808以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/03(金) 08:37:38.32U8bUvbWW0 (1/1)

そりゃあるだろ、このAEDは特別製だし。
ノーマルだったらわからないが……


809以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/03(金) 08:50:49.32iLk4Vdawo (1/1)

[ピザ]に効果ないとアメリカの太ってる人やお相撲さんとか全般に効かないことになるから
医療器具としては欠陥になりそう。電気だしなんとかなるんじゃない?


810以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/03(金) 12:19:00.099HaIpOmiO (1/1)

ロンパ世界のAEDなら象の心臓もいけそう


811以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/03(金) 14:03:18.40lmaF4qYfo (1/1)

象すら眠る麻酔銃を事件が起こるたびに探偵のおっちゃんに打ち込む名探偵もいるんだし
AEDくらい余裕よ


812以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/03(金) 20:24:54.91P7akHLMAO (1/1)

ドクターKは癌を治療する機械を作ったりしてるからなぁwwwwwww


813以下、名無しにかわりましてモノクマがお送りします2015/07/03(金) 20:26:47.97ghbb+JHJ0 (1/1)

>>811
それを平気で打っていたら、麻酔中毒になりそうで怖いけど? 下手しなくても一生眠っているぞ。
>>808
いやぁ・・・改造してあるっていっても、プログラマーと手先が器用なだけのKが改造している代物だぞ。
山田の体系だと電気が心臓に届きなさそうな気がしそうで怖いけど・・・


814以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/03(金) 20:34:48.72zjmOPb+HO (1/1)

その麻酔銃を撃たれても数分で
覚醒する警部がいるらしい


815以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/03(金) 22:57:08.01/Bc86UzNO (1/1)

人の80%は水分
そして水は電気をよく通す(ポケモン知識)
ここまで言えば分かるわね?


816以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/03(金) 23:09:31.33CI6eKQC/o (1/1)

確か外国で両方の乳首に電極をつけて100V流して死んだ事件があったし。
100Vで電気通るなら通りそう。


817以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/03(金) 23:39:21.54mkrqpemro (1/1)

数年前タレントの松村邦洋(体重100kg以上)に効いたから大丈夫じゃ


818以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/03(金) 23:49:05.20v9vHpDmUO (1/1)

100V厳選とかチートかぁ?


819以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/04(土) 01:02:54.99sdwaf7yOo (1/1)

>>813
単にプログラマーって言っても実際は超天才だからな。原作では江ノ島カムクラの
次くらいの位置にいるし、世界トップの医者であるKの指示通り改造すれば凄い高性能になるはず

>>816
一体何がどうなったら乳首に電流流そうと思ったのか気になる


820以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/05(日) 13:05:34.51qGd7Kw6vO (1/1)

Kはお手製のICDだかを作ってるからなぁ…


821 ◆takaJZRsBc2015/07/06(月) 00:17:04.80btgm306e0 (1/8)


― 保健室 PM10:05 ―


苗木「先生!」

朝日奈「山田?!」

十神「おい、何があった?」

江ノ島「誰にやられたの?!」


保健室の前にはアナウンスを聞き付けた残りのメンバーが勢揃いしていた。

……いや、正確には大神、葉隠の姿は見えない。


桑田「せんせー!」

K「……。わかった。そちらは後回しにする」


桑田がKAZUYAに何かを耳打ちし、KAZUYAは頷いた。生徒達に指示を飛ばしていく。


K「山田はまだ生きている! これから手術を行うから、可能な者は協力してくれ!」

不二咲「は、はい!」

腐川「ひ、ひぃぃぃ! 血! 血の臭いが!」

舞園「腐川さん! しっかりしてください!」


KAZUYAは改めてセレスと山田の状況を検分する。保健室組に関しては完璧だった。
既に手術着を着た苗木はいつでも手術を開始出来るようワゴンの上に道具を並べて待機している。

危うげなくセレスに点滴を挿し、止血もしっかり行っていた。傷も浅く呼吸も今のところ
しっかりしている彼女に、独断で習いたての気管挿管を行い悪化させるなどというヘマもしていない。


K(安広は問題ない。問題は……)

K「大和田! 今すぐ手袋をつけて山田の髪を全て剃れ。血は生理食塩水で流す!」

大和田「おう!」




822 ◆takaJZRsBc2015/07/06(月) 00:27:57.93btgm306e0 (2/8)


舞園「手伝います!」

モノクマ「無駄だよ」

腐川「ぎゃああああああ!」

江ノ島「モ、モノクマ!」


なるべく血を見ないよう廊下に待機し、必死に目を逸らしていた
腐川の眼前へいきなりモノクマが現れたため、彼女は卒倒しそうになる。


苗木「二人も怪我人がいるんだぞ! 邪魔するなよ!」

霧切「……何が無駄なの?」

モノクマ「先生はわかってるんでしょ?」

K「!」

モノクマ「助けられるのはセレスさんだけだよ?」

石丸「そうやって妨害する気か! 今は一分一秒だって惜しいのだぞ!」


手術着を羽織り、手袋を装着した手を消毒しながら石丸が叫ぶ。


モノクマ「君さぁ、医者志望なんでしょ? じゃあ山田君が現在どんな状況かわかんないの?」

石丸「山田君は頭部に強い衝撃を受けたと思われる。恐らく頭部に血腫が出来……あっ!!」

モノクマ「わかったみたいだね?」


ニタニタとモノクマは嫌らしい笑みを浮かべた。


モノクマ「山田君の頭の中では、今も内出血によって血腫が出来て脳を圧迫しています。
      つまり、山田君を助けるには一刻も早くその血腫を取り除かないといけない……」

モノクマ「でも、ここにはそんな大手術をするための設備がありませーん!!」

「…………」

モノクマ「残念でした! 残念でした!! どう? 絶望した??」




823 ◆takaJZRsBc2015/07/06(月) 00:35:07.16btgm306e0 (3/8)


腹を抱えてモノクマはケタケタと笑う。生徒達は愕然としてKAZUYAの様子を窺った。


K「…………」

苗木「先生……!」

石丸「一体どうすれば!」


だがKAZUYAはモノクマのことなど全く相手にしていなかった。
いつの間にかセレスの手術を開始し、開腹器まで既にセットしている。


K「……何をボサッとしている。全員、手袋は嵌めたのか? 消毒を終えたら
  手術に参加して欲しい。手伝えない者は現場の保全でもしてくれ!」

腐川「ア、アタシは娯楽室の方に行くわ。目を逸らしててもそろそろ限界だし」

江ノ島「アタシも」

朝日奈「ごめん、私もそうさせてもらうね」


ぞろぞろと女子が保健室から出て行く。


十神「で、どうするんだドクターK? 何か策でもあるのか? それか潔く山田は見捨てるか」

K「俺は両方見捨てるつもりはない……!」

モノクマ「でもどうすんの? 助けようにも手術出来ないじゃん!
      仮にここが普通の病院でも一度に二人も手術出来ないし」

K「……お前は大人を見くびり過ぎたな。俺も、学園長も。一流の医者を用意しながら
  設備や道具を用意しない。あの男がそんなつまらないミスをすると思ったか?」

モノクマ「は?」

K「不二咲、先程苗木が見つけたスイッチを押してくれ!」

不二咲「はい!」


すぐに不二咲はベッドの下に潜りボタンを押した。すると――




824 ◆takaJZRsBc2015/07/06(月) 00:42:51.71btgm306e0 (4/8)


――――――――――――――――――――――――――――――


「――これの存在は生徒達にも秘密なんですよ」


蘇るは保健室の映像。

立って話すは在りし日の希望ヶ峰学園学園長・霧切仁。


「何故秘密に?」

「その前に耳に入れておくことが……部外者のあなたには話していませんでしたが、
 この希望ヶ峰には我々教師達が総力を挙げ隠蔽したある『二つの事件』があります」

「事件、ですか?」

「ええ、凄惨な事件でした。大きな声では言えませんが、既に何人も死んでいます」

「あなたは……まだ私にそのような隠し事を……!」


KAZUYAの責めるような視線と声色に対し、仁は少しも悪びれず淡々と後を続ける。


「正義感の強いドクターには見過ごせないことでしょうが、全ては子供達の将来を
 守るためです。この学園に外部の人間、特にマスコミを入れる訳にはいかなかった」

「……………………」


偽善だ――!

KAZUYAは心の中で吐き捨てた。この男は何かあるといつもこうして無垢な生徒達を盾に取る。
だが、その実生徒のことなど本当は見ていなくて、その瞳には彼等の才能しか映っていないのだ。
しかし、この男に何を言っても無駄なのはKAZUYAもいい加減に理解していた。無言で睨み付ける。


(あの子達は才能のカタログではないのだぞ!!)


KAZUYAの怒りと不満に気付きながらも、仁は冷や汗一つかかず涼しい顔をしている。


「二つの事件の内、一つ目は犯人が判明しました。ですが、もう一つの犯人は未だにわかっていません」

「…………」




825 ◆takaJZRsBc2015/07/06(月) 01:07:20.06btgm306e0 (5/8)


「私も、こう見えて元探偵ですからね。……勘は働く方なんですよ」

「……回りくどいのは苦手だ。単刀直入に言ってもらいたい」

「その見つかっていない犯人ですが……私は生徒の中にいるんじゃないかと考えています」

「殺人事件の犯人が生徒達の中に? 馬鹿げたことを言うのはよしてもらいたい!」

「断言は出来ません。違っているのが一番です。しかし、判明していないのは二つ目の事件――
 学園内の警備レベルを最大まで上げた中で行われた、希望ヶ峰学園評議会メンバーの連続殺人です」

「連続殺人?! それも学園の評議会メンバーをかッ?!」

「はい」

「……よくそんな大事件を隠蔽しようなどと考えたな。それでも教育者か! 恥を知れ!!」


だが、話しながらKAZUYAは鋭く推理していた。どう考えても警察に届けるべき案件を、何故
希望ヶ峰は隠蔽したのか。二つ目の事件の方は、恐らく一つ目の事件が明るみに出るのを
恐れたというのが理由だろう。では、一つ目の事件はどうだ? 仁は犯人は判明していると言った。

犯人を警察に突き出したくないからか? 既に希望ヶ峰にはジェノサイダー翔という殺人鬼がいる。
仮に殺人を起こしたとしても、超高校級の才能を持つ生徒を手放したくないに違いない。

……しかし、本当にそれだけだろうか?

超高校級の才能は大事だが、他の超高校級の生徒を傷つけたらそちらの方が問題ではないか?
仁の言う通り希望ヶ峰の警備は非常に厳しい。一度事件を起こしておいて何の手も打っていないとは
思いがたい。となると、事情を知る内部犯が警備の隙を突いた可能性が極めて高いだろう。生徒が
犯人かもしれないという仁の推理は見当外れでもないが、ただの生徒にそんなことが果たして可能か?


(……犯人は、ただの生徒ではない? それこそが隠蔽の理由か?)

「責めはいずれ負うつもりです。でも、今はまだその時じゃない。
 現在、我々には為すべき共通の義務と責任があります。わかるでしょう?」


いつも腹の底を読ませないようにしている仁が、珍しく険しい表情を隠さなかった。
KAZUYAは仁の言葉を肯定も否定もせず、ただ黙って睨む。


「これはいざという時のための保険です。使う日が来ないのが一番でしょう」

「…………」

「でも、もし必要があればその時は……」


――生徒達をよろしくお願いします。


――――――――――――――――――――――――――――――




826 ◆takaJZRsBc2015/07/06(月) 01:21:01.17btgm306e0 (6/8)


「…………」

(今、これを使う時が来た……!)


先程思い出した学園長との会話を浮かべながら、KAZUYAはここが正念場だと感じていた。


(よもやあの男に感謝する日が来ようとはな。だが、今はそんなことを言っている場合ではない!)


正直に言えばいけ好かない男だった。生徒達に歪んだ愛情を注いでいた。
そんな仁のことをKAZUYAは嫌っていたが、その愛情が生徒を救うのなら利用しない手はない。


モノクマ「は? なんだよこれ? 聞いてないんだけど……!!」


低い駆動音と共に、保健室の壁の一つが上に開いていく。


霧切「これは……?!」

桑田「マジかよ?!」

苗木「し、信じられない……!」

K「そう、これこそ今の俺達にとって最大の希望――学園長の遺した遺産だ!」


壁の向こうにあったものは、手術台と機材の数々であった――!!


モノクマ「はぁぁあああっ?!?!!」


流石のモノクマもこれには動揺したようだった。パクパクと口を動かしているのに言葉が出ない。
当たり前だ。この設備はここ旧校舎へ生徒達を入れる前に突貫工事で作ったものなのだから。

――学園長と、KAZUYAの二人しかその存在は知らない!


大和田「よし、終わったぞ! 山田を手術台に運ぶぜ!」

石丸「先生、指示を!」


山田を移動させると、KAZUYAはメスを手に取る。


K「石丸、お前が執刀しろ。苗木は補助だ。安広はお前達に任せる」

「?!」




827 ◆takaJZRsBc2015/07/06(月) 01:32:27.11btgm306e0 (7/8)


石丸「ぼ、僕がっ……?!」

十神「貴様ッ?! 素人に手術をさせるつもりか?!!」

K「開腹はやった。あとは止血するだけだ。何かあれば俺が指示を出すからその通りにやればいい」

苗木・石丸「…………」


二人は一瞬だけ動揺し躊躇った。が、ここに至るまでに何度も師を
切り刻ませてきた甲斐もあったか、一度決心を固めたら後の行動は早かった。


石丸「苗木君! ペアンを!」

苗木「了解!」

十神「正気か、貴様等……!!」

K「なに、俺は小学生に母親の手術をやらせたこともある。知識と技術がある分、二人の方がマシだ」

十神「だが……大体、何故不器用で有名な石丸がメインなんだ! 苗木の方が実技は上のはずだろう!」

K「確かに、この場合は苗木をメインにするのが正しい。苗木なら出来るはずだ」

十神「では、何故?!」

K「だからだ。出来る方にやらせたら、残りはサブになる。俺は補欠を作る気は毛頭ない」

十神「狂っている……!」

K「文句は後で好きに言え。とりあえずしばらく話しかけるな。不二咲、そこにある吸引器と
  電気メスを準備してくれ。機械に強いお前ならセッティングくらい出来るはずだ」

不二咲「これかな?」

十神「…………」

霧切「覚悟を決めるわよ。もし死人が出たら、今度こそ誰か処刑されるのだから」

十神「フン、その方が面白いがな」

舞園「十神君、手術の邪魔をするなら出て行ってくれませんか。みんな真剣なんです」

十神「協力はしてやるさ。……生きている限りはな」



渋々と言った感じだが、十神も半透明のゴム手袋を嵌めマスクをつける。

こうして、希望ヶ峰学園即席医療チームが二つの手術に当たることになったのだ!




828 ◆takaJZRsBc2015/07/06(月) 01:43:07.62btgm306e0 (8/8)


ここまで。次回、Kチーム始動!




829以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/06(月) 01:49:48.14C20hwH4eo (1/1)

乙です


830以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/06(月) 01:58:52.30ewKvKGEMO (1/1)

乙だべ!


831以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/06(月) 06:03:10.663KU5W51cO (1/1)

十神はやるときゃやる男



832以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/06(月) 08:13:51.11z8JayslBo (1/1)

不器用で有名な石丸wwwwwwwwwwwwwwww


833以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/06(月) 22:36:03.76rKjtQ4GcO (1/1)

石丸をディスりつつ山田の身を案じる十神さん


834以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/07(火) 11:26:24.01tFeaS7BuO (1/1)

不器用で有名www
あと、マップがいるって言ってたのは保健室の隣の空間がないと仕掛けができなくなるからか…なるほど


835以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/07(火) 21:59:48.87WBoh663k0 (1/1)

このSSの影響でスーパードクターKを集め始めました。
そして知らん間に十神がデレておる…どういうことだ説明しろ苗木イ!


836以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/09(木) 15:16:37.657Ec0OrgAO (1/1)

十神が正面なことを言っとるwww


837以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/09(木) 20:37:50.22+I9+yApyo (1/1)

ここの十神は基本正論しか言ってないし


838以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/12(日) 11:14:12.50PdceCN4AO (1/1)

誰も死なない様になってるのか、ツマラナイ………ああツマラナイ


839以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/12(日) 17:19:48.39EiY0xiMuO (1/1)

Kは人間の鑑だからしょうがない


840以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/12(日) 20:42:36.83UX9UDVdsO (1/1)

場合によっては死ぬと思うけどな
忘れかけてるけど石丸の顔も後遺症残ってるし
まあ主要人物抑えてたら滅多に死なないとは思うけど


841 ◆takaJZRsBc2015/07/12(日) 21:53:31.18qLrlj6330 (1/1)


手術シーンは時間がかかる…。という訳で、今週は休載です。ごめんね

ちなみに、当たり前ですが選択肢ふざけたら容赦なく死にます
ここの住人の方はみんな真面目だからきっちりフラグ外していくけど
山田君は実際かなり厳しい条件だった。そして、手術後も色々と際どい
また、あの人も……最後までご視聴くださればわかるはず




842以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/13(月) 00:02:00.34XoYNvl+rO (1/1)

みんながフラグ外さないのもKと>>1の人徳
けど誰かが妹様になってくれる事を期待


843以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/13(月) 17:19:50.959fz+IwMAO (1/1)

あの人………まさかの妹様生存ルートとか?


844以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/13(月) 17:48:59.40YJCMnEnVo (1/1)

山田が厳しい→あの人も、だから他にフラグ立ってるヤツがいるんじゃないかな
この場にいない葉隠とかさくらちゃんとか地味にヤバそう


845以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/13(月) 20:45:45.43G9KNbKBAO (1/1)

流石のKもスクラップになった奴を治療できないかなぁ


846以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/15(水) 18:07:42.967pPsAtiAO (1/1)

>>838

ツマラナイなら見るな


847以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/16(木) 23:56:22.617aVlkyUSO (1/1)




848以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/19(日) 10:42:38.95yx2EMtoAO (1/1)




849以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/20(月) 10:42:11.47xhJ/jqX5O (1/1)

人数減ってから事件起こした方がいいのは確かだから十神は賢いけど、結果的にギャーギャー騒いだだけで何もせずに生き残るって完全にギャグだったから、ここの十神がまともに見えるという不思議


850 ◆takaJZRsBc2015/07/21(火) 00:14:21.14F11QxauJ0 (1/11)



※ お 約 束 ※

モノクマ「もう定番となりつつあるけど、それでもしつこく注意。無駄かもしれないけど注意」

ウサミ「注意は大事でちゅよ。先生は皆さんがマナーを守ってくれるって信じてまちゅ」

モノクマ「今回手術シーンが出てきますが、このSSの医療シーンは基本1の妄想です。
      信じないこと! いいですか? 知らない人の言うことを安易に信じちゃダメですよ」

モノクマ「何事も自己判断が大事です。その結果どうなるかの責任は取らないけどね!」

ウサミ「それはあえて言わなくてもいいよね?!」

モノクマ「それでは再開!」





851 ◆takaJZRsBc2015/07/21(火) 00:23:09.33F11QxauJ0 (2/11)



 !      ダ    ブ    ル    手    術    開    始      !



KAZUYAは十神と話しながらも、一切手を止めることなく器具の準備をし山田の気道を確保していた。


K「不二咲、そこにあるレスピレーター……人工呼吸器の電源を入れてくれ」

不二咲「これ、かな?」


KAZUYAの指示で、不二咲がレスピレーターの電源を入れ、大和田が側に運ぶ。


K(確認したが、予想通り山田の気管は非常に狭かった。何より、これだけの手術だ。
  すぐに意識を回復するか怪しいし、当分自力呼吸は厳しい。場合によってはこのまま……)

K(本来なら気管切開をしてカニューレを装着した方が良いかもしれんが、俺は山田を信じる!)


カニューレ:体腔・血管内等に挿入し薬液の注入や体液の排出に使うパイプ状の医療器具。
       今回は気管切開し空気の通路を確保するための気管カニューレを指している。

KAZUYAは通常の気管内カテーテルを熟練の技で気道に通し、酸素マスクとレスピレーターを繋げた。


K「次に、そこの心電図モニターの電源を入れてくれ」

不二咲「はい。えっと……これ、だね」


KAZUYAは山田の体に電極を取り付けた。モニタ画面に心電図を始めとした心拍数や血圧、呼吸数、
体温等のバイタルサイン情報が映り、心電図の定期的なグラフと共にピッピッという機械音が響く。


「…………!」


ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……

誰もがテレビで目にした状況が実際に目の前に現れて、場が一層引き締まった。




852 ◆takaJZRsBc2015/07/21(火) 00:33:06.16F11QxauJ0 (3/11)


K「俺が麻酔を点滴している間に、レントゲンの準備をしてくれ。大和田、その間にこの器具を消毒!」

不二咲「は、はい!」

大和田「おうよ!」


KAZUYAは麻酔をかけると、不二咲が電源を入れた最新型可動式X線撮影機に手を伸ばす。初めて見る
機械も難なく使いこなす不二咲は非常に頼もしい。CTスキャンやMRIは時間の問題か設置スペースの問題か、
流石に用意出来なかったらしい。ないよりはマシだ、くらいのつもりで山田の頭部を単純撮影する。


K(……本来はこういった機械類は放射線管理区域を作って徹底的に管理すべきだが、仕方ないな)


教師である仁がそんなことも知らない訳はないだろう。それほど突貫工事だったのだと暗に示していた。


K(骨折はしているが血管溝付近に線状骨折はなし……硬膜外血腫の可能性は低いか? となると……)


ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……

山田はただ失神していたのではなく、完全に意識がなかった。脳に何らかの異常があるのは間違いない。


K(――硬膜下血腫か)


単純に頭蓋内の出血と言っても、大きく二つに分類される。


硬膜外血腫:頭骨とその下にある硬膜の間で発生した出血が血腫となり脳を圧迫する症状。
       早期に対処すれば予後はそこまで悪くないとされるが、極めて重傷である。

硬膜下血腫:硬膜と脳の間に出血が発生し、それが硬膜とくも膜の間に貯留した状態。
       頭部に対する強い衝撃によって引き起こされた急性硬膜下血腫の場合、
       脳挫傷(脳が損傷を受けること)を併発していることが多いため、予後は良くない。


硬膜外、並びに硬膜下血腫の判断にはMRIが優れていると言われる。ただし、MRIは時間がかかるため
緊急の場合はCTスキャンが用いられるのが常だ。何にせよ、最低でもCTスキャンがないと判断は難しい。

何故なら、医療の現場で今も幅広く使われている通常のX線撮影では血液は写らないからである。
KAZUYAはどうせ開頭手術をするなら予後が期待出来、硬膜を開かなくて済む硬膜外血腫であって
欲しいと思っていたが、そう上手くはいかないようだ。愛用のメスを手に取る。




853 ◆takaJZRsBc2015/07/21(火) 00:44:36.05F11QxauJ0 (4/11)


K「頭皮切開。骨膜を反転固定する」


KAZUYA程のベテランなら開頭手術でさえ十分な経験があり、本来いちいち行動を
口にする必要はないのだが、生徒達に事前に自分の動きを伝える必要があった。

現に、外した頭皮を置けるよう大和田がステンレス製のトレイを用意してくれている。


大和田「う……」

K「あまり見ない方が良いぞ。これからもっと酷いことになる」


大和田が顔をしかめたのを察し警告する。特に、不二咲に対しては機械を見ているよう促した。
石丸が写真を見ながらよく呻いていたのを知っている。この二人は耐性がないから尚更キツイだろう。


K「まず、ドリルで六ヶ所穴を開ける。そこに線ノコを通し切断していく」

大和田「マジでやんのか……」

K「やらないと死ぬ」


KAZUYAとてやらずに済むのが一番だ。しかし、開頭手術が必要だという結論だけは出ていた。
CTスキャンがないため正確な位置も大きさもわからない。今はKAZUYAの長年の勘と経験だけが頼りだった。


K(今までは外からある程度わかる傷が主だった。舞園の骨折という例もあるが、最悪放置しても
  命には関わらない。だが、今回は違う。俺の見立てが全てだ。判断を間違えれば山田は死ぬ!)


ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……

ジーコジーコと骨の削れる音が止んだ。


K「外すぞ。丁重にな」


KAZUYAは切断した頭骨をトレイに載せた。そして一切の見落としがないように中を観察する。




854 ◆takaJZRsBc2015/07/21(火) 00:56:24.62F11QxauJ0 (5/11)


K(やはり、硬膜下血腫だったか。既にかなり出血しているようだな……)

不二咲「先生……」

K「……硬膜を切開する。輸血の準備!」

不二咲「はい!」


授業で生徒達の身体情報は可能な限り開示して共有している。それも全てはこんな日が来ることを
想定してのことだ。不二咲はすぐさま山田の血液と同種の輸血パックを手にして戻ってきた。


K「剥離用の鉗子!」

大和田「どれだ?!」

K「左から三番目!」


一方、時を少し遡り場面はセレスの手術に移る。

手術を任されたものの初めて見る人間の内臓に石丸は圧倒されていた。


石丸(うっ、これが人間の内臓か……皮膚の下も十分グロテスクだったが、気持ち悪いな……)

苗木「石丸君? 大丈夫?」

桑田「イインチョ、頼むぜ」

石丸「え? あ、ああ……」

石丸(いや、何を考えているんだ僕は! 今はそんなことを考えている場合ではない!)


包帯の間から覗く赤い目をカッと見開き、日頃勉強で得た知識を総動員しながら患部を直視する。


石丸「ウム……止血のためにはまず出血箇所を見つけないとならないが……
    溜まった血が邪魔でよくわからないな。吸引器は先生が使うだろうし……」

舞園「ガーゼで吸い取るのはどうでしょうか?」

霧切「それがいいわね。吸い取って、流しに絞って捨てるわよ」

石丸「そうだな。そうしよう」




855 ◆takaJZRsBc2015/07/21(火) 01:05:47.08F11QxauJ0 (6/11)


舞園と霧切が流しと往復して吸い取った血を流していく。少しずつ明らかになっていく
仲間の腹腔に冷や汗を流しながら、二人の医者見習いは真剣な眼差しで覗き込んだ。


苗木「見えてきたね」

石丸「ああ。……腸圧定ヘラを頼む」

苗木「はい」


ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……

山田の方から聞こえる規則的な電子音が、余裕のない石丸の心を更に急かす。受け取ったヘラで
傷付けないように腸をグニグニとかき分け観察したが、出血部位がなかなか見つからない。


霧切「……そこ、血が出ていないかしら?」

石丸「本当だ! この血管が切れて出血しているな。まず鉗子で結紮(けっさつ)し、絹糸を結ぶぞ……」

苗木「落ち着いて。石丸君なら出来るよ」

舞園「大丈夫です。いざとなったら西城先生もいます。ゆっくり確実にやりましょう」

桑田「ガンバレ、イインチョ!」

石丸「あ、ああ。すまない」


手が滑って結び損ねた石丸に苗木達が優しく声を掛ける。しかし十神だけは厳しい。


十神「そんなにグズグズしていいのか? 血圧が下がって来ているぞ」


心電図モニターは山田に使用しているため、血圧計を用いて十神は手動でセレスの血圧を確認している。


苗木「リンゲル、全開! 輸血もしよう!」

舞園「リンゲル全開にしました! 輸血も用意してあります!」

石丸「どうする? 昇圧剤を打った方がいいのだろうか……?!」




856 ◆takaJZRsBc2015/07/21(火) 01:13:49.11F11QxauJ0 (7/11)


ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……

狼狽える石丸にKAZUYAが鋭く指示を飛ばす。


K「まだ大丈夫だ。それより他に出血点がないか確認しろ! 腸に変色はないか?」

石丸「変色? ……あ、あります!」

K「出血が止まっていないから組織が壊死しかけているのだ。出血を止めろ!」

石丸「止めろと言われましても……」

苗木「石丸君! ヘラ、借りるよ!」

石丸「あ、ああ……」


バトンタッチした苗木がヘラで再び丁寧に腸を確認する。


苗木「あった! 小さいけど、ここが裂けてる!」

石丸「何だと?!」

桑田「よし、じゃあそれを塞げばいいんだな? とっととやっちまおーぜ」

苗木・石丸「…………」


しかし二人は同時に浮かない顔をした。


桑田「どした? 早く縫っちまえよ」

石丸「無理だ。僕達の縫合技術は高くない。内臓、それも特に繊細な腸を縫うなんて無理だ」

苗木「失敗したら、かえって傷が広がると思う」

桑田「ハァ?!」

十神「フン、当然だ。貴様、こいつらが素人だということを忘れていないか?」

桑田「じゃあ、どーすんだよ!」




857 ◆takaJZRsBc2015/07/21(火) 01:22:56.79F11QxauJ0 (8/11)


石丸「先生の手が空くまで輸血と昇圧剤で繋ぐしか……」


ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……

混乱する生徒達に、KAZUYAは落ち着いた低い声で話し掛ける。


K「――もっと良い方法がある」

苗木「え?!」

K「傷の前後を丸々結紮すれば良い!」

石丸「なっ?! そんなことをすれば挟まれた部分の血流が止まって壊死してしまいます!」

K「壊死した部分は後で切除して繋げればいい。人間は腸を十センチ失ったくらいで死にはせん!」

苗木「ほ、本当にいいんですね?」

K「開腹した時に大まかな状態は把握した。出血箇所が多かったり内臓をやられていたら不味かったが、
  幸い刺された箇所は一ヵ所で重要な臓器は外れていた。時間稼ぎ程度なら問題ない。やれ!」

石丸「では、指示通り結紮します!」

K「止血に成功したら自然と血圧も回復するはずだぞ。要は俺がそちらに行くまで保てばいいのだ」


石丸はKAZUYAの指示通り傷の前後を鉗子で丸々結紮する。


十神「……成程、確かに底を打ったようだ。安定はしている」

石丸「では、ひとまずは……」

苗木「安心てこと、なのかな」


ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……

他方、KAZUYAの方も正念場を迎えていた。


K「出血箇所を電気止血器で止血する!」

不二咲「どうぞ」

K「ウム」

大和田(こんなちっぽけな傷、本当に止血できんのかよ……)




858 ◆takaJZRsBc2015/07/21(火) 01:29:54.31F11QxauJ0 (9/11)


目を逸らしながらも、大和田はちらちらと山田の剥き出しの脳を見る。
マスクをしていても尚鼻を刺激する、強烈な血の臭いと悪臭で気分が悪かった。

ジュッという何かが焦げる音がする。KAZUYAは既に電気止血器を下ろしていた。


K「吸引器」

不二咲「はい」


KAZUYAの指示に呼応し、不二咲は吸引器をKAZUYAに手渡す。


K(流石不二咲だ。初見の機械でも問題なく使いこなせている。何よりスピードを求められる
  この手術を俺一人で全てこなすのは正直辛かったから、補助があって助かった……)

K(だが、山田の傷は……)


ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……ピッピッ……


K(…………)

K(……今はオペに集中しよう)


止血と吸引を終え硬膜を閉じ、KAZUYAは外した頭骨を戻して傷を丁寧に縫い上げている。


K「よし! 山田の処置は終わった。安広の方に移るぞ!」


KAZUYAは身を乗り出して傷を確認し、苗木は後ろに下がってKAZUYAに譲った。


石丸「……あの、どうでしょうか」

K「止血は問題なく済んでいる」

石丸「フゥ、それは良かっ……」

K「続きだ。壊死した腸を切除しろ」

石丸「えっ?!」


後は全てKAZUYAが引き継いでくれるものと思って安心していた石丸の顔が引き攣る。




859 ◆takaJZRsBc2015/07/21(火) 01:37:53.48F11QxauJ0 (10/11)


K「医者が一度受け持った患者を投げ出してどうする。どうしても技術的に
  無理なことは俺がカバーするが、それ以外は二人にやってもらうぞ」

K「折角だ。安広にも二人の訓練に協力してもらう」

十神「……医者の発言とは到底思えんな」

桑田「ヤハー……俺達だけだからいいけど、他のヤツらが聞いたらドン引きしてるとこだぜ、せんせー」

K「治療費の代わりと思えば安いものだ。ほら、どの剪刀(せんとう:ハサミのこと)を使う?」

石丸「え、あ……」

苗木「やっぱり、ここはクーパーかな」

K「よし。苗木、ここを切断しろ」

苗木「はい」


石丸の方はしどろもどろになりながらも、何とか二人にやらせ縫合はKAZUYAのみ行う。


K「癒着した腹膜を剥がすにはメッツェンを差し込んで開けばいい。やってみろ」

石丸「は、はい」

K「腹膜の処理は慣れるまで非常に難しい。大体初心者がつまづく所だし、
  プロでも処置の仕方で技術がわかるというものだ。よく見ておけ」

霧切「知識があれば応急処置に活かせるかもしれないわね」

舞園「しっかり見させてもらいましょう」

K「これが胃だ。これが右胃大網動脈。奥の方に、見えづらいが肝臓。下にあるのが胆嚢で……」

十神「…………」

大和田(いつのまにか全員で仲間の腹の中を見てる今の状況がこええ……
     目をそらしてる不二咲以外は平然としてやがるし)

桑田「……あらためて医者ってすげーと思うわ、マジで」


見せられるだけ体の内部を見せ、KAZUYAはセレスの傷口を縫合していく。


K「最後の二針はお前達で縫え」

苗木「えっ、いいんですか?」

石丸「しかし、僕達の腕では綺麗に出来るか……」

K「どうせここから出たら全員綺麗にするんだ。多少の引き攣れなら問題ない」

苗木「わ、わかりました」

苗木(女子の肌を縫うのか……気をつけないと)

石丸「う、うう……失敗しても恨まないでくれ……」


そして緊張の中最後の一針を縫い、糸を切った。




860 ◆takaJZRsBc2015/07/21(火) 01:45:34.23F11QxauJ0 (11/11)


ここまで。




861以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/21(火) 02:06:06.40R8A2bu31O (1/1)

乙だべ!


862以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/21(火) 02:35:48.86GvgKLMEeO (1/2)

これは凄い
1乙


863以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/21(火) 06:20:11.61IaicDK4oO (1/1)

乙です


864赤白ぼうき2015/07/21(火) 15:07:05.49QhmIjYfAO (1/2)

実際の手術では、メスを人に渡してもらわずに自分で取るし、汗が出る様な部屋では雑菌が繁殖するから手術はやらないってTVでお医者さんが言ってました


865以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/21(火) 16:28:09.46GvgKLMEeO (2/2)
866以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/21(火) 17:19:21.18Sbct1MIBo (1/1)

短気な人は自分で取るらしいが渡してもらうのも普通にあるぞ。人によるだろ
あと衛生に関しては仕方ない。江戸時代で手術してるJIN先生よりマシ


867以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/21(火) 18:17:45.67U0Vb5xOYo (1/1)

汗をかくからって室温を低くし過ぎると患者が低体温になり悪影響がでることもある
というか1は>>850って書いてるのに突っ込むのは無粋だろう


868以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/21(火) 20:39:30.79+Swtjzizo (1/1)

安広さんの意識があったら面白そうだったね


869赤白ぼうき2015/07/21(火) 20:46:12.26QhmIjYfAO (2/2)

>>867

そうカッカしなさんな


870以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/21(火) 21:08:50.50SvHePq5XO (1/1)

乙です。
皆順調に成長していってるね


まーたにわか知識ひけらかし隊がやってきたよ


871以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/21(火) 22:29:59.85+aoEzLaS0 (1/1)

乙でした


872赤白ぼうき2015/07/22(水) 07:55:50.91pcQ4lJcAO (1/1)

>>870

TVで見た内容を書いただけなんですけど、不快な気分にさせてすみません


873以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/23(木) 14:07:47.56DVZVihv6O (1/1)

>>872
気にすんな
まあコテ外してROMろうや


874以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/24(金) 19:16:39.56SVsa9mido (1/1)

>>872
知ったか乙


875 ◆takaJZRsBc2015/07/27(月) 00:53:53.15h/QJJewL0 (1/6)



!      手      術      完      了      !



K「――終わったな」

「…………」

K「手術完了(オペレーション・オーバー)だ!」


全員が呆けた顔をしていたので、KAZUYAは喝を入れるように手術の終わりを宣言する。


大和田「お、終わったのか……」

不二咲「長かったねぇ……」

舞園「二人共、大丈夫ですか?」

苗木「疲れた……本当に」

石丸「…………」

霧切「石丸君、大丈夫?」

石丸「…………」

大和田「おい、兄弟。どうした?」

桑田「気が抜けちまったんじゃねえの?」

K「石丸?」

石丸「…………うっ!」


石丸は急に口元を手で押さえると、バネ仕掛けのように飛び上がって廊下に駆け出す。
しかし間に合わなかったようで、苦しそうな呻き声が聞こえた。


石丸「おえぇぇええぇえええええ! ゲホッゴホッ、ゴホッ!」ビチャビチャ!

桑田「ちょ、ゲロかよ……」




876 ◆takaJZRsBc2015/07/27(月) 01:09:02.89h/QJJewL0 (2/6)


霧切「今までは極度の緊張のお陰で吐き気を抑えていられたのね」

不二咲「あ、う……安心したら、僕も気分悪くなってきちゃった。ちょっとトイレに……」

十神「フン、男のくせに情けない」


何でもないような顔をしているが、十神の白い顔も血の気が引いて青くなっていた。
本当に全く影響がないのは、KAZUYAと霧切だけのようだ。しかし、惨殺死体に慣れている
霧切も仲間の生死がかかった手術というシチュエーションにやや疲れを見せている。


不二咲「うう、弱くてごめんねぇ……」

舞園「気にしたら駄目ですよ」

桑田「おう。俺もちっと気分わりいし、どーせ十神も強がってるだけだろ」

大和田「まったくだぜ。お前らはそっちに集中してたから良かったけど、俺らは
     生で脳みそ見てんだぞ、脳みそ! ヤベ、思い出したら俺まで気分が……」

K「無理をするな。男だから女だからは関係ない。大体最初の解剖で具合が
  悪くなる生徒が出るものなんだ。逆に、女生徒の方が意外と平気だったりな」


KAZUYAは立ち上がると廊下に行き、その場でうずくまっている石丸を介抱した。


K「大丈夫か?」

石丸「ゲホッ……す、すみません……迷惑をかけてしまって……」

K「気にするな。初めての手術にも関わらず見事な手際だったぞ」

石丸「でも、医師を目指しているのに……こんなことでは……」

K「今度俺の同期の話でもしてやる。今でこそみんな一人前だが、酷い失敗談もたくさんあるぞ?」


背中をさすってやりながら、KAZUYAはぎこちなく笑いかけた。まだ山田の件もあるが、
少なくともセレスは助かったのだ。それも生徒達の手で。その点は素直に喜ばねばなるまい。




877 ◆takaJZRsBc2015/07/27(月) 01:28:38.92h/QJJewL0 (3/6)


舞園「廊下は私達が掃除しておきますから、先生はみんなの看病をしてください」

苗木「僕、不二咲君の様子を見てきます!」

大和田「俺は少し休ませてもらうぜ」

K「頭を下にし、深呼吸だ。吐き気が酷くないなら栄養ドリンクで水分を採るのもいいぞ」

十神「……フン」


具合の悪そうな石丸に肩を貸して保健室に戻ると、KAZUYAはテキパキと
冷蔵庫から飲み物を出したり汚れた床を掃除して器具の消毒をしたりした。

少しして苗木がまだ顔色の悪い不二咲を連れて帰り、ようやく彼等は一心地つく。


十神「……で、今回の場合学級裁判はどうなるんだ?」

苗木「あれ? そういえばモノクマは……?」


手術が始まってから一言も声を聞いていないので、既にどこかへ去ったのかと思った。

――だが、モノクマはいた。


現れた時と全く同じ場所で、無表情のまま沈黙を保っていた。
いつも騒がしいこの人形が無言なのはただただ不気味で不吉である。

顔色からは――無機物だから当然なのだが――何を考えているか伺い知ることは出来ない。


モノクマ「…………」

苗木「モノクマ……」

モノクマ「…………」




878 ◆takaJZRsBc2015/07/27(月) 01:43:38.18h/QJJewL0 (4/6)


桑田「なんだよ、気味わりぃな……なんか言えよ」

モノクマ「……え? あ、なに? 学級裁判? あ、ああ……そうだね……」

「…………」


その反応は、いつもとは明確に違っていた。

さながら、楽しみにしていた玩具を手に入れた瞬間目の前で叩き壊されたようだった。
普段の彼或いは彼女ならその絶望的な感情すら楽しむ所だが、今回はあまりに予想外過ぎたのだ。
また、今まで散々退屈な時間を待たされ我慢し続けていたということもある。

――詰まる所、モノクマにとって今回の件は絶望より怒りが上回ったのであった。


K「…………」

モノクマ「どーしようかねぇ。死体発見アナウンス流しちゃったしなー」

霧切「山田君の状態によるのではないかしら? もし彼がすぐに目を覚ますなら、裁判は無意味よ」

モノクマ「それもそうだね。で、山田君の容態はどんな感じな訳?」

K「……わからない。今回は不二咲の時より更に深刻だ。俺ですらいつ目を醒ますか
  予想もつかない。ちなみに、今回ばかりは本当だ。ここにはCTも脳波計もないしな」


頭部による打撃の恐ろしい点は、必ずしも打撃を受けた場所に出血する訳ではないということだ。

脳は頭蓋の中にぎっしり詰まっているのではなく、脳脊髄液(のうせきずいえき)という
液体の中に浮かんでいる。そのため、強い衝撃を受けると慣性によって反対側の頭骨に衝突し、
そちら側にも脳挫傷(のうざしょう)や出血を起こすことがある。

このように打撃の反対側に生じる損傷を反衝損傷(はんしょうそんしょう)と言うが、
検査をしていない以上山田の脳内でそれが起こっていないとは断言出来ないのだ。




879 ◆takaJZRsBc2015/07/27(月) 01:56:00.31h/QJJewL0 (5/6)


モノクマ「じゃあほっとけば死ぬ可能性もある訳だ? もしくは、死ななくても一生このままとか」

K「……その可能性はないとは言えん」

石丸「そんなっ! 折角手術したのに!」

大和田「マジかよ……」

モノクマ「ふーん?」


その言葉で、モノクマは少し機嫌を直したようだ。頭の後ろで手を組みながら、
今後のことを思案する。一つ予想外なことと言えば、桑田が割って入ったくらいだ。


桑田「でもさ、今回は裁判やる意味なくね?」

舞園「どういうことですか?」

桑田「――だって、もう犯人わかってるし」


その発言に大きく場がどよめく。


石丸「何だとっ?!」

不二咲「えっ?!」

大和田「誰だ! 誰が犯人なんだ!!」

霧切「それは恐らく……」

十神「十中八九、今の段階でも姿を現さない奴が犯人だろうな」

苗木「それって……!」

K「――その通り」





桑田「犯人、葉隠だろ?」




880 ◆takaJZRsBc2015/07/27(月) 02:04:50.29h/QJJewL0 (6/6)



誰もが既に予想した衝撃の事実……!


短いけどここまで。

1は夏バテ気味です。最近暑いけど皆様もお体には気をつけて。




881以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/27(月) 03:46:19.55KD4U6tZm0 (1/1)

はがくれやすひろ


882以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/27(月) 03:54:05.734HrtIMgGO (1/1)

乙だべ!


883以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/27(月) 11:57:04.92OYltEQ6yo (1/1)

乙です


884以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/27(月) 18:26:04.07l0PKCHOAO (1/1)

乙です


885以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/28(火) 01:57:35.24ISwj+eJpO (1/1)

乙なんだよ


886以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/28(火) 18:37:16.04QaaYuRkAO (1/1)




887以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/28(火) 18:44:31.37NXpQ+KVAO (1/1)

ageんな


888以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/29(水) 14:59:07.87izDg1hkAO (1/1)

あげ


889以下、名無しにかわりましてモノクマがお送りします2015/07/30(木) 21:45:31.83T9OcUa8T0 (1/1)

葉隠は好感度さえ上がっていれば、加害者は回避できたのかねぇ・・・あのメンバー選択でどうなるか知りたいです。
問題はギリ死なない程度とは言え、葉隠がどんな怪我になるかだけど・・・


890以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/30(木) 22:47:54.050Kz++4dVo (1/1)

いくら能力アップしてるからって桑田の推理が当たるはずが……
でも霧切とK、ついでに十神も同意見っぽいのか

まあ、霧切とKはまだはっきりとは言ってないな


891以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/31(金) 00:52:11.20MaqI8vkAO (1/1)

葉隠は>>20で切り捨ててokて言われてて、
一応>>575で安価一回分は接触しててこの結果だからな
この章以前で好感度稼いで無かったから、この章で葉隠犯人フラグが立っていたんだろうか?
セレスを牽制してた結果葉隠に犯人フラグがシフトしただけかもしれんが


892以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/07/31(金) 07:52:35.27O5bs+tzAO (1/1)

あげ


893以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/03(月) 07:46:14.84qPiH1FaAO (1/1)

あげ


894以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/04(火) 07:45:40.79ylYm5S8AO (1/2)

あげ


895以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/04(火) 20:41:54.13ylYm5S8AO (2/2)




89612015/08/05(水) 01:34:10.01B/VD284DO (1/1)


すみません。木曜の夜に来ます




897以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/06(木) 23:10:07.83Tio5afIE0 (1/1)




898以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/07(金) 07:54:13.31C5poHC/AO (1/2)




899 ◆takaJZRsBc2015/08/07(金) 13:25:46.75WWSFAbdV0 (1/6)


時刻は、手術の少し前に遡る――


―やっちまった……

―やっちまった。


―あぁっ! やっちまったぁぁぁ!!


葉隠康比呂は自室で盛大に頭を抱えていた。


「なんでこんなことになっちまったんだべ……」


自分は法にギリギリ触れそうなことはするが、完全にアウトなことはしてこなかった。
確かに真面目な人間とは言い難いが、一応真っ当にやってきたはずだと唸る。

……実際には色々アウトなこともしてきたのだが、葉隠本人は少なくともそう思っていなかった。


(あぁ、母ちゃん……)

『康比呂が本当は優しい子だって母ちゃん知ってるからね。ただ、お前は母ちゃんに似て
 少しやんちゃだから、警察の厄介になるようなことだけはするんじゃないよ』


思い浮かぶは母・葉隠浩子の姿である。浩子はいつもどんな時でも常に自分の味方をしてくれた。
それは正直甘やかしの領域にも入っていたが、その深い母の愛を受け葉隠は母を慕っていた。


(でも殺人はさすがにヤバいよなぁ……)


母ならきっと何か深い事情があったのだと言って味方してくれるだろう。
しかし、いくら葉隠が自分に甘すぎる男とは言え、全く常識がない訳ではない。

やはり殺人はアウトだ。




900 ◆takaJZRsBc2015/08/07(金) 13:34:20.94WWSFAbdV0 (2/6)


(舞園っち達だってなんかいつのまにか許されて馴染んでるし、俺も時間が経てば
 なんとかなるか? ……でも今まではなんだかんだ死人は出てなかったしなぁ)


今すぐ保健室に行って助けを求めるか?


(いや、セレスっちはともかく山田っちはムリだべ……時間も経ってるし、
 大体K先生は一人しかいねえ。二人急患が出ても助けられるのは一人だけだ)


普段はけして頭が良いとは言えない葉隠だが、昔から妙なところで計算高かった。
この強かさや土壇場で発揮するしぶとさでどんな窮地も逃げおおせてきたのだ。


(……大体、仮に二人共助かってもよりによってセレスっちと山田っちだもんなぁ)


そう、似た者同士だからこそよくわかる。その二人は簡単に許してくれるような人間ではない。
思えば、過去に事件に巻き込まれた苗木も石丸も不二咲もお人好しの部類に入る。桑田は簡単に
許す人間ではなかったが、加害者でもあることとKAZUYAが間に立ったことで状況が変わった。


(あー、どうする。絶対許してくれねえ……俺だったら慰謝料一億くらい要求するべ)

(……そもそも助からねえか。夜は集まることになってるし、校舎には誰も行かないはずだべ)

(…………)


この時、葉隠の頭にある邪な考えが浮かんだ。


(二人には悪いが、この際しらばっくれちまうか? 俺が捕まってもどうせ二人は生き返らねえんだ……)

(……いや! 毒を食らわば皿まで! この際徹底的に否認してやるべ!!)


(俺は……俺は絶対に逃げ切ってやるからな!!)




901 ◆takaJZRsBc2015/08/07(金) 13:44:29.10WWSFAbdV0 (3/6)


この時、葉隠が少しでも反省して今の状況を振り返っていれば、彼はある重要な事実に
気が付いたはずであった。しかし、彼は持ち前の保身と自分への甘さで逃げることを選択した。

このことが、裁判に余計な混迷をもたらすこととなるのである。


ピンポーン。


「! だ、誰だ?!」


心臓が早鐘のように鼓動する。


(落ち着け……俺がやったなんて証拠はないはず。目撃したセレスっちも口封じに刺しちまったし……)

「逆にここで俺が出なかったら変に思われるべ。ここは冷静に、冷静にだな……」


葉隠は深呼吸していつもの軽薄な笑みを浮かべると、ドアを開けた。


「おー、誰だー?」

「……我だ」

「オォォガアアァアアァァアアアッ?!」


ギョッとして反射的にドアを閉めようとするが、桑田が割って入るのが早かった。


「葉隠。俺達さ、おめーにちょっと聞きてーことがあんだけど」

「ない! ない! 俺から話せることはなんもねえべ!!」

「この反応……なあ」

「……どうやら、この男が重要参考人なのは間違いなさそうだな」

「なんのことだべ?! 俺はなんにも知らねえ!」


その時、タイミングの悪いことにあの悪夢のようなアナウンスが流れた。




902 ◆takaJZRsBc2015/08/07(金) 13:50:35.20WWSFAbdV0 (4/6)



『ピンポンパンポーン! 死体が発見されました。一定の自由時間の後、学級裁判を開きます!』


「!!」


「あ、あぁ……」

「山田……マジかよ……」


一瞬呆けた顔をし、力が抜けていく桑田をKAZUYAの代わりに叱咤したのは大神だ。


「待て、冷静さを失ってはならぬ。一度は死んだが蘇生した不二咲の例もあろう!」

「……そう、そうだな。落ち着け、落ち着け俺!」

(決めつけはやめろ……俺だって前に似たようなことがあったんだ)


桑田は自分に言い聞かせるように呟き、大きく息を吸い込む。


「……俺達はおめーの身柄を確保するためにきたんだよ」

「だからなんでだべ?!」


自分でも白々しいと思いながら葉隠は抵抗を試みようとする。しかし、どだい無理な話だ。
何せ相手は哺乳類ヒト科最強、オーガこと大神さくらと天才アスリート桑田である。


「なんでって、セレスがおめーに刺されたって言ったんだよ!」

「……!」


生きていたのか!と、葉隠の中に安堵と絶望の気持ちが同時に湧き上がる。
それでも逃げなければ、と半ば本能のように葉隠はうわ言めいて否定を繰り返す。





903 ◆takaJZRsBc2015/08/07(金) 13:55:51.87WWSFAbdV0 (5/6)


「違う……俺じゃない……」

「……おめーがやったのか? 山田も?」

「し、知らねえ……俺は、なにも……」

「舞園の件もある。お主にも言い分があろう。故に、お主を見張るため我が遣わされたのだ」

「手術が終わったらせんせーがいろいろ聞きに来ると思うから、おめーはしばらく頭冷やしとけ」


だが、大神は一瞬思案顔をして桑田を振り返った。


「桑田、見張りは我一人で問題ない。お主は他の者を手伝いに行くといい」

「そりゃ大神なら一人でも十分だろうけどさ。俺が行ってもたいして役に立たねーし……」

「いや、お主は保健室の内部によく通じているし応援だけでもしてやれ」

「応援って……」


いらないだろ、という視線に大神は首を横に振る。


「西城殿の性格を考えれば、恐らく執刀は苗木か石丸にやらせるはず」

「いやいやいや、いくらなんでも……」

「……そういや先生、前に自分の体を切り刻ませてたぞ。練習っつって。頭おかしいべ」

「マジか……」


保健室の隅にこっそり置いてあった血まみれの包帯が頭をよぎった。確かに、KAZUYAならやりかねない。




904 ◆takaJZRsBc2015/08/07(金) 14:01:28.05WWSFAbdV0 (6/6)


「わかった。俺はなんもできねーけど、あいつらがテンパった時に
 横で落ち着けって言ったり励ますくらいならできるしな。行ってくる!」


ガチャッ! バタン!


「…………」

「…………」


桑田が去ったことにより、より一層重い空気が二人にのしかかる。


「……なあ」

「今は何も言うな」

「でもよ……」


沈黙に耐え切れず、葉隠は誰にともなく呟いた。


「……なんで、こういうことになっちまうのかなぁ?」

「我が聞きたいくらいだ」

「オーガ?」

「…………」


苦い顔をしたまま彼女はジッと虚空を睨んでいる。

それ以降、大神は一言も話さなかった。




9051携帯2015/08/07(金) 15:09:58.38cPp0uOtDO (1/1)


ここまでって書き忘れた。ここまで!

あと今週はお休みです。裁判詰まってるのでしばらく亀更新かも。では





906以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/07(金) 15:35:24.90C5poHC/AO (2/2)

乙です


907以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/07(金) 16:46:51.84Dc2d3+PFO (1/1)

乙だべ!


908以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/07(金) 17:28:50.385KepVRI2o (1/1)

乙です


909以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/07(金) 19:35:48.97FadRcbg4o (1/1)

男の個室に女子と二人きり…


910以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/07(金) 19:55:21.55nn9+oqlLO (1/1)

隣にいるのが

http://i.imgur.com/oE75wG5.jpg

の頃のさくらちゃんなのか

http://i.imgur.com/ukQwpF1.jpg

のオーガちゃんなのかによって

女の子かどうかは大きく変わってくると思うの


911以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/07(金) 22:41:08.50NdZHvp700 (1/1)

乙です!
さくらちゃんはいつだって可愛い女の子です(断言)


912以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/10(月) 07:37:53.40eK4PcYVAO (1/1)




913以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/11(火) 21:45:58.3509XAXyaAO (1/1)




914以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/12(水) 15:09:00.61+oUBGtSAO (1/1)




915以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/13(木) 14:03:44.57cAg0ZiF+0 (1/1)


葉隠は正直だしウソついてもバレバレだし小心者だし

ホント萌えキャラだべ


916以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/14(金) 12:39:51.99eeNddygAO (1/1)

乙です


917以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/15(土) 11:34:55.629curAI4AO (1/1)

乙です


918以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/16(日) 11:09:33.93Tj6bcI+AO (1/1)

乙です


919以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/16(日) 14:09:58.060TQASRVdO (1/1)




920以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/17(月) 07:48:18.13HRDj2lCAO (1/1)




921以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/19(水) 07:35:07.77VoZVJ+OAO (1/1)

乙です


922以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/20(木) 15:56:19.979olGj6GAO (1/1)




923 ◆takaJZRsBc2015/08/21(金) 00:45:56.03j+af7TPq0 (1/5)


               ◇     ◇     ◇


そして再び舞台は保健室へと戻る。


桑田「犯人、葉隠だろ?」

大和田「本当か?!」

舞園「葉隠君が……?! 嘘ですよね?」

K「安広は気絶する前確かに葉隠に刺されたと言った。それで事情聴取のため身柄を
  確保しようと桑田と大神を葉隠の部屋に行かせ、現在は大神が一人で見張ってくれている」

霧切「だから大神さんは手術中一度も姿を見せなかったのね」

K「そうだ」

十神「奴らしいつまらん結果になったな。まあ、どうせ計画性のカケラもない衝動的な犯行だろう」

苗木(葉隠君の場合、絶対ないって言い切れないのが辛いよな……)

大和田「あいつ、刃物ぶん回してた時もあったしな……」

石丸「信じたくはないが、被害者であるセレス君の証言があるのならほぼ確定と見ていいだろう」

舞園「葉隠君、大丈夫でしょうか。自棄を起こして自殺したりとか……?」


経験者だからだろうか。青ざめた舞園の言葉は真に迫るものがあった。


十神「問題ない。ああいう輩は人を傷付ける度胸はあっても自分を傷付ける勇気はないからな」

K「そういう言い方をするな。あいつは臆病だ。きっと、臆病過ぎるが故に問題を起こしたのだろう」

モノクマ「うぷぷ……」




924 ◆takaJZRsBc2015/08/21(金) 01:00:25.47j+af7TPq0 (2/5)


この時点でKAZUYAは知る由ももないが、実際その通りなのであった。
葉隠の臆病さ、そして過度の保身が結果的にこの事件を引き起こす切欠となったのである。

生徒の特性をよく把握するモノクマにとって、葉隠は利用しやすい駒であったのだ。


十神「どうだか。貴様等が知っているかは知らんが、あの男は本当にどうしようもない奴だぞ?」

石丸「十神君! 仲間の悪口を言うべきではないぞ!」

十神「フン。犯罪者を仲間扱いすることについて今更どうこう言うつもりもないが、奴の
    お陰で俺達はまた学級裁判の脅威にさらされるんだ。恨み事の一つくらい言わせろ」

大和田「まあ……確かにあいつ、ちょっと問題あるところもあったしな」

桑田「ぶっちゃけいつかトラブル起こすとは思ってたわ。まさか殺人未遂だとは思わなかったけど……」

モノクマ「つまり今回の裁判は葉隠君の公開糾弾会になる訳だ。いいねぇ! 非常にそそられるよ!
      楽しい疑心暗鬼や激しい議論こそないものの、セレスさんは鬼のように責めるだろうし!」

苗木「そうやってまた僕達の結束を乱すつもりなんだな!」

モノクマ「乱すって何を? 風紀? 敵が一人いれば残りは結束するんだよ?
      むしろオマエラにとって願ったり叶ったりじゃないの!」

K「ふざけるな! そんな歪な結束はかえって不和の元だ!」

不二咲「それに葉隠君の言い分も聞いてあげようよぉ。何かあったのかもしれないし……」

霧切「相手がセレスさんだから厳しいけど……正当防衛の可能性もなくはないわね」

K「俺達は何よりもまず事件の状況を確認し、正確に把握する必要がある。憶測で語るべきではない」

モノクマ「ま、そのへんは自分達で捜査してよ。そのための捜査時間なんだから」

K「しかし、安広は腹部を刺されている。裁判への出席はドクターストップをかけさせてもらうぞ」

桑田「ドクターストップ、ってことは欠席か」

モノクマ「ハア?! 冗談じゃないよ! 久しぶりに面白そうなものが見れそうなのに!」




925 ◆takaJZRsBc2015/08/21(金) 01:07:33.34j+af7TPq0 (3/5)


苗木「ふざけるなよ! セレスさんと葉隠君をぶつけて潰し合わせる気なのはわかってるんだぞ!」

K「――いや、俺は裁判の延期を提言する」

舞園「先生?」

K「安広には出席して意見を言う権利がある。俺達が口を挟む問題ではない」

桑田「……まあ、そりゃそうだな」

モノクマ「延期ぃ? ボクは別に構わないけどさ、日にちが経てば経つほど記憶は
      曖昧になっていくものだし、また誰かさんが余計な横槍入れるかもよ?」

大和田「横槍なんていれようがねえだろ。犯人は葉隠で決まりなんだからな!」

K「……いや、待て。そうとも限らん」

石丸「しかし先生! セレス君の証言もありますし……」

霧切「セレスさんを刺したのが葉隠君でも、山田君を襲ったクロも葉隠君とは決まってないわ」

石丸「何だとっ?!」

霧切「今回の裁判で暴かなければいけないのはあくまで【山田君を襲った犯人】よ。
    セレスさんの事件とは切り離して考えるべきだわ」

舞園「まさか……別の誰かが?」

不二咲「そんな……」


KAZUYAは回想する。倒れ込んだセレスに駆け寄った時、彼女が何と言っていたか。


セレス『葉隠君に……刺されました……』

セレス『まだ、娯楽室に……山田君が……』


K「…………」




926 ◆takaJZRsBc2015/08/21(金) 01:16:42.33j+af7TPq0 (4/5)


K「俺が安広から聞いた言葉は『葉隠に刺された。娯楽室に山田がいる』だけだ。
  山田が葉隠に襲われた、とは聞いていない」

十神「つまり、平然とした顔でクロがこの場に紛れ込んでいる可能性もある訳だ?」

桑田「その場合オメーが一番怪しいんだけどな!」

霧切「真相を明らかにするために一刻も早く捜査をする必要があるわね」

不二咲「でも、証言とかはセレスさんの体調が落ち着くまで待ってあげたいなぁ……」

K「三日だけ裁判を待ってくれないか。ナイフが小振りだったからか、幸い安広の腹の傷は
  そこまで大きくない。三日あれば、なんとか裁判に参加出来る程度には回復する見通しだ」

K「……仮に山田が助かるとしても、恐らく数日は目を醒まさんだろう。だから裁判には支障ない」

モノクマ「三日ね。いいでしょう。ボクは気が長いから待ってあげるよ」

K「…………」

K(やけに素直だな……何かあるのか?)

十神「冗談じゃない。現場の見張りはどうする? 交代で寝ずの番でもさせる気か?」

大和田「しょうがねえだろ! 犯人が証拠隠滅しちまったらまずいしよ」

十神「原人並みの知能しかないお前達はもう忘れているかもしれんが、容疑者の葉隠の
    見張りもしないといけないんだぞ? 一度に何人必要か計算出来るか?」

K「ムゥ、確かに安広、山田、葉隠と三人も同時に抜けてしまうからな……」

舞園「西城先生は保健室から離れられませんし、現場に二人、葉隠君に二人だとして……
    三回に一回順番が回ってくる計算ですね。大変ですけど、出来なくは……」

桑田「たりーけどやるしかねえだろ」

十神「無意味だろ。捜査時間自体は本来短いはずなのに、余計な時間も見張りをさせるとは」

苗木「まあ、それはもっともな意見だと思うけど……」

石丸「みんな我慢するのだ! 十神君も我慢したまえ!!」

モノクマ「もう、しょうがないなぁ。……じゃあ今回だけは特別ルールとさせてもらうよ」

「特別ルール?」




927 ◆takaJZRsBc2015/08/21(金) 01:24:46.42j+af7TPq0 (5/5)


短いですがここまで。


【報告】

そろそろ裁判が煮詰まってきました。クッソ長くなりそうな予感です
コトダマが全て出揃い次第捜査編を書き溜めします。

恐らく次スレの半分以上は捜査編と裁判で埋まるはず。
もうしばらく亀更新ですがお許しを。それでは




928以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/21(金) 01:31:11.09zUpiFOiDO (1/1)

乙です


929以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/21(金) 02:38:05.36PhRJh0TpO (1/1)

乙だべ!


930以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/21(金) 07:35:42.54gnRu9k+AO (1/1)

乙です


931以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/22(土) 08:17:39.83ljfvWVBAO (1/1)




932以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/23(日) 19:07:43.95Pz6nZv3AO (1/1)

面白でした乙です


933以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/23(日) 22:59:11.43Ysa+Qar3O (1/1)

甲乙閉廷乙


934以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/25(火) 20:14:27.688uKH0p9AO (1/1)




935以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/08/27(木) 07:32:23.21XM+heu3AO (1/1)




936以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/03(木) 01:33:30.17y6fWvWOXO (1/1)

待ってるよ


937 ◆takaJZRsBc2015/09/07(月) 00:13:28.165FDC/fiO0 (1/9)


               ◇     ◇     ◇


朝日奈「遅いね……二人共大丈夫かな?」


煌々と明かりが灯っているものの、どこか暗さを感じさせる娯楽室に三人の少女はいた。
最初は入り口付近に立っていたのだが、今はソファに向き合って座り俯いたり壁を見つめている。


江ノ島「あの西城が手術するんだから大丈夫っしょ」

腐川「それより、一体いつまでここにいなきゃなんない訳……!
    血の臭いはするわ、薄気味悪いわ。一刻も早く戻りたいものね」

朝日奈「本当だったら今頃楽しいパーティーだったのに、なんでこんなことになっちゃったんだろう……」

江ノ島「そんなの、誰かが山田とセレスを襲ったからに決まってるじゃん」


朝日奈の弱音に、イラついたような呆れたような口振りで江ノ島は言い捨てた。


朝日奈「それはわかってるけど……」

腐川「元気と胸の大きさしか取り柄のないバカが湿っぽい顔するんじゃないわよ。
    ……どうせ後で嫌と言うほど険悪な空気を味わう羽目になるんだから」

朝日奈「わかってるよ。……というか、元気と胸しか取り柄がないって酷くない?!
     バカなのは否定しないけどさ!」

江ノ島「そこは否定しなよ……あ、そういえばアタシも言いたいことあるけど
     人を汚ギャル扱いするのやめてくんない? あんたよりよっぽど清潔にしてるし」

腐川「そうかしら? ……あんた、自分のやりたいことのためなら
    一週間くらい普通にシャワー浴びなさそうな顔してるわよ」

朝日奈「えっ?! そうなの?!」

江ノ島「ちちち、違うよ! 確かにちょっとホームレス生活してた時はあるけど、
     それは特別な時で普段はちゃんと入ってるし!」

朝日奈「ホームレス生活って……」




938 ◆takaJZRsBc2015/09/07(月) 00:18:14.995FDC/fiO0 (2/9)


言い訳をしたつもりが墓穴にしかなっておらず、朝日奈が引いた顔で見ている。


腐川「フン、どうかしらね。なんにしろ、よりによって運動バカと頭も尻も軽くて化粧が濃くて
    ただ派手なだけのギャルと一緒に待たされてるこちらの身にもなってよね……!」

朝日奈「言い方変えたらかえって悪口増えた?!」

江ノ島「あ、あんたねぇ……!」


反論しようとしたが、江ノ島は言葉が浮かばず黙り込んだ。作家なだけあって口では腐川に敵わないのだ。
しかし、そんな江ノ島の様子には少しも拘泥せず、腐川は腐川で悔しそうに溜め息をつく。


腐川「ハァ……血液恐怖症さえなければ、西城が格好良く手術している姿を見られたのに……」

朝日奈「あれ? 腐川ちゃん、もしかしてKAZUYA先生のこと好きなの?」

腐川「ば、ば、馬鹿言ってんじゃないわよ! あたしはいつだって白夜様ラブに決まってるでしょ!
    白夜様の魅力を書かせたら文庫本十冊でも足りないわ。シリーズ化して捧げたいくらいよ!」

朝日奈「十神なら拒否しそうだけど……」

江ノ島「つーか、そこまでやったらむしろ高度な嫌がらせじゃない?」

腐川「ただ、そうね……西城には色々してもらったし二、三冊なら書いてあげてもいいわよ?」

朝日奈「それ好きじゃん! すごい好きだよ!」

腐川「えっ?! べ、別にそんなんじゃないわよ……? マッチョも悪くないかな、なんて
    思ってないから。あの有り得ないマントも別に格好良く見えてきたりなんてしてないし」

江ノ島「あ、あんた……しっかり毒されてるよ! なに? もしかしてツンデレってやつ??」

腐川「ええええっ?! ちちち違うわよ!」


ガチャッ。

その時、扉を開けて二人の人間が室内に入ってきた。


大和田「騒がしいな……」

霧切「…………」




939以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/07(月) 00:29:24.915FDC/fiO0 (3/9)


江ノ島「あ、大和田じゃん!」

朝日奈「霧切ちゃんも!」

大和田「女が三人集まればなんとかって言うけどよ、事件があった直後だぞ?」

朝日奈「あ、ごめん……不謹慎だったね……」

大和田「あー、いや、責めてるワケじゃねえ。俺達が落ち込んだってどうしようもねえしな……」


大和田は気まずそうに頭を掻く。


腐川「そ、それで? 二人はどうなった訳?」

霧切「大和田君、説明は任せるわね」スッ

大和田「おう」


三人の対応を大和田に任せ、霧切は血が散乱する床に屈みこんだ。


江ノ島「なにやってんの?」

霧切「私のことは気にしないで。大和田君が説明してくれるから」

朝日奈「二人とも大丈夫だった?」

大和田「セレスは問題ない。ただ、山田がな……」

江ノ島「山田が、なに?」

大和田「昏睡状態だ。今回ばかりは目を醒ますか醒まさねえのかセンセイにもわからねえらしい」

朝日奈「そんな……」

大和田「突然急変して死ぬかもしれないし、逆に二、三日すれば普通に目を醒ますかもしれねえ、
     だそうだ。……ただその場合も後遺症があるかもしれねえらしい。とにかくかなり悪い」

腐川「じゃ、じゃあ一生昏睡状態ってことも……」

大和田「――ないとは言えねえ」

「…………」




940 ◆takaJZRsBc2015/09/07(月) 00:35:44.275FDC/fiO0 (4/9)


三人とも沈黙した。室内では、霧切が作業する何らかの音だけが聞こえる。


江ノ島「ねえ。モノクマはなにか言ってた? 今回の学級裁判はどうなるの?」

腐川「嫌なこと思い出させんじゃないわよ! ……そ、そうよね。
    あのアナウンスが鳴ったんだから、やっぱり裁判するのよね……」

朝日奈「また捜査しなきゃいけないんだ……」

大和田「そのことなんだが、いっぺん引き上げて来いって話だ」

腐川「ハァ?! 現場保全はどうすんのよ……!」

大和田「怪我人とか具合の悪いヤツが多すぎてまともに捜査できねえから、
     今回だけ特別措置としてしばらく三階ごと封鎖するんだってよ」


大和田はモノクマの提示した特別ルールについて説明した。


『特別ルール?』

モノクマ『そう。すなわち、セレスさんが裁判に復帰出来る三日後まで
     【三階ごと事件現場を封鎖】します!』

K『成程。現場のある三階に行けなければ証拠を隠滅することは出来なくなるからな』

苗木『だけど、もし三階以外に証拠があったらどうするんだよ』

モノクマ『知らないよ。どうせ学園全部に見張りを置くなんて出来ないんだしさ』

霧切『そうね。それは私達で対処していくしかない。仮に証拠を隠滅しても、
    ここが密室である以上隠滅したらしたで何かしら別の痕跡が残るはず……』

不二咲『あ、でも……もし証拠が時間経過で消えるものだったら……』

十神『完全犯罪になるな?』

桑田『おいお前! 犯人助けるためにそんな提案したんじゃねーだろうな!』

モノクマ『ショボーン。ボクって信用ないなぁ。ゲームに対しては公平なつもりなんだけど。
      じゃあ、封鎖するまで少し時間をあげるから今調べてきたら?』

舞園『三日間見張り続けるのは大変ですし、そうするしかないみたいですね……』




941 ◆takaJZRsBc2015/09/07(月) 00:41:46.775FDC/fiO0 (5/9)


モノクマ『まあ、三日後にまた改めて捜査の時間は取るよ。つまり今回は
      前回よりも余分に捜査出来るという訳です! ボクって太っ腹~!』

石丸『ならば文句も言えない、か……』


こうして、最低限の捜査を済ませたら三階は封鎖するということになった。


江ノ島「モノクマがそんなこと許したの?!」

朝日奈「え? でも、証拠とか消えたりしないかな?」

大和田「それで、少しでも見落としが少なくなるように今霧切が調べてんだよ。
     ちなみに他のヤツらは別の部屋を手分けして調べてる最中だ」

霧切「…………」

大和田(兄弟は全員で娯楽室を調べた方がいいって言ったんだが、ジャマだって
     一蹴されちまったんだよな……センセイも霧切のことを信頼してるみてえだしよ)

朝日奈「そっか。霧切ちゃんて前の裁判の時も活躍してたし、捜査とか得意そうだもんね」

大和田「とにかくモノクマが、山田はともかくセレスは絶対に裁判に
     参加してもらうって言ってたしな。葉隠も年貢の納め時ってヤツだ」

腐川「は? どういう意味よ?」

大和田「わかんねえか? セレスは犯人に刺された後自力で保健室まで逃げてきたんだぜ?」

朝日奈「あ、もしかして!」

江ノ島「犯人の顔を見てるってこと?!」

大和田「そうだ。セレスは葉隠に刺されたって言った。……山田はまだわからねえがな」

江ノ島「じゃあ山田を襲った犯人も葉隠で決まりじゃん!!」

腐川「あのバカ! いつかやらかすと思ってたわよ……!」

朝日奈「許せない!! 絶対葉隠が犯人だよ!!」

大和田「えーっとだな……」




942 ◆takaJZRsBc2015/09/07(月) 00:49:20.725FDC/fiO0 (6/9)


まだ確定した訳ではないと念を押されたものの、大和田自身葉隠を強く
疑っていたのではっきり否定は出来ないのだった。そこに凛とした声が割って入る。


霧切「まだ決まった訳じゃないわ」

朝日奈「霧切ちゃん! でも……!」

霧切「葉隠君が今回の事件で大きな問題を起こしたことはまず
    間違いないことだけど、それだけで全て決めつけてしまうのは早い」

腐川「でも、セレスを刺したのは確実なんでしょ?」

霧切「…………」


そう問われると、霧切は顎に手をやったまま無言で考え始める。


朝日奈「絶対葉隠だって! ひどい……女の子を刺すなんて許さない!」

大和田「まあ、そうだよな。あの野郎、タダじゃおかねえ……!」

江ノ島「サイッテーだよね!」

霧切「その辺にしておきなさい。モノクマの思う壺よ。モノクマは
    今回の裁判を葉隠君の公開処刑裁判にしたいみたいだから……」

腐川「望む所だわ! 前々からアイツに色々言いたいことがあったのよ……!」

霧切「…………」


霧切は密かに溜め息をついた。日頃の行動というのは大事だ。
彼女自身、葉隠を庇いきることは出来ないし、そこまでの義理もないと考えてしまうのだから。

――果たして、今度の裁判はどうなってしまうのだろうか。そして葉隠に未来はあるのか。


               ◇     ◇     ◇


一方、大神に進捗を伝えるため桑田と舞園は葉隠の部屋に向かっていた。


舞園「あれ、大神さん?」

大神「ム、桑田に舞園か」




943 ◆takaJZRsBc2015/09/07(月) 00:57:34.595FDC/fiO0 (7/9)


何故か大神は葉隠の部屋の前の廊下に立っていた。


桑田「おい、見張りはどうしたんだよ?」

大神「……いや、少し一人にして欲しいと葉隠に言われてな。奴も整理したいのだろう。
    安心せよ。鍵は我が持っているから、中にはいつでも入れる」

舞園「一人にして大丈夫ですか?! 自殺したりとか……」


舞園の焦りは経験者らしい心配であった。


桑田「大丈夫だろ。あいつ、そんなことできるタマじゃねーし」

舞園「一応メモを持って来たんですが、正解だったかもしれないですね……」

大神「メモ?」


話しながら舞園はメモをドアの下から差し入れた。


舞園「はい。とにかく今は葉隠君を落ち着かせることを最優先にした方がいいと思って」

舞園「きっと今、凄く混乱してると思いますから……私達は怒っていないということと、
    なるべく早くみんなに謝った方があなたのためにも良いと説得します」

大神「まずはお互い冷静にならねば話にならんからな。こんな状況の時にみんなで
    責め立てれば動転して何をしでかすかわからん。また暴れられてはたまらぬ」

桑田(否定できねー……)

桑田「ま、あいつはムリヤリ引っ張り出すよりも安全地帯にいた方が冷静に
    なれるタイプだと思うし、問題は他のヤツらじゃねーの?」

大神「……そうだな」

舞園「葉隠君については、みんなにちゃんと謝れるよう私と大和田君で誘導します」

大神「大和田もか。……そうだな、あやつが一番今の葉隠のことをわかっているだろう」

舞園「はい。何があったかまではわかりませんけど、葉隠君も後悔してると思いますし」

桑田「そもそもなんであんなバカなことしちまったんだ? 金に目がくらんだにしても、
    なにも二人も襲わなくたっていいだろーに……」




944 ◆takaJZRsBc2015/09/07(月) 01:05:46.655FDC/fiO0 (8/9)


舞園「詳しい事情はセレスさんが話してくれると思います。彼女は全て知っているはずなので」

桑田「セレス待ちか。とりあえず、それまでどうするよ?」


話していると、ドアの下からメモが出てきた。


大神「ム! 葉隠から反応があったぞ!」

桑田「なんだって?」

大神「まだ心の準備が出来ていない。すまないが時間をくれとのことだ」


印刷物のように綺麗な葉隠の文字が、今回ばかりは多少乱れていた。
だが、かつての舞園の文字に比べれば大分マシではある。


舞園「……とりあえず、自棄を起こしたりはしなさそうですね」

大神「逃げようにも逃げ場がないのだ。如何にあやつが往生際の悪い男でも腹を括る他あるまい」

朝日奈「さくらちゃーん!」

大神「朝日奈か」


廊下を曲がって朝日奈が駆け寄ってきた。


朝日奈「手術の間もずっと見張ってたんだってね。お疲れさま」

大神「朝日奈達は現場の見張りをしていたそうだな」

朝日奈「うん、もう終わっちゃったけど。さくらちゃんは?」

大神「交代時間までここで葉隠を見張る。……今日は長い一日だった」

朝日奈「……そうだね」

桑田・舞園「…………」

桑田(あーあ、折角最近はいい空気だったのにな。これでまた険悪になるのか……)

舞園(モノクマさん、本当に手強いです。本当に……)


こうして見張りの大神と桑田を残して彼等は解散し、一度各自の部屋に戻った。




945 ◆takaJZRsBc2015/09/07(月) 01:13:12.745FDC/fiO0 (9/9)


ここまで。いよいよ後がなくなってきた……

今数えてみたら、コトダマは前回の倍以上ありますね
捜査編を書き終え次第スレ立てしてそちらで再開します。
このスレの余りは以前リクエストされた番外編でも書こうかな

それでは、半月後くらいに……




946以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/07(月) 02:11:48.21qZQrpk/to (1/1)

突然の「さくらちゃーん!」で何故か笑ってしまった。


947以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/07(月) 11:37:38.91GFEPr2cbo (1/1)

乙です


948以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/07(月) 18:37:43.42CpxiZNbrO (1/1)

乙だべ!


949以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/12(土) 22:33:00.20O5e29rvE0 (1/1)

乙です!
そろそろ裁判…ドキドキするな。
犯人はヤス。そうに決まってるべ。
(読み返してて部屋にインターフォンついてなかったはずとか思ったなんて言えない)


950以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/12(土) 23:00:45.08pwVaw0jAO (1/1)

>>949

別に言う必要ないだろ


951以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/12(土) 23:22:02.28fhdURGAoo (1/1)

今確認したけどインターホンついてるよ。防音なのにインターホンなかったら
呼び出す時に毎回ドアノブをガチャガチャしなくちゃならん


952以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/13(日) 06:06:26.07zS88h2xfo (1/1)

付いてるんだけど、忘れてるのかアホの子なのかちょいちょい使わないシーンがあるんだよな


953以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/13(日) 14:28:01.83FW0/L5lto (1/1)

原作の話?それとも特定のキャラ?


954以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/14(月) 16:17:39.13w48ewO+AO (1/1)

霧切さんが火傷の跡を治すなんてな、この霧切さんは原作よりメンタル弱そうやわ


955以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/14(月) 17:18:55.06E4vaIux7o (1/1)

自分が78期生なら、生活5日目くらいまでに某風紀委員の襲来がうざくてインターホンの電池抜くから、使わない気持ちは分からなくもない


956以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/14(月) 17:28:05.99/OGU1ilmo (1/1)

>>954
風呂の時まで手袋してるってことは本当は治したいんじゃないの。自分の中で消化出来てるなら
そこまで必死に隠さないと思うし。苗木に隠し事されてブチ切れたり、結構子供っぽいとこあるよ霧切さん


957以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/14(月) 17:49:01.67rdpEgE+Xo (1/1)

治す、って決めたのはむしろ成長だろう


958以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/16(水) 21:55:48.5657jpMArAO (1/1)

戒めとして治してなかったのにねぇ成長とは思えない


959以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/16(水) 22:45:44.15r3S/17C9o (1/1)

お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな


960以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/16(水) 23:03:13.301h2DOUuPo (1/1)

>>957
生涯夫以外の人間に見せることはないだろう、て言ってたのにカズヤには見せた訳だから
カズヤをそのくらい心から信頼出来たってことだし、過去と決別出来たんだろうな


961以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/18(金) 03:01:48.69cNV+gu84O (1/1)

Kが妻を娶るとしたらキリギリさんだろうな
僕は妹様ください


962以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/22(火) 15:16:36.463QA0YQVAO (1/1)

>>961

無駄な事書きこまないでくださいね


963 ◆takaJZRsBc2015/09/22(火) 23:56:56.49A9q9P+oG0 (1/1)


やっと……完成した……

まだノンストップ議論とか甘い所もあるけどコトダマは出揃った。
これから捜査編の書き溜めをしてきます。あともうちょっと……




964以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/23(水) 00:42:42.087NvoJ+1ZO (1/1)

乙ー


965以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/28(月) 13:39:42.00MKpj7IMr0 (1/1)

そろそろ次スレを・・・。


966以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/28(月) 14:48:26.02QtJcJdLaO (1/1)

次スレタイトルは筆者が決めちゃっていいと思うの


967以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/09/30(水) 19:59:01.75gwluXUAAO (1/1)

場合によっては山田死んでしまうん?


968 ◆takaJZRsBc2015/10/07(水) 01:01:30.63gdFl4fHb0 (1/1)

一ヶ月も更新しなかったの初めてな気がする


次スレ立てましたー

モノクマ「学級裁判!!」KAZUYA「俺が救ってみせる。ドクターKの名にかけてだ!」カルテ.6
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444145685/


いよいよこのSSも折り返しということでスレタイ起用は初心に帰りモノクマとKAZUYA先生

ちなみにボツになったスレタイはこちら……

モノクマ「学級裁判開始!どうするドクターK?!」KAZUYA「救えるのか、俺は…」カルテ.6

これから裁判だって言うのに暗すぎテンション低すぎなのでボツに
このスレの残りは番外編を投下していくので埋めなくて結構です。
ではまた次の投下でお会いしましょう!




969以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/07(水) 01:21:21.57OObMwEcRo (1/1)


モノクマは邪悪というか不敵な感じがあったら良かったな


970以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/07(水) 01:26:35.98pW2Grtmi0 (1/1)


まだ折り返しなのか


971以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/07(水) 13:13:14.91pP0jhaxGo (1/1)

新スレ乙です


972以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/10/08(木) 04:30:01.0805m2rktsO (1/1)

ラグビー日本代表とこのSS応援してます


973 ◆takaJZRsBc2015/11/09(月) 02:26:42.54JeqRkt620 (1/1)

>>969
全ては文字数制限のせいなのです。モノクマ、KAZUYA、ドクターK、カルテ.6を入れるだけで
半分以上消費してしまうので、モノクマにかっこいい台詞を言わせるとKAZUYAが短い鬱台詞しか
言えなくなってしまい、最近の戦う雰囲気とそぐわない感じになってしまうかなーとボツに

あとせっかく学級裁判開くのでスレタイに学級裁判て単語を入れたかったというのもあります。

>>970
折り返しというのはストーリー的な意味で、文章量的にはもう三分のニ以上来ているはず
二章三章が最長で、四章以降はそこまで長くならない予定




974以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/08(火) 08:35:47.75fBAeMngPo (1/1)

保守


975以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/12/22(火) 20:48:14.50fWxn2FE40 (1/1)

捕手


976 ◆takaJZRsBc2016/01/03(日) 00:59:28.22XFRjnkQh0 (1/1)

まさか二ヶ月書いてないとは……不味いな。いっぺん保守
裁判前に投下したいものだ。とハードルを上げておく


977以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします2016/01/07(木) 11:38:04.92lxqpaZpeo (1/1)

楽しみにお待ちします!


978 ◆takaJZRsBc2016/01/16(土) 23:29:08.97Pwa3vmmV0 (1/3)


IF ③  ~ もし朝日奈が殺されていたら ~


『ピンポンパンポーン! 死体が発見されました。一定の自由時間の後、学級裁判を開きます!』


――鮮血。

保健室に戻った彼等の目にまず映ったのは、清潔な床に飛び散った夥しい量の血痕だった。
それが誰のものであるかは、赤い池の中央に横たわる人間を見れば一目瞭然である。


K「朝日奈……!!」

大神「朝日奈ァアアッ!!」


KAZUYAは絶句し、大神が絶叫をあげて倒れ伏す朝日奈に駆け寄った。
その側に、石像のように立ったまま動かない人間がいる。


大和田「おい……嘘だろ……」


枯れた声を絞り出すように大和田が呟いた。
その視線の先には、純白の学生服を血に染め右手にナイフを持ったままの石丸がいた。


桑田「なんでだよ……なんでお前……」

苗木「ち、違うよ……きっと何かの間違いだって……そうだよね、石丸君……?」

不二咲「そうだよ……だって……だって!」

モノクマ「結果を見なよ~。現に凶器を持ってるじゃーん!」


あまりにも場違いな、明るい声が割り込む。全員が声の主を睨んだ。


K「モノクマ……!」

モノクマ「最近の石丸君て現実と妄想がごっちゃになることがよくあったし、
      それでつい殺っちゃったんじゃないの?」

大和田「たとえ妄想でも兄弟は人を殺すヤツじゃねえだろ!」

モノクマ「でも現に死んでる訳ですしおすし」

霧切「……ねえ、モノクマ。あなたは石丸君が犯人だと言うの?」

モノクマ「はにゃ? それがどうかしたの?」




979 ◆takaJZRsBc2016/01/16(土) 23:41:51.96Pwa3vmmV0 (2/3)


霧切「おかしいわ。だってあなた、あれだけ学級裁判を楽しみにしていたじゃない。学級裁判の、
    特にお互いの疑心暗鬼を楽しんでいたあなたが、何故私達にあっさり答えを教えるの?」

「!」


霧切の視線は鋭い。全てを見透かすような目でモノクマを貫く。

……だがモノクマは動じなかった。事件が起こった以上、全てが手遅れなのだから。


大和田「そうだ! おかしいだろうが! 仕組まれてたんじゃねえのか?!」

モノクマ「別にボクは石丸君が犯人だなんて言った訳じゃないよ。
      ただ、状況を見たら明らかだよね?って言っただけ」

苗木「そんなの屁理屈だ!」

モノクマ「屁理屈を言ってるのは君達でしょ! プンプン。とにかく、ハイ。モノクマファイル」

K「俺達が何を言っても無駄か……」

モノクマ「そうだよ。とっとと捜査しなさい! キミ達が無為に過ごしてるその時間は
      誰かが過ごしたかった時間なんだよ! 時間を無駄にしない!」


そういうとモノクマは足早に去って行った。途方にくれた者達を残しながら……


K「……捜査を開始しよう」


絞り出すように声を出したのはKAZUYAだった。生徒達の辛さはわかっている。
だからこそ、最年長で大人のKAZUYAが彼等を導き背中を押してやらねばならなかった。


霧切「……そうね」

大和田「兄弟の無実を証明するんだ!」

桑田「ああ。石丸はこんなことするヤツじゃねーしな」

不二咲「石丸君、少し待っててねぇ……」

石丸「…………」


当の石丸は変わらず動かなかった。石像のようだ。




980 ◆takaJZRsBc2016/01/16(土) 23:50:16.92Pwa3vmmV0 (3/3)


大神「…………」


同じく、大神も硬直していた。俯いたまま、まとまらない思考に心を苛まれていた。


大神(……本当に石丸が朝日奈を? 我にはわからぬ……)


                    ╂


十神「フン、折角学級裁判が開かれたというのにつまらな過ぎる幕切れだったな」

江ノ島「あんたねぇ、人が死んでるんだよ!」


人が死んでさえいつもと変わらない様子の十神に江ノ島が突っ掛かる。
普段だったらその役目は朝日奈だったはずだ。


大和田「兄弟が犯人だって決まったワケじゃ……」

十神「じゃあ、本人に聞いてみるか? 犯行現場で凶器を持ったまま突っ立っていたその男に。
    そいつが犯人でないなら真犯人を目撃したはずだ。――どうせ、何も言わないだろうがな」

石丸「…………」

桑田「おい石丸、なんか言えよ! お前犯人じゃねーんだろ!」

大和田「兄弟! 頼む!」

不二咲「石丸君……!」

石丸「…………」

葉隠「なんも言わないってことはやっぱり石丸っちが犯人だべ!」

セレス「葉隠君の意見に同意するのは癪ですが、わたくしも同意見ですわ」

山田「状況証拠が揃っちゃってますしねぇ。気持ちはわかりますがいささか往生際が悪いかと」

大神「……もしや、またジェノサイダーでは?」


ギロリと大神は睨む。現在腐川は血まみれの死体を見て人格が切り替わりジェノサイダーとなっていた。


ジェノ「ああん、あたしぃ? 確かにあたしは前科あるけどよ、二度もヘマするほど三流じゃねえのよ!
     カズちんにもここでは大人しくしろって言われちゃったしね。って言われて
      大人しくするようなあたしじゃないけど☆ ゲラゲラゲラゲラ!」

霧切「みんな、落ち着いて頂戴。ドクターが保健室を離れた時間はけして長くないわ。既に一度
    失敗しているジェノサイダーがそんな不確実な状況でもう一度犯行を犯すとは考えにくい」

舞園「そう、ですね。ジェノサイダーさん、こんなキャラですけど意外と頭が回るようですし」

ジェノ「意外とは余計だっつーのこの枕アイドル!」




981 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 00:05:37.489TNNEeQz0 (1/13)


モノクマ「誰に投票するか決まったぁ~? そろそろ投票タイムにしていい?」

桑田「おいおいおい、ヤベーって! まだなんもわかってねーぞ!」

大和田「十神……」

十神「なんだ、プランクトン」

大和田「……オメエがやったんじゃねえのか?」

十神「言うに事欠いてそれか。人を犯人呼ばわりするなら証拠を提示してからにしろ」

大和田「だったら言うけどよ! オメエもアリバイねえだろうが!」

十神「フン、それだけか? これだから愚民は……」

苗木「十神君はさ、図書室にいたんだよね? なら、先生と鉢合わせせずに殺せたんじゃないかな?」

十神「……馬鹿なことを言うな。言い掛かりも大概にしろ」

桑田「そうだ! 十神が怪しい! オメー前の事件であんなことやったしな!」

十神「いい加減にしろ……!! 根拠もない妄言で場を撹乱し、現実逃避か!」

K「…………」

十神「おい、さっきからだんまりを決め込んでるドクターK。貴様の見解を聞きたい」

K「俺は……」

桑田「せんせー!」

大和田「先公!」

K「俺には…………わからん」

十神「わからんだと? 貴様がここの議長ではなかったのか? 最年長がそれでは困るな」


十神は鼻で笑う。その姿がますます自分への憎悪を募らせるともわからずに。


K「石丸は……犯人ではないと思う」

セレス「思うでは困りますわ、先生。あなたはお医者様なのだから、それに基づいた見解をして頂かないと」

山田「そうですぞ。なんとなく、程度なら僕にだって言えます!」

K「いや、全く根拠がない訳ではない。ここにこの二週間の石丸の行動を詳細に記した俺のカルテがある」


KAZUYAが取り出したのは、もはやちょっとしたレポートと呼んでもいい分厚い紙束だった。


葉隠「そのカルテがなんだってんだべ?」

K「石丸の行動にはある程度の規則性が見られ、時にその法則から外れた変則的な行動……
  いわゆる錯乱状態に陥ったことは何度かあった」

江ノ島「じゃあ、やっぱそいつが……!」

K「……ただし、錯乱状態で暴れてもあいつは他人に危害を加えるような行動は取らなかった」

不二咲「石丸君……」




982 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 00:10:23.219TNNEeQz0 (2/13)


K「精神に異常をきたすと、周りの人間がみな自分を憎んでいるのではないかという被害妄想に
  陥りがちだが石丸にはそれが見られない。むしろ自分が周囲を傷付けているのではないかという
  重度の他害妄想に囚われており、自分を傷付けようという行動が頻繁に見受けられた」

大和田「ほら見ろ! 兄弟はおかしくなっても周りを傷付けるようなヤツじゃねえんだ!」

十神「貴様は馬鹿か? 他害妄想に囚われているなら、その妄想のまま
    他人を傷付けようと動いた可能性もあるだろうが」

セレス「どうなんですか、西城先生……?」

K「確かに、可能性という意味ではゼロとは言い切れんな……」

大神「……結局、真実はわからぬと言うことか」

K「すまない。俺の力不足だ……」

モノクマ「もうここまで来たら堂々巡りっしょ? 投票行っちゃうよ?」

大和田「ま、待ってくれ! 待ってくれえええ!」

桑田「――俺は十神に入れるぜ!」

十神「何だとッ?! 貴様言い掛かりで自分も死ぬ気か?!」

桑田「だってさ! だっておかしーじゃんか! 石丸は常に俺達の
    誰かと一緒にいたのに、どっからナイフなんて調達出来たんだよ!」

舞園「そ、そうです! この学園のどこにもあんなナイフはありませんでしたし、
    仮にモノモノマシーンに入っていたとしてもいつ手に入れたんですか!」

K(凶器の出所……?! しまった、盲点だった!)


KAZUYAはハッとする。彼は保健室に隠した凶器の数々を知っていたため、凶器の入手方法について
あまり疑問を持っていなかった。だが、生徒達にとってはそうではあるまい。


十神「保健室と購買部は近い。武器を調達しに購買部に行ったらたまたま手に入れたのだろう」

霧切「そんな偶然があるのかしら? 大体、朝日奈さんが精神不安定の彼を一人にする?」

大神「朝日奈は、ああ見えてとても責任感があった。フラフラ外へ出ようとする石丸を止めぬはずがない」

セレス「ですが、それを証明出来る本人はもういませんわ。あくまで仮定の話ですわね?」

「…………」

苗木「おかしい……絶対おかしいよ! もしかしてモノクマが関わってるんじゃ……」

モノクマ「タイムアーップ!!」

「なっ……?!」

モノクマ「それでは皆さん、お手元の投票スイッチを押してくださいな!」

大和田「ちょ、待てゴラアアア! まだ議論が終わってねえだろうがよ!」

桑田「そうだ! ふざけんな!」




983 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 00:18:20.939TNNEeQz0 (3/13)


モノクマ「議論が終わってない? ボクにはとっくに水掛け論になってた気がしたよ?」

霧切「待ちなさい! 不自然だわ。もう少しで何か糸口が……」

モノクマ「待ちません! もうボクは飽きたの! 飽きたったら飽きた! 投票しないとオシオキだよ!」

大和田「クソッ……」

K(いくらなんでもこんな横暴が通る訳がない。モノクマの様子がおかしいのは明白だ。恐らく、今回の
  事件にモノクマは何らかの形で関わっている。だが、それを証明する手段はこちらにはない!!)

K「……やむを得ん。投票しよう」

不二咲「誰に投票すればいいのぉ……?」

大和田「十神だ! 今度こそ本当に十神がやったんだ!」

桑田「俺も十神に入れるぜ! うさんくせーからな!」

十神「ふざけるなよ、単細胞ども……! 絶対に石丸だ!」

セレス「わたくしも、イメージだけで命を賭けるつもりはありませんわ。石丸君に入れさせてもらいます」

葉隠「俺もだべ。現場に凶器持ってるヤツがいたんだから普通に考えたらそいつが犯人に決まってる!」

山田「全ての状況証拠が石丸清多夏殿が犯人だと示しているのですよ!」

大和田「クソッ、どいつもこいつも……! オメエらはどっちだ?!」

苗木「僕は……十神君にするよ。石丸君が朝日奈さんを殺したなんて、僕にはどうしても思えないんだ」

舞園「私もです。だって……みんなでずっと見てたんですよ……?」

不二咲「十神君、ごめんね……僕、石丸君を信じたいんだ……」

江ノ島「あ、あんた達バカじゃないの?! そりゃアタシだって信じらんないけどさ、
     どう見ても石丸が犯人じゃん! アタシは石丸に入れるから!」

ジェノ「KAZUYAセンセには悪いけど、白夜様があー言ってるしあたしもきよたんに入れるわ。メンゴ」

桑田「霧切、大神……せんせー」

大神「すまぬ。我はやはり石丸に入れる。これだけ証拠が揃っている以上、石丸に入れざるを得ぬ」

霧切「……私は十神君に入れるわ。あまりに状況が不自然だもの。もしこの中に犯人がいるのならば、
    学園側にいた十神君にしか犯行は行えないはずよ。――この中に犯人がいるのなら、ね」

十神「で、ドクターK? 貴様は? まさか貴様までくだらんセンチメンタルに流される訳じゃないだろうな?」

K「悪いが俺もお前に入れされてもらう」


その言葉を聞いた瞬間、十神の眉間に深いシワが寄り額とこめかみに青筋が浮かんだ。


十神「いい加減にしろよ……! 貴様それでも教師か! 生徒を贔屓するのが貴様の本性な訳だな!!」

K「違う。わからないか? ――これで石丸と十神に対する票はそれぞれ七対七。同票だッ!!」

十神「!!」




984 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 00:26:08.269TNNEeQz0 (4/13)


十神はハッとする。

石丸に票を入れたのは十神、セレス、山田、葉隠、ジェノ、江ノ島、大神。

十神に票を入れたのは桑田、大和田、苗木、舞園、霧切、不二咲、そしてKAZUYA。


――見事真っ二つに意見が割れているのである。


K「心神耗弱状態の石丸に投票など出来ん。よって裁判のやり直しを要求する!」

モノクマ「ハァアッ?!」


これには流石に予想外だったのか、モノクマはポカンと口を開けて静止している。


K「今回の裁判、極端に捜査や議論の時間が短く何かがおかしい。貴様何かを隠しているだろう!」

大和田「そ、そうだ! 凶器はどこから出てきやがった!」

苗木「こんな裁判、フェアじゃない! 卑怯だぞ!」

桑田「ふざけんじゃねー!」

霧切「裁判のやり直しを要求するわ!」

モノクマ「…………」

山田「さ、裁判のやり直しなんて可能なんですかねぇ……?」

セレス「わたくしは犯人がわかればどっちでもいいですわ。死にたくありませんもの」

葉隠「そうだべ! 票が割れた場合はどうなるんだ? もう一回やるんか?!」

モノクマ「…………」

十神「どうせ石丸が犯人だろ。時間の無駄だ」

江ノ島「え、えっとアタシは……」

ジェノ「ギャハハハ! 裁判のやり直しを要求する!だって。カズちんかっけ~!」

大神「……我はどちらでも構わぬ。ただ真実が知りたいのだ」


喧々囂々と生徒達はそれぞれに自己主張する。しかし、肝心のモノクマは動かなかった。


モノクマ「うぷぷ……うぷぷぷぷ……」

霧切「何がおかしいの……?」

モノクマ「ぶひゃひゃひゃ、アーハッハッハッハッハッ!!」

K「モノクマ……!」

モノクマ「やり直し? そんなの認められないに決まってるじゃーん!」




985 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 00:38:44.389TNNEeQz0 (5/13)


苗木「ふざけるな! 裁判のやり直しは実際に法律でも認められてるだろ!」

モノクマ「ああ、法律ね。でもそれって外の世界のルールだよね?」

モノクマ「ここのルールはボクが作った校則だけだから。校則に裁判のやり直しを
      認めるなんて記述ないでしょ? ドューユーアンダスターン?」

K「……では、意見が真っ二つに割れている場合はどうなる?」

モノクマ「その場合はクロを当てるのに失敗したと見なし、クロ以外全員オシオキでーす!」

K「な、何だとッ……?!」

山田「冗談じゃないですぞ!」

葉隠「ふざけんな! 俺はまだ死にたくないべ!」

江ノ島「どうすんのよ! あんた達が余計なことするから!」

大和田「余計なことってなんだ! ろくに議論もしねえで兄弟を犯人だと決めつけやがって!」

セレス「今はそんなことを話している場合ではないでしょう! 責任を取ってくださりますこと?」

モノクマ「まあまあ、みんなそう慌てなくても。まだ投票は終わった訳じゃないでしょ?」

霧切「……どういうこと?」

モノクマ「石丸君が投票を終えていないじゃない。投票が終わらないと学級裁判も終わらないよ」

山田「な、なんだ……ならオシオキもされないということですね……」

モノクマ「ま、裁判が終わらない限りオマエラはここから出ることが出来ないけどね!」

山田「全然解決になってなかったああああああ!」

舞園「投票を保留にしても、私達はここに閉じ込められて飢え死にしてしまうということですか……?!」

モノクマ「まあそうなるね」

「そんな……!!」

十神「…………」


ダッ!

突然、十神が席を離れ駆け出した。石丸の方に向かっているように見える。
不穏な気配を感じた大和田も駆け出し、その前に立ちはだかった。


大和田「なにするつもりだテメエ?!」

十神「どけ! 奴の代わりに投票ボタンを押すんだよ!」

大和田「ハァ?!」




986 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 00:49:39.369TNNEeQz0 (6/13)


苗木「そんなことが認められるの?!」

十神「知るか! だが試す価値はあるだろ!」

桑田「んなのズルだろ!」

セレス「ですが、このまま膠着状態になるのなら十神君の策に賭けるのも……」

大和田「押させてたまるかよ!」

十神「江ノ島! 舞園でもいい! 石丸の投票ボタンを押せ!!」

『えっ?!』

江ノ島「い、いいワケ? それ……」

舞園「大丈夫なんですか?」


江ノ島はチラチラとモノクマの様子を伺うが、モノクマからの指示はない。


モノクマ「うぷぷ、面白いことになってきたね!」

桑田「だ、大体押すにしてもどっちを押すんだよ!」

十神「石丸に決まっているだろうが、阿呆共め!」

大和田「ふざけんな! 舞園、十神を押せ!」

葉隠「石丸っちだべ!」

苗木「み、みんな待ってよ! 冷静になろう!」

K「落ち着け、お前達! 時間制限されている訳ではないのだ! 逆にじっくり議論すべきだ!」

霧切「そうよ。焦ったらモノクマの思うツボだわ!」

山田「でもこれ以上なにを議論しろって言うんですか!」


その時、動いた男がいた。


「…………」


――押さねば……

――投票スイッチを押さねば。


スッ。


――僕が。


不二咲「ッ?! 石丸君っ?!」

「えっ?!」




987 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 01:00:34.889TNNEeQz0 (7/13)


不二咲の悲鳴に釣られ、全員が石丸の方を見た。

彼は確かに手を動かし、投票スイッチを押そうとしていたのだ。


十神「な、何ッ……?! まさか今まで意識のない振りをしていたのか?! 貴様ァッ!!」

大和田「よしッ! そうだ、兄弟! 十神のボタンを押せッ!!」

十神「ふざけるなッ! やめろオオオオッ!!」

「…………」


カチリ。


桑田「よっしゃ! 十神だな!」

霧切「待って頂戴! もしかしたら、みんなの動きを真似して適当に押したのかもしれないわ……」

K「今までの行動を見れば、確かにその可能性は高い。となると、不味いな……」

大神「まさか、投票失敗で全員オシオキか……?」

山田「ヒィィィッ?! 嫌ですよ!!」

苗木「十神君と石丸君以外の名前を押してたらアウトだから、15分の13の確率だよね……?」

桑田「う、うそだろ……」

モノクマ「うぷぷ! 皆さん、投票結果が気になるようですな。
      それではドッキドキワックワクの結果発表~!!」

大和田「た、頼む!」


モニタにスロット画面が現れ、生徒達の顔を模したイラストが回転する。

ドラムロールが流れる中、揃った顔は……


「ハッ?!!」

大和田「お、おい……嘘だろ……」

モノクマ「大正解~! 朝日奈さんを殺したクロは超高校級の風紀委員石丸清多夏君でした!」

大和田「ちょっと待てやァ!!」

モノクマ「なにかな~? 投票のやり直しは受け付けてないよ?」

大和田「ふざけんなゴラァ! 投票は兄弟と十神で半々だったはずだぞ?!」

モノクマ「うん。そうだよ。それがどうかした?」

大和田「じゃあなんで兄弟がクロになってんだ!!」




988 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 01:06:55.729TNNEeQz0 (8/13)


大和田「じゃあなんで兄弟がクロになってんだ!!」

モノクマ「そりゃあ、石丸君が自分で自分の名前を押したからだよ」

「?!」

K「石丸が自分の名前を……?!」

桑田「ど、どういうことだよ?!」

苗木「どうして……?!」

モノクマ「さあね~。罪の重さに耐えかねたんじゃないの? もしくはたまたまとかさ」

大和田「きょ、兄弟! 兄弟! どうしてだ?! どうして自分の名前を押しやがった?!」


大和田が石丸の肩を掴んで揺さぶる。だが、石丸はいつものように呟くだけだった。


石丸「すまない……」

十神「……ハ、ハハハ! この男は自白したんだよ! いい加減認めろ!」

大和田「違う……なんかの間違いだ……押し間違えたんだろ? そうなんだろ?!」

石丸「すまない……すまない……」

大和田「んなことはどうだっていいんだ! 本当のことを言ってくれェッ!!」

K「大和田! よせ!!」


尚も揺さぶる大和田を羽交い締めにするようにKAZUYAが引き離す。


大和田「だってよ! だって! このままじゃ兄弟が犯人ってことになっちまうじゃねえか!
     なあ先公! 違うだろ?! 兄弟は殺ってなんかいねえだろ?!!」

K「わかってる! わかってるから落ち着け!」

モノクマ「じゃあ、クロも決まったことだしそろそろオシオキと行きましょうかね?」

霧切「! クロが決まったってどういうこと? もしかしてこの事件にクロは存在しないんじゃ……?!」


霧切が鋭く攻め立てるが当然のごとくモノクマは耳を貸さない。




989 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 01:17:01.139TNNEeQz0 (9/13)


モノクマ「超高校級の風紀委員である石丸清多夏君のために――」

大和田「待てよ! 待てって!! 俺はまだアイツからなにも聞いてねえんだぞ?!」

モノクマ「スペシャルなオシオキを――」

大和田「犯人にしろ違うにしろ、こんなの納得できるか!!! おい!!」

モノクマ「――用意しました!」

大和田「だから! 待てっつってんだろうがアアアアアア!!!!!」


モノクマが無慈悲にハンマーを振り下ろすと、オシオキ開始のボタンが押された。
奥から現れたモノクマ達に従うように石丸が歩いて行く。

大和田は暗闇に消えていく友に叫んだが、その言葉が届くことは遂になかった――。


               ◇     ◇     ◇


大通りで盛大なパレードが行われている。

といっても、建物は張りぼてで道路の両脇にいる通行人はみなモノクマだ。
作り上げられた異常な熱狂の中、街宣車に乗って観客に手を振っている男がいる。


「…………」


胸にかけられたタスキには石丸清多夏首相就任記念と書かれていた。
そう、これは石丸の首相就任記念パレードなのだ。

――勿論、嘘っぱちである。


「…………」


焦点の合わない目を忙しなく動かし、石丸は周囲を見渡していた。

彼は未だ夢を見ている。けして叶うことのない夢を……


(……違う)


しかし、石丸は心の中で否定した。


(これは、現実ではない……)


彼が観客に向けて振っている手には鎖が巻きつけられている。無理やり振らされているのだ。




990 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 01:31:43.959TNNEeQz0 (10/13)


何という皮肉な運命だろうか。現実に近い夢を見続けていた石丸に夢の様な現実を見せた結果、
彼は奇跡的な確率で正気を取り戻していたのだった。いや、その兆候は裁判時にも既に現れている。

石丸はぼんやりとした意識の中で、朝日奈を殺した“真犯人”の姿を思い出していたのだ。
あれは十神ではなかった。勿論、自分でもない。――では、この事件のクロは誰だ?

投票スイッチは、この場にいる15人分の名前しかない。
しかも、自分か十神以外の名前を押したら投票は失敗となり全員オシオキとなる。

直感的に、自分がボタンを押した人間が死ぬのだとわかった。


…………。


迷わず自分の名前を押した。


大和田の叫びは実は届いていたが、何も言わなかった。朝日奈を守れなかった自分は
間接的に殺人に関与したも同然であり、彼こそがクロと言っても差し支えなかったからだ。

余計なことを言って大和田を混乱させたくはなかった。彼が犯人であっても違っても、
大和田が絶望するのは確実であり、石丸は真実を闇に葬ることに決めたのだった。

しかし、彼にとって一つだけ計算外のことが起きてしまった。それは――


「石丸ーッ!!!」


ドォンッ!!


                      ╂


素直にモノクマに付いて行く石丸の姿を見ながら、KAZUYAはずっと考えていた。


―本当に石丸が犯人なのか?

―俺は何か大事なことを見失っていないか……?


(わからない……俺が一番間近でアイツを看ていたはずなのに……)


KAZUYAは揺らいでいた。もし石丸が犯人だったのなら、二人を保健室に残して
席を外した自分の責任だ。……いや、責任問題で言えば仮に十神が犯人でも同じだ。

二人を置いて出掛けた自分が悪い。
自分の監督不行届きなのに、今生徒がその責任を負って死のうとしている。




991 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 01:53:22.029TNNEeQz0 (11/13)


そもそも、KAZUYAがこの場にいるのは何のためだ?


(俺がこの場にいるのは……生徒を護るためだッ!!!)


オシオキ場と生徒達の間には、乱入を防ぐためフェンスが設置されている。
だがKAZUYAは、暴れる大和田を大神に抑えさせ自身はオシオキ場に突っ込んだのだ。


「俺も行く!! はなしやがれ!!」

「駄目だ!! 西城殿の意志を無駄にするなっ!!」

「先生!」

「せんせーッ!」

(すまない、みんな……後は頼んだぞ……)


校則違反を覚悟して、KAZUYAは一人オシオキ場に乱入する。


……しかし、全ては遅すぎたのだ。


パンッ!という乾いた銃声と共に、石丸の左胸に紅い華が咲く。
そして無残にも、駆け寄るKAZUYAの目の前に彼の体は落下してきたのだった。

冷たく固いアスファルトに叩きつけられた教え子を無我夢中で抱きかかえる。


「石丸ッ!」

「先、生……すみま、せ……」


KAZUYAが視界に入った途端、明らかに石丸は瞳に何らかの強い反応を見せた。
何かを伝えようと、必死に手を伸ばそうとする。




992 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 02:02:31.609TNNEeQz0 (12/13)


「もういい! 喋るな! もう謝らなくていいんだ……!!」

「朝日奈君を――」

「何……? 朝日奈がどうした?」

「――守れ、なくて」

「!!」

「…………」


今まで散々世話になったKAZUYAには真実を伝えても良いと思ったのかもしれない。
或いは、KAZUYAならば真実を受け止められると思ったのか。今となってはその答えはわからない。

ダラリと石丸の手が落ちる。その目が開くことはもう二度となかった。


「――ッ!!」


しかし、真実は時として大いに人の心を蝕む。それは強い精神力を持つ
KAZUYAとて例外ではなかった。声にならない叫びを上げる。

何故最後まで生徒を信じてあげられなかったのだろう?

友と最期の言葉すら交わすことなく、一人死出の旅路へ向かった石丸の心境は如何ばかりか?

何故、もっと早く飛び込まなかった?

自分の中に、石丸が犯人ではないかと疑念があったからではないか?


何故、何故、何故――?


「何故だッッ?!!」


後悔と自責の叫びは、もう届かない……。





993 ◆takaJZRsBc2016/01/17(日) 02:17:34.859TNNEeQz0 (13/13)


ここまで!

>>215でリクエストされていた番外編IFでした。もう一年も経ってるのか……

石丸君のオシオキはファンが作った有名なムービーがあるのでこれをイメージしてください


この展開だと、真相を知ったKAZUYAが病みます。かなりガッツリ
ちなみに余談ですが、石丸君が犯人指名されるSSを1は三つくらい知っているのですが、
そのどれも大和田君はその場にいないんですよね。既に死んでいたりして不在

もしかしたら大和田君健在で石丸君処刑されるSSは初めてだったり?かもしれない




994以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします2016/01/17(日) 03:11:28.329d1IAPdYO (1/1)

乙!


995以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします2016/01/17(日) 11:53:50.07sNC1N6eQo (1/1)

乙です


996以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします2016/01/18(月) 10:00:50.58olrYwOCJ0 (1/1)

原作と逆パターンってのは燃えるよね、二次創作物の醍醐味だよね。
番外編乙です!本編もゆっくり待機してます!


997以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/01/20(水) 21:51:15.85zMbMbKpT0 (1/1)

乙です!
うわぁぁifとはいえ辛い…


998以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/01/23(土) 21:16:02.55cxMzQZlz0 (1/1)

黒幕は自分の思い通りにならない絶望すら糧にするような奴だから
裁判のやり直しくらい普通に了承しそうだけどね

まぁ所詮ifですし乙


999以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2016/01/23(土) 22:20:10.54SW1ABlAHo (1/1)

原作のCHAPTER5 BADENDみたいなもんだろ
そもそもアレ自体、後の黒幕のキャラ的に違和感しかないしな原作なのに


1000 ◆takaJZRsBc2016/01/24(日) 15:26:20.01aQughv7M0 (1/1)


最後にお約束のスキル表をぺたぺた。


[ 朝日奈 葵 ]

通常スキル

・瞬発力
・直感
・閃き
・器用
・ムードメーカー

特殊スキル

・抜群の集中力
・水泳で鍛えたスタミナ:一日中走り回っていてもほとんどバテない。
・さくらちゃん頑張れ:大神さくら限定で能力を大幅に上げる。また、逆も可。

〈 m e m o 〉

 分析推理系のスキルはないものの直感力と閃きに優れており、キッカケさえ与えてあげれば物事に
対する理解はさほど悪くない。運動系でガサツかと思いきや、料理が出来たり意外と女子力が高く
器用な面も。特殊スキルは友情パワーでお互いにパワーアップするという友達思いの朝日奈らしいもの。


[ 腐川 冬子 ]

通常スキル

・分析力
・集中力
・直感
・閃き
・後ろ向き×

特殊スキル

・妄想力:その逞しい妄想力によってヒット小説を書ける。
・一途な恋心:十神のためなら性能アップ。また、十神関連の情報は大体把握している。
・ジェノサイダー召喚:気絶かクシャミで裏人格であるジェノサイダー翔に変わる。

〈 m e m o 〉

 小説家なだけあって分析力や集中力は高く、直感や閃きもある。……が、バッドスキルである
後ろ向きと妄想力が悪い具合に組み合ってネガティブな発想ばかりしてしまいあまり役に立たない。
しかし、裏人格であるジェノサイダー翔に変われば高い判断力と戦闘力を併せ持つ存在となる。

……しかし、当然ながら主人格は腐川であり腐川はその事実を快く思っていない。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


以上で、このスレはお終いです。ご清覧頂きありがとうございました。

感想・意見・リクエストはいつでも募集中。特に感想は作者のモチベに繋がります。


それでは二度目の裁判を控えている6スレ目でまたお会いいたしましょう!


モノクマ「学級裁判!!」KAZUYA「俺が救ってみせる。ドクターKの名にかけてだ!」カルテ.6
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