明は録音しておいた方がいいわね。
   じゃないと、子ども一人、簡単に転がされるわ」

織莉子「詳しいんですね」

真姫「私自身が資産家の一人娘だから。
   仕事柄、病室の枕元や控室で色々耳にして鬱になったりもする訳」

織莉子「………」

真姫「怒った?」

織莉子「え?」


221以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/16(火) 04:04:31.86c3/qH3rDO (1/2)

自演で一生懸命に自分擁護して楽しいの?


222MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/16(火) 04:07:18.955Sjd1O9H0 (12/12)


真姫「ストレートに子ども扱いしたけど、あなたは子どもよ。
   頭の中も、社会的にも。

   今、身近な大人を信じろ、と言うのは難しいかも知れないけど。
   それでも、関わった大人として取っ掛かりぐらいは用意しておく。

   黙って滑り落ちるのを見過ごすだけで終わるのは寝覚めが悪い。
   あなたが人並み以上に聡明で、独りで出来る事が人より多い。
   だから、余計に危うく見える」

織莉子「承りました」

真姫「そう。今まで期待に応えて来たみたいだから私もお願いしておこうかしら。
   私に、最低限の自己満足ぐらいはさせてちょうだい、って。

   私は赤の他人で只の大人で只の医者だから、
   せめて、手遅れにならないで欲しい、医者的な意味で。

   先の事が見えないなら、せめて明日明後日、
   食べたいもの美味しいものだけでも考えて望んでみて欲しい。
   その程度の事よ」

織莉子「………簡単に言わないで下さい、
    それが本音ですけど、大人として当然の発言、承ります」

真姫「そう。じゃあ、私はぼちぼち本業に戻るから」スクッ

織莉子「………ご親切に、有難うございました」ペコリ

真姫(営業スマイル)

スタスタ

織莉子「………」イチレイ

==============================

今回はここまでです>>210-1000
続きは折を見て。


223以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/16(火) 07:03:42.591zYASg1to (1/1)


魔法少女は医者的な意味で手遅れ


224以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/16(火) 07:20:23.14c3/qH3rDO (2/2)

二刀流の自演乙


225以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/16(火) 10:25:57.86pmaqLjGN0 (1/1)




226MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/21(日) 12:53:32.938z5PCWGx0 (1/6)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>222

 ×     ×

ーー見滝原市立病院外科医局ーー

真姫「戻りました」

先輩医師「お疲れ。どうだった?」

真姫「カクカクシカジカ」

先輩医師「そんなトコだな。子どもは熱を出もんだ」

真姫「はい」コーヒーブレイク

先輩医師「その子、
    西木野先生が見つけるまで児相に繋がってなかったのか?」

真姫「いえ、近所からの情報で児童委員も動いていたそうです。
   児童委員が訪問しても親から子どもへの接触を拒否されて、
   児童委員から通告を受けた児相も警戒しつつ緊急事案を優先していた。

   その間に、事件の疑いの強い外傷のある児童がいる、
   と言う医師からの通告が警察経由で入って、
   それで既に警察の保護下にあった千歳ゆまさんを一時保護したと言う流れです」

先輩医師「まあー、聞いてる限り、
     不幸中の幸いって程度には運が良かったって事だわな」

真姫「はい」


227MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/21(日) 12:59:28.438z5PCWGx0 (2/6)


先輩医師「児相と病院、お互いに市の施設で、
     ちょっとしたパイプがあってタイミングも良かったから
     西木野先生に行ってもらったけど、
     あっち、児相は医療的にも厳しい所があるんだろうな」

真姫「そうですね。記録を読む限り嘱託医の先生は熱心な人ですが、
   熱意で済む事と済まない事があります」

先輩医師「うちでも通告は何度か経験しているが、
     どっちかって言うと顔繋いでるのは小児科と救命だな。
     マニュアルはあるし、事務方でも色々考えてはいるみたいだが、
     今ん所は現場の後追いがやっとって所か」

真姫「後の事はある程度組織立ってやってもらえますけど、
   それでもトラブルは覚悟ですからね」

先輩医師「ある程度はしゃーない、それも大人の仕事の内って奴だからな。
     こっちも大概だが、あちらさん、児相の忙しさは洒落にならないからな。
     どっちもこっちも税金の使い所間違えっぱなしだ」

プルルルル

真姫「はい、外科医局西木野………」

ーー救命病棟集中治療室ーー

にこ「ママ、ママあっ!! うううっ………」

にこママ「……シュー……シュー……」ナデナデ

スタスタ

真姫「………」

真姫「………意識、戻ったんですね」

にこ「ん、んんっ」ポロポロ

看護師「そろそろ」

にこ「はい」ススッ


228MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/21(日) 13:04:37.918z5PCWGx0 (3/6)


救命部長「意識が戻って一山超えたのは確かですが、
     外傷によるダメージとその後の衰弱で
     体力、特に免疫力が大幅に低下しているのは確かです」

にこ「はい」

救命部長「気力と体力のバランスが追いついていない状態です。
     意識が戻った勢いで行動した場合、
     免疫の低下で微弱な感染症から重態に陥りかねない状態です。
     ですので、もう少し観察、治療の上で病棟の移動を検討する事になります」

にこ「分かりました。有難うございます」

真姫「………」

ーー病院廊下ーー

真姫「もしもし、私………ええ、そろそろ………」

ーー恭介病室ーー

仁美「それでは」ニッコリ

恭介「うん、有難う」ニコッ

スタスタ

ーー病棟フロア自販機周辺ーー

仁美「………」

テクテク

真姫「お見舞いだった?」

仁美「あ、はい」フウッ

真姫(なんかあった? いや、なかったなこりゃ。
   男子たるもの今は一応諦めて、安定して、その裏側を簡単には見せない。
   恋する乙女には丸わかり。
   まして、その弱さも知っていそう、
   ってライバルの心当たりがあった日には………)


229MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/21(日) 13:09:54.538z5PCWGx0 (4/6)


ーー夜・廃ビル周辺ーー

マミ「………」

ソウルジェムボウッ

マミ「そろそろ、危ないわね」スマホ

マミ(これから…………で結界に入ります、と、鹿目さんに………
   美樹さんとは予定が合わなかったけど………)メルメル

ーー上条邸周辺ーー

さやか「………」

杏子「ふうん、ここが例の坊やの家」

さやか「!?」

杏子「魔法ってのはなぁ、自分だけの望みを叶えるためのもんだ。
   他人の為に使ったってロクな事にならないのさ。
   巴マミはその程度の事も教えてくれなかったのかい?」

さやか「………」

杏子「馬鹿は馬鹿なりに、その坊やの腕でも治してやりゃあ
   一生恩に着せてやる事も出来たかも知れないのにな。
   それが結局一文の得にもならないお友達のためって、
   たった一度の奇跡のチャンスをとことんくだらねぇ事に使いやがって」

ブチッ


230MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/21(日) 13:13:14.158z5PCWGx0 (5/6)


ーー見滝原市内歩道橋上ーー

杏子「ここなら遠慮はいらないねぇ。
   いっちょ派手にやろうじゃん」

タタタタッ

まどか「待って、さやかちゃん!」

さやか「………」

まどか「駄目だよそんなの!
    絶対おかしいよ!!」

まどか「さやかちゃんごめん!」ヒュウンッ

タタッ

ほむら「まずい…っ」

さやか「まどか! あんた何てことを!!」

まどか「だって、こうしないと…!」

さやか「………」クラッ

ーーーーーーーー

シンデルジャネーカヨゾンビニヒドスギルヨ

キュゥべえ「どうして人間はそんなに
      魂の在処にこだわるんだい?
      訳が分からないよ」

コッコッ


ほむら「………」スッ

さやか「………?
    ………どうしたの?」


231MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/21(日) 13:16:50.578z5PCWGx0 (6/6)


カクカクシカジカ

さやか「」セイシンテキニ

ほむら「………とにかく………」ユビコメカミ

ほむら「この事は巴マミには少しの間伏せておきましょう」

さやか「何よ、それ?」

さやか「あなたのその様が物語っている。
    巴マミも魔法少女、その心は決して強いばかりではない」

杏子「(こっち見んな)んー、ああ、こいつの言う事も分からないじゃねーよ。
   あたしらだってこうだ、マミ先輩だっていきなりはまずいだろ」

さやか「………分かった………
    もう、帰る」

杏子「………ああ」

まどか「ひどすぎるよ………」

ほむら「分かったでしょう、
    あなたの憧れている魔法少女がどういうものか」

まどか「………」

杏子「知ってやがった、のか?」

ほむら跡地「」コツゼン

=============================

今回はここまでです>>226-1000
続きは折を見て。


232以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/21(日) 14:02:48.90Sq+9eoDL0 (1/1)

まど豚ライバー荒らされ乙


233以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/21(日) 21:46:32.455vot1Fj+o (1/1)


ラブライブ側が関われない問題に思えるな……


234MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/29(月) 03:52:09.77asefqVl50 (1/4)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>231

 ×     ×

ーー朝 教室ーー

和子「はーい、席着いてー。
   HR始めまーす」

まどか「………」

さやか席「」

ーー廃教会ーー

さやか「………あたし、あんたのこと色々と誤解してた。
    その事はごめん、謝るよ」

さやか「………でもね、あたしは人の為に祈ったことを後悔してない。
    高過ぎるものを支払ったとも思ってない。
    この力、使い方次第でいくらでも素晴らしいものにできるはずだから

杏子「! …なんで、アンタは………」

さやか「人を救う、って、簡単じゃないんだよね。
    なんか大きな力でぱーっと、とかそんな」

杏子「………」

さやか「傷つけるのは簡単なのに、
    一度壊れたものを治すのは凄く、難しい。
    取返しのつかない事も一杯ある。
    でも、あの時は、絶対にあきらめたくなかった」


235MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/29(月) 03:57:24.10asefqVl50 (2/4)


杏子「そんなに、大事なのかよ?」

さやか「うん、大事な友達。
    でも、それだけじゃなかったかも知れない。
    目の前で、出来る事があって、って、
    赤の他人じゃ無理だったかも知れないけど、
    案外単純な事だったかも知れない」

杏子「そんな事のためにゾンビにされたんだぞ、馬鹿かよ?」

さやか「まあ、知らなかったからね。
    それでも、あたしは後悔なんてしない。
    やっぱり、自分の出来る事で、仁美に死なれるのは無理。
    それに、あんな化け物が身近をうろついて
    身近な人を襲うかも知れない、って知っちゃったし」

さやか「なんだかんだ言って、みんな大事な事で、
    それで、本当だったら凄く難しい大変な事だから。
    普通の人、大人が一生懸命やって、それでも出来ないぐらい難しい事を、
    一度だけでも絶対欲しい所で手に入れた。
    だから、それが高すぎる、なんて思ってない」

杏子「………」ギリッ

さやか「それからさ、そのリンゴ、
    どうやって手に入れたの?」

ーーテレビ局 スタジオーー

ニッコニッコニー
ニッコニッコニー
ニッコニッコニー

「お疲れさまでしたー」

にこ「お疲れ様でした」

にこ「お疲れ様でーす」

にこ「乙ニコー」


236MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/29(月) 04:02:47.44asefqVl50 (3/4)


ーーテレビ局廊下ーー

にこ「ふうっ………」

コッコッ

にこ「!? お久しぶりですっ」フカブカト

大御所「………」

大御所「嫁さんの実家で、年取って患って、
    施設に入るまで、まあちょっとやそっとは壮絶だったな」

にこ「………」

大御所「それぞれ事情はあるだろうが、
    人間、歳をとるしケガをする事もある。
    それは芸能人の身内だって例外じゃない。
    パイセンなんて、案外身近にいたりするもんだ」

にこ「はい」

大御所「確かに見栄張ってナンボの商売。
    だからこそ、これだけは覚えておけ。
    一人で抱えたら終わるぞ」

コッコッコッ

にこ「………」フカブカト


237MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/02/29(月) 04:08:37.27asefqVl50 (4/4)


ーー見滝原市立病院廊下ーー

恭介「お世話になりました」

真姫「ん。まあ、この早さで松葉杖だけでもよく頑張った。
   もうしばらくは通院になるけど」

恭介「はい」

コッコッコッ

真姫「………」

先輩医師「退院か」

真姫「はい」

先輩医師「後はリハビリでどれだけ戻るか。
     細かい事はとにかく、大元の治療って意味では、
     これ以上出来る事はないって事だからな」

真姫「はい」

先輩医師「………」ポン

==============================

今回はここまでです>>234-1000
続きは折を見て。


238以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/29(月) 11:22:05.44IBL8kpNRo (1/1)


当たり前だけどあまり魔法とは関わらなくなってきたな


239以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/02/29(月) 12:40:01.32kdg+0byDO (1/1)

二刀流で自演しかできない可哀想な人のスレはここですか?


240MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/01(火) 01:11:46.074yaJXI8r0 (1/12)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>237

 ×     ×

ーー夜 都内台湾レストラン大型個室ーー

ここあ「今晩は」

こころ「今晩は、絵里さん」

絵里「今晩は」

こころ「今夜は有難うございます」

虎太郎「有難うございます」

にこ「本当に、悪いわね絵里」

絵里「………」フルフル

真姫「今晩は」

海未「お招きに預かりました」

絵里「揃ったみたいね」ジュワキ


241MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/01(火) 01:17:00.164yaJXI8r0 (2/12)


ーーーーーーーー

真姫「それじゃあ、お祝い、には早いけど回復への大きな一歩。
   今すぐの生命の危機は脱しました。
   今日明日の骨休めぐらいは保障してもらったと言う事で。
   乾杯」

一同「乾杯」

給仕「小籠包お待たせしました」

虎太郎「あっ、つっ」

にこ「ほらぁ、ここのたっぷたぷのモノホンなんだから。
   慌てたら火傷するって知ってるでしょ」

虎太郎「分かってるよっ」

真姫「だから、この台湾のラガー美味しい」

海未(我が国が誇るかの創業者の名を冠した………)チビチビ

にこ(ここで水割り、変化球だけどいいかも)ビールウメー

真姫「相変わらずいい店ね」

絵里「有難う」

にこ「ホントにねぇ、いっぱしの実業家じゃない。
   実は、ある意味一番情熱的だったんじゃない?
   あの氷の女王が」

真姫「それは、言えてるかも」

絵里「情熱的、そうだったかも。
   駆け足で駆け抜けた実感はある」


242MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/01(火) 01:22:19.104yaJXI8r0 (3/12)


真姫「アメリカ留学中に電撃結婚。
   旦那さんの実家が料理店でお姑さんが台湾の人で。
   そこの経理と雑用から始まって、
   今や押しも押されぬ有名店の仲間入り」

絵里「義兄さんの技術が素晴らしいものだったから。
   私達はそれを支えてちょうどいい環境を作らせてもらったわ」

海未「ことりの事も、本当に感謝します」

絵里「あくまでビジネスよ」キリッ

絵里「もちろん、全然コネじゃないって言えば嘘になるけど」ペロッ

真姫「もうっ。ことり、こないだも一度こっちに来てたって」

にこ「そ、お見舞いにね。
   それで陰に隠れて携帯に謝りまくってるの。
   なんか、大仕事の準備中に帰国して来たって言うから、
   尻蹴っ飛ばして追い返したわよ」

海未「ええ、それは帰りに空港で会った時に聞きました」

こころ「でも、ことりさんのデザインすっごく可愛くて格好良くて、
    みんなの憧れでしたよ」

絵里「ちょうど、リニューアルで一勝負しよう、って時だったから」

にこ「それで導入した制服、伝統的な中華と斬新さの組み合わせ。
   何より見た目が可愛くて格好いいのにあざとくない。
   店もユニフォームも、アッと言う間の大評判で、
   コスプレのブームまで席巻しちゃって」

真姫「それで絵里もことりも一躍時の人。
   そうなったら昔の名前だった出て来るし、
   正直やってくれたわね、ってあの時は乾いた笑いだったわよ」

にこ「そ、最初は、もちろん自分からはμ‘sの名前は出さなかった。
   評判になってからマスコミが勝手に取り上げただけ」


243MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/01(火) 01:27:26.514yaJXI8r0 (4/12)


絵里「私も、家族も、楽じゃない時もあったけど、
   そういう売り出し方はやりたくない、ってのは一致してたから。
   勝負する時は勝負するけど、売るものはあくまで堅実にひたむきに、
   それって、結局あの時学んだ事だから」

海未(μ‘sの衣装担当、留学した欧州での評価。
   ことりはなまじ力量があり、そして、優し過ぎた。
   スカウトで就職した有名所で、巻き込まれた派閥抗争人間関係に疲れ果てて)

真姫(あの時、私の耳にも入って駆け付けたけど、思い出してもゾッとする。
   ギリギリの所で退職に踏み切っただけでも、本当に生きてて良かった、って)

海未(幸い、真姫に紹介されたクリニックでの予後も良好で、
   理事長が紹介した法人の事務職で静かに暮らしていましたが………)

海未「ああやってことりが再び羽ばたく事が出来たのは、絵里のお蔭です。
   恐れはあっても、それでも、ことりが大好きな道に戻りたかったのも真実。
   本当に感謝しています」

絵里「………」ニコッ

にこ「若かったわね絵里も。
   なんだかんだ言ってあのリニューアルの頃とか」トオイメ

真姫「そうそう」クスッ

ここあ「結局の所、
    絵里さんがいっちばん看板娘だったじゃないですか」

絵里「全く、人妻のおばさん捕まえて、ね」フフッ

こころ「あれでおばさんとか言われたら、
    嫌味ってレベルじゃないですから」


244MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/01(火) 01:30:55.164yaJXI8r0 (5/12)


絵里「それも、まあ昔の話ね」

真姫「二人目を期に、今まで専務として仕切ってた接客を亜里沙ちゃん、
   経営を大番頭の人に任せて、今は監査役だったっけ?」

絵里「上の子の時は、もう仕事に育児に我武者羅そのものだったから。
   流石にね、色々手こずった事もあったし、
   少し、余裕を持って専念したいなって」

真姫「そう。ウラヤマシイ」

にこ「バクハツシロ」

絵里「希や海未、色んな人達の助けに恵まれなかったら、
   今頃潰れてるか思いっ切り縮小してたでしょうね」

真姫「………でも、その忙しい中一生懸命育てて、
   いい子に育ったわね。
   まだ、海未の所に通ってるのね」

絵里「ええ。元々、見た目とかでからかわれ易い、
   ってのもあったから。
   それを逆にとっちめたりもしてたから精神修養も兼ねてね」

海未「はい。少し気難しい所もありますが、
   根は礼儀正しく真っ直ぐな気性です」

絵里「有難う」


245MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/01(火) 01:34:40.024yaJXI8r0 (6/12)


にこ「その超絶ハイスペックなイケメンルックスと出し惜しみで、
   今や宇宙ナンバーワンカリスマキッズモデル、だもんね」

絵里「今は学業優先。
   元々、ことりに頼まれたから
   ちょっとモデルを引き受けた、ってだけだし」

真姫「でも、あれじゃあ業界が放っておかないのも当然よ。
   海未からも聞いたけど、もう学校でもどこでも
   行く先々がお子様ハーレムで一歩歩けば修羅場が起こる、って」

絵里「もっとも、あの子本人としては、
   最初っから本命は一人しかいないみたいだけど」フフッ

にこ「なーに、あいつまだ
   ノンちゃんに少女漫画的ツンデレドSとかやってる訳?」

絵里「先方の器が大きすぎて空回りばっかり、みたいだけど」クスクス

真姫「それに、あれ、絶対シスコンお兄ちゃんになるわよ。
   ちょっと見ツンツンして見せてるのなんてもう」

海未「ええ、根は優しい子ですから。
   いいお兄さんになりますよ」

絵里「そう願いたいわね」

ここあ(海鮮スープに牡蠣の炒め物ウマー)

受話器ガチャッ

絵里「ウーロン茶人数分」


246MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/01(火) 01:38:09.044yaJXI8r0 (7/12)


ーーーーーーーー

真姫「メインの前に、そろそろ始めましょうか」

にこ「………そうね。絵里と海未。
   この布陣の意味、あんたが一番よく分かってるわよね」

海未「………」ペコリ

にこ「まず、マッキーに確かめたい事がある。
   これから聞く話はオフレコでお願い」

海未「分かりました」

一同「………」コクッ

にこ「ママの後遺症、厳しいんでしょ?
   市立病院の西木野先生が勝手に説明した、って言うのは色々厳しいから、
   腹割った所教えてくれる?」

真姫「ええ。これは病院としての公式見解じゃないから。
   何故か事情を知ってる一人の医者として、そのつもりで聞いて欲しい」

絵里「分かった」

にこ「それで、どうなの?」

真姫「厳しいわね。
   脳にダメージを受けた上に少し長い寝たきりがあった。
   内蔵も切ってるから循環や栄養補給にも難しい所が出て来る。
   命は引き戻したけど、それひっくるめて回復させて生活に復帰するってなると、
   現実問題として出来るかどうかはこれから次第………」

虎太郎「………」

こころ「私達も、先生から伺っては、います」


247MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/01(火) 01:41:53.514yaJXI8r0 (8/12)


真姫「うん。今の病状だと、遠からず救命から後方病棟に移動して
   根治に向けた治療に入れると思う。
   只、何かの拍子で一挙に悪化する目も消えてはいない。
   そこは押さえておいて」

にこ「うん」

真姫「でも、元の傷が大きかったから、
   医者が治せるのも限度がある。
   長期間の治療や更にその後の長いリハビリ。
   悪くすると見込みの立たない入院、と言う事になると、
   元々旅先の事故で家族の負担や福祉行政との関係もあるから、
   可能な限り地元の病院や施設に移って、と言う方向になると思う」

にこ「実際、見滝原だと私達も厳しいから」

真姫「治療メインなら西木野も選択肢に入る。
   治療面での技術、設備は十分。だけど、今回は医療の後の事もあるし、
   個人的に親しい関係と言うのも善し悪しだからそれは状況次第ね」

ここあ「それで………それで、母は、母はどうなるんですか?
    治るんですか?」

真姫「生命の危機はひとまず脱した。
   まだ確定は出来ないけど、ひとまず死ぬ事は無い状態。
   だけど、社会復帰のための機能回復は別。
   こちらは逆に現段階で絶望的と確定はしないけど、
   脳を初めとした元の傷と今までの意識喪失期間を考えると、
   十分あり得る、と言うレベルで悪い想定をする必要があるのが現実」

ここあ「じゃあ………ママは………」ストッ

にこ「まだ、分からない、って言ってるでしょう」

真姫「実際そう。主治医やスタッフ、何よりお母さまの闘いはここから始まる事だから。
   只、こちらでは支えるからには過剰な楽観も悲観も抑えなければならない。
   難しい事だけどね」

にこ「うん」


248MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/01(火) 01:45:24.174yaJXI8r0 (9/12)


真姫「だから基本は当事者に任せるしかないんだけど、
   当面押さえておくべきは食事、栄養補給ね」

こころ「食事、食べる食事ですか?」

真姫「ええ、今はまず無理だけど、
   将来的には自分で食べて栄養を摂る事が望ましい。
   だからそうなる様に進めるんだけど、
   弱ったままの状態で誤嚥を起こしたらストレートに命に関わる」

にこ「ごえん?」

絵里「食道を通るべき食べ物や唾液が気管に入る事ね」

真姫「そう。悪くするとそれが肺に届いて肺炎を起こす。
   食べる事も運動だから、外傷と意識喪失の後遺症で
   関係する部位に麻痺や衰えがあると正常な流れでの食事が難しくなる。
   特に体力、抵抗力が低下している状態での誤嚥性肺炎は
   致命的な結果にも繋がり易い」

こころ「………」ゴクッ

真姫「機能回復のためにはリハビリが必要だけど、
   訓練中の食事が致命傷になったら元も子もない。
   だから、状態によっては胃瘻と言う事になる」

海未「胃袋に外科的にチューブを差し込んで、
   そこから食事を流し込む方法、ですね」

真姫「そう………
   それで、取り敢えず誤嚥による死亡を避けて栄養を補給する事は出来る」

にこ「歯切れ、良くないわね」

真姫「うん。一時的に取り付ける事もあるし、
   長く続いても、それはそれで制約を受け入れている人もいる」

絵里「そうじゃない人もいる、って言う事ね」


249MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/01(火) 01:48:45.924yaJXI8r0 (10/12)


真姫「私は医者だから、あくまで命を助けるのが基本だから
   その価値観に踏み込むのは難しいけどね。
   直接食事が出来ず、それ以外の事もほとんど回復の見込みがない。
   それで直接栄養補給して生き続けるのが、
   人として尊厳のある生き方だろうか。
   これはもう寿命そのものだと考える国もある、って事で」

にこ「………そういう段階なの?」

真姫「その見極めが難しい事も大きな問題。
   専門的なリハビリで食事が再開できるケースもある。

   逆に言うと、神経系のダメージや筋力の衰え等で食べられなくなった場合、
   機能の回復や適切な食べ方等のリハビリ訓練無しには口からの食事に復帰できない。
   運動機能だから衰えたままだとより回復も難しくなる。

   もちろん、症状によってはそもそも無理、と言うケースもある。
   その上で問題なのは、今後治療に当たる主治医が、
   本当に適切なリハビリにまで誘導できるか、って言う事になるとちょっと心許ない」

海未「そういう、ものなのですか?」

真姫「もちろん、主治医も患者のために最善を尽くす、尽くそうとする。
   それを前提にしても、今も言った通り、医者はまず生命維持に心を向ける。
   不確定なやり方での致命的なリスクを恐れるマインドもある」

絵里「………つまり、安全策に傾くって事」


250MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/01(火) 01:52:28.944yaJXI8r0 (11/12)


真姫「簡単に言ってしまえば。
   それに、今の医学は、高度になればなる程
   一つの分野の専門に傾きがち。

   状態から言って治療のメインが脳外科か消化器外科か、
   食事に関わるリハビリは口腔外科がメイン。
   今は制度上の事もあって、病院でのリハビリ自体にも制約がある。

   結論として、他の専門との連携が上手くいくか、
   一般論として保障しかねる、って事。
   だから、自衛が必要になる」

にこ「自衛って、どうするのよ?」

真姫「勉強するしかないわね。
   私は立場上、直接扱う事じゃなければ表立った口出しは難しい。
   技術の基本的な事、その分野に於ける医療機関の評判。
   その上で、患者側からも礼儀と筋目を通して口を出す。

   医者もスタッフも、それぞれの立場で患者のために懸命に仕事をしている。
   それでも、家族として、お母さんの今後の生活、人生のために最善を求めてね。

   医者の立場としては余り的外れな事をうるさく言われるのは困るけど、
   現実問題として、この分野をお任せで進めるのは分が良くない」

にこ「………分かった。色々有難う」

真姫「うん。今は直接の担当じゃないし
   流動的な要素も多いから、後は進行次第としか言い様がないわね。
   後、オフレコで確認したい事とかは?」

にこ「………」フルフル

真姫「そう」


251MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/01(火) 01:56:45.764yaJXI8r0 (12/12)


==============================

今回はここまでです>>240-1000

>>238
感想どうもです。ちょいと各sideが凹凸するかもですが

続きは折を見て。


252以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/01(火) 06:48:38.27JAf0AXujo (1/1)

乙乙
にこの仕事は続けられなくなるかもしれないのかな


253以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/01(火) 10:34:02.43nMKSIDF+0 (1/1)

マミさんがアイドルをするというルートがあるということはみんなに忘れられた事


254MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/03(木) 03:23:27.29d+nTncqQ0 (1/12)

感想どうもです。
それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>251

 ×     ×

ーーーー都内 台湾レストラン個室ーーーー

にこ「………」

真姫「で、ニコちゃん、アイドルやめるつもり?」

にこ「………考えては、いる」

虎太郎「!?」ガタッ

真姫「………(右手)」スッ

にこ「今聞いただけでも色々やる事ありそうだし、
   やっぱり、私がママの事、側で支えなきゃいけない。
   今、アイドルを続けるために必死に業界にしがみついてる。
   何もかも、なんて出来る筈がない」

虎太郎「それは、家の、母さんの事は俺たちが、
    にこにーはアイドルを………」

ここあ・こころ「………」グッ

にこ「そんなに簡単な事じゃないのっ!」

弟妹「………」ビクッ

にこ「大体、正規で仕事してるのここあだけでしょ」

こころ「………ごめんなさい、お姉さま」


255MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/03(木) 03:28:31.82d+nTncqQ0 (2/12)


にこ「あんたが厳しい中でも進学して、
   どれだけ頑張って来たかなんて分かり過ぎる程分かってるわよ。
   どっちかって言うと、もちろんここあだって頑張ったけど、
   ここあの要領とタイミングがはまった、そういう事もあるって事」

海未(あの頃は鬱みたいになりかけて、
   大変でしたねこころさん)

にこ「こころの仕事だって、評判も聞いてるし十分胸を張れる。
   虎太郎だって、今頑張らないで何時頑張るのっ。
   今どうするかで後後全然違って来るって、
   それが結局家族のためでもあるの」

虎太郎「でも、にこにーは………」

にこ「私だって同じ。今までギリギリ一杯一杯でやって来たんだから、
   ここでそれが出来なくなったら真っ逆さまよ。
   あんた達だけだと、自分達で一杯一杯。

   せめて私の収入だけでも安定してたらいいけど、
   ママの事と両輪でそれ続けるのは厳し過ぎる。
   だったら、地元で少しでも安定した仕事探してあんた達と分担するわよ。
   ネタ作り兼ねて資格もいくつか取ってるし」

絵里「………」

絵里「ニコは、それでいいの?」

にこ「それでいいのって?」

絵里「アイドル辞めてもいいのかって聞いてるの?」

にこ「いいのか、って、そんな事。
   家族なんだから、ママなんだから、
   こんな事になった以上いいも悪いもないでしょ」

絵里「そう」


256MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/03(木) 03:33:43.48d+nTncqQ0 (3/12)


にこ「真姫にも言ったけど、生活とかきょうだいの進学とか、
   そんな時にも私は不安定なアイドルを続けて、
   仕送りも申し訳程度なんて事も何度もあった。

   それで、今は少しはプロのアイドルらしい事も出来た。
   宇宙一、とまではいかないけどね。

   そんな私を、ママは、ずっと応援して家族の大黒柱で支えてくれた。
   この子達もそう。色々あっても助け合っていい子にしていてくれた。
   私に出来たのは、前よりちょっとはいい家を用意した事ぐらい」

絵里「………」

にこ「だから………
   だから、今度は私が、私がママに恩返し、
   親孝行、しなきゃいけないの、私が………」

絵里「死亡フラグ」

にこ「は?」ポカン

絵里「介護の絡む事でそんな事言われても、
   死亡フラグしか見えないって言ってるの」

にこ「何、言ってる訳?」

真姫「同感ね」

海未「………」コクッ

にこ「ちょっ………」

絵里「あのね、家事、家族の事って言っても、
   実際に小さくないお金と労力が動く以上、
   これはトータルマネージメントなの。

   仕事の事と家庭の事、私の経験だけじゃない、
   色々と情報交換して、少しは知ってるつもり。

   独りよがりの浪花節と根性を抜かしたら何も残らない。
   そんなプレゼンに大事な仲間を任せられる訳がないでしょう」


257MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/03(木) 03:38:46.37d+nTncqQ0 (4/12)


にこ「だって、私のママの事なんだから………」

絵里「この先、後悔してお母さんに手を上げて又後悔して。
   絶対そうなるとは言わないけど、
   1%だって見たくない。
   そんなリスクすら無視できないぐらい高過ぎるの」

にこ「そんな、事………」チラッ

真姫「………」

絵里「分かってるんでしょ、傍で見てる私達にだって分かるもの。
   ニコのあの頃の情熱は、
   円熟こそすれ決して枯れてなんていないって」

にこ「………残酷」

真姫「ごめんなさい」

にこ「やっぱり最強の人選。まさかここで、
   氷の生徒会長にシメられるなんて思わなかった」フウッ

絵里「………」フウッ

絵里「この大変な時に、口出しした以上は
   自己満足出来るぐらいの事は、とも思ってる」

にこ「それは嬉しいニコー、
   って言える内容なの?」

海未「先に申し上げておきますが、
   知らない人間にまでニコの事として吹聴したりはしていません。
   只、信頼のおける相手に聞かれた時には、
   許される範囲で誠実にお話しをしました。
   それでも、真姫は別です、立場上口外出来ない事は守っています」

にこ「じゃないと、おちおち入院も出来やしないわよ。
   これでも芸能人ニコ」

真姫「………」コクッ


258MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/03(木) 03:42:15.77d+nTncqQ0 (5/12)


絵里「………」スッ

にこ「? ICレコーダー?」

絵里「ここからは本当に大事な話だから。
   二台あるから一台はここでニコに貸す、
   録音データは持って帰っていい」

真姫「ニコちゃんが全部消去する、って言うならその通りにするわ。
   だから、録音して話、続けるけど」

にこ「なんだか知らないけど好きにして頂戴」

絵里「分かったわ」ロクオン

クリアファイルスッ

にこ「何、これ?」

ここあ「色んなプリントが………」

こころ「………人の名前と、数字のリスト。
    この名前って………」

絵里「債権者リストよ。
   ニコ、あなたにお金を貸してもいいって言うね」

にこ「は?」

絵里「このリストの人達が、
   ニコに当座の資金を貸し付ける事に同意したって事。
   代表代理人は私」

海未「私達は借金の債務保証は出来ませんが、
   絵里が契約に従い誠実に代理人を務める事に就いては
   保証人としてサインをしています」

絵里「メンバー初め本当に信頼の出来る相手だけに
   無理のない範囲で、って念を押してもこれだけ集まった。
   低金利で弁済期限は先の先、ちょっとしたニコニー・ファンドね。
   借用証に委任状もあるわ」


259MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/03(木) 03:45:34.35d+nTncqQ0 (6/12)


こころ「えーっと、メンバーの皆さんにその家族も何人も。
    この人達は? ………」

海未「ああ、この三人は私達の元同級生ですね」

真姫「私は、家族も含めて立場上この融資に関わる事は出来ない。
   正直、断腸の思いだけど」

ここあ「………これってA-RISEのっ!?」

真姫「A-RISEのみんなは、聞き付けて押しかけて来た口ね。
   あの事故があってから、テレビの報道関係にも網張ってたみたい。
   私達はかなり慎重にやってたんだけど」

にこ「な、っ、何を勝手な………」

絵里「ええ、勝手よ。それはみんな百も承知。
   だから、要らないと言って断るのもこれから頭を下げて借金するのも
   決めるのはニコ次第」

真姫「見るからにヤバイ状況だから、
   間に合う様にムンテラ抜きで輸血用の血液を用意だけした、
   勝手に注入するとは言っていない。そういう状況ね」

絵里「あなたは、私達の仲間としてμ‘sとしてアイドルとして、
   これだけの事をして来たの。
   だから、アイドルを続ける辞めるとこのお金は一切関係ない。
   それも確認済みよ」

真姫「そして、これ以上の現金は、ニコちゃんのためには一文も出せない出さない。
   その上で聞いて。
   凄く簡単な現実なの。これからまだまだ、目先の出費でどんどん諭吉が飛んでいく。
   仮に将来的なプラマイがプラスになる計算だとしても、
   今、燃料切れになったら、その先のお金の回収する前に
   動けなくなって沈んで浮かび上がれなくなる」

絵里「そして、一番厄介なのは、その状況はドツボにはまるまで当事者には分かり難い。
   他人を気遣う頑張り屋であれば尚の事。今回は本当の非常事態。
   だから、ニコのプライドは百も承知、
   友人関係にお金が絡むリスクを押してでも、破綻回避優先で先回りさせてもらった」

にこ「………」


260MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/03(木) 03:48:56.45d+nTncqQ0 (7/12)


真姫「一緒に入れておいたこれ、名刺のコピー。
   弁護士社労士行政書士税理士FP他。
   信頼のおける弁護士を雇って、現実的な賠償請求をする事。
   ナメられて足元見られない様に。
   見滝原に出入りしてる時、交通費の領収書とかは?」

にこ「一応、とってある。
   家計簿つけてるし経費とか使ってる習慣で」

真姫「オーケー、それはこれからもきっちりやる事。
   お役所なんかもね、書類一つで馬鹿にならない金額が浮いたり入ったり、
   知らないだけでもらえなかったり、
   福祉とか行政とか、そういう場所だから馬鹿にならないわよ」

にこ「まさにお役所仕事ね」

絵里「そういう事。そして、法律は知っている者の味方。
   建前で動くお役所は特にそう。
   そして、今のこの状況は、人一人、
   それも身内の事で疲労している頭での分析力をオーバーしてる。
   手続きの事、家計の事、専門家の助けなしに進めるのは凄く難しい」

にこ「でしょうね。
   お金のやりくりなんて、只でさえ頭の痛い事しかないんだし」

真姫「病状から見ても、用心のために任意後見の手続きは進めた方がいいわね。
   状況が悪化した時、ニコちゃんがお母さんの後見人として
   病院や施設と契約したり資産を動かす事が出来る様に」

にこ「………なんか、そのまま遺言書まで書かせそうね。
   ごめん、ちょっと言ってみたかっただけ」

真姫「分かってる。外から理屈で考えるのは必要だけど、
   当事者の心理、人情とのバランスが難しい」

にこ「それって、医者の日常業務?」

真姫「それもある」


261MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/03(木) 03:52:07.06d+nTncqQ0 (8/12)


海未「私や雪穂、他にも動ける者は地元で動いています」

真姫「………」コクッ

海未「私等の拙い人脈ですが、それでも、
   お母上が地元に戻られた時のために、
   真姫の助けも借りて病院や施設の情報を収集したり、
   福祉や行政、法律、地元の議員関係、その時に相談出来る様に、
   出来る限り顔を繋いで関係する話を聞いたりもしています」

にこ「そう、なんだ」

こころ「そうです」

にこ「こころ?」

ここあ「こんな大きな借金の事は知らなかったけど、
    海未さんと、他のメンバーの方とも、時々お話ししてたから」

にこ「いつの間にっ!?」

海未「今のニコは、
   とても中途半端に約束を取り付けられる状況ではありませんでしたから」

にこ「グヌヌ………」

海未「きょうだいの方々も忙しい中でしたが、
   それでも、関係者に直接相談したりお茶を飲んだりする機会を
   少しずつ設ける事が出来た所です」

こころ「………」コクッ

虎太郎「………」コクッ

にこ「そう、なんだ。やってくれるじゃない。
   うん、有難う。お礼を言っておくわ。それは必要な事だもんね」

こころ「お願いします!」ガバッ

にこ「!?」


262MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/03(木) 03:55:20.34d+nTncqQ0 (9/12)


こころ「お願いしますっ、アイドルを続けて下さいお姉さま。
    私達、私達だけでは無理でも、
    皆さんにもご協力をしていただいて、
    きっと、きっと宇宙一アイドルのお姉さまとお母さまと、
    家族でいられる様に私達で力を尽くしますから」

にこ「ご協力、って、そんな事、
   そんな事みんなに………
   私の家族の事、みんなに、頼める………」

真姫「あら、私がこの布陣を選んだ理由、
   忘れたのかしら?」ファサァ

にこ「う、ぐっ」

絵里「ええ、その通り、私達は他人。
   だから、お節介には限度はある。
   多分、当事者から見たら本当に大した事は出来ない。
   だけど、本当に余程の事が無い限り、
   口に出した事ぐらいは忘れないつもりだから」

ここあ「お願いおねえちゃん」

虎太郎「にこにーっ」

にこ「………厳しいわよ………」

にこ「やるってなったらね、
   本当によっぽどの事が無い限り、決まった仕事から降りるなんてできない。
   最後に物を言うのは信頼。私の仕事は、いや、仕事ってそういうものなんだからね。
   最悪でも、ニコニーがきちんと芸能界フィニッシュ出来るまで保たせる事が出来る?」グッ

ここあ「ゴクッ………」コクッ

こころ「ゴクッ………」コクッ

虎太郎「ゴクッ………」コクッ


263以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/03(木) 03:55:57.46bISXAkrDO (1/1)

自演とか二刀流やめてさっさと依頼だしてこいよ


264MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/03(木) 03:58:43.76d+nTncqQ0 (10/12)


にこ「………分かった。前向きに考える」

真姫「それ、役人言葉に翻訳したらどうなるか知ってて言ってる?」

にこ「っさいわねっ、ニコニーが役人な訳ないでしょっ、
   宇宙一アイドルがそんなふざけた言葉使ったら一発炎上ドボンよ」

絵里「そう。じゃあ、額面通りに受け取るわ」

にこ「そうして頂戴。只、お金の事は、少し考えさせて。
   少しなら貯金もあるし」

絵里「そう。でも、これだけは受け取って」

封筒小分けスッ

絵里「お見舞いと、緊急融資の線引き預金小切手と契約書ね。
   こっちの債権者はコアメンバーだけよ。
   無利子期間あるからその間に突っ返すか考えて。
   でも、色々話も聞いてるけど、
   本当に目先の事だけでも色々大変だと思うから」

にこ「………分かった。有難う。
   それに、正直言って、ちょっと強がったけど
   残りの借金も甘える事になる、と思う。
   実際問題厳しかったのは本当だから。
   私だけの事ならとにかく、ママと、この子達の為なら、
   下らないプライドなんていつでも捨ててやるわよ」

絵里「後は、預金口座ね。既にあるものを使ってもいいんだけど、
   出来れば債権者の代表代理人である私と、
   お互いに同じ銀行に専門の口座があった方がいい。明日、時間は?」

にこ「少しなら。いいわ、その時間でいいなら明日付き合っても」


265MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/03(木) 04:02:11.99d+nTncqQ0 (11/12)


絵里「…ハラショー…フーッ…
   じゃあ、ここにサインと拇印を。
   質問があったら今言ってね。
   何れ、メインの方の借金って事になったら
   実印で公正証書作ってもらう事になるから。
   もちろん、各債権者への常識的な挨拶も」

にこ「分かった………」

にこ「………有難う、本当に有難う。
   緊急融資だけでもこれだけのお金をいい条件で借りたんだから、
   まして、用意してくれた金額考えると、他人なら土下座で当たり前のレベルよ。
   本当に有難う、感謝する」ガバッ

海未「こちらこそ、かつて輝いた道で成功した自分の仲間を失いたくない、
   と言うだけで、如何にも傲慢な行動ではないかと………」

にこ「私がややこしい性格してるから、
   今度の事でどれだけ余計に悩ませて心配させたか、
   それはよく分かってるつもりだから。
   ニッコニッコニーのヒャクパー感謝、って事で受け取っておいて」

にこグラス(ウーロン茶)スッ

一同グラススッ

真姫「乾杯」ポソッ

一同「乾杯」コクッ

絵里「後、何か真面目な話はあるかしら?」

にこ「ニコニーの頭の中はお腹いっぱいニコ」

絵里「そうね。いい頃合いだわ。
   この人数だから丁度いい取り分で豚の全身が食べられそうね」

海未「恐らく、μ‘sの現役時代よりもエネルギー消耗しました………」

真姫「言えてる」クスッ

にこ「ニコー」


266MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/03(木) 04:06:10.21d+nTncqQ0 (12/12)


絵里「そういう時は甘いもの。
   美味しいデザートもあるわよ」

にこ「ヴェェ、家庭の事情の前にウエスト崩壊で引退危機ニコー」ニヤニヤ

真姫(真似すんな)プクッ

絵里「大丈夫、漢方薬って言ってもいい自慢の薬膳デザートなんだから。
   飲み物は?」

こころ「じゃあ、私達はこのビールを瓶とグラスで」

海未「折角ですから甕入り紹興酒をいただきましょうか」

にこ「それでいいわ」

真姫「スペシャル・アンプル、ナンバー8」※

絵里「ハラショー」

※「ナイチンゲールの沈黙」(上)75ページ
海堂尊 宝島文庫 08年

==============================

今回はここまでです>>254-1000
続きは折を見て。


267MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/06(日) 12:53:38.64jFT/WcAU0 (1/8)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

 ×     ×

>>266

ーー朝 見滝原中学校敷地内ーー


仁美「さやかさん、昨日はどうしたんですの?」

さやか「んー、ちょっと風邪っぽくてねー」

まどか「さやかちゃん………」

さやか(大丈夫、もう平気、心配いらないから)テレパス

さやか「さぁて、今日も………」

ーー同 職員室ーー

和子「え? お休みですか?
   はい、分かりました。お大事に………」


268MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/06(日) 12:59:09.23jFT/WcAU0 (2/8)


ーー午前終了近く マキルームーー

ベッドゴソゴソ

真姫「ヴェェ………」

真姫「やっぱりナンバー8は効くなぁ………」

ーーーーーーーー

浴室ドアガチャ

真姫「………」ギュウニュウパック

シリアルボウル「………」ダバダバダバ

ーー昼 見滝原中学校屋上ーー

さやか「美味しいっ!」

マミ「あらあら美樹さん」

さやか「マミさんのこの肉団子、美味しいですねぇ」

マミ「そう? もう一ついかが?」

さやか「悪いっすねぇっ」

まどか「ウェヒヒヒ」

マミ「美樹さん、なんかご機嫌ね。何かいい事でもあったのかしら?」


269MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/06(日) 13:04:37.42jFT/WcAU0 (3/8)


まどか「ウェヒッ?」

さやか「へ? やだなーマミさん。
   あたしはいつでも元気ですよーっ」

マミ「ええ、それは分かってるけど」

さやか「昨日ちょっと風邪引いて体鈍ってるんスよーっ。
    今日辺り、一つ頼みますよマミさん」ウデビュウンッ

マミ「あらあら、そんなに都合よく魔女が出たりするかしら?」

さやか「まあ、出ないならそれはそれで平和でいい事ですけどねー」

まどか「ウェヒヒヒ」

マミ「まあ、そういう事ね」クスクス

ーー夕方過ぎ 見滝原市立病院救命医局ーー

看護師「はい、見滝原市立病院救命救急センター………
    西木野先生」

真姫「ん?」ジブンユビサシ

看護師「救急隊です、先生の患者さんだと」

真姫「お電話代わりました」

ーー救命病棟搬入通路ーー

ガラガラガラガラ

恭介「うううううう………」

真姫「お腹痛い?」

恭介「………」コクコクコク

真姫(脂汗、どう見ても尋常じゃない)


270MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/06(日) 13:13:39.21jFT/WcAU0 (4/8)


ーー初療室ーー

真姫「いつからですか?」

恭介母「今朝から余り具合が良くないと。
    それで、近所の病院にかかったんですけど、
    その時は風邪と急性胃炎だと。

    退院して、家のご飯を少々食べ過ぎた事もありましたし
    その時は環境が変わったからかと。

    今日からの予定だった学校を延期して休んでいたんですけど、
    救急車を呼ぶ三十分か一時間ぐらい前から急にこんな風に」

真姫(アッペ? イレウス?
   精巣捻転、はこないだのテレビアトマワシアトマワシ)

恭介「ギギギ………」

真姫「やっぱり腸、かなぁ」グッグッ

真姫「検査は一通り………」

看護師「先生」

真姫「ん(母親の問診票)」

真姫「昨日の夕食、ご飯に味噌汁、鯵のフライにマリネ?」

恭介母「はい。報せていた知人が
    お祝いに新鮮な鯵を届けて下さったもので」

真姫「それを、お家で?」

恭介母「はい」

真姫「ご家族で他に症状は?」

恭介母「いえ、恭介だけです」

真姫(………まさか………)



271MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/06(日) 13:17:33.71jFT/WcAU0 (5/8)


ーー救命医局ーー

救命医「あー、腸に入っちまったか」

真姫「はい。術前の検査では腸壁の腫れ等は見られたもののホシの発見には至らず、
   症状の進行から試験開腹に踏み切りました」

救命医「腸の方は出ない時は出ないからなぁ。
    胃なら内視鏡で見つけ次第ちょんと捕れたんだけどな」

真姫「はい。開腹で処置を行い、術後の検査で確定しました。
   本来は消化器外科にお願いしたいんですけど、
   通院治療に切り替えた矢先に七転八倒やらかしたもので」

救命医「あー、悪化してるねぇ」

真姫「はい………
   うちの病棟に逆戻りで、
   消化器外科の治療もそちらで同時にお願いしたいと。
   長くはかからないと思います」

救命医「ああ、悪化と言ってもこの程度なら。
    虫の方は、明日から観察して残ってるなら飢え死に待ちだな」

プルルルルル

看護師「はい、見滝原市立病院救命救急センター」

ーー手術室その1ーー

真姫「はい、終了」

看護師「お疲れ様でした」

ーー手術室その2ーー

看護師「西木野先生、終わったそうです」ジュワキ

救命医「こっちは大丈夫だ、待機に回ってくれと伝えろ」

看護師「分かりました」


272MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/06(日) 13:20:44.42jFT/WcAU0 (6/8)


ーー救命病棟通路ーー

コッコッコッコッ
ガラガラガラガラ

真姫「どうしました?」

当直医「検査中に急変、心タンポナーゼ。
    これから緊急手術です」

真姫「私は………」

当直医「こちらで対処できます。
    西木野先生は戻って下さい」

ーー救命医局ーー

真姫「ふうっ」ギシッ

看護師「お疲れさまです」

主任看護師「戻りましたー」

真姫「お疲れ様です」

主任看護師「一段落ですね」

真姫「なんとか………」

飴玉タワークルクル

真姫「お一つ」ハムッ

主任看護師「いただきます」

真姫「多重衝突CPAあり、
   今夜はこの辺にしといてもらいたいものです。
   世の中の為にも私達のためにも」モゴモゴ

主任看護師「当然、そう願いたいものです」チュプッ


273MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/06(日) 13:24:07.20jFT/WcAU0 (7/8)


看護師「はい、見滝原市立病院救命救急センター………」

主任看護師「はい、ホットラインですね」フフッ

真姫「ヴェェ」フフッ

看護師「西木野先生」

真姫「ん?」ジブンユビサシ

看護師「救急隊から、先生の患者さんだと」

真姫「お電話代わりました、西木野です………
   看護師さん? 腹痛?
   あ、いえ、状況を説明して下さい。どう言った………いつから………」

真姫(落ち着いて、救急車使用を過剰に委縮させない様に)

「見るからに物を言えない程の激痛です。
把握されている限り、急変です。
つい先ほどまでごく普通に生活していたと言う事です。
尋常ではないのは明らかです。それから………」

真姫(………よくある腸重積とも何かが違う。
   他に、ありそうな理由にしては情報が噛みあわない………)

真姫「………」

「もしもし、他を当たった方が………」

真姫「いえ、こちらに運んで下さい」

「分かりました、お願いします」

ガチャッ

真姫「カクカクシカジカよろしくお願いします」ガバッ

看護師s「よろしくお願いします!」ダダダッ


274MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/06(日) 13:27:33.62jFT/WcAU0 (8/8)


主任看護師「子ども、ですか」

真姫「救命の鬼門ですね。
   後期研修でも随分泣かせて、それで私が泣かされました」

主任看護師「東京のERでしたか」

真姫「ええ。子どもは扱い難い分かり難い。
   本当なら小児科医や熟練した救命医にお願いしたい所ですが
   ………よろしくお願いします」

主任看護師「よろしくお願いします」

主任看護師(技量は確かで仕事は堅実。
      それでいて、事あらば思い切りよく腹が座ってる。
      若さの勢いもあるでしょうが、これが舞台度胸かしらね)

==============================

今回はここまでです>>267-1000
続きは折を見て。


275以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/06(日) 14:10:12.74ghEaNAwDO (1/1)

感想(自演)


276以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/06(日) 14:18:39.11nL2GRPwSo (1/1)


寄生虫は魔女とは関係ないのだろうけどさやかからみたら……

マミさんに肉団子とか言うなよ


277MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/07(月) 03:51:19.17jEnosG4M0 (1/12)

感想どうもです。
それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>274

 ×     ×

ーー救急搬入通路ーー

ゆま「ウーウー」

真姫「ゆまちゃん、分かる?
   病院、真姫先生」

ゆま「ウー」

ダダダッ

看護師「先生っ」メモ

真姫「………何これ? 病棟の廊下で倒れてた?」

看護師「詳しくは分かりません。
    恐らくトイレに行こうとして動けなくなったのではないかと。
    …………先生が対応していますが、
    手術適応になる可能性が高いと」

真姫「分かった(嫌な不意打ちだなぁ、バッティングしなきゃいいけど)」

ーー初療室ーー

真姫「状況は?」

施設看護師「準待機中にオンコールがありました、
      異常な腹痛を訴えていると」

真姫「便秘の可能性は?」

施設看護師「問診は出来ていませんが腹部の張りはありません。
      聞き取りの結果、食事は普通、
      下痢嘔吐、他児童の症状も現時点では確認されていません」


278MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/07(月) 03:56:38.63jEnosG4M0 (2/12)


真姫「子どもだと、何かに夢中になって排便を忘れてしまう事もあるけど。
   でも、この痛み方って………」

職員A「夜間外来に直接運ぶか診察開始を待つ事も考えたのですが、
    痛がり方が普通ではなかったもので」

施設看護師「私も救急搬送するべきだと」

真姫「それで正解みたいね」

真姫(この顔色、唇………)

真姫「ちょっと、お目目見るわよ」

ゆま「ウー」

真姫(聴診、腸の顕著な異音は無し………)

真姫「ちょっと、触るわね」

ゆま「ウ、ウー」

真姫「血液検査、クロスマッチ」

看護師「はい。ちょっと、ちくっとするから」

真姫(潰瘍穿孔? ストレス性潰瘍? 私が、見落とした?)サアーッ

真姫(いや、不十分な設備とは言え、私も警戒していた。
   嘱託医の診察も丁寧なものだった。
   あの熱の高さから言っても、むしろ普通の風邪………)

真姫「こういう症状は過去には?」

職員A「いえ、ありません。今夜が初めてです」

真姫「最近、具合が悪かった事等は?」

施設看護師「先生もご存じの様に、風邪を引いていましたが、
      昨日にはおよそ治って、今朝からは通常通りの生活をしていました。
      少なくとも昨日今日で嘔吐や下痢があった形跡はありません」


279MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/07(月) 04:03:07.89jEnosG4M0 (3/12)


職員A「そうした事はこちらも確認をしていません」

真姫「(と、すると………)FASTを」

主任看護師「はい」

真姫(超音波は技量が出る。見つかりますように………打診開始………)トトットッ

ゆま「………ンーンー………」

真姫「ゆまちゃん、痛かったら痛いって言ってね」トトッ、トッ

ゆま「………イヨー………」

真姫「ん?」

ゆま「イタイヨーイタイヨーイタイヨーイタイーイタイーイタイヨーエエッエッ………」

真姫「ん、分かった。先生が治してあげるから。
   ね、もうちょっとだけ、待っててね」


ーー読影室ーー

真姫「………」

受話器ガチャ

通信指令員「はい、警察です。事件ですか? 事故ですか?」

真姫「見滝原市立病院救命救急センター当直医西木野真姫と申します。
   暴行被害を強く疑わせる幼児が搬送されて来ました。
   患者氏名千歳ゆま。
   患者と私の名前を本部少年課、見滝原警察署刑事一課に確認して下さい」

通信指令員「分かりました、警察官を向かわせます」

真姫「お願いします。治療に入りますので事務方との折衝を願います」


280MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/07(月) 04:08:30.32jEnosG4M0 (4/12)


ガチャッ、ピッピッ

事務長「はい、事務室」

真姫「事務長でしたか。救命センター当直西木野です。
   暴行の疑いの強い重傷を負った幼児が搬送されてきました。
   通告案件になります」

事務長「分かりました。そちらに向かいます」

真姫「はい、過去の経緯もあって既に警察にも連絡済みです。
   対応願います」

事務長「分かりました、対応はこちらで行います。
    先生は治療に専念して下さい」

ーー救命病棟通路ーー

コッコッコッ

真姫「………」スッ

メモビッ

職員A「………」

真姫「見滝原市立病院医師西木野真姫。
   児童福祉法及び児童虐待防止法に基づき
   見滝原市児童相談所に通告します」

職員A「………承りました」

事務長「………内臓損傷、
    鈍体の打撃による暴行が強く疑われる、ですか」ヒョコッ

真姫「明日一番に専門の放射線医に確認をお願いしますが、
   私はこれが妥当と判断します」

警察官「見滝原署の者です。先生ですか?………」


281MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/07(月) 04:12:03.36jEnosG4M0 (5/12)


事務長「あーはいはい」パンパン

事務長「先生は治療に」

真姫「分かりました、お願いします」

事務長「私が当病院の事務長です。児童相談所と警察の方はこちらに。
    遠からず、当病院の委員会を経てそちらの所長に通告書が届く事になりますが、
    担当医からの正式な通告は受け取られた、と言う事でよろしいですね?」

看護師「先生っ」

真姫「ん」

コッコッコッコッ

ーー初療室ーー

主任看護師「オペ室、空きませんね」ジュワキ

真姫「応急処置だけでも、まずはここで実行します」

主任看護師「分かりました」

ーー病院屋上ーー

アサヤケ

職員A「別の幼児への暴力をゆまちゃんが庇ったところ、
    思い切り腹部を蹴られたと言う事です」

真姫(ヴェェ………)

職員A「自供したのは高学年の児童で、虐待で措置されていました。
    暴力的なトラブルも今回が初めてではありません。
    何とか手を尽くしてはいたのですが、
    今回は児童自立支援施設送致を避ける事は難しいと」


282MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/07(月) 04:15:57.06jEnosG4M0 (6/12)


真姫「方針は家庭的でも隔離施設でもある、ですか」

職員A「もちろんゆまちゃんにもあの子にも、
    何を言っても言い訳です。
    我々への処分も検討されるでしょう。やむをえません。
    最悪だけでも回避していただき、有難うございました」フカブカ

真姫「………」イチレイ

 ×     ×

ーー朝 外科病棟廊下ーー

真姫「ホヘー」ナガイス

先輩医師「お疲れ」

真姫「あー、どうも」

先輩医師「引き継ぎ、は終わったな」

真姫「お陰様で………」

先輩医師「ネーベンがリークやらかして、
     未明の病棟でぶっ倒れてたって?」

真姫「みたいですね」

先輩医師「ああー、もうぼちぼちいけるって任せたらしいな。
     結果がこれだ、オーベン共々平謝りだ」

真姫「あの頃の事思い出すと、全っ然笑えませんアハハハハ」

先輩医師「と、言いつつ変な笑いが漏れてる自覚は?」

真姫「それでは、帰って寝ます」ヨイショ

先輩医師「ああ、お休み」



283MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/07(月) 04:19:37.55jEnosG4M0 (7/12)


ーーマキルームーー

ピピッピピッピピッ
ベッドモゾモゾ

真姫「ヴェェ………いい時間かぁ………」ンーッ

ーーーーーーーー

浴室ドアガチャッ

真姫「さぁて、と………」

真姫(ちょっと手間かけバケットサンド)

真姫(軽く焼いて切れ目にレタスベーコンゆで卵)

冷蔵庫ガチャッ

真姫「トマトトマトトマト♪」

ーーーーーーーー

真姫「ふーっ」ショクゴコーチャ

真姫「満足満足」ヨイショ

シンクジャー

ヴーッヴーッヴーッ

真姫「ん?」


284MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/07(月) 04:22:54.50jEnosG4M0 (8/12)


ーー見滝原市立病院カンファレンス・ルームーー

バタバタッ

救命部長「悪いな、当直明けに」

真姫「意識が戻らない、って?」

救命医「ああ、眠りっぱなしだ」

真姫「まさか、麻酔ミス?」

救命部長「いや、記録、再検査の結果を見ても、結論を言えば全く分からない。
     西木野先生初めスタッフは医療者として当たり前の事しかしていない。
     検査結果を見ても、昏睡を続ける様な異常は見当たらない」

ドアガチャ

施設看護師「…………先生です、資料を持って来ました」

児童相談所嘱託医「ああ、どうも。西木野先生ですか。
         先日の事と言い、ゆまちゃんがお世話になっています

真姫「いえ」

嘱託医「私も、カンファレンスに加わって」

救命部長「お願いします」

ーーーーーーーー

救命部長(書式こそ簡易、粗雑だが、診察は丁寧らしい。
     手控えのメモの内容も想像以上に充実している)

救命部長(だが、これと言った原因は見当たらない)


285MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/07(月) 04:26:09.17jEnosG4M0 (9/12)


ドアガチャ

真姫「戻りました」

救命医「どうだ?」

真姫「………」フルフル

真姫「眠りっぱなしですね。それ以上言い様がありません。
   診察でも特に異常はありません」

救命医「オペも、成功。数値も正常だよなぁ。
    どの検査でも、はっきり言って変なものは何も出て来ていない」

真姫「どう、でしょうか?」

嘱託医「分からんなぁ………」

真姫「そうですか………」

嘱託医「子どもは分からんよ。この歳まで小児科やってても。
    次に何が起こるか分からない、未来そのものだ」

救命医「全くですなぁ。
    特にあくせくやってる我々救命とは水と油、泣かされますよ」

嘱託医「お疲れ様かな」

真姫「?」

嘱託医「子どもがあれだけ痛め付けられて、
    その上こんなにあっちにこっちに引っ張り回されて。
    お疲れ様のお休みなさいですかな」

救命医「………戻って、来るんでしょうね?」ゴクッ

嘱託医「………せめて、保健室だけでも、
    非常勤の私がいる時だけでも子どもが安心して居られる様に、
    そんな居場所を作ろうと、私は心を砕いて来た。
    本来であれば、最後の砦として子ども達はあの施設にやって来る」


286MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/07(月) 04:29:30.94jEnosG4M0 (10/12)


救命部長「………やめだ」ンーッ

救命医「先生?」

救命部長「取り敢えず今日は、いじくり回すのはもうやめだ。
     静かに休ませておく。それだけだ」

真姫「実際問題、やる事が無いですからね」

救命医「そりゃそうですが………」

救命部長「これまでの不手際はいくらでも詫びよう。
     その上で、大人の仕事をしよう。
     担当はこのまま、当面は経過観察。異変を見落とすな」ガタッ

一同「はいっ」

ーー市立病院受付ーー

受付「お釣りと領収書です」

織莉子「すいません、遅くなりまして」

テクテク

織莉子(先生にもご挨拶を)

ピイイインッ

織莉子「!?」ダッ

ーー救命病棟病室ーー

ゆま「ZZZZZ」

ゆま「………」パチッ

ゆま「………」ムクッ


287MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/07(月) 04:32:53.08jEnosG4M0 (11/12)


ーー救命病棟廊下ーー

真姫「それでは、このまま病棟に出ますので」

救命部長「ああ」

\ウァアァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!/

真姫・救命部長「!?」

ーー救命病棟病室ーー

\ァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!/

ゆま「うああっ、うああああっ、
   うえっ、うあっ、うえええっ、うええっうあっうああああっ
   うあああうええっうああぁああああああああああっっっっっっっっっ!!!!!」

ゆま「ああああああっうああああ……………」

ダダダッガバッ

織莉子「………」ギュッ

ゆま「あああああ………」

織莉子「………大丈夫、大丈夫だから大丈夫。
    大丈夫、大丈夫だから、もう大丈夫だから………」

ゆま「………おねーちゃん?………」

織莉子「大丈夫だからもう大丈夫だから怖い事はないから………」ポロポロポロポロ

看護師長「後は私が」ポン

織莉子「ああ、すいません。大きな声が聞こえて」ヨイショ

織莉子「………」ペコリ

師長「はいはい元気なお目覚めですね。
   病院ですよゆまちゃん」


288MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/07(月) 04:37:08.50jEnosG4M0 (12/12)


救命部長「ICU症候群、とも言える訳だが」

真姫「えーと、取り敢えず」

救命部長「頼めるか? 元々先生の患者だ。
     診察してから引き継ぎで」

真姫「分かりました。おはよう、ゆまちゃん」

ゆま「おはよー? まきせんせー」

真姫「はい。真姫先生ですよ」

==============================

今回はここまでです>>277-1000

………変えとこうと思ったの一つ忘れてた………
>>281
「病院屋上」を「院内廊下」に訂正します。
すいません。

続きは折を見て。


289以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/07(月) 06:33:41.21ND6reBoDO (1/1)

2刀流で自分のSSに感想書いたり乙などの自演して楽しい?
図星だからスルーとかってどうなの?


290以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/07(月) 07:55:24.87edlcIAvto (1/1)



ゆまのこの状況をQB


291以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/09(水) 02:26:58.89eDGQpicHO (1/1)




292MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/10(木) 02:56:07.61GGeR8xx70 (1/12)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>288

 ×     ×

ーー救命病棟病室ーー

真姫「………」チョウシンキ

ゆま「………」

真姫「あー、ごめんね。急いでたから傷になってるわね。
   大丈夫、退院までには綺麗になってるから」

ゆま「………」コクン

真姫「でも………頑張った。
   こんな傷作って、この傷の奥を治さないといけなかった。
   それでも、私達の所に戻って来てくれた。
   よく頑張った、有難う」

ゆま「なおった?」

真姫「うん。体の中の痛い痛いはちゃんと治しておいたから、ね」

ゆま「ありがとー」

真姫「どういたしまして。
   今はもう少し、ゆっくり休んでいいから」

ゆま「うん」


293MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/10(木) 03:01:50.85GGeR8xx70 (2/12)


ーー病院ロビー ーー

織莉子「あら、キリカ」

キリカ「あらじゃないよ織莉子っ!」

織莉子「え?」

キリカ「すぐ戻るって言ってたのに戻ってこないからさあっ!!」

織莉子「こほん、ここは病院」

キリカ「うー………」

ヒソヒソヒソヒソ
ウオッホン

キリカ「でも、本当にどうしたんだい織莉子。
    ちょっと時間かかったみたいだけど」

織莉子「ええ、ちょっとガールフレンドに会いに」

ザザーン
ビュウウウウウ
ゴォォォォォォォォォ

キリカ「…………………………
    …………………………
    が、
    あ、
    る、
    ふ、
    れ、
    ん、
    ど、
    ?
    …………………………
    …………………………」ピキッピキピキピキッ

織莉子「冗談よ」ツラッ


294MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/10(木) 03:07:02.44GGeR8xx70 (3/12)


キリカ「おーりぃーこぉーっ」

織莉子「気を揉ませた後だから、
    美味しいパフェでも食べに行きましょうか」

キリカ「よぅし、今日は織莉子と
    宇宙一美味しいパフェを食べるぞー!」

「それで、大丈夫なのかね?」

「ええ、手術は成功、もう目を覚ましたと」

「お役人さんの手を煩わせて本当に申し訳ない」

「とんでもない。こちらこそお預かりしておきながらこの様な事になって、
お詫びの仕様もありません」

「全く、こんな事になってるなんて」

「ああ! あんなバカ息子夫婦に任せておけるか!」

織莉子「………ふふっ、楽しみね」

 ×     ×

ーー美国邸 薔薇の庭園ーー

織莉子「………」ティータイム

キリカ「………」ティータイム

ピイイイインッ

織莉子「………」フフッ

キリカ「織莉子?」

織莉子「えいっ」

ケーキスプーンオクチニストライク

キリカ「んんんー」カアアアッ


295MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/10(木) 03:12:30.98GGeR8xx70 (4/12)


ーー病院ロビー ーー

真姫「やっと、退院ね」

恭介「はい、お世話になりました………」

真姫「うん。これからも色々大変だと思うけど。
   今回も大変だったけどね」

恭介「ええ、死ぬかと思いました………」

真姫「やっぱり、そんなに痛い」

恭介「思い出したくもないです」

真姫「胃でも死ぬ程痛いんだけど、腸のは治療面で厄介だからね。
   胃に刺さってたんなら摘出して標本にしてプレゼント出来たんだけど」

恭介「全力でお断りします」

真姫「クスクス」

恭介「クスクス」

恭介「それでは」

真姫「お大事に」

「そら、ちゃんと歩けるか?」

真姫(ん?)

ゆま祖母「大丈夫? 好き嫌いない?」

ゆま「うん、何でも大好きだよ!」

ゆま祖母「あらまぁえらいねぇ」


296MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/10(木) 03:17:28.34GGeR8xx70 (5/12)


ゆま「まきせんせー」

真姫「こんにちはゆまちゃん。
   元気になって、良かった」

ゆま「うん」

ゆま祖父「どうも。西木野先生には、
     ゆまの事でどれだけお世話になったか」

真姫「いえいえ。ゆまちゃん、お爺ちゃんお婆ちゃんのお家に?」

ゆま「うん。おじーちゃんのお野菜なの」

真姫「そう。お野菜は体にいいのよ。
   美容にもいいから美人さんになるわね」

ゆまニコッ

真姫「それでは、私からもゆまちゃんの事をどうぞ」

ゆま祖父「ええ。警察からも随分絞られてると聞きましたが、
     我が子ながら本当に情けない。
     目を離したばかりにこんな小さな子を辛い目に遭わせてしまって」

ゆま祖母「ええ、ええ、もう怖い目には遭わせないからねぇ」

ゆま祖母「ゆまはウチの子だよ」

真姫「それじゃあ」ペコリ

ゆま祖父母「どうも、お世話になりました」ペコリ

テクテク
クルッ

ゆまニコッ

真姫ニコッ


297MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/10(木) 03:20:52.43GGeR8xx70 (6/12)


 ×     ×

ーー見滝原中学校 教室ーー

まどか「さやかちゃんも行って来なよ。
    まだ声かけてないんでしょ?」

さやか「あたしは…いいよ」

ーーフードコートーー

仁美「それまで後悔なさらないよう決めてください。
   上条くんに気持ちを伝えるべきかどうか」

さやか「………」

ーーコンサート会場ーー

にこ(サングラス下ろし髪真知子巻)「………」

黒服「………」

黒服「矢澤にこさんですね?」

ーー車内ーー

ダンシンダンシン
ノンストッダンシン
ダンシンダンシン
レッミー

ツバサ「一杯いかが?」

にこ「いただくわ」

あんじゅニコッ

トクトクトク

にこ(出たよドンペリ)


298MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/10(木) 03:24:19.26GGeR8xx70 (7/12)


あんじゅ「流石に、今夜は奮発したのよ」

にこ「心の声とか読まないでよ」ニュータイプカ

英玲奈「では、再会を祝して」

ツバサ「乾杯」

一同「乾杯」

にこ「まあー、仕事で全然会ってないって訳でもないけどね」

英玲奈「物理的に空間を共有している、と言う意味ではな」

あんじゅ「そうよぉ、挨拶はしてくれるけどちょっと冷たいわぁ」

にこ「会う事自体珍しい方だけど、正直、何話していいか分からないわよ。
   どっちが上とか下とかじゃないけど、芸能人同士って言っても正直畑違い過ぎて。
   私は、歌も出してるけど何とかかんとか業界にしがみついてる何でも屋。
   ダンスミュージックの一線で、指の数から落ちないぐらいには勝ち続けているあなた達」

英玲奈「んー、業界的にも、
    なんとなく変な気を使っている部分はある、と言うからな」

にこ「みたいね」

ツバサ「意識は、してるわ」

にこ「………」

ツバサ「新興勢力であるスクールアイドル出身。
    その時点で好意的な見方だけじゃない。
    所詮は部活動上がりとも見られてる。
    しかも、プロになった時点では二位スタート。
    嫌でも付き纏うわ、伝説の幻影は」


299MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/10(木) 03:27:44.11GGeR8xx70 (8/12)


にこ「μ‘sの影、って訳?」

ツバサ「ええ。もし、ここにいるのがμ‘sだったら。
    その事は嫌でも連想される」

あんじゅ「ほんの一時の青春の輝き。
     それだけを残して頂点から消えた伝説のスクールアイドル」

英玲奈「こちらこそ、現実としてしがみついていると言う訳さ」

にこ「それであの結果なら、凄く、立派な事じゃない」

ツバサ「ええ、それだけの自負はあるわ」

にこ「………」

にこ(プロデビューから何年もしない内に、あのARスウジ事件、
   アイドル史の汚点とも言われるあの問題があった)

にこ(ネット中心に水面下で人気が熟成されていた
   スウジプロダクションのアイドルグループがプロジェクトに打って出た。

にこ(正統派のアイドルながら、業界的には注目の薄いダークホースだった事もあって、
   まともにぶつかったのがA-RISEだった)

にこ(想像を超える急成長に調整が追いつかず、
   CD、コンサート、映画迄、喧嘩上等のスケジュールが連発。
   双方の事務所、FCの懸命の呼びかけにも関わらず、
   電波な書き込みやガチの武力衝突で逮捕されるフーリガンが続出する社会問題に)

にこ(その一因に、スクールアイドル出身への蔑視があったのは間違いない。
   狂乱の年の後、A-RISEはカワイイ路線から実質撤退した)

あんじゅ「まあ、年齢的にもそろそろ、って話し合ってたしねぇ」

にこ「だから、心の声とか読まないでよ」ニュータイプカ


300MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/10(木) 03:30:59.48GGeR8xx70 (9/12)


英玲奈「ところで………」

ツバサ「お母さんのお加減は? 本当は最初に伺うべき事だったけど」

にこ「うん。安定してる」

ツバサ「まだ見滝原の病院に?」

にこ「ええ、まだ、動かせる状態じゃないって」

ツバサ「マッキーがいるんだっけ?」

にこ「ええ。非常時の事だったから主治医ではないけど、
   母の手術を執刀したのもマッキー」

あんじゅ「思い出すわぁ」

にこ「?」

あんじゅ「音ノ木坂学院の音楽室、マッキーと作曲してると
     ツインテールのお化けが張り付いているって都市伝説が」

にこ「な゛な゛な゛な゛な゛
   なに゛をいっでるに゛こにっごにっごに゛wwwwwwww」

英玲奈「しかし、遠方だと大変だな」

にこ「何れ、退院を勧められた時のために、うちのチビ達、ああ、もういい歳だけどね。
   うちのきょうだいが地元で病院や福祉関係の情報集めて、
   海未とか雪穂とか、他にも手伝ってくれてる。簡単な事じゃないけどね」

英玲奈「簡単じゃ、ないな」


301MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/10(木) 03:34:25.98GGeR8xx70 (10/12)


にこ「………」

にこ「有難う。融資の件では本当に有難う」ガバッ

にこ「本当は、もっと早く
   こうやってお礼を言わないといけなかったんだけど」

英玲奈「お互い、忙しい身だ」

あんじゅ「エリーチカから心のこもったお礼状、いただいたわ」

にこ「良かった。何度でも言うけど、今回の件では本当に感謝する」

英玲奈「まあ、礼を言うのはこちらでもあるからな」

あんじゅ「ええ。利率と期間こそ分が悪くても、
     矢澤ニコニーへの投資が出来るんならいいお話しよ」

ツバサ「………」

ツバサ「一つ、約束して欲しい事があるんだけど」

にこ「何? アイドルを続けろ、とかそういう………」

ツバサ「真っ当な生き方をしなさい」

にこ「は?」

ツバサ「アイドルを続ける、やめる、そんな事に口は出さないし出せないわ。
    それはあなたが決める事」

英玲奈「ああ。そんな事は、私達も何度も経験して来た。
    他人がどうこう言える事じゃない」

ツバサ「あなたには掛け替えのない財産がある。
    あなたが積み重ねて作り上げて来た財産が」

あんじゅ「羨ましい。あなたと私達、仕事の事は色々あるけど、
     この事だけは心から言えるわ」


302MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/10(木) 03:37:53.10GGeR8xx70 (11/12)


ツバサ「今回それが見えたでしょう? 私達が言う迄もないぐらいにね」

にこ「当たり前でしょう。だって、あなた達だってそう、
   あの時があって、ニコニーの意外と側にいてくれたんだから」

あんじゅ「光栄だわぁ」

ツバサ「この輝かしい世界で挫折した人、身を退いた人、
    少しは見て来たつもり。
    だから、ここでどういう結論になっても真っ当に生きなさい。
    大事な人達の誠意を裏切らない様に。
    それが、私達からの債権者としての命令よ」

にこ「ええ」

英玲奈「そうだ。そういう矢澤にこだからこそ、
    私達は大事な資金を投じたんだ」

ツバサ「私達を動かし、生かしているCD、グッズ、チケット、
    その一円一円は血と汗と涙の結晶」

あんじゅ「それって、あなたが一番よく分かってるわよねぇ」

にこ「当然よ」

ツバサ「それをあなたに投じたの。
    である以上、踏み倒そうなんて事になったら鬼の追い込み掛けるわよ。
    遠慮も甘えもなし、あの時と一緒、
    私達とあなたの、社会人としての真剣勝負よ」

にこ「分かった、分かってる。
   そう言われたら、μ‘sを名乗った者として全力で応じざるを得ないじゃない」

英玲奈「その意気だ」

あんじゅ「あの時みたいに私達を超える事が出来るか、
     楽しみにさせてもらうわぁ」

にこ「期待してていいわよ」


303MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/10(木) 03:41:28.40GGeR8xx70 (12/12)


ツバサ「フッ、そう、μ‘sを名乗りし者。
    それは本当に手ごわいわね。
    その事を忘れないで、あなたは決して一人じゃない」ビッ

ビッ
ビッ

にこ「………」ビッ

「「「「私達は一つ!!!!」」」」

ーー見滝原市内ーー

………は………あはは………あはははっ………

本当だぁ。その気になれば、

痛みなんて、完全に消しちゃえるんだぁ………

==============================

今回はここまでです>>292-1000
続きは折を見て。


304以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/10(木) 08:14:52.68iFwys/kao (1/1)


ゆまは引き取り先あったんですね
症状はまだ治って無いけど

そしてさやかは助けた相手が……


305以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/10(木) 10:52:45.98encUyulNO (1/1)

このμ'sにまで呪いが飛び火してる感…


306MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/14(月) 01:52:28.38pJwKSzIh0 (1/8)

書式統一のため、訂正を入れます。

普通にここまで読んだ、と言う分には、
スルーしていただいても一向に構いませんが。

>>21
>>71
>>115
>>140
>>226
>>240
>>277
冒頭
「 ×     ×」
削除

>>127
>>210
冒頭
「 ×     ×」
削除
最初の場所表記を
「ーーーーーーーー」
に変更

>>254
>>292
冒頭
「 ×     ×」
及び最初の場所表記を削除

訂正は以上です。

感想どうもです。

それでは今回の投下、入ります。


307MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/14(月) 01:58:04.30pJwKSzIh0 (2/8)

==============================

>>303

 ×     ×

ーー見滝原市立病院売店周辺ーー

テクテクテク

真姫「ん?」

まどか「………」キョロキョロ

真姫「やっ、まどかちゃん」

まどか「西木野先生っ」

真姫「ん?(なんか、ちょっと様子が)」

まどか「あのっ、さやかちゃん見ませんでしたか?」

真姫「さやかちゃん? いや、見てないけど。
   一緒じゃなかったの?」

まどか「はい。すいません、失礼します」

真姫「あ、ちょっと………」ヴーヴー

真姫(院内PHS)

真姫「はい? ええ、分かりました。すぐに向かいます」


308MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/14(月) 02:03:21.26pJwKSzIh0 (3/8)


ーーリハビリテーション病棟長椅子ーー

恭介「ふうっ」

真姫「お疲れ様」

恭介「どうも、って言いますか、先生の方が………」

真姫「ああ、ちょっと大きな事故で救命の応援」

恭介「そうですか」

真姫「アハハ………まあ、順調かな?」

恭介「そう、ですね。
   前よりは大分良くなったと思います」

真姫「そう………ちょっと、聞いていいかな?」

恭介「なんですか?」

真姫「さっき、まどかちゃんと会ったんだけど」

恭介「鹿目さんと?」

真姫「うん、なんか、さやかちゃんの事探してたんだけど」

恭介「そう、ですか」シタムキ

真姫「んー」ウエムキ


309以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/14(月) 02:04:02.67k4gQXmTDO (1/2)

PCで書いてもう一つでID変えて自演とはご苦労なこって
沈黙は肯定だからね二刀流さん


310MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/14(月) 02:13:22.04pJwKSzIh0 (4/8)


真姫「なんか、あった?」

恭介「それが、家に帰ってないとかで、
   学校にも来てなくて、先生からも何か知らないかって聞かれたんですけど」

真姫「そう………君には黙秘権がある。
   私達の関係上、無関係なプライベートに関する供述を君に強制するつもりは一切ない。
   さやかちゃんと何かあった?」

恭介「いえ。正直、思い当たる事がなくて」

真姫(嘘は言って無さそうだけど………)

真姫「何か話したりとかは?
   まあ、退院して何日も経ってない訳だけど」

恭介「そうなんですよね。
   僕もちょっと、最近覚えたボカロが意外と面白くて。
   出来れば自分で作りたくて色々勉強してるんですけど。
   この手ですから、どうしても時間かかるけどその分入れ込んじゃって」

真姫「なーる………
   ………仁美ちゃんと、何かあった?」

恭介「志筑さん、ですか?」

真姫「ん」

恭介「………」

真姫「言いたくないならいいけど」

恭介「………」ガバッ

恭介「お慕いしています、って言われました」

真姫(そりゃ又古風なアノコラシイ)

真姫「それで、返事は?」

恭介「少し、考えさせて欲しいって。
   正直色々あって、よく分からなくて」


311MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/14(月) 02:19:00.95pJwKSzIh0 (5/8)


真姫「そう、分かった」

真姫(って、こいつ因果関係分かって無い訳?
   本当に分かってないっぽくもあるけど、
   流石にこれ以上は踏み込めない)

真姫「心配?」

恭介「ええ。色々やんちゃで怒られる様な事もありましたけど、
   こんな事は今までなかったですから」

真姫「なら、自分に出来る事をするのね」

恭介「出来る事?」

真姫「真面目にリハビリをして、ボカロでもなんでもいい、
   君自身の人生を取り戻す事」

恭介「………はい………」

ーー夜、見滝原市内路上ーー

真姫(来てしまった訳だけど………)

真姫(志筑邸まであと百メートル、いや、もっと、って所かな)

真姫(ま、ここは身の程弁えて一杯引っ掛けて………)

クルッ

真姫「ヴェェ………(はい、回避不能強制イベントフラグ発動しました)」

仁美「西木野先生?」

真姫「えーと、仁美ちゃん?
   こんな遅くに夜遊び、じゃないよね」

仁美「はい、薙刀のお稽古が遅くなりまして」

真姫(ヴェェ………)


312MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/14(月) 02:22:12.85pJwKSzIh0 (6/8)


仁美「それで、先生は?」

真姫「いや、ちょっと用事があって、これから帰る所」

仁美「そうでしたか」

真姫「それじゃ」

仁美「はい」

コッコッコッ
スレチガイ

真姫「………ん?」クン

仁美「っ、つっ………」カクッ

真姫「ん?」

真姫「仁美ちゃん? どうした?」

仁美「いえ、なんでも、ありませんわ………」ヘタッ

真姫「ちょっとごめんね」シャガンデ

真姫「………」クンクン


313MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/14(月) 02:26:01.01pJwKSzIh0 (7/8)


テクテク

織莉子「西木野先生」

真姫「織莉子さん?」オデコピタッ

キリカ「おーい、織莉子ーっ」タッタッ

真姫「ちょっと、手伝ってくれるかしら?」

織莉子「はい」

真姫(一旦歩道の端に移動、鞄を枕に)

真姫「ちょっと、この姿勢で代わってもらっていい?」

織莉子「キリカ、お願い」

キリカ「織莉子の頼みなら」

織莉子(仰向けで寝てる意識の怪しい女の子の
    両方のふくらはぎをキリカの両肩に)

真姫「あなた、携帯持ってるなら貸して欲しいんだけど」

織莉子「キリカ」

キリカ「はい」

真姫(なんか、忠犬ね)119

真姫「救急車お願いします。中学生ぐらいの女の子が倒れています。
   ………丁目周辺の住宅街の路上。通りすがりで介抱している子に代わります。
   はい、後お願い」

キリカ「あ、ちょ、ちょっとっ」


314MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/14(月) 02:29:37.97pJwKSzIh0 (8/8)


ーー民家玄関先ーー

ピンポーンピンポーン

インターホン「はい」

真姫「夜分遅くすいません、近くで人が倒れています。
   119番通報お願いします。
   それから、ここの正確な住所を教えて下さい」

インターホン「分かりました………」

真姫「携帯持ってる?」

織莉子「はい」

真姫「救急車呼んで。ここの住所の××さんの家の前からだと。
   私の知り合いとして市立病院に問い合わせる様に伝えて、
   救急車が来たら誘導して」

織莉子「分かりました」

タタッ

真姫スマホススッ

真姫「もしもし………」

ーー緑+数字系コンビニエンスストアーー

真姫(水1.5リットルスポーツドリンクカチワリ………)

==============================

今回はここまでです>>307-1000
続きは折を見て。


315以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/14(月) 13:50:13.46m89OVrprO (1/1)




316以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/14(月) 14:22:34.78k4gQXmTDO (2/2)

もうオワコンになったラブライブを未だに人気の作品とクロスさせなきゃ誰も見てくれないのはわかるけど気持ち悪いし不愉快だよ


317以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/03/14(月) 17:01:26.24OYBReft8o (1/1)


さやかの願いとは別物なのかどうか?


318MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/18(金) 13:20:59.45rxum++X60 (1/10)

それでは今回の投下、入ります。

==============================

>>314

ーー見滝原市立病院救命医局ーー

プルルルル

看護師「先生、外来からです。西木野先生から電話が来て、
    ………丁目周辺路上で急病人を発見した、中学生女子、
    恐らく熱疲労、熱射病に移行の危険あり、消防からの問い合わせに備えて欲しいと」

救命医「分かった。聞いての通りだ、Ⅲ度熱中症前提で準備。
    消防には受けると伝えろ」

看護師s「はいっ!」

受話器ガチャッ

救命医「もしもし」

真姫「はい、西木野です」

救命医「状況は?」

真姫「通報を通行人に任せて、コンビニから現場に戻る途中です」

救命医「買い物の内容は?」

真姫「ミネラルウォーター2リットル、スポーツドリンク500ミリリットル二本、
   タオル、クラッシュアイスのパックと小分け用のビニール袋」

救命医「上出来だ」

真姫「居合わせた男性ナースに半分持ってもらっています」

救命医「ますます上出来だ。空きはある、うちで受けるぞ」

真姫「ありがとうございます」


319MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/18(金) 13:26:14.06rxum++X60 (2/10)


ーー見滝原市内路上ーー

男性看護師「こっちですか?」

真姫「ええ、助かります。
   あなたの買い物もあったでしょうに」

男性看護師「いえ、今日はこれだけですから」

真姫(小さいお菓子二つにおまけのクリアファイル)

ーーーーーーーー

ピーポーピーポーピーポー

ーー見滝原市立病院救命救急センター観察室ベッド脇ーー

救命医「数値的には色々問題はあるけど、集中治療の成功で峠は越えました」

真姫「そうですか」

救命医「いや、本当に西木野先生がいたのが不幸中の幸い。
    迅速な応急処置が無かったら内臓にダメージが来てもおかしくない状態だったから。
    室内でも危ないんだから、あんまり無理しないできちんと水分補給しないと」

仁美「すいません………有難うございました」

救命医「今、親御さんがこちらに向かってるって言うから、
    親御さんとお話ししてから念のため点滴もう一本入れて。
    明日もう一度の受診をお勧めします」

仁美「分かりました」

救命医「それじゃあ、少し待ってて下さい」


320MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/18(金) 13:31:25.86rxum++X60 (3/10)


コッコッコッ

仁美「すいません、ご迷惑をおかけして」

真姫「無理したわね。
   薙刀ってあれ、遠心力つくから体持ってかれるでしょ。
   挙句、柄でチンにアッパーカット自爆したり。
   慣れてないと思い切り体力使うわよね」

仁美「ご存じでしたか?」

真姫「ちょっとね、試しに友達の奴何回か振った、って程度だけど。
   に、しても、今回は仁美ちゃん完っ全にオーバーワーク。
   本気で危なかったわよ」

仁美「すいません………お稽古の後に、
   自主練習で根を詰め過ぎた様です」

真姫「そう」

仁美「さすがはお医者さんですね。手際が良くって………」

真姫「んー、まあ、オーバーワークは苦い経験とかもあるからねぇ。
   身近に鬼プリマとかウルトラスーパーデラックス体力クイーンとかもいたから
   自分で勉強して警戒してたとかもあるけどタハハ」

仁美「………ちが………ったのかも………」

真姫「ん?」

仁美「くしが………んな事………ったりしたから………」

真姫「どうしたの? 言いたくないなら無理には聞かないけど、
   なんか溜まってるものでもあった?」

仁美「さやかさんが………いなくなってしまいました」

真姫「うん。知ってる。まどかちゃんが病院に迄探しに来てたから」


321MAKISEN ◆Nzl0dmnJKk2016/03/18(金) 13:36:29.72rxum++X60 (4/10)


仁美「そう、でしたか。病院に………
   やっぱりまどかさん、心配して傍から見ても心痛ですもの」

真姫「うん」

仁美「もちろん、わたくしだって。
   でも、わたくしにはそんな事を言う資格………」

真姫「喧嘩でもしたの?」

仁美「わたくし、上条君の事を、お慕い申し上げておりますの」

真姫「そう」

仁美「はい。先生はお見通しでしたわね」

真姫「んー、あれで気付かないのって、無理」

仁美「そう、ですか。
   それでは、気が付いていましたよね、さやかさんの気持ちも」

真姫「そうね」

仁美「わたくしもです。
   やんちゃなさやかさんが、あんな眼差しをなさるんですもの。
   さやかさんは掛け替えのない大切なお友達。
   それでも、諦める事は出来ませんでした」

真姫「それはつまり、親友との三角関係と解釈していいのかしら?」

仁美「はい。ですから、さやかさんに申し上げました。
   上条君の事をお慕い申し上げております。
   つきましては、わたくしがその事を告白するのに一日だけお待ちします。
   自分の気持ちに正直になって下さい、と」

真姫(ヴェェ………こういう娘だよね………)

仁美「その後です、さやかさんがいなくなってしまったのは。
   わたくしが、あんな事を言ったから………」