1VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/07/13(日) 15:39:41.72FPDYYckt0 (1/10)

ごつごつと岩肌が露出した一本の道

その道を、一つのモトラド(注、二輪車、空を飛ばないものだけを指す)が走っていた

モトラドには、茶色のコートを着込んだ、見た目は若い少年...いや、少女が乗っていた

「ねぇ」

モトラドが言葉を発した、運転手に向かって

「キノ、次向かう国ってどんな国なの?」

キノと呼ばれた運転手は

「気になるかい?エルメス」

質問には答えず、勿体ぶる様にそう言った

エルメスと呼ばれたモトラドは

「そりゃー気になるよ、こんな整備もされてない道を走らされてるんだよ、答える義務はあるんじゃない?」

少しむっとした声で答えた

「はは、ごめんよ、エルメス。じゃあちょっとだけ教えてあげるよ」

「ん、そりゃどーも」

「次の国の国民はね、皆、疑り深いんだって」

「なにそれ?どゆこと?」

エルメスが問う

「国民皆が、生まれついての疑心暗鬼らしいんだ。家族さえも信じられないってさ」

「へぇ、まだあるといいね、その国」

「ボクもそれが気になるのさ、どうしてまだ国が崩壊してないのか」

「じゃあ、船は沈めってことで」

「.......善は急げ?」

「そうそれ!」

「わかりづらいよ、エルメス...」






※これは「キノの旅 -The beautiful world-」のSSです
※gdgd要素、語彙力の不足、書き溜めなし
※フラグ放置、展開が早過ぎる等があるかもしれません



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405233581



2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/07/13(日) 15:41:42.79FPDYYckt0 (2/10)

スレタイの-What is the purpose of life-、に?を入れ忘れていました...


3VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/07/13(日) 15:56:01.79FPDYYckt0 (3/10)

「見えたよ」

キノが口を開いた

「おぉー、まぁまぁ大きいんじゃない?」

エルメスは城壁を見ながら、そう言う

「さて...まずは入国審査だね」

ある程度走ると、城壁の門の前に二人の番兵がいた

歳を召した、白い髭を生やした番兵、そして若い、がっしりとした体つきの番兵だ

「止まれ、何者だ」

若い番兵がライフルをキノに向け、静止を促した

「ボクはキノ、旅人です。入国させてもらいたいのですが、できますか」

エルメスから降り、手を上げた

「入国だと?隣国のスパイじゃあないのか?」

まるで親の仇でも見るように睨む

「いえ、スパイではありませんよ。旅人と証明しろと言われましても、その様なものは持ってませんし」

キノは落ち着いた表情で答え

「....まぁ待て、そう急かすな...」

老いた番兵が若い番兵の肩に手を置き、首を横に振る

そして

「すまんの、キミ。気にしないでくれ」

キノに向かって声をかけた

「はい、大丈夫です。こうなるとは思いましたし」

手を下げつつ、頷きながらそう言った

「ほう?こうなると思っていた...と?」

老いた番兵は顎を触りながら質問する

「えぇ、この国の人々は疑り深いと聞きました」

キノは嘘偽りなく、答えた

「ほっほっほ、よぅわかっとるようだ。うむ、若いの。このお方は旅人だ、丁重に扱え」

「....わかりました」

ライフルを下げ、睨みながら地面に唾を吐き捨てた


4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/07/13(日) 16:06:39.09FPDYYckt0 (4/10)

「んじゃあ俺は先戻ってます」

「おぉ、わしのコーヒー、捨てといておくれ」

「ん、了解です」

若い番兵はこくりと頷き、中へと入っていく

「....さて、旅人さん」

「はい?」

「パースエイダーはお持ちですかな?」

「えぇ、三丁ほど」

キノは手持ちのパースエイダー(注、銃器の事を指す)を番兵に見せる

「ふぅむ...これはなかなか...」

じっと舐めるように並べられたパースエイダーを見つめる番兵

「ありがとう、パースエイダーの持ち込みはかまわないよ。」

「治安は悪いのですか?」

「...いや、というか....まぁ、トラブルは多くてね。自己防衛の為、というわけだよ」

「そうですか、わかりました」

一丁一丁、丁寧にパースエイダーを収納する

「では、書類に諸々書き込んだ後、入国となりますゆえ...何もない国ですが、どうぞ休んでってください」

「はい、ありがとうございます」

ぺこりとお辞儀し、キノは門の中へと入っていった


5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/07/13(日) 16:12:21.21Iqby0RY7o (1/1)

期待


6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/07/13(日) 16:17:36.04FPDYYckt0 (5/10)


___________________________

入国一日目



「やー、キノ、なかなかいいとこじゃない?」

「そうだね、エルメス。トラブルも今のところないよ」

「疑心暗鬼ってどういう意味だっけ、初対面の旅人に親切にする人の事?」

「違うよ、他人を信じようとしない人の事だと思うんだけれど」

「でもさぁ、店員さん、キノのこと普通に...ていうか嬉しそうに接客してたじゃん」

「.....噂は間違ってたのかなぁ」

エルメスを押しながら、道を歩くキノ

安値でいいホテルを先ほど寄った店で聞いて、向かっているところだ

「でもね、エルメス」

「ん?」

「正直、ボク以上の疑心暗鬼はいないと思うんだ。旅人であるボクは、いつ死ぬかわからない。いつ銃弾が頭に飛んできても、おかしくないんだよ」

「キノ、さすがにそれはないんじゃない?」

「生きるってそういうことだよ、一度死の境を経験してしまったボクは、いつだって何事も疑ってるよ」

「でも、キノ...噂は信じてたじゃないか」

「信じてはないよ、確証がないから確かめに来たんだ」

「さいで」

「...っと、ホテルが見えてきたよ」

キノはずれた帽子をきちんと直し、ホテルの入口へと向かった


7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/07/13(日) 16:27:37.96xZnZlrNuO (1/1)




8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/07/13(日) 16:31:17.60FPDYYckt0 (6/10)

「ちょっと待っててね、エルメス」

「うん、いってらっしゃい」

ホテルの前にエルメスを止め、キノは中に入る

「いらっしゃいませ、休憩ですか?宿泊ですか?」

入ると、ロビーの受付にいる女性が声をかける

「宿泊です、三日間」

キノは女性に近づき、そう答えた

「では、こちらにサインを...」

「はい」

キノはチェックインを済ませ

「あ、そういえば...エルメス、ボクのモトラドは中に入れても大丈夫でしょうか」

「はい、構いませんよ。外に置いていて盗まれても、当ホテルは責任を受け付けませんし」

苦笑いしつつ、女性は頷き

「ですが、モトラドの中に...危険物など、入れてませんよね...?爆弾とか...」

「...?はい、そんな危険なものを入れては、ボクが危ないですし」

「あ、あはは!そうですよね!失礼しました!」

大きく頭を下げ

「では、どうぞ入れてください。御部屋にはこちらの人が案内いたしますっ」

女性は近くにいた従業員の裾を掴み、くいくいと引っ張る

「ん...っと、いらっしゃいませ」

白髪に、青色の目をした、落ち着いた雰囲気の男性がお辞儀をする

「私は、カルロと申します。御用の際はどうぞお申し付けください」

頭を上げ、微笑む

「はい、宜しくお願いします。カルロさん...では、エルメスを持ってきますね」

「お待ちしております」

カルロはこくりと頷き、キノを見送る


9VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/07/13(日) 16:37:41.89FPDYYckt0 (7/10)


________________________

「ねぇ、キノ。明日は整備にいこーよ、いい店あったでしょ」

「そうだね、エルメスを見てもらおうかな...エルメスが壊れたら、ボクの旅は終わりだ」

ホテルの一室、さほど豪華でもない、ベッドにシャワールーム付きの部屋で、キノは今ベッドで寝転んでいる

エルメスは倒れないよう、スタンドを立て、壁際に置かれている

「その後は...うん、弾薬も買おう。安くしてもらえるかなぁ」

「明日になったらわかるよ、今考えなくても」

「そうだね、ボクはシャワーでも浴びて、さっさと寝たいな」

「ん、じゃいってらっしゃい」

「うん、いってくる」

キノはベドから起き、シャワールームへと入っていった


10VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/07/13(日) 16:41:50.66FPDYYckt0 (8/10)

少し席を外します、また後で書き込んでいきます


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/07/13(日) 22:32:21.62FPDYYckt0 (9/10)

「.................」

暖かいシャワーを浴びながら、考え事をする

「今のところ、噂通りでは...ない、かも」


「ただ、何かひっかかるんだよな...ボクの気のせいだと思うけど」

「....いいや、ボクはそこまで知りたいわけじゃない、この国の事は」

「揉め事もなく、出国できるといいのだけれど」

シャワーを止め、顔を上げながら呟く

「ボクの勘は、時々当たる」

そう呟くと、シャワールームから出てタオルで体を丁寧に拭いた

「今夜は美味しい食べ物の夢でも見たいな」

拭き終え、着替えるとベッドに向かい

「お帰り、キノ」

「ただいま、エルメス」

「うん、おやすみ」

「おやすみだよ」

短く言葉を交わすと、キノは電気を消しすぐさま寝てしまった

___________________________

入国一日目 終了


12VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/07/13(日) 22:37:10.33FPDYYckt0 (10/10)

(今日はあまり書き込めませんでしたが、続きは明日ぐらいにします...ではっ)


13VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/07/14(月) 20:22:14.701PjxwxMo0 (1/1)

(おう、またな)