943シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/08(土) 22:09:21.67Mszlptb60 (39/46)



ピューピュー ピーピー


黒い魔物たち 「!? ……!?」


魔ンボウ 「な、何だ! どういうことだ、なぜ敵は笑っている!?」

魔ンボウ 「絶望し、逃げ惑うのではないのか!?」

魔ンボウ 「逆に黒い魔物どもが戸惑っておるではないか」


魔インプ 「わ、わかりません……私が3日かけてうみだした言葉がどうして!」


緑花エルフ 「まーまーまー。今、この大陸で無情の風はまずいわよーねー」


王子 (大陸にまで……)


魔ンボウ 「な、何だと!? とても格好良いではないか!」


赤花エルフ 「そちらが来ないなら、こちらから行きますわよ」





944シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/08(土) 22:26:39.39Mszlptb60 (40/46)



黄花エルフ 「舞台の敵は赤花から黒花までのエルフが引き受けるわっ」

黄花エルフ 「他の妖精と人間の代表者たちは、観客たちを守ってちょうだいっ」


妖精の長老たち 「おう!」


人間の代表者たち 「わかった!」


魔ンボウ 「行かせるな!」

魔ンボウ 「行け、黒い魔物たち!」


黒い魔物たち 「ぐるるる」

黒い魔物たち 「……?」


魔ンボウ 「何だその緩慢な動作は。きびきびと動け黒い魔物たち!」


緑花エルフ 「うーふーふー……」





945シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/08(土) 22:39:38.75Mszlptb60 (41/46)



魔インプ 「こ、これは動きを遅める魔法では……」


魔ンボウ 「なにい。対抗できる魔法は無いのか!?」


魔インプ 「は、はい、あるにはありますが、これほど広範囲では……」


魔ンボウ 「コツコツ早くせい! 死ぬ気でせい!」


魔インプ 「は、はいぃ!」

魔インプ 「ほ、ほれ、きびきび動け! 行け、黒い魔物たち!」


黒い魔物 「ぎゃああああ!」


黒い魔物 「…………グゥ」


魔インプ 「ああっ、黒い魔物たち!」


魔ンボウ 「今度は何だ!」


魔インプ 「お、おそらく混乱の魔法です。また広範囲に効いております!」


黄花エルフ 「私たちが揃っているときに奇襲をかけるとは、とんだお馬鹿さんねっ」





946シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/08(土) 23:01:46.52Mszlptb60 (42/46)



青花エルフ 「どこぞの隊長1匹と使いっぱしりだけで乗り込んでくるとは、お前たちも勇気があるな」

青花エルフ 「じゃがこれでは、武器をつかう必要もあるまい」


黒い魔物 「あわわ」


黒い魔物 「へなへな」


魔インプ 「こ、今度は広範囲の恐怖の魔法です」


魔ンボウ 「待て、黒い魔物たち! 逃げるな腰抜けども!」


王子 (魔王軍だとかたいそうなことを言っていたわりに)

王子 (エルフたちの手のひらの上で転がされっぱなしじゃないか。花の上か?)


黒い魔物 「どがあ」


ろうそく職人 「お、王子さま! 危ない」


王子 「ああ、見えて……」


ガキンッ


黒い魔物 「きょんッ」


王子 「おや」


軽装メイド 「お怪我ありませんか、王子」


ろうそく職人 「あ、忍者」


軽装メイド 「ななな、何のことでしょうか」





947シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/08(土) 23:19:57.25Mszlptb60 (43/46)



ワーワー ガキンッ キンッ


王子 「親父は来なくて良かったな」


軽装メイド 「ええ」

軽装メイド 「……客席、で良いのでしょうか。ここにはエルフの長老さまがたの魔法が」

軽装メイド 「あまり届いていないようですね」


王子 「届いているだけでも驚きだ」

王子 「……しかし、君はその姿で戦うんだな」


軽装メイド 「メイドですので」


ろうそく職人 「忍者ですよね?」


軽装メイド 「王子。我々が助けに入る前にも、客席には戦える妖精たちが散らばっていたようです」


王子 「それが偶然じゃないとしたら、どうなるんだ」


軽装メイド 「彼女たちは、自称魔王軍も自分たちの舞台に組み込んだのかもしれません」





948シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/08(土) 23:33:49.80Mszlptb60 (44/46)



赤花エルフ 「ららあら。遅くなったり逃げ出したり混乱したり、せわしないかたがたですこと」


魔ンボウ 「お前たちがそうしたのであろうが!」


赤花エルフ 「では。ほーれ、綺麗な花びらで休ませてさしあげますわ」


ヒラッ ヒラッ


魔インプ 「あ、赤い花びらだ。綺麗ですなあ」


ヒュッ


魔ンボウ 「むっ!?」


ガキンッ


魔ンボウ 「花びらを氷の刃に変えたか……!」


赤花エルフ 「止めましたか。そのトライデントは飾りではございませんのね」

赤花エルフ 「他のかたがたは、そうはいかなかったみたいですけれど」


魔インプ 「た、大変です、舞台上の半数近くの魔物が首を刎ねられて死にました!」

魔インプ 「私も首の皮いちまいで繋がっております!」


魔ンボウ 「たるんどる!」





949シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/08(土) 23:45:47.07Mszlptb60 (45/46)



魔ンボウ 「そう、たるんどるのだ!」

魔ンボウ 「昔の人間や妖精どもは、もっと弱かった!」

魔ンボウ 「こんなエルフの里など、散歩のついでにわし1人で火の海にできるくらいにだ!」

魔ンボウ 「だからちょっと魔王軍もなまけておった。ひよっておった!」

魔ンボウ 「そのツケがこれだ! こんちくしょうめが!」


王子 (注意しなくても聞こえる声で、情けないことを言っている……)


ハーピィ 「…………」


ろうそく職人 「ねーねー、忍者なんですよね。にんにんって何ですか」


軽装メイド 「口を閉じていないと、喉がえぐれますよ」


ズバッ ガキンッ ワーワー





950以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/08(土) 23:47:28.37JX4v/WfcO (1/1)

>>906
ほいだら過去作のタイトルでも教えてくれんかえ。
何作かしか出てこんねや。
世界は違えど世界観が同じやつが何個かあるでしょう?


951シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/08(土) 23:55:50.55Mszlptb60 (46/46)



魔ンボウ 「ええい。今日この里を潰し、歴史の表舞台に上がるための足がかりにしようと思っておったが」

魔ンボウ 「何たる失態!」

魔ンボウ 「かくなる上は、わし自ら出よう!」


ガチャッ


魔ンボウ 「白き花飾りのエルフよ! この里でいちばん偉いのはお前だな!」

魔ンボウ 「その玉座より降りてこられよ。一騎打ちだ!」


白花エルフ 「やだ」


魔ンボウ 「なぬっ!?」





952シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 00:02:21.35jZu0yaz50 (1/18)


>>950
何作かなら、きっとそれで全部だと思ひます。

吟遊詩人A『魔王の声を手に入れたseiで人と話せない』星妖精「代わりに話しましょう」
眼鏡天使「死神に糸巻きを貰って店を出たら、知らない街角だった」


953シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 00:13:44.87jZu0yaz50 (2/18)



白花エルフ 「1番偉いからと言って、1番強いわけではないのです」


魔ンボウ 「なんと情けないことか!」

魔ンボウ 「最も強きものこそが、最も多くを統べるべきであろうが!」

魔ンボウ 「最も強きものだからこそ、下のものたちも敬い、ついて行くのだ!」


幼葉エルフ 「まあまあ待て待て魔マンボウ、そう熱くなりなさんな」

幼葉エルフ 「強さもいろいろだし、そちらさんの理屈を押し付けられるのも迷惑だ」

幼葉エルフ 「一騎打ちなら、オレが相手をしてやるぜ」


魔ンボウ 「ぬ……小娘が偉そうに……!」

魔ンボウ 「…………!」

魔ンボウ 「なんと………」


幼葉エルフ 「あん?」


魔ンボウ 「よく見れば……なんと可憐な……」





954シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 00:26:10.34jZu0yaz50 (3/18)



幼葉エルフ 「……ふざけるなおとぼけ半魚。さっさと始めるぞ」


魔ンボウ 「待った!」


幼葉エルフ 「何だよ」


魔マンボウ 「わしが勝ったら、お前の命のかわりに人生をいただく」


幼葉エルフ 「どっちも同じだろうが。さっさとやるぞ脳みそ食わせろ」


魔マンボウ 「同じではない」

魔マンボウ 「この一騎打ちでわしが勝ったら、お前はわしの嫁となるのだ!」


幼葉エルフ 「やだ」


魔マンボウ 「いくぞ!」

魔マンボウ 「ぅまんぼぁあぁあああ!!」


幼葉エルフ 「!?」





955シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 00:45:10.10jZu0yaz50 (4/18)



ドドドドド


幼葉エルフ 「おいこら待て魔マンボウ」


魔マンボウ 「魔マではなくて」

魔ンボウ 「魔ンボウだ! くらえ、愛しき者よ!」

魔ンボウ 「死ね!」


ドヒュッ


幼葉エルフ 「うわっ」


魔ンボウ 「ほう! 我がひと突きをかわしたか!」

魔ンボウ 「だが、これしきではへこたれぬ」

魔ンボウ 「我が無双の槍でお前の体を突いて突いて突きまくり」

魔ンボウ 「わしはお前を嫁にする!」

魔ンボウ 「そしてついでに里の連中を皆殺しにしてやる!」


魔インプ 「あ、ちゃんと忘れてやせんでしたか」


軽装メイド 「た、大変なことになっていますね、あちらは……」


ろうそく職人 「ああっ、ついに無情の風がぶつかりあいます!」


観客妖精たち 「ぷふっ……」


クスクス ヒソヒソ アハハハ


王子 (大変なことになっている)


ハーピィ 「…………」





956シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 01:10:21.22jZu0yaz50 (5/18)



王子 (弱体化したと言っていたが)

王子 (さて、あのマンボウはろうそく職人何人分なのか……)

王子 (と、のんきに構えているわけにもいかないかな?)


針の妖精 「おーう、やれやれやっちゃえ黒花さまー!」


糸の妖精 「じゃないと王子さまに捨てられちゃうぞー」


針・糸の妖精 「そーれっ」


ヒュンヒュンヒュン


黒い魔物たち 「もがもが」


針と糸の妖精 「まつり縫い! きゃはははは!」


王子 (……のんきだな)


恋の妖精たち 「ピューピュー」


愛の妖精たち 「キャーキャー」


ワアアア 


王子 (妖精たちにとってはこれも祭りということか)





957以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/09(日) 01:32:12.59/BDhpeux0 (1/1)

軽装メイドがWIZの
忍者としたら…
だから露出狂なのか


958シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 01:57:23.84jZu0yaz50 (6/18)



魔ンボウ 「そこだあ!」


幼葉エルフ 「あぐ……っ」


魔ンボウ 「肩を貫いたと思ったが、かすっただけか……」

魔ンボウ 「だが、初めて当たったな。血が出ているぞ!」


幼葉エルフ 「いきなりしかけてきておいて偉そうに」

幼葉エルフ 「腐った色狂いめ……大事な体をさっそく汚しやがったな」



ろうそく職人 「師匠がピンチですよ王子さま!」

ろうそく職人 「そうだ、颯爽と助けにいきましょう! エルフの里公認の恋人として!」

ろうそく職人 「そうしないともう活躍の場は永遠にないと自然の声が言っています!」


王子 「万が一があるとまずい。が、ここから走って大樹をおりて間に合うか」

王子 (血か……)


ハーピィ 「…………」


軽装メイド 「王子! 偶然持っていた縄梯子です。これで客席から舞台におりられます」


ろうそく職人 「忍者の偶然ですね! わあ、縄の梯子が空中回廊から地上へ吸い込まれるように伸びて、風で揺れてる!」

ろうそく職人 「いってらっしゃい!」


軽装メイド 「ここは私が引き受けます。さあ、王子も早く急いで!」


ろうそく職人 「ひいい、底に綿を詰めた靴で押さないで! 落ちる、落ちるうう!」


王子 「ハーピィ、どさくさにまぎれてまた飛べないかな」


ハーピィ 「…………」

ハーピィ 「………ッ」

ハーピィ 「…………」


王子 「可愛いな、ハーピィ。よし、急いで梯子をおりよう」





959シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 04:32:18.55jZu0yaz50 (7/18)



魔ンボウ 「お前の四肢を貫き、自由を奪おう!」

魔ンボウ 「あきらめるが良い!」


幼葉エルフ 「…………」


魔ンボウ 「でいやぁあああ!」

魔ンボウ 「ぁああ………あ……?」


ボコッ


幼葉エルフ 「おや、どうした?」


魔ンボウ 「それはこっちの台詞だ! 何だその……」


ボコッ ボコッ


魔ンボウ 「肩の傷からあふれ出る大量の虫は!」


幼葉エルフ 「……なんだ。構わず進んできたら一気にやってやろうと思ったのに」





960シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 05:35:41.20jZu0yaz50 (8/18)



幼葉エルフ 「血液は生命だ」

幼葉エルフ 「つまりこの大量の血の虫こそが、オレそのものということになるな」


魔ンボウ 「なんだと……この虫が……」


幼魔エルフ 「おい、そんな苦虫を噛み潰したような顔してないで見てくれよ。オレを嫁にするんだろ」

血の虫たち 「もっと近づけよ。ほら、むき出しのオレだぞ」


ウゾウゾ ワサワサ ボト ボト


魔ンボウ 「ば、化け物め……! 可憐な姿で騙していたか!」


幼葉エルフ 「魔王の軍勢にはもっとえぐいのがいると思っていたが、買いかぶりすぎたか?」

幼葉エルフ 「しかし、後ずさるのはもっと早くにするべきだった」

幼葉エルフ 「この体を傷つけたら、ちょっと冗談じゃすまない」


ゾワゾワ


魔ンボウ 「ぬおっ、虫どもが体を這い上がってくる!」

魔ンボウ 「ええい散れ、散れ……!」


幼葉エルフ 「無理だ。潰してもちぎっても這ってくるぞ。オレはしつこいんだ」

幼葉エルフ 「いくそー。お前の脳みそ目がけていくぞー」


魔ンボウ 「くそ……!」

魔ンボウ 「こうなったらその忌まわしい偽りの体を!」


幼葉エルフ 「そりゃだめだ。アー……」


ゴポッ ドパッ


魔ンボウ 「うわあああッ。口から大量の虫が!」

魔ンボウ 「お、おのれ、来るな!」

魔ンボウ 「ゴボガバゴボ……」





961シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 06:03:31.77jZu0yaz50 (9/18)



ワアアアア


ろうそく職人 「あああっ、マンボウに人間の手足が生えたような魔物に」

ろうそく職人 「寄生虫のごとく血の色の虫がたかっている!」


王子 (体を乗っ取っているのかな。あれも目くらましか? それとも本当に)


ろうそく職人 「まずいですよ王子さま。早くおりないと決着がつきそうです!」

ろうそく職人 「ひいっ、高い! 揺れる! 風が吹いている!」


王子 「こっちが勝つなら良いことだ。まわりにはエルフの長老がたもいる」

王子 「というか、君が先に行かないとおれも進めないんだよなあ」


ろうそく職人 「そうだ! 王子さま、ハーピィさま、縄梯子の裏にまわってください!」


王子 「……! そうか」


ろうそく職人 「王子さまたちが裏の面からおりて、表の面にいる私を追い越すんです!」

ろうそく職人 「お先にどうぞ!」


王子 「あ、ああ」


ハーピィ 「…………」


ろうそく職人 「ゆ、ゆっくり、ゆっくりですよ」

ろうそく職人 「ひいっ、揺れる。変な力がかかって縄がとてもぐねぐねする!」

ろうそく職人 「わっひゃあん!?」

ろうそく職人 「いまグニョッて触った! 手がめりこんだ!」


グイングイン


ハーピィ 「!? ……ッ!! ………!?」


王子 「ふ、不可抗力だ。梯子を揺らさないでくれ」

王子 「くそっ、こんなとこにいたら危険が増すばかりだ。早くおりよう」





962以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/09(日) 06:20:21.41KApeaOpP0 (1/1)

本当に危険なのかwwww


963シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 06:46:21.80jZu0yaz50 (10/18)



魔インプ 「あ、あああ……魔王軍のマンボウ隊長が」


ウゾウゾ


魔ンボウ 「…………」


グチャグチャ


魔インプ 「虫まみれで真っ赤になってしまわれた」

魔インプ 「うーん、気持ち悪い」


幼葉エルフ 「いま、こいつの体を乗っ取っている。さすがというか、よく抵抗しているぞ」

幼葉エルフ 「うふふふ、乗っ取ったらどうしてくれよう」

幼葉エルフ 「こいつの体でお前らを皆殺しにしたあと、空中回廊最上層から飛び降りて」

幼葉エルフ 「グチャグチャになって死んで祝勝会の具にしてみようか」

幼葉エルフ 「うふふふふ」


魔インプ 「お……おのれ……!」

魔インプ 「こうなったら、一騎打ちなど関係ない。黒い魔物たち……」


青花エルフ 「なんじゃ。我らも参加して良いのか?」


魔インプ 「ぐ……ぐぅう。魔王軍の領域に悪魔騎士道などなければ……!」

魔インプ 「あ、なかったら長老どもめの魔法で一気にやられていましたな」

魔インプ 「くうぅ、敵の戦力を見誤ったばかりに……!」


幼葉エルフ 「どうやら相当情報が遅れているようだな」

幼葉エルフ 「けけけけけ………」

幼葉エルフ 「ッ! ……コフッ?」

幼葉エルフ 「ゲホッ。ゴホッ……ゴポォッ!!」


ドロリ


魔インプ 「おおっ、普通の吐血ですか? 何やら妙な様子でございますな」





964シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 07:30:05.89jZu0yaz50 (11/18)




幼葉エルフ 「おれが見誤るとは」

幼葉エルフ 「この体、想定外に弱すぎる……!」

幼葉エルフ 「こんなに早く魔力が尽きるなんて」


魔ンボウ 「…………ウウ」

魔ンボウ 「ぬおおおお!!」


バチャン


魔インプ 「やった! 血の虫たちを打ち払って隊長どのが復活なされた!」


魔ンボウ 「ふしゅうう……。ああ、すごく怖かった」

魔ンボウ 「この虫ども、やはり幻惑の魔法のたぐいであったか」

魔ンボウ 「これで安心して嫁にできそうだ」


幼葉エルフ 「……ゴフッ」

幼葉エルフ 「そんなにころころ好きになったり嫌いになったりするやつの」

幼葉エルフ 「自由になんてなるか」


魔ンボウ 「わははは。高嶺の花を無理矢理ひきずりおろし、汚して見下ろす」

魔ンボウ 「なんと最高なことか」

魔ンボウ 「では、前言どおり四肢を突かせていただこう!」


ドスッ


幼葉エルフ 「あぐっ……!」


魔ンボウ 「わはははは!」

魔ンボウ 「では次は右足をいただこう……!」



??? 「お待ちなさい、魔王の手先よ!」





965シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 08:25:12.58jZu0yaz50 (12/18)



魔ンボウ 「!?」

魔ンボウ 「な、何者だ!」


魔インプ 「姿を現しなさい。一騎打ちを邪魔する無粋者!」


??? 「そんなもの、知ったことではありません!」

??? 「先に大会議を台無しにするという無粋を働いたのはあなたがたでしょう!」


黒い魔物 「………!」


魔インプ 「あそこです、隊長どの!」

魔インプ 「白い花飾りのエルフがいた玉座のあたり!」


魔ンボウ 「むぅう……!」


??? 「しいたげられる人々の助けになりたい一心で、勇者として立ち上がりましたが」

??? 「立ち向かう相手は帝国の人々。つまり同類ばかり」

??? 「ですが今、私の前に立ちはだかるのは魔王軍」

??? 「同類らしき姿も見当たりますが、魔王軍」

??? 「ならば、この槍をふるうことに一切の迷いなし!」

貝殻の勇者 「魔王に連なるクズどもを、1匹残らず屠殺するのが勇者の役目なのだから!」


魔ンボウ 「なんと! 勇者までいたのか!」


魔インプ 「そ、そんな……あれは我々の巧妙な罠にはまって捕えられ」

魔インプ 「奴隷市で奴隷として売られたはず……!」





966シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 08:48:36.13jZu0yaz50 (13/18)



妖精たち 「おお、勇者がエルフの長老を助けるために立ち上がった。美しい光景だ!」


人間たち 「なんと清々しい、凛とした声だ。歌声は芯が捻じ曲がった剣のようだったが!」


ザワザワ


ろうそく職人 「ああっ、ごっそり持っていかれましたよ王子さま!」

ろうそく職人 「勇者さまばんざい!」


王子 「ものすごい一面を見てしまった気がするが……」

王子 「まだ葉巻エルフは危険な状態だ。不意打ちもできないくらいに」

王子 「敵が勇者どのに目を向けているうちに急ごう」


ろうそく職人 「ああっ、王子さまたちいつのまに地面近くまで」


王子 「君もいつまでも梯子にしがみついていないで、早くおりてくるんだ!」


ろうそく職人 「ぎゃああ、上を見ないでください! 覗かないでください!」


王子 「だから、揺らさないでくれえ!」

王子 「ああもう、ここからなら良いか、飛び降りる!」


ハーピィ 「……! ……!」


ワーワー


軽装メイド 「…………」

軽装メイド 「なんたる城の恥……!」





967以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/09(日) 09:01:21.78BiBQFhQM0 (1/1)

ハーピーひんむいた
メイドに言われてもなぁ


968シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 09:37:06.15jZu0yaz50 (14/18)



魔ンボウ 「ううう……!」

魔ンボウ 「ええい、勇者が何するものぞ!」


魔インプ 「お気をつけください隊長どの。勇者は強力な切り札、魔法の奥義のようなものをもっています」


魔ンボウ 「ふん! しかし今は高嶺の玉座の上」

魔ンボウ 「この魔力の絞りカスとなった可憐なエルフの四肢が貫かれるのは止められまい」

魔ンボウ 「足をいただく。でいっ!」


ドスッ


幼葉エルフ 「ぎゃうっ!」

幼葉エルフ 「く、くそっ。痛みも消せなければ防御の魔法も練れないのかよ……」

幼葉エルフ 「本当に、こんな……いかん、逃げ……」


ズルッ ズルッ


貝殻の勇者 「お、おのれ残虐なる魔王軍! 殺すのでちょっと待ちなさい!」


魔インプ 「そのエルフの方がエグいことをやっていたと思うんですがね」


幼葉エルフ 「…………ッ」


ズルッ ズルッ


魔ンボウ 「逃がすものか我が花嫁。ついに最後の腕をいただくぞ!」

魔ンボウ 「ううぅううう……」


幼葉エルフ 「腐っちまえ……くそっ……このオレに、こんな屈辱を……」


魔ンボウ 「むぁあんぶぉおお………!」


王子 「うしろから斬っ!」


魔ンボウ 「おぉおうっ!?」





969以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/09(日) 19:53:57.93Dys8OsTB0 (1/1)

早く早く
続きを早く


970シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 21:07:02.27jZu0yaz50 (15/18)



魔ンボウ 「おのれ何もの……」


ドカッ


魔ンボウ 「ぐわっ。おっとっと、横向きに倒れそう……!」


魔インプ 「隊長どの!」


王子 「……!」


スタッ


王子 「……硬い上に重いな、このマンボウの者は」

王子 「鎧のない部分を斬ったが通らず、蹴飛ばしたが逆にこっちが飛んでしまった」

王子 「おかげで良い位置をとることができたが」


幼葉エルフ 「王子。……ハーピィもか」


ハーピィ 「…………」


王子 (葉巻エルフ、だいぶ弱っているが)

王子 (……本当なのか演技なのか。これまでのこともあるしなあ)


魔ンボウ 「ぐう……うしろから斬った挙句、蹴りまで入れてきたか」

魔ンボウ 「一騎打ちを決定的に汚した挙句、わしとわしの嫁の間に入るとは」

魔ンボウ 「死ぬ覚悟はできているのだろうな、人間!」


王子 「こちらの勝手を通させてもらう覚悟はある」

王子 (うわー、正面から見ると面白い顔。友達になりたい)


ハーピィ 「…………」


妖精たち 「エルフの長老を、人間の恋人が助けた! なんて美しい情景だ!」


人間たち 「女をとっかえひっかえしていたらしいけど、ついに落ち着く気になったのか!」


ワアア ピーピー


魔ンボウ 「ええい! 見世物ではないのだぞ! 魔王軍が来たというのに、なぜみな笑っているのだ」





971シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 22:17:48.18jZu0yaz50 (16/18)



魔ンボウ 「だが、そうか、お前がわしの嫁の恋人か」

魔ンボウ 「道理でわしの嫁になりたがらんはずだ」


王子 「いや、それは……」


魔ンボウ 「ではおまえを殺してわしの嫁を……」


ハーピィ 「…………」


魔ンボウ 「…………」

魔ンボウ 「その2人をわしの嫁としてくれよう!」

魔ンボウ 「そして願わくばエルフの里を火の海に沈めてくれよう!」


王子 「そんなんだから笑われるんだ」


魔ンボウ 「だが、お前は一騎打ちにあたいする敵ではない」

魔ンボウ 「かかれ、黒い魔物たちよ!」

魔ンボウ 「決闘を汚すものをずたずたにしてしまえ!」


黒い魔物たち 「がおー!」


王子 「……!」


ヒュッ ズバッ


黒い魔物 「ぐわー!」


ドサッ


魔ンボウ 「!! ほう、このくらいの数はものともせんか……!」


王子 (動きがよく見える。たくさんの敵意ある武器に囲まれた、青花エルフのとこでの修行の成果か?)

王子 (今の感覚、覚えておこう。相手の弱点というか隙間に剣を通す感じだったな)





972シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 23:04:53.91jZu0yaz50 (17/18)



黒い魔物たち 「ぐるる」

黒い魔物たち 「……? ……うが」


ググ…


王子 (お、魔王軍の動きが遅くなった)


緑花エルフ 「一騎打ちが終わったなら、こっちも手を出して良いーわよーね?」


青花エルフ 「走れ、王子!」


幼葉エルフ 「……長老たちのところへのぼれ」


王子 「玉座か。行こうハーピィ。葉巻エルフ、かつぐから揺れるぞ」


幼葉エルフ 「んぐぅっ」


ハーピィ 「…………」


魔ンボウ 「ううう! この程度の魔法など何でもない!」


パンッ


緑花エルフ 「まーまー、効きが悪いわーねーあのマンボウ」


赤花エルフ 「気合いですわね。野蛮ですこと」


黄花エルフ 「味方に当たらないように制御した関係で、魔法が弱くなっているのねっ」


魔ンボウ 「逃がすか、我が嫁たち!」


幼葉エルフ 「…………!」


ヒュオッ


魔ンボウ 「ぐわっ!?」

魔ンボウ 「風の壁……!」





973シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/09(日) 23:26:43.75jZu0yaz50 (18/18)



幼葉エルフ 「…………ッ」


王子 (葉巻エルフ。城から逃げたときの魔法か)


幼葉エルフ 「……ッ。ガフッ、ゴフッ……」


シュウッ


魔ンボウ 「おお、すぐに弱まったか!」

魔ンボウ 「待てぇい、花嫁どろぼう!」


ドスドスドスドス


王子 (間抜けな走り方なのに速い……!)


魔ンボウ 「串刺しにしてやる!」

魔ンボウ 「うぅむぁあああああ……」


バサッ


貝殻の勇者 「てやぁっ!」


ヒュッ


魔ンボウ 「むっ!?」


ガキンッ


魔ンボウ 「おりてきたか、勇者!」

魔ンボウ 「だが、わしと槍で戦おうとは愚かなこ……」


貝殻の勇者 「黙れ汚らわしい魔王軍!」


ヒュッ ブンッ ヒュッ


魔ンボウ 「ぬううっ」


ガキッ バシッ ギンッ


貝殻の勇者 「死ね! はやく死ね!」


魔ンボウ 「速く鋭い……! まさかわしが押されるとは……!」


ガキッ ヒュッ バチンッ カキンッ





974以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/10(月) 00:07:22.48oJLsKWmN0 (1/1)

無情に野をかける風のごとき面白さ乙


975以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/10(月) 00:18:48.72669jbRo70 (1/1)

魔ンボウが明らかに力をつけたお前ら


976以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/10(月) 00:19:08.20GxI+5snX0 (1/1)

>>974
ひでぇ…
骨しか残ってねぇ


977シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 00:37:30.025N9LECod0 (1/15)



王子 「よし、あとは玉座をのぼるだけだ」


青花エルフ 「はやくせい。来るぞ!」


王子 「来るって……」



魔ンボウ 「ぐおおっ!?」


ガランッ ランッ カランッ


魔インプ 「ああっ、隊長どのが槍を弾き飛ばされた!」


魔ンボウ 「ばかな、その体のどこに……」

魔ンボウ 「よく見ると、なんと可憐な……」


貝殻の勇者 「今こそ、裁きのとき」

貝殻の勇者 「根こそぎ押し流してあげましょう魔王軍」

貝殻の勇者 「母なる海の怒りよ、我が槍に集いたまえ!」

貝殻の勇者 「必殺!」





978シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 01:08:41.335N9LECod0 (2/15)



ザアアアアア


魔インプ 「な、何ですかこの妙に心の落ち着く音は……!」

魔インプ 「ああ、静かな夏の日の海にむかい輝く入道雲を見ながら」

魔インプ 「浜辺の白いテラスでグラスの氷を鳴らしているような気分だ!」


黒い魔物たち 「…………!」


魔ンボウ 「ええい、勇者め、こうなったら我が拳で……」


ダバダバダバダバ


魔インプ 「わあああ、勇者めを中心に水が勢いよく!」

魔インプ 「海が流れ込んでくるようですぞ!」

魔インプ 「なーがさーれる~!」


黒い魔物 「ぐがあー!」


ドドドドド 


王子 (大量に現れた水がうねって渦巻いて、舞台の魔王軍を飲み込んでいく)

王子 「これが勇者の力か」

王子 「あ、危なかった……。遅れていたら飲み込まれていた」


幼葉エルフ 「………く…うぅ」


ハーピィ 「…………」





979以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/10(月) 01:44:30.93oXVlD97v0 (1/1)

我が拳で胸を揉むんですね
わかります


980シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 01:46:57.435N9LECod0 (3/15)



緑花エルフ 「思ったより水のひろがる範囲がひろいわねえ。舞台が狭すぎたーかしーらー」


黄花エルフ 「でも、最高の演出だわっ」


赤花エルフ 「ええ、人間にしてはなかなかですわ」

赤花エルフ 「それにしても、ふふふ……」

赤花エルフ 「おあついですこと……」


王子 (そうだった)

王子 「だ、大丈夫か。ひどい怪我だ……あのマンボウめ」


ハーピィ 「…………」


幼葉エルフ 「ああ王子、愛しい王子さま、ありがとう。助かったよ……」


王子 「あ、ああ……」

王子 (こいつ……)


幼葉エルフ 「本当は適当に相手して、勇者がとどめをさすときに逃げるはずだったんだ」

幼葉エルフ 「いろいろ予定が狂って恥ずかしい姿を晒しているが」

幼葉エルフ 「本当に助かったよ、王子」


王子 「……その体、そんなにまずいのか」


幼葉エルフ 「ああ。なじめばまだマシになるとは思うが、フォローできないくらい弱すぎる」


王子 「そ、そうか。すまない」


幼葉エルフ 「良いさ、お前が見つけてくれた体だから」


王子 「…………」


幼葉エルフ 「これから思う存分お前をこきつかわせてくれるなら、それで……」


王子 「やっぱりか」


ハーピィ 「…………」





981シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 02:04:51.165N9LECod0 (4/15)



ドドドドドド


黒い魔物たち 「ぶくぶく……」


妖精たち 「魔王軍の魔物たちが溺れて、沈んでいく」


人間たち 「なんという力だ。これでは魔王軍どころか、帝国軍もひとたまりもないに違いない」


ザッパァン


ろうそく職人 「ああっ、荒れ狂う水面から何かが飛び出しました!」


軽装メイド 「高い……!」


ろうそく職人 「ああっ、手を離さないでください! 落ちる、死ぬ思いで縄梯子の上まで戻ったのに落ちる!」


魔ンボウ 「まだだぁ!」

魔ンボウ 「この魔王軍のマンボウ隊長が、波などに負けるものか!」

魔ンボウ 「押し流されようが、平らげられようが、命をさらわれようが負けるものか!」


魔インプ 「と、飛んでいます。飛んでいますぞ隊長どの!」


王子 「マンボウ……と、しがみついているのはインプか」

王子 「その心意気は見習おう」


赤花エルフ 「優雅じゃありませんわね」


青花エルフ 「しぶといな」


黄花エルフ 「無様ねっ」


緑花エルフ 「無駄なあがきよねーえー」


王子 「…………」





982シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 02:21:32.155N9LECod0 (5/15)




魔ンボウ 「この跳躍の勢いを利用して突撃する!」


魔インプ 「えええっ!?」


魔ンボウ 「我が魂の一撃をくらえいエルフの長老ども!」

魔ンボウ 「ぬおー!」


幼葉エルフ 「………ッ!」


フワッ


魔インプ 「あ、風」


魔ンボウ 「いかん、あおられてバランスが……!」

魔ンボウ 「落ちる!」


ヒュルルルル


ルルルルル……


ビターン


王子 (うわ、痛そうな音。大きなマンボウの体が横倒しになって)

王子 (なぜが静かになった水面に叩き付けられるように落ちた)





983シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 02:38:00.905N9LECod0 (6/15)



ザプン ザプン


魔ンボウ 「…………」


魔インプ 「いたたたた……」

魔インプ 「おお、ここは隊長どのの体の上。助かった」


サアア


魔インプ 「むむ、水が静まっている」

魔インプ 「隊長どの。ここは今のうちに逃げましょう」

魔インプ 「帰って隊長の好きなクラゲ酒でも飲みながら反省会を……」


魔ンボウ 「…………」


魔インプ 「…………」

魔インプ 「し……」

魔インプ 「死んでる……」





984シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 02:53:53.075N9LECod0 (7/15)



バシャン


魔インプ 「ん? 何か近くに投げ込まれましたな」

魔インプ 「我が軍の下級兵のようでしたが……」


黒い魔物 「…………」


魔インプ 「め、目をくりぬかれて死んでる……!」


バシャンッ バシャンッ バシャンッ 


魔インプ 「おわわわっ」

魔インプ 「観客席がわりの空中の回廊から、兵の死体が投げ込まれているのか!」

魔インプ 「何かしらの無残な姿で!」


バシャシャバシャバシャッ


魔インプ 「ひいいい。なんと恐ろしい!」

魔インプ 「我ら魔王軍は、敵を完璧に見誤っていた!」


ドドドドド


魔インプ 「あああっ」

魔インプ 「うわああ! また水が暴れだした! 流される!」

魔インプ 「いいい、いや、これはどこかにぐるぐると吸い込まれている!」

魔インプ 「そ、そうか、隊長どのが現れるときにあけた穴ですな!」


ザパンッ


魔インプ 「む、水の中から何かが現れた。あれは……」


貝殻の勇者 「…………」


魔インプ 「ゆ……勇者! 渦巻く水の上に平然と立っている!」


貝殻の勇者 「……もとの場所へかえりなさい、魔王軍」

貝殻の勇者 「屍となって!」


魔インプ 「う、うわああああー!」


黒い魔物たちの死体 「…………」


魔ンボウの死体 「…………」


ドドドドドドド





985シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 04:17:19.305N9LECod0 (8/15)



ドドドドド

ドドド


妖精たち 「渦が魔王軍を地の底へつれていった……」

妖精たち 「残った水が、まるできらめく湖面のようだ」


人間たち 「勇者だ……エルフと人間の恋人たちを守り」

人間たち 「魔王軍を押し戻したあの者こそ、勇者だ……!」

人間たち 「勇者がいれば、きっと帝国軍も敵ではないぞ!」


ワアアアア


王子 「……終わったかな」


ハーピィ 「…………」


幼葉エルフ 「ああ、終わりだ。勇者伝説の1ページもつくれたしな」

幼葉エルフ 「偽者じゃなく、正真正銘の」





986シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 05:06:25.995N9LECod0 (9/15)



幼葉エルフ 「千の魔物を追い払った勇者さま」

幼葉エルフ 「勇気ある人間と傷ついた美しいエルフの恋人たちの背中に」

幼葉エルフ 「恐ろしい魔王の軍勢がせまった、そのときです」

幼葉エルフ 「勇者さまが槍をかかげてひと声あげると、たくさんの水が魔王の軍勢を押し流して殺しました」

幼葉エルフ 「こうして、人間と妖精たちは守られ、エルフの里は平和を取り戻したのです」

幼葉エルフ 「……勇者という拠り所は人々を勇気づけ、やがて立ち上がらせるのだろう」


ろうそく職人 「ではあの穴は伝説の穴ですね! 美しき貝殻の勇者の穴!」


幼葉エルフ 「……そしてろうそく職人は穴に落ちて死にました」


ろうそく職人 「!?」


王子 「いつの間に」

王子 「いやあ、埋めないとまずいだろう。またわらわら出てこられたら困るし」


幼葉エルフ 「……めでたし、めでたし、バラ色だ」

幼葉エルフ 「こちらにも死人は出たんだろうが、今も帝国は戦争をしているんだろうが」

幼葉エルフ 「めでたし、めでたしだ……」


王子 「死にそうな声で無理して話すな。傷に響くぞ」


ハーピィ 「…………」


幼葉エルフ 「……傷のある女は嫌いかい?」


王子 「お前も好きだね、その質問が」

王子 「答えは変わらんよ」


ハーピィ 「…………」


幼葉エルフ 「言うね、色男……」


ろうそく職人 「ばんざーい、勇者さまの穴、ばんざーい!」


ワアアアア

ピーピー ピューピュー

ワアアアア


…………





987以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/10(月) 06:43:21.123WYeTyoc0 (1/1)

勇者の穴…
ゴクリ…


988シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 07:40:35.175N9LECod0 (10/15)



…………


エルフの里 黒花エルフの館



カチャカチャ モグモグ


司書長エルフ 「……そうですか。そんなことが」

司書長エルフ 「それで、里の方が賑やかなのですね」


王子 「ああ。会議は終わったが、お祭り騒ぎだよ」


ハーピィ 「…………」


軽装メイド 「ここは何ともありませんでしたか」


司書長エルフ 「ええ。窓は閉めていたせいか、静かなものでした」


ろうそく職人 「さあ、このろうそくの火を見てください師匠」

ろうそく職人 「あなたはどんどん癒えていく~」


幼葉エルフ 「…………」

幼葉エルフ 「王子、その海老たべたい」


王子 「はいはい」


貝殻の勇者 「あいた片腕で食べれば良いのでは」


幼葉エルフ 「やだ」


王子 「ははは、まったく……」


軽装メイド 「手馴れた対応……」


司書長エルフ 「偽りがあったとは言え」

司書長エルフ 「城の外での付き合いが1番長いのはこの2人です」

司書長エルフ 「息も合うのでしょう」





989シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 08:53:07.065N9LECod0 (11/15)



司書長エルフ 「それで……」


軽装メイド 「はい」

軽装メイド 「自称魔王軍については、彼らの出てきた穴を調べることになりました」

軽装メイド 「もしかしたら彼らは、人間も妖精も知らない領域に住んでいるのかもしれません」

軽装メイド 「警戒のため、妖精の長老たちは自分たちの領域から離れることが難しくなります」

軽装メイド 「例外もありますが」


司書長エルフ 「勇者の伝説には魔王の存在もありますが……さて」


軽装メイド 「皇帝の千里眼については、どうやら各地に散らばった生き物か魔法の道具が」

軽装メイド 「目のような役割をしているようです」

軽装メイド 「どれだけあるのか分かりませんが、これを取り除かなくてはなりません」

軽装メイド 「このことは勇者をはじめ各地の仲間に知らせますが、そううまくいくかどうか……」


司書長エルフ 「どんなものか、どれだけあるか分からないとなると厄介ですね」


幼葉エルフ 「皇帝は魔法も達者だそうだから、変な呪いがかけられているかもしれないしな」

幼葉エルフ 「オレと王子とハーピィは、この皇帝の目を探すことになった」


ろうそく職人 「ハネッッムゥ~ンですね!」

ろうそく職人 「ところで、黒花から桃花になりかけたり」

ろうそく職人 「王子さまやハーピィと泥沼の三角関係になったすえに結婚させられそうになったり」

ろうそく職人 「会議では大変でしたね師匠!」


幼葉エルフ 「王子、こいつの尻尾食べたい」


王子 「ははは……」

王子 「まかせろ」


ハーピィ 「…………」


司書長エルフ 「……勇者どの、あなたは」


貝殻の勇者 「幼葉エルフどのについていこうと思います」

貝殻の勇者 「穴の調査に参加させていただこうとも思ったのですが」

貝殻の勇者 「妖精がたに人間の領域を託されましたし、それに……」


王子 「さあ、おとなしくしろ、ポチ」


ろうそく職人 「ぎゃあっ、尻尾は、尻尾はあぁああ!」

ろうそく職人 「あれ、ちょっと気持ちいい」


司書長エルフ 「なるほど……」


軽装メイド 「城の、恥……!」





990以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/10(月) 09:01:30.001rh7httr0 (1/1)

王子変われよください
wwww


991以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/10(月) 09:37:14.98sR+VZ8IIo (1/1)

そろそろ1000行きそうだな…次スレ立てるならリンクここに貼ってくれ


992シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 10:13:11.995N9LECod0 (12/15)



司書長エルフ 「……すみません。窓をもう少し開けていただけますか」


軽装メイド 「……は、はい」


ホー ホー 

ワアアアア


司書長エルフ 「…………」

司書長エルフ 「風に乗って、楽しそうな声が聞こえてくる」

司書長エルフ 「……良い風です。この里の風が好きでした」


軽装メイド 「司書長さま……」


司書長エルフ 「この風がどこから来て、どこへ行くのか」

司書長エルフ 「幼いころによく考えたものです」

司書長エルフ 「決まって、答えはでませんでしたが」

司書長エルフ 「……王子が旅に憧れる気持ちがよく分かります」


軽装メイド 「…………」

軽装メイド 「根をはって、風に吹かれるのも良いものですよ」


司書長エルフ 「ええ。そうですね」

司書長エルフ 「結局、私もそちらを選びました」





993シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 10:21:00.985N9LECod0 (13/15)



ろうそく職人 「師匠、勇者さま、お助けー!」


幼葉エルフ 「師匠に搾取されるのが弟子の役目だ。さっさと食わせろ」


貝殻の勇者 「尻尾がとれるのは、良いことではないのですか?」


王子 「足をおさえていてくれるかい、ハーピィ」


ハーピィ 「…………」


ろうそく職人 「うわあああ! 羽がくすぐったい!」


軽装メイド 「本当にもう……!」

軽装メイド 「あなたたち、いい加減にしないと忍びますよ!」


ツカツカツカツカ


司書長エルフ 「…………ふふっ」

司書長エルフ 「騒がしくも懐かしい……」

司書長エルフ 「若さとは良いものですね」

司書長エルフ 「…………」


ヒュウウ

ワアアアア


司書長エルフ 「……本当に、良い風」

司書長エルフ 「どうかこの風が、人間の地にも渡りますように……」


ワアアアア


…………


……







おわり






994以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/10(月) 10:24:13.31dx0CtinrO (1/1)

おわ…?おわり…?ん?


995以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/10(月) 10:28:29.83eUiXcWFIo (1/1)

このスレでの投下がおわりってことだろ

次スレ貼られるまで待とう


996シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 10:42:58.495N9LECod0 (14/15)

※次につながるかもしれないけど次スレをたてる目処もたたないおまけ


…………


どこかの森



ガサガサガサガサ


盗賊少年A 「行くぞ少年盗賊団。灰髪盗賊さまのもとまで一直線だ!」

盗賊少年B~D 「おー!」


ドボンッ


少年盗賊団 「ぎゃあ」

少年盗賊D 「変な泉に落ちた!」

少年盗賊C 「岸に上がった!」

少年盗賊B 「あれ!? ない!!」

少年盗賊A 「女になった!」

少女盗賊団 「どうしよう!」


…………


エルフの里 馬車置き場



赤花エルフ 「魔法の馬車ですか。見た目がよくありませんわねえ」


黄花エルフ 「人間の商人から強奪したものを、黒花エルフがリフォームしたそうよッ」


青花エルフ 「道理で骨々しいというか丸っこいというか……」


緑花エルフ 「あ、どうせだから、冥土の土産に私たちもリフォームしてみなーいー?」


赤花エルフ 「……ふうん、面白そうですわね」


…………





997以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/10(月) 10:54:55.27ZjjW+7+a0 (1/1)



王子姫はどうなっとんのよ


998以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/10(月) 11:36:55.10T7/Y6JljO (1/1)


おいおい、このまま終わりだとハーピィの影が薄過ぎるんだけど


999以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/10(月) 12:20:03.88tPh0WER30 (1/1)

次スレたったし平気
だべ


1000シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR2014/02/10(月) 12:21:56.545N9LECod0 (15/15)

…………

領主の城


軽装メイド 「領主さま。軽装メイド、妖精の領域よりただいま戻りました」


領主 「おお、よく戻った」


軽装メイド 「つもる話もありますが、こちらをどうぞ」


司書長エルフ 「ただいま戻りました、領主さま」


領主 「おお、よく戻った」


軽装メイド 「これが本当の」


司書長エルフ 「メイドの土産」


領主 「……ふむ」

…………


???


ろうそく職人 「聞こえました、自然の声です! いきます!」


貝殻の勇者 「まあ……!」


ろうそく職人 「はあい! わたし黒花エルフ!」

ろうそく職人 「北東地方の町でちょっといけない媚薬を売りながら、領主城学校に通う普通の14さい!」

ろうそく職人 「でもある日、お気に入りの媚薬をきめながら登校していたら変な男の子とぶつかっちゃってさあ大変」

ろうそく職人 「実はそいつ領主の息子だったんだけど、それがすっごいだめな奴!」

ろうそく職人 「婚約者のハーピィがいるくせに女と見れば見境ないし、なんだかとってもえび臭いし」

ろうそく職人 「まあ、鈍感だけど優しいし、顔も見慣れたらそんなに悪くはないかなーって気もするけど……」

ろうそく職人 「て、えーっ!? わたしがこいつの2人目の婚約者ぁ!? 私ってばどこまで不幸なのよぉ……!」


幼葉エルフ 「…………」


貝殻の勇者 「ああっ、ろうそく職人さん、うしろ、うしろ!」


ろうそく職人 「次回、黒幕魔法使い黒花えるふ! 南国の勇者た……」


ザシュッ グチャッ

バキボキ

ゴキャッ

…………

おまけ
おわり


※次スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1392002165/
次スレ立てたときは何すりゃ良いか分からんのですが、
前スレとか人物紹介みたいなのは書いた方が良いんでしょうか。