1◆B2mIQalgXs2013/08/25(日) 20:56:53ue52Z/jc (1/7)

※『進撃の巨人』の世界の登場人物たちが、映画「ジュマンジ」に登場する不思議なボードゲーム・ジュマンジを
 安価でプレイしてクリアを目指すハートフル(ボッコ)なゲーム【でした】。
※現在は本編が終了し、おまけSSや番外編SSがメインとなります。
※原作11巻までのネタバレ、および>>1の妄想による独自設定やキャラ改変が多数ありますので注意してください
※荒らしには反応せずにスルーをお願いします
※以下、前スレになります

1スレ目:エレン「ジュマンジ……?」http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1370660978/
2スレ目:【安価】エレン「ジュマンジ……?」【2スレ目】http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1371378371/
3スレ目:【安価SS】エレン「ジュマンジ……?」【3スレ目】http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1372562255/
4スレ目:【番外編】エレン「ジュマンジ……?」【4スレ目】http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1373861320/


2◆B2mIQalgXs2013/08/25(日) 20:58:13ue52Z/jc (2/7)

※>>1です。とりあえず前スレが埋まりそうなので立てました。

 早いもので5スレ目に突入しました。

 海編をそろそろ終わらせて、レイシング(ヘルシングパロ)を投下したいものです。


3◆B2mIQalgXs2013/08/25(日) 21:04:24ue52Z/jc (3/7)

※5スレ目記念、おまけSS
 マンガ『ドリフターズ』より、黒王様を出張させてみました。


~勝手に出張版・黒王様御乱心~


黒王「ハイハイハイ、さーそういうわけで」

黒王「黒王なんですけどね、せっかく5スレ目まで行ったので、ハリキッて行きましょうかねー」

黒王「今度は進撃の巨人の世界をメチャンコ踏みにじってバリバリ滅ぼしちゃおうと思うんですよネー」

黒王「あ、私が誰か分からないって人はね? 聖書を? 読むと? 良いんじゃね?」


エルヴィン「やめろォ!! 貴方はあくまでジョ○ー・デップ似のお兄さんだ!!」

リヴァイ「それ以上はヤバい!! おまえは立川でルームシェアでもしてろ!」

ハンジ「お願いだからブルース・リーとか宮本武蔵を甦らせたりしないでイヤマジでフリじゃなくてマジで」


4◆B2mIQalgXs2013/08/25(日) 21:06:09ue52Z/jc (4/7)


ミーナ「はい黒王さま、おねがいがあります」ヒュパッ


黒王「ウム、そこの歩いてるだけで憲兵団に捕縛されそーなモザイク必須18禁ヘッドの娘、なんでも言ってみんしゃい」ビシッ


ミーナ「あ、あのー、ここだけの話ですよ? みんなにはないしょですよ? そのー………」オソルオソル

ミーナ「黒王様、私って、『ミーナ・カロライナ』っていうキャラクターがですねー、その………なんか恨みでもあるのか? ってぐらい散々な扱い方をされているんですよ」

ミーナ「『亀頭』とか『公然猥褻カット』とか『ズル剥け黒光り』とか『デスペニス』とか『マーラ様』とか、とにかく酷い扱いなんですよー……」

ミーナ「あるクソSSじゃマーラ・ハイラナイナとかマーラ・カリデカイナとか言われたり、他でもご立派様とか『豚小屋出身家畜以下の雌豚』呼ばわりされたり……」

ミーナ「良くてマロい尻とかおさげ可愛いぐらいのもので、あんまり私がメインヒロインのSSってないじゃないですか?」


黒王「あー、そもそも本編でもロクに出番ねーうちに死んだもんねー。キャラ固まってないうちに死んだもんねー。回想編でもロクに出てこねーし」


5◆B2mIQalgXs2013/08/25(日) 21:09:06ue52Z/jc (5/7)


ミーナ「そのおかげか、私の扱いってぞんざいすぎる気がするんですよー。キャラも好き勝手乱立してて、正直困るっていうかー………」

ミーナ「極稀にメインで扱われても、事もあろうか巨人もとい巨根に変身して精液で敵を薙ぎ倒すとかマジキチSSだったり」

ミーナ「なんやかんやイイハナシダナーって感じでも、最終的にはデッドエンドオチなSSとかもありますよね?」


黒王「あー、それで?」ホジホジ


ミーナ「私がエレンとか、他の特定の人物とくっついて、最終的にニャンニャンしちゃって幸せな家庭を築くー………みたいなSSって無いじゃないですか」

ミーナ「だ、だからそのう、黒王さまのお力で、どうかもっとミーナSSを増やすこととかできないでしょーか………な、なんちゃって」エヘヘッ


黒王「――――」


ミーナ「…………」エヘ、エヘヘヘ


黒王「…………」ニッコリ


6◆B2mIQalgXs2013/08/25(日) 21:10:48ue52Z/jc (6/7)


黒王「みなさん~~~~! きいてくださーい!! この女、メインヒロインになりたいんだってさぁ~~~~!」

黒王「攻略されたいんだってさぁ~~~~!! バッカじゃないのおーーーーッ!!」


ミーナ「ぎゃあああああああああ」


黒王「シーナ、ローゼ、マリアの壁内の全ての人民および巨人に告げる、よくお聞きー!」ズパッ

黒王「ミーナが男とズコバコチュッチュクチュッチュクして孕みたいとかこの私に言ってました!」

黒王「コレどう思う? マジ豚小屋出身家畜以下の雌豚なんですけどー! ひくわー! すげーひくわー!!」ゲラゲラゲラゲラ


ミーナ「いやあああああああああ」


7◆B2mIQalgXs2013/08/25(日) 21:12:25ue52Z/jc (7/7)


黒王「そりゃ私も馬小屋出身だけどね、さすがにドン引きだわ。あり得んわ。おまえの頭やっぱち○このことしかねーんじゃねーの?」プークスクス


ミーナ「ひどいいいいいいいいいいいいいいっ」


黒王「拡散希望」カチャカチャ


ミーナ「Twitterに書き込まないでぇえええええ!! やめてえええええええええええ」


黒王「ミーナは、雌豚が一番」ホッコリ


ミーナ「ぎぎぎぎぎぎぎぎ」


~完~


8以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/25(日) 21:21:31iykzwY0g (1/1)

スレ立て乙
実はミーナ大好きだろ>>1はww


9以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/26(月) 02:40:12FF.M3Opo (1/1)

スレ立ておつ
ミーナの扱い安定しすぎだろww


10以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/26(月) 07:00:2956RoMCFQ (1/1)

やべえあんまり違和感ねえ


11◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 21:21:45tf2AtM76 (1/16)

※前スレの埋め完了しました。
 海編の続きを投下していきます。

 それと余談ですが、私の好きなとある漫画家の方は、こうおっしゃっていた。


 ヒラコー「は? 何言ってんの? 女キャラでパイパンじゃねー女とかありえねえよ普通」


 マジリスペクツっすわ。


12以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/27(火) 21:28:09tz75DmME (1/1)

ヒラコーって書いちゃってるジャンwwww





あ、ブラクラの人の同人誌ですね分かります


13◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 21:32:40tf2AtM76 (2/16)

………
……


~洗い場~


 ザバーッ


ベルトルト(どうしてこうなった)チラッ


女の子「~~~~♪ ~~~~~♪」ゴシゴシ


ベルトルト(僕の背後には、バスタオルで最低限の部分を隠した彼女がいて、楽しそうに僕の背中をこすってくれている)


ベルトルト「ね、ねぇ、やっぱりやめようよ」アセアセ

女の子「ダメダメ。男の子だからしょうがないかもしれないけど、烏の行水じゃだめだよ? ちゃんと汚れ落とさなくっちゃ♪」フンフフーン♪

ベルトルト「そ、そういう問題じゃなくて、誰かが入ってきたら、困るでしょ?」

女の子「心配ないよ、この時間には従業員の人でも入らないし、兵隊さん達はみんなカラオケで大盛り上がりしてるし♪」ゴシゴシ


ベルトルト(退路が断たれてる。耐えるしかないのか………籠城戦しかないのか………)


14◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 21:34:40tf2AtM76 (3/16)



女の子「~~~~♪ ~~~~~♪」コシュコシュ


ベルトルト(あ、でも………力加減が絶妙で、かなり気持ちいいな)ホワーッ


女の子「えへへっ、お客さーん、こういうところは初めてですかぁ~?」フフッ

ベルトルト「ブフッ!? ど、どこでそんな言葉覚えたのっ!?」

女の子「あははっ! ないしょ♪」

ベルトルト「からかわないでよ、もう………」ハァ

女の子「えへへっ♪」ニコニコ


ベルトルト(くそぅ、かわいいなぁ!!)


15◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 21:47:22tf2AtM76 (4/16)


女の子「ね、ベルトルさん」ゴシゴシ

ベルトルト「ん、なんだい?」

女の子「訓練兵団ってどんなところ? やっぱり訓練は厳しいのかな?」キュッキュッ

ベルトルト「うん。入団初日に、肉体的にも精神的にも、徹底的にいじめられるよ」

女の子「ふわぁ、やっぱり厳しいんだ」シュコシュコ


ベルトルト(僕なんか存在を忘れ去られていたからね………アレは辛かった。みんなが楽しそうに焼肉してるのに、僕は隅っこでさ………)フフフ

女の子(あ、暗い表情………いけないこと、聞いちゃったのかな。訓練中に死んでしまう人もいるっていうし………)ショボン


ベルトルト「ま、まぁ、巨人の消滅以前とは、配点がやや座学寄りになったけれど、壁がなくなった分、外界でのサバイバル訓練が増えてね? これがキツいんだ、結構」

女の子「辛くない?」ゴシゴシ

ベルトルト「辛くないって言ったら、嘘になるかな。でも、僕には―――――たくさんの、仲間が、同期がいるから」

ベルトルト「僕のことを助けてくれる仲間がいるから。一人ぼっちじゃないから………だから、頑張れるよ」

女の子「そっか………」ゴシ……

ベルトルト「…………? どうしたの?」


16以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/27(火) 21:54:08llnhJbsg (1/1)

こっちに来てたか



17◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 21:54:42tf2AtM76 (5/16)


ベルトルト「…………? どうしたの?」

女の子「ううん。私は弱いなぁって、そう思っただけ」トン

女の子「ベルトルさんが、羨ましいって思ったの。沢山のお友達がいて、仲間がいて、支え合って」

女の子「私、ベルトルさんと離れるって思っただけで、辛いから………か、悲しいっ、からっ」ポロッ

ベルトルト「…………」


女の子「私には、何にもないっ………!! お友達もっ、仲間もっ、いない………」ポロッ

女の子「大好きな人ができて………せ、ぜっかく、恋人になれてっ、なれだのにっ………それなのにっ………」ポロポロ

女の子「ベルドルしゃん、帰っちゃう゛………わ、わだじ、まだ、港町でっ、ひ、一人、ぼっぢに、な゛るっ………」エグッエグッ

女の子「やだよぉ………行っちゃ、やだぁ、ベルドル、ざぁん………」ヒックヒック


ベルトルト「―――――」ギュウッ

女の子「あ、あう、あ゛う゛、あ、あ゛う………」ギュウウッ

ベルトルト「いっぱい、手紙書くからね」ヨシヨシ

女の子「うんっ、うんっ!」ポロポロ

ベルトルト「いつだって、君のことを想ってるから」ナデナデ


18◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 22:00:43tf2AtM76 (6/16)


女の子「う゛んっ!」ポロポロ

ベルトルト「いろんなお話しようって、言ってたよね」ポンポン

女の子「ぐずっ………うんっ」エグエグ

ベルトルト「凄く恥ずかしいこと、今から言うから。一度しか言わないから………ちゃんと聞いて?」ギュッ

女の子「う、うん………」ゴシゴシ



ベルトルト「一目惚れ、だったんだ」



女の子「え………?」


ベルトルト「一目見た瞬間、好きになってた。君のことが、頭から離れなくなった」

ベルトルト「舟に乗ってる時も、大物を釣り上げた時も、昨夜の夕食の時も、ずっとずっと君ばかり見てた」

ベルトルト「酔った勢いでも………君とキスできて、凄く嬉しかった」

ベルトルト「何も知らないし、何も知られていないけれど………僕は君が好きだ。誰よりも、君のことを愛してる」


女の子「うんっ! うんっ!!!」ポロポロ


19◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 22:06:20tf2AtM76 (7/16)


ベルトルト「一緒に馬に乗った時、凄く柔らかくていい匂いがして、ドキドキした。どんどん君が好きになった」

女の子「わ、私だって、ずっとドキドキしてた。一秒ごとに、ベルトルさんのことが、好きになっていったよ」

ベルトルト「君が泣いたとき、胸が痛かった。嫌われたんだって思った。嫌われたくないって、思った」

女の子「キスしたとき、きっと嫌われたって、思った。ベルトルさん、困らせたって、そう思ったよ」

ベルトルト「君の笑ってる顔が好きだ。守りたいって、心の底から守りたいって、初めて思えた」

女の子「ベルトルさんに、ぎゅってされてると、本当に安心するの。安心するけど、胸が痛いくらい高鳴って………」

ベルトルト「ねぇ、笑って?」

女の子「もっと、強く抱きしめて?」


ベルトルト「ん」ギュウウウッ

女の子「………あは」ニコッ


ベルトルト「大好きだ―――――」スッ

女の子「私も、好きだよ………ん」スッ


 チュッ


20◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 22:17:22tf2AtM76 (8/16)



……
………


 それからの三日間は、とても楽しい日々だった。

 一緒に海で泳いだり。

 夜の海岸を散歩したり。

 肝試し大会を行ったり。

 海辺の漁師さんたちが主催する海神祭りに参加して、出店を回ったり。

 大きな打ち上げ花火を、皆で眺めて大騒ぎして――――。

 魚を釣って、捌いて、美味しい食べ物に舌鼓を打ち、歌い、飲み、騒ぎ――――。



 僕と彼女の、短くも濃密で、楽しかった日々に、終わりがやってきた。




………
……



21◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 22:19:04tf2AtM76 (9/16)


~三日後・帰還日~


キース「数日に渡ってお世話になった、民宿の方々に、礼!!」スッ


全員「ありがとうございました!」バッ


旦那「こちらこそ、いい勉強になりました。ライナー君、サシャちゃん、そして――――ベルトルト君」

女将「ベルトルトさん………ウチの子を助けてくれて、本当にありがとうございます」ペコリ

コック長「身体、大事にしろよ。腕を錆びさせてくれるな? 次は負けねえ」


ライナー「はっ!! 皆さんのご健勝をお祈りします!!」バッ

サシャ「ありがとうございました!! 勉強させていただきました!!」バッ

ベルトルト「必ず、また来ます! 戻ってきますから!!」バッ


22◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 22:19:59tf2AtM76 (10/16)


副コック長「クロコ、料理の基礎は全て教えた。後はお前次第だ」

料理人「!!! ふ、副コック長、い、今、私のこと、クロコって………」ポロッ

副コック長「ああ! 『魚女』は卒業だ!! いい料理人になれよ………これは選別だ。大事に使え」スッ

料理人「あ、ああ、これは、刺身包丁………!? こ、こんな、こんな良いものを………」

副コック長「腕を上げるも腐らせるも、おまえのこれからの心根次第だ。また、ここに勉強しに来い………」

料理人「ふ、副コックじょおおおおおおおおおおおおおおっ!!」ガバッ

副コック長「ふふ、馬鹿やろう、泣くこたぁねえじゃねえか………」ギュウッ

料理人「ありがどう、ございまじだっ!!!」ドバーッ

副コック長「ッ、へへ、いけねえいけねえ………年を取ると、涙腺がモロくなって、いけねえや。いけねえよ……」ポロッ


23◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 22:22:04tf2AtM76 (11/16)


キース「この数日で見聞きしたものを、一生忘れるな!!」


 ハッ!!

キース「速やかに馬に乗れ!! 海岸へ集合したのち、帰還する!!」


 ハッ!!


リヴァイ「おい、ベルトルト・フーバー。おまえは残れ」

ベルトルト「え………は、はっ! なぜでありますか!」

ユミル「別れの時間ぐらい、取ってやる。海辺で待ってるから、十分で済ませろ」

ベルトルト「―――――!! あ、ありがとうございますっ!!!」ペコッ




女の子「ベルトルさん」スッ


24◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 22:24:47tf2AtM76 (12/16)


ベルトルト「…………うん」

女の子「行っちゃうんだね」

ベルトルト「うん」

女の子「手紙、いっぱい書くよ」

ベルトルト「うん。ちゃんと全部読む。全部返信するから」

女の子「体、壊さないようにね」

ベルトルト「君こそ、また足をひねったりしちゃだめだよ?」フフフ

女の子「もぅ! 私、そんなにドジじゃありませんっ!」プンスカ

ベルトルト「ははは――――」

女の子「ぷっ、ふふふ―――――」


ベルトルト「…………」

女の子「…………」


25◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 22:27:31tf2AtM76 (13/16)


ベルトルト「…………」

女の子「…………」



 笑顔で別れようと、この三日で決めていた。

 しかし、どちらの両目にはもう、決壊寸前のダムのように涙がたまっている。

 耐えがたき別離の時。

 離れていても通じていることに、彼らは体験がない。

 これからには、不安ばかりだ。

 だからこそ、笑って別れようと――――彼らは決めていたのだ。



ベルトルト「戻ってくるよ、ここに。必ず」

女の子「待ってる…………ずっと、ずっと待ってるから………」



 ―――だから。


26◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 22:30:06tf2AtM76 (14/16)


 今は、さようなら。




ベルトルト「またね――――大好きだよ、○○○」


女の子「またね、ベルトルさん――――私も大好き」




 いつかまた、笑顔の君と再会する日まで。


 ただいまと言って、おかえりなさいと言う。


 そんな日まで。



~完~


27◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 22:33:22tf2AtM76 (15/16)

※というわけで、海編完結。御疲れ様でした。おまけ投下もやろうかしら。

 さて、次は何を書こうかと思っているところです。

  済『LmC(ライナー・メイ・クライ)』(サシャパパ)……ギャグ。怖すぎて狂っちまいそうだ!
  済『俺の娘が遠い異国の地で男を作って帰ってくるわけがない』(語るに及ばず)……アニパパの悲劇
  ③リヴァイ外伝(リヴァイ×???)……シュールギャグ調。リヴァイが結婚します
  済:エンゲージを貴方と(エロアニエレSS)……初夜
  済『ブラウン家の牧場物語』(ライサシャほのぼのSS)……かなり時代を先取りした経済戦略による未曾有の発展がブラウン牧場に齎される―――!!
  ⑥『レイシング』……もしも最後のダイスロールで【全ての巨人が吸血鬼】になっていたら?
  ⑦『駆逐のススメ』(本編に関係がないネタSS)……もうエレン一人いれば人類は助かるんじゃないかな
  済アルミン『きょ、巨人!? い、いや、違う、アレは―――!!』(本編に全く関係がないネタSS)……ミーナ大活躍!!
  ⑨アニ、結婚の挨拶に行く(アニ・カルラSS)……ほのぼのSS。
  ⑩その他(エロ系はパワー使うんで時間かかります)

 さて、⑥レイシングかな? それとも⑨かな?

 明日辺りから開始予定です。


28以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/27(火) 22:34:44Z8gbI4V2 (1/1)




29以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/27(火) 22:41:428tVxXZMw (1/1)


6も9も気になりすぎる
けど個人的には、ほのぼのssだいすき


30以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/27(火) 22:46:57C2ank.lU (1/2)

おつ
ベルトルさんは卒業後ここの若旦那になるのかな?


31◆B2mIQalgXs2013/08/27(火) 22:46:57tf2AtM76 (16/16)

※あ、⑥選ぶとハートフルボッコです。ぶっちゃけ死にまくりです。ほとんど死にます。

 いわゆるBADENDですので……特にエレンは救われません。

 ⑨は超絶ほのぼのです。カチコチに緊張するアニと、ほんわかカルラさんの会話がメインになります。


32以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/27(火) 22:51:44C2ank.lU (2/2)

ハートフルボッコなら仕方ない…6だな


33以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/27(火) 22:53:07ITSmPfGM (1/1)

BADEND大好きだから⑥頼みます!


34以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/27(火) 23:19:40q7/fLu66 (1/1)

是非ともわたミカサちゃんがカルラおばさんとだんらんしてる所も読みたい
ので、⑨を所望する


35以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 03:04:58EPk1d6TM (1/1)

文字化けして数字見れないな

アニカルラss見たいです


36以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 03:15:28Y42LT9Y. (1/1)

よろしい、ならば⑥だ


37以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 06:05:07OgfbCXIg (1/1)

9番が読みたいです。


38以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 06:40:327jXbFl9k (1/1)

ほのぼの後にフルボッコはダメージでかそうだが......ここは⑥→⑨で

語感もエロいし


39以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 07:10:14j9YxUy6o (1/1)

巨人が居なくなった世界でハンジさんが何をしてるのかとか、憲兵団を倒したあとの調査兵団の動きとか、マルロ&ヒッチとかの話が見たいです。


40以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 08:03:59I/HpDg3Q (1/2)

原作のグリシャは巨人化の薬持ってたけど巨人がいなくなった世界では何してるの?


41以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 08:54:31Wwc5nIXg (1/1)

⑨でおなしゃす


42以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 12:02:13MD5fDIKY (1/1)

⑨おrエレンの母さんの愛情は世界一ィィィィィ!!


43以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 14:59:34/KSF/xf. (1/1)

9番かな


44以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 20:00:11I/HpDg3Q (2/2)

誰もいない3で


45以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 20:59:12dPjcz4C. (1/1)

44可笑しいwwwww
まさかの3
6か9っていっているのにwww
あっ俺は9でお願いします
アニカルは見てみたい


46以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 21:35:01Fi3tp51E (1/1)

6か9とは言ってない

前々から見たいって言われてた二つのどっちかなのかな?っていう独り言だろ


9で


47◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 21:40:377y9T9FfM (1/17)

※帰宅。③もありですよ。誤解をまねく書き方をしてすいません。

 ライサシャエロ………? 知らんな………。

 だけど⑦はカンベンな。
 今読み返すとスゲエヘタクソ………書かなきゃ良かったってレベル。
 こんなにコメントいただけて、本当に嬉しいです。

 さて、本日の投下ですが、実際レイシングは長い。バンリ=チョウジョウめいて長い。
 ……ので、先に⑨をやろうと思います。
 多分、二~三回の投下で終わるはずなので……。

 あ、久々に安価でも取ろうかと思います。


48◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 21:51:017y9T9FfM (2/17)

※先にコメ返しです。

>>39
 >巨人が居なくなった世界でハンジさんが何をしてるのかとか

 想定では以下の通り。
 ①ウォール教に変わるゾエ教の創立者になり、教祖様として信仰を集めている。教的な天敵はへーちょ
 ②フツーに壁外での新種生物の調査、研究。毎日が新鮮ですごく楽しい! アルミンみたいな部下が欲しい!
 ③コンサルティング業を生業にして、日々コウショウ=ジツを用いた詐欺まがいのことを行っている。ぶっちゃけヤクザ
 ④ミケあたりと結婚して、専業主婦。

 >憲兵団を倒したあとの調査兵団の動きとか、マルロ&ヒッチ
 ちょこちょこ書いていきたいところです。もうちょっと先になるかもしれません。
 マルロ・ヒッチはわからないかな……書きづらそうな二人だし。 

>>40
>原作のグリシャは巨人化の薬持ってたけど巨人がいなくなった世界では何してるの?
 これから9を書く最中で、少し触れていこうと思っています。


49◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 21:52:087y9T9FfM (3/17)

………
……





          アニ「お母さん」 カルラ「はいはい」





……
………


50◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 21:53:087y9T9FfM (4/17)

………
……


~849年~


 訓練兵団の入団から、二年の歳月が経過した。

 訓練兵団解散式まで一年を切り、誰もが将来の進路を意識し始めた頃。

 これは日に日に寒さが深まっていき、厳しい冬が迫り始めた季節のお話。


ライナー「今日も今日とて肉の日だ」

サシャ「美味しいものを作りましょうね、ライナー! それに、クロコ=サン!!」

ν料理人「副コック長に鍛えられた私に隙はありませんの!!」フンス


ライナー(といっても、本当に基礎だけだけどな)

サシャ(マズくはないがウマくもないって感じですけどね)


51◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 21:54:057y9T9FfM (5/17)


サシャ「さて、今月の肉の日はを集計して、多いものを作ることになっていましたね」

ライナー「今までいろいろ作ったもんなあ。軽く20品以上のレシピができたぞ?」

ν料理人「ですの」


 1.みんな大好き・デミグラチーズハンバーグ
 2.とろとろ・ビーフシチュー
 3.コラーゲンたっぷり・テールスープ
 4.ジューシィ・ローストビーフ
 5.超絶厚切り・ビーフステーキ
 6.東洋の神秘・スキヤキ
 7.一頭丸ごと・焼肉天国
 8.十種類のソース・しゃぶしゃぶ
 9.超豪華・スタミナ丼
10.ほっこりおふくろの味・牛そぼろのもやしご飯
11.具だくさん・ハッシュ・ド・ビーフ
12.たっぷり凝縮・牛肉メンチカツ
13.秋の味覚・牛肉ときのこのオイスターソース炒め
14.ボリューム満点・牛ひき肉とじゃがいもの重ね焼き
15.とろける旨さ・ラザーニャ・アル・フォルノ(ラザニア)
16.あったか・肉うどん
17.激辛激熱・牛筋煮込みカレー(甘口もあるぞ)
18.柔らか牛肉と夏野菜・串焼きバーベキュー
19.山盛り挽肉・ミートソーススパゲティ
20.貴族風・牛肉のパイ包み焼き香草風味
21.リア充お断り・にんにくたっぷりホルモン焼
22.東洋風・ワサビ山掛け牛丼


52◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 21:55:517y9T9FfM (6/17)


ライナー「…………マジでいろいろ作ったよな、この二年間」

サシャ「新しいものを作ってもいいですが、みんなからのアンケート結果で多いものを採用してもいいですね」

ライナー「うーん、そうだなぁ………」



 【超久しぶりに安価】
 ※信じられないだろ………? 安価スレなんだぜ、ここ………。

 さて、本日のメニューは?

 ↓3 上記番号から指定しても良いし、食いたい牛肉料理を書いてもいい……必要以上に旨そうに見えるように頑張って書くよ……。


53以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 21:59:22i5VBThpQ (1/1)

男は黙ってステーキ一択


54以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 22:00:46YzSTCdJc (1/1)

超柔らかいスペアリブ


55以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 22:19:10sxOkrURU (1/1)

備長炭でじっくり焼いた串焼き


56◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 22:26:087y9T9FfM (7/17)


ライナー「よし、パッと引いたこれにしよう、これ」

サシャ「あ、『備長炭でじっくり焼いた串焼き』ですかー」

ライナー「なるほど、こないだの好き勝手鉄板の上で焼いて作ったバーベキューの串焼きではなく、より本格的な一品料理がいいということだな?」

ν料理人「やってやりますの!!」ムン

ライナー「冬野菜はおるか!!」

サシャ「ここに!!」

ν料理人「ハクサイ、ニンジン、大根、カブにネギ………たけのこ芋、わさび菜、さつまいも、じゃが芋、ブロッコリー・ロマネスコ」

ν料理人「無理難題ですの!」

ライナー「いや、いる」

サシャ「この食材をどうにかできるリョウリニンが、少なくとも一人」



アニ「…………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ベルトルト「…………」ドドドドドドドドドドド


ライナー「否………二人」


57◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 22:36:237y9T9FfM (8/17)


………
……


~食堂(肉の日)~



エレン「ぷはぁっ、やっぱりスゲエ肉だよなぁ。ジューシィで、香りがついてて……あれ、香り? こんないい香りがする肉だったっけ?」

アニ「焼く前に、香草入りのタレに付け込んでたからね。塩味に爽やかさが効いていいでしょ?」

ミカサ「まくまくもぐもぎゅ」リスジョウタイ

アルミン「あはは、ミカサったら、そんなに頬張ったらはしたないよ?」

ミカサ「むきゅむきゅ//////」モグモグ

アニ「なんて言ってるの?」

アルミン「すごくおいしくて幸せ、アニありがとうって言ってる」

アニ「よしよし、美味しいなら良かったよ。私もうれしい」ナデナデ

ミカサ「もくもくはぎゅはぎゅ//////」ポッ


58◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 22:38:017y9T9FfM (9/17)


ベルトルト「こっちのカブも食べてみると良い」

コニー「えー? 焼いたカブだろ? こんなの………う、うめええええええっ!?」

ジャン「ウソだろ……なんで焼いただけのカブに、どうしてこんな、しんなりしっとりじゅわっとした瑞々しさが」

ベルトルト「カブは軽く塩で下ゆで。串に通した後にさっと強火で焦げ付きを付けることで香りを際立たせる」

アニ「そこに私が香草、スパイスで味付けした」

マルコ「メッチャクチャうまいよ! このダイコンも、ニンジンも! 噛むたびにジュワジュワッて、本当にしっとりしてる!」


ライナー「野菜をナメるなよ、串焼きに合わせづらい食材だろうと、合わせるのがリョウリニンだ」

アニ「それでいて旨味を最大限に引き出すチョウリ=ジツ」

ベルトルト「僕たちが美味しくリョウリできない食材なんて、あんまりない!!」


59◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 22:43:547y9T9FfM (10/17)


ジャン「すげえ、肉が、肉が柔らかくてよ………口に入れたとたん、香ばしい香りがまず鼻腔に広がって」

ミーナ「はぐッ、と噛み締めると、熱くておいしい肉汁が、香草ソースと一緒にじゅわぁああっって、口の中いっぱいに広がっていく……」

コニー「こってりとしてるけど、全然しつこくない………野菜串も、どれもこれも味わい深くて、こっちを食うと口の中がさっぱりして、また肉が食いたくなって……」

マルコ「この筍串、シャキシャキして瑞々しくて、本当にうまいよぉ………」

クリスタ「お肉もおいしい、野菜もおいしい! 付け合せのご飯に合うね!」

ベルトルト「クリスタは臨海兵団以降、米派になっちゃったね」

ライナー「ほれ、こっちの甘辛く焼いた串焼きなんかメシに合うぞ」

クリスタ「えっ、ふぁあああっ、からぁい! で、でも、おいしいーーーー!」パクパク

ハンナ「トロみのあるソースが、ご飯とすごくマッチする! これだけでご飯おかわりしちゃいそう!!」モグモグ


60◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 22:51:067y9T9FfM (11/17)


サシャ「お芋の串焼きもいいですね! 一回蒸かしたせいか、全然パサパサしてなくて、むしろほっこりとした強い甘みを備えています!」モッキュモッキュ

ライナー「焼きねぎの芳醇な甘みも忘れちゃ困るぜ。肉との相性は抜群だ。ほれ」

サシャ「うわああああああんうまああああああああああい!! 肉! ネギ! 肉、肉! ネギ! 肉肉ネギ!」ガッツガッツ

ベルトルト「やっぱり甘辛タレの牛肉串には、アツアツ白米だよね!」モグモグ

ライナー「おーい、料理人がピラフ作って来たぞー。明日人に会う予定がない奴は食えー」

ν料理人「にんにくたっぷりの牛肉ピラフですの!!」

エレン「おおおおお! こりゃまた旨そうだが、すげえ匂いだ!」

ミカサ「食欲をそそる………」ゴクン

アルミン「うう、明日会う人いるけど………構わないやっ、食べちゃえ!」パクッ

アニ「気になる人は私に言ってね。一応匂い消し用のスパイス上げるから」

エレン「え、マジ!? そんなのあるのか! 後でくれよ! 俺、このピラフ食う!!」バクッ

ミカサ「私! 私も!!」パクリッ


61◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 22:53:537y9T9FfM (12/17)


アルミン「うわあああああうんまぁぁああい!! なんて香ばしくて、香り高いんだ! 舌にビリッビリくる!!」

エレン「ニンニクがっ、すげえっ! でも、なんて美味いんだ! メシに肉汁が染みてやがる!」

ミカサ「そのくせ全然ベチャベチャしてない。肉の旨味だけで炊きあげた様なピラフ!! すっごく美味しい!!」

アニ「これは………うん、やるじゃないクロコ」

ν料理人「どんなもんですの!」ムフー

サシャ「あれも! これも! それも! 全部全部、おいちぃいいいいいいっ!!」フッギャァアアアッ

ライナー「慌てるな、どれも、これも、それも、あれも、お前のために作ったんだから」フフッ

サシャ「すごくおいしいです、ライナー! 大好きですっ、うまあっ!!」

ライナー「食うか褒めるかにしてくれ、はは………」



……
………


62◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 22:55:397y9T9FfM (13/17)


………
……


~食堂(食後)~


 ワイワイガヤガヤ……


サシャ「あと数ヶ月で、訓練兵団も解散ですね…………」シミジミ

クリスタ「うん。なんだかしんみりしちゃうな…………」ションボリ


ジャン「おいおい、湿った空気出すんじゃねえよ。いよいよ来週から大型休暇が待ってるんだからよ!」

マルコ「十連休なんて、教官たちもずいぶん思い切ったよねえ」

ジャン「それだけ平和で、金があるってことなんだろ。食糧事情も改善されてきたしよぉ」

コニー「最近、肉の日じゃなくてもメシがうめえもんな!」


料理人ν「!!!」グッ


マルコ「そういえば、皆は休暇はどう過ごすんだい? 僕は南区のジナエ町に戻ろうと思う」


63◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 22:56:287y9T9FfM (14/17)


ジャン「オレも帰省………だな。家族にも、近況報告しておきてーし」

マルコ「ジャンは実家がトロスト区だから近くていいね」

ミーナ「私もトロスト区!」チラッ

マルコ「そ、そうだね」

ミーナ「ここからジナエ町に行くのに、確か半日もかからないよね!」

マルコ「そ、そうだけど」

ミーナ「私ね、家族に近況を報告しようと思ってるの!」チラチラッ

マルコ「そ、そうなんだ」

ミーナ「うん! 一緒に行ってほしい人がいるんだけどね!!」ジーッ



マルコ(何が言いたい………何が言いたいんだ………)ブルブル

ジャン(そろそろ覚悟決めた方がいいぞマルコ………ありゃ逃がすつもりはないって目だ)


64◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 23:00:277y9T9FfM (15/17)


コニー「俺も帰省だ! ラガコ村に帰って、母ちゃんや弟たちを驚かせてやるんだ! 成績上位だしな!」


ベルトルト「…………」

ライナー「…………」

アニ「…………」


コニー「あ…………わ、わりぃ。そういえば、おまえらの故郷って、遠いんだよな………ごめん、悪気はねえんだ」アセアセ

ベルトルト「気にしないで、コニー。なかなか帰る機会はないけれど、ちゃんと連絡は取れてるから」

ライナー「…………ああ、そうだな。俺は兵舎で過ごすよ。牛の世話もあるし、ハナコが産気づいてて手が離せんしな」

アニ「その後は?」

ライナー「無事にお産が終わったら、新規顧客獲得のための営業だな! だけどサシャ、おまえは帰省しなくていいのか?」

サシャ「え、えええっと………そ、その、また休暇の時には、帰ります、ハハ」

ライナー「分かった。じゃあその時に親父さんに合わせてくれよ! 結婚のお許しをいただかなきゃな!」ハハハハ

サシャ「ハ、ハハハ、そ、そうですねー」ハハ…

ベルトルト「僕も宿舎で寝泊まりしながら、座学の復習や自主トレに精を出すよ。暇なときは彼女に手紙を書くさ」


65◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 23:03:597y9T9FfM (16/17)


ライナー「アニはどうするんだ?」

アニ「私は、その………どうしようかな」

エレン「ああ、アニ。それなんだけどさ」

アニ「え?」

ミカサ「私とエレン、アルミンはシガンシナ区に戻ろうと思う」

アルミン「久しぶりに家族団らんで過ごそうかって思っているんだ」

アニ「………そう。楽しんできなよ」ニコ

エレン「いや、だからさ。その………楽しんでくるのは俺たちだけじゃねーっつーか、まぁ、なんだ………」

アニ「?」


エレン「シガンシナに………俺の家に、一緒に来ないか? アニも、その、さ………/////」プイッ


アニ「!!!!?!!?!?」



……
………


66◆B2mIQalgXs2013/08/28(水) 23:06:277y9T9FfM (17/17)

※というあたりで本日は終わり

 続きは明日。明日にはアニとカルラの会話パートに入ります。

 って明日残業デーか………戻れたら書きます。

 お疲れ様でした。おやすみなさい。良い夢を……zzz


67以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/28(水) 23:53:01v6ejA1gE (1/1)



残業頑張ってこい


68以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/29(木) 01:22:02azPVfMZU (1/1)


残業頑張ってください


69以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/29(木) 06:51:48uEicfYZQ (1/1)

乙しえん
クソッ、朝から腹がすいた!


70以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/29(木) 08:52:50xynz7LLg (1/1)


腹減るな~


71以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/29(木) 21:55:21HNwj5eSw (1/1)

残業つらいよな


72◆B2mIQalgXs2013/08/29(木) 23:53:146UEVpWmA (1/1)

※帰宅……。や、やったぞ……帰宅できたぞ……。

 投下は明日です。御疲れ様でした、おやすみなさい。良い夢を。ナランチャァアアアアアッ!!


73以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/30(金) 00:11:43Qqcj0JAc (1/1)

お疲れ!!


74以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/30(金) 08:03:07hlEl4C/w (1/1)

>>1きさまっ!
ASB買ったなッ!


75以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/30(金) 23:37:22oujfYIPc (1/2)

ASBほしいけどPS3壊れちゃった


76◆B2mIQalgXs2013/08/30(金) 23:37:52QEAqf1Kk (1/1)

※帰宅。

>>74
 まだ買えてないです………。


 そして明日も仕事。

 あァァァんまりだァァアァ!!

 AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHH!!

 おおおおおおれェェェェェのォォォォォ休みィィイ~~~~~!!


 という訳です、スッキリ。
 じゃない、すいません。
 明日の夜には確実に投下します。


77以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/30(金) 23:43:34aFxQ3tVo (1/1)

おつかれさま
しっかり英気を養ってから書いてくれ


78以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/30(金) 23:44:53oujfYIPc (2/2)

買ったら報告!

特に意味はない!


79以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/31(土) 15:09:11OsPfW0Ew (1/1)

ドリフターズの方も続き読みたいですエレアニバンザイ


80◆B2mIQalgXs2013/08/31(土) 23:16:44k3H7Hp2A (1/6)

※充電完了。ゲームは明日やる。今やったら歯止めが効かない。

 というわけで、投下開始。ほとんど書き溜めがないのでゆっくりです。


81◆B2mIQalgXs2013/08/31(土) 23:18:32k3H7Hp2A (2/6)


………
……


 ――――俺と一緒に、シガンシナ区に行かないか?

 エレンは、どこか照れくさそうに言った。


エレン「外に出ないか」


 驚きの抜けぬまま、アニは誘いに了承の頷きを返す。

 吐息に白が混ざりはじめた深々とした空気に、僅かに身を震わせながら、エレンとアニは兵舎の外に出る。

 満天の星空の下、二人つれだって訓練場のトラックを無言のままに歩き続ける。

 意を決して、アニが口を開いた。


 ――――どうして、私も?


 アニの質問に、エレンは苦笑しながら答えた。


エレン「本当は卒業するまで帰らないつもりだったんだけどな」


82◆B2mIQalgXs2013/08/31(土) 23:20:07k3H7Hp2A (3/6)


エレン「けど、やっぱり、両親には話しとかなきゃと思ってさ」

エレン「………その、おまえの親父さんには、事後承諾みたいな形になっちまうけど」


 エレンの照れくさそうに頬を掻く仕草に反して、アニは目を見開いた。

 半ば確信めいた予感を感じ、アニは自身の体温が一気に上昇するのを感じた。

 耳まで赤くなるほどに、アニの胸は高鳴った。言いようのない期待に対して「逸るな」と叫ぶ内心を無視して、鼓動は加速する。



エレン「一生連れ添って歩いてほしい人を、ちゃんと両親に報告したいんだ…………駄目か?」



 アニの瞳を真っ直ぐに見つめながら、エレンは告げた。

 告げながら差し出されるエレンの掌の上には、一組の指輪がある。



エレン「そんなに高価なもんじゃねえけど………受け取って、くれるか?」



 予感が確信に変わる。


83◆B2mIQalgXs2013/08/31(土) 23:28:40k3H7Hp2A (4/6)


 エレンからの、プロポーズだった。アニ・レオンハートに、その申し出に『否』と返す理由など、一欠けらもなかった。

 ただ、声が出ない。ただかくかくと壊れた人形のように、首の関節を上下に動かすことしか、アニにはできなかった。

 震える指でエレンの掌から、小さい径の指輪をつまみ上げ、左手の薬指に嵌めようとすると、エレンがその手を優しく掴んだ。

 驚く間もなくアニの手から指輪を奪い取り、彼女の薬指に嵌める。

 元よりそこにあったかのような、不思議な感覚を感じた。冷たく野暮ったい意匠の、巨人に変身するための指輪とは違う、どこか温かみのある指輪だった。


エレン「はは…………夫婦になるまでのこれからも、なってからのそれからも………よろしくな、アニ」


 嬉しそうに笑顔を見せるエレンに、アニの瞳からひとしずくの涙がこぼれた。

 くしゃくしゃに、泣き笑いするアニを、エレンは優しく抱きしめた。

 冷え込んだ大気の冷たさなど、もうどこにも感じない。

 ただ暖かな時間だけが、二人の間に流れていた。



……
………


84以下、名無しが深夜にお送りします2013/08/31(土) 23:45:56h4pZXGsw (1/1)

オナカスイタナー……

深夜に読むもんじゃねぇ…ww


85◆B2mIQalgXs2013/08/31(土) 23:51:09k3H7Hp2A (5/6)


………
……



 かくして、ミカサ、アルミンを加えた四名は、休暇初日に訓練場を出立し、トロスト区を後にした。

 幸先も良く天候は晴れ。雲一つない青空の下を、馬に乗って駆け抜ける。

 エレン、ミカサ、アルミン、三人の故郷であるシガンシナ区に向かって、四人は南下を続ける。

 道中は他愛もない雑談に花を咲かせながら、彼らは何事も無くシガンシナ区に到着した。

 馬を駐屯兵団に預けた後は、ハンネスを始めとする飲んだくれの駐屯兵にからかわれつつも祝福され、頑張れよと肩を叩かれた。

 散々にアニとの関係を茶化されたエレンは、怒りで顔を真っ赤にしながら、肩をいからせて駐屯兵団の詰所を飛び出した。

 道行く人々が彼の顔を見た瞬間に道を譲るほどの怒りっぷりであり、泣く子がもっと泣き、商会の有力者ですらその迫力に息をのむほどであった。

 『エレンが歩くと道が割れた――――その目を直視できるのは、彼と親しい一部の兵士だけであった』

 後世の歴史書にそういった逸話が書かれるほどであった。


86◆B2mIQalgXs2013/08/31(土) 23:54:13k3H7Hp2A (6/6)


 さもあらん、生来の悪人顔が災いしたか、この時のエレンは傍目には、さながら獲物を品定め中の殺人鬼のようであったという。

 そんなエレンを追いかけるように、恥ずかしげに頬を染めるアニが続き、その後ろをどこか嬉しそうなミカサがついていく。

 更にあまりの恐怖から憲兵団に通報しようとする人を、苦労人アルミンが必死に止めるという混沌とした図面が展開されていた。


 かくして、彼らは歩き続ける。

 エレンの生家、イェーガー家を目指して。



……
………


87◆B2mIQalgXs2013/09/01(日) 00:00:43j6teZQus (1/12)


~(元)シガンシナ区 住宅街~


アルミン「ねぇ、エレン。そろそろ機嫌なおしなよ? 別にハンネスさんだって悪気があったわけじゃないんだから」

エレン「うるせぇ。あの飲んだくれども………巨人がいなくなったからって、ますます飲んだくれてんじゃねえか………」

ミカサ「それだけ平和ということ。勤務時間に呑むのは悪いことだけど、そう悪いことじゃない」

アニ「ま、そうだね。怒ってもしょうがないよ、エレン」

アルミン「そうそう。それに、怒った顔をカルラおばさんに見せるつもりなの?」ヒソヒソ

エレン「う………分かったよ。もう怒ってねえよ、ったく………」

ミカサ「そう。もっと建設的な話をしよう」

アニ「うん」


88◆B2mIQalgXs2013/09/01(日) 00:02:27j6teZQus (2/12)


エレン「話、か…………そういえば、土産のことだけど」

アルミン「ああ、ライナーに貰ったんだよね。僕もだけど」

ミカサ「私も」

エレン「ライナーには頭が上がらないよな………」

アルミン「帰省する訓練兵全員に、お土産持たせてくれたよね………しかもブラウン牛の詰め合わせって………」

ミカサ「噂は聞いている。今や超有名ブランドで、一生に一度は食べたい肉だと言われてる」

アルミン「それを毎月食べてる僕たちって…………一食分だけで、僕たち訓練兵の薄給数ヶ月分が吹き飛ぶよ?」

アニ「しかも私の分まで…………無理しちゃってさ」

エレン「コニーなんか大家族だからっつって、すげー量を渡されてたよな」

アルミン「コニーったら感極まって泣いてたよ。『家族に贅沢させてやれ』なんて笑顔で言われちゃ、無理もないよ」


89◆B2mIQalgXs2013/09/01(日) 00:06:31j6teZQus (3/12)


ミカサ「よっぽど嬉しかったんだろう。コニーはどことなく以前から、ライナーに憧れているような節があった」

アニ「その念はますます深まったかもね」

アルミン「はは、かもね………あ、そうそう。気前がいいと言えば、リヴァイ教官もそうだよね」

エレン「ああ。希望者には馬を貸してくれるなんて………おかげで馬車代が浮いたし、時間も短縮できる」

ミカサ「訓練場で遊ばせておく余裕がなかっただけかも………」

アニ「それもあるんだろうね。その間は私達で世話してあげなきゃいけないし」

アルミン「しかし怖かったね…………『もし馬をダメにしやがったら、俺が直々にマンツーマンで格闘訓練の手ほどきをしてやる』なんてさ」

エレン「ははは、死んでも馬だけは訓練場に戻さないとな」

アニ「ん、そうだね…………しかし」

エレン「どうした?」


 アニが視線を大通りへと向ける。

 エレンが視線を追った先には、子供が走り回る姿や、買い物帰りの主婦たちが道端で談笑する姿が見えた。


アニ「いや、ずいぶんと賑やかな区域だと思ってさ。聞いた話と大分違う」

エレン「お、おお………たった二年で、町の様子もずいぶんと様変わりしたな」


90◆B2mIQalgXs2013/09/01(日) 00:14:50j6teZQus (4/12)


アルミン「今やウォール・マリアの………いや、元・ウォール・マリアの突出区は、壁外への玄関口だからね。そりゃ発達もするさ」

ミカサ「先ほど通った市場も、記憶よりずっと活気があった。トロスト区じゃあまり見ない食材も売っていた」

エレン「帰りにライナーへの土産で買っていこうぜ。なんだっけ? 南の果実で、パパイヤとか、マンゴーとか、マンゴスチンだっけ?」

アニ「ああ………あれはおいしいよ。南国の果実はどれもこれも、こっちで食べられるものより甘みが強くて、いい香りがするんだ」

ミカサ「!! それは楽しみ………」

アルミン「あはは、全部食べちゃダメだよ、ミカサ」

エレン「しかし…………やっぱり、壁外調査の成果でもあるんだろうなぁ。これだけ成果出してれば、そりゃ憲兵団の人気も落ちるぜ」

アルミン「………皮肉なものだね。巨人の脅威で滅亡寸前だった【前】の時よりも、今の方が調査兵団の支持者がずっと多いなんて」

アニ「現金なものだとは思うけれど、そういうものじゃない? 兵士でさえ平和ボケしてるんだから」

エレン「ああ…………そうだな」


91◆B2mIQalgXs2013/09/01(日) 00:20:07j6teZQus (5/12)


ミカサ「………そういえば、ここからずっと南下したところに、【砂の雪原】があるという話だった」

アニ「ああ、砂漠か。あそこはある意味で海以上に危険だからね」

アルミン「だけど、いつか必ず、自分の足で行くよ。この目でちゃんと見てみたいんだ」

エレン「ああ、絶対に行こうな…………っと、そこの角を曲がれば、俺の家だ」

アニ「ッ…………う、うん」


 エレンの言葉に、アニはごくり、と唾を飲み込んだ。―――いよいよだ、と全身が固くこわばっていくような感じがした。


アルミン「だ、大丈夫かい、アニ? 見るからに緊張してるけれど」

ミカサ「平気、おじさんもおばさんもいい人だから」

アニ「だ、大丈夫。うん、ちょっとだけ深呼吸させ………」



???「――――――エレン? エレンなの?」


エレン「あ………か、母さん」

アニ「!?」


92◆B2mIQalgXs2013/09/01(日) 00:40:06j6teZQus (6/12)


 エレンの「母さん」という発言に、アニの身体が驚愕に跳ね上がる。

 おそるおそる振り返った視線の十数メートル先には、真っ白なエプロンを付けた女性が立っていた。

 一目見ただけで「ああ、エレンは母親似なんだな」ということが、初対面のアニにも分かった。

 エレンとそっくりな、すっと通った目鼻立ちに、思わずはっとさせられた。目つきはエレンよりも優しい曲線を描いている。

 背中の中ほどまで届きそうな長さの黒髪を、右肩の横で一つに結わえている。

 美人だ………とアニが冷静に観察できたのはそこまでだった。


 現実を再認識する。

 目の前にいるのは、エレンの母親である。アニにとって、今まさに御挨拶に向かおうとしていた方であった。


 ――――心の準備が、まだできてないのに!


 内心で愚痴るも、どうにもならない。

 エレンの母親――――カルラ・イェーガーは、二年ぶりの息子との再会に、嬉しそうにこちらへと歩を進めてくる。


93◆B2mIQalgXs2013/09/01(日) 00:49:09j6teZQus (7/12)


エレン「ただいま、母さん。買い出しの帰りか? 俺が持つよ」

カルラ「あ、ありがとう………けれど、急にどうしたの? 訓練兵団は? どうしてミカサとアルミンも? そちらの子は誰?」

アニ「あ、ああああ、ああの、あのぅ、そのぅ………」

エレン「いっぺんに言われてもわかんねぇよ………とりあえず、長期休暇が取れたから戻って来たんだよ」

アルミン「え? ちょ、ちょっと待って! エレン、手紙とか出してなかったの!?」

エレン「あ………そういや、忘れてた」

アルミン「いや、そこ忘れちゃダメだろう!?」

カルラ「手紙の一つぐらい入れてもいいでしょうに、全くこの子は………」

ミカサ「ごめんなさい、カルラおばさん………私の配慮が足りなかった」

エレン「どういうことだよ! まるで俺がバカみたいじゃねえか!!」


ミカサ(エレン………)

アルミン(その通りなんだよ………どうして肝心なところで、君は残念なんだ………)

アニ(馬鹿だ………)

カルラ(馬鹿ね………)


94◆B2mIQalgXs2013/09/01(日) 00:51:26j6teZQus (8/12)


カルラ「まぁ、この子の馬鹿は相変わらずとして…………」

エレン「なんだよその言いぐさ!!」

カルラ「アルミン、ミカサ。貴方たちも久しぶり」

エレン「無視すんなよ!!」

アルミン「ありがとうございます。そちらもお変わりないようで、何よりです」

ミカサ「カルラおばさんは、相変わらず美人」

カルラ「あら、口がうまくなったわね」

ミカサ「本当のこと」

カルラ「ふふ、本当に立派になったわ………きっと、貴女のお母さんも喜ぶわよ」

ミカサ「ん…………ありがとう」


95◆B2mIQalgXs2013/09/01(日) 00:55:08j6teZQus (9/12)


カルラ「それに、エレン」

エレン「ん………なんだよ」

カルラ「二年ぶりね。ずいぶんと背が伸びたのね………訓練兵団に入団する前は、私より小さかったのに」

エレン「まぁ、成長期だしな」

カルラ「どれ………よしよし」

エレン「え、ちょ、母さん? 頭撫でるなよ!」

カルラ「いいじゃない、少しくらい。親としては、背を越えられちゃうのって、なかなか感慨深いものよ?」

エレン「け、けど、恥ずかしいだろ………」

ミカサ「エレン、大人しくして」

アルミン「そうだよ。久しぶりに会ったんだし、そのぐらいはいいじゃないか」

エレン「わ、分かったよ………」

カルラ「あらあら、本当に大きくなって………ふふ、このままじゃお父さんもそろそろ抜かれちゃうかも」


96◆B2mIQalgXs2013/09/01(日) 00:58:20j6teZQus (10/12)


アニ「…………?」


 アニの目の前で、エレンが恥ずかしそうに、しかしまんざらでもなさそうな顔で、カルラに頭を撫でられている。

 カルラも愛しそうに、慈しむような優しい瞳でエレンを見つめながら、ゆっくりとエレンの固い髪を指先で梳いていく。

 そのことに、アニはちくりと心がささくれ立つのを感じた。

 嫉妬、ではない。怒りでもない。

 この感情はなんだろう? アニがそれを考えようとした時のことだった。


カルラ「あら? ごめんなさいね。ないがしろにしていた訳じゃないのだけれど………エレン、こちらの子は? 紹介なさい」

エレン「ッ!! あー、その、こっちの子は、だな………」

アニ「ぅ、あっ………わ、私はッ! え、えっと、アニ・レオンハートです!!」バッ

エレン「アニ!?」


アルミン(敬礼した………)

ミカサ(アニは混乱している………)


97◆B2mIQalgXs2013/09/01(日) 01:00:09j6teZQus (11/12)

※続きは明日に書きます。

 うん。思い入れが割と強いせいか、今日はやや描写を強めに書いてしまいました。

 私、明日起きたら早速ジョジョASBプレイするんだ………。

 お疲れ様でした。おやすみなさい。良い夢を。


98以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/01(日) 03:16:29hTS7QgvI (1/1)

おつ
残念だがジョジョは戴いた
観念して続きをば


99以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/01(日) 06:23:34t/yfet8c (1/1)

ゴゴゴゴゴゴゴゴドドドドドドドド


100以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/01(日) 12:24:57HVj7t/4Y (1/1)

>>98
ジョジョをホモビデオにすり替えておいたのさ!


101以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/01(日) 18:22:31vrH.C9FM (1/1)

エレンがコニー化してしまった


100それは駄目だ見たやつ全員しぬぞwwwwww


102以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/01(日) 18:48:21F19G.XRw (1/2)

ミカサのお母さんは生きてるのかな?

このミカサはエレン達と住んでいたのか分からないや


103以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/01(日) 18:58:39o5OoE9CM (1/1)

>>102
たしか本編のエンディングで死亡フラグは回避していたはず
きっとここのミカサは親子三人で幸せだよ


104以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/01(日) 19:21:18LAeLtXgI (1/1)

ミカサ一家は人攫い対策にミカサ達が説得してシガンシナに引っ越した筈だ


105以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/01(日) 19:27:42F19G.XRw (2/2)

ミカサやエレンが幸せになるのが嬉しいな


106以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/01(日) 20:09:31KdY2FTag (1/1)

>>1が書くジョジョのssとかも見てみたい


107◆B2mIQalgXs2013/09/01(日) 22:48:20j6teZQus (12/12)

※言い訳を………。

 エレン「ドリフターズ?」

 を夢中になって書いてて、今日のところはこっちに手が回らなくなりました。

 すいませんが、明日投下します。良かったらそっちも読んで見てください。


108◆B2mIQalgXs2013/09/02(月) 21:30:42st6Ew7uY (1/8)


エレン「あー………アニ? その、なんだ。敬礼はいらないと思うぞ?」

アニ「あぅ、あうあう………」

カルラ「あらあら、ふふっ、面白い子ね」

エレン「えっと、母さん。こいつは俺たちと同じ訓練兵の同期で………」


アニ(や、やらかした…………絶対変な子だと思われた………)


カルラ「そう。アニちゃんって言うのね? 初めまして、エレンの母のカルラ・イェーガーです」

アニ「は、はひっ! は、初めましてっ!」

カルラ「いつもうちの息子がお世話になっています」

アニ「いっ、いえっ! む、むしろお世話になってるのは、そのっ、私の方でして………」

カルラ「ふふっ、いいのよ。手間がかかるでしょ、この子」

エレン「どういう意味だよ………」

カルラ「そのままの意味よ」


109◆B2mIQalgXs2013/09/02(月) 21:38:48st6Ew7uY (2/8)


エレン「…………まぁ、いいや。こんなところで話すのもなんだしよ、続きは家で話そうぜ」

カルラ「そうね。色々と聞かせてもらいたいわ………ああ、ミカサ、アルミン。貴方たちも一度お家に戻りなさい」

カルラ「見たところ、戻って来たばかりなのでしょう? まずはご家族に色々と報告しなくっちゃあね?」

アルミン「は、はい。また後でお伺いします」

ミカサ「うん。エレン、また後で」

エレン「おう、またな!」

カルラ「アニちゃんは? お家はシガンシナ区なの? それともここには観光で?」

アニ「ぅ、あ、う、え、えっと、そ、そのぅ………」

エレン「ああ、母さん。それについては俺が話す。とりあえずは、アニと一緒に家へ行こうぜ」

カルラ「あら、そう? それじゃあアニちゃん、こっちよ」

アニ「は、はい………」オロオロ



……
………


110◆B2mIQalgXs2013/09/02(月) 21:48:30st6Ew7uY (3/8)


………
……


~イェーガー家・リビング~


カルラ「粗茶ですけれど…………ごめんなさいね。御茶菓子の一つも用意してなくって」

アニ「い、いえ。とんでもありません」

カルラ「誰かさんが事前に連絡しておいてくれたなら、こんなことにはならなかったのだけれど」ジロッ

エレン「ぅ………わ、悪かったな。あ、そうだ! これ、お土産だ」

カルラ「あら、トロスト区の? 気が利いて……………ぎゅ、牛肉? なぜ?」

エレン「ああ、結構前に送った手紙に書いてただろ? 今期の訓練兵団は色々な試みを行ってて、その一環で牛育ててるってさ。ライナーって同期から、それ貰ったんだ」

カルラ「そういえばそんなこと書いてあったような………なんにしても嬉しいわ。今日の夕食は豪勢になるわね」

エレン「あと、これもな」ガサッ

カルラ「あら? これは………?」

エレン「トロスト区で評判の菓子店の、菓子詰め合わせ。結構高かったんだぞ」

カルラ「まぁ、ありがとう、エレン………ちょうどいいわ。これを御茶菓子にしちゃいましょう」


111◆B2mIQalgXs2013/09/02(月) 21:54:26st6Ew7uY (4/8)


エレン「ん。アニも食べろよ。凄くおいしいクッキーだってクリスタが言ってたぞ?」

アニ「あ、ああ。いつの間にこんなの買ってたの………?」

エレン「ん、まぁ、その。行きがけの買い物で、別行動とっただろ? その時にクリスタ達とばったり会ってよ………手土産の一つでも買っていかなきゃダメって」

アニ「そ、そうなの………(私、何も持ってきてない………)」ズーン

カルラ「あら、本当においしそう。ふふっ、お父さんは残念ね。今お仕事で内地に行ってしまったから、食べそこなっちゃったわ」

エレン「え!? お、親父、いないのか!?」

カルラ「一応、三日後ぐらいには帰ってこれるわ。それまではこちらにいられるんでしょう?」

エレン「ま、まあ、そうだけど…………」

カルラ「………さっき言ってた、話したいってこと?」


 そう言って、カルラは優しく微笑みかける。

 その笑みを見て、アニは再び心が絞られるような感覚を覚えた。

 不快ではない、痛みともこそばゆさともつかぬ、不思議な感覚だった。


エレン「ああ、楽しみにしてる…………それでさ、母さん。話があるんだ。凄く、真剣な話だ………」

アニ「ッ…………!!」


112◆B2mIQalgXs2013/09/02(月) 21:55:52st6Ew7uY (5/8)

※凄い誤字。というか紛れ込んだミス。

×:エレン「ああ、楽しみにしてる…………それでさ、母さん。話があるんだ。凄く、真剣な話だ………」
○:エレン「ああ…………それなんだけどさ、母さん。話があるんだ。凄く、真剣な話だ………」


113◆B2mIQalgXs2013/09/02(月) 22:00:02st6Ew7uY (6/8)


カルラ「ええ………そちらの、アニちゃんに関わることなんでしょう? その子の緊張っぷりを見てたら、なんとなく分かるわ」

エレン「ああ。アニのことだ」

アニ「ッ………」


 明確に空気が緊張していくのを感じ取り、アニは背筋に力を込める。


アニ「あ、あのっ。改めまして、その、私は、アニ・レオンハートと言います」

カルラ「あら、これはご丁寧に」

アニ「そ、それでっ………わ、私は、エレンと、その、お、お、お付き合いを、させていただいており、ます………」

エレン「ああ。この子は、俺の彼女だ」

カルラ「まあ」


 カルラは口元を押さえて、大仰に驚く。

 実際のところ、予想の斜め上をゆく話の内容に、カルラは驚きを隠せない様子だった。


114◆B2mIQalgXs2013/09/02(月) 22:05:44st6Ew7uY (7/8)


カルラ「ああ、驚いた。貴方が彼女を連れて帰ってくるだなんてね………」

エレン「それでさ、母さん。話したいのは、それだけじゃないんだ」

カルラ「あら? こちらに滞在する間の宿泊のこと? それなら女の子同士だし、ミカサの方が………」


 まだ混乱しているのか、カルラは少しばかり視線を泳がせていた。


エレン「違う。真剣な話だって言っただろ」


 そう言ったエレンは居住まいを正し、真っ直ぐにカルラを見つめる。

 落ち着きを多少取り戻してきたカルラもまた、正面からエレンの瞳を見つめ返す。

 真剣な表情だ、とアニは思った。こういった表情は、本当にエレンとそっくりだ、とも。


エレン「さっきも言った通り、アニは訓練兵団の同期で、俺にとって大切な人だ」

エレン「だけど、それだけじゃない。ずっと、これからの人生を一緒に過ごしたいって、そう思える人なんだ」

カルラ「―――――!!」


115◆B2mIQalgXs2013/09/02(月) 22:14:00st6Ew7uY (8/8)

※おっそろしくゆっくりでごめんなさい。今日はマジ疲れてます。

 短いですが、ここまで。後1、2回で終わらせたいと思います。


116以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/02(月) 22:24:16MRKKxALY (1/1)


ゆっくり休むと良い


117以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/03(火) 16:10:34Bt1Y5uW2 (1/1)

結婚報告ってすっげー緊張するよなあ
会社の圧迫面接なんかメじゃねえってくらいに


118以下、名無しが深夜にお送りします [saruruizinnenn@yahoo.co.jp] 2013/09/03(火) 19:40:42Pc6nByQc (1/1)

期待


119以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/03(火) 20:35:55Hz2tc6nE (1/1)

夏休みが終わったのにメール欄にアドレス書いちゃう子が急に増えた気がする


120◆B2mIQalgXs2013/09/03(火) 23:34:21DlZD2cDE (1/1)

※帰宅。今帰宅。超疲れました……。

 明日以降、残業のない日を狙って投下します。本当にすまぬ……。


121以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/03(火) 23:41:024w7Qb0UQ (1/1)

このスレが埋まるか、おまけ完結するまで待ってます。


122以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/04(水) 19:05:36iK4ufU22 (1/1)

なんか更新ペースおちたn…いや、これが普通なんだよな…


123以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/04(水) 23:03:48xpLtV/kg (1/1)

大丈夫だ
問題無い
無理して体壊すんじゃないぞ


124以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/04(水) 23:13:41UueKBbW6 (1/1)

つーか今までが異常な投下ペースだったもんな


125◆B2mIQalgXs2013/09/04(水) 23:39:02vMcYXjEM (1/1)

※帰宅。疲れてる時の電車内ほどキチ○イじみたアイデアがわく。
 本当は本編でやりたかったネタ。


【ユミルハード~私が鰊を嫌いな訳~】


エレン「唐突だがくらえユミルッ!! ニシンの缶詰!!(シュールストレミング)」

ユミル「ギャーーーーー」

エレン「ふはは、臭いか、臭いかーーーー!」

ユミル「ぎゃああああああ」

エレン「臭いか! 臭いのか! そんなに臭いかーーーーー!」

ユミル「ぎゃああああああ」

エレン「口を開けろー! あーんするのだ! ふははははは!! 臭いかーーーー!!」

ユミル「ぎゃああああああ」


【完】


 なんかすまない。明日も明後日も残業らしい……よ……。


126以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/05(木) 00:42:08r/Nz.Gm2 (1/1)

>>1さぁ、疲れてんだよ


127以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/05(木) 00:57:09BFYBNR8Y (1/1)

ゆっくり脳を休めておくれ


128以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/05(木) 08:34:12QGqg3Cus (1/1)

ユミルのニシンが好みじゃないのにはそういう理由がってねーよwwww


129以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/05(木) 19:18:16DuVZecrg (1/1)

風呂に浸かって全身休めてこい
脳が異常な方に向かっていってるぞ
ニシン嫌いはね…しょうがないジャン


130以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/06(金) 10:09:33gfZ2VV0k (1/1)

アホみたいに爆笑しちまった俺は異端かなぁ……
何はともあれ休め>>1


131以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 04:43:46Kbccpopo (1/2)

はよしてくれ


132以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 13:25:489WHADQ0o (1/1)

>>131そんな急かすな

>>1俺はいつまでも待っとるぞ


133以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 16:19:354HrLmExE (1/1)

>>1の精神は我々の娯楽の為に犠牲になったのだ…
>>1…>>1…今はゆっくりと休むのです…


134◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 20:22:370hoy1CXQ (1/36)


カルラ「人生を一緒にって………その、つまり………」

エレン「ああ。俺はアニと結婚する」

カルラ「ああもう、本当……………急な話ね。母さん驚いたわ」


 椅子に深く腰掛けて、カルラは溜息をついた。


アニ「と、突然のことで、本当にすいません」

カルラ「貴女はいいのよ? 悪いのは全部この子だから………」


 カルラにじろりと睨まれ、エレンはばつが悪そうに頬を掻く。


エレン「事前に連絡できなかったのは、その、悪かったと思ってる。アニのことは、先入観とか無しで見てほしいと思ってたから………」

カルラ「せめて帰ってくることぐらい伝えなさい………全く、貴方って子は………」

エレン「ご、ごめん。どうやってアニのこと話そうかって思っていたら、考えが及ばなかった………」

カルラ「はぁ………もういいわ。エレンが一度思い込んだら一直線だってことくらい、分かっているから」


135◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 20:47:120hoy1CXQ (2/36)


 カルラは諦めたように呟くと、姿勢を正した。

 それを受けて、エレンもまた再び口を開く。


エレン「…………本当は親父にも一緒に聞いてほしかったんだけどな」

カルラ「ええ」

エレン「俺は親父と母さんに、報告に来たんだ。俺は、アニが好きだ。アニと結婚したい。こいつしかいないって、そう思ったからだ」

カルラ「…………勿論、アニちゃんも同じ気持ちなのね?」


 向けられた眼差しに、思わず心臓が跳ねる。

 乱れそうになる呼吸を整え、アニもまたカルラをまっすぐに見つめ、言った。


アニ「…………はい。私はエレンが好きです。彼と結婚したいと、そう考えています」

エレン「だから親父と、母さんにも祝福してもらいたい………そう思ってる」

カルラ「そう………分かったわ。それじゃあ答えから言わせてもらうけれど」




カルラ「………駄目よ。認めないわ。お父さんもきっと認めないと思う」


136◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 20:51:060hoy1CXQ (3/36)


エレン「ッ、母さん、どうして!!」


 にべもない却下の言葉に、エレンは声を荒げて立ち上がる。


カルラ「誤解しないで、エレン。認めないというのは、現時点では、という意味よ」


 先ほどまで混乱していたカルラは、エレンと対照的に静かなものだった。微笑さえ浮かべている。


エレン「どういう意味だよ………」

カルラ「聞きなさい。私は、アニちゃんのことを何も知らないわ」

アニ「…………」

カルラ「彼女の歳も、人となりも。彼女のご両親は結婚を承諾されているのかも、何をしてるのかも、何もかもわからない」


 仮にエレンが結婚相手として紹介したのが、ミカサなら話は別だっただろう。

 この世界においては養子と言う関係ではなかったものの、カルラはミカサのことはよく知ってる。

 ミカサは少し感情表現が苦手で口下手だけれど、真面目で優しい良い子だ。

 優れた身体能力を持ち合わせた彼女ならば、なにかと突っ込んで行きがちなエレンを止めることもできるだろう。


137◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 20:53:380hoy1CXQ (4/36)


カルラ「まだ彼女のことを何も知らないわ。だから、簡単に認める訳にもいかない」

エレン「そういうことなら………ちゃんとアニのこと分かってくれれば、認めてくれるんだな?」

カルラ「ええ。だからね、エレン。貴方に少しお願いがあるの」

エレン「え?」


 カルラはにっこりと微笑むと、ゆっくりと左を指さす。

 エレンが指先を辿ると、その方向には玄関のドアがあった。


カルラ「少し―――――出かけてきてくれないかしら? アニちゃんとお話したいことがあるのよ」

エレン「……………は?」

アニ「……………え?」



……
………


138以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 20:55:23BXDL000Q (1/3)

始まっていたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


139以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 20:55:43fcbNFDMU (1/1)

きたあああああああああああああああああ!!!!!!


140以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 20:58:14BXDL000Q (2/3)

大丈夫なのか
脳は異常な方にいかなくなったか?
大丈夫だったら投稿を続けてくれ


141◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 21:00:010hoy1CXQ (5/36)


………
……



 どうしてこうなった――――。


 エレンの母親・カルラを前にアニ・レオンハートは己が境遇を少し嘆いていた。

 先ほどまで自分の隣に座っていたエレンは「じゃあしばらくしたら戻るから。母さん、アニを虐めたら怒るからな」なんて言い残して、あっさりと外出していったのである。

 二人きり。そう、二人きりである。


カルラ「そう固くならないで」

アニ「は、は、はひ………」


 無茶な話であった。

 今のアニは「立体機動装置なしで巨人に立ち向かったら、きっとこんな心地なのだろうな」とすら感じている。


カルラ「う、うーん。緊張してるわね。それじゃあ、簡単な所から質問するから、答えてくれる?」

アニ「は、はひっ!!」


142◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 21:13:330hoy1CXQ (6/36)


カルラ「まず、歳は?」

アニ「じゅ、十五歳、です」

カルラ「あら、エレンより一つ年上なのね?」

アニ「は、はい」

カルラ「じゃあ次ね。貴方のご出身はどちら?」

アニ「その…………壁外に」

カルラ「まあ………!! ずいぶん遠いところから来たのね。ご家族とは………?」

アニ「その………母は私を産んですぐに………」

カルラ「ごめんなさい。辛いことを聞いたわね………それじゃあ、お父様は?」

アニ「父とも、訓練兵団に入る二年前から、もう会っていません。距離の問題から、帰ることも容易ではありませんので………」


143◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 21:14:480hoy1CXQ (7/36)


カルラ「そう………きっとお父さん、寂しくしてるわね」


 カルラが申し訳なさそうに俯いた。


アニ「いえ。父も男ですから。自炊もできますし、きっと元気に暮らしていると信じています」

アニ「それに約束しましたから。必ず帰ってくるって…………その、お婿さんを連れて」


 最後は口ごもるように言ってしまったが、カルラの耳にはしっかりと聞こえていたのだろう。


カルラ「あらあら、ごちそうさま」

アニ「…………ぅう」

カルラ「そうそう、アニちゃん。エレンったらこの二年間、貴女のことは手紙に何一つ書いてなかったけれど、最近付き合い始めたの?」

アニ「えっと、ではその辺りから………私と、エレンは―――――」


144◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 21:19:100hoy1CXQ (8/36)


 そこからアニの口は饒舌に動いた。

 エレンとの馴れ初め。

 同じ成績上位者であること。

 自分にとっての弟子のような存在でもあり、男子の対人格闘術においてはトップであるということ。

 座学はさほど得意ではなかったが、持ち前の努力で少しずつ試験の点数を伸ばしてきたこと。

 訓練兵団で過ごしたおよそ二年以上もの日々を、共に過ごしてきた思い出のことを。

 ミカサやアルミンと一緒に座学の勉強をしたり、サバイバル訓練で助け合ったり、対人格闘でペアを組んだり。

 一緒に料理をしたり、海へ行って泳いだり、たまの休暇でデートをしたり。


 エレンとの日々を、語る。


 辛いこともあったし、悲しいこともあった。

 だけどそれ以上に楽しかったし、嬉しかったことが沢山あった。

 そんな、宝石のように輝く日々を。


145◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 21:22:450hoy1CXQ (9/36)


 滔々と語っていくにつれ、アニははたと気づく。


 ………この二年間の思い出って、本当にエレンのことばっかりだ。


 語っても語り尽くせないほどに、どんどんとエレンとの思い出ばかりが脳裏を埋め尽くしていく。

 はっと我に返ると、どこか困ったような笑みを浮かべるカルラが見つめていることに気付き、アニは羞恥で頬を染めて、俯いた。


アニ「す、すいません………長々と、その」

カルラ「――――――ううん。そんなことはないわ。よく分かったもの………貴女がいい子だってこと」

アニ「え………?」


 視線を上げた先に、カルラの優しい笑みがあった。

 胸がとくんと鼓動を打つ。


カルラ「あの子、馬鹿だから。悪い子に騙されてるんじゃないかなんて、最初はそんな考えがふとよぎってしまったわ」

アニ「あ、あの、えっと、その………」

カルラ「本当にごめんなさい。だけど、いい子だってことはすぐ分かったわ」


146◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 21:26:290hoy1CXQ (10/36)


アニ「え? そ、それは、どういう………」

カルラ「もし貴方が悪い子なら、ミカサやアルミンが黙って見ている訳がないもの」

アニ「……………は、はい」

カルラ「それに、今の話…………貴女、本当にあの子のことが………エレンが、好きなのね」


 かぁっと顔の体温が上がる。

 視線を左右に揺れさせながら、アニは縮こまる様にして、ゆっくりと頷いた。

 そんなアニに微笑みかけ、カルラは渇いたカップに再びお茶を注ぐ。

 「私はてっきり、エレンはミカサとくっつくものだと思っていた」とカルラが言う。


 ――――それは私も同感だった、とアニは言う。


 【前】の時はそう思って、諦めていた。いつだって彼の傍にはミカサがいて、お節介を焼いていた。

 甲斐甲斐しく接する彼女に対し、エレンは嫌そうな態度を取るものの、なんだかんだで受け入れている。

 何より、ミカサは美人だ。きっとエレンも心の底ではミカサに淡い思いを抱いていたんじゃないか―――――アニは己の見解を、そう語った。

 するとカルラは「アニちゃんがいなかったら、将来はエレンとアルミンでミカサを取り合いに、なんて事になっていたかも」とおかしそうに笑った。


147◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 21:32:350hoy1CXQ (11/36)


アニ「やっぱり、子供のころからあの三人はずっと仲が良かったんですか?」

カルラ「ええ、それはもう………ふふ、懐かしいわ。もう十年近く前になるのかしら」


 アニの緊張がほぐれてきたところで、今度はカルラがエレンの子供時代のことを語りだした。


 わんぱくで、いたずら好きで、いろんなことに好奇心旺盛だった子供だったということ。

 まだ人類が巨人の脅威に脅かされていたのに、エレンはずっと調査兵団への入団を志望していた。

 その頃からカルラは、人と少し違う物の考え方をする子だったと感じていたという。


カルラ「あの子は、危険な事ばかりするし、友達全然いないし………母親としては心配ばかりかけさせられたわ」


 母親であるカルラの言うことなんて全然聞いてくれない、手のかかる子だったという。


カルラ「自分を抑えるってことを知らなかったあの子が変わったのは、いつだったかしら………」

アニ「…………エレンは、何と言えばいいんでしょう。その、珍しいタイプの人だと思います」

カルラ「ええ。エレンには、なんて言ったらいいのかしら………こう、頑固で向こう見ずなところがあってね」


148◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 21:38:080hoy1CXQ (12/36)


アニ「一度こうと決めたら、なかなか意見を曲げない?」

カルラ「そう、それ」


 悪いことは悪いことだと、良いことは良いことだと、強い信念を持ってハッキリと言えてしまうのは、エレンのいいところなのだろう。

 エレンの言っていたことはきっと正しいことなのだろう、とアニは感じている。

 だけど、世の中まっすぐなことだけでは、生きていけない。

 正しいことばかりを押し通すだけじゃ、世界は生き辛い。

 そんなエレンのことが、母親としてのカルラはずっと心配だった。


カルラ「あの子は自分が正しいと思ったことのためなら、命すら投げ出そうとする勢いだったから………何歳の頃だったかしら? あの子が調査兵団に入りたいって言った時は、本当に驚いたわ」


 今や壁が消失し、巨人は全て人間へと戻ったと言われているが、当時は本当に驚いたという。

 調査兵団が壁外調査を行うたびに何人もの人が犠牲になっていた、そんな時代だ。

 母親としては、一人息子に、そんな危険なことをさせたくない。


アニ「でも、今や調査兵団は、訓練兵の中で憧れる者が最も多い兵団です」

カルラ「今は、ね。そうそう、確か、アッカーマンさんが、ミカサを連れてきたときだったかしらね。少し雰囲気が変わったのよ。あの子が確か、五歳くらいの時」


149◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 21:45:480hoy1CXQ (13/36)


カルラ「なんていうのかしらね、お友達が増えて、視野が広がったのかしら?」

アニ「…………」


 押し黙って傾聴の姿勢を取るアニは「それは違う」ということを知っている。

 エレンが変わったのは、【ジュマンジ】をクリアして戻ってきたことによるものだろう。


カルラ「世の中には「仕方ない」ことがあるってことを、納得せずとも理解はできるようになったような……」

アニ「今でも、そういうところありますよ、あいつは。曲がったことが大嫌いで、愚直で、物覚えが悪いくせに、諦めも悪くって………」

カルラ「あらあら、酷い言われ様。でも――――矛盾するようだけどアニちゃん?」

アニ「はい?」

カルラ「あなたはあの子のそんなところに惹かれたんじゃないの?」

アニ「ッ…………」

カルラ「まっすぐで、一生懸命な、あの子を」

アニ「あ、あう、えっと」


150◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 21:49:000hoy1CXQ (14/36)


カルラ「何かのために一生懸命になれる男の子って、やっぱりカッコ良いわよね。それが、自分のために頑張っているともなれば、特にね」

アニ「あ、あぅ、あ………」

カルラ「ふふふ、図星ね? 顔まっかっかよ、アニちゃん」


 ゆでだこのように顔を真紅に染めたアニは、無意味に唸って俯くばかりだった。


カルラ「うふふ、ミカサと初めて会った時も思ったけれど、やっぱり娘も欲しかったわ。アニちゃんみたいな可愛い子なら大歓迎よ」

アニ「ッ…………か、からかわないでください」


 それは暗に、エレンとの結婚を認めると言う言葉だった。

 聡いアニはそれと気づいたが、カルラは素で言っているのか、目を丸くしている。


カルラ「からかってなんかいないわ。本当よ? 貴女みたいな娘がいたら、本当に嬉しいわ」

アニ「ッ…………なんというか、そういうところ、エレンとやっぱり似てます」

カルラ「え? あはははっ、そりゃあ親子ですもの」


 アニからすれば、やや弱めな嫌味(ジャブ)を放ったつもりだが、糠に釘である。全く通じていない。


151◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 21:56:130hoy1CXQ (15/36)


アニ「…………そういうところも、そっくりです。一目見た時から、やっぱり親子なんだなって、そう思いました。顔立ちもどこか似てますし」

カルラ「顔も? ヘンね………私はあんな悪人顔じゃないはずだけれど。全く誰に似たのかしら」

アニ「…………え?」

カルラ「あ、ここ笑うところよ、アニちゃん」

アニ「あ、そ、その、すいません」

カルラ「うーん、やっぱりちょっと硬いわね。そうだ、アニって呼んでもいいかしら?」


 アニからすれば、十分に打ち解けてきているように感じられているが、カルラにはまだ不満なようだった。


アニ「え? ええ、まあ………お好きなように」


 アニは了承の意を返し、喋りっぱなしで渇いた喉を潤そうと、紅茶を口に含む。


カルラ「うん。それじゃあ私のことは―――――「お母さん」って呼びなさい」


アニ「ブッ………!?」


152以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 21:58:33BXDL000Q (3/3)

流石!!


153◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 21:59:270hoy1CXQ (16/36)


カルラ「あらあら、はしたないわよ、アニ」

アニ「な、な、なな、なななな………」



 紅茶をかろうじて正面で無く真横へと噴き出したアニは、混乱しながらも心の底で確信する。


 ―――――この人、天然だ!!



カルラ「さぁ、アニ。お母さんと呼んでみて頂戴」

アニ「え、いや、その、か、カルラ、さん? その、グリシャさんにもまだお話してないのに………」

カルラ「……………つーん」

アニ「え、その、カルラ………さん?」

カルラ「お母さんと呼んでくれないと、返事をしません」

アニ「えー………」

カルラ「ね。お母さんって、呼んでくれないの?」

アニ「――――――!」


154◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:07:010hoy1CXQ (17/36)


 この笑みだ、とアニは思った。

 カルラの優しい笑みを見ると、心が痛んだ理由が分かった気がした。

 アニは、母親の愛を知らない。

 幼い頃に、アニは父に聞いたことがあった。


 ――――どうして、私にはお母さんがいないの?


 父は困ったように、アニにいずれ教えると言った。

 アニは、もう二度と問うまいと心に決めた。その時、父が泣きそうな顔をしていたからだ。

 アニはこっそりと父の部屋に忍び込み、父の日誌を手に取った。

 そして知ったのだ。


 ――――私が生まれた日、お母さんは死んだ。


 そこには、父の思いが込められていた。母の無念が込められていた。


155◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:10:500hoy1CXQ (18/36)


『アニ―――――母さんの気持ちが分かるか。

 どれだけお前を愛していたか。どれだけその手でお前を抱き上げてやりたかったか。

 どれだけ、おまえに「お母さん」と呼んでほしかったか、母さんの無念が分かるか』


 アニにとっては、それだけで十分だった。

 自分はいらない子じゃなかった。捨てられたわけじゃなかったと、それが分かっただけで良かった。

 自分は愛されていたんだと、母は自分を愛してくれていたんだと分かったから、それだけで嬉しかった。


 そのはずだった。そのはずだったのだ。


 だけど、会いたい。

 お母さんに会いたい。

 一度だけでいい。一目逢って、お礼を言いたい。

 ただそれだけが、アニの願いだった。



 だから、きっとアニは、エレンが羨ましかったのだ。


156◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:17:410hoy1CXQ (19/36)


アニ「あ……………」


 ぽろりと、アニの瞳から涙が零れ落ちる。

 突然の涙に、しかしカルラは全てを察したように、アニを抱きしめ、背中を優しくさすった。


カルラ「どうしたの、アニ?」

アニ「あ、あ、あ………」


 温かで柔らかい、いい香りがした。

 洗剤の匂いと、台所の匂いが入り混じった優しい匂いが、アニが心の奥で欲していた母親のそれと重なった。

 堰を切ったように、アニの瞳から次々に涙が流れた。

 エレンがカルラに頭を撫でられたとき、アニは羨ましいと思った。

 エレンには母親がいる。彼が自分の手で守り抜いた家族だ。

 ―――――アニは違う。アニには母親がいない。助けようにも助けられない。

 アルミンとミカサにも母親がいる。彼らを力いっぱい抱きしめて、微笑んでくれる家族がいる。

 ―――――アニは違う。アニには逢えない。もうどこにもいないから、逢えない。


157◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:21:520hoy1CXQ (20/36)


 顔も知らない。見たこともない。

 声が聞きたい。聞いたこともない。

 子供の頃の悪夢を思い出す。何もない空間で、ただがむしゃらに走っていた、そんな下らない夢を。


 ―――――おかあさん。おかあさん。おかあさん。


 あいたいよ。どこなの。どこにいるの。

 アニ、いい子にしてるよ。だから、逢いたいよ。

 なでなでして欲しいの。今日もきらいなかくとうじゅつのおけいこを、がんばったの。

 いっしょうけんめい、がんばったの。いっぱいいっぱい、おとうさんには、ほめてもらったの。

 だから、ほめてよ…………おかあさんも、ほめて。

 おかあさん、どこ、どこ………。


 走りつかれて、後はただ座り込んで泣き喚いていた。

 そんな、下らない夢だ。

 だけど、ああ、だけど、今は――――。


158◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:29:290hoy1CXQ (21/36)


カルラ「アニ、どうしたの? 何が悲しいの? 大丈夫よ………お母さんはここにいる。カルラ・イェーガーは、貴女のお母さんは、ここにもいるわ」


 優しげな手つきで、しゃくりあげるアニの背を撫でる手がある。

 もう片方の手で、アニの柔らかい金髪を撫で梳いてくれる手がある。

 エレンの次に欲しかったものが、そこにあった。


アニ「いい、の? 私、私、お母さん、いなくて………顔も、声も知らないのに」

カルラ「ええ、もちろん」

アニ「きょ、今日、あった、ばかりなのに………こ、こん、こんな」

カルラ「構わないわ」

アニ「ぅあ、ああ、あう、あ…………」


 もう、喉が痙攣して、言葉にならない。

 だけど、アニは最後に力を振り絞って、確かに言ったのだ。


159◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:30:010hoy1CXQ (22/36)

………
……





          アニ「お母さん」 カルラ「はいはい」





……
………


160◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:33:490hoy1CXQ (23/36)

………
……



エレン「ただいま…………って!?」

カルラ「あら、お帰りなさい、エレン」

アニ「…………おが、えり」


 帰ってきたエレンの眼前には、泣きじゃくるアニを抱きしめているカルラがいた。

 予想の斜め上を行く光景に、エレンの頭の中が一瞬真っ白になる。


エレン「か、母さん!! あれだけアニを虐めるなって――――!!」

アニ「ち、違う。違うの、エレン。カルラさんは………お母さんは、悪くないの」


 空白に滑り込んだ怒りの赤で、カルラを責めようとするエレンを、アニが慌てて止めた。

 どれだけ泣き喚いたのだろう。目元は真っ赤に腫れて、涙の跡が頬に残っている。


アニ「エレン………家を、私、私が、実家を、飛び出してきたときの気持ちを、思い出せた」

エレン「アニ………?」


161◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:38:070hoy1CXQ (24/36)


アニ「わ、私は、私は、いつだって、自分で決めてきた。やるべきことを為すために、自分で決めてきたんだ」

アニ「だ、だけど、本当に欲しかったのは、違ったんだ。私が、本当に欲しかったのは、ただ、ただ………」


 己の思いを吐露しながら、アニはとめどなく涙を流し続ける目で、エレンをまっすぐに見た。


アニ「わ、私はただ、撫でてほしかったんだ。よしよしって、優しく、無条件に甘えられる何かが、欲しかったんだ………」


 言い切ると、再びカルラの胸の中で涙を流し続けた。

 いっぱいに泣き声を上げて、ただただ、その温かさを甘受した。

 泣き疲れて眠るまで、ずっと、ずっと―――――カルラの心地良い手の感触に溺れながら。



……
………


162◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:39:590hoy1CXQ (25/36)


………
……



 眠りについたアニを、カルラの寝室にまで運び終えた後、エレンはカルラとリビングで向き合っていた。

 程なくして合流したミカサとアルミンもいる。


エレン「なぁ、母さん…………アニと何を話してたんだ? あいつがあんなに泣き喚くなんて、ホントに何言ったんだよ」

カルラ「ふふ、秘密よ。女の子同士の秘密のお話」

エレン「は? アニはともかく、母さんは女の子って歳かよ………」

カルラ「まあ、体つきは大きくなっても、相変わらず余計な口が減らないわね、この子は!」

エレン「いだだだだっ!? いはいいはい!! ほっへたつねららいでふれよ!!」

カルラ「ごめんなさいは?」

エレン「ごへんらさい、ごへんらさい!!」

カルラ「よろしい」


163◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:43:290hoy1CXQ (26/36)


エレン「いてえ………」

アルミン「エレン。女性に年齢を聞いたり、指摘したりするのはエチケット違反だ」

ミカサ「エレンには昔からデリカシーというものが足りない」

エレン「ど、どっから出てきたんだよおまえら………なんだよ皆して………俺が悪者かよ。別にいいじゃねえか、親子なんだしさ」

カルラ「覚えておきなさい、エレン。いつだって女は若くいたいものよ? これでも若い時はモテたんだから」

アルミン「それ、判ります」

ミカサ「当然」

カルラ「あら、お世辞でも嬉しいわ。ありがとう」

エレン「ふーん…………あ、でさ。アニと結婚する話だけど………」


 言いかけるエレンの口に、カルラの指先がそっと触れ、続きを押し留める。


カルラ「ええ。OKよ。あんな可愛い子、こっちからお願いしたいくらいだわ」


 そう言って、エレンに微笑みかけた。

 アニに向けたのと同じ――――優しい、母の顔で。


164◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:49:190hoy1CXQ (27/36)


 そして、三日後にグリシャを含めた結婚の挨拶を行い、恙なくアニはイェーガー家に受け入れられていった。

 カルラと並んで一緒に料理をしたり、洗濯に悪戦苦闘したり、買い物に行ったり。

 客の立場とは思えぬ働きぶりにエレンが止めようかとも思ったが、よくよく見れば、カルラを手伝うアニは、終始笑顔だった。

 あんなに幸せそうな顔で家事を手伝われたら、エレンとて止める訳にもいかなかった。

 そんな風に、滞在期間は過ぎてゆき―――――出立の日が、やってくる。


………
……



165◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:51:570hoy1CXQ (28/36)


グリシャ「結婚式の日は、解散式の日なんだな?」

エレン「ああ。その日に、ライナーとサシャの結婚式があるんだ。合同で行わないかって誘われてる」

グリシャ「分かった。変更予定があるなら、手紙を入れなさい」

カルラ「今度はマメに連絡しなさいよ!」

エレン「了解。じゃあ、またな、親父、母さん」

グリシャ「ああ。行ってこい――――」

カルラ「行ってらっしゃい、エレン」


 馬に跨って手を振る息子に、グリシャとカルラもまた笑顔で手を振りかえした。

 アニもまた、手を振る。


アニ「お邪魔しました。また、結婚前には、ご挨拶に。手紙も必ず…………」

カルラ「違うでしょ、アニ」

アニ「え?」


 ぱちくりと目をしばたたかせるアニに、カルラは困ったように笑った。


166◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:53:570hoy1CXQ (29/36)


カルラ「ここはもう、貴女の家でもあるのよ」

アニ「―――――!」


 はっとした表情で、アニはカルラを見つめる。

 カルラは、今度こそ優しく笑っていた。

 いつもの、優しい、アニの大好きな笑みで。

 だから、アニはこう言うのだ。



アニ「――――行ってきます、お母さん」

カルラ「ええ、行ってらっしゃい。アニ」



 いつまでも。これからも。




【アニ「お母さん」 カルラ「はいはい」】

     【完】


167◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:57:030hoy1CXQ (30/36)

※というわけで、終わり。

 カルラさんとアニの仲良しSSが書きたかっただけなんですよ。

 イヤマジでそれだけだったんですよ。


168◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 22:59:430hoy1CXQ (31/36)

※ほのぼのをー、書いてるとー、血が見たくなるー。

 血液の匂い染みついてー。


 む せ る 。


 疲れた。本当に疲れてる。昨日は一日寝て、今日はスーツ新調したりしてました。

 というわけで明日から(来週は仕事の都合がスサマジク微妙だけど)は血みどろスプラッタ誰得バッドエンドSS「レイシング」が開始ですよー。

 もう死にまくり。キャラが立ったら死ぬ。ヘルシング読んでる人は色々お察しで。

 ドリフターズを先に仕上げたいところなのですが、そっち仕上げちゃうと種付けも書かにゃならん。

 書きたいものが多すぎるー。


169以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 23:06:08S7PPMtBM (1/1)

ほっこりしたわ



170以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 23:07:54Kbccpopo (2/2)

面白かった!
次はほのぼの系から一転してグロ系になるのか…


171以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 23:08:58X5CH9Mz6 (1/1)

この話はとてもいいです。夢のような話をありがとうございます。乙。


172◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 23:10:190hoy1CXQ (32/36)


【おまけ~休暇初日の訓練兵団~】


 十日間の長期休暇が与えられ、訓練兵たちは各々の時間を過ごすことになった。

 内訳としては半々の割合で、兵舎で過ごす者と帰省する者に分かれた。

 続々と己が故郷へと帰省を始める訓練兵たちに、ライナーとサシャは「土産だ」と、牛肉の入った袋を手渡した。


ライナー「冬だから腐りはしないだろうが、早めに食えよ」

コニー「い、いいのか、ライナー?」

ライナー「もちろんだ。いつもお前らが手伝ってくれている御蔭で、ここまでたくさんの牛を育てることができた。これはそのささやかな礼と思ってくれ」

コニー「で、でも、これ………おれのだけ多くないか? どうして………」

ライナー「おい、声がデカい………内緒だぞ? おまえの家は大家族なんだろ? たまには親兄弟に………家族に贅沢させてやれ」


 優しく微笑み、コニーの背を軽く叩く。


173◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 23:11:070hoy1CXQ (33/36)


コニー「…………ぅ、あ」

ライナー「おいおいコニー、泣くな」

コニー「ッ………ありがとな、ありがとな、ライナー………おれ、おれは………胸張って、故郷に帰るよ」

ライナー「調理方法も軽くメモしたヤツを中に入れておいたから、安心しろ。かーちゃん喜ばせるんだろ? うまいの作ってやれ」

コニー「ち、ちげえよ! そっちのこと心配してたわけじゃねえ!!」

ライナー「ははは。さておき、道中気を付けろよ。家族に元気な顔を見せてこい」


 そう言って豪快に笑うライナーが、コニーには酷く眩しく見えた。

 牛の解体作業に精肉、袋詰め、更には手書きのレシピまで添付する心配りを見せながらも、恩に着せるようなこともしない。

 恐らく徹夜で作業したのだろう。


174◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 23:11:430hoy1CXQ (34/36)


 しかしコニーの視線の先では、そんな素振りすら見せずに、ライナーとサシャは帰郷する訓練兵一人一人に、次々と牛肉を手渡していく。

 途中で脱落する者が後を絶たない訓練兵団だが、それでも未だ二百余名もの訓練兵を抱えている。

 帰郷する者はその半数でも、百を下らない。

 ライナーとサシャの苦労を思えば、頭の下がる思いだった。


ライナー「兵舎に残って勉強する奴らにもな。休暇初日の今日と、休暇最終日には美味いもの食わせてやるよ」

サシャ「今日は焼肉ぱーちーですよ!!」


 その言葉に、兵舎に残る訓練兵たちからも歓声が上がった。

 日々切磋琢磨して過ごすライバル同士の彼らではあったが、ライナーとサシャには頭が上がらなかった。

 喧嘩が起こっても、二人が「メシ抜きにするぞ」と言うだけで収まった。


175◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 23:12:320hoy1CXQ (35/36)


 愛する人を慈しみ、一生懸命に生きて、仲間から尊敬される、ライナーのような男になりたいと、そう思った。

 訓練場から足を踏み出す前に、コニーは一度振り返り、右手を心臓に打ち付ける敬礼の姿勢を取った。



 ―――――いつか、あんな男になってやる。



 決意の下に。

 真っ直ぐに、前を向いて。




【おまけ~完~】


176◆B2mIQalgXs2013/09/08(日) 23:14:300hoy1CXQ (36/36)

※書き溜めていたおまけも投下しました。

 書いてる途中に、こういった雑念が色々湧いてしまったのも、遅れた原因の一つです。


 カルラと一緒にお風呂入るアニとか。

 カルラと一緒にお布団で寝るアニとか。

 カルラと一緒にお洋服選びするアニとか。



 最高じゃないか。

 でもテンポ悪くなるから泣く泣く削った。


177以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 23:20:38mQ.bVc6k (1/1)

最高じゃないか(迫真)
とりあえず乙


178以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 23:22:47dfJD76mA (1/1)

>>176
カルラに色々洋服を着せられて着せ替え人形のごとく可愛がられるアニも見たかったなぁ(チラッ


179以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/08(日) 23:49:26.YTGsR7A (1/1)

削ったものは仕方ない…が読みたかった


180以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/09(月) 01:39:148wGyNEB6 (1/1)

お疲れのところ、本当にお疲れ様でした
面白かったです!次も期待してます!


181以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/09(月) 15:57:3055iMAY.E (1/1)

gj
レイジング始まる前に一度読み返してきたぞ


182以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/09(月) 17:58:35DPqk.efQ (1/1)

この世界のグリシャは巨人化の薬持ってるの?


183以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/09(月) 22:16:06K4zXIIJQ (1/2)

コニーにレシピ見せても
「この字なんて読むんだ?」
「わからないのはオレがバカだからじゃないよな」で駄目になりそう


184以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/09(月) 22:17:58K4zXIIJQ (2/2)

書き忘れ
なんか涙が出てきました
ほのぼのしててよかったな
グロに変わるのは嫌なんだが・・・


185以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/09(月) 22:31:36Ltw2fsBA (1/1)

こっからグロに行くのか…w


186以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/10(火) 01:40:01ZTpIHWlY (1/1)

グロの後でも良いので
逆行巨人組とグリシャの地下室の話を見てみたい


187以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/11(水) 22:52:53gX1YrlSI (1/1)

まだまだ先は長いと思うけど俺は
ライナー達の子供とエレン達の子供の
成長した姿をみたい


188◆B2mIQalgXs2013/09/13(金) 23:28:00uGKuIsXY (1/1)

※きーたーくー。うわー、ぎゃー、ぶおーぎゃー。

 仕事終わった。やっと終わった。

 とりあえず明日か明後日には投下開始します。もうちょっとお待ちください。


189以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/14(土) 05:29:37FvMo5EWA (1/1)

お疲れ


190◆B2mIQalgXs2013/09/15(日) 23:58:217IN8pfxo (1/2)


※3スレ目の>>11からの分岐となります。

 3スレ目:http://jbbs.livedoor.jp/internet/14562/storage/1372562255.html

 『③【すべての巨人】が【吸血鬼】に!』
 が選択されていた場合のIFルートとなります。

 『HELLSING』をパロるのでフツーに何人も死にますが、原作通りには行かない人もいます。
 キャラ崩壊注意。一応キャラ崩壊には理由があります。


191◆B2mIQalgXs2013/09/15(日) 23:58:567IN8pfxo (2/2)


………
……


~845年 ウォール・マリア シガンシナ区~



~巨人襲来日~



エレン「ッ…………どうだ!? アルミン!!」

アルミン「あ、ああ、あ………だ、だめだ」

エレン「ッ………!?」

ミカサ「…………ッ、こ、これは」


 食い入るように覗き込んだ先、まるで目を疑うような文言が、ジュマンジの文字盤に浮かび上がった。


【全ての巨人は、人の血肉を糧とする吸血鬼だった】


アルミン「ッ…………な、に?」


192◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:01:05KtJMsFBw (1/18)


【其は朝日に背を向け、夜闇を闊歩する存在であった】


ミカサ「何、何なの、これは………」


【其は銀、大蒜、流水、聖水、十字架、太陽、心臓に釘、聖書を嫌う、人類の敵である】


エレン「ふざけるな………ふざけるなよ、おい」

アルミン「こ、こんな…………こんなことがッ…………」

ミカサ「か、壁が、崩れて、いく」


 シガンシナ区の誰もが、その光景を目撃した。

 不意にひび割れ、連鎖的に崩れ落ちていく壁の様子を。

 土煙を上げて砕け散っていく壁の様子を。

 そして――――――。


エレン「ああっ!! 見ろ………人がッ………人がいるぞッ………!!」

ミカサ「エレン! アルミン! 何が、何が起こっている!? 壁から出てきた、人が………じょ、蒸気を上げて………あれは、灰!?」


193◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:02:49KtJMsFBw (2/18)


エレン「あ、ぁ、あ…………ッ!? た、太陽の、光で、と、とけて、塵に…………」


 壁から出てきた者は―――――死せる定めであったかのように、太陽の光によって溶けていく。

 その様を、誰もが見ていた。

 その声を、誰もが聞いた。

 否が応にも耳元まで届く、耳をふさぎたくなるような絶叫。

 痛み、苦しみを訴える、断末魔の悲鳴だった。


アルミン「た、太陽が弱点なんだ………! 太陽の光で、死ぬんだ………!!」

ミカサ「ッ、待って!! 何人か、生きてる人もいる………!!」

エレン「ほ、本当か!?」

アルミン「ッ………!!」


 ミカサの指差した先、音を立てて崩れ落ちる壁の内側には、確かに未だに塵へと変じない、人の形を保った影が見える。

 極僅かな人数だ。壁となっていた巨人の総数を考えれば、1%にも満たぬ微々たる数だった。


194◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:04:59KtJMsFBw (3/18)


 崩落した壁材に巻き込まれたのだろう。血みどろの姿でありながら、かろうじて生きている様子だった。

 少し安堵するエレンだったが、アルミンの顔色が今度こそ蒼白になる。


アルミン(ジュマンジに浮かび上がった文言が、正しければ、あれは人間ではなく―――――)


 彼の明晰な頭脳は、『吸血鬼』という聞くだに悍ましい単語の意味を考えていた。

 既に幾通りもの推測を立てていたが―――――その考えのどれもに共通するものがあった。

 すなわち、ジュマンジの文言にもあった『人類の敵』という言葉。

 そして、アルミンの予想は正しかった事は、すぐに証明された。


駐屯兵「お、おい!! 大丈夫か、おまえ!!」

???「う、う、ぅう、ううううう………」


 市民の大半は唖然とした表情で壁が崩れていくのを見つめており、そこから出てきた者たちを遠巻きに見ている者がほとんどだった。

 しかし、その民衆から抜け出して、声を掛ける物が一人いた。


195◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:12:09KtJMsFBw (4/18)


駐屯兵「す、すぐに医者を呼んで…………がっ!?」

???「ガ、アアアア、GEEEERAAAAAAAAAAA!!!」


 駆け寄った駐屯兵の首元に、牙を突き立てる男の姿が、遠目にも見えた。

 首筋の動脈がそれで噛み切られたのか、噴水のように血液が噴き出した。

 そして、エレンは見た。

 駐屯兵の首に噛みつく男の喉元が、ごくりごくりと蠢くのを。


エレン「人を………人の、血を、飲んでる………!!」

ミカサ「これが、吸血鬼………」


 壮絶な光景を、エレンもアルミンも、そしてミカサも、唖然と見ているほかなかった。


エレン「ッ、なんでだ!? なんで、こんなことに…………俺は、俺は、こんなことは願ってないぞ!!!」

ミカサ「ッ、分かってる…………! だけど、現実にこれは起こっている!!」

エレン「『全ての巨人を人間に』と! 俺は確かにそう願った! 全ての巨人たちが、永遠に巨人化しないようになればいいって! 俺はちゃんと願ったぞ!!」


196以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/16(月) 00:12:29Gngp.4A6 (1/1)

乙。楽しみにしてるぜ。

あーしかしアニメつらいなぁあああ。アニちゃん(´;ω;`)


197◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:13:33KtJMsFBw (5/18)


アルミン「君は壁なんか消えてしまえと願ったのかもしれない―――――こんな望みではなかったのかもしれない」

アルミン「けれど、これは悪魔のゲームだ。やっぱり、悪魔のゲームだった………悪魔にとって都合の良い展開になる様に、仕組まれているだけなのかもしれない」

アルミン「【前】の時に、僕らにゲームをクリアさせたのも、ただの気まぐれに過ぎないのかもしれない」

アルミン「『ジュマンジ』は、僕らが足掻いて、苦しむさまを見ていただけなのかもしれない。この展開を、予想して!」


エレン「ッ、そんな、ことが………!!」


アルミン「ホンのちっぽけな蜘蛛の糸を、希望の糸と勘違いした僕らを、嘲笑っていただけなのかもしれない」

アルミン「そして――――――『壁は消えて、巨人も消えて、彼らは全て吸血鬼となった』………」

アルミン「これが結果だ。結果はこれなんだ。西の空へ沈んだ夕日は、西から昇っては来ない」

アルミン「落ちた木の実は二度と枝へと還ることはない。誰だって知っていることだ」

エレン「何か………手はないのか、アルミン!!」


198◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:15:56KtJMsFBw (6/18)


アルミン「ある…………と言いたいところなんだけど、ね」


 ちらりとアルミンが視線を向けた先には、件のゲーム・ジュマンジのボードがある。

 しかし、文字盤が輝き、新たな文字が浮かび上がった。


アルミン「しかも、駄目押しとばかりに、ハハ…………なんだよ、この文は。ふざけてるのか?」

エレン「ッ、こ、これは………」

ミカサ「ジュマンジから、また文字が………!!」



【―――なお、当『希望のゲーム』ジュマンジのクリア如何に関わらず、この現象に変更はない】


【彼らについての弱点について纏めた資料及び武装を一式寄贈する】


【それではゲームスタート―――――吸血鬼の夜へようこそ】



エレン「ッ、ジュ、ジュマンジが、き、消えて………!?」

ミカサ「こ、こんなことが………!!」


199◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:21:02KtJMsFBw (7/18)


アルミン「ッ…………戦おう。エレン。戦うんだ。あいつらと。人類の敵と」

エレン「ッ、アルミン! 諦めろってのか!! やっと、やっとここまで来たのに!! 巨人を、人間に戻せると思ったのにッ!!」


 悲鳴のようなエレンの叫び声に、アルミンは黙って首を横に振った。


アルミン「違う。諦める諦めないっていう話じゃない。現実を見ろ、と言っているんだ」

エレン「ッ…………現実だと!?」

アルミン「そうだ。あれが現実だよ、エレン。見てご覧………」


 アルミンがついと視線を向けた先には、地獄が広まっていた。

 冗談のような光景に固まっていた民衆たちも、ようやく正気を取り戻したのだろう。

 我先にと、争うように逃げ出そうとしている。

 だが、逃げる方向は様々だ。

 今やもう、壁はなくなったが、シガンシナ区は突出区ということもあり、狭い面積の四方を壁で覆われていたことが災いした。

 壁があった場所とは、吸血鬼がいる場所なのだ。


200◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:24:49KtJMsFBw (8/18)


 逃げ惑う彼らを、巨人の移動速度にも匹敵する速度で、吸血鬼たちが追いかける。

 当然のように彼らは掴まり、喰われる。

 ―――――人を、喰う。

 だが、それだけではなかった。


エレン「ッ、血を、血を吸われた人が………なんだ、あれは!!? う、動いてる!!」

ミカサ「他の人を、襲い始めた………!!」


 彼らは後に知る。

 非処女・非童貞である者が吸血鬼に血を吸われることで変じる化け物を。

 喰屍鬼(グール)と呼ばれる、化物(ミディアン)を。

 一度こうなってしまった人間を、元に戻す方法はないということを―――――。


アルミン「吸血鬼は巨人と何も変わらない。そうだ。何も変わらない。彼らは、僕らの敵だ。人類の敵だ!!」

ミカサ「アルミン………」


201◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:27:38KtJMsFBw (9/18)


アルミン「僕らの手元には、ヤツらと戦うための手段がある! ジュマンジの置き土産だ! 僕らが戦わなくてどうする! これを、リヴァイ兵長たちに届けるのが、僕らの役目だ! 違うか!?」

エレン「ッ、だけど、けどっ…………!!」

アルミン「…………ミカサ。【赤】の信煙弾を上げてくれ」

ミカサ「ッ…………アルミン、それは」

エレン「まだだッ!!!! まだ、そうと決まったわけじゃないッ!!」

アルミン「ッ、駄目だ、エレン…………何よりも、もうジュマンジは消えた。ダイスも、残ってない。もう終わったんだ」


 叫び声が、聞こえる。

 お母さん、と泣き叫ぶ子供の声。

 死にたくない、と懇願する女の声。

 人が喰らわれ、人が死ぬ。

 悍ましい現実が、目の前に広がっている。


アルミン「共存の道は今、断たれた」


202◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:31:49KtJMsFBw (10/18)


エレン「違うッ! 終わってないッ! 終わってなんかいない!!」

ミカサ「エレン、落ち着いて!!」


 目を血走らせて叫ぶエレンの顔は、あの日、シガンシナ区から避難する時と同じだった。

 駆逐してやると、高らかに宣言した時と、同じ瞳、同じ声音、同じ形相。

 だが、唯一違いがあるとすれば、それは――――。


エレン「ッ、い、いやだ………嫌だッ!! だって、だってあそこには、ライナーが………あ、アニがッ!!!」

ミカサ「ッ…………!!」


 尊敬する者と、愛する者の存在だろう。

 愛しい女との再会を待ちわびてきた五年間。

 それが、己のダイス一振りでふいにされたという事実。

 化け物になったかもしれない友人と彼女。

 塵になったかもしれない二人。

 それを思えば、必死になるのも当然のことだった。


203◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:33:16KtJMsFBw (11/18)


 だからこそ―――――アルミン・アルレルトは、告げる。



アルミン「エレン………君は強い。とても強い。膂力が優れているというわけではないし、頭が働くという訳でもない」

アルミン「ただ心が強い――――リヴァイ兵長ですら、君の強さを認めていた」

アルミン「僕らは、君のその強さに賭けた。誰もが認めてくれた。僕ら三人が揃ってできなかったことなんて、唯の一つもありはしない」

アルミン「だから、認めるべきだ。僕らは、驕っていたんだと」

エレン「いやだ、いやだっ………巨人が全て吸血鬼になっちまったんなら、二人が………あの二人が………!!」

ミカサ「そん、な………」


 残酷な真実の言葉であろうと、親友であるエレン・イェーガーから憎まれることになろうとも、冷たい言葉を告げるのだ。


アルミン「そこで、ベルトルトの名前が出てこないということは、やっぱり、捨てきれなかったんだね。彼への恨みを」

エレン「ッ…………!!」

アルミン「血みどろに薄汚れた巨人なんかって思いが―――――よくも俺の母さんを殺したな、っていう思いや恨みが………無かったとは言わせない」

アルミン「きっと、その強い妄執のようにこびり付いた、君の嫌悪が――――ジュマンジに、この結末を現実化させたのかもしれない」


204◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:34:44KtJMsFBw (12/18)


エレン「ぁ、あ、あ……………」


 エレンが膝をつく。


アルミン「けど、その思いを、誰が責められるっていうんだ? ………誰も、君を責めたりなんかしない」

アルミン「お母さんを巨人に殺された君が、どうして、憎まずにいられるだろう。僕だってそうだ。おじいちゃんや両親が口減らしにされた時、奴らをどれだけ憎く思ったか分からない」

ミカサ「…………アルミン」

アルミン「何よりも、人を憎んだ。体のいい口減らしのために、父を、母を、祖父を、巨人の餌にした王政府を」

アルミン「巨人が憎い。王政府が憎い。人間が憎い。僕はそう思っている。ミカサだって、その気持ちがないとは言えないはずだよ」

ミカサ「……………この世界は」

アルミン「ああそうだ――――残酷だよ。だけど、美しいものもある。僕にとっては、エレン、君だ」

エレン「ッ…………!!」

アルミン「その憎しみを、その思いを殺せるとしたら、君だけしかいないって、誰もがそう信じていた」

アルミン「誰よりも巨人を憎んで、誰よりも巨人を………アニを愛してしまった君だから、出来るって」


アルミン「今でも、その気持ちは変わらない。僕もミカサも、君を信じてる」


205◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:44:30KtJMsFBw (13/18)


アルミン「だから、だから立って…………立てよ、エレン!」

エレン「ッ………!!」

アルミン「僕らには責任がある! 善意のつもりだろうとも、結果的に人類に危険を招いた償いを取らなければならないんだ!!」

ミカサ「アルミン…………!!」

アルミン「僕らにしかできないことだ! 僕らがやらねばならないことだ! 君は言ったな! この世から巨人を、一匹残らず駆逐すると!!」


 【前の時】から数えて十年近い時が流れた今でも、アルミンの記憶の中で鮮明に輝いている。

 超大型巨人の襲来によって壁が崩れ、先に避難していたアルミンと、エレンらが合流した後に、ミカサから伝え聞いた言葉だ。

 ――――エレンは、巨人を駆逐しようとしている、と。

 母であるカルラを目の前で食われてなお、決して揺るがず朽ちぬ強い意志。

 エレン・イェーガーという怪物の不屈の精神、その輝きを見た。

 その強さに、いつだってアルミンは憧れた。自分もこうでありたい、と。彼の友人に恥じぬ自分でありたい、と。

 そんなエレンがそばにいたからこそ、アルミンもまたジュマンジという地獄を、乗り越えられたのだ。


アルミン「戦うんだ!! 立て!! 立って戦え!! エレン・イェーガー!! 僕の親友は、こんなところで終わる男じゃないはずだ!!」

エレン「―――――!」


206◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:47:51KtJMsFBw (14/18)


 エレンの瞳に、力が戻った。

 ふらつく足でゆっくりと立ち上がる。


エレン「…………どうすればいい。俺はどうすればいい、アルミン。どうやって戦う。指示をくれ」

ミカサ「エレン………!」

アルミン「それでこそ、君だ。ジュマンジから出てきた武装を、まず確認してみよう」


 ジュマンジが消えた場所には、大小様々な武装が、うず高く積み上がっていた。


エレン「………これで、あれと戦えって言うのか?」

ミカサ「これは…………本と、剣と…………これは、ブレード?」

アルミン「聖水、銃剣(バイヨネット)の精錬方法と使い方………銀の十字架………吸血鬼の生態に………」

ミカサ「アルミン、何を………何を読んでいるの? その本、どこから………!!」

アルミン「聖書による『転移術』に『結界術』………回復法術………自己再生能力(リジェネレーション)……違う、これも、違う!!」

エレン「あ、アルミン、なんだよ、その本は!!」

アルミン「ジュマンジから出てきた。この本には、化物(フリークス)殲滅のための………技術や、彼らに関する知識が乗っている」


207◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:56:10KtJMsFBw (15/18)


エレン「これは………なんだこれ、ニホントウ? 銃剣ってのもあるのか?」

ミカサ「銃、なの? こんな、小型の………」

アルミン「それには、銀の銃弾が詰まっているらしい!! 馬鹿正直にも、使い方から性能まで記載されたカタログスペック付きでね!」

エレン「じゃあ、その本には………」

アルミン「ああ! あの吸血鬼に関しての知識や、それへの対処法、戦闘方法まで、詳しく乗ってる!!」

アルミン「礼装に、銃剣の投擲術………ッ!! あった!! これだ!! 『吸血鬼の起源』!!」

ミカサ「それが分かれば、対処できる?」

アルミン「そう願いたいけどね………とにかく、ここにいたらまずい! まずは、建物に入ろう。吸血鬼と鉢合わせたら、今の僕らじゃ返り討ちだ」

アルミン「僕は何か有効な手立てがないか、本を読んで探してみる………エレンは武器の使い方を調べて」

エレン「分かった………」

アルミン「ミカサ、【赤】の信煙弾を………まずはリヴァイ兵長に作戦失敗の連絡をして、君もそれから武器を見てくれ」

ミカサ「…………分かった」


208◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:57:22KtJMsFBw (16/18)


 エレンは武器を手に、ミカサは【赤】の信煙弾を空へと向けながら、建物へと向かっていく。

 本を抱えて二人の背を追いながら、アルミンは思う。

 巨人なんてものは元々この世からいなかったことにされた。

 人類の敵は巨人ではなく、吸血鬼。

 そういうことに『なった』。


アルミン(僕たちは…………負けたんだ)


 バシュッという、引き金を引く音が聞こえた。

 どこまでも澄み渡った青い空に、緋色の煙の帯が伸びていく。

 この日、人類は思い知った。

 エレン・イェーガーは思い知った。


 ―――――あまりにも矮小でちっぽけな、己自身の『力』というものを。


209◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 00:58:20KtJMsFBw (17/18)

………
……





 そして――――十年の月日が流れた。





……
………


210◆B2mIQalgXs2013/09/16(月) 01:01:22KtJMsFBw (18/18)

※今夜はここまで。

 とても疲れた。今月は残業地獄で更新ペースが牛歩です。

 そしてこの番外編も地獄です。

 救い? ねえよ。

 そういうのに耐性無い方はご注意を。


211以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/16(月) 01:10:27W21JBZZo (1/1)

乙。


212以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/16(月) 01:28:36EgzyXBbw (1/1)

じ、十年!?


213以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/16(月) 08:20:25rX.pk.jM (1/1)

おつ
楽しみだ


214以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/16(月) 10:01:52ewGBs1jo (1/1)




215以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/20(金) 16:36:32wBeZtbGE (1/1)

保守保守


216以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/23(月) 12:53:17Cvz82aq2 (1/1)

とーこーがんばれ


217◆B2mIQalgXs2013/09/23(月) 22:59:56TCRHwK/w (1/1)

※祝日とはなんだったのか。

 ものすごくゆっくりペースになりそうです……。


218以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/24(火) 01:07:43egXbX4rY (1/1)

無理はしないように


219以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/24(火) 17:20:54WQ1Uysqc (1/1)

頑張れ


220以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/27(金) 22:05:09rGOdyOZ6 (1/1)

支援~


221以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/28(土) 01:27:23MrpUx72o (1/1)

ファイツ!p(^_^)q


222以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/29(日) 08:33:00JNhotlQs (1/1)

大丈夫か?



大丈夫だ「問題ない」という返事を待ちます


223◆B2mIQalgXs2013/09/29(日) 12:22:28O.wOraUA (1/1)

※大丈夫じゃない。問題だ。今帰ったからな。

 だが来週の土日は普通に休めるので、そこからは通常運行できそうです。

 生暖かい目で見ていて下さると嬉しいです。


224以下、名無しが深夜にお送りします2013/09/29(日) 12:25:11Rn8k63RI (1/1)

>>1よ、無茶はしなくていいからな
体調に気をつけて…


225以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/01(火) 21:27:27uLevgxsA (1/1)

お疲れの>>1さんには申し訳ないとは思うのですが。
海篇のその後が読んでみたいなー、…なんて思ってみたり。
だってあの2人がものすごくかわいかったんですもんw


226以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/03(木) 02:02:58iw66.oHI (1/1)

<・> <・>
生暖かい目


227以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/05(土) 22:22:01v5N5xUH2 (1/1)

大丈夫じゃなかったか

体には気を付けろ!

イーノックもやられた感じだから


228◆B2mIQalgXs2013/10/06(日) 21:52:20jwahrELo (1/1)

※先にエレン「ドリフターズ?」の方を書いてます。

 ところで十月はヒマになると言ったな。

 あれは(ウチの会社の部長の)ウソだ。

 畜生、畜生、畜生。うへへ、畜生。


229以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/06(日) 23:25:204XvryQOw (1/1)

ヒマを仕事にすり替えておいたのさ!


230以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/06(日) 23:29:29Kh3YVnUQ (1/1)

>>1さん、ホンマにお疲れ様です…。つ【お茶とおしぼり】


231以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/06(日) 23:42:35dVgyScY. (1/1)

>>1さん…
つ【お茶菓子】


232以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/06(日) 23:45:04iZW9ZSPQ (1/1)

気の利かない奴らばっかりだな

つ【眠眠打破】


233以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/07(月) 00:11:20.bkgAo9c (1/1)

頑張ってください。楽しみにしています\(*⌒0⌒)♪


234以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/07(月) 01:53:47CRjJTn7E (1/1)

>>1さんにひとつ質問です。
まったく関係ないことですみません。
最初のジュマンジ本編にてユミルは巨人化能力を持っているということですが
魂はユミルでも体はあの「女の子」なんですよね?だとしたら巨人化能力はどこ
からきたのかなぁって少し気になったんです。
なんか見落としてたらすみません。


235以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/07(月) 20:30:57gqVLLDk. (1/1)

>>234
>>1じゃねーけど、ユミルが巨人化能力の開発者って設定だから、また作ったとかじゃね?
またはユミルは先天的な巨人化能力者とかで、それをキッカケに研究はじめたとかの裏設定?
もしくはジュマンジのオマケ特典?

思いつく限りじゃこんなもんだな
ヒマな時に教えて>>1さん


236◆B2mIQalgXs2013/10/08(火) 07:06:25chLWmF0M (1/1)

※>>234
 ジュマンジ本編での設定では、>>235の仰る通り、ジュマンジのオマケ特典です。
 女の子に転生したのちに付与されたという、しょーもない理由です。ご勘弁を。
 では会社行ってきます。


237以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/10(木) 01:56:47Lp4kzjxE (1/1)

はよはよ


238◆B2mIQalgXs2013/10/10(木) 20:21:26w2PtqhvE (1/1)

※安西先生………休みが欲s………SSが書きたいです

 今度こそ休めるよ! 三連休だよ!

 明日は帰って来てからゆっくり書けるよ! やったねタエちゃん!

 また部長がウソついたらライナーの肛門にカラーコーンを ぶ ち こ む 。

 ベルトルト、おまえの尿道にはシャープペンシル(H)を入れて へ し 折 る 。


239以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/10(木) 20:38:54SkoueTzQ (1/1)

おいばかやめろwwww


240以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/11(金) 07:12:03syvDwRnA (1/1)

何でや! ライベル何もしとらんやろいいぞもっとやれwwww


241以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/12(土) 19:12:048n3XWJkw (1/1)

続き期待


242◆B2mIQalgXs2013/10/13(日) 21:36:391zv6gmXM (1/10)


………
……



 十年前の話をしよう。


 ―――――世界は変わった。

 一部の権力者が税を搾取し、享楽と快楽に染まる時代は幕を下ろした。

 かつて鳥籠の中に捕らわれていた人類は、その檻から解放された。

 今や自由だ。誰も彼もが世界を知った。


 吸血鬼という名の化け物を知った。


 巨人を遥かに上回る恐ろしい存在。壁の恩恵など何ら意味を持たぬ、忌まわしき夜の眷属(ミディアン)を。

 崩れた壁の中から顕れた彼らの大半は日光によって消滅した。

 しかし、日光に耐性を持った吸血鬼―――通称『ヴェアヴォルフ』は、その絶対数こそ少ないものの、あっさりと人類を未曾有の危機へと陥らせた。


243◆B2mIQalgXs2013/10/13(日) 21:45:111zv6gmXM (2/10)


 彼らは人を襲い、人を喰らい、仲間を増やす。

 非童貞・非処女は喰屍鬼(グール)に。

 童貞・処女は自由意志を持つ吸血鬼(ドラクル)、女吸血鬼(ドラキュリーナ)に。

 死人が歩き、死人が戦列を組む悪夢のような光景が、世界を蹂躙した。

 そこには奇跡などない。ただあるのは絶望のみ。

 誰もが己を木漏れ日の下で生まれた豚にすぎないことを思い知る。

 吸血鬼の力は強大だった。

 むき出しになった本能が支配する暴力の世に、裕福層の持ちうる財など無価値であることを知らしめた。

 神を呪って死ねる者は、まだ幸せであっただろう。


 ――――神など、この世のどこにも存在しないのだから。


 より豊かな財を持つ者が住まうウォール・シーナは、他の壁内の区域とは異なり、その面積が他に比すれば小さいことが裏目に出た。

 皮肉なことに、王族や王侯貴族といった、それまで最も安全と思われていた内地に住まう者が、真っ先に吸血鬼に食い殺された。

 王は倒れ、逃げ出した貴族の大半も吸血鬼の餌食となり、内地は大混乱に陥った。


244◆B2mIQalgXs2013/10/13(日) 21:49:491zv6gmXM (3/10)


 百年の安寧は、人類の野性を退化させていたのだろう。

 その日に備えて訓練を怠らなかった調査兵団を除いた、憲兵団・駐屯兵団の兵士の多くも、その責務を果たせずに散っていった。

 壁内は無政府状態となり、秩序は消え去り、仮初の平和は泡沫の如く消え去った。

 誰も彼もが、絶望に打ちひしがれ、このまま死を待つばかりと諦めた。

 このまま人類は、ただ滅びの時を待つばかり―――――そんな折、南のシガンシナ区に、三人の英雄が現れた。

 その強大な絶望に立ち向かおうとする者が、そこには残っていた。

 吸血鬼に対抗するための技術をどこからともなく持ち出し、シガンシナ区を救ったその英雄たちは、僅か十歳の少年少女たちだった。


 エレン・イェーガー、ミカサ・アッカーマン、アルミン・アルレルト。

 その三名は、吸血鬼から人類を救う『三英雄』として讃えられた。

 彼らの放つ白刃や弾丸は、ヴェアヴォルフの強靭な肉体を易々と切り裂き穿ち、その肉体を灰へと変じさせた。

 シガンシナ区の吸血鬼を皆殺しにした後、彼らは、若者たちに武器を与えて扇動し、王都を解放するために北上を開始した。

 吸血鬼殺しの異能を備えた彼らの持つ武器は強大無比にして、ヴェアヴォルフにも通用する唯一絶対の手段であった。


245◆B2mIQalgXs2013/10/13(日) 22:04:341zv6gmXM (4/10)


 その勢いたるや波濤の如し。瞬く間にウォール・ローゼ・トロスト区を奪還、その後も生き延びた人類の総力を以て北上を続け、遂にはウォール・シーナ内に巣食った吸血鬼たちを殲滅するに至る。

 僅か一月足らずの電撃戦であった。

 問題は、吸血鬼による王都の死都化以後のことであった。

 ヴェアヴォルフ達は数こそ少ないものの、並の吸血鬼以上の膂力や知性を有し、何よりも日光が効かぬその体質から、人の中に潜り潜むようになった。

 既に王政が崩壊した世である。憲兵団も機能しない状況は彼らに味方した。日中は人として生活を送り、夜は闇に隠れて人を喰らう。

 人々は、吸血鬼を畏れ、恐怖し、憎悪した。

 隣人が吸血鬼かもしれない、いつ己が襲われ、喰われ、死人(グール)となるやも知れぬ。

 その恐怖がいずれ爆発し、凶行へと至らせることは、目に見えていた。

 この問題に端を発し、三英雄を始め、生き延びた軍属の兵士たちや、一部の良識ある貴族は、より力在る秩序を世に布くために、新たに王を選定することを考えた。

 既存の王族並びに王侯貴族を廃し、新たな王族として祭り上げられたのは、ヒストリア・レイス。

 彼女を女王として、彼らはヒストリアの名の下に、吸血殺しのスペシャリスト集団を結成した。


 その特務機関の通称を――――『REISSING(レイシング)』といった。



……
………


246◆B2mIQalgXs2013/10/13(日) 22:18:231zv6gmXM (5/10)


………
……


~855年 元ウォール・マリア シガンシナ区~


子供A「くちくっ、くちくーーっ!!」

子供B「あーっ、このー、やったなぁー! くちくしてやるぅーーーっ!!」


 うららかな春の陽気に包まれたシガンシナ区の一角で、ポカポカという擬音が聞こえそうな微笑ましい殴り合いをする二人の子供がいた。

 ケンカの原因は些細なことである。

 その二人の様子を見ている人物が一人。

 大柄な体格である。漆黒のカソックに身を包んだその男性は、己の頬を引っ張り合って唸り声を上げる二人の子供に、ゆっくりと歩み寄った。


「こらこら、二人共……暴力はダメだ。お友達を駆逐しちゃダメだろう?」

子供A「ええーっ、でもぉ、こいつが先に」

「そんなことじゃ天国へは行けないぞ?」

子供B「うー………はい」


247◆B2mIQalgXs2013/10/13(日) 22:23:001zv6gmXM (6/10)


 ゆっくりと宥めすかすように、しかし有無を言わせぬ口調で語りかける男性に、あっという間に子供の稚気は収まっていく。

 その様子に、男性は満足そうに笑みを浮かべて頷き、続けてこう告げた。


エレン「いいか? 駆逐して良い相手は、吸血鬼(バ ケ モ ノ)どもと家畜どもだけだ」


 二人の子供は、彼――――エレン・イェーガーの笑みに宿った、狂気に気付くことはなかった。


子供A「はーい、イェーガー神父ー!」

子供B「わかりましたー!」


 そういって走り去っていく子供たちの背を見送り、エレンはゆっくりと振り返る。

 その視線の先には、新たに一人の男性が立っていた。


エレン「どうした、アルミン。変事(トラブル)か」

アルミン「ああ、それも火急だ。最近、内地で頻発している吸血鬼事件のことは知っているだろう」

エレン「――――ほう」


248◆B2mIQalgXs2013/10/13(日) 22:32:091zv6gmXM (7/10)


アルミン「ジャンとミカサからの報告によれば、既に三つの村が丸々吸血鬼の餌食になっている」

エレン「そうか」


 十年前のエレンならば、罪もない人々を襲ったその痛ましい事件に、義憤を抱いたことだろう。

 しかし、今や違う。


エレン「――――結構なことじゃあないか。内地の家畜どもがいっぱいいっぱい死んだんだろう?」


 虫けらを踏み潰している時の子供のような瞳で、エレンはそう言った。


アルミン「ああ。だが王立国教騎士団(レイシング)もそれなりに上手くやっているようだ」


 それに対し、アルミンもまた特別気にした風も無く、平然とした様子で話を続ける。


エレン「それで? あいつらが何をどうしようが、俺の知ったことではない」

アルミン「ああ。それが内地であればの話だ」

エレン「――――というと?」


249◆B2mIQalgXs2013/10/13(日) 22:39:461zv6gmXM (8/10)


アルミン「今度の事件が起きた地は、ウォール・ローゼ、トロスト区だ。今や正しくは元・トロスト区だがね。それも国境付近」

エレン「成程」

アルミン「レイシングが動き出している。我々が、『ヴァチカン』がそれを黙って見過ごすわけにはいかない」

エレン「まるで自領土と言わんばかりだな。誰があの土地を奪い返してやったと思っているのやら」

アルミン「その通りだ。あの土地は、我々ヴァチカンの土地だ。奴らレイシングのものではない。断じて」


 忌々しげに唇を噛み、虚空を睨み付けるアルミンの瞳にもまた、狂気が宿っていた。


アルミン「働いてもらうぞ、イェーガー神父。吸血鬼共は我々の獲物だ。奴らに先んじられるわけにはいかん」


 つまりは、出撃命令。

 エレンは口元を、笑みに似た歪な形に歪め、


エレン「――――もしも、レイシングの連中と衝突した際は?」


250◆B2mIQalgXs2013/10/13(日) 22:46:041zv6gmXM (9/10)


 発した問いに、法王庁(ヴァチカン)特務局第十三課『イスカリオテ』の局長として、アルミン・アルレルトは、苦笑交じりに告げる。


アルミン「――――我々は唯一絶対の神の地上代行者だ。あんな家畜共の挑戦から引いてやる道理がどこにある?」


 その解答に満足げに頷き、エレンはその表情に、より狂気の色を濃くした亀裂を走らせた。


エレン「If anyone does not love the Lord,Jesus Christ,let him be accursed.O Lord,come.Amen!(主たるイエス・キリストを愛さぬ彼らに呪いあれ。主よ、来たり給え。エイメン!)」


 十年前、ジュマンジの置き土産の中にあった『聖書』の一節を謳い上げ、エレンは身をひるがえす。

 目指すは元・トロスト区。

 その両手には、二振りの銃剣(バイヨネット)が握られていた。


アルミン「Amen」


 去りゆく背中に、アルミンもまた、そう告げた。




……
………


251◆B2mIQalgXs2013/10/13(日) 22:48:251zv6gmXM (10/10)

※うむ、若干スランプ。なんか久々でテンポが掴めぬ。

 じっくりやっていきます。


252以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/13(日) 22:52:22WJ6ETbVo (1/1)

乙!
面白いよ


253以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/14(月) 02:15:15hjgHjTQ6 (1/1)

私は待っていた!待っていたぞー!


254以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/15(火) 23:22:59dvDX7RXU (1/1)

エレンのキャラが豹変している....
どうなるのか....

ついでに獣の巨人が気になる


255以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/16(水) 09:47:23WRiAIBPU (1/1)

当分無いと思うけど二代目イエーガーズと二代目ブラウンで久々に安価ジュマンジやって欲しい


256>>1です2013/10/19(土) 20:48:07AqiZy8F6 (1/2)

※>>1です
アカン、PCがとうとうツンデレこじらせてヤンデレに・・・(ノД`)
ブルースクリーン初めて見た。
明日買い替えてくる予定です。


257>>1です2013/10/19(土) 21:14:50AqiZy8F6 (2/2)

何この青色の筋とノイズだらけの画面は。吐きそう。
明日首尾よく買えたらソッコー投下します


258以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/19(土) 21:16:31E4nnkVT6 (1/1)

待っとるよ


259以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/19(土) 23:29:291JrwrVZ. (1/1)

待ってます
アルミン♀の服が破けていることに気付いてハーレムになったバージョンも書いて欲しいです…


260◆B2mIQalgXs2013/10/20(日) 01:16:358pNV0ZMo (1/2)

※1です。一時的にPC復活したので、書き溜めておいた別のSSを別スレに投下しました。

 今日のところはこれでご勘弁をば………ふへへ。

 ユミル「天使ー、天使クリスタはいらんかねー」 クリスタ「!?」
 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1382197944


261◆B2mIQalgXs2013/10/20(日) 21:41:108pNV0ZMo (2/2)

※携帯から。
 御免なさい、無理でした
 明後日投下。なんかここんとこ踏んだり蹴ったり。


262以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/21(月) 01:55:55fikJ9R2E (1/1)

待ってる


263以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/21(月) 17:59:10/3p5OHx2 (1/1)

絶対に待ってます


264以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/21(月) 23:32:26Gd7Ksrgk (1/1)

メッチャ面白い!


265以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/22(火) 16:36:53UJJ9TUU6 (1/1)

待ってます!頑張って下さい!


266以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/22(火) 17:20:33aaYwuSoA (1/1)

今日投下か。④
ドリフターズのほうが気になる今日この頃


267emonowohof2013/10/22(火) 22:38:27OfR.WG4g (1/8)


………
……



21歳の誕生日を迎えたサシャ・ブラウスが、自由意思を持つ女吸血鬼となったのは、ほんの数ヶ月前のことだ。


吸血鬼の脅威は、今も各地で頻発している。

今回、彼らにとっての標的となったのが、サシャの住まうダウパー村であった、というだけのことだった。

鎧袖一触。

哀れダウパー村は吸血鬼によって死の坩堝が渦巻く超グール村となったのである。

生存者はたまたま出稼ぎのために元・トロスト区へ向かったサシャの父と一部の同伴者3名を含めた、この四名のみだ。

そう、この四名のみだ。

この時点では、その生存者にサシャも含まれていない。

生存者が五人になるか四人になるかはサシャの奮闘次第であった。

狩人としての弓術で孤軍奮闘、グールの群れをさばいていたサシャであったが、親玉吸血鬼の登場によってあっさりと体の自由を奪われる。

哀れサシャもまた吸血鬼の餌食と成り果る、その瞬間にやってきたのが『彼』である。

王立国教騎士団≪レイシング≫の殺し屋。吸血鬼殺しのエキスパートたる『彼』だ。


268◆B2mIQalgXs2013/10/22(火) 22:39:30OfR.WG4g (2/8)


これまた鎧袖一触。

超グール村と化したダウパー村は、『彼』という軍団一人によって殲滅され、残るは親玉吸血鬼と、それに人質に取られたサシャ、それと相対する『彼』のたったの三人。

少子高齢のあおりを受けた過疎化もブッ飛ぶほどの閑散っぷりに、もはやダウパー村は村としての体をなせなくなっていた。

この時点で吸血鬼は生存者にカウントされないので、実際のところ生存者はサシャ一名であるが、人質に取られている以上、それがゼロになる可能性はまだまだ高いと見えた。

親玉吸血鬼がサシャを羽交い絞めにして、『彼』に逃亡を見逃すことを要求する。

だが、今回派遣された吸血鬼殺しのエキスパートが、たまたまサシャの顔見知りであったが故に、状況は一変した。

『彼』は親玉吸血鬼のわめいている要求を半ば無視して、銃を構えながら、サシャに声をかけた。


???「おい、サシャ。おまえまだ処女だよな?」

サシャ「は?」

???「処女かと聞いてんだ。【戻って】から処女膜貫通される機会があったのかを聞いている。答えろ!!」

サシャ「なっ、ないです! わ、私、ぴっかぴかのーーーー」


 ガォン


 銃声が響いたのは一度、穿たれる肉は二つ。


269◆B2mIQalgXs2013/10/22(火) 22:40:32OfR.WG4g (3/8)


 サシャの左肺を抜き、背後でサシャを押さえ込んでいた親玉吸血鬼の心臓を抉る。


???「おら、トドメ」


 彼我の距離を一瞬にして無とした『彼』は倒れ伏した親玉吸血鬼の心臓を抉りだして絶命させる。

 わずか数秒間のうちに行われた早業である。


???「で、だ。サシャ。左肺を抜いたが、大口径の銃だ。悪いがまず助からねえ。普通の方法ならな」

サシャ「ごふっ………ごぼっ………」

???「どうする?」

サシャ「―――――――」


 答えは、決まりきっていた。

 サシャ・ブラウスは、こちらの世界に【戻って】から、ずっと望んでいたことがある。

 そしてその望みは未だ叶わず、ここで死ねば永劫に叶わない。

 だから――――その諦めを、踏破するのならば。


270◆B2mIQalgXs2013/10/22(火) 22:41:42OfR.WG4g (4/8)



………
……


 ――――かくして、ダウパー村吸血鬼事件は終息した。

 出稼ぎに出ていた四名のみ。

 村にいた村人たちの生存者は、ゼロである。



クリスタ「え? ぜ、ゼロ? で、でも、サシャ生きて――――」

???「死んでるんだなぁ、コレが」

サシャ「あ、あはは………お久しぶりですね、クリスタ………陛下??」ギランッ

クリスタ「ちょ、ちょっと、サシャ、それ………!!」


 サシャの笑みにゆがんだ口の端から覗く、八重歯にしても鋭く長すぎる『牙』。

 それが意味することは一つしかなく。


271◆B2mIQalgXs2013/10/22(火) 22:48:50OfR.WG4g (5/8)


クリスタ「ユミルウウウウウウウウウウウウ!!! 生存者ゼロって、そういうこと!? なにサシャを吸血鬼にしちゃってるのよーーーー!!」

ユミル「ああ、しょうがねえだろう。そうでもしねえと死んでたんだから」

サシャ「え? ゆ、ユミル? こ、こちらの、渋いオジサマが、ユミ…………ええええええええええええええええええええ?!」

ユミル「なんだ。そういえばまだ自己紹介していなかったな」


 真紅のコートに縁取りの長い帽子。

 眼鏡の奥には怪しく恐ろしい吸血鬼の真紅の瞳が輝いている。

 そう、『彼』は、かつては『彼』であり、『彼女』となり、再び『彼』へと戻った、その人物の名は、



ユミル「王立国教騎士団≪レイシング≫が最強戦力、吸血鬼ユミル・アーカードとは、私のことだ」

クリスタ「はい。騎士団長兼、この国の女王のヒストリア・レイス。あ、サシャはクリスタって呼んでね?」

サシャ「は、はぁ。わ、私は、その、ご存じのとおり、サシャ・ブラウスです。狩人、です」

ユミル「うん。それ、今日で廃業な」


272◆B2mIQalgXs2013/10/22(火) 23:05:41OfR.WG4g (6/8)


サシャ「ええ?」

クリスタ「うん。だって貴女、吸血鬼になっちゃったんだし。もう普通のお仕事なんて無理だよ?」

サシャ「ええええ?」

ユミル「とりあえずは私の下でバリバリやっていこうなー、はっはっはっはっは」

サシャ「えええええええええええええええ!!!!?」

クリスタ「あ、私は表向きだとクリスタ・ファルブルケ・ヴィンゲーツ・レイシングって名前だから、騎士団で呼ぶときはクリスタでいいけど、それ以外の時は注意してねー?」

サシャ「あっさり言わないでくださいよぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!?」


 かくして王立国教騎士団≪レイシング≫に新たな吸血鬼がメンバーとして参入した。

 そんな事件だった。

 ここまでが数ヶ月前の話。

 今回のトロスト区で起こった事件は、サシャにとってもデビュー戦となる対吸血鬼の戦いが待ち受けているハズだった。



……
………


273◆B2mIQalgXs2013/10/22(火) 23:07:44OfR.WG4g (7/8)



………
……



 目的地のトロスト区南部の区画一帯を閉鎖し、後はグールを蹴散らしつつ、この状況を作り出した元凶たる吸血鬼を取っちめれば終わり。

 比較的シンプルなヤマのハズだったのだが。



エレン「いい夜だな―――――化け物ども」



 それはもう一つの吸血鬼殺しのプロフェッショナル集団、法王庁特務局第十三課特務機関≪ヴァチカン・イスカリオテ≫に所属する最強の戦力によって崩される。

 エレン・イェーガー神父の横槍により、全てが台無しにされようとしていた。




……
………


274◆B2mIQalgXs2013/10/22(火) 23:40:04OfR.WG4g (8/8)

※今日はここまで。超短いのです。
 win8.1にアプデしてたら予想以上に時間かかった。
 PC買ってすぐはキツい。


275以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/23(水) 00:06:55kF8pehtk (1/1)

乙です。
凄く面白いです!!


276以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/23(水) 01:21:387/M56RLc (1/1)

アーカードおじいちゃんがユミルばあちゃんになったのか




277以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/23(水) 04:38:59nRV73Hn6 (1/1)

キターーー(☆^☆)ーーー!!!


278以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/27(日) 17:28:48FSYR58WM (1/1)

>>1さん頑張って~
レイシング面白いっす
期待


279以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/28(月) 08:24:45gRS0FJaw (1/1)

ドリフターズがおもろかったのでほしゅ


280以下、名無しが深夜にお送りします2013/10/30(水) 19:04:03DJOZHcYI (1/1)

レイジングもハッピーエンドにしてください!
お願い致しますorz


281>>1です2013/11/02(土) 11:05:22demBOb0Y (1/1)

買ったばかりのpcがイカれました。゚(゚´Д`゚)゚。
電源ボタン押してもうんともすんとも言わない。
そして気づいたのが今日。
本日から三連休だということを考えたとき、私の心が折れた。
メーカーサポート修理は来週からでい、今のところつ頃再開できるかは不明です
完結までは必ず書ききるので、長い目で見ててください
私はムシャクシャしたのでこれから弱虫ペダル全巻買って読みまくります


282以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/02(土) 20:23:20d4llwgMs (1/1)

買ったばかりでイカれるとは、おまえはオレか


283以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/02(土) 22:52:27A3JCZnC6 (1/1)

そのpcを売った店の全員を呪う


284以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/02(土) 23:13:57mFZuthLc (1/1)

なんだよそのpc(笑)


285以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/02(土) 23:21:18cdBg2jI2 (1/1)

長い目で待つ。


286以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/04(月) 15:27:21jUSiXX4U (1/1)

とりあえず指5本一気に咥えて待ってるわ


287>>1の独り言2013/11/05(火) 22:11:12trxJBzLo (1/1)

焦るんじゃあない。俺はただSSが書きたいだけなんだ。

故障したPCは今週の7日引き取りで7~10日で帰ってくるそうです。
レイジングとドリフターズはともかく種付けのエロパートはバックアップ取ってない・・・HDD初期化されたら私は発狂するかも分からんね
既にSAN値がヤバい

そんなわけでもう少々お待ちをm(__)m


288以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/05(火) 23:58:16kpgU8KdI (1/1)

修理業者よ頼むから初期化はしないで!


289以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/06(水) 00:56:14ilYdD0tA (1/1)

初期化したら修理業者の瞼に切れ込みを入れて目を閉じても外が見えるようにしてやる


290以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/09(土) 08:25:25O01eQwS2 (1/1)

保守しなきゃ


291以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/12(火) 07:53:274IXRFIV. (1/1)

保守


292以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/16(土) 06:04:35Y0Ch4KOs (1/1)

支援


293>>1ダヨー2013/11/17(日) 15:25:218dXQy.vc (1/1)

※PC返ってくるよ( ;∀;)



 ……今日の夜にな。八時ぐらいになるそうです。


 ああ、初期化されたそうです。工場に確認してもらいました。
 リアルでうわああああああああって叫びました。
 来週末の土日のどちらかで投下再開です。どっちかは仕事でつ。
 なんかgdgdで、愚痴っぽい書き込みですいません。
 支援してくださった方ありがとうございます。励みになります。
 あと一週間だけお待ちください。_(._.)_


294以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/17(日) 16:23:55M.PyvrC6 (1/1)

よし、初期化したヤツを血祭りに上げよう。


295以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/17(日) 18:04:391SCbpkGA (1/1)

ドンマイ(´;ω;`)
土日まで楽しみに待ってる


296以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/17(日) 20:28:37Xw6xBOa2 (1/1)

今日から赤い何かを見ることになるかな…(・д・)

土、日まで俺は待っているぞ


(初期化したやつらを…)


297以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/17(日) 20:36:00EZvxl/oM (1/1)

よし、夜道は気をつけるように言っておいてくれ


298以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/17(日) 20:54:39mWz0KsFo (1/1)

待つのみ。


299以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/17(日) 21:18:03LvQDFMdI (1/1)

駆逐してやる...初期化したヤツを!!一匹残らず!!


支援


300以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/17(日) 21:23:25aD.lrah2 (1/1)

駆逐してやる…この世から…一匹残らず…!(修理屋を)


301以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/19(火) 21:50:50EyhIOSGI (1/1)

支援


302以外、名無しが深夜にお送りします2013/11/21(木) 12:48:41Z7YJgYbw (1/2)

ほのぼのエレアニいいなー


303以外、名無しが深夜にお送りします2013/11/21(木) 12:56:11Z7YJgYbw (2/2)

ほのぼのエレアニいいな~って見てて追いついたら
こんなになってるなんて…

連投すいません


304以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/25(月) 08:15:44dlqX1fsA (1/1)

保守


305名無し2013/11/26(火) 22:26:00qQmc3Dlw (1/1)

保守ってどうやるのさ


PCドンマイです


306以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/27(水) 19:54:50IpAG5Hu6 (1/1)

保守


307◆B2mIQalgXs2013/11/28(木) 22:21:36uiqOcq5w (1/1)

※>>1です
 >>1はB型インフルエンザだったよ……まだ熱が高いので投下できませんけど、これはチャンスだ。
 来週月曜までは会社に行かなくてもいいという現実!
 体調さえよくなれば……今週中にドリフを終わらせることも可能……!!


308以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/28(木) 23:27:47KmlCsBKI (1/1)

とりあえずゆっくり休んで早く治してくださいね


309以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/29(金) 23:26:58nGokt3A2 (1/1)

お大事に


310以下、名無しが深夜にお送りします2013/11/30(土) 00:03:18uUAqp6xE (1/1)

無理しないで。


311以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/02(月) 23:59:25orliYgFg (1/1)

保守あげ


312以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/05(木) 18:21:49vzNtnVqw (1/1)




313以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/07(土) 21:44:48zDyUK8bs (1/1)

保守だ…奴等は…血祭りに…


314以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/08(日) 01:13:14zzJ6NHzE (1/1)

ほしゅー


315◆B2mIQalgXs2013/12/08(日) 19:27:51FXJqLYj6 (1/1)

※>>1です。
 やっとインフルエンザが治った。タミフルェ……。
 どうにもこうにも投下できずに本当に申し訳ない。
 保守してくださる方、本当にありがとうございます。
 来週末は休めそうなので、土日を利用して投下します。もうちょっとだけお待ちください<m(__)m>


316以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/09(月) 00:27:47nxZOeQQ. (1/1)

はあく


317以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/09(月) 00:58:50Z9wqvSuI (1/1)

待つのみ。


318以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/11(水) 23:51:09OfHJ8P4I (1/1)

>>1よ頑張るのだ


319以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/14(土) 19:25:01T32dITC6 (1/1)

楽しみに舞ってる


320◆B2mIQalgXs2013/12/15(日) 00:16:13n.YJ4SlE (1/12)

※>>1です。本日(もう昨日ですが)はドリフターズのほうを更新。

 明日(もう今日ですが)はこっちを投下します。お待たせしてます。


321◆B2mIQalgXs2013/12/15(日) 21:52:46n.YJ4SlE (2/12)

※うん、仕事だったんだぁ。(レイプ目)

 部長の嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき。

 もうアレだ、さすがにそろそろ投下せにゃマズイ。

 私はSS書いてるか自転車乗らないと頭がどうにかなってしまうのだ。

 書き溜め分だけで短いですが、投下します。


322◆B2mIQalgXs2013/12/15(日) 21:57:47n.YJ4SlE (3/12)


………
……



~元・ウォールローゼ・トロスト区 王立迎賓館~


 十年前の話をしよう。


 十年前の壁崩壊後、突如壁内から出現した吸血鬼に対し、人類は三英雄を筆頭に数年の時をかけて対抗した。

 結果的に吸血鬼たちをほぼ死滅させることに成功した。

 ほぼ、である。

 吸血鬼には弱点こそ多いものの、その厄介なところは、その特殊な『繁殖方法』にこそある。

 処女・童貞を同族に変え、非処女・非童貞は人の肉を漁るグールと化す。

 グールとなった存在はすでに自我が崩壊し、本能のままに人を襲う化け物である。これを皆殺しにするのは、むしろグールとなった者にとっても救いであったために、殺すことに否やはなかった。

 だが、問題は吸血鬼にされた人類の扱いである。これには民をはじめ、新王政の中でも意見が真っ二つに割れ、ヒストリアも頭を抱えた。

 一方で人類側の被害もまた甚大であった。家族を吸血鬼の餌食とされた者、戦いの中で果てたもの。その親族たちにとって吸血鬼は憎悪の対象である一方で、己の家族を吸血鬼にされた者にとっては、人類の敵と断言することはできなかった。

 何よりも、人を喰らい、生き血をすすることになんら躊躇を持たぬヴェアヴォルフとは違い、元々は人類であった彼らには、わずかながらも理性と、確かな人格がある。


323◆B2mIQalgXs2013/12/15(日) 22:00:27n.YJ4SlE (4/12)


 それこそが、ヒストリアにとっての頭痛の種でもあった。

 吸血鬼にさせられてしまった人類は少なくなく、年齢層も幅広い。なかには二、三歳程度の子供まで混ざっている。

 中には涙を流しながら、『吸血鬼になんてなりたくなかった、だけど、血が、血が飲みたい。助けて、助けて』と訴えるものがいた。

 これを人類の敵として皆殺しにするには、ヒストリアの良心が許さなかった。

 悩んだ末にヒストリアは人類に敵対する意思を見せない吸血鬼に関しては保護する法令を布告しようとした。

 その矢先、ある事件が起こる。


 『吸血鬼を全て殺すべきだ』と主張する者たちが、現れた。


 その筆頭こそが、後に王政府に反旗を翻すヴァチカンを設立する存在、アルミン・アルレルトである。


324◆B2mIQalgXs2013/12/15(日) 22:04:13n.YJ4SlE (5/12)


 彼のやり方は狡猾だった。三英雄としての名声を利用し、吸血鬼によって家族を殺された遺族たちの支持を得て、吸血鬼は神の敵であると、ヒストリアの意見に真正面から異を唱えたのである。

 ほかでもない三英雄の一人の意見に、ヒストリアも無視を決め込むことができなかったため、ヒストリアは会談の場を設けた――――それこそがアルミンの真の狙いであることも知らずに、だ。

 ヒストリアは決死の説得に当たるも、アルミンは頑として意見を曲げることはなかった。『後の千年の禍根を絶ち、新王政を絶対とするためには、吸血鬼はどのような例外も認めずに殺すべきだ』と、意見を主張した。

 その上で、残る三英雄の二人であるエレン・イェーガー、ミカサ・アッカーマンまでもが同調したことで議会は真っ二つに割れ、ヒストリアは、決断を迫られた。

 

 吸血鬼はどんなものであれ殺すべきか、殺さぬべきか。

 保護すべきか、絶滅するべきか。

 そして、ヒストリアは――――――短い人生の中で、最大の決断を下す。





……
………


325◆B2mIQalgXs2013/12/15(日) 22:06:02n.YJ4SlE (6/12)


………
……



 結局のところ、この会談は平行の一途を辿り、ヒストリアとアルミンはこの日を境に決裂した。

 ヒストリアは一部の吸血鬼の保護を行う法令を断行する。これがきっかけとなり、ヒストリアと三英雄は袂を分かつことになり、国は真っ二つに割れた。

 元ウォールローゼを国境線とする内側に現王政府、外にヴァチカンという二つの政権が誕生することになった。


 吸血鬼による被害を最小限に食い止めようとする王立国教騎士団・ヘルシングを有するヒストリア王政権と、

 異端殲滅を掲げ、全ての吸血鬼を皆殺しにすることを教義とする異端審問の特務機関・イスカリオテを有するヴァチカン。


 現在に至るまで、直接的な衝突こそなかったものの―――――今宵、そのかりそめの平穏は破られることとなる。



……
………


326◆B2mIQalgXs2013/12/15(日) 22:06:45n.YJ4SlE (7/12)


………
……



 話を戻そう。今回の事件は現王政府の一部の官僚が起こした不始末に端を発する。

 前体制の頃の悪習の名残とでも言うべき、地下街での人身売買は、現ヒストリア政権に移ってもなお、密かに、そして確実に続いていた。


 以前と比べて変わったことといえば、地下街で売りに出される『商品』のラインナップに『吸血鬼』が増えたことだろう。


 吸血鬼は恐ろしい存在だ。

 吸血鬼は力が強く、再生能力を持ち、人の血を吸い、仲間を増やし、グールを生み出す。

 しかし、その吸血鬼が子供であればどうだろう。

 力が強いといっても、鋼鉄の手枷足枷を破壊するほどの腕力は子供の吸血鬼にはない。

 何より―――――吸血鬼は年を取らない。

 定期的に牙を抜き、手枷足枷を嵌めて拘束しておけば、恐れるべき存在ではない。

 これ以上にコストパフォーマンスに優れた奴隷は存在しない。


 未だ利権や肉欲の味を忘れられぬ前王政府のダニにとって、吸血鬼とは売れ筋の『商品』であり、格好の『餌』だった。


327◆B2mIQalgXs2013/12/15(日) 22:11:16n.YJ4SlE (8/12)



 そこから後は、よくありそうな話だ。

 地下室に密かに監禁していた吸血鬼とひとしきり楽しんだ変態どもの一人が、うっかり牙を突き立てられてグールと化し、グールが他の変態を喰らい、グールが増え、グールは使用人を喰らう。

 グールが増え、グールを増やす。喜劇と悲劇の幕が上がる。残るのは哀れな土塊ばかりだ。

 そうしてネズミ算式に増えたグールの群れを率いた、哀れな吸血鬼の少女は、己を道具のように扱った人類に復讐を誓う。

 三流小説にありそうな、ありきたりなストーリー。

 王立迎賓館はホラーハウスと化し、次は外の世界へとその手を伸ばすだけ。

 夜の帳が下りれば、元トロスト区内を阿鼻叫喚の地獄絵図へと変えるだろう。

 しかし、そうは問屋が下ろさぬとばかりに、そこに駆け付けたのが件の王立国教騎士団―――――ヘルシングのユミル・アーカードと、新米女吸血鬼・サシャ・ブラウスであった。



……
………


328◆B2mIQalgXs2013/12/15(日) 22:15:11n.YJ4SlE (9/12)


………
……



サシャ「どぼじでごんなハメに゛な゛る゛の゛ぉ゛お゛おおお゛お゛おお゛お゛おお!?」


 迎賓館へ突入してから一時間弱の時間が経過した頃、サシャは二十一歳の女子がしてはいけない顔と叫び声を上げていた。

 顔面を様々な液体で汚しながら、サシャは襲い来るグールの群れから逃げ惑っているのである。


グールA「あー☆」

グールB「うー☆ うー☆」

グールC「がおー、たーべちゃーうーぞー♪」

サシャ「ひぎぃいいいいいいいいいいいいいい!!!?」


 さながらB級ホラーの演劇である。わらわらと緩慢な動きでサシャを喰らわんとグールの群れが列をなす。


サシャ「いやあああああああああああああこっちこないでぇえええええええええええええ!!!」


329◆B2mIQalgXs2013/12/15(日) 22:20:29n.YJ4SlE (10/12)


 手に持った銃の存在を忘れたかのように、泣き叫んで逃走するサシャであったが、


ユミル「何やってんだバカ、さっさと倒せ」

サシャ「ヴぇっ!?」


 グールの群れの向こう側から、いらだちを含んだ声が聞こえた。

 次の瞬間、サシャに今まさに掴み掛らんとしていたグールの脳天に、454カスールの弾頭がシャワーのように降り注ぐ。


ユミル「ったく、キリがねえな。グールどもめ」ジャカッ

サシャ「ギャーーーー! ユミルゥウウウ!! 助げでッ、助げでぐだざぁああああい!!」ヒィーーッ!!

ユミル「やかましいぞ、芋女。おまえが手に持ってるのはなんだ? さっさと撃て。グール来てるぞほら、そこまで来てる」

サシャ「う゛う゛う゛………せ、せやかて………いえ、そ、そうは言っても、わっ、わっ私っ!」

ユミル「いつまでも人間のつもりでいるな。そして相手を人間と思うな。つーかおまえ、ダウパー村ではグールぶっ殺してたんじゃねえのかよ」

サシャ「あの時は無我夢中だったんですよぉおおっ!!」


330◆B2mIQalgXs2013/12/15(日) 22:25:53n.YJ4SlE (11/12)


ユミル「なら今も『そう』なれ。奴らはすでにグールだ。人間だった彼らは、哀れにも吸血鬼の餌となり、その絞りかすとなってまだああして死に続けている」


 背後から迫っていたグールに視線すら向けず、銃を抜き放ちつつ、ユミルは残酷な真実を告げる。


ユミル「殺せ。もはやそいつらは人間ではないんだ。彼らは化け物になった。グールになったのだ。ぶち殺してやるのが慈悲ってもんだぜ、芋女」

サシャ「そっ、それは、そうですけど……」

ユミル「そしてお前もだ。お前ももはや人間ではない。吸血鬼の血を飲み、与えることの意味を理解しろ。お前はもう二度と、あの日を拝むことはできないのだから」

サシャ「―――――」


 サシャは一瞬目を伏せ、どこか悲しげな色を含んだ笑みを浮かべた。

 再び視線を上げたときには、まだ涙の跡が光ってはいるものの――――確かな意思を宿した眼光で、目の前のグールを睨みつけ、手の中のサブマシンガンの安全装置をがちりと外した。


ユミル「…………芋女。狙うなら確実に頭か心臓をぶち抜け。こいつらとて好き好んでグールになった訳ではない。一度こうなってしまった人間を元に戻す方法は無い――速やかに、ぶち殺してやるのがこいつらの為ってもんだ」

サシャ「りょ、りょりょりょ…………了解です」


331◆B2mIQalgXs2013/12/15(日) 22:28:42n.YJ4SlE (12/12)

※ごめんなさいごめんなさい、超中途半端ですが今宵はここまでです。

 既にBADEND臭がプンプンしてますね。

 マジでエレンは救われない話なので、苦手な人はそっ閉じした方がいいです。

 今度の更新は来週……になったらいいんじゃないな。うん。年末は地獄だぜ。


332以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/16(月) 08:34:10DBQjcZSo (1/1)

期待


333以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/16(月) 14:54:10XU38tSPg (1/1)

やっと更新きた!待ってたぜ!


334以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/17(火) 00:42:33ZbLCFwlo (1/1)

おつ


335以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/21(土) 08:41:06A6A9Y8dA (1/1)

新しいのキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!


336以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/24(火) 23:05:34BQlDJyRE (1/1)

支援


337以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/26(木) 09:36:46wdjZbfes (1/1)

保守


338◆B2mIQalgXs2013/12/28(土) 23:36:32Z.FrTN9g (1/1)

※仕事納め完了なのだわ。ついでに異動も決まったのだわ。

 今の住居からイケる距離。むしろ近くなったので良くってよ。

 明日は帰省でドタバタしてますので、明後日あたり投下するわ。

 エレン「ジュマンジ……?」はなんやかんやで半年続きましたネー。

 エレン「ドリフターズ?」は年内で終わるといいですネー。

 エレン「種付け?」の続編は、エレンが次々に女の子たちをズブリと犯す話なのだわ。プロット死んだのでダラダラ書き直し中。

 お待たせしています。


339以下、名無しが深夜にお送りします2013/12/29(日) 00:05:42YFwNqTWA (1/1)

わかりました。待ってます。


340以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/01(水) 21:11:32Mxs1QqIE (1/1)

ジュマンジはまだまだ続けてほしいな~(チラッ


341以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/02(木) 00:11:35YNWATpWk (1/1)

保守


342以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/06(月) 00:23:10PkiHPdm2 (1/1)

保守


343以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/08(水) 22:34:48EfA3FGKE (1/1)

保守


344以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/12(日) 00:13:10PmKDx7pw (1/1)

保守


345◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:08:08MUb2zVT. (1/26)

※>>1です。蝶お待たせしました。

 来週からは暇になる予定。今度こそ……今度こそは……。

 書き溜めがないので、ゆっくり投下します。


346◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:14:47MUb2zVT. (2/26)



サシャ「――――――すー………ふー」スーハー

ユミル「ほう?」


 殺意という漆黒で感情を塗りつぶして深呼吸を一つ、サシャは銃把を握りしめて駆け出した。

 ポニーテールをなびかせて駆け抜ける速度はさながら疾風。常人ならば十歩の距離を、わずかに一歩でゼロとする。


グール「アー………」ブンッ

サシャ「!」


 顔面に向かって突き出されたグールの腕を、首だけの動作で余裕をもって回避する。


サシャ(落ち着いて。敵は多い。ですがのろい)


 冷静になって見てみれば、グールの動きは緩慢だ。

 ましてや吸血鬼たるサシャの身体能力からすれば、殊更にのろく見える。


347◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:18:55MUb2zVT. (3/26)


サシャ(何よりも――――ッ、体が軽い! 軽く駆け出しただけなのに、まるで立体機動装置を使ったときみたいな疾駆感! これならッ!)


 両掌に収まったハンドガンの冷たい感触を確かめるように、サシャはグリップを強く握りしめた。


サシャ(動きを止めずに走り続けて、すれ違いざまに狙って撃って、後は御終い)


 覚悟を決めて、狙いを定める。

 すれ違いざま、脳天に一発。

 祈りながら心臓にもう一発。

 引き金を弾き、彼らの死に、本当の終わりを与えていった。


ユミル(――――ほう、思っていたよりやる)


 次々とグールたちを動かぬ屍へと変えていくサシャの姿を前に、ユミルは静かに笑みを浮かべた。

 サシャはその身柄を王立国教騎士団(レイシング)で引き取られた後に、銃撃訓練を積んだとはいえ、実戦は今日が初だった。

 『なりたて』の吸血鬼は、急激に上がった身体能力に振り回されることがままあるものの、サシャはユミルの目から見ても及第点以上の動きを見せている。


348◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:19:39MUb2zVT. (4/26)


ユミル(そうでなくては。わざわざ眷属にした意味がない)


 かつての同期だから、などといった感情で、ユミルはサシャを吸血鬼としたわけではない。

 サシャ・ブラウスという人間は死に、サシャ・ブラウスという一人の女吸血鬼へと生まれ変わらせた。

 そこにはユミルの打算があり、サシャの選択の結果があった。

 そもそも、ユミルはサシャを助けたつもりもない。

 吸血鬼の立場は、未だ人類の中では敵以外の何物でもないのだから。

 吸血鬼という存在そのものを忌み嫌う者が大多数を占めているといってもいい。

 事故や自死を選択しない限りは死に辛い吸血鬼という生き物に生まれ変わったことは、今の世では足枷以外の何物でもないのだから。


ユミル「―――――と。終わったか」


 思考の海から意識を引き上げたとき、ユミルの眼前は血風呂で満たされていた。

 廊下を埋め尽くすグールの群れは、一匹残らず無残な挽肉と化している。

 血のプールの中、荒く呼吸をするサシャ・ブラウスを除いて、物言わぬ肉塊が転がっているだけだった。


サシャ「はぁ………はぁ………はぁッ………!!」


349◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:22:22MUb2zVT. (5/26)


ユミル「グールどもはもうほぼ全滅だろう。次は大本を叩くぞ。おそらく地下だ」

サシャ「は、は――――――――ぐ!?」


 返答を返そうとしたサシャの言葉が詰まる。


ユミル「サシャ? どうした。早くついてこ―――――――ッ!?」


 血風呂と化した廊下を先行するユミルが、遅れるサシャを呼びつけようと振り返った先には、


サシャ「ぐ、あっ………?! いっ、ぐ、はっ…………」

ユミル「!?」


 胸からいくつもの刃を生やし、血の塊を吐き出すサシャの姿があった。

 呆然とした表情で血にまみれた白刃を見下ろしながら、サシャは力なく膝をつき、血に染まる廊下に倒れ伏す。


350◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:23:49MUb2zVT. (6/26)


ユミル「サシャ! ―――――ぬッ!?」


 駆け寄ろうとしたユミルの足を止めたのは、視界の端に移った白刃の煌めき。

 幾条もの閃光が薄暗い廊下の宵闇に線を引き、窓ガラスやドアに突き刺さる。

 ―――――それは、銃剣(バイヨネット)と呼ばれる短剣。

 その刃群の先端には例外なく、聖なる文言の記載された紙片が付帯されていた。


ユミル「チッ………結界か!」


 見覚えのありすぎる凶器の群れに、ユミルは露骨に舌打ちをする。

 ―――――この装備を用いる輩に、心当たりがあった。

 そしてその心当たりは、確実に正解しているという確信も。


 【―――――生と死の選択を己に課す命題として自ら問う】

 【されば嘲笑の歓喜する渦に喜劇の幕よいざ上がれ】


 そして朗々とした唄が、長い廊下に粛々と響きわたった。


351◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:26:21MUb2zVT. (7/26)


【嵐の夜に吠え立てる犬は愚かな盗賊と果敢に戦う】

【温かい巣で親鳥を待つ雛は蛇の腹を寝床に安らぐ】

【木漏れ日の下で生まれた獅子は幾千の鹿を飽食し】

【せせらぎを聞く蛙の卵は子供が拾って踏みつぶす】


 ユミルの険しい視線の先、廊下の端から現れたのは、漆黒のカソックに身を包んだ男だ。


【生の意味を信じる物よ道化の真摯な詭弁を聞け】

【死の恐怖に震える者よ悪魔の仮面は黒塗りの鏡】

【生命に問いを向けるなら道化と悪魔は匙を持ち】

【生命を信じ耽溺するなら道化と悪魔は冠を脱ぐ】


 聖書ではなく、その両腕に銃剣を握りしめた大柄な神父。年の頃は二十代の半ばを過ぎた程度だろうか。

 その外見を裏切るように謳い上げるは、聖歌でも聖句でもなく、ただの呪言。

 生命の賛美を否定し、ただひたすらに世の残酷性を説く、禍々しき歌。


352◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:28:08MUb2zVT. (8/26)


【獣よ踊れ野を馳せよ唄い騒いで猛り駆けめぐれ】

【いまや如何なる鎖も檻も汝の前には朽ちた土塊】


 殺意と悪意と害意を歌う。

 人の狂った本質を歌う。

 となった。



「我等は神の代理人。神罰の地上代行者。我らが使命は我が神に逆らう愚者を、その肉の最後の一片までも絶滅すること―――――Amen」



 十字架を示すがごとく武骨な剣を交差させ、笑みを浮かべる神父の男。

 窓から差し込む月明かりによって、露わとなったその神父の顔を、ユミルも、そしてサシャもまた知っていた。


サシャ「え、れん………? えれん、ですか………?」


 唖然、と。

 サシャは信じられない、といった表情でエレンを見上げ、茫然とつぶやいた。


353◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:29:50MUb2zVT. (9/26)

※ごめんなさい、 【となった。】はスルーしてくだちい。どっからか入り込んだ誤りです。


354◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:34:43MUb2zVT. (10/26)


………
……


~同トロスト区内・某所~


「へ、陛下ッ! ヒストリア女王陛下!!」

クリスタ「何事です、騒々しい」

「大変です!! トロスト区へ向かったレイシングに、ヴァチカンからの………イスカリオテからの介入がッ!!」

クリスタ「ッ………イスカリオテの派遣兵力は? 規模は?」


 イスカリオテ第十三課。

 壁崩壊後、王権から独立した異端審問局を含むヴァチカンの非公式特務実行部隊の総称。

 そしてヴァチカン最強の戦力であり、悪魔退治、異教弾圧、異端殲滅のプロフェッショナルの総称だ。

 そして現王政権と真正面から敵対する勢力でもある――――その介入ともあって、クリスタの語調が険を帯びる。


「派遣兵力はただ一人。三英雄の一人、『聖堂騎士(パラディン)』エレン・イェーガー神父です!!」


クリスタ「ッ………!! エレン、が」


355◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:41:26MUb2zVT. (11/26)

 報告にきた兵士も、ヒストリア自身も、苦虫を噛み潰したような顔をする。

 よりにもよって、なのだ。

 エレン・イェーガー。

 誰もが知る、吸血鬼殺しの大英雄。

 そして多くの者は知る由もないが―――――ヒストリアにとっては、かつての戦友でもある。


「し、しかし、何故、ここに連中が? トロスト区は協定の緩衝地帯のこちら側、我々の土地だ。これは重大な協定違反です!」

クリスタ「問題は、協定違反だけではありません。ユミル達よ」

「は、はっ? それは、どういう―――――」

クリスタ「もし、彼らと十三課のエレン神父が鉢合わせになったらどうなります!? 絶対にまずい!」


 ヒストリアは部屋の隅に視線を向ける。

 控えていた執務官が、資料を片手に、エレン・イェーガーの情報を淡々と読み上げた。


「エレン・イェーガー神父。『聖堂騎士』、『殺し屋』、『銃剣』、『首斬判事』、『天使の塵』、『紅蓮の弓矢』、『吸血鬼殺し』。言わずと知れた、十年前の壁崩壊後に、人類を救済した『三英雄』の一人」


356◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:45:47MUb2zVT. (12/26)

「出身地はシガンシナ区、分かっているのはこの数々の輝かしい経歴の他一つだけ」

「彼が―――――化物専門の戦闘屋であるという事です。我々にとって化物に対する切り札がユミル・アーカードである様に、彼もヴァチカン十三課の対化物の切り札であるという事です」

クリスタ「しかも、彼らの吸血鬼殺しの技術は、私たちの遥か先を行っている………当然です。もともと彼らが、エレンが、ミカサが、アルミンが、われわれに吸血鬼への抗い方を教えたのだから」

クリスタ「そしてその技術の全ては、我々には伝えられていません。彼らはより多くの吸血鬼殺しの叡智を備えています」


 いよいよ事態の深刻さを思い知ったのか、伝令の兵士は顔色を蒼くする。


「………すぐさま、増援を送りますか、ヒストリア陛下」

クリスタ「――――間に合わない。私が行きます」


357◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:46:40MUb2zVT. (13/26)


 立ち上がり、デスクの引き出しから拳銃を取り出しつつ、ヒストリアは有無を言わせぬ口調で断言した。

 いかな相手がエレンとはいえ、やすやすと後れを取るユミルではないだろう。ヒストリアはユミルを信頼している。しかし――――。


クリスタ(エレン…………貴方に会って、聞きたいことがある。聞かなきゃならないことがあるの)


 身支度を整えた後、ヒストリアは部下数名を引き連れて、足早に部屋を後にする。

 ただ、ユミルとサシャの無事を祈りながら――――。



……
………


358◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:52:51MUb2zVT. (14/26)


………
……


エレン「いい夜だな、化け物ども」

ユミル「エレン………エレン・イェーガー………!!」

サシャ「え、エレ、ン………? あ、ぐっ、ごふっ………」

エレン「…………ずいぶんと可愛らしい声で鳴くじゃあないか。だがその程度じゃあお前らは死ねねえよ。久しぶりの吸血鬼狩りだ。楽しませてもらわねば」


 何かを話そうとして、血を吐き出すサシャに対し一瞥もくれず、エレンはユミルを睨みつける。

 ユミルは右手の拳銃を握りしめて、苦笑を一つ、


ユミル「よう。元気だったか、死に急ぎ野郎」

エレン「気安く話しかけるな、王政の犬」

ユミル「久しぶりだってのに、ずいぶんとご挨拶じゃあねえか」

エレン「化け物と仲よく会話をする趣味も信仰も持っていない」

ユミル「そうかい………それよりおまえ――――今、下から上がってきたな」


359◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:53:46MUb2zVT. (15/26)


サシャ「―――――!」


 ハッとしたように、サシャの両目が見開いた。

 階下から上がってきたということは。

 地下室に、いたということ。

 そして、そこには―――――。


ユミル「いただろう、吸血鬼が―――――吸血鬼の、少女は………子供はどうした」

エレン「子供? ああ、それなら―――――」





エレン「―――――こいつのことか?」



 エレンが背中に手を回し、そして床に何かを転がした。


360◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:54:52MUb2zVT. (16/26)

 エレンが背中に手を回し、そして床に何かを転がした。

 ユミルとサシャは転がってくる『何か』を胡乱げに見つめ、そして、


サシャ「ッ―――――――あ、あ、ああ、あああ………」


 それが、なんであるかを、悟った。


ユミル「…………ッ!!」


 それは恐怖に染まった悲痛な表情の、物言わぬ少女の生首だった。よほどの地獄を見たのだろうか。見開かれた両目は世の全てに絶望したかのように濁りきっている。

 頬には涙の伝った跡がありありと残っていた。


ユミル「――――――殺したのか」


 歯を擦り合わせ、ユミルは絞るように言葉を紡いだ。

 憤怒の表情を隠そうともせず、殺意をみなぎらせるユミルに対して、エレンの態度は自若としたものだった。

 一瞬だけ、転がった少女の生首をふと眺めるように見やり、首をかしげるような動作をした後、再度ユミルへと瞳の向きを直す。


エレン「…………見ての通りだが? まるで造作もない…………楽しむ間もありはしなかった」


361◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:55:56MUb2zVT. (17/26)


 食卓に並んだ料理の感想を述べているかのように、エレンは淡々と少女の殺害を自供した。

 ユミルが何かを口にしようとする前に、激昂したのは、サシャだった。


サシャ「な、なんて、ことを………な、んて、ことをッ………!!」

エレン「うん?」


 エレンは初めてサシャの存在に気づいたかのように、再度首をかしげてサシャに視線を向けた。

 灼熱の如き怒りに染まった瞳でエレンを睨みつけながら、サシャは胸の激痛も忘れて叫び声を上げた。


サシャ「ぐぅっ………え、エレンッ!! その、その、吸血鬼の、こは、その子はッ………その子だって、ひ、被害者、で………!!」

エレン「被害者?」

サシャ「ぐ、くっ…………その子、はっ………!!」


 作戦の直前に、サシャは今回の『保護対象』である吸血鬼の少女についての情報を聞いていた。

 そう――――保護対象、だ。

 今回の吸血鬼の少女は、レイシングにとっての殲滅の対象ではなかったのだ。


362◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 22:57:13MUb2zVT. (18/26)


………
……


 ――――少女の両親は善良な人間だった。


 共に内地の少しばかり裕福な家に生まれ、しっかりとした親にしっかりとした教育を受け、善良に育ち、出会い、幸せに結婚をして、子を――――少女を儲けた。

 その生活に亀裂が入ったのは、十年前の壁の崩壊後………彼らの住む町を襲った吸血鬼によって、少女が噛まれたことに端を発する。


 ――――少女の両親は善良な人間だった。


 哀れにも吸血鬼となってしまった少女の存在を、両親は地下室へ隠匿し、ひそかに養っていた。

 既に十五歳になっているはずの少女は、十年の歳月を経ても五歳児の容貌を保ったままであったが、その精神性は年齢相応に発達していた。

 地下室に軟禁された当初はどうして自分がこんな目に、と世を恨んだこともあった。

 しかし時が経つにつれ、己の立場を否が応でも思い知った。


363◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 23:00:47MUb2zVT. (19/26)


 ――――少女の両親は善良な人間だった。


 吸血鬼。化け物。異端。人殺し。悪魔。世の吸血鬼の評価などそんなものだ。

 そんな己を心底愛し、養い、血を分け与えてくれる両親の存在は、少女にとって何物にも代えがたき宝物であることを知った。

 少女は、己の境遇を受け入れた。いずれ両親は死ぬことになるだろう。寿命か、事故か、あるいは他の要因で。

 その時が己もまた朽ちる時だと――――。

 それは悲観ではなく、むしろ少女はそれを嬉しく思った。

 こんな素晴らしい家族とともに暮らせる己は、世界一幸せな吸血鬼だと、心の底から信じた。


 ――――少女の両親は善良な人間だった。

 ――――ただ、絶望的なまでに、この世界は残酷だった。


 これはそれだけの話である。

 どこから嗅ぎ付けてきたのかは分からない。

 ある日のこと、少女が地下室で眠っていると、突然何かが覆いかぶさり、己を拘束した。


364◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 23:06:00MUb2zVT. (20/26)


 何が何だか分からなかった。視界を塞がれ、両手両足に鉄の輪の冷たい感触が伝わってきて、身動き一つとれない。

 少しだけ漏れ聞こえてくる誰かの声。

 一瞬だけ浮遊感を感じ、自分が運ばれていることを悟った。

 その過程。布団でぐるぐる巻きにされていた少女の視界が、一瞬だけ開けた。その先に。

 血だまりに付す、愛すべき両親の変わり果てた姿があった。


「――――――、―――――――」


 そこから、少女の記憶はない。

 気が付けば、油まみれのでっぷりとした中年男が、己の股の間に腰を打ち付けているところにまで、記憶は飛んでいた。


365◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 23:07:16MUb2zVT. (21/26)


 ――――少女の両親は善良だった。

 ――――故に少女もまた、善良に育っていた。


 ………ドウシテ。

 少女は聡明だった。己の身に何があったのかをすぐに理解し、現状を知った。失ったことを知る。

 ………ドウシテ。

 父はいない。母はいない。あの血だまりだ。もう生きてはいないだろう。奪われたことを知る。

 ………ドウシテ。 

 己を犯す中年男の一人が、余興と称して、あるものを少女に投げつけた。そして、知る。

 ………ナンデ。

 血にまみれた二つの球体に、見覚えがあった。

 ああ、これは。


 父と、母だ。


366◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 23:10:26MUb2zVT. (22/26)


 醜悪な肉の塊が囀る。

 ――――お前の当面の食糧だ、と。

 ――――よかったな。これで家族全員集合だ、と。

 そう言って笑うのだ。

 ケラケラと。ゲラゲラと。

 白濁した汚液を、少女の最奥にぶちまけながら、楽しそうに。

 少女は悟ったのだ。

 かつて、他の誰かが悟ったことを、少女もまた理解した。


 ――――コノセカイハ、ザンコクナンダ。


 そして他の誰かとは違い、少女にはマフラーを巻いてくれる少年がいなかった。

 これはそれだけの話だった。

 寄る辺を失った。全てを失った。

 失うことから、憎悪は始まる。

 そして少女は、生まれて初めて吸血鬼となった。


367◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 23:14:31MUb2zVT. (23/26)


………
……



サシャ「あの子は、何も悪くない………悪いことなんて、して、ないッ………!」


 その事情を知っているからこそ、サシャは憤っていた。

 両親を殺され、辱められ、残った憎悪の果てに凶行に走ったことを、誰が責められる?

 助けてやりたかった、とサシャは泣き叫んだ。

 あの子は、これから幸せになるべきだったんだと、必死の形相でエレンの行いを糾弾する。

 なぜ殺したのか、と。




エレン「成程、理解した」



 そして、エレンは、


368◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 23:16:42MUb2zVT. (24/26)



エレン「――――――だから?」



 エレン・イェーガーは嗤った。

 嘲笑である。



サシャ「……………え」


 思考が凍り付く。

 最初は己の目を疑った。

 エレンが、笑っているように見えたからだ。


エレン「お仲間を殺されて怒り心頭か? 心配するな、すぐにお前らも地獄に送ってやる」


 続いて、耳を疑った。エレンが嬉しそうな声を出しているように聞こえたからだ。


369◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 23:17:54MUb2zVT. (25/26)


エレン「害獣を殺しただけじゃあねえか。何を意味の分からないことを喚いているんだ?」


 そしてサシャは―――――目の前の存在を疑った。

 誰だ、これは。





 誰だ、これは。




 違う、とサシャは思った。


 信じたくない、とサシャは願った。



 こんな様になってしまったものが、エレン・イェーガーであるはずがないと――――――神に背を向けた吸血鬼たる身で、祈った。


370◆B2mIQalgXs2014/01/13(月) 23:21:53MUb2zVT. (26/26)

※今宵はこんなところで終了です。

 はい、今のエレンはこんな感じです。

 もう書いてて辛いんよ。楽しいけどな。(ゲス顔)

 それと、改めて注意喚起。

 このSSには、萌えとか、燃えとか、ハッピーエンドとか、救いとか、そんなピンク色した生ぬるい成分は一切含まれておりません。

 エレアニが見たい、とか、ライサシャが見たい、とか、おいしいものを食べたり、友情を深めたりしてる進撃キャラが見たい人は、

 ジュマンジの1~4スレに戻るか、別のスレのSSを、読んでください。

 お、俺は悪くない。BADエンドだと事前に伝えたんだ! 俺は悪くねえ! 俺は悪くねえっ!!


371以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/13(月) 23:40:235tu6ANSQ (1/2)

1
あぁ.お前は悪くないぞ
もっと書くのだ


372以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/13(月) 23:43:005tu6ANSQ (2/2)

>>1


373以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/13(月) 23:57:19ZoCC5hCc (1/1)

凄いな。もしかしてだけど、エレンは、アンデルセン神父の展開をなぞるのかな。乙。


374以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/14(火) 09:00:56rlSDzwJY (1/1)

来てた! 支援!
コメディから恋愛からダークから>>1は多芸やね


375以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/16(木) 14:54:00jjxSyG2E (1/1)

このエレンは跳び蹴りで江ノ島吹っ飛ばしたりするんじゃないかな


376以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/18(土) 21:08:529iRzrENc (1/1)

この話が始まったときは吸血鬼ライナーとサシャの吸血プレイが見られると思ったんだけどなぁ~・・・(ヘルシング知らない)
ライナー達が10年前に日光浴びて死んでたとかいうのはやめてね・・・


377以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/21(火) 23:23:53nxGWqc6Y (1/1)

支援


378以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/25(土) 23:54:49lZU.bz7U (1/1)

作者の人何かあったのかな?保守。


379◆B2mIQalgXs2014/01/26(日) 22:10:02nen.o7no (1/3)


【場つなぎ的おまけ小劇場】


マルコ「マルコとー」

ジャン「ジャンのー」
       かみだんこん
マルコ「人情紙男根ー」

ジャン「モブ・シーンのコーナー」

マルコ「エレン「ジュマンジ……?」 人気キャラクター コンテストーッ。投票結果 大発表ーッ!!」

ジャン「うわーい、やったーーッ。人気投票なんかやってねえけどやったーーーーッ」

マルコ「第1位ーッ、オレー。マルコ・ボットおにーさーん」

ジャン「わーッ、すごーい。やったーやったー。さすがはオレのしーんーゆーうー」

マルコ「第2位ーッ。マスター・ヨーダーッ」

ジャン「えーまじーー? ヨーダさんがーーッ!?」

マルコ「第3位ーッ。エレン・イェーガーッ!!」

ジャン「あらやだー主人公だわー。かっこいいですよねー。(これはウソ。ジャンはエレンのことが大嫌い。自分こそ主人公の地位にふさわしいと思っている)」


380◆B2mIQalgXs2014/01/26(日) 22:10:33nen.o7no (2/3)


マルコ「第4位ー。ストライクフリーダムッガンダムー」

ジャン「かっこいいよねー。何気にこのSSにガンダム出てるのよねー。何人が覚えているかしらー」

マルコ「第5位ー。魔改造 キース・シャーディスー」

ジャン「かっこいいよねー」

マルコ「第6位ー。チーズハンバーグー」

ジャン「おいしいよねー」

マルコ「第7位ー。オッパイー」

ジャン「オッパイーン。オッパイーン。このSSのオッパイ枠はアニとサシャじゃよー。最近本誌の方でクリスタ巨乳疑惑が浮上したけれど、このSSだと貧乳じゃよー」

マルコ「第8位ー。マーラ・ハイラナイナー」

ジャン「デカーイ。説明不要ー。キャー、裂けるー。恥骨が割れるー」


381◆B2mIQalgXs2014/01/26(日) 22:11:06nen.o7no (3/3)


マルコ「中略ー。第375位ー。ジャン・キルシュタインー」

ジャン「ああー!? なんでテメーが1位でオレが375位なんだコラ!! ブッ殺すぞこの野郎!!」

マルコ「うるせえだまれよゲス野郎」

ジャン「あぁ!? コラ! 黙れやこのカス野郎。テメーになんの権利があ」

マルコ「あぁ!? やんのかコラ? ああ!?」

ジャン「コロス!! こいつ絶対コロス!!」

マルコ「完」


382以下、名無しが深夜にお送りします2014/01/27(月) 21:38:2382Ea8tIY (1/1)

>>1は、大丈夫か?(笑)


383以下、名無しが深夜にお送りします2014/02/02(日) 15:27:18pvKo0efA (1/2)

ようやく追い付いた…
>>1よ…
ガンバ!エレアニ&エレン「種付け?」も期待してるぞ(ゲス顔


384以下、名無しが深夜にお送りします2014/02/02(日) 15:53:13pvKo0efA (2/2)

連投スマン

臨海兵団の続きが一番見たいな


何はともあれ、>>1、体には気を付けろよー
体調崩したら元も子もないからなー




…まず貴様ら(>>1のPC初期化した奴等)から血祭りに上げてやらァーッ!!


385◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 20:37:41xNbnJteo (1/26)


 サシャ・ブラウスにとって、エレン・イェーガーという人物への評価は高い。

 サシャがエレンという名を聞いて真っ先に浮かぶのが、『尊敬』の念だった。

 ジュマンジをクリアしてから十五年余りの歳月が経った今でも、その思いは変わらない。

 訓練兵として三年間を同じ学び舎で過ごす中、エレンは際立った才覚はないが、人の数倍努力して、少しずつ成績を伸ばしてきた。

 いつしか自分すら追い越して、成績上位五名に名を連ねるようになった時、サシャが抱いた感情は、嫉妬でも嫌悪でもなく、安堵だった。


 ――――あんなにも努力している人が、報われないのはおかしい、と。今考えれば呑気に、そう考えていた。


 恩恵には義務が必要だ、とはサシャの父の言葉だ。

 その言葉を受けて、サシャは常々考えた。

 才能しかり、財産しかり、権力しかり。

 元々そこにあるものを甘受するだけの人間に、報われる価値があるのだろうか。恩恵を受ける資格があるのだろうか?


 ――――分からない。だけど、努力した人は報われるべきだと思う。


 だからこそ、エレンのような『努力する人』は、いつだってサシャにとって尊敬に値する存在だった。

 小心者で、否定されることが怖くて、本当の自分を偽って生きる自分とは違う、と。


386◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 20:40:22xNbnJteo (2/26)


 そんなサシャにとって、エレンは強い人間だった。その強さは、クリスタにもユミルにも、サシャ自身にもないものだ。

 憲兵団に入っておいしいものを食べたいという動機で成績上位を目指している自分などとは、及ぶべくもない、と。

 エレンの、正しいことは正しい、悪いことは悪いと、はっきりと自分の考えを言葉にする意志の強さは、サシャにとって少し眩しいものだった。

 その眩しさは、【前】の世界で起こった出来事によって、確かな尊敬に変わったのだ。


 リヴァイが示し。

 アルミンが導き。

 ミカサが切り開き。

 エレンが押し進む。


 そして、自分たちがそれに続いた。

 自分たちが絶望に押しつぶされそうになっても、彼は前を見続けていた。

 そうしてあの悪魔のゲームをクリアしたことは、今でも鮮烈な記憶として、サシャの脳裏に焼き付いている。

 だから十年前に巨人が吸血鬼となり、人類を襲い始めた後、エレンらが英雄として名を馳せた時も、サシャはすんなり納得した。

 ――――ああ、あの三人ならば、と。

 そもそも彼らは、それほどのことを行ったのだ。報われるのが当然だ、と。


387◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 20:43:32xNbnJteo (3/26)


 これまでは義務に対し、あまりにも恩恵が少なかったのだからと――――サシャは彼らの出世を心から喜んだ。

 なのに。


サシャ「え、エレン………ッ、ごほっ、ごふっ」


 彼は今、子供を殺して嗤っている。

 たとえ吸血鬼だとしても、子供の姿をしたものの首を掻き取り、笑みを浮かべている。

 まるで、悪鬼のように楽しげに。

 それが、サシャにはどうしようもなく信じられなかった。

 サシャ・ブラウスが見たエレン・イェーガーは、そんな人間ではないはずなのだ。

 ………これではまるで、どちらが化け物か分からない。

 化け物たる身で、サシャはそう思った。


ユミル「喋るな、芋女。じっとしてろ、すぐにカタをつける」


 喀血するサシャに優しく、しかし確かな殺意を滲ませた声で、ユミルが前に出る。


388◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 20:58:04xNbnJteo (4/26)


 エレンもまた口元から笑みを消し、ゆっくりと歩みを進める。

 両者の距離は徐々に縮まり、交差し、互いに背を向けた位置で、止まった。


エレン「この館にいる化け物(ミディアン)は、もはや貴様らだけだ」

ユミル「そうかい―――――じゃあてめえを殺せば仕舞いだな、死に急ぎ!!」

エレン「ッシィイイイイイイイイイ!!」


 振り向きざま、全身を発条のようにしならせて、エレンが銃剣を投擲する。

 銃弾にも匹敵する速度で迫る凶器は、同じく振り向いていたユミルの喉にあっけなく突き刺さった。


ユミル(………速い。とんでもねえ身体能力………いや、これもジュマンジから得た、例の叡智ってヤツか)


 激痛で赤熱する思考で、ユミルは素直にエレンを称賛する。


ユミル(しかし―――――)


 並の吸血鬼ならば今の一撃でお陀仏だっただろう。

 だが、ユミルはその『並』をはるかに超越した吸血鬼だ。


389◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 20:59:06xNbnJteo (5/26)


 何事もなかったかのようにユミルは悠々と銃を構え、引き金を引く。


エレン「ッ!」

ユミル「じゃあな」


 ユミルの放った銃弾はエレンの額のど真ん中を撃ち抜く。

 撃たれたエレンの肉体は衝撃で宙を舞い、その体を壁にしたたかに撃ちつける。

 壁を血で染めたまま、エレンはぴくりとも動かない。確認するまでもなく、即死だ。


エレン「―――――」

ユミル「はン。夜に正面から不意も打たずに吸血鬼に戦いを仕掛けるとは、全く相も変わらずとんだ死に急ぎ野郎だな………フン、こんな形でボコボコにされた借りを返すことになるとは」


 一方のユミルは、喉に突き刺さった銃剣を無造作に引き抜き、微笑んでいる。

 互いに人間であれば両者相討ち。しかしこれは人類と吸血鬼の闘争だ。

 相討ちならば動かなくなるのは、エレンの方であるのは至極道理だった。


390◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 21:03:34xNbnJteo (6/26)


サシャ「ユ、ユミル!」

ユミル「喋るなサシャ。この剣、全て祝福儀礼を施されてやがる………これで斬られると私たち吸血鬼もなかなか傷を塞ぐ事が出来ん。今抜いてやる。動くな」


 ゆっくりとした足取りで、サシャの元に歩み寄り、ユミルは傷の具合を確かめるために膝を折った。


サシャ「! ユ……ユミ、ル……!!」

ユミル「喋るなと言っている」


 サシャの声に滲む焦りの色に気づけなかったことが、ユミルの失敗だった。


サシャ「違う! ユミルッ! 後ろです!」


 ユミルの背後には死んだ筈のエレン・イェーガーが立っていた。


エレン「シィイイイイイイイ………」

ユミル「何ぃぃっ!?」


391◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 21:06:10xNbnJteo (7/26)


 ユミルが振り向きざま銃を構えるが、それよりも早くエレンの銃剣は投擲されている。

 二振りの凶器がユミルの両手を貫き、体を壁に張り付けた。


ユミル(ばかな! 確実に脳天を撃ち抜いた! なぜ生きている! なぜ動けるッ!!)


 確かに銃弾はエレンの頭蓋を貫き、脳漿をグチャグチャに破壊したはずだった。

 だが、そのエレンの額の傷がみるみる塞がっていく。


エレン「――――――」シュゥウウウウウ

ユミル「!! 巨人の、再生能力………?! いや、それはまさか!!」

エレン「一緒にするな、化け物。我々ヴァチカンには、貴様らに伝えていない叡智は山ほど存在している」

ユミル「再生者(リジェネレーター)……!? 更に回復法術だと!? それもその叡智の一つってかッ!!」

エレン「そうだ! 俺たち人類が、貴様ら化け物どもと戦うために作り出した技術だ」


 鋼の声で答申し、エレンは左右の銃剣を左右に振る。

 鮮血が、舞った。


392◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 21:09:32xNbnJteo (8/26)


※左右の銃剣を左右に振るとか、いくら疲れててもこんな描写はねえだろJK。軽く鬱った………。

 

 ぼとり、と湿った音が倒れ伏すサシャの耳元で響く。

 ――――首だ。

 ユミルの、生首。


サシャ「あ、あッ………うわあああああああああああ!!」

エレン「は は ははハは ははは はハハははははは!!!!」

 絶叫するサシャをよそに、エレンはまた笑っていた。

 ケラケラと、ゲラゲラと。

 狂ったように。

 悪鬼のように。



……
………


393◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 21:15:20xNbnJteo (9/26)

………
……


~同刻・王立迎賓館前~


 そのエレンの哄笑は、迎賓館に到着していたヒストリアの耳にも届いていた。

 そしてエレンの笑い声が、何を意味するかを考えたとき、ヒストリアの脳裏に『最悪』の二文字が躍った。


クリスタ「………! 突入します。遅れずについてきなさい!」

護衛官A「はッ!」

護衛官B「了解!」


 逸る心を抑えつつ、しかし心なしか足早に、ヒストリアは迎賓館に向かって歩き出す。


クリスタ(――――どうか、無事でいて。ユミル、サシャ)



……
………


394以下、名無しが深夜にお送りします2014/02/08(土) 21:17:30BvBJgFLw (1/1)

ユミルが・・・。


395◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 21:21:25xNbnJteo (10/26)


………
……



エレン「ハハハハハハハハハ! これが!? こんなモノが!? レイシングの切り札!?」


 エレンは心底馬鹿にするように、ユミルの死に様を嘲笑った。


エレン「まるでお話にならない。さて…………ん?」


 あまりの歯ごたえのなさに少しばかり物足りなさを覚えながらも、残った『もう一匹』を始末するべく廊下に視線を向ける。

 だが、そこには何もない。

 ユミルの生首が転がっているだけだった。


エレン「ふん、自ら銃剣を引き抜き逃げ出したか………あのダメージでまだ動けるとは。どうやら少し甘くみていたらしい」


 ――――そうでなくては。

 そう呟き、エレンは無造作にユミルの生首をつかみ上げ、血の跡の残る廊下をゆっくりと歩き出す。

 追撃が、始まった。


396◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 21:30:56xNbnJteo (11/26)


サシャ「はぁ………ぐっ、はぁ、はぁ………」


 胸の傷を抑えながら、サシャは必死に廊下を歩いていた。

 ――――何が何だか、分からない。

 ただ逃げねば、と、本能が警鐘に従い、体を動かしていた。


エレン「―――――どこへ行く? まだまだ、これからだぞ?」

サシャ「!?」


 エレンが放り投げた何かが、振り向いたサシャの腕の中に納まる。


サシャ「ッあ…………ゆ、ユミ、ル…………そんなッ………」


 未だ血が滴る、苦悶に歪めた表情のままに固まった、ユミルの生首だった。


エレン「どこにも逃げられはしない。Ashes to ashes, dust to dust(灰は灰に、塵は塵に)………チリにすぎないお前らはチリに帰れ、エイメン!」

サシャ「っひ―――――あ、あああああああああ!!!」


397◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 21:38:34xNbnJteo (12/26)


 逃げ惑うサシャを嬲るように、エレンは銃剣を、サシャがぎりぎりで回避できる絶妙な加減を以って投擲する。


エレン「はははははははっ、逃げろ逃げろ吸血鬼!はははははは!」

サシャ「あ、あああ、あぐ、あ………後、少し………あと、すこし、で………」


 息も絶え絶えに、サシャは出口の扉に手を伸ばす。

 だが、その手は衝撃によって弾かれる。


サシャ「えっ……あ………?」


 よくよく見れば、扉が淡い燐光を発している。

 扉に触れた手が、思い出したかのように強く傷んだ。


サシャ「な、に………こ、れ、どうなって………」

エレン「それが『結界』だ。お前たち夜の勢力共に それを突破する事は不可能だ。おとなしく皆殺しにされろ、『化物』め」

サシャ「そ、んな…………」


 呆けたように立ち尽くすサシャの絶望を煽るように、エレンがサシャを嘲笑う。


398◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 21:46:37xNbnJteo (13/26)


サシャ(ど、うすれば……こ、こんなの、どうしたらいいんです………?!)


 濁流の如く押し寄せる絶望の中、サシャは必死で考えた。

 どうすればこの状況を覆せる?

 どうすれば、どうすれば、どうすれば。

 考えれば考えるほど焦りだけが湧きあがり、思考がまとまらない。


サシャ(こッ、殺される………殺されるっ、殺されるっ、殺されるっ………死………)


 そんな思考に割り込むように―――――響く声があった。


ユミル(――――慌てふためいてる場合か、サシャ)

サシャ(え………?! ゆ、ユミル?!)


 まさか、とサシャが腕の中のユミルの生首を凝視すると、それは形状を失い、どろどろと崩れ落ちる。

 脳髄と血液が入り混じったそれは、意思持つかのごとくうごめき、床に文字を模り始めた。


ユミル(――――私の血を飲め、サシャ)


399◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 21:53:13xNbnJteo (14/26)


サシャ「え………?」

ユミル(そうすれば お前は使役される為の吸血鬼ではなくなる。本当の意味での吸血鬼(ヴァンパイア)となる)

サシャ「本当の、吸血鬼………?」

ユミル(自分の意志で血液を喰らい自分の力で夜を歩く不死の血族(ノーライフキング)に。私の血を飲め、サシャ! サシャ・ブラウス!!)

サシャ「―――――!」


 意を決してサシャが行動を起こそうとした瞬間、しかし一瞬早くエレンが動き出した。

 ―――サシャに、止めを刺すために。


エレン「終わりだ!!」

サシャ「ッ………!!」


 振りかぶった銃剣がサシャの脳天に叩き込まれるその寸前、その刃が甲高い音を響かせて砕け散った。


エレン「――――何ッ!?」


 その先には護衛二人を従えた、ヒストリアの構える銃があった。


400◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 22:02:56xNbnJteo (15/26)


クリスタ「何をしてくれているの、イェーガー神父………」

エレン「これはこれは、レイシング局長にして、女王陛下………ヒストリア・ファルブルケ・ウィンゲーツ・レイシング。女王閣下自らお出ましとは、せいの出るこった」

クリスタ「質問に答えなさい、イェーガー神父。これは重大な協定違反よ。ここは、トロスト区は、我々王政の管轄です! いくら貴方が英雄とて、こんな無理は通りません!」

エレン「無理? 何がだ? 化け物を殺すのに、どんな理由がいる? 協定違反? 知ったことか! 感謝されこそすれ、非難される謂れはない」


 悪びれもせず、エレンは必死の形相で銃口を向けるクリスタを笑う。


クリスタ「彼女は、王立国教騎士団(レイシング)の構成員です! 何より…………何よりッ………」

エレン「うん?」

クリスタ「ねえ、見忘れちゃったの? サシャだよ? サシャなんだよ………サシャは私たちの、仲間じゃない。友達じゃない。忘れちゃったの、エレン………」

エレン「仲間? 友人? 生憎だが、俺の仲間にも友人にも、化け物(クズ)はいない」

クリスタ「それを、言うの。貴方がッ………よりにもよって、貴方がッ………!」


401◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 22:07:21xNbnJteo (16/26)


エレン「俺が? なんだ? 言ってみろ」


 人を小馬鹿にしたような表情を崩さないエレンに対し、ヒストリアは、言葉を濁した。

 言うべきか、言わざるべきか。

 聞くべきか、聞かざるべきか。

 いつかは聞かなければならないことだとわかっていながら、先延ばしにし続けた事柄を。

 ヒストリアは、何かに耐えるように唇を噛みしめた。

 そこにどんな葛藤があったのか―――――しばしの沈黙の後、





クリスタ「貴方が言う化け物を………誰よりも最初に認めて、愛した貴方が………どうしてそれを言うの………?」





 その『禁句』を、口にした。


402◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 22:13:49xNbnJteo (17/26)


 エレンの笑みが崩れる。

 一瞬呆けたように。

 次の瞬間には、憤怒のそれに。

 煮えたぎったマグマの如き、烈火の感情で満たされた。

 だが、それもまた一瞬だった。

 ――――エレンの表情から、一切の色が抜け落ちた。


エレン「殺す」

クリスタ「ッ………!」


 呟くような声には、ぞっとするような冷たさがあった。


403◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 22:18:25xNbnJteo (18/26)


 危機感を覚えたクリスタの思考が目まぐるしく回転する。

 ――――やはり。言うべきでなかった。やはりこうなった。

 そんな後悔は後でもできる。


クリスタ「―――――とにかく、退きなさい。エレン・イェーガー神父。これ以上の交戦は、お互い望むものじゃないはず。十三課とて、それは」

エレン「退く? 退くだと!? 我々が? 我々神罰の地上代行イスカリオテの第13課が? 舐めるなよ売女(ベイベロン)」


 エレンが銃剣を握る両手に力を込めた。


エレン「薄汚い化け物を従える貴様ら王政に、我々が退くとでも思うかァアアアアアアアアアアア!!!!」


 絶叫し、銃剣を構えたエレンが疾走する。


護衛官A「ッ!! ひ、ヒストリア様、お下がりを!!」

護衛官B「こ、こいつ―――――ぐあっ!?」


 瞬く間に接近したエレンは、護衛二人を一太刀の元に切り捨て、ヒストリアに迫る。


404◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 22:28:17xNbnJteo (19/26)


クリスタ「ッく!」


 咄嗟にヒストリアも抜刀。間一髪でエレンの斬撃を受け止める。

 しかし膂力の差は圧倒的だった。拮抗する間もなく、小柄なヒストリアの体躯は壁際へと押し込まれていく。

 苦悶に喘ぎながらも、クリスタは見た。

 護衛官が放った銃弾の一発がエレンの太腿に食い込んでおり――――しかし、煙を上げてその傷が再生していく様を。


クリスタ「ッ………それは、生物工学の粋をこらした自己再生能力!? おまけに回復法術まで!」

エレン「はっ………お前ら、揃いも揃って弱すぎだ。話にならん。貴様ら自慢のユミル・アーカードも全く他愛なかった。首ィ落として、殺してやったぞ?」


 勝ち誇るように笑みを浮かべるエレンに、ヒストリアは一瞬だけ唖然とした表情を浮かべ、


クリスタ「―――――首を落とした? ………それだけ?」

エレン「………何?」


 すぐに安堵の笑みが浮かび上がった。

 訝しむように眉根を寄せたエレンだったが、その思考を一発の銃弾が寸断する。


405◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 22:33:05xNbnJteo (20/26)


 反射的にエレンは背後へと飛び退り、その凶弾を危なげなく回避した。


サシャ「ぐっ………クリスタから、離れてください、エレン!!」

エレン「チッ………サシャ・ブラウスか」

クリスタ「貴方に勝ち目は無いわ、イェーガー神父。大人しく手を引いた方が身の為よ」

エレン「ああ? ひ弱な雑魚に、死にかけた雑魚が加わった程度で、何ができる。今すぐまとめてお前らを―――――」

クリスタ「なら早くすることね。もたもたしてると、殺したはずの人が生き返っちゃうかも………」

エレン「なんだと?」


 クリスタの笑みを強がりやブラフの類と判断したエレンが、止めを刺すべく再びヒストリアに迫ろうと一歩を踏み出した。



 ―――――飲まなかったのか、馬鹿が。



エレン「ッ!? この、声は………うおおおおっ!?」


 廊下の最奥、首なしの死体が蠢いた。


406◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 22:42:46xNbnJteo (21/26)


 首を落とされ、亡者となったユミルの肉体が無数の蝙蝠となって、エレンへと襲い掛かる。


エレン「ッチィイイイ!! なんだッ、これは………!!」 

クリスタ「首を切った? 心臓を突いた? そこいらの吸血鬼と、ユミルを一緒にしないでよ」


 煩わしそうに蝙蝠を切り捨てていくエレンに、クリスタは静かに告げる。


クリスタ「そんなモノでは死なない! 貴方が対化物法技術の結晶であるように。ユミルはただの吸血鬼なんかじゃあない!」

エレン「なんだと!?」

クリスタ「忘れたの? 吸血鬼は、巨人が成り変わったもの。では、その巨人を創ったのは、いったい誰?」

エレン「―――――!」

クリスタ「彼は、【原初の巨人】」


 次第に蝙蝠が一か所へと集結し、凝縮し、圧縮され、人の形を縁取っていく。

 現れたのは始まりにして最強のアンデッド。

 吸血鬼ユミル・アーカード。


407◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 22:47:03xNbnJteo (22/26)


エレン「ッ………成程。十年前に、貴様の姿が壁内から消えたのは、そういう理由か」


 クリスタの言葉から、同時に【別の何か】を悟ったのか、エレンの表情に苦々しげなものが加わる。

 対するユミルは不敵な笑みを浮かべ、億劫げに首を鳴らす。


ユミル「はァ………やれやれ、久しぶりだぞ。【殺される】のは」

サシャ「ユッ、ユッ、ユミルぅ………!!」


 涙を浮かべて情けない声を上げるサシャを、微笑ましげに見やった後、ヒストリアはエレンへと視線を向け、


クリスタ「この十年間、巨人に代わって吸血鬼の脅威に晒された人類が、王政(われわれ)が、何の手段も講じていなかったと思われるのは、正直心外よ」

エレン「………成程。貴様は巨人化薬の、今となっては『吸血鬼化薬』とでも言うべき存在の、生みの親………つまりは、『吸血鬼化』の原理を知っているということ。研究を行っていたか」

ユミル「――――そういうこった。さて、どうする? 私としてはここでケリをつけることにやぶさかでもねえが?」

クリスタ「さあ、どうするの。イェーガー神父!」

エレン「…………今の装備では殺しきれんか」


408◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 22:52:11xNbnJteo (23/26)



 聖書の断片が宙を舞い、発光しながらエレンの周囲を旋回する。

 転移の法術だ。その姿が掻き消える寸前、エレンは呟いた。



エレン「――――次は皆殺しだ」



 負け惜しみとも取れる言葉を、ユミルもクリスタもそう受け取りはしなかった。

 ヴァチカンには、ありとあらゆる吸血鬼殺しの叡智がある。

 その全てをエレンが携えて今回訪れたと考えるのは、楽観に過ぎる。

 『次』は、必ずやユミルを殺す手段を携えての邂逅となるだろうことは明らかだった。

 ……いずれにせよ、危機は去った。

 そのことに安堵を覚えたためか、クリスタが膝から床に崩れ落ちる。


サシャ「クッ、クリスタ!? だ、大丈夫ですかッ!?」

クリスタ「あ、あはは…………腰が、抜けちゃった。怖い。すっごく怖かった………」

ユミル「無茶しやがる、まったく。それに傷ついた。私が負けるとでも思ったのか? いや、それ以前にだな、仮にも女王なんだぞおまえは。ノコノコ鉄火場に足を運ぶ女王がどこにいる。立場を考えろ、立場を」


409◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 23:01:07xNbnJteo (24/26)


クリスタ「ハイ、おっしゃる通りです……」

ユミル「やれやれ………にしても、だ。問題は山積みだな」

クリスタ「うん………協定違反による越境戦闘。機関員による戦闘行為。ヴァチカンに対する大変な貸しになる」

ユミル「ま、それは帰ってから考えようや。ほら、サシャ。立てるか…………サシャ? ほら、しっかりしろ」

サシャ「…………」

ユミル「やれやれ。腰の抜けた女を二人抱えて帰れってか? ホレ、一応は私の眷属なんだ。傷ももうそろそろ塞がっただろう――――」



サシャ「ユミル………あれは、彼は、本当にエレンなんですか」



 肩を貸そうと膝をついたユミルの耳元で、サシャはぽつりとつぶやいた。

 その呟きはヒストリアにも届いていたらしく、悲しげに眉をひそめた。


ユミル「…………ま、当然の疑問だわな」

サシャ「まるで、まるで別人です………何があったんですか。エレンに何が………」


410◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 23:07:14xNbnJteo (25/26)


 サシャの心中は、死にかけたことの恐怖以上に、喪失感で満ちていた。

 尊敬していた人がいなくなってしまった。

 そのことが、別の恐怖を呼び覚ます。

 自分の愛した『あの人』も、そうなってしまっているのではないかと。

 もう十五年も逢えていない、逢いたい、あの人も。

 変わってしまったのではないかと―――――サシャはその恐怖に、思わず涙がこぼれた。




サシャ「ら、ラッ、ライナーもッ……ライナーはっ、どご………どごでずがっ………わだ、わだじはっ………」




 ライナーに逢いたいです――――と、サシャは幼子のように床に蹲って、泣きじゃくった。


411◆B2mIQalgXs2014/02/08(土) 23:08:30xNbnJteo (26/26)


 その背を優しくさすりながら、ユミルが答える。
 

ユミル「…………いつまでもガキのままじゃいられねえ。そういうこった。そしてあの大馬鹿野郎は、あいつが一番なりたくなかった大人になった。なってしまった。それだけのことだ」

クリスタ「いずれ、サシャにも話すよ。エレンに、アルミンに、ミカサに、あの三人に何があったのか、必ず。今は休んで」

サシャ「は……い。はいっ………」


 そう言って、サシャは立ち上がった。

 ――――ライナーについての返答がなかったことには、あえて考えないようにしながら。

 サシャは、夜を歩く。




……
………


412以下、名無しが深夜にお送りします2014/02/08(土) 23:18:23GEqmUvFs (1/1)

ライナー達は生きてても12か11の姿なんだよね?
21歳と12歳じゃおねショタになっちゃうなあ…
彼らも普通の巨人とは違うから何か特別だったりするんだろうか


413以下、名無しが深夜にお送りします2014/02/16(日) 13:11:47smrGcyTU (1/1)

続きが楽しみ。


414以下、名無しが深夜にお送りします2014/02/21(金) 23:58:57PZeZL0ww (1/1)

続き待ってる。


415以下、名無しが深夜にお送りします2014/02/22(土) 08:56:16LmlW6BW. (1/1)

支援する
胸糞悪いSS読んだ後なので殊更に支援する


416以下、名無しが深夜にお送りします2014/02/26(水) 23:22:09fRrimhKQ (1/1)

続きを待つ。


417以下、名無しが深夜にお送りします2014/02/26(水) 23:25:25u4sH4fQA (1/1)

全スレたちが良スレだっただけにまだのこってるんだな


418以下、名無しが深夜にお送りします2014/02/28(金) 16:04:40Rl9HHXC6 (1/1)

なんやかんや書く人は残るさ
保守保守


419以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/02(日) 19:31:505C20.kxA (1/1)

ま、あと一ヶ月くらいは、待つかな


420◆B2mIQalgXs2014/03/02(日) 20:21:50xcwPPTHw (1/12)

※>>1です
もう一か月休みがないんですがね(^p^)
いつからウチの会社はブラック企業になったんだろうね(^p^)

とりあえず書き溜めないので、ゆっくり投下します(^p^)

P.S.
帰り道、路上にかりんとうが落ちてると思ったけれど、思い返すとあれはう○こだったのかもしれない(^p^)
どっちだろう(^p^)
そうだ、食べればわかる(^p^)

まだ落ちてるかなあ、ちょっと拾ってくる(^p^)


421以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/02(日) 20:28:15mXj7uMs2 (1/1)

誰かお客様の中にお医者様はいらっしゃいませんかァァアアアア!

>>1が息してないんですけどォォオオオオ!


422以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/02(日) 20:35:36/jzdt78c (1/1)

顔面刺繍の医者「10億で手を打とう」


423◆B2mIQalgXs2014/03/02(日) 20:55:58xcwPPTHw (2/12)

………
……



 元ウォールシーナ南部突出区・エルミハ区の郊外にある、ヒストリアの別荘で、その集まりはひっそりと行われていた。

 円卓会議。

 王政に、ひいてはヒストリア・ファルブルケ・ヴィンゲーツ・レイシングに忠誠を誓う十二名の政財界の重要人物および貴族と軍人が集まる結社。

 表向きには存在しない組織である「レイシング」を支え、実質的に現王政圏を支配している。

 その十二名がヒストリアの招集に応じ、一堂に会した理由はほかでもない。

 ダウパー村を始め、ここ数ヶ月で爆発的に増加しつつある、吸血鬼による事件の原因究明のためだ。


ピクシス「ここ数ヶ月、吸血鬼による事件は増加の一途を辿っております。ようやく吸血鬼の脅威も沈静化し始めた矢先、一刻も早い解決を図らねばなりませぬ」

キース「そうですな………エルヴィン。捜査の方は? その後、何か進展はあったか」

エルヴィン「はい。今まで『レイシング』が撃破したヴァンパイア、およびグール。それらを徹底的に調査した結果、判明したのは以下の事実です。――――ハンジ、例の物を」

ハンジ「はっ!」


 円卓の末席に座していたエルヴィンの背後から、ハンジが小さな金属片に似た何かを手渡す。


424◆B2mIQalgXs2014/03/02(日) 21:05:50xcwPPTHw (3/12)

キッツ「な、なんだね、それは」


 小指の先ほどもないそれを摘み上げながら、エルヴィンは静かに答えた。


エルヴィン「――――発信機です。ヴァンパイア達の体内数か所に埋め込まれ、その状態や行動、精神状態……そして戦闘結果。全てを調査し、何者かに報告していたと思われます」

キッツ「な、何ぃいっ!?」

エルヴィン「お静かに、キッツ将軍。この一連の事件は単なる自然発生的な吸血事件ではありません。明らかに後ろで誰かが操っている」

ハンジ「それともう一つ、グールです。本来グールは吸血鬼に血を吸われた非童貞、非処女がなってしまうモノですが、今回は違う。違いすぎる。今までの事件で被害者のうち、吸血鬼は一匹も増えなかった」

ヒストリア「ええ、その通り。明らかに処女・童貞と思われる少女や少年ですら残らずグールに! 更にグールとは、宿主である吸血鬼が死ぬと全て死滅するモノでした、が――――先日の事件、ヴァチカン神父エレン・イェーガーが吸血鬼をすでに倒していたにもかかわらず、我々が突入した時、中はグールで溢れていました。これほどの技術力を持つ存在となると、我々が知りうる限りでの黒幕は」

ピクシス「………ヴァチカン、ということになりますな。しかし、『そうは思っていない』とおっしゃりたいご様子。お主もそうだな、エルヴィン?」

エルヴィン「はい。間違いなく、彼らではありません」

キッツ「ばっ、バカなッ!! あいつらだ! あいつらだろう!? そんなっ、そんな叡智を持ちうる存在が、奴らのほかにありうるとでもいうのかあっ!!」


 キッツは机に拳を叩きつけ、口角を飛ばしながら喚き散らす。

 対するエルヴィンは平然と、どこか冷やかさすら感じさせる態度で、首を横に振る。


425◆B2mIQalgXs2014/03/02(日) 21:13:01xcwPPTHw (4/12)


エルヴィン「これが未だ人類の多くが知らない『ジュマンジ』によってもたらされた技術であることは明白。だからこそ、そこが逆にきな臭い」

ピクシス「………何より、あの者たちが、紛いなりにも私たちと共にあったあの者たちが、一度は共に吸血鬼の脅威を立ち向かった、あの者たちが。どうしようもなく吸血鬼を憎み、恨み、国を割ってなお根絶を叫び続ける彼らが、斯様な真似をするのかね?」

キッツ「な、ならば、ならば、なぜ………誰がッ、いったい………」

キース「それを明らかにするための会議だ。エルヴィン、他に何を掴んだ。そいつらの情報は?」

エルヴィン「そこまではまだ。しかし、これは断言できます」


 一呼吸を置き、エルヴィンは力強く告げた。


エルヴィン「事件の裏で糸を操る「何か」は、吸血鬼・グールを知っている奴ということです。そして、「ジュマンジ」の叡智を知っている。「我々」のように。そして―――ヴァチカンのように」


 静寂に包まれる会議室内で、ヒストリアだけが下唇を強くかみしめていた。


ヒストリア「…………」


 何かを堪えるように。懺悔するように。



……
………


426◆B2mIQalgXs2014/03/02(日) 21:19:03xcwPPTHw (5/12)


………
……



 一方その頃、30m下の地下階。


サシャ「リ……リヴァイ兵長……? なんですか……コレ」

リヴァイ「何って、見りゃわかんだろうが」


 執事然とした服装に身を包んだ小男―――――リヴァイは煙草に火をつけ、紫煙をくゆらせながら答えた。


リヴァイ「――――棺桶だ」

サシャ「だからなんでですかッ!? なんで? ナゼに、こげなモノが私の部屋にィッ?」

リヴァイ「ヒストリア陛下からの御用命だ。「やっぱ吸血鬼は棺桶で寝なきゃダメだよ!」だとよ」

サシャ「ベ……ベッドは? ふかふかもふもふのベッドは!?」

リヴァイ「着服した。なかなかいい寝心地だぞ」

サシャ「いや~~ッ!! へ、へぇちょぉおおおおおおおおおおお……」

リヴァイ「うるせえ。兵長って呼ぶな。とっくの昔に兵長なんぞ引退してんだ俺ァ」


427◆B2mIQalgXs2014/03/02(日) 21:33:20xcwPPTHw (6/12)


サシャ「へ? い、引退ッ!? っていうか、兵長、そのお召し物は」

リヴァイ「兵長って呼ぶんじゃねえ………そんなもん、見りゃわかんだろ。ヒストリア陛下直属の執事だ。ガラじゃあねえが、案外性分にあっていたらしい」ケッ

サシャ(こんな口の悪い執事さんが、仮にも女王直属の執事でいていいんでしょうか………)

リヴァイ「それにな、その棺桶のことだが――――そいつはユミルからの用命でもある」

サシャ「え、ええッ!? ユミルの?」

リヴァイ「ああ。芋女、てめえは吸血鬼となってから、一度も血を飲んでいない。そうだな?」

サシャ「そ、それは………はい」

リヴァイ「だから、だ。せめててめえが生まれたダウパー村の地の土の棺桶で寝なければ、力が弱まる一方だ。だから棺桶だ。そのクソおもてえ棺桶運んだのは誰だと思ってやがる………ったく」

サシャ「そ、それはその、すいません……お手数をおかけしまして」

リヴァイ「……何故、血を飲まん? ジュマンジからもたらされたのは、通信技術や武器だけじゃあねえ。医療技術に関してもだ。この輸血用血液等なら、別に悪意もなく飲めるんじゃあねえのか?」


 そう言って、おもむろに懐から血液パックを取り出し、サシャの前に差し出した。

 サシャは無言のままうつむくばかりだ。


ユミル「半端者が」


428◆B2mIQalgXs2014/03/02(日) 21:34:58xcwPPTHw (7/12)


サシャ「! ゆ、ユミル……!」

リヴァイ「っと………いきなり出てくるんじゃあねえよ。びっくりしただろうが」


 リヴァイの悪態には答えず、ユミルはリヴァイの手から血液パックをひったくるように掴むと、サシャの鼻先に突き付けた。


ユミル「血を飲むから吸血鬼だ。それが嫌なら、私に血など吸われなきゃあ良かったじゃあねえか。あの時死んでいればお前は「人間」として死ねたんだからよ」

サシャ「…………」

ユミル「わかってるさ。おまえにはおまえの事情があるってことぐらいはな。だが、おまえは夜を選んだ。いくらおまえがあの日の光を渇望しようとも、もはやお前の体を蝕む光でしかない」

サシャ「…………」

ユミル「――――――それでも、飲まないか。フン」


 その頑なさを理解したのか、ユミルは突き付けていた血液パックを懐にしまう。


ユミル「けどな。いいか、言っておくぞサシャ。一度朝日に背を向け夜を歩き始めた者に、日の光は二度と振り向きはしない!」

サシャ「……ッ」


429◆B2mIQalgXs2014/03/02(日) 21:39:20xcwPPTHw (8/12)


 いよいよ泣き出す寸前の子供のように肩を震わし始めたころ、助け船を出すかのようにリヴァイが話に割り込んだ。


リヴァイ「それはそうとユミル。例の物、仕上がっているぞ。クソ眼鏡に作らせておいた」

ユミル「ほう、見せてくれ」

リヴァイ「今さっき届けてやろうと思ってたんだが………ああクソ、こいつもクソ重てえ」


 リヴァイは机にアタッシュケースを置き、面倒くさげに開いた。

 そこには黒光りする長身の銃があった。


ユミル「! はは……これは……」

リヴァイ「対化物戦闘用13ミリ拳銃「ジャッカル」。今までの454カスール改造弾使用ではなく、初の専用弾使用銃だ。全長39センチ、重量16キロ、装弾数6発。もはや人類では扱えない代物だ」


430◆B2mIQalgXs2014/03/02(日) 21:40:00xcwPPTHw (9/12)


ユミル「専用弾は?」

リヴァイ「13ミリ炸裂徹鋼弾」

ユミル「弾殻は?」

リヴァイ「純銀製マケドニウム加工弾殻」

ユミル「装薬は?」

リヴァイ「マーベルス科学薬筒 NNA9」

ユミル「弾頭は? 炸薬式か? 水銀式か?」

リヴァイ「法儀式済み水銀弾頭だ。満足したか?」

ユミル「パーフェクトだ、リヴァイ」ニィイッ

リヴァイ「そいつは重畳」フッ

サシャ(なんでしょう、この茶番は………女の私には理解できそうにもない)


431◆B2mIQalgXs2014/03/02(日) 21:46:40xcwPPTHw (10/12)


 男子たるもの、一度は刀剣や銃器にロマンを抱く生き物である。


ユミル「これならば、あの腐れ死に急ぎ野郎すらも倒しきれるだろう」

サシャ「へ、へー、ほっへぇー………凄いんですかソレ」

リヴァイ「っと、こっちも忘れていたな。ったく、歳ってのはイヤなもんだぜ………」


 言うと、リヴァイは部屋の片隅の壁に片掛けてあった、布に包まれた長大な物に手を掛ける。


リヴァイ「サシャ、てめえの武器も新調してある」

サシャ「え!? わ、私の武器ですかあ?!」

リヴァイ「ッああクソッ! こいつも重てえな! おいユミル、てめえも手伝いやがれ」

ユミル「へーへー仕方ねえなあ………よ、っと」


432◆B2mIQalgXs2014/03/02(日) 21:50:38xcwPPTHw (11/12)


 ドズン、と底が抜けるのではないかという轟音とともに、それはサシャの目の前の床に、たたきつけられるように置かれた。


リヴァイ「30ミリ対化物用カノン「ハルコンネン」だ。弾は2種。劣化ウラン弾、及び爆裂徹鋼焼夷弾! 主力戦車を除く全ての地上・航空兵器を撃破可能………とマニュアルには書いてあるが、主力戦車やら航空兵器ってのは何のことだろうな?」

ユミル「細かいことはいい。なんにせよ素晴らしい。バカでかい! いいことだ。ロマンだな、サシャ。正直羨ましいぞ」

サシャ「へ、へ? な、なにが………」

リヴァイ「ああ、全くだ。男として生まれ落ちたからには、一度でいい。こんなバカでかい銃をブッ放してみてえもんだ。人間が撃ったら千切れ飛ぶが、おまえなら大丈夫だろう、吸血鬼だし」

サシャ「な……な……なんですかこりゃあああ!!」

リヴァイ「ロマンだ」

ユミル「ロマンだな。ロマンだから仕方ねえ」

サシャ「意味がわからないんですけどぉおおおおおおおおおおおおお!!?」


 サシャの絶叫は、地上に届けとばかりに響き渡ったが、その声にこたえる存在が現れることはなかった。



……
………


433◆B2mIQalgXs2014/03/02(日) 22:00:10xcwPPTHw (12/12)

※うふふ、眠気がもうやばい(^p^)

 もうね、もっと気軽なSS書きたいよ。始めたのは私だけどね。

 エレン「巨人駆逐は進グルイなり」とか、アニ「壁内の連中がクレイジーすぎてライナーとベルトルトの精神がヤバい」とか、

 小野田「クレイジーハイケイデンスモンスターが本性を現したようです」とか、

 アニ「私はアニ・レオンハート。十歳。乙女なの」とか、アルミン「林間兵団?」とか

 俺は、俺はただ、SSが書きたいだけなんだ……皆に乙とか、つまんねとか、面白かったとか、ここをこうしたほうがいい、いやこっちがいいとか、そういうのでいいんだよ。

 どうしてこうなった。どうしてこうなった。

 と、豚足が、豚足が、夢に出てくるんだ(^p^)

 お、おぎゃあああああああああああああああああああああ。

 美人になあれッ……美人になあれッ………!! 払います、払いますから、この共和国の雌豚どもを整形、いな、成型して……。

 いやだ、いやだ大佐。戦争なんてしたくない……大佐、助けて……。


434以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/02(日) 23:09:15YoIGODIs (1/1)

このSSが>>1でないと書けない理由が
なんとなくわかったきがする……のか?


435以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/03(月) 00:27:544FnXQmNY (1/1)

>>1の書くアニちゃん達が恋しいよ
生きて>>1


436以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/03(月) 01:35:21jI9cp3kY (1/1)

生きてくれ。


437以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/03(月) 10:04:45.4QgvH1E (1/1)

輪姦兵団、だと……?ゴクリ


438以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/03(月) 18:28:25F9eVORpQ (1/1)

前いってたリヴァペトも読みたくなってきたなぁー(ゲス顔)


439以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/03(月) 18:38:34ZmKAZ1X2 (1/1)

人でなし!



あ、僕は10歳アニをキボンヌ


440以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/08(土) 21:30:18J9H5i4.U (1/1)

続き待ってる。


441以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/09(日) 00:24:224rsqlbSs (1/1)

種付の方も…


442◆B2mIQalgXs2014/03/09(日) 22:29:04FnlIlVPA (1/1)

※種付けのことは今は考えさせないでくれぇうえへへへ(^p^)

 SAN値が下がるんだぁぁへはは(^p^)

 明日、明後日あたりはドリフターズに投下します。

 こっちの方は来週あたりかなあ。

 ところで有休とって投下じゃーっていう日にこのスレがいくえふめいになっていたので、むしゃくしゃしてこんなの書いてしまいました。

 よかったら読んでみてください。SAN値下がるかもしれないけど。

 エレン「俺が同期の女をレイプしてアヘ顔ダブルピースさせる話」
 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1394113020/l50


443以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/10(月) 10:05:27jyjwIU0w (1/1)

うぬか
あれを記ししはうぬか


444以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/12(水) 10:07:558HdfMl5U (1/1)

このスレが落ちるのが先か1の精神が落ちるのが先か
どっちが速いか確かめてみようぜ、というやつだな

保守(意味ありげに


445以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/16(日) 22:34:59PVKnQzN2 (1/1)

保守あげ


446以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/21(金) 22:43:13v/2qJXN6 (1/1)

こっちも続き待ってる。


447以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/23(日) 15:36:43uzlJBKcw (1/1)

レイシング開始と同時に深夜を離れて半年ぶりくらいに来てみたけどまだ続いてたとは・・・

頑張れ


448以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/28(金) 01:47:44.0.N1LG6 (1/1)

もういっそのことレイジングを別のスレに移してはどうだろうか

あのニヤニヤしながら見てたジュマンジが恋しい…


449◆B2mIQalgXs2014/03/30(日) 21:11:339RaFMVxc (1/1)

※さあ、明日から中国だ。 >>1です。

 来週金曜夜には帰ってくる短期出張です。>>448の提案を読んで、かなり思うところがありまして、出張の間にアンケートを実施したいと思います。
 なお、ジュマンジの番外編はまだまだネタがあったりします。

 アルミン「林間兵団?」
 ⇒臨海兵団の続き。今度は山だ! 狩りだ! 熊だ! 鹿だ! 逃げろ、サシャとリョウリ=ニンたちが来るぞ!

 ジャン「おい、アルミン? 何作ってんだ?」 マルコ「それは、車輪かい?」 アルミン「自転車だよ」とか。
 ⇒座学・技巧においてトップクラスのアルミン。馬より遅いが生身より早い、そんな乗り物を友人たちの協力を経て開発。
  後にツール・ド・シガンシナ、ブエルタ・トロストなど、様々なロードレースが開催されるに至る。
  人を魅了してやまないその乗り物が、天才アルミンの手によって生み出されようとしていた。

 ライナー「料理で」 ベルトルト「最大の難敵」 サシャ「アニに勝ちます!」 料理人「ですの!」
 ⇒山奥組のタツジン=シェフクラスのチョウリ=ジツの始まりは、アニにあった!? 突如始まる料理対決。
  果たしてアニの料理の実力とは? 勝負の行方は如何に?! 

 というわけで、アンケです。

①レイシングをこのまま続ける。現実は非情である。
②ダイジェスト形式で要所要所ピックアップして終わらせる。
③レイシングはこのまま未完で終わらせて、ジュマンジの番外編を書いてもいいのよ?
 
 不思議と愛着がわいてしまったジュマンジシリーズ、そろそろ区切りをつけたく思っています。

 信じられないだろ………もうこのシリーズ10か月続いてるんだぜ………。

 では、よろしくお願いいたします。


450以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/30(日) 21:35:02aFP9pi1g (1/1)

逆に考えるんだ
ジュマンジやってからレイシングやればいいさと


451以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/31(月) 00:14:11mqo3Rnww (1/1)

両方のシリーズ交互に続けてほしい。気長に待つよ。乙。


452以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/31(月) 11:28:43Z21V3SgQ (1/1)

ゆっくり読むからゆっくり書いていいのよ?


453以下、名無しが深夜にお送りします2014/03/31(月) 17:21:44v82Q/Ncc (1/1)

時間かかってしまうものが他のネタの足を引っ張っるなら思いつくものをガンガン書き散らしていって欲しい
結果いくつか未完になってしまっても構わない
面白い人のSSならたくさん読みたいからな


454以下、名無しが深夜にお送りします2014/04/01(火) 23:52:02YybiSAg2 (1/1)

>>453と同意見で、それぞれ
“ジュマンジの林間兵団”みたいに個別でスレ建てて
それでしっちゃかめっちゃやりゃいいと思う


455以下、名無しが深夜にお送りします2014/04/05(土) 00:22:17xw6xyELM (1/1)

要するにこの人が書く作品全部読みたいってことだな。


456以下、名無しが深夜にお送りします2014/04/06(日) 17:59:32MKlJa51o (1/1)

レイシングはなんつーか
ぶっちゃけここまで設定も舞台もキャラも別物にしちゃうなら進撃SSとしてやる意味がほとんど無いのがな


457以下、名無しが深夜にお送りします2014/04/07(月) 22:07:35Q7lNVO5U (1/1)

いや、逆にここまで来たら、ジュマンジ第2弾を出すべk(ry
でもレイシングは怖い。てか>>1の第2弾とか期待して良いの?(w
とりあえず、仕事とSSの両立、頑張ってちょ


458以下、名無しが深夜にお送りします2014/04/08(火) 00:51:03QNx8qq8U (1/1)

エレン「ザスーラ…?」的な?
思い付いたの全部読みたいなぁ
アルミンの服が破れた事に気付くハーレムパターンとか


459以下、名無しが深夜にお送りします2014/04/09(水) 18:39:584EXONnAQ (1/1)

ごめんなさい、アンケート遅れたと思いますが一応…

正直レイジングは未完で全然いいので>>1の新しい作品が読みたいです

やっぱり笑って読める作品が一番…


460以下、名無しが深夜にお送りします2014/04/10(木) 10:20:26H4xEfiXY (1/1)

どんなでもどこまでもついていくさ。

あなたのエロもギャグもキチも大好きさ!


461◆B2mIQalgXs2014/04/16(水) 21:54:38hAc/vr6A (1/1)

※>>1です
 こっちにジュマンジ番外編的なものを投下中です。アニがブッ壊れております
 アニ「私はアニ・レオンハート。10さい。乙女なの」
 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1397309606

 こっちもぼちぼち投下していきます。


462以下、名無しが深夜にお送りします2014/04/22(火) 20:45:50kJIBo2xE (1/1)

保守である


463以下、名無しが深夜にお送りします2014/05/02(金) 01:12:50XnaM6QTc (1/1)

保守


464以下、名無しが深夜にお送りします2014/05/05(月) 20:28:493VDHh00o (1/1)

先日ジュマンジ1から読み始め、とうとうここまで追いつきました。
あなたの書く作品が大好きです。保守


465以下、名無しが深夜にお送りします2014/05/11(日) 02:05:13JnX.EvUY (1/1)

保守


466以下、名無しが深夜にお送りします2014/05/17(土) 23:44:39YGDXhW1s (1/1)

支援


467以下、名無しが深夜にお送りします2014/05/23(金) 23:48:16MV96LRS2 (1/1)

保守。


468以下、名無しが深夜にお送りします2014/05/24(土) 21:01:38MC2f6UH6 (1/1)

ほしゅ


469以下、名無しが深夜にお送りします2014/05/25(日) 23:06:41tkMj8Xns (1/2)

ほしゅ


470以下、名無しが深夜にお送りします2014/05/25(日) 23:07:14tkMj8Xns (2/2)

ほしゅ


471以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/04(水) 01:22:49fPYkr9kM (1/1)

支援


472以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/06(金) 00:21:41yswWmPJU (1/1)

我輩はヌコである
保守


473以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/15(日) 00:48:46jPPGONPs (1/1)

保守


474◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:06:28L.y/C0dU (1/26)

※お久しぶり、>>1です。

 まず、レイシングは凍結扱いにします。

 ひとまず思いついた番外編とか投下していきます。


475◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:08:05L.y/C0dU (2/26)

………
……


~849年 秋~

訓練兵団への入団から一年半が過ぎた。全訓練課程の半分が終わり、いよいよ折り返し。暑い夏を超え、やっと秋が訪れたころのお話。


エレン「秋真っ盛りだな」

アルミン「うん。食べ物がおいしい時期がやってきたね」

エレン「少し空っ風が染みるな。夏が終わった途端に冷え込んできやがった」

アルミン「うん。ちょっと物臭しちゃいそうになるね」

エレン「しかし、問題だな」チラリ

アルミン「うん。以前から問題視していたけれど、こいつは厄介だよ」チラリ


ミカサ「ヤツが………ヤツが来る………冬が近づいてきている。なんてこと………」ガタガタブルブル

アニ「寒い。いやだ。こんなところにいられるか。私は布団に引きこもるよ」ソソクサ


エレン「まさかこの二人がここまで寒さに弱いとは………」

アルミン「アニが寒がりってのは去年知ったけれど、ミカサはそこまでじゃなかったのに、どうして………」


476◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:10:24L.y/C0dU (3/26)


ミカサ「さむい。ゆびがいたい。きんにくが、きんにくがちぢんでいく………しんからふるえてくる………おなかもすいた………わたしは、わたしはどこにかえればいいの? おしえて、エレン………」ガチガチガチ

アニ「!? え、エレン! アルミン!! ミカサが、ミカサが!!」

ミカサ「さむくなると、シバリングのたはつによってカロリーがよけいにしょうひされ、やがてカロリーぶそくとなったみかさは、いとあわれにもこおりづけとなってしんでしまうのだ」ブルブルブルブル

アルミン「スゴい理論だね」ネーヨ

エレン「そういや筋肉質な人は寒さに弱いとか聞いたことがあるような」

アルミン「そ、そうか………訓練兵団での訓練の日々によって鍛え上げられたミカサの肉体は余分な脂肪を根こそぎ削ぎ落したが、皮肉なことに寒さにはめっぽう弱くなってしまったんだね」

アニ「フッ………氷の女と呼ばれた私が、なんたるザマだ………ごめんね、お父さん。私、帰れない…………」ガチガチ

ミカサ「ああ………体のコントロールが、効かない………む、むねん………」ブルブル

エレン「悲劇だな」

アルミン「喜劇だよ」


477◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:17:38L.y/C0dU (4/26)


~宿舎前~


エレン「さて、アニもミカサも布団に引きこもっちまったが、どうする」

アルミン「今日は休日だからいいけど、このままじゃ訓練にも支障をきたすよ。なんとかしなくちゃ」

エレン「っつってもなあ………寒さをどうにかしろっつっても、厚着するぐらいしか思い浮かばねえぞ?」

アルミン「去年それで大失敗したじゃないか。アニがまともに立体機動できないくらい着膨れて、それを見たライナーが『お? なんだアニ。とうとうエレンの子を妊娠したのかガハハ』っつって、お約束の如く半殺しにされて」

エレン「つってもなあ。厚着してもダメ、湯たんぽ使ってもダメ。どうすんだよ」

アルミン「大丈夫。実は昨年の失敗を考慮した秘策がある」

エレン「おお」

アルミン「そもそも寒がりという点を改善すればいいんじゃないかな」

エレン「というと?」

アルミン「それはもちろん―――――」



……
………


478◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:22:33L.y/C0dU (5/26)


………
……


~厨房~

エレン「料理?」

アルミン「うん。体を温める料理を作ってあげれば、寒さに耐性がつく。本格的な冬が来る前に、体質を冬向けにしてしまおうってことさ」

エレン「おいおい、言うのは簡単だけどよ、そんな都合のいい料理なんか知らねえぞ? それに俺にしてもアルミンにしても、あんまり料理は得意じゃないだろうが」

アルミン「エレンの言いたいことも分かるよ」

エレン「なんかあるのか?」

アルミン「僕は野菜くずの浮いた薄い味のスープや、お爺ちゃんの作ったヤケに柔らかいだけで味のほとんどない料理ばかり食べてきた人間だ………」

エレン(一気に不安になってきた)

アルミン「だけど、僕には薬草や薬膳の知識はある。それに煮るだけの簡単な料理なら僕にだって作れるよ」

エレン「ヤクゼン? なんだそれ」

アルミン「うん。王政府が解体されて、外の世界の本が解禁されたでしょ? 解禁された本の一つに、医術と食事を同列に見て、栄養、効果、色、香り、味、形などを全てそろえた食養生の方法………薬膳の本があったんだ。それを試してみたいと思う」

エレン「んー………まあ、何もしないよりはましか。いっちょやってみようぜ!」


479◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:25:08L.y/C0dU (6/26)


エレン「さて、どうすればいい? 指示をくれよ、アルミン」

アルミン「オーケー。まずは大量の鶏ガラを軽く湯がいたらザルにあけて、流水で洗ってゴミを取る」ザバッ

エレン「かなり面倒だな」ヨイショヨイショ

アルミン「やるとやらないとじゃ仕上がりでかなり香りと味に差が出るからね。丁寧にやろう」ウンショウンショ

エレン「おう」エイヤッサ

アルミン「えーっと、次は………洗い終わったら再び水を沸騰させた鍋に入れて、強火にかける」

エレン「アクが出て来たな。こいつを出来る限り取り除いて、と………」スクイスクイ

アルミン「あらかたアクが取れたら、ネギを大きめに切って、ショウガ、クコの実、乾燥なつめ、乾燥リュウガンなどを投入し、蓋をして放置する」


グツグツ


エレン「うん。いい香りがしてきた。そろそろいい感じか?」

アルミン「よし。中の具材は全て取り出して、洗っておいた生米をこのダシ汁に投入し、中火にかける」ザラザラザラザラ

エレン「お? ひょっとして粥を作るのか?」

アルミン「うん。薬膳粥ね。煮立ったら軽く混ぜる。あんまり頻繁にかき混ぜるとトロトロになっちゃうので注意がいる………らしいよ?」

エレン「ってことは、サラサラ系の粥にするのか」


480◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:29:38L.y/C0dU (7/26)


アルミン「さて、後は蓋をして放置すれば完成だよ」

エレン「そりゃいいんだけどよ…………なぁ、アルミン。これって一つ問題があるよな?」

アルミン「うん、分かってる………っていうか、僕も今気づいた。病人用の粥じゃないから、流石にこれだけで食べさせるのは寂しすぎるんだよね」

エレン「何かトッピングできるおかずを作るか?」

アルミン「うーん………残った材料は、お粥に使った材料のあまりと、ダシを取った鶏ガラぐらいかな」

エレン「……とりあえず、鶏ガラにひっついてた身を細切れにして、甘辛いそぼろ風にしてみるか」ジュージュー

アルミン「わあ、エレン上手だね」

エレン「このくらいならな」

アルミン「残ったネギを刻んで………うん。不格好だけど白髪ねぎができた。これもトッピングにしよう」ザクザク

【トッピング】
・白髪ねぎ
・鶏のそぼろ

エレン「………質素だな」

アルミン「………肉の日に慣れきったせいか、そう感じるね。これでも寂しいとか、まったくいい時代になったものだよ」


481◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:31:08L.y/C0dU (8/26)


エレン「でもどうせ二人に作ってやるなら喜んでほしいけどな……しかし、俺達には料理スキルがさほどない」ウーム

アルミン「だよね。食材もあんまり残ってないし」ウーン

エレン「どうするか」

アルミン「どうしよう」

エレン「………あいつら呼ぶか?」

アルミン「………呼んだ方がいいかな」

エレン「うむ」

アルミン「うむ」

エレン「呼ぼう」

アルミン「呼ぼう」


そういうことになった。



……
………


482◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:33:49L.y/C0dU (9/26)


………
……


ライナー「呼んだか?」ヨバレテ

ベルトルト「呼んだ?」トビデテ

ν料理人「呼びましたの?」リョウリニーン

エレン「おう、呼んだぜシェフたち」

アルミン「呼んだよ。助けてくれ」

ベルトルト「何を助けてほしいの?」

ν料理人「ですの?」

ライナー「まあ、俺とベルトルトと料理人さんを呼んだ時点で大体予想はつくんだが…………なんだ、薬膳粥か? ………成程。体を温めるのが狙いか」

アルミン「残った食材を見ただけで分かるなんて流石だね」

ライナー「ヤギ肉使うとあったかくなっていいぞ。ヤギ、ショウガ、ネギ。この組み合わせは最強だ。配合次第では人を殺せるレベルにまで体温を高められる」

アルミン「ヤギ肉はさすがに僕らの薄給じゃちょっと………それに殺してどうする」


483◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:35:46L.y/C0dU (10/26)


ν料理人「しかしまぁ、まだ秋口だというのにどうして体を温める食べ物などを?」

エレン「まぁその、ツレが寒さに異常に弱くてな。なんとかしようかと」

ベルトルト「ああ、アニか………そういえば少し冷え込んできてはいるね」

エレン「アニだけじゃなくて、ミカサもな。寒くて死ぬからどうにかしてくれ、と」

ライナー「そういやそういう時期だな。おまえらも幼馴染には苦労してるな」

ベルトルト「それで体を温める料理を作っていたのか。そういうことなら、僕らも手伝うよ」

ν料理人「無論、わたくしも手伝いますの!」デスノ!

ライナー「俺も手伝おう。その代り………」

アルミン「うん。多めに作ってあるから、お粥はおすそ分けするよ」

ライナー「交渉成立だな」

アルミン「ありがとう、助かるよ。といっても、粥はもう完成なんだ。ただ、お粥に合わせるトッピングで、何かいいおかずがないかな、と」

エレン「鶏そぼろと、白髪ネギだけじゃちょっと寂しいだろ?」

ライナー「ふむ、粥に合うトッピングか………」

ベルトルト「そういうことなら、西の漁村から届いた食材を少し分けてあげるよ。ハイ」

アルミン「わあ、ありがとうベルトルト!!」


484◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:38:04L.y/C0dU (11/26)

ベルトルト「どっちみち僕だけじゃ食べきれない量だしね。今日の夕食にでも振る舞おうと思っていたところだから、遠慮なく使っちゃって!」

エレン「サンキュー、ベルトルト! お、塩昆布とおかかはこのままでもイケるけど、アサリと海苔は?」

ベルトルト「粥に合わせるなら佃煮にでもしようか。すぐ作るよ」

エレン「悪い。助かる」

ν料理人「もずくはこのままでもいいですが、てんぷらもありですの」フム

ライナー「せっかくだ。何か俺も作るか…………アルミン。この余った鶏皮使っていいか?」

アルミン「うん、いいよ」

ライナー「フライパンでカリカリになるまで鶏皮を炒めて、鷹の爪を入れ、塩コショウで味付け。仕上げに胡麻油をサッとひと回し………ピリ辛パリパリ鶏皮の千切りの出来上がり、だ」

エレン「おお!」

ライナー「シンプルだがうまいぞ。食感パリパリで噛むと脂が滴る。実にジューシィだ」

エレン「」ゴクリ

アルミン「」ゴクリ


485◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:40:06L.y/C0dU (12/26)


【トッピング】
・白髪ねぎ
・鶏のそぼろ
・塩昆布
・おかか
・アサリの佃煮
・海苔の佃煮
・もずく酢
・ピリ辛パリパリ鶏皮


ベルトルト「うーん。弾数は揃ってきたけど、野菜分が不足してるね」

ライナー「もう一品作りたいところだが………油揚げと、生の剥きエビ、牡蠣、アワビ、イカ、タコ、アサリに………鶏卵と牛乳と、作り置きのバターにチーズ、各種調味料だけか。見事に野菜がない」

アルミン「ネギならあるけど」

エレン「それと米」

ベルトルト「うーん………」

ν料理人「肝心のブツと先立つモノがない以上、無理難題ですの」


486◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:41:51L.y/C0dU (13/26)


サシャ「いい匂いがします………何作ってるんですか?」

コニー「おーい、リョウリニン! これ使ってなんかウマいもん―――――って、おまえらか?」

エレン「お。サシャ、コニー。なんだ、匂いにつられてやってき………」

アルミン「ああ、二人とも。何のよ………」

サシャ「何かおいしいものを作ってるんですか? 私にもください!」

コニー「どうした? 何を固まってんだよ」


エレン「―――――くさい」


サシャ「え?」

コニー「は?」

アルミン「凄く臭い。臭い。君たち、凄く臭い。何の匂いなのコレ」

ν料理人「鼻が曲がりそうですの!! 信じられないくらい臭いですの!!」

ライナー「す、すまんサシャ。フォローできんぐらい臭い。牛小屋や馬小屋と似た匂いがする………」

ベルトルト「うん。正味な話、排泄物のにおいがする」


487◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:43:35L.y/C0dU (14/26)

コニー「し、失礼だなおまえら! そんな態度じゃ分けてやらねーぞ!」プンスカ

エレン「ウ○コなんかいらねえよ!!」

コニー「ウ○コじゃねえよ!! 食いもんだよ!!」

サシャ「あー、ひょっとしてコレですか?」ヒョイ

エレン「そ、その籠か。何入ってんだ? クソか何かか?」

アルミン「コニーの籠には………あ、栗だね。それとミカンに、これは鴨かな?」

ライナー「サシャの籠は…………ってくせええええええええええええ!!」

ν料理人「オゲロロロロロロ」ビチャビチャ

コニー「ギャーーーーー!?」

ベルトルト「こ、この匂いはギンナンかい?」

サシャ「正解です! 栗とギンナンの炊き込みご飯を作ろうと思いまして、コニーと山に行ってたんです!!」エッヘン

エレン「くせええええええええええ!! くっせ!! くっせええええええええええええええええ!!!」

サシャ「エレン、うるさいです! ギンナンは確かにくっさいですが、この中に美味しくてキレイな実が詰まってるんですよ!」

コニー「そーだそーだ。これから中身取り出すんだよ。下処理はめんどいけど、すげえウマいんだぜ」


488◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:48:17L.y/C0dU (15/26)


エレン「マジかよ………そんなくっせえのからウマいもんが出てくるのか………?」

コニー「おう、うまいぜ! 軽く炒って塩振って食うと、ほのかな甘さと苦味があってな。ほくほくでうめーんだ」エッヘン

サシャ「他にもいっぱい収穫があったんですよ! 外の荷台にたっぷり積んであります!」エッヘン

ライナー「他にも?」


~厨房前~


ベルトルト「うわあ、荷台に野菜やら果物やらが満載だね……」

ライナー「サツマイモ、にんじん、ジャガイモ、レンコン、たまねぎ、オクラ、サトイモ、ズッキーニ、カボチャに、りんごにぶどうに柿に、シイタケなどのきのこ類はともかく……」

エレン「な、なんなんだこの血まみれの肉塊は…………五十キロはあるぞ?」

サシャ「いやあ、コニーと山に栗やギンナンを拾いに出てたら鴨がいたので、せっかくだから狩っていこうと思いまして、コニーが射掛けたんですよ」

コニー「天才のおれさまとしたことが一射目を外しちまってな。まあそこは天才のおれさま、二射目で仕留めたんだけど、外しちまった一射目が、なんつーか、その」

サシャ「物陰に潜んでいた冬眠前の肥え太った熊に命中しまして」

ライナー「」

ベルトルト「」


489◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:50:00L.y/C0dU (16/26)


コニー「襲い掛かってきたから返り討ちにしてやったんだぜ!」

エレン(なぜ逃げるという発想がない)

サシャ「そしてその場で捌きました」

コニー「解体中はずいぶん暴れたなー、コイツ」

アルミン「生きたまま解体したのかい!? コワイ! 狩猟民族コワイ!」

サシャ「何言ってるんです、アルミン。熊は興奮させてから仕留めた方が味が良くなる。これ即ち山の常識です」ムフー

コニー「アルミンって意外とモノを知らねえよなー」ハハハ

アルミン(うわー腹立つぅー!)

エレン(おっかねえ。狩猟民族おっかねえ)

サシャ「そして捌き終わった後に、重大なことに気づいたんです」

コニー「ああ、天才のおれも考えもしなかったんだぜ。熊は―――――重くて、二人じゃあ運べないってことに」

ライナー(馬鹿だ! 筋金入りの馬鹿だ俺の嫁は!)ダガカワイイカラユルス

ベルトルト「ああなるほど。話が読めて来たよ」

アルミン「うん。つまり山のふもととかにある農家の人に熊肉と野菜の物々交換を持ちかけたとか、そういうことでしょ?」

サシャ「正解です!」


490◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:52:21L.y/C0dU (17/26)


エレン「じゃあ、俺達とも物々交換しねえか? 薬膳粥とトレードでさ」

サシャ「すぐに食べられるものならウェルカムですよ。それに山ほど野菜貰っちゃってどうしたものかと思っていたところです」

コニー「おれはうめーもん作ってくれるなら、いくらでも持ってっていいぞ。おれ、料理とか干し肉以外はあんまりわかんねえし」

アルミン「ありがとう! これで野菜分は確保できた!」

ν料理人「では秋ナスですの。どうしましょうか? わたくしはシンプルに焼きがいいと思いますの。味付けはかつおぶしとお醤油で」

ライナー「それもいいが、トッピングなら甘辛い煮浸しにするのもいいと思うが。さっぱり系の粥には濃いめの味付けが合うだろ」

ベルトルト「せっかくだから熊肉を使ったナスの肉詰めなんかどうだろう。味噌味で」

サシャ「じゃあ全部やりましょう」

ν料理人「ヤキナス!」ジュー

ライナー「ニビタシ!」グツグツ

ベルトルト「ニクヅメ!」セッセッ

コニー「すげえ、見る見るうちに料理が出来上がってくぜ………」

アルミン「ワザマエ!」

エレン「どれもうまそうだな」ゴクリ


491◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:54:12L.y/C0dU (18/26)


エレン「うん。随分とトッピングが増えたな」

アルミン「というかもはやメインで行けそうなトッピングだねこれ」

ν料理人「せっかくだからもう一品、油揚げを使ったものをご用意いたしますの………では、サツマイモとレンコン、カボチャを茹でますの」テキパキ

ライナー「! 成程、そりゃいい。んじゃ、茹であがったら細かく刻む」ザクザク

ベルトルト「僕の方はギンナンと栗。これらは焼いて、殻をむいて、と」セッセ

エレン「これで完成か?」

アルミン「いや、そんなはずはないよ。まだ油揚げを使ってない………」

ライナー「分かってるじゃないかアルミン。このように油揚げに切り込みを入れて……ホレ、袋になった」

ベルトルト「そこに塩コショウで味をつけた茹でた食材と、栗とギンナン、そしてシラタキを詰めて………つまようじで口を閉じる。秋の味覚たっぷりの巾着が出来上がり」クルクル

エレン「完成だな!」

ライナー「まだまだ。こいつを軽く炙る」パチパチ

アルミン「わあ、パリパリしておいしそう」

ν料理人「その間に細かく刻んだシイタケ、たまねぎ、にんじんをフライパンで炒めて、そこに酒、みりん、しょうゆ、砂糖、酢を入れて煮詰めますの………」グツグツ

ベルトルト「仕上げに片栗粉を入れて………とろみのついた『しょうゆあん』の出来上がり」トローン

ライナー「こいつを焼いた巾着にかければ………」トロッ


492◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:56:43L.y/C0dU (19/26)


トロロォーーーン

ベルトルト「秋の味覚ぎっしり巾着のとろとろあんかけの出来上がり」

ν料理人「ですの」ドヤァ

エレン「」ゴクリ

アルミン「」ゴクリ

サシャ「」ゴクリ

コニー「」ゴクリ

ライナー「エレンが作った鶏そぼろを入れてもウマいぞ。炒めもやしを一緒に入れると食感もいい感じになる」

ベルトルト「サシャとコニーが食べたがってた栗とギンナンの炊き込みご飯に『あん』をかけても美味しいよ」

コニー「まじか! くぅううう! 飯時が楽しみだぜ!」

サシャ「あとで作ってみます! きのこたっぷりいれたあんかけにします!」

ライナー「おっ、そりゃうまそうだな」


493◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:58:35L.y/C0dU (20/26)


ライナー「………っと、エレン、アルミン。粥のトッピングにゃあこんなもんでいいだろ? もう昼もまわったし、腹すかせてるだろ。持って行ってやれよ」

【トッピング】
・白髪ねぎ
・鶏のそぼろ
・塩昆布
・おかか
・アサリの佃煮
・海苔の佃煮
・もずく酢
・ピリ辛パリパリ鶏皮
・焼きナス
・ナスの煮浸し
・熊肉のナス肉詰め
・秋の味覚ぎっしり巾着のとろとろあんかけ


エレン「十分すぎるぜ! ありがとな、ライナー、ベルトルト、ν料理人!」

アルミン「本当にありがとう!」

ベルトルト「どういたしまして」フフ

ν料理人「なんのなんのですの!」ムン


494◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 21:59:50L.y/C0dU (21/26)


ライナー「さて。それじゃあ俺は夕食の仕込みだな。この牡蠣を使って、グラタンでも作るか」

ベルトルト「僕は海の幸を山ほど使ったリゾットを。これを今日の夕飯のメインにしようか」

ν料理人「ではわたくしは、前菜としてカボチャのクリームスープと………温野菜サラダでも作りましょうか」

サシャ「おお、鯛があるじゃないですか! 鴨の肝を塗って焼いてみますか」


チョ、ナンテモッタイネーツカイカタヲ
チョット!! タイハイチビシカナインダヨ!?
ワタシガクライツクシマスノデモンダイアリマセン
オマエサイアクダナ?!
オレサマハウマケレバナンデモイーゾ?

ヤイノヤイノ



……
………


495以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/17(火) 22:01:19rhNipD9. (1/1)

くそ、この時間にメシテロはやめろ。グゥ~


496◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 22:02:34L.y/C0dU (22/26)

………
……


~宿舎~


ミカサ「さむいよ………くらいよ………せまいよ………」ガタガタ

アニ「フフフ、パトラッシュ、暴力はいいぞ!」ブルブル

エレン「手遅れだったか?」

アルミン「いや、間に合うはずだ」

エレン「おーい、ミカサ、アニ、メシだぞー」

ミカサ「…………!! いいにおい」ガバッ

アニ「! ショウガの香りがする………」

エレン「ほら、あったかくなる料理作ってきたから、これ食って元気出せよ」

ミカサ「うん………たべる」モグッ

アニ「そういえばおなかすいてたんだよね。気が利くじゃないか、二人とも………(粥? なんで?)」ハグッ

ミカサ「!!」

アニ「!!」


497以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/17(火) 22:06:04Vj.YIeQ6 (1/1)

なんという飯テロ更新!待ってました!


498以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/17(火) 22:11:34i.RnX5.g (1/1)

帰ってきた。マジうまそう。乙。


499以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/17(火) 22:17:43YL8ph27. (1/1)

おかえりなさい!


500◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 22:18:12L.y/C0dU (23/26)


アルミン「美味しくできてる?」

ミカサ「うん……おいしい。じんわり、体があったかくなってくる。優しい味がする」

アニ「これは、薬膳? 意外なものを作ったね、エレン、アルミン。うん、ぽかぽかしてきた」

エレン「よっしゃ!! 俺らも食おうぜ、アルミン。考えて見りゃ、俺達も昼飯食ってねえ」

アルミン「うん。いっただきまーす」


モグモグ パクパク アグアグ ハグハグ


アニ「うん。良いダシが出てるね。ちゃんと鶏ガラを丁寧に煮た、本格的な薬膳だ。入ってるのはショウガにネギ………クコの実とリュウガン、それとナツメかな」

アルミン「あたり。やっぱりアニはいい舌してるね」

ミカサ「このそぼろ、優しい味がする………これはエレンが?」

エレン「おう。初めて作ったわりにはいいデキだろ?」ヘヘッ

ミカサ「こっちの焼きナスも素朴な味わい………煮浸しはとろりとしていて、食欲が増してくる」オイシイ

アニ「ん。この巾着のあんかけ………トロトロのあんに浸っていても、お揚げはパリパリ、中身はいっぱいの秋野菜のうまみと、ギンナンの滋味深さと栗の甘味………うん。美味しい。この味はライナーか、ベルトルトか。相変わらずいい腕だね。」

エレン「はは、さすがにバレたか。あいつらにも手伝ってもらったんだ」

アニ「後で礼を言っておかないとね。ミカサ」


501◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 22:20:09L.y/C0dU (24/26)


ミカサ「ぱくぱく、もぐもぐ………うん。白髪ねぎをお粥に浮かべると、シャキシャキとしんなりの中間の面白い食感になる。美味しい」モムモム

アルミン「あ、それ僕が作ったんだ。ちょっと不格好だけど、結構お粥に合うでしょ?」エヘヘ

ミカサ「ええ。凄くおいしい………ありがとう、アルミン。そしてエレン」

エレン「何言ってんだ。俺とお前の仲だろ。家族なんだから、困ってたら助け合うのが当たり前だ」

アニ「単調な粥の味わいに飽きてきたところに、この佃煮や塩昆布はいいね。味が引き締まるよ。おかかも実に味わい深いね」ズルズル

エレン「こっちの熊肉の肉詰めもいい感じだぜ。熊っていうとカタそうなイメージあったけど、口の中で脂がさらりと溶けて、何とも言えない肉の香りが残る」モグモグ

アルミン「さっぱりしたもずく酢もいいね。食欲が増すよ。鶏皮のパリパリした食感がいいね。辛いけど、お粥に合わせるとちょうどいい辛さになって……」ハムハム

ミカサ「…………」アムアム

アニ「…………」モムモム

エレン「…………」ガツガツ

アルミン「…………」パクパク


エレアルミカアニ「「「「はふー…………」」」」


502◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 22:25:28L.y/C0dU (25/26)


エレン「食ったなぁーー……」

アルミン「お粥って、結構腹にたまるものなんだねぇ………」

エレン「で、どうよ? 体、あったかくなったか?」

ミカサ「ええ。お陰様で、カロリーも摂取できたし、ショウガとネギでぽかぽかあったかい」

アニ「うん。だいぶマシになったね。定期的に食べれば、少しは寒さにも強くなれるかな」

エレン「やったぜ」

アルミン「やったね!」

ミカサ「まあ、それはさておき」

アニ「そうだね。それは置いておいて」



アニ「エレン。おかわりだよ」

エレン「へいへい」ハハハ

ミカサ「アルミン、おかわり」スッ

アルミン「はいはい」ヨソイヨソイ

~完~


503◆B2mIQalgXs2014/06/17(火) 22:27:29L.y/C0dU (26/26)

※今回の目的ですか。メシテロです。

 悪いとは思ったが反省はしていない。

 >>1は7月から休職手続となります。ヘルニアがやっべえんですわマジで。

 コンスタントには難しいですが、週1ぐらいで投下できるように頑張ります。

 今後ともよろしくお願いします。


504以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/17(火) 23:19:43/m5o/lq2 (1/1)

>>1乙
くそぅまんまと飯テロ見て腹減ったじゃねーか。久々に>>1の書くジュマンジ見れてうれしいです。今後も舞ってる(半裸待機中)


505◆B2mIQalgXs2014/06/20(金) 19:09:45OHSRL8kQ (1/4)


※ちょっとした短編集をば。


サシャの簡単クッキング
~じゃがバター編・CROSS†CHANNEL風~


サシャ「シェフのサシャです。そしてこちらは助手の」

コニー「こにぃれす(^p^)」

サシャ「ではさっそくじゃがバターを作っていきましょう」

コニー「あっ、ちょーちょ(^p^)」パシッ

サシャ「コニー、それは蛾です」

コニー「きちょーなたんぱくげんなのら(^p^)」モッチャモッチャ

サシャ「やめてください。シャレにならんくらい物悲しい気分になってきます」

コニー「あい(^p^)」ゲプー

サシャ「気を取り直して始めます。まずは火を起こします」

コニー「くるいもだえます(^p^)」ピギィィイイイ

サシャ「喜びで! つづいて手ごろな大きさの石を放り込んで加熱していきます」ポイッ


506◆B2mIQalgXs2014/06/20(金) 19:11:02OHSRL8kQ (2/4)


コニー「じゃがいもになー、だいすきなひとのなまえをつけるのらー(^p^) おれはなー、かーちゃんとー、サニーとー、マーティンってつけたのらー(^p^)」エヘヘヘ

サシャ「風味が増しますね。ではジャガイモをホイルに包んで、笑顔で石に投げ込みます」

コニー「か、かーちゃぁあああああああああん!! サニィィイイ!? マーティィイイイイン!!!(^p^)」

サシャ「焼きあがるのを待ちます」

コニー「うあ、あう、あああ………(^p^)」ポロポロ

サシャ「家族を失って悲しみに暮れるコニーを嘲りながら待ちます」クスクス

コニー「う、ううっ、ぐずっ………(^p^)」グスグス

サシャ「鼻水垂らして泣きじゃくるコニーを指さしながら笑って待ちます」プププ

コニー「そ、それでも………おれは、りっぱなへーしに、なるんだじぇ………(^p^)」キリッ

サシャ「哀しみを乗り越えて人として大きくなったコニーに舌打ちしつつ待ちます」チッ


507◆B2mIQalgXs2014/06/20(金) 19:11:34OHSRL8kQ (3/4)


コニー「かなしくてもおなかはすくのじぇ………(^p^)」グゥゥウウ

サシャ「待つのをやめて、ジャガイモを取り出して皿に移します」

コニー「いたらきまーす(^p^)」ガツガツ

サシャ「バター(有塩)をつけます。『コニーはそのまま食ってるからじゃがバターじゃないじゃん?』とかいう些細な疑問はうっちゃります」

コニー「げふっ(^p^)」ゲップ

サシャ「いただきます」


~完~


508以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/20(金) 20:33:14O/KQmtvY (1/2)


サシャとコニーは変なキノコでも食べたの?


509以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/20(金) 21:20:28suW6nzh2 (1/1)

仕様じゃね


510◆B2mIQalgXs2014/06/20(金) 22:01:55OHSRL8kQ (4/4)

※裏設定。

 サシャはライナーとの結婚間近でちょっとマリッジブルー的なアトモスフィアに包まれていて精神が不安定気味。
 頭を打って精神が一時的に退行しているこにぃの面倒を見てきたせいで少しスレている。

 こにぃは訓練で頭を打ったせいで、一時的にクレイジーな幼子風味になってしまった。
 動くものを見つけるととりあえず食おうとする残念な脳味噌をしているが、家族思いのええ子。


511以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/20(金) 22:23:10O/KQmtvY (2/2)

予想外に生々しい設定だな……


512◆B2mIQalgXs2014/06/21(土) 18:49:47xkF1//8A (1/5)


番外編「いいじゃないか。考えるだけなんだから。考えるだけなら罪じゃないだろ。俺は悪くねえ、俺は悪くねえ!」

エレン「裸エプロン」
アルミン「定番にして王道、根強い人気を誇るみんな大好きエロエロコスだね。僕も好きだよ。むしろ断然アリだね。調理中に背後からズブリとやるワケだね」

エレン「裸Yシャツ」
ジャン「霧吹きはオプション完備だよな。ピンクのポッチが徐々に透けてくる様は想像するだけで滾るわー」

エレン「裸パーカー」
ライナー「当然少しブカブカのサイズで、顔を真っ赤にして裾を両手で押さえたりするわけだな。おまえ天才だな」

エレン「裸立体機動ベルト」
ベルトルト「何それ捗る。サスペンダーっぽいベルトの食い込みがたまらないね! アレだろう、『俺の立体機動装置を装着してやるぜグヘヘ』とか言って襲うわけだろう? パないよそれ」

エレン「裸首輪、もしくは裸チョーカー」
ユミル「おまえ絶対ドSだろ。服従させたい、隷属させたいって願望が透けて見えんぞ。まあ私も好きだが」


アニ「何の話してんのあいつら………」

ミカサ「結婚したらエレンがやってみたいエロプレイのシチュエーションがうんたらかんたら」

アニ「オーライ、クソッタレ。あのエロガキめ、粛清してやる」ジャキッ

サシャ「私も行きます」ジャガッ

クリスタ「私も」シャガッ

~完~


513◆B2mIQalgXs2014/06/21(土) 19:01:21xkF1//8A (2/5)


番外編「結婚したので実行に移してみようと思います」


エレン「な、なあアニ。今夜はこれを………」エプロン

アニ「嫌だよ。はしたない」フン

エレン「じゃ、じゃあこれを………」Yシャツ

アニ「嫌だよ。汚らわしい」プイッ

エレン「こ、これならいいだろ? な?」パーカー

アニ「………まあ、それくらいなら」

エレン「バンザイヤッターーー!!」ニコニコ

アニ(男ってやつは分かんないなホント………まあ、可愛いっちゃ可愛いね)ヤレヤレ


514◆B2mIQalgXs2014/06/21(土) 19:29:20xkF1//8A (3/5)


番外編「計画通り」


アニ「…………ど、どう?」ハダカパーカー

エレン(うおおおおおおおおおおおおお!!)サイコウ!!

アニ(こ、これ、思ったより恥ずかしいかも………っていうか、裸より恥ずかしいような………)モジモジ

エレン「いいッ! すごくいいッ!! アニかわいい!!」

アニ「ば、バカじゃないの………(やっばいこれすっごい恥ずかしい。あ、やだ。乳首浮いちゃってる………)」サッ

エレン(隠すしぐさがぁああああああああああああ!!!)イイ

アニ「っ、う………(うう、足見られてる………胸元も……自意識過剰かな。でも、いつもよりエレンの視線が熱っぽいような……)」アウアウ

エレン(も、もう辛抱溜まらん)ガバッ

アニ「あっ、やっ………んっ」


515◆B2mIQalgXs2014/06/21(土) 19:40:34xkF1//8A (4/5)


番外編「想定外だ」


エレン「はぁ、はぁ………アニ、すげえ可愛かったよ」

アニ「も、もう………(い、いつもより乱れてしまった………情けない)」アウ

エレン「抜くぞ、っつ………」

アニ「ん………(この感覚だけは相変わらずこそばゆくって慣れないな)」

エレン「あ゛」

アニ「どうかした?」

エレン「………落ち着いて聞いてくれ、アニ」

アニ「何よ」

エレン「決して慌てないでくれ。驚くのも無理はないだろうが、どうしたところで過去は戻らない。ジュマンジのような奇跡は早々起こらない」

アニ「だから何?」

エレン「―――――ゴムに、穴が」

アニ「」


――――三ヶ月後、妊娠が発覚。第二子・三子のカレンおよびグレン誕生まで、あと十一ヶ月。


516◆B2mIQalgXs2014/06/21(土) 19:41:59xkF1//8A (5/5)

※という、どうでもいいカレン・グレン誕生秘話。

 この後、エレンはアニに滅茶苦茶リンチされました。


517以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/21(土) 23:05:40uuMceNT6 (1/1)

乙。かわいいけど、落ちに笑ってしまった。


518以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/23(月) 23:06:59L0jTTQWQ (1/1)

そういや、リヴァイとペドラの結婚式の話を考えているといってたけど、
ケニーを絡ませたら、どうなるかな?


519以下、名無しが深夜にお送りします2014/06/30(月) 20:25:488vmudDEU (1/1)

保守


520以下、名無しが深夜にお送りします2014/07/01(火) 16:22:54/tihS7Ls (1/1)

なんだこの世界観


521以下、名無しが深夜にお送りします2014/07/08(火) 00:37:31MLdcEgOI (1/1)

保守


522以下、名無しが深夜にお送りします2014/07/11(金) 23:43:36APOJ5.8M (1/1)

保守


523以下、名無しが深夜にお送りします2014/07/22(火) 00:59:44KxpItE.2 (1/1)

続き待つ。


524以下、名無しが深夜にお送りします2014/07/22(火) 10:26:23CpGXHz2M (1/1)

保守


525◆B2mIQalgXs2014/07/25(金) 20:37:519RERhd/s (1/24)


※かつてPCが逝ったときに外付けバックアップHDDに残っていた進撃SSのネタ帳が見つかったのでなんとなく晒すことにした。


~エレン『エレン? さんをつけろよデコ助野郎』~


エレン「いい加減にしろこのアマ肝臓ぶっ潰れろ!」ドスッ

ミカサ「もるすぁっ!」ガクッ

エレン「なんで風呂場にまでついてくんだよ……そんなに俺のち○こに興味があるのか」ヘンタイ?

ミカサ「べ、別にエレンの背中を流すのを口実にちょっとあんなところやそんなところをじっくりたっぷり見て感じて触れてあわよくばしゃぶってズブリとやりたいだなんて思春期特有の変態的思惑なんてない。私たちは家族だから一緒にお風呂に入ったりするのも実に自然なことでよーしエレンの成長ならぬ性徴具合を確かめちゃうぞグヘヘなんてこと微塵にも考えてない。だから勘違いしないで、私はエレンのことを魅力的なオスとして見てなんかいないし一匹のメスとしての本能がうずいてもう辛抱たまらんなんてことは考えていないの。お願い信じてエレン」ハァハァ

エレン「この変態が脾臓ぶっ潰れろ!!」ドグォッ

ミカサ「いい! あ、ごめんなさい今のなし、痛い!」アヘェ

アルミン「ふふふ、エレンとミカサは今日も仲良しだね」ニコニコ


 エレン・イェーガー。幼き頃からクレイジーサイコストーカーのミカサの魔の手から逃れるため、日々逃げ回っていた。

 自然と逃げ足が鍛えられ、九歳にして百メートル走で十秒を切る走りを身に着ける。

 しかしそれにも限度というものがある。このまま精通を迎える歳を迎えてしまえば、己が貞操が危うい。

 エレンはミカサのストーキングを振り切った後は、日課としてしゃにむに体を鍛えまくることにした。


526◆B2mIQalgXs2014/07/25(金) 20:44:589RERhd/s (2/24)


 その結果、エレンが行き着いたのは感謝だった。

 己を生み育んでくれたシガンシナ区へ、共にある友に、愛する両親に、今日もミカサから逃げきってくれた己の肉体に、そして母なる大地への感謝の祈りをささげ、構え、突く。一日一万本の感謝の正拳突きを続けた末に、ついに羽化。

 一日一万本の感謝の正拳突き、1時間を切る!

 代わりに、駆逐とつぶやく時間が増えた。

 そうしてエレンは一人で一個旅団の働きをするといわれるリヴァイの戦闘力をはるかに上回る化け物へと進化を遂げ、独力でミカサの過剰な性的アプローチを撃退することが可能になったのだ。


エレン「何度でも言うぞミカサ。もう俺にまとわりつくな。まとわりつくとしても段階を踏め。おまえは一足飛びに駆け上がりすぎだ」

ミカサ「分かった。じゃあ服を脱ごう、エレン。受精から始まる愛があってもいいと思うの!」

エレン「このド低脳が子宮ぶっ潰れろ!!」ドムッ

ミカサ「いくっ!」アヘェ

アルミン「お熱いねぇ、二人とも」ヒューッ!


アニ(もうやだ、壁内の連中はクレイジーすぎる………)ガクガク

ライナー(俺が小人に見えるくらいのデカさと尋常でないパワーを持つエレン……そのエレンの打撃を受けてもピンシャンしてるミカサ……それを笑ってみてるアルミン……)ビクビク

ベルトルト(もう何もかもイカれてるだろコレどうやったら勝てんだこいつらに)ブルブル


527◆B2mIQalgXs2014/07/25(金) 20:50:069RERhd/s (3/24)


 山奥組三人にとっては悪夢であるが、この食堂内の光景は日常であった。

 エレンがミカサの腹部を執拗に殴打する音が響く中、食堂の入り口からみすぼらしい姿の男が現れた。

 ―――――山奥組三人は「またか……」と思った。

 男は息を切らせながら食堂内を見まわし、アルミンの姿を確認するや否や、その場で土下座した。


男「おねっ、お願いですッ! あと、あと一週間だけッ………一週間だけ、待ってくださいッ!」

アルミン「成程。いい姿勢だ。まるで頭と地べたと一体化しているようじゃあないか。実にいいッ。僕の好みというものをよくわかっているッ」

男「な、ならっ………」バッ

アルミン「誰が頭を上げていいといったカス野郎」グリッ

男「あぐっ」

アルミン「君は懸命だ。だが賢明ではない。僕の好みは分かっていても、己の立場というものを理解していない。分かるか? あと一週間待ってほしい? その言葉を言うべき時期は一週間前に過ぎている」ゴリリッ

男「う、うぐっ………」


 土下座する男の頭を靴底で踏みつけるというアルミンの傍若無人な振る舞いを非難するものは誰もいない。

 これもまた、食堂内では日常の如く頻繁にみられる光景であった。


528◆B2mIQalgXs2014/07/25(金) 20:54:469RERhd/s (4/24)


アルミン「物事を納得させるにはコツがいる。そこに説得力があるかという点だ。信用だ。分かるかい? 子供のお約束とはワケが違う。これは契約なんだよ」グリグリ

アルミン「だが君は契約を、物事の筋道を曲げろという。君には誠意がない。物事を曲げろとホザくこと自体に誠意など、あるわけがない。土下座しようと腹を掻っ捌こうと、そこに誠意などない。君にあるのは、なんとかして僕を言いくるめて、期限を一週間引き延ばそうという、浅ましく悪辣な考えだ」

男「う、あ………」

アルミン「では、その小細工が通じなかった今、君はどうする? 君はどうすべきだろう?」


 アルミンの微笑みには、得も言われぬ『スゴ味』があった。


アルミン「僕は言ったはずだ。期限通りに金を返せないのならば、担保をいただくと」

男「ッぅ、ああああ………お、お願いですッ、そ、それだけはッ! お願いですッ、一週間あれば、お借りしたお金はすべてッ、すべてッ」

アルミン「そうだ。分かってるよね。君の娘さん、凄く可愛しい子だった。一度会ったことがある。肌も白くて、おまけに処女と来た。きっとウチの風呂屋でもモテモテになるよ」

男「ッッッ………!」

アルミン「お金は一週間後に返せると言ったね? では一週間後に娘さんをその金で買い戻すといい」

男「あ、あ、お、おね、が、おねがい、ですッ………待って、待って………た、たかが、一週間、じゃない、ですか」

アルミン「そのたかが一週間に間に合わなかったのは誰だ? そう、君だよ。……おいおい、涙を流して悔しがることはないじゃあないか。何か悲しいことでもあったのかい?」

男「う、うあ、ぐ、ぐぎっ、ぐぅっ………」ブルブル