904 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:40:09.06do1F3rvA0 (4/21)

舞園『……』

舞園『……』

舞園『…行きましたね』



舞園『苗木君の机…』

舞園『…許してください。今日だけ、今だけ貸してください…』

舞園『明日はもう泣かないから…』


苗木君の机にすがって泣いた。
その机は私には少し小さくて、私の涙を受け止めるには足りなかった。







次の日


苗木『…あ、霧切さん。おはよう』

霧切『お、おはよう。苗木君』

苗木『……』

霧切『……』

苗木『な、なんか恥ずかしいね』

霧切『…はやく教室へ行きましょう』

苗木『そうだね』


905 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:41:01.11do1F3rvA0 (5/21)

苗木『おはよう!』ガラッ


パァン!

苗木『え?』




『『『『カップル成立おめでとーっ!』』』』




霧切『…何?』

朝日奈『おめでとー聞いたよ二人とも!恋人どうしになったんだって?』

苗木『えっ?!』

葉隠『苗木っちも隅におけねえなあ!ところでここに恋が続くってうわさのブレスレットがー』

江ノ島『やるじゃーん!まさか苗木が一番手なんて思って無かったしマジ聞いた時は驚いたって!』

戦刃『うん』

石丸『もごもご』モゾモゾ

苗木『どうしたの石丸君…』

セレス『空気を読まなかったので黙っててもらっているだけですわ』

山田『これはひどい』

十神『騒がしかったからな。これで本が読めるというものだ』

大和田『…まってろ!今外してやるからな兄弟!』

腐川『や、やめなさいよ…その男うるさいんだから…』

不二咲『…で、でも外してあげようよぉ…やっぱり酷いよ…』


906 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:41:44.52do1F3rvA0 (6/21)

苗木『と、ところで誰がこんなに人を呼んだの?ボクたち誰にも言ってな…あ』

舞園『……』ニコニコ

苗木『舞園さん…』

舞園『…約束、しましたから』ニコニコ

霧切『舞園さん、私は…』

舞園『おめでとうございます』

苗木『舞園さん、えっと』

舞園『…ちょっと、やり過ぎちゃいましたか?最初は数人で驚かすだけの予定だったんですけど…気がついたら全員になってしまっていて…』

朝日奈『十神まで来たもんね!』

十神『俺はいつも通り来ただけだ!』

大神『素直でないな。あれほど準備するものについて血眼になって質問していただろう』

十神『俺はそんなこと知らん!』

山田『ツンデレですなぁー』

十神『黙れこの豚!』

石丸『ぷはぁっ!こら君たち!もうすぐ授業が始まるぞ!準備をしたまえ!』

江ノ島『ちぇー何大和田縄といてんのー?つまんない』

大和田『そもそも縛るんじゃねえよ!』

石丸『ちぇーではない!はやく席につきたまえ!』

葉隠『ほいほい解散かいさーん』


907 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:42:22.47do1F3rvA0 (7/21)



苗木『舞園さん』

舞園『…驚かせてしまいましたね』

苗木『うん。びっくりしちゃった』

舞園『…言ったとおりでしょう?』

苗木『え?』

舞園『二人の友達のまま…私は変わらないって』

苗木『……』

舞園『苗木君!授業始まりますよ!ほら席に座りましょう。石丸君が怒ってますよ』

苗木『えっ、ああうん!座ろ、霧切さん!』

霧切『ええ』





桑田『舞園』

舞園『なんですか?』

桑田『…マジで大丈夫なのかよ?』

舞園『…当たり前じゃないですか!何言ってるんですか桑田君?』

桑田『…そうは見えねーぞ』

舞園『……授業、始まりますよ?』

桑田『……』


908 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:44:02.05do1F3rvA0 (8/21)



私の当面の問題は、この嫉妬深い心だった。この心が、苗木君と霧切さんを傷つけるかもしれないと思うと、気が気でなかった。
そこで私はみんなの力を借りることにした。
みんなと一緒なら私はきっと間違いを起こさない。
仮に起こしたとしても、きっと誰かが止めてくれる。
そう思ってこのサプライズを企画した。


私がみんなに苗木君と霧切さんが結ばれたと告げた時、ほとんどの人は何かを察したみたいだった。
誰も事情を探ろうとしないで提案に乗ってくれた。そのやさしさはありがたいものだった。



その日からは苗木君と霧切さんから少し距離をとった。
といってもほんの少しだけ。二人が恋人同士として過ごす時間分だけ離れた。これは私と苗木君との関係に適切な距離を取っただけ。
それ以外は前と一緒だから大丈夫。私たちは大切な仲間。
変わらないで仲間として楽しい時間を過ごしましょう。
これが、私たちの出した結論。


もう大丈夫です。
始まりを耐えられたのならその先もきっと耐えられます。私には仲間がいます。
いつかこの辛い気持ちが思い出になって、笑い話にできる日が来るでしょう。

新しい恋をまた見つけて、私も幸せになって二人を安心させるんです…
そうすればきっとみんな幸せなはずだから。
私もきっと幸せになれるから。



だから二人ともそんな辛そうな顔しないで…




909 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:45:09.46do1F3rvA0 (9/21)




「……さん!舞園さん!」

舞園「……あ…?」

苗木「…やった!起きたよ霧切さん!」

霧切「安全な場所まで舞園さんとセレスさんを下がらせて!」

苗木「こっちに来て舞園さん!」

舞園「な、何が…」

戦刃「……」

霧切「あなた、舞園さんに何をしたの?」

戦刃「何もしていない」

大神「霧切、下がるのだ!我が相手をする!」





苗木「大丈夫?!舞園さん!ボク達が駆けつけた時はもう倒れてたんだ!」

舞園「苗木君…」

苗木「セレスさんもなんで倒れたのかわからないって言うし!」

セレス「嘘なんて吐いてませんわよ」

苗木「何があったの舞園さん!」

舞園「……」

舞園(どうしよう…)


910 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:46:08.55do1F3rvA0 (10/21)



ここで黙って苗木君に縋りつけば苗木君はきっと私の物になる。
今度こそ、霧切さんに勝てる。
幸せな恋人同士にだってなれるし、家族にだってなれる。
夢を見ていた未来が現実になる



舞園「……」

苗木「…舞園さん?」

舞園「……」

舞園「……」

苗木「どうしたの、舞園さん!」

舞園「苗木君」

苗木「なに?」

舞園「…今すぐに、霧切さんの助けに行ってください」

苗木「…え?」

舞園「私ではなく、霧切さんのところへ行ってください。それがあなたの選択です」

苗木「どうしたの舞園さん…?選択って…?」

舞園「…お願いします」

苗木「い、意味がわからないんだけど…」


911VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/09(月) 01:47:13.81do1F3rvA0 (11/21)

舞園「…きっと二人とも、後悔していたんですね」

苗木「えっ?」

舞園「苗木君も霧切さんも…優しい人だから…だから結ばれたことに、私を一人にしてしまったことに罪悪感を感じていたんですね…」

舞園「全てを忘れてしまっても…その後悔だけは無くせなかったんですね」

舞園「だから…私にあんなに優しくしてくれた…」

苗木「ちょっと待ってよ!それは違うよ!」

舞園「いいえ!違いません!」

苗木「違うよ!君は間違ってる!この気持ちは後悔なんかじゃないんだ!ボクは、ボクは…ボクは君のことが好きだから…!だから!」

舞園「やめてください!」

苗木「なんで!」

舞園「やめて!やめて…やめて、やめてぇ…!」

苗木「舞園さん…なんで…」

舞園「本当に…本当に間違っているんです。忘れてしまっているんです」

舞園「私たちは答えを出したんです!三人で苦しんで、苦しんで苦しんで!答えを出した後だってずっと苦しんで!」

舞園「それでも選んだ答えなんです…」

苗木「…舞園さん、何を言ってるの?!忘れてるって…ボク達が何を!」

舞園「わからない!この記憶が何なのか!それが何かすらもまだわからないんです!」

舞園「それでもわかります!この記憶は真実です!」

苗木「舞園さん…山田クンと同じことを…」


912 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:48:29.65do1F3rvA0 (12/21)

舞園「苗木君、はやく、はやく霧切さんのところへ行ってください。はやく行ってくれなければ私は…私はまた間違ってしまう」

舞園「また、苗木君を捕えてしまいます!」

苗木「ボクはそれで構わない!ボクは君の力になりたいし、君のことが大切なんだ!ボクの気持ちは間違ってなんかない!本当の気持ちだ!」

舞園「確かにその優しさは苗木君の本当の気持ちなのかもしれません。…でも、」

舞園「でも全てがすれ違っているんですよ!私はその違いを許容できません!苗木君は、あなたは!全てを忘れてしまっている!」

舞園「私は嫌です!こんな今は望んだ未来ではありません!こんなズルみたいなことをして苗木君を手にいれたって、私は納得できません!嫌です!」

舞園「あなたのその「好き」は本当に恋ですか?!愛ですか!」

苗木「っ…」

舞園「言い切れますか!何の後悔も、憐れみも無いと言い切れますか!そうでなければ意味がないんですよ!」

舞園「後悔や憐れみなんて…私は欲しくないです…」

苗木「……」

舞園「苗木君…あなたの今出している答えは私たちの苦しみを、過去を踏みにじるものです」

苗木「…ごめん。わからないんだ…」

舞園「…わかっています。だからこそ言います」

舞園「私たちの苦しみを、出した答えを忘れてしまったまま、私を選ぶなんてそんなことしてはいけないんです…きっといつか心の底から後悔してしまう日が来ます」

舞園「私はそんなの嫌です。私を選んだことを後悔されるなんて…そんなのきっと死んでしまいます」

舞園「だから嫌です…嫌なんです…」

苗木「…舞園さん、ごめん。ボクが間違ってた。こんなタイミングでいうことじゃ無かったよ」

舞園「……」

苗木「…舞園さんの言うとおり、ボクはあっちに加勢して来る。だから舞園さんも安全な場所に避難してよ」

舞園「…はい。ごめんなさい。取り乱してしまって…」

セレス「…あちらに動きがありますわよ」

苗木「えっ?!」


913 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:49:33.62do1F3rvA0 (13/21)




朝日奈「霧切ちゃーん!」

戦刃「何だ!」

朝日奈「あんたじゃない!霧切ちゃん!コレ!爆弾!」

霧切「爆弾?!」

戦刃「しまった!」

大神「朝日奈!何だそれは!」

葉隠「モノクマ内臓の爆弾みてえだ!こっちの部屋に分解されたモノクマがいくつかあったから取ってきたべ!」

霧切「…あなた、何をしようとしてたの?!」

戦刃「くっ…」

霧切「…朝日奈さん、こっちに来て、爆弾を私に渡して!」ダッ

朝日奈「わかった!」ダッ

戦刃「行かせない!」ダッ

大神「行かせぬわ!」

戦刃「……!くっ!」

霧切「大神さん!例の通りに頼むわ!」

大神「わかったぞ!」


914 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:50:30.22do1F3rvA0 (14/21)




セレス「…例の?」

舞園「は、早く!早く行ってください!霧切さんのところへ!」

苗木「…待って、ボクはしばらくここにいるよ」

舞園「どうして!」

苗木「ボクが今行くと邪魔になっちゃうから」

舞園「邪魔…どうして…」

セレス「…舞園さん。苗木君にも考えがあるのですから黙ってなさい」

舞園「……」

苗木「…大丈夫」

舞園「…え?」

苗木「舞園さんの言いたかったことはなんとなくわかったから。何のことを言っているのかは分からなかったけど…」

苗木「急いで答えを出さないで、真摯に考えてくれって…そういうことだよね?」

舞園「…苗木君」

苗木「…こんな状況で好きだなんて言っても、信じられないよね。そりゃ」

舞園「…」

苗木「だからこの騒動が終わったら…」

舞園「……」

苗木「ボクもう一度真剣に考えるから」

舞園「……」


915 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:51:06.36do1F3rvA0 (15/21)

苗木「信じて…くれる?」

舞園「…はい」

苗木「…ありがとう、舞園さん」

舞園「…いいえ。私こそ…ありがとうございます」



セレス(この空気辛いですわ)

セレス「…あら、大神さんが戦刃さんを離しましたわ」

苗木「…えっ本当に?!ボク行ってくる!」

舞園「苗木君!」

苗木「……なに?」

舞園「…怪我なんて絶対しないで…みんなで無事に帰ってきてください!絶対ですよ!」

苗木「…うん!」

舞園「…絶対、ですよ…」

セレス「わたくしたちはとっとと安全圏行きますわよ」

舞園「…はい」



916 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:51:45.29do1F3rvA0 (16/21)




戦刃「やっと大神さんを振り切った…!」

霧切「……」

戦刃「いた!」

霧切「…!」ダッ

戦刃「逃がさない…!」


図書室前 廊下


戦刃「…見失った……ッこれは…!」

ドォーン

戦刃「本のバリケード…!通る隙が無い!」

戦刃「霧切さんはどこへ…!」

戦刃「…図書室?」

戦刃「いやまて…どう考えても罠…」

戦刃「どう考えても開けた瞬間に何か来る…」

戦刃「…でも霧切さんは爆弾を持っている…放置は危険…」

戦刃「……警戒して行くしかない」

戦刃「せめて向こうのドアから行こう…」


917 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:53:01.11do1F3rvA0 (17/21)

戦刃「…よし!行こう」ガラッ

戦刃「……いない?」ヒタヒタ

戦刃「…え?」ヒタヒタ

ジェノ「はいはい残念大当たりィー!」ヒュン

戦刃「うわ…っ!」

ジェノ「おおっ?!すげえ避けた!避けたぞコイツ!」

戦刃「ジェノサイダー翔!」

ジェノ「あらあらー私の名前知ってるのぉー?」

戦刃「…」ジリ

ジェノ「そんなに警戒しないでよ…」

戦刃「……」

ジェノ「同じクラスの仲間じゃん?そういうとされると傷つくんだけどむくろちゃーん」

戦刃「なっ…覚えて…!」

十神「……」ガシッ

戦刃「しまっ…!」


918VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/09(月) 01:53:33.40do1F3rvA0 (18/21)

十神「…ハッ!」ブンッ

戦刃「まさか本のバリケードに…!やめ…」


ドンッ バサバサバサバサ


ジェノ「さすが白夜様ァーいい投げ筋ィー!どストライクhooooo!」

十神「いいから来いジェノサイダー!本の中から抜けられる前に捕まえろ!」

霧切「縛るわよ!」

大神「積んだ本を崩されぬように気をつけろ!まだ残っている!危険だ!」

十神「縛って引きずり出せ!」








戦刃「……」

十神「フン。この俺に勝てるとでも思ったのか?」

朝日奈「みんなーっ…てわあ捕まってる!」

ジェノ「おっそ!もう終わってるっての!」

霧切「朝日奈さん、舞園さんとセレスさんに怪我は?」

朝日奈「目立ったのは無かった。今は葉隠と一緒に石丸の部屋にいる」

大神「山田と一緒だな」

十神「さて…この女をどうするかだが…」


919 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:54:25.67do1F3rvA0 (19/21)

霧切「待って」

十神「なんだ」

霧切「時間が惜しいわ。大神さんを借りて行っていいかしら」

十神「何が目的だ」

霧切「別の階の探索よ。黒幕がまだ潜んでいる。警戒される前になんとかしなければ状況は変わらないわ」

十神「…なるほど例の爆弾を使うのか」

霧切「ええ。シャッターはあれで壊せるから、そこから先はなんとかするわ。ただ、一人だと足りないから大神さんと行きたいの」

十神「俺は構わん。好きにしろ。こんな女一人俺一人でどうにかできるからな」

霧切「助かるわ。…大神さん、危険だけど来てくれないかしら」

大神「我は構わぬ。…皆もいいか?」

朝日奈「さくらちゃん…」

大神「…安心しろ、朝日奈。我は帰ってくる」

朝日奈「……わかった。私はここで頑張るから」

大神「…他の者はよいか?」

苗木「ボクは構わないよ」

大神「…よいようだな」

霧切「…行きましょう」


920 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 01:55:04.82do1F3rvA0 (20/21)

苗木「待って!」

霧切「何かしら」

苗木「ボクも行くよ!」

霧切「…あなたはここにいて。危険だから」

苗木「霧切さんだって危険なところに行くんじゃないか!」

霧切「あなたは怪我をしているじゃない。それに荒事に慣れていない。…端的に言えば邪魔だわ」

苗木「……」

霧切「…気持ちは受け取っておくわ。…行くわね」

朝日奈「さくらちゃん……霧切ちゃん」

十神「さて、こいつだが」

戦刃「……」

十神「貴様には聞きたいことがある。黙秘権はない。俺のいう通りに口を開け…でなければ、わかるな?」

戦刃「……」








江ノ島「あーあーとうとう捕まっちゃったー」

江ノ島「こっちに霧切来そうだし…そろそろ出撃って感じ?」

江ノ島「えーこほんこほん。マイクテス、マイクテース!」

モノクマ「うぷぷぷぷぷぷ。じゃあそろそろいっちゃうよぉ?」

モノクマ「世の中そんなに甘くないってこと、みんなに教えてあげないとねぇ!」


921 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/09(月) 02:00:07.50do1F3rvA0 (21/21)

途中ミスりましたすみません

というわけで妹様出撃です
そろそろ次スレですかね
いつ立てればいいんですかね
ここまで長くなる予定じゃなかったからまるで準備してませんよ

というわけで今回は以上です


922VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/09(月) 02:24:06.89heDF50q5o (1/1)

乙、妹様のターンか!今まで動機提示とあと石丸の涙拭いたくらいしか目立ったことしてないからな、どうなるんだ
次スレは…進行ペースとか完結まであとどのくらいかによる
ある程度余裕を持ったほうがいいと思うけど


923VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2013/12/09(月) 03:07:49.96QWslIkN00 (1/1)

粘着質な涙、懐かしいな


924VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2013/12/09(月) 04:23:23.91RQa4LwN90 (1/1)

おお
いよいよラスボスが動きはじめたか
乙です!


925VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/09(月) 12:43:14.50RXsMzguDO (1/1)

早めに立てちゃっていいんじゃないかな
余った分は適当にこのスレ分を振り返って感想とか書いてれば消費しそうだし
ギリギリに立てようとすると埋め立て荒らしが来ないとも限らない


926VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2013/12/10(火) 00:07:11.77VOfODBcc0 (1/1)

そろそろクライマックス、なのだろうか。
それでも今スレ中に完結させるってのは厳しい気がするけど。

しかし、ようやく妹様出撃か。
苗木君が全然覚醒しなかったり舞薗さんが病んだりってのが目立ってたけど、何気に妹様も原作ほどの脅威度は無い感じなんだよな。
秘密暴露やら条件緩和やら、対症療法的な雰囲気が強かったし。
どこに着陸するのやら。


927 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:16:47.58GBig6mwJ0 (1/15)

三階へ続くシャッター前


霧切「覚えていると思うけど、現段階でシャッターの数は二つあるわ」

大神「ここと寄宿舎の方にあったものか」

霧切「ええ。でも今両方を一つずつ調べている暇はないわ」

大神「手分けして探すのだな」

霧切「そう。…どちらがどちらへ行くか、そしてどう爆弾を分配するかが重要になる」

霧切「…あなたはどちらに行きたいかしら?」

大神「…わからぬ。選択はぬしに任せよう」

霧切「…わかったわ。じゃああなたはこのまま三階に行って。いつでも十神君たちに駆けつけられる位置にいて欲しいの」

大神「…そうか」

霧切「もし何かを見つけたら十神君に知らせて。判断は彼に任せるわ。何かあったら私に知らせて頂戴」

大神「…では爆弾はどうする?」

霧切「一つは私。一つは大神さん。…後一つは十神君たちに渡しておくわ。これでどうかしら」

大神「うむ。では我はこのまま三階へ行こう」

霧切「ええ…頼んだわよ」



928 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:17:57.04GBig6mwJ0 (2/15)




石丸の個室

舞園「山田君…!」

セレス「…眠っていますわね」

葉隠「襲われたあと一瞬だけ起きてそのあとはずっとこれだべ」

舞園「ひどい…」

セレス「……」

葉隠「……」

舞園「…私、何もできないんでしょうか」

セレス「その怪我では足手まといですわ。大人しくここにいるべきでしょうね」

舞園「……」

葉隠「つーかセレスっちはなんで舞園っちと居たんだ?」

セレス「トランプゲームをしていただけですが」

葉隠「このタイミングでか?!」

セレス「誰がいつ何をしようがあなたに関係無いでしょう」

葉隠「だからって…」


ドォーーン


舞園「きゃ…!」

セレス「…爆発音?」

葉隠「さっき俺らが見つけた爆弾を霧切っちが使ったんだと思うべ」


929 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:18:37.40GBig6mwJ0 (3/15)

セレス「……ん?」

山田「……うう」

舞園「山田君!目覚めたんですね!」

山田「舞園…さやか殿?」

舞園「大丈夫ですか?!襲われたって…」

山田「……ここにいるのは…葉隠康比呂殿に安広…多恵子殿?」

葉隠「やすひろたえこ?そんなやついねえぞ?」

セレス「……」

舞園「やすひろ…たえこ?」

舞園「う…!」グラ

葉隠「どうした舞園っち!」

舞園「待ってください…その名前…何処かで…」

セレス「…この間の、放送では?」

舞園「違います…そこじゃありません…もっと何処かで…」

山田「まさか…舞園さやか殿も思い出したのですか…?」

舞園「思い、出す……あっ!」

舞園「そうです…!確かこの名前は…!」

セレス「…わたくしの本名、ですわね」

葉隠「はい?!」


930 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:19:20.24GBig6mwJ0 (4/15)

セレス「どこでこの名前を知りましたか?」

舞園「わかりません…まだ頭の中がぐちゃぐちゃで…さっき倒れたときに見た夢が原因なのはわかるんですが」

セレス「苗木君がいっておりましたわね。『山田君と同じことを言っている』と」

舞園「私と山田君が同じことを…?」

舞園「…山田君。もしかして…私と同じ記憶を持っているんですか」

山田「……今は一体何が…」

葉隠「今頃は江ノ島を捕まえたところだと思うべ!ついでに霧切っちが爆弾使ってどっか行ったと思うべ」

山田「江ノ島…江ノ島盾子殿は我々の中には居ませんでしたぞ…」

セレス「ああそういえば。彼女は変装していたのですわね。…彼女は誰なのでしょうか?」

舞園「…すいません。彼女の名前はまだ思い出せないんです」

セレス「ということは名前が思い出せないだけで存在は知っているのですわね?」

舞園「はい…」

セレス「ふむ…つまりあなたは彼女と会ったことがあり、なおかつその記憶は不自然にあやふや…ということですか。一体なんの意味があるのでしょうか」

舞園「……」

セレス「…山田君は何かを知っていそうですわね」

山田「…そこでお願いがあるのですが」

舞園「なんですか!」

山田「僕を…みんなのところに案内してくれませんか…」


931 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:20:20.64GBig6mwJ0 (5/15)



葉隠「おいおい本当に行くのか?」

舞園「行きます」

セレス「危険ですわよ。ここにいるのは非力な女子と怪我人とダメ人間しかいませんのよ」

舞園「行きます」

セレス「…はぁ…ダルいですわ」

舞園「みなさんはどこに行かれたんですか葉隠君」

葉隠「多分図書室あたりだと思うんだが…あっ?あれ霧切っちじゃね?」

舞園「えっ?」

霧切「舞園さん?」

舞園「霧切さん…」

霧切「あなたたち、どこに行くつもりなの?」

山田「図書室です」

霧切「十神君たちのところへ?どうして?」

山田「思い出したことを話に行くんですぞ」

霧切「…そう。それは私たちに必要な情報なのかしら」

舞園「はい」

霧切「…」

舞園「霧切さんにもお話ししたいことがあるんです。一緒に来てください」

霧切「私はこれから行かないといけないところがあるからあとで聞くわ」


932 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:21:17.48GBig6mwJ0 (6/15)

舞園「でも…」

霧切「ごめんなさい。急ぐから」

舞園「待って!」

霧切「…苗木君を頼むわね」

舞園「……!」

舞園「待って霧切さん!」

セレス「お待ちなさい」

舞園「離してください!私は霧切さんにしたい話が…!」

セレス「状況が読めないんですの?今追いかけたところで足手まといですわよ!」

セレス「何度言えばわかるのです!あなたは手を骨折している怪我人ですのよ!あなたが足を引っ張ってこちらが不利になったりしたらどうするおつもりですか?」

舞園「…すいません」

葉隠「早く行かね?」

舞園「そうですね…」

舞園「……」



二階

舞園「……」

舞園「ごめんなさい!やっぱり私霧切さんを追います!」

セレス「…お待ちなさい!……ああもう…行ってしまいましたわ」

葉隠「追わねえのな」

セレス「それはあなたもでしょう。それにそんなことをする義理も何もありませんわ。とっとと図書室に行きますわよ」


933 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:22:16.14GBig6mwJ0 (7/15)



隠し部屋

石丸「どうかね不二咲君。行けそうかね?」

不二咲「問題ないみたい。怖いくらいに順調…」

石丸「…罠か?」

不二咲「…わからない。でも慎重にしてる暇なんてないよね。せめてモノクマかマシンガンとかの制御だけでも何とかしないと…」

石丸「…ここにモノクマが来ればひとたまりもない。罠は張ったがそれでも歩行の邪魔にくらいにしかならないからな」

石丸「兄弟たちが見回ってくれているが…見回っているということはここにはいないということだ…なにかあった時は僕達で切り抜けなければならない」

不二咲「うん…」

石丸「…大丈夫だ!何とかなるだろう。きっと!」

不二咲「…そうだよね。僕も頑張る」

石丸「そうだ!努力こそ勝利の鍵だ!頑張ろうではないか!」





ドォーン

桑田「今の音…何だよ?!」

大和田「爆発か?!なんでンなタイミングで爆発なんて起こりやがるんだよ!」

石丸「今の音は何かね!というか君たちまだここにいたのか!」ドタドタ

大和田「兄弟、どこかで爆発したみてえだぞ」

石丸「ばっ、爆発?!何故だ!」

桑田「知らねー」

石丸「…一体何が起こっているんだ…」



934 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:23:13.95GBig6mwJ0 (8/15)



三階

ドオーン


大神「…では、いくか」

大神「…敵はいないようだな」




大神「特にめぼしい部屋もない…か。シャッターが一つあったが…爆弾はあと一つだ」

大神「十神に判断を委ねるしかないな…」




二階

十神「何とか言え。貴様に黙秘権は無いと言っているだろう」

戦刃「……拷問でもなんでもすればいい。私は耐えられる」

十神「こいつ…」

ジェノ「拷問していいの?じゃあこれブスっといっとく?」

朝日奈「ごっ…拷問?!駄目だよそんなの!」

十神「そのハサミを貸せ」

ジェノ「ほい」

苗木「ちょ、ちょっと!本気なの十神君!?」

朝日奈「やめなよ!拷問なんてダメだって!」

十神「黙れ。俺たちにはこいつしか情報源がないんだぞ!」


935 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:24:02.78GBig6mwJ0 (9/15)

朝日奈「だからって暴力するの?!そんなのモノクマと一緒だよ!」

苗木「そうだよ。もうちょっと穏便にできない?」

十神「少し黙らせろジェノサイダー!」

ジェノ「はあーい!それじゃあお黙り。雌牛ちゃんにまーくん」

朝日奈「んー!んー!」

苗木「もがもが」

十神「これで静かになったな…これが最後のチャンスだぞ。貴様の仲間はどこにいる!」

戦刃「やりたければやれ。私は口を開かない」

十神「では望むようにしよう…後悔するなよ」

戦刃「……」

大神「…何をやっている十神!」

十神「チッ…」

大神「……!腐川!貴様朝日奈に何をしている!」

十神に「朝日奈を離せジェノサイダー」

ジェノ「チッ!でもいいや。まーくんいるしぃー。ねーまーくん」

苗木「もがっ!」

朝日奈「さくらちゃん!ちょっと聞いてよ!十神が江ノ島に拷問するって…!」

大神「何だと!正気か十神!」

十神「正気に決まっているだろう」


936 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:25:26.40GBig6mwJ0 (10/15)

大神「そんなことはやめろ!」

十神「…フン。この場の決定権は俺にある。文句を言われる筋合いはない」

十神「…ところで大神。貴様はこの短時間で何をのこのこ帰ってきたんだ?収穫はあったんだろうな」

大神「…むむ。話を逸らすなと言いたいところだが…三階には何もなかった。四階へ続くシャッターは見つけたが…」

戦刃「……!」ガタッ

十神「……」

十神「…大神、これを取りにきたのだろう?使え」ポイ

戦刃「……!」ガタガタッ

大神「…爆弾。よいのか?」

十神「くくく…ああ使え。どうやら四階に黒幕がいるようだからな」

大神「……?では使わせてもらおう」

大神「…十神。情報ならば我が手にいれてくる。だから妙なことはするな。いいな」

十神「フン。とっとと行け」

戦刃「待て!」

大神「……」スタスタ

戦刃「くっ…」

十神「…よくこんなだだ漏れさせる女をスパイなどにしたものだな…」

苗木「…拷問なんてしないよね?」

十神「もはや必要無い。こいつは誘導尋問すれば容易に漏らすようだからな。むしろよくしゃべれる方がよく漏らすだろう」

苗木「よかった…」


937 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:26:22.27GBig6mwJ0 (11/15)

十神「黒幕のことは大神に任せるとしよう。質問を変える」

十神「人類史上最大最悪の絶望的事件とは何だ」

苗木「人類…何それ?」

朝日奈「そんな事件あったっけ?」

戦刃「…何故…知っている」

十神「…答えろ」

戦刃「……」

十神「…何故俺が知っているのか教えてやろうか?」

戦刃「…何?」

十神「俺がこのことを知り得たのは…」

ジェノ「はぁーい!アーターシーでぇーす!このジェノサイダー翔ちゃんが教えてあげましたぁ!」

戦刃「えっ?!」

十神「…何を驚いている?腐川が多重人格者であることを把握していたのではないのか?」

戦刃「記憶は消したはず…!何故みんな覚えているの?!」

十神「…記憶消去だと?」

ジェノ「記憶消した?ああだからみんな妙に初々しいかったのね?」

十神「腐川とジェノサイダーは記憶を共有していない。その記憶消去とやらが何かはしらんが一人分処理が足りなかったようだな?」

十神「…最も、俺とてこんなイカレた殺人鬼のいうことをただ信じたというわけではない」

十神「俺はジェノサイダーの発言を受け、この学園を調査した」

戦刃「調査…?」


938 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:27:18.41GBig6mwJ0 (12/15)

十神「それで見つかったのがこれだ」

朝日奈「紙切れ?」

十神「これはリストだ」

苗木「一体なんのリスト?」

十神「俺達の記憶に空白の期間があることを示唆する物的証拠のリストだ。中には動かせないものもあったからな。あった場所をメモしてある」

苗木「空白の期間…?」

十神「読め」

苗木「えっボク?…えっと」

苗木「…その一。日付が未来になっている新聞紙」

十神「…これは図書室の中に包められた状態で放置してあった」

朝日奈「未来の新聞紙?!」

十神「…俺たちの記憶には空白の期間があると言っただろう。故にこの新聞は未来のものなどでは無い。過去のものだ」

朝日奈「どういうこと?」

苗木「記憶消去に未来の新聞紙…つまりボクたちは過去のことを忘れてしまっているってこと…だよね」

十神「フン。ついて来られる奴がいたか。その通りだ。俺たちは現在の日時を誤認している」

苗木「ボクもさっきにたようなことを聞かされたんだ。舞園さんが…僕には忘れていることがあるって」

十神「…なるほど。山田に続いて舞園も思い出したか」

苗木「キミも何かを覚えているの?」

十神「無い。しかし俺は真実にたどり着いた」


939 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:28:50.43GBig6mwJ0 (13/15)

朝日奈「待って待って!何の話?!記憶消去とか思い出すとか!」

十神「まだわからないのか?貴様の脳は機能しているのか?」

朝日奈「いいから教えてよ!」

十神「俺たちはこの学園に来たことがある」

朝日奈「えっ?!」

十神「いや、違う。正確にいえば…俺たちはこの学園に既に在籍していた」

苗木「…そして確かにこの学園で学生生活を送っていた…そうだよね、十神クン」

十神「……フン」

苗木「…『腐川の覚えの無い新刊(発行日は未来)』『金属板に刻まれたA.AとS.Oのイニシャル』『日直:石丸との痕跡のある黒板』『葉隠の筆跡で書かれた本の落書き』『ボクたちは諦めない!と側面に刻み込まれた金属板』『苗木の名が書かれた相合傘』…ってうわっ?!何これ?!ボクの名前の相合傘?!」

十神「行けるところの隅から隅まで腐川に探させた」

朝日奈「もしかして床を舐めてたのって…」

十神「舐めるように探せとは言ったが舐めろとは言っていない」

苗木「うわぁ……ん?十神クンは葉隠クンの筆跡なんてどこで知ったの?」

十神「床に放置されていた交換日記とやらからだ」


940 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:29:45.31GBig6mwJ0 (14/15)

朝日奈「勝手に読んだの?!」

十神「フン。あんなところに置く貴様らが悪い」

朝日奈「仕方ないじゃん!あそこじゃなきゃ桑田とれなかったんだから!」

苗木「待って待って!そこまで!」

十神「そうだったな。下らん話をしている暇は無い」

十神「…これらひとつひとつはくだらん物だ。しかしここまで重なれば…どうだ。不自然だろう」

苗木「朝日奈さんと大神さんのイニシャルが刻まれた金属板。石丸君の名前の残った黒板…苗字自体はありふれた物だけど…確かにここまで揃ってると変だね」

十神「これらの証拠、そして俺たちの認識している時間と、実際の時間のズレ。そしてその女の漏らした記憶を消したはず…という言葉。ここまでいえば理解できるな朝日奈」

苗木「ボク達は確かにここで過ごしていた」

十神「それもこの学園が封鎖された後に、だ」

「その通りですぞ!」

十神「…ようやく来たか」

山田「十神白夜殿は気づいていたのですな」

十神「そうだ。貴様の発したうわごとで俺は間違っていないと確信した。豚でも役に立つことがあるものだな」

葉隠「待てって!俺たち中途半端にしか話を聞いてなくてわけわかんねーんだけど!」

セレス「もう一度最初からの説明をお願いいたしますわ」

十神「覚えている限りのことを話せ、山田。それが貴様に与えられた役割だ」

山田「実を言うとそこまで思い出していませんが…明かして見せましょう!真実はいつも一つ!なのですから!」


941 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/13(金) 00:34:42.51GBig6mwJ0 (15/15)

十神さんこんなことしてたよ編
集まってる証拠がショボ過ぎる
繰り返しますが私はゼロその他書籍、スーパーダンガンロンパはやってもいないし読んでもいません
なので次回からはオリジナルな展開になるかもしれません
まだ決まってないのではっきり言えないけど

投下の目処がつくか埋まりそうになったら次スレ立てます
それでは


942VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/13(金) 01:28:21.19I/3jXtBho (1/1)

日直:石丸との痕跡のある黒板って、ゲーム一章の舞園さんに抱きつかれるCGで実際にあるんだよな確か
写真とかと同じ黒幕からのヒントなのか?


943VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/13(金) 22:11:40.473BdkjZZUo (1/1)

スーパー乙


944 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:19:23.40nUGALjYx0 (1/37)

ギリギリ行けそうなんで行きます!


945 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:19:54.78nUGALjYx0 (2/37)

爆弾をセット、遠くから火を投げて爆発させた。
近場に潜り込んで音と光を耐えしのぐ。

霧切「…さて、開いたわね」

シャッターは無残な姿になっていた。



宿舎二階

霧切「…酷い有様ね。今の爆弾で壊れたわけではなさそうだわ」

霧切「…どこから調べるべきかしら。壊れていて調べられるところが存外に少ない」

霧切「…ここは、ロッカールーム?」

霧切「…鍵がかかっている。駄目だわ」

霧切「…後は、この先」








宿舎二階シャッター

舞園「シャッターが壊れて…霧切さんが先に行ったってことですよね…」

舞園「…なんですかここ?!私の記憶の中の学園はこんなに荒れてなんてないのに…」

舞園「…私の思い出せていないことがまだあるってことですか…」

舞園「この先には何があるんでしたっけ…」

舞園「とにかく急がないと…」



946 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:20:59.84nUGALjYx0 (3/37)





山田「ふうむ…あれはいつのことだったのか…今となっては懐かしい日々…」

十神「なんだその語り口は」

山田「演出ですぞ。推理漫画なんかだとこーんな風にもったいぶって…」

十神「時間がないと言っているだろうが!」

山田「しかしですな…こんな風に拙者が注目されるなんてなかなか無い機会ですからなー」

セレス「ゴタゴタ言ってねえで話せっつってんだよこの豚が!」パシィン

山田「うほっ」デブデブ

セレス「何を悦んでんだよこの豚ァ!」パンッ

苗木「まだ持ってたのその鞭?!」

朝日奈「だからそういうのやめてってば!自分達の部屋でしてよ!」

葉隠「あの鞭捌きなかなかだべ…セレスっちに紹介したい店があんだけど…」

腐川「へっくし!……えっ?!ちょっとここどこ…」

苗木「あれっ?!腐川さん戻った!」

朝日奈「うわ本当だ!」

十神「貴様ら黙れ!おい山田!とっとと要点をまとめて話せ!できないなら箇条書きにして俺に渡せ!」

山田「それはあまりにも酷くありませんか?謎がやっとこさ解けるのですぞ」

十神「俺にとっては答え合わせでしかない。とっとと話せ」

山田「仕方がありませんなぁ…」


947 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:22:07.42nUGALjYx0 (4/37)

山田「では単刀直入に言いましょう。ズバリ!私たちはクラスメイトだったのです!」

朝日奈「えええーっ!…えっ?」

葉隠「今もクラスメイトだべ」

山田「わざとやってませんか?!」

苗木「なんだかなぁ…」

山田「やり直します?」

十神「…呆れて言葉も出ん」

山田「はぁ…もう少しイケメンにシリアスに決めるつもりだったんですがなー」

セレス「その容姿とこのメンツでは不可能ですわ。いいからとっとと話しなさい。いつまで引っ張るつもりですの?」

山田「では真面目に言いますが…僕たちはここに来る前…いえ来る前と言うか記憶がなくなる前ですな。クラスメイトとしてここで過ごしていたのです」

十神「それはいつからだ」

山田「今がいつなのかわからないのであやふやですが記憶では二年ほど前に入学を果たしてますぞ」

朝比奈「…じゃあ、山田のあの寝言は…」

山田「あれは入学して最初の夏…秋入学ですから丁度一年くらいたった頃の話です。その頃の夢を見ていたのです」

山田「賑やかで笑いの絶えないクラスでした…アルターエゴの見せてくれた写真もそんな一幕を写したものでした」

山田「十神白夜殿も安広多恵子殿も…」

セレス「セレスですわ」

山田「セレス…殿も、一緒になって遊ぶ位には仲が良かったですぞ」

セレス「ありえませんわね」

十神「俺がこんな愚民共と…?笑わせるな」

山田「そんな二人が考えを改めてしまうほどに楽しいクラスだったのです」


948 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:23:37.54nUGALjYx0 (5/37)

苗木「それがなんでこんなことになってるのかな。鉄板とかマシンガンとかさ。聞く限りじゃ普通の学校生活だったんだよね」

葉隠「こういうインテリアだったんだべ」

腐川「マシンガンがインテリアの学校がどこにあるのよ…なんかわけわかんないけどムカつくから言っとくわよ…」

山田「…実を言うとですな、そこがあやふやなのですぞ」

十神「…何?この役立たずが…」

朝日奈「わかってることはないの?」

山田「…例の「人類史上最大最悪の絶望的事件」…それがあったことは覚えています。ぼんやりと。世界が凄まじい勢いで変化し、荒れ果てていきました…」

苗木「荒れ…果てた?」

葉隠「荒れ果てたってどういうことだべ?」

山田「無法地帯というか…一言でいうなら世紀末状態」

朝日奈「あはは…そんな、嘘でしょ?」

十神「嘘では無い。…それでこの学園はこのような武装状態になっているのか」

山田「でしょうな」

セレス「でしょうな…ということはなるほど。そこからわからないのですか。困りましたわね」

十神「ジェノサイダーも深くは知らん様だ。主人格ではないからな」

腐川「わ、私に何か御用でしょうか…」

十神「その口を閉じろ」

腐川「はい!………」

十神「…ということは情報源はやはりこの女か…」

戦刃「……」

十神「ところで山田、この女の名前はなんだ」

山田「…彼女は戦刃むくろ」

山田「ここにはいない、江ノ島盾子の姉なのです」


949 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:24:31.59nUGALjYx0 (6/37)




四階

大神「……」

大神「…む」

大神「情報処理室…怪しいな」

大神「鍵も掛かっている」

大神「…開けるか」

大神「…むうううっ」

大神「むっ?!」







桑田「…なんも起こんねーな」

大和田「様子でも見にいくか?」

石丸「そうだな。それでは兄弟頼む。僕は奥に戻ー


カチッ

その時だった。
たくさんのスイッチ音のような後、突然世界が闇に包まれた。右も左も分からない。


石丸「何事だ?!突然真っ暗になったぞ!」

桑田「いってェ!おいオレの足踏みやがったのは誰だよ!」

大和田「桑田この野郎!腕振り回すんじゃねェ!」


950 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:25:30.67nUGALjYx0 (7/37)

石丸「まさかブレーカーが落とされたのか?!」


僕は慌てて奥へと走った。もしも学園の電源が落とされたのだとしたら、今進んでいるハッキング作業はどうなるのだ。

石丸「不二咲君!」

不二咲「石丸君!いきなり電気消えちゃったみたいだけどどうしたの?!」

石丸「不明だ!パソコンは無事かね?!」

不二咲「…うん。これはバッテリーで動いてるから」

アル『ご主人タマ!建物内の電灯が全部オフになってるよ!』

石丸「…ブレーカーが落ちたわけでは無いのか?」

不二咲「…みたい。操作は何処からされてるの?」

アル『一括操作されてるよ。場所は情報処理室。僕が攻撃してるところと同じ』

石丸「情報処理室…!黒幕はそこか!」

不二咲「アルターエゴ、抵抗はある?」

アル『セキリュティは働いているけどそれ以外の抵抗らしい抵抗はないよ』

不二咲「続けて」

アル『うん』

不二咲「石丸君、どうしよう。こんなに真っ暗だとみんな困っちゃうよね」

石丸「桑田君と兄弟に様子を見に行ってもらおう。…情報処理室は何処だろうか」

不二咲「アルターエゴの得た資料によると四階…だよ」

石丸「四階…まだ二階までしか開放されていないな。これでは向かえない」

不二咲「…あっ」

石丸「どうかしたかね」


951 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:27:41.11nUGALjYx0 (8/37)

不二咲「物理的にシャッターが壊されてる…!」

石丸「何だと!?」

不二咲「さっきの爆発きっとこれだよ!誰かがシャッターを壊したんだ!」

石丸「しかしどうやって爆発など…」

不二咲「…破壊されている箇所は三階と四階に続くシャッターと、僕たちの部屋のところにあったシャッターみたい」

石丸「いったいいつの間に…」

不二咲「ここ音が届きにくいから…」

石丸「兄弟達に知らせてこよう!」





石丸「兄弟!」

大和田「何かあったか?!」

石丸「この停電は恐らくは黒幕によるものだ!情報処理室から一括操作されて建物中の明かりが消されたようだ!」

大和田「情報処理室だぁ?どこなんだよそれは!」

石丸「四階だ!」

桑田「四階…どうしようもねーじゃん!確か二階までしか開いてねーだろ?!」


952 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:28:16.62nUGALjYx0 (9/37)

石丸「いや、開いている。先ほどの爆発音は恐らくそれだ。不二咲君によればシャッターは物理的に破壊されているらしい」

桑田「マジで?」

石丸「マジだ!僕たちの部屋のところにあったシャッターと、四階までのシャッターは全て開いている!」

石丸「そこで君たちに様子を見に行ってもらいたいのだ。恐らく霧切君や苗木君達が先へと進んでいるはずだからな」

桑田「オッケー行ってくるわ!」

大和田「任せとけ兄弟!」

石丸「うむ。ところでどちらかが残…」

桑田「大和田オレはこっちいくわ!そっちは頼むぜ!」バタバタ

大和田「おう!任せとけ!」ドドドド

石丸「残ってくれないか…って君達!」

石丸「待ちたまえーっ!人の話は最後まで聞きなさいと先生に教わっただろう!待ってくれ!どちらか一人残ってくれーっ!」

石丸「…ふ、二人とも行ってしまった」

石丸「も、もしここが襲撃されたらどうすればいいのだ?!僕一人では守りきれないぞ!」

石丸「兄弟ー!桑田君ー!」

石丸「……これは。僕も腹をくくらなくてはならないようだ…」


953 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:29:33.90nUGALjYx0 (10/37)



十神「何が起こっている?!突然停電だと?!」

山田「はわわわわわ…」

セレス「下手に動かない方がいいですわよ」

腐川「ひっ…ひいいいっ!何よ!何が起こってんのよ!」

葉隠「ヤバイヤバイだろこれ!」

朝日奈「落ち着いてよみんな!…落ち着いてって!」

苗木「…ッああ!」

セレス「どうしましたか苗木君?」

苗木「居ない!縛ってた筈の戦刃さんが居なくなってる!ここにあるのは縄だけだよ!」

十神「何だと?!どういうことだ説明しろ苗木!」

苗木「暗くなった一瞬で抜けたんだ…」

セレス「やけに静かだと思えば…縄を抜けようとしていましたのね」

朝日奈「落ち着いてる場合じゃ無いでしょ?!こんな真っ暗じゃ追えないよ!」

腐川「だ、だからってあいつ放っておくの?黒幕に合流されたらオシマイじゃない…死ぬなんてイヤよ!そんなの!」

セレス「これが黒幕によるものだとすればこの停電は回復などしませんわよ。回復を待つのは自殺行為と言えますわ」

葉隠「ってかそもそも戦刃はどこ行ったのかもわかんねーだろ!」

苗木「多分四階だよ!大神さんを追ったんだ!」

朝日奈「かなり動揺してたもんね。さくらちゃんが四階行くって行ったとき」

朝日奈「…ってことはまさかさくらちゃんを襲うために…?!どうしよう!真っ暗だよ!さくらちゃんが殺されちゃう!」

葉隠「オーガは殺せねーだろ!」

朝日奈「でも、でも…!さくらちゃんッ!」

十神「待て朝日奈!止まれ!…止まれと言っているだろう!」


954 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:30:52.61nUGALjYx0 (11/37)

山田「追った方がいいのでは…」

セレス「全員で行動しますわよ。ここで別れるのは危険ですわ」

苗木「みんな生徒手帳だして!明かりにしよう!」


大和田「おいそこにいるのは誰だ!」

十神「その声…大和田か。そっちはどうなっている」

大和田「十神かよ。不二咲はまだハッキングやってんぜ。どーもこの停電は停電じゃなくて明かりを消しただけなんだとよ」

セレス「あら、そうなのですか」

大和田「ところで一つ聞いていいか?」

十神「何だ」

大和田「セレスはいるみてーだが舞園は見つかってねえのか?」

苗木「ああ舞園さんなら山田君と一緒に石丸君のへや…?!」

苗木「ちょっと待ってよ!舞園さんはどこに行ったの?!なんで一緒じゃないんだよ!」

山田「あっ…」

葉隠「言うの忘れてたべ。舞園っちなら霧切っちを追ってどっか行ったぞ」

苗木「……!そんな!」

十神「おい!何でそれを言わなかった!」

セレス「失念してましたわ」

十神「よくもヌケヌケと…!あの女が妙な真似をしたらどうするつもりだ!何故止めなかった!」

葉隠「勝手に走ってったんだよ!」

山田「止める暇などありませんでしたぞ」


955 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:31:56.54nUGALjYx0 (12/37)

苗木「じゃ、じゃあ今舞園さんは霧切さんのところに?」

十神「霧切は宿舎二階へ行った。四階よりは可能性が低いが黒幕がいてもおかしくはない」

苗木「危険なんじゃ…」

十神「あの女は今病んでいる!俺たちに不利益を与えるような行為をしたらどうするつもりだセレス!」

セレス「わたくしにそんなことを言っても事態は好転しませんわよ。行動を取るべきですわ」

苗木「ボク行ってくるよ!舞園さんを連れ返しに行ってくる!」

十神「好きにしろ。どうせ貴様などアテにもしていない」

大和田「苗木!そっちにゃ桑田が行ってるからよ!うまく合流しとけ!」

苗木「うん!わかったよ!」







大神「停電だと…」

大神「このタイミングとは…やはりこの中に黒幕が…ハッ?!」

ギィーガガ…
ガチャン

大神「く…」

備え付けられていたマシンガンが、我にに狙いを定めていた。
静かに後退する。

大神「ここにはいくつのマシンガンがあったか…よく見ておくべきだった」

大神「これでは記憶を頼りに避けるしかない…」


暗闇の中、マシンガンは静かに我を見つめていた。すぐそこに黒幕がいるというのに、歯を軋ませながらも下がるしか無い。
機械との無言の睨みあいが続く。
その時、



956 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:33:00.23nUGALjYx0 (13/37)

大神「!何だこの気配はッ」

大神(鋭い殺気が走ってこっちに来るな…誰だ?…ナイフを構えている。この暗闇の中迷わずに近づいて来るということは闇が見えるということか)

大神「…迎え撃つ」

大神(挟み撃ちか。敵とマシンガンに挟まれないように動かなくてはな」


足音はどんどん近づいて来る。音を殺そうともせず、力強く床を打つ音が響いていた。
迎撃すべく構えを取った。


大神「何としてでも帰らねばならぬ。朝日奈との約束だ」


そしてとうとう黒い影は姿を表した。


戦刃「大神さくらァ!そこを離れろ!」

大神「やはり貴様か」

戦刃「……はァッ!」

大神「遅いッ!」


江ノ島は隙の無いようにナイフを構え駆けた。闇の中を殺気が駆け抜ける。
それをギリギリまで引きつけると右にそらして避けた。


大神(本来ならば上に逃げてそのまま攻撃したいところだが…今上に逃げれば撃たれた時に避けられぬ)

大神(絶えず動いて翻弄するか待ち伏せるか…)

戦刃「はあ、はあ、はあ…この…ッ!」

大神「…ぬうッ!まだ来るか!」


957 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:34:02.13nUGALjYx0 (14/37)

戦刃「…いッ!ぐ…!」

大神「何だと…?」


江ノ島の異常に気がつき暗闇の中を凝視する。すると江ノ島が足をかばっていることに気がつく。


大神(…血の臭いがするな。怪我を負っているのか)

大神(…だからといって、手加減するつもりなどさらさらないが)

大神(手を抜けばやられてしまうだろう。…恐ろしい相手だ)

「はっ、は、はあっ」

大神「……声?」

「…さくらちゃん、さくらちゃんどこ?!」

大神「……朝日奈?!」

戦刃「…そこだァッ!」

大神「…ぬゥっ!」

大神(腹を少し切られたか…!いや、かすり傷だ!それよりも…)

大神「朝日奈!来るな!」

朝日奈「さくらちゃん!」

戦刃「…朝日奈さん?」

朝日奈「…やっぱりここに居たんだ。さくらちゃんに何したの?!」

戦刃「……っ」ダッ

大神「やめろ!朝日奈に近づくな!」

戦刃「はああああああッ!」

朝日奈「ヒッ…!きゃああっ!」

大神「朝日奈あああああッ」

戦刃「ハァッ!」


958 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:35:25.72nUGALjYx0 (15/37)


我は見ていることしかできなかった。
闇の中に何かが刺さる音がする。
一瞬にして血の気が引き、直後に沸騰したように昇る。


大神「江ェェェエノ島ァァアアア!」

戦刃「…はあ、はあ……刺さってない?!」

大神「何?!」

朝日奈「…何も準備しないで来るとでも思った?」

戦刃「これは…本?!」

大神(……本を開いて構えている?!)


朝日奈は腹のまえに構えた本をそのまま勢いよく閉じた。本に遮られていたナイフはそのまま挟まれる。そして閉じた勢いのまま、ぐるりと右に捻り後ろに引いた。
不意を突かれた江ノ島は、抵抗をする間も無くナイフを奪われた。


朝日奈「こんなもの!捨ててやるーっ!」


そういい朝日奈は力の限りに本を投げた。
本は闇の中に消え、何処かへと落ちたようだ。カランとナイフの落ちる金属音が響く。


戦刃「あ……」

大神「逃がさん!」ガシッ

戦刃「あ…!離せ!離せぇっ!」


959 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:36:10.72nUGALjYx0 (16/37)

朝日奈「…さくらちゃん!」

大神「…朝日奈よ。助けにきてくれたのだな」

朝日奈「さくらちゃん怪我してる…!」

大神「かすり傷だ。それよりも皆を呼んできてくれ」

朝日奈「うん!わかった!」

キィ…

大神「何?」

朝日奈「あれ、そこのドアもしかして開いてる…?」

戦刃「……!」パァ…

大神「朝日奈!そのドアから離れるのだ!」

朝日奈「…え、もしかして…本物の江ノ…」


扉の隙間から白い腕が伸び、何かを外へと投げた。
投げられた黒い何かは朝日奈を通り越し、我の目の前に落ちた。落ちたそれを確認して慌てて朝日奈に駆け寄る。


朝日奈「何?!さくらちゃん!」

大神「目を閉じて耳を塞げ!」


我は朝日奈を抱えて遠くへと飛び込んだ。
次の瞬間、白い光と爆発音が炸裂した。
暗闇から突然強い光に晒され目が眩む。音に打ちのめされそうになるところを必死に堪えた。


戦刃「盾子ちゃん…無事だったんだぁ…よか…た」ドサ

大神「…っく、ぐ…朝日奈ァ…しっかりしろ!朝日奈!」

朝日奈「……」

大神「朝日奈ァァアア!」



960 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:36:55.30nUGALjYx0 (17/37)

男子トイレ

石丸「むむむむむ…」

石丸「不安だ…実に不安だ」

石丸「僕一人で不二咲君を守れるだろうか…いや!弱気になどなった時点で負けだ!気合を入れるのだ!」

石丸「うおおおおおおっ!」

石丸「……」

石丸「…みんなは大丈夫だろうか」

石丸「…んん?」

コツ…コツ

石丸(足音…?)

石丸「桑田君…?」

コツコツ

石丸「兄弟か…?」


返事が無い。
不二咲君の打つキーボードの音が遠くなって行く。
意識はただ、闇の中から近づいて来る足音へと向けていた。

この足音は桑田君でも兄弟のものでもない。ヒールで床を打つような音だ。
霧切君だろうか?セレス君だろうか。そんな無意味な問いを頭の中で繰り返す。
…わかっている。この足音はその二人でも、仲間のものでは無い。


こつこつ、こつこつと近づいて来る足音はやがて止まった。
ーそこに、居る。



961 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:37:52.76nUGALjYx0 (18/37)


不二咲君に合図を送った。不二咲君の腕に緊張がこもる。
僕はゆっくりと、トラップをすり抜けて男子トイレの入口へと近づいて行く。
意を決して、入り口から顔を出した。


石丸「……いない?」ガシッ

石丸「ひっ…?!手首が…捕ま…」

石丸「…誰だ?!」

「………ぷぷ…」

石丸「…江ノ…島君?もしや本物の…?」

江ノ島「……うぷ」

石丸「そ、そうか!逃げてきたのだな!怪我はないかね?」


ぎちぎちと手首が締め上げられる。
その細腕からは想像もできない程の力だった。その力の強さに嫌な汗が出る。
そして暗闇に目が慣れ少しずつ彼女の姿が見えてきた。

その姿はニセ江ノ島君にそっくりだった。…いや、あちらがこの本物に似せていたのだから当然か。
右手は僕の手首をつかんでいる。
左手にはツルハシが掴まれていた。
そしてようやく顔を見る。その顔は…


江ノ島「うぷぷぷぷぷぷぷっ」


僕の想像していた、非力で哀れな被害者の顔などでは無く、獰猛な捕食者の顔。



962 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:38:42.53nUGALjYx0 (19/37)

石丸「……!」

江ノ島「うわっ?!」


恐怖に襲われ咄嗟に突き飛ばした。
江ノ島らしき人物は背中から倒れる。
ドサリと音を立てて倒れる影を確認して奥に下がる。上下左右に張り巡らされた縄跳び紐をすりぬけ隠し部屋へと辿り着いた。


石丸「不二咲君!今すぐに!今すぐにアルターエゴを持って逃げたまえ!」

不二咲「何?!どうしたの?」

石丸「そこに…そこにぃっ…!」

石丸「…ッ黒幕が!」

不二咲「……!後ろ!」

石丸「え…」

江ノ島「……こんな狭いところで逃げられるとでも思ってるのか?」

石丸「うわあああああっ?!」

江ノ島「私様が直々に来てやったのよ?もっと相応しい態度を取るべきだとは思わないの?」

不二咲「ま…まさか本物の…」

江ノ島「ねえこの紐って何?もしかしてトラップのつもりだったのぉー?もしかして絶望的にお馬鹿なのかなぁー?」

石丸「……っ」


黒幕が襲ってくるならばモノクマの姿だろうと考えて張っていた進入を妨げるトラップは、細身の体には何の抵抗にもなっていないようだった。
現に僕が通るよりも早くに突破してしまっている。

石丸「…何が目的だ!」

江ノ島「一つしかないじゃん?わざわざ来るなんて」

江ノ島「よっこいしょー!」


にかりと不釣り合いな程の笑顔を向けられて体が凍りつく。
そんな僕に構うことなく江ノ島はツルハシを掲げて不二咲君の方へと向かっていった。
その足取りは軽く、まるで買い物にでも行くかのようだった。


963 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:39:35.25nUGALjYx0 (20/37)

不二咲「……!」


不二咲君が忙しなく指先を動かす。
その間も江ノ島はゆっくりと近づいて行き
やがて辿り着く。
びくりとする不二咲の姿を見て僕はやっと動き出した。


石丸「やめろ!」

江ノ島「何度も何度もうっとおしいですね…少し黙っていていただけませんか?」

石丸「…たあッ!」


腕で顔をガードして体ごとぶつかった。この部屋は狭い上に暗い。
当然、避けられない。


江ノ島「…うわぁ!」


壁に二人で激突する。
コンクリートにぶつかる鈍い音とツルハシが落ちる音がした。
膝を多少擦りむいたが、壁と僕の間に
人というクッションがあったために僕に怪我はない。


石丸「っ…どうだ!さあ、降参したまえ!」

江ノ島「……」

石丸(……打ち所が悪かったのか?)

江ノ島「くく…」

江ノ島「………っく、ふふ、痛い痛い。…絶ッ望…的」

石丸「…わ、笑っている…本当に打ち所が悪かったのか?!」

江ノ島「頭は打つし腕も捻るし本当痛いですぅ…こんなんじゃ巻き返しなんてできない…ああ絶望的ィ…」


964 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:40:51.42nUGALjYx0 (21/37)

石丸「何を…うがぁっ!」ガンッ


体がツルハシの側面で打ち付けられ地面に落ちた。
意識が朦朧とする中に、背中に何か尖ったものをぐりぐりと刺された。骨と骨の隙間の肉の部分にヒールを捻じ込まれているようだ。背中に激痛がはしって意識が戻る。


石丸「…い、いっ…く…不二咲君!逃げ…ろ!」

不二咲「……」


伏せっているために不二咲君の顔が見えない。しかし逃げようとすらしていないことは部屋に響くキーボードを叩く音で察せられた。最後まで足掻く算段のようだ。
上を見ればツルハシを持ち替えて構えている様子が見えた。


「やめろおおおおおおおおおっ!」

『もういいよ!早く手を離して!』

「……ッ」


悲鳴が幾重にも重なり響く。
そしてツルハシがー



アルターエゴのパソコンに突き刺さった。



「……やめてぇ!」


悲鳴にツルハシを止めることはできない。
何度も何度もリズムを刻むようにツルハシが打ち付けられる。
僕達はただそれを見ていることしかできなかった。
圧倒的な暴力に晒されると人は、動けなくなるのだと初めて知った。

そしてパソコンはガガガガガと断末魔を残し、動かなくなった。
唯一の光源が消え、部屋は完全な闇になる。



965 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:42:03.03nUGALjYx0 (22/37)

石丸「……ガッ?!」

江ノ島「終ったとでも思った?」

石丸「が、があ……!」


暗闇から伸びて来た腕に首を掴まれる。
力が少しずつ入ってミシミシと骨が軋む。


江ノ島「確かにわたしは計画的に何かを進められたことはありません…」

江ノ島「でもな!テメーみてーなうざってえだけの馬鹿共に全てをぐっちゃぐちゃにされんのはたまん無く殴りたくなんだよ!」

江ノ島「確かにどこまでもうまく行かない苦しみに悶え喜んだことはありましたが」

江ノ島「でもそれにも…飽きちゃったっていうか…」

江ノ島「舞園さんの絶望、むくろの残念さなんかは確かに面白かった。でもわたしが求めていたのはそれじゃないんです」

江ノ島「もうその絶望も叶わなくなっちゃったけど!」

江ノ島「こんなに準備をしたのに無駄になるなんて…絶望的です」

石丸「があッ…ぐッ…ぁぁ…」

江ノ島「つーかさ?テメーは真っ先にぶっ壊れると思ってたんだけど。それがこんなうざってえことになるなんてさぁ」

江ノ島「自分が主人公だとでも思ってるんですかぁ…?痛すぎて見ていられません」

江ノ島「所詮はサブキャラだというのに…その辺で決まったセリフだけを吐くような村長程度の存在なんです」

石丸「……」

江ノ島「…えっうっそー!もう殺しちゃった?」

石丸「………」

江ノ島「…ってなんだ。気絶しただけか。次は不二咲さんをやるかな…どうしよう?」

江ノ島「そろそろ出来上がってる頃だろうし霧切さんの様子でも見にいくか」


966 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:43:14.91nUGALjYx0 (23/37)


僕の体はどさりと投げ捨てられた。
勝者のように悠然と立ち去って行く影を見つめることしかできない。



負けた
アルターエゴは破壊された。もはや打つ手は無い。その事実に打ちひしがれる。


…あのような理不尽な暴力が許されていいのだろうか。勝者にさせていいのか。
舞園君の心を傷つけ、桑田君を傷つけ、苗木君や霧切君を苦しめ
兄弟や不二咲君の心を抉り、朝日奈君と大神君の絆を引き裂こうとする

……そんなことを許してはいけない。
このようなことが許されてはいけないのだ。
…だが、立ち上がることができない!




立ち向かえば勝てるのか?
このまま寝ていればきっと大丈夫だ。
向こうに行けば大神君や兄弟がいる。
彼らならば負けることはない筈だ。
だから僕はここで寝ていればいい…
寝ていれば…


涙が止まらない。
この涙はなんだろうか。
未知のものに触れた恐怖か
命が助かって安堵しているのか
…違う



967 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:47:56.44nUGALjYx0 (24/37)


不甲斐ない。ただ、不甲斐ない
兄弟たちは今まさに闘っているというのに僕は戦うことを放棄するというのか
勝とうとすることを放棄するのか?

不二咲君はギリギリまで戦った。
恐れを克服し、僕たちを救ってくれた。
今だって僕の腕を止血してくれている。
彼は立ち向かったというのに僕は逃げるのか?

今ここで立ち上がらなければきっともう朝日は拝めなくなるだろう。
たとえ外にでられたとしても
どんなに早起きしたとしても
負けたままの心ではきっと光を拒絶してしまう。
…そんなあの男のような惨めな人生は嫌だ
脳裏に憎らしいくも哀しい最後だった祖父の姿がよぎる。


石丸「…ツルハシ…」


目の前に置いて行かれたツルハシがあった
思わず手を伸ばしてツルハシを掴む。なぜか懐かしさを感じた。


石丸「…暮威慈畏…大亜紋土?」


…こんな偶然があるだろうか?
ツルハシに、兄弟が背負っている文字と同じものが彫られていた。
暮威慈畏大亜紋土…兄弟の魂とも言える文字。

兄弟のことを思うと力が溢れてくる気がする。
…そうだ、このままではきっと笑われてしまう。
呆れられてしまうかもしれない。
逃げたと知られれば失望されてしまうだろう。

…そんなのは嫌だ。
君は初めてできた友達だ。親友と言ってもいい。
そんな君とは…共に並んで笑っていたい。
…こんなところで寝ていては、きっと駄目だ
僕は立たなければならない



祈りを込めて柄を掴む。

(僕にも力を…力を…勇気をくれ)

(兄弟…力を貸してくれ!)


968 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:48:48.12nUGALjYx0 (25/37)


石丸「不思議だ…」

不二咲「大丈夫?!石丸君!」

石丸「このツルハシを掴んでいると…勇気が湧いてくる」

石丸「兄弟の力が…流れ込んでくるようだ」

不二咲「石丸君…?」

石丸「…兄弟」


不思議と炎でも灯されたかのように熱い。
そうか、これが勇気なのか。


石丸「…止めてやる」

不二咲「石丸君…?」

石丸「うおおおおおおおおッ」ダッ

不二咲「石丸君!待って!」


体が軽い
まるで君が体の中から支えていてくれるかのように。
光など無い筈なのに炎が照らしているかのように見えていた。
君が照らしてくれているのだろうか、兄弟!


969 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:49:32.55nUGALjYx0 (26/37)


目の前に江ノ島を確認する。
そこへ向って全力で踏み込む。
僕の信じる風紀が、正義が負けてはいけない。
僕は勝つ!僕自身に、この理不尽に!


石丸「うおおおおおおおおおおおッ」

江ノ島「…げえ、マジかよ」


ツルハシを振り上げて狙いを定めて振り下ろす

石丸「食らええええっ」

「させるかぁッ!」

石丸「がっ?!」ドン

江ノ島「……」

石丸「な、何だ!」

戦刃「盾子ちゃんに…」

石丸「……!」

戦刃「盾子ちゃんに手を出すなァあ……!」


酷い姿だった。
顔は所々腫れ上がり、足の至る所に切り傷があり、血を流しているのか制服が赤黒くなっていた。
立つこともままならないのかふらふらとしている。
しかしそんな体の調子とは裏腹に顔は般若そのものだった。
目力だけで人を殺せるのでは無いかと思える程に憎しみを込めて僕のことを睨みつけていた。
膨らんでいた胸が縮み上がる。



970 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:50:51.61nUGALjYx0 (27/37)

戦刃「よくも…よくも盾子ちゃんを…!」


おもむろに彼女は震える手でス、と胸元から黒い何かを取り出した。
それはLの字の形をしていた。
それを両手で構え、僕の顔に狙いを定めた。

石丸「……!」

銃で撃ち殺される!

石丸「うわああああああッ!」

恐怖に駆られ本能のままに脳天目掛けてツルハシを振り下ろした





「やめろ!」



突如世界は白い光に包まれた。







強い力で床に叩きつけられる。


971 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:51:47.51nUGALjYx0 (28/37)

石丸「うわぁッ!……はぁ、はぁ」

大和田「兄弟!落ち着け!殺すんじゃねえ!」

石丸「兄弟…?」

石丸「う…眩しい」




『こちら、アルターエゴ。こちら、アルターエゴ』

『無事、コントロールを奪取したよ!みんなもう安心して大丈夫だよ!』


聞き慣れた不二咲君の声が備え付けられたモニターから流れる。
その声を合図に消えていた電灯が次々と明かりを灯していった。
久しぶりの光に、闇を受け入れていた目が拒絶反応を示して目が眩む。
ようやく光に目が慣れ、様子を確認できた頃には状況が一変していた。




十神「押さえろ!もう逃がすな!」

朝日奈「よくもあんなの使ったなー!まだ耳が痛いよ!」

大神「これだけの怪我をしていながらあれだけ動くか…恐るべし」

セレス「ようやく一件落着、ですわ」

ジェノ「マジゴキブリ並の生命力ね?!あそこからまた逃げ出すとかありえねーくらいしぶといわ!」

山田「ひいひい…追いつくのがやっとですぞー…」

葉隠「うおっ?!マジで江ノ島だべ!」



972 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:52:38.83nUGALjYx0 (29/37)

石丸「これは…」

大和田「勝ったんだよ!」

石丸「え…?勝った…?」

大和田「おう!」


兄弟が笑顔で親指を立てた。
理解が追いつかない。

横を見れば江ノ島君は捕まっていて、黒幕だろう本物の江ノ島君も押さえつけられていた。
…勝ったのか?


石丸「しかし、兄弟」

大和田「なんだよ」

石丸「アルターエゴは壊されたはずなのだが…」

大和田「は?」

不二咲「石丸君!」

石丸「不二咲君…」

不二咲「大丈夫?」

石丸「僕は…それよりアルターエゴが…」

不二咲「黙っててごめんなさい。実はあの時もうほとんどハッキング作業は終わってたんだ」

石丸「終わってた?では何をあんなに急いでいたのかね」

不二咲「うん。あの時はアルターエゴをノートパソコンから学園のパソコンに移動させてたんだ」

石丸「…では、破壊されたパソコンにはもういなかったということか」

不二咲「いなかったわけでは無いけど…コピーが別の所に移されてるよ。明かりをつけてくれたのはその子なんだ」

石丸「そう…なのか」


973 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:54:03.41nUGALjYx0 (30/37)


江ノ島君たちが縛られていた。
…ああ本当の名前が分からないので二人をなんと呼べばいいのかわからない。


大和田「あっちの偽もんは戦刃むくろだとよ」


では戦刃君と呼ぼう。もうひとりは江ノ島君と呼ぶことにしよう。
戦刃君は力を使い果たしたのか疲労困憊といったようだった。服の中をセレス君が調べているのを見て慌てて顔を逸らす。


セレス「…これは、エアガンですわね。それに隠しナイフ…スタンガン…よくもまあこんなに」

山田「てっきり銃かなんかを持ってるかと思いましたが…ありませんな」

セレス「…エアガンはともかく、どれも倉庫にありそうなものばかりですわ。さして特別なものは与えられていないようですわね」

戦刃「……」


戦刃君は自分を調べているセレス君を歯牙にもかけず、江ノ島君の方を気にしているようだった。
江ノ島君が戦刃君に顔を向けるたびに戦刃君は笑顔になっている。
捕らえられているという状況に不釣合いな程に二人は落ち着いていた。
江ノ島君は自室にいるかのようにリラックスをし、くつろいでいるようにも見える。
辺りを改めて見回して、僕は人が足りないことに気がついた。


石丸「桑田君はどこかね?それに苗木君や霧切君、舞園君がいないようだが」

大和田「全員あっちにいるんじゃねえか?」

朝日奈「そうなんじゃない?」

石丸「…みんな寄宿舎の方なのか。それではこの二人を捕まえたことも知らないな」

大和田「そうだな」

石丸「それでは呼びに行こう。桑田君たちも安心するだろう」

大和田「立って大丈夫か?怪我酷くなってんぞ」

石丸「平気だ!さあ、僕たちが勝ったということを彼らに知らせに行こう!」

大神「ここは我らに任せろ」

朝日奈「いってらっしゃい!」


974 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:54:57.03nUGALjYx0 (31/37)


朝日奈君の元気な声に見送られて僕たち三人は桑田君たちのいる所へと向かうことにした。
途中、不二咲君が情報処理室に向かうと言ったので、兄弟はそれについていった。
つまり僕は今一人である。







寄宿舎二階

石丸「な、なんだこの荒れ方は…」


破壊されたシャッターをくぐり階段を登ると、そこは廃墟のようであった。

石丸「…壊れた箇所が錆びている…壊れたのはかなり前なのだろうか」

石丸「……」



黙々と進む。
やがて僕は一つの部屋に辿り着いた。
桑田君たちがいるとすればこの奥だろう。そう思い僕は力強くドアを開けた。

ドアを開けるとそこは書斎のような部屋だった。しかしその部屋は異常なほどの装飾に溢れていた。



975 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:56:16.81nUGALjYx0 (32/37)

石丸「なんだこれは…?」


部屋に大量に飾り付けられていたのは風船だった。赤、桃、黄、青…色とりどりの風船が花のように飾り付けられていた。
部屋の入り口には『お誕生日おめでとう』とかわいらしく装飾された看板が飾られていた。
壁の殆どを風船と折り紙で作られた鎖で埋められている中、一角だけ壁の見えている場所があった。


石丸「これは…写真…?」

薄紫の髪をもつ幼い少女が男性と写っている写真が何枚も飾られていた。

石丸「この写真は…合成ではないか」


しかしまともな写真と言えるものは少なく、その殆どは別々の写真を組み合わせたものであったり、他人の写真に顔だけがコラージュされているものばかりだった。
壁から外れた風船に何かがうもれていることに気がつき風船を退ける。


石丸「なんだこの汚い字は…『きょうこちゃんと…お父さんの思いで』…響子?」

石丸「そうか…この写真は霧切君とお父さんのものなのか」

石丸「しかし何故このような写真が大量に…?」


うすら寒いものを感じる。
何故この殺し合いの舞台にこのようなものが存在しているのか、理解ができない。

石丸「桑田君たちは一体どこだ…」

石丸「…ここにも扉が」

風船と花に埋れた入り口を見つけ、開けた。


976 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:57:03.53nUGALjYx0 (33/37)


中はまた異常な空間だった。
やはり風船や花が飾り立てる部屋の中は、その部屋の大きさには見合わない、大量のオーディオ機器とテレビが置かれていた。
壁、床、天井…所狭しととおかれたオーディオ機器は、大小に関わらずおかれているようだった。
大きいものは僕の背丈程もあり、小さいものは手のひらに乗るサイズのものもある。


そんな異常な空間の中心に、彼等はいた。

石丸「…苗木君!ここにいたのかね!」

苗木「…う…っ、…ごめん、ごめん…」

石丸「苗木…君?」

舞園「…もしかしてそこにいるのは石丸君ですか…?」


小さくしゃがみこんだ苗木君の腕の中から、不安そうに舞園君が顔を覗かせた。顔色は悪く、足は力無く垂らされており、明らかに弱っていた。
そして舞園君の腕の中には目を閉じた霧切君がいた。気を失っているようだ。
そんな苗木君たちの隣に桑田君が真っ青な表情で立っていた、微動だにしていない。


石丸「何か…あったのか」

舞園「石丸君、私の声が聞こえますか?」

石丸「あ、ああ聞こえるぞ」

舞園「聞こえますか?」

石丸「聞こえているぞ!」

舞園「やっぱりこんなにうるさいと聞こえませんか?」

石丸「…何?」


会話が成立していない。
何かが変だ。


977 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 00:58:02.69nUGALjYx0 (34/37)

舞園「あの、この音を止めてもらえませんか?苗木君動けないみたいなんです」

舞園「霧切さんも気を失ってしまって…こんなにうるさい場所にいたら、耳をやられてしまいますから、ここに置いてある機械の電源を止めて欲しいんです」

石丸「……」

舞園「聞こえますか?お願いします。私は…力が入らなくて。お願いします」

舞園「早く…早くこの音を止めてください…」

石丸「舞園君…音など…鳴っていないぞ…」

舞園「すいません。もう一度近くで言ってもらえませんか…?音が…うるさくて…」

石丸「……」

桑田「………石丸」

石丸「…ここで何があったのかね」


桑田「……舞園の耳がぶっ壊れた」





沈黙が満ちる。





舞園「この音を止めてください…お願いします…」





苗木君の慟哭だけがただ響いていた。






こうして、僕たちの戦いは幕を閉じた。
僕たちの勝利という最高の形で。


978 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 01:00:11.26nUGALjYx0 (35/37)

念願の全員生還まできましたよ!



ひと段落たったというわけで次スレの立て方とかこのスレの処理の方法とか調べてきます


979VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/19(木) 01:20:12.63ntkPS5p70 (1/1)

やったー全員生還だー!
問題が山積みだがな!チョモランマ級の!


980 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 01:39:56.68nUGALjYx0 (36/37)
981 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/19(木) 01:42:57.52nUGALjYx0 (37/37)

書き込み失敗しとる
すいません
次スレ立てました。似たようなタイトルです


982VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/19(木) 01:54:14.62zyijRJiDO (1/2)

乙!

うおおお、先が気になる…
勝利で終わりではないのか。舞園は、そして霧切はどうなってんだ
あとスレタイおせーて


983VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/19(木) 03:07:04.72ZNXQDU02o (1/1)

>>1
スマホの場合ここ使うとURL貼れるかも

http://kastanie.web.fc2.com/ex14url/


石丸「そして僕はまた間違える」桑田「アフター!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387384621/


984VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/19(木) 05:55:05.73fCZ4Lu60o (1/1)

乙だけどどういうことなの…
次スレ後日談ってどういうことなの…


985VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/19(木) 07:51:22.808SzLSdWeo (1/1)

やはりほのぼの詐欺だったか
とりあえず乙


986VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/19(木) 10:04:31.219fxXuGXpP (1/2)

埋めついでに言うと中盤の石丸桑田及び男子組の会話が好き


987VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)2013/12/19(木) 10:44:11.04W3WMzx9v0 (1/1)

耳が駄目になっても骨振動で意思の疎通はなんとか出来るよな


988VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/19(木) 10:58:05.66zyijRJiDO (2/2)

>>986
禿同禿同。ここの男子組は本当に良かった。癒されたわ
だからこそ本編を思い返すとツライものがあるが

それにしてもこのスレの石丸本当に弱かったなw
本気出したら実は強い系のSS多いから斬新だったけど


989VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/19(木) 12:36:11.37Md6LyVh6o (1/1)

普通に筆談でいいじゃん


990VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/19(木) 13:31:05.449fxXuGXpP (2/2)

舞園の精神状態的にできるかどうか…
延々幻聴?だかしらないが爆音が聞こえてる状態なんだろ?


991VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/19(木) 18:14:28.60zfTp7f5to (1/1)

耳聞こえないとまともに話せんけどな


992VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/19(木) 21:35:35.15BTu5PKQY0 (1/1)

ただでさえ無理に近かったアイドル復帰が
不可能になったな…


993VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/19(木) 23:11:20.05oxc7uwP10 (1/1)

幻聴が続いてるとしたら夜眠れなくないか?
一気に体力と精神力持ってかれるな


994VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/19(木) 23:48:51.848BJv8Uy4o (1/1)

ストレス性の難聴か…
状況が状況だけに治療も難しそう


995VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/20(金) 00:25:15.83xDXvVzrno (1/1)

え? なんだって?


996VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/20(金) 00:29:13.35M122GsueP (1/1)

ツルハシ持って江ノ島に突撃(わりと無意味)した時の石丸が石田の姿で脳内再生された
と同時に某もう何も恐くないさんを思い出してここにきて死ぬんじゃないかとちょっと怖くなった


997VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/20(金) 01:18:46.93Zr/qssxDO (1/1)

自分も思った。あの時の石丸は死亡フラグ立てすぎて相打ちエンドかと思ったよ
最後の最後でやめてええええと思いながら読んでた


998VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/12/20(金) 21:48:01.70OT/l7hhqO (1/1)

石丸が四人見つけるまで「苗木と霧切と舞園と桑田とか大丈夫かよw修羅場になってんじゃねえだろうなww」とか呑気に思ってた自分をぶん殴りたい


999 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/21(土) 01:52:36.85k/tU1pum0 (1/2)

うめ
おかか


1000 ◆Nv7JqrEoRxto2013/12/21(土) 01:53:08.89k/tU1pum0 (2/2)

紅鮭