448以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:14:38.84xtgm9CeD0 (16/34)




課長「あちゃー、やっぱりこうなったか……」

山賊E「課長……俺、受付の姉貴になんかしましたかね……?」ズーン

課長「心当たりはあるかい?」

山賊E「……えっとあるとしたら一つだけ……でも、これは受付の姉貴とは全然関係ないですよ?」

課長「ふむ……もしかしたら彼女はどっかの誰かさんと自分を重ねて見ていたのかもしれないね」

山賊E「どういうことですか?」

課長「身分違いの恋。そういう経験が彼女にもあったのかも知れないよ?」

山賊E「受付の姉貴も貴族を好きになったんですか?」

課長「おや? 私は相手が貴族なんて一言も言ってないんだけどなぁ……?」ニヤニヤ

山賊E「あ……」カーッ

課長「……一つ、これは年長者の意見だと思って聞いてくれるかい?」

山賊E「は、はい」

課長「君がなにをもって彼女を突き放したのかは、私にはわからない。まぁ、色々と察しはつくけどね」

山賊E「なんでそのことを……」

課長「まぁ、聞きなさい……でもね、私は理由がなんであれこう思うんだよ」


課長「『惚れた女を泣かせるなんて男として最低だ』ってね」


山賊E「……」




449以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:16:32.16xtgm9CeD0 (17/34)


課長「ああ、これは男女差別とかそういうことを言いたいんじゃないよ? ただね……惚れた女性の泣き顔より、笑顔が見たい。それが男ってもんだろう?」

課長「君が最後に見た彼女の顔は笑顔だったかい?」

お嬢様(………馬鹿!!)

山賊E「……いえ」ズーン

課長「それで、本当にいいのかい?」

山賊E「……」

課長「ま、じっくり考えてみればいいさ……この仕事は私の方で再分配しておこう。君は気にしなくていい」

山賊E「ありがとうございます……」

課長「気にすることはない。若者を導くのはいつだって年長者の務めみたいなもんだからね」ハハッ




450以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:17:25.62xtgm9CeD0 (18/34)




同僚「課長ー!!」

課長「こらこら、同僚くん役所内は走ってはダメだよ?」

同僚「今はそれどころじゃないですよ!!」ハァハァ

課長「どうしたんだい?」

同僚「じ、実は……」



同僚「あの子が行方不明だそうです!!」



山賊E「え……」





451以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:21:44.89xtgm9CeD0 (19/34)


課長「……あの子、というと……」

同僚「はい、彼にいつもくっついていた女性のことです。昨日から家に戻っていないそうで……最近ここに通っているようだから何かわからないかと、心配した召使いの方が……」

山賊E「ゆ、行方不明って……どういうことですか!?」

同僚「それがまだ私にも詳しいことはわからなくて……」

課長「落ち着いて、とにかく話を聞こう。それでその召使いという方はどちらに?」

同僚「今、応接室で受付が対応しています」

課長「わかった。すぐに私も行こう」

山賊E「お、俺も同席していいですか?」

課長「……いいだろう。来なさい」

山賊E「はい!」






452以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:22:30.32xtgm9CeD0 (20/34)



――応接室――



受付「……それで、昨日の朝、ここに来ると行ったっきり帰ってないんですね?」

召使い「……ええ。今までこんなことはありませんでした。最近、よくこちらに伺っているとの事でしたのでもしかしたらと思って……」

受付「残念ながらうちにも来ていないんですよ

召使い「ああ! お嬢様……!!」

受付「落ち着いてください。パニックになってはダメですよ」

召使い「旦那様も奥方様もいらっしゃらない時に……私はどうしたら!!」

受付「大丈夫ですから、落ち着いてください!」



ガチャ


課長「……お待たせしました」

受付「課長! ……と」

山賊E「……」ペコッ




453以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:24:35.84xtgm9CeD0 (21/34)


課長「悪いけど彼も同席させてもらうよ。話を聞く限りでは恐らく彼が行方不明になる前の彼女に会った、最後の人だろうからね」

召使い「それは本当ですか!? お嬢様はどちらに!?」

山賊E「……それが、わからないんです」

召使い「そんな……」

山賊E「ただ……心当たりはあります」

召使い「心当たり!?」

山賊E「彼女は最近、ある男とひと悶着ありました。もしかすると……」

課長「というと……地主の男か」

受付「うちに来て無茶苦茶言ってたあの野郎ですね」

山賊E「はい。あの後、彼女があの男に捕まったということも考えられます。奴隷を逃したことを随分恨んでたようですし、『必ず痛い目に合わせる』といったことも言ってましたから」

課長「……だが、確証は無い」




454以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:25:07.80xtgm9CeD0 (22/34)


山賊E「直接聞いてみますか?」

受付「『お宅にうちのお嬢様来てませんか』ってですか? すっとぼけるに決まってますよ」

山賊E「ですよね……」

課長「……ふむ、これは行方不明事件として騎士団に動いてもらうしかないね」

受付「ちょっと待ってください。騎士団だってすぐに来てくれるとは限りませんよ?」

課長「だったらどうするって言うんだい?」

受付「直接乗り込んで地主をとっちめましょう!」

課長「……いいかい、受付くん。もちろん理解しているとは思うが我々は公務員なんだ。与えられた権限の範囲内でしか行動できない。この件は完全に我々の権限の範囲外だ」

受付「ですけど、こうしている間に彼女にもしものことがあったら……」

召使い「ああ、お嬢様!!」

課長「それでもだ。我々は正義の味方ではない。法律やルールにのっとった行動をとらなくてはならないんだ」




455以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:26:34.85xtgm9CeD0 (23/34)


受付「誰ですか! こんな面倒なルール作ったのは!?」

課長「それが国を運営する上での秩序というものなんだ、受け入れなさい」

受付「……でも!!」

課長「それに、地主の男の言動が怪しかったというそれだけでは我々も騎士団も彼を裁くことはできない。ちゃんと捜査をしなければ手出しができないんだよ」

課長「困ったことに今の段階では彼女がどうなったのか、目撃情報が無い。我々ができるのは騎士団に連絡することだけだ……そういうことですので、申し訳ないですがご理解ください」

召使い「そんな……」

山賊E「………」

課長「すぐに騎士団を要請しよう、受付くん」

受付「………わかりました」

召使い「……ああ、どうしてこんなことに……」





山賊E「………」スクッ




456以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:29:12.45xtgm9CeD0 (24/34)


課長「どこに行くんだい?」

山賊E「ちょっとお手洗いに」

課長「………『君は自分の立場というものがわかっているのかね?』」

山賊E「新人の癖に話の途中で席に立っちゃってすみません、でも『生理現象なので』」

課長「分かっているのならいい。『生理現象ならば仕方のないことだ』」

山賊E「すみません」

受付「???」

課長「どうせなら目立たないようにする必要があるだろう。2階の更衣室なんて人気が少なくていい。それに『最低限のものは揃っている』君の力になってくれるはずだよ?」

山賊E「……ありがとうございます」

課長「気にしないでくれ。ああ、それと『なるべく早めに済ませてくるんだよ』?」

山賊E「ええ」ダッ




457以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:31:16.99xtgm9CeD0 (25/34)




ガチャッ


受付「えっと……トイレに行くんですよね?」

課長「まぁ、生理現象だから仕方ないね。すみません、新人の教育がなっていないもので」ペコッ

召使「い、いえ……?」

課長「さぁ、受付くん。我々もできることからやっていこうじゃないか!」スクッ

受付「は、はい……」







458以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:31:59.31xtgm9CeD0 (26/34)




――???――



お嬢様(……ここは……どこ……ですか……?)


メラメラメラメラ


お嬢様(ああ、そうでした……屋敷に何者かが侵入したんでした……)

お嬢様(私はみんなを助けるために自室の衣装棚に隠れて機会を伺っていたのです……)


バチバチバチ


お嬢様(部屋を探索しにきた侵入者がこの棚を開けた瞬間、掴みかかり人質にして侵入者を追い払う算段でした……)

お嬢様(ところが……侵入者はこの部屋を探索することがなく……私は極度の緊張と深夜だったということもありうっかり寝てしまったのです)

お嬢様(そしてなにか焦げ臭さを感じて私が目を覚ますと目の前は火の海でした)




459以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:33:42.30xtgm9CeD0 (27/34)




お嬢様「と、扉が開かない!」ガチャガチャ

お嬢様(扉は熱で変形し、私の力では開いてくれませんでした。完全に、閉じ込められてしまったのです)

お嬢様「だ、誰か!!」

お嬢様(助けを呼んでも誰も来ません。それでも私は必死に助けを呼びました……でも)

お嬢様「……け、煙が中に……」ゲホッゴホッ

お嬢様(このまま助けが来なければ死んでしまう。でもこの状況で誰が来てくれると言うのでしょうか……? きっと私はここで死ぬのだろう……そう思いました)

お嬢様「……お父様……お母様……」

お嬢様(あれ? 私はこのまま本当に死んでしまうのでしたっけ?)









お嬢様「……うっ……」

地主「おはようございます、お嬢様。この世の地獄、あるいは天国へようこそ」ニヤッ




460以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:37:58.93xtgm9CeD0 (28/34)


お嬢様「……夢、ですの……?」

地主「どうやら突然のことで混乱しているみたいだな……オラッ! しっかりしろ!」ペシペシ

お嬢様「……うう……」

地主「気分はどうだい? お嬢様?」

お嬢様「……ここは……」

地主「恐れながら俺様のお気に入りの部屋へあなた様をご招待させていただきました」ペコリ

お嬢様「なんですの……この悪趣味な部屋は……」

地主「たくさんの奴隷を飼育しているとよ、自分の立場も理解してねぇクソ生意気な奴がいるもんでね。ここはそういった奴らを改めて教育する場所だよ」ニタッ




461以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:38:42.34xtgm9CeD0 (29/34)


お嬢様「この……」ガチャガチャ

地主「暴れても無駄だ。その鎖は女の力じゃ外れない」ガッ

お嬢様「くっ……その薄汚い手を話しなさい……!!」

地主「また俺の奴隷を勝手に逃がしたな」

お嬢様「私は……この地を預かる……領主の娘として……当然のことをしたまでです!!」

地主「……やっぱり貴族の娘か、どうりで世間を知らねぇわけだ。学校で習わなかったか? 物事にはやっていいことと悪いことがあるって」ギギギ

お嬢様「どの口が……言うのですか……!!」

地主「他のクズみてぇな奴隷はいい。だが『あいつ』だけはやっちゃいけなかった。お前は俺の宝まで逃がしたんだ! どういうことかお前にわかるか!!」

お嬢様「……そんなこと知ったこっちゃないですわ! 私は間違って……いません!!」

地主「なら、俺がお前に現実ってやつをここで叩き込んでやるよ」フフッ

お嬢様「私を……どうするつもりですか……?」

地主「お前も俺が飼育してやるって言ってんだよ。奴隷としてな」ヘッヘッヘ




462以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:44:17.78xtgm9CeD0 (30/34)


お嬢様「なん……ですって……?」

地主「お前がこの部屋を出る頃には俺の言うことをなんでも聞く従順な奴隷になっている。今からそれを……お前の体と心に……たっぷり教えてやるっていうんだよ!!」

お嬢様「そんな……ことをしても……無駄です……うっ」

地主「体に力が入らないだろう? 特殊な薬を使わせてもらった。お前はこの部屋から出られないぞ?」

お嬢様「すぐに……私を……解放きなさい……!! あなたを騎士団に突き出します!!」

地主「おお、怖い怖い。だがその顔がそのうち絶望に変わると思うとゾクゾクするぜ!」

お嬢様「……なにを馬鹿な……ことを!! 私は……」


山賊E(もう二度と俺の前に現れないでください! 迷惑です!!)


お嬢様「……う……あ…」ギュッ

お嬢様「……間違って……いません!!」




463以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:44:55.32xtgm9CeD0 (31/34)


地主「戯言は十分だ。いいか、 俺は今まで多くの奴隷を屈服させてきた。そのお陰で俺の土地はここまで潤い、俺は大金持ちになることができたんだ」

地主「どんな奴も俺に跪く。お前も、例外じゃない」

地主「いずれお前も俺の手足となって働くことに喜びを感じることになるさ」ニタニタ

お嬢様「……ありえ……ませんわ……」

地主「もっとも? お前は肉体労働より、こっちの方が……」サワッ

お嬢様「……恥を知りなさい!!」ペッ

地主「……この!!」バシン

お嬢様「きゃっ……」

地主「生意気な女だ……まぁいい、時間はたっぷりとある……おい」ニヤッ

覆面達「はい」ザッ

地主「まずは少し痛めつけてやれ。こいつに自分の立場をわからせてやるんだ」

覆面「わかりました」スチャッ

地主「それではお嬢様、私は席を外させてもらいますよ。次に来るときはもう少し素直になっておいてくださいね?」

お嬢様「誰があなたなんかに……!!」

地主「……やれ」

覆面達「………」ズラズラズラ

お嬢様「くっ……」







464以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:47:59.31xtgm9CeD0 (32/34)


――更衣室――


山賊E「最低限のものは揃ってるって言ってたけど……」

ズラッ!!

山賊E「まんま俺が使ってた山賊道具じゃないか……ここに来る時に全部押収されたと思ってたのに……課長、とっといてくれてたのか……」

山賊E「山賊七つ道具の一つ目! 潜入用山賊着!!」ババン

山賊E「あ、いや別に誰に言うわけでもないんだけど」ハハッ


シュルシュルシュル


山賊E「まさかもう一度この服を着ることになるなんて思いもしなかったな……でも、これでいいんだよな」


山賊B(……仕方ないって言葉で片付けたら守んなきゃいけない大切なものまで知らないうちに失くしちまうだろ?)


山賊E「仕方ないじゃない……これを仕方ないで片付けちゃったら、俺は俺じゃいられなくなっちゃうと思うから……」


ファサッ……ギュッ


山賊E「よし! 忘れ物は無し、これで準備OKってところかな」

山賊E「みんな……ごめん。俺、もう一回だけ、山賊に戻ります。どうしてもやらなきゃいけないことがあるんで」キッ




山賊E「それじゃ、いってきます!!」ダッ



465以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 21:49:28.78xtgm9CeD0 (33/34)

といったところで今日の投下は以上です!


伸びに伸びてる番外編、正直文量が本編を超えそうです……でもちゃんと終わらせます!!


明日も同じ時間に投下したいと思っています!

それでは今日もお付き合いくださり、ありがとうございました!!


466以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 22:08:27.90+lt4fIeRO (1/1)

山賊Eかっこいい!




467以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 22:20:39.30NsdEysNVO (1/1)




468NR2015/03/07(土) 22:23:41.39xnJTY65AO (1/2)

乙ー。

そろそろ幼女の出番を…

そして課長の正体を…


469以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 22:29:52.09tHB1j4UVo (1/2)



主人公なのに200レス以上出番がない奴がいるらしい


470以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 22:38:46.32z6Kk453W0 (1/1)

一瞬だけイラッってなった気がする俺

乙乙


471以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 22:43:24.73xtgm9CeD0 (34/34)

>>468

こればっかりは本当に申し訳ないです……

幼女出したいんですけどいきなり出すわけにもいかず、しばらく「むい!」ってセリフも書いてないし……話をまとめるのが下手&遅筆な自分が憎い……


472以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 22:46:56.65XF9nvlaBo (1/1)

山賊E、漢やな~


473NR2015/03/07(土) 22:49:20.87xnJTY65AO (2/2)

頭の中で幼女にいじめられる妄想で頑張って乗り切るさ~


474以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/07(土) 22:56:58.30tHB1j4UVo (2/2)

>>470
俺か?
気に障ったなら申し訳ない


475以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 07:39:45.79yXAeqqYDO (1/1)

主人公より主人公らしい山賊Eしゃん
まるでテイルズアビスのガイ様みたいだ…
歴代主人公の技使えるし…


476以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 08:37:19.05pSyRxO2f0 (1/48)

おはようございます、昨日のレスを見ていて思いついた話を突発的に投下します。番外編の流れをぶった斬りますがご了承ください


477以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 08:38:36.58pSyRxO2f0 (2/48)


「幼女は賢くなりました」



――某日、役所待合室にて――





幼女「……むぅ……勉強になる……」

幼女「ヨージョはまたひとつ賢く……なりました!」テレレレテッテッテー

幼女「ムフー!」ドヤッ



勇者「幼女ー!」

幼女「ユーシャ!」ピョンピョン

勇者「ごめんな、幼女。退屈だったろ」

幼女「……お金のためには……必要なこと……でしょ? 大丈夫!」

勇者「なんだろう、物分りが良すぎて逆に罪悪感があるんだけど……」

幼女「チャーハンのためなら………へっちゃらです!」フンス




478以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 08:39:45.49pSyRxO2f0 (3/48)


勇者「悪いなー、俺もできれば働きたいんだけど」

幼女「そんな気なんて……これっぽっちも……無いくせに」ボソッ

勇者「やっぱりなー、幼女には嘘はつけないなー」ワシャワシャ

幼女「むう……いいってことよ!」ビシッ

勇者「本当にどこでそう言う言葉を覚えてるんだよ……」ハァ

幼女「……これ」スッ

勇者「ん? これ辞書か?」

幼女「言葉を覚えたいって言ったら……助手がくれた!」

勇者(機械性なんだからもっとこう、知識をインストールとかそういうのはできないもんなのか? というか子供に辞書渡すって……)

勇者「面白いのか? それ?」

幼女「知識が増えるということは……喜び……」ムフー

勇者「俺にはわからない感情だな……」

幼女「ユーシャにも教えてあげる……ね!」

勇者「ああ、まぁ付き合ってやるか」

幼女「むい! じゃあ……今日覚えたばかりの!」

勇者「お! 聞かせてもらおうか!」

幼女「『番外編』」

勇者「ん? 番外編って物語とかでよくあるあれのことか?」




479以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 08:40:27.13pSyRxO2f0 (4/48)


幼女「今から説明……します! ユーシャは黙って……て!」

勇者「ああ、ごめんごめん」

幼女「物語の本編から逸れた派生的な物語のこと。スピンオフ、外伝とも」

勇者(文字を読むときは途切れたりしないんだな……)

幼女「ユーシャ……知ってた?」キラキラキラ

勇者「そうだな幼女。『本編とは全然関係ない話』のことを番外編って呼ぶんだぞ? 本編に比べたらあんなもの、おまけみたいなもんだ!」

幼女「おまけ!」

勇者「そうおまけ! だから本編の方が偉いし、本編の方がすごい! 番外編は所詮、本編がないと存在できないんだよ! わかってんのか、コラァァ!!」ガー

山賊E「あ、あの勇者様……一応ここ、役所の待合室なんでもうちょっと声絞ってもらっても……」

勇者「おお、ごめんね、仕事の邪魔しちゃって『番外編』君!!」ポンポン

山賊E「あ、いやなんのことかさっぱりなんですけど……」

勇者「あんまり調子に乗んなよ?」ミシミシミシ

山賊E「痛い! 痛いですよ勇者様!!」

幼女「むい?」

勇者「ああ、ごめんな幼女。次の言葉にいこうか」

幼女「うん! ………えっとね……おお、これがいい……かも!!」

勇者「ん? なんだなんだ?」

幼女「ユーシャにぴったりな……言葉!」

山賊E(なんか嫌な予感がする……)ダラダラ

勇者「お、それじゃあ教えてくれるか?」

幼女「『主人公』」

ユーシャ「………」ピキッ




480以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 08:41:38.19pSyRxO2f0 (5/48)

ユーシャ「………」ピキッ→×

勇者「………」ピキッ→○


でした。

では引き続き


481以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 08:42:15.25pSyRxO2f0 (6/48)


幼女「物語のメインとなる役割を持つ人物のこと、基本的に物語はその人物を中心に描かれる。人気も一番高いことが多い」

勇者「………」ピキピキッ

幼女「ユーシャ、知ってた? ねぇ、知ってた?」キラキラキラ

勇者「ああ、幼女。それは知らなかったなー、そうか、主人公ってそんな人のこと言うのかー」アハハ

幼女「主人公……ユーシャにぴったり!」ピョンピョン

勇者「ありがとうな、幼女。俺、嬉しいよ」ナデナデ

幼女「えへへ」

勇者「そうか……」ギロッ

山賊E「あ、あの……勇者様……なぜ先程から俺のこと見て……?」

勇者「そうか……」ジー

山賊E「い、いや、あのなんか怖いんですけど!!」

勇者「いや別になんとも思ってないっすよ?」

山賊E「じゃ、じゃあなんでこっち見てるんですか!?」

勇者「いやぁ、別にー!!!」ガンッ

山賊E「態度悪いな!!」

勇者「ああ、でもなんていうかさー」

山賊E「な、なんですか……?」

勇者「一発殴らせろ」

山賊E「はいぃ!?」




482以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 08:42:49.75pSyRxO2f0 (7/48)


「おら待てコラァ!! 俺は主人公じゃねぇのかコラァ!!」「そんなの知らないですよ!!」「コラ、ふざけてないで仕事しなさい! 勇者様もあんまり騒がないでください!」「うるせぇ! おめぇはいいよなー、平均的に出番あってよー!」「あなたの財布を握っているのは私たちだってこと理解してますか?」「………はい」



幼女「今日も……賢くなりました!」

幼女「もっと色んなこと……知りたいなぁ」


「そんなんだから出番減らされるんですよ!」「……はい」「自分の立場にあぐらをかいているから数々の変人どもに埋もれてしまうんです!」「……おっしゃるとおりです」「私のようにもっと物事に対して貪欲にいかなければなりません!」「……はい」「今を変えていかなければ未来はないんですよ!?」「……はい」「ちょっと聞いてます!?」「はい! ちゃんと聞いてます! 勉強になるっす!!」「まったく……!!」






483以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 08:44:14.51pSyRxO2f0 (8/48)

以上です


早く続き書きやがれって話ですよね、本当に申し訳ありません。でも勇者いじりをしてみたくて……

夜の方もちゃんと通常通りに投下していきますのでよろしくお願いします!

ではありがとうございました!!


484以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 11:27:56.40PX5f97mA0 (1/1)

乙、あと
お嬢様「くっ……その薄汚い手を話しなさい……!!」 じゃなくて
お嬢様「くっ……その薄汚い手を離しなさい……!!」 じゃないすかね、多分
間違ってたらスマソ


485以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 11:38:30.474AsJFssyO (1/2)




486以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 12:54:47.34xptdFdfWO (1/1)

番外編いつまで書いてるんだよ。

いい加減本編かけよそれかもう別スレで番外編書けよ。

どちらも読みますのではよお願いします。


487NR2015/03/08(日) 13:25:24.80DjZ0FqyAO (1/1)

乙ー

久し振りの幼女かわいい


488以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 18:34:43.646WVGLFYUo (1/1)

なんか早いと思ったら、出番が無い勇者がやさぐれてたのか~ww


489以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:30:12.22pSyRxO2f0 (9/48)

こんばんは、今日も番外編投下していきます。自分でもここまで長くなるとは思わなかったので正直申し訳ないです……

あと3日ほどで完結できると思いますので……最後までお付き合いいただけたらと……すみません

それでは今日も少し早いですがよろしくお願いします!!


490以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:31:27.12pSyRxO2f0 (10/48)


――王都 『復興支援大会議』会場―――


「すみませーん、会場で使う椅子の準備をお願いしまーす!」

頭領「へい!」タッタッタッタ

「この資料をそっちに運んでおいてくださーい!」

山賊D「了解っす!」ウォォォォ!!

「来賓の方にお出しするお茶菓子のセットは……」

頭領「ああ、それならもう自分が手配しておきました! もう会場に着いているころだと思いますぜ!」

「あ、ありがとうございます……」

頭領「いやー、流石王都で行う会議だぜ!! 規模が違えな!」

山賊D「も、もう忙しすぎて目が回りますよ、お頭……」

頭領「バカ野郎! そんなんで根をあげてんじゃねぇ!! 俺達は他の皆さんと違って頭の出来が悪ぃんだから体を使わねぇと!」

山賊D(ついてい行くんじゃなかった……)




491以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:33:39.81pSyRxO2f0 (11/48)




ツンツン



山賊D「ん?」

緑髪の少女「やっと見つけたのです!」ビシッ

山賊D「女の子? どうしたんだいお嬢ちゃん? もしかして迷子かな?」

緑髪の少女「君達が噂の山賊なのですね!!」ババーン

山賊D「ちょ!?」バッ

「山賊?」「今誰か山賊って言ったか?」「どうせ空耳だろ」

緑髪の少女「ムー!! ムゥゥゥゥ!!!」

頭領「おい、なにしてやがる!? お前もこっち来て手伝え……って、どうしたんだ?」

山賊D「い、いやなんか迷子みたいなんですけどね……」

緑髪の少女「ムガガガガガ!!!」バシッバシッ

頭領「………離してやれよ。死にそうだぞ」

山賊D「ああ、やべ……」パッ

緑髪の少女「こ、殺す気ですか!?」ゼェゼェ




492以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:34:52.31pSyRxO2f0 (12/48)


頭領「これはすまねぇな! 嬢ちゃん! こいつが失礼なことしちまってよ!」ガハハ

緑髪の少女「まったく、知能指数が低い山賊なのですよ!!」

頭領「!!!」バッ

緑髪の少女「ムー!!」ジタバタ

頭領「お、おい! なんでこの嬢ちゃん、俺たちのこと知ってんだ!?」

山賊D「わかりません! いきなり現れたんで……」

緑髪の少女「ムゥゥゥゥ……」サー

山賊D「そんなことより、お頭……この子顔色変わってきちゃってますよ?」

頭領「ああ、それはまずいな」パッ

緑髪の少女「君達……わざとやってるのですか……? だとしたら許せません……!!」ゼェゼェ




493以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:35:54.64pSyRxO2f0 (13/48)


頭領「ダメだぜ嬢ちゃん、俺たちは山賊から足を洗ったんだ。こんなところで昔のことを喋られたら困るんだ」ヒソッ

緑髪の少女「こんな奴らを雇うなんて、やっぱりあの男が考えていることはまったく理解できないのですよ! この山ぞ……」ムガッ

山賊D「だから! 言わないでって!!」

緑髪の少女「ムー!!………ぷはっ!! いい加減にするのです!!」

山賊D「お嬢ちゃんが人の話を聞かないからでしょ!!」

緑髪の少女「お嬢ちゃんではありません! まったく! 礼儀知らずな輩ですね……!! これだから人間は嫌いなのです!」

頭領「ハッハッハ! おかしな嬢ちゃんだ。なんだい、ママとはぐれちまったのかい?」

緑髪の少女「なっ! よりによって今度は私を子供扱いですか!? 私はただ君達がどんな奴か様子見しにきただけなのです!」

頭領「強がるな、強がるな!」ガッハッハッハ

緑髪の少女「違うのですよー!! 人の話を聞きなさい、愚かな人間ども!!」

山賊D「じゃあ俺、誰か呼んできますよ。このまま放ったらかしじゃかわいそうですし」

緑髪の少女「だーかーらー!!」プンスカ

頭領「ああ、頼む」

山賊D「へい!」タッタッタッタ




494以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:37:08.63pSyRxO2f0 (14/48)


頭領「安心しな、ママはすぐに見つかるからな」ヘヘッ

緑髪の少女「本当に単純な思考をしているのですね……」

頭領「え?」

緑髪の少女「君達は物事を短絡的にしか捉えることができない」

緑髪の少女「『あの時はこうするしかなかった』『生きるためには仕方なかった』……だから自分に罪は無くて自分は許されるべきなんだ………違いますか?」

頭領「………」

緑髪の少女「いくら君達が罪の意識に苛まれ、苦しんだ振りをしたところで君たちに奪われた物や金品、あるいは命、事実は消えてなくなったりはしません。君達の罪は君たちが死ぬその瞬間まで消えてなくなることはないのですよ」

緑髪の少女「自分から更生したと宣言したところで君達の魂は罪で汚れたまま……君達が許されることは永久にない………罪を償う? 笑わせてくれるのです。 『君達は一生罪人ですよ』」ウフフ




495以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:39:00.26pSyRxO2f0 (15/48)


頭領「………痛いところ突くなぁ、嬢ちゃん」

緑髪の少女「事実を言っただけなのです」

頭領「なら、お嬢ちゃんにひとつ聞いてもいいかい?」

緑髪の少女「いいですよ」

頭領「罪人が平和を願っちゃダメかね?」

緑髪の少女「………」

頭領「俺たちがひでぇことした事実は変わんねぇさ、嬢ちゃんには刺激が強すぎて言えねぇことも色々とやってきた」

頭領「でもよ、そんな俺たちを必要だって言ってくれて、手を差し伸べてくれた人が確かにいたんだよ。こんな俺たちの力を貸してくれって言ってくれた人がいたんだ」

頭領「………初めてだったんだよ。山賊を始めてから誰かに必要とされたことなんざ今まで無かったからよ。だから思っちまったんだな、この人たちの力になりてぇ、この人たちが望む未来を作りてぇって」

頭領「そしたら段々俺たちの世界が広がってってよ、あの人たちの夢が今じゃ俺の夢になってんだ」

緑髪の少女「夢……ですか?」

頭領「ああ、でっけえ夢さ。俺たちみたいな半端もんを二度と産まない、そんな優しい世界を作るって夢。『力が全て』なんて世界じゃなくて、誰もが笑って暮らせる世界。夢物語だろうけどよ、いつかそんな世界をこの目で見てみてぇんだ」

緑髪の少女「誰もが笑って暮らせる世界……」ギュッ

頭領「そのためだったら俺はこの命、いつでも賭けてみせるぜ? あいつらもそう思ってくれているはずだしな!」ガッハッハッハッハ

緑髪の少女「……本当に……単純なのですよ」ハァ

頭領「おお、だけど悪くねぇだろ?」ガッハッハッハ

緑髪の少女「……そうですね、悪く、ないのです……」

山賊D「お頭―!!」

頭領「おお、見つかったか?」



緑髪の少女「ならばその夢……叶えてみせるのですよ……」フッ



頭領「え?………おい、嬢ちゃん?」

山賊D「とりあえず知ってそうな人に聞いてみたんですけど、とりあえず設営本部に連れてきてくれって……あれ、あの子は?」

頭領「……消えた……? なんだってんだ? 一体……」





496以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:39:31.75pSyRxO2f0 (16/48)


――地主の屋敷 廊下――



山賊E「これで……よし。開いた!」

ガチャ!

山賊E「山賊七つ道具の二つ目……『鍵開けピック』!!」ババン

山賊E「……周りには誰も……いない……よね?」キョロキョロ

山賊E「どうやら大丈夫そうだ……といっても久々の仕事だから鈍ってるな、スピードも落ちたし……本当はこんな技術必要ないんだけど」ハァ

山賊E「さて、あの子はどこにいるのかな……」ソロリソロリ


ザン!!


山賊E「うわっと!!」ヒラッ

「侵入者……発見……」

山賊E「……もう見つかった……人ん家に忍び込むのとか得意だったんだけどな……」




497以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:40:45.11pSyRxO2f0 (17/48)


「排除……する……」チャキッ

山賊E「……あんまり、手荒なことしたくないんだけど……って」クルッ

「覚悟は……いい……?」

山賊E「なに? その変態みたいな格好……ほとんど裸じゃないか……寒くないの?」

「これが……私の……制服……」ビキニッ

山賊E「こんな小さな女の子にこんな格好させるなんて……あの男、最低だな」

「失礼な………こう見えても18……」

山賊E「え、同い年!? 見えないな……じゃあ君は、ここの奴隷ってことでいいんだよね?」

奴隷戦士「……そう。私はここのご主人様に仕える……奴隷。侵入者は……見つけ次第……殺す……それが……命令……」

山賊E「参ったな……侵入者じゃないって言ったら信じてくれる?」

奴隷戦士「無理……」チャキッ

山賊E「一応、聞くけどその手に持ってる大斧をどうするつもりかな?」

奴隷戦士「……これであなたの……頭を……パッカーンと……割るの……」

山賊E「わぁお、思ってたよりバイオレンス……」




498以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:41:31.77pSyRxO2f0 (18/48)


奴隷戦士「攻撃……開始……」ビュオッ

山賊E「ちょっ!? 速っ!!」

奴隷戦士「……パッカーン……」ブンッ


ドガァァン!!


山賊E「ぎ、ギリギリセーフ……!!」

奴隷戦士「さっさと……死んで……?」

山賊E「その前に目的を果たさないとね!」ダッ

奴隷戦士「……来るの……?」

山賊E(あの大斧、取り回しが難しいはず。ゼロ距離ならこっちにも勝算がある!!)

山賊E「距離を詰めて……!!」

奴隷戦士「……」ヒラッ

山賊E「距離を……!!」

奴隷戦士「……」ヒラッ

山賊E「詰めさせてくれよ! ちくしょう!!」ガンッ




499以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:42:05.15pSyRxO2f0 (19/48)


奴隷戦士「あなたの……考えてること……チョコレートより……甘々……」

山賊E「ですよねぇ……」

奴隷戦士「茶番は……終わり……」チャキッ

山賊E「げっ……」

奴隷戦士「今度こそ……パッカーン……!!」ビュンッ

山賊E「た……タイム!!!」

奴隷戦士「……」ピタッ

山賊E「……ダメ?」

奴隷戦士「ダメ……」

山賊E「ちょ、チョコレートあるよ?」

山賊E(ああ!! 何言ってんだ俺!?)

奴隷戦士「……!!」ピクッ

山賊E(嘘、手応えあり?)

奴隷戦士「そ、そんな嘘に……私は……騙されない……」チラッチラッ

山賊E「う、嘘じゃないって……ほ、ほら!!」スッ

奴隷戦士「………おー」




500以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:42:32.84pSyRxO2f0 (20/48)


山賊E「ほ、ほらどうぞ」

奴隷戦士「…………」クンクン

山賊E(すごい嗅いでる……犬みたい……)

奴隷戦士「本物……?」

山賊E「ほ、本物!」

奴隷戦士「初めて……見た……話には……聞いてたけど……」

山賊E「そ、そうなんだ……」

奴隷戦士「タイムを……許可する……」

山賊E「あ、ありがとう……」

山賊E(残業の時用にお菓子持っててよかったぁぁぁぁああああ!!!)

奴隷戦士「……♪」カサカサ

山賊E(なんか心なしか嬉しそうだ……)

奴隷戦士「………」アーン

パクッ

奴隷戦士「ふぅおおおおおお!!!」

山賊E「お、美味しい?」

奴隷戦士「……こんな美味しいもの……食べたの……初めて……」

山賊E「……そう」




501以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:42:58.57pSyRxO2f0 (21/48)


奴隷戦士「……ありがとう……」

山賊E「じゃ、じゃあ一つ聞いてもいいかな?」

奴隷戦士「許可する……」

山賊E「ここに女の子が連れて来られたと思うんだけど、知らない?」

奴隷戦士「……知らない……ここにはいっぱい奴隷が来るから……」

山賊E「そう……」

奴隷戦士「……ただ……」

山賊E「ただ?」

奴隷戦士「……言うことを聞かない……奴隷は……調教室に……連れて行かれる……」

山賊E「調教室!?」

奴隷戦士「……そこで……ここでの生き方を……徹底的に……叩き込まれる……私も……」

山賊E「そんな……」

奴隷戦士「私も……?……うっ」ズキッ




502以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:43:51.13pSyRxO2f0 (22/48)


山賊E「どうしたの!?」

奴隷戦士「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」ガチガチガチ

山賊「大丈夫!?」

奴隷戦士「言う通りにしますから言う通りにしますから!! 妹だけには手を出さないで!! 妹だけには!!!」ガタガタガタ

山賊E「ちょ、ちょっと!?」

奴隷戦士「いや、いやぁ!!」

奴隷戦士「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

山賊E「おい! しっかりしろ!!」

奴隷戦士「…………」

山賊E「大丈夫……か?」

奴隷戦士「…………」ギロッ

山賊E「!!!」

奴隷戦士「攻撃……再開……!!」

山賊E「……マジかよ!?」

奴隷戦士「!!!」ブォッ

山賊E「――!! 山賊七つ道具の三つ目!! 『煙玉』!!!」


バンッ!! モクモクモク………


山賊E「どうだ!………て、えええ!!??」

奴隷戦士「うぁぁぁぁああああああ!!!!!」ブンッブンッ

山賊E「危なっ!」ヒラッ




503以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:45:43.49pSyRxO2f0 (23/48)


山賊E(視界を奪ったはずなのに……闇雲に大斧を振り回してるだけなのか?)


奴隷戦士「うがぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!!」ブンブンブン


山賊E「ち、違う! あれは闇雲に振り回してるんじゃなくて……斧の回転で煙を……!!」

奴隷戦士「ふん!!」ブォッ

山賊E「煙を払っちゃったよ……この人」

奴隷戦士「……見つけた……」ギロッ

山賊E「ダメだ……これは勝てる相手じゃ無い……こういう時は……」

奴隷戦士「侵入者は……殺す…殺す……殺す殺す殺す殺す殺す殺す……」

山賊E「逃げるしかないでしょぉぉぉぉ!!」ダッ

奴隷戦士「待て!」

山賊E(あの大斧持って追いかけるんだ。逃げ切れる……はず!!)

山賊E「ああもう! 俺は勇者や騎士様じゃないんだって!!」



ダダダダダダダダダダ!!!







504以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:46:15.69pSyRxO2f0 (24/48)


――調教室――


ガチャッ


地主「首尾の方はどうだ?」

覆面「一通り済みました」

地主「それで?」

覆面「依然として反抗的な目を……」

地主「まさか、手加減なんてしてねぇよな?」ギロッ

覆面「め、滅相もありません……」ガタガタガタ

地主「まぁいい、こっからが本番だしな……下がってろ」

覆面達「………」ザッ

地主「……さて、気分の方はどうだい、お嬢様よ?」

お嬢様「……気分? そんなもの身体中のあちこちが痛くて最悪ですわ……!!」ペッ




505以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:47:09.02pSyRxO2f0 (25/48)


地主「女にこの仕打ちはきつかったか? だが悪いな、家畜には身分なんて関係ないんだ。俺は男だろうが女だろうが同じように扱う」ヘッヘッヘ

お嬢様「……今に見てなさい……すぐに誰かが助けに……」

地主「おいおい……助けなんか来るかよ! 仮に来たとしてもうちには優秀な警備の奴隷がいる。 俺のために喜んで命を差し出すような奴隷がな。騎士団が来たところで返り討ちだぜ?」

お嬢様「そんなことを……すれば……法律によって……あなたは罰せられ……」

地主「法律? そんなもんが機能してるところなんて見たことあるか? あいつら公務員はろくに仕事もしねぇ、そのくせ俺たちに税金を納めろと偉そうに言ってきやがる!」

地主「あいつらなんてな! 金を握らせちまえば黙る犬っころなんだよ!!」ガッハッハッハッハ

地主「誰も俺に逆らえない! 奴隷も! 公務員も! そしてお前もだ!!」

地主「たっぷりと……まだまだ時間をかけて……俺好みの奴隷にしてやるよ!!」

お嬢様「くっ……」


お嬢様(誰か……)

山賊E(俺はこの人と結婚する。君とは一緒になれない)

お嬢様「うっ……」ズキッ

お嬢様(こんな時、あの方が来てくださったら……なんて、出来過ぎですわよね……だってあの方にはもう心に決めた人が……)

山賊E(ダメじゃないですか、そんなやんちゃしちゃ)

お嬢様(手、あったかかったな……)グスッ




506以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:48:31.05pSyRxO2f0 (26/48)


地主「おいおい泣いたって無駄だぞ? まだまだ地獄は続くんだ……まぁ、今すぐここで俺に忠誠を誓い、靴でも舐めてくれたら許してやらないこともないけどな?」ククク

お嬢様「誰が……そんなこと……!! 本当に……あなたの……魂は……腐ってます!!」

地主「魂が腐ってる? 面白いことを言うじゃねぇか」

お嬢様「そんなことをし続けて! あなたの良心は痛まないというんですか!」

地主「そんなもの気にしてちゃ、この世界じゃ生きてけないぜ? お嬢様よ!」ケッケッケ

お嬢様「今すぐ悔い改めなさい!! あなたは間違っています!!」

地主「……どうやらお前には厳しい現実ってやつを教えてやらなきゃならないらしいな……おい」ニヤッ

覆面達「はい……」ザッ

お嬢様「現実……?」

地主「お前の目にはこいつらがどう映るんだろうな? ほらよ!」バサッ

覆面達「………」バッ

お嬢様「なにを……?」

地主「さっきからお前を散々痛めつけていたこいつら……どこかで見た顔じゃないかい?」

お嬢様「……あなた達は!!!」

「…………」

お嬢様「私が解放した方達……どうして!!」

地主「昨日のことさ……こいつらはな、帰ってきたんだよ。自らの足でな!!」フッフッフ

地主「そしてこいつらは俺に向かってこう言った! 『なんでもするからここにいさせてくれ』ってなぁ!!」

お嬢様「そ、そんなことありえませんわ! あ、あなたが無理矢理捕まえたのでしょう!?」




507以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:49:12.34pSyRxO2f0 (27/48)


地主「違うね、間違いなくこいつらは自分の意思でここに戻ってきたんだよ!!……いいか、お嬢様よ。奴隷ってのは一人じゃ生きていけねぇのさ。誰かに従い! 踏みにじられ! ゴミのように扱われる! そんな生き方しかこいつらは知らないんだよ!! だからこうして自ら地獄のような場所に戻ってきたんだ! 違うか?」

お嬢様「そ、そんな……じゃ、じゃあ今まで私は……」

地主「そうだ。お前は『助けたと思った奴らに痛めつけられてた』んだよ!」ニヤニヤ

お嬢様「!!!」

地主「なぁ、どうだ、お嬢様よ? 人に隷属することでしか生きられない。差し伸べた手を振り払うどころか、その恩を仇で返す……自分の意思を失ったこいつらの魂こそ『腐ってる』って思わないかい?」

お嬢様「そ、そんなことない……」

地主「ならこいつらの目を見てみろ!助けてくれてありがとうって目をしてるのか? 捕まって申し訳ないって目をしてるか?」

奴隷達「………」ジー

地主「『余計なことをしやがって』って目じゃないか?」ニタァ

お嬢様「……!! そ、それもこれも!! 全部あなたがあの方達を!!」

地主「あいつらをこんな風にしたのは俺だけじゃない! 歴史が! 戦争が! ルールが! そしてなによりこいつらが自分自身を奴隷にしたんだよ!!」

地主「俺はただそれを有効利用しているだけだぜ?」

お嬢様「……う……あ……」ガタガタ




508以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:50:12.79pSyRxO2f0 (28/48)


地主「おい、お前ら! 黙ってないでおなんか言ってやれ! こいつのせいで自分がどんな目にあったのか!!」

奴隷「……ムチで叩かれた……」ボソッ

奴隷「逃げている最中……石を投げられた……」ボソッ

奴隷「一昨日から……なにも……食べていない……」ボソッ

お嬢様「いや……いや……」

奴隷「いっぱい……お仕置きをされた……」

奴隷「……こんなことになるくらいなら……逃げなきゃよかった……」

奴隷「……自由なんていらない……」

お嬢様「やめて……そんなつもりじゃ……」

奴隷「こんなことになったのも……全部お前のせいだ……」

お嬢様「やめて……」

奴隷「そうだ……お前のせいだ……」


「お前のせいだ」「お前のせいだ」「お前のせいだ」「お前のせいだ」「お前のせいだ」「お前のせいだ」「お前のせいだ」「お前のせいだ」


お嬢様「いや……いやぁぁあああああああああ!!!!!」




509以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:50:14.145iOCB6Ts0 (1/2)

支援


510以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:51:09.44pSyRxO2f0 (29/48)


地主「いいか、よく聞け。世間知らずのお嬢様! これが奴隷どもの現実なんだ! こいつらは支配されることを望んでるんだよ! 俺は何一つ悪くない!!」

お嬢様「……それでは……私は……私はなんのために……」

地主「残念だったな! お前のやったことなんて、こいつらにしてみたらただのお節介でしかないんだよ!!!」

お嬢様「……うう……」

お嬢様(本当に……? 本当に……私のやってきたことは……)ガクンッ

地主「……チッ、少しは歯ごたえがあるかと思ったが……あっけないもんだな!! もう心が折れかかってるじゃねぇか!!」ガッ

お嬢様「……あう……!!」

地主「なぁ、もう一度言ってみろよ? 俺が間違ってるってさ。悔い改めなさいって言ってみろよ」グリグリ

お嬢様「…………」

地主「心ここにあらずってやつか……笑えるぜ」カッカッカッカ

地主(没落貴族の娘や潰れた国の姫を従える時……まずやるべきことは『心を壊すこと』……こいつの価値観を徹底的にぶっ壊してやることだ)

地主(他の奴隷は帰ってきたが結局『あいつ』は帰って来なかった……お前の罪は重い……完膚なきまでに壊し、俺の奴隷に作り変えてやるよ……女ぁ!!!)ニタニタ

地主「さぁ、こっからさらに楽しい楽しい調教の時間だぜぇ!!!」




「山賊七つ道具の四つ目! 壁壊し用簡易爆破術式符!!!」





511以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:52:10.15pSyRxO2f0 (30/48)



地主「なにっ!?」


バゴォォォォォォン!!!


地主「か、壁が!!」

パラパラパラ……

山賊E「ゲホッゲホッ……久々に使うと威力の調整がうまくいかない……」

地主「……なんだ!? どうなってやがる!?」

山賊E「いやー、お騒がせしちゃってすみません……こっちもあんまり時間がないもので……って」

お嬢様「…………」

山賊E「……あのー、もしかしてこれっていきなりクライマックスってやつですか?」

地主「なにを訳の分からないことを!! お前は何者だ!?」

山賊E「聞かれて名乗れるほど立派な名前じゃないんだけど……どうも、山賊です」ペコッ

地主「山賊ぅ……!? 山賊が一体なんの用だってんだよ!?」

山賊E「それを聞きます? 山賊に対して」

地主「なんだと!?」



山賊E「山賊ならやることは一つしかねぇだろ! 奪いに来たんだよ、てめぇが持ってるもん根こそぎな!」ババンッ







512以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:54:26.52pSyRxO2f0 (31/48)




地主「なんだと……? たかが山賊が人でなにができるって言うんだ!?」

山賊E「うん、勢いで言っちゃったけど流石に根こそぎ奪うのは無理ですね。あんまり時間も無いし」

地主「人の屋敷を勝手に壊しやがって……お前には死んでもらうしかないようだな」

山賊E「おっとそれは勘弁」ニヤッ

山賊E「なんで、お目当てのお宝だけ勝手にもらってっちゃいますね!」

地主「ぬかせ! 今すぐぶっ殺してやる!」

山賊E「おお怖っ……ってな訳で山賊七つ道具の3つ目『煙玉』!! 本日2発目!!」


パン! モクモクモク


地主「なんだ!? 前が……ええい山賊風情が小賢しい!!」


コソコソ……


地主「お前ら! 手探りでいいからあの男を探し出せ!!」

奴隷達「……は、はい!!」オロオロ

地主「チッ、無能共め……ならば扉だ! 扉を開けて煙を出せ! このままではなにも見えん!」


ガチャガチャガチャ……バンッ


地主「くそ! 警備の奴らはなにをやっていたんだ!!」


スゥゥゥゥ……


地主「これで少しはマシになったか……奴はどこだ!?」

山賊E「ここですよー」ヒラヒラ




513以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:55:04.91pSyRxO2f0 (32/48)


地主「いつの間に!! ……しかもそいつは!?」

山賊E「よかった……普通の人相手だったらまだまだ現役……それで、こっちの様子はっと……?」チラッ

お嬢様「う……あ……」ボソッ

山賊E「おーい?」フリフリ

お嬢様「……いや……いや……いや……」

山賊E「おいあんた、この人になにをしたんだ!?」

地主「別に特別なことなんて何もしていないぜ。俺はただ、このお方に現実を教えてやっただけさ」ニヤニヤ

山賊E「こいつ……!!」

地主「簡単だったぜ? こいつの心を折るのはよ?」ケッケッケ

山賊E「この……!!」


「侵入者……発見……殺します……」ビュオッ


山賊E「げっ、もう見つかったの!?」

奴隷戦士「パッカーン……!!」ブンッ


ドガァァアアアアン!!!





514以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:55:53.24pSyRxO2f0 (33/48)


山賊E「あ、危ないよ!! 女の子がそんな物騒なもの振り回しちゃダメでしょうが!!」

奴隷戦士「いい加減……死んで……?」

地主「貴様、今までなにをしていた!? 侵入者は全て殺せと命じただろうが!!」

奴隷戦士「……ご、ご主人様……!! 申し訳ありません……」

地主「命令を無視して山賊をここまで入れるとは……どうやら貴様の妹がどうなってもいいようだな……」

奴隷戦士「そんな! 妹だけは……どうか妹だけは……!!」

地主「だったらさっさと自分の仕事をしろ! それと女は殺すなよ?」

奴隷戦士「……わかりました……」

山賊E「なんかヤバそうな雰囲気……」

奴隷戦士「……お遊びは……終わり……!!」ゴゴゴゴゴッ



山賊E「やっぱり、ここも逃げるが勝ち……!! 行きますよ!」グイッ

お嬢様「……う……」シーン

山賊E「……ダメか……仕方ない、ちょっと失礼します!!」ヒョイッ

お嬢様「……!」

山賊E「それじゃ、いただくものはいただいたんで俺はこれで!」ペコッ

地主「させるか! おい! やれ!」

奴隷戦士「……はい……!!」ビュンッ

山賊E「あんなのに付き合ってられるか!」ダッ



地主「お前らもなにをしている!? ボケっと突っ立ってないでお前らも追え!!」

奴隷達「は、はいぃぃぃ!!」ダッ

地主「絶対に逃がすな! あの女は必ず俺の奴隷にする!!」





515以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:57:02.89pSyRxO2f0 (34/48)




――???――




お嬢様(これは……先ほどの夢の続き……ですか……?)



お嬢様「もう……ダメ……誰か……」

お嬢様「ゲホッゴホッ……」

お嬢様(煙を吸いすぎて、体に力が入らなくなりました。部屋の中は熱く、容赦なく私の体力を奪っていきます)

お嬢様「……このままじゃ……本当に……」

お嬢様(私の頭の中で明確に『死』という文字が浮かび上がりました。恐怖で体が震え、逃げることもできず、私はただ時が過ぎることを待つしかできませんでした)

お嬢様「誰か!! 誰か!!」ゲホッゴホッ




「……えっと……なんか今声が聞こえたような……あの、もしかして誰かいらっしゃったりとかしちゃいます?」





516以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 20:59:04.34pSyRxO2f0 (35/48)



お嬢様「!!! ここです……!! ここにいます……!!」ゼェゼェ

「声!? そこに誰かいるんですか?」

お嬢様「……衣装棚の中……です……!!

「ほ、本当にいた!? だ、大丈夫ですか!?」

お嬢様「扉が……固くて……出られないのです……」

「わかりました。ちょっと待っててください!」

お嬢様「……はい……」ゲホゲホ

「簡易爆発符は……この距離じゃ危ないよな……ええい、時間が無い!」ギュッ

「くっ……うぉぉぉぉおおおお!!!」


ギギギギギギ……


「ふんぎぎぎぎぎ!!」


ギギギギ……


「開けぇぇぇえええええ!!」


ギギギギギギ……バンッ!!





517以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:00:11.48pSyRxO2f0 (36/48)


「よ、よし……な、なんとか……開いてくれた……!」ゼェゼェ

お嬢様「……ゲホッゴホッ!!」

「達成感に浸ってる場合じゃなかった……えっと大丈夫ですか!?」

お嬢様「……あ、あなたは……?」

「え?……あの、その……あれ、どうしよう……えーと……き、騎士団の特殊救助隊の者です!!」

お嬢様「そうですか……騎士団の……まるで山賊みたいな格好ですね……」

「ギクッ」

お嬢様「?」

「そ、そんなことよりなんでこんな所に!? あたり一面火の海ですよ!?」

お嬢様「ちょっと……屋敷に侵入した不逞の輩に不意打ちをかけてやろうと思いましたら……いつの間に……出られなく……」

「ダメじゃないですか、そんなやんちゃしちゃ……」ハァ

お嬢様「……大きな……お世話です……領主の……娘……ならば……これくらいの……苦境……なんとも……」

「もう大丈夫です」ナデナデ




518以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:01:14.56pSyRxO2f0 (37/48)


お嬢様「……なにを……?」

「俺があなたを助け……痛っ!」

お嬢様「あなた……まさか……素手で扉を……?」

「あ、いやこんなの大したことないですよ。そんなことより、見つけるのが遅くなってすみません。怖かったでしょう?」

お嬢様「……べ、別に……こ……怖くなんて……」ジワッ

「……ごめんなさい。俺たちのせいで……やっぱり、こんなこと……間違ってますよね?」ボソッ

お嬢様「……え…?」

「安心してください。俺がちゃんと外まで連れて行きますから!」

お嬢様「ありがと……お願いしま……」フッ

「え? ちょ、ちょっと!? しっかりしてください!……大丈夫で……」



お嬢様(火の海でそう言ったその人の顔は……意識が朦朧としていたことと黒いマフラーに隠れて……よく……見え……)






519以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:01:54.75pSyRxO2f0 (38/48)


――地主の屋敷の一室――


地主「まだどこかに隠れているはずだ! 探せ! 探せぇぇぇえええ!!」




山賊E「……ここならバレないよな……?」コソッ

山賊E「流石に彼女を背負ったままあの斧から逃げ続けるのは無理があるし……回復するまで様子見するしか無いよね……それにしても」ハァ

山賊E(い、勢いで出てきちゃったけどこの後どうしよう……? とりあえずここに来ればなんとかなるって思ってたからあんんまり深く考えてなかったんだよな……)チラッ

お嬢様「………」

山賊E(なんか、錯乱してたっぽいし、俺の正体が昔家を襲撃した山賊だって知ったらもっと混乱するよな……というか昨日あんなことがあっただけに、公務員として会うのは気まず過ぎるし……)グヌヌ

山賊E(いいや、とりあえず別人ってことにしておこう。顔隠しちゃえば誰かわからないだろうし! あ、でも声で……)


お嬢様「……うっ……」

山賊E「あ、目、覚めました?」

お嬢様「……あな……た?」

山賊E「あ、いや……私はその……違いますよ(裏声)」

お嬢様「?」

山賊E「私は……その……えっと……役所から派遣された捜査官です!!(裏声)」




520以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:02:44.16pSyRxO2f0 (39/48)


お嬢様「……そう、ですか……」シュン

山賊E「はいぃ、そうなんです(裏声)」

お嬢様「捜査官さんはまるで山賊のような格好をされていますのね?」フフッ

山賊E「ギクッ……ええ、潜入捜査なのでこのような格好を……(裏声)」

お嬢様「……なぜかしら、前にもこんな会話をしたことがあるような気がします……」

山賊E「………きっと気のせいですよ(裏声)」フイッ

お嬢様「……そうですか……うっ」


(お前のせいだ)(お前のせいだ)(お前のせいだ)(お前のせいだ)(お前のせいだ)


お嬢様「あ……ああ……いや……いやぁぁぁ……」ガタガタガタ

山賊E「どうしました!?」


(お前のやってることはただのお節介だったんだよ!)


お嬢様「ああ、ごめんなさい、ごめんなさい、私が……私が余計なことを……こんなことなら……こんなことなら!!!」


(もう二度と俺の前に現れないでください!)


お嬢様「いや、いやぁぁぁぁぁああああ!!!」

山賊E「しっかりしてください!」ガッ




521以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:08:33.92pSyRxO2f0 (40/48)


お嬢様「……!! ……あ……すみません、取り乱してしまいまして……」

山賊E「……なにがあったんですか?」

お嬢様「……あなたに尋ねてもいいでしょうか……?」

山賊E「ええ」

お嬢様「……私のしてきたことは……無意味だったのですか……?」

山賊E「はい?」

お嬢様「私は正しい行いをしていると自負していました。でも……それは間違っていたのでしょうか……?」

山賊E「……それは」

お嬢様「違うと言ってくれるのですか!? ではあなたに聞きます! なぜあの方々は自らこの場所へ帰ってきたのです!? なぜ自ら奴隷として生きようとするのですか!?」

山賊E「………」

お嬢様「私にはわからない……あの方達を救う方法が……単純に奴隷としての鎖を解き、自由にすることで救えると思ってた……だけどそれは違ってて……!! 私がやったことはただのお節介で……あの人達にとっては迷惑でしかなくて……!!」

山賊E「………」

山賊E(自分の目の前で辛そうに泣く彼女は……以前のような凛とした彼女では無くて……)

お嬢様「……こんな勘違い女、あの人に見向きもされなくて当然ですわね……私はなにを思い上がっていたのでしょう……本当に自分のことしか考えていない……自己満足の塊、まるで勝手に踊り狂う道化ではありませんか」フフッ

山賊E(今にも自ら崩れ落ちてしまいそうなほどとても、とても小さく見えた)





522以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:09:59.42pSyRxO2f0 (41/48)

すみません訂正です


山賊E(今にも自ら崩れ落ちてしまいそうなほどとても、とても小さく見えた)→×

山賊E(今にも消えてなくなってしまいそうなほどとても、とても小さく見えた)→○


それでは続けていきます





523以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:15:30.08pSyRxO2f0 (42/48)




お嬢様「……もう、どうでもいいですわ……フフッ、いっそのことあの男に屈服して奴隷として生きるのもいいかもしれません」

山賊E「なにを……!!」

お嬢様「わざわざ助けてくれたのに申し訳ないのですけども、もう私のことは放っておいて早く逃げてください。どうせ私はあなたの足手まといになります。私のお節介にあなたが付き合う必要なんてないのですから」

山賊E「……なんでそんなこと言うんですか……」ギリッ

お嬢様「もう疲れました。これ以上、なにも考えたくないのですよ……こんな世間を知らない箱入り娘、いつ死んだって世界にはなんの影響もないはずですし、もう放っておいてください」フフッ

山賊E「そんなことない!!」

お嬢様「だったらなぜあの人は私を騙していたのですか!? だったらなぜあの方たちは私を責めるのですか!? 私は……私はただ正しいことを……したかっただけなのに!! あの人に伝えたいことがあっただけなのに!!」

山賊E「!!!」

お嬢様「だから……もういいのです……私を置いて1人で逃げてください……」フフッ

山賊E(そう言う彼女の目は絶望に染まっていて、このまま消えてしまうんじゃないかと思った)

お嬢様「ああ、良心や世間体が気になると言うのなら家族にこう伝えてください。『私は望んでここにいる』のだと……」ウフフ

山賊E(俺は彼女がこのまま消えてしまいたくないと思ったのか)

山賊E「………」スッ

お嬢様「……なんですか………あ……!!」ヒシッ

山賊E(気が付けば俺は彼女のことを抱きしめていた)




524以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:18:31.72pSyRxO2f0 (43/48)





お嬢様「な、なにを……するのです……?」

山賊E「救うなんて、あなたは何様のつもりですか……?」

お嬢様「………」

山賊E「奴隷全てを救うなんて1人でできるわけないじゃないですか」

お嬢様「そうですわよね……私なんかが……」

山賊E「あなたが言ってることは現実を知らない箱入り娘の綺麗事です。この世界のルールを変えることは並大抵のことじゃない。1人でははっきり言って無理です」

お嬢様「……だからもう放っておいてくださいと何度も……!!」

山賊E「でも!!」

お嬢様「!!!」ビクッ

山賊E「でも、俺がいます」

お嬢様「え?」

山賊E「1人ではできなくても、二人ならできるかもしれない。それがダメなら三人で。そうやって少しずつやっていけばいい。すぐにはできないかもしれないけど、それでも俺はあなたに付き合いますよ」

お嬢様「それは……どういう……」

山賊E「『あなたは間違ってない』」

お嬢様「!!!」

山賊E「大丈夫、誰になんと言われたって俺が何度だってあなたに言ってやりますよ、あなたは間違ってないって!」

お嬢様「ううう……」グスッ

山賊E「だって、この世界は未だに間違え続けたままなのだから!」

お嬢様「!!!」

山賊E「でしょう?」

お嬢様「うあ……」グスッ

山賊E「だからもう、そんなこと言わないでください。お願いします」

お嬢様「うわぁぁぁぁああああ!!!」

山賊E(彼女は大声を上げて泣いていた。俺はそれを聞きながら彼女を抱きしめることしかできなかった)



山賊E(えーっと……敵にバレたらどうしよう……)ドキドキ




525以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:19:12.43pSyRxO2f0 (44/48)






お嬢様「グスッ、グスッ………」

山賊E「落ち着きましたか?」

お嬢様「はい……ありがとうございました……」

山賊E「………」

お嬢様「………」

山賊E(き、気まずい……!!)

山賊E(あああ!! 俺としたことがやっちまったぁぁぁ!! いきなり抱きしめちゃうなんて! しかも昨日思いっきり自分の都合で振った女の子を勢いで抱きしめるなんて!! 俺はなんてことぉぉぉぉ!!! バレた? 絶対バレたよな、だって今の会話自分で正体喋っちゃったみたいなもんじゃん!!)

お嬢様「あの……」

山賊E「はいぃぃ!!」

お嬢様「そろそろ……離してもらっても……」

山賊E「あ、はいそうですね! すみませんでしたなんか!!」




526以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:19:43.42pSyRxO2f0 (45/48)


お嬢様「そういえば捜査官さん、声が若干……」

山賊E「ええ? なんのことですか? 捜査官はわかりませーん(裏声)」

お嬢様「そうですか、知っている人に似ていたので……」

山賊E「あははは……そんなわけないじゃないですかー(裏声)」アタフタ

お嬢様「そうですわよね、あの人のわけないですものね」

山賊E「そうですそうです! 捜査官、嘘つかなーい!!(裏声)」アタフタ

お嬢様「面白い方ですね」フフッ

山賊E(ああ、本当に可愛いなちくしょう!!)グヌヌヌヌ

お嬢様「あの……大丈夫ですか?」

山賊E「大丈夫、大丈夫!! 捜査官、いつだって元気!! ほら、こんなところで逆立ちだってできちゃう!!」ヒョイッ

お嬢様「あまり無理はなさらない方が……」

山賊E「大丈夫大丈夫!!」


ガチャン!


山賊E「え?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


山賊E「どわぁ!!」




527以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:21:54.26pSyRxO2f0 (46/48)


お嬢様「捜査官様!!………これは隠し扉ですか!?」

山賊E「痛てて……どうなってるんだ? 一体?」


「イチャイチャタイムは終わったね」

お嬢様「誰ですの!?」

「あんまり大声出さないで欲しいな、耳に響くの」

山賊E「君は……」

「もう、待ちくたびれたの、具体的に言うと8年2ヶ月と4日と7時間34分56秒も待ったの」

山賊E「なんだって?」

「はじめまして、お兄ちゃん。いや、私たちを救ってくれる人」




528以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:23:49.49pSyRxO2f0 (47/48)

といったところで今日の投下は以上です


明日の投下も同じ時間帯を予定しています!!

なんとしてでも自らが定めた期限内に終わらせるため、今から書き溜め作業に戻ります

今日もお付き合いくださり、ありがとうございました!!


529以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:24:46.415iOCB6Ts0 (2/2)

今日も面白かった。
乙。


530以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 21:29:45.54pSyRxO2f0 (48/48)

>>484
ご指摘ありがとうございます!


>>461


お嬢様「くっ……その薄汚い手を話しなさい……!!」→×

お嬢様「くっ……その薄汚い手を離しなさい……!!」→○

でした、すみません


531以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/08(日) 23:34:55.954AsJFssyO (2/2)




532以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 00:16:10.05UaEt4QQlO (1/1)




533以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 00:18:17.76daPIPlaMo (1/1)

おつぅ


534NR2015/03/09(月) 01:38:47.905xjj7kEAO (1/1)

乙ですー


535以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 01:44:46.55UClMyx0L0 (1/1)




536以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 20:55:59.96tFc05e4g0 (1/9)

こんばんは、今日も投下していきます! 


とにかく頑張ります!!

それでは今日もお付き合いください!!


537以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 20:57:49.93tFc05e4g0 (2/9)





山賊E「檻の中に……女の子?」

お嬢様「あなたもここの奴隷……なのですか?」

「うーん、奴隷って言葉、大っ嫌いだけど、間違いじゃないの。私のことは占い師って呼んでほしいの!」

お嬢様「占い師さん……ですか」

占い師「そう! 占い師さんなの!」ニコッ

お嬢様「はぁ……」

山賊E「それで、君はなんで閉じ込められてるんだ?」

占い師「私ってちょっと特殊な能力の持ち主でね、色んなことが見えるの。それに目をつけたあの男は私の力を独占するためにこの檻で私を閉じ込めてるということなの」

お嬢様「そんなことを……」

占い師「あの男の趣味なの。特殊な力を持った奴隷を集めて自らの利益とする。だから特殊な奴隷は特に重宝されてこんな専用の部屋で監禁されているってわけ。貴族のお姉ちゃんはあいつの一番のお気に入りを逃がしちゃったからあんな目にあったんだよ?」

お嬢様「そうでしたか……」

山賊E「そんなに大切なら逃げられるなよ……」

お嬢様「しかし、このような狭い檻に人間を閉じ込めておくなど許せませんね……!!」

占い師「うーん、倫理観とかを無視するなら間違った方法じゃないと思うけどね、技術や特殊技能を独占できればそれだけ他のライバルより優位に立てるってもんだし。あいつはやり過ぎだけど」

山賊E「それはそうと、色んなことが見えるってどういうことだい?」




538以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 21:00:32.24tFc05e4g0 (3/9)


占い師「説明するの難しいんだけど、例えばお兄さんの過去とかこれから起こる未来のこととかね……断片的にだけど断片的にだけどぼやぼやーっと見えるの……つまりは一種の予言とか透視とかそういった類?」

山賊E「随分とアバウトなんだね……」

占い師「結局、未来なんて移ろいやすいものだから。当たるも八卦、当たらぬも八卦ってね。だから私は占い師なの!」

お嬢様「それでも素晴らしい力ですわ」

山賊E「ええ? 自分から胡散臭いって言ってるのに信じるんですか?」

占い師「うーん、私は私の力を明確に証明する術を持ってないから無理もないの。でもちょっとは信じて欲しいな……『山賊さん』?」

山賊E「うわぁぁぁぁああああ!!!」

お嬢様「え?」

山賊E「なななななな……なんで?」ヒソッ

占い師「だからさっきから見えてるって言ってるのぼやぼやーっとだけどね」

山賊E「仮にそうだとしても……だったらこっちの事情も知ってるでしょう? バレたりしたらどうするんですか?」ヒソッ

占い師「大丈夫大丈夫、あのお嬢様は主人公体質だからどうせ聞こえないの」

山賊E「はぁ!?」

お嬢様「あの……先程からなんの話を?」

占い師「ね? 聞こえてないでしょ?」

山賊E「なんか納得いかねぇ……!!」




539以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 21:11:24.21tFc05e4g0 (4/9)


占い師「まぁ、茶番はこれくらいにしてあんまり時間無いから本題に移りたいんだけどいいかな?」

お嬢様「え、ええ。そうでしたわね」

占い師「私がお兄ちゃんに頼みたいことはひとつだけなの」

山賊E「なにかな?」


占い師「私とお姉ちゃんを自由にしてほしいの」


山賊E「えっと……この檻から出してほしいってこと?」

占い師「それも含めて、かな? 私たちを人間にしてほしいってことなの」

お嬢様「つまり奴隷身分からの解放……ということですね!」

占い師「うん! お願いできるかな?」

お嬢様「ええ、ええ!! もちろんですわ!!」

占い師「貴族のお姉ちゃんならそう言ってくれると思ってたの!!」




540以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 21:12:10.10tFc05e4g0 (5/9)


お嬢様「それでお姉さんはどちらに?」

山賊E「別の部屋に捕まってるのか?」

占い師「あれ? お兄ちゃんはここに来てから何度も合ってると思うけど?」

山賊E「……まさか」タラー

占い師「うん、そのまさかなの」

山賊E「いや、無理でしょ」アハハ

占い師「でも、そうしないと私もお兄ちゃん達もここから出られないんじゃない?」

山賊E「確かにそうだけど……あれと戦うのは……」

占い師「ちなみに私を無視して脱出しようとした場合のお兄ちゃんたちの悲惨な未来、聞きたい?」

山賊E「え」




541以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 21:19:56.87tFc05e4g0 (6/9)


お嬢様「一応、聞いておきましょうか」

占い師「まず、お兄ちゃんは逃げているところをお姉ちゃんにパッカーンされるの! まさに瞬殺って感じだね!」

山賊E「ええ……?」

占い師「このチャンスを逃せばもちろん私はこの部屋から一生出られないし、貴族のお姉ちゃんは……あ」

お嬢様「な、なんですか!?」

占い師「今の無しなの……世の中には知らないこともあるの!」

お嬢様「そう言われると気になるでしょう!? ちゃんと教えてください!!」

占い師「あくまでも占いだからね? 気分を悪くしないで欲しいの」

お嬢様「そこまで前置きされたら余計気になるではないですか!」

占い師「えーっと……その……グチャグチャ……なの」

お嬢様「グチャグチャ……?」ゾッ

山賊E「そのグチャグチャっていうのは精神的な意味で……? それとも……」

占い師「いやどっちもなの」

山賊E「どっちも!?」

お嬢様「なんとしてでもお姉さんを助けましょう!」

山賊E「なんかこの子に脅されてるだけな気がするんだけど……」

占い師「占い師は嘘をつかないの! ただ言ったことがたまに外れちゃうだけなの!」

山賊E「それじゃダメだろ!!」




542以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 21:20:52.65tFc05e4g0 (7/9)


占い師「お願いお兄ちゃん! 私にとってこれが最後のチャンスなの! お姉ちゃんを助けて!!」

山賊E「……そんなこと言われちゃったら断れないじゃないか」ハァ

占い師「うふふ、ありがと! お兄ちゃん!」

山賊E「なんでこんな目に……」

占い師「もうちょっとでお姉ちゃんが来ると思うから頑張ってね?」

お嬢様「それも透視の力というものですか?」

占い師「まぁ、そんなところなの!」フンス

山賊E「………は? え、もう!?……あのちょっと待って……」

占い師「グッドラック!!」グッ

山賊E「いや、檻の中からそんないい顔で親指立てられましても!!」

お嬢様「どうやら私たちはやるしかないみたいですわよ?」フフフ

山賊E「まぁ、頭をパッカーンは勘弁してもらいたいところですからね……」

お嬢様「それに、助けを求めている人を無視するなんて私にはできませんわ」

山賊E「でしょうね」

お嬢様「私はやっぱり納得なんて出来ません。あの男がやっていることはとても酷いこと。人が人を支配する世界なんておかしいと思うのです……これがこの世界の現実だと言うのなら、私はその現実と徹底的に戦います………私の考えは間違っているでしょうか?」

山賊E「………その質問は卑怯ですよ」

お嬢様「いいではありませんか。これは信頼関係の表れです。私は間違っていますか? あ・な・た?」フフッ




山賊E「………」

山賊E「………」

山賊E「………え?」




543以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 21:25:46.33tFc05e4g0 (8/9)


お嬢様「どうしました? あなた?」クスッ

山賊E「…………あの………いつから気づいていたんですか」ダラダラダラ

お嬢様「バレてないと思ってたんですの? 嫁入り前の娘をあんなに力強く抱きしめておいて」ジトー

山賊E「いや、あれはその流れでつい……」

お嬢様「それで、顔を隠しておけばなんとかなると?」

山賊E「……いつものパターンならいけるかなと……本当にすみません……」シュルシュル

お嬢様「私をなめないでください! 顔なんて見えなくても、あなただってことくらいわかります!」シャー

山賊E「その、なんていうか……昨日はすみませんでした……」

お嬢様「詳しいことは今は聞きません。でもこれだけは言わせてください」

山賊E「はい?」

お嬢様「………助けに来てくれて本当に嬉しかったです」

山賊E「………はい」

お嬢様「さぁ、あなた。もう一度改めて聞きます! 『私は間違っていますか?』」

山賊E「間違ってない!」

お嬢様「よろしい。ならば共にお姉さんを開放しましょう!! あの男にぎゃふんと言わせてやります!!」

山賊E「ぎゃふんって……そういえばこれから戦闘とかになると思うんですけど大丈夫なんですか?」

お嬢様「昔、うちの家庭教師に少しだけ剣術を教えてもらったことがあります!」フンス

山賊E「無いんですね……」ハァ

お嬢様「でも筋はいいと褒められましたわよ!?」

山賊E「そうですか……」

占い師「もう! 長々とイチャイチャしている場合じゃないよ!! もうそこまで来てるの! ちゃんと避けないと体が真っ二つになっちゃうから気をつけてね!」


ダダダダダダダダッ


山賊E「物騒なこと言わないでくださいよ!!」チャキッ



「はああああああ!!!」ブォッ


ドガァァァン!!!





544以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 21:26:54.51tFc05e4g0 (9/9)

といったところでごめんなさい、今日はここまでです……


なんとか、なんとか早急に終わらせるべく頑張りますのでよろしくお願いします!!


明日も同じ時間帯に投下します

今日もありがとうございました!!


545以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 21:36:51.10TMFUiIvL0 (1/1)

きたきた~!
乙さまです!
ばれますよね、というかばれないとつまんない!
と思っていたのでにまにましています。
がんばれ山賊!


546以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/09(月) 22:36:42.44Cck8Rrp90 (1/1)




547以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 00:36:44.99HvzPcAfTO (1/1)

ガオッシュ乙


548以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 01:20:08.858HYf4Q79O (1/1)

スレタイの「ムイッ」って、キモいけどどういう意味?


549以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 14:14:12.56sc0tY+C70 (1/1)

548コメ 貴様…あの子をキモいとか言うなや…


550以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 20:45:40.45B1VT4qg+O (1/1)

>>549
安価覚えようぜ!まとめから来たのかな?



551以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:09:42.37RlWdfvRo0 (1/18)

こんばんは、少し遅くなりましたが今日も投下していきたいと思います


投下の前に本編の後編は番外編がどうなろうと来週月曜日から新スレにて投下しますのでよろしくお願いします!

お待たせしてしまい申し訳ありませんでした

その間に番外編を終わらせるべく頑張っているのですが明日で終わりそうに無く……
できる限り急いで書いてますので最後までお付き合いしていただけたらなと……

自分で設定した締切じゃあまりにも考えが甘くって……情けない


それでは今日もよろしくお願いします!!


552以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:12:56.58RlWdfvRo0 (2/18)


奴隷戦士「……妹……今助けるから……!!」ユラァ

占い師「お姉ちゃん!!」

山賊E「クソ、相変わらずデタラメな威力だな!!」

奴隷戦士「死んで……!!」ブンッ

山賊E「し、死ぬ!!」ヒラッ

占い師「お姉ちゃん! ダメ!!」

奴隷戦士「……すぐに……お姉ちゃんが……助けてあげるからね……!!」ブンッブンッ

山賊E「このままじゃ本当に頭パッカーンになっちゃうぅぅ……!!」ヒラッ

お嬢様「あなた!」ダッ

山賊E「来ちゃダメです!! 死にますよ!!」

お嬢様「ですが……!!」

占い師「お姉ちゃん、私は大丈夫なの!! だから話を聞いてよ!!」

奴隷戦士「……妹は……私が……守る!!」グワァ

山賊E「や、やばい!!」

占い師「お姉ちゃん!!」



奴隷戦士「『壊転』!!!」



ブンッブンッブンッブンブンブンブン……


山賊E「人間扇風機かよ!?」



ザンッ!!


山賊E「うわぁぁぁぁぁああああ!!」


553以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:15:38.06RlWdfvRo0 (3/18)


お嬢様「あなた!!!」

奴隷戦士「侵入者は……全て……殺す……!!」ブンブンブンブン

山賊E「し、死ぬ……これは本当に死ぬぅぅぅ!!!」



ガキィィィン!!


奴隷戦士「!!!」

お嬢様「斧が壁に!!」

山賊E「止まった!」

奴隷戦士「………!!」グイグイ

山賊E「今がチャンス!! 七つ道具5つ目! 拘束用粘着ネット!!」バサッ

奴隷戦士「!?」ジタバタ

山賊E「どうだ! これで身動き取れないはず!! おとなしく投降しろ!!」

奴隷戦士「……ベトベト……いや……!!」ジタバタ

お嬢様「あの……どこでそんなものを売ってるんですか……?」

山賊E「俺、血が苦手ですから……こういう戦い方しかできなくって……」アハハ

占い師「二人とも! まだ終わりじゃないの!!」




554以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:16:07.76RlWdfvRo0 (4/18)


山賊E「何言ってるんだよ。刃物で切らない限りあの網は……」

奴隷戦士「ベトベト……いや……!!」ガチャン

山賊E「斧の柄が……外れた……!?」

お嬢様「中から剣が!?」

奴隷戦士「……スッパーン……」


シュパパパパパ!! パサッ


奴隷戦士「……食べたことあるからわかる……」

奴隷戦士「……やっぱり……君は……チョコレートより甘々……」

山賊E「ひ、卑怯だよそれは!!」





555以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:17:18.21RlWdfvRo0 (5/18)




占い師「お姉ちゃん、違うの! この人達は私たちを助けてくれる人なんだよ!!」

奴隷戦士「……待っててね……すぐにお姉ちゃんが助けてあげるから……」チャキッ

占い師「話を聞いて、お姉ちゃん!!」


カツカツカツ………


「おいおい……こんなところにいたのか……お前ら」ニヤリ

山賊E「ああもう!! 次から次に面倒だな!!」ハァ

地主「……まさかここの隠し部屋をみつけるとはな……道理で中々見つからねぇ訳だ。占い師、お前が呼んだのか?」

占い師「私は運命に身を任せただけなの」

地主「ご自慢の透視能力か、能力で見たものは全て俺に伝えろと命令したはずだが?」

占い師「教えるわけないの。なんも知らないあんたが破滅するところを見たかったんだもん」

地主「破滅!? この俺が? おいおい随分と物騒な未来を占ってくれるじゃねぇか!」ケッケッケ

占い師「……いい加減、お姉ちゃんを奴隷身分から解放して。あんたには私の力で十分すぎるくらい儲けさせてやったはずでしょ」

地主「奴隷ごときがこの俺に意見か? いつからそんなに偉くなったんだ? お前は? ええ?」

お嬢様「……占い師さんはあなたと同じ人間……そこに優劣などありませんわ!!」ザッ

山賊E「ちょっと! 前に出たら危ないですって!」

地主「おお? これはこれはお嬢様、ちょっと見ない間に随分とお元気になりましたね? さっきまでは心が折れかかっていたのに」

お嬢様「ええ、なにせ私はもう1人ではありませんから。私には一緒に歩いてくれる人がいるのです!! 例え箱入り娘のお節介だったとしても、私は私の信念で世界の過ちをを正します!!」

山賊E「ってなわけですよ。この人はあんたの奴隷に堕ちるような人じゃない。残念でしたね」

地主「お前、この女になにか吹き込んだのか?」

山賊E「いいえ、俺はただ、『事実』を教えてあげただけですよ」ニヤッ




556以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:17:45.09RlWdfvRo0 (6/18)


地主「チッ、余計なことを……また調教のし直しかよ、めんどくせえ……こりゃお嬢様も占い師も共々調教してやらなきゃな!!」

奴隷戦士「!!! やめてください……!! 話が違います……!! 妹のオシオキは全て私が……!!!」

地主「うるせぇ!!」バシン

奴隷戦士「うっ……」

占い師「お姉ちゃん!!」

地主「俺は! お前らの!! なんだ!?」

奴隷戦士「ごめんなさいごめんなさい……」

地主「何年も俺に飼われていて! まだ主人に対する礼儀がなって! ねぇのか!?」バシンバシン

奴隷戦士「許してください許してください……」

地主「余計な仕事を増やしやがって!! こうなったのも元はと言えばお前が! この男の侵入を許したせいだろうが!」バシンバシン

奴隷戦士「許してください許してください許してください」

占い師「やめるの!! お姉ちゃんはなにも悪くないの!!」

地主「いいや、やめてやらねぇよ! これはこいつとの約束だからな。やめるわけにはいかねぇ!!」

奴隷戦士「妹……お姉ちゃんは……大丈夫……だから……気にしないで……ね?」

占い師「お姉ちゃん……」

地主「お前には見えてるよなぁ……俺がこいつとどんな約束をしたのかをよ?」

山賊E「約束って……?」

占い師「私の分のお仕置きは全部お姉ちゃんが肩代わりするってやつでしょ」

お嬢様「それではあの方は……」

占い師「うん。私に何もしない代わりにこいつはお姉ちゃんをいっぱい虐めてるんだよ。私が協力しなかったらお姉ちゃんがもっと虐められる……だから私はこいつの言う通りに力を使うしかなかったの」




557以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:18:12.17RlWdfvRo0 (7/18)


地主「お前の透視の力のお陰で、俺は随分といい思いをさせてもらったぜ? 商人貴族様もこの農場の成功を喜んでくださった!」

お嬢様「商人貴族……!? あの方も絡んでいると言うのですか!?」

地主「ああ、もちろんそうさ。あのお方は奴隷を使ったビジネスが得意でね。その手腕でここの奴隷農場はもちろんのこと東のコロシアムに奴隷市場も大盛況ってやつだ!」

地主「まったく奴隷商売ってのはボロい商売だな! 各国でかき集められた魔王軍によって親を殺されたガキや亡国の人間どもを集めて奴隷として再教育し、他の国の奴らに売ったり、見世物にしたりする! うまく躾ければ主人の言うことはなんでも聞くし、飼うにしたって水とクソみてえな残飯やってればいいから安上がりってもんだ! 」

地主「まさにこの世界は奴隷をうまく扱える俺みたいな支配者によって支えられている! お前らが今までに口にしてきたものも全て! 奴隷達が汗水たらして作ったものかもしれないぜ?」

山賊E「随分と大きい話になっちゃったな……」

占い師「あんたやっぱり最低だよ。反吐が出るの」

地主「ほう、姉との件をを理解した上でまだ歯向かうってのか? お姉ちゃんがどうなってもいいのかよ?」ケケケ

奴隷戦士「……許してください許してください……」ブツブツブツ

占い師「これ以上お姉ちゃんを傷つけることは許さないの。このゲス野郎」

地主「……どうやら占い師さんはお仲間を得て随分と強気になっているらしい……おい、わかってるな?」

奴隷戦士「はい……」

地主「男は確実に殺せ。それとあの女も腕の一本くらいは構わない。言う通りにすれば俺に何度も無礼を働いたお前の妹を特別に許してやる。特別にな」

奴隷戦士「……それは……本当……ですか……?」

地主「ああ、一切危害は加えない。俺は優しい主人だろう?」

奴隷戦士「……ありがとうございます……」




558以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:18:55.30RlWdfvRo0 (8/18)



山賊E「なぁ、占い師」

占い師「なーに? 今私、腸煮えくり返りそうなんだけど?」

山賊E「ちょっと確認しておきたくてですね」

占い師「どうせ透視でお姉ちゃんの動きを教えて欲しいとかそういう類の話でしょ?」

山賊E「そう………できる?」

占い師「できないの」

山賊E「え? でも未来が見えるんでしょ?」

占い師「いくら未来が見えてもそれは断片的なものでしかないの。私が見えているのは、『あなたがお姉ちゃんを助ける可能性』と『あなたの頭がパッカーンしている可能性』という結果の二つだけ。お姉ちゃんの動きを逐一読み取るのは無理だよ」

山賊E「じゃ、じゃあどうすればいいのさ!?」

占い師「力なんかに頼ってちゃ人間ダメになるよ?」

山賊E「もしかして自力で勝てってこと?」

占い師「うん!!」ニコッ

山賊E「いい笑顔だな畜生!」ガンッ

お嬢様「仕方ありませんね、ここは私が……!!」

山賊E・占い師「下がっててください」「下がってるの」


お嬢様「はい……」シュン

山賊E「いや、でも……」

山賊E(本当にどうしよう……)ズーン




559以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:19:46.56RlWdfvRo0 (9/18)




地主「さぁ、さっさとあの目障りな奴らに現実ってやつを思い知らせてやれ! 奴隷戦士!」

奴隷戦士「………悪く……思わないで……!!」ビュンッ

山賊E「ええい、やるっきゃない!!」

山賊E「七つ道具の六つ目!! 『戦闘用・脅迫用の剣』!!」チャキッ

お嬢様「脅迫用!?」

山賊E「あ、いや……致し方ない場合だけですよ?」

占い師「アホみたいなことやってる場合じゃないの! 来るよ!!」

山賊E「うおっと!!」ザッ


ガキィィン!!


奴隷戦士「……そんななまくらで勝てると思ってる……?」ギリギリギリ

山賊E「思ってない……けどさ!!……君が俺ら側についてくれれば……この場を乗り切れる……と思うんだけど……どうかな?」

奴隷戦士「……それは……無理……」

お嬢様「なぜですか!? 占い師さんは私たちに自由になりたいと訴えてくれました! あなたもそうでしょう!?」

奴隷戦士「……妹はなにも知らないから……そんなことは絵空事だって……!!」ブンッ

山賊E「んぎぎぎぎ……!!」ギリギリギリ

山賊E(こんな小さな体のどこに……そんな力があるんだよ!!)

奴隷戦士「……自由になったところで……私達が奴隷とわかったら……お前たち人間は直ぐに手のひらを返す……!!」




560以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:21:15.00RlWdfvRo0 (10/18)


お嬢様「そんなことありません!!」

奴隷戦士「嘘だ!!」グンッ

山賊E「うお!?」

山賊E(さらに力が強く……!!)

奴隷戦士「希望なんて持ったってなんの意味もない! どうせ裏切られるくらいなら最初から諦めてた方が……傷つかなくて済む!!」

お嬢様「……!!!」

奴隷戦士「私は……妹が無事なら……それでいいの……私はどうなってもいい!! 私のことは放っておいて!!」

占い師「放っておけないの! お姉ちゃんも一緒に自由になるの!」

奴隷戦士「……自由になって……どこへ行くって言うの……? また捕まって……別の人の奴隷になるの……?」

占い師「お姉ちゃん……」

奴隷戦士「わかってよ……妹……私の力じゃ……これが精一杯なんだよ……次のご主人様のところでは……あなたを守れないかもしれない……そうなってしまったら……私の……私の今まではなんだったっていうの……?」ギリギリギリ

山賊E「くっ……!!! あ、あのそろそろ厳しいんですけど……!!」プルプルプル

お嬢様「もうちょっと……もうちょっとだけ彼女と話を……お願いします」

山賊E「……りょーかい……」プルプルプル

お嬢様「お姉さん……剣を納めてください。私たちには戦う理由など無いはずです!!」

奴隷戦士「……理由? ……理由ならある……お前たちのせいで妹が傷つくかもしれない……私にはそれが耐えられない!!」

地主「そうだ、奴隷戦士。お前が俺の言うとおりにしなければお前の妹を痛めつけてやる……生まれてきたことを後悔させてやるくらいにな!!」ニタァ

奴隷戦士「だから私は戦う……それ以上……理由なんて必要ない……!!」ギギギギギッ

山賊E「くぅ……」

お嬢様「お願いです! お姉さん! 止まってください! 妹さんもそれを望んでいます! もちろん私だって!!」

奴隷戦士「黙れ!! 貴族のあなたに……私たちのなにがわかるっていうの……? 知ったような口聞かないで!!」

地主「いつまでもごちゃごちゃと……耳を貸すなよ、奴隷戦士。早く奴らを黙らせろ!!」

奴隷戦士「……はい」ギギギ

山賊E「流石に……もう……限界……」プルプル




561以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:21:50.22RlWdfvRo0 (11/18)


奴隷戦士「私たち奴隷はこうするしかないの! 誰かに従って虐められて……それでも仕方ないって諦めるしかないの! それが奴隷なの! この世界に奴隷の居場所なんてないんだ!!!」

山賊E「……『仕方ないって諦めてたらいつの間にか大事なもんまで失くしちまう』……」ギリギリギリ

奴隷戦士「……え?」

山賊E「……仲間が俺に言ってくれた言葉……なんだ……」

山賊E「俺もさ、人には言えないことばっかりやってきた……生きるために仕方ないって……この世界に俺みたいな奴の居場所なんてないって……でも!!」

山賊E「仕方ないって言葉で片付けちゃういけないもんだってあるんだよ!!」グググッ

奴隷戦士「……そんなの……綺麗事……!!」

山賊E「ああ……綺麗事だよ。綺麗事だけど……あの人はそんな綺麗事を現実にしたいって本気で思ってる!」

お嬢様「……この世界にあなたの居場所がないのなら……私がなります……! だからもう全てを諦めたりしないで……私と、共に歩いてくれませんか!? この世界を変えるために!!」

奴隷戦士「!!!」




562以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:22:25.52RlWdfvRo0 (12/18)


地主「なにをしている奴隷戦士!! さっさとやれ!!」

奴隷戦士「……あなたが……私の居場所……?」スッ

奴隷戦士「……本当……?」

地主「おい! どうした!?」

お嬢様「あら? この私を疑うって言うんですの? 私は宣言したことはちゃんと守りますわ! 私自身の誇りにかけて!」フフン

山賊E「この人はとてもしつこいよ? 身を以て体験した俺が言うんだ……間違いない」

奴隷戦士「…………」

地主「どうした! 早く殺せ! 妹がどうなってもいいのか!?」

奴隷戦士「……あ、あう……」ウツムキ

占い師「お姉ちゃん、この人たちなら大丈夫だよ……? 信じてあげて?」

奴隷戦士「……妹……」

占い師「お姉ちゃんがこれ以上傷つくの、私見てられないの……」

奴隷戦士「妹……」

地主「早く殺せ! お前は俺の奴隷だろう!! ええ!?」

奴隷戦士「そう……私は……ご主人様の……奴隷……」

地主「そうだ! お前は一生! 俺の奴隷なんだよ!!」




563以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:23:41.74RlWdfvRo0 (13/18)


お嬢様「違いますわ!! あなたは人間です!! 私たちと何一つ変わらない人間なんです!!」

奴隷戦士「………うう」

地主「黙れ!!」

お嬢様「黙りません!! 私は何度だって言います!! あなたは奴隷なんかじゃない!! 『あなたは人間なんです』!!」

奴隷戦士「うう……うああああああああああああああああああ!!!」

お嬢様「世界に絶望なんてしないで! 諦めたりなんかしないで!! お願いです!!」

地主「もういい! 殺せ! うるさいあの女の口を塞ぐんだ!!」

奴隷戦士「………」

地主「どうした? なにをしている?」

奴隷戦士「………で……でき……ません……」

地主「なんだと?」

奴隷戦士「私には……できません……」カランカラン

奴隷戦士「私には……この人達を……殺すことは……できません……」

地主「貴様……!!」




お嬢様「信じてくれて……ありがとうございます」

奴隷戦士「ううう……ごめんなさい……ごめんなさい」シクシク

地主「くっ……この……女ぁぁぁあああ!!」

奴隷戦士「ごめんなさい……ごめんなさい……」





564以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:25:36.08RlWdfvRo0 (14/18)


―――――




占い師「……これで第一段階はクリアなの」

占い師「……私が見た未来が正しければ……ほら……この檻も開いてるの」ガチャン

占い師「……流石お姉ちゃん、さっきのひと暴れの衝撃で檻の鍵もいかれちゃったんだね……」フフッ

占い師「大丈夫……覚悟はできてるの……これが……私の選んだ未来」

占い師「今までごめんね、お姉ちゃん。だけどもう大丈夫なの……私がお姉ちゃんを自由にしてあげるの」

占い師「お姉ちゃんが自由になること。それが私の……救いだから」

占い師「悲しまないでお姉ちゃん……涙なんてすぐに乾くから……ね?」

占い師「お姉ちゃんには……笑っててほしいなぁ……」



565以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:32:55.68RlWdfvRo0 (15/18)


―――――



お嬢様「さぁ! 諦めて私たちを解放しなさい! もちろんこの2人もです!!」

地主「ああん?」ギロッ

奴隷戦士「ごめんなさい……ごめんなさい……」ブルブル

山賊E「あなたには誘拐の疑いと奴隷不法所持という条例違反の疑いがある。覚悟はいいな?」

山賊E(まぁ、俺も不法侵入だけど……)

地主「どいつもこいつも……使えねぇな……!!」ガンッ

奴隷戦士「ひっ!」

お嬢様「やめなさい! あなたもこれで分かったでしょう! この世界に奴隷など必要ないのだと!」

地主「一々うるせえ女だな! 綺麗事ばっか並べやがって! 虫酸が走る!!」

山賊E「お前を騎士団に身柄を引き渡す。誘拐は立派な犯罪だ。腰の重い騎士団でも無視はできない。占い師の言った通り、お前は破滅だよ」

地主「俺が……破滅ぅ?」ケッケッケッケ

お嬢様「なにがおかしいと言うのですか!?」

地主「お前ら、なんか勘違いしちゃいねぇか? 誰が『警備はこいつ1人』だって言った?」

山賊E「……勢いでなんとかなると思ったけど……やっぱりそこまで上手くはいかないよな」ハァ




566以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:33:40.53RlWdfvRo0 (16/18)


地主「お前ら殺しちまえばあとはどうとにでもできるんだよ!」

お嬢様「……あなたは……どこまで腐っているのですか!!」

地主「もうすぐこいつ以上の力を持った奴隷達が騒ぎを聞きつけて集まってくるはずだ。お前らなんて一分も持たないだろうな!」カッカッカ

山賊E「流石にあの子以上ってなると厳しいな……」

地主「いくら頑張ってもお前らはここから出られないんだよ! 楽しみだぜ! お前らが血祭りにされるところを見るのはよ!!」カッカッカッカ

山賊E「この下衆が……」ギリッ

お嬢様「改めて最低のクズ野郎ですわ…・…!!」

地主「おっとそういえば忘れてたことがひとつあったんだった!!」

山賊E「忘れていたこと?」

地主「喜べ! ここでお前らにクイズだ!!」

お嬢様「こんな時に……なにを考えているのです?」

地主「まぁまぁ、付き合えよ。どうせお前らは死ぬんだ。ちょっとした余興じゃねぇか!」カッカッカ

地主「問題です。『価値の無くなった奴隷はどうなるでしょうか?』」

奴隷戦士「…!!」ビクッ




567以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:34:30.09RlWdfvRo0 (17/18)


山賊E「なんだって?」

地主「わからねぇか? わからねぇよな?」

お嬢様「なにを考えて……」

地主「奴隷を飼うのも維持費って奴がかかる。もっとも、飯代だけ出してりゃいいから人間雇うよりよっぽど安上がりだがそれでも出費は出費だ」チャキッ

奴隷戦士「……や、やめて……」

地主「そういう時はどっかに売っ払うか買い手が見つからない時は……」ギランッ

山賊E「ま、まさか……!!」

お嬢様「やめなさい!!」

地主「こうやって……処分しちまうのさ!!」ブンッ

山賊E「やめろ!!!」

奴隷戦士「………」ギュッ


ザンッ!!







568以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:35:43.98RlWdfvRo0 (18/18)

と……とりあえず今日の投下は以上です!!


明日も同じ時間帯に……


それではちょっと書きに戻ります



今日もお付き合いくださりありがとうございました!!


569以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:40:17.6799+H2AbAO (1/1)




570以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 21:53:38.69etllptDRo (1/1)




571以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/10(火) 22:59:26.20Xmf6FIluO (1/1)




572>>4702015/03/11(水) 00:35:14.47M7VWmNoP0 (1/1)



>>474
ああ違うんだ!キャラクターに感情移入して、
俺「地主ムカつくなぁ···」ってなってたんだ、すまん。



573NR2015/03/11(水) 02:51:04.85aqMDocWAO (1/2)

乙ー


574以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:12:21.38HJUa6HnE0 (1/17)

こんばんは、今日も投下していきたいと思います

よろしくお願いします!!


575以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:14:03.06HJUa6HnE0 (2/17)





占い師「…………」


ポタ………ポタ……


奴隷戦士「え?」

山賊E「占い師!!」

お嬢様「占い師さん!!」

山賊E「い、妹……?」

占い師「お姉ちゃん……今まで……ごめんね……?」



ドサッ



奴隷戦士「いやぁぁぁぁああああああ!!!!」






576以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:14:50.33HJUa6HnE0 (3/17)



地主「占い師!? 貴様……!!」

占い師「……へへ……これ以上……お姉ちゃんをいじめさせないの……!!」ポタポタ

奴隷戦士「……なんで……? ……なんで!!」

占い師「お姉ちゃん……今までごめんなさい……でももうこれで大丈夫なの……私……お姉ちゃんには……自分の未来を……生きてほしいって思うから……」

奴隷戦士「そんな……そんなこと言わないでよ……私……私あなたがいないと……そんな……いや……いや……!!」

山賊E「しっかりしろ! 占い師!!」

お嬢様「こ、これで血を!!」ビリッ

奴隷戦士「う、うん!」

山賊E「血……」クラッ

お嬢様「あなた!?」

占い師(お願い! これが私にとって最後のチャンスなの!)

山賊E「ダメだ!! こんな時にぶっ倒れてる場合じゃない!!」

占い師「……さすがお兄ちゃん……そこらへんは……わかってるの……」ゼェゼェ

山賊E「黙ってろ!! 占い師……最後ってそういうことだったのか?」

占い師「……そうだよ……お兄ちゃん……ありがとうなの……私の頼みを……聞いてくれて……」

山賊E「なに言ってるんだよ……!! 『私とお姉ちゃんを自由にして』じゃなかったのか!?」

占い師「……ううん、これでいいの。これが私が見た運命……えへへ……黙ってて……ごめんね?」




577以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:16:29.03HJUa6HnE0 (4/17)


奴隷戦士「血が……止まらない……!! 止まって……お願い止まって!!」

占い師「……お姉ちゃん……もう無理だよ……私占い師だよ……? 自分の未来くらい……わかるの……」

奴隷戦士「黙って! 『占い師は嘘は言わない! 言ったことが外れるだけ』あなたがそうやって言ったんでじゃない!」

占い師「………お姉ちゃん……私……お姉ちゃんの妹で……本当に……」

奴隷戦士「や……待って…ダメ……ダメぇぇぇ!!」

占い師「……よかっ……」ガクッ

奴隷戦士「………妹……? ねぇ……返事をしてよ……ねぇ!! ねぇ!!!」

お嬢様「そんなことって……」

山賊E「……落ち着いて! まだ諦めちゃダメだ! 多分出血のせいで気を失っているだけ……このまま止血を続けてください!!」

奴隷戦士「う、うん!!」

お嬢様「でもこのままじゃ……」

山賊E「……クソッ!」




578以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:17:31.69HJUa6HnE0 (5/17)





地主「ちっ、他の奴隷とはちっと毛色が違うから可愛がってやってのによ!! やっぱり奴隷ってのは使えねぇんだな!! 主人の邪魔ばっかりしやがって! 死んで当然だ! こんなクソ奴隷!!」ケッケッケ

山賊E「……まだ……この子は死んでないだろ……!!」ギロッ

地主「ああ、そうだったな、でもそう長くないだろ? といってもそれはお前らもだけどな? ……さぁ、誰が先にあの世へ行くことになるのかな?」カッカッカ

お嬢様「あなたはどこまで……人の命をなんだと思っているのです!?」

地主「家畜と俺様を一緒にするんじゃねぇ!! 本当に一々むかつく女だぜ!!」

奴隷戦士「妹……妹……」ギュッ


ドドドドドドドドド!!!!


地主「そんなことより聞こえるか? お前らの死刑執行を告げる足音だ……随分と待たせてくれたじゃねぇか……後であいつらにもお仕置きしなければならないか?」ヘッヘッヘ




579以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:18:41.33HJUa6HnE0 (6/17)


山賊E「悔しいけど打つ手無し……かな、これは流石に」

お嬢様「落ち着いている場合じゃありません! なにか、なにか方法はないのですか!?」

山賊E「無茶言わないでくださいよ、足音聞く限り、俺一人じゃ太刀打ちできない数です……今更だけど降参したら許してくれる?」

地主「そんなわけねぇだろうが!!」

山賊E「……だよね」アハハ

お嬢様「あなたはこんな時になにを!! あんな奴に降伏など! 言語道断です!!」バシッ

山賊E「いや、俺はダメかもしれないけど、ここで降参すれば君達だけは生き残れるかと思って一応ね……」

お嬢様「私はあなたがいない世界なんかで生きてもちっとも嬉しくありません!!」

山賊E「そ、そういうことを今ここで言います?」カァァ

地主「お前ら……こんな状況でいちゃついてんじゃねぇぞ!?」ガンッ

お嬢様「そうだ! あなたの持っている七つ道具……ですか? それでなにか……」

山賊E「ええ? 潜入着、鍵開けピック、煙玉、爆破術式符、粘着ネット、剣……どれも使えそうにないですよ?」

お嬢様「そうですね……あ、でも! まだ六つしか出てません! まだ最後の一つが残ってるじゃありませんか!」

山賊E「えっと……」

お嬢様「どうしたんですか?」

山賊E「あのー、ご期待に添えずすごく申し訳ないんですけど……」

お嬢様「なんです!? はっきり言いなさい!」

山賊E「えっと……無いんですよ」アハハ




580以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:19:27.49HJUa6HnE0 (7/17)


お嬢様「それは……なにが無いのですか?」

山賊E「七つ道具はまだ六つしかないんですよ……」

お嬢様「………ではなぜ七つ道具などと?」

山賊E「い、いずれ七つにするつもりだったので……」

お嬢様「………これは絶体絶命ですね」

山賊E「ええ、絶体絶命です」

地主「ははっ!! どうやら万策尽きたらしいな!!」

地主「俺の邪魔する奴はこの世界にはいらねぇ!! お前らまとめてここで死ね!!!」

地主「フハハハハハハハハハハ!!!!」




581以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:20:14.93HJUa6HnE0 (8/17)



ドドドドドドドドド!!!


地主「来い!! 奴隷ども!! あいつらを血祭りにあげろ!!!」

山賊E「あああ!! こうなったらダメで元々! 最後まで抗ってやるよ!!」チャキッ

地主「無駄だ! お前らは所詮、この世界を牛耳る力には到底及ばないんだよ! これが俺の力だ!! 俺に歯向かったこと! あの世で後悔しろ!!」アッハッハッハ


ドドドドドドドドドド!!!!







奴隷兵士A「た、助けてくれー!!!」ダッ

奴隷兵士B「悪魔だ!! 悪魔が!!」ブルブル

奴隷兵士C「悪魔に殺されるー!!」




582以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:22:09.55HJUa6HnE0 (9/17)


山賊E「ん?」

お嬢様「あれは……どういうことですか?」

地主「お前ら! なにをしている! 侵入者だ! さっさと殺せ!!」ビッ

奴隷兵士A「そうです、ご主人様!! 侵入者なんです!!」

奴隷兵士B「それがもうめちゃくちゃな強さで!! 警備隊が壊滅状態に……」

奴隷兵士C「我々だけでは手に負えないです!!」

地主「なんの話だ! 侵入者はこいつらだろう!?」

奴隷兵士A「そうじゃないんです……!!」


パリィィィィィン!!!



「ぎゃああああああああああああああ!!!」ドサッ ガクッ

山賊E「ひ、人が飛んできた!?」

お嬢様「なんですか? 外で一体なにが起きてるというのです?」

奴隷兵士A「き、来た……」

奴隷兵士B「悪魔だ……悪魔が来たんだ……!!」

奴隷兵士C「もう……ダメだ……ハハハ……」ヘタ

地主「おい! 奴隷ども!! さっさと侵入者を殺せと言ってるだろうが!!」





蒼騎士「おいおい……人を悪魔呼ばわりなんて随分失礼な話じゃねぇか」




583以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:23:28.80HJUa6HnE0 (10/17)


紅騎士「まぁ、兄弟の顔は悪魔というより鬼みたいだったけどな」ニシシ

メイド「二人共、無駄口を叩くのはそれくらいにしなさい。これは姫様直々の指令なのですよ?」

蒼騎士「んなこと言ったってな……あんたの方こそあんなに暴れておいて怪我の方は大丈夫なのか? 別に王都で休んでてもよかったんだぜ?」

メイド「なにを言ってるのですか? まだ本調子ではありませんが、姫様の頼みごとをあなた方だけに任せるわけないでしょう? 頭わいてんじゃないですか?」

蒼騎士「本当にあんたは口が悪いな! それだから毎回姫様に逃げられるんだよ!!」

メイド「大きなお世話ですの!!」

ブルー「ああ! メイドさんまたマスターとラブコメしてる! ずるいよ!!」

蒼騎士・メイド「「誰がこんな奴と!!」」

レッド「………二人のシンクロ率95%を記録……息ピッタリです」

紅騎士「まぁまぁ、喧嘩しない喧嘩しない。あんまり時間も無いんだからさ」

メイド「む、そうですわね。あなたの無駄話に付き合っていたら時間がいくらあっても足りませんの」

蒼騎士「よく言うぜ……」ケッ




584以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:25:44.64HJUa6HnE0 (11/17)


山賊E「お、お前は……もしかして……」

蒼騎士「久しぶりだな……ちょっと見ない間に女に囲まれて……お前モテ期ってやつか?」

ブルー「あ、ダメだよ、マスター! ほかの女の子に目移りしちゃ! マスターは私だけ見てればいいの!!」

蒼騎士「いや、お前は敵の方を見てくれないか……」ハァ

山賊E「やっぱりそうか! 二人とも急に消えたから心配してたんだぞ?」

お嬢様「あの……そちらの方はお知り合いですか?」

蒼騎士「ああ、こいつとは元、山賊仲間で……」

お嬢様「山賊、ですか?」

山賊E「ああああ!! そんなことよりお前ら、今までどこにいたんだよ!?」

蒼騎士「あれ? おかしいな、紅がお頭に手紙送ってたはずだが?」

山賊E「あ……なんかここ最近忙しくて……」アハハ




585以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:27:43.88HJUa6HnE0 (12/17)






奴隷戦士「……血……止まって……お願い……!!」ギュウ

紅騎士「ほいほい、お嬢ちゃん、ちょっと失礼しますよ?」

奴隷戦士「あなた……誰……?」

紅騎士「その話は後で……回復魔法!!」ポワァ

奴隷戦士「傷が……!!」

占い師「……う」

奴隷戦士「妹!!」

紅騎士「ああ! そのまま安静にしといて! これでとりあえずは大丈夫だから……あ、でも後でちゃんと専門機関で診察を……」

奴隷戦士「あ……ありがとう!!」ガバッ

紅騎士「わわっ!! ちょ、ちょっと!! 控えめなお胸が当たって……ちょっと夢心地……!!」

レッド「マスター、セクハラです」ムッ

メイド「……二人とも、あまり時間が無いことは分かっていますか?」ハァ

紅騎士「わ、わかってるよー!!」

蒼騎士「ああ、そうだったな」




地主「なんなんだお前等!! いきなり現れて俺の敷地で勝手なことしやがって!! なんのつもりだ!!」




586以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:30:57.43HJUa6HnE0 (13/17)



メイド「あら、聞かれたのなら名乗らなければなりませんわね……紅騎士さん、蒼騎士さん?」

紅騎士「わかってるって! 『あれ』だね、姉ちゃん!!」

お嬢様「『あれ』?」

蒼騎士「お、おい……本気で『あれ』をやるのか? 冗談だろ?」

メイド「あら、なにか問題でも? こういう時のためにちゃんと練習したでしょう?」

蒼騎士「お、俺は嫌だからな、あんな恥ずかしいこと!!」

紅騎士「ええ? そんなこと思ってたのか!? 兄弟!!」

蒼騎士「当たり前だろ!!」

メイド「ダメです。姫様の命令は絶対ですから☆」

ブルー「マスター、こういう時は思いっきりやらないと中途半端に恥ずかしいよ?」

紅騎士・メイド「「そうだそうだー」」

蒼騎士「く……」

紅騎士「んじゃ、俺から行くぜ!」

蒼騎士「ま、待ってくれ……まだ心の準備が……」

メイド「いいえ! 待ちません!! 行きますわよ!!」






587以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:31:38.54HJUa6HnE0 (14/17)






紅騎士「巷に蔓延る悪の華!」ダンッ

蒼騎士「…くそ……全て除くは我らの定め……///」プルプル

ブルー「不条理な世界を正すべく!!」ババン

レッド「主人のために今日も戦う」

メイド「姫様が目指すその世界のために!!」ダンッ

紅騎士「我ら仮面王女私設部隊!!」ダダン

蒼騎士「か……仮面王女の…な……名の下に……///」プルプル

メイド「あなたの悪事! サクッと裁かせていただきますわ!!」バーン


シーン……


メイド「バッチし決まりましたの☆」

地主「……」

山賊E(だ、だせぇ……)

蒼騎士「……や、やめろ……そんな目で見るな……これは俺の趣味じゃない……あのじゃじゃ馬姫が……///」プルプル

お嬢様「カッコイイですわ!!」

山賊E「ええ……?」




588以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:33:16.35HJUa6HnE0 (15/17)

といったところで今日の投下は以上です!!


ダメだ、もうちょっとなのに終わらない……


明日も同じ時間帯に投下していきます!! よろしくお願いします!!

というわけで、今日もお付き合いくださり、ありがとうございました!!


589以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:35:02.24HJUa6HnE0 (16/17)

訂正です

>>565

山賊E「あなたには誘拐の疑いと奴隷不法所持という条例違反の疑いがある。覚悟はいいな?」→×

山賊E「お前には誘拐の疑いと奴隷不法所持という条例違反の疑いがある。覚悟はいいな?」→○

でした、すみません


590以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:36:51.24HJUa6HnE0 (17/17)

もう一個訂正です

>>538


占い師「説明するの難しいんだけど、例えばお兄さんの過去とかこれから起こる未来のこととかね……断片的にだけど断片的にだけどぼやぼやーっと見えるの……つまりは一種の予言とか透視とかそういった類?」→×

占い師「説明するの難しいんだけど、例えばお兄さんの過去とかこれから起こる未来のこととかね……断片的にだけどぼやぼやーっと見えるの……つまりは一種の予言とか透視とかそういった類?」 →○


でした、ありえないミスですね……すみませんでした






591以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 21:37:03.50JmBbdk+rO (1/1)

乙!


592以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 22:49:34.905SndoF1Z0 (1/1)

脳内補正が強すぎて訂正箇所を見つけるのに苦労する乙


593以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 23:11:01.51Ay1H9iKuO (1/1)




594NR2015/03/11(水) 23:13:50.89aqMDocWAO (2/2)

乙ー。



595以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 00:07:02.83biybbVT2o (1/1)

>>588 乙!
5人組が出て来たとたんにコメディになってしまうwwww


596以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 00:37:25.73CjwlnWMx0 (1/1)

ワ、ワーカッコイイナー(白目)



597以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:07:40.10ZLAgrJF/0 (1/23)

こんばんは、今日も投下していきます

よろしくお願いします!


598以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:08:40.96ZLAgrJF/0 (2/23)




地主「仮面の王女の……私設部隊……だと!?」

メイド「姫様の依頼により、あなたの身柄を拘束させていただきます……覚悟はよろしいですね?」

地主「なぜこんなところにお前たちのような奴らが来るんだ!? おかしいじゃねぇか!!」

紅騎士「そんなこと聞かれてもなぁ……俺だって姫様が何考えてるのかわからないし……」

蒼騎士「ま、あんたはやり過ぎたってことだろ? そういうの、うちの姫様は放っておけない質なんでな」チャキッ

メイド「さぁ! 観念して大人しく捕まっといた方が身のためですわよ?」

地主「けっ! 俺を騙そうったってそうはいかねぇ!! どうせハッタリだろ! おい! お前ら!!」

奴隷兵士A「は、はい!!」

地主「こいつらもまとめて殺せ!」

蒼騎士「ほう、俺らとやろうってのか?」ニヤッ

ブルー「マスター、顔! 顔!!」

奴隷兵士B「ひぃ!! む、無理ですよ……こいつら無茶苦茶強いんです!!」

地主「今の言葉は奴隷が主人の命令に逆らったらどうなるか……理解した上での発言か……?」

奴隷兵士C「あ、ああ……」ガタガタ

地主「もう一度調教し直すか? どうだ?」

奴隷兵士A「い、嫌だ……嫌だ!!」

奴隷兵士B「それだけは! それだけは!!」

奴隷兵士C「ああああああ!!!」

メイド「姫様から話は聞いてましたが……胸糞悪いですわ」

紅騎士「ああ、こんなこと許せねぇよ!!」

地主「それが嫌ならさっさと殺せ!! 俺の手を煩わせるな!!」

奴隷兵士「「「うわああああああああああああああああああ!!!」」」ダッ




599以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:09:46.21ZLAgrJF/0 (3/23)


山賊E「来るぞ!! どうするんだ?」

蒼騎士「ああ、大丈夫だ。すぐに終わる」

山賊E「すぐに終わるって言ったって……」

紅騎士「じゃあとりあえず、俺右の人で!」

レッド「ターゲットロック、戦闘モードへ移行します」

メイド「では私は左を……」

蒼騎士「俺が真ん中か……ブルー」

ブルー「OK、マスター! ド派手にやっちゃうよ!!」




600以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:10:58.56ZLAgrJF/0 (4/23)








奴隷兵士A「うぉぉぉぉ!!!」

紅騎士「まずは俺からっと!!」ザッ

奴隷兵士A「死ねぇえええ!!」ブンブンブン

レッド「回避行動推奨……どうしますか?」

紅騎士「お前に任せる!!」

レッド「了解、回避パターン算出……完了。回避行動を開始します」ギュィィィン

紅騎士「ほっ! よっ! それっと!!」ヒラッヒラッヒラッ

奴隷兵士A「あ、当たらねぇ……!! なんでだよ!!」ブンブンブン

紅騎士「お前の動きは全て見切った!!……俺の相棒が!!」ドヤッ

レッド「仕様の範囲内です」

奴隷兵士A「クッソォォォォ!!!!」ダッ

紅騎士「それじゃいっちょど派手にいきますか!! レッド!!」

レッド「最大出力……いけます」ギュォォォォ!

紅騎士「いっけぇぇぇぇぇぇ!!!」


ズバァァアア!!!


奴隷兵士A「ぐああああああ!!!」ヒューン


レッド「ターゲットの戦闘不能を確認」

紅騎士「へへ、いっちょ上がり!!」ニカッ





601以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:15:29.97ZLAgrJF/0 (5/23)





奴隷兵士C「…・…クソッ……やるしかねぇ!! やるしかねぇんだ!!」

メイド「あらあら、目が血走ってますわよ?」

奴隷兵士C「うるせぇ! 女だからって容赦しねぇ!! お前を殺す!!」ムキムキ

メイド「随分と立派なお体をしてますのね」ニッコリ

奴隷兵士C「俺はこの鍛え上げられた肉体で戦場を渡り歩いてきた!! お前らとは潜ってきた修羅場が違う!!」ムキムキ

メイド「その割に、さっき私たちから逃げてましたの」

奴隷兵士C「黙れ!! 俺の拳でお前をミンチにしてやる!!!」

メイド「ええ……できるものならば」ウフフ

奴隷兵士C「うぉぉぉぉおおおお!!!」ブォッ


ガチィィィン!!


メイド「………」ニコッ

奴隷兵士C「ぎゃぁぁぁあああああ!! 手が!! 手がぁぁ!!!」

メイド「あら、どうなさいました?」

奴隷兵士C「ど、どうなってやがる!! この女!!」

メイド「私はただのメイド、主に仕えるメイドです」

奴隷兵士C「ひ、ひぃぃぃ!!」

メイド「ところで……あなたは派手なことは好きですか?」ニコッ

奴隷兵士C「な……なにを……」ガタガタ

メイド「では少しばかり派手めに……!!!」ゴゴゴゴゴ

奴隷兵士C「拳が……光っ……!?」

メイド「いかせてもらいますの!!!」バァァァァァン

奴隷兵士C「ガッ……!!」ガクッ

メイド「あら? もう終わりですの? 物足りないですわね」フフッ






602以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:16:22.15ZLAgrJF/0 (6/23)





蒼騎士「あーあ、あのバカ共……殺してねぇだろうな?」ハァ

奴隷戦士B「あ……あ……」ガタガタ

蒼騎士「なんだ? 逃げるなら俺は追わないぞ?」ニタァ

ブルー「マスター、顔がそう言ってないよ……」

奴隷戦士B「うわぁぁぁぁぁああああ!!」ダッ

蒼騎士「よっと!!」シュンッ

奴隷戦士B「き、消えた!?」

蒼騎士「向かってくるなら話は別だ……一気に決めさせてもらう!!!」ゴゴゴゴゴッ

奴隷戦士B「いつの間に……!?」

ブルー「やっちゃえマスター!!」

蒼騎士「はぁぁああああ!!!」


ザンッ


警備A「ぐはっ!!」ガクンッ

蒼騎士「安心しな、命までは取らねえよ、峰打ってやつだ」

ブルー「やっぱりマスターは最っ高だね!!」

蒼騎士「お前は少し静かにしてくれ……」






603以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:18:58.10ZLAgrJF/0 (7/23)





警備達「「「………」」」ピクピク

山賊E「す、すごい……」

蒼騎士「姫様守ろうっていうんだ。これくらいできて当然だろ?」ヘヘッ

山賊E「確かにそうだけど……」

山賊E(じゃあ俺の頑張りはなんだったんだ……)ズーン

紅騎士「へへっ! もう役立たずなんて呼ばせないぜ!!」

山賊E「お、おう……」

地主「そんな、あいつらを一瞬で……お、おい!! 他の奴らはどうしたんだ!? 早くこいつらをなんとかしろ!! お、おい!!」

蒼騎士「………いくら呼んでも無駄だぜ?」

地主「なんだと!? なんでそんなことがお前に言える!?」

蒼騎士「そいつらなら全員外でのびてる」

地主「なにぃ!? 誰がそんなこと……!!」

紅騎士「誰がやったかっていうと主に……」ジー

メイド「少々……はしゃぎすぎましたの」エヘヘ

ブルー「すごかったよね……メイドさん」

紅騎士「うん。1人で50人くらい相手してたもんな……」

地主「く、クソ……誰か!! 誰か!!!」




604以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:20:57.10ZLAgrJF/0 (8/23)





メイド「さぁ、二人共、騎士団の方が来る前にあの男を拘束しますわよ?」

山賊E「なんだ? なにかまずいことでもあるのか?」

蒼騎士「ああ……えっと」

メイド「私たち非公式部隊ですので、あまりおおっぴらに動けないんですの。今回は姫様の個人的なご依頼ですし……」

蒼騎士「ちょっとここに来るまでに派手に暴れすぎた。騒ぎを聞きつけて支部の連中が乗り込んでくるかもしれない。そうなると説明が面倒だ。あいつは俺たちが直接第一騎士団の団長に引き渡す」

山賊E「ちょっといいか? ずっと気になってたんだけど、なんで王都の仮面の姫様が俺たちを助けに来てくれるんだ? そもそも、なんでこの騒動のことを仮面の姫様が知ってるんだよ?」

メイド「フフッ……それは姫様が困っている民の味方だからです。あなた達の救いを求める声は王都まで届いているのですよ?」

山賊E「………」

メイド「フフッ……」ドヤッ

山賊E「いや、そんなんで誤魔化されませんよ!?」

メイド「あ、あら?」ズルッ

紅騎士「じゃあ、案外お前の近くにいたとか?」

蒼騎士「そうだな、あの姫さん急に現れて急に消えるし、普段なにやってるかわかんねぇもんな……」

山賊E「なにそれ……」

紅騎士「今もどうせニコニコしながらエグいこと考えてんじゃない?」アハハ






受付「へぇぇえええくしょん!! んにゃろー!!!」




605以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:22:07.33ZLAgrJF/0 (9/23)


課長「相変わらず元気なくしゃみだね……」ハァ

受付「あはは、誰か噂でもしてるんですかね」チーン

課長「……今、とある場所で大暴れしている3人組がいるという通報が入ったんだけど……」

受付「おお、この非常事態って時に物騒ですね!」

課長「……君の仕業だね?」ハァ

受付「さぁ、な、なんのことでしょう~?」ピューピュピュー♪

課長「こんなこと君しかできないだろう……」ハァ

受付「いや、課長が『僕らもできることをやろう(キリッ)』とか言うから……・えっと……ダメでした?」アハハ

課長「君、自重しないとそのうち正体バレるよ?」

受付「いや、でも先に言ったのは課長の方じゃないですか!」

課長「それはそうなんだけども……」

受付「私の判断は間違っていません!!」ドヤッ

課長「そんな自信満々で言い切られたらこっちもなにも言えないじゃないか……」ハァ





606以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:27:20.31ZLAgrJF/0 (10/23)


―――――




メイド「それではさっさと終わらせましょうか」

紅騎士「はーい」

蒼騎士「おい、そういえばあの男どこに行ったんだ?」

山賊E「そういえば……」

ブルー「!! マスター避けて!!」


地主「火炎魔法!!」ゴォォォォ


蒼騎士「おっと!!」ヒラッ

紅騎士「なんだなんだ?」

ブルー「あそこ!!」

地主「お前ら、動くんじゃねぇ!!」チャキッ

お嬢様「あなた……申し訳ありません……」

山賊E「!!!」

地主「最後の最後に油断したなぁ? 騎士様達はどうやら詰めが甘いと見える……」クックック

メイド「……私としたことがやっちまいましたの……」

紅騎士「卑怯だぞ!!」

山賊E「彼女を離せ!!」

地主「おっと、それ以上動くなよ? 動いたらお前の大事な貴族様の首が胴体とさよならすることになるぜ?」

山賊E「……クッ」

メイド「ここまで王道の悪役も昨今珍しいですの」ハァ




607以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:28:05.35ZLAgrJF/0 (11/23)


蒼騎士「……馬鹿なこと言ってる場合か……どうする?」

メイド「とりあえずはあの男を刺激しないようにしましょう……」

紅騎士「言うことを聞けっていうのか!?」

メイド「今はあの男が隙をみせるまで、大人しくするしかありません」

山賊E「………」

地主「お前ら全員持ってる武器を捨てろ!!」

山賊E「……」ポイッ

紅騎士「あ、ああ!! もう!! これでいいんだろ!!」ポイッ

メイド「また戻すの面倒ですけど……仕方無ありませんわね」ジャララララ

蒼騎士「どんだけ仕込んでんだよ……」ポイッ

地主「そうだ……それでいい!!」







奴隷戦士「………!!」チャキッ

地主「おっと、奴隷戦士。お前も大人しくしな!」

奴隷戦士「………くっ……」

地主「動くなよぉ? いつ俺の手が滑るかわからねぇぞ?」ニタァ

蒼騎士「お望み通り武器は捨てたぞ!! 彼女解放しろ!」



608以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:28:53.67ZLAgrJF/0 (12/23)


地主「ケッケッケ、嫌なこった。こいつは俺の安全が確保されるまで人質になってもらう!」

お嬢様「……ここまでくると呆れてものが言えませんわ」ハァ

地主「なにぃ?」

お嬢様「往生際が悪いですわよ? こんなことして逃げ切れると思っているんですか?」

地主「うるせえ! 死にたいのか?」

お嬢様「殺したければそうしなさい!! それであの方達が救われるのならば私は本望です!」

地主「この!!」バシンッ

お嬢様「………!!」

山賊E「!!!」

お嬢様「暴力でしか訴えることができない……悲しいですわね、あなたは……」

地主「こ、こいつ……もっと痛めつけてやろうか!!」チャキッ




山賊E「………だ」ボソッ

蒼騎士「なんだって?」

山賊E「……もう限界だ……!!」ユラァ

蒼騎士「お、おい!! なにをするつもりだ」

メイド「彼を刺激してはいけません!」

山賊E「無理だよ……もうこれ以上……我慢なんてできない!!!」




609以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:31:31.77ZLAgrJF/0 (13/23)



地主「おい! なにしている!! 動くな! それ以上近づけばこの女を殺す!!」チャキッ

山賊E「殺す……?」ゴゴゴゴゴ

地主「来るな!!」

山賊E「そんな覚悟も無いくせに……!! 好き勝手言ってんじゃねぇぞ……!!!」

地主「か、火炎魔法!!」ゴォォォォォ

山賊E「……お前は殺せない……」ユラァ

山賊E「今ここで彼女を殺したりなんかしたら、今度こそお前は自分の身一つでこの状況を乗り越えなきゃいけない……そんなこと……お前にはできやしない!!」スタスタ

お嬢様「あなた!! 避けて!!!」

山賊E「常に安全圏で人の命を弄んでたお前に……彼女は殺せない!!」パキィィン

お嬢様「ほ、炎が!!」

蒼騎士「消えた!?」

メイド「あれは……」

地主「ど、どうして……」

山賊E「………覚悟はいいか!!」グッ

地主「く、来るな! 火炎魔法!! 火炎魔法!!」ゴォォォォォォ

山賊E「この人は……こんなところで死んでいい人じゃねぇんだよ……お前なんかに弄ばされていい人じゃねぇんだ!!」パキィィィン

地主「ひ、ひぃぃぃ!! なぜだ!? なぜ効かない!!」

山賊E「そんなの知るか!! 俺はただお前をぶっ飛ばしたい!! それだけだ!!」ゴゴゴゴゴ

地主「そ、そそそれ以上近づいたら、こ、この女を殺す! 本当だぞ!!」

山賊E「その時はお前も死ぬだけだ……」

地主「ひぃぃぃぃ!! やめろ! やめてくれぇぇぇ!!!」





地主「……なんてな!!」ニヤリ



ブスッ





610以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:31:59.62ZLAgrJF/0 (14/23)



山賊E「……!!」

お嬢様「あなた!!」

地主「ハッハァ!! 山賊風情が、油断したな!! 」

山賊E「ゴフッ!!」

地主「ちょっと有利になったからって調子に乗ったか? 残念だったな! 最後に勝つのはやはりこの俺なんだよ!!」

お嬢様「そんな……」

地主「醜い内蔵をさらけ出しながらさっさとくたばれ! このゴミが!!」ケッケッケ





611以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:32:57.05ZLAgrJF/0 (15/23)




山賊E「甘ぇよ……お前はチョコレートより甘々だ……」チャキッ

お嬢様「あなた!?」

地主「腹に刺さったナイフを掴んでなにをする気だ!? は、離せ!!」

山賊E「そんなんじゃ人は殺せない……もっと、もっと深く刺さないと……!!」ズブズブズブ

お嬢様「なにをしてるのです!? そんなことしたら……!!」

地主「あ……あ……あああ!!!」パッ

山賊E「剣を離しても……もう……遅いぜ?」ガシッ

山賊E「……捕まえ……た!!」

地主「は、離せ!!お、俺を誰だと思っている!? 俺に楯突くということは商人貴族様に楯突くという……」

山賊E「そんなの知らねえよ……こちとら明日をも知れぬ、山賊稼業!!……お前が誰であろうが関係無い!!」グッ

地主「な、なにをする気だ……」

山賊E「二度と……」ギリッ

地主「よせ……話せばわかる……な……何が欲しい? 金か? 女か? お前の気に入りそうな女ならたくさんいるぞ?」ヘヘヘッ

紅騎士「マジ!?」

レッド「マスター、空気読んでください」

山賊E「俺の女に……」グググッ

地主「ここまで登りつめるのに俺がどれだけ苦労したと思っている!? それをお前のような山賊風情に……こんなこと……認められるか……認められるもんかぁぁぁぁぁl!!!」


山賊E「手を……出すな!!!」


バキィィィ!!!


地主「ぐへぇ!!!」

ドサッ

ブルー「強烈な右フックが鮮やかに男の頬を捉えたぁぁぁあああああ!!!」





612以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:35:53.56ZLAgrJF/0 (16/23)



地主「………」チーン

山賊E「へへ……ざまぁみろ……」ゼェゼェ





お嬢様「あなた!!」

山賊E「ああ……やりましたよ……これで……とりあえずは……終わりです」ニコッ

お嬢様「この大馬鹿者!!」スパーン

山賊E「痛っ!」

お嬢様「なにをヘラヘラしてるのです!! なぜあの様な馬鹿な真似をしたのですか!!」バシッバシッ

山賊E「いや、占い師のこととか、奴隷戦士のこととかでこっちも我慢の限界でして……」

お嬢様「だからってなにもあそこまでする必要は無いでしょう!!」

山賊E「ああするしか無かったんですよ。半端なことしても、あいつはどうせまた同じことを繰り返すと思って……それにどうしてもあいつを一発殴らないと気が済まなかったんです」

お嬢様「なんですか!? 発言如何によっては私はさらにあなたを怒らなければなりません!!」



山賊E「あなたを傷つけたあの男がどうしても許せなかったから」



お嬢様「なっ///」カァー

山賊E「すみません、助けるのが遅くなって……大変でしたよね?」




613以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:38:01.13ZLAgrJF/0 (17/23)


お嬢様「あ、あなたという人は……こういう時にどうしてそのようなことを……///」プルプル

山賊E「あの……顔真っ赤ですけど……大丈夫ですか?」

お嬢様「あなたは本当に!! 本当に!!」バシッバシッ

山賊E「い、痛いですって!!」

お嬢様「あなたは大馬鹿者です! なにを今更になってそんなセリフを!! 私が言い寄っても見向きもしなかったくせに!!」バシッバシッ

山賊E「それはなんていうか、本当にごめんなさい」

お嬢様「それを!! それを!!」バシッバシッ

山賊E「本当に痛いですから! もうやめて!!」

お嬢様「大馬鹿者……」トンッ

山賊E「え?」

お嬢様「死んでしまったらどうするんです……?」

山賊E「………」

お嬢様「あなたが死んでしまったら……私は……」グスッ

山賊E「……すみませんでした」

お嬢様「……ちょっと胸を貸しなさい……」

山賊E「……汚れますよ?」

お嬢様「あなたのどこが汚れていると言うのですか! 適当なこと言って私をけむに巻こうとしても無駄です! そんなことを言うならば私はあなたに対してさらに怒らなければなりません!!」

山賊E「………!! しょうがないな……早めに返してくださいよ?」

お嬢様「……もう頼まれたって返すつもりなんかありません……ここは私の場所です……!」スッ

山賊E「それは……困ったな」アハハ

お嬢様「そこで勝手に困ってなさい!」

山賊E「………ありがとう」ボソッ

お嬢様「なにか言いましたか?」

山賊E「いえ、なにも」フフッ





614以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:38:31.82ZLAgrJF/0 (18/23)





ブルー「マスター……」

蒼騎士「……なんだよ」

ブルー「あたし、バグが発生したみたい……どうしよう……」

蒼騎士「それは一大事だな……」

ブルー「あたし、電子妖精なのに……なんか口の中がめちゃくちゃ甘いんだよね……」

蒼騎士「……俺は背中がかゆくてたまらない……」

メイド「私は海に向かって思いっきり叫びたい気分です……」

蒼騎士「このモヤモヤを俺たちはどこに向かって発散すればいいんだ……」

メイド「どこかでもうひと暴れしますか……?」

ブルー「それもいいね……」

蒼騎士「メイドもたまにはいいこと言うじゃねぇか……付き合うぜ……」

メイド「今なら私、無傷で暗黒魔人を倒せそうです……」ウフフ

蒼騎士「俺は火竜を瞬殺できそうだ……」ヘヘヘ

ブルー「二人ともすごーい……」





紅騎士「いやいや、姉ちゃん達! そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!」




615以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:48:42.32ZLAgrJF/0 (19/23)


メイド「あら? 紅騎士さんはあの空間に割って入っていく度胸があるんですか?」

蒼騎士「ここは空気読んで2人きりにしてやれよ……」

ブルー「そしたらいつの間にか3人になってたりしちゃったり……」ウフフ

メイド「ブルーさん、はしたないですよ……?」

ブルー「いいじゃん、これくらい……ああ、なんかもうどうでよくなっちったー。リア充爆発しろー」ダラー




紅騎士「あいつの怪我の治療!! あいつ刺されてたでしょ!!」

蒼騎士「あ」

ブルー「あ」

メイド「あ」

レッド「対象の生命反応減衰を確認。すぐに治療をおすすめします」


山賊E「あれー? なんかお花畑が見えるぞー?」アハハハハ


紅騎士「あ、じゃないでしょうが!! 待ってろ、すぐ回復魔法かけてやるからな!!」

蒼騎士「ちょっと待て、あいつって確か……」

お嬢様「あなた! 大丈夫ですか!!」

山賊E「……ごめん、ひと仕事終わって冷静になってみたら急に……」プルプル

紅騎士「どうした? 気分でも悪いのか!?」

山賊E「………やっぱり血はダメ……」クラァ


ドサッ



蒼騎士「おいぃぃぃ!!!!」

紅騎士「衛生兵!! 衛生へぇぇええええいい!! あ、俺だ!」アタフタ

お嬢様「あなた! しっかりしてください! あなた!!」

メイド「なにを馬鹿なことをやってるんですか! 早く回復魔法を!!」

紅騎士「わかってるってってうわぁぁぁ!!」ドンガラガッシャーン

蒼騎士「なにやってんだお前は!!」



ギャーギャー






616以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:51:02.41ZLAgrJF/0 (20/23)




占い師「……うっ……」パチッ

奴隷戦士「妹!?」

占い師「えへへ……おはようなの。お姉ちゃん」

奴隷戦士「よかった……」

占い師「まさか自分が生き残るなんて思ってなかったの……私もまだまだ未熟だね」

奴隷戦士「未熟でいい……今はあなたが生きているだけで……お姉ちゃん嬉しい……」ダキッ

占い師「お姉ちゃん……」

奴隷戦士「よかった……よかったよ……」グスッ

占い師「参ったなぁ……お姉ちゃんを助けるためなら死んでもいいって思ってたんだけど……お姉ちゃんのそんな顔見ちゃったら……やっぱり生きててよかったなって思っちゃったの」

奴隷戦士「もう……勝手な行動は……やめて……」

占い師「……善処するの」

奴隷戦士「……言うことを聞かないと……お姉ちゃん……パッカーンするよ……?」

占い師「そ、それは勘弁して欲しいな……」アハハ




「戻ってこい!!」「あなた!! 死んではだめですよ!!」「もっとうまくできないのですか!?」「やってるって!!」








617以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:52:10.30ZLAgrJF/0 (21/23)

といったところで今日の投下は以上です


あとは後処理だけ……頑張ります……



明日も同じ時間帯に投下できればと思います! 

今日もお付き合いくださりありがとうございました!!


618以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:55:12.94ZLAgrJF/0 (22/23)

さっそく訂正です……


>>611

地主「腹に刺さったナイフを掴んでなにをする気だ!? は、離せ!!」→×

地主「腹に刺さった刃を掴んでなにをする気だ!? は、離せ!!」→○


でした。すみません




619NR2015/03/12(木) 21:55:36.85t/dX9x1AO (1/1)

乙ー。

奴隷戦士B「いつの間に……!?」
ブルー「やっちゃえマスター!!」
蒼騎士「はぁぁああああ!!!」
ザンッ
警備A「ぐはっ!!」ガクンッ
警備達「「「………」」」ピクピク

どこから沸いてきた警備達ww


620以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 21:57:13.14sc6agz3cO (1/1)




621以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 22:05:34.57ZLAgrJF/0 (23/23)

>>619ご指摘ありがとうございます!

うわ……ボツ案のまま直し忘れてる……

>>602

警備A「ぐはっ!!」ガクンッ→×

奴隷兵士B「ぐはっ!!」ガクンッ→○



>>603

警備達「「「………」」」ピクピク →×

奴隷兵士達「「「………」」」ピクピク→○


あと、奴隷兵士が奴隷戦士になってるところもありますが気にせず読んじゃってください……

死ぬほど恥ずかしい……



622以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 22:46:14.68Jbm2Xq4bO (1/1)




623以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 23:15:39.76Y8o2vOmlo (1/1)


山賊Eって魔法効かない的な何かかな?


624以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/12(木) 23:48:04.26Rpv0iwNS0 (1/1)


次が超楽しみだわ...。


625以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:06:22.26iep4u0ri0 (1/2)

乙ですー
ちょっと早く来すぎたかなー。
たしか、Eさんって、氷魔法訓練してましたよね。
怒りで氷暴走中? 炎凍らせちゃうほどってすごいなー

文章に夢中で誤字気がつかなかったっす。


626以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:27:12.38wSa/YLGr0 (1/17)

すみません、遅くなりました!! 今日も投下していきます!!

>>625 魔法を訓練しているのはFです。誰が誰だかわかりませんね、私もわかりませんwww


山賊Eのあれは……まだちょっと言えません……


それでは今日もよろしくお願いします!!



627以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:27:47.86wSa/YLGr0 (2/17)



三日後




――王都 『復興支援会議』会場―――




頭領「お前らぁぁ!!!」

山賊達「うっす!」ザッ

頭領「これが最後の仕事だ……覚悟はいいか!?」

山賊達「うっす!!」

山賊D「……」ゴクッ

頭領「上等だ! お前らにはこれから重要な任務にあたってもらう……」

山賊達「うぉぉぉぉぉ!!!」

頭領「間も無く復興会議の終了の時間になる! 参加された先生方はこの通路を通って帰られる手筈になっている!! そこで!!!」



頭領「受付の姉貴が思いつきで書いた『役所くん』が一つ一つ描かれたこの『役所くん饅頭』の試食会をここで執り行う!!!」



山賊達「うぉぉぉぉぉ!!!」




628以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:28:59.38wSa/YLGr0 (3/17)


頭領「俺たちの宣伝如何で『役所くん』の今後、そして我らが西支部の来期の予算がが決まるといっても過言ではない!! くれぐれも失礼のないように配れ!!」

山賊達「「「ガッテンだ!! お頭ぁ!!」」」

頭領「馬鹿野郎!! 『かしこまりました』と言えって何度も言ってるだろうが!!」

山賊達「「「かしこまりました!!」」」



ガヤガヤガヤガヤ……



頭領「来るぞ! お前ら! 準備はいいか!!」

山賊達「へい! お頭ぁ!!」


バタン!!


頭領「かかれぇぇぇええええええ!!!」ビッ

山賊達「うぉぉぉぉおおおお!!!」


「!!!」「な、なんだ!?」「どうした!?」





629以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:29:25.76wSa/YLGr0 (4/17)



頭領「先生方! お疲れ様です! 西支部の新商品『役所くん饅頭』でございます!」ザッ

「あ、ああ……ありがとう」

山賊D「中身はですねこのように……」

「美味しいね、これ!」

「あら、かわいいじゃない」

山賊G「ありがとうございます。役所くんはうちの職員が……」

商人貴族「……親しみやすい絵を前面に出して商品展開ですか……これは金になるかもしれませんね……」

山賊H「その際には是非我が西支部にご連絡を。商人貴族様に損はさせませんよ?」キランッ

商人貴族「フフッ……あなたとはいいお話ができそうだ」

山賊H「ありがたきお言葉……」キランッ





山賊D「随分と好評みたいですね、お頭!」

頭領「ああ! この結果を聞けば受付の姉貴も喜んでくれると思うぜ!!」

山賊D(国の税金でなにやってんだって話ですけどね……)


「おお、これは美味しい!」


山賊D「あ、ありがとうございます!」

頭領「―――!!!」




630以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:29:56.55wSa/YLGr0 (5/17)


「娘にも食べさせてやりたいな。お土産に何個か購入したいんだが……」

山賊D「へい!ご 購入でしたらあちらに……」

「ありがとう。久々に家に帰るのでね、娘も喜んでくれるだろう」

山賊D「久々にっていうと……今までどこか遠くに?」

「私は妻と一緒に家を空けることが多くてね……今回の会議のためにしばらく復興地に行っていたんだよ」

山賊D「へぇ……それは大変でしたでしょう?」

「なに、私の苦労など大したものでは無いさ……今もなお、この世界に苦しんでいる人は多くいる。そんな人たちの力になりたいと私は思っているんだよ」

山賊D「ご立派なお考えで……」

「そうだ! 君にも見せてあげねばならないな。これを見てくれ!」ゴソゴソ

山賊D「これは……種ですかい?」

「そうだ……つい先ほど会議でも発表させてもらったばっかりで、まだまだ試作段階なんだけどね、これはとても生命力が強い植物なんだよ」

山賊D「これをどうするんです?」

「決まっている! この種を復興地で撒くんだよ!」

山賊D「ああ!! これが芽を出せば……!!」

「そう! 草の芽一つ生えることが無かったあの大地をどうにかすることができるかもしれない!!」

頭領「―――――!!!」

山賊D「すごい!! それはすごいですね!!」

「………まぁ、まだまだ問題は山積みだが……この発見は我々の大きな一歩だと私は思っている!!」

山賊D「ひゃー! すごい人がいたもんだ……」




631以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:30:29.00wSa/YLGr0 (6/17)


「なに、私の力だけでは到底発見することはできなかった。研究する環境とそれを支えてくれた人がいたからこそだよ」

山賊D「いや、いいもの見させてもらいましたよ、復興事業、成功するといいですね!」

「うむ。君たちも是非力を貸して欲しい」

山賊D「ええ、ご入り用であればすぐにでも!! 西支部の人間はすぐにでも駆けつけますよ!! ね、お頭!!」

頭領「お、おう……」

「……残念ながら魔王を倒した代償として、我々は多くの犠牲を払った。それは変え用の無い事実だ。だが私はこうも思うんだよ。『過去は変えることはできないが、未来ならばいくらでも変えることはできる』……君もそう思わないかい?」ニコッ

頭領「……そうですね」

「おっと、長話をしてしまったね。すまないな」

山賊D「いえいえ、お構いなく!」

「それでは……『君たちの行く末に幸あらんことを』」

頭領「………」

山賊D「ありがとうございましたー!!」




山賊D「いやー、すごいっすね! いいもん見れた!!」

頭領「………」




632以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:30:59.75wSa/YLGr0 (7/17)


山賊D「あれ? お頭? どうしたんです?」

頭領「クソッ……相変わらず胸糞悪りぃ野郎だ……」

山賊D「???」

頭領「これじゃあ完全に俺が悪いみてぇじゃねぇか……いや、間違いなく俺が悪かったんだろうな……」

山賊D「お頭?」

頭領「……今まで悪かったな、お前ら。こんな道に巻き込んじまってよ」

山賊D「今さらなに言ってんです、俺らはお頭と一心同体! お頭の行くところならどこへだってついていきますって!」

頭領「そうか……ありがとうよ、俺は幸せもんだ!!」

山賊D「なんです? 急に改まって……」

頭領「あー!! 完全に俺の負けだよ、ちくしょう!!!」ガッハッハッハッハ

山賊D「お頭、なんか今日変ですよ?」

頭領「おい! お前ら! もっと気合入れねぇか!! そんなんじゃ受付の姉貴にどやされちまうぜ!!」

山賊達「「「うっす!!」」」







633以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:31:58.16wSa/YLGr0 (8/17)



―――――




「………やれやれ思ったより買ってしまったな」ドッサリ

「娘は喜んでくれるだろうか……」

課長「少し持とうか?」

「んん? ……おお! 誰かと思えば……お前は『魔導師』じゃないか!!」

課長「やめてくれ、その名は捨てたんだ。今はただのしがない公務員さ。もっとも、君も『騎士』ではなく、今は領主だったかな?」

領主「ああ、といってもほとんど自分の領地にいないがな」アッハッハ

課長「……こうして会うのもあの時以来か」

領主「そうだな……」

課長「体の具合はどうだい?」

領主「もう、剣を握れなくなって随分になる。情けない話だが、今の私はそこらへんの兵士にも太刀打ちできないぞ?」

課長「やはりあの時の後遺症がまだ……」

領主「やめてくれ、私は望んでああしたんだ。それを後悔するつもりは無い」

課長「それもそうだね」フフッ




634以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:34:27.15wSa/YLGr0 (9/17)


領主「お前こそ今までなにしてたんだ?」

課長「……色々あったがとりあえず今は役所で中間管理職をしているよ」

領主「というと……彼女の下で?」

課長「ああ……しかもお守役だ」

領主「それは傑作だな」

課長「笑い事では無いよ……この間もひと暴れしてたし……止めるの大変なんだよ?」

領主「人間どうなるかわからないもんだな……」

課長「今は娘もいるし、そこそこ幸せだよ」

領主「娘!? お前がか?」

課長「……ああ、血は繋がって無いけどね。今年で13になる」

領主「時間が経つのは早いものだな……」

課長「そうだね……私たちも年をとった。君も色々と大変だったと風の噂で聞いているよ」




635以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:35:26.96wSa/YLGr0 (10/17)


領主「まぁ、確かに色々あったが……そのお陰で今の私があるんだ、むしろ良かったと思っている」

課長「前向きだね」

領主「あの頃の私は……魔王が死ねばそれで終わりだと本気で信じていた。だがそれは違った。魔王が死んでも世界は続いていて、悲劇は今もまだ続いたままだったんだ」

課長「そうだね……しかし、なぜ急にそんなことを考えるようになったんだ?」

領主「ある青年に脅迫させられたんだよ、娘を人質にされてな」クックック

課長「それは随分と過激な話だね!?」

領主「ああ、でも今思えばあの時、彼はそうするしか無かったんだろうな……」





636以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:35:55.60wSa/YLGr0 (11/17)










バチバチバチ ゴォォォォォォ!!!!!




召使い「屋敷が……崩れていく……」

領主「……もう我慢できん!!」ゴゴゴゴゴ

領主「はぁぁぁあああああ!!! ……グッ!!」シュゥゥゥゥゥ

領主妻「あなた! 無理をしてはダメです!! あなたの体はもう戦える体ではないのですよ!!」

領主「知ったことか!! 娘の危機に動けないでなにが父親だ!! 私の身などどうなってもいい!!」

領主妻「あなた!!」

領主「止めてくれるな!! こんな縄など……!!」ゴゴゴゴゴゴ


ブチブチブチ!!


領主「!!! ぬぅ……」ガクッ

領主妻「あなた!!」

領主「今……行くぞ……娘よ!!」フラフラ




山賊E「あのー、盛り上がってるところ悪いんですけど……」スタスタスタスタ




637以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:36:25.46wSa/YLGr0 (12/17)


領主「き、君は……」

領主妻「先ほどの山賊さん!?」

山賊E「トイレありがとうございましたー、すごい豪華でびっくりしちゃいました」ボロボロ

領主「そ、その怪我は……」

山賊E「ああ、歩いてたら転んじゃっただけです。それとですね、お屋敷歩いてたら迷子の人がいたんで、ついでに連れてきました」

「………」

山賊E「なんか途中で気絶しちゃったみたいですけど、多分、大丈夫です」

領主妻「あ……ああ!!」

領主「娘を……君が助けてくれたのか?」

山賊E「あ、やっぱり娘さんだったんですね」

領主妻「よかった……よかった!!」

領主「よくぞ無事で……」



山賊E「おっと、そこまでです。動かないでください」チャキッ






638以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:36:59.03wSa/YLGr0 (13/17)


領主「な、なに!?」

山賊E「山賊七つ道具6つ目 『戦闘用・脅迫用の剣』……」

領主「……なんのつもりだ? さすがの私もそれだけは見逃すわけにはいかないぞ」ゴゴゴゴゴ

山賊E「それ以上近づけばこの剣でこの人を殺します」

領主「くっ……」

領主妻「そんな……」

領主「なにが目的だ?」

山賊E「簡単ですよ。俺の頼みを一つ、聞いてくれるだけでいい」

領主「頼み?」




639以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:38:37.29wSa/YLGr0 (14/17)


山賊E「あなたは貴族様なんでしょう? だったらできるはずだ」

領主「なんだ!? 私になにをさせようと言うんだ?」


山賊E「ちょっとこの世界を変えてくれませんかね?」


領主「世界を……変える?」

山賊E「俺のことはもういいんです。俺の手はもう血やらなんやらで散々汚れてしまいましたから。今更真人間に戻れるなんて思ってません」

山賊E「でも、やっぱりこんな生き方は絶対に間違ってて……それがわかってるのにこんなことしなきゃいけないのはすごく辛いことで……」ギュッ

山賊E「やっぱり、こんな世界おかしいって思うんですよ。誰かを傷つけなきゃ生きていけないなんておかしいんです」

領主「!!!」

山賊E「これ以上、俺みたいな存在が生まれてきちゃいけないんです……そんな世界、絶対に間違ってると思うから」

山賊E「だから……お願いします。あなたの力で……世界を変えてくれませんか?」バッ

山賊E「それが……俺のお願いです」

山賊E「よろしく……お願いします」





640以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:40:08.67wSa/YLGr0 (15/17)






領主「……随分と無理難題をふっかけてくれるのだな……君は」

山賊E「無理なら……この人の命をもらいます」チャキッ

領主「……私に世界と戦えと? これまでの歴史やルールと戦えと言うのか?」

山賊E「あなたは……こんな俺たちのために泣いてくれた。こんなクズみたいな俺たちを助けたいと言ってくれた。そんなあなただからこそ……俺は頼むんです」

山賊E「俺は……どうせ近いうちに死ぬでしょう。捕まって殺されるか、それともどこかで野垂れ死ぬか……どっちにしろ山賊なんて生き方、いつまでも続けられるはずもない」

領主「………」

山賊E「だから、あなたにお願いするんです」ニコッ




641以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:46:58.74wSa/YLGr0 (16/17)





領主「……わかった。約束しよう」

山賊E「本当ですか!?」

領主「ああ、二言は無い。そのような面構えをする男の頼みを断れば、私は貴族としての誇りを失う」

山賊E「……ありがとうございます」

領主「領主の名においてここに誓う。君の望む世界を、必ずや実現してみせよう!!」





課長「そんなことがあったのか……」

領主「彼は戦場で居場所を失った私に新たな戦場を示し、そこで戦えと言い放った……あの時から私の戦いは続いている」

課長「……戦いか。そうかもしれないね。この世界の不条理を僕らの世代で断ち切る。うん、これは立派な戦いだ」

領主「まだまだ約束には程遠いがな」フフッ

課長「少しずつ近づいていけばいいさ」

領主「ああ、もちろんそのつもりだ、彼の願いは私が必ず叶えてみせる」

課長「そんな世界が来るのを楽しみにしているよ」

領主「お前も少しは力を貸せ」

課長「まぁ、ほどほどに力を貸してあげないわけでもないかな?」

領主「相変わらずだな、お前は……」ハァ

課長「こればっかりは性分だからね、簡単には変えられないよ」フフッ





642以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:49:45.05wSa/YLGr0 (17/17)

久々に野郎だらけ……といったところで今日の投下は以上です!! 


次回番外編最終回&予告編です!!


すみません、まさかここまで伸びるとは思いませんでした……お陰でネタのストックが山のように……

後半は予定通り開始する予定ですのでどうぞよろしくお願いします!!

それでは今日もお付き合いくださり、ありがとうございました!!


643以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:50:33.11+6v+sx+mo (1/1)

乙乙


644以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 21:52:43.31tBnf2wMyO (1/1)

乙!


645以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 23:13:18.55BFujcF2DO (1/1)

もう山賊Eが主人公でいいや


646以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 23:53:32.86iep4u0ri0 (2/2)

あれー
氷はFさんでしたか。
まだ読み込みが甘かった、失礼いたしましたー


647以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/13(金) 23:59:24.58WWPclUG7o (1/1)


そこに主人公がおるじゃろ?
自称勇者(笑)なニートさまw


648NR2015/03/14(土) 01:24:15.07ZrYNU+8AO (1/1)

乙ー。

勇者がアッカリーン状態な件


649以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 01:46:16.527pm+PXOx0 (1/1)

山賊Eが主人公かと思ってしまうくらいかっけーなー ただのモブかと思ってた時期が私にもありました…


650以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 09:29:01.56afg+oS1pO (1/1)

いくらなんでもさ番外編長すぎだよ…

最初から番外編でスレ立てて欲しいくらいだよスレタイは本編でも内容の9割は番外編ってスレタイ詐欺やん。

でも楽しく読ませてもらうんだねどね


651以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 15:30:09.90zVJOR++8O (1/1)

乙の一言だけ書けばいいんだよ
楽しいなら尚更な



652以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 15:47:08.68mtbyJ6D4O (1/1)




653以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:03:54.22fvwji+h+0 (1/27)

こんばんは、たくさんのコメントありがとうございます!!

番外編、最後までお楽しみいただけたら幸いです!!

それでは今日もよろしくお願いします!!


654以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:04:40.52fvwji+h+0 (2/27)


――役所 図書室――




山賊F「おーい、そろそろ休憩時間終わるぞーって……」

山賊E「……」パラッ パラッ

山賊F「またこいつは……おーい!!」

山賊E「………これは……」パラッ

山賊F「おいってば!!」

山賊E「……うわ、エグいな……なんだこの魔法? こんなの誰が使うんだよ……?」ブツブツ

山賊F「よっと!」ヒョイッ

山賊E「あ」

山賊F「なになに……『煉獄火葬』? 対象をこの呪文で焼き尽くすことでその能力を
身に宿すことができるが使用者には多大な代償を要求する禁術……? なんだこれ?」

山賊E「いや、これは……」




655以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:05:33.12fvwji+h+0 (3/27)


山賊F「お前、禁術なんて調べてどうする気だよ? まさか使う気か?」

山賊E「そんなことないけどさ……」

山賊F「アホ、やめておけ。こういった類の魔法はな、使用者に高度な魔力制御を求めてくるもんなんだよ。ちゃんと基本から勉強したって使えるやつなんてひと握りって話だぜ?」

山賊E「そうだよな……あーやっぱり無理か、俺も一から魔法勉強してみようかな……」

山賊F「どうしたんだよいきなり?」

山賊E「うーん……ほら、最近色々あっただろ?」

山賊F「あー、あったな。主にお前とお嬢様に」

山賊E「あいつらが助けに来なかったら二人共死んでたと思うだよね、あの時」

山賊F「聞いたよ、随分と出世したみたいじゃないか、あの二人は」

山賊E「うん。すごく強くなってた。でも、あの時助けにくれたのは本当に運がよかっただけで……だからさ、次こういう時があった時のためにちょっと強くなっておきたいなって」

山賊F「彼女のために?」

山賊E「いや、彼女のためとかそういうんじゃないけどさ……なんもできないのって悔しいだろ?」

山賊F「……だから禁術の本なんか読んでたのか」

山賊E「これで手っ取り早く強くなれないかなーって」アハハ

山賊F「ふざけんな」ゲシッ

山賊E「すみませんでした」




656以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:07:18.19fvwji+h+0 (4/27)


山賊F「……なんだったら俺で教えられる範囲でなら教えてやってもいいぞ、魔法」

山賊E「本当か?」

山賊F「俺もまだまだ勉強中だけど資格勉強の復習にもなるし」

山賊E「助かるよ!!」

山賊F「じゃあ早速やってみるか?」

受付「………」ニコニコ

山賊E「ああ、よろしく頼む」

山賊F「まずは基本の魔力放出からかな」


受付「………」ニコニコ


山賊E「魔力放出?」

山賊F「体内の魔力を外に放出するって感じだな。こんな風に」ポワァ

山賊E「おお……これが……」

山賊F「それで次が……あ」


受付「………」ゴゴゴゴゴ

山賊E「ん? 次はなんだよ? ………あ」


受付「どうしました? 早く次を見せてくださいよ? 休憩時間はとっくに終わってますけど」フフフッ

山賊F「受付の姉貴……」

山賊E「あ、あの、これは違うんです……」

受付「さっさと仕事しなさい!!!」

山賊E・F「「は、はいぃぃいいい!!」」ビシッ




657以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:07:43.64fvwji+h+0 (5/27)


受付「まったく……ああ、それとあなたはこっちに来てください。私はあなたを探していたので」

山賊E「俺、ですか?」

受付「色々と報告しておこうかと思いまして」

山賊E「は、はぁ……」

受付「では行きましょうか」

山賊E「は、はい」






658以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:12:31.31fvwji+h+0 (6/27)


――役所 第四課――



受付「とまぁ、色々とありましたが地主は領主様の娘を誘拐した罪で身柄を騎士団に引き渡しました。今は騎士団の監視下にあるそうです」

山賊E「え? 誘拐の罪だけですか?」グイグイ

受付「はい、奴隷所有に関しては明確な証拠が無いということで上層部から突っぱねられました」

山賊E「あれだけの人数がいたのに!?」ツンツン

受付「どうやらどこからか圧力がかけられてるんでしょうね……全く、困った話です」

地主(お、俺を誰だと思っている!? 俺に楯突くということは商人貴族様に楯突くという……)

山賊E「………」

受付「あの農場も、今は閉鎖中ですが……今後どうなるかわかりません」

山賊E「そうですか……」ペシペシ

受付「これ以上のことは私たちだけでは手出しできないでしょうね……」

山賊E「あの……あそこにいた奴隷の人達ってどうなったんですかね?」

受付「……すみません、それもわからないんです。一部の方を除いて、騎士団が現場に到着した時にはもぬけの殻でしたから……あそこにいた奴隷の捜索も早々に打ち切られてしまいまして……」

山賊E「……それじゃあ結局、事件を解決しても結局何も変わらなかったってことですね……」

受付「残念ながらそうですね」

山賊E「やり切れないな……」




659以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:13:18.83fvwji+h+0 (7/27)


受付「世界と戦うということはそういうことなんですよ、悔しいですけどね」

山賊E「やっぱり世界を変えるって簡単にはいきませんね」

受付「それでも私たちは世界を変えるためにここで働いている……違いますか?」

山賊E「………はい!」

受付「フフッ、中々いい顔をするようになったじゃないですか」

山賊E「え……?」ペシペシ

受付「前のあなたはどこか表情が暗いところがありましたが、今のあなたはなにか吹っ切れたような表情をしていますよ」

山賊E「あ、ありがとうございます……?」グイグイ

受付「それでは! そんなあなたに早速仕事を与えます!」

山賊E「な、なんですか?」ギュムッ

受付「至って簡単です!!」



受付「その三人を早くなんとかしてください!!」ダンッ



お嬢様「お久しぶりですわあなた! 私、あなたとまたお会いできる日を一日千秋の思いで待ってました!!」ギュムッ

奴隷戦士「……チョコレート……欲しい……」ツンツン

占い師「お兄ちゃん、仕事なんてしてないで私と遊んで欲しいの!!」ペシペシ

お嬢様「さぁ、あなた!! こうしてはおれません! 早速デートをしましょう! そうしましょう!!」グイグイ






660以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:13:47.24fvwji+h+0 (8/27)




山賊E「あー………すみません」

受付「あなたのせいで見てみなさい! 四課の人が干からびていますよ!!」


「へへっ、今日は女の子3倍でやんの……」「なんであいつばっかり……」「そうか、ああいう奴がいるから俺のところには女の子がいないのか……」「俺は人間をやめるぞー!!!」「もういっそ殺せよぉぉぉぉ!!!」


山賊E「いや、俺だって好きでこうなってるわけじゃな……」


バゴン!!


受付「なめたこと言ってんじゃねぇぞ?」ギロッ

山賊E「ひぃ!!」




661以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:19:06.18fvwji+h+0 (9/27)


受付「……おっといけません。この壁随分ともろいんですね」フフッ

山賊E「き、君達すぐに離れてくれる!? このままじゃ俺、この人に殺されるから!! 」

お嬢様「嫌です!!」

占い師「遊んで!」

奴隷戦士「チョコレート!!」

山賊E「聞いて!!」

受付「いやだな、私が可愛い後輩にそんなひどいことするわけないじゃないですかぁ……でもあんまり騒いでると……ね?」

山賊E(今の『ね?』には色々な意味が含まれてるんだろうな、絶対……)

同僚「こら、受付! 壁壊してんじゃないわよ!!」バシーン

受付「痛っ!! あーん、同僚さん!! この色恋ゴミ虫がいじめるんですよーう!!」ダキッ

同僚「くっつくなって!! 暑苦しいわね!!」

山賊E「い、色恋ゴミ虫……」ズーン

受付「えへへ……傷ついた心にこの柔らか枕は堪りませんなぁ……」モミモミ

同僚「………」スパーン

受付「あの、無言で叩くのやめてくれません? 割と傷つくんですよ……」

同僚「どの口が言ってんのよ……」ハァ




662以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:21:34.28fvwji+h+0 (10/27)




お嬢様「あなたは………」

同僚「あら、久しぶりね。『あの日』以来かしら」

お嬢様「え、ええ」オドオド

同僚「怪我は? もう大丈夫なの?」

お嬢様「ええ、おかげさまで……傷も残りませんでしたし……」

同僚「そう。それはよかったわ……私も心配してたのよ?」

お嬢様「申し訳ありませんでした……」モジモジ

同僚「ん? どうかした?」

お嬢様「べ、別に……なんともありませんわ」フイッ

同僚「ちょっと……」ヒソッ

山賊E「は、はい!? なんでしょう!?」

同僚「もしかしてだけど……まさか彼女に『あの日』のこと説明していないとか言うんじゃないでしょうね……!!」ヒソッ

山賊E「あ、そういえば……」

お嬢様「?」

同僚「呆れた……なんでちゃんと言っておかないの!」

山賊E「いや、なんていうか今日までなんだかんだバタバタしてて言う機会が無かったって言うかなんていうかその……」アハハハ

同僚「あなた! 私が言うまで預かってたプレゼントも取りに来なかったじゃない!」ヒソッ

山賊E「しょうがないでしょ、後処理でバタバタしてたんですから!」ヒソッ

同僚「中身……なんだった?」

山賊E「開けた瞬間、あの時の俺を全力で殺したくなりました」アハハ

同僚「ちょっと、なによそれ、気になるじゃない」

山賊E「これだけは秘密です」

同僚「ケチね……じゃあ何? この子はずっと今まで私たちことを誤解したままだって言うの!?」




663以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:22:05.08fvwji+h+0 (11/27)


山賊E「いや、大体空気読んで察してくれてるんじゃないですかね?」

同僚「そんなわけないでしょう!? これだから草食系は……!!!」

お嬢様「あの!!」ザッ

同僚「………なにかしら?」

お嬢様「私、負けませんから!」

同僚「え?」

お嬢様「例えあなたがこの人の婚約者であろうと! 私はこの人が好きです! 好きで好きで堪らないのです!! だから私はこの人のことを諦めたりなんかできません!」

占い師「うわーお! 貴族のお姉ちゃん大胆なの!!」

奴隷戦士「……チョコレートより……あまーい……」

山賊E「ちょ、ちょっと!? ///」

「鬱だ、死のう」「課長―、役所の壁ってどれくらい壊していいんでしたっけ?」「男同士なら俺にだってチャンスあるかな……?」

受付「ちょっと皆さん!?」




664以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:22:40.01fvwji+h+0 (12/27)


同僚「………あなた幸せ者ね。ここまで言ってくれる人なんて中々いないわよ?」

山賊E「いや、こんなところでなにを言ってるのかっていうか彼女は一体何をのたまわってるのか俺にはさっぱりというかなんていうかいやしかしだけどもあばばば……///」カァァァ

同僚「安心して、彼とはあなたが思っている関係じゃ無いわ」

お嬢様「え? ではなぜあの時あのようなことを……?」

同僚「私もびっくりしたわよ、あなたに向かって急に私のことを『婚約者だ!』なんて言い出すんですもの」フフッ

山賊E「………」ソローリソローリ

お嬢様「………あなた……」

山賊E「………はい」

お嬢様「これはどういうことか……説明してもらえますか?」ピキピキ

山賊E「………あれくらい言えばさすがのあなたでも諦めてくれるかなーなんて………」アハハ

お嬢様「ほう? それであなたはあのようなことを……?」

山賊E「いやー、嘘とは言え口に出すのは良心が痛みましたねー、流石に」

お嬢様「嘘? ……あれが全部嘘だと言うのですか?……私、若干トラウマになりかけたのですよ……?」ゴゴゴゴゴゴ

山賊E「それについては本当に申し訳なかったと思っています、ごめんなさい」ペコッ

お嬢様「この愚か者!!」バシーン

山賊E「んぎゃぁぁぁ!!」

お嬢様「今日という今日は……許しませんわ!! お説教です! 覚悟しなさい!!」ビシッ

山賊E「ええ!? まだ仕事残ってるんで勘弁してくださいよ!」

お嬢様「なりません!! あなたは人の気持ちというものを本当にわかっているのですか! 私がどれだけ傷ついたか!! そこに直りなさい!!」

山賊E「そんなの!! 付き合ってられるか!!」ダッ

お嬢様「あ、こら!! 待ちなさい!!」ダッ

山賊E「待てません!!」


ダダダダダダダダダ!!!





665以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:23:07.39fvwji+h+0 (13/27)



受付「同僚さん……」

同僚「……なにかしら?」

受付「私今、口の中がものすごく甘いんですけど、なんとかなりませんかね?」

同僚「奇遇ね、私もよ……」

奴隷戦士「……口の中……甘々……幸せなこと……」

占い師「二人共アツアツなの!」

受付「仕事、戻りましょっか?」

同僚「そうね、もうこのことは忘れましょう」

奴隷戦士「……私たちもそろそろ帰る……奥様の……お手伝いをしなきゃいけないから……」

占い師「貴族のお姉ちゃんのことはお兄ちゃんに任せることにするの!」

同僚「ええ、今度はちゃんと送って帰るようにキツく言っておくわ」

受付「確か二人共今はお嬢様の家に身を寄せているんでしたよね?」

奴隷戦士「……うん……毎日、楽しい……幸せ……」

同僚「それだけで彼が頑張った成果はあったってことかしら?」

奴隷戦士「……彼らには……感謝している……彼らは……私たちを人間にしてくれた……居場所をくれた……」

受付「そうですね……」

奴隷戦士「……行くよ? 妹……」


占い師「………」キィィィィィィン





666以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:23:36.24fvwji+h+0 (14/27)


奴隷戦士「……妹?」

同僚「どうかしたの?」

占い師「!!! あ、ごめん。お姉ちゃん。ちょっとぼーっとしちゃって……」アハハハ

奴隷戦士「気にしてない……行くよ?」

占い師「う、うん……わかったの」

受付「もしなにか困ったことがあったら私たちのところに是非相談に来てください。力になれると思います!」フンスッ

奴隷戦士「……ありがとう……」

同僚「用がなくてもいつでも遊びに来ていいからね?」

占い師「うん! 時々お兄ちゃんが浮気してないかチェックに来てやるの!!」ムフフ

同僚「そう。それはいいわね。待ってるわ」フフッ




667以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:25:11.77fvwji+h+0 (15/27)


―――――




占い師「いい人達だったね! お姉ちゃん!」

奴隷戦士「うん……いい人……」

占い師「これは身体張ってお姉ちゃんを庇った甲斐があったってもんなの!」

奴隷戦士「……もう二度とあんなことしないで……」

占い師「わ、わかってるの!!」






占い師「………」




ゴォォォォォ!!!



山賊E「君は……俺が……」ガクッ



ゴォォォォォォォォ!!!!





占い師「!!!」ブンブンブン

奴隷戦士「妹? ……どうかした?」

占い師「なんでもないよ! お姉ちゃん!! ささ、早く帰ろ?」

奴隷戦士「? ……わかった……」


占い師(そんなこと……あるわけないの。私もまだまだ未熟なの!)

占い師(そう……だよね? お兄ちゃん……)





668以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:25:40.37fvwji+h+0 (16/27)


――――


山賊E「酷い目にあった……仕事も終わらなかったし……」ハァ

お嬢様「あなた」トテトテトテ

山賊E「あれ? 待っててくれたんですか? あの2人は?」

お嬢様「2人は仕事があるので帰りました。私はそんなことしなくてもいいと言ったのですが、彼女たちがどうしてもというので……」

山賊E「そうですか」

お嬢様「1人で帰るとまたあの時と同じような目に遭うかもしれないのでここで待っていたというわけです」ジトー

山賊E「だから、すいませんでしたって……」

お嬢様「……あなたに嫌われたと思って、すごく悲しかったのですよ?」グスッ

山賊E「反省してます……はい……」

お嬢様「腕を貸しなさい。それで許してあげます」

山賊E「えっと、まだ役所の中なんですけど……」

お嬢様「私は構いません。さぁ!」

山賊E「うう……はい」スッ

お嬢様「ふふっ、よろしい」ギュムッ

山賊E(は、恥ずかしい……!!)

お嬢様「では……少し歩きましょうか……」

山賊E「は、はい……」






669以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:32:23.26fvwji+h+0 (17/27)


――――




山賊E「………」スタスタ

お嬢様「………」スタスタ

山賊E「怪我の方は大丈夫ですか?」

お嬢様「え、ええ。昼間に話した通り、傷も目立たなくなってきましたわ」

山賊E「そうですか……」

お嬢様「え、ええ……」





山賊E「………あの」お嬢様「………あの」



山賊E「なんですか?」

お嬢様「聞いて欲しいことがあるのです」

山賊E「俺も、あなたに話さなければならないことがあります」




670以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:33:16.08fvwji+h+0 (18/27)


お嬢様「………そうですか」

山賊E「はい……」

お嬢様「………」

山賊E「………じゃあ俺の話を先に聞いてくれませんか?」

お嬢様「……わかりました」

山賊E「俺、あなたにずっと隠していたことがあったんです。しかも、絶対言わないつもりだった」

お嬢様「………なんでしょう?」



山賊E「………俺、山賊だったんです」



お嬢様「………」

山賊E「少し前まで、人の家に忍び込んで物を盗んだり、誰かを脅して強引に奪ったりして毎日食いつないでいました。たくさんの人を傷つけたと思うし、色々な人に迷惑をかけてきた……」ギュッ

山賊E「あの部屋で俺のこと『汚れていない』ってあなたが怒ってくれた時、本当に嬉しかった。こんな汚れた手を取ってくれる人がいたんだってわかって………嬉しかったです」


山賊E「でもそれは、『公務員の俺』であって山賊だった頃の俺じゃない。どんなに過去を隠したってやっぱり俺の罪は消えない。今もまだ、俺の手はやってきた罪や血の色で汚れているんです……」

山賊E「こんな俺があなたの恋人になる資格なんて無い」

山賊E「……だって俺は……どこまで行っても、罪人だから……!!」ギュッ

山賊E「だから……俺は、やっぱりあなたとは……一緒にいることはできません……」

山賊E「すみません……」




671以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:45:49.13fvwji+h+0 (19/27)






お嬢様「………言いたいことはそれだけですか?」

山賊E「え?」

お嬢様「言いたいことはそれだけかと聞いているんです」

山賊E「え、ええ……」

お嬢様「そう……でしたら今度は私の番ですね」

山賊E「え!? いや、話聞いてました!? 俺、山賊だったんですよ!?」

お嬢様「わ・た・しの番ですね!」

山賊E「は、はい……」

お嬢様「まったく……あなただって人の話を聞いてないじゃないですか」

山賊E「す、すみません……」

お嬢様「私は……ずっとあなたに伝えなければならないことがあったんです」

山賊E「……伝えなければならないこと……ですか?」

お嬢様「はい。最初に私が役所に訪れた時、あなたに『一目惚れをした』と言いましたよね?」

山賊E「はい……それがどうかしたんですか?」

お嬢様「すみません。あれは嘘です」

山賊E「……嘘?」

お嬢様「私は……ずっとあなたを探していました。あなたに伝えたいことがあったから……」

山賊E「そ、それってどういう……」




お嬢様「燃え盛る屋敷の中から、私を助けてくれてありがとうございました」

お嬢様「あなたのお陰で、私は今日もここで生きています」







672以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:50:41.19fvwji+h+0 (20/27)





山賊E「!!! そ、そんな……気づいて……」

お嬢様「あら、あの時も言ったでしょう?『顔なんて見えなくてもあなただってことくらいわかります』」

山賊E「そ、それはそうかもしてないですけど……でも!!」

お嬢様「……ずっと、ずっと伝えたかったんです。でもあなたは自分が山賊であることを隠しているようでしたし……なかなか言い出せなくて今日まで……」フフフッ

山賊E「ま、待ってください……じゃ、じゃあ、あなたは最初から俺のことを知ってて……」

お嬢様「はい。これでやっとあなたに伝えることができました」

山賊E「……そんな……だって俺は……」

お嬢様「私の家を襲撃した山賊、ですか?」

山賊E「そうです! 俺達はあなたの家の人達に迷惑を……」

お嬢様「でもあなたは死にそうだった私を助けてくれた」

山賊E「そ、それは……」

お嬢様「地主の男から私を守ってくれた時、嬉しかった」

山賊E「!!!」

お嬢様「私がくじけてしまいそうになった時、力一杯抱きしめてくれた」

山賊E「………」

お嬢様「人質にとられてしまった時も、身体を張って助けてくれたじゃないですか!」


パシッ


山賊E「あ……」ギュッ




673以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:56:32.99fvwji+h+0 (21/27)


お嬢様「あなたは私に……たくさんのものをくれました」

お嬢様「そんな人の手が……汚れているわけないでしょう!?」

山賊E「!!!」

お嬢様「ほら、私の目には普通の……綺麗な手に見えますよ?」



山賊E「……でも」


お嬢様「ああ!! もう面倒くさいですわね!!! あなたという人は!!」

お嬢様「貴方が何者かだったなんて! もうどうでもいいことです!! 私は! あなたが大好きなんです!!」

山賊E「えーっと……」

お嬢様「私の行く道にずっと付き合うと先に言ったのはあなたです! 男なら自分の言ったことには責任を持ちなさい!!」

お嬢様「これ以上、グジグジ言うようなら、私があなたのその曲がった根性叩き直してやりますわ!!」バーン






674以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 21:58:12.54fvwji+h+0 (22/27)





山賊E「………プッ、アハハハハ!!!!」

お嬢様「な、なにがおかしいんです!?」

山賊E「あなたには本当に叶わないな!! 職業柄、色んな人を見てきたけどここまで強引な人、初めてですよ!」

お嬢様「当然です! 私は世界に喧嘩を売ろうっていう女です! 一緒にしないでください! あなたが山賊だろうとなんだろうと私はあなたの過去ごとまるっと愛してみせますわ!!」

山賊E「……俺と一緒にいると、幸せになれないかもしれないですよ?」

お嬢様「なにを言ってるのです? 私はあなたが側にいるだけで幸せですよ?」

山賊E「……わかりました」

お嬢様「で、では?」

山賊E「あなたには負けましたよ……不束者ではありますが、どうぞよろしくお願いします」ペコッ

お嬢様「こ、こちらこそよろしくお願いしますわ!!」

山賊E(嬉しそうな顔しちゃって……クソッ!! 本当に可愛いなおい!!)




675以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 22:05:10.53fvwji+h+0 (23/27)


お嬢様「それでは早速結婚式の予定なのですけども……」

山賊E「はい?」

お嬢様「できれば早めに執り行いたいと思うのですが……あいやでもお父様の予定も聞かなければならないし……」ムムム

山賊E「ちょ、ちょっと!」

お嬢様「なんですか?」

山賊E「結婚はまだしませんよ?」

お嬢様「そうなんですか!?」ガビーン

山賊E「いや、いくらなんでも気が早すぎますよ……」

お嬢様「そ、そういうものなのですね……まぁ今日のところはよしとしましょう!!」




山賊E「………」ジー

お嬢様「あなた? どうしました?」

山賊E「………」ズイッ

お嬢様「な、なんです? 突然近づいたりなんかして……」

山賊E「……あなたの顔をよく見ておこうと思いまして」アハハ




676以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 22:05:37.60fvwji+h+0 (24/27)


お嬢様「……どういう意味です……?」

山賊E「今思えばちゃんと正面でしっかり見たこと無かったなって。ほら、いつもあなた、俺の横にいるじゃないですか。なんか横顔の印象が強くてですね……」

お嬢様「……それはわかりましたけど……それにしても近くありませんか……?///」

山賊E「いや、ちゃんと見ておかないとと思いまして」ニヤッ

お嬢様「……わ、わかりましたから……もうちょっと距離を……///」

山賊E「ダメです」

お嬢様「ううう……///」

山賊E「あ!」

お嬢様「なんですか……///」シュゥゥゥ

山賊E「俺も……あなたのことが……好きですよ」

お嬢様「はうあ!!」ボンッ

山賊E「………面と向かって言うのってやっぱり恥ずかしいですね///」

お嬢様「!!! あなたという人は……!!!」

山賊E「これだけはちゃんと伝えておこうと思いまして」アハハ

お嬢様「も、もう!!」プンスカ




677以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 22:06:48.94fvwji+h+0 (25/27)


山賊E「………」ズイッ

お嬢様「さ、さらに近く……!! も、もう十分じゃありませんか!?」

山賊E「どうでしょう?」

お嬢様「どどどどどうでしょうって!?」アタフタ

お嬢様「だ、男女がこ、この距離まで近づくというのはですねつまりはそういうことを意味していましてあのですからですね!!」モニョモニョ

山賊E「………」

お嬢様「む、無言は怖いのですけど!!」アタフタ

山賊E(真っ赤になる彼女がとても愛おしかったので)

山賊E「嫌なら……今すぐ引っぱたいてください」

お嬢様「そんなことできないって知ってるくせに……卑怯です!!」


山賊E(俺は彼女にこの気持ちを伝えてみた)





番外編「山賊とお嬢様」    終わり





678以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 22:11:07.89fvwji+h+0 (26/27)



予告編





妖精長「……この里はかつてないほどの危機にさらされている、またしても人間どもの手によって」

商人貴族「あなたに拒否権はない………それでは商談と参りましょうか」

舎弟「兄貴はこんな俺を拾ってくれたんすよ。だから俺は兄貴に恩返ししなくちゃいけないんす! 見せてやりますよ! 『怒れる青鬼』の力を!!」

剣士「よく見ておくんだ。肩書きというものは名乗るものではないということを」

侍少女「やあやあ! 我こそは侍少女!! 貴様をこれから拙者の剣のサビに……痛いでござるよ!?」

少年魔法使い「これが僕の……とっておきだ!!」

魔族少女「……私は諦めません! だってみんなと約束したから!」

幼女「おいおい! 俺を誰だと思ってやがる!! 素敵で愉快なお兄さんだぞ?」

悪ガキ「………俺も、なれるかな?」

院長「あまり子供たちの前でこの力を使いたくないのですが……仕方ないですね」

勇者「悪いな! ガキども。生憎、こっからは大人の時間だぜ?」




続く!!




679以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 22:18:32.24fvwji+h+0 (27/27)


といったところで番外編&予告編終了です

感想等書き込んでいただけたら嬉しいです


告知通り、後編は月曜日から別スレにてゆるゆると始めていきたいと思います。幼女は活躍させます

長い番外編ではありましたが本編の補足ということで、ご勘弁ください

本編と分けて別スレでやればよかったと今更ながら後悔しています……こんなことになるとは思ってなかった……



それでは引き続き3部後編の方もお付き合いいただけたらと思っています!

長い間お付き合いくださりありがとうございました!!





680以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 22:19:46.74c36eaYUBO (1/1)

幼女何があったw


681以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/14(土) 23:38:26.82OAqLhQoDO (1/1)

乙!!


682以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/15(日) 00:01:19.61LmQLHHzGO (1/2)




683以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/15(日) 00:25:33.77DEVMcItS0 (1/1)

番外編ってこんなに長かったんですね・・・
のめり込んでて気がつかなかったw
乙!


684以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/15(日) 00:29:29.39YU+EqWEVo (1/1)


幼女の台詞がおかしいぞw


685以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/15(日) 00:32:29.25LmQLHHzGO (2/2)

こんどは男の方が憑依するんだろ


686以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/15(日) 01:17:16.20lBQaB/p6O (1/1)

素敵な番外編だった!



687以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/15(日) 07:19:16.04EQqsKOPS0 (1/1)

おはようございます、早速ですが訂正です

山賊E「あなたには本当に叶わないな!! 職業柄、色んな人を見てきたけどここまで強引な人、初めてですよ!」→×

山賊E「あなたには本当に敵わないな! 職業柄、色んな人を見てきたけどここまで強引な人、初めてですよ!」→○




688以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/15(日) 17:35:21.88NM2mQlPpo (1/1)

ユウシャが主人公らしくていいかんじ


689以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/15(日) 19:05:56.02sv+HbIc40 (1/1)

乙さまでした!
山賊E、また活躍するの楽しみにしてます!


690NR2015/03/16(月) 10:07:56.002wresFpAO (1/1)

乙ー。

幼女にいったい何が起きたんだ…


691以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/16(月) 12:05:32.19QmZFuICyo (1/1)

あれ?お嬢様って13歳なのかな?
山賊E犯罪者やな


692以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/16(月) 21:01:53.03BI9wz96C0 (1/1)

こんばんは


後編投下開始しました。よろしかったらそちらもどうぞ!


幼女「おじいちゃん。なんの……用?」妖精長「なに、ちょっとした頼みごとじゃ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426507205/



693以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/17(火) 00:21:38.37TysSQ/1D0 (1/1)

番外編をこんだけここでやって置いて本編はまた別にスレ立てるのか

前編後編位まとめようよ