1 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:15:47.20E//wmPqD0 (1/22)

モノクマ劇場

オマエラ、はじめまして!ボク、モノクマえもん!

…ちょ、冗談!冗談だから石を投げつけないで!

まったくもう、近頃のゆとり世代はすぐに訴訟へ走ろうとするんだから。ここはアメリカじゃなくて日本なの!事なかれ主義なの!波風立たせないの!和を以て貴しとなすの!

って、そんな話はどうでもいいんだった。早速だけど、注意事項だよ!

1・このssはヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD×ダンガンロンパのクロスオーバー物だよ。といっても、ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCDのキャラがダンガンロンパするだけだから、ダンガンロンパシリーズのキャラはボクぐらいしか登場しないのです。ま、ダンガンロンパシリーズの主役はボクだからね!仕方ないよね!

2・ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCDの主人公はCDを聴いているオマエラ自身であるという作品の設定の都合上、シリーズ各作品の主人公はこちらが用意したオリキャラになってしまうんだ。ヒロインたちは原作準拠だから安心してね!

3・ダンガンロンパシリーズのネタバレは極力避けるつもりだけど、プレイ済の人にはクスリとくるようなネタを仕込んでいくつもりだし、ヤンデレCDシリーズに関してはガッツリネタバレしちゃうから、あらかじめ購入して聴いておくことをオススメするよ!今ならAndroidアプリでダウンロードも出来るからね!詳しくはEDGE RECORDSの公式ホームページで!(巧妙なステマ)

4・エロ・グロ・シモ・パロ・鬱展開満載のサイコポップなカンジは本家にも負けないくらい詰めていくつもりだよ!当然、好きになったキャラも会いたくて会いたくて震えながらではなく、藁のように死ぬかもしれないから、気を付けてね!

以上に関して不快感を覚える人は、今すぐパソコンの電源ボタンを長押しして強制シャットダウンをするんだ!

――それではお待たせしました。

ヤンデレロンパ ~希望のヤンデレと絶望の兄~

はっじまるよー!




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420985746



2CV:置鮎龍太郎 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:16:56.24E//wmPqD0 (2/22)



拝啓、お父様とお母様へ。
目が覚めるとそこは、見知らぬ天井でした。



3CV:置鮎龍太郎 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:18:19.01E//wmPqD0 (3/22)


 なんてボケという名の現実逃避はさておき。…ここは一体どこなんだ?

 少なくとも俺の部屋ではない、よな、うん。俺の部屋ならもうちょっと散らかってるはずだし。見たところホテルの一室って感じだよな。それも俺みたいな一般庶民がおいそれと泊まれるような安宿なんかじゃなくて、駅前の高級ホテルみたいな。シングルだけど、家の俺の部屋より広いし。

 そもそも俺はどうしてこんなところにいるんだ?昨日もちゃんと自分の部屋で寝た筈だ。…まさか誘拐?
いやいや、確かに親父は警察官だがそんなにお偉いさんでもないし、身代金ふんだくれるほど家も裕福じゃないし、何か功績を挙げるられるほど俺自身が立派な人物というわけでもないし…。なんか虚しくなってきたな。




4CV:置鮎龍太郎 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:19:19.06E//wmPqD0 (4/22)


取り敢えず現状を整理していこう。俺の名前は主人公(オモヒトコウ)。淵録(ふちろく)高校の3年生。勉強の成績は平均よりちょい下って感じだが、体育の成績は割といいほうだと自負している。

俺は悪霊に取り憑かれてもいなければ、異能を打ち消す右手を持っているせいで不幸続きの人生を送っているわけでもないし、薬を飲まされて体が縮んでしまうようなこともなく、祖父が名探偵だとかいう特別な家系に生まれてきたわけでもないし、ある日突然なにかの能力に目覚めたわけでも、偶然の出会いで人生が変わってしまった経験があるわけでも、指輪が外せなくて日々トラブルに巻き込まれているわけでもない。どこにでもいるごく普通の一般的な男子高校生だ。王道という言葉さえ裸足で逃げ出す、というのは言いすぎかもしれないが、特にこれといって誰かに自慢できるような特技も特徴もないのは事実だ。



5CV:置鮎龍太郎 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:21:04.14E//wmPqD0 (5/22)


…だからって名前ネタでいじるのは無しな。「主人公ww」とかほざいた奴は後でしばき倒すからちょっとツラ貸せよ?

で、そんな平々凡々な俺がこんな所に連れてこられた理由だ。
誘拐はさっき否定したんだったな。誰かに恨みを買うなんてこともしてない…、筈だ。
学校に行って授業受けて部活やって家帰って寝る、なんて当たり前な日常しか送ってない。
逆恨みなんてのも考えられるかもしれないが、それでこんな上等な部屋を用意するのは何とも不自然だ。

…駄目だな。全く訳が分からない。
置かれている状況に対して圧倒的に情報が足りない。




6主人公 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:23:53.89E//wmPqD0 (6/22)


|>調べる

|>窓

 窓から外を見れば、俺が今どこにいるのか分かるかもしれない。

 覗いてみると、外の気温と室温と大分差があるのか一面水滴だらけで向こう側がよく見えない。
 ひどく冷えた結露をぬぐって目を凝らしてみても真っ暗闇が広がるだけ。
 一つの明かりもなく、ただ窓に張り付く雪の量が、吹雪荒れる空模様を知らせてくれる。
 この様子ではたとえ外が明るかったとしても30mから先が見えるかどうか…。
 とりあえず分かることは、町の明かりも届かないような山奥かどこかにあるホテルだってことぐらいだろうか。
 おまけにこんな天候じゃ自力脱出は多分無理だな。




7主人公 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:24:57.34E//wmPqD0 (7/22)


|>調べる

|>机

 机の上に何か置いてあるな。見るところ、パンフレットのようだ。
 なになに…、『私立希望ヶ峰学園入学案内』…?





8主人公 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:26:17.12E//wmPqD0 (8/22)


私立希望ヶ峰学園って言えば、都内の一等地に校舎を構える超名門校じゃないか。
あらゆる分野の超一流高校生を集め、育て上げることを目的とした、政府公認の超特権的な学園だったはずだ。
卒業すれば将来の成功を約束されたも同然、とも言われている。
で、その希望ヶ峰学園の入学案内が何だってこんな所に…?




9主人公 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:27:07.25E//wmPqD0 (9/22)


パンフレットに封筒が挟まっている。宛名は、『主人公様へ』…?
俺の事、だよな?オモヒトコウって書かれてあるんだよなこれ。シュジンコウじゃないんだよな?
でもなんで俺なんだ…?俺には特別な才能なんてない筈なんだが…。



10主人公 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:28:30.14E//wmPqD0 (10/22)


 希望ヶ峰学園に入学するための条件は二つ。
 “現役の高校生であること”と“各分野において超一流である”こと。
 この二つを満たす者だけが学園からスカウトを受け、入学を許可されるわけだ。前者は問題ないとしても、後者だよなぁ。
 いや、可能性はあるか。一応、普通の高校生でも運が良ければ希望ヶ峰学園に入学できる。
 全国の一般的な高校生の中から抽選で一人だけ、“超高校級の幸運”としてスカウトされる。
 今回の場合は、俺がその“超高校級の幸運”かも知れないわけだ、というより、それ以外に思いつかない。
 確かめなくてもいい気はするが、一応俺が何の才能で選ばれたのか、確かめてみるか。



11主人公 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:30:20.37E//wmPqD0 (11/22)

『主人 公 様
貴方を超高校級の主人公候補生として我が校に招き入れる準備をさせていただきました。』

 え、何。俺の事おちょくってるの?嘗められてる?馬鹿にされてるのか俺?
 っていうか、“候補生”ってなんだ、候補生って。

『これから行われる強化合宿にご参加いただき、全ての課程を修了していただきますと、晴れて我が校に入学する権利が与えられます。』

 これは喜んでいい、のか?超高校級の主人公なんてどんな才能なのか全くわからないし、というか名前をネタにされるから分かりたくもないけど、普通オブ普通の俺があの希望ヶ峰学園に入学できるかもしれないんだもんな。

『つきましては18:30にホテル1階のロビーにお集まりください』

 あ、もう参加することは確定なんですか。あぁそうですかそうですか。っていうかここに連れ込まれてる時点で参加確定ですもんね畜生。



12主人公 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:31:27.29E//wmPqD0 (12/22)


ベットに備え付けてある時計を見ると、18:20を表示していた。集合時間まであと10分か。
…ちょっと急がないとまずいか?

これ以上ここにいても何の収穫もなさそうだし、一度外に出て情報を集めておいたほうがいいかもしれないな。
ロビーに行けばこのホテルが何処に建っているか分かるかもしれない。



13 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:33:29.96E//wmPqD0 (13/22)


 廊下に出た。

 そこらの安ホテルとは格が違うといわんばかりの広く明るい廊下。各部屋の扉にすら高級さを感じる。
 時間ぎりぎりに集合場所につくのも気まずいし、すぐに一階のロビーに行った方がいいかもしれない。

 左手にエレベーターホールと、そこでエレベーターが来るのを待っているらしい女子の二人組が見える。
 あの二人に話を聞いてみれば何か分かるかもしれないな。



14 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:35:05.56E//wmPqD0 (14/22)


 エレベーターを待っていた二人はどことなく顔が似ている。姉妹だろうか?

 一人は背が高くて、儚げな雰囲気のある美人で、男子の制服を着ている。趣味なのだろうか?

 もう一人は小柄で小動物的な可愛らしさのあるツインテールの少女だ。男装している方の傍から離れようとしない。




15 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:36:28.56E//wmPqD0 (15/22)


???
「ねぇ、キミさ、さっき部屋から出てきたよね?ひょっとして希望ヶ峰学園の?」

 話しかけようと思ったら先に背の高い方が話しかけてきた。まぁ、好都合だな。

オモヒト コウ
「あぁ、そうだ。キミたちもか?」

???
「そ、ボクは野々原澪。一応、超高校級の幸運なんだ。末尾に候補生が付くけどね。よろしく」




16CV:緒方恵美 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:37:27.03E//wmPqD0 (16/22)


超高校級の幸運候補生
 ノノハラ レイ 




17 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:38:21.38E//wmPqD0 (17/22)


ノノハラ レイ
「で、こっちは妹の渚。ほら、挨拶ぐらいしなよ」

???
「野々原渚、です。超高校級の妹候補生、です」



18CV:長谷優里奈 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:39:20.68E//wmPqD0 (18/22)


     超高校級の妹候補生
      ノノハラ ナギサ




19 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:43:58.79E//wmPqD0 (19/22)


 渚はそれだけ言うと、澪の背後に隠れた。
 …避けられてるみたいで、ちょっと傷つくな。

ノノハラ レイ
「はは、ごめんね。渚ってば人見知りみたいで。あぁ、でも、家事の腕前は抜群なんだ。ボクの自慢の妹さ。その辺を評価するあたり、希望ヶ峰学園も分かってるよね」

 若干シスコンのケがあるんだろうか。べた褒めだな。すっごいいい笑顔してるし。




20 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:52:20.92E//wmPqD0 (20/22)


オモヒト コウ
「そういうキミも、何か特別な才能でもあるんじゃないのか?」

ノノハラ レイ
「まさか。ボクなんて平和な日本の一介の通常の普通の並大抵の通り一遍のただのありふれた一般的な男子高校生だよ」

 普通の高校生はそんなに同義語を並べて喋れないだろ…。


 …ん?今男子高校生って言ったか?





21 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:54:51.96E//wmPqD0 (21/22)


オモヒト コウ
「なぁ、一応確認しておきたいんだけど、澪って男、なのか?」

ノノハラ レイ
「何をいまさら…、あぁ、そう、キミもボクのことを女だと思ってたわけ」

オモヒト コウ
「あぁ、いや、その…。スミマセン…」

ノノハラ レイ
「まぁ、落ち込まなくたっていいよ。よく間違われるからね。
 レイなんて男女両方に使うし、漢字だけ見たら普通レイじゃなくてミオって読むから、紛らわしいったらありゃしない」

 名前だけじゃなくて顔も、なんだけどな。男だって言われた今でも信じられないくらい女性的な顔立ちだ。
 もしかして本当は超高校級の…。

ノノハラ レイ
「超高校級のニューハーフみたいだ、とか言ったら蹴っ飛ばすからね?」

オモヒト コウ
「げ!声に出てたのか?!」

ノノハラ レイ
「顔に出てるよ。まったく失礼しちゃうね。で?キミの名前と肩書は?」

 ちょっと不機嫌そうだな。いや、この話題はもうよそう、蹴っ飛ばされたくないし。自己紹介が先か。





22 ◆S7YK1FdmZg2015/01/11(日) 23:58:43.84E//wmPqD0 (22/22)


オモヒト コウ
「俺は主人公。…超高校級の主人公候補生、だとさ」

 …ひょっとしてこの名乗り毎回しなきゃいけなくなるのか?
 言ってるこっちがこっぱずかしくなるなこれ。

ノノハラ レイ
「ぷぷっ。主人公って名前の割にはモブ顔だよね。名前負けしちゃってるじゃん。よっ!主人公(笑)!」

 貴様人が一番気にしていることを…っ!
 いや、俺もさっき同じようなことをしてしまった以上…、いや、俺は思っただけで口にしたわけじゃ…、でも相手を不快にさせてしまったという点では同じなのか?
 …あぁもうムシャクシャする!

ノノハラ レイ
「いやぁごめんごめん。気に障った?
 そんなに怒らないでほしいなぁ。許してよ、何でもしないから」

オモヒト コウ
「…しないのかよ」

 一体何なんだこいつ…。掴み所がまるでないな。

ノノハラ レイ
「あ、エレベーター来たよ。時間も時間だし、いそご?」

 おまけにかなりマイペースだぞこいつ…!




23 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 00:01:26.27AlH2xKCl0 (1/42)


 エレベーターに乗って一階へと降りて行った。

 ロビーにはすでに何人か来ていたようだ。

 見た限りでは、男子が一人、女子が7人、か?

 ちょっと、いや明らかに女子が多いぞ。偏りすぎだろ。





24 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 00:06:39.49AlH2xKCl0 (2/42)


ノノハラ レイ
「あれ、綾瀬じゃん。何でここにいるのさ?」

 澪が大きなリボンでポニーテールにしている女子に話しかけた。どうやら知り合いらしい。

???
「澪?!
 えっと、わたしは超高校級のピアニスト候補生としてここに呼ばれたみたいなんだけど、澪は?」

ノノハラ レイ
「ボクは幸運らしいよ。
 あぁ、公。紹介しておくね。彼女は河本綾瀬。
 家が隣同士で、幼馴染なんだ」




25CV:広橋涼 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 00:08:24.58AlH2xKCl0 (3/42)


     超高校級のピアニスト候補生
       コウモト アヤセ




26 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 00:10:31.45AlH2xKCl0 (4/42)


ノノハラ レイ
「それにしても、超高校級のピアニスト、ねぇ?」

コウモト アヤセ
「何が言いたいの?」

ノノハラ レイ
「別に?
 『リストがまだ弾けないのにその肩書は勿体ないんじゃない?なんて口が裂けても言えないなー』
 とかは、微塵も思ってないんだよ?」

 思いっきり口にしてるじゃないか…。

コウモト アヤセ
「…そんな酷いことを言うのはこの口かな~?」

ノノハラ レイ
「いひゃいいひゃい!ひゃえふぇ~!」

 ほれみろ。言い終わるなりすぐ頬の裏に両手の親指突っ込まれて横に広げられてやんの。
 なんか渚の方も無言で睨み付けてるし。




27 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 00:12:34.10AlH2xKCl0 (5/42)


コウモト アヤセ
「もう、今度そういうこと言ったらもっときついのやるわよ?」

ノノハラ レイ
「分かった、分かったよ!
 …もう、ちょっとは手加減してくれないかなぁ?」

コウモト アヤセ
「何か言った?」

ノノハラ レイ
「ナンデモアリマセンヨー…お?」

 そんな棒読みでそっぽ向きながら言っても全然説得力ないからな?
 で、何かに気付いたのか?

ノノハラ レイ
「ふーん、園子さんも来てるんだ。ちょっと意外だな」

 そういう澪の視線は暗い青髪のロングストレートの女子に向いていた。
 彼女もこちらに気付いて近づいてくる。

オモヒト コウ
「知ってるのか?」

ノノハラ レイ
「柏木園子、クラスメイトだよ。
 で、キミはどんな才能でここにいるのかな?」

???
「私は、その…。超高校級の園芸部員候補生、です」



28CV:河原木志穂 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 00:13:46.50AlH2xKCl0 (6/42)


     超高校級の園芸部員候補生
       カシワギ ソノコ




29 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 00:16:18.83AlH2xKCl0 (7/42)


ノノハラ レイ
「ふぅん、そっか。まぁ妥当…かな?」

オモヒト コウ
「何なんだその間は」

ノノハラ レイ
「いや、別に?
 廃部寸前の園芸部を立て直したのが果たして妥当かどうかを決めかねてただけだよ?」

 それって結構凄いことなんじゃないか?
 廃部寸前の部活ってアニメとかじゃ結局何とかなることが多いけど、現実じゃそうも行かないだろうし。

カシワギ ソノコ
「超高校級、なんて畏れ多いです…。
 それに、園芸部も私だけじゃどうしようもありませんでしたし…。
 野々原さんの手助けがあったからですよ…」

ノノハラ レイ
「いいよその話は。ボクがやったことと言えばキミの背中を押しただけなんだから。
 園芸部はキミ自身の力で再興させた。それでいいじゃない」

カシワギ ソノコ
「そう、ですね…。野々原君がそう言うなら…」

 …本当にこいつは何者なんだ?
 普通を自称しておきながら普通じゃないところの方が多くないか?
 澪のことを普通呼ばわりしたら俺は一体何なんだ、空気か?背景か?くそっ。



30 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 00:18:07.73AlH2xKCl0 (8/42)


 若干ブルーになりながら辺りを見回すと、見知った顔と目が合った。
 長い金髪を赤いリボンでツインテールにした、傲岸不遜なお嬢様然とした少女は、俺の知っている限りでは一人しかいない。
 彼女は気品を損なうことなくかつ早足でこちらに歩み寄ってくる。
 近づけば近づくほど他人の空似という考えは消えていった。
 もう目の前にいる彼女は間違いなく俺の知り合いだ。

???
「あ、あなたは!」

オモヒト コウ
「げぇっ、咲夜!」

 この態度や声は、もう間違えようがない。咲夜だ。何でこんなところに…?

ノノハラ レイ
「え、何?誰?知り合い?」

 知り合いっていうか何ていうか…、同じ学校に通ってるけどこっちが一方的に絡まれてるだけというか…。

???
「ふん。超高校級の令嬢、綾小路咲夜とはこの私の事よ!ひれ伏すがいいわ!」




31CV:水橋かおり ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 00:18:50.52AlH2xKCl0 (9/42)


     超高校級の令嬢候補生
     アヤノコウジ サクヤ




32 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 00:24:08.01AlH2xKCl0 (10/42)


オモヒト コウ
「候補生、が抜けてるぞ」

アヤノコウジ サクヤ
「別にいいわよ、もう私で決まってるようなものなんだから!」

 おいおい…。決めるのは希望ヶ峰学園だろ?勝手に決めていいのか?

ノノハラ レイ 
「いいんじゃない?
 日本屈指の財力を誇る綾小路財閥のご令嬢を超えるご令嬢なんてそうそういないんだし」

 そう言われてみれば、そうだろうけど…。なんか、なぁ?

アヤノコウジ サクヤ
「…全く、失礼しちゃうわ。
 超高校級の令嬢は私で決まりだっていうのに“候補生”なんて。
 大体こんな辺鄙なところに連れ込まれるなんて、すぐにでも責任者に文句言ってやるんだから!」

 その点にはまったくもって同意だ。
 本人の意思とは無関係にホテルに連れ込むなんて拉致監禁…誘拐となにも変わらないじゃないか。
 だけどこのままだと咲夜の愚痴にいつまでもつき合わされかねないな。早々に切り上げよう。



33テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 00:31:09.15AlH2xKCl0 (11/42)


――非常に中途半端となってしまいましたが、今回の投下は以上とさせていただきます。

――次回の更新は本日の昼頃を予定しておりますので、それまで少々お待ちくださいませ。

――誤字脱字等のご指摘がございましたらどうぞ御気兼ねなくおっしゃってください。

――それでは画面の前の皆様方、お休みなさいませ。



34以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/12(月) 09:18:52.818laipcGQ0 (1/1)

面白い
期待



35テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 14:26:03.65AlH2xKCl0 (12/42)


――>>34様、ご期待頂き感謝の極みでございます。これからもお楽しみ下さいませ。

――それでは、再開いたします。




36 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 14:27:57.98AlH2xKCl0 (13/42)


 巫女装束を着た黒髪ロングストレートの女の子にも、見覚えがあった。
 あちらも俺に気付いたみたいで、様子を窺ってようだ。近づいて話を聞いてみるか。

オモヒト コウ
「なぁ、もしかして伊織、か?」

???
「主人、さん?」

オモヒト コウ
「キミもここにいるってことは…」

???
「はい。超高校級の巫女候補生に選ばれました」




37CV:今野宏美 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 14:28:47.92AlH2xKCl0 (14/42)


     超高校級の巫女候補生
      ナナミヤ イオリ




38 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 14:31:45.43AlH2xKCl0 (15/42)


ノノハラ レイ
「どういう間柄なのさ、キミら」

オモヒト コウ
「クラスメイトだよ。七宮伊織、七宮神社っていう神社の巫女をやってるんだ」

 真面目で清楚な印象をうける彼女は、巫女装束を着ていることもあってまさに「巫女中の巫女」って感じだ。

ナナミヤ イオリ
「神にお仕えするのが私の役目…。
 超高校級の巫女として選んでもらえるのは、晴れがましいです。
 ……こうしてアナタに逢えたことにも、感謝すべきですね」

オモヒト コウ
「え?それってどういう意味なんだ?」

ナナミヤ イオリ
「な、何でもないんです。気にしないでください」

ノノハラ レイ
「…公、キミはもう少し女心ってやつを理解しておくべきだよ」

 何で俺が非難される流れになってるんだよ…。




39 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 14:36:56.11AlH2xKCl0 (16/42)


 待ち時間が暇なのか仲良く手遊びしている二人もいるみたいだな。顔もそっくりだし、双子だろうか?
 巫女装束の伊織も結構目立ってたけど、この二人のゴスロリっぽい服装もかなり目立つよな。
喪服みたいな黒い衣装だし。
 その双子は俺たちの視線に気が付いたのか、こっちに駆け寄ってきた。
 まさか「イヤらしい視線で私たちを見るなんて、セクハラよ!」とか怒られたりして。
 そんなわけない…、よな?

 ドレスみたいな服を着て左目に眼帯をつけた長髪の女の子と、タキシードみたいな服を着て右目に眼帯をつけた短髪の女の子は丁寧におじぎをした。

???
「ナナです。こんばんは」

???
「ノノだよ、こんばんは、お兄ちゃん!」





40CV:金田朋子/あおきさやか ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 14:38:34.62AlH2xKCl0 (17/42)


     超高校級の双子候補生
      ナナ / ノノ




41 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 14:40:57.20AlH2xKCl0 (18/42)


 二人が手に持っているものは希望ヶ峰学園からの招待状で、そこには“超高校級の双子候補生”という文字があった。
 なるほど顔も仕草も瓜二つで、まさしく双子という言葉がしっくりくる。
 でも、この二人の声や姿はとても現役の高校生には思えないんだよなぁ…。

ノノ
「お兄ちゃん、ノノたちと遊んでよ」

ナナ
「遊びましょう、お兄ちゃん。いいでしょ?」

 なんかほんと、仕草とか態度とか、小学生か中学生くらいにしか見えないし…。

オモヒト コウ
「いやぁ、そろそろ集合時間なんだし、俺もまだ挨拶しに行けてない人もいるしさ?後でいっぱい遊んであげるから、な?」

ナナ
「むぅ~。ほんと?ちゃんと遊んでくれる?」

ノノ
「約束してくれる?」

 二人そろってだだをこねるところとかも、やっぱり子供っぽくて高校生には見えないな。

オモヒト コウ
「あぁ、約束だ」

ナナ/ノノ
「「わぁい!お兄ちゃん大好き!」」

 でも、そういうところが可愛らしいと思えてくるんだよな。

ノノハラ レイ
「…ひょっとして公ってそっちの趣味があったりする?もしそうならあまりはっきり言いたくないけど同じ空気を吸いたくないっていうか…」

オモヒト コウ
「違うからな?!」

 おまけにかなりキッパリ言ってるじゃないか!嘘でも傷つくぞ?!




42 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 14:43:47.52AlH2xKCl0 (19/42)


 ふとエレベーターホールを見ると、たった今エレベーターがこの階についたみたいだ。また新しく誰か来るんだろうか。
 エレベーターのドアが開く。
 そこにいたのはまたもや俺のよく知っている女の子だった。
 遠目でもわかるピンクのショートヘアーにアンミラみたいな服、間違いなくあいつだ。

???
「お兄ちゃ~ん♪」

 そいつはエレベーターから降りてきて早々、俺に抱き付いてきた。
 周りに人がいようとお構いなしだ。

オモヒト コウ
「夢見!やめろってこんなところで抱き付くのは!大体お前何でここにいるんだよ!」

 俺がそういうとこいつは待ってましたと言わんばかりに希望ヶ峰学園からの招待状を突き付けてきた。

???
「今のあたしはね、超高校級の理髪師候補生、小鳥遊夢見だよ!」




43CV:広橋涼(二役) ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 14:44:38.59AlH2xKCl0 (20/42)


     超高校級の理髪師候補生
      タカナシ ユメミ




44 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 14:46:13.29AlH2xKCl0 (21/42)


ノノハラ レイ
「妹みたいだけど、苗字が違うのは複雑な家庭の事情?」

オモヒト コウ
「ただの従妹だよ。隣に住んでるんだ。それよりもなんだよ理髪師って。お前が人の髪切ってるとこ見たことないぞ」

タカナシ ユメミ
「そんなことないよ?ハサミの扱いに関しては自信あるんだから!」


 答えになってないぞー…。
 大体、ハサミで相手の髪切れれば床屋になれるってわけじゃないだろ…。
 っていうかいい加減離れてくれませんかねぇ…。




45 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 15:02:17.08AlH2xKCl0 (22/42)


???
「あー、ちょっといいかい?僕にも自己紹介をさせておくれよ」

 さっきの中で唯一の男子がこっちに悠々とやってきた。
 制服の上にパーカーを羽織った短髪でメガネの優男は、手に一輪のバラを持っている。
 何ともキザッタらしい奴だ。夢見も俺から離れてお前のこと避けていったぞ。

???
「僕は梅園穫。超高校級の外交官候補生だよ、よろしく!」




46CV:保志総一朗 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 15:04:15.32AlH2xKCl0 (23/42)


     超高校級の外交官候補生
      ウメゾノ ミノル




47 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 15:15:24.41AlH2xKCl0 (24/42)


ウメゾノ ミノル
「特技はね、これ!」

 持っているバラの花と茎と小さなハサミで切り分けると、花と茎を握った右手の中に押し込んだ。
 左手で指を鳴らし右手を開くと、切られたはずのバラが繋がっている。

オモヒト コウ
「手品か」

ウメゾノ ミノル
「マジックって言ってほしいなぁ。だってほら、その方がオシャレじゃん?」

 そういうものなのか…?




48 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 15:23:18.69AlH2xKCl0 (25/42)


ノノハラ レイ
「え、今のどこが不思議なの?」

オモヒト コウ
「お前見てなかったのか?切られたはずのバラが元に戻っただろ?」

ノノハラ レイ
「いやさ、切ったバラと切ってないバラを素早く入れ替えただけじゃん。
 誰だってできることない?」

 え、マジで?全然気が付かなかったぞ。
 梅園もなんだか苦笑い浮かべて困惑してるみたいだ。

ノノハラ レイ
「最初持ってたのと今持ってるのとでは棘の数や位置が違うじゃない。
 入れ替えたバラは今両袖の中に入っているはずだよ?
 茎は左、花は右なんじゃない?」

 梅園は左袖からバラの茎を、右袖からバラの花を取り出した。
 澪の指摘通りだ。化け物かよこいつ。

ウメゾノ ミノル
「そんな所まで見られてるなんて…。ちょっと自信なくすなー」

 そんなに落ち込まなくていいと思うぞ。こいつが異常なだけだから。

ノノハラ レイ
「あぁ、ごめんね?これでも、視力と記憶力にはちょっと自信があるんだ」

 ちょっと所じゃないんですがそれは…。




49以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/12(月) 15:42:06.26R6s5oIfV0 (1/1)

びっしりすぎて読みづらい


50 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 15:47:11.73AlH2xKCl0 (26/42)


???
「ぶふっ!あはははっ!!」

???
「お、お姉さま、はしたないですよ」

ウメゾノ ミノル
「わ、笑うなぁっ!」

 失態をさらした梅園を笑いながら指をさし、追い打ちをかける長い茶髪をポニーテールにしている女子と、それを諌める同じ色の髪のセミロングの女子は、どうやら梅園と知り合いのようだ。
 笑っている方はツボに入ったらしく、身をかがめて腹を抱えている。

???
「あー、可笑しい。…あぁ、あたしは桜ノ宮亜梨主よ。
 そいつのことは好きにしてもらって構わないから。あたしが許す」

???
「何を言ってるんですか、もう!お姉さまったら…。
 あの、桜ノ宮慧梨主、です。お姉さまの言ったことは気にしないでくださいね?」




51CV:水橋かおり ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 15:48:39.34AlH2xKCl0 (27/42)


     超高校級の助っ人部員候補生
      サクラノミヤ アリス




52CV:河原木志穂 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 15:50:34.11AlH2xKCl0 (28/42)


     超高校級の文芸少女候補生
      サクラノミヤ エリス




53>>49様 これでいかがでしょうか ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 16:04:30.79AlH2xKCl0 (29/42)


ウメゾノ ミノル
「二人とも僕とは遠縁の親戚なんだよ」


サクラノミヤ アリス
「ちなみに、あたしは超高校級の助っ人部員候補生で、慧梨主は超高校級の文芸少女候補生だから」


ノノハラ レイ
「…もしかしてさ、亜梨主さんと慧梨主さんも双子だったりする?」


サクラノミヤ エリス
「はい…。双子のくせに全く似てないってよく言われますけどね…」


 確かに、見るからに社交的な姉と内向的な妹はまるで対称的だな。

 目つきも違っていて、同じ顔には見えない。


ノノハラ レイ
「まぁ、気にしなくていいんじゃない?双子って言っても結局自分以外は他人なんだし。

 そっちのほうがアイデンティティがあっていいと思うけど」


オモヒト コウ
「お前な、そういう言い方はどうなんだよ…」




54 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 16:19:10.69AlH2xKCl0 (30/42)


オモヒト コウ
「そろそろ時間だが、…これで全員か?」


ウメゾノ ミノル
「いや、実はあと三人いるんだけど、外に出てっちゃったんだ。

 嫌な予感がするって言ってさ」


オモヒト コウ
「何だって?!自殺行為だろそんなの?!」


ウメゾノ ミノル
「僕だって止めたけど聞く耳持ってくれなかったんだよ!

 まぁ、防寒着やロープや食料を持って行ったから最悪の事態にはならないと思うけど。

 三人一緒に行動してるみたいだし」


 本当に大丈夫なんだろうな…?


――バン!


 玄関の木製のドアが勢いよく開けられる。

 ドアを乱暴にあけたのは、2mはかくやという体格の大男だ。

 ニット帽やマフラー、手袋等の防寒具に加えスキー用のゴーグルをつけ、スキーウェアも着込んでいる。

 着膨れしてはいるが、それを考慮に入れたうえでもかなりの威圧感がある。

 続いてメイド服を着た女性とかなり小柄な女子が入ってきた。

 二人とも厚手のコートを着ていて、先ほどの大男と同様に手袋とマフラー、スキー用のゴーグルを着用している。





55 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 16:30:17.68AlH2xKCl0 (31/42)


ウメゾノ ミノル
「どうだった、外の様子は?」


???(大男)
「駄目だな。真っ暗なうえにこんなに吹雪いてちゃこの建物から離れることもままならない」


 やっぱりそうか…。

 どうして希望ヶ峰学園はこんな天候の日に俺たちをここに連れ込んだんだ?

 こんな吹雪じゃここまで来るのにも大変だろうに。


???(大男)
「そっちの奴らははじめまして、か?」


オモヒト コウ
「あ、あぁ。俺は主人公だ。そっちは?」


???(大男)
「俺の名前は増田勇だ。超高校級の画家候補生ってことになってる。」


???(メイド服の女性)
「超高校級のメイド候補生、ユーミアと申します。お見知りおきを」


???(小柄な女子)
「ボクは朝倉巴。よろしくね♪」





56CV:緑川光 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 16:31:13.71AlH2xKCl0 (32/42)


    超高校級の画家候補生
      マスタ イサム




57CV:水原薫 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 16:32:08.26AlH2xKCl0 (33/42)


    超高校級のメイド候補生
        ユーミア




58CV:下田麻美 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 16:33:11.05AlH2xKCl0 (34/42)


    超高校級の人形遣い候補生
       アサクラ トモエ




59 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 17:01:59.25AlH2xKCl0 (35/42)


 三人は身に着けていた防寒具をとり、素顔をあらわにする。


 増田はその体格に見合った精悍な顔立ちで、筋骨隆々という言葉がピッタリだ。

 短く刈り上げた茶髪はおそらく地毛で、彼のスポーツマンらしさを助長させている。

 多分、超高校級のボディビルダーと言われれば信じてしまうだろう。


 ユーミア金髪のセミロングで、青を基調にしたロングスカートのメイド服を着ている。

 整った顔立ちは、まるで人形が息をして動いているかのような錯覚さえ与えるかもしれない。


 朝倉も可愛らしさという点においては人形のようだ、と言えるかもしれない。

 色素の薄い髪をツインテールにして無邪気にふるまうさまは、とても愛嬌がある。





60 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 17:04:36.14AlH2xKCl0 (36/42)


ウメゾノ ミノル
「三人とも無事でよかった…。」


マスタ イサム
「命綱のおかげだな。これがあったからここまで戻ってこれたんだ」


アサクラ トモエ
「吹雪で前が見えなくなったときはどうなることかと思ったよー」


ユーミア
「マスタ…さんの素早く的確な指示がなければユーミアたちは…」


マスタ イサム
「いや、そもそも外に出ようって言ったのは俺だしな。

 俺のせいで二人を死なせるわけにはいかないって思っただけさ」




61 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 17:15:02.12AlH2xKCl0 (37/42)


ノノハラ レイ
「…ねぇ。ちょっと聞いていい?外に出たときさ、キミたち以外の足跡ってあった?」


マスタ イサム
「そういやなかったような…。でもだから何だっていうんだ?」


ノノハラ レイ
「いや、別にいいんだ。ちょっと気になっただけだし。気にしなくていいよ」



 そういわれると逆に気になるぞ…。




62 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 17:25:34.01AlH2xKCl0 (38/42)


コウモト アヤセ
「…もう集合時刻過ぎちゃったね」


ユーミア
「これで全員集まったのでしょうか?」


ウメゾノ ミノル
「そうじゃないかな?さっきからエレベーター動いてないし」


マスタ イサム
「全部で16人か。ちょっとキリが悪いな」


ノノハラ レイ
「そう?2の2乗の2乗なんだからかなりいい数字だと思うんだけど」


オモヒト コウ
「それはお前だけだろ…」


アヤノコウジ サクヤ
「ちょっと、呼びかけておいて自分は遅刻するとかどういうこと?」


 一通り自己紹介を終えてしまって、指定された六時半を過ぎても何の変化もない。

 訳も分からず連れて込まれた俺たちの不満が沸々と沸き立ち始めた。

 その時、どこかで聞いたことのあるようなだみ声が受付のカウンターから聞こえた。


???
「えー、お待たせしました!それでは早速、ボクの方から説明させていただきます!」





63♪モモモモノクマ ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 17:33:09.79AlH2xKCl0 (39/42)


 その声にはっとして受付のカウンターを見る。

 そこにはクマのぬいぐるみが飛び上がってカウンターの上に着地する光景があった。

 おまけにそのクマのぬいぐるみは、半分は白くて優しそうな顔でもう半分は黒くて狂暴な顔をしている。

 キカイダーの白黒なクマバージョンみたいな悪趣味さが、その光景の狂気加減を増幅させていた。

 一体何の冗談なんだこれは…。




64 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 17:35:36.80AlH2xKCl0 (40/42)


???
「ボクはモノクマ!希望ヶ峰学園の、学園長なのだ!」





65CV:大山のぶ代 ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 17:37:26.34AlH2xKCl0 (41/42)


    希望ヶ峰学園 学園長
       モノクマ



66テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/12(月) 17:42:17.08AlH2xKCl0 (42/42)


――我らが希望ヶ峰学園学園長ことモノクマが登場したところで今回の投下はここまでとなります。

――次回はおそらく17日の夜になると思います。

――感想、ご指摘等ございましたら気兼ねなくお書き込みくださいませ。


67以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/15(木) 06:34:32.15jek6SZEH0 (1/1)

とりあえず男全員死ぬところまでは予想できた


68以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/16(金) 00:29:05.18U/t54lODO (1/1)

ハッピーエンドになる気が全くしないんだよなぁ…


69テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:11:58.262uZNC7380 (1/19)


――>>67様、並びに>>68様 まぁダンガンロンパでございますから多少はね?

――それでは再開いたします。


70 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:13:39.932uZNC7380 (2/19)


 は?今こいつ何て言った?

 希望ヶ峰学園の学園長?

 この人体模型のなりそこないみたいなこいつが?

 冗談だろ?



71 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:17:03.572uZNC7380 (3/19)


ウメゾノ ミノル
「キェェェェェェェアァァァァァァァァシャァベッタァァァァァァァァ!!」


サクラノミヤ エリス
「しゃ、喋るどころか動いてますよ?」


サクラノミヤ アリス
「なにあのヌイグルミ、趣味悪…」


モノクマ
「違うよ!ヌイグルミじゃなくて、モノクマなの!」


 そこはこだわるべきところなのか…?


ノノハラ レイ
「へぇ。最近はクマみたいな猛獣でも教員免許が取れるんだ」


ノノハラ ナギサ
「あっさり受け入れすぎだよお兄ちゃん!」


アヤノコウジ サクヤ
「どうでもいいけど、どういうことか説明しなさいよ!この綾小路咲夜をいつまで待たせるつもり?!」


モノクマ
「あー、はいはい。ご静粛に、ご静粛に。進行も押しているのでチャッチャと済ませちゃいましょう」


 ここまででもかなりいっぱいいっぱいなんだ…。

 頼むからもうこれ以上俺たちを混乱させるようなことは言わないでくれ…。




72 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:21:44.262uZNC7380 (4/19)


モノクマ
「オマエラには招待状にも書いてある通り、

 これから希望ヶ峰学園の生徒として相応しくなってもらうための強化合宿に参加してもらいます!

 期限は一生!

 学園長ことこのモノクマが、オマエラを希望ヶ峰学園の生徒として相応しい人物になったと判断するまでずっとです!」


 …え、こいつ何言ってるの?

 ってことはあれか?裏を返せば認められるまでここからは一生出られないって?
 




73 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:23:22.002uZNC7380 (5/19)



モノクマ
「安心してっ!ここは衣食住娯楽にお風呂にトイレまで完備の超快適空間だから!」


 さっきの不穏すぎる単語で全然安心できないぞ?!

 待て、待て待て!

 色々展開が急すぎて頭の整理が追い付かない!




74 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:26:20.032uZNC7380 (6/19)



ウメゾノ ミノル
「ちょっとちょっと、それじゃ僕らの元の生活はどうするのさ」


マスタ イサム
「そうだそうだ!早く俺たちを解放しろ!」


ノノハラ レイ
「ボクらの青春を棒に振れって?付き合いきれないよ。

 ボクは辞退するから、そっちはそっちで勝手にやってて」


モノクマ
「まぁまぁ。予算は豊富だし、一生オマエラに不自由はさせないよ!

 ボクって、クマ一番生徒想いですからからね!」


ノノハラ レイ
「よし皆。ここでの生活を受け入れるんだ」


 掌かえすの早すぎんだろお前…。

 見ろよ。あっさりすぎて皆見事にずっこけてるぞ。コントじゃねぇんだからさ。




75 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:29:34.512uZNC7380 (7/19)



ノノハラ レイ
「考えてもみなよ。社会保障の低迷が危惧されている中、勉強もしなくていい、働かなくてもいい。

 タダ飯を食っちゃ寝して遊び呆けても誰からも咎められないなんて最高じゃない?」


 駄目だコイツ完全なニート思考になってやがる…!

 働いたら負けかな?とか思ってそうな顔してやがる…!


コウモト アヤセ
「澪!数秒で自分の意見変えないでよ!あともうわけわかんないくらい論点がズレてる!」


ノノハラ レイ
「ま、そうだよね。予算が豊富とか言ってもその言葉が信じるに値するかどうかわからないし。

 こっちが思っている豊富より額の桁が足りないかもしれないし」


コウモト アヤセ
「そこじゃない、そこじゃないの澪…」


 …澪の考え方が大分人とズレてることに関しては、もう諦めた方がいいのか?





76 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:32:40.382uZNC7380 (8/19)


モノクマ
「まぁ、ぶっちゃけここから出る方法がないわけじゃないよ?」


 なんかもう嫌な予感しかしないな、これまでの話の流れからして。


モノクマ
「オマエラにはここで“秩序”を守った共同生活が義務付けられたわけですが、

 その秩序を破ったものが現れた場合、その人物だけは希望ヶ峰学園の生徒として相応しくないとしてここから出て行ってもらいます」


モノクマ
「“秩序を破ること”…それはね――






――人が人を殺すこと、だよ!」




77 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:34:26.182uZNC7380 (9/19)



 モノクマと名乗る奇妙なぬいぐるみは、国民的アニメの某青狸を思わせる濁声で言った。

 言い放ちやがった。本日三度目の爆弾発言だ。

 多分もう俺これ以上何言われても驚かないわ。

 最後の一人になるまで殺しあって下さいとか言われても受け入れられそう。

 というか耳に入らないな。聞き入れることを拒否しそうだ。





78 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:35:50.882uZNC7380 (10/19)



モノクマ
「殺し方は問いません。誰か殺した生徒だけがここから出られる。それだけの簡単なルールなのです。

 刺殺殴殺毒殺惨殺絞殺焼殺圧殺撲殺呪殺――

 殺し方は問いません!方法はたった一つ。誰かが誰かを殺すことだよ!」




79 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:38:18.302uZNC7380 (11/19)



 ははは…。なんなんだよこれ…。

 いきなりわけわからないところに拉致されて?

 わけのわからないナマモノが学園長とのたまって?

 挙句の果てにはここから出るには殺し合えって?

 ハッ、笑い話にもならねぇよこんなの。
 
 意味わかんねぇよ…。何なんだって言うんだよ…。





80 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:40:57.252uZNC7380 (12/19)



モノクマ
「うぷぷ…。この脳汁ほとばしるドキドキ感!たまりませんなぁ!」

 それじゃ、以上なんで!みんな殺って殺って殺りまくっちゃってくださーい」


 モノクマがカウンターから降りて、悠々と立ち去ろうとした時だった。


マスタ イサム
「ふざけんなよお前!おふざけにしたってやっていいことと悪い事があるだろうが!」


 増田がモノクマにつかみかかる。

 その肉体から容易に想像できる握力からか、メリメリという音も聞こえてきそうだ。

 胸倉(?)をつかまれたモノクマは短い手足をばたつかせている。





81 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:43:35.592uZNC7380 (13/19)



モノクマ
「ギャァ!学園長への暴力は校則違反だよ~!」


マスタ イサム
「うるさい!さっさと俺たちをここから出せ!」


――ビーッ!ビーッ!


 突然響く耳障りな機械音。

 それは他でもないモノクマから聞こえてくる。
 
 当のモノクマは気絶したかのように手足を脱力させている。


マスタ イサム
「な、何だ?」


 モノクマの赤い方の目が音に合わせて点滅している…。これってどこかで見た気が…?

 機械音も間隔が狭くなってきているし…。





82以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/17(土) 21:53:27.09jv4WGYc5O (1/1)

ゴメン。たまに使われてる行空けを出来れば無くして欲しい
例えば………

ノノハラ レイ
「考えてもみなよ。社会保障の低迷が危惧されている中、勉強もしなくていい、働かなくてもいい。

 タダ飯を食っちゃ寝して遊び呆けても誰からも咎められないなんて最高じゃない?」

ノノハラ レイ
「考えてもみなよ。社会保障の低迷が危惧されている中、勉強もしなくていい、働かなくてもいい。
タダ飯を食っちゃ寝して遊び呆けても誰からも咎められないなんて最高じゃない?」

といった具合にしてもらった方が個人的に読みやすい。判断は>>1と他の読者に任せるよ


83 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:54:45.252uZNC7380 (14/19)



オモヒト コウ
「…っ!まずい!離れろ!」


マスタ イサム
「何ぃ?!」


オモヒト コウ
「サイレンだ!何かある、危ないぞ!」


マスタ イサム
「くっ…!」


 投げ飛ばすか?いや駄目だ!何が起きるかわからないんだぞ!

 増田もそれをわきまえているからか狼狽えてやがる!


――ビビビビビビビ!!


 感覚がさらに短く…?!

 間に合わないのか…?!





84 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:56:37.502uZNC7380 (15/19)



 澪が増田に向かって走り、そのまま増田の脇腹に鮮やかな回し蹴りを食らわせた。


マスタ イサム
「げふぅ!」


 蹴り飛ばされる増田。あの巨体をあんなに軽々とは…。

 澪はそのまま蹴られた弾みで増田の手から離れたモノクマを蹴り上げ、その勢いのまま飛び退く。

 そしてモノクマが天井にぶつかるかぶつからないかのところで―――、





85 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:57:23.172uZNC7380 (16/19)



―――爆ぜた。




86 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 21:59:59.412uZNC7380 (17/19)



 蹴り飛ばされた増田は受け身をとりながら勢いよく転がっていく。爆風で吹き飛ばされているからだ。

 澪も爆風によって加速された勢いを殺すために、着地してからも床を滑っていく。

 …漫画でしか見たことねぇよこんなの。




87 ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 22:10:57.162uZNC7380 (18/19)



 すかさず朝倉とユーミアが増田に駆け寄ってきた。渚と河本と柏木も澪のところへ急ぐ。

 他は皆真っ青な顔をして呆然としていた。


アサクラ トモエ
「大丈夫?!先輩!!」

マスタ イサム
「あ、あぁ…。な、なんとかな」


 未だに耳にこびりついて離れない爆音。

 目に焼き付いた閃光。

 うっすら漂う不快な硝煙の臭い。

 天井にこびりついた焦げ跡。

 それらは、まぎれもなく先ほどの爆発が本物であることを示していた。





88テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/17(土) 22:20:08.942uZNC7380 (19/19)



――というところで本日は以上となります。次回は明日の夜になりそうです。

――>>82様 そうでございますか。やはり一人一人のセリフは行がまとまっていた方が見やすいのでございましょうか?

――何分、SSと小説との勝手の違いに戸惑っている真っ只中でございまして。

――それでは皆様にはアンケートにお答えいただきたいと存じ上げます。

(1)
ノノハラ レイ
「考えてもみなよ。社会保障の低迷が危惧されている中、勉強もしなくていい、働かなくてもいい。

 タダ飯を食っちゃ寝して遊び呆けても誰からも咎められないなんて最高じゃない?」

(2)
ノノハラ レイ
「考えてもみなよ。社会保障の低迷が危惧されている中、勉強もしなくていい、働かなくてもいい。
タダ飯を食っちゃ寝して遊び呆けても誰からも咎められないなんて最高じゃない?」


――読者の皆様方は(1)、(2)どちらの方がお読みになりやすくございましょうか?

――次回の更新までに多かった方の意見を採用させていただきますので、どうぞふるってお答えくださいませ。





89以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/18(日) 05:20:07.46JIVbgqQl0 (1/1)


主人公生存ルートが金持ちのペットENDだけというのがワロえない
アンケートに関しては割りとどっちでもいいけど強いて言うなら(1)のが読みやすいかな


90以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/18(日) 11:04:05.96p0e328T8o (1/1)

エリスEND(姉妹の妹のほう)でも死んでたっけ?



91テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/18(日) 21:53:37.92+YMexaag0 (1/1)


――大変申し訳ございませんが本日予定していた投下は取りやめさせて頂きます。

――火曜の夜ならまとまった時間が取れますので、そろそろこのプロローグを終わらせたいと思います。

――ちなみに、ネタバレになってしまいますがヤンデレCD本編では、野々原渚・柏木園子・七宮伊織・ナナ&ノノ・桜ノ宮亜梨主ENDがDEADENDとなっております。

――詳細はCD本編でお確かめくださいませ。

――引き続きアンケートは実施しておりますので、どうぞご回答してください。それではまた。




92以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/19(月) 13:57:19.63OvpLvvfZO (1/1)

(2)の方がいい


93テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:09:27.48hiVGbDdg0 (1/48)


――次の投下は火曜の夜といったな?

――今日は火曜で今は夜。何も問題はない、いいね?

――というわけで、再開いたします。

――アンケートや皆様方の御意見を鑑みた結果、(2)の方針で進行して参りますのでご容赦を。




94 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:11:56.37hiVGbDdg0 (2/48)


ユーミア
「爆弾を仕掛けていたみたいですね…。多分、C4だと思います」

 
 C4…、プラスチック爆弾…。
 希望ヶ峰学園って仮にも教育機関だろ?そんなもの仕掛けるか普通?
 おまけに候補生とはいえ生徒だぞ…?
 いや、殺し合いを強要してる時点で普通じゃないか…。






95 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:12:59.98hiVGbDdg0 (3/48)



マスタ イサム
「あのままだったら、俺は…」


ノノハラ レイ
「そうだね。間違いなくキミは死んでいたよ」


オモヒト コウ
「澪!大丈夫か?」


ノノハラ レイ
「無事だよ。まだ耳がキンキンするけどね。それより、ごめんね?痛かったでしょ?」


マスタイ サム
「気にするなって。むしろこっちが礼を言わなきゃダメだろ。ありがとな」


 モノクマが爆発した時、あの傍には増田と澪以外誰もいなかったから誰も怪我はしていない…。
 もし増田がモノクマを持っていたままだったら…。想像もしたくないな。





96 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:13:57.22hiVGbDdg0 (4/48)


サクラノミヤ エリス
「でも、モノクマ…さんが爆発したってことは、私たち助かったんですよね…?」


 …そうか?
 俺たちを殺し合わせようと画策しているような奴がたったあれだけのことで自爆して終わるのか?





97 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:15:35.42hiVGbDdg0 (5/48)


モノクマ
「全くもう、困るんだよね。スペアは幾らでもあるって言っても数には限りがあるんだから」


 やっぱりな。そうだと思ったよ。
 新しいのがさっきと同じように出てきやがった。


ノノハラ レイ
「量産型かな?まぁ、裏で誰かが操作してるんだろうし、当然といえば当然か」


モノクマ
「こら!そんな夢のないこといわないの!」


 真っ先に夢をぶち壊しに行こうとしそうなやつが何を言ってるんだか…。





98 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:17:11.56hiVGbDdg0 (6/48)


ユーミア
「今のはどういうつもりなんですか?明確な殺意があったものとみてよろしいのでしょうか?」


モノクマ
「当たり前じゃん。マジで殺そうとしたんだもん。
 校則違反をしようとした、そこの増田クンがイケナイんでしょ?
 今回は初犯ってことで大目に見て警告だけで許してあげるけど、
 次やったらお尻ペンペンレベルじゃすまないくらいスペシャルでグレートな体罰をブチかますからね!」




99 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:18:51.92hiVGbDdg0 (7/48)


サクラノミヤ アリス
「ひょっとしてアンタみたいなのが他にもいるわけ?」


モノクマ
「モノクマは合宿で使われる施設内のどこにでも配備されております。
 監視カメラも至る所に設置しております。
 もし校則違反をしている生徒がいたら、発見次第ドギツイおしおきを発動しますので!
 まぁ、個室内には監視カメラは仕掛けていませんのでご安心ください」


 だから、ちっとも安心できる要素がないんだって。
 おまけにこいつ監視カメラ「は」仕掛けていないって言いやがった。
 きっと盗聴器でも仕込んでるんだろうな。下手に声を出さない方がいいかもしれない。


カシワギ ソノコ
「こんなの…、こんなの絶対おかしいですよ…」


ナナミヤ イオリ
「滅茶苦茶ではありませんか…」





100 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:21:04.15hiVGbDdg0 (8/48)


モノクマ
「まぁそんなことは置いといて」


 置いといちゃダメだろ!


モノクマ
「この強化合宿に参加するオマエラに、ボクからささやかながらも素敵なプレゼントのお知らせです。
 いわゆる入学(仮)祝い(笑)ってヤツですな!」


 これ以上何をしてくるっていうんだこいつは…。
 まさかあのバトル○ワイヤルみたく武器でも配ろうっていうのか?




101 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:22:05.22hiVGbDdg0 (9/48)


モノクマ
「はい、電子生徒手帳~!」 \テッテテテッテッテッテッテー/


 おいバカ!その声でその効果音はやめろ!
 さすがにそれはまずいって!消されるぞ!
 っていうかどっから出したんだその効果音!





102 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:25:11.86hiVGbDdg0 (10/48)


モノクマ
「この電子生徒手帳は、オマエラが希望ヶ峰学園の生徒になった時に生徒手帳として使えるのはもちろんのこと、
 このホテルに当てられたオマエラの個室の電子キーにもなってるから、肌身離さず持ち歩くように!
 無くしたりしたら大変なことになりますよ。それ以外の使い方も、まだまだありますからね。
 それと、起動時に自分の名前が表示されるから、ちゃんと確認しておくように。
 ちなみに、その電子生徒手帳は完全防水の上ゾウが乗っても壊れないほどの耐久性!
 詳しい校則や電子生徒手帳の他の使い道なんかもありますのでちゃんと読んでおくように!
 大切なことだから何度でもいうけど、校則違反には厳罰だからね!
 ではでは、これにて説明を終わります!明るく豊かで陰鬱で殺伐とした合宿生活をどうぞ楽しんで送ってくださいね。
 それじゃ、まったねー!」


 一気に、一方的に喋ったモノクマは去って行った。
 未だに呆然としている俺たちを残して…。





103 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:26:09.07hiVGbDdg0 (11/48)


ノノハラ レイ
「ねぇ皆。今の、っていうかさっきの。どう思う?」


マスタ イサム
「どう思うもなにも…、全然意味わかんねぇよ…」


ナナ
「何のお話ししてたのかナナたちには全然わからなかったわ」


ノノ
「ノノたち置いてけぼりにされちゃってるもん」


アヤノコウジ サクヤ
「本当に一体何なのよあいつは…!」


ユーミア
「許せません…。こんなことは絶対に…」





104 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:27:11.36hiVGbDdg0 (12/48)


ウメゾノ ミノル
「ま、まぁさ、皆一旦落ち着こうよ」


サクラノミヤ アリス
「この状態でどう落ち着けっていうのよ!」


ノノハラ レイ
「一旦冷静になって状況を整理しろってことだよ。
 ボクらの選ぶべき選択肢は二つ。
 一つ目はみんな一緒にここで“期限のない共同生活”を続ける」


コウモト アヤセ
「二つ目が、ここから出るために“誰かを殺す”、ってこと、よね?」





105 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:30:57.34hiVGbDdg0 (13/48)


タカナシ ユメミ
「あれ…?ちょっと待って?どうしてここで一生暮らすことが前提になってるの?」


オモヒト コウ
「モノクマが言ってただろ?期限は一生だって」


タカナシ ユメミ
「そのあとに

『学園長ことこのモノクマが、オマエラを希望ヶ峰学園の生徒として相応しい人物になったと判断するまでずっとです!』

 って続けてたよ?
 それって裏を返せば希望ヶ峰学園の生徒として相応しい人物になったって判断されればいいんじゃないの?」


オモヒト コウ
「そんなの信用できるわけないだろ?
 俺たちがどんなに頑張ったって結局はあいつの気分次第なんだ。
 帰りたければ殺し合いをしろなんて言ったあいつが、そんな簡単に俺たちを帰すと思うか?」


タカナシ ユメミ
「…そっか。それもそうだよね」





106 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:33:20.65hiVGbDdg0 (14/48)


ノノハラ レイ
「むしろ、あの自称学園長がボクらに望んでるのは殺し合いの方かもね。
 期限は一生云々はボクらをここに拘束しておくための口実に過ぎない。
 …いや、ひょっとすると…」


オモヒト コウ
「何なんだ?」


ノノハラ レイ
「…ごめん、気にしないで。これ以上皆を混乱させるわけにはいかないし。
 いま思いついたこの考えは後で話すよ。ボク自身混乱してるからさ、うまく纏まらないんだ」


オモヒト コウ
「そ、そうか…」





107 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:34:56.12hiVGbDdg0 (15/48)


ノノハラ レイ
「まぁ今一番気にしなくちゃいけない問題は、さっきの話が本当なのか虚構なのかじゃないよね」


ノノハラ ナギサ
「え、そうなの?」


ノノハラ レイ
「…問題なのは、この中の誰かがさっきの話を真に受けてないかどうかってことだよ」


 その言葉で、俺たちは凍り付く。俺の背中を悪寒が走る。
 ここが雪山の中だからとか、外の気温がどうとか、そういう問題じゃない。
 澪が喋った後、誰も言葉が出なかった。出せなかった。
 全員が全員、互いの顔を見回し合っている。





108♪ニュー・ワールド・オーダー ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:36:12.51hiVGbDdg0 (16/48)


 互いの胸の内を探ろうとしている様子からは、うっすらと敵意や殺意じみたものまで感じる。
…まだ状況をよく理解できてない双子は別として。




109♪ニュー・ワールド・オーダー ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:37:17.83hiVGbDdg0 (17/48)


 そして、俺はモノクマが提示したルールの本当の恐ろしさを思い知った。

 『仲間を殺したものだけがここから出ることができる』

 その言葉は、俺の思考の奥深くにある“恐ろしい考え”を植え付けた。




110♪ニュー・ワールド・オーダー ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:42:48.64hiVGbDdg0 (18/48)

『誰かが裏切るのでは?』という、疑心暗鬼。

 仲間を殺して自分だけが生き残る。自分が外に出るために、自ら手を汚す。

 俺自身そう考えていないと言い切れなかったことが、俺が俺自身を信じられなくなっていることで、自覚させられてしまう。
 考えてしまう。想像してしまう。疑ってしまう。

 この中に殺人を考えているやつがいるかもしれない、と。

 もしかしたら俺が誰かに殺されてしまうかもしれない、と。


 だったら殺される前に殺してしまえ、と。



 考えれば考えるほど悪い方向に思考が向ってしまい、泥沼に嵌っていく。




111♪ニュー・ワールド・オーダー ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 00:44:15.23hiVGbDdg0 (19/48)




 モノクマの本当の狙いは、
 この一触即発の、今にも殺し合いが起きそうなこの空気を生み出すこと、だったんだ…!





112 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 01:19:58.33hiVGbDdg0 (20/48)




 前略

 父さんと母さんへ。
 どうやら俺はとんでもなく理不尽なことに巻き込まれてしまったようです。
 ただのありふれた俺の人生はどこにいったんでしょうか。
 頼むから早く、この悪夢から目覚めさせてください。

                       草々

 




113♪ダンガンロンパOP ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 01:22:46.40hiVGbDdg0 (21/48)


              原作
      SPIKE CHUNSOFT   EDGE RECORDS



           ヤンデレロンパ
        希望のヤンデレと絶望の兄






114♪ダンガンロンパOP ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 01:24:09.65hiVGbDdg0 (22/48)


モノクマ CV:大山のぶ代

野々原 澪 CV:緒方恵美

野々原 渚 CV:長谷優里奈

河本 綾瀬 CV:広橋涼

柏木 園子 CV:河原木志穂

主人 公 CV:置鮎龍太郎

綾小路 咲夜 CV:水橋かおり

七宮 伊織 CV:今野宏美

ナナ CV:金田朋子 

ノノ CV:あおきさやか

小鳥遊 夢見 CV:広橋涼(二役)

梅園 穫 CV:保志総一朗

桜ノ宮 慧梨主 CV:河原木志穂(二役)

桜ノ宮 亜梨主 CV:水橋かおり(二役)

増田 勇 CV:緑川光

ユーミア CV:水原薫

朝倉 巴CV:下田麻美





115 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 01:25:57.44hiVGbDdg0 (23/48)




           序章

ドキッ!ヤンデレだらけの凶化合宿!!ポロリもあるよ!

           END






116 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 01:26:48.03hiVGbDdg0 (24/48)




       生き残りメンバー
          16人


         To Be
Continued






117ITEM GET! ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 01:28:19.69hiVGbDdg0 (25/48)



   プレゼント“希望ヶ峰学園入学案内”を獲得しました。

       プレゼントメニューで確認できます。







118プレゼントメニュー ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 01:29:04.63hiVGbDdg0 (26/48)




希望ヶ峰学園入学案内:序章を訪問した証明。
           希望ヶ峰学園に入学するにあたっての様々な項目が書いてある希望に満ち溢れた冊子。






119テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 01:32:46.47hiVGbDdg0 (27/48)



――というわけで、パソコンのフリーズにも負けず、何とかOPまで進めることが出来ました。

――次回からやっとこさ(非)日常編に入れますね。嬉しい限りです。

――というわけで、今回は遅くなってしまいましたがこの辺で。

――次回は今日の23時ごろを予定しております。




120テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:03:58.55hiVGbDdg0 (28/48)


――予定通り再開いたします。

――少し短めですが、どうぞお楽しみ下さいませ。




121 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:04:55.49hiVGbDdg0 (29/48)


         Chapter0.5
   クラストライアル・チュートリアル
        (非)日常編





122 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:05:45.23hiVGbDdg0 (30/48)



 あれからどれだけ時間が経ったのだろうか。
 数分かも知れない。数十秒かも知れない。ひょっとしたら数時間だろうか。
 長い、長い沈黙がこの場を支配する。


――ぐぅ


 …その沈黙を破ったのは、誰かの腹が鳴る音だった。





123 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:06:32.34hiVGbDdg0 (31/48)



ウメゾノ ミノル
「…あー、と、取り敢えずさ、夕食にしない?お腹空いちゃって…」


 梅園が照れくさそうに笑う。さっきのはこいつか…。
 その横で慧梨主が顔を赤らめている。身内の恥だからだろうか。





124 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:07:39.71hiVGbDdg0 (32/48)



ノノハラ レイ
「そういやもう七時過ぎなのね。そりゃお腹も空くわ」


マスタ イサム
「夕食って言ったって、どうするつもりだ?」


ユーミア
「あのモノクマなるヌイグルミが言うには、不自由はさせないそうですし…。
 二階に食堂があるそうですから、まずはそちらに行ってみてはいかがでしょうか?」


ナナミヤ イオリ
「何故そんな事が分かるんですか?」


アサクラ トモエ
「電子生徒手帳にこのホテルの見取り図が載ってるからだよ。
 ご丁寧に、部屋割りも一緒にね」





125 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:09:12.37hiVGbDdg0 (33/48)



 見取り図を見る限りだと、このホテルは五階建てみたいだな。
 二階はフロア丸ごと使って食堂とキッチン、食糧庫があるみたいだな。
 三階は売店…。よく分からないが、ここで何か買えるみたいだな。 
 …今金持ってないけど。
 あと、倉庫やリネン室もある。
 四階・五階は俺たちの個室だ。自販機やランドリーもこの階にあるのが分かる。





126 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:10:54.58hiVGbDdg0 (34/48)


 部屋割りはこんな感じか。

5F
  |巴|園|亜|夢|伊|自販機
 EV|    廊下   |ランドリー
  |咲|綾|慧|ナ|ノ|

4F
  |渚|空|空|穫|澪|自販機
 EV|    廊下   |ランドリー
  |ユ|空|空|公|勇| 

 自販機はランドリーの傍にあるみたいだな。
 洗濯物を待っている間に買って飲めって事か?

 20部屋のうち4部屋が空き室ってことは、やっぱりメンバーは俺たち16人って事なんだな。





127126の図にミスがあります…。ランドリーは二文字分右です…。 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:14:48.28hiVGbDdg0 (35/48)



ウメゾノ ミノル
「見取り図から漂う凄まじい豆腐建築臭」


サクラノミヤ エリス
「この建物が脆いってことですか?」


ウメゾノ ミノル
「あー、いや。飾りっ気のないビルみたいな、ただの直方体みたいな建物のことだよ。
 形と味気無さが豆腐みたいだから、豆腐建築って揶揄するんだ」


サクラノミヤ アリス
「聞いたことないわそんな話。慧梨主にデタラメ教えてんじゃないわよ」


ウメゾノ ミノル
「まるっきり嘘、ってわけじゃないんだけどね。
 まぁ気にしないでよ。ちょっとしたゲーム用語だからさ」





128 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:15:40.52hiVGbDdg0 (36/48)



ノノハラ レイ
「そんな話聞いてたら余計お腹減っちゃうよ。早く行こ?」


マスタ イサム
「ま、そうだな。取り敢えずは腹ごしらえだ。腹が減っては戦は出来ぬってな」


 何と戦うつもり――、モノクマとか。
 そうだよな。俺たちはモノクマと戦っていかなければならないんだ。
殺し合いなんてせずに、全員でここから脱出するという戦いに。





129 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:16:56.96hiVGbDdg0 (37/48)



 二階は、フロアのほとんどを食堂として使っていた。
 開放的な空間の真ん中に白いテーブルクロスがかかっている大きな長机があり、その周りを椅子が囲んでいる。
 椅子の数は机の長い辺の方に6脚ずつ、短い方に2脚ずつの計16脚。
 食堂の奥には扉があって、そこがキッチンや食糧庫につながっているのだろう。
 ご丁寧なことにあらかじめ席も決まっているらしく、テーブルには各々のネームプレートが置かれていた。豪勢な料理と一緒に。





130今度こそずれていませんように…! ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:18:33.99hiVGbDdg0 (38/48)



   ナ|ノ|巴|勇|ユ|園
 伊| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|綾
  |           |
 咲|___________|澪
   夢|公|慧|穫|亜|渚


 とりあえずは、全員がそのネームプレートに従って席に着いた。






131…130のテーブルの中の変な棒は気にしないでください…。 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:20:28.84hiVGbDdg0 (39/48)



ウメゾノ ミノル
「…これ、さ。開けていいやつかな?」


 梅園が指す“これ”は、テーブルの真ん中にある大皿に覆いかぶさっている、料理番組でよく見かけるあの銀色の丸い蓋だ。
 「開けて!」という札までついている。
 問題は大きさだ。丸々豚一匹入りそうなそれは、素人な俺が見たって異常だった。






132 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:21:58.27hiVGbDdg0 (40/48)



オモヒト コウ
「どう見たって罠だろ…」


ユーミア
「開けた瞬間に爆発、という可能性があるためその意見には承服いたしかねます」


ナナ
「でも開けなきゃいけないんじゃないの?」


ノノ
「開けてみようよ」


カシワギ ソノコ
「やめましょうよ…、何があるかわからないんですから…」


ノノハラ レイ
「皆は下がってて。ボクが開けてみる」


ノノハラ ナギサ
「お兄ちゃん!」


コウモト アヤセ
「こんなあからさまに怪しいの近寄らない方がいいって!」


ノノハラ レイ
「まぁまぁ。モノクマはボクらに殺し合いをさせたいんだ。
 自ら進んで殺そうとはしないはずだよ。だから大丈夫だって。
 それに、もし爆弾が仕掛けられててもボクならすぐ対応できる」






133 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:22:53.49hiVGbDdg0 (41/48)



 過剰ともいえる自信だが、それが却って頼もしく見えてくる。
 俺たちは澪におされるまま後ろへ下がり、出来る限りテーブルから離れる。
 澪は出来るだけ腕を伸ばして、距離をとりながら蓋を開けようとする。
 そして、その手が蓋に触れた瞬間――、




モノクマ
「パンパカパーン!」


ノノハラ レイ
「うわぁ!」


 勢いよく飛び出て来たのは、まぎれもなくあの忌々しい白黒熊だった。
 っていうかお前いつからそこにいたんだ!






134 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:23:33.17hiVGbDdg0 (42/48)



アヤノコウジ サクヤ
「あなたさっき帰ったばっかでしょ?今度は何しに来たの?」


モノクマ
「とても重要なことを、言い忘れていましたのでね。それをオマエラに伝えに来たんだよ!」


 こいつのことだ。どうせまたロクでも無いことなんだろうけどな。






135 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:24:22.70hiVGbDdg0 (43/48)



モノクマ
「先ほど、誰かを殺せばここから出られるといったな?
 あれは嘘…じゃなくて、実はここからが重要なのです。
 ここを脱出するにはただ人を殺して終わりではありません。学級裁判を逃げ延びてもらいます」


オモヒト コウ
「学級…、裁判…?」


モノクマ
「そうっ!学級裁判こそがこの“コロシアイ強化合宿”の醍醐味なのです!」






136 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:27:01.82hiVGbDdg0 (44/48)



モノクマ
「オマエラの間で殺人が起きた場合…、生き残ったメンバー全員は必ず学級裁判に参加してもらうことになります」


モノクマ
「学級裁判の場では、殺人を犯した“クロ”とそれ以外の生徒“シロ”との対決が行われます」


モノクマ
「学級裁判では“クロはだれか?”をオマエラに議論してもらって…、
 その後の“投票”でオマエラが導き出した答えが正解だった場合は、
 殺人を犯したクロだけが“おしおき”となり、残ったほかのメンバーだけで強化合宿を続行します。
 
 ただし、オマエラがもし間違った人物をクロとしてしまった場合は…、
 罪を逃れたクロだけが生き残り、残ったシロ全員が“おしおき”されてしまうのです!
 以上、これが学級裁判のルールなのです!」


モノクマ
「つまり、誰かを殺して学級裁判を生き延びられれば、そいつだけはここから出られるってわけだね。
 ただし、学級裁判を逃げ延びられなかった場合は犯人だけが“おしおき”となる…」


モノクマ
「うぷぷ、もはやお馴染みのルールだから簡単でしょ?」






137 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:28:14.72hiVGbDdg0 (45/48)



ノノハラ レイ
「…さっきから連呼してる“おしおき”ってさ、増田クンが爆死しかけた時に言ってた“体罰”と同じって考えていいの?」


モノクマ
「大体そうだけど、もっと噛み砕いていうと処刑だね!!」


カシワギ ソノコ
「しょ…、処刑…!?」


モノクマ
「学級裁判後の愉快なおしおきタイム!これもコロシアイ強化合宿のお楽しみの一つだね。
 うぷぷ、今からどんな鳥肌もののおしおきが飛び出すか、楽しみで楽しみでしょうがないよ!
 電気椅子でビリビリ!毒ガスでモクモク!ハリケーンなんちゃらで体がバラったりってカンジでユーモア満点なおしおきもあるかもね!」


マスタ イサム
「どのへんにユーモアがあるって言うんだ…」






138 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:29:08.86hiVGbDdg0 (46/48)



モノクマ
「まぁとにかく、誰かを殺して終わりってだけじゃないってことを伝えに来ました。
殺るなら完全犯罪じゃなきゃ、オモシロクないもんね!でわでわ、モノクマでした!」


 そう言い残して、モノクマは再び去って行った。
 あ、帰るときは普通にエレベーター乗っていくのね。っていうか片づけてから行けよ!
 あの馬鹿でかい蓋!他の料理の上に乗っててすげぇ邪魔だよ!





139 ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:30:49.78hiVGbDdg0 (47/48)



ノノ
「あーあ。なんか変な邪魔が入っちゃったね」


ナナ
「あら、でもあれはあれで面白かったでしょ?」


ノノ
「そうだね。あの蓋、かくれんぼにちょうどいいかも」


ウメゾノ ミノル
「まぁ、取り敢えず邪魔もなくなったし、せっかくの料理も冷めそうだし、食べない?」


ノノハラ レイ
「そうだね。しばらくはここに世話になるんだし、味もしっかりみておかないと」


タカナシ ユメミ
「これ、本当に食べても大丈夫なの…?」


アサクラ トモエ
「ボクさっきのでちょっと食欲なくなっちゃったかも…」


 などといいつつも全員食べ始めた。
 …なんだかんだで料理は美味かった。誰が作ったんだ?モノクマだったら嫌だな…。





140テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/20(火) 23:35:39.69hiVGbDdg0 (48/48)



――というわけで、短いですが今回はここまでとさせて頂きます。

――次回は恐らく土曜の夜になると思います。

――それまで簡易なAAも失敗してしまう無様な>>1めを鼻で嘲笑ってやりながらお過ごし下さいませ。







141以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/21(水) 00:56:20.40ApU9CunN0 (1/1)




142テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:24:40.79Eb7DBV1I0 (1/26)


――再開いたします。どうぞお楽しみ下さいませ。




143 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:26:01.70Eb7DBV1I0 (2/26)



ノノハラ レイ
「そういえばさぁ」


コウモト アヤセ
「どうかしたの?」


ノノハラ レイ
「朝倉さんの才能、まだ聞いてないなーって」


 そういえばそうだな。確か自己紹介の時も朝倉だけ何の候補生なのか言ってなかった。





144 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:28:50.50Eb7DBV1I0 (3/26)



アサクラ トモエ
「あー、それは、ね?ちょっと言うのが恥ずかしいっていうか…」


ノノハラ レイ
「へー。“超高校級の主人公候補生”以上に恥ずかしい才能があるんだ?」


オモヒト コウ
「おしその喧嘩買ってやる表出ろ」


アサクラ トモエ
「超高校級の人形遣い候補生だよっ!お姉ちゃんの方が上手だから気が引けただけなの!
 だから喧嘩しないで!」


オモヒト コウ
「お、おう」






145 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:29:56.26Eb7DBV1I0 (4/26)



ノノハラ レイ
「へぇ。ちなみに、そのお姉ちゃんっていまいくつ?高校生なの?」


アサクラ トモエ
「高校二年生だけど…って、もしかしてボク口説かれてる?!」


ノノハラ レイ
「まさか。そんなわけないでしょ」


アサクラ トモエ
「そ…即答…」


ユーミア
「ではなぜそのようなことを?」


ノノハラ レイ
「いや。ちょっと気になっただけだよ。
 ボクってさ、気になることがあると夜も眠れなくなるタイプなんだ」


 コ○ンボかお前は…。






146 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:31:01.68Eb7DBV1I0 (5/26)



ノノハラ レイ
「それに、この話題はもう少し後にしておいた方がいいなと思ってね」


オモヒト コウ
「…それって、さっき言いかけたのと関係あるのか?」


ノノハラ レイ
「そ、だからこの話はおしまい。ほらほら、早く食べないと大皿料理なくなっちゃうよ?」


 本当にこいつの掴み所がわからん…。






147 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:31:56.11Eb7DBV1I0 (6/26)



ナナ
「ごちそうさまでした」


ノノ
「ごちそうさまー!」


 もう食べ終わったのか。早いな。俺もそろそろ食べ終わりそうだけど。
 …ん?二人とも何で俺に近づいてくるんだ?





148 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:32:41.61Eb7DBV1I0 (7/26)



ナナ
「ねぇお兄ちゃん」


ノノ
「まだ食べ終わらないの?」


オモヒト コウ
「もうすぐ食べ終わるけど…、どうした?」


ナナ
「遊んでくれるって約束」


ノノ
「忘れちゃったの?」


 …あ。






149 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:33:36.93Eb7DBV1I0 (8/26)



オモヒト コウ
「い、いや、忘れてないぞ?ちょっと待っててくれ今食べ終わるから」


 ごめんなさい嘘ですすっかり忘れてました。…なんて口が裂けても言えないよなぁ。
 周りを見ると、大方他の皆も食べ終わったみたいだ。






150 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:34:25.88Eb7DBV1I0 (9/26)



ユーミア
「皆さんの食器、お下げしますね」


ノノハラ ナギサ
「あ、あの、じゃああたしも手伝います」


ユーミア
「いえ、これもメイドの務めですからお気になさらず」


コウモト アヤセ
「この量のお皿を一人じゃ大変でしょ?水臭いこと言わないで、私達にも手伝わせて?」


マスタ イサム
「…俺も手伝うよ。これでも食器洗うのはバイトで慣れてるんだ」


アサクラ トモエ
「先輩がやるならボクも手伝う!先輩とバイト先同じだもんね♪」


マスタ イサム
「お前新人だろ、大丈夫か?割ったりするなよ?この皿高そうだし」


アサクラ トモエ
「ボクドジっ娘じゃないもん!」


ユーミア
「…では、お言葉に甘えますね?」






151 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:35:37.19Eb7DBV1I0 (10/26)



ウメゾノ ミノル
「さて、それじゃ僕はちょっと売店見てこようかな…。何売ってるのか気になるし」


サクラノミヤ エリス
「あ、じゃぁ私もご一緒しますね」


サクラノミヤ アリス
「分かってるだろうけど、当然アンタの奢りだからね?」


ウメゾノ ミノル
「いやいやいや、見るだけだから!絶対買わないからね?!」


ノノハラ レイ
「楽しそうだね、ちょっとボクも混ぜてよ」


カシワギ ソノコ
「あ、あの…。わ、私も行きます…」





152 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:36:43.79Eb7DBV1I0 (11/26)



ナナミヤ イオリ
「綾小路さん…?どうかしたんですか?」


 咲夜は食べ終わった後ずっと俯いていた。
 伊織の呼びかけにも応じない。
 すると突然、両手をテーブルに叩き付けて立ち上がった。


アヤノコウジ サクヤ
「言っておくけど、私はあなた達と馴れ合うつもりなんてこれっぽっちもないから!」


オモヒト コウ
「おい、咲夜…」


アヤノコウジ サクヤ
「ついてこないで!」


 咲夜はエレベーターまで走っていき、そのまま上の階へ行ってしまった。






153 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:37:47.43Eb7DBV1I0 (12/26)



ノノハラ レイ
「今はそっとしておいてあげたら?」


オモヒト コウ
「何?」


ノノハラ レイ
「彼女を説得しようとするなら無駄だよ。多分取り付く島もなく追い返されるから」


オモヒト コウ
「やってみなきゃ分からないだろ?」


ノノハラ レイ
「分かってないなぁ。ああいう傲岸不遜なタイプはね、誰かに指図されると余計反発するんだよ。
それに…」


オモヒト コウ
「…何で急に黙るんだよ」


ノノハラ レイ
「いや、これは君自身の問題だ。もう少し女性の心理ってやつを勉強するこったね」


オモヒト コウ
「意味が解らん…」






154 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:39:07.39Eb7DBV1I0 (13/26)



ナナ
「…ねぇねぇ、お兄ちゃん。ナナたちと遊んでくれないの?」


ノノ
「約束破っちゃうの?」


 しまった!この双子のことをほったらかしにしていた!


オモヒト コウ
「あ、ああいやいや。破るわけないだろ?約束したんだもんな」


ナナ
「じゃぁ遊びましょう?」


ノノ
「遊ぼー!」


タカナシ ユメミ
「じゃぁあたしもお兄ちゃんと遊ぶー!」


オモヒト コウ
「だから夢見は抱き付くなって!」


 一緒に遊ぼう、なんて俺たちの置かれてる状況が解っていないのか、随分と呑気なものだとは思う。
 でも…。
 まじりっ気のないこの笑顔…。なんだか癒されるよな。






155 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:39:48.19Eb7DBV1I0 (14/26)



ノノハラ レイ
「やっぱり主人さんってソッチの趣味があったんですね」


オモヒト コウ
「だから違うって言ってるだろ?!」


 後、距離を置いたような話し方するなよ!余計傷つく!





156 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:40:50.61Eb7DBV1I0 (15/26)



 結局、俺は夢見たちと遊ぶことになった。
 三人とも意外とタフで、俺の方が若干ヘトヘトだ。


――「キーン、コーン…カーン、コーン…」


 突然、学校で聞いたような音が聞こえた。次いで、あのクマのだみ声が聞こえてきた。





157 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:42:17.06Eb7DBV1I0 (16/26)



モノクマ
「えー、希望ヶ峰学園候補生強化合宿実行委員会がお知らせします…。
 ただいま午後9時50分になりました。間もなく消灯時間です。
 消灯時間を過ぎると個室以外の暖房が切られるので、温かいままでいたいなら速やかに個室に戻ってください。
 部屋はオートロックなので、鍵になる電子生徒手帳は忘れずに。では、おやすみなさい」


 消灯時間まで決まってるのか…。そういう所は合宿みたいだな。
 ってことは起床時間も決まってるのか?!
 …早起きに自信ないな。7時ぐらいだったらいいんだが。





158 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:43:10.46Eb7DBV1I0 (17/26)



タカナシユメミ
「もうそんな時間なんだ」


オモヒト コウ
「じゃ、部屋に戻るか」


ナナ
「お兄ちゃん、また明日も遊んでくれる?」


ノノ
「約束してくれる?」


オモヒト コウ
「ああ、約束だ!」


 …きっとこのまま、時間だけが過ぎれば、モノクマも飽きるか諦めるだろ。
 誰も人殺しなんてしたくないはずなんだ。強要されてやるものでもない。
 だからきっと大丈夫。
 殺し合いなんて起きるわけない。絶対。






159 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:44:01.70Eb7DBV1I0 (18/26)



 個室の前のドアに立つ。
 いつの間にか、ドアにはネームプレートがつけられていた。
 デフォルメされた自分の顔のドット絵のおまけつきだ。
 しかし、電子生徒手帳が鍵って言われても、どうすればいいんだ?





160 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:46:00.60Eb7DBV1I0 (19/26)



ノノハラ レイ
「どうしたの?」


オモヒト コウ
「いや、ちょっと鍵の開け方が解らなくて」


ノノハラ レイ
「あぁ、それ?電子生徒手帳起動したままノブの下にあるリーダーにかざしたら開くよ。
 電源は画面タッチすればすぐ付くから」


 言われたとおりにしてみた。


――ピッ


 電子音とともにリーダーのランプが点灯した。


ノノハラ レイ
「他にも色々便利な機能もあるみたい。詳しくは取説に書いてあるから」


オモヒト コウ
「ああ。ありがとな」


ノノハラ レイ
「どういたしまして。じゃ、おやすみ」


オモヒト コウ
「ああ。おやすみ」


 …意外に親切なんだな、澪も。






161 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:47:52.30Eb7DBV1I0 (20/26)



 部屋に入ると、出ていった時とは明らかに違っていた。
 ベッドの上のど真ん中に、目立つように“それ”は鎮座していた。
 鈍く光るジュラルミンケース。張り紙には「凶器支給のお知らせ」の文字。
 …くそっ。モノクマは意地でも俺たちに殺し合いをさせたいみたいだ。






162 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:48:46.43Eb7DBV1I0 (21/26)



 あのモノクマのことだし、どうせ開けなきゃ寝かせてくれないんだろうな…。
 …案の定張り紙の裏に「開けるまでどかせられません」って書いてあった。くそっ。

 意を決してケースをあける。
 
 中身は――









163 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:49:14.78Eb7DBV1I0 (22/26)






 ――は、ハリセン…。








164 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:49:50.35Eb7DBV1I0 (23/26)






 ―――どないせぇっちゅうんじゃぁ!








165 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:50:26.89Eb7DBV1I0 (24/26)



 ま、まぁ、これで俺が誰かを殺せるようなことはなくなったわけで、それは喜ばしいことだろう。
 というか、モノクマは本当に俺たちを殺し合わせようとしているのか…?
 いや、これで本気ですとか言われてもちょっと困るけど。





166 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:51:51.96Eb7DBV1I0 (25/26)



 ジュラルミンケースをどけて、ベットに腰かけた。


 …なんだか、すごく疲れたな…。
 今日は色々ありすぎた…。ベッドに横たわるだけで寝入りそうだ…。
 …この調子ならきっと殺人なんて起きない。そうに決まってる。


オモヒト コウ
「モノクマの思い通りになんて絶対…、ならない……、ぞ……」


 徐々に意識が遠のいてゆく。


 ……そういえば風呂に入ってないな。


 朝シャンでいいか…。


オモヒト コウ
「zzz…」






167 ◆S7YK1FdmZg2015/01/24(土) 23:52:26.44Eb7DBV1I0 (26/26)




 DAY 00
  END






168 ◆S7YK1FdmZg2015/01/25(日) 00:02:12.61RDh3fIzL0 (1/2)



モノクマ
「えー、改めまして」


モノクマ
「『ヤンデレロンパ ~希望のヤンデレと絶望の兄~』をご覧のオマエラ…
 誠にありがどうございます」


モノクマ
「ようやく初日が終わりました。長い半日でしたね(白目)」


モノクマ
「ですが、これからが本番です。DAY 01から、このコロシアイ強化合宿は加速していくのです」


モノクマ
「何故プロローグが終わった後の章が1じゃなくて0.5なのかも、これから明らかになるでしょう」


モノクマ
「だから…、思いっきりワクワクして、ドキドキしちゃってくださいね!」


モノクマ
「それでは、最後までごゆっくりとお楽しみ下さいね」





169テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/25(日) 00:08:02.15RDh3fIzL0 (2/2)



――というわけで、今回の投下はここまでとなります。

――着々とダンガンロンパらしくなっておりますね。…ヤンデレ成分が少々物足りない感が否めませんが。

――ヤンデレCDの魅力もダンガンロンパの魅力も惜しみなく皆様方にお伝えすることができれば幸いでございます。

――それでは、また次回、金曜の夜にお会いいたしましょう。



――ちなみに、>>168はモノクマ劇場でございます。重要なことを書き忘れてしまう愚かな>>1めには永い休暇を言い渡しておきましょう。







170テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:17:07.34RFx21GZ40 (1/13)



――永らくお待たせいたしました。やっと解放されましたので投下いたします。

――…果たして心待ちにしている方などいらっしゃるのでしょうか…?レスがつかないので若干不安です…。




171 ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:18:09.34RFx21GZ40 (2/13)



――「キーン、コーン…カーン、コーン…」


モノクマ
「えーと、希望ヶ峰学園候補生強化合宿実行委員会がお知らせします。
 オマエラ、グッモーニン!本日も最高のコロシアイ日和ですよー!
 さぁて、今日も全開気分で張り切っていきましょ~!」





172 ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:19:13.24RFx21GZ40 (3/13)



 能天気で耳障りなあのだみ声で目が覚める。
 目が覚めても、そこは俺の部屋じゃなかった。


オモヒト コウ
「やっぱり、夢じゃないんだよな…」


 改めてそのことを実感させられて、朝から気分は最悪だった。


オモヒト コウ
「取り敢えず、シャワー浴びとくか…」






173野郎のシャワーシーンなんて誰得なんだ… ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:20:49.06RFx21GZ40 (4/13)



 そういえば、ホテルの個室で寝泊まりなんて初めてじゃないか?
 風呂場もよくあるユニットバスじゃなくてトイレとは別々だし、ベッドの寝心地も最高だったし、何より部屋が広い。
 …これで殺し合いなんかがなかったら最高だったんだがなぁ…。


オモヒト コウ
「ふぅ。さっぱりした」


 しばらくは共同生活が続くんだし、少なくとも不潔なのはよくないよな、やっぱり。






174電子生徒手帳 ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:22:42.50RFx21GZ40 (5/13)



超高校級の主人公候補生

ID:KGM-79-1004
名前:主人 公
身長:176cm






175電子生徒手帳 ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:25:11.54RFx21GZ40 (6/13)



規則

1.希望ヶ峰学園候補生は実行委員会が指定した敷地内で過ごすこと。
  敷地内であれば自由に行動してもよく、制限はない。

2.22時から翌7時までを消灯時間とする。
  消灯時間中は一部を除き施設のあらゆる設備の電源を切るため注意すること。

3.学園長ことモノクマに対する暴力を禁ずる。

4.故意に施設の設備の機能を損なう行為を禁ずる。

5.不法投棄は厳禁。ゴミは指定のゴミ箱に捨て、焼却炉で処分すること。

6.生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に全員参加が義務付けられる「学究裁判」が行われる。

7.学級裁判で正しいクロを指摘した場合はクロだけが処刑される。
  正しいクロを指摘できなかった場合は、校則違反とみなし残りの生徒を全員処刑する。

8.生き残ったクロは特別措置としてその罪が免除され、強化合宿生活から解放される。

9.三人以上の人間が最初に死体を発見した時、それを知らせる“死体発見アナウンス”が流れる。


注意:違反者は厳罰に処す。
   なお、強化合宿期間中にモノクマの判断で規則が増減する場合がある。





176電子生徒手帳 ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:30:01.30RFx21GZ40 (7/13)



取扱説明

1.本体を起動して個室のドアノブの下にあるリーダーにかざすと開錠できます。

2.本体には電子マネーである「モノクマコイン」が最大100枚までチャージできます。
 モノクマコインは本体起動時に50枚支給されており、その後は三日に一回20枚支給されます。
 モノクマコインは売店やロビーのパソコンで利用できます。

3.売店では、購入したい物のバーコードを本体内蔵のカメラで読み取ると購入確認画面が開きます。
確認画面でOKをタッチすると、清算は自動で決済されます。
未精算の商品を売店外へ持ち出そうとするとアラームが鳴りますのでご注意ください。

4.ロビーのパソコンを起動するには電子生徒手帳本体が必要です。
本体をパソコンに接続されたリーダーにかざすとログインできます。

5.本体には携帯電話同様、通話機能、メール機能、地図機能、カメラ機能が搭載されています。
各種機能をご利用になりたいときはメニューからそれぞれ選択してください。

6.充電は各所にある充電器に置けば1時間ほどで完了します。


注意:本体を破損、紛失しても代替は一切いたしません。
   また、予告なく機能をアップデートする可能性があります。





177 ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:31:05.76RFx21GZ40 (8/13)



 なるほど。
 …よくわからん。取説そのものが大雑把だっていうことは分かったが。
 とにかく、色々便利な機能があるってことだ。あとはフィーリングで何とかなるだろ。
 携帯電話も取説なんてほとんど読まないし、どうせモノクマのことだから外との連絡には使えなさそうだしな。





178 ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:32:15.50RFx21GZ40 (9/13)



 7時半か。そろそろ朝食の時間だろうか?
 …食堂に行ってみるか。昨晩みたいに料理が用意されてるだろうし。






179 ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:35:43.80RFx21GZ40 (10/13)


 廊下に出た。


タカナシ ユメミ
「おはよう、お兄ちゃん♪」


 ドアの前で待機していたのか、部屋を出るなり抱き付いてきた。


オモヒト コウ
「だから、抱き付くなって。…ったく」


 夢見はここに来る前、ほぼ毎朝隣に住んでいる俺を起こしに来ていた。
 そして何かにつけて世話を焼きたがるのだ。
 男子としてはうれしい反面、過度なスキンシップには戸惑いもある。抱き付いてくるなんていうのはしょっちゅうだ。






180 ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:38:47.24RFx21GZ40 (11/13)



タカナシ ユメミ
「朝ご飯、一緒に食べよ?」


オモヒト コウ
「分かった、分かったから夢見、離れるんだ」


 さすがにこれ以上くっつかれると男としての欲望がだな…。


タカナシ ユメミ
「お兄ちゃん大好き♪」


 余計くっつこうとするなよお前はぁぁぁ!こちとら我慢の限界なんだよぉぉぉぉ!!






181 ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:42:04.19RFx21GZ40 (12/13)



マスタ イサム
「おーおー朝からお熱いこって」


オモヒト コウ
「茶化すなよ…」


 だがある意味助かったかもしれん。あのままだったら俺は――、
 …こんな時に何妄想してるんだか。






182 ◆S7YK1FdmZg2015/01/30(金) 23:52:35.03RFx21GZ40 (13/13)



オモヒト コウ
「で、何か用か?」


マスタ イサム
「さっきユーミアから連絡があってな。どうやら食堂の朝食はビュッフェスタイルらしいぞ」


タカナシ ユメミ
「…お兄ちゃん、早く行かないとなくなっちゃうよ?」


オモヒト コウ
「お、おい夢見引っ張るなって!分かったから一旦離せって!」


 俺の静止も意に介さずといったところか、夢見は俺の腕をつかんでグイグイ引っ張ってそのままエレベーターホールへ歩いていく。
何でいきなり機嫌悪そうになってるんだ?
 …所で―――、


オモヒト コウ
「…ビュッフェスタイルって何だ?」






183 ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 00:11:07.66xQ84wdUy0 (1/13)



 結局夢見は俺の疑問に答えることなく、俺たちは食堂へたどり着いた。


ユーミア
「おはようございます。朝食はビュッフェ形式ですから、好きに盛り付けてくださいね」


 テーブルの周りには、パンやサンドイッチやベークドポテトといった様々な料理が乗っているワゴンが配置されている。
 …あぁ、要するにビュッフェってバイキングって事なのか。
 それならそうと言ってくれればいいじゃないか。





184 ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 00:12:32.87xQ84wdUy0 (2/13)



タカナシ ユメミ
「お兄ちゃんの分もあたしがよそってきてあげるよ!」


オモヒト コウ
「…いや、いい。自分の分は自分でとってくる」


 夢見は俺の好みを把握しているから、多分俺がほしいと思っている料理を持ってきてくれるだろう。
 問題は、それが朝っぱらから食べるには重く、量も多い、というところだ。
 以前それで地獄を見たからな。
 カツ丼、豚のしょうが焼き、エビフライ、メロン――、それらがテーブルいっぱいに並べられた朝食の光景は、いくら大好物といえども若干の吐き気を伴った。
もう二度とあんなのはごめんだ。






185 ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 00:25:17.34xQ84wdUy0 (3/13)



 食堂では既に桜ノ宮姉妹と梅園、伊織、柏木、朝倉、ナナとノノが朝食を摂っていた。
 俺と夢見と増田はついさっきここにきていて、今空席は4つだ。
 野々原兄妹と河本、そして咲夜の四人が、まだここにきていない。




186 ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 00:31:56.20xQ84wdUy0 (4/13)



 8時ごろ、ようやく野々原たちがやってきた。
 …咲夜はいなかったが。


ノノハラ レイ
「おはよー…。ふぁ~ぁ…」


オモヒト コウ
「随分とでっかいあくびだな。眠れなかったのか?」


ノノハラ レイ
「そーなんだよねぇー…。色々考えてたら8時間しか寝れなくって…」


 割とガッツリ寝てるんじゃないか…!


ノノハラ レイ
「そんなことないよ~?一日10時間ぐらいは睡眠時間に充てたいなーって」


オモヒト コウ
「…だから、なんで俺の考えてることが解るんだよ」


ノノハラ レイ
「エスパーだからー、なんてね~?」


 眠いのかどうかわからんが語尾が間延びしてるのが余計むかつく!






187 ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 00:43:45.33xQ84wdUy0 (5/13)



ノノハラ レイ
「……zzz」


 席に着くなりテーブルに突っ伏して寝始めたぞこいつ…。


コウモト アヤセ
「澪!寝たらだめだってば!」


ノノハラ レイ
「んー…、眠いの~…」


ノノハラ ナギサ
「起きてお兄ちゃん。ほら朝ご飯持ってきたから、ね?」


ノノハラ レイ
「んー…」


 うつらうつらしながら食べるなよ…。澪は朝弱いのか…?
 うわ、こぼしたのを綾瀬が拭ってる所とかなんかちょっと介護してるみたいに見えるぞ。





188 ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 00:45:14.77xQ84wdUy0 (6/13)



 …結局完食するまで半分寝てたままだったな、澪は。


 八時半になっても、結局咲夜が来ることはなかった。
 やはり、誰とも会いたくないんだろうか…。






189 ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 00:46:07.25xQ84wdUy0 (7/13)




ノノハラ レイ
「――それとも、もうすでに殺されちゃったりしてね?」







190テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 00:52:04.20xQ84wdUy0 (8/13)



――というわけで、今回は以上となります。亀更新で大変申し訳ございません。

――これからはまとまった時間が取れると思いますので、なにとぞ、ご声援よろしくお願いいたします。

――次回の更新は今日の23時ごろになりそうです。それまで露骨なレス要求をしてくる浅はかな>>1めを嘲りながらお待ちくださいませ。




191以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/31(土) 11:57:07.14j3Z2svQ6o (1/1)

みてるよ


192以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/31(土) 13:33:51.39o+U2Ai1E0 (1/1)

お嬢様主人公にちょっかいかけてないし殺されてるってことは無いかな


193テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 23:12:33.18xQ84wdUy0 (9/13)



――>>191様 ありがとうございます。>>1めも泣いて喜んでおります。

――>>192様 まだ一章にも入っていませんから殺人は起きません(事件が起きないとは言ってない)

――では再開いたします。短いかもしれませんがお付き合いくださいませ。




194 ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 23:19:35.80xQ84wdUy0 (10/13)



オモヒト コウ
「起き抜けになんてこと言うんだお前は!後何でそう俺の考えてることが解るんだよ!」


ノノハラ レイ
「勘だよ、ただの。それよりも、咲夜さんのこと、心配なんじゃないの?」


カシワギ ソノコ
「あの、綾小路さんがすでに殺されてるって、どういう…、こと、ですか?」


ノノハラ レイ
「言葉通りの意味だよ。『こんな所にいられるか!俺は部屋に戻る!』みたいな感じのセリフ吐いて部屋に閉じこもった挙句、
朝になっても姿を見せないなんて、ミステリーなら殺されてるお決まりのパターンだよね?」


オモヒト コウ
「ドラマの見すぎだ。そんなの実際にあるわけないだろ」


ノノハラ レイ
「分かってないなぁ。今はそのドラマよりもたちの悪い事態が起きてるんだよ?
常に最悪のケースを想定しておかないと、いざというときに対処できないんじゃない?」





195 ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 23:22:14.75xQ84wdUy0 (11/13)



ノノハラ レイ
「それに、忘れたわけじゃないよね?凶器のこと。
 ここまでお膳立てされて行動起こさない人間がいないなんて言いきれる?」


 …ハリセン渡された俺はどう反応すればいいんだ?






196 ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 23:30:59.17xQ84wdUy0 (12/13)



ノノハラ レイ
「まぁ、誰かを殺せって言われて丸一日経たない間に殺人を決意して実行する、
なんて誰にでもできることじゃないけどね」


ウメゾノ ミノル
「むしろできたら異常、なんてもんじゃないよ…」


マスタ イサム
「殺し屋か殺人鬼でなきゃ出来ないだろ、そんなこと」


アサクラ トモエ
「……そうだよ。人殺しなんてそんな簡単にやっていいものじゃない…」


 朝倉が暗い顔をしているな…。
ひょっとして誰かを殺そうとしていた、のか?
…いや、まさかな。






197 ◆S7YK1FdmZg2015/01/31(土) 23:46:05.60xQ84wdUy0 (13/13)



ノノハラ レイ
「おっと。どうやら噂をすれば影、みたいだね」


 澪の言葉でハッとなって振り返ると、咲夜がエレベーターから降りてくるのが見えた。


オモヒト コウ
「遅かったじゃないか咲夜、心配してたんだぞ」


アヤノコウジ サクヤ
「心配してたって…、ま、まさか、私のこと気にかけてるってこと?」


オモヒト コウ
「そうじゃない、澪が変なこと言うから気になっただけだ」


アヤノコウジ サクヤ
「お、おあいにく様ね。私の恋人に立候補したいなら正式な手続きを踏みなさい!」


 …毎度のことながら、咲夜は人の話を聞かない。そして自分勝手に話を進める。
 典型的なお転婆お嬢様だ。正しく超高校級といった所だろうか。






198 ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 00:01:03.7741uElX2f0 (1/13)



アヤノコウジ サクヤ
「まずは丁寧で優しく、甘い言葉で満ちたラブレターを――」


オモヒト コウ
「あー…、朝食はビュッフェスタイルだから。自分でとるんだぞー」


 ああなるともう何言っても無駄だろうし、スルーしてさっさと退散するに限る。


アヤノコウジ サクヤ
「ちょ、ちょっと待ちなさいよっ!あなたごとき庶民が、世界的大金持ちの私とは付き合えないって怖気づくのはわかるけど……」


 どんな自分中心の解釈だ。


ユーミア
「咲夜様?時間も時間ですし、早く頂かれてはどうです?」


アヤノコウジ サクヤ
「…ふんっ。言われなくても分かってるわよ」


 ユーミアに催促され、咲夜は渋々遅めの朝食を摂ることになった。






199 ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 00:12:46.8841uElX2f0 (2/13)



ノノハラ レイ
「さてと、ちょっと皆に話しておきたいことがあるんだけど、いい?」


コウモト アヤセ
「そんな神妙な顔して、どうしたの?」


ノノハラ レイ
「昨日寝ながら考えたんだけどね?ちょっと匂うなって。
 …あぁ、先に言っておくと怪しいっていう方の意味だから、勘違いしないでね?」


 …梅園がボケをつぶされたって顔してる。
 っていうかそれは考えたって言わなくないか?






200 ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 00:27:09.4841uElX2f0 (3/13)



カシワギ ソノコ
「何が怪しいんですか?」


ノノハラ レイ
「ボクたちがここに集められた理由だよ。人選、ともいうかな」


オモヒト コウ
「ひょっとして、昨日言いかけていたことか?」


ノノハラ レイ
「まぁ、そうだね。疑問点はいくつかあるけど、解りやすいところから行ってみようかな。
 このメンバー、ちょっと偏り過ぎてると思わない?」


ノノハラ ナギサ
「確かに、女子12人男子4人はちょっと偏りすぎだよね」


ノノハラ レイ
「それもあるけど、知人同士が多すぎる。
 この16人の中で兄妹姉妹が三組もいるなんてちょっと変だよ。おまけにそのうち二組が双子なんてさ」


 そういわれてみれば、そうだな。
 河本は澪の幼馴染で、柏木は澪のクラスメイト。
 俺と夢見も従兄妹同士だし、咲夜と伊織は俺と同じ学校に通っている。
 梅園も桜ノ宮姉妹と遠縁の親戚だって言ってたな。
 それに、増田と朝倉はバイト先の先輩後輩だ。偶然にしては出来すぎだよな。






201 ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 00:28:17.1741uElX2f0 (4/13)



ノノハラ レイ
「もっというと、ユーミアさんは増田クンを呼ぶとき、さん付けに慣れてなかったのかちょっとつっかえてた。
 ってことは普段は別の呼び方をしてるってことだ。増田クンと何か関係持ってるんでしょ?」


 その言い方は色々と誤解招くんじゃないか…?


マスタ イサム
「そ、その、だな…。ユーミアは…」


ユーミア
「もういいんです、マスター。ユーミアがお話しします」


 ん?増田を呼び捨てしたにしてはちょっとイントネーションがおかしい気が…。







202 ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 00:34:00.9141uElX2f0 (5/13)



ユーミア
「マスターは、捨てられていたユーミアを拾って下さった命の恩人なんです。
 そして、記憶を失ってしまっていたユーミアは、記憶が戻るまでマスターの身の回りのお世話をさせてもらっているのです」


 そういうことか。それで増田のことを仮の主人として見てるってわけだな。


オモヒト コウ
「じゃぁ何で隠そうとしてたんだよ」


マスタ イサム
「言えるわけないだろ?超高校級のメイド候補生がこんな貧乏学生の世話をしてる、なんて。
 やっぱり相応しくない、なんて言われて取り消されるのは嫌だったんだよ」


ユーミア
「それに、ユーミアがマスターにお仕えする経緯をお話しするにしても、捨てられていた理由も未だに解っていませんから…。
 皆様にご心配をおかけしたくなかったんです…」


マスタ イサム
「だから、出来るだけ初対面の振りをしようってことにしてたんだよ。それだけだ」


ウメゾノ ミノル
「そういう事情があったんならまぁ、納得できる、かな?」






203 ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 00:53:46.1141uElX2f0 (6/13)



ノノハラ レイ
「これで、このメンバー全員が少なくとも一人他の誰かと何らかの関係性を持っているってことは解った。偶然にしては出来すぎだよね」


ナナミヤ イオリ
「しかし、例えば学区が近い生徒を集めた、とは考えられませんか?」


ノノハラ レイ
「それも思ったんだけどさ、でもやっぱり引っかかるんだよね」


アヤノコウジ サクヤ
「何がそんなに引っかかるっていうのよ」


ノノハラ レイ
「まず、“候補生”っていうのがどうも胡散臭いんだよね」


コウモト アヤセ
「どういうこと?」


ノノハラ レイ
「才能はあるけど“超高校級”と呼ぶには不足している、だから合宿を行おうっていうのはなんとなくわかるけど、
 だったら同じ才能の候補生同士を集めた方が効率的じゃない?」


ウメゾノ ミノル
「そう言われてみれば…。同じ才能を持った人同士が競い合った方がいい気がするな」


サクラノミヤ エリス
「スケジュールも組みやすいですよね」





204 ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 01:08:31.4941uElX2f0 (7/13)



ノノハラ レイ
「おまけにさ、昨日朝倉さんが言ってたでしょ?姉の方が上手だって。
 それなら姉の方を超高校級の人形遣いとしてスカウトすればいい。
 言っちゃ悪いけど、能力で劣る妹を、わざわざ金をかけて強化させて入学させるなんてあまりにも非効率だ」


マスタ イサム
「その姉が辞退したから、代わりに巴を入学させようとしたんじゃないのか?」


ノノハラ レイ
「だったら妹の朝倉さんが知らないはずがないよ。
 昨日の朝倉さんの口ぶりだと、自分より人形の扱いにたけている姉を差し置いて自分が超高校級の人形遣いとして希望ヶ峰学園に入学するのは気が引けるって感じだったし」


アサクラ トモエ
「…お姉ちゃんが希望ヶ峰学園のスカウトを受けたって話も、入学を辞退したって話も聞いてないよ…。
 確かにお姉ちゃんなら、ボクを一人に出来ないって言って全寮制の希望ヶ峰学園の入学は辞退するかもしれないけど…。
 ボクに何も相談しないなんて考えられないもん…」


ノノハラ レイ
「つまり、朝倉さんの姉じゃなくて朝倉さん自身がここにいなければならない理由があるってことだよ。
 その為に、“候補生”なんて苦し紛れの言葉を使ってごまかしているんだ」






205 ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 01:26:13.0241uElX2f0 (8/13)



ノノハラ レイ
「モノクマがボクらをここに集めたのには何らかの意図や目的がある。
 おそらく、希望ヶ峰学園の候補生なんて言うのはその目的を隠すためのフェイクに過ぎない」


オモヒト コウ
「俺たちに殺し合いをさせたい、それ以外の目的があるっていうのか?」


ノノハラ レイ
「…これは一つの可能性なんだけど、もしそれが当たっていたら、外部からの救助は期待できないかもしれない」


サクラノミヤ アリス
「ちょ、ちょっと、どういうことよそれ!」






206 ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 01:27:08.9241uElX2f0 (9/13)



ノノハラ レイ
「“希望ヶ峰学園の候補生”という設定が、ボクらを納得させるためではなく、ボクらの周りの人達を納得させるためのものだったとしたら?」


オモヒト コウ
「……!」


ノノハラ レイ
「そして、強化合宿中で生徒の心を乱さないため、という名目で外部からの連絡を絶っていることを知らせているとしたら?」


カシワギ ソノコ
「……」


ノノハラ レイ
「いくら待っても救助なんて来るわけないよね。まさか連れてこられた先で殺人を強要されてるなんて思いもよらないんだからさ」






207 ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 01:32:56.2441uElX2f0 (10/13)



ノノハラ レイ
「そして、助けなんて来ないってことを暗に伝えるために、ボクらにも教えた。
 何も知らないボクらは才能について思い当たる節があってぬか喜びってわけさ」


 つまり“超高校級の主人公候補生”っていうのもこじつけってことだな。
 …うれしいのやら悲しいのやら。






208 ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 01:37:26.2041uElX2f0 (11/13)



ノノハラ レイ
「流石に何か月もたって連絡一つもないのは怪しまれるだろうし、抗議もあるんだろうけど、相手は希望ヶ峰学園だ。軽く一蹴されるのがオチだろうね。
 まぁ詰まる所、ボクが言いたいのは――」





209 ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 01:38:44.8641uElX2f0 (12/13)



ノノハラ レイ
「――ここでの生活を受け入れるしかない、ってことだよ」





210テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/02/01(日) 01:44:45.0241uElX2f0 (13/13)



――今回の更新はここまでとさせていただきます。

――果たしていつになったら事件が起きるのでしょうか。こんな愚図でノロマな>>1めで大変申し訳ございません。

――次回の更新は未定です…。書き溜めがある程度できたら投下しようと思います。
  まとまった時間が取れるといった矢先にこの様で本当に申し訳ない限りでございます。

――恐らく水曜の夜あたりになると思いますが、それまでお待ちしていただければ幸いです。お休みなさいませ。




211テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/02/04(水) 23:49:30.2096xtjH/W0 (1/4)



――遅れて申し訳ございません。頭痛でダウンしておりました。薬を服用したのでもう大丈夫です。

――それでは、どうぞお楽しみ下さいませ。




212♪磯の香りのデッドエンド ◆S7YK1FdmZg2015/02/04(水) 23:51:57.0396xtjH/W0 (2/4)



オモヒト コウ
「なんなんだよ…、それ…」


ノノハラ レイ
「だってそうでしょ?外部からの救助は期待できない。かといって殺し合いなんて御免被る。
 なら、ボクらに出来るのは適応しかないんじゃないかな?」


オモヒト コウ
「なんでそんなすぐに諦めるんだ。ここから脱出できる手段があるかもしれないじゃないか」


ノノハラ レイ
「読みが甘いよ。こんな金のかけたシチュエーション、ボクらがちょっと探したぐらいでどうこうできるようなもんじゃない。
 わざわざ電子生徒手帳でこんな風に宣言してるぐらいだからね」


――1.希望ヶ峰学園候補生は実行委員会が指定した敷地内で過ごすこと。敷地内であれば自由に行動してもよく、制限はない。


ノノハラ レイ
「これって要するに、どれだけ調べられても問題ないって事でしょ?
 脱出の糸口なんてそんな簡単には見つからないよ」


オモヒト コウ
「ひょっとしたらモノクマが見落としているものがあるかもしれないじゃないか」


ノノハラ レイ
「望みは薄いだろうけどね。
 大体、モノクマの監視下にある以上ボクらはモノクマの掌の上で踊らされているだけさ。
 いくらあがいたって無駄だよ」






213♪磯の香りのデッドエンド ◆S7YK1FdmZg2015/02/04(水) 23:54:34.7996xtjH/W0 (3/4)



アヤノコウジ サクヤ
「ちょっと待ちなさいよ」


ノノハラ レイ
「何かな、咲夜さん。言いたいことでも?」


アヤノコウジ サクヤ
「助けが来ないなんて言ってるけど、結局はあなたの推測でしょ?
 私がいなくなったらパパが黙っちゃいないわ。
 いくら希望ヶ峰学園といっても綾小路財閥の財力には勝てないんだから」


ノノハラ レイ
「さすがは超高校級のお嬢様だ、庶民とは格が違うねぇ。
 こんな時でも親頼みとは恐れ入ったよ」


アヤノコウジ サクヤ
「…何ですって?」


ノノハラ レイ
「いい加減目覚めなよ。キミが頼りにしている綾小路家の財産は今手元にないんだろ?
 じゃぁ今のキミはただの非力な小娘じゃない。粋がっても無駄だぜ?」


アヤノコウジ サクヤ
「言わせておけば…!」






214 ◆S7YK1FdmZg2015/02/04(水) 23:55:13.4896xtjH/W0 (4/4)



マスタ イサム
「そこまでだ、二人とも。これ以上言い争ってもしょうがないだろうが」


オモヒト コウ
「いがみ合ってたらそれこそモノクマの思うツボだ。冷静になれよ」


ノノハラ レイ
「はいはい…」


アヤノコウジ サクヤ
「…ふん!」


 結局険悪な雰囲気のまま解散となった…。






215テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/02/05(木) 00:14:36.216wQAqigc0 (1/2)



――皆様大変永らくお待たせいたしました、自由行動の時間でございます。

――ダンガンロンパの醍醐味といえば、やはり学級裁判と自由行動でございますよね!

――本作では自由行動でご一緒される御学友を安価で決定したいと思います。

――主人公と戯れるナナノノ姉妹、声が似ている方々の対談…などなど、皆様方がご覧になりたい人物の組み合わせをお申し付けくださいませ。

――ですが、皆様方にご留意されてほしいのは“本作の登場人物の大半がヤンデレであること”でございます。

――組み合わせ次第では修羅場になったり最悪事件が発生する…。なんてこともあるかもしれません。

――ひょっとすると、自由行動で結末が大きく変わる…かも知れませんね。

――自由行動で仲良くなった御学友がお亡くなりになった…。ということになっても諦めてはいけません。

――そうやって何度でも立ち上がるからこそ、皆様方は希望の象徴なのですから!

――…すっかり前置きが長くなってしまいました。それでは参りましょう。



安価↓3まで可能な限りすべてのシチュエーション(露骨なエログロや安価同士で人物が被った場合は不可とします)





216以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/02/05(木) 14:29:47.226wQAqigc0 (2/2)

主人公とお嬢様で。
シチュエーション指定は余分だと思う。
安価は人物だけでいい。



217???? ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 00:12:04.44oju9O9eA0 (1/27)



――安価指定して一日経ったって言うのにレスが一つしかなくて、おまけにIDが見事に被ってるとか絶望的だよね…。

――絶対「自演乙ww」とか「きめぇ」とか思われちゃってるよ…。

――やっぱり>>1は決定的に最低で、最悪で愚かで劣悪で、何をやってもダメな人間なんだ。

――安価もまともにできないような、最低のヘタレだったんだよ。

――だから今回は思い切って自由行動はカットしようと思うんだ。>>216さんには本当に申し訳ないんだけどね。

――自由行動は第一章から、こんなまるっきり駄目な>>1でもいいと思ってくれる稀有な人がいてくれればまたやってみることにするよ。

――じゃ、そろそろ事件や学級裁判を書かないといい加減飽きられちゃうかもしれないから、ちゃっちゃと始めちゃうね?




218 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 00:20:01.97oju9O9eA0 (2/27)



 澪の言う通り、ホテル内や外を詮索してみても特にこれといってめぼしいものはなかった。
 脱出の糸口になりそうなものはまるで収穫なしだ。





219 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 00:23:49.40oju9O9eA0 (3/27)



 収穫らしい収穫は、このホテルはスキー場と直結していて、ゲレンデを登るためのゴンドラリフト乗り場を発見したことぐらいだ。
 今は封鎖されていてゴンドラに乗ることはできない。
 ゴンドラリフトはかなり高いところまで行くのか、ホテルからでは向こう側の乗り場が見えない。

 要するに、現状はまるで変っていない、ってことだ。




220 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 00:25:48.43oju9O9eA0 (4/27)



 そして大きな進展もなく一日が過ぎ、夕食の時間となった。





221 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 00:28:05.47oju9O9eA0 (5/27)



ノノハラ レイ
「」


ウメゾノ ミノル
「」


 …何であの二人は「ぬ」と「ね」の違いも判らなさそうな顔をしているんだ?






222 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 00:39:34.81oju9O9eA0 (6/27)



ユーミア
「…そのお二方はどうされたんですか?まるで生気のない目をされていますが…」


サクラノミヤ アリス
「別に大したものじゃないわ。モノモノマシーン、だったかしら?それで有り金全部融かしただけよ」


コウモト アヤセ
「おまけに景品もあまりいいものじゃなかったみたいで…。程ほどにしてってあれほど言っておいたのに…」






223 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 00:41:54.16oju9O9eA0 (7/27)



 モノモノマシーン…。たしか、売店にあったガチャガチャだったな。
 モノクマコインと1:1で交換できるモノクマメダルを投入することで回すことができて、メダルの投入枚数によって当選確率が変わるとか。
 それで二人とも50枚あったモノクマコイン全部使いきったってわけか。
 …きっとこいつらはソーシャルゲームで大量に課金する廃人タイプなんだろう。
 あるいは、パチンコに熱中するあまり他のことをおろそかにするタイプだ。






224 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 00:49:48.70oju9O9eA0 (8/27)



ノノハラ ナギサ
「その、お兄ちゃん…。もし良かったらコインあげるよ?」


ノノハラ レイ
「…いや、いいよ。妹に金をたかるとかそんなの兄としてのプライドが許さない」


 有り金全部スッてる時点でプライドも威厳もないと思うぞ…。






225 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 00:52:12.11oju9O9eA0 (9/27)



ウメゾノ ミノル
「そうそう…。こうなったのも全部自己責任だから…。慧梨主も気にしないでね?」


サクラノミヤ エリス
「でも…、それだとお兄様が…」


サクラノミヤ アリス
「いいのよ慧梨主。本人がいいって言ってるんだから。」


 次にコインが支給されるのは明後日のハズだ。それまで二人とも無一文か。
 ちょっとかわいそうな気もするが、自業自得だしな。下手に関わらない方が身のためだ。






226 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 01:04:03.91oju9O9eA0 (10/27)



ノノハラ レイ
「そんな事よりさ、早く食べようよ。せっかくのパスタが冷めて不味くなっちゃう」


 こいつの切り替えの早さは見習うべきなんだろうか…?






227以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/02/06(金) 01:14:40.187zwb49yDO (1/1)

八宝菜! じゃなかった



228 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 01:18:40.95oju9O9eA0 (11/27)



サクラノミヤ アリス
「ねぇ慧梨主、知ってる?」


サクラノミヤ エリス
「何ですか、お姉様?」


サクラノミヤ アリス
「フォークだけじゃなくてスプーンも使うのって、お子ちゃまがやることらしいわよ?」


サクラノミヤ エリス
「えっ…、そ、そうなんですか?」


ウメゾノ ミノル
「まぁ、そうだね。本場のイタリアではフォーク一本で食べるのが一般的かな。
 日本人でいうところの箸の扱いと同じと思ってくれればいいよ」


 そうだったのか…。てっきりスプーンも使って食べるのがマナーかと思ってたぞ…。
 周りを見てみると、咲夜と澪と亜梨主とユーミア以外は、俺も含めて慧梨主と同じようにスプーンも使って食べていた。
 亜梨主の話を聞いて手を止めている。





229 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 01:23:51.34oju9O9eA0 (12/27)



ノノハラ レイ
「へぇ、よく知ってるね。流石は超高校級の外交官候補生」


ウメゾノ ミノル
「まぁ、ちょっと人より海外渡航歴が長いだけだからあまり胸張って自慢できないんだけど」


サクラノミヤ エリス
「でも、それじゃどうやって食べるんですか?」


ウメゾノ ミノル
「一口サイズぐらいの量をこうやって端に寄せて、適量のソースと絡めて、こうやってフォークで巻けばやり易いかな?」


 手馴れているのか、穫は見事な手本を見せてくれた。
 …でも慧梨主の手を取って体を寄せてやるようなことでも無くないか?





230 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 01:28:54.92oju9O9eA0 (13/27)



サクラノミヤ エリス
「あ、ありがとうございますお兄様…」


 顔を真っ赤にして上の空になってるし…。
 …よくイタリア人は女癖が悪いって聞くが、こいつはイタリア人に強く影響を受けすぎたんじゃないだろうか?
 ええと、何だったかな?
 …そうそう、朱に交われば赤くなるってやつだ。






231 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 01:30:02.53oju9O9eA0 (14/27)



サクラノミヤ アリス
「ちょーっとスキンシップが過ぎるんじゃないのー?」


ウメゾノ ミノル
「いで!いでででで!ちょ、ちょっと、脇腹つねるのは、ほ、ほんとに、い、いだだだだ!!」


 ほれみろ言わんこっちゃない。






232 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 01:33:47.03oju9O9eA0 (15/27)



ノノハラ レイ
「あぁ、そうそう、何か足りないと思ってたら、あれだ。あれがないんだ」


ノノハラ ナギサ
「何が無いの?」


ノノハラ レイ
「粉チーズだよ、こ・な・チ・イ・ズ♪」


 …何故だろう。今の言い方に無性に腹が立つ。






233 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 01:46:29.62oju9O9eA0 (16/27)



ノノハラ レイ
「確か、キッチンにあったよね?」


ユーミア
「えぇ。大抵の食料や調味料・調理器具があることは確認しております。持ってきましょうか?」


ノノハラ レイ
「いいよ、それくらい自分でできるって。入ってすぐ左の引き出しの一番上の段に4個並んでたよね?」


ユーミア
「確かそうだったと思いますが…、よく分かりましたね」


ノノハラ レイ
「午前中にどこに何があるかはちゃんと調べて把握しておいたからね。ちゃんと覚えてるよ」


 そういやこいつ記憶力が異常にいいんだったな。忘れてた。


ノノハラ レイ
「二つ持ってきたら一列ずつ皆で回して使えるよね?」


 異論を唱える者はなく、澪はそのままキッチンへと向かった。





234 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 01:51:03.15oju9O9eA0 (17/27)



ノノハラ レイ
「綾瀬ー、受け取ってー」


コウモト アヤセ
「わわわ!」


 澪はキッチンから出るや否や粉チーズの容器を河本に放り投げて渡した。
 河本は慌ててそれをキャッチした。狙いはずれてたら大惨事だったぞ…。


コウモト アヤセ
「もう、澪!」


ノノハラ レイ
「はは、ごめんごめん」


 澪は全く悪びれる様子もなく、そのまま席に着いた。
 やっぱりこいつちょっとおかしいぞ…。






235 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 02:00:35.74oju9O9eA0 (18/27)



ノノハラ レイ
「…よし、これくらいかな?」 パチ


 結構な量かけたな。そんなにかけるか?普通。


ノノハラ レイ
「はい、渚。早く回してあげてね」 パチ


ノノハラ ナギサ
「うん…」


 あまりかけなかったな。兄妹でも好みは別なんだろうか?






236 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 02:02:14.95oju9O9eA0 (19/27)



ノノハラ ナギサ
「はい、どうぞ…」 パチ


サクラノミヤ アリス
「あたしダイエット中だから要らないわ。はい、あげる」


ウメゾノ ミノル
「そう?じゃ、遠慮なく使っちゃおうかなー?」 シャカシャカ


サクラノミヤ エリス
「…どうしてそんなに振っているんですか?」


ウメゾノ ミノル
「ああ、これ?ダマになってるやつもあるみたいだし、細かくしないとね」 シャカシャカ





237 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 02:06:35.18oju9O9eA0 (20/27)



 穫は何度も強めに振って、ようやく粉チーズをかけ始めた。
 …ちょっと待て、いくら遠慮なく使うって言ってもそれはかけすぎじゃないか…?


サクラノミヤ エリス
「あの…、お兄様?」


ウメゾノ ミノル
「あ」


 何「やばいやり過ぎた」みたいな顔してるんだよ!
 チーズでパスタが見えなくなってるとかどれだけかけてるんだお前は!やりすぎだ!






238 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 02:17:54.84oju9O9eA0 (21/27)



ウメゾノ ミノル
「ま、まぁ気にせず使ってよ。まだ結構残ってるから」 パチ


サクラノミヤ エリス
「は、はい…」 パチ


 あーあー、慧梨主大分遠慮しちゃってるよ…。ほとんど使ってないんじゃないか?


サクラノミヤ エリス
「はい…。どうぞ…」 パチ


 慧梨主から渡された粉チーズの容器は大分軽い…。もう八分の一も残ってないんじゃないか、これ?


ノノハラ レイ
「あー、公さ、ボク新しいの持ってくるから、それ使い切ってくれる?」


オモヒト コウ
「あ…、あぁ、わかった」


 全く…。梅園の奴…。ちょっとは遠慮ってものをしろよな。
 日本人なら日本人らしく、もうちょっと慎ましくしろよ、全く。
 それか澪みたいに気を利かせるなりなんなりしたらどうなんだ…。





239 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 02:27:07.11oju9O9eA0 (22/27)



 やっぱり粉チーズは八分の一弱ぐらいしか残っていなかった。
 蓋を外して中身全部かけても大した量にならなかったし。
 おまけにあれだけ振っておいてまだダマが一つ残ってるじゃないか。





240 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 02:29:06.87oju9O9eA0 (23/27)



ノノハラ レイ
「はい、これ。足りなかったらかけてよ」


オモヒト コウ
「今度は手渡しするんだな」


ノノハラ レイ
「綾瀬はちゃんとキャッチしてくれるって信じてるから安心して投げれるけど、公はそうでもないでしょ?」


 確かにそうかもしれないが、そういわれるとちょっとむかつくな。


オモヒト コウ
「俺はもういいから、夢見使えよ」


タカナシ ユメミ
「うん」


 …まぁ、いい。
 とにかく今はこのパスタを食べることに専念しよう。






241 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 02:38:21.20oju9O9eA0 (24/27)



ノノハラ レイ
「空き容器をゴミ箱にシュゥーーーーーッ!」


ウメゾノ ミノル
「超!Exciting!」


サクラノミヤ アリス
「何ふざけてるんだか…」


コウモト アヤセ
「こら澪、行儀が悪いでしょ!ちゃんと捨てなさいよ!」


ノノハラ レイ
「はっはっはっ!…分かってる、分かってるって」


 …平和だ。これまで何事もなく過ごしてきている。
 このまま、この平和が続けば、きっと…。



 …ん?何か、変な、味…、が……。






242 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 02:40:07.45oju9O9eA0 (25/27)



オモヒト コウ
「――がはぁっ!!」

 
 思わず吐き出した。

 な、なんだ、これ…!
 舌が焼け…、熱……!


 だ、駄目だ…!


 


 い、しき、が…、と、とお、の…――






 



243 ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 02:40:42.62oju9O9eA0 (26/27)




――♪希望断線ノイズミュージック



 



244テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/02/06(金) 02:47:53.01oju9O9eA0 (27/27)



――というわけで、Chapter0.5の(非)日常編が終わったところで今回はここまでとなります。

――やっと事件が起きましたね、よかったよかった。しかし主人公がこんなことになるとは驚きですね!(棒)

――イッタイカレハドウナッテシマウンダー!?

――…次回は未定です。捜査編と学級裁判編の書き溜めがある程度できたら投下します。

――それではお休みなさいませ。



――P.S. >>227様 中華は好きですが流石に洋風のホテルでは…、ねぇ?





245以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/02/07(土) 14:33:05.54eLyy4xbTo (1/1)

渚特製オムライスの餌食になったか


246以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/02/19(木) 23:39:33.00z0ETurzjO (1/1)

え、しんだの⁉︎


247テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:27:28.67ELq6B0+30 (1/17)



――>>245様 渚特性オムライスの出番はまだ先でございます。

――>>246様 死んではいません(無事とは言ってない)。



――大変永らくお待たせいたしました。再開いたします。






248テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:28:34.19ELq6B0+30 (2/17)



         Chapter0.5
   クラストライアル・チュートリアル
          非日常編





249 ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:30:42.51ELq6B0+30 (3/17)



タカナシ ユメミ
「お、お兄ちゃん?!」


アヤノコウジ サクヤ
「ちょ、ちょっと!何が起きたの?!」


ナナミヤ イオリ
「まさか…、毒?!」


ナナ/ノノ
「「大丈夫?!」」






250♪絶望トロピカル ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:32:26.36ELq6B0+30 (4/17)



ノノハラ レイ
「んぶっ!ゲホッ、ゴホッ!」


カシワギ ソノコ
「ひぃっ!」


コウモトアヤセ
「れ、澪?!」


ノノハラ ナギサ
「お兄ちゃんまで!?」


ノノハラ レイ
「ごほっ、い、いや、こっちは、だ、大丈夫、ちょっと、びっくりして、咽ただけ」






251♪絶望トロピカル ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:34:00.80ELq6B0+30 (5/17)



マスタ イサム
「お、おい、だ、誰か!早く救急車!」


アサクラ トモエ
「え、えっと、ひゃ、119番て何番だっけ?!」


ユーミア
「落ち着いてください、そもそも外線電話はつながりません!
 成分を分析しますから下がっていてください!」






252♪絶望トロピカル ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:35:45.14ELq6B0+30 (6/17)



サクラノミヤ アリス
「慧梨主、離れなさい!」


サクラノミヤ エリス
「え、あ、あ、はい…!」


ウメゾノ ミノル
「みっみみみみみいんなおおちおこちいおおおぉぉぉぅをおちつつうつつききなって!」


サクラノミヤ アリス
「あんたが一番落ち着きなさい!」 キック!


ウメゾノ ミノル
「あだぁ!」 ヒット!






253 ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:37:28.85ELq6B0+30 (7/17)



オモヒト コウ
「――ハッ!」


 俺は何を…?
 一瞬、気を失っていたのか…?





254 ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:39:29.65ELq6B0+30 (8/17)


 徐々に体の感覚が戻ってくる。


 体中が燃えるように熱くなっているのが解る。

 全身から汗が滝のように出てくる。

 口中や喉中に広がる刺すような痛みを感じる。






255 ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:40:22.16ELq6B0+30 (9/17)





――それは、今までに経験したことのないような“辛さ”だった。



っていうかシャレにならんてこの辛さは!辛いっていうか痛い!






256 ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:42:36.71ELq6B0+30 (10/17)



オモヒト コウ
「ひ、ひず!ひずふへ!(み、水!水くれ!)」


 何なんだよ!阿保みたいに辛いぞ畜生!
 辛すぎて失神しかけるとかどんだけなんだよ!



 だぁぁあああっぁぁっぁあぁぁぁぁ!辛い!辛い辛い辛い!







257 ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:44:27.11ELq6B0+30 (11/17)



 いつのまにかキッチンに行っていた澪が牛乳パックを手に持っていた。
 …コップもなしに?直で飲めってか?


ノノハラ レイ
「手近なものこれくらいしかなかったんだけど」


オモヒト コウ
「…ほこへぇっ!(よこせぇっ!)」


 コップに水入れりゃいいだろ!なんて突っ込みを飲み込んで牛乳パックを奪う。
 まぁいい、むしろありがたいかもしれん。
 牛乳でこの辛さを和らげ、て…?
 ――にしてはなんかドロッとしてる…?なんか味も変…?






258 ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:46:14.12ELq6B0+30 (12/17)


……――……――……――……――……

タカナシ ユメミ
「待ってよお兄ちゃ~~ん(はぁと)」 ハサミシャキーン
オモヒト コウ
「やなこった、捕まえてみろよ~~☆」

  アハハウフフ

……――……――……――……――……




259 ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:47:05.66ELq6B0+30 (13/17)



 ――マズッ!臭っ!!なんか変な走馬灯みたいなもん見えた!


 腐った魚の匂いがする!
 塩辛さと酸っぱさと甘ったるさがいっしょくたになって気持ち悪いっ!!






260 ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:51:09.23ELq6B0+30 (14/17)



オモヒト コウ
「ぐおぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉおぉおぉおぉ!!」


 マズ過ぎて意味が解らん!
 体が拒絶反応を起こしてもんどりうってる!
 何なんだよこの猛烈なまずさは!
 そもそも何で牛乳パックにこんな意味不明なケミカルウェポンが入ってるんだよ!?


ノノハラ レイ
「んふ…」


ウメゾノ ミノル
「く…、ひひっ…」



 お前らの仕業かぁぁあぁぁぁぁぁあぁあぁぁあ!!
 笑い必死にこらえやがってぇぇええぇぇえぇえぇえぇぇぇぇええぇぇえ!!
 おぼえてやがれぇえええええぇえぇぇぇえ!!






261 ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:53:02.94ELq6B0+30 (15/17)



タカナシ ユメミ
「お兄ちゃん?!お水持ってきたからしっかりして!」

 結局、夢見が持ってきた水で口の中の異物を洗い流し、無駄に消耗した体力を回復するのに小一時間かかった。



 …水はただの水道水だった。
 これで塩水とかいう隙を生じぬ三段構えだったら俺の心は折れていたかもしれない。






262 ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:54:21.38ELq6B0+30 (16/17)



ユーミア
「…結局一体何なのですか、それは?」


ノノハラ レイ
「くさやジャム?」


 そんなものジャムにするなよぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉおぉおぉぉ!!





263 ◆S7YK1FdmZg2015/02/20(金) 23:57:43.14ELq6B0+30 (17/17)



オモヒト コウ
「てめぇらやっていいこと悪いことがあるだろうが!」


ウメゾノ ミノル
「いやぁ、ごめんごめん。モノモノマシーンの景品で当てたはいいけど使い道に迷っちゃって」


ノノハラ レイ
「お・す・そ・わ・け♪しちゃった☆」(。・ ω<)ゞミ☆


オモヒト コウ
「有難迷惑だよ!
 あといちいち反応がムカつくなお前は!」






264 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:01:24.42IlTKAK610 (1/38)



ノノハラ レイ
「でもまぁ、悪戯仕掛けたボクらだって空になった牛乳パックにくさやジャム入れる時、
 臭すぎてちょっと死にかけたんだし、ねぇ?」


ウメゾノ ミノル
「シュールストレミングほどじゃないけど、やっぱり臭いものは臭いね。
 ファブ[ピー]ズ使っても匂いが落ちないのなんのって」


オモヒト コウ
「何でそんな下らないことに時間と労力かけてるんだよ…」






265 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:03:18.76IlTKAK610 (2/38)




オモヒト コウ
「で?パスタに何入れたんだお前ら」





ノノハラ レイ
「…?」


ウメゾノ ミノル
「何の話?」






266 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:04:55.69IlTKAK610 (3/38)



オモヒト コウ
「とぼけるなよ…!お前らが俺のパスタに唐辛子かなにか盛ったんだろ?って聞いてるんだよ」


ノノハラ レイ
「いやいや、ボクらじゃないよ。確かにくさやジャム入りの牛乳パックを仕掛けたのはボクらだけどさ」


ウメゾノ ミノル
「大体、食べ始めた頃は何ともなかったじゃないか。
 つまりその時まで君のパスタには何も盛られていなかったわけだ。
 食べてる途中で隙を見て盛る、なんてことも僕達の席は君の席と離れてるんだから無理だよ」


オモヒト コウ
「そう言われればそう…、なのか?」


タカナシ ユメミ
「じゃぁ誰がやったの?!」


オモヒト コウ
「そう怒るなよ夢見…」


 なんかこう…、他人が自分以上に怒ってると急激に冷めるというのが頭でなく心で理解できた気がする…。






267 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:18:06.10IlTKAK610 (4/38)



マスタ イサム
「やった奴はやったって正直に言ったらどうなんだ?
 オモヒトは無事生きてるみたいだし、結局悪戯だったんだろ?」


ユーミア
「…こんなに大ごとになってしまった以上、名乗り出るのは難しいかもしれませんね」


タカナシ ユメミ
「あたしはあの二人が怪しいと思うけどね!」


 夢見は“あの二人”…、くさやジャムを牛乳パックに入れた澪と梅園を睨み付けた。
 が、二人は怯むどころか飄々とした態度をとっている。






268 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:23:58.61IlTKAK610 (5/38)



コウモト アヤセ
「…確かに澪ならくさやジャムを確実に飲ませるため、とか言ってやりかねないかも…」


ノノハラ レイ
「あははは…、これは手厳しい。でも、ボクじゃないんだ、公のパスタに一服盛ったのは」


ウメゾノ ミノル
「僕もやってない、とはいえ、このままじゃやったやってないの水掛け論にしかならないか」


ユーミア
「同意ですね。やったにしろやってないにしろ、証拠は必要です。
 感情的になって犯人を決めつけるのは得策とは言えません」


カシワギ ソノコ
「でも…、そうなると、どうすればいいんでしょうか…?」





269 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:29:01.36IlTKAK610 (6/38)



 …もし、パスタに盛られていたのが毒であれば、俺は間違いなく第一の被害者となっていたことだろう。
 もし、これがそのデモンストレーションであったとしたら。そんな想像がちらつく。
 それはつまり、俺たちの中に人殺しをたくらんでいる奴がいるということだ。


 ただの悪戯にせよ、予行演習にせよ、犯人が名乗り出ない以上、誰が犯人なのかを突き止めるしかない。
 犯人の真意がどうであれ、このまま解散したら俺たちは「誰かが殺人を計画しているかも知れない」という恐怖を抱えたままになってしまう。
 そんな疑心暗鬼の状態で今日という日が終わってしまうのはどうしても避けたい。


ノノハラ レイ
「じゃぁさ、こういうのはどう?」


 全員が沈黙する中、くさやジャムの悪戯を仕掛けた張本人の内の一人である澪が口を開いた。






270 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:34:50.56IlTKAK610 (7/38)



ノノハラ レイ
「おーい、学園長ー!」


 …モノクマなんて呼んでどうするんだ?あいつに聞くのか?
素直に教えてくれるとはとても思わないんだが。






271 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:37:09.15IlTKAK610 (8/38)



モノクマ
「はいはい、なんですか?」


 呼ばれて数秒後に出てくるとは…。
 …テーブルの下からヌイグルミがぬるりと出てくるなんてちょっとしたホラーだな。





272 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:38:14.71IlTKAK610 (9/38)



ノノハラ レイ
「モノクマは誰が公のパスタに悪戯を仕掛けたのか解ってるよね?」


モノクマ
「もちろんです。どうせなら毒薬でもしこめばよかったのにと思ってたんだけど、意外にチキンなんだねぇ。
 あ、その犯人が誰かっていう質問なら受け付けませんから!
せっかく面白そうな展開になると思ったのに、肩透かし食らった気分でちょっとイライラしてるもんね!」


 まぁ、そうなるだろうな。こいつはこういう奴だもんな。






273 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:44:19.07IlTKAK610 (10/38)



ノノハラ レイ
「いや、元からそんな質問するつもりなかったし」


モノクマ
「にゃぽ?」


ノノハラ レイ
「学園長が犯人を知ってるのならそれで十分。審判役としては文句ないはずだよ」


ノノハラ ナギサ
「審判、役?」






274 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:46:25.38IlTKAK610 (11/38)



ノノハラ レイ
「今起きた事件が殺人事件だったとするなら、この後でやらなくちゃいけないことがあるんでしょ?」


モノクマ
「そうですね。もし、これが本当の殺人事件だったなら、学級裁判を開く必要があります」


オモヒト コウ
「…何となくお前の考えが読めたぞ。
 要するに、俺たちが議論して出した結論が正しいかどうかを、モノクマに判断してもらうってことだな?」


ノノハラ レイ
「その通り。いうなれば、学級裁判のチュートリアルってことさ」


ウメゾノ ミノル
「名付けてガッキュウサイバンカッコカリ…。なるほど」


 いや、そのネーミングはどうなんだよ…。






275 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:55:58.74IlTKAK610 (12/38)



ノノハラ レイ
「で、学園長。その審判役…、いや、裁判なんだから裁判員役のほうがいいかな?やってくれる?」


モノクマ
「うぷぷ。中々面白いこと考え付くんだねぇ。
 でも、“おしおき”はどうするの?流石にボクもコロシアイが起きないとおしおけないよ?」


ノノハラ レイ
「それならうってつけのがあると思うけど?」


 とか言いながら指をさした方にあるのは――

 ――俺がさっきまで食べていたパスタの残り、だ。






276 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 00:58:18.49IlTKAK610 (13/38)



 何かを盛られて激辛になっているそれは、四分の三以上残っている。
 …何か嫌な予感がビンビンしてくる、というよりむしろ今頭をよぎったこの予想はまず間違いなく的中するんだろうな。


ノノハラ レイ
「あれを責任もって処理してもらう、っていうのはどう?」


 うっわぁ…。
だろうと思ったけどさ。
一度口にした俺だから言えるけど、あれ絶対口にしちゃいけない奴だって。
あれ食えなんて言われたらもう死を覚悟するレベルだって。






277♪ニュー・ワールド・オーダー ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 01:06:37.33IlTKAK610 (14/38)



モノクマ
「うぷぷ。いいよっ!ボクって食べ物を粗末にするやつは許せないんだよね!」


 …こうして、俺たちにとって最初の学級裁判が行われることになった。


モノクマ
「『ピンポンパンポーン!事件が発生しました。一定の捜査時間の後、学級裁判を開きます』
 …とまぁ、死体がないので死体発見アナウンスは流せませんが、オマエラ、張り切って捜査するんだぞー!」


 これが、最初で最後の学級裁判になれば、きっとそれでいいんだ。
 この事件も、ただの悪戯として水に流すことができる。
 モノクマに屈しなかった思い出になる。
 殺し合いなんかせずに、ここから脱出できたとき、いい語り草になる。


 だからこそ、絶対に犯人は突き止めてみせる。
 必ず。






278テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 01:13:12.51IlTKAK610 (15/38)



――>>1の体力の限界のため今日はここで更新を一時中断いたします。


――捜査時間と学級裁判は昼頃になりそうです。


――それまで>>1を体力の無いゲロ豚と罵りながらお待ちくださいませ。





279???? ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 16:24:14.04IlTKAK610 (16/38)



――まだ空は明るい。つまり今はまだ昼ってことだ。


280???? ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 16:27:52.40IlTKAK610 (17/38)



――書き込み途中で送信とか絶望的だよね。遅刻はするわでホントにこの>>1は使えないなぁ。


――じゃ、早速だけど捜査編、始めちゃうね?





281♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 16:30:02.96IlTKAK610 (18/38)



    ――捜査開始――


 捜査は、証拠隠滅を防ぐために二人一組で行われた。
 そして現場を保存するために見張りも二人おかれた。
 二つとも澪が提案したのだが、言っていること自体はもっともだから、誰も反論しなかった。
 ただ、澪と梅園は同じペアにさせることは反対が多かったので、澪は俺と、梅園は増田と組むことになった。






282♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 16:33:37.38IlTKAK610 (19/38)



オモヒト コウ
「そういえば澪、新しい粉チーズの容器を持ってくるとき、俺の席まで来ただろ?
 その時に盛るチャンスがあったんじゃないのか?」


ノノハラ レイ
「勘弁してよ公、目の前でそんなことしたらすぐばれるに決まってるじゃない。
 第一、ボクはテーブルに近づいてすらないんだから無理だよ」


オモヒト コウ
「それもそう、か…?」



コトダマGET!
野々原澪の証言:野々原澪は主人公に粉チーズを手渡す時、テーブルには近づいていないため直接パスタに仕込みを行うことはできなかった。






283♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 16:35:08.10IlTKAK610 (20/38)




ノノハラ レイ
「ねぇ、公。ちょっと調べておきたいものがあるから、ついてきてくれる?」


オモヒト コウ
「あぁ。…で、何処に行くんだ?」


ノノハラ レイ
「売店。ちょっと心当たりがあるんだよね」


 階段を上がって売店へ向かった。






284♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 16:43:05.26IlTKAK610 (21/38)



 澪は売店に着くなり、一直線にモノモノマシーンへ向かった。
 こいつ、まさかこの期に及んでガチャガチャ回すつもりじゃないだろうな…?


 と、思ったが、澪はモノモノマシーンの横にあるゴミ箱を漁り始めた。
 ゴミ箱はこのホテル内の至る場所に設置されているもので、今澪が漁っているそれは大量のガチャガチャのカプセルであふれかえっている。
 全財産を使い果たしてまでガチャを回し続けた澪たちは、中身だけ抜き取って、必要のないカプセルをここに捨てたんだろう。






285♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 16:45:25.30IlTKAK610 (22/38)



オモヒト コウ
「そこに一体何があるっていうんだ?」


ノノハラ レイ
「ん~?凶器はきっとここに……あった!」


 澪はゴミ箱から一つのボトルを取り出した。
 サプリメントが入っているような、プラスチック製のボトルだ。


オモヒト コウ
「それが凶器、なのか?」


ノノハラ レイ
「そ、“サドンデスサプリ”。コスタリカ原産のデスソースを真似て作ったんだろうね。
 実はこれ、ボクらがモノモノマシーンで当てた景品なんだけど、
 要らなかったから誰か使わないかと思ってマシーンの傍に置いておいたんだ」


オモヒト コウ
「それで心当たりがあったのか…」


 デスソースなら聞いたことがあるな。確か一滴を25mプール一杯分の水で薄めても辛さを感じるとか、そんな感じの奴だったはずだ。
 …なんてもんサプリにしやがる。何の目的でこんなもん作ったんだよ…。






286♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 16:46:59.92IlTKAK610 (23/38)



 ラベルには


一粒でハバネロ3つ分のカプサイシン含有!
飲めば胃の中ですぐ溶けて体の内側からポカポカ!
60粒入り!


 と書いてある。一粒でハバネロ3つ分てお前…。
 こんなもの飲んだら胃の中爛れてポカポカどころじゃなさそうなんだが…。
 こんな産廃もどき好き好んで飲む奴なんているのかよ…。






287♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 16:48:28.05IlTKAK610 (24/38)



オモヒト コウ
「ん?開封されてないかこれ?」


ノノハラ レイ
「ボクらは開けてないよ。辛いの嫌いだし。
 …ちょっと中身確認してみる?」


 澪はボトルからサプリを全て取り出すと、一つ一つ数えていった。


ノノハラ レイ
「57、58、59…。ラベルには60粒入りって書いてあるから、一つ足りないね」


オモヒト コウ
「誰かが一粒だけ取り出して残りは捨てたってことか?」


ノノハラ レイ
「だと思うよ。公のパスタに入れられたのは、多分これなんじゃないかな?」


コトダマGET!
サドンデスサプリ:一粒でハバネロ3つ分のカプサイシンが含まれている。
         開封した跡があり、一粒なくなっている。





288♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 17:02:46.20IlTKAK610 (25/38)



オモヒト コウ
「ちょっと見せてくれ」


ノノハラ レイ
「はいよ」


 澪から手渡されたそれは、思いのほかずっしりと感じた。
 大豆ほどの大きさの、透明な黄色いカプセルだった。
 …ん?何かぬめってきてないか?


オモヒト コウ
「なんだこれ…?」


ノノハラ レイ
「あー…。これ、ひょっとしてカプセルが溶けてるのかも。
 ほら、胃の中で溶けるって書いてあるでしょ?多分、温度で溶け出すタイプだと思う」


オモヒト コウ
「簡単に溶けすぎだろ…。…って、まずくないかこれ!?」


ノノハラ レイ
「そうだね、取り敢えずすぐに手を洗わないと大変なことになっちゃうね…!」


 カプセルはすぐにボトルに戻し、急いでキッチンまで走って手を洗った。
 …気持ち手がヒリヒリする。もう少し遅れていたらやばかったかもな。


コトダマGET!
サプリの粒:透明な黄色いカプセル。密度が高いので持つと意外と重く感じる。
      人肌程度の温度で溶け出す。




289♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 17:06:19.66IlTKAK610 (26/38)



 キッチンに来て思い出した。
 この事件が起きる直前、何があったのか。


オモヒト コウ
「そういえば、粉チーズをかける前までは何ともなかったよな」


ノノハラ レイ
「そうだね。カプセルがすぐ溶けてしまうってことを考えると、俄然粉チーズが怪しくなってくるよね」


 あらかじめカプセルをパスタに仕込んでいたのなら、出来立てのパスタの熱でカプセルはすぐに溶けていたはずだ。
 現に俺が食べ始めたときパスタから湯気が出ていくのが見えたし、実際食べてみても温かさを感じた。
 粉チーズをかけるまでは普通に食べることができていたのだから、食べる前の時点でカプセルを盛られていたとは考えられない。

 となれば、俺のパスタが激辛になった原因は粉チーズにあると考えるのが妥当だろうな。





290♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 17:11:11.12IlTKAK610 (27/38)



オモヒト コウ
「確か…、入ってすぐ左の引き出しの…、一番上、だったよな?」


ノノハラ レイ
「そ。ちなみに、どれも開封済みだったけどほとんど未使用だった」


オモヒト コウ
「なるほどな…」


 つまり、誰でも粉チーズにカプセルを仕込むチャンスはあった、ってことだ。
 だが、それだと最初に使った澪か河本が被害にあったはずだ。俺じゃない。
 実際に被害にあったのは俺。だから最初からカプセルを仕込んだわけじゃない、ってことだ。






291♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 17:12:09.51IlTKAK610 (28/38)



オモヒト コウ
「一本は使い切ってゴミ箱に、二本テーブルの上に置きっぱなし、ってことは今ここにあるのは最後の一本ってことだな」


ノノハラ レイ
「…一応、調べとく?」


オモヒト コウ
「そうだな。何か痕跡があるかもしれない」


 粉チーズの容器の蓋を外して中を見てみる。
 が、見えるのはただの粉チーズだ。
 蓋にも何か細工を施されたような跡はない。大小二つの口がある、一般的なタイプだ。






292♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 17:15:20.48IlTKAK610 (29/38)



オモヒト コウ
「特にこれといった異常はない、みたいだな」


ノノハラ レイ
「カプセルらしきものなんてないね。この室温じゃカプセルが溶けたとも考えられないし」


オモヒト コウ
「これ以上ないくらいサラサラしてるしな。ダマもないみたいだし」


 …ん?じゃあなんであいつはあんなことしたんだ?


ノノハラ レイ
「あっちにあるのも調べてみようか?もしかしたら何かあるかもよ?」


オモヒト コウ
「そうだな。特にゴミ箱の中にある奴は一番怪しい」


 …が、どれを調べてみても何の変哲もないただの粉チーズだった。
 中身が残っていない、つまり俺が使い切った物は特に入念に調べたが、異常は見つからなかった。


コトダマGET!
粉チーズ:容器や蓋になにか特別な仕掛けを施したような痕跡はない。
     新品同然で、ダマの一つもなくサラサラしている。
     蓋に大小二種類の口が付いた一般的なもの。




293♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 17:36:18.36IlTKAK610 (30/38)



ナナミヤ イオリ
「主人さん、具合はどうですか?」


 現場の見張りをしている伊織に話しかけられた。


オモヒト コウ
「大丈夫だ。まだちょっと舌がひりつく程度だよ」


ナナミヤ イオリ
「そう、ですか」


オモヒト コウ
「そうだ、伊織の席はテーブルの端にあったよな?」


ナナミヤ イオリ
「ええ。ですから、主人さんの席もよく見えます。
 でも…、だからこそ断言できます。食事中は誰も主人さんのパスタに細工なんてしていませんでした」


オモヒト コウ
「途中で目を離していた、とかはないか?」


ナナミヤ イオリ
「いえ…、片時も」


オモヒト コウ
「…そうか」


 隣同士の席の幅はだいたい人一人分だ。薬を盛ろうとパスタに手を伸ばせば、かなり目立つ。
 席の関係上伊織は真後ろを向かない限り俺の席、ひいては俺のパスタは視界に入っていたはずだ。
 一瞬たりとも目を離していないのなら、薬を盛る仕草が視界に入らないはずがない。
 その伊織が断言しているのだから、多分間違いはないだろう。


コトダマGET!
七宮伊織の証言:食事中は誰もパスタに細工はしていなかった。






294♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 17:44:09.26IlTKAK610 (31/38)



ノノハラ レイ
「はい…、もう二度としません…」


コウモト アヤセ
「全くもう…。その、ごめんね?澪が迷惑かけちゃって」


 伊織と一緒に見張りをしていた河本は、澪に説教を食らわせていた。
 河本が謝っているのは、くさやジャムについてだろう。






295♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 17:56:05.87IlTKAK610 (32/38)



オモヒト コウ
「もういいよ。それよりも今は犯人を捜すことが先だ」


ノノハラ レイ
「そうだよ。でなきゃおしおきであんなの食べさせられるんだから」


コウモト アヤセ
「開き直らないの!」


ノノハラ レイ
「ひぃっ!」


コウモト アヤセ
「はぁ…、澪ってば昔からやんちゃなんだから…。
 さっきだってゴミを投げてゴミ箱に入れてたし…」


ノノハラ レイ
「いいじゃないちゃんと入ったんだからさぁ」


コウモト アヤセ
「そういう問題じゃないの!」


オモヒト コウ
「…そういやお前、俺から受け取った空き容器、その場でゴミ箱に投げたんだっけな」


 慧梨主の席の後ろ辺りからキッチンの入り口脇にあるゴミ箱へ一発で投げ入れたコントロールの良さは目を引くものがあったな。
 …本当に一体何者なんだコイツは。






296♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 17:59:39.38IlTKAK610 (33/38)



コウモト アヤセ
「皆注目してたわよ?いきなり大声あげるんだら。梅園君なんて立ち上がって悪乗りするし…。
 ひょっとして、皆の注意が澪に集まっている間に誰かがやったんじゃない?」


オモヒト コウ
「そう…、かもな…」


 澪と梅園に注意が向いている隙に俺のパスタにカプセルを入れる…、
 確かにそう考えられるかもしれないが、それはありえないだろう。
 さっきの伊織の証言と矛盾することになる。

 …でも、これは今言うべきことじゃないだろうな。言うなら学級裁判内で、だ。


コトダマGET!
河本綾瀬の証言:野々原澪と梅園穫の両名が悪ふざけで注目を集める瞬間があった。






297♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 18:19:20.11IlTKAK610 (34/38)



モノクマ
「『ピンポンパンポーン!捜査時間しゅーりょー!至急、食堂の自分の席についてくださーい』
 うぷぷ。本当はもうちょっと時間あるんだけど、待ちきれなくなっちゃった。
 大方犯人につながる手がかりは見つかったみたいだし、大丈夫だよね?」





298♪Box16 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 18:20:22.10IlTKAK610 (35/38)



 モノクマの招集からあまり時間をかけずに16人全員が集合した。
 皆、現場の食堂からあまり離れなかったんだな。


 席に着いた俺たちは、互いの顔色を窺うように見回していた。
 不安そうな顔、余裕綽々の顔、憤りの顔、得意満面の顔…。
 そして、緊張の顔…。


 ここでしくじったら、命懸けの罰ゲームに挑まなければならなくなってしまう。
 流石に死にはしないだろうが、一度味わった身としてはもう金輪際いくら金を積まれようが絶対にもう二度と御免だ。







299♪絶望トロピカル ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 18:25:24.41IlTKAK610 (36/38)



 この中に、俺のパスタを激辛に変えた奴がいるんだ。

 そいつの意図が何なのかは、今は置いておくしかない。

 犯人を突き止めなければ…、想像もしたくない事態が起こってしまう。

 だからこそ、俺は命懸けで挑まなければいけない…!

 俺や皆の舌を、胃腸を、体を、命を守るために…!




300 ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 18:26:17.10IlTKAK610 (37/38)



モノクマ
「よーし、オマエラ、今夜限りのガッキュウサイバンカッコカリ!張り切って行ってみよー!」


 お前そのネーミング気に入ったのかよ!






301テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/02/21(土) 18:30:05.13IlTKAK610 (38/38)



――今回はここまでとなります。ノロノロと亀更新で大変申し訳ございません。


――おそらく学級裁判編が投下できるのは来週になると思います。


――それまでだれが主人公のパスタを激辛にしたのかを推理してみてはいかがでしょうか?


――希望の象徴と呼ばれる皆様方なら、きっと答えにたどり着けるはずでございます。




――まぁ、やってみろよ。






302以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/02/21(土) 20:15:48.55gPL3w/axo (1/1)




303以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/03(火) 09:35:31.11OTuc29UH0 (1/1)




304テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/03/10(火) 22:47:15.20DoF5pSmt0 (1/12)



――遅れまして誠に申し訳ございません。

――再開いたします。




305♪開廷アンダーグラウンド ◆S7YK1FdmZg2015/03/10(火) 22:52:08.45DoF5pSmt0 (2/12)


 夕食中に起きた悲劇…。
 一体誰が、何のために、主人公のパスタを激辛にしたのか?
 最初で最後の学級裁判(仮)が今、幕を開ける…。





306 ◆S7YK1FdmZg2015/03/10(火) 22:52:53.67DoF5pSmt0 (3/12)


  学級裁判(仮)

    開廷





307♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/03/10(火) 22:54:30.58DoF5pSmt0 (4/12)



モノクマ
「まずは、学級裁判の簡単な説明をしておきましょう。
 学級裁判では、『誰が犯人か』を議論し、その結果は、オマエラの投票によって決定されます。

 正しいクロを指摘できればクロだけがおしおきですが、もし間違った人物をクロとした場合は…
 クロ以外の全員がおしおきされ、生き残ったクロだけにここから出る権利が与えられます!」


モノクマ
「…とはいっても、今回はカッコカリだから、おしおきも大分マイルドだし、クロにもご褒美はないんだけどね!」






308♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/03/10(火) 22:58:55.20DoF5pSmt0 (5/12)



ノノハラ レイ
「ねぇモノクマ。議論を始める前にちょっと聞いておきたいことがあるんだけど。
計画を立てた首謀者と実際に行動を起こした実行犯、どっちがクロになるのかな?」


モノクマ
「…えー、学級裁判においては、“いかなる場合でも直接相手を死に至らしめた者”をクロとします。要するに、実行犯がクロとなるわけです。
 首謀者は他のシロと同じ扱いになるから、おしおきも他のシロと同じように受けてもらうよ!」


ノノハラ レイ
「ふーん。じゃぁ共犯にメリットはないってわけだ。
 で、今回の場合は、クロの定義は“主人公のパスタに直接毒を盛った人間”でいいんだね?」


モノクマ
「その通りですね。
 …質問はそれだけかな?」


ノノハラ レイ
「あぁ、もういいよ。それさえ聞ければ満足」


モノクマ
「それでは早速、始めましょーう!」





309♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/03/10(火) 23:10:28.72DoF5pSmt0 (6/12)



カシワギ ソノコ
「始めろって言われても…、何をどうしたらいいんですか…?」


タカナシ ユメミ
「あたしはあの二人が怪しいと思うけど」


コウモト アヤセ
「そうね。本来ならあなたと慧梨主ちゃんが一番の容疑者だもんね。そう言っておかないと自分に疑いがかかっちゃうもんね」


タカナシ ユメミ
「なんであたしがお兄ちゃんにそんなことしなくちゃいけないわけ?!」


サクラノミヤ アリス
「慧梨主はそんなことしないわよ!根拠は何なの?!」


コウモト アヤセ
「だって、被害者の両隣の席にいる人が真っ先に疑われるのは当然でしょ?
 薬を盛るチャンスがあって、一番薬を盛りやすい場所にいたんだから」


ノノハラ レイ
「…まぁまぁ、取り敢えずはさ、事件の状況を整理してみようよ。
 まさか四の五の言わないで怪しいやつを片っ端から締め上げる、なんて野蛮なマネするわけにもいかないんだし」


 俺が倒れたあの瞬間…、あの騒ぎの中に何かヒントがあるのかもしれないな…。
 そこから最終的には犯人を見つけ出さなきゃいけないのか…。


オモヒト コウ
「……」


 ここまで来たらもうやるっきゃない。
 できなかった場合のことなんてもう想像もしたくない…!






310♪議論-BREAK- ◆S7YK1FdmZg2015/03/10(火) 23:15:41.53DoF5pSmt0 (7/12)



 ―議論開始―


 |野々原澪の証言>



ノノハラ レイ
「事件は夕食中に起きた…。この中の誰かが公のパスタに何かを盛った…」


タカナシ ユメミ
「いい加減白状したら?あんたがそれをやったんじゃないの?」


コウモト アヤセ
「そっちこそいい加減に諦めなさいよ。澪にはそれが出来るチャンスがなかったじゃない」


タカナシ ユメミ
「どうだか。さっきは口車に乗せられたけど、それで余計に怪しくなったんだから」


ノノハラ レイ
「…それってどういう事かな?ちょっと説明してもらえる?」


タカナシ ユメミ
「とぼけるな!お兄ちゃんに粉チーズを渡しに行ったときに出来たはずでしょ!
 【さり気無く近づいてこっそり】ね!」


ノノハラ レイ
「…ふぅん。そっか」


 今の発言に、間違っている点がある…。これは間違いないはずだ。
 …まずは夢見の誤解を解かないとな…。






311♪議論-BREAK- ◆S7YK1FdmZg2015/03/10(火) 23:21:17.73DoF5pSmt0 (8/12)




ノノハラ レイ
「事件は夕食中に起きた…。この中の誰かが公のパスタに何かを盛った…」


タカナシ ユメミ
「いい加減白状したら?あんたがそれをやったんじゃないの?」


コウモト アヤセ
「そっちこそいい加減に諦めなさいよ。澪にはそれが出来るチャンスがなかったじゃない」


タカナシ ユメミ
「どうだか。さっきは口車に乗せられたけど、それで余計に怪しくなったんだから」


ノノハラ レイ
「…それってどういう事かな?ちょっと説明してもらえる?」


タカナシ ユメミ
「とぼけるな!お兄ちゃんに粉チーズを渡しに行ったときに出来たはずでしょ!
 【さり気無く近づいてこっそり】


 |野々原澪の証言>


  それは違うぞ! 
   論破


  -BREAK!!!-



312♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/03/10(火) 23:24:27.53DoF5pSmt0 (9/12)



オモヒト コウ
「いや、あの時も澪には出来なかったはずだ」


タカナシ ユメミ
「どうして?お兄ちゃんどうしてそいつの肩もつの?」


オモヒト コウ
「あの時、澪は俺に近づきはしたが、テーブルには近寄っていないんだ。
 それは俺も確認してるし、あの時澪は投げ入れるような素振りも見せなかった。
 やっぱり澪には盛るチャンスなんてなかったはずだぞ」


コウモト アヤセ
「そもそも、目の前でやったらバレバレだもんね」






313♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/03/10(火) 23:25:47.11DoF5pSmt0 (10/12)



ノノハラ レイ
「全く、ちょっと考えればわかることなのに…。
 どっかのおバカさんのせいでとんだ時間の無駄だよ」


タカナシ ユメミ
「言わせておけば……!」


オモヒト コウ
「落ち着けって夢見。澪も無責任に煽るなよ…」


タカナシ ユメミ
「…ふんだ」


ノノハラ レイ
「はいはい」


マスタ イサム
「でも、それまでは何ともなかったのは事実だよな」


オモヒト コウ
「そうなんだよな。粉チーズをかける前までは普通に食べられたんだ。
 だから仕掛けたタイミングとしてはその前後だったはずだ」






314♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/03/10(火) 23:37:19.96DoF5pSmt0 (11/12)



カシワギ ソノコ
「あの…、そもそも、その仕掛けられた凶器は一体何だったんでしょうか…?」


サクラノミヤ エリス
「どういう事、ですか?」


カシワギ ソノコ
「例えばの話ですけど…、オブラートに包んである粉状のものだったら、入れてから溶け出すまでに時間差があると思うんですが…」


ウメゾノ ミノル
「あるいは、あらかじめ食器の淵に塗っておいたのかもね。
 食べている間にフォークやパスタに付着するように」


マスタ イサム
「つまり、凶器がどんなものか解らなければ犯人がどう盛ったのかも解らない、ってわけだな」


ウメゾノ ミノル
「入手経路で犯人が搾れるかもしれないし、やっぱり凶器の断定は必要だよね」



 凶器か…。要するに、俺のパスタに何を入れられたか、ってことだよな。
 俺はそれが何なのかを知っている。
“あれ”で間違いないはずだ。






315♪議論-BREAK- ◆S7YK1FdmZg2015/03/10(火) 23:59:10.49DoF5pSmt0 (12/12)



―議論開始―


|野々原澪の証言>
|粉チーズ>
|サドンデスサプリ>


サクラノミヤ エリス
「凶器は一体何なのでしょう…?」


カシワギ ソノコ
「やっぱり、一番メジャーな【粉末状の薬】でしょうか…?」


サクラノミヤ アリス
「汎用性の高い【液状の薬】とかじゃない?」


アヤノコウジ サクヤ
「持ち運びやすい【カプセル】でしょ?どうせ」


ウメゾノ ミノル
「あ~…、何か同じような声が別々な方向から聞こえてきてこんがらがってきた…」


サクラノミヤ アリス
「余計なことは言わなくていい!」


ウメゾノ ミノル
「いてて!グーはやめてよ、グーは!」


 凶器は、俺たちが見つけた“あれ”のはずだ。
 …“あいつ”と意見が合うなんて珍しいこともあるもんだ。





316♪議論-BREAK- ◆S7YK1FdmZg2015/03/11(水) 00:01:17.55gYa4Zr5u0 (1/3)



サクラノミヤ エリス
「凶器は一体何なのでしょう…?」


カシワギ ソノコ
「やっぱり、一番メジャーな【粉末状の薬】でしょうか…?」


サクラノミヤ アリス
「汎用性の高い【液状の薬】とかじゃない?」


アヤノコウジ サクヤ
「持ち運びやすい【カプセル】


 |サドンデスサプリ>

それに賛成だ!     同意


-BREAK!!!-






317♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/03/11(水) 00:26:44.73gYa4Zr5u0 (2/3)



オモヒト コウ
「咲夜の言うとおりだと思うぞ。実は、それらしいものを見つけたんだ」


ノノハラ レイ
「これ、だね」


アヤノコウジ サクヤ
「何、それ…?」


ユーミア
「見たところ…、サプリメント、のようですが?」


ウメゾノ ミノル
「あー、それか。それなら納得だわ、うん」


サクラノミヤ アリス
「なに一人で納得してるのよ!さっさと説明しなさい!」


ウメゾノ ミノル
「分かった!分かったから落ち着きなって!
 モノモノマシーンの景品で当てたはいいけど使い道がなかったから放置しておいたやつだよ」


ノノハラ レイ
「一粒でハバネロ3つ分のカプサイシンとか頭おかしいよね」


ユーミア
「…本当にサプリメントなのかどうかが疑わしいのですが」


ウメゾノ ミノル
「Sudden death(突然死)サプリとか縁起でもないnamingの時点でお察しください」


ユーミア
「あぁ…、そうですか」





318本日の更新はここまでとなります ◆S7YK1FdmZg2015/03/11(水) 00:39:08.50gYa4Zr5u0 (3/3)



 学級裁判(仮)

  中断




319以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/11(水) 17:07:31.99lOnjCvuDO (1/1)

ひとまず乙



320一か月ぶりですね(滝汗)。再開いたします。 ◆S7YK1FdmZg2015/04/11(土) 20:48:52.95JJtRdiNX0 (1/8)



 学級裁判(仮)

  再開




321♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/04/11(土) 20:58:25.11JJtRdiNX0 (2/8)



ナナミヤ イオリ
「そのカプセルが実際の犯行に使われたという証拠は?」


オモヒト コウ
「証拠、といえるほど強い根拠があるわけじゃないんだが…、まず、これが見つかったのはモノモノマシーンの横にあるゴミ箱の中なんだ」


ノノハラ レイ
「おまけに、中身を一つだけ取り出した上でね。
 犯人が凶器として使った後、証拠隠滅のために処分した、と考えるのが一番しっくりくるんじゃないかな?」


ナナミヤ イオリ
「そう、ですね。誰かが試しに使ってみたとも思えませんし」


オモヒト コウ
「あんなもの飲んだらタダじゃすまないからな。さっきの俺見ればわかるだろ?」


アサクラ トモエ
「そうなれば誰も気が付かないわけないもんね」


カシワギ ソノコ
「あんな風になったのは主人さんだけですから、間違いないでしょう…」






322♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/04/11(土) 21:16:26.10JJtRdiNX0 (3/8)



タカナシ ユメミ
「ふーん、凶器も用意できたってわけ。余計怪しくなったんじゃないの?」


ノノハラ レイ
「確かに景品としてあてたのはボクらだけど、その場に置いておいたから気付けば誰だって持ち出せたはずだよ。当然キミもね」


タカナシ ユメミ
「何ですって?!」


オモヒト コウ
「やめとけ夢見、こいつに乗せられるとロクなことにならない」


ノノハラ レイ
「随分と手厳しいねぇ公。もしかして、まだ根に持ってたりする?くさやジャムのこと」


オモヒト コウ
「…話を戻すぞ」


 ああ、根に持ってないね。まったく根に持ってない。
 絶対に許さんぞ虫けらども!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!覚悟しろ!とかこれっぽっちも思ってなんかないさ。ははは。






323♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/04/11(土) 21:29:10.96JJtRdiNX0 (4/8)



オモヒト コウ
「このカプセルは人肌程度の熱で溶けるタイプで、パスタに入れればその熱ですぐに溶けだしてしまうんだ」


ユーミア
「つまり、あらかじめ仕込んでおくことは不可能だった、ということですね?」


オモヒト コウ
「ああ。そういうことになるな」


アヤノコウジ サクヤ
「じゃあ犯人は食事中に、誰にも気づかれないようにこっそりカプセルをパスタに入れたってことになるわね。
いかにも庶民の考えつきそうな下品な手口だわ」






324♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/04/11(土) 21:45:23.07JJtRdiNX0 (5/8)


ノノハラ レイ
「庶民的かどうかはさておき、問題はその“誰にも気づかれないように”って所なんだよね」


カシワギ ソノコ
「どういう事、ですか?」


ノノハラ レイ
「他人の料理に何かを入れるなんて滅茶苦茶怪しい行為、こんな衆人環視の中やったら誰か一人くらいは気付くはずだよ」


ナナ
「そう、そうなの」


ノノ
「ずっと不思議に思ってたんだよね」


アサクラ トモエ
「え、何が?」


ナナ
「ナナもノノもお兄ちゃんの向かい側に座ってるでしょ?」


ノノ
「お兄ちゃんのパスタに何かしようとお皿まで手を伸ばせば見えちゃうと思うんだ」


ナナ
「でもナナもノノもそれを見なかったってことは」


ナナ/ノノ
「「お兄ちゃんのパスタにカプセルを入れることは誰にもできなかったって事じゃない?」」





325♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/04/11(土) 23:45:49.58JJtRdiNX0 (6/8)



コウモト アヤセ
「本当にそうなの?」


ノノハラ ナギサ
「…綾瀬さんは何か思い当たる事があるってこと?」


コウモト アヤセ
「忘れたわけじゃないでしょ?事件の直前に“全員が何かに気を取られていた瞬間”があったこと。
 つまり、その隙にこっそりカプセルを入れることは出来るんじゃないかって言ってるの」

 
“全員が何かに気を取られていた瞬間”か。河本が言いたいのは多分、あの事だろうな。


 野々原澪の証言

|>河本綾瀬の証言

 七宮伊織の証言

 
 これだ!


オモヒト コウ
「澪が空き容器をゴミ箱に投げ入れたとき、だよな?」


コウモト アヤセ
「そう!あの瞬間は皆がゴミ箱と澪の方に注目していたから、それに隠れてこっそりカプセルを入れることはできるんじゃない?」






326♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/04/11(土) 23:46:41.12JJtRdiNX0 (7/8)



コウモト アヤセ
「ねぇ?慧梨主ちゃんに、夢見ちゃん?」





327♪議論-HEAT UP- ◆S7YK1FdmZg2015/04/11(土) 23:59:33.03JJtRdiNX0 (8/8)



 ――議論開始――



|河本綾瀬の証言>

|野々原澪の証言>

|七宮伊織の証言>

|サドンデスサプリ>

|粉チーズ>



コウモト アヤセ
「どっちがやったかは解らないけど、いい加減白状したらどうなの?」


タカナシ ユメミ
「だから【あたしじゃない】って言ってるでしょ?!」


サクラノミヤ アリス
「そんなのただの憶測よ!大体、慧梨主に【そんな度胸がある】と思う?」


ウメゾノ ミノル
「亜梨主、ちょっとそれは言いすぎなんじゃ…」


サクラノミヤ アリス
「アンタはちょっと黙ってて」


ウメゾノ ミノル
「はひぃぃぃぃぃぃいいい!」


サクラノミヤ エリス
「あ、あの…、私、【やってません】…!」


コウモト アヤセ
「でも、両隣にいた二人なら、【誰にも見られずに】【カプセルを入れる隙があった】のは事実でしょ?」


サクラノミヤ アリス
「そんなに言うんだったら、慧梨主が犯人だっていう証拠の一つや二つでもあるんでしょうね?!」


コウモト アヤセ
「二人が絶対に犯人じゃない証拠も無い、でしょ?」


サクラノミヤ アリス
「くっ…!」



 …これ以上話し合ってても泥沼化する一方だな。
 とにかく、“あいつ”の言っていることが間違っていることを指摘しないと…。






328♪議論-HEAT UP- ◆S7YK1FdmZg2015/04/12(日) 00:03:00.86UIiXECNH0 (1/4)



コウモト アヤセ
「でも、両隣にいた二人なら、【誰にも見られずに】


|七宮伊織の証言>


 それは違うぞ!
         論破


   -BREAK!!!-







329♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/04/12(日) 00:18:01.90UIiXECNH0 (2/4)



オモヒト コウ
「いや、やっぱりそれはありえない」


コウモト アヤセ
「どうしてそんな断言できるの?」


オモヒト コウ
「伊織は一瞬たりとも俺のパスタから目を離さなかったみたいなんだ。
 澪が空き容器をゴミ箱に投げ入れた、あの瞬間もな。
 だから二人の内どちらかが隙を見てこっそりカプセルを入れたなら、伊織に目撃されているはずだろ?」





330♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/04/12(日) 00:46:19.94UIiXECNH0 (3/4)



コウモト アヤセ
「それもそう…、だけど、伊織ちゃんはどうしてそんなことを?」


ナナミヤ イオリ
「神からのお告げがあったんです。彼を見張れ、と」


 …………。


ナナ
「神様の言葉が聞こえたの?」


ノノ
「すごいや!さすがミコさんだね!」


タカナシ ユメミ
「あんたちょっと頭おかしいんじゃないの?」


ウメゾノ ミノル
「清楚系巫女さんがまさかの電波さんだった件」


カシワギ ソノコ
「その…、信仰は人それぞれですし…」


オモヒト コウ
「えっと、その、ああ、そうそう。
 こんな殺し合いを強要されているような状況じゃ、食事中も警戒しておくに越したことはないもんな!」


ノノハラ レイ
「…神からの云々はさておき、あの時のボクの立ち位置的にも、伊織さんはずっと公を視界に入れてたことになるわけだ。
 これはまいったね。そうなるといよいよ公のパスタにカプセルを入れるチャンスのある人は誰もいなくなってしまったみたいだよ?」





331本日の更新はここまでとなります。 ◆S7YK1FdmZg2015/04/12(日) 00:48:15.44UIiXECNH0 (4/4)



 学級裁判(仮)


  中断  





332モノクマ劇場 ◆S7YK1FdmZg2015/05/11(月) 21:41:12.11bTgTdZul0 (1/7)



 なんだかすっごく久しぶりな気がするぞ!(白目)

 一か月も放置してたらそらそうなるよね。あとで>>1にはキッツいおしおきぶちかましておきますんで。

 間が空きすぎちゃって内容忘れちゃったって人もいるだろうから、ザックリあらすじせつめーい!




333モノクマ劇場 ◆S7YK1FdmZg2015/05/11(月) 21:43:02.39bTgTdZul0 (2/7)



 これが前回までのあらすじだよ!


Act.1
 ボクことモノクマの手によって雪山のホテルに監禁された16人の少年少女たち…
 脱出する条件は“誰かを殺して学級裁判でシロを欺くこと”…
 そして事件はその翌日に起きたのです!

Act.2
 夕食の最中、メンバーの一人である主人公クンがいきなり倒れてしまったのです!
 どうやら誰かが主人クンのパスタに何かを盛って激辛にしてしまったようで…。ボクとしては毒薬がよかったんだけどね!
 それはさておき、悪戯をした犯人が名乗り出ないので、学級裁判(仮)で犯人を突き止めることにしました!

Act.3
 (約二か月にもわたる)長い話し合いの結果、凶器は断定できたけど誰がどう盛ったのかが解らなくって手詰まってしまったのです!


 という感じでオサライも出来たところで、学級裁判(仮)、さいかーい!


 


334♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/05/11(月) 21:54:32.73bTgTdZul0 (3/7)



ノノハラ レイ
「本当にさ、絶望的だよねぇ。これだけ時間かけて話し合ったのに話が何も進展してないだなんてさ」


アサクラ トモエ
「本当にそうなのかなぁ?」


ノノハラ レイ
「……へぇ?キミには何か新しい意見でもあるって言うんだ?」


アサクラ トモエ
「新しい意見ってわけでもないけど…、やっぱり鍵は粉チーズにあるんじゃない?」



 やっぱりそこに行きつくよな…。粉チーズを入れる直前までは何ともなかったのは紛れもなく事実だし。





335♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/05/11(月) 22:01:44.75bTgTdZul0 (4/7)



タカナシ ユメミ
「あはは…。なーんだ、そういうことかー」


ナナミヤ イオリ
「今ので何か閃いたのですか…?」


タカナシ ユメミ
「これでハッキリした。やっぱりあんたが犯人なんだ!野々原澪!」


ノノハラ レイ
「やれやれ、またこの流れかよ。いい加減飽き飽きしちゃうね」





336♪議論-HEAT UP- ◆S7YK1FdmZg2015/05/11(月) 22:36:01.63bTgTdZul0 (5/7)



――議論開始――


|サプリの粒>
|サドンデスサプリ>
|粉チーズ>


タカナシ ユメミ
「粉チーズを持ってきたのも、粉チーズをかけようって提案したのも、【全部あんた】じゃない!」


ノノハラ レイ
「確かにそうだね。でもそれがどうしたって言うんだい?」


タカナシ ユメミ
「しらばっくれないで!粉チーズをとってくるときこっそりカプセルを【粉チーズの容器の中に入れた】んでしょ?!」


ノノハラ レイ
「それさ、最初にそれを使うボクが自滅しちゃわない?」


タカナシ ユメミ
「【時限式の装置を仕掛けた】んでしょ!その時間は【いくらでもあったんだから】!

 で、【ゴミ箱に投げ入れて証拠隠滅】…、どう?違う?」


ノノハラ レイ
「はぁ…、なんかもう、言い返す気にもならないなぁ…」



 夢見の主張もなんとなくわかる。澪の行動はどうも胡散臭いものばかりだったし…。

 でも、この滅茶苦茶な推理はどうもな…。矛盾は指摘しなきゃダメだな、やっぱり。






337♪議論-HEAT UP- ◆S7YK1FdmZg2015/05/11(月) 23:13:09.91bTgTdZul0 (6/7)



タカナシ ユメミ
「【時限式の装置を仕掛けた】

|粉チーズ>


 それは違うぞ!
         論破


 -BREAK!!!-





338♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/05/11(月) 23:28:43.21bTgTdZul0 (7/7)



オモヒト コウ
「いや、それはないぞ、夢見」


タカナシ ユメミ
「…どうしてそんな奴なんかの肩を持つの?あたしのこと嫌いになっちゃったの?!」


オモヒト コウ
「違うって!俺だってこんな奴の弁護なんて好きでやってるわけじゃないんだ」


ノノハラ レイ
「何気に物凄い罵られてるよ。やなかんじ」


オモヒト コウ
「とにかく、だ。粉チーズの容器はゴミ箱にあったのも含めて4つぜんぶ調べたんだよ。

 時間をかけて剥がれるような接着剤みたいなものなんかはどこにもついてなかった。

 それどころか、細工らしい細工を施した後もなかったんだよ」


タカナシ ユメミ
「…そっか」



 なんだか不満がありそうだが…、一先ず納得してくれたみたいだな。






339以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/05/14(木) 20:39:14.943rr6cfGDO (1/1)

ほう


340以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/06/10(水) 12:16:17.37G9aoWECEo (1/1)

期待してる


341♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/06/11(木) 21:36:32.84j6LNCF+G0 (1/11)




オモヒト コウ
「でも、カプセルを粉チーズの容器に入れたって言う推理は間違ってないと思うぞ。

 …思えば、あれがそうだったんだな」


タカナシ ユメミ
「どういう事?」


オモヒト コウ
「粉チーズをかけ終わったとき、ダマみたいなのが一つあったんだ。梅園がダマをほぐすためによく振ったにも関わらず、な」





342♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/06/11(木) 21:37:46.11j6LNCF+G0 (2/11)




 ―回想 >>239―






343♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/06/11(木) 21:39:19.42j6LNCF+G0 (3/11)




オモヒト コウ
「カプセルは透明な黄色で、あの時は粉チーズがまぶしてあったから、うまい具合にカモフラージュされていたんだろうな。

 要するに、俺はカプセルを粉チーズのダマだって勘違いしてしまっていたんだ」


マスタ イサム
「つまり、間違いなく凶器のカプセルは粉チーズの容器に仕掛けられていた、と」


オモヒト コウ
「ああ。そうだ」


ユーミア
「問題は、誰がどうやってそれを仕掛けたのか、どのようにして主人さんを狙ったのか、ということですね」


ウメゾノ ミノル
「それなんだけどさ、ひょっとして違うんじゃない?」


ユーミア
「どういう事ですか?」


ウメゾノ ミノル
「犯人は特定の誰かを狙ってやったわけじゃないんじゃぁないかってことだよ」






344♪学級裁判乱世編 ◆S7YK1FdmZg2015/06/11(木) 21:47:36.69j6LNCF+G0 (4/11)



オモヒト コウ
「つまりこういうことか?『被害者になるのは誰でもよかった…』」


ウメゾノ ミノル
「Exactly(その通りでございます)」






345♪学級裁判乱世編 ◆S7YK1FdmZg2015/06/11(木) 21:49:11.67j6LNCF+G0 (5/11)



アサクラ トモエ
「やっぱり、そうなの?」


マスタ イサム
「やっぱり、っていうのはどういうことなんだ?」


アサクラ トモエ
「動機についてちょっと考えてみたんだよ。どうして犯人はこんなことをしたのかなって。

 それで思ったんだけど、これは犯行のデモンストレーションだったんじゃない?」


ユーミア
「…この中に殺意を抱いている者がいて、その人物が自分の思いついた毒殺トリックがうまくいくかどうかを実験した、と?」


アサクラ トモエ
「うん。うまくいっても失敗しても悪戯で済むからデメリットはないって犯人は思ったんじゃないかな?

 でも、効き目が強すぎて悪戯で済まなくなっちゃったんだよ」






346♪学級裁判乱世編 ◆S7YK1FdmZg2015/06/11(木) 21:51:20.55j6LNCF+G0 (6/11)



マスタ イサム
「…それがなんで被害者が誰でもよかったって結論になるんだ?」


アサクラ トモエ
「恐らくなんだけど、犯人の動機は『ここから出ること』だと思う。

 会ってすぐの人に殺意を抱くなんてそうないし、主人さんって人から恨まれるような人じゃなさそうだし」


タカナシ ユメミ
「当然でしょ?お兄ちゃんは誰かに恨みを買うような後ろめたいことなんてしないんだから、ね?お兄ちゃん?」


オモヒト コウ
「まぁ、な?」


 会って一日かそこらで殺されるような動機
 俺には何の心当たりもない。…筈だ。うん。
 …ない、よな?






347♪学級裁判乱世編 ◆S7YK1FdmZg2015/06/11(木) 21:52:42.58j6LNCF+G0 (7/11)



アサクラ トモエ
「話を続けるよ?犯人の動機がここから出ることなら、殺す相手は誰でもいいんだよ。

 もし学級裁判でクロが生き延びたら、シロは皆死んじゃうわけで、結局誰を殺そうと結果は一緒なんだから」


ウメゾノ ミノル
「僕もそう思ったんだよね。で、殺す対象を選ばないのならトリックも簡単だ。

 自分に当たらないようにだけすればいいんだし」


アヤノコウジ サクヤ
「…そういうことなら、一番怪しいのはあなたじゃなくて?」






348 ◆S7YK1FdmZg2015/06/11(木) 21:53:25.93j6LNCF+G0 (8/11)




アヤノコウジ サクヤ
「――桜ノ宮亜梨主」






349♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/06/11(木) 23:50:27.54j6LNCF+G0 (9/11)




サクラノミヤ エリス
「…!!」


サクラノミヤ アリス
「はぁ!?なんでそこであたしが出てくるわけ?!」


ナナ
「そういえば、アリスお姉ちゃんは使わなかったわよね?粉チーズ」


ノノ
「“だいえっと”って言ってたね。何かの遊びかな?」





350♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/06/11(木) 23:51:26.79j6LNCF+G0 (10/11)



ノノハラ レイ
「ボクが見た限りでは粉チーズをかけなかったのは君だけだったはずだけど…、どうだったかな?」


カシワギ ソノコ
「そう、ですね…。量に差はありますけど、皆かけていたと思います。

 …亜梨主さん以外は」


 確かに、俺たちの列では亜梨主だけが粉チーズをかけなかった。
 河本の列は俺が見てないだけで全員ちゃんと粉チーズをかけたらしいな。






351♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/06/11(木) 23:59:26.50j6LNCF+G0 (11/11)



サクラノミヤ アリス
「ちょっと待ちなさいよ!そんなんであたしを犯人呼ばわり?!冗談じゃない!」


アヤノコウジ サクヤ
「一人だけ粉チーズをかけなかったのは、自分が仕掛けた罠に自分がかからないようにするため、違う?」


サクラノミヤ アリス
「そんなわけないでしょ?!」


ウメゾノ ミノル
「でも、一人だけかけてないって言うのはちょっと怪しい気もするなぁ」


サクラノミヤ アリス
「ちょっと!アンタまで何言いだすの!?あたしがダイエットしてることぐらい知ってるでしょ?!」


ウメゾノ ミノル
「それとこれとは話が違うんだって。僕だって亜梨主が犯人じゃないって信じてるけど、その疑いを晴らす証拠がないんだ」


サクラノミヤ アリス
「そんな…!」






352♪学級裁判太陽編 ◆S7YK1FdmZg2015/06/12(金) 00:29:54.96YY6KD7OG0 (1/2)



ノノハラ レイ
「まぁ落ち着きなよ。そんなに取り乱してると、余計怪しく見えちゃうよ?」


サクラノミヤ アリス
「……」


ノノハラ レイ
「そうそう、あまり喚きたてない方が得策ってヤツだよ。

 ハッキリ言ってしまおうか、綾小路咲夜さん。ボクはその意見には賛同できない、と」


アヤノコウジ サクヤ
「あら、庶民のくせにこの私の意見に口答えする気?随分といい度胸ね?」


ノノハラ レイ
「お生憎様、ボクはそういうの気にしないタイプだから」


 またこの二人は…。





353♪テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/06/12(金) 00:39:03.56YY6KD7OG0 (2/2)



――というところで今回はここまで。


――続きは可及的速やかに書きますので、クライマックスまでどうぞお楽しみに。


――ちなみに、ここまで出たヒントで既に「クロが誰なのか」は分かるようになっております。

――次回の更新までの暇つぶしにぜひ、ご一考なされてはいかがでしょうか?





354♪議論HEATUP ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 20:48:56.05Mdo5+0oP0 (1/19)



ノノハラ レイ
「さて、キミの意見では、あらかじめ粉チーズにサドンデスサプリのカプセルを混入させた桜ノ宮亜梨主は、

 自分のパスタに入れないために粉チーズをかけなかった、ということになるよね?」


アヤノコウジ サクヤ
「ええ。食事中は混入させるタイミングがなかったとしても、その前ならいくらでも時間があったはずよ」


ノノハラ レイ
「でもさ、食事が出てくる前までメニューは分からなかったはずだけど、もし今日の献立がパスタじゃなかったらどうするのさ。

 いくらなんでも偶然に頼りすぎなんじゃない?」


アヤノコウジ サクヤ
「たとえ今日の夕食が粉チーズを使うような料理ではなかったとしても、その時はその時よ。

 粉チーズが使われるチャンスを待てばいいだけなのだから」




355♪議論HEATUP ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 20:50:22.13Mdo5+0oP0 (2/19)



ノノハラ レイ
「結構前に議論になってたから忘れてると思うけど、あらかじめ仕掛けておいたら最初に使うボクが犠牲者にならない?」


アヤノコウジ サクヤ
「一度中身をすべて出して、底にカプセルを入れて元に戻す。これなら最初に使った者が当たるとは限らないんじゃなくて?」


ノノハラ レイ
「それだったらキミも含めた皆も犯人候補になるんじゃないかな?別に亜梨主さんに限った話じゃないじゃない」


アヤノコウジ サクヤ
「いつカプセルが出てくるかわからない以上、出来る限り危険は避けておきたいというのが犯人の心情でしょう?

 粉チーズが回ってくる順番も自分の前にどれだけの量が使われるのかもわからなかったのだからなおさらね」


ノノハラ レイ
「そう来るかぁ…」


アヤノコウジ サクヤ
「どう?これでもまだ私の意見を否定するつもり?」


ノノハラ レイ
「うーん…。公!キミの意見を聴こう」


オモヒト コウ
「このタイミングで俺に振るなよ…!」





356♪議論HEATUP ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 20:51:57.25Mdo5+0oP0 (3/19)



 どうする…?二人の意見に間違っていそうなところが見つからない…!

 でも、何処かにあるはずなんだ、“ムジュン”が…!

 思い出せ、これまでに起きたことを…、議論を…!





357♪閃きアナグラム ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 20:55:59.53Mdo5+0oP0 (4/19)



―回想―

 >>221
 >>264


 そうだ!



358♪学級裁判太陽編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 21:10:33.45Mdo5+0oP0 (5/19)



オモヒト コウ
「澪、梅園。ちょっと確認したいんだが」


ノノハラ レイ
「ん?」


ウメゾノ ミノル
「何?」


オモヒト コウ
「二人がモノモノマシーンで有り金全部溶かしたのは今日の昼食後から夕食前の間、でいいんだよな?」


 二人ともあんな顔になったのは夕食前で、昼食の時には何ともなかった。

 つまり、少なくとも二人がモノモノマシーンでコインを使い切ったのはその間ってことになる。






359 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 21:12:40.08Mdo5+0oP0 (6/19)



ノノハラ レイ
「そうだよ。ついでに言っておくと、モノモノマシーンをやり始めたのは18時10分で、夕食の一時間ぐらい前だね」


ウメゾノ ミノル
「で、例のサプリとくさやジャムが当たってちょっと気落ちして、

 腹いせついでにくさやジャムと牛乳パックの中身をすり替えておいたのさ!」


サクラノミヤ エリス
「……」


サクラノミヤ アリス
「……」


ウメゾノ ミノル
「…気を取り直してまた挑戦したものの、結果はお察しの通りです」


 うん、今はボケるタイミングじゃなかったな。

 まぁいい。予想通りだ。…いや、予想以上だ。






360♪学級裁判太陽編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 21:14:06.30Mdo5+0oP0 (7/19)



オモヒト コウ
「そのすり替えはキッチンでしたんだよな?牛乳パックもキッチンにあったみたいだし」


ノノハラ レイ
「部屋に臭い移ってもやだしね。キッチンなら換気扇回しておけば大丈夫だろうって思ったわけさ」


オモヒト コウ
「その作業の時間について詳しく教えてくれないか?」


ノノハラ レイ
「…あぁ、なるほどね。いいよ、詳しく教えてあげる」


 澪は解ってくれたみたいだな。察しが速くて助かる。






361♪学級裁判太陽編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 21:15:55.24Mdo5+0oP0 (8/19)



ノノハラ レイ
「キッチンで牛乳とくさやジャムの中身を入れ替え始めたのは18時20分。

 で、作業が終わって中に臭いが残ってないか確認してからキッチンを出たのが18時50分。

 後は知っての通り、夕食直前の19時までまたモノモノマシーンで遊んでたよ」


オモヒト コウ
「その間、キッチンに誰か入ってきたか?」


ノノハラ レイ
「誰かが入ってきたかどうかはチェックしてないけど、

 事情を知らない誰かが入ってきたらその場で異臭騒ぎになるんじゃないかな」


ウメゾノ ミノル
「作業終わった後なんか放課後の剣道部の部室以上の酷さだったし。

 鼻がもげるかと思ったぐらいだからね」






362♪学級裁判太陽編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 21:20:11.23Mdo5+0oP0 (9/19)



アヤノコウジ サクヤ
「ちょっと。貴方はさっきから何が言いたいの?」


オモヒト コウ
「犯人があらかじめ粉チーズの容器の中にカプセルを入れたとすると、犯行に使える時間は10分しかないってことになるんだ」


タカナシ ユメミ
「えっと…、どうしてそうなるの?お兄ちゃん」


オモヒト コウ
「まず、犯人が凶器を入手することができるのは今日の18時20分よりも後だ。

 澪達がそれを当てないことにはどうしようもないし、二人に凶器を回収する所を見られてもまずいしな。

 そして澪達がキッチンを使っていた18時20分から18時50分までの間にキッチンのドアを開けたら、異臭が漏れて大騒ぎになる。

 そんな騒ぎがなかったってことは、キッチンには澪と梅園以外は誰も入っていないって事だろ?

 そして夕食前には全員が席についていたって事は、

 犯人がキッチンへ行って粉チーズの容器の中にカプセルを入れる時間は18時50分から19時までの10分しかないんだ」





363♪学級裁判太陽編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 21:29:38.82Mdo5+0oP0 (10/19)



ユーミア
「…いえ、5分ですね。ユーミアが5分前に到着していて、皆様をお待ちしていましたが、

 キッチンから出てくる人はいませんでしたし」


アサクラ トモエ
「5分もあれば充分じゃない?そんなに難しい作業とは思えないよ?」


オモヒト コウ
「粉チーズを一度全部出して、容器にカプセルを入れてまた粉チーズを入れる。

 この作業自体を5分以内に行うのはそんなに難しいことじゃないとは思うが、

 痕跡が残らないようにするには少し時間が足りないんじゃないか?」


ナナ
「粉チーズって、こぼしたら後片づけが大変だものね」


ノノ
「そうそう。細かいのとか拾えないもんね」


カシワギ ソノコ
「そ、それに、そんな作業人に見られたら言訳のしようがないですし、

 時間がないなら普通はカプセルを容器にそのまま入れてすぐ立ち去りますよね」





364♪学級裁判太陽編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 21:31:34.36Mdo5+0oP0 (11/19)



アヤノコウジ サクヤ
「くっ…!で、でも…!」


ノノハラ レイ
「あー、先に言っておくけどね、ボクらならキッチンにいる間に出来たんじゃないかって言う反論は受け付けないから。

 皆覚えてると思うけど、梅園クンは残りがほとんどなくなるくらい大量にかけていた。

 自分が仕掛けた罠にわざわざ嵌りに行くような馬鹿は居やしないし、もしボクが黙って仕掛けようとしてもそんな作業目立つからすぐばれるし」


ウメゾノ ミノル
「っていうか、その粉チーズに臭いが移って悲惨なことになることまったなしですわ」


アヤノコウジ サクヤ
「くぅうううううううううぅうぅううぅううう!!」






365♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 21:34:20.17Mdo5+0oP0 (12/19)




アヤノコウジ サクヤ
「…まぁ、いいわ。そういう事にしてあげる」


サクラノミヤ アリス
「言うべきことはそれだけ?」


ウメゾノ ミノル
「まぁまぁ抑えて抑えて」


サクラノミヤ エリス
「もう済んだことですし、ね?お姉さま」


サクラノミヤ アリス
「ふん…、解ったわよ」


 …まぁ、議論が泥沼化しなくて済んだだけ良しとするか。






366♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 21:52:05.51Mdo5+0oP0 (13/19)



カシワギ ソノコ
「あらかじめ粉チーズの容器の中にカプセルを入れることはできなかったなら、

 犯人はどうやってカプセルを容器の中に入れたのでしょうか…?」


マスタ イサム
「やっぱり、順番に回していったあの時、って言うのが一番怪しいんじゃないか?」


コウモト アヤセ
「ってことは、容疑者は実際に容器を手に取った澪、渚ちゃん・亜梨主ちゃん、梅園くん、慧梨主ちゃんの五人ってことね」


ノノハラ レイ
「そこは幼馴染のよしみで容疑者から外してくれても良かったんじゃない?」


コウモト アヤセ
「そうしたいのは山々だけど、あなたには前科があるんだもの。建前上外すわけにはいかないわ」


ノノハラ レイ
「ははは、こいつぁ手厳しいぜ」


オモヒト コウ
「随分と余裕だな、澪。今のところお前が容疑者筆頭なんだぞ?」


ノノハラ レイ
「まぁね。重ねて言うけどボクはクロじゃない。

 ボクはね、信じてるんだ。皆ならきっと、本当のクロを突き止めることが出来るだろう、ってさ。

 特に公、キミならね」


オモヒト コウ
「買いかぶりすぎだ。俺はそんな器じゃない」


ノノハラ レイ
「謙遜はよしなよシュジンコウさん。これまでの議論だってキミがリードしてきてるじゃないか。自信を持ちなよ」


オモヒト コウ
「…さりげなく俺の事けなしてないか?」


ノノハラ レイ
「ナンノコトカナーボクワカンナイナー」


ウメゾノ ミノル
「うっわぁすっごい棒読み」


 全くお前は…、お前という奴は…!






367♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 22:25:12.06Mdo5+0oP0 (14/19)



ノノハラ レイ
「それはそうと、だ。ボクら五人の中の一人が犯人だったとして、

 どうやって皆が見てる前で誰にも気づかれずにカプセルを容器の中に入れることができたのか、だね?」


 こいつ、話を強引に戻しやがった…!


ノノハラ レイ
「ボクが見た限りだと、誰も怪しい素振りなんて見せなかったと思うんだけど、どうかな?」


ノノハラ ナギサ
「皆普通に粉チーズをかけてただけだよね…。梅園さんを除いて」





368♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 22:27:06.63Mdo5+0oP0 (15/19)



サクラノミヤ アリス
「そういえばアンタ、ダマをなくすためとか言ってよく振ってたわね。

 その間に何か細工したんじゃない?マジック、得意なんでしょ?」


ウメゾノ ミノル
「いやいやいやいや、待って、待てって。ちょっと待ちなっせいタイムだってタイム!」


サクラノミヤ アリス
「…なんでそんな露骨に慌てるの?まさか本当に犯人なの?」


ウメゾノ ミノル
「いや違うよ?これはそーゆー動揺的なあれじゃないのよ?マジだべ?っつーか慌ててねーし?

 オレを慌てさせたら大した奴だし?ただちょっといきなり指名されてビックリしただけだしぃ!?」


サクラノミヤ アリス
「そうやって妙に取り繕おうとしてるのが余計怪しいって言ってるのよ」






369♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 22:28:50.59Mdo5+0oP0 (16/19)



サクラノミヤ エリス
「本当にお兄さまが犯人なんですか?」


ウメゾノ ミノル
「違うって!いやさ、確かにマジックはよくやるけれども!

 どうやって蓋を開けずにカプセルを入れるって言うのさ!

 ボクはあくまで“マジシャン”であって空間転移能力者でも物質透過能力者でもないからね?!」


サクラノミヤ エリス
「お兄さまは“超高校級の外交官候補生”なんじゃ…?」


ウメゾノ ミノル
「それはあれだよ言葉の綾ってやつだよ!

 ボクができるのは精々相手の引いたトランプを当てるだとか、

 コップに入った大量のポップコーンの種をポップコーンに変えたよう見せかけるだとか、

 切ったはずのバラの花を元通りにしたように見せかけるとか、その程度しかできないよ?!」


マスタ イサム
「なんでそんな具体的なんだよ…」






370♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 22:44:04.30Mdo5+0oP0 (17/19)



ノノハラ レイ
「こうやってただ話し合ってるだけじゃ埒が明かないみたいだし、実物を見てもらおうかな?ねぇモノクマ」


モノクマ
「はいはい、粉チーズを持ってこいって言うんでしょ?

 全く、久しぶりに出番かと思ったらこれだよ…」


 モノクマは一体何の話をしているんだ…?

 っていうか何でこいつらこんなに息ピッタリなんだよ!





371♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 22:44:56.81Mdo5+0oP0 (18/19)



ノノハラ ナギサ
「特にこれといって怪しいところなんてない、のかなぁ?」


コウモト アヤセ
「普通の粉チーズの容器、よね?」


ユーミア
「一般的な二口タイプのようですが…」


アサクラ トモエ
「…もしかして」


マスタ イサム
「どうしたんだ巴?何か分かったのか?」


アサクラ トモエ
「蓋を外さなくても、こっちの口からなら入るんじゃない?

 半月型の、大きい方の穴!」


オモヒト コウ
「澪!」


ノノハラ レイ
「解ってるよ。試してみろって言うんだろ?」


 澪はボトルからカプセルを取り出し、大きい口に近づけた。
 結果は…。





372♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/11(土) 22:45:34.33Mdo5+0oP0 (19/19)




ノノハラ レイ
「入ったね。大正解みたいだよ。犯人はここからカプセルを入れたらしい」







373♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/07/12(日) 01:10:50.62hX0ZSKiN0 (1/2)



ノノハラ レイ
「ちなみに、小さい穴がいくつも開いている方の口から入れることはできないね。

 こっちの穴に対してカプセルが大きすぎる」


オモヒト コウ
「使い終わって蓋を閉める直前に隠し持っていたカプセルを入れれば、不自然には見えないだろう。

つまり、容疑者は大きい方の口を使った人物ってことになるな」


ナナミヤ イオリ
「主人さんの前に大きい方の口を使ったのは…」


ノノハラ ナギサ
「お兄ちゃんと…」


サクラノミヤ エリス
「お兄さま…」





374反論! ◆S7YK1FdmZg2015/07/12(日) 01:11:40.55hX0ZSKiN0 (2/2)





アヤノコウジ サクヤ
「愚民はひれ伏しなさい!」







375以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/16(木) 23:53:16.897aVlkyUSO (1/1)




376以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/18(土) 09:48:40.8449oezZhyo (1/1)

ヤンデレCDは知らないけどオリキャラ?の男もみんないいキャラしてるな


377♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/08/11(火) 23:15:17.41xiUqDyQq0 (1/5)



アヤノコウジ サクヤ
「たったそれだけで容疑者が搾れるだなんて、思い上がりも甚だしいんじゃないかしら?」


オモヒト コウ
「何が言いたいんだ?」


アヤノコウジ サクヤ
「まだあなたの隣にいるそこの庶民の容疑が晴れた訳じゃないじゃない!

 あなたの直前に粉チーズを使ったなんて一番怪しい立場の庶民が!」



 一体なんで咲夜はこんなにも突っかかって来るんだ…?

 ……いや、今はそんなこと考えても仕方がない。

 とにかく、間違った結論に辿り着けば……、俺たちの(舌の)命が危ない!





378♪反論-CROSS SWORD- ◆S7YK1FdmZg2015/08/11(火) 23:30:20.75xiUqDyQq0 (2/5)



 ―反論ショーダウン 開始―


=|サドンデスサプリ>

=|サプリの粒>

=|粉チーズ>


アヤノコウジ サクヤ
「半月穴を使って粉チーズを入れてないからと言って、

 あなたの直前に粉チーズを使った庶民がカプセルを入れることが出来なかったという証拠にはならないわっ!

 そもそも、そこの庶民が丸穴を使って粉チーズを入れた保証もないじゃない!」





379♪反論-CROSS SWORD- ◆S7YK1FdmZg2015/08/11(火) 23:33:15.95xiUqDyQq0 (3/5)




 ―発展!―



オモヒト コウ
「慧梨主は小さい方の蓋しか開けてないんだ。それは隣で俺がちゃんと見て確認してる。

 大体どうやってカプセルを入れたって言うんだ?」


アヤノコウジ サクヤ
「使い終わってあなたに渡す前に、丸穴を閉じるついでに半月穴の【蓋を開けてすぐに閉じればいい】だけでしょ?

 そもそも【丸穴の蓋しか開けてない】なんて証拠も証言もないじゃない!」



 ……確かに、咲夜のいう通りかもしれない。

 これまでの議論と、俺が集めた証拠では慧梨主が小さい方の蓋しか開けていないとは言い切れない。

 でも、俺には確証がある。それに、それを確実に証言できるであろう人物にも、心当たりがある。





380♪反論-CROSS SWORD- ◆S7YK1FdmZg2015/08/11(火) 23:38:02.69xiUqDyQq0 (4/5)




アヤノコウジ サクヤ
「使い終わってあなたに渡す前に、丸穴を閉じるついでに半月穴の【蓋を開けてすぐに閉じればいい】



=|【丸穴の蓋しか開けてない】>

   人物選択 |>ノノハラ レイ



 ―BREAK!!!―





381♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/08/11(火) 23:53:39.51xiUqDyQq0 (5/5)



オモヒト コウ
「……なぁ澪、あの時の状況覚えてるか?」


ノノハラ レイ
「キミが言うあの時って言うのが、慧梨主さんがキミに粉チーズを渡した時だって言うなら、心配しなくてもちゃんと覚えてるよ。

 で、ボクは何を証言すればいいんだい?」


オモヒト コウ
「確か、俺の記憶だと慧梨主が俺に粉チーズを手渡す直前、パチって音が一回だけしたと思うんだが、どうだ?」


 ―回想>>238―


ノノハラ レイ
「……うん、そうだね。その通りだ。それでキミはこう言いたいんだろう?

 『もし咲夜の言う通り丸穴の蓋を閉じながら半月穴の蓋を開けカプセルを入れ閉めたのなら、最低でも音は二回鳴っているはずだ』」


オモヒト コウ
「あぁそうだ。丸穴の蓋を閉じるのと半月穴の蓋を開けるタイミングが同時だったとしても、半月穴の蓋を閉じる音で一回余分に聞こえるからな。

 この容器はどっちの蓋を開ける時も閉める時も音がするし、俺が受け取った時両方とも蓋は閉じた状態だったから、

 使った直後に一回しか聞こえなかったなら、慧梨主は丸穴の蓋しか開けていないってことじゃないか?」





382♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/08/12(水) 00:16:40.09trX8hHCn0 (1/4)



アヤノコウジ サクヤ
「周りの音がうるさくて聞き取れなかったかもしれないじゃない!」


オモヒト コウ
「大体な、一度に両方の蓋を開け閉めするなんて挙動不審過ぎるだろ。

 慧梨主はそんな怪しい素振り見せてないし、もししていたら隣の梅園や正面の朝倉に感づかれる」


アサクラ トモエ
「…うん、慧梨主さんはそんな事してないよ」


ウメゾノ ミノル
「同感。普通に蓋を閉めて手渡しただけだね」


アヤノコウジ サクヤ
「う、うう、うにゅにゅ~~~~~~~~~ぅぅうぅ!!!

 ……フン!いいわよそれで。納得してあげるわ!」



 だから、なんでそんな上から目線なんだ……。





383 ◆S7YK1FdmZg2015/08/12(水) 00:28:34.32trX8hHCn0 (2/4)



オモヒト コウ
「なぁ咲夜、どうしてそんなにつっかかってくるんだ?」


アヤノコウジ サクヤ
「……あなたはおかしいと思わないの?」


オモヒト コウ
「何がおかしいっていうんだ?」


アヤノコウジ サクヤ
「これまでの議論は全部、そこで薄ら笑いを浮かべてる男の思惑通りなんじゃないかって言ってるのよ!」


 咲夜はそう言い放ち、対面にいる澪を指さした。






384♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/08/12(水) 00:35:37.13trX8hHCn0 (3/4)



ノノハラ レイ
「……酷いなぁ。まるでボクが黒幕みたいに。

 もしボクがクロなら、こんな自分が不利になるような展開には持ち込まないと思うよ?

 さっきだって慧梨主さんの無実を証明したわけだけど、普通クロなら慧梨主さんに罪を擦り付けるために嘘の証言をすると思うな。

 でもボクは正直に事実を話した。おかげで今大ピンチだよ」アハハ



 セリフと表情がこれっぽっちも合ってないぞ。
 なんで未だにヘラヘラしていられるんだ?



アヤノコウジ サクヤ
「よくもまあそんないけしゃあしゃあと……!

 粉チーズを使うよう提案したのも、この学級裁判もどきをするよう言ったのも、裁判中の議題のほとんどを投げかけてきたのも、全部あなたじゃない!

 これで議論を思い通りに誘導していないなんて思う方がどうかしてるわ!」






385♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/08/12(水) 00:47:18.66trX8hHCn0 (4/4)



ノノハラ レイ
「まぁ確かに?ちょーっと目立ちすぎたかな~とは思ったけど、それが何だい?

 今のキミの意見には、何一つ証拠がない。ただ単に“怪しい”って思っているだけ。

 言っておくけどね、これはトリックとロジックのゲーム。どんな名推理も証拠がなければ暴論と一緒なんだよ。

 それとも、キミがクロだからそれを隠そうとするあまりつい感情的になっているのかな?」


アヤノコウジ サクヤ
「何ですって?!」


ノノハラ レイ
「とまぁ?証拠が無けりゃこんな無茶な推理も罷り通るわけで。

 だからこそ証拠が必要なんだよ。それが状況証拠でもね。そうでしょ?ウメゾノミノル君?」






386以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/12(水) 12:47:37.47UU5EhZLwO (1/1)


そろそろ犯人出てくるかな


387♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/09/11(金) 22:11:30.31T8Q/arKq0 (1/12)



ウメゾノ ミノル
「ちょ、おま、ここで僕に話を振る理由が解らないんですけど。いやホントマジで」


ノノハラ レイ
「公よりも前に半月穴を使ったのはボクとキミだけ。

 カプセルは丸穴よりも大きいから、慧梨主さんに丸穴を使わせれば引っかかって外に出ることはない。

 内向的で遠慮しがちな慧梨主さんの性格をよく知っているキミなら、わざと使い過ぎて『気にせず使ってよ』とでも言えば、

 丸穴を開け、チーズを殆ど入れないだろうってことぐらい予測できたんじゃない?」





388♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/09/11(金) 22:12:35.30T8Q/arKq0 (2/12)


サクラノミヤ エリス
「本当、なんですかお兄さま?私を利用したんですか……?うぅ……」


ウメゾノ ミノル
「え、ぇえいやいやいやいやちょっと泣かないでよ慧梨主!違うから!僕じゃないから!

 そんな簡単に人の話信じちゃだめだよ!」


サクラノミヤ アリス
「……そうね。慧梨主ってばそういう手口にはあっさり引っかかるからね。

 いい加減白状したら?『僕がやりました』って」


ウメゾノ ミノル
「亜梨主まで人を詐欺師みたいに!」






389♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/09/11(金) 22:13:38.61T8Q/arKq0 (3/12)


タカナシ ユメミ
「どういうつもり?今更仲間割れ?」


ノノハラ レイ
「ボクは状況的に見て穫クンが一番怪しいんじゃないかと言っているだけだよ。

 キミはボクらの共犯を疑ってるみたいだけど、これが犯行の予行演習なら共犯ありきのトリックなんて使わないんじゃない?

 クロが勝っても共犯者は他のシロと一緒に仲良くお陀仏なんだし。共犯者側のメリットがないよね?」


タカナシ ユメミ
「どうだか。あたしはまだあんたも疑わしいと思ってるんだからね」


ノノハラ レイ
「ふふ、ご想像にお任せするよ。

 でも、あえて言うとするならボクはクロじゃない、それだけは確かな事実なんだよ」


コウモト アヤセ
「澪…」






390 ◆S7YK1FdmZg2015/09/11(金) 22:14:56.17T8Q/arKq0 (4/12)



ノノハラ レイ
「さてと、閑話休題だ。穫クン、これだけ状況証拠が揃ってる中、何か反論があればいくらでもしてくれたって構わないのだぜ?

 ボクだって、皆して寄って集って一方的に誰か一人を吊し上げるなんてマネ、したくないんだよね」


ウメゾノ ミノル
「反論…?反論が、あるかってぇ…?

 反論、反論、反論んんんん、んん…、んんうぅう……」






391 ◆S7YK1FdmZg2015/09/11(金) 22:17:05.03T8Q/arKq0 (5/12)


ウメゾノ ミノル
「フーンフ フーン フーン フーン フーン…♪

 フーンフ フーン フーン フーン フーンッフフフフフ…」


 急に鼻歌歌いだしたと思ったら笑い出したぞこいつ…。

 …微妙に音外してるけど、あの国の国歌だよな、あれ。米の国の。






392♪絶望トロピカル ◆S7YK1FdmZg2015/09/11(金) 22:19:53.16T8Q/arKq0 (6/12)



ウメゾノ ミノル
「YEAHHHHHHHHHAHAHAHAHAHAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHHHHHHHH!!」


オモヒト コウ
「?!」


サクラノミヤ エリス
「お兄さま?!」


ウメゾノ ミノル
「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!

 くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ!

 フゥーハハハハハハハハハ!アーッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」


 とうとう頭がおかしくなったのか……?にしてはちょっとわざとらしい気がするが……。





393♪絶望トロピカル ◆S7YK1FdmZg2015/09/11(金) 22:22:17.53T8Q/arKq0 (7/12)


ウメゾノ ミノル
「ハハ、ハ……、はぁ……」


 お、落ち着いた、のか?


ウメゾノ ミノル
「FUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUCK!!

 せっかく騙しおおせると思ったのによぅッ!!くきくぅッ!!」


サクラノミヤ エリス
「お、お兄さま?!」


ウメゾノ ミノル
「ふ――――、スッとした。ぃやー、ゴメンゴメン。

 ちょっと頭を冷静にするために一通り叫んでみただけさ。心配かけて悪いね慧梨主」


サクラノミヤ エリス
「わ、私はお兄さまが無事ならそれで……、って、そうじゃありません!

 『騙しおおせる』ってどういうことですか?!」


ウメゾノ ミノル
「どういう事も何も、こういう事だよ。

 『僕 が 犯 人』だ」






394♪磯の香りのデッドエンド ◆S7YK1FdmZg2015/09/11(金) 23:31:10.57T8Q/arKq0 (8/12)



サクラノミヤ エリス
「そん、な……」


サクラノミヤ アリス
「……随分あっさり認めるのね」


ウメゾノ ミノル
「マジシャンたるもの、タネを見破られたら素直に幕を引くべしって言うのが僕の美学だからね。

 みっともないマネはしたくないのさ」


ナナ
「さっきのはみっともない内には入らないのかしら?」


ノノ
「入らないと思ってるからやったんでしょ?どう見てもみっともないのにね」


ウメゾノ ミノル
「ん、何か言ったかな?」


ナナ/ノノ
「「なんにもー」」






395♪磯の香りのデッドエンド ◆S7YK1FdmZg2015/09/11(金) 23:32:24.10T8Q/arKq0 (9/12)



アヤノコウジ サクヤ
「……まだ決定的な証拠は出てきてないじゃない」


ウメゾノ ミノル
「こう見えても僕って完璧主義なんだよ。お客様にお見せするならperfectなperformanceを、ってね。

 Magic showって言うのはタネが全く解らないから楽しめるのだし、一部の隙も無いから面白いのさ。

 一部でも看破されたらshowは台無し。仕掛けたトリックのキモがばれたとあればマジシャンとしてはおしまいだ。

 公然の場で細部を解説されmissを指摘されるなんて、恥ずかしすぎて自殺ものだよ。

 だから粗探しをされる前に降参して、これ以上僕のマジシャンとしてのprideが傷付けられないようにしているだけさ」






396 ◆S7YK1FdmZg2015/09/11(金) 23:37:27.24T8Q/arKq0 (10/12)



ウメゾノ ミノル
「さて、そんなことはどうでもいい、問題じゃない。

 さっさと投票して、こんな裁判早く終わらせよう」


オモヒト コウ
「……待てよ、梅園。お前、まだ何か隠してるんじゃないか?」


ウメゾノ ミノル
「な、なななな、何のことかな?まさか僕が真犯人を庇ってるとでも言いたいのかな?かな?」


アサクラ トモエ
「うわぁ……」


ユーミア
「流石に今のは……」


 ……自分から暴露したぞこいつ。

 冷汗が滝みたいに流れてるし、目が泳ぎまくってるしで動揺しているのが丸わかりじゃないか。

 怪しすぎて逆に不安になってきたぞ。





397♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/09/11(金) 23:40:03.32T8Q/arKq0 (11/12)



オモヒト コウ
「……その通りだ。だから無駄に饒舌になったり投票を急かしているんじゃないか?」


ウメゾノ ミノル
「い、いやだなぁ、そんな事するわけないじゃん。

 だってそれでもしクロが勝ったらオシオキの巻き添え喰らうんだよ!?あんなの死んでも口にしたくないからね?!」


オモヒト コウ
「それには同感だが、お前の行動にはもう一つ引っかかることがある。

 さっきの話題にも出てたが、お前だけ粉チーズを振って使ってたよな?」


ウメゾノ ミノル
「だから、ダマを崩すためだって言ってるじゃないか!」


オモヒト コウ
「いや、違うな。お前は――」


ウメゾノ ミノル
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!

 犯人が自供したんだからそれでいいじゃん!何が不満だって言うのさ!」


オモヒト コウ
「それが罠かもしれないから反論してるんだろ?」


ウメゾノ ミノル
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇ!!」


 さっき言ってた自分のポリシーに思いっ切り逆らってるじゃないか……。

 どうやら誰かを庇ってるのは確実みたいだな…。

 いや、その『誰か』が誰なのかも察しが付く。

 そいつを追い詰めるためにも、今は梅園を説き伏せないと…!






398♪M.T.B ◆S7YK1FdmZg2015/09/11(金) 23:47:10.15T8Q/arKq0 (12/12)



   ―マシンガントークバトル 開始―


ウメゾノ ミノル
「アホアホアホアホアホアホアホアホアホアホアホアホアホアホアホーーーッ!

 Son of a Bitch! Fils de pute! Hurensohn! Bastardo! Ублюдок!」


 ……よっぽど必死なんだろうが、後半何言ってるのかさっぱりわからん。

 いや、どうせロクでも無い言葉なんだろうが。


オモヒト コウ
「もう一度聞くぞ?何で粉チーズを振ったりしたんだ?」


ウメゾノ ミノル
「【ダマを崩すためだっつってんだろうが!】」



    |粉チーズ>



 これでどうだ!



    ―BREAK!!―






399♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/09/12(土) 00:19:14.41mVJImCF40 (1/8)



オモヒト コウ
「粉チーズが四本あったのは知ってるよな?」


ウメゾノ ミノル
「¡Eres un cabron,que te parta un rayo!」


 やっぱり何言ってるのかさっぱり解らんが無視して続けよう。

 意味が分かったらしい咲夜とユーミアの口が引きつっているから、多分聞くに堪えん罵倒なんだろうしな。


オモヒト コウ
「河本達が使った分も含めて、残った三つとも調べてみたがどれもダマなんてなかった。

 俺たちが使った分もダマがなかったって考えるのが妥当だろ?

 ダマを崩すために振る必要なんてなかったってことだ。違うか?」





400♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/09/12(土) 00:23:35.22mVJImCF40 (2/8)


ウメゾノ ミノル
「¡Estoy asta…あー、……うん。ゴメンなさいウソつきました。

 ちょっと癖みたいなもんでさ。分離タイプじゃないドレッシングも、ソースでも醤油でもよく振ってから使うんだ。

 個人的なちょっとしたこだわりってやつ。よくあるだろ?横断歩道で白いトコだけ歩いたりとかさ」


オモヒト コウ
「なら何で初めからそう言わないんだ?」


ウメゾノ ミノル
「変な人に見られたくなかったんだよ。ダマを崩すためって言う正当な理由があれば誰だってそれ以上突っ込まないからね」


サクラノミヤ アリス
「それはそうだけど、手遅れね。最初っから十分に変人だって評価されてると思うけど?」


ウメゾノ ミノル
「うそーん…」


 そう言われてしまえばこれ以上言及しようがないが……、それだけじゃないはずだ。

 ヒントは、他でもないお前自身が口走ったんだからな。






401♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/09/12(土) 00:36:53.11mVJImCF40 (3/8)



オモヒト コウ
「お前さっき言ってただろ?

 マジックのレパートリーの中に、【コップに入った大量のポップコーンの種をポップコーンに変えたよう見せかける】ってのがあるって」


ウメゾノ ミノル
「そ、そう、だね。あれはよくやるヤツだ。タネも単純だし、誰にだってできるから話のタネにもなりやすいし話を広げやすい」


オモヒト コウ
「俺もそのマジックの種なら知ってる。お前はそれを応用したんだな?」


ウメゾノ ミノル
「…What`s the…」






402♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/09/12(土) 00:42:07.06mVJImCF40 (4/8)



ナナミヤ イオリ
「どういうことですか?そのマジックとどういう関係があるんですか?」


オモヒト コウ
「説明するより、実際にやってみた方が早い。

 澪、今お前が持ってるその容器には、粉チーズとカプセルが入っている。そうだな?」


ノノハラ レイ
「間違いはないね。カプセルを入れたっきり何の操作もしてないから、カプセルは粉チーズの層の上に乗ったままだけど」


オモヒト コウ
「じゃぁその容器を、振ってくれないか?梅園がしたように、何度もな」


ノノハラ レイ
「……仕方ないなぁ」シャカシャカ






403♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/09/12(土) 00:43:21.40mVJImCF40 (5/8)



ノノハラ レイ
「このぐらいで充分かな?で、どうすればいい?穫クンみたいにパスタに大量にかけてみるかい?」


オモヒト コウ
「いや、その前に蓋を取り外して、容器の中が皆に見えるようにしてくれないか?」


ノノハラ ナギサ
「こんなことして一体何に……――!」


コウモト アヤセ
「そ、そんな……!」


マスタ イサム
「カプセルが、なくなってる、だとぉ?!」




404♪学級裁判未来編 ◆S7YK1FdmZg2015/09/12(土) 01:24:50.47mVJImCF40 (6/8)


オモヒト コウ
「正確には、『底に移動した』だな。

 実際に手に持ってみると解るが、あのカプセルは意外と重い。

 ただ単に半月穴からカプセルを入れて粉チーズの上に置いただけじゃまた半月穴を使ったとき外に出てしまうが、

 よく振って中の粉チーズをかき混ぜれば、重いカプセルは下へ下へと潜っていくんだ」


カシワギ ソノコ
「話題に出たマジックはブラジルナッツ効果のこと、だったんですね。でも、あれは粒子が大きいものが上に浮かんでくるのであって、

 今回とはまったく真逆なんじゃありませんか?」


 げぇ!そうなのか?!

 や、やばい!思いっきり勘違いしてた!あぁ、いや、でも結果としてはオールオッケーだったわけだし…、じゃねぇよ!

 説明できなきゃ説得力がないだろうが!どうする!?どうすればいい?!


ノノハラ レイ
「逆ブラジルナッツ効果って言うのもあってね。

 容器の形状や振る条件なんかで色々結果が変わるんだよ。

 今回は、公の言う通り穫クンと同じように振ったから、結果が同じになっただけさ。

 密度の大きい重い物体がそこへ沈んでいくケースも少なくないみたいだけど、未だ謎が多いから詳しく解説しようとするだけ無駄だぜ?」


オモヒト コウ
「そ、そうか……」


 助け舟を出されたのはいいが……、なんだか凹むな……。あと、メチャクチャ恥ずかしい!






405♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/09/12(土) 01:36:09.78mVJImCF40 (7/8)



オモヒト コウ
「と、とにかく、だ!

 これならお前が先にカプセルを入れたとしても、半月穴を使った梅園がカプセルをパスタの中に入れないようにすることができる。

 梅園と共犯だったら尚更な。つまり、お前がクロの可能性も出てきたってことだ。

 ――野々原澪!」




406テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/09/12(土) 01:43:05.05mVJImCF40 (8/8)



――今回はここまで。



――い、一体いつになったらこの学級裁判(仮)は終わるんだ……。

――こんな筈じゃなかったのに……!

――じ、次回には……!次回には閉廷に持っていけるはず……!


――可及的速やか(三か月経過)とはこれいかに……。学級裁判がこんなに大変だなんて思わんかったんや……!





407以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/12(土) 06:24:01.34hVAQ26ZMo (1/1)


おしおきが楽しみだww


408以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/13(日) 13:46:11.95MQ0IXDosO (1/2)

好き


409以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/13(日) 15:05:27.10MQ0IXDosO (2/2)

ここまで全部読んだ


410以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/08(木) 07:03:00.73oL80w3vGO (1/1)

保守


411♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 21:58:29.40vkkJ6ltZ0 (1/31)


ノノハラ レイ
「……ふぅん?人が折角キミのお粗末な知識を補足してやったって言うのに、恩を仇で返すんだ?へぇ?」


 痛いところを……!だが、ここで引くわけにはいかない!


オモヒト コウ
「助けてくれと言った覚えはないな。お前が勝手にしたことだろ?恩着せがましく言うなよ」


ノノハラ レイ
「ま、いいんだけどね。ボクはボクのしたいようにしているだけだし」




412♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 21:59:53.89vkkJ6ltZ0 (2/31)



オモヒト コウ
「思い返してみれば、お前の言動は怪しいものばかりだった。

 俺が粉チーズをかける番になったのを見計らって、『新しいのを持ってくるからそれは使い切ってくれ』なんて言ったのも、

 俺のパスタに確実にカプセルを入れさせるための罠だったんだろ?」


――回想――

>>238


ノノハラ レイ
「何でもかんでも人の善意を悪意あるものとして捉えすぎだと思うねキミは。

 それを人は『被害妄想』って言うんだぜ?」


オモヒト コウ
「言ってろ。俺はまだくさやジャムに関しては割と根に持ってるんだからな」


 サドンデスサプリとのダブルパンチで俺の舌はもう致命傷になっててもおかしくない。

 もしクロが澪か梅園だったらオシオキとは別に五・六回ぐらい殴っても罰は当たらない、と思う。






413♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:03:45.78vkkJ6ltZ0 (3/31)



ノノハラ レイ
「おぉ怖い怖い。さて、と?まぁ確かに?さっき言ったトリックを使えば穫クンのパスタにカプセルが入ることはまずないだろうね。

 穫クンと組んでいれば慧梨主さんに丸穴を使わせることも可能だし、亜梨主さんが粉チーズを使わないであろうと知ることも出来た。

 でもさ、渚はどうなの?確かに味の好みは知ってるけど、気まぐれで半月穴を使う可能性だってなくはないじゃない」


オモヒト コウ
「その可能性を潰すために、お前は丸穴の蓋を開けた状態で渚に渡したんだろ?」


――回想――

>>235
>>236






414♪学級裁判黎明編 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:05:48.53vkkJ6ltZ0 (4/31)



オモヒト コウ
「あの時渚は亜梨主に渡す直前の一回しか音を鳴らしていなかった。

 普通は蓋を閉めて渡すはずだから、あの時渚は蓋を開けていなかったってことになる」


ノノハラ ナギサ
「たしかに、そう、だけど……!でもっ……!」


ノノハラ レイ
「いいよ渚無理して反論しようとなくて。事実だしね」


ノノハラ ナギサ
「うぅぅ……」


カシワギ ソノコ
「音は……、音はどう説明するんです?確か、あの時野々原君は二回しか音を鳴らしませんでしたよね?」


オモヒト コウ
「二回目……、自分が使った半月穴の蓋を閉めるのと同時に丸穴の蓋を開ければ音は一回分しか聞こえないんじゃないか?」


ノノハラ レイ
「ま、実際その通りだしね。否定はしないよ。でも、それがどうかした?

 ボクが渚の味の好みを知っているのは紛れもない事実で、ボクは渚のためを思って丸穴の蓋を開けておいたんだけど?」


オモヒト コウ
「と同時に、隠し持っていたカプセルを、蓋を閉じる直前に容器の中に入れるのを怪しまれないようにするため、だろ?」






415 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:33:37.45vkkJ6ltZ0 (5/31)



ノノハラ レイ
「……互いに明確な証拠がない以上、このまま行っても水掛け論にしかならないみたいだね」


 ……そう、もう俺にはこれ以上澪が犯人だと決定づける決定的な証拠は持っていない。

 幸運なのは、澪も自らの無罪を証明できる物的証拠を持っていないことだろう。


 ――だが、まだ諦めるわけにはいかない!突破口が無いなら、こっちから作るまでだ!





416 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:34:17.58vkkJ6ltZ0 (6/31)



オモヒト コウ
「俺はすでに、お前が犯人であるという決定的な証拠を掴んでいる」


ノノハラ レイ
「ブラフだね。そうやってもったいぶって揺さぶり、議論を長引かせてボクの失言を引き出そうって魂胆なんだろ?」


 びょ、秒殺でばれた?!ど、どどどどどうする!?


ノノハラ レイ
「――でもいいよ。乗ってあげる。いい加減堂々巡りの無駄な議論にも飽き飽きとしてきたことだしね」


 け、結果オーライ、なのか?何か狙いがあるのか?大人しく引き下がった方がいいのか?

 ……いや、わざわざ譲歩しに来てくれたんだ。例え罠だったとしても、今はそれにすがるしかないだろ!


オモヒト コウ
「――ああ、決着を付けよう。俺とお前と、どちらが正しいのか」






417♪議論-HOPE VS DISPAIR- ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:40:48.59vkkJ6ltZ0 (7/31)



ノノハラ レイ
「じゃぁ、いくつか質問させてもらっていいかな?それでボクの反論は終わりだ。そのあとの結論はキミに任せるよ」


オモヒト コウ
「要するに、お前の質問に対して全て正解を出せば、お前の降参、ってことでいいんだな?」


ノノハラ レイ
「それでいいよ。じゃぁまず最初の質問。

 今回の事件の凶器は、一体何かな?」


  粉チーズ
|>サドンデスサプリ
  毒薬
  睡眠薬





418♪議論-HOPE VS DISPAIR- ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:42:36.27vkkJ6ltZ0 (8/31)



オモヒト コウ
「サドンデスサプリ、だろ?」


ノノハラ レイ
「正解。ま、これまで散々議論に出てきたんだし、楽勝だよね。早速二問目に行くよ?


 ――じゃぁそれを手に入れたのは、捜査時間中に最初に発見したのは一体誰なんだい?」




 |>野々原澪







419♪イキキル ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:43:53.76vkkJ6ltZ0 (9/31)



オモヒト コウ
「お、お前…!まさか……!」


ノノハラ レイ
「気づいてももう遅いよ。さぁ、どうする?」


アヤノコウジ サクヤ
「そう……、それがあなたの狙いだったのね……」






420♪イキキル ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:47:16.72vkkJ6ltZ0 (10/31)



タカナシ ユメミ
「ちょっと、お兄ちゃん!どういうことなの?!説明してよ!」


オモヒト コウ
「……澪は心当たりがあると言って真っ先にモノモノマシーン横のゴミ箱からサドンデスサプリを拾ってきた。

 本来なら隠しておきたいはずの凶器を、自分から証拠品として提出したんだ」


ナナミヤ イオリ
「そう言われてみればとても不自然ですが……、それがどうしたって言うんですか?」





421♪イキキル ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:48:53.71vkkJ6ltZ0 (11/31)



ノノハラ レイ
「まだピンと来ない?じゃぁ親切なボクが懇切丁寧に教えてあげよう。

 これまでの議論で、“犯人は粉チーズの特性を利用して、主人公に毒を盛った”、ということが解った。

 自分以外の誰かのパスタに毒が入るようにしたトリックはさっき話し合った通りだ。

 でもそれは、“凶器はサドンデスサプリである”という大前提のもとに成り立っている」


コウモト アヤセ
「そっか!その凶器を発見したのが澪なら、“サドンデスサプリは偽の凶器で、本当の凶器は別にある”っていう可能性もあるんだ!」


ノノハラ レイ
「大正解。つまるところ、何も解ってないのと一緒。これまでの議論はまるで無駄だった。ってことさ」






422♪イキキル ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:50:16.78vkkJ6ltZ0 (12/31)



タカナシ ユメミ
「な、何よそれ!そんなの屁理屈じゃない!そんな偽装工作するのは、そいつが犯人だからに決まってるでしょ?!

 犯人以外にそれをする理由が考えられないじゃない!」


カシワギ ソノコ
「決まってる、考えられない、という言葉に意味はないんです。怪しい人が犯人だって言うなら、そもそも議論なんて必要ないんですから」


ウメゾノ ミノル
「それにさ、忘れてない?一応僕もさっきまでは被疑者だったんだよ?共犯の可能性があるなら、真犯人である僕を庇ってるのかもよ?」


アサクラ トモエ
「自分からそんな事言っちゃうの?!」


マスタ イサム
「落ち着け巴。場の空気をかき乱し混乱させるためにわざと白状したんだ。

 裁判が始まってからずっとあいつはそうしてきたんだからな」






423♪イキキル ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:52:11.44vkkJ6ltZ0 (13/31)



ナナ
「それでも、これまで話し合ってきたことは正しいはずでしょ?」


ノノ
「どこもおかしいところは無かったし、問題はないんだよね?!」


ユーミア
「これまでの議論が正しいかどうかは問題ではありません。被疑者が持ち込んだ証拠を論拠に被疑者を追い詰める議論をしていた、ということ自体が問題なんです。

 この裁判は証拠を基に推論を重ねて真相を明らかにするもの。裏を返せば、議論の鍵になる証拠を潰されてしまってはどうしようもないんです。

 そのカプセルが証拠としての信憑性を欠いてしまった以上、これまでの議論は全て破綻してしまうんです」


サクラノミヤ エリス
「そんな……、ことって……」


サクラノミヤ アリス
「ちょ、ちょっと!なんであたし達が追いつめられてるのよ!さっきまであいつを追い詰めていたのはあたし達の方だったはずでしょ?!」






424♪イキキル ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:54:45.10vkkJ6ltZ0 (14/31)



アヤノコウジ サクヤ
「真っ先に自分に不利になる証拠を押さえて議論を牛耳る。

 犯人も捜査に加われるっていう学級裁判の特徴を生かした戦術ってところかしら?」


オモヒト コウ
「さらに、梅園と共犯していることをほのめかすことでどちらが実行犯……、即ちクロなのか解らないようにしたんだろ?

 明確な証拠が出なかったとしても、議論の中で一番怪しかった奴に投票した結果正解、なんて結末お前は納得しそうにないもんな」


ノノハラ レイ
「そんなのこのゲームの趣旨に反するからね。数の暴力によるパワープレイなんて下品だし、萎えるしでボク嫌いなんだ。

 さて、改めて聞くけど、どうする?このままキミが負けを認めてくれれば、心の優しいこのボクが答えを導いてあげるよ?」


オモヒト コウ
「お断りだ。どうせロクな答えじゃないだろ」


ノノハラ レイ
「随分な言いようだ。じゃ、キミの答えを聞こうか?

 言っておくけど、ボクは無意味なものなんて嫌いだから、無駄な時間稼ぎはやめてよね?」






425 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 22:56:59.48vkkJ6ltZ0 (15/31)



 ……冷静に考えろ。こいつらは最初から全員に怪しまれながら、それでもここまで尻尾を掴ませなかった。

 ここまで澪が余裕綽々なのも、致命的な証拠を何一つ残していないという自信の表れ。計画通りに事が進んでいると確信しているからだ。

 これを覆せるのは、想定外のアクシデント。計画にはなかったはずの行動から出るほころびだけだ。

 今はそのたったひとつの“アクシデント”に賭けるしかない!






426♪議論-HOPE VS DESPAIR ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:01:25.37vkkJ6ltZ0 (16/31)



オモヒト コウ
「……なぁ澪、一つ聞くぞ?事件が起きたあの瞬間、俺は意識が朦朧としていたから自信はないが、お前は咽てたはずだよな?」


――回想――

>>250


オモヒト コウ
「俺が聞きたいのは、お前が咽た理由だ。

 俺が倒れた時点で皆の注目は俺に集まっていたわけだから、わざわざ注意を分散させるためにワザと咽たとは考えにくい。

 俺が倒れたこと自体に驚いたわけでもないだろ?

 お前と梅園がグルなら、俺に当たることも、どのくらいの威力なのかも知っていたはずだもんな?」





427♪議論-HOPE VS DESPAIR ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:02:22.47vkkJ6ltZ0 (17/31)



ノノハラ レイ
「……」


ウメゾノ ミノル
「えっと、その……、そう!主人君のover reactionに驚いたんだよ!普通人がいきなり倒れたら驚かない?」


タカナシ ユメミ
「お兄ちゃんがくさやジャムで苦しんでる時は二人してゲラゲラ笑ってたくせに。説得力がないじゃない」


ナナミヤ イオリ
「私たちは、貴方達二人を除いて全員が彼の心配をしていた。それは、貴方達が仕掛け人だったから」


アヤノコウジ サクヤ
「先に言っておくけど、『そもそも知らなかったから』なんて言い訳は通らないわよ?

 さっきの議論で、貴方達は暗に認めていたんだから。共犯して彼に毒を盛ったって」






428♪議論-HOPE VS DESPAIR ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:04:18.77vkkJ6ltZ0 (18/31)



ノノハラ レイ
「……」


オモヒト コウ
「どうした?だんまりか?お前が言えないなら俺が代わりに言ってやるよ。

 さっきまでの議論が正しいなら、お前が粉チーズを取りにキッチンから戻ってきた時既に手の中にカプセルを隠し持っていたことになる。

 それより後のタイミングじゃ不自然にポケットの中をまさぐることになって怪しまれるからな。

 だがお前はサドンデスサプリは人肌でも溶けだす危なっかしい代物だということを失念していた。

 お前が咽たのは、その時手に着いた液体をうっかり口に近づけてしまったからじゃないのか?」


ノノハラ レイ
「……想像力が豊かだと、そこまで発想が突飛なものになるんだね。勉強になるよ。

 そんなものは仮説の上に推論を重ねた、お粗末な砂上の楼閣だ。証拠が何一つない憶測じゃないか」






429♪議論-HOPE VS DESPAIR- ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:07:05.62vkkJ6ltZ0 (19/31)



オモヒト コウ
「一応根拠はあるさ。俺が不自然に大きな粒をダマだと誤解したのは、溶け始めたカプセルの周りにくっ付いた粉チーズのせいだろうからな。

 粉チーズでコーティングされているから液体のついた粉チーズが渚や慧梨主のパスタに入る可能性も低くなるって言うおまけつきだ」


ノノハラ レイ
「それでもまだ決定的な証拠とは言えないよ。ボクはね、物的証拠を見せろって言ってるんだ」


オモヒト コウ
「……犯人が凶器を手に入れてから現場で細工をする、この犯行の一連の流れを考えてみたんだ。

 サプリのボトルはかさばるから、現場に持っていくわけにはいかない。

 カプセルを一粒だけポケットに入れて現場に来たのだとしたら、食事中粉チーズを取りに行くまでずっとその中で温められていたはずだ。

 だから、きっとお前のズボンか上着のどこかのポケットに、溶けたカプセルの液体の痕が残っているんじゃないか?

 俺の推理がデタラメなら、難なく見せられるだろ?」


ノノハラ レイ
「……参ったね。そこまで言われちゃ、見せなきゃいけなくなっちゃうじゃない」






430 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:08:59.23vkkJ6ltZ0 (20/31)



 そう言って、澪はズボンの左前のポケットを裏返す。

 白い布地には、遠目でもはっきりわかるほど小さな黄色いシミがついていた。








431 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:12:57.28vkkJ6ltZ0 (21/31)



オモヒト コウ
「どうだ?それは犯行に使われたのは間違いなくサドンデスサプリで、犯人はお前だっていう決定的な証拠じゃないか?」


ノノハラ レイ
「……まぁ、文句は色々あるけれど、飲み込んでおくとしようか。これ以上あがくのはみっともないし」


ノノハラ ナギサ
「じゃ……、じゃぁ……」


ノノハラ レイ
「うん、そうだよ。ボクが犯人だ。

 ボクがサドンデスサプリを粉チーズの容器の中に入れ、公のパスタの中に入れさせた張本人」


ノノハラ ナギサ
「う、嘘……」


ノノハラ レイ
「ゴメンね。まぎれもない事実なんだ。



 ――さて、質問を続けようか?」







432 ♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:14:27.43vkkJ6ltZ0 (22/31)



オモヒト コウ
「何、だと?」


ノノハラ レイ
「やだな、数は制限してないだろ?これで終わりとも言ってないしね。

 安心していいよ。後二つだし、質問って言っても確認みたいなものだから、どうせならみんなで答えてもいいんだぜ?」


 ……何でだ?俺は澪を追い詰めたはずなのに、何で今は「取り返しのつかないことをしてしまった」みたいに思っているんだ?

 ……この寒気は、一体何なんだ?





433 ♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:15:57.16vkkJ6ltZ0 (23/31)



ノノハラ レイ
「この学級裁判もどきを提案したのは誰だったかな?穫クン」


ウメゾノ ミノル
「はーい、野々原澪君でーす」


ノノハラ レイ
「その通り。じゃぁ皆、そのボクが提案したこの学級裁判の冒頭で、ボクがモノクマに確認したクロの条件、何だったか覚えてる?」


カシワギ ソノコ
「えっと、確か……、主人さんのパスタに毒を盛った人……でしたよね?」


 そうだろ?そうなんだよな?!


ノノハラ レイ
「――違うよ。

 ボクは『主人公のパスタに“直接”毒を盛った人間がクロだ』って言ったんだよ?」


――回想――

>>308


ノノハラ レイ
「ボクは“公のパスタ”にはカプセルを入れていない。“粉チーズの容器”に入れたんだ。

 つまり、ボクは“クロではない”んだよ」


オモヒト コウ
「は……」


オモヒト/タカナシ
 「「はあぁぁぁぁぁぁぁ???!!!!」」






434 ♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:18:47.12vkkJ6ltZ0 (24/31)



タカナシ ユメミ
「そんなのただの屁理屈じゃない!それに、結果的にお兄ちゃんのパスタにカプセルが入ったんだから同じことでしょ?!」


ノノハラ レイ
「それはあくまでも結果論だよ。確実に公のパスタにカプセルを入れることができるというには、あまりに不確定要素が多すぎる。

 例えば、アリスさんが気まぐれで粉チーズをかけてたら、アリスさんに当たっていた。

 それに、よしんば公に当たっていたとしてもだ。不自然な粒に違和感を覚えた公がそれを取り除いてしまえば服毒には至らなかった。違う?」


マスタ イサム
「お、お前!いくらなんでもそんな屁理屈モノクマには通じないだろ!?」


モノクマ
「そうですよ!そんな横暴先生は認めませんからね!」






435 ♪学級裁判異形編 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:21:59.55vkkJ6ltZ0 (25/31)



ノノハラ レイ
「いいや、モノクマ。キミは認めざるを得ないはずだよ。学級裁判の最初にちゃんと確認したはずだよね?」


モノクマ
「あれはそう言う意図で言ったんじゃないの!」


ノノハラ レイ
「それに、最初に言ったはずだよ?キミの役割はあくまでもボクらの議論の結果導き出したクロが、正しいかどうか判断するだけだって。

 クロの定義を決める権利は君にはないんだよ。だってキミは、ただの裁判員。被告人が法律に違反しているかどうかを判断するだけの存在。

 法そのものに直接干渉する権限なんて持ってないんだから」


モノクマ
「学級裁判ではボクがルールなの!ボクがクロと言ったらそいつがクロなの!」


ノノハラ レイ
「残念ながらこれは学級裁判じゃない。ボクらが仲間内で勝手にやってる、もどきさ。

 つまりルールはこれを提案したボクにある。こと今回に限っては、ね」






436 ♪磯の香りのデッドエンド ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:23:40.12vkkJ6ltZ0 (26/31)



オモヒト コウ
「ま……、まさか、お前最初からこれを狙って……?!」


ノノハラ レイ
「うん、そうだよ。校則違反をしてないなら、モノクマはボクらに過剰な干渉はできない。

 いくら学園長でも、生徒の私的な話し合いに首を突っ込んで指図するなんて暴挙は不可能さ」


モノクマ
「そ、そう言われると厳しいんだよなぁ……。

 全く……、いったいいつからそんなグレちゃったんだか……」






437 ♪磯の香りのデッドエンド ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:26:07.08vkkJ6ltZ0 (27/31)



ノノハラ レイ
「結局のところね、所詮人間が創った謎なんてのは人間に解かれる運命にあるんだよ。

 だから、ボクは初めから解かれても問題ない謎を創ったんだ。

 学級裁判で突き止めるべきなのはあくまでも“クロ”なのであって黒幕じゃない。そこを利用させてもらったよ」


アヤノコウジ サクヤ
「全部、全部計画通りだった、ってわけ?」


ノノハラ レイ
「キミが危惧していた通り、ね。

 正直なところキミが公に突っかかっている時が一番ハラハラしたんだよ。もしかして計画がばれたんじゃないかってね」


ウメゾノ ミノル
「いやー、助かった助かった。まーバレたところで問題はほとんどないんだけどさ、色々面倒なんだわ」





438 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:27:54.46vkkJ6ltZ0 (28/31)



コウモト アヤセ
「……あれ、ちょっと待って。澪がクロじゃないなら、誰がクロになるの?」


ノノハラ レイ
「凶器となったサドンデスサプリのカプセルはボクの手から粉チーズの容器の中へと移り、

 その容器は巡り巡って公の手に渡った。そしてカプセルはその容器からパスタの中に……。



 ――ここまで言えば解るよね?主人公クン?」





439♪絶望トロピカル ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:30:22.78vkkJ6ltZ0 (29/31)



オモヒト コウ
「お、俺……、なのか?」


タカナシ ユメミ
「ちょ……、ちょっと!どうしてそうなるのよ!お兄ちゃんは被害者なのよ!?」


ノノハラ レイ
「それが?事件としては自爆で処理されるんじゃない?

 残念だったねぇ公。せっかく頑張って、長い時間かけて議論したのにその結果がこのザマなんてさ!

 最っ高に絶望的だよ!ねぇ?そう思わない?モノクマ!」


モノクマ
「うぷ!うぷぷぷ!!そういう事だったんだね!

 いやー、キミっていう奴は、本当にやってくれるよ全く!ボクでさえもこの結末は予想できなかったな~!」


ノノハラ レイ
「あははは!お褒めに預かり光栄至極、とでも言えばいいのかな?

 で?モノクマ。この結末には納得していただけたかな?そろそろ投票に移ってもいい?」


モノクマ
「大満足です!では、オマエラはお手元のスイッチ……ではなく、電子生徒手帳の画面に表示された、クロと思う人物の名前をタップして投票してください。

 投票の結果、クロとなるのは誰なのか?!その答えは、正解なのか、不正解なのか?!

 うぷぷぷ!!ワックワクのドッキドキだよね!」






440VOTE ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:32:13.02vkkJ6ltZ0 (30/31)



 オモヒト コウ  8票 \GUILTY/

 ノノハラ レイ  7票

 ウメゾノ ミノル 1票





441 ◆S7YK1FdmZg2015/10/11(日) 23:33:37.96vkkJ6ltZ0 (31/31)



学級裁判(仮)

 閉廷





442テンノコエ ◆S7YK1FdmZg2015/10/12(月) 00:09:33.19qB8BM8DZ0 (1/1)


――や、やっと、(学級裁判が)終わったよ……。


――このまま一気にオシオキとチャプター終了まで行きたいのは山々なのですが、>>1の体力が持たないので今回はここで終了となります。

――次回は遅くても一週間後には……。おやすみなさいませ。




――信じられるか?スレの半分もそろそろだっていうのに、まだ第一章にも入ってないんだぜ?

――おまけにそろそろスレが立ち始めて一周年が見えてきてるんだぜ?一体完結するまでどれくらいかかるんだ?




――……精一杯頑張ります。どうぞご声援よろしくお願い申し上げます。





443以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/12(月) 07:57:09.51geaBCDBOo (1/1)

乙ー
レイ強敵過ぎてなかなか死なないだろうなと思ってたけど
逆に死にそうな気がしてきた


444♪絶望症候群 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 18:57:30.33d8Xx95lc0 (1/33)



モノクマ
「はい、大正解!今回のクロは何と!被害者と思われていた主人公クンなのでしたー!」


タカナシ ユメミ
「ふざけるな!こんな結果納得できるわけないじゃない!」


ナナミヤ イオリ
「こんなの!いくらなんでもひどすぎます!」


ノノハラ レイ
「納得できるできないの問題じゃないんだよ。こればっかりは裁判長の裁量だから仕方ないよねぇ?」


モノクマ
「うぷぷ!とか言って、いいカンジに票が割れたおかげで命拾いしたね!」


ウメゾノ ミノル
「えっ、ちょ、ちょっと、何で僕に一票入ってるの?!」


サクラノミヤ アリス
「チッアンタがチックロだったらチッ良かったのにチッ」


ウメゾノ ミノル
「舌打ちしすぎだよ!そんなに僕がクロであって欲しかったの?!」





445♪絶望症候群 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 18:58:50.75d8Xx95lc0 (2/33)



オモヒト コウ
「……今回は俺の負け、ってことにしておく。

 オシオキの前に聞かせてくれないか?何でこんなことをしたんだ?」


ノノハラ レイ
「朝倉さんが言ってた予行演習っていうのが、実は半分正解だったりするんだよね。

 ただし、学級裁判の、なんだけど」


アサクラ トモエ
「つまり、この事件は学級裁判をするために起こしたって事?」


ウメゾノ ミノル
「That’s right! モノモノマシーンの景品でおあつらえ向きなものがPON☆PON☆出てきたから、ついやっちゃった♪

 ちなみに言っておくと、僕が裁判を引っ掻き回して皆を混乱させてるうちに野々原君が誘導するっていう役割だったんだ」






446♪絶望症候群 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:00:13.05d8Xx95lc0 (3/33)


ノノハラ レイ
「この際だからぶっちゃけちゃうとね、被害者に公を選んだのは一番辛いのに強そうだったから。

 で、トリックが暴かれようが暴かれなかろうが、議論や投票結果がどう転んでもいいようにした結果があの土壇場でのやり取りだったんだよ」


マスタ イサム
「それは一体、どういうことなんだ?」


ユーミア
「……恐らくですが、お二人は容疑がかけられようとかけられまいと、どちらでも良かったのでしょう。

 投票の際自分たちに票が集まりそうなら先ほどのように“自分たちはクロではない”ということを明かし、

 それ以外の誰かに集まりそうなら黙ったままでいる。

 これならたとえ誘導が失敗したとしても野々原澪さんには被害が及びませんから」





447♪絶望症候群 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:01:10.50d8Xx95lc0 (4/33)



ウメゾノ ミノル
「そうそう、だから僕も共犯者として……、ん?」


サクラノミヤ アリス
「……まさかとは思うけどアンタ、あたし達が選んだクロが不正解だったらどの道巻き添えを喰らうって気づかなかったわけ?」


ウメゾノ ミノル
「あ゛~~~~?!野々原君?!『絶対ボクらに不利益になることはないから』って言ったのは嘘だったのか?!

 直接的な被害はないから僕も手伝う気になったのに!」


ノノハラ レイ
「い、いや、まさか本当に気づいてなかったなんて思ってなかったから……。

 それに、あくまでももしものための保険であって、ちゃんと誘導できたんだから問題なかったじゃない」


ウメゾノ ミノル
「それはそうだけどさ!それとこれとは話が別だよ!」


サクラノミヤ アリス
「今ハッキリわかったわ。アンタバカでしょ」


ウメゾノ ミノル
「返す言葉もない……」





448♪絶望症候群 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:03:51.04d8Xx95lc0 (5/33)



ノノハラ レイ
「あまり時間をかけたくないから、わざと本当のことを言って望み通りの結末へ誘導していたはず、なんだけど……。

 どういうわけか予想以上に時間かかっちゃったんだよねぇ。何でだろ?気分屋だからかな?」


 恐ろしく時間が経った気がするが……。そうか、まだ始まってから一時間半ぐらいしか経ってないのか。


ノノハラ レイ
「全く、キミらには失望したよ。せっかく人が解りやすいトリック使って、わざと証拠を残したっていうのに延々と遠回りな議論ばっかり。

 あまり打ち合わせできなかったから、穫クンが引っ掻き回してボクが誘導するってこと以外は基本アドリブってことになってたんだけど、

 肝心の穫クンが議論を変な方向へもってっちゃうし。右往左往する議論を誘導するのがこんなに大変だなんて思いもしなかった」


 こいつ……!まぁ、いい。今回は置いておこう。






449♪絶望症候群 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:05:25.22d8Xx95lc0 (6/33)



オモヒト コウ
「もう二つ、いいか?何でモノクマに媚び売るような真似をしたんだ?」


ノノハラ レイ
「学園生活で快適に生き延びることのできる最も簡単な方法を教えてあげよう。

 ――教師に気に入られること、ひいては味方につけることさ。その方法は色々あるけどね。

 権力者の傘下にいれば相手も迂闊に手を出せないし、自分を慕ってくれる人間はつい甘やかしてしまう。

 ボクからの絶望(プレゼント)を喜々として受け取ったモノクマは、

『やっぱやめた』とか言って結局ボクをクロにする、なんてツマラナイ結末にはしないだろうと考えるのは至って普通でしょ?」


オモヒト コウ
「だから俺を売った、と?」


ノノハラ レイ
「所謂コラテラルダメージというやつだよ。作戦目標達成の為の致し方ない犠牲さ。

 ……流石にやりすぎたかなって反省はしてるんだぜ?ちゃんと」






450♪絶望症候群 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:06:52.10d8Xx95lc0 (7/33)



オモヒト コウ
「じゃぁ、これが最後だ。

 お前はコロシアイには反対だったはずだろ?

 学級裁判の練習をするなんて、何で俺たちがコロシアイすること前提なんだ?」


タカナシ ユメミ
「正気なの?狂ってるの?頭がおかしいの?」


ノノハラ レイ
「おいおいそっちこそ正気かい?まさかキミら、この期に及んでもまだ自分だけは死なないとか思ってる?

 確かにこのままなら殺人は起きないかもしれないけど、そんな状況をモノクマが許すとでも?」





451♪ようこそ絶望学園 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:08:34.08d8Xx95lc0 (8/33)



ノノハラ レイ
「ただでさえこんな閉鎖的な空間に閉じ込められて殺し合えなんて言われて皆が疑心暗鬼になってるっていうのに、凶器まで配られてる。

 こんな状況での平穏なんて、あと一つ起爆剤があれば簡単に消し飛ぶよ。誰かが先走った真似をしないとも限らないしさ」


オモヒト コウ
「だからっていきなり学級裁判の練習なのか?」


ノノハラ レイ
「あいにくね、練習もリハもなしのぶっつけ本番で失敗したら死ぬ命懸けのステージに立てなんて言われて、

 はいそうですかと納得して演技できるほど、ボクは物分かりがいい方でも心臓に毛が生えているような度胸の持ち主でもないんだ。

 裁判がどう進行していくのか、皆が裁判でどう動くのかも見ておきたかった。

 誰が一番発言権を持っているのか、有能な人間、無能な人間は誰か。それを知っておけば捜査もしやすくなるし、誰が狙われやすいか推測も出来る。

 今回と比べて様子がおかしい人間がいれば、その人が重要な証拠を掴んでいる可能性は高いだろうから、証拠集めにも役立つしね

 だから誰も死なない、かつボクが自由に動かせる――モノクマがほとんど干渉しない最初で最後の練習をしておきたかったんだよ」





452♪ようこそ絶望学園 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:11:16.09d8Xx95lc0 (9/33)



 こいつは……こいつなりの考えがあった、ってこと、か。

 少し安心した。少なくとも澪が味方である内は心強い。ここまで考えて、かつ行動できる奴は他にいないだろう。

 ……問題は、こいつが敵に回った時、だな。今のように。

 そうなったら、俺たちは本当に手も足も出なくなるだろう。それこそ、完全な偶然による失敗が無ければ。





453♪イキキル ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:12:39.54d8Xx95lc0 (10/33)



モノクマ
「さぁ~て!時間も押してるので、そろそろお待ちかねの!おしおきタイムとシャレこみましょうか!」


アヤノコウジ サクヤ
「待ちなさいよ!」


モノクマ
「おやおや?まだ何かあるのかな?それともただの時間稼ぎ?」


アヤノコウジ サクヤ
「さっきそこの愚民が言ったじゃない。この裁判は私たちが勝手にしているって。

 だったら、オシオキとやらも拒否できるはずよ!まさか、校則違反もしていない彼に無理強いなんてできないわよね?」


オモヒト コウ
「咲夜……!」


 庇ってくれたのか?

 そうだ!一度は諦めていたが、まだ挽回できるじゃないか!

 いいぞ!このまま押し切って――






454 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:15:17.46d8Xx95lc0 (11/33)



モノクマ
「駄目です」


 ――はぁ?


モノクマ
「そっちこそ、忘れてないよね?校則は何時でも、いくらでも増やすことが出来るんだよ?

 学園長としては生徒を校則で拘束するような真似はしたくないんだけど、おっとつい上手いこと言っちゃった。

 ボクは悪魔でも生徒であるオマエラの自主性に委ねたいなー、と思っているのです!

 でも、そんなに縛ってほしいドMなオマエラのために、身動きできないくらいギッチギチに締め上げてやってもいいんだよ?」


 そんな脅しアリかよ!

 くそっ!こんな脅しに屈したらますますつけあがるに決まってる!でも拒否すればそれこそ何でもアリになるし……!

 諦めるしか、無いのか……?






455♪イキキル ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:23:01.18d8Xx95lc0 (12/33)


アヤノコウジ サクヤ
「ぐっ……」


ナナ/ノノ
「お兄ちゃん……」


オモヒト コウ
「もういい、咲夜も、モノクマも。

 要は俺が、これを完食すれば丸く収まるんだろ?」


ナナミヤ イオリ
「主人さん!」


タカナシ ユメミ
「お兄ちゃん!無茶しないで!!」


モノクマ
「うぷぷ!物わかりのいい子は先生大好きですよ!

 では!張り切っていきましょう!おしおきターイム!」


 覚悟は、決めた!

 これは諦めたんじゃない!舌がマヒしている今なら行けると思ったからだ!

 未来につなぐためだ!完食したうえで平然としていればモノクマに一矢報いることが出来る!

 俺なら完食できる!

 俺は、絶対に激辛パスタなんかに負けたりしない!


オモヒト コウ
「い…、い、い…


 ――逝ったらぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!」






456GAME OVER ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:24:08.15d8Xx95lc0 (13/33)



 オモヒトくんがクロにきまりました。
 おしおきをかいしします。





457主人公が美味死く頂きました ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:25:07.06d8Xx95lc0 (14/33)



 超高校級の主人公候補生
 主人公 処刑(仮)執行





458主人公が美味死く頂きました ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:28:39.71d8Xx95lc0 (15/33)



――すべての元凶となったパスタを前に、主人公は尋常ではないほどの冷汗をかいていた。

――これから自らの舌に、口に、食道に、胃に、内臓に起こる地獄を想像するだけで先ほどまでの悲壮な覚悟が消え入りそうになる。

――その戸惑いを見て、『パスタが冷めてしまったから』と解釈したモノクマは急ぎキッチンへと向かった。

――しばらくして戻ってきたモノクマは、小さな鍋を持ってきた。少しばかりの湯気と猛烈な、暴力的な悪臭を伴って。

――まだ残っていたくさやジャムを鍋の中に入れ、あろうことか火にかけたのだ!

――加熱されたことにより水分が蒸発したそれは、もはや生物兵器の領域である。
  そしてそれを、悪臭で怯んでいる主人公を尻目に、彼のパスタへ投入した。

――真っ青になる主人公にならなる追い打ち。モノクマはサドンデスサプリのボトルの中身全てをパスタに投下した。
  乾燥剤は入れないという優しさも今や余りうれしくない。

――この世の地獄を体現したような“それ”はもう料理という域を超え、天災にまで昇華された。

――モノクマはニタニタと笑っている。主人公も引き攣った笑いをしている。野々原澪と梅園穫は冷汗をかいている。

――小鳥遊夢見と七宮伊織と綾小路咲夜とナナとノノは必死に説得を試みている。他の者は皆心配そうに、固唾を呑んで見守っている。

――彼は一気にフォークを掲げ、パスタに突っ込んで自らの口の中に掻き入れた。



――一心不乱の大暴食の結果、彼は見事に完食。そして机に突っ伏し、しばらく動かなかった。

――しかし、彼はやりおおしたのである。この世の食への冒涜全てを凝縮したような地獄を。






459♪処刑に願いを ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:30:23.61d8Xx95lc0 (16/33)



オモヒト コウ
「ど、どうだ……、食べきって、やった……、ぞ……、グフッ」


 ぶっちゃけ何度か花畑見えたけどな。今も意識が飛びそう、だし……。


タカナシ ユメミ
「お兄ちゃん!しっかり!お兄ちゃん!」


ナナミヤ イオリ
「お水持ってきますから!」


オモヒト コウ
「あぁ、悪い、な……。心配かけたな、俺は、大丈夫、だ」


タカナシ ユメミ
「良かった……。待っててねお兄ちゃん、敵はちゃんとあたしが取るから」


 いや、まだ俺死んでないんだけど……。






460♪処刑に願いを ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:32:06.68d8Xx95lc0 (17/33)



ノノハラ レイ
「はいこれ、胃薬」


タカナシ ユメミ
「どういうつもり?まさかそれも毒じゃないでしょうね?」


ノノハラ レイ
「まさか。こんな状況で毒盛るほど空気読めない男じゃないよ僕は。これは本物だから安心して。モノモノマシーンで当てたんだ。

 アフターケアまでが悪戯さ。それがなけりゃただのイジメだよ、イジメ」


 そういう良心があるなら初めからやるなよ…!






461♪処刑に願いを ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:34:06.80d8Xx95lc0 (18/33)



オモヒト コウ
「ついでに聞かせてくれないか?もしモノクマがお前の思い通りに動かなかったらどうするつもりだったんだ?」


ノノハラ レイ
「ま、キミの言うことも尤もだ。投票直前にちょっと媚び売ってみたりしても気まぐれなモノクマがクロをキミじゃなくボクと判定していたかもしれない。

 でも、問題ないんだよ。覚えてる?ボクがおしおきをどうするか決めた時、なんて言ったか」


――回想>>276――


ノノハラ レイ
「ボクはね、“責任を持って処理する”としか言ってないじゃない。

 だから、最初から責任をもって“焼却処分”すればいい、と思ってたんだけど……、ねぇ?」


オモヒト コウ
「は……」




「「「「「「「「「「「「「「「「はああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ?!?!?!」」」」」」」」」」」」」」」」




 モノクマも含めて、澪を除く全員が声を挙げた。……梅園も知らされてなかったのか。





462♪モノミ先生の教育実習 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:36:46.13d8Xx95lc0 (19/33)



アヤノコウジ サクヤ
「だったら何であの時に言わなかったの?!」


ナナミヤ イオリ
「主人さんだってあんな苦しい思いをしなくて済んだかもしれないのに!!」


タカナシ ユメミ
「……返答次第じゃぁ、解ってるんでしょうねえ?!」


ノノハラ レイ
「いやぁ、まさかあそこまでことが大きくなるなんて思ってもみなかったし。

 それに、主人クンのあんな男らしい決意の顔見せられたら水を差すわけにもいかないなーって」


アヤノコウジ サクヤ/ナナミヤ イオリ/タカナシ ユメミ
「「「嘘だっ!!!」」」


 あー、何か三人ともすごい剣幕だなー。こりゃ澪も殺されそうだなー。でも残念だなー。こんな様じゃ助けたくても助けられないわー。






463 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:38:48.60d8Xx95lc0 (20/33)



ノノハラ レイ
「おぉ怖い怖い、桑原桑原。じゃさっさと退場――ん?」


 逃げようとした澪の腕を掴んだのは、河本だった。遠目からでも解るほど力強く握っている。

 顔も一見笑みを浮かべているようだが、皺の加減というか、雰囲気でブチギレているのは一目瞭然だ。


コウモト アヤセ
「ちょーっとおイタが過ぎたんじゃない?」


ノノハラ レイ
「あー……、なんて言うんだっけ?こういうの」


コウモト アヤセ
「私刑(リンチ)。諦めなさい?」


ノノハラ レイ
「あ、ああ、ま、まって、腕そっちには曲がらな……あ゛―ぉ゛!」






464シケイのフルコース(by河本綾瀬) ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:40:24.05d8Xx95lc0 (21/33)



 超高校級の幸運候補生
 野々原澪 処刑(仮)執行





465シケイのフルコース(by河本綾瀬) ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:41:22.59d8Xx95lc0 (22/33)



 見事なサブミッションだ。なにか武術でもやってるんだろうか。

 あ、キャメルクラッチに移行した。


コウモト アヤセ
「意外と柔らかいのね、体」


ノノハラ レイ
「ら、ラーメンにされ…ぐえぇぇええええ!」


コウモト アヤセ
「 捩 じ 切 る わ よ ? 」


ノノハラ レイ
「ヒィッすいませんスイマセンごめんなさい許してオゲロォオオオオオ」


 そんな古いネタ持ってくる方も反応する方もどうなんだよ……。

 あ、今度はロメロスペシャル。いい感じに決まってるなー。あの澪がなすすべもない。






466 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:42:53.08d8Xx95lc0 (23/33)



ウメゾノ ミノル
「ダレモミテナーイ、トウソウスルナライマノウチー」ソー


 あ、梅園がどさくさに紛れてこっそり逃げようとしている。


ナナ
「あらあら、鬼ごっこ?それともかくれんぼのつもりかしら?」


ノノ
「どっちにしても、ぜーったい逃がさないから!」


ウメゾノ ミノル
「ぅゎょぅジょハゃぃ」


 残念!幼い双子に回り込まれてしまった!

 しかし本当に早いなあの二人。俺より早いんじゃないか?いやいや、そんな筈はない、よなぁ?


マスタ イサム
「どこに逃げようって言うんだ?安心しろ、殺しはしない」


ウメゾノ ミノル
「暗に半殺し宣言してるじゃないですかヤダー!」


サクラノミヤ アリス
「今更アンタだけお咎めなしなんて思わないわよねえ?」


ウメゾノ ミノル
「ぼ、僕は野々原君の悪ふざけに巻き込まれただけだ!甘言に騙されたんだ!

 俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇっ!!」






467 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:44:55.49d8Xx95lc0 (24/33)



アサクラ トモエ
「審判(ジャッジ)!これより被告人梅園穫に対する審議を行います!」


サクラノミヤ エリス
「お兄さま……、流石にこれは擁護できません……」


ノノハラ ナギサ
「共犯者だったのに全部お兄ちゃんに擦り付けようなんて許さないんだから」


カシワギ ソノコ
「ごめんなさい。ちょっと、これは、無理です。許せません」


ユーミア
「判決、主文、被告人梅園穫、有罪(ギルティー)」


ウメゾノ ミノル
「も、もしかしてオシオキですかぁーーーーっ?!」


マスタ イサム
「YES!YES!!YES!!!YES!!!!」


ウメゾノ ミノル
「OH MY GOD…」\(^o^)/






468シケイのフルコース(by増田勇) ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:47:44.91d8Xx95lc0 (25/33)



ウメゾノ ミノル
「い、いででででで!ちょ、ちょ待ち!これ以上やったらタワーブリッジどころかアムステルダムの跳ね橋になる!

 おろして!おろしてぇ!おろせぇ!!」


マスタ イサム
「割と余裕あるなぁ。もうちょいいけるだろ?」


ウメゾノ ミノル
「だああぁぁああああぁぁぁああ!!ムリ!無理無理無理無理!!背骨!背骨がミシミシいってるぅぅぅ!

 折れる!折れりゅぅぅうぅぅうぅ!!し、死ぬ!死んじゃうからぁぁああ!!」


マスタ イサム
「しょうがないな。そこまで言うならおろしてやるよ」


ウメゾノ ミノル
「え?あ、あぁ、意外に聞き分けいいのね、――あ、あれ、なんで持ち上げたまま振りかぶってるノオォォォオォオオォォオ?!」


 タワーブリッジからのペンデュラム・バックブリーカーとか、凄い力技だな。

 あれ本当に背骨逝ったんじゃないか?






469 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:49:55.40d8Xx95lc0 (26/33)



 二人仲良く私刑(おしおき)を味わった澪と梅園は、床に倒れ伏した。

 執行人(しょうしゃ)の二人には惜しみない拍手が沸き上がった。

 こうして、今回の事件の黒幕に対するおしおきは終わった――。





470♪疾走する青春のジャンクフード ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:52:22.36d8Xx95lc0 (27/33)



オモヒト コウ
「あ゛―。やっと意識がハッキリしてきた……」


タカナシ ユメミ
「本当に大丈夫なの?お兄ちゃん」


オモヒト コウ
「何とか、な」

 取り敢えず、今日は滅茶苦茶疲れたからさっさと風呂入って寝たい……。

ノノハラ レイ
「し、死ぬかと思った……。後色々とヤワラカカッタ……」


コウモト アヤセ
「 何 か 言 っ た ? 」


ノノハラ レイ
「ナンデモアリマセン」


ノノハラ ナギサ
「……さっきまでは報いってことで許したけど、これ以上お兄ちゃんに暴力振るうなら綾瀬さんでも容赦しないよ?」


コウモト アヤセ
「ふうん?それってどういう意味?」


カシワギ ソノコ
「け、喧嘩はそれくらいにしませんか?」



ウメゾノ ミノル
「オープンゲットしてない…?」


マスタ イサム
「パイルダーオンしてるから大丈夫だ、問題ない」


サクラノミヤ アリス
「ふん、ザマないわね」


ウメゾノ ミノル
「……今日はピンクなん――グフッ!ゴヘェッ!」


サクラノミヤ アリス
「このっ!死ね変態っ!!」


サクラノミヤ エリス
「お、お姉さま!これ以上お兄さまを蹴ったら死んでしまいます!」


 意外に復帰早いんだなあの二人も。大分余裕そうだし。……梅園の方はこれからどうなるか知らんが。






471 ◆S7YK1FdmZg2015/10/18(日) 19:57:02.65d8Xx95lc0 (28/33)



――「キーン、コーン…カーン、コーン…」


モノクマ
「おっと、もうこんな時間だった。ちょうどいいし、アナウンスはこの場でいいよね。

 えー、希望ヶ峰学園候補生強化合宿実行委員会がお知らせします…。

 ただいま午後9時50分になりました。間もなく消灯時間です。

 消灯時間を過ぎると個室以外の暖房が切られるので、温かいままでいたいなら速やかに個室に戻ってください。

 部屋はオートロックなので、鍵になる電子生徒手帳は忘れずに。では、おやすみなさい」


 言うだけ言って、モノクマはテーブルの下に消えた。

 隠し通路か何かがあるのか?