1 ◆SetoseN//M2013/11/18(月) 23:32:30.77e5YOqXJmo (1/4)

このスレッドは、男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318765682/

の続きとなっております、これからもよろしくお願いします

以下2レス各話タイトルの羅列になります

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1384785150



2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/11/18(月) 23:33:41.31e5YOqXJmo (2/4)

第1話 男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」

第2話 女「男くんが何かに成り代わられてしまったみたい」

第3話 男「鏡の中の世界…?」 女「思っていたより、普通だね」

第4話 男「絵本の中に入ったのか」 女「自由に動けないって不便だね」

第5話 女「靴もらったよー」 男「それは流石に、怪し過ぎると思うのだけど」

第6話 男「幽霊少女、か…」

第7話 女「出られなくなったの」 男「どう見ても蚊帳なんだけど」

第8話 女「段数が増える階段だって」 男「十三階段か、有名な話だから知ってるよ」

第9話 女「絶対に当たる占いだって」

第10話 男「幽霊が登校しているらしい」

第11話 女「1人で病院に来たのだけれど」

第12話 男「化け物に囲まれた」 女「これは本当に、マズいんじゃないかな」

第13話 女「え、ゾンビ?」

第14話 女「幽霊を、殺しちゃったんだって」

第15話 女「犬神憑き?」

第16話 女「犬が着いてきているね」

第17話 男「ここは、どこだ?」

第18話 ク「犬神様、ですか?」

第19話 女「どうしたの、男くん?」


3 ◆SetoseN//M2013/11/18(月) 23:34:51.59e5YOqXJmo (3/4)

第20話 男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その2

第21話 男「引きこもりなのに外を出歩いている?」

第22話 男「どうして俺がこんなことを」

第23話 同女「何か、幽霊がいるみたいなの」 初女「あ、私のこと?」

第24話 男「サリーさん?」

第25話 女「丑の刻参り?」

第26話 女「男くんが帰ってこない」

第28(開始時は27で終了時にはミスで28表記)話 男「天気雨」 女「雨宿り」

第29話 男「食べたがりな肉まんの食欲が抑えられない」

第30話 男「口裂け女って、ちょっと古い気もするんだけれど」

第31話 男「狐の嫁入りに追いつこうか」

第27(ナンバリングが飛んでしまった為)話 男「いつか見た夢の話」

第32話 女「学校の怪談?」

第33話 男「女がいない」

第34話 同「何か降って来たんだけど」



4 ◆SetoseN//M2013/11/18(月) 23:35:33.32e5YOqXJmo (4/4)

ゆったり進行ですが、これからもお付き合い頂けると幸いです

とりあえず、前スレが埋まるまではあちらを使っていきます

ではでは


5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/11/19(火) 00:39:57.14HC/nUZPLo (1/1)

これって全部つながってんの?


6 ◆SetoseN//M2013/11/19(火) 09:18:02.6759BDRpepo (1/1)

時系列とか世界観とかで言うと繋がってますよー
オムニバス方式のようなところがあるので大きく一話であると括るのは出来ないとは思いますけれど


7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/11/19(火) 13:21:57.16aCjcpBieO (1/1)

これからも期待


8 ◆SetoseN//M2013/11/20(水) 00:04:09.25p0AfkJL8o (1/1)

前スレが埋まりましたね
思ったよりHTML化処理が早くて普通に最後の方読めなくてブラウザで見てきました
一応専ブラで見てて最後の方読めないという方は普通のブラウザで行くとHTMLやdatで読めますよーと念の為

本来ならすぐに新スレ恒例(なのかは微妙ですが)のあの話を始めたいとこですが、週末あたりになっちゃうかなぁと
何とか金曜あたりにはならないかなぁとは思ってはいますが

1000はシュレディンガーのパンツでしたね、確認するまでは履いているかわからないという極めて合法的なスカートめくりの理屈です、嘘です

ではでは、またきますね


9VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2013/11/20(水) 20:50:52.987MInOnI00 (1/1)

乙乙 新スレ用に新しいキャラ紹介作ろうかなとか思ったけど要るだろうか。多分7割が前回の流用だけど


10 ◆SetoseN//M2013/11/26(火) 20:09:21.53qZTxMA35o (1/9)

今日は来ました

寒くなってきたせいかやたら睡眠時間が長くなって、週末に間に合いませんでした

そりゃあ19時に寝て8時半に起きる休日なんてしてたら何も出来ませんよね、二度寝したからとはいえ流石にびっくりしました

キャラ紹介を作っていただけるのはありがたいですねー、7割流用ってと思ったけどそんなものなのでしょう
キャラは元々少ないですからねぇ

ではでは、投下していきます


11 ◆SetoseN//M2013/11/26(火) 20:09:57.90qZTxMA35o (2/9)

僕には最近悩みがある

生きていれば悩みなんて、と言うのかも知れないけれど

僕の悩みは誰かに相談出来るものではないから

誰にも相談出来ないという事実が負担になっているという気がしている

相談出来ないということより、その悩みの内容自体が問題なんだ

勉強とか、部活とか、恋愛とか、親とかそういう悩みではなく

死なないで欲しい、苦しまないで欲しいというものだ

それだって、きっと

現実の、生きている人の話ならばまだ普通に苦しめたとは思う

どちらがいいかという話じゃないから、追求していくようなこともないけど

でも、僕の悩みは

僕の姉とも幼馴染みとも呼べる彼女に死んで欲しくないのだ

彼女は、幽霊なのだろう

僕にしか見えていなくて、歳も覚えている限りでは取っていないし

自分でも、そう言っていたから

小さなころは何も思わなかったし、それが普通なのだと思っていたけれど

近頃は、死んで欲しくないと思っているんだ




12 ◆SetoseN//M2013/11/26(火) 20:10:28.92qZTxMA35o (3/9)

最初に会ったのは僕がこのアパートに引っ越してきた時だった

当時幼稚園生だったから記憶なんて全然だけど、その時だけはしっかり覚えている

お姉さんが、透けて見えたのだから

今だって、透けて見えるのだから慣れってすごいなとか思っちゃうけど

当時にしてみればびっくりしたもんだ

だけど親に話しても変な顔されたり、しまいには怒られるわでいいことはなかった

それ以降、お姉さんのことを人に話すことはなくなった

他の人には見えていないということに気付いたから

お姉さんが僕に見られていることに気付いたのはそこから何日か後だったけど

見られるなんてずいぶんなかったから気にしてもなかった

とか、そんな事言ってたけど

私が怖くないの?とも聞かれたんだっけ

全然怖くないよとか、確かそういう感じで答えたけど

子供なのねって笑われたのが印象的で覚えている

当時はそのままの意味で、子供だからと笑われたのかと思っていたけれど

今ならば、まぁ今の僕もまだ十分に子供なのだが、それでもわかる





13 ◆SetoseN//M2013/11/26(火) 20:11:31.50qZTxMA35o (4/9)

あの頃はわからなかってけれど、普通なら怖がるのだろう

死のイメージの強い幽霊なんて、実際に見てしまったら

いることを知ってしまったら近付かないのだろう

いい幽霊ばかりじゃないことだって、知っているのだから

その分僕は知らなすぎた、発想が狭かっただけかもしれないけど

幽霊とかっていたんだーと、衝撃を受けたものだ

僕の家は共働きで、親がいないことが多いから

だから、会いにいけると言ったら

それからは合う場所はアパートの屋上ではなくて、僕の家になった

親がいない時間が多く、その間に勉強や常識などを教えてもらうこともあって

親からしたら、僕は手のかからないいい子なのだろう

自分で言うのもあれだけれど、勉強などで親に何かをしてもらったことはほとんどないのだから

小学校五年生の秋だっただろう、いつものように親が帰ってくる時間にいなくなるお姉さんを追いかけてみたんだ

僕が悩んでいるのは、まずこの過去なんだろうな

どう考えたって、追いかけるべきではなかった

知らなくていいことだったのに

知ってしまった



14 ◆SetoseN//M2013/11/26(火) 20:11:57.69qZTxMA35o (5/9)

今までお姉さんは何も言わなかったし、聞いても適当にはぐらかされていて

上手く流されていたから、別に疑問に思うこともなかったのに

ふと、思い付いてしまって

我慢出来ずに追いかけていって

死んでいるところを見てしまった

幽霊なのだから、死ぬというのはおかしいのかも知れないけど

人が死ぬところを見るなんて初めてだったからひどく動揺したもんだ

次の日、何もなかったかのように現れたお姉さんには目を丸くしたけれど

結局、その日の内に見てしまったことはバレて

どうなったんだっけ

その前後で僕らの関係に変化はなかった、と思う

お互いに、触れないようにしていたから

でも、そうはいかなくなった理由がある

別に僕が幽霊を見ているということは悩みなんかじゃない、悪い幽霊じゃないどころか

姉であり、今や幼馴染みである

このままだと妹にでもなっていくのかもと、見た目の年齢が変わらないお姉さんを見ながら思い始めていたあたりで

聞いてしまったのだ



15 ◆SetoseN//M2013/11/26(火) 20:12:30.66qZTxMA35o (6/9)

ここのアパートには、幽霊がいると

僕は、お姉さんを知っていたからそういう都市伝説みたいなのは、どこか人を馬鹿にしているようなところを感じて疎んじていたけど

そんな僕でも、自分の住んでいるところの話は耳に入ってしまった

おそらく、お姉さんは噂があるということは知らないだろう

話を聞くに、近頃幽霊を見たという話だったのだから、生活圏が狭いお姉さんは知るすべは少ない

少ないだけであって、アパート内での噂話を盗み聴きしてしまうことは出来るから、無いわけじゃないのが心配だけど

放っておいて大丈夫なのか気になったけれど

ここは廃アパートなどではないから、取り壊しとかの心配はないだろう

僕が嫌なのはお姉さんがいなくなることで、幽霊がいると分かられば、それなりのことをしようとする人が現れるだろう

それが実際に効果があるかは別だとしても、いなくなってしまうのは、嫌だ

少なくとも、誰かに追い出されたり、退治されたりなんて終わり方は

ワガママなんだろうけど、嫌なんだ

僕がどうにかしてあげたいんだ





16 ◆SetoseN//M2013/11/26(火) 20:12:56.40qZTxMA35o (7/9)

そんなことを考え始めて何日目だったかな

もう、恒例となっている、と言ってもお姉さんはあんまりいい顔はしないんだけど

お姉さんが飛び降りるところを屋上で見送っていたら

恒例じゃないことが起こった

立ち入り禁止と言っても何十年前に建てられたボロアパートだ、別に屋上への入り口が塞がれているようなこともない

管理はおざなりだけど、それが屋上に行くのにはありがたいからこのままであって欲しいけど

だから、他の人がいてもおかしくはないんだろうけど

今までそんなことなかったし

もしもいたとしても、屋上にあがってきた僕らから隠れるようにいる必要はなかったはずだし

それに、独り言のような気もするけど、その人が呟いた言葉は

お姉さんが見えていたからだということもわかって

どうすればいいかわからなくなって、動けなくなってしまった




17 ◆SetoseN//M2013/11/26(火) 20:13:31.27qZTxMA35o (8/9)

第35話





男「死にたがりな幼馴染みの自殺を止められない」 その3








18 ◆SetoseN//M2013/11/26(火) 20:15:17.20qZTxMA35o (9/9)

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

今回のスレタイ回収の時間がやって来ましたね

残念ながら女さんは今既に死ねないような状態なので変化球といったとこなのでしょうか

面白いものが書ければそれだけで良いのですが

ではでは、また来ますね


19VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/11/26(火) 22:48:50.52XoHFjRdPo (1/1)

飛び降りるときに何を思っているのか
そして飛び降りを見ている人にパンツは見えるのか
乙!


20VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2013/11/28(木) 00:16:56.47zfRDibfK0 (1/2)

登場人物紹介

男 主人公。女とのルールにおける全ての元凶、死ぬ時は女が肩代わり(一日一回)
  33話から女が出現しないルールが発生し、現在[ピーーー]ない状況下に居る。

女 男との「ルール」により死んでも次の日には別の女として生きている子
  男が死にそうな時にはお互いの位置が交換され、女が肩代わりに死ぬ。現在消失中

初女  男の死を最初に防ぎ、亡くなった子。
    学校の屋上の住人で、夕方に飛び降りる怪談の役割をしているが
    お盆の季節である現在、過去全ての「女」と混じり力も増して男に憑いている。

同級生女 吸血鬼混じり。昼は人の血が、夜になるほど吸血鬼の血が濃くなる。
     自力で血の割合を変更出来たり、ある程度異質な存在を感知する能力を持つ凄い子。
     雷獣の雷に頭部を粉砕されても動ける程丈夫。
     そしてその雷獣に懐かれた。

クラスメート 巫女。神様の血が濃い子。小山にある神社に暮らしている。
       家族が帰省中に荒神(犬神・大神)に狙われ、神話をなぞらされる事になった。
       神話編最後にフラグを立てるも未だその縁は細いままである。

神様(国津神) 元縁結びの神で、初代巫女。荒神を昔封印した人。
        今はクラスメートの神社の庭、岩の傍にある地下隠れ家(庭付き一軒家)に住む。
        動く肉まんを作ったり、電波を含む境界線を弄れるなどその実力は健在。



ドッペル 男に乗り換わろうとしたが、天敵となる女に看破され消滅。12話と22話で大活躍

幽霊少女 日曜日に現れていた幽霊。
     恋をしたい面で一人の男性とデートし、加害者を恨む面で人を[ピーーー]ルールがあった。
     しかし無駄な死者を避ける為に右手を化け物の姿にして脅かし、男性を犠牲者にしないよう逃がしていた。
     男(と女)の手により成仏。する際に男へキス(ほっぺ)をした。

新説赤い靴 直線攻撃。最初は白い。

学校付喪神 付喪神で土地神で守り神の神様。女性体。
      創設100年時に付喪神へ。110年記念に校内をゾンビ化して暇潰しをしていたら
      その結果男に発見された。学校の怪談を管理しているようで、その為の犠牲は必要と考えている。
      暇潰しの際の力が余っていて、学校内で呼ぼうとすれば出てくる。あと見てる。

サリーさん 通り悪魔。中学生男子を誑かして悪事を働こうとしたが、初回に男を引いてしまい、追い払われた。

狐 口裂け女として化けて男に挑んだが看破され、狐拳も見破られて返り討ちに逢う。
  その後、勘違いして襲撃して来た霊狐に引き取られていった。


パンツ 至高の一品。4、12,26話にて男は目視するも、なおも実物は取れていない



21VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2013/11/28(木) 00:23:55.05zfRDibfK0 (2/2)

しまったsaga入れ忘れた

男 主人公。女とのルールにおける全ての元凶、死ぬ時は女が肩代わり(一日一回)
  33話から女が出現しないルールが発生し、現在死ねない状況下に居る。

幽霊少女 日曜日に現れていた幽霊。
     恋をしたい面で一人の男性とデートし、加害者を恨む面で人を殺すルールがあった。
     しかし無駄な死者を避ける為に右手を化け物の姿にして脅かし、男性を犠牲者にしないよう逃がしていた。
     男(と女)の手により成仏。する際に男へキス(ほっぺ)をした。

乙です。男って意外とハーレムしてんだなと纏めてて再実感したよ


22VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/11/28(木) 00:36:02.07yCmC5yaLo (1/1)

登場人物紹介乙!
ドッペルと赤い靴が好き過ぎて再登場を待ってたりする



23VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/11/28(木) 08:27:54.3363Abqd69O (1/1)

パンツ項目あってワロタ


24 ◆SetoseN//M2013/12/15(日) 23:27:52.37wCR0DpRzo (1/7)

今日は来ました

久々に割といい感じに話(の核となる設定)が思いつくと機嫌が良くなる、わかりやすい性格してます

本怖まとめを久々に読みたいのがあったので漁ったり、SCPのwikiを読んでいたら脈絡無く思い付く、そういうことってありますよね

普段読まないタイプの設定が読めるのでSCPは楽しく読ませていただいています、もちろん日本語wikiですが

ではでは、投下していきます



25 ◆SetoseN//M2013/12/15(日) 23:28:32.67wCR0DpRzo (2/7)

見えてた、んだよな

この人には

僕と同じように見えている、そんな人初めて見たけど

それよりもここにいたことの方が、おかしいんじゃないか

ここにお姉さんが来ることを知ってた?

噂を聞いて見に来た?

屋上のことまで噂になっていたのか?

男「あぁ、突然話しかけたみたいになってしまって悪いね」

男「いや、さっきのは独り言みたいなものなのだけれど」

男「うーん、とりあえず別に悪さをしようってわけじゃないからそんなに怖がらないで欲しいけど」

少年「えっと、あの、今の見えてました?」

男「見えてる人って今まで会ったこと無いのかな?」

男「というか、君は今の子の知り合いなのかな、雰囲気的に」

少年「えぇ、まぁ」

男「どう説明したものか」

男「まぁ、あれかな、質問に答えないというのはどうかと思うし、答えておくと」

男「幽霊なら見えていたよ」

少年「そう、ですか」

男「女、出て来てくれないかな」

初「はーい」


26 ◆SetoseN//M2013/12/15(日) 23:29:44.54wCR0DpRzo (3/7)

そういうとその人の後ろから幽霊が出て来た

浮いているんだから幽霊だろう、会話の流れからもそう考えていいはずだ

話を聞いているとどうやら幽霊を知っているから、幽霊を見に来た程度のようだ

結局、その日はもういい時間だから、とある程度話したら帰っていった

僕は幽霊を知っている人がいたとか、お姉さんを見える人が増えたということを何故か喜ぶことが出来なくて

終始、言い様が無い不安に苛まれていた

どうして、こんなに不安なのだろうか

少し考えれば簡単で、僕はお姉さんを独り占めしていたかったのだ

お姉さんが誰かに知られてしまうというのが、嫌だという子供っぽい感情は

お姉さんと会った時が本当に子供だったからってのと、今までお姉さんを見ることが出来る人がいなかったから

だから、このアパートから出ることの出来ないお姉さんは、僕が来てからは僕以外と会ってはいない

そういう風に思っていたんだ、いや、思ってるんだ

でも、今まで見なかっただけで、幽霊が見える人がいるのはむしろ普通だし

移動出来る幽霊とかお化けとかがお姉さんと会っていることもあるかも知れない

見たことは無いから、無いとは思うけど

お姉さんに、言ったほうがいいのかな

噂になってるってことと、見に来ている人がいるっていうことを



27 ◆SetoseN//M2013/12/15(日) 23:30:20.24wCR0DpRzo (4/7)

初「どう思う?」

男「あの幽霊のこと?」

初「はは、何だか私に似ている所もあるからそっちはどうもねー」

男「君はそもそも人外が苦手だってことに近頃気付いたよ、全く全く」

初「普通の人は人外って苦手だと思うけどねぇ」

男「まぁ、僕だって得意じゃあないけれど」

初「えー、嘘だぁ」

男「いや、そういう話じゃなくて、今日見てきたあれだよね」

男「肝試し感覚で見に行った適当な所が本当に心霊スポットだったみたいな気分だよ」

男「本当に幽霊いたんだってあの子には失礼だけど驚いたね」

初「どうする? 倒す?」

男「今の君なら倒せたとしても、そういうことをする必要はないよ」

男「というか、あの幽霊倒しちゃったらあの子に恨まれそうだし」

男「霊感がある子に恨まれるなんて、いい事あるわけないしやめとこうよ」

男「そもそも、この街で長く存在してたってことはそんなに危険なことは無いってことだろうしさ」

男「危険なら、もっと早く誰かがどうにかしただろうし」

男「事件だって、起きたなんて話聞かないしさ」

男「というか、今の時代になっても結局は有名じゃない事件や事故って口コミとかコネとかで知るしかないよねぇ」

男「自殺した人いるのかなってネットで調べたって出てこないし」

男「まぁ、ネットを使うのが上手な人ならそういう情報だって得られるのかも知れないけど」



28 ◆SetoseN//M2013/12/15(日) 23:31:34.78wCR0DpRzo (5/7)

初「危険じゃないならどうしよっか」

男「いつもなら、放っておこうかとも言うかも知れないけど」

男「元々いた幽霊が近頃やっと噂になったていうのはどうもなぁ」

初「私みたいになっちゃう?」

男「まぁ、それが何を指すか僕にはわかるからいいけれど、あれだよね」

男「噂のよって影響を受けて、ここの幽霊自体が変質する可能性があるって、言いたいんだよね」

初「そうそう」

男「有り得ないことなのか、が僕にはわからないからねぇ」

男「まぁ、この前話していたミームにより成り立っているという仮説ならば、構成要素が変わるのだから」

男「変わってしまうのだろうね」

初「私はもう影響受けたことがあるから言えるけれど」

初「変化に対する予感というか、予兆というか」

初「そういうのを感じるのは難しいんじゃないかな」

初「変わったことはわかるけど、変わるまではわからないかも」

男「つまり、幽霊に直接会って聞くのは意味がないってことか」

初「多分、だけどね」

初「私より幽霊歴が長いから、そういうのわかってりするのかも知れないし」

男「というか、変化が緩やかだったら、変わっていっているということに気付けるんじゃないのかな?」

初「そういうことって起こる、の?」

男「噂話として、徐々に変容していくうんたらかんたらみたいな類のものならば、そういう徐々に変容していく何かになるから」

男「あぁ、まぁ結局変わってはいるのか」




29 ◆SetoseN//M2013/12/15(日) 23:32:12.81wCR0DpRzo (6/7)

男「まぁ、今言った場合だとコンタクトを取るメリットはあるんじゃないかな」

初「まぁ、そうだとしても教えられないけどねー」

男「ははは、当てればいいんだろう?」

初「そうなんだけどねー」

男「まぁ、しかしいることがわかったから、調べたいところだね」

男「んー、さっきの子も幽霊の出自は知らないみたいだし」

男「彼が引っ越してきた段階でここにいたらしいから」

男「多分、ここで死んだ人だろうとしかわからないのがね」

初「でもやっぱり、長くいたってことはそこまで被害が出るものじゃないってこと?」

男「まぁ、人目にはついていたらしいからね、1人だけだけど」

初「人目だけに1人?」

男「いや、別にそういうことは」

男「というか、ここから変化してしまうかどうかが問題で」

男「そのために、噂の流行ってる範囲と内容を把握したいってことかな」

男「さーて、どうしたものか」

初「男くん?」

男「どうしたの?」

初「やる気、ないよね?」

男「ほっとけば何も無さそうなことだからねぇ、触らぬ神にたたりなしと言うしさ」

男「今回は放っておくのが一番安全に見えるからね」

初「んー、まぁ直接私達のところまで何かしにきたら、私やらキューちゃんやら神様やらで撃退すればいいもんね」

男「わぁお、消す気満々の布陣だ」

男「ま、それにもうちょっと重要度の高そうなこともあってね、こっちがそんなに危険じゃないのならそっちも調べておきたいからさ」

初「へー、なんかあるんだ」

男「この町は、面白いことだらけだよ」

男「本当、飽きさせてはくれないね」


30 ◆SetoseN//M2013/12/15(日) 23:34:43.81wCR0DpRzo (7/7)

今回の投下はここまでになります、お疲れ様でした

登場人物まとめ、ありがとうございます

男くんハーレムの割には真人間が全くいないですね、一番人間寄りなのが女という

ではでは、またきますね


31VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/15(日) 23:49:04.272qOz9Oa7o (1/1)

乙!
人間なんか最初からいなかったんや!
男もちょっと人外じみてきてたりしてな


32VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/16(月) 01:08:14.01jSFxWZcG0 (1/1)

初女さんは相変わらずかわいいなぁ


33VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/29(日) 09:23:21.23efNa0Yi00 (1/1)

や…やっと追いついた……
おもしろくて1からここまで一気に読んだよ
徹夜したが


34VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2013/12/31(火) 22:27:00.06nfDt6vN90 (1/1)

来年もよろしくお願いします!楽しみにしています!主に初女さん(ry





35 ◆SetoseN//M2014/01/11(土) 19:55:37.48RQ4bljA3o (1/9)

今日は来ました

皆様あけましておめでとうございます、今年もゆっくりではあると思いますが、よろしくお願いいたします

いやはや、もう少し早く来る予定だったのですが、年始早々熱出るついでに腹をやられまして、何日も寝ていました

プロット的には近頃ホクホクしているのですが、どうにも書けていなくてソワソワしています

では、投下していきます


36 ◆SetoseN//M2014/01/11(土) 19:57:40.12RQ4bljA3o (2/9)

あの人に言われたから、というのは何だか悔しいけれど

話さなければ進まないだろう、というのは正しかったし

あんまりのんびりと出来るものでもないかもしれない、というところも同意出来ることだったから

結局、僕はお姉さんと話すことにした

お姉さんは、あの人が話しかけたから噂話のことは知っていたと言ったけれど

でも、僕はそういう話がしたいんじゃなくて

お姉さんは、何を考えていて

お姉さんは、何がしたいのか

それを教えて欲しかったんだけど

今まで深く聞いたこともなかったし、聞くような流れにはならなかった

そもそも、どうして死んだの? とか、どうして幽霊なの? とかは聞きやすい質問じゃ絶対ないし

だけど、噂話になってしまって見に来る人も現れてしまったから

急がないと、除霊とかされたり、お祓いなんてのは考えにくいけど

成仏させられてしまったりするのは、嫌だ

お姉さんが望んで成仏するのなら、いいことなんだろうけど

僕は嫌だった

わがままだってわかっているけど、周りが変わってしまったのだから、僕とお姉さんの関係も同じままでは難しそうだった

聞いてしまったら、終わってしまいそうだけど

どうして、お姉さんは幽霊で

お姉さんは何を望むのか、聞かないと



37 ◆SetoseN//M2014/01/11(土) 20:00:25.19RQ4bljA3o (3/9)

同「それで、その幽霊アパートはどうなったの?」

男「おいおい、それだとアパートが幽霊みたいじゃないか」

男「ちゃんと、幽霊が出るアパートと言わないと」

同「どっちでもよくない?」

男「いやいや、まぁいいけれどさ」

男「そういう微妙な違いで話が変わっていっちゃうんだけどねぇ」

男「結局は、あの幽霊はほっといて大丈夫だよ」

同「食べなくていいの?」

男「いや、君自分の首飛ばした雷獣だって食べなかっただろうに」

同「えー、だって何かああいうのって食べにくいじゃない?」

同「それに、あれはボクが自分で持ち運べたし」

男「あぁ、そういうね」

同「でも実際さー幽霊とか大事になる前に消しちゃった方がよくない?」

男「この街で大事になるかな」

同「あはは、なるわけなかったね」

同「ま、その内他の人に退治されちゃうかも知れないけど、ボクの知ったことじゃないか」

男「無害なんだし、目立つものでもないから大丈夫だろう」

同「君がそう言うなら別にいいけどさー、どうせボクは接触してないし」

男「心配してくれてるの?」

同「今は死ねないんでしょ? 普通の人間なのによくそんなこと出来るよね」

男「何か気付いたら慣れてたよ」

同「慣れるんだ」



38 ◆SetoseN//M2014/01/11(土) 20:01:16.99RQ4bljA3o (4/9)

男「あ、そうそう、その幽霊とアパートの住人だけれど」

男「どんな幽霊かって、話を聞いてきたけれど」

男「死にたがりだってさ」

同「元の死因は自殺ってこと?」

男「そうそう、それでそのまま死に続けてるんだって」

初「へー誰かさんみたいだね」

男「不思議と心が痛むね、季節柄かな」

同「心が痛む季節なんてないでしょうに」

同「にしても、そのアパート自殺者出たのによくやってるねぇ」

男「まぁ、死んだのは別に住人じゃないからね」

同「わざわざそこに死にに来たんだ、なるほどね」

同「いや、全然なるほどじゃないよ、そもそもボクには死にたいってのがよくわからないし」

初「元々半分死んでるもんね」

同「やっぱり心が痛む季節なんだね」

男「そうだろう?」

同「それで、幽霊と一緒にいた子はなんだって?」

男「あぁ、随分と幽霊を慕っていたみたいでね、お姉さんと呼んでいたし」

男「結局彼が事情を聞いたのを、僕が又聞きしただけだし」

男「彼も、このまま放置でいいそうだ」

男「別にどうこうするようなことでもないし、このままでいられるならこのままがいいんだとさ」

男「そういえば、こう言っていたね」



39 ◆SetoseN//M2014/01/11(土) 20:03:53.96RQ4bljA3o (5/9)

「死にたがりな幼馴染の自殺を止められないって感じかな」

「だって、やりたくてやっているんだから」

「僕は止めない、止められないよ」

「お姉さんのことが、好きだから」



40 ◆SetoseN//M2014/01/11(土) 20:04:39.72RQ4bljA3o (6/9)

男「だってさ」

同「やっぱり食べてこようかな」

男「まぁまぁ、いいじゃないか」

男「成仏させてあげるのも、愛の形なのだとは思うけれど」

男「急いていないのだから、ゆっくりするのだって悪くないのだろう」

男「世間話は、この辺にしておいて本題に入ろうか」

同「わざわざボクを呼んだんだから、そういうことだよね?」

男「そういうことさ」

男「見つけたよ、面白い話をさ」

同「ふーん、どんなの?」

男「変なアイテム、つまり魔道具とか霊具とかそういう類?」

男「なんて表すのかわからないけれど、ばら撒いている店があるそうだ」

同「この街に?」

男「いいや、世界中さ」

同「世界中?」

男「どこにでもあるし、どこにでもない店」

男「触れ込み的には、そういう店らしいよ」

男「売っているものは非常に非常識で」

男「既知のものではないらしい」

同「どういうこと?」

男「妖怪とかそういうものを売るんだけど、僕らのルールだったりするような」

男「元ネタがはっきりしないものだね」

男「噂から妖怪が生まれたのではなくて、妖怪がいるからその話が広まるような感じ」

男「出処不明の不思議を売り物にしているそうだ」



41 ◆SetoseN//M2014/01/11(土) 20:06:45.87RQ4bljA3o (7/9)

同「それは、問題だねぇ」

男「あぁ、問題だろう?」

初「わー、二人共、すっごい楽しそう」



42 ◆SetoseN//M2014/01/11(土) 20:08:30.98RQ4bljA3o (8/9)

第35話





男「死にたがりな幼馴染みの自殺を止められない」 その3









43 ◆SetoseN//M2014/01/11(土) 20:15:09.84RQ4bljA3o (9/9)

今回の投下はここまでになります、お疲れ様でした

3スレ目にもなって最初から追ってくれる人がいるなんてありがたい限りです

分かりやすい引きをしたところで、新スレ1話目終わりです

ではでは、また来ますね


44以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/01/12(日) 05:54:18.596Jnp+j79o (1/1)

次回が楽しみすぎる引きだな
乙!


45以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/01/15(水) 12:47:48.37cGjwsCzeo (1/1)

おつおつー


46以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/01/19(日) 23:58:53.09jk6do7Vy0 (1/1)

おつなのですー


47 ◆SetoseN//M2014/01/20(月) 23:07:28.815ogJsna2o (1/8)

今日は来ました

書店に行った時に、寄生獣にアニメ化だったか実写化だったかの帯がついていて驚きました

正直、なんで今さらという気はすごいしますね

しかし、寄生獣は時代に流されない名作です、何年経っても面白い作品というのがジャンルに関わらず、本当の名作なのだと思わされますね

ではでは、投下していきます


48 ◆SetoseN//M2014/01/20(月) 23:11:41.575ogJsna2o (2/8)

同「それで、そのお店はどこにあるの?」

男「いや、本当に世界中にあるようだよ、少なくとも日本では何ヶ所どころか何十ヶ所で発見されてるって噂だね」

同「またそれは信憑性の高そうな噂ですこと」

男「いやいや、どっこいそれが本当に本当らしいんだ」

男「店自体は、どの町にでも現れる、つまり店自体がお化けみたいなものでさ」

同「あ、そういうことなの」

同「つまり、店自体がそういうものなんだ」

男「そういうものを取り扱う専門店、としては中々おあつらえ向きだとは思うけどね」

男「それでも、変なものをばら撒いているってのは気になるよね」

同「そういうのを利用して儲けている人間がいるってことかな?」

同「ボクとしては複雑な話だねぇ」

同「でも、この町に来てないなら関係ないかなぁ」

男「来てるって言ったら?」

同「ほんと?」

男「嘘なんて言ったって仕方ないだろう」

男「その店の話はここ一ヶ月で爆発的、という程ではないけれど広まっている話でさ」

男「元々は嘘だったとしても、もう存在してしまってもおかしくはないだろうさ」

初「嘘から出た真ってやつだね」

男「何もなかったところに、店があって、不思議なものが売っていた」





49 ◆SetoseN//M2014/01/20(月) 23:14:17.515ogJsna2o (3/8)

男「商品の話はマチマチで、大体は使えないけれど変って感じかな」

男「どうやっても1しか出ないサイコロとか、絶対に立てることの出来ないコインとか、何も切れないハサミとか」

同「うわ、ほんとに微妙だ」

男「ただ、特徴としてはそういうのは気付いたら失くしていたとか、気付いたらその効力を失っていたとかいう話が後にくっつくことが多いね」

男「おかげで、作り話との区別が本当につかないよ」

男「あとは、『人に教えたらいけない』と言われた物もある、みたいだね」

男「何となく、本当っぽいと思わないかい?」

同「あー、確かにボクらっぽいね」

初「実態が伝わってこない感じがね」

男「関係無い人には広まっていかないところがそれらしいよね」

男「一般的に認知されてしまうと、そういうのって拒絶されて、というか存在しないはずだという思考に押されて消えて無くなるはずだし」

同「だから売り物もほっとくと消えるのかもね」

同「それで、どの時間にどこに行けばいいとか、どうすれば店に着けるとかは?」

男「多分、そういう指定はないかな」

男「いつでも、どこでもってのは本当みたいだ」

男「だから、行けばあると思うよ」

同「どこに?」

男「この前、というかその幽霊アパートから帰るときにさ」

男「一応それらしい所を歩いてきたんだけど、あったんだよね」

初「え? あったの?」

男「まぁ、用心して見なかった振りをして帰って来ちゃったけどね」

同「何て名前の店?」

男「あぁ、まだ店の名前言ってなかったっけ、そこの名前はそう」


50 ◆SetoseN//M2014/01/20(月) 23:15:11.435ogJsna2o (4/8)

第36話





男「不可思議屋」








51 ◆SetoseN//M2014/01/20(月) 23:15:52.065ogJsna2o (5/8)

同「不可思議屋、ねぇ」

初「あー! あったあった、そんな名前のお店あった!」

男「だから、会ったって言ったじゃないか」

初「どうしてその場で教えてくれなかったのー」

男「危ない所かわからないかったからねぇ」

男「反応してしまって、何か起きても困っちゃうしね」

男「まぁ、教えていても大丈夫だったとは思うし、ごめんよ」

初「いや、別にいいんだけどね」

男「今となっては、あれなんだ、別にいっても大丈夫そうなんだよね」

初「そうなの?」

男「変なとこには変なツテがあるもんだ」

男「そういう意味では僕らは成長したよね」

初「変なのとよく会うもんねぇ」

同「どうせボクのこともその変ってのに含まれているんだろうけど、そんなことより」

同「ツテってどういうこと?」

男「不可思議屋と連絡を取っている人と連絡を取っているって感じ?」

男「そんなわけで、店がこの町に来てることを知ったんだよね」

男「ただ、場所が曖昧でね」

男「それに、結局安全だとは限らないから連絡を取ったというわけだよ」

同「ボクだって別に万能じゃないからね? 吸血鬼は万能型ではあるけれど」

男「君に言わずにいても、君だってその内見つけちゃうかも知れなかったからね、黙っていて変なことされても困るし」

同「ボクそんな変なことしないよ」

男「え、とりあえず敵対意思があったらぶっ飛ばすか食べようとするじゃん」

同「うぐぅ」



52 ◆SetoseN//M2014/01/20(月) 23:17:33.505ogJsna2o (6/8)

男「そもそも、比較的自由に移動する店を持っているらしいからね、それに現れているのに大抵の人が違和感を抱いていないっていうところからもその異常性はわかるよね」

同「店が変なのか、店主がそういう能力があるのかわからない以上、敵と決めつけて挑むのは危ないかもね」

男「うん、いやだから君に先に教えたんだよ?」

男「君は多分、不可思議屋を見つけても何かわからないままとりあえず接触してみるでしょ?」

同「まぁ、ボク一人だったら間違いないね」

同「うん、確かに、変なとこにワープさせられちゃったりすると帰ってくるのも大変だもんね」

男「君は死んでも大丈夫だからなのか罠みたいなのに弱いよね、攻撃に対して危機意識が低いというか何というか」

同「死んでから考えればいいじゃん」

初「あーそういうとこあるよね、男くんも」

男「ぐふぅ、いや、そういう話は置いておこうか」

男「とりあえず僕らだけでいって移動されたら困るから、君を連れて行くみたいな感じなんだけど、大丈夫かな?」

同「あー、そういう変な力をボクにどうにかしろってことね」

同「相手にもよるけど、本体に触れるならどうにかなるかな」

同「あ、もちろんボクより強かったら論外だから諦めてね」

男「いや、それが出来るなら十分だよ、そもそも僕の読みだとそんなに危険な相手じゃないだろうからね」

初「そうなんだ」

男「ただ、問題があるとしたら」

男「どうやら、不可思議の店主が僕に用があるらしいんだよね」

同「すっごい問題あるじゃん!」




53 ◆SetoseN//M2014/01/20(月) 23:18:28.425ogJsna2o (7/8)

初「男くん、心あたりは?」

男「あったら、どうにかしてるさ」

男「ただ、僕のことを知っているってことは、普通に考えると僕らの知り合いってことになるはずだよねぇ」

男「連絡取られたのも昨日のことだから、一応昨日店を見つけた時に、ということも考えられなくはないけれど」

男「騙されているという線はもっと無いと思っていいから安心して欲しいかな」

男「ただ、なんで会いたいのか不明瞭だから困ってしまうね」

同「危なかったらどうにかボクが逃してあげるから、気にしなくていいよ」

同「結局、悪い奴かそうでない奴か、それだけわかればボクはそれでいいから」

男「毎回、君はどうにも違う感じの世界で生きている気がしてならないよ」

同「男くんとは、大差ないんじゃない?」

男「いや、殺伐としているという意味なんだけれど」

男「あぁ、いや、君のそれも人外相手だけだもんね」

男「成る程、確かに大差ないか」

男「違うのは、持ってるか持ってないか、か」

男「まぁ、持っていないのだから無い知恵働かしてどうにかしていこうか」

同「今回は、というか大抵の場合君らとは利害が一致しているからね」

同「ボクは考えてみると知恵なんて働かしてることの方が少ないかもね、と最近思うよ」

同「こっちは、大抵力押しだから」

同「ま、道案内よろしくね、男くん」

男「別に、喧嘩に行くわけじゃないんだけどなぁ」

男「じゃ、行こうか」



54 ◆SetoseN//M2014/01/20(月) 23:19:26.965ogJsna2o (8/8)

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

このくらいのペース以上でじわじわ進められれば良いのですが、ネタ的にはしばらくは問題ないのが非常に助かっています

ではでは、また来ますね


55以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/01/22(水) 07:20:17.48PWQERcsK0 (1/1)

おつん


56以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/01/22(水) 08:12:06.79JJpEbNJrO (1/1)

初女さんすごく空気…まあ幽霊だけど


57以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/01/22(水) 21:10:50.98JSdnNd590 (1/1)

>>56
空気なら吸えるよな…


58以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/01/23(木) 13:10:45.03lRDF+6wZo (1/1)

GOKURAKU思い出した


59以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/02/11(火) 23:39:20.450y/hSgt00 (1/1)

そろそろかな?


60 ◆SetoseN//M2014/02/16(日) 17:39:02.74l5kU2q4Vo (1/7)

今日は来ました

お久しぶりです、すぐ来るとかいいつつテスト期間と1週間ほど熱が出るというのが噛み合い最強になっていました

熱が出るとご飯が食べれなくなるたちなので、しばらくというか今でも食べる量は戻りきってないですね

熱と一緒に腰や横の腹筋みたいなとこが痛くて寝れなかった日もあったので、風邪じゃなくて人生初のインフルだったのではないかとか

まぁそんなことは治ったのでどうでもいいですね

ではでは、投下していきます


61 ◆SetoseN//M2014/02/16(日) 17:41:07.96l5kU2q4Vo (2/7)

同「このお店、だね、聞くまでもなく」

男「あぁ、やっぱりわかる?」

同「そりゃ、こんなお化け屋敷みたいなとこじゃあねぇ」

同「ボクにはわかっちゃうし、これわかる人ならわかると思うんだけど退治されないのかな?」

男「近くの家とかも気にしてないみたいだから、そういう気にすることが出来ない何かがあるんじゃないのかな」

同「まぁ、ボクみたいなのは結局近くに来ないとわからないし、普通の人に問題視されないならいいのかな?」

男「いいんじゃないかな、誰もが無償でそういうのに関わるわけではないとは思うし」

初「困ってる人がいないと商売にならないから退治もされにくいってこと?」

男「そうそう、別に誰も訪れないような秘境の山奥に化物が住んでいたとしても、退治しようとはならないだろう?」

初「確かに、そういうのはUMAとか言われて探されることはありそうだけどね」

男「結果として有害だとわかっても、別に人里に来ないなら無視するよね」

男「そっちのほうが安いし安全だから」

同「そういう考え方もあるんだね」

男「君だって別に有害じゃないなら無視したりしてるじゃないか」

同「そっか、まぁ普通ならわざわざ手間かけないもんね」

男「結局、人間の都合だというところが愉快で仕方ないね」

初「男くんそういうの好きだよねぇ」

初「で、この店入るの?」

男「入るしかないだろうさ、呼ばれてしまったのだから」

初「無視したらいいんじゃないの?」

男「はっはっは、ここまで来てからそれを言うかい」

初「今は死ねないんだから、あんまり変なことに首を突っ込まないで欲しいんだけどなぁ」


62 ◆SetoseN//M2014/02/16(日) 17:41:44.20l5kU2q4Vo (3/7)

男「わざわざ呼び出しておいて、殺すだけってことはないだろうしさ」

男「警戒はしてもいいけれど、大丈夫だろう」

同「あー、でも、この店というか家自体が何か普通じゃないから、そこは気にした方がいいかも」

男「どこにでも現れるっていう秘密は、この家の特徴ってことかな」

男「それならば確かに気にする必要があるね、僕らが入っている間に移動されたらたまったもんじゃない」

男「止められるかい?」

同「この位なら、多分どうにかなるかな」

同「そこら辺の都市伝説程度だし、ボクの敵じゃあないね」

男「いやぁ、流石不死者の王だね」

同「その呼び名はなんだか恥ずかしいし、普通に吸血鬼にしてよ」

男「でも、正しくはこっちの方だろう?」

同「まぁ、そうなんだけどさ」

男「じゃあハーフバンパイアって呼ぼうか」

同「やめて」

男「それじゃ入ろうか」

初「うん」


63 ◆SetoseN//M2014/02/16(日) 17:42:28.30l5kU2q4Vo (4/7)

「やぁ、待っていたよ」

男「どうも、呼ばれたから来てみまし」

初「占い師さん!?」

男「天邪鬼!?」

同「店員も化け物か、しょうが無い」

店主「いやいや、待ってくれよ吸血鬼のお嬢さん」

同「どうする?」

男「そう、だね」

男「軽く、いや結構驚いたけれど大丈夫、とりあえず戦わなくていいよ」

同「わかった、にしてもよくボクが吸血鬼だってわかったね」

店主「店員じゃなくて、店主だけどね」

店主「まぁ、そういうことも出来るってことだよ」

店主「いい店だろう?」

男「そういうアイテムも、この中にあるってことかな」

店主「ま、そういうことにしておいてくれよ」

店主「しかし、顔を覚えていてくれたのか、話が早くて助かるよ」

男「流石に、そう簡単には忘れないよ」

男「しかし、本当に天邪鬼なのか?」

店主「いやいや、至って普通の人間さ、知っているだろう?」

店主「天邪鬼で件な妖怪は消えたんだよ、自身の能力で」

男「少なくとも僕は、そう思っていたよ」


64 ◆SetoseN//M2014/02/16(日) 17:43:08.64l5kU2q4Vo (5/7)

店主「君のおかげで天邪鬼で件な俺からは逃れられた、という話だ、結論から言わせてもらうとね」

店主「いやいや、あれは実に窮屈でね、別に悪くはなかったのだが」

店主「いざ、人間になってみるとあれには自由が無かったと思わされたよ」

男「ちょっと待ってくれ、人間になった?」

店主「そう、天邪鬼で件な妖怪の俺なんていなくなってしまったからね、反転してひっくり返って、消えるのかと思ったら人間になってしまったよ」

店主「まぁ、現れる場所が少々離れていたし、時間にもズレがあったからすぐには会えなかったけどね」

店主「人間になるついでに女性になったからかな、霊能力も高くてさ」

店主「それで」

同「男くん、その人は霊能力が高いなんてもんじゃないよ」

同「その人は、人間じゃないから」

店主「おいおい、先に言うのはやめてくれよ」

店主「これからこの店を作った経緯をペラペラと語ろうとしたのだから」

店主「全く、余計な娘を連れてきたものだ」

店主「殺しちゃおうかな」

同「あぁ?」

店主「妖怪当たりが強いねぇ、それでも困らない程不死だからなんだろうけど」

店主「まぁしかし、男を守ってくれていたのは事実のようだし感謝するよ」

同「男くんの敵じゃなかったの?」


65 ◆SetoseN//M2014/02/16(日) 17:43:35.87l5kU2q4Vo (6/7)

店主「おいおい、どんな決め付けだよ、別に敵対したことなんてないさ」

店主「ただ、関わっただけだ」

男「確かに、敵対する意思を持っていたわけではないね」

男「あれは所謂事故のようなものだし」

同「でも妖怪だよ」

男「いやいや、君だって妖怪ではあるんだろう?」

同「ま、ね」

店主「人間になってさしてやりたいことも、やることもなかった俺はやることを決めた」

店主「件で天邪鬼じゃなくしてくれた、君へ、何かしてやろうと」

男「僕に?」

男「あれはそっちが言ったみたいに、関わっただけなのだから、恨まれこそすれ、感謝されるようなことじゃなかったとは思うけどね」

店主「いやいや、君は俺の願いを聞いてくれたじゃないか」

店主「誰でも出来たことだけど、やってくれたのは君が始めてなんだよ」

店主「でも、ただの人間になった俺には比較的高めの霊能力以外できる事はなかった」

店主「それでうろうろしていたら見つけられることに気付いたんだよ」

店主「妖怪や、都市伝説の種みたいなものを」

店主「でも、人間の俺ではどうしようもなくてね」

店主「だから、戻ったんだよ、妖怪にさ」


66 ◆SetoseN//M2014/02/16(日) 17:46:16.77l5kU2q4Vo (7/7)

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

GOKURAKUってなんだろうと調べた結果Google画像検索の優秀さに助けられました、いやぁタイトルは知っていても読んだことは無かったんですよね、あの漫画

体調も良くなりましたし、比較的暇で、プロットも残っているのでもっかい寝込まない限りは早めに来ますね

皆様もテスト期間などの大事な時と熱を重ねてしまわぬよう、お気をつけください

ではでは、またきますね



67以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/03/02(日) 18:29:17.40K/dI425y0 (1/1)

一ヶ月くらい遅れたけど乙
凄いのが復活してきたな・・・
生死が反転して性別も反転して今は女なのか
さらにハーレムでs(略


68 ◆SetoseN//M2014/03/03(月) 20:27:13.72dKjjSm2to (1/7)

今日はきました

長らく落ちていましたね、荒巻さんのことだから復活しないという心配はしていませんでしたが、それでも中々大変だったようで

ではでは、投下していきます


69 ◆SetoseN//M2014/03/03(月) 20:31:07.69dKjjSm2to (2/7)

店主「残念ながら天邪鬼や件には戻れなかった、というか戻る気はなかったけど」

店主「いやぁ、いいところに鵺の種が落ちていたもんだ」

店主「キマイラとか、そういうのでも良かったんだけどね」

男「要は、混ざっている妖怪が良かったわけか」

店主「あとはよくわからないってとこも良かったかな、ほら見た目ってきっぱりとは決まってないだろ?」

男「そう言えばそうだったね」

店主「まぁ、そこら辺に落ちてたというか、鵺が欲しかったから軽く墓荒しのようなことをしてきたんだけどさ」

男「犯罪じゃないか」

店主「犯罪なんて人にしか意味のない言葉だよ」

男「一応人間なんだろ?」

店主「別に戸籍が発生したわけでもあるまいし、そもそもその程度の軽犯罪ならバレないように出来るに決まっているだろう、霊能力者なんだから」

男「霊能力者って便利なんだな」

店主「霊能力者と言うより妖怪の名残って感じだったのかも知れないがな、徐々に弱くなるのは感じていたし」

男「まぁ、強い思いで人間から妖怪へという話はあるのだから、別に人間から妖怪になってもいいとは思うけれど」

男「妖怪から人間になって別の妖怪になるのは聞いたことがないね」

店主「時代が良かった、昔から知られる妖怪ですら消えたままだったりするから良い物を選べた」

店主「有名どころが、普通に封印されたり、埋葬されたりするままでいてくれるんだからなぁ」

店主「そこからは、どれだけ吸収出来るかと言ったところだったよ」

店主「ま、そこの娘ならわかっているとは思うけれど、妖怪自体はほとんど吸収しなかったよ、出来なかったと言っていい」

店主「そもそもそう簡単に混ぜられるものじゃないからね」

店主「元々君に消された時は混ざりモノだった俺だが、妖怪などの伝承伝説は色々なものと混ざって変化してが多いものではあるが」

店主「混ざりやすさというものはあるからな、無理は効かないんだよ、どうしても」



70 ◆SetoseN//M2014/03/03(月) 20:33:41.90dKjjSm2to (3/7)

男「それで、どうやってこの店、不可思議屋を全国、全世界で発生させた?」

店主「あぁ、それは別に俺の直接持つ能力ではなく、この店、というか小屋の効果みたいなもんだな」

店主「どこにでも在って、どこにでも無いというのはこの小屋の特徴なんだ」

店主「まぁ、どうやら今はそこの娘が押さえつけているようだが基本的には俺が管理しているよ」

店主「この店で販売しているマジックアイテム、というか不思議な物もそういう物になる」

男「取り込んだ、ということか?」

店主「そんな大層なことではないが、近いんだろう」

店主「この店の物は基本的には放っておかれたらすぐ無くなってしまうような物だからな」

店主「弱いんだよ、不可思議として」

店主「持っているエネルギーが少なすぎて存在を維持することすら出来ないんだ」

店主「そういうものを集めて、売って」

男「名前を売って、エネルギーを集めている」

店主「あれ、わかってるんだ、相変わらずただの人間のはずなのに面白いね」

店主「まぁまぁその通りで、そのエネルギーで店やアイテム、自分自身を維持しているというわけだ」

店主「そういう意味では非常に無害だから退治しないでくれるとありがたいね」

店主「と言うより、退治するような必要も無いだろう?」

同「ボク? いや、まぁ確かにそうだけど、鵺なんだったら別にそういうことしないでも消えないでしょ」

店主「元人間だしねぇ、鵺が剥がれたとしても実際消えることは無いだろうな、いやいや痛いところを突いてくる」

店主「ただどうしても、マジックアイテムを現代で使うにはこの方法が取りたかったのさ」

店主「都市伝説の流れを組んだマジックアイテムさ、突拍子もない変な効果が期待出来る」

店主「役に立てると思ってね」

初「男くんの?」

店主「君は、幽霊のようだけど俺を知っているみたいだったね、何故だい?」


71 ◆SetoseN//M2014/03/03(月) 20:36:59.97dKjjSm2to (4/7)

男「あー、まぁ変な事情があって、何で知っているかという答えだけなら、初は女なんだよ」

男「女って名前で、思い出せるかな」

店主「あぁあぁ、あの時君が俺を消した原因となったあの子か」

店主「へー、ほんとに見た目が変わるんだね、変わっているのは見た目だけじゃないらしいけど」

男「本当に知ってるんだな」

店主「まぁね」

店主「そうだね、この小屋を手に入れてから世界中移動して回って物集めが捗っているのは揺るぎもない事実だが、移動しても問題が起きないのは俺の能力だな」

店主「鵺以外に必要だったからぬらりひょんも手に入れておいたよ」

店主「はっきりしない繋がりで飲み込みやすかったね、元々の天邪鬼や件はほとんど機能していないし」

店主「ま、それを使って店を移動させても問題が起きなかったり、適当にうろうろしても問題がなかったりするのだから便利だ」

男「まぁ、それで準備が整ったから店を始めたというのもわかったし」

男「本物の不可思議を売っているからこそ、隠れているとはいえ流行っているのはわかった」

男「何で僕を呼んだ?」

店主「それはさっき言ったじゃないか」

店主「ということじゃなくて、別に他の時でも良かったのに何で今かということか」

店主「それはここの国津神様に君が微妙な状況にあると聞いたからなんだけどなぁ」

男「どんだけ僕のことペラペラ喋ってるんだよ、あの神様」

男「いや、僕が直接会ったことある神様ってどっちもそんな感じだけどさぁ」

男「女とのルールも聞いたのだろう?」

店主「そうだな」

男「どうやってそもそも会ったんだ?」

店主「普通に俺が神域内に入り込んだから、バレただけだな」

店主「せっかくだから何かもらおうと思ったのだが、まさか国津神が復活しているとは思わないだろう、消されるかと思ったぞ」

男「もしかしてこの店の物って基本が盗難品か?」

店主「そんなことはないが、そういうところに厄介だから祓ってくれと押し付けられた物品を勝手にもらっていったこと位ならある」

男「退治されても知らないぞ、今度は普通に消えるというのに」

店主「そう簡単にやられる程単純じゃないさ、合成獣の強みは汎用性だ」


72 ◆SetoseN//M2014/03/03(月) 20:39:27.41dKjjSm2to (5/7)

店主「最悪逃げるだけなら今まで集めた物を使えば大抵どうにかなるだろうさ」

店主「そもそもにベースが妖怪だから頑丈で助かる」

店主「人間は脆くて敵わない、鵺になるまで何度か死にかけたぞ」

男「妖怪から人間になるとそんな副作用があるんだね」

店主「件はともかく天邪鬼は肉体的には結構強かったからどうにもな」

店主「ま、おかげで君の情報を聞けたから死にかけた甲斐もあったということだな」

男「死にかけたのか」

店主「あの剣はダメだな、妖怪だったら即死だったんじゃないか」

男「あの剣? あぁ、あの剣は荒神討伐の代物だからね」

店主「触れないわけだ」

男「死にかけたってもしかして自滅だったのか」

店主「あそこの神様は良い奴だね、助けてくれたよ」

男「お前は駄目な奴だな、駄目というか残念というか」

店主「ま、せっかく店を出すことにしたから、見ろよそこの神社の物も売ってるんだ」

男「うわ、ほんとだ、あの神様何考えてんだか」

店主「知名度も上がるし悪いことは無いだろう?」

男「この店が悪名高くなったら悪いことになると思うんだけどね」

店主「ははは、確かに」

男「何で君らってそんな適当なの、と僕が聞けるようなあれでもないか」

店主「常識外の存在だからってのと、基本的に寿命で死なないからってのと、そのせいで長く生きてるからってあたりだろ」

店主「ま、そんなわけでだ、何か君が大変そうだから呼んだんだよ」

男「へぇ、何かしてくれるのかい」

店主「残念ながら俺はこの店からあまり離れられないからボディガードという訳にはいかないが、良い物をあげるよ」


73 ◆SetoseN//M2014/03/03(月) 20:42:56.74dKjjSm2to (6/7)

店主「ま、あげると言うよりは気に入った物があったら貰いに来ていいよ、その為の不可思議屋だ」

店主「ボディガードはそこの吸血鬼にでも頼むといい、そっちの方が向いているだろう、能力的に」

同「そう?」

店主「君のことも聞いていたからね、良い物を用意してきたよ」

店主「今までも何回か助けてくれていたのだろう?」

店主「そのお礼と言っては何だが、君にとっては良い物になるだろう」

同「何これ、針?」

店主「刺してみるといい、死ぬぞ」

同「死ぬの!?」

店主「死んでいる方が強いらしいじゃないか」

同「いや、だからと言って死に続けるのは流石に負担がかかるし、生き返るのも大変なんだけど」

店主「死ぬと言っても仮死みたいなものだし、何より針を抜いたら生き返るぞ?」

同「え?」

男「刺さったら死んで、抜ければ生き返る、その針、グリム童話に出てくる針かな」

店主「知っているかい」

男「時々出てくる死の眠りについたり、死んでたりするけど抜いたら生き返るっていう感じの針だよね」

店主「そうそう、いいだろう?」

男「いいねぇ、そんなのも集められるんだ」

店主「おぉ、そういうのが好きか、今度もっと集めてこよう」

店主「気にすることはない、売り物など放っておけば消える程度のゴミでいいからな」

男「それはどうなんだ」

店主「さしたる金額も取ってないんだから問題は無いさ、何よりこの店に今までクレームをつける奴はいなかった」

男「そりゃ、こういう怪しい店に文句を言うのは都市伝説的にはどう考えても自殺行為だからだと思うけれど」

男「いや、まぁ僕がとやかく言う問題でもないかな」

男「すごいね、この店」

店主「そうだろう?」

店主「いつでも遊びに来るといい、歓迎しよう」

男「そうだね、定期的に寄らせてもらうよ、いつもここにあるのかい?」

店主「ははは、適当に位置は変わるかもな、まぁ見かけたら寄ってくれ、そういう店でいいんだ」


74 ◆SetoseN//M2014/03/03(月) 20:43:52.99dKjjSm2to (7/7)

本日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

いつもの5レススタイルだとどうしても話が進まないので、数日でもっかい投下しますね

ではでは、またきますね


75以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/03/04(火) 19:32:57.58UA+IS7zoo (1/1)

気のせいか随分と友好的になったな
乙!


76以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/03/05(水) 12:21:00.32lkXz0xefO (1/1)

初女さんかわいすぎる

おつおつ


77 ◆SetoseN//M2014/03/07(金) 18:45:27.21msFshP/so (1/7)

今日は来ました

また冷え込みましたね、勘弁して欲しいものです、これでは花見の時期も遅れてしまいそうで心配ですね

ではでは、投下していきます


78 ◆SetoseN//M2014/03/07(金) 18:47:58.37msFshP/so (2/7)

店主「しかし、申し訳ない、純粋に死者を蘇らせる効果を持つ道具は見つからなかった」

男「あー、いや、そこまで気にしてもらわなくていいよ」

初「別に困ってないからね、幽霊と生身の二人に増えれているし」

店主「君らのルールは珍しさで言えばそこらの妖怪なんて目じゃないよ、なんて言ったって永久機関のようなものだからね」

店主「観測者が必要ないというのは、凄まじい長所だ」

男「あれ、そこまで話聞いてたの?」

店主「いや、普通にルールを聞いたらわかるだろう」

男「そういうものかな、まぁいいけれど」

同「ねぇ、この針どの位使えるの?」

店主「グリム童話のものだし、そうそう消え失せはしないと思うが」

店主「簡単に失くしたりしないでくれよ、中々レア物なんだ」

同「貰っていいの?」

店主「俺には必要のないものだ、売り物にだってなりはしない」

同「なると思うんだけどなぁ」

店主「そうかい? じゃあ千円で売ろう、そうだな、それがいい」

同「ほんとにこれ使えるみたいだし、貰っておくね」

店主「まいどあり」

店主「そうだ男、君に渡したいものだが」

男「うん」

店主「普通の魔除け系の物を用意しておいた、あまり良い物がなくてな」

店主「まぁこれから入荷していくから安心してくれ、それに質はそこらで買うより良いだろう」

男「まぁ、そうだね、とは言えそんなにお金はないからそんなに買えないよ」

店主「お金を取るつもりはないよ、この店の役割は情報をバラまくことだからね」

店主「君に会うことだって、それだけで有益なんだよ」

男「あぁ、なるほど」

店主「そういうわけで、こっちとしては売りにくいものもどうしても集めてしまいがちだからな、欲しいものがあったら積極的にもらってくれると嬉しいよ」

男「へー、それは楽しみだね」



79 ◆SetoseN//M2014/03/07(金) 18:49:40.76msFshP/so (3/7)

店主「まともな物は本当に集められなくて心苦しいが」

店主「変な物でも役に立ちそうな物はあるはずさ」

店主「それに、あぁ、いや、そういうのはまたの機会にしようか」

男「何かあるのかな」

店主「まぁ、まだ準備がね」

店主「あぁそうだ、それとここからはただの戯言だから聞き流してもいいが」

店主「この街に、変なモノが入ろうとしている」

店主「近付かぬ様、気をつけよ」

男「予言か?」

店主「ははは、件の力は恥ずかしいことにほとんどなくてね、勘がいい程度だよ」

男「回収したと言っていたね」

店主「君に消されてから、また俺の代わりがどこかに現れられても困るからな、どっちも回収したんだが、どうにもまともに使えないな」

店主「退治されるっていうのは、こういうことなんだろう」

店主「退治されたという情報が妖怪自体についていて、回収出来ても死んでいるようなもんだ」

店主「百年位でこういうのは剥れるから、実は死んでなかった、復活した、などと飄々と人を襲えるようになるが」

男「あぁ、退治された妖怪とかってそうやって復活するんだ」

店主「ま、完全に俺らみたいなのを消すってなら情報ごと消すしか無いだろうな」

男「そういう意味では、本当に不死ではあるんだよね」

店主「生き物ではなく、文化だからな、あんまりまともにやり合わないほうがいいぞ、殺して殺されては割りに合わない」

男「肝に銘じておくよ」

同「雑魚ならボクが普通に殺すけどね」

男「いや、君は普通の人間じゃないからね?」

同「え?」

男「いや、針を刺して抜いてで死んで生き返ってで楽しそうに遊んでた人にそんなこと言う資格は無い」

同「だよね」



80 ◆SetoseN//M2014/03/07(金) 18:53:17.64msFshP/so (4/7)

同「いやでもこれすごいよ?」

同「ほんとに死ぬし、生き返るし」

男「へぇ、それはいいね、僕はゴメンだが」

同「ははは、そりゃそうだね、女さん死んじゃうもんね」

同「でもボクは、これがあれば昼間でも楽になりそう」

男「楽になりそうって、死んでるんだけどね」

男「あぁ、楽になるってそういう意味か」

同「どっちの意味でもいいけど、昼間のボクはダルいからね」

同「半分死体を引きずってるようなものだし」

男「死体でも動ける癖にねぇ」

同「その死体の動きが良くないんだよ」

店主「昼間に平然と徘徊出来る吸血鬼ねぇ」

男「あ、やっぱり普通じゃないよね」

店主「人間が混ざっているから動けるっていうのは、結局ダルいけどというところで折り合いがついている気はするが」

店主「完全に死ねば昼間でも活発に活動可能っていうのは、そうとう強いねぇ」

店主「いやいや、流石に吸血鬼、バンパイア、全世界的に有名な動く死体様だね」

店主「純粋な力で弱点なんて押しきれるのだろう」

男「そもそも弱点が多すぎるから、というのはあるんじゃないかな」

男「弱点の数が多すぎて、結局のところ魔除け全般が効くけれど致命的には至らないという話は聞くし」

男「いつの間にか増えすぎてしまって、致命的な弱点は少ないんじゃないかな」

店主「実際ノスフェラトゥは日光に当たると消えて、日が沈めば再び現れるんだから別に弱点と言ってもダメージを受けるわけではなさそうだしな」

店主「日に焼かれて消えるというイメージは、ノスフェラトゥから吸血鬼、或いは吸血鬼が近年のエンターテイメント性を帯びた物に変化していくあたりで出来たもののようだし」

男「この古めかしい不死者の王には効きが弱いと」

店主「それでも結局は吸血鬼でもあるんだし、その強さは羨ましいね」

同「ボクの目の前で、そんなこと考察しないでよ」

店主「いいじゃないか、減るものでも無いし」


81 ◆SetoseN//M2014/03/07(金) 18:54:46.59msFshP/so (5/7)

店主「そうだ、こっちの幽霊も普通じゃないようだが」

男「あ、わかる?」

店主「俺らみたいにある程度相手が何か判断出来るような化け物なら、わかるだろうな」

店主「妖怪化してるわけじゃないが、似たようなものを感じるね」

男「そういう感じなんだ」

男「まぁ、30人分位の死んだ女と地縛霊になった初が全部まとまってる状態だからさ」

店主「へぇ、それはまた愉快だね」

初「地縛霊の時よりは強いって程度だけどね、地縛霊ってほんと何も出来ないし」

店主「幽霊なんて空気みたいなものだからな、当然だろう」

店主「その空気が集まって、こうしているから面白いのだが」

店主「一人で怨霊位の力はあるだろうし、まぁ祓われたりしないよう気をつけるんだな」

男「本当に、それは気をつけないといけないんだよね」

男「無理やり成仏させられて、全員消えたら洒落にならないよ」

店主「この街にそんなことする奴がいるのかという話だが」

店主「まぁ、相手は人間だけじゃない、ということもある」

店主「君らはただの人間なんだから、あんまり無茶はするんじゃない」

店主「そういうのは、専門家に」

店主「あぁ、そういうのもほとんどいない時代だったか」

店主「全く、いい時代なのだかそうでないのだか」



82 ◆SetoseN//M2014/03/07(金) 18:56:43.50msFshP/so (6/7)

店主「時代の話はいいとして、化け物側の視点から言わせてもらうと、この街は非常に居心地が良いんだ」

男「そうなのかい、既に色々ひしめき合っているようだけれど」

店主「ひしめき合えるのが特異な事例だと知っておくべきだ、他所はスカスカだからな」

店主「だからこそ、新しい不可思議が生まれやすい良い時代ではあるが」

店主「結局はすぐ消えてしまうのだから、何の意味もない」

店主「こういうものはひしめき合っている方が安定していられるんだよ」

男「競争やら競合が起こるのでは?」

店主「それは、他の場所でもエネルギーが同じだけ供給されるということが前提だろう?」

店主「ひしめき合える環境というのは、そもそもに不可思議に寛容な、理解のある人々が集まっている、そういう意味なんだよ」

店主「それを居心地が良いと言っているのだ」

店主「古き良き匂いがするよ」

店主「現代では失われた闇への恐怖、神への信仰、祈り」

店主「良い街じゃないか」

男「へぇ、そういうものなのかな」

男「まぁ、時代の割にはそういうレトロでアナログな物が比較的好まれている気はするけれど」

男「しかし現代の数ある趣味の一つ、という程度の認識だと思うけどね」

店主「それでいいんだよ、その程度でもいいんだ」

店主「忘れないでいてくれれば、知ってさえいてくれれば」

店主「俺らが未だに存在しているってことは、そういう人がまだいるってことだ」

店主「ありがたい限りだよ、だからいい店にしてあげたいね」

男「ふーん、Win-Winの関係みたいな奴かな」

男「いや、普通に持ちつ持たれつとかそういうのでいいのか」

男「まぁ、とりあえずは危険な店ではないから僕ら的には事件性は無かったということでいいかな」

同「うん、それでいいよ」

初「そうみたいだねー」

男「じゃあ、また適当に来てみるよ」

店主「面白いものを揃えておくよ、楽しみにしていてくれ」

男「悪そうな顔で笑うねぇ」

店主「天邪鬼が剥がれたとは言え、また回収したからね、イタズラ好き位は残っているのさ」

男「楽しみにしておくよ」

店主「またのご来店を」



83 ◆SetoseN//M2014/03/07(金) 18:58:29.49msFshP/so (7/7)

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

IDが/で区切られていてその後が小文字だけなので、何だか小綺麗な感じがします
綺麗なIDだと何だか嬉しくなりますよね

ではでは、また来ますね


84以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/03/09(日) 11:38:53.34AGKYiv7vo (1/1)

乙!
久々に強敵くるのかしら


85以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/03/13(木) 07:28:54.715FtbAxfSo (1/1)

乙!
この作品本当に好き


86以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします2014/04/01(火) 12:08:57.33btm3XOoO0 (1/1)

天邪鬼の日ですよ下げ


87 ◆SetoseN//M2014/04/08(火) 23:40:47.61NPS7VSCzo (1/8)

今日は来ました

天邪鬼の日が気付いたら過ぎまくっていました……

ではでは、投下していきます


88 ◆SetoseN//M2014/04/08(火) 23:42:38.75NPS7VSCzo (2/8)

男「ふむ、いい店ではあったね」

初「悪い人ではないのかな?」

男「人じゃないみたいだしねぇ」

男「そういう意味ではなくても、そうだね、悪人ではなさそうだ」

初「あ、お店消えたよ」

同「見た目だけ消えてるってわけじゃなくて、本当に無くなってるね」

同「移動する家っていうのは本当みたい」

男「まだ信じていないのかい」

同「ボクは自分の能力では、人と人外の差しかわからないからさ」

同「自分でわかること以外、そこまですぐには信用出来ないね、人外絡みじゃ特にさ」

男「ふむ、まぁ初対面だし如何に怪しげな相手であることは認めるけれど」

同「うん」

男「すっごい機嫌良さそうに見えるけど」

同「えへへ」

男「その針、そんないいの?」

同「簡単に死ねるよ」

男「それで喜ぶっていうのもねぇ」

同「夜だとしてもボクは実際死なない限り結構な割合で人間が残っちゃうからね」

同「この前妖狐と戦いかけた時も、まぁ十割吸血鬼では実際のとこなかったし」

同「それに、ある程度以上自分で無理矢理人間から外れてからさ、人間に戻すのって死んでた部分生き返らせる必要があるし」

同「それがまたダルいんだよね、というか体調がすごい悪いというかさ」


89 ◆SetoseN//M2014/04/08(火) 23:43:57.92NPS7VSCzo (3/8)

男「まぁ、自然に生死を往復しているけれど、君のそれ何だかんだ死んでるんだからね?」

同「そうなんだよねぇ、不死とは違うよねぇ」

男「死んでいるからもう死なないという方向のものだしね」

同「それでさ、この針だと死んでから戻すのも針抜けばいいだけなんだよ」

男「へー」

同「うっわ、興味なさそう」

同「本気で戦えるんだよ?」

男「いや、僕はそういうバトル物な世界に住んでないからさ」

同「えー」

男「そもそも、君が全力で戦わないといけない敵ってどれくらい強いの?」

同「純粋な殴り合いとかじゃないからねぇ、そういう意味では上下はつけにくいけれど」

同「近頃現れた神社の神様いるじゃない?」

同「あれなら多分ボクじゃ全力出さないとどうしようもないかな」

男「あぁ、神様レベルにならないと敵にはならないのね」

同「やたら強い妖怪あたりでもいい感じだと思うけどね」

同「ボクは結構妖怪慣れしてるからね、相手取るという意味でも、自分がなるという意味でもね」

男「生まれながら半分死人なのは伊達じゃないね」

同「だから、ボクにはいい針だったんだよ」

男「僕も微妙にもらってきたけれどね、グリム童話の針ほどではないけれど」

同「あれ、何かもらってたんだ」


90 ◆SetoseN//M2014/04/08(火) 23:47:04.85NPS7VSCzo (4/8)

男「まぁ、魔除けのアイテムが主だけれど」

男「こういう普通の御札とか十字架とかは君に投げつけておくとして」

同「ちょ、やめてよ、そういうの当たったとこ回復遅いんだから」

男「やっぱり回復遅いんだね、そういうの」

同「それに影とか血で塞いどくのもやりにくくなるし魔除けは効いちゃうよ」

同「この前の銀の箸とかね、ああいうのは痛いねぇ」

同「さっきの店員も言っていたけれど、正しい退治方法っていうのは効くんだよね」

同「吸血鬼って弱点多いし、そういうとこ大変なんだよ」

男「だろうねぇ、前準備さえしっかりすれば結構どうにか出来そうだし」

同「へぇ、やってみる?」

男「試してみるかい?」

同「あーやだやだ、何か男くん殺しても死ななそうだもん」

初「男くん、魔除け以外の物も貰ってたよね?」

男「そうそう、ほら」

同「タバコじゃん、男くん悪だねぇ」

初「悪だねぇ」

男「そんな楽しそうにされてもなぁ」

男「タバコと言えばタバコだけれど、法に触れるようなものじゃないからね?」

初「脱法タバコなんだね」

男「その言い方はやめようか」

同「あれ、そのタバコって」

男「そうそう、妖怪だね」

同「タバコの妖怪なんていたんだ」




91 ◆SetoseN//M2014/04/08(火) 23:48:23.01NPS7VSCzo (5/8)

男「いや、これはタバコの妖怪というわけではなくて」

男「煙羅煙羅っていう妖怪だね」

同「あ、ほんとだエンラエンラシガレットって箱に書いてあるね」

初「シガレットって駄菓子なイメージあるよねー」

男「まぁ駄菓子のイメージなんじゃないかな」

男「見た目もそれっぽいし」

初「ほんとだー」

男「まぁ火はつけないといけないんだけどね、煙羅煙羅って煙の妖怪だから」

同「あぁ、煙の妖怪なんだ、へー」

同「煙の妖怪吸うの!?」

男「君じゃ本当に駄菓子感覚なんだろうけれど」

同「確かにボクじゃ吸ったら食べちゃうだけかもね」

同「でも妖怪吸って大丈夫なの?」

男「んー、説明見ると大丈夫そうだね」

男「何か、アッパー系ではなくてダウナー系な薬っぽいけれど」

男「効果としては無心になれるらしいね」

同「へー」

男「煙羅煙羅はそもそも煙でも眺めるようにぼんやりと無心でないと見れないってのがあるからそこから来てるんだろうね」

初「煙の妖怪って幽霊みたいだね」

男「そうだねぇ、イメージは似ているのかもね」



92 ◆SetoseN//M2014/04/08(火) 23:49:54.31NPS7VSCzo (6/8)

初「私のことも吸ってみる?」

男「いや、そもそも煙羅煙羅も吸いたくないんだけれども」

同「他に何か面白いもの貰ったの?」

男「いや、そんなもらってないよ」

男「君のもらった針が一番愉快だと思うよ」

男「それ、誰に刺しても一時的に殺せるわけだし」

同「確かにね、ボクに刺すだけが使い方じゃないのかも」

初「というか、最後に言っていた、気をつけろっての気になるね」

男「そうだね、十中八九何か来るだろうね」

同「ボクよりも索敵範囲が広い奴だと面倒だなぁ」

男「気になるのは、普通に嫌なもの、つまり妖怪とかの類が来るのか」

男「今の僕らにとって嫌なもの、つまりは退魔師みたいな類が来てしまうことの」

男「どちらかがってことがパッと思いつくところかな」

初「あー、私が問答無用で消されちゃったりするのは嫌だねぇ」

同「ボクより強いのだったりするとキツイなぁ」

男「君って、そういうのにやられるとどうなるの?」

同「普通に人間に戻れ、なさそうだね」

同「半分だけ人間に戻って残り半分は、うん、消えちゃうかな」

男「駄目だねぇ」

同「死んじゃうねぇ」

男「気をつけろって言ったって流石に抽象的過ぎるし難しいなぁ」

同「しばらくはボクも気張るしかないね」

男「それじゃ、また」

同「またねー」

初「じゃあねー」



93 ◆SetoseN//M2014/04/08(火) 23:50:29.54NPS7VSCzo (7/8)

第36話





男「不可思議屋」









94 ◆SetoseN//M2014/04/08(火) 23:52:25.19NPS7VSCzo (8/8)

今回の投下はここまでになります、お疲れ様でした

新年度になりましたね、このスレは変わらない雰囲気でずっとやっていきたいものです

ではでは、次回「男死す」。 出来れば早いうちに


95VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/04/09(水) 02:35:59.44LLvCPavDo (1/1)

おつおつー
いつの間にか前回から一月経ってたのか

遊戯王かな?


96VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/04/09(水) 18:32:15.44k2Y2fK2co (1/1)

乙!
死んだ状態になれるってことはルールが機能してたら面白いことになるな


97VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/04/19(土) 23:18:03.670cvzM2pm0 (1/1)

おいまてなぜ誰も次回タイトルに突っ込まない


98VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/05/05(月) 09:58:53.88Kr/vdr9v0 (1/1)

そりゃ同が貰った針があるし


99VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/05/05(月) 11:48:21.01o8+r/FHy0 (1/1)

そのうちに「運命に抗い続けた男『男』」とかしそうだな……


100 ◆SetoseN//M2014/05/09(金) 13:48:19.29xZZ46VWLo (1/9)

今日は来ました

では、投下していきます


101 ◆SetoseN//M2014/05/09(金) 13:54:37.08xZZ46VWLo (2/9)

初「それどこに持ってくの?」

男「んー、行くとこの目星はつけてあったけれど、説明はしにくいなぁ」

初「そっか、まぁついていくから関係ないね」

男「関係ないねぇ」

男「流石にこの子捕まえっぱなしってわけにもいかないから、どうにかしようって話さ」

初「そういえばそうだね、どっかで殺すの?」

男「害虫感覚で捕まえたわけじゃないんだけれども」

初「え、でもそれクモの巣でしょ?」

男「確かにドリームキャッチャーは蜘蛛の巣型をしているけどさ」

初「クモの巣ってそう言えば別に虫だけが引っ掛かるわけじゃないもんね」

男「そう言えばそうだねぇ、大きさがあっていれば別に虫じゃなかろうが引っかかってしまうだろうね」

初「それで、ドリームキャッチャーって何?」

男「えぇ、それ今聞くの?」

男「昨日飾ってる時に聞けばよかったのに」

初「インテリアなのかなって」

男「いや、別にあってもいいとは思うけどさ」

男「でも僕の部屋こういう雰囲気ではないとは思うのだけれど」

男「というか、ドリームキャッチャーはそもそもに飾りみたいなものなんだよね」


102 ◆SetoseN//M2014/05/09(金) 13:55:07.39xZZ46VWLo (3/9)

初「そうなんだ」

男「そうそう、悪夢を見なくなるみたいな物だね」

男「悪夢を捕まえたり、悪夢は通り抜けられなかったり色々あるけれど」

男「近頃夢見があまり良くなかったから、せっかくだし飾ってみたんだよね」

初「男くん基本的に夢見が悪く無い?」

男「そう言われるとそんな気もしてくるね」

初「ってことはこれは悪夢なの?」

男「そう見える?」

初「妖精っぽい?」

男「やっぱり妖精だよねぇ、これ」

男「妖精が悪夢を見せるってこともあるらしいからそれが捕まっちゃったと思うんだけど」

初「それで何で瓶詰めにしてるの?」

男「逃げられても困るからね」

初「へー、まぁ潰すならわざわざ持ち歩かないかー」

男「人間じゃなくなると人間以外に厳しくなるの?」

初「人間じゃないと死ぬのに慣れるからじゃない?」

男「あー、わからなくはないね」

初「もう30回は死んだからね、流石に慣れもするね」

男「僕は大体それ見てたからね」


103 ◆SetoseN//M2014/05/09(金) 13:56:04.18xZZ46VWLo (4/9)

男「あれ?」

初「どうしたの?」

男「今の見た?」

初「え、何を?」

男「今すれ違った人の腕何か、人の顔みたいなの付いてたように見えたけれど」

男「一瞬でわからなかったな、ちょっと見てきてよ」

初「りょうかーい、何かあれば止めておくね」

男「うん、頼むね」

男「にしても、何で腕に出来てるのに服で隠さないんだろう」

男「さっき出来たか、気づいていないか」

男「人面瘡だとして、気づかないことがあるのかわからないな」

男「おっと、僕も追いかけないとな」



104 ◆SetoseN//M2014/05/09(金) 13:56:54.38xZZ46VWLo (5/9)

初「捕まえたよー」

男「いや、引きずってこないでもいいんだけれど」

男「何か悪いね、無理矢理引きずってきちゃって」

男「だんまりかな、まぁいいけどさ」

男「その腕についてるのが気になってね」

男性「何だよ、お前」

男「いや、別に僕がそれつけたわけじゃないんだけれど、んー、ちょっと見えるようになってよ」

初「はいはーい」

男「この子、幽霊なんだけれど、それと僕は仲が良くてね」

男「そういうのが存在することは知っているというか、何というか」

男「助けられないかなと声をかけようと思ったんだけれど」

男性「引っ張られたのは、君だったのか」

初「そうそう、走ってたから男くん追いつくの大変かなって」

男「確かにそこで足止めしてくれたのはありがたいけれど、印象最悪じゃないか」

男「どうするんだよ、この空気」

男性「いや、別に悪意があったわけじゃないならいいんだ」

男「悪いね、まぁお互いとっとと本題に入りたい所だよね」



105 ◆SetoseN//M2014/05/09(金) 13:58:07.62xZZ46VWLo (6/9)

男「その腕についているの人面瘡かな」

男性「俺に聞かれても、わからないが」

男「見えてはいる、でも隠していないということは」

男「それ、いつ出来たかわかるかな」

男性「さっき、突風に吹かれた時に出来た、気がする」

男「突風、か」

男「んー、難しいね」

男「吹かれた場所は覚えてる?」

男性「あぁ、あっちの町外れの方だ」

男「あー、あっちの川の方かな」

男「まぁ、原因は後回しでいいかな」

男「とりあえずそれ、治したいよね?」

男性「あぁ、当たり前だ」

男「そっか、じゃあ治し方はそれが人面瘡だとするならば三通り位は思いつくかな」

男「一つ目は僕が治す、残念ながら貝母の持ち合わせはないからこれはおすすめ出来ないね」

男「自分で薬局などで手に入れてもいいけれど、そもそも普通の人面瘡なのか疑問が残るしどちらにせよあまりおすすめはできなさそうだ」

男「二つ目は、まぁそういうのを殺せる知り合いがいるから人面瘡を殺してもらうってことかな、これはまだマシだけれど」

男「三つ目は、あっちの山の神社に行って祓ってもらう」

男「あそこはその程度なら確実に祓えるだろうし、予め僕が連絡しておくからちゃんと対応してくれるだろう」

男「どれがいい?」



106 ◆SetoseN//M2014/05/09(金) 13:58:34.53xZZ46VWLo (7/9)

男性「三つ目がいいんだろ?」

男「うん、それがいいと思うよ」

男「あと、それもう少ししたら、喋り出したり物を食べるようになったりといよいよもって化け物地味てくると思うけど」

男「その前に神社についておくことを勧めるよ」

男「まぁ結局聞くも聞かないも自分次第という話だけれど」

男性「あ、あぁ、わかった、助かるよ」

男「一応神社の方には連絡しておくから、お大事に」

男性「あぁ、わかった」



初「走って行ったねぇ」

男「君のおかげで、どう考えても怖がられていたからね」

男「まぁ、こういう状況でいきなり話しかけられたら、嫌だよねぇ」

初「それで、どうするの?」

男「まぁ、そこの神様にメールしとくよ、よくわからないけど大丈夫だろう」

初「投げっぱなしだねぇ」

男「まぁ、問題はいきなり出来たことかなぁ」

初「風に当たったら、だっけ?」

男「変な風、ねぇ」

初「心当たりはあるの?」


107 ◆SetoseN//M2014/05/09(金) 13:59:16.11xZZ46VWLo (8/9)

第37話





男「精霊風」









108 ◆SetoseN//M2014/05/09(金) 14:00:43.90xZZ46VWLo (9/9)

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

一応、精霊風はしょうろうかぜと読みます

そして次回予告で適当にやってみたものの、特に死ぬ予定は立っておらず、まぁそんなこともあるよね

ではでは、またきますね


109VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/05/09(金) 14:40:02.458m9Oc9p+o (1/1)

おつおつー


110VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/05/11(日) 11:07:40.54UMBgLUhRo (1/1)

乙!
なんか今回はとても唐突な始まり方だった気がしないでもない
風ということはパンツがいよいよ登場したりしなかったりするのかな


111VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/05/15(木) 14:49:35.93i7bniJSh0 (1/1)

乙です
無心になれるのは一部のシチュエーションでは便利そう。
病院のあれとかそういうやつ


112VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/06/07(土) 22:00:32.75g93dOKZR0 (1/1)

精霊風の名前は学校の怪談編で出たな
で男が捕まえた妖精ってのは喋らないタイプか


113 ◆SetoseN//M2014/06/09(月) 23:35:31.44vOT8TywOo (1/1)

あー、毎度毎度すいません、水曜日あたりに投下します


114VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/06/09(月) 23:42:36.62lDJaXyQi0 (1/1)

待ってるよ~


115VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/06/10(火) 00:36:16.02PJX74SM90 (1/1)

一月リミットの直前にコメントするようにしてるから
気にせず構想を練って下さいな


116 ◆SetoseN//M2014/06/12(木) 03:30:41.19kMKpkQ27o (1/7)

今日は来ました

ではでは、投下していきます


117 ◆SetoseN//M2014/06/12(木) 03:32:17.40kMKpkQ27o (2/7)

初「鐘楼風って、何か光ってそうな名前だねぇ」

男「うん、それは多分漢字の当て方を間違っているしそもそもに光るのは鐘楼ではなくて灯籠だと思うよ」

初「あぁ、そっか」

男「しょうりょうっていうのと同じ漢字なんだけどわかるかな、精霊流しとか」

男「せいれいって言う方がわかりやすいかな」

初「うん、わかったわかった、精霊ね」

初「なんでそれでしょうろうって読むの?」

男「いや、僕に聞かれても」

男「しょうりょうが鈍ったとか派生したとかそんな感じでいいんじゃないかな、しっかりとした由来があった場合あれだけれども」

初「それで、精霊風ってどういうものなの?」

男「いや、せいれいかぜではないというか、せいれいって読んじゃうとこの言葉って意味が変わっちゃうんだよね」

初「そうなの?」

男「せいれいって読むとアニミズムとか西洋の神秘主義あたりの精霊になってしまってありがたいものだったりするのだけれど、しょうろうって読む場合はまぁしょうりょうって読む場合もだから読みの差は本当によくわからないのだけれども」

男「しょうろうと読む場合は仏教的な意味合いがあって、死者の霊を指すんだよね」

男「つまり死者の霊の風みたいな意味だから」

初「不吉ってこと?」

男「そうそう、まぁ魔風っていう考え方は日本にはあってさ」



118 ◆SetoseN//M2014/06/12(木) 03:35:28.01kMKpkQ27o (3/7)

男「つまりは局地風が魔風だと考えられてたりしたのだけれど」

男「そこでしか吹かない変な風なわけだよ、局地風っていうのはさ」

初「局地ってつくんだものねぇ」

男「それでいて、吹く季節も決まっていてさ」

男「まぁ天候や地形のことなんてよくわかっていなかった時代だから、何かの力が働いていると考えられたわけだ」

男「大抵局地風なんてその地特有のものでさ、吹かないに越したことはないものが多くてね、当然イメージは悪くて魔風なんて呼ばれるわけで」

男「そういう変な風に吹かれると体調を崩すみたいな、民間信仰が生まれてきたわけだね」

男「理屈付けようとするなら、実際はたまたまである可能性も高いけど、そういう局地風の吹く季節は体調を崩しやすいとかで、局地風自体が体にいいわけないからみたいなものはあるとは思うけれど」

男「まぁ、風の妖怪というよりは風を起こす妖怪みたいなのは天狗とかが有名だけれど」

男「あれも山の独特な気象現象や平地に比べて変わりやすい天候なりの説明付けだったりするのだろうし、自然というのが根本にある妖怪は結構いるよね」

初「それで、風でどうして人面瘡が出来たの?」

男「精霊風ってのは盆に吹く風で死者の霊を乗せてるんだよね、だからそれに当たると取り憑かれるみたいな感じじゃないかな」

男「というのが、一応考えられる話ではあるけれど」

男「そもそも精霊風って確か盆の初めに吹く風だし、それにここって精霊風が吹くような場所なのかも疑問があるわけでさ」



119 ◆SetoseN//M2014/06/12(木) 03:38:18.69kMKpkQ27o (4/7)

男「それこそ、たまたま突風に吹かれたタイミングで発現しただけの可能性もあるよね」

男「風とは別の何かが悪さをした正体で、それが風を起こしていたとかも考えられるし」

男「生前の行いが悪いとか、人を殺したとかパターンは考えられるけどね」

男「人面瘡って確か人殺したりすると出て来た気もするし」

初「へぇ、それなら男くんにも私がたくさん出てくるね」

男「それを言われると痛いけれど、君は特に恨んでないだろう?」

初「うん」

男「じゃあ出て来ないだろうね」

男「あとは不可思議屋が配ったヘンテコアイテムのせいということも考えられなくはないけど」

男「そこに関しては情報不足だからどうとも言えないし、というかあの店が何が出て来ても驚けないという変なとこなのが悪いね、考えるだけ無駄な所が厄介極まりない」

初「男くん色々もらってたもんね」

男「ドリームキャッチャーしかりね、実際にちゃんとした魔除けも置くくらいだし憑き物みたいな悪いものは販売しないと思いたいけれど」

男「ま、不可思議屋が犯人だった場合は大事になる前に自分でどうにかするだろうから、放っておいていいだろうけどさ」

男「僕ら何かよりよっぽど有能なわけだし」

初「有能っていうか霊能?」

男「有能な霊能だねぇ、本物だよね、元妖怪で現妖怪な不可解で不可思議な人間だよ彼女は」



120 ◆SetoseN//M2014/06/12(木) 03:39:18.51kMKpkQ27o (5/7)

男「とりあえずというか国津神に直接連絡しておいたからさして心配はいらないかな、さっきの人に関しては」

初「何か引っ掛かる言い方だね」

男「精霊風の方が実在した場合、問題だよね」

初「ほっとけばいいんじゃない?」

男「季節限定だしそれでいい気もするけれど、どこで吹くのか特定はしておきたいかな」

初「どうして?」

男「この街全体、或いは割り広範囲でランダムに吹いたりする風だったりすると何か嫌じゃない?」

初「間違いなく男くんは直撃するね」

男「そこは間違って欲しいけどなぁ」

初「まぁ、私が生きてる時にそういう風には当たってね?」

男「生きてる時でも勘弁して欲しいものだけどね」

男「しかし、僕が直接被害を受ける受けないは別として、実在するのがわかってしまったら、無視はしにくいよね」

初「最悪人が死んだりするわけだもんね」

男「最悪即死だと思うからよ、精霊風なら」

初「そうなんだ」

男「まぁ、季節風が吹く季節に体調を崩してそのまま、みたいなことは昔は結構あっただろうし」

男「いや、そうか」

初「どうしたの?」



121 ◆SetoseN//M2014/06/12(木) 03:42:20.39kMKpkQ27o (6/7)

男「いやさ、精霊風が普通に昔の栄養状態やら医学知識やらのせいで亡くなってしまった事例を季節風に結び付けたものだとすればさ」

初「うん」

男「現代なら普通に治ってしまう病にかかるだけで、病院に行って薬を貰えば治っちゃうのかなってさ」

初「あー、そういうのありそうだね」

男「まぁ、それだと人面瘡の説明がつかないけれど」

男「いや、人面瘡も象皮病とかで一応病気だという説明がついて」

男「確かそれも現代の日本では根絶されたような病気だから、発症していたら異常な位レアだけれども」

男「そもそもいきなり人面瘡のように見える腫れ物が沸いて出て来たなんて、病気の域じゃないし精神を疑われるんだろうね」

初「そこら辺が妖怪じみてるとこだよね、過程を無視出来ちゃうというか」

男「無視で思い出したけど、君の中で流行っているのならそれは僕がどうこう言うことではないけどさ、僕の周りをふよふよと衛星のように回り続けるのはやめたほうがいいよ」

初「目が回る?」

男「いや、横になって足パタパタさせてるのが悪いんだけれども、スカートの中身が危ないかなぁって」

初「男くんには顔しか見せてないし、他の人は私のことが見えないんだからいいじゃない」

男「はしたないから、家の中だけにしときなさいという話ではなくてさ」

初「うん」

男「何というかあれだよね、世の中にはカーブミラーなんて物は無かったよね」

初「うん?」














男「僕が悪かったからさ、無言で蹴っ飛ばすのはやめてくれないかい?」



122 ◆SetoseN//M2014/06/12(木) 03:46:27.25kMKpkQ27o (7/7)

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

まぁ引きが引きなので次はさっさと書けると思います

毎度毎度皆さんの書き込みには助けられています、無ければこのスレはとっくに無くなっている位には

しっかりと読んでくれているのがわかる書き込みが多いですし、非常にありがたい限りです

内容に触れている書き込みが多いのでイマイチ返事の仕方がわからなく、反応していない様になっていますが大事に読ませていただいています

というかもはや地味に話の流れに自体に干渉していたりいます、パンツとかパンツとかパンツとか

ではでは、またきますね


123VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/06/12(木) 16:48:44.53V+THxGqHO (1/1)

乙ー
やっぱりパンツじゃないか(歓喜)


124VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/06/12(木) 18:45:34.66mTencZB/0 (1/1)

今の女が赤い靴を履けば天地無用壁貫通で最強状態になるのかw

靴どころかパn(この先は血塗られていて読めなくなっている


125VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/06/12(木) 19:20:31.71uP4eI+V6o (1/1)

久々のパンツ乙!
だが色がわからないのが悔しい
パンツのコメントしかねぇな!


126VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/06/21(土) 23:15:12.74yMTKOQCL0 (1/1)

乙~
久々の投稿で久々のパンツ・・・!(歓喜


127VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/06/22(日) 21:19:25.37iQedZrjJ0 (1/1)

初女さんのパンツ…ゴクリ


128VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/07/08(火) 10:04:13.37YMlQrFDp0 (1/1)

町に精霊風が吹く→神社で治してもらう人多数→神社(神様)の知名度が上がる
・・・マッチポンプだったりしないよな?


129 ◆SetoseN//M2014/07/10(木) 22:32:54.27fxjng2bCO (1/7)

今日は来ました

パソコンさんがそろそろ寿命ですね、時々電源が落ちますし買い換え時でしょう

では投下していきます


130 ◆SetoseN//M2014/07/10(木) 22:34:44.38fxjng2bCO (2/7)

同「何真っ昼間からいちゃついているのさ」

男「これがいちゃついてるように見え、ちょいそれはズルいって」

初「男くんのガードはすり抜けて、男くんの頭を蹴っ飛ばしてるだけだけど?」

男「だからそのすり抜けるのはズルなんだって」

同「普通に掴んじゃえば良くないのそれ」

男「僕に君みたいな便利さを求めないでくれよ」

同「でも初ちゃんって男くんに取り憑いてる幽霊なんだしどうにかなりそうだけどねぇ」

男「成る程、確かに今のこの幽霊の多層構造は僕らのルールに依存しているわけだし」

初「いや、無理でしょ」

男「出来そうじゃないかなぁ」

初「え? なんですり抜け無いの?」

男「なるほど、女が死んでから消えるまでの時間を伸ばすのと同じ感覚だと触れるのか」

初「え、いや離してよ、ちょっと、ねぇ」

男「おっとと、流石に上昇されるのは困るね、落ちたら怪我しちゃうし」

同「いや、軽く二メートルは浮いてたでしょ今」

男「意外に力あるね」

初「別に浮いてるのは体力じゃないからね、元々浮いてるだけだからね?」


131 ◆SetoseN//M2014/07/10(木) 22:37:06.84fxjng2bCO (3/7)

初「まぁ一人位なら触らなくても浮かばせられると思うけど」

初「でも疲れるからやらないよ?」

男「うん、今浮かされても困るからね」

男「誰かに見られたらめんどくさそうだし」

同「一応、ボクがどうにかするよ?」

男「暴力的解決はやめようよ、というか人払い位のアイテムは持ってるから用意する時間さえくれれば大丈夫だったりするんだけれど」

同「へぇ、そんなの持ってるんだ、って男くん何持ってんのそれ」

男「これ?」

同「何入ってのその瓶、うーん、妖精?」

男「そうそう、捕まえたから逃がしに行こうとね」

同「へー、ちょっと見せてよ」

男「え、いいけれど君にこのビンは」

同「うぐぅ」

男「あ、大丈夫?」

同「よ、余裕に決まってるじゃん」

男「声震えてるけど、というか触った右手は駄目だったでしょ」

同「右手のどこがダメなの?」

男「あれ、ビンに触れて消し飛んだように見えたけど、もう生えたんだ」


132 ◆SetoseN//M2014/07/10(木) 22:38:30.90fxjng2bCO (4/7)

同「生えたんじゃなくてハリボテだけどね、というか焼き消えたのは指先だけだし」

初「わー、痛そー」

男「何かが焼けるみたいな音したよ?」

同「表面だけそれっぽくしたからちょっとすれば元通りになるけどさぁ」

同「その瓶どんなもんなのさ」

男「対お化け用の鈍器だよ」

同「確かにそれで殴れば大抵の妖怪は大ダメージだけど」

男「まぁこれは虫かごの妖怪用みたいなものだよ、中にしまったものが逃げないようにって作ってもらったんだよ」

同「誰に?」

男「そこの神様だよ」

同「あー、あそこの神社の」

同「って神様に作ってもらったの?」

男「何か頼んだら作ってくれたよ」

男「瓶に祈祷して力を込めたらしいけどさ、別にそんな強いものを仕舞うつもりじゃないのに」

男「張り切っちゃって何か徹夜で頑張ったらしいよ」

同「どうりでボクの指が消し飛んだわけだ」


133 ◆SetoseN//M2014/07/10(木) 22:39:54.80fxjng2bCO (5/7)

同「その瓶あんま近付けないでよ、何か痛い気がする」

男「本当? ちょっとずつ力が発散しちゃってるのかな」

男「確かにしばらくしたら普通の物に戻るって言ってたし」

男「そういうものなのかな」

同「それで、どこに持っていくつもりなの?」

同「神社ならこっちじゃないし」

男「妖精を返すなら、妖精の棲む所かなぁってね」

同「そんなとこあるの?」

男「フェアリーリング」

同「フェアリーリング?」

男「何て言えばいいのかな、菌輪とか一応言うのだけれど」

男「簡単に言うならきのこだね」

同「きのこが円上に生えてるの?」

男「そうだね、円上にきのこが生えてれば基本的にはそういうけれど」

男「きのこって地上に生えてる部分というよりは地下の根っこみたいな菌が本体なんだよ」

男「それで、菌だからまぁ色々と植物とは好む環境が違ったりしてさ」

男「そこだけ植物が生えないってのもあるんだよね、菌が何かしら悪さをしててさ」


134 ◆SetoseN//M2014/07/10(木) 22:41:05.86fxjng2bCO (6/7)

同「他の菌の繁殖防ごうとする菌、みたいな ものなのかな、何かあるよね確か」

男「まぁ、それで菌が偶々円上に、輪っかの ように広がるとそこだけ植物が生えてない円 が出来るんだよね」

同「それをフェアリーリングって言うの?」

男「妖精の輪とか蛙の腰かけ、魔女の輪にド ラゴンの休息所でもいいけれど、逆にそこだ け成長が良かったりみたいなパターンもあっ たかな」

男「フェアリーリングは妖精が踊って草を踏 んだ跡とか、異世界や過去、未来への入り口 とか、妖精の国への入り口だとか魔女の集会 した跡だとか色々あるけど」

男「まぁ、イメージはよくないね、若い女が 触ると肌が荒れるとかいうのもあった気もす るし」

同「ふーん、でどこにあるの?」

男「あっちの雑木林抜けたあたりに草原とい うか何か芝生みたいなのあるんだよね」

同「あー、あっちね」

男「まぁ、そこまで行けば送り返せないか なぁと言う話なのだけれども」

男「あれ、何?」

初「うわ、何か空気が黒いね、煙って色でも 動きでもないけど」

同「え、そんな変なの近くにはいないって、 成る程ボクの範囲外だねあの距離は」

男「何かこっち来てない?」

同「多分、来てるね」

男「離れようか」

同「そうだね」


135 ◆SetoseN//M2014/07/10(木) 22:41:58.73fxjng2bCO (7/7)

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

ではでは、また来ますね


136VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/07/10(木) 23:07:28.55iRpuNbK0o (1/1)

パンツは何色だったんですか!
神様は相変わらずツンデレ



137VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/07/10(木) 23:22:28.14wgcJNKhc0 (1/1)

乙~


138VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/07/11(金) 00:07:24.00jotQCti20 (1/1)


PCは熱が原因なら掃除するとマシになるかも


139VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/07/12(土) 13:20:57.35+sFk/HRTO (1/1)

おつおつー


140VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/08/03(日) 22:31:42.30t1s5gNTP0 (1/1)

そろそろ来る頃かな?


141 ◆SetoseN//M2014/08/08(金) 11:13:00.051+MXHPR+o (1/7)

今日は来ました

台風の季節ですね、外出しにくくなってしまうので予定が変わって面倒ですね

ではでは、投下していきます


142 ◆SetoseN//M2014/08/08(金) 11:14:28.551+MXHPR+o (2/7)

同「男くん?」

男「何かな?」

同「あれ、そろそろボクの範囲内に入っちゃうんだけどさ、どうにかならない?」

男「いや、僕にどうにか出来るなら走ってないよ」

同「だよねぇ」

男「これ、道なり真っ直ぐに来られてるのかな」

同「でも、今更横にいってどうにかなる大きさじゃなく見えるけど」

男「いや、それでも横に行こうか、聞こてえる?」

初「あぁ、大丈夫、上にいって見てきたけど上にも大きいね、山ほどじゃないけどそこらの建物の大きさじゃ越えられないと思う」

男「上に逃げるのも無理と」

初「どうするの?」

男「いや、ほんとどうしようか、あれ」

同「雪崩とかに巻き込まれるのってこういう気持ちなのかもね」

同「まぁ、あれは雪崩じゃないし自然物じゃないから」

同「ボクがどうにかするしかないか」

同「というか、わざわざ道から外れたのって人目を避けるためでしょ?」

男「うん、それもあるね」

男「本当は、道以外は通れないとか、曲がれないとかの可能性も考えたんだけどね」


143 ◆SetoseN//M2014/08/08(金) 11:15:58.961+MXHPR+o (3/7)

同「うーん、どっちもダメそうだね」

男「あれ、もしかしてこっち向かって来てる?」

同「来てるし、あれ何なの? 強いというかやばいって感じなんだけど」

同「前に男君には思いっきり見られたし、今更か」

男「あぁ、あれやるんだ」

同「うん」

男「おー、やっぱり影を纏ってるんだね」

同「ウン、血ヲ動カスノト同ジ様ナ感ジダネ」

男「その声、威嚇とかじゃなくて素なんだ」

男「んじゃ、僕らは離れてようか」

初「そうだね」

男「うーん、君が生きてる時ならねぇ」

初「私が生きてればねぇ、ワープで逃げるかもしれなかったけど」

男「それでも微妙だね」

初「そうだねぇ」

男「あ、あれを直越ぶん殴るつもりなんだ」

初「あれって殴れるの?」

男「僕には殴れなくても、彼女なら殴れるんじゃない?」

初「確かに」



144 ◆SetoseN//M2014/08/08(金) 11:17:04.801+MXHPR+o (4/7)

男「あ、ぶっ飛ばされたね」

初「どうするの?」

男「いやぁ、僕にはどうしようもないよねぇ」






初「男くん!?」

同「ウゥラァァァア!」




同「ごめん、一回やられちゃった、大丈夫?」

男「あー、うん、女が引っ張ってくれたから大丈夫だった、かなぁ?」

初「大丈夫な訳ないでしょ、その腕!」

男「ダメだけど、その前にあの黒いのは?」

同「何か男君にぶつかって動きが止まってたからぶん殴ったら消えちゃった」

同「とりあえず芯に当てたし、重さがあるようなものじゃなかったからそこらの山までぶっ飛んだと思うけど」

同「倒せてはないから散ったとか、引いたとかそんな程度だから多分また出てくるよ」

男「とりあえず今は大丈夫そうかな、その間にこの腕どうにか出来たりする?」

同「何、それ」

男「僕にもさっぱり、痛いのは断面だけだから多分腕の先の方はもう駄目だろうね」

同「さっきの黒いのに取り憑かれた? 呪いの類?」

同「どっちにしろ、食べちゃえばこんなもの」



145 ◆SetoseN//M2014/08/08(金) 11:18:33.261+MXHPR+o (5/7)

同「うえぇぇぇ」

同「うぅぅぅ、でも、でも……」

男「いや、食べれないなら無理しないでいいよ、というか君が吐くなんてねぇ」

男「というか君の左腕にもそれ、ついてない?」

同「え?」

同「あ、ホントだ、ぶっ飛ばされた時についたかな」

同「うーん」

男「何を悩んでいるのかな」

同「いや、ボクが食べれないものってのはまぁそりゃあるんだけどさ」

同「大抵は聖なるものみたいな退魔の類なはずだし、これはなんだろうって」

同「悩んでる場合じゃないね、えい」

男「わぁ」

同「腕ごと無くしちゃえば、大丈夫そうだね」

同「この腕は、まぁボクの腕だしそこらに捨てとけば消えるけど大丈夫かなぁ」

男「繋がってなければ、進んでこないのか」

同「みたいだね」

男「君って、呪いの類も食べれるの?」

同「え?」

男「純粋な怨嗟とかによる怨念みたいなのとか」

男「そういう所謂悪いもの、の塊みたいなのは?」

同「多分、人間由来なら大抵食べれるはず、うん」

同「呪術の類も大抵は、ボクはエネルギーを食べるから、大丈夫なはず」

男「つまり、エネルギーの種類がそもそもに違うタイプは苦手ってことか」

同「そんなのそうそう無いはずだけど、無いとは言えないね」

同「呪いを行使するものじゃなくて、呪い自体がエネルギーというかそういう感じがしたよ」

男「それ、神格あるレベルじゃない?」

同「ボクもそう思う」

男「まぁ、グズグズもしてられないし僕の腕もちぎってくれよ」

同「はい?」



146 ◆SetoseN//M2014/08/08(金) 11:19:46.921+MXHPR+o (6/7)

同「いや、ボクはほら、もう外面的には治ってきてるし、完治も近いよ?」

同「今は人間の割合が2割程度だし、正直痛いってこともあんまないしさ」

同「でも、ボクのそれは他人を治すことは」

男「知ってるよ」

男「君が眷属を作るタイプの吸血鬼じゃないことも知ってる」

同「それじゃあ」

男「怪我ならどうにか出来る当てがあるんだよ」

男「妖精も何とか無事だし、急がないと」

同「うわ、割れかけてるじゃん」

男「多分怯んだってのは、これに反応したんじゃないかな」

同「なるほど、それなかったら男君死んでたかもね」

男「あっても死にかけてるけどさ」

男「まぁ、怪我なら死なない当てはあるから、肘から先あたりやっちゃってよ」

同「えぇ、ボクじゃないとダメ?」

男「いや、普通の人間には千切れないからね?」

初「じゃあ私がやるね」

男「え?」

男「ぐぁぁ、あぁぁ」

初「大丈夫?」

同「大丈夫なわけないでしょ、しかし綺麗に千切ったね」

同「便利だねぇ、念動力」

初「あれ、血が止まった、何かやったの?」

同「え、ボク何もしてないけど」

男「Dr.ストップの進行停止パッチ」

男「不可思議屋の面白アイテム」

男「怪我と病気の類なら進行を完全に止めることが出来るものだね」

同「すごいけど、どれくらい止まってるの?」

男「30分」

同「それ、いくつあるの?」

男「一品物だけど」

同「大丈夫じゃなくない!?」

男「だから、急がないとねぇ」



147 ◆SetoseN//M2014/08/08(金) 11:21:06.641+MXHPR+o (7/7)

今回の投下はここまでになります、お疲れ様でした

一周回って作内季節とリアルの季節が重なってますね、正確には3周くらいしていますが

ではでは、またきますね


148VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/08/08(金) 11:38:57.47WbiwVVpqo (1/1)


いきなり千切られる身にもなってくださいよ!


149VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/08/21(木) 10:56:29.62p9FvL/RR0 (1/1)




150VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/08/24(日) 09:16:39.04B7fBRhZRo (1/1)

世間では新世代の妖怪ブームが凄いね


151 ◆SetoseN//M2014/09/07(日) 10:33:20.959CWU56WIo (1/1)

数日内に投下に来ます、すいません


152VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/09/13(土) 23:14:03.84LnmqpZT90 (1/1)

生存報告があれば十分だぜ


153VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/09/23(火) 03:55:02.98RmVbUGO20 (1/1)

大丈夫、待てる。


154 ◆SetoseN//M2014/09/27(土) 16:51:15.82eUkyQm8ko (1/7)

お久しぶりです

これからはちょいちょいペースを上げていく予定ですのでお付き合い頂ければ幸いです

ではでは、投下していきます


155 ◆SetoseN//M2014/09/27(土) 16:52:07.11eUkyQm8ko (2/7)

初「それ、痛くないの?」

男「え、君が聞くの?」

男「今は痛くもないね、止まっているわけだし」

男「というか思ったより歩きにくいな、血も結構出ちゃったし重心のせいだとは思いたいけれど」

初「私が引っ張っていくからいいよ」

男「そうかい? 実際左手ではこっちちゃんと持っていたいし助かるよ」

初「ビン、割れかけてるね」

男「中身が出てないから大丈夫みたいだけれど、こっちもあんまもちそうにないよね」

男「というか、君は何しているの?」

同「んう?」

男「いや、僕の腕食べてるのはわかるから別に説明しなくてもいいけれども」

同「捨てとくわけにもいかないでしょ?」

男「実際そうだけれども、それ食べられるの?」

同「んー、何かボクの腕もそうだけど千切ったら何か黒いの消えたし大丈夫っぽい」

同「あーでも何とか食べれる程度かなぁ、放っといてもすぐ消えるのかも」

同「うん、美味しくない」

男「うん、まぁいいけどさ、どうせそれ処分しないといけないだろうし」

同「というか、男くん生きてる?」

男「え?」

同「何か人間っぽくないっていうか、何だろ、ボクらっぽくも別にないんだけど」



156 ◆SetoseN//M2014/09/27(土) 16:52:49.17eUkyQm8ko (3/7)

男「これ貼ってるからかな」

同「そのシール貼るとどうなるの?」

男「対象の怪我や病気の進行を止めるだけらしいけれど」

同「多分それのせいだけど、何か死んでるっぽいんだよね」

同「死んでるというか生きていないみたいな感じだけど」

同「ボクが感知してるのって多分生命力っていうよりは、ボクらに必要なエネルギーみたいだし」

男「君は妖怪とかも感知するしね、つまり生命力じゃなくてエネルギーですら食べれるみたいだけど」

男「そうするとなるほど、僕は今エネルギーが外に出るのが止まっているわけだ」

同「何か変な感じがするね、それ、無機物みたい」

同「不愉快だしそのシール食べていい?」

男「僕が死ぬよ?」

同「うー」

男「とりあえず、もう少しで着くからさ」

初「ただいまー」

男「おかえり」

初「ちゃんとあったよー」

男「うんうん、大丈夫みたいだね」

初「男くんちゃんと歩けてた?」

男「いや、そりゃ歩けるさ」

同「ふらついてる癖に」

男「君らと一緒にされてもねぇ、僕は普通の人間な訳だし」

男「なんだい、その目は」

同「釈然としないなぁって」

男「まぁそりゃ僕と女のルールの存在を鑑みると僕だって普通ではない訳だし」

同「そっか」

男「さて、見えたね、フェアリーサークル」

初「その瓶詰め、どうするの?」

男「元の所に返してあげようかなって、あと瓶詰めって言い方はやめようね」



157 ◆SetoseN//M2014/09/27(土) 16:53:24.68eUkyQm8ko (4/7)

同「どうやって帰るの?」

男「フェアリーサークルは妖精の世界への入り口と言うからね、自力で帰れると思うけれど」

男「というかひび割れてから中の妖精も何か元気になってるみたいだし、聞いたほうが早いのかもね」

同「割れるまでは元気じゃなかったんだ」

男「元気無いというか、あんま動かなかったね」

同「確かにボクもあれに閉じ込められたらそうなるかも」




男「君、自分で帰れる?」

男「あー、そうなの」

男「そっか、帰れるなら大丈夫かな」

男「まぁ、僕が無理やり捕まえっちゃったということもあるからね、気にしないでいいよ」

男「はは、そうだねぇ」

男「僕の夢に迷い込んだのを帰してあげたってことでいいのかな、それは」

男「あぁ、エルフの捧げ物ね」

男「戦地の傷って言えばそうなるのかな、というか君自身がそれだと捧げ物になるけれど」

男「うん、ありがとう」

男「すごいね、本当に元通りだ」

男「じゃ、もう僕の夢には現れないでね」

男「悪夢としての出来は良かったとは思うけどさ、悪夢は悪夢だからね」

男「うん、じゃあね」



158 ◆SetoseN//M2014/09/27(土) 16:54:00.00eUkyQm8ko (5/7)

初「どうやって話してたの?」

男「え?」

同「ボクもそれ気になってたけど、テレパシーなんだろうなぁって」

男「あー、僕にしか聞こえてなかったのか」

男「気付かなかったなぁ」

初「何話してたの?」

男「え、腕治してもらったり?」

同「凄くない?」

男「妖精も神格剥奪された土着の神だとか、迫害されていた人のことだったりとか結構暗い過去があるけれど、その分結構強いと思うよ?」

同「で、何で治してもらえたの?」

男「妖精を家に帰してあげたから、みたいな感じだけど、捕まえたのも僕だから何かしてくれるかってのは鼻曲げられちゃうかと思ったけど」

男「そういう決まり事にはしっかりしてるよねぇ」

同「まー、そういうのルールだと守る他ないものねぇ」

初「さっき死者の復活って言ってたけど」

男「ま、いくら神に近いと言っても無理なはずだからね」

男「まともに願うつもりはないよ、そんなの神でだって失敗しているんだから」

同「そうなの?」

男「死者蘇生ってのは失敗に終わる神話は少ないとは言えないねぇ」

男「死後の世界ってのが世界的に共通して存在すると考えられていたわけだし、別の世界から戻ってくるというのは大変なんだろうね」

男「それでも、無いとは言わないけどさ」

男「実際神話レベルになれば蘇るってのはあるわけだし」

初「ただ、それは」

男「蘇るのは神ってのが多いよね」



159 ◆SetoseN//M2014/09/27(土) 16:54:57.95eUkyQm8ko (6/7)

男「まぁ、そもそもに今回はエルフの供犠って言って戦地の傷を癒やすための儀式みたいなものになってしまったし」

男「生きてる者じゃないと治せなかったんだろうね」

男「捧げ物が自身なのはまぁどうかとは思うけれど」

男「結果オーライではあるのかも知れないけれど、現状ここは戦地らしいよ」

初「さっきの黒いの、見えてきたね」

男「え、本当だ」

同「今度は負けないよ」

男「というか、何でこっち向かってくるんだろう」

男「風に乗ってくるとしても不自然な気はするし」

男「如何せん追われすぎてる気はするけれど」

男「さっきのは運が悪かっただけで、今回は攻撃したから怒っている?」

男「だとすると結構自由に行動出来ることになるし、意識があることになるよなぁ」

男「何かの都市伝説、怪談あたりには覚えがないし」

男「正体がわからないっていうのはいつも通りなのかも知れないけれど」

初「今日は私が生きていないからねぇ」

男「さて、どうしたものか」



160 ◆SetoseN//M2014/09/27(土) 16:55:29.33eUkyQm8ko (7/7)

今回の投下はここまでになります、お疲れ様でした

ではでは、また来ますね


161VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/09/27(土) 18:24:44.18h/so0tjfO (1/1)

おつんつん


162VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/09/27(土) 18:33:52.207oVu1SFLo (1/1)

乙!
男が非日常に慣れ過ぎて一般人の視点じゃないよな


163VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/09/27(土) 19:41:05.842dBOXPFUO (1/1)

おつおつー


164 ◆SetoseN//M2014/10/02(木) 14:37:04.91acQTcjTOO (1/1)

そう言えば、この前の投下時に触れる予定だったのに忘れていたので

新世代の妖怪ブームについて、自分は鬼太郎世代(という言葉があるか疑問ではあるが)故に
新しい方はよく知らないのであまり変なことは言えませんが
「都合の悪いことは妖怪のせい」というスタンスは古き良き妖怪や悪魔、悪霊に怪物等々の発生理由であり、社会の捌け口としての妖怪という在り方は非常に良いと思います
コミュニティー内で露わにしたくない問題や、子供に言うと都合が悪かったり、原因がわからないことなど
形の無い物に形を与え、恐怖を具現化し弱める
という形は現代の流行らせることに重きを置いたエンターテイメントとしてのホラーとは違い、古めかしく今では少ない形で逆に意表を付けているのかなというのが個人的な見解です

皆様がどう捉えて、どう考えているのかも気になったり


ではでは、次は投下に来ますね


165VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/10/03(金) 02:10:35.76XoVPvo930 (1/1)

教育に悪いという意見もあるけど教育的だと思う
それはよくわからないものに形を与えつつも
その所為にして諦めるわけでなく
よくわからないものの力を借りつつ解決を図るという形になっているから
よくわからないものと友達になる=うまいこと付き合っていこうというスタンスも良い

妖怪というより教育論的な話になったけど
でも、妖怪ってそういうもんなんじゃないの?と思う


166VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/10/04(土) 22:44:53.99WdjnneBBo (1/1)

大人に都合が悪いことは妖怪の所為にしたりするよね
子供も似たようなことするし
天狗じゃ!天狗の仕業じゃ!



167VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/10/31(金) 15:42:35.07B0GsjD+a0 (1/1)

結局この黒いのは何なんだろう
煙々羅はケムいだけだし・・・何かと混ざったか?


168VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/10/31(金) 19:57:29.35of94qXsKO (1/1)

次はいつなんだ…?


169 ◆SetoseN//M2014/11/05(水) 20:33:48.59itQU2TE8o (1/9)

今日は来ました

ではでは、投下していきます


170 ◆SetoseN//M2014/11/05(水) 20:34:29.10itQU2TE8o (2/9)

さて、一体どうしたものか

そもそもに僕のやり方は巻き込まれている事象が何に拠るものかを推理して、それに対策或いは対処をするというもので

純粋な力比べの様ことに持ち込む相手との分が悪いわけではなく

戦闘が回避出来ず、戦闘でしか解決出来ないであろう相手が問題なのだ

普段ならば

いや、女が死んでもいい状況を指して『普段』と言えてしまうのだから、嫌に場慣れをしていて、嫌に現実離れしてきてる自分に嫌気が指すが

まぁ、そこら辺に意識を散らしている余裕は残念ながら無いので成すべきことだけ考えよう

逃げるor倒す

何と現状どちらが楽かもわからない程だ、終わっているという奴なのだろう

他人頼りこの上無いが、また針を刺して戦闘態勢に入っている彼女がどうにかしてくれることを願うしかない

残念ながら僕の手持ちの物お守り類では、あれを撃退することが出来ないのはさっきので判明してしまっている

判明してしまっている為、迂闊に彼女から離れることは出来ない

一つ気がかりがあるとすれば、何故か僕らをピンポイントで狙ってきている様に見えることだ



171 ◆SetoseN//M2014/11/05(水) 20:35:08.82itQU2TE8o (3/9)

これはここまでの移動中にも考えていたことで

それならば、狙われているのは僕ではなく、彼女だという説もあるということだ

あれを最初に見つけたのも彼女の来た方向からであったので、可能性があるというだけだが

現状有力であるのは、さっき殴りつけたことで狙われたということか

それだとしてもやはり彼女から離れることは出来ない

もちろん、吸血鬼が真っ向から殴りあってあの異様に不気味な黒い風を少なくとも競り負けはしないという前提で離れられないのだが

そして、さっき攻撃したせいで狙われていると考えると、僕も瓶で弾いてしまったせいで攻撃したと捉えられるかも知れないのだ

その場合、彼女と僕が距離を取り過ぎて、あれが僕の方を追ってしまった場合

おそらく今度は助からないだろう

では、今僕はどうするべきなのだろうか

精霊風、つまりは魔風の一種だと捉えているが、おそらく大きくは間違っていないだろう

少なくとも、この黒いのが本体では無く内側に核となるような何かがいることは無さそうだ

実際、そうであってくれればもう退治が終わっていた可能性が高いのだが

逆に現状助かっている所は、彼女相手に純粋な殴り合いをしてくれていることだ

殴り合いと言っても腕があるのは片方だけだが

まともな戦いになる、ということは実際珍しいだろう

彼女の前では、大抵の相手はまともな戦いを強いられるのだけれども

所謂、物理的な干渉は分かりやすく強いのだが

その分、搦め手に弱いという奴であり

大抵は分かりやすい弱点があり、どうにか出来てしまうというパターンだ

今回はその弱点がわからない為に困っていて



172 ◆SetoseN//M2014/11/05(水) 20:35:37.80itQU2TE8o (4/9)

「困っているようじゃの」

男「うん、困ってるね」

男「え?」

「どうしてここに?という顔をしておるな」

「それはお主に渡した瓶についでに追跡機能を付けておいたからであっての」

男「あぁ、これそんな機能付いてたんだ、というかそっちじゃなくてさ」

男「神社の外に出られたの?」

「神域から出るために今はこの剣を依代に降りている状態じゃな」

男「それ、御神体じゃ無かったっけ、持ちだしていいの?」

「自分の物を持ち出すのに誰の許可がいるのじゃ?」

男「成る程、確かに」

「ちょっと無茶をすればと言ったところか」

「無論それでも出れるのは信仰範囲内だけじゃが」

「しかし、お主はまた変なのを呼んでおるのう」

「なんじゃあれは」

男「僕に聞かれてもねぇ、精霊風の類いかと思ったけど如何せん強くてさ」

「ふーむ、まぁとりあえず斬ってくるかの」

男「大丈夫なの?」

「何、相性の問題じゃ」


173 ◆SetoseN//M2014/11/05(水) 20:36:13.59itQU2TE8o (5/9)

男「僕らの逃走劇は何だったのだろうね」

初「呆気無く切り払っちゃったよね」

「祓うと払うで掛けたわけじゃな」

同「いや、全然呆気なくないし!ボクも斬られかけたし!」

「取っ組み合いなぞしておるからじゃ、やむ無し」

同「あるよ!」

「しかし、実際楽に切り払ったわけではないがのぅ」

「荒神の類、だと思うがの」

「あくまで斬った感じではあるが」

男「荒神ってこの前やっつけた犬のあれみたいな奴か」

「あれを犬呼ばわりとは大きい奴よのぅ」

男「つまり神格があるレベルだったってことは合っていたのか」

「まぁ、そうなるの」

「お主の言っとった精霊風もそうじゃが、辻神も混ざっとったかの」

「そうなると益々おかしいのじゃがな」

男「精霊風はともかく、辻神か」

男「入って来たって訳だもんね、この街に」

「入れないようにはなっているはずだが」

初「なんで入れないの?」

初「妖怪だって普通に出入り出来るんじゃない」



174 ◆SetoseN//M2014/11/05(水) 20:36:47.71itQU2TE8o (6/9)

男「妖怪は入れるだろうね、ところがどっこい辻神など一部のモノは入れないようになっている」

男「いや、なっていたかな、昔からそうだからね」

初「昔から?」

男「集落の内側に辻神のような悪い物、具体的には疫病の類が入ってこないように道祖神などを置いているんだよ」

初「道祖神?」

男「ほら、時々石で出来た何かが道端あるだろう? お地蔵様ではなくてさ」

初「あー、あれってそうなんだ」

男「同じ道によくあるけど、そこが集落の内と外の境目だったってことなんだろうね」

男「まぁ、それがあるから入ってこない訳だ、普通なら」

男「強すぎて入ってこれたのかな」

男「いや、強かろうと入れないから道祖神なのだろうけれど、混ざったからか?」

男「精霊風と混ざって無理やり内側に発生した?」

「いや、どうであろうと辻神ならば入れんとは思うぞ」

「神と呼ばれようと、絶対神や唯一神では無いのだから、この国では力を凌駕する規律がある」

男「って、さっきから君頭叩いて何してんの?」

同「あのさ、ほら、前さ、雷獣落ちてきたじゃん?」

男「ついこの間だね」

同「その時ボク、頭ぶつけて岩粉砕したんだよね」

男「まさか」

同「その時頭も粉砕したから見れなかったけど、考えてみたら道端に岩ってさ、普通ないよね」

男「つまり」

同「あの辻神が入って来たのってボクが道祖神ぶっ壊したからかなぁって」

男「わぁお」

「直さねばならんのう」



175 ◆SetoseN//M2014/11/05(水) 20:38:25.29itQU2TE8o (7/9)

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

夏休み編は基本的に男君が死ねないからとても平和な話を書いていると思っていた時期が僕にもありました

全然平和な話にならない……

ではでは、また来ますね


176 ◆SetoseN//M2014/11/05(水) 21:08:33.67itQU2TE8o (8/9)

第37話





男「精霊風」









177 ◆SetoseN//M2014/11/05(水) 21:09:15.87itQU2TE8o (9/9)

忘れていてとてもぶっ格好になったのでとっとと次の投下に来ますね

これは恥ずかしい……


178VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/11/05(水) 23:13:20.28AyAWRcIyo (1/1)


次はぱんちゅか


179VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/11/06(木) 08:31:42.67Dl0BqKyqO (1/1)

きたー!


180VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/11/08(土) 02:03:46.20r7eTtlpsO (1/1)

おつおつー


181VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/11/09(日) 08:50:51.33qpxwyVeeO (1/1)

道祖神ぶっ壊したのか…おつんつん


182VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2014/11/16(日) 05:55:37.65U3hSSxcx0 (1/1)

おつー


183 ◆SetoseN//M2014/11/30(日) 04:20:32.703XOk1B5so (1/8)

今日は来ました、変な時間ですが

ではでは投下していきます


184 ◆SetoseN//M2014/11/30(日) 04:21:30.273XOk1B5so (2/8)

男「さて、それで君がぶっ壊した道祖神ってこっちの方だっけ」

同「うん」

同「というか正確にはボクが壊したんじゃなくて雷獣ちゃんが……あ、いや何でもないです、はい」

初「死にかけたせいで男君ちょっと機嫌悪くなってるね」

同「いや、これちょっとなの?」

初「まぁ実際に男君がダメージ受けたのって初めてみたいなものだったしねぇ」

同「無視しないでよ」

「徹夜で瓶に力込めたのにその後神域外へ退治に出張ってそのまま修理までしにいくなんて神様を酷使し過ぎではないかぁ?」

男「別に後日でもいいんだけれど」

「嫌じゃ、もうしばらく外に出れんし」

「それにどうやってお主、道祖神を運ぶのじゃ」

男「あー、まぁ一応女が?」

初「私が運ぶの? まぁ出来るけど」

男「どちらにせよ、ふわふわ岩が動いてるの見られたら面倒か」

男「かと言ってひと目の無い時間に動くのもまた危ないし」

「そもそも、設置したとこに言えば直してくれるのではなかろうか」

男「市役所あたりになるのかなぁ、こういうの」

男「まず直してくれるのがしばらく後になるのは間違いないし、最悪直されないと思うよ」

「さようか」

男「さようだ」

「ならば仕方あるまい」

「とは言え壊れた物を直すのが本業じゃないのでな、結界を直すだけじゃぞ」

男「それだけで十分だよ」


185 ◆SetoseN//M2014/11/30(日) 04:22:03.133XOk1B5so (3/8)

同「あのさ」

男「うん」

同「その道祖神を壊しただけであんなヤバイの入ってくるのかな?」

男「どういうこと?」

同「だってあれ今まではこの街の外のどこかにいたってことでしょ?」

同「流石に人里離れた山奥まで行ったとしてもあんなのいないだろうし」

男「あー、確かに道祖神とか、まぁ塞の神とか名前は色々あるけれど」

男「集落の内と外の境界とは言うんだけれどそれって物理的な物だけじゃあないんだよね」

同「つまり?」

男「集落と神域、つまり黄泉の国とか常世との境界をしっかりさせて、禍を招き込まない、過って迷い込まないようにするっていう意味もあるんだよ」

同「常世はマズイねぇ」

男「あの学校の神様が管理しているあの空間とかも大雑把に言うと常世になるだろうね」

男「神社の庵や不可思議屋あたりはどうなのか微妙かな、つまりは現実には存在しないものって括りだということだけど」

「あれを見た時、正直あの庵を通すために行った結界破りでやらかしたかとヒヤヒヤしたぞ」

「やはり常世の存在は現し世にいてはならぬのぅ」

「この世の在り方が変わってしまう」

男「自分はいいのかい?」

「良いのじゃよ、同じ神でも種類が違うからの」


186 ◆SetoseN//M2014/11/30(日) 04:22:36.513XOk1B5so (4/8)

「それに外をうろついてるわけでもないのでの」

男「今歩いてるじゃん」

「今は特別だもん」

男「だもんで済まされてもねぇ」

「それで、ここか?」

同「うん、そうだね」

「あー、成る程、破れておるな」

男「直せる?」

「心配せんでもここにいるのはこの街の神じゃ、この程度訳ない」

「と言いたいが、如何せん今は隠居の身だからのう、パワーが出ないのが辛いのう」

「結界弄りは得意な方じゃから、この程度結び直せるが、結界全体が壊れておったら困っておったの」

男「街の区分ねぇ、他所ではどうしてるのやら」

男「いや、集落の内と外を括れればいい、というより現代は集落の内と外なんて前に永遠と集落が続いてるとこの方が多いのか」

男「人が多くなりすぎると括れなくなると思ったけど、そもそも街が全部繋がっていれば外なんて無くなる訳で」

男「これは現代における信仰の失われる理由の一端ではあるのかも知れないな」

初「そういうのは今度で良くない?」

男「あぁ、ごめん、ついね」

「いやいや、面白いではないか、今度ゆっくり話そうぞ」

男「そうだねぇ」

初「むー」

「そう膨れるでない、少し位借りても良いだろうて」

男「僕は所有物じゃないんだけれども」


187 ◆SetoseN//M2014/11/30(日) 04:23:09.303XOk1B5so (5/8)

「さて、こんなものかの」

男「お、出来たのかい」

「うむ、これでわざわざ結界を壊そうとしない限りは壊れないはずじゃの」

男「例えば、丑の刻参りみたいな?」

「そうなるの」

「でじゃ、流石に時間が無いので頼み事なのじゃが」

男「なんだい」

「この剣、神社まで運んでくれぬか」

男「構わないけれど、どうしてかな」

「もう、顕現してられぬのじゃよ」

「無理していると言ったじゃろう」

「では、くれぐれも頼んだぞ」

男「うん、しかと受けとったよ」

男「じゃあ、ありがとうね」

同「あ、消えたんだ」

男「なんで離れてたの?」

同「いや、何かチクチクとしたから」

男「何か神々しかったりするの、ダメなんだね」

同「まぁ、その剣も嫌なんだけどね」

男「これ君持てたり、はしないのね」

同「無理無理、手が消えちゃうってそんなの握ったら」

男「刀身以外は持てるみたいなことを少し期待したのだけれど」

同「重いからボクに持たせるつもりだ!」

初「あ、それ私も無理だからね」

男「ダメなんだ」


188 ◆SetoseN//M2014/11/30(日) 04:24:05.573XOk1B5so (6/8)

男「だから君たち離れてたんだね」

同「まぁ、念の為に警戒してたのってもあるけどね」

男「そうなんだ」

同「何かに襲われたりしても嫌だからね」

同「またあんなの出て来たら男君死んじゃうからね」

男「あんなのじゃなくても、僕は普通に死ぬけどね」

男「確かに他の神の類が現れてないとも限らないか」

男「ここら辺、あんま人も通らないし」

男「それに夕方だから何かといい時間ではないよね」

同「ボクとしては体調が良くなってきていいんだけどね」

同「でも、今日は疲れたなぁ」

男「僕はともかく、君って自力で回復してるんだよね、それ」

同「まぁ、ほっときゃいずれ治るし」

男「君は致命傷がかすり傷感覚なんだよねぇ、死んでから治るから便利だね」

同「でもその剣は人としてじゃなく、吸血鬼として死ぬからダメだよ!」

男「これずっと持ってあの階段登るって考えるだけで既にダルくなってきた」

男「でもこれ流石に御神体だし、実際これ本物だし国宝級の代物だよね、そういう話聞かないけど」

初「由来がはっきりしないんじゃない?」

男「あー、そもそもこれ下手したら時とか越えてそうだもんねぇ」

初「そういやさ」

男「うん?」

初「何かあっちから変なのが来るんだけど」

男「あっち?」

初「うん、曲がった先だね、なんだっけあれ」

初「昔の乗り物でさ」


189 ◆SetoseN//M2014/11/30(日) 04:24:31.783XOk1B5so (7/8)

第38話





初「人力車?」









190 ◆SetoseN//M2014/11/30(日) 04:25:07.923XOk1B5so (8/8)

今回の投下はここまでになります、お疲れ様でした

ではでは、また来ますね


191VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/11/30(日) 23:04:43.60FZypz01CO (1/1)

おつおつー


192VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/12/02(火) 16:08:12.30+/IdHEWP0 (1/1)

おつんつん


193VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/12/15(月) 11:08:46.070Og/0Rqf0 (1/1)

待ってる


194VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/12/19(金) 01:54:16.83dicUPriy0 (1/2)

期待待機


195 ◆SetoseN//M2014/12/19(金) 13:32:51.89Tm7At3Yso (1/7)

今日は来ました

投下頻度を徐々に上げていくキャンペーン実施中

ではでは、投下していきます


196 ◆SetoseN//M2014/12/19(金) 13:35:22.98Tm7At3Yso (2/7)

男君の雰囲気がなんだか変わった

どう変わったとかはよくわからないんだけど、何かいつもとは違う

こういう顔の男君をボクは知っている

何か来るんだ

男君がボクのことを見ながら、女ちゃんに引っ張られながら離れていく

これは、この時間なのにボクがこんな近くまで人間であろうと、人間でなかろうと接近を許したことを気にかけているのだろう

実際、普段通りならばこんな時間なら、目視で女ちゃんが見つけていた頃には戦闘態勢を取っていただろう

あの神様も無理をしていたみたいだけれど、ボクだって相当しているんだ

昼間っから死にっぱなしで、吸血鬼として動いていた

あの針を何回も刺し直したりすることは、そこまでの負荷にはならないはず

抜けば生き返ると針なのだから

でも、それは不死者としての力で無理矢理回復出来るから、死んでいても問題がないだけで

あの針は、腹立たしくも不可思議屋の言う通り、ボク向けのアイテムであって

男君が言うグリム童話の針を再現出来ているわけではない

死んでいる状態で、肉体が保持されないのだ

だから、死んでるのに再生するボクじゃないと、使い勝手は非常に悪いはず、腐っちゃうから

つまり、今のボクでは使っていられない

あの神様は簡単に切って捨てたけれど、辻神とか言うだけあって正直ホントに強かった

ボクが食べれない時点で、呪いや祟りのレベルがやはり常世のものではなかったのかな

おかげで、ボクの吸血鬼としての部分が大分死んでしまった


197 ◆SetoseN//M2014/12/19(金) 13:36:36.00Tm7At3Yso (3/7)

ボクが普段から死んでいるのは人間の部分で、そっちが死ぬ分には困らないのだけれど

直接殴り合い何かするからなんだろうけど、吸血鬼としての部分がダメになってきている

まぁ、これでも何とかほっとけば治るんだけど

どうにも身体がグズグズしている

不死者としての力が減っていて、人型すら保つのが難しいのかな

男君が帰るまでって気張っているけれど、本音としては道を避けて、陽の当たらないとこで寝てしまいたい

けど、何かいるなら話は別だ

ボクは死んでもそいつを殺そう

逃げられるならともかくとして化け物から逃げるなんて、もっての外だ

雰囲気的に人間でないのはもうわかっているし、やってしまおう

男君の剣で斬ってもいい気がするけど、あの剣もボクと同じでギリギリっぽいんだよね

何か近付くとピリピリしていた、染みる赤外線ヒーターみたいなあの感じが弱くなっているし

ヒーターだとするとさっきまでは真っ赤だったのに、今では暗くなっている

あっちも電池切れなんだろうし、そんな使えるのかもわからないもので生身の人間を戦わせられないか

そういうところ、やっぱり女ちゃんはしっかりしていると思う

あの剣に護身の力が無くなっているのを何となく察して、男君を引っ張って飛んでいったのだから

本当に、しっかりしている

ボクをちゃんと置いて行ったところが

弱っているとバレているなら足手まとい、バレてないなら巻き込まれないため

どっちかだなんて聞いても意味無いし、そんなのはボクの自己満足でしかないんだよね

同じ自己満足なら、化け物倒して満足しなきゃねぇ


198 ◆SetoseN//M2014/12/19(金) 13:37:01.80Tm7At3Yso (4/7)

食べれるならそのまま回復できるし、食べれないでもさっきと同じで

物理的に殴って壊せばいいし

まぁ、さっきまでのは壊れせないせいで殴る度にボクの吸血鬼性が削れていくだけだったけれど

しかし、曲がり角の向こうから来るって言っても、思った以上に遅いねぇ

どうなってることやらって、何か電話来てない?

このタイミングで?

というか、ボクに電話掛けてくるって誰が何があると掛けてくるのかって

あぁ、なるほど、男君か

そりゃそうだ、あんなに離れたら声なんて届かないし




同「はい、もしもし」

男「とりあえず、僕だけ逃げちゃったけど大丈夫?」

同「大丈夫じゃないって言っても戻ってこないでしょ、そっちこそ変なとこいないよね?」

男「あぁ、とりあえず木の上に乗ってるからそこらの人には見つかりにくいと思うよ」

同「ふーん、で、ボクの相手ってなんなのかわかる?」

男「遠くて分かりにくいけれど、おそらく朧車じゃないかな」

同「朧車?」

男「簡単に言うと牛車型の幽霊って感じ、無害だと思うから逃げる必要はなかったかもね」

同「へぇ、なら良かったけど」

同「ついでだから食べておこうかな」

男「まぁ、それはどっちでもいいけれど、何か乗ってるみたいなんだよね」

男「最初は赤いから内臓でも透けてるのかと思ったけど、内臓だけ色ついてる幽霊なんて聞いたこと無いしね」

同「あぁ、それは嫌だね」


199 ◆SetoseN//M2014/12/19(金) 13:39:03.46Tm7At3Yso (5/7)

同「って、何か乗ってるの?」

同「牛車だから乗る人がいてこそってことなのかも知れないけど、それも幽霊なのかな」

男「さぁ、赤い服着た何かなんて良くありそうだし、まぁおおよそ幽霊か」

男「うーん、赤い服着た、いや、着物を着た女の子ってところかな」

同「へー、着物ね、牛車の時代から一緒にいるのかも」

男「それは面白いね、牛車ごと幽霊になったのか、それぞれ別なのか興味が湧くね」

同「そう? どっちでも同じじゃない?」

男「いやいや、違うでしょう、そこら辺は」

同「まぁ、いいや、よくわかんないけど」

同「さて、あなたはボクの敵なのかな?」

同「って、あれれ、返事無しか、人型だからって喋れるわけじゃないもんねぇ」

同「あれ?」

男「いきなり倒れたけど大丈夫?」

同「あれ、おかしいな、熱いというか寒いというか」

同「頭も痛いし、それに何か発疹が」

同「これ、呪いとかじゃなくて普通の病気だ」

男「病気? 疫病神の類ってことかな」

男「赤い服、疫病神」

同「うー、動けない」

同「あいつ、ぶっ飛ばせば治るんでしょ」

同「くっそ、この位普段だったら」

同「あぁ、ダメだ、クラクラする、力入んない」

男「その病気、もしかして天然痘?」

男「何かがばら撒く発疹の起こる病気で赤い着物」

男「うん、そうだろう、違いない」



200 ◆SetoseN//M2014/12/19(金) 13:40:19.68Tm7At3Yso (6/7)

同「ボクに聞かれても病気の名前なんてわかんないよ」

同「あれに敵意がないみたいだからまだ生きてるけど、ボク起き上がれもしないんだけど」

同「どうすればいいかな」

男「あー、疱瘡神だとすれば、対処法は」

男「鍾馗、鬼瓦、犬、赤、送り出す、褒める、塔」

男「赤なら何かあるかな、赤に弱いんだよ」

同「赤、血ならあるよ」

同「うん、どうせこれ治すのに皮膚作りなおすんだし、いっか」

男「あぁ、赤ってそういう」

同「あ、ほんとだ、何か嫌がってるね」

男「そりゃ自分から盛大に血溜まり作ってるようなのに近付きたくないよね」

同「あれ、全部身体に張り付けたつもりだったんだけど、血溜まり出来てる?」

男「うん」

同「あれま、まぁどっちにしろボク立ち上がれないし、あとはよろしく」

男「いやいや、任されてもね」

男「このまま逃げてくれるなら解決だし、そのまま君が自力で天然痘を治せるなら解決方法は思い付くけれど」

同「無理だね、治る前にボク死ぬよ、人間部分はもう死んでるし」

男「鬼にだって、怖がるはずなんだけどね」

同「ははは、死にかけじゃビビれないってこと? 面白いねぇ」

男「僕が近付けないってのは厄介だねぇ」

男「んー、使えるとしたらこれかなぁ」

男「うん、まぁ、合うとこはあるし」

男「この赤い御札で、どうにかなることを祈ろうか」


201 ◆SetoseN//M2014/12/19(金) 13:42:26.01Tm7At3Yso (7/7)

本日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

今年中の投下はこれで最後になりそうですので、早いのですがご挨拶を

皆さん今年もお疲れ様でした、良いお年を


202VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2014/12/19(金) 22:52:11.10dicUPriy0 (2/2)

おつん



203以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2014/12/20(土) 21:19:48.76tfs57qeD0 (1/1)

おっつー



204 ◆SetoseN//M2015/01/01(木) 00:15:56.153AyBybvWo (1/1)

あけましておめでとうございます

今年の目標は、月2での投下を最低としたペースの回復です

より良い物を、というのは目標にしたいですが自分の力量ではどうにも……

ではでは、今年もよろしくお願いします


205以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/01(木) 00:29:28.79DVn5cl3fo (1/1)

あけおめ!


206以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/01(木) 02:04:08.53RYNlP/y3o (1/1)

あけおめー!


207以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/01/10(土) 22:48:12.35mkiStzKr0 (1/1)

あけおめー


208以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/02/02(月) 14:16:03.95sUHAqA1EO (1/1)

o(^-^)oワクワク


209 ◆SetoseN//M2015/02/05(木) 00:51:12.93fjRbrI+co (1/8)

今日は来ました

1月は何だか忙しくて開いてしまい申し訳ありませんでした

ではでは、投下していきます


210 ◆SetoseN//M2015/02/05(木) 00:55:09.57fjRbrI+co (2/8)

初「まだ変なの持ってるんだ」

男「正直、普通じゃないものはもうネタ切れだけどね」

男「火の海、出ろ」

初「わーすごーい、ってこれすごい燃えてるけど火事にならない? 大丈夫?」

男「この火は幻覚なはずだよ」

初「あ、そうなんだ」

初「まぁ、こんなに燃やしたらキューちゃんだって流石に死んじゃうもんね」

男「え?」

初「え?」

男「あぁ、そうだね、実際に燃やしたりするわけないじゃないか」

初「うわ、全然考えてなかったでしょ」

男「こんな人家のあるようなとこじゃ本当に燃えるような物はどのみち使えないさ」

同「っていうかこれ、すごい眩しいんだけど」

同「熱くはないけど目が焼けそうだぁ」

男「コンクリートとキスしてればいいと思うよ」

同「ボクの扱いが雑過ぎて泣いちゃいそうだよ」

同「あ、ホントに消えたみたいだよ」

同「疱瘡神だっけ?」

男「火はほっとけば消えるから大丈夫だと思うけど、朧車も消えたのかな?」

同「朧車? ってあぁ乗ってたやつね、感知出来ないから一緒に消えたんじゃない?」

男「大丈夫みたいだし、僕らも降りようか」

初「はーい」


211 ◆SetoseN//M2015/02/05(木) 00:57:30.31fjRbrI+co (3/8)

同「いやぁ、助けるつもりが助けられちゃったね、情けないなぁ」

男「君がいなかったらそもそも、僕は疱瘡神に近づいた段階で死んでたからそんなことはないよ」

男「持ちつ持たれつってことでいいんじゃないかなぁ」

同「そうだね」

同「でも火で逃げるなんて、というか赤が嫌いなんて珍しいね」

男「赤が嫌い、苦手ってのはそう珍しいわけじゃないと思うけれど」

同「そうなの?」

男「赤は魔除けの色ではあるからね、生命を意味するから死を意味するものを遠ざけるみたいなね」

同「それであの疫病神は逃げてったんだ、その割に自分でも赤い服着てたよね」

男「何か、そういう言い伝えだから仕方がないね、僕もよくわからないけどさ」

男「でも、君の血で逃げなかったのはどうなんだろうね、量が足りなかったのかな」

同「ボクが元々死んでたからじゃない?」

男「あー、生を意味できてないからか、有り得そう」

男「というか、そろそろ立てる?」

同「何か回復アイテム持ってない?」

男「品切れだよ、そんなに持ってないって」

男「そもそもあれ、不安定だから不可思議屋が持ってないと自然に消えちゃうし」

男「あんまり大量にもらえないんだよね」

同「ボクの針も消えちゃうのかな」

男「それは結構有名な代物だし不安定じゃない気がするけれど」

同「まぁ、劣化してる感じもしないし大丈夫か」

同「さて、じゃあ行こっか」


212 ◆SetoseN//M2015/02/05(木) 01:00:57.66fjRbrI+co (4/8)

男「行くのはいいけどその前に」

同「あれ、まだ何かある?」

男「君さ、人間部分じゃなくて吸血鬼部分が弱っているよね」

同「いや、そんなことは」

男「血だって回収しきれてなくて、残ったのが道路で蒸発してるよ」

同「あーあ、ほんとだ」


同「死にはしないから大丈夫だよ?」

男「いや、そうじゃなくてさ」

男「つまり君は今、ピンチな訳だよね」

同「さっきの変なのに負けてた位にはね、相性的に疫病神なんて大丈夫なはずなのに」

同「辻神相手にしたのが無理だったね、結局ボクだけじゃ死んでたと思うし」

男「君は自分を大事にしなさすぎるよ」

男「死に場所を探しているようにすら見えるよ」

同「ボクが死にたがりだって?」

同「男君には言われたくないねぇ」

男「ははは、そりゃそうだ、言えた立場じゃあないけれど」

男「僕はそんなに妖魔とか怪異とかをさ、嫌っていないよ」

男「そんな悲しそうな顔しないでくれよ、僕が悪いことしてるみたいじゃあないか」

男「ま、そういう話はまた今度かな」

同「何の話、かな?」

男「君の話じゃないかなぁ、僕の話は大体しちゃったしね」

同「そんなの、面白くないよ」

男「どうせ暇だろう、付き合っておくれよ」

同「あーやだやだ、今日は疲れたからもう帰るね」

男「今日はお疲れ様、ありがとね」

同「うん、じゃあねー」


213 ◆SetoseN//M2015/02/05(木) 01:03:10.05fjRbrI+co (5/8)

初「それ、私が持とうか?」

男「重いといえば重いけれど、君が持っちゃうと他人が見ると浮遊しちゃうからね」

男「届け物くらい頑張るよ」

初「そうだ、私が刀を上に引っ張ればいいじゃん」

男「あーそれいいね、うん、大分軽くなった」

初「今日は大変だったねぇ」

男「そうだねぇ、何回か死にかけた」

男「人の心配してる余裕はないんだけれど、あっちも心配だしどうしたものかな」

初「死にかけてる吸血鬼なんて初めて見たよ」

男「うん、肉体的な意味でも心配だけれど、むしろ」

男「僕らのせいで、多分あの子相当倒しているんだろうね、幽霊とかそういうのを」

男「この街のオカルト的な意味での平和を守っているのは多分あの子だよ」

男「昔からずっとそうして来たみたいだけれど」

男「最近は特に、なんだろうね」

初「よく死なないね、そんなことしてて」

男「新しく出て来た幽霊とかそういうのを何かの弾みで強くなっちゃう前に消してる、みたいな作業が主だとは思うけれど」

男「ほんと、よくやるよ」

初「っていうかそんなポンポン湧いてくるの?」

男「彼女が消して回ってるからだと思うよ、エネルギー的な空白が出来るから埋めるようにまた出てくる」

男「その繰り返し」


214 ◆SetoseN//M2015/02/05(木) 01:05:33.51fjRbrI+co (6/8)

初「それって意味なくない?」

男「幽霊とか妖怪とかが合体したり、人を喰ったりして力をつけることがないから意味はあるんじゃないかな」

男「でもそう滅多に人なんて殺されないだろうし、大体は無駄な気はするけれども」

男「彼女の妖怪としての強さはその地味な狩りの積み重ねなのは間違いないだろうね」

男「エネルギーとして分解、吸収が出来るらしいし」

男「そんなことしなければもっと人間に寄るだろうし、色々と矛盾しているんだよねぇ彼女はさ」

初「へぇ」

男「まぁ家庭環境というか、一家というかそういうとこの影響もあるのかも知れないけれど」

初「そういえば、庭で普通に雷獣飼ってるんだっけ、どんな家なんだろうね」

男「退魔師だよ、代々ね、この街では有名な家だ」

男「もっとも有名なのは百年以上前までみたいだけれど」

初「そうなんだ、本人に聞いたの?」

男「ふふふ、絶対言わないだろうねぇ、そんなこと」

男「あれだよ、この刀の届け先」

初「神社?」

男「あそこ結構古文書みたいなのがあってねぇ」

男「街の話とかそれなりにあったりしてね、大抵は災害関係だから僕ら的には意味なかったけれど」

男「そういう関係も多少はあったからね、面白かったよ」

初「っていうかそんなの読ませてくれるんだね」

男「言えば読ませくれるよ、神様経由で頼んでいるし」

初「ずるっ!」

男「というか、あの神様いないと僕だけじゃあんな古い文字読めないんだよね」

男「達筆過ぎるっていうのもあるけれど、慣れなのかなぁ」

初「あ、着いたし階段下で待ってるね」

男「うん、わかった」

男「んじゃ、また後で」

初「うん、後でねー」


215 ◆SetoseN//M2015/02/05(木) 01:06:30.23fjRbrI+co (7/8)

第38話





初「人力車?」










216 ◆SetoseN//M2015/02/05(木) 01:07:01.73fjRbrI+co (8/8)

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

次回は雑談回に、なるのかなぁ

ではでは、また来ますね


217以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/02/05(木) 07:03:58.0178KAA8xiO (1/1)

おつおつー


218以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/02/05(木) 23:25:27.88cQQs6kMko (1/1)


パンツ回もきたいしてるよ!
きゅーちゃんて漬物を思い出すきゅーちゃんかわいい


219以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/02/24(火) 09:45:18.57/Az1RrvE0 (1/1)

男「死にたがりな同級生の仮死を止められない」
こうですか分かりません


220 ◆SetoseN//M2015/02/27(金) 23:24:23.66TxtiZyDvo (1/8)

今日は来ました、最近やっと暖かくなり始めた気がしますね

ではでは投下していきます


221 ◆SetoseN//M2015/02/27(金) 23:26:33.48TxtiZyDvo (2/8)

店主「へぇ、それは災難だったねぇ」

男「そんな嬉しそうに言われてもね」

店主「俺があげたものが役に立ったらしいじゃないか、冥利に尽きるね」

男「実際助かったからね、そうじゃなかったらわざわざ話に来てないさ」

店主「それならまた良い物を仕入れてこないといけないねぇ」

店主「不安定な回復道具もないし、どうしようかね」

男「不安定なら使いたくないんだけれどね」

店主「ん? もう使ったじゃないか」

男「え、あれ回復道具だったんだ」

店主「そりゃそうだろう、一時的に自身の状態の維持及び苦痛の除去は回復に属するさ」

男「安楽死も医療ってところかな、確かに非常に役に立ったけれど」

店主「あんま日持ちしないからね、君が持っているとはいえ」

男「僕が持つと持ちがよくなるのかい?」

店主「なるさ、君の周りはエネルギーがあると言っただろう、そこらの人に渡すよりは遥かに消えなくなるさ」

男「ふーん、いい事ばかりなら喜ばしい所だね」

店主「しかし辻神に精霊風ねぇ、俺も戦いたかねぇわな」

男「まるで戦えるような言い方だけれど」

店主「いーや、剛力無双の天邪鬼に予言の件だったあの頃ならともかく、今じゃそういうわかりやすい強さは持ってないさ」

店主「人間ってのは辛いねぇ」

店主「あぁ、君を責めたり文句を言ったりというつもりはないよ、これで良かったと思っているし」

店主「ま、実際のところは逃げるのが精一杯だろうね、俺でも」

男「逃げれればこんな苦労はしなかったんだけどねぇ」

店主「時間稼ぎだったと考えればいいじゃないか、それに君が巻き込まれなければ国津神による退治も遅れたようだし」

店主「被害が少なくてすんだじゃないか」



222 ◆SetoseN//M2015/02/27(金) 23:30:00.42TxtiZyDvo (3/8)

男「そんなポンポン人に死なれても嫌だから、そこのところはいいけどさ」

店主「引っかかるのがあるみたいだねぇ、君が巻き込まれやすいのは知っているんだろう?」

男「そこに文句はないさ、必要経費の様なものだろう」

店主「君たち二人でいる為のね、今は一人で一匹か」

男「霊を匹で数えるんじゃあない、というか何で今日は店にいれてあげないのかな」

店主「前回は吸血鬼ちゃんに押し入られただけで、ここはそもそも人間以外立入禁止だよ」

店主「そういう小屋なのさ」

男「あぁ、この小屋自体も不可思議なんだったね、ログハウスって方ばかり目が行って忘れがちだね」

店主「そもそもここがログハウスだということに気付くのも普通は難しいんだがね」

男「ぬらりひょんのせいかな?」

店主「そう、この小屋とは相性が良いのでぬらりひょんは俺よりもこの小屋に混ぜちゃいるのだが」

店主「パーツを俺と共有してしまっているせいで、ここからあまり離れられないのが玉にキズだね」

男「ご隠居生活にしてはアグレッシブに移動出来るようだね」

店主「この前気が向いたから極地にオーロラを見に行ったんだが」

男「地の果てまで行ったね」

店主「いやー、寒かったね、生身の人間じゃ死んでたな」

男「もしかしてその服のまま?」

店主「そうだが」

男「夏服で行くのがおかしいんだよ、常識知らずというかそっちの方かな」

店主「あー話が逸れてるな、いや逸らされたのか、引っかかるのはそこじゃないんだろ?」

男「あら、戻すんだ」

店主「いたずら好きな性格は治らんもんだな、こういうのが楽しくて仕方ない」

店主「話したくないことを話させるとかな」

男「全く、いい性格しているよ」

男「あまり話すようなことじゃないと思うんだけどね、女が中にいないから話してもいいか」



223 ◆SetoseN//M2015/02/27(金) 23:33:21.58TxtiZyDvo (4/8)

店主「というかだねぇ、君」

男「うん?」

店主「そもそも昨日の時点で連絡をくれていれば俺も何かしらの準備をだな」

男「いや、辻神からの疱瘡神、それで刀持って山までお参りだよ?」

男「流石に疲れたんだ、勘弁してくれないかな」

男「そもそもに連絡と言っても連絡先が無いじゃないか」

店主「言われてみれば、確かに」

店主「何かしら用意した方が良いのだろうか」

店主「そうか、俺はこの時代を全然理解出来ていないのか」

店主「そうか、なるほど」

男「ま、それはどうでもいいや」

店主「どうでもいいのか」

男「僕の話の方を聞きたいんだろう?」

店主「そうだそうだ、そうだった」

店主「話せ話せ、何が引っかかっている?」

男「さしたる証拠もないからあんまり言いたくは無いのだけれど」

男「ざっくり言うと半吸血鬼の性格かな」

店主「退魔士の家だったか、ここいらだと名が通っていたようだが」

店主「当然現在じゃあ退魔士業は廃れているわな、普通の家とさして変わらんだろう」

男「そ、あの子の破滅的なまでの人外嫌い、足どころか身体を半分突っ込んでいるにも関わらず、非常に憎んでいるように見えるよね」

店主「家が廃れたせいって話か?」

男「そうだったら分かりやすいんだろうさ」

男「でも彼女はそもそも自分の家のことを話そうとはしない」

男「と、言うことは退魔士としての家の復興などが目的ではないと考えられる」

店主「ふむ」



224 ◆SetoseN//M2015/02/27(金) 23:35:42.98TxtiZyDvo (5/8)

男「じゃあ同族嫌悪かと思えばそうでもない」

男「彼女は妖怪が非常に嫌いな時もあれば、苦手程度で済んでいる時もあり統一感がなく不安定だ」

男「不可思議な存在を許せないわけでもなく、特定の何かが嫌いでもなく」

男「倒せる倒せないで決めているかと思えばそうでもなく」

店主「じゃあ何で突っかかる?」

男「自分が嫌いだから」

店主「あぁ、半分人間じゃないという半端さが嫌でってことか?」

店主「情けない、我々と違って自分の在り方を自分で決められるんだ、そんなことで」

男「うじうじしているわけじゃないだろね」

店主「あん?」

男「まぁ、ココらへんまでかな、あとは憶測だし、他人に話すのは本当に気が引けるんでね」

男「それこそ、後でバレたら殺されてしまいそうだ」

店主「ふーん、ま、いいけどさ」

店主「こっちも見せたいものの準備が出来てきたんだ、暇なら見ていってくれ」

男「待ち合わせがあるからそんなにはいられないよ」

店主「あれま、忙しい中寄ってくれていたのかい、そいつは悪いね」

男「ここに寄るのも用の一つさ」

店主「そうかい、まぁいいもんだから見ていってくれよ」

店主「ほら、どうだ、やっと集め終わったんだ」

店主「探すのは手間だったよ」

男「どうして、これが?」

店主「不可思議屋は、どこにだって在るんだ、存在するもので誰も管理していないのなら集められるさ」

男「確かに、壊したりはしていないけど」

男「赤い靴、か」

男「それでこっちは学校の大鏡」

男「あっちは、サリーさん」



225 ◆SetoseN//M2015/02/27(金) 23:38:42.37TxtiZyDvo (6/8)

男「揃いも揃ってよく集めたね、大鏡くらいだよ、まだわかるのは」

店主「それはその後処分されていたからな、何の障害もなかったが」

店主「赤い靴は誰かの元へと移動し続けるからね、誰かが履いてしまうとどこかへ消えてしまう」

店主「だから、履いてはいけないよ、ここに戻ってくるわけじゃないからね」

男「いや、流石に履かないし、男性には履けないんじゃないかな」

店主「そんな気はする」

男「サリーさんはよく捕まえてこれたね」

店主「君にイジメられて弱っていたからな、正直これが一番楽だったかもしれんな」

男「僕が巻き込まれて、どこかにいった物品か」

男「確かに僕らはそんなアフターケアなんて考えてもなかったけれど」

店主「気にする必要はない、そもそも生きてるだけで褒められるべきだよ君は」

男「ま、僕じゃそういうのを壊したりまで出来ないからね、追っかけることも出来ないし」

男「元々、無理にそういうことをする気はないよ」

男「僕は生きるために生きているからね、無駄に死ぬようなことはしないさ」

店主「お前らが変に追っかけたりしないように集めといたんだが、杞憂だったか」

店主「思っていたよりも、しっかりしてるな、自分が見えている」

男「そうかな、出来る事をしようとしているだけだし、なんせ僕は自分を見失ったりすると女が死んじゃうからね」

男「変な余裕が無いだけだよ」

店主「ふーむ、ま、そんな感じで危なそうなアイテムも保有だけはしているぞという話だな」

店主「売る気はないが、壊したりする気はない」

店主「こんなとこに閉じ込めとけば百年もすれば勝手に消えちまうと思うがね」

店主「どうにも、こういう不可思議を壊せないんだよな」

店主「消えいくものはそういう定めだとして見ていようと思えるのだが」

男「人間の味方に徹しきれないのも君らしくていいんじゃないかな」

男「そもそも、人間の為に開いている店じゃないんだろう?」

店主「はっはっは、お前に諭されるとはな、いやいや敵わんな」

店主「では、また寄ってくれ、何かあるとは限らんが」

男「うん、また寄らせてもらうね」



226 ◆SetoseN//M2015/02/27(金) 23:39:42.17TxtiZyDvo (7/8)

第39話





同「わざわざ呼び出して、何の用かな」 男「少し、話がしたくてね」









227 ◆SetoseN//M2015/02/27(金) 23:41:52.77TxtiZyDvo (8/8)

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

内容としては38話と39話の繋ぎのようなとこですね、今回は雑談回の予定ですので軽めに読んで頂けると幸いです

ではでは、また来ますね


228以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/02/27(金) 23:42:27.82QDkAG7izo (1/1)

乙!
そういえばドッペルと赤い靴の話大好きだ
共闘する話もわくわくした


229以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/02/28(土) 12:55:23.35Lhxw8WZVo (1/1)

おつおつー
サリーさんあっさり捕まっちゃってらっしゃる


230以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/24(火) 23:17:20.0465BOrEfs0 (1/1)

探せば飲み込む絵本も、と思ったが
有ったら有ったで二人ほど恥ずかしい思いするから無い方が良いのか
・・・悪戯好きとしては持ってそうだけど


231以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/03/30(月) 20:50:31.19+c2TBgWlO (1/1)

もう一ヶ月過ぎたのか...


232 ◆SetoseN//M2015/04/09(木) 18:04:27.97N2nfnPIto (1/7)

今日は来ました

桜の綺麗な季節ですね、下に何も埋まってないと良いですが

では、投下していきます


233 ◆SetoseN//M2015/04/09(木) 18:06:09.50N2nfnPIto (2/7)

男「何の用かと言われると困ったな」

男「先日は世話になったからさ」

同「それはボクだってそうじゃない」

同「ボクだけだったら死んでたよ」

男「そうかな、僕がいなければ逃げれたんじゃないかな?」

同「ボクが逃げる? 何から?」

男「僕に凄むなって、ま、たしかに君は怪物というか無差別的に被害を与える化け物は嫌いだよね」

男「かと言って同じく強くても知性的というか、人間に混じって生活していたりするものは、例えば神様とかだけど」

男「人型のものにはそこまでは厳しくない」

男「線引きの理由は何かな?」

同「特に決めてないよ、そうだったら昨日の疱瘡神だって戦ってないはずじゃない」

男「そうだねぇ」

男「君はあれだものね、人に危害を与えるものが嫌いなんだよね」

男「人型、というよりは人語を解するかあたりがその区分けの一つで」

男「解さないものは、意思疎通出来ないのが多いから大体嫌いで」

男「人型まで来ると結構な割合で会話が出来るからね、実際はその辺かな?」

同「わかっているなら、周りくどい聞き方する必要ないじゃん」

男「確かに」

男「そうだ、身体の方は大丈夫なのかな」

同「夕方に呼び出してる時点で、大体わかってるんでしょ」

同「知っての通りまだ治ってないよ」

同「ボクが寝ても治らないなんて久々だよ」

同「昔の人が常世をタブー視するわけだね」

男「割には元気そうだけれど」

同「元々この時間からは元気過ぎるくらいだから、弱っていても人並み以上だよ、心配ご無用」




234 ◆SetoseN//M2015/04/09(木) 18:06:35.42N2nfnPIto (3/7)

同「っていうかあの後、問題なく届けられたの?」

男「刀? 問題なかったよ、神社まで持ってったらぶっ倒れた神様も現れたし」

男「神域内じゃないと顕現出来ない位だったから、しばらく寝込んでるんじゃないかな」

男「そもそも今は人じゃないんだし、街をウロウロされても困るけれど」

同「あの剣の強さも結局は神様の力依存だったもんね」

男「いや、それは僕にはわからないけれども」

同「ボクにはピリピリくるからわかるんだよねぇ」

男「要は魔に触れてなくてもエネルギーは散っているわけだ」

男「熱みたいに発散してしまう」

男「で、君の話からすると神域内でもピリピリくるのはあると、つまりは神域内はエネルギーがあるから散らない」

男「だから外に出ているとガス欠で倒れてしまうと」

男「まぁそんな所なのかな」

男「そもそも顕現の仕方自体に何かしらの制限があることも考えられるし」

男「信仰域であるこの街から出られないというのは話半分に聞いておいたほうが良さそうだけれど」

同「どうして?」

男「地縛霊でもないのに特に移動が出来ないということは無いだろうということだね」

男「神には分霊みたいな考え方もあるし、しっかり祀って信仰があれば他の街にだろうと顕現することはあるはずだしさ」

男「なーんか不可思議屋が広告というか物販しているから行動範囲広がるんじゃないかなぁとね」

同「なる程ね」

同「じゃあ外に出なければ治るんだ」

男「そうだと思うよ」

同「外に出なきゃ無敵みたいなもんじゃない」

男「神様なんてそんなもんじゃないのかなぁ、管轄内で効力を発揮する傾向にあるし」

男「逆に外をうろつける方が問題だと思うんだけどね」

同「そっか」



235 ◆SetoseN//M2015/04/09(木) 18:07:23.28N2nfnPIto (4/7)

男「外を歩けるのは元人間だからってとこかねぇ、昔からいる神だろうし人と神の境目が薄かった時代の名残かも知れないけれど」

同「まぁ、あそこの神様が消えちゃったりしないならいいけどさ」

男「へぇ、君でも神様とかは心配するんだ」

同「ボクはそこまでマッドじゃないよ?」

男「退魔の剣なんて君からしたら嫌かと思うけど」

同「あれはねぇ、斬られたら泣きそうだよねぇ」

男「不可思議屋が死ぬかと思ったとか言ってたなぁ」

同「件と天邪鬼から特殊能力奪って身体を人間にしたら霊能力者程度でしょ?」

同「それであの剣触ったら泣くよね」

男「泣くで済むんだ」

同「ベースが人間じゃなかったら即死かもね」

同「そういう意味ではボクも即死はしないだろうけど、身体の半分消えたら結局死ぬからダメだよねぇ」

同「剣って形なのはそういうとこでもわかりやすく強いよね」

男「他の聖なる何かより?」

同「そうそう、魔除けとかも痛いけどさ、刺さらないし?」

男「君もそうだけれど、日本的じゃないよね、武力で解決というのあたり」

同「そうなの? 平和ボケしたお国柄だとは思うけどさぁ」

男「それは君が荒んでいるだけだとは思うけどね」

男「上手く付き合っていくとか知恵やら悪知恵やらでどうにかしちゃうとか」

男「何でなんだろうね、平和なお国柄なのか」

男「単に多神教の国だからか」

男「現代の信仰の在り方はもっと変わってきているけれど」

男「複数の意味で世界が狭くなったというのもあるし、科学信仰の時代だからね」

同「科学信仰?」


236 ◆SetoseN//M2015/04/09(木) 18:07:54.99N2nfnPIto (5/7)

男「現代の最大宗派だという解釈が出来るからね」

男「他の宗派を否定して正しいとしてきた宗教戦争とかさ、そういうのからすると」

男「神を否定して、物理法則を定めている科学も宗教の一つだという話だね」

同「もしかして、ほとんどの人間が科学の正しさを信仰しているから」

男「物理法則は正しく作用するし、人外の存在は否定される」

男「ということもあるのかもねぇ」

男「現実に君みたいなのもいるわけだし、科学自体が全ておかしいという訳では当然なくて」

男「最大宗派故に、過度に正しく在れている所はあるかもね」

同「でもここには神もいるし幽霊だって吸血鬼だっているじゃない」

男「エネルギーが余っているとか言っていたね、科学信仰だけだと使い切れない多量のエネルギーがあるんじゃないかな」

男「科学はそもそもそういうエネルギー自体を否定しているからどうしても余ってしまうとか」

男「というかさ」

同「うん?」

男「今日はそういう話をしに来たわけではなくて」

同「何の話しに来たんだっけ」

同「っていうか女ちゃんは?」

男「不可思議屋に置いてきた」

同「何で? 君の護衛にはなるでしょ」

男「いや、僕は別に護衛が必要な人じゃないんだけど」

同「え?」

男「え?」

男「まぁいいや」

同「ボクとしてはあんまよくないけど」

男「近頃さ、君機嫌悪いよね」

同「そう?」

男「何か悩んでるんじゃあないかなって」


237 ◆SetoseN//M2015/04/09(木) 18:09:37.12N2nfnPIto (6/7)

同「何かって何?」

男「例えば、そうだな、家のこととか」

男「怖い顔するのはやめてくれよ、よくある話だろう、家庭環境で悩みを抱えるなんてこの年代にはさ」

男「それとも、何か違う何かがあったのかな?」

同「あー、わかった、わかったもういいよ、ボクから話したほうがマシだってわかった」

同「うちが退魔士みたいな仕事してたってこと」

男「うん、知ってる」

同「だよねぇ、いやまぁ何かバレてるとは思った」

男「やっぱり?」

同「だってさ、何かボクの家の話振らないし、雷獣飼ってるあれでも見に来る気も無さそうだったし」

男「そっか」

男「まぁ、君のとこの家業が退魔士だということは知っていたけれど」

男「他の人は知らないんじゃないかな、女ですら」

同「あ、そうなんだ」

男「自分から言わないってことは大方想像つくからね」

男「要は君の代で久しぶりに退魔士が出来るようになったわけだ」

同「うん、まぁそうだね」

男「ただ、退魔士というのは名前だけで実際は」

同「化け物による化け物退治」

同「英雄による化け物退治とは色合いが違うよねぇ」

男「それに加え、君は数代ぶりに吸血鬼の力が使えるなんてもんじゃなくて」

同「初代ぶりじゃないかな、記録を見るに」

同「ボクを除くと代々吸血鬼率は下がる一方だったからね」

男「初代ってことは」

同「半人半妖って奴?」

同「まー江戸時代にはよくある話でしょ」

男「いやぁ、絶対よくある話ではないけれどね?」



238 ◆SetoseN//M2015/04/09(木) 18:10:25.51N2nfnPIto (7/7)

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

何か絶妙に忙しいですね、おかしいな……

ではでは、また来ますね


239以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/04/09(木) 21:37:20.73fmGlNGsxO (1/1)




240以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします2015/04/10(金) 01:03:43.78iULywpy70 (1/1)

おつー