834 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 01:10:49.92w9IJRjyU0 (1/13)

遅れながらお二方乙ー

雪菜ちゃん。それは違う本物や

そして、ネバーディスペアーの暴走っぷりwwww
……あれ?加蓮も可笑しくなってる気が…


835 ◆tsGpSwX8mo2013/08/13(火) 01:16:43.58EbLDMp7uo (1/3)

皆さんのレスを見ていたら宝の設定を思い付いたので、空気を読まずに投下します。アコをお借りします。


836 ◆tsGpSwX8mo2013/08/13(火) 01:18:07.20EbLDMp7uo (2/3)

宝の番人、穂乃香は洞窟の前の切り株の上に座り、腕を組んで寝ていた。

穂乃香は夢を見ていた。

夢の中の穂乃香は、今よりとても小さい。どうやら昔の夢を見ているようだ。

そして、その穂乃香の前には、今はなき父が立っていた。

父は穂乃香に言った。

「穂乃香。私はもう長くない」

「はい」

「これからはそなたが宝を守るのだ」

「はい」

父の言葉に穂乃香は淡々と返事をする。

「そうだ、穂乃香。宝は絶対に触れてはいけないぞ」

「なぜですか?」

穂乃香が聞き返す。

「あれはとても危険なものだからだ。だから、何人たりとも近づけてはいけない」

「危険?武器か何かなのですか?」

脇においてある刀をちらりと見て言う。

娘の問いに父は躊躇うように答えた。


837 ◆tsGpSwX8mo2013/08/13(火) 01:19:23.53EbLDMp7uo (3/3)

「わからない」

父の答えに娘は困惑した。

「わからない?」

「そうだ、わからない。私もただ危険なものだから、絶対に近づいてはいけない、としか言われていない。私の父もそうだった。一体宝がどんなものなのか解らないようだった。恐らく祖父も、曾祖父もだ」

娘は不安そうに声をあげた。

「そんな訳の解らないものを守っていかなければならないのですか?」

「あぁ、そうだ」

父は悔しそうに顔をしかめた。

「悲しいがそれが定めなのだ。だが、あれが世に放たれれば大変なことになる」

そう言うと、父は穂乃香の頭に手をのせた。

「すまない、穂乃香。お前をこんな目に遭わせてしまって。あの宝さえ、あれさえなければ、お前は全うな人生を歩むことができたはず……」

やめて。

そんな悲しいこと、言わないで。

今まで培ってきた決心が、覚悟が鈍る。

宝を守れなくなる。


838 ◆tsGpSwX8mo2013/08/13(火) 01:22:15.85vjmvqjiXo (1/9)

「うぅっ、ゲホッゲホッ」

父が苦しそうに咳をした。その背中を穂乃香はさすってやる。

背中をさすりながら、穂乃香は思った。

お父さん。

死なないで。

私を一人にしないで。

だが、そんな穂乃香の本音はついぞ口に出せなかった。

「最後に穂乃香、聞いてくれ。お前は…………」


839 ◆tsGpSwX8mo2013/08/13(火) 01:23:25.43vjmvqjiXo (2/9)

そこで穂乃香の意識は覚醒した。

周囲に人の気配を察したからだ。

穂乃香が視線を向けると、そこには眼鏡をかけた穂乃香と同じくらいの年の女の子がいた。

「あ、人だ!」

その女の子は穂乃香を見ると、穂乃香の元へ駆け寄った。

「どうも、こんにちは!アタシはアコっていうもんです」

アコという名前らしい少女は、元気な声で自己紹介をした。

「は、はぁ……」

困惑気味の穂乃香をよそに、アコは元気な声を出す。

「えぇっと、アタシはこの樹海にあるっていう宝を探してやって来たんやけど、きみ、何処にあるか知らない?」

またか。

穂乃香は内心ため息をついた。

こいつも噂に引かれてやって来たバカの一人というわけか。


840 ◆tsGpSwX8mo2013/08/13(火) 01:24:21.74vjmvqjiXo (3/9)

どういうわけか、ここにある宝の情報がどこからか漏れていたらしい。

それだけならまだよかった。ただの昔話ですんだのだ。

だが、時代が時代だ。昔話を信じてやって来るものもいるのだろう。

やって来るものも、倍以上に増えた。父の代には人など全然来なかったのに。

それでも、穂乃香が全員切って森から生還者を出さなかったおかげで、最近は人が来なかったのだが、時間の経過とともにまた人が来るようになる。

「いやぁ、本当に苦労したでぇ。だだっ広い森の中を一人であるいて。その上化け物がいるなんて噂もあるし。でもよかった、化け物なんていなかったし、いたのはあんた一人だけ……ん?もしもーし?聞いとんのかー?」

一人で喋るアコに向かっていう。

「宝ならありますよ」

「ほんまに?!」

アコが身を乗り出すように聞いてきた。


841 ◆tsGpSwX8mo2013/08/13(火) 01:25:03.13vjmvqjiXo (4/9)

「ええ。この洞窟の奥に」

「ほんまに?!」

アコは気が動転しているのか、同じことを二回言った。

「ありがとう、そんじゃ、行ってくるわ」

スキップでもしそうな陽気さで、アコは洞窟に入ろうとした。

だが、それは宝の番人が許さない。


842 ◆tsGpSwX8mo2013/08/13(火) 01:25:56.37vjmvqjiXo (5/9)

「綾瀬流『力戦奮刀』!」

刀を一本だけ抜いた穂乃香はアコに向かって刀をつき出す。

『疾風怒刀』が高速で移動し敵を切り刻む技なら、「力戦奮刀」は高速で突進し敵を貫く技だ。

この技で、アコの体に風穴を開ける……はずだった。

運良くアコが石を躓き、派手に転んだのだ。

「いったぁ!」

と声をあげるアコの頭上すれすれを、番人の刀が通過する。

「へ?」

アコが上を向くと、そこには次の技の構えをとる穂乃香の姿があった。

「ひ、ひええええええぇ!!!」

アコは、そのまま目にも止まらぬスピードで逃げ去っていった。

「くっ」

穂乃香が視線を向けた先にはもう、アコの姿はなかった。

「………逃がしたか」

穂乃香が敵を取り逃がすなどはじめてだ。

追いかけようか。いや、やめよう。追っている途中で誰かが宝のもとに言ってしまったらと思うと、穂乃香は動くことはできなかった。

穂乃香は刀を鞘に納めると、切り株の上に座り直した。


843 ◆tsGpSwX8mo2013/08/13(火) 01:27:16.26vjmvqjiXo (6/9)

座って、穂乃香は思案する。

あの子も、この前来た奴等も、今まで来た奴等も、本当に哀れなものだ。

一族のものにも良くわかっていないものを取りに来て死ぬような目に遭うなんて。

そうして、穂乃香は再び眠りについた。


844 ◆tsGpSwX8mo2013/08/13(火) 01:27:48.67vjmvqjiXo (7/9)

ちなみに、アコがこの誰一人として生きては帰れなかった樹海の、初の生還者となった。


845 ◆tsGpSwX8mo2013/08/13(火) 01:29:10.45vjmvqjiXo (8/9)

宝 文字通り『とんでもない』お宝。これが世に放たれれば大変なことになるらしい。この宝がなんなのか、もはや綾瀬一族にもわかるものはいない。

綾瀬流剣術 速さに重点をおいた剣術。極めればその速度は音速の域に達するという。

綾瀬一族 代々宝を守ってきた一族。もはや、宝がなにか知るものはいないが、遺伝子に『宝を守る』使命が刻まれているため、だれもこの使命に抗うことはできない。


846 ◆tsGpSwX8mo2013/08/13(火) 01:30:34.30vjmvqjiXo (9/9)

これで投下終了です。
宝が何なのかは自分でも良くわかりません。あと、アコのしゃべり方に違和感があったらすいません。


847 ◆zvY2y1UzWw2013/08/13(火) 01:34:51.70hkuvh11W0 (1/3)

乙です
亜子ちゃんラッキーすぎるww
正体不明の宝か…『これを手に入れるための友情と努力がお宝d(ry』なものでは無いと思うけど…
パンドラの箱…?



848 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 01:39:40.22w9IJRjyU0 (2/13)

乙ー

アコちゃん強運すぎるww

神が残した古代の遺産の一つ封印された系かな?
方舟や初代リヴァイアサンみたいな?
パンドラの箱や聖柩みたいな?


849 ◆kaGYBvZifE2013/08/13(火) 01:52:52.258pM94rxr0 (1/1)

正体不明の宝の封印を解く

こずえ「ふわぁ……あなただぁれー? ……ここはこずえのおねむのばしょなのぉー……」


850 ◆zvY2y1UzWw2013/08/13(火) 01:53:42.22hkuvh11W0 (2/3)

>>849
(かわいい)


851 ◆6osdZ663So2013/08/13(火) 02:04:42.72BQrpsysno (1/11)

乙乙乙ー

井村さん不憫ながら楽しんでるからいいと思います、楽しめば勝ち組さ!
ひなたん星人も楽しそうで何よりです。危うく小日向ちゃん殺人罪?た、楽しめば勝ち組さ!

一時でもだりーな感情戻って良かったなーと、感情ってマジロック
アバクーゾも今回は口調だけだけど元気やってそうで?何よりです

アコちゃんまじ強運
宝の中身はどんなでも、綾瀬さんがいずれ使命から開放されればいいなと


852 ◆6osdZ663So2013/08/13(火) 09:41:17.57BQrpsysno (2/11)

投下するヨー

前回までのあらすじ

『扉の向こうはffdy』

参考
>>625 (桃華と菲菲)
>>700 (真夏の肝試し大作戦!)


853 ◆6osdZ663So2013/08/13(火) 09:41:46.09BQrpsysno (3/11)


「騒げ騒げ!ケーケッケッケッケ!」

「祭りじゃ!祭りじゃあ!」

騒ぐ妖怪達。


「ユルセナイユルサナイユルサレナイ」

「マタコロサレルナラコロサレルマエニコロス」

蔓延る悪霊。


「おっと、悪霊はっけーん!」

「んじゃ、まあ狩りに行きますか!」

派遣された死神たち。


どこもかしこも暗くて賑やかな祟り場のお祭り会場を、

上空から観察する者が一人。



菲菲「居るネ、居るネ、居るネ、居るネ!!」

菲菲「みんなみんな、ふぇいふぇいの大好物ダヨー!!」

飢えた魔神が一体、迷い込んできていたようだ。


854 ◆6osdZ663So2013/08/13(火) 09:42:20.67BQrpsysno (4/11)


アモンはかつての力を取り戻すために、目覚めてから幾つも霊魂を食べてきた。

しかし、それらは大して力を持たない野良悪魔や野良悪霊で、

力を取り戻すためには、足しにもならない質と量であった。


だから今回、魔神がこの場所にやってきたのは、強い霊力を探してのことだ。

強い霊力を食らえば、より大きな力を得ることができる。

感知した霊力に、ちょっぴり期待して飛んで来てみれば、

そこには期待以上のものがズラリとあった。


居るわ、居るわ、の霊魂の山。

力に漲る妖怪達は、活きのよい新鮮な素材。

呪いを蓄えた悪霊達は、熟成された旨み成分の塊。

死神達に至っては、宮廷料理に匹敵する素晴らしいご馳走だ。


菲菲「まるで満漢全席ダネー!」

目覚めたばかり、力を取り戻したい菲菲にとって、

此度の祟り場は、あまりに都合が良すぎるほど、

彼女のために用意されたとしか思えない至高の料亭であった。


855 ◆6osdZ663So2013/08/13(火) 09:43:04.61BQrpsysno (5/11)


桃華『フェイフェイさん、そんな所で何をしてますの?』


魔神に『強欲』の悪魔から、通信が入る。

『強欲』の証は、元はアモンの力の一端から切り離された物であったらしい。

その縁を通じて、彼女達は互いの居場所を知ることができ、どこに居ても会話する事が出来た。

もっとも、四六時中話し合うほど仲良しと言うほどでもないので、

この通信会話を使用するのは、もっぱら何か事件があった時の連絡手段程度にである。


菲菲「ふぇいふぇい、イイ所見つけたヨー!」

菲菲「力を取り戻すのに打ってつけの場所ダヨー!」

桃華『?』

桃華『ああ、そうでしたわね。』

桃華『たしかタタリ?何でしたかしら?今頃、世間を騒がせてると言う。』

『強欲』の悪魔は、今回の事件にはあまり興味はないらしい。

桃華『ただ財閥としては、わたくし達に都合が悪いことが起きないように願うばかりですわ。』


856 ◆6osdZ663So2013/08/13(火) 09:43:45.08BQrpsysno (6/11)


桃華『それはそうと、フェイフェイさん。』

桃華『その辺りは、死神ちゃまと、お姫様の拠点があるのですわ。』


ところで『強欲』の悪魔、神崎家の位置はしっかり把握している。

”ベルフェゴールの記憶”にあった神崎蘭子の情報からである。

そんな場所にアモンが向かっていたので気になり、連絡した次第だ。


桃華『お姫様の方は別にどうでもいいのですけれど、』

桃華『死神ちゃま・・・・・・魔力管理人であるユズちゃま。こちらは曲者ですのよ。』

菲菲「今代のルシファーと、ベルフェゴールを倒した子だったカナ?」

菲菲「うん、強い事はイイことダヨー!」

魔界は力こそが全て。

そんな魔界で一時期は最強の一角やってた彼女的には、

強いイコール正義である。強ければ何をしても良い。強者こそがルールだ。

ちなみに彼女、魔界時代は調停者をやっていた。

優しい彼女は魔族同士で争うのは良くないと思っており、

小競合いがあれば、顔を出しては争いを止めていたのだ。もちろん力づくで。


桃華『・・・・・・まあ、わたくしも死神ちゃまの実力は認めてますわ。』

桃華『そして、そんな強い死神ちゃまが、フェイフェイさんのいる辺りを徘徊してるかもしれませんのよ。』

桃華『貴女に限って、万が一と言う事は無いとは思いますけれど、』

桃華『一応注意のために、連絡させて頂いたのですわ。』


857 ◆6osdZ663So2013/08/13(火) 09:44:56.63BQrpsysno (7/11)


桃華『・・・・・・。』

桃華『と言うか、よくよく考えたら確実に徘徊してますわよね。』

桃華『悪霊が多く集まっていると言う話ですし、死神ちゃまも当然駆り出されてるはずですわ。』

桃華『・・・・・・。』


菲菲「?」

菲菲「どうしたヨー?」

急に黙り込みはじめた『強欲』の悪魔を、魔神は気にする。


桃華『いえ、この機会に何か・・・・・・と思ったのですけれど』

桃華『やはり、そちらの事はそちらにお任せしますわ。』

どうやら何か悪巧みを考えていたらしい。

桃華『とにかく、そちらで活動されるなら死神ちゃまの動向には十分ご注意くださいな。』

菲菲「心配無用ダヨー!もし襲われても逆にふぇいふぇいが食べちゃうヨー!」

桃華(わたくしとしては、それも困るのですけれど)

計り知れぬ者が魔力管理人の力を手に入れるなど、考えるだけで恐ろしい。


桃華『まあ、貴女が少しでも力を取り戻せる事を祈ってますわ。』

それを最後に、通信はパッタリと止まった。


858 ◆6osdZ663So2013/08/13(火) 09:45:46.99BQrpsysno (8/11)


菲菲「それじゃあ、ふぇいふぇいも力を取り戻すために行動開始ネ!」

目指すは霊力の集まる場所。

薄暗い町の中、一際賑やかで、明かりの灯るあの辺り。

そこには求める馳走がたくさんあるはずだ。

菲菲「見ているだけでお腹が鳴りそうダヨー。」

美味しそうな匂いもする。

早く喰らいたい。



そうして飢えた魔神が、

妖怪たちの祭りの会場に降り立つのだった。


859 ◆6osdZ663So2013/08/13(火) 09:46:14.05BQrpsysno (9/11)



菲菲「うまー!!」


菲菲「コレすごく美味しいネ!!食が進むヨー!」

「へっへっへ、そこまで褒められると作った甲斐があるってもんだぜ。」

菲菲「オデンだったカナ!?本当に美味しいヨ!」

「おかわりもあるぜ。」

「こっちにはヤキソバもあるでよ。」

菲菲「そっちも食べるヨー!」


テンション上げすぎた妖怪たちによる祭り騒ぎ、

なにやら調子に乗って屋台まで引っ張ってきた奴らがいるらしい。

そんな所にのこのこやって来た魔神。

本来の目的も忘れて、屋台巡りをしていた。


菲菲「ん?本来の目的って何だったネ?」

「こっち食材余ってるな」

「せっかくだ、嬢ちゃん、何か料理するかい?」

菲菲「!」


菲菲「だったら、ふぇいふぇいチャーハン作るヨ!!」

かくして妖怪達に、特製魔神炒飯が振舞われることになる。


おしまい


860 ◆6osdZ663So2013/08/13(火) 09:47:20.85BQrpsysno (10/11)


『特製魔神炒飯』

菲菲の作った計り知れない美味さのチャーハン。
とても戦闘力の高いチャーハンで、
この炒飯と戦って打ち勝てる強者で無いと食べる事は許されない。
隠し味はたっぷりハート、オカワリもたくさんあるヨー


◆方針
楊菲菲 … チャーハン作るヨ!

菲菲が襲来してきた話。
菲菲が力取り戻すには都合良すぎる場所だよね。
来ない理由が無い。
だが妙なテンションになって、シリアスにはならない。
でも気が向いたらちょっとくらいはボスっぽいこともしてくれるのかもしれない。


861VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/13(火) 09:55:53.00bN8np/2Qo (1/1)

乙乙

やべぇ!と思ったらシリアスブレイクしてれぅー
楽しんでるなぁ、かわいいww


862 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 10:38:07.39w9IJRjyU0 (3/13)

乙ー

フェイフェイwwお祭りww

ちょっと内容被るかもしれませんが投下します


863 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 10:38:53.61w9IJRjyU0 (4/13)

祟り場となった街。

そこを歩いてる少女--海老原菜帆とその少女に憑いてる悪魔ベルゼブブは、異変に反応にしながらも、持っている両手にもってるアイスクリームを交互に舐めていた。

菜帆「なんだな賑やかですね~」

ベル「そうですね~。妖怪がいっぱい現れて、なんか魔界を思い出しちゃいます~」

一人の身体で、交互に喋りながら辺りを見回す。

周りをみれば、人間を驚かそうと妖怪達があっちこっち動き回っている。

魔族と妖怪は違うものだが、なんだか親しみを感じるようだ。


864 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 10:40:26.90w9IJRjyU0 (5/13)

ベル「それにしても何だか久しぶりにやりたくなってきますね~」

菜帆「何がですか~?」

アイスを交互にペロペロ舐めながら菜帆は不思議そうに聞いた。

一方のベルゼブブはなんだかウズウズしたような感じの声で楽しそうに答えた。

ベル「決まってるじゃないですか~?パーティーを開くんですよ~!」


865 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 10:41:22.60w9IJRjyU0 (6/13)

菜帆「パーティーですか~?」

キョトンとしながら、首を傾げた。

ベル「はい!こういう時は美味しい物を用意して、皆で騒ぐのがいいと思いますし~」

菜帆「いいですね~」

結局は何か食べたいだけなのでは、とツッコミたくなるが彼女達は楽しそうに会話をしていた。


866 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 10:42:00.84w9IJRjyU0 (7/13)

『パーティー?お祭りか?宴か?』

『宴か!?宴か!?』

『ヒャッハー!祭りじゃあ!!』

二人の会話を聞いていたのか、周りの妖怪達も騒ぎ始めた。

妖怪はお祭りが大好きだ。もちろん、楽しいからってのもあるが、人に溶け込み堂々と騒げるからってのもある。

だから、パーティーをやるって聞けば、イタズラをそっちのけ、こんなにも集まってくる。

菜帆「みなさん、はしゃいじゃってますね~」

ベル「妖怪はお祭り騒ぎが好きなんですよ~」


867 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 10:43:17.78w9IJRjyU0 (8/13)









???「それってお酒も飲めるかしら?」










868 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 10:46:12.34w9IJRjyU0 (9/13)

ベル「!?」

菜帆「えっ?」

いきなり、自分達の背後から声が聞こえ、慌てて振り向いた。

そこには、いつの間にかワインボトルとグラスを持った女性--柊志乃が立っていた。

気配もせず、足音さえも立てず、まるで何処から湧いて出たかのように現れた彼女はグラスに入ったワインを飲みながら微笑む。

志乃「うふふ、パーティーだからお酒も飲めるわよね?」

ベル「もちろんですよ~(なんなんでしょ~?コレは?)」

菜帆「わ、私はお酒飲めないですけど~。それでもいいでしょうか~?」

志乃「大丈夫よ。ちゃんとジュースも用意しておくわ」

そう言うと、いつの間にか志乃は近くの公園を指差した。

すると、さっきまでなかったはずなのに、お酒の瓶やらジュースやらが沢山おかれていた。


869 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 10:57:14.71w9IJRjyU0 (10/13)

ベル「すごいですね~。なら私達も用意しないと~」

菜帆「はい~~」

志乃がいつの間にか飲み物を用意したのを見て、ベルと菜帆はその公園に入ると、しゃがみこんだ。

ベル「久しぶりに行きますよ~~」

そう言うと菜帆の身体から四つの虫のような異形の腕が生えると、地面に触れ、魔力を地面に注ぎ始める。

ベル「来い!豊穣の晩餐」

すると、公園一体に様々な料理が現れ始めた。


870 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 11:02:26.67w9IJRjyU0 (11/13)

『酒だ!肉だ!!』

『食べ放題?飲み放題?』

『今日は無礼講じゃぁぁあ!!』

志乃「流石ね。さて、周子さんも誘おうかしら」ゴクゴク

ベル「疲れた……」

菜帆「お疲れ様です~。私達も食べません?」

酒と料理が用意され、妖怪達は我先にと公園に入っていく。

さあ、宴の始まりだ。

人も人外も皆、楽しめ。

今宵は無礼講。思う存分楽しもう。


871 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 11:08:49.34w9IJRjyU0 (12/13)

イベント情報追加

ベルちゃんと菜帆と志乃が公園で宴を開いたよ!

お酒も料理もあるよ!


・豊穣晩餐
ベルゼブブの能力の一つ。
自分が食べた事あるものを、地面から植物のように産み出す能力。
余り戦闘に役に立たない上に、こういうお祭り騒ぎのとには役に立つ。
味も全て本物。


872 ◆hCBYv06tno2013/08/13(火) 11:10:21.80w9IJRjyU0 (13/13)

以上です。

まさか、途中で電話がかかってくるとは……途中、遅くなってすいません…

志乃とベルちゃんで宴をひらきたかったんや


873 ◆6osdZ663So2013/08/13(火) 11:12:02.99BQrpsysno (11/11)

乙!
タイミングが合ったらふぇいふぇいもそっち行ったヨー


874 ◆zvY2y1UzWw2013/08/13(火) 11:20:16.06hkuvh11W0 (3/3)

乙です
魔界組の友好系の子達がかわいい
妖怪のお祭りで大神伝思い出した。顔に紙貼ってると妖怪だって思われるアレ
人間から見れば恐ろしい光景だと思うけどかわいいからいいよね!

フェイフェイ悪霊はともかく妖怪・死神まで食いまくると思ったらチャーハンで安心したヨー…
>とても戦闘力の高いチャーハンで、
>この炒飯と戦って打ち勝てる強者で無いと食べる事は許されない。
!?
い、生きてるチャーハン…?

ベルちゃん海老ちゃん志乃さんで大宴だな…こりゃ祭りですわ
そしてちゃんと食べ物系の能力も持っていたのねw


875VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/13(火) 13:08:54.78pYeDkyuNo (1/1)

乙乙
盛り上がってるなぁ……楽しげでなにより
チャーハンもアルヨー


876@予約 ◆lhyaSqoHV62013/08/14(水) 12:45:31.98xzhj3pbTO (1/1)

氏家むつみ予約します


877VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 16:33:49.57UkRo+3+60 (1/1)


何かよくわかんないけど、今の街に合いそうなBGM置いときますね


878VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 17:51:38.06MSwraCJB0 (1/1)

>>877
見れない…スマフォだからかな


879VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 17:59:14.148s984wjQO (1/1)

もののけ番外地…確かにあってるな


880 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:29:42.83A7RdAXA90 (1/15)

乙乙!

この流れを見てたら、いつの間にか書き上げていたので勢いで投下します。

今回はベルと菜帆と志乃さんをお借りしますね!


881 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:30:36.14A7RdAXA90 (2/15)





「…久しぶりに、心地いいくらいに混沌としてますねぇ♪」

「えぇ、もちろんですよぉ♪こんなに楽しそうなこと、行かないなんて損です♪」

「さぁ、行きましょうか王子様♪……舞踏会が終わるまで、踊り続けるのも一興ですよ………むふ、むふふ♪」





882 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:31:23.40A7RdAXA90 (3/15)

―――とある公園。

霧に包まれた街は冷めることを知らぬように熱狂さを増していた。

そこかしこで妖怪たちが雄叫びを挙げ、悪霊達は己の思いを張り上げ、それらを狩る死神たちの中にさえ自分を抑えきれなくなる者も少なからずいた。

解決に向けてひた走る者、ただ単純にこの状況を楽しむ者、静かに暮らしたいと願う者もこの状況に乗じて自らの欲望を満たそうとする者も居た。

しかし、それら全ては遅かれ早かれ狂乱の宴へと巻き込まれる。

そうして出来上がった、幾つかの『宴会場』。

酒と料理と、歓声と熱気と。

暴食の悪魔と謎の女性が作り上げた公園の宴会場は、特に盛況を極めていた。



883 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:32:01.12A7RdAXA90 (4/15)

「もぐもぐ、みなさん楽しんでますね~」

『よっぽど溜め込んでたみたいですね~、でもこういうのいいと思いません?』

「すごくいいと思いますよ~、んく」

「うふふ…あなたたちも良く食べるわね」

『そういうあなたも、いっぱいのんでますね~…美味しいですか?』

「…飲んでみる?」

「え、遠慮します~…」

『菜帆ちゃんにはまだ早いかもですね~♪』

「ベルちゃんのいじわる~……はむはむ」

「ふふ……あら?」

「ん~?どうかしましたか~?」

他愛のない会話を繰り返しながら過ごしていた公園の宴会場の立役者達であったが、その一人である志乃がとある変化に気づく。


884 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:33:13.26A7RdAXA90 (5/15)

「おいおい、あっちでなんか面白い事してるじゃねーか!」

「お、本当だな!」

「かー!俺もなんか持ってくればよかったぜ!」

周りを見れば、変化に気づいた妖怪達が思い思いの言葉を言っていた。

そんな者達の視線の先、公園に設けられたそこそこ広い小山の上。






―――そこには、一人の人物が舞っていた。






白と黒のフリルが付いたドレスに紅いゴシック調の帽子を深めにかぶり、その下から覗く顔には微笑を浮かべる蒼白色の仮面。

腕全体をすっぽり覆う黒い手袋に包まれた手には純白の剣が握られており、小山を舞台に流れるような剣舞を披露していた。

そうして少し眺めていると、どこからともなく三本の黒い剣が現れる。

それと同時にすっと剣舞が止まる。

観客たちが何が起きるんだと思った矢先―――三本の黒い剣が荒々しく動き始める。


885 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:34:11.81A7RdAXA90 (6/15)

さらには先ほどとは打って変わり、鋭い剣捌きで剣舞が再開される。

そこに一本、また一本と黒い剣が切りかかるのを受け止め、払いのける。

しかも、切り払い逃げるように動き回る人物を追いかけ斬りかかる剣の数が次々と増えていく。

―――その様子は、観客達に逃げる姫とそれを追う兵士達を想起させていた。

「うわ、なんだあれ!?」

「すげぇな……こんなの滅多にみれねーぞ」

「うわぁ…ホントにすごいですね~…見てるだけでヒヤヒヤしてしまいます~」

『あれ~?いや………うーん?』

「ベルちゃんどうしたんですか~?」

『なんでしょう~……初めて見るはずなんですけど、あの人を知ってるような~…?』

「……そう、やっぱり出てきていたのね」

「???」

三者三様の様子で眺めている間も、剣舞は更に加速していく。



886 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:40:17.32A7RdAXA90 (7/15)

ついに周囲を黒い剣に囲まれ、姫君は追い詰められる。

次々と振るわれる剣、奮闘する姫君は鋭く立ち回りながらそれらを受け止め、弾き、落とす。

しかし、圧倒的に不利な状況と数の暴力にかなわず、とうとう足を取られ転んでしまう。

それでも素早く反応して振り落とされる剣を受け止めるが、もはや動くことは叶わない。

その背後から迫る、闇色の凶刃。

観客たちが思わず息を呑む中、容赦なく彼女の背後から刃が振り下ろされ―――



887 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:41:04.03A7RdAXA90 (8/15)










―――白銀の剣が、悪意こもる凶刃をなぎ払う。





―――まるで、姫の窮地に颯爽と登場する王子様のように。







888 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:41:49.14A7RdAXA90 (9/15)


そのまま姫君の周囲を白銀の刃が駆け巡り、次々と黒い兵士達を切り伏せる。

更には勢いを取り戻した姫君が、王子様と背中合わせになるように剣を振るう。

一人、また一人と倒れゆく兵士………

いつしか黒い剣は全て地に落ち、夢物語の主役たちは全ての悪意を打ち払う。

残るは、王子と姫君のみ。

ゆっくりと膝を付き、こうべを垂れる王子。

それを良しとせず、剣を差し出す姫君。

王子は、しばしそれを見上げ―――自らも剣を差し出す。






―――それは、あたかも二度と離れぬように、誓約を交わすように見えた。







889 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:42:38.11A7RdAXA90 (10/15)

―――最後には、二つの剣はいつの間にか消えており、残った姫君が観客たちに一礼をしていた。

「ヒューヒュー!すごかったぜー!!」

「やべぇ、俺も負けてらんねぇぜ!」

「おまえが何やったってあれ以上はむりだろが!!」

「んだとコラ!?」

「なんだか、とにかく凄かったですね~」

『そうですね~……けど、う~ん、なんでしょうかこの違和感』

「あぁ……今日も美味しいわね」

舞台が終わり、言葉を発することなく引き込まれていた観客達が終わった瞬間に一気に声を張り上げる。

そうして、負けじと各々が見世物を始めた事により更に喧騒が増していく。

「んくんく、はぁ、幸せです~」


890 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:43:13.55A7RdAXA90 (11/15)






「―――隣、いいですかぁ?」




891 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:44:05.63A7RdAXA90 (12/15)

「あ、どうぞ……あー!さっきの人ですか~?」

菜帆に声を掛けたのは、先ほど剣舞を演じていた姫君であった。

仮面をつけたままの彼女は、そのまま菜帆の隣に座り込む。

『………あーーー!もしかして!』

「ベルちゃんいきなりどうしたんですか~?」

「さっきの人とは悲しいですねぇ……何度も一緒にごはんを食べたじゃないですかぁ♪」

「え!?」

『近くで感じてやっとわかりました~……』

「え?え~?いったいどういうことなんですかぁ?」

「仕方ないですねぇ……これならわかりますよねぇ♪」

状況についていけないで若干混乱してる菜帆にだけ見えるように、彼女は仮面を少しだけずらす。


892 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:45:04.59A7RdAXA90 (13/15)


「…あー!なんだぁ、ひn「はーいこれ美味しいですよぉ♪」むぐっ……むぐむぐ」

「だめですよぉ、今の『わたし』はただのお姫様なんですからぁ………むふふ♪」

菜帆が何か言いかけたのを阻止した彼女は、再びしっかりと仮面を被る。

「……相変わらずのようね、あなたは」

「………むふふ…『わたし』は初めましてなんですけどねぇ」

「うふふ、それもそうね……ジュースで良かったかしら?」

「はい♪」

「んくんく……?」

『菜帆ちゃんはやっぱり大物になる素質ありますね~…』

次いで傍で飲んでいた志乃が話しかける。

会話の内容は何気ないが、一瞬だけおぞましい何かが走る。

が、それも本当に一瞬ですぐに宴会場の空気に押し流されていった。



893 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:46:05.82A7RdAXA90 (14/15)


「そういえば、ドレスまで着て今日はどうしたんですかぁ?」

「せっかく、こんなにも混沌に満ちていますからわたしも少し張り切ってしまいまして♪……本当は、どなたかお相手がいらっしゃればもっといい舞台を見せれるんですけどねぇ」

どこから出したのかストローを志乃から受け取ったジュースに差し込み、仮面をつけたまま吸い上げながら答える姫君。

『まぁまぁ、今は今で楽しみましょ~!』

「そうね……まだまだ先は長いもの、ゆっくりすればいいわ」

「それもそうですねぇ…むふふ♪」

宴は、終わらない。

続く?



894 ◆UCaKi7reYU2013/08/14(水) 23:47:46.02A7RdAXA90 (15/15)


イベント情報
・菜帆とベルと志乃さんの所に謎の仮面の少女()が現れました!
・少女にはなにか特別な力が掛かっているため、正体は誰なのか基本的にはわからないようです。
・少女はどうやら、剣舞の相手を探しているようです。



投下終了、コノコダレカワカルカナー?(目逸らし)

祭りで酒と食物とくれば、次に必要なのは見世物だろうという事で書いてみました。

…それがなんでこうなったんだろうか……

まぁお祭りっていいよねという事で……それではおめ汚し失礼しました。


895 ◆yIMyWm13ls2013/08/15(木) 00:00:08.20kfff1rgJ0 (1/1)

乙乙!

刀剣類を使うキャラは多いからひな…仮面の少女との演舞が出来るキャラは多いね!




896VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/15(木) 00:01:27.116kKMUYkG0 (1/1)

乙です
一体何子なんだ…
見せ物すげえな…剣舞とは
混沌としてるならしかたないね


897 ◆hCBYv06tno2013/08/15(木) 00:25:33.22EO5ZV8s7O (1/1)

乙ー

謎の仮面少女……ナニモノナンダ(棒

にしても、志乃さんマジナニモノ?
そして、海老ちゃんマイペースすぎてカワイイ


898 ◆3Y/5nAqmZM2013/08/15(木) 01:33:23.09RLpDwfW2o (1/9)

イベントに乗っかって投下するよー!


899 ◆3Y/5nAqmZM2013/08/15(木) 01:33:49.26RLpDwfW2o (2/9)

「……今って季節的にはいつだっけ」

「夏まっさかりっすね。扇風機が恋しい季節っす」

「あー、真っ正面から声だすと面白いアレだ」

「なーんかやっちゃうんすよねー……」

アパートの一室から外を眺めながら、伊吹と沙紀は気だるげに呟いた。


「あははっ、おーい、二人ともー!こっち来て一緒に遊ぼうよーっ!」


窓の外には、いつぞや見せてくれた和服姿で満面の笑みを浮かべる忍の姿。

「……ねぇ沙紀」

「なんすか伊吹」


900 ◆3Y/5nAqmZM2013/08/15(木) 01:34:42.31RLpDwfW2o (3/9)





「友紀ってさ、確か冬に降るもんじゃなかったっけ?」

「……まぁ、雪女さんっすからね、忍」

アパート周辺には、真夏だというのに、深々と雪が降り積もっていた。






901 ◆3Y/5nAqmZM2013/08/15(木) 01:35:45.77RLpDwfW2o (4/9)

ぎゃあえらい誤字だ
>>900修正


「雪ってさ、確か冬に降るもんじゃなかったっけ?」

「……まぁ、雪女さんっすからね、忍」

アパート周辺には、真夏だというのに、深々と雪が降り積もっていた。






902 ◆3Y/5nAqmZM2013/08/15(木) 01:36:22.97RLpDwfW2o (5/9)

しばらくぶりに纏まった休みを取れた忍の家で、伊吹と沙紀はお泊まり会をしていた。

急用で仕事に出られなくなった先輩の代役として忙しく駆け回っていた忍にとって、久し振りに思い切り羽を伸ばせる時間であった。

想像以上に話が弾んだこと、忍にとって初めての友人とのお泊まり会だったこともあり、三人が寝付いたのはすっかり深夜になった頃。

その時にはまだ、三人に均等に風がいきわたるよう絶妙な位置に扇風機を配置するのに苦心した熱帯夜だったはずだ。


903 ◆3Y/5nAqmZM2013/08/15(木) 01:36:52.00RLpDwfW2o (6/9)

それが起きてみるとどうだろう。

辺り一面見渡す限りに銀世界。伊吹は忍の分の毛布も使わないと寒くて仕方がないほどの寒気。

そして、目を覚ました時には外ではしゃぎまわっていた忍。

「明らかに原因あの子よね……」

「明らかにテンションおかしいっすからね……」

どうしてそうなったかはともかく、周囲の雪景色は忍のフィーバーのおかげであろうことだけは疑う余地もなかった。


904 ◆3Y/5nAqmZM2013/08/15(木) 01:37:29.19RLpDwfW2o (7/9)

「伊吹ちゃーん、沙紀ちゃーん!ほらー、一緒に雪だるま作ろうよー!」

「……なんでこんな寒い中で平気な顔してられるのさ、忍は……へくちっ」

「昨日の夜、寝苦しそうにしてたのと同一人物とは思えないっすね……元々こういう気候の方が得意なんでしょうけど」

よく見れば周辺にわらわらと何かが集まって、雪合戦だったりかまくら作ってみたりと好き放題やっているようだが、とりあえずこっちに害は無さそうだ。

「……とりあえず、落ち着くまで好きにさせたげよっか」

「っすね。……ところで伊吹、そろそろ毛布返してもらっていいっすか?」

「やだ。寒い」

「あたしも寒いんっすよ……くちゅん」

「あはははっ!!」

こうして、ハイテンションな妖怪と、ローテンションな友人二人を巻き込んで、真夏の雪祭りが始まった。


905 ◆3Y/5nAqmZM2013/08/15(木) 01:37:58.11RLpDwfW2o (8/9)

◆方針
伊吹・沙紀:とりあえず忍が落ち着くまで様子見。寒い。
忍:すっかり楽しくなっちゃったらしい。特に何か考えてるわけではない。

イベント情報
・忍がフィーバーしたため、町の一角に雪が積もっています。(宴が開かれている公園からは少々離れている模様?)
・涼しいを通り越して寒いくらいです。人間組は薄着だと少々つらそう。
・かまくらが作れる位に積もっているため、雪道慣れしていない人物には行動しにくいかも?


906 ◆3Y/5nAqmZM2013/08/15(木) 01:38:49.70RLpDwfW2o (9/9)

以上です

ほぼ1スレ分投下サボってたらとんでもない誤字をしてしまった……


907VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/15(木) 01:45:37.97LDe9u8AQ0 (1/2)

乙ー

真夏の雪……いいな


908 ◆llXLnL0MGk2013/08/15(木) 02:38:23.12/sHFf3Hg0 (1/10)


忍ちゃんが楽しそうでなによりです

今更ながら憤怒の街に参戦した新人チーム+αを投下します


909 ◆llXLnL0MGk2013/08/15(木) 02:39:24.16/sHFf3Hg0 (2/10)


カイ「憤怒の街?」

星花「ええ。大量のカースが占拠した街で、今なおたくさんの住民が取り残されているとか」

フルメタル・トレイターズのメンバーが、歩きながら会話をしている。

亜季「そういえば、私が転送されたのもその街の内部でした。確かに民間人が残っていたであります」

カイ「……あたしも、遠目に見たことあるよ。その時は、地上のヒーローの邪魔しちゃいけないって思ってた……」

カイが少し俯く。自分があの時行っていれば、少しは犠牲も減っただろうか。そんな自責の念を負いながら。

星花「わたくしは、残っている人々を救いたいのです。お力添えを……いただけませんか?」

星花の問いに、カイと亜季はにっと笑って答える。

亜季「そんな事、当たり前でありますよ、星花」

カイ「そうそう。あたし達はチームなんだからさ」

『キキン!』

ヴーン ヴーン

ストラディバリ『レディ』

その気持ちは、ホージロー、マイシスター、ストラディバリも同じであった。

星花「皆さん……ありがとうございます」

カイ「それじゃあ行こうか、憤怒の街へ!」

全員が「おー!」と拳を掲げようとした寸前、後ろから声がかかる。

??「憤怒の街へ行くのなら、私もご一緒させてもらえないかしら」

亜季「はへ? ……えっと、どなたでありますか?」

振り向くと、そこには物静かな雰囲気をたたえた女性が立っていた。

瞳子「申し遅れたわね。私は服部瞳子。私も憤怒の街に用件があるのだけれど、道に迷ってしまってね」

星花「しかし……危険ですよ?」

瞳子「ふふ、こう見えて腕には自信があるの。足手まといにはならないわよ」

少しだけ考え、カイが口を開く。

カイ「こっちとしても、味方は多い方がいいよね。よろしくお願いします瞳子さん」

瞳子「ええ、よろしく」

二人は軽い握手をかわした。

亜季「では、早速向かいましょう。自己紹介などは道中でおいおい……」

――――――――――――
――――――――
――――


910 ◆llXLnL0MGk2013/08/15(木) 02:40:16.47/sHFf3Hg0 (3/10)

――――
――――――――
――――――――――――

カイ・亜季・星花「「「魔法少女?」」」

あまり耳慣れない単語に、三人は思わずきょとんとする。

瞳子「ええ、十年以上も前に力を失ったはずだけれどね。最近になって何故か力が甦ったの」

星花「それで、昔一緒に戦った仲間の方々と合流するために……」

瞳子「そう。どうやら美優達は今、憤怒の街にいるようだから。にしても……」

瞳子は並んで歩く同行者達をちらと見やる。

『キン?』

ヴヴン

ストラディバリ『レディ』

瞳子「海底都市に平行世界にオーラ……『当たり前じゃないのが当たり前』のこんな世界でも、
  なかなか聞いた事のない単語ばかりね」

思わず肩をすくめてくすっと笑う瞳子。

瞳子「あら、ごめんなさい……馬鹿にするつもりは無かったの」

カイ「あはは、気にしてませんよ。それよりホラ、見えてきましたよ。憤怒の街」

彼らの前に、絶え間なく雨が降り注ぎながらも燃えるような朱を纏った街が姿を現した。

亜季「聞けば、憤怒の街内部は機械類が正常に動作しないとか……私が脱出後に墜落したのもそのせいでしょうな」

カイ「じゃあ、あたしと亜季を会わせてくれたって意味では、あの街は恩人かな?」

星花「しかし、だからといってあの街を放置はしておけません……」

瞳子「そうね、急ぎましょう…………ッ、下がって!」

瞳子の号令で全員が一気に飛びのく。直後、瞳子達のいた場所にビームが着弾した。

カイ「今のって……!」

『キンキン!』


911 ◆llXLnL0MGk2013/08/15(木) 02:41:43.47/sHFf3Hg0 (4/10)

「シャー!」「シャッシャー!」「ワシャー!」「イーシャー!」「ワッシャワー!」

彼女たちの目の前に、海底都市の尖兵たるアンドロイド、イワッシャーが大量に出現した。

カイ「やっぱりイワッシャー!」

瞳子「あれは……一度戦った事があるわ。カースに汚染されたものだったけど」

星花「カースが無機物を……? いえ、今はそれを気にしている場合ではありません」

ストラディバリ『レディ』

ヴーン ヴーン

亜季「……総数60体、ですか……いけますか?」

瞳子「当然よ」

カイ「ウォーミングアップにはちょうどいいね」

『キン!』

星花「ええ、オードブルと参りましょう」

ストラディバリ『レディ』

ヴーウン ヴン

亜季「気合は充分ですな……行きましょう!」

カイ「オリハルコン、セパレイション!」

亜季「SC-01、バトルターン!」

星花「ストラディバリ、開演!」

瞳子「フレイムアップ、リライザブル!」

四人が一斉に戦闘態勢に入る。

カイ「アビスナイト、ウェイクアップ!」

亜季「作戦行動を開始します!」

星花「優雅に、激しく参りましょう」

ファイア「魔法少女、エンジェリックファイア! ……にひっ☆」

星花「……参ります!」

カイ・亜季・ファイア「「「おう!」」」

敵の群れに勇ましく突進する四人の心は――

カイ(にひっ☆……って、何だろ……?)

亜季(……にひっ☆……?)

星花(にひっ☆……とは、一体……?)

ファイア(良かった、突っ込まれなかった……)

……ある意味、一つになっていた。


912 ◆llXLnL0MGk2013/08/15(木) 02:42:33.73/sHFf3Hg0 (5/10)

イワッシャー、残数60。

カイ「アームズチェンジ! ソーシャークアームズ!」

カイはノコギリザメの刃でイワッシャーの胴を輪切りにした。

「ワシャ!?」

その勢いのままに別のイワッシャーの腹に刃を付きたて、そのまま貫通した。

「シャー!?」

カイ「まだまだぁ!シャーク・サウザンドォ!」

続けて三体のイワッシャーをまとめて高速で斬りつけ、断末魔の声を上げる時間も与えずに、鉄屑の山へ変化させた。

イワッシャー、残数55。

亜季「マイシスター!」

マイシスターから投下されたのは、大型のバズーカが二門。

亜季「ふふん、ガン=カタなんて生易しいモノでは済まないでありますよ!」

右から迫り来るイワッシャーにバズーカを一発。

「シャッ!?」

後ろから来る物にも一発。

「ワワシャー!?」

亜季は立ち位置を一切変える事無く、二門のバズーカを華麗に操り、イワッシャーの群れを薙ぎ倒していく。

亜季「ふんっ! これぞバズ=カタであります!」

イワッシャー、残数49。



913 ◆llXLnL0MGk2013/08/15(木) 02:43:43.61/sHFf3Hg0 (6/10)

星花「ストラディバリ、オーラストリングを!」

ストラディバリ『レディ』

ストラディバリが放ったオーラストリングは、一体のイワッシャーを雁字搦めにした。

星花「ストラディバリ、そのままぶつけて!」

ストラディバリ『レディ』

捕らえられたイワッシャーはハンマー投げの様に振り回され、突然パッと手を離された。彼が飛んでいく先には、

「シャワッシャー!?」

カイや亜季から逃げてきたイワッシャーが団子状態になっていた。そしてそのまま、

「イッシャワワー!?」「シャッ!?」「ワッシャ!?」「イーシャー!?」

数体のイワッシャーを巻き込み爆散した。

イワッシャー、残数40。

ファイア「あの子達、なかなかやるわね」

鎌の石突でイワッシャーの腹を突きながらファイアが呟く。

ファイア「先輩として負けられないわね。……はぁっ!」

鎌を振り回した風圧で数体のイワッシャーを押し倒す。

「シャッ!」「ワーシャッ!」「シャイワシャ!?」

ファイア「久しぶりにやってみようかしら。……ファイアズムサイズ、ブーメランッ!」

ファイアの手から離れた鎌は火の粉を散らしながら高速回転し、そのまま多数のイワッシャーを両断した。

ファイア「ふふっ、まだまだいけるじゃない」

イワッシャー、残数34。

カイ「アームズチェンジ! ハンマーヘッドシャークアームズ!」

右腕をシュモクザメに変えたカイはエネルギーチャージを始めた。

「シャッシャ!」「シャーワ!」「イワシャシャ!」

カイ「しまった!?」

それに気付いた数体のイワッシャーがビームを連射してくる。しかし、

ファイア「ファイアズムサイズ、リフレクト!」

ビームの斜線上に割って入ったファイアが、鎌を高速回転させてビームを弾いた。


914 ◆llXLnL0MGk2013/08/15(木) 02:44:34.04/sHFf3Hg0 (7/10)

カイ「っと、ありがとうございますファイアさん! 撃つんで下がって下さい!」

ファイア「分かったわ。とびっきりのをお願いね!」

カイ「はい! シャーク・インパクトォッ!!」

カイが放った極太のビームは、多数のイワッシャーを飲み込みながら天に昇っていく。

イワッシャー、残数22。

星花「ストラディバリ、ここは大技で!」

ストラディバリ『レディ』

指示を受けたストラディバリが胸部の装甲板をバクンと開く。

星花「オーラボンバー! ですわ!」

ストラディバリ『レディ』

胸部の空洞からオーラの砲弾が二発放たれ、またも多数のイワッシャーを消滅させた。

イワッシャー、残数4。

カイ「後は一人一体だね。アームズチェンジ! ノーマルアームズ!」

亜季「マイシスター、回収を」

星花「さあ、お覚悟なさいませ」

ファイア「相手が悪かったわね」

カイが地面に潜り、亜季がビームソードを展開し、星花がバイオリンで美しいメロディを紡ぎ、ファイアが鎌を構えなおす。

「「「「シャ、シャー!!」」」」

イワッシャー達は四人に背を向け一斉に逃げ出した。

カイ「逃がさないよ! シャーク・ストレートッ!!」

亜季「ゲームオーバーであります!」

星花「オーラロケットパンチを!」

ストラディバリ『レディ』

ファイア「ファイアズム……サイズッ!」

驀進する背びれが、光り輝く刃が、鋼鉄の拳が、燃え盛る鎌が。

それぞれ、目の前の敵を破壊した。

――――――――――――
――――――――
――――


915 ◆llXLnL0MGk2013/08/15(木) 02:45:25.99/sHFf3Hg0 (8/10)

――――
――――――――
――――――――――――

カイ「さて、途中トラブルもあったけど、無事に着いたね。憤怒の街」

瞳子「じゃあ、私はここで別行動ね」

星花「もう行ってしまわれるのですか?」

少し残念そうに尋ねる星花に、瞳子は微笑んで答える。

瞳子「久しぶりに美優達の顔も見たいしね。大丈夫、きっとまた会えるわ」

亜季「了解しました。瞳子殿、ご武運を」

ピッと敬礼する亜季に、瞳子も軽く敬礼を返し、街の淵を沿うように歩いていった。

カイ「さて、あたし達はどうしようか」

亜季「私はマイシスターと共に超高空から既に戦っている方々の支援射撃をさせてもらうであります。また墜落しては敵いませんから」

亜季はそう言って苦笑する。

カイ「星花はどうする? あたしはアレ。あそこの地下水道が気になるんだけど……」

カイが指差した先で、地下水道がぽっかりと口を開けていた。

星花「ストラディバリであそこに入るのは大変そうですわ。わたくしは地上を行きます。道中怪我で動けない方がいらっしゃれば、
  オーラを分け与えて治癒して差し上げたいですし」

カイ「了解。じゃあ三手に別れる事になるね」

『キンキン!』

亜季「フルメタル・トレイターズ初の本格的活動ですな」

ヴーン ヴーン

星花「うふふ、なんだかドキドキしてきました」

ストラディバリ『レディ』

カイ「よし……作戦、開始!」

亜季「ええ! マイシスター、行きましょう!」

ヴヴーン

マイシスターが亜季を背に乗せて高く高く飛んでいく。

星花「ストラディバリ、怪我をされている方を最優先で、ね」

ストラディバリ『レディ』

ユニコーン形態のストラディバリが星花を背に乗せ、街の中へ駆け込んでいく。

カイ「よし、あたし達も行こう、ホージロー」

『キン!』

そしてカイとホージローは、不気味に口を開ける地下水道の中へ入っていった。

続く


916 ◆llXLnL0MGk2013/08/15(木) 02:48:13.62/sHFf3Hg0 (9/10)

・イベント追加情報
フルメタル・トレイターズが憤怒の街に入りました。
○亜季はスナイパーライフルで超高空から各地で戦闘するヒーローに支援射撃を行います。
○星花は地上を散策し、怪我人の治癒を優先します。
○カイは地下水道の散策を開始します。

以上です
亜季の支援射撃も星花の治癒もご自由にお使いください
どうでもいいけどフルメタル・トレイターズは肝試しイベントで壊滅的被害を負う気がしなくもない


917VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/15(木) 02:49:17.77tXfUsKQ8o (1/1)

>>912
>亜季は立ち位置を一切変える事無く、二門のバズーカを華麗に操り、イワッシャーの群れを薙ぎ倒していく。
>亜季「ふんっ! これぞバズ=カタであります!」
(BZだけで戦っちゃ)カタ(の意味が)ないじゃん…


にひっ☆


918 ◆llXLnL0MGk2013/08/15(木) 02:56:59.98/sHFf3Hg0 (10/10)

>>916
やっべ瞳子さん忘れてた
○瞳子は美優達との合流を目指すようです。(迷う可能性あり)
追加で。

やっぱ寝ないで書くなんてするもんじゃないね


919VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/15(木) 07:59:22.37lq2udrd10 (1/1)

お二人とも乙です
忍ちゃんフィーバーで周辺住人の健康がヤバイ

そして迷う可能性の会う瞳子さんw迷子属性がついてらっしゃるw


920 ◆C/mAAfbFZM2013/08/15(木) 08:04:54.62nEvU/wAAO (1/10)

えっと142cm組(と言うか輝子関連)の話が出来上がったので今から投下しますね
一応ほとんど会話文中心なので注意


921 ◆C/mAAfbFZM2013/08/15(木) 08:06:15.13nEvU/wAAO (2/10)

幸子「……そう言えば輝子さんに一つお聴きしたい事があるんです」

輝子「な、何かな……幸子……」

幸子「輝子さんは修行のために魔界から人間界に来たといってましたね?」

輝子「う、うん……結果は……見ての通り……」

幸子「――ではどうして今の時期に人間界に来たのですか?」

小梅「えっ?……今の時期って、そ、そんなに危ないんですか?」

幸子「はい、今の人間界にはカーズやら、宇宙人やら、その他悪人達が暗躍してるんですよ?――超危険地帯と言っても過言ではありません」

小梅「た、確かに……」

幸子「そんな危ない場所へ修行に行かせた理由、お答えしていただけませんか?」

輝子「え、えっと……」

小梅「む、無理に……こ、答える必要はないと思うよ……輝子さん」

輝子「こ、小梅……あ、ありがとう……で、でも親友にこれ以上黙っておくわけにもいかないから……フヒ……」

小梅「て、輝子さん……」



922 ◆C/mAAfbFZM2013/08/15(木) 08:07:57.56nEvU/wAAO (3/10)

輝子「……ま、前に……私が吸血鬼の名家出身って言うのは……話したと思う……」

幸子「うん、それは自己紹介の時に聞きましたね――正直聞いた時は信じられませんでしたが……」

輝子「そ、それで……私の家は『共存派』を束ねている……頭首なんです」

小梅「『共存派』……っと言うことは……他にも派閥とかあるんですか?」

輝子「う、うん……今の所魔界には『共存派』『家畜派』『利用派』が存在している……って父様が言ってた」

幸子「なるほど――それでそれぞれの派閥の特色とかも差し支えなければ教えてくれませんか?」

輝子「フヒ……わかったよ、幸子……ま、まず私の父様が頭首をしている『共存派』たけど――うちの派閥は人間と共に生きていくことを……念頭に置いて活動している」

小梅「比較的……平和そうな……派閥ですね」

輝子「う、うん……私のところは基本的に人間を襲わない……フヒ」

幸子「(初めてあった時の事はカウントしなくていいですね……)ふむ……では他の二つの派閥はどうなんです?」

輝子「えっと……次は『家畜派』だけど……これは人間を自分達の『食事』の為の……『家畜』にしか思ってない……結構乱暴な連中が多い……」



923 ◆C/mAAfbFZM2013/08/15(木) 08:09:32.35nEvU/wAAO (4/10)

幸子「なぜでしょう、すごく噛ませ犬なフラグがビンビンと漂ってるのですが……」

輝子「じ、実際……(吸血鬼として)若い連中しかいないって……お父様が言っていたから……たぶん、その認識で間違いないと……思う……フヒ」

小梅「所謂……若さ故の過ち……って所だね」

輝子「……さ、最後に……『利用派』だけど……これは人間達を利用して……人間界や魔界を支配しようと考えている連中……」

小梅「何かすごく危なさそう……」

輝子「お父様も……結構危険視しているけど……中々尻尾を掴ませてくれない……」

幸子「ふむ、大体わかりました――それでそれらが輝子さんが人間界に来た理由と何か関係があるのですか?」

輝子「じ、実は……あんまりこの事は内外に漏らしたくないけど……『家畜派』と『利用派』の一部が……この人間界に来ている……しかも無断で……」

幸子「まぁ、そんな気はしましたが……」

輝子「……私はそ、それらの調査もかねて……人間界で修行をする事にしたんです……フヒ」




924 ◆C/mAAfbFZM2013/08/15(木) 08:10:55.45nEvU/wAAO (5/10)

小梅「……す、すごいね輝子さんは……じ、自分の家族のためとは言え……わ、私はそこまで勇気が出ない……かな」

輝子「小梅……あ、ありがとう……」

幸子「――それにしても『家畜派』と『利用派』は気に入らないですね……」

輝子「ど、どうして……」

幸子「だってそうでしょ?このカワイイボクを差し置いて家畜化とか支配とか……図々しいにもほどがあります!(ドヤッ」

梅子「そ、そうだね……(幸子さんらしいと言うべきか)」

輝子「と、友達を差し置いて話を進めるのは……良くない事だね(フヒ……やっぱり幸子は幸子だ)」

幸子「そうと決まれば輝子さん、私も手伝いますよ――カワイイボクがいれば百人力ですよ(ドヤッ」

小梅「……しょ、正直……私もやり方は不満があるから……手伝ってあげる――あっ、そ、それと『あの子』も……手伝うって言ってる……」

輝子「あ、ありがとう二人とも……持つべきものはやっぱり友だね……フヒ」


 こうして三人は新たなる目標を胸に友情を深めていく。

――その先に深き闇が待ち受けているとは知らずに……



925 ◆C/mAAfbFZM2013/08/15(木) 08:12:29.61nEvU/wAAO (6/10)

―一方その頃、魔界の輝子実家では―

???「……『右腕』よ……奴らの動きは何か掴めたか?」

右腕「はっ……『伯爵』様……今の所わかっている事は『家畜派』の者共が『憤怒の町』と呼ばれる場所で『カーズ』を回収している事と、『利用派』の者共が『ルナール社』と接触している模様です」

伯爵「ふむ……前者は間違いなく戦力の補充であろう――今の『家畜派』にはまともに戦える戦力がほとんど無いからな……そして後者だが――」

右腕「――恐らく私の勘ですが『ルナール社』の背後にいると思われる『櫻井財団』を利用するためかと」

伯爵「まったく、あやつらの考えそうな姑息な手だな」

右腕「はっ……しかし現状対した証拠ないため、直接手出しができませぬ……故に――」

伯爵「――我が娘、輝子だけが頼みの綱、と言うわけだな」

右腕「左様で……ですが本当によろしいのでございますか?――娘にこのような重責を負わせて」

伯爵「心配はいらぬ、輝子は仮にもワシの娘だ……この重役必ず成し遂げるはずだ」

右腕「左様で……でしたら――」


926 ◆C/mAAfbFZM2013/08/15(木) 08:14:23.14nEvU/wAAO (7/10)

右腕「――無断で人間界に渡航しようとするのはやめていただきます」

伯爵「……やはりばれておったか」

右腕「はい……ご丁寧に(ア○ゴ名義で作られた)偽造パスポートまで用意している所まで」

伯爵「今度こそ大丈夫だと思ってたのだがな……」

右腕「娘があんな性格で心配なのはわかりますが、今はまだ動くべき時ではありませぬ」

伯爵「わかっておる、今下手に動けば必ずその動きを奴ら――特に『利用派』の連中――に利用されるのがオチだ。歯がゆい事であるが今我々にできる事はただ一つ……こうして情報を集め相手が痺れを切らして魔界で目立つ行動を起こすまで待つのみだ」

右腕「左様で……ただ相手が痺れを切らした時には――」

伯爵「――全力で叩きのめす……そのための準備は怠ってはおらぬな?」

右腕「はっ、いつでも精鋭部隊の出撃の準備はできております」

伯爵「フッ、流石はワシの右腕……良い働きをする」

右腕「……左様で」

伯爵「――では我慢比べと洒落込もうか――我々が根をあげるか、奴らが根をあげるかのな」



927@設定 ◆C/mAAfbFZM2013/08/15(木) 08:17:09.77nEvU/wAAO (8/10)

星輝子
職業:吸血鬼
属性:カースドヒューマンの仲間
能力:催眠、吸血によるパワーアップ、その他吸血鬼関連の能力全般
魔界出身の吸血鬼の少女で割と名家として名が通っている。
人間界へ来た理由は本人曰わく修業なのだがご覧の有り様なので禄に他人から血を吸うことができず一週間も過ごしてしまい、その時ちょうど幸子と出会い冒頭にいたる。
現在は幸子が定期的に献血しているため吸血衝動は抑えられている。
ちなみに日光に関しては当たっても灰にはならないがそれでも苦手らしく相当弱体化する。
現在は少しずつだが前向きになろうと努力している。

伯爵
職業:『共存派』の頭首
属性:親バカ吸血鬼(CV若本)
能力:吸血鬼全般の能力
輝子の父親で『共存派』を束ねる頭首。
若い頃は魔界や人間界で暴れまくっていたが色々(魔神に喧嘩を売って返り討ちにあったり人間に退治されたり)あった事で現在の状態になる。
彼曰わく「娘は母親似でワシには全然似てない」であるがハイテンション時のアレは確実に彼の血を継いでいる。

右腕
職業:伯爵の右腕
属性:中間管理職な死神
能力:魂に関する魔法、小鎌での遠距離攻撃、驚異的事務能力
伯爵の若い頃から右腕として働いている死神族。
その仕事は情報収集・精鋭部隊の指揮・事務仕事・炊事・洗濯・買い出し・輝子のキノコの世話・伯爵様の監視(無断で人間界に渡航しないか)などなど多岐におよぶ。
その仕事量の多さ故、最近ではダース単位で買ってきた栄養ドリンクの世話になっている。
基本クソ真面目で融通がきかない所もあるが伯爵様のためなら自分の命を投げ出してもかまわないと思っている。



928@設定 ◆C/mAAfbFZM2013/08/15(木) 08:18:54.61nEvU/wAAO (9/10)

共存派:人間との共存を理念に掲げている派閥で比較的温厚で歳もそれなりに取っている連中が多い。
人間に関しては畏怖や尊敬の念を抱いている吸血鬼も多く、その原因の多くが過去に人間界に侵攻して逆に退治去れたことが起因となっている。
魔界内では実力者が多く、そのおかげで他の派閥をなんとか抑え込んでいるもののいつその抑えが効かなくなるかわからないのが現状である。

家畜派:人間を家畜同然と見下し自分達の食料としてだけの目的で人間界に侵攻している連中、所謂吸血鬼界のヒャッハー枠である。
人間の事は完全に見下しおり人間なら(たとえ人間に化けた魔王や魔神でさえ)見かけた瞬間ほぼ確実に喧嘩を売ってくる(そして大抵返り討ちにあう)。
現在は戦力補充をするため人間界に数多く侵攻しており遭遇確率が高くなっているので注意。

利用派:人間と言うか自分達以外の者を利用して魔界や人間界を支配する事を目的としている連中でずる賢い奴が多い。
他の派閥(特に家畜派に)にスパイを数多く置いてあり、それらを使った煽動が得意技の一つと言われている。
現在は『ルナール社』経由で『櫻井財団』にスパイを送り込む計画を侵攻中である。



929 ◆C/mAAfbFZM2013/08/15(木) 08:25:50.39nEvU/wAAO (10/10)

という訳で投下終了いたします。
とりあえず輝子父と新しい雑魚敵、後狙われる櫻井財団と色々設定が増えました。
まぁ確実に家畜派のメンツが主に酷い目にあいそうな気がするのは気のせいですよね、たぶん。


930VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/15(木) 08:46:04.192tLsjbfw0 (1/1)

乙です
CV若本ww
吸血鬼も色々いるねぇ
家畜派がいつか共存派になるのだろうか…(遠い目)

伯爵お父様とサタンお父様仲いいだろうな…娘同士ではどうだかわからんが


931 ◆hCBYv06tno2013/08/15(木) 08:59:22.91LDe9u8AQ0 (2/2)

お二方乙ー

ニヒッ☆カワイイよニヒッ☆
そして、イワッシャーがいっぱい

なんだろう…
家畜派…色んな人達にフルボッコ☆
利用派…「フェイフェイのエサダヨー」「私を利用しなんて対した強欲ですね」

って未来が見えた


932VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/15(木) 11:17:55.55HBOEelKzo (1/1)

乙乙ー

そういえば雪女だったなぁ、テンションおかしくもなるわ
近所に雪を降らせて欲しいです><

瞳子さんは迷子属性ついちゃったのか…たぶんドジないたずらっ子だったんだな、昔
かっこよく決まってるけどやっぱり浮くな、コール

吸血鬼は名ありのが出てこない限りボコボコの未来しかみえない…
明日はどっちだ


933 ◆llXLnL0MGk2013/08/15(木) 22:27:25.72ZjOOPcHD0 (1/1)

おっつし☆
共存派以外の吸血鬼に可愛そうな未来しか見えない……

950までの埋めを兼ねて仙崎恵磨と八神マキノを予約します


934 ◆hCBYv06tno2013/08/16(金) 14:59:12.16EdelViOLO (1/9)

肝試しイベント投下しますー


935 ◆hCBYv06tno2013/08/16(金) 14:59:42.72EdelViOLO (2/9)

「ううっ……んっ……」

北条加蓮は、寝苦しさを感じながら目を覚ました。

なんだか、頭がボーッとする。

それに、なんか身体が重い。

また病気が再発したのかな?という不安や、バイトは今日は休みだったから良かったという安堵が頭に過ぎっていた。

とりあえず起き上がろうと、身体を起こした。


936 ◆hCBYv06tno2013/08/16(金) 15:01:20.67EdelViOLO (3/9)

「………あれ?」

そこで、加蓮は違和感に気づく。

部屋が広く感じるのだ。部屋だけではない。部屋に飾ってるモノも大きく見える。

「疲れてるのかな……。ここのところ大変だったし…」

気のせいだと、加蓮は自分に言いかせた。

「………気のせいだよね…うん」

何故か、自分は裸になっているのも、自分の下に広がる巨大な布が自分が着てたパジャマに似ているのも………

「………気のせいじゃない!?」

そう。加蓮の体が妖精のように掌サイズに小さくなってしまったのだ。


937 ◆hCBYv06tno2013/08/16(金) 15:02:35.25EdelViOLO (4/9)

「どうしよう……」

ひとまず、黒い泥をドレスのように全身に纏いながら加蓮は悩んだ。

どうして、こうなったのか?

そもそも人間って小さくなるものなのか?

なんか外から変な感じがするし、このままこの姿だったらバイトどうしようと、頭を抱えている。

心配するのはバイトの方かとツッコミたくはなるが……


938 ◆hCBYv06tno2013/08/16(金) 15:03:37.69EdelViOLO (5/9)

ズルズル…

「ん?」

ズルズル…

そう加蓮が悩んでいると、彼女の身体が徐々に徐々に引っ張られているように動いてるのに気づいた。

もちろん、加蓮の意思ではない。

「あれ?」

そういいながら、自分の足元を見る。

すると、加蓮の影がまるで生き物のように動いていて、それにあわせて加蓮の身体も一緒に引っ張られているのだ。

『こっちにおいでよー』

『導かれよ…』

『死んでるんだろ?取り込まれる前にこっち来いよ』

「えっ!?ちょっ……ちょっと待って!!」

その影からなんか色んな声が聞こえてくる。

しかも、人の手やら顔がいっぱい出て来ては消えていく。

よくわからないが、引っ張られたら自分が何処かに連れ去られて、二度と戻れない。

そう感じたのだ。


939 ◆hCBYv06tno2013/08/16(金) 15:04:30.57EdelViOLO (6/9)

「なんだか、わからないけど」

慌てながら、背中に黒い泥でできた翼を生やし。

「誰か助けて!!!」

半泣きの状態で、窓を突き破り、小さな加蓮は、死神や悪霊が待ち構えてる街へと飛びたして行った。

それを追うように加蓮の影も追いかけて行きながら。


続くのか?


940@設定 ◆hCBYv06tno2013/08/16(金) 15:05:59.17EdelViOLO (7/9)

イベント情報追加

・加蓮が何故か小さくなりました。寮の部屋には割れた窓ガラスと加蓮のパジャマが転がっています。

・加蓮の影が意思を宿し、加蓮を何処かに連れ去ろうとしています。

・1回死んでる加蓮を悪霊とかが狙うかも?


・加蓮の影

色んな人の手や顔が出ては消えていく謎のモノ。色んな声で喋る。

影から手や触手を出して加蓮を捕まえようとしてる。

加蓮を何処かに連れ去ろうとしてる。もしかしたら加蓮が小さくなった原因?


941 ◆hCBYv06tno2013/08/16(金) 15:09:11.71EdelViOLO (8/9)

以上です。

小さな加蓮の鬼ごっこはっじまるよー!!!

つい奈緒にも影響がでてるということで、加蓮にも影響あたえようとしたら何故かこうなりました……何故だろ…

影の正体は正確には決めてません。悪霊の類かもしれないし、奈緒の中にいるのの一つかもしれないし、加蓮のファンかもしれない…
好きに決めてもらって大丈夫です

涙目の加蓮っていいよね!


942 ◆zvY2y1UzWw2013/08/16(金) 15:17:02.96rHqn2s2/0 (1/7)

乙です
かわいいなぁ…フェアリー加蓮
影こわいw全力で逃げて―!


943VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/16(金) 15:35:49.212XrjRk0ko (1/1)

乙乙

こんなことになったのも全部向井拓海ってやつのせいなんだ


944VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/16(金) 16:03:03.16fm/rpjfvo (1/1)

>>943
真奈美「なんだって、それは本当かい!?」

それはともかく乙乙
掌サイズの加蓮とかなにそれかわいい


945 ◆zvY2y1UzWw2013/08/16(金) 19:03:07.18rHqn2s2/0 (2/7)

肝試しで投下スルヨー


946 ◆zvY2y1UzWw2013/08/16(金) 19:04:39.92rHqn2s2/0 (3/7)

アイドルヒーロー同盟に加盟している一つのプロダクション。そのプロダクションの女子寮にて、少し問題が発生していた。

「やーねーホント、こんな霧じゃあ洗濯物中干しするしかないじゃない!天気予報は晴れだったのよー!プロダクションの偉い人が言うには無害って言うけど妖怪もうろついてるらしいのよねー!」

…こんなテレパシー系能力者である別名・『連絡さん』の寮母を通したプロデューサーからの連絡で、ライブが一件延期。レッスンを行うにも外は危険だと判断され、自室で待機と言う事だった。

でも、菜々は夕美の部屋を訪れていた。体調が悪いらしく、プロデューサーにも連絡さんを通じてそう告げてあるがやはり不安だった。

しかし、夕美の口から発せられたのは驚くべき言葉だった。

「ナナちゃん…早く私をこの女子寮の外に…窓から投げ捨てる感じでいいから…」

「ななな、何言ってるんですかー!?ここ3階ですよ!?というかナナ一人じゃ無理ですって!体格差的な意味で!」

「と言うか理由を言ってくださいよ…ナナは殺人犯になりたくはないです…」

「うん、ゴメン…なんか母星で言う活性化な感じで…力がみなぎってくるんだけど…普通の感じじゃないから上手く抑えられなくって…」

精霊は自然の力で生きているのだが、霊に近い存在である。

負のエネルギーや妖気だけでは特に問題はないが、負に汚染された妖気とはあまり相性が良くなかった。

大精霊なので本来の力を発揮できればこれも大丈夫だったろうが、今そんなことを嘆いても無意味だ。


947 ◆zvY2y1UzWw2013/08/16(金) 19:05:12.64rHqn2s2/0 (4/7)

「外に出て力解放すれば大丈夫なんだけど…」

「せめてちっちゃくなれないんですか?」

「あれは力尽きた時だけだから…今は逆に力が暴走しそうで…」

よく見れば、部屋中に置いてある植物が非常に元気で、部屋中に植物が生えかけている。

「さすがに寮を森にしたらナナちゃんの寝床が…」

「ゲェー!?すでに始まってるー!?どどどどうすれば!?」

布団をかぶっているがその布団にも花が生え始めている。

「いやいや…いえいえ…落ち着きましょう…こうなったらヤケです!」

「ナナちゃんそれ落ち着いてない…」

夕美の突込みも空しく、菜々は窓を開け、夕美を掴む。

「ウ、ウサミンパワー(物理)!どっせい!!」

ヤケクソだった。そして投げた後、バランスを崩して床に倒れる。

恥ずかしさのあまり素早く立ち上がろうとしたが…

グキッ

(…あ、今…ナナの中で…決定的な…何かが…切れました…)


948 ◆zvY2y1UzWw2013/08/16(金) 19:06:14.83rHqn2s2/0 (5/7)

そんな菜々の事など知らない夕美は、上手く着地に成功していた。

着地した地面に花が咲き誇る。

「ナナちゃーんありがとー!楽になったよー!」

「…いえ…どういたしましてー!…イタタタタタ…腰痛い…」

「あっちでお祭りあるみたいだよ!ナナちゃんも外で遊ぶー?」

「な、ナナはしばらくここにいますから!ほっといて下さい…!…イタイ…」

「…?うん、わかったよ!」

ある程度放出したからか、テンション高めの夕美。

菜々は腰が痛くてそれどころではない。痛みに耐える声は聞こえていないようだ。

(こんな姿、たとえある程度の年齢を知っている夕美ちゃんでも見られるわけには…!)

ウサミンの肉体は地球人よりも老いにくい。しかし、菜々の地球人換算年齢は…もうすでにアレな年齢なのだった。

「ナナは…どうすればぁ…」

久々に自分の年齢を実感s…不運を嘆きつつ、天井を仰いだ。


949 ◆zvY2y1UzWw2013/08/16(金) 19:07:52.92rHqn2s2/0 (6/7)

イベント情報
・夕美が散歩中。アイドルなので変装し、顔を花畑にすることで口以外が見えないようになっています。歩くと周囲に花が咲きます。小動物の姿になっている可能性も。
・菜々が『不運にも』ぎっくり腰になりました。夕美の部屋で横になっています。

寮母(連絡さん)
夕美や菜々が所属するプロダクションの女子寮の寮母さん。
『一度顔を見合わせた相手にテレパシーを飛ばせる』能力者で、毎日プロダクションにテレパシーを飛ばしてアイドルのスケジュールチェックを行っている。
お喋り好きなおばさんで、綺麗好き。
盗聴などを恐れたプロダクションは、女子寮への連絡は基本的に朝の彼女のテレパシーを通じてまとめて行っている。
…多分もう出ない…多分


950 ◆hCBYv06tno2013/08/16(金) 19:27:22.22EdelViOLO (9/9)

乙ー

夕美ちゃん。それ変装ちゃう。ただの不審者や!

そして、あべななさんじゅうななさいwwwwww
おや?こんな時間にd(グチャッ☆


951 ◆yIMyWm13ls2013/08/16(金) 19:29:55.33aFgRwG3Go (1/1)

乙乙!どっせい!

体力持つのは一時間だもんね!仕方ないね!


952VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/16(金) 22:08:08.44vHd94PWQo (1/1)

乙乙
どっせい!上段正拳!


953 ◆zvY2y1UzWw2013/08/16(金) 22:16:03.59rHqn2s2/0 (7/7)

>>950
精霊のお祭り仕様だから…大丈夫だヨー多分


954 ◆llXLnL0MGk2013/08/17(土) 02:01:02.66+YodP43L0 (1/1)

本編と一切関係無い小ネタ、始まるよー!


スパイクP「見つけたぜカイ!」

カイ「わっ、スパイクPさん! 久しぶりだね」

『キンキン!』

スパイクP「余裕こいていられるのも今のうちだ! 食らえ、スパイクミサイル!」

カイ「あぶなっ! ようし、オリハルコン、セパレ……」

スパイクP「あばよ!」

カイ「……行っちゃった。あれ? 棘に何か手紙がついてる……」

手紙『誕生日おめでとう。今年で20歳だな。21歳は来ないものと思え。 スパイクP』

スパイクP「……スパイクPさん……」キュン

『キキン!?』

続かない。断じて。

櫂くん誕生日おめでとう!
さあ恵磨さんとマキノさんを書く作業に戻るか


955VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/17(土) 02:28:47.50q+aUdtc8o (1/1)

>>954
> スパイクP「……スパイクPさん……」キュン

誤植なんだろうけど思いっきり吹いた


956VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/17(土) 02:38:02.77plCQ+Mtzo (1/2)

>>955
スパイクP「俺やっぱかっこいい…!」キュン


957 ◆yIMyWm13ls2013/08/17(土) 02:41:43.88LW6eLglQo (1/2)

スパイクP「狩野英孝か……見どころがある」

あ、裕美ちゃんもお誕生日おめでとう!


958 ◆llXLnL0MGk2013/08/17(土) 02:43:05.59IdM86/4i0 (1/1)

やってしもうたー☆

×スパイクP「……スパイクPさん……」キュン

○カイ「……スパイクPさん……」キュン

うん、もう寝よう


959VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/17(土) 07:17:05.70AMsGVRs00 (1/1)

こうしてナルシスト属性が…って冗談だけど
お誕生日おめでとー!


960VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/17(土) 12:00:27.28Iqor3ISG0 (1/1)

建てたぜよ

モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part 6
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1376708094/


961 ◆yIMyWm13ls2013/08/17(土) 13:49:24.62LW6eLglQo (2/2)

>>960
お疲れ様!


962予約 ◆6osdZ663So2013/08/17(土) 16:42:22.51O6RgCAlMo (1/1)

小室千奈美さん予約します


963 ◆hCBYv06tno2013/08/17(土) 17:27:21.27Hg9+4oXCO (1/12)

肝試しイベントの川島さん投下しますー


964 ◆hCBYv06tno2013/08/17(土) 17:28:15.58Hg9+4oXCO (2/12)

「いない……いないっ!!何処へ消えた!!」

川島瑞樹--レヴィアタンは焦っていた。

彼女は、サタンとキバに復讐する為に、その娘達を殺す為に、そして自分の≪願い≫を叶える為に、ある計画を立てていた。

その計画の準備の為に色々した。

魔王の娘の動向を探る為に川島瑞樹の身体を奪った事。

エンヴィーが残した≪嫉妬の蛇龍≫を利用してのカースの≪進化実験≫。

憤怒の街を利用して≪3つの核≫の作製。

捕まった大罪の悪魔達が残したカースの核を再利用して作り上げた≪ドッペルカース≫。

手駒も何人か用意した。

ノアの方舟とリヴァイアサンを復活させ、≪計画≫を実行する為に、海皇を操り、徐々に海皇宮に仕掛けを施した。

現在進行中の戦闘外殻にカースの核を入れ、どう影響が出るか試してるのもある。スパイクPを含む何人かの親衛隊にそれを使わせているが、まだこれと言った変化はない。

今の所は恐ろしい程、順調だ。


965 ◆hCBYv06tno2013/08/17(土) 17:29:34.11Hg9+4oXCO (3/12)

だが……今回起こったイレギュラーは計画がバレてしまう可能性がある事だ。

それは……

「何処に行った!?瑞樹!!」

宝石として魂を閉じ込めた、この身体の本当の持ち主、川島瑞樹。

彼女がこの部屋から消えているのだ。

「……祟り場のせいで、自由に動けるようになったのね。わかるわ」

だが、すぐに冷静になり、レヴィアタンは考える。

「恐らく、そんなに遠くには逃げてないわね。瑞樹が悪霊や妖怪に捕まって食べられるなら問題ないわ」

魂だけの存在だから、悪霊や妖怪の餌になるのは目に見えてる。
だから、放っておいても問題はない……のだが…

「けど、死神に見つかったらマズイわ。まだ死んでもない魂なのに、魂だけの状態でいるのは怪しまれるわ。それに……」

死神が飛び回ってるのなら、間違いなくサタンの部下のユズもいるはず。

ユズに見つかったら、間違いなくサタンや昼子に自分の正体がバレてしまう。そうなったら……

「……教師も悪くはなかったわ」

教師・川島瑞樹はもう捨てた方がよさそうだ。

海皇宮にいる≪分身≫と入れ替わったほうが、計画を進めるのにも都合がいい。


966 ◆hCBYv06tno2013/08/17(土) 17:30:44.00Hg9+4oXCO (4/12)

「けど、念のために瑞樹を消しとかないといけないわ。わかるわね?」

そう言うとレヴィアタンは、部屋の隅に目をやった。

『面倒くさいな。私は便利屋じゃないよ?』

そう言うと、現れたのはベルフェゴール……ではなく、その姿をしたドッペルカースだ。

だが、普通のドッペルカース達と比べて、本物そっくりの姿と色をしていて、シルエットみたいな黒色ではない。

まるで≪憤怒の人形≫みたいなそっくりの偽物だ。

「けど、あなたは私に逆らえない。わかるわね?≪怠惰の人形師≫」

微笑みながらも、何処か邪悪さを感じるような表情で嗤う。

それに諦めたように≪怠惰の人形師≫は溜息を吐く。

『それでどうするの?≪ドッペル≫を使うの?それとも≪傲慢≫の方使うの?』

「どちらでもないわ。ちょうど良い実験をしたいと思ったから、それを使うわ。貴女はそれを≪操作≫すればいいわ」

そう言いながらレヴィアタンは、ある部屋をあけた。


967 ◆hCBYv06tno2013/08/17(土) 17:33:53.80Hg9+4oXCO (5/12)

そこには、無数の蛇に拘束され死にかけている吸血鬼がいた。

この吸血鬼は憤怒の街のカース達を手駒にしようとして、運悪くレヴィアタンに喧嘩を売り、捕まった≪家畜派≫の吸血鬼だ。

知らないとはいえ、大罪の悪魔に喧嘩を売ってしまった哀れなチンピラだ。

それを見て何かを察したのか、偽ベルフェゴールは溜息をはき、吸血鬼に近づく。

『呪縛よ!怠惰を司る我が力に従い、この者の意識と身体の自由を奪い取り、我の為に働かせよ!!ボディースナッチ!!』

偽ベルフェゴールが呪文を唱えると、持ってるゲーム機から三つの黒い光が飛びたし、拘束されてる吸血鬼に入って行った。

すると蛇の拘束はとかれ、吸血鬼は倒れる。

が、偽ベルフェゴールがゲーム機を操作すると吸血鬼は急に立ち上がったのだ。

ボディースナッチ……怠惰の悪魔が使う魔術の一つで、相手の肉体の所有権を奪い、自分の代わりに働かせるもの。普通の悪魔なら一人が限界だが、本物には及ばないが複数の肉体を動かす事ができるのだ。


968 ◆hCBYv06tno2013/08/17(土) 17:34:57.50Hg9+4oXCO (6/12)

『肉体は奪ったけどさ、どうするの?これだったら≪ドッペル≫の方が簡単だよ?』

「簡単な実験よ」

偽ベルフェゴールの言葉にレヴィアタンが微笑むと、普通のカースの核を取り出した。

「なんで誰もやろうとしないか、不思議でしょうがなかったの」

そう言いながら、その核を吸血鬼の口の中に押し込んだ。


969 ◆hCBYv06tno2013/08/17(土) 17:35:30.41Hg9+4oXCO (7/12)








        わかるわね?      










970 ◆hCBYv06tno2013/08/17(土) 17:38:17.12Hg9+4oXCO (8/12)

ゴクリっと飲み込む音が聞こえると、吸血鬼はガクンとうな垂れた。

『グオォオォォォォォォオ!!!!』

そして、急に首をあげ吸血鬼の身体から黒い泥が溢れ、空を裂くような雄叫びをあげる。

「ふふふ、いい感じね」

『本当に悪趣味だね』

レヴィアタンは満足そうに微笑み、偽ベルフェゴールは呆れたように呟く。

今ここにカースドヴァンパイアが誕生した。


971 ◆hCBYv06tno2013/08/17(土) 17:39:07.08Hg9+4oXCO (9/12)

一方その頃

「はぁ……はぁ……」

一人の少女が街を走っている。

その少女は身体が透けていて、中心に綺麗に輝く宝石が浮いている。

「誰か…誰か……」

その少女の顔は、ある中学校に通う生徒や教師なら見覚えがあるかもしれない。

「あの人を……止めて…」

そう。少女の姿に若返ってる川島瑞樹の魂だ。

目に涙を貯めながら、魂は当てもなく、祟り場となった街を走り回る。

助けてくれる者を探しに。


終わり


972 ◆hCBYv06tno2013/08/17(土) 17:39:40.75Hg9+4oXCO (10/12)


イベント情報追加

・街にロリ島さんが走りまわってます。誰か保護してもいいですよ

・街に三人のカースドヴァンパイアが出没しました。ロリ島さんを狙ってます。倒して大丈夫です




・≪怠惰の人形師≫

ベルフェゴールが残してった怠惰のカースの核をレヴィアタンの呪詛により作ったドッペルカースの強化版。

他のドッペルカースと違い、本物そっくりの姿。
だが、能力は本物よりは劣るが、ドッペル達よりは上。

ドッペルカースやカースの司令官的な立場。

自分は動かず、他の手駒を操って働かせる。

現在はレヴィアタンの部下で、カースドヴァンパイアを操作してる。


・≪カースドヴァンパイア≫

川島さんが悪魔にカースの核を埋め込んだらどうなるかの実験の為に捕獲された≪家畜派≫の吸血鬼。

普通の吸血鬼の能力に加え、黒い泥の操作や蝙蝠型のカースを作り出す能力を得ている。

意識はないが、怠惰の人形師の操作で、動いてる為にトリッキーな動きをするかもしれない。


973 ◆hCBYv06tno2013/08/17(土) 17:42:03.26Hg9+4oXCO (11/12)

以上です

怠惰の悪魔の戦い方って自分は動かず、他人を操り戦わせるのかな?と思い、ドッペルカースのリーダーを出して見ました。

そしてカースドヴァンパイアは好きに倒したりして大丈夫ですよ!

あと本物の川島さんは魂だけ少女の姿になってるので、精神年齢もそれ相応にされています。わかるわね?


974VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/17(土) 17:46:03.34plCQ+Mtzo (2/2)

わかる…わからないわ


975VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/17(土) 17:54:36.77vJOEFhB60 (1/1)

乙です
ロリ島さんだと…!?
そして川島さんが着々と準備を進めてらっしゃる…洪水イベントが恐ろしい事になりそう


976 ◆hCBYv06tno2013/08/17(土) 17:57:59.26Hg9+4oXCO (12/12)

おっと、イベント情報訂正

三人のカースドヴァンパイア×

カースドヴァンパイア一人○


977VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/17(土) 18:52:18.27AxCh0E0Z0 (1/1)

乙です
カースドヴァンパイアとか恐ろしいな…色欲でないことを祈ろう。多分嫉妬だと思うし
そしてロリ島さんかわいいわ


978 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:17:20.79343Kvp230 (1/13)

乙乙
ロリ島さんなのね、わかいわ

恵磨とマキノを投下しまー


979 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:18:28.36343Kvp230 (2/13)


――2年前。

「母ちゃん! 母ちゃああん!!」

「……エマ、母さんはもうだめ……」

「何で!? 母ちゃんこないだまであんなに元気だったのに……!」

「エマ……聞いて……」

「……何……?」

「母さんの……アビスマイルを……あなたに、託すわ……」

「えっ!? む、無理だよ! アタシみたいなウルサイ奴があんなの着れっこないよ!!」

「大丈夫よ……あなたは私の……自慢の、むす、め……うっ」

「っ!? 母ちゃん!? 母ちゃん! 母ちゃーん!!!」

――1年前。

「おい見ろよ。アイツまたやってるぜ」

「どうせ無駄なのによ、あっはっは!」

「うるせーからこれっきりにしてくんねーかなあ」

「おいおい、聞こえるぞ」

「大丈夫だって。自分の声がうるさくて聞こえやしねえよ!」

「「「「あっはっはっはっはっは!!」」」」

「…………う、ううう…………」

――――――――――――
――――――――
――――


980 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:19:48.32343Kvp230 (3/13)

――――
――――――――
――――――――――――

??「うああああああああああ!! ……はぁ、最近は見てなかったのにな……」

絶叫と共にベッドから飛び起きた女性は、大きくため息をついて冷や汗を拭う。

『カラララ?』

部屋の隅から、小さく金属音が聞こえてくる。

音の主は、ギターを背負った金属のイルカだった。

??「ああ……大丈夫だって、ルカ」

女性はルカと呼ばれたイルカの頭を軽く撫でる。

『カララ』

??「信用ならない? ……っしゃー! テンション超MAAAAAX!!!!! ……どうよ!」

『カラ、カラカララ』

ルカの声が心なしか嬉しそうに変わる。ルカの知る彼女が帰ってきたのだ。

??「さあ! 今日も一日張り切って……」

??「エマ、もう起きているの?」

扉の向こうから、凛と済んだ声が飛んできた。

エマ「お、マキノ! はよーっす! なんかあった!?」

エマは扉越しにマキノへ挨拶する。

マキノ「ええ、おはよう。海皇様があなたを連れて来てくれって」

マキノもまた、扉越しにエマに用件を伝えた。

エマ「ん、分かった! 今行く!!」

言いながらエマはルカを連れて部屋を飛び出した。

マキノ「……エマ、まずは着替えてみては?」

……エマは寝間着のままだった。

――――――――――――
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――――


981 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:20:51.95343Kvp230 (4/13)

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――――――――――――

マキノ「ヨリコ様、エマを連れて参りました」

エマ「ヨリコ様、おはざーす!!」

片膝を突いてうやうやしく頭を下げるマキノに対し、エマは元気いっぱいの挨拶をヨリコへ投げかけた。

マキノ「ちょっとエマ。いくらなんでもそれは失礼ではなくて?」

エマ「あたっ」

慌てたマキノが、エマの頭を軽く小突く。

ヨリコ「ふふ、構いませんよマキノ。私はエマのそういう元気いっぱいなところが好きなのですから」

玉座でヨリコが静かに微笑む。傍らにはあの海龍の巫女の姿もあった。

エマ「あれ、アタシ今ほめられた? あっざーす!!」

マキノ「……度し難いな……。それでヨリコ様、用件というのは?」

もう彼女に何を言っても無駄だろう、そう察したマキノは話を進めた。

ヨリコ「ええ。どうやら地上人のとある一団が、この海底都市へ向けて進行中のようです」

エマ「えーっ!? マジで!?」

サヤ「そうなんですよぉ。んふっ、どうやらサヤが以前交渉に行った『イシュトレー』という組織らしくて」

脇に立っていたサヤが口を挟む。

マキノ「イシュトレー? 聞いた事の無い組織ね」

サヤ「ちゃあんと調べてありますよぉ。事の起こりは十年前、元々は町工場で細々働いてたオジサンが首領です」

手に持った資料に目を通しながら、ヨリコが続ける。

ヨリコ「彼は世界征服という、その身に余る大きな野望を抱え、資材や人員を少しずつ蓄えていったそうです」

マキノ「……つまり、野望に乗り出す準備がついに完了し、その第一歩としてここに攻めてくる……と?」

ヨリコ「おそらくはそうでしょうね。……こちらを」

ヨリコが合図をすると、兵士達が大型ディスプレイの電源を入れた。


982 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:22:02.04343Kvp230 (5/13)

首領『繰り返す! 我々は秘密結社イシュトレーである! 我々はこれより恐怖と絶望をもって、
  この世界を征服する! 今日はそのデモンストレーションとして、海底に棲むウェンディ族とやらを
  瞬く間に滅ぼしてみせよう! さあ諸君! 今のうちにイシュトレーの軍門に下る覚悟を決めたまえ!』

ディスプレイには、唾を飛ばしながら熱弁する髭面の中年の姿が映されている。

ヨリコ「先ほどから地上の電波をジャックして放送されているようです」

ここでヨリコは一旦言葉を切り、微笑みながら続けた。

ヨリコ「あなたたち二人への任務です。彼らを撃退し、最高のデモンストレーションにしてきて下さい」

マキノ「……ふふっ、お任せを」

エマ「っしゃーす!!」

二人は踵を返し部屋を後にする。

――――――――――――
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――――

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――秘密結社イシュトレー。

その拠点となる大型潜水艦『R-MT』のブリッジ。

首領「海底都市はまだか?」

兵士「間もなく可視範囲に入ります」

首領「そうかそうか。……撮影用潜水艦は?」

兵士「問題なく稼動中です」

兵士がパネルを操作すると、R-MTの後方を航行する、大きなカメラを備えた小型潜水艦の姿が画面に映った。

首領「よーし。我々イシュトレーの華々しいデビューだ。しっかり撮っておけよ」

兵士「海底都市、可視範囲に入りました!」

首領「よし、連装大型魚雷スタンバイ! 撮影を開始しろ!」

兵士「はっ!」

首領『諸君、私の声が聞こえるかね? そう、イシュトレーの首領だ。これよりこの大型潜水艦R-MTを用いて、
  あれに見える海底都市を木っ端微塵に粉砕してくれよう。君たちに与えられた選択肢は2つだ。
  一つ、大人しくイシュトレーの軍門に下る。もう一つ、イシュトレーに歯向かい無残に殺される。
  今の内に好きなほうを選びたまえ! さあ、大型連装魚雷発射!』

兵士「はっ!」

兵士の操作で大型の魚雷が海底都市目掛けて大量に発射された。

――――――――――――
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――――


983 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:22:48.19343Kvp230 (6/13)

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――――――――――――

――海底都市の緊急出動用ドック。

マキノ「……来たわね」

エマ「…………」

二人の親衛隊員が、出撃の準備を済ませスタンバイしていた。

マキノ「スマートに片付けましょう、エマ」

エマ「…………」

エマからの返事は無い。不思議に思ったマキノが顔を覗き込む、と。

エマ「う、うわぁっ!?」

マキノ「ひゃっ!? ……こほん。どうかして、エマ?」

エマ「あ、悪い悪い! ちょっと考え事!!」

マキノ「全く……任務直前に他の事で考え込むなんて、非論理的ではなくて?」

エマ「あははは! そうだな!!」

マキノ「……まあいいわ。行くわよ、オクト」

『ゴロン、ゴロゴロゴロ』

マキノに呼ばれ、金属製の大きなタコが動き出す。

エマ(……アタシ、やれるよね? 母ちゃん……)

エマ「っしゃ! アタシ達も行くよルカ!!」

『カララン』

マキノ「オリハルコン……セパレイション」

エマ「オォリハルコン! セパレイショォォッン!!」

二人の掛け声でそれぞれの相棒が分解され、体に装着されていく。

マキノ「アビストーカー、ウェイクアップ」

エマ「アビスマイル! ウェェイク、アァップ!! っしゃ、行くぜぇぇー!!!」

そのままエマはドックから勢い良く飛び出した。

マキノ「……ふう」

やや呆れながらも、マキノもそれに続く。

――――――――――――
――――――――
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984 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:23:53.45343Kvp230 (7/13)

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――――――――――――

発射された大型魚雷が海底都市に迫る。

首領「はっはっは、あっけない!」

首領が勝利を確信した、その時。

ギャイイイイイイイイイイイン

耳を切り裂くような鋭い音が周囲に響いた。

それに呼応するように、魚雷が次々と着弾前に爆発していく。

首領「な、何だ! 何が起こった!?」

兵士「あ、あれを!」

画面に映し出されたのは、甲冑を着てギターを抱えた人間……いや、ウェンディ族の姿だった。

首領「!?」

甲冑を着たウェンディ族……エマはにぃっと笑い、ギターを振りかざし叫んだ。

エマ「アビスマイル! オン・ステーーーーーーーーージ!!!!」

首領「ええい、何がオンステージだ! ロボットを出せ! 奴を殺せ!」

首領の号令で、R-MTから人間サイズのロボットが多数出撃してきた。

エマ「いいねえいいねえ!! ギャラリーが多いほど盛り上がるよ!!」

エマは更にギターを掻き鳴らす。

ギャギャギャウォォォォォォォォン

すると、進軍していたロボット達が突然止まり、急に同士討ちを始めた。

ロボット「jerhbfvlgu38rfoaw4hapw44h8ibGco?A$9j;cg889gpgc」

ロボット「hcIVFLVR<Utvbn;vytbo?I?P Iyta b/o:y8 ob8 y&T b」

ロボット「KLHHVBrBVTbvb.yn.svnya;rhgta,whawe;pt599j.t;/p」

首領「何だ!? 一体何なんだ!?」

兵士「どうやらあのギターから放たれる音波で、ロボットの人工知能を狂わせているようです!」


985 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:25:15.90343Kvp230 (8/13)

首領「ええい! 魚雷の爆発もその音波か! ならばビーム砲を撃て!」

エマ「させねーって!!」

ギャンッ

エマがギターを短く鳴らすと、R-MTのビーム砲塔が突然爆発した。

首領「ぐわあああ!? ええい、こうなれば特攻だ! R-MTをぶつけてでも奴を殺すん……!?」

突然、R-MTのブリッジ内部全体が黒い煙幕に包まれた。

首領「え、ええい、一体全体何が…………ごっ!」

慌てていた首領は、突然後ろから何者かに心臓を貫かれ、息絶えた。

マキノ「……ふふ」

兵士「首領!? 首領!?」

兵士「首領が死んだ!?」

兵士「おい、そこに誰かいるぞ!」

兵士「何者だ貴様!?」

口々に叫ぶ兵士達に、マキノは黙って四本の触手を向けた。

マキノ「敵……以外に答えがあるとでも? 頭の悪い会話は疲れるの」

触手から伸びた鋭い針が、兵士達の心臓を正確に次々と貫いていく。

マキノ「……さて」

――――――――――――
――――――――
――――


986 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:26:08.01343Kvp230 (9/13)

――――
――――――――
――――――――――――

エマ「おー、マキノ! どうだった!?」

R-MTから脱出してきたマキノにエマが問いかける。

マキノ「問題ないわ。後はエマに任せるわ」

エマ「おう! 任されたよ!!」

そう言ってエマは背中から六基のスピーカーユニットを射出した。

エマ「アゲてアゲてアゲて行こうかぁぁっ!!!」

ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ

今までにも増して激しくギターを掻き鳴らす。そして、

エマ「デストラクションッ!! アッパーーーーーーーーーーーー!!!!!」

スピーカーユニットを介して大幅に増幅された音波が、無人のR-MT目掛けて飛んでいく。

デストラクション・アッパーを受けたR-MTは、全体へ瞬時にヒビを走らせ、粉々に砕けていった。

エマ「……おーしっ、ド楽勝ーっ!!」

エマ(やった! アタシやれたよ、母ちゃん!!)

――――――――――――
――――――――
――――

――――
――――――――
――――――――――――

サヤ「成功ですねぇ」

ヨリコ「ええ、思わぬ副産物もついて、ね」

言いながらヨリコは、画面に映る撮影用潜水艦を見やる。

サヤ「生中継でしたからねぇ。海底都市に無闇に仕掛けたらこうなるぞー、なんて」

ヨリコ「ええ、他勢力へのいい牽制になった事でしょう」

ヨリコは優しく微笑んだ。

その後ろで、海龍の巫女の口元がニタと歪んでいる事も気付かずに。

続く


987 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:27:18.18343Kvp230 (10/13)

・エマ(地上人名・仙崎恵磨)

職業(種族)
ウェンディ族

属性
装着系変身ヒール

能力
優れた身体能力

詳細説明
海皇宮親衛隊の一員。
急逝した母の代わりに親衛隊に入ったので、一部の人間から「七光り」と陰口を叩かれている。
本人もそれを気にはしているものの、大声を張り上げて喋る事であえて考えないようにしている。
しかし、第三者の目が無い時には偶に弱音を吐いたりもする。

関連アイドル
ヨリコ(上司)
ルカ(相棒)
カイ(元同僚)

・ルカ
エマの相棒である戦闘外殻。外見はギターを背負った金属製のイルカ。
元々はエマの母親の相棒だった。ギターは後からつけられた。
エマの母親にあわせて穏やかな性格になった為、現在エマには少々振り回され気味。

・アビスマイル
エマがルカを身に纏いウェイクアップした姿。
元々は装着者の美しい歌声で周囲の機器や相手の神経を狂わせる戦闘外殻だった。
しかしエマとの相性は最悪で、急遽複数の音波兵器を装着する応急処置を施した。
・サウンドビット
背中に格納した六基のスピーカーユニットを射出し、相手に全方向から音波を浴びせる。
・ブレイクソウル
ギター型音波兵器で相手に音波をストレートにぶつける。
・デストラクションアッパー
ギター型音波兵器で発した音波をスピーカーユニットで増幅し、一気にぶつける大技。



988 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:28:21.54343Kvp230 (11/13)

・マキノ(地上人名・八神マキノ)

職業(種族)
ウェンディ族

属性
装着変身系ヒール

能力
優れた身体能力

詳細説明
海皇宮親衛隊の一員。
「自分の命より大事なのは海皇だけ」を信条に、危険ならすぐに撤退する。
その為、一部の人間から「臆病者」と陰口を叩かれているが、本人は一切気にしていない。

関連アイドル
ヨリコ(上司)
オクト(相棒)
カイ(元同僚)

・オクト
マキノの相棒である戦闘外殻。姿は巨大な金属製ミズダコ。
普段何を考えているか、相棒のマキノでさえ分からなく不気味。

・アビストーカー
マキノがオクトを身に纏いウェイクアップした姿。
光学明細や煙幕を搭載し、隠密・諜報・暗殺を得意とする。
・アサシンテンタクル
背中から展開した触手に仕込んだ針で相手を刺し殺す。
・ブラックミスト
腹部から黒い煙幕を噴射して敵をかく乱する。


989 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:29:22.45343Kvp230 (12/13)

・イシュトレー
世界征服という大それた野望を持った中年男が十年の時をかけて築き上げた秘密結社。
巨大潜水艦「R-MT」や小型ロボットを主力として海底都市に侵攻したが、
エマとマキノの手により初陣で壊滅させられた。そう、出オチ。

・イベント追加情報
撮影用潜水艦により、戦闘外殻がイシュトレーの巨大潜水艦を轟沈させる様子が全世界に中継されました。


990 ◆llXLnL0MGk2013/08/18(日) 01:31:00.08343Kvp230 (13/13)

以上です
書いてて何かエマさんが海底都市編第二の主役になれそうな感じになった


991 ◆tsGpSwX8mo2013/08/18(日) 01:41:38.91cLVCJofqo (1/1)

乙です。

中年の十年の計画が文字通り水の泡……。そして二人ともかっこいい!


992 ◆hCBYv06tno2013/08/18(日) 01:44:45.63b0tAlfJrO (1/2)

乙ー

哀れ中年男

そして、エマの心の弱みにつけ込む川島さんの姿が脳裏によぎった俺はダメかもしれない


993VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 01:56:22.57bwEbOErgO (1/1)

おっさんェ…


994 ◆yIMyWm13ls2013/08/18(日) 02:20:00.15Lez8ETrDo (1/2)

乙乙!

おっさん…お前みたいなヤツ嫌いじゃなかったぜ……

そろそろ埋めかな


995 ◆hCBYv06tno2013/08/18(日) 04:37:55.23b0tAlfJrO (2/2)

それは人類が産まれる太古の昔より生きている。

光「私の力が効かない!?やめろ!こっちに来るなぁぁぁ!!」

それは何処にでもいて、何処にもいない。いつも人類の側で隙を伺っている。

あい「馬鹿な……いつのまにっ!?」

それは手足をもがれようと、潰されようと、死にはしない。

裕美「嘘……?まだ生きてるの?」

それは個にあらず。気をつけろ。油断すれば群で来る。

カミカゼ「なっ!?一匹だけじゃねのか!?美世逃げろ!!」

それが翼を広げれば、人々は恐ろしさの余り逃げ出す。恐怖の象徴。

乃々「むーりぃーーーー!!!!!」

それは悪魔にさえも、悪魔と云わしめる魔物。

桃華「わたくしに近づかないで!この悪魔!!」

それは究極の生命体。

奈緒「やめろ!!アタシに近づくな!!!!!」

善も悪も中立もそれは関係なく牙を向く。

今、彼等に最大の脅威が襲いかかる。


モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」

劇場版≪G襲来≫


---彼等はこの危機を乗り越えられるか?




嘘です!


996 ◆zvY2y1UzWw2013/08/18(日) 08:40:14.425PH2ZP9x0 (1/2)

乙です
ギター繋がりでエマちゃんをだりなつと会わせたいが相性悪すぎィ・・・

>>995
これはひどいw


997VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 11:44:29.20EaZXO6aUo (1/1)

悪魔にまで悪魔呼ばわりされる……一体何ゴキブリなんだ?!


998VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 12:27:21.52yYRzY59Yo (1/1)

1000なら新イベントでG降臨


999 ◆yIMyWm13ls2013/08/18(日) 13:11:01.11Lez8ETrDo (2/2)

一度は完全に絶滅させたと思われた黒い生き物。

しかし彼らは人間に擬態する術を手に入れていた!

一晩に一軒ずつ家が襲われていく。

襲われた家の住人はあまりのショックで口も開けない。

それでも黒い生き物の襲撃は続く。



世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で SPECIAL

汝は害虫なりや?

ご期待ください。


1000VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 13:12:50.745PH2ZP9x0 (2/2)

1000なら↑実現