◆takaJZRsBc さんの作品一覧
http://s2-d2.com/archives/16713333.html
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807: ◆takaJZRsBc:2014/10/19(日) 16:33:34.25:3Nz37+4X0 (6/12)
K「まず一つ目、石丸が必ず食堂に向かうかわからない」
霧切「その場合は予備の段ボールを使って後ろからつければいいわ」
不二咲「僕がやる! 僕なら体が小さいから、きっと気付かれないはず……ゲホッゲホッ」
苗木「不二咲君はまだ病み上がりだから僕がやるよ。僕も小さいから小回りが効くし」
朝日奈「振り切られたら私に任せて! 足には自信あるから!」
K「懸念事項その二だが……本当に気付かれないか?」
KAZUYAは疑わしげな目で段ボールを見つめる。
セレス「そればかりは賭けですわね。ですが、勝算は悪くない賭けだと思いますわ」
葉隠「超高校級のギャンブラーがここまで言うんだ。多分大丈夫だべ!」
K「多分では困るのだが」
フゥ、と溜息をついてKAZUYAは最後の懸念事項を伝えた。
K「そして最後だが、今回の実験で石丸の状態が悪化したらどうする?」
江ノ島「悪化もなにも、これ以上どう悪化するっての?」
セレス「もう来る所までとっくの昔に来ていますしねえ」
桑田「四の五の言わずに試してみよーぜ!」
苗木「今度こそ……今度こそきっと上手く行きます!」
大和田「俺は兄弟を信じる!」
大神「西城殿……」
朝日奈「やろうよ! 『乗り越えることのただ1つの方法、それはあきらめずに
頑張り抜くことだ』ってダン・オブライエンも言ってるし!」
フゥ、と一回溜息をついてKAZUYAは頷いた。
K「……そうだな。よし、許可する」
桑田「ッシ! やるぜ!」
大和田「おう!!」
山田「頑張りましょう!」
K「まず一つ目、石丸が必ず食堂に向かうかわからない」
霧切「その場合は予備の段ボールを使って後ろからつければいいわ」
不二咲「僕がやる! 僕なら体が小さいから、きっと気付かれないはず……ゲホッゲホッ」
苗木「不二咲君はまだ病み上がりだから僕がやるよ。僕も小さいから小回りが効くし」
朝日奈「振り切られたら私に任せて! 足には自信あるから!」
K「懸念事項その二だが……本当に気付かれないか?」
KAZUYAは疑わしげな目で段ボールを見つめる。
セレス「そればかりは賭けですわね。ですが、勝算は悪くない賭けだと思いますわ」
葉隠「超高校級のギャンブラーがここまで言うんだ。多分大丈夫だべ!」
K「多分では困るのだが」
フゥ、と溜息をついてKAZUYAは最後の懸念事項を伝えた。
K「そして最後だが、今回の実験で石丸の状態が悪化したらどうする?」
江ノ島「悪化もなにも、これ以上どう悪化するっての?」
セレス「もう来る所までとっくの昔に来ていますしねえ」
桑田「四の五の言わずに試してみよーぜ!」
苗木「今度こそ……今度こそきっと上手く行きます!」
大和田「俺は兄弟を信じる!」
大神「西城殿……」
朝日奈「やろうよ! 『乗り越えることのただ1つの方法、それはあきらめずに
頑張り抜くことだ』ってダン・オブライエンも言ってるし!」
フゥ、と一回溜息をついてKAZUYAは頷いた。
K「……そうだな。よし、許可する」
桑田「ッシ! やるぜ!」
大和田「おう!!」
山田「頑張りましょう!」
モバP「泰葉からチョコもらった時の話?」
絵里「なんとかストロガノフ!」穂乃果「そう、カレーです」
タマ「ニャー」タラオ「タマ口臭いですぅ!」タマ「!!!!!!!」
玲音「風邪を引いてしまったようだ…」
苗木「霧切さん、この蝶ネクタイつけてみてよ」
808: ◆takaJZRsBc:2014/10/19(日) 16:45:37.03:3Nz37+4X0 (7/12)
僅かな希望に縋り表情を輝かせる生徒達に反し、KAZUYAの心は至極平静だった。
期待しては裏切られる。その連続だったため、安易に信じる気になれなかったのだ。
今のKAZUYAはけして絶望してはいなかったが、希望を持つことも出来なくなっていた。
(上手く行ったら儲け物。そのくらいの心持ちでいよう……)
生徒達には言わなかったが、今のKAZUYAの最大の懸念事項は失敗して
石丸の状態が悪化し……それをきっかけにまた生徒達が争わないかであった。
・・・
江ノ島「準備オーケーだって」
K「よし、配置につくぞ!」
前回と全く同じ場所と手順だが、違うのはシャワールームに潜んでいるのはKAZUYA、霧切、大和田だった。
大和田「そろそろか? そろそろだよな?」
霧切「大和田君、少しは落ち着いて頂戴。あなたのリーゼントが私の首筋に当たっているわ」
大和田「う、すまねえ」
K「シッ! 目を醒ましたぞ……」
前回の行動をなぞるように、石丸は全く同じ行動をした。部屋に誰もいないことに気付くと、
誰かを探しに行くようにフラフラと廊下に出て、学園側に行くかと思うと食堂へ入って行った。
そして以前と同じように、舞園以外の生徒達は食堂の入り口に集まって様子を伺う。
セレス「特にアクシデントもなく、スムーズに行きましたわね」
K「ああ、あとは舞園次第だ」
舞園「…………」
食堂の中央に不自然に置かれた段ボール。その中にかつて超高校級のアイドルと呼ばれた舞園がいた。
……はっきり言って、かなりシュールである。
舞園(来ました。もし私の考えがあっているのなら……)
空けておいた穴から外の様子を伺い、気付かれないようにジリジリと這って行く。
そして、舞園は石丸の言葉をハッキリと聞いた。
僅かな希望に縋り表情を輝かせる生徒達に反し、KAZUYAの心は至極平静だった。
期待しては裏切られる。その連続だったため、安易に信じる気になれなかったのだ。
今のKAZUYAはけして絶望してはいなかったが、希望を持つことも出来なくなっていた。
(上手く行ったら儲け物。そのくらいの心持ちでいよう……)
生徒達には言わなかったが、今のKAZUYAの最大の懸念事項は失敗して
石丸の状態が悪化し……それをきっかけにまた生徒達が争わないかであった。
・・・
江ノ島「準備オーケーだって」
K「よし、配置につくぞ!」
前回と全く同じ場所と手順だが、違うのはシャワールームに潜んでいるのはKAZUYA、霧切、大和田だった。
大和田「そろそろか? そろそろだよな?」
霧切「大和田君、少しは落ち着いて頂戴。あなたのリーゼントが私の首筋に当たっているわ」
大和田「う、すまねえ」
K「シッ! 目を醒ましたぞ……」
前回の行動をなぞるように、石丸は全く同じ行動をした。部屋に誰もいないことに気付くと、
誰かを探しに行くようにフラフラと廊下に出て、学園側に行くかと思うと食堂へ入って行った。
そして以前と同じように、舞園以外の生徒達は食堂の入り口に集まって様子を伺う。
セレス「特にアクシデントもなく、スムーズに行きましたわね」
K「ああ、あとは舞園次第だ」
舞園「…………」
食堂の中央に不自然に置かれた段ボール。その中にかつて超高校級のアイドルと呼ばれた舞園がいた。
……はっきり言って、かなりシュールである。
舞園(来ました。もし私の考えがあっているのなら……)
空けておいた穴から外の様子を伺い、気付かれないようにジリジリと這って行く。
そして、舞園は石丸の言葉をハッキリと聞いた。
809: ◆takaJZRsBc:2014/10/19(日) 16:54:41.91:3Nz37+4X0 (8/12)
「ハハハ! また君はそんなことを言って! 冗談が上手いな!」
それは在りし日の思い出だった。
「兄弟、聞いたかね?!」
「フム、成程。為になるな」
石丸は幻の人間と楽しげに会話している。しかし、途中からそれがピタリと止んだ。
朝日奈「黙っちゃったよ?」
K「……これからだ」
一同に緊張が走る。
「まただ……また……そんな顔をしないでくれ……」
(石丸君……?)
「……嫌だ。僕のせいで……怒らないで、泣かないで……そんな顔をしないでくれっ!」
「どうしてみんな僕の前からいなくなる?! ……いや、本当はわかっているんだ。
みんなは僕のことを怒っている。……許してくれるはずなどない」
「僕は無価値な人間なんだ。ここに存在してはいけないんだ。でも……」
(……!!)
「嫌だ……僕を置いて行かないでくれっ! もう一人にしないでくれっ!!」
「どうすれば、許されるんだっ?! 一体、僕はッ?!!」
「いかんっ!」
再び暴れ始めた石丸をKAZUYAと大和田が捕まえ、何とか以前と同じように宥める。
石丸「フゥー! フゥー!」
K「何かわかったか、舞園? ……俺はこれを何度もやりたくないぞ?」
舞園「十分です。石丸君がおかしくなった原因がわかりました。原因がわかれば対処も出来るはずです」
大和田「本当かっ?!」
「ハハハ! また君はそんなことを言って! 冗談が上手いな!」
それは在りし日の思い出だった。
「兄弟、聞いたかね?!」
「フム、成程。為になるな」
石丸は幻の人間と楽しげに会話している。しかし、途中からそれがピタリと止んだ。
朝日奈「黙っちゃったよ?」
K「……これからだ」
一同に緊張が走る。
「まただ……また……そんな顔をしないでくれ……」
(石丸君……?)
「……嫌だ。僕のせいで……怒らないで、泣かないで……そんな顔をしないでくれっ!」
「どうしてみんな僕の前からいなくなる?! ……いや、本当はわかっているんだ。
みんなは僕のことを怒っている。……許してくれるはずなどない」
「僕は無価値な人間なんだ。ここに存在してはいけないんだ。でも……」
(……!!)
「嫌だ……僕を置いて行かないでくれっ! もう一人にしないでくれっ!!」
「どうすれば、許されるんだっ?! 一体、僕はッ?!!」
「いかんっ!」
再び暴れ始めた石丸をKAZUYAと大和田が捕まえ、何とか以前と同じように宥める。
石丸「フゥー! フゥー!」
K「何かわかったか、舞園? ……俺はこれを何度もやりたくないぞ?」
舞園「十分です。石丸君がおかしくなった原因がわかりました。原因がわかれば対処も出来るはずです」
大和田「本当かっ?!」
810: ◆takaJZRsBc:2014/10/19(日) 17:07:12.60:3Nz37+4X0 (9/12)
舞園「ただ原因はわかりましたが、実際にどうやって治すかは皆さんで相談して案を出していきましょう」
朝日奈「そうだね! 三人寄ればもんじゃの知恵、だっけ?」
苗木「文殊、だよ」
朝日奈「ア、ハハ、まあまあ。監督入れて十三人ならラクロスのチームだって出来るよ!」
桑田「……確か、それ女子ラクロスの人数じゃなかったか?」
ラクロスは男女で一チームの人数が違う競技であり、男子は十人、女子は十二人である。
朝日奈「気にしない気にしない!」
大神「だが、人数が多ければ発想が豊富になるのは間違いない。この作戦とて山田が考えたのだからな」
山田「えっへん! 次も活躍してみせますぞ!」
大和田「その意気だぜ!」
そして、彼等は検討に検討を重ね会議を続けた。
霧切「チャンスは一回ね」
K「ああ。これで無理ならもう何をしても無駄だろう」
苗木「……あのさ、提案があるんだけど」
K「何だ?」
苗木「その、みんなは嫌がるかもしれない。……特に山田君は」
山田「僕ですか?」
苗木「ジェノサイダーにも協力してもらうってのは駄目かな? 彼女の勢いと
テンションはきっとこの作戦の手助けになると思うんだけど……」
「……!」
苗木がジェノサイダーの名前を出した途端、空気が凍る。
江ノ島「え、いやムリっしょ。ムリムリ」
葉隠「そうさなぁ。ジェノサイダーはなぁ」
山田「…………」
舞園「ただ原因はわかりましたが、実際にどうやって治すかは皆さんで相談して案を出していきましょう」
朝日奈「そうだね! 三人寄ればもんじゃの知恵、だっけ?」
苗木「文殊、だよ」
朝日奈「ア、ハハ、まあまあ。監督入れて十三人ならラクロスのチームだって出来るよ!」
桑田「……確か、それ女子ラクロスの人数じゃなかったか?」
ラクロスは男女で一チームの人数が違う競技であり、男子は十人、女子は十二人である。
朝日奈「気にしない気にしない!」
大神「だが、人数が多ければ発想が豊富になるのは間違いない。この作戦とて山田が考えたのだからな」
山田「えっへん! 次も活躍してみせますぞ!」
大和田「その意気だぜ!」
そして、彼等は検討に検討を重ね会議を続けた。
霧切「チャンスは一回ね」
K「ああ。これで無理ならもう何をしても無駄だろう」
苗木「……あのさ、提案があるんだけど」
K「何だ?」
苗木「その、みんなは嫌がるかもしれない。……特に山田君は」
山田「僕ですか?」
苗木「ジェノサイダーにも協力してもらうってのは駄目かな? 彼女の勢いと
テンションはきっとこの作戦の手助けになると思うんだけど……」
「……!」
苗木がジェノサイダーの名前を出した途端、空気が凍る。
江ノ島「え、いやムリっしょ。ムリムリ」
葉隠「そうさなぁ。ジェノサイダーはなぁ」
山田「…………」
811: ◆takaJZRsBc:2014/10/19(日) 17:15:54.65:3Nz37+4X0 (10/12)
苗木「……だよね。ゴメン。聞いてみただけなんだ」
K「…………」
K(話を聞く限り、翔は大和田達を庇った……のだと思う。単に山田の言葉が厳し過ぎて
カチンと来ただけかもしれないが。桑田に刃を向けたのは馴れ合い過ぎると俺達に
迷惑がかかるからで恐らく本気ではなかったはずだ。……が、如何せんやり方が悪い)
KAZUYAは端的にジェノサイダーと山田のやり取りを聞いただけだが、
それでも不味いと感じるには十分だった。
K(確かに山田も言い過ぎだったが、翔の言い方は話にならん。今後、和解は厳しいだろう……)
K(……そもそも俺の解釈も好意的過ぎるかもしれない。アイツは自分の本能のまま、気ままに
生きている所があるからな。一応彼女なりの信念やポリシーもあるようではあるが……)
そんなことを渋い顔で考えていたKAZUYAだが、山田が俯いたまま何かを呟いたので思考を中断した。
山田「不二咲千尋殿は……」
不二咲「えっ?」
山田「不二咲殿は、本当にジェノサイダーのことを恨んでいないのですか?」
不二咲「…………」
今度は不二咲が俯く。
不二咲「……凄く、怖かったよ」
「…………」
不二咲「死ぬってことが現実になって目の前に現れた時、僕は怖くて涙が止まらなかった……」
舞園「……わかります。怖いですよね」
同じくこの中で最も強く死を感じた舞園が同調し、不二咲はコクリと頷く。
不二咲「今でも、怖い……凄く怖い……でもね、憎いかって言われると……わからないんだ」
不二咲「僕も人間だから、あんな酷いことをしたジェノサイダーに腹が立ったと言うか、
ちょっとくらい恨みかけたことはあるよ。でもその時、腐川さんの顔が浮かんで……」
苗木「……だよね。ゴメン。聞いてみただけなんだ」
K「…………」
K(話を聞く限り、翔は大和田達を庇った……のだと思う。単に山田の言葉が厳し過ぎて
カチンと来ただけかもしれないが。桑田に刃を向けたのは馴れ合い過ぎると俺達に
迷惑がかかるからで恐らく本気ではなかったはずだ。……が、如何せんやり方が悪い)
KAZUYAは端的にジェノサイダーと山田のやり取りを聞いただけだが、
それでも不味いと感じるには十分だった。
K(確かに山田も言い過ぎだったが、翔の言い方は話にならん。今後、和解は厳しいだろう……)
K(……そもそも俺の解釈も好意的過ぎるかもしれない。アイツは自分の本能のまま、気ままに
生きている所があるからな。一応彼女なりの信念やポリシーもあるようではあるが……)
そんなことを渋い顔で考えていたKAZUYAだが、山田が俯いたまま何かを呟いたので思考を中断した。
山田「不二咲千尋殿は……」
不二咲「えっ?」
山田「不二咲殿は、本当にジェノサイダーのことを恨んでいないのですか?」
不二咲「…………」
今度は不二咲が俯く。
不二咲「……凄く、怖かったよ」
「…………」
不二咲「死ぬってことが現実になって目の前に現れた時、僕は怖くて涙が止まらなかった……」
舞園「……わかります。怖いですよね」
同じくこの中で最も強く死を感じた舞園が同調し、不二咲はコクリと頷く。
不二咲「今でも、怖い……凄く怖い……でもね、憎いかって言われると……わからないんだ」
不二咲「僕も人間だから、あんな酷いことをしたジェノサイダーに腹が立ったと言うか、
ちょっとくらい恨みかけたことはあるよ。でもその時、腐川さんの顔が浮かんで……」
812: ◆takaJZRsBc:2014/10/19(日) 17:25:46.57:3Nz37+4X0 (11/12)
『アタシは……自分が友達だと思ってた人間から裏切られたことなんて、何回もあるわよ』
『アタシは全部知ってんのよっ!!!』
いつもおどおどしていた腐川が、机を叩いて立ち上がった姿を思い出す。
不二咲「……恨めなかったんだぁ。僕は腐川さんが今までどんな辛い想いや悲しい想いをしてきたのか
何も知らないし、そもそもあれだけ単独行動しないようにって約束を破ったのも僕だし……」
不二咲「だから、もしジェノサイダーがここではもう殺人をしないって誓ってくれるなら……
僕はもう何も言わない。協力してくれるんなら、僕だって助かるんだし」
山田「そうですか……」
「…………」
二人とも黙り込み、話が終わったと判断したKAZUYAが口を開く。が、
K「それで、実行のタイミングだが……」
山田「あの……」
K「どうかしたのか?」
山田「……協力、頼んでみましょうか」
苗木「え?!」
山田「もちろん、またあんな暴言吐いたり暴れたりしたら今度はもう許しませんよ。
でも……被害者の不二咲殿がここまで言ってるんだし、一度くらいなら……」
苗木「山田君……!」
桑田「山田……」
大和田「ありがとよ、山田……」
口ごもりながら山田が話す姿を見て、KAZUYAも微かに笑みを浮かべた。
K「わかった。もう一度俺から話しておく」
K(やっぱり……未熟な所もまだまだあるが、みんな根は素直だな。俺がこの子達を護ってみせる)
K(たとえ、命に換えても――)
――そして入念な打ち合わせや準備を経て、いよいよ決行の時が来たのだ。
『アタシは……自分が友達だと思ってた人間から裏切られたことなんて、何回もあるわよ』
『アタシは全部知ってんのよっ!!!』
いつもおどおどしていた腐川が、机を叩いて立ち上がった姿を思い出す。
不二咲「……恨めなかったんだぁ。僕は腐川さんが今までどんな辛い想いや悲しい想いをしてきたのか
何も知らないし、そもそもあれだけ単独行動しないようにって約束を破ったのも僕だし……」
不二咲「だから、もしジェノサイダーがここではもう殺人をしないって誓ってくれるなら……
僕はもう何も言わない。協力してくれるんなら、僕だって助かるんだし」
山田「そうですか……」
「…………」
二人とも黙り込み、話が終わったと判断したKAZUYAが口を開く。が、
K「それで、実行のタイミングだが……」
山田「あの……」
K「どうかしたのか?」
山田「……協力、頼んでみましょうか」
苗木「え?!」
山田「もちろん、またあんな暴言吐いたり暴れたりしたら今度はもう許しませんよ。
でも……被害者の不二咲殿がここまで言ってるんだし、一度くらいなら……」
苗木「山田君……!」
桑田「山田……」
大和田「ありがとよ、山田……」
口ごもりながら山田が話す姿を見て、KAZUYAも微かに笑みを浮かべた。
K「わかった。もう一度俺から話しておく」
K(やっぱり……未熟な所もまだまだあるが、みんな根は素直だな。俺がこの子達を護ってみせる)
K(たとえ、命に換えても――)
――そして入念な打ち合わせや準備を経て、いよいよ決行の時が来たのだ。
813: ◆takaJZRsBc:2014/10/19(日) 17:33:47.81:3Nz37+4X0 (12/12)
出掛けるので、一旦ここまで。
次回は大増量投下スペシャルになってしまうので、夜にもう少しだけ投下に来ると思います。
俺……このSSが終わったら、絶対絶望少女の再構成SS書くんだ……
>>803
すみません。まだなんです。でももう少ししたらめっちゃスポット当たりますよ!
出掛けるので、一旦ここまで。
次回は大増量投下スペシャルになってしまうので、夜にもう少しだけ投下に来ると思います。
俺……このSSが終わったら、絶対絶望少女の再構成SS書くんだ……
>>803
すみません。まだなんです。でももう少ししたらめっちゃスポット当たりますよ!
814:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/10/19(日) 17:37:12.35:Y3ZPvrlx0 (1/1)
一旦乙です
みんなの成長が実感できて凄くほっこりした
夜も楽しみにしてます
絶女のSSが終わったら、次の舞台はジャバウォック諸島ですね(ゲス顔)
一旦乙です
みんなの成長が実感できて凄くほっこりした
夜も楽しみにしてます
絶女のSSが終わったら、次の舞台はジャバウォック諸島ですね(ゲス顔)
815:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/19(日) 19:59:29.46:hI7yyTj+o (1/1)
一旦乙です
一旦乙です
816:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/10/19(日) 22:41:57.14:joJjcIIT0 (1/1)
乙です。
葉隠の的中率3割ってのは、ある意味葉隠自身にとっての逃げ道でもあるんだろうな。
ふと、葉隠って実は学園生活中に、絶望的事件やらコロシアイ学園生活やらのことを予知したことがあったんじゃないだろうか、と思った。
でも、本当だったらシャレにならないから「ありえねーべ」で流した、みたいな。
乙です。
葉隠の的中率3割ってのは、ある意味葉隠自身にとっての逃げ道でもあるんだろうな。
ふと、葉隠って実は学園生活中に、絶望的事件やらコロシアイ学園生活やらのことを予知したことがあったんじゃないだろうか、と思った。
でも、本当だったらシャレにならないから「ありえねーべ」で流した、みたいな。
817: ◆takaJZRsBc:2014/10/19(日) 23:50:51.40:AXB4eih+0 (1/2)
― コロシアイ学園生活三十日目 保健室 AM11:00 ―
最初の係である苗木、舞園、朝日奈、山田、そしてジェノサイダーが部屋にやって来る。
「…………」
「…………」
目配せだけ交わすと、KAZUYAは不二咲を車椅子に乗せて部屋から出た。
舞園「……だったんです!」
朝日奈「え、それ本当~?!」
苗木「凄いな~!」
山田「ワッハッハッハッ!」
ジェノ「マジ笑えるし! ゲラゲラゲラ!!」
彼等は他愛ないおしゃべりを延々と行い、そのたびに不自然なくらい大声で楽しそうに笑った。
石丸「…………」
朝日奈「でね、その時さくらちゃんが……」
山田「なんと!」
ジェノ「ウケる~! ゲラゲラゲラ!」
しばらくそうやっているが、石丸には何ら変化はなかった。
山田(うーん。なんの反応もない……失敗ですかね)
苗木(駄目、なのかな。やっぱり……)
舞園(いいえ! 石丸君はこっちを見ています。不安そうな顔を見せてはいけません。もうちょっとです!)
この作戦の前、舞園はメンバーにあることを何度も念押ししていた。
それは、作り笑いでいいからとにかく大袈裟に笑うことだった。
朝日奈(今の石丸には普通の接し方じゃ伝わらない。……とにかくオーバーアクションで
いくことが大事、だったよね。わかってる。私は舞園ちゃんを信じるよ!)
弱気になる山田と苗木を舞園がそっと小声で励まし、朝日奈がそれに応える。
― コロシアイ学園生活三十日目 保健室 AM11:00 ―
最初の係である苗木、舞園、朝日奈、山田、そしてジェノサイダーが部屋にやって来る。
「…………」
「…………」
目配せだけ交わすと、KAZUYAは不二咲を車椅子に乗せて部屋から出た。
舞園「……だったんです!」
朝日奈「え、それ本当~?!」
苗木「凄いな~!」
山田「ワッハッハッハッ!」
ジェノ「マジ笑えるし! ゲラゲラゲラ!!」
彼等は他愛ないおしゃべりを延々と行い、そのたびに不自然なくらい大声で楽しそうに笑った。
石丸「…………」
朝日奈「でね、その時さくらちゃんが……」
山田「なんと!」
ジェノ「ウケる~! ゲラゲラゲラ!」
しばらくそうやっているが、石丸には何ら変化はなかった。
山田(うーん。なんの反応もない……失敗ですかね)
苗木(駄目、なのかな。やっぱり……)
舞園(いいえ! 石丸君はこっちを見ています。不安そうな顔を見せてはいけません。もうちょっとです!)
この作戦の前、舞園はメンバーにあることを何度も念押ししていた。
それは、作り笑いでいいからとにかく大袈裟に笑うことだった。
朝日奈(今の石丸には普通の接し方じゃ伝わらない。……とにかくオーバーアクションで
いくことが大事、だったよね。わかってる。私は舞園ちゃんを信じるよ!)
弱気になる山田と苗木を舞園がそっと小声で励まし、朝日奈がそれに応える。
818: ◆takaJZRsBc:2014/10/19(日) 23:59:05.35:AXB4eih+0 (2/2)
苗木「そういえばね! 僕の妹は『こまる』って名前なんだ。
二人合わせるとまことにこまる……なんちゃって」
ジェノ「なにそれ?! ギャーハハハハハッ!!!」バンバンバン!
朝日奈「おもしろーい! あははは!」
山田「こまるちゃん……萌えキャラのような名前ですな。デュフフフ!」
舞園「クスクス、かわいらしい名前ですね」
苗木「そうでしょ? ハハハ(妹の名前で笑われるというのもちょっとアレだけど……)!」
とにかく思い付く限りの面白い話をして、この学園に来てから
ここまで笑ったことはないというくらい彼等は笑った。笑い続けた。
山田「ハイハーイ! 僕の特技、腹芸を見せる時が来たようですな!」
朝日奈「ちょっと山田やめてよー!」
ジェノ「キャー♪ セクハラだわ! ナチュラルにセクハラをかましてきましたわ!」
山田「ガーン、そんなつもりは!」
石丸に変化はない。
舞園「芸と言えば、芸人さんの知り合いも何人かいるんですけど、この間舞台裏で……」
苗木「え、それ本当?!」
ジェノ「芸能界って怖いトコロねーん! ゲラゲラゲラ!」
石丸に変化はない。
苗木「そういえばね! 僕の妹は『こまる』って名前なんだ。
二人合わせるとまことにこまる……なんちゃって」
ジェノ「なにそれ?! ギャーハハハハハッ!!!」バンバンバン!
朝日奈「おもしろーい! あははは!」
山田「こまるちゃん……萌えキャラのような名前ですな。デュフフフ!」
舞園「クスクス、かわいらしい名前ですね」
苗木「そうでしょ? ハハハ(妹の名前で笑われるというのもちょっとアレだけど……)!」
とにかく思い付く限りの面白い話をして、この学園に来てから
ここまで笑ったことはないというくらい彼等は笑った。笑い続けた。
山田「ハイハーイ! 僕の特技、腹芸を見せる時が来たようですな!」
朝日奈「ちょっと山田やめてよー!」
ジェノ「キャー♪ セクハラだわ! ナチュラルにセクハラをかましてきましたわ!」
山田「ガーン、そんなつもりは!」
石丸に変化はない。
舞園「芸と言えば、芸人さんの知り合いも何人かいるんですけど、この間舞台裏で……」
苗木「え、それ本当?!」
ジェノ「芸能界って怖いトコロねーん! ゲラゲラゲラ!」
石丸に変化はない。
819: ◆takaJZRsBc:2014/10/20(月) 00:12:05.74:r+qcFpLx0 (1/2)
朝日奈「それでさー、水泳部あるあるなんだけど……」
山田「うわー、夢が崩れましたな」
舞園「女の子同士だと案外そんなものですよ?」
苗木「そうなのっ?!」
ジェノ「まこちんたら純情なんだからー。ここでアタシのスペシャルな話~!!」
ワーワーキャーキャー!
石丸に変化は、
「……しそうだな」
「えっ?!」
誰もがギョッとして振り向いた。石丸は確かにこちらを見ている。しっかりと目の焦点を合わせて。
◇ ◇ ◇
彼は自分の外で起こっている出来事をぼんやりと把握していた。霞みがかかったような、
どこか遠くで起こっているかのような錯覚はあるが、彼等の声自体は届いていた。
(……どうしたんだ?)
彼は遠くの方で突然始まった喧騒を、最初は他人事のように静かに眺めていた。
そこには彼が久しく見れなかった、夢ではない現実の笑顔が溢れ返っていた。
(……賑やかだ)
彼は、彼のせいで誰も笑わなくなった灰色の世界で生きていた。そこに再び
鮮やかな色が戻ってきたようで、胸の奥が仄かに暖かくなったのを感じたのだ。
「……楽しそうだな」
――ついに、石丸は外の世界に自ら働き掛けた。
朝日奈「それでさー、水泳部あるあるなんだけど……」
山田「うわー、夢が崩れましたな」
舞園「女の子同士だと案外そんなものですよ?」
苗木「そうなのっ?!」
ジェノ「まこちんたら純情なんだからー。ここでアタシのスペシャルな話~!!」
ワーワーキャーキャー!
石丸に変化は、
「……しそうだな」
「えっ?!」
誰もがギョッとして振り向いた。石丸は確かにこちらを見ている。しっかりと目の焦点を合わせて。
◇ ◇ ◇
彼は自分の外で起こっている出来事をぼんやりと把握していた。霞みがかかったような、
どこか遠くで起こっているかのような錯覚はあるが、彼等の声自体は届いていた。
(……どうしたんだ?)
彼は遠くの方で突然始まった喧騒を、最初は他人事のように静かに眺めていた。
そこには彼が久しく見れなかった、夢ではない現実の笑顔が溢れ返っていた。
(……賑やかだ)
彼は、彼のせいで誰も笑わなくなった灰色の世界で生きていた。そこに再び
鮮やかな色が戻ってきたようで、胸の奥が仄かに暖かくなったのを感じたのだ。
「……楽しそうだな」
――ついに、石丸は外の世界に自ら働き掛けた。
820: ◆takaJZRsBc:2014/10/20(月) 00:28:03.95:r+qcFpLx0 (2/2)
本当に短くて申し訳ないけど、今日はここまで。
次回、いよいよ決戦です。生徒達が考えた作戦とは果たして何なのか。
無事石丸君を元に戻すことが出来るのか、或いはまたまた失敗してしまうのか。
長くて投下に時間がかかりそうなので、一応木曜の夜を予定しています。
が、今週体調悪くて三日間連続で寝オチしてたくらいだからもし来なかったら週末
本当に短くて申し訳ないけど、今日はここまで。
次回、いよいよ決戦です。生徒達が考えた作戦とは果たして何なのか。
無事石丸君を元に戻すことが出来るのか、或いはまたまた失敗してしまうのか。
長くて投下に時間がかかりそうなので、一応木曜の夜を予定しています。
が、今週体調悪くて三日間連続で寝オチしてたくらいだからもし来なかったら週末
821:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/20(月) 00:30:28.91:a2McmFB+O (1/1)
乙
あまり無理はせんでね
乙
あまり無理はせんでね
822:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/20(月) 03:28:36.68:oc2hthIco (1/1)
乙です
乙です
823:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/20(月) 12:56:10.30:zBhKV6gOo (1/1)
乙
無理せずにな
乙
無理せずにな
824:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/20(月) 16:37:39.23:6Rkl8v5oo (1/1)
マコトニコマル
マコトニコマル
825: ◆takaJZRsBc:2014/10/20(月) 21:55:46.41:WOR3aOKZ0 (1/2)
― モノクマ劇場 ―
モノクマ「ヤッホー。いつもメタな発言ばっかりしてる僕だけど、
たまにはちゃんとこのコーナーもやるよ」
モノクマ「人間って不思議だよね。必要だとか不必要だとか、そんな小さなことにこだわって」
モノクマ「余程の天才か偉人か或いは狂人でもない限り、どうせどこかの誰かと大して差のない
コピー・アンド・ペーストな人生なのに、いつも他人に必要とされたがってる」
モノクマ「そうすることで自分は特別だって思いたいのかな? 信じ込んで夢を見たい?」
モノクマ「――そんなことしたって、残酷な現実は変わらないのにね」
モノクマ「さて、次回は自分の存在を履き違えて分不相応な望みを持ってしまった青年、
……いや、精神年齢なら少年かな? その結末が描かれるよ」
モノクマ「必要以上の優しさは毒にしかならない。時にはビシッと現実を突きつけてあげた方が
本人のためになる。こんな簡単なことなのに、意外とわからない人が多いんだよね」
モノクマ「希望を持つのは絶望の始まり。自分にも他人にも期待なんてしないのが一番!」
モノクマ「でも……おやおや? 中にはそのことをわかっている人もいるようだね?」
モノクマ「ま、ボクには関係ないけど」
― モノクマ劇場 ―
モノクマ「ヤッホー。いつもメタな発言ばっかりしてる僕だけど、
たまにはちゃんとこのコーナーもやるよ」
モノクマ「人間って不思議だよね。必要だとか不必要だとか、そんな小さなことにこだわって」
モノクマ「余程の天才か偉人か或いは狂人でもない限り、どうせどこかの誰かと大して差のない
コピー・アンド・ペーストな人生なのに、いつも他人に必要とされたがってる」
モノクマ「そうすることで自分は特別だって思いたいのかな? 信じ込んで夢を見たい?」
モノクマ「――そんなことしたって、残酷な現実は変わらないのにね」
モノクマ「さて、次回は自分の存在を履き違えて分不相応な望みを持ってしまった青年、
……いや、精神年齢なら少年かな? その結末が描かれるよ」
モノクマ「必要以上の優しさは毒にしかならない。時にはビシッと現実を突きつけてあげた方が
本人のためになる。こんな簡単なことなのに、意外とわからない人が多いんだよね」
モノクマ「希望を持つのは絶望の始まり。自分にも他人にも期待なんてしないのが一番!」
モノクマ「でも……おやおや? 中にはそのことをわかっている人もいるようだね?」
モノクマ「ま、ボクには関係ないけど」
826:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/10/20(月) 21:57:28.04:nTp97n390 (1/1)
精神年齢…少年……?
どういうこと?
精神年齢…少年……?
どういうこと?
827:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/20(月) 22:08:39.74:N247R3n1o (1/1)
前にKが石丸のことを少年のような心の持ち主みたいな言い方してたから
それを皮肉ったんじゃないかな?
前にKが石丸のことを少年のような心の持ち主みたいな言い方してたから
それを皮肉ったんじゃないかな?
828:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/20(月) 22:43:47.13:sktHN2Y0o (1/1)
乙ー
乙ー
829: ◆takaJZRsBc:2014/10/20(月) 22:44:33.94:WOR3aOKZ0 (2/2)
うわああああああああああ。なんか嫌な予感がして初代スレを開いてみたら、
今日がこのスレ連載開始一周年だったああああああああああ!
一周年にはなんか記念に企画したりスペシャルなイラストでも用意しようと思ったのにぃぃ…
…何もしないのは悔しいから、再録する時のために用意しておいたロゴ晒す
http://i.imgur.com/Kkwt7mf.png
あー、やっちまった本当に…
…それにしても早一周年かぁ。最初から読んでくれた貴方も、途中から入ってくれた貴方も
いつも読んだり感想書いたりしてくれてありがとうございます! これからもよろしく願います!!
>>826-827
モノクマ「ボクはクマだから日本語力がなくたって謝らないよ? むしろ喋ってるのがサービスだし」
モノクマ「……まあ、でもそんな感じに思ってもらって結構クマー」
うわああああああああああ。なんか嫌な予感がして初代スレを開いてみたら、
今日がこのスレ連載開始一周年だったああああああああああ!
一周年にはなんか記念に企画したりスペシャルなイラストでも用意しようと思ったのにぃぃ…
…何もしないのは悔しいから、再録する時のために用意しておいたロゴ晒す
http://i.imgur.com/Kkwt7mf.png
あー、やっちまった本当に…
…それにしても早一周年かぁ。最初から読んでくれた貴方も、途中から入ってくれた貴方も
いつも読んだり感想書いたりしてくれてありがとうございます! これからもよろしく願います!!
>>826-827
モノクマ「ボクはクマだから日本語力がなくたって謝らないよ? むしろ喋ってるのがサービスだし」
モノクマ「……まあ、でもそんな感じに思ってもらって結構クマー」
830:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/21(火) 06:42:41.10:GAbeVtueo (1/1)
正直誰も論破してないされてないからダンガンドクターとかダンガンオペ?ww
いや、コトダマも使われてないからもうこれわかんねぇな
正直誰も論破してないされてないからダンガンドクターとかダンガンオペ?ww
いや、コトダマも使われてないからもうこれわかんねぇな
831:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/21(火) 07:50:01.66:P9AEUC0hO (1/1)
>>830
とりあえず前スレ含め読んでから書き込もうか
>>830
とりあえず前スレ含め読んでから書き込もうか
832:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/21(火) 08:10:48.23:jmfPoS6Uo (1/1)
一応前スレで裁判してるし(震え声)
まあマジレスするとタイトルはスーパーダンガンロンパ2のもじりかと
文字の配置や大きさも一緒だし。あと一周年おめ
一応前スレで裁判してるし(震え声)
まあマジレスするとタイトルはスーパーダンガンロンパ2のもじりかと
文字の配置や大きさも一緒だし。あと一周年おめ
833:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/10/21(火) 09:01:12.91:2SLs9rye0 (1/1)
乙です
一周年おめでとうございます!
これからも楽しく閲覧させていただきます
乙です
一周年おめでとうございます!
これからも楽しく閲覧させていただきます
834:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/21(火) 09:28:28.49:/1JoqoOqO (1/1)
折角スーパーが被ってるなら、スーパードクターロンパ、か?
折角スーパーが被ってるなら、スーパードクターロンパ、か?
835:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/21(火) 19:26:51.87:Gru0Nm+jo (1/1)
ダクタァロンパァ…
ダクタァロンパァ…
836:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/10/23(木) 03:25:06.48:hVB809ip0 (1/1)
>>835
どっかで似たようなの聞いたぞそれwwwwww
>>835
どっかで似たようなの聞いたぞそれwwwwww
837:</b> ◇takaJZRsBc<b>:2014/10/24(金) 22:13:21.95:Z6PznDmu0 (1/16)
当初の予定ではシンプルにドクターロンパKでした。でも、この板の住人なら
このタイトルですぐにダンガンロンパが浮かぶだろうけど、再録は外部の予定なので
誰が見てもすぐにダンガンロンパだとわかってもらえるようダンロンはそのまま残す方向に
そして、次のタイトルはまんま合体させたスーパードクターダンガンロンパKだったけど
長すぎたのでスーパーを削りデザインはスーダンをイメージした感じにしてみました
・・・
遅れましたがいよいよ投下です。推定20レスくらい
今回の話も出来れば一気に読んだ方が楽しめるんじゃないかなーと思うので、
今から二時間後くらいにまた来て頂ければ。それでは投下します
当初の予定ではシンプルにドクターロンパKでした。でも、この板の住人なら
このタイトルですぐにダンガンロンパが浮かぶだろうけど、再録は外部の予定なので
誰が見てもすぐにダンガンロンパだとわかってもらえるようダンロンはそのまま残す方向に
そして、次のタイトルはまんま合体させたスーパードクターダンガンロンパKだったけど
長すぎたのでスーパーを削りデザインはスーダンをイメージした感じにしてみました
・・・
遅れましたがいよいよ投下です。推定20レスくらい
今回の話も出来れば一気に読んだ方が楽しめるんじゃないかなーと思うので、
今から二時間後くらいにまた来て頂ければ。それでは投下します
838: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 22:19:56.67:Z6PznDmu0 (2/16)
(チャンスだ!)
全員が同じことを考え、無言で目配せをする。
「どうして、そんなに……笑っている?」
舞園「あはははは、決まっているじゃないですか!」
不気味な程満面の笑顔で舞園が笑う。
舞園「今日はパーティーなんですよ! うふふふふ!」
朝日奈「うん! そうだよ! パーティーパーティー!!」
山田「いやぁ、楽しみですな! ワッハッハッハッハッ!」
ジェノ「フィーバーしてやるぜーい! ヒャッハー!」
(パー……ティー……)
苗木「石丸君も勿論来てくれるよね?!」
「僕も……?」
舞園「勿論です! むしろ、石丸君が来てくれないと困ります!」
朝日奈「ほら、行こう! 今すぐ行こう!」
朝日奈が石丸の手を掴んで立たせる。苗木と山田も囲むように立ち、舞園だけ
さりげなく部屋から抜け出て食堂へと駆けた。飛び込んで来た舞園にKAZUYAが声をかける。
K「舞園!」
舞園「上手く行きました! 第一段階クリアです!」
大和田「本当か?! 本当にうまくいったのか?!」
セレス「確認は後でも出来ます。舞園さんは急いで準備を!」
舞園「はい!」
葉隠「よーし、スタンバイだべ!」
K「総員、配置につけ!」
慌ただしく配置に着くと明かりを消し、緊張の面持ちでその時が来るのを待つ。
(チャンスだ!)
全員が同じことを考え、無言で目配せをする。
「どうして、そんなに……笑っている?」
舞園「あはははは、決まっているじゃないですか!」
不気味な程満面の笑顔で舞園が笑う。
舞園「今日はパーティーなんですよ! うふふふふ!」
朝日奈「うん! そうだよ! パーティーパーティー!!」
山田「いやぁ、楽しみですな! ワッハッハッハッハッ!」
ジェノ「フィーバーしてやるぜーい! ヒャッハー!」
(パー……ティー……)
苗木「石丸君も勿論来てくれるよね?!」
「僕も……?」
舞園「勿論です! むしろ、石丸君が来てくれないと困ります!」
朝日奈「ほら、行こう! 今すぐ行こう!」
朝日奈が石丸の手を掴んで立たせる。苗木と山田も囲むように立ち、舞園だけ
さりげなく部屋から抜け出て食堂へと駆けた。飛び込んで来た舞園にKAZUYAが声をかける。
K「舞園!」
舞園「上手く行きました! 第一段階クリアです!」
大和田「本当か?! 本当にうまくいったのか?!」
セレス「確認は後でも出来ます。舞園さんは急いで準備を!」
舞園「はい!」
葉隠「よーし、スタンバイだべ!」
K「総員、配置につけ!」
慌ただしく配置に着くと明かりを消し、緊張の面持ちでその時が来るのを待つ。
839: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 22:24:49.70:Z6PznDmu0 (3/16)
・・・
朝日奈「ほら、石丸。あんたが開けて」
「…………」
朝日奈「早く!」
朝日奈に背中を押され、石丸は躊躇いながらも食堂の扉を開けた。中は薄暗かったが……
パパパパーン!!
「?!」
「退院おめでとう!!!」
たくさんのクラッカーの音と共にパッと明かりが点く。
「こ、れは……」
苗木「石丸君、今日の主役は石丸君なんだよ!」
石丸は無言で視線を上に上げる。食堂の中央には大きな横断幕が掲げられ、
そこには全員の似顔絵と共に大きな文字で『石丸清多夏退院記念パーティー』とあった。
隅の方に画・山田、題字・葉隠と書かれている。
(山田君と葉隠君が、あれを……)
桑田「いやー、マジで意外だよな! 最初はせんせーに書いてもらうはずだったんだけどさぁ、
葉隠が『字には自信あるべ!』とか言うもんでやらせたらリアルに上手くてよ」
葉隠「いやー、それほどでもあるべ。でも山田っちのイラストあってじゃねえか?」
山田「心を込めて描かせて頂きました! 力作ですぞ!」
江ノ島「西城の眉間のシワとか細かいよね」
山田「笑ってと言ってもあんな顔になるんだから僕のせいじゃないですよ?!」
「…………」
呆然としている石丸の肩を掴んだのは大和田だ。
大和田「兄弟!」
「……兄、弟」
・・・
朝日奈「ほら、石丸。あんたが開けて」
「…………」
朝日奈「早く!」
朝日奈に背中を押され、石丸は躊躇いながらも食堂の扉を開けた。中は薄暗かったが……
パパパパーン!!
「?!」
「退院おめでとう!!!」
たくさんのクラッカーの音と共にパッと明かりが点く。
「こ、れは……」
苗木「石丸君、今日の主役は石丸君なんだよ!」
石丸は無言で視線を上に上げる。食堂の中央には大きな横断幕が掲げられ、
そこには全員の似顔絵と共に大きな文字で『石丸清多夏退院記念パーティー』とあった。
隅の方に画・山田、題字・葉隠と書かれている。
(山田君と葉隠君が、あれを……)
桑田「いやー、マジで意外だよな! 最初はせんせーに書いてもらうはずだったんだけどさぁ、
葉隠が『字には自信あるべ!』とか言うもんでやらせたらリアルに上手くてよ」
葉隠「いやー、それほどでもあるべ。でも山田っちのイラストあってじゃねえか?」
山田「心を込めて描かせて頂きました! 力作ですぞ!」
江ノ島「西城の眉間のシワとか細かいよね」
山田「笑ってと言ってもあんな顔になるんだから僕のせいじゃないですよ?!」
「…………」
呆然としている石丸の肩を掴んだのは大和田だ。
大和田「兄弟!」
「……兄、弟」
840: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 22:32:52.59:Z6PznDmu0 (4/16)
大和田「これ食ってくれ。食うっつーか飲むだけどよ。俺は料理は苦手だが、西城や大神と相談してさ、
消化にいいスープを作ってみたんだ。ここ最近なにも食ってないだろ? なあ、頼む!」
石丸(兄弟が……これを……)
渡された椀を見つめる。男が料理なんて、と意地を張ってあまり手伝わなかった大和田が作ったのか。
不二咲「美味しいよ? とっても美味しい。あのさ、僕も今胃が悪くて……一緒に食べようよ!」
「不二、咲君……」
K「…………」
KAZUYAは思い出す。
大和田『俺も料理班に入れてくれ!』
大和田『俺が作ったもんなら兄弟だって食ってくれるかもしれないだろ?!』
大和田『不二咲の具合悪くしたのも俺だしな……。なんでもいいから、詫びをしてえんだ!』
大和田『それに……俺、思い出したんだよ。物を作るやり方なら、誰も傷つけねえって――』
石丸は椀を顔に近付けた。そして……実に二週間ぶりに食べ物を口に含んだのだった。
(……美味しい)
大和田「うめえか?! 吐かないってことはうめえんだろ?! ……そうか、そうか!!」
スープの味を噛み締めるように口を動かす石丸の肩に腕を回して大和田は笑った。
その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
苗木「見て! ショーが始まるよ!」
ジェノ「ヒャッハー! 盛り上がって来たわああああ!」
(ショー……?)
不二咲「石丸君のために今日だけ開かれるスペシャルライブなんだよ!」
K「よく見ていろ。こんな豪華なライブはきっと一生に一度だろうからな」
山田「スペシャルゲストもいますしね!」
(ライブ……ゲスト……)
大和田「これ食ってくれ。食うっつーか飲むだけどよ。俺は料理は苦手だが、西城や大神と相談してさ、
消化にいいスープを作ってみたんだ。ここ最近なにも食ってないだろ? なあ、頼む!」
石丸(兄弟が……これを……)
渡された椀を見つめる。男が料理なんて、と意地を張ってあまり手伝わなかった大和田が作ったのか。
不二咲「美味しいよ? とっても美味しい。あのさ、僕も今胃が悪くて……一緒に食べようよ!」
「不二、咲君……」
K「…………」
KAZUYAは思い出す。
大和田『俺も料理班に入れてくれ!』
大和田『俺が作ったもんなら兄弟だって食ってくれるかもしれないだろ?!』
大和田『不二咲の具合悪くしたのも俺だしな……。なんでもいいから、詫びをしてえんだ!』
大和田『それに……俺、思い出したんだよ。物を作るやり方なら、誰も傷つけねえって――』
石丸は椀を顔に近付けた。そして……実に二週間ぶりに食べ物を口に含んだのだった。
(……美味しい)
大和田「うめえか?! 吐かないってことはうめえんだろ?! ……そうか、そうか!!」
スープの味を噛み締めるように口を動かす石丸の肩に腕を回して大和田は笑った。
その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
苗木「見て! ショーが始まるよ!」
ジェノ「ヒャッハー! 盛り上がって来たわああああ!」
(ショー……?)
不二咲「石丸君のために今日だけ開かれるスペシャルライブなんだよ!」
K「よく見ていろ。こんな豪華なライブはきっと一生に一度だろうからな」
山田「スペシャルゲストもいますしね!」
(ライブ……ゲスト……)
841: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 22:42:26.28:Z6PznDmu0 (5/16)
石丸の右側に大和田、左側には車椅子に座った不二咲がそれぞれ肩と手を掴む。
すぐ後ろにはKAZUYAが見守るように立っていた。
霧切「……始まるわよ」
再び照明が落とされる。と、食堂の後ろに配置されたテーブルの上に葉隠と山田が乗り、
倉庫のガラクタでKAZUYAと不二咲が作った簡易スポットライトを掲げ舞台を照らす。
その瞬間厨房から走り出し、食堂の大テーブルで作られた即席ステージに向かうのは舞園だ。
いつの間にか華やかなステージ衣装に着替えた舞園を、大神がさっと抱きかかえステージに乗せる。
そして、もう一人客席側から舞台に飛び乗る。その人物とは、
桑田「オーッス! 今日は一日限りのスペシャルユニット『レオン&さやか』の
ライブに来てくれてありがとな! 盛り上がって行こうぜー!」
桑田がマイクで呼びかけると、観客側も一気に盛り上がる。
ワーワー! 格好いいぞー! 舞園ちゃんかわいいー! ヒューヒュー! フゥー!
舞園「石丸君の退院をお祝いして、心を込めて歌います。曲は『ネガイゴトアンサンブル』」
【ネガイゴトアンサンブル】
すると、食堂に静かなイントロが流れ始めた。音楽室にあったコンポをKAZUYAが運んでおいたのだ。
恐らくモノクマが嫌がらせのつもりで置いたのだろうが、舞園のCDが全て揃っていたのは幸いだった。
そこに、桑田の生ギターが入る。アレンジして少し複雑なコードになっているが、桑田は華麗に
弾きこなしてみせた。よく見たら指には絆創膏が巻かれている。あの集中力もなく努力嫌いだった男が、
指がボロボロになるほど練習したのだと石丸は少し驚いていた。……だが、本当の驚きはこれからだ。
舞園「きっと Shooting Love Shooting Heart もっと 高く高く ~♪」
右手は完治していないものの、腹部の傷はすっかり塞がりKAZUYAからもお墨付きの出た舞園は、
なかなか激しい振り付けのダンスを踊りながらもその音程は一切崩れなかった。流石超高校級の
アイドルと言うべき見事なパフォーマンスである。ちなみに、動きが激しいのでテーブルが
ひっくり返らないよう、テーブルの脚は片側を大神、もう片側は苗木と江ノ島が押さえている。
舞園がAメロの前半を歌い上げ後半に入った。瞬間――
石丸の右側に大和田、左側には車椅子に座った不二咲がそれぞれ肩と手を掴む。
すぐ後ろにはKAZUYAが見守るように立っていた。
霧切「……始まるわよ」
再び照明が落とされる。と、食堂の後ろに配置されたテーブルの上に葉隠と山田が乗り、
倉庫のガラクタでKAZUYAと不二咲が作った簡易スポットライトを掲げ舞台を照らす。
その瞬間厨房から走り出し、食堂の大テーブルで作られた即席ステージに向かうのは舞園だ。
いつの間にか華やかなステージ衣装に着替えた舞園を、大神がさっと抱きかかえステージに乗せる。
そして、もう一人客席側から舞台に飛び乗る。その人物とは、
桑田「オーッス! 今日は一日限りのスペシャルユニット『レオン&さやか』の
ライブに来てくれてありがとな! 盛り上がって行こうぜー!」
桑田がマイクで呼びかけると、観客側も一気に盛り上がる。
ワーワー! 格好いいぞー! 舞園ちゃんかわいいー! ヒューヒュー! フゥー!
舞園「石丸君の退院をお祝いして、心を込めて歌います。曲は『ネガイゴトアンサンブル』」
【ネガイゴトアンサンブル】
すると、食堂に静かなイントロが流れ始めた。音楽室にあったコンポをKAZUYAが運んでおいたのだ。
恐らくモノクマが嫌がらせのつもりで置いたのだろうが、舞園のCDが全て揃っていたのは幸いだった。
そこに、桑田の生ギターが入る。アレンジして少し複雑なコードになっているが、桑田は華麗に
弾きこなしてみせた。よく見たら指には絆創膏が巻かれている。あの集中力もなく努力嫌いだった男が、
指がボロボロになるほど練習したのだと石丸は少し驚いていた。……だが、本当の驚きはこれからだ。
舞園「きっと Shooting Love Shooting Heart もっと 高く高く ~♪」
右手は完治していないものの、腹部の傷はすっかり塞がりKAZUYAからもお墨付きの出た舞園は、
なかなか激しい振り付けのダンスを踊りながらもその音程は一切崩れなかった。流石超高校級の
アイドルと言うべき見事なパフォーマンスである。ちなみに、動きが激しいのでテーブルが
ひっくり返らないよう、テーブルの脚は片側を大神、もう片側は苗木と江ノ島が押さえている。
舞園がAメロの前半を歌い上げ後半に入った。瞬間――
842: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 22:49:37.30:Z6PznDmu0 (6/16)
桑田・舞園「夜空の星たちに打ち明ける願いは 大人になるにつれて小さく小さくなってくのかな♪」
桑田がギターを弾きながら舞園の声に自分の声を重ねた。見事なハーモニーが奏でられる。
二人は歌いながら笑い、楽しげに手を叩いたり顔を近付けてパフォーマンスをしていた。
「……!」
石丸は無意識に驚喜している自分に気付く。桑田はKAZUYAに頼まれたから何とか負の感情を
抑えていただけで、舞園に対する怒りや恐怖は完全には消え去っていないはずであった。
それが今、手を取り合って二人は歌っている。それに、桑田の歌は想像以上に上手かった。
歌か、手を取り合う二人に感動したのか自分でも判然としないが、ツーと石丸の頬を一筋の涙が流れる。
K(二人共……よく頑張ったな)
その様子を見て、KAZUYAは満足げに何度も頷いた。
KAZUYAだけが知っている。桑田がこっそり舞園に頭を下げ、密かに音楽室でボイストレーニングを
受けていたことを。この三日間の大半を、デュエットやダンスの練習に費やしていたことを。
桑田「きっと Shooting Love Shooting Heart 見上げた空にプリズム ~♪」
桑田は元々声は悪くないのだ。きちんと練習さえすればそれなりのレベルにはなる。……が、
短期間の練習で舞園と同じステージに立つのは、石丸の命運が掛かっていることもあり並大抵の
覚悟では出来ないだろう。しかし、意外なことにこの提案をしてきたのは桑田からであった。
桑田・舞園「夜空の星たちに打ち明ける願いは 大人になるにつれて小さく小さくなってくのかな♪」
桑田がギターを弾きながら舞園の声に自分の声を重ねた。見事なハーモニーが奏でられる。
二人は歌いながら笑い、楽しげに手を叩いたり顔を近付けてパフォーマンスをしていた。
「……!」
石丸は無意識に驚喜している自分に気付く。桑田はKAZUYAに頼まれたから何とか負の感情を
抑えていただけで、舞園に対する怒りや恐怖は完全には消え去っていないはずであった。
それが今、手を取り合って二人は歌っている。それに、桑田の歌は想像以上に上手かった。
歌か、手を取り合う二人に感動したのか自分でも判然としないが、ツーと石丸の頬を一筋の涙が流れる。
K(二人共……よく頑張ったな)
その様子を見て、KAZUYAは満足げに何度も頷いた。
KAZUYAだけが知っている。桑田がこっそり舞園に頭を下げ、密かに音楽室でボイストレーニングを
受けていたことを。この三日間の大半を、デュエットやダンスの練習に費やしていたことを。
桑田「きっと Shooting Love Shooting Heart 見上げた空にプリズム ~♪」
桑田は元々声は悪くないのだ。きちんと練習さえすればそれなりのレベルにはなる。……が、
短期間の練習で舞園と同じステージに立つのは、石丸の命運が掛かっていることもあり並大抵の
覚悟では出来ないだろう。しかし、意外なことにこの提案をしてきたのは桑田からであった。
843: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 22:52:35.29:Z6PznDmu0 (7/16)
『俺、思うんだけどさぁ。ただのカラオケじゃダメだと思うんだよな』
『いや、舞園のパフォーマンスにケチつけてるワケじゃなくて……』
『今回の作戦はさ、“みんな”で協力するってのがミソなんだろ?』
『なら、ビミョーな感じだった俺と舞園が仲良く共同ステージとかしたら
……インパクトあんじゃね?みたいな感じなんだけどさ』
舞園「ずっと Shooting Love Shooting Heart 待ち焦がれてた未来へ ~♪」
桑田・舞園「もっと 高く高く 飛んでゆきたい Twinkle Twinkle Little Star ~♪」
二番のAメロは桑田がメロディーを歌い、舞園がバックコーラスを担当する。
『桑田君は頑張っていると思いますよ』
『結構細かく指導させてもらってるんですけど、何も言わずについてきてくれますし、とても熱心です』
『……え? 私は無理なんてしていないですよ? 顔色が悪いのは、
久しぶりに運動して少し貧血になっているだけだと思います』
『当日は最高のパフォーマンスを見せますね。本番を楽しみにしていてください!』
そして盛り上がりも最高潮の中、ピッタリと息の合った二人が最後のサビを歌い上げる。
――曲が終わった。石丸は、無意識に拍手をしていた。
「あ……」
「まだ終わりませんわよ!」
『俺、思うんだけどさぁ。ただのカラオケじゃダメだと思うんだよな』
『いや、舞園のパフォーマンスにケチつけてるワケじゃなくて……』
『今回の作戦はさ、“みんな”で協力するってのがミソなんだろ?』
『なら、ビミョーな感じだった俺と舞園が仲良く共同ステージとかしたら
……インパクトあんじゃね?みたいな感じなんだけどさ』
舞園「ずっと Shooting Love Shooting Heart 待ち焦がれてた未来へ ~♪」
桑田・舞園「もっと 高く高く 飛んでゆきたい Twinkle Twinkle Little Star ~♪」
二番のAメロは桑田がメロディーを歌い、舞園がバックコーラスを担当する。
『桑田君は頑張っていると思いますよ』
『結構細かく指導させてもらってるんですけど、何も言わずについてきてくれますし、とても熱心です』
『……え? 私は無理なんてしていないですよ? 顔色が悪いのは、
久しぶりに運動して少し貧血になっているだけだと思います』
『当日は最高のパフォーマンスを見せますね。本番を楽しみにしていてください!』
そして盛り上がりも最高潮の中、ピッタリと息の合った二人が最後のサビを歌い上げる。
――曲が終わった。石丸は、無意識に拍手をしていた。
「あ……」
「まだ終わりませんわよ!」
844: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 22:58:10.42:Z6PznDmu0 (8/16)
「?!」
舞園と桑田がステージの端の方に下がる。絶対聞いたことはないはずなのに何だか聞き覚えのあるような
懐かしいイントロが流れ始めた。そして、黒を基調とした派手なドレスを纏った女王もとい――
セレスティア・ルーデンベルクが舞台に降臨する。ちなみに帽子に付けているバラと羽飾りは自作だ。
石丸(まさか……)
【 D A N G A N R O N P A 】
キャーキャー! セレス殿ー! セレスちゃんステキー!
大歓声を受けセレスは上機嫌のようだった。華麗に手を振り、くわえていたバラの造花を
観客席に投げる。石丸がそのバラを受け止めたのを見て、セレスはマイクを取った。
セレス「今日は特別に……本当に特っ別にあなたのために一曲歌って差し上げますわ」
セレス「……わたくしが誰かのために歌うなど世界で初めてです。光栄に思うことですわね」
石丸「えっ」
驚愕などという言葉では生温い。一瞬呼吸をするのを忘れる程の衝撃だ。
セレスと言えば、適応をモットーにする穏健派ではあるものの、とにかくマイペースで協調性がなく
面倒くさがり屋である。あからさまに場を掻き回すことはしないが、鋭い皮肉をよく言われたものだ。
そのセレスが自分のために舞台に立って……しかも、歌う?
K(フッ、流石に驚いているようだな。ショック療法としては上々だ)
苗木(わかるよ。僕達が一番驚いてるもん……)
苗木は会議が始まったばかりのことを思い出した。
舞園『石丸君は、全部自分が悪いと思い込んでいるんです。みんなが喧嘩をしているのも
怒ったり悲しい顔をするのも、全部自分が悪い。自分はここにいてはいけないと……』
朝日奈『どうすればいいのかな……』
霧切『難しいわね……』
苗木『……逆のことをすればいいんじゃないかな』
桑田『逆? 逆ってなんだよ?』
苗木『自分のせいで今の状況になってるって思い込んでるんでしょ? じゃあ今の状況を
ぶち壊せばいいんだ! 具体的には、みんなで仲良くするのはどうかな?』
「?!」
舞園と桑田がステージの端の方に下がる。絶対聞いたことはないはずなのに何だか聞き覚えのあるような
懐かしいイントロが流れ始めた。そして、黒を基調とした派手なドレスを纏った女王もとい――
セレスティア・ルーデンベルクが舞台に降臨する。ちなみに帽子に付けているバラと羽飾りは自作だ。
石丸(まさか……)
【 D A N G A N R O N P A 】
キャーキャー! セレス殿ー! セレスちゃんステキー!
大歓声を受けセレスは上機嫌のようだった。華麗に手を振り、くわえていたバラの造花を
観客席に投げる。石丸がそのバラを受け止めたのを見て、セレスはマイクを取った。
セレス「今日は特別に……本当に特っ別にあなたのために一曲歌って差し上げますわ」
セレス「……わたくしが誰かのために歌うなど世界で初めてです。光栄に思うことですわね」
石丸「えっ」
驚愕などという言葉では生温い。一瞬呼吸をするのを忘れる程の衝撃だ。
セレスと言えば、適応をモットーにする穏健派ではあるものの、とにかくマイペースで協調性がなく
面倒くさがり屋である。あからさまに場を掻き回すことはしないが、鋭い皮肉をよく言われたものだ。
そのセレスが自分のために舞台に立って……しかも、歌う?
K(フッ、流石に驚いているようだな。ショック療法としては上々だ)
苗木(わかるよ。僕達が一番驚いてるもん……)
苗木は会議が始まったばかりのことを思い出した。
舞園『石丸君は、全部自分が悪いと思い込んでいるんです。みんなが喧嘩をしているのも
怒ったり悲しい顔をするのも、全部自分が悪い。自分はここにいてはいけないと……』
朝日奈『どうすればいいのかな……』
霧切『難しいわね……』
苗木『……逆のことをすればいいんじゃないかな』
桑田『逆? 逆ってなんだよ?』
苗木『自分のせいで今の状況になってるって思い込んでるんでしょ? じゃあ今の状況を
ぶち壊せばいいんだ! 具体的には、みんなで仲良くするのはどうかな?』
845: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 23:04:40.05:Z6PznDmu0 (9/16)
山田『そんな単純な問題ですかねぇ』
舞園『いえ、有効だと思います。……観察していて気付いたのですが、石丸君は笑顔に反応するんです』
大和田『笑顔? じゃあ、ジェノサイダーが来た時やけに調子良さそうなのは……!』
舞園『はい。彼女がいつも元気に笑っているからだと思います。逆に、誰かが
怒ったり悲しんでいる顔を見ると、不安になったり怯えるんです』
K『あの時保健室から出てきたのは、俺の怒鳴り声に反応したからか……』
葉隠『仲良くかぁ。じゃあ、みんなで盛大に見舞いでもすればいいんか?』
不二咲『お見舞いパーティー……とかどうかな』
朝日奈『それ、いいね! みんなでぱーっとパーティーしない?!』
セレス『何をテーマにするのですか? 親睦会? それとも監禁一ヶ月記念ですか?』
K『素直に石丸の退院記念ということでいいんじゃないか?
……これを機に本当に退院してもらわないとこちらも困る』
舞園『いいですね。私も退院した時、皆さんがパーティーを開いてくれて凄く嬉しかったですし』
大神『料理は任せてくれ。豪勢に作らせてもらおう』
方針が決定し、担当を割り振っていたのだが。
苗木『えーっと、セレスさんも協力してくれるんだよね?』
セレス『勿論ですわ。と言っても……』
苗木『料理は朝日奈さん、大神さん、霧切さんに大和田君と四人もいるし』
葉隠『電気系統は先生に不二咲っち。あと俺が補助だな』
桑田『俺と舞園は舞台担当で?』
山田『飾りは僕と苗木誠殿と、江ノ島盾子殿、葉隠康比呂殿で十分ですし……』
大和田『力仕事は先公、俺、大神だ。そもそもセレスにゃムリだしな』
セレス『……わたくし、やることないのではありませんこと?!』
江ノ島『折り紙で輪飾り作れば? アタシにだってできるんだから、あんただってできるでしょ?』
セレス『そんな地味な仕事ではつまらないですわ』
苗木『う、うーん(普段は面倒くさがりなのに、こういう時に余ると怒るんだからタチが悪いな……)』
山田『そんな単純な問題ですかねぇ』
舞園『いえ、有効だと思います。……観察していて気付いたのですが、石丸君は笑顔に反応するんです』
大和田『笑顔? じゃあ、ジェノサイダーが来た時やけに調子良さそうなのは……!』
舞園『はい。彼女がいつも元気に笑っているからだと思います。逆に、誰かが
怒ったり悲しんでいる顔を見ると、不安になったり怯えるんです』
K『あの時保健室から出てきたのは、俺の怒鳴り声に反応したからか……』
葉隠『仲良くかぁ。じゃあ、みんなで盛大に見舞いでもすればいいんか?』
不二咲『お見舞いパーティー……とかどうかな』
朝日奈『それ、いいね! みんなでぱーっとパーティーしない?!』
セレス『何をテーマにするのですか? 親睦会? それとも監禁一ヶ月記念ですか?』
K『素直に石丸の退院記念ということでいいんじゃないか?
……これを機に本当に退院してもらわないとこちらも困る』
舞園『いいですね。私も退院した時、皆さんがパーティーを開いてくれて凄く嬉しかったですし』
大神『料理は任せてくれ。豪勢に作らせてもらおう』
方針が決定し、担当を割り振っていたのだが。
苗木『えーっと、セレスさんも協力してくれるんだよね?』
セレス『勿論ですわ。と言っても……』
苗木『料理は朝日奈さん、大神さん、霧切さんに大和田君と四人もいるし』
葉隠『電気系統は先生に不二咲っち。あと俺が補助だな』
桑田『俺と舞園は舞台担当で?』
山田『飾りは僕と苗木誠殿と、江ノ島盾子殿、葉隠康比呂殿で十分ですし……』
大和田『力仕事は先公、俺、大神だ。そもそもセレスにゃムリだしな』
セレス『……わたくし、やることないのではありませんこと?!』
江ノ島『折り紙で輪飾り作れば? アタシにだってできるんだから、あんただってできるでしょ?』
セレス『そんな地味な仕事ではつまらないですわ』
苗木『う、うーん(普段は面倒くさがりなのに、こういう時に余ると怒るんだからタチが悪いな……)』
846: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 23:09:50.99:Z6PznDmu0 (10/16)
霧切『何か舞台で披露するのはどうかしら?』
苗木『あ、じゃあ僕と一緒に手品でもやる? 図書室で調べて練習すれば……』
セレス『わたくしに前座を務めろと? わたくし、やるからには主役でないとやる気が出ませんの』
苗木『えーっと……』
セレス『そうですわね。わたくし、実は歌にはちょっとばかり自信があるのですが……』チラ
舞園『?』
セレス『やるからにはトリを務めたいですわ』
桑田『ハァ? ワガママ言ってんじゃねーよ、お前!』
大和田『オメエなぁ、トリはアイドルの舞園に決まってるだろ?』
舞園『私は構いませんよ』
苗木『え?! 本当にいいの?』
舞園『それでセレスさんのやる気が出るならお安いものです。順番なんてどうでも
いいじゃないですか。折角ですからバックコーラスもやらせてください』
セレス『まあ……』
大神(何と……舞園のアイドルに対する情熱はよく知っている。まさかここまで言うとは……)
霧切『舞園さんは大人ね?』
セレス『……わたくしに嫌みは通じませんことよ。ご安心を。やるからには
このセレスティア・ルーデンベルク、本気を出させてもらいますわ』
……そして、本気を出した結果がこれである。
衣装や帽子は元々モノモノマシーンで過去に引き当てたものだが、細かい装飾やステージを
飾るバラの数々は全て自作である。また、何をどう交渉したのかわからないが、モノクマから
お目当てのCDをもぎ取り、自分専用のマイクスタンドもどこからか用意した。
『ふふ、わたくしが器用で意外ですか?』
『昔はお金がなかったので、必要な小物はこうしてよく自作していたのですよ』
『何せ、今回はわたくしが主役ですからね。手を抜く訳には参りませんわ!』
『……ああ、勿論主賓は石丸君ですわよ? 我々仕掛人側の主役ということですわ。うふふ』
KAZUYAはリハーサルや演出まで事細かに指示をするセレスを思い出していた。
霧切『何か舞台で披露するのはどうかしら?』
苗木『あ、じゃあ僕と一緒に手品でもやる? 図書室で調べて練習すれば……』
セレス『わたくしに前座を務めろと? わたくし、やるからには主役でないとやる気が出ませんの』
苗木『えーっと……』
セレス『そうですわね。わたくし、実は歌にはちょっとばかり自信があるのですが……』チラ
舞園『?』
セレス『やるからにはトリを務めたいですわ』
桑田『ハァ? ワガママ言ってんじゃねーよ、お前!』
大和田『オメエなぁ、トリはアイドルの舞園に決まってるだろ?』
舞園『私は構いませんよ』
苗木『え?! 本当にいいの?』
舞園『それでセレスさんのやる気が出るならお安いものです。順番なんてどうでも
いいじゃないですか。折角ですからバックコーラスもやらせてください』
セレス『まあ……』
大神(何と……舞園のアイドルに対する情熱はよく知っている。まさかここまで言うとは……)
霧切『舞園さんは大人ね?』
セレス『……わたくしに嫌みは通じませんことよ。ご安心を。やるからには
このセレスティア・ルーデンベルク、本気を出させてもらいますわ』
……そして、本気を出した結果がこれである。
衣装や帽子は元々モノモノマシーンで過去に引き当てたものだが、細かい装飾やステージを
飾るバラの数々は全て自作である。また、何をどう交渉したのかわからないが、モノクマから
お目当てのCDをもぎ取り、自分専用のマイクスタンドもどこからか用意した。
『ふふ、わたくしが器用で意外ですか?』
『昔はお金がなかったので、必要な小物はこうしてよく自作していたのですよ』
『何せ、今回はわたくしが主役ですからね。手を抜く訳には参りませんわ!』
『……ああ、勿論主賓は石丸君ですわよ? 我々仕掛人側の主役ということですわ。うふふ』
KAZUYAはリハーサルや演出まで事細かに指示をするセレスを思い出していた。
847: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 23:18:48.96:Z6PznDmu0 (11/16)
K(目立ちたがりなんだな……一人だけ頑張りのベクトルが違うが、まあ今の石丸にはわからんだろう)
セレス「わたくしの歌に酔いしれなさい」
山田「セレスさまあああああああああ!」
セレス「時の扉よ、開け わたくしの道を照らせ ~♪」
実際、超高校級のアイドルを前に自信があると豪語するだけあって、セレスの歌は確かに上手かった。
ダンスや人を引き付ける総合パフォーマンスでは当然舞園の方が圧倒的に上だが、純粋な歌唱力だけなら
けしてセレスが劣っているということはない。これには誰もが驚かされた。
セレス「きらきらきら煌めく ドレスは幾万のダイヤ ~♪」
桑田(……リハーサルの時も思ったけど、こいつマジで上手いのな。っくぅ~、なんか腹立つぜ!)
舞園(セレスさん、綺麗な声だからきっと歌も上手いと思ってました。私の見立て通りです)
セレス(ああ、下々の者の賞賛の眼差しが眩しいですわ……悪くありませんわね)
セレス(ですが――恐らくこれが皆さんと開く最期のパーティーになるのでしょう)
ひらひらと優雅に手を振り微笑を浮かべながらも、セレスは内心では全く笑っていなかった。
そう、計算高いセレスがただで協力する訳がなかったのだ!
セレス(わたくし、一旦場をフラットにすることにしましたの)
彼女は自分に殺人計画を立てる才能がないことを自覚している。そのうえ生徒達は引きこもりがちで
行動が読めない。つまり、一言で言えば手詰まりだ。だから、この場はもう終わらせることにしたのだ。
ギャンブラーに最も必要な資質は勿論運であるが、ただゲームが強ければ一流というものではない。
場の流れを読む能力こそギャンブルで求められるものである。流れが自分にないと判断した時に、
思い切って仕切り直しをしたり潔く手仕舞い出来るかが勝敗を分けると言っても過言ではないのだ。
セレス(十神君と腐川さんはよくわかりませんが、少なくとも石丸君さえ元に戻れば今ここにいるメンバーは
また以前のような生活に戻るはず。そうすれば、過去に考えた計画を流用出来ますわ)
セレス(それに、少しずつ形になってきたのです。場を戻して、あともう一押しさえあれば……)
――宿願成就せん!!
セレス(ですから、その時が来たら改めて勝負ですわ。ねえ、皆さん……)
K(目立ちたがりなんだな……一人だけ頑張りのベクトルが違うが、まあ今の石丸にはわからんだろう)
セレス「わたくしの歌に酔いしれなさい」
山田「セレスさまあああああああああ!」
セレス「時の扉よ、開け わたくしの道を照らせ ~♪」
実際、超高校級のアイドルを前に自信があると豪語するだけあって、セレスの歌は確かに上手かった。
ダンスや人を引き付ける総合パフォーマンスでは当然舞園の方が圧倒的に上だが、純粋な歌唱力だけなら
けしてセレスが劣っているということはない。これには誰もが驚かされた。
セレス「きらきらきら煌めく ドレスは幾万のダイヤ ~♪」
桑田(……リハーサルの時も思ったけど、こいつマジで上手いのな。っくぅ~、なんか腹立つぜ!)
舞園(セレスさん、綺麗な声だからきっと歌も上手いと思ってました。私の見立て通りです)
セレス(ああ、下々の者の賞賛の眼差しが眩しいですわ……悪くありませんわね)
セレス(ですが――恐らくこれが皆さんと開く最期のパーティーになるのでしょう)
ひらひらと優雅に手を振り微笑を浮かべながらも、セレスは内心では全く笑っていなかった。
そう、計算高いセレスがただで協力する訳がなかったのだ!
セレス(わたくし、一旦場をフラットにすることにしましたの)
彼女は自分に殺人計画を立てる才能がないことを自覚している。そのうえ生徒達は引きこもりがちで
行動が読めない。つまり、一言で言えば手詰まりだ。だから、この場はもう終わらせることにしたのだ。
ギャンブラーに最も必要な資質は勿論運であるが、ただゲームが強ければ一流というものではない。
場の流れを読む能力こそギャンブルで求められるものである。流れが自分にないと判断した時に、
思い切って仕切り直しをしたり潔く手仕舞い出来るかが勝敗を分けると言っても過言ではないのだ。
セレス(十神君と腐川さんはよくわかりませんが、少なくとも石丸君さえ元に戻れば今ここにいるメンバーは
また以前のような生活に戻るはず。そうすれば、過去に考えた計画を流用出来ますわ)
セレス(それに、少しずつ形になってきたのです。場を戻して、あともう一押しさえあれば……)
――宿願成就せん!!
セレス(ですから、その時が来たら改めて勝負ですわ。ねえ、皆さん……)
848: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 23:23:19.40:Z6PznDmu0 (12/16)
セレス「微笑む唇静かにふさいで 魔法の中であなたを虜にする歌 ~♪」
不二咲「セレスさーん!」
葉隠「いいぞー!」
朝日奈「Fu-Fu! イェイイェーイ!!」
ブラボー! パチパチパチパチパチパチパチパチ!!
渾身の力を込めてセレスはラストを飾る。スポットライトが消え、
余韻を楽しむように少しの間場が暗くなり……そして再び照明がついた。
今までの盛り上がりが嘘であったかのように場は静寂となる。
石丸「…………」
K「石丸……」
不二咲「石丸君……」
大和田「……なあ、兄弟。すごかったろ? 魂……ふるえちまったろ……?」
石丸「どう……して……」
石丸は喋った。
虚空ではなく、はっきりと仲間達を見渡しながら。
石丸「ここまで……してくれるんだ……?」
「!」
石丸「僕は……いつも……みんなの、足を引っ張っていたのに……」
山田「お互い様ってことじゃないですかね?」
テーブルから降りてきた山田が言う。
セレス「微笑む唇静かにふさいで 魔法の中であなたを虜にする歌 ~♪」
不二咲「セレスさーん!」
葉隠「いいぞー!」
朝日奈「Fu-Fu! イェイイェーイ!!」
ブラボー! パチパチパチパチパチパチパチパチ!!
渾身の力を込めてセレスはラストを飾る。スポットライトが消え、
余韻を楽しむように少しの間場が暗くなり……そして再び照明がついた。
今までの盛り上がりが嘘であったかのように場は静寂となる。
石丸「…………」
K「石丸……」
不二咲「石丸君……」
大和田「……なあ、兄弟。すごかったろ? 魂……ふるえちまったろ……?」
石丸「どう……して……」
石丸は喋った。
虚空ではなく、はっきりと仲間達を見渡しながら。
石丸「ここまで……してくれるんだ……?」
「!」
石丸「僕は……いつも……みんなの、足を引っ張っていたのに……」
山田「お互い様ってことじゃないですかね?」
テーブルから降りてきた山田が言う。
849: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 23:28:59.85:Z6PznDmu0 (13/16)
山田「……僕らだって、みんなに迷惑かけてるし。別にあなただけが問題起こしてるわけじゃないですよ」
『どうです? この似顔絵。最高の出来でしょう?』
『まだみんなの仲が良かった頃を思い出しながら描いたんです』
『……僕にも出来ることがあって良かった。本当は、僕もずっと悩んでたんですよ』
『僕ってなんの役に立ってないなって。石丸清多夏殿もこれを見て元気になってもらえたら……』
石丸「山田君……」
葉隠「そうだべ。もうちょっと気楽になってもいいんじゃねえか?」
『いやー、疲れる疲れる。まとめ役がこんなに疲れるなんてなぁ』
『思えば、いつも先生や石丸っちがまとめ役を引き受けてくれるから、それに甘えてた所があったべ』
『俺も一応この中じゃ年長だし、たまにはがんばらねえとな。はははっ』
『……と言っても、ずっとやるのは大変だから石丸っちにさっさと戻ってきてほしいべ!』
葉隠「責任感があるのはいいことだけどよ、石丸っちはちょっとそれが強すぎだべ」
霧切「そうね。もう少し周りの人間に頼ってもいいんじゃない?
私が言っても説得力がないかもしれないけれど……」
『またみんなと距離を取っているように見えるかしら?』
『……仕方ないわ。だって、そうでもしないと中立を保てなくなるもの』
『彼等は強いわ。確かに、何度も迷ったり争ったり間違えたりもしてきたけれど……』
『最終的には、立ち上がる強さを持っている。――だから、距離を取らないと呑み込まれてしまう』
霧切「――仲間を信頼するって、そういうことじゃないかしら?」
石丸「仲間……信頼……」
山田「……僕らだって、みんなに迷惑かけてるし。別にあなただけが問題起こしてるわけじゃないですよ」
『どうです? この似顔絵。最高の出来でしょう?』
『まだみんなの仲が良かった頃を思い出しながら描いたんです』
『……僕にも出来ることがあって良かった。本当は、僕もずっと悩んでたんですよ』
『僕ってなんの役に立ってないなって。石丸清多夏殿もこれを見て元気になってもらえたら……』
石丸「山田君……」
葉隠「そうだべ。もうちょっと気楽になってもいいんじゃねえか?」
『いやー、疲れる疲れる。まとめ役がこんなに疲れるなんてなぁ』
『思えば、いつも先生や石丸っちがまとめ役を引き受けてくれるから、それに甘えてた所があったべ』
『俺も一応この中じゃ年長だし、たまにはがんばらねえとな。はははっ』
『……と言っても、ずっとやるのは大変だから石丸っちにさっさと戻ってきてほしいべ!』
葉隠「責任感があるのはいいことだけどよ、石丸っちはちょっとそれが強すぎだべ」
霧切「そうね。もう少し周りの人間に頼ってもいいんじゃない?
私が言っても説得力がないかもしれないけれど……」
『またみんなと距離を取っているように見えるかしら?』
『……仕方ないわ。だって、そうでもしないと中立を保てなくなるもの』
『彼等は強いわ。確かに、何度も迷ったり争ったり間違えたりもしてきたけれど……』
『最終的には、立ち上がる強さを持っている。――だから、距離を取らないと呑み込まれてしまう』
霧切「――仲間を信頼するって、そういうことじゃないかしら?」
石丸「仲間……信頼……」
850: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 23:35:32.07:Z6PznDmu0 (14/16)
大神「一人では重い荷も、仲間と背負えば軽くなろう?」
『……今回の件でわかったことがある』
『我は、朝日奈の……仲間達の泣く姿はもう見たくないのだ』
『仲間が泣いているのに自分が何も出来ぬのは……辛い。本当に辛い』
『我にとって、仲間は……』
大神「我等を頼れ。みんなもそれを望んでいる」
朝日奈「そうだよ! 私達は今まであんたに頼りっぱなしだったし、これからはちゃんと手伝うからさ!」
『絶対成功させる! 絶っ対に! 成功っ! させるっ!!』
『……もうイヤだもん。おかしくなったアイツを見るのも、みんなとケンカするのも』
『アイツが元に戻れば、きっとみんなまた前みたいになれるはず!』
『そうなったら……先生も、また笑ってくれるよね?』
朝日奈「戻ってきてよ……お願いだから」
江ノ島「あんたも頑固だよね。みんながこんだけやってるんだから、いい加減戻れっての!」
『アタシは……あんまり役に立てないと思うけどね』
『あ、いや、その! やる気はあるよ? あるけど、結果が出るとは限らないというか……』
『ああいうウジウジしたヤツ苦手だし……そりゃ、戻ったら嬉しいけどね』
『…………』
大神「一人では重い荷も、仲間と背負えば軽くなろう?」
『……今回の件でわかったことがある』
『我は、朝日奈の……仲間達の泣く姿はもう見たくないのだ』
『仲間が泣いているのに自分が何も出来ぬのは……辛い。本当に辛い』
『我にとって、仲間は……』
大神「我等を頼れ。みんなもそれを望んでいる」
朝日奈「そうだよ! 私達は今まであんたに頼りっぱなしだったし、これからはちゃんと手伝うからさ!」
『絶対成功させる! 絶っ対に! 成功っ! させるっ!!』
『……もうイヤだもん。おかしくなったアイツを見るのも、みんなとケンカするのも』
『アイツが元に戻れば、きっとみんなまた前みたいになれるはず!』
『そうなったら……先生も、また笑ってくれるよね?』
朝日奈「戻ってきてよ……お願いだから」
江ノ島「あんたも頑固だよね。みんながこんだけやってるんだから、いい加減戻れっての!」
『アタシは……あんまり役に立てないと思うけどね』
『あ、いや、その! やる気はあるよ? あるけど、結果が出るとは限らないというか……』
『ああいうウジウジしたヤツ苦手だし……そりゃ、戻ったら嬉しいけどね』
『…………』
851: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 23:44:48.49:Z6PznDmu0 (15/16)
苗木「これでわかったと思うんだ。みんな君のことが好きだし必要としてる」
苗木が一歩踏み出して石丸の前に歩み出た。
『……僕と違ってちゃんと超高校級の実力を持つ石丸君にこんなことを言うのは
おかしいかもしれないけど、ちょっとだけ僕は石丸君の気持ちがわかる気がするんです』
『僕達は他のみんなと違って才能がない。特に石丸君は天才にコンプレックスがあるみたいだから、
余計に頑張ろう、足を引っ張らないようにしようってプレッシャーがあったんじゃないかな』
『僕だって正直大したことは出来てないけど……でも、みんなを影から支えることくらいは出来る』
『僕が頑張る姿を見て、石丸君がまた自信を取り戻してくれたらいいな、なんて……』
苗木「君が自分を必要ないなんて思い込む必要も、自分を嫌う必要もないんだ!」
石丸「僕は……」
大和田「あ?! なんだ?!」
石丸「ここにいてもいいのだろうか……?」
不二咲「石丸君……」
石丸の手を、不二咲が一層強く握る。
不二咲「ここにいてもいいんだよ……むしろ、いなきゃ駄目なんだ……!!」
『先生、実はね……僕、倒れていた時の記憶があるんだ。夢を見ていたんだけど……』
『もし、こんな事件に巻き込まれずみんなと普通の学生生活を送れていたら……っていう内容なんだ』
『それでね、最初はただの夢だったんだけど、途中から大和田君と石丸君が泣き出したの……』
『多分現実の声が反映されたからだと思うんだけど……石丸君はこう言ってたはずなんだ』
『一緒に遊んだり、時にふざけあったり……そういう友達らしいことをしたいって』
不二咲「僕達、まだ友達らしいことを何もしてない! 折角、生きてるんだから、だから……!」
石丸「不二咲君……」
苗木「これでわかったと思うんだ。みんな君のことが好きだし必要としてる」
苗木が一歩踏み出して石丸の前に歩み出た。
『……僕と違ってちゃんと超高校級の実力を持つ石丸君にこんなことを言うのは
おかしいかもしれないけど、ちょっとだけ僕は石丸君の気持ちがわかる気がするんです』
『僕達は他のみんなと違って才能がない。特に石丸君は天才にコンプレックスがあるみたいだから、
余計に頑張ろう、足を引っ張らないようにしようってプレッシャーがあったんじゃないかな』
『僕だって正直大したことは出来てないけど……でも、みんなを影から支えることくらいは出来る』
『僕が頑張る姿を見て、石丸君がまた自信を取り戻してくれたらいいな、なんて……』
苗木「君が自分を必要ないなんて思い込む必要も、自分を嫌う必要もないんだ!」
石丸「僕は……」
大和田「あ?! なんだ?!」
石丸「ここにいてもいいのだろうか……?」
不二咲「石丸君……」
石丸の手を、不二咲が一層強く握る。
不二咲「ここにいてもいいんだよ……むしろ、いなきゃ駄目なんだ……!!」
『先生、実はね……僕、倒れていた時の記憶があるんだ。夢を見ていたんだけど……』
『もし、こんな事件に巻き込まれずみんなと普通の学生生活を送れていたら……っていう内容なんだ』
『それでね、最初はただの夢だったんだけど、途中から大和田君と石丸君が泣き出したの……』
『多分現実の声が反映されたからだと思うんだけど……石丸君はこう言ってたはずなんだ』
『一緒に遊んだり、時にふざけあったり……そういう友達らしいことをしたいって』
不二咲「僕達、まだ友達らしいことを何もしてない! 折角、生きてるんだから、だから……!」
石丸「不二咲君……」
852: ◆takaJZRsBc:2014/10/24(金) 23:54:16.27:Z6PznDmu0 (16/16)
K「……石丸、もういいだろう?」
石丸「でも……僕は……」
K(なかなかしぶといな……もう半分以上落ちているはずだが)
KAZUYAが何か言おうとした時だった。
「いい加減うっとうしいんだよ、このウジウジ石頭がぁぁああああああああっ!!」
いつの間にか舞台から降りていたセレスが中指を突き立てて怒鳴る。
石丸「セレス君……」
セレス「他の方々がはっきり言わないようですからわたくしが言ってやりますわ! よろしいですか?!
世の中の人間の99、9%は周囲から必要だなんて別に思われていないのです!!」
セレス「わたくしは他人をランク付けする習慣がありますが、最高でC。それもほんの一握りで、
ほとんどの人間は生きようが死のうが感心すら持たないDランク止まりですわ」
「…………」
嫌な習慣だな、と全員が半目になっているがセレスは止まらない。
セレス「当然あなたもD、むしろ散々迷惑をかけられましたからEやFでもよろしいくらいです」
石丸「そうだな……」
セレス「わたくしだけでなく他の人間も恐らくそう思っているでしょうね」
大和田「ハァ?! オメエ、なにを……」
K「静かに!」
思わず反論しようとした大和田をKAZUYAは止める。
K「……石丸、もういいだろう?」
石丸「でも……僕は……」
K(なかなかしぶといな……もう半分以上落ちているはずだが)
KAZUYAが何か言おうとした時だった。
「いい加減うっとうしいんだよ、このウジウジ石頭がぁぁああああああああっ!!」
いつの間にか舞台から降りていたセレスが中指を突き立てて怒鳴る。
石丸「セレス君……」
セレス「他の方々がはっきり言わないようですからわたくしが言ってやりますわ! よろしいですか?!
世の中の人間の99、9%は周囲から必要だなんて別に思われていないのです!!」
セレス「わたくしは他人をランク付けする習慣がありますが、最高でC。それもほんの一握りで、
ほとんどの人間は生きようが死のうが感心すら持たないDランク止まりですわ」
「…………」
嫌な習慣だな、と全員が半目になっているがセレスは止まらない。
セレス「当然あなたもD、むしろ散々迷惑をかけられましたからEやFでもよろしいくらいです」
石丸「そうだな……」
セレス「わたくしだけでなく他の人間も恐らくそう思っているでしょうね」
大和田「ハァ?! オメエ、なにを……」
K「静かに!」
思わず反論しようとした大和田をKAZUYAは止める。
853: ◆takaJZRsBc:2014/10/25(土) 00:00:54.68:8a4R7CQa0 (1/3)
セレス「そもそも人間とは、ごくごく親しい身内以外の他人は基本どうでも良いと思っているのです。
いちいちこの人間は必要だとか不必要だなんて考えていませんわ。自分は周囲から必要と
されていないからいらない、と言う考え自体が自意識過剰な思い上がりなのです!」
セレス「なんならわたくしがあなたに不必要だから死ねと言えばあなた死にますか?
死なないでしょう? あまりに理不尽過ぎますもの」
石丸「だが……僕は危うくみんなを死なせることに……」
セレス「その点につきましてはご安心を。まとめ役というストッパーがいないからか、あなたがいない間にも
散々トラブルは起こりましたし、むしろ危うく一触即発になる所でしたわ。あなたがいることで
起こるリスクより、あなたがいないことで起こるリスクの方が皆さんは高いと考えています」
石丸「…………」
セレス「そもそもあなたと親しい大和田君達はともかく、わたくしを始めとした別にあなたと親しくも
何でもない、むしろ嫌いだとすら思っている人間があなたを必要と感じてここまでしている――」
セレス「この意味がわからないのなら、いくらあなたが超高校級の馬鹿とは言え死んだ方がよろしいですわね」
厳しいな、と思わずKAZUYAは苦笑するが……厳しいだけの効果はあったようだ。
石丸「そうか……ああ、そうだな……」
石丸は滝のように涙を流しながら何度も何度も深く頷く。
大和田「兄弟……」
石丸「僕は、本当に何もわかっていない大馬鹿者だったようだ……他人に必要とされないなんて当たり前。
それでも……ここにはこんなにたくさん、僕を必要としてくれる人がいる……」
石丸「これがどんなに有り難い、恵まれていることか……僕は目が醒めた。醒めたぞ、みんな……!」
大和田「兄弟……!」
不二咲「石丸君……!」
石丸「みんな、ありがとう! 僕はもう迷わない!」
石丸「不出来で至らない所がたくさんある僕だが……またリーダーをやっていいのだな?」
葉隠「むしろ石丸っちしかいないべ」
山田「そうですよ!」
江ノ島「ホント、頼むわよ」
セレス「そもそも人間とは、ごくごく親しい身内以外の他人は基本どうでも良いと思っているのです。
いちいちこの人間は必要だとか不必要だなんて考えていませんわ。自分は周囲から必要と
されていないからいらない、と言う考え自体が自意識過剰な思い上がりなのです!」
セレス「なんならわたくしがあなたに不必要だから死ねと言えばあなた死にますか?
死なないでしょう? あまりに理不尽過ぎますもの」
石丸「だが……僕は危うくみんなを死なせることに……」
セレス「その点につきましてはご安心を。まとめ役というストッパーがいないからか、あなたがいない間にも
散々トラブルは起こりましたし、むしろ危うく一触即発になる所でしたわ。あなたがいることで
起こるリスクより、あなたがいないことで起こるリスクの方が皆さんは高いと考えています」
石丸「…………」
セレス「そもそもあなたと親しい大和田君達はともかく、わたくしを始めとした別にあなたと親しくも
何でもない、むしろ嫌いだとすら思っている人間があなたを必要と感じてここまでしている――」
セレス「この意味がわからないのなら、いくらあなたが超高校級の馬鹿とは言え死んだ方がよろしいですわね」
厳しいな、と思わずKAZUYAは苦笑するが……厳しいだけの効果はあったようだ。
石丸「そうか……ああ、そうだな……」
石丸は滝のように涙を流しながら何度も何度も深く頷く。
大和田「兄弟……」
石丸「僕は、本当に何もわかっていない大馬鹿者だったようだ……他人に必要とされないなんて当たり前。
それでも……ここにはこんなにたくさん、僕を必要としてくれる人がいる……」
石丸「これがどんなに有り難い、恵まれていることか……僕は目が醒めた。醒めたぞ、みんな……!」
大和田「兄弟……!」
不二咲「石丸君……!」
石丸「みんな、ありがとう! 僕はもう迷わない!」
石丸「不出来で至らない所がたくさんある僕だが……またリーダーをやっていいのだな?」
葉隠「むしろ石丸っちしかいないべ」
山田「そうですよ!」
江ノ島「ホント、頼むわよ」
854: ◆takaJZRsBc:2014/10/25(土) 00:12:29.16:8a4R7CQa0 (2/3)
大和田「兄弟! この、バカ野郎……心配かけさせやがって……!!」ボロボロ
不二咲「良かった……良かったよぉ、本当に……!!」ボロボロ
朝日奈「バカ……! もうおかしくなったりしないでよね!」ボロボロ
桑田「まったくだぜ! 次におかしくなっても、もう助けてやんねーからな!」グス
舞園「良かったです……」
苗木「……うん、本当に良かった」
霧切「そうね」
大神「ウム……」
生徒達が石丸の周りに集まり、KAZUYAは自然と後ろの方に下がる。
(……俺の出る幕はなかったようだな)
生徒達は自分達の力だけで石丸を元に戻した。そこにKAZUYAの力は全く介入していない。
そんな生徒達の成長に、KAZUYAは嬉しいような寂しいような……やっぱり喜びながら目を細める。
「先生! 西城先生!!」
石丸が振り返ってKAZUYAを呼んだ。KAZUYAは笑みを浮かべながら一言だけ声を掛ける。
「石丸」
「はい!」
「――おかえり」
「!!」
何故だろう。その言葉に石丸は一瞬動揺したようだった。だが、次にはもう破顔している。
「……石丸清多夏、ただいま戻りました!」
軍人でもないのに何故か敬礼をして、石丸は答えた。
泣きながら笑っていた――。
大和田「兄弟! この、バカ野郎……心配かけさせやがって……!!」ボロボロ
不二咲「良かった……良かったよぉ、本当に……!!」ボロボロ
朝日奈「バカ……! もうおかしくなったりしないでよね!」ボロボロ
桑田「まったくだぜ! 次におかしくなっても、もう助けてやんねーからな!」グス
舞園「良かったです……」
苗木「……うん、本当に良かった」
霧切「そうね」
大神「ウム……」
生徒達が石丸の周りに集まり、KAZUYAは自然と後ろの方に下がる。
(……俺の出る幕はなかったようだな)
生徒達は自分達の力だけで石丸を元に戻した。そこにKAZUYAの力は全く介入していない。
そんな生徒達の成長に、KAZUYAは嬉しいような寂しいような……やっぱり喜びながら目を細める。
「先生! 西城先生!!」
石丸が振り返ってKAZUYAを呼んだ。KAZUYAは笑みを浮かべながら一言だけ声を掛ける。
「石丸」
「はい!」
「――おかえり」
「!!」
何故だろう。その言葉に石丸は一瞬動揺したようだった。だが、次にはもう破顔している。
「……石丸清多夏、ただいま戻りました!」
軍人でもないのに何故か敬礼をして、石丸は答えた。
泣きながら笑っていた――。
855: ◆takaJZRsBc:2014/10/25(土) 00:18:51.05:8a4R7CQa0 (3/3)
ここまで! 治ったッ! 第三章完!!
ここまで! 治ったッ! 第三章完!!
856:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/25(土) 00:28:27.21:Yt3Pum57o (1/1)
乙です
乙です
857:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/25(土) 01:23:56.60:Kf/6Wb69o (1/1)
乙!
乙!
858:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/25(土) 01:45:38.13:kBPY5rvfO (1/1)
乙
しかし本当の戦いはこれからなんだね
乙
しかし本当の戦いはこれからなんだね
859:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/25(土) 04:05:44.95:8GRV5ns20 (1/1)
泣いた
でもここでまだ終わらないんだろ?とびくびくしている
泣いた
でもここでまだ終わらないんだろ?とびくびくしている
860:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/25(土) 06:37:25.47:0Ypw5LjtO (1/1)
乙です!
ほぼ1スレ使ったが、ついに石丸を救えたな…!
でもチャプター3は展開的にもこれからなんだよな…
楽しみにしてます!
乙です!
ほぼ1スレ使ったが、ついに石丸を救えたな…!
でもチャプター3は展開的にもこれからなんだよな…
楽しみにしてます!
861:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/25(土) 12:54:47.65:IFe3rZjXo (1/1)
おめでとう、清多夏君おめでとう! パチパチパチ!
>>841のサムネが……ww
おめでとう、清多夏君おめでとう! パチパチパチ!
>>841のサムネが……ww
862: ◆takaJZRsBc:2014/10/25(土) 15:47:15.97:JLIYsvq60 (1/1)
みんなの脳内にはちゃんと桑田君の声も聞こえていたと信じてる
長かった。まさか石丸君の鬱だけで1スレ丸々潰れるとは思わなかった
この後もう一山越えたら医療編は終了です。その後は久しぶりに自由行動入ります
インターバルとして日常編を入れるので実に3スレぶりの明るい雰囲気を楽しんで下さい
…ほんと、石丸君が元気かそうでないかは大きいわ。ガラッと空気変えてくれるよ、彼
>>861
サムネ見たらビックリしたww
ちなみに本当は木曜日に投下予定だったのですが、つべのセレスさんが何故か
消えていたので慌てて探していたら遅くなってしまった。ニコでゴメン
みんなの脳内にはちゃんと桑田君の声も聞こえていたと信じてる
長かった。まさか石丸君の鬱だけで1スレ丸々潰れるとは思わなかった
この後もう一山越えたら医療編は終了です。その後は久しぶりに自由行動入ります
インターバルとして日常編を入れるので実に3スレぶりの明るい雰囲気を楽しんで下さい
…ほんと、石丸君が元気かそうでないかは大きいわ。ガラッと空気変えてくれるよ、彼
>>861
サムネ見たらビックリしたww
ちなみに本当は木曜日に投下予定だったのですが、つべのセレスさんが何故か
消えていたので慌てて探していたら遅くなってしまった。ニコでゴメン
863:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/25(土) 23:07:00.76:j9SOqG8Ko (1/1)
いい青春だ
いい青春だ
864: ◆takaJZRsBc:2014/10/26(日) 22:03:27.90:qCFLBLER0 (1/7)
ジェノ「あり? 気付いたらきよたん復活してた感じ? なんか知らんけどおめっとさ~ん!」モッシャモッシャ
葉隠「オメエ、ブレねえな……」
舞園「まあ翔さんは自由人ですから」
セレス「これでやっと一つ問題が片付きましたわね」
石丸「申し訳ない。これまでの分も合わせて働かせてもらおう」
山田「頼みますよ。十神白夜殿のこともありますし……」
苗木「あ、山田君!」
朝日奈「十神のことはまずいって!」
石丸「十神君がどうかしたのかね? ……そういえば見かけないな」
「…………」
一瞬で沈黙となり、KAZUYAが代表で説明する。
K「実はな……」
十神の状況を聞くと、石丸は途端に険しい顔つきとなった。
石丸「……僕は十神君に会わなければならない」
桑田「つっても、会ってどうすんだ? まさかお礼参りでもするワケじゃねーだろ?」
石丸「いや、お礼参りだ!」
大和田「マジか?! ……そうか。とうとう兄弟もあの野郎に一発かます気になったか!」
石丸「行くぞ!」
大和田「おう!」
ダダダダダダダダダダッ!
ジェノ「あり? 気付いたらきよたん復活してた感じ? なんか知らんけどおめっとさ~ん!」モッシャモッシャ
葉隠「オメエ、ブレねえな……」
舞園「まあ翔さんは自由人ですから」
セレス「これでやっと一つ問題が片付きましたわね」
石丸「申し訳ない。これまでの分も合わせて働かせてもらおう」
山田「頼みますよ。十神白夜殿のこともありますし……」
苗木「あ、山田君!」
朝日奈「十神のことはまずいって!」
石丸「十神君がどうかしたのかね? ……そういえば見かけないな」
「…………」
一瞬で沈黙となり、KAZUYAが代表で説明する。
K「実はな……」
十神の状況を聞くと、石丸は途端に険しい顔つきとなった。
石丸「……僕は十神君に会わなければならない」
桑田「つっても、会ってどうすんだ? まさかお礼参りでもするワケじゃねーだろ?」
石丸「いや、お礼参りだ!」
大和田「マジか?! ……そうか。とうとう兄弟もあの野郎に一発かます気になったか!」
石丸「行くぞ!」
大和田「おう!」
ダダダダダダダダダダッ!
865: ◆takaJZRsBc:2014/10/26(日) 22:11:30.80:qCFLBLER0 (2/7)
大神「西城殿、止めなくて良いのですか?」
K「まあ石丸ならやり過ぎんだろう。一発くらいならいいんじゃないか?」
苗木「KAZUYA先生にここまで言われるって……流石十神君だよね……」
朝日奈「十神ならいいよ! 一発くらい!」ブー!
舞園「朝日奈さん、だいぶ嫌ってるみたいですね」
霧切「仕方ないわ。彼はそれだけのことをしてきたもの……」
そういう霧切の目も少しばかり据わっている。
ジェノ「ま、一発くらいならいっか。きよたんに殴られて青筋浮かべる白夜様も萌えそうだし」ゲラゲラ
山田「そこに萌えを見出すとは……やはり、腐女子は強い……!」
・・・
ピンポピンポピンポピンポピンポピンポピンポピンポーン! ピンポーン!!
ガチャガチャガチャ!
「十神君! 早くここを開けたまえ!」
念のためにKAZUYA達も十神の部屋に向かう。余程積もりに積もった物があるのか、
石丸は絶え間無くインターホンを連打しドアノブをガチャガチャと動かす。
本来なら赤い顔をしているのだろうが、血が足りないのか生気がなく青ざめているため少し怖い。
『…………騒がしいぞ。誰だ?』
「僕だ! 石丸だ!」
『何、石丸だと……?!』
大神「西城殿、止めなくて良いのですか?」
K「まあ石丸ならやり過ぎんだろう。一発くらいならいいんじゃないか?」
苗木「KAZUYA先生にここまで言われるって……流石十神君だよね……」
朝日奈「十神ならいいよ! 一発くらい!」ブー!
舞園「朝日奈さん、だいぶ嫌ってるみたいですね」
霧切「仕方ないわ。彼はそれだけのことをしてきたもの……」
そういう霧切の目も少しばかり据わっている。
ジェノ「ま、一発くらいならいっか。きよたんに殴られて青筋浮かべる白夜様も萌えそうだし」ゲラゲラ
山田「そこに萌えを見出すとは……やはり、腐女子は強い……!」
・・・
ピンポピンポピンポピンポピンポピンポピンポピンポーン! ピンポーン!!
ガチャガチャガチャ!
「十神君! 早くここを開けたまえ!」
念のためにKAZUYA達も十神の部屋に向かう。余程積もりに積もった物があるのか、
石丸は絶え間無くインターホンを連打しドアノブをガチャガチャと動かす。
本来なら赤い顔をしているのだろうが、血が足りないのか生気がなく青ざめているため少し怖い。
『…………騒がしいぞ。誰だ?』
「僕だ! 石丸だ!」
『何、石丸だと……?!』
866: ◆takaJZRsBc:2014/10/26(日) 22:21:30.15:qCFLBLER0 (3/7)
最初は心底億劫そうだった十神だが、相手が石丸と知るや声だけでわかるほど明確に動揺していた。
『貴様……とうとう頭がおかしくなったと聞いたが?』
「そうだ。おかしくなっていた。全ては僕の弱さのせいでだ。……だが! 僕は戻ってきたぞ!」
「君が無意味だと切り捨てた、友情の力でだッ!!」
『…………』
「どうした? 君もいつまでもこそこそ引きこもっていないで、早く出てきたまえ!
それとも、超高校級の御曹司ともあろう者が怖くて外に出られないのか!」
「帝王を名乗るくせに庶民を恐れて部屋に引きこもるとは余りにも情けない!」
カチャリ。
石丸の挑発が終わるか終わらないかのタイミングで、十神は出てきた。
「…………」
お世辞にも顔色が良いとは言えなかった。むしろ、健康なはずなのにどこか病人然とした雰囲気を
漂わせている。恐らく、昼間はほとんど外に出ることは叶わず部屋に篭りっきりで、かつ食事も
毎日同じような保存食ばかり摂っていたため、計り知れないストレスがあったのだろう。
お互いに頬が少しこけた、青白い不健康そうな男が無言で睨み合う。
「何の用だ」
「君にお礼参りをするために来たのだ」
一瞬たりとも目を逸らさず石丸が宣言すると、十神はいつものように鼻で笑った。
「フッ、何を言いに来たかと思えばお礼参りだと? 自分の不甲斐なさを
棚にあげて暴力に走るとは、超高校級の風紀委員が聞いて呆れ……」
「十神君――――ありがとうっ!!!」
「呆れ…………ハ?」
十神にしては珍しく目を丸くし、間の抜けた声を出す。
最初は心底億劫そうだった十神だが、相手が石丸と知るや声だけでわかるほど明確に動揺していた。
『貴様……とうとう頭がおかしくなったと聞いたが?』
「そうだ。おかしくなっていた。全ては僕の弱さのせいでだ。……だが! 僕は戻ってきたぞ!」
「君が無意味だと切り捨てた、友情の力でだッ!!」
『…………』
「どうした? 君もいつまでもこそこそ引きこもっていないで、早く出てきたまえ!
それとも、超高校級の御曹司ともあろう者が怖くて外に出られないのか!」
「帝王を名乗るくせに庶民を恐れて部屋に引きこもるとは余りにも情けない!」
カチャリ。
石丸の挑発が終わるか終わらないかのタイミングで、十神は出てきた。
「…………」
お世辞にも顔色が良いとは言えなかった。むしろ、健康なはずなのにどこか病人然とした雰囲気を
漂わせている。恐らく、昼間はほとんど外に出ることは叶わず部屋に篭りっきりで、かつ食事も
毎日同じような保存食ばかり摂っていたため、計り知れないストレスがあったのだろう。
お互いに頬が少しこけた、青白い不健康そうな男が無言で睨み合う。
「何の用だ」
「君にお礼参りをするために来たのだ」
一瞬たりとも目を逸らさず石丸が宣言すると、十神はいつものように鼻で笑った。
「フッ、何を言いに来たかと思えばお礼参りだと? 自分の不甲斐なさを
棚にあげて暴力に走るとは、超高校級の風紀委員が聞いて呆れ……」
「十神君――――ありがとうっ!!!」
「呆れ…………ハ?」
十神にしては珍しく目を丸くし、間の抜けた声を出す。
867: ◆takaJZRsBc:2014/10/26(日) 22:33:08.17:qCFLBLER0 (4/7)
「ハァ……??」
……意味がわからない。
だが周囲の人間達はもっと混乱したようで、ワンテンポ遅れて騒ぎ出す。
「ハアアアアアアアッ?!!」
「ええええええええええええええええ?!!」
「石丸君?!」
「お、おい、石丸……お前、本当はまだ治ってないんじゃないのか……?」
しまいにはKAZUYAすら石丸がまだ狂っているのではないかと疑念を持つ。
だが、その心配を石丸は明確に否定した。
「いいえ。僕は頭がおかしい訳ではなく、真剣にお礼を言っているのです!」
「なんでだよ、兄弟?! なんでこんなヤツに礼なんて……!!」
「そうだぜ! むしろ謝らせるべきだろ!」
「……みんな、聞いてくれ。まず始めに、僕は十神君の思想にも理念にも全く賛同出来ない。
こんな状況だと言うのはわかるが、やはり人間として最低限の倫理から外れるべきではないと思う」
「…………」
宥めるように話してから、石丸は視線を再び十神に戻す。
「だが、その点を除けば君は常に現実的であり正論を言ってきたな。僕がおかしくなったのは
誰のせいでもない。僕が勝手に自分の独りよがりな友情や責任に呑まれ押し潰されただけだ」
「みんなは本当に優しくて……何度も僕を支えてくれたしお陰で元に戻ることも出来た。だが、
もし彼がいなかったらそもそも僕は現実の厳しさを知ることもなかったように思う」
「ハァ……??」
……意味がわからない。
だが周囲の人間達はもっと混乱したようで、ワンテンポ遅れて騒ぎ出す。
「ハアアアアアアアッ?!!」
「ええええええええええええええええ?!!」
「石丸君?!」
「お、おい、石丸……お前、本当はまだ治ってないんじゃないのか……?」
しまいにはKAZUYAすら石丸がまだ狂っているのではないかと疑念を持つ。
だが、その心配を石丸は明確に否定した。
「いいえ。僕は頭がおかしい訳ではなく、真剣にお礼を言っているのです!」
「なんでだよ、兄弟?! なんでこんなヤツに礼なんて……!!」
「そうだぜ! むしろ謝らせるべきだろ!」
「……みんな、聞いてくれ。まず始めに、僕は十神君の思想にも理念にも全く賛同出来ない。
こんな状況だと言うのはわかるが、やはり人間として最低限の倫理から外れるべきではないと思う」
「…………」
宥めるように話してから、石丸は視線を再び十神に戻す。
「だが、その点を除けば君は常に現実的であり正論を言ってきたな。僕がおかしくなったのは
誰のせいでもない。僕が勝手に自分の独りよがりな友情や責任に呑まれ押し潰されただけだ」
「みんなは本当に優しくて……何度も僕を支えてくれたしお陰で元に戻ることも出来た。だが、
もし彼がいなかったらそもそも僕は現実の厳しさを知ることもなかったように思う」
868: ◆takaJZRsBc:2014/10/26(日) 22:39:47.48:qCFLBLER0 (5/7)
「十神君のお陰で、僕は自分が如何に独善的で世間知らずな甘ったれだったかを
知ることが出来た。……そして、弱さに気付いたからこそ強くもなれた」
「もう二度と僕は押し潰されたりしない。――だから改めて礼を言わせてくれ。ありがとう、十神君!!」
そして、90度腰を曲げて石丸は深々と礼をする。
「…………」
頭の回転には自信のある十神だったが、流石にこの展開には理解が追い付かず
彼を大いに悩ませることになった。必死に考え、やっと一つの結論に達する。
ああ――この男は馬鹿なのだと。
(馬鹿も馬鹿。頭に超が三つは余裕でつく、純粋培養かつ真正の馬鹿なのだ)
ならば自分はどう対応するのが正解か。答えは一つ、いつものように鼻で笑い飛ばせばいい。
……十神は己の生い立ちに誇りを持っていた。だから、頭の固い石丸以上に頑なで強情だった。
「前からわかっていたが……貴様、馬鹿だろう?」
「ああ! 大馬鹿だぞっ!!」
「クククク……」
「ハハハハ……」
「「ハッハッハッハッハッハッ! ウワッハッハッハッハッハッハッハッ!!」」
「…………」
睨み合いながらも大声で笑う二人を周囲はポカンと眺めていた。
「十神君のお陰で、僕は自分が如何に独善的で世間知らずな甘ったれだったかを
知ることが出来た。……そして、弱さに気付いたからこそ強くもなれた」
「もう二度と僕は押し潰されたりしない。――だから改めて礼を言わせてくれ。ありがとう、十神君!!」
そして、90度腰を曲げて石丸は深々と礼をする。
「…………」
頭の回転には自信のある十神だったが、流石にこの展開には理解が追い付かず
彼を大いに悩ませることになった。必死に考え、やっと一つの結論に達する。
ああ――この男は馬鹿なのだと。
(馬鹿も馬鹿。頭に超が三つは余裕でつく、純粋培養かつ真正の馬鹿なのだ)
ならば自分はどう対応するのが正解か。答えは一つ、いつものように鼻で笑い飛ばせばいい。
……十神は己の生い立ちに誇りを持っていた。だから、頭の固い石丸以上に頑なで強情だった。
「前からわかっていたが……貴様、馬鹿だろう?」
「ああ! 大馬鹿だぞっ!!」
「クククク……」
「ハハハハ……」
「「ハッハッハッハッハッハッ! ウワッハッハッハッハッハッハッハッ!!」」
「…………」
睨み合いながらも大声で笑う二人を周囲はポカンと眺めていた。
869:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/26(日) 22:46:57.24:BHuXDf42o (1/1)
この2人、いいな
この2人、いいな
870: ◆takaJZRsBc:2014/10/26(日) 22:52:41.52:qCFLBLER0 (6/7)
ジェノ「あ、白夜様が! あのクールな白夜様が笑っていらっしゃるわ! 殺る気に火がついちゃう!」
桑田「やめろっての!」
大和田「まあ、兄弟が許すってんなら……俺はもうなにも言わないぜ?
……でも、やっぱり殴りてえなぁ。ドチクショウ……」
苗木「ま、まあまあ。ハハ」
不二咲「やっぱり、石丸君は石丸君だね!」ニコッ
山田「ハッピーエンドってことでいいんですかね?」
葉隠「いいんじゃねえか? ワハハハハ!」
K(……あとは腐川だな)
霧切(正確にはまだ問題が全て片付いた訳じゃない。……でも、今それを言うのは野暮でしょうね)
生徒達が賑わう中、KAZUYAと霧切は冷静に先を考えていたが今だけはこの空気を楽しむことにした。
石丸「十神君、君はずっと部屋に篭っていてろくな食事を摂っていないのではないかね?
食堂に来たまえ。みんなが僕のためにパーティーを開いてくれたのだ。御馳走もあるぞ!」
十神「フン。別に興味ないが、どうしてもと言うなら行ってやってもいい」
桑田「じゃあ来るなよ……」
苗木「まあまあ」
石丸「あと、友情の力は確かに存在したぞ! 十神君にもいつか必ず認めてもらう!」
十神「馬鹿馬鹿しい」
大和田「やっぱり一発いれるかぁ?」ビキビキ
大神「その辺にしておけ」
舞園「じゃあパーティーを再開しましょう。折角だから私まだまだ歌います!」
朝日奈「あ、いいね! 聞きたい聞きたい!」
セレス「ではわたくしも……」
江ノ島「なにちゃっかり混じってんの、アンタ」
ワイワイガヤガヤザワザワ!
K「フ」
こうして、再び生徒が全員集合し学園に活気が戻って来た。
――実に二十日ぶりとなる。
ジェノ「あ、白夜様が! あのクールな白夜様が笑っていらっしゃるわ! 殺る気に火がついちゃう!」
桑田「やめろっての!」
大和田「まあ、兄弟が許すってんなら……俺はもうなにも言わないぜ?
……でも、やっぱり殴りてえなぁ。ドチクショウ……」
苗木「ま、まあまあ。ハハ」
不二咲「やっぱり、石丸君は石丸君だね!」ニコッ
山田「ハッピーエンドってことでいいんですかね?」
葉隠「いいんじゃねえか? ワハハハハ!」
K(……あとは腐川だな)
霧切(正確にはまだ問題が全て片付いた訳じゃない。……でも、今それを言うのは野暮でしょうね)
生徒達が賑わう中、KAZUYAと霧切は冷静に先を考えていたが今だけはこの空気を楽しむことにした。
石丸「十神君、君はずっと部屋に篭っていてろくな食事を摂っていないのではないかね?
食堂に来たまえ。みんなが僕のためにパーティーを開いてくれたのだ。御馳走もあるぞ!」
十神「フン。別に興味ないが、どうしてもと言うなら行ってやってもいい」
桑田「じゃあ来るなよ……」
苗木「まあまあ」
石丸「あと、友情の力は確かに存在したぞ! 十神君にもいつか必ず認めてもらう!」
十神「馬鹿馬鹿しい」
大和田「やっぱり一発いれるかぁ?」ビキビキ
大神「その辺にしておけ」
舞園「じゃあパーティーを再開しましょう。折角だから私まだまだ歌います!」
朝日奈「あ、いいね! 聞きたい聞きたい!」
セレス「ではわたくしも……」
江ノ島「なにちゃっかり混じってんの、アンタ」
ワイワイガヤガヤザワザワ!
K「フ」
こうして、再び生徒が全員集合し学園に活気が戻って来た。
――実に二十日ぶりとなる。
871: ◆takaJZRsBc:2014/10/26(日) 22:57:14.71:qCFLBLER0 (7/7)
ちょっと短いけどキリもいいのでここまで。
ちょっと短いけどキリもいいのでここまで。
872:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/26(日) 23:16:30.76:pmprn8u2o (1/1)
乙です
乙です
873:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/10/27(月) 04:36:06.59:QImmS8d60 (1/1)
何気に苗木君と一緒にテーブル支えてた残姉めっちゃうれしかっただろうなあ……
苗木君はステージの成功を一心に考えてるけど、その横で好きな男の子と一緒に何かをするのがうれしくてそれで頭がいっぱいの残姉
なんか文化祭の裏方みたいな感じで甘酸っぱいなあ
ということをストーリーに全然関係ないのに思ってしまった。
1乙でござる
何気に苗木君と一緒にテーブル支えてた残姉めっちゃうれしかっただろうなあ……
苗木君はステージの成功を一心に考えてるけど、その横で好きな男の子と一緒に何かをするのがうれしくてそれで頭がいっぱいの残姉
なんか文化祭の裏方みたいな感じで甘酸っぱいなあ
ということをストーリーに全然関係ないのに思ってしまった。
1乙でござる
874:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/27(月) 16:05:47.01:2CFJbiCro (1/2)
乙です
「貴様」をNGワードに設定してたから途中抜けててビビった
乙です
「貴様」をNGワードに設定してたから途中抜けててビビった
875:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/27(月) 16:33:11.14:ieStoKRWo (1/1)
石丸と十神が笑い合うシーンはいいね
某盲剣の人みたく何が可笑しい!と叫ぶかと思ったけどそうならなくてなにより
石丸と十神が笑い合うシーンはいいね
某盲剣の人みたく何が可笑しい!と叫ぶかと思ったけどそうならなくてなにより
876:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/27(月) 16:41:34.77:JI/bI5A+o (1/1)
>>874
貴様とか氏ねとか普段はあまり使わないけどSSだと結構出てくるから
NGワードは本当に使わない単語をオススメ。差別用語とか下品な言葉とか
>>875
十神「何が可笑しいッ!!」
吹いたw
>>874
貴様とか氏ねとか普段はあまり使わないけどSSだと結構出てくるから
NGワードは本当に使わない単語をオススメ。差別用語とか下品な言葉とか
>>875
十神「何が可笑しいッ!!」
吹いたw
877:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/27(月) 17:25:35.09:2CFJbiCro (2/2)
>>876
あるスレのキチガイがよく使ってるから設定したんだ
正直不便
>>876
あるスレのキチガイがよく使ってるから設定したんだ
正直不便
878:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/27(月) 17:48:12.21:dTnRZB77o (1/1)
>>877
oh…そうであったか。大変だが頑張れ
>>877
oh…そうであったか。大変だが頑張れ
879:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/27(月) 22:10:43.88:FyUhwakb0 (1/1)
復活出来て本当に良かったよ石丸…
今までの選択が失敗して再起不能になってたら目も当てられなかったよ
怪我のパターンは色々あるって言ってたから多岐に渡るバッド√用意されてんじゃ無かろうかと内心ビクビクしてたよ
復活出来て本当に良かったよ石丸…
今までの選択が失敗して再起不能になってたら目も当てられなかったよ
怪我のパターンは色々あるって言ってたから多岐に渡るバッド√用意されてんじゃ無かろうかと内心ビクビクしてたよ
880:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/10/28(火) 02:41:46.30:Wli6P1eG0 (1/1)
乙ですよかった本当によかった
山田葉隠セレスのスレタイ組が石丸復活に大きな役割してたのが嬉しいな
セレス様は今後コロシアイの方でも活躍するんだろうけどww
そう言えば>>1は絶望少女クリアしたって言ってたけどオマケもコンプリートした?
乙ですよかった本当によかった
山田葉隠セレスのスレタイ組が石丸復活に大きな役割してたのが嬉しいな
セレス様は今後コロシアイの方でも活躍するんだろうけどww
そう言えば>>1は絶望少女クリアしたって言ってたけどオマケもコンプリートした?
881:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/28(火) 13:41:28.75:U7jl2WxLo (1/1)
次のスレタイはどうするのだろう…
次のスレタイはどうするのだろう…
882:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/29(水) 08:37:19.46:A++QerbDO (1/1)
順当にいけば朝日奈・大神か?セレス十神が次スレでボスキャラとして君臨するならセレススレタイ続投もありだと思ふ
順当にいけば朝日奈・大神か?セレス十神が次スレでボスキャラとして君臨するならセレススレタイ続投もありだと思ふ
883:1:2014/10/29(水) 13:08:03.41:3HRuAhWDO (1/1)
当初の予定では順当に朝日奈大神コンビでしたが、このまま黒幕が黙っている訳ないので
次スレもまた一波乱あるでしょう。石丸君が復活したので武者修業編も再開するし、
帳尻合わせのため次スレは絶望シスターズかそれ+アルエゴの予定です。もし案があったらどうぞ
>>875
実はちょっと入れようか悩んだとは言えない……ただ和やかな空気がぶち壊れるので自重した
>>879
1も鬼ではないから余程のことがない限りは多少救済を入れます。ただ、当然ながら
ベストは逃すので、下手したら失明してノーマルエンドとかだったかもしれないですね
石丸君のファン的には十分BADかもしれませんが…
>>880
元々スレタイトリオはセレスさん以外は影が薄めだったので今回活躍を作ってあげられて良かった
…まあ、本番は次スレなんですけど
おまけはやり込み要素のファイルはまだで、小説は読みました。のんびり二周目中です
当初の予定では順当に朝日奈大神コンビでしたが、このまま黒幕が黙っている訳ないので
次スレもまた一波乱あるでしょう。石丸君が復活したので武者修業編も再開するし、
帳尻合わせのため次スレは絶望シスターズかそれ+アルエゴの予定です。もし案があったらどうぞ
>>875
実はちょっと入れようか悩んだとは言えない……ただ和やかな空気がぶち壊れるので自重した
>>879
1も鬼ではないから余程のことがない限りは多少救済を入れます。ただ、当然ながら
ベストは逃すので、下手したら失明してノーマルエンドとかだったかもしれないですね
石丸君のファン的には十分BADかもしれませんが…
>>880
元々スレタイトリオはセレスさん以外は影が薄めだったので今回活躍を作ってあげられて良かった
…まあ、本番は次スレなんですけど
おまけはやり込み要素のファイルはまだで、小説は読みました。のんびり二周目中です
884: ◆takaJZRsBc:2014/10/29(水) 23:48:21.93:oeH2PXlN0 (1/1)
かなり今更ですが、こんなことやってたんですね。真船先生おめでとうございます!
神奈川県のHP開くと真船先生の絵が流れてくるのが凄い感動…これでKAZUYAだったらなぁ…
この調子でメディアミックスもしてくれないだろうか。…あとコミックス書店に置いてほしい
http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p830358.html
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/chiji/p833215.html
神奈川県に住んでる人は是非見に行ってみよう!
(と言ってもどこにあるかはわからない。多分病院か役所あたりかな?)
かなり今更ですが、こんなことやってたんですね。真船先生おめでとうございます!
神奈川県のHP開くと真船先生の絵が流れてくるのが凄い感動…これでKAZUYAだったらなぁ…
この調子でメディアミックスもしてくれないだろうか。…あとコミックス書店に置いてほしい
http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p830358.html
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/chiji/p833215.html
神奈川県に住んでる人は是非見に行ってみよう!
(と言ってもどこにあるかはわからない。多分病院か役所あたりかな?)
885:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/10/29(水) 23:55:58.43:HSxemDnXo (1/1)
おめでとう…
おめでとう…
886: ◆takaJZRsBc:2014/11/02(日) 22:37:09.00:N/UW4e8M0 (1/10)
― 保健室 PM2:13 ―
生徒達はまた以前のようにパーティーで騒いだりゲームをして遊んでいる。途中まではKAZUYAも
同席していたが、彼は折を見て部屋から抜け出すと一人保健室でカルテを書いていた。
(上記により、石丸の意識・会話能力は共に標準レベルに回復。今後、感染等に注意をしていくが……)
(――本日をもって退院扱いとする)
もはや長くなり過ぎて日記のようになったカルテの束を最後にパラパラと見返すと、
感慨深くKAZUYAはそれを棚に仕舞った。出来ればもう開きたくないものだ。
コンコン。
「ん?」
ノックの音の後に扉が開き、石丸が部屋に入って来た。
「失礼します。……やはりここにいらっしゃいましたか」
「ああ。騒がしいのは苦手でな。俺の歳になると学生のノリについていくのは少しキツい」
そう言ってKAZUYAは苦笑してみせるが、勿論本気ではない。
「お前こそ抜け出して良かったのか? 今日の主役はお前だろう?」
「西城先生にお礼が言いたいと言ったら、みんな快く送り出してくれました」
「そうか。丁度、お前の体に埋め込んだカテーテルを取りたいと思っていたんだ。もう必要ないからな」
上着を脱がすと丁寧に消毒し、慣れた手つきで処置を行う。その無骨な手を石丸はジッと見つめていた。
「西城先生には……言葉で言い表せない程お世話になりました」
「……いや、俺は何もしていないさ。俺は今回のアイディアにノータッチだったからな。
みんなで意見を出し、何度も入念に議論を交わす姿を黙って見守っただけだ」
「お前を元に戻したいと言うみんなの気持ちが、奇跡を起こしたのだろう」
KAZUYAは淡々と話す。今回に限っては本当に何もしていなかった。医師である自分の手で
治すことが出来なかったのは残念に思うが、これで良かったとすらKAZUYAは思っていた。
― 保健室 PM2:13 ―
生徒達はまた以前のようにパーティーで騒いだりゲームをして遊んでいる。途中まではKAZUYAも
同席していたが、彼は折を見て部屋から抜け出すと一人保健室でカルテを書いていた。
(上記により、石丸の意識・会話能力は共に標準レベルに回復。今後、感染等に注意をしていくが……)
(――本日をもって退院扱いとする)
もはや長くなり過ぎて日記のようになったカルテの束を最後にパラパラと見返すと、
感慨深くKAZUYAはそれを棚に仕舞った。出来ればもう開きたくないものだ。
コンコン。
「ん?」
ノックの音の後に扉が開き、石丸が部屋に入って来た。
「失礼します。……やはりここにいらっしゃいましたか」
「ああ。騒がしいのは苦手でな。俺の歳になると学生のノリについていくのは少しキツい」
そう言ってKAZUYAは苦笑してみせるが、勿論本気ではない。
「お前こそ抜け出して良かったのか? 今日の主役はお前だろう?」
「西城先生にお礼が言いたいと言ったら、みんな快く送り出してくれました」
「そうか。丁度、お前の体に埋め込んだカテーテルを取りたいと思っていたんだ。もう必要ないからな」
上着を脱がすと丁寧に消毒し、慣れた手つきで処置を行う。その無骨な手を石丸はジッと見つめていた。
「西城先生には……言葉で言い表せない程お世話になりました」
「……いや、俺は何もしていないさ。俺は今回のアイディアにノータッチだったからな。
みんなで意見を出し、何度も入念に議論を交わす姿を黙って見守っただけだ」
「お前を元に戻したいと言うみんなの気持ちが、奇跡を起こしたのだろう」
KAZUYAは淡々と話す。今回に限っては本当に何もしていなかった。医師である自分の手で
治すことが出来なかったのは残念に思うが、これで良かったとすらKAZUYAは思っていた。
887: ◆takaJZRsBc:2014/11/02(日) 22:45:11.22:N/UW4e8M0 (2/10)
「……嘘です。僕にはちゃんと伝わっていました」
「何がだ?」
「僕の手を掴んで、抱きしめて……そうやって先生はずっと励まし続けてくれたではありませんか」
「…………」
「あの頃の記憶はぼんやりとしか覚えていませんが、ですが……先生の温かさはハッキリ覚えています」
「……そうか」
そっと目を伏せる。自分の行為が無駄ではなかったと、想いが届いたというその言葉が
何よりも嬉しい言葉なのだ。患者の喜びこそが医師であるKAZUYAの喜びだった。
「僕は嬉しかった。今まで、あんな風に誰かに支えてもらったことがなかったから……」
「いや、それ以上はいい。本当にいいんだ。お前が元気になってくれただけで俺は満足なんだよ」
「はい」
「友人達が待っているだろう? 早く戻ってやれ」
「でも、先生も一緒でないと……」
「…………」
石丸は確かに元に戻った。もう幻覚を見たりしないし意志の疎通もきちんと出来る。
――しかし、KAZUYAは気付いていた。石丸が前とは変わってしまったことに。
(以前の石丸なら、無理矢理俺のことも一緒に連れて行こうとしたはずだ)
先程十神と相対していた時は興奮していたのか、或いはみんなの前で無理をしていたのか
そこまで大きな変化はなかったが、時間が経って落ち着いてきた今ハッキリと違いがわかる。
前ほど言葉に力がなく、勢いがない。思慮深く発言をするようになり、すぐに興奮しなくなった。
落ち着いた雰囲気で、どこか伏し目がちであり、実年齢よりもやや大人びて見える。
(……一言で言えば大人になったのだ)
誰よりも純粋な少年の心を持っていた男が、過酷過ぎる状況に置かれ精神的に大きく成長した。
それだけのことだ。……それだけのはずだ。
「……嘘です。僕にはちゃんと伝わっていました」
「何がだ?」
「僕の手を掴んで、抱きしめて……そうやって先生はずっと励まし続けてくれたではありませんか」
「…………」
「あの頃の記憶はぼんやりとしか覚えていませんが、ですが……先生の温かさはハッキリ覚えています」
「……そうか」
そっと目を伏せる。自分の行為が無駄ではなかったと、想いが届いたというその言葉が
何よりも嬉しい言葉なのだ。患者の喜びこそが医師であるKAZUYAの喜びだった。
「僕は嬉しかった。今まで、あんな風に誰かに支えてもらったことがなかったから……」
「いや、それ以上はいい。本当にいいんだ。お前が元気になってくれただけで俺は満足なんだよ」
「はい」
「友人達が待っているだろう? 早く戻ってやれ」
「でも、先生も一緒でないと……」
「…………」
石丸は確かに元に戻った。もう幻覚を見たりしないし意志の疎通もきちんと出来る。
――しかし、KAZUYAは気付いていた。石丸が前とは変わってしまったことに。
(以前の石丸なら、無理矢理俺のことも一緒に連れて行こうとしたはずだ)
先程十神と相対していた時は興奮していたのか、或いはみんなの前で無理をしていたのか
そこまで大きな変化はなかったが、時間が経って落ち着いてきた今ハッキリと違いがわかる。
前ほど言葉に力がなく、勢いがない。思慮深く発言をするようになり、すぐに興奮しなくなった。
落ち着いた雰囲気で、どこか伏し目がちであり、実年齢よりもやや大人びて見える。
(……一言で言えば大人になったのだ)
誰よりも純粋な少年の心を持っていた男が、過酷過ぎる状況に置かれ精神的に大きく成長した。
それだけのことだ。……それだけのはずだ。
888: ◆takaJZRsBc:2014/11/02(日) 22:58:58.98:N/UW4e8M0 (3/10)
元に戻ったということは単に自分の行いを受け入れただけではなく、大和田の罪も……いや、
このコロシアイで起こった全ての出来事を許容できるようになったということに他ならない。
(しかし、何故だろう。俺は……石丸の成長を素直に喜べない)
成長とは、本来ならこれほど前向きで明るい言葉はないというくらいプラスの言葉だ。
人は大人になるにつれ失っていくものがあるが、その代わりそれ以上に大きなものを手に入れる。
それが本来の意味の成長なのだが……
(人間は歳と共に変わっていく生き物だ。変わること、成長すること自体は
けして悪いことではない。……だが、石丸の変わり方は何か違う気がする)
得た物より失ってしまった物の方が大きいような、そんな感想をKAZUYAに抱かせたのだ。
「先生……?」
険しい表情で黙り込むKAZUYAを心配して石丸が覗き込んでくる。
(違うだろう、石丸……お前はそんな不安そうな顔で相手の顔色を窺うような、
そういう真似はしなかった。前はそんなおどおどした目付きじゃなかった)
(もっと自分に自信があった。力強かった。後先考えず、周りを疑わず、自分が一度正しいと
思ったらそこに向かって一心不乱に駆けていくような――お前はそんな男だったはずだ)
違和感だけが加速していく。ある意味、このような場に置かれた高校生としては普通になったのだ。
別に放っといても問題あるまい。見たところ前より多少空気も読めるようになったし、
きっと以前よりもより深く周りと馴染めるはずだ……。そう思おうとしていたが。
―先生、助けて……
声が聞こえた。KAZUYAは思い出してしまった。
―私、死にたくないよ……
もはやKAZUYAにとって忘れられないトラウマとも言えるあの記憶が鮮烈に蘇る。
元に戻ったということは単に自分の行いを受け入れただけではなく、大和田の罪も……いや、
このコロシアイで起こった全ての出来事を許容できるようになったということに他ならない。
(しかし、何故だろう。俺は……石丸の成長を素直に喜べない)
成長とは、本来ならこれほど前向きで明るい言葉はないというくらいプラスの言葉だ。
人は大人になるにつれ失っていくものがあるが、その代わりそれ以上に大きなものを手に入れる。
それが本来の意味の成長なのだが……
(人間は歳と共に変わっていく生き物だ。変わること、成長すること自体は
けして悪いことではない。……だが、石丸の変わり方は何か違う気がする)
得た物より失ってしまった物の方が大きいような、そんな感想をKAZUYAに抱かせたのだ。
「先生……?」
険しい表情で黙り込むKAZUYAを心配して石丸が覗き込んでくる。
(違うだろう、石丸……お前はそんな不安そうな顔で相手の顔色を窺うような、
そういう真似はしなかった。前はそんなおどおどした目付きじゃなかった)
(もっと自分に自信があった。力強かった。後先考えず、周りを疑わず、自分が一度正しいと
思ったらそこに向かって一心不乱に駆けていくような――お前はそんな男だったはずだ)
違和感だけが加速していく。ある意味、このような場に置かれた高校生としては普通になったのだ。
別に放っといても問題あるまい。見たところ前より多少空気も読めるようになったし、
きっと以前よりもより深く周りと馴染めるはずだ……。そう思おうとしていたが。
―先生、助けて……
声が聞こえた。KAZUYAは思い出してしまった。
―私、死にたくないよ……
もはやKAZUYAにとって忘れられないトラウマとも言えるあの記憶が鮮烈に蘇る。
889: ◆takaJZRsBc:2014/11/02(日) 23:05:28.04:N/UW4e8M0 (4/10)
クリスマスイブの夜だった。
寒空の下、冷たい川にかかる橋の上に靴を脱いだ彼女は立っていた。
http://i.imgur.com/ykAc4l2.jpg
――少女の名は阿佐田貴江。
外見以外特筆すべき点は一切ない、極めて平凡な普通の女子高生である。
『溺死体がどういう具合になるか知っているかね?』
『!!』
『水ぶくれとガスによって体中がブヨブヨに膨らむんだ。
女性にはあまり勧められない死に方だと俺は思うがね』
少女は華の高校生と呼ぶには酷く膨れ上がった体で、お世辞にも美しいとは言えなかった。
告白した相手が陰で自分を笑い者にしていた現場を目撃してしまい、自殺を考えたのだ。
『必死になってダイエットしたわ! ……でもダメだった。私を好きになってくれる人なんて一人も
いなかったし、これからもいやしないわ! どうせ私なんか死んだって誰も気にとめないわよ!』
(太っているのはほとんど胴体と顔だけ……手足は普通だ。これは……)
KAZUYAは少女が中心性肥満と呼ばれる、ホルモン異常による肥満だと見抜いた。
そして手術を行い、元々真面目で努力家だった彼女はみるみる美しくなっていき……
――その一年後、彼女は死んだ。
クリスマスイブの夜だった。
寒空の下、冷たい川にかかる橋の上に靴を脱いだ彼女は立っていた。
http://i.imgur.com/ykAc4l2.jpg
――少女の名は阿佐田貴江。
外見以外特筆すべき点は一切ない、極めて平凡な普通の女子高生である。
『溺死体がどういう具合になるか知っているかね?』
『!!』
『水ぶくれとガスによって体中がブヨブヨに膨らむんだ。
女性にはあまり勧められない死に方だと俺は思うがね』
少女は華の高校生と呼ぶには酷く膨れ上がった体で、お世辞にも美しいとは言えなかった。
告白した相手が陰で自分を笑い者にしていた現場を目撃してしまい、自殺を考えたのだ。
『必死になってダイエットしたわ! ……でもダメだった。私を好きになってくれる人なんて一人も
いなかったし、これからもいやしないわ! どうせ私なんか死んだって誰も気にとめないわよ!』
(太っているのはほとんど胴体と顔だけ……手足は普通だ。これは……)
KAZUYAは少女が中心性肥満と呼ばれる、ホルモン異常による肥満だと見抜いた。
そして手術を行い、元々真面目で努力家だった彼女はみるみる美しくなっていき……
――その一年後、彼女は死んだ。
890: ◆takaJZRsBc:2014/11/02(日) 23:12:48.25:N/UW4e8M0 (5/10)
『腹部を刃物で刺されたようです。男女関係のもつれのようですな』
『この娘が? そんな馬鹿な!!』
再会は警察病院の一室であった。傷は深く、失血も多かったためもはや時間の問題だった。
『何故、こんなことに……』
『あの男に……会ったから……』
かつて自分を傷つけた男が、彼女だと気付かず言い寄ってきたのである。その時、彼女は
ちょっとした復讐心に駆られた。けんもほろろにフッてやり、恥をかかせてやったのである。
……しかしその代償は余りにも大きかった。
(俺は迂闊にも、彼女の心が傷付いていたのを見逃した……医者はただ肉体を癒せばいい訳ではない)
黙ったまま俯いているKAZUYAの顔を、どこか自信のなさ気な石丸が心配そうに覗く。
「あの、先生……急に黙り込んで、どうかされたんですか……?」
『先生……私、綺麗になったでしょ……』
KAZUYAの記憶の中の彼女と今の石丸――瞳の奥に存在するほの暗い暗闇が、ぼんやりと重なった。
会話が出来れば、意識があればいいのではない。KAZUYAが取り戻したかったのは、
時間を見つけては保健室に来て力強く夢を語り、いつも屈託なく笑っていたあの姿だ。
(俺に出来るか? ……いや、出来る出来ないの問題ではない。やるんだ!)
(医師として、病んでいる者を放置することは出来ない! ……それに)
この先は考えないようにした。
「……石丸。俺はこれからお前の心にメスを入れる」
「心に、メス……?」
『腹部を刃物で刺されたようです。男女関係のもつれのようですな』
『この娘が? そんな馬鹿な!!』
再会は警察病院の一室であった。傷は深く、失血も多かったためもはや時間の問題だった。
『何故、こんなことに……』
『あの男に……会ったから……』
かつて自分を傷つけた男が、彼女だと気付かず言い寄ってきたのである。その時、彼女は
ちょっとした復讐心に駆られた。けんもほろろにフッてやり、恥をかかせてやったのである。
……しかしその代償は余りにも大きかった。
(俺は迂闊にも、彼女の心が傷付いていたのを見逃した……医者はただ肉体を癒せばいい訳ではない)
黙ったまま俯いているKAZUYAの顔を、どこか自信のなさ気な石丸が心配そうに覗く。
「あの、先生……急に黙り込んで、どうかされたんですか……?」
『先生……私、綺麗になったでしょ……』
KAZUYAの記憶の中の彼女と今の石丸――瞳の奥に存在するほの暗い暗闇が、ぼんやりと重なった。
会話が出来れば、意識があればいいのではない。KAZUYAが取り戻したかったのは、
時間を見つけては保健室に来て力強く夢を語り、いつも屈託なく笑っていたあの姿だ。
(俺に出来るか? ……いや、出来る出来ないの問題ではない。やるんだ!)
(医師として、病んでいる者を放置することは出来ない! ……それに)
この先は考えないようにした。
「……石丸。俺はこれからお前の心にメスを入れる」
「心に、メス……?」
891: ◆takaJZRsBc:2014/11/02(日) 23:21:24.64:N/UW4e8M0 (6/10)
「お前がおかしくなったことの根本に、お前の天才に対するコンプレックスがあるだろう?」
「!! それは……!」
「それを取り除かない限り、きっとまた今回と同じようなことが起きるぞ」
「…………」
KAZUYAの指摘に石丸は俯き、ぽつりと呟いた。
「僕は、負い目を感じていたのでしょうか」
「…………」
「天才を憎み努力こそ至高と言いながら、その反面いくら努力しても追い付けない自分に僕は負い目を……」
「それがそもそもおかしな話だ。お前は本当は天才が憎いんじゃない」
「――祖父が憎いのだろう?」
「!!」
それは、サウナで石丸の話を聞いた時からKAZUYAがずっと感じていたことだった。
以前の石丸だったら顔を真っ赤にして反論してきそうなかなりデリケートな話題であったが、
石丸は力無く項垂れ手で額を押さえると、最終的には肯定した。
「わからない。いや……そうなのかも、しれません」
「僕は弱いから、家族を不幸にした祖父を直接憎むことが出来ず……その代わり、
世の天才達に祖父の罪をなすりつけていた。彼等だって、本当は陰で悩んだり
努力していたりするのに……ずっと見て見ぬ振りをしてきた」
「そうだな。それは他人の過ちを認められないお前の弱さであり……責められない優しさでもあった。
でも、今なら全部受け入れてやれるんじゃないか? 大和田の罪を認められたお前なら」
「……………………」
目を閉じ眉間に深い皺を寄せ、石丸は沈黙した。長い長い葛藤だった。
それでも、何とか自分の中で整理をつけることが出来たらしく、最後は素直に頷いた。
「そうですね……今なら、祖父とだってちゃんと向き合えるかもしれない……」
「……今更、かもしれませんが」
「お前がおかしくなったことの根本に、お前の天才に対するコンプレックスがあるだろう?」
「!! それは……!」
「それを取り除かない限り、きっとまた今回と同じようなことが起きるぞ」
「…………」
KAZUYAの指摘に石丸は俯き、ぽつりと呟いた。
「僕は、負い目を感じていたのでしょうか」
「…………」
「天才を憎み努力こそ至高と言いながら、その反面いくら努力しても追い付けない自分に僕は負い目を……」
「それがそもそもおかしな話だ。お前は本当は天才が憎いんじゃない」
「――祖父が憎いのだろう?」
「!!」
それは、サウナで石丸の話を聞いた時からKAZUYAがずっと感じていたことだった。
以前の石丸だったら顔を真っ赤にして反論してきそうなかなりデリケートな話題であったが、
石丸は力無く項垂れ手で額を押さえると、最終的には肯定した。
「わからない。いや……そうなのかも、しれません」
「僕は弱いから、家族を不幸にした祖父を直接憎むことが出来ず……その代わり、
世の天才達に祖父の罪をなすりつけていた。彼等だって、本当は陰で悩んだり
努力していたりするのに……ずっと見て見ぬ振りをしてきた」
「そうだな。それは他人の過ちを認められないお前の弱さであり……責められない優しさでもあった。
でも、今なら全部受け入れてやれるんじゃないか? 大和田の罪を認められたお前なら」
「……………………」
目を閉じ眉間に深い皺を寄せ、石丸は沈黙した。長い長い葛藤だった。
それでも、何とか自分の中で整理をつけることが出来たらしく、最後は素直に頷いた。
「そうですね……今なら、祖父とだってちゃんと向き合えるかもしれない……」
「……今更、かもしれませんが」
892: ◆takaJZRsBc:2014/11/02(日) 23:30:28.29:N/UW4e8M0 (7/10)
石丸はもう祖父を責めることも許すことも出来ない。何故なら祖父は死んでしまったからだ。
それが心残りではあったが、自分の気持ちを認められて少しは楽になったようであった。
「ありがとうございます、先生。僕の天才に対する憎しみを解いてくれて……」
これで終わりでも良かったのだが、KAZUYAは一つだけどうしても納得出来ないことがあった。
「……俺に言わせれば、この世に完全な無才の人間や不必要な人間なんて一人もいないがな」
「先生、気持ちはわかりますが気休めは止して下さい。現に……」
「例えば気遣いの天才、笑顔の天才、ムードメーカーの天才とか……そういう才能の持ち主がいたとして、
彼等が希望ヶ峰にスカウトされるかと言ったらされないだろう。実績がないし世間の評価もないからな」
「…………」
「結局は金になるか、世間の評価があるかないかだ。だが、そういった人達が要らないかと
言えばそんなことはないだろう? 偉大な成功者は、大体口をそろえてこう言う……」
「『自分が成功出来たのは自分だけの力ではない。支えてくれた周りの人間のお陰である』と」
「…………」
「本人が気付いてないだけなんだ。どんな人間だって必ず何かの才能を持っている。
そして、周囲の人間に何らかの影響を与えたり逆に与えられたりしているんだ」
「……まあ、中には桑田達のように本当に才能だけで突っ走っている真の天才もいるが、
大半の人間は周囲の人間の支えあってこその成功だと俺は思うぞ? 現に俺は今も
苗木に助けられている。ここの個性的なメンバーを円滑に回す潤滑油的存在――」
「――あいつは“気遣いの天才”だよ、全く」
ククク、と喉を鳴らしてKAZUYAは笑う。逆に石丸は呆然とした様子で呟いていた。
「みんな……気付いていないだけで才能を持っている……不必要な人間なんていない……」
「お前だってちゃんと持っているだろう? ――お前は“努力の天才”じゃないか」
「努力の、天才……」
石丸はもう祖父を責めることも許すことも出来ない。何故なら祖父は死んでしまったからだ。
それが心残りではあったが、自分の気持ちを認められて少しは楽になったようであった。
「ありがとうございます、先生。僕の天才に対する憎しみを解いてくれて……」
これで終わりでも良かったのだが、KAZUYAは一つだけどうしても納得出来ないことがあった。
「……俺に言わせれば、この世に完全な無才の人間や不必要な人間なんて一人もいないがな」
「先生、気持ちはわかりますが気休めは止して下さい。現に……」
「例えば気遣いの天才、笑顔の天才、ムードメーカーの天才とか……そういう才能の持ち主がいたとして、
彼等が希望ヶ峰にスカウトされるかと言ったらされないだろう。実績がないし世間の評価もないからな」
「…………」
「結局は金になるか、世間の評価があるかないかだ。だが、そういった人達が要らないかと
言えばそんなことはないだろう? 偉大な成功者は、大体口をそろえてこう言う……」
「『自分が成功出来たのは自分だけの力ではない。支えてくれた周りの人間のお陰である』と」
「…………」
「本人が気付いてないだけなんだ。どんな人間だって必ず何かの才能を持っている。
そして、周囲の人間に何らかの影響を与えたり逆に与えられたりしているんだ」
「……まあ、中には桑田達のように本当に才能だけで突っ走っている真の天才もいるが、
大半の人間は周囲の人間の支えあってこその成功だと俺は思うぞ? 現に俺は今も
苗木に助けられている。ここの個性的なメンバーを円滑に回す潤滑油的存在――」
「――あいつは“気遣いの天才”だよ、全く」
ククク、と喉を鳴らしてKAZUYAは笑う。逆に石丸は呆然とした様子で呟いていた。
「みんな……気付いていないだけで才能を持っている……不必要な人間なんていない……」
「お前だってちゃんと持っているだろう? ――お前は“努力の天才”じゃないか」
「努力の、天才……」
893: ◆takaJZRsBc:2014/11/02(日) 23:36:59.93:N/UW4e8M0 (8/10)
「大したものだ。あんなに不器用なのに、時間をかけて何でも吸収していくのだからな」
ポン、とKAZUYAは石丸の肩に手を置く。
「俺は過去に希望ヶ峰とはまさしく真逆の、所謂落ちこぼれと呼ばれる子供が通う高校の
校医をやっていたんだがな。……彼等が希望ヶ峰の生徒に劣っているとは少しも思わんっ!」
「みんな何かしらの素晴らしい長所を持っていた。俺から見たら、どちらも素直で可愛い生徒さ」
そう言って笑いかけるKAZUYAに対し、石丸は鼻声になりながら答えた。
「西城先生は……先生はきっと、人を励ます天才なんでしょうね……」
「フフ、それは俺にとって超国家級の医師よりも嬉しい称号だ」
「……染み、渡りました。先生の言葉……僕の魂に……!」
石丸の目に活力が戻る。赤い瞳が、以前のように煌々と燃え上がる。
「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした! 風紀委員でありながら、何度も何度も先生の
お手を煩わせ……本来は僕が前面に立ってみんなを纏めるべきなのに、恥ずかしい限りです!」
「もう二度と、このような過ちは犯せない。今まで以上に働いて汚名をそそがなければなりません!」
石丸はまた以前のような勢いを取り戻し、食ってかからんばかりにKAZUYAに迫る。
「ハハ、頑張ってくれ」
(そうだ。これが本来のお前の姿だ!)
「大したものだ。あんなに不器用なのに、時間をかけて何でも吸収していくのだからな」
ポン、とKAZUYAは石丸の肩に手を置く。
「俺は過去に希望ヶ峰とはまさしく真逆の、所謂落ちこぼれと呼ばれる子供が通う高校の
校医をやっていたんだがな。……彼等が希望ヶ峰の生徒に劣っているとは少しも思わんっ!」
「みんな何かしらの素晴らしい長所を持っていた。俺から見たら、どちらも素直で可愛い生徒さ」
そう言って笑いかけるKAZUYAに対し、石丸は鼻声になりながら答えた。
「西城先生は……先生はきっと、人を励ます天才なんでしょうね……」
「フフ、それは俺にとって超国家級の医師よりも嬉しい称号だ」
「……染み、渡りました。先生の言葉……僕の魂に……!」
石丸の目に活力が戻る。赤い瞳が、以前のように煌々と燃え上がる。
「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした! 風紀委員でありながら、何度も何度も先生の
お手を煩わせ……本来は僕が前面に立ってみんなを纏めるべきなのに、恥ずかしい限りです!」
「もう二度と、このような過ちは犯せない。今まで以上に働いて汚名をそそがなければなりません!」
石丸はまた以前のような勢いを取り戻し、食ってかからんばかりにKAZUYAに迫る。
「ハハ、頑張ってくれ」
(そうだ。これが本来のお前の姿だ!)
894: ◆takaJZRsBc:2014/11/02(日) 23:44:57.18:N/UW4e8M0 (9/10)
「うおおおおおおおお! 燃えてきたぞおおおおおおおおおおお!!」
(まあ……正直な話、俺が出しゃばらなくても今のあいつらなら自分達の力だけで石丸の
コンプレックスを取り除くことも出来ると思うが、今回俺は何もしていないからな)
(何か一つくらいしてやりたいじゃないか。……これがいわゆる親心というものなのかな)
朝日奈や不二咲に父親扱いされ、KAZUYA自身もだんだん満更でなくなってきてしまった。
結婚はまだ考えたくないが、子供は欲しいかもしれないなどと呑気に考える。
(その前に脱出の手立てを考えねばならんのだが)
「先生! また以前のように色々教えてください! 先生から学ぶべきことはたくさんあります!!」
「そう力まなくても良いんだぞ?」
「いいえっ! 僕は風紀委員ですからっ! やらなければいけないんです!」
(……ん?)
「まず何をすべきでしょうか? ……っと、ああ! 僕はもう二週間以上も勉強をサボっている!
急いで勉強しなければ! それに課題も! 引きこもっている腐川君も放置すべきではないし……」
「何と言うことだっ! やるべきことが山積みだぞっ!!」
(……これは)
この時、やっとKAZUYAは気付いたのだ。石丸の心にはもう一つ病巣があるということに。
しかしそこに手を出すかは非常に悩んだ。天才に対するコンプレックスが除去すべき癌ならば、
これは言ってしまえば良性腫瘍だろう。場所と大きさによって取らなければならなかったり
逆に無理して取ったことにより傷を付ける可能性もある。心の病は目に見えない。
(もしかしたら、今度こそ触れるのは地雷かもしれんな……だが、俺は……俺は……)
「うおおおおおおおお! 燃えてきたぞおおおおおおおおおおお!!」
(まあ……正直な話、俺が出しゃばらなくても今のあいつらなら自分達の力だけで石丸の
コンプレックスを取り除くことも出来ると思うが、今回俺は何もしていないからな)
(何か一つくらいしてやりたいじゃないか。……これがいわゆる親心というものなのかな)
朝日奈や不二咲に父親扱いされ、KAZUYA自身もだんだん満更でなくなってきてしまった。
結婚はまだ考えたくないが、子供は欲しいかもしれないなどと呑気に考える。
(その前に脱出の手立てを考えねばならんのだが)
「先生! また以前のように色々教えてください! 先生から学ぶべきことはたくさんあります!!」
「そう力まなくても良いんだぞ?」
「いいえっ! 僕は風紀委員ですからっ! やらなければいけないんです!」
(……ん?)
「まず何をすべきでしょうか? ……っと、ああ! 僕はもう二週間以上も勉強をサボっている!
急いで勉強しなければ! それに課題も! 引きこもっている腐川君も放置すべきではないし……」
「何と言うことだっ! やるべきことが山積みだぞっ!!」
(……これは)
この時、やっとKAZUYAは気付いたのだ。石丸の心にはもう一つ病巣があるということに。
しかしそこに手を出すかは非常に悩んだ。天才に対するコンプレックスが除去すべき癌ならば、
これは言ってしまえば良性腫瘍だろう。場所と大きさによって取らなければならなかったり
逆に無理して取ったことにより傷を付ける可能性もある。心の病は目に見えない。
(もしかしたら、今度こそ触れるのは地雷かもしれんな……だが、俺は……俺は……)
895: ◆takaJZRsBc:2014/11/02(日) 23:51:09.66:N/UW4e8M0 (10/10)
ここまで。
今回の挿絵は結構気に入ってる
ここまで。
今回の挿絵は結構気に入ってる
896:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/02(日) 23:56:05.08:YN2G/UvPo (1/1)
乙です
乙です
897:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/03(月) 00:22:03.94:VMk7YMK50 (1/1)
乙
原作でもあのエピソードは印象的だったから拾ってくれて嬉しい
乙
原作でもあのエピソードは印象的だったから拾ってくれて嬉しい
898:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/11/03(月) 08:28:06.10:g06uzdcl0 (1/1)
乙です
この話なぁ…なんともやるせないエピソードだったな
乙です
この話なぁ…なんともやるせないエピソードだったな
899:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/11/03(月) 11:05:01.08:XCwVY3Nd0 (1/1)
乙
美人に生まれ変わっても幸せになれないっていうあの話が出てくるとは…
そして石丸にはまだ爆弾があるのか…
乙
美人に生まれ変わっても幸せになれないっていうあの話が出てくるとは…
そして石丸にはまだ爆弾があるのか…
900:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/04(火) 01:05:28.39:9ZLf/Em8O (1/1)
あの話が出たか…
あの話が出たか…
901: ◆takaJZRsBc:2014/11/05(水) 21:48:53.87:t2f1sBQt0 (1/1)
次の投下(恐らく週末)で医療編は終了予定なので、スレに余裕があって良かった
次スレですが、スレタイは絶望姉妹にすると言ったな。ありゃ嘘だ。スレタイ考えてたら
どう考えても絶望姉妹はラストだろと思い直し代わりに十神腐川を前倒しすることに
1,十神「十神の名にかけて!」腐川「救ってみせなさいよ…ドクターK」ジェノ「カルテ.5よん」
2,十神「十神の名にかけて!」ジェノ「負けんじゃねえぞ、ドクターK!」腐川「…カルテ.5よ」
3,十神「俺は負けん!」腐川「医者なら救ってみなさいよ、ドクターK!」ジェノ「カルテ.5よん」
投票ヨロ
モノクマ「あ、そうそう。話は変わるけどボクねえ、先日噂のダンガンロンパ the Stageを鑑賞してきました!」
モノクマ「ボクってこの手のイベント初めてでね。正直お客の9割は女性なんじゃないかとビビりながら
行ったのですが、意外にも結構たくさん男性もいましたね。割合的に言うと女6:男4くらい」
ウサミ「カップルで来てる人も結構いまちたし、愛されてまちゅねえダンガンロンパ。らーぶらーぶでちゅ」
モノクマ「で、肝心の内容ですが……ネタバレは出来ないけどクッソ面白いから。ホント。ホント、マジで!」
ウサミ「公式HPでDVD・BDを【11月10日】までに予約すると……何と!
【小高和剛監修・上演台本の縮小版】がついてきまちゅ! 今だけでちゅ!」
モノクマ「買え、オマエラ!」
ウサミ「ストレート過ぎじゃないでちゅか?! スパチュンの回し者かと思われるでちゅよ!」
モノクマ「ギクッ。べ、別にダンガンロンパ3が見たいから言ってる訳じゃないよ! ただ再演するなら
もう一回観に行く程度には出来が良かったというか…ぶっちゃけ1が一番驚いてたり…」
次の投下(恐らく週末)で医療編は終了予定なので、スレに余裕があって良かった
次スレですが、スレタイは絶望姉妹にすると言ったな。ありゃ嘘だ。スレタイ考えてたら
どう考えても絶望姉妹はラストだろと思い直し代わりに十神腐川を前倒しすることに
1,十神「十神の名にかけて!」腐川「救ってみせなさいよ…ドクターK」ジェノ「カルテ.5よん」
2,十神「十神の名にかけて!」ジェノ「負けんじゃねえぞ、ドクターK!」腐川「…カルテ.5よ」
3,十神「俺は負けん!」腐川「医者なら救ってみなさいよ、ドクターK!」ジェノ「カルテ.5よん」
投票ヨロ
モノクマ「あ、そうそう。話は変わるけどボクねえ、先日噂のダンガンロンパ the Stageを鑑賞してきました!」
モノクマ「ボクってこの手のイベント初めてでね。正直お客の9割は女性なんじゃないかとビビりながら
行ったのですが、意外にも結構たくさん男性もいましたね。割合的に言うと女6:男4くらい」
ウサミ「カップルで来てる人も結構いまちたし、愛されてまちゅねえダンガンロンパ。らーぶらーぶでちゅ」
モノクマ「で、肝心の内容ですが……ネタバレは出来ないけどクッソ面白いから。ホント。ホント、マジで!」
ウサミ「公式HPでDVD・BDを【11月10日】までに予約すると……何と!
【小高和剛監修・上演台本の縮小版】がついてきまちゅ! 今だけでちゅ!」
モノクマ「買え、オマエラ!」
ウサミ「ストレート過ぎじゃないでちゅか?! スパチュンの回し者かと思われるでちゅよ!」
モノクマ「ギクッ。べ、別にダンガンロンパ3が見たいから言ってる訳じゃないよ! ただ再演するなら
もう一回観に行く程度には出来が良かったというか…ぶっちゃけ1が一番驚いてたり…」
902:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/05(水) 21:56:30.79:g6J4b++z0 (1/1)
1
1
903:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/05(水) 21:57:05.14:znIwD8XMo (1/1)
乙です 3
乙です 3
904:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/05(水) 21:58:29.20:0Kp1yoCoO (1/1)
ダイレクトマーケティング乙
3
ダイレクトマーケティング乙
3
905:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/05(水) 22:12:37.16:GGwBOqqRo (1/1)
1
1
906:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/11/06(木) 00:53:26.67:tvxXXK3+0 (1/1)
乙乙
1
自分も舞台楽しんできた
特別傍聴席だったから鑑賞後に特典で貰った台本見たけどアドリブ凄く多かったよ
円盤買うなら是非台本付をおすすめしたい
乙乙
1
自分も舞台楽しんできた
特別傍聴席だったから鑑賞後に特典で貰った台本見たけどアドリブ凄く多かったよ
円盤買うなら是非台本付をおすすめしたい
907:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/06(木) 06:13:31.22:F8oWoafhO (1/1)
乙です
舞台版はBD予約しました、早く観たい
今のところ十神に良いところがないから、3がしっくりくるかなあ
乙です
舞台版はBD予約しました、早く観たい
今のところ十神に良いところがないから、3がしっくりくるかなあ
908:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/06(木) 08:02:11.11:Y9X3znB4O (1/1)
1
絶望シスターズ最後に回すなら次は朝日奈達かと思ったけど違うんだな
1
絶望シスターズ最後に回すなら次は朝日奈達かと思ったけど違うんだな
909:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/07(金) 09:18:17.04:mOo1tZfDO (1/1)
3かな、今のとこ十神は「十神の名にかけて!」って感じじゃないし
3かな、今のとこ十神は「十神の名にかけて!」って感じじゃないし
910:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/07(金) 12:40:14.92:LDFgcSbmO (1/1)
ジェノ「笑顔が素敵な…」十神「ドクターK!どういう事だ説明しろ!」腐川「か、カルテ.5よ…」
ジェノ「笑顔が素敵な…」十神「ドクターK!どういう事だ説明しろ!」腐川「か、カルテ.5よ…」
911:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/11/07(金) 20:33:11.69:O0Dfm2bN0 (1/1)
1でお願いします
これが終わったら絶望少女か。あの腐った大人どものせいで壊れた希望の戦士にに人の良いとこ・悪きところを見続けても
腐らないでかっこいい大人でありつづけるKAZUYAが見せつけてほしいな。
1でお願いします
これが終わったら絶望少女か。あの腐った大人どものせいで壊れた希望の戦士にに人の良いとこ・悪きところを見続けても
腐らないでかっこいい大人でありつづけるKAZUYAが見せつけてほしいな。
912:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/11/07(金) 20:45:47.30:CGV0KJit0 (1/1)
有力情報ありがとうございます
舞台は時間が無くて行けなかったから円盤買おうと思ってた
脚本か……めっちゃ見たい
あ、3でお願いします
有力情報ありがとうございます
舞台は時間が無くて行けなかったから円盤買おうと思ってた
脚本か……めっちゃ見たい
あ、3でお願いします
913: ◆takaJZRsBc:2014/11/07(金) 22:43:49.88:WfNg+37g0 (1/2)
モノクマ「拮抗してる…だと。まだスレに余裕があるしもうちょい待つか。待ちついでに
宣伝のみならず、舞台のネタバレなし感想も書いちまうぜ、ヒャッハー!」
ウサミ「誰得でちゅか……というか、無駄話する暇があるなら早く続きを投下するでちゅ!」
モノクマ「しょーがないでしょ! 挿絵がまだ終わってないんだよ! 絵は家じゃなきゃ描けないし!」
ウサミ「申し訳ありまちぇんが三次元とか興味ねーよって人は飛ばしてくだちゃい」
モノクマ「っつーかね、ぶっちゃけると全く期待してなかった! 舞台化? え、嘘でしょ?
しかも葉隠兼演出がノンスタの人とかないわー。マジないわーと思ってた」
ウサミ「失礼すぎでちゅ! じゃあなんでチケット取ったんでちゅか?!」
モノクマ「そこはほら…ボクって勉強熱心なクマだからさ。万が一舞台で新設定出たらどうしようって。
他にも、SSに使えるかなとか。でさぁ、公式サイトでちょっとずつキャラが公開されて…
あれ、もしかして面白いんじゃね?って気になってきて、当日……実際めちゃくちゃ
面白かった訳だよ! 石田明さん、馬鹿にしてすんませんでしたっ(土下座)!」
ウサミ「嬉しい誤算でちたね。役者さんは各キャラにピタッとハマってまちたし。特に1が良かったと思ったのは、
江ノ島さん、山田君、セレスさん、葉隠君、石丸君でちゅかね。他のみんなも勿論良かったでちゅよ!」
モノクマ「…正直ね、細かい粗は勿論あるよ? アニメでさえ尺足りないって言われてたのに三時間だもん。
カットした設定を箇条書きにしたらこれカットしたの?!って声はかなり上がると思う。しかも劇場が
古くて予算もないのか舞台美術はないも同然。爆発は音だけ、オシオキも…うん。ボクもぬいぐるみだし」
ウサミ「時間の関係上やっつけな死に方をした生徒もいまちた…。でも! その代わりそういうキャラは出番を
増やしたり、削った設定をフォローする台詞やアレンジを入れてバランスを取っているのでちゅ!」
モノクマ「拮抗してる…だと。まだスレに余裕があるしもうちょい待つか。待ちついでに
宣伝のみならず、舞台のネタバレなし感想も書いちまうぜ、ヒャッハー!」
ウサミ「誰得でちゅか……というか、無駄話する暇があるなら早く続きを投下するでちゅ!」
モノクマ「しょーがないでしょ! 挿絵がまだ終わってないんだよ! 絵は家じゃなきゃ描けないし!」
ウサミ「申し訳ありまちぇんが三次元とか興味ねーよって人は飛ばしてくだちゃい」
モノクマ「っつーかね、ぶっちゃけると全く期待してなかった! 舞台化? え、嘘でしょ?
しかも葉隠兼演出がノンスタの人とかないわー。マジないわーと思ってた」
ウサミ「失礼すぎでちゅ! じゃあなんでチケット取ったんでちゅか?!」
モノクマ「そこはほら…ボクって勉強熱心なクマだからさ。万が一舞台で新設定出たらどうしようって。
他にも、SSに使えるかなとか。でさぁ、公式サイトでちょっとずつキャラが公開されて…
あれ、もしかして面白いんじゃね?って気になってきて、当日……実際めちゃくちゃ
面白かった訳だよ! 石田明さん、馬鹿にしてすんませんでしたっ(土下座)!」
ウサミ「嬉しい誤算でちたね。役者さんは各キャラにピタッとハマってまちたし。特に1が良かったと思ったのは、
江ノ島さん、山田君、セレスさん、葉隠君、石丸君でちゅかね。他のみんなも勿論良かったでちゅよ!」
モノクマ「…正直ね、細かい粗は勿論あるよ? アニメでさえ尺足りないって言われてたのに三時間だもん。
カットした設定を箇条書きにしたらこれカットしたの?!って声はかなり上がると思う。しかも劇場が
古くて予算もないのか舞台美術はないも同然。爆発は音だけ、オシオキも…うん。ボクもぬいぐるみだし」
ウサミ「時間の関係上やっつけな死に方をした生徒もいまちた…。でも! その代わりそういうキャラは出番を
増やしたり、削った設定をフォローする台詞やアレンジを入れてバランスを取っているのでちゅ!」
914: ◆takaJZRsBc:2014/11/07(金) 22:46:12.36:WfNg+37g0 (2/2)
モノクマ「ちゃんと全キャラに見せ場が用意してあったのが良かったね。表のMVPが江ノ島さんなら裏のMVPは
まさかの山田君! 一番笑いを取ってた。石丸君も色々と凄かったね。…あれで良かったとボクは思う」
モノクマ「あとね、何なの? 絶女といい舞台といい、今は桑田君の株を上げようキャンペーン中なの? 本当ね、
もう凄い好きになった! マジでいい奴だよ彼は。かと言って舞園さんへのフォローもしっかり入ってるし」
モノクマ「え? 舞台見たくなっちゃった? 見たくなっちゃった?」
ウサミ「そんなあなたにD・V・D! 参考にゲネプロの動画も貼っておきまちゅからよろしくでちゅー!」
ゲネプロ(公開リハーサルみたいなもの)
>>906
モノクマ「ボクも台本付きがいいと思うね。ボクが見た時は特に問題なかったけど、回によっては
台詞長すぎてちょっと噛んじゃう子もいたと聞いたし。時間がないから全体的に早口気味」
ウサミ「そんな中、最大の台詞量を誇りながら全く噛まず滑舌も良かった苗木君に拍手! 流石主人公でちゅ!」
モノクマ「あとアドリブと言えば、山田君のギャグは日替わりで変わると聞いて驚いた。舞台スレに
一部内容が書いてあったね。映画のDVDの特典でよくNG集とかオマケ特集とかあるから
あんな感じでアドリブ集も入れてくれればいいんだけどなぁ。この思いよ、関係者に届け!」
>>908
このスレでは引きこもってましたが、十神君はコンスタントに出番があって存在感もありますからね
次スレでもきっと活躍してくれると思います(敵役的な意味で)
>>910
ネタ出しありがとうございます! もう先着三票入ったやつにしようかな……
モノクマ「ちゃんと全キャラに見せ場が用意してあったのが良かったね。表のMVPが江ノ島さんなら裏のMVPは
まさかの山田君! 一番笑いを取ってた。石丸君も色々と凄かったね。…あれで良かったとボクは思う」
モノクマ「あとね、何なの? 絶女といい舞台といい、今は桑田君の株を上げようキャンペーン中なの? 本当ね、
もう凄い好きになった! マジでいい奴だよ彼は。かと言って舞園さんへのフォローもしっかり入ってるし」
モノクマ「え? 舞台見たくなっちゃった? 見たくなっちゃった?」
ウサミ「そんなあなたにD・V・D! 参考にゲネプロの動画も貼っておきまちゅからよろしくでちゅー!」
ゲネプロ(公開リハーサルみたいなもの)
>>906
モノクマ「ボクも台本付きがいいと思うね。ボクが見た時は特に問題なかったけど、回によっては
台詞長すぎてちょっと噛んじゃう子もいたと聞いたし。時間がないから全体的に早口気味」
ウサミ「そんな中、最大の台詞量を誇りながら全く噛まず滑舌も良かった苗木君に拍手! 流石主人公でちゅ!」
モノクマ「あとアドリブと言えば、山田君のギャグは日替わりで変わると聞いて驚いた。舞台スレに
一部内容が書いてあったね。映画のDVDの特典でよくNG集とかオマケ特集とかあるから
あんな感じでアドリブ集も入れてくれればいいんだけどなぁ。この思いよ、関係者に届け!」
>>908
このスレでは引きこもってましたが、十神君はコンスタントに出番があって存在感もありますからね
次スレでもきっと活躍してくれると思います(敵役的な意味で)
>>910
ネタ出しありがとうございます! もう先着三票入ったやつにしようかな……
915:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/07(金) 23:27:49.89:rDLMK0Sqo (1/1)
乙です
乙です
916:</b> ◇takaJZRsBc<b>:2014/11/10(月) 20:59:25.00:tB+9MjpC0 (1/16)
「……お前、さっきから何々『すべき』ばっかりだな」
「え?」
「……お前、さっきから何々『すべき』ばっかりだな」
「え?」
917: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 21:07:17.09:tB+9MjpC0 (2/16)
石丸は何故KAZUYAが不機嫌そうな顔をしているのかわからず戸惑った。
「それは本当にお前の意志なのか? それともそれが周囲から求められた役割だからか?」
「先生が、何を……仰っているのかわかりません」
「意識的か無意識かは知らんが、お前はいつも周りの期待通りに動いていないか? 親が望むから
勉強する、教師が望むから優等生でいる。規則を破れば周りに迷惑をかけるから破るべきではない」
目上であり教員のKAZUYAには比較的従順な石丸だが、流石に黙っていられず反論する。
「……それの何がいけないのですか? 先生は知っているでしょう? 僕の家庭の事情を。
僕の両親はとても苦労しているのです。僕は家族に迷惑などかけられないのですよ!」
「それ自体は非常に立派な考えだと思うが、少し無理をし過ぎていないか? 周りの期待通りに
動かなければと言うプレッシャーも、今回のことに大きく関わっているのだろう?」
「そうですけれど……もう、僕は足を引っ張ったりは……!!」
「聞いてくれ、石丸。俺が何故こんなことを言うかわかるか?」
KAZUYAは静かに見下ろした。その眼差しは非常に穏やかだったがどこか影を帯びていた。
有無を言わせぬその姿に、石丸も落ち着いて質問を返す。
「……何故ですか?」
「俺はな。お前に――俺のような人間になって欲しくないんだ」
「何故ですっ?! 先生はとても素晴らしい方ではありませんか!!」
「ドクターKとして見れば、確かにそうだろうな……」
KAZUYAは寂しそうに笑った。
その顔に、石丸は今まで見ていた人間とは別の男の顔を垣間見たのだった。
「え……?」
石丸は何故KAZUYAが不機嫌そうな顔をしているのかわからず戸惑った。
「それは本当にお前の意志なのか? それともそれが周囲から求められた役割だからか?」
「先生が、何を……仰っているのかわかりません」
「意識的か無意識かは知らんが、お前はいつも周りの期待通りに動いていないか? 親が望むから
勉強する、教師が望むから優等生でいる。規則を破れば周りに迷惑をかけるから破るべきではない」
目上であり教員のKAZUYAには比較的従順な石丸だが、流石に黙っていられず反論する。
「……それの何がいけないのですか? 先生は知っているでしょう? 僕の家庭の事情を。
僕の両親はとても苦労しているのです。僕は家族に迷惑などかけられないのですよ!」
「それ自体は非常に立派な考えだと思うが、少し無理をし過ぎていないか? 周りの期待通りに
動かなければと言うプレッシャーも、今回のことに大きく関わっているのだろう?」
「そうですけれど……もう、僕は足を引っ張ったりは……!!」
「聞いてくれ、石丸。俺が何故こんなことを言うかわかるか?」
KAZUYAは静かに見下ろした。その眼差しは非常に穏やかだったがどこか影を帯びていた。
有無を言わせぬその姿に、石丸も落ち着いて質問を返す。
「……何故ですか?」
「俺はな。お前に――俺のような人間になって欲しくないんだ」
「何故ですっ?! 先生はとても素晴らしい方ではありませんか!!」
「ドクターKとして見れば、確かにそうだろうな……」
KAZUYAは寂しそうに笑った。
その顔に、石丸は今まで見ていた人間とは別の男の顔を垣間見たのだった。
「え……?」
918: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 21:23:45.60:tB+9MjpC0 (3/16)
「よく聞いてくれ。俺にはな……プライベートと言うものがないんだ。仕事仲間と飲みに
行くくらいはするが、結局いつも近況報告や仕事の話ばかりになってしまう」
「何故なら俺には趣味がない。遊びにも行かない。時間が空けば、全て治療か研究か
トレーニングに割いている。ついでに言うと、医学部より前の友人は一人しかいない」
「今お前の目の前にいる男は“ドクターK”と言う医者であり“KAZUYA”と言う個人ではないんだ」
「…………」
「何故こんなことになったと思う? 前にポロの話をしただろう。……あれから俺は一切親父に
逆らえなくなった。周囲の期待通り、医者になることだけを考え機械のように勉強した」
「親父が事故で死んでからはその遺志を継ぐことしか考えられなくなった」
「その結果が今の俺だ――」
いつも暖かく優しいKAZUYAがこの時ばかりは機械のように見えた。KAZUYAの刺すような視線に
耐えられなくなったのか、もしくはその姿がどこか痛々しかったからか、石丸はつと目を逸らす。
「後悔……しているんですか?」
「少しだけな。俺はもう医師としての生き方以外は想像も出来ないんだ。
普通の人間としては……空っぽなんだよ。お前にはそんな生き方をして欲しくはない」
KAZUYAは医師ではなく、純粋に一人の人間として言葉をぶつけていた。
「学生のうちだけだぞ? 仲間と馬鹿を出来るのは。大人になって社会に出たらそうはいかん」
「もっと好きなことをしていいし、我が儘を言ってもいいんだ。少しくらい周りに迷惑をかけてもいい」
「でも、僕は……」
「よく聞いてくれ。俺にはな……プライベートと言うものがないんだ。仕事仲間と飲みに
行くくらいはするが、結局いつも近況報告や仕事の話ばかりになってしまう」
「何故なら俺には趣味がない。遊びにも行かない。時間が空けば、全て治療か研究か
トレーニングに割いている。ついでに言うと、医学部より前の友人は一人しかいない」
「今お前の目の前にいる男は“ドクターK”と言う医者であり“KAZUYA”と言う個人ではないんだ」
「…………」
「何故こんなことになったと思う? 前にポロの話をしただろう。……あれから俺は一切親父に
逆らえなくなった。周囲の期待通り、医者になることだけを考え機械のように勉強した」
「親父が事故で死んでからはその遺志を継ぐことしか考えられなくなった」
「その結果が今の俺だ――」
いつも暖かく優しいKAZUYAがこの時ばかりは機械のように見えた。KAZUYAの刺すような視線に
耐えられなくなったのか、もしくはその姿がどこか痛々しかったからか、石丸はつと目を逸らす。
「後悔……しているんですか?」
「少しだけな。俺はもう医師としての生き方以外は想像も出来ないんだ。
普通の人間としては……空っぽなんだよ。お前にはそんな生き方をして欲しくはない」
KAZUYAは医師ではなく、純粋に一人の人間として言葉をぶつけていた。
「学生のうちだけだぞ? 仲間と馬鹿を出来るのは。大人になって社会に出たらそうはいかん」
「もっと好きなことをしていいし、我が儘を言ってもいいんだ。少しくらい周りに迷惑をかけてもいい」
「でも、僕は……」
919: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 21:30:33.61:tB+9MjpC0 (4/16)
「今のままだとお前は確実に俺と同じ道を辿る。だから言っているんだ」
「……今まで、たくさん我慢をしてきたじゃないか。もういいんだ」
「でも……」
「優等生なんてやめろ。お前が今本当にやりたいことは何だ!!」
「僕の本当にやりたいこと……」
「何でもいい。言ってみろ」
「…………」
「…………」
「…………です」
呟く。
「みんなと…………もっとたくさん、遊びたい……です」
まるで教師に追及されて悪いことを白状するかのように、その顔は苦しげだった。
「他には?」
「え?」
「まさか一つだけじゃないだろう? 折角だ。全部言え」
「え、そう言われても……ここで出来ることには限りが……」
「いいから全部言えっ!」クワッ!
「は、はい!」
KAZUYAに押され、石丸は指を折りながら思い浮かんだことをとにかく無造作に挙げていく。
「今のままだとお前は確実に俺と同じ道を辿る。だから言っているんだ」
「……今まで、たくさん我慢をしてきたじゃないか。もういいんだ」
「でも……」
「優等生なんてやめろ。お前が今本当にやりたいことは何だ!!」
「僕の本当にやりたいこと……」
「何でもいい。言ってみろ」
「…………」
「…………」
「…………です」
呟く。
「みんなと…………もっとたくさん、遊びたい……です」
まるで教師に追及されて悪いことを白状するかのように、その顔は苦しげだった。
「他には?」
「え?」
「まさか一つだけじゃないだろう? 折角だ。全部言え」
「え、そう言われても……ここで出来ることには限りが……」
「いいから全部言えっ!」クワッ!
「は、はい!」
KAZUYAに押され、石丸は指を折りながら思い浮かんだことをとにかく無造作に挙げていく。
920: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 21:57:30.14:tB+9MjpC0 (5/16)
「えっと、兄弟のバイクに乗せてもらいたいです。不二咲君も一緒に三人で遊びに行きたい」
「それから?」
「友達の家に遊びに行ってみたいし……あと、さっきのライブで思い出したんですが、
一度はカラオケをしてみたいです。僕は寄り道を禁じてたから行けなかったけど、
あれだけみんなが好きなゲームセンターも本当は少しだけ興味があったし……」
「それから?」
「遊園地とか、映画館とか行ったことがないから行ってみたい。友達とキャンプがしたい。
春はお花見をして、夏は海で泳いで、秋は紅葉狩り、冬はスキーに行って……それから」
最初は遠慮がちだったのに、いざ言い始めてみると詮の開いた蛇口のように止まらなくなった。
自分はこんなにも内心に不満を溜めていたのかと、当の石丸本人が一番驚いていた。
逆にKAZUYAはさもありなんという顔をして見つめている。
(超高校級の肩書も、優等生でいることも確かに立派なことかもしれない。……だが、普通でいいんだ。
俺はお前に普通の人間として普通の、当たり前の幸せを手にしてもらいたいんだ)
(――俺が手に出来なかった分も併せて、な)
「今まで我慢して言えなかったこともたくさんあるんじゃないのか?
ついでに言っておけ。俺が全部受け止めてやる!!」
……勢いに任せKAZUYAがそう言った時だった。
石丸は紅い瞳をギラリと光らせ、跳ねるように顔を上げた。
「言えなかったこと? 本当はもっと両親と過ごしたかったことですか??
授業参観に来て欲しかったこと? 僕の誕生日に家にいて欲しかったこと??」
「石丸……」
――瞳に狂気が宿る。
「えっと、兄弟のバイクに乗せてもらいたいです。不二咲君も一緒に三人で遊びに行きたい」
「それから?」
「友達の家に遊びに行ってみたいし……あと、さっきのライブで思い出したんですが、
一度はカラオケをしてみたいです。僕は寄り道を禁じてたから行けなかったけど、
あれだけみんなが好きなゲームセンターも本当は少しだけ興味があったし……」
「それから?」
「遊園地とか、映画館とか行ったことがないから行ってみたい。友達とキャンプがしたい。
春はお花見をして、夏は海で泳いで、秋は紅葉狩り、冬はスキーに行って……それから」
最初は遠慮がちだったのに、いざ言い始めてみると詮の開いた蛇口のように止まらなくなった。
自分はこんなにも内心に不満を溜めていたのかと、当の石丸本人が一番驚いていた。
逆にKAZUYAはさもありなんという顔をして見つめている。
(超高校級の肩書も、優等生でいることも確かに立派なことかもしれない。……だが、普通でいいんだ。
俺はお前に普通の人間として普通の、当たり前の幸せを手にしてもらいたいんだ)
(――俺が手に出来なかった分も併せて、な)
「今まで我慢して言えなかったこともたくさんあるんじゃないのか?
ついでに言っておけ。俺が全部受け止めてやる!!」
……勢いに任せKAZUYAがそう言った時だった。
石丸は紅い瞳をギラリと光らせ、跳ねるように顔を上げた。
「言えなかったこと? 本当はもっと両親と過ごしたかったことですか??
授業参観に来て欲しかったこと? 僕の誕生日に家にいて欲しかったこと??」
「石丸……」
――瞳に狂気が宿る。
921:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/10(月) 22:12:56.07:MmdRXnt9O (1/1)
あっ……
あっ……
922: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 22:22:04.90:tB+9MjpC0 (6/16)
「帰った時家に一人なのは嫌だったこと? 他のクラスメイトみたいに家族で出かけたかったこと??
一緒にお風呂に入ったりキャッチボールをしたり勉強を見てもらったりしたかったこと??」
「お父さんもお母さんもいつも仕事で学校の行事にもろくに来られなくて、
でも二人共疲れてるから本当は学校の話もしたいのに言えなくて、それで僕は……!」
「…………」
一気に話しすぎて息が切れたので、一度止まって荒い呼吸を繰り返す。そしてとうとう、
感極まった石丸は叫んだ。いつの間にかその目からはとめどない涙が溢れ出していた。
「……そうですよ。我慢していました。僕はずっと我慢していたんです! ずっとずっと、ずっとッ!!」
「どうして僕達ばっかり我慢しなくちゃいけないんですか?! どうしてうちばっかり
嫌な目に遭うんですか?? 一体僕や両親が何をしたって言うんですっ?!」
「そうだな……」
「何で誰も助けてくれないんですかッ?! どうして僕はいつも一人なんですかッ?!」
「……ああ」
「本当は凄く辛かったし苦しかった! でも誰にも言えなくて、それで……!!」
「わかった……わかった」
KAZUYAは自分にしがみついてわんわんと泣き始める石丸の肩を抱き、そっと頭を撫でてやる。
同じようにヒステリーを起こした朝日奈を思い出し、やはり深入りして良かったと感じていた。
(石丸は人一倍忍耐力のある男だ。だから、文字通り本当に壊れる限界まで我慢していたのだろう)
そのまま壊れないでくれて良かった。助けられて良かった。
顔はいつも通りだが、KAZUYAは心から安堵してホゥと息をつく。
一方、石丸の中にも変化があった。
(誰かに抱きしめられたり頭を撫でられたりするのは、一体いつ振りなんだろうか……)
遥か昔、物心ついた時にはもうそんなことはなかった気がする。
石丸は興奮しろくに回らない頭で、ぼんやりと彼の半生を思い返していた。
「帰った時家に一人なのは嫌だったこと? 他のクラスメイトみたいに家族で出かけたかったこと??
一緒にお風呂に入ったりキャッチボールをしたり勉強を見てもらったりしたかったこと??」
「お父さんもお母さんもいつも仕事で学校の行事にもろくに来られなくて、
でも二人共疲れてるから本当は学校の話もしたいのに言えなくて、それで僕は……!」
「…………」
一気に話しすぎて息が切れたので、一度止まって荒い呼吸を繰り返す。そしてとうとう、
感極まった石丸は叫んだ。いつの間にかその目からはとめどない涙が溢れ出していた。
「……そうですよ。我慢していました。僕はずっと我慢していたんです! ずっとずっと、ずっとッ!!」
「どうして僕達ばっかり我慢しなくちゃいけないんですか?! どうしてうちばっかり
嫌な目に遭うんですか?? 一体僕や両親が何をしたって言うんですっ?!」
「そうだな……」
「何で誰も助けてくれないんですかッ?! どうして僕はいつも一人なんですかッ?!」
「……ああ」
「本当は凄く辛かったし苦しかった! でも誰にも言えなくて、それで……!!」
「わかった……わかった」
KAZUYAは自分にしがみついてわんわんと泣き始める石丸の肩を抱き、そっと頭を撫でてやる。
同じようにヒステリーを起こした朝日奈を思い出し、やはり深入りして良かったと感じていた。
(石丸は人一倍忍耐力のある男だ。だから、文字通り本当に壊れる限界まで我慢していたのだろう)
そのまま壊れないでくれて良かった。助けられて良かった。
顔はいつも通りだが、KAZUYAは心から安堵してホゥと息をつく。
一方、石丸の中にも変化があった。
(誰かに抱きしめられたり頭を撫でられたりするのは、一体いつ振りなんだろうか……)
遥か昔、物心ついた時にはもうそんなことはなかった気がする。
石丸は興奮しろくに回らない頭で、ぼんやりと彼の半生を思い返していた。
923: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 22:36:06.25:tB+9MjpC0 (7/16)
――――――――――――――――――――――――――――――
――僕の祖父は政治家だった。
それ故我が家は、周囲の普通の家とはかなり違う特殊な家庭だったのだ。
まず一つ目だが、政治家というのは本人は当然のこと、実はその家族も非常に大変なのだ。
父は祖父に恥じないよう人並以上に働いた。母も祖父を支えるため、支援者に挨拶回りをしたり
町内会の活動に参加したりと、家を留守にすることが多かった。家には入れ替わり立ち替わり
祖父の関係者がやって来たが、幼い僕が邪魔をする訳にはいかず、いつも一人で遊んでいた。
……恐らく、みんなから僕は手のかからない子だと思われていた筈だ。
そしてもう一つ、粗相をして祖父に迷惑をかけてはならぬと、とにかく我が家は躾に厳しかった。
三つ子の魂百までと言うが、僕が規律や規則に非常にうるさいのは専らこれに由来する。
毎日疲れて帰ってくる両親に迷惑をかけたくなくて、僕は一度言われたことは完璧にこなした。
そんな優等生な僕を、祖父はとても気に入って可愛がった。……と言っても、祖父には
天才故の孤高さというか一種の気難しさのようなものがあって、膝に乗せたり頭を撫でたり
一緒に遊ぶなど、そういう普通の祖父母がするような行為は一切しなかった訳だが。
いつも僕は和室に正座し祖父の話を聞いていた。或いは、囲碁や将棋を教わったりしていた。
才能がなかったからか単に祖父が強かったからか、何で勝負をしてもついぞ勝てたことはない。
両親に甘えられなくて多少は寂しい思いをしていたが、それでも僕は満足していたのだ。
全てが変わってしまったのは僕が小学生の時――
祖父が汚職をして失脚した。当時のマスコミは今以上に酷くて、親類縁者ならたとえ子供だろうと
しつこく付け回した。学校にまでマスコミが押しかけ、クラスメイトはみんな僕の元から離れていった。
……そして、いじめが始まる。机に落書きをされたり陰口を叩かれた。時々物がなくなった。
でも、僕以上に大変な両親に心配をかけられなくて、僕は誰にも何も言わずただ一人でジッと耐えた。
――――――――――――――――――――――――――――――
――僕の祖父は政治家だった。
それ故我が家は、周囲の普通の家とはかなり違う特殊な家庭だったのだ。
まず一つ目だが、政治家というのは本人は当然のこと、実はその家族も非常に大変なのだ。
父は祖父に恥じないよう人並以上に働いた。母も祖父を支えるため、支援者に挨拶回りをしたり
町内会の活動に参加したりと、家を留守にすることが多かった。家には入れ替わり立ち替わり
祖父の関係者がやって来たが、幼い僕が邪魔をする訳にはいかず、いつも一人で遊んでいた。
……恐らく、みんなから僕は手のかからない子だと思われていた筈だ。
そしてもう一つ、粗相をして祖父に迷惑をかけてはならぬと、とにかく我が家は躾に厳しかった。
三つ子の魂百までと言うが、僕が規律や規則に非常にうるさいのは専らこれに由来する。
毎日疲れて帰ってくる両親に迷惑をかけたくなくて、僕は一度言われたことは完璧にこなした。
そんな優等生な僕を、祖父はとても気に入って可愛がった。……と言っても、祖父には
天才故の孤高さというか一種の気難しさのようなものがあって、膝に乗せたり頭を撫でたり
一緒に遊ぶなど、そういう普通の祖父母がするような行為は一切しなかった訳だが。
いつも僕は和室に正座し祖父の話を聞いていた。或いは、囲碁や将棋を教わったりしていた。
才能がなかったからか単に祖父が強かったからか、何で勝負をしてもついぞ勝てたことはない。
両親に甘えられなくて多少は寂しい思いをしていたが、それでも僕は満足していたのだ。
全てが変わってしまったのは僕が小学生の時――
祖父が汚職をして失脚した。当時のマスコミは今以上に酷くて、親類縁者ならたとえ子供だろうと
しつこく付け回した。学校にまでマスコミが押しかけ、クラスメイトはみんな僕の元から離れていった。
……そして、いじめが始まる。机に落書きをされたり陰口を叩かれた。時々物がなくなった。
でも、僕以上に大変な両親に心配をかけられなくて、僕は誰にも何も言わずただ一人でジッと耐えた。
924: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 22:51:45.85:tB+9MjpC0 (8/16)
何より不味かったのは、焦った祖父が巻き返しを図ろうとよく知りもしない事業に手を出したことだ。
いくら祖父が天才肌といえど、基礎を全く知らずに応用が出来る訳がない。大学に行かずまともに
働いたこともない祖父に事業など到底出来るはずもなく、当然失敗。我が家には重い借金がのしかかった。
その借金を返すため、父は今まで以上に働きほとんど家にいなくなった。母もパートを掛け持ちし、
元々専業主婦だったとは思えないくらいに働いた。家にはまだ祖父がいたが、あんなに社交的で
出ずっぱりだったにも関わらず、書斎に引きこもって出てこなくなってしまった。
ただいまと言ってもおかえりと言ってもらえない。家にいても学校にいても僕は一人ぼっちだった。
以前は多忙の中でも何とか家族の時間を作ったりもしていたが、その余裕すらなくなってしまった。
家族がバラバラになってしまったのだ。こんな状況が嫌だった。元凶である祖父を憎みたかった。
……でも、あんなに溌剌としていた祖父が老いぼれて人間嫌いになり、世間を醜く怨んでいる姿が
どこか哀れで、僕はどうしても祖父を憎みきれなかった。代わりに祖父を狂わせた才能を憎むようになった。
才能なんてものがあっても中途半端に成功するだけで、結局最後は本人も周りも辛い思いをするのだ。
努力で身につけた力は自分を裏切らない。努力し、苦労し、他人の辛さをわかる人間こそが
上に立てる、そんな世界を誰かが作るべきなんだ! 誰もやらないなら僕がやってみせる!!
周りは祖父の雪辱戦などと言ったが、僕は僕の信念のために政治家を目指した。幸い、時間は腐る程ある。
同い年の子供が家族と過ごしたり友達と遊んでいる時間全てを費やして、僕はただひたすら勉強した。
政治家は体が資本だ。いじめにも負けないよう、武道を始めた。風紀を正すのが政治家に繋がる気がして、
中学一年生の時からずっと風紀委員を務め、生徒会のメンバーにもなった。だが、外のことに熱中して
家のことを疎かにする訳にはいかない。仕事で家を空ける両親のために、家事も出来る限り手伝った。
みんなには言えなかったが、不器用な上に男の僕が料理を出来るのは実はこういう事情があったのだ。
家族からも教師からも僕の評判は良かった。家の外でも中でも、僕は非の打ち所のない完璧な優等生だった。
そして……
とうとう僕は長年の努力を認められ、政府公認の特別な学校『希望ヶ峰学園』に入学を認められたのだ!
何より不味かったのは、焦った祖父が巻き返しを図ろうとよく知りもしない事業に手を出したことだ。
いくら祖父が天才肌といえど、基礎を全く知らずに応用が出来る訳がない。大学に行かずまともに
働いたこともない祖父に事業など到底出来るはずもなく、当然失敗。我が家には重い借金がのしかかった。
その借金を返すため、父は今まで以上に働きほとんど家にいなくなった。母もパートを掛け持ちし、
元々専業主婦だったとは思えないくらいに働いた。家にはまだ祖父がいたが、あんなに社交的で
出ずっぱりだったにも関わらず、書斎に引きこもって出てこなくなってしまった。
ただいまと言ってもおかえりと言ってもらえない。家にいても学校にいても僕は一人ぼっちだった。
以前は多忙の中でも何とか家族の時間を作ったりもしていたが、その余裕すらなくなってしまった。
家族がバラバラになってしまったのだ。こんな状況が嫌だった。元凶である祖父を憎みたかった。
……でも、あんなに溌剌としていた祖父が老いぼれて人間嫌いになり、世間を醜く怨んでいる姿が
どこか哀れで、僕はどうしても祖父を憎みきれなかった。代わりに祖父を狂わせた才能を憎むようになった。
才能なんてものがあっても中途半端に成功するだけで、結局最後は本人も周りも辛い思いをするのだ。
努力で身につけた力は自分を裏切らない。努力し、苦労し、他人の辛さをわかる人間こそが
上に立てる、そんな世界を誰かが作るべきなんだ! 誰もやらないなら僕がやってみせる!!
周りは祖父の雪辱戦などと言ったが、僕は僕の信念のために政治家を目指した。幸い、時間は腐る程ある。
同い年の子供が家族と過ごしたり友達と遊んでいる時間全てを費やして、僕はただひたすら勉強した。
政治家は体が資本だ。いじめにも負けないよう、武道を始めた。風紀を正すのが政治家に繋がる気がして、
中学一年生の時からずっと風紀委員を務め、生徒会のメンバーにもなった。だが、外のことに熱中して
家のことを疎かにする訳にはいかない。仕事で家を空ける両親のために、家事も出来る限り手伝った。
みんなには言えなかったが、不器用な上に男の僕が料理を出来るのは実はこういう事情があったのだ。
家族からも教師からも僕の評判は良かった。家の外でも中でも、僕は非の打ち所のない完璧な優等生だった。
そして……
とうとう僕は長年の努力を認められ、政府公認の特別な学校『希望ヶ峰学園』に入学を認められたのだ!
925: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 23:01:00.37:tB+9MjpC0 (9/16)
嬉しかった。何の才能もない僕が、選ばれた天才達と肩を並べられる日が来るなんて。
努力の力で彼等を追い越す日も遠くない。そう、歓喜の涙を流したものだ……。
―でも。
―違うんだ。
―僕が本当に欲しかったのはそれじゃないんだ。
嬉しくなかった訳じゃない。あの時の気持ちは本当だ。
両親の涙ぐむ姿を見て、僕は喜びにうち震えていた。
この日のためにずっと頑張ってきたんだと思った。
諦めないで努力をし続けて、良かったと心から本当に……
―でも、けれども、だけど。
嬉しかった。何の才能もない僕が、選ばれた天才達と肩を並べられる日が来るなんて。
努力の力で彼等を追い越す日も遠くない。そう、歓喜の涙を流したものだ……。
―でも。
―違うんだ。
―僕が本当に欲しかったのはそれじゃないんだ。
嬉しくなかった訳じゃない。あの時の気持ちは本当だ。
両親の涙ぐむ姿を見て、僕は喜びにうち震えていた。
この日のためにずっと頑張ってきたんだと思った。
諦めないで努力をし続けて、良かったと心から本当に……
―でも、けれども、だけど。
926: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 23:10:50.55:tB+9MjpC0 (10/16)
僕は、
本当は、
普通の生活がしたかったんだ。
僕は、
本当は、
普通の生活がしたかったんだ。
927: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 23:17:26.34:tB+9MjpC0 (11/16)
家には家族がいて、学校には友達がいて、遅くまで遊んで時々家族で遠出して……
そんな普通の生活がしたかった。
でも、言える訳がない。子供の僕でさえこんなに辛かったの だ。
両親は大人だから、もっと辛い思いを数え切れないほどしてきただろう。
そしてその思いを、息子にはけして悟られないよう生きてきたのだ。
だからこの思いは絶対に言えない。
死ぬまで僕の胸にしまっておくんだ。
―そう思っていたのに。
―鋼より堅い決意のはずだったのに……
気付けば僕は西城先生の胸にしがみついて泣き叫んでいた。今まで、己の情けなさや不甲斐なさを
恥じて泣いたことは数あれど、子供のように我が儘を言って泣いたことはかつて一度としてなかった。
今から思い返すと、高校生にもなって子供のように泣きじゃくるなどみっともないことこの上ない。
しかも僕は、あれがしたいこれがしたいと小さい子供のように駄々をこね、たくさん我が儘を言ったのだ。
……生まれて初めて誰かに我が儘を言った気がする。
けれども、先生は少しも困ったそぶりを見せないばかりか、今度一緒に行こう、
みんなと遊ぼうと一つずつ約束をしてくれた。中には家に帰りたい、もうこんな場所は
嫌だといった無茶な内容もあったが、絶対に俺が出してやると先生は力強く宣言してくれた。
そうして、僕が落ち着くまで先生はじっと付き合ってくれたのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――
家には家族がいて、学校には友達がいて、遅くまで遊んで時々家族で遠出して……
そんな普通の生活がしたかった。
でも、言える訳がない。子供の僕でさえこんなに辛かったの だ。
両親は大人だから、もっと辛い思いを数え切れないほどしてきただろう。
そしてその思いを、息子にはけして悟られないよう生きてきたのだ。
だからこの思いは絶対に言えない。
死ぬまで僕の胸にしまっておくんだ。
―そう思っていたのに。
―鋼より堅い決意のはずだったのに……
気付けば僕は西城先生の胸にしがみついて泣き叫んでいた。今まで、己の情けなさや不甲斐なさを
恥じて泣いたことは数あれど、子供のように我が儘を言って泣いたことはかつて一度としてなかった。
今から思い返すと、高校生にもなって子供のように泣きじゃくるなどみっともないことこの上ない。
しかも僕は、あれがしたいこれがしたいと小さい子供のように駄々をこね、たくさん我が儘を言ったのだ。
……生まれて初めて誰かに我が儘を言った気がする。
けれども、先生は少しも困ったそぶりを見せないばかりか、今度一緒に行こう、
みんなと遊ぼうと一つずつ約束をしてくれた。中には家に帰りたい、もうこんな場所は
嫌だといった無茶な内容もあったが、絶対に俺が出してやると先生は力強く宣言してくれた。
そうして、僕が落ち着くまで先生はじっと付き合ってくれたのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――
928: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 23:34:36.11:tB+9MjpC0 (12/16)
「わああああああああああああああ! さいじょおぜんぜぇぇえ! うううう、グスッ、ヒグッ!」
「少しは落ち着いたか?」ハナヲカメ
人心地ついたと見ると、KAZUYAは石丸にちり紙を渡してやる。
ズルズル、チーン!
「ヒック、エグッ、あうぅ……」
「落ち着いて、深呼吸しろ」
「スーハー、スーハー……あ、あの、先生……僕、何だかその……大変お見苦しい所を……」
「子供はそんなこと気にしなくてよろしい。それより……これですっきりしたか?」
「――はいっ!!」
いつの間にか白くなっていた髪が元の黒髪に戻っていた。
何より、石丸の怨念がそのまま渦を巻いていたかのような狂気が瞳から消えている。
「じゃあ、さっさとみんなの所に戻って好きなだけ遊んで来い。……俺も用事が片付いたら行く」
「わかりました! 待っています!!」
一度去りかけ、バッと振り返ると石丸は改めて頭を下げる。
「あの、本当にありがとうございましたッ!!」ニカッ!
そのまま、また以前のように勢い良く扉を開けて元気に去って行く。
(……そうだ。それでいいんだ)
KAZUYAは穏やかな顔で笑うと、再び扉に向き直る。
「わああああああああああああああ! さいじょおぜんぜぇぇえ! うううう、グスッ、ヒグッ!」
「少しは落ち着いたか?」ハナヲカメ
人心地ついたと見ると、KAZUYAは石丸にちり紙を渡してやる。
ズルズル、チーン!
「ヒック、エグッ、あうぅ……」
「落ち着いて、深呼吸しろ」
「スーハー、スーハー……あ、あの、先生……僕、何だかその……大変お見苦しい所を……」
「子供はそんなこと気にしなくてよろしい。それより……これですっきりしたか?」
「――はいっ!!」
いつの間にか白くなっていた髪が元の黒髪に戻っていた。
何より、石丸の怨念がそのまま渦を巻いていたかのような狂気が瞳から消えている。
「じゃあ、さっさとみんなの所に戻って好きなだけ遊んで来い。……俺も用事が片付いたら行く」
「わかりました! 待っています!!」
一度去りかけ、バッと振り返ると石丸は改めて頭を下げる。
「あの、本当にありがとうございましたッ!!」ニカッ!
そのまま、また以前のように勢い良く扉を開けて元気に去って行く。
(……そうだ。それでいいんだ)
KAZUYAは穏やかな顔で笑うと、再び扉に向き直る。
929: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 23:41:32.59:tB+9MjpC0 (13/16)
「……次はお前の番だな。大和田」
「よ、よう……」
声をかけると、気まずそうな顔をした大和田がノソノソと保健室へ入ってきた。
「全部聞いてたんだろう?」
「?! なんでそれを……」
「ドアの窓にお前の髪の影が映っていた」
「……ああ、そうか。べ、別に盗み聞きしてたワケじゃねえぞ! 用があってここに
来たら、兄弟とあんたのデカイ声が聞こえてきて、入るに入れなくてだ……」
「いや、いいんだ。話す手間が省けたからな」
「……なんだよ。今度は俺に説教でもするのか?」
「いや、逆だ。謝ると言う訳ではないが、少し話がしたかった」
「話?」
「前に体育館で偉そうなことを言ったが、本当は俺はお前にあんなことを言える資格はないんだ」
「……どういうことだよ」
「お前を見てると昔の俺を思い出すと言っただろ? 俺もな、ずっとコンプレックスを持っていたんだ」
「…………」
「俺の場合は親父だった。強くて優秀で職人気質の、如何にもな頑固親父だったよ。
成長して医学の知識が増えれば増える程、俺にとって親父は強大な壁になった」
「その上、俺の一族は色々と特殊でな。周囲からの期待もあってとにかく
プレッシャーが凄かったんだ。だから学生の時はお前以上に鬱屈して捻くれてたよ」
「親父の締め付けがきつかったのは小学生までだったが、中学に上がってからも俺はいつも周りと距離を
取っていた。俺は彼等とは違うんだという思いが強かった。……今から思えば勿体ないことをしたな」
「……どうやって、乗り越えたんだ?」
大和田がKAZUYAの瞳を見上げる。
「……次はお前の番だな。大和田」
「よ、よう……」
声をかけると、気まずそうな顔をした大和田がノソノソと保健室へ入ってきた。
「全部聞いてたんだろう?」
「?! なんでそれを……」
「ドアの窓にお前の髪の影が映っていた」
「……ああ、そうか。べ、別に盗み聞きしてたワケじゃねえぞ! 用があってここに
来たら、兄弟とあんたのデカイ声が聞こえてきて、入るに入れなくてだ……」
「いや、いいんだ。話す手間が省けたからな」
「……なんだよ。今度は俺に説教でもするのか?」
「いや、逆だ。謝ると言う訳ではないが、少し話がしたかった」
「話?」
「前に体育館で偉そうなことを言ったが、本当は俺はお前にあんなことを言える資格はないんだ」
「……どういうことだよ」
「お前を見てると昔の俺を思い出すと言っただろ? 俺もな、ずっとコンプレックスを持っていたんだ」
「…………」
「俺の場合は親父だった。強くて優秀で職人気質の、如何にもな頑固親父だったよ。
成長して医学の知識が増えれば増える程、俺にとって親父は強大な壁になった」
「その上、俺の一族は色々と特殊でな。周囲からの期待もあってとにかく
プレッシャーが凄かったんだ。だから学生の時はお前以上に鬱屈して捻くれてたよ」
「親父の締め付けがきつかったのは小学生までだったが、中学に上がってからも俺はいつも周りと距離を
取っていた。俺は彼等とは違うんだという思いが強かった。……今から思えば勿体ないことをしたな」
「……どうやって、乗り越えたんだ?」
大和田がKAZUYAの瞳を見上げる。
930: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 23:48:29.90:tB+9MjpC0 (14/16)
「確か、親父さんは死んじまったんだろ? ……死んじまったら、もう乗り越えられねえじゃねえか」
「……乗り越えられなかった。ただ、自分の中で整理せざるを得なかったんだ」
「整理?」
KAZUYAは大和田に事故の詳細を語って聞かせた。
放射線治療の可能性を探るため、父・一堡(かずおき)は友人であり帝都大教授の柳川慎一郎と
KAZUYAを連れ、原子力研究所に赴いていた。その際、想定以上の地震が発生し建物が部分的に損壊、
放射能が漏れ出すと言う事態になった。シェルターに避難した一同だが、扉に瓦礫が引っ掛かって
閉まらず、一堡はそれを除去するため死を覚悟で一人外に残った。
怪我人が多数いたが、頼りの父親はいない。父は自分達を生かすために自ら死地に立った。
その苛烈過ぎる経験が、KAZUYAを医者として覚醒させその使命を自覚させることになったのである。
「たくさん後悔したし悩んだよ。俺がもっと強ければ親父を助けられたのにとか、
親父が救えなかった人々を俺が救わなければならない。俺にそれが出来るのかとか」
「……重ぇな」
「ああ、重かった。でも背負うしかないんだ。俺にそれ以外の生き方なんてない。だから、
人を救うことを俺の生きる目的とし、親父の死もその中に組み込んで無理矢理整理したんだ」
「……本当にすげえな、あんたは。俺には、到底出来ねえ生き方だ……」
「いや……俺の場合は親父が俺に道を示してくれたからというのもある。もしお前のように
自分のコンプレックスのせいで親父を死なせてしまったら、俺は道を間違えたかもしれない」
「ポロのことで懲りてなかったら、俺ももっと反抗的だったと思うしな」
「…………」
「だから、お前の気持ちがわかると言ったんだ。学生なんてわからないことだらけで
迷うことも悩むこともたくさんある。お前は何もおかしくないし弱くもない。気負うな」
「……おう」
それで会話は終わりのつもりだったが、大和田は突っ立ったまま何かを考えていた。
「確か、親父さんは死んじまったんだろ? ……死んじまったら、もう乗り越えられねえじゃねえか」
「……乗り越えられなかった。ただ、自分の中で整理せざるを得なかったんだ」
「整理?」
KAZUYAは大和田に事故の詳細を語って聞かせた。
放射線治療の可能性を探るため、父・一堡(かずおき)は友人であり帝都大教授の柳川慎一郎と
KAZUYAを連れ、原子力研究所に赴いていた。その際、想定以上の地震が発生し建物が部分的に損壊、
放射能が漏れ出すと言う事態になった。シェルターに避難した一同だが、扉に瓦礫が引っ掛かって
閉まらず、一堡はそれを除去するため死を覚悟で一人外に残った。
怪我人が多数いたが、頼りの父親はいない。父は自分達を生かすために自ら死地に立った。
その苛烈過ぎる経験が、KAZUYAを医者として覚醒させその使命を自覚させることになったのである。
「たくさん後悔したし悩んだよ。俺がもっと強ければ親父を助けられたのにとか、
親父が救えなかった人々を俺が救わなければならない。俺にそれが出来るのかとか」
「……重ぇな」
「ああ、重かった。でも背負うしかないんだ。俺にそれ以外の生き方なんてない。だから、
人を救うことを俺の生きる目的とし、親父の死もその中に組み込んで無理矢理整理したんだ」
「……本当にすげえな、あんたは。俺には、到底出来ねえ生き方だ……」
「いや……俺の場合は親父が俺に道を示してくれたからというのもある。もしお前のように
自分のコンプレックスのせいで親父を死なせてしまったら、俺は道を間違えたかもしれない」
「ポロのことで懲りてなかったら、俺ももっと反抗的だったと思うしな」
「…………」
「だから、お前の気持ちがわかると言ったんだ。学生なんてわからないことだらけで
迷うことも悩むこともたくさんある。お前は何もおかしくないし弱くもない。気負うな」
「……おう」
それで会話は終わりのつもりだったが、大和田は突っ立ったまま何かを考えていた。
931: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 23:50:26.22:tB+9MjpC0 (15/16)
「そろそろ俺も戻るとするかな」
「……なあ」
「ん?」
「頼みがあんだけどよ」
「何だ?」
「桑田じゃねえが……俺の髪も切ってくれねえか?」
「……俺は病院の人間かもしれんが美容院の人間ではないぞ?」
「頼むよ。あんたに切って欲しいんだ」
「まあ、どうしてもと言うなら構わんがいいのか? その髪にはこだわりがあるんだろう?」
「……いいんだ。どうせ大人になって働きだしたら切らなきゃなんねえしな。一種の断髪式だ!」
「わかった。そこまで言うなら引き受けよう。……失敗しても恨むなよ」
「そ、そういうこと言われっと不安になんだろ?! あんまバッサリはいかないでくれ!」
「……わかった、わかった。善処する」
「じゃあ、頼むぜ。センセイ!」ニッ!
「!」
その時、KAZUYAの目にかつてあった光景が浮かぶ。
『オス、KAZUYAセンセイ! これから飯っすか?』
『良かったら、僕達と一緒に食べませんか?』
『西城先生のお話、もっとききたいなぁ』
「…………」フッ
(大人になったら、か。――そう遠くないだろうな)
「そろそろ俺も戻るとするかな」
「……なあ」
「ん?」
「頼みがあんだけどよ」
「何だ?」
「桑田じゃねえが……俺の髪も切ってくれねえか?」
「……俺は病院の人間かもしれんが美容院の人間ではないぞ?」
「頼むよ。あんたに切って欲しいんだ」
「まあ、どうしてもと言うなら構わんがいいのか? その髪にはこだわりがあるんだろう?」
「……いいんだ。どうせ大人になって働きだしたら切らなきゃなんねえしな。一種の断髪式だ!」
「わかった。そこまで言うなら引き受けよう。……失敗しても恨むなよ」
「そ、そういうこと言われっと不安になんだろ?! あんまバッサリはいかないでくれ!」
「……わかった、わかった。善処する」
「じゃあ、頼むぜ。センセイ!」ニッ!
「!」
その時、KAZUYAの目にかつてあった光景が浮かぶ。
『オス、KAZUYAセンセイ! これから飯っすか?』
『良かったら、僕達と一緒に食べませんか?』
『西城先生のお話、もっとききたいなぁ』
「…………」フッ
(大人になったら、か。――そう遠くないだろうな)
932: ◆takaJZRsBc:2014/11/10(月) 23:57:18.44:tB+9MjpC0 (16/16)
・・・
桑田「せんせー、おせーよ……おあっ?!」
朝日奈「KAZUYA先生、おそーい! あ、えっ?! 大和田?!」
山田「なんと! 桑田怜恩殿に続き大和田紋土殿までイメチェン?!」
江ノ島「うわっ、リーゼント以外の大和田初めて見た! けっこーイケルじゃん!」
ジェノ「ヤッバい。キタわぁ! でもでもアタシには白夜様がいるし~。あーん、どうしよ?!」
石丸「ウム! 男前になったではないか、兄弟!」
不二咲「格好いいよ、大和田君!」
大和田「へへっ、改めてよろしくな。オメエら!」
葉隠「うし、全員揃ったことだしもっかい最初からだべ!」
セレス「あなた、負けが込んでるからどさくさに紛れてなかったことにするつもりではありませんか?」
苗木「細かいなぁ。今日は凄く良い日なんだから、いいじゃない」ハハ
舞園「そうですよ。見逃してあげましょう」
十神「冗談ではない。負けは負けだ。そこで容赦するから貴様等は愚民なのだ」
大神「……お主は相変わらずキツイな」
霧切「構わないわ。十神君が優しくなったら天変地異が起こるもの」
石丸「よし! 兄弟と先生も含めてもう一回だ!」
K「俺はゲームは苦手だからお手柔らかにな」
ハハハハハハ! ワイワイキャーキャー!
・・・
桑田「せんせー、おせーよ……おあっ?!」
朝日奈「KAZUYA先生、おそーい! あ、えっ?! 大和田?!」
山田「なんと! 桑田怜恩殿に続き大和田紋土殿までイメチェン?!」
江ノ島「うわっ、リーゼント以外の大和田初めて見た! けっこーイケルじゃん!」
ジェノ「ヤッバい。キタわぁ! でもでもアタシには白夜様がいるし~。あーん、どうしよ?!」
石丸「ウム! 男前になったではないか、兄弟!」
不二咲「格好いいよ、大和田君!」
大和田「へへっ、改めてよろしくな。オメエら!」
葉隠「うし、全員揃ったことだしもっかい最初からだべ!」
セレス「あなた、負けが込んでるからどさくさに紛れてなかったことにするつもりではありませんか?」
苗木「細かいなぁ。今日は凄く良い日なんだから、いいじゃない」ハハ
舞園「そうですよ。見逃してあげましょう」
十神「冗談ではない。負けは負けだ。そこで容赦するから貴様等は愚民なのだ」
大神「……お主は相変わらずキツイな」
霧切「構わないわ。十神君が優しくなったら天変地異が起こるもの」
石丸「よし! 兄弟と先生も含めてもう一回だ!」
K「俺はゲームは苦手だからお手柔らかにな」
ハハハハハハ! ワイワイキャーキャー!
933: ◆takaJZRsBc:2014/11/11(火) 00:09:41.89:fal1cIDX0 (1/4)
◇ ◇ ◇
誰もが笑っている団欒のさ中、一人黒幕は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「つまんね」
「つまんねつまんねつまんね!」
「あああああっ! つまんねっ!!!」
「え? 何なの? あんな安っぽい感動劇で元に戻っちゃうの? 何それ、茶番? ふざけてんの?」
「っつーか治るなよ! 空気読めよ! だからおめーはKYなんだよっ! このKY多夏!!」
「西城の奴もさ、今回何一つ役立ってなかったくせに何最後の手柄だけちゃっかり
取ってんの? 一仕事したような顔つきしちゃってさ。いちいちドヤ顔うぜえんだよ!」
ひとしきり愚痴をこぼし、やけ酒ならぬやけ菓子を煽りながらやっと黒幕は落ち着く。
「……ま、いっか。動機はまだあるし、次の動機は確実に動く奴いるもんねーだ。
こっちにはまだ内通者って切り札も残ってるし。状況は全然変わってないじゃん」
「それに、あれよ。あんま同じような展開ばっかり続けると視聴率にも響いちゃうし?
ここらでちょっとした息抜き入れてもいいかもね。要はコマーシャル的存在な訳です」
「そう! そうなのよ! これは次に訪れる絶望的展開の前の前菜でありインターバルって訳!」
「アイツ風に言うなら……希望が大きければ大きい程、その後に
訪れる絶望はより大きく深いものになる、って所かしらね」
「うぷぷ。うぷぷ。うぷぷぷぷぷぷ! キャッハッハッハッハッハッハッハッ!!」
◇ ◇ ◇
誰もが笑っている団欒のさ中、一人黒幕は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「つまんね」
「つまんねつまんねつまんね!」
「あああああっ! つまんねっ!!!」
「え? 何なの? あんな安っぽい感動劇で元に戻っちゃうの? 何それ、茶番? ふざけてんの?」
「っつーか治るなよ! 空気読めよ! だからおめーはKYなんだよっ! このKY多夏!!」
「西城の奴もさ、今回何一つ役立ってなかったくせに何最後の手柄だけちゃっかり
取ってんの? 一仕事したような顔つきしちゃってさ。いちいちドヤ顔うぜえんだよ!」
ひとしきり愚痴をこぼし、やけ酒ならぬやけ菓子を煽りながらやっと黒幕は落ち着く。
「……ま、いっか。動機はまだあるし、次の動機は確実に動く奴いるもんねーだ。
こっちにはまだ内通者って切り札も残ってるし。状況は全然変わってないじゃん」
「それに、あれよ。あんま同じような展開ばっかり続けると視聴率にも響いちゃうし?
ここらでちょっとした息抜き入れてもいいかもね。要はコマーシャル的存在な訳です」
「そう! そうなのよ! これは次に訪れる絶望的展開の前の前菜でありインターバルって訳!」
「アイツ風に言うなら……希望が大きければ大きい程、その後に
訪れる絶望はより大きく深いものになる、って所かしらね」
「うぷぷ。うぷぷ。うぷぷぷぷぷぷ! キャッハッハッハッハッハッハッハッ!!」
934: ◆takaJZRsBc:2014/11/11(火) 00:16:45.76:fal1cIDX0 (2/4)
― 学園の外 とある廃ビルの一室 ――
古ぼけたソファーの上に、長い黒髪の男が座ってテレビを見ている。
『アハハハハ!』
『ワハハハハ!』
「…………」
「あれ、珍しいね? 君がテレビを見てるなんて」
後ろから声を掛けられるが男は振り返らない。後ろから誰かが近付いていることも
それが誰なのかも何を言うのかすら、その男にはわかっていたからだ。
「いくら僕でも、ただ座っているだけで頭に情報が流れ込んでくる訳ではありませんから」
「なら、わざわざ自分で見なくたって手っ取り早く誰かに結果だけ聞けばいいのに」
「人づてに情報を聞くのは不確かですからね。その情報がどの程度正確かは話者の
記憶力や情報処理能力に依存しますし、余計な解釈がつくこともあります」
「ふーん。一切余分な要素のない生の映像を見たいんだ」
すると、後ろに立っている白髪の男はわざとらしい声を上げる。
「あれ? でも、先が予測出来るドラマはツマラナイって前に言ってなかったっけ?」
男が何と答えるかわかっていて悪戯っぽく問い掛けていると気付いていたが、意地にならずに素直に答えた。
「……予測が外れました」
「どんな風に?」
― 学園の外 とある廃ビルの一室 ――
古ぼけたソファーの上に、長い黒髪の男が座ってテレビを見ている。
『アハハハハ!』
『ワハハハハ!』
「…………」
「あれ、珍しいね? 君がテレビを見てるなんて」
後ろから声を掛けられるが男は振り返らない。後ろから誰かが近付いていることも
それが誰なのかも何を言うのかすら、その男にはわかっていたからだ。
「いくら僕でも、ただ座っているだけで頭に情報が流れ込んでくる訳ではありませんから」
「なら、わざわざ自分で見なくたって手っ取り早く誰かに結果だけ聞けばいいのに」
「人づてに情報を聞くのは不確かですからね。その情報がどの程度正確かは話者の
記憶力や情報処理能力に依存しますし、余計な解釈がつくこともあります」
「ふーん。一切余分な要素のない生の映像を見たいんだ」
すると、後ろに立っている白髪の男はわざとらしい声を上げる。
「あれ? でも、先が予測出来るドラマはツマラナイって前に言ってなかったっけ?」
男が何と答えるかわかっていて悪戯っぽく問い掛けていると気付いていたが、意地にならずに素直に答えた。
「……予測が外れました」
「どんな風に?」
935: ◆takaJZRsBc:2014/11/11(火) 00:32:32.71:fal1cIDX0 (3/4)
「いかにドクターKと言えど、石丸清多夏の心の病は治せなかったはずです」
「何でそう断言出来るのかな? 確かに君の中には希望ヶ峰が集めた才能の全てが
詰まっているはずだけど、その中に超国家級の医師や精神科医はなかったはずだよね」
試すような口ぶりで問いかけるが、黒髪の男は淡々と返事をする。
「馬鹿にしないで下さい。確かにその二つはありませんが、超高校級の保健委員、神経学者、
カウンセラー、そして超国家級の脳科学者、心理学者の才能は持っています」
「それらを組み合わせれば、あまりにも簡単に導き出される結論です」
「でも結果は違った訳だ」
白髪の男は尚も挑発的な声色で話すが、男は逆に驚嘆の念すら感じさせる声で同意した。
「ええ。これには流石の僕も予想外、と言わざるを得ません」
「それで、珍しく興味を持ってテレビにかじりついているんだね」
「そういうことになりますね」
「これからどうなると思う?」
「まだ、何とも。……思えば、最初に江ノ島盾子の想定していなかった異分子が
入り込んだ時点で、この計画は全く見当違いの方角に舵を切ったのかも知れません」
「だとすると、もしかしたら彼女にも僕にも予測のつかない終わり方をする可能性がある」
「もし、そうなるのなら……」
「――江ノ島盾子の考えたこの計画、オモシロイかもしれない」
http://i.imgur.com/GPjQDMk.jpg
Chapter.3 世紀末医療伝説再び! 医に生きる者よ、メスを執れ!! 医療編 ― 完 ―
「いかにドクターKと言えど、石丸清多夏の心の病は治せなかったはずです」
「何でそう断言出来るのかな? 確かに君の中には希望ヶ峰が集めた才能の全てが
詰まっているはずだけど、その中に超国家級の医師や精神科医はなかったはずだよね」
試すような口ぶりで問いかけるが、黒髪の男は淡々と返事をする。
「馬鹿にしないで下さい。確かにその二つはありませんが、超高校級の保健委員、神経学者、
カウンセラー、そして超国家級の脳科学者、心理学者の才能は持っています」
「それらを組み合わせれば、あまりにも簡単に導き出される結論です」
「でも結果は違った訳だ」
白髪の男は尚も挑発的な声色で話すが、男は逆に驚嘆の念すら感じさせる声で同意した。
「ええ。これには流石の僕も予想外、と言わざるを得ません」
「それで、珍しく興味を持ってテレビにかじりついているんだね」
「そういうことになりますね」
「これからどうなると思う?」
「まだ、何とも。……思えば、最初に江ノ島盾子の想定していなかった異分子が
入り込んだ時点で、この計画は全く見当違いの方角に舵を切ったのかも知れません」
「だとすると、もしかしたら彼女にも僕にも予測のつかない終わり方をする可能性がある」
「もし、そうなるのなら……」
「――江ノ島盾子の考えたこの計画、オモシロイかもしれない」
http://i.imgur.com/GPjQDMk.jpg
Chapter.3 世紀末医療伝説再び! 医に生きる者よ、メスを執れ!! 医療編 ― 完 ―
936:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/11(火) 00:35:36.43:aHpaEmvuo (1/1)
乙
乙
937: ◆takaJZRsBc:2014/11/11(火) 00:36:04.75:fal1cIDX0 (4/4)
ここまで。おやすみ。
ここまで。おやすみ。
938:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/11(火) 00:48:17.64:3L3kRlK+o (1/1)
乙です
乙です
939:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/11(火) 02:07:01.00:iM9vXmh9O (1/1)
乙
「8歳と9歳と10歳と!12歳と13歳のときも僕はずっと、待っていた!!」
ってセリフが脳内再生された
乙
「8歳と9歳と10歳と!12歳と13歳のときも僕はずっと、待っていた!!」
ってセリフが脳内再生された
940:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/11(火) 02:13:36.23:XRqv3btqo (1/1)
乙!
乙!
941:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/12(水) 11:44:16.39:VJNloirdo (1/1)
さすがKだ
一切薬を使わず石丸を治しちまった…
さすがKだ
一切薬を使わず石丸を治しちまった…
942:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/11/13(木) 07:34:05.78:grX4X4Xk0 (1/1)
>>939
ジョナサン・・・
>>939
ジョナサン・・・
943:</b> ◇takaJZRsBc<b>:2014/11/15(土) 00:52:44.45:Ni689T5B0 (1/1)
散々鬱展開をしたから疑われているのだろうか。えー、石丸君の地雷は正真正銘今回ので最後です
大和田君も合わせ、もう精神崩壊したりおかしくなったりはしません。おめでとう!
そして、スレタイ再投票。
先着三票入った奴にします。一部ちょっと変えました。十神あんま活躍してないやん、
むしろ足引っ張ってるやんという意見も最もだったので、より敵対的、攻撃的な感じにしてみた。
4はちょっとキツすぎるかもしれないので、2くらいのバランスがいいかもなぁ
1,十神「十神の名にかけて!」腐川「救ってみせなさいよ…ドクターK」ジェノ「カルテ.5よん」
2,十神「愚民が…!」腐川「医者なら救ってみなさいよ、ドクターK!」ジェノ「カルテ.5よん」
3,ジェノ「笑顔が素敵な…」十神「ドクターK!どういう事だ説明しろ!」腐川「カ、カルテ.5…」
4,十神「ドクターK…所詮貴様も愚民だ!」腐川「あんたには救えない…」ジェノ「カルテ.5ォ!」
散々鬱展開をしたから疑われているのだろうか。えー、石丸君の地雷は正真正銘今回ので最後です
大和田君も合わせ、もう精神崩壊したりおかしくなったりはしません。おめでとう!
そして、スレタイ再投票。
先着三票入った奴にします。一部ちょっと変えました。十神あんま活躍してないやん、
むしろ足引っ張ってるやんという意見も最もだったので、より敵対的、攻撃的な感じにしてみた。
4はちょっとキツすぎるかもしれないので、2くらいのバランスがいいかもなぁ
1,十神「十神の名にかけて!」腐川「救ってみせなさいよ…ドクターK」ジェノ「カルテ.5よん」
2,十神「愚民が…!」腐川「医者なら救ってみなさいよ、ドクターK!」ジェノ「カルテ.5よん」
3,ジェノ「笑顔が素敵な…」十神「ドクターK!どういう事だ説明しろ!」腐川「カ、カルテ.5…」
4,十神「ドクターK…所詮貴様も愚民だ!」腐川「あんたには救えない…」ジェノ「カルテ.5ォ!」
944:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/15(土) 01:22:37.15:eRYhs1jpO (1/1)
乙です
では、次スレで役に立ってくれることを願って、1で
乙です
では、次スレで役に立ってくれることを願って、1で
945:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/15(土) 01:48:46.35:7DfpNdp7o (1/1)
いやー、次スレもまだ三章で十神改心は四章終了あたりだから
下手したら7スレ目くらいになるんじゃないか?
というわけで2
いやー、次スレもまだ三章で十神改心は四章終了あたりだから
下手したら7スレ目くらいになるんじゃないか?
というわけで2
946: ◆takaJZRsBc:2014/11/15(土) 19:34:52.09:ZOqU0ydh0 (1/2)
ageるか…
ageるか…
947:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/15(土) 19:50:45.80:IKILOwm5O (1/1)
まだ入ってなかったか
3で
まだ入ってなかったか
3で
948:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/15(土) 19:58:28.43:JeCL0pqDO (1/1)
2
2
949:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/15(土) 19:59:40.80:M6FQUs2yo (1/1)
4で
4で
950:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/15(土) 20:24:32.50:a1Ib8ZrtO (1/1)
1
1
951:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/15(土) 20:25:28.35:5N3V2x63O (1/1)
2で
2で
952:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/15(土) 20:28:18.69:t4SlxTHy0 (1/1)
石丸退院おめでとう!
1はキャラの背景とか原作から色々考えててくれて好きだ。すごく面白い
スレタイは2で
石丸退院おめでとう!
1はキャラの背景とか原作から色々考えててくれて好きだ。すごく面白い
スレタイは2で
953:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/15(土) 21:47:31.39:oaUaaVJ/o (1/1)
3か2かなあ
3か2かなあ
954: ◆takaJZRsBc:2014/11/15(土) 22:09:15.82:ZOqU0ydh0 (2/2)
立てました。更にちょっとマイナーチェンジ
十神「愚民が…!」腐川「医者なら救ってみなさいよ、ドクターK!」ジェノ「カルテ.5ォ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416054791/
このスレは恒例通りおまけとか番外編でちまちま埋めていきます。
>>952
ありがとうございます。石丸君のモノローグ長すぎてダレたかな…とかビビってました
身内(恐らく父親)が警察官なので石丸家の苦労は計り知れなかったと思います
あと、文章だけだと伝わらなかったかもしれないのでここで補足しますが、どこかで読んだ説
(石丸の身内の目はぐるぐる目ではない普通の目をしている。ぐるぐる目は江ノ島や狛枝でわかるように
狂気の象徴なので、石丸のあの目は実は後天的)がとても興味深くて面白かったのでこのSSでも
その説を採用し、今回のエピソード以後は石丸君も普通の目になっています。
立てました。更にちょっとマイナーチェンジ
十神「愚民が…!」腐川「医者なら救ってみなさいよ、ドクターK!」ジェノ「カルテ.5ォ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416054791/
このスレは恒例通りおまけとか番外編でちまちま埋めていきます。
>>952
ありがとうございます。石丸君のモノローグ長すぎてダレたかな…とかビビってました
身内(恐らく父親)が警察官なので石丸家の苦労は計り知れなかったと思います
あと、文章だけだと伝わらなかったかもしれないのでここで補足しますが、どこかで読んだ説
(石丸の身内の目はぐるぐる目ではない普通の目をしている。ぐるぐる目は江ノ島や狛枝でわかるように
狂気の象徴なので、石丸のあの目は実は後天的)がとても興味深くて面白かったのでこのSSでも
その説を採用し、今回のエピソード以後は石丸君も普通の目になっています。
955:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/15(土) 22:26:59.86:Y5t0hkFZo (1/1)
新スレ乙です
新スレ乙です
956: ◆takaJZRsBc:2014/11/16(日) 16:53:41.97:TM/1hWfa0 (1/10)
番外編 ― 宴の裏側で ―
ジェノ「ギャーハハハハ! そんでさ……ん?」
葉隠「お? どうした?」
ジェノ「ふぇ、ふぇ……やばっ」
山田「あー、これってもしや……」
ジェノ「ぶえっくしょおおおおおん!」
葉隠「うわ、きたねえ!」
山田「キャー! 拙者の顔に直撃しましたぞ! だ、誰かティッシュを持っていませんか?!」
大神「……不運だったな」つ【ティッシュ】
K「いつも思っているが、女生徒にその盛大なくしゃみはどうかと思うが……」
十神「無駄だ。そいつは女を捨てている」
朝日奈「ちょっと、そういう言い方はないでしょ! 確かにお風呂は入った方がいいと思うけど」
十神「散々追い掛け回された挙句、目の前で気持ちの悪い妄想を言われる俺の身にもなれ!」
腐川「あ、あれ……」
大神「腐川よ、久しぶりだな」
山田「……とりあえず僕は謝ってほしいんですけど、今日は特別に見逃してあげますよ」
腐川(え、え、なに?! なんなのこの状況はっ?!)
葉隠「おーし! 腐川っちも一緒にゲームすんべ?」
K「おい腐川、少し話を……!」
腐川「ひ、ひぃぃぃぃっ!!」
ダダダダダダダ!
番外編 ― 宴の裏側で ―
ジェノ「ギャーハハハハ! そんでさ……ん?」
葉隠「お? どうした?」
ジェノ「ふぇ、ふぇ……やばっ」
山田「あー、これってもしや……」
ジェノ「ぶえっくしょおおおおおん!」
葉隠「うわ、きたねえ!」
山田「キャー! 拙者の顔に直撃しましたぞ! だ、誰かティッシュを持っていませんか?!」
大神「……不運だったな」つ【ティッシュ】
K「いつも思っているが、女生徒にその盛大なくしゃみはどうかと思うが……」
十神「無駄だ。そいつは女を捨てている」
朝日奈「ちょっと、そういう言い方はないでしょ! 確かにお風呂は入った方がいいと思うけど」
十神「散々追い掛け回された挙句、目の前で気持ちの悪い妄想を言われる俺の身にもなれ!」
腐川「あ、あれ……」
大神「腐川よ、久しぶりだな」
山田「……とりあえず僕は謝ってほしいんですけど、今日は特別に見逃してあげますよ」
腐川(え、え、なに?! なんなのこの状況はっ?!)
葉隠「おーし! 腐川っちも一緒にゲームすんべ?」
K「おい腐川、少し話を……!」
腐川「ひ、ひぃぃぃぃっ!!」
ダダダダダダダ!
957: ◆takaJZRsBc:2014/11/16(日) 17:02:12.59:TM/1hWfa0 (2/10)
K「あ、待て!」
走り去る腐川を追って、KAZUYAも飛び出す。
葉隠「あっちゃあ、ダメだったか」
朝日奈「腐川ちゃん……まだ気にしてるんだね」
不二咲「あれ、何かあったの?」
石丸「先生がジェノサイダー君を追いかけて行ったようだが」
大和田「ありゃあ、腐川の方じゃなかったか?」
十神「フン、放っておけ。まったく、奴のお人好しも大概だな」
セレス「お医者さんというものはみんなああいうものなのではないですか?」
江ノ島「他は知らないけど、少なくともあいつは……初めて会った時からずっとああだし」
・・・
バタン!
「ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ……」
腐川は扉を背にしながら荒い呼吸を整える。
(なに、なんなのよ……)
「パーティー? してたわけ?」
(ア、アタシ抜きで楽しく……そうよね。アタシなんていても楽しくないし……)
だが、そこで腐川はある事実に気付く。
K「あ、待て!」
走り去る腐川を追って、KAZUYAも飛び出す。
葉隠「あっちゃあ、ダメだったか」
朝日奈「腐川ちゃん……まだ気にしてるんだね」
不二咲「あれ、何かあったの?」
石丸「先生がジェノサイダー君を追いかけて行ったようだが」
大和田「ありゃあ、腐川の方じゃなかったか?」
十神「フン、放っておけ。まったく、奴のお人好しも大概だな」
セレス「お医者さんというものはみんなああいうものなのではないですか?」
江ノ島「他は知らないけど、少なくともあいつは……初めて会った時からずっとああだし」
・・・
バタン!
「ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ……」
腐川は扉を背にしながら荒い呼吸を整える。
(なに、なんなのよ……)
「パーティー? してたわけ?」
(ア、アタシ抜きで楽しく……そうよね。アタシなんていても楽しくないし……)
だが、そこで腐川はある事実に気付く。
958: ◆takaJZRsBc:2014/11/16(日) 17:14:51.39:TM/1hWfa0 (3/10)
(あれ? アタシ抜きならなんでアタシはあの場にいたのよ? ……!!)
(まさか、アタシじゃなくてジェノサイダーが参加してた――?)
(なんで……なんでアタシは受け入れられないのに殺人鬼が仲良くしてるのよ!
馬鹿なの? あいつはアンタ達の仲間を殺しかけたのよ?! 人殺しよ?!)
(危険でも今が楽しければいいわけ? なに? あいつら全員刹那主義なの?!)
「ふ、ふふ……うふふふふふ……そう。そういうことって訳なのね……」
ヤケになりながら腐川は自嘲気味に笑い出した。
背後ではうるさいくらいにインターホンが鳴っている。
(根暗でうざいアタシより、たとえ殺人鬼でも明るくて楽しいあいつの方がいいって訳?
そういうことなのね?! ああ、アタシの存在理由ってなによ、なんなのよ……)
(……このミジメな気持ちを小説にぶつけたら今までの中でも最高傑作が生まれそうだわ)
しかし、そうは言ってもちっとも書く気にならなかった。
(ジェノサイダーの方が人気なら、アタシなんて、アタシなんてぇ……)
「う、ううぅうううぅぅ……!」
ダラダラと涙だけではなく鼻水やヨダレを垂らして腐川は嘆いていたが。
ダンダンダンダンッ!
「(ビクッ!)な、なに?!」
個室の扉は防音のはずだ。つまり、少し強めに叩いたくらいではびくともしない。
少しどころではない衝撃が扉を振動させ、その揺れを腐川の体にも伝えていた。
(あれ? アタシ抜きならなんでアタシはあの場にいたのよ? ……!!)
(まさか、アタシじゃなくてジェノサイダーが参加してた――?)
(なんで……なんでアタシは受け入れられないのに殺人鬼が仲良くしてるのよ!
馬鹿なの? あいつはアンタ達の仲間を殺しかけたのよ?! 人殺しよ?!)
(危険でも今が楽しければいいわけ? なに? あいつら全員刹那主義なの?!)
「ふ、ふふ……うふふふふふ……そう。そういうことって訳なのね……」
ヤケになりながら腐川は自嘲気味に笑い出した。
背後ではうるさいくらいにインターホンが鳴っている。
(根暗でうざいアタシより、たとえ殺人鬼でも明るくて楽しいあいつの方がいいって訳?
そういうことなのね?! ああ、アタシの存在理由ってなによ、なんなのよ……)
(……このミジメな気持ちを小説にぶつけたら今までの中でも最高傑作が生まれそうだわ)
しかし、そうは言ってもちっとも書く気にならなかった。
(ジェノサイダーの方が人気なら、アタシなんて、アタシなんてぇ……)
「う、ううぅうううぅぅ……!」
ダラダラと涙だけではなく鼻水やヨダレを垂らして腐川は嘆いていたが。
ダンダンダンダンッ!
「(ビクッ!)な、なに?!」
個室の扉は防音のはずだ。つまり、少し強めに叩いたくらいではびくともしない。
少しどころではない衝撃が扉を振動させ、その揺れを腐川の体にも伝えていた。
959: ◆takaJZRsBc:2014/11/16(日) 17:27:51.76:TM/1hWfa0 (4/10)
(ヒッ! まさか西城のやつ、扉を破る気なんじゃ?!)
シーン。
幸い、音はすぐに止まり扉の振動もなくなった。
「なんだったのよ……ん?」
扉から離れてまじまじと見ると、下の隙間から一枚のメモが入れられているのに気付く。
スッ、ペラリ。
『廃人も同然となっていた石丸が無事元に戻った。今日はそれを祝う退院パーティーだ。
もう君が責任を感じる必要はない。みんな君のことも待っている。安心して出てきなさい。西城』
「…………」
力強くそれでいて丁寧な文字で書かれたそのメモを、腐川はいつまでもじっと見つめていた。
◇ ◇ ◇
ガヤガヤ。ザワザワ。
舞園(お菓子が減ってきましたね。補充しましょうか)
スッと立ち上がると舞園は倉庫に向かう。
舞園(確かあの箱のはず……)
少し上の方に置かれているダンボールを取ろうとするが、彼女はまだ右手が使えない。
左手を伸ばして、少しずつ箱を手前に引き出して行く。
(ヒッ! まさか西城のやつ、扉を破る気なんじゃ?!)
シーン。
幸い、音はすぐに止まり扉の振動もなくなった。
「なんだったのよ……ん?」
扉から離れてまじまじと見ると、下の隙間から一枚のメモが入れられているのに気付く。
スッ、ペラリ。
『廃人も同然となっていた石丸が無事元に戻った。今日はそれを祝う退院パーティーだ。
もう君が責任を感じる必要はない。みんな君のことも待っている。安心して出てきなさい。西城』
「…………」
力強くそれでいて丁寧な文字で書かれたそのメモを、腐川はいつまでもじっと見つめていた。
◇ ◇ ◇
ガヤガヤ。ザワザワ。
舞園(お菓子が減ってきましたね。補充しましょうか)
スッと立ち上がると舞園は倉庫に向かう。
舞園(確かあの箱のはず……)
少し上の方に置かれているダンボールを取ろうとするが、彼女はまだ右手が使えない。
左手を伸ばして、少しずつ箱を手前に引き出して行く。
960: ◆takaJZRsBc:2014/11/16(日) 17:41:31.00:TM/1hWfa0 (5/10)
舞園(あと少し……)
「ムリすんなよ」
舞園「……え?」
振り向くと、桑田が立っていた。驚く舞園のすぐ横に立つと、軽々と箱を引き出す。
桑田「よっと。俺が持ってくわ」
舞園「ありがとうございます」
桑田「…………」
舞園「……?」
少しの間、妙な沈黙が流れるが桑田が口火を切った。
桑田「……お前さあ、あんまムリすんなよ?」
舞園「私は無理なんてしてないですよ?」
桑田「それがムリなんだって。お前マジで気付いてねーの?
……俺と二人っきりの時、いっつも顔が少しひきつってるぜ?」
舞園「?! そんなこと……」
桑田「あるんだって。ライブの練習もハードだったけどさぁ、ぶっちゃけ
お前のそういう顔見続ける方がずっとハードだったんだからな?」
舞園「……ごめんなさい」
俯く舞園を見て、桑田は乱暴に頭を掻いてもごもごと話し出す。
桑田「別に責めるつもりで言ったんじゃねーって。その、な?」
桑田「…………」
舞園(あと少し……)
「ムリすんなよ」
舞園「……え?」
振り向くと、桑田が立っていた。驚く舞園のすぐ横に立つと、軽々と箱を引き出す。
桑田「よっと。俺が持ってくわ」
舞園「ありがとうございます」
桑田「…………」
舞園「……?」
少しの間、妙な沈黙が流れるが桑田が口火を切った。
桑田「……お前さあ、あんまムリすんなよ?」
舞園「私は無理なんてしてないですよ?」
桑田「それがムリなんだって。お前マジで気付いてねーの?
……俺と二人っきりの時、いっつも顔が少しひきつってるぜ?」
舞園「?! そんなこと……」
桑田「あるんだって。ライブの練習もハードだったけどさぁ、ぶっちゃけ
お前のそういう顔見続ける方がずっとハードだったんだからな?」
舞園「……ごめんなさい」
俯く舞園を見て、桑田は乱暴に頭を掻いてもごもごと話し出す。
桑田「別に責めるつもりで言ったんじゃねーって。その、な?」
桑田「…………」
961: ◆takaJZRsBc:2014/11/16(日) 17:50:55.00:TM/1hWfa0 (6/10)
舞園「……何ですか?」
桑田「俺、ずっと見てたから。――お前がこれまでやってきたこと」
舞園「…………!」
その瞬間、舞園の中に何とも言えない感情が溢れかかった。
桑田「俺はせんせーや苗木みたいにデキた人間じゃねーから、許すとか仲間だとか
そんなカッケーことは言えないけど……お前のやってきたことは認めてっから」
桑田「そんだけ言いたかった。じゃな」
そのまま桑田は箱を持って倉庫から飛び出して行く。
舞園「駄目……まだ、駄目です……」
舞園(忘れてはいけない。私は駒、脱出のための駒……まだ、舞園さやかに戻ってはいけない……)
そう自身に何度も言い聞かせながらも、しばらく舞園は額から流れる汗を止めることが出来なかった。
◇ ◇ ◇
苗木「霧切さん!」
霧切「あら、苗木君?」
霧切は図書室で新聞を読んでいた。
苗木「こんなところにいたんだ。探したよ」
舞園「……何ですか?」
桑田「俺、ずっと見てたから。――お前がこれまでやってきたこと」
舞園「…………!」
その瞬間、舞園の中に何とも言えない感情が溢れかかった。
桑田「俺はせんせーや苗木みたいにデキた人間じゃねーから、許すとか仲間だとか
そんなカッケーことは言えないけど……お前のやってきたことは認めてっから」
桑田「そんだけ言いたかった。じゃな」
そのまま桑田は箱を持って倉庫から飛び出して行く。
舞園「駄目……まだ、駄目です……」
舞園(忘れてはいけない。私は駒、脱出のための駒……まだ、舞園さやかに戻ってはいけない……)
そう自身に何度も言い聞かせながらも、しばらく舞園は額から流れる汗を止めることが出来なかった。
◇ ◇ ◇
苗木「霧切さん!」
霧切「あら、苗木君?」
霧切は図書室で新聞を読んでいた。
苗木「こんなところにいたんだ。探したよ」
962: ◆takaJZRsBc:2014/11/16(日) 18:01:21.30:TM/1hWfa0 (7/10)
霧切「そう、わざわざ呼びに来てくれたの。ご苦労様」
苗木「うん。折角のパーティーだしみんなで過ごしたいしね。何を読んでいるの?」
霧切「十神君が復帰したら図書室でゆっくり出来なくなりそうだし、
最後に少し調べ事をしようと思ったのよ」
苗木「書庫にあった未来の日付の新聞だね。……何でこんなものがあるんだろう?」
霧切「私達を混乱させるために黒幕が用意したか、或いは……」
苗木「実は僕達、ちょっとだけ未来に来てる……なんてね」
霧切「案外、そうかもしれないわね」
苗木は冗談のつもりで言ったのだが、意外にも霧切は真面目だった。
苗木「あれ? 笑わないんだ」
霧切「私はSFはあまり詳しくないけど、未来に行くのは過去に行くよりもずっと
簡単らしいわよ? 例えば、何らかの薬や装置を使ってある程度の期間
眠らせておけば、その人にとっては未来に来たも同然よね?」
苗木「あー、確かにそうなるね」
霧切「……このように、実際に肉体が別の時間軸に行ったりしなくても、人の意識や
感覚を狂わせることによって簡単に時間の移動は出来るのかもしれない」
苗木「霧切さんは黒幕が僕達の体に何かしたと思ってるんだ?」
霧切「例え話よ。それより、私を呼びに来たのでしょう?」
苗木「あ、そうだった。そろそろ朝日奈さん特製ドーナツケーキを切るみたいだよ」
霧切「それは楽しみね。じゃあ、戻りましょうか」
最後にチラリと意味ありげに視線を送ると、霧切は新聞を元の場所に戻した。
霧切「そう、わざわざ呼びに来てくれたの。ご苦労様」
苗木「うん。折角のパーティーだしみんなで過ごしたいしね。何を読んでいるの?」
霧切「十神君が復帰したら図書室でゆっくり出来なくなりそうだし、
最後に少し調べ事をしようと思ったのよ」
苗木「書庫にあった未来の日付の新聞だね。……何でこんなものがあるんだろう?」
霧切「私達を混乱させるために黒幕が用意したか、或いは……」
苗木「実は僕達、ちょっとだけ未来に来てる……なんてね」
霧切「案外、そうかもしれないわね」
苗木は冗談のつもりで言ったのだが、意外にも霧切は真面目だった。
苗木「あれ? 笑わないんだ」
霧切「私はSFはあまり詳しくないけど、未来に行くのは過去に行くよりもずっと
簡単らしいわよ? 例えば、何らかの薬や装置を使ってある程度の期間
眠らせておけば、その人にとっては未来に来たも同然よね?」
苗木「あー、確かにそうなるね」
霧切「……このように、実際に肉体が別の時間軸に行ったりしなくても、人の意識や
感覚を狂わせることによって簡単に時間の移動は出来るのかもしれない」
苗木「霧切さんは黒幕が僕達の体に何かしたと思ってるんだ?」
霧切「例え話よ。それより、私を呼びに来たのでしょう?」
苗木「あ、そうだった。そろそろ朝日奈さん特製ドーナツケーキを切るみたいだよ」
霧切「それは楽しみね。じゃあ、戻りましょうか」
最後にチラリと意味ありげに視線を送ると、霧切は新聞を元の場所に戻した。
963: ◆takaJZRsBc:2014/11/16(日) 18:13:31.10:TM/1hWfa0 (8/10)
◇ ◇ ◇
モノクマ「…………」チラッチラッ
江ノ島(あ、モノクマだ。なにしてるんだろう? ……もしかして、食べたいのかな)
モノクマ(くっそー。こっちはいつもインスタントで済ましてるのにメシテロしやがってぇぇ!)
江ノ島「……あのさ。食べる?」
モノクマ「! おい、馬鹿……!」
セレス「あら、江ノ島さん何をしているのですか?」
江ノ島「あ、え、ええと……!」
十神「モノクマと話していたのか?」
江ノ島「こ、こいつが物欲しげな目でこっちを見てるから! その、ちょっと……!」
不二咲「モノクマも食べる?」
大和田「……は?! お、おい不二咲……!」
モノクマ「え、ええ?! 何を言っているんだい、キミ達? ボクは別に欲しくなんか……」
石丸「ほら、少しだけだが持って行きたまえ」
十神「!! 何をしているのだ、貴様は……?!」
石丸「敵に塩を送るということわざもあるではないか。なに、今日だけだ」
大和田「兄弟……」
十神「……馬鹿な奴め」
セレス「お人好しですこと」
モノクマ「本当、馬鹿だよキミ達。……言っておくけど、これで借りとか思わないでよ」
大和田「チッ、こいつらはそんなケチくさい考え方なんてしねえよ」
モノクマ「あっそ」
◇ ◇ ◇
モノクマ「…………」チラッチラッ
江ノ島(あ、モノクマだ。なにしてるんだろう? ……もしかして、食べたいのかな)
モノクマ(くっそー。こっちはいつもインスタントで済ましてるのにメシテロしやがってぇぇ!)
江ノ島「……あのさ。食べる?」
モノクマ「! おい、馬鹿……!」
セレス「あら、江ノ島さん何をしているのですか?」
江ノ島「あ、え、ええと……!」
十神「モノクマと話していたのか?」
江ノ島「こ、こいつが物欲しげな目でこっちを見てるから! その、ちょっと……!」
不二咲「モノクマも食べる?」
大和田「……は?! お、おい不二咲……!」
モノクマ「え、ええ?! 何を言っているんだい、キミ達? ボクは別に欲しくなんか……」
石丸「ほら、少しだけだが持って行きたまえ」
十神「!! 何をしているのだ、貴様は……?!」
石丸「敵に塩を送るということわざもあるではないか。なに、今日だけだ」
大和田「兄弟……」
十神「……馬鹿な奴め」
セレス「お人好しですこと」
モノクマ「本当、馬鹿だよキミ達。……言っておくけど、これで借りとか思わないでよ」
大和田「チッ、こいつらはそんなケチくさい考え方なんてしねえよ」
モノクマ「あっそ」
964: ◆takaJZRsBc:2014/11/16(日) 18:32:16.16:TM/1hWfa0 (9/10)
江ノ島「えーっと、良かったじゃん! あはは」
モノクマ(オメーはもう黙れ)
モノクマがそそくさと去ると、入り口で腕を組んで立っていたKAZUYAとすれ違う。
K「……少し時間をくれ」
誰にも聞こえないように、KAZUYAはボソリと呟いた。
モノクマ「…………」
K(順を追って動機のレベルが上がっている。ならば、三度目の次こそ恐らくは本命……)
K「俺が必ず防いで見せる。その方がゲームとしてやりがいがあるだろう?」
モノクマ「本当に先生は口が上手いよね。感心しちゃう」
モノクマ「――ま、考えといてあげるよ」
・・・
「うぷぷ。あー、情けねえなぁ」
「こっちが未だに優位だって言うのに、勝負に負けたこの感じ。なかなか悪くないけどね」
「敵に情けをかけてもらって食べるケーキは絶望的でおいしー!」
希望に満ち溢れた宴の裏側では、息を潜めた絶望が次の出番を今か今かと待ち詫びていた。
→Chapter.3 非日常編に続く
江ノ島「えーっと、良かったじゃん! あはは」
モノクマ(オメーはもう黙れ)
モノクマがそそくさと去ると、入り口で腕を組んで立っていたKAZUYAとすれ違う。
K「……少し時間をくれ」
誰にも聞こえないように、KAZUYAはボソリと呟いた。
モノクマ「…………」
K(順を追って動機のレベルが上がっている。ならば、三度目の次こそ恐らくは本命……)
K「俺が必ず防いで見せる。その方がゲームとしてやりがいがあるだろう?」
モノクマ「本当に先生は口が上手いよね。感心しちゃう」
モノクマ「――ま、考えといてあげるよ」
・・・
「うぷぷ。あー、情けねえなぁ」
「こっちが未だに優位だって言うのに、勝負に負けたこの感じ。なかなか悪くないけどね」
「敵に情けをかけてもらって食べるケーキは絶望的でおいしー!」
希望に満ち溢れた宴の裏側では、息を潜めた絶望が次の出番を今か今かと待ち詫びていた。
→Chapter.3 非日常編に続く
965: ◆takaJZRsBc:2014/11/16(日) 18:40:23.22:TM/1hWfa0 (10/10)
ここまで。
桑田舞園の和解と、ほとんど出番のなかった腐川さんのフォローがしたかった
他にもこのキャラの出番少ないから出して!という意見があれば是非
ここまで。
桑田舞園の和解と、ほとんど出番のなかった腐川さんのフォローがしたかった
他にもこのキャラの出番少ないから出して!という意見があれば是非
966:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/11/16(日) 19:05:42.34:np6RAZxg0 (1/1)
乙です。
けっこう満遍なくキャラの出番があって、凄く楽しめています
では…おそらく、この先のチャプターでは出番があまりなさそうな不二咲君の話を是非ともお願いします
乙です。
けっこう満遍なくキャラの出番があって、凄く楽しめています
では…おそらく、この先のチャプターでは出番があまりなさそうな不二咲君の話を是非ともお願いします
967:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/16(日) 19:17:02.37:pZ4v1FZY0 (1/1)
乙
このスレの桑田と石丸ほんと好き
乙
このスレの桑田と石丸ほんと好き
968:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/16(日) 19:45:40.01:dePST76Lo (1/1)
乙です
乙です
969:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/16(日) 21:50:11.18:PtTLqYvn0 (1/1)
乙です
今の桑田君だったら舞園さんの違和感に気づいてくれるんじゃないかと思ってたので、とりあえず良かった
…まだ安心は出来なさそうだが
腐川さんが合流できるのを心待ちにしてる
乙です
今の桑田君だったら舞園さんの違和感に気づいてくれるんじゃないかと思ってたので、とりあえず良かった
…まだ安心は出来なさそうだが
腐川さんが合流できるのを心待ちにしてる
970:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/11/17(月) 00:36:32.37:+HffOZINo (1/1)
むしろ苗木君もうちょい強化(出番増や)したら桑田と二人(+K)で舞園戻せそうだな
原作主人公ゆえ、出番減らされてる感がある
むしろ苗木君もうちょい強化(出番増や)したら桑田と二人(+K)で舞園戻せそうだな
原作主人公ゆえ、出番減らされてる感がある
971: ◆takaJZRsBc:2014/11/19(水) 21:10:42.98:5dg6en/g0 (1/1)
舞園さんは駒園モードが何気にパワーアップ扱いなので、
あんまり早いタイミングで戻すとそれはそれで弊害が出ちゃうんですけどね
>>966
ちーたんはアルエゴ関係で次スレもまだまだ出番ありますよー
>>970
むしろ苗木君は主人公ということで増やしてるつもりなんですけどね……
今回の番外編も、元々は桑田舞園腐川メインだったのですが、原作主人公とヒロインの
影が薄いなと二人を足し、更に影の薄い残姉を加えて出来たものなので
次スレでは医療関係でもうちょっと前に出てくると思います
舞園さんは駒園モードが何気にパワーアップ扱いなので、
あんまり早いタイミングで戻すとそれはそれで弊害が出ちゃうんですけどね
>>966
ちーたんはアルエゴ関係で次スレもまだまだ出番ありますよー
>>970
むしろ苗木君は主人公ということで増やしてるつもりなんですけどね……
今回の番外編も、元々は桑田舞園腐川メインだったのですが、原作主人公とヒロインの
影が薄いなと二人を足し、更に影の薄い残姉を加えて出来たものなので
次スレでは医療関係でもうちょっと前に出てくると思います
972: ◆takaJZRsBc:2014/12/06(土) 22:53:00.04:bG7RJr3r0 (1/2)
磨毛「大分お待たせしてしまったね、>>34君。申し訳ない。スレも終わりに近付いたのでいよいよ解説しよう」
モノクマ「ぶっちゃけ1も結構忘れてたからね。まとめるのに苦労してたみたいだよ」
― 磨毛保則の解説コーナー chapter.2の解答(石丸の死亡判定)編 ―
磨毛「まず最初に、石丸君は生存するかしないかの判定が非常に厳しかった。仮に生存しても何らかの
障害を負うことになっていたしね。以前チラリと言ったけど、実は今の状態が最も程度が軽いんだ」
磨毛「解説の前に、このSSのルールを説明しておこう。このSSはいくつか原作にない独自の設定があるが、
きちんとスレに情報が出るまではその設定は存在しないというルールを設けている」
磨毛「例えば、二章二回目の自由行動で石丸君は武道を嗜んでるという設定が出るけど、この設定がないと
彼の反射神経に大きな差が出てしまい、大和田君の攻撃をいなせずダンベルが直撃することになる」
モノクマ「よく竹刀持ってるイラストあるけど、左利き説と同じで公式から明言されてる訳じゃないしね。
もし石丸君と仲良くしてなかったら下手すると運動音痴設定すら付きかねなかったよ」
磨毛「運動会でビリだったからね。まあ、女子が混ざっている以上単なる徒競走じゃないだろうけど」
モノクマ「更に、今回の事件は大和田君の精神状態も重要になるよ。精神の乱れ具合によって攻撃力が
ダイレクトに変わってくるからさ。つまり、大和田君の攻撃力と石丸君の防御力の兼ね合いな訳」
磨毛「一章がパーフェクトクリアだったから、不二咲君は一度でも会えばKAZUYA君に秘密を言ってくれる。
驚くかもしれないが、事件関係者にも関わらず不二咲君は今回の死亡判定に関わって来ないのさ」
磨毛「勿論、だからと言って不二咲君と会うのが無駄ということはない。会った数だけアルターエゴの
性能が上がるからね。現在はレベル4。原作はレベル3のつもりだから原作より高いね」
磨毛「では具体的な内容を言っておこうか。不二咲君がKAZUYA君に秘密を告白した前提で、以下の通り」
磨毛「大分お待たせしてしまったね、>>34君。申し訳ない。スレも終わりに近付いたのでいよいよ解説しよう」
モノクマ「ぶっちゃけ1も結構忘れてたからね。まとめるのに苦労してたみたいだよ」
― 磨毛保則の解説コーナー chapter.2の解答(石丸の死亡判定)編 ―
磨毛「まず最初に、石丸君は生存するかしないかの判定が非常に厳しかった。仮に生存しても何らかの
障害を負うことになっていたしね。以前チラリと言ったけど、実は今の状態が最も程度が軽いんだ」
磨毛「解説の前に、このSSのルールを説明しておこう。このSSはいくつか原作にない独自の設定があるが、
きちんとスレに情報が出るまではその設定は存在しないというルールを設けている」
磨毛「例えば、二章二回目の自由行動で石丸君は武道を嗜んでるという設定が出るけど、この設定がないと
彼の反射神経に大きな差が出てしまい、大和田君の攻撃をいなせずダンベルが直撃することになる」
モノクマ「よく竹刀持ってるイラストあるけど、左利き説と同じで公式から明言されてる訳じゃないしね。
もし石丸君と仲良くしてなかったら下手すると運動音痴設定すら付きかねなかったよ」
磨毛「運動会でビリだったからね。まあ、女子が混ざっている以上単なる徒競走じゃないだろうけど」
モノクマ「更に、今回の事件は大和田君の精神状態も重要になるよ。精神の乱れ具合によって攻撃力が
ダイレクトに変わってくるからさ。つまり、大和田君の攻撃力と石丸君の防御力の兼ね合いな訳」
磨毛「一章がパーフェクトクリアだったから、不二咲君は一度でも会えばKAZUYA君に秘密を言ってくれる。
驚くかもしれないが、事件関係者にも関わらず不二咲君は今回の死亡判定に関わって来ないのさ」
磨毛「勿論、だからと言って不二咲君と会うのが無駄ということはない。会った数だけアルターエゴの
性能が上がるからね。現在はレベル4。原作はレベル3のつもりだから原作より高いね」
磨毛「では具体的な内容を言っておこうか。不二咲君がKAZUYA君に秘密を告白した前提で、以下の通り」
973: ◆takaJZRsBc:2014/12/06(土) 23:07:16.42:bG7RJr3r0 (2/2)
顔+首 → 石丸に武道経験者設定あり、大和田と三回以上会う(うち一度は動機後)。
顔+首+左目失明 → 石丸に武道経験者設定あり、動機後に大和田と話していない(三回会っている)。
顔+首+左目失明+左腕麻痺 → 石丸に武道経験者設定なし、動機後に大和田と話していない(三回会っている)。
顔+首+左目失明+昏睡状態 → 石丸に武道経験者設定なし、大和田と二回までしか会っていない。
死亡 → その他
無傷 → ???
モノクマ「エクストリィィィム! かなり厳しいね! ボク的には医者という新たな夢を見つけながら
片目が失明した挙げ句利き腕麻痺って展開がかなり絶望的で良かったんじゃないかと思うけど」
磨毛「BADENDまっしぐらだねぇ。当然だけど失明した時点でベストエンドには行けなくなっていたよ。
また、もし一章がパーフェクトでなかった場合は不二咲君とも三回以上話さなければならない」
磨毛「……ちなみに、もし不二咲君がKAZUYA君に秘密を打ち明けなかった場合、不二咲君死亡は
【確定事項】だ。原作と同じ展開になったらもう未来を変えようがないからね」
磨毛「少し長くなってしまったけど、ま、今回はこんな所かな。真面目に安価を取れば何とかなると思うよ?
1君だって、今の感じなら多分大丈夫だろうと思ったからこんなに判定を厳しくしたんだし」
モノクマ「最後にオマケを。次スレのアンケートで、ドクターK側の画像はあった方が助かるって
意見あったよね? よくよく考えりゃ当たり前だよ! 読者の8割はドクターK知らないに
決まってるんだからさ! って訳で、今更だけど磨毛先生のご尊顔を公開~!」
磨毛「ついでにTETSU君の顔もね。それでは、またいつか会える日まで」
モノクマ「今後もこのSSをヨロシク。バイビ~!」
「TETSU」(いつもヒントくれる前髪の長い人)
http://i.imgur.com/DkCyIMf.jpg
「磨毛 保則」(当SSの解説担当)
http://i.imgur.com/w0gQc1K.jpg
顔+首 → 石丸に武道経験者設定あり、大和田と三回以上会う(うち一度は動機後)。
顔+首+左目失明 → 石丸に武道経験者設定あり、動機後に大和田と話していない(三回会っている)。
顔+首+左目失明+左腕麻痺 → 石丸に武道経験者設定なし、動機後に大和田と話していない(三回会っている)。
顔+首+左目失明+昏睡状態 → 石丸に武道経験者設定なし、大和田と二回までしか会っていない。
死亡 → その他
無傷 → ???
モノクマ「エクストリィィィム! かなり厳しいね! ボク的には医者という新たな夢を見つけながら
片目が失明した挙げ句利き腕麻痺って展開がかなり絶望的で良かったんじゃないかと思うけど」
磨毛「BADENDまっしぐらだねぇ。当然だけど失明した時点でベストエンドには行けなくなっていたよ。
また、もし一章がパーフェクトでなかった場合は不二咲君とも三回以上話さなければならない」
磨毛「……ちなみに、もし不二咲君がKAZUYA君に秘密を打ち明けなかった場合、不二咲君死亡は
【確定事項】だ。原作と同じ展開になったらもう未来を変えようがないからね」
磨毛「少し長くなってしまったけど、ま、今回はこんな所かな。真面目に安価を取れば何とかなると思うよ?
1君だって、今の感じなら多分大丈夫だろうと思ったからこんなに判定を厳しくしたんだし」
モノクマ「最後にオマケを。次スレのアンケートで、ドクターK側の画像はあった方が助かるって
意見あったよね? よくよく考えりゃ当たり前だよ! 読者の8割はドクターK知らないに
決まってるんだからさ! って訳で、今更だけど磨毛先生のご尊顔を公開~!」
磨毛「ついでにTETSU君の顔もね。それでは、またいつか会える日まで」
モノクマ「今後もこのSSをヨロシク。バイビ~!」
「TETSU」(いつもヒントくれる前髪の長い人)
http://i.imgur.com/DkCyIMf.jpg
「磨毛 保則」(当SSの解説担当)
http://i.imgur.com/w0gQc1K.jpg
974:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/06(土) 23:15:22.65:b7UpId4Qo (1/1)
乙!
条件超シビアだったんだな…
安価もほぼ最善手を続けないときつそうだね
乙!
条件超シビアだったんだな…
安価もほぼ最善手を続けないときつそうだね
975:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/06(土) 23:33:03.28:pjEmjbtlo (1/1)
乙です
乙です
976:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/06(土) 23:33:31.65:Jf1b3ng8O (1/1)
ヒエッ
ヒエッ
977:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/07(日) 10:23:47.37:cDf76o3I0 (1/1)
乙
無傷の場合もあったんだ…
でも手術はあった方がいいって言ってたし
今の状態がベストなんだろうな
にしても本当に危なかった
乙
無傷の場合もあったんだ…
でも手術はあった方がいいって言ってたし
今の状態がベストなんだろうな
にしても本当に危なかった
978: ◆takaJZRsBc:2014/12/07(日) 19:12:57.19:fB08wmQn0 (1/1)
ぶっちゃけ二章が一番判定厳しいと思うから、三章以降はそこまで気を張らなくていいと思います
タイミングさえ外さなければだけど。色々とイベント用意しているので、色々な人や場所に行ってもらいたいなと
特定の人に集中し過ぎて他がおざなりになるとそれこそ朝日奈さんの悲劇再びなんてことになりかねないし
ぶっちゃけ二章が一番判定厳しいと思うから、三章以降はそこまで気を張らなくていいと思います
タイミングさえ外さなければだけど。色々とイベント用意しているので、色々な人や場所に行ってもらいたいなと
特定の人に集中し過ぎて他がおざなりになるとそれこそ朝日奈さんの悲劇再びなんてことになりかねないし
979:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/07(日) 19:38:39.12:LY6igv4Ko (1/1)
大体三回が基準なのかな。セレスや十神は中ボスだからもっと必要かもしれないけど
とりあえず、現時点では霧切腐川が最重要か
大体三回が基準なのかな。セレスや十神は中ボスだからもっと必要かもしれないけど
とりあえず、現時点では霧切腐川が最重要か
980:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/12/07(日) 21:06:09.10:5QE4FTVp0 (1/1)
乙です
磨毛、綺麗な顔してるなぁ…下半身露出してる変人なんだよなぁ…w
乙です
磨毛、綺麗な顔してるなぁ…下半身露出してる変人なんだよなぁ…w
981:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/12/13(土) 02:46:46.95:92w2sKiSO (1/1)
まだ?
まだ?
982: ◆takaJZRsBc:2014/12/21(日) 21:20:21.58:FieuJxJj0 (1/6)
>>980
磨毛先生は変人だけど、女の人の前で脱がない良心は持っていますw
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、平和になったし久しぶりに小ネタやるで。本編はもうちょっとかかるで
― オマケ劇場 24 ~ ウナギの思い出はタレの味 ~ ―
石丸が復活した日の夕方。
モノクマ「はいはいはーい! 無事に石丸君が復活したということでおめでとさん!」
苗木「モノクマ! 何しに来たんだ!」
K「……!」サッ!
KAZUYAは咄嗟に前に出ると、生徒達を庇うように立つ。
モノクマ「そんな警戒しないでよ~。ボクだっていい加減退屈してきた所だしぃ、
快気祝いでもと思ってね。ってな訳で、ジャジャーン!」
山田「おおー! これは!」
葉隠「ウナギかぁ。気が利くべ」
霧切「……何を企んでいるの?」
モノクマ「別に。ボクはただみんなを喜ばせたかっただけだよ」
石丸「ううう、鰻だと?! 一年で土用の丑の日しか食べることが許されないあの鰻か?!」
大和田「……いや、気が向いたらいつ食べたっていいだろ」
石丸「いつも一切れを家族三人で分け合い、タレのついたご飯を味わっていたあの鰻がこんなに?!」
「…………」
桑田(え、なにこいつ……もしかして家めっちゃ貧乏なの? うちなんて
俺がスポーツマンだから精つけろってしょっちゅう食べさせられてたのに)
セレス(貧乏くさいとは前から思っていましたが、まさか本物だとは思いませんでしたわ……)
>>980
磨毛先生は変人だけど、女の人の前で脱がない良心は持っていますw
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、平和になったし久しぶりに小ネタやるで。本編はもうちょっとかかるで
― オマケ劇場 24 ~ ウナギの思い出はタレの味 ~ ―
石丸が復活した日の夕方。
モノクマ「はいはいはーい! 無事に石丸君が復活したということでおめでとさん!」
苗木「モノクマ! 何しに来たんだ!」
K「……!」サッ!
KAZUYAは咄嗟に前に出ると、生徒達を庇うように立つ。
モノクマ「そんな警戒しないでよ~。ボクだっていい加減退屈してきた所だしぃ、
快気祝いでもと思ってね。ってな訳で、ジャジャーン!」
山田「おおー! これは!」
葉隠「ウナギかぁ。気が利くべ」
霧切「……何を企んでいるの?」
モノクマ「別に。ボクはただみんなを喜ばせたかっただけだよ」
石丸「ううう、鰻だと?! 一年で土用の丑の日しか食べることが許されないあの鰻か?!」
大和田「……いや、気が向いたらいつ食べたっていいだろ」
石丸「いつも一切れを家族三人で分け合い、タレのついたご飯を味わっていたあの鰻がこんなに?!」
「…………」
桑田(え、なにこいつ……もしかして家めっちゃ貧乏なの? うちなんて
俺がスポーツマンだから精つけろってしょっちゅう食べさせられてたのに)
セレス(貧乏くさいとは前から思っていましたが、まさか本物だとは思いませんでしたわ……)
983: ◆takaJZRsBc:2014/12/21(日) 21:32:59.42:FieuJxJj0 (2/6)
石丸「ありがとう、モノクマ! ああ、嬉しいなぁ! 本当に嬉しい!」ダラダラ
大和田「おいおい兄弟、ヨダレ出てるぞ?」ハハハ
K「あ、でも……」
霧切「ドクター?」
朝日奈「たまにはいいとこあるじゃん、モノクマ!」
モノクマ「まあ……」
モノクマ「石丸君は病み上がりだから食べられないんだけどね!!」
モノクマ「匂いだけ楽しめよ!!」
ま さ に 外 道 ! ! ! ! !
石丸「う、うわああああああああああああああああ?!」
山田「これはツライ……」
江ノ島(さすが盾子ちゃん! 嫌がらせにかけては世界一だね!)
不二咲「ぼ、僕も胃が悪いから食べないよ。だから元気出してぇ」
苗木「冷凍すれば三日くらい平気のはずだよ! ね?」
大和田「俺の分わけてやる! だから泣くんじゃねえ」
K「ここから出たら俺が好きなだけ食わせてやるから……」
葉隠「ジップロックの先制攻撃だべ!」
石丸「みんな……」グスグス
十神「フン、貧乏人め」
K「十神!」
石丸「ありがとう、モノクマ! ああ、嬉しいなぁ! 本当に嬉しい!」ダラダラ
大和田「おいおい兄弟、ヨダレ出てるぞ?」ハハハ
K「あ、でも……」
霧切「ドクター?」
朝日奈「たまにはいいとこあるじゃん、モノクマ!」
モノクマ「まあ……」
モノクマ「石丸君は病み上がりだから食べられないんだけどね!!」
モノクマ「匂いだけ楽しめよ!!」
ま さ に 外 道 ! ! ! ! !
石丸「う、うわああああああああああああああああ?!」
山田「これはツライ……」
江ノ島(さすが盾子ちゃん! 嫌がらせにかけては世界一だね!)
不二咲「ぼ、僕も胃が悪いから食べないよ。だから元気出してぇ」
苗木「冷凍すれば三日くらい平気のはずだよ! ね?」
大和田「俺の分わけてやる! だから泣くんじゃねえ」
K「ここから出たら俺が好きなだけ食わせてやるから……」
葉隠「ジップロックの先制攻撃だべ!」
石丸「みんな……」グスグス
十神「フン、貧乏人め」
K「十神!」
984: ◆takaJZRsBc:2014/12/21(日) 21:49:06.75:FieuJxJj0 (3/6)
大神「十神、傷に塩を塗るような真似は……」
十神「その程度のものすら手に入らんとは憐れだな。……閉じ込められてなければ
この俺が二度と食べたくないと思うくらいには食わせてやったものを」
「 え っ ? ! 」
K(十神が慰めている、だと?! 明日は天変地異か……?!)
舞園(何か恐ろしいことの前触れなのでは……)
石丸「と、十神君……君という人は……」うるうる
十神「勘違いするなよ。貴様にとっては高い買い物でも俺にとってははした金だと言うことだ」
石丸「君は……君は本当は優しいのだな! うおおおおおん!」ブワッ
十神「だから勘違いするなと言っている!」
十神(まさか……この日本に鰻程度も満足に食べられない人間がいるとは……)ガーン
……実は、何不自由のない御曹司の十神にとって石丸の貧乏エピソードは余りにもショッキングなのであった。
― オマケ劇場 25 ~ What is 同人誌? ~ ―
時系列は初期。
K(そういえば、山田とちゃんと話したことがなかったな。監督者がそれではいかん)
K「山田、何をしているんだ?」
山田「おお、西城カズヤ殿。拙者は今同人誌の原稿を描いているのですよ」
K「お前は超高校級の同人作家だったな。……しかし、普通の漫画のように見えるが」
山田「チッチッチィ! 西城殿、それは大間違いと言うものですぞ! まず同人活動というと、
アマチュアが自費で出版する物だと言うのはお分かりでしょうか?」
K「古くは有名な作家や歌人も仲間と共に同人誌を作っていたからな」
山田「その通りです。ですが、昨今では同人と言えば主にオリジナルではなく二次創作が主流です」
K「二次創作?」
大神「十神、傷に塩を塗るような真似は……」
十神「その程度のものすら手に入らんとは憐れだな。……閉じ込められてなければ
この俺が二度と食べたくないと思うくらいには食わせてやったものを」
「 え っ ? ! 」
K(十神が慰めている、だと?! 明日は天変地異か……?!)
舞園(何か恐ろしいことの前触れなのでは……)
石丸「と、十神君……君という人は……」うるうる
十神「勘違いするなよ。貴様にとっては高い買い物でも俺にとってははした金だと言うことだ」
石丸「君は……君は本当は優しいのだな! うおおおおおん!」ブワッ
十神「だから勘違いするなと言っている!」
十神(まさか……この日本に鰻程度も満足に食べられない人間がいるとは……)ガーン
……実は、何不自由のない御曹司の十神にとって石丸の貧乏エピソードは余りにもショッキングなのであった。
― オマケ劇場 25 ~ What is 同人誌? ~ ―
時系列は初期。
K(そういえば、山田とちゃんと話したことがなかったな。監督者がそれではいかん)
K「山田、何をしているんだ?」
山田「おお、西城カズヤ殿。拙者は今同人誌の原稿を描いているのですよ」
K「お前は超高校級の同人作家だったな。……しかし、普通の漫画のように見えるが」
山田「チッチッチィ! 西城殿、それは大間違いと言うものですぞ! まず同人活動というと、
アマチュアが自費で出版する物だと言うのはお分かりでしょうか?」
K「古くは有名な作家や歌人も仲間と共に同人誌を作っていたからな」
山田「その通りです。ですが、昨今では同人と言えば主にオリジナルではなく二次創作が主流です」
K「二次創作?」
985: ◆takaJZRsBc:2014/12/21(日) 21:56:45.42:FieuJxJj0 (4/6)
山田「わかりやすく言うと、元ネタがあってそこから個々人がネタを考えるのですな。
西城殿にもわかるようにネタを出すと……吾輩は猫であるって小説があるでしょう?」
K「夏目漱石だな」
山田「あの物語の世界観と登場人物をそのまま流用して、作者以外の人間が
勝手に後日談を作ったり、サイドエピソードを作るのです」
K「成程。例えば原作ではあれは猫目線の物語だったが、飼い主目線で別の物語を書いたりする訳だ」
山田「そうです。ではここで具体例を出しましょうか。僕だったら飼い主は
冴えないオッサンなんかではなく女主人に変更しますね」
K「? 登場人物の設定を変えてもいいのか? 物語の根幹だと思うが」
山田「そこが二次創作の自由度なんですよ! 一つのオリジナルから無限の可能性! わかりますか?!」
K「フム、作家の腕次第でどうとでも料理出来るということか。面白いな」
山田「その通ーり! 如何に原作の空気を壊さず大胆なアレンジや解釈を加えていくかが勝負なのです!」
K「では、超高校級の同人作家のお手並み拝見と行くか。お前だったらどうアプローチしてみる?」
山田「グフフ……そうですねぇ。猫は♀にして更に人間に変身するのです!
これで最後の鬱エンドも回避出来て一石二鳥ですな!」
K「……え?」
K(それはもはや原型を留めていないのでは……)
山田「もちろん、猫耳としっぽは残したままです! それで若い女主人と
三人の娘達とイチャらせまくるほのぼの日常物にするかなぁ」
K「…………(捏造だ……)」
山田「ちなみに西城殿は猫が化ける時ご都合で服を着せる派ですか、それともやっぱり服はナシ派?」
K「」
・・・
K(少しも話についていけなかった。というか、ついて行きたくなかった……)
こうしてKAZUYAは、同人誌とは元ネタの一部を拝借して目茶苦茶に改変することだと認識したのだった。
山田「わかりやすく言うと、元ネタがあってそこから個々人がネタを考えるのですな。
西城殿にもわかるようにネタを出すと……吾輩は猫であるって小説があるでしょう?」
K「夏目漱石だな」
山田「あの物語の世界観と登場人物をそのまま流用して、作者以外の人間が
勝手に後日談を作ったり、サイドエピソードを作るのです」
K「成程。例えば原作ではあれは猫目線の物語だったが、飼い主目線で別の物語を書いたりする訳だ」
山田「そうです。ではここで具体例を出しましょうか。僕だったら飼い主は
冴えないオッサンなんかではなく女主人に変更しますね」
K「? 登場人物の設定を変えてもいいのか? 物語の根幹だと思うが」
山田「そこが二次創作の自由度なんですよ! 一つのオリジナルから無限の可能性! わかりますか?!」
K「フム、作家の腕次第でどうとでも料理出来るということか。面白いな」
山田「その通ーり! 如何に原作の空気を壊さず大胆なアレンジや解釈を加えていくかが勝負なのです!」
K「では、超高校級の同人作家のお手並み拝見と行くか。お前だったらどうアプローチしてみる?」
山田「グフフ……そうですねぇ。猫は♀にして更に人間に変身するのです!
これで最後の鬱エンドも回避出来て一石二鳥ですな!」
K「……え?」
K(それはもはや原型を留めていないのでは……)
山田「もちろん、猫耳としっぽは残したままです! それで若い女主人と
三人の娘達とイチャらせまくるほのぼの日常物にするかなぁ」
K「…………(捏造だ……)」
山田「ちなみに西城殿は猫が化ける時ご都合で服を着せる派ですか、それともやっぱり服はナシ派?」
K「」
・・・
K(少しも話についていけなかった。というか、ついて行きたくなかった……)
こうしてKAZUYAは、同人誌とは元ネタの一部を拝借して目茶苦茶に改変することだと認識したのだった。
986: ◆takaJZRsBc:2014/12/21(日) 22:10:12.84:FieuJxJj0 (5/6)
最後にスキル表
[ 霧切 響子 ]
通常スキル
・集中力
・記憶力
・護身術
・冷静沈着
・知識
・論破
特殊スキル
・探偵の洞察力
・探偵の分析力
・超高校級の推理力
・死神の足音:危険を察知することが出来る(ただ記憶が足りないので本来より若干弱い)。
〈 m e m o 〉
KAZUYAに次ぐ強キャラであり、推理・分析に限れば全メンバー中屈指を誇る。
運動面のスキルもしっかり持っており、バランスの良さでは他の生徒の追随を許さない。
唯一の欠点が冷静すぎて感情をあまり表現できないことであり、それが他の生徒達との
間に溝を作っている。そのため、相性の良い生徒が少ないのが難点である。
[ 大和田 紋土(改) ]
通常スキル
・筋力
・男気
・度胸
・カリスマ
・器用
・集中力
特殊スキル
・フルスロットル:頭に血が上った時の攻撃力1,2倍。
・男の根性:男の意地を見せなければならない場合に耐久力1,5倍。
・男の約束:男の約束のためなら一時的に全性能を上げられる。
スペシャルスキル
・クレイジーダイアモンド:大和田に指揮を任せた時、仲間の能力が大幅に強化される。
〈 m e m o 〉
頭脳面の強化はないが、最大の問題であった短気がなくなりよく考えて行動できるようになった。
通常スキルに器用と集中力が加わり、どんな頼み事をしても大抵のことはこなしてくれる頼もしさがある。
性格に落ち着きと余裕が生まれリーダーとしての才覚が出てきたため、桑田と同じく頭脳面を補佐する
生徒と組ませれば、KAZUYAの代わりに前線に立たせて指揮を取らせることも可能なポテンシャルを持つ。
最後にスキル表
[ 霧切 響子 ]
通常スキル
・集中力
・記憶力
・護身術
・冷静沈着
・知識
・論破
特殊スキル
・探偵の洞察力
・探偵の分析力
・超高校級の推理力
・死神の足音:危険を察知することが出来る(ただ記憶が足りないので本来より若干弱い)。
〈 m e m o 〉
KAZUYAに次ぐ強キャラであり、推理・分析に限れば全メンバー中屈指を誇る。
運動面のスキルもしっかり持っており、バランスの良さでは他の生徒の追随を許さない。
唯一の欠点が冷静すぎて感情をあまり表現できないことであり、それが他の生徒達との
間に溝を作っている。そのため、相性の良い生徒が少ないのが難点である。
[ 大和田 紋土(改) ]
通常スキル
・筋力
・男気
・度胸
・カリスマ
・器用
・集中力
特殊スキル
・フルスロットル:頭に血が上った時の攻撃力1,2倍。
・男の根性:男の意地を見せなければならない場合に耐久力1,5倍。
・男の約束:男の約束のためなら一時的に全性能を上げられる。
スペシャルスキル
・クレイジーダイアモンド:大和田に指揮を任せた時、仲間の能力が大幅に強化される。
〈 m e m o 〉
頭脳面の強化はないが、最大の問題であった短気がなくなりよく考えて行動できるようになった。
通常スキルに器用と集中力が加わり、どんな頼み事をしても大抵のことはこなしてくれる頼もしさがある。
性格に落ち着きと余裕が生まれリーダーとしての才覚が出てきたため、桑田と同じく頭脳面を補佐する
生徒と組ませれば、KAZUYAの代わりに前線に立たせて指揮を取らせることも可能なポテンシャルを持つ。
987:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/21(日) 22:25:19.88:/v0irLS8o (1/1)
乙です
乙です
988: ◆takaJZRsBc:2014/12/21(日) 22:25:27.04:FieuJxJj0 (6/6)
[ 真・石丸 清多夏 ]
通常スキル
・集中力
・観察力
・発言力
・カリスマ
・護身術
・応急処置
特殊スキル
・鬼気迫る努力
・凄まじい気迫
・鋼の忍耐力
・全国一位の頭脳
・超高校級の不器用×
スペシャルスキル
・精神の解放:体に入りすぎていた余分な力がなくなった結果、能力の基礎値が大幅に上昇。
〈 m e m o 〉
石丸が長年に渡り縛られていた狂気や強迫観念から解放され、思考に柔軟さが出てきた状態。
相変わらず空気は読めないが、他人に対してあまり厳しくなくなったためバッドスキルとしての
KYは消えている。不器用なのは変わらないが、応急処置が新たにスキルに加わり使えるようになった。
以前より自然体になれたため、全体の能力値が大幅に上がっていることにも注目。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
以上で、このスレでの投下はお終いです。ご清覧頂きありがとうございました。
感想・意見・リクエスト何でもござれ。何か書くと1のモチベがアップ。1000は可能な限り叶える。
それでは束の間の平穏を満喫している5スレ目でまたお会いいたしましょう!
次の投下は多分火曜日です。それでは!
十神「愚民が…!」腐川「医者なら救ってみなさいよ、ドクターK!」ジェノ「カルテ.5ォ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416054791/
[ 真・石丸 清多夏 ]
通常スキル
・集中力
・観察力
・発言力
・カリスマ
・護身術
・応急処置
特殊スキル
・鬼気迫る努力
・凄まじい気迫
・鋼の忍耐力
・全国一位の頭脳
・超高校級の不器用×
スペシャルスキル
・精神の解放:体に入りすぎていた余分な力がなくなった結果、能力の基礎値が大幅に上昇。
〈 m e m o 〉
石丸が長年に渡り縛られていた狂気や強迫観念から解放され、思考に柔軟さが出てきた状態。
相変わらず空気は読めないが、他人に対してあまり厳しくなくなったためバッドスキルとしての
KYは消えている。不器用なのは変わらないが、応急処置が新たにスキルに加わり使えるようになった。
以前より自然体になれたため、全体の能力値が大幅に上がっていることにも注目。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
以上で、このスレでの投下はお終いです。ご清覧頂きありがとうございました。
感想・意見・リクエスト何でもござれ。何か書くと1のモチベがアップ。1000は可能な限り叶える。
それでは束の間の平穏を満喫している5スレ目でまたお会いいたしましょう!
次の投下は多分火曜日です。それでは!
十神「愚民が…!」腐川「医者なら救ってみなさいよ、ドクターK!」ジェノ「カルテ.5ォ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416054791/
989:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/22(月) 00:53:19.41:I3SCk0bWo (1/1)
乙!
今のところ頭脳系は霧切さん頼みかな?
石丸がどうなるかだね
乙!
今のところ頭脳系は霧切さん頼みかな?
石丸がどうなるかだね
990:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/22(月) 01:21:04.22:ebjs8hsXo (1/1)
確か苗木とちーたんは頭脳特化キャラのはず
石丸は身体能力も高いし頭も悪くないから精神がもうちょい成長すれば有望株
確か苗木とちーたんは頭脳特化キャラのはず
石丸は身体能力も高いし頭も悪くないから精神がもうちょい成長すれば有望株
991:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/22(月) 05:04:10.57:3obgmu4WO (1/1)
苗木は連繋特化じゃないか
苗木は連繋特化じゃないか
992:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2014/12/24(水) 10:52:30.80:CyTryT/qO (1/1)
拗ねる霧切が少し可愛いと思ってしまった。疲れてるのかな?
拗ねる霧切が少し可愛いと思ってしまった。疲れてるのかな?
993: ◆takaJZRsBc:2014/12/25(木) 00:00:53.01:2xRt5rqu0 (1/1)
霧切「私を可愛いと思うことがどうして疲れていることになるのかしら? じっくり説明して頂戴」
霧切「確かに、私は舞園さんや朝日奈さんのようにわかりやすい可愛らしさはないかもしれない。
そもそも私は可愛さを売りになんてしていないし、可愛いと思ってもらいたい訳じゃないの」
霧切「ただ、私だけでなく全員をもう少し見てもらいたいと言うか……別に、寂しい訳じゃないわ。
ドクターの本業は医師かもしれないけど、少なくともここでは教師兼監督者なのだからきちんと
一人一人に目を配っていて貰いたいだけよ。ここまで言えばわかるわね?」
霧切「……本当にそれだけよ?」
霧切「私を可愛いと思うことがどうして疲れていることになるのかしら? じっくり説明して頂戴」
霧切「確かに、私は舞園さんや朝日奈さんのようにわかりやすい可愛らしさはないかもしれない。
そもそも私は可愛さを売りになんてしていないし、可愛いと思ってもらいたい訳じゃないの」
霧切「ただ、私だけでなく全員をもう少し見てもらいたいと言うか……別に、寂しい訳じゃないわ。
ドクターの本業は医師かもしれないけど、少なくともここでは教師兼監督者なのだからきちんと
一人一人に目を配っていて貰いたいだけよ。ここまで言えばわかるわね?」
霧切「……本当にそれだけよ?」
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うめ
うめ
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うめ
うめ
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うめ
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うめ
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うめ
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霧切さんの片思い
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